東方激闘魂(バトルスピリッツ×東方project) (ガリアムス)
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第1章 英雄集結之章
東方激闘魂 第1話 伝説開幕!俺の名前は虹色(にじいろ) 龍虎(りゅうこ)!


初めまして!バトスピの小説を書きたいと思い初めてしまったこの作品。

なるべく失踪しないように書いていきたいです!

この作品には、原作キャラのキャラ崩壊 アニメよりのプレイング コア・デッキ枚数ミス等が含まれる事があります。

それを許せない方は速やかにブラウザバックを推奨。それを許せる心の広い方々はゆっくり読んでいってください。

少ない感想等が私の力になります。質問・疑問なども募集中です。

※三ターン目の(強奪)で使用したドラゴフレイムは此方のミスです。正しくはサジッタフレイム(リバイバル)に変更しました


* * *

 

第1話 伝説開幕!俺の名前は虹色(にじいろ) 龍虎(りゅうこ)!!

 

* * *

 

バトルスピリッツ!それは激しく熱かりしカードゲーム!

バトルスピリッツ!それはバトラーの誇りと魂の激闘!

 

今此処に、新たなる伝説が幕を開ける!

 

* * *

 

此処は日本、都会から離れたとある街のとあるカードショップ。此処では今、バトルスピリッツの大会が決着しようとしていた。

 

「龍皇ジークフリードでアタック!」

「ライフで受ける!だぁ負けたぁ!」

 

おおお…

 

「ありがとうございました、良いバトルでした!」

「いえいえ此方こそ!」

 

互いに握手を交わし、健闘を讃え合う。帽子を被り、青のジーンズに黒の長袖、茶色のジャケットを身に付けた170cm程の青年は笑顔であった。

 

「龍君!元気そうだね、調子はどうだい?」

「あ、ありがとうございます。良い感じですよ」

「そうか、はい。今回の参加記念品と優勝者に贈られるカードね」

「ありがとうございます。大事にします」

 

店員からカードを受け取り、スリーブに大切そうに保管する龍と名乗る青年。それを自分のリュックに入れていた本型のカードケースに収納した。

 

「それじゃあ、また日が空いたら来ますね!次は他のプレイングを見るために、見学に回りたいなと!」

「待ってるからねー」

 

片手に工具箱を持ち下げ、彼はカードショップを後にした。空は夕闇に少しずつ染まり、辺りの街灯が近付くクリスマスを物語るように、きらびやかな光を放っていた。

 

「光ー輝くー♪大銀河ー♪煌めく星屑ーはー♪冠みたいー♪」と自作の唄を口ずさみ、光溢れる道を歩く。

 

 

助けて

 

「!?」

 

突如耳に響いた声。掠れ、弱々しい、今にも消失氏かねない、小さく、か細い声。

 

「何だよ…この声…」

 

辺りを見渡すが、響く声は周りには聞こえてはいない。寧ろ声は自分にだけ聞こえているようだ。

 

助け… て… 助…

 

気付いた時には、無我夢中で街路を駆けていた。体力は有るとは言えない、しかし彼の良心が、この声をどんなことがあろうとも消して消させるなと、彼を突き動かしていた。

走って、走って、走って。午の十二神皇エクゼシードのように走った。

そうして彼は、人通りの少ない小さな路地裏に辿り着いた。

 

「此処からだ…何処に居るんだ。…ん?」

眼を凝らして、暗闇を見つめると1枚のカードを見付けた。カードは煤を被り、埃まみれ、テキストも読めない程にくすみ、そして霞んでいた。

 

「バトスピの…カードか、随分古いように見えるが…」

 

助けて…

 

「…!?…これか…?ちょっと、待ってろ!」

己の耳を疑った。確かに今、カードの声が聞こえた。龍虎はリュックからプラスチックのケースを出し、其処からコアを数個摘まんで、カードの上に置く。すると、カードが淡く光輝いて置かれていたコアを吸収し、更に光を放つ!

 

「うわ…!」

「ぐへぇ!!助かったぁ!たぁく酷い目に在ったぜ、あの妖怪ババァ、今度逢ったら只じゃおかねぇ。1発顔面にぶちかましてやる…!」

龍虎が恐る恐る眼を開けると、2頭身の赤蜥蜴が独り言をぶつぶつ呟き、毒舌を咬ましていた。

 

「え…誰、お前…」

「誰だお前!?」

「こっちが聞きたいよ!?お前誰だよ!?」

「まずそっちから名乗るのが礼儀じゃねーのか!?」

「お、おおう…俺は虹色(にじいろ) 龍虎(りゅうこ)。お前の声を聞いて、コアを置いて助けた人間です」

 

自分の本名を明かす彼。彼はある理由から、自分の名前を偽り暮らしている。

 

「……ほぅ。成程…そうか、助けてくれたのはお前だったか。あんがとな、オレはマグナ。訳あって此処に来た流れ者だな。よろしくな!」

「そうなのか…でも何でこんな所に居たのさ?マグナ」

「…あ!やべぇ!早く逃げなきゃなんねぇ、アイツが!妖怪ババァが襲ってくるんだ!」

「妖怪…?何の事」

 

誰が妖怪ババァですって…?

 

その刹那、1人と1匹の後ろで声が響く。龍虎の背筋が凍り付く程のプレッシャーを感じ取る。意を決して振り向くと、其処には紫のドレスを纏う腰まで届く金髪の髪の美人がパール色の日傘を携え、優雅に立っていた。

顔に青筋を浮かべている事を除いては。

 

「げぇ!?妖怪ババァ!」

「おい、今妖怪ババァって言ったわよね赤蜥蜴?」

「嫌だからな!お前に連れてかれるのは!」

「…仕方無いわね。こうなったら」

 

「ちょっと待ってください」と、龍虎が間に入る。

 

「誰かしら?貴方は?」

「俺は龍虎。こいつの…マグナの相棒です」

「龍虎…!」

「へぇ…。性格がひん曲がった貴方に、相方が居たなんてねぇ…まぁ良いわ。龍虎君、でしたかしら。私と勝負しません?」

「勝負?」

「ええ、貴方の世界で一番熱い決闘…バトスピよ」

 

バトスピ…その言葉を聞いた龍虎の表情が、静かに変わる。

 

「乗った…!承けてやるよ。アンタとのバトスピ!」

「龍虎、ならオレも一緒に戦うぜ!助けて貰った借りは返さなきゃな!」

 

マグナが光と共にカードへと変わるや、龍虎の腰に止めたデッキの中の赤いケースへと入る。彼はそれを取り出し、紫の前に突き出す。

 

「始めましょうか」

「応ともよ!」

 

互いにデッキを掲げ、バトスピの開始を宣言するあの言葉を言い放った。

 

 

ゲートオープン!界放!

 

その瞬間、二人は光に包まれる。収束する光の中で彼は、自分の体に次々と鎧が装着されてゆくのが分かった。

紫は藍色の姫騎士の鎧を、龍虎は被っていた帽子が飛び、龍を象る腕甲・脚甲・胸甲を纏い、背中は巨大な金色の翼が合体している。

二人が眼を開けると其処には、どこまでも広がる荒野と地平線が広がっている。

 

「おお…!すげぇ!激熱だな!!」

「私達の世界ではその程度の鎧は当たり前なのだけど、随分珍しいのね。貴方の世界では」

「おおよ、さぁ始めようぜ!最ッ高に熱くたぎる戦いを!紅蓮(ぐれん) 龍虎(りゅうこ)が盛り上げてやるぜ!!!!!」

 

龍虎の性格は先程までのものとは違う。彼女を前にしていた時の青年らしい口調は、オラオラしたヤンキーのようなものになっていた。さらには髪の色も、太陽を思わせる真紅に染まっている。その名前も虹色から紅蓮へ変わっていた。

 

「私の先行で行くわ。スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

メイパロットを召喚するわ(リザーブ4→0)」

 

紫が投げたのは先程のドローステップで手札に加えたカード。それが荒野に落ちると、其処から緑の宝石・エメラルドの結晶が現れる。その中心がひび割れ、中から鶏のようなインコが現れた。

 

「スピリットが実体化しやがった!?なんじゃこりゃあ!?」

「あら、知らなかったの?このフィールドでは、バトスピのカードや効果は実体を持つのよ。メイパロットの効果でコアを1つ追加。これでターンエンドよ」

 

紫 手札4枚、リザーブ0、トラッシュ3、ライフ5

メイパロット レベル1(1+SC)1000

 

「しゃあ!俺のターンだ!スタートステップ、コアステップ(4→5)、ドローステップ(4→5)、そしてメインステップ!

 

さぁ出番だ!ライトブレイドラ(リザーブ5→4)、そしてムーンボウ・ドラグーン2体(リザーブ4→1・トラッシュ0→1)!全員レベル1で召喚!」

 

龍虎が手札から3枚のカードを荒野へと投げる。赤の結晶・ルビーが顕現し、中から白い小さなドラゴンとワイバーンを模したスピリットが現れる。

 

「おおおお!すげぇぜ!本当にスピリットが出やがった!!おおおお!」

「興奮するのは結構。まだ何かあるかしら?」

「おう!さらにバーストをセットするぜ!」

 

裏向きで龍虎がカードを投げると、それに鎖ががんじがらめに絡み、身動きを封じる。バーストは戦局を1発で変えうる力を秘めたカード。

発動条件が整うまでは裏向きのまま。故に相手からすれば、それは大きなプレッシャーとなる。

 

「さあライトブレイドラ、1発行ってこいや!」

「ライフをあげましょう」(ライフ5→4・リザーブ0→1)

 

龍虎の指示を受けたライトブレイドラが荒野を駆けて、紫の前に迫り、その小さな体を目一杯に使った頭突きを見舞う。彼女の胸の装甲に灯る光の内から、1つが飛び出て展開。バリアとなり、ライトブレイドラの一撃を受けて、砕け散った。

 

「ムーンボウ・ドラグーン達!」

「ライフをどうぞ」(ライフ4→2・リザーブ1→3)

 

2体の火炎放射が瞬く間に、紫のライフを2まで追い込む。だが彼女はまるで気にも掛けていない。

 

「ターンエンド!さぁ、次はアンタのターンだぜ!」

 

龍虎 手札1・リザーブ1・トラッシュ1・バースト

 

ライトブレイドラ レベル1(SC)1000

ムーンボウ・ドラグーン レベル1(1)1000×2体

 

「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ4→7)、メインステップ。

 

さぁ、反撃の時間よ。覚悟なさい」

「くるか!!」

 

「森林のセッコーキジ、戦竜エルギニアスを召喚(リザーブ7→5・手札5→3)」

 

紫の手札から2枚のカードが投げられ、エメラルドの中から甲冑を纏う緑の鳥が、青の結晶・サファイアからは青の肌を持つ小型の牡牛が現れる。

 

「そしてこのカードを召喚する!

 

気高(けだか)く雄々(おお)しき海よ。静寂を破り、その獰猛(どうもう)なる力で大地を呑み込め!

 

召喚!異魔神(イマジン)ブレイブ、海魔神(手札3→2・リザーブ5→2)!」

 

刹那、それまで晴れていた荒野を暗雲が覆い、何処からか海水がフィールドを満たしてゆく。そして水面からゾゾゾと現れた金色の輪(リング)から、半人半蛸の奇怪な生物が降臨した!

 

「異魔神ブレイブか!」

「海魔神の召喚時効果発揮!手札の系統:殻人と系統:異合を持つスピリットを1体ずつ、コストを支払わずに召喚出来るわ!」

「何!?」

 

今、紫の手札は2枚だけ。即ちそれら2枚のカードがノーコストで召喚される。例え、どんな重コストを持とうとも、いとも容易く召喚出来てしまうのである。

 

「緑の風より産まれし、蜂の王よ。その翡翠(ひすい)の槍を持ちて敵を崩せ!蜂王フォン・ニード!

 

そしてもう1体!

 

地獄の底の闔(とびら)を開き、愚鈍(ぐどん)なる闇を滅する、反逆(はんぎゃく)の猟犬(りょうけん)!召喚、戌(いぬ)の十二神皇(じゅうにしんおう)グリードッグ!!」

 

手札2→0 リザーブ2→0

 

エメラルドの結晶から吹きすさび、竜巻が起きる中、その風のヴェールを切り裂き現れたのは、金と茶色の甲殻に覆われた四腕二脚の大型の蜂のスピリット、フォン・ニード。

 

そしてサファイアの結晶は地平線の彼方に座する青の城門の鍵を砕き、そのスピリットの封印を解いた。戌の紋章と共に青い閃光が大地を駆け、紫の頭上を跳躍し降臨する、三つ首の猟犬、ケルベロス型のスピリット、グリードッグ。

 

その様たるや凄まじい以外の言葉すら浮かばせぬ程に壮大だった。

 

「ハハハ…すげぇぜ、これくらい無くちゃな!」

本来なら畏れを抱く光景である。にも関わらず、龍虎は目を輝かせ、全身から赤い熱いオーラをたぎらせていた。

 

「フォン・ニードの召喚時効果でコア3個を追加してレベル2にアップ。そのコアとメイパロットのソウルコアをグリードッグへ、グリードッグをレベル3にアップ!フォン・ニードはレベル1に。

さあ、海魔神!フォン・ニードを左に、グリードッグを右に合体(ブレイブ)しなさい!」

 

海魔神の左手から緑の光がフォン・ニードと、蛸足で形成された右腕から青の光がグリードッグに直結し、2体に己の持つ力を余すことなく注ぎ込む。

 

グリードッグ 6000+5000=11000 レベル1(1)

フォン・ニード BP21000+5000=26000 レベル3(4+SC)

 

「このターンで仕留めるつもりか、上等!かかってきな!」

「それじゃあ遠慮なく!グリードッグ!!その牙で悪の鎖を噛み砕くのよ!」

 

グリードッグが雄叫び、青の閃光を纏いながら、荒野のバトルフィールドを走り、龍虎に迫る!

 

「アタック時効果発揮!封印!グリードッグのソウルコアを私のライフへ置く(ライフ2→3)!」

グリードッグの上に置かれていたソウルコアが赤い光の粒となり、紫の鎧へと収まる。鎧からは虹色の光が溢れ、紫に。そしてグリードッグに力を与える。

 

「グリードッグは封印を行うことで初めて発揮を許された力がある!封印時効果発揮!

 

その名は強奪!!!!!

 

相手の手札を全て見て、マジックカードを破棄し、そのカードのメイン/フラッシュ効果を使用出来る!」

「何!?俺の手札のマジックを奪って使うだとぉ!?」

 

駆けるグリードッグの遠吠えが、龍虎に残された最後の手札を弾き、紫の前にその内容を晒す。カードはサジッタフレイム(リバイバル)、赤のマジックカード。

 

「サジッタフレイム(リバイバル)のフラッシュ効果発揮、BP7000分の相手スピリット好きなだけ破!破壊する!ライトブレイドラ、ムーンボウ・ドラグーン、消えなさい!」

晒された龍虎のマジック、サジッタフレイムは赤の粒子となりグリードッグの中へ流れ、その三つ首から放つ蒼黒き炎が龍虎の場のスピリット全てを捉えて、爆散させてしまう。

 

「ぐおおおお!」

「まだよ!グリードッグはレベル3の封印時効果で、お互いのターン中に相手の手札が減った時、系統:神皇/十冠を持つスピリット1体をターンに3回まで回復させる!よってグリードッグを回復!」

「マジかよ…!フォン・ニードのレベルを下げてまでグリードッグのレベルを上げたのは、それが狙いだったって事か!!」

 

フォン・ニードにはレベル2の効果で、自身のアタックで相手のライフを減らせば、コア3個をトラッシュへ置けば回復する能力を持つ。紫は龍虎のカウンターを封じ、さらに次のターン中に彼の攻撃に備える事、そしてライフ回復の為にグリードッグにコアを集中させたのである。

 

「グリードッグ!行きなさい!」

 

牙剥くグリードッグ、迫るダブルシンボルの一撃、そしてさらなる連撃。本来ならば、諦めかねない事態。

 

しかし龍虎は…笑っていた。

 

それも、こんな状況を待ち望んでいたかのように…!

 

「ふふふ…!あははははは!!」

「あらあら、絶望的な状況でおかしくなったのかしら?今なら負けを認めても良いのよ?」

「まぁそう慌てんな。紫、俺は此処で負けるつもりはねぇんだ…。

 

何せ…とっておきの1枚が有るからな!」

「とっておき…?バーストに希望でも有るのかしら?」

「ああ…。とっておきも、とっておき。今まさにドンピシャ!最高の1枚がさ!

まずはムーンボウ・ドラグーンの破壊時効果!デッキから合計2枚ドロー(手札0→2)!

そして…これがそのとっておきだ!相手のスピリットのアタック後、バースト発動!!

 

バーストマジック、天火烈刀斬!発動だぁあああああああああ!」

 

龍虎の叫びと共に、鎖を巻かれ、動かなかったカードが、赤い炎を纏い、鎖を弾き飛ばして解放される!

オープンされ、赤の炎と光を巨大な刃に変え、現れた太刀は暗雲の空を焼き、満たされた海を蒸発させる程に熱く燃えていた!

 

「天火…烈刀斬…?」

「バースト発動時、デッキから1枚ドロー(手札2→3)!そしてリザーブのソウルコアを使い!相手のネクサスとシンボル2つ以上のスピリット1体を!破壊する!」

「な…!?」

「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!

ぶったぎりぃいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」

 

掲げた腕を振り下ろすと、赤い炎の刃は天と地を真っ二つに割りながら、縦に一閃。グリードッグを火炎の中で焼き付くし、跡形もなく消滅させたのである。

 

「しゃあ!どうだ!」

「…いいえ、まだよ!まだ終わっていないわ!貴方のライフは5、私のスピリット全てのシンボルも5!総攻撃で私の勝ち!

メイパロット!セッコーキジ!エルギニアス!行って!!」

「こい!ライフで受けてやる(ライフ5→2・リザーブ1→4)!」

 

グリードッグを破壊され、少しは動揺するかと思われた紫だが、その頭は冷静に現状を切り替え、己のスピリット達に指示を出す。彼女の号令を受けた3体の小型スピリットは、宙を舞い、大地を駆け、龍虎のライフを3つ同時に破壊した。

 

「ぐううう…!んにぃ、結構重いぜ…!」

「フォン・ニード!行きなさい!これで終わりよ、龍虎!!」

 

海魔神の力を与えられたフォン・ニードが、羽を羽ばたかせ、その槍を真っ直ぐ翳しながら突貫してくる。

今のフォン・ニードは緑と青のダブルシンボル、龍虎のライフは残り2つ。つまりはこのアタックを通せば、彼は敗北してしまう。

 

「まだだ…まだ終わってたまるか!フラッシュタイミング!マジック、ドラゴフレイムを使用(手札3→2・リザーブ4→1)!海魔神を破壊する!!」

「ムーンボウの効果で引いたと言うの!?」

 

ドラゴフレイムのカードが現れ、其処から放つ無数の炎弾が、まるでスコールの如く海魔神に突き刺さり、爆散させる。それは同時に力を与えられたフォン・ニードにも影響が現れ、青のシンボルが海魔神の破壊と同時に消滅し、緑のシンボルだけになっていた。即ち、減らせるライフは1つのみ!

 

「ライフで受ける(ライフ2→1・リザーブ1→2)!」

フォン・ニードの槍が、彼のバリアに突き刺さり、破壊され、彼の体を大きく後方へと押しやる。だが、勝負は終わっていない。彼のライフはまだ1つ、燦々と輝く1つのコアが残っているのだから。

ライフが残る限り、戦いは終わらない。

 

「俺のライフはまだ残ってるぜ!紫!」

「…ターンエンド…」

 

手札0・リザーブ4・トラッシュ3

 

エルギニアス レベル1(1)1000 疲労

セッコーキジ レベル1(1)1000 疲労

メイパロット レベル1(1)1000 疲労

フォン・ニード レベル1(1)6000 疲労

 

紫は手のひらで顔を隠した。攻め落とせると思ったその矢先の、あまりにも可憐なカウンター。此処まで虚を突かれたのは何時以来だろう?…そう考えざるを得なかった。

彼女の心には今、倒せなかった悔しさと。もう1つの感覚がある。それは次に、龍虎がどんな1手を打つのかと心の底から渇望している事…!

 

(さて、ターンは返ってきた…。だが状況は芳しくない。手札にはライトブレイドラとブレイブドローだけ。次のターン、紫はフォン・ニードでアタックしてくる。そうなったら止める術はない…!

このターンで勝負を決めるしかない!)

 

 

「スタートステップ!コアステップ(リザーブ2→3)!ドローステップ(手札2→3)!

 

これは…!!ッ…!リフレッシュステップ(リザーブ3→10)!メインステップ!

 

…一緒にいくぞ、マグナ!!」

「応よ!俺の力を見せ付けてやる!」

 

龍虎が引いたカード。それは、マグナ自身が宿ったカード。それこそが、このバトルを決着へと導くカードとなる!

 

「熱く激しき赤の力よ!魂よ!理を創りしその拳で、世界を!天地を揺るがせ!!

 

召喚!!六絶神(ろくぜつしん) 剛力のドラグマグナ!!!レベル3で超・越・降・臨(リザーブ10→0)!!!!!」

 

天へ投げたカードは暗雲の中に消え、その刹那に吹き飛ばすと、天空から赤々とプロミネンスを放つ球体が降りてくる。

やがてそれは、6本の翼と剛力を名乗るに相応しい四肢を顕現し、天女の纏う赤の羽衣からは未知の輝きを放ち、無限とも言える力を携え、バトルフィールドに立つ。

その姿、まさに神。

 

「ドラグ…マグナ…!これが、赤の六絶神!」

紫の表情は固く、ドラグマグナを…龍虎を見る。

 

「マグナ…これがお前の本当の姿なのか…!」

「ああ。お前のお陰だ、お前はオレにコアを与えた。それによってオレは、オレ自身の本当の姿に戻る事が出来た。龍虎、このバトル、オレの手で決着を付ける!力を貸してくれ!」

「おう!いくぞマグナ、アタックステップ!六絶神 剛力のドラグマグナでアタックだ!」

 

オオオオ!と激しい叫びをあげ、マグナは両足を地面に深くめり込ませ、両手を紫に翳しながら、眼前に赤々と燃える火の球を生成する。

 

「マグナは共通レベルのアタック時効果で、自分の赤のスピリットがアタックすれば、自身にBP+10000!

 

自身のレベル2・3の効果で、マグナがアタックすれば自分の赤のスピリット1体のBP+10000!今のマグナの合計BPは35000!!」

 

マグナの体が赤く、強く光輝き、自らの力を糧に己の力をさらに高め、より洗練し、昇華する。

掌と翼から灼熱の光弾へ、神力と炎を練り合わせ、交じり、さらなる力に変えてゆく!!

 

「無駄よ!私のライフは残り3つ!貴方にはスピリットが1体しかいない!」

 

そう。紫のライフは残り3。いくらBPパンプに特化したマグナでも、そのシンボルは僅か1つ。彼女のライフを全て破壊する事は出来ない。

 

「いいや!これで終わりだ!」

「オレ自身のレベル3の効果!BP30000以上のスピリット全てを!赤のシンボル3つで固定させる!」

 

マグナの真価、それは強大なBPパンプから、30000という1つの到達点に至ったスピリット達に、シンボルを付与する力だった。それはマグナ自身も例外ではない。

 

「ははは…参ったわ。これが六絶神の力なのね…

龍虎君、久しぶりにゾクゾクする戦いが出来たわ…ありがと」

「俺もアンタと熱いバトルが出来て楽しかったぜ!」

 

「さぁ、私のライフを3つ。全て破壊しなさい!」

 

「オオオオオオオオオオ!!!!!」

 

臨界点にまで膨張した炎弾を、マグナは右拳を構えて、その豪腕をもって殴り付ける!炎弾にスパークが走り、巨大な力の光が紫を守る、3つのコア諸とも粉砕した。

 

「爆熱!業熱!大勝利!これが俺のオレドラだ!!」

高らかに拳を掲げ、勝鬨をあげる龍虎。その表情は嬉しそうであった。

 

* * *

 

「まさか私が負けるなんてね~。思いもしなかったわ」

「俺も海魔神出された辺りから、心臓がバックバック言ってました!本当に!」

 

正直な感想を述べる龍虎

 

「どうだ!紫、俺の相棒の実力はよ!」

「わわ、マグナ!?」

 

「…合格ね。それも私の予想以上に」

「え…合格?一体何の…?」

 

「はぁい一組二名様と荷物諸々ごあんなぁーい!」とテンション高らかな指パッチンが響く。刹那、龍虎の体が一瞬浮いたと思えば、足下に体が引きずり込まれていく!!!!!

 

「え!!!!!!?」

「龍虎君、マグナ!貴方達を歓迎するわ!忘却の楽園、幻想郷に!!!!!」

「ちょ、ちょまっああああああああああああああああ……………… 」

 

彼等の悲鳴は空しく、どんどん遠ざかって、消えてしまった。

 

「紫様、此方も終わりました」と背後から九尾の女性が声を掛けた。

「よくやったわ、藍。これで八割は完了。後の二割は戦局次第…ね。

また候補となるバトラーを探してきて頂戴、出来れば強い人達をよろしくね」

 

紫に九尾の女性は「行意」とだけ答え、再び消えてしまった。

 

「貴方達に私達の世界の運命を託すわ…」

 

そんな言葉を残しながら…




如何でしたでしょうか?初めて書いた作品、楽しめて戴けましたでしょうか?

まだまだ未熟ですが、これから何卒よろしくお願いいたします!

次回予告!

幻想郷に落とされた龍虎とマグナ!林を抜けた先で着いた神社で彼等を待っていたの驚きの光景とは!?

そして紫から明かされる真実とは!?

次回、東方激闘魂!第2話、英雄集結!幻想郷を救え!


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東方激闘魂 第2話 英雄集結!幻想郷を救え!

やって参りました!第2話です!

アニメダブドラもいよいよ大詰め、個人的に十二神皇編第5章は黄色のXレアが気に入ってます。

エグゼシードFもかっこいい。青い炎とか麒麟ぽさ増し増しのスタイルとか炎走破の破壊力とか

今回もキャラ崩壊や、様々なミス・誤字脱字もあるかもしれません


第2話 英雄集結!幻想郷を救え!

 

* * *

 

前回のあらすじ!

 

とある街でバトスピを楽しむ青年、彼の名は虹色(にじいろ) 龍虎(りゅうこ)!

 

ある日のショップ大会からの帰り道で、不思議なか細い 声に導かれ、裏路地で奇妙な生物、マグナとの出逢いを果たす!

 

そんなマグナを狙い、龍虎にバトスピを挑んだのは、綺麗な金髪美人の八雲(やくも) 紫(ゆかり)!龍虎もやる気十分にバトルスタート!

 

赤デッキを扱う紅蓮(ぐれん) 龍虎(りゅうこ)の猛攻と、海魔神の能力の真っ向勝負の果てに、彼はマグナこと、六絶神 剛力のドラグマグナの一撃で見事に勝利をもぎ取ったのであった!

 

* * *

 

龍虎「あああああああああああああああああああ…!!!!!」

 

紫の手によって、暗い穴の中へと引きずり込まれた龍虎。彼は今ものすごい勢いで穴の中を落ちていた。

 

 

龍虎「こんなのきいてねえええええええええええ!?」

マグナ「ちぎじょえおおおおおおおおお!あのばばぁぁぁあああゆるざねええええええええ!!!!!」

 

2頭身の赤蜥蜴の状態に戻ったマグナも、彼のジャケットに必死に捕まり、暗闇の中を落ちている。

 

 

龍虎「ぐえっ!?ごっ!びぎゃあ!?」

 

 

突如、体の落ちる感覚が止まった。目を開けると、其処には緑の草花と見慣れた地面の色が広がっている。同時に、体を支えていた浮遊の様な力が消えて、鼻頭を思い切り地面にぶつけて彼は悶絶、地面を右往左往に転がった。

 

マグナ「いででぇ…くそが!妖怪ババア!逃がすつもりはねぇってか!くそ野郎め!」

龍虎「鼻…うっだ…、めっぢゃいだち…」

 

マグナは毒舌を撒き散らし、龍虎は回復までに5分程時間を食う羽目になった…

 

* * *

 

龍虎「ここ何処何だろう…あ、俺の荷物…」

 

マグナ「此処か?…ああ、幻想郷だな、おい…」

 

マグナは頭をもたげ、溜息を付く。彼にとってよっぽど嫌な思い出があった場所なのだろうか…

 

龍虎「着いたのか…紫さんの言ってた、忘却の楽園に」

 

転がっていた工具箱とリュックを拾い、辺りを見渡す。森林で覆われた其処は、木漏れ日がちらほらと射し込む、静かな場所だった。

 

マグナ「取り敢えず林を抜けようぜ…盗人やら何やらあぶねぇからよ」

 

龍虎「…お、おう。わかった…」

 

マグナは浮遊しながら先頭を進み、周囲の警戒を怠らない。木の裏、岩影等、隠れられそうな場所を隈無く見て回り、龍虎が危険な目に逢わないように工夫してくれている。

 

龍虎「なんか、すまないな…」

 

マグナ「何がだ?相棒の危険を減らすのもオレの大事な役目だ。なんたってお前はオレの相棒。

そしてオレの相棒はお前だ」

 

龍虎「ありがとうマグナ」

 

マグナ「いいってもんよ!お、もうそろそろ抜ける頃合いだな…」

 

草木を掻き分け、1人と1匹は光の射し込む場所に着いた。暗闇の中を抜けたからか、眩しい太陽に目を細める。

目が周囲の明るさに慣れ、視界がはっきりしてくると、其処は大きな神社が建っていた。木造で一般的な神社よりも少し大きくしっかりした造り、神社正面には巨大な赤い鳥居が雄々しく立つ。

境内は丸石と石道で敷き詰められ、細部までよく掃除された後があった。

 

龍虎「でかいな…この神社」

 

マグナ「此処は博霊神社(はくれいじんじゃ)っつう場所だ、あの妖怪ババアの言うことにゃあ、幻想郷(このせかい)の重要な役割を担ったり、儀式を行う場所なんだと。

ちなみに此処の巫女は滅茶苦茶べっぴんだ。金欲と性格がちぃとばかし曲がっちゃいるが…」

 

龍虎「詳しいんだな…マグナ。あとババアって言っちゃ駄目だろ。あんな美人さんなのに…」

 

マグナ「そりゃあオレは元々此処の奉り神だからな。ついでに見た目はあんなでも、齢1000歳は越えたババアだからな」

 

さらっと明かされた衝撃の真実。奉り神が神社から逃げ出すとは、一体何が起きたらそうなるのか。

 

 

龍虎「マグナ…こればかりは紫さんが正しかった」

 

マグナ「何でだよ?毎日毎日同じ場所にカードのまま座り続けるなんて、オレが死にそうだ!男なら一発ガツンと殴る!これに限る!!!!!」

 

マグナの能力的にそうなるだろう。自分のアタックでBPパンプを行うコイツらしい意見だ。だが奉り神がそんな我が儘で、自分の任を投げ出して、逃げていい理由にはならない。

 

龍虎「マグナ、取り敢えずは巫女さんに謝ろ?な?」

 

マグナ「…ちぃ、わぁーたよ!」

 

渋々納得してくれたので龍虎は石道を歩き、賽銭箱の前で10円玉を放り入れた。

 

龍虎「今よりもっとバトスピが楽しめますように…」

 

マグナ「早くババアがくたばりますように…」

 

龍虎「全然反省してねーじゃねーか!」

 

マグナ「ホントの事言って何が悪い」

 

そっぽを向いて、口笛を吹くマグナの姿に龍虎は溜息を着いた。同時に彼は有るものが無いことに気付く。

 

龍虎「あ、え!?あれ、ない!ない!ない!」

 

マグナ「あん?龍虎どうし…た…」

 

マグナの言葉が途切れる。見てしまったからだ。やっと気付いた。いや、気付いてしまった。

 

龍虎の、肩まで長く伸びた、虹色(にじいろ)で、オパールのように可憐な色彩の、奇妙な髪の毛を。

 

龍虎「マグナ…見たよね?」

 

マグナ「…見た!すまねぇ!」

 

涙目の彼に、マグナは正直な言葉を述べた。彼は地面に座り込み、両手を頭に乗せ、何とか隠す。その行為は彼も焼け石に水であるのは百も承知、それでもやるしかなかったのだ。

 

龍虎「もうやだ…髪見られた…、最悪だ…死にたい…」

 

マグナ「おい冗談でも何なんだよ!?その髪!!普通は黒とか茶色だろ!…いやこの世界じゃ髪の色は色々あるから関係ねぇか…

…本当にどうしたんだよ?その髪…」

 

ワナワナしながら、マグナは彼に問う。

 

龍虎「実は…むk

 

???「あああああああああああああああああああ!!!!!マグナぁああ!アンタ何処に行ってたぁ!!!!!!」

 

重い口を開き掛けた時、轟音の叫びと共に、誰かがマグナの首根っこを鷲掴んだ。

 

???「アンタ何処ほっつき歩いてたのよ!こんな緊急事態に出歩ける精神が…あれ?誰アンタ?」

 

マグナを振り回していたが、此方の存在に気付くと声を掛ける。

脇が丸見えの紅白に彩られた巫女服を纏い、髪を赤いリボンでポニーテールに束ねた、龍虎と変わらない年齢の女の子だった。

 

龍虎「え、…俺?」

 

???「そうそう、其処に座り込んでる貴方。道にでも迷ったの?今、紫呼ぶからちょっと待ってなさい」

 

龍虎「あ、俺!その紫さんに呼ばれて此処に落とされて(?)…来たのですが…」

 

???「…マジで?」

 

龍虎「…マジです」

 

暫しの沈黙が流れ、彼女はマグナを見つめ、龍虎を眺め、目線を上に向けた後、全てを理解したように溜息を漏らした。

 

???「はぁ…成程ねぇ。貴方も災難だったわね、まぁ立ち話も此処じゃなんだから、上がって頂戴」

 

龍虎「へ?あ、お邪魔…します…」

 

流されるままに、龍虎は靴を脱ぎ、彼女が巫女の任を務めているであろう、この神社に上がらせて貰う事となった…。

 

* * *

 

霊夢「へぇ~、龍虎もバトスピのカードバトラーなんだ!」

 

龍虎「はい、お恥ずかしながら…」

 

霊夢「実はね、ここ数日前にも貴方と同じバトラーが来たのよ。しかも皆、バトスピが強い上に、そのほとんどが自分の主力色が赤だって言うのよ!龍虎も赤のバトラーだし、何かこう…ワクワクするって感じ!」

 

目を輝かせ、はきはきと喋る彼女。名前は博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)という、この博麗神社で当代の巫女の任を任された少女。

しかし、マグナに怒りをぶつけていた彼女は何処へやら…。

 

霊夢「まぁ入って入って」

 

龍虎「失礼しま…す…、え…」

 

龍虎の口が止まる。まるで絶対零度の吹雪の壁に阻まれたスピリットのように、彼は止まってしまった。いや…止まらざるを得なかった、此方が正解か。

 

 

???「お?誰だお前」

 

龍虎「え…嘘…あ、貴方は…!?」

 

???「レイを知ってるのか!アンタ」

 

龍虎「え、え…ええ!?嘘じゃない…?夢でも…ない!?

 

貴方は…貴方達は…」

 

ワナワナと振るえる彼に、其処に居た彼等は、各々自己紹介を述べた。

 

バシン「俺はバシン!馬神(ばしん) トッパだ。で、コイツは白ネズミのアイボウ、よろしくな!」

「よろしく」

 

弾「俺は馬神(ばしん) 弾(だん)だ」

 

ハジメ「名前は陽昇 ハジメ!ご飯にかけるふりかけとバトスピの事なら任しとけ!」

 

ツルギ「俺はツルギ!ツルギ・タテワキ!ハジメとは昔、バトルフィールドで戦った事があるんだ!」

 

レイ「オレは一番星のレイ!宇宙を駆ける宇宙で一番のカードバトラー!コイツはムゲン、宇宙一の相棒だ!」

 

ムゲン「おー、よろしくな!」

 

幸村「俺は烈火(れっか) 幸村(ゆきむら)!バシンとは1回世界の危機を共に戦った仲だ、よろしく!」

 

環奈「拙者は黒田(くろだ) 環奈(かんな)。こんな成りじゃが、デッキビルディングには自信があるでごじゃる」

 

駿太「俺は茂上(もがみ) 駿太(しゅんた)!で、こっちにいるのがヨク」

 

ヨク「…ヨク・アルバトロサだ」

 

龍虎が振るえるのも無理はない。何故ならば、皆かつて世界の危機を救ってきた英雄達。そして何より、バトラーとして、龍虎が尊敬している先人達なのだから。

 

龍虎「霊夢さん…」

 

霊夢「何、ってうわ!?」

 

龍虎「オレ…いぎででよがっだぁ…」

 

霊夢「号泣するほど嬉しかったの!?」

 

暫し、彼は感動に浸り続けて話が進まなかった…

 

* * *

 

龍虎「改めまして、俺の名前は虹色 龍虎と言います。先程は見苦しい姿を御見せして、誠に申し訳御座いませんでした!」

 

英雄達を前に自らの恥態を、由緒正しき土下座の姿勢で詫びる龍虎。

 

幸村「いや、俺達が龍虎の世界じゃ英雄って呼ばれてると考えると、何か不思議な気分だ…」

 

バシン「俺なんか、まだ中学生なんだけどな…」

 

ハジメ「それ言ったら駿太は小学生くらいだと思うぞ?」

 

駿太「ちょ、俺現在進行形で小学生なんですけど!?」

 

紫「はいはーい、皆さんおまたせー」

 

何処からともなく、あの声が聞こえて、彼女はやって来た。桜模様の扇を持つ神出鬼没の金髪美人、八雲 紫である。

 

弾「紫、きたのか」

 

紫「ええ。龍虎君も来て、これで一応は全員揃ったところかしら」

 

パチンと閉じ、彼女は静かに言葉を放つ。

 

「今此処に皆様を呼び寄せたのは、他でも在りません。貴方達に、この世界を。幻想郷を救って欲しいからです」

 

重々しい言葉の後、先に口を開いたのはツルギだった。

 

ツルギ「具体的にこの世界で今何が起きているんだ?」

 

紫「…何者かの侵略を受けています。それも…かつてとは比べ物にならないほど、強大な悪意に…」

 

ハジメ「悪意?その悪意ってなに?」

 

紫「かつて、バトスピの世界には幾つもの危機が在りました。一番新しいのでは、駿太さんやヨクさんが戦った邪神皇。最も古いものでは虚無の軍勢…。

 

長い歴史の中で、バトスピは数多の危機に見舞われながら、その度にスピリットやアルティメット達は協力し、乗り越えてきました。

 

ですが…今回は今までの格も、規模も、全てが違い過ぎました。このままでは世界が、いいえ。バトスピそのものが、失われてしまう事になりかねません」

 

バトスピがなくなる…?バトスピのない日常…?

 

霊夢「バトスピ…そのものが…」

 

龍虎「そんなの嫌だ!俺はバトスピと出会って沢山の仲間が出来た!ライバルだって同じくらい出来た!バトスピのない世界なんて、絶対に嫌だ!」

 

弾「俺も…バトルでしか生きる意味を見出だせなかった。だから、バトスピを誰かの手で奪わせはしない」

 

幸村「バトスピが無くなるのを、ただ黙って見過ごす訳にはいかないな!」

 

皆の答えは既に決まっていた。自分達を育てた大切な存在、バトスピを守るという、全員一致した意見に。

 

環奈「敵は強大…故にそれぞれの世界から強いバトラーを選び抜いたと言うわけでこじゃるか」

 

環奈の言葉に紫は首を縦に振る。ここでバシンがある事に気付く。

 

バシン「あれ?じゃあ龍虎も世界を救った事が有るのか?」

 

龍虎「え…、いや、俺は…無いんですが…」

 

弾以外「…………え?」

 

全員絶句。

 

「いや、どうゆう事さ?紫」とムゲンが尋ねる。それに対し、紫は「龍虎君は特別な力を持っているから」と答えた。

 

レイ「特別な力…か。何か出来るのかドラの星?超能力とか」

 

龍虎「レイさん…。俺、宇宙人じゃ無いです…特別な力とか、そうゆうのもない、ただの一端のカードバトラーなんですよ…。あとドラの星って何ですか。新手の渾名ですか?」

 

話の前提が色々おかしい。龍虎は困惑し、レイには頭にハテナマークだらけだ。

 

駿太「取り敢えずその敵と戦う為にもデッキを組まなきゃな!」と、駿太が場の空気を変えてくれ、龍虎は事なきを得た。…が。

 

「あーーーーーー!!!!!」と叫び声で、またしても状況が変わる。

 

龍虎「どうしたんですか?」

 

駿太「エクゼシードがない!リボル・ティーガも!」

 

ヨク「ゲイル・フェニックスにミストラル・ビットもだ!それに他の十二神皇達も…」

 

弾「…俺の十二宮Xレア達も消えている」

 

ツルギ「ソードブレイブがない!」

 

レイ「おいおい三龍神がねぇぞ!?どうなってやがるんだ!」

 

デッキを見直すメンバー達、中でも駿太とヨクとレイ、ツルギに弾のデッキからは、主力と呼べるカードが忽然と姿を消していた。

 

紫「この世界に来るとき、離ればなれになってしまったのかもしれません。その上、元の世界とは違いカードには秘められた意志が目覚めたのかも…

とにかく、貴方達の持つカードはバトスピを滅ぼそうとする悪意と戦う為には不可欠です」

 

環奈「じゃが、主力を欠いた駿太やヨク、それにレイと弾殿にはそれを補うカードがない…。

戦力増強に励みたくとも、肝心のカードがなければ…」

 

どんよりと嫌な空気が場を包み込む。その時だ、彼が…龍虎が口を開いたのは。

 

龍虎「あの…カード、ありますよ?使います?」

 

環奈「なんと!?それは何処に!!」

 

龍虎「この工具箱の中です」

 

ロックを解き、中を開くと其処にはスリーブに納められた無数のバトスピのカードが保管されていた。それも工具箱の最上段までぎっしりと詰め込まれている。

バトラーにとってのそれは、宝箱の宝石にも等しい価値を持つ。特にこの状況に於いては、灼熱の砂漠に佇むオアシスと同意だ。

 

環奈「幸運でごじゃる…どれも汎用性や実用性、種類・幅に満ち溢れておる!龍虎よ本当に良いのか?お主のカードじゃが…」

 

龍虎「良いですよ!カードは使われて初めて価値が有るんですから、それにカードだって使ってくれたら嬉しいですし!」

 

環奈「…恩に切る!」

 

龍虎の工具箱の中に眠るカードを手に取り、それぞれの色、種類に分けてゆく環奈。その後、各々がカードを取り、自分達のデッキに照らし合わせ、ビルディングする。

 

幸村「バシンのデッキはこのカードを加えて見たらどうかな?序盤で手札アドバンテージに差を付けられるし」

 

バシン「おお、確かにそうだな!じゃあコレとコイツを入れ替えてと…」

 

弾「環奈、アルティメットのカードはないか?出来れば異魔神ブレイブも持ってきて欲しい」

 

環奈「わかった!ちょっと待っておれ!」

 

それぞれがそれぞれのカードを選び、二時間程の時間を経て、各々デッキを再構築し終えた。

 

駿太「デッキもかなりパワーアップしたし、バトスピやろう!」

 

弾「賛成だ、少しでも新しいデッキに馴染んでおきたいからな」

 

龍虎「俺もです!」

 

紫「あらあら~♪そんなにやる気になった貴方達に朗報よ。相手を連れてきたのよ、今境内で皆さんを待っているわ」

 

デッキの試運転に必要な相手を連れてくるあたり、紫も彼等の戦いが気になると見える。

 

バシン「よし!新デッキで勝利トォォオタル!」

 

ツルギ「全力でやってやるぜ!」

 

年少組を中心に我先にと、木目の廊下を駆け抜け、博麗神社境内に飛び出す。

 

???「お、来たみたいだぜ」

 

???「見た目は子供じゃないですか…。彼等があの賢者が選んだバトラー…?」

 

???「はぁ…、お嬢様達になんと言えば良いのやら…」

 

???「でも実力が有るのは確かだと思います!」

 

???「良いね!良いね!中々気概がありそうな連中だ!」

 

???「えっと…大丈夫なの、かな…?」

 

???「くぅ…くぅ…」

 

???「はわわわ、なんか皆すごい…」

 

???「まぁ誰がこようと、あたいは負けないね!」

 

境内に降りると、其処で待っていたのは九人の女の子達だった。

左から、黒の魔女服に白のエプロンとドロワーズを着付けた金髪ロングの女の子。

長く細い兎耳と桃色の髪、赤目のセーラー服の長身娘。

二本の長短異なる刀を腰に添え、緑の衣と白髪の侍少女。

青のドレスに身を包む、白短髪のメイドさん。

緑の長い髪の霊夢に良く似た服を待とう女子高校生。

金髪と黒髪の混じる、虎の腰巻きを赤の服と身につけた長槍を携える子。

その場で立ったまま眠っている、中国系の赤髪女性。

橙色の髪に頭から生えた二本の角が特徴の低身長のロリっ子。

氷の六羽を背中につける青髪と青ワンピースの女の子。

 

 

駿太「アンタ達が俺達の相手か?」

 

魔理沙「おう、威勢の良い奴が相手できたな!私は霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)、よろしくだぜ!」

 

レイ「俺の相手は…」

 

イナバ「あ、あの私です…鈴仙(れいせん)・優曇院(うどんげいん)・イナバと言います…」

 

弾「君が対戦相手か?」

 

妖夢「どうやら、そうみたいです。私は魂魄(こんぱく) 妖夢(ようむ)、以後お見知りおきを」

 

ヨク「俺の相手はアンタか…」

 

早苗「ふむふむ…自信に満ちた良い目をしてます。東風屋(こちや) 早苗(さなえ)です、よろしくお願いします」

 

ハジメ「よっしゃ!そこの虎みたいな人、勝負だ!」

 

星「虎みたいなって、私は一応虎ですよ?」

 

バシン「あのー…俺の相手が貴女なんですが…」

 

美鈴「…ハッ!ほ、紅(ホン) 美鈴(メイリン)参ります!」

 

龍虎「俺の対戦相手は…」

 

チルノ「あたい、チルノだよ!其処の虹色頭!」

 

ツルギ「俺の相手はアンタか?」

 

萃香「ん~。流れからして私だね、赤目の少年♪伊吹(いぶき) 萃香(すいか)だ、楽しくやろうや!」

 

幸村「さて…残ったのはアンタしかいないな」

 

咲夜「そうね…。私は十六夜(いざよい) 咲夜(さくや)、選ばれたバトラーの実力…見せて貰うわ」

 

それぞれが己の戦うべき相手を見つけ、対峙する。その瞳に宿る炎は静かに、だが熱く激しく燃え、今にも火傷しそうな程に熱を帯びていた。

 

紫「さぁて、誰から始めましょうか?」

 

「皆、此所は俺から良いですか?」と真っ先に駿太が彼等に初戦の許可を求めてきた。

 

ヨク「駿太…?」

 

駿太「俺…邪神皇との戦いが終わってから、ずっと考えてた事があった。自分のキースピリットが居なくなった時、俺はいつも苦戦してばかりだった。

十二神皇(エグゼシード達)さえ取り戻せてればって、自分の中で甘えてばかりで、ちゃんと自分のデッキと向き合ってなかった。

だから…この戦いで、今の俺を破壊する。新しい俺になるために。一番最初に戦いたいんです」

 

駿太の脳裏に甦る、十二神皇と邪神皇を巡りヨクや仲間達と共に戦った日々を思い出す。

 

弾「お前がそこまで言うなら、初戦を任せる」

 

龍虎「其処まで覚悟を見せられたら、譲らない訳にはいかないな…良いぜ!」

 

ハジメ「期待してるからな!頑張れよ駿太!」

 

駿太「…ありがとうございます!」

 

紫「魔理沙の方はどうかしら?準備…は、聞かなくても問題なしか」

 

魔理沙も既にデッキケースを片手に、バトルの準備は出来ていた。駿太はポケットの中からソウルコアを摘まみ、翳す。

 

紫「じゃあ…始めて」

 

駿太「バトルアーマー!ON!」

 

掛け声と同時に、駿太のソウルコアが赤に発光。溢れるエネルギーが彼の身体を包み、炎をイメージした赤の装甲を纏わせ、胸に5つの青の光、ライフの光を灯す。

 

魔理沙「へー!かっこいいじゃないか、そのアーマー!」

 

駿太「邪神皇と戦った時以来だな…このアーマーを着るのも。懐かしいや…」

 

彼の様子を見つめる弾。その目には、かつて同じように昔を懐かしく思いを馳せた自分と、駿太が重なっていたのだろう。

 

魔理沙「改めて、霧雨 魔理沙ってんだ!お前の名前は駿太で良いのか?」

 

駿太「ああ、茂上 駿太。それが俺の名前だ!いくぞ!」

 

魔理沙「いくぜ!」

 

二人「ゲートオープン、界放!!!!!」

 

互いの掛け声が境内に響くと、其処から彼等と皆を包むように半球体のドームが形成される。その中は、龍虎が紫とバトルしたような荒野ではない、正当な決闘の場が如し、石畳で覆われた場所だった。

 

龍虎「すげぇな…ヨクさんも駿太さんと同じように、この場所で戦ってきたんですね」

 

ヨク「ああ。十二神皇を賭けて戦ったり、そうじゃ無い時もこのバトルフィールドで戦ってきた。初めの頃のアイツとは何度も衝突したが、今じゃ本当に良い仲間になれた」

 

龍虎「なら尚更期待しちゃいますね!駿太さんのバトル!」

 

龍虎はワクワクしながら、駿太のバトルを見ている。他の皆も同じだ。

 

駿太「俺から先行します。スタートステップ、ドローステップ(手札5→4)、メインステップ。

まずは、コレオン2体を召喚(手札5→3・リザーブ4→2)!」

 

駿太が召喚したのは、小さな2頭身のライオン型のスピリット。小さいながらもその目はキリリと、魔理沙に向けられていた。

 

駿太「さらにリザーブのソウルコアを使ってマジック、エンペラードローを使用(リザーブ2→0・手札3→2)!

デッキから2枚ドロー(手札2→4)、そしてソウルコアをコストにした時、デッキの上から2枚をオープン。その中の系統:皇獣(こうじゅう)を持つスピリットカードを全て手札に加える!」

 

駿太のデッキから2枚のカードが魔理沙達の前に公開される。オープンされたカードは、壬馬皇(じんばおう)エクゼシュバーンと壬馬(じんば)トラケナー。どちらにも系統:皇獣が含まれている。

 

駿太「エクゼシュバーン、トラケナーは系統:皇獣を持っているから手札に加える(手札4→6)。そしてバーストセット(手札6→5)!」

 

バーストとして裏向きに置かれたカードに鎖ががんじがらめに巻き付き、そのカードを拘束する。

 

駿太「これでターンエンド!」

 

駿太 手札5 リザーブ0 トラッシュ2(SC) バースト有

 

コレオン レベル(1)1000×2体

 

魔理沙「序盤からいきなり動いてきたか…それくらいじゃなきゃ面白く無いぜ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!

 

いくぜ、いくぜ、いくぜ!ネクサス、英雄皇(えいゆうおう)の神剣(しんけん)配置(手札5→4・リザーブ5→2)!」

 

魔理沙が投げたカードが地面に刺さり大地が割れると、其処からマグマを溢しながら赤く、そして巨大な剣が立ち、バトルフィールドにその熱を伝えてくる。

 

ハジメ「神剣か…あのネクサスを最初に配置出来ると、手札補充がかなり安定するもんな~」

 

龍虎「英雄皇の神剣…魔理沙さんのデッキはバースト主体なのかな…?」

 

英雄皇の神剣…。共通レベルで発揮される、その効果は、自分がバーストをセットした時、デッキから1枚ドロー出来る効果を持つネクサス。つまりは、バーストが手札に在り続ける限り、魔理沙の手札は安定した供給を得る事が可能になったと過言ではない。

 

魔理沙「さらにバーストセット(手札4→3)!神剣の効果発揮、1枚ドロー(手札3→4)!これでターンエンドだぜ!さぁ駿太、お前の番だぜ!かかってこい!」

 

魔理沙 手札4 リザーブ2(SC) トラッシュ3 バースト有

 

英雄皇の神剣 レベル1(0)

 

駿太「俺のターン!スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(5→6)、リフレッシュステップ(1→3(SC))、メインステップ。

 

コレオン1体のコアとリザーブのソウルコアを交換。マジック、イマジンドローを使ってデッキから2枚ドロー(手札6→5→7・リザーブ3→0)。その後、デッキから3枚カードをオープンして、その中の系統:異魔神を持つブレイブカードをコストを支払わずに召喚して、残りは破棄する!」

 

デッキから3枚のカードが公開され、内容は情熱サーキット、サザンクロスフレイム(リバイバル)、そして異魔神ブレイブの火魔神(ひまじん)。

 

龍虎「きた!火魔神だ!」

 

駿太「よし!龍!力を借りるぞ!」

 

龍虎「おう!…って、俺は龍虎だよ!?」

 

駿太「始まりの炎よ!覚醒(めざめ)て神秘の力を奮え!召喚!異魔神ブレイブ!火魔神!!」

 

バトルフィールドに赤と緑の炎が円を描き、対極を走りながらも、やがて一つと成り、炎の中から赤の翼持つ騎士の姿をしたブレイブ、火魔神を降臨させた。

 

魔理沙「異魔神ブレイブ!初めてみた…」

 

駿太「驚くのはまだ早い!火魔神!!ソウルコアが乗ったコレオンを左側に、残ったコレオンを右側に合体(ブレイブ)だ!」

 

火魔神の目が光り、左手から緑の炎を、右手から赤の炎を産み出すと、それを伸ばし、コレオン2体に力を与え、オーラを纏わせる!

 

コレオン レベル1(1)1000+4000=5000 ×2体

 

魔理沙「スピリット2体と合体したぁ!?」

 

駿太「そうさ、これが異魔神ブレイブの力の1つ!アタックステップ!まずは左側のコレオンでアタックだ!」

 

腕をぐるぐる回し、四肢で大地を駆け出すコレオン。同時に、火魔神の左側が緑のオーラを放ちながら、輝き始めた!

 

駿太「火魔神の左側合体時効果発揮!ボイドからまだアタックしていないコレオンにコアを1つ追加!レベル2にアップ!」

 

緑の炎は右側のコレオンの周りを舞い、コアへと変わる。新たに増えたコアを捕まえたコレオンは、パワーアップを遂げた。

 

右側コレオン レベル2(2)5000→6000

 

駿太「そしてこれがメインのアタックだ!」

 

魔理沙「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ2→3)!」

 

空へ高く跳躍したコレオンが、その小さな身体を目一杯に使い、空中1回転から、魔理沙目掛けてライダーキックを叩き付ける。魔理沙の周りを囲むようにライフの1つがバリアとして展開し、コレオンのキックを受けて、粉々に砕き割れた。

 

魔理沙「くうう…効いたぜ今のは!だがライフ減少でバースト発動!氷の覇王ミブロック・バラガン!レベル2で召喚(リザーブ3→0)!」

 

魔理沙のバーストが解き放たれる。直後、フィールドに猛吹雪が発生、その中心に浮遊するダイヤモンドの結晶が砕ける。其処には赤桃色の光放つ剣を携えた、白銀の巨兵が1機、気高く吹雪のヴェールを切り払い立ち上がった。

 

氷の覇王ミブロック・バラガン レベル2(2+SC)9000

 

駿太「氷の覇王か!ターンエンド!」

 

駿太 手札7 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

コレオン レベル2(2)6000

コレオン レベル1(SC)5000

 

魔理沙「スタートステップ!コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

まずはバーストセット、神剣の効果で1枚ドロー(手札5→4→5)、さらにアルマジトカゲをレベル2で召喚(手札5→4・リザーブ4→2)!」

 

ダイヤモンドの結晶の中から白い甲殼を纏う白い小型のドラゴンが現れた。

 

魔理沙「そしてこい!星の光蓄えし剣、悠久の時を超えてこの地に降臨せよ!召喚!極星剣機ポーラ・キャリバー(手札4→3・リザーブ2→0)!ミブロック・バラガンに直接合体(ダイレクトブレイブ)だ!」

 

天空に白い穴が開き、ジェット音と白煙を上げ、スペースシャトルを思わせる機体がバトルフィールドに飛んできた。ポーラキャリバーは其処から収納していたジェットパックと剣をミブロックに向けて投下。

ミブロックは空中で剣を左手に掴み、ジェットパックは両足にドッキングし、合体(ブレイブ)を完了させた。

 

ミブロック・バラガン レベル3(3+SC)11000+6000=17000

アルマジトカゲ レベル2(2)2000

 

駿太「おお!すげぇ!」

 

魔理沙「へっへーん、これが私のブレイブスピリットだぜ!攻略出来るなら、攻略してみな!ターンエンド!」

 

お互いに一歩も譲らない熱いバトル…。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか!?

 




第2話読んで頂き、ありがとうございます。

うぷ主は感想や指摘の1つ貰うだけでもモチベーションが上がります、気付いた事や疑問等いただければ、幸いです!

次回予告!

魔理沙vs駿太のバトルは加速する。

強力無比な覇王コンボで駿太を追い詰める魔理沙!だが、龍虎が託したカードが駿太を更なる高みへと導く!

次回、東方激闘魂 第3話!

魔理沙vs駿太!WミブロックvsWドライブ!

お楽しみに!!!!!


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東方激闘魂 第3話 魔理沙vs駿太!WミブロックvsWドライブ!

第3話です!アニメ新シリーズは放送されるのか?駿太達の運命は?期待不安に胸が踊りますね!

今回もミスや誤字脱字があったらごめんなさい


第3話 魔理沙vs駿太! WミブロックvsWドライブ!

 

* * *

 

前回のあらすじ!

 

紫によって幻想郷へと半ば強制的に連れてこられた龍虎&マグナ!たどり着いた博麗神社で彼等を待っていたのは、なんと世界を救ってきた歴戦の英雄達だった!

 

幻想郷が直面している未曾有の危機…それは強大な悪意によりバトスピが滅ぼされてしまうというもの。それを阻止すべく、彼女は龍虎を含め九人のバトラーを集結させたのだ!

 

龍虎のもたらしたカードでデッキを再構築し、紫が呼んだバトラーとの戦いに挑む一行!

 

初陣は駿太vs魔理沙!龍虎が渡した火魔神を使い、果敢に攻めるが、魔理沙は氷の覇王ミブロック・バラガンを召喚!さらには極星剣機ポーラ・キャリバーまでもをブレイブし、さらに堅牢な防御を固めてきた!

 

果たして駿太はこの守りを崩せるのか!?そして勝利の女神はどちらに微笑むのか!?

 

* * *

 

駿太 ライフ5 手札7 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

コレオン レベル1(SC)5000 疲労

火魔神

コレオン レベル2(2)6000

 

* * *

 

魔理沙 ライフ4 手札3 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

ミブロック・バラガン+ポーラ・キャリバー

レベル3(3+SC)11000+6000=17000

アルマジトカゲ レベル2(2)3000

 

魔理沙「さぁ…こい!駿太!」

 

現在、第4ターンに入った状況下。異魔神ブレイブ、火魔神を召喚して優位に立ったと思われていた駿太だったが、魔理沙のバーストで召喚された、氷の覇王 ミブロックバラガンによって形勢は五分に戻され、さらには極星剣機(きょくせいけんき)ポーラ・キャリバーを合体されてしまった。

 

ハジメ「ミブロック・バラガンか…チヒロとのバトルを思い出すぜ」

 

龍虎「その人もミブロックバラガンを使っていたのですか?」

 

ハジメ「ああ、チヒロはイラストレーターの夢を持っててな。家の人が厳しく反対しても、夢を諦めずに今も戦ってるんだ」

 

龍虎「そうなんですか…。それにしてもミブロックバラガンとポーラキャリバー、ですか…。

バラガンもそうですけど、特に今の時点ではポーラ・キャリバーがかなり厄介な存在です」

 

ツルギ「そうなのか?俺はそうには見えないけど…」

 

弾「あのブレイブはブロック時に、合体スピリットがBPを比べて相手のスピリットを破壊した場合、相手のスピリット/ブレイブ/ネクサスを1枚、手札に戻す能力がある。例えどんなに強い異魔神ブレイブで有ろうと、片方を止められたら、力も半分になる。

魔理沙って娘は、この短時間で異魔神ブレイブの特徴に気付いて、それに対する一手を投じている」

 

ツルギ「…つまり」

 

弾「既に自分のデッキの中で、対異魔神ブレイブへの回答があると見て間違いない。手札あるいはバーストか…」

 

弾の予想は当たっていた。彼女のバーストには既に、駿太を追い詰めるカードが仕込まれていたのだから。

 

駿太「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札7→8)、リフレッシュステップ(トラッシュ3→0・リザーブ1→4)、メインステップ。

 

レベル2のコレオンをレベル1にダウン。お前の出番だ!舞い降りろ、炎の天馬!召喚、庚天獣(こうてんじゅう)レディアント・ぺガス!レベル2で召喚(手札8→7・リザーブ5→0・トラッシュ0→3)!」

 

バトルフィールドに投げたカードが刺さる。其処から2つの金色の光が飛び出し、翼となると、その間から二角を有するシャープな四肢を持つペガサスを呼び出し、炎に燃えるバトルフィールドへと降り立つ。

 

「召喚時効果!デッキの上からカードを5枚確認し、その中の系統:神皇のスピリットと異魔神ブレイブ1枚づつを手札に加える!」

 

駿太のデッキから5枚のカードが開かれる。カードは、庚獣竜(こうじゅうりゅう)ドライオン、エンペラードロー、熊魔神、無限の神皇ゼムリアス、超・炎魔神の5枚。

 

駿太「よし!ゼムリアスと超・炎魔神を手札に(手札7→9)!」

 

宣言したカード以外が粒子となり消えて、宣言した2枚が駿太の元へと飛んでいった。その中の無幻の神皇ゼムリアスは、龍虎が駿太の持つあるカードの為に渡したカードでもある。

 

魔理沙「おっと!相手のスピリット/ブレイブの召喚時効果発揮で、バースト発動!ヴァイキング・レイヴをバースト召喚!維持コアはアルマジトカゲをレベル1にして確保だ!そしてバースト発動が相手のメインステップなら即座に終了させる!」

 

またしても魔理沙のバーストが発動する。バトルフィールドに現れた氷山を砕き、牛を思わせる角と巨大な斧と円盾を持つ巨兵が現れた。

その角から放つ電撃が駿太のフィールドを直撃、メインステップを終わらせ、アタックステップへと進めてしまう。

 

魔理沙「まだ終わらないぜ。ミブロック・バラガンの効果で自分がバーストを発動したので、手札からバーストカード1枚をセット。神剣の効果で1枚ドローだ(手札3→2→3)」

 

バーストを巧みに操りながら、駿太を惑わす魔理沙。だが駿太も負けてはいない。

 

駿太「左側のコレオンでアタック!火魔神の効果でアタックしていないコレオンにコア1つ追加してレベル2にアップ!いけ!」

 

魔理沙「ライフで受ける(ライフ4→3・リザーブ0→1)!」

 

バラガンの横を通り抜け、コレオンのアッパーカットが、再び魔理沙のライフを砕いていく。

駿太は火魔神の効果でコアを確実に増やし、次なる一手に備える。充実した手札を生かす為、危険を承知で敵の懐へと飛び込み、勝機を掴む為に。

 

魔理沙「やるじゃんか、BPも心許ないスピリットでアタック出来る勇気…どっかの人形使いにも見せてやりたいぜ」

 

駿太「負けを恐れてたら勝ちは絶対見えない。だったら恐れず一歩踏み出して、勝ちをもぎ取る!レベル2となったコレオンでアタック!火魔神の右側の効果で1枚ドロー(手札9→10)!」

 

火魔神の右側が赤く輝き、天に右腕を掲げると一粒の炎が駿太のデッキに注がれ、1枚のカードを飛ばす。

 

魔理沙「コアブーストにドロー…赤と緑のそれぞれ異なる効果を持つのが異魔神ブレイブか。だが此方もそれ以上の好き勝手はさせないんだぜ!アルマジトカゲでブロック!」

 

龍虎「アルマジトカゲ?ミブロック・バラガンじゃないのか?」

 

ハジメ「…!まさかあのバーストは!」

 

アルマジトカゲが身体を丸め、転がりながら迫り、コレオンと激突する。だが火魔神の力を受けたコレオンは回転を止めると、空中に投げ飛ばして破壊した。

 

魔理沙「きたきた!自分のスピリットが相手によって破壊されたのでバースト発動!魁(さきがけ)の覇王ミブロック・ブレイヴァー!この時、破壊されたのが白のスピリットならそのまま召喚出来る!」

 

駿太「やっぱりそいつか!」

 

魔理沙「さぁ…いくぜ、相棒。激動の時代に生きた英雄よ。その気高く強い魂を以て、再び戦場を駆けよ!魁の覇王ミブロック・ブレイヴァー!レベル2で出陣(リザーブ2→0)!」

 

桜吹雪が舞い躍り、それを切り裂く剣一閃。バラガン以上に大きく、そして何より雄々しき姿を持つスピリット。それはまさしくミブロックの頂点に座するに相応しいスピリット、名をミブロック・ブレイヴァー。

 

駿太「Wミブロックか…!ターンエンド」

 

駿太 ライフ5 手札10 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

コレオン レベル1(1)5000 疲労

火魔神

コレオン レベル2(2)6000 疲労

 

庚天獣レディアント・ぺガス レベル2(2)7000

 

魔理沙「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ1→3)、メインステップ。

 

まずはバーストセットして、神剣の効果で1枚ドロー(手札3→2→3)。よし!バラガンに合体している、極星剣機ポーラ・キャリバーをブレイヴァーに合体!さらにポーラ・キャリバーをもう1体召喚、ヴァイキング・レイヴに直接合体させてレベル2にアップだぜ(手札3→2・リザーブ3→0)!」

 

バラガンがポーラ・キャリバーの剣とジェットパックをブレイヴァーに向けて射出し、ジェットパックはブレイヴァーの右腕に、剣を左手に握る形で合体。さらに飛んできたポーラ・キャリバーはヴァイキング・レイヴの背中にジェットパックを合体する。

 

ブレイヴァー+ポーラ レベル2(2)9000+6000=15000

 

レイヴ+ポーラ レベル2(2)5000+6000=11000

 

駿太「スピリットのBPが全員BP10000を超えた…くるか」

 

魔理沙「ターンエンドだ」

 

盤面は堅牢にも関わらず、魔理沙はターンを終了し駿太にターンを渡してきた。それは自信と余裕から来るものか、はたまた臆病なだけか。

 

魔理沙 ライフ3 手札2 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

バラガン レベル3(3+SC)11000

 

ブレイヴァー+ポーラ レベル2(2)15000

 

レイヴ+ポーラ レベル2(2)11000

 

駿太「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札10→11)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4)、メインステップ。

 

バーストゾーンの絶甲氷盾を破棄、新たにバーストセット(手札11→10)。リザーブのソウルコアとレディアント・ぺガスのコア1つを交換。ネクサス、十二神皇の社と情熱サーキットをそれぞれレベル1で配置(手札10→8・リザーブ4→3→1)!」

 

駿太が投げたカードが輝き、1枚は馬の石像が佇む博麗神社のような風格溢れる寺を、もう1枚は炎を纏いながら2人の周りに巨大なサーキットと三段式の観客席を造り上げる。

 

龍虎「おお!なんだこれ!!でけぇサーキットだ!」

 

バシン「ネクサスってこうやって展開するのか!」

 

ネクサスの配置に龍虎とバシンのテンションははね上がる。未知の体験に心が踊るのだろう。

 

駿太「…アタックステップ」

 

魔理沙「ミブロックバラガンの効果発揮!ヴァイキング・レイヴを手札に戻して(手札2→3・リザーブ0→2)、合計コスト10になるよう、相手のスピリットを手札に戻すぜ!対象はコレオン2体!」

 

ヴァイキング・レイヴが光の粒子となって彼女の手札に戻る。同時にコレオン2体も光の粒子となり手札に戻ってしまい、合体元のスピリットを失った火魔神は静かに浮遊するのみ。

 

駿太「やっぱり狙ってきたか…(手札8→10・リザーブ1→4)!」

 

魔理沙「手札が増えたな?ミブロック・ブレイヴァーレベル2合体時効果で、バーストを破棄だ!」

 

ブレイヴァーの放つ一閃が駿太のバーストカードを切り裂く。そのカードは相手の効果で手札が増えた場合、コアを2つリザーブに追加しながら、相手スピリット2体を疲労させる千枚手裏剣だった。

 

ハジメ「やられた…ヤバいぞ!駿太!」

 

駿太「…ターンエンド」

 

魔理沙「そうだ。私の合体スピリットがいる以上、アタックは出来ない。ポーラ・キャリバーの効果でネクサスを戻される。誰だってそうする、私だってそうする。

 

例え、ミブロック・ブレイヴァーの効果でライフを破壊されると解っていてても…な!」

 

刹那、ブレイヴァーの斬撃が居合の如く飛び、駿太のライフを1つ破壊した(ライフ5→4・リザーブ4→5)。それがミブロック・ブレイヴァーの共通レベルで発揮される能力。相手がアタックしなかった場合にライフを1つ破壊する能力だ。

 

魔理沙「おいおい、こんなものか?世界を救った英雄の力は?」

 

駿太「…まだだ。俺の力はこんなものじゃない!」

 

駿太の周り…いや、バトルフィールドの周りに形成されていた情熱サーキットの道を炎が迸り、赤くたぎる!

 

駿太「情熱サーキットの効果で、俺のライフが減ったらデッキから1枚確認してそのカードが系統:神皇か十冠を持つ赤のスピリットなら、ノーコストで召喚出来るのさ!」

 

魔理沙「ミブロック・ブレイヴァーの効果を逆手に取ったのか!?」

 

駿太「デッキトップ確認。…きた!甲獣(こうじゅう)キャノン・ピューマをノーコスト召喚(リザーブ5→3)!」

 

サーキットの炎と共に、背中に長距離砲塔を乗せた橙色の毛並みを持つ猫型のスピリットが現れる。

 

魔理沙「やられたぜ…ミブロック・ブレイヴァーにライフを破壊される事も計算した上で、情熱サーキットを配置したんだな…」

 

駿太「まぁな。今度こそターンエンドだ」

 

駿太 ライフ4 手札10 リザーブ3 トラッシュ3

 

火魔神 レベル1(0)4000

 

甲獣キャノン・ピューマ レベル2(2)4000

 

庚天獣レディアント・ぺガス レベル2(1+SC)7000

 

魔理沙「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ3→5・トラッシュ2→0)、メインステップ!

 

合体が解除されたポーラ・キャリバーをバラガンに再度合体!バーストセット、神剣の効果で1枚ドロー(手札2→3)。ミブロック・ブレイヴァーをレベル3にアップだぜ(リザーブ5→2)!」

 

再び、ポーラ・キャリバーのジェットパックがバラガンの両足に合体し、射出された剣を左手に握って、二刀流の構えを取る、2体のミブロック。

 

「アタックステップだ…さぁ、覚悟は良いか?私は出来てる!合体スピリットでアタックだ!」

 

目にスパークを走らせ、バラガンがポーラ・キャリバーとの合体により得たジェットパックを噴かせ、交差させた剣を用いて、天空より迫り来る!

 

駿太「ライフで受ける(ライフ4→2・リザーブ3→5)!ぐうう!?」

 

駿太の周りを光が覆い、加速により威力と重さを増したバラガンの一撃を受け止める。彼のアーマーに灯るライフの光が2つ同時に弾け、彼を後方へ押し飛ばす。

「駿太さん!」と龍虎の問い掛けに、彼は振り向かず、右手の親指だけを立てて、無事を証明した。同時にサーキットの道が再び赤く燃え始める。

 

駿太「情熱サーキットの効果!ライフが減ったからデッキトップを確認…マジックのスクランブル・ブースター。このまま破棄する」

 

捲られたカード、スクランブル・ブースターが白い粒子となり、破棄されトラッシュに送られた。だが魔理沙は攻撃の手を緩めない。

 

魔理沙「ミブロック・ブレイヴァー!いけぇ!フラッシュタイミングでマジック、リブートコードを使う(手札3→2・リザーブ2→0・トラッシュ0→2)!私のスピリットを全て回復させる!」

 

二刀の剣を奮いブレイヴァーが迫る中で、魔理沙はマジックを使い、スピリット達を支援する。リブートコードが発動し、彼女のフィールドに白く優しいエネルギーと電気が迸り、2体のミブロックを再び立ち上がらせる!

 

駿太「甲獣キャノン・ピューマでブロック!ブロック時効果で1枚ドロー(手札10→11)!」

 

キャノン・ピューマが背中の砲塔から3発の砲弾を発射し加速を開始。ブレイヴァーは二刀で砲弾を切り落とし、ピューマに剣を叩き付けるが、華麗にそれを躱わしてブレイヴァーの喉元に食い付こうとした。

しかし、右腕に合体していたジェットパックが射出され、ピューマの脇腹を直撃。態勢を崩した所を十文字に切り裂かれて爆散された。

 

魔理沙「回復したミブロック・ブレイヴァーで再攻撃!いけぇええええええ!!!!!」

 

ブレイヴァーの右腕に装着されたジェットパックによる飛翔から、遥か天空より二刀の剣が襲い掛かる!

 

駿太「フラッシュタイミング!マジック、デルタバリア(リバイバル)を使用(手札11→10・リザーブ7→3・トラッシュ3→7)!!このターンの間、相手のスピリット/マジックの効果とコスト4以上のスピリット/アルティメットのアタックで俺のライフは0にはならない(ライフ2→1・リザーブ3→4)!」

 

駿太の前で3つの光が三角の結界を構成・展開し、バラガンがそのバリアを切り裂こうと二刀で交差切りを放つ。だが、バリアが消えても本来2つ失われる筈の彼のライフは1つ残り、淡い光を放っていた。

 

魔理沙「凌がれたか…ターンエンドだぜ。

 

(だが、私の手札にはブレイヴァーに疲労ブロックの効果を付与する光翼の太刀に、相手スピリット1体からのアタックからライフを守る幻影氷結晶(げんえいひょうけっしょう)。しかもバーストはヴァイキング・レイヴ…まさに鉄壁の守りだ。抉じ開けられるなら、やってみるが良いぜ…!)」

 

駿太「何を勘違いしてるんだ?」

 

魔理沙「へ?」

 

駿太「まだ俺のネクサス、情熱サーキットの効果が残っている!1枚オープン!…壬馬(じんば)トラケナーをノーコスト召喚(リザーブ4→3)!」

 

サーキットの炎を纏い、赤く力強く駆ける小型のユニコーンが駿太のフィールドに現れた。

 

魔理沙 ライフ3 手札2 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

ブレイヴァー+ポーラ レベル3(5)BP19000 疲労

 

バラガン+ポーラ レベル3(3+SC)BP17000

 

駿太「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札10→11)…きた。リフレッシュステップ(リザーブ4→11・トラッシュ7→0)、メインステップ。

 

レディアント・ぺガスのソウルコアをリザーブのコアと交換し、コレオン2体をレベル1で再召喚(手札11→10→9・リザーブ11→10→9)!」

 

駿太のフィールドに再び、2体の小柄の子ライオンのスピリットであるコレオンが現れる。そして駿太はコレオンに秘められた、その力を解放した。

 

駿太「コレオンの効果発揮!メインステップの間、自分が系統:神皇を持つスピリットを召喚する時、そのコストを-1出来る!これで俺は、龍が託してくれたこのスピリット達を呼ぶ!」

 

龍虎「駿太さん!思いっきりやっちゃってください!あと俺は龍虎です!」

 

駿太「次元の境界に眠りし、炎の王よ!今こそ神の力を示せ!召喚!!無幻(むげん)の神皇(しんおう)ゼムリアス!!!レベル2で2体同時召喚だ(手札9→8→7・リザーブ9→6→3)!!!!!」

 

彼の手から投げられた2枚のカードが炎を纏い、そして光を放つ。2つの炎輪が産み出され、その中から同時に現れた、炎の赤い龍が誕生の雄叫びをあげながら、駿太のフィールドに舞い降りたのである。本来、ゼムリアスは最大までコストを軽減しても、2つコストを払わなければならないが、コレオン達の力により、実質ノーコストで呼び出せた事と同意義となっていた。

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(3)7000

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(2+SC)7000

 

駿太「そしてもう1体!燃え上がれ、炎の魂!雄々しく強く!世界に轟け!召喚、異魔神ブレイブ!超・炎魔神(手札7→6・リザーブ3→0・トラッシュ0→3)!!」

 

無限のマークと共に、魔方陣が現れ地面に吸い込まれた刹那、巨大な火炎旋風が発生し、やがてその中から火魔神よりも熱く、大きく、そして駿太のバトルアーマーと同じ姿をした真紅の異魔神、超・炎魔神が顕現。

 

その背中に∞の形の円輪が合体、高らかに叫び炎を吹き飛ばして、その姿をバトルフィールドの中と外に知らしめる。

 

龍虎「レディアントの時に加えた異魔神ブレイブ!」

 

魔理沙「今さら異魔神ブレイブが来ても、私の勝ちは揺るぎはしないぜ!」

 

駿太「いいや、勝つのは俺だ!超・炎魔神の召喚時効果発揮!相手のバーストを1枚破壊する!」

 

魔理沙「なん…だと!?」

 

超・炎魔神が右腕を振り上げると、そこから地面を這う炎が放たれ、魔理沙のバーストカード、ヴァイキング・レイヴを焼き払ってしまった。

 

駿太「いくぞ魔理沙!超・炎魔神を無幻の神皇ゼムリアス2体に合体(ブレイブ)だ!」

 

超・炎魔神の両手が赤く輝きだし、ゼムリアス2体に向けてビームを放つ。その光を受けた2体は赤いオーラを纏いながら、さらに己を赤く燃やす。

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(3)7000+5000=12000

超・炎魔神

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(2+SC)7000+5000=12000

 

駿太「今、俺のフィールドに2体の神皇が超・炎魔神と合体した!超・炎魔神よ!秘めた力、見せてやれ!

ダブルドライブ…解放!!!!!」

 

駿太のバトルアーマーが赤く輝きだし、脚と肩の部分からさらに金色の翼が展開され、超・炎魔神もまた、頭部へ更に装甲が合体し、∞を象る円輪は炎を纏いながら、回転し始めた!

 

駿太「アタックステップ!」

 

魔理沙「ミブロックバラガンの効果!ミブロック・ブレイヴァーを手札に戻す事で(手札2→3・リザーブ0→5(SC))、戻したスピリットと同じコストの相手スピリットを手札に戻す!ブレイヴァーのコストはポーラ・キャリバーを合わせ15、つまりは無幻の神皇ゼムリアス1体と庚天獣レディアント・ぺガス、コレオン2体を手札に返すぜ!」

 

ミブロック・ブレイヴァーが光を纏い、魔理沙の手札に帰る。そしてゼムリアス達も駿太の手札へ…

 

帰らなかった。

 

魔理沙「な、何で…バウンス効果が効いてない?」

 

駿太「壬馬トラケナーの効果で、俺のフィールドの系統:神皇/十冠を持つスピリット全てにバウンス耐性を付与する効果がある。コレオンは対象外だけどな(手札6→8・リザーブ0→2)。

仕切り直して…。いけ!ソウルコアを乗せた、右側のゼムリアスでアタックだ!アタック時効果でゼムリアスにコア1つ追加!」

 

炎の翼はためかせながら、ゼムリアスが魔理沙へと襲い掛かる!

 

駿太「そしてこれが俺達の世界の戦い方だ!ゼムリアスのソウルコアを俺のライフに!封印(ライフ1→2(SC))!」

 

ゼムリアスのソウルコアが赤く輝きながら、粒子へと変換され、駿太のバトルアーマー目掛けて突進してくる。彼はその赤い、熱い力を、バトルアーマーの真ん中に空いた場所に受け入れ、己のライフとした!

 

環奈「ソウルコアを自らのライフに置く…幸村の世界とはまた違う、ソウルコアを使った戦い方でごしゃる!」

 

駿太「ゼムリアスのレベル2からの封印時効果発揮!自身を常時BP+10000!超・炎魔神のアタック時効果で更にBP+5000!合計BP27000のダブルシンボルだ!!」

 

ゼムリアス レベル2(3)17000+5000=22000

超・炎魔神

ゼムリアス レベル2(4)17000+5000+5000=27000 攻撃中

 

魔理沙「BPがたけぇ…!ライフで受ける(ライフ3→1)!」

 

ゼムリアスの炎を纏う右腕が、魔理沙を守る為に展開されたバリアに激突し、火花を散らしながら、破壊された。

 

魔理沙「へへ…確かにダブルシンボルのアタックは強力だけど、一度でも凌げば怖くは無いぜ!勝利は私の物だ!」

 

駿太「勝つのは俺だ!超・炎魔神のダブルドライブ発揮!自身の左右に系統:神皇を持つスピリットが2体と合体している時、そのスピリットがアタックを終えた時、さらにもう一度アタックを可能に出来る!」

 

魔理沙「な、もう一度アタックするだって!?」

 

超・炎魔神のダブルドライブ。それは神皇の攻撃回数をさらに上乗せし、殲滅能力を高める効果。シンプルながら強力な効果は赤属性らしく攻撃的で、相手の計算を狂わせる。

 

駿太「再アタックだ!ゼムリアス!アタック時効果でコア1つ追加!レベル3、BP30000にアップ!」

 

魔理沙「くっ…!ミブロック・バラガンでブロック!フラッシュタイミングで幻影氷結晶をまだアタックしていないゼムリアスに使用(リザーブ5→4・トラッシュ2→3)!そいつのアタックで、私のライフは減らせなくするぜ!」

 

魔理沙もまだ勝負を諦めてはいない。手札から放ったカードが地面に刺さり、もう1体のゼムリアスの周りに白い分厚い氷の壁を造り上げ、身動きを封じ込める。

 

駿太「やるな!でも合体スピリットは倒させて貰うぞ!!」

 

バラガンの赤桃色の光剣とポーラ・キャリバーの二刀流が、ゼムリアスの炎の拳がぶつかり合う。尽きる事の無いゼムリアスのラッシュを捌き続けるバラガンだったが、ゼムリアスのアッパーカットがポーラ・キャリバーの剣を弾き上げる。バラガンはジェットパックで空中への離脱を図るが、ゼムリアスはそれすらも読み切り、先回りして捕まえると、地面へとバラガンを叩き付ける。

そして腹部装甲をも貫く地獄貫きを打ち込み、爆散させた。

 

そして炎の中からゆっくりと立ち上がる姿は、まるで悪魔のような恐ろしい顔立ちで…

 

魔理沙「ひっ…」

 

駿太「レディアント・ぺガス!」

 

馬のカン高い鳴き声と共に、力強く大地を駆け出すレディアント。

 

駿太「これで最後!フラッシュタイミング!マジック、エグゼフレイム(リザーブ2→0・トラッシュ3→5)!!BP15000の相手スピリット/アルティメットを好きなだけ破壊して、ネクサスも全て破壊だ!」

 

駿太が放った最後のマジックは、レディアント・ぺガスにあるスピリットの面影を重ねながら、蒼く美しい炎を纏い、掛けて行く。その炎は2体のポーラ・キャリバーを包み、爆散。

 

今、魔理沙の手札にはレディアント・ぺガスのアタックを凌ぐマジックも、自分を守ってくれるスピリットもいない。

 

魔理沙「ここまで…か。駿太、見事だったぜ!さぁこい!」

 

駿太「魔理沙とのバトル、すごく楽しかった!またやろう!!」

 

レディアント・ぺガスの2角の激突が、彼女の最後のライフを破壊。魔理沙をバトルフィールドの外へと押し出した…。

 

駿太「よっしゃあ!ビビッとビクトリー!」

 

駿太の掛け声にレディアント、トラケナー、そしてゼムリアス2体が吠える。

 

* * *

 

駿太「魔理沙!大丈夫か!?」

 

魔理沙「おうよ、これくらい修行時代に何度も負けまくった時に慣れたからな!しっかしダブルドライブかぁ…してやられたぜ」

 

バトルを通じて、お互いの健闘を称える二人。その姿を見て、龍虎はそれを嬉しく感じる。

 

弾「次は俺の番だな…駿太があれだけ熱いバトルを観ていたら、やりたくなってきた」

 

妖夢「おや奇遇ですね。私もバトルしたいと思っていたところです」

 

弾「…じゃあ、やろうか。妖夢」

 

妖夢「ええ、勝負です。馬神 弾」

 

駿太と魔理沙のバトルが終わり、次は弾と妖夢のバトルが勃発する!

 

その熱く激しい戦いは、次回を待て!




第3話オワター…!滅茶苦茶疲れたでござる…

今回のバトル。実は最初からレディアント・ぺガスでトドメを指すという自分の中では1つのキツイ縛りを設けて書いていました。

まぁ理由は簡単。アニメでウェッジテイルより扱いが酷いレディアント君に、輝いて欲しかったから。

まぁ今後もレディアント君には活躍できるようにしてあげたいなと思います。

さて次回予告!

第2戦は弾vs妖夢!世界を2度救った男は、新たなデッキと共に妖夢へと挑む!果たして戦いの結末や如何に!?

次回、東方激闘魂 第4話 弾vs妖夢!新生のブレイブデッキ降臨!


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東方激闘魂 第4話 弾vs妖夢!新生のブレイブデッキ降臨!

第4話です!今回個人的にやりたかった弾さんのバトル。

家の妖夢ちゃんも実際強いのですが、はてさてどうなるのやら…

今回もミスや指摘も頂ければ助かります。

*第1ターンで弾さんが召喚したカゲロウ・シーカーのアルティメットカードを手札に加えられる枚数が間違っています。正しくは「1枚」です。

バトルそのものに大きな影響は無いので、弾さんの手札枚数を修正します。


前回のあらすじ!

 

幻想郷に強制連行された龍虎はそこで、世界を救った歴然の英雄達と出会う。そして紫によってバトスピが消滅する未来を防ぐべく共に戦うこととなった!

 

龍虎のもたらしたカードでデッキを再構築した、一向に紫は幻想郷の実力者達をぶつけて対抗戦を仕掛ける。

 

初戦の魔理沙vs駿太は、ミブロックとバーストを巧みに使い、戦場を翻弄する魔理沙を駿太のダブルドライブが見事打ち破り決着!

 

 

次は弾vs妖夢のバトルが始まろうとしていた!

 

* * *

 

妖夢「それが貴方のバトルアーマーですか?随分使い込んでるみたいですね」

 

弾「ああ。未来の世界でコイツと一緒に戦ってきたからな」

 

彼はそのアーマーに触れ、自分の掌の感触、バトルフィールドの匂いを、静かに味わう。

 

妖夢「…始めましょう」

 

弾&妖夢「ゲートオープン、界解!!」

 

龍虎達が固唾を呑んで見守る中、第二戦 弾vs妖夢の戦いが幕を開けた。

 

弾「スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。ソウルコアを使い、獄風(ごくふう)の探索者カゲロウ・シーカーを召喚(手札5→4・リザーブ4→0・トラッシュ0→3)」

 

緑の風が吹きずさび、金の甲殻を持つ二足歩行のカゲロウが現れた。その視線は遠く別の空を見上げているかのようで…。

 

龍虎「弾さん、早速アルティメットを召喚ですか。ブレイブまでしか無かったのに、もう対応してる…」

 

ツルギ「なぁ、さっきから言ってるアルティメットって何なんだ?見たところ金ぴかな奴等にしか見えないんだが…」

 

レイ「アルティメットってのは、スピリットとは違って一部を除いて、相手のスピリット/ブレイブ/ネクサス/マジックを受けない、超強力なカード達さ。だが、アルティメットには強力な分、召喚条件が厳しいカードもある。俺もアルティメットは使ってはいるが、カードの枚数には細心の注意を払ってるぜ」

 

ツルギ「そうなのか…俺も手に入れたいな、アルティメット」

 

アルティメット。それはスピリットを超越した、否。スピリットの柵(しがらみ)を越えてしまった者達の名。体を輝かせる金は、極限と最終不動の境地の証。

 

弾「カゲロウ・シーカーはソウルコアをコストにして召喚した時、デッキの上から3枚カードを見て、その中のアルティメットカード全てを手札に加える事が出来る」

 

オープンされたカードは、アルティメット・アポロドラゴン、ソウルホース、大龍城・本丸の3枚。

 

弾「アルティメット・アポロドラゴンを手札に加えて、残りは破棄。さらにバーストセット、ターンエンド(手札4→5→4)」

 

弾 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3(SC) バースト有

 

獄風の探索者カゲロウ・シーカー レベル3(1)5000

 

妖夢「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。ソウルホース、ボーン・バードを召喚(手札5→4→3・リザーブ5→3→0)」

 

妖夢のフィールドに赤い炎纏う紫の冥馬と肉を失い骨のみで形成された小鳥が現れる。

 

妖夢「ボーンバードの召喚時効果、デッキを上から3枚破棄して1枚ドローします。さらにバーストセット(手札3→4→3)。」

 

妖夢のデッキから、骨劾児(こつがいじ)、鬼神バサラ、妖術師(ようじゅつし)ムメイの3枚がトラッシュへと静かに落ちて行く。自らトラッシュにカードを送る戦法は、紫の十八番ともいえる。さらにバーストもセットし、妖夢は序盤から万全な態勢を整えてきた。

 

妖夢「さて…一手打ってみますか。ボーンバードでアタック」

 

弾「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ0→1)」

 

ボーンバードの啄木鳥のような連打が、弾を守るライフの結界を粉々に打ち砕く。弾に襲い掛かるは、ライフを砕かれたことによる強烈な痛み。だが…

 

弾「ふっ…」

 

笑っていた。ライフを守るバリアが有るとはいえ、ダメージが完全にシャットアウト出来るわけではなく、ライフを失えば、相応の痛みが全身を走る。にも関わらず、彼は嬉々として不敵に、不気味に笑ったのだ。

 

妖夢「…貴方もですか。霊夢さんもそうですが、このバトルフィールドの痛み。受ければ只では済まないのですけれど?」

 

弾「これくらいじゃなきゃ面白くない。ライフ減少でバースト発動!妖華吸血爪、効果で2枚ドローする(手札4→6)。…さぁ、どんどん打ってこい」

 

妖夢「嫌な感じですね…ソウルホースでアタックします」

 

弾「ライフで受ける(ライフ4→3・リザーブ1→2)」

 

ガシャンガシャンと不気味な音を立てながら、頭突きをソウルホースは弾に対してぶつける。ライフがまた1つ砕け、弾には今如何程の衝撃とダメージが体を襲ったのだろう。しかし当の本人はまるでピンピンして、不気味な笑みで妖夢を見つめていた。

 

妖夢「(やりづらい…)ターンエンドです」

 

妖夢 ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ソウルホース レベル1(SC)1000 疲労

 

ボーンバード レベル1(1)1000 疲労

 

弾「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

カゲロウ・シーカーをレベル4にアップ(リザーブ6→4)。カゲロウ・シーカーの効果で、自分の究極シンボル全てを赤/緑として扱う。さらにブレイドラ、デブリ・ザードを召喚(手札7→6→5・リザーブ4→3→2)」

 

ルビーの結晶を砕き現れた、小さなオレンジの毛並みのドラゴン、ブレイドラ。衛星機械を背中に乗せた青蜥蜴、デブリ・ザード。

 

弾「デブリ・ザードのスピリットソウル・赤を発揮。自分がアルティメットを召喚するとき、赤のシンボルを1つ追加する」

 

デブリ・ザードの頭上で赤のシンボルが産まれ、輝き、アルティメット召喚を支援する。

 

弾「初陣だ…!太陽よ、究極の炎を纏いて世界を照らせ!アルティメット・アポロドラゴン、レベル4で召喚!

