fate+DM+オリ主=大惨事 (ヤマアラシ齋藤)
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呼び出されたオリシュ君
激痛。全身襲うそれに耐えながら声を発する。声帯を震わすだけで蟲に全身を貪られた身体は悲鳴をあげ声と一緒に血液が口へと逆流を始める。
その身体は既に死に体、もう余命幾ばくもない。恐らく一月持てば良い方だろう。神経を貪られ痙攣し半分動かなくなった顔面に生気を失った肌、そんな状態で目だけは爛々と輝きその者が持つ意思の強さを感じられるだろう。
何故なのか。何故こうなったのか、それは昔馴染みの友人の子どもが自分の家に養子としてきたと連絡があり急いで実家にもう帰るつもりのなかった家に戻った時だった。
そこにいたのは畜生以下の化け物にそれに怯える兄。そして既に化け物の手に堕ちた可愛らしい1人の少女。
遠坂桜。それが彼女の名前、久しぶりにあった彼女の美しい髪色は化け物の調教によってくすみ、何時でも明るく元気に満ち溢れていたその姿はまるで人形の様に正気を失いその瞳は何も移さない。
初恋の人の子どもが自分の家の業に巻き込まれている。それを考えると怒りで何も考えられなくなり化け物むかって吠えるがなんの意味もなさない
──情けなかった。少女1人救えぬ自分の矮小さに
──許せなかった。我が子をこんな地獄に送り込んだアイツとそれを救えぬ自分に
──助けようと思った。どんな手を使ってでも、例え自分が少女を初恋の人に重ねて、それを自分が理解していたとしても
「……やるか」
──聖杯戦争。それに勝利し聖杯と呼ばれるあらゆる願いを叶える万能の杯を手に入れ化け物にくれてやる。そうすれば桜ちゃんはあの化け物の支配から逃れられる事になっている。そういう約束、その為に俺は身を化け物に差し出しこの戦争に参加した。
用意された聖遺物。この聖杯戦争で一緒に戦っていく相棒を、英霊と呼ばれる過去に偉業をなした存在を呼び出す為の触媒。用意されたのはアーサー王物語でも出て来た円卓の騎士が座っていた円卓、その欠片。
恐らくこの触媒を使えば自分と一番相性の良い円卓の騎士が現れる。恐らくそれはこれを用意した爺の都合の良い事なんだろう。
腹立たしい。どうせ俺が苦しむ姿を見て笑う為に用意したんだろう。そう考えるとこの触媒がなんだか異常に憎たらしく感じ始め詠唱中にも関わらず触媒を蹴り飛ばしてしまう。
「なっ……なにをしておるのか!自分がなにをしたのか、それを分かっているのか雁夜よ!」
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
ざまぁみろ。どうせこれで呼ばれる奴はロクな奴じゃないんだろ。分かってんだよお前の考えてる事はよ
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
どうせなら全部ぶち壊してやりたい。爺もこの家も俺も兄貴も。この家に関わる全部をぶち壊せれたらきっと彼女は自由になれる。ならその為に俺はここで戦わなければならない
「──Anfang」
その瞬間魔法陣から灼熱のような赤い炎が辺りを包み込み唸りをあげ始める。轟轟と燃え盛る炎の中で詠唱を続ける。
「──告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
──俺を呼ぶつもりなら後悔すんなよ。俺に出来るのは全部ぶち壊し先に進む事だけだ
それでも良いなら俺を呼びな
いきなり頭に反響する謎の声。厳かで尊大な声に恐怖心を感じるもそれが敵ではないと感じ軽口で返事を返す。
……上等。壊せるならこの世の全てをぶち壊して俺も壊してくれ。そしてあの子を、桜ちゃんをどうかこのクソッタレた世界から元の火の当たる世界まで進ませてあげて欲しい。
そう頭に響く声に
──馬鹿が。だけどお前みたいな馬鹿はきらいじゃねぇ。やってやろうじゃねぇか。これから言う俺の言葉の続きを言いな
「誓いをここに。我が身は我が下に。我が命運を火の文明に、汝の心のままに。この意、この理に従うのならば我が声に答えよ」
「……なにを言っておる。それでは呼べぬ。呼べぬ筈だ」
震える声でそう化け物は言うが雁夜の耳にそれは届かない。魔法陣から噴出する炎の熱風が耳朶を叩き、頭に流れる謎の声を聞きそれを発する姿はまるで何かに祈っているようで、業火の中で神に祈りを捧げる信仰者のようだと見た者を感じるだろう。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。それら全てを業火で焼き尽くす火の一族」
言葉を紡げば紡ぐほど炎は燃え盛り、その炎は雁夜を焼きながら唸りをあげる。
その炎はまるで龍のような形を象り咆吼をあげる。全てを焼き尽くさんとその炎の龍は叫んでいた。そしてその声を聞いていた化け物の身体は何百年、感じていなかった感情、圧倒的未知の存在でありその存在の格に恐怖を抱いた。
「(……まだ現界しておらぬのにこの存在感は一体……。どういう事だ、雁夜は一体何を呼び出そうとしておる)」
「汝。火の文明を纏う、超獣より来たれ、火の覚醒者よ──!」
その瞬間辺りを焼き尽くしていた炎は一つの形を作り出す。その姿は栗色の髪の毛、全身に取り付けた謎の装甲。謎の機械を身体中に取り付けた1人の少年だった。
「さぁて。俺を呼んだのはお前か?」
「……おっお前は一体」
「俺は勇気の覚醒者ゲット、親しい者からはゲットって呼ばれている……そしてッ!」
「嗚呼嗚呼ッ!儂の身体が燃える!儂の全てが、儂というそん」
「うるせぇ死ね」
その瞬間俺の後ろにいたはずの化け物は身体中から炎を出しながら悲鳴をあげる。断末魔、俺達一族を食い潰して生き延びてきた化け物は悲鳴をあげ意味不明な言葉を叫びながら灰へとその姿を変えていった。
死んだ……あの怪物が。どう足掻いても殺せない、殺しようもない怪物がこんな呆気なく死んだ。
そして化け物を殺した張本人は
「さーって。お前の言う化け物は殺したぜ。次はどうするよ、教えなマスター」
それが何でもないようにコチラに笑いかける。これが始まり、俺とコイツの初めての出会いでありこれからの俺の人生を変えた男、ゲットとの邂逅だった。
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フィオナの森での死闘〜文明戦争終結
転生者ゲット君の日記 1
ある日気付いたら転生していた。
頭の悪い事を言っているとは思うがどうか真面目に聞いてほしい、俺は何処にでもいる唯の一般ピーポー。銃も持ったことがないし人を殺した事のない至って善良な一般市民だった、だったんだ。仕事に疲れて爆睡して目覚めたら赤ん坊になっていたんだ。頭の悪い事を言ってると思う、だけど本当なんだ。そしてその転生した場所も信じられない場所だった。
「ゲットは本当に泣かんのう。ほれ高い高ーい!」
そう言われ雲より高く放り投げられる俺。ふと横を見れば隣に住んでいるアーマードワイバーンのオッサンが呆れたようにコチラを見てくるのが分かる
「何やってんだよ!おっさん。ゲットを天高く投げ飛ばすなって言ってんだろうが!」
「……ホノオ。ボーグは頭が筋肉で出来てるから言っても無駄だよ」
「儂の息子なのだからこの程度は平気だろう。なーに問題ない、儂も小さい頃は親父にこうやって遊んで貰ったものよ」
やんやんやと下から聞こえてくる声に耳を傾けながら隣で飛行している知り合いのオジサンが呆れたような溜息を吐く
「……まーたアホな事をやっとるのか」
「あー……うー」
この世界は化け物しかいなかった。というかこの世界の事を俺は知っているし分かりたくない。何故ならばこの世界は致死率100%であり俺が生まれた種族では太刀打ち出来ない存在が山のようにいる世界
その名を超獣世界、それが俺が生まれた世界だった
……神がいるのならば転生をやり直させてくれ。あっ神と言ってもゴッドとゼニスの事を言ってる訳じゃないからあしからず
丸月抜日
この世界じゃ弱い存在は生きていけないから俺という存在がいた事を証明するために取り敢えず日記をつけようと思う。
赤ん坊の俺が日記をつけるなんて頭がおかしいとは思うがこの世界では珍しい事ではないらしく、親からは
「おお!ゲットは賢いのう!これなら大きくなったら儂みたいに機神装甲を装備出来るかもしれんな!」
「アナタとこの子が機神装甲に乗って共に戦う姿……早く見たいわね」
とか親バカな意見?を貰いました。それで良いのか超獣世界、ロクに喋れない赤ん坊が日記をつけるなんて可笑しいとは思えんのか超獣世界。
まぁ超獣世界なら仕方ないか。だってこの世界、胎児のような存在ですら流暢に話を出来る世界だし、隣の子どもなんて3歳で火文明の最前線に出て活躍してるらしいし。この世界じゃ戦えるようになる=最前線行きだから頭可笑しい。俺もさっさと強くならなきゃ絶対にコロりと死んでしまう
生きねば
丸月三角日
【悲報】俺氏赤ん坊なのに機神装甲に載せられる【不要な親心爆発】
いつも通りハイハイをして家で過ごしていると親父が俺をつれて最前線に行くとか言い始めた。頭可笑しい、そして笑顔でそれを笑顔で見送る母親も頭可笑しい。駄目だ超獣世界、マトモな奴がいねぇ
誰か助けて
なんか最前線で親父が変な装備を付けてた。山のようなドリルとハンマーが身体中に取り付けられっ……て親父ヴァルボーグかよ。初期アニメ主人公の切り札じゃねーか。サイン下さい、え?俺もこれに乗る?いや大きさ的に無理だろ。え?俺サイズの機神装甲?いやいやいや無理無理無理、死ぬから。俺中身パンピーだよ?まだ歩く事すら出来ないからね?
そんなの装備させられても動けないから
何で身体を持ち上げる?待て何故砲丸投げの体制を取るのだ父上、待て落ちつ
アーッ!
丸月□日
生きてた。生き残れた。何とかなった。ゴキブリのように湧いて出てくる闇の軍勢。ブラッディイヤリング×いっぱいがいる所に投げ飛ばされた俺はワンワン泣きながらも必死に機神装甲を使って戦い続けた。隣で戦ってた同胞と思われるヒューマノイドがビックリしたような目でコチラを見ていたが仕方ない。だってワンワン泣きながら戦ってる赤ん坊がいるとか信じられないのが普通だと思うの。
最終的にその人に連れられて前線から戻ったらそこは死屍累々(敵で)どうやら親父は火文明のエースらしく敵をバッタバッタと薙ぎ倒して血塗れだった。
正直引いた。ドン引きだった。そして自分も似たような姿をしている事に気付き自分にドン引きした。
親父は俺の戦果を聞いて満足そうに笑い
「これなら明日はもっと厳しい場所に送り込んでも大丈夫そうだな!」
とか抜かした。もう嫌このパパン誰か助けて
帰ったその日は母親に甘え倒した。それを見て親父が俺に構いたそうにしたが無視した。あ^〜母親が優し過ぎて駄目になるんじゃ~
丸月§日
「今日はピクニックにでも行くか」
親父の朝の第一声に俺は耳を疑った。赤ん坊を戦場に放り込む、脳味噌が筋肉で出来ているような馬鹿がこんなマトモな事を言うとは思えずその言葉の真意を考えた。
ピクニック=戦争?
ピクニック=虐殺?
恐らくは戦争だろうと思い、また戦場に放り込まれるのだろうと諦めていると母親が嬉しそうにお弁当がどうとか言い始めた。その瞬間家の母親は戦場で弁当を広げるキチガイなのだろうと諦め2人の話に集中した。
だが話を聞いても血生臭いワードは一つもなく、どうやら火山に弁当を持って散歩、友人に会いに行くだのなんだのとしか言っていない。
えっ……マジでピクニック?
やったぜ
「……それがお前の息子か」
そんな事を考えていた自分を殴りたい。ついでに親父を殴りたいけど意味無いから抱かれた時にワンワン泣いてやると心に誓いながら上から聞こえてくる厳かな声に耳を傾ける。
「そうさ。これが儂の息子、ゲット。これからの火の文明を引っ張っていく存在、お前さんも何時か共に戦うだろうしそろそろ紹介せんと不味いと思って来たのさ」
「……ゲット。良き名だ」
「そりゃそうさ俺と嫁が1ヶ月悩んで考えた名前だぜ?良い名に決まってんだろ」
その厳かな声の持ち主は巨大だった。この火山よりは小さいが火口にスッポリとハマる位には巨大でそれが持つ翼がはためくだけで途轍もない音を立てて辺りが吹き飛ばされる。
分かっていた。この親父が普通な事をするはずがないって。だけどこれは予想外だろ
「さぁゲットよ。お前の力を見せてみよ。手を抜けば塵に帰ると思え」
何でボルシャックドラゴンと俺が戦わなきゃ駄目なんだよこんの糞親父ぃ!
丸月格日
生きてるだけで素晴らしい。そうは思わんかね?俺を照らす太陽。飛び散る返り血、飛び散る肉片。あぁ生きてるだけで幸せだ。あの蹂躙と比べたらブラッディイヤリングがゴミカスに見えちゃう不思議。
ヒャッハァーッ!動かないブラッディイヤリングは良いブラッディイヤリングだぁ!全く戦場は地獄だぜぇ!
ボルシャックドラゴンとの戦い(一方的な蹂躙は)熾烈(生き残り的な意味で)を極めた。ボルシャックドラゴンの炎を避けては無駄な反撃をしてまた避けるの繰り返し、そんな事を暫く繰り返していると向こう側が何か満足そうに頷いた後親父と何かを話してそのまま火口の中にスッポリと埋まっていった。何がしたかったんだあのドラゴン様は、さっぱり理解が出来ん
だが、あの経験のせいでこの辺りの雑魚程度には鼻糞ほじりながら戦えるようになった気がする。
そんな事を思いながら今日は戦い続けた。今日はなーんかつまらなかった。何故だ、命に関わらない平和な日だったのに
分からん
丸月§§日
フィオナの森と呼ばれる場所がある。そこは自然文明の聖域であり良く燃やされたり破壊されたりする事で定評のある場所だ。そして俺は今その自然文明の聖域にいる。何故だ
理由は簡単。親父である機神装甲ヴァルボーグのせいである。大体親父のせい。闇文明は火文明だけではなく全ての文明に対して侵略活動を始めていた。親父の永遠のライバルらしい闇の騎士ザガーン
そうザガーン。あのザガーンである。フレーバーテキストでめっちゃ強そうな扱いを受けているあのザガーン。そんなザガーンさんと家の親父は対等な実力を持ったライバルだとかなんとか
そんなザガーンさんが本腰をあげて自然文明を滅ぼすとか
「お前がかの機神装甲ヴァルボーグ。我ら銀髭団の応援要請を受けてくださり感謝する」
「なぁに。アレと対等に戦えるのは火文明でもボルシャックを除けば俺やヴァルディオスくらい。任せときな」
ビーストフォーク(銀髭団)達の話を聞くと文明戦争が始まった運命のオーロラの日の翌日、謎の生命体がフィオナの森に進行し森を荒らし始めたとか、それを止めようと自然文明は立ち上がったが謎の生命体の量は日を追うごとに増殖し森を侵食していったらしい。今では森の半分以上がその生命体に荒らされた。そして闇文明からのザガーン。前門の化け物、後門のザガーン。そんな状況を切り抜けるために立ち上がったビーストフォーク、そして救援を受けた親父
……うん。正直に言うと俺はその化け物の正体を知っている。超獣世界のエピソードは大体覚えているからそれが何なのか分かる。その化け物は闇文明の生物パラサイトワーム。3マナ2000のアイツだ
取り敢えずその生物は闇文明の奴らが生み出した化け物ではないのかと思うも伝える方法がない。
だって俺幼児だぜ?アウアウ言ってるだけの赤ん坊だし。頭は回っても口が回らないとはこの事よ。そんな赤ん坊が機神装甲を装備して戦っているんだがら全く超獣世界は地獄だぜ
「どうせその化け物はザガーンが作り出した奴だろ。性根の腐ったアイツの事だ、やる事が腐っておるわ」
「なっ……つまり此度の一件その全ては……闇文明の仕業だとでも言うのか!?」
「むしろそれ以外の可能性があるのかしりたいわい」
「……てっきり水文明の生物兵器かと」
「あー……やりそうではあるのぅ。性根の腐った水の糞共なら……というかアクアスナイパーの野郎がやりそうな事ナンバーワンではあるな」
水文明という言葉を聞いた瞬間心底不快そうに顔を歪める親父。
「……因みにその怪物の見た目は?」
「脳を露出させた虫のような生命体でした。謎の粘液を噴出させフィオナの森を」
「そりゃザガーンの趣味じゃな」
ザガーン趣味悪っ!?
えっ何で俺がこの場所にいるかの説明かがないだって?それは簡単
「では……和平の対価として自然文明からはフィオナの森の妖精、霞妖精ジャスミンを」
「儂ら火文明からは機神装甲ヴァルボーグたる儂の息子。小さな勇者ゲットをそちらに預ける」
一時的な和平の対価として身柄を預けられる為でした。
ばっかじゃねの!クソ親父ぃ!
ヴァルボーグ殿にジャスミンを預け別れた後。先程の会合を思い返す。機神装甲ヴァルボーグ。その名に劣らず、その身から感じる覇気は森を震わし後ろにいる部下達の身体を震わした。私も立場がなければ身体を震わしていたかもしれない
銀髭団団長 銀の拳 この名は伊達にあらず、数ある敵を力を持って沈めてきた。私の力がこの森を守ってきたと自負出来るほどに。だが、この私を持ってしてもかの機神装甲の存在感を恐ろしく、頼もしかった。彼が自分と同等と言ったザガーン。それと戦ってくれる。それだけで私達は百万の軍勢を味方にしたよりも頼もしかった。
自分の腕の中で眠る赤子。それは彼の息子、自分の血を引き継ぐ存在。それを彼はコチラに引き渡してくれた。その姿を見て私達は信じてしまった。
ヴァルボーグ殿の言葉とこの赤子の事を
「儂の息子ならばお前らと一緒に戦ってくれるだろう。なぁゲット?」
「……(プイッ)」
「早い反抗期だのう!ハッハッハッハッハッ……ハァ。こんな見た目だが実力はある。ブラッディイヤリングの軍勢を吹き飛ばす位の実力はな」
その言葉に私達は絶句した。闇の軍勢、それをこの赤子が打ち倒せる?
「この子を頼む。きっとゲットならお前達と分かり合える筈、恨み、嫉み、怨みが増えすぎた儂ではもう無理じゃ。きっと根っこの部分で分かり合えん。じゃが、この子なら……」
「……息子を頼んだ」
そう言って頭を下げる。あの機神装甲が、それだけでこの子に対する深い愛が見えてしまう程に。こんな若輩者に頭を下げるその姿に胸が熱くなり身体の内から出てくる衝動のままに私も頭を下げた
「機神装甲……か。このような赤子ですら一騎当千の怪物となれる装甲。これが火文明の英智の結晶、末恐ろしいな」
「あー……」
腕の中で不安そうに見詰めてくる赤子を見て思わず笑ってしまう。如何様に強くてもやはりは赤子、親と離れるのは心苦しいのか。
この子が私達自然文明と火文明の架け橋となるかもしれない存在。信じよう。彼の言葉を、この子を
今はそれしか出来ないのだから
その頃話題のゲット君の脳内は
「(ヤベーよ。自然文明と火文明が分かり合えるとか、それが俺の肩に掛かっているとか……あの糞親父やってくれたわ。というかジャスミンちゃん可愛いくね?将来結婚を前提にお付き合いしたいんだが。というかフェアリー可愛すぎ問題)」
銀の拳がさっきの思考を叩き潰してしまうような事を考えていた。
□月<日
一言で言えばこのフィオナの森は地獄だった。ザガーンさんが作り出した(風評被害)であろう害虫が日夜森を侵食し、それを止める為に銀髭団は戦い続ける。そしてそんな銀髭団に新たなメンバーが追加された。
……俺だよ!何奴も此奴も遠慮って奴を知らねぇ!機神装甲を装備させて無理矢理戦場にポイ!ビーストフォークってのは蛮族か何かか分からないが火器を使わない。つまりパラサイトワームを殲滅する為の火力が全然足りない。唯一パラサイトワームに対抗できているのが団長である銀の拳だけ、その他は殆ど役に立っていない。もう銀の拳団に改名しちまえ糞が
しかし、そんな糞環境でも良い点は必ずある。それはこの世界では圧倒的に数が少ない人間ベースの存在。フェアリーの女の子達が非常に可愛いという点である。正直彼女達の為に戦っていると思えばやる気が出るくらいに。
そう言えば家に引き取られたジャスミンちゃんは無事だろうか。あの脳味噌筋肉に戦場に放り込まれていないだろうか
非常に心配だ。
今度会った時に筋肉ムキムキのジャスミンちゃんなんてみたくない
□月^日
今日はフィオナの森の聖域で一体だけパワーバランス崩壊していた(過去形)自然文明の王と会った。グレートホーンという名前らしくフィオナの森の守護者でありこの森の王らしい。
確かカードとしてのスペックは家の親父よりも強く、確かパワー7000+2000のWブレイカーであり、火文明最強のボルシャックドラゴンが相手にならないレベルで強い。お前のせいで同じ文明でスーパーレアなのに外れレア扱いされたデスブレードビードルさんが可哀想に見えるスペック持ってるよな?
そんな事を思っていたが現実はそうでもないらしく。
何やら非常に弱っていた。パワーが3000を切っているような、そんな感覚をあって感じた。
咆吼するグレートホーン。あのカードに描いてあった勇ましさは存在してなく、殆ど死に体。虫が死んだような声しか出せないその姿を見て何故かコッチが泣きたくなった。
どうやらフィオナの森が侵略されているせいで力が出ず弱まっている一方だとか、闇文明のフィオナの森侵略はグレートホーン弱体化の目的があった。思わずそうそんな事を考えてしまうほどに彼は弱くなっていた。
何か伝えようにも俺は赤子。言葉を発する事が出来ない。そんな俺にグレートホーンはただ一言だけ俺に言った。
森を頼むと。
どんな思いだったのだろうか。森の守護者であるグレートホーンが余所から来たヒューマノイドの赤子に森を託す事を決めた時の思いは、想像に難くない。きっと自分に対する不甲斐なさ、羞恥に溢れていただろう。こうでもしなければ森を守れぬ自分に
こんな赤子に頼らねばならぬ自分に。
別にグレートホーンに言われなくとも可愛いフェアリーの為なら戦える。思っているしそうしている。
だから戦おう、あんな気持ち悪い害虫なんかさっさと駆除してグレートホーンには元気になってもらわないと
□月<^日
決戦の時は来た。倒しても倒して増えていく害虫共。ならば大元である存在が何処かにいる。そう考え暫く森を捜索していた銀髭団、すると其処には一体の怪物がいた。その身体は黒く全て食らいつくさんと咆吼をあげその巨体を震わせる怪物。
魔獣虫カオスワーム、その力は闇の力を凝縮させたものだった。
カードでいうならば相手のモンスター一体破壊、コチラでいうならば好きな存在を1人だけ絶対に殺せる力。
圧倒的だった。そしてグレートホーンが弱ってる原因も理解出来た。コイツだ、カオスワーム。コイツがフィオナの森を侵略しているパラサイトワーム達を増やし、グレートホーンを苦しめている張本人。
カオスワームのパワーは高い。俺達の中では銀の拳と機神装甲を装備している俺くらいしか倒せる物がいないほどに
森の守護者であるグレートホーンは死に体、同じくもう一体の森の守護者、デスブレードビートルは仲間の為に戦い行方不明と聞いている。
ならばやるしかない。ここでコイツを倒してしまえば、俺と銀の拳でかかれば一溜りもない筈
明日は決戦だ。今日はここまでにしておこう。
□月/\日
勝った。
カオスワームとの死闘。俺と銀の拳、2人で掛かれば呆気なくすんだ。当然だ、全員が同じくらいのパワーで2対1をすれば2が圧勝するのは当然、だから余裕で勝てた。最初の一体には
可笑しいとは思った。たかがカオスワーム一体の力であのグレートホーンがあそこまで弱る訳が無い、カードの能力ならば出来るがこれは現実、圧倒的力量の前では小細工など無力なのだから
塵も積もれば山となる、つまりはそういう事だった
侵略されたフィオナの森、カオスワームは自分と同等の存在を大量に生み出していた。その数占めて30体。30対2どう足掻いても勝てない、恐らくこの全てのカオスワームがグレートホーンに致死の呪いを与えているのだろう。
戦いは劣勢を極めた。互いに背を預け数による蹂躙を堪え生き残った。銀の拳も俺も限界だった。そんな中カオスワーム達は散り散りになり森の仲間がいる奥へと進軍を始めた。恐らく奴らも分かっていたのだろう。対抗できるのが俺達しかいない事に、2人とも死に体の今、故に今森を滅ぼそうと動き始めたのだ。
それに気付いた瞬間、銀の拳は咆吼をあげて散り散りに動き始めたカオスワームを殴りつける。腕が潰れ反撃で身体がひしゃげてでも森を守る、ただそれだけの意思で
銀の拳の怒り、そして蹂躙されたフィオナの森の怒り。それら全てが合わさり奇跡が起きた。進化だ。銀の拳が生物として一段階上の段へと登った、今思えばカオスワームも進化体だったなと思うがあの時は進化が起こす神秘に絶体絶命のピンチだというのに目を見開いてただ見詰めていた。
銀の拳改め「大勇者 大地の猛攻」
その力は圧倒的だった。彼の雄叫びで銀髭団は集まりカオスワームに到底叶わなかった彼等の力を鼓舞する事によって増幅させカオスワームと同等に戦える力を与えた。
その後は総崩れ、勢い付いた銀髭団に叶う訳もなくパラサイトワーム達は壊滅状態まで追い詰められフィオナの森防衛戦、始めての勝利を得る事が出来た。
だが勝利の代償もある。グレートホーンが、大地の猛攻の姿を見て安心したのか衰弱し眠るように死んでいったのだ。絶対的な森の守護者、グレートホーンの死、フィオナの森は悲しみに包まれた。だが、それを打ち壊したのは大勇者 大地の猛攻。彼はグレートホーンの遺体をフィオナの森の聖樹、無限大の力を与えてくれるとされている木の下に埋め、宣言した。
これからは我等がグレートホーンの代わりに森を守ると
その声に答えるように皆が大勇者を讃え喝采をあげた。すると、その声に呼応するように大地は唸りをあげ100年間眠り続けてたとされる古の存在、ジャイアント達を目覚めさせた。
森は彼等の復活に更なる喝采をあげた。これで戦える。これならば森を焼いた憎たらしい闇の軍勢に反撃することが出来ると
その日は祭りだった。グレートホーンの葬式の後にジャイアント復活の祭りが起きるとは思わなかったがこれはこれで良かったのだろう。
その日、赤ん坊の俺は酒をタラフク飲まされまた生死をさ迷った。
やっぱり超獣世界って馬鹿ばっかだわ
□月^^日
パラサイトワームも追い払い一時的な平和を享受していた俺は今日も日課である大地の猛攻との模擬戦をしていた。正確には進化して強くなった大地の猛攻の手加減の練習の付き合いだろうか。まぁそれはどうでも良いとして
そんな平和な日を過ごしているとどうやら同盟の契約は終わりを告げたらしく親父がジャスミンちゃんを連れて森にやって来た。
どうやら親父は約束通りザガーンを追い払った後、向かってくるデーモンコマンド達を薙ぎ払っていたらしい。
親父曰く
「ザガーン以外のデーモンコマンドなんぞ雑魚よ雑魚」
らしい。この親父ノリノリである。そして契約も終わり俺を迎えに来たという訳らしいのだが……何故かジャスミンちゃんが親父から離れようとしない、何故だ。そんな血塗れのオッサンの何が良いのか。コッチに血塗れの赤ん坊がいますよ?コッチの方が若々しくてお得ですよ?
そんな状態を見た大地の猛攻が面白そうに笑いそれならこの子は家で育てよう等と俺を抱き寄せながらそんな事を抜かした。
それを聞いた親父はマジ切れ。大地の猛攻も進化してようやく全力をぶつけられる存在に歓喜して殴り合いを始めた。
コイツら馬鹿だろ。
なお結果は親父のボロ勝ちである。残当
……森を出る前に大地の猛攻からグレートホーンの角を削ったブローチを貰った
「お前にフィオナの森の加護があらんことを」という言葉付きで。
泣かせる事すんなよ畜生。絶対にまた来ます
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転生者ゲット君の日記 2
今日ようやく自宅があるヒューマノイドの里に久ぶりに戻れた。銃音や爆発音が鳴り響き人々の喧騒が喧しく、それを聞くだけで帰ってきたと感じることが出来た。
息子はフィオナの森からの移動に疲れたのか既に夢の中に移動しておりとても安らかに眠っている。
それにしても色々とあった。闇の騎士ザガーン、感情を雰囲気に出す事のないアイツがあの戦いでは何かに心底焦り、怯えているような感情を出していた
一体何があったのか、戦いの中でアイツは震える声で繰り返していた
復活を。生贄を、血を、肉を、魂を。あの御方へ捧げなければ
あの御方、それはまさか闇文明の開祖であり闇文明最強の覇王ブラックモナークの事なのか。
有り得ない。ブラックモナークが死ぬなんて一体誰が、どうやって、何故?
超獣世界の中で頂点の力を持っているアイツがどうやって死ぬのか。分からない
だがザガーンが唯一敬愛しているのはブラックモナーク唯1人。最近デーモンコマンドで実力のある者達が台頭し始めたらしいが混沌の獅子デスライガーやザガーンに勝てる力を持ってい者はいない
何かある。今回の闇文明の侵略活動には何か理由がある筈だ。取り敢えずその事だけは頭に入れておこう。
「……あの」
「……」
思考の迷路の中で暫くの間迷子になっていると腕を引っ張るような力を感じ意識が現実に浮上する。結局フィオナの森で預かった少女、霞妖精ジャスミン。何故かこの子は預かったあの時から俺から離れないように、戦いに行く時以外は殆どずっと引っ付いていた。
自然文明のマナに近い場所で生まれ存在そのものがマナに深く起因する存在であるフェアリー。そんなこの子が自分の文明のマナがある場所ではなくこの火文明に来る事を選んだ。一体何故?何故だ?
