ポケモン×ボイスロイド ボイスポケット (SOD)
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1 特に思いつかなかったからピカチュウ。そこ変われ。

この物語はポケモンとボイスロイドの設定をオリジナルを交えてお送りします。
書き手の解釈に寄るところが大きいので、苦手な方は、特に気にせず受け入れてください(笑)

ウソですバックして下さい(真顔)


ポケットモンスター。通称、ポケモン。ポケットの中に入るモンスター。私達人間の、パートナー。仲間。家族。相棒。そんな存在のポケモンと一緒に、バトルしたり、コンテストに出場したり、舞台を演じたり、ポケスロンの競技を行う。それが私達の世界の日常。

 

 

弦巻マキ「待ち合わせは、マサラタウンで良かったよね。時間は……っと、大丈夫みたい。」

 

私は、弦巻マキ。

カントー最大のポケモン専攻の学園、タマムシ学園の高等科の二年生だ。

特徴は、長い金髪と、平均よりすこーし大きめの胸、かな。

課外授業で課題にされている【地方で開催されているポケモンリーグの出場件の獲得】をクリアするためにカントー地方一周の旅をしたわたしは、学園へ帰る前に寄り道をしている。

ピカチュウ「ピカ。ピピカ、チュウ?」

弦巻マキ「うん。そうだよ。ここでみんなと会うの。みんなと会えるの。嬉しいな」

私の服の中のピカチュウ--ブライトは、いつも私の胸の中にカラダを埋めて、顔だけを出している。

抱き心地がいいから、私もつい入れっぱなしにしちゃう。

弦巻マキ「みんか元気かなぁ……もうちょっとだと思ったら、ますます会いたくなっちゃったよ。

ねえブライト、ちょっと走っちゃおうか」

ブライト「ピカー!」

逸る気持ちに背中を押されながら、私達はオーキド研究所に駆け出すのだった。

ちょっと転んだ。ごめんねブライト。

 

 

 

マキの目的地。オーキド研究所では、ポケモン研究の第一人者、オーキド・ユキナリが、待ち人が来るのを、お茶を楽しみ、ずんだ餅を食しながら待っていた。

オーキド「ふぅ……この一杯の為に生きとるのう。」

湯呑を傾けお茶を味わいながら、流れゆく時間を楽しむ。浮世とも会社の責任からも解放された者の特権と言えよう。

 

東北ずん子「いや~やっぱりずんだ餅は最高です。ジャスティスです!」

 

そんな干からびた寿命幾ばく無い爺の目の前では、浴びるほどの幸福を受けているとでも言わんばかりの表情でずんだ餅を頬張っている少女がいた。

東北ずん子「わたし……何でも願いが叶うなら、私達が住んでいるこの惑星を、ずんだ餅にしたいです。」

オーキド「そんなことになったら、ずん子君が惑星を滅ぼすのは時間の問題になってしまうのお。」

東北ずん子「何言ってるんですか?大切なずんだを滅ぼすなんてありえません。大切に食べます!!」

オーキド(……だから、惑星を食い尽くしてしまうのではないかのお?)

 

世に神龍や聖杯が有り得んことを。

そんな馬鹿げた、それでも確かに平和な会話は、ずん子が研究所に着いてから30分程行われている。

 

東北ずん子「それにしても、マキさんは遅いですねえ。

私はホウエン地方からこちらに向かっていたので、マキさんよりも遅く到着するかと思っていたんですがね」

 

マキを心配しつつも、口からずんだを離さないずん子が玄関の方に視線をやると、丁度良く呼び鈴が鳴った。

 

東北ずん子「あ、マキさん来ましたかね?」

 

ずんだを口に加えながら、玄関の戸を開ける。しかし、表にいたのは、特徴的な巨乳でもなければ、ロングな金髪でも無かった。

 

結月ゆかり「うわ……帰って来て早々ずんだ餅食ってる。毎日毎日味覚の神経がよく受け付けますね。頭おかしくならないんですか?」

 

紫の髪に、ガラス玉のような装飾の髪留めをした少女。結月ゆかりだった。

 

東北ずん子「うわ、また素肌にパーカー羽織ってるんですか。いくら男性と同一の絶壁だからって、いつまでそんな頭のネジが外れてそうな格好をしてるんですかあなたは。」

 

結月ゆかり「何を言っているのやら。これはファッションと言うんですよ。年中同じ服ばっか着て洗濯してんですかってくらい服装の知識が無いずんだキチに理解する知能はないでしょうがね。脳みそまでずんだで出来てそうですし」

 

東北ずん子「ずんだは主食でありおやつであり万物の頂点です。普段ジャンクフードとスナック菓子しか食べて無さそうなまな板に、ふくよかな餅には縁が無いでしょうがね。」

 

結月ゆかり「貧乳と餅の味が分かるのは関係ねえだろうがゴルアアァァーー!!!」

 

 

オーキド(……弦巻くん。はやく帰ってきてくれんかのう。)

 

 

 

弦巻マキ。結月ゆかり。東北ずんこ。

いずれも、タマムシ学園の高等科二年生で、対戦科の優秀な学生だ。

先んじて到着した2人は、地元ポケモンリーグの出場資格を得てカントーに乗り込んで来た実力派で、顔を合わせてはじゃれている。

遅れている弦巻マキは、カントー生まれのカントー育ち。かつてカントーのチャンビオンだった母親に憧れて難関の試験を突破し、学業では主席だ。

 

