Armored Core for Rayleonard (排除君)
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一ページ目

間髪いれず他の小説にも手を伸ばすぐう無能。



※基本更新遅めです。後々タグ追加あると思います。





A月B日

 

今日から日記を書き始めた。

正直自分でも何を書けばいいか分からないし分かりたくもないが、研究部門の連中がやけに書け書けと蠅の如く五月蠅くしてくるので書くことにした。

何でもAMS適性がどうとか、天才がどうとか言っていたが私には何の興味もない。

ただ今の安定した生活を維持できればいいかなと思っている。

 

 

A月C日

 

久しぶりに私の所属する会社のお偉いさんから通信がきた。

何でも私に先の「国家解体戦争」で注目を浴びた存在である「リンクス」になって「ネクスト」に乗ってほしい、という内容だった。

私はこの会社で最年少であるため基本的に外には出ず、社内で事務的な仕事をするただの"一般的な社員"であるにも関わらず、戦火の中心で銃火器をバカスカ撃つような役割になってほしいなどと頼まれるのは意味が分からなった。

勿論、理由は聞いた。

しかしお偉いさんは言葉を濁すだけで特にこれといったことは喋ってくれなかった。

全く何なんだか。

 

 

A月D日

 

気に食わないが、お偉いさんパワーで私は強制的に「リンクス」となることになった。

始めはこんな会社辞めてやろうと思ったが、今まで以上の待遇と給料を貰えると言われたので手のひらくるりで従った。(強い存在と戦うこともあるかもしれないと言われた時は変な笑いが出てしまった)

別に私は悪くないもん。幹部クラスの待遇と給料がただの平社員の目の前でチラつかされたら誰だってそうなるはずだよ。

……あっ、それとリンクスになるにつれて私以外の先輩リンクス達と会うことになった。

先輩リンクスは全部で4人。

私と同じくらいにリンクスになった人もいるみたいだが、今日は見ることはなかった。

皆其々個性のある人たちでコミュ障の私でも話していて楽しかった人や、質実剛健な軍人を感じさせる細マッチョな人、欧州の古き騎士を思わせる人、そして先に話した軍人さんと仲良さげに会話を交わした人などがいた。

しかも全員国家解体戦争で活躍したリンクスということを聞いたときは、「お前の表情筋は死んでる」とよく言われる私でも驚きと、喜びを隠せなかった。

だって話に聞いていた名だたるリンクスの皆さんが私の先輩なんだよ?

そりゃ自然と嬉しくなるよ。

 

 

A月E日

 

至福の睡眠に意識を落としていた私は、朝早くに研究部門の変態共に拉致された。

始め寝ぼけていた私は何の抵抗も出来ず、ドナドナと奴らの穴倉に連行。

あれよあれよという間によく分からん機械にコードで繋がれて固いベットに強制IN。

当然固いベッドに放り投げられてINさせられた私の腰は悲鳴を上げていたが、生憎この手の痛みには謎の耐性が付いているので表情に出る事はなかった。

そして両手両足をガッチリと拘束されて、注射器で薬品を注入された。

この後の事は一切覚えていないのだが、どうやら長い時間寝ていたようで汗だくになったまま私の部屋のベットの上で目が覚めた。

頭が妙にモヤモヤしていているのにも関わらず、思考が冷水でも掛けられたかのように冴えわたっていたが、医療部門の奴に検査してもらったら異常なしと言われたから気のせいだったのだろう。

 

 

A月F日

 

今日はリンクスになるための施術を行う日だ。

"AMS"というマシン・生体制御システムを埋め込み首元から脊髄、延髄にかけてコードで差し込んで繋げれるようにするという狂気の沙汰と思ってしまう事を昼過ぎから行うのだが、不安でしかない。

大体マシン・生体制御システムってなんだよ、漫画とかでよくある強化人間が埋め込まれてそうなものじゃないか。

技術の大本が身障者の社会復帰を目的としたものだとしても、これ程マッドなものはリアルでは初めてだ。

というか機械と自身の脳を繋ぐと機械からのデータの量が多すぎて脳神経が壊死するんじゃないか?

気になった私は聞いてみたが、研究部門の主任とAC部門の元締めは「多分そうだと思う」というものすっごい曖昧な返事をしてきた。

彼らとしてもこの類の問題(※彼らは光の逆流と称している)は何とかできない物かと、彼らなりに奮闘しているらしい。

AMSの技術において各機関より良くも悪くも突出している「アスピナ機関」ならば解決することが可能かもしれない、と技術者の間で囁かれている事を主任は呟いていたが実際は望み薄そうだ。

………と、書いていたらどうやら施術の時間までもう少しだ。

今しがた部屋のドアがノックされた。

残りは今日の施術が終わったら書くとして一旦やめる。

 

 

 

(この後は暫く空白が続いている)

 

 

 

 

A月G日

 

あの研究者たちめ………私に堂々と嘘つきやがって。

 

私はあの後特に何もなく施術を行った。

施術は夜までに終わり、施術後でも普段と変わらず動けるから問題ないと言っておきながら、施術が終わって私が目を覚ました時から日記を書き始める前まで身体が硬直して動かなかった。

手足は凍結したパイプのようにカチカチになっていて、首も固定されてるみたいだった。

そんな状況下に私に忍び寄る尿意。

いやホント今思うけど他の先輩リンクスたちに挨拶しておいてよかった。

偶々私の部屋の前を通った先輩リンクスの一人、べルリオーズさんが私が身体を動かせずに発していた呻き声を聞いて、様子を見に来てくれたのだ。

その後は搾りかすみたいな声で何とかトイレに行きたいが身体が動かないと伝え、同じリンクス仲間のアンジェさんを連れてきてもらい社会人になってから初めてのお漏らしを経験せずに済んだ。

用を足した後は、また部屋に戻るまでアンジェさんにおんぶしてもらった。

彼女の背中はリンクスとして、そして軍人として鍛えているのか硬く感じたが同時に暖かさも感じた。

そう、まるで今は亡き母と一緒に寝ていた時と同じように。

 

 

A月H日

 

正式なリンクスになってから次の日の今日。

私は研究部門の主任を絞めた。理由は施術前に吐いた嘘の件。

流石にプロレス技で絞められれば主任も参ったみたく真剣に謝罪したので、「ほえーこの人も真面目になるときがあるんだ」と一瞬思ったが私は直ぐに考えを反転させた。

この男、あろうことかいきなり私の全身を視姦し始め、嘗め回すかのように頭から爪先までじっくりと見てから、一人で勝手に納得したみたいにうん、と言ってその場を去ったのだ。

私も表情筋が死んでるとはいえども、年齢的にはまだ若々しくちょうど花が大きく咲いている時。

そんな視線で見られれば生理的に嫌悪感を覚えるのは可笑しくない。

主任は後でまた締めるとして、結局肝心の身体の硬直については何も聞くことができなかった。

暇があったらベルリオーズさんたちにこういった事があったか聞いてみるか。

 

 

A月I日

 

シュミレーションも何も行わず、ぶっつけ本番でネクストに乗る事となった。

場所は本社から幾分か離れた場所にある小さな湖の畔。

何でも水中や高湿度地帯、更には雪などが降り積もる環境下などではあの恐ろしい粒子「コジマ粒子」が霧消しやすいとのことで、企業は優先的に水辺や降雪地帯に施設を建造しているらしい。

無論、ネクスト関連の施設も例に漏れずそのような環境が揃っている場所で建設されるとのこと。

ネクストはコジマ技術、AMSなどの画期的な新技術を詰め込んだ、まさに質で量を粉砕する兵器だ。

括りは作業機械のMT(マッスル・トレーサー)の発展形に当たるAC(アーマード・コア)に分類されるが、既存のACたるノーマルを遥かに凌駕する戦闘能力を誇り、単機で戦況をひっくり返す事すら可能な化け物だ。

しかし主任たちの話を吟味してみると、ネクストの搭乗者であるリンクスとそのリンクスのAMS適正とやらが高くないと良い戦果を得られにくく、適性が低ければ強い精神負荷による凄まじい苦痛で悶え苦しむという中々ぞっとする設定がテンコ盛りのじゃじゃ馬だ。

幸い私は天才と称されるオーメル社の秘蔵っ子に匹敵する適正の持ち主みたいなので苦しまずに済むが、何回も乗り続けていると最後は廃人になるようなので、そこには注意していきたいと思う。

 

 

A月J日

 

結果として私の初ネクスト搭乗は、初体験とは思えないほど上出来だったらしい。

乗る前に主任から「ネクストの操作はイメージに依るところが大きい。だから緊張しすぎず落ち着いて行け」という真面目過ぎるアドバイスを貰ったので、AMSを接続する前にイメージトレーニングをしたのだが、それが今回の結果を弾き出した要因かもしれない。

それといちを搭乗訓練の説明をしておくが、搭乗訓練は全部で5つ。

歩行移動、ブースト移動、射撃、近接、クイックブーストだ。

歩行移動、ブースト移動は脳内でイメージを固めつつ、自分の意思をコードで繋がれた統合制御体に送ることで難なく熟せたが、射撃と近接は上手くいかなかった。

固定された的には当てることができても、いざ動き回る的に対しては思うように当てれないのだ。

訓練後に聞いた主任の持論では、AMS適性はあくまでも”ネクストの操縦に必要不可欠なスキル”であり、それだけでは戦闘力に直結しないようなのだが、単に私が武器などの殺傷能力がある物を使ったことが無いことも起因してるだろう。

最後に新人リンクスが基本的に扱いきれない技術であるクイックブーストは、通常のブースト移動する際に進む方向の少し先にある部分に瞬間移動する感覚で行ったら普通に出来た。

人それぞれだろうが、想像力豊かな人だったら比較的ネクストは動かしやすいのかもしれない。

昨日の一番の収穫はそれだった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フロム脳から光が逆流する……!

はい、ということで多分オリジナルな設定混じりまくってます。
公式資料集は持ってないので間違っているものがあることを承知で、了承してくださるとありがたいです。


※この小説には誤字脱字等があるかもしれないので、発見次第報告してくださるとありがたいです。






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二ページ目

こっちの方がどんどん考えが浮かんできて書けてしまった。
やはりフロム脳は恐ろしい。




A月K日

 

今日は普通に業務を行う日だ。

企業に所属しているリンクスは、週に何回か訓練を行うか同じリンクス同士で日にちを指定して模擬戦を行う位しか平時はやることが基本無い。

リンクスとは有事の際にネクストを駆って戦う事が仕事内容に追加された正社員に過ぎず、もっぱら社内で他の社員と共にデスクワークをする者でありあまり特別視されない。

無論、社の上層部の人間にとっては戦争の切り札であり最高戦力でもあるネクストの搭乗者たるリンクスの希少性は無視できない物であり、社内の位が上がれば上がるほどリンクスに対する視線は変わってくる。

事実私も通常の業務を熟して、報告書を部の上司に渡しに行ったときは何処となく下の者が上の者に向ける感情と同じものを感じた。

始めこそ今まで見下していた者が此方に敬意を払う様は心地よかったが、幹部クラスの人間にもそういった事をされると気味が悪くてしょうがなかった。

 

 

 

 

※追記:何時もと変わらず接してくれる同僚たちはこれからの私の精神安定剤になりそう。

 

 

A月L日

 

朝に社員たち御用達の食堂で食事を取っていたら、変態共(研究者)の主任に首根っこ掴まれて薬品臭い奴らの巣に連れていかれた。

あまりにも突然の出来事で飲んでいたコーヒーを前面にぶちまけそうになったが、口の中で止めた私は褒められてもいいと思う。

床の上で引きずられながら移動している時に、起きたばかりで髪がボサボサのオービエさんに会ったので引きずられながらも挨拶したら、苦笑いされながら返事をされた。

解せない。これではまるで私までこの変態共と同等な存在と見られているようじゃないか。

その後は私の至福のひと時と先輩からの印象をDOWNさせた容疑で主任を絞めた。

どうやら私に次の訓練メニューの事を話すために来たらしいが、私が一人黙々と食事を取っているの見て居た堪れなくなったため強引に事を運んでしまったと粛清後に弁明した。

それでももうちょっと穏便に済ませれないのか………。

というか変態共のボスに哀れまれるなんてどんだけ私は孤独オーラを出しているんだ?