「まさか……各文明のマナのバランスが崩れているのか」
謎の地殻変動による各文明への打撃、そして覇王ブラックモナークの死。マナのバランスが崩れ始めていても可笑しくはない
「いや……変調は既にあったか」
ボルシャックドラゴンとボルザードドラゴン。彼等の統治する山のマナバランスが乱れ始めているとあの時ボルシャックから聞いていたな
モンスターの生命力の糧であるマナ。そのマナがもしも枯渇すればモンスターは死ぬ。存在を維持出来ず消滅、消えていくだろう。
「……おじさん?」
「……あぁ!すまんな。最近歳のせいか直ぐに惚けてしまうんだよ」
彼女が鍵、この小さな少女が今の儂の疑問全てを解決する存在になるかもしれない。そんな事を考え胸の奥に封じ込める。少女の頭を撫でると気持ちよさそうに顔を笑みを浮かべる。その姿を見てふと思う
「なぁ嬢ちゃん。森を出て儂に付いて来たいと思ったんだい?」
「……フィオナの森は涼しくてここは太陽みたいに暖かった。初めての感覚、もっと感じてみたい」
「……後、おじさんのマナは炎みたいに熱くて大きい。それが気になった」
「そうか」
もう言葉はいらない。納得した。これ以上になく、ならば儂に出来るのは一つだけ
「嬢ちゃん。家に来ると良い、今なら儂に料理の上手い嫁さんに強い弟がつくぞ」
この日家族が増えた。
"月。日
家に帰ったらジャスミンちゃんが家族になってた。何を言ってるのか分からねーと思うが俺にもさっぱり分からん、親父が結局引き取ったらしいが母親に聞かずにそれで良いのかと思ったら
あらあら可愛らしい子ね。アナタ?この子は……そう。だったら家の子になるしかないわね
と言って笑顔で納得していた。それで良いのか母親よ。それで良いのかこの世界の常識、それで良いのか超獣世界。
取り敢えずジャスミンちゃんは可愛い。戦場に行って疲れ果てた俺を風呂に入れてくれたり隣で一緒に寝てくれたりと普通に世話をしてくれてて癒される。
中身オッサンの身からすれば正直可愛らしい少女が何かするだけで癒される。ジャスミンちゃんの寝顔は可愛いぞ。正に妖精、フェアリーだ。
この子種族スノーフェアリーだったわ。やはりこの子は妖精のような可愛らしさを持っている
(要約するとこの後もジャスミン可愛いしか書いていないので割愛する
"月×日
大地の猛攻から貰ったブローチから自然のマナが生まれているらしい。ソースはジャスミンちゃんと親父、フィオナの森で守護者として永い時を存在していたグレートホーンは自分でマナを生み出せる存在になっていたらしくその恩恵が死んだ今でもあるのかブローチから自然のマナが溢れているとの事だ。
自分でマナ作れるとか凄いなグレートホーン。流石フィオナの守護者は格が違ったとか思っているとどうやら火文明でもマナを自分で精製出来る存在はいるらしく、目の前の親父が少ないながらも自分でマナを作れると自慢していた
凄いな機神装甲ヴァルボーグ。因みにボルシャックドラゴンになるとグレートホーンレベルでマナを自己精製出来るらしい。やっぱりレアカードは格が違うんだなって
因みにボルザードドラゴン君はマナを精製出来ないらしい。知り合いに能力的に差を付けられてるボルザードドラゴン君可哀想
それから良くジャスミンちゃんは俺のブローチを握りし締めている。やっぱり自分の文明のマナは良い物なのだろう。俺も火山に行ったら調子と気分が良くなるし、そう言えば最近水文明が火文明に侵攻を始めたらしいが親父とボルシャックが本気を出して蹂躙したらしい
そしたら水文明の本陣と思われるリキッドピープルの進化体が沢山現れて火文明の実力者VS水文明の精鋭で死闘を繰り広げたらしい。
因みに火文明の圧勝だったそうな
決まり手はクリムゾンワイバーンさんの爆撃でブロッカー全滅からのパワーでゴリ押しらしい
うーんのこのゴリ押し
"月丸日
今日は隣に住んでいるホノオさんが遊びに来た。そうあの一撃勇者ホノオである。コロ〇ロの超獣世界をコミカライズした際のオリジナル主人公のあのホノオさんである。
初めて見た時は主人公オーラが半端なくてヤバかった。これがパワーアタッカー+5000の風格かと納得してしまう程に
ホノオさんの戦歴を知らない人に一言で分かる漫画でのホノオさんの凄さ
悪魔神ドルバロム 撃破
正直凄い。もうこの人一人いれば良いんじゃないかなと思う程にこの人は強い。因みにホノオさんには何時も一緒にいる白髪の少年がいる。名前はメンテ、ホノオさんの武器のメンテナンスをしている人である。名前の由来はメンテナンスから来てるんだろうなぁ
…確かこの人異世界から来た子ども天才デュエリストだって設定があった筈なんだけど……俺が生まれる前からずっといるらしい。時代背景的にまだ初期の筈ですけど……なんでいるの?
ドルバロムまだいませんよ?時代先取りすぎぃ!
……取り敢えず困った時はホノオさんに頼ればええねん!流石ホノオさんや!
因みにホノオさん水文明との戦いでクリスタルパラディンをタイマンでブッ飛ばしたとか……流石ホノオさんや!
"月>>>日
長い事高みの見物を続けていた光文明がついに動き始めたらしい。闇文明の全包囲に喧嘩を売っていくスタイルに我慢が出来なくなったのか闇討伐を掲げて住処である天空から下界へと降り立った。
そして火文明に喧嘩を売ってきた。
簡単に言うと
光「闇文明調子に乗りすぎじゃね?取り敢えずアレはそろそろ断罪すべしお前ら下界の下郎は天界に住む光文明の命令に従えやオラ」
火「は?(威圧)何様じゃ殺すぞ」
光「おうやってみろよ(精霊王の余裕)」
火「誰に喧嘩売っとんのや戦争すっか?お?(煽り耐性ZERO)」
光「予言がある以上光の勝利は絶対。やめとけって(笑)」
火「光文明滅ぼす慈悲はない。闇文明と手を組んででも殺す」
……精霊王がいるからって調子こきすぎじゃね?精霊王にはパワーでは勝てないけどコッチもコッチで実力者山盛り、お前ら光文明の実力者は大体ブロッカーだろ?クリムゾンワイバーンさんの爆撃で全滅する癖に生意気な。
……親父が言うには
機神装甲のボスであるヴァルカイザーがブチ切れたから戦争は確実らしい。
取り敢えず自然文明とはもう1回同盟を結び直せるレベルで親交を深めたと思いたい、取り敢えず火文明は光と水とは今の所は分かりあえないみたいだ。
……どうせ全文明が協力しなきゃ駄目な時代が直ぐに来るんですけどね(唐突なネタバレ)
因みに話についていけていなかったのかジャスミンちゃんは親父の話を聞いて頭に?マークを出し続けていた。
可愛い。妖精かな?妖精だったわ
"月$日
今日火の文明で最強と呼ばれている者達が集まり話し合いをするらしい。そして俺は親父にその場に連れていかれました。やっぱりうちの親父馬鹿だわ、話し合いの場に赤ん坊を連れて行ってどうするねん。話し合いの場には錚々たるメンツが集まっており
ヒューマノイドから
ヴァルボーグにヴァルディオス。そしてリーダーたるヴァルカイザー
アーマードドラゴンから
ボルシャックにボルザード
アーマードワイバーンからは
クリムゾンワイバーン
という火文明の象徴とも呼べる彼等がそこにいた。正直ションベンちびるかと思ってしまうほどのメンツに戦々恐々していると火文明の頭領と呼ばれる存在がその後悠然と現れた
これらを纏めあげる存在とか一体誰だよと思っているとそれは現れた。
ボルシャックすら赤子に思える、山をも凌駕し大地が動いたのかと誤解してしまうほどの巨体。巨大な翼をはためかせ悠然と降りてきたそれは間違いなく火文明最強の存在であり、俺もカードで見た事がある存在
10マナ15000 トリプルブレイカー
グラディアンレッドドラゴンがそこにいた。
あっションベン漏らした。
"月""日
聖霊王の餓鬼は俺に任せておけ。という有難いお言葉をグラディアンレッドドラゴンから貰いました。やったぜ、これでパワーの戦力的にはウチがナンバーワン光も闇も自然も水にもパワー15000はいなかった筈だしこれで勝ったも同然ですわ
唯一気掛かりなのは闇文明の最強の存在覇王ブラックモナーク。俺が生きていた間はカード化されておらずどんな能力を持ってどんなパワーなのかさっぱり分からない、だが、この世界最強の存在の1人だとは思っていた方が良さそうだ。
恐らくだが今の所の各文明最強の存在は
闇文明 覇王ブラックモナーク パワー?
火文明 グラディアンレッドドラゴン パワー15000
光文明 精霊王アルカディアス パワー12500
自然文明 恐らくは金剛の超人 パワー14000
水文明 恐らくクリスタルツヴァイランサー パワー13000
凄い!パワー12500以上ばっかりでパワー12500のアルカディアス君可哀想!ザマァミロ!バーカ!アルファディオスになって出直して来な!
これ光文明勝てんの?(素)
"月$$日
光文明の奴等やりやがった。イニシエートとガーディアンの編隊を火文明のマナが1番集まる所、言うならば各種族の里とボルシャックとボルザードの山に攻撃を仕掛けやがった。俺達モンスターはマナがなければ生きていけない。ならばマナが出る場所を乱してしまえば簡単勝てると踏んだのだろう。
最初にボルシャックとボルザードが統治する火山に攻め込んだらしい。尚一瞬で迎撃される模様
次にクリムゾンワイバーンが住む火山に。これもまた一瞬で爆撃されて殆どが死に体
そして俺達ヒューマノイドの里。腹立たしい事だが俺達ヒューマノイドは基本的にパワーが低い。機神装甲を纏っていない者では光の文明に太刀打ち出来ない程に。だが、機神装甲達(俺も含む)とホノオさんの健闘により無事撃退する事が出来た。やったぜ
派手に喧嘩売った癖にボッコボコにされた光文明さん可哀想(煽り)ザマァみろさっさとエンジェルコマンド出てきてグラヴィアンレッドドラゴンさんにぶっ飛ばされとけ。
というか本来の背景ストーリーなら火文明は光文明にボッコボコにされる筈なのにそんな気配が一つもないんだが
凄いな火文明。
あっこれは今までの話しに関係ないが俺
「ママー……チャスミユン……パパー」
「うおおおおおっ!ゲットがついに言葉を話せるように!今日は宴じゃ宴!」
「じゃあ腕によりを掛けて作らなきゃね。ジャスミンちゃん手伝ってくれる?」
「……うん。任せて」
言葉足らずだが話せるようになりました。これで「パパきらい」って言えるようになったな!戦場に放り込まれてた今までの恨み辛みここで解き放ってやるぜぇ……!
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転生者ゲット君の日記 3
$§月ゝ日
光文明が本腰をあげて闇文明に戦いを挑んだらしい。度重なる交戦、背景ストーリー通りに自然文明に同盟を結ぶかと思いきや自然文明、光文明とは同盟を結ばなかった模様。そんな中闇文明から自らを神と名乗る存在が現れた。それを聞いた瞬間思い出した。そういえばブラックモナーク死んでて遺体が闇文明の基地になってたわと。
悪魔神バロム、そう8マナ12000闇以外のモンスター全て破壊のあのバロムである。バロムは光文明の精鋭達を一瞬で消し飛ばし全ての文明に対して宣言した。
忌々しき光を我らが討ち滅ぼす。共に付いてくるならば滅ぼさないでおいてやる
だが、光に手を貸すならば話は別だ。魂の一片たりとも残さず消し飛ばしてやろう
それを聞いた光文明。激おこ、精霊王アルカディアスの名の元に闇を除く文明に集合の命令を発した。しかし全文明これらを華麗にスルー。
当然である。自然文明は自分達の最強の存在、ジャイアントが復活していて。尚且つ目の上のたんこぶ……勝手に戦って森に被害を与えそうな存在が勝手に同士討ちを初めてくれるなら大歓迎と参戦拒否、つまり平和主義を貫くとの事だった。
水文明も本来なら闇と光、両方に手を貸し戦場を混乱させる筈なのだが。自らの基地である海底から出て来る気配無し。恐らく火文明との戦いの傷がまだ癒えてないのだろう。ご愁傷様である
そして我等が火文明は当然参戦の意思をみせる。だが、それはどちらにも付くと言うわけではなく
「良いかテメェら!光の屑も闇のクソ野郎もぶっちゃけ大した事ねぇ!この戦いであの2つの文明を叩き潰してしまうぞ!」
機神装甲ヴァルカイザーの一声で光と闇に喧嘩を売る事を決意した模様である。キチガイかな?
火文明は戦闘バカのキチガイの集まりである。この結果はある意味残当かもしれない。
という訳で火文明は久ぶりの大戦争の気配にウズウズし始め何奴も此奴も昂り始めている。各戦場であった小競り合いもこれからの大戦争を控えてお互いに攻め入る事がなくなっており三つの文明が虎視眈々と力を溜めて戦争の準備をしていた。そして俺は親父とジャスミンとでとある場所に向かっている。
フィオナの森。今回の戦争では物資が枯渇する可能性が非常に高く、資源が非常に豊かな自然文明に資源供給のお願いをしに行くのだ。ジャスミンちゃんは久ぶりに森に帰るとなって嬉しそうにしており、正直戦争が始まるんだから森にジャスミンちゃんを置いていった方が良いと思うがそこら辺は親父がなんとかするだろうと思う。
$§月>^日
久ぶりに行ったフィオナの森はパラサイトワームに侵略されていた姿が見えない程に木々が生い茂りモンスター達が活気づいていた。そして久ぶりにあった大地の猛攻に拙い言葉で礼と挨拶をすると心底驚かれガチ泣きされた。ドン引きした。大地の猛攻的には俺は戦友ではなく我が子のように俺の事を思っていたらしく俺の成長を見て喜んだのだと
いやいや俺お前と背中を合わせて戦ったやん?そこに年齢とか関係ないやろ?何ていうか俺年齢で色々と損してるなよな
まぁジャスミンちゃんと一緒に風呂入ったり寝たり出来るのは赤ん坊の特権であり良い所かな
そして親父が資源供給の件についてお願いすると二つ返事でOKを貰いました。何でも他ならぬ自然文明を救ってくれた貴方の一族からの頼みならば何でも受けようと。むしろそれだけで良いのかと火文明となら同盟を組んで戦っても良いと言い始めた時は親父が慌てて止めに入っていた。俺も焦った、コイツらに貸しを作ったら全力で返してきやがる。貸し借りを殆ど気にしない火文明とは違いヤクザの如く貸し借りを大切にする自然文明
そら将来カンクロウみたいなモンスターも生まれるわと思う。
$§月>/\日
【悲報】大戦争スタート【火文明横合いから殴りつける】
闇文明が光文明にカチコミを仕掛けた。そしてアルカディアスとバロムが戦っている中グラディアンレッドドラゴンが混ざって両者をボロ雑巾のようにした。
簡単に言えばこんな感じ、ウチの文明は戦場を荒らすのが本当に得意ならしく、光と闇両方に殴り掛かりそして甚大な被害を与えた。
バロムの配下の闇の精鋭デーモンコマンドをボルシャック&ボルザード率いるドラゴン勢が焼き
アルカディアスの精鋭であるエンジェルコマンドをクリムゾンワイバーン率いるワイバーン勢と機神装甲率いるヒューマノイド勢でブロッカーを皆殺しにした後数とパワーでゴリ押しである。
_人人人人人人人人人人人人_
> 横合いから殴りつけろ!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
グラディアンレッドドラゴン曰く
「久ぶりに骨のある奴と戦えたが、ブラックモナークの奴と戦えなかったのが残念だ。アイツが出て来たらもっと面白くなるってのに」
らしい。流石グラディアンレッドドラゴンさんやでぇ……パワー15000は伊達じゃない。バロムとアルカディアスが赤子のように捻られる姿はいっそ見てて清々しかった。最終的に相容れぬ2人が互いに協力してグラディアンレッドドラゴンに挑んだのに力と経験の差で倒される姿は見てて涙が出た。これが人間のやる事かよぉ!ドラゴンだったわ。というかこの世界人間ホノオさんしかいなかったわ。流石ホノオさんやでぇ……
戦争が始まった瞬間第三勢力に殴り飛ばされるってどんな気分なのだろうか、少し気になった。
なおこれは後でしった事なのだが自然文明のジャイアントさん達はその戦場を見てノリノリだったらしい。なんだアイツら超獣世界には戦闘狂の巣窟か。癒しはもうフェアリーだけしかない
混沌としていく戦場。一体どうなってしまうのか。果たして悪魔神()バロムはその威厳を保ちながらアルカディアスに敗れる事が出来るのだろうか。アルカディアスは主人公オーラで全開でバロムを倒す事が出来るのか
これからの戦争に乞うご期待
これは余談だがボルメテウスホワイトドラゴンと呼ばれる伝説の龍が眠る火山に1人のドラゴノイドが戦争が始まってから祈りを捧げているらしい。
この状況でボルメテウスホワイトドラゴンが蘇っても正直過剰戦力なだけではないのだろうか
サバイバーが出て来るまで待てば良いのに
$§月>>>日
火文明に敗北したリキッドピープルに代わり新たな勢力サイバーロードが水文明に現れたらしい。サイバーロードは闇と光に手を貸し、グラディアンレッドドラゴンを倒す為の力を貸すと言って同盟を結んだらしい。
ちょっと待て火文明がラスボスみたいな扱いほんと止めてくれ、ラスボスは闇文明だろ?お前らブラックモナーク蘇ったら勝ち確ってずっと言ってるじゃん
背景ストーリー知ってる俺は誤魔化せんぞオラァ!
2文明とサイバーロードが同盟を組み火文明を倒そうと躍起になっている中火文明にある種族が同盟を結びに来た。リキッドピープルである。なんでだ。どうしてそうなった。水文明の内部状況崩壊してるんじゃねこれ。後グラディアンレッドドラゴンを除く火文明のリーダー達は流石にこの状況は不味いと自然文明に同盟を申し込む。勿論笑顔で了承を受け
ここに光&闇&サイバーロードVS火&自然&リキッドピープルの大戦争の幕が切って落とされた
これもう分かんねぇな(呆れ)
$§月/$\日
バロムとアルカディアスがお互いにメンチを切り合いながら共同して戦う姿はいっそ清々しかった。コイツらグラディアンレッドドラゴンを倒した瞬間殺し合いを始めるだろって空気が満載だった。
俺達ヒューマノイドはリキッドピープルと協力して新しい技術を取り入れた機神装甲を作り出そうと躍起になっている。水文明でもリキッドピープルは高い知識水準に技術力、これがあるならば機神装甲も更に強力な物になると喜びリキッドピープルも火文明門外不出の機神装甲を弄れるとなってテンションアップ、直ぐに研究が行われた。
研究の結果。これ以上の改良は無理だと言う事が判明した。何でや!
話しによるとこの機神装甲はヒューマノイドに対して100%以上のスペックを引き出す為の装置として完成されきっており、出来るとしても火器を増やす事くらいしか出来ないとの事らしい。
それを聞いた火文明歓喜。つまりは火器を取り付ければまだ強くなれると言う事でありとなれば当然やる事は一つ
機神装甲の魔改造のスタートである。実験台は機神装甲ヴァルディオス、因みにヴァルディオスさんは自分から志願した模様
「これでもっと強くなれば俺が最強になれるのでは?」
がヴァルディオスさんの言。夢見すぎである
因みに水文明の頭領はクリスタルツヴァイランサーだった。水文明時代先取りすぎぃ!そら戦争に参加せんわ他の文明の力を借りなくても普通に自衛出来るじゃん。後、水文明の内部状況が崩壊したのでは懸念したが実はそうではなく
全文明と手を組んだら良いデータが沢山取れそうだからこうしたらしい。
やっぱり水文明って駄目だわ。あくどい
$§月&日
あくどいリキッドピープルさん。ジャイアントの肉体情報が欲しいのか、あろう事か自然文明と交渉に走る。自然文明、火文明の仲間なら俺達の仲間だとあるジャイアントの血液をリキッドピープルに提供。もうやだこのヤクザ、誰か他人を疑う事を教えてあげてください。
水文明さん喜び勇んでそのジャイアントの血液からDNAを引き出し自分達のDNAを混ぜた新たなモンスターを作った。
出来たモンスターは恐らくパワー10000超え、ジャイアントとリキッドピープルの両方の種族を持ったモンスターだったが一つ問題が発生した。そのモンスター生まれてからずっと身動き一つ取らずに立ち尽くしていたのだ。
研究の結果、貰ったジャイアントの遺伝子情報に問題があったそうでそのジャイアントは
夜明けの超人(ドーンジャイアント)
フレーバーテキストでフィオナの森がある限り動かないと言われているアレである。自然文明さん意外としたたかである
水文明さんこれに騙されたと怒るが自然文明さんの威圧、正確にはジャイアントの威圧に堪えられずそのまま泣き寝入り
因みにその動かないモンスターは自然文明が引き取ったそうな
悪い事したら駄目なんだなって思わされました。
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転生者ゲット君の日記 4
──最強の力とは何なのか。それは様々な文明が考えた答え。
闇文明ならば全てを消し飛ばす魔の力であり
水文明ならば森羅万象有りと有らゆる事を知り尽くした知の力であり
光文明ならば浄化の光で全ての災いを断つ光の力であり
自然文明ならば大いなる大自然それらを一身に受け取った自然の化身となる力である。
様々な文明が己の最強の力を持っている中、火文明の最強の力は他の文明とは掛け離れた物だった。
火文明の最強の力。それは唯、力があれば良い。小細工等要らぬ、余計な能力など一切不要。汝、有りと有らゆる敵を打ち倒せる力を持て。
クリーチャー達が争い始めるよりも更に昔。遥か太古に導き出されたその答えはクリーチャー達に受け継がれていた。
「フハハハハハハハハッ!その程度なのか新たなる時代を作りし益荒男達よ!旧時代の遺物たる俺に手も足も出ないのがお前達なのか!なんと脆弱、なんと呆気ない。お前達の先達達はこの程度の強さではなかったぞ!」
「闇の若人よ!お前は先達、俺の永遠の好敵手である覇王ブラックモナークを差し置いてこの場にいる事を分かっているのか!」
「これより始まる新世界、その引き金を弾いた度量の程度の力を魅せてみろォ!」
吠える。今よりも遥か昔から存在する益荒男が、火文明最強の存在が今の光と闇の最強と呼ばれる存在に喝をいれるように咆哮し眼前の存在を消し飛ばさんと身体中から炎を溢れ出させる。
グラディアンレッドドラゴン。遥か太古昔より生き続けている怪物は火文明の最強の力そのものであった。
汝、力強くあれ。ありとあらゆる敵を打ち倒せる力あれ、小細工等不要。真の最強の前にはあらゆる異能など意に返さない。力、ただ力。大地のように巨大で強大な肉体。その肉体から湯水の如く溢れ出すマナ、有象無象を消し飛ばす炎。
その力は余りにも絶対的。他の文明を寄せ付けぬ程にグラディアンレッドドラゴンを超える存在が戦場にいないほどに。例え今戦場にいる全ての存在が敵に回ってもグラディアンレッドドラゴンは全てを倒せる自信がある。絶大なる自負、太古の昔より生き続けていた怪物故の慢心。だが慢心していても負ける事はない。それは彼が火文明最強だからでもある。彼自身が火文明最強の力を体現しているのだから
聖霊王アルカディアス並びに悪魔神バロム。彼等は決して弱くはない。そう彼等は強い、彼等はこの戦争を引き起こした張本人。これから幾億という年月が過ぎ去ろうとも続く、光と闇の抗争の始まりの引き金を弾いた彼等が弱い道理がない。
ただグラディアンレッドドラゴンが恐ろしく強く彼等の生きてきた経験、そして力が足りなかった。ただそれだけなのだ。
悪魔神、精霊王。彼等が己が持つ全身全霊の力を持ってしてグラディアンレッドドラゴンに挑み掛かるもその全てを軽くいなされ何十倍にもなって返される。
圧倒的。その力はあまりにも圧倒的だった。光と闇の軍勢がグラディアンレッドドラゴンに恐れ戦き戦場から逃げ去ろうとする程に、彼は圧倒的だった。
火文明が求める最強の力はただ一つ。汝最強であれ。火文明の最強を打倒するならばそれを打倒するものも最強でないとならない。
「有象無象程度の力では足りん!圧倒的力を魅せろ!俺を殺してみせろ!俺という最強を下せるものなら下してみろ!」
火文明最強の龍は吼える。己の最強を誇示するように。ありとあらゆる存在に火文明の力を見せ付けるように。
この最強に勝つ方法を至って簡単。汝、最強の力もって最強に勝つ。それだけだ
$§月―_―日
グラディアンレッドドラゴン強過ぎワロタ。悪魔神と精霊王がクソ雑魚ナメクジに見えるレベルとかコイツ最強かよ。アイツらグラディアンレッドドラゴンに手も足も出てないじゃん。もうコイツ1人で良いんじゃないかな?あっ俺も戦わなきゃ駄目?うん知ってたから親父はそろそろ俺を最前戦に放り投げるの止めない?彼処デーモンコマンドとエンジェルコマンドがワラワラいてヤバイから
アーッ!
$§月☆日
Q.闇文明と言えば?
A.デーモンハンド
今日俺はデーモンハンド100連発という名の地獄絵図を見た。アレが闇文明の本気と言われたら納得するほどである。今日は何故かバロム1人だけで蹂躙を続けるグラディアンレッドドラゴンさんに挑みかかっていた。最初は何でそんな事をしているかと思ったら直ぐに納得した。
野郎デーモンハンドで殺すとまではいかずとも弱体化させるつもりだと。カードで言うならば六マナSトリガー、相手のクリーチャー一体破壊の呪文。コチラで言うならば何か地面から黒い手がモリモリ出て来て対象を引きずり込む術だった。
グラディアンレッドドラゴンに襲い掛かるデーモンハンド。しかしグラディアンレッドドラゴン、これを華麗にスルーどころか逆に腕を掴み返し炎で燃やし尽くすという頭のおかしい事をする。
それを見て絶句した悪魔神バロム。ならば数を増やすとデーモンハンドの数を増やすも全部返り討ち、バロムが
アレ……呪殺の概念そのものなのだがな
とボヤいたのを俺は聞き逃さなかった。カリスマブレイクしたバロムさんなんて見とうなかった!こんなバロムさんに誰がした!グラディアンレッドドラゴンさんですわ。流石火文明最強は格が違った。
呪殺の概念そのものを100連発されても高笑いして無意味だと言ってのけるウチの火文明最強はチートの体現そのものであった。強い(確信)
アルカディアスがいればまた状況も変わったんだろうけどもしもいたらアルカディアスの浄化の力でデーモンハンド打てなくなるから仕方ないよね。
本当に相性悪いよなお前ら、サイバーロードさんも何か良い案出してあげろよ。このままじゃグラディアンレッドドラゴンさんの一人勝ちだぞ
え?火文明の勝ちじゃないのかって?
いやいや火文明=グラディアンレッドドラゴンだろ?え?違う?
ブラックモナークいないからウチの一人勝ち状態だけど良いの?光文明に強キャラいないの?アルカディアスだけなの?何でそれで喧嘩売ったの?馬鹿なの?阿呆なの?文明滅ぼされたいの?
正直自然文明と同盟結ばなくても勝てたのではないのだろうか。ここまで単騎無双ゲー状態になると誰が思うか
余談だがブラックモナークが出て来ない事に火文明全体が拍子抜けしている中で親父はやはりブラックモナークは死んでいるのかと言っていた。この筋肉バカが気付いてるとかマジかよ
腐っても機神装甲ヴァルボーグか。
☆$月<<日
Q.火文明と言えば?
A.ホーリースパーク!
今日はアルカディアスとバロムで挑み掛かっていた。めげんなアイツら、そしてボロ雑巾のようにはするけど毎回生かして返す火文明最強の余裕っぷりよ。アルカディアスの
これで貴様は終わりだ!浄化の光に包まれるが良い!
という掛け声と共に謎の球体がグラディアンレッドドラゴンさんの身体中に纏わりつき電撃を発した。それを見たアルカディアスは物凄く機嫌が良さそうに笑って
我が文明が誇る兵器が一つ。邪悪を縛り付けるホーリースパーク!これを使わせた事に誇りを持って散るが良い!
とか叫んでいたけど悲しいかな。火文明最強が相手じゃなかったら話は別だったんだろうけども現実はそう上手くはいかず。火文明最強は高笑いをあげて身体中から炎を吹き出してホーリースパークを粉砕した。やっぱりコイツチートだわ。
火文明最強、ホーリースパークを消し飛ばしながら一言
俺が邪悪?違う!俺は力だ!
と言い放ちアルカディアスとバロムをボロ雑巾のように打ちのめして高らかに笑っていた。ラスボスかな?
正直火文明がラスボス説を否定出来なくなってきた俺がいるけどこんな光景見せられたら仕方ないよね。例えるなら
アルカディアス……王道主人公
バロム……ライバル兼ダークヒーロー
グラディアンレッドドラゴン…超絶チートラスボス(難易度∞)
だもん。デバック(弱体化)しないと勝てんわこれ。どうやって倒すのコイツ?
多色か?多色クリーチャーじゃないとコイツには手も足も出ないのか。取り敢えず俺は今日も最前戦で敵を吹き飛ばしながら哀れな聖霊王と悪魔神を見ていた。
あっ……悪魔神吹き飛ばされたァーッ!
☆$月^§^日
今日は魔改造された機神装甲ヴァルディオスさんのお披露目という事で最前戦にはヴァルディオスさんと直属の部下少しだけで向かうとの事だったので親父が俺をその中に放り投げて俺もヴァルディオスさんの活躍っぷりを見ていた。
そう、見ていただけだった。最前戦で戦う事なくヴァルディオスさんの修羅の如くの活躍っぷりをただ見ていた。
凄いよヴァルディオスさん、まさかデスライガーぶっ飛ばしてウルスと対等に戦うなんて。デスライガーもウルスもヴァルディオスさんの魔改造っぷりに絶句していた。俺も絶句していた、だって唯でさえ身体中武器塗れだった人が更に武器塗れになっているから初めて見た時は動けるのか心配するレベルだった。
そんなこんなでヴァルディオスさん大活躍の大満足の結果に終わった。そんなヴァルディオスさんの活躍を知ってヴァルカイザーさんが
俺の機神装甲も改造するぞ!目指すはグラディアンレッドドラゴンを超えるパワーだ!