 

不足コストはカゲロウ・シーカーとブレイドラから確保(手札5→4・リザーブ2→0・トラッシュ0→3)!よって消滅させる」

 

弾の後ろから金色の炎を纏い、一歩一歩とバトルフィールドにその姿を現した赤の龍。その勇猛な姿はまさに極限へと到達した存在といっても過言ではない。

 

ツルギ「3ターン目で、大型アルティメットが出てきた!だけどスピリットが…」

 

そう。強力な一手を投じた代償は大きく、カゲロウ・シーカーとブレイドラの2体を失ってしまった弾。だが、彼はその代償を恐れない。

 

弾「アルティメット・アポロドラゴン!お前の力、俺に見せてみろ!アタックだ!W(ダブル)U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

弾の意志に応えるように、アポロドラゴンの咆哮が、妖夢のデッキトップから2枚のカードを捲り、トラッシュへと落とす。アルティメットが効果を発揮するための力、それがU(アルティメット)トリガー。

通常は1枚だけだが、アルティメット・アポロドラゴンのような一部のアルティメットには、それを上回るW(ダブル)U(アルティメット)トリガーが備わっている。

 

弾「落ちたカードのコストを聞こう」

 

妖夢「…妖華吸血爪とダークマター。コストは5と3ですね」

 

弾「ダブルヒット。アポロドラゴンの効果でヒット1回につき、BP9000以下の相手のスピリット1体を破壊し、ダブルヒットしたので、相手のライフを1個、リザーブに置く!」

 

妖夢「赤の焼き効果とライフ貫通ですか…!」

 

アルティメット・アポロドラゴンが全身で思い切り息を吸い込み、眼を見開くや、その口から金を帯びた炎が放たれる。薙ぎ払うように火焔放射は撃たれ、ソウルホースとボーンバードを焼き払い、さらには妖夢のライフを1つ焼き尽くし、破壊した。(ライフ5→4・リザーブ2→3)

 

妖夢「くうう…!ですが、只ではやられない!ライフ減少で妖華吸血爪発動!デッキから2枚ドロー(手札3→5)!アポロのメインアタックはライフで受けます(ライフ4→3・リザーブ1→2)!」

 

黄金の炎を纏い、燃やしながら、アポロの拳が妖夢のライフをまた1つ叩き割る。その衝撃は凄まじくバトルフィールドの外で見学している龍虎達の態勢を、大きく崩すほど。至近距離、しかもバリアがなければ、間違いなく体は炎に焼かれ、火傷と打撲傷では済まされない。

 

妖夢「これがアルティメットの一撃…身に滲みますね。ですが、まだライフは有ります」

 

弾「…そうだな。俺はこれでターンエンド」

 

弾 ライフ3 手札4 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

アルティメット・アポロドラゴン レベル4(2+SC)14000 疲労

 

デブリ・ザード レベル1(1)1000

 

妖夢「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ピジョンヘディレスを2体召喚(手札6→5→4・リザーブ6→5→4)!そしてネクサス、旅団の摩天楼を配置する(手札4→3・リザーブ4→3・トラッシュ0→1)!」

 

不気味な灰色の鳩が2羽現れ、互いの羽をつつき合い、コミュニケーションを取る。その後ろで森林が広がり、紫の霧と夜闇の中に建ち上がる、古びた巨大な屋敷。

 

妖夢「摩天楼の配置時効果で、デッキから1枚ドローします(手札3→4)。バーストセット(手札4→3)、…そうですね。ではターンエンドまで」

 

妖夢 ライフ3 手札3 リザーブ3 トラッシュ1 バースト有

 

ピジョンヘディレス レベル1(1)1000 ×2体

 

旅団の摩天楼 レベル1(0)

 

弾「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ブレイドラを新たに召喚(手札5→4・リザーブ4→3)。マジック、ブレイブドローを使用。デッキから2枚ドローし、上から3枚オープンする(手札4→3→5・リザーブ4→1)」

 

弾のデッキから3枚のカードが表向きになり、カードは妖夢から見て左側から順に、龍魔神、リミテッド・バリア、ネオ・ダブルドローとなっている。

 

弾「ブレイブ、龍魔神を手札に加え、ネオ・ダブルドローを上にしてデッキに戻す(手札5→6)。さらにアルティメット・アポロドラゴンにコア1つを追加。ターンエンドだ」

 

弾 ライフ3 手札6 リザーブ1 トラッシュ3 バースト有

 

アルティメット・アポロドラゴン レベル4(3+SC)14000

 

ブレイドラ レベル1(1)1000

 

デブリ・ザード レベル1(1)1000

 

龍虎「あれ?アタックしない…てっきりアポロでアタックするのかと思ったけど…」

 

幸村「妖夢のトラッシュにカードを落とすのを避けたんだと思う。紫はトラッシュにカードを溜めるのは得意だし、何よりアポロにコアを1つ置いたのが証拠でもある」

 

バシン「コアを除去される可能性が有るから…って感じか?アルティメットなのに」

 

霊夢「アルティメットだからよ。確かに強力な存在では有るけど、アルティメットも万能ってわけじゃない。妖夢は結構大胆だからねぇ…。一縷の隙を見せたら確実に首を取りにくるし、油断出来ないわ」

 

マグナ「お前のほうが、侍のねぇちゃんより10倍こええよ」

 

霊夢「何か言った?」

 

マグナ「なんでも」

 

妖夢「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ4→5・トラッシュ1→0)、メインステップ。

 

もう1枚、ネクサス、旅団の摩天楼を配置し効果で1枚ドロー(手札4→3→4・リザーブ5→4・トラッシュ0→1)。…ふむ、では1つ大きく出ましょうか。アクセル発揮!」

 

弾「…くるか!」

 

アクセル。それはスピリットで在りながら、マジックと同じように様々な能力を搭載したカード。手札から使用し、その後は手元へと置かれるだけでなく、召喚にも繋げる事が可能な、バトスピに革新をもたらした存在でもある。

 

妖夢「戦鬼(せんき)ムルシエラのアクセル効果、相手のコア3個以下のスピリット/アルティメット全て破壊します(手札4→3・リザーブ4→1・トラッシュ1→4)!」

 

妖夢の手札より開かれたカードから、紫の霊体が現れ、握るその剣から無数の斬撃が飛び散る。アルティメット・アポロドラゴンはその斬撃に対し、自らを炎で包むことでこれを凌いだが、デブリ・ザードとブレイドラは斬撃を前に逃げられず、無惨にも小間切れ、爆散されてしまった。

 

弾「やるな。アポロにコアを置いてなかったら、此方が全滅していた」

 

妖夢「使える時に使う。機を逃しては何もなりません。アクセル発揮後、ムルシエラは手元に置きます。ターンエンド」

 

妖夢 ライフ3 手札3 リザーブ1 トラッシュ4 バースト有

 

手元(戦鬼ムルシエラ 1枚)

 

ピジョンヘディレス レベル1(1)1000 ×2体

 

旅団の摩天楼 レベル1(0) ×2枚

 

弾「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ブレイドラ、アルティメット・ブレイドラを召喚(手札7→6→5・リザーブ5→4→3)。アルティメット・ブレイドラの効果で究極シンボル全てを赤にする」

 

アルティメット・ブレイドラの力を受けたアポロドラゴンとアルティメット・ブレイドラの究極シンボルが赤シンボルに変化する。

 

弾「極限の雷よ!天地を引き裂き現れよ!アルティメット・ジークヴルム、召喚!維持コストはアルティメット・アポロドラゴンのコア1つを使う(手札5→4・リザーブ3→0・トラッシュ0→3)!」

 

空から迸り、光る稲妻と共に金色の鎧纏う、赤い龍が咆哮を上げて弾の前に降り立った。

 

ジークヴルム…それは弾が真の激突王となる前から使っていた、彼の最初のキースピリット。

アポロドラゴン…それは弾がブレイブ使いとして歩む時、最初に選んだキースピリット。

 

その2体はアルティメットという極限の姿に到達し、今まさに、弾の目の前で並びたったのである。

 

龍虎「爽快だ…2体がこうして並び立つのを見る時がくるなんて…」

 

弾「アルティメット・アポロドラゴンをレベル3にダウンし、アタックステップ!アルティメット・ジークヴルムの効果で、系統:星竜を持つ俺のスピリット/アルティメット全てに真・激突が与えられている。ピジョンヘディレスに激突せよ!」

 

天走る稲妻がジークヴルムに落ち、緑の眼を見開きピジョンヘディデスに狙いを定めて突進する。ピジョンヘディデスも灰色の翼羽ばたかせ、体毛を飛ばして翻弄するが、ジークヴルムの前では焼け石に水同然のように、轢かれて爆散してしまう。

 

弾「アルティメット・アポロドラゴンでアタック!アポロドラゴンもジークヴルムの効果を受け、真・激突を得ている!ピジョンヘディレスを狙い打て!」

 

低空で翔るアポロに、ジークヴルムの雷が纏われ、ピジョンヘディレスを見定めるや、その口から金色の雷と炎を放射し、塵一つ残さず焼き払ってしまった。

 

妖夢「ピジョンヘディレス…!」

 

バシン「よし、今の妖夢にブロッカーは居ない!いけー弾ー!」

 

弾「…ターンエンド」

 

「あれぇ!?」と盛大にずっこけた龍虎とバシン。本来相手のフィールドにブロッカーは居ない今、絶好の攻撃機会だった。…だが弾は、追撃することなく妖夢にターンを返したのだ。

 

弾 ライフ3 手札4 リザーブ2 トラッシュ3 バースト有

 

アルティメット・アポロドラゴン レベル3(SC)10000 疲労

 

アルティメット・ジークヴルム レベル3(1)10000 疲労

 

アルティメット・ブレイドラ レベル3(1)3000

 

ブレイドラ レベル1(1)1000

 

妖夢「…何故、攻めてこなかったのですか?今ならば私をライフ1まで追い込むのに絶好のチャンスでした…。答えてください、馬神 弾」

 

弾「妖夢、お前はまだ本気じゃない。見せてみろ、今のお前の全力を…!持てる力の全てを…!」

 

鋭利な視線が妖夢に刺さる。弾は心の底から求めているのだ、本気の妖夢を。彼女の持つ本来の力を。

 

妖夢「…ならば、見せましょう。本気の私を。スタートステップ!コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ!」

 

妖夢が眼を閉じる。暗闇の中、彼女は無音の世界に一人立っていた。

 

妖夢「ドロー…それは一瞬の煌めき。それは居合と同じ。私は求める!この逆境をも切り開く、最高の一手を!

 

はああああああ…!!刹那!斬・影・剣!!」

 

腰の二刀で闇夜を切る。切って、切って、切り裂きて。彼女の前に、1枚のカードが舞い落ちる。

 

そのカードの名は、剣豪龍サムライ・ドラゴン・天(アマツ)。

 

妖夢「掴まえた…最高の切札(手札3→4)!リフレッシュステップ(リザーブ4→8・トラッシュ4→0)!メインステップ!

 

まずはドラマルを2体召喚(手札4→3→2・リザーブ8→7→6)!」

 

妖夢のフィールドに足軽装束を纏うブレイドラ…否、ドラマルが2体現れる。

 

妖夢「そしてこい!荒ぶる力よ、生と死を超越し!その答えを今ここに!召喚!異魔神ブレイブ、武龍魔神(手札2→1・リザーブ6→5・トラッシュ0→1)!」

 

次元の穴が開かれ、其処から現れる赤の剣を左に、紫の剣を右に持つ赤い異魔神、武龍魔神。

その目は強く、熱く、激しい炎で燃えている。

 

弾「異魔神ブレイブか…」

 

妖夢「それだけではありませんよ?ドラマルの効果で、私が手札の「ソウルドラゴン」か「サムライ・ドラゴン」を召喚する場合、自身に赤のシンボル1つを追加出来る!」

 

ドラマル達が自身の翼を合わせると、それは「天」の文字となり、赤のシンボルが2つとなり、光輝く。

 

「こい!一騎当千の剣豪!逆鱗が如し二刀の刃で、全ての切り裂き、炎に変えろ!これが私のキースピリット!

 

剣豪龍(けんごうりゅう)サムライ・ドラゴン・天(アマツ)!召喚(手札1→0・リザーブ5→1・トラッシュ1→4)!!」

 

赤い炎の龍が天を舞い、妖夢の目の前の地面を砕く。吹き上がる炎の中、どっしりとした身体つきを持つ1体の龍が眼を開き、背中に重ねた二刀の刀を次々に抜刀、炎を咆哮と共に振り払い、現れる。このスピリットこそ、彼女のキースピリット、剣豪龍サムライ・ドラゴン・天。

 

弾「それが妖夢のキースピリットか…こい!」

 

妖夢「武龍魔神!サムライ・ドラゴン・天の左側に合体(ブレイブ)!」

 

武龍魔神の左手に握られる赤の剣が、光の線をアマツへと繋げ、その熱い魂に更なる熱を授ける。

アマツ+武龍魔神 レベル1(SC)5000+4000=9000

 

妖夢「サムライ・ドラゴン・天には今、ソウルコアが置かれている。これによってアマツは奥義、無限刃を発揮出来るようになった!」

 

アマツの橙色の髪が赤く燃えながら変化し、それは自身の名前と同じ「天」の文字を形成する!そして妖夢は、無限刃の恐るべき力を発動した!

 

妖夢「アタックステップ!サムライ・ドラゴン・天で、アルティメット・アポロドラゴンを指定アタック!」

 

ハジメ「アルティメットに指定アタックだって!?BPはアポロの方が高いぞ!」

 

妖夢「武龍魔神の左側合体アタック時効果発揮!このターンの間、系統:武龍を持つ自分のスピリット1体にBP+5000し、そのスピリットのコストが10以上ならば、赤のシンボル1つを追加出来る!」

 

アマツ+武龍魔神 レベル1(SC)9000+5000=14000

 

武龍魔神の赤の剣から放たれるオーラが、アマツの二刀の刃を更に赤く燃え上がらせる。アルティメット・アポロドラゴンは接近するアマツを火焔放射で迎撃するが、アマツはすかさず刃を交差し、炎を真っ正面から切り開き、アポロドラゴンの前を跳躍、滞空時間中に八回の斬撃を叩き込み、斬殺する!

 

ハジメ「アルティメット・アポロドラゴンが破壊されちまった…でも1回アタックしたから、もうアマツはアタック出来ないよな!」

 

龍虎「いや…アマツの攻撃はこれだけじゃない。しかも…不味いことになった…!」

 

妖夢「龍虎さんは察しが良いみたいですね。それから幸村さんも」

 

幸村「…俺もアマツを使っている。だから分かる。アマツは…無限刃を用いたアタックでは」

 

 

疲労しない

 

 

ハジメ・ツルギ・レイ「「「「!?」」」」

 

本来、スピリットやアルティメットはアタックすると、疲労状態となり、自分のリフレッシュステップやカード効果でなければ回復出来なくなる。だがアマツは違う。

 

ソウルコアを。バトラーの魂を託す事で、彼は相手のスピリット/アルティメット全てを撃滅し尽くす、唯一無双の奥義、無限刃を発揮出来るのだ。

 

龍虎「アマツの無限刃は確かに強力だが、反面疲労マジックには弱く、BPもレベル3を除けば心許ないのも事実。でも、あの武龍魔神がいる限り、アマツはBPの低さを補い、アタックすればするだけ、赤シンボルが増えていく…!」

 

ツルギ「って事は…」

 

妖夢「こうゆう事です!アマツの無限刃でアルティメット・ジークヴルムを指定アタック!武龍魔神の効果でBP+5000と赤シンボル1つ追加!」

 

ジークヴルムの放つ雷を二刀で切り抜け、迫り、間合いで上段・中段・下段に峰を打ち込み、ジークヴルムの体勢を崩す。必死でこらえた矢先にジークヴルムは金の雷撃をアマツにぶつけるが、左の刀で右肩から切り裂かれ、刹那に左脇腹を切り裂く二撃目に成す術なく破壊される。

 

弾「ジーク…!」

 

妖夢「次はアルティメット・ブレイドラ!BP+5000、シンボル追加!」

 

アルティメット・ブレイドラの炎纏う体当たりに、アマツの刀が冴え光り、居合の切り抜け様、横真っ二つに割り切り、爆散。

 

妖夢「ブレイドラに指定アタック!BP+5000とシンボル追加!切り裂けアマツ!!」

 

右手の刀をブレイドラ目掛けて投擲する。武龍魔神によって上乗せされた力により投げられた刀は、彗星の如く、ブレイドラへと刺さり破壊。

 

弾のフィールドにいた、4体のスピリットとアルティメットは妖夢の繰り出した、起死回生とも呼べる切札(アマツ)によって一瞬で壊滅されたのである。

 

龍虎「無限刃…いつ見ても凄まじい能力だ…」

 

幸村「しかも武龍魔神の効果でアマツのシンボルは合計6つ!このままじゃ、弾の残りライフは全部破壊される!」

 

妖夢「覚悟は出来ましたか?最後のアタックで貴方のライフを全て貰います。痛みは与えません、一瞬ですから」

 

ブレイドラを破壊する為に投擲した刀を拾い、アマツが弾に歩み寄る。炎の中、照らす姿は処刑人のそれに等しい姿。

 

弾「俺の仕事は勝つ事だ。このバトルにも勝つ、この先も必ずな」

 

弾の言葉に、妖夢の手が一瞬止まる。諦めていない、この状況であろうとも。彼の目は死んでいない。

 

妖夢「ならば、これを凌いでみてください!アマツのアタック!武龍魔神の効果でBP+5000とシンボル追加でセブンシンボルアタック!これで終わりです!」

 

アマツの炎の刃が迫る!弾はこのまま負けてしまうのか!?

 

弾「フラッシュタイミング!マッハジーを神速召喚(手札4→3・リザーブ6→4・トラッシュ3→4)!ブロックせよ!」

 

妖夢「な…!?」

 

緑の閃光がアマツの横を通り、赤の残光が怪しく走る。それは緑のカブトムシ型のスピリットであるマッハジーの、あまりにも速すぎる到来を意味していた。

 

龍虎「弾さんが緑のスピリットを!それも神速を使った!」

 

レイ「土壇場でなんちゅう博打を打ってきやがる…!」

 

皆の感心を他所に、疾風の速度でアマツの剣撃をするすると抜けるマッハジー、それを目で追うアマツはやがて、その行為を止めて、脱力を行いながら、聴覚を研ぎ澄まして、刀を振るう。

 

マッハジーの視界が縦に擦れて、爆散。破壊されたのである。まさに達人が如し。

 

妖夢「防がれた…!」

 

弾「まだだ!自分のスピリットの消滅/破壊によりバースト発動!No.5オータムライスフィールド!ネクサス、旅団の摩天楼1枚を破壊してデッキから1枚ドローする(手札3→4)!」

 

バースト発動と同時に妖夢の摩天楼が崩れ落ち、弾のフィールド一面に広がるは、金色の稲穂実る秋の田んぼと、鳥避けのなまはげ達。夕焼けに照らされる姿は、自然の中に溶けた一つの風景。

 

妖夢「…ふぅ。見事です、馬神 弾」

 

妖夢 手札0 ライフ3 リザーブ0 トラッシュ4 バースト有

 

アマツ+武龍魔神 レベル1(SC)9000 疲労

 

ドラマル レベル1(1)1000 ×2体

 

旅団の摩天楼 レベル1(0)

 

弾「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ5→9・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

妖夢、お前が全力で俺を倒しにきた。俺もこのデッキで今出せる全力を持って、お前を倒す!マジック、ビッグバンエナジーを使用(手札5→4・リザーブ9→7・トラッシュ0→2)!」

 

弾が放ったカード、それは手札にある系統:星竜を持つ自分のスピリット全てのコストを、自分のライフと同じ数に変更するマジック。それは、弾が地球の命運を掛けて挑んだ戦いで、彼を勝利へと繋げた盟友との友情の1枚。

 

弾「七つの傷、深紅の怒り宿す星よ!顕現せよ、北斗七星龍ジーク・アポロドラゴン(手札5→4・リザーブ7→6・トラッシュ2→3)!」

 

夕闇満ちる空に星が繋がり、北斗七星を描く。その一つが赤々に燃え、胸に北斗七星の紋章刻む四腕に四つの剣持つ龍が降臨する。

 

弾「アポロの召喚時効果で手札からブレイブをノーコスト召喚!出でよ、次元に産まれし黒龍!二つの力を束ねろ!龍魔神、こい(手札4→3)!」

 

黒い穴が開かれ、紫の刺と鋭い爪に牙を持つ異魔神、龍魔神がのっそりと顕れる。その禍々しい姿は、力なき者に絶望も希望も与えるような強く、そして異様な威圧感を孕む。

 

弾「アポロの効果で1枚ドロー(手札3→4)、続けて太陽神龍ライジング・アポロドラゴンをノーコストで召喚する(手札4→3・リザーブ6→5)!」

 

オータムライスフィールドに浮かぶ太陽から、赤の炎を巻き起こし、プロミネンスに抱かれ産まれた金の翼と赤の巨体を持つ、巨大なドラゴンが稲穂を大きく揺らし、地響きと共に弾の前に降り立つ。

 

妖夢「太陽神龍…!」

 

弾「まだだ!俺は北斗七星龍のコアをボイドに送り、転召する!」

 

一同「転召!?」

 

転召…それは特定のスピリットを元にして、さらなるスピリットを召喚する方法である。弾が転召を行い、召喚したスピリットは1体しかいない!

 

弾「北斗の星よ!秘めた力を解き放ち、龍の起源を覚醒させろ!超新星龍ジークヴルム・ノヴァ!!レベル3で降臨(手札3→2・リザーブ6→1)!」

 

ジーク・アポロドラゴンが七色の光に包まれながら、粒子に変わり消えて、赤く燃える星が産まれる。空から一粒また一粒と、流星がアポロが消えた場所へ降り、収束。ルビーの結晶を形成し、それが弾けた時、赤く巨大な翼を交差させ、眠りについた龍が純白の鎧纏い覚醒。背中に白の翼が顕現し、神々しく雄々しき姿をバトルフィールドに照らし出す。

 

龍虎「超新星龍…ジークヴルム、ノヴァ…!!」

 

馬神 弾を象徴するスピリットの1体。超新星龍ジークヴルム・ノヴァ。間近でその召喚を見た龍虎は、瞳に涙を浮かべ、感動に浸る。

 

弾「龍魔神!ライジングを左側に、ノヴァを右側に合体(ブレイブ)だ!」

 

龍魔神の両手が光り、ライジングとノヴァに己の力を注ぎ込む。ライジングの翼は金に紫を溶かした色に変化し、ノヴァの鎧も紫を纏い、アメジストの刺が身体の各部に顕れる。

 

ライジング+龍魔神 レベル1(1)10000

ノヴァ+龍魔神 レベル3(4+SC)19000

 

弾「アタックステップ!太陽神龍ライジング・アポロドラゴンで合体(ブレイブ)アタック!龍魔神の左側合体アタック時効果で、ドラマルを疲労させ、デッキから1枚ドロー(手札2→3)!そして回復状態のドラマルに指定アタック!」

 

ライジングが翼の先端から紫の炎の翼を展開・飛翔に併せて、龍魔神の左手から紫の光弾が打ち出され、ドラマルを直撃、強大な重力でひれ伏させ、ライジングの狙いを絞る。もう1体のドラマルは槍を構え突進するも、ライジングの圧倒的BP差の前に成す術なく吹っ飛ばされ、壁に叩き付けられて破壊されてしまう。

 

弾「超新星龍ジークヴルム・ノヴァで合体(ブレイブ)アタック!ライジングの効果でアマツに指定アタックし、龍魔神の右側合体アタック時効果で、疲労状態のドラマルを破壊して、コア1つをノヴァに追加!」

 

赤と紫の炎を全身に纏い、ノヴァはアマツへ突撃する。龍魔神は右手から紫の光弾を再び放ち、疲労したドラマルを次元の彼方に消し飛ばし、コアをノヴァへと与えた。

 

ノヴァの突撃に、アマツは二刀の刀で応戦。空を舞い、幾度となく巨体をぶつけるノヴァを、アマツは真っ向から受け止め、弾き続けてゆく。両者の力がぶつかり合い、バトルフィールドは炎と雷が迸る!

 

妖夢「血迷いましたか!?私のスピリットを倒しても、ライフは3つ残るんですよ!」

 

弾「ライフも、アマツも!ノヴァの一撃で焼き払う!!フラッシュタイミング!マジック、メテオストームを使用!コストはリザーブとノヴァに追加された1個を使う(手札3→2・リザーブ1→0・トラッシュ3→5)!」

 

バトルフィールドの上空に暗雲が立ち込め、それを突き破るように降り注ぐ、無数の流星。その中を飛び、さらに赤く命の炎を燃やしながら、アマツに突貫。二刀を重ね、受け止めるアマツを刀ごと砕き割り、その胸部に風穴を開けて、内側からその身を焼き尽くす。

 

妖夢「アマツ…!」

 

弾「メテオストームの効果!ヴルムと名の付くスピリットがBPを比べて相手のスピリットを破壊した時、シンボルの数だけ、相手のライフを破壊する!今、ノヴァのシンボルは合計3つ!これで終わりだ!」

 

アマツを突き破り、妖夢の前で七色の炎を収束し、何時でも放てる準備が出来たノヴァ。妖夢の3つのライフがバリアとして展開される。

 

妖夢(…強いな。私の力などまるで及んでいない…この人は、別の次元に居るんだ…)

 

弾「…妖夢」

 

妖夢「…?」

 

ありがとうございました、いいバトルでした。

 

不意に飛んできた感謝の言葉。妖夢は一瞬戸惑うが、静かに微笑み「…どういたしまして」と、言葉を返す。

 

ノヴァの聖なる炎が妖夢のバリアを焼き付くし、彼女をバトルフィールドから現実の世界へと送り返した…

 

* * *

 

龍虎「弾さん…やっぱり凄いや…、よし!俺も負けてられない!」

 

チルノ「ふっふん!さいきょーのあたいに勝てるかな!」

 

妖夢と弾、お互いの力を出し尽くした戦いの果て、勝利の女神は弾に微笑んだ。次は龍虎とチルノの戦い。一体どんな戦いが待っているのだろうか?




第4話、いかがでしたでしょうか?弾さんのバトル!個人的にはやり遂げた達成感が大きかった…。

最終ターンのエナジーノヴァコンボは上手くやれたと思います。妖夢ちゃんも強かったけど、コアが足りてればムルシエラに繋げられたのだが…、うーむ…やはり難しい。

という訳で次回予告!

第3戦は龍虎vsチルノ!チルノの圧倒的デッキ破壊を前に、龍虎は如何に立ち向かうのか!?

次回、バトルスピリッツ激闘魂 第5話 迫るデッキアウト!魂揺さぶる紅蓮の芸者!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第5話 迫るデッキアウト!魂揺さぶる紅蓮の芸者!

第5話です! 今回のバトルはこの小説の主人公である虹色 龍虎君です!

龍虎「なんだよ主、俺に話って?」

龍虎君って今までデッキアウトで何回負けたことある?

龍虎「…あのさぁ、地味にトラウマ抉るの止めて欲しいんだが」

まぁそうゆうわけで、龍虎君結局デッキ破壊に良い思い出がないみたい。

龍虎「俺も青デッキは使うが、好き好んでデッキ破壊はしには行かない。やるほうも…な」

という訳で、今回も誤字・脱字やアドバイス、完走等々よろしくお願いいたします!

*このバトルで遂にオリカが出ます!


前回のあらすじ!第二戦は弾vs妖夢。赤と紫の混色デッキを使い、弾と戦う妖夢。弾は龍虎のカードで強化された新生のブレイブデッキで、妖夢相手に奮闘。

 

自身のかつての切札、超新星龍ジークヴルム・ノヴァと太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、そして龍魔神の猛撃が妖夢を下し、決着した!

 

* * *

 

龍虎「虹色頭じゃねぇ!俺の名前は虹色 龍虎だ!」

 

チルノ「五月蝿い虹色頭!もーおこった!ギッタンギッタンのぼっこぼこにしてやる!」

 

バトル開始前から喧嘩を始めた二人、原因は龍虎の頭のあまりに奇妙な髪の色による衝突からだった。

 

龍虎「じょーとうだ!叩きのめして返り討ちにしてやんよ!!マグナ!!!」

 

マグナ「シャア!やってやるぜ!」

 

龍虎「お前を倒し、焼き尽くすこのデッキは!オレドラだ!」

 

赤のデッキケースを掲げると、カードに戻ったマグナがデッキへと入る。

 

二人「ゲートオープン!界解!!」

 

戦い始めの合言葉と共に、バトルフィールドが展開。チルノは青の騎士鎧を全身に纏い、背中に生える6枚の翼が統合され、ナビアプリの現在地を指す矢印の形に変化。龍虎も全身を龍を象った装甲を纏い、虹色の髪は灼熱の深紅に染まる髪へ変化を遂げた。

 

龍虎「きたぜ!きたぜ!真っ赤にたぎるバトルフィールドに!紅蓮 龍虎がやってきたぜ!」

 

チルノ「性格が変わった!?」

 

レイ「俺と同じか…。使うデッキの色で性格が変わるのは」

 

ツルギ「地味に凄い事を言ったぞ…」

 

龍虎「さぁ始めるぜ!熱く、激しく、燃え上がり!バトルフィールドを盛り上げる!俺の選びし最強のドラゴン!オレドラ、いくぜええええええええ!」

 

バトルフィールド全体が龍虎の雄叫びに同調し、大爆発が起きる。突如として起きた出来事に、皆動揺を隠せない。

 

龍虎「先攻は貰う!スタートステップ!ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!

 

先ずはムーンボウ・ドラグーンレベル2で召喚(手札5→4・リザーブ4→0・トラッシュ0→2)!さらにバーストもセット(手札4→3)!ターンエンドだ!」

 

龍虎のフィールドに白いワイバーンのスピリット、ムーンボウ・ドラグーンが現れる。そして裏向きにカードが出て、鎖でがんじがらめに固定された。

 

龍虎 ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

ムーンボウ レベル2(2)2000

 

チルノ「あたいのターン!スタートステップ!ドローステップ(手札4→5)!」

 

龍虎「まてまてまて?!コアステップ忘れてるぞ!」

 

チルノ「おっとと、さいきょーのあたいでも忘れる時は有るわね!」

 

龍虎(絶対嘘だ)

 

チルノ「改めて、コアを追加して(リザーブ4→5)、メインステップ!ネクサス、破壊と創造の釜を配置するよ(手札5→4・リザーブ5→1・トラッシュ0→4)!」

 

地面の底から現れたのは、かなり使い込まれた黒い大釜。チルノの後ろに鎮座し、それは業火が如き炎でぐらぐらと異様なモノを煮続けている。

 

チルノ「配置時効果で、相手のコスト3以下のスピリット1体を破壊!ムーンボウ・ドラグーンだ!」

 

釜が外の世界を吸い込むが如く、ムーンボウ・ドラグーンを吸引し、異様なモノども同様に茹で込み、溶かしてしまう。

 

龍虎「ムーンボウ!…だが、その犠牲は無駄じゃねぇ!破壊時効果でデッキから1枚ドロー(手札3→4)!さらに自分のスピリットの消滅/破壊を条件にバースト発動!大龍城・本丸!レベル2で発動だぁ(リザーブ2→0)!」

 

鎖を砕き解放されたそのカードは、地面から咆哮と共に巨大な城と融合した四足歩行の赤龍を起動させ、彼のバトルフィールドに呼び起こした。

 

チルノ「バーストが何だろうが関係ないね!あたいはバーストセットして(手札4→3)、ターンエンド!」

 

チルノ ライフ5 手札3 リザーブSC トラッシュ4 バースト有

 

破壊と創造の釜 レベル1(0)

 

龍虎「スタートステップ!コアステップ(リザーブ0→1)ドローステップで、大龍城・本丸のレベル2効果で追加で1枚ドロー(手札4→6)!早速きたか!リフレッシュステップ(リザーブ1→3・トラッシュ2→0)!メインステップ!

 

大龍城・本丸をレベルダウン(リザーブ3→5)。そのコアで、俺の仲間を呼ぶ!マグナ、いくぜ!」

 

マグナ「おうよ!」

 

龍虎「熱く激しき赤の力よ!魂よ!理を創りしその拳で、世界を!天地を揺るがせ!召喚!六絶神 剛力のドラグマグナ!レベル2で、超・越・降・臨(手札6→5・リザーブ5→0・トラッシュ0→3)!!」

 

天にカードを投げると、それは赤い炎の球に変わる。その中から、剛力の名を持つに相応しい四肢と6つの赤い翼を持つドラゴンが、大地に炎を広げながら、天女の神々しく美しい羽衣を纏い、降臨した。

 

霊夢「マグナを早速引き当てるなんてね…龍虎も中々やるじゃない」

 

龍虎「バーストセット(手札5→4)アタックステップ!いけぇマグナ!あのちびっこにお前の力を見せてやるんだ!」

 

「謂われずともな!」と叫びながら、右腕に炎を炸裂させ、低空飛翔でチルノとの間合いを詰めるマグナ。

 

チルノ「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ1→2)!」

 

マグナ渾身にして会心の一撃が、チルノのバリアを直撃!バトルフィールド全体に衝撃が伝わり、空気と大地が揺れ、神の持つ力を知らしめる!

 

龍虎「どうだ!」

 

チルノ「ふふふ…アンタは今、あたいの罠を踏み抜いた!ライフ減少により、バースト発動!拳(こぶし)の覇王(はおう) ロッキー・ジョー!バースト発動時にあたいのライフを効果/アタックで減らしたスピリットのコストが5以上なら、そのまま召喚出来るんだ!!」

 

チルノのバーストが開かれる!連動するようにチルノのバトルフィールドが開かれ、ロボットアニメでよく見る、巨大な整備ガレージと巨大な青のロボットが出現!腕には拳型のバンテージが装備され、青い髪はサファイアと精錬鋼鉄を併用して表現されている。

 

チルノ「これがあたいの切札!大いなる戦いを鎮めし最強のゴーレム!全部砕いて破壊しろ!

 

召喚!拳の覇王 ロッキー・ジョー!発進!」

 

目に光を灯して起動した、彼女のキースピリット。拳の覇王 ロッキー・ジョー。その勇ましい姿は、系統:造兵とは思えぬ程にリアリティーがある。何故ならばロッキー・ジョーの系統は覇王と造兵、そして闘神なのだから…

 

拳の覇王 ロッキー・ジョー レベル1(SC)9000

 

龍虎「初めて見たぜ、滅茶苦茶かっけぇじゃねぇか!ターンエンド!さぁ掛かってきやがれ!」

 

龍虎 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ドラグマグナ レベル2(2+SC)12000 疲労

 

大龍城・本丸 レベル1(0)

 

チルノ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→6・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

ランマーゴレム、2体こい(手札4→3→2・リザーブ6→5→4)!」

 

サファイアの結晶の内側から、工事現場で扱われるランマーの形をしたゴーレムが現れ、シーソーの如く交互に跳ねている。

 

チルノ「ロッキー・ジョーをレベル2にアップして(リザーブ4→1)、アタックステップ!いくよジョー!」

 

全身から蒸気を放出し、一流アスリート並の勢いでロッキー・ジョーが走り出す!そしてジョーは、拳の覇王に相応しい力を発揮する!

 

チルノ「ロッキー・ジョーの共通レベルで発揮するアタック/ブロック時効果、獄連撃(ごくれんげき)発動!ジョーのレベルと同じ数まで、ネクサスを指定し、その合計コスト1に付き、相手のデッキを下から2枚トラッシュに送る!

 

あたいのネクサスは、破壊と創造の釜!コスト4、だから8枚デッキの下からトラッシュ送りだ!」

 

龍虎「な…(デッキ53→45)!?」

 

ジョーの腕に固定された拳型のバンテージが、ジョーの拳に合体し、彼は目で捉える事さえままならぬ程に、速すぎるジャブを龍虎のデッキに叩き込む。龍虎のデッキ下から8枚カードが飛び、それらに再度ジャブを打ち込み、トラッシュへと落とす。

 

ツルギ「デッキの下からカードをトラッシュに送るだって!?そんな効果今まで聞いたことないぞ!」

 

弾「どうやら幻想郷(このせかい)と俺達の居た世界とでは、バトスピの文化にも差が産まれたみたいだな」

 

環奈「感心してる場合ではないでごじゃる!デッキ下からトラッシュへと落とすということは、従来のデッキ破壊対策カードが意味をなさない!龍虎は、この中で一番厄介な相手と当たってしまったのかもしれぬ!」

 

デッキ破壊対策…それはバトラーそれぞれによって変わってくる…が、その根底は、デッキの枚数を多くするか、デッキ破壊無効効果を持つスピリット/アルティメットやデッキ破壊を押さえるカードの採用がある。龍虎のようにデッキ枚数を増やすタイプは稀であろう。

 

が、しかしロッキー・ジョーの獄連撃はデッキを下からカードをトラッシュ送りにする効果。破棄ではなくトラッシュへと送る効果のために、厄介極まりかねない。

 

チルノ「さぁ!これがジョーのメインアタックだ!」

 

龍虎「ライフをくれてやる(ライフ5→4・リザーブ0→1)!」

 

ロッキー・ジョーの高速ラッシュが、龍虎を守るバリアに激突して暴風雪に晒されるが如く、スパークを起こして砕け散る。

 

龍虎「いってぇ…!だが、悪くない!ライフ減少でバースト発動!マジック、秘剣二天一龍(ひけんにてんいちりゅう)!バースト発動時効果でBP5000以下のスピリット2体を破壊!ランマーゴレム共をぶっ壊す!その後に1枚ドローし、マグナのコアを使用してフラッシュ効果で、さらに2枚ドローだ(手札4→5→7)!」

 

鎖を解き放ち、空中へ舞うカードがX型の炎に変化し、ランマーゴレム2体を切り裂き、爆散させる。その炎は龍虎のデッキに吸い込まれ、彼の前に3枚のカードを射出する。

 

チルノ「ランマーゴレムの破壊であたいのバーストも発動!マジック、双光気弾!デッキから2枚ドロー(手札2→4)!フラッシュ効果は使わない!」

 

チルノのバーストもまた、龍虎の秘剣二天一龍に反応して発動し、彼女のデッキ上から2枚のカードを飛ばし、手札を増やす。

 

スピリットとバーストの駆け引き、互いの手の内、そして性格を読み合いながら、己のペースへとバトルの流れを引き寄せる。

 

チルノ「ターンエンド!」

 

チルノ ライフ4 手札4 リザーブ3 トラッシュ0

 

ロッキー・ジョー レベル2(3+SC)14000

 

破壊と創造の釜 レベル1(0)

 

龍虎「スタートステップ!コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ…(手札7→8)!」

 

カードを引いた瞬間、僅かだが龍虎の動きが突如として止まる。それはまるで電源を切られたロボットのようであり、彼の目と顔がみるみる、悲哀を帯びたものに変わってゆく…。

 

チルノ「おーい!お前のターンだぞ!虹色頭!」

 

龍虎「…ん!あ、ああ!すまねえ、ちぃとばかしロッキーのラッシュでのろけてた!リフレッシュステップ(リザーブ2→7・トラッシュ5→0)!メインステップ!

 

アルマジトカゲと六分儀剣のルリオーサを召喚(手札8→7→6・リザーブ7→6→3・トラッシュ0→2)!」

 

龍虎のフィールドに、白い甲殻で覆われた白蜥蜴と巨大な剣携える二足歩行の怪虫が、彼の前に現れる。

 

レイ「ほぉー、龍虎の赤デッキには白と緑のカードも有るんだな」

 

龍虎「ルリオーサの召喚時効果で、自分の赤のスピリット2体にコアを1つずつ置く!アルマジトカゲは自身を赤のスピリットとしても扱うので、マグナとアルマジトカゲに合計2コア追加!アルマジトカゲをレベル2にアップ!

 

そのコアを使い、次は要塞蟲(ようさいちゅう)ラルバをレベル2で召喚(手札6→5・リザーブ3→1・トラッシュ2→4)!」

 

今度は機械で出来た身体であろう芋虫型のスピリットが、龍虎の前にのっしりと降りて、全身の穴から赤い機械の光を灯す。

 

龍虎「ラルバはルリオーサと大体同じ召喚時効果を持っていて、白のスピリット2体にコアを1つずつ置くことが出来る。ラルバはレベル2の効果で自身を白のスピリットとして扱うから、条件は満たしている!コアを追加し、アルマジトカゲは再度レベル2にアップする!」

 

赤、緑、そして白のカードが織り成す彼流のコアブーストコンボ。だが、彼はまだコアを増やすようだ!

 

龍虎「これで仕上げだ。マジック、ライフチャージを使用!コストはラルバのコア2つで確保(手札5→4・トラッシュ4→6)!効果でラルバを破壊し、コア3個をリザーブに置く(リザーブ1→5)!すまねえラルバ、お前のコア、大事に使う!!」

 

ラルバを緑の光が包み込み、粒子へと変え、彼のリザーブに命の結晶である、コアとなり戻ってきた。

 

龍虎「マグナ、ルリオーサ、アルマジトカゲをレベル2にアップし(リザーブ5→3→2→1)、バーストセット(手札4→3)!ターンエンドだ!」

 

龍虎 デッキ41 ライフ4 手札3 リザーブ1 トラッシュ6 バースト有

 

ドラグマグナ レベル2(2+SC)12000

 

六分儀剣のルリオーサ レベル2(2)5000

 

アルマジトカゲ レベル2(2)3000

 

大龍城・本丸 レベル1(0)

 

チルノ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ、メインステップ。

 

(まだ虹色頭のデッキは厚い…それにわざわざアタックしてこなかった理由は何だ?ええい、今は!)あたいはバーストをセットし(手札5→4)、マジック!マジックランプ(手札4→3・リザーブ5→3・トラッシュ0→2)!デッキから3枚カードをオープンして、その中のネクサス1枚をノーコストで配置出来る!でりゃあ!」

 

チルノのデッキから捲られ、表になるカード達。その内容は、コジロンド・ゴレム、戦闘獣バビルーザ、光灯る三叉灯台(さんさとうだい)。ネクサスは1枚あった。

 

チルノ「光灯る三叉灯台をノーコスト、レベル2で配置するよ(リザーブ3→1)!」

 

チルノの後ろに神話で語られるポセイドンの持つ、三叉槍(トライデント)を思わせる巨大な灯台が、四方を照らしながら、バトルフィールドに光をもたらす。

 

チルノ「光灯る三叉灯台の効果で、手札の獣装甲メガバイソンをノーコストで召喚して(手札3→2)、ロッキー・ジョーに直接合体!」

 

白煙を上げ、大地を揺らしながら、巨大にして屈強な鋼の角持つ白い機械の牛がロッキー・ジョーにぶつかり、吸い込まれる。ジョーの全身の青いフレームは銀に変色し、肩アーマーにはメガバイソンの角が一本ずつ生え、銀を混ぜた白い蒸気を排出した。

 

ロッキー+メガバイソン レベル2(3+SC)15000

 

チルノ「アタックステップ!光灯る三叉灯台の効果で、系統:闘神を持つ、ジョーは最高レベルとして扱われる!ロッキー・ジョーで合体(ブレイブ)アタック!アタック時効果、獄連撃発動!自身のレベルと同じ数まで自分のネクサスを指定し、その合計コスト1に付き、相手のデッキを下から2枚トラッシュ送りにする!今のジョーはレベル3だから、3枚まで指定出来る。

 

破壊と創造の釜、そして光灯る三叉灯台!合計コスト10!よって20枚破壊!」

 

龍虎「ぐおおおおおお(デッキ41→21)!!」

 

ジョーの先よりも重く、速い連撃が、龍虎のデッキを吹き飛ばし、トラッシュへと落としてゆく。彼のデッキは60枚で構成されているが、今の獄連撃によりその1/3が破壊されたのだ!

 

ツルギ「ヤバい!リューさんのデッキ後何枚だ!?」

 

環奈「今までの状況から察するに、龍虎のデッキは後21枚。もしこの状況で爆砕轟神掌(ばくさいごうじんしょう)やらを打たれれば、それこそ終わりじゃ!」

 

ツルギ「デッキアウト…!ソラが得意な戦法だ!」

 

デッキアウトとは…プレイヤーのデッキが何らかの形で0となり、そのプレイヤーがスタートステップを宣言した瞬間、敗北となる事を指す。主な理由としてドローマジックや効果によってデッキ圧縮を行い過ぎたり、U(アルティメット)トリガーや青の効果によってデッキを減らされたりするなどの様々な要因で起こる。

 

龍虎「ちぃ!デッキ破壊対策が出来ねぇっうのは、嫌らしいな!」

 

チルノ「まだ終わらないよ!ロッキー・ジョーのレベル2のアタック時効果、獄強襲(ごくきょうしゅう)発揮!あたいのネクサス、光灯る三叉灯台を疲労させて、ジョーを回復させて、あんたのデッキの下から疲労させたネクサスのコストと同じ枚数だけカードをトラッシュに置く!光灯る三叉灯台のコストは6、だから6枚破棄する!」

 

龍虎「…な!?強襲の強化版かよ!ぐぬうううう(デッキ21→15)!」

 

ジョーの全身から蒸気が排出され、龍虎のデッキからカードが飛ばされる。デッキが更に薄くなり、ジョーは青と白の光を全身に帯びて、再起動(リブート)する。

 

チルノ「このまま決めてやる!やっちゃえジョー!」

 

龍虎「させるか、呆け茄子!フラッシュタイミング!マジック、絶甲氷盾(ぜっこうひょうじゅん)を使う!コストは、リザーブの1コアにアルマジトカゲとルリオーサをレベルダウンして確保する(リザーブ1→0・トラッシュ6→9)!

 

このバトル終了時に、そのままお前のアタックステップを終了させる!ライフ2つくれてやるよ、デッキアウトで終わるくらいならな(手札3→2・ライフ4→2・リザーブ0→2)!」

 

龍虎を守るべく展開されたバリアへと、ジョーのバンテージと合体した拳が、星の煌めきが如し一瞬の内に数千の閃光となり、彼のライフを粉砕してゆく!

 

龍虎「うわあああああああああああ!!」

 

バシン「龍虎!!」

 

チルノ「仕留め損なったけど、次のターンであんたは終わりだよ!」

 

龍虎「…いや、まだ終わらねえ…!終わらせるかよ…!!

 

こんなに楽しい…全身が昂るバトルをよぉ!」

 

弾「…!」

 

光を失い、煙あげるバトルアーマー。尋常成らざる痛みが彼には掛かっている。が、それでも彼は…笑っていた。それも弾以上にとびっきりの笑みを浮かべながら…!!

 

チルノ「な、なんなんだよ…お前…!?」

 

龍虎「言った筈だぜ…俺は紅蓮 龍虎。バトルフィールドを、熱く…!激しく…!誰よりも盛り上がらせる…男だってな!ライフ減少でバースト発動!こいつは俺のライフが減れば、ノーコストで召喚出来る!

 

いくぜ…ハジメさん!」

 

ハジメ「おお!きたきた!」

 

龍虎「爆ぜろ、俺の魂!全身全霊の炎で、今死中を切り開く!

 

爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル!爆熱!業熱!大召喚!維持コストをマグナのコアを使って確保!」

 

龍虎のバトルフィールド上空に出現した、巨大な赤シンボル。それはゆっくりと少しずつ、反時計回りに回転しながら、炎の渦を作り、天地を赤く染め上げる。

炎の中で、赤い翼と赤く太く長い尾が形成されながら、長い首を伸ばし、屈強な体を持つ一匹のドラゴン…爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼルが、龍虎の前に立ち上がったのだ!

 

ハジメ「よっしゃあ!頼んだぞバゼル!」

 

チルノ「うぎぎぎぎ…ターンエンド!ちくしょーあと一発なのに!!」

 

チルノ ライフ4 手札2 リザーブ1 トラッシュ2

 

ロッキー・ジョー+メガバイソン レベル2(3+SC)15000 疲労

 

光灯る三叉灯台 レベル2(2)

 

破壊と創造の釜 レベル1(0)

 

龍虎「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)ドローステップ(手札2→3・デッキ15→14)、リフレッシュステップ(リザーブ2→11・トラッシュ9→0)、メインステップ!

 

やられた分は必ず返す…絶対にだ!!バゼルをレベル3に、マグナとルリオーサをレベル2にアップする(リザーブ11→7→5→4)!そしてマジック、フェイタルドロー!デッキから3枚ドローする(手札2→5・リザーブ4→2・トラッシュ0→2・デッキ14→11)!

 

…やるぞ!バーストセット(手札5→4)!バゼルとマグナのソウルコアを入れ替え、アタックステップ!いけぇ!爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル、アタックだ!」

 

雄叫びと共に腰に添えた桃竜剣(とうりゅうけん)を引き抜き、背中に載せたブースターが真っ赤な焔を放出し、バゼルが高く空へと飛翔する!

 

龍虎「ドラグマグナの効果で、バゼルがアタックしたのでマグナにBP+10000(マグナ BP12000→22000)!バゼルのレベル3のアタック時効果!自分のバースト1枚をオープンし、そのバースト条件が(相手の(このスピリット/ブレイブの召喚時効果)発揮後)なら、そのバーストを発動出来る!」

 

龍虎の正拳突きが彼の縛られたバーストの鎖を砕く。オープンされ提示されたそのカードは…

 

龍虎「マジック、神閃月下(しんせんげっか)!バースト発動条件、相手の(このスピリット/ブレイブの召喚時効果)発揮後!バゼルが指定した条件なのでバースト発動!

 

こいつはすげぇぞ?トラッシュのマジックカード1枚をデッキトップに置きながら、その後トラッシュにあるカードを10枚選んで好きな順でデッキの下に戻せる!トラッシュの神閃月下1枚を1番上に固定!ならびにこの10枚のカードを選択し、デッキの下に送るぜ(デッキ11→22)!」

 

龍虎が選択しデッキトップに置いたカードは、先程発動した神閃月下とは別の神閃月下。そしてトラッシュからカードを10枚慎重に選びながら、再びデッキの下に戻した。

 

ハジメ「上手い!バゼルと神閃月下の効果を上手く噛み合わせたデッキ回復コンボ!」

 

ツルギ「しかもバゼルにはレベル3の状態でバーストが発動すれば、そのまま回復出来る!」

 

バースト発動のエネルギーを受けたバゼルはその体を赤く熱い光を帯びながら、チルノに突進する!

 

チルノ「へん!バゼルのBPは12000!あたいのロッキー・ジョーは15000!このままブロックして返り討ち…!」

 

ブロック宣言しようとした彼女は、ある事に気付く。それは龍虎がアタックステップ直前に、マグナのソウルコアをバゼルへと移動させた事。そしてドラグマグナではなく、何故バゼルにアタックをさせたのか。

 

理由は1つ…龍虎の本当の狙いはBPパンプアップマジックでロッキー・ジョーをバゼルで討ち取る事!

 

チルノ「ロッキー・ジョーでブロックはしない!フラッシュタイミング!マジック、リミテッドバリア!コストはロッキー・ジョーのソウルコアを含めて使用し、レベル1にダウンして確保する(手札2→1・トラッシュ2→5(SC))!

 

このアタックステップの間、あたいのライフはお前のコスト4以上のスピリット/アルティメットのアタックじゃあ減らせないし、ソウルコアを使ったからネクサスも手札に戻せる!そのデカイ城を手札に!」

 

チルノの上空に開く白の穴から、無数のドラム缶が彼女の前に落ちる。着弾と同時に巨大な爆裂音と炎がカーテンのようにバゼルの行く手を阻み、爆風は大龍城・本丸を龍虎の手札に戻してしまう。

 

チルノ「これであたいのライフを削れるのはアルマジトカゲだけだ!このターンは凌いだ!」

 

龍虎「いいや、このターンはまだ終わらない!!フラッシュタイミングでマジック、救世神撃覇(きゅうせいしんげきは)を使う(手札4→3・リザーブ1→0・トラッシュ2→3)!」

 

龍虎が使用した救世神撃覇。赤のマジックカードであり、バースト効果を内蔵するカード。そのフラッシュ効果は、自分のデッキから1枚カードをドローし、その後自分の手札からバースト効果を持つカードを1枚セット出来る効果を持つ。

 

今、龍虎が先の神閃月下でトップに固定したカード…それは2枚目の神閃月下!

 

龍虎「救世神撃覇の効果で、1枚ドロー(手札3→4・デッキ22→21)!そして手札からバーストセット(手札4→3)!」

 

チルノ「な…まさか!」

 

龍虎「そうゆうこった。もういっちょバゼルでアタック!マグナの効果で、バゼルがアタックしたのでマグナ自身にBP+10000(マグナBP22000→32000)!アタック時にバーストカードをオープン!カードは神閃月下!デッキトップにさっきの神閃月下を置いて、トラッシュのカード10枚をデッキ下に送る(デッキ21→32)!

 

同時にバゼルは自身のレベル3効果でバーストが発動したので回復だ!」

 

またしてもバゼルと神閃月下によりロッキー・ジョーに破壊されたデッキを回復させる龍虎。チルノのライフはリミテッドバリアで削る事こそ叶わないが、彼の狙いはデッキを1枚でも多く回復させ、ロッキー・ジョーの一撃を堪え忍ぶ事にあった。

 

チルノ「リミテッドバリアでライフを取られないけど、どんどんデッキが厚くなる…!」

 

龍虎「まだまだ!フラッシュタイミングで2枚目の救世神撃覇を使用する!不足コストをルリオーサをレベル1に下げて確保(トラッシュ3→4)!デッキから1枚ドローとバーストをセット(手札3→4→3・デッキ32→31)!」

 

チルノ「またかよ?!いい加減にしろよ!」

 

ハジメ「…チルノの意見、分からなくもない…」

 

バシン・駿太・霊夢・魔理沙・美鈴「わかるわー」

 

龍虎「負けないためにやってるのに皆さん酷いよ?!バゼル、もう一回頼む!」

 

流石に三度目だけあり、バゼル自身にも疲労の色が見える。だがそれでも彼は再び飛翔する。そして己の力でバーストを開くのだ。

 

龍虎「神閃月下!デッキトップにフェイタルドローを置きながら、トラッシュから10枚選んでデッキ下に(デッキ31→42)!バゼルは回復!」

 

リミテッドバリアにより、またしても攻撃は防がれる。だが、神閃月下によって彼のデッキは大幅に回復し、ロッキー・ジョーの攻撃に備える準備は出来上がった。

 

龍虎「すまねぇな!ターンエンドだぜ!」

 

龍虎 ライフ2 デッキ42 手札3 リザーブ1 トラッシュ4

 

ドラグマグナ レベル2(3)12000

 

バゼル レベル3(4+SC)12000

 

ルリオーサ レベル1(1)3000

 

アルマジトカゲ レベル1(1)1000

 

チルノ「ちぃ!デッキが回復した、早く削りきらなきゃ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札2→1)、リフレッシュステップ(1→6(SC))、メインステップ!

 

小波童子(さざなみどうし)召喚(リザーブ6(SC)→5)!」

 

仮面を付け二本の短刀握る青肌の少年がチルノの場にソウルコアを持ちながら現れた。

 

チルノ「マジック、マントラドロー(手札1→0・リザーブ5→4・トラッシュ0→1)!デッキから3枚ドローして2枚破棄するけど、あたいの(童子)スピリットにソウルコアが置かれているから、破棄枚数を1枚減らせる!だから2枚手札は増える(手札0→2)!」

 

3枚のカードから、彼女は破壊と創造の釜をトラッシュに置く。

 

チルノ「もういっちょマントラドロー(手札2→1・リザーブ4→3・トラッシュ2→3)!3枚ドローして1枚破棄(手札1→4→3)!これでいける!ネクサス、阿弥陀如来像(あみだにょらいぞう)を配置(手札3→2・リザーブ3→0・トラッシュ2→5)!」

 

手札からレクチル・アームズを破棄しつつ、彼女は新たなネクサスを配置する。それは日本の奈良や鎌倉に鎮座する巨大な大仏で、その頭部からは黄金の御光が、チルノを見守っているようだ。

 

チルノ「配置時にコア1つを破壊と創造の釜に!そのコアで新たに小波童子を召喚し、最初の小波童子のソウルコアとロッキー・ジョーのコアを交換!さらにバーストセット(手札2→1→0)!アタックステップ!

 

まず光灯る三叉灯台の効果であたいの系統:闘神を持つスピリット全てを最高レベルに!ジョー!いっけぇ!」

 

三叉灯台から溢れ満ちる光が、彼女のキースピリットであるジョーに力を与え、レベルを押し上げる!

 

ロッキー・ジョー+メガバイソン BP9000→24000

 

小波童子 BP2000→6000

 

チルノ「ジョーのアタック時効果、獄連撃発動!今ジョーのレベルは3!ネクサス、破壊と創造の釜!光灯る三叉灯台!阿弥陀如来像!合計コスト16!つまり32枚をデッキの下からトラッシュに!さらにレベル2からの獄強襲で阿弥陀如来像を疲労させ、ジョーを回復しながら、6枚カードをトラッシュ送りに!」

 

龍虎「ぐわあああああああ(デッキ42→10→4)!」

 

ロッキー・ジョーのアタックは、龍虎が負けぬために必死に積み直したデッキを一瞬で破壊し、トラッシュへと落としてしまう。

 

ハジメ「龍虎!このアタック絶対に止めなきゃ負けるぞ!」

 

龍虎「くっ…!ははは…はははははははははははは!」

 

一同「!?」

 

チルノ「頭いかれちゃったか!!?あんたのデッキトップはフェイタルドローだってのはわかってる!」

 

龍虎「ああ、何で笑ってるかって?

 

楽しいからさ…お前がこっちを本気で倒そうとしている!やれる事を全部やって、結果をぶつけてくれる事が俺は嬉しいんだ。だから俺も自分の出来る最高のバトルで、お前に勝つ!」

 

絶体絶命的な窮地も。一進一退の攻防も。龍虎は唯楽しみ、バトルを楽しんでいた。

 

チルノ「あんた…超が付くほどの、バトスピの大馬鹿野郎だわ…」

 

龍虎「大馬鹿で結構。元よりバトスピの愛に関しちゃ、誰にも負けるつもりはなし!フラッシュタイミングでマジック、絶甲氷盾を使う!不足コストはバゼルをレベル1にダウンして確保(手札3→2・トラッシュ4→7)!

 

言わずと知れたその効果でバトル終了と同時にアタックステップを終了する!アタックはルリオーサでブロック!」

 

ルリオーサが大剣を奮い、ジョーに立ち向かうも、左ブローにより頭を殴られて首が280度回転し、其処からのアッパーでカチ上げ→オラオララッシュの滅多打ちコンボを貰い花火のように爆散。

 

しかし、ルリオーサが決死の覚悟と想いで稼いだ時間は、龍虎の前に白く分厚い氷河の壁を作り上げ、グロリアス・シープの如く堅牢にして鉄壁に相応しい守りを残してくれた。

 

ハジメ、ツルギ「安定と信頼の絶甲氷盾」

 

幸村、環奈、駿太、ヨク「3枚入れとけ絶甲氷盾」

 

霊夢、魔理沙「絶甲…白重…うっ頭が」

 

個々に思い入れがあるらしいカード。因みにバトスピの世界では、その使い易さ故に様々な防御マジックの基準にもなったカードでもあるのだ。

 

チルノ「ちぃ!ちくしょー!ターンエンドだ!」

 

チルノ ライフ3 手札1 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

ロッキー・ジョー+メガバイソン レベル(SC)12000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

破壊と創造の釜 レベル1(0)

 

光灯る三叉灯台 レベル2(2)

 

阿弥陀如来像 レベル1(0)

 

龍虎「さて、本当にこれがラストターンになったな。俺もやれる事を全部ぶつけるぜ、チルノ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(デッキ4→3・手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ3→10・トラッシュ7→0)、メインステップ!

マジック、フェイタルドローで3枚カードをドロー(手札3→2→5・リザーブ10→8・トラッシュ0→2)!」

 

ハジメ「あ…、デッキが無くなった…!」

 

残り3枚しかない龍虎は自身のデッキに残されたカードを全て手札に加えた。このターンで決着を着けなければ間違いなく龍虎はこのバトルに負けることになる。

 

龍虎「(このブレイブ…。駿太さん達が見たら絶対使わせてって言いそうだよなぁ…実際3枚揃える為に1か月間の食費に水道、電気代を搾り出す羽目になった…反省もしてる)…さぁいくぜ!

 

まずはバゼルのコアをリザーブに!マグナのソウルコアをリザーブのコアと入れ替え、レベル3にアップ(リザーブ8→9→5)!そして俺の新たな仲間を呼ぶぜ!」

 

龍虎の掲げる1枚のカード。それこそ、このバトルの勝敗を決める1枚となる!

 

龍虎「踊れ!熱き魂の炎!戦場を切り裂く、新たな力となれ!魂皆伝(ソウルマスター)ブゲイシャー・ドラゴン、レベル1で召喚(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ2→6)!!」

 

赤い炎の龍がバトルフィールドに火炎旋風を巻き起こす。その風を一閃し、炎のような橙色のたなびく髪を1つにまとめ、一刀の刀握る陣羽織と袴の侍衣装に身を包む、妖夢が持つサムライ・ドラゴン・天にも負けぬ屈強なドラゴンが現れた。

 

幸村「ブゲイシャー・ドラゴン!格好いいな!」

 

妖夢「成程、実に侍らしい面構えで良いですね」

 

龍虎「最後の仕上げだ!天地満ちる神の炎よ!全ての見えぬ悪意を焼き祓い、希望の光を世界に灯せ!召喚、異魔神ブレイブ、炎魔神!!不足コストをバゼルとアルマジトカゲから確保!バゼルごめんよ(トラッシュ6→8)!」

 

アルマジトカゲとロード・ドラゴン・バゼルが消滅し、その光は彼のバトルフィールド上空に赤と金色の炎の輪(リング)を2つ産み出し、無尽蔵に回りながらやがて重なり、回転し続ける。その輪の中から手が伸びて輪を掴み、回転を止めると、赤と白を基調とする巨人が輪の中から飛び出し、背中にその輪を合体しながら、龍虎の前に降り立ったのだ!

 

駿太「炎魔神…だって!?」

 

弾「龍虎も持っていたんだな。異魔神ブレイブ」

 

魔理沙「なぁ駿太よ。超・炎魔神も強力だったが、あの炎魔神も強いのか?」

 

駿太「つ、強いも何も滅茶苦茶強いよ!?文句いったらバチが当たるくらいに!」

 

駿太が青ざめる程に怖れる炎魔神の力。その力を奮う瞬間がきた。

 

龍虎「炎魔神よ!今こそドラグマグナを左側に、ブゲイシャー・ドラゴンを右側に合体(ブレイブ)だ!」

 

炎魔神の両手に炎が生まれ、ブゲイシャーとドラグマグナを己と繋げ、溢れ暴走する強大な力を授ける。

 

ドラグマグナ レベル3(5)BP15000+5000=20000

炎魔神

ブゲイシャー レベル1(SC)BP5000+5000=10000

 

龍虎「アタックステップ!このアタックステップ開始時、ブゲイシャーの効果が発揮!トラッシュのコア全てを系統:武竜を持つ俺のスピリットに好きなように置くことが出来る!ブゲイシャーにトラッシュのコア8個を置いてレベル3にアップ!」

 

ブゲイシャー レベル3(8+SC)BP10000→18000

 

龍虎「さぁマグナいこうぜ!ドラグマグナでアタック!マグナのアタック時効果で、マグナ自身とブゲイシャーにBP+10000!そしてマグナのレベル3効果でBP30000以上のスピリット全てを赤のシンボル3つにする!」

 

しゃあ!と拳を撃ち合わせ、6つの翼はためかせ飛翔するマグナは、天空で両腕を広げ、合掌しシンボルを作り上げ、それに同調するように、炎魔神の左側が赤く発光し、二の腕に固定した拳型のスマッシャーが展開、炎魔神の左腕へ合体し、巨大な拳になる!

 

龍虎「炎魔神の左側合体アタック時効果!相手のバースト1枚を破棄して、このターンの間、自分のスピリット全てをBP+5000する事が出来る!これでブゲイシャーもBP33000となり、マグナの効果でシンボル3つだ!」

 

炎魔神のスマッシャーが高速回転し、先端部の拳がジェット噴射を起こし射出!その勢いのまま、チルノの伏せたバースト、絶甲氷盾を吹き飛ばし焼き払ってしまう。

 

チルノ「バースト破壊効果!?聞いてないよ、そんなの!小波童子でブロック!」

 

小波童子が短刀構えマグナを迎え撃つ。「しゃらくせぇ!」とマグナは両手で太陽並の超巨大灼熱火炎弾を作り、元気玉の要領で投げ落とし、バトルフィールドに着弾させる。小波童子はその爆熱に晒され、塵一つ遺さず消滅した。

 

龍虎「続け、ブゲイシャー!炎魔神の右側合体アタック時効果!ブゲイシャーのBP以下の相手スピリットアルティメット1体を問答無用で破壊する!覚悟ロッキー・ジョー!!」

 

ブゲイシャーの握る刀が、陽炎のように妖しく揺らめき、刀身が歪に歪みだす。炎魔神の力を受けた事により、ブゲイシャーは自身の熱量を自在に操作可能となっていたのだ。

駆け抜けるブゲイシャーの前にロッキー・ジョーが立はだかるが、ブゲイシャーは己と共に戦い続けた刀を振るい、赤の炎を更に高熱の青に変えてジョーを十文字に斬り伏せ、爆破する!

 

チルノ「ジョー!!!!!!!!!!でもあたいには、まだ小波童子とメガバイソンが居る!」

 

龍虎「いいや、このターンで終わらせる!ブゲイシャーのアタック時効果!コイツのコア1つをコストとして支払う事で相手のBP6000以下のスピリット1体を破壊出来る!この効果でブゲイシャーのコア2つを使い、メガバイソンと小波童子を破壊だ!」

 

ブゲイシャーは自身のコア2つを刀で割り、そのエネルギーで青の炎を作り、斬撃として飛ばした!その二撃は小波童子、メガバイソンを焼き斬り、消滅させてしまった。チルノのフィールドにスピリットは1体も居なくなり、ネクサスが在るのみ。

 

チルノ「これが…虹色頭のバトル…全部焼き払う赤のバトル…」

 

龍虎「チルノ!楽しいバトルありがとな、またやろうぜ!」

 

チルノ「…っ!次は負けないからな!絶対あたいが勝つからな!」

 

彼女の声を聞き届け、ブゲイシャーは刀を高く振り上げ、一閃。チルノのバリアを切り裂き、勝負を決めたのだった。

 

龍虎「爆熱!豪熱!大勝利!これが俺のオレドラだぁ!」

 

龍虎とマグナ、そしてブゲイシャーの勝鬨高らかにバトルフィールドは深紅に燃える!

 

* * *

 

幸村「トラ、ナイスファイトだったぜ!」

 

龍虎「幸村さん…あとトラじゃなくて龍虎です!」

 

咲夜「チルノ相手に中々良いバトルだったわ、龍虎君。さて、幸村…やりますか?」

 

幸村「おう!」

 

龍虎とチルノのバトルは、迫るリミットを振り切った龍虎が勝利した!次なるバトルではどんな戦いが起きるのか!?




くぅう!疲れました!龍虎君のバトル如何でしたでしょう!?

龍虎「まさかのデッキを下からトラッシュ送りにするカードが出るなんてな。あれはお前の仕業か」

御明察。ロッキー・ジョーですね。オリカですよ~

拳の覇王ロッキー・ジョー 系統:覇王・造兵・闘神
青9(青4) 青

レベル1(1)9000
レベル2(4)12000
レベル7(10)21000

(バースト:ライフ減少時)相手のスピリット/アルティメットのアタック/効果でライフが減った時、そのスピリット/アルティメットのコストが5以上なら、このスピリットを召喚する

レベル1,2,3(このスピリットのアタック/ブロック時)((獄連撃))このスピリットのレベルと同じ数まで自分のネクサスを指定し、合計コスト1につき相手のデッキを下から2枚トラッシュに送る
レベル2,3(このスピリットのアタック時)((獄強襲))自分のネクサス1枚を疲労させる事で、疲労させたネクサスのコストと同じ枚数だけ、相手のデッキを下からトラッシュに送り、このスピリットは回復する。

龍虎「攻防一体のデッキ破壊、しかもそれは防げないときたか。タチ悪い効果だ」

まぁね。何より系統が優秀でサポートが多いのも特徴。とと、では次回予告!

次は幸村vs咲夜のバトル!かつてのチャンピオンシップを経て、心身共に大きく成長した幸村!その力に十六夜 咲夜もまた巨大な力を持って合対す!

次回 東方激闘魂 第6話 咲夜vs幸村!熱き魂のバーニングソウル!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第6話 咲夜vs幸村!熱き魂のバーニングソウル!

第6話ですだ!今回のお話は咲夜さんと烈火 幸村さんのバトルです!

幸村「負けるつもりはないぜ!」

ところで幸村さん、ディーバブースターはry

幸村「おいやめろ(中の人ネタ)」

*誤字脱字、キャラ崩壊やらが含まれます!あと彷皇うとなっていますが、変換で出ません。申し訳ない…

*そして指摘、感想も募集中です!


前回のあらすじ!第三戦目はチルノvs龍虎のバトル!

 

赤デッキのオレドラで、ハチャメチャバトルを展開する紅蓮 龍虎に、チルノの未知なる覇王X(ヒーロー)レア 拳の覇王ロッキー・ジョーのデッキ破壊が牙を剥く!

 

デッキを下からカードをトラッシュ送りにする前代未聞のデッキ破壊に、龍虎とデッキは大ピンチ!しかし、爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼルと神閃月下のデッキ回復コンボを巧みに駆使し、最後はドラグマグナとブゲイシャー、炎魔神の超攻撃コンボを叩き付け、完全決着!

 

主人公としての威厳を見せつけたのだった!

 

* * *

 

幸村「咲夜!このバトル、絶対負けないからな!」

 

咲夜「その言葉、そっくりそのまま貴方に返すわ」

 

お互い開始前から既に一触即発ムードが漂い、他の皆にも肌がピリピリする程。両者をこれ以上待たせれば、どうなるかわからないと判断した紫は、二人に開始の任を押した!

 

紫「では…第四戦目、始め!」

 

「こい!轟天龍!」と、開始直後に幸村が天に己がデッキケースを掲げて叫んだ。デッキケースに象る龍の目が赤の光を放つ!

 

…………………しかし何も起こらない。

 

幸村「…ん?おい!こい、轟天龍!」

 

……………またしても何も起こらない。

 

紫「ごめーん♪此所って電波届かないんだったわ!てへっ☆」

 

環奈「幸村、どんまいでごじゃる((^-^)b)グッ)」

 

ヨク「………ふっ」

 

駿太「お、おいヨク…笑うなって…」

 

龍虎「いや完全に笑ってるじゃないですか二人共!」

 

幸村(誰か俺を海に沈めてくれ…!)

 

その後、紫が時空を開いて彼の轟天龍を幻想郷に引っ張ってくる羽目になったのだった…

 

* * *

 

咲夜「…えっと、大丈夫…?」

 

幸村「…大丈夫だ、すまない取り乱した」

 

意気消沈の気不味いムードが入ったが、彼は頭のバンダナを弾いて、気合と闘魂を再度入れ直し、高く跳躍から後ろ1回転で、変形した轟天龍に搭乗したのだ。

 

龍虎「え、今なにしたの…」

 

幸村「ん?見ての通り、轟天龍に乗っただけだが?」

 

環奈「拙者達の世界では皆普通にこの乗り方でごじゃるが?」

 

龍虎(おかしい…、色々おかしい…。1回転跳躍搭乗が当たり前って、幸村さん達の世界のバトラーの身体能力レベルおかしくない!?)

 

龍虎が困惑する姿を他所に、幸村は咲夜と向かい合い、己のデッキをデッキスペースに置く。

 

幸村「邪魔は入ったが、始めようぜ咲夜!」

 

咲夜「掛かってきなさい、私の力を見せてあげる!」

 

二人「ゲートオープン、界放!!」

 

幸村「俺のターン!スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!まずはドラマルを召喚(手札5→4・リザーブ4→3)」

 

幸村が召喚したのは、先の妖夢vs弾戦で妖夢が召喚したスピリット。ブレイドラに似たスピリット、ドラマルである。

 

幸村「続けてネクサス、故郷に似た山を配置(手札4→3・リザーブ3→0・トラッシュ0→3)!」

 

幸村の後ろに展開されたのは、紅葉の森林群を山下に見下ろす綱領とした山々の姿。その山を見つめるドラマルの表情は、どこか嬉しそうにも見える。

 

幸村「ターンエンドだ」

 

幸村 ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ3

 

ドラマル レベル1(SC)1000

 

故郷に似た山 レベル1(0)

 

咲夜「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

そうね…ネクサス、彷皇(さまよ)う天空寺院(てんくうじいん)を配置するわ(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ0→5)」

 

咲夜の上空に穴が空き、其処に現れたのは巨大な飛竜の形した島…否、寺院である。寺院でありながら空に浮遊し浮き続ける巨大な島なのだ。

 

霊夢「いつもの」

 

魔理沙「おまたせ」

 

美鈴「予定調和」

 

チルノ「じっかのあんしんかん」

 

バシン・ハジメ・ツルギ・レイ・駿太・ヨク・龍虎

(どうゆうことなの………?)

 

咲夜「バーストセット(手札4→3)。…ターンエンドね。さ、お手並み拝見といきましょうか」

 

咲夜 ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ5

 

彷皇う天空寺院 レベル1(0)

 

幸村「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ドラマルのソウルコアをリザーブのコアと交換、新たにドラマルを召喚(手札4→3・リザーブ4→3)」

 

幸村の場に新たなドラマルが現れ、互いに薙刀を重ね合わせる。

 

幸村「ソウルコアを使い、ソウルドローを使用。効果でデッキからカードを3枚ドロー(手札3→2→5・リザーブ3→1・トラッシュ0→2)。さらにマジック、龍魂乱舞(りゅうこんらんぶ)。デッキの上から5枚を見て、その中の系統:武竜を持つスピリットカード1枚を手札に加える(手札5→4・リザーブ1→0・トラッシュ2→3)」

 

幸村のデッキからオープンされたカードは、ムシャドラゴ、炎龍刀・鬼丸、一発必中ドロー、ハガネヴルム、戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴンの5枚。

 

幸村「よし、バーニング・ソウルドラゴンを手札に、残ったカードは好きな順でデッキの下に戻す!」

 

戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴン。幸村が戦国チャンピオンシップに於いて、強豪達と渡り合い、勝利するべく手に入れた、彼の最強の切り札である。

 

環奈「幸先が良いでごじゃるな、幸村」

 

龍虎「バーニング・ソウルドラゴンか。どんな能力だろう?楽しみだ!」

 

ペースを幸村が握った。誰もが信じて疑わない。彼女のバーストが発動する…その時までは。

 

咲夜「…相手の効果で、相手の手札が増えた事で、バースト発動。バーストマジック、グリードサンダー。相手の手札が5枚以上なら、手札を全て捨てさせ、2枚ドローさせるわ」

 

龍虎「え…」

 

幸村「な…(手札5→0)!?」

 

青の稲妻が幸村の手札に直撃し、彼の手からカードを1枚、また1枚と溢す。

 

戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴンも。

剣豪龍サムライ・ドラゴン・天も。

剣武龍ムラマサ・ドラゴンも。

 

彼の手から落ちて、トラッシュに送られた。

 

咲夜「どうかしら?一瞬の喜びから反転した苦く屈辱的な味は。チョコレートのようで素敵じゃないかしら?…うふふ」

 

幸村「…く!グリードサンダーの効果で、2枚ドロー(手札0→2)」

 

咲夜「貴方が効果でカードを引いた時、私のライフを1つをこのスピリットに置くことでノーコスト召喚出来る!来なさい、我が僕のスピリットよ!

 

破欲(はよく)の滅龍(めつりゅう)グリード・ドラゴニス(ライフ5→4・手札3→2)!」

 

幸村が状況を切り替える間も与えぬように、咲夜が自らのライフを砕き割り呼び出したのは、四足歩行の歪な丸に歪んだ角、翼、刺を持つ巨大なドラゴン型のスピリット。破欲の滅龍グリード・ドラゴニス。

 

破欲の滅龍グリード・ドラゴニス レベル1(1)10000

 

ツルギ「ドラゴニス…!滅龍…だと!?」

 

龍虎「知っているのですか、ツルギさん!?」

 

ツルギ「俺の世界で、その系統を使ったバトラーがいてな…ガルドスっていうんだけど、奴等は大型らしい極めて高い攻撃力を持ってる!幸村、気を付けろ!」

 

幸村「おう!バーストセット、ターンエンド(手札2→1)!」

 

幸村 ライフ5 手札1 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ドラマル レベル1(1)1000

 

ドラマル レベル1(1)1000

 

咲夜「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

破欲の滅龍グリード・ドラゴニスの効果。私が系統:滅龍を手札/手元から召喚する時、このスピリットに赤のシンボルを2つ追加出来る」

 

グリード・ドラゴニスの両翼に浮かび上がった2つの赤シンボルが、新たな龍誕生の胎動のように鼓動、音が響く!現状でも赤のシンボルは5つあり、赤の大型スピリットを呼び出すには十分だが、咲夜はさらにネクサスカードに手を添える!

 

咲夜「彷皇う天空寺院の効果。私が元々のコストが8以上のスピリットを召喚する場合、このネクサスを疲労させて、2コスト支払ったものとして扱う。さぁ…出番よ。

 

全てを滅ぼす黒龍!この者の前に立つ愚かさを知るが良い!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス!召喚(手札3→2・リザーブ6→3・トラッシュ0→2)!」

 

バトルフィールドの大地を食い破り、上空へ昇る赤く黒い光。それは渦となりて天に孔を穿つと白い光が射し込む。やがて光の中に一匹の龍が居ることが、はっきりと見えた。

 

だが、その龍…ドラゴンは、グリード・ドラゴニス以上の禍々しい黒と赤の竜麟に覆われ、巨大な翼と長い首に尾を振るい、バトルフィールドで力強く、けたたましい咆哮をあげる!

 

ツルギ「滅龍帝…ジエンド・ドラゴニス…!」

 

龍虎「で、でかい…グリード・ドラゴニスもだけど、ジエンド・ドラゴニスもでかい…!」

 

ドラマル達が恐怖に震えている。体格差・BP差の違いをまじまじと見せ付けられたからだろう。

 

咲夜「グリード・ドラゴニスをレベル2へ(リザーブ3→0)。アタックステップ、ジエンド・ドラゴニスでドラマルを指定アタック!」

 

一同「?!」

 

幸村「な…!?指定アタック…そうか!グリード・ドラゴニスの効果か!」

 

咲夜「御明察。グリード・ドラゴニスのレベル2効果で私のアタックステップ中、系統:滅龍を持つ自分のスピリット全てに対し、指定アタック効果を付与出来る。

 

それだけじゃないのよ?この効果で指定した相手のスピリットのコストが4以下なら、ジエンド・ドラゴニスはターンに1回疲労せずにアタック出来る!」

 

龍虎「嘘だろ、疑似的な無限刃じゃないか!」

 

狙われたドラマルは薙刀を構え、勇敢に立ち向かうもジエンド・ドラゴニスの圧倒的力の差を前に前脚で踏み潰され、破壊されてしまう。

 

幸村「ドラマル…!」

 

咲夜「貴方にスピリットは残させない。グリード・ドラゴニスでドラマルを指定アタック。グリード・ドラゴニス自身の効果で、疲労せずにアタックするわ」

 

上空に飛翔し、赤黒い邪悪な炎を放ちドラマルを焼き払うグリード・ドラゴニス。しかしドラマルも全力で炎の中を突貫して、グリード・ドラゴニスの頬に一太刀報いるが、頭を食い千切られ無惨に爆散した。

 

咲夜「アタックステップ終了。そしてターンエンドね」

 

咲夜 ライフ4 手札2 リザーブ0 トラッシュ2

 

グリード・ドラゴニス レベル2(4)13000

 

ジエンド・ドラゴニス レベル1(SC)9000

 

彷皇う天空寺院 レベル1(0) 疲労

 

幸村「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ…」

 

環奈「幸村…」

 

ハジメ「例えスピリットを残せてもグリード・ドラゴニスの指定アタックで全滅。かと言って倒すにしても手札も無い。ああーどうすりゃ良いんだよ、この状況!?」

 

龍虎「大丈夫ですよ!幸村さんならきっと!」

 

誰が見てもバトルの流れは幸村から咲夜に移った。状況は絶望的、勝ちへの望みはあまりにも細い。だが幸村は諦めていない。彼の目はまだ死んでないのだ。

 

幸村「あの時に受けた絶望に比べれば…こんな状況、安いもんだ…!このバトル、俺が勝つ!トラ、お前の力借りるぞ!

 

故郷に似た山の効果で、系統:武竜のスピリットのコストを1減らす!ソウルコアを使い、召喚!出でよ、爆炎(ばくえん)の起導士(きどうし)イザナ(手札2→1・リザーブ6→2・トラッシュ0→3)!」

 

赤く燃える炎の中から、平安貴族思わせる帽子と真珠のような白い甲冑纏う竜人が現れ、腰の刀を抜刀する。

 

環奈「よし、良いタイミングでイザナを引き寄せたでごじゃる!」

 

咲夜「あら?まだ戦う気力があるなんて関心だわ。けれど、そのスピリット1体だけで私のフィールドをひっくり返せるかしら?」

 

幸村「やってやる!イザナは召喚コストにソウルコアを使用して召喚した時、起導(きどう):赤…即ち赤のS(ソウル)バーストを発動出来る!」

 

咲夜「Sバースト…?」

 

Sバースト…それはバーストのカテゴリーの中で生まれた、新たな力。予めセットし発動を待つのがバースト、しかしSバーストはソウルコアを犠牲にする事で、即座に発動出来るカードであり、さらに起導させることにより、より強力な追加効果を得るのである!

 

幸村「見せてやるぜ咲夜!これが俺の新たな魂の炎だ!Sバースト…発動!」

 

刹那、幸村のバーストが炎に包まれて、一匹の龍となりて空に駆け上がり、大きな赤い龍の頭蓋(アギト)になる!

 

幸村「おおおおおお!燃え盛れ!熱き剣の龍よ!あらゆる敵を薙ぎ倒す皇となれ!バースト効果でBP15000以下の相手のスピリット1体を破壊!対象はジエンド・ドラゴニスだ!」

 

頭蓋は三度に渡り、滅龍帝の身体に食い付き、熱い熱と怒りを注ぎ、流し込み、灰塵に還す。まるで彼等に蹂躙され、散って逝ったドラマル達の想いを代弁するかのように…。

 

幸村「そして召喚!剣皇武龍ゼットウ・ドラゴン(リザーブ2→1)!」

 

龍の顎の中で精練されゆく青と赤の鎧に身を包む一匹の龍が覚醒(めざ)め、炎を吸い込み、眼を光らせ、幸村の前に降り立った!

 

咲夜「驚いた…まさかそうゆう戦法もあるなんてね」

 

幸村「イザナの効果でデッキから1枚ドロー、バーストセット(手札1→2→1)。…ターンエンドだ」

 

幸村 ライフ5 手札1 リザーブ1 トラッシュ3 バースト有

 

爆炎の起導士イザナ レベル1(1)4000

 

剣皇武龍ゼットウ・ドラゴン レベル1(1)7000

 

龍虎「アタックしない…いや、出来ないのか」

 

環奈「仮にグリード・ドラゴニスを破壊しても、ジエンド・ドラゴニスにコアを与える結果となり、そのジエンド・ドラゴニスを破壊しても、今の残ったコアではゼットウ・ドラゴンは十二分に力を発揮出来ない。幸村にとって、これほどまでに際どい状況は利家との公式戦以来でごじゃる…」

 

ツルギ「大型のスピリットを相手にする時の心境だな…。ただでさえ高いBPに加えて、ネクサスの補助もある…何とかして、彷皇う天空寺院を破壊出来れば…」

 

咲夜「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

そうね…彷皇う天空寺院を疲労。2コスト払ったものとして扱い、さらにグリード・ドラゴニスの効果で赤のシンボル2つ追加。これで新たに、滅龍帝ジエンド・ドラゴニスを召喚する(手札3→2・リザーブ4→1・トラッシュ0→2)!」

 

再び幸村の前に立ちはだかる、巨大な壁。滅龍帝ジエンド・ドラゴニス。禍々しい赤黒きの龍。

 

バシン「せっかく倒したのにまた召喚された!」

 

咲夜「滅龍達は狙った獲物を逃がすことは絶対にない。追い詰め、追い込み、必ず仕留める、冷徹な狩人(ハンター)。アタックステップ、滅龍帝ジエンド・ドラゴニスで爆炎の起導士イザナを指定アタック」

 

大地を蹴り、低空高速飛翔で距離を詰めるジエンドに、イザナは呪術を唱えて、ジエンドを翼と両脚を縛り、地面に墜落させ、真上から首を絶ち斬ろうと刀を振る。が、その刃が届く前に、ジエンドはその鋭利な牙で刀を噛み砕き、鞭のような撓る尾をイザナに巻き付け、叩き伏せると、二本の角で甲冑ごと胴体を貫き、爆散させてしまう。

 

咲夜「次。グリード・ドラゴニスでゼットウ・ドラゴンを指定アタック」

 

襲い掛かるグリード・ドラゴニスにゼットウ・ドラゴンは真っ向からその前脚を受け止め、組み合う。しかしドラゴニスの長い首から繰り出す、凶悪な噛み付きで避ける事に意識を持っていかれ、最後はその尾に脚を崩され、首筋を二度に渡って食い千切られて破壊。

 

戦線をやっとの思いで立て直した幸村のフィールドから、またしてもスピリットが全滅した。

 

駿太「くそー!またスピリット達がやられた!」

 

ヨク「厳しいな…最初のグリードサンダーを受けたのが痛すぎる。このままじゃおそらく…」

 

幸村「…まだだ!スピリット破壊により、バースト発動!バーストマジック、武将転生(ぶしょうてんせい)!蘇れ、ゼットウ・ドラゴン!」

 

幸村の負ける雰囲気を一蹴するかのように、彼は伏せられたバーストカードを解き放つ!バトルフィールドを砕き、立ち上る火柱の中から、ゼットウ・ドラゴンがその姿を見せ、再臨する!

 

環奈「武将転生は相手による自分のスピリットの破壊をトリガーとするカード。このバースト発動時に破壊された系統:武竜を持つスピリット1体を、回復状態で復活させる事が出来る効果でごじゃる」

 

ハジメ「五輪転生炎の武竜版か!」

 

咲夜「ちっ仕留めきれなかったか…ターンエンド」

 

咲夜 ライフ4 手札2 リザーブ1 トラッシュ2

 

ジエンド・ドラゴニス レベル1(SC)9000 疲労

 

グリード・ドラゴニス レベル2(4)13000 疲労

 

彷皇う天空寺院 レベル1(0) 疲労

 

幸村「ここから反撃開始だ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

マジック、陀武竜(だぶりゅう)ドローで手札を2枚追加し、トラッシュの剣武龍ムラマサ・ドラゴンを手札に戻す(手札2→1→3→4・リザーブ6→4・トラッシュ0→2)!」

 

千載一遇の好機(チャンス)を逃さず、幸村は手札を増やしつつ、トラッシュに落ちたキーカードを手札に加え直す。

 

幸村「召喚!剣武龍ムラマサ・ドラゴン(手札4→3・リザーブ4→0・トラッシュ2→4)!」

 

幸村の前に、赤い甲冑と扇状の翼、そして刀の角を持つ竜人型のスピリット、ムラマサ・ドラゴンが現れる。

 

幸村「そして、バーストセット(手札3→2)!アタックステップ!ムラマサ・ドラゴンでアタック!」

 

雄叫び高らかに、ムラマサ・ドラゴンが低空飛翔で咲夜へと突撃してゆく!そして何より今のムラマサ・ドラゴンには赤く輝くソウルコアがある!

 

咲夜「まさかムラマサ・ドラゴンにも…!?」

 

幸村「そうだ!ムラマサ・ドラゴンのアタック時効果、起導:全色がある!Sバースト…発動(トラッシュ4→5(SC))!」

 

幸村のバーストが開かれる。だがカードの下から発する光は赤ではなく…白い凍てつくかのような、鋭い光(もの)!

 

幸村「謙信…力を借りる!Sバースト、地神刀(ちしんとう)オオテンタの効果!バースト発動時、BP15000以下の相手のスピリット1体を手札に戻す!対象はジエンド・ドラゴニスだ!」

 

吹き荒ぶ吹雪がジエンド・ドラゴニスを包み、凍り付け、弾けるや粒子に変えて、咲夜の手札に送り返す。

 

幸村「召喚!地神刀オオテンタ!ムラマサ・ドラゴンに合体(ブレイブ)だ!」

 

吹雪が収束し、幸村のフィールドに1本の刀に姿を変えた。それはまるで、巨大な包丁のような刀身を持つ長刀…それは天下五剣(てんかごけん)が一工、大典太と同じ名を冠するソードブレイブである。

 

ムラマサ・ドラゴンは空中でバトルフィールドに刺さるオオテンタを引き抜き、サンライズ立ちと共にソードブレイブを構えて白い合体した光を放つ!