 

 

A月M日

 

前回の訓練と同様のメニューを終えた後、本社に戻る途中同じく訓練をしていたオービエさんと少しばかり話した。

この時はオービエさんの方から訓練について話しかけてきたのだが、いつの間にか話の内容はあの変態共の事になっていた。

昨日の朝は災難だったねと言われた時は、私の苦労を分かってくれる人がいたことに嬉しくなり尊敬度が高まった気がする。

オービエさんはあのイカれた集団とはそこまでの関係があるわけではないからこそ、本社内部でも常識人として一定の信用度を得ていて、私個人としては人柄の良さが一番好印象になると思った。

私の語学力では書ききれないが、彼は無表情で口数が少ない私に同僚と同じく接してくれる一人だから私の中では好感度が高いのだろう。

飽くまでも異性としてではなく頼れる友人としてだが。

 

 

A月N日

 

お偉いさんから他の先輩リンクスと模擬戦をしろとの命令が届いた。

機体は訓練時に乗っているレイレナードのネクスト"AALIYAH"

武装は何処の物を使ってもよし。

相手は誰でも構わず、勝ち負けは関係なし。

機体の改造は自由だが、整備の人間を困らせない程度に。

要は少しでも戦闘をできる器か試す試験に近いようだ。

………しかし私以外のレイレナード所属のリンクスとの戦闘なんて勝ち負け関係なしでも渋ってしまう。

 

NO.1、NO.3、NO.11、NO.12、NO.33。

 

私と同じくらいにリンクスになったNO.33の真改の実力は如何ほどか分からないが、間違いなく真改以外のメンバーは戦闘にすらならないと予測できる。

NO.1とNO.3のベルリオーズさんとアンジェさんは言うまでもなく最強格で、オービエさんもあまり触れられないがあの人は何時もの人の好さとは正反対のレベルである近距離での火力重視の蹂躙機体。ザンニさんにいたってはベルリオーズさんに匹敵する戦闘能力の持ち主。

対峙したら"あかんわこれ"ってなるのは目に見えている。

幾ら何でも手加減はしてくれるだろうが、戦場の厳しさを教えてやる的な雰囲気で完膚なきまで叩きのめされる可能性も無くはない。

兎に角自分の気持ちを強く持って相手の気迫に飲まれないようにし、相手の技を盗みに行く位の心持で挑むことにした。

 

 

※BFFとの演習を終えて戻ってきたベルリオーズさんと模擬戦を行えるようにオービエさんが取り計らってくれた。何時もながらあの人には感謝、感謝である。

 

 

A月O日

 

オービエさん経由でベルリオーズさんとの模擬戦が決定して、その日にちは今日から二日後になった。

理由はベルリオーズさんがBFFとの演習で、狙撃型のネクストと連戦して精神が疲弊しているから少し休ませてほしいと言ってきたからだ。

その際に彼は「新人の君に私の我儘をいう事は気が引けるが、今回はどうにか承諾してくれないだろうか?」と言われたので、私は「忙しい貴方に模擬戦を頼み込んでいる私の方こそ我儘を言っていますので、気になさらないでください」と若干口調がいつもより可笑しかったが、ベルリオーズさんが悪いわけではないと伝えれたと思った。

その後は、英気を養っているベルリオーズさんに内心で申し訳ないと言いながら、先の戦争で最も高い戦果を上げた人の機体構成や武装の選び方を聞いてみた。

返ってきた答えでは、機体構成はベースとなるACのコンセプトになるべく沿うように組み合わせるか、漫然としてアセンブルを組むのではなく射撃偏向型なら射撃偏向型、近接戦闘型なら近接戦闘型と言ったように何かに特化した組み合わせとするのが無難であり、戦場での立ち回りが理解しやすくなると。

武装の選び方も任務に合わせて選ぶことが一番だが、自分が気に入った武装で様々な戦闘に出て自分なりの戦闘パターンを作りだす事も必要な事であると。

そして最後にベルリオーズさんは、機体のアセンブルを参考にするならばザンニやオービエの機体が良いだろうと教えてくれた。

どうやら、ベルリオーズさんは必要とあらば他社製パーツの使用すら辞さないようなので、必然的に真似しようとしても真似できないらしい。

その点他社製のパーツを使うにしても、レイレナード寄りの企業のパーツを使うザンニさんとマシンガン二丁にプラズマキャノンといった安定した組み合わせのオービエさんは真似するには丁度いいと。

私は話を聞いた後にそそくさとその場を去り、急いでAC部門の元締めと整備士たちに話をしに行った。

二日後の模擬戦に機体の改造を間に合わせるために。

 

………結果としてはそこまで急いだ意味はなかった。

元締め、これからはAC主任と書くが彼と整備士たちの私の機体の担当責任者は、私が機体の改造をしたいと言いに来るのを楽しみに待っていたそうだ。

その時は随分と都合がいいなという気もしたが、模擬戦に影響が出ないならば問題無と判断した。

我ながら落ち着きが無かった日だと日記を書いている時に思うことになったけど。

 

 

A月P日

 

朝一番から私の機体整備担当責任者とAC主任3人で朝食を済ませて、30分ほどの休憩を入れ機体の改造に取り掛かり始めた。

機体構成は特に弄らず武装だけを変更をすることにした。

コンセプトとしては、相手の機体に張り付くように、休憩の暇を与えないようにアリーヤのジェネレーターの高出力・高PA整波性能を生かした泥沼の削りあいを強いるアセンブル。

インテリオル製のレーザーライフル「LR01-ANTARES」、接近時のレーザーブレード「02-DRAGONSLAYER」、BFF社製のフレア「051ANAM」、そしてアクアビット社製のプラズマキャノン「SULTAN」

上記でも述べた通り基本戦術は張り付きとレイレナードのイメージとは正反対な削りあい主体。

よってアリーヤの瞬発力と背部武装のプラズマキャノンで敵へ接近。近接及び近距離での戦闘に突入したらレーザーライフルで間合いを図ってズバっといく。

飽くまでも理想図なので上手くいくとは思っていないが、決まれば早急に決着はつく。

だから明日の模擬戦でも同様の事を試してみるつもりだ。

所詮はネクストに乗ってから僅かの新兵だから接近途中で撃ち落とされるかもしれないが、フレアを相手に向けて撃って攪乱に使えばワンチャン接近行けるか?と思っている。

何だかんだで思考が軍人寄りになっていっている事に不安はあるが、リンクスになった以上それはいいことだ。

明日の模擬戦で何を得られるのか楽しみである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は多分ベルリオーズ視点になると思います。
なんかもう構成は頭の中で決まっているんで。


※この小説には誤字脱字等があるかもしれないので、発見次第報告してくださるとありがたいです。






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雌猫VS雄猫

まんまと騙されてくれたな…………。


前回べルリオーズ視点で書くと読者に言ったのはこの俺だ。
そうとも知らずに……おめでたい野郎たちだ。


だが安心しな、すぐに書いてやるよ。






『時間だ。これより模擬戦を開始する』

 

乗り始めてまだ少ししか経っていないが、相も変わらず狭苦しいコクピット内で響くAC主任の声で私の中の気持ちが平時から訓練をしていた時と同じモノに切り替わる。

画面に展開される自身の機体データを流し見ながら、ヘルメットを被りコアの統合制御体から直接繋がっているコードを脊椎辺りにある差込口に接続し、目を瞑る。

 

 

 

 

 

Lune(リュヌ)

 

 

――――――頭部:03-AALIYAH/H  →異常なし

 

――――――コア:03-AALIYAH/C  →異常なし

 

――――――腕部:03-AALIYAH/A  →異常なし

 

――――――脚部:03-AALIYAH/L  →異常なし

 

――――――ジェネレータ:03-AALIYAH/G  →異常なし

 

 

――――――F.C.S:INBLUE  →異常なし

 

 

――――――メインブースタ:03-AALIYAH/M  →異常なし

 

――――――バックブースタ:03-AALIYAH/B  →異常なし

 

――――――サイドブースタ:03-AALIYAH/S  →異常なし

 

――――――オーバードブースタ:03-AALIYAH/O  →異常なし

 

――――――各種スタビライザー  →異常なし

 

 

――――――右腕:LR01-ANTARES  →異常なし  残弾数100% 80/80

 

――――――左腕:02-DRAGONSLAYER  →異常なし  エネルギー出力中量

 

――――――肩部:051ANAM  →異常なし  残弾数100% 96/96

 

――――――右背部:SULTAN  →異常なし  残弾数100% 25/25

 

 

 

 

 

次の瞬間。私を吐き気が襲い、汗が汗腺から湧き出てくるが数秒経つと逆に気持ち悪い感覚が吹き飛び、全てがスッと冴えわたる。

目の前に映る明るい外をただ静かに見つめながら、あり得ない自身の勝利のイメージを頭の中で捏ね上げていく。

 

『君にとってこの戦闘はある意味初体験となるか』

 

言葉の言い回しに違和感があるがいいか。

 

『まああまり緊張しても仕方がないだろう。好きにやり給え。それが最善だ』

 

言われなくとも解っている。

今私がすべきことは勝利するという事実を得る事でなく、いつか勝利できるだろうという仮定を戦闘で得る事。

 

『ああ、そうだ。君のためにオペレーターをこちらで選んでおいた』

 

それはありがたい。こちらとしてはそちらの人選に期待させてもらう。

 

AC主任の通信に心の中でやり取りを済ませ、自分の意思のまま機体を前進させる。

そして緑色の味方の識別信号が赤色に変わり、点が無人の市街地の中心部に向かって動き始めた事を確認しOBで市街地の東側に一気に駆ける。

 

よし、初ネクスト戦だ。やれるだけの事をやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間隔を徐々に短くしながらビルとビルの合間の道をブーストで移動。敵にロックされたらクイックブーストで加速しターンをする要領で慣性のまま機体を別の道に滑り込ませ、出来るだけ相手の横面または背面を取れるように事を運ぶ。パターン的にはもうそろそろ敵に動きを読まれる可能性が高いため、張り付きのタイミングを調整し追いかけてくるベルリオーズさんの機体に対して、前面へのクイックブースト直後にブレーキを掛けを自身の機体正面が現在の背面に向くようにイメージする。クイックブーストの使用で体にかかる圧力が増し、体内から何かが噴出してくる感覚に包まれながら、しっかりと画面越しの外を見る。

そして機体が回転しベルリオーズさんの機体を捉えた時、レーザーライフルを2発放つ。一発目はPAを貫通して右肩部のフレアに直撃。二発目はフレアの爆風で左側に傾いた勢いのままクイックブーストをされて避けられた。

 

『当ててくるかッ!』

 

ベルリオーズさんも負けじとすれ違いざまに右腕に装備してあるBFF製のライフル「051ANNR」の接射でこちらの機体を揺さぶる。5発ほど撃ち込まれた内2発はPAを貫通し、右腕の火器専用エネルギー供給ラインの一本を断ち切る。

私は画面の左端にエネルギー供給ライン切断の警告を見て、急ぎOBでその場から離脱。エネルギー供給ラインの変更が終わるまでの間、レーダーに映る敵影の動きに全神経を集中させる。

 

基本的にネクストの武装には機体のコアから供給されるエネルギーが必要不可欠だ。

しかも私の機体の武装は殆どEN兵器のため、腕部に内蔵されているエネルギー供給ラインが一本でも切れれば大惨事となる。

コアから直接肩部、腕部を通してマニピュレータのひらまで伸びているラインは、火器のグリップ又は手首付近に装着されるブレードに接続される事で初めて武装にエネルギーを供給させることができる。

無論ラインの接続は出撃する前に整備士たちがちゃんと済ませているので、いい加減な整備でなければエネルギー供給に異常が出る事はない。だが無きにしも非ずな事で、今回のようにラインが敵の攻撃及び予想外の損傷で切れることがある。そういう場合にはコアの統合制御体に切断箇所から信号が送られ、数秒程で残りのエネルギー供給ラインに使用不可になったラインの供給分が均等に回される。

 

これなら何の問題もないじゃないかと言う人もいるが実はそんな事はない。

 

皆も分かっているだろうがネクストの戦闘は、一秒たりとも無駄には出来ない精密な作業の塊だ。

脳内で統合制御体との情報のやり取りや、メインカメラからの情報、レーダーの平面的情報、機体箇所から送られてくる損耗率と警告、敵の大まかな情報の読み取り。

全てにおいて神経を集中させ、精神をすり減らしながら次にどう動くか、どの武装を使うか、敵への有効打は何かを瞬時に決定すべく働く脳に対する過酷なまでの負担。

これらを綿密に行わなければならない状況下で、数秒の間空白の部分があれば他の働いている部分との連携は間違いなく崩れ落ちる。

そんな熟練であっても対処が難しいであろう事柄を、なり立てリンクスの私が熟せる道理はない。

だからこそOBでその場から離脱した。

 

そして話が戻るが、私の搭乗する機体「Lune(リュヌ)」のベース機体である”AALIYAH”の腕部内蔵型エネルギー供給ラインは全部で五本。

これで一本ラインが切れているから、エネルギー供給効率再編成まで五本で100%のエネルギー供給効率が80%まで落ちる。そんな状態ではただでえ瞬間火力がベルリオーズさんの機体「シュープリス」に劣り、更にEN効率も芳しくない機体では撃ち負けるのは明白。

何が何でもライン復帰までは撃ち合いは避けなければならない。

 

 

だけど…………

 

 

 

『11時の方向から敵反応急接近。注意しろ』

 

 

 

ッハ!?

 

ヘルメット越しに聞こえてきた男性の声で私は一気に思考の中から引きずり出される。

左側の道から通常よりバレルが長いグレネードランチャーを展開している黒いACが飛び出してきて、路上にグレネードを放ってくるとすかさず私はブーストを一瞬吹かして宙に上がり、クイックブーストで後ろに後退。

至近距離でのグレネードの爆風でPAが減衰し、ビリビリと衝撃波が機体越しに私へと伝わる。

そんな中、シュープリスが爆風の中を突っ切ってクイックブーストをした後の私に接近。

右腕に装備している突撃銃「04-MARVE」を前面に突き出してきて機体に刺そうとしてきたので、クイックブーストをまたして距離を取ろうとする。しかし相手もそれを逃す理由もなく、私のクイックブーストと同時にダメ押しのクイックブーストをしてきた。

 

 

 

―――――――――私の思考はそこで既に停止していた。

 

 

 

目の前の画面にどんどん迫ってくるライフルの先端。

AALIYAHの電子掲示板のようなモノアイから漏れる赤い光が尾を引いて揺れ動く。

マクロな視点からミクロな視点へ、走馬灯のようにゆっくりと流れる動き。

 

脳をフル稼働させ、どうにか逃れれないかと回避行動を模索する。

 

 

――――左腕を前に出して緩衝材にするか?   

 

――――だめだ、それでは押し切られて突き刺される。

 

 

――――相打ち覚悟でANTARESを撃つか?   

 

――――ロックオンする時間も無ければ撃つこともできない。

 

 

――――逆にこちらが相手に突っ込むか?   

 

――――突っ込むだけのブーストの加速をする余裕はない。

 

 

――――ブレードならば相手のどこかを道ずれにできるのでは?