と言っていた。夢見すぎである。ヒューマノイドは恐ろしく高い目標を建てるのがお好きなようで、そんな姿を見ていた親父が俺の機神装甲も魔改造したそうな雰囲気出していたんで「パパきらい」と一言言ってやったらこの世の全てに絶望した顔で敵を皆殺しに行った。正直怖い
そう言えば……戦争で表立って動いていないサイバーロードが恐ろしく感じるが……まぁグラディアンレッドドラゴンさんがいるなら何とかなるだろ。だってあの人?あのドラゴンチートだし
「光も闇も馬鹿ばっかり……なーんでこんな簡単な事に気付けないかねぇ」
「あの怪物は確かに強い。だけどアレと同等の存在がいない訳じゃあないじゃないか」
闇の中で小さな悪意が動き始める。この戦争を大きく乱す存在が今ゆっくりと誰にも気付かれないように動き始めたのだ
「化物には化物をぶつける……グラディアンレッドドラゴンには古の強者、大地の化身たるジャイアントを」
「まぁ……この僕の頭脳の前にはどんな存在も丸裸さ」
汝、己の最強を持って最強を示せ。それが果たされる時は意外と近いかもしれない
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転生者ゲット君の日記 5
──それは光の化身だった。清浄なる光の力を使い天界より魔を討ち滅ぼす為に地上へと降りてきた存在、天使の軍勢を纏め上げ天界を治める聖霊王。
天界にて天使を纏め上げ統治する存在、人間ならばそれをこう言うだろう
神と
だが彼は神ではない。聖霊王はあくまでも王なのだ。神には至れない、彼の永遠のライバルとなる悪魔神ですら神の器ではない。実際の所彼も神と名乗ってはいるが彼も王の器なのだ。彼よりも格上の存在であったブラックモナークですら覇王と自らを名乗っていた。この世界に神はいない。
少なくとも、今はまだ
ならば火文明最強、グラディアンレッドドラゴンは神と呼べるのかと言えばそうではない。彼は神とは呼べない。彼はただ力を持っているだけの悪童なのだ。
唯一無二の好敵手との戦いを忘れられなくて。力を振るうだけの戦闘狂。
だが、一番神に近い存在はこの世界にもいる。存在そのものが戦いの化身であり、それに自意識などなくただ敵を打ち倒すだけ。王と呼ばれる者達がいなくなるまで戦い続け最後には仙界と呼ばれる世界に帰る存在が。
闘匠メサイヤ。本来ならばこの時代で戦う事はなかった筈のそれは、ある1匹の悪童のせいでこの世界に降り立つ事になってしまった。崩壊した本来起こりうる歴史の流れ、それを戻す為に呼び出された所謂抑止力の化身。それが現れてしまった以上全ての王は死ぬまで戦わなくてはならない。さもなければ戦匠は下された命令通り永遠に戦い続けるだろう。
全ての王が死ぬその時まで
フィオナの森が、古より存在している大地の化身、ジャイアント達はその日神を見た。これこそが大地の化身、自然のマナの概念そのもの。これの前にはどんな力を持った存在も勝てない、何故ならこれは闘匠。闘いの化身で概念そのものなのだから。
それの顕現を知っているのは今はまだ自然文明だけ、だが直ぐに知る事になるだろう。戦匠の存在に、その強さに。
1匹の悪童の死を持って闘匠の恐ろしさを世界に知らしめる事になる。
──戦いの銅鑼が鳴り響く。
炎と閃光、闇の波動が凄まじい音を作り出し大地を抉り、吹き飛ばし、消し飛ばして大地が悲鳴をあげる。大地に眠るマナが溢れ出しマナが乱れようとも三つの力は衰える事がない。寧ろ大地が吹き飛ばされれば吹き飛ばされる程その力は勢いを増していく。
火文明最強は吼える。まだだまだ足りぬ、まだ戦い足りぬ、血が足りぬ、実力が足りぬ、死闘が足りぬと。
彼の足元にあるのは山のような千切られたホーリースパークの数々。彼の動きを封じようと使った何千何百ものそれが壊れ果て動く事はもうないだろう。
火文明最強の咆哮で世界は揺らぎ辺り一面が何もなかったように塵へと消えていく。それを正面に受けながらも英霊王と悪魔神は懸命に立ち向かう。自分と比べることすら馬鹿らしくなる圧倒的な存在に向かって己が死力を出し尽くし一撃を加えてみせると。
「貴様らでは生温い!俺の永遠の好敵手である覇王はどうしたぁ!奴ならば俺と対等に戦える!お前らでは無理だが奴ならば俺を倒せる。死力を尽くした戦いが出来る!」
「覇王は……覇王はどうしたぁぁぁッ!」
「……貴様程度にブラックモナーク様が手を煩わせる訳にはいかん。残念だが貴様は我……いや我等に倒されるのだ」
「……グラディアンレッドドラゴン。貴様は既に浄化の対象に入っているのだ。大人しくその身を浄化の光に預けると良い」
その言葉に火文明最強は吼える。良くぞ言った、ならば今のお前らでは勝ち得ぬ存在がこの世界にはいるという事をその身を持って知るが良いと。
──炎が巻き起こる。大地よりも大きい巨体から精製される莫大な火のマナを凝縮した炎の塊が竜巻となり全てを燃やし尽くし悪魔神と聖霊王を襲い掛かる。その炎を必死に堪えるがこの程度は火文明最強にとって息を吐くのと同じレベル。悪魔神と聖霊王、両者の限界がここだとしたら火文明最強。グラディアンレッドドラゴンと今は絶対に叶わない実力の差がここにあった。
闇文明の秘術デーモンハンドも光文明の退魔の兵器ホーリースパークですらコレには叶わなかった。勝ち目がない、どうあがいても絶望。だが彼等は諦めない、何故ならば彼等には死ねぬ理由がある。勝てなくても生き残らなくてはならない
「……奴を殺らねば我等に希望はない。我等闇文明も貴様ら光文明も火文明に滅ぼされる。それで終わりだ」
「元は我々の戦いだった筈なのだがな……まさかこのような化物が参戦してくるとは」
覚悟は決めた。両者共に怪物を倒す為に命を掛ける事を決意する。だが死ぬつもりはない、彼等の死は文明の滅びと同意。故に敗北は彼等の中にない。
「来るが良い。力無き者達よ!貴様ら程度の有象無象が俺と同じ土俵に立てるとでも思うな!」
──その時フィオナの森から銅鑼の音と共に一体の巨人か現れた。これがこの大戦争を更に歪める原因の一つ、そして火文明に大打撃を与えた一つである。
グラディアンレッドドラゴンは感じた。自分と同等の存在の現れを、好敵手。覇王ブラックモナークではない別の超常の怪物の存在を。その時目の前にいた有象無象の存在を忘れその存在に意識を集中した。
ゴーン、ゴーン、ゴーンと銅鑼の音と共にそれは戦場に現れた。自然のマナの塊の身体、身体よりも大きい巨大な仮面を付けた一体の怪物。
グラディアンレッドドラゴンはそれを知っている。遥か太古の昔より存在していた怪物だから知っている存在、それを見た瞬間歓喜した。死闘は必須、下手をすれば自分を殺しうる超常の怪物。
「メサイヤ。テメェ……いや、言葉は無粋か」
グラディアンレッドドラゴンの言葉に対して闘匠メサイアは何も話さない。ただ銅鑼の音が鳴るだけだ。2体はお互いに身体中のマナを昂らせそれを放出する。赤と緑、火文明と自然文明のマナがぶつかり合い大地を混沌へと変えていく。自然のマナにより大地は豊穣の世界に、火のマナにより全てが焼け付き不毛の世界に。精霊王も悪魔神も嫌でも気付いてしまう。これこそが最強同士の戦い、今の自分達では立ち入る事が出来ない神域の戦い。勝ち目がない、この場にいるだけで余波で死んでしまう可能性すらある。
「餓鬼共……分かってんだろ。さっさと消えな、ここからは俺と此奴の殺し合いだ」
「じゃねぇと……死ぬぞ?」
その瞬間、怪物同士はぶつかり合った。そしてその衝撃に戦場は今、完全に崩壊した。
メサイヤの拳が唸りをあげてグラディアンレッドドラゴンに襲い掛かる。なんの捻りもない唯の拳、だがグラディアンレッドドラゴンと同等の存在が放つ全力の一撃は避ける事は容易いものではない。彼等と同等の存在でなければその一撃で身体はマナに分解される程の衝撃が相手を襲うだろう。
それを迎え撃ちながらグラディアンレッドドラゴンは同じく拳で返す。
超至近距離から始まる殴り合い、その中でグラディアンレッドドラゴンが炎を発しメサイヤが自然のマナで掻き消す。大地は2色のマナによって乱され壊され混沌へと変わっていく。
その惨状を見た者達はこう語り継いだ
あれはまさしく焦土と開拓の天変。世界に天国と地獄に訪れた。と
戦いは続く。どちらかが倒れるまで、どちらかが死に動かなくなるまで。全ての文明がその姿を見守った。火文明はグラディアンレッドドラゴンが勝つ事を信じた。自然文明はメサイヤが火文明最強に攻撃している姿を見る事しか出来なかったから止める事が出来なかった。故に祈った。両者痛み分けという有り得ない未来を
闇文明と光文明は目の前の神域の戦いをただ呆然と見ていた。これこそが戦い、悪魔神と聖霊王が何れ到達する領域だと。
水文明は笑う。混沌とした戦場の中でこれからの動き方を
様々な思想が渦巻く戦場の中、倒れたのは火文明最強、グラディアンレッドドラゴン。あの最強の死に火文明は混乱し一部の実力者以外戦う事すら出来ない惨状に陥った
そしてそれを見逃す光と闇ではない。ここで火文明を滅ぼさんと攻め入るが自然文明のジャイアント達がそれを防ぐ為に立ち上がる。フィオナの森を救ってくれた恩義の為に、ただそれだけの為に生命を賭けた。
太古の自然の化身。ジャイアント達の力は強大だった。ジャイアントの長はグラディアンレッドドラゴンには劣るがそれでも悪魔神、聖霊王に負けぬ程に。
そして滅びを避けた火文明は光と闇との防衛戦で疲弊し暫く動かなくなる。
そしてそれを見逃さない水文明が再び火文明を侵略せんと襲い掛かる。だが、あの戦争で更に強くなった機神装甲と各種族の頂点、そしてロックビーストと呼ばれる種族が猛攻し迎撃した。
そして悪魔神バロムと聖霊王アルカディアスの激闘、それは三日三晩続き精霊王の浄化の力の前に悪魔神バロムは敗北し封印された。種族頂点の死、散り散りなる闇の文明を滅ぼさんと光文明が追い討ちを掛けるも、復活した荒廃の巨王ジェノサイドと呼ばれる存在との戦い疲弊した精霊王は共倒れとなる。
そして全ての王が死に絶えた時、また銅鑼の音が鳴り響き闘匠メサイアは仙界へと帰っていった。
こうして混沌とした戦争は幕を引いた
文明大戦争これにて終幕
<$月§§<日
戦争は終わった。けどいっぱい死んだ
グラディアンレッドドラゴンが死んだ。これから始まるサバイバーの侵略を今の火文明で止められるのかは分からない、だけど俺は死にたくないから戦わなくちゃならない。
生きねば。戦って戦って戦って、綺麗な嫁さん貰って子ども貰って幸せな余生を過ごしたい。まだ赤ん坊だけど絶対に生き残ってやる。
ジャスミンちゃん可愛いペロペロ
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サバイバー虐殺編~太古の超兵器インビンシブル~四大文明連合軍VS 英霊王スターマン
転生者ゲット君の日記 6
「ゲットー!行くぞー!」
「待ってよーホノオ兄ちゃーん!」
あの文明戦争から数年の時が経った。全ての文明があの時の戦いでの疲弊を癒すべく戦いをしなくなり全ての文明は束の間の平和を噛み締める事が出来た。
俺もハイハイしか出来なかった赤ん坊から幼児程度には成長して最近は近くに住んでいるホノオさんに遊んで貰っている。ホノオさんと一緒に遊べるとかマジパネェ、親父が機神装甲で良かった。今だけはそう思える。いつも戦場に投げ飛ばされていたけどな!あの脳筋は取り敢えず戦場にいたら強くなるって考えだから駄目なんだ。
えっちゃんと強くなってるだろだって?
うん……まぁ……だけど一般論でね?赤ん坊を戦場に突っ込ませるのは
えっ超獣世界じゃ良くある事?ハッハッハッ貴様いいおる。
「2人とも待ってよー!」
「おセーぞメンテ!」「メンテ兄ちゃーん早くー!」
「はぁ……仕方ないなぁ」
最近はホノオさんとメンテさんと俺で良く一緒にいる。というかホノオさんと一緒にメンテさんがいるから自然と3人組になるというかなんというか。
「今日はどうする?」
「うーん……取り敢えずボルシャックのいる山にでも行くか?」
「なにが取り敢えずなの……?」
そんなこんなで……まぁ俺は楽しくやっている。夕方まで3人で遊んで家に帰ったら家族と一緒に過ごす。そう言えばジャスミンちゃんはなんやかんやであの戦争時も一緒に過ごしていて今では本当の姉のように俺と接してくれている。
ジャスミンちゃんは見た目が全く変わらない、けど可愛い。幼児だからまだ一緒に風呂に入っている。後少しの特権だから大切に今の時間を過ごしていこうと思う。正直ジャスミンちゃんのこんな汚れた思考がバレたら俺は生きていけない。そうなったら俺は舌を噛んで死……ねるかなぁ……?だって俺人間じゃなくてヒューマノイドだしなぁその程度じゃ絶対に死ねないよなぁ
バレたら終わりだ。バレないようにしなきゃ
ゝ^月^^日
野生児と化した俺は火山でホノオさんと一緒に遊んでいる。やっているのは力試しだ。あれからチューンアップして更に強くなった機神装甲を装備してだが、当然と言うべきかやはりホノオさんには到底叶わない。ホノオさん強過ぎ。
将来ドルバロム倒すだけの実力があると言うべきかボルシャックドラゴンですらホノオさんの実力を認めているレベルだ。というか火文明全員がホノオさんの実力を認めている。
主人公かな?そういやこの人主人公だったわ。流石ホノオさんやでぇ……
そう言えばグラヴィアンレッドドラゴンが戦っていた戦場に謎の大穴が空いたらしい。恐らくだが過剰なマナの奔流がぶつかり合ったせいで土地に影響を与えたのが原因しているらしいです。
……これ間違いなくサバイバーが出て来る穴だよな。埋めようぜこの穴。あってロクな事にはならない。百害あって一利なしだからさ。ね?
ね?
ゝ^月♡日
【悲報】大変だー!大穴から謎の生命体が現れたぞー!(棒)【知ってた】
謎の生命体(サバイバー)が現れてから直ぐに会議が開かれた。勿論この謎の生命体(笑)は何なのか、一体何が目的なのかだが。正直全部知ってる俺はどう説明しようか考えていると一つ天啓を閃いた。
この世界なんでもありだし夢でサバイバーの正体と目的を知ったとか言えば何とかなるんじゃねと。
正直頭の悪い事を言ってると思うが案外何とかなった。正直俺も驚いた、何でコイツら夢なら仕方ないみたいに納得してんだよ。何だよ火のマナが教えてくれたのだろうって、フォ〇スと共にあらんことをみたいな事を言ってんじゃねえよ
馬鹿なの?死ぬの?文明滅びるの?
取り敢えずアイツらは惑星の奥深くマグマの近い場所で生きてた種族。その環境で生きてたせいか助け合いの力が種族のレベルで強く、自分の能力を仲間に共有出来る超生命体だと。
そして目的は疲弊した全文明をこの機に滅ぼして自分達がこの地上で繁栄する事を掻い摘んで説明した。すると一通り聞いて全員が
野郎(サバイバー)ぶっ殺してやる
とブチ切れる。戦闘狂共に喧嘩を売る愚かさを知らなかったのがサバイバーの敗北する理由になるのだろう。火文明は打倒サバイバーの目標を建て久しぶりの戦争にウズウズしている。
というか親父がウズウズしている。隣に住んでるホノオさんもウズウズしている。ホノオさんが戦闘狂になってる……どうしてこうなった。環境なのか?やっぱり環境なのか。おのれ超獣世界
/^月――日
ぅわサバイバーつょい何なのアイツら一体一体がボルザードドラゴンと同等とか化物かよ。止めてくれよ(絶望)
アイツら全は一、一は全を体現しているから一体一体が馬鹿みたいに強くてヤバい、防戦一方なんですけど。取り敢えず機神装甲持ちのいるヒューマノイドの里は何とかなったけども他の場所は大丈夫なのだろうか
えっクリムゾンワイバーンさんの爆撃で追い払った?アイツらブロッカーの能力持ちかよ今度来た時は火炎流星弾連打してどの程度効くか確かめてみよう。
そう言えばそろそろ水文明が悪さし始める頃だったな。主にスチールアームクラスターとかスチールアームクラスターとか
えっ闇文明が自然文明を侵略する為に軍を出した?自然文明ジャイアント健在なのに?アイツら自滅したがりかよ。あのジャイアントがサバイバー如きに負ける筈ないのにアイツら正気か?
正気じゃないわダークロードの軍勢とかクソ雑魚ナメクジだろデーモンコマンドはどうしたデーモンコマンドはデスライガーにザガーンさんはどうしたお前ら
まぁどうせデーモンコマンドは悪魔神バロムの復活に必死とかでそんな暇がないってオチだろうけど
今なら覇王ブラックモナークを蘇らせたら勝ち確だろうに何故バロムを優先しちゃうかなぁ
光文明とか天界に籠りっきりで出て来る気配/ZEROだからな。どうせアイツら対火文明というか対ドラゴンのメカデルソルの制作に必死で下界に軍を回す余裕がないんだろう。そらグラヴィアンレッドドラゴンにあれだけ蹂躙されたらなぁ
/^月^^日
サバイバーも慣れたらそこまで強くないような気がしてきた。だってぶっちゃけ能力共有してるんなら全てのモンスターの能力は戦っていたら分かる事だし、ブロッカー持ちだから仲間を守る事は凄い上手いけどもクリムゾンワイバーンさんや火炎流星弾で案外何とかなるし
というかクリムゾンワイバーンさん強過ぎる。やはりスーパーレアは格が違うのかどんな敵が来ようともブロッカー能力を持ってるならそれだけで壊滅させられるしで火文明はサバイバーに対して非常に有利な御方がいるから最近はあんまり攻めてこなくなった。
最近対火自然文明兵器であるスチールアームクラスターがヒューマノイドの里に攻め入ってきて、ヒューマノイド達はそれに攻撃が通用しないと一時は騒然としたが、最近開発した兵器。地獄スクラッパーを運用すると簡単に倒せる事が判明した為問題はなかった。
そう言えば自然文明に攻め入ったダークロードの軍勢だが想像通り普通にジャイアントにフルボッコにされ何とか生き残ったダークロードがフィオナの森に入り込むも森のモンスターの歓迎を受け全滅したらしい。やっぱりな
その中全く動かない光文明
光文明はちからを ためている!
/^月+日
全文明に返り討ちにされ殺されていったサバイバー。怒りでシグマ、シータ、ゼータの三つの進化体として復活し再び全文明に襲い掛かるもまた返り討ちにあう。ここまでくればいっそ清々しかった。火文明に襲い掛かるシグマトゥレイト。全てのモンスターの力を持った進化体、戦いは険しいものになると思われた。思われた、うん。まさかブロッカー能力をまだ持ってるなんてその能力捨てた方が良いと思うよ……うん。
つまりはクリムゾンワイバーンさん大活躍だった。
進化体?知るかゴラァ!ブロッカーだろうが!死ねぇ!
と言わんばかりに爆撃を受けたシグマトゥレイトは一瞬でかなりのダメージを受けそこに機神装甲とワイバーン&ドラゴン勢が襲い掛かると一瞬でミンチより酷いのが出来上がってしまった。
火文明の殺意の高さに乾杯、そして火文明はサバイバーを完全に撃退した。
因みにゼータトゥレイトは水文明に襲い掛かるが生まれる時代を間違えているクリスタルツヴァイランサーに瞬殺されシータトゥレイトはフィオナの森に襲い掛かるも森の洗礼とジャイアントの攻撃によって鏖殺されていった。単体で強いのが多かったから面倒なのに合体したらそら負けるよね。
そしてサバイバー達は元いた場所へと敗走。背景ストーリーの通りならそのまま休眠活動に入るらしいがもう出て来ない方が幸せだと思います。
そして未だ動かない光文明
光文明はちからを ためている!!
/^月<☆>日
朝起きたら空を覆い尽くす量の光の軍勢が編隊を組んで攻め込んできた。俺はビビったけど他の奴等は笑顔で迎撃していた。なんか一番偉そうな奴が
貴様ら火文明は存在するだけで戦乱を引き起こす害悪そのものだ!故に我等光文明が貴様らを浄化する事にした!今までの行いを
とか云々言っている中クリムゾンワイバーンさんが敵がブロッカーばっかりなのを確認して
うるせぇ死ねぇ!
と爆撃を開始。すると光の軍勢の半数以上が撃墜された。流石クリムゾンワイバーンさんやでぇ……もうこのワイバーン一体で良いんじゃないかな
この日はこれで光の軍勢は退却していき火文明の戦闘狂共にヤジを飛ばされまくっていた。正直ドン引きだった。死ぬまで戦って死ねとか隣から聞こえてきたからな怖ーよ戦闘民族火文明
でも正直な話偉そうな事だけ言って戦わずに帰るのはどうかと思う。ちったぁ光文明の意地ってものを見せてもらわないと戦る気が失せて殺る気が増える。
赤ん坊の時の俺ですら泣きながらブラッディイヤリングの軍勢と戦っていたんだからお前らも泣くまで戦え(強要)
今度会ったら機神装甲でボコるわ
因みにボルメテウスホワイトドラゴンが眠る火山に祈りを捧げているドラゴノイド君はまだ祈りを捧げているらしい
そろそろ目覚めそう(背景ストーリーを思い出しながら)
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閉話 宣言
<>月/日
【光文明】ブロッカー無しの軍勢【怒りのピルグリム】
光文明の哀れな撤退を見た暫く後の事、また火文明目掛けて襲い掛かってきた。流石に奴等も馬鹿じゃないのか今回の軍勢にはブロッカー持ちがいなかった。クリムゾンワイバーンさんが
チッ!命拾いしたなクズ野郎共が
とか心底悔しそうに言ってたから間違いないと思う。そして光文明の軍勢は火山基地やヒューマノイドの里目掛けて襲い掛かってきた。野郎ぶっ殺してやる!
<>月‘日
最近日記が書けなかったから久しぶりに書く事にする。襲い掛かってきた光の軍勢はライトブリンガー、グラディエーター、イニシエート、レインボー・ファントムと呼ばれる種族達だ。光文明が作り出した対火文明兵器とされる畜生共だった。つまり光文明はドラゴン対策だけではなく火文明の存在そのものに殺意全開であり俺達は非常に不味い状況に陥ったと言う事だ。
ブロッカーを持っていればクリムゾンワイバーンさんが何一つ問題なく皆殺しに出来るのだが今来ているのは対火文明の中でもブロッカーの力を持たない殲滅に全性能を振った無慈悲な兵器だけだ。
先ず最初にヒューマノイドの里が狙われた。機神装甲を持ってしても殲滅する事が出来ず光の軍勢に力無きヒューマノイドが一人、また一人と死んでいく。戦えば戦うほど戦力が減っていきヒューマノイドの里に絶望が蔓延していた。
対等に戦えるのは機神装甲を纏った者達とホノオさんだけ、圧倒的な数の差でヒューマノイドは追い詰められていた。
そんなヒューマノイドの里に救援が訪れた。フィオナの森の守護者である銀髭団。そして同じ火文明でも対立していたドラゴノイドと呼ばれる種族が火文明の危機に対立している場合ではないと助けに来てくれたのだ。
同じ文明であるドラゴノイドが助けに来てくれたのは分かるが何故、銀髭団が来てくれたのか。フィオナの森の恩は光と闇の文明が襲い掛かってきたあの時に返してくれた筈なのに、そう思っていると銀髭団は恩義で来た訳ではなく。背中を合わせて戦った奴の危機を助ける為に来たのだと言ってくれた。この言葉に親父と俺号泣。だから俺こういうの苦手なんだって直ぐに泣いちゃうんだって。
銀髭団、ドラゴノイド、ヒューマノイドの三種族が集まり光の軍勢を追い返す、そして光の軍勢を押し返した後、鬼神装甲ヴァルカイザーがある兵器を使って光文明に対して宣戦布告する事を決定した。太古の遺産であるインビジブルフォートレスと呼ばれる兵器を使ってだ。
明日はこの兵器を使って光文明の住む天空都市を撃ち落とし光の軍勢を皆殺しにする事になっている。幾ら火文明が大変な事になっても良い、どうせ戦闘狂ばっかだしそんな事気にしないだろう。
だが、家族が住むヒューマノイドの里に襲い掛かって危害を加えたのは許されない。絶対に許さんぞ光文明、全員皆殺しだ。生かしておかん鏖殺だ。
取り敢えず今日はこれで日記を終えるとする。覚えておけ光のクソッタレが
今日この日、ヒューマノイド、ドラゴノイド、アーマードワイバーンが集まり会合を開いていた。全員の目は据わっており何奴も此奴も光文明に対して殺意を練っていた。
我がマントに集まりし馬鹿共よ!俺達はどうしようもない戦闘狂で何時おっちんでも文句のない屑ばかりだ!
だか!そんな俺達にも大切な者が生まれ故郷がある!
アイツらは俺達の大切な者や大切な故郷を蹂躙しやがった!それをお前達は許せるのか!?
出来る訳がない!そうだ!俺達は立ち上がらなきゃならない!あのクソッタレた光の馬鹿野郎共を絶対にぶっ潰す!これは絶対だ!俺達は明日火文明最強の兵器インビジブルフォートレスを使い、あの偉そうな光の奴等が住んでる空の城を叩き落とす!
やるぞお前ら!お前ら全員俺に命を寄越せ!
マントを閃かせ宣言する機神装甲ヴァルカイザー。そしてそれに頷くドラゴノイドの特攻隊長襲撃者エグゼドライブ、そしてアーマードワイバーンの頂点。ブロッカー絶対殺すマンであるクリムゾンワイバーンが同じように宣言しこの場にいる全員が明日の決戦への決意を深く硬めた。
そんな中で俺は会合には行かず家でゆっくりとしている。明日死ぬかもしれないと思ってしまうと彼処に行くよりももっと大切な事があると気付いたから
「……本当に行くの?」
うん。行ってくるよ、俺だって小さいけど機神装甲だし。この火文明でも強い部類に入っているからね
「……死ぬかもしれないんだよ?」
死なないよ。だって俺、強いんだぜ?
「ゲットよりももっと強い敵がいっぱいいるかもしれないんだよ?」
というかいっぱいいるね。もしかしたら勝てないかもしれない
「……何でお義父さんもゲットも行くの?怖くないの?」
……親父はどうかは分からないけど俺は怖い。正直明日が来て欲しくない、震えが止まらない
「……じゃあ!行かなかったら良いじゃない!何で怖いのに行くの!?何で!」
……家族に危険な目にあったから、その報復かな?
「そんなの……ッ!望んでなんか……死んじゃったらどうするの!?」
だから死なないよ
「そんな保証が何処に……ッ!」
明日の夕飯はハンバーグが良いな
「……いきなり、何?」
明日は夕飯までに帰ってくるからハンバーグが食べたいな。駄目かな?姉さん
「……分かった。絶対に帰って来なさいよ。少しでも遅れたら帰らなかったら御飯抜きなんだから」
俺が夕飯に遅れた事あった?
「……ホノオさんに遊んでもらってて良く遅れる事があるわね」
うっ……それを言われると
「……帰って来なかったらお姉ちゃん泣いちゃうから。ワンワン泣くから、それが嫌なら絶対に帰ってきなさい」
姉さんを泣かせる訳にはいかないなぁ
「だったら帰ってきなさい。約束よ」
約束する。絶対に帰ってくる
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転生者ゲット君の日記 7
古より存在していた火文明最強の兵器、インビンシブルフォートレス。幾年も貯め込んでいた火山の火のマナを凝縮しエネルギーとして使う事の出来る一撃必殺の超兵器、それが今動き始めた。
機神装甲ヴァルカイザーは笑う。これで報復が出来ると。自分が生まれ育った大切な故郷であるヒューマノイドの里、そこに襲い掛かり蹂躙した光文明を自分達と同じ目に合わせられる。
それを考えるだけで自分の中で怒りと喜びが入り交じった感情が湧き出しそうになる。だがそれを表に出す事はない。
何故なら彼がヒューマノイドの頭領であり、その全ての生命をその背中に預かっているからだ。彼はこの作戦を成功させなければならない。これが失敗すれば死は確定。故にヴァルカイザーは冷静でなければならない。計画に少しでも乱れがあれば失敗は必須、故にヴァルカイザーは必死に感情を抑え冷静になる。
自分の感情を出してよかったのはあの時の宣言の時だけ、それ以外は冷静にクールにいなければならない。
「ふん。機神装甲の守備はどうだ」
「はっ、機神装甲。ヴァルディオス様、ヴァルボーグ様、ゲット様の3名。所定の位置に付いた模様。計画通りですヴァルカイザー様」
「ふん。ドラゴノイドとアーマードワイバーンの奴等はどうした」
「エグゼドライブ様率いるドラゴノイド隊準備完了。並びにクリムゾンワイバーン様率いるアーマードワイバーン隊も準備完了の模様です」
「良し。やるか」
「はっ!インビジブルフォートレス発動シークエンス残り120秒」
インビジブルフォートレスの発動準備を聞き自分も作戦の為に行動を始める。後ろで敬礼を取るヒューマノイドを見ずにそのまま空へと飛び立つ。これより光と火の戦争が始まる。色んな奴が死んでその責を俺は負わなければならない。
「全く……リーダーってのは楽じゃねぇなぁ」
まぁそれが俺には心地良いんだけどな
戦争の鐘がなった。インビンシブルフォートレスが光文明の城、シルヴァーグローリー目掛けて発射された。幾年の時溜め込まれた火のマナが凝縮された一撃は空を穿ちそのまま天空の城を崩壊させると思わせた。だが、その一撃は天空の城を壊すまでにはいかなかった。光文明も火文明と同じように古代から存在している超兵器を使用したのだ。
光文明の超兵器インビンシブルオーラ。それはありとあらゆる攻撃に対して絶対の守りをみせる光の壁を顕現させる、火文明の力を凝縮させた兵器と対極を成す守りの兵器。
光の壁がインビンシブルフォートレスの一撃を防いだのだ。だが、防ぎ切った訳ではない。光の壁は火文明の一撃により破壊されインビンシブルオーラを再度使う事が出来なくなったのだ。だがインビンシブルフォートレスももう使用する事が出来ない、幾年も溜め込んだ火のマナを凝縮した故に一撃必殺、再度撃つ事は出来ない置物となってしまった。
だが光の軍勢はインビンシブルフォートレスの一撃によって自分達の絶対の守りが崩壊した事に動揺が走る。そしてそれを見逃す火文明ではない。先ず最初にクリムゾンワイバーン率いるアーマードワイバーン達がシルヴァーグローリーを守ろうとするブロッカー達を殲滅する。
クリムゾンワイバーンの一撃でブロッカーは半壊し残りをアーマードワイバーンが粉砕した。
そして第一の壁であるブロッカー陣営を乗り越えた火文明に立ち塞がる第二の壁対火文明の殲滅兵器達。それを打ち倒すのが襲撃者エグゼドライブを主としたドラゴノイド部隊と機神装甲ヴァルディオス。そしてガトリングワイバーンやメタルウイングワイバーン等の力に自信のあるワイバーン達、機神装甲ヴァルディオスが殲滅兵器達を倒すべく死力を尽くして戦う。
機神装甲ヴァルディオスがその身体に取り付けた無尽蔵に等しい重火器を嵐の如く打ち鳴らし打ち漏らした敵をワイバーン達が食らいつき撃ち抜き切り裂き、隙をみせた奴等を襲撃者エグゼドライブと共にドラゴノイド達が襲い掛かる。
そして火の文明は第二の壁を突破し第三の壁と突入する。
第三の壁、それはかつて精霊王に率いられたエンジェルコマンドの精鋭達。
エンジェルコマンドの精鋭、これをクリムゾンワイバーンと機神装甲が殲滅していく。
ブロッカーの力を持つ存在をクリムゾンワイバーンが消し飛ばし、機神装甲達がそのパワーを持って残ったエンジェルコマンドを吹き飛ばして行く。
闇の騎士ザガーンと対等に戦える機神装甲ヴァルボーグからすれば精鋭と言えど彼からしたら有象無象のエンジェルコマンド、その手にあるハンマーとドリルを持って粉砕し機神装甲ヴァルカイザーが右腕の巨大な兵装を持って粉砕する。
そして機神装甲を纏ったゲットも彼等に追従するように持ちうる武装を持って敵を殲滅する。
そして全ての壁を突破し天空の城の中央である無敵城シルヴァーグローリー、それが姿を見せた瞬間火文明達に襲い掛かるのは先程の敵が塵に思える程の光の軍勢
戦いは混迷を極めた。無尽蔵とも思える光の軍勢と戦い続けて何時瓦解しても可笑しくない火の軍勢。
そんな火の軍勢を奮い立たせるように機神装甲ヴァルカイザーが奮闘し仲間を鼓舞し奮い立たせた。
激闘に続く激闘、そんな中で白色の炎が光の軍勢を包み込んだ。
伝説のドラゴン。ボルメテウスホワイトドラゴンが火の文明の危機に蘇り光の軍勢を打ち倒す為に立ち上がったのだ。全てを焼き尽くす白色の炎。それは光の軍勢を一瞬で焼き尽くし火の軍勢をシルヴァーグローリーへ進軍させたのだ。
そんな中乱戦広がる天空の城に一体の闇の魔獣が放たれた。ダークロードの魔術実験により生み出された超幻獣ドクザバル。それは空中都市を破壊し尽くし中央シルヴァーグローリーへと攻め込もうと火の軍勢に攻撃を仕掛けようとした瞬間ボルメテウスホワイトドラゴンの炎によって消し飛ばされる。
火の軍勢はボルメテウスホワイトドラゴンという存在に歓喜し再び戦う力を取り戻し更に奥へと進軍して行った。
そんな火文明を援護するように水文明は気象を操るアストラルメデューサを作り出し天候を操り火の軍勢が戦いやすい環境を作り出した。
中心部シルヴァーグローリーの破壊、それが後少しという所で光文明の必死の攻撃にあう。綺羅星の精霊ガリアル率いるエンジェルコマンドがその生命を掛けて火文明をシルヴァーグローリーから撤退させたのだ。だが、それは簡単に行った訳ではない。光文明の誇るエンジェルコマンドの精鋭中の精鋭達、シルヴァーグローリーを守る英傑達の半数以上を失った。
綺羅星の精霊ガリアルはその名の通り一人になろうとも戦い続けシルヴァーグローリーを守り夜空に輝く綺羅星の如く光り輝きながら火の軍勢を巻き込み自分の中にある光のマナを使い自爆した。
辛く苦しい戦いは終わり火文明対光文明の戦争は火文明の勝利で幕を閉じた。最初は光文明の圧倒だったが火文明の持つ爆発力を侮った光文明はそのツケとして無敵城シルヴァーグローリーを除く全てを焼き尽くされそのシルヴァーグローリーも戦いにより損傷が残った。
そして長い1日は終わり皆は自分の家へと帰る。そんな中で1人のスノーフェアリーが2人のヒューマノイドの帰りを健気に待っていたのは語るまでもない
ただいまお姉ちゃん。夕飯……間に合ったかな?