 

ムラマサ・ドラゴン レベル1(1)4000+6000=10000

 

咲夜「バーストブレイブ…!」

 

幸村「まだ終わらない!ムラマサ・ドラゴンの効果で、バーストを新たにセット(手札3→2)!地神刀オオテンタの効果で、トラッシュのソウルコアをムラマサ・ドラゴン自身に置く事で、相手のスピリット1体を手札に戻せる!俺はこの効果でグリード・ドラゴニスを手札に戻す!」

 

咲夜「な…!?」

 

ムラマサ・ドラゴンがバトルフィールドにオオテンタの刀身を突き立てると、地面が割れ、白の光がグリード・ドラゴニスを優しく包む。その光で粒子に変わったグリード・ドラゴニスは咲夜の手札に戻っていった。

 

咲夜「ちぃ!ムラマサ・ドラゴンのダブルシンボルはライフで受ける(手札2→4・ライフ4→2・リザーブ2→6→8)!」

 

大きく上段斬り態勢で、咲夜を守るバリアをムラマサ・ドラゴンの一閃が切り裂く!2つのライフを同時に破壊される痛みは、グリード・ドラゴニスのノーコスト召喚の為にライフを破壊される時の比ではない。

 

重く、魂そのものに乗し掛かる、プレッシャーとは異なる…そんな重さなのである。

 

幸村「ターンエンド!」

 

幸村 ライフ5 手札2 リザーブ0 トラッシュ4 バースト有

 

ムラマサ+オオテンタ レベル1(2(SC))10000 疲労

 

ゼットウ・ドラゴン レベル1(1)7000

 

咲夜「……遊びは、終わりね」

 

幸村「…咲夜、何か言ったか?」

 

咲夜「ええ…言ったわ。貴方を本気で叩き潰す…と」

 

彼女の先程までの優雅で洒落た口調が、荒々しい寒気の走るものに変わり、ゆらぁりと上げた顔と目に「ひっ…!?」と龍虎が思わず声を漏らす。

 

バトルボードに右手を置き、首を右に傾け、その右目は金色の猫のように細い瞳孔。その目から血の涙を流していたのだから…

 

そして彼女は高らかに、静かに、宣言したのだ。

 

「これより…((タイムストップバトル))を開始する…」…と。

 

幸村「タイムストップ…バトル?」

 

咲夜「スタートステップ、コアステップ(リザーブ8→9)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ9→11・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

破欲の滅龍グリード・ドラゴニスを再召喚(手札5→4・リザーブ11→4・トラッシュ0→6)。

 

そして…。貴方を殺す、最強のスピリットを召喚する」

 

咲夜が掲げた1枚のカード。その1枚を見た瞬間、一部のバトラーが覚えた、強大にして凶悪な力。それはまるで自分の心臓を素手で握られたような、於曾ましい感覚。

 

咲夜「グリード・ドラゴニスの効果で赤のシンボル2つを追加。さらに彷皇う天空寺院を疲労し、2コスト払ったものとして扱う。…よって、グリード・ドラゴニスを喰らい、召喚。

 

世界よ…終焉の時はきた。罪を数えよ。罰を数えよ。新たな世界に、咎人(きさまたち)の居場所亡し!

 

降臨せよ…レベル3。断罪(だんざい)の滅龍(めつりゅう)ジャッジメント・ドラゴニス(手札5→4・リザーブ4→0・トラッシュ6→7)!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

赤黒い衝撃波がグリード・ドラゴニスを灰化させ生命を奪う。空間にヒビが走り、それを突き破り、姿を見せる、一匹の白く鎖に前後脚を、首を、翼を縛られた、巨大…否、巨大過ぎる龍。

 

バトルフィールドに降り立つだけで、天変地異を起こしかねぬ程に巨大な姿。他の滅龍と比べ、真逆の色の竜麟が、我々に対し底知れぬ恐怖を掻き立たせる。

 

ツルギ「ジャッジメント・ドラゴニス…!アイツはマズイ!幸村、ソイツは危険過ぎる!」

 

バシン「で、デカイ…!ゼットウ・ドラゴン達の何十倍の身長差だよ…!」

 

ヨク「何なんだコイツは…本当にスピリットなのか…!?」

 

龍虎「断罪の滅龍…ジャッジメント・ドラゴニス…!

 

うっ…!?」

 

その時、龍虎の意識は暗闇の中に消えてしまった…

 

* * *

 

???「オレの世界に入って来るとはな…」

 

龍虎「え…此所は…ッ!?」

 

彼が意識を取り戻した時、其処には見渡す限り白と黒の靄が上に下に対流し続け、混沌に相応しい場所であった。彼はその場所で、自分を見下ろすように立つ、断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスの姿を目の当たりにしたのである。

 

ジャッジメント「咲夜以来だ…オレの世界に入って来れた人間は…。名は何と言う」

 

龍虎「俺は…虹色 龍虎。バトラーだ」

 

「龍虎…か」と暫し無口になったジャッジメント。そして彼は、龍虎にこう語りかける。

 

ジャッジメント「世界に混沌よりも深い、絶望と悪意満ちて、生命滅びし時。運命の申し子の下、6の原初と6の神を束ね、真なる力と優しさで、これを打ち砕き、救世の光とならん」

 

龍虎「え…何、それ…」

 

ジャッジメント「グランロロのスピリット・アルティメット達が語り継いできた、古くからの言葉。

 

覚えておけ…6つの原初と6つの神…。必ずだ…!」

 

* * *

 

龍虎「…い、今のは…?はっ!幸村さん達のバトル!!」

 

バトルフィールド全体が揺れている。ジャッジメント・ドラゴニスの強大過ぎるその力に、悲鳴を上げているかのようだ。

 

霊夢「何よ…このスピリット…!?今までの咲夜のデッキにはこんなスピリット、入って無かった…!!!」

 

魔理沙「ジエンド・ドラゴニスの方が可愛く見える…!」

 

咲夜「アタックステップ!その開始時に、私は滅龍帝ジエンド・ドラゴニスを手札から破棄(手札4→3)。これによりジャッジメント・ドラゴニスはターン中、BP+5000!合計BP21000!!!」

 

トラッシュに落ちたジエンド・ドラゴニスの放つ赤黒いオーラを喰らい、ジャッジメントは更に力を高めてゆく!!!

 

駿太「手札破棄でBPパンプ効果!?」

 

咲夜「断罪せよ!断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス!レベル2からのアタック時効果で、ゼットウ・ドラゴンに(激突)!!!!」

 

眼を付けられたゼットウ・ドラゴンは幸村を守るべく直ぐ様、ジャッジメント・ドラゴニスに立ち向かう。敵の長い首筋に狙いを定めて鋭い爪を立てるが、それよりも速く上空から降ってきた巨大な前脚に容易く押し潰され、爆散する間もない惨い最後を遂げてしまった。

 

幸村「ゼットウ・ドラゴン…!だが、これでアタックステップは終了だ、このターンは凌いだぞ!」

 

「何を言っているのかしら?」彼女の冷たく突き刺さる言葉が、幸村の言葉を刹那に断ち切る。

 

「言ったはずよ」「タイムストップバトルは」「まだ終わりじゃないと」

 

幸村「俺の…ター…ン…!?」

 

幸村は気付く。己に起きた異変に。自分のターンが。始まらない事に。自分の盤面が。動かなくなった事に。

 

咲夜「断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス、レベル3のアタック時効果。ゲーム中に1度だけ、このターンの終わりに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう1度、((自分のターン))を行う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツルギ以外の一同「!?!?!?!?」

 

バトルスピリッツにおいて、ターンが巡らない事。…即ちそれは、受けたプレイヤーの敗北を宣言させる事と同意義。それがエクストラターンと呼ばれる究極に等しい、禁忌たる技。

 

ジャッジメント・ドラゴニス。それは断罪の名を冠する、エクストラターンという禁忌を携えた、冷徹無比の裁定者であり執行者。

 

幸村の時は停止し、咲夜の時は動き続ける。これが彼女の言っていた((タイムストップバトル))の全貌だった。

 

咲夜「貴方の時間は私のもの。私のターンが再び巡る。スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(手札3→4・リザーブ1→8・トラッシュ7→0)、メインステップ。

 

ネクサス、永遠なる神都を配置(手札4→3・リザーブ8→6・トラッシュ0→2)」

 

咲夜の後ろに形成・建造される白石を元に組み立てられた、天を高く突く塔。その周囲を緑の光の帯が漂い、都を守護るがように、淡く幻想的で、どこか恐ろしさを孕んでいるかのよう…

 

咲夜「永遠なる神都の配置時効果発揮。私のトラッシュからコスト8以上の赤のスピリットカード全てを手札に戻す。再び手札に戻れ、グリード・ドラゴニス!ジエンド・ドラゴニス(手札3→5)!

 

そして、ブレイドラと彷皇う天空寺院の効果を使い、滅龍帝ジエンド・ドラゴニスをレベル3で再召喚する!その不足分はジャッジメントをレベル2にダウンして確保(手札5→4→3・リザーブ6→5→0・トラッシュ2→3)!」

 

咲夜のトラッシュに置かれていた2枚のカードが、彼女の手に戻る。そこから橙色の毛並みの小型のドラゴンと、赤黒い暴君が再び降臨。ジエンド、ジャッジメントの吐く荒々しい呼吸は、今すぐに幸村(えもの)を喰らい尽くさんとする、彼等の叫びのようだ。

 

咲夜「バーストをセットし、アタックステップ。断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスの効果発揮、手札に戻したグリード・ドラゴニスを破棄してBP+5000(手札3→2→1)!ブレイドラ行きなさい!」

 

幸村「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ1→2)!ぐぉおおおおお!」

 

ジャッジメントの効果でパワーアップしたブレイドラの火炎放射が黒く染まり、幸村のライフを焼き払う!

 

咲夜「続けジエンド・ドラゴニス!レベル3のアタック時効果でブレイドラを破壊して回復!」

 

ジエンド・ドラゴニスの長い尾がブレイドラを叩き潰し、その亡骸を食い、再び力を満たす。彼の細い目は、幸村のライフのコアを噛み砕き、一瞬で2つの光を奪う!

 

幸村「ぐあああああああ(ライフ4→2・リザーブ2→4)!」

 

龍虎「幸村さん!」

 

環奈「幸村!此所が踏ん張りどころでごじゃる!負けるなぁ!」

 

幸村「ああ…当たり前、だっ!俺のライフ減少によりバースト発動!信玄、力を借りるぞ!

 

バーストマジック、封臨渦斬(ふうりんかざん)!そのバースト効果で相手はスピリット/アルティメットのコア1つをボイドに置かなければ、アタックもブロックも出来ない!」

 

オープンされたカードから紫の於曾魔しい霧が発生し、咲夜のジエンド・ドラゴニスとジャッジメント・ドラゴニスの足元を包み込み、そこから無数に伸びる黒い手がドラゴン達の脚を掴む。

手の主達が暗闇の中、咲夜に囁くのだ。

 

「コアを寄越せ…!コアを寄越せ…!」と。

 

咲夜「欲しいなら貴方達にくれてやるわ…!ジエンド・ドラゴニスのコア1つをボイドに置き、封臨渦斬のバースト効果を解除!ジエンド・ドラゴニスでアタック!」

 

勝利の為、自分のスピリットのコア1つの犠牲さえ厭わない。彼女の強さの1つが、その思いきりの良さ。そして勝負に出る場面での冷徹な選択が出来る精神力。

 

咲夜「貴方のライフは残り2!ブロック出来るスピリットも居ない!これで終わりだ!決めろジエンド・ドラゴニス!」

 

幸村「負けるか!負けてたまるか!俺は最期まで諦めない!フラッシュタイミング!マジック、幻影氷結晶(手札2→1・リザーブ4→3・トラッシュ4→5)!ジエンド・ドラゴニスのアタックで俺のライフは減らされない!」

 

咲夜「……ッ!?」

 

ジエンド・ドラゴニスの鋭い爪持つ渾身の前脚は、幸村の信念のマジックにより展開した白い鏡に威力を完全に殺されてしまい、空を切る。

 

咲夜「…ターンエンド。

 

(私のバーストは相手のスピリット/アルティメットのアタックに反応し、ダブルシンボル以上のスピリット/アルティメットを破壊する天火烈刀斬がある。手札にはリューマン・バルカがある。問題はない)」

 

咲夜 ライフ2 手札1 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ジャッジメント レベル2(2+SC)13000

 

ジエンド レベル3(5)16000 疲労

 

永遠なる神都 レベル1(0)

 

彷皇う天空寺院 レベル1(0) 疲労

 

幸村「(何とかこのターンは凌げたが、次ターンに咲夜のドラゴニス達が暴れれば、今度こそ終わりだ。勝つか負けるか…全てはこの1枚に掛かっている!)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札2→1)、リフレッシュステップ(リザーブ4→9・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

咲夜…このバトル、俺の勝ちだ!」

 

咲夜「あら、それならこの状況をひっくり返してみなさい!出来るものならね!」

 

幸村「やってやる!マジック、陀武竜ドロー!デッキから2枚ドローし、トラッシュから系統:武竜のスピリットカード1枚を手札に戻す!

 

俺が手札加えるカードは…!戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴンだ(手札2→1→3→4・リザーブ9→7・トラッシュ0→2)!」

 

グリード・サンダーにより打ち捨てられ、トラッシュに落ちたカード。それが遂に幸村の元に戻ったのだ!

 

幸村「ムラマサ・ドラゴンにコアを3つ追加してレベル3にアップ!バーストセット(手札4→3・リザーブ7→4)!アタックステップ!」

 

咲夜「ジャッジメントの効果!アタックステップ開始時に、手札のリューマン・バルカを捨てて、ドラゴニス達のBPを+5000!」

 

幸村「構うものか!ムラマサ・ドラゴンのレベル3効果でジャッジメント・ドラゴニスに指定アタック!」

 

再びジャッジメントの効果がドラゴニス達に強大な力を与え、そのBPを押し上げてゆく!だが幸村はそんな状況でも、ムラマサにアタックを命じ、ムラマサもまたオオテンタと共にジャッジメント・ドラゴニスに突撃した!

 

幸村「ムラマサ・ドラゴンのアタック時効果、起導:全色!これが最後だ!Sバースト発動(トラッシュ2→3)!」

 

幸村のバーストカードが開かれ、カードを包む熱い赤の炎!そのエネルギーが満ちる時、炎は赤の龍となり空へと駆け上がり、龍の眼へと姿を変える!

 

幸村「うおおおおおおおお!燃え上がれ!熱き魂の龍よ!あらゆる炎を統べる皇となれ!

 

召喚!戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴン(リザーブ4→3)!!!」

 

赤い炎の眼の周りを舞う、小さな炎の龍達は目の中心部へと吸い寄せられるように結集。

 

炎の中、白い陣羽織を纏い肩と胸、そして手甲に光る銀色の六文銭が輝きながら、肩を護る為に甲冑のような形に変化を遂げた翼。その両手は熱と火炎を用いて産み出した二本の紅蓮の槍を掴み、強き咆哮と共に炎を振り払い、気高い強大な姿をバトルフィールド全てに見せ付ける!

 

龍虎「あれが幸村さんのキーカード…戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴン…!」

 

幸村「戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴンは自分のライフが3以下ならコストを支払わずに召喚出来る。そしてこの時、トラッシュのコア全てをバーニング・ソウルドラゴンの上に置く事が出来る(トラッシュ3→0)!」

 

幸村のトラッシュのコア達がバーニング・ソウルドラゴンの身体に吸い込まれると同時に、彼は二本の槍を合体させ、一本の巨大な槍へ変える。それだけではない。己の荒ぶる龍の魂を槍へ流し入れ、槍刃を三本に変形させたのだ!

 

バーニング・ソウルドラゴン レベル2(3+SC)11000

 

咲夜「今さら何が出て来ようが、ムラマサ・ドラゴンの破壊は免れはしない!」

 

ジャッジメントの放つ無数で巨大な黒炎弾の雨を縫い、オオテンタを振るい、戦うムラマサ。屈強な前脚と幾度となく打ち合い続けるが、やがて劣勢に追い込まれ、オオテンタを上空に飛ばされ、防御が薄くなった胴体を食い千切られ、大爆散。

 

ムラマサが握ったオオテンタは宙に舞いながら、幸村のフィールドに突き刺さる。

 

咲夜「諦めろ!貴方に勝機は無い!」

 

幸村「俺は絶対に諦めない!いけぇバーニング・ソウルドラゴン!」

 

幸村の声にバーニング・ソウルドラゴンは槍を振るい、咲夜…ではなく、ジエンドとジャッジメントの2体のドラゴニスに向かってゆくではないか!?

 

幸村「龍皇の!俺の魂の炎を見せてやる!バーニング・ソウルドラゴンのアタック時効果、((真・連刃))発揮!!!ソウルコアをトラッシュに置く事で、相手のスピリット/アルティメット2体を指定アタック出来る効果だ(トラッシュ0→1)!

 

勝負だ!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス!断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス!」

 

赤のオーラを纏い、槍刃から2つの炎の斬撃を飛ばしたバーニング・ソウルドラゴン。その斬撃に当たった2体のドラゴニスは、眼を赤に燃やしながら突撃する!

 

咲夜「2体に同時アタック…!?でも、此方のドラゴニス達のBPが、バーニング・ソウルドラゴンのBPよりも上!」

 

そう、今のドラゴニス達のBPにバーニング・ソウルドラゴンのBPは届いていない。このままドラゴニス達に

食い千切られてしまうのか!?

 

幸村「フラッシュタイミング!マジック、烈火槍激破(れっかそうげきは)!地神刀オオテンタの上にあるコア1個とリザーブの3個をコストに使用(リザーブ3→0・トラッシュ1→5)!

 

地神刀オオテンタを回復させ、バーニング・ソウルドラゴンと合体(ブレイブ)!さらにトラッシュのコア全てをバーニング・ソウルドラゴンの上に置き、レベル4にアップさせる(トラッシュ5→0)!」

 

白の炎を纏い、オオテンタが空中を回転しながらドラゴニス達と、バーニング・ソウルドラゴンの合間を縫う!オオテンタを眼で捉え、柄をガッチリと掴み、バーニング・ソウルドラゴンはオオテンタと合体(ブレイブ)し、トラッシュのコア全てを吸収、己の最終到達点へと至ったのだ!

 

バニソ+オオテンタ レベル4(11+SC)39000

 

咲夜「BP…39000!!!(アタック時効果が処理し終わった後のフラッシュタイミングだから、天火烈刀斬の発動も逃してしまった…!)」

 

幸村「おおおおお!燃えろ俺の魂!燃えろ!バーニング・ソウルドラゴン!!!」

 

紅白の炎と共に舞い、バーニング・ソウルドラゴンは戦場を駆ける。ジエンド・ドラゴニスの黒炎放射に対し、彼は槍刃に炎を帯びさせ、高速回転で火炎旋風を起こして凪ぎ払い、オオテンタを爆炎の中で投擲。ジエンドの脳天を砕き割り破壊すると、すかさず回収してジャッジメントに接近!

 

迫り来るバーニング・ソウルドラゴンをジャッジメントは翼から産み出した魔方陣で、黒炎と黒雷の物量的重量砲撃を放ち、絶対に近付けさせない体勢を取る。

 

だが、バーニング・ソウルドラゴンは怖じ気づく事も、退くこともせず、己の愛槍とオオテンタで炎も雷も、真っ向から全て斬り伏せ、炎を纏い一匹の龍となりて、ジャッジメントの逆鱗を穿ち、爆散させたのだった!

 

幸村「真・連刃の効果で破壊/消滅した相手のスピリット/アルティメット1体に付き、ライフを1つ破壊!これで終わりだぁ!」

 

バーニング・ソウルドラゴンの槍とオオテンタの斬撃が咲夜の残り2つライフを砕き、此所に二人のバトルが決着したのである!

 

* * *

 

幸村「咲夜!」

 

咲夜「…来ないで」

 

幸村「!」

 

差し伸べられた幸村の手を、彼女は弾いて、よろよろと立ち上がり右目を押さえ、その場を去る。

 

「次は、…次は負けない。…負けるつもりはない」そう言葉を残して…

 

紫「はぁい!次の対戦いきましょ、誰がやるのー?」

 

萃香「ハイハイ!じゃあ私がやる~!ツルギ少年、やろうぜやろうぜ!」

 

1つのバトルが終わり、また新たなバトルが始まりの時を刻み始める…果たしてどのような戦いが我々を待つのか!?

 

次回、ツルギvs萃香戦…開幕!




第6話、終わりました…まじで眠い…

幸村「咲夜の奴、何か様子がおかしかったように見えたが…あれは大丈夫なのか?」

ん~…ちょっとどころか大丈夫では無いですね。

幸村「おいおい…」

まぁ何で彼女がああなったのかは、後々語られる事になります。あと幸村さんには、新章突入前の第一章ラストバトルで龍虎君と戦って貰います。

幸村「俺がトラとか?」

はい。このバトルは龍虎君にとっては((真の切札))を使えるようにする為に、避けては通れぬ、必須イベントって奴っす。

幸村「…分かった。ところでグリード・ドラゴニスの事だが、オリカなのか?」

はい。破欲の滅龍グリード・ドラゴニスですね

破欲の滅龍グリード・ドラゴニス 系統:滅龍
赤8(6) 赤

レベル1(1)10000
レベル2(4)13000

手札のこのスピリットカードは、効果で相手の手札が増えた時、自分のライフのコア1つをこのスピリットに置く事で召喚出来る

レベル1,2(自分のメインステップ)手札/手元の系統:滅龍を召喚する時、このスピリットに赤のシンボルを2つ追加する
レベル1,2(自分のアタックステップ)系統:滅龍を持つ自分のスピリット全ては、相手のスピリット/アルティメット1体を指定しアタック出来る。この時、指定した相手のスピリット/アルティメットのコストが4以下ならターンに1度だけ疲労しない
レベル2(このスピリットの破壊/消滅時)自分のトラッシュと手札から(破欲の滅龍グリード・ドラゴニス)以外の系統:滅龍を持つスピリット1体ずつをコストを支払わずに召喚出来る

幸村「ライフ1つを犠牲にするが、序盤に出せれば確かに強いスピリットだな。おまけにレベル2効果が決まれば、ジエンドやジャッジメントを再利用出来る」

リューマン・バルカとかの滅龍サポートに新たな一役を買えるスピリットをコンセプトにしました。滅龍組は高いBP持ちが多いので、アルティメットにも張り合えなくもないのから相性も良いかと。

では次回予告!五戦目は伊吹 萃香とツルギ・タテワキのバトルが勃発!ツルギの強化と連鎖に、萃香の圧倒的なパワーが真っ向からぶつかりあう!果たして勝者は!?

次回、東方激闘魂 第7話!ツルギvs萃香!光と闇と激突パワー!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第7話 ツルギvs萃香!光と闇と激突パワー!

これまでのあらすじ!

某街に住むバトルスピリッツ大好きカードバトラー、虹色 龍虎。

ある日のバトスピ大会終え、帰路に立った彼は、謎の声に導かれ、マグナこと六絶神 剛力のドラグマグナとの会合を果たす。そしてマグナを追う八雲 紫によって忘却の楽園、幻想郷へと強制連行されてしまう。

其処で出逢ったのはなんと!幾戦の戦いを勝ち抜き、英雄と呼ばれた伝説のバトラー達が!彼等と龍虎は、幻想郷に迫る崩壊を止めるべく集められた、最強の精鋭達。

果たして彼等は幻想郷を守れるのか!?

龍虎「…此処までの大体のあらすじだな」

弾「そうだな。ちなみに幻想郷に最初に着いたのは一番星のレイで、次がトッパ。俺は三番目、レイのアルティメットを初めて見た時は、全身がゾクゾクしたな」

龍虎「強いですものねーアルティメット」

まぁこんな感じです。今回も誤字や脱字、ルールミス等が含まれているかもしれません。そのときは御指摘よろしくお願いいたします。


ツルギ「よし、バトスピやるべーし!」

 

彼がポケットから赤い長方形型のカードサイズの板を掲げると、白と銀色、赤の鎧が装着され、ライフカウンターはブースター付きサーフボードに変わり、ツルギはそれに乗り、宙に浮いた。

 

これが彼の世界で行われるバトルスピリッツに用いられる、バトルアーマーである。

 

萃香「おおう♪元気が有り余ってるって奴だな?良いね良いね!そうゆう奴と戦いたかったんだよ~!」

 

対する萃香はバトルアーマーを着ける事なく、余裕綽々の上機嫌に瓢箪の酒で喉を潤す。自分達の種族…鬼は頑丈だと言ってはいたが、いざ向かい合うと一縷の不安が過る。

 

ツルギ「良いか、初めても?」

 

萃香「ん、オーケー!始めようや!」

 

二人「ゲートオープン、界放!」

 

* * *

 

萃香「スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

なーにもなーし!ターンエンドだ、さぁこいやツルギ少年!」

 

萃香 ライフ5 手札5 リザーブ4 トラッシュ0

 

龍虎「萃香さん、何もしないの!?」

 

魔理沙「ああ。萃香はいつもアレなんだ」

 

霊夢「まぁ最初のターンを常にドローゴーしてるから、私達からすれば通常運転なのよね」

 

環奈「手札が最高の状態でもか?確かに相手には牽制…。単的に揺さぶりは掛けられるやも知れぬが、拙者にはそこまでして、ドローゴーに拘る理由が全く分からぬ…」

 

霊夢「まぁ良いじゃない?バトラーそれぞれの戦い方って事でさ」

 

ツルギ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ライトブレイドラとグローリー・ガードラーをレベル2で召喚(手札5→4→3・リザーブ5→2→0)!」

 

ツルギのフィールドに銀色のブレイドラと緑色の皮膜の翼と赤いルビー輝く小型のドラゴンが現れる。

 

ツルギ「よぉし…、バーストセット(手札3→2)!アタックステップ!グローリー・ガードラーでアタック!アタック時効果でBP+2000!BP4000でアタック!」

 

萃香「お!早速きたね!ライフを受け取りな(ライフ5→4・リザーブ4→5)!」

 

グローリーの小さな槍が迫り、彼女はなんと真っ正面から、牙突を受け止めたのだ!その鋒が彼女の胸部に刺さるが、貫通どころか皮膚さえ傷付かない。彼女はまるで、鋼鉄の身体を手に入れているかのよう…

 

ツルギ「ライトブレイドラもいくべーし!」

 

萃香「よしライフだ!ライフを持ってけや(ライフ4→3・リザーブ5→6)!」

 

ライトブレイドラの跳躍頭突きを腕交差で受け、気合いと腕力でそれを跳ね返す萃香。これが鬼という、元来より戦いに長けた種族の力なのだろう。

 

ツルギ「ターンエンドだ!」

 

ツルギ ライフ5 手札2 リザーブ0 トラッシュ0 バースト有

 

ライトブレイドラ レベル2(2+SC)2000 疲労

 

グローリー・ガードラー レベル2(2)2000 疲労

 

萃香「よしよし。スタートステップ、コアステップ(リザーブ6→7)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ、メインステップ!

 

先ずはコイツからだねぇ!こいや、麗武将(れいぶしょう)ヒョウジン・ドラゴンをレベル2召喚(手札6→5・リザーブ7→0・トラッシュ0→4)!」

 

萃香が繰り出したのは、赤の陣羽織の鎧を纏い青の龍麟が栄える竜人型のスピリット。面構えも体格も中々の、人間で言うならイケメンである。

 

幸村「萃香は俺と同じ武竜か」

 

早苗「いいえ、違いますね。彼女のデッキは正確に言うならば((真剣一騎打ち))…と言うべきでしょう」

 

ハジメ「真剣…一騎打ち?」

 

早苗が口にした真剣一騎打ち。その言葉には一体どんな意味が込められているのか?

 

萃香「アタックステップ…は何にもしないよ。ほい、ターンエンド。少年よー君のターンだ」

 

赤デッキらしからぬ、あまりにも静かな状況が不穏な空気を作り出す。ツルギも萃香の言動と挙動に注意を張り、自分の手札とバースト、スピリット達を見てゆく。

 

萃香 ライフ3 手札5 リザーブ0 トラッシュ4

 

ヒョウジン・ドラゴン レベル2(2+SC)7000

 

龍虎「幸村さん、ちょっと不味い気がしません?」

 

幸村「奇遇だな、俺もそんな予感がしてた」

 

ツルギ「スタートステ」

 

萃香「ヒョウジン・ドラゴンの効果、一騎打発揮!!!」

 

彼女の宣言と同時に、ヒョウジン・ドラゴン達をバトスピのカード思わせる戦旗(いくさばた)が囲み、何処からともなく法螺貝の音色が響き渡る!

 

ツルギ「な、何!?一騎打!?何だよこれ…!」

 

萃香「おおう、少年は知らないみたいだねぇ。私のヒョウジンの一騎打は、相手のスタートステップ開始時に、お互いがスピリットを1体選んでBPを比べるのさ。

 

私はヒョウジンしかいないから、少年はグローリーかライトブレイドラから1体選んでくれー」

 

ツルギ「…?えっと、じゃあ…グローリー・ガードラーを選択…」

 

萃香「キタキタキタキタ!きたあああああああああああああ!一騎打発動、ヒョウジン・ドラゴン!グローリーをやっちゃって!」

 

グローリーとヒョウジンが前に躍り出て、互いに手持ちの武器と共に、時代劇のチャンバラシーンが如し、緊迫した斬り合い。その果てに、ヒョウジンの刀がグローリー・ガードラーの胸を刺し貫き、破壊する。

 

ツルギ「破壊された…ッ!?」

 

その刹那、ツルギの手札にあったカードが赤い光を放つ。一体何が起きたのか!?

 

萃香「言い忘れてだけどヒョウジンが一騎打の効果で相手スピリットに勝利したら、少年はコスト4以下のスピリット/アルティメット/ブレイブの召喚が出来なくなるよ~ん」

 

ツルギ「んな…!?」

 

絶句、唖然、そして動揺。当たり前だ、自分のスピリットが気付かぬうちに破壊されただけでなく、召喚制限まで掛けられたのだから。

 

幸村「一騎打の厄介な所だ。アタックステップを経由せずに相手を破壊出来るだけじゃなく、破壊時の効果も発揮出来ない。BP勝負は武竜の十八番だからな」

 

魔理沙「んで、気付いたらこっちはボロクソに食い散らかされ、挙句あっちは大軍勢。萃香を相手にするなら初動で決めなきゃな」

 

龍虎「てことは速攻戦か…?」

 

魔理沙「んにゃ、アイツを倒すならアイツの手札破壊とライフ速攻奪取。それを両立するつもりでやんなきゃ無理さ。闘牛みたく簡単に止まらないんだよ」

 

駿太「…ドラゴニック・タウラス、なのか?確かに似てなくないかも…?」

 

歪に曲がった二本の角が長く生きた野牛の如し。確かに体格等を無視して角のみに注目すれば、牛に見えなくはない。

 

萃香「ほれほれ、どうした~考え中か~?」

 

ツルギ「こんのぉ…!コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ、メインステップ!

 

このままアタックステップ!ライトブレイドラでアタック!」

 

何を狂ったか、ツルギはヒョウジン・ドラゴンと圧倒的なBP差の開いたライトブレイドラに、アタックを指示!これは判断ミスか!?

 

萃香「おお!バトルしに来たかい?なら受けて立つよ、ヒョウジン・ドラゴンでブロック!!」

 

ライトブレイドラに吼え、赤く燃える刀を構えてライトブレイドラに突進するヒョウジン・ドラゴン!

 

ツルギ「かかった!フラッシュタイミングでマジック、ソウルオーラを使う(手札3→2・リザーブ3→1・トラッシュ0→2)!このターンの間、俺のスピリット全てのBPを+3000!ソウルコアが乗っているスピリットは更にBPが+3000!今のライトブレイドラのBPは8000だ!」

 

だが、ツルギも無闇にアタックしにいった訳ではなかった!BPの低さを逆に利用し、相手のブロックを誘い、マジックのカウンターを叩き付ける!

 

ソウルオーラの光が突撃中のライトブレイドラを包み、翼は炎を纏わせ、更なる加速をもたらし、流星の一閃のようにヒョウジン・ドラゴンを貫き、破壊したのだ!

 

萃香「おおう、やるじゃないか!私のスピリットが破壊されない慢心を突いた、中々良いパンチだよ!」

 

ツルギ「へっ、どんなもんだ!ターンエンド!」

 

ツルギ ライフ5 手札2 リザーブ1 トラッシュ2 バースト有

 

ライトブレイドラ レベル2(2+SC)2000 疲労

 

萃香「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ4→8・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

じゃあ次は、コイツかな?私の切札…みせたげる」

 

ツルギ「…!」

 

にぃ…と無邪気な。心底無邪気な笑みを浮かべて、彼女は1枚のカードを翳す。

 

萃香「私の切札。ネクサス、退路無き決戦道(けっせんみち)をソウルコアをコストと共に支払って配置(手札6→5・リザーブ8→0・トラッシュ0→8)!」

 

彼女が配置したネクサス、退路無き決戦道。それは配置と同時に二人の周囲に高い針樹林が囲み、何人たりとも侵入を赦さず、二人のバトルフィールドの中間には左右を崖とする細い一本道。まさにネクサスの名前と同じ状況になった。

 

ツルギ「何だよこれ…!?」

 

萃香「知らないようだからね。ちゃんと教えとくよ。このネクサス、退路無き決戦道。そのレベル1の効果は、お互いのターンで、互いにスピリット1体でしかアタック出来なくなる。そしてこのネクサスはレベル2効果…

 

お互いのターン中、コイツにソウルコアが置かれた状態で自分/相手のスピリットがBP勝負でスピリットを破壊したら、手札の(激突)/(真・激突)持ちスピリット1体をコストを支払わずに召喚出来るんだ。面白いだろ?」

 

面白いだろ?等と簡単に言ってはいるが、それは一騎打等のBP勝負に勝てば、スピリットを確実に召喚される事と同じなのだ。だが強力な反面、その効果は相手にも及ぶ為、リスクを承知で率先して使おうとする物好きはそうそういない。彼女…伊吹 萃香を除いては。

 

萃香「バーストセット(手札5→4)、じゃターンエンド!かかっておいでよ少年!」

 

萃香 ライフ3 手札4 リザーブ0 トラッシュ8 バースト有

 

退路無き決戦道 レベル1(0)

 

龍虎「何ですか…あのネクサス」

 

チルノ「アタックせーげん、スピリットしょーかん、8個もコア使わなきゃ配置出来ない。重いカード」

 

龍虎「え、じゃあ配置しても即座に除去されたら?あまりにも効率が悪い気も…」

 

美鈴「ちなみにあのネクサス、ソウルコアを使えば次の自分のターンまで相手からの一切の効果を受けませんよ?」

 

明かされた衝撃の効果。コスト8にしては割に釣り合わないと思っていたところに、突如として襲い掛かる完全耐性。赤のネクサスにしては中々やるようだ。というよりも、完全耐性は白の特権の筈だ。

 

ならば何故?その答えはあまりにも簡単に印されていた。このネクサスのシンボル…赤と紫と、そして白の3色によって出来ていたのだから。

 

龍虎「3色シンボルネクサスなんてあり!?」

 

バシン「マジで!?フツーネクサスのシンボルって1つだろ!?」

 

弾「やはりこの世界のバトスピは違っているようだ」

 

環奈「多色のシンボルネクサスは幾つか有れども、シンボル3つのネクサスは前例にない…!」

 

ツルギ「スタートステップ!いくら3色のシンボルを持ってようと、俺のやることは変わらない!コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ!

 

ヒョウジン・ドラゴンの効果は切れた!ライトブレイドラとダーク・ディノニクソーを召喚(手札3→2→1・リザーブ4→3→2)!」

 

ツルギは2体目のライトブレイドラに加え、体を丸鋸(まるのこ)と合体した黒いスピリット、ダーク・ディノニクソーを呼び出す。

 

ツルギ「(ここは少しでも手札を増やす!)マジック、チャージドロー(手札1→0・リザーブ2→0・トラッシュ0→2)!効果で2枚ドローし、デッキから2枚確認して、その中の(強化(チャージ))を持つスピリット/ブレイブ全てを手札に加える!」

 

ツルギはここで手札増強マジックを使用に踏み切る。萃香が展開したネクサスの効果で1度しかアタック出来ない。ならば、今自分に出来るのは、盤面を出来るだけ強化して相手の出方を伺う事にしたのだ。

 

チャージドローの効果で手札を2枚増やし、カードを2枚確認する。オープンされたカードは、光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アークと輝龍シャイニング・ドラゴン。

 

ツルギ「しゃあ!シャイニング・ドラゴン・アークとシャイニング・ドラゴンを手札に(手札0→2→4)!ライトブレイドラのレベルを1に下げて、変わりにダーク・ディノニクソーをレベルアップ!残ったコアでマジック、スターリードローで、デッキから3枚カードを見て系統:(光導)/(星魂)/(星竜)を持つスピリット全てを手札に加えて、残ったカードを破棄する(手札4→3・トラッシュ2→3)!」

 

立て続けにツルギはマジックで手札を増やしに掛かる。彼のデッキが3枚オープンされ、輝竜シャイン・ブレイザー、賢龍ケイローン、黄昏の暗黒銀河が提示される。

 

ツルギ「シャイン・ブレイザーを手札に加えて、残りは破棄(手札3→4)!今の内にライフを削る!いけ、ダーク・ディノニクソー!」

 

萃香「ライフを持ってけ(ライフ3→2・リザーブ0→1)!」

 

ディノニクソーが取り込んだ丸鋸の、高速回転斬撃が萃香の服を切り裂き、皮膚を傷付ける。しかし彼女はディノニクソーの脇腹をリバーブローで退け、ピンピンしている…。

 

当然の事ながら出血は愚か、アザさえ出来ていない。ある意味スピリットより恐ろしいのではなかろうか?

 

ツルギ「退路無き決戦道の効果で、アタック出来るスピリットは1体だけ。ターンエンド」

 

ツルギ ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ライトブレイドラ レベル1(1)1000 ×2

 

ダーク・ディノニクソー レベル2(1+SC)4000 疲労

 

萃香「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→10・トラッシュ8→0)、メインステップ。

 

私の相棒の到着みたいだねぇ!でも先ずは、戦竜エルギニアスを召喚(手札5→4・リザーブ10→9)」

 

彼女は自分の場に、青い鎧纏う小さな牡牛のスピリット、エルギニアスを呼び出す。エルギニアスは自身のレベルに関係なく、自身を青そして赤としても扱う力を持つ。

 

「そしてきなぁ!凪ぎ払え、星をも砕く竜の一撃!召!喚!龍星皇メテオヴルム、レベル2(手札4→3・リザーブ9→1・トラッシュ0→5)!」

 

天から降り注ぐ無数の流星。その一つが空中で砕け、その中から、炎を纏う全身に数多の傷を背負う龍が現れた。その傷は死の淵に至る程の戦いと、敵に打ち勝った勇者の証。呼吸の一つ一つがバトルフィールドの大気を震わせ、ツルギへ威圧と威嚇のメッセージを送っている…。

 

弾「メテオヴルム…」

 

早苗「確か貴方のかつてのキースピリットでしたよね。メテオヴルムといえば」

 

龍虎「知っているのですか?」

 

早苗「知ってるも何も…有名ですよ。それより…貴方の名前、何処かで聞き覚えが…」

 

ジリジリと龍虎に迫り寄る早苗。その顔は誰かの名前や顔を思い出そうとする時の顔である。

 

萃香「リザーブのソウルコアを、決戦道に置いてレベルアップ(リザーブ1→0)!アタックステップ、いっけぇメテオヴルム!ライトブレイドラに激突!このアタック、可能ならブロックして貰うよッ!!」

 

ツルギ「ライトブレイドラでブロック!」

 

言うが早いか、萃香はメテオヴルムでのアタックを敢行し、メテオヴルムもそれに答え、ライトブレイドラに飛び掛かる!ライトブレイドラも先程、ヒョウジン・ドラゴンを迎撃時同様に炎を纏い突進。

メテオヴルムもまた、翼で体を包み、さらに加速し空気抵抗により生まれた炎を纏い、ライトブレイドラに激突する!

 

流星のように一瞬の戦いは、BPで勝るメテオヴルムに軍配が上がり、ライトブレイドラは爆散。同時に彼女のネクサス、退路無き決戦道の効果で他のスピリットはアタック出来なくなった。

 

が…まだネクサスにはレベル2効果がある。メテオヴルムがBP勝負で勝った事による、(激突)/(真・激突)持ちスピリット1体のノーコスト召喚効果が。

 

萃香「決戦道の効果で、私の手札からヒエンドラゴンを召喚(手札3→2)!維持コストをネクサスのソウルコアで確保する!」

 

萃香が召喚したスピリットは、全身を紫の甲冑で武装した竜。だがその姿色は何処と無く鴉に近いものがある。

 

萃香「ヒエンドラゴンの効果で、ソウルコアがコイツに置かれている間は、自分の系統:武竜スピリット全てのBPを+4000出来る。これでターンエンド」

 

萃香 ライフ2 手札2 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

ヒエンドラゴン レベル1(SC)7000

 

エルギニアス レベル1(1)1000

 

メテオヴルム レベル2(3)7000 疲労

 

退路無き決戦道 レベル1(0)

 

ツルギ「(このままじゃメテオヴルムで壊滅する…!この状況を打破しなくちゃ!)スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

よし!いくぞ萃香!」

 

萃香「おお、なんだなんだ?」

 

ツルギの瞳…左目に赤い剣の紋章が浮かび上がり、彼のバトルアーマーは先程の白とは真逆の黒に変化する。

 

ツルギ「闇に吼えろ!真紅の巨獣!闇龍ダーク・ティラノザウラー!レベル2で召喚!そのコストをダーク・ディノニクソーから確保、よって消滅させる(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ0→4)!」

 

大地が幾重にも裂け割れて、地飛沫と砂埃が巻き上がる。その中から、長く巨大な尾がゆらりとうねり、どっしりと二本の脚が大地を踏み締め、黒いティラノサウルス型のスピリットが、雄叫びを上げる!

 

ツルギ「アタックステップ!ダーク・ティラノザウラーのレベル2効果で、系統:地竜を持つスピリット全てをBP+3000!ダーク・ティラノザウラーでアタック!アタック時効果でこのスピリットのBP以下のスピリット1体を破壊!龍星皇メテオヴルムを破壊だ!」

 

ダーク・ティラノザウラーの背に刺さる六つの巨大な刺、その内の二本が分離し、某ロボットアニメの新人類専用誘導兵器(フィン・ファンネル)めいて飛翔し、メテオヴルムに迫る!

 

メテオヴルムは前脚で二本の刺を弾き、躱わし、ティラノザウラーに流星のように迫るが、刺に先回りされ左右から突き刺されて破壊!

 

萃香「相棒!やってくれたね…仇は取るよ、ライフだッ(ライフ2→1・リザーブ0→1)!」

 

ティラノザウラーの口から巨大火炎弾が産み出され、彼は萃香に接近、超至近距離で撃ち放って、彼女を爆撃したのだ!

 

萃香「あち、あちあち!ライフ減少でバースト発動、絶甲氷盾!言わずと知れたその効果でライフを一つ回復(ライフ1→2)!そして決戦道の効果で、他のスピリットはアタック出来ない!」

 

天から降り注ぐ優しい白の光が、萃香の裂けた衣服を直してゆく。同時に決戦道から放たれるプレッシャーが、ライトブレイドラを凄ませ、追撃を許さない。

 

ツルギ「ターンエンド!」

 

ツルギ ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

ダーク・ティラノザウラー レベル2(2+SC)7000 疲労

 

ライトブレイドラ レベル1(1)1000

 

萃香「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ5→10・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

大刀武将(だいとうぶしょう)ザンゲキドラゴンをレベル2で召喚(手札3→2・リザーブ10→5・トラッシュ0→3)!」

 

彼女が召喚したのは、黒い龍膚に赤の武具、巨大剣(バスターソード)並の刀身を構え持つ、新たな武竜のスピリット。武将と名乗るだけあり、刀を支えるその巨体は筋骨隆々である。

 

萃香「まだまだ!手札からマジック、リバイブドロー!トラッシュから私の相棒、龍星皇メテオヴルムを手札に帰還させる(手札2→1→2・リザーブ5→2・トラッシュ3→6)!」

 

赤のマジック、リバイブドローは赤の4コストドローマジックの1枚であり、他のカードとは違いバースト効果等を持たない反面、トラッシュからのカード回収効果を持ち合わせたカードである。ここぞと言うタイミングでスピリットを戻せるので、差別化も可能だ。

 

萃香「お帰りメテオヴルム!リザーブのコアを1つ、ヒエンドラゴンに乗せて、レベル2に(リザーブ2→1)。ターンエンドだ!」

 

萃香 ライフ2 手札2 リザーブ2 トラッシュ6 バースト有

 

ザンゲキドラゴン レベル2(2)12000

 

ヒエンドラゴン レベル2(1+SC)8000

 

エルギニアス レベル1(1)1000

 

ツルギ「…一つ良いか?」

 

萃香「なんだい少年」

 

ツルギ「ザンゲキドラゴンは一騎打を持っているか?」

 

彼の質問に萃香は首を縦に振って、答えを出す。

 

萃香「ザンゲキドラゴンはヒョウジンの一騎打は違って、レベル2から発揮される。効果は私のライフが3以下の時に一騎打でスピリットを破壊出来れば、少年のライフを1つ破壊出来るんだ」

 

ツルギ「分かった。スタートステップで、ライトブレイドラを選択する」

 

萃香「オーケー、私はザンゲキドラゴンを指定。一騎打だ!」

 

バトスピカードの戦旗翻し、ザンゲキドラゴンとライトブレイドラを囲む。じりり…と静寂の後に、ザンゲキドラゴンの上段唐竹割が炸裂!ライトブレイドラを爆散させ、その衝撃がツルギを守るライフを1つ切り裂く!

 

ツルギ「ぐっうう(ライフ5→4・リザーブ1→2)!?…でも、ライフ減少で、俺のバーストが発動!エクリプス・ドラゴン!バースト召喚(リザーブ2→1)!」

 

ツルギの砕かれたライフの光から、青の炎が生まれ一つに収束してゆく。其処から揺らめく靄のような翼広げ、青い巨体の四足歩行のドラゴンが、ツルギの前に降り立った。

 

ツルギ「くぅうううう!俺初めてのバースト召喚!テンションマァクスッ!!!コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→7・トラッシュ5→0)、メインステップ!

 

バーストセット(手札5→4)!そして今こそお前の出番だ!」

 

ツルギの右目に先程と同じ剣の紋章が浮かび上がり、黒いバトルアーマーは白へと再び変化を遂げる!

 

ツルギ「闇を照らせ、光の翼!輝龍シャイニング・ドラゴン!レベル2で召喚(手札4→3・リザーブ7→0・トラッシュ0→4)!」

 

天に赤い輝きが満ちて、羽ばたく煌めきの翼と共に銀の装甲纏うドラゴンが彼の周りを一周し、着地し咆哮する。

 

シャイニング・ドラゴン…、彼が光のソードアイズとして使命を背負った時に、機械の付き人が彼に託してくれたデッキのエース。

ダーク・ティラノザウラー…、敵対する陣営から世界を見つめる為に、そして兄を超える為に手に入れたデッキのエース。

 

光と闇。異なる2つの力を束ね、世界を救った少年を支えてきた2体のドラゴン達だ。

 

龍虎「すげぇ!2体の、しかも光と闇の龍が揃うなんて!」

 

ツルギ「シャイニング・ドラゴンの召喚時効果!手札から輝竜シャイン・ブレイザーをノーコスト召喚だ(手札3→2)!」

 

シャイニング・ドラゴンに導かれるように、天から白い翼持つ機械の竜が現れた。それは弾と龍虎が、ツルギのデッキから失われた二本のソードブレイブに変わる、新たな戦力として薦めたカードでもある。

 

萃香「ほぉ~ブレイブのノーコスト召喚が出来るのか、やるじゃないか!」

 

ツルギ「まだまだ!そのまま輝竜シャイン・ブレイザーを闇龍ダーク・ティラノザウラーへ直接合体(ダイレクトブレイブ)だ!」

 

シャイン・ブレイザーが飛翔し、自身の胴体と翼を分離。そこに走ってきたダーク・ティラノザウラーの胴体に左右から翼を合体させ、咆哮を挙げる!

 

ティラノザウラー+ブレイザー レベル2(2+SC)7000+5000=12000

 

ツルギ「アタックステップ!ダーク・ティラノザウラーの効果でBP+3000!BP15000で合体(ブレイブ)アタック!アタック時効果で、ザンゲキドラゴンを破壊だ!」

 

シャイン・ブレイザーと合体した事で、飛翔能力を得たダーク・ティラノザウラーは、上空からザンゲキドラゴンに襲い掛かる!その巨体をザンゲキドラゴンは巨大剣で受け止め、怪力じみた力で弾き飛ばし、鍔迫り合いに持ち込む。互角…と思われたが、不意にティラノザウラーの尾がザンゲキドラゴンの脚を絡め取り、体勢を崩し、白の光を交ぜた黒炎弾を叩き突けて破壊する!

 

そしてその火炎弾は萃香を直撃し、ライフを1つ奪う!一体何が起きたのか!?

 

萃香「けほっ、けほっほ!…成程ねぇ。シャイン・ブレイザーの合体攻撃時効果で、BP8000以上のザンゲキドラゴンを破壊したから私のライフを1個破壊したって奴か(ライフ2→1・リザーブ4→5)。

 

けどね…」

 

萃香のバーストが解き放たれ、空に昇る赤い閃光。その光は一匹の龍に変わり、ダンクーガの最強兵装・断空砲を思わせる炎となってダーク・ティラノザウラーに降り注ぎ爆散させた!

 

ツルギ「ティラノザウラー!?このバースト効果って…ジャスティスの!!」

 

ハジメ「チャンピオンのキースピリットのバースト効果!!」

 

二人の言う、このバースト効果。それはあるスピリットの効果である。勘の良い方々ならば、このスピリットを既に御存知であろう。

 

萃香「さぁこい!猛き龍の長!龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード!私のライフ減少でライフが3以下なら、BP15000以下のスピリット1体を破壊してノーコスト召喚だ(リザーブ5→4)!」

 

天空覆う雲を貫き、灰色の皮膚と首には赤い炎の鱗が特徴的な龍。それは古き龍の一族…ジークフリードの名を持つ者達の共通因子。空から降り立った龍は合掌し、炎を錬成し一振りの剣を創り、振り抜いて構えた!

 

ツルギ「やられた…!シャイン・ブレイザーのアタックは中止する!…ターンエンド」

 

ツルギ ライフ 手札4 リザーブ3(SC) トラッシュ4 バースト有

 

輝竜シャイン・ブレイザー レベル1(1)5000 疲労

 

輝龍シャイニング・ドラゴン レベル1(1)5000

 

エクリプス・ドラゴン レベル1(1)4000

 

萃香「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ5→11・トラッシュ6→5)、メインステップ。

 

ジーク・ヤマト・フリードをレベル3にアップ(リザーブ11→7)!さらにヒエンドラゴンのソウルコアをリザーブのコアと交換して、イグア・バギー(リバイバル)をソウルコアを乗せてレベル2で召喚(手札3→2・リザーブ7→4)!」

 

萃香が召喚したのは、鼠のような尻尾と頭部に付いた二本の丸型ライトが特徴の四輪バギーのスピリット。

 

萃香「マジック、フェイタルドロー。私のライフが2以下だから、デッキから3枚ドロー(手札2→1→4・リザーブ4→2・トラッシュ0→2)!

 

そしてぇ!ネクサス、戴冠(たいかん)する活火山(リバイバル)を配置する(手札4→3・リザーブ2→0・トラッシュ2→4)!」

 

彼女の後ろに顕現したのは、爆炎を吹き上げ続け、火山灰に含まれる鉱石と流れるマグマが染める巨大な山。その光景は圧巻の一言、まるで自然の作り出した煌びやかな冠のようだ。

 

萃香「戴冠する活火山の配置時効果!((星座封印))!!!イグア・バギーのソウルコアを私のライフに((封印))する(ライフ1→2)!」

 

一同「!?」

 

イグア・バギーのソウルコアが粒子となり、萃香の体に吸い込まれる。溢れ、みなぎるその力が、彼女の髪を逆立たせ、某戦闘民族の様に見せていた。

 

駿太「星座封印!?ネクサスの効果で封印を行える効果なのか!?」

 

萃香「その通りさ。何せこのカードはアイツの為でも有るからねぇ」

 

ツルギ「アイツ…?」

 

萃香「おっと、そりゃ後でのお楽しみって奴さ。

 

アタックステップ!ジーク・ヤマト・フリードでアタックだ!レベル3のアタック時効果で、輝龍シャイニング・ドラゴンを指定アタック!」

 

ヤマトが吼え、シャイニング・ドラゴンが吼え、両ドラゴンが空中で激突する!二度・三度の撃ち合いから、火炎放射の競り合い、そして組み合い空中で霧もみ落下の果てに、ヤマトがシャイニング・ドラゴンの上を取り、剣を胴体へと突き立て、爆散させ決着した!

 

ツルギ「シャイニング・ドラゴン!だけどスピリットの破壊でバースト発動!マジック、フレイムブラスト!デッキから2枚ドローして、フラッシュ効果で本来ならBP4000以下のスピリット1体を破壊出来るけど、エクリプス・ドラゴンの1強化を追加して、BP5000以下のスピリット1体を破壊可能に!ヒエンドラゴンを破壊(手札2→4・リザーブ4→3・トラッシュ4→5)!」

 

強化(チャージ)…それは光のスピリットが持つ効果であり、色によって其の効果は決められており、赤の強化は(自身のアルティメット以外のBP破壊効果上限を、赤の強化持ちスピリットの数+1000)となっている。

 

萃香「決戦道の効果で、これ以上のアタックは出来ない。ターンエンド!」

 

萃香 ライフ2(SC) 手札3 リザーブ0 トラッシュ4

 

イグア・バギー(R) レベル2(2)3000

 

戦竜エルギニアス レベル1(1)1000

 

ジーク・ヤマト・フリード レベル3(5)13000 疲労

 

退路無き決戦道 レベル1(0)

 

戴冠する活火山 レベル1(0)

 

ツルギ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ5→9・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

シャイニング・ブレイドラを召喚(手札5→4・リザーブ9→6・トラッシュ0→2)!」

 

ルビーの結晶を砕き現れるスピリット。その姿は小さく未熟なブレイドラとは異なり、大きく、そして強く輝いていた。

 

ツルギ「シャイニング・ブレイドラの召喚時効果!次に俺が手札にあるカード名に(シャイニング・ドラゴン)を持つスピリットを召喚する時、そのコストを自分のライフと同じにする!」

 

弾「シャイニング・ドラゴン専用のビッグバン・エナジー内蔵スピリットと言うわけか」

 

龍虎「今、ツルギさんの手札にはチャージドローの時にオープンして加えたアークがある。ツルギさんならきっと…」

 

ツルギ「いくぞ!聖域より降臨!一角より放つ聖なる光!光輝龍皇(こうきりゅうおう)シャイニング・ドラゴン・アークをレベル3で召喚だ(手札4→3・リザーブ6→1・トラッシュ2→3)!!」

 

サーフボードから2つの光がツルギの上空で交差・回転し、その場所に巨大な円を産み出す。その中から現れたのは輝龍シャイニング・ドラゴン…否。

 

シャイニング・ドラゴンの時には無かった一角と、更に強化されたであろう銀の装甲を腕と肩、脚に装着し、各部装甲の先端には青い水晶が付いている。

 

それがシャイニング・ドラゴンを超え、龍皇へと進化を遂げたシャイニング・ドラゴン。光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク。

 

萃香「かぁ~!かっこいいなぁ!」

 

ツルギ「輝竜シャイン・ブレイザーを光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アークに合体(ブレイブ)!」

 

シャイン・ブレイザーが再度翼を分離し、アークはその翼を吸収。自身の翼に太陽の紋様が浮かび上がり、尾は白の装甲が纏わる!

 

アーク+ブレイザー レベル3(3+SC)13000+5000=18000

 

ツルギ「残りのコアをエクリプス・ドラゴンに追加してレベル2にアップ(リザーブ1→0)!

 

アタックステップ!シャイニング・ドラゴン・アークの効果で自分のアタックステップ中、(強化)を持つ赤のスピリット全てに赤シンボルを1つ追加だ!」

 

アークの装甲の先端の水晶が光を放ち生まれた赤シンボル達は、シャイニング・ブレイドラとエクリプス・ドラゴン、そしてアーク自身に吸収され、力へ変換された!

 

ツルギ「シャイニング・ドラゴン・アークで合体(ブレイブ)アタック!アタック時効果、BP10000以下の相手スピリット1体を破壊!エクリプス・ドラゴン、シャイニング・ブレイドラ、シャイニング・ドラゴン・アークの3強化追加でBP13000以下のスピリット1体を破壊だ!

 

ヤマト・フリードを焼き払え、アーク!!」

 

バトルフィールドに右拳を叩き付けるアークに、強化を持つエクリプスとブレイドラが赤い閃光を繋げ、彼の力を押し上げる!

 

仲間達の支援を受けたアークは、バトルフィールドの地中深くから炎を沸き上がらせ、衝撃波と共にヤマトへ真っ直ぐにぶつけ、ヤマトも初めは炎を直に受け止めたが、ツルギのスピリット達の想いと力の重なった炎を止めきれずに、終には炎が己を包み、全身を一片の塵さえ遺さず、焼却された。

 

大地を駆け抜ける炎は、萃香を襲い、ライフを1つ燃やし尽くしてしまう。

 

萃香「ヤマトもこうも簡単に突破してくるとはね。少年はすごいな(ライフ2→1・リザーブ5→6)!けど私も負けないよ!

 

フラッシュタイミング!マジック、デルタバリア(R)を使用(手札3→2・リザーブ6→4・トラッシュ4→6)!このターンの間、コスト4以上のスピリット/アルティメットの効果と、スピリット/マジックの効果で私のライフは0にはならない!」

 

彼女の前に産まれた、白の三角星が展開・障壁となり、アークの行く手を阻む!それだけではない!アークを退けた萃香のライフが1つ回復している!

 

萃香「デルタバリア(R)は封印時効果に、そのアタックが終わった時が(相手のアタックステップ)だったら、ライフを1つ増やす効果がある。これで、まだまだバトルが楽しめるよ(ライフ1→2)!」

 

ツルギ「ターンエンド、やるな萃香!」

 

ツルギ ライフ4 手札3 リザーブ0 トラッシュ3

 

エクリプス・ドラゴン レベル2(3)6000

 

アーク+ブレイザー レベル3(3+SC)18000 疲労

 

シャイニング・ブレイドラ レベル1(1)2000

 

萃香「スタートステップ。コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札2→3)…おお!やっと来たか、あんたを待ってたんだ!リフレッシュステップ(リザーブ5→11・トラッシュ6→0)、メインステップ!

 

イグア・バギーをレベル1にダウン(リザーブ11→12)!マジック、フェイタルドローで3枚ドロー(手札3→2→5・リザーブ12→10・トラッシュ0→2)!

 

そんで、イグア・バギーにカメレオプス(R)、そしてピクシスリザードをレベル2で追加召喚(手札5→4→3→2・リザーブ10→9→8→6)!」

 

萃香が新たなイグア・バギーと羅針盤を背負った小さな蜥蜴、そして赤い表皮のカメレオンの3体。その全てに共通するのは系統が(星魂)であると言うこと。

 

萃香「ピクシスリザードのレベル2効果。私の手札/手元にある系統:光導(こうどう)を持つスピリット全てのコストを5に変更する!」

 

弾「光輝く大銀河の効果と同じ…何が来る!」

 

萃香「いくよ少年…、コイツの一撃はデカイぜ?」

 

ツルギ「おう!」

 

萃香の手札は2枚。1枚はリバイブドローで手札に戻した龍星皇メテオヴルム。だが彼女が持つカードは赤の光を放ち続け、光に満ちている!

 

萃香「次元の果てからこい!全てを穿つ、雄々しき金角!召喚!金牛龍神(きんぎゅうりゅうじん)ドラゴニック・タウラスをレベル3で召喚だああああああああ(手札2→1・リザーブ6→0・トラッシュ2→3)!!」

 

カードから光が解き放たれ、無数の粒が天に昇る。粒は点に、点は点へと結び、描くは黄導十二星座の1つ、牡牛座。

 

そしてルビーの巨大結晶が現れると牡牛座の紋章が打ち込まれ、顕現する金の雄々しき二本の角と翼、大樹が小枝に見える程に太い四肢。赤の荒々しい表皮にメテオヴルム以上の威圧感と存在感を放つ…!

 

弾「十二宮Xレア…!萃香が持っていたのか!」

 

龍虎「金牛龍神ドラゴニック・タウラス…!初めて見た…!」

 

萃香「さぁ、少年の運…試させて貰うよ!金牛龍神ドラゴニック・タウラスでアタック!」

 

バオオオオオオオオ!!と大気と大地を震撼させ、ドラゴニック・タウラスが蹴立て猛進する!

 

萃香「ドラゴニック・タウラス!レベル3アタック時効果!真・激突発揮!タウラスのアタックは可能なら必ずブロックして貰うよ少年!」

 

弾「激突ではない…!?まさか紫の言っていた事はこれだったのか!」

 

紫が「この世界に来た時に、カードの秘められた力が目覚めた」と語っていた言葉の意味を、彼等は漸く理解した。言うなれば、カードが(真化)したと言っても過言ではない。

 

萃香「ドラゴニック・タウラス、レベル3封印時のアタック時効果で、私の系統:光導/星魂を持つスピリット1体に付き、タウラスにシンボルを1つ追加出来る!

 

今、私のフィールドにはタウラスとイグア・バギー2体にカメレオプスとピクシスリザードの合計5体!つまり赤シンボル6つ!

 

さらにタウラスがブロックされた瞬間に自分とブロックしたスピリット/アルティメットのシンボルを比べて、その差分の数だけ少年のライフを破壊出来るんだ!」

 

タウラスの周りに顕現し、浮遊する赤シンボル達。ツルギのブロック可能なスピリットは全てが赤シンボル1個という、誰でブロックしても一貫の終わりの状況となってしまったのである!

 

龍虎「やべぇよ!やべぇよ!真・激突でブロックしなきゃいけないのに、ブロックしたらライフ全部砕かれるってやばすぎる!?どーするの、ツルギさん!!」

 

迫り来るタウラス!進む敗北のカウントダウン!このままツルギは負けてしまうのか!!

 

ツルギ「…シンボルを減らせば良いんだな?」

 

萃香「ん?まぁそうなるけど、どしたの少年?」

 

ツルギ「キザクラ…ありがとな。マジック、スティールハートを使用!コストはシャイニング・ドラゴン・アークをレベル1にダウンして確保(手札3→2・トラッシュ3→6)!」

 

萃香「黄色のマジック?それがどうし…あ」

 

レイ「上手いな…。確かにタウラスのライフ貫通は強力だ。指定アタックなんかされたら、それこそ目も当てられない。だったら、増えたシンボルを全部(ゼロ)にすりゃあ良い…中々ぶっ飛んだ回答だぜ。俺はそうゆうの、嫌いじゃないがな」

 

スティールハートの効果は、相手のスピリット1体のシンボルを0にする黄色のマジックカード。タウラスの増えた6つの赤シンボルは不意に放たれた1枚のカードによって、全て描き消されてしまったのだから…

 

ツルギ「タウラスのアタックはシャイニング・ブレイドラでブロック!」

 

指示を受けたシャイニング・ブレイドラは一目散にタウラスの斜線上に割り込むと、火炎放射を発車しタウラスの動きを鈍らせようと試みたが、シャイニング・ブレイドラの炎はタウラスからすれば、涼しいそよ風程度のものであり、その勢いのままシャイニング・ブレイドラを吹き飛ばして破壊する。

 

萃香「…必殺の一撃だったんだか、凌がれたか…。ふぃ~…ターンエンド」

 

萃香 ライフ2(SC) 手札1 リザーブ0 トラッシュ3

 

ドラゴニック・タウラス レベル3(5)20000 疲労

 

イグア・バギー レベル1(1)1000 ×2体

 

戦竜エルギニアス レベル1(1)1000

 

ピクシスリザード レベル2(2)3000

 

カメレオプス レベル1(1)3000

 

ツルギ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ2→8・トラッシュ6→0)、メインステップ。

 

相手のスピリットは合計6体、ブロッカー5体…この布陣を破るにはあのカードが必要だ…!マジック、チャージドロー!デッキから2枚ドローして、2枚オープンし(強化)を持つスピリットカード全てを手札に加える!

 

来てくれ…あのカード!うおおおおおおおおおおおおおおおおおお(手札3→2→4・リザーブ8→2・トラッシュ0→2)!!!!!!!!」

 

デッキから2枚を引き、ツルギは全身全霊の想いと力を込めて、カードを捲る!

 

1枚目は、シャイニング・ブレイドラ。そして2枚目は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍輝神(りゅうきしん)シャイニング・ドラゴン・オーバーレイ。

 

ツルギ「きたあああああああ!!!!!!!!2枚共強化を持つスピリットカード、よって手札に加える(手札4→6)!

 

続けてグローリー・ガードラーとシャイニング・ブレイドラを召喚(手札6→5→4・リザーブ8→7→4・トラッシュ2→4)!シャイニング・ブレイドラの召喚時効果で、俺の手札に加えたシャイニング・ドラゴン・オーバーレイのコストを4に変更する!」

 

召喚されたシャイニング・ブレイドラから再び、みなぎる光が、ツルギの手札にある1枚のカードに注がれ、コストを書き換えた!同時にツルギのバトルアーマーとサーフボードが金色を纏い、変化を遂げる!

 

龍虎「か、かっけえええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

ツルギ「光を超えろ!神をも照らすその輝き!龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイ!レベル3で召喚(手札4→3・リザーブ4→0)!」

 

赤い炎と黒い炎が交じり、ツルギを中心に金色の火炎旋風発生。天に風穴を開け、天地に金色の光が満ちる時、一匹のドラゴンが天からツルギの元へ降臨した。

 

アークよりも更に強化され重装甲と化した銀色の鎧。剣の鋒を彷彿とさせる水晶達。闇の空を照らし尽くさんとする金色の翼。その姿は、どのシャイニング・ドラゴンよりも気高く、美しく。強く、恐ろしく、絶対的存在。光を超える者を意味する名を冠した最強のシャイニング・ドラゴン。

 

萃香「…こりゃぁ…すげぇ」

 

ツルギ「このスピリットで勝負を決める!アークに合体している輝竜シャイン・ブレイザーを、龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイに合体(ブレイブ)!!」

 

アークの体に吸い込まれた、シャイン・ブレイザーの翼がアークから分離し、オーバーレイの左腕に合体。六枚の翼はそれぞれが開き、赤いオーラを放つ!

 

ツルギ「更にもう1体!砲竜バルガンナーを召喚!コストはエクリプス・ドラゴンをレベル1にダウンし確保(手札4→3・トラッシュ4→2)!」

 

バトルフィールドを地鳴らし、2問の砲塔を背負った

四足歩行の赤竜が真っ直ぐに此方へと駆けてくる。

 

萃香「新しいブレイブみたいだね。ソイツはエクリプスと合体するのかい?」

 

ツルギ「いいや、バルガンナーと合体するのは…オーバーレイだ!砲竜バルガンナーを龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイに合体(ブレイブ)!」

 

バルガンナーの胴体と砲塔部位が空中分離し、オーバーレイの右腕に武装されたのだ!本来、スピリット/アルティメットは1体でブレイブ1つしか合体出来ない。だがオーバーレイは1体で2つのブレイブと合体出来る力を持つ、数少ないスピリットの1体である!

 

弾「サジットと同じ効果を持つスピリット…」

 

霊夢「凄い…」

 

ツルギ「アタックステップ!シャイニング・ドラゴン・アークの効果とシャイニング・ドラゴン・オーバーレイの効果発揮!

 

オーバーレイはレベル3の間、赤のスピリット全てに赤の強化(チャージ)を与える効果がある!よってアークのアタックステップ時の効果で、俺のスピリット全てに赤シンボルを1つずつ追加!」

 

オーバーレイが放つ光輝の光が、アーク達に力を分け与え、アークの放つ赤の光がシンボルを産み出し、オーバーレイ達を支える。光を超える者と光を与える者、互いに支え、互いを支え合う。

 

ツルギ「光と砲撃よ、今こそ1つに!ダブル合体(ブレイブ)アタアアアアアアアアック!」

 

高らかなツルギの号令を皮切りに、オーバーレイが天に飛翔し、秘めたその力を発揮する!

 

ツルギ「オーバーレイのレベル1,2,3とレベル2,3のアタック時効果!BP10000以下の相手スピリット1体と、オーバーレイのシンボルの数だけ、BP5000以下の相手スピリット1体を破壊!

 

今のオーバーレイのシンボルは4つ!そしてオーバーレイ、アーク、シャイニング・ブレイドラ、グローリー・ガードラー、エクリプス・ドラゴンの7強化を追加して、BP17000以下のスピリット1体とBP12000以下のスピリット4体を破壊だ!」

 

オーバーレイがバルガンナーの砲塔とシャイン・ブレイザーの翼にエネルギーを充点。目を見開きイグア・バギー2体、エルギニアス、ピクシスリザード、カメレオプスにロックを固定。大気を揺らす咆哮と共に、2問の砲と白の翼と金色巨翼から、スコールが如き光弾の暴風雪を萃香のスピリット達に撃ち込み続け、ドラゴニック・タウラス以外のスピリット達を爆散させてしまった!!

 

萃香「うっそだろ…。ブロッカー全員纏めて御陀仏ってマジかいな…ハハハ!

 

やっぱりすげぇな少年!またやろうや!」

 

オーバーレイのスコール光弾を諸に受けて、萃香は笑顔でライフを全て撃ち抜かれ、バトルフィールドから吹き飛ばされた…

 

* * *

 

ツルギ「うーん…」

 

萃香「おやや?バトルに勝ったのに、御不満かな?」

 

ツルギ「最後にオーバーレイのアタックの時、タウラスを破壊出来なかったのが…な」

 

萃香「あー…あるある」

 

バトルを終え、ツルギと萃香は完全に意気投合して二人は話をし始める。

 

早苗「さて…次は私達ですね」

 

ヨク「みたいだな…」

 

風が博麗神社に吹きずさび、新たな戦いを告げる調となる。次回、ヨクvs早苗の戦いが始まる!




ツルギさん、バトルお疲れ様でした!

ツルギ「疲れた…一騎打に真・激突。まだまだバトスピは奥が深いな」

ええ、私もまだまだですからね。では次回予告と、今日登場したオリカを紹介して終わりにしましょうか。

ツルギ「おう!あと萃香がドーナツの差し入れ貰ったけど皆で食べる?」

良いね、じゃあ緑茶淹れてくる!

* * *

退路無き決戦道 コスト8(赤2白1紫1) 赤紫白

このカードはソウルコアを支払って配置した時、次の自分のターンのスタートステップまで、このネクサスは相手の効果を受けない。

レベル1(0)
レベル2(1)

レベル1,2(お互いのアタックステップ)お互いのスピリットはアタックステップで1体しかアタック出来ない

レベル2(お互いのアタックステップ)このネクサスに(ソウルコア)が置かれている間、BPを比べてスピリット/アルティメットを破壊した時、破壊したプレイヤーの手札にある(激突)/(真・激突)を持つスピリット1体をコストを支払わずに召喚出来る

次回予告!次はヨクと早苗のバトルが開幕!だが二人の様子がおかしいぞ!?何故なら二人のデッキは、ほぼ同型のデッキ!

そして早苗が召喚したのは、なんと…!果たしてヨクは勝てるのか!?

次回、東方激闘魂 第8話!ヨクvs早苗!風と風が交わりて


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東方激闘魂 第8話 ヨクvs早苗!風と風が交わりて

8話~!今日のバトルは、駿太さんの相棒にしてダブドラのもう一人の主人公、ヨクさん!

ヨク「ところで、俺はなんでこんな所に…早くバトルを始めたいんだが?」

まぁそう慌てなさんな。ちなみにヨクさんは巨蟹武神キャンサードって知ってすよね?

ヨク「当たり前だ。それがどうした」

ん~ふっふっふ…ヨクさんに朗報です。そのキャンサード。貴方が近く使用する事になりますよ。

ヨク「…は?おい、それって」

では始まり始まり~!

*今回も誤字・脱字にキャラ崩壊、ルールやプレイミスが含まれているかもしれません


萃香「ほい弾、コイツをあんたに渡さなきゃな」

 

ヨクvs早苗のバトルが始まる前に設けられた休憩時…。萃香が弾に渡したのは、なんと彼女が持つ強力な十二宮Xレアカード、金牛龍神ドラゴニック・タウラスだった。

 

弾「良いのか?これはお前の」

 

萃香「世界を救うのが弾達の役目だろ?なら少しでも強力なカードは有った方が良いさ。私にはメテオヴルムって最高の相棒がいる。

 

それにタウラスは、弾の所に居たいって言ってるしな。実際は聞こえないんだけど!」

 

アッハッハ!と高笑いする萃香に、「ありがとう」と弾は礼を述べた。

 

* * *

 

弾「タウラスを加える場合はこれを入れ替えて…そうなると、このカードを…」

 

環奈「じゃがそのままでは防御が薄くなるでごじゃる」

 

龍虎「だったらこれはどうですか?ちょっぴり癖は有りますけど、防御にもなりますよ」

 

弾「…悪くはないな、そうすると…」

 

環奈「なら此処の枚数を調整じゃな。あとは…」

 

ドラゴニック・タウラスを受け取り、早速デッキを一から見直し始めた弾に、龍虎と環奈が付き添い、彼のサポートをしている。

 

弾「…出来たな」

 

環奈「やはり、1枚カードを入れるとデッキを組み直すのは大変でごじゃる…特に弾殿や龍虎に関しては、かなりのイレギュラー、骨が折れる…」

 

龍虎「そんな無理難題に出来る限り添って、デッキビルディングしてる環奈さんを、俺は凄いって思います!」

 

幸村「環奈の組んでくれたデッキは凄いからな。いつもありがとな」

 

環奈「幸村…」

 

デッキビルダーはカードバトラーを支えるだけでなく、バトラーに寄り添い、バトラーと共に一心同体となり戦う存在。バトラー無くしてビルダー無し。ビルダー無くして最高のデッキは産まれない。

 

紫「はぁーい~!!第七戦のヨク・アルバトロサvs東風屋 早苗のバトスピをはじめまーす!場所は博麗神社の境内で今から30分後でーす!」

 

何だか良い雰囲気をぶち壊す、大音量スピーカーから放つ紫の放送が、博麗神社を中心に響き渡る!

 

龍虎「ふ、不意打ち…過ぎる…」

 

幸村「鼓膜が今にも割れそうだ…」

 

環奈「と、にかく…表に出なければ…」

 

ギンギン響き、頭を襲う頭痛を引き摺りながら四人は、境内を目指して進んだのだった…

 

* * *

 

25分後…

 

龍虎「なにこれ」

 

彼等がヨクと早苗のバトルを待っている間に、紫の放送によって観客が次々に集まってきてしまったようだ。境内は観客で溢れ、霊夢達が必死になって誘導・鎮圧に当たっている。

 

龍虎「多すぎない!?バトスピが始まるってのに人が集まり過ぎ!!?」

 

魔理沙「バトスピは幻想郷じゃ娯楽の花形だからな~。対戦告知を始めようもんなら、漏れ無く集まり大騒ぎさ」

 

ざわつく観客達を尻目に魔理沙が自前の箒に乗って宙に浮いている。しかも後ろに駿太を乗せて。

 

紫「皆様大変お待たせしました!これより私が招いたカードバトラーによる第七戦目のバトルを開始いたします!

 

片やヴァルガルド出身にして異世界スピリッツワールドを茂上 駿太さんと共に救った英雄、ヨク・アルバトロサ!片や皆さんのお馴染み顔馴染みの守矢神社の風祝(かぜはふり)、東風屋 早苗!

 

二人共に準備完了の様子です!では各自やっちゃってください!」

 

「その前に少し」と早苗が紫に対して具申を求めてきた。イケイケゴーゴームードがブレーキを掛けられ、観客達からブーイングにヤジの雨霰で大騒ぎになる。

 

早苗「ヨクさん。バトルを前に一つ、私と賭けをしませんか?」

 

ヨク「賭けだと…?言っておくが俺には賭ける物は」

 

早苗「コレを見ても…でしょうか?」

 

ヨク「…だから。俺に賭ける物…!?」

 

早苗が自分のデッキから1枚のカードを引き出し、皆の前で公開した(ソレ)に、ヨクの表情が大きく揺らぐ。

 

ヨク「…な、何で…お前がそれを…!!」

 

早苗「…変だと思ったんですよ。見覚えの無いカードがデッキに入っていたのに。貴方が元の持ち主でしたか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス…どうやら、見付かりましたね。貴方の御主人が」

 

* * *

 

事の発端は、今から数日前に遡る…

 

早苗「神奈子様、諏訪子様、ちょっと良いでしょうか?」

 

守矢神社の境内に居た早苗は上に赤のジャージと紫のスカートを着る胸に丸鏡のネックレスと紫ショートヘアの高身長の女性…八坂 神奈子。

 

そして、金短髪の頭に被る目玉の着いた帽子が特徴的な低身長のブカブカな服とミニスカートの少女…守矢 諏訪子に声を掛けた。

 

神奈・諏訪「どうしたんだい、早苗」

 

早苗「私のデッキに入れた覚えがないカードが入っていたのですが…御二方がコレを?」

 

そう言いつつ、彼女は自分のデッキから1枚のカードを取り出して二人の前に提示する。

 

神奈子「酉の十二神皇ゲイル・フェニックス…?見たことないカード、だが少なくとも私達が早苗に挙げたカードじゃあないな」

 

諏訪子「……早苗、神奈子。気付いた?」

 

神奈子「…ああ。確かに感じるね、このカードから(スピリットの気配)を。呼び出せるか諏訪子?」

 

「朝飯前だ、そーらよ!」と、軽いえんがちょでカードを叩くと、緑の玉がカードの中からポンと飛び出て、暫くしてから、緑と銀色の翼と複数の尾羽、そして胸にある(酉)の紋章を刻んだ宝玉が特徴的な一羽の鳥型のスピリットへと姿を変えた。

 

早苗「これは…カードの精霊、でしょうか?」

 

???「…合っているが、違うな」

 

早苗「!?」

 

三人の頭に響く声。声の主は緑の鳥だった。

 

ゲイル「紹介が遅れ、済まない。私はゲイル・フェニックス…。八雲 紫に頼まれ、君達の世界とは異なる場所、スピリッツワールドから馳せ参じた者。彼方の世界では十二神皇と呼ばれる守護者の一角を担っている」

 

ゲイル・フェニックスは三人に自分の名前、出身地を話す。

 

神奈子「また八雲か…で、その十二神皇様が何故私達の世界にやって来たんだい?特に異変らしい異変は起きちゃいないけど?」

 

ゲイル「いや…既に起きている。私達十二神皇全員が此所に来たのは、幻想郷の危機を救う事。もしこのまま放置すれば…」

 

 

 

 

 

 

 

私達のスピリッツワールド諸とも世界の全てが崩壊、消滅するからだ。

 

三人「…は?」

 

唖然、思考停止。回復、収集まで五分を要し、改めて諏訪子が口を開く。

 

諏訪子「ちょっと何言ってるか分からない。…取り敢えず、私達の幻想郷に迫っている危機が、君の故郷。延いては世界消滅に関わる大問題になっている…と?」

 

諏訪子の問いに、ゲイル・フェニックスは首を縦に振る。話から嘘一つ、微塵として感じられなかった。だが解せない点が多い。そもそもスピリッツワールドとはどんな世界だ?幻想郷に何か重大な秘密が隠されている?

 

早苗「まぁ世界を救う為に協力して欲しいってことは、大体把握しましたよ。具体的に私は何をすれば?」

 

ゲイル「今、八雲 紫が最強のバトラーをこの地に呼ぶ。その中に私の相棒のヨク・アルバトロサという少年がいる。彼とバトルをして、再び私と共に戦うに相応しいか見極めて欲しい」

 

早苗「ヨク・アルバトロサですね。分かりました、任せてください」

 

ゲイル「手は抜く必要はない、ヨクを叩き潰すつもりでやるのだ。私の試練を乗り越えられぬならば、その時は早苗、君が私の新たな相棒となれ」

 

* * *

 

早苗「…ゲイル・フェニックスは貴方を試そうとしています。この世界に迫る危機に再び相棒として戦うに値するかを。このバトルは私と貴方、どちらが酉の十二神皇に相応しいかを決める戦いでもあります。

 

そして負けた方は今後一切、ゲイル・フェニックスを従える権利を失い、触れる事は愚か、使用する事も二度と出来なくなる。

 

と…このくらい厳しい賭けなら、貴方も気が変わるでしょう?」

 

ヨクにとって、ゲイル・フェニックスは産まれた時よりずっと一緒に戦ってきた。尊敬する兄とのバトル、そして邪神皇との世界を賭けた戦いも、自分を支えた人生の相棒。それがゲイル・フェニックス。それが居ない人生など考えられないのだから。

 

ヨク「ああ、負けられない十分な理由は得たな。このバトルでゲイル・フェニックスは…俺の相棒は返して貰うぞ、東風屋 早苗!」

 

ソウルコアを掲げ、緑の風が吹き荒れながらヨクの体に翼の紋章刻む緑のバトルアーマーを纏わせ、背中には四本の翼が展開。彼の目は決意と共に見開かれ、早苗に真っ直ぐに見定めた。

 

早苗「(ゲイル・フェニックス…貴方が相棒と呼ぶ少年、試させてもらいます)…始めましょう。私と貴方の戦いを!!」

 

早苗を包む風が、彼女の衣服を吹き飛ばしながらセーラー服へと変化させた。年齢からして女子高校生とは思えない体の曲線美にプロポーション。観客の男子共の狂喜じみた叫び声と、女子共の劣等感を孕んだ視線が、彼女に注がれている。尚主人公組にはまるで通じていない模様。

 

早苗&ヨク「「ゲートオープン!界放!!!」」

 

* * *

 

ヨク「俺のターン!スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!まずはチキンナイトと葵(き)の使従(しと)ユリカモを連続召喚(手札5→4→3・リザーブ4→3→0・トラッシュ0→2)!」

 

ヨクが呼び出したのは赤い鶏冠と喉袋に騎士鎧纏う小さな鳥人のスピリットのチキンナイトと、翼の先がガラスのように鋭利な刃で出来た川蝉のようなスピリットの葵(き)の使従(しと)ユリカモである。

 

ヨク「ターンエンドだ」

 

ヨク ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ2

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

葵の使従ユリカモ レベル1(SC)3000

 

早苗「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。来て下さい、乙騎士(おつきし)エウロス・ファルコンを召喚(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ0→4)!」

 

エメラルドの結晶を砕き、緑の鎧で翼と頭を武装した隼型のスピリットが早苗の前に現れる。

 

早苗「アタックステップ。エウロス・ファルコンでアタック!アタック時効果でボイドからコア1個をエウロス・ファルコンに置き、レベル2にしながら効果でユリカモを疲労!」

 

コアブーストとスピリットの疲労。緑属性の基本的な堅実とも言える戦い方だ。コアを得たエウロス・ファルコンは自身の翼を振るい、突風を起こし、ユリカモの動きを封じ込める。

 

ヨク「ライフだ(ライフ5→4・リザーブ0→1)!ぐっ…!?」

 

猛禽類特有の鋭い鈎爪がヨクを守るバリアに深く突き刺さる。ライフが弾けた衝撃はバトルアーマーを通して、ヨクの体に衝撃と痛みを伝えた。

 

早苗「ターンエンド」

 

早苗 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ4

 

乙騎士エウロス・ファルコン レベル2(1+SC)6000 疲労

 

ヨク「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

チキンナイトの効果発揮!手札の系統:神皇を持つ緑のスピリットのコストを-1出来る!トラがくれた力…試させてもらう!

 

吹き荒れろ、翡翠の風よ!封ずる騎士を呼び起こせ!召喚、無幻の神皇ゼムリアス(手札4→3・リザーブ4→0・トラッシュ0→2)!」

 

エメラルドの結晶が権限。辺り一帯の空気を吸い上げ、変質と膨張が始まり、それは徐々に鳥の頭と翼持つ人型のスピリットへと姿を形成し、全身の靄を振り払う!

 

龍虎「早速きたぁ!」

 

ヨク「ユリカモのソウルコアをゼムリアスのコアとチェンジ。アタックステップ!ゼムリアスでアタック!」

 

翼を広げ、天高く飛翔して行くゼムリアス!ヨクは宣言する。ゼムリアスの持つ、困難を乗り越える新たな力を!

 

ヨク「アタック時効果でボイドから1個、コアをゼムリアスに追加!そして((封印))!ゼムリアスのソウルコアを俺のライフに(ライフ4→5)!」

 

赤い粒子に変換され、ヨクのバトルアーマーの中央に収まり、淡い虹色の光を放つソウルコア。ゼムリアスの持つ封印時の効果はレベル2ではない今、発揮する事は出来ない。だがゲイル・フェニックスの力を把握しているヨクは、今後の展開に備え、ゼムリアスのレベル2以降の効果を切り捨ててでもライフ回復を選んだ。

 

早苗「ライフで受けます(ライフ5→4・リザーブ0→1)」

 

ゼムリアスの爪が早苗のライフを1つ砕く。衝撃と痛みが走るが、彼女はそれを耐え忍ぶ。

 

ヨク「ターンエンド」

 

ヨク ライフ5(SC) 手札3 リザーブ0 トラッシュ2

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル1(2)5000 疲労

 

葵の使徒ユリカモ レベル1(1)3000

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

早苗「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→6・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

ネザドワをレベル2、辛騎士(しんきし)ブルーヘッドを召喚(手札4→3→2・リザーブ6→4→0・トラッシュ0→2)!」

 

早苗のフィールドにエメラルドの球体を二つ背負う茶毛の兎型のスピリットと、青の羽毛が美しい鳥型のスピリットの二体が現れる。

 

早苗「バーストセット(手札2→1)!エウロス・ファルコンのコア1つをリザーブに戻し(リザーブ0→1)、アタックステップ!エウロス・ファルコンでアタック!

 

アタック時効果、コアブーストでレベル2に!ならびにユリカモを疲労!」

 

紫「東風屋選手、またも流れるようなコアブーストと疲労の連鎖(ラッシュ)!ヨク選手、ユリカモの効果でコアブーストを行わせて貰えない!」

 

ヨク「チキンナイトでブロック!」

 

エウロスの翼に剣を当て、ヨクから視線を逸らすチキンナイト。2体は向かい合い、翼と剣を打ち合う。同じ騎士として、同じ系統:爪鳥のスピリットとして、正々堂々の一騎打ちを演じる。

 

その果てに、エウロスの翼の一閃がチキンナイトを切り裂き、破壊。

 

早苗「辛騎士ブルーヘッド、アタックです!アタック時効果でコアブースト!レベル2にアップ!」

 

ヨク「ライフだ(ライフ5→4・リザーブ0→1)!」

 

コアを増やしつつ、ブルーヘッドの嘴がヨクのライフを1つ砕き、破壊する。ライフが弾ける度に襲う衝撃を考えると、筆舌し難いだろう。

 

早苗「ターンエンドです」

 

早苗 ライフ4 手札1 リザーブ1 トラッシュ2 バースト有

 

辛騎士ブルーヘッド レベル2(3)5000 疲労

 

乙騎士エウロス・ファルコン レベル2(1+SC)6000 疲労

 

ネザドワ レベル2(2)2000

 

ヨク「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

チキンナイトを2体連続召喚(手札4→3→2・リザーブ4→3→2)!」

 

再び、今度は2体のチキンナイトを召喚しヨクのフィールドは4体のスピリットが並び立つ。

 

ヨク「マジック、ゴッドリバースを使用!手札を最低1枚以上破棄して、デッキから3枚のカードをドローする!俺は手札の無幻の神皇ゼムリアスを破棄して3枚ドロー(手札1→0→3・リザーブ2→0・トラッシュ0→2)!」

 

龍虎「ハンドリバース系に近いカードなのか」

 

霊夢「そ。あのカード、ヨクのデッキと相性良かったからね。私が薦めたの」

 

ヨク「さらに封印時の効果により、破棄したカードの中に系統:神皇を持つスピリットカードがあるなら、トラッシュから、そのスピリットカード1枚を手札に戻す事が出来る(手札3→4)!」

 

ゴッドリバースの効果で、トラッシュに落ちたゼムリアスがヨクの手札に舞い戻る。つまり封印さえ行えば、実質ハンドアドバンテージを失うことなく手札を増やせる効果なのだ。

 

早苗「相手の(相手の効果によって手札が増えた)事により、バースト発動!バーストマジック、千枚手裏剣!ボイドからコア2個をリザーブに追加して(リザーブ1→3)、ゼムリアスとユリカモを疲労させます!」

 

だが早苗も負けてはいない。手札増加をトリガーに自身のバースト、千枚手裏剣を発動しゼムリアスとユリカモを疲労させ、コアブーストを未然に防ぎにかかる。

 

ヨク「ちぃ…!バーストセット(手札4→3)、ターンエンド」

 

ヨク ライフ4(SC) 手札3 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

葵の使徒ユリカモ レベル1(1)3000 疲労

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル1(2)5000 疲労

 

早苗「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ4→6・トラッシュ0→2)、メインステップ。

 

ネクサス、白雲に茂る天翼樹(てんよくじゅ)を配置(手札2→1・リザーブ7→5・トラッシュ0→2)!」

 

早苗の後ろに翼の形をしたヤシの木が無数に生えてくる。その葉はのびのびと、天に翼を広げる鳥のよう。

 

「その効果でリザーブにコアを1つ追加。フィールドに系統:爪鳥を持つスピリットが居る時、さらに1つ追加(リザーブ5→6→7)!

 

マジック、ハンドリバースを使用(手札1→0・リザーブ7→4・トラッシュ0→3)!手札を全て破棄して、デッキから相手の手札と同じ枚数だけドローする。この効果は、私の手札が0でも発動出来る!よって3枚のカードをドロー(手札0→3)!」

 

早苗も先ほどのヨクと同様に、手札を増やし、次なる一手を投じる布石を立てる。

 

早苗「いきます。ネクサスの颶風高原(ぐふうこうげん)を配置(手札3→2・リザーブ4→2・トラッシュ3→5)!」

 

龍虎「颶風高原だって!?」

 

青空が黒雲に覆われ始め、土砂降りの大雨の前兆を告げる生暖かい夏の日の風が流れ出し、高原の草を無尽に揺さぶる。

 

早苗「バーストセット(手札2→1)、私のターンはこれで終わりです」

 

早苗 ライフ4 手札1 リザーブ2 トラッシュ5 バースト有

 

乙騎士エウロス・ファルコン レベル2(1+SC)6000

 

辛騎士ブルーヘッド レベル2(3)5000

 

ネザドワ レベル2(2)2000

 

白雲に茂る天翼樹 レベル1(0)

 

颶風高原 レベル1(0)

 

ヨク「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ1→3・トラッシュ2→0)、メインステップ!

 

(今、俺に出来る事は…スピリットを1体でも多く増やして、ゲイルフェニックスの攻撃に備える事。だったら!)

 

いくぞ!さらにもう1体ゼムリアスを召喚だ!(手札4→3・リザーブ3→1)」

 

風の収束と膨張、形成と権限。緑の2体の神皇がフィールドに並び立つ!

 

駿太「いけぇー!ヨクー!」

 

ヨク「ゼムリアスでアタック!アタック時効果でコアブースト!レベル2にアップした事で封印時効果発揮!ゼムリアスは常時BP+10000!合計17000だ!」

 

早苗「BPの大幅加算…!それが無幻の神皇が持つ力…!ここはライフで受けます(ライフ4→3・リザーブ2→3)!」

 

ゼムリアスの翼から風が巻き起こり、彼はそれを掌の上に集め、合掌・圧縮し、高密度の風刃(ウィンドカッター)を創り出して、早苗を連続で斬り付ける!