 

――――もしできたとしてもこのコースでは刺さり所が悪ければ死ぬ。

 

 

…………じゃあどうすればいいのだ。

 

答えを見つけ出せない私は、コクピット内で鳴っている警告音の事など気にならない程脳を酷使し、目を浸し切りに動かし解決糸口を探す。

 

 

 

 

 

どうしようどうしよう避けれない避けれない避けれない何とかしないと何とかしないとブーストをブーストをブーストをブーストをブレードでブレードでどうしようどうしようたすけてたすけてクイックブーストを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………

 

…………………………………………

 

………………………………………

 

 

 

その時私の中で一つの答えが見つかった。

 

 

”クイックブースト”

 

 

そうだ。クイックブーストをもう一度すれば避けれるのだ。

 

解決策が見つかった後の私の行動は素早かった。

即時に自分の意思をAMSを介して統合制御体に伝え、クイックブーストをする。

すると機体が相手の動きより早く後ろに下がり、視界がシュープリスより離れてゆく。それと同時に前のクイックブーストの圧がかかっていた私の身体に更に圧がかかる。

凄まじいまでの圧力がかかった私の身体は、全身が軋む音を立てながら悲鳴を上げ、何本かの血管が切れて口からは血を吐き出す。脳はあまりの負担に混乱し恐ろしいほどの頭痛に見舞われる。

 

だが私は止まらない。

朦朧とする意識の中、LR01-ANTARESを可能な限り連射する。

ロックオンこそ定まっていないが、機体のENが持つ限り撃ち続ける。

そしてシュープリスが回避行動を取って別な道へと姿を消した時、私は視界がどんどん暗くなっていくのを感じた。

 

 

『……ッ!!パイロット聞こえるか!?…へんじ……を…し………ろ………………』

 

 

最後に聞こえた男性の声を途切れ途切れながら拾い、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、今回はここまでです。

それとすいません。ベルリオーズ視点で書くと言っていたのですが、あまりにも纏まらなさ過ぎて主人公視点で先に書きました。(予定通りに書けない者はこの世界には不要だ。・・・・・・じょ、冗談じゃ・・・ボボボボボ)

それと今回も独自設定テンコ盛りで書きました。ちゃんと原作にあっている設定もあると思いますが・・・。


※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。








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三ページ目

ベルリオーズ視点を投稿する気など元より無い。





はい、すいません。
ベルリオーズ視点は纏めれそうにないので、しばらく延期します。





A月X日

 

一週間ぶりに日記を書いた。

目を覚ました今日の朝。あの模擬戦で意識を失った後、私は直ぐに本社の要人専用医療室に運ばれたと様子を見に来た主任に言われた。

私がシュープリスからクイックブーストで離れた時、統合制御体とのリンク度が徐々に下がり始めたのを私のオペレーターを担当した男性が発見し、模擬戦の中止をAC主任に求めたのだという。

これさ、もしオペレーターをAC主任たちが選んでおいてくれなかったら、私の脳神経が壊死していたかもしれない。

それを考えると今でも寒気がする。後でAC部門のメンバーに差し入れでもしようと思う。

 

 

A月Y日

 

病み上がりだからまだ部屋から出るな、と主任に言われた。

何という事を……!これでは書類が溜まって私の仕事量がががががが――――――。

 

――――――と思ったら、同僚たちが無理してぶっ倒れた私の仕事を肩代わりしてくれたようで、完治するまでそれを続けてくれるそうだ。これは差し入れがもう一つ増える。

それとオービエさんとザンニさんまでもお見舞いに来てくれた。

オービエさんは丁度仕事が無かったから暇つぶしに、ザンニさんは仕事が忙しく来ることができないベルリオーズさんの代わりと言っていた。

早く病室から出て仕事がしたいと言ったらオービエさんにめちゃくちゃ笑われた。解せぬ。

ザンニさんには仕事熱心なのはいいが、それで体を壊したら元も子もないぞと言われた。ぐう正論。

 

なんだかんだ言って、今日は病室にいても楽しかった。

たまにはゆっくりするのもいいかもと初めて思った。

 

 

A月Z日

 

遂に薬品の臭いと同じ色で統一された病室から解放された。

自らあのような多大な負担が身体に掛かる事をしたのは今でも反省しているが、模擬戦と言えども初のネクスト戦で敗北間近まで行ったときに完全に錯乱して暴走しないだけマシなんじゃないかと思った。

と言ってもぶっ倒れて慣れない環境で何日間も寝ているのはさすがに堪えたので、さっさと自室に帰って寝ることにした。

やっぱり慣れている環境だと素晴らしいほど寝心地が良かった。

 

 

A月AB日

 

今日からまた多忙な日々が始まる。

自分の所属する課に行って、同僚たちに謝罪と感謝の言葉を述べてから一週間とちょっとぶりの自分のデスクに向き合う。

山のような仕事用メールの数とにこやかな顔でタワーの如く積み上げてある書類を運んでくる同僚達に戦々恐々しながら、処理を始める。

それと同僚達への差し入れは、リンクスになってから爆増えした小切手を何枚か。

皆受け取った際、目を丸くしてたけどそんなに凄い額だったかな?どうもリンクスになってからのVIP待遇で感覚が麻痺してるのかもしれない。

仕事を終えて自室に戻るときに、ちょうど部屋に戻る途中だった同期のリンクスであるNo.33の「真改」と偶然会った。(因みに私はNo.34である)

元々口数が少ないのか、私が挨拶しても「応」としか答えなかった。

しかも歩く速度も速く、知らないうちにずっと先に行っていた。

なんだか癖の強い人だなぁ~と思いながら、明日に控えている訓練の事を考え気を引き締める。

結果的には助かったが、模擬戦でのクイックブーストの連発で起こった気絶。研究部門の変態共は二段クイックブーストと呼び始めたみたいだが、その二段クイックブーストは身体を破壊する危険な技として極力使わないようにとAC主任に言及されたことは決して忘れない。

研究部門の変態共は、最初こそ貴重なデータだからもっとさせろと言っていたようだが、上層部からの一喝で静まったそうだ。

そらそうよ。上層部からすれば二段クイックブーストのような凄い技は戦闘に直接影響を与えると分かっていても、肝心のリンクスが使い物にならなくなっては本末転倒。

だからこそレイレナード社のお偉いさんは、私に二段クイックブーストの使用を控えるようAC主任を通じて伝えたのだ。

まあ、私もあんな経験はあまりしたくないから元々言われなくとも使う気はなだろう。………と思いたい。

 

 

A月AC日

 

約11日ぶりに私の専用機「Lune(リュヌ)」に乗った。

全身の武装をフレアを除いて全てEN系武装で固めた愛機は、調整用に片腕を上げたままお帰りと私に言っているよう見えた。

それと唐突だが、私の機体について色々と付け足して書いておかねばならない事がある。

まず機体名の「Lune」だが、これはフランス語で月を表す物だ。

機体カラーも闇夜で輝く月のように銀に近い白色で、機体の素材の金属も相まってメタリックな重厚感がある。

AC乗りのトレードマークたるエンブレムは、私の記憶の中に鮮明に残っている椅子に座りながら微笑んでいるブロンド色の長髪の母親の姿を思い浮かべながら作成した。

またエンブレムを貼る位置はACの左肩にして、貼り終わったらAC主任たちに見せてみた。

そうしたら皆に悲痛な表情で見つめられた。何故だ。

 

で、話を戻す。

訓練で愛機に乗った私だが、今回の訓練は前とは異なる物へとなっていた。

具体的に示すと、まず基本動かなかった的が全て動くようになっており、実物のMTやノーマルACなども自律型だが演習弾を撃ちながらこちらを攻めてくる、戦場に近いリアルな演習。

移動ありきの一対多数の戦闘は今回が初めて故、戦闘の足運びは覚束なかったがベルリオーズさんとの戦闘を意識してゆくと自然と行動は纏まり、集中しての射撃や近接戦闘への移行がスムーズになった。

遮蔽物による射線の遮断と、ブーストと歩行の合間に作るEN回復時間管理。クイックブーストで相手の視界からなるべく姿を逸らす様に機体を滑らせる工程から、左腕の02-DRAGONSLAYERによる斬り込み。

基本戦術を確固たるものにするために、同じような行動を繰り返し意識だけでもいいから身体と機体に繋がる脳に覚え込ませる。

今日はこんな感じの訓練だった。

正直前回の模擬戦に比べれば大したこともなく、呆気ない感じだった。

 

 

A月AD日

 

次の訓練予定の確認に際して、模擬戦でAC主任に選ばれたオペレーターの人と正式に会って話すことになった。

オペレーターの人の名前は確か、メ………メル……メルツェルだっけか。

バリバリ欧米人の見た目なのに名前はトルコ語っぽい感じの人。両親がハーフとかなのかね?

話してみた感想としては、何事も冷静に見据えていてその気になれば誰であれ、勿論自分の命も容易く駒にしてしまいそうだと思った。

でも人との付き合いは重要だと考えているのか、仲が深まれば良い友人としてやっていけそうでもあった。

それと模擬戦の時に私が助かったのは貴方の御かげと言ったら、笑いながらオペレーターとしての仕事を全うしただけだから礼はいらないと言われた。

後、これからのオペレーターも自分が担当するから宜しく頼むとも言われた。

 

――――――ちょっと私の周りの人たちが良い人だらけでびっくりしたのはここだけの話だ。

 

 

※追記:研究部門の変態共は除く。

 

 

A月AE日

 

どうしてこうなった。

 

私は今、日記を書いている状況だが疲労度は何時もの数倍も溜まっている。

原因は間違いなく今日起こったことなのだが、それについてはこれから書く。

 

まず今日は昼食を終えるまでは何もなかった日だったのだ。

普通にデスクワークをしながら、緊急で入った人材の配置ミスの修正やらを終えただけだった。

ここまで普通だ。

しかし昼食を終えた後の午後の勤務に問題があった。

 

仕事中にいきなり現れた研究部門の変態共に引きずられながら、奴らの根城に強制連行されたのだ。(これなんてデジャブ?)

おまけに上には話を通してあるから仕事に支障はないと言われた。

一体全体お偉いさんも含めた連中は何を考えているのだろうか。これならば"私に自由がねえじゃないか"と思ってしまった私は何も悪くないはず。

兎も角私は両企業間の変態共(研究者)で科学反応を起こしている場所に連れていかれ、理解が及んでいない状況で様々な質問をされた。

やれ「AMS適性がA+の君がネクストに乗った時の感覚はどうだ」とか、「私生活で常人と違ったと感じたことは無いか」とか、中には「アクアビット社に来る気はないかね」とかいう質問を装った勧誘まであった。

無論、ここでちゃんと質問に応答しないと後で何が起こるか解らないので、変態魂に火がついて荒ぶっている奴らには律儀に答えたが勧誘に対してはキッパリと拒否しておいた。

例え何があっても変態レベルの高い企業に行くなど考えるだけで恐ろしい。

しかも最近は変態共の頭脳を結集してやばそうな代物を作っているという噂まである。

つまりは実験動物扱いされたくないと思ったのが割合大きい。

 

まあそんなこんなあって、今日は精神的には肉体的にも疲れてしまったのだ。

だからこれを書き終えたらすぐに寝ようとおも―――――――――

 

――――――――――――――

 

 

―――――――――――――

 

 

――――――――――――

 

 

―――――――――――ここからは字がごちゃごちゃして読めなくなっている。

 

 

A月AF日

 

昨日は不覚にも寝落ちしてしまった。

その所為で、学校の授業で居眠りしてしまった時に書いたエニグマも真っ青な暗号が出来上がってしまった。

やはり無理はするもんじゃないねと、また一つ体調管理への理解が深まった気がする今日この頃だ。

 

あ、そうそう。

体調管理と言うと近々私の実戦投入が決定したらしく、お偉いさんから体調を崩したりして任務に支障が出ないようにしておけと言われた。但し、任務に関する詳細はその当日に伝えると言われており対策は本番前まで取れなくなっているみたいだ。

といっても、私の機体構成を変更する事はまずないだろうし、あっても武装が変わるだけだからそこまでの影響はないと見ていい。

逆に下手に弄れば実戦でミスを犯す可能性が高くなるので、飽くまでも自身の理想形に近い形で戦い、そこから更に良い方向に発展させる。

総火力についてはEN兵器の02-DRAGONSLAYERがあるから最悪の場合を除いて気にすることもないだろう。

 

それと実戦投入が間近な事をオービエさんたちに話したら、任務の結果があまりにもお粗末だったら夢のリンクス強化試合があるかもしれないと言われた。

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

えっ、何それこわい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想いくつか頂きました。ありがとうございます!


そして唐突な「筆者」のAC世界の時代の流れ。(faでのORCAルートを正史とする)

AC4→ACfa→ACⅤ→ACVD←ここまで地球の話

地球外→AC3→AC3SL→ACNX→ACLR

  別の世界線
      
   →AC初代系→AC2→AC2AA

なお、VD後の世界から分岐してAC3かAC初代系になる。あとACの世界がループしてるって説もいい判断材料になりました。(過去は未来であり、未来は過去である)


メルツェルをオペレーターにした理由:faに流していく段階でORCAとの繋がりを持たせるため。

メルツェルは偽名じゃないのか:多分そうですが、本名に関する情報を私は持ち得ていないのでレイレナード時代からそうだったとさせてもらいました。
と言ってもメルツェルが4の時代にレイレナードに居たかは不明です。

主人公のエンブレム及び主人公の容姿に関して:筆者の画才が無いので書けません。申し訳ない。



※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。








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四ページ目

若干早めに書き終わった。
自分でもこれくらいの投稿速度を維持できるように善処していきたい。











まっ、そんなわけないよね。





B月A日

 

新しい月になった。

これで日記を書き始めて早一か月か、と感慨深く思っている。

………あの変態共に勧められて始めたという点を除けば。

 

―――――月初めから明るくない雰囲気で書くのもどうかと考える故に話題を変えよう。

 

真改さんが正式にアンジェさんの元でネクスト技術を師事することになったみたいだ。

元々実験機のテストパイロットであるだけあってパイロットとしての腕前は私以上なのだが、お偉いさん的にはAMS適正の高い私は優先的に実戦やベルリオーズさんとの演習に出して経験を積まし、テストパイロットの時からブレードの使い方に光るモノがあった真改さんには同じ近接戦闘特化型の機体を使うアンジェさんに教わせることで、戦略的にすみ分けをする意図があるようだ。

 

あれ、それだとまるで私が師事する相手がべルリオーズさんだと言ってるようなものじゃないのか?