……お帰りなさいゲット。大遅刻なんだから。早く家に入って皆で食べましょう
<>月:^`日
今日のハンバーグは今までの中で一番美味しかった。親父の分も横からかっさらった。拳骨で殴られた。痛かった
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転生者ゲット君の日記 8
(・◇・)月§日
戦争も終わって火文明に一時的な平和が訪れた。やったぜ、ついでに光文明はボロボロになったざまぁみやがれ。最近は小競り合いが続いている所に親父に放り込まされて敵を虐殺しているだけなのだがジャスミンちゃんが俺が戦場に行くのを嫌がっているように感じる。というか俺が戦場に拉致されそうになるとジャスミンちゃんが落ち込んだ表情を見せるのだが
やだ……家の姉さん可愛すぎ?取り敢えず今日はさっさと敵を殲滅して昼までに帰った。なぁにたかがパラサイトワーム程度の雑魚、今の俺からすれば芋虫レベルよ。
そういえば最近ヒューマノイドの里でバーニングビーストと呼ばれる若者の集まりが里に向けてプロパガンダを打っている。それを見ていると
あぁ……もう直ぐ三大ドラゴンが暴れてその後直ぐにレインボーの時代がくるんだなぁって思わされて思わず胸がホッコリしてしまう。だがしかしこの火文明、いや超獣世界では力のない奴が幾ら叫ぼうとも誰も耳を貸すことはない。
ぶっちゃけ前世の社会に反発する暴走族くらいの扱いを受けるだけだ。幾らバーニングビーストが論理的に素晴らしい事を言った所で
昨今の度重なる文明戦争により全ての文明は疲弊し星は悲鳴をあげている!このままでは私達よりもずっと後の代の者達が辛く苦しい生活を送るかもしれない!
そこで我々バーニングビースト
とバーニングビーストが素晴らしい演説をしていたとしても
うるせぇ近所迷惑だ。雑魚は黙って戦場に行って実力磨いてろ
となるのが関の山。悲しいけどこれが超獣世界なのだ。バーニングビースト君達はこれに折れずに頑張って活動を続けて三大ドラゴン達を復活させて水文明の計画をオジャンにしてやって欲しい。それだけが俺の望みです。
あっでも確かバーニングビーストって三大ドラゴンを蘇らせて戦闘を続ける全ての文明圏を滅ぼそうとしているんだっけか。駄目じゃん、絶対に火文明攻撃されるじゃん。でも三大ドラゴンが復活しないと水文明の野望止められないし
確か背景ストーリーでは今水文明は、超兵器インビンシブルテクノロジーを使い全ての生物を滅ぼす兵器を制作している筈だし、それを止めるには三大ドラゴンの復活しかないし……うーん困った。
取り敢えず考えるの疲れたし今日は寝よう。まぁ、今日の事は明日の俺が何とかしてくれるだろ
(・◇・)月^日
取り敢えずこんな事1人で考えても仕方ない。取り敢えず大人に話そうと考える、夢で水文明が何かヤバい計画を企んでいる姿を見たと親父に話してみた所、直ぐに会議が開かれた。チョロい。チョロいぞ火文明。その会議の中で俺は水文明の超兵器インビンシブルテクノロジー、そしてそれを使った全生物滅亡兵器の制作について話をした。話し終わった後少し沈黙が会議を包んだと思ったら直ぐに解決策について話始めた。全員俺を信じてるのかよ。もっと疑いを持て、それで良いのか火文明。
火文明が俺の話を百パーセント信じて解決策を考え始めている姿を見て俺は火文明のチョロさとこれからの火文明の未来を案じ絶望してしまった。だってコイツら
サバイバーとの戦いでは彼の情報が役に立った。ならば今回も役に立つかもしれん←まだ分かる
ゲットが言うのならば有り得る←は?
やはり火のマナが教えてくれるのか……←フォー〇やめろ
どうでも良いから水文明の屑共ぶっ飛ばしたい←えぇ……(ドン引き)
正直水文明襲ってアイツらの知識奪って更に武装を強化したい←怖い
大体はこんな意見である。キチガイしかいねぇ。後親父が水文明に対して殺意の波動に目覚めていたけどそれはスルーする。そんなこんなで戦闘狂共は次の戦場を決めて準備を始めている。
次の戦場は海中世界。そこに住まう水文明に対してカチコミを仕掛けるとの事だ
すまんジャスミン。後少しだけ戦うから。それが終わったら俺達じゃ手も足も出ない存在が出て来て俺が戦場に出る事はなくなるから。だからそれまでは許して
後、ついでにバーニングビーストの計画について話をすると
良くやった!これで火文明の戦力がまた増える!
と喜んでいた。コイツらその戦力に自分が攻め込まれる事を考慮してねぇ。絶対にそのドラゴンに自分達が負ける訳がないと思っていやがる。まぁ……俺も負けないとは思うが、冷静に考えたらアイツらの計画が頓挫する未来しか見えない
ボルケーノドラゴンが蘇った所でドラゴンにワイバーンもいる。ついでにあの戦争で強くなった機神装甲もいる、負ける道理がない。正直この情報を知っているだけで蘇った瞬間に鎮圧される姿が見える。
フィオナの森の泉からアースドラゴンが蘇るらしいがジャイアント達がいるし一瞬で鎮圧されるだろう。
そしてドラゴンゾンビが闇文明で暴れようとしたら間違いなくデスライガーとザガーン。その他デーモンコマンドの精鋭達にボコられるだろうし
寧ろ調教されて良い様に使われる姿しか見えない
唯一デーモンコマンドに勝てそうなアブゾドルバさんがどう動くかだな。
バーニングビーストの絶望の未来に乾杯
ついでに水文明に攻め入ろうとしている火文明の馬鹿さ加減に乾杯
うん……今の水文明の頂点ってクリスタルツヴァイランサーだったよな?
ヤバくね?生まれた時代を間違えてるアレと戦って俺達勝てんの?
(・◇・)月>>日
正直まだ現実が信じられない。胸がバクバクして吐きそうになる、取り敢えず落ち着く為に日記を書く事にする。
要点だけ書く。
_人人人人人人人人人_
>突然のバジュラ!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
いや本当に唐突だった。俺が何時も通り小競り合いの戦場で暴れていると空から昔見たグラディアンレッドドラゴンと同じくらいの存在感を感じ、空を見るとあの超竜バジュラがいた。何故だ、どうしてそうなった。どういう事だ超獣世界!まるで意味が分からんぞ!俺も何を書いてるのかも分からん!
取り敢えず突然現れたバジュラさん。惚けるようにじっと見詰めていた俺を見付けると厳かな声で何か言ってきた。
水文明を滅ぼすらしいな。力を貸そう。
なーに言ってんだこのチートカードと思ってたらバジュラは俺を持ち上げ何処かへ連れて行く。何処に連れていくのかを聞いてみると
……海中要塞だろ?水文明を滅ぼすのではないのか?
その瞬間俺は悟った。あぁ……コイツは人の話を聞かずにドンドン進むタイプだと。取り敢えずこの超竜に攻め入るのはまだであり、今は準備中であると伝えるとバジュラは何か考え込み、納得がいったのか一つ頷くと
……そうか。ならばまだ待とう。水文明はインビンシブルテクノロジーを既に起動させてある。急がねば間に合わぬかもしれんぞ
と言い俺をチラりと見て
……ふむ。自然の加護を持っているヒューマノイドは始めて見た。もしや貴様、あのヴァルボーグの息子か
いや……その歳で機神装甲を纏えるのはヴァルボーグの息子しかいまい。
フィオナの加護を持っていて火文明の加護を持っていないのは癪だ。取り敢えず貴様に我が加護を与えておく。
何か良く分からん宝玉みたいなのを渡され身に付けるように言われた。バジュラの加護とかマナ破壊できそう。
我の力が必要になればそれに祈れ。然すれば直ぐに駆け付けよう。
そんな事を言い残し俺を適当な場所に下ろして何処かへ飛んでいった。取り敢えず一つ思った事は
家の親父……凄い奴だと分かっていたけどもしかして超有名人なの?
取り敢えず家に帰って親父に今日の話をした所腹の底から高笑いを一つされ頭を撫でられた。何故だ。どういう事だまるで意味が分からんぞ。
疲れたからもう寝りゅ!
(・◇・)月♡日
取り敢えず親父に話しても何も教えてくれなかったので同じ機神装甲でヒューマノイドのリーダーでもあるヴァルカイザーさんに話をした所とんでもない事実が判明した、してしまった、知りたくなかった。
超竜バジュラ。太古の昔から火の文明のある大陸を支配している最強の竜とされている存在の一体。グラヴィアンレッドドラゴンと同等の実力を持つが自分が支配する大陸から殆ど動かないドラゴンと言われているらしい。自宅警備(大陸)とはコヤツやりおるわ、そんなバジュラさん。強者もしくはこれから強くなる存在以外は生きる事を許さないらしく。バジュラと出会って生き延びている時点でかなりの潜在能力か実力を持っている事が確定しているらしい。
そんなバジュラさんから直々に加護を貰ったという事でヴァルカイザーさん絶句
そして俺も絶句。隣で聞いていたヴァルディオスさんも絶句。ヴァルディオスさんは一体何時からいたんだ。
そんなこんなでヴァルカイザーさんから
まっ……まぁバジュラ様はこれからの水文明侵攻で非常に心強いから……うむ。だからゲット。バジュラ様のお供は頼んだぞ
そんな厄介者を押し付けられる扱いを受け悲しみに包まれた。
ヤバイよヤバいよ。これ間違いなく腑甲斐無い戦いを見せたら間違いなく呆れられて
興醒めだ。水文明諸共死ね
ってなるオチだよな。ヤバイよヤバイよ
誰か助けて
(・◇・)月^'日
三大ドラゴン復活!そして沈黙!
バーニングビースト絶句!そしてリンチ!
駄目だ水文明を止める程アイツら強くねぇわ。所詮は有象無象のボルケーノドラゴン共が今復活しただけで火文明では蘇った瞬間にボルシャックさんからの洗礼を浴び、フィオナの森の泉から蘇ったアースドラゴン共は暴れようとしたらしいが最近殆どのメンバーが大勇者に進化したらしく大勇者達の攻撃を受け即座に沈黙、アースドラゴンのトップであるバイラスゲイルさん激おこで大勇者達に立ち向かうもジャイアントにボコられたらしい。怖ーよジャイアント。
因みに大勇者大地の猛攻は最近、大勇者二つの牙へと更なる進化を遂げたらしい。銀髭団とジャイアントに睨まれながらアースドラゴンは細々と生きるらしい
強く生きろよ
そして闇文明で蘇ったと思われるドラゴンゾンビは……どうなってるんだろうね。さっぱり分からん。多分だけどアブゾドルバとデーモンコマンドが意気投合してドラゴンゾンビ軍を闇の軍勢に加えてたりして
そんなこんなで全く役に立たなかった三大ドラゴンの復活にテンションが下がるもそんな事をしている間にもインビンシブルテクノロジーは稼働している。早く何とかしなきゃ
(・◇・)月><日
明日水文明に攻め入る事が決定した。インビンシブルテクノロジー、これを何とかしないとこの世界に明日はない。だけど水文明は強敵だ。他の文明をぶっちぎった技術力、そして深海の中で生きていける特殊な肉体構造。
そして一番の問題である、水文明最強。生まれた時代を間違えている存在。
クリスタルツヴァイランサー。あれさえ倒せればコチラ側にも希望が見える。そしてコチラ側にクリスタルツヴァイランサーと対等に戦えるであろう最強の存在がコチラにはいる
超竜バジュラ、あのチートモンスターならばきっと勝てる。バジュラがクリスタルツヴァイランサーを倒せさえすれば敵は殆ど有象無象の烏合の衆、勝てない道理はない。
勝つぞ。勝ってレインボーモンスターとの戦いも生き残れば後は余生をゆっくり過ごせるだけの時間が出来る。
生きねば
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閉話 偽りの勝利
それは答えを導き出そうとしていた。己の全ての性能を以てして演算し、どのようにすれば自分に与えられた問題の解決策を出せるのかを
地上に住む全てのモンスターを滅ぼす為の兵器とは一体なんなのか。
これを導き出そうとそれは様々な物を考え出しては破棄し考え出しては破棄を延々と繰り返す。
生物兵器は?それは直ぐに破棄された。それの記憶されてあるモンスターを超える存在を作り出せない。超常とも呼べる最強のモンスター達を超える存在の作り方が分からなかったのだ。
ならばガス兵器はどうだろうか。駄目だ瘴気にどの文明よりも圧倒的に強い闇文明をそれで殺せるとは思えない。
幾重にも幾重にも繰り返して解を求めた。だが、その解を導き出すのは酷く難しい。そんなある時、ソレにある一つの仮定を入力された。
それは直ぐにその仮定を入れて演算すると直ぐに解を導き出す事が出来た。
その仮定とは至って簡単。兵器以外でも良い、地上に住まう生物を滅ぼせる方法はあるのか。と太古の昔より存在しているそれは自分が作り出されてから今に至るまでありとあらゆる事を記録している。だからこそその存在を知っているのは当然の事であった。それは
曰く、この世界の全てであり、全てのマナが集まる場所。
曰く、太古の昔、この世界を支配していたとされる5体の王が眠りについた場所
誰1人として解明出来ないし見付ける見付ける事も出来ない神聖な領域。その場所の名前は仙界、そこに眠る五体の王。その内の一体の眠りを醒ますだけで全て解決するのだと。
それは使っていた者達は歓喜し直ぐにそれが指示した通りの事を始めていく。
必要なのは莫大な量の水のマナと光のマナ。二種類のマナを身体に取り込んだ存在、未来ではレインボー獣と呼ばれる存在を依り代に莫大なマナを与え一体の王を呼び出す事
呼び起こす存在は英霊王スターマン。遥か太古の昔、天空の城にて光を支配していた王の一体である。
さて、嘗て水文明が作り出した存在、夜明けの超人とリキッドピープルのDNAを掛け合わせて作り出した一体のモンスターの事を覚えているだろうか。それは作り出されて直ぐに自然文明に回収されたが、実はその時より遥か前からこの計画は始まっていたのだ。類まれなる頭脳と技術力でどの文明よりも早く超兵器の復活に成功していた水文明は既に動き出していたのだ。故に今更火文明が攻めてこようと問題はないし知った事ではない。
彼等は水文明最高の英智の結晶であるインビンシブルテクノロジーが算出した演算結果のままに動けば良い。唯それだけの話なのだから
水文明は笑う。時は満ちたと。後は計画に従い
この海中都市に攻め入ってくる火の軍勢達に反撃せず蹂躙されれば良いのだから。
水文明最強の力とは何なのか。それは知力。他の文明を寄せ付けない圧倒的な知力によって導き出される回答こそが水文明の力であり彼等にとってモンスターの持つパワー等二の次なのだ。
策を何十何百何千何万何億と張り巡らせ必ず自らの策を成功させる知力、それこそが水文明でありクリスタルツヴァイランサーなどブラフに過ぎないのだ。クリスタルツヴァイランサーはインビンシブルテクノロジーの英智によって作り出された模造品。対等の実力を持つ存在と戦えば一瞬で崩れ去る砂の城。
だがその砂の城すら水文明の計画の一つでもある。彼等に抜かりはない。後は唯待つだけ、自分から滅亡の引き金を引きに来る愚かな存在を待つだけなのだから
火文明は水文明に侵攻を開始した。目標地点は水文明の本拠地である海中都市、そこにある筈のインビンシブルテクノロジーの破壊もしくは行われている計画の頓挫、それらが不可能な場合は本拠地である海中都市の破壊である。
深海への侵攻は通常のモンスターでは行く事が出来ず1握りの強者だけで向かう事になる。向かうメンバーは、ヒューマノイドから機神装甲達に一撃勇者ホノオ。
アーマードドラゴンからは超竜バジュラとボルメテウスホワイトドラゴン。
アーマードワイバーンからはクリムゾンワイバーンにガトリングワイバーンが集まり、残った者達は何かあった時の為に自分達の持ち場に待機する。
海中都市に侵攻した火の軍勢は都市を破壊し尽くさんと暴れ回る。水文明は計画通りに蹂躙され命を奪われていく、圧倒的蹂躙、快進撃。破竹の勢いで進む火の軍勢を止める者はいない、元から止める気のない水文明は蹂躙されていくだけだ。水文明のクリーチャー達は死んでいきその肉体を構造していたマナは仙界へと集まっていく。それこそが水文明の狙い、莫大な量の水のマナが一度に仙界へと集まる。つい最近光文明が同じように大量のモンスターが死んでいき大量の光のマナを仙界へと集まっていた。
あの光文明と火文明の戦争すら水文明の計画の一つだったのだ。
そして中央インビンシブルテクノロジーにまで辿り着いた彼等の前に現れるクリスタルツヴァイランサー。それを超竜バジュラが簡単に消し飛ばす。その瞬間クリスタルツヴァイランサーを形成していた水のマナが仙界へと流れていく。
計画は完了した。インビンシブルテクノロジーは登録されてあった最後の行動を始める。クリスタルツヴァイランサーが死んだ瞬間、貯蔵されてあった莫大な水のマナを使いマナが流れていく場所を探り当てる。そしてその場所に接続し一体の王の眠りを醒まさせる。作り出されていた一体のジャイアント、それを依り代として一体の王が復活する。
火文明は全てが終わった後、何も気付かずにインビンシブルテクノロジーを破壊し海中都市を破壊し尽くし偽りの完全勝利を味わいながら海中都市を後にした。そして少し時間だが平和な時間が生まれる、偽りの平和な時間が。
水文明の計画が発動するのは近い。
(・◇・)月☆☆日
フハハハハ!圧倒的ではないか我が軍は!今日水文明の海中都市に攻め込んだ。水文明の本拠地、光文明の本拠地を攻め入ったあの時と同等かそれ以上の戦いを予想していたのだが、敵はあまりにも弱く逃げ惑うだけでコチラが蹂躙しただけになってしまった。いやぁ俺達も戦争しまくったせいで強くなり過ぎたのかね。強くてゴメンねぇ!?ほんとごめんねぇ!?
いやぁ一番の問題であったクリスタルツヴァイランサーがバジュラさんに瞬殺されて普通にインビンシブルテクノロジーを破壊出来て本当に良かった!
地上に住まう生命体全てを絶滅させる兵器なんて作れる訳がないんだよなぁ。というかそんなもん作らなくてももう直ぐ何処ぞの仙界王達が復活して俺達じゃ太刀打ち出来ないんだからそれを待てば良いのに。仙界王が復活したら大人しく恐怖政治に従って細々と生きていこう。それで良いや、どうせエターナルフェニックスが何とかしてくれるし!
取り敢えず宣言しておこう。
勝った!超獣世界。完っ!
フハハハハハハッ!ハーハッハッハッハッハッ!
「ねぇゲット。何を書いてるの?」
「うひゃあ!?……ってなんだ姉さんか。驚かさないでよ」
後ろから聞こえてくる声に思わず上ずった声をあげながら急いで日記を閉じる。日本語で書いているからこの世界じゃ読める人はホノオさんしかいないという事は分かってはいるけど、やはり隠し事がバレそうになるのは非常に怖い、特にジャスミンちゃんには隠している事がいっぱいあるからバレてしまったら俺は生きていけない。
「……ごめんね。ゲットが嬉しそうに何か書いてたから少し気になったの」
「大丈夫!もう書き終わったから!ただの日記だよ!日記!」
ションボリとするジャスミンちゃんを励ましながら日記を仕舞う。
ジャスミンちゃんは落ち込んだ顔も可愛いなぁ。まるで妖精のようだ。妖精だったわ、スノーフェアリーだったわ。
ゲットが下心全開である事に気付かずジャスミンは朗らかに笑いながら話し掛ける。その姿を見てホノオも笑うがその精神下では絶頂しているのはジャスミンに気付かれない。さて、そんな屑と妖精は
二人して笑いながら様々な話をしていく。ホノオは自分が戦場でどんな活躍をしたのか、今回の戦いがどれだけ圧勝だったのかを
そんなゲットと赤ちゃんの頃から一緒にいて本当の姉のように過ごしていたジャスミンは自分の弟が危ない目に合わなかった事に安堵してゲットの話す言葉に相槌をして嬉しそうに微笑む。
そんな姿を見て屑はジャスミンが自分の話を聞いて「そんな危ない事しないで」みたいな感じで泣きそうな顔にならない事から今日は話しても良さそうだと自分の活躍と父親であるヴァルボーグの活躍を話していく。
屑の話を聞きながら微笑む妖精。屑はそんな妖精の笑みを見ながら精神下でまた絶頂していた。畜生の屑である。ジャスミンが彼の考えている事に気付いてしまったら混乱し泣き喚き、屑は羞恥心と罪悪感で自害を選ぶだろう。
「ねぇゲット。ゲットはお姉ちゃんの事好き?」
「いきなりどうしたの?大好きにきまってるじゃん」
「うん……お姉ちゃんもゲットの事が大好きだからね」
ジャスミンの突然の言葉に屑は本心をぶちまける。だが、悲しい事にこの大好きはジャンルが違うと屑は分かっている。
自分の好きは異性として。ジャスミンの好きは家族として、赤子の時から自分を世話をしたから生まれた母性の愛から。
故に自分の心は隠さなくてはならないと決意している。家族に異性に対する愛情を持たれているなんてバレたら大変な事になると前世の常識が囁いているのだ
「だから死なないでね。一緒に生きようね」
「当たり前じゃん。姉さん置いて絶対に死なない。約束する」
そう言いながらゲットはジャスミンに向かって小指を出す。するとジャスミンはゲットが何がしたいのか分からず同じようにおずおずと小指を出す。ゲットは小指でジャスミンの小指を絡める。
「ゆーびきりげんまんうーそついたら親父のハンマーもーらう。指切った!」
「これで破ったら親父のハンマーで殴られる!だから絶対に破らない!」
「うん……信じるからね、約束破らないでね」
そうして2人は何気ない時間を過ごしていく。この時間がもう直ぐ無くなる事に気付く事もなく
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終わりの始まり
少女は祈る。大切な人達の無事を、絶対に勝ち目のない戦いに挑んだ者達の勝利を。力のない妖精である彼女に出来るのはただ一つそれだけなのだから。
ある日フィオナの森で一体のモンスターが異変に気付いた。そのモンスターはフィオナの森の守護者と呼ばれるグレートホーンの系譜である存在、今のフィオナの森を守る者とされる存在である。
そのフィオナの森の守護者がフィオナの森の最奥、誰も辿り着いたことの無い聖域、仙界から恐ろしい程のマナの奔流を感じ首をあげた。
膨大な光と水のマナが仙界から溢れ出し一体のジャイアントに注がれる。そのジャイアントが動く事が出来たならまた未来は変わっていただろう。だがそのジャイアントはフィオナの森に危険が訪れぬ限り動けぬ存在の系譜、故にこの結果は必然。
ジャイアントに膨大なマナが注がれ新たな存在へと作り替えられていく。その姿をみた誰もが恐れ動けなくなった。古の強者、ジャイアント達ですらその光景に恐れ戦き動けなくなっていたのだ。
いや、ジャイアント達が一番恐れていたのだろう。遥か昔。自分達を支配していた存在、その目覚めに気付いてしまった彼等はただ震えるしか出来なかった。
膨大なマナの奔流が終わったその瞬間、それは目覚めた。水晶のように透き通った身体、それに込められた超常を超えた力。胡乱な目で辺りを見渡し宣言する。
余は王である。英霊の王、スターマン。図が高い。控えよ下賎なる単色の愚か者共よ
英霊王スターマンの復活、その情報は1日を立たずして世界全土へと知れ渡る。目覚めた英霊王は直ぐに全ての文明への攻撃を始めたのだ。
先ずは目覚めた場所であるフィオナの森、そこに存在するジャイアント達を虐殺。
単色で余よりも頭が高い存在はしてはならぬ。控えよ愚か者共
その言葉と共にジャイアント達は反撃を許されず一体、また一体と殺されていく。そしてあらかた殺し尽くした後、英霊王は別の文明へと侵攻を始める。
余が復活したというのに光の者達は何をしておるのだ。王の復活に参上せぬその不敬、こうなれば皆殺しにせねばならぬ
天空の城へ赴いた英霊王は残党にも等しい光の軍勢を蹂躙する。そして自らが気に入った者達だけを残し、その他全てを殺し尽くした後、また別の文明を蹂躙する為に動き始める。
次に狙われたのは火文明、英霊王は火文明を滅ぼさんと動き始めたがそこに立ち塞がったのは超竜バジュラ。火文明最強の一角であり最後の太古の昔より存在していたドラゴンが英霊王の前に立ち塞がったのだ。
全ての文明はこの戦いでバジュラが勝利しなければこの世界は英霊王により支配されると確信をしており、誰もがバジュラの勝利を信じていた。
だが、現実は残酷でバジュラが幾ら攻撃しようも英霊王には傷一つ付かず、逆に英霊王の一撃を受けるだけでバジュラは生きているのが不思議な程に傷付き地面に伏してしまう。
そしてそのまま殺されていくバジュラ。その身体を形成していたマナが霧散していく姿を見て全ての文明は絶望した。
最後に英霊王は闇文明に襲い掛かる。闇の文明にはデーモンコマンドの精鋭にアブゾドルバ率いるドラゴンゾンビの集団がいたがそれら全てが英霊王の前では無力であり、闇文明は戦力の大半を殺されてしまう。
英霊王の復活、それは全ての文明に大打撃を与えモンスター達に恐怖と絶望を叩き込んだのである。
だが、そんな中で唯一諦めていない文明があった。戦闘狂、キチガイの集まりである火文明である。彼等はバジュラが倒された後、情けを掛けられ殆どの者達が無事だったのだ。故に火文明は立ち上がる事を決意したのだ。
バジュラが倒れた今、火文明で英霊王に敵う存在はいない。だが唯では死なぬ。例え火文明が滅びようと奴に一死報いてやると息巻いていたその時、1人のヒューマノイドが運命を変える一言を発した
アレは二つの文明の力を持った存在、アレを倒すには自分達も他の文明の力を取り込まなければならない。と
小さな勇者ゲットと呼ばれる者からの言葉に水文明を除く全ての文明は一致団結し協力する事を決めた。
その時水文明は計画の為に少しのモンスターしか生き残っておらず、とても戦える状態ではなかった。故に深海に創設した新しき基地で力を蓄え地上での戦いを傍観する事を決めた。
小さな勇者ゲットの言葉を聞いて先ず協力したのが火文明と自然文明。彼等は互いの実力者同士で番を作り二つの文明の力を持ったモンスターを作り出そうと動き始めた。
そして次に動き出したのは闇文明と光文明。両者犬猿の中であった彼等は嘗てグラディアンレッドドラゴンと戦ったあの時のように再び一時的な同盟を組み闇文明の魔術と光の力を使い新たなる生命体を作り出していた。
火と自然の二つの力を持って生まれた無頼勇気と呼ばれる存在。嘗てフィオナの森の戦いの際に共に戦ったとされるヒューマノイドとビーストフォークの二つの種族を持った存在、レインボー獣が誕生したのである。それから様々なレインボー獣が生まれていく。レインボー獣は今までのモンスターとは圧倒的に違う力の差というものを持って生まれてきた。
全ての文明は確信した。これならばあの英霊王に勝てると
そして水文明を除いた全ての文明、それらが集まり一つの巨大な軍勢となる。
四大文明連合軍と名付けられたそれは、四つの文明から一体ずつリーダーを選出し四体のリーダーが頂点とした軍勢であった。
闇の文明からは幾重にも戦い続けた猛者の中の猛者。暗黒の騎士ザガーンが
自然文明からは、フィオナの森を守る銀髭団団長の大勇者二つの牙が
光文明からは残り少ないエンジェルコマンドの精鋭。その中でも昔から存在している浄化の精霊ウルスが
そして火文明からは、度重なる戦役の度に予言めいた事を言い、火文明を勝利へ導いた小さな勇者ゲットがリーダーとして大抜擢された。
この抜擢に小さな勇者ゲットは大反対したらしいがその他全ての火文明の仲間達から応援され勇気を振り絞りリーダーとなる事を決意したと記録には残っている
♡月/\日
今、ありのまま起こった事を説明するぜ……何故か俺が火文明のリーダーになった。逃げ道を塞がれたヤバい
誰か助けて
──勇気を振り絞りリーダーとなる事を決意したと記録には残っている。
超獣世界歴史伝
仙界王降臨より抜粋
良く分かる今回の展開
英霊王「やっほ」
↓
バジュラ「ぐわー!」
↓
火文明「野郎ぶっ殺してやる!」ゲット「ヤバいヤバい。このままじゃ俺も含めて全滅や何とかせんと」
↓
ゲット「レインボー獣作ったら何とかなるかも(迫真)」
↓
四文明「それマジ?超作るわ」
↓
四文明「レインボー獣強くね?これ勝てるんじゃね?いけるんじゃね!?」
↓
四文明「各々の文明から一体リーダー決めて一つの軍作ろうぜ」
↓
火文明「がんばれゲット」
↓
ゲット「ファッ!?これイザとなった時に逃げれんやつやん!?」
ゲット「誰か助けて」
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戦争終結
心地好い風が頬を触る。晴れ渡った青空に輝く太陽。後ろに感じるキチガイ共の熱気を感じて涙を流しそうになるが必死に堪え眼前にいる存在に圧倒的存在感に小便を漏らしそうになるが必死に堪える
「余は王である。臣下である貴様らは余の為に生きて死ぬのが道理である、違うか?」
「ハッ!俺達に王なんていねえよ!俺の目の前にいるのは自分を王様扱いしている痛い野郎だけだ!」
そこから巻き起こる大爆笑。自然文明の野次が英霊王に飛び交い火文明がそれに増長し更に笑いながら先程よりも汚らしい言葉を使い英霊王に野次をいれ揶揄する
そして大勇者の言葉に自然の軍勢は覇気を高めこれから始まる死闘に固く意思を決めて英霊王を睨み付ける。
「……余は王である。王である余は反逆を成そうとする臣民である貴様達をどう処罰すれば良いのか少し分からんのだ」
「ふん、貴様の言葉など聞くに耐えん。お前など我が主であるあの御方と比較出来ぬ。貴様は王として余りに未熟、一時の感情で臣民を虐殺し恐怖によって統治を成そう等呆れて笑いもでん」
「……闇の騎士よ。その言葉、取り消せぬと思え」
「最初から取り消すつもり等ない。ここで死ぬが良い、英霊王」
そう言いザガーンは剣を抜く。堂々とその剣を掲げる姿は今はいない主への忠誠を天へと掲げているかのようで、その姿を見た闇の軍勢は吼えるように歓喜の声をあげる
「……ふむ。そうか、それで……貴様らも同じ考えか?我が臣民、光の軍勢よ」
英霊王の言葉にウルスは淀みなく宣言する。貴様は自分達の王ではないと
「元より私の王は聖霊王ただ一人、貴様は我ら光の軍勢の王として相応しくない。我等、光の王は聖霊王アルカディアス唯一人」
「フハハハハ!飼い犬に手を噛まれるとはまさにこの事か!」
哄笑、心底愉快そうに笑う。だが、笑っていても目が何一つ笑ってはいない。底冷えする怒りのような感情を目に載せて眼下にいる者達へと向ける。
「しからば死ね。塵も残さず鏖殺してやろう。王自ら死を与えてやるというのだ、安心して死ぬが良い」
「その魂、仙界へと帰れると思うな」
「して……火の軍勢、そしてそれを束ねる童よ。貴様はどう思っている。貴様はどのような死を望む?ここにいる者達らは死を持って王へ刃向かった事を償う事は確定している」
英霊王は問う。先程の威圧感を抑え、まるで気に入った玩具を見るように笑いながら言葉を続けていく。
「だが、余も童を殺すのは少し躊躇われるのだよ。それも無限の可能性を秘めた童はな。故に貴様に選択肢をやろう」
「貴様が余に未来永劫尽くすというのならばお前達火の軍勢だけは助けてやらん事はない」
「選べ童よ。」
沈黙が続く。余りにも長い沈黙、誰もが火の代表の言葉を待った。そして火の代表、小さな勇者ゲットはその顔を嫌悪感で歪ませて宣言した。
「俺がお前に尽くす?バッッッカじゃねえの!?俺達ヒューマノイドが、ドラゴンが、ワイバーンが誰かに尽くすぅ!?」
「諦めてくれ!火文明にそんな殊勝な考えを持ってる奴はいない。諦めて死んでくれ、ここでお前は俺達に負けるんだよ」
「俺はさっさと終わらせて帰って姉さんの食事を取りたいし」
慇懃無礼、英霊王の存在なんて食事に劣ると言い切った男の言葉に全種族から歓声が沸き起こる。小さな勇者ゲット、その名の通り圧倒的存在に啖呵を吐く勇気、目の前に現れた救いの蜘蛛の糸を千切り天に向かって唾を吐く蛮行。
その姿こそ火文明、戦闘狂、キチガイ。馬鹿の極みである。
「……余がどれ程の存在なのか、貴様は気付いているだろう。いや……貴様以外にこの場にそれに気付いているものはいない。それでも貴様はその言葉を撤回せぬのか?」
「うん。お前に尽くしていたら姉さんと一緒にいれないし。この際だから言うけど俺、シスコンだからさ。早く姉さんと会いたいんだよ」
ゲットの言葉に全ての軍勢は野次を飛ばす。家族に勝る者はなし。自称王様は帰って升でも掻いとけ!