 

早苗「十二神皇程では無くとも、やはり神皇を名乗るだけの力はある…!」

 

ヨク「さらにもう1体のゼムリアスもアタック!コアブーストでレベル2に!さらに封印時効果で、BP17000にパワーアップだ!」

 

早苗「ですが、ライフはこれ以上取らせません!ネザドワでブロック!」

 

飛翔するゼムリアスにネザドワの体当たりが炸裂、減速に追い込む。ネザドワは脱兎の如く跳び跳ね回り、ゼムリアスを撹乱するが、ゼムリアスは全身で辺りの空気を吸い上げ、爆発的放出を起こしてネザドワを無防備に追い込み、サマーソルトキックを頭部に叩き込み、頭蓋を凹ませ倒す。

 

だが早苗の口角が微弱ながら変化したのを、ヨクと弾、そしてバシンは見逃さなかった。

 

早苗「ネザドワのレベル2破壊時効果発揮!リザーブのコア1つをトラッシュに置くことで、このスピリットを手札に戻します(手札1→2・リザーブ2→1→3・トラッシュ5→6)!

 

ネザドワの破壊でバーストの双光気弾発動!デッキから2枚ドロー(手札1→3)!

 

さらに辛騎士ブルーヘッドの効果で、自分のスピリットが手札に戻った時、自分の手札にある系統:神皇/十冠スピリット1体をノーコストで召喚出来る!」

 

ヨク「何が来る…!」

 

早苗の手札は3枚。内1枚は先程効果で手札に戻ったネザドワ、つまりもう2枚はブルーヘッドの効果で召喚可能なスピリットと言うことになる。

 

早苗「さぁ…今こそ試練の時!

 

羽ばたけ、干支の力宿す不死鳥よ!空統べる比類無き其の威光を世界に示せ!

 

召喚、酉の十二神皇ゲイルフェニックス!!!エウロス・ファルコンのソウルコアと共にレベル2で降臨(リザーブ3→0)!」

 

早苗が天に向けてカードを投げるそれは、緑の光を帯びながら風を巻き上げ、吸収し、(酉)の紋章刻む宝玉に変わる。宝玉から放つ光が、銀の刃纏う翡翠のを形創り、1羽の不死鳥へと姿を為す。

 

このスピリットこそ、ヨクが産まれた時から側に居続け、邪神皇との戦いを支え。そして今は、早苗と共に彼の大いなる試練の巨大な壁として、彼の前に立ちはだかる。

 

酉の十二神皇ゲイルフェニックス レベル2(3+SC)13000

 

ヨク「ゲイルフェニックス…!!!必ずこの試練、越えてみせる!ターンエンド!」

 

ヨク ライフ4(SC) 手札3 リザーブ1 トラッシュ0 バースト有

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(3)17000 疲労

 

無幻の神皇ゼムリアス レベル2(3)17000 疲労

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

チキンナイト レベル1(1)2000

 

葵の使徒ユリカモ レベル1(1)3000

 

龍虎「あれが酉の十二神皇…!戌の十二神皇と違う、切り裂かれるような威圧感…!」

 

駿太「え…龍、今なんて言った!?」

 

龍虎「俺の名前は龍虎ですよ!…戌の十二神皇と言いましたが、紫さんがそれを持っているのを見ました」

 

駿太「紫が戌の十二神皇を…良かった、敵に捕られてたのかって心配だったよ」

 

胸を撫で下ろす駿太。彼等の戦っていた世界、スピリッツワールドでは十二神皇は強大な力を持つ、守り神達。だが邪な者の手により邪神皇復活の為、十二神皇の争奪戦が起きた。

 

それ故に駿太は少し神経質になっていたのだと思われる。

 

早苗「スタートアップ。コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ1→7・トラッシュ6→0)、メインステップ。

 

先程のネザドワと蒼きブレイブ、コノハガニンを召喚(手札4→3→2・リザーブ7→6→2・トラッシュ0→3)!」

 

ネザドワが現れて、サファイアの結晶を砕き、無数の蛸足が伸び、青緑に錆び付いた甲殻纏う蟹型の獣が降臨。

 

龍虎「コノハガニン!あれはアタック時にブレイブしているスピリットを1つ高いレベルで、緑シンボルが有れば連鎖(ラッシュ)でコアブーストが出来るカード!」

 

駿太「え!?それじゃゲイルフェニックスは無限にコアを増やしながら、無限に攻撃出来るって事か!」

 

早苗「その通り。コノハガニンをゲイルフェニックスに合体(ブレイブ)!」

 

ゲイルフェニックスの体にコノハガニンへ溶けて、胴体と翼に苔の寄生した鎧を纏わせ、翡翠の翼は淀んだ緑に変色。雄々しき不死鳥は禍々しい姿に成り果てた…!

 

ゲイルフェニックス+コノハガニン レベル2(4+SC)16000

 

ヨク「ゲイルフェニックスが…貴様!」

 

早苗「これはゲイルフェニックス自身が望んだ事です。混沌に染まった翼を元の姿に戻すのも、また貴方の試練。

 

エウロス・ファルコンをレベル2に(リザーブ2→1)!さぁアタックステップです!今こそ、猛る翼を広げて、天に舞い踊れ!酉の十二神皇ゲイルフェニックス!」

 

甲高く天に鳴き、空に高く舞うゲイルフェニックス。

 

早苗「ゲイルフェニックスのレベル2のアタック時効果!自分の系統:神皇/十冠のスピリット1体に付き、BP+5000!今、対象となるスピリットは3体!合計BP31000!コノハガニンの連鎖でゲイルフェニックスに1コアブースト(ゲイル5→6)!

 

そして今こそ!(封印)!!!ゲイルフェニックスのソウルコアを、私のライフに(ゲイル6→5・ライフ3→4)!」

 

ゲイルフェニックスの胸に輝く(酉)の宝玉が緑の光に満ち、ソウルコアと同調。早苗の前に浮遊したソウルコアが、ネックレスに変化し、彼女の胸に落ちて、淡い赤の光を放つ!

 

早苗「(これがゲイルフェニックスの…思いの、魂の強さ!)ゲイルフェニックスの封印時効果、(飛翔)発揮!相手は疲労状態でもゲイルフェニックスのアタックをブロック可能になります!」

 

宝玉から放つ光がヨクのスピリット達を包み、その足に白い透明の翼を生やす!

 

バシン「あれ?疲労状態でブロック出来るって事はさ、1回防がれたら終わりじゃんか?」

 

駿太「いいや。ゲイルフェニックスの飛翔はバトル終了時にコア1つをコストに使えば、自身が回復出来る。

 

つまり、本来ならコスト払う度にコアが減っていくゲイルフェニックスの弱点を、コノハガニンの連鎖がカバーしているんだ」

 

環奈「今のゲイルフェニックスはブレイブを破壊するか、ゲイルフェニックス自身を止めなければ、無限のコアブーストとダブルシンボルで、無限にアタックし続ける凶悪無比のスピリットになった訳でごじゃる!」

 

無限アタックの恐ろしさは言葉で表現すれば簡単だが、実際に体験するとでは話が違う。迫るゲイルフェニックスのプレッシャーにヨクも既に覚悟を決めている!

 

ヨク「ゲイルフェニックスの弱点は知っている!フラッシュタイミング!マジック、グラスバインドをゼムリアス1体のレベルを1にダウンして使用(手札3→2・トラッシュ0→3)!これで相手のスピリットは回復出来ない!」

 

早苗「相手のマジックの効果発揮前に、手札からアクセル発揮、加速葵鳥(かそくきちょう)エアイレイザー!コストはゲイルフェニックスの2コアとリザーブから確保!

 

その効果でグラスバインドの発動を無効にします(手札2→1・リザーブ2→0・トラッシュ3→6)!」

 

発言したヨクのマジック、リーフバインドが緑と白の閃光に両断される!エアイレイザーの使用は、ヨクにとっては敗北を、早苗にとっては勝利を完全に決定付ける1枚となった…

 

早苗「残念でしたね。貴方なら必ずこの場面でグラスバインドを切るのは分かっていましたから、エアイレイザーを使えば、貴方には最早この連撃を防御する手段はありません!」

 

ヨク「…掛かったな、東風屋 早苗!

 

確かエアイレイザーはこのタイミングでやられれば、普通なら諦めるだろう。だが…もう1枚あったら話は別だ!フラッシュタイミング、グラスバインドをもう1体のゼムリアスから確保して発動(手札2→1・トラッシュ5→7)!」

 

早苗「なっ!?2枚目のグラスバインド!?」

 

バトルフィールドを削り取り、無数の木の根がエウロス・ファルコンとブルーヘッドに絡み付いて、地面に縫い着けた!

 

ヨク「相手のBP8000以下のスピリット2体を疲労させ、このターン中にスピリット全ては回復出来ない!ゲイルフェニックスのダブルシンボルはライフで受ける(ライフ4→2・リザーブ0→2)!」

 

ゲイルフェニックスの超高速回転突進攻撃をライフで受け、ヨクは衝撃で後方へ大きく吹き飛ばされる。しかし、バトルフィールドから伸びた緑の根が、ゲイルフェニックスをがんじがらめに縛り付け、身動きを封じ込めてしまう。

 

早苗「ターンエンドです」

 

早苗 ライフ4 手札1 リザーブ0 トラッシュ6

 

ゲイルフェニックス+コノハガニン レベル2(3)16000 疲労

 

辛騎士ブルーヘッド レベル2(3)5000 疲労

 

乙騎士エウロス・ファルコン レベル2(2)6000 疲労

 

ネザドワ レベル1(1)1000

 

紫「早苗選手、ゲイルフェニックスとコノハガニン、さらにはエアイレイザーを持ってしても、ヨク選手を止められなかった…!惜しい、実に惜しい!

 

一方的のヨク選手も、手札は残り1枚!おそらくこのターンで全てが決まる!」

 

ヨク「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ3→10・トラッシュ7→0)、メインステップ。

 

このカードで勝負を決めてやる!

 

天地満ちる大気よ!旋風(かぜ)となれ!強く激しく吹き荒れろ!召喚、異魔神ブレイブ、超・風魔神(リザーブ10→7・トラッシュ0→3)!!!」

 

ヨクの投げたカードを中心に風が発生し、天地を満たしながら、二本の槍を持つ巨大な翼を持つ緑の騎士を権限させ、降臨した!

 

早苗「異魔神ブレイブ…超・風魔神!!!」

 

ヨク「超・風魔神!ゼムリアス2体と合体(ブレイブ)し、コアを3個追加だ(リザーブ7→4→1)!」

 

超・風魔神の持つ二本の槍が光を放ちながら、ゼムリアス2体に繋げ、力を注ぎ更に光輝く!

 

ヨク「今、超・風魔神の左右に神皇のゼムリアスが合体(ブレイブ)した!天に翼広げよ、超・風魔神!

 

ダブルドライブ…!解放!!!」

 

ヨクのバトルアーマーの翼が展開して更に大きくなり、頭のプロテクトは鳥の頭を模した形に変化。超・風魔神もヨクのアーマーと同調し、各部から手に持つ槍の鋒と同じ角が形成し、二本の槍は融合、一本の巨大な槍に変化を遂げたのだ!

 

早苗「ああ…!」

 

ヨク「アタックステップ!ゼムリアスで合体(ブレイブ)アタック!アタック時にコアブーストし、レベル3にアップ!合計BP25000!」

 

早苗「ですが私には、マジックのゲイルロードフィニッシュがある!これで!」

 

ゲイルロードフィニッシュは相手のスピリット/アルティメット2体を疲労させる緑のマジックカード。だが、その真価は封印時であるなら、疲労状態の相手のスピリット/アルティメットを全て手札に戻す事が出来る能力がある。早苗はその効果で片方のゼムリアスを疲労させ、追加効果でアタックを凌ぐ算段のようだ。しかしその勝筋をヨクの異魔神ブレイブ、超・風魔神は許さない!

 

ヨク「超・風魔神のダブルドライブの効果!左右に系統:神皇を持つスピリットが2体合体している時、そのスピリットのアタックに対して、相手は手札のカードを使用出来ない!」

 

早苗「何ですって!?」

 

超・風魔神の掲げる槍から強烈無比の竜巻が巻き起こり、彼女の手札にあるゲイルロードフィニッシュを封じ込めてしまう。

 

早苗「まだ…!まだです!ネザドワで」

 

ヨク「フラッシュタイミング、ストームアタックを使用!不足コストはチキンナイトから確保!消滅させる(手札1→0・リザーブ1→0・トラッシュ3→5)!

 

その効果でネザドワを疲労させ、ゼムリアスを回復させる!」

 

早苗「ッ…!!!」

 

エアイレイザーのお返しとばかりに、ヨクはトドメとも言うべき緑属性の強力なカード、ストームアタックを叩き着けた。マジックから放たれた風が、ネザドワを大地にひれ伏し、ゼムリアスに再び力を与え、早苗のライフを2つ破壊する(ライフ4→2・リザーブ0→2)!

 

ヨク「ゼムリアスで再度アタック!ゲイルフェニックスは返して貰うぞ!!!」

 

早苗「…最後まで背は向けない。負けたとしても、次で勝てば良い…!試練は合格です、ヨク・アルバトロサ…!」

 

再度飛翔したゼムリアスの渾身とも呼べる爪撃が早苗のライフとネックレスに変化したソウルコアを切り裂き破壊。此所に二人のゲイルフェニックスを巡る戦いが終結したのであった…!

 

* * *

 

紫「け、決着ぅううううううう!緑属性のバトルを征し、見事ゲイルフェニックスをもぎ取ったのは、ヨク・アルバトロサ選手だあああああああ!!!」

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

駿太「ヨク!やったな!」

 

ヨク「ああ。正直かなりギリギリで、最後のドローで超・風魔神を引けなかったら確実に負けていたのは俺だった」

 

早苗「ヨクさん、バトル…ありがとうございました。ゲイルフェニックス、貴方は主人の元へ」

 

早苗の手からゲイルフェニックスのカードが離れ、ヨクの手に渡る。

 

ヨク「お帰り。ゲイルフェニックス」

 

大切な相棒を取り戻し、ヨクの表情は少しだけ嬉しそうだった。

 

紫「全身をスカッとさせる爽やかな戦いを繰り広げた両選手に大きな拍手を!!!

 

そして次なる対戦、陽昇 ハジメ選手と寅丸 星選手の入場です!!!!」

 

次は星とハジメのバトルが始まる…果たして戦いの行方や如何に!次回に続く!!!




終わりましたよ第8話!終わっちゃったよダブルドライブ!バトスピアニメお休みとか…トライブクルクルぜってぇ許さねぇ!!!!!!!!!!

ヨク「バカな事を言ってる暇が有ったら、今回のオリカと反省やらの話をしろ。あとキャンサードの事もな」

あいあいさー

ゴッドリバース 緑5(3) マジック

メイン:手札を全て(最低1枚以上)破棄して、手札が3枚になるようにデッキからカードをドローする。((封印時))破棄したカードに系統:神皇を持つスピリットカードがあるなら、1枚を手札に加える。

((封印時))フラッシュ:疲労状態のスピリット1体を手札に戻す事で、手札の系統:神皇を持つスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚出来る。ただし(このスピリットの召喚時効果)は使えない。

メインでもフラッシュでも使える、可能性の塊みたいな感じに仕上げました。緑は手札補充を不得手にしてますから、使えるカードは1枚でも多い方が良いかなと。

ヨク「封印時には神皇への入れ替わりか。チャンプアタックとチャンプブロック、追撃とまさにカード名通りだな」

そしてキャンサードの事ですが、第二部でヨクさんが蟹座の試練で挑む相手…つまりキャンサード自身と戦う事になります。

ヨク「成程な…カードの精霊とのバトスピをする訳だな」

そうゆうことです。では次回予告!八戦目はハジメvs星のバトルが開幕!互いに背負うものと誇りを掲げ、戦いが始まる!

次回、東方激闘魂 第9話!ハジメvs星!譲れぬ誇りと背負う物!お楽しみに!


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東方激闘魂 第9話 ハジメvs星!譲れぬ誇りと背負う物

実は主人公sの中で、一番演出とバトル内容に悩んだのがハジメさんのバトル。理由がロードドラゴンが豊富にあり、覇王スピリットはどれ出そうか迷った結果です。優柔不断な私を許してくれ…

龍虎「バーストスピリットは便利だからな。仕方ない」

で、さらに問題がありますな。それがレイさんなんです。

レイ「ん、何だ?」

レイさん。…貴方は世界を救うために、己の命を糧に換えて…

((ソウルドライブ))を使う覚悟はありますか?

レイ「ソウルドライブ…?」

一同「なん…だと?」

*今回も誤字や脱字があったら指摘をお願い致します。あと第一章はこれを含めた残り五話で完結して、続けて第二章に参ります。


前回のあらすじ!第七戦はヨクvs早苗の戦いとなり、何とヨクのキースピリット、酉の十二神皇ゲイルフェニックスの所有権を賭けた戦いになる!

 

早苗はゲイルフェニックスからヨクが自分と共に戦える存在であるかを確かめる為に、早苗を通して試練を与えたのだった!

 

風と風の、互いに譲らぬ攻防。神皇の力の奔流…その果てに驚異のダブルドライブを保持する異魔神ブレイブ、超・風魔神が決定打となった事でヨクが勝利し、見事ゲイルフェニックスの奪還に成功する!

 

残る十二神皇は…後10体。

 

* * *

 

ヨク「ゲイルフェニックス、ようやく取り戻せた…!」

 

相棒を取り戻したヨクは、自分のデッキケースへ大事にカードをしまう。

 

駿太「よぉし、俺も負けずにエグゼシードを取り戻すぞ!」

 

相方がキースピリットを取り戻したヨクに負けじと駿太も気合を入れ直す。同時にスピーカーから紫のアナウンスが次の戦いのゴングを鳴らし、会場を盛り起てる。

 

紫「続きましては第八戦!片やバトルスピリッツのバトルフィールドに於ける実体化など、バトスピに命を吹き込む画期的開発に成功した両親を持つサラブレッド、陽昇 ハジメ選手!

 

対するは普段寝てばかりだが、そのバトスピの腕は十六夜 咲夜選手に並ぶ命蓮寺三将の一人に位置付けられる実力者、寅丸 星選手!

 

では…バトルスタートです!」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!

 

観客の歓喜の怒号が大気を揺さぶり、熱を与える…!皆バトスピが大好きで、バトスピを愛するからこそ、これほど迄に熱くなるのだ…!

 

ハジメ「ワクワクしてきたぜ!ウオオオオ、上げてくぜぇ!!!」

 

星「よろしくお願いします。では…!」

 

二人「ゲートオープン!解放!!!」

 

* * *

 

ハジメ「スタートステップ…げっ」

 

星「…?どうしました?」

 

ハジメ「あ、いや何でもないぜ!ドローステップ…(手札4→5)、メインステップ…。ターンエンド…」

 

ハジメ ライフ5 手札5 リザーブ4(SC) トラッシュ0

 

紫「ハジメ選手、スピリットは愚かバーストも伏せずにターンエンド宣言!これは何も出来ないのか!それとも何もしなくて良いのか!果たしてどっちだぁ!?

 

環奈「んん………」

 

星「スタートステップ…コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

………えっと、ターンエンド、です…」

 

星 ライフ5 手札5 リザーブ5(SC) トラッシュ0

 

二人ともにドローゴー、しかし顔色が優れない。様子を見ていた環奈はある一つの仮説を立てた。それはバトラー誰もが一度は経験する(ある事)に他ならない。

 

環奈「まさかとは思うが…両者共に事故ったかの?」

 

ギクッ…!

 

星「ナ、ナワケナイジャナイデスカーヤダー」

 

ハジメ「モ、モチロンアタリマエダヨナァー」

 

一同(し、白々しい棒読みだぁあああああああああ!?)

 

両者共に手札事故を起こすという波乱過ぎる展開!この戦い、どちらが勝つのか!?

 

* * *

 

同時刻、別世界…

 

???「弾…」

 

高速道路見下ろすビルの一角にある公園。夕焼けが射し込むその場所で、悲哀を帯びた目で空を見つめる女性の姿があった。身長168cm程のアメジストのような紫のショートヘア、佇む姿は睡蓮の華のように美しく、絵になる。

 

藍「やっと見つけたよ」

 

彼女へ声を掛けるのは八雲 紫に使えし九尾の式神、八雲 藍。普段の姿では人間達に驚かれてしまうため、彼女はこの世界で言う所の元ヤンママめいた姿に変装しているのだ。

 

???「貴方は誰…?」

 

藍「フム…私は八雲 藍と言ってな。今は明かせぬがある人に御使えする身…そんなところだろう。

 

だが、今はそんな事を話している時間はない。単刀直入に聞こう。…馬神 弾に逢いたいか?

 

元紫の光主…いや、こちらでは紫乃宮(しのみや) まゐ…だったな」

 

* * *

 

ハジメと星の戦いは一気に動くと思われたが、互いに泥沼化する展開になってしまった。

 

第3ターン、ハジメは再び何もせずにターンを終えてしまう。

 

ハジメ ライフ5 手札6 リザーブ5(SC) トラッシュ0

 

第4ターン、星はどうにかバーストをセットするが(手札6→5)、それ以降は何も出来ずにエンド宣言。互いに最悪の状況のまま、ハジメの第5ターンを迎える事になる…

 

星 ライフ5 手札5 リザーブ6(SC) トラッシュ0 バースト有

 

ハジメ「頼む来てくれよ…スピリット!スタートステップ、コアステップ(リザーブ5→6)、ドローステップ(手札6→7)…きた!メインステップ!

 

オーガ・ドラゴンを召喚(手札7→6・リザーブ6→0・トラッシュ0→5)!」

 

ルビーの結晶を打ち砕き、黒い翼を持つ虎柄の膚のドラゴンが1体現れる。

 

ハジメ「オーガ・ドラゴンの召喚時効果発揮!デッキから3枚カードをオープンし、その中のバースト効果を持つカード1枚を手札に加える!」

 

オーガ・ドラゴンの咆哮が彼のデッキから3枚のカード達を浮遊、この場に居る全ての者に情報を公開する。内容は英雄龍ロード・ドラゴン、英雄皇の神剣、ワン・ケンゴーの3枚。その中には彼の最初のキースピリットである、英雄龍ロード・ドラゴンがあった…!

 

ハジメ「よっしゃあ!こい、英雄龍ロード・ドラゴン!そしてぇ…バースト!セット(手札6→7→6)!ターンエンド!」

 

バトスピのカードが裏側でセットされる。バーストを得意とするハジメにとって、バーストが有る事は彼のデッキが調子を取り戻した事を意味するのだ。

 

ハジメ ライフ5 手札6 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

オーガ・ドラゴン レベル1(SC)3000

 

星「スタートステップ、コアステップ(リザーブ6→7)、ドローステップ(手札5→6)、メインステップ!

 

此方も行きます!ネクサス、No.11ティップボールをソウルコアを乗せ、レベル2で配置(手札6→5・リザーブ7→2・トラッシュ0→4)!」

 

バトルフィールドが所々で競り上がり、凸凹した大地に虹色のシャボン玉がフワフワと数多に舞う、幻想的な景色が産まれた。

 

霊夢「キレイねぇ~こうゆう場所でお弁当とか食べたいわ」

 

星「ターンエンドです」

 

星 ライフ5 手札5 リザーブ2 トラッシュ4 バースト有

 

No.11ティップボール レベル2(SC)

 

ハジメ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ!

 

マジック、三札之術(みふだのじゅつ)だ(手札7→6・リザーブ6→2・トラッシュ0→4)!デッキから2枚ドローして、俺のデッキの一番をオープン。それが赤のスピリットカードなら、手札に加えられる(手札6→8)!」

 

ハジメのデッキが捲られた。カードは赤のマジックカード、双翼乱舞である。

 

ハジメ「スピリットカードじゃないから、そのままデッキの一番上に戻す!続けてオードランを召喚だ(手札8→7・リザーブ2→1)!」

 

小さなルビーの中から産まれたのは、ハジメが先程召喚したオーガ・ドラゴンよりも三回りほど小さいドラゴン。肌の色や翼等、オーガ・ドラゴンに類似する点が幾つかある。

 

ハジメ「アタックステップ!今の内に削れるだけ、ライフを削るぜ!オードランでアタック!」

 

星「させません!フラッシュで舞華ドローを使用(手札5→4・リザーブ2→0・トラッシュ4→6)!この効果によりアタック中のオードランのBPー3000!BP0になったことでオードランをそのまま破壊します!」

 

ライフを削らんと走り出したオードランを花吹雪が包み込んで、圧縮・爆散させる!

 

星「舞華ドローの効果によりデッキから1枚ドロー(手札5→6)!さぁどうしますか!」

 

ハジメ「オーガ・ドラゴンでアタック!」

 

星「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ2→3)!」

 

オードランの意を汲み取ったオーガ・ドラゴンが羽ばたき、鈍器のようなその尾で、星を守るライフを一つ叩き割った!

 

星「っうう…!でも、ライフ減少が私のバーストを発動させてくれる!バースト発動、戦国姫 御琴(せんごくひめ みこと)!効果でオーガ・ドラゴンのBPをー10000!BP0になった事により、オーガ・ドラゴンを破壊!

 

効果発揮後に御琴はそのまま召喚出来る(リザーブ3→2)!」

 

黄色の光がオーガ・ドラゴンを無数に貫き破壊する。そして白の着物に袖を通す、橙短髪の頭に一輪挿しの華を添えた女の子が、光の中から現れたのだ!

 

ハジメ「ターンエンド!」

 

ハジメ ライフ5 手札7 リザーブ3 トラッシュ4 バースト有

 

紫「ハジメ選手、このターンで二つのライフを奪う算段だったようですが、星選手もマジックとバーストのコンボで被害を最小限に抑え込みました!

 

互いにデッキが調子を取り戻し、バトルは此処からが本番と見えます!」

 

星「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ3→7・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

ティップボールのソウルコアとリザーブのコアを御琴に乗せてレベル3にアップ(リザーブ7→1)!そして、バーストセット(手札7→6)!アタックステップに移行!戦国姫 御琴でアタック!

 

同時に御琴の(起導:赤/白/黄)によりSバースト、発動(トラッシュ0→1)!」

 

幸村「あのスピリットも起導を持っているのか!?」

 

御琴のソウルコアがスパークを迸らせ、星のバーストが開かれる!光が収束し現れるのは、背中に揚羽蝶の羽を生やした桜衣装の少女が一人!

 

星「Sバーストの効果は不発!されど、この姫は現れる!来て下さい!戦国姫 真姫奈(せんごくひめ まきな)、レベル3!!不足コストを御琴から確保しレベル2にダウン(リザーブ1→0)!」

 

美しい微笑みと共に真姫奈はバトルフィールドと言う名のステージに降り立った。御琴から真姫奈へと繋ぐ、光と姫の絆の連鎖。

 

星「戦国姫 真姫奈がレベル3の間、自分の系統:詩姫(ディーバ)/戦姫(せんき)スピリット全てに黄色シンボルを1つ追加します!さぁ御琴のアタック、どうしますか!」

 

ハジメ「…バースト貰った!」

 

星「へ?」

 

ハジメが伏せたバーストが突如として宙を舞い、表側に向き直る!

 

ハジメ「相手のスピリット/アルティメットのアタック後を条件に発動するバーストカード!それはコイツだ!

 

二刀の刃!洗練召喚!こい、刀の覇王ムサシード・アシュライガー!レベル2だ(リザーブ3→0)!!!」

 

ハジメの前で火の玉が五つ出現、時計回りで高速回転を始めると、その中から二本の腕と二本の刀、四脚の脚持つ赤い甲冑纏う虎が現れ、炎を祓いて咆哮を上げた!

 

アシュライガー レベル2(2+SC)8000+5000=13000

 

龍虎「刀の覇王ムサシード・アシュライガー…!バースト効果も変わってる…リバイバルか!」

 

ハジメ「アシュライガーのバースト効果はBP7000以上の相手のスピリット/アルティメットのアタックを条件に発動し、バースト効果でアシュライガーにBP+5000!

 

アシュライガー!御琴をブロックだ!」

 

二刀を振るい、アシュライガーが飛び出して立ち塞がる。止めどなく振るわれる斬撃を躱わす御琴だが、アシュライガーのティップボールを利用した真上からの斬撃に回避出来ず、切り裂かれて消滅した。

 

星「御琴…!」

 

ハジメ「アシュライガーのレベル2バトル時効果!ソウルコアが乗っている状態でBPを比べ、相手のスピリット/アルティメットを破壊/消滅させた時、相手のネクサス/ブレイブ1枚を破壊するか、相手の手札1枚を破棄出来る!ネクサスのティップボールを破壊だ!」

 

星「えええ!?」

 

刃を交差し放った斬撃は、ティップボールを切り裂き、隆起した大地も切り裂いて破壊する。

 

バシン「…あれ?そうなるとアシュライガーは手札に有ったって事になるよな?何で伏せなかったんだ?」

 

環奈「釣り餌じゃな」

 

ヨク「釣り餌…?」

 

弾「本来のアシュライガーのバースト効果はBP5000以上のスピリットのアタックを条件に発動する。対してリバイバルしたバースト効果はBP7000以上のアルティメットにも対応していた。

 

だがこのまま伏せても、低コストのスピリット/アルティメットで殴られれば意味がない。

 

ハジメはわざと手札事故に見せる事で、星のアタックを誘い込み、最高のタイミングで発動させたんだ。星が大型のスピリット/アルティメットを呼ぶタイミングで一撃を叩き込む為に」

 

バーストを知るからこそ、この行動を取った。ハジメというカードバトラーは、バーストカードを最大限に発揮するために、演技すらやってのけると。

龍虎はこの時改めて知ったのだ。

 

星「やりますね、陽昇 ハジメ…!ですが、エンドステップ時、トラッシュの舞華ドローの効果が発動し、トラッシュにソウルコアが有るので、手札に戻せる(手札6→7)!ターンエンド!」

 

星 ライフ4 手札7 リザーブ5 トラッシュSC

 

戦国姫 真姫奈 レベル3(3)13000

 

ハジメ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札7→8)、リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

アシュライガーをレベル3にアップ!マジック、双翼乱舞で2枚ドローしてバーストセット(手札8→7→9→8・リザーブ5→3→0・トラッシュ0→3)!

 

アタックステップ!ムサシード・アシュライガーでアタック!行くぜ、アシュライガーのレベル3アタック時効果発揮!デッキから3枚カードをオープンし、その中にバースト効果を持つカードが有った時、その中の1枚のバースト効果とメイン/フラッシュ効果全てを発動条件を無視してノーコストで発揮!その後カードはトラッシュに送られる!」

 

龍虎「つまり…どうゆう事だってばさ?」

 

紫「これは凄まじい効果!リバイバルした刀の覇王は双翼乱舞1枚で4枚ドローが出来ると言う、まさに覇王の名に相応しい力です!!!!」

 

ハジメ「いくぜぇええええええ!!!」

 

デッキトップから3枚のカードがオープン。内容は爆裂十紋刃(ばくれつじゅうもんじん)、キジ・トリア、甲竜封絶破(こうりゅうふうぜつは)の3枚。

 

ハジメ「アシュライガーの効果で俺はマジック、甲竜封絶破のバースト効果、ならびにフラッシュ効果を同時に発揮!バースト効果で戦国姫 真姫奈をデッキの一番下に戻し、フラッシュ効果でアシュライガーは回復だ!!」

 

吹雪が白竜を創り出し、真姫奈を包み込みデッキの下に送り返したと思えば、ムサシードに白いヴェールが降ろされて再び立ち上がった!

 

レイ「これが進化したアシュライガーの力…!ライフを2つ奪う効果は、バーストを2つ使う効果に進化したって訳か!」

 

ハジメ「さぁ!アシュライガーのアタックはどう受ける!!!」

 

星「フラッシュタイミング!マジック、スティール・ハート(手札7→6・リザーブ8→5・トラッシュ1→4)!アシュライガーのシンボルを0にします!これで、回復し再アタックでも私のライフは減らせない!」

 

アシュライガーのシンボルを、カードから生まれたクレヨンが塗り潰す。するとアシュライガーの斬撃は力を失い、星のバリアを切り裂くことが出来なくなってしまった。

 

ハジメ「ちっくしょー!やるなぁ星!ターンエンドだ!」

 

ハジメ ライフ5 手札8 リザーブ0 トラッシュ3 バースト有

 

ムサシード・アシュライガー レベル3(4+SC)11000

 

星「……………陽昇 ハジメ」

 

ハジメ「?」

 

星「貴方はバトスピをする時、自分の中の何かを…譲らない物は有りますか?」

 

ハジメ「譲らない物…」

 

星の質問にハジメの動きが止まり、観客達もざわめき出した。

 

星「私はバトスピをする時、命蓮寺の代表としての誇りと責任を背負って戦ってます。貴方は何かを背負っているのですか?」

 

星の問いにハジメは暫く黙り込んで考えた後、一言。

 

ハジメ「わかんねぇ」

 

星「…へ?」

 

ハジメ「俺さ。バトスピやる時、すんげーっ楽しいと言うか、ワクワクっ!!!な気持ちでバトルするんだ。

 

そりゃあバトラーそれぞれが同じって訳じゃなくて…星さんみたいに代表としてだったり、俺の一番のライバルのテガマルやキマリみたいに自分の夢の為に戦う奴もいる。

 

でもそれは、皆「バトスピが大好きだから!」って想いが根底に在るからこそだと思う。俺の恋人がバトスピなのも有るんだけどな」

 

ハハハ…と苦笑いしながらハジメは言った。バトスピが大好きだから。とてもシンプルで尊い答えは、星の中に残った疑問をほどくには十分だった。

 

星「ならば私も、今この瞬間だけは…命蓮寺代表としてでは無く!一人のカードバトラー、寅丸 星として御相手します!」

 

ハジメ「おう!こい星!」

 

星「スタートステップ、コアステップ(リザーブ5→6)、ドローステップ(手札7→8)、リフレッシュステップ(リザーブ6→10・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

いよいよです、私のデッキのキースピリット!!!」

 

星のドローカードが綺羅美やかな光を放ち、空へカードは投げられた!

 

星「艶やかにして絢爛なる戦の姫!戦国姫 那由多(せんごくひめ なゆた)レベル3で召喚(手札8→7・リザーブ10→0・トラッシュ0→3)!」

 

トパーズの結晶から生まれたのは、三重織の美しき着物に身を包む、二輪の花髪止めを差し蝶々の羽広げた、絢爛なる姫の姿。戦国姫 那由多…寅丸 星のキースピリット。

 

早苗「とっても綺麗なスピリット…」

 

星「アタックステップ!戦国姫 那由多でアタック!」

 

微笑みと共に那由多が空へと飛翔、秘めたその力を解放する!

 

星「那由多にソウルコアが乗っている時、お互いのアタックステップで私は手札のマジックカード1枚をノーコストで使用出来る!よっマジック、イエローリカバーをノーコストで発動!那由多を回復させます(手札7→6)!そして那由多は自分のアタックステップで、マジックカードを使えば、系統:戦姫のスピリット全てにアンブロッカブルを付与します!そのままメインアタック!」

 

ハジメ「きたきたきた!ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ0→1)!」

 

那由多の掌からビームが撃たれ、ハジメのライフを1つ射抜く!ハジメはこの瞬間を待っていた。自分のライフが減った、この瞬間を!

 

ハジメ「よっしゃぁ!アゲてくぜぇ!ライフ減少によりバースト発動!真っ赤な覇王(ヒーロー)、爆熱召喚!現れろ!英雄龍(えいゆうりゅう)ロード・ドラゴン!アシュライガーのコアでレベル3に吠えろ!」

 

鼓の音が鳴り響き、空から降りてきた巨大な桃。その表皮に幾度の閃光が走り、桃が弾けて現れた、炎の翼持ち陣羽織の鎧纏う赤龍現る…!

 

陽昇 ハジメの原点、英雄龍ロード・ドラゴン!

 

英雄龍ロード・ドラゴン レベル3(4+SC)9000

 

紫「きたぁああああ!英雄龍ロード・ドラゴン!星選手のペースに乗せまいと、ハジメ選手もバーストで対抗だぁあああああ!!!」

 

星「まだまだ、那由多で再びアタック!那由多自身の効果でブロック出来ませんよ!」

 

ハジメ「ライフだ(ライフ4→3・リザーブ0→1)!」

 

那由多は産み出したビームを巨大な折鶴に変えて、ハジメにぶつけ、ライフを破壊する!

 

星「ターンエンド!」

 

星 ライフ4 手札6 リザーブ0 トラッシュ7

 

戦国姫 那由多 レベル3(2+SC)11000 疲労

 

ハジメ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ…(手札8→9)!リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ!」

 

龍虎(ハジメさんの雰囲気が変わった…?)

 

ハジメ「バーストセット(手札8→9)!英雄龍ロード・ドラゴンをレベル1にダウンして、刀の覇王ムサシード・アシュライガーをレベル3にアップ!マジック、烈光閃刃(れっこうせんじん)!トラッシュからオードランを手札に戻す(手札9→8→7→8・リザーブ5→3・トラッシュ0→2)!」

 

英雄龍ロード・ドラゴン レベル1(SC)4000

 

刀の覇王ムサシード・アシュライガー レベル3(5)11000

 

ハジメ「アタックステップ!ムサシード・アシュライガーでアタック!アタック時効果で、デッキから3枚オープン!その中のバースト効果を持つカードのバースト効果とメイン/フラッシュ効果を条件を無視してノーコストで発動!」

 

オープンカード3枚の内容は、ハンゾウ・シノビ・ドラゴン、英雄皇の神剣、ドス・モンキ。

 

ハジメ「ハンゾウ・シノビ・ドラゴンのバースト効果を発揮、このままレベル2召喚(リザーブ3→1)!残ったカードは破棄!」

 

紫の忍装束纏うドラゴンが、ルビーの結晶を砕き現れる。アシュライガーはアタックを続行し、星に迫る!

 

星「那由多の効果は忘れては居ませんよね?フラッシュタイミング!マジック、リミテッドバリアを那由多の効果でノーコスト発動!コスト4以上のアタックで私のライフは減らせません(手札6→5)!」

 

アシュライガーの前に形成された氷河の分厚い壁が、星を守る石垣の如く立ち塞がる!

 

ハジメ「白のマジックか…!ターンエンド!」

 

ハジメ ライフ3 手札6 リザーブ1 トラッシュ2 バースト有

 

刀の覇王ムサシード・アシュライガー レベル3(5)11000 疲労

 

英雄龍ロード・ドラゴン レベル1(SC)4000

 

ハンゾウ・シノビ・ドラゴン レベル2(2)4000

 

星「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ1→8・トラッシュ7→0)、メインステップ!

 

戦国姫 瑞樹(せんごくひめ みずき)をレベル2で召喚(手札6→5・リザーブ8→4・トラッシュ0→1)!」

 

緑の袖が分離した着物を着る無垢な少女がトパーズの結晶の中から現れた。

 

星「このターンで決める!アタックステップ、那由多お願い!那由多の効果発揮!フラッシュタイミングで手札のマジック・ダブルハートを那由多に使用!黄色のシンボル追加と系統:戦姫全てにアンブロッカブルを付与!

 

さらに瑞樹の効果で私がマジックを使ったのでトラッシュから戦国姫 御琴を手札に戻します(手札5→4→5)!」

 

ハジメ「ライフで受ける(ライフ3→1・リザーブ1→3)!!!」

 

両手を天に掲げ、綺羅美やかな光のシャワーがハジメの2つのライフを砕く。遂に残り1まで追い込まれ、星にはまだアタック出来るスピリットが1体残っている…!

 

星「このアタックで終わりに…」

 

ハジメ「まだだ!」

 

星「!?」

 

ハジメ「俺のライフ減少でバースト発動…(Sバースト転召)だああああ!!!」

 

龍虎「(Sバースト転召)!?」

 

ハジメの伏せられたバーストが解き放たれ、宙を舞い、表に向き直る!!!

 

ハジメ「真っ赤な炎に白い牙!覇王を超えろ、俺の夢!!超覇王ロード・ドラゴン・セイバー!!!大爆熱召喚ッ(リザーブ3→2)!!!

 

英雄龍ロード・ドラゴンのソウルコアをトラッシュに置く!力を借りるぞ!ロード・ドラゴン(トラッシュ2→3)!」

 

英雄龍を白と赤の二色の炎が包み、粒子と変えて空に放つ。粒子は白のロードと、赤のロードに分かれ、交差し、また分かれ…一つに重なる。黄金の光を振り払い、氷の刺を纏う炎の翼持つ四足歩行のドラゴンが、天を駆けてやって来た。

 

バトルフィールドに刻まれる桃の紋様。紅白の息吹きが大地を金の光で満たし、覇王を超えし龍の降臨を迎え入れるよう…。

長き首を高く掲げ、響かせるは皇の声。ハジメの最強のロード・ドラゴン、それがセイバーなのだ。

 

星「(Sバースト転召)…!超覇王ロード・ドラゴン・セイバー…!」

 

ハジメ「さらに!Sバースト転召元に系統:覇王を持つスピリットを使っていれば、自分のライフを5までリザーブ/フィールド/トラッシュのコアを使って回復出来る!俺はトラッシュと、リザーブのコアを2つずつ使う(ライフ1→5・リザーブ2→0・トラッシュ3→SC)!

この時ロード・ドラゴンを使っていたら、このターン中俺のライフはどんな事があっても、必ず1残る!」

 

星「ライフ回復に加えて、ターン中の敗北阻止…!?これじゃ決められない…ターンエンド」

 

星 ライフ4 手札5 リザーブ4 トラッシュ1

 

戦国姫 那由多 レベル3(2+SC)11000 疲労

 

戦国姫 瑞樹 レベル2(3)4000

 

紫「ハジメ選手!進化したセイバーのバースト効果でライフ回復と駄目押しの敗北阻止を同時にやってのけたぁ!さぁ次のターン、どんなアタックを見せてくれるのか!」

 

ハジメ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ1→2・トラッシュ1→0)、メインステップ!

 

ハンゾウ・シノビ・ドラゴンをレベル1にダウン、リザーブのコアと合わせ、3コアをセイバーに追加!レベル2にアップ!そしてバーストセット(手札7→6・リザーブ2→0)!

 

アタックステップ!超覇王ロード・ドラゴン・セイバー!いっけぇ!!!」

 

咆哮を挙げ、その瞳が星をしっかりと捉えて離さない!!!

 

ハジメ「ロード・ドラゴン・セイバー、レベル2・3のバトル時効果!自分のライフのコア1つをセイバーの上に置く事で、このターンの間、自分のスピリット/アルティメット全てのBPを+5000!系統:覇王を持つスピリットは、さらにBP+5000!ライフのコアがセイバーに乗ったから、レベル3にアップ!」

 

セイバーの咆哮がアシュライガー、ハンゾウ・シノビ・ドラゴンの力をより強く、より高く、より強靭に押し上げる!

 

星「BP26000…!だけど、それだけじゃ」

 

ハジメ「さらに俺のライフ減少でバースト発動!暁の寺院城アルンのバースト効果で、お互いターン中にマジックは使えなくなる!そしてアルンのレベル1で配置!」

 

星「嘘!?」

 

ハジメも相手のマジックの対抗策を用意していない訳ではなかった。セイバーの力を生かせるカードを皆と探し、そして見つけたのが、マジックを封殺しセイバーのダブルシンボルを叩き付けられるようにするネクサス、(暁の寺院城アルン)だった。

 

ハジメ「さらにセイバーのレベル3の効果!自分/相手のバーストが発動した時、系統:覇王を持つスピリット1体を回復出来る!セイバーを回復だぁ!」

 

紅白のオーラがセイバー自身を包み、吸収され、再び翼を広げ、駆ける!!!

 

星「瑞樹、ブロックお願い!」

 

コクリと頷き、瑞樹は一人、超覇王へ立ち向かう。セイバーは左翼で炎の、右翼で氷の巨大なエネルギー弾を精製、瑞樹を圧倒的質量で押し潰して、爆砕した。

 

星「強い…これがバーストを極めたバトラー、陽昇 ハジメのバトル…

 

さぁ!私のライフ、全てを破壊しなさい!」

 

負けは既に決まっている。だが逃げずに立つ姿は、とても凛々しく、真っ直ぐにハジメを見つめていた。彼は星の想いを汲み、ハンゾウ、アシュライガー、セイバーのアタックを宣言。

 

彼女のライフを1つ残らず破壊し、勝利を得たのだった…

 

* * *

 

紫「決着!!!バースト使い同士に近い接戦を制したのは、陽昇 ハジメ選手だああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

ハジメ「星!!!」

 

大の字に倒れた彼女に駆け寄り、起こすハジメ。星は暫し呆然としていたが、彼に向き直り「次は負けませんよ!」と返し、握手をした。それを見た観客達も大いに盛り上がり、二人の健闘を称え、拍手を送る。

 

だがこの時…歓声の裏でレイのデッキに1枚のカードが入った事を、本人も観客達も、予想だにしなかったのであった…




第9話、お待たせしてしまい申し訳ございませんでした!

マグナ「更新が遅れた理由を今すぐ答えろ」

はい…実は自分、新しい小説を書いておりまして。そっちの方のPV数がヤバい事態になってました。ランキングにも乗っててチビりかけました…

マグナ「よし許す。字解予告とオリカ…もといオリバのカードを紹介して〆るか」

ラジャー!!!

刀の覇王ムサシード・アシュライガー(リバイバル)

系統:覇王・皇獣 赤7(4) 赤

レベル1(1)5000 レベル2(3)8000 レベル3(5)11000

(バースト:相手のスピリット/アルティメットのアタック後)アタックしたスピリット/アルティメットのBPが7000以上、このスピリットを召喚する。その後、このターンの間、このスピリットにBP+5000する

レベル2,3(このスピリットのバトル時)このスピリットにソウルコアが置かれている間、BPを比べて相手のスピリット/アルティメットだけを破壊/消滅した時、相手のブレイブ/ネクサスを1枚破壊する。または相手の手札を1枚破棄する

レベル3(このスピリットのアタック時)デッキの上から3枚のカードをオープンし、その中にバースト効果を持つカードを1枚を選んで、そのバースト効果とフラッシュ/メイン効果を条件を無視して、コストを支払わずに発揮する。残ったカードは破棄する

英雄龍ロード・ドラゴン(リバイバル)

系統:覇王・戦竜 赤6(3) 赤

レベル1(1)4000 レベル2(3)6000 レベル3(5)9000

(Sバースト:自分のライフ減少後)このスピリットを召喚する。自分のライフが1以下の場合、ボイドからコア1つを自分のライフに置く。

レベル1,2,3(自分のバースト発動時)BP9000以下のスピリット/アルティメット1体を破壊する

レベル2,3(このスピリットのバトル時)バトル終了時、自分のバースト1つを破棄して、このスピリットは回復する。このスピリットにソウルコアが置かれているなら、破棄したバーストのバースト効果を発揮出来る

超覇王ロード・ドラゴン・セイバー(リバイバル)

系統:覇王・戦竜 赤白10(赤3白3) 赤白

レベル1(1)10000 レベル2(3)13000 レベル3(5)16000

(Sバースト転召:自分のライフ減少後)系統:覇王/戦竜を持つ自分のスピリット1体の上のコア全てをトラッシュに置く事で、このスピリットを召喚する。この時、ソウルコアが置かれているスピリットを(Sバースト転召)に使用した時、自分のライフを5になるまで、フィールド/リザーブ/トラッシュのコアをライフに置く。

レベル1,2,3(Sバースト転召時)カード名に(ロード・ドラゴン)と名の付くスピリットを使用した時、召喚ターンの間、自分のライフは0にならない。

レベル2,3(このスピリットのバトル時)自分のライフのコア1つをこのスピリットに置く事で、このターンの間、自分のスピリット/アルティメット全てのBPを+5000する。系統:覇王を持つ自分のスピリットが居るなら、さらにBPを+5000する

レベル3(お互いのバースト発動後)系統:覇王を持つ自分のスピリット1体を回復する

マグナ「どいつもバースト関連の強化だな、おいよ?」

覇王編のリバイバルが来たらこんな感じになるかな?の予想です。BPはそのままにして調整しましたが、どうでしょう?では次回予告に参ります!

第9戦目はレイvsイナバのバトル!アルティメット使いとして、灼熱のゼロへと変わったレイ!だがイナバはアルティメットへの対抗策を持っていて…!?
イナバの戦術にレイは絶体絶命の大ピンチ!その時、レイに聞こえた声…。果たしてそれは天使の歌か、悪魔の囁きか…

次回、東方激闘魂 第10話!

レイvsイナバ!賭けろ、獄炎のソウルドライブ!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第10話 レイvsイナバ!賭けろ、獄炎のソウルドライブ!

この度、東方激闘魂も10話に入りました。筆者のガリアムスです。

レイ「今回は俺のバトルだな。ちなみに前回言ってたソウルドライブってのは何だ?」

命懸けの一発限りの大技…と言えば良いんでしょうか。命の危険と引き換えに、絶大な力を発動出来る技ですね。

レイ「おもしれぇ…やってやろうじゃねーか」

死なれたら筆者の私が困りますからね…?

*今回も誤字/脱字、おかしな表現が有ったらごめんなさい。


前回のあらすじ!

 

第8戦は陽昇 ハジメと寅丸 星のバトル!しかし両者共に初手で手札事故を起こす大波乱の幕開けに!数ターンの後、どうにかデッキの調子が戻り、ハジメはリバイバルしたバーストを、星はマジックで大接戦!

 

最後は進化を遂げた超覇王ロード・ドラゴン・セイバーのSバースト転召が決定打となってハジメが勝利!

 

その頃、八雲 藍は元紫の光主・紫乃宮 まゐと接触し、忍び寄る不穏な影は一番星のレイのデッキに…。

それぞれの思惑が交錯し、更なる波紋が産まれる第10話…開・幕!

 

* * *

 

紫「これより15分間の休憩を挟み、第9戦目、一番星のレイvs鈴仙・優雲華院・イナバの対戦を行います!皆様、各自御手洗い等を御済ませの上、観戦席に御付き下さいませ」

 

アナウンスが流れると会場は売店に向かう者、手洗いに動く者で行き交い、往々が激しくなる。その頃の龍虎はというと…

 

* * *

 

龍虎「ブゲイシャー!ライジング!ライト・ジークヴルムで三人にラストアタックだ!」

 

男「負けたぁああああああ!!!」

 

男「ギョエエエエエエエエ!!!」

 

男「つえええええええええ!!!」

 

観客の中に混じるバトラーからバトスピを挑まれ、赤デッキのオレドラで、全力複数同時に相手をしておりました。

 

龍虎「爆熱!業熱!大勝利!これが俺のオレドラだ!」

 

少年「お兄さんつよーい!」

 

にっと爽やか笑顔の龍虎。子供達もホッコリし、中々雰囲気が良い。

 

???「あら、貴方…そんなにバトスピが強いの?」

 

低い声と此方に歩いて来る、水色の服とピンクのスカートに短髪のゴスロリ少女。体に巻き付く糸、左胸辺りには毛玉のような何かがある。

 

「Mrs.SATOだ」「Mrs.SATO…」と周りから聞こえたその言葉に、龍虎も反応。

 

龍虎「…どうも有名人みたいだな、アンタ。そんなにバトスピが強いんか?」

 

SATO「そんな所ね…でも」

 

彼女は龍虎を指して…呟く。「まだ続けてたのね。バトスピ」…と。

 

龍虎「は?何言ってんだ、おま」

 

SATO「(第81回全国バトスピチャンピオンシップ決勝戦)」

 

龍虎「…え」

 

彼の表情が明らかに変わり始めた。恐怖…悲哀…後悔…罪悪感に染まった顔に。

 

SATO「(唯一の不戦勝優勝者)」

 

龍虎「…やめろ」

 

SATO「(対戦相手を事故に見せかけで暗殺した)」

 

龍虎「やめろ…!」

 

SATO「(お前にバトスピをやる資格はない)」

 

龍虎「やめろ…!!!」

 

SATOの投げ掛ける一言一句に、龍虎は頭を抑え、苦しみ藻がく。そんな彼を追い詰めるように、心の水晶を砕くように、少女は決定的な台詞を突き付ける…

 

SATO「(ごめんね…龍虎)」

 

一言だった。彼の中で大切な何かが粉々に砕けて、バラバラに散らばったのは。

 

龍虎の髪は赤から紫、黄、青、緑、白と幾度にも変色し、切り替わり、彼の目は瞳孔が於保つかず、やがて怯えるようにして、博麗神社を飛び出してしまう!

 

SATO「あらら…ちょっとやり過ぎちゃったみたい。フフフ…」

 

* * *

 

幸村「あれ、龍虎!どうした…って」

 

幸村の声にすら耳に掛けず、龍虎が環奈と彼の横を通り過ぎる。その一瞬に幸村は、彼の沈んだ目を見逃さなかった。

 

環奈「幸村…?とわ!?」

 

幸村「環奈済まない、俺は龍虎を追い掛ける!試合と他の皆の事は任せた!!!」

 

その後を追うようにして、幸村が全力ダッシュを開始。龍虎を追い掛ける!!!

 

* * *

 

紫「皆様お待たせ致しました!これより第9戦、一番星のレイvs鈴仙・優雲華院・イナバによる対戦が始まります!!!

 

片や宇宙を崩壊から救った6色のアルティメット使いのレイ選手と相棒のムゲン!片や月の導き手と言われるイナバ選手!

 

両者共に準備完了の様子!それでは第9戦目…始め!」

 

対決の始まりを告げるゴングが鳴り、両者共にデッキケースを構える…!

 

レイ「ムゲン!」

 

ムゲン「ほいきた!」

 

彼の手の内に乗り、上空に放り投げられたムゲンは煙に包まれ、1枚のカードに変化して、レイはそれをデッキに加える。

 

レイ「お前を燃やす色は…赤だ!」

 

イナバ「いくわよ!」

 

両者「ゲートオープン!界解!!!」

 

レイは腰に着けた拳銃を抜き、デッキケースを装填。トリガーを引いて赤のエネルギー弾を発射!彼の体を光が包み込み、肩と胸にルビーの結晶で出来た真紅の装甲と、白と金を基調にしたスーツを着、髪は赤に染まる。

そして彼の足場となる乗り物が現れた。

 

イナバ「それが貴方のバトルの時の姿ですか」

 

ゼロ「俺はゼロ…宇宙で一番熱い男!灼熱のゼロだ!」

 

灼熱のゼロ…もとい赤デッキのレイは、紅蓮 龍虎に良く似てオラオラした熱血漢タイプのようである。

 

ゼロ「先行貰うぜ!スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!

 

生還者(サバイバー)ネオ・アーク召喚(手札5→4・リザーブ4→0・トラッシュ0→3)!」

 

炎の中から現れたのは、ハルバートを抱える1体の竜人の姿。その体は夕焼けに染まる空の赤のように美しい。

 

ゼロ「ターンエンドだ!」

 

ゼロ ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3

 

生還者ネオ・アーク レベル1(SC)3000

 

イナバ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ノーザンベアード(リバイバル)をレベル2で召喚」

 

ダイヤモンドの結晶を砕き、腹部に鎧を着けた巨躯のホッキョクグマが一匹現れる。

 

イナバ「バーストセット(手札4→3)、アタックステップ。ノーザンベアードでアタック」

 

ゼロ「ライフに来いや(ライフ5→4・リザーブ0→1)!」

 

熊の前腕から繰り出される剛の張り手が、ゼロのライフを1つ砕く。

 

イナバ「ターン終了」

 

イナバ ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ3 バースト

 

ノーザンベアード(リバイバル) レベル2(1+SC)8000 疲労

 

ゼロ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

ネオ・アークをレベル2に!さっそくいくぜ、アルティメット・ドラグザウルス召喚(手札5→4・リザーブ5→4→0・トラッシュ0→3)!」

 

黄金の炎の中から胸と肩にルビーの結晶が融合した二足歩行の巨大な恐竜が、溢れんばかりの力を解き放つようにバトルフィールドで叫んだ。

 

イナバ「アルティメット…早速投入ですか」

 

ゼロ「アタックステップ!ネオ・アーク、ぶちかませ!アタック時にBP+5000と1枚ドローだ(手札4→5)!」

 

イナバ「ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ0→1)」

 

ネオ・アークの持つハルバートがイナバのライフを1つ砕く。だが、ゼロは彼女から漂う異質にして不気味な力を、バトラーの直感として感じ取っていた。

それはかつて、蛇使い座のネイクスに見入られ、道を外しかけた友の放っていたオーラと同じか、それ以上の力を。

 

ゼロ「…ターンエンド」

 

ゼロ ライフ4 手札5 リザーブ0 トラッシュ3

 

生還者ネオ・アーク レベル2(2)4000 疲労

 

アルティメット・ドラグザウルス レベル3(SC)6000

 

イナバ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ノーザンベアード(リバイバル)をレベル2で追加召喚(手札4→3・リザーブ4→0・トラッシュ0→2)」

 

ダイヤモンドの結晶を砕き、新たなノーザンベアードが現れる。

 

イナバ「アタックステップ、先に召喚されたノーザンベアードでアタック」

 

ゼロ「(コイツ、淡々とバトルしてやがる。…気持ち悪ぃ…)ライフで受けるぜ(ライフ4→3・リザーブ0→1)!」

 

ホッキョクグマの前足から繰り出される熊の張り手((ベア・パンク))が、ゼロのライフをまた1つ砕き、破壊する。

 

イナバ「ターン終了」

 

イナバ ライフ4 手札3 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

ノーザンベアード レベル2(1+SC)8000 疲労

 

ノーザンベアード レベル2(2)8000

 

紫「やられればやり返す!一進一退の攻防!これこそバトスピの醍醐味!!!」

 

ゼロ「スタートステップ!コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

まずはルクバード・ドラゴンを召喚(手札5→4・リザーブ5→4)!」

 

炎の中から現れる四足歩行の小さな蜥蜴。だがその足は吸盤とは異なり、蹄のような形をしていた。

 

ゼロ「ルクバード・ドラゴンの(スピリットソウル:赤)発揮!シンボルを追加!…そしてもう1体!

燃えろ、灼熱の竜!アルティメット・ジークフリード!俺と共に熱くなれ(手札4→3・リザーブ4→0・トラッシュ0→3)!」

 

ゼロの右拳が真っ赤な炎に包まれ、彼がバトルフィールドを殴ると、大噴火と共に真紅と黄金の龍が1体、大地の中から姿を見せる。

究極に至る龍皇…それが灼熱のゼロの最初の切札、アルティメット・ジークフリードなのだ。

 

紫「出たああああ!灼熱のゼロ、此処で大型アルティメットを投入したぁあああああ!!!」

 

バシン「ジークのアルティメットか!すげぇ!カッコイイ!」

 

ゼロ「いくぜ!アルティメット・ジークフリードでアタック!!!」

 

雄叫びを挙げ、バトルフィールドを踏み締め、大地を鳴らすように、アルティメット・ジークフリードが歩き出す!

 

ゼロ「U(アルティメット)トリガー!ロックオン!」

 

右手を銃のように構えると、イナバのデッキトップから1枚のカードが、彼女の目の前に浮遊する。

 

イナバ「…アンバー・レオン。コスト3」

 

ゼロ「ヒット!」

 

指先から放つ一閃の光が、アンバー・レオンのカードを弾き、トラッシュへと落とす!

 

ゼロ「相手は可能なら、俺のアルティメット・ジークフリードのアタックをブロックしなきゃならねぇ!だがジークはブロックされた瞬間、お前のライフを奪うぜ!」

 

イナバ「ノーザンベアードでブロック。ブロック時に1コアを追加」

 

アルティメット・ジークフリードの前にノーザンベアードが立ちはだかり、強靭な前脚をぶつけるが、全く相手にされない。

ジークは体内で生成した灼熱の業火をイナバにぶつけ、ライフを1つ奪いながら、ついでにノーザンベアードも焼き尽くして破壊した(ライフ4→3・リザーブ1→4)!

 

ゼロ「どうだぁ!!」

 

イナバ「…ライフ減少により、バースト発動!バーストマジック、ムーンライトイレイザー!!!

自分のライフが3以下の時に発動出来、効果で手札にある、カード名に(月光)/(ストライク)と記述されたスピリット/アルティメットを2体まで、ノーコストで召喚する…!」

 

ゼロ「何…!?」

 

バーストが開かれると同時に、空がプラネタリウムのように変化。夕陽が地平線に沈み、浮かぶは満面の星と蒼白なる満月の姿。

 

イナバ「…白銀の光満ちる空よ、穢れ亡き竜麟纏う龍を此処に!月光龍ストライク・ジークヴルム!

 

そしてもう1体。…白銀の守護龍よ、穢れを滅する神聖なる翼広げて空を舞え!月光神龍ルナテック・ストライクヴルム(手札3→2→1・リザーブ4→3→2)!」

 

月に雫が2つ落ち、波紋広がりし時、その中から2体の白銀(しろがね)の龍が現れる。2体共に姿が類似しており、白いスパークを口から迸らせながら、イナバの前に降り立った…!

 

弾(ストライク・ジークヴルムにルナテック・ストライクヴルム…。バローネを支えたスピリット達か)

 

ゼロ「まだまだ!ネオ・アークでアタック!効果でBP+5000と1枚ドロー(手札3→4)!」

 

イナバ「ライフで受ける(ライフ3→2・リザーブ2→3)」

 

ネオ・アークのハルバートが再び、彼女のライフを1つ打ち砕くが、本人はまるで動じる事なく淡々とバトルを続けている。

 

ゼロ「ターンエンド!」

 

ゼロ ライフ4 手札3 リザーブ0 トラッシュ3

 

アルティメット・ジークフリード レベル3(SC)10000 疲労

 

アルティメット・ドラグザウルス レベル3(1)6000

 

生還者ネオ・アーク レベル2(2)4000 疲労

 

ルクバード・ドラゴン レベル1(1)1000

 

イナバ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ4→6・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

…勝利の方程式は揃った」

 

ゼロ「何…?」

 

イナバ「月光の龍達に更なる力与えしカード。異魔神ブレイブ、セイバーシャーク(リバイバル)召喚(手札2→1・リザーブ6→3・トラッシュ0→3)!」

 

ダイヤモンドの結晶を砕き現れたのは、青白いサメ型のスピリット、セイバーシャーク。このカードは弾が異世界で出会い、幾度か戦ったバローネが使っていたカードの1枚だ。

 

イナバ「セイバーシャーク。月光龍ストライク・ジークヴルムを左側に、月光神龍ルナテック・ストライクヴルムを右側に合体(ブレイブ)せよ…!」

 

セイバーシャークの横ビレから放つ白のビームが、2体の月光の龍に繋がり、力を注ぎ込む。同時にルナテックの装甲が、通常より純粋な白へと変化を遂げる。

これは月光神龍ルナテック・ストライクヴルムだけが持つ、重装甲:可変と呼ばれる効果で、自身の持つ色と同じ相手のスピリット/ネクサス/マジック/ブレイブの効果を遮断する力なのだ。

 

ストライク・ジークヴルム BP5000→11000

 

ルナテック・ストライクヴルム BP6000→12000

 

ゼロ「スゲーじゃねぇか、イナバ!まさかこんな異魔神が居たなんてな!やっぱバトスピは奥が深いぜ!」

 

イナバ「…ノーザンベアードをレベル1にダウンし、リザーブのコアと合わせて、ルナテック・ストライクヴルムをレベル3に。アタックステップ、月光神龍ルナテック・ストライクヴルムで合体(ブレイブ)アタック。

 

ルナテックのバトル時効果、ルクバード・ドラゴンを手札に戻す」

 

翼に搭載したブースターが火を噴き、ルナテックが空へと飛翔し、口から放つスパークがルクバード・ドラゴンに直撃、粒子に変えて手札へ返す!

 

ゼロ「やるなぁ!ライフに来いや(手札3→4・ライフ4→3・リザーブ1→2)!」

 

ルナテックの鉤爪がゼロのライフを1つ打ち砕く。Xレアの力は凄まじく、幾戦のバトルを潜り抜けてきたゼロでも、体勢を大きく崩されてしまう。

 

イナバ「ターンエンド」

 

イナバ ライフ2 手札1 リザーブ0 トラッシュ3

 

月光神龍ルナテック・ストライクヴルム レベル3(4+SC)17000 疲労

セイバーシャーク

月光龍ストライク・ジークヴルム レベル1(1)11000

 

ノーザンベアード レベル1(1)5000

 

ゼロ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ!よし(手札4→5)!リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

まずはルクバード・ドラゴンを再召喚(手札5→4・リザーブ6→5)!」

 

ルビーの結晶を砕き、再びルクバード・ドラゴンが灼熱のゼロの前に現れる!

 

ゼロ「待たせたな、相棒(ムゲン)!」

 

イナバ「…?」

 

ゼロ「ルクバード・ドラゴンの(スピリットソウル:赤)発揮!いくぜ…!

 

真っ赤に滾る熱い奴!宇宙一の相棒!!!アルティメット・ムゲンドラゴンのお出ましだぁ(手札4→3・リザーブ5→1・トラッシュ0→3)!」

 

ゼロの後ろで火山が競り立ち、噴火口から火山灰とマグマを噴き上げ、天地を震わせる。その中から現れたのは、赤と白の毛と長い耳と翼、両腕両足は黄金の装甲を持つドラゴンだった。装甲には赤・紫・緑・白・黄・青の異なる水晶が嵌め込まれ、キラリと光を放つ。

このアルティメット…その正体は彼の相棒(ムゲン)にして、三極龍の内の1体である、アルティメット・ムゲンドラゴンなのだ。

 

ハジメ「すっげぇええええ!!!」

 

ムゲン(ゼ~ロ~!やっとオレの出番かよ、待ちくたびれた!!!)

 

ゼロ「(わりぃわりぃ。んじゃ行こうぜ?相棒)先ずはムゲンとジークのコアをチェンジし、ネオ・アークのレベルを1にダウンし、リザーブのコアを追加してムゲンのレベルを4にアップ!

アタックステップ!同時にアルティメット・ムゲンドラゴンのUエナジー発動!

 

俺のフィールドにいる系統:新生/次代を持つアルティメット全てに赤シンボルを1つ追加だ!!!」

 

ムゲンの咆哮が、ジークとドラグザウルスの胸に耀くルビーに更に1つの赤シンボルを追加する。ゼロはこのまま、ムゲンでアタックしようと考えていたのだろう。

だがイナバは…それさえ計算に入れていたのだ。

 

イナバ「アタックステップ開始時、セイバーシャーク(リバイバル)左側合体時効果発動。ネオ・アークで最初にアタックしてもらう!」

 

ゼロ「何!?じゃあネオ・アークでアタック!」

 

セイバーシャークの放つ光が、ネオ・アークの視界に瞬間催眠を掛ける。自我を失ったネオ・アークはハルバートを振り上げながら、イナバへと走って行く…!

 

刹那、ルナテック・ストライクヴルムの目が不気味な光を放つと、純白のオーラに包まれながら、再び立ち上がった!

 

ハジメ「ルナテックの効果!」

 

イナバ「ルナテック・ストライクヴルムでブロック。バトル時効果で、ルクバード・ドラゴンを再び手札に戻すわ」

 

口から再びスパークを放ち、ルクバードを粒子に変えて、ゼロの手札へと追い返す。そのスパークはネオ・アークをも直撃し、感電させて無惨に爆散!

同時にセイバーシャークの目が光り、ゼロのライフを2つ噛み砕き破壊する!

 

ゼロ「がっ…!?な、何ぃ…(手札3→4・ライフ3→1・リザーブ2→4)!!!」

 

イナバ「言い忘れてたけれど、セイバーシャークの右側合体時効果には、ブロックしたルナテックがBP勝負で貴方のスピリット/アルティメットを破壊出来たら、ライフを2つ破壊出来るの。残念だったわね」

 

紫「出たぁああああ!イナバ選手が月の導き手と言われる由縁!月光の双壁だああああ!」

 

ゼロ「ちぃ…ターンエンドだ」

 

ゼロ ライフ1 手札4 リザーブ4 トラッシュ3

 

アルティメット・ドラグザウルス レベル3(1)6000

 

アルティメット・ジークフリード レベル3(1)10000

 

アルティメット・ムゲンドラゴン レベル4(2+SC)19000

 

イナバ「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札1→2)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ストライク・ジークヴルムをレベル3にアップ(リザーブ4→1)。ターンエンド」

 

イナバ ライフ2 手札2 リザーブ1 トラッシュ0

 

ノーザンベアード レベル1(1)5000

 

ストライク・ジークヴルム レベル3(4)16000

セイバーシャーク

ルナテック・ストライクヴルム レベル3(4+SC)17000

 

紫「イナバ選手攻めない!これは互いに膠着状態に陥ったか~!?」

 

弾(イナバはゼロのアルティメットのBPの壁に、ゼロはイナバのカウンターを警戒して、攻め手を欠いている…

このバトル…先に戦況を切り開くカードを手にした方が勝つ…!)

 

ゼロ「スタートステップ。コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ…!?」

 

デッキトップに指を置いた瞬間だった。ゼロの末端に至る全神経が彼に警鐘を鳴らしたのは。だが、気付いた時既に遅く、彼の意識は何処か遠くの世界へと引き込まれてしまっていたのである…

 

* * *

 

ゼロが気付いた時、彼はアルティメット・ムゲンドラゴンと共に異質な空間の中で彷皇っていた。

 

ゼロ「おい、ムゲン!起きろ!…何だ此処は…」

 

ムゲン「はやぁ…?なにここ…アルティメットの空間かぁ?…にしては周りが黒いぞぉ…?」

 

本来アルティメットがバトラーを招き入れる時、その空間は金色の神聖な場所である。だが、この空間は金色よりも黒が大半を締める、禍々しい空気が支配する場所だった。

 

???「目覚めたか…究極の力持つ者」

 

ゼロが振り返った其処には、黒と赤の竜麟纏うケンタウロスの様な下半身が四つ足、上半身が人の形に近いドラゴンの姿が存在していた。

ドラゴンは全身を鎖で縛られ、胸と目の緑は怪しく淡い光放ち、側には巨大な2本の剣がある。

 

ゼロ「誰だテメェ?」

 

ザンド「…我が名は、獄炎の四魔卿ブラム・ザンド。かつて、スピリッツワールドを滅ぼそうとしたが、十二神皇に敗れ、厳重封印を施された。

だがどうゆう訳かは知らぬが、十二神皇共が消え失せ我は1人、スピリッツワールドを脱出し、この世界へと流れ着いた」

 

ムゲン「つまりテメーは悪者って訳だ!じゃあ助けてやんないよーだ!」

 

早々にゼロを連れ、空間を脱け出そうとするムゲン。だが、ブラム・ザンドは彼等にとんでもない事を口にした。

 

ザンド「…幻想郷を滅ぼそうとする者の正体を知っている、…としたら?」

 

ゼロ「…何?」

 

ザンド「正確には、(我等の頭)がそれを知っている…だ。我以外に三人の四魔卿が居る…ソイツ等を見つけ、頭を呼べば知る事が出来る。

これは嘘ではない、何せ我等にとっても一大事だからな」

 

鎖で縛られたザンドの口調、呼吸からは一切の乱れは無い。ゼロはブラムを見つめた後、にぃっ…と獰猛な笑みを浮かべ笑った。

 

ゼロ「良いぜ、ブラム・ザンド…お前を解放してやる」

 

ムゲン「ちょっ、ゼロ!?お前、見て暮ヤベェの分からねえのか!?」

 

ゼロ「ヤベェ?最初っからビシビシ来てるよ、体にゃあ!だがな、コイツの力は只者じゃねぇ!そう考えたらワクワクしねぇか!?」

 

ムゲンはやれやれと首を振った。長年共に戦ってきた以上、ムゲンでもゼロを止められない時があり、今まさにそれのようである。

 

ザンド「ハハハ!我の力すら臆さず受け入れるか!ますます気に入った。究極を持つ者よ」

 

ゼロ「究極を持つ者じゃねぇ。俺はゼロ、宇宙で一番熱い男だ!」

 

ザンド「…ならばゼロ」

 

そう言い、ブラム・ザンドは鎖で縛られた自身の体にやっとの思いで左手を突き立て、その体から巨大なソウルコアをゼロに差し出した。

 

ザンド「我の力はソウルコアを使う。発動すれば強力無比の力を得るが、その代償にお前の命を貰う。だが不均衡の条件は突き付けん、我の命もお前に預ける。

我が裏切れば迷いなく、そのソウルコアを砕け」

 

ブラム・ザンドが渡したソウルコアから響く、力強い鼓動。まるで生きているかのよう…否、生きている。

アルティメットは自らの意思でバトラーを選ぶが、ブラム・ザンドは正しくゼロを選んだと言っても過言ではない。

 

ゼロ「よろしくな、ブラム・ザンド!」

 

* * *

 

ゼロ「いくぜ…(手札4→5)。リフレッシュステップ(リザーブ5→8・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

先ずはルクバード・ドラゴンを再召喚だ(手札5→4・リザーブ→)!そして…!」

 

イナバ「?(何…この空気…)」

 

ゼロ「地獄より深く!炎より熱い黒極の炎!地獄から来た新たな友!!!獄炎の四魔卿ブラム・ザンド!!!獄炎!獄熱!獄召喚(手札4→3・リザーブ8→0・トラッシュ0→3)!!!」

 

バトルフィールド全体が震え、黒炎の柱が何十本生まれる。それはやがて1本の炎柱へ変わり、暗闇の中で光る4つ緑の光。その柱に二本の剣が斬り込み、左右へと斬り開く!!!

黒炎の帳を下ろし、禍々しい姿を見せ付けた…!

 

駿太「ブラム・ザンド!?何でレイがあのカードを持ってるんだ!!!」

 

駿太とヨクの表情が歪むのも無理はない。何故なら、駿太の好敵手(ライバル)である大我 和也(たいが かずや)が、憎しみに囚われ、道を間違えた時、手にした禁断のカードの1枚。それがブラム・ザンドだからだ。

 

ゼロ「ムゲンドラゴンのソウルコアをブラム・ザンドのコアとチェンジ!ジーク!ドラグザウルス!ルクバード!お前達のコア、ムゲンに託してくれ!

 

3体のスピリット、アルティメットのコアをムゲンドラゴンに!レベル6にアップだ!」

 

ゼロはセイバーシャークによる敗北を阻止する為に、自身の友を消滅させる。それはスピリットやアルティメットにとって、幸か不幸かは知る由もない。だがムゲンに募った思いは確かに此処に在るのだ。

 

イナバ「アタックステップ開始時にセイバーシャークの効果で、ブラム・ザンドに最初にアタックさせる!(手札にはマジックのアバランチオーラ(リバイバル)がある。このカードでブラム・ザンドを仕留める!)」

 

ゼロ「ムゲンのUエナジー発動!ムゲンドラゴンとブラム・ザンドに赤シンボル1つを追加だ!いけぇ!ブラム・ザンド!!!」

 

天地を震撼させるブラム・ザンドの咆哮!!!2本の剣を引き摺り、4本の脚がバトルフィールド全体を鳴らす!!!

 

そして…ゼロの前にはブラム・ザンドのカードより浮遊するソウルコアが。

 

ゼロ「黒く!熱い炎!その力…勝利に変えて解き放つ!!!(ソウルドライブ)発揮!!!」

 

刹那。ゼロは己の右手でソウルコアを握り潰す!その右手から放つ炎と連動し、ブラム・ザンドの剣がバトルフィールドに突き刺さり、彼が引き抜いた瞬間。

黒炎の大爆発がノーザンベアード、ストライク・ジークヴルム、ルナテック・ストライクヴルムの3体を襲い、跡形も無く焼失させたのだ…!

 

紫「な、何という大爆発だああああああああ!?イナバ選手のスピリットが全滅してしまったぞぉおおおお!?」

 

イナバ「何だ…この効果は…!?」

 

ゼロ「ブラム・ザンドの(ソウルドライブ)さ。自分のソウルコアを除外する事で、ブラム・ザンドは相手のスピリットを全部破壊…つまり0(ゼロ)に出来る!」

 

ソウルドライブ…それはバトラーの魂と同意義のソウルコアを破壊して発動する禁断の必殺技。ソウルコアを代償にする変わりに、その力は1度限りの強力無比にして絶対的な力である。

まさに今、ブラム・ザンドが発動したスピリット全滅のように…!

 

ゼロ「ブラム・ザンドは究極シンボルと赤シンボルのダブルシンボル!イナバのライフを2つ破壊だぁ!!!」

 

ブラム・ザンドの斬撃がイナバのライフを2つ斬り砕き破壊する。その衝撃で彼女はバトルフィールドから押し出されたのだ。

 

ゼロ「真っ赤に燃えろ、一番星!!俺よりつえぇ奴は居ねぇ!!!」

 

第9戦、今此処に決着!!!




第10話終わりました!!!

レイ「お疲れ!だが、ちょっと体がダルいんだが…何でだ?」

(ザンド、何したの?)

ザンド(奴の命を貰うと言ったが、あれは奴の究極シンボルからエネルギーを貰った。我にはソウルコアよりも更に良質なエネルギーを見つけたからな)

全く、素直じゃないな…それではオリカと次回予告して切り上げましょう!

ムーンライトイレイザー 白6(白2)

(Sバースト:自分のライフ減少後)自分のライフが3以下の場合、自分の手札のカード名に(月光)/(ストライク)と名の付くスピリット/アルティメット2体をコストを支払わずに召喚出来る。その後、コストを支払う事で、このカードのフラッシュ効果を発揮する

フラッシュ:フィールドの(月光)/(ストライク)カード1枚に付き、相手のスピリット/アルティメットを手札に戻す。コストにソウルコアを使用していれば、戻したスピリット/アルティメット1体に付き、自分はデッキから1枚ドローする

アバランチオーラ(リバイバル) 白4(白2)

フラッシュ:このターンの間、ブロックする自分のスピリット全てのBPを+4000する。コストにソウルコアを使用していたら、このターンの間、自分の(装甲)/(重装甲)/(超装甲)/(超重装甲)を持つ自分のスピリット全てはBPを比べるバトルで必ず勝つ

次回予告!此処まで続いた主人公達のバトルも、いよいよ最終戦を残すのみ!最後のトリを担うのは、最初の主人公、馬神 トッパ!!!更なる熱い力を得た龍皇の勇姿が、バトルフィールドを盛り立てる!!!

次回、バトルスピリッツ激闘魂 第11話!

美鈴vsトッパ!煌臨せよ、新龍皇!!!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第11話 美鈴vsトッパ!煌臨せよ、新龍皇!!!

第11話、やってまいりました!遂に主人公達のバトルがフィナーレを迎える時が!!
バシンさん、最後のトリ!お願いします(オーブ風)!

バシン「最終バトルで天下トォオオオタル!」

*今回も誤字や脱字等が含まれたりしているかもしれません。ご注意ください。


前回のあらすじ。

 

第9戦はイナバvsレイのバトルとなった。月光の導き手と詠われる彼女は、2体の月光龍を従え灼熱のゼロの前に立ちはだかる。その力に追い詰められたゼロだったが、彼は獄炎の四魔卿ブラム・ザンドを手にしていた!

 

ゼロは己のソウルコアを破壊する事により発動する、起死回生の一撃必殺技、ソウルドライブでイナバのスピリット達を0にして大逆転勝利をもぎ取ったのである!

 

* * *

 

駿太&ヨク「何でレイが四魔卿を持っているんですか!?」

 

イナバとのバトルが終わり、博麗神社の縁側廊下に座ろうとしたレイに、駿太とヨクが攻め寄った。

 

レイ「何でっ言われても、コイツが知らねー内にデッキん中に入っていたんだよ」

 

デッキの中を再確認し、獄炎の四魔卿ブラム・ザンドを二人に見せるレイ。

 

ヨク「ブラム・ザンド…確かに本物だ」

 

駿太「でも何でだ…?コイツは元々和也が持っていたカード。それが此処に有るのはおかしいんだ」

 

駿太の言う事は正しい、しかしレイはブラム・ザンドからの情報を受けていた。それを彼は二人に伝え、他のメンバーにも随時伝えるようにと告げる。

 

紫「さぁ!今回の対抗戦も遂にラスト!最後を飾るのはこの2人!

 

片や初代バトルスピリッツチャンピオンバトラーにして、紅蓮の輝石に選ばれし者!馬神 トッパ選手!

片や紅魔館の門番として皆さんお馴染みの紅 美鈴選手!

 

両者、準備完了の模様!それでは…ラストバトル!始めっ!」

 

二人「ゲートオープン!界解!!!」

 

此処に主人公vs幻想郷の10戦に渡り繰り広げられてきた、彼等と彼女達の対抗戦、その最後の戦いが幕を開けた!!!

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!

 

観客達のボルテージも既に最高潮を突破し、期待に胸を膨らませている。二人のバトルを皆が見届けようとしているのだ…!

 

* * *

 

美鈴「スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

(咲夜さんだってあんなに凄いバトルをしたんだ。だったら私も!)モノニクスを召喚(手札5→4・リザーブ4→0)!」

 

美鈴が召喚したのは、黒の体に赤い模様刻む、鎌のような前足を持つ、恐竜ヴェロキラプトルのようなスピリット。

 

美鈴「ターンエンド!」

 

美鈴 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3

 

モノニクス レベル1(SC)2000

 

バシン「よっしゃあ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!

 

ソウルコアをコストにマジック、ダブルドロー(リバイバル)を使用(手札5→4・リザーブ5→1・トラッシュ0→4(SC))!」

 

紫「ダブルドロー!これはバシン選手を幾度となく救ってきた、元祖ドローカード!そして今、彼はコストにソウルコアを使用しました!」

 

そう。ダブルドロー(リバイバル)にはソウルコアをコストに使用した時、そのプレイヤーの手札から、あるスピリットをノーコストで召喚出来る効果がある!

 

バシン「よっしゃ!来たぜ!出てこい、俺のキースピリット!!!

召喚!龍皇ジークフリード(手札4→6→5・リザーブ0→1)!」

 

巻き上がる炎の中、深紅の体と逞しい尾、勇猛な翼を顕現させ、現れるバシンのキースピリット。始まりにして崇高なる起源とも呼べる、大いなる存在。

 

龍皇ジークフリード!!!

 

紫「いきなりジークフリード召喚!バシン選手、既にフルスロットル状態だぁああああ!!!」

 

バシン「アタックステップ!いけぇ!龍皇ジークフリード!」

 

美鈴「わわ!ライフで受けます(ライフ5→4・リザーブ0→1)!」

 

低空飛翔から放つ龍皇の灼熱火炎放射が、彼女のライフを1つ燃やし尽くす。ライフが砕け、走る痛みは彼女の体験してきた痛みの比ではなかった。

 

美鈴(なに…これ。体の奥底から、細胞1つに渡って圧し掛かる重さ…だ!)

 

アイボウ「まずはバシンが先制したぜぇ!」

 

バシン「っしゃあ!ターンエンド!」

 

バシン ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ4(SC)

 

龍皇ジークフリード(リバイバル) レベル1(1)4000 疲労

 

美鈴「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

ホムライタチと六分儀剣(セスタメント)のルリ・オーサ、召喚(手札5→4→3・リザーブ5→3→0・トラッシュ0→1→3)!」

 

ルビーの結晶と、エメラルドの結晶が同時に砕け現れる、炎で出来た毛並みを持つイタチと、龍虎が使っていた緑の甲殻纏う虫人剣士。

 

環奈「美鈴のデッキは赤緑の混色デッキでごしゃるか」

 

弾「霊夢から聞いた。赤の攻撃力を緑のコアブーストが支える…そうゆう組み方だと」

 

美鈴「ルリオーサの召喚時効果発揮。ボイドからコア2個をモノニクスとホムライタチに追加!モノニクスのコアをルリオーサ、ホムライタチのコアはリザーブに移動(リザーブ0→1)。

 

さらにバーストセット(手札3→2)、これでターン終了します」

 

美鈴 ライフ4 手札2 リザーブ1 トラッシュ3 バースト有

 

モノニクス レベル1(1)2000

 

ホムライタチ レベル1(1)2000

 

六分儀剣のルリ・オーサ レベル2(1+SC)5000

 

バシン「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

ドラゴンヘッド、ロクケラトプス(リバイバル)を召喚(手札6→5→4・リザーブ5→4→3)!」

 

ルビーの結晶を砕き現れる、竜の頭蓋が独立したような獣と、3本の角持つトリケラトプスがバシンの前に降り立つ。

 

バシン「リザーブのソウルコアをジークフリードに(リザーブ3→2)!ソウルコアがジークフリードに置かれている間、最高レベルとして扱われる!

 

アタックステップ!いけぇ、ジークフリード!!!」

 

美鈴「ライフで受けます(ライフ4→3・リザーブ1→2)!」

 

ソウルコアの力でレベルが押し上げられられたジークフリードの一撃が、美鈴のライフをさらに1つ、サマーソルトキックで打ち砕く!

 

美鈴「ライフ減少でバースト発動!マジック、ダイナバースト!発動時にBP10000以下の相手スピリット1体を破壊する!対象はロクケラトプスです!」

 

ダイナバーストから放たれる炎はロクケラトプスを焼き付くし、爆発四散に追い込む。

 

美鈴「さらにリザーブのコアを使い、メイン効果でデッキから2枚ドロー(手札2→4・リザーブ2→0・トラッシュ3→5)!」

 

バシン「ターンエンド!」

 

バシン ライフ4 手札4 リザーブ3 トラッシュ0

 

ドラゴンヘッド レベル1(1)1000

 

龍皇ジークフリード(リバイバル) レベル3(1+SC)10000 疲労

 

美鈴「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

ホムライタチを新たに!そして私のキースピリット、金殻皇ローゼンベルグを召喚(手札5→4→3・リザーブ6→5→0・トラッシュ0→3)!」

 

ホムライタチがもう1体現れ、さらにエメラルドの結晶を砕き、金色の帝鎧纏う王の姿する金の甲殻の虫人、ローゼンベルグが現れる!

 

霊夢「金ピカスピリット!ああゆうの欲しいわぁ!!!」

 

美鈴「ローゼンベルグの召喚時効果でボイドからコア3個を乗せて、レベル3にアップ!アタックステップ、ローゼンベルグでアタック!

アタック時効果でBP+10000!さらに(連鎖:赤赤)により、デッキから2枚ドロー(手札2→4)!

 

そしてローゼンベルグのダブルシンボルのメインアタック!」

 

バシン「ダブルシンボルか…!だったらドラゴンヘッドでブロック!」

 

ローゼンの肩にドラゴンヘッドの鋭い剣山の牙達が噛み付く!だが王の名に相応しい力でそれを振り払い、左手に握った剣で、突き刺そうと構えた!

 

美鈴「貰った!」

 

バシン「フラッシュタイミング!龍皇ジークフリードの特殊効果!(覚醒)発揮!」

 

覚醒…それはフラッシュタイミングで、覚醒を持つスピリットの上に他の味方スピリットのコアを集中出来る効果であり、これによって覚醒を持つスピリットは潤沢したコアにより、レベルが大きく上げる事が出来るのだ。

 

だがコアを集中させる事は、対象となったスピリットはコア不足によりレベルダウンが余儀無くされ、バトルによる破壊/消滅のリスクが高くなる。

 

バシン「ドラゴンヘッドのコアをジークフリードに!よって消滅!」

 

ローゼンベルグの剣が貫こうとした正に一瞬、ドラゴンヘッドが粒子と化して消滅し、空振りに終わる!

 

美鈴「チャンプブロック…やられた」

 

バシン「まだだ!ドラゴンヘッドが(覚醒)によって消滅した事で、手札から覚醒龍スメラギ・ドラゴンをレベル2でノーコスト召喚出来る(手札4→3・リザーブ3→0)!!!」

 

ドラゴンヘッドの消滅時に残された粒子から、ルビーの結晶が産まれ、炎に包まれながら、四足歩行の綺羅美やかな翼持つ赤龍が1体顕現する。

 

美鈴「覚醒によるチャンプブロックと、覚醒でスピリットの消滅をトリガーとするノーコスト召喚…ターンエンド」

 

美鈴 ライフ3 手札4 リザーブ0 トラッシュ3

 

金殻皇ローゼンベルグ レベル3(4+SC)11000 疲労

 

ホムライタチ レベル1(1)1000

 

ホムライタチ レベル1(1)1000

 

モノニクス レベル1(1)2000

 

六分儀剣のルリ・オーサ レベル2(2)5000

 

紫「美鈴選手は順当なコアブーストを行うのに対し、バシン選手はソウルコアを利用した覚醒の変幻攻防!これは一瞬たりとも目が放せません!」

 

バシン「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ、メインステップ!

 

ジークフリードのコア1つをリザーブへ、ソウルコアをスメラギ・ドラゴンに移動!マジック、ダブルドロー(リバイバル)で手札を2枚追加(手札4→3→5・リザーブ2→0・トラッシュ0→2)!」

 

ツルギ「何でジークフリードのソウルコアをスメラギ・ドラゴンに移動させたんだ?そのままでも言いはずなのに」

 

環奈「理由はアタックステップで分かる。元々、龍虎のカードの中に(覚醒)と相性の良いカードは幾つか有った。バシンは幸村と共にバトルをしたからこそ、あのカードは必要だと拙者は判断したのじゃ」

 

バシン「よし…。続けて、バーストセット(手札5→4)!アタックステップ、龍皇ジークフリード!いっけぇ!」

 

レベルの下がったジークフリードが猛り、翼を羽ばたかせ飛翔する!

 

美鈴「(おそらく彼の狙いは龍皇ジークフリードに(覚醒)でソウルコアを移し、最高レベルにして私のスピリットを破壊する事!ならば…)

 

フラッシュタイミング!モノニクスを消滅、ならびにルリ・オーサのコア1つをコストに手札からマジック、ストームアタックを発動(手札4→3・トラッシュ3→5)!」

 

カードから放つ強力な竜巻が、スメラギ・ドラゴンを疲労状態に追い込み、同時にローゼンベルグを立ち上がらせる!

 

美鈴「回復したローゼンベルグでブロック!貴方のスピリット!討ち取らせて貰う!」

 

回復したローゼンベルグが美鈴に突撃するジークフリードの前に立ち塞がり、納めた剣を鞘から抜き取り、受け止める!だがジークフリードの拳がローゼンベルグの顔面を3度殴る!

 

バシン「フラッシュタイミング!スメラギ・ドラゴンのソウルコアを、ジークフリードの(覚醒)で移動!最高レベルにアップ!

 

さらに!スメラギ・ドラゴンのレベル2効果で、覚醒でソウルコアを置かれたスピリットはターンに1回回復出来る!」

 

美鈴「それがどうしたぁ!!ローゼンベルグ!!!」

 

体勢を僅かに崩した所に4度目の拳が飛ぶが、その左攻撃を見切った虫皇は、ガッチリ掴む。そして龍皇をバトルフィールドにムシキングのガンガンスマッシュ並に叩き付けまくり、爆発四散させた!!!

 

美鈴「ジークフリード、撃破!これで…」

 

「おい、あれ見ろ!」と観客の1人が爆散したジークフリードの場所で炎の竜巻が発生している事に気付いた。炎はやがて、形を肉体を宿し、始祖の龍へと姿を変える!