 

ま、まあ別にベルリオーズさんなら悪い人でもないし、逆に常識人過ぎて変態共の巣窟第三位のレイレナード(一位はアクアビット)でやっていけるのかと思う位だから師事する相手にはぴったりだろう。

最も師事する相手がNo.1という事もあり、多忙過ぎて教わる機会が減りそうだが。

 

 

B月B日

 

ここ最近世界情勢がキナ臭くなってきた。

聞いた話によると、反体制勢力や武装組織を裏で支援し他企業に対する嫌がらせを行ってきたオーメル社やイクバール社あたりが、ついに自らの軍事力を動かし自身と友好度がマイナスに達しているであろう企業に挑発行為を始めたらしい。

珍しく私の上司が激おこぷんぷん丸になっていたから何事かと思ったけど、そんな裏があったなんて話を聞くまで分からなかった。

しかし挑発行為をしてきたと言っていたが、何故今この企業間の繋がりに綻びが出始めた時に、よりにもよって一番仲が悪いレイレナード社に挑発をしてきたのか。

いや、企業間同士の代理戦争が激化の一歩を辿る中、わざと相手に先に手を出させることを目的として挑発をするのはこちらを仮想敵としている企業では当然かもしれない。

ノーマル戦力が極端に少なくネクストに戦力の大半を依存しているレイレナード社からすれば、迂闊に手を出せず、かと言ってそのまま放置していたらこちらの威信にも関わる。

簡単に事を終えられないことがムズ痒いが、私にとってこうゆう外交面での事は管轄外なのでただただ眺める事しかできなさそうだ。

 

 

B月C日

 

実戦投入予告の連絡があってから数日経った今日、ついに私に与えられる任務の説明がされた。

ブリーフィングと言えば解りやすいだろう。(因みにブリーフィングの担当はオペレーターがやってくれた)

 

内容としては――――――――――――――

 

 

≪ 作戦目標:敵武装勢力の排除 ≫

 

≪ 作戦領域:スペリオル湖 ≫

 

 

レイレナード社の勢力範囲内にある五大湖の一つ「スぺリオル湖」の西岸にあるネクスト用パーツ工場に近付く敵武装勢力の撃滅。

偵察部隊からの情報によると敵はGA製ノーマル数機と逆関節型のMTが数十機、未確認だが移動が可能なレーザー砲台がいるとの情報もあるため発見次第優先的に撃破せよ。

尚、この任務は本社における戦略兵器「ネクスト」のパーツを生産している工場の一つ『クライス工廠』の防衛のため、コジマ粒子等の汚染及び被害は避けなければならない。

よって今作戦ではPAを展開することができず、更に工廠に対する損害があってもならない。

 

そして今回の作戦領域近くのミシガン湖でNo.12のザンニも同じ任務を受けるため敵の殲滅を完了後、必要ならば援護に向かえ。

なお、No.12にも任務が完了し次第No.34である君の援軍として向かうように通達してある。

 

今回の任務が初の実戦である。

ネクストの特権たるPAとOBが使えないことは非常に厳しいが、リンクスとして他の追随を許さない才能を持つ君ならば何の問題もないだろう。

 

作戦の無事を祈る。

 

 

 

―――――――――大体こんな感じだった。

 

初の実戦を楽しみにしていた節があったが、正直この難易度は頭がオカシイと思う。

初心者リンクスにPAとOBの使用を禁止、極め付けには敵大部隊といるかどうか分からないレーザー砲台から工廠を守り抜けとか大丈夫な気がしない。

確かにザンニさんが同じような任務を遂行後に援軍に来てくれるのは嬉しいが、それまで防ぎきるというのは些か無理ゲーの臭いがほんのりする。

でもやらねばならないのなら、自分が殺されないように先に相手を殺すだけだ。

 

 

B月D日

 

人生初のリアル無理ゲーを前にして、同情したザンニさんから労いの言葉を貰った。

ホンマ先輩リンクス達の優しさが乾いた心に染みる。

そして同僚からは「お前が生きて帰ってくる事はどうでもいい。まあでも頑張れ」と言われた。

何て酷い奴らなんだと思ったけど、よくよく考えてみればあいつ等笑いながら言ってたし、もしかして私が生きて帰ってくるのは当たり前だから頑張れと応援してくれたのかね?

だとしたら嬉しい。

だって私には生きて帰ってこれる実力があるだろと言ってくれてるようなものだから。

 

 

B月E日

 

出撃の日になった。

レイレナード社製のネクストAC専用VTOL輸送機に自身の愛機に搭乗したまま乗り込む。(正しくは積み込まれる)

どうやら先にザンニさんの機体であるラフカットが積み込まれていたようで、無線越しに挨拶をされた。

この輸送機はネクストACを2機同時に積める設計で出来ており、余白部分を活用すれば多少の機体改造ならすることができる。

そして積み込みが終了し輸送機のカーゴのハッチが完全に閉まり、カーゴ内の両脇に設置してある冷却器で極低温にまで温度が下げられる。

ネクストのジェネレータはコジマ粒子の生成を司っていて、稼働していない状態でも前回稼働した時のコジマ粒子が漏れる可能性があるため、コジマ粒子の動きが鈍る極低温の状態にしていなければ汚染がマッハでやばいのである。

だからこそネクストは危険物扱いされ、作戦領域上空までは機体を極低温に保つことが義務づけられている。

更にネクストに乗る搭乗員のスーツもそうであり、ネクストに搭乗している時のみスーツの外側は極低温で覆われコジマ粒子による体の汚染を留める。

と言っても完全にコジマ粒子をシャットアウトする技術はまだ確立されておらず、少量であれスーツを貫通し搭乗員に影響を及ぼす。

全く、兵器として優秀な物は何かしらの欠点を抱えているのが悩ましいよ。

だってコジマ粒子の汚染は老化を止めるから、外見こそネクストに初めて乗った時のまま保ってくれるけど、身体内部の損傷はひどく内臓などの器官は確実に弱まる。

つまり外面だけで中身が無い状態なんだ。(?)

 

 

「アルザス、作戦領域到着前までに最終ブリーフィングを済ませておくぞ」

 

 

メルツェルさんからの通信で、よくわからない考えを膨らましていた頭の中をすっきりさせる。

積み込まれた順番的に私が先に出撃するみたいだけど、どっちみちにしろ任務を遂行する時間に少し余裕が出来るわけだから問題は無い。

無理ゲーだろうがなんだろうがマッハで蜂の巣にしてやんよ。注:武装は全てEN兵器です。

 

 

B月F日

 

はあ…………死ぬかと思った。

 

初の任務を終えた私は自分の仕事をそっちのけでデスクに突っ伏していた。

たまに頭の隣にドサっ!と大きな音を立てながら置かれる書類の束に嫌気がさしてきながら小さく疲れたぁ……と呟く。

昨日の任務は想像以上に私の負担を増大させたのだ。(精神的に)

 

あの後出撃で高度2000メートル付近から機体を降下させられた私は、高度1000メートルを切った辺りで移動中の敵部隊を捕捉し先制攻撃としてプラズマキャノンのSULTANをぶち込んでやろうとしたら、逆に極太レーザーで狙撃された。

即座にQTで攻撃を躱し、射撃元を統合制御体の方から割り出してもらう。

射撃元が自身から比較的近くにあった森林だったのでニ、三発キャノンを撃ち着弾した時の爆発で木を薙ぎ払う。

そしてむき出しになった敵のレーザー砲台に、エネルギー残量を無視してLR01-ANTARESを5発ほど撃ち込み撃破。

そこまでは奇襲され返された以外は問題は無かった。

 

だが、問題は砲台より敵のノーマル部隊だった。

敵の逆関節MTはブーストが無いため後回しでも良かったのだが、敵のノーマルAC部隊は機体を改造し出力が向上したブーストを装備していたため想定より進行速度が速く、危なく敵の中距離ミサイルの射程範囲内に防衛目標が入るところだった。

しかもこちらが何とか敵を抑えようと積極的に突っ込んだら、ECMを搭載していた機体による高濃度のジャミングでFCSの機能が低下、相手は前もってECMに対する対策をばっちりにしていたのかバンバン撃ってくる始末。

PAが使えない状況下での鬼畜ともいえる所業でAPがごりっと削られたが、プラズマキャノンの電磁干渉で相手のFCSを一時的に機能低下に陥らせることに気付いた私は、キャノンをノーマルACたちの周りに兎に角撃ち込み射撃精度を下げ、ロックオンに余り依存しない02-DRAGONSLAYERで敵を斬殺。

ノーマル部隊を殲滅した後、遅れてノコノコとやってきたMT部隊をQTとQBによる予測不能な動きで翻弄しながら撃破。

作戦完了の通信をメルツェルさんからもらい、ザンニさんの方はどうかと聞いた。

そしたらザンニさんの方も終了したみたく、回収のために一旦戦線を離れていた輸送機が戻ってきて無事回収された。

 

これが今回における任務の結末だ。

お偉いさん的には、初の出撃としてはよくやったほうだがECM持ちが居ただけのノーマル数機に梃子摺り過ぎだな思われたらしく、オービエさんが言っていた夢のリンクス強化試合が行われると伝えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じょ、冗談じゃ・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初実戦終了。
ということでそろそろ原作を始動しようと思う。
ただし、基本的には主人公視点でしか書かないので、他人視点は気が向いたら書きます。

今回の実戦において、ゲーム内との射程の距離で少しばかり違う点を出しました。
ゲーム内の武器の射程距離はそのままの射程距離ですが、筆者の変な考えではロックオン範囲内=その武装の射程距離として書いてますので違いが出てくると思います。

それとブリーフィングみたいなものは、レイレナードならこういう感じかなと感覚で書いているので違うと思う場合は皆さんの脳内で想像してください。よろしくお願いします。


※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。


現在考案中小説:魔法少女リリカルスティンガー





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五ページ目

遅れて申し訳ない。

投稿速度を維持していきたいと言った直後にこれだよ。













だが反省はしていない。






 

 

B月G日

 

正式に「ドキッ リンクスだらけの強化試合」が開催されることになった。

 

私はオービエさんの知らせで、納得がいかなかったものの事を受容することができた。

大体、上の連中が考えている事が意味不明なのは今に始まったことじゃないしね。

ただ謎な事は、オービエさんは自分であるかも知れないと言っていた癖して、いざ行われることになったらあそこまで取り乱すのも可笑しいと思った。

あの人はどこまで真面目でどこまで巫山戯ているのか。

それだけはまだまだ分からないことだ。

 

 

B月H日

 

今日は久しぶりに自分で朝食を作った。

普段は朝が忙しいために用意することができず、仕事場に近い一般社員用の食堂で済ませるのだが、今日は寝相が悪く顔面から床にfallして何時もより早く目が覚めたので自室のキッチンで料理したということだ。

まあ、その所為で食堂を利用しなかった私を心配して、同僚たちが職場に着いた途端に大丈夫かと聞いてきたのだけどね。

 

冷たいようで暖かい。私が抱く同僚たちに対するイメージだ。

端から見れば仲睦まじいようであっても、彼らはどこかリアリズムなところがあるためそれなりに冷たい。

だがそんな彼らでも内輪で何か問題ごとがあった場合は感情的な面を見せ、自分たちに出来る事をしようとする。

 

だから同じ年に入社し初めて言葉を交わした時から数年しか経っていないが、彼らに代わるモノが無いと断言できる。

年月を積んで築かれた絆による友好もいいが、短期間で濃い関わりを持った場合はその年月をも超える友好関係になると私は思っている。

 

 

※追記:変態共とも濃い関わりを持っているが、少なくとも私的には友好と言えないので注意。

 

 

B月I日

 

GA社の勢力下にある中米で、数年前に勃発した史上何回目になるか分からない大規模な"麻薬戦争"が終結したようだ。

なんでそんなどうでもいいことを書いたんだ?とでも言われそうだが実は麻薬と企業間(特にパックス)には切っても切れない関係がある。

先ずはこの"麻薬戦争"について軽く述べておくと、多くの人は麻薬カルテルやスラム街のコカイン中毒者を思い浮かべるだろうが、それは様々な意味で間違えている。

長く、広い間薬物で使用されてきたのは※マリファナだ。※大麻の俗称

マリファナの使用者は、国家という概念が存在していた頃以前から現在の企業統治の時代に至るまで長きに渡って存在していた。

 

ではこの"麻薬戦争"が何故企業に関わってくるのかというと、殆どの企業が国家解体戦争後に公の場で麻薬を取引できる市場を作ったからだ。

企業からすれば、統治下の人民は単なる労働用の道具としか見ておらず、麻薬等の感覚を狂わせ依存性を出すモノは薬物常用者に対する賃金として支払われてきた。

更に企業の主戦力であるノーマルACやMTの搭乗者にも、麻薬は深く浸透している。適量で使えば痛み止めになるモルヒネとは別物としてだ。

 

戦場での薬物は煙草と同じストレス軽減のためによく用いられている。

銃弾が飛び交い、爆発で耳が脅かされる状態なら不安や緊張で落ち着かないからだ。(因みに非喫煙者にとって煙草などは擬似的な通貨として役に立つ)

私は戦場に立ったのはつい此間の事だから過度なストレスはまだ感じていないものの、オービエさん達など国家解体戦争に参加していたリンクスの先輩方は煙草を吸っている姿をよく見かける。

まあ、小さい時は研究者である母が吸っていたこともあって、煙草の臭いには慣れているがあまり吸おうという気にはならない。

ただでさえ短いリンクスの寿命を縮める事になるかもしれないからね。

 

それと"麻薬戦争"について放っておいた事があるけど、麻薬戦争の発端になったのはGA社と現地の麻薬販売組織の間で何かしらのずれがあったことのようだが、年単位で企業、しかもパックスの一つに喧嘩を売れるなんて需要ありありな販売組織でもあり得ない。

間違いなく裏に何らかの支援を行っている者がいると見ていい。

前に述べた通り世界情勢の変動が著しくなってきた以上、企業に属するリンクスとしての私は人間の悪意で満ちた戦場に降り立つことになるだろう。

 

………なんだかその事を考えていたら急に寒気がしてきた。

今日は暖かくして寝よう。

 

 

B月J日

 

『今の私が全てを失ったら、私は一体何になるのだろうか。』

 

何気に私が気に入っている格言の一つだ。

フロムと言う人が言った言葉であるみたいなのだが、自分をこの言葉に当てはめていけば面白い考え方を膨らませる事が出来るから好きだ。

 

 

では少し変わった話題を書いたことだし、いつもの事を書いていこう。

 

昨日は麻薬戦争についてしか書かなかったが、秘密裏に私を含めたレイレナード社のリンクス全員に召集命令が出た。

内容は"機密保持のため呼び出された場所で伝えられる"と言われたので行くまで分からなかったが、聞いてみれば「なるほど、確かに」となるような内容だった。

 

本社エグザウィルの社長等トップの面々がいる部屋に入った私は、既に来ていて真剣な顔つきで立っているザンニさんとベルリオーズさん、そして通常では中々見られないキリッとした表情のオービエさんを確認した。

