東方顎鏡幻 (銀鏡 悠)
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幻想入り

「はぁ、だり~」

 

俺、銀鏡 顎(しろみ あぎと)は、溜め息と共に呟いた。

 

今年で中学生2年なった俺は、退屈で空虚な日常を送っていた。

 

俺自身は平凡そのもの、平凡を擬人化したような奴だと自負している。

 

成績はそこそこ、容姿もそれなりだと思うし、コミュ力もまぁまぁ、運動神経は...悲しいことに中の下...

 

昨日はそれを思い知らされる事があった。

 

(野球なんて人間がするスポーツじゃない!)

 

俺は昨日野球部の連中に試合で散々ボコボコにされた事を思いだし拳を振り上げ心の中で叫んだ。

 

俺達は小説部だってのに無理矢理バット持たされて野球だなんて

 

その結果が、33-4(チーン)って...おいおいなんのネタだよ...

 

まぁ成績では脳筋野球部(アイツら)より勝ってるがな

 

そんな事を思い俺は登校するいつもの道を歩いていた。

 

すると普段見慣れないものが...

 

「こんな所に鳥居が...」

 

いつも通る小さい丘の林に見慣れない赤い鳥居があったのだ。

 

小さい頃にここに引っ越してきて数年が断つけど、こんな所に鳥居なんて無かった筈なんだが...

 

俺は周囲を見回したあと鳥居に書かれている文字を読む。

 

「ハ、ハクレイ神社?」

 

難しい漢字だがなんとか読めたぜ。(漢検3級舐めんなよ!)ドヤッ

 

しかしこんな所に神社なんてあっただろうか?

 

その時だった。

 

「「タスケテ!!」」

 

「うっ!」

 

不意に誰かの叫び声が俺の脳裏に響いた。

 

「だ、誰だ!?」

 

俺はとっさに身構え叫んだ。

 

しかし応答がない、鳥居のまわりに立つ木々が揺れるさざ波の音だけが響く

 

「「ダレカ!!タスケテ!」」

 

まただ、今度はさっきより大きい声だ。

 

声を聞く感じでは少女の声ようだが...

 

「この鳥居の奥から聞こえてくるようだ...」

 

俺は赤い「博霊神社」と書かれた鳥居をくぐりその奥へと走った。

 

しばらく進むと長い階段があり一気にかけ上る。

 

「やれやれ、階段ダッシュだなんて何年ぶりだ?」

 

俺は小学生の頃陸上クラブだった事を思いだしながら階段を登った。

 

「はぁ...はぁ...」

 

「やっとついた...」

 

丘の頂上に着くとそこには小さな拜殿があった。

 

なんの変鉄もない普通の神社だ。

 

「なんか、落ち着く感じがする...」

 

体が軽い、そんな感じだ。

 

「「ダレカ!御姉ちゃんを、助けて!!」」

 

今度はさらに強い叫び声が響いてくる。

 

そのいたいけな叫びに俺は頭を押さえ、膝をついた。

 

その刹那、頭の中に映像がフラッシュバックする。

 

ピンクの髪の女の子...

 

みどりの髪の女の子...

 

紅と蒼の目玉...

 

それらが混ざりあう...

 

鏡...

 

偽りの...

 

 

どこかで見たような......

 

 

「はっ!!」

 

俺はスッらと我に帰える。

 

「なんだ今のは...」

 

俺は素数を数え、落ち着かせ、少女の叫び声を思い出す。

 

「そうだ、俺は女の子の声を追って...」

 

少女の叫び声は明らかにこの神社の、そして目の前にある拜殿の扉から響いてくる。

 

俺は立ち上がり、拝殿の前に進み扉に手を掛けた。

 

すると、俺は思い惜しさにかられたように後ろを振り返る。

 

何故かこの世界には戻れない、そんな気がしたからだ。

 

「行くしかない!」

 

俺は勢いに任せ扉がを開けた...

 

偽りの運命が待っているとも知らずに...