 

美鈴「な、ジークフリード!?破壊したはず!?」

 

バシン「俺のキースピリットを嘗めんな!ジークフリードはレベル3の状態で相手に破壊された時、俺のライフが5以下なら、ボイドからコア2個をライフに置く事で、同じ状態でフィールドに残る事が出来る(ライフ4→6)!」

 

バシンのライフが龍皇の放つ伊吹により、みるみる内に2つの光を灯した。進化した龍皇の眼は美鈴を捉え、放さない!

 

バシン「もう1発だ!いけぇ!ジークフリード!!!」

 

美鈴「ルリ・オーサでブロック!」

 

大剣を振るい、走るルリ・オーサ。その斬撃をひらりと躱わし、胴体を鷲掴んだジークの強烈な火炎放射が、その身を焼き尽くす!

 

バシン「ターンエンド!」

 

バシン ライフ6 手札4 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

龍皇ジークフリード(リバイバル) レベル3(1+SC)10000 疲労

 

覚醒龍スメラギ・ドラゴン レベル2(3)12000 疲労

 

美鈴「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→6・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

(ジークフリードの破壊時効果は厄介だ。だったら早い内に対処する!)六分儀剣のルリ・オーサを召喚!召喚時効果、ボイドから2個をホムライタチに!さらに金殻皇ローゼンベルグをもう1体!召喚時にボイドから3個のコアをローゼンベルグに!レベル2(手札4→3→2・リザーブ6→4→0・トラッシュ0→1→4)!

 

余った1コアでルリ・オーサはレベル2にアップ!」

 

遂に赤緑の真骨頂とも呼べる、コアブーストにより発動する大型スピリットの大量展開。ターンが重なれば、それだけ潤沢なコアによる物量攻撃が牙を剥くのだ。

 

バシン「ローゼンベルグが並んだ…!」

 

美鈴「まだ終わりじゃない!私は異魔神ブレイブ、兜魔神を召喚する!コストはルリ・オーサの時にホムライタチ2体に乗せたコアを使う(トラッシュ4→6)!」

 

バトルフィールド上空を歪ませ、銅色の身体に緑の光るエネルギーチューブが融合した虫人が現れ、彼女の前に降りる。ボディービルダー顔負けの鋼の肉体は、中々の物。

 

バシン「駿太が言ってた変なブレイブか!」

 

美鈴「兜魔神!レベル2のローゼンベルグを右側に、レベル3を左側に合体(ブレイブ)!」

 

兜魔神の両掌から放つ光がローゼンベルグ達を包み、深い緑のオーラが彼等を強くする!

 

ローゼンベルグ レベル3(4+SC)14000

兜魔神

ローゼンベルグ レベル2(3)11000

 

美鈴「アタックステップ!まずは左側のローゼンベルグで合体(ブレイブ)アタック!兜魔神の左側合体アタック時効果で、私の合体(ブレイブ)スピリット全てのアタックに対してバーストを発動出来ない!」

 

兜魔神が握る左拳がオーラと共に、バシンが伏せたバーストカードを叩き潰して使用不可能に追い込む!

 

バシン「バースト封じ…!」

 

美鈴「ローゼンベルグの(連鎖:赤赤)発揮!デッキから2枚ドロー(手札2→4)」

 

バシン「ライフで受ける(ライフ6→3・リザーブ0→3)!」

 

ローゼンベルグの一撃は自身のBPパンプに加え、兜魔神によりトリプルシンボルとなった強大な物となり、バシンのライフを3つ破壊する!

 

バシン「くぅう…!トリプルシンボルの一撃ってこんなに重いのか…!!!」

 

美鈴「もう1体のローゼンベルグで合体(ブレイブ)アタック!兜魔神の右側合体アタック時効果で、BP+5000と1枚ドロー発揮!さらにローゼンベルグのアタック時にBP+10000に(連鎖:赤赤)で2枚ドロー(手札4→5→7)!!!」

 

紫「これが決まればバシン選手のライフは0!!!美鈴選手このまま決めるかぁ!?!」

 

バシン「フラッシュタイミング!マジック、光翼之太刀(こうよくのたち)(手札4→3・リザーブ3→0・トラッシュ2→5)!このマジックの効果で、ジークフリードをターン中、BP+3000し、疲労状態でもブロック可能になる!

 

ジークフリードでブロック!!!」

 

ローゼンベルグの剣がバシンを切り裂こうとした瞬間、光翼之太刀の力を受け、白銀に染まった翼で体当たりするジークフリード!

バトルフィールドの横端までローゼンベルグを押し込むが肘打ちを食らい、背中に剣を刺されて身が爆ぜた!

 

だが、ジークフリードにはソウルコアによる最高レベル化の恩智と、復活効果がある。ローゼンベルグの剣から離れた粒子から炎が産まれ、再び龍皇は顕現し、復活を遂げる!!!

 

バシン「あぶねぇ…(ライフ3→5)」

 

美鈴「(手札にはラピットウィンドは有れど、光翼之太刀とジークフリードのコンボでまた躱されるだけ…)ターンエンド」

 

美鈴 ライフ3 手札7 リザーブ0 トラッシュ4

 

ローゼンベルグ レベル2(3)11000 疲労

兜魔神

ローゼンベルグ レベル3(4+SC)14000 疲労

 

ホムライタチ レベル1(1)1000

 

ホムライタチ レベル1(1)1000

 

ルリ・オーサ レベル2(2)5000

 

バシン「スタートステップ!コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ…このカードは(手札3→4)!」

 

* * *

 

???「バシン、お前に誕生日プレゼントが有るんだ」

 

馬神トッパの家…晩御飯を食べ終わり、デッキを組み立て中の彼に、父親…馬神トーハが小さな箱を手渡す。

 

バシン「何これ?…というか誕生日は半年前じゃん」

 

トーハ「こりゃうっかりだ!ハッハッハ!…父ちゃんが旅先で手に入れた物だ。コイツはバシンならきっと気に入ると思ってな」

 

バシンが箱を慎重に。恐る恐る蓋を開けると、中には裏向きで厳重保管された、1枚のバトスピのカードが有った。彼はそれを表に返す。

 

???「もぅ…あなたったら。ホント、バトスピ大好きね」

 

バシンの後ろには彼の母親…馬神ハヤ美の姿。その肩にはアイボウが乗っかり、彼女の腕を伝って、バシンに跳び移った。

 

バシン「ジークフリード…?それに…何だ…なんとか臨?」

 

ハヤ美「…煌臨(こうりん)って書いてあるわ」

 

バシン「煌臨(こうりん)…」

 

* * *

 

バシン「…リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ!

 

リザーブのコア1つずつをジークフリードに、スメラギ・ドラゴンに追加!マジック、ダブルドローで2枚追加!

 

そしてドラゴンヘッド2体を召喚!!!

 

(手札4→3→2→4→3→2・リザーブ6→4→3→2→1・トラッシュ0→2)」

 

手札とスピリットを増やし、バシンは十分な体勢を整えた!そして…動く!!!

 

バシン「アタックステップ!いくぞ、ジークフリード!!!」

 

指差す先のゴールへジークフリードの雄叫びが響き、飛翔する!

 

美鈴「ここだっ!フラッシュタイミングでマジック、バードアタックを使用!コストは兜魔神の左側合体中のローゼンベルグから(手札7→6・トラッシュ4→6)!!!

 

効果で緑のスピリットであるレベル3のローゼンベルグを回復させ、(連鎖:赤)でBP4000以下のスピリット1体を破壊する!ドラゴンヘッド、破壊!!!」

 

マジックによりカードから起こる竜巻が、ドラゴンヘッド1体を直撃。ミキサーのように血肉を切り刻み風を真っ赤に染めてゆく…!!

 

美鈴「確かにジークフリードの復活とライフ回復は強力!だったら何度でも倒してやるまで!ローゼンベルグでブロック!!!」

 

三度目の皇同士の激突!バトルフィールドが揺れ、皹割れる程の衝撃が、観客を、バトラー2人を襲う!!!

 

バシン「3度も同じ轍は…踏まない!!!」

 

彼は手札の中の1枚に指を置き、指先で挟む。そしてそれを掲げると、ジークフリードのソウルコアが突如消え、トラッシュへと移動した!!!

 

美鈴「ソウルコアがトラッシュへ…!?まさか天火烈刀斬…!」

 

バシン「いいや…違う。俺がジークフリードのソウルコアをトラッシュに置いたのは、コイツをアタックステップ中に出す為だ!

 

フラッシュタイミング!ジークフリードに対し(煌臨(こうりん))、発揮(トラッシュ2→3)!!!」

 

一同「((煌臨))!?」

 

煌臨…それはバトスピの新たなる力。フラッシュタイミングで自分のソウルコアを特定の場所へ置く事により、バトルフィールド上で条件を充たす自軍のスピリットの上に重ねるアクション。

煌臨されたカードは、元のカードが持っていたコアと状態を受け継ぐ事となる。言うなればそれは(進化)とも呼べるのだ…!

 

ジークフリードが炎に包まれながら、その身体と翼には、次々に黒と赤と白の装甲を纏ってゆく!!!

火炎の竜巻を表現した螺旋状の槍を握り締め、炎を振り払う時、その姿は更なる領域に到達した証となった!

 

バシン「これが俺の新たな切り札!煌龍皇シン・ジークフリードだぁ!!!」

 

バシンの叫びにリンクして、ジークフリードの叫びがバトルフィールドを震撼させ、圧倒的なまでのプレッシャーを放ち、与える…!

 

紫「これは凄い…!!!ジークフリードが新しい姿を獲て、バトルフィールドに現れたぁあああああ!」

 

美鈴「だが煌臨したからと言って、そのジークはBP11000!ローゼンベルグのBPには及びはしない!」

 

槍と剣の鍔競り合いが発生し、兜魔神の力を受けたローゼンベルグが圧している!

だがバシンは…笑っていた。このバトル、ジークフリードが負けないと確信しているからだ!

 

バシン「フラッシュタイミング!シン・ジークフリードの特殊効果、(煌覚醒(こうかくせい))発揮!!!」

 

美鈴「煌…覚、醒…!?」

 

バシン「俺のアタックステップ中のフラッシュタイミングで、トラッシュに有るソウルコアをジークに置けば、BP20000以下のスピリットかアルティメット1体を破壊しながら、ジークは回復出来る効果さ(トラッシュ3→2)!

 

これでジークはレベル2、BP16000!そして煌覚醒の効果でホムライタチを破壊!」

 

赤い光がホムライタチを包み、強烈な圧力で押し潰し、断末魔の叫びと共に破壊。

 

ソウルコアが乗り、レベルに記された規定数に達した事で、ジークフリードは体勢を建て直しすと、その螺旋の槍を振るい、ローゼンベルグを今までの御返しとばかりに攻め立てる。

ローゼンベルグもまた、螺旋の槍に退く事無く立ち向かう!

 

美鈴(ローゼンベルグがやられても、まだあと1枚ローゼンベルグがある!リバイブドローだって手札にある、次のターンで逆転だ!!!)

 

バシン「フラッシュタイミング!マジック、ニーベルングリング(手札2→1・リザーブ1→0・トラッシュ2→3)!」

 

美鈴「…………………………あ」

 

彼女が驚くのも無理はない。まさにこの状況、ニーベルングリングの破壊力が牙を剥くには十分なのだから。

 

激しい打ち合いの果てに、ローゼンベルグの剣が砕け散り、ジークの槍が虫人の皇の胴体に風穴を穿つ!その穴が赤い炎の輪を産み出して、宙に舞い上がり更に2つの輪を作り、もう1体のローゼンベルグとルリ・オーサを囲い締め上げ…爆散!!!

 

紫「マジックのニーベルングリングはジークと名の付くスピリットがBP勝負で相手スピリットに勝てば、破壊したスピリットと、同系統の相手スピリットを全破壊出来る効果!!!

 

今回破壊したのは殻人のローゼンベルグ!つまりは兜魔神と合体していたローゼンベルグとルリ・オーサが該当し破壊されたのです!」

 

ニーベルングリングの一撃で、美鈴のフィールドにはホムライタチが1体のみ。だが彼女も諦めてはいない…!

 

バシン「覚醒龍スメラギ・ドラゴンでアタック!!」

 

美鈴「フラッシュタイミング!リカオスパーダを神速召喚(手札6→5・リザーブ8→5・トラッシュ6→8)!」

 

緑属性の十八番たる神速、緑の風が各部を刃で構成した猟犬を呼び寄せる。リカオスパーダの目が光り、風が巻き起こるや、シン・ジークフリードとドラゴンヘッドを疲労させた!

 

バシン「何!?」

 

美鈴「リカオスパーダは相手のアタックステップ中に神速召喚すれば、相手スピリット2体を問答無用で疲労させられます!スメラギ・ドラゴンのアタックはリカオスパーダでブロック!」

 

バシン「だったら此方もフラッシュタイミング!ドラゴンヘッドの覚醒を発揮!シン・ジークフリードのソウルコアをドラゴンヘッドに!スメラギ・ドラゴンのレベル2効果でドラゴンヘッドをターン中1度だけ回復だ!」

 

スメラギ・ドラゴンに組み付くリカオスパーダだが、それよりも速く見切ったスメラギの火炎放射がリカオスパーダを焼き尽くして破壊する!互いにフラッシュタイミングでの効果の打ち合いに、観客達は固唾を呑んで、見守っていた…!!

 

美鈴「リカオスパーダの犠牲は払いましたが、貴方のドラゴンヘッドのレベル3効果でダブルシンボルになっても、私にはホムライタチが居る!このバトル、私の勝ちです!!!」

 

バシン「それはどうかな?ドラゴンヘッドでアタック!」

 

バシンの指示の元に、ドラゴンヘッドが飛び出す!!

 

美鈴「敗けを認めましたか!?」

 

バシン「いいや!ブロック前のフラッシュタイミング、手札からマジックのスピリットリンクをスメラギ・ドラゴンに対して発動する!コストはスメラギ・ドラゴンの1コアとドラゴンヘッドに置かれたソウルコアを使う(手札1→0・トラッシュ3→5)!」

 

何とバシンは事も有ろうか、自らの手でソウルコアをトラッシュへと送ったのだ!これではスメラギ・ドラゴンに覚醒を与えた意味が無い…そう思うに違いない。

 

シン・ジークフリードの効果が、ターン中に1度しか使えないと錯覚していたのならば。

 

美鈴「ま、まさか…」

 

バシン「そのまさか!シン・ジークフリードの煌覚醒でトラッシュにあるソウルコアを乗せて、ホムライタチを破壊し回復(トラッシュ5→4)!

 

スピリットリンクで覚醒を得たスメラギ・ドラゴンの覚醒を発動!シン・ジークフリードのソウルコアをスメラギ・ドラゴンに置き、自身のレベル2効果で回復だ!」

 

美鈴の最後のブロッカーが破壊され、ドラゴンヘッドの攻撃を遮れなくなった彼女のライフを、無情にも丸呑みする(ライフ3→2・リザーブ0→1)。

 

バシン「スメラギ・ドラゴン!」

 

収束された火炎放射が美鈴のライフをまた1つ焼き払う(ライフ2→1・トラッシュ1→2)。

 

美鈴「これが…初代バトスピチャンピオンバトラーの、実力…かぁ…」

 

バシン「シン・ジークフリードでラストアタック!!!」

 

美鈴「ありがとう…ございました…!」

 

迫る煌龍皇を、彼女は受け入れるように腕を広げた。敗北すれど、此処までやりきり充実したバトル…それを噛み締め、次の勝利の糧にするために。

 

ジークの振るう我突が美鈴の最後のライフを貫き通す。戦いはこの瞬間を以て決着したのだ…!!!

 

* * *

 

紫「決着ゥウ!!!フラッシュタイミングの踏襲を制したのは!バシン選手だあああああああああ!!!」

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

 

観客達の叫びと惜しみ無い声援、そして拍手が2人のバトラーに送られた。バシンと美鈴の硬い握手、此処に主人公vs幻想郷の対抗戦が終了し…

 

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

 

観客「何!?爆発!!?」

 

観客「彼処見ろ!爆炎と煙が!!!」

 

彼等が指差す先は、地理的には博麗神社から離れた場所にある、小さな窪みであり、昔からバトラー達の修練場でもある。そこで爆発が起きる事が有るなら1つしかない!

 

霊夢「紫達は観客の避難を!私が爆発の正体を確かめてくるわ!」

 

彼女はそう言い、自らの霊力を持って空に浮かび上がり翔んだ。窪地に一直線の最短距離で!

 

* * *

 

数十秒後…

 

霊夢「何よ…これ…」

 

窪地に到着した霊夢はその光景に、ただただ立つ事しか出来なかった。

 

何故ならば…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れ伏す幸村と、真紅の髪を逆立てる龍虎の姿が在ったのだから…




第11話お疲れ様でした!

今回1枚もオリカを使わずにバトルしたよ!すごくね?マジぱなくね?(オイ)

そんなわけで次回予告!

時はレイのバトル終了直後に遡る…。怯えながら走る龍虎に、何とか追い付いた幸村!彼とマグナがその理由を問い掛ける時、彼の口から語られた…真実。

パンドラの箱が開かれ、虹色 龍虎の過去が明かされし時、幸村は彼にバトルを挑む!

次回、東方激闘魂 第12話

明かされし龍虎の過去!これが俺の真の切札!!(前編)

お楽しみに!!!


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東方激闘魂 第12話 明かされし龍虎の過去!これが俺の真の切札!(前編)

第12話…これと1話で第一章が完結かぁ…

霊夢「よく頑張りました…って褒めたいけど、アンタ調子乗りやすいからねぇ。精々頑張りなさいな」

あいよ…頑張ります。

*誤字・脱字、プレイミスが有りましたら指摘お願いいたします。




龍虎「ああああああ…ああ、あああ…!!!」

 

幸村「おい待て!!!トラ!待てって言ってるだろうが!!!」

 

博麗神社から離れた場所の窪地で爆発が起きる数十分前…龍虎の異変に唯一気付いた幸村が、彼を追い掛けていた。

龍虎は狂ったように走り、追い続ける幸村にも限界が近付く。

 

幸村「くそ…!来い、轟天竜!!!」

 

デッキケースを掲げると龍の眼が光を放ち、博麗神社の裏方に置かれた、彼のバトルマシンが飛翔し、龍虎目掛けて突進、進路を塞ぐ!

 

龍虎「ああ…あ、あああ!」

 

幸村「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!!…どうして逃げた?…答えろ、トラ!」

 

龍虎「あ…ああああ!!あああ、あああ!」

 

龍虎は既に発狂していた、幸村の声は完全に届いていない。

 

幸村「おい!トラ、しっかり」

 

マグナ「何やってんだよ!龍虎ぉおおおおお!!」

 

刹那。マグナ渾身の二頭身ドロップキックが炸裂し、龍虎の身体が宙を舞って、地面に叩き付けられたのである!

その衝撃で彼の腰に付いていた赤のデッキケースが外れ、中のカードが地面に散開してしまった。

 

幸村「ええええええ!?ちょっ、お前何やってんだよ!?」

 

マグナ「発狂野郎にゃコイツに限る!おい龍虎、良い加減にしろやゴラァ!」

 

二頭身であるにも関わらず、剛力の神を名乗るだけはあり、張り手を打つ度に、彼の顔が赤に染めてゆく…それでも龍虎は狂った声しか発っさないのだ。

 

マグナ「このぉ…!!!分からずやぁ!!!!!!」

 

マグナは遂に最後の手段として自らの頭を龍虎の額に頭突いた!!!!!!その一撃凄まじく、彼の瞳で震えていた瞳孔を静止させ、言葉さえ続けなくさせる程の威力。

しかもそれは、この状態であるだけの話であり、本来の姿に戻った場合の比ではない。

 

マグナ「おい龍虎。…お前、ちぃたぁ落ち着いたかよ?」

 

龍虎「…済まない、マグナ。幸村さん…」

 

左腕を顔に乗せ、目を隠す龍虎。どんな事情であるにせよ、みっともない姿を晒した自分が恥ずかしい。

 

幸村「…しっかしマグナ、お前もやり過ぎだろ。トラのデッキのカードがバラバラだ」

 

龍虎「俺は龍虎です、トラじゃないです…自分の不始末は自分でやりますから」

 

そっぽを向き、知らぬ顔で口笛を吹くマグナ。それを横に龍虎は、赤のデッキのカード達を拾い集め直す。そして落ちていたカードを拾い上げ、デッキの中身を確認していた時だった。

 

龍虎「あれ…!?ない、ない!?」

 

マグナ「ない?何が?」

 

龍虎「カードが無い!カードが…何処、何処に!?」

 

発狂していた時と、さして変わらない慌てる様子に幸村とマグナは疑問を抱く。彼が必死に探す中、マグナは彼の後ろの茂みに1枚のカードが有る事に気付き、幸村に見付からぬように移動。そしてそれを持ち上げ、カードを見る。

 

マグナ「(十剣聖スターブレード・ドラゴン)…?赤のスピリットじゃあねーか」

 

その時だった。龍虎の様子に更なる変化が起きたのは。彼の目が今にも泣き出しそうになっている。どう考えても尋常ならざる事態だと察するのに、幸村には充分過ぎた。

 

龍虎「返して!それは…それは俺の大切な!(約束のカード)なんだ!!!」

 

幸村「!!!」

 

慌てふためき、はいはいで詰め寄る龍虎の頭上を、マグナは飛び越えて幸村の頭に乗っかる。

 

マグナ「相棒に隠し事は無しだぜ。オレはこのカードの価値観とか、そーゆーこまけぇこたぁ全く分かんねーよ。

だが…青い妖精とのバトルで、コイツを引いたお前の様子が明らかに変だったのを、オレは見逃しちゃあいねぇ…。

 

コイツがそんなに大事ならよぉ…話せよ、お前とこのカードの因縁をさ。断っても良いぞ?そんときゃ握り潰すだけだから」

 

龍虎「やめてくれ!…やめて、くれ…!頼むから…」

 

幸村「マグナ、これ以上はやめろ。龍虎が可哀想だろ」

 

惨めな姿で地面に頭を付け、懇願する龍虎を見てられなくなった幸村は、マグナの首筋を摘まみ上げてカードを奪い変えそうとした。

 

龍虎「やめて!頼むから…そのカードを、傷付け、無いで…下さい…!

ちゃんと…話すから…!」

 

マグナ「…よーやく、その気になったか。じゃ早く話して貰おうじゃんか。お前と、このカード…(十剣聖スターブレード・ドラゴン)の因縁って奴をさ」

 

龍虎はヨロヨロと後退り、木に凭れ、やがて口を開いた…

 

 

 

 

 

龍虎「俺は…孤児、なんです」

 

* * *

 

俺は孤児だった。

 

親は当然のように居なくて、物心付いた頃には孤児院の大人達が、俺や同じくらいの子の面倒をみてた。毎日お絵かきや鬼ごっこ、勉強に工作をして、楽しく…。

 

けれど、その楽しいはある一面から物事を見た事実。ある人の幸福は、ある人には不幸となる。俺は…その後者。

 

* * *

 

少年「やーい、よーかいあたまー!こっちくんなー!」

 

少女「きもちわるーい!いーだ!」

 

人体の突然変異か、それとも生まれつきか。俺の髪の毛は色鮮やかな虹色だった。孤児院の子供達や大人は皆、俺を意味嫌い、寄りたがらす、俺は常に独りぼっち。

 

例え一緒に遊んでいても鬼にされて、かくれんぼの時は置いてけぼりなんて当たり前。

工作をしてても作った物を壊されたり、お絵かきしても描いた物はグシャグシャに塗り潰された。

 

次第に虐めはエスカレートし、私物は隠されたり、棄てられたり、砂場では落とし穴に落とされて、汚され。

酷い時は泥水でズボンを使えなくされたり、髪を工作用の鋏で切られたり…散々な目に有った。

 

何故こんな目に有ったのか…それはその時の俺には(名前)という、自分を証明する物が無かったから。

大人達も俺に名前を与えれば、俺に懐かれて災難を被ると考えたからだと思う。

 

そんな日が続いて…俺は孤児院を一人で抜け出し、離れた場所にある公園に逃げ込んだ。

 

「えぐ…ひぃぐ…ええ~ん」

 

自分を呪った。自分を怨んだ。泣いて、泣いて、泣き続けて…孤児院の大人が探しに来て、強制的に戻される。そんな毎日を。この世の中には俺の居場所なんか何処にも無いと。

 

あの出逢いが在るまでは…

 

* * *

 

「ええ~ん…ええ~ん…」

 

太陽が照り付ける初夏の日。俺はまた孤児院を一人で脱走し、公園のベンチに座って泣いていた。自分を呪い、怨み、嫌悪して。消えてしまいたいと…思うようになった。

 

(僕は…必要無い子なんだ…悪い子なんだ…。だから、おかあさんも…おとうさんも…いないんだ…)

 

自暴自棄…そう理解したのは後の事。何も分からなくなって、どうしたらいいのかも分からない。

苦しくて…寂しくて…悲しくて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けて欲しかった。

 

誰でもいいから…と。

 

???「ボク…どうしたのかな?」

 

顔を上げると其所には、白の帽子を被り、透き通る宝石のような黄色い瞳。サラサラした金髪、白と紫の服を着た背の高い女性だった。

 

「おねーさん…だれ…?」

 

???「おねーさんの名前?おねーさんはね…綿月豊姫(わたつきの とよひめ)と言うの。

ボクはどうしてこんな所に居るのかな?」

 

この人に言っても変わらない…でも、苦しみたく無かった。僕は勇気を出して、孤児院で起きた事を話した。

そしたら…

 

豊姫「…どうして、皆こんなに綺麗な髪を嫌うかな?…私はとってもステキで羨ましく思うわ」

 

生まれて初めて、髪を褒められた。よく分からなかったけれど、凄く嬉しかったのは今でも覚えている。

髪を触られた感触と温もりは…本当に温かくて、優しかった。

 

豊姫「名前が無いのも不便ね…そうだ!貴方の名前、決めてあげる。また明日、此の公園で会いましょう?」

 

そう言って去って行く彼女の背中を見つめていたら、孤児院の大人が僕を捕まえて、お説教しながら連れてかれた。

これが彼女…とよねーと僕の出逢い、そして長い付き合いの始まりになる…

 

* * *

 

次の日もまた、大人達の目を盗んで僕はあの公園に行った。茂みから覗いたら、とよねーがベンチに居た。

 

「とよねーちゃん!」

 

豊姫「ボク。こんにちは」

 

優しい笑顔、僕はねーちゃんの隣に座って今日の事をいっぱい話した。ねーちゃんは一言一言に耳を傾けて、僕の話を聞いてくれる。

それが嬉しかった。孤児院よりも、ねーちゃんと一緒に居る時間がとっても、ずっと楽しい。

 

豊姫「それで貴方の名前を考えたの、どんなのが良いかしら?」

 

ねーちゃんに僕は、「すごくカッコいいのが良い!」って言ったら、いくつか候補を出したみたい。

 

「ハルマゲドン」

 

「モクリゾーマ」

 

「アイアンウィル」

 

確かにカッコいいのが良いとは言ったけど、そうじゃない感じが否めない。「ちがうよー」と呟くと、ねーちゃんは「冗談よ♪…本当はコレ」と答えて、丸めた紙を広げて見せてくれた。

 

紙には「虹色 龍虎(にじいろ りゅうこ)」…そう書かれて。由来は僕の虹色の髪と、龍や虎のような逞しく、強い男の子になって欲しい…という意味。

 

「りゅうこ…?それが僕の名前なの?」

 

豊姫「そう、貴方の名前。男の子には格好いい名前が一番よ」

 

「……とよねーちゃん、あの…あのね…?」

 

豊姫「なぁに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は…女の子…なの」

 

* * *

 

幸村&マグナ「女だったのかよ!?」

 

龍虎「はい…隠してはいましたが…。あと皆には秘密で…お願いします」

 

一人と一匹は唖然とする。それもそうだ、紅蓮 龍虎のあれほどのオラオライケイケな性格、普段の口調や衣服を見ていれば当然、目の前に居る龍虎が男だと信じて疑う訳がない。長い髪を気にしないならば。

 

マグナ「男装女子とは恐れ入った」

 

幸村「…それで、とよねーって人とはどうなってったんだ?」

 

龍虎「その後は…」

 

* * *

 

とよねーちゃんと仲良くなって、沢山お話して、いっぱい遊んで…。とよねーちゃんと一緒にいる時は、孤児院の辛い事や悲しい事も忘れられた。

 

そんなある日…僕の人生に大きな影響を与えた物を、とよねーちゃんが持ってきた。それが…バトルスピリッツのカード達。

 

龍虎「とよねーちゃん、これなーにー?」

 

豊姫「バトルスピリッツ…通称バトスピ。今、世界中を巻き込んで一大ブームを巻き起こしているカードゲームよ。勿論、私の故郷でも皆夢中になってやってるわ。

 

やってみる?」

 

それが僕とバトスピの出逢い。やがて苦楽を共にする人生のパートナーとなった、大切なカードゲーム…

 

* * *

 

その日から僕は、バトスピを一生懸命勉強した。とよねーちゃんとバトスピをするために。カードの種類、コアの置き方…

 

普段の足し算や引き算が出来なかった僕は、何度も何度も失敗して…その度に、とよねーちゃんに教えて貰って、いっぱい勉強した。

 

いよいよデッキを組んで、とよねーちゃんと…戦う時。僕はどんな色を使おうかなって、いっぱい考えて、カッコいいドラゴンがいっぱいの赤を選んだ。でも結果は…

 

豊姫「ラストアタック♪」

 

龍虎「まーけーたー!!!」

 

カードのバランス何か1つも考える余裕も無かった僕は、連日のように負け続けた。

 

龍虎「とよねーちゃん強すぎー!もっと手加減してーよー!」

 

豊姫「龍虎君のデッキ、ドラゴンが入っているようだけど…カードには、左上の数字が大きなのも在るって教えたわ。デッキのカードは、数字が小さな物と大きな物が半分こづつ有ると良いの」

 

龍虎「半分づつ…?」

 

とよねーちゃんが見せてくれたデッキには、数が小さいカードと大きいカードがまぜまぜされていて、とっても勉強になりました。僕はデッキを見直して、色々なカードを入れたり、出したりして、とよねーちゃんと戦った。

 

ライフは削れるようになったけど、それでも一度も勝てなかった。

 

その後も、僕はとよねーちゃんといっぱいバトスピをした、でもある日…とよねーちゃんは僕に悲しいことを言ったんだ。

 

* * *

 

龍虎「この街を…離れちゃうの?」

 

それはある日突然にやって来た。

 

豊姫「貴方も十分強くなった、私が居なくても他の子達ともお喋り出来るようになった。もう大丈夫よ」

 

とよねーちゃんは親の都合で世界のあちこちを行ったりしていて、ほんの少ししか同じ場所に居られない。

 

龍虎「やだやだやだ!!!とよねーちゃんが居ないなんて…僕やだよ!!!もっとバトスピしたいし、いっぱいお喋りだって…うう、えぐっ…」

 

また…泣いてしまった。子供だからと言ってしまえばそれまで。だがそうだとしても、幼い龍虎には厳しい現実。別れというもの…それを思い知らされた。

 

豊姫「………ごめんね龍虎」

 

龍虎「えぐっ…ひっぐ…」

 

豊姫「龍虎、私達で約束しましょう?」

 

そう言って、とよねーちゃんが取り出したのは、とよねーちゃんがいつもバトスピで使っていたカード。

十剣聖スターブレード・ドラゴンだった。

 

龍虎「…これ、とよねーちゃんの」

 

豊姫「私の、命と同等と言っても良い大切なカード。このカードで龍虎が強くなって、最強を決める戦いの場所に来たら…そうしたら私と戦いましょう?

負けるつもりは無いけれど」

 

それが僕と、とよねーちゃん…そして十剣聖スターブレード・ドラゴンの廻り合いだった…

 

* * *

 

とよねーちゃんと別れてから、バトスピで最強を決める戦いに向けて研鑽を始めた。バトラーとしてのマナー、カード枚数、色の組み合わせ、状況に応じた立ち回り方に、コンバットトリック…。

その中心にはいつも、とよねーちゃんとの約束のカードが在った。

 

小学校・中学校と…毎日毎日バトスピの事だけ考えて、研究・研鑽して、いつも遅くに帰って来ては、孤児院の大人達からこっぴどく叱られ、外に叩き出された時もあった。…でも、バトスピが何時だって支え、励まし、助けてくれる。

 

カード達の眠る力を信じて、幾度と無く途方も無く、戦い。負けて悔しさに涙し。勝って高らかに喜んで。そしていつの間にか…市代表、地区代表、県代表、関東代表にまで昇りつめた。

 

何時の頃か、「バトスピを心の底から楽しみ、愛し、カード達がまるで生きているようだ」とか。「虹色の髪を振るう、不思議な強いバトラーがいる」と注目されるようになって…。でもそんなのはどうでも良かった。

皆がバトスピを楽しみ、夢中になって、この気持ちを共有出来れば…と。それだけだった。

 

第81回 バトルスピリッツチャンピオンシップ 全国大会

 

それが俺の運命を変える。その時までは。

 

* * *

 

龍虎「此処が決戦の舞台…。東京・チャンピオンズホール…」

 

東京ドームと同等の大きさの多目的ホール…。此処では様々な催し物が執り行われるが、バトスピの時のホールは何時も満員御礼。

チャンピオンシップ全国大会は選手達のコンディションや観客のボルテージを踏まえ、2日に渡り行われる。

 

全国から選び抜かれた7名と、シード枠1名により争われるトーナメント戦。

負ければ終わりの勝ち抜き戦、その果てにバトルスピリッツチャンピオンの栄光を勝ち得るのは、たった1人…!

そのたった1人だけの最強が決まる瞬間を、会場で見届けようと大勢のバトスピファンやバトラー達が押し寄せ、ホールは熱気熱狂の渦中…!

 

ホールの外に立つ龍虎にもそれは嫌というほど伝わった。関東代表として、1人のバトラーとして、倒していった全てのバトラーの想いを重ねて、此処に居るのだと!

 

龍虎「…とよねー。約束を守りにきたよ」

 

女である事を嫌った訳でもない。ただ…奇怪な虹色の事は公にする訳にはいかない。

龍虎は帽子を改めて深く被り直して、優先パスポートで会場に入って行った…。

 

* * *

 

選手控室に入った龍虎は、自分のデッキをテーブルに広げて決勝に向けての最終調整に入る。とよねー…綿月 豊姫との戦いだけしか、眼中にない。

それほどまでに、彼女はこの瞬間(とき)を待ち望み、焦がれていたのだ。

 

龍虎「スターブレード・ドラゴン…。思えば此処まで来れたのも、貴方と…皆(カード)の力が有ってこそだったわ」

 

普段は男として人前で振る舞い、勝ち気で優しく振る舞い生活してきた。

 

龍虎「…皆、バトルを楽しもう。それが私達の必勝法なんだから!」

 

気合いを入れ、デッキを纏めた時に鳴り響く大会開会を告げるアナウンス、そして轟音の如し観客達の歓声。

遂に始まる戦いの火蓋…龍虎はデッキケースを腰に掛け、控え室を後にする。

 

開会宣言等も百々通りなく終わり、選手紹介に…。其処にはシード枠として参戦した綿月 豊姫の名前も有った…。

そして組み合わせ抽選が行われ、龍虎はAブロックに。豊姫はCブロックに入ったのである。

 

龍虎(とよねー…必ず辿り着いてみせるから)

 

* * *

 

龍虎「俺は大会で全力でバトルしました…。相手もただただ強くて、負けそうにもなりましたが、それでも…とよねーとバトルがしたいって想いでAブロックを勝って…準決勝も勝って…決勝に行きました…。

 

とよねーも…圧倒的とも言えるバトルで決勝戦に、来ました…」

 

マグナ「…すげえよ!恩人とのバトルの為に龍虎も!その約束を守る為に、とよねーって人も強くなったって訳か!泣かせるじゃねぇかぁ…!!!

それで!とよねーとのバトルは!?バトルは出来たのか!?」

 

マグナの言葉に、再び龍虎の口が止まる。そして静寂を破り放たれたのは…あまりにも衝撃的な事実だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍虎「とよねーは…決勝戦当日の朝に…、交通事故で亡くなった」

 

* * *

 

東京・チャンピオンズホール…2日目のホール内は前日以上の観戦者が押し寄せ、自由席は愚か指定席も満員御礼となり、取れなかった人々が通路にさえ座る、飽和状態となっていた。

 

MC「遂に…遂に!この時!この瞬間が!やって来たぁ!!!第81回 バトルスピリッツチャンピオンシップ!!!全国大会、決勝戦!!!!」

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

MC「今年最強のカードバトラーが決まる究極の一戦!!!勝者には世界にたった1枚だけの特別なカードと!優勝賞金!!そしてチャンピオンカードバトラーの栄冠が授与されるぅううううううう!!!」

 

厳重なケースに包まれ、荷台に載せられて会場に運ばれてくる優勝トロフィーと1000万円の数字が書かれた巨大なボード、そして裏向きに置かれたバトスピのカードが1枚。

現れたそれらに、観客達の興奮はさらに高まり!極まる!!

 

MC「それでは選手入場!!!まずは東から!!!」

 

会場が薄暗くなり、スポットライトが東側入場口に灯ると二酸化炭素スモークが炊かれ、辺りを包む。

 

MC「始まりは激戦区東京都内!!!最難関、最多参加者、最密集!!!三筋縄でも通れない戦いを、バトスピを楽しみ、勝利してきた者!!!

 

入場!!!虹色おおおおおおおおおおおお!!!…龍虎ぉおおおおおおおおお!!!」

 

スモークの中に写る影が揺らめき、帳を開いて現れる。帽子を被る龍虎の姿が。

大歓声が上がる中、まるで雲の上を歩くようにして中央の特設ステージに向かい、階段を上り、辿り着く。

 

龍虎(歴史に名を遺したバトラーも…勝利して此処から始まったんだ…!必ず…楽しんで、そして勝つ!!!)

 

MC「続けて…西ぃいいいいいい!!!」

 

会場中央に集まったスポットライトが西側入場口に収束し、二酸化炭素スモークが吹き上がる!!!

 

MC「全国数多の参加者からたった一枠を争い、その果てに勝ち取ったのは、シードの座!!!決勝トーナメントを圧巻のプレイングで爆進したカードバトラー!!!

 

その名は…ァ!!!綿月ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!

豊姫ぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」

 

大歓声が上がり、二酸化炭素スモークの帳が上がる。そして綿月 豊姫が…

 

 

 

 

 

現れなかった。

 

MC「………あれ?(ちょっと!?豊姫選手何処だよ!?早く呼んでこいよ、スダッフウウウウウウ!?)」

 

スタッフ(それが、綿月 豊姫選手が居ないんです!待合室も会場も隈無く探しても!居ないんですよ!!!)

 

MCの宣言でも一向に現れない豊姫…異変に気付いた観客達がざわめき、中には豊姫を出せ等、言い出す連中までも現れた…!!!

 

スタッフ(MCさん大変です!豊姫選手が…!!!)

 

MC「と、豊姫選手が交通事故にあっただどぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

刹那、会場全体が凍り付く…。衝撃、唖然、動揺…。だが一番衝撃を受けたのは…龍虎だった。

 

龍虎「(とよねーが…事故?バトル…約束…。え、そんな、馬鹿な話…こんなの、無いよ。絶対!!!)

 

あ、ああ…あああああああああ!ああああああああああああアアアアアああああああアア、アアアアアアア!!!アアアア、アアアアアアああああああア!!!!!!!!!!!!」

 

発狂者の叫び声を上げながら、特設ステージを飛び降りて、龍虎は走る。豊姫が搬送されたであろう東京・チャンピオンズホール周辺の病院に。連絡を取り、彼女が運ばれた病院へ…。

 

* * *

 

東京内、某病院…

 

龍虎「とよねーは!?先生、とよねーは!?無事なんですよね!?」

 

医者「君が龍虎君か…残念だが、彼女はもう…助からない」

 

残酷過ぎる…言葉。龍虎の眼からはハイライトが消え失せ、地面に膝を付き、だらりと力なく立っている。

 

医者「龍虎君…豊姫さんは、まだ息がある。…が、それも長くは無い。聞き届けてやってくれ…彼女の最後の声を…」

 

医者に連れられ、龍虎は病室に入る…其処には全身を血の滲んだ赤包帯を巻き絞め、呼吸器に繋がったミイラの様な姿に、無惨にも変わり果てた彼女…綿月 豊姫の姿があった。

心電図の波長は静かに…僅かばかりぶれるのみ。今にも命が消え失せる事を、まじまじと宣告する。

 

龍虎「とよねー……!!!」

 

豊姫「龍…そこ、…いる…の?」

 

龍虎「うん…!うん…!!!」

 

豊姫は呼吸器から、枯れ細る声を絞り出し…龍虎に語り掛けた。

 

豊姫「龍…ごめん、なさい…私、少し…ドジ、しちゃった…。貴方との約束…果たせな、かっ…た。ご…めんね…?」

 

龍虎「何…言ってるんだよ…!私は…!!!貴女と出逢え、たから…!自分の人生を後悔しなくなれたの!!

貴女が一杯…私に…!!!」

 

涙が止まらない。声は続かない。

龍虎の想いとは裏腹に、心電図の波はさらに途切れ途切れになる…。豊姫自身、既に死の瞬間を悟ったのだろう。

 

豊姫「龍…虎…貴方は、いつか…大きな選択を迫られる…。だけど…貴方には…私の…十剣聖スターブレード・ドラゴンが…居てくれる。

 

そして…どんなに酷い事や…苦しい…事、で…バトルスピリッツを…嫌いにならないで…」

 

龍虎「とよねー…!とよ…ねー…」

 

豊姫「(龍虎…貴方と出逢えて、本当に…楽しかった)…ごめん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピィーーーーーーーーーーーーーーーーー………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心電図の波が。豊姫の魂に残された僅かな炎が。

 

 

 

 

 

 

 

 

消えた…

 

 

 

龍虎「あ、ああああ…!!!」

 

 

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

* * *

 

マグナ「…あんまりじゃねぇか…!」

 

幸村「師であり…恩人を失ったのか…」

 

龍虎「…チャンピオンシップは、とよねーの死亡で…私の不戦優勝になりました…賞金とバトスピのカードが贈呈されたのですが…それを良しとしない人達によって、私は…バトスピの公式戦除籍を余儀無くされ、ネットには批判が募りました…

 

孤児院の皆や大人達に迷惑を掛けないために、私は一人日本を転々としながら…」

 

幸村とマグナは、龍虎がバトスピにどれ程の想いを掛けていたのかを知ったのだ。

だが今の彼女からは、バトスピに掛ける想いも、強さも、熱ささえ伝わらない。

 

そんな彼女を見ていた幸村は何かを決心したかのように、龍虎の胸ぐらを掴む…!

 

幸村「龍虎!今すぐ俺と戦え…!お前に何が有ったかは、この際聴かない。

だがな…今のお前は、大切な物を無くしちまった!それを俺がバトスピで思い出させてやる!!!」

 

マグナ「幸村!オメェ激アツだな!!!そのバトル乗った!力ぁ貸すぜええええええ!!!!!!」

 

彼の気迫に当てられてマグナが叫ぶと、自身の胸部に埋め込まれたクリスタルを発光させ、ドーム状の結界を創り上げ、二人と轟天竜を包み込んだ…!

 

幸村「何だ…この空間は…!」

 

マグナ「コイツはオレ特性のバトルスフィアフィールド!ここで起きる事は全てが実体…つまり現実となる!

 

ライフを破壊された時の痛みも、そしてスピリット達の気持ちさえもな!因みに、二人の決着が着くまでフィールドは消えねぇから気ぃ付いろ!!!」

 

二人「はぁっ!?」

 

明かされた衝撃の事実に、龍虎と幸村は顔を見合わせる。これはまさに生き残りを懸けた、サバイバルマッチ以外に他ならない…!

 

龍虎「やることは…」

 

幸村「一つ…だな」

 

龍虎は赤竜の鎧を纏い、幸村は轟天竜に乗り込む。そして宣言するは、開戦を告げるあの言葉…

 

二人「ゲートオープン!界放!!!」

 

* * *

 

幸村「俺から行く!スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ジンライドラゴンを召喚(手札5→4・リザーブ4→3・トラッシュ0→3)!」

 

幸村が召喚したのは、甲冑纏い翼と額に鋭い刃を武装した四足歩行の龍。

 

幸村「ターンエンド」

 

幸村 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3

 

ジンライドラゴン レベル1(SC)3000

 

龍虎「スタートステップ。コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ライトブレイドラをレベル3で召喚(手札5→4・リザーブ5→4)…ターンエンド」

 

龍虎 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ0

 

ライトブレイドラ レベル3(4+SC)3000

 

普段の龍虎ならば、確実にアタックを仕掛けるはず。だがそれをしなかった。明らかにおかしい状況を、バトルスフィアフィールドを維持するマグナと、彼女と戦う幸村には、はっきりと分かったのだ。

 

幸村「龍虎…お前、今バトスピをどんな気持ちで戦っている?」

 

無言を貫く龍虎、その様子を見た幸村の中で怒りの炎が静かに着火し、爆炎となり燃え上がった…!

 

幸村「そうかよ…だったら!デカイの一発噛ましてやる!!!スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

ジンライドラゴンをレベル3に!さらにドラマル召喚(手札5→4・リザーブ4→1→0)!」

 

幸村のフィールドに、甲冑を纏うブレイドラ…ドラマルが現れ、リザーブに置かれたコアを収束したジンライドラゴンは、自身の持つ最高到達点に至る!

 

幸村「バーストセット(手札4→3)!アタックステップ!いけ、ジンライドラゴン!アタック時効果でBP+3000!

 

さらに!ソウルコアが置かれているなら、ジンライドラゴンはアタック時に(真・激突)を得る!ライトブレイドラを狙い撃て!!!」

 

ジン「オッシャ!ア、イクデエエエエエエエ!!!」

 

二人「喋った!?」

 

そう、喋ったのだ。ジンライドラゴン自身が突如として。

 

ライブレ「ハワワ…ちょ、ちょ、ちょっ!?」

 

ジンライ「ぶち当たる!!!」

 

ジンライドラゴンの猛進に巻き込まれる形となったライトブレイドラは、角となる刃に突き刺さられて、爆散!

 

幸村「ドラマル続け!」

 

ドラ「突撃いいいい!」

 

龍虎「ら、ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ5→6)!」

 

小さな薙刀が龍虎を護るべく展開したライフの障壁を貫き、破壊する。そして襲い掛かる衝撃…!!!

 

龍虎「ッ?!?」

 

彼女の骨を砕き、肉を裂く様な、鋭く重い衝撃。紫やチルノとの戦いで受けたものなど、比にすらならない。

未知の痛みに龍虎の体がぐらつき、よろめく…!

 

幸村「龍虎!?」

 

龍虎「続けて…!私も、これくらいじゃ!!!」

 

幸村「!…分かった、ターンエンド」

 

幸村 ライフ5 手札3 リザーブ0 トラッシュ0 バースト有

 

ジンライドラゴン レベル3(3+SC)5000 疲労

 

ドラマル レベル1(1)1000 疲労

 

龍虎「スタートステップ…!コアステップ(リザーブ6→7)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ、メインステップ!

 

まずバーストをセット!さらに、庚獣竜ドライオンをレベル2で召喚(手札6→5→4・リザーブ7→0)!」

 

火炎を巻き上げ、金の鬣を奮う深紅を体皮持つ四足歩行のドラゴンが龍虎のフィールドに現れた。

 

ドライ「おう、御主人よぉ!今日はどいつをくぇやエエんか?」

 

龍虎「…ドライオンの召喚時効果発揮!相手フィールドに存在する、BP5000以下のスピリット2体まで破壊出来る!幸村さんのジンライドラゴンとドラマルを破壊!」

 

ドライ「やったぜ!いただきぃ!!!」

 

眼を光らせ、獰猛に貪欲に2体の武竜に襲い掛かるドライオン。

ドラマルを踏み潰し、ジンライドラゴンに噛み付き振り回し、バトルスフィアフィールドへ叩き付け、弾け飛び散る血飛沫で赤い体と、金の鬣を朱に染める…!

 

ドラ「ぐぎゃぁ!」

 

ジンライ「無念…!?」

 

幸村「ドラマル!ジンライドラゴン!」

 

龍虎「ドライオンがこの効果で、相手のスピリットを破壊した時、私は手札のブレイブカード1枚をノーコストで召喚出来る!」

 

幸村「何!?」

 

龍虎「私が効果で召喚するブレイブ!それはこのカード!!!

 

天地に満ちる神の炎!全ての見えぬ悪意を焼き祓い、世界に希望の火を灯せ!召喚、異魔神ブレイブ!炎魔神!!!」

 

天に投げた彼女のカードが光を解き放ち、上空で2つの黄金輪が現れる。バラバラな2つの輪はやがて重なり、1つの火の紋章刻む輪となって、その中から手が伸びて輪の回転を止めた。炎と機巧が融合したかの様な巨大な巨体と共に、バトルスフィアフィールドへ降り立った異魔神。

 

それが炎魔神。

 

幸村「炎魔神…!遂に出てきたか」

 

龍虎「炎魔神!ドライオンを右側に直接合体(ダイレクトブレイブ)!」

 

龍虎が炎魔神のカードに手を掛け、ドライオンに合体させようと動かした瞬間だった。突如、炎魔神のカードが放熱し彼女の指を焼いたのである!

 

龍虎「熱い!?炎魔神!!!ドライオンと合体して!」

 

炎魔「…オマエニ、オレヲアツカウ、シカク…ナイ」

 

龍虎「…資格が、ない…?」

 

炎魔「イマノ、オマエハ、…オレ、アツカウダケノ、チカラ。…ソシテ、(アツサ)ハ…ナイ。

 

ユエニ、オレヲ、アツカウ、シカク、ハ…ナイ」

 

炎魔神は腕を組み、どっしりと構えて動かなくなってしまった。龍虎さえ予測不能の事態に陥り、現状炎魔神は、彼女のスピリットと合体(ブレイブ)する事が出来ない状態に在る…!

 

龍虎「…ターン、エンド…」

 

龍虎 ライフ4 手札4 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

庚獣竜ドライオン レベル(1+SC)7000

 

炎魔神 レベル1(0)5000

 

幸村「…スタートステップ、コアステップ(リザーブ5→6)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ、メインステップ。

 

…龍虎。何で炎魔神がドライオンと合体(ブレイブ)したくなかったのか、理由が分かった気がするぜ」

 

龍虎「…理由…?」

 

幸村「ああ。だから今、この一撃でお前の目を醒まさせてやる!

 

イクサトカゲを召喚、さらに剣武龍ムラマサ・ドラゴンを召喚!不足コストはイクサトカゲから確保し消滅させる(手札4→3→2・リザーブ6→5→0・トラッシュ0→4)!」

 

ルビーの結晶を砕き、長い尻尾の先端に刃が融合したオレンジ色の皮膚を持つ蜥蜴が現れ、刹那。イクサトカゲを炎が包み、その中から紅い翼に紅玉を着けた、刀の角と朱の鎧纏う、幸村のキーカードの1枚。

 

剣武龍ムラマサ・ドラゴンが(ソウルコア)を乗せた状態で現れた…!

 

龍虎「ムラマサ・ドラゴン…!」

 

ムラマサ「幸村よ、今日の相手はあやつか?」

 

幸村「ああ。ムラマサ・ドラゴン!お前の一撃で、龍虎の眼を醒まさせてやろう!

 

アタックステップ!ムラマサ・ドラゴンでアタック!!!同時にムラマサ・ドラゴンのアタック時効果で(起導:全色)…S(ソウル)バースト!発動!!!」

 

「行異!!!」の一言でムラマサ・ドラゴンはソウルコアを合掌で包み、伏せられたバーストカードへエネルギーを放射し、表へひっくり返した!

 

幸村「轟け!染めろ!真紅の龍よ!全てを燃やす、刃に変われ!!バースト効果で、BP6000以下の相手スピリットを全て破壊する!」

 

返されたバーストは、巨大な火柱から無数の火の龍へ変化し、龍達は炎魔神に群がり、噛み付き、引き裂き、焼き尽くして爆散、破壊したのだ!!

 

龍虎「炎魔神が…!」

 

幸村「余所見してる暇は無いぞ!俺はバースト効果を発揮した、炎龍刀オニマル・真打をノーコストで召喚、ムラマサ・ドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイブ)する!!!」

 

火の龍が収束し、ムラマサ・ドラゴンの頭部と刀の角に炎を纏わせた状態に良く似た、一振りの刃を顕現。

 

天空から落ちる其れをムラマサ・ドラゴンが掴み取り、着地からサンライズ立ちの体勢で構え、翼を羽ばたかせながら、低空飛行で龍虎に接近!!

 

ムラマサ「…御免!!!」

 

最上段の振り上げから、斜めへの切り下げの炎刀一閃が龍虎のライフの光を2つ、破壊した…!

 

龍虎「ッ…きゃあああああ!?」

 

彼女の身体が宙を参って、バトルスフィアフィールドに叩き付けられる。その衝撃は凄まじく、直後彼女の意識は飛んでしまった…

 

龍虎(あ、…私…やば………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

???(……………………龍虎。お前は、まだ倒れてはいけない)




第12話、終わりましたね…疲れました…

龍虎「あのさ…筆者さん。私の性別、最初男の子みたいにしてた様だけど、後付けじゃないよね…?」

もちのろん、最初から女の子設定にしてますね。髪が長いのはそれが理由です。

龍虎「それなら良いけれど…バトスピ以外で、あんまり痛い目に遇わせないでよ?」

OK、任せてくれ!さぁ、次回予告!

マグナが展開したバトルスフィアフィールドで戦う、烈火 幸村と虹色 龍虎!押されに押された龍虎は遂にライフ1までに追い込まれ、絶対絶命の大ピンチ!

そして運命のファイナルドロー…彼女が引き当てたカードは、彼女の…バトルの運命を変える!!

そして紫が宣言したのは、幻想郷全てを又に掛けた前代未聞、大迫力とスケールのバトスピ大会だった…!!!

英雄集結之章…此処に完結す!!!

次回、東方激闘魂 第13話

明かされし龍虎の過去!これが私の真の切札!(後編)

お楽しみに!


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東方激闘魂 第13話 明かされし龍虎の過去!これが私の真の切札!(後編)

第13話…遂に激闘魂第一章(一区切り)である「英雄集結之章」最終話…クライマックスになりましたよ!

幸村「歴代アニメ主人公全員集結のコンセプトで良く頑張ってきたなって思うぞ」

ヨク「オリカのカードパワーの調整、デッキ破壊の枚数、誤字脱字、ルールミス…諸々有るだろうがこの際は特に言わないでおいてやる」

バシン「まぁこれから先も続くし、気長に行こーぜ筆者」

皆さん…!よし!頑張ります!

※今回も誤字脱字、プレイやルールミスが有るかもしれません。ご注意下さい。

※今回で東方激闘魂 第一章は完結します。


特殊な空間内…

 

 

 

???(龍虎…お前はまだ、倒れてはいけない)

 

…誰かが…私を…呼んでる、の?

 

…ああ、私は。…幸村さんと、特別なバトスピをしていて…、ムラマサ・ドラゴンとオニマル・真打のダブルシンボルアタックをブロック…しなかった。

 

ライフが破壊されて、その衝撃でスフィアフィールドに叩き付けられた…意識は其れで、失っちゃたのよね…

 

???(龍虎…。お前は…まだ倒れてはいけない。まだ、やらねばならぬ事が在るだろう?)

 

私の…やらなきゃ、いけない事…?

 

…無理よ、とよねーは…この世に居ない。バトスピの約束も二度と叶う事はない。

 

…私には、人殺しの汚名しか…ない

 

???(ならば問おう。お前は…)

 

* * *

 

幸村「龍虎、大丈夫か!?やり過ぎた!」

 

倒れて伏したままピクリとも動かない龍虎を、轟天竜から降りて助けようとした彼の近くに、巨大な火炎弾が飛来する!

 

幸村が見上げると、特殊激闘空間(バトルスフィアフィールド)を拡げた張本人のマグナが、片手で火炎弾を御手玉しながら幸村を見ていたのだ。

 

幸村「マグナ!?」

 

マグナ「おっと幸村。相手を助ける行為は此のバトルスフィアフィールド内じゃあ、御法度だぜ…?ライフの有無に関わらず即刻負けにするぞ、良いな?」

 

幸村「だが!」

 

マグナ「此処は神聖な場所だ。グラン・ロロのスピリット、アルティメット、ブレイブも…バトルは常何時も命を賭けた戦い。

 

俺は…いや、(俺達は)そんな何万何千と変わらない戦いをこの目で。耳で。鼻で。膚で。見届け、感じてきた。

 

幸村よぉ…。お前も一端の、いや。八雲 紫(あの女)がバトスピの危機に抗う為に選んだ、その時代の伝説にして最強のカードバトラーなら…な」

 

普段はババアとしか呼ばず、罵って喧嘩しかしていないであろうマグナが、紫を「女」と言った。

 

マグナ「しっかり見届けな、この俺…六絶神 剛力のドラグ・マグナが選んだ、最高の相棒をよ?」

 

幸村「…分かった」

 

幸村の目がバトスピの時の目に戻り、彼は倒れたままの龍虎に向かって大声で叫んだ!!!

 

幸村「龍虎ぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

* * *

 

龍虎ぉおおおおおおおおおおおおお…!!!

 

…幸村、さんの…声?

 

???(龍虎…お前は、まだ自分の務めを…役目を果たしては居ない。行ってこい…龍虎。お前が私を再び呼び覚ました、その時こそが…!

 

お前自身の運命が変わる時だ!!!)

 

* * *

 

龍虎「(身体が痛い…、胸…ムラマサの一撃で斬られた所の感覚は…殆ど…ない、わ)…くっ、ううう…!」

 

幸村「龍虎…!」

 

立ち上がる龍虎のバトルアーマー、その5つのライフを納める鎧から煙が2つ昇る…彼女の身体はかなりボロボロ。

これがダブルシンボルの一撃をその身に受けし、代償…!

 

龍虎「はぁ…はぁ…あっあ…はぁ…!ら、ライフ減少で、バースト発動…!はぁ…バースト、マジック…エクスティクションウォール…!

 

バースト効果…で、私が相手に、減らされた…分の…ライフ回復…(ライフ4→2→4・リザーブ0→2)!」

 

エクスティクションウォールから放つ白い粒子と風が、彼女の煙昇るアーマーの穴を埋め、傷を癒す。だがそれでも、直せたのは彼女の鎧のみであり、龍虎自身は癒す事も、治す事は出来ない。

 

幸村「…ッ!炎龍刀オニマル・真打のアタック時効果で、バトル終了時にBP12000以下の相手スピリット1体を破壊する事が出来る!庚獣竜ドライオンを破壊!」

 

ムラマサ・ドラゴンが真打を大きく振るい、その斬撃が波動を纏いながら、ドライオンを一刀両断!爆散、破壊!!!

 

龍虎「ドライ…オン…(リザーブ2→4)!」

 

ドライ「気にすんな…生きるか死ぬか。俺たちゃ、そうゆうもんだ…」

 

幸村「ターンエンド。…龍虎、さっき俺が言った事、その意味を教えてやる。

 

今のお前は…バトスピを抜かれた、生きる理由を失った屍の様な蛻(ぬけがら)でしかない!」

 

龍虎「…なによ。

 

貴方に!私の何が分かるって言うのよ!」

 

幸村の指摘に、龍虎が反発。怒鳴り、否定し、当たる!

 

だが…!!!!!!!!!

 

龍虎「…本当は私自身、一番分かってる…」

 

声は力を失い、震え。

 

龍虎「…幸村さんの言う通り、今の私は…虚空、虚無でしか、ない…」

 

視界が霞み、溜まり。

 

龍虎「コアのない…スピリット。命を失い、生きる力、理由、存在を失った…屍…」

 

雫は瞼のダムを溢れ、涙へ変わりスフィアフィールドに落ちる。

 

龍虎「私には…!もう…!生きる資格なんて…ない…!とよねーも、両親も居ない!私には…もう!!!

 

何も…!!!」

 

涙は雨へ、雨は滝へ…彼女の心に押し潰され続けた、積年の想い、自責、後悔が…溢れた。

 

感情の暴走、悲哀の爆発。彼女は泣いた、懇願でもない、一人の人間の泣くという行為。

 

バトルスフィアフィールドに響く、彼女の声…

 

だが、幸村は…静かに口を開く。己の言葉を、彼女に聴こえるように。届くように…

 

幸村「だったら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......どうしてバトスピをやめなかった?......

 

 

龍虎「え…」

 

幸村「どんなに辛い事や、苦しい事、悲しい事も…。お前は(バトスピ)と一緒に乗り越えたんだろ!

 

自分の唯一無二の生きる理由と!大好きな物!!!自分を孤独から救い、人として、バトラーとして立派に成長させてくれた物!!!

 

…それが!!!お前にとっての(バトルスピリッツ)じゃないのかよッ!!!!」

 

龍虎「…………………!!!」

 

豊姫との記憶が鮮明に、幾多に渡って甦った。楽しい記憶、悲しい記憶、そして彼女との思い出が…

 

龍虎「わ…私は…!私は!!!」

 

幸村「次はお前のターンだ!こい、龍虎!!!」

 

幸村 ライフ5 手札2 リザーブ0 トラッシュ5(SC)

 

ムラマサ・ドラゴン&真打 レベル1(1)9000

 

龍虎「私の…ターン…」

 

先程迄、おごつかなかった声の調子が少しばかりだが力を取り戻し、カードを握る手の震えも収まり、彼女の瞳に光が灯る…!!!

 

龍虎「スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ5→10・トラッシュ5→0)、メインステップ…。

 

私は…アルマジトカゲを2体召喚(手札5→4→3・リザーブ10→8→7・トラッシュ0→1)。さらにガーネットドラゴンをレベル2で召喚する(手札3→2・リザーブ7→3・トラッシュ1→3)」

 

ダイヤモンドの結晶を内側から砕き、白の甲殻を纏い、小さな翼持つ2匹の竜らしきトカゲ型のスピリットと、シャープな四肢と炎の刺持つ機械の龍が現れる。

 

龍虎「リザーブのソウルコアを…コストとして支払って、ソウルドローを使用!効果により私はデッキから、3枚…ドロー!…最後に、バースト…セット(手札2→1→4→3・リザーブ3→1・トラッシュ3→5)、ターン…エンド…!」

 

龍虎 ライフ4 手札3 リザーブ1 トラッシュ5(SC) バースト有

 

アルマジトカゲ レベル1(1)1000 ×2

 

ガーネットドラゴン レベル2(2)4000

 

幸村「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ!

 

マジック、陀武竜ドローを使用!デッキから2枚ドローし、トラッシュから系統:武竜を持つスピリットカードを1枚手札に戻す。トラッシュからドラマルを手札に(手札2→1→3→4・リザーブ6→4・トラッシュ0→2)!」

 

マジックカードから3体の炎の龍が、幸村の周りを舞い、2体はデッキの上から2枚のカードを飛ばし、1体は幸村のトラッシュに落ちたドラマルのカードを浮遊させ、彼の手札に戻す。

 

龍虎「…バースト貰った!」

 

幸村「何!?」

 

龍虎「相手の手札が効果で増えた時、私が伏せたバーストカード…千枚手裏剣が発動!効果で、ボイドから2コアを追加し…、合体(ブレイブ)スピリットを…疲労(リザーブ1→3)!」

 

彼女の後ろの空間が幾多にも開き、放たれる翠の手裏剣達。ムラマサ・ドラゴンは炎龍刀オニマル・真打を振るい、それらを撃ち落とすが、示す通りの千枚の物量には流石に勝てず、四肢を手裏剣が直撃し、地面に縫い付けにされてしまう。

 

幸村「やるな…!だったら俺はドラマル、さらにイクサトカゲを連続召喚だ(手札4→3→2・リザーブ4→3→0)!!」

 

ムラマサ・ドラゴンの合体アタックを封じられた幸村は、マジックにより増えた手札を使い、スピリットを並べ戦線を立て直す。

 

幸村「最後にムラマサ・ドラゴンをレベル2へアップ!ターンエンドだ!

 

(ライフが削られてないからコアが足りねぇ…)」

 

幸村 ライフ5 手札2 リザーブ0 トラッシュ2

 

ムラマサ・ドラゴン&真打 レベル1(2+SC)11000 疲労

 

ドラマル レベル1(1)1000

 

イクサトカゲ レベル1(1)1000

 

龍虎「スタートステップ…コアステップ(リザーブ3→4)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ4→9・トラッシュ5→0)…メインステップ…

 

(手札には…太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、ビッグバンエナジーがある。けれど、これじゃ足りない…)マジック、エクストラドローとブレイブドローを使用する…!」

 

幸村「ドローマジックを2回も…!」

 

龍虎「エクストラドローの効果で、デッキから2枚ドローしてデッキの一番上が、赤のスピリットカードなら手札に加えられる…

 

そしてブレイブドローは、デッキから2枚ドローし、上から3枚カードを確認して、その中のブレイブカード1枚を手札に加えられる効果…

 

効果を発動!」

 

彼女はまず、エクストラドローで2枚の手札を増やしながら、デッキの一番上を捲る。カードは赤のマジックカードのファイヤーウォールであり、手札に加える事は出来なかった。

だが、彼女の狙いはデッキトップを直ぐ様切り替える事。これから始まるであろう幸村の攻撃に備える事だ。

 

ブレイブドローの効果で、さらに2枚のカードを増やし、3枚捲り表にする。カードは庚獣竜ドライオン、秘剣・二天一龍、輝龍シャイン・ブレイザーの3枚。

 

その中に有った、輝龍シャイン・ブレイザーを手札に加え、秘剣・二天一龍、庚獣竜ドライオンの順にデッキの上に戻し、龍虎はこのターンで合計7枚の手札を手にしたのである(手札4→3→5→4→6→7・リザーブ9→7→5・トラッシュ0→2→4)。

 

龍虎「バーストをセット…最後にムーンボウ・ドラグーンを1体召喚(手札7→6→5・リザーブ5→3・トラッシュ4→5)!」

 

ルビーの結晶を砕き、中から白の皮膚と虹色翼持つワイバーンが現れる。

 

龍虎「私のターン…エンドです」

 

龍虎 ライフ4 手札6 リザーブ3(SC) トラッシュ6 バースト有

 

ムーンボウ・ドラグーン レベル1(1)1000

 

アルマジトカゲ レベル1(1)1000 ×2

 

ガーネットドラゴン レベル(2)4000

 

幸村「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ1→3・トラッシュ2→0)、メインステップ!

 

龍虎!」

 

龍虎「………」

 

幸村「龍虎!!!」

 

龍虎「…は、はい!?」

 

幸村「龍虎。…楽しいか?今のバトスピは!」

 

龍虎「へ…?幸村さん、私…は…バトスピが…」

 

静寂…そこから、彼女の口から放たれた言葉は。

 

龍虎「幸村さん…私…、私…は…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍虎「バトスピが…楽しいです!!!」

 

彼女の眼に再び、温かい優しさと軟やかな強さ、そして激しい熱さが戻る…!!

 

同時に髪と瞳は紅蓮に染まり、龍を象る深紅のバトルアーマーが炎を放出しながら、より軽く、よりスタイリッシュに、そして彼女の持つ女性らしさを際立たせる…そんなバトルアーマーへと進化したのだ!!!

 

謂わば押さえ付け、自らを偽り欺き、悲しみと過去を心の奥底に封じ込め続けてきた彼女自身が、その拘束を解き放ち、自身を晒け出したという事…!!!

 

マグナ(龍虎…かつての恐怖の全てを乗り越えて、自分をより高く、より強く進化させたか…!!!

 

そうさ…オレの相棒は、こうでなきゃよぉ!!!)

 

幸村「そうか…!なら、俺も見せなきゃな。俺の…熱い魂を!

 

まずはムラマサ・ドラゴンをレベル1にダウン(リザーブ3→5(SC))!」

 

ムラマサ・ドラゴンに乗せていたソウルコアを含めた2個のコアを、幸村は自分のリザーブへ戻す。

この行動は即ち、大型のスピリットを呼び寄せる為の布石である!

 

幸村「ドラマルの効果!俺が(サムライドラゴン)か(ソウルドラゴン)と名の付くスピリットを召喚する時、このスピリットに赤のシンボルを1つ追加!

 

いくぜ!燃え上がれ、猛き龍よ!熱き武士の魂で、天を切り裂く炎となれッ!召喚!剣豪龍サムライドラゴン・天(アマツ)!!!イクサトカゲのコアを使い、レベル2で召喚する(手札3→2・リザーブ5→0・トラッシュ0→3)!」

 

ドラマルが翼を合わせて(天)の文字を作り、イクサトカゲが炎に包まれ消滅する!

 

大地から吹き上がる炎が、天を舞いながら1匹の龍へ姿を変えて大地を砕き、1体の侍装束纏い背に二刀の刀を背負う武竜を顕現させた!!!

 

龍虎「アマツ…!成程、こっちのスピリットを(無限刃)で全滅させるのが狙いね」

 

龍虎が言う、サムライドラゴン・天(アマツ)のみが持つ奥義、(無限刃)はソウルコアを置く事によって発動出来る、相手スピリット/アルティメットに対する無限攻撃能力だ。

 

その強力な攻撃性能を誇る反面、アマツ自身のBPはレベル2の時点で7000しかないため、圧倒的なBPを持ったスピリット/アルティメットとの戦いでは、苦戦は避けられない。

 

だが、幸村のフィールドにはムラマサ・ドラゴンがS(ソウル)バースト発動により召喚され、合体した炎龍刀オニマル・真打が在る!

 

幸村「ムラマサ・ドラゴンに合体(ブレイブ)している炎龍刀オニマル・真打を、サムライドラゴン・天に合体(ブレイブ)だ!」

 

ムラマサ「行意!アマツよ、受け取れぇい!!!」

 

ムラマサが高く上空に投げたオニマル・真打を、アマツは刀を背の鞘に納め、大跳躍と共に掴み取り、構える!!!

 

アマツ「よし!何時でも行ける!!!さぁ…我が奥義、(無限刃)をとくと見よ!」

 

アマツの髪が炎を纏いながら(天)の形に変化!猛り、雄叫びを上げた龍は、オニマルを振るいて戦場へ突撃した!!

 

幸村「アマツの無限刃の効果で疲労せずに、アルマジトカゲ1体へ指定アタックだ!」

 

アルマジ「来やがれ!」

 

アマツ「お前なんぞ刀身に触れるまでもないわぁ!」

 

オニマルを一閃した瞬間、斬撃が炎と共に放出され、アルマジトカゲを一瞬で融解させ、大地に沈めてしまったのである…!

 

龍虎「アルマジトカゲ…ごめん」

 

アマツ「まだ終わっとらん!真打のアタック時効果で、オレのバトル解決時にBP12000以下の相手スピリットを破壊する!消えやがれ、もう1体のアルマジトカゲぇ!!!」

 

またしても火炎の斬撃がアルマジトカゲを融解し、破壊。幸村の熱い魂の気迫はスピリット達を通じて、彼女に犇々と伝わった。

 

龍虎「スピリットの破壊により、私のバーストが発動!マジック、双光気弾!デッキから2枚ドローして、コストを支払った事で、フラッシュ効果も発動!

 

オニマル・真打を破壊します(手札5→7・リザーブ3→5→3・トラッシュ6→8)!」

 

言わずとしれた赤のバーストマジックの1枚であり、スピリットの破壊を条件とした2枚ドローと、フラッシュ効果による相手合体スピリットのブレイブ破壊か、ネクサス破壊のどちらかを選択出来る、今なお色褪せる事の無いカード。

 

2つの光弾が渦を描きながら、オニマルに纏わり憑くと内側から皹を打ち込み、真っ二つに折って破壊したのである…!!

 

幸村「真打が破壊されたか!だが、アマツの無限刃は健在だ!ムーンボウ・ドラグーンに疲労せずに指定アタック!」

 

「合点!」の返事で背負う2本の刀を抜き取り、一気にムーンボウへ接近する!!!

 

ムー「計画通り」

 

アマツ「うるせぇ!!!」

 

木っ端微塵に切り裂き、ムーンボウは速やかに爆発四散!しかしその虹色の光は龍虎のデッキから、ブレイブドローでトップ置いた庚獣竜ドラリオンのカードを、彼女の手札に加えたのだ(手札7→8・リザーブ3→4)。

 

龍虎「どうします?まだ攻めてきますか?」

 

幸村「…ドラマルでアタックだ!」

 

龍虎「ライフで受ける(ライフ4→3・リザーブ4→5)!」

 

バトルスフィアフィールドを駆けて、薙刀の一突きが彼女のライフを一つ破壊する。龍虎は軽く後ろに飛ばされたが、軽量化に伴い新調されたバトルアーマーがダメージによる衝撃をシャットアウトし、被害を未然に防ぐ。

 

幸村「ターンエンド」

 

幸村 ライフ5 手札2 リザーブ0 トラッシュ3

 

サムライドラゴン・天 レベル2(2+SC)7000

 

ムラマサ・ドラゴン レベル1(1)4000

 

ドラマル レベル1(1)1000 疲労

 

龍虎「(ガーネットドラゴンの疲労ブロック効果も有るけれど、今は隠しておく方が良い気がする…)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札8→9)、リフレッシュステップ(リザーブ5→13・トラッシュ8→0)、メインステップ。

 

ガーネットドラゴンの効果で、自身を赤として扱える。よって戦竜エルギニアスをノーコスト、さらに庚獣竜ドラリオンをレベル2で召喚します(手札9→8→7・リザーブ13→12→7・トラッシュ0→3)!」

 

サファイアの結晶を砕き、青の鎧を纏う小型の牡牛のスピリットと、灼熱の炎を振り払いドラリオンの2体が現れる。気付いた方も居るだろうが、この時点で龍虎のデッキ…(俺ドラ)には赤/白/緑/青のカードが入っているのだ。

 

幸村(あいつのデッキ…まるでノブ兄みたいだな)

 

ノブ兄…本名:天魔 信長は幸村のバトスピの師であると同時に、IBSAと呼ばれる日本のバトスピ事情を支える組織のトップでもあった。彼は武者修行の中で、世界と日本のバトスピの圧倒的なまでの力量差を痛感し、日本を変えるべく(第六天魔王)として暗躍。

 

IBSA主催のバトスピ戦国チャンピオンシップの優勝し、IBSAが持つ全ての実権を掌握し、来るべき世界との戦に備えようとしていた。決勝戦で幸村に敗れた後、彼は幸村と実妹の天魔 市に、日本のバトスピを任せ、更なる強さを求めて旅に出たという。

 

その信長が使っていたデッキもまた、彼女が使っているようなハイブリッドシンボルスピリット…つまり多色化可能なスピリットで構成された6色デッキなのだ。

 

龍虎「ドラリオンの召喚時効果で、BP5000以下の相手スピリット2体まで破壊出来る!ドラマルと剣武龍ムラマサ・ドラゴンを破壊です!」

 

「くらえやごらぁ!!!」とルストハリケーン並の火炎竜巻ブレスをドラリオンは口から放ち、ドラマルとムラマサ・ドラゴンを焼き払い破壊した!

 

ドラ「ぎゃあああああ」

 

ムラマサ「すまぬ…!幸村!」

 

幸村「ドラマル!ムラマサ・ドラゴン!」

 

龍虎「相手のスピリットを破壊した事で、ドラリオンの追加効果!手札のブレイブカード1枚をノーコスト召喚出来る!私がこの効果で呼ぶブレイブは…これ!

 

暗闇を切り裂け、紫の翼よ!召喚、黒翼竜バーン・クロウ(手札7→6・リザーブ7→6)!!」

 

紫のアメジストの結晶を砕き、翼と尾羽に混じる黄色の羽が特徴的な紫色の異質な烏がフィールドに現れる。

 

幸村「今度は紫か…!」

 

龍虎「行きます!黒翼竜バーン・クロウ、庚獣竜ドラリオンに合体(ブレイブ)!!!」

 

2体の雄叫びが上がり、ドラリオンが加速し、バーン・クロウは上空に舞い上がると、背中に向かって自らの姿を変化。紫と黒の翼に変えて、ドラリオンの背中に合体した!

 

龍虎「合体(ブレイブ)…出来た…!よし、バーストセット(手札6→5)!アタックステップ!ドラリオンで合体(ブレイブ)アタック!!!

 

アタックステップ中、ドラリオンは自身を含めた合体スピリット全てのBPを+5000出来る!合計BP14000のメインアタック、どう受けますか!!」

 

幸村「ライフで受ける(ライフ5→3・リザーブ2→4)!」

 

翼を得た竜は跳躍し、その口から灼熱の炎と暗闇のエネルギーを混ぜ合わせ、幸村を守る2つのライフの光を砕く!!!

 

幸村「普段のバトルフィールドの衝撃(それ)じゃないぜ…!これがマグナが作った、バトルスフィアフィールドの力なのか…!」

 

龍虎「ターンエンド!」

 

龍虎 ライフ3 手札5 リザーブ6(SC) トラッシュ3 バースト有

 

戦竜エルギニアス レベル1(1)1000

 

ガーネットドラゴン レベル2(2)4000

 

ドラリオン+バーン・クロウ レベル2(2)9000 疲労

 

幸村「今のは結構効いたぜ、トラ!スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

サムライドラゴン・天をレベル1にダウンし、マジック、一発必中ドローを使用(手札3→2・リザーブ6→8→7・トラッシュ0→1)!」

 

一発必中ドローは、デッキを上から5枚のカードを確認し、その中にある(覚醒)/(真・激突)/(連刃)/(一騎打)/(無限刃)の効果を持つスピリットカード1枚を手札に加えるカード。1枚しか加える事が出来ないが、回収出来る幅が広い為、構築次第で加えられる確率は飛躍的に上がる。

 

幸村「…来たぜ」

 

オープンカードの中に、1枚だけ一発必中ドローに当てはまるカードが有った。そのカードが持つ効果は(連刃)。そのカードの名は…

 

 

 

戦国龍ソウルドラゴン

 

龍虎「ソウル…ドラゴン?」

 

幸村「そうさ、このカードが俺のキースピリットだ!だがこいつを出す前に、トラ。お前がくれたカードを出すぜ(手札2→3)!」

 

龍虎が幸村の戦力になるカードとして渡したのは、爆炎の起術師イザナや剣皇武龍ゼットウ・ドラゴン以外にもあった。そのカードは龍虎自身の俺ドラにも入っているスピリット。

 

幸村「奮い起て魂の業火!!炎振るいて戦場(いくさば)を駆けろ!!召喚、魂皆伝(ソウルマスター)ブゲイシャー・ドラゴン(手札3→2・リザーブ7→0・トラッシュ1→7)!」

 

バトルスフィアフィールド全体に満ちる炎のエネルギーが一ヶ所に集約し、赤く燃えるは深紅に染まり輝くソウルコア。

一閃、二閃、三閃、四閃とソウルコアを切り開き、現れる、炎のような橙色の髪を持つ、陣羽織の侍装束纏う赤龍…魂皆伝ブゲイシャー・ドラゴンが、フィールドに正座した状態で推参。

 

幸村「おお…!カッコいいぜ」

 

ブゲイ「?…成程、貴殿が新たな我が主(マスター)か。心得た、では令を頼む」

 

幸村「よし!バーストセット(手札2→1)!アタックステップ開始時、ブゲイシャー・ドラゴンの効果で俺のトラッシュにあるコア全てを系統:武竜を持つスピリットに、好きなように置く事が出来る!

 

この効果でトラッシュにある7個のコアを、アマツに2つ置いてレベル2に、残り5つをブゲイシャーに置き、レベル3にアップだ(トラッシュ7→0)!!!」

 

ブゲイ「アマツ、我が魂が振るい甦らせたコア達を受け取るのだ!」

 

刀を振るい、トラッシュで光を失ったコア達がブゲイシャーの炎により、再び淡い光に充ちて、2体の龍へと取り込まれ、満ちる力を力強い咆哮で示す!

 

幸村「ブゲイシャー・ドラゴン!いっけぇ!ブゲイシャーのレベル3アタック時効果発揮!フラッシュタイミングで、このスピリットのコア1つを使って、相手のBP6000以下のスピリット1体を破壊出来る!

 

この効果で、俺はブゲイシャーのコアを1つ使い、戦竜エルギニアスを破壊(トラッシュ0→1)!」

 

ブゲイシャー・ドラゴンは自身の効果で回収したコアの1つを刃で叩き割る。炎のエネルギーへと変換されたコアを刀身に宿すと、エルギニアスへ接近。横一文字に切り伏せて破壊した!

 

龍虎「ブゲイシャー…!敵に回すと厄介ね、やっぱり(リザーブ6→7)!」

 

幸村「そしてブゲイシャーのメインアタックはどう受ける、龍虎!」

 

龍虎「(幸村さん相手にライフ2以下は危険だ!絶対に防ぐ!)フラッシュタイミング!マジックの光翼之太刀を疲労状態のドラリオンに対して使用(手札5→4・リザーブ7→5・トラッシュ3→5)!

 

ドラリオンはこのターンの間、マジックの効果でBP+3000され、疲労状態でブロック可能になる!ドラリオンでブゲイシャーをブロックします!」

 

ドラリ「しゃあ!喰わせろぉ!」

 

ブゲイ「邪魔立てするでない!」

 

ドラリオンがブゲイシャーの刀に炎の牙で飛び掛かり噛み付く。ブゲイシャーが振り払うが、ドラリオンは距離を取りつつ、何度も火炎放射を放ち続けた。

 

だが己の左手を掲げながら、ブゲイシャーは一気に懐に踏み込むと、その刀で三撃の太刀筋を加え、ドラリオンを爆散させる!

 

幸村「よし!ドラリオン破壊…!?」

 

龍虎が笑っていたのだ。まるでドラリオンが破壊される事を喜んだかのように、笑っていた…!

 

幸村「何がおかしい!」

 

龍虎「おかしい事なんて、1つもない!幸村さんならアマツの無限刃で確実にブロッカーを残してくる…その予想が当たっただけです」

 

幸村「…?それって、どうゆう」

 

刹那。彼のライフを何者かが切り裂き、破壊する(ライフ4→3・リザーブ0→1)!!!

 

幸村「な…!?」

 

龍虎「黒翼竜バーン・クロウの合体時効果。相手スピリットとのBP勝負に自分のスピリットが破壊された時、相手のライフ1つを相手のリザーブに置いて、合体元のスピリットを手札に戻せる効果が有ります(手札4→5)」

 

黒の影はゆっくりと、バーン・クロウの姿へ戻りフィールドに再び形成される。

だが幸村は…

 

幸村「ふっ…」

 

小さく笑った。直後、彼のバーストが開かれる!猛き虎の咆哮と共に!!!

 

龍虎「な…!?ライフ減少がトリガーのバースト!?」

 

幸村「そうだ!俺のライフが3以下になった瞬間、バースト効果で(ソウルドラゴン)と名の付くスピリットを好きなだけ、ノーコスト召喚出来る!」

 

幸村の最後の手札には彼のキースピリット、戦国龍ソウルドラゴンがいる。そしてバースト発動により捲られたカードは…スピリット!

 

幸村「いくぞ龍虎!…こい!俺のキースピリット!

 

召喚、戦国龍ソウルドラゴン!!リザーブとブゲイシャーのコア1つを使い、レベル1で召喚(リザーブ1→0)!」

 

カードから放たれた一粒の炎が、バトルスフィアフィールド上空で炸裂・膨張し、燃え上がる。その球体の中で形を成し覚醒したのは、右手に一本の紅蓮の槍を持ち、身体に赤の武将鎧纏う武龍。

 

火炎の殻を打ち破り姿を現した、幸村のキースピリット…戦国龍ソウルドラゴン!!!

 

龍虎「これが…幸村さんのキースピリット、戦国龍ソウルドラゴン…!凄い…!!!」

 

幸村「そして、バースト効果を発動したこのスピリットも召喚!

 

戦国獣皇ソウルドラゴン・焔(ホムラ)!!このスピリットの維持コストもブゲイシャーから1つ確保する!」

 

5つの炎が円となり回転しながら、空間に穴を穿つ。その穴に浮かび上がった(焔)の文字を纏い、虎の毛並みと牙に爪を持つ、青の戦装束纏う拳闘士の立ち振舞いで、戦国獣皇はフィールドに降り立ったのだ…!!!

 

ソウドラ「幸村。今日も呼んでくれたか、では行こうか」

 

焔「おうおう、でぇじょぶかぁ?俺の逆鱗に触れたくなきゃ闘わせろ!」

 

キースピリットとしての絶大な貫禄を見せるソウルドラゴンと、血の気が多く喧嘩っ早い焔。2体の皇が並び立つフィールドは凄まじい威圧感と熱量が支配。

 

瞬間。そう、流星のように一瞬で。超新星の爆発のような煌めきで。閃光の稲妻のような瞬き。龍虎の脳裏に浮かび上がるビジョン…

 

 

 

 

 

 

戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴンが、(真・連刃)で滅龍達を葬り去ったように。

戦国龍ソウルドラゴンが持つ、(連刃)が自身の負けに直結しているとしたら…?

 

全身の血の気が退き、刹那のビジョンが彼女の手札に潜むマジック、(ファイヤーウォール)に視線を向けさせる!

 

幸村「ソウルコアが乗ったサムライドラゴン・天の無限刃を発揮!バーン・クロウへ指定アタックだ!」

 

龍虎「…もう此処しかない!フラッシュタイミング!マジック、ファイヤーウォール!!自分の赤のスピリット1体を破壊する事で、アタックステップを終了させる!

 

この効果で、私はガーネットドラゴンを破壊し、幸村さんのアタックステップを終わらせます(手札5→4・リザーブ5→2・トラッシュ5→8)!!」

 

ガーネ「仕方ない…必ず勝てよ」

 

ガーネットドラゴンの体から紅蓮の炎が放出され、肉と骨を焼き尽くし、赤い壁が生まれる。

バーン・クロウがアマツの斬撃を受け、身を爆ぜたのと同時に赤い壁はアマツの前に立ち塞がり、行く手を阻んだ。

 

龍虎「ガーネット、バーン・クロウ、ごめん…(リザーブ2→4→6)」

 

幸村「止められたか…ターンエンド」

 

幸村 ライフ3 手札0 リザーブ0 トラッシュ1

 

戦国獣皇ソウルドラゴン・焔 レベル1(1)5000

 

戦国龍ソウルドラゴン レベル1(2)7000

 

剣豪龍サムライドラゴン・天 レベル2(2+SC)7000

 

魂皆伝ブゲイシャー・ドラゴン レベル2(3)10000 疲労

 

マグナ(そろそろ決着しそうだな…このバトルも)

 

故郷(グラン・ロロ)で幾多の戦いを見届けてきた彼には、2人のバトラーの戦いが、決着に向かっている事を、本能的に察知した。勝者は1人、その結末を静かに見守る。

 

龍虎「(何とか凌いだ…。けれど、それもあくまで一刻…その場しのぎにしか過ぎない。次のターンで勝負を決めなきゃ、確実に私は負け…。

このターンのドローステップに、私の命運が懸かっている…!!!)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ6→7)、ドローステップ…(手札4→5)!!!」

 

ドローしたそのカードに、龍虎の手が…止まる。カードを握る手と逆手は、胸を押さえて…拳に変える。

 

幸村「…引いたみたいだな、龍虎。お前の約束のカード。そしてお前の真のキースピリット…十剣聖スターブレード・ドラゴンを」

 

叶わなかった約束。師が託した魂のカード。悲しみ、苦しみが彼女を幾度、心を締め付け、涙を溢させたか。

 

幸村「龍虎、俺達バトラーは何時だって己の魂を、キースピリット達と共に賭けて戦ってきた。それは俺達が信じるカードと共に勝って、負けて、また勝ってきた戦いの歴史なんだ!!!

 

お前にも在る筈だ!!!俺達に負けない、お前の熱いバトスピの魂が!!!!!!」

 

幸村の言葉が響く…。己の魂に。リザーブのソウルコアに。手に持つカード達に…!!!

彼女の髪が、さらに赤く、深紅の紅蓮に染まる時!!!

 

彼女は悲しみを、迷いを、己の手で焼き払う!!!!!!

 

龍虎「幸村さん…!私…昔の事に捕らわれて、肝心な事が見えてなかったようです。

 

でも、もう大丈夫…。私は此処から、新たに歩みます!!!自分の信じるバトスピを!!!自分が信じるカードと共に!!!」

 

幸村「龍虎…さぁこいっ!」

 

龍虎「はいっ!!リフレッシュステップ(リザーブ7→15・トラッシュ8→0)、メインステップ!

 

マジック、ビッグバンエナジーを使用!!!…え」

 

手札に有った系統:星竜のコストを変更させるマジックを発動する龍虎。しかしその直後に、彼女自身がある事に気付いた。

 

そう…ビッグバンエナジーの(テキスト)が人知れず(書き変わっていた)のである。

 

幸村「どうした龍虎!」

 

龍虎「幸村さん!カードが…カードが変な事に!私の知ってる、ビッグバンエナジーじゃなくなっちゃったんですよ!!!」

 

マグナ「は?カードがバトル中に変化するとか、ありえナニィィ!?カードが書き変わってるだとおぅ?!」

 

ビッグバンエナジーのカードを見たマグナが大きくずっこける。だが肝心のカードにはキッチリと(リバイバル)の文字が刻まれ、フィールドに出したカードは反応していた。

 

マグナ「………ま、いいや!取り敢えず続行!!」

 

龍虎「貴方、仮にも神様よね?こんなのでいいの?」

 

幸村「俺は別に良いぞ」

 

龍虎「ええ…と、とにかく、ビッグバンエナジーのコストにソウルコアを含めた4コアで、発動(手札5→4・リザーブ15→11・トラッシュ0→4)!

 

このターンの間、自分の手札にある系統:星竜を持つスピリット/ブレイブカード全てのコストを、私のライフと同じにする効果!そしてマジックの使用コストに、(ソウルコア)を支払った時、自分のライフをメインステップ中のみ(1)として扱う事が出来る!」

 

幸村「メインステップの間、自分のライフを1に…まさか!!!」

 

進化した(?)ビッグバンエナジー…その力は起死回生へと繋がる起爆剤。自らのライフを1にする事は、平行して手札に潜む星竜達が雪崩れ込むように召喚される事を意味する…!!!

 

龍虎「灼熱の太陽よ!金色の翼羽ばたかせ、黒染めの宇宙(そら)を照らし出せ!太陽神龍ライジング・アポロドラゴン!1コスト支払って、レベル3で召喚(手札4→3・リザーブ11→5・トラッシュ4→5)!」

 

バトルスフィアフィールドの大地から吹き上がる無数の炎が、一ヶ所に集約され、金色の翼と尾を持つ灼熱の龍が誕生、炎を振り払い雄々しく猛る!!!

 

龍虎「続けて…!太陽を刻みし翼!果てなき宇宙を駆け上がれ!輝竜シャイン・ブレイザー召喚(手札3→2・リザーブ5→4)!」

 

ルビーの結晶を砕き現れる、純白の翼に赤の紋様刻む機械の竜が、ライジングの横に並び立つ!

 

そして龍虎は…

 

龍虎「幸村さん…!これが…とよねーの。ううん、これが!私の、(真の)キースピリットです!!!」

 

天に高く投げ上げたカード!そのカードは炎の龍へと姿を変えて、バトルスフィアフィールド内を咆哮と共に舞い上がる!