半円形状に作られている机に肘をつきながら座り、こちらを見据えている社長とその傍に佇んでいる側近の視線に気づき、足早にオービエさんの隣に移動する。

何時もより長く感じれる時間の中、立ちながら待っているとスーツ姿であるものの若干着崩れた格好のアンジェさんと、その後に続いて仮面でも付けているような無表情の真改が入ってきて、遅れた謝罪と理由を述べてスペースの空いている私の隣に来た。

そして一分程の間をもって、社長の側近が口を開き召集の内容を話し始めた。

 

 

まず一つ目に、近々、それも一年以内に企業同士の世界大戦が勃発すると言われた。

この見立てはレイレナード社のシンクタンクとも呼べる部署が、外交を担当している人物と共に調べ考え上げて建てた物みたく、かなりの正確さを示せるらしい。

しかも単純な世界情勢の悪化で起こるのではなく、予想外の存在が要因で引き起こされるという点が正確さを高くしているみたいだ。

 

 

ではその予想外のモノとはどんなモノなのだろうか。

それはどうやら二つ目の内容に通ずるようで、どちらかというと戦争が始まるという事よりこちらの事の方が重要度が高いらしい。

 

 

肝心の二つ目は全ての企業、特にレイレナード社にとっては問題と見なされる事象だった。

 

『ネクスト戦力それ自体を商品化する』

 

今まで様々な企業が重要視してきた、国家の解体において原動力となった最大の戦力。

その最大の戦力たるネクストを商品化する者が、この緊張度が極めて高い世界に現れたのだ。

 

聞いた話によると、社長や他の幹部も初めは疑心暗鬼で諜報部の誤報だと見ていたのだが、実際にGA社の有していた開発都市グリフォンをGA社のネクストとは違うタイプのネクストが奪取したという映像を見てからは考えを一変させた。

更に奪取したネクスト機体が、レイレナード社で開発されたネクスト「AALIYAH」と同じ機体であることと、ネクストの裏で糸を引いている組織が、今は落ちぶれ企業から意識されなくなっていたコロニー・アナトリアであるということが、彼らが報告を真だと信じた事に拍車をかけたらしい。

 

 

"コロニー・アナトリア"

 

 

ネクスト技術の提唱者がいた場所であり、国家解体を成し遂げた企業にネクスト技術を売り込み繁栄を謳歌していたコロニーでもある。

しかし、提唱者の死後にそれらの技術が外部に流出したことにより重大なアドバンテージを失い、存亡の危機まで追い込まれ、技術流出後は企業から見向きもされなくなった哀しきコロニーである。

因みにレイレナード社の標準機体である「AALIYAH」が初めて作られ、稼働した地がコロニー・アナトリアであるみたいだ。

 

これらから読み取れるようにレイレナード社、延いてはその社長と幹部はアナトリアと幾らか関係があったために、国家解体戦争後に製造されていないはずの番号のAALIYAHで信じたともとれる。

何にせよ、どこにも属さないネクスト戦力が金で動く「傭兵」としてこの世に誕生したことを、上層部は嫌でも信じなければならない事態になった。

 

だからこそ、社長はリンクスの私たちを呼び出したわけだ。

君たちには予想できる企業のネクスト戦力だけでなく、場合によっては素性が不明で実力が未知数な化け物と戦ってもらうことになるかも知れないと。

ネクストに戦力を依存しているレイレナード社ならば、なるべくリンクスとネクストを失わないためにも気を引き締めてほしい、プライドは捨てて挑めという意図もあると思うが、それほど君たちには期待していると遠回しに言ってるとも取れなくはない。

 

だが、私的に言わせてもらえばリンクスになった時からその覚悟は出来ているし、プライドを持ったり気を緩めたりなどしてきたことはないから呼ばれたことに対する意味合いは薄かった。

 

他のリンクスの先輩たちも同じような感じだろう。

リンクスとして、一人の兵士として戦場に立つ上で、そんな崇高な考えをもっているわけじゃない。

ただ生きるために戦っているというだけだ、といういたって簡単な理由。

 

 

あっ、でも休息や息抜きは重要だから気を緩める時と切り替えはすると言っておく。

過剰なストレスは肌が痛む原因だし、腸の調子にも影響が出るしね。

 

 

 

※追記:ドキッ リンクスだらけの強化試合はどうやらなくなったみたい。

    理由は不明だが、実戦前に要らない怪我をされても困るからだと想像している。

 

 

B月K日

 

件の話から二日後の今日、私たちの仕事量が増加した。

主にネクスト技術者の配置の変更に許可を求める書類等だ。

単純に印を押すだけで済むものもあれば、私の上司と私自身の記入も必要なものも混ざっているので一気に処理できず、思わず面倒な事になった……と呟いたのは悪くないはずだ。

しかも次から次へと高くなっていく書類の山に、死んだ魚の目のようになってたと同僚に笑われ、まさかのお堅い上司にも指摘された。

どうせお前たちも同じくらいの量があるんだし笑っていられるのも今の内だぞと同僚には言っておいたが、案の定同僚達のデスクにも同じくらいの山がそそり立っており吹き出してしまった。

 

そして今日の仕事を終えて日記を書いているのだが、右腕が未だにぴくぴくと痙攣しているので左腕を使っている。

利き手は右なのだが、一応左でもある程度行動できる。

但し最近あまり使っていなかったせいか、字が震えて波打った物となり非常に読みにくいモノになっている。

 

これは間違いなく他の人が読むと解読が困難であろう(確信)

 

 

※追記:同僚にあっさり解読された。これが慣れだとでもいうのか・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




モチベ低下にはFPSが関係していたりしていなかったり。

社会系の話を書こうとすると、専門分野なのに文にしにくい謎。
これが国語力の低さである。

そして文が粗い手の抜きようである(ただガバっているだけの事に注意)


※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。

※3:不定期更新に注意。







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No.1の独白

久しぶりにACMAD見てたらフロム脳が疼いた。
・・・・投稿遅れてすいません。

詫びとして前金で100000cを、報酬として120000cをお渡しするボーナスミッションを提示させていただきます。




 

 

 

 私、ベルリオーズが初めて彼女と出会ったのは国家解体戦争の2年ほど前の今日みたいに雪が降り注ぐ23年目の冬の日であった。

 

 当時ネクストの大本になるプロトタイプネクストを基幹とした、ある程度量産に向いた機体がレイレナード社では開発されていた。それが現在のレイレナード社の標準機体である"AALIYAH"なのだが、最初期の試験用機体はプロトタイプネクストに酷似しており。サイズこそ小さくなって化け物じみた推力を生み出すブースター数はメインに3発、サイドに4発と減っているのだが搭乗者の事を完全に無視した機体である事には間違いなかった。

同時期にリンクス候補者の一人であった私は、他の候補者より良いデータを取りやすいという理由で開発プロジェクトのメンバーと一定の交流をしていて、その一環で研究所を訪れた時にメンバーの一人である彼女の母親と連れられて来ていた彼女に会った。

 

 初めて会った時の印象はとても明るい年相応の少女だった。

今まで経験したことのない未知の世界である母親の仕事場たるAC研究所を見て回る彼女の眼には、母親に対する尊敬に近い念とどんなものがあるのかと楽しみを隠せない興奮が入り混じっていた。

研究所内を走り回り母親に注意されながらも他の研究員たちに様々な事を聞く姿を見て、誰もが微笑ましい表情を浮かべることに違和感などはなかった。

私と何気なく会話していた時、今は亡き彼女の父に似ていると言われたこともあった。

例え研究している物が他者から生命を奪うものであっても、純粋無垢な彼女にはよく分からないが凄いものという認識が定着していただろう。加えて母親に似て物事を吸収することが早かった彼女はACの事を研究者たちから話してもらい、受け取り方に多少の差異こそあったが大まかな事は理解していた。

そんな娘を母親は自慢の娘と自信満々に言っており、その場の人々も将来有望な社員候補と考えたはずだ。

 

 

 

 あの"事故"が起こらなかったら。

 

 

 

 本社があるグレート・スレーブ湖から直線距離にして約810㎞程離れた場所のレーンディア湖の東側にある実験場で起こった悲劇。

試験機でブースト等の速度実験をしていたところ、試験機の搭乗者が想定値より早く肉体、そして精神負荷で気絶し制御を失った機体が慣性の法則に乗っ取ったまま、速度計測中の研究者たちと機材を満載したトラックに突っ込み脳神経が焼き切れて死んだ搭乗者を含め、計測中の研究者たちが全員殉死。

勿論、その場で機体状況等の確認を遠隔でしていた彼女の母親も死亡。

レイレナード社の上層部は、すぐさま事故現場の処理を開始。試験機体はそのまま回収し、死亡した研究者たちの遺体は全て残さず焼却、積まれていた機材は再利用可能なもの以外はサルベージ品として直轄の製造工場に輸送。

そして事故は最新兵器たるネクストの存在を秘匿するために、通常兵器搭載用の武装の実験でそれが暴発してテストパイロットを含めた現場の人員が死亡したと事実を捏造した。

テストパイロットであり、最初期のリンクスとして任務に従事していた男とネクスト開発の雄たちたる研究者を失ったことは上層部にとって何よりの痛手であったが、最も深刻な影響を受けていたのは彼女であった。

 

 唯一の肉親であり自分に愛情を多く向けてくれた母親を失った事は、まだ若かった彼女の心を壊すのは十分な要素だった。

学校での学習を終えてスレーヴ湖近辺の保護都市にある自宅に帰ってきた彼女は、自宅前で彼女を待っていた研究所内での母親の同僚から、母親が不慮の事故で亡くなったと聞かされ暫くの間自宅から一度も外へ出なかったそうだ。

自宅に籠っている間、彼女が何をしていたかは分からないが予想することは容易かった。

彼女が一人で居ることに不安を感じた同僚が保護したことで自殺するには至らなかったが、彼女は別の意味で死んでしまった。

 

 彼女の顔から一切の表情が消えたのだ。

 

 彼女の母を含め殉死した研究者の葬儀に参列した私と他の研究者たちは、当然葬儀に来ていた彼女を見て固まったように硬直した。

死んだ人間のような無表情の顔、纏う雰囲気には明るかった少女の面影など無くそこにあるのは少し前に見た“陽”とは正反対の“陰”。

彼女を保護した同僚の言葉には微かに反応を示すが、それ以外の人間の言葉には何の応答もせず逆に恨み、嫉み、怨嗟、憎悪らが混ざり合った理解不能な負の感情を周囲にばら撒く。

社会に出てこの手の感情に慣れているはずの参列者はこの事の後に彼女から離れていった。得体の知れない恐怖から逃げるために。

私もその時は逃げることで頭が一杯だったのかも知れない。死と隣り合わせの先兵が聞いて呆れるが私の取った決断に私自身後悔はしていない、所詮は逃げるための口実に過ぎなくても…………。

 

 

 

 

 

 

 そして因果は巡り巡ってここに辿り着いた。

 

 国家解体戦争から5年の月日が経った日の今日。皮肉屋な運命の計らいで、私は彼女と再会し言葉を交わした。

 

 

――――――――――お互いに同じ企業のリンクスとして。

 

 

 数日前にAC部門の主任から立て続けに新たに優秀なリンクス候補者が見つかったと言われた時、私は珍しい事だとしか思わず頭の片隅にその情報を追いやった。近日BFF社のリンクスとの模擬戦がある故にそちらへと集中するため、自社のリンクスならばそこまで気にすることもないだろうと決めつけていたからだ。

しかし私は主任の厚意によって新入りのリンクスに会った瞬間、数年前の“あの時”の光景がフラッシュバックしてきて、私は金槌で頭を殴られたかのような錯覚に陥った。

母親譲りの綺麗なブロンド色の短髪に、空に浮かぶ雲の如く白い肌。身体は小さかった時から成長し女性として申し分ないほどに。それでいてこれらの要素の中、一番目に付いて他の良い点を消しかねない部位があった。

 

 それは目。

くすんだ青色の眼球はあの時から変わらず、暗い闇のようにこちらを吸い込み恐怖を植え付ける。当時のように負の感情をばら撒いてはいないが、彼女の対面に立って視線を交わすと思わず身震いしてしまう。

 

 他のメンバーは気づいていないのか、若しくは気づいていながらあえて意識しないようにしているのか解らないが、何もないように普通に振舞っている。

恐らくは後者の方なのだろうが、それでも彼らが彼女に手を差し伸べて歓迎しているのにも関わらず、こうして私が過去に囚われ燻ぶっているのは如何ほどなものか。No.1として他人に畏れられ、怖がられ、己が背負うものを当然の使命として過ごしてきた今までの自分を嗤わざるを得なかった。

 

 まあそんな事もお構いなしに私の身体は情けなくも逃げる選択肢を選んだのだが。

ザンニに話を振って楽しそうに話し、できるだけ彼女との会話は避けようとした。実際これは功を奏し、彼女とのやり取りは少なくなり彼女自身も私を覚えてはいない事を確認できた。

 

 しかしそれだけでこれらの事柄が収まったのならばよかった。

 

 なんとオービエが彼女のためになのか、新入りとの対面後私に彼女と模擬戦をしてくれないかと頼み込んできたのだ。

これにはさすがの私も驚きを隠せず、考えを纏める前に早口に断りの意を発してしまった。そして言い切った後に冷静になると同時にやってしまった、と後悔しオービエの訝しんだ表情で繰り出される質問に答えることになった。

幸いにもその時、私は真実を表に出さないで彼の質問に答える材料が手元にあった。そう、レイレナード社とBFFが合同で行う演習にレイレナード側の主力として参加する予定という材料が。

しかしオービエとしては納得半分疑問半分な返答になってしまったようで、結局は今しばらくは模擬戦をしないという形に運び込まれてしまった。

 

「なんだかお前とあの嬢ちゃんはな、絶対に関わらせないといけねぇと俺の勘が囁いたんだよ」

 

とオービエは話を終えた際に言っていた。当時余計なことをと思ってはいたが、今では彼に感謝の意を示したい。

彼女から逃げ出したいという心の重しは未だに取れはしないが、こうしてACに乗った状況で彼女と戦闘を行う私の心の中には確かに喜びという感情があった。

それが果たして自分が彼女の役に立てるという私の罪に対する贖罪からなのか、新人というにはキレが良すぎる動きを行う彼女との戦闘が愉しいからなのかは判らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――だがそれでも

 

 

 

 

――――――彼女と少しでも向き合えたという意味では

 