良いぞー!シスコン野郎ーっ!お前がそんな男って知ってドン引きしたわーっ!
ジャスミンと仲良くしておるようで儂は安心したわい
坊主ーっ!ジャスミンと仲良くしてくれよー!
そんな言葉を背中に受けてゲットは笑う。足や手が震え、歯を噛み合わせないほど恐怖しているのを誤魔化せていないのに英霊王を蔑むように笑う。
その姿をみて全ての者達の気合いは最高潮へと至る。あんな餓鬼が啖呵を吐いたのだ。自分達が恐れてどうすると
「……分かった。ならばもう言葉は重ねん!今日、全ての文明を滅ぼす事をここに宣言する!」
その言葉を皮切りに戦いは始まった。二つの文明を持つ存在、レインボー獣達と全てのモンスター達が咆哮し英霊王に襲い掛かる。
英霊王が手を振りかぶるだけで四大文明連合軍の半数が致死傷を受けて一人、また1人と倒れていく。
火の実力者である機神装甲の1人ヴァルディオスが英霊王の一撃で有象無象の者達のように吹き飛ばされ命を落とす。
ヴァルカイザーは機神装甲を纏い襲いかかりその肉体に攻撃を加えようとしたが意味を成さず、返しの一撃でヴァルカイザーは存在そのものを維持出来ず消し飛ばされる。
そしてゲットの父親であり最強の機神装甲であるヴァルボーグですら太刀打ち出来ず命を落とす事になる。
光の軍勢は反撃も許されず精霊王に尽く蹂躙され殺されていく。
大勇者達は動かない、彼等は機を待っている。この戦いの要と言える存在、それは自然の力を組みし存在。彼等は待つ、もう直ぐ発動する逆転へのチャンスを逃さんと唯必死に待ち続けるのだ。
英霊王が動かぬ大勇者達に疑問を呈してたその瞬間、その機は訪れた。フィオナの森。そこに立つ1本の聖樹、そこで祈りを捧げれば無限の力が手に入るという伝説のある聖樹からその力が湧き出し始めたのだ。聖樹の元でスノーフェアリーが美しい舞いを見せビーストフォークが荒々しい演武を舞い森に住む全てのモンスター達がその聖樹の前で歌って踊る、その踊りや歌に呼応するように聖樹は力を自然文明に力を授け戦場にいる自然文明、大勇者達が天をも貫く怒声をあげた
今こそ王を狩る時なりと
無限に等しい超常の力を授かった大勇者達は最早恐れる者なしと突き進む。本来英霊王の一撃で消し飛ぶ筈の肉体は一撃、二撃、三撃と食らってもビクともせず英霊王目掛けて襲い掛かる。
インビンシブルパワー。フィオナの森の加護を授けられた存在だけが受けられる無力な者が超常と対等の戦いが出来る程の力を与えられる時間。
だが、それを持ってしても大勇者達では英霊王に敵わない。そんな彼等の後を引き継ぐように無頼勇気ゴンタ率いるフィオナの森の加護を受けし自然のマナを持つレインボー獣達が一斉に襲い掛かる。
英霊王とレインボー獣。色の土俵は同じ、ならば後は実力を増やしてしまえば負ける事は無い。無頼勇気達と精霊王の戦い、それは熾烈を極めた。血で血を洗う闘争。倒れ行く無頼勇気達、そして遂に傷を負い苦しみ始める英霊王。
この機を逃してはならないと闇文明は発動すれば自身すら巻き込み周り全てを滅ぼす超兵器インビンシブルアビスを起動させる。傷を負った英霊王にそれは直撃し英霊王は大ダメージを負う。しかし英霊王はそれでも倒れない。自分に傷を付けた愚か者、闇文明に狙いを付け一瞬にして殲滅する。数少ない精鋭だけが残るも全て息も絶え絶え。何時死ぬのか可笑しくない状況、英霊王は闇の軍勢を捨て置き未だ余力の残っている火文明に狙いを付けた。
ボルメテウスホワイトドラゴンとボルシャックドラゴンを中心としたアーマードドラゴンの軍団にクリムゾンワイバーンやガトリングガンドラゴンを中心としたワイバーンの軍団。
襲撃者エグゼドライブ……いや水文明との戦いの中で進化した甲冑神龍エグゼキューター引きうるドラゴノイド部隊が
そして一撃勇者ホノオ、小さな勇者ゲット率いるヒューマノイド残党兵。
火文明対英霊王。それは英霊王の圧倒的な蹂躙だった。アーマードラゴン達が一瞬にして殺されワイバーン達も同じく死に、ドラゴノイドは仲間の死んでいく姿にエグゼキューターが怒り聖剣炎獣バーレスクへと進化し戦いを挑むも、英霊王の圧倒的な力の前に重傷を負い戦えない身体になってしまう。
圧倒的、残る実力者はホノオとゲットとなり2人はいたぶられるように蹂躙され、それでも立ち上がれば立ち上がる程英霊王に攻撃を受ける。死なない範囲で遊ばれるように
先に倒れたのはホノオだった。ゲットはフィオナの森の加護を受けているからインビンシブルパワーの恩恵に授かり戦う事が出来た。だが、それでも圧倒的な壁が、英霊王とゲットの前には立ちふがっている。
単色と2色、レインボー獣か否かという大き過ぎる壁だ。最後の一人になっても戦い続けるゲット。一騎当千の戦いぶり、正しく火文明の頭領。だが、そんなゲットに遂に限界が訪れる。
それを逃さぬ英霊王ではない。熾烈を極めた戦いで力が殆ど残っていない拳でゲットの命を刈り取らんと襲い掛かる。
その時ゲットの脳裏に大切な家族。姉であるジャスミンの事を思い浮かべる
約束破った。悪いジャスミン
そう思いながら襲い掛かる拳を見詰めていたその時、眼前に自分を守る存在が現れた。それは紛れもなく自分の母親。家でジャスミンと共に帰りを待ってくれている筈の自分の母、母親はゲットを庇うと英霊王の拳を受けて絶命する。
即死、その姿を見たゲットは茫然自失となる。だが英霊王はその母親を見ると汚れたように手を振り払い嘲笑する
「愚かな者だ。実力の比較すら出来んとは」
その言葉を聞いた瞬間、ゲットの中で何かが外れた。沸き上がる激情、殺意のままに動けない身体を動かし襲い掛かる。獣のような戦い方、本能のままに眼前の敵を殺さんと戦う。だが、その戦い方は英霊王に通用しなかった。即座に反撃を喰らい倒れふすゲット。
命は最早風前の灯、諦めていた。生きる事を放棄していた。そんなゲットの前に1人の少女が盾となるべく英霊王の前に立ち塞がる。霞妖精ジャスミンがこの戦場に来てしまったのだ。ゲットは吼える今すぐ逃げろと。だが、ジャスミンは1歩も動かない、ただ眼前の英霊王を睨み付けているのだ。圧倒的な存在を前にして恐れること無くただ前を向く。
死ぬ前に会えた事の喜びと何故この場に来たのかという怒りに苛まれているとジャスミンが自分の身体にあるマナ全てをゲットへ譲渡しようとしているのが分かった。
英霊王はジャスミンに問う
小娘。死にに来たのか
妖精は笑う
弟を助けに来ましたと
その言葉を聞いて英霊王は沈黙する。少女の行動を容認したのだ。下手をすれば逆転される可能性がある行動。それを良しとした。少女の強い意志の強さが英霊王の心を動かしたのだ。
ごめんなさいゲット……お姉ちゃんが約束破っちゃうね
霞妖精ジャスミン、マナに最も近いスノーフェアリーだからこそ出来る技。
自らの命を捧げ自分の全てのマナを譲渡する力。
止めてくれ、やるな、やらないで。ゲットの懇願の声
その声にジャスミンは優しく微笑むと
──私は貴方の中で生き続けるから。
妖精の命(フェアリーライフ)
それが発動した。
悲しみと自分への不甲斐なさでゲットは咆哮する。愛する者を失った悲しみと疲労感が失せて全能感が溢れてくる肉体、一番大切な者を失った。ジャスミンによって自分の身体に自然のマナが溢れているのが分かった。
ジャスミンの献身がゲットを英霊王と戦える領域、レインボー獣へと進化させたのだ。
怒りのままに攻撃するゲット、英霊王も必死にそれに応戦するが同じ領域に立ちインビンシブルパワーの加護を受けたゲットに敵う者などもうこの戦場にいない。怒りのままに放った拳が英霊王を打ち砕く。断末魔の叫びすら出せなかった英霊王はマナへと霧散して消えていく。
その瞬間、仙界へと莫大な量のマナが流れた。今までの戦いでも沢山のマナが仙界へと流れて行った。故にこれは当然の結論だったのかもしれない。仙界より残り4体の王が復活しゲットの元へと向かう。
同じ王を倒した存在。それを感じ取った4体の王がそう行動するのは自然である。
だが、ゲットと相対した瞬間四体の内三体の王は一瞬にして討ち滅ぼされる。残った王、暗黒王デスフェニックスはゲットの力に驚愕し撤退する事を決意するも、ゲットの手元にあったバジュラより授かった宝玉が光り輝き1本の鎖へと変化する。その鎖はデスフェニックスを縛り上げるとそのままちぎり捨てた。
全ての王は倒れ四文明は勝利した。だが、その代償は多すぎる。あらゆる文明の強者達の殆どが死に絶えたのだ。これからの時代、文明同士で戦いをする事など出来ないだろう。
そして……戦争が終わった今、ゲットを見る者はいない。
「……誰か倒れてる?……大変です!ケイ兄さーん!怪我人が!私と同じくらいの男の子が!」
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ゲット君のブリテン滞在記
転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!
──1人の男がいた。その男の本質は凡百の性質であり凡そ勇者と呼ばれる者達のような性質を持っている訳ではなかった。故に男は勇者のように他者の為に戦う事はせず唯己の為だけに戦った。始まりは無理矢理だったとしても最後は己の意思を持って戦ったのだ。
──それは大切な家族の為に
──大切な少女の為に
男の名は小さな勇者ゲット。超獣世界と呼ばれる世界で戦い続け、太古の昔。ありとあらゆるモンスター達を支配した超常の存在、王と呼ばれた五体のモンスターを討ち滅ぼした勇者である。
彼の偉業は遥か先の未来まで語り継がれるだろう。小さな幼子がその名の通り世界の未来を掴み取ったのだから。
モンスター達は待ち続ける。彼がいなくなった今、再び彼がこの世界に現れる事を、そして彼があの戦いで生き残っている事を
──少女の話をするとしよう。
見目麗しく、純粋。まるで白百合のような少女。そんな少女にはこれより逃れられる事が出来ない鮮烈で苛烈すぎる運命が待ち構えている。キングメーカーと謳われし1人の魔術師によって少女は一国を統べる王となる。少女という己を捨て王という名の人民を支配する統制機構に。名を捨て、女である事を捨て、国の為に全てを捧げる苛烈な運命が。
──その剣を抜けば運命は定まる。逃れられない破滅の運命へと。
──あの時、逃げる事を選択出来れば運命は変わっていたのだろうか。最愛の者の命を奪わずには済んだのではないのだろうか
これは運命を壊し先へ先へと進んでいく物語。小さな勇者は白百合の少女の運命を見てどう進むのか。全ては己の心が思うがままに
──夢を見ている。どうしようもない程優しくて、残酷な夢を。今はもう逢えない大切な人達との記憶。絶対に忘れられないあの最後。
──彼等の背中が見える。彼等はこちらをチラリと見るも直ぐに前を向き楽しそうに談笑しながら先へ先へと進んでいく。
俺はその背中を追う。だが、幾ら走ろうともその背中に追いつく事はない。そしてその背中が見えなくなり世界が暗黒に包まれる。俺はただ蹲る事しか出来ない、震えを誤魔化しきれず嗚咽しながら
ただ泣くだけしか出来ない
「待ってくれ……待ってくれよ……なんで俺を置いていくんだ」
そんな俺の身体を鮮烈で全てを焼き尽くす赤色の炎と優しく暖かな緑色の炎が俺を包み込む。その炎に包まれて俺は
「……うぁ……あ?」
目を覚ました。目に入る風景は知らない天井、そして誰のものか分からないベッド。
「知らない天井だ」
いや本当に何処だよここ
/\月^^日
どうやら俺はまた違う世界に来てしまったようだ。まぁそれはどうでも良いとして、今日は色々あったので取り敢えず現状確認の為に日記を付けようと思う。
まぁ付けるのは脳内にだけどな!エア日記である。
先ず第一に。ここは超獣世界ではない。仙界王共との戦いが終わってからの記憶がない俺は目が覚めると良く分からん所で寝かされていた。そして俺を寝かしていた者の話を聞いてみると、どうやら俺は血塗れで森の中で倒れていたと言う事らしい。そしてその者……面倒臭いから名前を書こう。その者……ケイは血塗れで倒れている俺を自宅へ連れていき応急処置をした後ベッドで寝かしていたらしい。見ず知らずの人を助けるあまりの聖人っぷりに泣いてしまった俺はきっと悪くないと思う。
目覚めた後、ケイと色々な話をした。
Q.お前は何処から来た?
A.ヒューマノイドの里です
Q2.それは一体何処だ?
A.火文明にある小さな集落です
Q3.お前は一体何を言っているんだ?
A.逆に何故分からないのか
ケイの質問に答えれば答えるほどお互いに混乱し、取り敢えず俺が逆に質問をする。すると俺はこの現状を完全に理解が出来た。いや出来てしまった
Q.ここは何処?
A.ブリテンにある小さな村だ
ブリテンってお前……地球じゃねーか
暫く話をした後、俺は記憶が混乱していると判断されたのかケイからまた寝ていろと言われる。しまった、キチガイ扱いされてる。
第二にここが転生する前の俺が生きていた時代じゃないという事だ。俺が生きていた時代はパソコンだのスマホだのなんだのがあったから自給自足してそうな雰囲気全開のこことは確実に時代が数百年は違う。元現代人、現ヒューマノイドの俺がこの時代についていけるのか少し不安になった。
これが最後なのだが食事が異常に不味い。目覚めてケイからスープを貰ったのだが味付けが酷くとても食えたもんじゃない。ヒューマノイドの俺にここまで言わせる料理とは一体何なのか
未来のメシマズ国家は格が違ったと言うべきなのか。俺はただ震え、必ず彼にマトモな調理方法を教えることを決意した
PS.ケイには妹がいて名前はアルトリアというらしい。俺と同じくらいの年齢と聞いたがどんな娘なのだろうか気になる
ついでに森で俺を見付けたのも彼女らしい。俺の中でアルトリアちゃんへの感謝メーターが鰻登りである。ありがとうアルトリアちゃん
/\月☆日
うゎアルトリアちゃんかわぃい。なにあの子天使の生まれ変わりかなにか?美少女で性格も良いとか完璧かよ。時代が時代なら大人気アイドル不可避だよ。おい誰かPさん呼んでこいPさん。
トップアイドルアルトリアちゃんは血塗れの俺を心底心配していたらしく。ベッドで普通に寝ていた俺を見るや否や心底嬉しそうに笑い。俺は大天使の笑みに感動した。
そんな大天使アルトリアちゃんと話をしているとケイが部屋に入ってきて昨日の話の続きをした。そしてまたケイは困惑していた。
Q.お前の名前は?
A.小さな勇者ゲット
Q2.お前が全身に付けていたアレは何だ?
A.火文明の兵器の一つでありヒューマノイド専用の武装。名前は機神装甲、ヒューマノイド以外が付けようとしたら大変な事になるから気を付けて欲しい
Q3.お前は倒れているまで何をしていた
A.ちょっと世界救ってた。
そんな話をした後、俺はケイから頭の心配をされ、アルトリアは俺の話を興味津々にしていた。やだ、この娘天使過ぎない?エンジェルコマンド(笑)はこの娘を見習って?
/\月><日
ケイからそろそろ動いても良いと言われたので何か手伝える事はないのかと聞いてみる。するとケイは俺に斧を渡すと
それなら薪を作っておいてくれ
と言い残し何処へ消えていった。四大文明連合軍火文明代表である俺を薪割りに使うとはコヤツやりおる。ならば俺の薪割りスキルをとくと見るが良いっ!
あっ力入れ過ぎて斧が割れた。
その後帰ってきたケイに謝り倒し許して貰った。なんかケイの頬がひくついていた、正直すまんかった
因みに薪は取り敢えず素手で割りました。それを聞いたケイがドン引きしてた。理由は分からん事もない
/\月§§日
ケイの飯が不味い。しかし、身寄りがなく家に置いてもらっている状態ではそんなワガママは言えない。取り敢えずこの家の食事事情をどうにかしてやろうと考え、一つの案を思いついた。
家事の手伝いとして俺が料理を作れば良いじゃない。
そう思いついた瞬間、ケイに恩返しとして俺が料理を作ると言うと暫く逡巡した後それを許してくれた。サンキューケイ
アルトリアちゃんも俺の料理を楽しみにしてくれると言ってくれた。やはりこの娘は大天使か
そんな大天使の期待に答えるべく今ある材料で適当な料理を作ると二人して驚いたような顔をして俺を見てきた。良いぞドンドン見るが良い、ケイが俺にレシピを聞き大天使は俺を見た後無心で料理を食べ始める。
ケイにレシピを教え、俺も食事をとる。調味料とか殆ど適当な匙加減な男料理だが何とかなって安心しその日はマトモな食事にありつけた。やったぜ
アルトリアちゃんがお代わりを永遠と要求し、そんな姿を初めて見たらしいケイが俺に嫉妬の視線を向けてきた。いや、お前さんの料理に問題があったんだからな?
これは余談だが、ブリテンの近くには蛮族と呼ばれる人種が居てブリテンを侵略しようと良く村を襲ったりしてるらしい。マジかよ蛮族、この村に来たら機神装甲でボコるわ
──本来ならば何時も通り蹂躙する筈だった。自分達に手も足もでない村人を殺し犯し壊す、気に入った女は連れて帰り男は皆殺しにする。今日もそうする予定だった。
その筈だった。
「ヒィッ!何だよ何なんだよあの化け物は!」
「騒ぐな!アレに場所が割れる。騒がず急いで逃げるんだ!」
「畜生!畜生っ!」
恐怖しただ訳も分からず逃げる。逃げなければアレに殺される。実際に俺達数人を残しその他全ての仲間は殺された。
逃げるしかない。逃げなければ死ぬ、追いつかれたら殺される。それだけが頭の中で一杯で他の事なんて考える事も出来ない
……おーい!何処にいるー?逃げずに戦えー!そんな姿を見せて恥ずかしくないのか?俺みたいな子どもから必死に逃げて恥ずかしくないの?
馬鹿なの?死ぬの?一族郎党まとめて殺されたいの?
「ああああああ!アイツの声が!アイツの声が聞こえたぞ!?」
「もう駄目だ!誰が助けてくれーッ!」
「大きい声を出すなって言ってんだろうが!」
隣で発狂する仲間達に声を掛けるも何の意味もなさない。それを見た瞬間、俺は仲間を切り捨てて1人で逃げる事を決意する。このままコイツらといたら絶対にアイツに追い付かれて殺される。間違いなく。
「(俺は生き延びてやる……絶対にだ!)」
その直後、後ろから聞こえてくる仲間達の絶叫に耳を塞ぎ逃げる。俺は絶対に生きて帰ると。そして2度とこの国に攻め込む事をせず、兵士を止めて余生を過ごす事を心に誓い。
……どれだけ走っただろうか。自分の足音と心臓の鼓動。そして自分の呼吸音しか聞こえない中でただただ走り続けている。森を抜ければ良い。森さえ抜ければ流石のアイツも追い掛けて来ない筈だ。
そんな事を考えていたら目の前が開けていき木の一つもない平原が視界に入る
助かった!俺は助かったんだ!生き残ったんだ!
縺れるように森を出てそのまま転がるように倒れる。生き残った……助かったんだ。
「帰ろう……我が家に。もうこんな国に攻め込むなんて真似はせずに……そうだ。畑でも耕して一生を終えるのも結構良いじゃないか、畑を耕し続けて死んだ親父の真似をして畑に縛られて死ぬのは嫌だったけど、それはそれで良いんじゃあないか」
「生きてるだけで幸せなんだ。そうだ!生きてるだけで良いんだ!」
刹那の享楽に生きてるのは今日で終わり、これからの俺は真っ当に
「全くだ。俺も心底思う。だから次はお前が奪われる番だな」
えっ……?
/\月。ゝ日
今日は森の中で猪を狩りを行っていると、蛮族と思われる奴等が村に攻め込もうとしていたので離れの森の中で殲滅しておいた。ケイの奴が蛮族は生命力がめっちゃある化け物みたいな扱いしてたけど普通にただの人間だった。蛮族を殲滅した後は家の手伝いをして終わった。
今日もまたアルトリアがお代わりを要求してきてケイが嫉妬に満ちた目で俺を睨んできたがそれはスルー
料理が上手にならないケイさんサイドに問題があると思うの
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!2
俺がブリテンに来てから暫くの時間が経った。ケイは料理が上手くならずアルトリアは大天使で。俺は時折現れる蛮族を人知れず殲滅したり、家事の手伝いをして毎日を過ごしている。そしてこれはそんな一日の中のエピソードである
「剣術を学べ?」
「そうだ。お前もここにいるのならばその程度は出来ないと話にならない。アルですら拙いながらも剣を触れるのだ、お前もその程度は出来なければ駄目だろ」
3人で食事を取っていると突然ケイがそんな事を言い始める。結局俺の話を信じていないケイは俺が記憶の混乱した子ども扱いしている節がある。大天使アルトリアは俺の話を楽しそうに聞いてくれるから色々と話しをしたがケイにはそんな話を全くしていない。
「俺が剣を握る……か。機神装甲があるし別に」
「あんなガラクタで何が出来るって言うんだ」
ガラクタじゃないですぅ。アレがあれば俺は仙界王とも戦える程のパワーが手に入るんですぅ。と言った所で意味がない事は分かっているからスルーして食事を摂る。ケイが自信作だと言っていたがやはり味は控え目に言っても不味い、最近料理の不味さは時代のせいだと思っていだが正直ケイ自身にメシマズの才能があると思われる。だってコイツ俺が隣で一緒に作っても何故かクソマズ料理を作れるんだぜ?何故そうなるのか俺にはさっぱり理解が出来ない、世の中には不思議な事が沢山あると言うがこれもそんな不思議な事の一つだろう。
怪奇!謎のメシマズ男!
「……今、とても不愉快な事を考えられた気がするのだが」
「気のせいだと思う」
「……そうか」
そんな事を話しながら食事を口に運ぶ。先ず最初に炭化しているのような真っ黒な物体が俺の眼前に現れ、何故か生臭いような臭いが俺の鼻をツンっと刺激する。そしてそれを口に含むと無味でありながらジャリジャリしてモニュモニュとした感触が口の中で同時に襲い掛かる。控え目に言って糞不味い。しかしこれがこの家でのデフォルト料理だったと言うのだから恐ろしいにも程がある。
隣に座っているアルトリアが顔面蒼白で食事を摂っている姿を見ると何だか途轍もない罪悪感に襲われる。そんなアルトリアが縋るような目で俺を見てくるので正直今すぐ料理を作り直してあげたいと思ってしまうが
「アル……残すなよ」
「はい……」
残念ながらそれは許されない。俺の雑な男料理ですらこれと比べたら一流のシェフが作った料理に感じるだろう。そんな料理を体験してしまったせいでアルトリアは今までの料理の不味さというものを完全に理解してしまった。すまんアルトリア
「まぁ……話を戻すが、お前にも剣術を学んで貰おうと思う。幸いお前には類希な力があるんだ。それを生かせればかなり強くなれる筈だ」
そりゃ俺人間じゃなくてヒューマノイドだし。モンスターだし、人間と比べたら力の差が出るのは当たり前だろうと思ってしまうがそれは表に出さずに話を続ける。どうせ話したって意味無いしな!
「ゲットはそんなに力があるんですか?」
「あぁ。前にコイツに薪割りを頼んだら薪じゃなくて斧を割りやがったからな」
ケイの言葉を聞いてアルトリアが驚いたような顔をする。すまんアルトリア、お前が見詰めている存在はモンスター(誤字にあらず)なんだ。許してくれ
「──まぁ、ゲットも剣術を学んだ方が良い。別に学びたくないならそれでも良い。そうなったら自衛手段がなくて何時か野垂れ死ぬだけだ」
「兄さん!」
俺が野垂れ死ぬ姿を少し想像してみる。仙界王を倒した今、機神装甲を纏った正直自分の実力はかなり高い方だという自負がある。だが、生身での戦いは殆ど所か全く経験していない。それを考えると剣術を学ぶのも中々良さそうだ。
「……教えて貰っても良いのか?」
「なら、決まりだな。さっさと飯を食って修行に移るとするか」
これを食い切るのか……これを?
「残すなよ」
この後めちゃくちゃ頑張って完食した。
そしてケイに料理をさせる際には完全に付きっきりでコーチをするべきだと学んだ。
ケイがメシマズから卒業するその時まで……ッ!
$$月☆日
ケイと一緒に料理をしたり大天使アルトリアちゃんと一緒に木刀を振ったりして楽しい毎日を過ごしていると奴は現れた。そいつは自分の事を魔術師と名乗りアルトリアを王宮へと連れて行くと言い始めた。何やらケイとアルトリア、次いでに俺を騎士として育てるとか何とか言っていたが正直俺はその魔術師とやらを信用出来なかった。
何故ならばそいつの目が水文明の奴等と酷似していた。相手を見ているようで見ていない目、見ているのは相手ではなくそれにより起きる事象。人を人と思わない外道の瞳そのものだった。
正直俺は反対だったがケイが多少渋ったがそれを認めた。やはり王宮ともなれば生活水準もあがり今までのような苦しい自給自足自足の生活をしなくて済むのという点が大きいのだろう。元々転がり込んだ身の上、家主の意見ならば俺はそれに従うだけだ。
純粋で優しいアルトリアは自分が騎士になれば皆の為に戦えると言って嬉しそうに笑っていたが、その姿を見ると何故だか堪らなく不安な気持ちになった。
アルトリアがあの戦いで死んだジャスミンに重なって見えて身震いをした。そして確信した。
──アルトリアの最後は誰かの為に尽くして死ぬという事を
この少女は我儘を覚えるべきだ。このままだとアルトリアはそんな最後を遂げてしまう。そう思いケイに無理を言って魔術師には今日の所は帰って貰いまた後日来て欲しいとお願いをする。すると魔術師はそれを快く引き受けて家を出ていく。
──また後日。会いに来るよ
その言葉が死神の言葉にしか聞こえず思わず悪態をつきそうになった。
取り敢えず今日はアルトリアとケイにしっかりと話をして貰おう。このままでは駄目だ、ロクな事にならない。周りに流されて辿り着いた最後なんてクソみたいな事にしかならない
「……実を言うと俺はアイツを信用出来ない」
魔術師が帰った後、ケイの発した言葉に二人が沈黙する。一人は納得するように頷き、一人は驚いたような声をあげる。
「何でそう思ったんですか?」
「何故かだと?こんな小さな村に住む村人の所に王宮住みの魔術師が来るなんて余っ程の理由がない限り有り得ない。その理由が俺達を騎士として育てたいからだと?そんな理由で来る筈がない。確実に何かある」
「だが、奴の言葉通り王宮に行けばもっとマトモな生活を出来る。それを考えてしまうと……」
「……もしかしたら本当にそれだけの理由で来ているのかも知れません」
「……ゲットはどう感じた?」
ケイの言葉を聞いて沈黙を貫いていたゲットが口を開く。
「正直に言おう、俺は反対だ。奴は確実に何かを企んでいる。あんな目をしている奴等を俺は知っている。ソイツらは何奴も此奴もロクな奴じゃなかった。だからこそ分かる。アレの中身は碌でもない、確実に屑だ」
断言、その言葉を聞いて再びケイが悩み出しアルトリアが落ち込んだ表情を見せる。そんな姿を見てゲットは再び口を開く。
「だが、本人であるアルトリアとケイが行くと決めたのなら俺は何も言わないし何も言えない、だからこそしっかりと考えた方が良い。建前じゃない心の底から思う事をした方が良いと俺は思う」
「……分かってはいる。分かってはいるんだ。だが、今の生活を考えてしまうと」
年長としての、アルトリアを育てている義務感がケイを葛藤に導いてしまう。自分は反対だが現状を考えると賛成せざるを得ない、そんな混沌とした中でケイは悩み続ける。一体何が最善なのかを
「……私は行きたいです」
そんな中、ポツリとアルトリアは呟くように言葉を発する。嫌な予感がする。
「あの人の話を聞いて私は嬉しかったんです。私が皆の為に戦える。それを考えると胸が高鳴るんです」
「私は皆を守れる騎士になりたいです」
アルトリアの言葉を聞き苦虫を潰したような顔をしながらケイは頷く。本人であるアルトリアの言葉を無体には出来ない、つまりはこれで決定したのだ。
「……決まりだな」
「……本人であるアルトリアが言うのなら仕方ない」
「……ごめんなさい。二人共が私を心配している事は分かっているんです。それでも私は」
ボソボソと呟くように話し始めるアルトリアの声を掻き消すように俺が声をあげる。何であれ彼等の人生の中で大きな決断だった筈、ならばそれを喜ばずしてどうするのか
「よっし!2人の門出を祝って今日は秘蔵の猪肉を出すか!」
「……そうだな!どうせ今日でこの生活とお別れだ。それなら何時もより豪勢に行くのも悪くない!」
ゲットとケイが笑い宴の準備をする。その姿にアルトリアは追い付けず呆然とするがケイはアルトリアに笑い掛ける
「まぁ……何であれ、アルトリアが決めたのなら俺は……いや。俺達はそれを尊重するだけだ」
「肉ッ!食わずにはいられない!取り敢えず今日は俺が全部作るぞ!メシマズケイは椅子に座って待ってな!」
「待て!俺だって料理の腕を磨いてきたんだ!今日は俺が全て作るぞ!」
「ハハハこやつめ」
和気藹々と行動する二人を見てアルトリアも笑い動き始める。そうしてその日は夜遅くまで笑い声が堪えなかった。
そして、魔術師が再び来た。
「答えは出たかい?」
「あぁ。俺達はアンタの世話になる」
ケイの言葉に満足したように頷き言葉を続ける。どうせここまでコイツの予想通りなのだろうと考えると少し腹が立ち、どうせなら少し驚かせてやろうと思いケイに耳打ちをする。するとケイはとても良い笑顔でgoサインを出した。
「そうだ。少し話をしたいんだが」
「うん。なんだい?」
ケイが魔術師に話し掛け注意がそちらに向く、その瞬間俺は魔術師の後ろに回る。その姿を見ていたアルトリアが不思議そうにして、俺はニヤリと笑う。やる事は勿論一つ
「これは俺とゲットからの感謝の印だ。どうか受け取ってくれ」
「うん……?一体何をだい?」
肛門に向かって全力で指をカンチョーの構えを取り全力で突き刺す!痔で苦しむと良いわ魔術師ィ!
「それはちょっと遠慮したいかな」
だが、俺の全力のカンチョーは虚空を切りカンチョーの際に放った一撃によって風圧が辺り一面に吹き荒れ風が巻き起こる。ちっ!命拾いしたな
「さぁ。行こうか」
現状に付いてこれていないアルトリアが呆然とする。そんなアルトリアを現実に戻し俺達は魔術師の案内で連れて行かれる事になった。
次は機神装甲を纏ってやってやると心の中で誓いながら
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!3
Ok?