 

 

 

 



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全て写し出す程度の能力

「うわぁ!!」

 

拝殿の扉を開いた刹那、俺は何かに引き寄せられ、空間の中へと引きずりこまれた

 

「いてて...何だよまったく」

 

気がつくと竹やぶの中にいた。

「たしか俺は神社の中に引きずりこまれたはずだが...」

 

「ここは、いったい何処なんだ?」

 

見慣れない竹やぶだ。

大量の竹が一面を占領するかのごとく生え、上空も葉で被っていており、これでは方向が分からない

 

その時だった。

 

「「助けて!」」

 

「!?」

 

俺はハッとした。

 

ここに飛ばされる前に聞いた悲鳴だ。

 

「どこにいるんだ!?」

 

俺は声がする方に叫んだ。

 

バタバタバタ!

 

鳥達が一斉に飛び立つ音がした。

 

「あの方向か...」

 

俺は鳥が飛び立つ音の方向へと走った。

 

しばらく走ったあと、俺はある光景を目撃する。

 

それは二人、もしくは三人の少女だった。

 

 

「やめて!ルーミアちゃん!どうしてこんなことをするの!?御姉ちゃんを離して!」

 

三人のうち一人の少女、緑髪の少女が金髪ロングの女に叫ぶ

 

「あの子は...」

 

俺は直感的にその緑髪の少女が助けを求めていた声の主だと分かった。

 

「私はお前など知らない、私はただこの女をあの方の器に捧げるだけだ!」

 

ルーミアと呼ばれる少女は右肩に漆黒の翼を生やし、頭には赤い布が天使の輪のように形作り、赤い血でよごれた漆黒の服を身に纏い右手には十字架を象った大剣が握られていた。

 

そして左手には髪を捕まれたピンクの髪の少女が力なく座りこんでいる。

 

これはまずい状況だ...

 

「やめろ!」

 

俺はそう叫ぶと何も考えずに二人の間に飛び出した。

 

女の子が武器をもった奴に襲われそうになってる状況に俺の中の正義感って奴が体を突き動かしたからだ。

 

「誰だ?お前は...?」

 

ルーミアがギロリと俺を睨み付ける。

 

「俺は...」

 

反射的に飛び出してしまった為ルーミアの言葉に詰まる。

 

べ、別に睨まれて訳じゃないんだからね!///(オイ

 

「貴様、見たところ人間だな?何故、人間がこんな所に?」

 

「お兄ちゃん...もしかして...」

 

 

 

 

「え?」

 

「茶番はそこまでだ...」

 

ルーミアは冷酷に告げ、右手に握られていた剣を地面に突き刺しそのまま手を空にあげる

 

《闇符:サザンクロスオブブレイド》

 

十字架を象った大剣が宙に浮かび、ルーミアが右手を横に一閃すると砕ける

 

するとルーミアの背後に無数の黒い刃が現れた。

 

「な、なんだそれは...」

 

俺はまるでゲームでてくるような光景に唖然とする。

 

「このさとり妖怪だけに用があったが、次から次へと邪魔が入る...目障りだ。仲良く刻んでやる!」

 

「伏せろ!」 

 

俺はとっさに緑髪の女の子をかばうように押し倒す

 

「きゃ!!」

 

無数の黒き刃が俺達に襲いかかった。

 

「うわああああああああぁ!!」

 

俺は駄目だと分かってはいたがとっさに腕で身を伏せる。

 

もう、ここまでなのか...俺の人生これでEND?

 

畜生!リ○ロとかこの○ばとかのDVDまだ買ってなかったのに!!

 

鏡符:

 

「な、なんだと...」

 

「こ、これは...」  

 

俺の前に現れたのは鏡、宙に浮いた鏡だった。

 

その鏡がルーミアの弾幕を防いだ。いや跳ね返したのだ。

 

「お前!スペルが使えるのか!?」

 

「スペルカード?」

 

「お兄ちゃん!スペルを唱えて!!」

 

その少女の答えに何故か俺は言葉があふれる...

 

これが俺の能力...

 

 

 

 

いける、いけるぞこれは...