 

 

 

――――――喜ばしいことであるのに違いはない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




AC4でレイレナードルート欲しかったなぁ。

というわけで今回も独自設定もりもりマッチョマンです。
主人公に関しては若干の勘違いが発生してるのかな?(作者が把握してない不具合)
あとベルリさんもイメージから離れている可能性が全然あるのですが、作者の限界なので許して♡


あと決めましたがこの小説のヒロインはベルリさんです。


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6ページ目


ACシリーズ全部リマスターされて出てこねぇかなぁ。

てかAC6はよ。





 

 

B月L日

 

 今日も変わらず積もりに積もった仕事を処理していく。

仕事の量が増えてから一日と少ししか経っていないが、早くも何時ものルーチンワークと何ら違いのない状況と化している事に自分自身の事でありながら恐怖し、同時に誇らしく思った。

適応力の高さは、それ即ち生存能力の高さを意味する。

人間は適応力が意外にも高いことで知られているが、そんな人間の中でも日にちレベルで適応できる個体は少ないだろう。

 

…………とはいえこんなご時世、下手に生き残ってしまえば辛い目に合うのは目に見えているんだけどね。

 

 

B月Q日

 

 数日の間、日記を書くことをすっかり忘れていた。

激務に追われる中、日課になり掛けていた事を忘れるなんて私も大分疲弊してきているようだ。

睡眠はちゃんと取っているつもりなのだが、如何せん身体の疲れが抜けなくて困る。

身体は資本なんだからしっかりとコンディションを整えなければならないというのに・・・。

 

 

B月R日

 

 休憩がてらに自動販売機で何か冷たい物を買おうとしたら、今までは無かった種類の物が追加されていた。

名前は「ヌカコー○クアンタム」と書いてあったが、青白く光るコーラは初めて見たので興味本位に買ってみた。

飲んでみた感想としては、従来のコー〇を上回る炭酸の刺激と視覚まで冴えわたるほどの衝撃を受けた。

これの御かげか、今日の仕事が終わり更に夜寝る前まで意識がスッキリとしていた。

暫くの間この飲料水には世話になりそうだ。

 

 

※追記:この飲料水を飲んだ日の夜、用を足したら小便が光っていた。怖くなって製造元を調べてみたらアクアビット傘下の会社が製造しているようなので飲むのをやめることにした。

 

 

B月S日

 

 アフリカ北部で暴れていた民族系ゲリラ組織「マグリブ解放戦線」が、例の傭兵によって大打撃を受けたそうだ。

同組織はオーメル社の勢力範囲内で好き勝手してたみたいだが、オーメル社と仲の良いGA社がアナトリアの傭兵を雇って地域の制圧を行い借しを一つ作ったらしい。

しかし、マグリブ解放戦線にはイレギュラーな存在として「アマジーグ」というリンクスがいるから油断はできないだろう。

未だに反体制勢力の中でトップクラスの力を有するマグリブ解放戦線は、近い内にネクストによる反撃を行うはずだから。

 

 

B月T日

 

 コジマ技術を独占していたオーメル社とアクアビット社の対立が表面化した。

今までも数えられないくらい企業間で喧嘩をしていたが、関係改善のためのパーティーでアクアビット社の開発部門の奴がオーメル社の人間を挑発して全面的に事が大きくなったようだ。

何時も奴らには呆れさせられるが、今回ばっかりはやってくれたな感が凄い。

だって関係改善のためのパーティーでやらかしたんだよ?

いくら上っ面だけの関係改善だとしても言っていい事と悪い事の区別位はつくだろう。

これはさすがに社の上層部も看過できない出来事だと思っていたが、アクアビット社の上層部も大分頭がイっていたようで謝罪もなく更に煽りやがった。

 

 近い内に全面戦争が起こると言われたが、世迷いごとで済ませれる情報じゃなさそうだ。

 

 

B月U日

 

 何度目になるか分からないが、また研究部門の奴らに拉致られた。

何時もの如く、準備万端。さあ行こうか!という状態でドアを開けた私は、私の部屋の前で整列していた白衣の男たちに外に出た瞬間に担ぎ上げられ奴らの根城に運ばれたのだ。

ここまでくると何を言えばいいのか分からなくなるが、そこまで統率の取れた行動出来るなら本社の実働部隊にでも入ったらどうだと言いたかった。

 

 で、拉致後の要件はいたって真面目な健康診断だった。

何事なく終わったのは良いことだが、あんなトチ狂った奴らが普通の健康診断だけという理由で私を拉致った事に違和感を拭えなかった。十中八九何かが裏にあったと考えていいだろう。

 

 

B月V日

 

 今日は昨日の気持ちの憂いを吹き飛ばす久しぶりの休みだった。

なので同じく休みだった同僚を三人ほど誘って本社の近くにあるレイレナード管轄の街に出掛けた。

移動手段は勿論車だが、私は技術がないので運転はできない。

 

 えっ?ネクストに乗れる才能があるって?

ネクストと車はまったく違うってレベルじゃないんですよね。

多分運転したらすぐに事故る気がする。ソースは2年前にやった私を含めた新社員の部署決め試験。

あれはひどかった。具体的には試験官許すまじってレベル。

なんで私の車だけあんなに速度が出るんだ!(アクセル踏みすぎ問題)

 

 

B月W日

 

 仕事続きの中に一日でも休みが混じると休みの次の日に出勤したくなくなるよね。

この日記を解読できる同僚ならわかるはず。わかるでしょ?……わからないの?

まぁいいや。どうせこのだらけたい気持ちを言ったところでキャラじゃないから理解されそうにもない。

…う~ん、私みたいな若干難がある人間が言いそうでかつ理解されそうな話といったらなんだろう。

 

 そうだなぁ。………あぁ!そういえばホットないいネタがあったね。

またもや例の傭兵がマグリブ解放戦線の拠点を襲撃して打撃を与えたそうだ。

さらに驚くことに同僚から聞いた噂話では、例の傭兵がテクノクラート社から派遣されたリンクスを撃破したらしい。

噂話であるにしても末恐ろしい話である。もし事実なら金で動く傭兵が、企業の重要戦力であるネクストを撃破したこと(強さはどうであれ)は控えめに言って企業の上層部の胃袋に圧を掛ける案件だろう。

私であれば不安要素を消すためにその傭兵にだまし討ちを仕掛けると言えるほどだ。

 

 だが私の中で渦巻く一番不安な気持ちは、私がいずれはその傭兵と戦うことになるかもしれないということだ。

覚悟を決めたといっても自分の命に直結する問題に対し、不安を抱かない者はそうそういない。てか私は見たことがない。

だからこそこれから私が戦闘に出る度に、不特定多数の悪意と害意に狙われても大丈夫なよう努力しようと思う。

どうせなら先輩リンクス方に聞くのが一番か。今度誰かにあったら聞いてみようかな。

 

 

B月X日

 

 今日はいつもの仕事が少なく、予定より早く終わったので前回と同じような形の訓練をした。オービエさん曰く、私がベルリオーズさんと模擬戦闘する前までやっていたものが基礎戦闘演習Aで、前回のような訓練が基礎戦闘演習Bであるそうだ。

基礎戦闘演習Bは一回目以降様々な数値が計られるようで、一回の訓練ごとに評価がS~Dの中から選ばれるらしい。

その評価は結構辛口に付けられるそうだが、レイレナード社内のリンクスのランク付けに使われることを考えると妥当なのかもしれない。

ちなみに私の今日の評価は、Bで上から三番目のものだった。

 

 

※追記:先輩リンクスは殆どがA以上の評価をもらっているとAC主任は言っていた。さすがとしか言いようがないけど私と同じくらいにリンクスになった真改さんもA取れてるって……じゃあ私はなんだ!?

 

 

B月Y日

 

 私の目標に訓練でAランク以上を取ることが追加された。さすがにレイレナード社に所属するリンクスとして一人だけ社内でBランクなのは先輩リンクス方に対して失礼かなと思ったからである。

とはいえそんなすぐに高ランクを取ることができないのは理解しているので、普段からイメージトレーニングを重ね、より疾く疾く機体を動かし敵を黙らせる姿を創るようにする。

しかし実際には考えの通り機体を動かせてもそれは戦闘力には直結しないため、普段から射撃や格闘技の練習もしたほうがいいのかもしれない。もしかしたらAランクに届かなかった私に必要なものが見えてくるかも。

 

 イメトレに集中しすぎたせいか今日の職場で阿保ずらを晒していたらしい。同僚に言われるまで気づかなかったから気づいたら顔が熱くなった。ちくしょう。

 

 

B月Z日

 

 最近あまり気にも留めていなかったが、ネクストってブースト移動している時には200~400km/h出てるんだな。QB時には700~1000km/hはくだらないとかやばす。

てかなんで私はそんな速度出てる機体に乗ってブンシャカ回してもミンチにならないんだろう。どう考えてもモザイク案件だ。

機体にそれを防ぐカラクリでもあるのか、はたまた私の体がすでにナニカサレテいるのかどうかわからないけど、あの変態共(研究者)がやった施術と不規則やってくる診断が怪しい。絶対AMSの埋め込みだけでなくSFにある話みたいに半分機械にでもされたんじゃないか?

あっなんかそう考えてたら急に腹が立ってきた。腹いせに後で研究主任の事を絞めておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






文才のなさが発揮される今日この頃。
ネタも若干不足しがち。

やっぱり俺には無理なのかな…
……あんたもそう思うだろ?思わないのか?思ってるんだろ?



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7ページ目

 
 今は無駄に勢いがある。

 やれるッ!やれるんだ俺は!!






 

 

 

 

 夕日が一帯を紅く照らし風が吹きつけられて舞い上がる砂塵の中、陽炎は交差する黒と橙の人型を映す。

 

 旧ピースシティと呼ばれる市街地の跡で、己の信念と守るべきものを賭けた戦いは熾烈を極めていた。

 

 

「悪いがまだ死ねんのだ。貴様らの所為でな!」

 

 

 橙色の機体を駆るは民族系ゲリラ「マグリブ解放戦線」の最大で最高の戦力“アマジーグ”。

“砂漠の狼”の異名を持つ彼は、ホワイトアフリカにおける数々の反体制組織から「英雄」と称えられるほどの人物であり、低いAMS適性であるのにも関わらず異常なまでの戦闘力を発揮するまさしくイレギュラーと呼ぶに相応しい存在でもあった。

勿論低いAMS適性でありながら高い戦闘力を発揮することができる代償として彼は、致命的な精神負荷を受け入れることとなっているが、本人からすればそれは些細な問題にすぎないのだろう。

彼にとって自身の命はあまりにも軽く、考慮にも値しないものなのだ。

守るべきものを抱え、企業に対して勝利し続けることが如何に厳しくとも、英雄として多くの人々の象徴であり続けることはかならず実を結ぶと信じているが故に。

 

 しかし現実とは斯くも非情なものだった。

終わりの見えない戦い。増え続ける損害と疲労。減らない企業の戦力と有形無形の暴力。己を侵食する黒く底の見えない汚染。

日々戦い漬けの中、味方へのコジマ汚染を避けるための単独行動にも限度は来る。歩みは止まることはないが、道の終わりは必ずある。

それこそがスパイとして企業に寝返る振りをして情報を得てきた同志の緊急連絡であり、企業のホワイトアフリカへのリンクス投入の報であった。

立て続けに襲撃され、撃破される味方。つい五日前には貴重な弾道ミサイル兵器すらも破壊された。

自身の乗るネクストを輸送する義勇兵たちの顔にも、いつ襲撃されるか分からない不安と恐怖の色がありありと見て取れた。

 

 

 だから彼は不安定な状況で揺れる兵たちのためにも、自分たちに仇なす敵を倒す意思を強く持つ。

 

 

 

 

 

 自分こそが彼らにとっての希望であり最後の(よすが)なのだから。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「理に適った動きだ。レイヴン、侮れんな」

 

 

 アマジーグが素直に相手を称賛するも返ってくる応えは、殺意が乗った鉄の塊。

黒く美しい躰で飛翔するのは、コロニー・アナトリアにおいて傭兵業を営み始めたNo.40のリンクス。

その実は国家解体戦争以前から腕利きのレイヴンとして伝説と謳われていた傭兵であり、ハイエンドノーマルでリンクスに一矢報いた化け物である。

しかしそんな彼も無敵というわけではなく国家解体戦争時に重傷を負うも、その際コロニー・アナトリアのフィオナ・イェルネフェルトによって保護され、戦後AMS適性を有している事が判明する。

そこでアナトリアの全権を握るエミール・グスタフのコロニー・アナトリアの立て直しの計画に則って、低いAMS適性でありながらネクストを駆って再び戦場に舞い戻った。

 

 初めはGA社の依頼で開発都市グリフォンを奪還し、GAという大きな後ろ盾を得て、次第に取り付ける依頼を増やしていくアナトリアの傭兵は、レイヴン時代の経験で低いAMS適性を補っていた。

増える依頼を、企業間の代理戦争を、そして依頼を受けるたびに見えてくる世界大戦への火種に薪をくべながら、傭兵はかつての姿を徐々に取り戻し始めていた。

マグリブ解放戦線を襲撃する依頼でロシア系企業テクノクラートから派遣されてきたネクスト「バガモール」を手際よく排除したことがその証拠といえる。

 

 

「強すぎる…!」

 

 

 似たもの同士。

アマジーグとアナトリアの傭兵を簡単に言い表すならばこうなる。

どちらも低いAMS適性でありながら、別なものをもってしてそれを補填する。

アマジーグは企業に搾取される無辜の民のために、アナトリアの傭兵は自分を救ってくれた女のために、その身を擦り減らしてでも戦う。

片や反体制運動の最後の縁であり、片やコロニーの最後の希望。

それほどまでに二人は同じであった。

 

 

「だが負けられぬ。バルバロイ!」

 

 

 二段QBで連続QBを行うアマジーグの機体は、軽量機の名の通り敵からのロックオンを振り切る勢いで機動する。

当然相手に付き合ってやる必要はないことからアナトリアの傭兵は、張り付こうと接近してくるアマジーグから距離取りつつ右腕の051ANNRを撃ち続ける。

No.1リンクスであるベルリオーズも愛用する051ANNRは、火力及び精度に優れるライフルで接近戦を得意とするアマジーグから間合いを取って攻撃するのに最適な武器であった。