さぁ大惨事を始めようか(震え声)
あれから長い時間が経った。魔術師から指導を受けているアルトリアは剣に物書き、その他色々な事を教わっているらしい。ケイと俺は完全にスルーされている、やはり男では駄目なのか。もしも魔術師が指導ついでにアルトリアに対して何かしていたらケイがマジ切れして怒り狂うだろう。
えっ?俺はどうだって?俺は怒らないよ、ただ生きてる事を後悔するレベルで酷い目に合わせるだけだから。俺の恩人に何かするとかもう死んで償うしかないよね。アルトリアは見目麗しい美少女で性格も大天使だから悪い虫が付いても可笑しくない。もしもアルトリアに悪い虫が付いたら発狂する自信がある。それがもしもあの魔術師ならばやる事は一つだ
「──てな訳でアルトリアが騎士になったとして、悪い虫が付く前に何とかすべきだと俺は思うんだけど」
「……俺も大概アルの事に関したらかなり口煩くなると思っているがお前も俺に負けず劣らず酷いな」
そんな訳で今アルトリアに悪い虫が付く前に行動するべきだとケイと話している。家のアルトリアが天使すぎてヤバいアルトリアは世界の宝。
「男は狼だからね仕方ないね」
「目が血走ってるぞ」
おっと思わず殺意が先回っていた。
「──という訳でアルトリアに悪い虫が
「やり直すな。一回落ち着け」
俺は冷静なんだよなぁ、アルトリアに付くかもしれない悪い虫の駆除方法を考えれるくらいには余裕があるし
「イザとなったら俺がアルトリアを守れば良い。例え世界が敵になったとしても全部ぶっ飛ばしてやる」
俺が全力を尽くせばアルトリアが絶対絶命のピンチに陥る事はない。世界がなんだ悪い虫がなんだ。全部ぶっ飛ばしてやる。
悪い虫云々の話だけじゃない。この国は詰んでる、アルトリアが騎士になったら死線をどれだけさ迷うのか分からない。だったら俺が何とかしてやれば良いのでは?
「いや……待てよ。俺がこの国の問題を解決してしまえばアルトリアが苦しい目に遭わずに済むのでは?」
「駄目だコイツ目がイッてる」
「──そうだね。君は少し落ち着くと良い」
そんな事を考えていると突然の声と共に花の香りが鼻腔をくすぐる。すると目の前のケイが一気に機嫌の悪そうな顔をした。後ろに気配を感じる。ここに来てから良く感じる気配だ。自分の事を魔術師と名乗ったジジ臭い青年。花の魔術師 マーリンが笑顔を見せながら俺の後ろで立っていた。
「……何か用でもあるのか?」
「そんなに露骨に嫌そうな顔をされたら悲しいなぁ」
ケイの露骨な嫌悪感全開の言葉にマーリンは肩を竦めて笑う。だがコイツの目は何一つ悲しいと思っていない、それっぽく見せているだけだ。やはり何処ぞの水文明の奴等を見ているようだ、興味のあるものにしか本当の表情を見せない、いやソレにすら見せる事があるのかすら分からない。コイツは間違いなくそんな男。もっと火文明や自然文明の皆みたいに感情を出してくれたら信用出来るのだが
「嘘つけ絶対悲しく思ってないぞ」
「僕には感情がないからね。それは仕方ないんだよ」
「下らない冗談は止めろ」
多分これ冗談じゃないんだろうとか思いマーリンを見ると何一つ笑っていない目でコチラを笑いながら見てくる。
ケイさんこれ間違いなく冗談じゃないぞ
アルトリアを教育している奴が感情持ってないとかアルトリアが一体どんな子に育つんだよ止めてくれよ
「……ふぅん?」
急にマーリンの目が細められ何かを考え込むような顔をする。なんだコイツ嫌な予感しかしないんだが
「君は真贋を捉えられる目を持っているようだ。その才能は素晴らしい、磨いておいて損はないよ」
「自分から肯定していくスタイルは止めてくれない?」
「はっはっはっ」
何笑っとんねん張り倒すぞお前。やっぱりコイツ信用出来ないと確信しながら何の用出来たのかを聞く、というかさっさと要件を聞いておかえり願いたいものである。
「……で、何の用?」
「なに。ちょっとした事だから直ぐに終わるよ」
そう言いながらマーリンは懐をゴソゴソと漁り何かを取り出しコチラに放り投げる。受け取ったそれは丸い球体状の物体で凡そ思い付く使用用途として投げるか転がすくらいしか思い浮かばず手の上で遊ばせているとマーリンが笑いながら話し掛ける
「それに君の力を込めてくれ」
「力?」
「君が戦っている時と同じような事をしてくれれば良い……そうだね、それは君の武器とでも思ってくれて良いよ」
胡散臭いが言われた通りに機神装甲を纏っている時のようにしてみる。すると球体の中で緑色の炎と赤色の炎が球体の中で燃え始め、二つの炎が混じり合わさり二色が混じりあった一つの炎になる。
「……これは一体」
「多分、俺のマナだな」
「マナ……一体何を」
ジャスミンの自然のマナに自分の炎のマナ。それらがこの球体の中で炎の形となって現れているのだろう。その光景を見てケイがコチラを見てくるがそれに俺が答える事が出来なかった。
マーリンの瞳が説明を許さないと言わんばかりにコチラを見詰めていた。
「一つだけ忠告しておこう」
「君はあまりこの世界で動きすぎない方が良い。君の力はアレに目を付けられる」
「……君が動けば動くほど全ては変わると思って欲しい。その結果が何を引き起こすのか、それは僕にも分からないからね」
「それがこの国の滅び、もしかしたら君の大切な人の死かもしれないよ」
それだけ言うとマーリンは忽然と姿を消す。ケイが俺に声を掛けてくるがそれに返事をする余裕がない。
マーリンは俺が何なのかを恐らく理解している。俺はモンスター、それも今の俺はあの世界でも頂点に属すると思える程のパワーがある。生まれてから殆ど命懸けの戦いをしてきた。だから戦闘経験もある。
正直に言おう。現状、この世界で俺より強い存在を感じる事が出来ない、マーリンも中々の力を持っているがそれでも俺が勝てる自信がある。
どんなバッドエンドだって力で粉砕出来るしどんな敵だってぶっ倒せる自信がある。例えるのも腹立たしいが俺はあの時、全ての文明を蹂躙した存在。英霊王スターマンとこの世界では同じポジションにいるのだろう。
そんな俺を抑え込む方法は至って簡単。俺の大切な存在の命をチラつかせる事、たったそれだけ。それだけで俺は動けなくなる
自分の命や仲間の命に価値を持たないタイプのキチガイな奴等ならば動けたかもしれない
だが、俺には無理だ。
「やってくれたなあの野郎……」
あの時、森の中で倒れていた俺はアルトリアとケイに救われた。俺はアルトリアとケイに大きな恩がある。そしてアルトリアはこの王宮に来る前にこう言っていた
皆を守れる騎士になりたいんです……ッ!
「……アルトリアが良い子すぎて辛い」
「当たり前だ。誰があの子を育てたと思っている」
俺はアルトリアに恩がある。だからこそアルトリアの為に俺はアルトリアとケイ、そして彼等が生きるこの国を守らなくてはならない。
だが、俺が派手に動き過ぎるとそれがどうなるのか分からないときた。
「……ままならんものだなぁ」
「なぁゲット。お前は一体マーリンの奴と何を話していたんだ?何やら良くなさそうな雰囲気だったが」
「有難い忠告だよ。強すぎる俺が動いたらロクな事にならないらしい」
「ロクに剣を振っていないお前が強過ぎるのならば俺は神に等しいな」
「ハハハこやつ言いおるわ」
この国はぶっちゃけ詰んでいる。他国との外交が廃絶しており蛮族共が侵略せんと襲い掛かって来ている。だが助けは求められない。しかもこの国、敵は蛮族だけじゃないらしく
「この国って色々と敵多いよな」
「あぁ。蛮族共に幻想種、次いでに他国、敵しかいない国だ。この国は何時崩れるのか分からない砂の城と同じだ」
最近知ったのだがこの国にはドラゴン、つまりは幻想種と呼ばれる存在、そんな超獣世界で良く見る奴等が良く現れるらしい。まじかよ地球、まじかよブリテン
蛮族に幻想種と呼ばれる俺の同類と思われる奴等、次いでに他国。なんて事だ。敵しかいないこの四面楚歌、こんな国で誰かの為に戦う騎士になるとか死にに行くようなものではないか。守らなきゃ(使命感)
まぁそんな国にも切り札とも呼べる存在はある。一切合切全てご破算に出来る存在が、まぁ……平たく言えば俺なんだが。だが、俺が動けばロクな事にならないらしい。なんだこの国詰んでいるな
マーリンに言うアレが良く分からないがあの魔術師が言うのだから間違いなくとんでもない厄ネタだろう。それこそ仙界王もブッチぎるレベルの厄介事
……フェニックスがこの世界に現れるとかだったらどうしよう……勝てる気がしない
「……なぁケイ。アルトリアを説得してこの国から逃げた方が」
「無理だ。アイツの意思の硬さはそんじょそこらの事では揺るがん。俺では説得出来ん」
「だよなぁ。あの子結構頑固な所あるし」
二人してため息を吐く。完全に詰んでる、この感覚はフィオナの森の防衛戦で俺と銀の拳しか戦えずただ力を疲弊していたあの時のような、例えるならば真綿で首を締め付けられている感覚に良く似ている。今回はその打開策が全く思い浮かばないときた
「まぁ……何とかなるだろ、そう思わなきゃやってられん」
「あぁ、先代の王であったウーサー王が死んでからこの国は揺れっぱなしだ。次代の王がこの国を平定しなければこの国に明日はないだろうな」
「今この国の王になるとか生贄と同意義じゃねぇか。誰がなるんだよそれ」
「さぁな。自分より他人の事が大切でこの国が大好きな奴がなるんじゃないか」
「……アルトリアが思い浮かんだわ」
「笑えないから止めろ。殴るぞ」
「すまん。正直言った俺も笑えなかった」
重たい溜息を吐き俺達は1日を過ごす。明日になったら全部解決していれば良いなと考えながら
/>。月>>日
マーリンの奴から忠告というか脅迫に近い事を言われ動く事を止められた。それが無ければ俺が出向いて蛮族も幻想種も他国の事も力で全て捩じ伏せてやると言うのに。今日はケイと二人で落ち込みながら1日を過ごした
……これは関係ないのだが。やっぱりアルトリアに悪い虫が付く前に何か行動すべきだろうか。あんなに可愛い子なのだ毒牙が付かない訳が無い。これから先の事を考えると頭の痛くなる問題だ
正直俺とケイ二人してモンペみたいになっている気がするがまぁ気にしないでおこう
☆\'月/\日
最近国中で変な噂が流れているらしい。選定の剣を抜いた者が次代の王に相応しいとかいう噂だ、嫌な予感しかしない。何だよ選定の剣って。それを抜いたら次の王とか何処の王道ストーリー展開だよ笑うわ。そんな事が噂で流れ様々な者が挑戦しては失敗し、挑戦しては失敗を繰り返しているらしい。俺が無理矢理抜いて王になり武力を持ってこの国を平和にしてやろうかと考えたがマーリンが言っていた言葉がその邪魔をする。
まぁこの噂は頭に留めて置いた方が良いだろう。何か引っかかる、俺はこの展開を知っているような気がする。前世で見たような記憶が
♡/月$$日
ケイから「お前力だけはあるんだから選定の剣抜けるんじゃないか」と冗談交じりに言われた。正直力づくで抜いて良いなら土台ごと抜ける自信がある。
アルトリアに選定の剣云々の話をしてみると、アルトリアはなれるのならば自分が王になってこの国を守りたいと恐ろしい事を言っていた
それを聞いた俺とケイ白目、マーリン笑顔。
しかもマーリンの奴が「君なら素晴らしい王になれるだろうね」とか意味不明な事をほざいていた。なーに言ってんだこのキチガイ、こいつの髪の毛全部毟ってやろうかと思ったが、アルトリアが嬉しそうにその言葉に頷いたから今回だけは見逃してやろう。
次はないからな、覚えとけよ貴様
──そんな事もあったが、あの時の俺は何故マーリンの奴を問い詰めなかったのか。アイツの事だから何かあると思っても良かったじゃないか。今、俺の目の前には信じられない光景が広がっている。
「どうしよう……私こんなつもりじゃ」
「……大丈夫だ。俺達に任せておけ」
顔を真っ青にしているアルトリアにそれを支えるケイ、そしてそれを見る俺。
蒼白としたアルトリアが手に持つ1本の剣。黄金で装飾されたそれが俺には死へ誘う死神の鎌にしか見えなかった。
確かにアルトリアは王になりたいとは言っていたがそれは話半分、冗談の筈だった。現にアルトリアは今、顔面蒼白で何時泣いても可笑しくない姿になっている。
アルトリアが選定の剣を抜いた。何年も抜かれず、王座が試合によって決められる事になった今、アルトリアが選定の剣を抜いてしまった。
今、選定の剣の周りには俺達しかいない。他の者達が次の王座を掛けた試合を見に行っているのだ。どう考えても誰かに作られた道筋だ。女であるアルトリアが王になる事は出来ない。ならばどうすれば良いのか、話は簡単だ
誰もいない時にアルトリアに剣を抜かせアルトリアが女である事をバレないようにして王座に付かせれば良い。
やられた。マーリンが考えていたのは恐らくこれか
「私……こうなるとは思わなくてッ!マーリンが試してみると良いって言ってたから!」
やはり貴様かマーリン。やりおったわ、アイツ
「──兄さん。ゲット。私はこれから一体どうしたら」
「……安心しろアルトリア。俺が何とかしてやる。お前が王になる必要はない」
「……一体どうするつもりだ」
「どうする?決まってるだろ」
機神装甲はある。問題ない、やるしかない。あの時マーリンに言われた言葉に脳裏に閃く
「一つだけ教えておこう」
知らん黙れ
「君はあまりこの世界で動きすぎない方が良い。君の力はアレに目を付けられる」
アレ?上等だ。どんな奴でも掛かってこい今の俺に勝てると思うなよ、フェニックスでも超次元獣でも来い。全部ぶっ飛ばしてやる
「……君が動けば動くほど全ては変わると思って欲しい。その結果が何を引き起こすのか、それは僕にも分からないからね」
元々未来なんて分かりっこない。だったら俺が動いた所でそれは変わらないだろう
「それがこの国の滅び、もしかしたら君の大切な人の死かもしれないよ」
絶対に滅ぼさせんし死なせはせん。俺が何とかしてやる
「……確か今。次の王を決める試合をしていたよな?」
「……そうだが。アルが剣を抜いてしまった以上それは意味を……まさか!?」
そうだよ。今お前が考えた通りだよケイ
アルトリアが王にならない方法はあるんだ。簡単な事だ
「アルトリア。その剣を元あった所に刺して今日は帰るんだ」
「はっ……はい!」
そう言うとアルトリアは何の疑いを持たずに選定の剣を元あった位置に戻す。良し、良い子だ
「後は今日の事を忘れて帰って寝ろ。ケイも一緒にいてやってくれ」
「まさか……お前」
どうせこのまま隠していたとしても確実にマーリンが手を打つ、ならば俺が全部ぶっ壊してやるだけだ。
「ちょっと次の王の座貰いに行ってくるわ」
さぁて何も考えなくなった火文明は恐ろしいぞ。それを存分に味合わさせてやる
抑止力「ほーん。そんな事するなら本気だそうかな」
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!4
抑止力、集合無意識によって作られた、世界の安全装置であり、人類の持つ破滅回避の祈りである「アラヤ」星が思う生命延長の祈りである「ガイア」の優先順位の違う二種類の抑止力がある。
その日、抑止力は悲鳴を上げた。恐らくこの地球上で最も強大な存在が自分に楯突くと宣言した。それはこの世界の理とは別の存在、超常の獣が住まう修羅の世界。
名を超獣世界。そしてそこで一騎当千の覇者であった存在、つまりは小さな勇者ゲット、彼の事だ。
形を持たぬ抑止力は気付いた。この存在はこの世界を滅ぼしうる化物であると、このままでは世界は正しき時の流れを進まず滅びの道へと至ると。故にこの危機を回避する方法を考えた。
抑止力の後押しを誰かに与えるべきか?否それでは鏖殺されるだけだ。この世界の理で生きている存在と超常の世界の頂点では勝負にならぬ。圧倒的な格の前に滅ぼされるのが目に見えている。
掃除屋を出すべきか?否、それでは足らぬ。掃除屋ですら奴の前には無意味、ならばどうするべきか
ならば大陸ごと海に沈めるか?駄目だそれでも足らぬ足りぬ足りない。
ならばどうするべきか?簡単な話だ。化物にはそれよりも強い化物をぶつけるのが一番速く確実だ。
抑止力は世界を滅ぼす要因が発生した瞬間に出現、その要因を抹消する。カウンターの名の通り、決して自分からは行動できず、起きた現象に対してのみ発動する。その分、抹消すべき対象に合わせて規模を変えて出現し、絶対に勝利できる数値で現れる。
そして抑止力は絶対に勝利できる存在を見付けた。遠い未来、この世界とかの世界が1発の弾丸で通じる瞬間がある。その瞬間に超獣世界の力の渦、つまりは仙界と交信し、かの世界から彼よりも力のある存在を呼び寄せこの時代に送れば良いと。
この世界に送られてきた存在、抑止力がゲットに対して絶対の勝利を得られると確信した存在が顕現する。
「…あぁ?どうなってやがる。俺はあの時…メサイアに殺された筈じゃねぇのか?」
それは嘗ての火文明の象徴。力の体現者、悪魔神と聖霊王を前にして最強という名を思いのままにして暴れた悪童
「…はーん。成程つまりは俺の後輩にちっとばかし挨拶をしてやれって事だな?」
「任せときな、これでも火文明最強の看板背負ってたんだ。俺が負ける訳がねぇだろうが」
グラディアンレッドドラゴン。嘗ての最強の怪物がレッドの前に立ち塞がる。
抑止力君の迷采配。つまりはやらかしで現在の火文明最強と過去の火文明最強がこの地球でカチ合う事がここに決定した。恐らくこの事をゲットが知ればこういうだろう。
「抑止力君って馬鹿なの?自分から地球滅ぼしたいの?よりにもよってその御方呼ぶとか大丈夫?地球滅ぶ?」と
次代の王を決める戦いが始まった。この国の未来を背負う騎士の頂点を決める戦い。人々は騎士の姿を見る為に決闘場へと足を運び、我こそはと名を挙げた騎士達はその誇りと生命を賭けて戦いへと身を投じる。
人々はその戦いの熱さに身を焦がされ魂すらも夢中になって戦いを見、騎士達は己の姿を人々に見せんと力を奮い立たせ剣を振る。
そんな場所に場違いな少年が一人いた
「だーかーら!俺も戦わせてくれって!これでも王宮でマーリンの野郎に剣を習ってた(大嘘)んだぞ!」
騎士達のいる控え室に入ろうとしている子ども
その子曰く「自分も王の座を手に入れる戦いに入りたい!」と傲慢にもそれが出来て当然だと言わんばかりの態度で入ろうとした。
それをよく思わなかった騎士達。自分達の誇りと名誉を賭けた戦いの中にこんな礼儀知らずの子どもを入れる訳にはいかないと入らせないように身体を扉の前に寄せる。
「お前のような子どもがマーリン様に教えを乞う事など出来るはずがある訳がない!大人しく帰った帰った!」
「おんどりゃぁ…人を舐めくさしおってからに…こちとら本気出したら全部強行突破出来るんだからな?」
「ハーハッハッハッ!出来るのならば何時でも歓迎しようとも!まぁ、出来ればだがな!」
「ほぉ?(マジで実力行使してやろうか?)」
その少年の名は皆が知っている小さな勇者ゲット。ゲットはアルトリア達と別れた後、この時代の王を決める戦いを行っている闘技場に足を運んでいた。
そして選手として入らせて貰おうとしてこのザマである。恐らく長いモンスター生活の中で人間としての一般常識が幾つか抜け落ちてしまったのだろう
普通に考えて見た目小さな子どもが国の未来が掛かっている大会に飛び入り参加が出来るわけないのだ。
ここは完全実力主義の火文明ではないのだから残念でもないし当然の結果である。
もう力づくで入ってやろうかとゲットが考えた時、目の前にいる騎士が眉を細め頭を撫でる
「…だが少年よその熱意は良い。お前のような志高き者がこの国の未来を担う騎士の一人となるのだ」
「はぁ」
「…このような若者には経験させても良いのではないのだろうか?
…ふむ。私から一声入れれば何とかなるだろう。これも経験だな!良し!」
「(何、こいつ怖いんだけど)」
滅びに近づいている国の未来を憂い自ら立ち上がり王となろうとするその心意気に騎士が盛大な賛辞を送っている中でゲットは胡乱な目をして騎士を見る。まるで「コイツ悪いもんでも食ったんか?」と言いたげな顔だ。
だが、一人自分の世界に入っている騎士にゲットの声は届かない。そのまま考え込むようにブツブツと独り言を呟いた後
「…どうだろうか?騎士としては参加は許されないが、特等席で試合を見る事は融通出来るぞ?」
「…特等席?」
「ああ!私達の戦いを一番近くで見れる最高の場所だ!どうする?来るかい?」
これ以上目を輝かせて言う騎士の相手をしても恐らく無駄と判断し満面の笑みを浮かべ大きくうなづいた。
「うん!」
考えるのが面倒くさくなったゲットはそのまま騎士の後につき扉の奥へと向かう
「さぁーってと。俺の後輩はどれだけ強いのか、ちっと揉んでみますかねぇ」
これより数刻も経たずして山よりも遥かに大きい巨大なドラゴンがこの国に牙を向くなど誰1人として知る訳が無い
「良いか少年。これが騎士の戦いだ!」
「うわー!かっこいい!」
「そうだろうそうだろう!君も将来はあのような素晴らしい騎士になるのだぞ!」
騎士の機嫌を損ねないように青少年の真似をしている火文明馬鹿筆頭も今は気付かない。
よく分かる今回
ゲット「騎士王におれはなる!」
抑止力「やべぇよやべぇよ。コイツ止めなきゃ世界がやべぇよ。でも止められる気がしねぇよ」
抑止力「そうだ!同じ世界からアイツよりも強いのを取り寄せればいいじゃん!」
悪童「来ちゃった♥」
ゲット「試合殴り込みに行ったけど参加出来ないどうしよう(思考停止)」
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!5
砂塵吹き荒れる場所に2人の騎士が現れる。白銀の鎧を纏った騎士達は互いに向かい合わせになると腰に捧げた剣を天高く掲げ宣言する。その姿を見て人々は歓声をあげる。この戦いはこれからの自分達の王を決めるべく戦い続けた猛者、力と高潔な精神。つまりは騎士道に溢れた者達の中で戦い続け最後に残った勇者達、この戦いの勝者はこの国の王という栄誉を未来永劫語り継がれる。栄光を求む騎士達にとってこれは最後まで残った彼等こそ自分達の憧れそのもの、彼等の勇姿を最後まで見届けんとしていた。観客達も先程の歓声がまるでなかったかのように静かになりその場所には静寂が包まれる。
「我が名は─── なり!」
「我が名は─── なり!」
騎士達が互いに剣を抜く。互いに名乗りをあげ戦いが始まる
「どうだ少年!これが騎士!我々の中で最も強く気高い王として相応しい者達だ!」
「凄いっ!どっちの騎士様が王になるんだろうな!」
「あぁ。どちらも素晴らしい騎士、どちらが王となろうともきっと素晴らしい統治を成してくれるだろう」
ゲットは焦っていた。何時試合に割り込むのか、このままでは次代の王が決まってしまう。こんな所で騎士の話し相手をしている暇はない、どうするべきか。
「(そろそろ攻め入るべきか…?冷静に考えると参入して蹂躙しても唯のクーデターにしかならねぇよなぁ)」
ゲットが見詰める先にいる2人の騎士は確かに強いのだろう。この戦いを勝ち抜いた存在、それが弱い訳がない。
だが、この程度の力でこの国を守る事が出来ると思えなかった。
一番強い奴が文明の頂点、王となる。
闇文明ならば覇王ブラックモナーク。悪魔神バロム
光文明ならば聖霊王アルカディアス
その全ては莫大な力を持ち、あらゆる者達の憧憬、生命を背負い戦った猛者達。
ゲットが見てきた王と呼ばれる存在はどれもが一級品。それと見比べるとどうしても眼前の騎士は見劣りしてしまう。
これで次代の王が決まったとしても間違いなくあの魔術師が邪魔をする。間違いなくあの子が、アルトリアが王になってしまう。それは不味い、それだけは止めなくてはならない。
彼女には恩がある。生命を救ってもらった彼女に滅びゆく国の舵取りをさせる訳にはならない。あの可愛らしい笑顔を守る為に絶対に自分が王にならなければならないのだ。
「(俺が王になれば全部守れる。仙界王…英霊王と戦って勝った俺ならば出来るはずだ)」
目の前の戦いは佳境に入る。もう直ぐ決着が付くだろう。誰もが息を飲んで見守っている中、唯一真剣に試合を見ていなかったゲットは違和感に気付いた。昔感じた事のあるあの圧倒的な存在感、火文明ならば誰でも知っているあの超常の怪物達が出していた威圧感を
「おい騎士様!速くここから皆を逃がすんだ!」
「うぉっ!?いきなり大声をあげるな!それにいきなり何を」
「あー…来てるんだよアレが!とにかくヤバい!あれはヤバイ!ヤバすぎる!速く逃がさないと!」
「…分かった。後でな」
「…クソッ!」
「…っておい!何処に行くつもりだ!待て!止まれ!」
威圧感がここに辿り着く前に皆を逃がさなければならないと思い大声をあげるも子どもの戯言と言わんばかりに相手にしてくれない。ここにいては駄目だ。
そう思った時、身体は既に動き出していた。後ろから聞こえる騎士の声を無視してその威圧感の元へ駆け出す。
「何でアンタがここにいるんだよ!ここは地球じゃないのかよ!?」
ゲットを除きその違和感に気付いたのは2人の騎士だった。どちらが先だったか分からない。若しくは両方だったかもしれない。
騎士が突然空を見上げ剣を降ろした。そこに今まで戦っていた雰囲気など残っておらず、あるのは圧倒的な焦燥感から生み出される焦り。
人々は騎士達が突然剣を降ろした事にどよめく。一体何があったのかと口々に言い合い決闘場はどよめきで溢れていく
「…分かるか?」
「…あぁ、分かる。何かが来る。俺達では及びつかない何かが」
その瞬間、世界が闇に包まれた。いきなりの事態に慌てふためく人々、そしてそれを収める為に声を張り上げる騎士達。
「…来たな」
「一時休戦だ。やるぞ」
「分かっている」
2人の騎士が剣を抜き空に向かって切っ先をかがげる。そこにいる存在に宣戦布告するように
すると空が笑った。心底愉快そうに腹を抱えて笑うように。
「ガーハッハッハッ!お前らでは俺に勝てん!そんな小さな非力な存在が何か出来るとでも思っているのか!」
その声にどよめく人々、いきなりの暗闇にこの声、何かが可笑しいと思いつつもその何かが分からない
───空を見上げてもまるで何かが太陽を遮っているような暗闇があるだけで
「◼◼◼◼◼◼◼◼─── ッ!」
その瞬間、空から魂すら縮み上がる咆哮が響き渡った。その瞬間ようやく人々は気付いた。この暗闇はこの声の持ち主が作り出しているものだと
「ここに!俺の後輩がいるらしい!火文明の看板を背負っているならばさっさと出て来い!」
「俺の名はグラディアンレッドドラゴン!嘗て火文明最強の看板を背負っていた者だ!」
これより幾度なく訪れる超獣世界の怪物達、この日人々はクリーチャーという存在を初めて出会う。
「…うっわー。マジ?確かにフェニックスでも何でも来いとは言ったけどさぁ?」
…そしてその怪物に呼ばれている男は自分が前に言った言葉を後悔していた。
次回
騎士&ゲットVS悪童でお送りします!(ヤケクソ)
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 1
ブリテン君の寿命が伸びた
グラディアンレッドドラゴン。この名は超獣世界、火文明において知らぬものなどいないだろう。
太古の昔より生き抜いた実力、山すら遥かに凌駕する巨体、放出するマナは火山を噴火させる超常の獣。
嘗て火文明最強と謳われその称号に恥じぬ強さを持って他文明を蹂躙した怪物、それは闘匠メサイアとの戦いで命を落とした筈だった。
だが、1人の馬鹿の存在により再び生を受けこの異世界に蘇った。
ゲットを排除する為に惜しみなく与えられた抑止力によるバックアップ、それは超獣世界で奮っていた力をこの世界で奮う事が出来るという事。人々が生きるこの世界の理にはあまりに巨大すぎる存在
それが息を吐けば雲は割れ
それが翼を翻せば巨大な鎌鼬が空と大地を襲い
それがマナを放出すれば大地は灼熱の地獄となり
それが咆哮すれば人はその圧倒的な存在感に震え上がる。
全力でなくとも力を解き放てばこの星は滅ぶだろう。
それは力の体現者。火文明最強、故に抑止力は間違えた。確かにこの存在が己の力を思うがままに奮えば今のゲットに勝てるだろう。何故なら星ごと滅ぼしてしまえばゲットは何も出来ないのだから。
そしてこの存在は非力な者達が生きる星に何一つ興味を湧いていないのだから
「龍よ!今、貴方は誰かに会いに来たと言った!だが、この場に貴方の後輩と呼ばれる者はいない!」
「貴方の存在は民の者達に混乱を与えるだけだ!」
声が聞こえてきた。恐らく下で剣を奮って遊んでいた者達だろう。その言葉にそれは首を傾げた。
この塵芥共は何を言っているだろうか?力のない癖に俺に指図してきたのか?火文明最強と恐れられたこの俺に?
全く理解が出来ない。今身じろぎすれば飛んで消えていく塵のような存在が俺に命令をする?
「聞こえているのか!立ち退かないならばこの生命に賭けて貴様を倒す!」
俺を倒す…?どうやらコイツらは勘違いしているらしい。俺を倒せるのは俺と同じ時を生き、共に凌ぎを削りあった強敵のみ。
こんな有象無象の塵が俺と同じ台に立てるとでも思っているのか?
…一つ試してやるか
そう思い口から小さな火球を塵芥共向かって放とうとする。その瞬間、己と同格とまではいかないがそれでも中々に強い力を持った存在が近付いてくる事が分かる
「…そうか。お前か、お前が俺の後釜を継いだ奴なんだな」
見た事のある顔だった。悪魔神と聖霊王のガキと戦う前の作戦会議。その時にあのヴァルボーグの奴が連れてきた赤子。
どうやら俺が死んでそこそこの時が経ったらしい。あの赤子は少年となり、その身に自然のマナとバジュラの野郎とフィオナの森の加護を受け機神装甲を纏い、こちらを見ていた。
ずっと昔、忘れもしない。俺ですら挑まなかった仙界王達と同じ、二つのマナをその身に宿して。
「ハハッ…ハハハッ…ハーハッハッハッハッ!なんだそれは!?あの時の餓鬼がそんな事になってるなんて何で俺はあの時死んでしまったんだ!?」
勿体ない!生きている間にコイツと戦いたかった!出来るならば火文明最強の看板を賭けて死力を尽くして殺し合いたかった!
「俺が死んで火文明はどうなったかと思っていたがお前みたいな奴が台頭していたとは!」
なんという事だ。この場は戦うに小さ過ぎる。俺達が生きていた星ならばいくらでも地面があったというのに、この星は俺達が戦うに余りにも脆弱!
マナを放出しようとすれば大地は火を吹き崩れ落ち星は割れる。かといって力を抜いて勝てる相手では決してない!
あの仙界王と同じ力を持っている存在、そんな者に手を抜くなんて言語同断!
「なぁ後輩。名前を教えてくれ」
「…俺の名前はゲット。小さな勇者ゲットだ」
「ゲット…そうかゲットか。覚えたぞお前の名前を」
名前を噛み締めるように呟く。感慨深かった、死ぬ迄俺のような存在は生まれないものだと思っていたのに、俺と同等、自然文明の力を借りれば俺すら凌駕する存在が火文明から生まれたなんて
「おいゲット。お前二つのマナを宿しているみたいだが、一体何があったんだ?」
「…貴方が死んで色々あったんだ。サバイバーとかでてきたり光文明と水文明に侵攻したり仙界王が復活したりで大変だったんだ」
「…ハハッ。おいおい、お前最高かよ」
俺が出来なかった事。あの仙界王に喧嘩をコイツは売ったと言った。そしてそれに勝利したと。
そこまで聞くともう我慢出来なかった。抑止力とやらが何故ゲットを危険視するのか、何故この俺は何の為に呼び出されたのか。そんな事は全て頭から吹き飛んだ。
「少年!この場は危険だ!下がれ!」
「ここは私達に任せて君は逃げるんだ!」
今まで凄く気分が良かったのに一気に不快な気分になった。有象無象共の塵がゲットに対して何かを言っていた
危険だから下がれ?
君は逃げるんだ?