 

龍虎「星を束ねし剣刃(つるぎ)を掲げ、勝利の道を切り開く!!十剣聖スターブレード・ドラゴン!!レベル3で超・龍・召・喚(手札2→1・リザーブ4→0)!!!」

 

龍虎のバトルアーマーが炎を放出し、それは青鋼の鎧を形成、炎の龍へと次々に装着され、バトルスフィアフィールドに降臨する其の姿!

気高く、巨大にして、雄々しく、恐ろしく、そして何よりも強き存在!!

 

これが、これこそが!虹色 龍虎の俺ドラ最強のドラゴンにして、彼女の人生を変えたキースピリット!

 

十剣聖スターブレード・ドラゴン!!!!!!

 

幸村「これが…お前の真のキースピリットか…!!!」

 

龍虎「…今まで待たせて、ごめんね。スターブレード」

 

スタブレ「気に病まないでくれ、龍虎。豊姫の悲劇を乗り越え、私を呼び覚ましてくれた…。力に成れず、本当にすまない」

 

龍虎はスターブレード・ドラゴンに寄り添い、彼の赤い龍皮に触る。

 

龍虎「感じる…スターブレードの命の鼓動。力強い、魂の叫びが」

 

スタブレ「龍虎!私が君の勝利の道へ続く光となろう!」

 

龍虎「いきます、幸村さん!輝竜シャイン・ブレイザーを、十剣聖スターブレード・ドラゴンに合体(ブレイブ)!!!」

 

スタブレ「ぬうぅうううううう!!!」

 

腰に備えた剣を抜き取り、天に掲げるスターブレード。同時にシャイン・ブレイザーが飛び立ち、自身の身体を自ら粒子に変えて、剣と融合。

 

赤と白の交錯模様の大剣へと変化し、刀身に仕込まれたジェネレータから煌鑼美やかな蒸気を放出、サンライズ立ちでスターブレードが構えた!!!

 

龍虎「アタックステップ!十剣聖スターブレード・ドラゴン!!!このバトルを決着させる、その一撃を叩き込め!!!合体アタック!!!」

 

龍虎の声と共に、スターブレード・ドラゴンは輝竜の大剣を構え、背の翼翻し、大地を繰り上げ、高く高く、飛んだ!!!

 

幸村「俺のライフは3つあるぞ!どうやって削り切る!!!龍虎!!!」

 

龍虎「私のキースピリットの力!見せてあげます!!

 

スターブレード・ドラゴン、レベル3の合体(ブレイブ)アタック時効果!!BP6000以下の相手スピリット1体を破壊し、そのスピリットのコストが6以上なら、相手のライフを1つ破壊出来る!

 

さらに、スターブレード・ドラゴンのレベル1からのアタック時効果で、最もBPの高い相手スピリット1体を破壊し、BP8000以上の相手スピリットを破壊出来れば、シャイン・ブレイザーの効果でライフを1つ破壊!!!

 

私は合体アタック時効果で、戦国獣皇ソウルドラゴン・焔を!アタック時効果で魂皆伝ブゲイシャー・ドラゴン

を破壊!!!」

 

空高く舞い上がり、急転直下のメテオダイブで幸村へと突貫するスターブレード!!!大剣は灼熱を帯び、さらに美しく光放ち、輝く!!!!!!

 

焔&ブゲイ「行かせぬ!!!」

 

スタブレ「我等の道の邪魔はさせない!!!」

 

2体の戦国の猛者達を豆腐のようにあっさりと、真っ二つ!!一刀両断!!!それでもスターブレードは止まらない!!!!

 

龍虎「そしてライジング・アポロドラゴンの効果により得た、指定アタック効果で、戦国龍ソウルドラゴンを指定アタック!」

 

ソルドラ「幸村よ…」

 

幸村「このバトル…確かに俺の敗けだ。だったら次に勝てば良い!!そうだろ、ソウルドラゴン!!!」

 

ソルドラ「その通りだっ!!!!!!」

 

負けた時こそ胸を張れ。何度負けても、何度でも立ち上がる。諦めなければ必ず勝利の女神は微笑む…!!!

 

ソウルドラゴンは槍を構え、スターブレードとの真っ向勝負を挑む!!!紅蓮の槍と腰に添えた太刀を振るい、巨大な大剣と渡り合う!

 

首筋を狙い、太刀を槍を突き出し、激しく刹那の殺陣!!!

息付く間もない程のぶつかり合いは、太刀を砕き、槍を折り、猛将の身体を切り伏せ倒したスターブレードに軍配が上がる!!!

 

龍虎「スターブレード!!!ファイナルゥ…フィニッシュ!!!」

 

猛者達を切り裂いた大剣が、幸村の3つのライフ全てを

打ち砕き、同時に彼のスピリット3体を爆散!!!その衝撃はバトルスフィアフィールドを一瞬で破壊し、爆音と爆炎が外にまで影響を及ぼして、決着した!!!!

 

* * *

 

マグナ「バトルスフィアフィールドを一撃でぶっこわしやがった…!なんちゅうパワーだよ、スターブレード!」

 

龍虎「幸村さん!」

 

スピリット達が消えて、バトルアーマーが消滅した後、龍虎は3つのライフを同時に破壊され、倒れた幸村の元へと駆け寄る。

彼女の瞳は深紅に染まり、紅蓮の髪は爆炎の中で靡く。

 

霊夢「龍虎!幸村!これアンタ達がやったの!?」

 

上空から降りてきた霊夢が問うと、龍虎は指先で此の場を去ろうとしていたマグナに、指を指した。

 

霊夢「マ~グ~ナ?」

 

マグナ「な、何かな?」

 

霊夢「この自然破壊と騒音に、延いては火災を引き起こす程のエネルギーフィールドを此処に張った、神様は誰かしら?」

 

マグナ「私だ」

 

霊夢「貴方だったのね」

 

マグナ「また騙されたな」

 

霊夢「全く気付かなかったわ」

 

マグナ&霊夢「暇をもて余した 神々の 遊び」

 

2人「はっはっはっはっはっはっはっはっはっ」

 

霊夢「笑い事で済ますかボケェ!!」

 

ツッコミといわんばかりのジャーマンスープレックスが炸裂し、二頭身のマグナの頭部が地中に埋まる。

 

幸村「龍虎、良いバトルだった。キースピリットで勝てた時って凄く楽しいだろ?」

 

彼の問いに、龍虎は飛びっ切りの笑顔で答える。

 

「…はいっ!!!」…と。

 

* * *

 

博霊神社境内…

 

「「「「女の子ぉおお!!!???」」」」

 

マグナ&幸村以外の主人公組+αは龍虎の本当の性別を知り、驚きの声を上げた。

 

バシン「マジかよ…」

 

駿太「女の子だったんだ…」

 

ツルギ「口調が女の子らしくない…」

 

龍虎「何か…ごめんなさい」

 

ハジメ「いっそのこと名前を龍虎じゃなくて、流子にすれば良いんじゃないか?」

 

龍虎「やめて」

 

霊夢「…取り敢えず対抗戦といった形で、皆の実力を見た訳だけど…何がしたかったの?

 

本当の狙い、教えなさいよ。紫」

 

霊夢の睨む先で1人お茶を啜っている、八雲 紫は湯飲みから唇を放し、こう告げた。

 

紫「実は近々…幻想郷全域を舞台にした、バトスピの大会を開催しようと考えているのよ」

 

大会というフレーズに皆が反応する。バトスピで大規模な大会行うとなると、バトスピ好きの連中が黙ってはおらず、こぞって参加するに違いない。

 

紫「大会の名は、バトスピミラージュサバイバルシップス…通称BPMJS。

 

この大会に於ける、真の目的…。それは来るべき戦いに備え、幻想郷全体のバトラーのレベルアップ。そして敵の尻尾を掴む事。

 

皆…よろしくお願いいたします」

 

紫によって動き出す、バトスピの大会の動き。1つの戦いが終わり、新たに動く戦いの歯車…その運命が示すのは希望か、それとも絶望か。

 

戦いは新たなステージに突入する…!

 

 

 

* * *

 

第1章 英雄集結之章 完




東方激闘魂 第1章!!!完結!!!お疲れ様!!!!

霊夢「よく頑張りました。第1章だけど」

第1章だけでも書ききったんや!大勝利や!

霊夢「ハイハイキイテマスヨー。で、次はバトスピの大規模大会だっけ?」

はい。此処から東方の面々に十二宮Xレアや十二神皇も本格参戦し、バトルが更にヒートアップする事、間違い無しですよ!無論オリカも出ますが、控えめにしていきたい…

霊夢「で、ビッグバンエナジーのリバイバルのカードテキストはどんな感じよ?」

辛辣ぅ…

ビッグバンエナジー(リバイバル) 赤4(赤2)

このマジックカードは発動後、トラッシュに行かず、ゲームから除外される。

メイン:このターンの間、手札にある系統:星竜を持つスピリット/ブレイブカード全てのコストを自分のライフと同じにする。コストに(ソウルコア)を使っていたら、メインステップの間、自分のライフは(1)として扱う事が出来る

霊夢「フラッシュ効果を失い、発動したら使い回しも出来ない代わりに、ソウルコアで擬似的に最高の状態を作れるわね。最近の環境に併せた良い効果だと思うわ」

でしょ?…とまぁこんなところです。

最後になりましたが、東方激闘魂を毎回呼んでいただいた読者の皆様。感想を書いてくださる方々。お気に入り登録をしてくださる方々。

ありがとうございます。これからも執筆を続けていきますが、このような稚拙な小説にお付き合いいただけると幸いです。

東方激闘魂 作者:ガリアムス


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第2章 BSMJS予選之章
東方激闘魂 第14話 BSMJS開幕!突破せよ、サバイバルガンスリンガー!!


東方激闘魂 第2章開幕の時!

霊夢「いつも思うけど、あんた相変わらず投稿ペースは早いわよね」

まぁ、そうですね。それしか取り柄が無いってのも悲しい…

*今回も誤字脱字あったらごめんなさい。

*そして今回バトルはありません


BSMjS…八雲 紫が立案した、幻想郷全てを舞台とする大規模なバトスピ大会。

来るべき敵との戦いの為、幻想郷のバトラーのレベルアップと敵の尻尾を掴む事を目的とした戦い。

 

彼女は大会運営に向けて動き…

 

藍「起きて下さい、紫様!朝御飯が冷めます!」

 

…出していませんでした。ぐーたら布団にくるまって寝てますね、完全に。

 

???「紫、起きろ。…たく」

 

???「だから言ったろ。こいつを起こすなら、殺意を込めろ」

 

???「めんどくせぇからセメント鍋に落とさね?」

 

彼女の近くには青肌の3つ首の2頭身サイズのケルベロスが、呆れた様子で毒舌を吐いている。お気付きの方がいらっしゃるかもしれないが、このモンスターはグリードック。

彼女が呼び寄せた、グラン・ロロの十二神皇スピリットの1体で、戌の称号を持つ存在だ。

 

???「八雲さん、起きて下さい。ご飯出来ましたよ」

 

グリー「おら、ねーちゃんが作ってくれたんだ」

 

グリー「早く起きろ」

 

グリー「全部くっちまうぞ」

 

紫「…おーきるーわよー」

 

寝惚け眼でボサボサな金髪を振って、ゾンビめいた歩き方で居間に現れる。

 

紫「ちぇーんは何処ー…」

 

藍「既に紫乃宮様が弁当を御作りになられ、お見送りも済ませてあります」

 

紫「仕事はやーい…」

 

グリー「おめーよりか」

 

グリー「幾分も優秀」

 

グリー「もーいらねんじゃね?」

 

まゐ「こーら。グリちゃん達、謝って」

 

八雲一家の一員として住み着き働いている彼女…名を紫乃宮 まゐと言う。彼女はかつて馬神 弾と共に未来と異世界を仲間達と共に救った。

 

紆余曲折あり元の時代に帰った彼女は、藍と出会い、ある条件の下、この世界にやって来たのだ。

 

まゐ「ところで八雲さん。橙ちゃんが言うには今日は夏祭りが有るそうですね、行ってきても良いですか?」

 

その言葉で紫は彼女の考えが分かった。そしてあっさりと許可を出し、彼女の喜びそうな着物を探す姿は、孫バカな一面であry

 

(作者粛清中につき、しばらくお待ち下さい…)

 

* * *

 

同時刻、博霊神社…

 

主人公s「博霊神社夏祭り?」

 

霊夢「そ!私の神社の存亡がかかった、大事な一大イベント!毎年の生きる為の最大の収入確保の闘い!」

 

マグナ「毎年失敗してる時点で御察しなんだよなぁ」

 

霊夢「奉り神のアンタが消えるから失敗してんの!今年という今年こそは、絶対にカードになって飾られて貰うわよ!!!」

 

デッキケースを突き出し、鬼の形相で追い掛る霊夢に、「やなこった!!!」と神社中を駆け回り続けるマグナ。トムとジェリーかな?

 

龍虎「夏祭りかぁ…どうしようかな~」

 

弾「…俺は遠慮しておく」

 

レイ・ハジメ・駿太「逃げちゃ駄目ですよ(ニッコリ)」

 

ヨク「………」

 

ツルギ・バシン・環奈「何処へ行こうと言うのかね(ニッコリ)」

 

二人の逃走は失敗、そのまま夏祭りに強制参加させられる羽目になりました。

 

* * *

 

お昼の時間帯…

 

霊夢「皆~素麺出来たわ。淡白な味で飽きないように紫蘇と獅子唐の天ぷらに、根野菜のかき揚げも作ったの」

 

円卓に置かれた純白の艶やかな山と、青々とし金の衣を纏う天ぷら。そして玉ねぎ、人参、ゴボウなどで色合いを作るのに苦労したであろう、大きなかき揚げが所狭しと乗っていた。

 

一同「いただきます!」

 

龍虎「はぁあ~素麺美味しい!」

 

バシン「夏の熱い日に食べる素麺は最高だぜ!」

 

ヨク「これがソメーン…随分細いな…」

 

駿太「紫蘇の天ぷらなんて初めて食べたけど、旨いな!」

 

環奈「根野のかき揚げか…良いものを口にしたでごじゃる」

 

皆、霊夢が作った昼御飯を食す。栄喜を養い、いつ始まるか分からぬBSMjSへ備える…!

 

* * *

 

夕刻頃、博霊神社風呂場。

 

カポーン…と、幻聴が聴こえるようだ。

 

龍虎「はぁ~良いお湯…広々したお風呂なんて何時以来だろ~♪」

 

環奈「極楽~ぅ、でごじゃる~♪」

 

霊夢「自慢の露天風呂だもん、気に入って貰えたら嬉しいわ♪」

 

3人の美女達が湯けむりに覆われ、湯船に浸かっている。暫くして霊夢が呟く。それも女風呂ならではの会話だ。

 

霊夢「それにしても環奈は胸がぺしゃんこね~まだまだみたい」

 

環奈「そーゆー霊夢殿もあまり無いでごじゃるな~」

 

霊夢「早苗のヤツはおかしいのよ。なにあの胸!あれで高校生とか、ふざけるなぁ!!!」

 

胸のお話になるのは女風呂内で起きる、ある種の王道である。そして2人の姿勢は、のんびり湯船に浸かる龍虎の胸へと向けられる!

 

環奈「龍虎殿」

 

龍虎「どうしました?」

 

霊夢「アンタさっきから随分寛いでるようだけど、胸はどうなってるのかしらね。見せなさい、いや見せろ」

 

龍虎「あ、はい。どうぞ」

 

まさかの即OKに、2人は顔を見合わせたが、にいんまりとした顔とわしゃわしゃ指を動かし、彼女の胸に手を伸ばす…

 

ペトリ

 

2人「………………へ?」

 

龍虎「?」

 

霊夢のような、ましてや環奈のよりも膨らみの無い、ぺしゃんこ…まな板に近いそれは、2人の手を止める。

それよりも問題なのは、胸を触られたにも関わらず、無頓着な龍虎本人であろうか。

 

2人「なんか…ごめんなさい(でごじゃる)」

 

龍虎「私、何か悪い事したの!?」

 

霊夢「あんたねぇ…女子として胸を気にしないのはどうかと思うの?」

 

龍虎「バトスピの時に胸がつっかえたら、プレイが難しいし、私はそこまで気にしなくていいと思います」

 

胸よりもバトスピに支障をきたすと言い切った彼女。愚かな質問をしていた自分達が恥ずかしくなり、2人はそれ以降、何も言わなかった…。

 

* * *

 

博霊神社の境内に屋台が並び始める頃合い…皆、浴衣に着替え、下駄を履き、夏祭り準備の視察をする。

 

ツルギ「これが祭りか…レジェンディアでも豊作の儀式とかは有ったりしたけど、これには何か意味が有るのか?」

 

ハジメ「意味はないけど、あれだ!皆で楽しむってヤツだ!」

 

ヨク「意味は無くとも、それは必ず何かに繋がりをもつ…だよな、駿太」

 

駿太「おう、分かってるじゃん!ヨク!」

 

男子組が語らいの中、「お待たせ~」と女子組が合流。普段着よりも露出を取っ払った真面目巫女の霊夢に、青と朝顔模様を織り込んだ着物の環奈。

 

そして…向日葵模様で黄色の浴衣に身を包み、その虹色の髪を後ろでお団子にした龍虎が、顔を赤らめながら前に出る。

 

龍虎「は、恥ずかしい…///」

 

布の切れ間から見える、白くすらりとした美脚。他の道行く男達の視線が彼女に向けられ、おどおど困惑するばかり。

 

霊夢「はぁ…ツルギ、ヨク!龍虎のエスコートをお願い」

 

2人「…はい?」

 

霊夢「クイーンを守る優秀なナイト…よ。私はこれから祭り開始の挨拶が有るから、手が放せない。それじゃ!」

 

半ば強制的に護衛を付けて、霊夢はその場を抜け出した。

 

マグナ「ふぃ~、気付かれんで凌げたわ~」

 

龍虎「マグナ、貴方まだ逃げてたの?」

 

マグナ「祭りに参加出来ないのは真っ平御免さ。なぁんとか逃げ切れたが、いつ追っ掛けてくっか分かったもんじゃねぇ」

 

胸を撫で下ろして、龍虎の頭の上に乗っかったマグナ。やれやれといった表情の龍虎は、多分マグナには言っても聞かないと悟り、連れ歩くことにしたのだった…。

 

* * *

 

十数分後、霊夢が博霊神社の縁側に上がり開幕の挨拶を行うと同時に、お面を付けた子供や大人達が太鼓を叩き、横笛・縦笛を吹き鳴らす。

よく見るとそのお面は、陰陽童(おんみょうどうじ)や鎧闘鬼(がいとうき)ラショウといったバトスピのスピリット達をモチーフにしたような、手作りである。

 

男「らっしゃい、らっしゃい!チュンポポわたあめ、如何かねー!」

 

男「スピリット風船色々有るよー、どうすかー!!!」

 

道横に立ち並ぶ屋店の数々、その中で龍虎は(トリガー射的)と呼ばれるものの前に足を止める。

 

男「お、嬢ちゃん射的に興味が有るのかい?」

 

龍虎「あ、いえ…名前が変わってるなって」

 

「よく言われるよ。良かったらやってみるかい?1回おまけにしてあげるよ」と彼は笑いながら、玩具の銃を彼女に渡す。そして連れのツルギとヨクにも渡され、流れるままに、3人は射的に挑戦する。

 

男「ルールは簡単。射的を放つ時に「U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」って叫んで玉を撃つ。その玉が的に当たって倒したら(ヒット)、外れたりしたら(ガード)。玉は1人、7発。

 

因みに彼処にある(大当たり)の札を倒せたら、バトスピのカードを贈呈だよ!」

 

カードと聞き、彼女は今後に備えて戦力を増強したいとは考えたので、早速玉を銃に籠める。そして…浴衣の中、太腿に巻いたベルトに付けたデッキケースの中から(白のケース)にそっと指を触れた…

 

ツルギ「よし、カード目指して撃つべーし!」

 

まずはツルギが先頭として7発の玉を「U(アルティメット)トリガー!ロックオン!」の掛け声と共に発射!

しかし玉は大当たりの札所か、一番小さな景品に掠りもせずに全弾使いきってしまう。

 

ツルギ「くそー!」

 

「落ち着いて狙わなきゃ意味がないぞ」とダメ出ししながら、ヨクが銃を構えて…撃つ。3発までは外れたが、4発・5発・6発で掠り、7発目で景品に玉がヒットし、台の上から落としたのだ!

 

男「これは凄い!少年、中々やるじゃないか。これが景品の(カニちゃんキーホルダー)だよ!」

 

赤く綺麗なキーホルダーを受け取るヨク。

だがその時の顔は、普段のクールなものとは真逆のデレデレであり、それを見たツルギが少し引いた。

 

ツルギ「あ、リューさんはど…う…」

 

そこに佇む龍虎の異変をツルギは真っ先に感じ取り、少し遅れてヨクが正気に戻った。

 

龍虎の虹の髪が真っ白な白銀、目は橙色。纏うオーラは紅蓮 龍虎と真逆…冷徹沈着な冷たい鋼のようなものに変わる。

 

ツルギ「リュ…リューさん?」

 

???「私はリューさんでは無いぞ、ツルギ少年。私は白鋼 龍虎(しろがね りゅうこ)…虹色 龍虎でもあり、虹色 龍虎では無い者」

 

ヨク(喋り方や、雰囲気が…変わってる?)

 

白鋼「…そこの君」

 

ヨク&ツルギ(店の人に対して(君)呼ばわり!?)

 

男「は、はい嬢…ちゃん…?」

 

白鋼「私は1発でいい」

 

突然の提案に店主の男と、ヨクにツルギは唖然となる。7発撃てるチャンスを、1発に減らすと言う行為。その真意が分からないからだ。

 

白鋼「代わりに私はその1発で…彼処にある大当たり札を撃ち抜く。それも…(クリティカルヒット)でだ。万が一外した時は、この身体好きにするが良いさ」

 

1発、しかもクリティカルヒット宣言。常人では気が狂ったとしか思えない。だが白鋼 龍虎の目は眈々と、大当たり札だけを視界に捉え続ける。

紛れ当たり等ではない、彼女はやるつもりだ…1発でクリティカルヒットを成し得るつもりだ…!!!

 

白鋼「U(アルティメット)トリガー…ロックオン」

 

彼女は銃を両手に構え、全神経・全感覚を指先に集中。撃たれたと判断するよりも速く、彼女は引き金に指を添え、こう言った。

 

白鋼「引き金は2度は引かない。1撃が全て」

 

刹那

 

 

 

 

 

 

 

放たれた弾丸が大当たり札、しかも度真ん中を直撃。めり込み煙を放ちながら、地面に力なくコトリと落ちた…

 

 

白鋼「…よし」

 

銃を台に置き、身体を伸ばす彼女。相当集中していたのだろう…額には汗が込み上げ、びっしょりと濡れていた。

 

男「あ、お…大当たりぃい!ささ、どうぞ!バトスピのカードでございやす!」

 

慌てながらも商売魂で上手く取り繕う男は、結婚指輪を入れるような黒い箱を持ってきて、龍虎に手渡した。

それを受け取り、静かに去る白鋼 龍虎の白銀の髪が虹色に戻る。

 

ヨク「お、おい!トラ!どうした!」

 

龍虎「……はっ!わ、へ?ヨクさん?あれ…あ、そうか…。白デッキに触ってから、(私と白鋼の人格が入れ替わった)のね…」

 

ツルギ(人格が…入れ替わった?)

 

マグナ(……まさか、な)

 

疑問を持つツルギと、何か心当たりのあるマグナ。龍虎が持つ謎が1つ、増えた瞬間であった…

 

* * *

 

幸村・レイ&ムゲン・環奈side…

 

レイ「ん~!ンンムーむむむ!(リンゴスター飴うめー!)」

 

環奈「完全に祭りを満喫してるでごじゃる(クレイオお面&フーリン水風船装備)」

 

幸村「(お前もなんだけどな…)かくゆう俺も、モノケ焼きトウモロコシなんて言う物食べてるし、言えないか。

 

見た目によらず旨いな…コレ」

 

たまには童心に帰って、純粋に夏祭りを楽しむのも良いかもしれない。龍虎がバトスピをする時のように…。彼は手に持ったモノケロックをイメージした、ホワイトコーンの焼きトウモロコシにかじり付く…

 

妖夢「おや、皆さん。夏祭りモードですか」

 

3人に気付き声を掛けるのは、交流戦で弾と戦った魂魄

妖夢。その後ろにはチルノと緑髪の大きな羽を持つポニーテールの少女、金髪赤眼黒ワンピースのロリータ、マジシャン衣装の女子が居る。

 

環奈「妖夢殿か、お主達も同じか?」

 

妖夢「私は屋台の食べ物を買わなければならず、その為に来たに過ぎません。別に遊びに来た訳では有りませんよ」

 

宣う妖夢だが、頭に付けた前鬼のお面にスピリットをモチーフにした食べ物類に手を着けている当たり、夏祭りモードに入っているのは誤魔化せない。

 

環奈「お主が言うなでごじゃる」

 

ムゲン「まぁまぁ落ち着けって。んで、買い出しに来たねーちゃんの後ろに居る連中は誰なんだ?」

 

チルノ「連中ってしつれーだぞ!アタイの友達だよ!大妖精の大ちゃん、金髪がルーミアで、此方がリグル!」

 

大ちゃん「こ、こんばんは」

 

ルーミア「わはー」

 

リグル「よろしくです」

 

挨拶を交わしたチルノの3人の友達。だが幸村は、ルーミアと言う少女から、対抗戦で咲夜が自分や他のバトラーに向けて放った殺意(もの)と同質な物を感じ取る。

 

彼等は気付かない。その横を、紫色のアメジストのような髪の女性が通り過ぎた事に…

 

* * *

 

バシン・弾・駿太side…

 

駿太「よっしゃあ!ビビっと、ビクトリー!」

 

激突神経衰弱に挑戦した駿太。彼はバトスピで培った直感を生かして数多のカードから3等の札を引き当てたのである。

 

店主「かぁ~負けたぁ!3等景品、赤色コア30個セットを受け取りな!」

 

駿太「やった!」

 

バシン「運が良いなぁ…俺なんて残念賞だったのに」

 

ちぇ…と羨ましそうに駿太を見るバシン。そして、そんな2人を見守る弾。

 

弾「2人はもう良いか?」

 

バシン「おう、俺は良いぞ」

 

駿太「次は焼きそば買おう!あと、お好み焼き!」

 

弾「…それも良いかもな」

 

弟はいないが、弟を持った感覚はこんな感じなのか…。弾はそう考える。

 

彼の仕事は勝つ事だった。勝って、勝って、勝ち続け…(あのバトル)でも、彼は勝った。

だが今だけは…その仕事は無い。2人の楽しむ顔が、弾の勝利に拘る心の張りを徐々に弛めてゆく。

 

弾(まゐに言われたな…「たまには仕事(バトスピ)を休まなきゃ、勝てるバトルも勝てない」…か)

 

昔の事を思い出した彼は一息ついて、再び歩こうとした、その時。

 

過ぎ去る通行人の中に揺れる紫の髪と仄かな香りが、彼の足を本能的に止めたのだ。

懐かしい…優しくて、暖かい香り。

 

気付けば走り出していた。その人を追い掛けて…彼らしくもない行動だが、とても大切な事。

 

駿太「すげー!ねぇ弾さん、お好み焼きなんだけど!…あれ?」

 

バシン「駿太どーした?」

 

駿太「弾さん見ませんでした?さっきまで一緒だったんですけど…」

 

* * *

 

弾は1人、通り過ぎた人を追い掛けて階段を掛け上がる。きっと見間違いではない、何故なら彼はその人の名前を知っているから。

幾度となく交わした言葉、数度しか交わせなかったバトル。記憶に焼け付き、刻まれた。覚えている。

 

今も。これからも。

 

階段の頂上、博霊神社の境内で、紫の浴衣に袖を通し、誰かを探す女性。

未来世界(あの時)よりも、さらに大人びて、長い髪は昔(グラン・ロロ)と同じくらい短くなった。自分を傍で見守り、支え。

 

そして…バトスピでしか生きられない自分を「愛してる」と言ってくれた、大切な女性(ひと)。

 

弾「…まゐ!」

 

声に振り返り、彼女は一歩…また一歩…近付いてくる。

 

弾「…今更許してくれるなんて、甘いのも分かってる。ごめんな…あの時、置いて行ってしまって」

 

彼女…紫乃宮 まゐは、彼と向き合う。その目に、溢れ零れてしまいそうな、沢山の涙を浮かべ…。

 

弾「(あの戦い)から、…ずっと会いたいって思っていた…」

 

まゐの目に溜まった涙が大粒の滴に変わり、地面に落ちる。まゐは飛び込んだ。彼は優しく彼女の身体を受け止め、腕で彼女を包み、頭を撫でる。

 

まゐは泣いた…(あのバトル)で彼が帰らぬ人となったと、ずっと思っていたから。

それでも彼は生きていると…元の世界に戻って、帰りを待った。

 

まゐ「弾…!弾…!ずっと…会いたかった!ずっと、ずっと!貴方の帰りを…待ってた…!」

 

弾「…まゐ、ただいま。そして…ごめんな」

 

胸に頭を当て、猫のように彼女は擦り付いた。今までの悲しみを塗り潰すように…。彼の体温を感じ取れるように…。

 

* * *

 

弾「そうか…」

 

2人は境内の比較的静かな場所に移動し、まゐは弾が消えた後の事を話した。

 

未来世界が救われた事。その後の仲間達の動向。自分が幻想郷に来る事が出来た理由。彼女は自分が知る限りの情報を弾に伝え、彼はゆっくりと理解する。

 

まゐ「…本当に、生きてて良かった。この世界でも救う為に戦うんでしょ?」

 

弾「ああ。紫に頼まれたからな…俺は勝つ、それだけだ」

 

まゐ「変わらないね…弾は」

 

弾「変わったさ…色々、な」

 

まるで長年連れ添う夫婦のような光景は、何人たりとも近付けない、ある種の空間を形成し他を退けているかのよう。

そんな2人を遠くで見守るのは、弾とはぐれた駿太とバシン…。彼を探す最中で、色々な屋台から買った食べ物を両手に抱えている。

 

駿太「弾さんの横にいる人…あれって誰…?」

 

バシン「なーんか、仲良い感じに話してるぞ…さては彼女か!」

 

環奈「む~?バシン殿、駿太、そこで何してるでごじゃるか…。あれは、弾殿と…女子?」

 

と、此処で環奈含む幸村組がバシン達と合流し、弾が誰かと話している事に気付いた。

その間を置き、龍虎組も合流する。

 

龍虎「…あれって、まゐさん!?本物だ!」

 

マグナ「まゐさん?誰だそりゃ」

 

龍虎「紫乃宮 まゐ…弾さんと同じ、紫の光主に選ばれた人よ。まさか本物に逢えるなんて!やっぱりバトスピやってて良かったなぁ…」

 

弾と同じくらい伝説的存在の彼女を拝めた龍虎は、嬉しさに身体を悶えまくる。皆の視線は痛かろうが、彼女が知った事では無い。

 

ヨク「で、そのまゐって人が何で弾さんと一緒に居るんだ」

 

龍虎「織姫と彦星…これで判るはずよ」

 

ヨク以外の全員が「ああ~」と納得。駿太が捕捉し、ヨクも「成程…」と言った表情。

 

???(あーあー…マイクテスト~マイクテスト~)

 

突如、境内ならびに会場全体に備え付けられたスピーカーが鳴り響く。主人公組は何度も聞いた声。

そう、妖怪の賢者にして幻想郷の管理人たる八雲 紫、その人だ。

 

紫(夏祭りに参加の皆様、楽しんでおられますでしょうか?最近私…どうにも刺激が欲しいのです。

 

魂が震え、血肉が沸騰する程の熱さ…!戦略、運、度胸!!その全てを以て、たった1人の勝利者を決める!そんな戦いを味わいたい!

 

そこで私は、1週間後の午前0時を以て、バトルスピリッツの大会開催を宣言致します!!!)

 

バトルスピリッツの大会という、紫の言葉にバトラー全員の目付きが一瞬にして変わる!

 

紫(その気になる大会の名前は、(第1回 バトルスピリッツミラージュサバイバルシップス)!通称(BSMJS)!!!

 

大会期間は6ヶ月と2週間に渡り繰り広げられ、まずバトラーの皆様は、大会本選出場の為に厳しい予選を戦って貰います!

 

それはBSMJS予選 サバイバルガンスリンガー!!!バトラーの皆様はガンスリンガーは存知ている物として話しますと、この勝ち抜き戦は1度負けたら敗北という訳ではなく、負けても何度でも挑む事が出来ます。

もし0勝のバトラーが、6勝していたバトラーに勝利すれば、そのバトラーは6勝したものとして扱われるのです!つまり負けていたとしても、上位にのしあがれる可能性は大いに有り得ると言う事!

 

予選・サバイバルガンスリンガーの期間は6ヶ月!バトルフィールドはこの幻想郷全て!

6ヶ月終了時点で、総合計勝利数上位64名のみが本選に進む権利が授与されます!

 

参加資格は、40枚以上のカードで作り上げられたデッキを持って入れば、誰でも参加可能!!!お金は一切必要有りません!!!

 

優勝者には、第1回 バトスピチャンピオンバトラーの栄光、世界に1枚しかないカード!そして私が出来る範囲でその人が望む願いを1つ、何でも叶える権利が授与されます!)

 

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

博霊神社が…!幻想郷が…!!…世界が!!!揺れる!!!!

バトラーの雄叫びに!揺れているっ!!!

 

世界がっ!!!!!!!!!

 

バシン(始まる…!)

 

ツルギ(幻想郷1のカードバトラーを決める戦い!)

 

弾(必ず勝つ…それだけだ!)

 

龍虎(私は…私のバトルで、楽しむだけです!)

 

バトラーが目指すは、たった1つの頂に存在(あ)る優勝の玉座!!最強の証明!!それだけだ…!!!

 

 

 

バトルスピリッツミラージュサバイバルシップス

 

予選・サバイバルガンスリンガー…開幕まで、あと1週間!!!




第2章、開幕!

ヨク「案外速く仕上がったな。此処からどうなってくのか…楽しみだ」

それとヨクさん。随分上機嫌ですけど、カニちゃんのストラッry

(無言の超・風魔神ダブルドライブ)

…ひどす。

ヨク「何も無かった、いいな?」

アッハイ。では次回予告!

紫により発令されたバトルスピリッツミラージュサバイバルシップス(通称:BSMJS)!開催期限が迫る中、バトラー達は各々の最強のデッキを作るべく動き出す!

そしてその標的とされたのは…虹色 龍虎だった!!!迫る魔の手!その時、龍虎の中に眠りし人格が、吹雪と共に目を醒ます!!!

次回、東方激闘魂 第15話

欲望の魔の手!阻め、私は白鋼 龍虎(しろがね りゅうこ)!!!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第15話 迫る魔の手!阻め、私は白鋼 龍虎(しろがね りゅうこ)

第15話、投下です!

龍虎「爆撃じゃないんだから…」

さてさて、今回は龍虎…の人格の1つである(白鋼)のバトルになりますね。

龍虎「…白銀のゼry」

その発言は禁止事項だ。イイネ?

龍虎「アッハイ」

*この小説には誤字・脱字、オリカ、ルールやプレイミスが含まれているかもしれません。見付けて頂ければ幸いです。


龍虎「これまでの東方激闘魂(東方project×バトルスピリッツ)!!

 

私は虹色 龍虎、バトスピが大好きな女子バトラー。ある日の帰り道で私は、不思議な生物…マグナこと六絶神 剛力のドラグマグナと出逢った。

マグナを追い、現れた賢者様・八雲 紫さんと戦って勝ったのだけど…強制的に幻想郷と呼ばれる隔絶楽園に神隠しされる羽目に…。

 

最初は1人で戦うのかと不安だったけど、伝説の英雄達が私と同じように、バトスピの危機に立ち向かう事になって凄く嬉しかった。

 

その後は私のカードでデッキを構築しなおしたり、対抗戦でバトルしたりして、私は自分の過去をマグナと幸村さんに打ち明けた。

 

とよねー…私はもう大丈夫。バトスピの未来は私達が守るから、どうか見守っていてね…」

 

* * *

 

大会予選開幕まで、7日前…事の始まりは、霊夢の一言によるものから始まった。

 

霊夢「龍虎、あんたは特に注意した方が良いわよ」

 

龍虎「へ?」

 

弾「確かに…俺達のデッキが戦える状態になったのも、元を辿れば龍虎が持ってきたカード達のおかげでもある」

 

ツルギ「そうか!大会の参加条件は(40枚以上のカード)で作った(デッキ)。つまり、どんな(カード)で組んでも(40枚)あれば良い!となると…」

 

バシン「カードが足りないと出られない、つまりカードを手に入れる為にカードショップに向かう。でも、カードが無くなったら…」

 

霊夢達が危惧したのは龍虎の持つカードが、カードが手に入らず暴徒化した者達が、力付くで奪おうと狙ってくると予感した。

それを考えた時、彼女は身震いし自分の工具箱を手元に引き寄せて、ぎゅっと抱き締める。

生まれて此の方、彼女にはバトスピしか無かった。そしてバトスピのカード達は彼女の歴史であり、思い出の数々。それを奪おうとする連中が居る事は、恐ろしい他無いのだ。

 

霊夢「となると、しばらくは皆外出を極力避けた方が良いかもしれないわ。私達のデッキも狙われる可能性が少なからず在る以上、大会開始までは動かずじっとしてましょう」

 

マグナ「断る」

 

霊夢「あんたはカードに戻るか、龍虎の傍でボディーガード。じゃなきゃコアをあげないわよ?」

 

ゲスの極みの笑顔で、さらりと強烈な脅しを掛ける霊夢に、「けっ!!この巫女覚えてろよ…!」と舌打ちと捨て台詞を吐いて、マグナは龍虎の頭の上に乗っかった。

 

バシン「なぁ…結局の所、霊夢とマグナって仲良いのか悪いのか、わかんねーんだけど?」

 

マグナ&霊夢「仲良くは無いわ(ねーよ)」

 

ハモったあたり、互いに毛嫌い(?)しているだけかもしれないと考える龍虎。言いたい事を言い合って、本音をぶつけ合える者同士…それをきっと(相棒)と呼ぶのだろう。

 

* * *

 

その話から4日が過ぎ去り、主人公sと霊夢達は神社の畳が敷かれた部屋で、再びデッキの調整を行っていた。

 

バシン「異魔神ブレイブはフィールドに残せるシンボル付きが良いかな…?もしくはネクサスを増やす…?」

 

霊夢「レイの白デッキだけど(氷雪サークル)加えるべきだと思うわ。ソウルコアを使うけど、確実に2体の足留めは出来るし」

 

幸村「南蛮武者ハクライ…ドロー強化とバウンス耐性は今後必要になるな」

 

皆黙々とカードを入れ替え、枚数の調整とデリケートに進めていた。しかし、その静寂は無情にも破られてしまう。霊夢が最も危惧した、最悪なパターンによって…!!

 

魔理沙「霊夢ぅううううううううう!!!助けてくれだぜぇええええええええええ!!!」

 

障子窓を箒で蹴破り、墜落したのは駿太と戦ったミブロックデッキの使い手たる魔理沙。その様子はかなり慌てている。

 

霊夢「魔理沙、何があったの!?」

 

魔理沙「霊夢!皆居るな!今此方に大軍勢が押し寄せてきてる!速く逃げなきゃ不味いぜ!?」

 

彼女がそう言った、刹那…!

 

「カードを寄越せー!!!」

 

「カードを寄越せー!!!」

 

怒号の叫びが此方に迫って来ているのを、龍虎達は全身で感じ取った。神社全体が揺れ、幾度となく小刻みに軋む音が耳を突っつく…!!

 

魔理沙「も、もう駄目だ…このままじゃ私達全員デッキを奪われちまう…!」

 

霊夢「魔理沙!まず落ち着け!私が何とかしてみるから、アンタはマグナと一緒に皆の避難を!!!」

 

「いや、もう手遅れみたいだぜ」と、マグナが呟いたその時、魔理沙が蹴破った場所とは別の扉が叩き割られる音が響く!

足袋等を履いたまま、神社に次々と上がり込む人々。その目は血走り、霊夢達の握るカードやデッキを見定める。

 

「カード…見つけた!」

 

「巫女が何だ!俺達が物量で攻めりゃなんとかなる!」

 

息も荒く、今にも襲い掛かる勢い。工具箱を抱え、霊夢の後ろに居た龍虎だったが、ある1人が持つ農業用具の鎌の鋒から赤い液体が滴り落ち、畳に染み付く瞬間を見てしまった。

 

龍虎「…血?貴方…ま、さか…」

 

「ああん?カードを寄越さなかったから、ちょっくら痛い目にあって貰っただけさぁ。死んじゃいにゃあ…

 

それよら、儂等にゃカードがいるけぇ…カードを余越なぁ」

 

大会に出るために、カードを強奪。もしそれが罪の無い子供だとするなら…

 

そして、彼女の中で

 

何かが、感情の爆弾と共に

 

弾け飛んだ

 

 

 

 

「カードを寄越せ!」「カードを寄越せ!」

 

霊夢「くそっ…せめて皆だけでも!」

 

祓い棒を構え臨戦態勢に入った瞬間、轟轟と吹き荒びながら、時期外れの強烈無比な吹雪が暴徒達をたちまちの内に、畳部屋から吹き飛ばしてしまったのだ!

 

???「何故君達は最初からカードが欲しいと、素直に言えないのだ?」

 

冷たく、氷のように鋭く、心を見透かした…言葉。

 

吹雪の中で靡く白銀の長髪に、シャンと光る橙の瞳。

 

ツルギとヨクの記憶に新しい、その声、その姿。

 

???「カードが欲しいと言えば、私が分けてやろうと思っていたが…君達は私の逆鱗に触れたようだ。

 

私はね…バトスピのカードを力付くで奪ったり、破いたりする連中が大嫌いでな。もれなく全員、潰すつもりだが覚悟は良いかい?」

 

女将校が如く、その目を光らせ威圧する。彼女の人格は今、(白鋼 龍虎)の状態として覚醒した。

 

霊夢「な、何…龍虎どうしたの?」

 

白鋼「む…紹介が遅れたな。私は白鋼 龍虎、白鋼騎士団(シルバーカウル)を纏める団長であり、龍虎の中に眠る(7つの人格の1つ)であり、(龍虎ならざる)者…と言っておこうか」

 

何が何だか、霊夢達には分からない。そして筆者の私にも分からない。

 

白鋼「さて…そこで私達を見ているのは誰かな、姿を見せて貰うぞ」

 

???「あらら~…気配消したのに、気付ける人がいるなんてね~♪」

 

不気味な声と共に、彼女の目の前にある畳からズズズ…と束ねた青い髪と、顔が現れる。

 

ハジメ「生首ぃいいいいいい!!」

 

バシン「いぎよぉぉおおおおおお!!!」

 

霊夢「落ち着いて…あれは生首に(見えるようにしてるだけ)に過ぎない。アイツの(能力)よ…(壁をすり抜けるだけの能力)…そうよね。霍 青娥(かく せいが)…!」

 

「ふふふ…せーいーかーい~♪」と、全身が露になる。天女の如き外見と髪の束ね方。水色のワンピースに白い羽衣纏う姿は、とても美しく…そして(邪悪)だった。

 

白鋼「貴女が彼等に吹き込み、彼等が暴徒化する事を助長した…皆が分からなくても、私には分かる…!」

 

青娥「ふふふ…。もし、そうだと答えたら…どうする気かしら?」

 

「決まっている…バトルよ」と彼女は、腰に下げた白のデッキケースを取り出し、青娥に突き付ける。

 

白鋼「貴女の罪…私が断罪する!(ターゲット)!!!」

 

青娥の腰、左側に付けているデッキケースが淡く輝き、光を放つ。レイの世界では此の掛け声から、決闘…つまり逃れられないバトスピの開幕宣言となるのだ!

 

青娥「断罪ねぇ…大方、私がやった事が赦せないって奴ね。良いわ、付き合ってあげる」

 

2人「「ゲートオープン、界解!!!」」

 

掛け声と共に、2人を包む光。

 

青娥の手首にソウルコア型のブレスレットが装着され、蛇をモチーフとした杖と、絡む二匹の蛇の紋章を刻む盾型のボードが出現。

 

龍虎はというと、身に付ける衣服が光を帯びて変化。巻き起こる猛吹雪の中で、灰色の半袖と黒のミニスカート、白の軍服を彷彿とさせるコートの肩に羽織り、頭には(SC)の文字を刻む軍帽を被る。

そして足元に円盤型ドローンが現れて、彼女が其処に乗り込んだ!!!

 

「こんな空間が有ったなんてな」と、マグナが現れつつ主人公組全員を観客席と称した形で、自身の創った結界で保護しつつ、バトルフィールドに連れてきた。

 

白鋼「私から行くが、よろしいか」

 

青娥「ご自由に?」

 

白鋼「…スタートステップ。ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

まずは城を築くとしよう。我が軍はネクサス、機巧城(きこうじょう)を展開する(手札5→4・リザーブ4→0・トラッシュ0→4)」

 

吹雪が突如として発生し、荒れ狂う凍結の伊吹の中で、姿を見せるは、天守閣に巨大な砲塔を備える五段角の大城だった…!

 

バシン「でけぇ…」

 

白鋼「我が軍の行動終了、さぁ…掛かってこい」

 

白鋼 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ4(SC)

 

機巧城 レベル1(0)

 

青娥「(機巧城…初めて見るネクサス。何かしら?嫌な予感がするのよね~…)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ (手札4→5)、メインステップ。

 

じゃ~あ~♪乙の整備士インフィニティスネークを召~喚~(手札5→4・リザーブ5→1・トラッシュ0→3)」

 

アメジストの結晶を砕き現れたのは、背中に無数の刺らしき紫水晶色の毛を纏い、黄色の眼を持つ1匹の蛇。口からはチュルチュルと細く二又に分かれた舌を出して、龍虎を見ている。

 

ハジメ「スオウと同じ妖蛇デッキか!」

 

白鋼「ほぅ、紫デッキか。面白い…さぁ、攻撃してこい」

 

青娥「ん~…ターンエンド」

 

白鋼「何…?」

 

青娥「だって~明らかに「打って来て下さい」と、言ってるようなものじゃない。それに私は、貴女の其のネクサスの効果を知りたいもの。

 

だから、ターンエンドを宣言した。二言は無いわ」

 

手をひらひらと青娥が振った瞬間、龍虎の後ろに聳える機巧城全体が轟音高らかに白い蒸気を放出する!

 

白鋼「機巧城レベル1の効果発揮。相手ターン終了時に私が一度たりとも被弾していなければ、手札が2枚補充される(手札4→6)」

 

白属性のバトルは、強固な守りと一転攻勢による波が大きい事が1つの特徴でもあり、その反面に手札補充能力は高いとは言えない弱点を持つ。しかし機巧城は、白属性の堅牢な守りのバトルをより強め、円滑材に成り得るカードだ。

 

青娥「へぇ~そんな効果があるのね~♪」

 

青娥 ライフ5 手札4 リザーブ1 トラッシュ3

 

インフィニティスネーク レベル1(SC)2000

 

白鋼「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

鋼の機神よ、出撃だ!戦術機神(せんじゅつきしん)コナン・バウル、発進(手札7→6・リザーブ5→0・トラッシュ0→4)!!!」

 

* * *

 

某所、カタパルトエリア…

 

((カタパルト1。戦術機神コナン・バウル、発進スタンバイ!出撃どうぞ!!!))

 

コナン(ミッション…開始!)

 

* * *

 

青娥「…あら?何かしら、アレ?」

 

ヨク「なんだあれは…!?」

 

機巧城よりも遥か上空、雲の隙間から現れる巨大な空中浮遊の戦艦がバトラー達の目に、はっきりと写る!

その戦艦の右側が音を立てながら変形し、カタパルトを伸ばすと、1体の機人が射出されて此方に向かって来るではないか…!

 

コナン(コナン・バウル、目標地点に到達。これより戦場の指揮補佐に着きます)

 

ハジメ「スピリットが喋った!?」

 

マグナ「あー、そいや忘れてた。俺が張った結界内に居る皆には、スピリットやアルティメット達の(声)が聞こえるんだわ。

まぁ幸村のあんちゃんと、龍虎。んでもって霊夢は既に承知だ」

 

ツルギ「…てことは、シャイニングドラゴン達と会話出来るのか!?マグナ、お前凄いよ!」

 

未知の体験をしたツルギやバシン達の眼はキラキラと輝く。そしてマグナはドヤ顔で胸を張り、霊夢はジト目で自神社の奉り神を見る。

 

白鋼「…バーストを展開(手札6→5)。アタックステップ!コナン・バウルでアタック!」

 

コナン(攻撃行動(アタックシークエンス)移行、目標…前方の敵バトラー。攻撃開始(アタックオン)!)

 

青娥「インフィニティスネークでブロックよ」

 

腰に装着された鞘から剣を抜き、バトルフィールドを蹴り走るコナン、その行く手に立ち塞がるインフィニティが噛み付きかかるが、コナンは肩当てで受ける。

BPはコナンが圧倒的に勝っている…だが、インフィニティは自身の体をコナンに絡ませ、身動きを封じ込めに掛かった!

 

白鋼「む…これは」

 

青娥「インフィニティスネークの破壊時効果。それは疲労状態の相手スピリット/アルティメット1体を破壊出来る効果よ。文字通り…道連れって事♪」

 

刹那、インフィニティスネークが発光、そしてコナンを巻き込みながら…爆ぜた!!!

 

青娥「この機会に覚えておくと良いわ。有能な指揮官は前線で指揮は取らない…ってね」

 

白鋼「前線で指揮は取らない…か。では…」

 

 

 

 

何故、コナンは無事なのか分かるか?

 

青娥「何言ってるの?貴女のスピリットはインフィニティスネークの効果で…!?」

 

漂う黒煙が晴れた時、其処には爆破された筈のコナン・バウルが立っていた。

(全身を紫色に輝やかせ)ながら…!

 

青娥「どうゆう事…!確かにコナン・バウルを破壊した筈よ…!何故其処に居るの…!」

 

白鋼「コナン・バウルには(重装甲)と呼ばれる効果がある。彼に内蔵された装甲色は(紫)、ここまで言えば御分かり?」

 

(装甲)…それは白属性が堅牢にして強固たる守りの由縁の1つでもある。装甲は、装甲を持つスピリットの指定された色を持つ、相手の効果をシャットアウト…つまり拒絶し、遮断出来る。

 

例えば(装甲:赤/緑/青)と記述されていれば、そのスピリットは相手の赤/緑/青のスピリット/ネクサス/マジックの効果を受けなくなる。

 

また装甲にも種類があり、コナン・バウル等が持つ(重装甲)は相手のスピリット/ブレイブ/ネクサス/マジックの効果、(超装甲)はブレイブの変わりにアルティメットの効果を、そして(超重装甲)に至ると相手の効果そのものを受け付けなくなるという、まさに鉄壁の効果なのだ。

 

青娥「コナン・バウルには(重装甲:紫)が在る…だからインフィニティスネークの効果を受けなかった…と」

 

白鋼「その通り。これで我が軍の行動は終了だ」

 

白鋼 ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ4 バースト有

 

コナン・バウル レベル1(SC)5000 疲労

 

機巧城 レベル1(0)

 

青娥「スタートステップ、コアステップ(リザーブ2→3)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ3→6・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

…ふふふ」

 

白鋼「?…何がおかしい」

 

青娥「…お馬鹿さん。私のライフを削る為、わざわざ守りを捨ててくれるなんてねぇ~…♪

 

ティアスネーク、そしてルーン・パイソンを召喚(手札5→4→3・リザーブ6→4→2・トラッシュ0→1→2)!」

 

邪悪な笑みと共に繰り出すは、首周りを金の細いトサカを広げる赤目の蛇と、ルーン語のような模様を身体に刻み付けた紫目の小さな蛇。

2匹共に、白鋼 龍虎を睨み付け威嚇している。

 

白鋼「ほう…」

 

青娥「バーストセット(手札3→2)。機巧城の効果は貴女のライフが1つも減らされていない時だけしかドローは出来ない。つまり…

 

このアタックで、貴女のライフは確実に1つ飛ぶ!さぁティアスネーク!あの小生意気な女からライフを奪いなさい!!!」

 

シャァアアアアアア!と鳴き、胴体をしならせ突撃する。大きく開き見せる毒牙が白鋼 龍虎に迫り来る!

 

青娥「貰った!」

 

白鋼「成程。良い攻撃だ。しかし、残念だが…その牙は私には届かない」

 

ティアスネークが龍虎に飛び掛かった、まさにその瞬間!その胴体を掴む、1つの腕がある!

 

コナン(私が居る限り…白鋼団長には指一本たりとて触れさせはしない!)

 

そう…(疲労状態である)筈のコナン・バウル。彼は今…(回復状態に戻った)のだ…!

 

青娥「な…!まさか、これも…!?」

 

白鋼「戦術機神コナン・バウル、レベル1の効果。相手のアタックステップ時に、相手のスピリットのアタックをトリガーとして、このスピリットは系統:武装を持つ自分のスピリット1体を回復出来る。

 

つまり、そちらがアタックを仕掛けてもコナン・バウルは自動で回復し、ブロック出来る…疑似無限ブロッカーと言う理由さ」

 

そう。現状青娥はBP5000以上のスピリットかアルティメットが居なければ、コナン・バウルの防御を突破する事も、白鋼 龍虎のライフを削る事も叶わない。

 

ティアスネークはコナンに捕まれ、もがくものの空へ放り投げられてから、剣で十文字に切り裂かれ爆散。

 

青娥「…ターン、エンド」

 

青娥 ライフ5 手札2 リザーブ3 トラッシュ2 バースト有

 

ルーン・パイソン レベル1(SC)2000

 

白鋼「エンドステップ時、我が軍はライフ防衛に成功した。よって機巧城の効果が発揮!手札を2枚追加で補充する(手札5→7)

 

そして私のターン。スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札7→8)…君か。早速働いて貰おう。リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

コナン・バウルのソウルコアをリザーブのコアと入れ換える。その後、手札から鉄砲機兵タネガシマにソウルコアを乗せて召喚(手札8→7・リザーブ5→4)」

 

上空に鎮座する浮遊戦艦の右側カタパルトから射出され、龍虎の前に降り立つのは、水色の甲冑型の装甲を纏い、唐笠のような帽子を被った火縄銃を一丁構える小さな機兵。

 

タネガシマ(これより白鋼殿の防衛に入る)

 

幸村「タネガシマ…厄介な奴が出て来たな」

 

レイ「あのちっこいのがか?」

 

環奈「うむ。タネガシマはフィールドに居るだけで、互いのデッキ破壊を無効化し、ソウルコアが置かれていれば、相手のスピリット/アルティメット/ネクサスの効果を受けなくなるのでごじゃる」

 

ツルギ「ブレイブなら何とかなる事を踏まえれば、対象は出来なくない…か」

 

白鋼「では、我が軍に加わった新たな仲間を紹介しよう。出でよ、二丁の大砲!天地を穿つ撃砲を放て!双銃機神(そうじゅうきしん)ディルム・ダイナ!レベル2で出撃せよ(手札7→6・リザーブ4→0・トラッシュ0→2)!!」

 

今度は左側が展開し、カタパルトを伸ばす!

 

(ディルム・ダイナ、発進シークエンス完了!システム・オールグリーン!出撃どうぞ!)

 

ダイナ(ディルム・ダイナ。これより戦場に向かう!)

 

カタパルトから射出され、空を脚のブースター飛翔し着陸したのは、右手に赤、左手に黄色の銃をドッキングした灰色の鋼鉄で完成された戦神(いくさがみ)。

彼の立つ姿は気高く、そして恐ろしい。

 

魔理沙「かっけぇ…!」

 

白鋼「さて、ディルム・ダイナ。夏祭りの景品で手にした君の力、見定めさせて貰うよ」

 

ダイナ(了解した。私の力…特と御覧に入れよう!)

 

白鋼「アタックステップ。ディルム・ダイナ、進撃せよ!」

 

ダイナ(了解(ラジャー)、我が二丁の砲の威力を受けてみよ!!)

 

マガジンが高速回転で火花を起こし、ダイナの機械の瞳が(2つ)のターゲットを見定めた!

 

(発射(ファイヤ)!)の合図で2発の砲弾が轟音高らかに放たれる。その内の1発が青娥の裏向きにセットされていたバーストカード…妖華吸血爪を撃ち抜き、風穴を開ける!

 

青娥「な…!?」

 

ダイナ(私のレベル2・3のアタック時効果。相手のバースト1枚を破棄する事により、系統:武装を持つ自軍スピリット1体を回復出来る。よって私は回復させてもらう!)

 

白鋼「さぁ、ディルム・ダイナのアタックはどう受ける!」

 

青娥「ら、ライフよ(ライフ5→4・リザーブ3→4)!」

 

2発目の砲弾が青娥を守るべく展開されたライフを破壊する!Xレアスピリットの名は伊達ではなく、彼女の体勢は大きく崩れた!

 

青娥「ううう…!」

 

白鋼「ディルム・ダイナ!コナン・バウル!」

 

青娥「あ、ライフで受ける(ライフ4→3→2・リザーブ4→5→6)!」

 

コナンの剣撃が。ダイナの砲撃が。青娥のライフ1つ1つを砕き、光の塵に還えして行く…!

 

青娥「あああ!!」

 

白鋼「我が軍の行動終了…さぁ、貴様のターンだ」

 

白鋼 ライフ5 手札6 リザーブ0 トラッシュ2 バースト有

 

コナン・バウル レベル1(1)5000 疲労

 

タネガシマ レベル1(SC)1000

 

ディルム・ダイナ レベル2(2)6000 疲労

 

駿太「………」

 

ヨク「駿太…?」

 

駿太「トラってさ。赤の時のバトルは、すごく楽しそうなのに…白の時のバトル、全然容赦しないんだなって」

 

弾「ああ…勇貴みたいだ、アイツのバトル」

 

弾は思い出す。かつて、グラン・ロロで出逢い、闘い、手を取り合った白の光主。そして今は亡き友、百瀬 勇貴(ももせ ゆうき)の事を。

 

青娥「す、スタート…ステップ、コアステップ(リザーブ6→7)…、ドローステップ(手札2→3)…、リフレッシュ…ステップ(リザーブ7→9・トラッシュ2→0)、…メイン、ステップ…」

 

青娥の様子がおかしい。まるで今まで知り得なかった恐怖に震える子羊のような、尋常ならざる怯え方。脚が、腕が、瞳が震え、動かない。動かせない。

 

白鋼「どうした?貴様のターンは続いているぞ…」

 

青娥「わか…ってるわ…!

 

マジック、スネークレイブを使用(手札3→2・リザーブ9→4・トラッシュ0→5)!!私は手札の系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚と、デッキの上から6枚のカードを破棄して、その中に系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚につき、私はデッキから1枚ドロー出来る…!」

 

系統:妖蛇を持つスピリット達は、破壊される以外にも力を発揮する時がある。それはトラッシュに送られ、最高のタイミングで大量復活する事。

糸のように積み重なり、絡み合う事で、より強く、より硬い軍隊として襲い掛かる。

 

青娥「私は手札の冥府三巨頭クイン・メドゥーク、そしてデッキを破壊し」

 

白鋼「出来ない。タネガシマがフィールドに居る限り、私達は一切デッキ破壊を行えない」

 

青娥「そんな事、百も承知よ!クイン・メドゥークを破棄した事で、スネークレイブの効果で1枚ドロー(手札2→1→2)!

 

さらに、手札からスネイクスレイブを使用!これで私は、トラッシュにある系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚をノーコストで召喚出来る!

 

さぁ現れなさい!冥府治めし、偉大なる蛇の女帝よ!目覚めよ、冥府三巨頭(めいふさんきょとう)クイン・メドゥーク(手札2→1・リザーブ4→1・トラッシュ5→7)!!!」

 

青娥のトラッシュから噴き出す、底はかと無く、ドス黒い力が解き放たれ、フィールドに灰色の霧が満ちる。

漂う狂気が金の蛇達が象れし曼陀羅とカトラス、丸盾を生み出し、それを掴むは灰色の肌をした4つ腕の上半身が人、下半身が蛇の尾で構成(でき)たキメラのようなモンスター。

 

纏う狂気、向けられる殺意は巨頭の名を持つに相応の技量と力を合わせた、彼女が帝と呼ぶ理由が分かった気がした。

 

白鋼「ほう、中々奇怪なスピリットだな」

 

青娥「さらにクリスタニードルを召喚(手札1→0・リザーブ1→0)!」

 

アメジストの結晶を砕き、小さな翼と4つの脚を持つ紫色のスピリットが現れ、小さく鳴き威嚇する。

 

青娥「アタックステップ!クリスタニードル、行きなさい!」

 

嘶き、蛇行飛翔で白鋼に迫るクリスタニードル!その瞬間、コナンの目が発光し、背中からチューブを伸ばしてダイナにドッキングさせたのだ!

 

白鋼「我が軍域に攻め混んだ以上、覚悟して貰うぞ!コナン・バウル、レベル1効果で系統:武装を持つディルム・ダイナを回復!

 

クリスタニードルをブロックせよ!!!」

 

ダイナ(了解(ラジャー)!これより、クリスタニードルを排除する!)

 

二丁の砲が放たれる前に毒霧を吐き、ダイナの視界を奪うクリスタニードル。だがダイナは、熱源センサーを起動させながら高速で位置計算を行いつつ、修正。クリスタニードルを霧の中から狙撃して見せたのだ!

 

だが、白鋼はクリスタニードルの破壊で不機嫌な顔になった。何故か?

 

白鋼「やってくれたな…!」

 

白鋼の後ろに建つ機巧城が、錆び付き、下から崩れ落ち、鉄屑に変わってゆくではないか!!!

 

青娥「クリスタニードルの破壊/消滅時効果で、相手のネクサス1つを無条件に破壊出来る。これでドローは出来ない。ターンエンド」

 

青娥 ライフ2 手札0 リザーブ1 トラッシュ7

 

クイン・メドゥーク レベル1(SC)6000

 

ルーン・パイソン レベル1(1)1000

 

白鋼「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ1→3・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

マジック、リロードコア(手札7→6・リザーブ3→0・トラッシュ0→3)。これにより我が軍勢に属する、系統:武装を持つスピリット1体につき、ボイドからコアを1つ、リザーブに補給する。

我が軍には戦術機神コナン・バウルと双銃機神ディルム・ダイナの2体。よってコアを2つ補給する(リザーブ0→2)」

 

リロードコアの効果に該当するスピリット達の上に収束され、産まれ形成された光は、コアへと変換。彼女のリザーブに追加される。

 

白鋼「では…我が軍はネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置する(手札6→5・リザーブ2→0・トラッシュ3→5)!」

 

白鋼 龍虎の後ろで、爆音と共に建設されてゆく鋼の都市。吹雪にも負けず稼働するそれは、まるで近未来の先駆けのよう。

 

環奈「ナウマンシティー…白デッキの大型スピリットを呼び出す上で、欠かせない1枚でごじゃる」

 

バシン「あのネクサスが?どんな効果なんだ?」

 

ハジメ「ナウマンシティーは配置した時に、手札の白のスピリット1体をノーコストで召喚出来るんだ。例えどんな大型でも、あのカードが有るか無いかでデッキの動きは大きく変わるぜ」

 

バトスピに於いて、コスト巨大さとコアの個数は、ゲームで大きな意味を持つ。どんなに巨大で強く、ゲーム、フィールドを支配出来るカードで有っても、コアが足りなければ、出す事すら叶わない。

 

バトスピに於けるコアの立ち回りとはそうゆう事で、他のゲームのように初動で大きく動ける訳では無いのだ。

 

白鋼「ナウマンシティーの配置時効果。我が手札から、白のスピリットをノーコストで召喚する!

 

貴様に見せてやろう…我が軍、白鋼騎士団(シルバーカウル)最強にして団長の座を担いし、スピリットを!」

 

青娥「!?(何…この感覚…震えが、止まらない…!)」

 

白鋼 龍虎の後ろからバトルフィールド全体に吹き込む強烈な豪吹雪。その冷たい風の刃が、マグナが創り上げた結界にも影響を与える。バリアがブレ始め、風が入り混んできたのである…!

 

レイ「どわぁ!冷て!?」

 

ムゲン「龍虎の奴、何か暴走してるように見えなくないか?大丈夫なのか?」

 

マグナ「暴走はしてねーようだが、いざって時は俺がアイツを止めるだけだ…!」

 

マグナが結界の外に飛び出し、自身を身体を二頭身の状態からバトルフィールドでの姿に戻して、自身の結界を更に強化する!!

 

白鋼「鋼鉄の騎士よ!今こそ金色の光を受けて、我が敵と悪を滅する剣とならん!!降臨!黄金騎神(おうごんきしん)フィン・マックラン!維持コストをタネガシマから確保し消滅させる(手札5→4)!」

 

白鋼 龍虎の軍帽から赤のレーザーが放たれ、空中浮遊戦艦へ送られる!

 

白鋼「フィン!マックラァアアアアアアアアン!!!」

 

高らかな号令が戦場に響く時、戦艦内部で鳴り響くサイレンと今まで開かれなかった中央部分が開き、3本のカタパルトが展開され、伸びる…!!

 

カタパルトに載っていたのは、金色の鬣を持つ鋼のライオンと青の装甲機関車、そして二対の黄金の顔を持ったケルベロスだった…!3つの鋼鉄の機械達はカタパルトから射出されて、空を舞う!!!

 

白鋼「コンバース・フォーメーション!!!」

 

彼女の叫びが響く時、3つの鋼の魂の歯車(ギア)が回り出す!装甲機関車は半分より後方部が展開、180度回転して脚部と腰部を形成。前方は真中から半分に開き、腹部と肩となる!

 

ケルベロスは身体を二分し、装甲機関車が作った肩にそれぞれ合体!蒸気を放出、開いた口から拳を繰り出す!

 

ライオンは装甲機関車が開いた、胸部となる場所に滑り込む形で前後の脚を収納。背中に収納されていた頭部が現れると、鬣が其れを被る形で合体し、ライオンの頭部は収納。背中からは青いマントが展開する!!

 

青い機械の瞳が輝く時、全身から金の光を放ち、バトルフィールドに降り立つ、強大にして気高い姿!これこそが、白鋼 龍虎のキースピリット、黄金騎神フィン・マックランなのだ!!!

 

青娥「こ、これが…白鋼 龍虎のキースピリットなの…!?」

 

白鋼「そう…。その通り!」

 

マックラン(鋼の身体に魂込めて!照らせ神の黄金光(おうごんこう)!紡ぐ心が我等の絆!

 

黄金騎神フィン・マックラン!世界に呼ばれて、只今推参!!!)

 

決めポーズがシンクロし、彼女達の後ろで大爆発が発生。最早ノリがスーパー戦隊か、ロボットアニメのそれである。

 

青娥「何…これ?」

 

一部を除き、全員が唖然となったバトルフィールドに、小さく風が吹き抜けた。

 

白鋼「我が軍はこれにて行動終了とする。さぁ…知恵を絞り、この布陣…崩してみせよ」

 

白鋼 ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ5 バースト有

 

コナン・バウル レベル1(1)5000

 

ディルム・ダイナ レベル2(2)6000

 

フィン・マックラン レベル1(1)6000

 

青娥「スタートステップ。コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札0→1)、リフレッシュステップ(リザーブ2→9・トラッシュ7→0)、メインステップ。

 

(今ドローしたのは、魔法剣士ドラゴナーガ…1枚引いて次の1手を…!)…魔法剣士ドラゴナーガを召喚(手札1→0・リザーブ9→6・トラッシュ0→2)!」

 

アメジストの結晶を砕き現れたのは、赤い鮮血に染められた剣を持つ、灰色の肌をした赤目の蛇人だった。

 

青娥「(召喚時効果発揮)!私はデッキから1枚ドローよ(手札0→1)!ここからよ、まだ戦える!」

 

手札が1枚ある限り、スピリットが1体いる限り、バトラーは諦めない。最後の最後まで。

 

だが…青娥の希望を、白鋼 龍虎は真っ向から、完全に叩き潰した…!!!

 

白鋼「…バースト発動。マジック、甲竜封絶波。相手スピリット1体を相手デッキの1番下に送る。私が選択するのは…

 

お前だ、クイン・メドゥーク」

 

コナン・バウルを召喚した時から伏せられ続けていた、彼女のバーストが開かれる…!

バーストカードは甲竜封絶波。効果は相手のスピリット/ブレイブの召喚時効果発揮後、相手スピリット1体の相手デッキの1番下に送るという、シンプルで凶悪なものである。

単純にデッキの1番上に送られた場合、次のターンのドローステップで手札に加えられる。だがデッキの1番下に送られる場合、回収する手段は余りにも限られた方法しかなく、言い方を変えれば退場宣告と同意義。

 

クイン・メドゥークは自身の周りに発生した甲竜絶波の吹雪に抗おうと藻掻き、足掻いたが、身体は徐々に凍らされ、果てに氷山の中に閉じ込められたような姿にされて、氷が砕け散り、消え失せる…!

次の瞬間…青娥の心が。ポッキリと折れたような音がした。

 

白鋼「まだ、お前のターンだ。次はどう出る?」

 

青娥「ターン、エン…ド」

 

青娥 ライフ2 手札1 リザーブ7(SC) トラッシュ2

 

ルーン・パイソン レベル1(1)1000

 

魔法剣士ドラゴナーガ レベル1(1)2000

 

白鋼「そうか…では、終わらせよう。

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

フィン・マックランをレベル3にアップ。アタックステップ、黄金機神フィン・マックランでアタック!アタック時効果で、マックランは白のシンボルが2つで固定される!」

 

マックラン(了解(ラジャー)!ゴルライオ・ガンソード!!!)

 

マックランの右手に光が収束され、現れたのは緑色の刀身で出来たエネルギーブレードと、白鋼の片手銃が合体した武器だった。其れを握り締め、フィン・マックランは青娥に迫る!

 

青娥「ルーン・パイソンでブロック!」

 

白鋼「ならばフラッシュタイミング。マジック、ドリームリボン(リバイバル)を使用。効果でドラゴナーガを相手の手札に返し、フィン・マックランのレベル3効果で、相手のスピリットが手札に戻った事で回復!」

 

マックランが持つゴルライオ・ガンソードのエネルギーブレードと、ルーン・パイソンが放った魔術が激突し火花の散らす中、白鋼 龍虎が放ったマジックから伸びる白い幻影のリボンが、ドラゴナーガを縛り挙げると、カードに封じ込め、青娥の手札に送り返す!

 

魔術の幕を切り開き、ルーン・パイソンを切り伏せ破壊したマックランが、自身の効果により再起動し、銃口を青娥に向ける!

 

白鋼「これで…!」

 

マックラン(終わりだ…!!!)

 

放たれた白銀のビームが、青娥を守る残り2つのライフを一撃で破壊し、彼女をバトルフィールドの外へと吹き飛ばした…!!

 

白鋼「完全無欠、絶対勝利。鋼の騎士達の勇姿を刻め!」

 

* * *

 

青娥「ぐ…うう」

 

バトルフィールドが消滅し、倒れた青娥は全身が傷付き、立ち上がる事さえままならぬ程、疲弊していた。

 

霊夢「アンタの負けよ、おとなしく御縄に付きなさい…青娥」

 

青娥「捕まって…たまるか!」

 

刹那、彼女の身体が地面の中に吸い込まれて行くではないか!霊夢が飛び付こうしたが一歩遅く、逃げられてしまう。

 

霊夢「ちぃ…逃げられた!」

 

地団駄を踏む霊夢。一方龍虎は、白鋼の状態のまま工具箱を持つと、腰が抜けて動けないであろう住民の1人に歩み寄り…

 

「君はどんなカードが必要なのかい?」

 

と、穏やかで静かに問い掛けたのだ。

 

其の住民は始めこそ怯えていたが、やがて「赤のカードが欲しい」と彼女に言い、龍虎は工具箱から住民が欲したカードを無償で分け与えたのである。

 

それを皮切りに住民達は武器を捨て、彼女の前に並び、カードを受け取り、皆帰って行く。

行列の全てにカードを配り終えた頃、工具箱のカードは大分減って、夜が明けていた…。

 

龍虎「………」

 

彼女は元に戻った虹色の髪を撫で、目を綴じる。

 

大会予選開幕まで、あと2日。




第15話、完了です!

マグナ「にしても、白鋼の時のあいつぁ随分な変わり様だぜ。しかも徹底的に叩き潰す、えげつなさ…見ててスカッとしたぜ!」

白鋼状態の龍虎は、悪い事をしたら必ず因果応報するって感じですから、気を付けて下さいな。

さて、オリカ紹介…といきたいのですが、作者が次回にやると言っていたので、今回は次回予告のみとなります。

~次回予告~

遂に始まった、バトルスピリッツミラージュサバイバルシップス!半年を掛けて行われる予選・サバイバルガンスリンガー!
主人公,sはツーマンセルを組み、それぞれ最強の相手を探しに赴いた!

紅魔館に向かう龍虎とバシンはその途中、チルノと再会。しかし彼女は蒼き獣神に乗っ取られていて…!彼女を救うべく、龍虎は(青の人格)を覚醒させ立ち向かう!!!

次回、東方激闘魂。第16話。

蒼き獣神の暴走!止めろ、オレは蒼天 龍虎(そうてん りゅうこ)!

お楽しみに!


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東方激闘魂 第16話 蒼き獣神の暴走!止めろ、オレは蒼天 龍虎(そうてん りゅうこ)

第16話ですだ!

駿太「仕事で忙しかったみたいだけど、大丈夫か?」

まぁ、何とかね?大変だったが、ある程度は落ち着きました故。

※今回もルールやコア数、手札枚数ミス、誤字や脱字を含んでいるかもしれません。

もし見つけた場合には、御指摘御願い致します。


青娥による暴動から2日が経った頃の深夜。此処は博麗神社…

 

駿太「…zzz」

 

ヨク「すぅ…すぅ…」

 

ツルギ「かー…かー…」

 

ハジメ「くかぁ…」

 

バシン「がぁ~…ごぉ~…」

 

畳部屋に敷かれた布団の中で、年少組が寝息を立てて眠る最中、居間では霊夢達が何やら御話中の様子で…

 

龍虎「私達を5つのチームに分ける?」

 

霊夢「そうよ。あと一時間で、BSMJSのサバイバルガンスリンガーが開幕する。弾達なら心配は要らないとは思うけれど、やっぱりこの前の事もあるから…ね」

 

弾「…俺も霊夢の意見に賛成だ。数は少なくとも、数人で行動した方が何か有った時に対応しやすい。多人数に切り分ける事で範囲を広げ、それぞれのカードを取り戻す事も大分楽になる」

 

霊夢は此方の事態を組んだ上で提案してくれた為、龍虎もこれを承認し、彼女は事前に見た主人公's組の性格やバトルスタイル等から、次の5チームに分ける事となった。

 

* * *

 

バシン&龍虎

 

ツルギ&レイ

 

駿太&ハジメ

 

幸村&霊夢

 

ヨク&弾

 

* * *

 

幸村「なぁ、何で俺と霊夢が組むんだ?」

 

霊夢「此方のバトルスタイルが貴方としか噛み合わないからよ。何?文句ある?」

 

幸村「いや…無いけど」

 

霊夢「よし、決まりね♪明日の朝から各自出発するわよ~!気合入れて勝ちましょう!」

 

まるで入学式前日の子供の様なドッキドキのワックワクな表情の霊夢に、やれやれといったポーズを取るマグナ。いよいよ始まるのだ…!

半年を費やし、本選出場を懸けた、サバイバルガンスリンガーが…!

 

* * *

 

深夜、幻想郷上空…

 

藍「紫様、1分前になりました。…御願い致します」

 

紫「よくってよ…」

 

普段のだらけきった姿は何処にもない、背筋を伸ばし、シャキッとした表情と身構えで彼女は隙間の境目に座り、天を見上げる。

 

紫「(もうすぐ満月…か。絶好とは言い難いけれど、十分な開始宣言が出来そう…)

 

…起きている方も、寝ている方も。人間、妖怪の皆々様。私八雲 紫は今この時、この瞬間を以て、第1回バトルスピリッツミラージュシップスの開催を此処に宣言致します。

 

半年間の長い戦いの果てに64人の枠に果たして誰が着く事になるか…期待しております」

 

* * *

 

龍虎「…むにゃ…朝、かな…?」

 

足裏に少しばかり走るのむず痒さで、龍虎は目を覚ました。肩から少しずれた寝間着を元に戻し、大きな欠伸と背筋と背骨が伸ばす。外は少し明るく、どうやら夜明けが近いらしい。

 

マグナ「よぉ、相棒。昨日は眠れたか?」

 

寝間着姿の龍虎の隣、小さな薄手の掛け布団からひょっこっと顔を出し、ふとつむりしているのはマグナである。大きく空いた口はデッキケースが丸々1つ入って仕舞うかのよう。

 

龍虎「うん、おかげさまでね。…今日から始まるのね。半年間のサバイバルガンスリンガーが」

 

マグナ「おうよ。目指すのは最強、それだけさ」

 

龍虎「最強になるのも有るけど、私は(楽しんで勝つ)…それが目標」

 

マグナ「…だな」

 

1人と1匹は互いに拳を合わせ、勝利を誓い合い、握手を交わす。

目指すのは優勝、そして誰よりもバトスピを楽しむ事だ。

 

* * *

 

日が昇り、朝がやって来る。この日、主人公'sは1番に龍虎が、2番目からレイ→ヨク→弾→幸村→ツルギ→駿太→ハジメ→バシンの順に起きて、各自霊夢が作った朝食で腹ごしらえし、着替えと持ち物をチェック。

 

霊夢「さて…と。博麗神社を離れたら、これからは敵同士。全員本選出場してきなさいね!」

 

駿太「ヨクはゲイル・フェニックスを取り戻した。俺もエクゼシードを探さなきゃな…」

 

ツルギ「ソードブレイブが見掛けたら教えてくれよ!」

 

レイ「後はザンドの仲間を探しながら、三龍神探しだ!」

 

ヨク「他の十二神皇と弾さんの十二宮Xレア探しもしないとな」

 

ハジメ「俺はバトスピを楽しんで闘うだけだ!」

 

バシン「ガンスリンガー突破で本選トォォタル!!!」

 

霊夢「じゃあ…頑張りましょ!!」

 

「おうっ!!!」と手の甲を合わせてから、皆それぞれの場所を目指し、歩き、飛び立ち、走り出す…!

 

サバイバルガンスリンガーが始まりを告げたのだ!!!!!!

 

* * *

 

同時刻、某湖の畔…

 

チルノ「ロッキー・ジョーの(獄連撃)と(獄強襲)発揮!相手のデッキを合計38枚破壊でトドメだ!!」

 

妖精「きゃああああ!!!」

 

チルノ「しゃあ!これで9勝目!」

 

赤々と際立つ大きな屋敷の目の前にある湖。その近くでは氷の妖精たるチルノが、同族の妖精達とバトスピをしていた。無論、彼女はサバイバルガンスリンガーに挑戦中であり、次で10勝が懸かった試合である。

 

大妖精「チルノちゃん、少し休んだら?」

 

チルノ「大ちゃん、あたいはまだまだやれるよ!それに…10勝目は(アイツ)から勝ち取らなきゃ、意味が無いんだ」

 

チルノが言う(アイツ)とは…虹色 龍虎の事である。交流戦時に彼女は自身のキースピリットで龍虎のデッキを破壊し、あと一歩という所まで追い込んだ。

だがしかし、龍虎は自分の全力を耐えて、凌ぎきり、逆転勝利。その時に宣言した。

 

「次は自分が勝つから」…と。

 

チルノ「あの時から、あたいは強くなった。勝つ為の修行もやった。後は其れをぶつけるだけだよ」

 

???「ほぉ…勝ちたいヤツが居るのか。小娘」

 

チルノ「そうそう。あたいはそいつに勝って、自分の力を証明…って誰だ、…よ!?」

 

振り返った瞬間、彼女の顔が恐怖と絶望でみるみる青ざめ、凍り付いてゆく…。

 

金色の左右非対称の巨大で強靭無類の牙、纏う青の鎧、頭部に乗せ固定している(亥)の刻印が刻まれし宝玉。

蒼き巨体、血走った瞳、そして荒々しい鼻息。

 

彼女がこれまで観たことのない、対面時点で格の差がハッキリと思い知らされたのも、今回が初めてだった。

 

???「貴様の身体…少々借りるぞ」

 

* * *

 

龍虎&バシンside…

 

龍虎「さてと…私達はこれから(紅魔館(こうまかん))と呼ばれる場所に向かおうと思います」

 

マグナ「紅魔館ってあの時間停止女とカンフー女の居る場所か、何で向かうん?」

 

龍虎「博麗神社から一番近い、緊急時に引き返し易くて、何より宿泊能力は幻想郷一番だって霊夢さんが言ってたわ」

 

バシン「成程な~。確かに休める場所は必須だよな」

 

アイボウ「とか言って、本当は野宿すんのが怖いだけじゃねーのか?」

 

2人と2匹が紅魔館を目指して歩みを進めていた所…

 

ガササ…!と、茂みが不意に揺れた。

 

バシン「な、なんだ…!?」

 

アイボウ「生き物…いや、まさか妖怪!?」

 

龍虎「ど、どどど、どうしよう!?」

 

「焦るな、騒ぐな、そして落ち着け」とマグナが2人と1匹を宥め、落ち着かせ、静める。そして…

 

マグナ「ふんす!」

 

何と事も有ろうか、茂みに火炎弾をぶち当てようという前代未聞の予想だにしない、行動を取ろうとしているのだ!

 

龍虎「ちょ!?マグナ、ストップ!」

 

マグナ「驚かすつもりなら、逆に驚かせるだけじゃあ!!」

 

バシン「おいおいおいおい!?これヤベーだろ!?火事になるって!?」

 

ギャーギャー騒ぎ立て、火炎弾が膨張し続ける。まるでクイズ番組の頭上風船の如し。このままでは数分しない内に、爆裂し辺り一面が火の海と化す!!!

 

???「うう…っ!!」

 

そんな状況の中、茂みから姿を現したのは、緑のロングヘアで水色のワンピースの少女。幸村達が出会ったと話していた大妖精だ。しかしその姿は全身に打撲傷を負い、内出血で身体が青くなっていたのだ…!

 

アイボウ「おい!?しっかりしろ!?」

 

姿を見た彼女達。マグナは直ぐ様、火炎弾を納めて、龍虎が少女を起こす。

 

龍虎「貴女、大丈夫!?意識はある!?」

 

大ちゃん「う、う…誰か…チルノちゃ、…んを…助け…て、…ください…!お、ね…」

 

がくり…と、彼女の胸の中で静かに力尽きて目を閉じた大妖精。その瞼から零れ落ちる一筋の涙。

その涙が、龍虎の中に眠っていた何かを。静かに、確実に目覚めさせた…!!!

 

同時に鳴り響くのは、幾多の木がへし折れる撃音!!!尋常ならざる事態に混乱する一行。1人と1匹を除いては…!

 

龍虎「マグナ、行こう」

 

マグナ「だな…相棒。ちょいとばかし懲らしめてやるか!」

 

互いにやりたい事が分かっているからこそ、2人は動く事が出来た。その後ろを、大ちゃんをおぶりながらバシンが追う…!

 

* * *

 

森を中を駆けて、やがて開けた大きな湖の畔に辿り着く。だが、その湖は酷い惨状を晒していた。

 

水面には折れた木々の葉と枝が浮かび、根っこを掘り返され露にされた土達。そして何よりも、彼方此方に倒れた妖精達の傷だらけで痛々しい姿。

目を反らすには十分過ぎた。

 

バシン「ひでぇ…!」

 

マグナ「こんだけぶっ壊して、今尚動いてる辺り猪だなまるで」

 

アイボウ「猪?」

 

マグナ「ああ、猪だ。しかも俺はそいつの名前も知ってる…。なぁ…(カラミティ・ボア)。テメェの仕業だろ」

 

???「オレの名前を知ってるたぁ…何処のどいつだ?」

 

湖の中央からドスの効いた一声響き、皆が注目すると其処にはチルノが仁王立ちで浮いていた。しかし其の眼は真っ赤に純血し、呼吸は荒々しく、表情は硬い。

 

龍虎「お前か…大ちゃん達を見境なく傷付けた奴は」

 

ボア「…いかにも。オレの名は、カラミティ・ボア!グラン・ロロの守護者にして十二神皇の一角、亥の称号を持つ者也!!!」

 

放たれる覇気はバトラーの直感を揺さぶる。酉の十二神皇(ゲイル・フェニックス)と同じ称号を持つスピリット。既に臨戦体勢を取っている以上、此方との話し合いが通じる相手ではない。

 

ボア「オレは障害物が嫌いでな。だから薙ぎ倒した。理由はそれだけで十分だ」

 

ブチンと何かが切れる音。バシン達の怒りが、カラミティ・ボアの発言で頂点に達しかけた時、龍虎だけは深呼吸をして(青のデッキケース)に手を置いた…。

 

バシン「許さねぇ…!俺が」

 

???「待て」

 

低く、静かで落ち着きのある声にバシンが振り向くと、其処には龍虎が居た。ただ違うのは…(髪が青空のように透き通る水色で、目が満月のように淡い黄色)である事か。

 

蒼天「如何にも猪らしい、頭の硬い考え方だな」

 

ボア「…あ"?」

 

彼女の一言は、カラミティ・ボアの額に無数の青筋が浮かび上がらせる。チルノの鼻で息を荒げ、チルノの足で水を引き上げると、龍虎を威嚇した。

 

ボア「口に気を付けろよ、女。オレは(猪)呼ばわりされるのが大っ嫌いなんだ。それも、女に言われると無性にぶっ殺したくなる。死にたくなきゃ今すぐ土下座しな」

 

マグナ「で?誰がお前を恐れると?寝言は寝ていえや、猪坊主」

 

臨戦体勢のボアという炎に、貶しの油を投下したマグナ。遂に亥の堪忍袋の尾を切断した瞬間だった。

 

ボア「ぶっ殺してやるぅわあ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!」

 

巨大スピーカーのような大音量の憤怒纏う咆哮が、湖の水を吹き飛ばし、魔法の森の残された木々を薙ぎ倒す。

バシン達がマグナの創った結界と言う名の安全地帯に移動する中、彼女は青のデッキケースをカラミティ・ボアの前に突き付け言った。

 

蒼天「お前は危険な存在だ。放ったままのさばらせておけば、幻想郷の自然が潰され尽くす。バトスピで貴様を黙らせる。オレが勝ったのなら、憑依しているチルノからすぐに離れ、私のデッキに入ると約束しろ」

 

ボア「フン!良いだろう、だがオレが勝ったのなら貴様は真っ先に死ぬ事になる!!!」

 

蒼天「マグナ!!!」

 

マグナ「任せな!バトルスフィアフィールド、展開!!!」

 

合掌し手の内に産み出した光球を空へと打ち上げるマグナ。高く昇り、ある高さまで到達すると、球が形状変化を起こしながら、龍虎とチルノに憑依したボアを半ドーム状の結界内部に閉じ込める…!

 

両者「「ゲートオープン、界放!!!」」

 

チルノの体に纏うバトルアーマーは彼女が普段使っている物とは大きく異なり、肩パッドには角が生えた蛮属の着る蒼の鎧。口をマスクで覆い、全身から放熱し蒸気に包まれたのを振り払って、姿を見せる。

 

一方の龍虎は着ていた衣服が光の粒子に変わると、右掌に収束しつつ胸にぶつける。水の持つ変化自在と、空の持つ多面性の2つの青が交じり合いながら、タンクトップとミニスパッツへ構成、装着し、手足に指出し蒼のグローブが付いた。そして5つの光が龍虎のタンクトップの真中にある5つの空間に収まり淡い光を放つ。

 

蒼天「喩え迷いの壁に阻まれようと、その先に広がる青空の如き答えを目指す。涅槃(ねはん)に至る為、俺達の道は邪魔させぬ!見せてやる、これが蒼天伝説(そうてんでんせつ)だ!」

 

ボア「邪魔する奴はぶっ飛ばす!邪魔する物はぶっ壊す!纏めて全て破壊するだけ!亥皇爆走(ししおうばくそう)!」

 

互いにデッキ名をコール、その余波がバトルスフィアフィールド全体を揺らし、衝撃が結界内のバシンとアイボウの肌を逆立たせる。

 

このバトル、どちらが勝っても只では済まない…!

 

蒼天「先行は俺が貰う。スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ソウルコアを乗せて、緑鳥童子(りょくちょうどうじ)を。さらに小波童子(さざなみどうじ)よ、前へ(手札5→4→3・リザーブ4→3→2)!」

 

サファイアの結晶を砕き、現れるのは、緑の鳥の仮面を着けた白布を纏う、青い肌の小さな少年。そして黄色のヒラヒラと金色の両短刃刀を手に持ち、琉球衣装に似た装飾を付けた青年。

 

小波「蒼天殿、おはようございます」

 

緑鳥「おはようございます!」

 

蒼天「おはよう。今日の相手は巨大猪だ、一筋縄ではいかない。注意しろ」

 

二人「はっ!」

 

合掌と御辞儀をし、童子達はボアの方へと向き直る。表情こそ見えないが、どちらも覚悟完了している…訳では無いようだ。

 

緑鳥「あ、あのぅ…帰って良いですか?」

 

小波「馬鹿を言うな!いつまでも頼ってばかりでは、明王の座には着けぬぞ!」

 

緑鳥「だって怖いんだもん!」

 

小波「じゃあかしい!」

 

ボアと龍虎をそっちのけに、怖いから逃げ出したい緑鳥と、それを阻止する小波の漫才が始まった。その様子に唖然とするバシンとアイボウ、呆れる龍虎。

 

ボア「チビ共ぉ!てめぇら、いい加減にしやがれ!此処は戦場!無駄口叩くな!ピーピー騒ぐんじゃねぇ!うるせえんだ!!!」

 

名状しがたい空気に、青筋がさらに浮かび上がったボアの激が飛んで、空気が静まりかえる。

 

蒼天「二人共、気は済んだか?」

 

二人「はい…見苦しい姿を」

 

蒼天「許そう。…最後にバーストセットし(手札3→2)、俺はターンを終了する」

 

蒼天 ライフ5 手札2 リザーブ2 トラッシュ0 バースト有

 

緑鳥童子 レベル1(SC)1000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

ボア「スタートステップ!コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ…ふん(手札4→5)!」

 

ボアのドローは、なんと自身の鼻息でカードを飛ばして手にしたのである。

 

バシン「あんなんありか!?」

 

アイボウ「ぎょぇ…」

 

蒼天「成程…猪だな」

 

ボア「猪じゃねぇ…、オレはカラミティ・ボアだ!メインステップ!