バルバロイが被弾するにつれて機体を守るPAもその輝きを失いつつある。

二人の戦いはアマジーグの敗色が濃くなり始めていた。

 

 

「神よ…どうして、正義はそれなのに……」

 

 

 アマジーグの口から漏れ出す敬虔な者としての言葉が彼の限界を示していた。

必死に傭兵の機体に近づこうとするが、QBによる機動はほぼ互角。アマジーグが一歩近づけば傭兵はすかさず一歩離れる。二人の間の距離は決して縮まりはしない。

 

 

「終わり、か……」

 

 

 勝敗は結した。

傭兵のライフル弾がバルバロイの右脚と胴体を撃ち抜き、破損によってバランスを崩した機体は制御を失って前のめりに倒れこむ。

その姿は美しくもあり、哀しくもあった。

 

 

「……その力で………貴様は……何…を……ま……も………る」

 

 

 最早消えかけるような声で斃れた英雄は勝者に問う。

 

 しかし返ってきた応えはつい先ほどと変わらず一発の銃弾であった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

C月A日

 

 朝早くにも関わらず私を含めたリンクス全員が緊急招集された。

何があったんだろうと考えながら前回とは違って出入りが制限されている会議室に入って話を聞いた私は、あまりの事に一瞬お偉いさんが何を言っているのか理解できなかった。

 

 マグリブ解放戦線のイレギュラーリンクス「アマジーグ」の死と例の傭兵の戦果。

 

 あのオービエさんですら驚きを露わにし、ベルリオーズさんやアンジェさんも眉を顰めるほどの情報と言えばヤバさが理解できるだろう。

ここ数週間の間にマグリブ解放戦線が襲撃されて打撃を受けるわ、リンクスが撃破されるという噂話が流れるわで色々と良くない傾向(反体制運動が打撃を受けるのは良いことか)が続いてきたが、さすがにこれは……。

正直前回みたく深刻ではあるがまだ何とか受け止めれるようなものではない。

 

 アマジーグと言えば企業を悩ませる反体制運動の中でもトップクラスに危険な相手で、オリジナルであっても返り討ちに遭うかもしれないと密かに話題になっていた人物だ。

低いAMS適性でありながら常軌を逸した機動とセンスで多くの企業の戦力を葬ってきた姿は紛ごう事なき化け物であり、相対したくない敵だ。

そんな化け物を例の傭兵は打倒したのだ。

 

 

 例の傭兵は化け物かっ?!

 

 

C月B日

 

 昨日に続いて今日は精査された情報とイクバール社から流失した“英雄”と“伝説”の戦闘記録の確認を行った。

アマジーグの死は発見された機体と撃ち抜かれたコクピットでほぼほぼ確定とされ、戦闘記録に関してもレイレナード社の広報部門と研究部門で調べたところ、編集された跡が一切見られないことから本物と判断。

記録から例の傭兵……これから企業ではアナトリアの傭兵と呼称されるリンクスは、アマジーグの戦闘パターンを熟知した上で戦い勝利を収めたように見える。

しかも驚くべきはそこでなく、彼らの繰り広げた戦闘中の機動である。

研究部門の連中が言うには、私が前の模擬戦で行って吐血した二段QBを二機とも乱発、更にQB後の隙を無くすために二段QBを二段QBでキャンセルするとかいう人外の動きをしているという。

 

 化け物め……

 

 

C月C日

 

 最悪な夢を見た。

例の人外じみた機動をするリンクスにブレードを振り回されながら追いかけられる夢だ。

必死にQBやOBで距離を離そうとしても、自分のQBより早いQBで追いかけてきて、5連続でQB音を出しながら迫ってくる姿は失禁ものだった。

あんなものと実際に戦闘とかやりたくない。覚悟以前にすでに命の危険を感じる。

これは目標にアナトリアの傭兵と出会ったら撤退するを追加せざるを得ない。

 

・訓練でSランクを取る ・アナトリアの傭兵と出会ったら撤退する ←New!

 

 これでよし。

でもこれって正夢だったりしないよね…………?あんたはどう思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





QB先生退場、主人公混乱の今回。アナトリアの傭兵はハード仕様ですがジョシュアの登場は少し遅らせます。
先生の最後のセリフが途切れ途切れなのは撃破時の逆流現象でほぼ精神崩壊&衝撃で内臓破裂しているからです。

ちなみにQBに関してはアナトリアの傭兵とQB先生、あとジョシュアが二段QBをしっかりと使える者と設定しています。リンクスとしての改造の度合いが凄まじく体の耐久が高いので、二段QBや連続QBをしても耐えることができるといった感じです。

あとアナトリアの傭兵のリンクスナンバーが原作のNo.39から一つズレてNo.40になってますがこれは主人公が存在しているからです。
なので主人公はNo.34で本来No.34であるイアッコスはNo.35といった感じにNo.34以下のナンバーは一つズレます。


※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

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8ページ目

あぁ^~フル英語公文書解読大変なんじゃ^~


そろそろガチの対ネクスト戦主人公にやらせたいな~。






 

C月D日

 

 件の緊急召集から2日経った今日。寝不足気味の流れを続かせないようにいつもより早めに寝た私は、体内時計のちょっとした狂いの所為で寝坊してしまった。

真面目に毎日働いている甲斐があってか、出勤の遅れに対する上司からお咎めは特にはなかったが、同僚達からは不調を心配をされた。

や、優しさが身に沁みますよ………。

 

 

C月E日

 

 事態がようやく沈静化の方向に向かい始めたらしい。といっても企業のお偉いさんは未だに忙しく動いてるみたいで、油断していると面倒ごとに巻き込まれるかもしれない。

ぶっちゃけこんなデカい事が起こった後の面倒ごととか笑えないものだろうし、あまり信じてはいないが神にでも祈っておこう。

これで何もなければそれは儲けものだし、もしあったとしてもそれは・・・・・・・。

あれ?これもしかしなくてもやばかったりする?

 

 

C月F日

 

 悪い感というか未来予測はそれだけで面倒ごとを引っ張ってくるらしい。

昨日の今日で先輩リンクスの何名かが任務に繰り出された。詳細は明らかになってはいないが、ネクスト機が出撃しなければならない任務とか冗談抜きにまずい事態だ。

私の初出撃もレイレナード社の生命線に関わる物だったことを考えれば、ネクスト機が唯一の戦力と言えるレイレナード社のネクスト投入はそれすなわち組織としての生命に直結する問題の解決に他ならない。

ベルリオーズさんとザンニさんが別々の地に派遣されたし、二人の出撃がなされたのなら私にも出撃の命令が回ってくると想像すべきだろう。

また命のやり取りをする場に放り出されるのは考えるだけで憂鬱な気分になる。

………はぁ。

 

 

C月G日

 

 何日かぶりに変態共(研究者)に運ばれて巣穴に連れていかれた。

しかし何時もと違う点があるとすれば、何時もは楽しむようにデータを見ている連中の顔には焦りというか緊張が見て取れ、交互に手元のデータパッドとPCの画面を見ながら訳の解らない単語を言い合う様ははっきり言って異常だった。

普段から言動がヤバめの奴らが焦る事態とは一体全体何なのだろうか。

私が検査されてから出された結果を見てああなったのかは不明だが、少なくとも良いベクトルの話ではなさそうと感じた。この疑問が私の頭の中を一日中占有していたことを加えれば余計にだ。

 

 

 

しかし…………ベルメルプロジェクトやポジトロンブレインと言った単語は私に何の関係があるのだろうか。

 

 

C月H日

 

 今日は仕事の休憩時間に昨日の気になった単語を調べたりした。

休憩時間というのもあって上司から小言を言われることはなかったが、私が私用でPCを使っていることが珍しかったのか、じろじろと見られた。はずかしい。

いやもうそれは過ぎたことだし忘れよう。

 

 それで調べた単語にはビリヤードの起源とか、陽電子脳といった意味合いが多く散見された。

どちらも私自身の見に覚えのない単語で、ビリヤードとかそんなものとは関連性の"か"の字もないし、陽電子脳とかに至ってはそもそも理解が及ばない。

私の中の恐ろしい妄想では、私の脳がその陽電子脳に置き換えられているとのものがあるが、そんなバリバリ機械みたいに改造されているのはあり得ないと思いたい。

だって私の脳が機械になっていたらのなら、今の私は何者なのだろうかという問いに答えることができない。

機械には自己再定義のループを抜け出すことなどできない。人間であっても混乱に陥る人がいる自己再定義は「今の自分がありのままの自分」という解を思いつくまで延々と考えさせられる代物で、ある種の悩みの種だ。

 

 私は決して機械なんかではない。

確かにリンクスとしてヒトの定義から外れてしまった節はあるが、それでも自分が人だと認識している間は人で存れるはず。

 

今日はもう寝よう。

明日になればこんな不安も忘れているはずだ。

 

 

C月I日

 

 快晴の天気に元気付けられ今日の仕事は何時もより気分が良かった。とはいえ仕事の際に湧いてくる気怠さは拭えない。

基本的にデスクワークはやっていて楽しいと思えるものでもないし(仕事全般がそう言えるとは思うが)、淡々と量を熟していくことが可能な処理に関しては本当に作業だと認識させられる。

業務がいつもと変わらないのは歓迎すべきことであるのに間違いはないが、あまりにもマンネリ化しすぎるのは良くない。

結局のところ可もなく不可もなく中庸が一番ということだ。

 

 そういえば今日の昼食時に、AC主任が新パーツの開発についての話があるから明日の午後は開けておいてくれと言われていたのを思い出した。

確かに明日の午後の仕事は、同僚が前休んだ分の補填として片づけてくれると言っていたから特に何も予定はないが、なんで部署が違うあの人がその情報を知っているのだろうか。

まさか私の事監視してたりとか…?

あ~いやいやあの真面目な人に限ってそんなわけないだろう。そんなことをするのは変態共(研究者)だけだ。

どうせリンクス関係の情報は立場的に人伝に入りやすくなっているんだろう。

 

 

C月J日

 

 今日は昨日の連絡の通り新パーツについての話をAC主任としてきた。

AC主任から伝えられた新パーツはハイエンドの重量パーツで名は「S08-MAXWELL」というらしい。

なんでもネクスト機が主力戦力の(というかネクストしか戦力らしい戦力がない)レイレナード社では、日々他社製品の設計を上手く既存パーツに取り込んで改良を続けているそうなのだが、ようやく一つが形らしい形になったそうだ。現在のレイレナード社標準機体の03-AALIYAHアセンのコンセプトにもよるが、搭載ジェネレータである「03-AALIYAH/G」のEN容量が低い為、相対的に汎用性が低くなる。

これでは貴重なネクスト戦力の任務遂行に支障をきたす可能性があるため、トータル性能を高めたジェネレータの開発を進め、自社の戦力値の向上を図ったとのこと。

事実このジェネレータは既にベルリオーズさんとオービエさんが使用を決めているようで、今までの戦闘ではジェネレータの所為でEN管理がネックとなり、地上戦主体で戦闘を行わざるを得ない事に危機感を抱いていたそうだ。

確かに訓練や模擬戦でのEN管理は、非常にギリギリな線を超えるか超えないかの所で調整している節が自分にもあったので、純粋にEN管理が楽になるのは嬉しい。

 

 ちなみにハイエンド型であるため市場へ出回りはするが値段は高めで数量は機密の関係上制限するそうである。

なので予備の生産については現状考えられていないという問題があり、あり得ないとは思うがなるべく破損等が無いようにとのことだ。

まぁジェネレータの破損とかは大破ないし中破まで追い込まれない限りはないと考えれる。

さすがにそこまでボコボコになるほどの戦闘はネクスト以外ではないだろうし、少なくともしばらくは心配要らないはずだ。

 

 あっそれと私もこの新パーツの開発を機にアセンを少し変更することにした。

まずジェネレータは「3-AALIYAH/G」(から)「08-MAXWELL」に。

武装も右腕の「LR01-ANTARES」(から)「04-MARVE」に。

そして初出撃のECMの経験から左背部に「RD01-SIRENA」を。

武装の変更には大きな理由が特にない。強いてあげるとすればアマジーグとアナトリアの傭兵の戦いを見て思いついた軽量機への対処のためなのだが、私のアセンも相手に引っ付くスタイルであるため、あのように機動力で自分を上回る相手との戦いでは逆に相手に引っ付かれる危険性がある。

故にイニシアティブを奪い返すために引っ付いてきた相手にライフルで弾幕を張り、近接防御用として運用する形を取ろうと考えた。それに突撃型ライフルの「04-MARVE」は名前の通り突撃戦で輝く銃であり、近距離での戦いではレーザーライフルを超える活躍が望めるというのも大きい。

 

 これならばコンセプトの接近戦及び近距離戦を強いる機体の長所を伸ばしつつ、弱点もできるだけ補填する形を取れていると言える。(といいなぁ)

 

次の訓練が待ち遠しいな。

 

※追記:前から懸念されていた継戦能力の低さをオペレーターから指摘された。ちょっと思う所があるので任務によっては左腕のブレードを外してLR01-ANTARESを装備しよう。

 

 

C月K日

 

 次の訓練が待ち遠しくなった今日この頃。

仕事終わりにザンニさんからアンジェさんの訓練を観てみないかと誘われたのでホイホイと連れられて行った。

仕事が終わったのは夕方の18時くらいで、そこから訓練場のある湖の畔まで車で30分ほどかけて移動。

そこから訓練の観戦兼オペレートするための管制室にセキュリティパスを通して入り、アンジェさんのオペレーターとは違う区切りのモニターの前に座る。

ちょうど訓練が始まる前に到着できたようで、オペレーターの人が着けているヘッドマイクからアンジェさんとの機体状況の確認作業が漏れて聞こえる。

モニターでは格納庫内で左腕と右腕を交互に動かしているオルレアの姿が見え、最終確認まであと少しというのがわかった。

そして作業用の台がオルレアの周りからのけ、格納庫の入り口が開き、ブーストを軽く吹かしながらオルレアの暗色の機体が紅色から黒色に染まりつつある空の下に飛び出した。

 

 始まった訓練は私がしていた基礎戦闘演習Bよりも何段も上のものだった。

基礎戦闘演習Bとは違い訓練用の自律型ノーマルは決まった配置の場所に出てくるのではなく、不規則にかつオルレアの死角になるような位置に現れて攻撃を繰り返し、湖の対岸からは砲台型の敵が狙撃をしてくる。

しかしオルレアは動じはせず、的確にQBやOBを使いこなして敵の攻撃を避けると同時に紫色に輝くブレードでノーマルを切り裂き、その隙を狙ってレーザーを乱射してくるノーマルにはヘッドパーツを重点的に狙ってマシンガンを撃ち込む。

今回の訓練では砲台型の敵には攻撃を禁止しているのか、対岸には見向きもせず次々と残骸を積み重ねてゆく。

 

 ザンニさんが訓練を観ることを勧めた理由が分かった気がした。

これは訓練とは言えども見る価値があるものであり、私がこれから実戦で任務をしっかりと熟す上で参考にすべき形だと。

私以外の先輩リンクス方が基礎戦闘演習BでSを取っているのは所詮は実戦の足元にも及ばない些事であるが故であると。

 

ころころと心構えが変わると言われるだろうが、私の目標はまた更新された。

 

 

訓練なんかで良い評価を取るのはあまり意味がない。必ず模擬戦或いは実戦で他のリンクスを超える。生き残るためには訓練で満足することがあってはならないのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




特に進展らしい進展がない今回。
やったことは伏線張りとアセン変更。あとはいつもの矜持設定。
独自設定盛ってるけど説明が足りない場合は感想ヨロ。できるだけ返答します(がば理論で)。
ちな主人公の精神とか気持ちとかブレッブレですけど最近の筆者に多分リンクしてます。


※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。(疑問点があったら聞いてください、もしかしたら物語にダイレクトで影響する要素書き漏らしてたり変に追加してたりするかもなので)

※3:不定期更新に注意。





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⑨ページ目?