何を言っているんだコイツら?火文明に退却なんて言葉はない。俺ですら成し遂げられなかった偉業を成し遂げたゲットにコイツらは何を言っているんだ?
実力のない奴が実力のある奴を心配するなんて無礼以外の何者でもない
「君はまだ子どもだろう!こんな場所に来てはならな」
「黙れ塵芥!俺達火文明を…ゲットを侮辱するならばこの星ごと消し去ってやろう!」
全身から炎が溢れ出す。その炎をみて眼下の有象無象の塵芥共が逃げ出すが知った事ではない。これは侮辱だ。塵芥が俺達火文明への、その頂点に立つ存在にそのような言葉をかけるなんて許されない
俺の言葉にゲットがピクリと反応する。そう言えばゲットが王になるのを防ぐ為に俺は呼び出されたんだったな
ならば…一つ良い事を思い付いた。
「ゲット!話は知っている!お前はこの国の王になるのだろう?お前は超獣世界に帰るべきだ!こんな小さな世界ではお前は輝けない!退屈するだけだ!」
俺には対等な強敵がいた。だからこそ生きるのに飽きはなかった。強敵との戦いに胸を膨らませ、命を賭けた戦いの中で満足していた。
退屈は生きるということすらも飽きさせる。この世界にゲットと対等な存在はいない。もしかしたらいるかもしれないが、もしもいなければゲットはモンスターの宿命である闘争を求める性を処理出来ず自ら死を選んでいくだろう
それは駄目だ!そうならない為にもゲットは帰るべきだ!俺達の故郷、超獣世界へ!
「俺がこの星を滅ぼすのが早いか、お前がこの俺を倒すのが早いか。単純な力比べといこう!」
その言葉に目の色を変えたゲットが機神装甲に装着してある重火器の照準をこちらに向ける。
「スマンが先輩。ここにはアルトリアとケイがいる。この国に危害を加える前に元の世界に帰ってもらうぞ!」
「やってみろ後輩がァァァァッ!!」
人知を超えた戦い、世界観ガン無視の戦い。後にゲットはこう語っている。
「…正直アレが一番辛かった。あのドラゴン本気でこの星ぶっ潰すつもりだったんだし」
後輩の事を案じる優しい先輩
※他の有象無象は星ごと消え去っても良いとの事
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 2
先ず動いたのはゲットだった。機神装甲に取り付けられている重火器に照準を付け上空の悪童目掛けてぶちかます。
地響きのような音が決闘場に鳴り響き、その場にいた騎士2人は思わず両手で耳を塞ぎ、ゲットの行動を呆気に取られたように見ていた。
「出し惜しみなんてする余裕はない!はなっから全力で行くぞ!」
全砲門から放たれる銃弾の雨霰、それらは全て上空の悪童に命中する。
当たった瞬間轟音をあげて爆発したり、何千何万もの銃弾が襲いかかる。
この時代の地球に重火器など存在しない。言うなれば彼等は種子島で初めて火縄銃を見た武士のような衝撃を受けたのだ。いや、それよりも彼等にとっては衝撃的だっただろう。
ゲットの使う武器は自分の持つ剣と比べてあまりにも強力であり
例えるならば月とスッポン。この力があればあらゆる全てに打ち勝てる。そんな気さえしていたのだ。
「凄い…凄すぎる」
「邪魔だ騎士様!巻き添え喰らっても知らねぇぞ!」
だが、それにも終わりがある。残弾が、撃ち続けた砲身が赤く染められて使い物にならなくなっている。そらは爆煙に包まれているがあの圧倒的な威圧感は未だ健在、火文明最強という看板は伊達や酔興では手に入れられない。
「おいおい。そんなにぶつけんなや、痒いじゃねぇか」
爆煙が消え去った後、そこにあるのは傷一つない肉体。超巨大な肉体に重火器では傷一つ付けられないのだ。
身じろぎ一つなく、あの爆撃を受け止めた怪物の姿を見て騎士は絶望する。あの力を持ってしても勝てない、なんだこれは?なんなのだこの怪物は?
「ちっ!パージオフだ!」
その言葉と共に機神装甲に取り付けられているいる武装は変化する。使い物にならなくなった武装は切り捨てられ新たな武装が現れたのだ。
それは一言で言うならば鉄塊だった。
それは一言で言うならば回転する刃だった。
それは一言で言うならば槍だった。
棘のついた鉄球、チェーンソー、パイルドライバー。今までの武装を遠距離戦専用とするならばこれは超近距離専用武装。
「あれで傷が付くとは思ってねぇ!先輩の強さは俺達火文明が一番知ってるからな!」
「はっ!分かってんじゃねえか!ならどうするつもりだ!まさか、それで殴りかかって来るつもりか?」
「面白い!やってみやがれ!」
その言葉共にグラディアンレッドドラゴンの身体からマナが溢れ出す。
星をも滅ぼしかねない力が溢れ出したのだ。
地響きが鳴り響く、まるで大災害の前触れと言わんばかりに。地面が揺れる。空が揺れる。世界が揺れる。人々は幻視した。今、自分達が立っている地面が割れる姿を。そこから溢れ出す炎を
「◼◼◼◼◼───ッ!」
咆哮が国中に響き渡る。まるで地獄の底から現れた怪物が自分達を殺しに来たと感じ、身体が震え上がる。人は災害から逃れられない、最早この存在は災害と同義なのだ。絶対に殺すという殺意、逃走を許さぬという存在感。
戦わねば勝てぬ。だがこの怪物には勝てない。どうあがいても絶望。
人々はもう逃げ惑うことすらしなかった。ただ震えて目を閉じるばかり
この災害の気が変わって何処に行って欲しい、願いが叶うならば心臓すら止めてこの圧倒的な威圧感から逃げ出したいと願うばかりだった。
「──本気でこの星を滅ぼすつもりか!グラディアンレッドドラゴン!」
だが、唯一この場で立ち向かう存在がいた。この災害と同じ世界に生まれ、次代の火文明最強と言っても可笑しくない存在、小さな勇者ゲットがいる。
「俺が力を出せばこの星は滅ぶ!さぁどうやって滅びを止めてみせる!?」
「…こんの戦闘狂がァァァァッ!」
「ハーハッハッハッハッ!褒め言葉だな!」
ゲットは星すら滅ぼしかねない莫大な火文明のマナに自然のマナをぶつけ相殺を図る。赤色のマナの光と緑色のマナの光がぶつかり合う。
すると、ゲットがいる場所から緑が溢れ出した。植物、そして考えるのも馬鹿らしくなる巨大な樹木が地面に根を張る。
火のマナが破壊を司るならば自然のマナが司るのは豊穣、かつて闘匠と悪童が戦った時炎と自然がぶつかり合い混沌とした世界を作り出した。
悪童が前のように火のマナを垂れ流しているのならばゲットは自然のマナに方向性を乗せて流している。
ただ無闇に木々を出すのではない。大地の奥深くプレートに届く程の巨大な樹木を作り出しこの地鳴りを止めんと。
嘗てゲットが見たフィオナの森の大樹を真似て作り出したのだ。
まるで神話に語られた世界樹。ユグドラシルの再来、それが根を張り地鳴りを止めたのだ。
「何なのだこれは?…これは一体何なのだ?」
只只震えていた騎士達は急に現れた巨大な樹木に呆気に取られる。
「おい騎士様!聞こえているか!?アンタらはさっさとこの場を離れて皆を纏めてやってくれ!」
「……」
「聞いてんのかおい!俺もそろそろあの馬鹿を殴りに行かなきゃならないんだからさっさとしてくれ!」
「…あっあぁ!」
呆然としていた騎士達はゲットの鋭い声に正気を取り戻し動き始める。その姿を見てゲットは空を見上げ身体中に火のマナを活性化させる。身体に存在する火のマナと自然のマナを掛け合わせ肉体を活性化させる。
「…取り敢えず一発殴る!」
その瞬間ゲットがいた筈の地面は砕け散る。グラディアンレッドドラゴンの肉体は山よりも巨大である。莫大なマナを持ちその巨体を持って敵を粉砕してきた彼は体験したことのない事だった
自分より遥かに小さい癖に同格の力を持った存在と戦う事を。
アリと象が同じ力を持っているならば必ずしも象が蹂躙できるのではないのだと
空を悠然と飛ぶグラディアンレッドドラゴンは超常の力を持って上へと飛び上がったゲットの動きに対処が出来なかった。
「全武装一斉攻撃だ!」
その巨体故に、ゲットの攻撃を避ける事が出来ず、機神装甲に取り付けられている武装の全てがグラディアンレッドドラゴンの肉体に襲い掛かった。
棘の付いた鉄球が幾重にも腹を強打する。
チェーンソーが砲撃では傷一つ付けられなかった肉体に傷を一つ、また一つと入れていく。
パイルドライバーの衝撃でグラディアンレッドドラゴンの肉体はくの字に曲がり上へと飛び上がる。
「ガッ…!?やるじゃねえか後輩!」
「これで終わりだと思うな!」
「抜かせぇ!」
飛び上がるグラディアンレッドドラゴンに追撃を仕掛けんと襲い掛かる。だが、グラディアンレッドドラゴンは力のあるだけの木偶の坊ではない。数えるのも馬鹿らしく成る程の長い時を生き、その殆どを戦いに費やした怪物。
直ぐに体制を建て直しゲットが繰り出す機神装甲の武装をその剛腕で受け止める
「ゲッ!?」
「確かにお前は強い…だが、お前の力に武装が追い付いている訳ではないぞ!」
鉄球を跳ね除け、チェーンソーの斬撃を
耐えパイルドライバーの衝撃をいなす
「その武装は仙界王との戦いで大分ガタが来ているようだな!」
仙界王との戦いは血で血を洗う死闘だった。超獣世界にいたのならば修復が出来ていただろう。だが、ゲットが今いるのは重火器なんて存在しない、更に言うならば火縄銃すらない時代の地球。そんな所で機神装甲を修復できる訳もなく。平和の中で使う事もなく殆ど放置されていたくらいだ。
メシッ…メシッと不吉な音がゲットの耳に響く
「やっべ…」
「吹き飛べ!」
グラディアンレッドドラゴンの剛腕がゲットに向かって放たれる。巨大な剛腕から放たれる一撃、当たってたまるかと機神装甲に力を込める
その瞬間、不吉な音は現実となって現れた。
バキ、バキ。と壊れる機神装甲。今まで一緒に戦ってきた相棒の崩壊に気を取られてしまう。
そしてそれを見逃すグラディアンレッドドラゴンではない。その剛腕はゲットを殴り抜きそのまま大地へと叩き落とす。
凄まじい爆音と共にゲットは地面へと叩き落とされた。
「ハーハッハッハッハッ!まだだ!この程度では無い筈だ!さっさと立ち上がって来い!」
最強の悪童グラディアンレッドドラゴン未だ健在。
悪童「良し滅びろ」マナどばー
地球「地殻動いちゃうゥゥッ!」グラグラ
ゲット「止めて?」マナどばー
地球「何かくっそでかい木が生えて動けなくなったわ」
ちきう君へのダメージが余りにも深刻
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 3
アルトリアは神憑りの直感を持っている。戦闘の中では相手の一手すら予知し
あらゆる物事の全てにおいて最善の行動を取ることの出来る才能。
彼女はその直感を持って一つの事を感じ取った。この国、世界が危ないという感覚。そしてそれは彼女にとって大切な存在から発せられるものだと
「(ゲット…何故、何故貴方から嫌な予感を感じるのですか?)」
「…どうした。アルトリア?」
「…いえ、何でもないです。兄さん」
だが、それを表に出す事はない。彼女の直感がそれが最善の手だと本能で察していたからだ。
これはゲットがグラディアンレッドドラゴンと戦う数刻前の話である。
そしてこれは超常の力を持たずとも人々の為に動かんとする騎士達の物語である。
先ず最初に動き始めたのは人々だった。圧倒的な存在、自分達を殺しうる怪物が上空にいる事実に決闘場から逃げ出す。
他の物を押し退けて我先にと。
「逃げろ!」
「助けて!死にたくない!」
「邪魔するな!とっとと退け!」
混乱する人々、そして今まで戦っていた騎士達も混乱していた。自分達が戦っていた場所に突如現れた怪物、そしてその怪物は全身から炎を発しその圧倒的な威圧感を持って人々を震え上がらせた。
「黙れ塵芥!俺達火文明を…ゲットを侮辱するならばこの星ごと消し去ってやろう!」
そんな人々を落ち着かせる為に動く騎士達。だが、騎士の声は人々の喧騒の中に消えていく。落ち着いてくれ、冷静になれ等という言葉はこの場には何の意味も成さない。
「落ち着いてくれ!誘導するから冷静に
…」
「そんな事してる場合かよ!騎士様が戦わなくて誰が戦うんだよ!このままじゃ死んじまうよ!」
「嫌だ!まだ何もしていない!花屋のあの子にも告白していないしHもしていない!童貞のまま死にたくねぇよぉ!」
「金なら払う!だから儂だけでも助けてくれ!」
混乱している人々にそのような言葉は意味を成さない、混乱が混乱を呼び、王都ブリテンは大混乱の渦に放り込まれた。
「早くこの国から逃げるんだ!」
「早く!早く!早く!」
我先にと馬車に乗り込む。そこに子どもと大人の違いはない。己の命が最も大切なのだから逃げるのが遅い子どもは混乱する現状で親とはぐれただ泣くばかり
「お母さん…お母さんは?」
「退け!ガキが道路の真ん中で立つな!邪魔なんだよ!」
そして不幸が重なり1人の少年は親とはぐれ逃げ遅れた。困り果てた少年は呆然と立ち泣くしかできない。
そしてそんな子どもを助けられるほど彼等の精神にゆとりはない。
自分だけでも助かりたい。家族だけでもたすけなければならない。
少年の目の前に馬車が近付いてくる。泣くことしか出来ない少年はそれに気付かない。
「退けっ!退けって言ってんだろ!」
「お母さぁん…お父さぁん…何処にいるの?」
「──ッ!忠告はしたからな!もう知らねぇぞ!」
馬車を運転する御者の怒号すら聞こえておらず、このままでは少年は馬車に撥ねられてしまうだろう。そしてこのままでは少年は御者も少年を撥ねてしまう事を覚悟した。
彼の後ろには家族がいる。彼がもしここで止まってしまえばあの怪物に殺されてしまうかもしれない。
だから彼は止まれない。家族と自分の命と目の前の少年の命を天秤で図り自分達の生命を優先したのだ。
「─糞がッ!ウオオオオオッ!退けッ!小僧!」
「お母さ…へっ?」
馬車が少年の眼前に迫る。気付いた時には時既に遅し、もう少年の身体能力では逃げられない範疇まで馬車は近付いていた。少年の脳裏に移ったのは家族との幸せな記憶、走馬灯が少年の脳裏を駆け巡る。この速度ならば少年が撥ねられれば即死だろう。それだけが唯一の救いだった。走馬灯の中で死ねるのが唯一の救いだったのかもしれない
そして馬車は少年を
「危ないっ!」
轢かなかった。1人の騎士がその命を救ったのだ。転がり込むように少年を抱き抱え馬車の車線から離れる。
「…無事ですか!?」
「えっ…あっ…うん…」
白百合のように美しい騎士だった。金色の髪を後ろで束ねまるで白銀の騎士のような美しい鎧を身に纏った
「良かった…お父さんとお母さんは?」
「分かんない。あの時に皆とはぐれて…」
そう言いまた瞳に涙を溜める少年の頭を撫でながら騎士は優しい声で話し掛ける。
「そうですか…では私と共に行きましょう」
「…うん!ありがとう騎士様!」
「…私はまだ騎士でありません。ただの騎士見習いです」
そう言いながらはにかむ騎士を見て少年は彼に憧憬を覚えた。どんなに危険な時であろうとも人を助け、導く騎士の姿を胸に焼き付けたのだ。
そしてこの騎士を目指し少年が騎士の道へと行くのはまた別の話である
「あぁ良かった。こんな所にいたのね!」
「ありがとうございます騎士様!私達の子どもを助けて頂きありがとうございます!」
「いえ、騎士として当然の事をしただけです。私は別の場所に向かうので、ではまた!」
そして少年の記憶に金色の髪が揺らしながら走り去る騎士の姿が刻みつけられた
───
屈辱だった。いや、屈辱すら感じる暇を与えてくれなかった。次代の王を決める戦い、そして残った最後の二人として人々に誉ある戦いを見せようと思った。だが、そんな中でアイツは現れた。
それは自らをグラディアンレッドドラゴンと名乗った。嘗て火文明最強の看板を背負っていた者だと
その言葉の意味が何一つ理解出来なかった。だが、分かるのはたった一つ。
コイツに自分達の戦いは邪魔された。人々にみせる為の戦いは邪魔されたのだと、耐えられぬ怒りを剣先に向け宣言するも返ってくるのは無言、まるでこちらが眼中に入っていないと言わんばかりの態度
そんな中であの少年が現れた。謎の装甲を身に纏いあのドラゴンが唯一話をした存在。その瞬間分かってしまった。彼がそうなのだと、彼が後輩と呼ばれる存在なのだと
だが、その見た目は十を超えたかも分からない姿であり、この化け物と戦えば死は必死だという事は見て分かった
だからこそ私達は彼に逃げろと言った
それがあのドラゴンの怒りを買うとも知らずに
「おい騎士様!聞こえているか!?アンタらはさっさとこの場を離れて皆を纏めてやってくれ!」
「聞いてんのかおい!俺もそろそろあの馬鹿を殴りに行かなきゃならないんだからさっさとしてくれ!」
「─── ッ!」
思い出すだけで腸が煮えくり返る。私達のせいで彼が戦っているのと同じなのだ。俺達が不用意な言葉を発しなければ平和に終わった可能性もあった。
なんという不様か。助ける筈の少年に生命を救われ、この国の命も救われ俺達はこの場から逃げ出しているのだから
「糞ッ!糞ッ!糞ッ!何が騎士だ!何が誉ある戦いだ!子どもに戦いを任せて何が騎士だというのだ!」
激情に任せて叫ぶ。隣にいた騎士も同じ気持ちだったのか唇から血を出すほど強く噛み拳からも血が出る程強く握りしめる。
「…確かに俺達は無力だった。あの戦いの中に入っていけない。それは確かだ」
「…だが。そんな俺達でも出来る事がある筈だ。あの少年の言葉を忘れたか?」
当然覚えている。皆を纏めてやって欲しい、彼はそう言った。だが、この状況でどうやって人々を落ち着けると言うのだ。
「俺達はあの場所では無力だった。なのにどうやって」
「…俺達は騎士だ。誉ある戦いを最後まで勝ち残った。それだけでも人々に声を届けられるとは思わないか?」
「…確かにそうかもしれない。だが」
「だがではない!私達は彼に頼まれたのだぞ!あの場所で命懸けで戦っている彼の言葉を無下にするつもりか!?」
頭を打ち抜かれたような衝撃だった。俺達はあの場所では無力な存在かもしれない。そんな俺達でも出来る事は確かにある。
「ははっ…戦いの事ばかり考えて騎士として当然の事を忘れていた。これでは騎士失格だな。誰かを助け守る。これこそが騎士の本分だった」
迷いや怒りは消え去った。俺達に出来る事はただ一つ、彼の言葉を守る。人々を纏めあげ安全な場所まで逃げる事だ
「(済まないが後は任せたぞ少年)」
──
騎士達の尽力により残った人々は集まり行動を始めていた。ただの騎士の言葉ならば届かなかったかもしれない。だが、あの戦いを勝ち残った2人の騎士の言葉と、王都を走り回り人々を助けに回った白百合の騎士。彼等の存在が残った人々の心を動かしたのだ。
「名も知らぬ騎士よ。卿の行いによって人々は集まれた。ありがとう、本当にありがとう」
「いえ、私はまだ騎士見習いの身でして、皆をまもらなきゃと思って行動しただけです!お礼なんて」
「いや、君がいなければこの場に人は集まらなかった。本当にありがとう、これでかの少年との約束を守れる」
「彼とは…?」
白百合の騎士の言葉に彼の名を思い出す。
「あぁ…確かゲットと名乗っていたな。無力な私達の代わりに彼が今戦って」
「ゲットが戦っているんですか!?何処で!?ゲットは何処にいるんですか!」
「待て!落ち着け!彼を知っているのか!?」
「知ってるも何も彼は私達の家族です!」
その言葉に思わず足が止まる。なんという事だ。私達は彼女の兄をあの戦いの中に置いてきたというのか
「彼は今決闘場跡地にいる。だがあの場にいってはならない。今行けば彼の戦いの邪魔になる。彼以外にあの化け物と対等に戦える存在はいないのだ」
そう言いながら決闘場跡地を見る。巨大な樹木が決闘場を破壊し、その上空では炎を撒き散らかしながら咆哮する怪物と
そのドラゴンの周りを縦横無尽に飛び回る赤い閃光がいた。
「ケイ兄さん!どうしよう!ゲットが!ゲットがあそこに!」
「…ッ!」
「ケイ兄さん!」
ケイ兄さんと呼ばれた騎士は白百合の騎士と空で戦う者達を見て噛み締めるように言葉を発した
「…アルトリア。逃げるぞ」
「嫌っ!そんな事をしたらゲットが死んじゃう!」
白百合の悲鳴に人々の足は止まり決闘場を見る。分かってしまったのだ。自分達を助けてくれた騎士の大切な家族があの怪物と今戦っているのだと
「…頑張れゲット!」
その声は幼い少年の声だった。そしてその少年の声を皮切りに人々の応援の声が木霊する。頑張ってくれ、負けないでくれ、勝ってくれ、生き残ってくれと
「…俺達じゃああの場所に行って戦う事は出来ない。俺達は信じるしかないんだ。
俺達の家族を」
「…分かってるんです。分かっているんです…でも」
ケイはもうそれ以上何も語りかけなかった。だが、決闘場跡地の方を向き大きな声で叫ぶ
「やれーっ!ゲットーッ!そんなデカブツお前なら倒せるだろー!お前は最強なんだろ!?なら勝てる!」
「勝たねないとアルトリアが泣くぞ!いいのか!?大声で泣くからな!俺も泣くぞ!いい年こいて俺も泣くからな!」
「だから…勝てーッ!」
兄のこんな姿を見るのは始めてだろう。いつもシニカルで冷静な兄が感情のままに叫んでいる姿を
そしてそんな兄につられるようにアルトリアも声を上げる、負けないで、勝ってと
「ゲットーッ!絶対に…絶対に勝ってくださいーッ!」
辺り一面に響き渡る声援、誰もがゲットの勝利を信じていた。
赤い閃光がグラディアンレッドドラゴンの一撃により地に落ちるまでは
「ハーハッハッハッハッ!まだだ!この程度では無い筈だ!さっさと立ち上がって来い!」
凄まじい爆音と共に落ちていくゲット。その姿を見ていた誰もが絶望に包まれる。
希望が負けた。あのドラゴンに負けてしまった
直感では感じなかった。ゲットが死んだと、だが…見てしまった。ゲットが地面に叩き落とされた瞬間を、あの速度で叩きつけられて生きている人間はいない
分かってしまった。彼は今死んだと
「ゲット!嘘!嫌ァァァッ!」
白百合の悲鳴が響いた。
───
「いってぇ…アイツ俺じゃなかったら死んでたぞ…って、これは確か……」
流石火文明最強のモンスターだ!なんともないぜ!
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 4
「まさかこんな事になるとはね…いやぁ予想外だよ」
「喧しいわこの花野郎。相変わらず怪しい笑みを浮かべおってからに」
「相変わらず手厳しいね」
グラディアンレッドドラゴンに叩き落とされた所は次代の王だけが抜けるとされる聖剣がある場所。立ち上がろうとするとそこには胡散臭さナンバーワン、水文明そっくりな花の魔術師が笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「…で?何のようだ?今忙しいんだけど?」
「武器を壊されてどうするつもりだい?」
「あー…どうしようか」
そう言いながら俺の近くを指差す。俺の近くには機神装甲の残骸が辺りに散らばっておりまた使える状態には決して見えない。俺達ヒューマノイドは基本的に武器を使って戦う。他の種族より身体を強化して戦うのが苦手な俺達は武器を使うのが基本的なスタイルだ。
だが俺の手元にあるのは今何も無い。強いて言うならばバジュラの宝玉だけ…
バジュラの宝玉…?
「そう言えばこれがあったな」
宝玉に力をマナをこめる。すると宝玉は光を放ち1本の鎖となった。
取り敢えずの武器は出来た、だがこれだけで戦うのは正直不安がある。仙界王達との戦いではインビジブルパワーの加護あったからこそ戦えた
俺はこれだけで戦えるだろうか。
「それだけで戦うつもりかい?」
「…結局何が言いたいんだ?」
するとマーリンはこちらに近付き
「君が良ければその剣を抜くと良い。君が王に相応しいならばその剣は答えてくれるよ」
と言い放った。
──
始めて彼を見た時は不思議な存在だと思った。身体に不釣り合いなくらいの莫大なマナの量。本来肉体の外にある筈のマナ、それを肉体に取り込み…いやマナそのものに形成されていると言っても過言ではない存在
初めて見る存在に僕は興味を抱いた。
それから千里眼を使い彼を見続けた。
アルトリアに王としての教養を教えながら彼の姿を見ていた。
そして彼に忠告を与えた。もしも彼がその力を振るえば間違いなく抑止力に目を付けられる。それはつまらない、そうなれば彼は抑止力によっていつか滅ぼされるだろう。
故に忠告を促した。その力を振るわないようにと
そして彼は見事にその言葉を無視しそれを恐れた抑止力は彼を排除する為に新たな存在を呼び出した。
そしてこのザマである。抑止力は彼の力を侮り星すら凌駕する力を持った存在だと今更知りこの世界から排斥出来ず苦渋の決断として同等以上の怪物を呼び出した。その怪物に抑止力のバックアップという名の枷を付けて
結果は見事に大惨事、呼び出した化け物は抑止力のバックアップを放棄し自らの力を星を滅ぼす為にフルに使い、ゲットはそんな化け物を止める為に戦う。
「さて、抑止力はこの光景を予測していたのかな?」
今、地球の人類史の敵は抑止力が呼び出した化け物。そして彼はそれを止める為に戦う勇者、しかし勇者は戦うための武器と空を翔ける為の翼を失い地に落ちた。
ならば、ここからはキングメーカーである僕の出番だ。
彼に剣を与えよう。彼に空を飛ぶ翼を与えよう。彼が再び立ち上がるのならば僕は新たな英雄の誕生を祝い力を貸そう。
「──ここに新たな英雄、新たなるブリテンの王の誕生を祝おう」
さぁその剣を抜け、君ならば抜ける
「…この剣に選ばれているのはアルトリアの筈では?」
「…この剣はブリテンの王に最も相応しい存在を選定する装置だ。今この状態で最も王に相応しいのは君しかいない」
そう言うとゲットはチラリと剣を見て台座へと歩き出す。そして剣柄を握りしめるとそのまま上へと
「…」
上へと…
「……フンッ!」
地面ごと剣を引き抜いた。まさに火文明、力づくの極みである。どうやらゲットは剣に選ばれなかったが無理矢理引っこ抜いて剣を従えたみたいだ。
そして剣にマナを込める。黄金に輝く剣に赤く輝くマナと緑色に輝くマナが合わさり幻想的な色を作り出す。
「いやーきれいだねぇ。地面がそのままついた状態じゃなければ」
「ほっとけ。なぁマーリン、少し頼みがあるんだが」
「何なりと、マイロード」
傅くマーリンに不思議そうに頭を傾げるもまぁ良いかと思い直し頼みを話す。
「…まぁいいや。もう皆多分だけどこの場所から逃げていると思うんだ。マーリンの力でそいつらを守ってやってくれないか?」
「それで良いのかい?」
「それで良い。後は」
「早くしろ!早くしないとこの星を滅ぼすぞ!」
マーリンの言葉を遮るようにグラディアンレッドドラゴンの怒声が辺り一面に響き渡る。流石悪童待つ事が出来ない。
「…あの戦闘狂をなんとかするだけだからな」
そう言いながら剣に引っ付いた地面を剣を振り吹き飛ばす。そして身体中にマナを掛け巡らせ身体を活性化させるゲットの姿を見てマーリンは魔術を施す。
「…何したんだ?」
「君が失った空を翔ける為の翼を渡しただけだよ」
「…ありがとさん」
その言葉を最後にゲットは悪童との決着を付ける為に大空へと飛び立つ。そしてそんな姿を見届けて
「…では、新たな王からの初めての命令だ。しっかりとこなさくてはね。失敗して彼に殴られでもしたら死んでしまうよ」
そう言い残し魔術による転移を行い、その場から消えていった。
───
「嘘だ…。ゲットが、ゲットが…」
「…あの馬鹿ッ!肝心な所で」
アルトリア達が絶望に打ちひしがれているとその場に合わない快活とした声が辺り一面に響いた。騎士達と街の住民達はその声の持ち主が分からず首を傾げるもアルトリアとケイにはそれが誰なのか理解していた。
「やぁアルトリアにケイ。どうしたんだい、そんな悲しそうな顔をして?」
「…マーリン」
「…貴様ッ!この場ですら道化をするつもりか!アイツが…アイツが…ッ!」
打ちひしがれ涙すら出ないなったアルトリアとマーリンの顔を見て激昂するケイ。そんな2人を見てマーリンはその場にさらに爆弾を落とした。
「そうだね。彼は王となった。新たなるブリテンの王、烈火の如き外敵を討ち滅ぼしこの国を守る王」
「烈火王。彼、自分の事を火文明のヒューマノイドだとかいってたしお似合いな名前じゃないかな?」
皆がマーリンの言葉についていけずそんな彼等を睥睨するとゲットがいる場所を指を指して伝える。
「そしてほら、あそこを見てご覧」
そう言いながらマーリンの指差す方向、決闘場跡地を見ると猛り狂うグラディアンレッドドラゴンがそこにはいた。
溢れんばかりのマナを抑えられないと言わんばかりに辺り一面に放出しながら
「新たな王の凱旋だ。とくと見ると良い」
そして地面から莫大な量の鎖がグラディアンレッドドラゴン向けて放たれる。
まるで鎖が意識を持っているようにグラディアンレッドドラゴンの身体に絡みつく。
「はっ…こんなもん直ぐにでも……って硬てぇ!これはまさかバジュラの野郎の!」
鎖がグラディアンレッドドラゴンの肢体に絡み付く。そして、空を黄金の輝きが天を突き追随するように赤色の光と緑色の輝きも強さを増す。
「これで終わりにするぞ先輩!」
光は収縮し、1本の巨大な剣へと姿を変える。アルトリアやケイには見えなかった、だが分かっていた。あの剣を持っているのは間違いなくゲットだと言う事に
「馬鹿野郎!生きてんのならさっさと立ち上がれよ!死んだかと思っただろうが!」
「あぁ…良かった!兄さん!ゲットが!ゲットが生きています!」
「あぁ!心配させやがって、後で説教だな!」
「はい!帰ってきたら沢山説教します!」
そんな2人の声に皆が苦笑いをしながら最後の光景を見届ける。
鎖に縛られたグラディアンレッドドラゴンはどれだけ足掻いてもその鎖から抜け出す事が出来ない。それはゲットがバジュラから授かった宝玉、力を込めれば超竜バジュラが使っていたマナ破壊の鎖
グラディアンレッドドラゴンは己の身体にあるマナが壊されていくのを感じる。恐らくこのままだと自分は負けるだろう
「(確かに俺の後輩は強ぇ。だが!)」
その瞬間、今まで放出していたマナがそよ風程度に感じるマナの奔流が王都を包み込む。タダでは死んでやらん。窮鼠猫を噛む、イタチの最後っ屁でも与えてやらんとグラディアンレッドドラゴンは息巻いていた。
「(俺が挑戦する側になるとはなぁ…良いさやってやるよ。昔、仙界王の奴等に挑戦しなかったんだ。ゲットを倒せば俺がアイツらより強いって事になるだろ!)」
グラディアンレッドドラゴンがその口を大きく開ける。体内にあるマナを全て口に収縮し最後の一撃を放たんとする。
そしてゲットの元にある巨大なマナの剣も光を集め更に巨大な剣となる
その大きさ、グラディアンレッドドラゴンを凌駕するほどに
「力比べと行こうか!」
「やってみやがれぇ!」
その瞬間、両者最強の一撃がぶつかり合った。全てが光に包まれ、その光に耐えられず人々は目を閉じた。
そして、耳を塞いでも身体に響く爆音が辺り一面に鳴り響き、光が消えた後には
「勝ったぞー!」
現代火文明最強、別名世界一の馬鹿。小さな勇者ゲットが剣を振りながら勝利を噛み締めていた。
「さてと…うわぁこれは酷い。ブリテンが大惨事じゃないか」
マーリンはそう呟くと転移でゲットの元へと向かう。残された者達が王都の方を見ると
家々は戦いの衝撃で良くて半壊酷くて塵一つ残っておらず
王や誉ある騎士達が住まう王都は美しかった外装は殆ど消し飛び、旧時代の遺物を思わせる程の破損状態だった。
「ハハッ…こりゃ酷い…ハハッハーッハッハッハッ!」
「こりゃひでぇ!俺達の家どころか王宮すらボロッボロじゃねえか!これからは暫く大工の仕事に困らねぇな!」
「チゲぇねぇ!久し振りに俺が大工仕事をする時が来たか!」
「ジジイは腰痛めてんだから大人しくしときな!これは若モンの仕事だよ!」
その光景を見ていっそ清々しいと高笑いをする住民達、いやもう笑うしかないのだが
「…彼が新たな王か」
今まで沈黙を保ってきた2人の騎士の内1人が独り言を呟くように言葉を紡ぐ。そこには様々な感情があったのだろう。葛藤、喜び、悲しみ。それらが混じった声
「…願わくば彼が暴君でない事を祈るばかりだ」
「大丈夫です!ゲットならとても良い王様になれます!」
「…その根拠は?」
「それは…」
そう言いながらゲットを見る。するとこちらに気付いたのか笑顔でこちらに向かってくる。
「おいゲット!さっさとこっちに来いゴラァ!」
「えっ…どうしたんだよケイ?俺なんかしたか?」
「どうしたもこうしたもない!取り敢えずそこに座れぇ!」
「えっ…ちょっと待って助けてアルトリア!」
その言葉にアルトリアは微笑を返すと騎士に一言だけ残してゲットの元に向かう
「私達、皆がついてますから」
「おお来たかアル」
「なぁアルトリア。何でケイはこんなに怒っているんだ?」
「さぁ…何ででしょう?それよりも私はゲットに言いたい事があります」
この時点で二人共が可笑しい事に気付いたゲットは助けを呼ぶ
「マーリン!ヘルプ!」
「すまないねマイロード。流石の私でもそこに行く気は」
「あぁマーリン。丁度良いです。貴方も一緒に話しましょう」
「いや…え?どうしたんだいアルトリ」
「いいから来なさい」
「ハイ…」
アルトリアの謎の圧力に逆らえずゲットの隣に現れ座る。因みにゲットは本能的に正座をしている元日本人の魂がそうさせるのだろう。そしてマーリンもその姿を見てその真似をする。ゲット君の同調圧力である。
「なぁ…この国どうなるんだろうな」
一人の騎士がもう1人の騎士に話し掛ける
「さぁな。だが、これだけは言える」
「何だ?」
2人の騎士はゲット達の方を見て一人の騎士が面白そうに呟く
「退屈はしないですみそうだぞ」
輝く太陽が彼らを包み込む。そしてそんな太陽の下で新たな王が生まれた
その名を烈火王、烈火の如く外敵を打ち倒し国に平和をもたらしたブリテンの王、火文明最強小さな勇者ゲット
そしてそんな彼を補佐するキングメーカー、花の魔術師であるマーリン
聖剣に選ばれし少女アルトリア
そしてその兄ケイ
彼等のドタバタブリテン平定はまた別のお話
実はマーリン君は住民と騎士達をゲット達の一撃の余波から死ぬ気でガードした今回の影の功労者だったり
流石グランドキャスターや!