 

「ふん!そんな付け焼き刃の能力など!」

 

 

 

 

 

「わ、私の弾幕が... ...」

 

 

「残念だったな、どうやら俺の能力はアンタより上回ってるようだ」

 

俺は余裕を取り戻しルーミアに対してニヤリと微笑を浮かべる。

 

「ふざけるな...ふざけるなぁ!!!!」

 

 

 

「フハハハ!!さっきの倍だ!闇に抱かれて刻まれろ!!」

 

「それはどうかな?」

 

「何!?」

 

 

 

「倍返しにさせて貰うぜ!」

 

宙に舞う鏡に写し出されたもの、それはルーミアが放った弾幕、ダークサザンクロスオブブレイドそのものだ

 

「なっ!?...き、貴様!!」

 

「自分の技で消し飛びな!鏡符!シュピゲールオブサザンクロスブレイド!」

 

「ぐ、ぐわあぁぁぁぁ!」

 

「さぁ、とどめだ。覚悟しな」

 

「待ってお兄ちゃん!ルーミアちゃんは私の大切な友達なの!だから殺さないで!」

 

 

俺にはどうすればいいか分かっていた。

 

ルーミアを鏡で写し出す。

 

「何をするつもりだ?」

 

俺はルーミアの問いかけにフッを鼻で笑い言う

 

「俺は全てを写し出す程度の能力だ」

 

「全てを写し出す?」

 

すると鏡は今いるルーミアとは少し違ったルーミアを写し出した。

それは身長が今よりすこし小さくて、頭にリボンを付けた可愛らしいルーミアだった。

 

「これがお前の今あるべき姿だ...」

 

「ぐ、やっとあの方に解放された力をみすみす...」

 

「悪いがその姿だと悲しむ子がいるみたいでな」

 

「や、やめろぉ!」

 

ルーミアの頭にある布の輪がほどけて頭には結び付く、それがリボンとなると、ルーミアの体が白く光だし、鏡に写し出されたルーミアの姿えと変えていく

 

「んー?こいしなのかー?」

 

さっきの姿とはうって代わり一見無害で小さな少女に変貌したルーミアはこいしに気づきとぼけた顔でいう

 

 

「よかった!!ルーミアちゃんがもとに戻った!」

 

 

「そーなのかー?」

 

「いつものルーミアちゃんだ♪」

 

ギュウ

 

緑髪の少女は元の姿に戻ったルーミアを抱き締める

 

おれはそんなかわいい光景に癒される

 

「ありがとう、お兄ちゃん!私たちを助けてくれて」

 

「あ、あぁ、君の声を聞いたから...」

 

俺はその天使のようなかわいい笑顔に恥ずかしくなってうつ向いてしまう

 

くっそー!クラスの女にはそんな事なかったのに!なんつーかこのだけには恥ずかしくなっちまってコミュ障になっちまうな

 

「私は古明地こいし、でこの子はルーミア」

 

「よろしくなのかー?」

 

ルーミアはそういうとお辞儀をした。

 

かわいい奴だ。

 

「よろしく、俺は銀鏡 顎(しろね あぎと)」

 

俺は頬をかきながら照れくさそうに答える。

 

「よろしくね♪顎お兄ちゃん!」

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

俺はこいしの発言に仰天する。

 

俺は兄弟なんていなかったからお兄ちゃんだなんて初めて言われた事だ。

 

お兄ちゃんか...フヒヒ悪くないぜ...

 

「そうだ!さとり御姉ちゃん!」

 

こいしはハッとして倒れていたピンクの髪の少女に向かう

 

そういえばもう一人いたな、忘れていた。 

 

さとり...かこいしの名字が古明地ならその姉だから古明地さとりになるな

 

「さとり御姉ちゃん!さとり御姉ちゃん!」

 

こいしは倒れている姉、さとりをゆすり呼び掛ける

 

俺はそのさとりに近づく、するとさとりの瞳が開く

 

 

「ん...?」

 

「大丈夫か?」

 

「あ、あなたは...?」

 

「俺は銀鏡 顎(しろみ あぎと)君の妹の助けを聞いて飛んできた」

 

俺はまた照れくさそうに答えるとさとりに手を差しのべる。

 

「お兄様...」

 

「え?」

 

なんだかとんでもない事がおこりそうな予感!

 

 

 

 

 




二話ができました。
そしてついに俺の嫁!...ゲフンゲフン失礼

いや俺の天使!こいしちゃんが登場!
これからどうなるかマグロ!ご期待ください!キリッ


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