思った以上にDAEMON X MACHINAがACだったから色々と影響された。
気づいたら疲れを忘れて久しぶりに書いていたのだ。
多分一時的な発作だと思います。





 

 

 

 単調で彩のない真っ白な造りの廊下を少し足早に行く。

右側に設置された窓からは、途切れることのない光が辺り一面と我が身を照らす。

一歩踏み出すごとに床と触れ合い金属特有の音を立てる靴は、リンクス専用のパイロットスーツに付属している物で、ネクスト搭乗時にコクピットの床と結合し無駄にパイロットが動かないための物だ。

 もうネクストに乗ることにすっかりとは言わないにしろ慣れた自分としては、初めの新鮮な気持ちは何処に行ったのか。音を立てる靴はむしろなくては違和感を覚えるようになり、こんな快晴な天候の下蒸されるような暑さが籠るパイロットスーツは気にならなくなってしまった。

 右手に持つヘルメットは、後頭部から首筋にかけて白い肌が露出するような作りになっており、それを見た際に空いている左手で首筋を撫でては幾多もの金属製の穴が開いた肌にちょっとした思いを抱く。

この数か月間で随分と人からかけ離れてしまった、と。

 同時に暑さ故に額から垂れてきた汗を左手で拭いでそんな思いを吹き飛ばし、一人小さな声で呟くのだ。

 

「…………“まだ”人間だ」と。

 

 

 

 そこから数分歩き、廊下の端にある社員用とは違うリンクス専用エレベーターに乗る。このエレベーターは地上にある本社施設の一番上から地下10階のネクスト用の格納庫までに繋がっており、実質全ての階層に行き来できるように造られている。

 パイロットスーツの右腕に埋め込まれたカードを認証機の前に翳し、接続が通ってから中に入る。そしてB10のボタンを押してかご内の両脇に設置されている手摺に掴まり、目を瞑る。

次の瞬間ガタンと音を立てながらエレベーターは動き出し、800m/minほどの超高速で地下10階まで一気に降りる。

 私はこの降りる際のふわっとした感覚が特に気になることはないが、同僚はエレベーターの速い速度で降りる感覚がいまいち慣れないようで、何時も乗るときはぶつぶつと愚痴を言っていた。

 

 数十秒に及ぶ一種の落下は、B10を示すパネルの文字によって終わりを告げられ、到着を教える音と共に扉が開き上層の明るい場所とはかけ離れた暗い通路に出る。

 少し肌寒い通路に出てすぐに移動用のリフトに乗り、自機のある6番倉庫へと移動を開始する。

 道中通路のリフト用ラインを整備していた作業員に会釈する際には、上との寒暖の差でくしゃみが出てしまい彼らに苦笑いで返事をされる。

 恥ずかしさで顔に血が集まり暑くなるが、頭を振って気を紛らわしついでに鼻を啜る。

 

 暫く鼻を定期的に啜るうちにリフトはもう少しで格納庫前に着くとのアラームを鳴らし、最高速度に達していた状況から一気に速度を落とす。そして現在使われているネクスト用格納庫の中では一番端にある6番倉庫に停まる。

 私は停まったリフトから降り、一つしかない入口の脇にある認証機にエレベーターに乗るときと同じ流れで接続を行い、格納庫内に入る。

 自動ドアが開いてから中に入った私の目に最初に映ったのは、天井のライトに照らされる白く美しい躰の自機「Lune(リュヌ)」であった。

その美しさに一瞬目を奪われるが、すぐに歩みを再開し現在進行形で作業を行っている整備士たちに先ほどと同じように会釈をしつつ、機体整備用作業台へと続く道を進む。

 

 ネクストの整備士はレイレナード社、もっと言えばパックスの社員の中でも比較的高い地位にある。

さすがにリンクスなどの上層から重視される者までとはいかないものの、専門職としてネクストの整備ができる者は貴重だ。

繊細な物の集合体であるネクストは、殆どが職人とも言えるほどの技量を持つ者にしか十全な整備をすることができない代物で、熟練整備士の数がネクストの稼働率を規定する。

 通常ネクスト一機の整備に要求される整備要員の数は凡そ“480人”。

勿論この数は全員が熟練の人材であると仮定した場合で、練度不足な者が混じっているとこの数の1.3倍は必要となる。故に待遇は他に比べて良いし、それを巡るパックス間の引き抜き合戦は後を絶たない。

 

 しかしホワイトアフリカやアナトリアのようなパックスとは違う独立勢力が、ネクストを運用し続けれている例があるように、引き抜きに応じない者や逆にパックスから脱け出す者もいる。

大体はパックスに恨みを持っていたり、この世界の真実を知ってしまったのが該当し、淡い希望を抱いて支配者に背く。

 

 愚かである、と希望を抱いた者を否定することは簡単だが、果たして自分も同じ立場でそんなことを言うことは出来るだろうか。

今のBFFの勢力圏内にある島では昔「希望を持たない人は失望することもない」と言った人がいたらしいが、その言葉に共感はできても納得はできない。

人は皆少なからずとも、自分の内に希望を抱いている。「夜明け前が一番暗い」という諺にもあるように、本当に苦しい時こそ人は希望は見いだすことができる。強引に私の論に結びつければ、希望を持たぬ人はいないということだ。

 

「……ぉい………アル………のか?」

 

 ふと、誰かを呼ぶ声が聞こえたので思考の中に沈めていた意識を引き上げると、突然肩を掴まれ少し強い力でその場に引き留められる。

 驚きとそれによるビクつきの所為か、ヘルメットを落としそうになるのもを気にせず掴んできた手を振り払うように体を動かし、掴んできた手の主がいるであろう後方に正面を向ける。

するとそこには私と同じように驚いた表情を浮かべる私のネクストの機体整備担当責任者が立っていた。

 

 

 

「いきなり掴んだ俺も悪いが、あそこまで俊敏な動きで逃げられると驚いちまうよ」

 

 髭面でネクスト整備士専用の作業着を身に付けている壮年のおっさんが、笑いながら黒ずんだ手袋を右手にはめる。

 彼は私のネクスト「Lune」の整備を担当している整備士のリーダーみたいな人だ。愛称は「ブルグ」何故そう呼ばれたのか詳しくは知らないが、ヨーロッパ大陸のブルゴーニュ地方の出身だからと言われている。

 彼は国家解体戦争より前にレイレナード社に入り、それ以降ネクスト整備士として今まで働いてきたベテランで、この会社ではそこそこ顔が利く。どこまで利くかと問われれば、少し曖昧な回答になってしまうが恐らくCOOまでは利く。

ソースは、時たまに連絡を寄越してくる情報部の友人だ。この時「ブルグの奴またベン(社内で有名なCOOの名前)と仲良くパブに言ってるぜ」と告げ口的な感じに話をしてきたのが今も印象に残っている。

しかし引きこもり的な私でさえ陰険だと思える情報部の人間が言うことは、真実より悪く装飾されているのだが情報の精度は馬鹿に出来ないほど高い。

 このご時世パックスに勤めている者は厳格な社内階級によって縛られているため、階級を跨いで交流することは特殊な事例を除けばないに等しい。あっても指示が円滑に行き渡るようにするための、事務的で表側だけの関係だろう。

 あるものは昇進競争に勝つため、あるものは下剋上を狙って。各々が誰よりも上に昇ろうと争うこの世界では、真の友と呼べるもの、例えば今の有澤重工が支配する島の古人イエヤスとマサノブのような関係は、あまりにも稀有な存在だ。

友好関係なぞ所詮は薄氷のような冷たく、いつ穴が空くかわからないもの。今は仲が良くとも、それは「敵の敵は味方」の理論に基づく利害関係なのだから。

 話が中々に逸れてしまったから、何が言いたかったのかざっくり言うと、利害の一致は友好関係をもたらす、しかしそれは酷く崩れやすいということを言いたかった。

 故にブルグとベンが会食などでなく、“酒”というある意味自白材に近いモノを摂る場に共に行ったことが情報の精度を裏付ける。

 前の通り、争いに勝つための利害関係は表面上の友好に過ぎない。しかしそれならば見す見す自分に不利な情報を漏らしかねない、酒という自白材をよく入れる場に他人と一緒に行くだろうか?

 階級を跨ぐ跨がない以前の問題で、弱味を相手に握らせ得る危険な行為だ。

つまり油断しているかのような行為をするベンは、ブルグをある程度信頼(薄い友好でない)していると考えれる。またブルグの整備士という立場もベンがブルグを信頼しているという判断の材料になる。

先程も言ったが、ネクストの整備士は基本的に待遇が良い。ブルグほどの入社してからそれなりに時間が経っている整備士は、他の者よりもずば抜けて待遇が良い。更には彼自身の人が良いこともある。

ならば態々自分の弱味を握る気も、それを握ってどうこうする気もないと考えていい、そう、ベンは思っているはずだ。

 

「……なら掴んでもあまり強く引っ張らないでほしい」

 

「善処はするよ、まぁ次まで覚えているかは知らんがな、がはははっ!」

 

「…………」

 

 以上から友人の言っていた「仲良くパブに言ってるぜ」という言葉の真意は、割りとガチにブルグとベンの関係の良さを伝えることなんだと思う。

感覚が普通とはズレているとはいえ、あれでも一応人付き合いは良い友人のことだ。私の命を預ける機体の整備を担当する者の素性でも片手間に調べてたんだろう。

私は今までネクストを理由として、彼とそれなりに交流を続けてきたが、ブルグはベンが信頼するのも理解できるほどに人として好ましく感じた。

話すときは裏を感じさせない、というか特に裏はないのだろうか。とにかくスッキリとした話し方で話していて気を張る必要がないのが良い。

物事を深く考えないのか、こちらが悩んでいる事であっても戸惑いもなく言われたら、何だかいちいち悩んでいるのがバカらしくなるのだ。

正直彼のようなタイプは今まで出会ったことがなかったので、なんと形容していいのかわからないが、陽気……人誑し……ムードメーカーはなんか違う???

 うーん、なんだろう。こう、知ってるような感じがする。話をしていると母さんを思い出す……。

 

「いやー、それにしても丁度良かった。お前さんに話したいことがあったんだ」

 

「………」

 

「……?どうした、いきなり黙りこんで」

 

「……………」

 

 すごくモヤモヤする。答えが出かかっているのに既の所で詰まっている。

 

「おいっ、本当に大丈夫か?……医務の連中に連絡したほうがいいかなぁ」

 

 ブルグは腕を組んで私が返事を返さないことに困惑しているようだ。

 

「……別に問題ない。少し考え事してただけ」

 

 ……これ以上考えてるとまた無用な心配をブルグに掛けてしまう。

 ごちゃごちゃとした頭の整理を一旦中断して、その場から離脱する文句を捏造る(つくる)

 

「ごめん。ちょっと急いでるから話すならまた今度にして」

 

 そう言って彼の横をするりと抜け、さっきよりも足早に自機へと急ぐ。

 

「あっ、ちょ、おい」

 

 ブルグはまだ言い足りなそうな声色でこちらを呼び止めようとするが、ここは反応せずさっさと行く。自分の落ち目を隠すためとはいえ、いい加減な文句で人の良い彼から逃げるように離れるのは心が痛むがどうしようもない。

 

「……はぁ、まあ都合が悪いならしょうがない。また今度話させてもらうよ」

 

 徐々に彼との距離が離れていくごとに聞こえる彼の声も小さくなっていく。それは何故か彼との関係が初めは近しく、この距離のように時が経つにつれて離れていくような感覚を私に与えた。

しかし本当に訳が分からないが、何故か私はその事に悲しみだけでなく、深い憤りという感情も併せて抱いていた。

 

「………一体全体何なんだろう………この気持ち悪い感覚はッ」

 

 自機へと向かう自分の口から自然と漏れた呟きは、周りの技術者たちの作業音と指示出しの声で本人以外には聞こえずに、格納庫に哀しく消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか久しぶりに書いたせいで所々文がおかしいと思う。なんか文おかしいと思ったら報告願います。
しかしまた変な伏線っぽいの増やしてしまったなぁ……。
気分が維持されてれば時間が空いている時にまた追加の話を書くと思われる。
あっ、それと構想上のネタバレですが次回は今後の展開にちょー影響する子が出てきます。

※:この小説には誤字脱字等があると思われます。なので見つけ次第報告願います。

※2:それと独自解釈と独自設定もりもりなので、不足又は違う部分はご自身のフロム脳で補完してください。(疑問点があったら聞いてください、もしかしたら物語にダイレクトで影響する要素書き漏らしてたり変に追加してたりするかもなので)

※3:不定期更新に注意。




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