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!烈火王のドタバタ珍道中1
そしてまだ出ていないモンスターもガンガン出てきます
「どうせならば王宮を建て直さないかい?という訳でマイロード、一緒に妖精郷に行こう」
それが始まりの言葉だった。俺が王になって数日がたった頃、即ち住民騎士達総出で街を復興している時の話だ。
その日の分の仕事を終えアルトリアやケイの為の食事を作っているとそんな馬鹿の声の聞こえてきた。
「…妖精郷?可愛いスノーフェアリーが沢山いそうだな」
妖精と言われて思い浮かぶのはフィオナの森のスノーフェアリー達。あの時見た彼女達は元気だろうか。まぁ仙界王との戦いから数百年は平和が訪れる筈だしそこまで気にする必要はないと思うが
「まぁ、可愛らしい妖精が沢山いるのは間違いないよ。妖精に頼めば新しい城だって直ぐにでも創造出来る、ついでに城下の家々を直すことだって可能だ」
「ふーん」
適当に相槌をしながら鍋の火加減を見る。今日は野菜の出汁を贅沢に取ったブイヨンベースのスープに残り物の肉をぶち込んだ肉スープだ。
正直アクが出るからアク取りに目が離せない
「──という訳で夜迎えに向かうという事で構わないね?」
「あーうん。もうそれで良いぞ、ちょっと今忙しいからその話後で頼むわ」
「いや、言質は取ったから必要ないよ。それじゃあまた夜会おう」
その言葉を最後にマーリンは姿を消す。そしてそんな事に気付かない俺は先程の言葉をすっかり忘れて今日の夕飯作りに力を込めていた。
会心の出来となった夕食をアルトリアとケイと共に食べ
「腕を上げましたねゲット…お代わりを要求します!」
「何故だ…俺の何が足らないと言うのだ。ゲットに作れて俺に作れない訳が」
「ステイ、ケイ。席を立つな、座って食え」
そんないつも通りの日常を過ごし1日を終えた筈だった。そして俺はすっかりマーリンの言葉を忘れ眠りについた。
「──おはようマイロード。約束通り迎えに来たよ」
「…は?」
目が覚めると胡散臭い笑みがこちらを覗きこんでいた。イケメンだが目覚めにはとてもひどい顔だった。というか目覚めるなら可愛らしい大天使アルトリアの顔を見て目覚めたかった
(∴)月(ΦωΦ)日
目覚めたらマーリンに誘拐されていたで御座る。まぁそんな冗談は置いて、どうやら自分はとんでもない場所にいるらしい
マーリンの話を聞くと
「ここは妖精郷、三次元に存在する地球より数次元分ずれた位相に存在する、所謂あの世や常春の国とも呼ばれる地。竜種を始めとする殆どの幻想種が西暦移行の住処と決めた、"世界の裏側"と同一の場所…まぁ簡単に言うならば君が生きていた世界みたいなものだよ」
どうやら俺には難しい話だったみたいだ。何一つ理解が出来ない。マーリンが掻い摘んで簡単に説明してくれたお陰でフワッとは理解出来たが
そんな妖精郷に今いる訳だが、正直凄い。
何が凄いかって?もう妖精がクソかわいい。出るとこ出てて顔も人間を超えた美しさ。こんな場所に長くいると駄目になると確信する。
だって早速マーリンが
「ではマイロード。私は久しぶりに彼女達との交流を深めておくから、長との交渉は任せたよ」
物凄い良い笑顔で妖精を連れて何処へ消えたのだ。アイツマジで許さねぇ後でボコるわ
後、男型の妖精が主に雪だるまとか人外型の姿に物凄い既視感を抱いていた。
やべぇコイツら見覚えしかない。俺の故郷の自然文明にこんな奴らいたわフィオナの森のスノーフェアリーがこんな感じだったよなと思い一人の妖精に長の場所まで案内を任せた。
「Yeah!俺のソリに乗っていけば長の元まで直ぐに着くぜ!」
「あー…うん。ありがとう、所で君の名前は」
「俺かい!?俺の名前は冒険妖精ポレゴン!こう見えても昔は異世界で名の知れた冒険家だったんだぜ!」
「だよなぁ…ポレゴンだよなぁ…」
どう見てもポレゴンだった。というか本人がポレゴンだと認めた。正直妖精郷にいる奴等は見覚えのある奴らが沢山いると思っていた
「へぇ兄ちゃん俺の事知ってんの!?」
「だって俺超獣世界から来たし」
「…何だ同じ漂流者か。お互い辛いねぇ」
漂流者?聞き慣れない言葉に首を傾げる。するとポレゴンはその無駄に高いテンションで教えてくれる
「あぁ兄ちゃんは知らねぇのか!知らねぇのも無理ねぇさ、漂流者は俺達が使い始めた言葉でな!あの戦国武闘会でシーザーの野郎が暴れただろ?あのせいで色々な時代からモンスターがこの世界に飛ばされているらしいわ!」
「そんで俺みたいな非力なモンスターはマナのない場所では姿を保ってられない!そしてここの長が俺たちみたいな非力なモンスターをここに集めているって訳だ!」
予想外な事実が山ほど出て来て頭が痛くなる。暗黒皇グレイテストシーザー。背景ストーリーでは何時もコイツのせいにされている言っても過言ではない大戦犯。どうやら俺がこの世界に来たのもあの大戦犯が原因らしい
「そう言えば兄ちゃんは何処から来たんだ?見た所完璧な人型だしヒューマノイドか?」
「…小さな勇者ゲットって言えば通じるか?」
「へぇ!兄ちゃんがあの伝説のヒューマノイドかい!全く、長生きはしてみるもんだねぇ!」
「伝説?一体どういう」
伝説のヒューマノイドとは一体なんのことか、それを聞こうとした瞬間、ソリが急停止して降ろされる。どうやら長の元についたようだ。
「おーっともう着いてしまった!残念だが話はここでおしまい!という訳でまたな兄ちゃん!縁があればまた会おうや!」
「…っておい!待て!話はまだ終わって」
「ハッハー!走れソリよ!風のようにー!」
風のように走り去っていくソリとポレゴンを呆然と眺めていると後ろから存在を感じる。今まで感じた事のない感覚だ。弱い存在に強い存在が付き従っているような、不思議なマナの感覚
「お久しぶりです…いや、初めまして。小さな勇者ゲット、恐らく貴方に私の名前を名乗る必要はないでしょうが礼儀は必要です」
「私の名前は幻想妖精カチュア。この妖精郷を纏めあげる妖精達の長です」
良く分からないドラゴンを椅子にして悠然とした構えでカチュアがこちらを見ていた。
「それでこの妖精郷に何か用でしょうか?火文明の英雄よ」
「色々聞きたいけど、取り敢えずこれだけは聞いておく」
「…何でしょうか?」
「…ドラゴンを椅子にしてるけど…それ趣味?」
「はい。私ドラゴンを手篭めにするのが大好きなのです」
カチュアの天使のような笑みの下にある苦しそうなドラゴンの姿を見て同情を覚えたのは俺だけじゃない筈だと思う。
ポレゴン→パリピ
カチュア→ドS美少女
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 烈火王のドタバタ珍道中2
(∴)月(ΦωΦ)日
どうやら妖精郷のボスはカチュアだったらしい。そんなカチュアに王宮の件を頼んでみると
「──成程、つまり貴方達の戦いのせいで壊れた王都の修復ですか…お断りします。自分で壊した物は自分で直すのが道理でしょう?」
と正論を返されぐうの音も出なかった。だがここからが交渉の始まり、相手に得がなければ引き受けてくれないのは当然。こちらの頼みを引き受けてくれるならばそっちの頼みも引き受けよう
という事で交渉を行った結果
「私が欲しいのは先王、人の身で竜へ至った卑王ヴォーティガーンです」
このドSとんでもないのを欲しがりよったわ。
どうやら卑王ヴォーティガーンはブリテンの先代の王、今は竜に至ってブリテンに災いを与えているとか何とか、俺の先輩はドラゴンが多いなぁとか思っていたらふと気付いた。ここにいる全てのクリーチャーに言えるのだが、他のクリーチャー達からクリーチャー特有のマナの発し方を感じない。しかも目の前のドラゴンとカチュアですら俺達じゃないと間違いなく気付けないレベルと来た。これはどういう事なのかと思い聞くととんでもない事実を聞かされた
「…簡単な事です。非力な私達、超獣世界に住まう非力なクリーチャー達ではこの世界の理に引っ張られてしまい別の存在へと変異してしまうのです」
「私達スノーフェアリーは自然のマナがなければこの身を形成する事が出来ません。全てのマナを使い分ける事の出来る天才児薫風妖精コートニーでもなければ私達は森から長い時間出る事は不可能なのです」
「ならばこの状態は可笑しくないのかですか?そうです。この世界にはこの世界のマナがあり、超獣世界の五文明のマナはありません。本来ならば私達は消えるだけでしょう」
「私達はマナから生まれた存在。あの地球にいるのならば消えるだけでしょう。ですがこの妖精郷に限ってはどうやら私達はここに住まう妖精達の法則が通用するみたいです
マナから生まれたクリーチャーと自然より生まれた妖精達。どうやら似たような者だとこの世界が判断してくれたのでしょうね」
「まぁ…簡単に言えば私達は今、純粋なクリーチャーではないという事です」
今日は難しい話が多過ぎる。そういう理詰めの話し方は水文明の専売特許ではないのだろか。まだ出ていない知恵熱が出そうだ
「皆、貴方のように世界の法則を無視出来るほど強くはないのですよ。ゲット」
どうやら俺やグラディアンレッドドラゴンは異常らしい。普通は他の世界に転移してしまえばその世界の法則をモロに受けるらしいが実力が可笑しい奴等はそれの影響を受けないという事。
つまり…なんら問題はないという事だ。なんか良く分からんがそれだけ分かってれば良いと言われたのでそれだけは理解しておく。
その後どうやら妖精にチョッカイを仕掛けている途中でこの世界にいたドラゴンの炎を浴びてしまい身体中煤まみれのマーリンが現れ、直ぐに戻るという事になった。
「それでは、約束ですからね?」
どうやら俺はドラゴンの誘拐をする事になりました。
△月(日
家々の復興が大分進んだ今日、またいつも通りマーリンが来た。
「騎士達を纏めあげる存在とかいると思うから腕のある騎士を要職に付けたいと思うんだけどどう思うかな?」
どうやら最近騎士達の統率があまり出来ていないようだ。あんな怪物が襲い掛かってきたばっかりだ、まぁ仕方ないのかもしれないと思う。マーリンの話では候補は何人か上がっているらしく後は俺の許可が必要らしい、正直そこらへん良く分からんから全部マーリンに丸投げする事に決めた。
俺よりマーリンの方が頭が良いのだからそういう事は出来る人に任せれば良いのだ。頑張れマーリン君なら出来る
そう言うとマーリンは待ってましたと言わんばかりに話を続けた。
ふむふむ…復興が一段落ついたら騎士達の戦いをもう1度開き、そこで他の生え抜きの実力者をスカウトすると?
でも決闘場あの馬鹿でかい木のせいで建てられないよな?俺達の一撃で上半分消し飛んでるけどそれでも馬鹿みたいにデカいし
ほーん。あの木を決闘場として作り直すと?そっちの方が手っ取り早い…ふむふむ?
取り敢えずマーリン君が出来るとのことなのでお任せします。頑張れマーリン!
□月$日
ブリテンは今ボロボロだと聞きつけたのか蛮族達が侵攻して来た。取り敢えず殲滅するかと思い動こうとすると頭脳派マーリン君が
「ド派手にやってくれると凄く有難い」
との事なのでグラディアンレッドドラゴンに使った一撃を蛮族向かってぶつけてあげた。結果は分かりきっていた事だが蛮族は一人残らず消滅。一緒に来ていた騎士達の殆どが化物をみるような目でこっちを見ていた
そうです。君達の王様、どうしようもない脳筋クリーチャーなんです
それからというもの騎士達の気迫が凄い。城下の修復をしながらも鍛錬に明け暮れているらしい。
頑張る事は良い事だと思いました。
──その日騎士達は圧倒的な力を全てを一撃で粉砕する一撃を見た。
眼前に広がる人の波、蛮族と呼ばれる侵略者達、それが数えるのも馬鹿らしいくらいの数。いや、それは最早一つの塊に見えた。何万といるだろうその侵略者の存在、対してこちらは数千程度の軍勢、本来ならば勝ち目もなく蹂躙されるだろう。
だが、こちらには王がいる。ブリテンを、この星を滅ぼさんと襲いかかった怪物と戦いブリテンに平和をもたらした英雄が
「ド派手に行けと言われてるからな。すまんがお前らはここで消えてもらうぞ」
王が剣を抜いた。騎士達は後ろへと下がる。その一撃がどれだけ凄まじいものなのか知っているから
「選定の剣よ!俺に従え!」
その言葉を皮切りに王の手に握られている聖剣は光を放つ、黄金に輝く光に赤と緑の輝きが入り混じり幻想的な色を作り出していく。その輝きは天をも突き光は巨大な一つの剣へと姿を変えた。
あの怪物を葬り去った一撃、それが蛮族向かって放たれる。光が全て包み込み、騎士達はその衝撃に吹き飛ばされないように命懸けで堪える。
そして爆音と極光が消え去った後、そこには何一つ残っていなかった。万を超える蛮族の群れが塵一つ残らず
「今日の仕事はおしまい!撤収するぞ撤収!」
そしてその偉業を成し遂げた王はこれが何でもない事だと、誇る姿を見せなかった。その姿に俺達は驚愕した。あの程度の事で誇る意味もないと言わんばかりのその背中に一種の憧憬を覚えたのだ。
あの一撃に辿り着けない事は分かっている。だが、騎士である前に男なのだ。あの一撃を目指さないでどうする。
あの極光の一撃を
騎士達にビーム属性が付属されるフラグが経ちました
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし!烈火王のドタバタ珍道中3
「…これはどうしましょうか?」
妖精郷のとある場所、この世界の長である一人の少女は困ったように溜息を吐く。どうやら彼女にとって非常に宜しくない事が起こったようだ。彼女の下で椅子兼足であるドラゴンも上にいる少女の顔色を伺ってビクビクしている。
「ウェェェイ!どうしたんですカチュア様ァ!?」
「あぁ…ポレゴンですか。いえ、少し困った事が起きましてね」
雪だるまの妖精、ポレゴンがその溢れんばかりのテンションの高さを持ってカチュアに話し掛ける。だが、そんなテンションのポレゴンを見ても心ここにあらずと言った姿でブツブツと呟くばかり
「本当にどうしましょうか…?」
「おっとカチュア様!それはもしかしてアレじゃないですか!?何でそれを持ってるんです!?」
「…ハァ。あの御方に会えてうっかり夢心地で渡すのと教えるのを忘れていました」
「あぁ!カチュア様はあの伝説のヒューマノイドのファンですからねぇ。話すのに夢中になっちゃいましたか」
「…それ以上は貴方の上半身と下半身がサヨナラしますわよ?」
ポレゴンの言葉に更に顔を落ち込ませ溜息を吐く。そんなカチュアの両手には不思議なものがあった。
それは赤色と水色の2色で構成されてある一着のスーツ。それはゲットのいた時代に存在していない。いや、正確に言うならば見つかっていない太古の時代に作られた兵器
「…で、どうするんです?そのクロスギア。確かゲット様にお渡しするつもりだったんですよね?」
「…どうしましょう?誰か良い意見はありますか?」
「「…」」
その言葉にポレゴンもカチュアの下にいるドラゴンも困り果てたように無言になる。そしてそんな2人の姿を見てカチュアは頭を抱えた。
「現在、地球にクロスギアが大量に転移してるとかどうすれば良いのよ…そして何でその事を伝え忘れるのよ私…」
「…カチュア様って案外ポンコツですかねぇ」
「──ッ!うるさいうるさいうるさぁぁぁい!」
「ハッハー!カチュアのポンコツ姿頂きましたぁ!」
妖精郷は今日も平和である。地球にクロスギアと呼ばれる超常の兵器が大量に転移してたとしても今日も平和なのである。そしてそのクロスギア達が集まり進化クロスギアとなる可能性があったとしてもこの妖精郷は平和ったら平和なのである。
「まぁ…また会う時に教えれば良いでしょう」
そうして問題を放置する事を決意したカチュアを見て椅子になっているドラゴンは人知れず溜息を吐いた。
───
「さて、城下町の復興も一段落ついた。ならば次は何をすれば良いと思うマイロード?」
「正解者にはこのマーリンお兄さんが今夜幸せな夢を与えようではないか」
マーリンは基本的に俺に指示を仰ぐ。俺はそういう事は苦手だから全部任せたいのだが問題形式で聞いてくる為中々に楽しく。ちゃんと考えて答えてしまう
「次に何をする…?そうだなぁ…街があり住民がいる。じゃあ次は食べ物とか着るものとか?」
衣食住が昔、俺が人間の時に大切だと聞いた事ある。家が出来たなら次はそれじゃないかと思い答えると
「はい残念」
「まぁそうだよな──っ痛ぁ!」
マーリンの声に合わせて俺の頭の上に鉄塊が降ってきた。何時も思うが、これ俺じゃないと間違いなく死ぬぞ
「確かに衣食住は必要不可欠だけど今回はそれじゃあない」
「…じゃあ何だよ?」
「人々に君という存在が絶対的な希望だと分かってもらう事だよ」
…は?
「──この国は今、未曾有の危機に立たされている。それは知ってるだろう?」
「周りにある諸外国の数々、そして何時来るか分からない万を超える蛮族の軍勢。そして君が討ち滅ぼしたあの怪物」
「今人々は不安なんだ。だからこそ絶対的な存在が必要だ」
「──どのような怪物があらわれようとも打ち倒し、万を超える蛮族の群れを消し飛ばし、諸外国の圧力に屈しない絶対的な希望」
「──君しかいないんだ。君は王になればこの国の希望になる。この国の人々はこう思うだろう」
「『烈火王がいるならばこの国は安泰だ!この王ならばブリテンを平和に導いてくれる!』とね」
「そして君の力を見て強欲で無能な者達以外の諸外国の王はこう思うだろう」
「『何がどうであれ彼の傘下に入れば絶対的な力の庇護の元に入れる事が出来る』とね」
「つまり…君が大々的に王である事を主張、つまりは戴冠式を行う事が必要不可欠なのさ」
「理解してくれたかい?」
マーリンは自らの主に進言する。この国今絶対に必要なもの、そして自分達は何をするべきかを。そしてそんな進言を聞いて主は唸る。その言葉一つ一つを噛み締め消化しているのだろう。
そして長い時間が立ち、主は顔を挙げた
「…すまん。3行で言ってくれ」
「君が戴冠式をすれば
人々は喜び諸外国は平伏し蛮族は死んで
この国は平和になる」
「…成程。じゃさっさと戴冠式するか」
「準備はこちらに任せてくれ」
その日マーリンは主に言いすぎたら処理能力がパンクする事を覚えた。
◎月♂日
今日はマーリンから戴冠式をしろと言われた。どうやら戴冠式をすれば何だかんだ上手くいくらしい。
そう言えば城下町の修復に忙しかったから戴冠式なんてする暇なかったなぁ。アルトリアとケイにも戴冠式をする事を話したら
「凄いです!頑張ってくださいね!」←アルトリア
「遂にお前が王か…さて、亡命の準備でもするか」←ケイ
と胸が温まる言葉と怒りで頭がホットになる言葉を頂きました。
言っとくけど俺が王でいる限りこの国は絶対に守るぞ?ウルトラマン的なポジションだぞ?制限時間なしのウルトラマンだぞ?
…全く。何が駄目だと言うのか
マーリン君から核兵器扱いされている殆ど飾り物の王様ゲット君の明日はどっちだ
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転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 烈火王のドタバタ珍道中4
新たな王が現れた。その事実はあの怪物が倒されたその次の日には城下町の人々に噂していた。曰く大地を揺るがす怪物を討ち滅ぼした英雄。誰も抜く事が出来なかった聖剣を抜いた存在。
あの怪物の存在を人々は忘れる事は出来ない。あの魂すら震えさす咆哮、山よりも遥かに巨大な身体から炎を吹き出す姿を
人々は新たな王の姿を夢想した。新たな王は容姿端麗、民の事を第1に考える好青年だとか筋骨隆々で覇気溢れる武人だとか、理想の騎士、カリスマ溢れる存在だとか。
新たな王の存在を知っている者はそんな夢想に対して悲し過ぎる現実を教えるがあぁ、無知は罪なり。そんな言葉は無知な大衆の言葉に流されていく。
そしてそんな噂が流れる新たな王は
「やぁマイロード。朝食ご一緒させてもらっているよ?」
「控え目に言って死ね」
アルトリアの作ってくれた朝食をキングメーカーに勝手に食べられてブチ切れ一歩手前だった。新たな王は強くて脳筋な阿呆だという事を知る者は意外と少ない。
◎月☆日
朝起きるとマーリンが人の分の朝食を勝手に食べていた許さん。そしてそんな重罪人は笑って誤魔化し今日の予定と前に話した戴冠式の事について話し始める。
特に理由もなく来てアルトリアが作ってくれた俺の分の朝食を食べていたとしたら俺は怒りで我を忘れていたかもしれない
ふむふむ、戴冠式はもう直ぐか。
そう言えば戴冠式は何処でするんだ?王宮はまだ直している途中だしそういうのって何か大切な場所でするんじゃないのか?
えっ?あの木を既に改装しているからそこでやる?その後国中から力自慢の者達を集めてそこで大会を開く?
まぁ戴冠式なんてチャチャっと終わるだろうし良いと思うようん。
え?俺が新たな騎士を決める?というか俺の側近を決める?仕事手伝ってくれたりしてくれる人とかか?
…マーリンとか?
あっ違うのか。成程俺の身の回りの事ねぇ…いらんなぁ。
あっアルトリアにボディガードとして雇う的な事もあり?
いや待てそのボディガードがアルトリアにナニかをするかもしれん。それにアルトリアには俺とケイがいる。なら問題はないな、うん。
側近云々は無しにしても俺が決めなきゃ駄目なのか…他の騎士にもその権利あげるから複数人で決めても良い?
えっ?誰に決めてもらうつもり?
そりゃマーリンだろ?ケイだろ?前の大会で最後まで勝ち残った騎士2人だろ?
アルトリアはまだ騎士見習いだしこんな事に参加しなくても良いだろうから取り敢えずこの4人で最終決定だな。頼りにしてるぞマーリン。俺は剣の腕とか才能とかは見ても分からないからそこら辺は皆様が頼りです
特にマーリンはアルトリアに剣を教えていたんだから期待MAXだぞ?まさかアルトリアに剣を教えていた人が剣の腕とか才能とかが分からない筈ないからな。まぁ…お前に出来ない事は俺には絶対に出来ないから俺の分も安心して選んでくれ
◎月―○○○―日
もう直ぐ行われる戴冠式と大会の準備についての話し合いがあった。
まぁ俺は聞いてるだけだったんだけどね。というか殆どマーリンが準備してたからそれを了承して下ろすだけの作業みたいな感じだった。そして話が終わった後マーリンから呼ばれた話をすると
「戴冠式では新たな王として相応しい一言を頼むよ」
「えっ」
「因みに僕は考えないから頑張ってね」
「」
次いでにマーリンからそんな無茶振りをされ困った俺がいるらしい。
…本当どうしよう?
───
「…成程。一言だけ言っても良いか?」
「良いぞ。ドンと来いドンと」
「お前馬鹿だろ」
「分かってたけど非常に心に来るッ!」
夜も更け、物音がして目を覚ましたら食卓で頭を悩ます馬鹿がいた。というかゲットだった。机の上に突っ伏す馬鹿の周りには今までその一言を考えていたのか机の上が散らかっておりその苦労が伺える。終わったら片付けろよ。
「というか何で俺1人で考えねばならんのだ。ちょっとくらい手伝ってくれてもバチは当たらないだろうに」
「…マーリンの考えは分からないが馬鹿なお前に王として成長して欲しいと思っているんじゃないか?」
「…一つ聞くが俺の何処が馬鹿だと?」
「…薪割りを任せれば薪の代わりに斧を割り素手で薪を割るレベルの馬鹿だな」
「…くそっ。何か言い返してやろうと思ったが言い返せる隙がないッ!」
「…そういう所も馬鹿だな」
「ぐうの音も出ない」
そう言うと頭を搔きながら悩み始める馬鹿…はぁ。今回だけだぞ
「…確かにお前は馬鹿だ。薪割りを任せれば薪の代わりに斧を割り素手で薪を割る馬鹿だ。正直俺の人生の中でお前以上の馬鹿を見る事はないと思ってる程の馬鹿だ。考えなしの脳味噌が筋肉で出来てるレベルの馬鹿だ」
「そこまで言わなくても良くない…?」
そう言うといじけそうになる馬鹿にまぁ聞けと言い話を続ける。こんな事を話すなんて小っ恥ずかしくてやってられん。本当に今回だけだぞ。
「だが、そんな考えなしなお前だからこそ俺達はお前に救われた。あの時、お前が王になろうとしていなかったらきっとアルは王になっていただろう。そしてアルは王になる事を受け入れていたと思う」
「…アルトリアは真面目で優しいからなぁ」
「…あぁ。アルは真面目で皆が大好きな優しい子だ。きっと王になれと願われたらあの子はきっと王になるだろう。この何時滅びるかも分からない国の舵取りをする為に自分の心を押し殺してでも」
「俺はそんなアルの姿だけは絶対に見たくなかった。だが、お前が王になってくれなければ間違いなくアルが王になっていた」
「…俺だってそんなアルトリアは見たくない。あの子はそのまま優しいまま成長して欲しい」
そんな事を話しながらアルの姿が脳裏に浮かぶ。もしもあの時アルが王になっていたら。自分の心を押し殺し泣く事も笑う事もなく王としてあろうとするアルの姿を
…そんな姿…死んでもごめんだ。
「お前は確かに考えなしだ。だが、そんなお前だからこそ俺達はお前に救われた」
「お前にとって王とはなんだ?」
「…王とは誰にも負けない力を持ってて皆を守る存在。決して誰にも負けない力を持って戦うのが王だ」
「力がないと何も守れない。知識があろうとも魔術が使えようともカリスマがあろうとも絶対的な力の前には全て無力だ」
「俺はこの世界で一番強い。どんな怪物が襲いかかろうともこの国を守る事が出来る」
「アルトリアにはその力がない。だが俺にはある。だったら俺が王になるしかないだろ」
そう噛み締めるように呟くゲット。そこには絶対の自信と自負、そしてそれが決して間違いではないという確信があった
「俺達はお前に救われたんだ。アルトリアが王になる悪夢から、そしてあの化け物からこの国を救った」
「お前が馬鹿で何が悪い、お前が俺達を力を持って守る。だから俺達が王であるお前を後ろからサポートする」
「…分かったら1人で悩まず人に頼れ。お前の頭で考え付く事なんてロクなものじゃないだろう」
「……」
「…無言になるな。なにか言え」
そう言い切るとゲットは驚いたようにこちらを見詰める。そしてこちらを見詰め暫くの時間が経つと何かに気付いたのかパッと立ち上がる
「…ッ!そうか!そうだよな!ありがとうケイ!俺、何言うか決まった!」
「…そりゃ良かった」
「こうしちゃいられん!少し行ってくる!」
「おい待て!せめて机の上を…ってアイツ速ぇ」
そのまま走り去るゲットの背中に声を掛けるも聞こえておらず、ぐちゃぐちゃなままの机の上を見てため息を吐きながら片付けを始める。
「…こんな時間になんの音ですか?」
「あぁ…起きたかアル。騒がしくて済まなかったな」
「あれ…?ケイ兄さん。顔が笑ってますけど何か良いことでもありましたか?」
「…慣れない事はするものじゃないなと思っただけだ」
今日の事はアルに秘密にする事にしよう
現在のゲット君に対する原作キャラの思い
アルトリア
血塗れの所を見付け、それから一緒に暮らし今はもう家族同然の存在。それから美味しいご飯を作ってくれたり毎日が馬鹿騒ぎで少し疲れるが楽しい
まだ騎士見習いだが立派な騎士になる為に頑張りたいらしい
「まだまだ騎士見習いですが精一杯頑張ります!」
ケイ
誰が呼んだかアルトリアモンペ1号(2号はゲット)一緒に暮らしてからアルトリアの笑顔が増えたのが嬉しいらしい。
アルトリアが王にならずにすんで心底安心しゲットに対する信頼感がMAXを通り越し親愛感となる
アルトリアを嫁に出すなら相手にはゲット以上のスペックとアルトリア愛を求めている
…どう考えてもコイツ嫁に出す気がないぞ?
「アルを嫁にしたい?なら俺とゲットの屍を超えていくんだな」
マーリン
誰が呼んだかキングメーカー。現在過労死必死枠、ゲットに対しての感情は不明。本人が感情がないと言い張る為分からないったら分からない
「マーリンお兄さんにお任せあれ」
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