 

こい、ウリマジロ!戦闘獣バビルーザ(手札5→4→3・リザーブ5→4→3)!」

 

サファイアの結晶を砕き、まんまるで可愛い尻尾の生えた豚らしき生物と、全身を白の牙のようなトゲで纏う、猪が現れる。

 

ボア「さらに、アクセル発揮!オレは手札の癸亥坊(きがいぼう)カラミティ・ウリを使う(手札3→2・リザーブ3→1・トラッシュ0→2)!こいつはデッキの上から3枚確認して、そん中の系統:(神皇)/(十冠)を持つスピリットカードと異魔神ブレイブを1枚ずつ手札に出来る優れもん…よ!」

 

またしても鼻息でデッキトップ3枚を吹き飛ばし、その内容を確認するボア。3枚のカードは左から、癸の爆獣グリズクラッシュ、巨顔石の森、戦闘獣ライノ・セーラスであった。

 

ボア「グリズクラッシュを手札に、残りは破棄。ターンエンドだ」

 

ボア ライフ5 手札3 リザーブ1 トラッシュ2

 

ウリマジロ レベル1(SC)2000

 

戦闘獣バビルーザ レベル1(1)1000

 

(手元:癸亥坊カラミティ・ウリ)

 

* * *

 

???「合体(ブレイブ)スピリットでアタック」

 

男「うわあああああ!」

 

幻想郷とは違う世界の、とある場所で天に現れた純白の球体から、1人の男が吹き飛ばされ、地面を転がる。

収縮し、消えて行く球体から、不思議な形をした透明な乗り物がその頭上を越えて行った。

 

???「…………渇く」

 

彼は渇いていた。いや…あの時からずっと、だろう。満たされてはいない…(あのバトル)から。

何度ライフを砕かれても、何度アタックしようとも、決して己の心は満たされない。虚しさが渇きをより加速させるだけに過ぎない。

 

???「…………もう一度、奴とバトルがしたい」

 

???(フフ…その願い、叶えましょう)

 

???「な…に、…!?」

 

刹那、彼の頭に響いた声。そして乗り物ごと、彼の身体と意識は暗闇に溶け落ちた。

コントロールを失い、墜落する機体。その落下先に広がる、大きな穴に吸い込まれ、彼は(この世界から)忽然と姿を消した…。

 

* * *

 

蒼天 龍虎とカラミティ・ボアに憑依されたチルノの青デッキ同士のバトルは、お互いが堅実に、かつ牽制し合う戦いとなった。

 

第3ターン…龍虎は一連のステップを経由し、メインステップで青のマジック・マントラドローを2枚を使用。手札を合計で3枚増やしながら、トラッシュにマントラドローの効果で、阿弥陀如来像と光灯る三叉灯台を破棄し、ターンを終える。

 

(手札:2→3→2→5→4・4→3→6→5)。

 

(リザーブ:2→3→2・2→1)

 

(トラッシュ:0→1・1→2)

 

ライフ5 手札5 リザーブ1 トラッシュ2 バースト有

 

緑鳥童子 レベル1(SC)1000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

第4ターン…ボアはメインステップ時、青のマジック・ストロングドローを使い、3枚ドローの後に手札から癸の爆獣グリズクラッシュ2枚を破棄する…と同時に、その2体がフィールドに召喚された。

 

(手札:3→4→3→6→4)

 

(リザーブ:1→2→4→3→2→1)

 

(トラッシュ:2→0→1)

 

本来ならば手札破棄等でトラッシュに送られる筈のカードだが、グリズクラッシュは手札破棄でトラッシュに送られる時のみ、ノーコストでの召喚が可能になるという、トリッキーな能力を持ったスピリットなのだ。

 

蒼天 龍虎はボアの性格からアタックをしてくると踏んでいたのだが、ボア自身はアタックする事なく、ターンを龍虎に渡す。

 

ボア ライフ5 手札4 リザーブ1 トラッシュ1 手元:カラミティ・ウリ

 

癸の爆獣グリズクラッシュ レベル1(1)7000 ×2

 

ウリマジロ レベル1(SC)2000

 

戦闘獣バビルーザ レベル1(1)1000

 

* * *

 

そして第5ターン…静寂の中、遂にバトルが動き出す。

 

蒼天「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

では、行こうか…。緑鳥童子のソウルコアをリザーブのコアと入れ換える。そして、ソウルコアをコストとして、深海の起導士(きどうし)ウナトを呼ぶ(手札6→5・リザーブ4→0・トラッシュ0→3(SC))!」

 

サファイアの結晶を砕き現れたのは、平安時代を繁栄を極めた貴族の男性が着ていたような、蒼の衣服に袖を通し、髭を生やす麒麟の顔をした人の姿。

その手には僧侶が魔を祓う際に使う、数珠の杖が握られている。

 

ウナト「今日は随分と早い呼び出しだな、龍の児よ」

 

蒼天「まぁな。ウナトは召喚時に(起導:青)の効果を持っている!よって…(Sバースト)を発動っ!それが…これだ!!!」

 

ウナトが杖をバトルフィールドの大地に刺し、両手で印を結び、難しい言葉を詠唱。

「破っ!!」と右手を叩き着けた時、がんじがらめにされていた鎖が弾け飛び、バーストの封印が解かれた!

 

直後、何処から溢れた水…否海水が湯水の如く沸き出しながら、大波となり、戦闘獣バビルーザを飲み込み、破壊する!

それだけではない、ウナトの上空から2つのコアが飛来し、彼の体に吸い込まれたではないか!

 

ボア「何しやがった、てめぇ!」

 

蒼天「オレが発動したのは、芙蓉(ふよう)の五重塔。Sバーストを内蔵したネクサスの1枚、そのバースト効果で、お前のコスト4以下のスピリット1体を破壊し、その時に、このネクサスが(起導)によって発動していれば、ボイドからコア2つを自分のスピリット1体に追加出来る。

 

其れ故にバビルーザは破壊され、ウナトにはコアが2つ乗ったのだ。そしてウナトは(起導)を発動させた時、1枚ドロー出来る(手札5→6)」

 

海水が盛り上がり、やがて姿現すそれは仏教の繁栄たる都市・奈良の五重塔と酷似した、蒼の美しい塔であった。悩みなど些細な事だと思わせてしまうほどに。

 

蒼天「ウナトのコア1つを小波童子に移動し、レベル2に。そしてアタックステップ。ウナトで攻撃する!」

 

「任せておけ」と小さく頷き、持つ杖をシャランと鳴らし、地面を衝く。すると彼女の手札の中に有った、1枚のカードがバーストゾーンにセットされた(手札6→5)。

 

ボア「その獣野郎の効果か…!」

 

ウナト「如何にも。儂がバトルする時、龍の児の手札からバーストカード1枚をバーストゾーンにセット出来る。儂の一撃はどう受けるかい!?」

 

ボア「ライフで受けてやらぁ(ライフ5→4・リザーブ2→3)!!!」

 

ウナトが振るう杖、その鋒に煌めく金の刺は三つの閃を刻みて、ボアの守るライフを穿ち貫いた!

 

ボア「ちぃい…!」

 

蒼天「緑鳥童子、小波童子!ウナトに続け!」

 

「承りました!」と二人の声が響き、低く体勢を下げながら童子達は走り出した!

 

ボア「ライフにこいやぁ(ライフ4→3→2・リザーブ3→4→5)!」

 

ボアの周り二重に展開される青のバリア、其処に童子達の八卦が炸裂。亀裂を生み出し、破壊された破片が、チルノの体を衣服を掠め、切り裂く…!

 

緑鳥「どんなもんだい!」

 

小波「調子に乗るんじゃない」

 

蒼天「ターン終了だ」

 

蒼天 ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ3(SC) バースト有

 

深海の起導士ウナト レベル2(2)5000 疲労

 

緑鳥童子 レベル1(1)1000 疲労

 

小波童子 レベル2(2)4000 疲労

 

バシン「よし!龍虎が押してる!」

 

アイボウ「このまま押しきれー!!!」

 

ボア『じゃあかしいわぁ!!!』

 

バシン達の龍虎を応援に、ただでさえ沸点が低いボアの怒りをより高める結果となる。鼓膜が破れる程の大声に、耳を塞ぐバシンだが、対面する彼女は動じる事無く、静かに仁王立ちをしていた。

 

蒼天「…ボアよ。一つ聞きたいのだが」

 

ボア「ああ"?」

 

彼女を睨む視線は冷たく、鋭いものであった。しかし龍虎は退く事はせず、怒りに震える獣に問う。

 

蒼天「何故チルノに憑依した?お前程の力を持つ存在ならば、実体化すら容易だろう」

 

その問いに、ボアは我々の耳を疑わせる驚くべき言葉を口にした。

 

ボア「何故ってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コ イ ツ が 扱 い や す い 馬 鹿 だ

か ら に 決 ま っ て る だ ろ ?

 

 

 

 

その瞬間、この場に居た者達の怒りが爆発した。バシンとアイボウ、そしてマグナさえも。今まで覚えた事がない、本当の意味の怒りを感じたのだ。

 

ボア「コイツは強くなりたいと、俺に頼んできた。其所の青髪の女と戦い、勝ちたいと。故に力が欲しいとな。だからオレはコイツを乗っ取り、心の底に封じ込め続けていた、闘争本能を引き出しただけに過ぎない。

 

だが此の結果はどうだ?自制心を失い、大切な仲間を傷付け、コイツが意識を取り戻せば、待っているのは…『絶望』だけ。

 

居場所を失い、友を失い、軈ては…」

 

蒼天「それがどうした」

 

一言、龍虎の声がボアの言葉を断ち切る。驚く事に彼女の顔や雰囲気からは一切の『怒り』が感じ取れない。

 

蒼天「どうであるにせよ、今回のチルノは利用され、力の使い方を過った。それはまごうことなき事実であり、自業自得に過ぎん。

 

正気に戻って泣き叫ぼうが、オレの知った事ではない」

 

バシン「おい、龍虎!お前」

 

蒼天「だがな」

 

刹那、バトルスフィアフィールドがけたたましく揺れ始め、スピリット達の足元に海水が沸き始めた。同時にそれまでは雲一つない晴天の空には、雲が幾重にも重なり、積み上がり、やがて稲妻が迸り大雨を降らし始めたのである…!!!

 

蒼天「彼女はオレが幻想郷(このせかい)に辿り着いて、初めてバトルをした戦友(カードバトラー)だ。彼女のバトルはまっすぐで、曲がる事の無い信念を持っている。

 

扱いやすい馬鹿だと?お前にこの娘のバトルの何が分かる?

 

自らの信念を貫き通し、最後の一瞬さえも諦めなかった彼女を、馬鹿と決め付けた貴様を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オ レ は 絶 対 に 許 さ な い

 

マグナ「…!」

 

マグナの全身に鳥肌が立つ…。バトルスフィアフィールドには、スピリット/アルティメット達に意思を宿す以外にも、バトラーの心情によって空気や天候がフィードバックする力が宿っている。

 

白鋼の時に吹いた猛吹雪は、幻想郷の人々を唆した青我に対する『断罪』を。

紅蓮の時の大爆発は、自分を再び立ち上がらせ、バトスピに向き合う気持ちを思い出させてくれた、幸村に対する心からの『喜び』を。

 

そして蒼天の時に起きた嵐は、チルノを馬鹿にしたボアに対する、顔には顕せない無尽蔵からなる『怒り』が反映されていたのである。

 

蒼天「覚悟しろ、カラミティ・ボア。お前のライフ、後一時の内に全て打ち砕く…!」

 

ボア「やれるもんならぁ…!!!やってみやがれぇえ!!!!!!

 

スタートステップ!コアステップ(リザーブ5→6)、ドローステップ…きやがったぜ(手札4→5)!

 

リフレッシュステップ(リザーブ6→7・トラッシュ1→0)、メインステップ!!!

 

さぁ…ぶっ殺される覚悟は出来たか、女ぁ!!!」

 

ボアの鬪気が増幅する。放たれ、満ちる強大な気が、バトルスフィアフィールドを支配する。荒れ狂う嵐と、蹂躙する威圧が激突し、火花を散らし合う…!

 

そしてボアは、先のドローステップの際に手にしたカードを高く掲げ、チルノの体から蒼のオーラを濁流の如く放出させ、叫ぶ…!!

 

バシン「何かくる…!?」

 

マグナ「オメェら、気ぃ引き締めろ!でけぇのがくるぞ!!」

 

ボア「きやがれ!!全てを蹴散らす、蒼の砲弾!!!全てを壊して、更地に還ろ!!!

 

召喚!亥(いのしし)の十二神皇(じゅうにしんおう)カラミティ・ボア!!!レベル2でぇ!突・貫(手札→・リザーブ7→0・トラッシュ0→3)!!!」

 

チルノの手から離れ、フィールドの最果てまで飛んで行った瞬間、(亥)の紋章が浮かび、青い光が地平線を染め、同時に鳴り出す、五月蝿い程けたたましい地響き。その正体は軈て、フィールド内のバトラー達の視界にハッキリと映る。

 

蒼のオーラを纏い、巨体にも関わらずソニックムーブを起こせるだけの速さで此方に接近してくる、1匹の獣の姿を。

 

金色の鎧と刺を纏い、雄々しき2本の牙が風を穿つ。深紅に純血した眼が、蒼天を捉えた時、獣は前脚の蹄を地面に食い込ませ急ブレーキを掛けつつ、チルノの真横で止まった。

 

そして鼻から大きく息を吸い込むと、かつて黒船が放った空砲のような、全ての弱き命を千切り取る程の大きな咆哮を放ったのだ!!!

 

ボア『バォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』

 

アイボウ「ぎょええええ!!!!」

 

バシン「うわああああああああああああああ!?」

 

マグナ「くそが!一切自重しやがらねぇ、この猪坊主は!!!」

 

ボア「ウリマジロのソウルコアをカラミティ・ボアに乗せ換え、消滅!さぁアタックステップだ!

 

オレ自身のアタック…受けてみやがれ!!!」

 

吼え猛り、カラミティ・ボアがバトルスフィアフィールドを爆進する。そして、ボアは自身の持つ力を解放した!!!

 

ボア「オレ自身のアタック時効果!(封印)!

 

それによりオレのソウルコアを、オレのライフに加える(ライフ2→3)!!!」

 

赤い粒子に変換され、ソウルコアの輝きがボアの憑依するチルノのバトルアーマーの真ん中へと収まり、淡い虹色の神秘の光を放つ!

 

ボア「封印を行った事で、オレのアタック時効果が解禁!その名は(突進)!

 

この効果でオレは、相手の最もコストの低いスピリットへ指定アタックが出来る!」

 

バシン「…あれ?ショボくないか?」

 

マグナ「いや…よく見とけ、奴は仮にも十二神皇の座を得ている。奴の突進が、(1体)のスピリット如きで止まる事はあり得ない」

 

アイボウ「どゆこった?」

 

ボア「まずは小波童子からだぁ!」

 

小波「ぬ!!!」

 

ボアの走る速度がさらに早くなり、蒼のオーラがソニックムーブとなりて、彼を包む!小波童子は両手の双刃刀を構えたが、ボアの突進を前には紙屑同然のように吹き飛ばされ、爆散した!

 

同時に龍虎のデッキトップから、ボアが起こした衝撃波を受けて、8枚のカードが吹き飛ばされる(リザーブ0→2)!

 

蒼天「何…」

 

ボア「オレのレベル2のアタック時効果!オレのアタックをブロックしたスピリットが、破壊もしくは消滅したならば相手のデッキから8枚カードを破壊する!

 

そしてぇ!オレの突進は相手にスピリットがいる限り、何度でも続く!!!緑鳥童子を指定アタックだ!!!」

 

蒼のオーラ纏うボアの突撃は止まらない…!速度はさらに増し、大きくUターンしつつ、緑鳥童子を狙い撃つ!

 

ボア「オオオオオオオオオオオ!!!」

 

緑鳥「うわああああ!!!」

 

抵抗する暇さえ与えられず、緑鳥童子もまたボアに牽き殺され、蒼天のデッキからカードが8枚トラッシュへ落ちて行く…(リザーブ2→3)!!

 

ボア「最後ぉ!この海産物ジジィがぁ!!!」

 

ウナト「ジジィとは何だ!ジジィとアベシ!!!」

 

角に弾かれ、天を舞い、地面に叩き付けられたウナトが爆散する。それは同時に、蒼天のデッキがまた8枚カードを失う合図でもあった…(リザーブ3→5)。

 

ボアが吼える。龍虎のスピリットは全滅し、デッキはこのターンで24枚も消えた。形勢はたった一発のアタックで逆転したのである…!

 

バシン「うそだろ…」

 

ボア「はっはぁ!!これがオレの力!オレ自身のまごうことなき力ぁ!

 

グリズクラッシュ、やれぇ!」

 

スピリットを全滅させ、勢いそのままにグリズクラッシュで追撃するボア。防げるスピリットの居ない龍虎は、無言で左手を翳し腰を少しだけ落とす。

蒼熊の爪が彼女を守るべく展開されたバリアを切り裂き、破壊する。衝撃と破片が龍虎を襲うが、静かに、落ち着いた表情で其れを耐え凌いだ…(ライフ5→4・リザーブ5→6)!

 

ボア「まだだぁ!もう1体のグリズクラッシュでアタック!同時にフラッシュ、白のマジック、リブートコード!コストはオレ自身のコア3つを使う(トラッシュ3→6)!

 

効果でオレのスピリット全てを回復!そら食らえやぁ!!!」

 

再び襲う痛みに龍虎は耐えた(ライフ4→3・リザーブ6→7)。身体を破片が切り裂き血が流れても、衝撃が胸を押し潰そうとも、彼女は耐える…!!!

たった一度の勝機を掴む為…!!!

 

そして、時は遂に満ちた…!!!!2体目のグリズクラッシュが彼女のライフを破壊した事で、バーストゾーンにセットされたカードを封じ込めていた鎖が音と共に弾け飛ぶ!

 

ボア「ん?!」

 

蒼天「オレのライフが減少した事で、オレのバーストカードの発動条件は整った!カードの名は鉄拳明王(てっけんみょうおう)!!!

 

ライフ減少を引き金として発動時、自分の手札とトラッシュにあるネクサスカードを3枚まで、コストを支払わずに配置する事が出来る!」

 

龍虎のトラッシュへ沈んだカード達が、静かに浮遊し、彼女の前で止まった。その中から彼女は阿弥陀如来像、光灯る三叉灯台、鉄壁なる巨人城塞の3枚を選択、フィールドに置いた。

 

同時に彼女の後ろには神々しき光を放ち鎮座する青銅の巨大な大仏像、吹き荒ぶる豪雨に迷う船人を救う三叉の窓から海と空を照らす高き灯台、一切の外敵を拒み退ける偉大さを誇る巨大な城壁が展開されたのである。

 

龍虎「阿弥陀如来像の配置時効果で、オレのネクサス光灯る三叉灯台に1コア追加。光灯る三叉灯台の配置時効果で、手札から雷神砲カノンアームズをノーコストで召喚!

存在維持の為、三叉灯台に追加されたコアをカノンアームズに置く(手札5→4)!」

 

サファイアの結晶を砕き現れる、顔と腕がくっ付いた青鋼の戦車。砲口には金色の龍のアギトがあり、中々派手である。

 

蒼天「この効果発揮後、鉄拳明王はノーコスト召喚出来る!

今こそ出でよ!我が蒼天伝説の大いなる存在!邪なる敵を打ち倒す、青の皇!降臨せよ!!鉄拳明王!レベル3だ(手札4→3・リザーブ7→1)!」

 

荒れ狂う豪風雨の中、サファイアの結晶が現れる。刹那天から落ちた雷が結晶を真っ二つに割ると、煌美やかな光を瞬きの内に放って爆散。

 

軈て現れたのは、青の肌に四腕を持つ赤髪でポニーテールのように束ねる1体の巨人。六肢には金の防具を纏い、背に歯車を彷彿とさせる円輪。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」と天に叫ぶ声が、それまでバトルスフィアフィールドに広がっていた雷雲と荒れ狂う水を一瞬の内に吹き払ったのである!!!

 

バシン「ボアにも負けねぇでけぇ声だああああ!?」

 

アイボウ「此処は大合唱中のホールか何かかぁあああああ!?」

 

バトルスフィアフィールドが揺れていた。カラミティ・ボアの本能赴くままの咆哮、そして鉄拳明王の有り余るパワーを発散する凄まじい咆哮で、1人と1匹の鼓膜は限界を迎えつつあった。

 

ボア「でけぇ声出しやがって!ターンエンドだ!!!

 

(オレの手札にはブレイブを破壊出来る秘剣燕返し、そしてブロッカーは3枚…何も問題ねぇ。次のターンを確実に凌ぎ、奴は血祭りだ。せいぜい最後のバトルを楽しみやがれ…くっくっく)」

 

ボア ライフ3(SC) 手札3 リザーブ0 トラッシュ6

 

カラミティ・ボア レベル1(1)10000

 

グリズクラッシュ レベル1(1)7000 ×2

 

蒼天「(確実に凌ぎ切れる…と、そんな所か。生憎オレはそんな簡単に勝たせる程、甘いバトラーでは無い。それに言った…後一刻で貴様のライフを全て砕くと!)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5(SC)・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

行くぞ。雷神砲カノンアームズを鉄拳明王に合体(ブレイブ)する!」

 

カノンアームズにスパークが迸り、キャタピラと砲門が分離する。砲門は鉄拳明王の背部の輪に合体し、キャタピラは脚へと移動。4つの腕を交差させた青の王は、溢れる力を闘気として解き放つ!

 

蒼天「鉄拳明王の2コアをリザーブに戻し、リザーブのソウルコアを鉄拳明王に乗せ、さらに鉄壁なる巨人城塞のレベルを2上げる(リザーブ5→7→6→5)。そして…仕上げだ。このカードが、お前を倒す1枚となる!

 

ネクサス、千間観音堂(せんげんかんのんどう)をレベル2で配置(手札4→3・リザーブ5→2・トラッシュ0→2)!」

 

彼女の後ろに顕現するのは、雛壇の如く各段に所狭しと並ぶ黄金の仏像達。その数は千体は下らない。少しの光を当てたなら、何倍にも輝き帰ってくるのは明確だ。

 

ボア「ちぃ…!くっそ眩しいな!」

 

蒼天「ボア、このターンでオレは勝負を決める!受けてみろ!オレの全力を!

 

アタックステップ!鉄拳明王よ、合体アタックだ!!!!」

 

「承った…!」と鉄拳明王(かれ)は頷き、そして走り出す!同時に彼女のネクサスである、鉄壁なる巨人城塞と千間観音堂が青のオーラを放ち、さらには合体中の雷神砲が輝き始めた!!!

 

ボア「な!?何だ!?!」

 

蒼天「鉄壁なる巨人城塞のレベル2の効果で、鉄拳明王には現在、(粉砕)の効果が与えられている。鉄拳明王のレベルは3、よって3枚が破壊。

 

次に千間観音堂のレベル2効果が発揮され、ソウルコアを乗せた自分のスピリットが相手のデッキを破壊した場合、相手のデッキからカードを5枚破壊する。

 

さらに、カノンアームズの合体アタック時効果、相手のデッキから1枚カードを破棄して、このターンの間、破棄されたカードと同じ色のカードを相手は使用不可能になる。

 

つまりボア。お前はこのアタックステップで鉄拳明王のアタックの度に9枚のカードを失い、同時にその9枚の中にある同じ色のカードが使えなくなった訳だ。

 

最後に1つ。オレの鉄拳明王はレベル2から(強襲:3)を持ってる」

 

(粉砕)とは、デッキ破壊を得意とする青が持つ能力の1つで、自身のレベルに応じた数のカードを相手のデッキから破壊出来るもの。破壊出来る枚数こそ少なくとも、積み重なれば軈ては大きな差となる効果。

粉砕にはこの能力をより強力な物へと進化させた(大粉砕)が存在し、その破壊枚数は粉砕の5倍にも及ぶ。

 

そして(強襲)は、強力な効果を内蔵した青のネクサスと、粉砕・大粉砕と噛み合った効果だ。強襲はアタックステップ中、自身のスピリットの強襲の横にある数まで、ネクサスを疲労させる事により、そのスピリットが回復するというもの。

 

青のスピリットは赤ほどでは無いものの、高いBPを誇るスピリット達が多く、複数シンボルを持つ者やデッキ破壊に特化したカードが沢山あり、攻撃回数の増加はこれ等の効果を何倍にも押し上げる。

 

…其れを踏まえた上で、龍虎の鉄拳明王の状況を確認すると、彼は(強襲:3)を持つ為、計4回のアタックが可能となっており、1回のアタック度にボアのデッキを9枚破壊。その合計枚数…36枚。

 

そう。鉄拳明王はこのターンでボアのデッキを全て破壊出来る状況になっていたのだ。

 

ボア「なん…だと…」

 

蒼天「鉄拳明王よ。奴のデッキを破壊せよ!」

 

鉄拳明王が拳を合わせた時、その衝撃が雷神砲の砲撃と共にボアのデッキを9枚破壊した!そして落ちるカードの中には青と白、そして緑が見える…!

 

蒼天「…これで、お前は青・白・緑のカードを使用出来ない。同時に鉄拳明王の(強襲:3)を発揮!ネクサス、芙蓉の五重塔を疲労させ、鉄拳明王は回復する!」

 

ボア「くそが!だが、オレのスピリットには手出しは!!!」

 

ボアは例えライフが吹き飛ばされようが、デッキが破壊されようが、何としてもバトルスフィアフィールドの自身を守るつもりのようだ。

だが、それさえも彼女には見えていた…ボアが腐っても、自分だけは守ると。

 

故に…彼女は叩き付ける。

 

蒼天「残念だが、お前のスピリットは1体たりとも残すつもりは無い…!フラッシュタイミング!

 

鉄拳明王をレベル2へダウン!その3コアを使用してマジック、アグレッシブレイジを使用(手札3→2・トラッシュ2→5)!!!」

 

ボア「んな…!?」

 

アグレッシブレイジの名前を聞いた瞬間、ボアの顔が絶望に染まる。何故ならば、アグレッシブレイジは自分のスピリット1体に(激突)の効果を与える赤のマジックカードであり、(激突)は可能なら相手のスピリットにブロックを強要させる能力を秘めている。

 

既にお分かりの方はいるだろうか?龍虎の真の狙いが。

 

蒼天「アグレッシブレイジの効果で、鉄拳明王は(激突)を得た。さぁ…ブロックして貰おうか!!」

 

ボア「ぐ、グリズクラッシュでブロック!」

 

青の闘気と赤のオーラが融合し、グリズクラッシュへと鉄拳明王はぶつかった!グリズクラッシュは後ろ脚で立ち上がり、前脚の爪をぶつけんと振るが、鉄拳明王は2本の腕を滑り込ませて押さえると、残す2本で、腹部に力を籠めた拳を叩き付け、吹き飛ばし破壊する(リザーブ0→1)!

 

蒼天「鉄拳明王でアタック。粉砕で3枚、千間観音堂で5枚、カノンアームズで1枚。計9枚破壊…同時に(強襲)の効果で鉄拳明王は再び回復!」

 

ボアのデッキが次々に破壊され、迫る鉄拳明王にグリズクラッシュが迎え撃ち、4つ腕に頭部を撲り潰され爆散する…(リザーブ1→2)。

 

蒼天「再びアタック。粉砕、観音堂、カノンアームズ。そして強襲並びに…激突」

 

ボアのデッキが鉄壁なる巨人城塞によって与えられた(粉砕)の効果で、遂にデッキが尽きる。だが龍虎は。鉄拳明王は止まらない。

最後の回復状態のスピリット、カラミティ・ボアに激突する。

 

ボア「う、うあ…アアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

半ば発狂したかの様な脅えた声を上げ、ボアは青のオーラを纏いつつ、鉄拳明王へとぶつかった。

一心不乱に、自分を守る為に、鉄拳明王を排除するために。

 

だが、排除する事は叶わなかった。

 

カラミティ・ボアのBPが10000であるのに対して、鉄拳明王のBPは千間観音堂のレベル1効果で+2000とカノンアームズの合体で+5000の合計17000。

 

牙を押さえられた結果、ボアの突進は鉄拳明王に止められ、空いた2本の腕は手刀になり、牙を砕き、獣の体勢が崩れた。其処に4つの腕の乱打が飛んでくる。

巨体はバランスを立て直しで腹が疎かに、防御も回避も出来ない所に乱打がクリティカルヒットするっ!!!

 

ボア「ぐあわぁああああああああああああ!?」

 

鉄拳「成敗!!!」

 

顎へアッパーが炸裂し、ボアの巨体が宙を3度舞い、巨大な花火となって爆ぜた!!!

バトルスフィアフィールドにたった1体、王は立ち上がり、カラミティ・ボアへと歩み寄る…!!!

 

蒼天「鉄拳明王、4回目のアタック。そして最後…フラッシュタイミング、青のマジック。全てを砕く一撃、爆砕轟神掌(ばくさいごうじんしょう)!!!

 

コストは鉄拳明王の2コアと千間観音堂の1コアで確保。鉄拳明王を回復させ、レベルを1つ上の物として扱う(トラッシュ5→8)。さぁ…」

 

 

 

 

 

死 ぬ が 良 い

 

 

 

 

 

バキン!ボキン!と鳴り響き、龍虎と鉄拳明王の獰猛な笑み。そしてその後にボアの悲鳴がバトルスフィアフィールドに木霊した。チルノの体からカラミティ・ボアの気配が分離して、彼女はゆっくりと大地に伏す。

 

蒼天「勧善懲悪、因果応報。蒼の拳が悪を砕く!」

 

* * *

 

バシン「龍虎、大丈夫か!?」

 

蒼天「オレは問題ない、それよりも妖精の皆が不味い。チルノもだが。でも、何でか…な、…少し、眠く…な…」

 

バトルスフィアフィールドと言う名の戦場から解放された反動か、龍虎の瞼は段々と重くなり、視界が暗転し、数秒の内に彼女の髪は、青から元の虹色へと戻る。

 

そして…彼女は倒れてしまった。

 

バシン「龍虎!?おい、龍虎!龍虎!!!」

 

マグナ(龍虎…まさか、お前…)

 

倒れた龍虎、傷付いた妖精達、そして残されたバシンとアイボウとマグナ…!

 

バトスピミラージュサバイバルシップス予選、サバイバルガンスリンガーは、こうして波乱の幕開けとなった…!!!

 

彼女達の運命や如何に!?




第16話、お疲れ様でした!

龍虎「私、倒れたんだけど」

チルノ「あたいの扱い酷くない?」

はい、すいませんでした…

マグナ「それよりも宣言する事があんだろうが、はよ言えや作者」

はい…読者の感想にも有りました通り、ちょくちょく書くと読みづらいとの指摘を頂きました。対策としては完全に出来上がるまでは投稿せず、途中保存をする事が考えられます。

更新ペースは大分落ちますが、失踪する予定はありません。最後まで書き上げます。

マグナ「こんなダメダメな作者だが、読んでくれる皆からの感想や指摘がとんでもなく力になるし、学べる事が多いんだ。長い目で見てくれると助かるぜ」

最後にはなりましたが、前話で登場したオリカを紹介して終わりたいと思います。
次回予告は今回は無いです、ごめんなさい!

スネークレイブ コスト6(紫3)

メイン:自分の手札にある系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚と、自分のデッキを上から6枚破棄し、破棄したカードの中の系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚につき、自分はデッキから1枚ドローする。

フラッシュ:自分のトラッシュにある系統:妖蛇を持つスピリットカードを2枚まで手札に戻す事で、相手スピリット/アルティメットのコア2個を、相手のリザーブに置く


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東方激闘魂 第17話 修行と進化!甲殻伯vs煌龍皇!

第17話です、明けましておめでとうございます。そして大変

マグナ『待たせ過ぎじゃ、バッキャロ!!!てめぇそれでも小説家の端くれかアアン?!?(剛力ブンブン)』

やめて死んじゃう!脳震盪起こして死アババババババババババ(脳ミソぎゅるんぎゅるん)

龍虎「確か第16話を投稿したのが7月だったから…半年以上空いてる事になるわね」

マグナ『よし、処す。爆裂火炎弾の豪雪雨一週間の刑か、剛力サンドバッグ3日の刑か、どっちか好きな方を選べや』

どっちにしても死亡確定じゃないですかヤダー!?

マグナ『はぁ…じゃあ逃道をやるよ』

え…それって

マグナ『俺 様 の 主 役 と な る 番 外 編 を 書 け 。 終 わ る ま で 本 編 の 更 新 は 無 し だ』

ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!ウソダドンドコドーン!!!!!!

龍虎「マグナに賛成。反省してるなら行動で示さなきゃ」

…ああ、もう、分かった。分かりましたよ…ヤッテヤロウジャネェカ!!!

という訳で番外編!書かせていただきます!詳細はあとがきでね!

※大変お待たせして申し訳ございませんでした!

※この小説にはプレイミス、ルールミス、手札枚数やコア数の間違いがあるかもしれません。またオリカの登場、カードゲームではよくあること等々も含まれており、それを一切合切全く『ゆ"る"せ"ん"!』と思う方々は速やかなるブラウザバックを推奨します。

上記を『OK!(ズドン)』と承認される方々は


ゆ っ く り 見 て い っ て ね !


前回までのあらすじ。

 

遂に開幕したバトスピミラージュサバイバルシップス。5つのチームに分かれ、それぞれの戦いへと赴いた主人公's。

 

龍虎&バシンチームは一路、紅魔館へと向かったが、傷付き倒れた大妖精こと大ちゃんと遭遇。チルノが暴走していると知る。そして湖の中央で浮遊するチルノの変貌に気付いた龍虎達…彼女は亥の十二神皇カラミティ・ボアによって闘争本能を剥き出しにされていたのだ。

 

チルノを扱いやすい馬鹿だと笑ったボアに怒りが爆発するバシン達。その中で龍虎は、第三の人格である蒼天 龍虎の人格を覚醒させ、チルノの解放を懸けた戦に挑む。

 

一進一退の攻防の中、召喚されたカラミティ・ボアの必殺技(突進)が彼女のスピリットを薙ぎ倒すが、龍虎もまた、蒼天伝説(青デッキ)の切札たる、鉄拳明王を召喚!

 

鉄拳明王の効果で展開したネクサスとの強襲とデッキ破壊コンボが炸裂し、ボアへの意思返しを果たして勝利。しかしバトルを終えた彼女は倒れてしまった…!

 

どうなる龍虎!?どうするバシン達!?

 

* * *

 

弾&ヨクside…

 

弾「ドラゴニック・タウラスでアタック!アタック時効果で自身に赤のシンボルを3つ追加する!!」

 

男「うわああああああ!!!」

 

バトルフィールドで、また1つバトルが終わる。弾とヨクの2人は人里を目指して歩きつつ、途中挑まれたバトルを買いながら、確実に勝利を積み重ねていた。

 

ヨク「弾さん、そっちは終わりましたか?」

 

弾「ああ。これで5人だ…だけど足りない。もっともっとバトルがしたい」

 

貪欲にくつくつと微笑する背中に、ヨクは少なからず畏怖の念を覚えてしまう。サバイバルガンスリンガーの果てに本選で当たる時、果たしてこの男を自分は倒せるのか…?ヨクは今までにない感覚を覚えつつも、その迷いを払い、彼の横を歩いてゆく…。

 

人里まで、後少し…

 

* * *

 

バシン&龍虎side…

 

バシン「おい、龍虎!?しっかりしろ!!」

 

所変わって、此方は紅魔館近辺の湖の畔…。

 

チルノに憑依し、辺り一帯の自然を破壊していた亥の十二神皇カラミティ・ボアを龍虎が討ち果たし、拡大は何とか収まった。しかしバトルによる反動か、彼女は倒れてしまう。

 

バシンの声に応じず、揺さぶってもピクリとも動かない龍虎に、不安に駆られる彼をマグナは落ち着かせる。

 

マグナ「落ち着け。俺を誰だと思ってやがる、六絶神 剛力のドラグマグナだぜ?龍虎(あいぼう)と妖精達(チビども)のこったぁ任せろ。変わりに皆を休ませられるように彼処の屋敷の主に交渉してくれや」

 

指先で紅い屋敷を指してから、ふんす!と気合を注入したマグナは両手に小さなバトルスフィアフィールドを形成。龍虎に投げつけると、彼女を包み込ませ、何と宙に浮かせたのだ。

 

バシン「すげェ!!!」

 

アイボウ「マグナ、お前ホントに何なんだよ…?」

 

「博麗神社の神様だ」と二等親で胸を張り、得意気にドヤ顔を決めるマグナ。最早彼等からすれば、バトルスフィアフィールド=万能が定着しつつあった。

 

* * *

 

怪我をした妖精全員をマグナが小型バトルスフィアフィールドで回収し、一行は屋敷の前の石橋に辿り着く。

 

中世ロンドンの町外れの小高い丘の上に建っていても、何らおかしくはない屋敷と空を貫かんとする時計塔。目を凝らすと中庭には、綺麗で色彩豊かな薔薇の花達がぷっくりと花弁を大きく膨らませ、元気な姿を見せていた。

 

バシン「でけぇな…」

 

アイボウ「屋敷っていうより、もう城だろコレ…」

 

マグナ「此処は、あー…何てったかな~?」

 

???『紅魔館(こうまかん)です!!!』

 

 

正面の門、その鉄格子の上から声が響く。視線を向けると美鈴が由緒正しきカンフーポーズで立っていた。細い足場にも関わらず、体の軸に一切のブレがない素晴らしき直立不動。芸術品かと勘違いしてしまう。

 

美鈴『トゥ!』

 

其処から何と真上に跳躍、体を空中で三回捻って着地!

 

美鈴『へぁた!?』

 

…に失敗。足首を挫いて、顔面から地面にぶつかった。

 

バシン「わ、笑うな…www」

 

マグナ「ぷー…www」

 

アイボウ「おまいら…www」

 

某大晦日特別番組の如く『デデーン!!!』の合図。そしてゾンビのように不気味にぶらついて立ち上がる美鈴さん。

 

美鈴『怒りますよ』

 

一同「サーセン」

 

* * *

 

美鈴「で、一体何ですか?此方はサバイバルガンスリンガーの為に皆さんデッキビルディングに集中していますから、入れませんよ」

 

バシン「頼むよ!龍虎達が怪我してて、休む場所が欲しいんだ!」

 

アイボウ「バシン!此処はオレがやるぜ!」

 

仁王立ちで通せんぼうする彼女。そんな彼女へフェイントを掛けるアイボウだが、その動きに彼女の視線は動き、進む先に尽く足が立ち塞がる!

 

アイボウ「うげ!?オレの動きに付いてこれんのかよ!?」

 

美鈴「鼠一匹とて通しません。『御嬢様』の命令は絶対です」

 

断固通さない美鈴に、ぐぬぬ顔のアイボウ。それを見ていたマグナは、彼女にある提案を投げ掛ける。

 

マグナ「おう、中国あんまん」

 

バシン(中国あんまん!?)

 

美鈴「誰が中国あんまんですか!?私の名前は紅 美鈴です!!」

 

マグナ「バシンとバトスピしろよ」

 

バシン「俺ぇ!?」

 

カンコーン!な音と共に、空気が一瞬で緊迫状態に突入する…!

 

美鈴「ほぅ…その提案に乗りました。私も貴方に負けたままでは、紅魔館の皆さんにおめおめ顔向け出来ませんし、良いですよ」

 

マグナ「よし、バシン!お前に任せた!」

 

バシン「おぃいいいいい!?俺、やるって決めてな」

 

マグナ『オラ行くぞ!!!バトルスフィアフィールドォオオオオオ!!!展・開・だぁああああああああああああああああああああああ!!!』

 

嫌がる彼の背中を二等親にも関わらず、凄まじき怪力で押し出し、巨大な結界を二人に対して投げ付けて、隔離・空中へ浮遊させたのである…!

 

マグナ「わっはっはっはっは!!!!!!この中から出るには、どっちかがバトルに勝つしか道はない!だが安心しろ!今回は俺様直々にダメージレベルを10分の1に押さえておいた!

 

思いっきりやっちまえバシン!!!」

 

 

 

バシン「後 で 覚 え て ろ」

 

 

 

アイボウ「右 に 同 じ だ」

 

 

 

 

高らかに笑い転げながら、放ったスフィアフィールドの説明をするマグナ。そんな神に至極当然とも云える、怒りで全身を振るわせるバシンと、巻き添えを食らったアイボウ。

 

が、しかし。マグナの『真の狙い』に唯一理解に至ったのは美鈴だった。

 

美鈴「て、まさか…!?」

 

マグナ「今更気付いたか、中国あんまん!そうさ、こいつはお前を門から引き剥がす為でも有るのさ!

 

俺は忘れてねぇぞ!俺が食べようと楽しみにしてた最後の1個のプリンを、博麗神社に遊びに来たお前が摘まみ食いしやがった事をよぉ!!!」

 

美鈴「その被害者、私なんですけど!?勝手に責任転嫁しないでください!!!」

 

マグナ「うるへぇ!!!とにかく、プリンの仇と私念が絡んでるんだ!!!絶対にブッ潰せよ、バシン!!!」

 

馬鹿げた復讐に付き合わされたバシンとアイボウの怒りのボルテージがMAXに跳ね上がる。その主犯は、自身の掌で作った火炎玉で門を破壊し、『べー!!!だ!!!』と言いながら、ズカズカ紅魔館へと目覚めない龍虎達を連れて、押し入ったのである!!!!!!

 

美鈴「…ねぇ、バシン」

 

バシン「言わなくても分かる。バトルの結果に関わらず」

 

 

 

 

 

 

 

二人『ア イ ツ は 絶 対 に ぶ っ 飛 ば す ! ! !

 

ゲートオープン、界放!!!!!!』

 

怒天髪と憤怒のオーラに当てられた、バトルスフィアフィールドがスパークし、開幕を告げる銅鑼の音が響き渡る…!

 

* * *

 

バシン「俺から先行!スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)!メインステップ!

 

マジック、ジュライドロー!デッキから2枚ドロー(リザーブ4→0・トラッシュ0→4(SC)・手札5→4→6)!」

 

赤い光がマジックから放たれ、バシンのデッキから2枚のカードが飛び、手札に加わる。

 

「ターンエンドだ!」

 

バシン ライフ5 手札6 リザーブ0 トラッシュ4(SC)

 

美鈴「参ります!スタートステップ、コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ!

 

早速来ましたね、其の力を見せて貰います!」

 

ドローしたカードから放つ、異質とも呼べるオーラ…。バシンは其れが、レイに新しく加わった切り札である、獄炎の四魔卿ブラム・ザンドに酷く類似したものを直感的に感じ取った。

 

アイボウ「な、何だぁ…?前回の時から、何か変わってる感じがするぞ…?」

 

バシン「アイボウ、このバトル…何かヤバい気がする…!俺の服か髪の中に隠れてろ!」

 

アイボウに避難指示を出して、彼は手札を握り、足を腰を踏ん張る。何が起こるか分からない以上、今の自分に出来る事をするだけだ。

 

美鈴「このカードの召喚条件は『自分のライフ2以上』あること!現在のライフは5!よって、その条件は達成されている!

 

さぁ来たれ、私のアルティメット!!!

 

召喚、ビートルゴン!レベル4(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ0→3)!!」

 

バトルスフィアフィールドに電撃が迸る。フィールドに現れたのは、金色に輝く雪の結晶のようなシンボル。其れが砕けてバトラーの前で顕現したのは、ヘラクレスオオカブトの持つ角と羽根と甲殻に、ドラゴンの持つ鱗に覆われた皮膚と爪に牙。

 

最早、其の姿は龍と昆虫の融合態(キメラ)以外に現す言葉の無い異質な存在でしかなかった。

 

ビーゴ「フム…時間か」

 

バシン「な、何だよ…そりゃ…!」

 

美鈴「修行の成果…とでも言いますか。貴方に負けたあの瞬間から、私は更なる修練を積み重ね、このカード。アルティメットを使えるだけの技量を手にしました。

 

ですが、このアルティメット『達』…どうやら強力な『闇の力』を持っているらしく、私程の精神力のある妖怪にしか制御出来ないとか。

 

まぁそんな事はどうだって良いのです、貴方に私は勝ちたいんですから!ターンエンド!」

 

美鈴 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ3

 

ビートルゴン レベル4(1+SC)6000

 

バシン「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札6→7)、リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ!

 

いくぜ、ロクケラトプスをレベル3で召喚(手札7→6・リザーブ5→1・トラッシュ0→1)!」

 

巨大なルビーの結晶を砕いて現れた、3本の冠のような角を持った恐竜ことロクケラトプス。

 

ロクケ「バシン!今日も暴れるぜ!」

 

バシン「おおお!ホントに喋った!」

 

アイボウ「普段スピリットの鳴き声しか聴いてないから、やっぱ新鮮味があるなコレ」

 

バシン「だな!そして、コレが初めての~!バーストセットだ(手札6→5)!」

 

バシンのフィールドの左斜め上に当たるバーストゾーンに裏向きのカードが出現、同時に鎖が其れをがんじ絡めに絡まって封をする。

 

バシン「アタックステップは無し!ターンエンド!」

 

バシン ライフ5 手札5 リザーブ1 トラッシュ1 バースト有

 

ロクケラトプス レベル3(2+SC)6000

 

美鈴「スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→4・トラッシュ3→0)、メインステップ!

 

ビートルゴンの効果発揮!メインステップの間、このアルティメットに赤と緑のシンボルを1つずつ追加出来る!」

 

ビートルゴンの竜のような空に嘶く声と、甲殻虫特有の羽音が交じり、彼の周りにはルビーの結晶とエメラルドの結晶が浮かび上がり、浮遊する。

 

バシン「1体のアルティメットでシンボル3つ確保出来るのかよ!?」

 

美鈴「まだ終わりではありません。さらにアルティメットを召喚します!召喚条件は『自分のライフ2以上』!よって召喚!

 

出でよ、バーゴイル(手札5→4・リザーブ4→2・トラッシュ0→1)!!!」

 

金色に輝く雪の結晶のようなシンボルが現れ、電撃と共に砕け散る。

中から現れたのは、血の赤で染まる内膜を持つ黒い金の翼と、爪に嘴、そして胸部には黒を纏う赤の結晶が埋め込まれていた。

 

バーゴ「さぁ…狩りの時間だ」

 

バシン「またアルティメットが…!」

 

美鈴「バーゴイルの召喚時効果。相手のBP5000以下のスピリット1体を破壊、もしくはボイドからコアを1個をこのアルティメットに追加出来る。

 

私はコアブーストを選択(バーゴイル コア1→2)。さらに追加したバーゴイルのコアとリザーブのコアを使い、マジック、ネオダブルドローを使用!私のフィールドにアルティメットが居る時、デッキから3枚ドロー(手札4→3→6・リザーブ2→0・トラッシュ1→4)!」

 

緑の十八番たるコアブーストに、赤の得意なドロー強化、そして簡単には崩されないアルティメット。

バシンにとって、これまで1ターンの中で動いた相手は今までいなかった。

 

バシン「すげぇ…!やっぱすげぇよ!」

 

アイボウ「おいおい、相手に関心してどーする」

 

美鈴「最後にバーストセット(手札6→5)、そしてターンエンドです」

 

美鈴 ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ4 バースト有

 

ビートルゴン レベル4(1+SC)6000

 

バーゴイル レベル3(1)5000

 

バシン「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ2→3・トラッシュ1→0)、メインステップ!

 

ロクケラトプスのソウルコアをリザーブに戻して、レベル2にダウン(リザーブ3→4)。そしてゴラドンを新たに召喚だ(手札6→5・リザーブ4→3)!」

 

ルビーの結晶を砕き、頭に2本の曲がった角と太い体格を持つ二足歩行の獣が雄びを上げる。

 

ゴラド「バシン!オレが出たら、何するか決まってるだろうな!?」

 

バシン「おうよ!いくぜ、リザーブのソウルコアをコストにマジック!ダブルドロー(リバイバル)だ!

 

デッキから2枚ドローし、ソウルコアをコストにしたから、手札からコイツを出すぜ(手札5→4→6・トラッシュ0→2(1+SC)・リザーブ3→1)!」

 

放たれたマジックから炎が巻き上がり、バシンのデッキから2枚のカードを飛ばす。さらに其の炎が彼の手札にある、1枚のカードへと注がれ、紅蓮に光輝かせた!

 

美鈴「ソウルコアを使った!来る…!」

 

バシン「いけ!俺のキースピリット!龍皇ジークフリード召喚(手札6→5・リザーブ1→0)!!!」

 

ルビーの結晶が砕けたと同時に、バシンのフィールドに灼熱の竜巻が発生。軈て其の中から姿を顕す、赤い始原の龍にして、皇の力を持つ、バシンのキースピリット。

 

龍皇ジークフリードが召喚された…!

 

ジーク「バシン。共に戦える事、私は嬉しいぞ」

 

バシン「おおおおおおおお!すっげぇ!なぁアイボウ!ホントにジークフリードが喋ったぞ!!!」

 

アイボウ「お、おう…(つーか、すげぇ威厳ある声で喋ったぞコイツ…)ん?」

 

バトル中にも関わらず、ハチャメチャに騒ぎまくるバシン。が、アイボウは美鈴の表情…特に口角が三日月並みに吊り上がったのを見て、生き物としての直感が『ヤバい』と警告(アラート)を出した…!

 

アイボウ「おい、バシン!今すぐにジークフリードから離れろ!」

 

バシン「いや、何言ってんだよアイボウ!ジークフリードと喋れたのがそんなに羨ましいのか~?」

 

アイボウ「そうじゃねぇ!早く離」

 

美鈴「私の『バーストの発動条件』…それは『相手の手札が効果によって増えた時』…!」

 

バシン「えっ」

 

美鈴の場にセットされたバーストカードを封じる鎖が、音を立て、次々に瓦解し、カードが表になってゆく…!

 

美鈴「このバーストカードの効果は、『相手のスピリット及びアルティメットを合計BP20000分まで好きなだけ破壊』出来る…!!!

 

よって…BP2000のゴラドン、BP3000のロクケラトプス。そして!!!BP4000の『龍皇ジークフリード』を…破壊する!!!!!!」

 

刹那。まさに、刹那だった。

 

表になったカードから飛び出た火焔の槍が、バシンのスピリット3体の体に突き刺さる!!!

 

バシン「え…あ!ゴラドン!!」

 

ゴラド「ぐああああ!!」

 

バシン「ロクケラトプス!!」

 

ロクケ「ちく…しょ…!」

 

バシン「ジーク、フリード…!!!」

 

ジーク「す、まな…い…バシ…」

 

手を伸ばすバシン、ジークフリードは小さく、唯小さく頷き、炎に包まれ、骨も残らず消えてしまった…。

 

バシン『あ、ああ…

 

ジークフリードォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!

 

(リザーブ0→3)』

 

自身のキースピリットを目の前で失い、バシンの叫びがバトルスフィアフィールドで虚しく木霊すのみ…。

 

美鈴『龍皇ジークフリード…ソウルコアが乗ってしまえば最後、赤や緑属性の効果で倒すのは骨が折れる…。

 

ならば『ソウルコアが乗る前…ダブルドロー(リバイバル)の効果で出した瞬間』を仕留めれば良い…フフフ…』

 

フハハハハハ…!

 

アイボウ「なぁバシン…あのカンフーねーちゃんちょっとおかしくねぇか…?」

 

バシン「ジークフリード…」

 

アイボウ「落ち込むな!前を見ろバカ!カンフーのねーちゃんがおかしいんだってんだよ!?」

 

バシン「ひでぶ!?」

 

意気消沈のバシンにドロップキックをぶちかましたアイボウ。首を振り、バシンが美鈴の方を見ると、彼女の全身を『黒と緑の靄らしきオーラ』が包み込んでいる…!

 

???『召喚条件の『自分のライフ2以上』も達成済…!フハハハハハ…さぁ我が下僕よ!金色の二刀を振り兆し、邪魔する全てを切り裂き倒せ!出でよ、甲殻伯メタリフェル!!!

 

ビートルゴンのソウルコアをメタリフェルに置いて召喚する!!!』

 

バトルスフィアフィールドに衝撃が迸る。此れまで召喚されたアルティメットとは比べ物にならない、圧倒的な力が現れる予兆。

 

金に輝く雪の結晶型のシンボル…アルティメットシンボルが出現し、四方八方から稲妻がシンボルを貫き、破壊する!

 

稲妻による衝撃で産まれた、真紅の爆炎と黒緑の竜巻が吸い込まれるように融合を始め、巨人を…否、金と赤の禍々しくも絢爛な殻人を形作ってゆく。引き締まった肉体は全身にギザギザの棘を纏い、胸部にはアルティメット特有とも呼ぶべき菱形の深緑に染まった結晶体が淡い光を放つ…!

 

そして地面から競り出した、ギラファノコギリクワガタの鋏を彷彿とさせる二本の刀を両手に持ち、重ね合わせ、闘気を纏って振るったのだ!!!

 

バシン「バースト効果で…アルティメットが、出やがった…!!!」

 

メタリ『ジークフリードは葬った。これで勝利にまた一歩、近付いた訳だ…!

 

我が名は甲殻伯メタリフェル!馬神トッパよ、貴様を討ち果たし、其の命を我等が頭復活の為の礎にしてくれよう!!!』

 

刀を煌めかせ、メタリフェルは鋒をバシンに向ける。放つ殺気はバトルスフィアフィールドによって現実となり、彼の精神を蝕んでゆく。だがしかし、メタリフェルが召喚されても、彼女を包む異質な力は収まるどころか、更に強大になってゆく。

 

バシン「くっ…。俺は、ターンエンド…」

 

バシン ライフ5 手札6 リザーブ4 トラッシュ2 バースト有

 

美鈴「スタートステップ。コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札5→6)…『ほう意外に早く来たな』

 

バシン、そしてアイボウは美鈴の口調が完全に変わった事を、この瞬間に自覚した。バトルする前とは言って変わった低く、重い…そんな声。

 

???『リフレッシュステップ(リザーブ1→5・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

先ずはビートルゴンを再度レベル4にアップ(リザーブ5→4)。ビートルゴンの効果で赤と緑のシンボルを追加、よってホムライタチを最大軽減を確保し召喚(手札6→5・リザーブ4→3)』

 

亀甲形のルビーの結晶が砕け、緑の眼が光り炎の尻尾を振るう鼬のようなスピリットが現れた。

 

ホムイタ「やるぜ!」

 

???『さて、此所でマジックを使わせて貰おう。マジック、ネオ・ライフチャージ。このマジックのコストは本来6だが、私のフィールドにアルティメットが居る時、コストが2少なくなる。

 

そしてネオ・ライフチャージは自分のフィールドのスピリット/アルティメット1体を破壊し、ボイドからコアを2個、自分のリザーブに追加出来る。この時、破壊したカードの種類により、追加効果が発揮される』

 

バシン「追加効果…?」

 

???『そう。破壊したカードが緑を持つなら、追加出来るコアが1つ増える。赤なら、デッキから1枚ドロー。そしてアルティメットならば次に召喚するアルティメット1体のコストが3少ないものとして扱われるのだ…!

 

ネオ・ライフチャージの軽減は緑と究極シンボルが2つずつ!ホムライタチの効果で緑のシンボルが追加され、完全軽減が出来ている!

 

バーゴイルを破壊し、ボイドから3コアブースト!デッキから1枚ドロー!そして次に召喚するアルティメットのコストを3減らす(手札5→4→5・リザーブ4→5→8)!バーゴイルゥ!』

 

「行意…!」とバーゴイルは低い声で頷き、自らの爪で其の体を貫いたのだ…!

 

バシン「…ッ!?」

 

アイボウ「やりやがった…!」

 

「勝利の為ならスピリットやアルティメットは喜んで自ら犠牲になる」と幸村に言われた言葉をバシンは思い出した。勝利の為、強力無比の力を保持するアルティメットだろうが、等しく己の命をバトラーに託す。

 

???『まだ、終わらぬ。

 

手札からバーゴイルを、ネオ・ライフチャージの効果により3コスト少ないものとして扱い、新たに召喚(手札5→4・リザーブ8→7)、召喚時効果で自身にコアブースト(バーゴ1→2)!そして手札からマジック、ネオ・ライフチャージを使用する(手札4→3)!』

 

バシン「2枚目だと!?」

 

???『そうだ。効果は既に説明した、破壊するのはバーゴイル!ネオ・ライフチャージにより3コアブーストとデッキから1枚ドロー、次に召喚するアルティメットのコストが3少ないものとして扱われる!

 

フハハハハハハハハハ…(手札3→4・リザーブ7→9→12)!』

 

新たに現れたバーゴイルは自身を幾重にも切り裂いて爆散し、コアと手札を増やす。赤と緑の混色らしいドロー加速とコアブースト。だが、これだけのアクションを行っても、まるで満たされない…そんな気配をバシンは感じていた。

 

バシン「…楽しいのか?」

 

???『楽しい…?…ああ、此所の空間の影響かは知らぬが、随分体は軽い…』

 

バシン「そうじゃなくて」

 

???『…貴様は何が言いたいのだ』

 

美鈴に取り憑く存在に向け、バシンはこう言った。

 

バシン「…『独りぼっち』で、バトスピやってて。そんなに楽しいのかって聞いてるんだ。

 

お前のバトスピは確かに凄い。けど、感じるのは『寂しい』し『つまらない』バトルだ。そんなバトル、俺は嫌いだ。龍虎やハジメ、弾にツルギにレイ、駿太やヨク、そして幸村達は皆、『熱く』て『楽しいバトル』をしている。

 

だから…『全力』で。『このターン』で俺を『倒す』つもりで来い!」

 

バシンの目に闘志と灼熱の炎が宿る。同時に彼の胸に掛かる紅蓮の輝石が今までに無い程の輝きを放ちながら、バトルスフィアフィールドを真っ赤に染めてゆくのだ…!

 

アイボウ「輝石が…!」

 

バシン「…え、うぉ!?何じゃこりゃ!?」

 

突然の出来事に慌てるバシン。だが…

 

???『成程…余程死にたいようだ、貴様は』

 

バシン「!?」

 

殺気が先程の比ではない。純粋で真っ直ぐな、洗練された刃の如き、鋭利な視線が突き刺さる。

 

???『良かろう。貴様には、私の全身全霊の一撃を持って、命を取る。覚悟しろ』

 

バシン「…来いッ!!!」

 

???『…私はネクサス、邪神域をレベル2で顕現させる(手札4→3・リザーブ12→10・トラッシュ0→1)…!』

 

美鈴の手より放たれた1枚のカードがフィールドに突き刺さった。刹那、カードから薄黒い霧が発生して地面を瞬く間に満たしたと思えば、何処からともかく茨のような岩肌が其処ら中に出現。今までと変わった景色は戦う者の心に不安を植え付ける。

 

???『ネクサス、邪神域は通常赤だが自身の効果で色とシンボルを緑として扱う事が出来る。

 

そしてレベル2の時、このネクサスを疲労させる事により…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のアルティメットは『召喚条件を無視』して『召喚』する事が可能になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイボウ「は…!?」

 

バシン「何じゃそりゃぁあ!?」

 

本来アルティメットは、一部のカードを除いて、あらゆる効果を受け付けず、スピリットを超越した強大なBPを以て、数多の敵を屠り、倒してきた。『召喚されれば』。

 

アルティメットはスピリットの柵を超えた者達の総称。其の存在を呼び出し戦うには、アルティメットが持つ『召喚条件』を満たさなければならない。

 

条件は様々であり、特定色のスピリットの存在や、自身の命の数、はたまたアルティメットの数等々、十人十色。故に召喚するには、使うアルティメットに合わせてデッキを調整する必要がある。

 

だが、邪神域はアルティメットが持つ『召喚条件』を抹消し、通常よりも早くフィールドに出現させると言う、恐るべき力を内蔵したカードなのだ。

 

バシン「奴にはネオ・ライフチャージの追加効果でアルティメットのコストが3少ない状態で召喚出来るようになってる…つまり!」

 

???『邪神域のレベル2の効果で、このネクサスを疲労し、アルティメットの『召喚条件』を無くす。では…行くぞ』

 

美鈴が手札に残された2枚のカードの内、右のカードを右手で掴む。その時だ、彼女を包み続けていた黒緑のオーラと、バトルスフィアフィールド内に展開された邪神域の霧がカードに収束されてゆく…!

 

???『吹き荒べ!深き闇を纏いし、地獄の風!!

 

全ての命を狩り取る死神となりて、大地に降り立つが良い!!私は此処に、私自身を召喚!

 

降臨!獄風(ごくふう)の四魔卿(よんまきょう)ヴァンディール!!!レベル5(手札2→1・リザーブ10→6)!!!!!!』

 

空へと投げられたカードから闇を纏い、緑の輝きが赤に染まるフィールドを侵食し、汚してゆく。

 

バトルスフィアフィールドに出現した、アルティメットシンボルが超高速で回転を始めると、空を黒雲が満たし、黒緑の稲妻が邪神域に降り注ぐ。地を削るようにして迸る光りは刻印のように地面を抉り、軈て其処から緑と金と黒の光が溢れ出す。

 

光りの中から現れる…飛蝗のような細く、バネのある4本の脚、カミキリムシの如き顎と体に、淡く発光する4つの複眼。クワガタの鋏の角を有し、黒と金に覆われた甲殻がギラギラと光という光を食らい、深緑の羽が風の中で靡く。

 

其の手に抱かれた、ありとあらゆる生命を根本から絶ち、狩り取る巨大な大鎌を振るい、爆風と共に光の幕を斬り下ろして、絶大なる咆哮を轟かせたのである!!!!!!

 

アイボウ「うぉおおおおおおおお!?」

 

バシン「2体目の…四魔卿アルティメット…!すげぇ風だ!!吹き飛ばされちまう…!!!」

 

取っ手に捕まり、風に呷られ今にも塵散りになりそうな手札とアイボウを、バシンは必死に守る。

 

ヴァン『私はヴァンディール。四魔卿の一柱にして、風を司るアルティメット。バシン、貴様は確かにこう言ったな。

 

このターンで仕留めて見ろ、と…。

 

故に見せよう。私の力を』

 

低い声で大鎌を構え、鋒でバシンの首を刺したヴァンディールは、背の羽を唸らせながら言う。バシンは身構え、四魔卿の一撃に全神経を集中させた…!

 

* * *

 

同時刻、ツルギ&レイside…

 

レイ「!」

 

ツルギ「…レイ?どうし…って、アルティメットシンボルが出てるんだ!?」

 

命蓮寺を最短距離で目指し、林の中を歩いていたレイとツルギに、浮遊して付いてゆくムゲンだったが、突如として、レイの胸アーマーが何の前触れも無く、キラキラと輝き、アルティメットシンボルが顕現したのである。

 

ブラム(この気配…奴か)

 

レイ(奴?知ってるのか、ブラム・ザンド)

 

ブラム(ああ。馴染みがあるし、何よりも幾度と無く仕合をした。奴の名はヴァンディール、我と同じ四魔卿であり『邪神軍遊撃部隊総大将』の地位に立つ者だ。

 

奴はとにかく早い。攻撃にせよ、防御にせよ。そして…

 

 

『次元を超えて同種(アルティメット)を見境無く呼び起こせる』力が有るのだからな)

 

* * *

 

バシンside…

 

バシン「来いッ!」

 

ヴァン『我自身の召喚により、手札にあるこのブレイブカードはノーコストで召喚が可能になる!現れよ、大地の守護せし神の剣!地球神剣ガイアノホコ、招来!

 

私自身に直接合体(ダイレクトブレイブ)せよ(手札1→0)!』

 

緑の輝きと共に、空に描かれるのは人が生きる星、地球。邪神域に淡い神聖の光を纏い、降りた其の剣をヴァンディールは左手で深く握り締め、振るい構える。

 

バシン「アルティメットに合体出来るブレイブ…!?」

 

ヴァン『我のコアとメタリフェルのソウルコアを入れ替え、リザーブのコア2つをメタリフェルに追加し、レベル4に(リザーブ6→4)。

 

さぁ、アタックステップだ。

 

私自身、獄風の四魔卿ヴァンディールでアタック!』

 

大鎌とガイアノホコを構え、飛蝗の強靭な脚から繰り出す跳躍で空へと跳ねたヴァンディール。

同時に美鈴の体が動き、彼女の右手にはヴァンディールに乗せられていたソウルコアが握られていた。

 

バシン「…まさか!」

 

ヴァン『魂の鎖(カテナ)を砕き、深淵に封ぜる究極の禁忌!我が魂を贄に捧げ、獄の御業(みわざ)を以て、敵を討ち果たさん!

 

『ソウルドライブ』…発揮(ヴァン(4→3))!!!!!』

 

美鈴の手の中で握られたソウルコアが、バキバキバキ!と圧倒的なまでの圧力を与えられ、粉々に砕け散った。

 

そして彼女の右手から溢れ出す力が、ヴァンディールの大鎌に吸い寄せられてゆく…!

 

ヴァン「私のソウルドライブの効果により、3体のアルティメットが出るまでデッキを上からオープンし、其のアルティメット達が持つ、全ての『召喚条件』を無視して、『ノーコスト』で召喚出来る!!!』

 

刹那、ヴァンディールが振るった大鎌がバトルスフィアフィールドを切り裂き、時空間に風穴を空ける!その衝撃にフィールドが悲鳴を上げるが如く、グラグラと地響きを鳴らし始めた!

 

バシン「アルティメット3体をノーコスト召喚!?インチキ過ぎるだろ、その効果!」

 

ヴァン『何とでも言うがよい、私が持つ…元来の力だ!!!覇ァ!!!!』

 

美鈴のデッキが上から次々に、突風に煽られ飛ばされる。そして捲れていく中に、金色の輝きを持つ3枚のカードがバトルスフィアフィールドに突き刺さり、金色のアルティメットシンボル3つが現れ、内側から砕けてゆく!

 

ヴァン『今回はお前達が来たか…

 

『邪神官クリケッツ』、『ビートルゴン』、『龍魔皇イビルフリード』よ(リザーブ4→3→2→1)』

 

ヴァンディールの前に片膝を着き、降臨したアルティメット達。

 

黒の甲殻に身を包み、蟋蟀(こおろぎ)の頭と人間の男性の体が融合したかのような姿をするクリケッツと呼ばれる者。

そしてビートルゴンの隣に立つ漆黒のドラゴン…その姿形は見間違う事無く、一番星のレイが使うアルティメットの1体である、アルティメット・ジークフリードそのものである。

 

イビル『うぉ…?ヴァンディール…『ソウルドライブ』使って、呼ぶなら呼ぶで、事前に言ってくれや。…寝てたんだが…』

 

クリケッツ『イビルフリード。ヴァンディール様の御前だ、分を弁えろ!』

 

メタリ『おい!ダスクの馬鹿は何処に行った!?答えろイビルフリード!』

 

ビーゴ・1『あ、ビートルゴン~』

 

ビーゴ・2『寄るな、触るな、近付くな』

 

何と言う事でしょう。ヴァンディールが自らの魂を賭けてまで呼び出したアルティメット。緊張感の欠片もないだらけ具合に加えて自由奔放では有りませんか。

 

バシン「…何これ」

 

アイボウ「カオス…」

 

唖然とするバシンとアイボウ。だがしかし。

 

ヴァン『お前達』

 

一喝。空気を切り裂き、フィールド内が凍り付く。

 

ヴァン『イビルフリード。お前は『U(アルティメット)トリガー』を使い、その後、私に続け。

 

クリケッツ、私が進撃中ビートルゴン達とホムライタチに指示を出せ。

 

メタリフェル、防御時にはお前の活躍に期待するぞ』

 

話し声が一瞬で止まり、『はっ!!!』と片膝を着き、頭を下げるアルティメット達。恐るべしヴァンディール。

 

イビル『いくぞ…オレの召喚時効果で、U(アルティメット)トリガー、ロックオン』

 

イビルフリードの一声で、バシンのデッキからカードが1枚宙を舞い、彼等の前に提示される。

 

イビル『オレのコストは(5)。落ちたカードのコストを聞こう』

 

そのカードは…

 

バシン「えっと…コスト(7)のマジック、セブンスクリムゾン(リバイバル)だけど」

 

同時にガキン!と鉄に刃が弾かれる音が響く。

 

イビル『ち…(ガード)されたか。ヴァンディール、すまん』

 

U(アルティメット)トリガーはヒットすれば、強力無比な力を発揮する。だが、強い力は必ず対策される。

 

U(アルティメット)トリガーも例外ではなく、効果発揮を防ぐ方法に『トリガーを発揮したアルティメットよりコストの大きなカードが捲れる』か、『アルティメットがアタック出来ない状態にする』、そして『トリガーカウンターを持つカードを手札に持っている』の3つが存在している。

 

ヴァン『イビル、気に病むな。

 

私に合体している地球神剣ガイアノホコの効果は、アルティメットの召喚に呼応したノーコスト召喚以外に、合体(ブレイブ)アルティメットの攻撃時、相手のバーストを封じる力がある。

 

これで貴様のバーストは発動出来ない。そして受けろ、ダブルシンボルの一撃を!!!』

 

バシン「くっ…!!!ライフで受ける(ライフ5→3・リザーブ3→5)!!!」

 

空中で更に跳躍し、ヴァンディールは全体重を真下に向けて、空気を地面の如く蹴り砕く。一瞬で地上に降りる事、まさにロケットダイブ。

 

バトルスフィアフィールドに広がる邪神域に着地し、砂埃を巻き上げる!

 

バシン「うわ…!?!」

 

『覚悟』と一声。刹那にバリアが展開するも、二太刀の斬撃がバシンの体を裂き、耐え難い激痛を脳と神経と身体に刻み衝けた!!!!!!

 

バシン『が…!?!?

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?』

 

アイボウ「ば、バシン!!!おい、しっかりしろ!!!」

 

苦悶の表情で体を丸め、苦しむバシン。トラックに跳ねられた等の比ではない。中学生のバシンが、バトスピを通じて経験した事が無かった『痛み』。マグナの良心によって『10分の1』に押さえられたバトルスフィアフィールド。それでいて、これだけの激痛。

 

アルティメット自身の戦闘能力に、ブレイブの打点強化までもが加わり、極めつけにバシン自身が『バトルアーマーを装着していなかった』事も、ダメージの殆どを彼に伝えた原因となっていたのである。

 

バシン「うぅう…」

 

アイボウ「バシン!しっかりしろ!バトルは終わってねぇんだぞ!」

 

ヴァン『ネズミの言う通りだ。アルティメットのアタックで、相手のライフを破壊した時、我のレベル4の効果が発揮される。

 

その効果で、相手のライフのコア1つをボイドに吹き飛ばす!』

 

大鎌が振るわれ、よろよろと立ち上がりかけたバシンの体を直撃!再び、彼の体を絶大な痛みが無慈悲に襲った!

 

バシン「あああああ…(ライフ3→2)!」

 

アイボウ「バシン!立て!立てってんだ!オイ!」

 

倒れた彼の頬を叩き、何とか立たせようと頑張るアイボウだが、激痛で体が動かないバシン。最早勝負あったか。

 

ヴァン『イビルフリード。奴に止めを刺してやれ』

 

イビル『ああ…分かった』

 

邪神域を一歩、また一歩、イビルフリードが歩き、迫って来る。

 

アイボウ「バシン!早く立てよ!おめぇこのままじゃ本当に負けるぞ!!?」

 

一刻と迫る敗北のタイムリミット。

 

バシン(力…入らねぇ…

 

バースト…あの、…バーストが、開ければ…戦える…

 

なのに…この様じゃ…、カードすら…掴めねぇ…)

 

???(バシン…バシン…)

 

倒れ、ぼんやりとした意識の中で、彼の耳に聞こえた声。その視界には、メタリフェルの効果で破壊され、トラッシュに行った自身キースピリット、龍皇ジークフリードの姿が朧気に映る。

 

バシン(ジーク…フリー、ド…?)

 

ジーク(バシン…あのバースト、博麗の巫女に代々伝わるカードの1枚だろう。少しだが、今の私なら…お前を支えてやれる)

 

バシン(ジーク…)

 

ジーク(お前と出逢い、幾つものバトルを越えた仲だ。私を…信じろ)

 

ジークフリードの言葉に、バシンは小さく、残りの力を出して首を立てに振った。同時にジークフリードが自分の身体に吸い込まれるような光景を見る。

 

すると、先程まで激痛で動く事すら儘ならなかった体は、まるで熟睡し完全回復したかのように軽くなっていた。

 

アイボウ「バシン!大丈夫か!?」

 

バシン「あ、…おう!大丈夫だ。で、イビルフリードが来てるんだよな?」

 

体を起こして立ち上がる。心配するアイボウを左手で乗せ、肩に移動し、がっちりと拳を握り締め前を向く。

 

アイボウ「そうなんだよ!イビルフリードのアタックを凌いでも、ライフは2個しかないんだ!アルティメットのどれか1体のアタックが通ったら、ヴァンディールの効果でオレ達負けるぞ!」

 

徐々に大きくなる地響き、ゆっくりと迫るイビルフリード。だがバシンは落ち着き、アイボウに言う。

 

バシン「大丈夫。それに、このバーストは『相手スピリット/アルティメットのアタック後』が発動条件だからな」

 

その時、バシンのバーストを縛り付ける鎖がバキン!と外れ砕ける音が響きながら、カードが表に捲れ上がる!同時にイビルフリードの目の前に、2本の炎柱が競り上がった!

 

イビルフリード『何…!』

 

バシン「バーストカードはマジック、バルムンク・エボルト!相手のスピリット/アルティメットのアタックに対して発動出来て、その効果で手札とトラッシュから系統:「古竜」を持つスピリットカード1枚ずつを、コストを支払わずに召喚出来る!」

 

ヴァン『成程…奴を復活させる算段は有ったと言うわけか』

 

バシン「その通り!さぁこい!龍がくれたカード!手札から焔竜魔王(えんりゅうまおう)マ・グー!

 

そしてトラッシュから蘇れ!龍皇ジークフリード(手札6→5・リザーブ5→4→3)!」

 

炎柱に2つの影が映る。左の柱から飛び出す黒鉄の大鎌が炎を切り払い、姿を見せる赤黒い巨大な竜人。翼は黒と黄色が混じった色をし、4本の腕が巨大な大鎌を支え、頭の角と眼は全身と真逆の白に燃えて、怪しく光る。

 

そして右側…柱が瓦解し、その中から赤い龍麟を纏う巨体と翼を広げ、メタリフェルに破壊された龍皇ジークフリードが、バシンの前に再臨した。

 

メタリ『ちぃ…また甦ったか!ジークフリード!』

 

ジーク「生憎、私はおめおめと引き下がるのが嫌いでな。簡単に倒した等と勝手に判断しない方が良い」

 

マ・グ「おぅ、ジークの旦那ァ!オレァ何時でも行けるぜ!バシン!コアの回収はオレ様に任せな!」

 

バシン「頼りにしてるぜ!ジークフリード!マ・グー!」

 

2体の古竜が構える。イビルフリードが全身の熱を昂らせ、突進の態勢を取った!

 

イビル『今さら2体のスピリットが並んだ所で何か変わるってか!?無理だな、ジークフリードにはソウルコアも乗っていない!仮に乗って居たとしても、ビートルゴンのアタックでゴリ押せる!諦めろ!』

 

ジーク「それはどうかな?バシン!」

 

バシン「バルムンク・エボルトの更なる効果発揮!俺のライフが2以下の時、手札にある(煌臨)を持つスピリットカード1枚を、カードに記された煌臨条件を満たすスピリット1体の上に、ソウルコアをトラッシュに置いた物として、重ねる事が出来る!

 

更にコストを支払って、フラッシュ効果を発揮!俺のフィールドに(煌臨)を持つスピリットが居るとき、相手のアタックステップを終わらせられるんだ(リザーブ3→0・トラッシュ2→5)!」

 

イビル『なん、だと…!』

 

「いくぞ!ジークフリード!」と、バシンの手札からカードが1枚、空に掲げ、投げる。

 

ジークフリードが飛翔し、カードと重なり合う。彼の全身を真紅の炎が包み、赤と白と黒の装甲が体と翼に合体。そして右手に炎と熱を収束させて、螺旋状の槍を創製し、現れた煌美やかにして昂然たる勇姿。

 

煌龍皇シン・ジークフリードが顕現を果たす。

 

シン「メタリフェル…。ヴァンディール…。先程やられた分は返させて貰う!だが…先ずはお前からだ、イビルフリード!」

 

イビル『おおおおおおおおおお!!!』

 

バシン「煌龍皇シン・ジークフリードでイビルフリードをブロック!バルムンク・エボルトのフラッシュ効果で、俺のフィールドに(煌臨)を持つスピリットが居るから、そのままアタックステップを終了だ!」

 

バルムンク・エボルトのカードから湧き出し、バシンの周りを様々な色の光が満ち、まるでミストカーテンのようなオーロラの壁を形成する。

 

イビルフリードの黒炎を纏う突撃と、シン・ジークフリードの煌輝(こうき)に煌めく螺旋の牙突が、真正面から激突し、製鉄加工機が鉄板から部品(パーツ)を繰り抜く時のように火花が激しく散り合い、最後には黒炎を光が貫く!

 

イビル『ぐおおおおおおおおおお!?』

 

シン「龍魔皇イビルフリード…撃破!」

 

シン・ジークフリードの後ろで、螺旋の一撃に左半分を抉り取られたイビルフリードが態勢を崩し、その身が大きく爆ぜる。

 

シン「バルムンク・エボルトの効果で、ヴァンディール。お前達はもう、これ以上の攻撃は不可能だ」

 

鋒に付いた煙を一振りで払い、ジークはアルティメット達を睨み付ける。「たった1枚のカードで戦局は大きく覆る」…ヴァンディールがかつて、自身の頭から言われた言葉だ。

 

まさに今。バシンがバーストのバルムンク・エボルトで2体のスピリットを並べ、煌龍皇シン・ジークフリードを煌臨させながら、絶体絶命の危機を乗り越えたように。

 

ヴァン『フッ…!ハハハハハハハ!』

 

シン「何がおかしい!」

 

ヴァン『そうだ!この感覚だ!

 

たった一撃の交錯!判断ミスが致命となる状況!一秒で転換する戦場!これだから戦いは面白い!止められん!!!

 

ターンエンド!さぁ、こい!馬神 トッパ!シン・ジークフリード!』

 

美鈴改めヴァン

 

ライフ5 手札0 リザーブ1 トラッシュ0

 

ホムライタチ レベル1(1)1000

 

邪神官クリケッツ レベル3(1)6000

 

ビートルゴン レベル4(2)6000

 

ビートルゴン レベル3(1)4000

 

甲殻伯メタリフェル レベル4(3)20000

 

獄風の四魔卿ヴァンディール+地球神剣ガイアノホコ

レベル4(3)28000

 

シン「バシン、分かっているな?」

 

バシン「このターンでアイツを倒せなかったら、俺達に勝ち目は無い!やるぞ!

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、…正面突破ドローステップ(手札5→6)!リフレッシュステップ(リザーブ1→6(5+SC)・トラッシュ5(4+SC)→0)!メインステップ!!

 

ゴラドンを新たに召喚(手札6→5・リザーブ6→5)!」

 

亀甲形の小さなルビーが砕けて、メタリフェルにやられた方とは違うゴラドンが現れた。

 

ゴラド「しゃあ!いくぞ!」

 

バシン「そして今こそ、龍のくれたカードを使う!

 

灼熱を纏い、召喚!異魔神ブレイブ、赤魔神(あかまじん)!でえええええい(手札5→4・リザーブ5→3・トラッシュ0→2)!!」

 

バシンの前に現れる真っ赤で巨大な魔方陣。火炎に焼かれながら境界を越えて顕現する巨人は、鎧に炎の紋章が刻まれ、背中には灼熱地獄を彷彿とさせる金色の輪が付いていた。

 

赤魔神「バシンよ、さぁ我が力を使うが良い!」

 

バシン「よし!赤魔神、煌龍皇シン・ジークフリードを左に!焔竜魔王マ・グーを右に合体(ブレイブ)だ!」

 

赤魔神の両手に炎が満ち、2体の古竜へと注がれる。同時にシン・ジークフリードの持つ螺旋の槍と、マ・グーの持つ大鎌の刀身が深紅に染まり、炎を纏い、輝き始める!

 

シン・ジークフリード レベル1(1)11000+6000=17000

赤魔神

マ・グー レベル1(1)5000+6000=11000

 

ヴァン『異魔神ブレイブ…まだ奥の手を残していたか!』

 

バシン「赤魔神は『奥の手』じゃないぜ。本当の『奥の手』は、このマジックだ!手札からマジック!ドラゴンズラッシュ(リバイバル)を、リザーブのソウルコアとゴラドンのコアを使って発動(手札5→4・リザーブ3→2・トラッシュ2→4(SC))!」

 

バトルボードに叩き付けた1枚のカード。ゴラドンの消滅と同時に、其処から溢れる赤い炎の龍達が猛り、吠え、シン・ジークフリードに吸収されてゆく!

 

シン「バシン!」

 

バシン「ドラゴンズラッシュ(リバイバル)の効果!このカードを使用したターン、系統:「星竜」/「竜人」/「古竜」を持つ俺のスピリット全ては、BPを比べて相手のスピリット/アルティメットを破壊した時、バトル終了時に回復出来る!」

 

メタリ『だが、貴様達が幾らBPを上げようともアルティメットの敵ではない!』

 

そう、シン・ジークフリードもマ・グーも、メタリフェルの。アルティメットの高いBPには届いていない。そんな事をバシンが分かっていない訳がない。

 

バシン「確かに、普通だったらこの壁は越えられないかもな。だけど、俺にはマ・グーが居る!シン・ジークフリードが居る!

 

ドラゴンズラッシュ(リバイバル)の更なる効果!このターンの間、(煌臨)を持つスピリットが居る時、其のスピリットが煌臨元を破棄して効果を使用する場合、自分のスピリットの上にあるコア1個を使う事で発揮出来るようになるッ!!」

 

ヴァン『何…?』

 

バシン「残ったリザーブのコア2個をシン・ジークフリードに乗せて、レベル2に((ジーク:1→3)BP17000→22000)!アタックステップ!

 

その開始時に、マ・グーの効果が発動!ソウルコアを除いたトラッシュのコア3個をマ・グーの上に置いてレベル2にアップ((マ.グー:1→4・トラッシュ4→1)BP12000→15000)!さらにマ・グーのレベル2からの効果で、俺のアタックステップ中、系統:「古竜」を持つスピリット全てのBPを+3000(ジーク:BP22000→25000・マ.グー:BP15000→18000)!

 

そして!マ・グーがレベル2で居続ける限り、系統:「古竜」を持つスピリット全てに赤のシンボルを1つ追加出来る!」

 

ヴァン『BPのパンプとシンボルの追加効果だと!?』

 

マ・グーが産み出し、精製したルビーの結晶がシン・ジークフリードとマ・グーに吸収される。赤魔神の持つ2つのシンボル、スピリットが持つシンボルが重なり、クアドラプルシンボルとなった。まともに受ければ、スピリット以上の力を有するアルティメットであろうとも、無事では済まされない。

 

バシン「いけ!煌龍皇シン・ジークフリード!赤魔神の合体(ブレイブ)アタック時効果!デッキから1枚ドロー(手札4→5)!ドラゴンズラッシュ(リバイバル)の効果で、マ・グーに乗せたコア1個をトラッシュに置いて効果発揮!BPを+10000し、邪神官クリケッツに指定アタックだ(マ.グー:4→3・トラッシュ0→1)!」

 

ジークフリードが刹那に吠える。翼を大きくはためかせ、クリケッツに狙いを定めて飛んで行く。

 

煌龍皇シン・ジークフリードにはソウルコアを回収し、相手を焼き払う『煌覚醒』以外に、『煌臨元のカード』1枚を使い、自身にBPを+10000して相手スピリット/アルティメットを狙い撃ちにする能力がある。

しかし『煌覚醒』を使用する為には、自身が『煌臨中』でなければならず、支払う対価として見合った物とは言い難い。

 

だからこそ、バシンはシン・ジークフリードの力を120%生かしきる為、このカードを使用したのである。

 

ヴァン『そうか…!貴様の本当の狙いは!!!』

 

バシン「気付いたみたいだな!フラッシュタイミング、シン・ジークフリードの特殊能力『煌覚醒』発揮!

 

トラッシュのソウルコアをシン・ジークフリードに置く事で、BP20000以下の相手スピリット/アルティメット1体を破壊して、ジークフリードは回復出来る!これでレベル3にアップ!

 

そしてアタックする度に、ジークフリードのソウルコアをドラゴンズラッシュ(リバイバル)の効果で指定アタック効果の為にトラッシュへ送り、煌覚醒の効果でトラッシュからソウルコアを回収する!

 

これが、俺の!『魂のドラゴンコンボ』だ!煌覚醒の効果でホムライタチを破壊!」

 

シン「オオオオオオオ(ジーク:レベル2→3(3→4)BP→25000→40000)!」

 

クリケ『ぬァあああああああああ!!!』

 

ジークフリードが放つ火炎放射がクリケッツを直撃。其の熱の余波にホムライタチは悲鳴を挙げる間も無く、全身が融け落ち破壊され、クリケッツも数秒とせずその後を追う事になった(リザーブ0→1→2)。

 

バシン「ジークフリードでもう一度アタック!再び赤魔神の効果で1枚ドロー(手札5→6)と、ドラゴンズラッシュ(リバイバル)の効果で、ジークフリードのソウルコアをトラッシュに送り、BPを+10000してメタリフェルに指定アタック!そしてフラッシュタイミングで煌覚醒を発揮(ジーク:BP40000→50000)!

 

トラッシュのソウルコアを回収し、ビートルゴンを破壊!」

 

シン・ジークフリードがメタリフェルを捕らえ、急降下からの突撃を咬ましに掛かり、螺旋の槍と二刀の刃がぶつかり、バチバチと火花が弾ける。目にも止まらぬ斬撃の応酬と撃ち合い、その中でシン・ジークフリードの体が煌覚醒によるソウルコアの回収を受けて、更に熱く、真紅に燃えてゆく!

 

シン「ジークフリードの仇!そしてロクケラトプスとゴラドンの仇だぁあああああああああ!!!」

 

撃ち合い、撃ち合い、撃ち合い続け。

その果てにメタリフェルの持つ二刀の刃が、螺旋の槍に叩き砕かれる!

 

シン「覇ッ!!!!」

 

メタリ『ゴ…!?』

 

胸部の結晶に槍が深々と突き刺さる。刹那、メタリフェルの巨体が真っ赤に爆ぜて、ビートルゴン1体を巻き込みながら、バトルスフィアフィールドを震撼させた(リザーブ2→3→6)!

 

ヴァン『此れ程迄、強く成るか…シン・ジークフリード』

 

シン「バシンのお陰だ。彼が居てくれたからこそ、私はお前達との戦いに打ち勝つ事が出来る!」

 

バシン「いくぞヴァンディール!!!シン・ジークフリード、ドラゴンズラッシュ(リバイバル)の効果でソウルコアをトラッシュに送り、ソードブレイブアルティメットへ指定アタック!同時に赤魔神の効果発揮で1枚ドロー(手札7→6)!

 

フラッシュタイミング!煌覚醒でソウルコアを自身に乗せ、もう1体のビートルゴンを破壊!そして回復だ(ジーク:BP50000→60000)!!!」

 

ジークフリードの雄叫びが爆風に変わり、ビートルゴンを吹き飛ばしバトルスフィアフィールドを形成する壁へと圧し飛ばして打ち倒す(リザーブ6→7)!

 

シン「ヴァンディールぅうううううううううううう!!!!!!」

 

ヴァン『シン・ジークフリードぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』

 

火炎と風がぶつかり合う。赤い弾丸と緑の斬撃が空で捻り、弾け、邪神域の岩肌に2体の獣が同時に叩き付けられる!

 

ヴァン『まだだぁ!!!もっと…もっと!!!愉しもうぞ!!!シン・ジークフリード!!!』

 

シン「おあああああああ!!!」

 

岩石が砕け散り、2本の閃光が邪神域を飛び回り、その度に邪神域が、バトルスフィアフィールドが、未曾有の力に震え、悲鳴を挙げ、スパークが迸り、瓦解するかのように…!

 

シン「ヴァンディール!決着を着ける!」

 

ジークフリードの瞳が煌覚醒で追加されたソウルコアと同じ真紅に染まり、纏う装甲から赤の炎が吹き上がる!刹那、シン・ジークフリードのスピードが先程よりも数倍…否、数十倍に跳ね上がり、ヴァンディールに迫った!ジークフリードの現在のBPは60000へ到達、ヴァンディールの2倍である其の攻撃力が襲い掛かる!

 

ヴァン『シン・ジークフリード!!!やはりお前程のドラゴンとの戦は格別だ!血が満たされ、心が震え、命を実感出来る!今回は私の敗北だ!

 

だが私は此処で終わるつもりは毛頭有りはしない!』

 

シン「ならば何度でも倒す!それだけだ!」

 

真紅に染まるジークフリードが光となり、ヴァンディールの体を幾重にも、幾度にも渡り、螺旋の槍で突き切り裂く。ヴァンディールも自身の体を大きく回転し黒緑の竜巻を起こして防ぐも、一点に集中した一撃が風のバリアを貫き、ヴァンディールを直撃。

 

ヴァンディールは『フハハハハハハハハハハ!!!』と高らかに笑いながら爆発四散。彼の持っていたガイアノホコは持ち主を失い、獣の戦乱で荒れた邪神域の大地に忽然と刺さるのみである(リザーブ7→10→9)。

 

バシン「マ・グー!シン・ジークフリード!!!いっけぇえええええええええええええええええ!!!!!!」

 

マ・グーの斬撃とジークフリードの牙突が重なり、十字架となりて、美鈴を守るライヴのコア5つを同時に破壊し、彼女はバトルスフィアフィールドから弾き飛ばされた!

 

バシン『究極撃破で天下トォオオオオオオオオオタル!!!!』

 

* * *

 

美鈴「う…ん?あれ、私…」

 

バシン「美鈴、大丈夫か?」

 

バトルスフィアフィールドから解放されたバシンは、戦いに敗れ、倒れた彼女を揺すり起こす。だが彼女の口から己の耳を疑うような言葉が飛んできた。

 

美鈴「あれ、バシン…さん?(昨日)はバトル、ありがとうございました…?」

 

バシン「(昨日)?何言ってんだ、あのバトルから(1週間)経ってるんだぞ?」

 

美鈴「うええ!?ど、どうゆう事なの!?」

 

話が食い違っている。互いに状況を説明し合うが、全く噛み合わず空振るばかり。が、その時。

 

アイボウ「あれ?おい、バシン!ねーちゃんのデッキを見てみろ!」

 

アイボウに呼ばれ、視線を移すと倒れた時に飛散したであろう彼女のデッキが目に映る。そして彼はデッキの(違和感)に気付いた。

 

バシン「…(アルティメット)がない!」

 

そう、先程まで彼女…正確には(ヴァンディール)が操っていた彼女のデッキにはアルティメットが居た。何よりも、彼女の掌に残る擦り傷らしき痕…(ソウルドライブ)を使った際にソウルコアを握り潰して出来たであろう傷が、紛れもない証拠だ。

 

だがしかし、今の彼女のデッキには夢であったようにアルティメット達の姿は忽然と消えていた。

 

美鈴「アルティメットを使っていたんですか、私…?」

 

バシン「うん。すごい怖い口調だったし、何かどわぁー!って感じで」

 

アイボウ「上手く伝わってねぇーよ」

 

中学生らしい、まだまだ未熟さの残る話し方で説明するバシンに、ツッコミを入れたアイボウ。その時…

 

ジーク(む!?これは…!!!)

 

突如、バシンのデッキケースから彼のキースピリットである、龍皇ジークフリードのカードが飛び出すと、様々な色を纏いながら輝き始めたのだ!

 

バシン「ジークフリード!?」

 

ジーク(感じる…私の中で、新たな『力』が目覚めるのを…!!!)

 

ジークフリードから溢れる光…温かくも力強い、新たな「生命(いのち)」が生まれるかのような光だ。軈て其の光は「6色」の輝きとなって、バシン達の周りを回り出し、「6体」の龍へと姿を変えた。

 

(緑)の光は、白と緑の鎧を纏う鳥の羽毛を瓦屋根のように綺麗に並べた翼を持つ、騎士のように気高い落ち着いた姿へなり、全身に風を包んでいる。

 

(紫)は悪魔の羽根とアメジストパープルの龍皮を纏い、手には龍の顔が貼られた分厚い本と、金色の杖を握り締め、その周りには灰色の仮面達が不気味に漂い、此方を見る。

 

(白)の光は、鋼と機械の体で、膝には巨大な刃が合体し、全身を巡り走る血管のようなチューブが金色の光を怪しく点す。更に各部のランプが緑から赤に変わったり戻ったりと、忙しなく稼動し続けていた。

 

(黄)の光は、黄色いシルクハットを被り、城のタイルをイメージした服を着、翼幕にも同じような模様と、服にはトランプのダイヤ・ハート・スペード・クローバーのマークが刺繍されている。手には普段よく見るトランプと、ピンクの傘が握られ、立ち姿は正にジェントルマンの其れであった。

 

(青)の光は、青の龍皮の上から純白の軍服に袖を通し、ドラゴンの頭蓋骨を彷彿とさせる帽子を被り、水竜の翼で、自身で束ねた水色の髪を揺らす海賊の姿に。

 

そして(金)はアルティメット・ジークフリードの姿に似た、巨大な四足歩行のドラゴンである。

 

???「…アビス?それにハッターも居るとは」

 

???「我輩の儀式の邪魔をしたのは、貴様か…輩(わっぱ)?」

 

???「否、彼の龍皇ジークフリードから発せられた光が、私達六龍(ろくりゅう)を此の未知の世界に導き、降臨させたと推測します」

 

???「ミーのティーは何処デースカー!?」

 

???「その口に海水ぶっこんでやろうか、ハッター!アア!?」

 

???『全く…世話しないジークフリード達だ…』

 

バシン・美鈴・アイボウ(何このカオス…)

 

ピィーピィーギャーギャーと騒ぎまくる存在達に2人と1匹は完全に置いてけぼりにされてしまっていた。この後、シン・ジークフリードが憤慨し、金色のジークフリードを除いた5体が正座で説教をされる風景が出来上がり、益々カオスな空気になったという…。

 

* * *

 

シン「…済まないなバシン。彼等が五月蝿く騒いでしまって」

 

バシン「アハハ…」

 

アイボウ「五月蝿いっつぅかー…」

 

美鈴「楽しそうに見えました…」

 

苦笑し、頭をもたげるシン。彼は溜息一つ付いてからバシン達に話を切り出し始める。

 

シン「改めて自己紹介をする。私は煌龍皇(こうりゅおう)シン・ジークフリード。赤の龍皇の中でも最上位に位置する存在だ」

 

ヴェール「翼龍皇(よくりゅうおう)ジークフリード・ヴェール。風と天を統べる皇…そう言っておく。長ければヴェールでもヴェルでも構わない」

 

ネクロ「我輩は魔界幻龍(まかいげんりゅう)ジークフリード・ネクロ。皇の称号は無い、儀式の邪魔にしかならん。だが、紫の世界では一・二を争う権力者なのだ」

 

ニュー「初。秩序龍機(ノーブルドラグーン)ν(ニュー)ジークフリード。秩序軍(ノーブルオーダー)の最高決定権を持つ、白の龍です。宣、バシン」

 

ハッター「ヘイ!初めましてバシン!ミーは不思議王(ワンダーキング)ジークフリード・マッドハッター!楽しい事とお茶会が大好きデスヨー!ヨロシクゥー!」

 

アビス「…と裏切り者のハッターが言ってるが、全部聞かなかった事にしとけ。オレは海賊龍皇(かいぞくりゅうおう)ジークフリード・アビス。海賊共からは神とか何たら言われちゃいるが、正直そーゆーのは全く分からん。まぁ…よろしくな?」

 

ネオ『俺はアルティメット・ジークフリード・ネオ。イビルフリードやアルティメット・ジークフリードの力を受けて、目覚めた存在だと思えば良い』

 

ハッター「アビスゥ!酷いデース!」

 

ヴェール「静かにしろハッター。バシン…忘れている事が有るのではないか?」

 

バシン「忘れてる事…あ」

 

思い出す、一番忘れてはいけない事を。

自分が足止めを食らった要因を作った、ある存在を。

 

バシン「マグナだ!あのヤロー、絶対許さん!!」

 

美鈴「行きましょうバシン!私が館の中を案内します!」

 

マグナがぶっ壊した門を潜り抜け、館に突入したバシン達。その後を追うように、各色のジークフリード達が光の球体に変わり、彼の後へ付いて行く。

 

果たして彼等は、マグナにキツい御灸を添える事が出来るのか!?

 

次回に続く!!




17話如何でしたでしょうか?

はい、という訳で皆さん…


お待たせし過ぎて申し訳御座いませんでしたああああああああああああああ!!!!!!苛烈な社畜生活と他の小説に没頭し過ぎて書かなかった私が悪いですぅうううううううううううううううう!!

…と、このくらいにしておき冒頭でも御伝えした通り、番外編を書くことで一つのけじめを着ける所存になりました。

その題名は…

『番外編1:マグナ、六絶神になる』です。

大まかなあらすじとしては、マグナが六絶神になる数日前の出来事になります。マグナ以外の他の六絶神や6体の起源龍達も本編に先駆け登場します。

また、今回登場したオリカは番外編で紹介しますのでご了承下さい。

では次回予告をして〆とさせて頂きます。今年もバトスピに栄えあれ!!

未だ目覚めぬ龍虎を抱えながら紅魔館を爆走し、暴れ回るマグナ。でもそんな事を黙って見過ごす館主は1人もいない。

差し向けられた影。そんな中、辿り着いた場所でマグナが目にしたものとは!?

そして…龍虎が新たなる覚醒を果たす!

次回、東方激闘魂 第18話

起源覚醒の刻 其の龍の名はイシュ・バラム

イシュ『君は、世界の為に命を捧げる覚悟は在るか?』


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東方激闘魂 番外編1:マグナ、六絶神になる

自分なりのケジメを付ける為の話になります。

キャラ崩壊等が含まれます。マグナの性格が、かなり変かもしれません。「誰だお前!?」とツッコミ入れてしまうかもしれませんよ?

そんな方々はブラウザバック推奨、そんなの関係ねぇ!という方々は、自分が体験したバトスピのトラウマを思い出しながら

ゆ っ く り 見 て 逝 っ て ね !


ミカターボ…無限レオ…ハイパーノヴァグリフォン…うっ頭が


この物語は前日譚…。

 

マグナこと六絶神 剛力のドラグマグナが、虹色 龍虎と出逢うより、遥か昔の遠い譚…。

 

* * *

 

名も無き世界。其処は獣達が昼夜問わず動き、争い続ける世界。

 

火山と炎が舞い踊り、竜が絶対の力を示さんと争う『赤の世界』。

 

森林と風が吹き荒び、今日も不老不死の宿る果実を探す獣や虫達が住む『緑の世界』。

 

氷河に覆われ、機械と生命の静かなる表面下の鍔迫り合いの続く『白の世界』。

 

悪魔と夜と闇と策謀が暗躍し、悲鳴と血が絶えない阿鼻叫喚の『紫の世界』。

 

光と歌声、暖かな安らぎと祈りが満ち溢れる天使達の住む『黄の世界』。

 

そして、青い海と広大な大地に支えられた力自慢の巨人達が最強を決めるべく汗水を流す『青の世界』。

 

そんな世界のずっと上空…雲を越えた先の宇宙よりも更に遠い場所に天界と呼ばれる世界がある。天界…簡潔に言うなれば、『神住まう世界』。その世界の中でも更に最上位の者のみが住む事を許された館から、この譚は動き始める事となる…。

 

* * *

 

???「はぁあ…やはり緑茶は旨いのぉ」

 

館の最上段、神集いの間…此処には『絶神』と呼ばれる存在が住み、天界と世界全域を常に見守り続けている。そんな間に一人、湯呑みを啜る者が居た。

 

正確には、獅子の顔と体に、鬣と背中には木々が生い茂り、頭には白い樹木の角、腕に極彩色の鳥の翼と胴体は獅子のそれと同じである存在が居るといった所か。

 

彼の名は『五絶神 豊穣のジアス』と言い、『現在』の絶神の中では最高齢。何せ『緑の絶神を初代から任命し続けて』いるのが彼、ジアスなのである。

 

???「ジアス様、御在宅でしょうか?」

 

ジアス「クロムか。入りなさい」

 

「失礼致します」と、襖が開き現れたのは白銀の装甲を全身に纏う、背の高い姫騎士の様な『機械の人』。彼女は『五絶神 鉄壁のクロム・リゼルファー』、天界の防衛を担う神々の中でも堅牢さは抜きん出て高く、数多の厄災を退けてきた。その活躍から『鉄壁』の二つ名が付いている。

 

クロム「クロム・リゼルファー。只今帰還致しました」

 

ジアス「まてまて。此処ではそう堅苦しく話さんでも良い。お前さんの『普段』の口調で喋りなさいな」

 

クロム「では…ジアス タダイマ デス」

 

ジアス「ぶ!?」

 

一瞬で機械の片言言葉に変わり、盛大に茶を噴いたジアス。絶神しか知らないクロム・リゼルファーの本当の、『素の口調』なのである。

 

クロム「ヤッパリ クロム オカシイ…」

 

ジアス「(しょんぼり姿は可愛いのぉ…クロムは)」

 

『人のように』ぐんだりと落ち込むクロムを、ジアスが頭を撫でて励ます。その姿は孫を愛でるおじいちゃんのそれでしかない。そのクロムもジアスに撫でられ、何だか幸せそうである。

 

???「ジアス、クロムも居たのね。急に貴方から呼び出しが有ったから、学校を皆に任せて戻ってきたのよ?もう…」

 

???「…善き『欲望』が渦巻いている…!クロム…君の『幸せ』が!我が『欲』を満たすぅ!」

 

???「うるせぇぞ、ガルヴァ!テメェの口を『封じ込め』てやろうか、アア!?」

 

ぞろぞろと現れる3人…否、3体の神。

 

金色に靡く長い髪、白のベールに身を包み、背中には6枚の純白の大翼。手には柄の先端がハートの形をした杖を持ち、周りには羽根が付いた目玉達が此方を睨むようにして、常に彼女の周りを飛び続ける。

 

名を『五絶神 慈愛のエル・ラフィル』。

 

紫の体皮でありながら、獣の頭蓋や悪魔の羽根、何処で手に入れたかさえ不明な剣を二本腰に納め、ジアスと同じ四足歩行の胴体を持つ、於曾ましき姿をした化物。

 

名を『五絶神 欲望のデス・ガル・ヴァドス』。

 

海亀の胴体と融合し無数の鰻達がうよめく尾に、鍛えられた蜥蜴人のような上半身の背中には左に海蛇が、右にはウツボが低く唸り声を挙げる。青い体は所々から呼吸音が聞こえ、髭の烏賊脚もピチピチと動く。

 

名を『五絶神 封印のシュトローム・ハイド』。

 

因みに年齢はジアス>エル>シュトロ=ガルヴァ>クロムと言った具合になっている。

 

ジアス「皆、すまないな。まぁ座ってくれ。茶を用意するぞ」

 

ジアスが歩き、湯呑みを幾つか盆に載せて円卓の上に置くと、彼の体から伸びる蔦達が急須を器用に持ってきて、茶葉と湯を注ぎ、茶を振る舞った。

 

エル「また腕が上がったじゃないの」

 

ジアス「緑の世界は命に溢れておる。この茶葉も、その世界からの贈り物じゃ」

 

シュトロ「…で、唐突にオレ達『五絶神』を呼び出した『真意』ってのは何だ?ジアスのジジイ」

 

クロム「シュトロ! ジアス サマニ アヤマレ! コトバ ヲ イマスグ ニ テイセイ シロ!」

 

シュトロ「ジジイをジジイ呼ばわりして何が悪ぃ。ジジイもそろそろ歳だろうが、隠居したらどうだ?」

 

クロム「シュトロ!」

 

ジアス「クロム。…まぁシュトロームの言い分も一理有るわい。永遠と長く任を努めたが…そろそろ一線を退こうかと考えておった…」

 

ズズズ…と茶を啜るジアス。同時に神達はジアスから放たれたプレッシャーを間近に受けて、晒される。

 

ジアス「主な原因は、儂達の任である『絶神が五神しか』居ないからじゃ。そして他の神々が『赤の世界』から『絶神を決めかねている』からに他ならない。違いないかな?」

 

4神『ッ…!』

 

これ程迄に、現状を『憤る』ジアスを見たことがない。それは彼と、万年近い交流のあるエル・ラフィルでさえも知らない表情だったからだ。

 

シュトロ「…ジアスのジジイ。『赤の世界』の連中の具合は知ってる筈だ。奴等は『戦う事』しか頭にない。もし、そんな輩が栄光ある絶神の地位に付いてみろ。

 

間違いなく天界は荒れて戦乱が起きるぞ、数日もしない内に」

 

ガルヴァ「満たされない数…『空白』を『埋めたい』衝動…!それ即ち『欲望』ッ!!!!」

 

エル「ジアス、天界を安定させて『来るべき戦』に備えたい気持ちは分かるわ。けれど、絶神の位が制定されてから、今まで『赤の世界から絶神が決まった事は一度もない』のよ。

 

シュトロが言う通り、『横暴で暴走しかねない』以上、見送らざるをえない…貴方が一番理解している筈よ」

 

絶神になるには、『たった一つ』の条件をクリアする必要がある。『本質を理解している事』、それだけなのだ。だが、今まで赤の世界から其れを理解している者が現れた事は無い。

 

悲しい事に、赤の世界の住民達は軒並み実力主義者と脳筋ばかりの馬鹿だらけ。長い年月を掛けても全く変わらない状況に、他の神々は失望し、赤の世界から絶神を迎える事を諦めてしまったのだ。

 

ジアス「…よし、決めた」

 

クロム「キメタ トハ?」

 

クロムの質問にジアスは生い茂る木々を紅葉の赤や黄に変えて、こう言い放った。

 

「ちょっくら赤の世界で絶神探しをしてくるわい」…と。

 

* * *

 

下界門…天界と下界を繋ぐ唯一の門であり、下界では『天の階(きざはし)』と呼ばれる巨大階段を登りきった先に存在するという。数年周期で開門されるのだが、絶神ともなれば顔パスで何時でも通れてしまう門なのだ。

 

???「ジアス様、自ら赴くとは…一体何が合ったのです?」

 

門の前に立ったとき、此方に声を掛けてきた者…いや、龍が居た。

 

四肢と翼にアメジストの刃を煌めかせ、骸の顔に蛇のような長い舌を時折チュルチュルと見せる。龍の名は『イシュ・バラム』と言い、現世と冥界を開け、唯一無二『死した神が居る場所への道を知る』存在なのである。

 

ジアス「赤の世界へな。なぁに、茶の温度の研究をしに暫く出払うだけじゃね」

 

イシュ「………………」

 

ジアス(警戒されとる…か?)

 

イシュ「はぁ…また、絶神探しですね?」

 

ジアス「…うむ」

 

イシュ「…『あの方』には気を付けて下さい。でなければ私が殺されてしまいます」

 

イシュ・バラムがハンドサインを送ると、重々しい音を立てて門の扉が開かれた。

 

ジアスは手を小さく振り、門を潜り抜けてゆく…。

 

* * *

 

赤の世界…火山噴火や溶岩流等、日常茶飯事。灼熱が支配し、恐竜やドラゴン、竜人達が日々を争いに費やす世界。火山灰が舞い散り、陽射しが射し込む事も雨が降る事も殆ど無い、そしてマグマの海が広がるばかり。

 

そんな世界にジアスは1人、空からゆっくりと大地に降り立った。

 

ジアス「ごほっ…ごほっ…!此処の環境は、儂には幾分か堪えるな…」

 

この世界…正確に言えば、6つの世界は他の世界の生命体が入って来ることを嫌う。入って来ることは、侵略行為と等しく、過去にも幾つかの戦争が勃発し、多くの死傷者を産み出した。

 

絶神や他神達もまた、故郷とは異なる他の世界へと向かう時は、その世界に順した姿で赴かなければ、誤解を招いてしまうため、ジアスが自身の木々を暖色系の色に変えたのは、こうした理由が有ったからである。

 

ジアス「さて…手っ取り早く用事を済ませて、茶の温度の研究をするかの。て、アチアチ!アチチチ!」

 

常に高温の火山灰が飛び散り、地熱により天然の鉄板と化した大地、陽射しが届かない分厚い曇天の空。ジアスにはキツい以外の言葉等無い。自分が神の鉄板焼きになるのが先か、絶神を探し当てるのが先かの戦いになった。

 

* * *

 

ドゴッ!

 

ズズゥ…ン!

 

「勝負あり!」の声で一斉に龍や恐竜達の叫びが木霊す。赤の世界にある最大規模のコロシアムには沢山の観客と我こそが最強と自負する面々が、毎日のように押し寄せ、大盛況となっている。

 

???「全く!全然!変わらない!」

 

そんなコロシアムの最上段、それもVIP席に当たる場所から戦いを見下ろし、苛立ちを露にする存在。背中に6枚の赤の翼が有り、紅蓮の瞳にオレンジの髪、頭には冠と胸に丸鏡のネックレスを付ける竜人に近い女の子…(アマテラス)が居た。

 

アマテ「こんな血の気の多い馬鹿共だらけだから、何時まで経っても赤の世界から絶神が決まんないのよ!あ、そうだ!じゃあ私が絶神になれば良いんじゃない!そうすれば赤の世界の監視役から跳び段で神様に」

 

???「なれると言う訳じゃな?アマテラスよ」

 

アマテ「そうよ!私にとって、血生臭いこんな場所を早くおさらばして、天界の日の下で、たっぷり陽射しを浴びて睡、眠…うぉ……!?」

 

アマテラスの口が止まる。そして額は、汗がだくだくと湧いて流れ落ちる。彼女の後ろにはジアスがニッコリ、「久しいのぉ~アマテラスや」と言った。

 

アマテ「ジ、ジジジジジジ、ジアスさまままままでは、ございいいいま、せんんんん、かかかかかかか!!」

 

ジアス「おいおい随分緊張しとるな、固くならんでも良い。落ち着いて深呼吸しなされ。…落ち着いたかな?」

 

アマテ「勿論で御座います!」

 

ビシリ!と真っ直ぐ敬礼する。完全に自分の愚痴を聞かれてしまった。下手に何か仕出かせば確実に自分の首が飛ぶのは火を見るより、ずっと明らかだった。

 

ジアス「んで…全く見つからんか」

 

アマテ「はい…腕っぷしと自信過剰しか能の無い馬鹿しかいません。ここ百年、其ればかりです」

 

思った以上の惨状にジアスも頭を抱えるしかない。現実は非常である。

 

* * *

 

コロシアムのエントランスに移動するアマテラスとジアス。エントリーの為に並ぶ者や、戦いに備える者、観客席に移動して行く者、様々であった。

 

アマテ「…駄目、駄目…あれも駄目。…まず論外、…はい駄目。…はぁ!」

 

ジアス「居らんな…一人とて」

 

目利き、品定めを行うアマテラスだが、一切当てはまる逸材が見当たらずエントランスのタイルを踏み砕き、八つ当たりを咬ます。長年絶神を任じて来たジアスでさえも、絶神(それ)を担うに相応しい存在を見つけられずにいた。

 

と、その時。

 

???「何でだよ!何でしゅつじょーさせてくれないんだよ!」

 

竜男「何度も言わせるな。出場資格をお前は満たしてはいない」

 

竜男「コロシアムには750歳以上にならねば出場出来ない。お前はまだ300歳にもなっとらん。諦めろ」

 

???「ふざけんな!ねんれーが何だ!勝てば良いだけだろ!参加させろ!」

 

受付場から大声が響く。其処には身長140㎝にも満たない赤い小さな竜人の少年が、警備員の竜人に止められていた。少年はボロボロの衣服を着、背中には6枚の小さな翼が有り、よく見ると全身の筋肉は他の竜人達に匹敵、もしくはそれ以上に鍛え抜かれていた。

 

アマテ「はぁ…またあの子か」

 

ジアス「知っとるのか?」

 

アマテ「『マグナ』…そう名乗ってる子でね。120年前に現れて、戦わせろと言ってきたわ。無論追い出したのだけど、毎日毎日しつこく迫って来て、警備員の連中も呆れ返ってるの」

 

ジアス「……」

 

* * *

 

コロシアム入口…

 

警備員「ほら帰れ!」

 

首根っこを捕まれ、外へと放り出されたマグナは『チキショー!』と地団駄し、再度コロシアムに突入しようとする。

 

アマテ「毎日毎日こんな感じ。本当にしつこい奴よ、全くもう…」

 

ジアス「…のぉ、アマテラスや。あの子に家族は居るんか?」

 

「孤児よ」と彼女は答える。

 

アマテ「街の中で育ったとか言ってたわ。私はこれからやらなきゃいけない仕事が有るので、失礼します」

 

アマテラスが頭を下げて、コロシアムの最上段に続く直通階段のある場所へと向かって行った。ジアスはその場に留まり、警備員に蹴飛ばされ、尻餅を付いた後に「ばーか!ばーか!」と叫び、町の方へ走り去って行くマグナの背中を見ていた。

 

ジアス(気になるのぉ…)

 

* * *

 

煉瓦で出来た町並みが続く住宅地。夕暮れ時か人々の往回も徐々に増して行く。その中を進み、脇道を通り、土管を這い回り、小さな石で出来た小屋の前に出た小さな影。

 

マグナだ。

 

マグナ「クソ…」

 

漏らす言葉はいつも其れだ。どんなに頑張っても、どんなに鍛えたとしても、参加出来なければ意味がない。

 

マグナ「こんな場所で立ち止まる訳にはいかないのに…クソが!」

 

小石を地面に叩き付け、舌打ちばかりする。

少年の毎日は、こうして過ぎて行く筈だった。

 

ジアス「よぉ、少年や」

 

其処に絶神が居る事を除いたならば。

 

マグナ「あ゛?んだよ、ジジイ」

 

絶神である事を秘匿し、少年…マグナに近付くジアス。ヤンキー口調、しかもジジイと呼んだ彼、もしもクロムが此の場に居たなら、彼は確実に死刑になるだろう。

 

ジアス「まぁ警戒するのも無理はないか。ほれ、これでも食いな」

 

そう言って投げ渡したのは、赤い大きな果物である。マグナは其れを手取り、鼻で匂いを嗅ぎ、全体を見てから、恐る恐る口にする。

 

マグナ「!?!?!?!?な、なんだこれ!?甘いし、ザクザクしてるし、なんだこれ!?」

 

ジアス「リンゴじゃよ。此方の世界では、火玉の実とか呼ばれる希少品じゃったかな?まぁ貴重な物だし、味わって食」

 

マグナ「おかわり!」

 

ジアス「…今、儂が何言ったか聞いとらんかったか?」

 

マグナ「果物おかわり!話は後だ!食べなきゃ力なんか出てこない!」

 

蒸気機関車のようにプシュー!と白い鼻息を出し、思い切り胸板を前にして自身を大きく見せようとしているのだろうか。この後、マグナはジアスが持っていたリンゴを5つ、豪快に噛り付いて骨を粉砕するかのようにバリボリ食べました。

 

* * *

 

マグナ「はぁあ~食った食った!うまかった~!」

 

ぽんぽんと腹太鼓の直後に合掌、「ごちそうさまでした」と感謝の意を示す。が、その後に「げぇえ~ふ」と反則と言わんばかりの巨大なゲップを放ち、ジアスの腹筋が破壊された。

 

ジアス「ぶふっ…はっはっは!忙しい奴だなマグナよ!」

 

マグナ「おうよ!なんせ、未来のちゃんぴおんになるさいきょードラゴン!其れがこのおれ!マグナさまなんだぜ!!!!!」

 

シュビビビビッ!と決めポーズを取り、目を輝かせるマグナ。元気と夢と希望に満ち溢れた少年の目は、若き頃に緑の世界で、初めて大樹の天辺に登り、朝日に染まる綺麗な樹海を見た自分とよく似ていた。

 

そんな彼を見て、ジアスは1つ問う事にした。

 

ジアス「のぉ、マグナ。お前さんは『力をどう見ておるんかい』?」

 

リンゴを噛り、ジアスはそう言った。マグナはきょとんとし、ジアスに「つまり…おれが『力』の事をどうゆう風に考えてるのかって、知りたいんだな!」と答える。

 

ジアス「まぁ…そんなとこじゃな。

 

(…此処までは『今までと同じ』じゃ、問題はこの子が『力という本質を何処まで理解しているか』…なのだが…)」

 

マグナ「おれにとっての『力』は…

 

 

 

 

 

『全部を動かすもの』だな!」

 

ジアスは驚愕した。其れはてっきり、マグナが『一番を取る物』や『支配する為の物』と答えると思ったからで、『有象無象の万物を動かす物』と答える等、予想だにしなかったのである。

 

ジアス「…ならば、どうして『力が全部を動かす』と思うのかな?」

 

マグナ「お金をたーくさん持ってるやつは、リンゴをたーくさん買えるじゃん。でも、お金がすくないやつは、リンゴをちょっとしか買えない。

 

でもすくないやつがいっぱい集まれば、お金がたくさん持ってるやつにも、ぜんぜん負けないくらいにリンゴを買えるんだ!

 

えっと、ようは『流れ』なんだ!いろんな、大きいとか小さいとか、そうゆうのからはじまって、なんだって動かせる!そうゆうのが、おれの思う『力』なんだ!」

 

まだ300にも満たない竜人の子供が、『力』という物を此処まで理解していた事。何億年近い時間を生きているジアスには、超新星の大爆発に匹敵する程の強い衝撃を受けた。

 

この子ならば…。赤の世界に生きる竜達の。力の真の使い方を知らぬ者達に、力とは、かくあるべきか、を考えさせる事が出来るかも知れない。

来るべき戦で赤の世界の心を、命を束ね、脅威を退ける事が出来るかも知れない。

 

ジアス「マグナや」

 

彼は決意する。この子を、赤の世界の『絶神』にすると。この期を逃せば、機は数百万年は来ないであろう、と。

 

ジアス「『神』に…成る気はあるかの?」

 

* * *

 

天界、神集いの間…

 

クロム「ジアス サマ ダイジョウブ デショウ カ?」

 

エル「貴女も随分心配なのね、クロム。大丈夫、彼はそうそうやられはしないわ」

 

彼女らしからぬソワソワした行動を見て、エルはクロムを落ち着かせる。ただ、分かってはいてもジアスが心配なのは変わり無いのだが。

 

シュトロ「どうせ連れてきたところで何も変わりゃしねぇな。赤の世界から絶神が選ばれるなんざ、考えた事もねぇ」

 

ガルヴァ「『欲望』は…満たされぬからこそ、真に輝く!」

 

エル「貴方達も本当に自由ね…」

 

個性的かつ自由奔放な神々。絶神が揃えば確かに天界は安定するかもしれない。まぁ、そう上手くはいかないのだろうけども…エルはそう思っていた。

 

『ジアス様の御帰りに御座います!』

 

天界に響く神の帰りを告げるラッパが鳴り響く。しかも其れは大きくパレードのように高らかで、壮大な音色だ。神の中でも最高位とも言える絶神にもなれば、当然の対応なのだろう。

 

エル「行きましょうか」

 

彼の事だ。赤の世界の熱さにやられ、早々に切り上げたに違いない。きっとそう…彼女はそう考えていた。

 

* * *

 

エル「………………」

 

ガルヴァ「………………」

 

シュトロ「………………」

 

クロム「………………」

 

ジアス「ただいまじゃ。皆」

 

ジアス以外の絶神…そして神々は言葉を失っていた。彼の足にくっつく、小さな竜人の少年を見て。おそらく…いや十中八九、赤の世界の住人だ。そしてジアスが連れて来たという事実…。

 

エル「ジアス…一応聞くけど、その子誰?」

 

ジアス「ん?こやつはな、赤の世界に居たマグナっちゅう竜人の子供じゃよ。『力』は全てを動かす物…あらゆる『流れ』…そう答えおったわい」

 

神々がざわつく…当然だ、今までに正しく答える事が出来た者など一人とていなかったのだから。と…

 

マグナ「なぁ…ジアスの『ジジイ』、此処が天界な…ん!?」

 

刹那。彼の首筋に置かれた刃達…無論殺意が籠った其れは、一歩間違えばジアスさえ巻き込みかねない程、ギリギリな所に有った。

 

???『口を謹めよ、竜人のガキ。ジアス『様』と呼ぶのだ』

 

イシュ『そう言って仏陀切るつもりだったのなら、私も容赦はしないぞ。『スサノ』よ』

 

睨むイシュ・バラムの視線の先…黒い龍鱗を纏い、背には先程まで浮遊し、マグナ達を取り囲んでいた8本の剣が次々にくっついて行く。彼はジーク・スサノ・フリード、龍の武神の一族の血を引く存在であると同時に、防衛軍の特別顧問でもある。

 

彼は誰にも頼る事無く、自らの努力と気の遠くなる研鑽を積んで、現在の地位にまで至った。其故、何処ぞと知らぬ竜骨が自分より高位…それも赤の絶神になる等とおいそれと認められるものではない。

 

スサノ「ガキ、俺はお前を赤の絶神とは認めない。絶対にだ」

 

睨み付けるスサノ・フリード。だが…

 

「へっ」

 

にんまりとマグナが笑った。

 

スサノ「何がおかしい」

 

マグナ「最初から認められるなんざ思ってねーよ、黒龍のおっさん。そんで其処らの神様達よぉ。

 

俺の力は確かにアンタ等と比べりゃあ、ちっこいなーんも知らねぇガキみたいなもんだ。だが、これだけは言っとくぜ」

 

彼は天を指差し、高らかに宣言する。

 

「此処に居る神様全員、俺を絶神にして良かったって!誇りに思える神になる!

 

だから見いておけ!」

 

刹那、天界の空にかかる雲が晴れ、無数の黄金の光がマグナを包む。軈て光の中から現れたその姿…。

 

煌めく美しき神の羽衣と、赤い鳳凰の如き六枚の翼、そして強靭な力を宿したであろう肉体。彼の姿に神々は動揺を隠せない。

 

ジアス「ほぉ…まさか、『天界の意思そのものがマグナを神と認めおった』か…此れはいよいよ本格的に認める必要が有るんじゃ無いか?皆の衆」

 

神の住まう世界がマグナの存在を認める。つまりこの竜人の子供には其れだけの秘めた力と才が在る事と動議なのだ。軈て彼を認めぬ意思を持つ神々は静かになり…ジアスは他の絶神の元にマグナを導く。

 

クロム、シュトロ、エル、ガルヴァは半月の陣を組むようにして二人を待つ。

 

ジアス「これより、赤の絶神任命の儀を執り行う!」

 

ジアスの声を皮切りに、他の神々が一瞬で整列し、片膝立ちで見守る中、五絶神は各々が手を前に翳し、マグナにこう告げた。

 

エル「マグナ。貴方は自らが神であることを自覚し、赤の世界の最高神たる存在として振る舞い、生きとし生きる生命の為に、戦う事を誓いますか?」

 

マグナ「おう!」

 

シュトロ「マグナ。てめ…おっほん!…お前は神として運命と戦う者を見守り、そして其の者が乗り越えるべき試練を与える事を誓うか!」

 

マグナ「おう!」

 

ガルヴァ「マグナ。貴様は神として己の誓いを守り、神の力をお前の為ではなく、この世界を護る為に使うと誓うか?」

 

マグナ「おうよ!」

 

クロム「マグナ。貴方は其の身、其の命が尽き果てる瞬間まで、神として生き、神として戦い、神として死ぬ事を誓いますか?」

 

マグナ「おう!」

 

ジアス「マグナよ。以上の誓いを守り、全てを滅ぼす存在を、我等絶神の名の元に打ち払うと誓いを立てるか!!」

 

マグナ「当たり前だ!」

 

彼の返事を聞き届け、五絶神の手から黄・青・紫・白・緑の光の球体が離れ、マグナの周りに着くと、彼の体から赤い球が出て、彼の掌に収まる。

 

と、他の球が粒子となって彼の物に吸い込まれ、球は業々と燃える深紅に変わり、白の文字で『剛力』の二文字が浮かび上がったのだ。

 

マグナ「こう…ちから…?」

 

ジアス「剛力(ごうりき)…お前さんに与えられた絶神の力じゃ。マグナ、この瞬間より…お前は『六絶神 剛力のドラグマグナ』と名乗るが良い!!」

 

ジアスの宣言。マグナは軈て其の珠を掲げる。

 

マグナ「頑張るぜ!剛力のドラグマグナ…今日から天界の一員として!」

 

かくして…永らく空席であった、赤の絶神が遂に誕生した。

 

果たして幼き絶神…マグナは、この先どのような活躍を魅せるのであろうか?

 

彼の伝説は始まったばかりだ…




如何でしたか?マグナの絶神就任のおは

マグナ「おいごら!オレの黒歴史を勝手に明かすな!はずいだろ!」

え?だって『マグナが主役となる番外編』を書く事が本編再動の条件なんだよね?ちゃんと書いたじゃないか(黒笑)。

マグナ「あとで覚えとけ…しかしよぉ、最近のバトスピ事情はどんなもんさ、お前」

個人的には仮面ライダーがバトスピに参戦した事が一番嬉しかったですね。特撮系統でセイザーX、リュウケンドーに並んで好きな奴ですから。

マグナ「お、年齢バレか?」

やめい。後は、創界神(グランウォーカー)ネクサス…ですかねぇ。「ネクサスにも何時かXレア来るんじゃないかな?」と悶々想像脹らませてたら来ちゃった訳ですし。

マグナ「んで、そのグラなんちゃら?そいつはどうするつもりだ?小説出すんか?」

出す予定はありますが、今はまだその時では無いですね。結構先の先になるかと。では、オリカ紹介を入れて終わりにしましょう。

* * *

ネオ・ライフチャージ マジック 緑6(緑2赤1極1)

手札のこのマジックカードは、自分のフィールドにアルティメットがいる間、コスト4として扱う。

フラッシュ:コスト3以上の自分のスピリット/アルティメット1体を破壊して、ボイドからコア2個を自分のリザーブに置く。この時、破壊したカードの種類によって、以下の効果を発揮出来る。

赤:デッキから1枚ドローする。
緑:この効果で増やすコアの数を+1する。
アルティメット:次に召喚するアルティメットのコストを3少なくする。

* * *

バルムンク・エボルト マジック 赤5(赤3)

セットされている/トラッシュのこのカードは一切の効果を受けない。

(バースト:相手のスピリット/アルティメットのアタック後)自分の手札とトラッシュにある系統:古竜を持つスピリットカード1枚ずつをコストを支払わずに召喚する。この時、自分のライフが2以下で、手札に(煌臨)を持つスピリットカードがある場合、そのカードの持つ煌臨条件を満たすスピリットが居るなら、ソウルコアをトラッシュに置かずに、(煌臨)出来る。その後、コストを支払う事で次の効果を発揮する。

フラッシュ:自分のフィールドに(煌臨)を持つスピリットが居る時、このバトル終了後、相手のアタックステップを終了する。

* * *

ドラゴンズラッシュ(リバイバル) マジック 赤6(赤4)

メイン:このターンの間、系統:古竜/星竜/竜人を持つ自分のスピリット全ては、BPを比べて相手のスピリットを破壊した時、バトル終了後に回復出来る。自分のフィールドに(煌臨)を持つスピリットが居る時、そのスピリットの煌臨元のカードを破棄する効果を発揮する時、代わりにそのスピリット上のコアを同じ数トラッシュに送る事で、その効果を発揮出来る。

フラッシュ:スピリット/アルティメット1体のBPを+3000する。

* * *


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東方激闘魂 第18話 起源覚醒の刻 其の龍の名はイシュ・バラム

長らく御待たせしました!

今回は龍虎の謎が増える&バシンがパチュリーとの会合を果たす回です!よってバトルはごさいません!!!(ヴェッ!?)

それでは本編レッツゴー!


マグナ「前回のあらすじだ。

 

亥坊主をブッ飛ばして倒れた龍虎をバシンと共に、紅魔館に運んでいた俺達だったんだが、門番の中国あんまんに邪魔された。まぁバシンの勇気ある決断で、単身突撃した俺様だったわけだがな。

 

バシンのバトルだが、あんまんのヤローめアルティメットを従えて滅茶苦茶強くなりやがって…しかもアイツはダブルドロー(リバイバル)の隙を突いた、甲殻伯メタリフェルでジークフリードを破壊しやがった!

さらには追い討ちと言わんばかりの四魔卿アルティメットの1体、ヴァン・ディールまでもが登場、その強大な力・ソウルドライブがバシンに牙を向く。

 

だが…アイツは諦めなかった。一瞬のチャンスを逃さず、バーストのバルムンク・エボルトでジークフリードを煌龍皇まで進化させたんだよ!凄すぎだぜ!さらに赤魔神とのブレイブで煌龍皇を強化して、四魔卿共々アルティメットを爆殺!スカッとするじゃねぇか!!!

 

バトルが終わった後、どうやらバシンのジークフリードが6枚のカードに分裂したらしい。奴等の言う事には、龍虎が覚醒を促したとか言ってるんだが、どうゆう意味なんだろうな?

 

ま、そんな事は捨て置いて、此処からは俺様のハチャメチャターンだ!期待しとけよ!」

 

* * *

 

マグナ「………………………………」

 

俺様の名前はドラグマグナ。グラン・ロロが産まれる前から世界を見守っている6体の神の内の1人だ。つまり、滅茶苦茶偉いってわけだ。

 

で、そんな世界を見守っている偉い神様の俺が暇を…ゴホン。尊い仕事をしている俺様が、何故こんなちんけな世界、幻想郷に居るかって、疑問に思う奴等も多いだろうなぁ?

 

暇つ…ゲフン、八雲のババアが言うには、幻想郷に迫る危機がグラン・ロロどころかバトルスピリッツそのものの消滅の危機に在るとか聴かされた訳よ。

まぁ、そんな大危機に動かねぇ馬鹿な神は居ねぇし、面倒だが引き受けてやることにした。

 

だが実際行ってみたら、博麗霊夢の神社の奉り神にされるわ、一日中座布団の上にカードのまま放置されるわ、退屈しかねぇ!

 

だが、あのババア…とんずらしようとした俺をタコ殴りにするほどにブチギレてやがった。辛くも逃げ延びた俺様だったが、コアの殆どを逃げる事に使っちまい、危うく死にそうな状況に陥って…。

 

そんな俺を龍虎が救って、八雲のババアから守ってくれた。そん時に決心した、俺はコイツの相棒になる…ってな。

 

マグナ「…さっきも通ったよな?」

 

マグナは紅魔館へ突入してから長い廊下を行ったり来たりと、進み続けていたのだが、彼はこの屋敷の中で完全に迷ってしまっていたのだ。

 

長く続く廊下と、同じ扉に同じ窓。羅列する同じ景色は少なからずマグナの感覚を狂わせていた。まさに入れば最後、脱出不可能な迷宮の中。マグナは負傷したチルノ達と、目覚めない龍虎を保護しながら、出口なき屋敷の中をひたすら彷徨い続けなければならな

 

マグナ『チェストぉ!!!』

 

爆裂、破砕、激震。砕け散る窓ガラス達に、折られた複数枚のドア…。

 

犯人はマグナ。彼は事も有ろうに、人様の屋敷の壁をぶん殴ったのである!!!

 

マグナ「はっはっはぁ!!!そうだ、最初からこの方法で行きゃ良かった!壁が有るなら殴って壊す!正にシンプル・イズ・ベスト!!!」

 

ゲスい顔で高らかに笑い、二等親の体で次々に壁をブッ壊しながら、マグナは嬉々として進み続けて行く。

まるで彼のやっている事は、破壊神以外の何者でも無い。

 

邪魔する物は自らの拳で破壊し、道を切り開く。

例え其れが分厚い地盤(プレート)だろうと、広大に広がる深い海だろうと、宇宙の中の巨大な星だろうが、彼には関係無い。

 

彼は唯、己の力と拳で突き進む。其れが六絶神 剛力のドラグマグナなのだから。…とは言ったが、器物損壊による因果応報はそう遠くない未来に必ず訪れるだろう。

 

マグナ「ドラララララララララララララララララララララララララララ!!!ドラララララララララララララララララララララララララララ!!!」

 

暴走列車の勢いで、壁を壊し続けるマグナ。この御馬鹿神を止める奴は現れるのか!?

 

* * *

 

???「騒がしいわね」

 

紅魔館の、とある一室。どの部屋よりも広く、赤に染め上げられたカーペットと床。そしてルビー色の大きな玉座に座る、一つの影。

 

???「咲夜、此処に忍び込んだ蠅の掃除をお願い」

 

暗闇の中で「御意」と一声。

 

???「レミィ。どうやら『其奴』は宝物庫の方角に向かっているようだ。確か彼処には…」

 

???「………あぁ、『起源の紫水晶』が在ったな。何、奴には其の中身を奴に開けられない。心配するな『ウロ』よ」

 

暗闇で少女と思しき声と深い重い男性の声が響き合う。

 

* * *

 

マグナ「ドララララララララララララララララララララララァアアアアアアアアアア…!!!!!!

 

ドラァッ!!!!!!!!」

 

扉を壁を壊して、壊して、壊しながら、マグナは一際開けた薄暗い場所に辿り着いた。其処は箱や棚ばかりが並び、部屋全体が埃臭く、息をするのもキツい。埃にアレルギーを持つ者は、間違いなく即倒どころか即死への一方通行待ったなしの状態である。

 

マグナ「ゲォッフ!ゲホ、ゲホ!?何じゃこの部屋ぁ!?埃だらけでカビくせェ!まともな掃除も出来ねぇのか、此処の屋敷のメイドはよぉ!!

 

おぅえっふ!!ゲォエフ!…あ?」

 

咳き込み続けていたマグナだったが、彼は部屋の中央に鎮座している『あるもの』を見つけた。

 

其れは…『龍の彫刻』。其れも総重量3トンは下らない『紫水晶(アメジスト)の塊』で出来ていたのだから。埃まみれの部屋だが、この水晶彫刻だけは念入りに清掃が施されており、マグナが破壊した壁から漏れる、一筋の日の光に照らされて、淡い紫の輝きを放っている。

 

マグナ「何じゃこりゃ…」

 

宙に浮き、フワフワと近付くマグナは、何故か水晶から『懐かしい』雰囲気を感じ取っていた。

「う…あ…」と細く弱々しい蚊取り線香並みの声がしたのは、ほぼ同時であった。

 

マグナ「龍虎!?目覚めたか!」

 

龍虎「マグナ…?誰、だ…ろう…『声』が…」

 

マグナ「声?俺達以外居ねーぞ、どうしたよ?」

 

龍虎「ううん…『聴こえる』、私を…『呼んでる』…」

 

マグナは疑問を抱きつつも、作り上げた結界を解除。解放された龍虎はフラフラと、まるで光に蛾が吸い寄せられる様に、紫水晶の彫刻へと近付いてゆく。

 

龍虎「間違い、ない…此処から、聞こえてくる…」

 

震える腕を、手を伸ばし、彼女は彫刻へと静かに触れた。次の瞬間、紫水晶は今までとは桁外れの光を内側から放ち、全体に無数の皹が迸り、粉々に砕け散り、紫色の粒子に還ったのだ!!

 

マグナ「な、何が起きてやがる…!?」

 

* * *

 

???「!?…ありえない、こんな事が…!」

 

???「レミィ、どうし」

 

???「…『起源の紫水晶』を、たかが人間が『開放』した…!」

 

???「…!それは、君の『運命』とやらに映らなかった、未来か?」

 

???「…ああ、そうだ」

 

顔を覆い、真っ暗な天井を仰ぐ。彼女にとって『想定外の出来事』に、口調や呼吸に大きな動揺が見られた。

 

???「逆に考えるのはどうだ?起源の紫水晶が開放された事により、『中身を回収する手間が省けた』と。

 

解き方が分からなかったのだ、その段取りを一つ飛ばせた…そう考えれば状況は変わるであろう?」

 

そんな言葉に、はっと我に返り、「そ、そうだな!」と納得する。彼女は次なる手に移るため、行動を開始した…。

 

???《ククク…全くもって御し易い。五百年生きているとは言っていたが、我からすれば『日よっ子』の部類だ。さて…どう遊んでやろうか》

 

嘲り嗤う、黒い悪意に気付く事すらなく…。

 

* * *

 

龍虎は浮遊していた。薄い紫色の靄で満たされた空間の中で。

 

龍虎「此処…どこ、かな…?」

 

???『フム…人間(ひと)の子が、私の空間に入るのは一体何時振りか』

 

重さを纏う男性の声が響き、紫の光の粒が一ヶ所に集まり、形を成してゆく。

四肢と翼に纏う洗練された紫水晶の刃、龍の髑髏のように痩せ細い顔、体。そして蛇のような長い舌と尾。

 

龍虎「貴方は…」

 

???『…忘れてしまったか?私の名を』

 

えっ?と首を傾げる彼女を見た紫の龍は、彼女の周りを回りながら、成程納得といった具合に頷いている。

 

イシュ『まぁいい。では…初めましてだな、虹色

龍虎。私の名は『イシュ・バラム』。君達が普段から楽しんでいるバトルスピリッツ…その世界のグラン・ロロの『夜』を創造し、紫の世界の根本を作った。

 

皆は私を『紫の起源龍』…そう呼んでいる』

 

とんでもないドラゴンだった。紫の世界と夜そのものを創造を成した存在。それが今、彼女の目の前に居る。

 

龍虎「…どうして、私の名前を?」

 

イシュ『君の事を『私達は』ずっと見ていたからさ。

 

…君が『様々な世界を旅した時』も。『グラン・ロロを創る大いなる決断をした瞬間』も…ね』

 

龍虎「…はい?どうゆう、こと…?」

 

意味が分からないといった具合の龍虎を他所に、イシュは彼女の目の前で紫の刃を振るう。すると空間内に円上の大きな穴が忽然と開き、バチバチとスパークが迸る。

 

イシュ『マグナ。居るのだろう、入ってこないか?』

 

マグナ『やっぱりてめぇか!イシュ!!』

 

穴から二頭身状態のマグナが現れるが、空間に入ったとたんに其の姿はバトルフィールドに居る時と同じ、筋骨粒々の六つの翼を持つ巨大な龍の姿に戻ってしまう。

 

イシュ『久し振り、マグナ。相変わらず元気にしているようだね』

 

マグナ『はん!陰湿星眺めの老い耄れドラゴンに比べりゃあ、此方は元気が有り余ってんだよ!!』

 

ブンブンと腕を回し、シュッシュッと巨体に似合わぬ高速ジャブを放つ。

 

龍虎「あの~…二人ってどうゆう関係、なの?」

 

イシュ『マグナよりも大先輩のドラゴン』

 

マグナ『あ?てめぇの方がグラン・ロロ創造時に部下になったに決まってるだろうが?』

 

イシュ『経歴は私が上だがね』

 

マグナ『立場は俺が上だ!』

 

イシュ『私だ』

 

マグナ『俺だ!!』

 

口論開幕。ワーワーギャーギャー騒ぎ立て、両者の言葉がドッジボールで投げられる玉のように行ったり来たりを繰り返し続ける。が…

 

マグナ『俺に決まっとろうがい!』

 

バキッと嫌な音が一つ。マグナの拳がイシュの顔面を直撃、頬から紫色の血が一筋流れた。

 

イシュ『……………やってくれましたね』

 

御返しとばかりにマグナの強硬な胸を、紫の鋭い一閃が切り裂き、皮膚からプツプツと気泡が現れた刹那、赤い血がスプリンクラーめいて弾ける。

 

イシュ『久々にキレましたよ。其の分厚い筋肉を小間切れに解体し、食べて差し上げましょう』

 

マグナ『上等だゴラァ!やれんもんならやってみやがれやぁ!!』

 

売り言葉に買い言葉。待った無しに空間内で始まった神と龍の戦い。斬打が飛び交い、血が噴出し、数多の叫びと共に技が放たれた。

 

マグナ『剛力火炎砲弾!!』

 

イシュ『次元死界断!!』

 

龍虎は唖然と立ち尽くし、二体の戦いを止めることも出来ない。叶わない。

 

ゴツン!

 

龍虎「いたっ!?」

 

空間の破片…たかが一片、それも小さな欠片が龍虎の額を直撃したのである。まさに其の瞬間だった。彼女の中に在った堪忍袋の尾が、ブチンと音を立てて切れたのは。

 

マグナ『倒れやがれや!』

 

イシュ『暑苦しさにも飽きましたよ』

 

龍虎『いい加減にしなさい!!!!!!!!!』

 

至近距離で雷が落ちたような大音で、紫色の空間が轟き揺れた。二体が振り向くと、其処に立っていたのは…龍虎。されど其の姿、怒髪が天を衝くよう…長く美しい虹色の髪が業火の如く逆立つ。表情は正しく鬼神そのもの。

 

刹那、二体はまるで『白亜元帥レイザウラー二体の効果でアタックを封じられ、エクストラターンを残したまま、裁きの神剣リ・ジェネシスと合体した断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスに調理されるのを待つのみ』のような感覚に支配され、全身から滝のような汗を噴き出し始めたのである。

 

龍虎「喧嘩は駄目よ。良いわね?」

 

二体『アッハイ』

 

普段は温厚で、バトスピになれば人一倍真剣に向き合い戦う龍虎。そんな彼女を怒らせたらどうなるか…。マグナはチルノに憑依し暴れた、亥の十二神皇カラミティボアとの戦いで、蒼天 龍虎の人格になった状態の彼女を一度見てこそいたものの、改めて思い知らされた。イシュに至っては紫の龍皮がブルーベリーみたいな真っ青に変貌し、顔色もすぐれていない。おそらく彼女がこんな表情を見せるとは、思ってなかったのだろう。

 

* * *

 

イシュ『コホン…。では、話を戻す。

 

虹色 龍虎。君は紫からバトスピその物が消滅の危機に瀕していると言うのは、聞かされているか?』

 

数分後。ほとぼりが冷めた頃、イシュ・バラムが龍虎に対して問い掛けた。うん、と彼女は首を縦に振ったのを見て、そうか…と呟いた彼を、龍虎は何か合ったのかと気になった。と…

 

イシュ『龍虎。君はバトスピの為に命を掛ける覚悟は在るか?』

 

マグナ『…!』

 

龍虎「命を…掛ける…」

 

イシュの問いにマグナは少し驚いた顔をし、龍虎は自分の胸に手を当て、鼓動を感じ取る。

 

イシュ『そう、君自身の命。一つの命を以て、バトスピを消し去らんとする、強大な悪意を打ち倒す覚悟。君』

 

龍虎「出来るよ」

 

出来る。その一言が烈神速の速さで飛んできた。イシュは唐突な返事に、『……………は?』と答える事しか叶わない。

 

龍虎「バトスピを守るんでしょ?出来るよ、命を懸けるくらい」

 

イシュ『いや、龍虎…?君は自分が何を言っているのか…』

 

疑問が解せないイシュ。そんな彼をマグナは肩を叩いて言う。

 

マグナ『話すとなげーんだが、龍虎は昔にまぁ色々と辛い経験をしたんだ。そんときにバトスピに出逢って自分の人生を救われた。

 

龍虎にとっちゃ、バトスピは『自分自身の人生』そのもの…其れが無くなったら龍虎は龍虎じゃ無くなっちまう。命張れるつーのは、そーゆー理由があんのさ』

 

フフンとドヤ顔で胸を張ったマグナに、いや何で得意気に話してるの?と言った感じの龍虎。

 

イシュ『ハハハハハハ…!』

 

そんな一人と一匹を見ていたイシュは高らかに笑い出す。

 

龍虎「な、何…?」

 

イシュ『いや、済まないな。いきなり笑って。成程成程…マグナが君を認めた理由が理解出来てね。

 

どうやら龍虎、君は生粋のバトスピ馬鹿だな。それも最高の意味で』

 

龍虎「そうよ。私にはバトスピしかないもの、それが無いと生きていけないわ。何よりも何処ぞの誰かに、バトスピを消されるって緊急事態に黙っているバトラーは、一人だっていないわよ!」

 

という訳で!と龍虎はイシュに向けて手を翳して宣言する。

 

龍虎「イシュ・バラム!貴方の力、私に貸して頂戴!」

 

にっこりと真っ直ぐな笑顔。イシュはコクリと首を縦に振って、紫の粒子へと変化してゆく。

 

イシュ『良いだろう。このイシュ・バラム、虹色 龍虎とバトスピの未来を護るために力を尽くそう』

 

粒子の奔流は彼女の周りを徘徊し、軈て彼女の腰のベルトに付く『紫色のデッキケース』へ集束する。それと同時に龍虎達の意識は揺らぎ、目の前が真っ暗になった…。

 

* * *

 

龍虎「んぁ…」

 

マグナ『気ぃ付いたか、龍虎!』

 

龍虎「此所…って…」

 

彼女が目を開けると、先程まで居た空間は無く、薄汚れた埃だらけの部屋が広がる。その時、ハッとなり自身のデッキケースの中身を調べ始め、紫のケースに今まで入っていなかったカードを発見した。

 

龍虎「…これ、あの時の」

 

マグナ『ああ、間違いねぇ。イシュ・バラムの気配を感じる。あの時、確かに俺達はコイツと逢って話をしてたみてぇだ』

 

???『見つけたわ』

 

ギョッとなる。背筋が凍り付き、恐る恐る振り向く。

 

マグナ『…ひゅぅ~。想定してた中で一番やっべーやつが来やがった』

 

十六夜 咲夜。廊下の光を背に立つ彼女の瞳は、赤に染まっている。

 

咲夜「さぁ…その手にあるカードを渡しなさい。そして今すぐ館から出ていく事よ。命が惜しければ…」

 

マグナ『断る。誰がてめぇの言う事聞くか』

 

龍虎「ま、マグナ!此所は穏便に…」

 

マグナ『だが、俺様も鬼じゃねぇ。今からバトスピで勝負して、お前が勝ったら『何だって言う事を聞いてやる』。

 

が…俺達が勝った場合、此方の言う事を聞いて貰う。どうだ?』

 

悪魔の如き笑みを浮かべ、マグナが囁く。あわわ…と成り行きを見守るしかない龍虎、視線を向けたまま思考する咲夜。

 

咲夜「…良いでしょう。貴方、それだけ大口を叩いたのだから、負けた場合のリスク。覚悟は出来ているのでしょうね?」

 

マグナ『阿田保うよ。俺も龍虎も既に出来てるかんな』

 

龍虎「話を勝手に進めないでぇえええええ!?」

 

龍虎が叫ぶも虚しく、バトルによる約束は結ばれた。地面に膝付き落ち込む彼女に、マグナは言った。

 

マグナ『勝ちゃあいんだよ、勝ちゃあ♪』

 

龍虎「他人事みたいに言わないでよ…もう…。

 

まぁ…やるからには、勝つしかないのも分かってるのが悲しい…

 

あああもぅ!やってやるわよ!コンチクショー!!」

 

ヤケクソ気味に彼女は腰にある『赤のデッキケース』に触れた。其の瞬間、彼女の瞳孔は黒から金に、髪も真紅に一瞬で染まる。

 

紅蓮「やるぜ!やるぜ!やるぜぇえええええ!!この俺ッ!紅蓮 龍虎の爆熱バトルが始まるぜえええええ!!マグナぁ!!」

 

マグナ『おう!バトルスフィアフィールド、展開!!ダアッ!!!』

 

地面に叩きつけると同時に、金色の半球体が二人を包み、覆い尽くす。そしてマグナの二頭身の体が光に包まれ、カードへ変わると、彼女はそれを掴むとデッキに収納し叫ぶ。

 

紅蓮「今日のバトルは深紅の炎が全てを焼き尽くす、赤く熱いバトルになるッ!!!!」

 

咲夜「遠慮はしない…!此所で貴方に勝つ!」

 

二人『ゲートオープン!界放!!!』

 

イシュ・バラムを巡る、二人の戦いが静かに始まりを告げたのだった。

 

* * *

 

一方のバシン・美鈴組は…

 

美鈴「此方から音が!右側へ!」

 

バシン「おう!」

 

紅魔館内に響く破砕音と残骸と化した壁を辿り、二人と一匹はマグナを追い掛け走っていた。マグナによって足止めを食らった挙句、器物損壊までされた美鈴にとって、門番失格とも言える事態。

何としても奴を捕らえ、汚名を削がねばならない…そうでなければ、皆に顔向け出来ないのである。

 

だが…

 

『むきゅうううううううううう!?!?!?!?』

 

そんな彼等の耳に届く、悲鳴に似た声。

 

美鈴「パチュリー様!?今の悲鳴は何か有った!?」

 

バシン「パチュリー?誰だ?」

 

美鈴「バシンさん!すいませんが、今から図書館に向かいますよ!」

 

バシン「え、ちょ!?マグナはどうするんだ!!!」

 

美鈴「咲夜さんなら、あの暴れ神くらい何とか出来ます!パチュリー様は昔から御体が宜しくないのです!」

 

早くッ!と叫んで美鈴は加速してゆく。バシンとアイボウはそんな彼女の背中を必死に追い掛け続け、軈て巨大な扉が見えてくる。

 

美鈴「パチュリー様!ご無事ですか!?」

 

扉を開き、美鈴が其の名を呼ぶ。後に続いたバシンとアイボウは目の前に飛び込む景色に唖然となった。

 

縦八段以上、横数百メートルはあろう棚一杯に、これでもかと詰め込まれた数多の本。遠目で分からないが、見た目や大きさ、幅がどれも異なっていて、中には年季の入った物もある。

が、問題なのは両端の壁。大きな穴が空いて周りには其の残骸が飛散していたのだ。真ん中には、仰向け大の字で泡を噴いて倒れているパジャマ姿の紫色の髪をした少女が一人。美鈴が抱き起こし叫んでいる。

 

美鈴「パチュリー様!しっかりしてください!」

 

パチェ「むきゅ~…」

 

バシンとアイボウは美鈴が彼女を起こすのを待ちつつ、空いた壁を見る。形状からして普通ならばトレーラー等がぶつかって壊れたと判断するのだが、バシンの首に掛ける赤の輝石が僅かに輝く。

 

バシン「輝石が反応してる…となると、アイツだけだよな…」

 

アイボウ「だな」

 

最早マグナ以外に思い当たる節がないのだ。

 

パチュリー「…ううん…?」

 

美鈴「パチュリー様!…良かった、お目覚めになられて」

 

パチェ「…美鈴。ああ、私…気絶してたのね。

 

で、其処に居るのは…?」

 

美鈴「バシンさんと、白鼠のアイボウです。後もう一人いるのですが、現在別行動中につき居ません。

 

それよりもパチュリー様。私達はこの館に潜入し、破壊活動を行った不届き者を捕らえる為に動いています。

 

赤い二頭身のトカゲです…御存知でしょうか?」

 

美鈴の問いに、少し待っててと返す。するとパチュリーは目を綴じ指を徐に振るうと、部屋の奥からふわふわと水晶玉がやって来て、彼女の掌に吸い込まれるように乗っかったのである。

 

アイボウ「オメェ、超能力者か!?」

 

パチェ「超能力者じゃないわ、私は『魔女』よ。それに女の子に対して『オメェ』だなんて、随分失礼な口の聞き方するのね。小さなネズミさん。…コホ」

 

バシン「風邪でも引いてんのか?」

 

パチェ「昔からの病気。…毎日怠くて、正直あんまり動けない」

 

が、何を思ったのかパチュリーが一瞬、黒い笑みを浮かべたのを美鈴は見た。同時に直感する…何かとんでもない事を彼女が企んだのを。

 

そして、こう切り出した。

 

 

 

 

 

 

パチェ「…ねぇ、バシン君。今から私とバトスピで勝負しない?」

 

 




そんなこんなで投稿が遅れてしまい、本当にすいませんでした。

マグナ『そいや最近なんかヤバかったんだって?』

まぁ…ね。会社に新入りさんが入ったんだけど、その人『カードゲームに金注ぎ込む連中の心理が分かんない』って言ったんよ。しかも手際悪いし、サボる、しかも一ヶ月で辞めるの三重苦…そしてその尻拭いで私は11連勤…アハハハハハハハハハ(乾笑)

いくら温厚な私も流石にぶちギレましたよ…(青筋ビキビキ)

マグナ『うわぁ…作者が怒るとか滅多にねぇってのに』

…てな事があり、立ち直り+執筆活動再開に時間が掛かりましたといった具合ですね。

それでは次回予告を。

紅魔館のメイド、十六夜 咲夜。彼女には龍虎との戦いで絶対に負けられない理由が有った。彼女が自らの誇りと力の全てを賭けた全力全開の『タイムストップバトル』。対するは、新たな仲間を加え、更なる進化と成長を遂げた『俺ドラ・新』を駆り操る龍虎。

紫の起源龍イシュ・バラムを賭けた両者の戦いが始まる。

次回、東方激闘魂・第19話。

咲夜vs龍虎!攻略せよ、タイムストップバトル!

絶対、見てくれよな!



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東方激闘魂 第19話 龍虎vs咲夜!攻略せよ、タイムストップバトル!

近況報告と新オリキャラ その1

マグナ『久し振りだなオメーら。最近のバトスピ環境の激変仮面ライダービルドロストで夏風邪+夏バテを併合発病し、数少なかった休日を棒に振った挙句、テンションと執筆意欲駄々下がり作者に変わって、挨拶させてもらった。

しかし、まさかブレイドラが制限入りったぁ、面白い事になったな』

???『そーだねー!』

マグナ『なんだこのおっさん!?じゃなくて、なんだこのチビドラゴン!?』

トラゴン『ドラゴンじゃないよ!オイラ、『リュートラゴン』だよっ!マグナのにーたん!』

マグナ『にーたん!?』

トラゴン『そう!オイラのにーたん!かーたんはリューコ!』

マグナ『どうゆうことなの…?』

登場したのはマグナも知らぬ、新たなドラゴン。果たしてこの子の目的は何なのか!


龍虎「前回のあらすじ。

 

倒れた私やチルノちゃん達を介抱するために紅魔館に忍び込んだマグナは、屋敷の中で暴れ回り、咲夜さんに追われる事になった。そしてマグナを懲らしめるべく、美鈴とバシンさんは私達の後を追い掛ける。

 

マグナが破壊の限りを尽くして辿り着いたのは、紅魔館の宝物庫か物置なのか、よく分からない埃だらけの場所。そんな部屋の中央に置かれていたのは、アメジストで出来た巨大な龍の像。私が其処に触れた時、不思議な事が起こった。

 

像の中に居たのは紫の起源龍イシュ・バラム。グラン・ロロの夜を創ったとんでもないドラゴン。私は彼にバトスピを護る為に力を貸すよう願い、彼は私の願いに同意してくれた。

 

けれど、マグナとイシュを狙う咲夜さんが現れて私は(半ば強制的に)バトルする事に…

 

その頃、バシンさん達は紅魔館の中にある巨大な図書館に辿り着き、此処の主であるパチュリー・ノーレッジと出逢う。でも何だか様子が変だけど…。大丈夫よね、きっと…

 

それでは本編が始まります!」

 

※今回のバトルではオリカードが多数出ます。ご注意ください。

 

※またテロップを見直した結果、1話で収まりきらないので、前編後編の2つに分割します。

 

* * *

 

バトルスフィアフィールド内…カードに宿る意思と感情が具現化する特殊な神の戦場。殺風景な荒野で、吹き荒ぶ風は程好く乾き、向かい合う両者の肌を撫でる。

 

咲夜「私が勝てば、貴女が持つ起源龍のカードを貰う。アレは貴女のような下民が持つべきカードではない。

選ばれたバトラー…そう、お嬢様のような気高い魂を持ったバトラーが使ってこそ、真に価値を得るのよ」

 

マグナ『おーおー好きに言ってくれやがる。そんなにチビッ子吸血鬼の点数稼ぎしてぇのか、PAD長さんよぉ?』

 

切迫し殺意を帯びる彼女に対して、これでもかと霊体状態のマグナは咲夜に酷い事を言い放つ。

 

マグナ『ま、お前がいくらやったとこで、龍虎にゃ勝てねぇがな!アギャギャギャ!』

 

紅蓮「マグナ、バトルに絶対なんか存在しねぇ。俺が負ける場合だってある。それに彼女、最初に逢った時から大分強くなっているようだ。

 

…油断するなよ」

 

おうよ!と応え、マグナは赤の粒子と変わりデッキへと戻った。

 

紅蓮「先行は貰う。スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

じゃ早速…俺ドラに加わった新しい仲間を紹介するぜ!」

 

咲夜「新しい仲間?」

 

紅蓮「こいつさ。龍に仕える巫女クナ、召喚(手札5→4・リザーブ4→1・トラッシュ0→2)!」

 

亀甲形のルビーの結晶が砕け散り、小麦肌でサンバのような衣服と赤い羽衣を纏う一人の少女がフワリとバトルスフィアフィールドに降り立つ。眼は青と黄色のオッドアイ、その表情は優しくも美しいスピリットである。

 

クナ『あら、龍虎。今日はバトルの御誘い?』

 

紅蓮「そんな所だ、頼むぜ?クナ」

 

クナ『オーケー、任せなさい』

 

咲夜(龍に仕える巫女…コスト2のスピリット、陰陽童ようなカードだと厄介な事になる。早急に対処しなければ)

 

咲夜の予想…それは『半分』当たっていた。だが、このスピリットの『真価』は早い段階で発揮される事になる。

 

紅蓮「これでターンエンドだ、さぁこいッ!」

 

 

紅蓮 龍虎 ライフ5 手札4 リザーブ1 トラッシュ2

 

龍に仕える巫女クナ レベル1(SC)2000

 

 

咲夜「スタートステップ。コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ネクサス、彷徨よう天空寺院を配置(手札5→4・リザーブ5→0・トラッシュ0→5)!」

 

バトルスフィアフィールドの上空に漂う分厚い雲の隙間から、翼龍の形をした巨大な島が現れる。彼女のデッキを支え、自身の得意とする『タイムストップバトル』を遂行する為に必要不可欠なカードなのだ。

 

マグナ『い つ も の』

 

咲夜「黙りなさい破壊神。これで私のターンは御仕舞い。貴女のターンよ」

 

 

咲夜 ライフ5 手札4 リザーブ0 トラッシュ5(SC) バースト有

 

彷徨よう天空寺院 レベル1(0)

 

 

紅蓮「しゃっ!スタートステップ!コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ!

 

それじゃ、クナの効果をつかうぜ!」

 

咲夜「!くるッ!」

 

龍虎の言葉に反応したクナが、突如として鮮やかな炎を両手に灯して、舞を始めたのである。その炎は赤々と燃え広がり、彼女を中心に光が生まれ、満ちてゆく…!

 

紅蓮「龍に仕える巫女クナのレベル1,2効果!自分のメインステップ中、俺が手札/手元から、カード名に(竜)/(龍)/(ドラゴン)と名の付くスピリット/アルティメット/ブレイブを召喚する時、『コストを2つ』!『支払った』ものとして扱う事が出来る!」

 

咲夜「コストを、支払っ…!?」

 

クナの持つ力…それは、自身の存在を条件とした特定のカードのコストを肩代わりする効果。たかが『2コスト』と考えるバトラーも居るだろう。しかし…

 

『クナが1体でも並んだフィールド』では、状況は全く別物に変わるのである。詰まる所、クナが居れば『赤の竜/龍/ドラゴンの中型スピリットが2ターン目にしてフィールドに現れる事』。それが何を意味するのか、バトラーの方々ならば、理解するのは容易い。

 

紅蓮「もう一体、龍に仕える巫女クナを召喚(手札5→4・リザーブ4→3)!そして…!

 

現れろ!星をも斬り割る気高いドラゴン!召喚、ジェネラル・ドラゴン(手札4→3・リザーブ3→0・トラッシュ0→2)!!」

 

亀甲形のルビーの結晶が砕け、クナがもう一人現れ、二人は激しく更に舞う。そんなクナ達の真上を巨大な隕石が通り、バトルスフィアフィールドに着弾し大爆発と共に砂塵を撒き散らす。

其の岩石の塊を内側から砕き破って、緑の龍皮と白を基調に金のラインが入った鎧を纏う、四枚の桃色の翼と二本の角を持った一体の巨大なドラゴンが現れた。

 

ジェネラル・ドラゴンのコストは本来ならば8。それがクナ2体の存在によって『コストが4つ支払われた』扱いであり、クナ自身のシンボルと合わせて6の軽減が出来た。それ故にジェネラル・ドラゴンは先行2ターン目と言う速さでフィールドに出たのである。

 

ジェネラル『おう、呼んだか!!来てやったぞ!!んん?クナを出したからオレァ早く出れたんだな!早く暴れさせろぉ!!』

 

紅蓮「まぁ待て、落ち着け。お前の攻撃は次のターンからだ」

 

龍虎の言葉にむすっとした表情を浮かべたジェネラル・ドラゴンだったが、『仕方ねぇ』と剣を納めると胡座をかいて、その場に座った。

 

紅蓮「俺はこれでターンエンド!」

 

紅蓮 龍虎 ライフ5 リザーブ0 トラッシュ2 手札3

 

龍に仕える巫女 クナ レベル1(1)1000 ×2

 

ジェネラル・ドラゴン レベル(SC)6000

 

 

咲夜「(思った以上に状況が悪い…早くクナを排除しないと、あっちのフィールドはドラゴンのスピリットで埋め尽くされる)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ0→1)、ドローステップ(手札4→5)、リフレッシュステップ(リザーブ1→6・トラッシュ5→0)、メインステップ。

 

貴方がデッキを強化したのと同じように、私のデッキも以前とは比べ物にならない程強くなった。来なさい、オルタドラ(手札5→4・リザーブ6→5)!」

 

亀甲形のルビーの結晶が砕け、ブレイドラに酷似したスピリットが現れる。だが、その体は真っ黒に染まっており、眼と翼は血走り純血した赤であった。

 

オルド『ヒャッハー!戦の時間だぁああ!』

 

紅蓮「何かやけにテンション高いヤツが出てきたな」

 

咲夜「続けるわよ。手札からマジック、ジャッジメントコールを使用(手札4→3・リザーブ5→4・トラッシュ0→1)!」

 

彼女が立つバトルスフィアフィールドの後側から地鳴りが響き、空間内に幾多もの波紋が広がり、震えてゆく。

 

咲夜「ジャッジメントコールの効果で、私はデッキの上から6枚のカードをオープンし、其の中にある系統:滅龍を持つスピリットカードを1枚手札に加える事が出来る」

 

咲夜のデッキの上からカードが6枚浮遊し、彼女の目の前に横一列に並ぶ。カードの内容は左から順に、彷徨う天空寺院、ソウエンドラグーン、滅龍帝ジエンド・ドラゴニス、サジッタフレイム(リバイバル)、断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスとなっていた。

 

咲夜「私が手札に加えるのは、断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス(手札3→4)。そしてジャッジメントコールには、この効果でジャッジメント・ドラゴニスを手札に加えた場合、BP7000以下の相手スピリット1体を破壊出来る効果がある。

 

破壊するのは…」

 

彼女が指差す先に居たスピリット。それは…『ジェネラル・ドラゴン』であった。

 

ジェネラル『ん!?オレだと!?』

 

咲夜「消え去りなさい」

 

『ちょっと待てや!!!』と叫ぶより早く、ジェネラル・ドラゴンの真上から巨大隕石が激突。彼はリラックス気味だった事も禍して、其の重量を支えきれずに押し潰されて爆発四散した。

 

紅蓮「仇は…必ず取る!」

 

咲夜「取れれば良いけれどね。…もう1体、オルタドラを召喚し(手札4→3・リザーブ4→3)、バーストをセット(手札3→2)。

 

これでターンエンド」

 

再びルビーの結晶が砕けて、黒いブレイドラことオルタドラが姿を見せる。そして2体のスピリットの横にカードが1枚裏向きで現れ、無数の鎖が絡み付いて固定された。

 

咲夜 ライフ5 リザーブ3(SC) トラッシュ1 手札2 バースト有

 

オルタドラ レベル1(1)1000 ×2

 

彷徨う天空寺院 レベル1(0)

 

 

紅蓮「スタートステップ。コアステップ(リザーブ1(SC)→2(SC))、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2(SC)→4(SC)・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

ここで俺はマジック、ドラゴンズ・ドローを使う(手札4→3・リザーブ4(SC)→2(SC)・トラッシュ0→2)!」

 

龍虎の手に握られたマジックから炎の龍達が顕れて、彼女のデッキの上へと集約されてゆく。

 

「コイツは、おもしれぇ効果が有るんだ。先ずデッキから1枚ドローして、その後、俺のフィールドの(龍)/(ドラゴン)と名の付くスピリット/アルティメットの数だけ、

追加でドローが出来る!

 

俺のフィールドには、『龍』に仕える巫女が2体。つまり合計3枚のカードをドロー(手札3→4→6)!…フフ」

 

「?…何がおかしいの?」

 

「いや、少し『そっちのバースト』が予測出来たからさ。きっとアンタは『グリードサンダー』をセットしてるだろう?」

 

「………………」

 

当たっている。彼女がセットしているカードは龍虎の予想通り、相手の手札増強行為を引き金(トリガー)とするバーストマジックのグリードサンダー。

このカードには、相手の手札がカードの効果で『5枚以上』になれば、手札を全て破壊し『2枚のカードを引かせる効果』がある。

 

そして咲夜の手札には『破欲の滅龍グリード・ドラゴニス』があった。算段は前回の幸村と同じ、相手が手札とフィールドを整えようとする最序盤で、その両方を切り崩しペースを掴む。後は出てきたスピリットの確実に各個撃破、無抵抗になった所を十八番たる『タイムストップバトル』で終わらせる。そう簡単な筈だった。

 

「俺の手札にある爆迅竜スピットバーン・ドラゴンの効果を発揮。このスピリット/スピリットカードがドローステップ以外で、デッキ/フィールド/トラッシュから手札に加わるとき、コストを支払わずに召喚出来る!

 

それも2体同時にノーコスト召喚だ(手札6→5→4・リザーブ2→1→0)!」

 

亀甲形のルビーの結晶が2つ同時に現れ、火炎に包まれる。軈て炎の帳を切り裂き、稲穂の如き金色の翼膜と青の竜麟に身に纏う、白い瞳持つワイバーンが2匹降臨した。

 

スピットA『ハッハッハァ!兄弟よ、戦いの時間だな!』

 

スピットB『ハハァ!活きの良い獲物はどいつだゴラァ!』

 

紅蓮「落ち着け、お前達。アタックさせてやるから、ちょっと静かにせい」

 

咲夜(グリードサンダーを使おうとしても、手札4枚じゃ破棄出来ない…まさか、手札に加わった瞬間に出せるスピリットが居たなんて)

 

当初の作戦が噛み合わず、彼女は奥歯を歯軋る。分かっている…冷静さを欠いた戦いは最も危険である事は。

 

…しかし。

 

紅蓮「アタックステップ!さぁ、此処からがドラゴン達の大進撃の始まりだぁ!!いけ、スピットバーン・ドラゴン!!!」

 

スピットB『よっしゃあああああ!いくぜぇええええ!!!』

 

龍虎の指示で、スピットバーンの1体が其の巨大な翼を広げ天に飛び立つ!

 

紅蓮「スピットバーン・ドラゴンのレベル1,2,3のアタック時効果!俺のデッキの上、もしくは下からカードを1枚オープンし、其のカードに(龍)もしくは(ドラゴン)の名前があるなら、ボイドからコア1つを自分のトラッシュに置ける!そしてオープンしたカードは、そのままトラッシュに送る!」

 

彼女のデッキトップがバチバチッ!!と火花を散らし、空へ投げ出される。ハラリハラリと漂い、トラッシュに落ちたカードは『大龍城・本丸』…赤のネクサスであり、スピットバーン・ドラゴンが指定する(龍)を含んだカードであった。

 

紅蓮「しゃあ!効果でボイドからコア1つをトラッシュに追加(トラッシュ2→3)!そしてスピットバーン・ドラゴンのメインのアタックはどう受ける!」

 

咲夜「ちぃ、ライフで受ける(ライフ5→4・リザーブ3(SC)→4(SC))!」

 

紅蓮「…あ、咲夜!ちょっと気を」

 

スピットB『だらしゃあああああああああ!!!』

 

上空から音速の速さを以て、飛来するスピットバーンを前にバリアが展開され、鋭利な翼刃の一撃から彼女を護り、フィードバックされる衝撃は『本来ならば』少しだけで済む。

 

だが、此処はバトルスフィアフィールド内。ライフで受ける選択をする事が、何れ程の危険を伴うのか。

龍虎は認知しているが、咲夜は認知していない。

 

この決定的な差がもたらすものは大きい。

 

砕け散るバリア。同時に尋常ならざる激痛が咲夜を無慈悲に襲い掛かった。

 

咲夜「…!?!!?!?」

 

心臓を直接握り潰されたかのような痛み。

バトルアーマーを纏った状態で、これだけのダメージが入る現実。

 

彼女は身を以て其れを思い知る。が…

 

マグナ『あ、いっけね。『PAD長の浸透するダメージレベルだけ』MAXにしてたわ♪』

 

紅蓮「は!?マグナ、お前何やってんだ!?」

 

マグナ『いやぁ、オメェ等のバトルを見てたら興奮しちまってな!うっかりだ、すぐ戻すから安心しとけ!』

 

ケラケラと『まるで咲夜を嘲笑うような』、そんな声を出すマグナ。刹那、咲夜の中に在った堪忍袋の尾がブッツリと逝った。

 

咲夜「…殺す!」

 

紅蓮「マグナ。…いい加減にしろよ」

 

マグナ『アギャギャギャギャ!キレるなっての、可愛い顔が台無しだぜ?相棒』

 

温厚な龍虎でさえも怒りを覚えるマグナの言葉。バトルスフィアフィールドは、そんな二人のバトラーの感情に呼応するかの如く、空を曇天に変え、雷光が幾重にも走る。

 

マグナ『ほい、完了。ささ、バトルを続けて大丈夫だ』

 

紅蓮「………はぁ。次、余計な事したら霊夢に言ってやるからな、マグナ?

 

さてと…咲夜、続けるが良いか?」

 

咲夜「構わないわ、続けて頂戴」

 

静かな殺意を張り積める咲夜に、龍虎は臆する事はない。何故ならば当然の事だから。バトラーにとって、真剣勝負中の場外からの干渉は一番のマナー違反。其れが暗黙の了解なのである。

 

紅蓮「…分かった。2体目のスピットバーン・ドラゴンでアタック!デッキの上から1枚オープンし、(龍)か(ドラゴン)のカードならコアをトラッシュにブーストする!」

 

再び、デッキトップが捲り上がり、トラッシュへと引き込まれて行く。今回のカードは『竜の集いし円卓―《ドラゴンテーブル》』であり、先程と同じく赤のネクサスカードとなった。

 

しかし、一点だけ違う事が有るとするならば。

 

マグナ『おっ、そのタイミングでコレが落ちるか』

 

紅蓮「ドラゴンテーブルの効果発揮!このカードがカード効果でトラッシュに置かれる時、お互いのトラッシュにある、カード名に(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つスピリットカード全てを、各プレイヤーの手元に置ける!

 

俺のトラッシュには、ジャッジメントコールの追加効果で破壊されたジェネラル・ドラゴンがある!よってトラッシュから手元に戻す(手元0→1)!」

 

咲夜「互いのトラッシュからスピリットを手元に回収する…何か他に効果が有るのかしら」

 

紅蓮「ああ。本来なら、もう少し『トラッシュにドラゴンのカードが溜まってから』の方が凄い効果を発揮するんだけどな。

 

スピットバーン・ドラゴンの効果でトラッシュへコアとドラゴンテーブルを追加(トラッシュ3→4)。そしてメインアタックだ!」

 

咲夜「させない…!フラッシュタイミングでマジック、レッドレイ(手札3→2・リザーブ4(SC)→SC・トラッシュ1→4)!BP5000以下の相手スピリット1体を破壊出来る!

 

私はアタック中のスピットバーン・ドラゴンを破壊!」

 

顕現したカードから放たれる赤紫の輝きを持った無数のレーザー光線が、高速で飛来するスピットバーン・ドラゴンに襲い掛かる。

低空飛行していた飛竜は接近する光の雨に気付き、その身を翻して空へと舞い上がり躱かそうとするが、突如として上下左右に分裂。檻のように取り囲まれ、最後は全身を蜂の巣に貫かれて爆散した。

 

紅蓮「スピットバーン・ドラゴンッ!!」

 

スピットB『兄者ァアアアアアア!!!』

 

上空に停滞する黒煙。其処から2つの青い光の粒が、龍虎のトラッシュへと吸い込まれ、コアへと変化を遂げる(トラッシュ4→6)。

 

マグナ『スピットバーンの破壊時効果か。トラッシュにコアを2個追加するたぁ、粋な真似しやがるぜ』

 

紅蓮「スピットバーン…!お前が残したコア、無駄にはしない!ターンエンドだ!」

 

紅蓮 龍虎 ライフ5 リザーブ1 トラッシュ6 手札4

 

手元 ジェネラル・ドラゴン

 

フィールド

 

龍に仕える巫女 クナ レベル1(1)1000 ×2

 

スピットバーン・ドラゴン レベル1(1)4000

 

 

咲夜「スタートステップ。コアステップ(リザーブSC→1+SC)、ドローステップ(手札2→3)、リフレッシュステップ(リザーブ2(SC)→6(SC)・トラッシュ4→0)、メインステップ。

 

…予告させてもらうわ」

 

右手を龍虎の前に翳し、咲夜はナイフのように鋭利な視線でこう宣言する。

 

咲夜「貴女は『次のターン』、私のタイムストップバトルによって敗北する。これは絶対にして必定の運命よ」

 

マグナ『ハッ!何が運命だ、唯のまやかしじゃねーのか?』

 

咲夜「果たしてそうかしら?」

 

マグナの発言を即座に切り返し、咲夜は僅か3枚の手札から1枚を掲げ、バトルフィールドに叩きつけたのである。

 

咲夜「マジック、滅望と崩界の歌…発動(手札3→2・リザーブ6→SC・トラッシュ0→5)!!!」

 

刹那、カードから放たれる無数の赤黒い雷がバトルスフィアフィールドに解き放たれ、大地を引き裂き、空を割り始めた!

 

紅蓮「な、何だ…こりゃあ…!?」

 

咲夜「滅亡と崩壊の歌の効果。先ず自分の手札及びフィールドに存在する、系統:滅龍を持つスピリット全てを全て破棄する。フィールドにはオルタドラが2体、残った手札はグリード・ドラゴニス、そしてジャッジメントコールで加えた、断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスがある。この4枚を破棄!」

 

稲妻が降り注ぎ、オルタドラ2体を貫くと同時に、彼女の残った手札を焼き払い、爆散させる。

 

「その後、この効果で破棄したカード1枚に付き、私のデッキを下から20枚破棄し、『あるスピリットカード』がトラッシュに落ちれば、そのスピリットのコストを支払わずに召喚が可能になる。

 

そのカードの名は…」

 

 

 

 

 

 

???『終焉の滅望龍デミス・ディザイア・ドラゴニス』

 

彼女の声が男のような低く重い性質に変化し、 にデッキの下に突如として発生したブラックホールの如き、黒い穴が現れて、カードを吸い込んでいく。

 

刹那

 

ブラックホールが小さく、凝縮されて、消え去った。そしてバトルスフィアフィールドが大きく地鳴り、スパークが迸る。

 

咲夜?『見せてやろう。これが貴様達を絶望へと誘いし、最強のドラゴンの姿だ』

 

ふわり…ふわり…と、彼女が破棄したカードがトラッシュから浮かび上がる。そのカードは漆黒を帯び糸を引く其れは粘着力の高さを物語る。

 

???『断罪も終末も届かぬ虚無の果て。命なき世界の真なる終焉を望みし、我の願いよ。

 

形を成し、力を挙げよ、全てを…壊せ。

 

召喚。我が分身、終焉の滅望龍デミス・ディザイア・ドラゴニス。

 

…降誕』

 

カードを覆う、黒の幕が溶け落ち、バトルフィールドに静かに置かれた。だが、肝心のスピリットが咲夜のフィールドに現れない。

 

紅蓮「おい、スピリットが現れてないぞ?」

 

マグナ『龍虎!あれだ!アイツがPAD長が出したスピリットだ!!!』

 

霊体のマグナが指差す先には、暗がりに染まったバトルスフィアフィールドの空。が、其れを見た龍虎は眼を丸く見開き、言葉を失ってしまう。

 

彼女が見たもの、それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルスフィアフィールドの『外』、丸い球体で囲われ覆い護る、この場所を掌の内に納めた、一匹の巨大過ぎる、それほど巨大な龍。

 

否、これを龍と呼んでいいものか。

 

龍の掌には巨大な眼と口が在り、白い息を吐きながら剣山の牙が覗く。そして指…5本の指を形成していたのは一本一本が『三回り以上大きくした、ジエンド・ドラゴニスの長い首と頭部』で、此方を睨み付け、動き続けている。

 

ジャッジメント・ドラゴニスの色合いをしながらも、グリード・ドラゴニスの特徴を併せ持つ巨大な翼幕。胸にも先程の掌と同じような、巨大な龍の面。

 

極めつけは顔…ダークティラノザウラーのような強靭な顎(アギト)から漏れ出す黒炎が、怪しく、静かに、不気味に揺れていた。

 

紅蓮「で…デケェ…!!!」

 

バトルスフィアフィールドそのものは、ジャッジメント・ドラゴニス等といった巨体を持つスピリットやアルティメットを囲い、バトルの余波が外側の世界に漏れ出す事を防ぐ役目もある。

 

だが、デミス・ディザイア・ドラゴニスは素のサイズが違う。違い過ぎる。万が一暴れられては何が起きるか予想出来ない。

 

マグナ『ちぃ…PAD長、とんでもねぇ奴を繰り出して来やがった!バトルスフィアフィールド拡げねぇと!!!

 

オラアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

全身の気を放出し、マグナは二頭身の体を輝かせ、霊体状態でこそ在れどもスピリットの姿に戻る。そして彼は腕を目一杯伸ばし、スフィアフィールドを限界まで拡げた。

 

しかし…

 

マグナ『…マジかよ…!』

 

拡大させたバトルスフィアフィールドは、デミス・ディザイア・ドラゴニスの巨体の『半分』も被えなかったのだ。

 

咲夜「貴女はもう、私を止められない。受けなさい、私の『インフィニティストップバトル』を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜が召喚した、終焉を望みし最凶の滅龍、デミス・ディザイア・ドラゴニス。果たして彼女が言った『インフィニティストップバトル』とは?

 

そして龍虎は咲夜とデミス・ディザイア・ドラゴニスを打ち倒せるのか!?

 

次回、その全貌が明かされる。




*オリカ紹介&次回予告


竜に仕える巫女クナ 赤 コスト2(0) 赤 系統:竜姫(りゅうき)

レベル1(1)1000 レベル2(3)2000

レベル1,2
このスピリットはアタック/ブロックできない。

レベル1,2 自分のメインステップ
自分の手札/手元にあるカード名に(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つスピリット/アルティメット/ブレイブを召喚する時、2コスト支払った物として扱う。


オルタドラ 赤 コスト0(0) 赤 系統:滅龍

レベル1(1)1000 レベル2(2)3000

トラッシュにある、このスピリット/スピリットカードはコスト8としても扱う

レベル2 このスピリットの破壊時
トラッシュのこのカード以外の、系統:滅龍を持つスピリットカード1枚を手札に戻す。


爆迅龍(ばくじんりゅう)スピットバーン・ドラゴン
赤緑 コスト5(赤1緑1) 赤 系統:翼竜

レベル1(1)4000 レベル2(2)5000 レベル3(5)7000

このカード/スピリットカードは、ドローステップ以外で、自分のデッキ/フィールド/トラッシュから手札に加えた時、コストを支払わずに召喚出来る。

レベル1,2,3 このスピリットのアタック時
自分はデッキの上、または下から1枚カードをオープンする。そのカードが(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つカードなら、ボイドからコア1個を自分のトラッシュに置く。オープンしたカードはトラッシュに置く。

レベル1,2,3 このスピリットの破壊時
ボイドからコア2個を自分のトラッシュに置く。

竜の集いし円卓ー《ドラゴンズテーブル》
ネクサス 赤 コスト5(赤3) 赤

レベル1(0) レベル2(3)

このカードは効果でデッキからトラッシュに置かれた時、お互いのトラッシュにある(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つスピリットカード全てを、持ち主の手元に置く。

レベル1,2 このネクサスの破壊時
自分の手元に(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つカードが10枚以上ある時、相手のライフのコア3個を相手のリザーブに置く。


ドラゴンズ・ドロー マジック 赤 コスト5(赤3)

メイン:デッキから1枚ドローする。その後、自分のフィールドに存在する(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つスピリット1体につき、1枚ドローする。

フラッシュ:このターンの間、(竜)/(龍)/(ドラゴン)を持つスピリット1体をBP+5000する。

滅望と崩界の歌 マジック 赤 コスト9(赤6)

手札/トラッシュの、このマジックカードは一切の効果を受けず、発動を無効に出来ない。

フラッシュ:自分のフィールドの系統:滅龍を持つスピリット2体を破壊し、手札の系統:滅龍を持つスピリットカード2枚を破棄する。その後、自分のデッキを下から20枚破棄し、その中の(終焉の滅望龍デミス・ディザイア・ドラゴニス)1枚をコストを支払わずに召喚出来る。この時、相手はスピリットの召喚をカードの効果で防げず、無効に出来ない。

* * *

次回予告。

龍虎「召喚された、終焉の滅望龍デミス・ディザイア・ドラゴニス。奴と咲夜さんが言った『インフィニティストップバトル』。其れは私が、今まで数億以上経験してきたバトルのどれにも当てはまらない物だった。

でも、咲夜さんの手札が、ライフが、デッキが。未曾有の力に翻弄され、無慈悲に奪われてゆく。

予想不可能のバトルの果てに、最期までフィールドに立つ勝者は…。

次回、東方激闘魂。第20話、無限停止の牢獄!撃ち破れ、轟弓竜アーチバリスタ・ドラゴン!

スターブレード!このバトル…命懸けよッ!」


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