マキ「こんにちはー。オーキド博士ー。」

オーキド「ぬおー!!マキくーん!!!」

マキ「きゃぁー!?何、どうしたのー!?」

オーキド「ヌオオオー!!!マキくん!!もはやワシの癒やしはキミだけじゃー!!」

白髪の爺が、金髪の美少女に抱きつく事案らしき事態に、温厚な彼女もおどろいた声を上げる。

ゆかり「おいジジイ!!なに女子高生に抱きついてんですかジュンサー呼びますかコラ。」

ずん孑「マキちゃんに抱きつくとは何事ですかハカセ。蹴りますよ?バンバドロが。」

白髪のジジイが年甲斐もなく取り乱す理由になった少女二人は,自分のことを棚に上げて糾弾していく。

マキ「だ、大丈夫だよ。ゆかりちゃん。ずんちゃん。

オーキド博士。もう大丈夫だよ。私は、ここにいるからね」

粗相をした老人を優しくなだめるマキの表情は、子どもを抱きしめる母親のようで、オーキドは次第に今の状況を客観的に見られるほどに冷静さを取り戻して来た。

 

 

オーキド「あー、おっほん。

マキくん、長旅ご苦労さま。帰ってきて早々に呼び出してすまんかったのう。

あと、取り乱したことも重ねて、申しわけない。」

マキ「いいんですよ。オーキド博士。苦しい時は、『苦しいから助けて』って、言って良いんです。」

オーキド「うう、マキくん。立派になったのう。お母さんに似て、優しい女性になった。」

マキ「そうだと良いんですけど。この子、ブライトが強くなったなぁ。っていうのは分かるんですけど、自分のことは,よく分からないんです。」

ブライト「ピカチュウ。ピカ、ピカ。チュウ」

マキの胸の中のピカチュウ。ブライトが、マキに語りかける。

『だいじょうぶ。ずっと一緒だったから、ボクには分かるんだ。マキは、お母さんと同じくらい、優しくて、強くなっているよ。』

マキ「・・・・・・ありがとう。ブライト。」

ブライト「ピッカ。ピ。ピカチュウ」

マキは微笑み、ブライトは頬を綻ばせる。2人は,子どもの頃からの友だちで、キョウダイで、家族だ。

 

オーキド「そこでなんじゃが、3人には折り入って頼みたいことがあるんじゃよ。」

 

マキ・ゆかり・ずん孑は、揃って『頼み??』と疑問を口にする。

 

オーキド「うむ。ワシはジョウト地方のクチバシティのラジオ番組の収録によばれるんじゃが、そこで頼まれごとをされてのう。」

ゆかり「あ、もうなんかウザい流れなの見えましたね」

オーキド「そんなこといわないで聞いて!?」

ゆかり「いや、だりぃんで帰ります」

マキ「ゆかりちゃん。もう少しだけお話聞いてみない?それでも嫌だったら、改めて断ろうよ。」

ゆかり「面倒ごとは最初から掃いて棄てるもんでしょうに。ったく。」

オーキド「ありがとう。マキくん。本当にありがとう・・・・・・ありがとう。

コホン。話しを戻すが‐‐」

???「その必要はありませんよ。年寄りの長話を待っていたら、私たちまで枯れてしまいます。」

 

ずん孑「あれ?この声・・・・・・?」

 

???「ずん姉さまー!!お会いしたかったですー!!」

 

成長し、大人のカラダになったずん子の胸に飛び込む小さなカゲが一つ。

 

???「お姉さまに会うために、世界中探し回っていたんです。」

 

ずん孑「きりたん。カントーで会えるとは思いませんでしたよ。」

 

きりたん「ずん姉様、リ-グ優勝してから突然いなくなってしまったから、オ-キド博士に頼んで、タマムシ学園の初等科に編入させて貰ったんです。隠してた不祥事で脅して(ボソッ」

ずん子「え?今なんて言いましたか?」

きりたん「ずん姉様私ずんだ餅大好き-。」

ずん子「ずんだ!ずんだ!!」

ゆかり「最近のジャリは、物騒ですね……」

 

ずん子と違ってしっかり聞き取っていたゆかりは、呆れ顔でそう呟く。

 

きりたん「うわ。ずん姉様何ですかアレ!?パ-カ-の下裸でチャック全開にしてる痴女がいますよ!?」

 

ずん子「きりたん。視界に入れてはダメですよ。アレを見ると、目が潰れますよ。」

 

きりたん「見ればわかります。アレはじきに腐海に沈む」

 

ゆかり「よし表出ろ。そこのくそ姉妹。」

 

マキ「まあまあ。それで博士。頼み事のお話は?

このきりたんちゃんのことなの?」

 

オ-キド「ああ。より正確に言うのであれば、この3人の世話を頼みたいのじゃ。

おーい。君たちも入ってきてくれ-。」

「はーい。」

言質が似た声が2人分聞こえると、外観のそっくりな2人の少女が現れた。

 

桃色の髪の少女が挨拶をする。

 

桃色の少女「初めまして。ウチ、琴葉茜や。」

関西弁で話すその娘は、お日さまのような笑顔で3人に自己紹介をする。

茜「ウチ、ジョウト地方のエンジュシティで育ってん。せやからこの話し方が抜けんで、堪忍してな。」

誰からも愛されるその笑顔で自己紹介を済ませると、横の空色の髪の少女に促す。

空色の髪の少女「はい。初めましてみなさん。琴葉茜の双子の妹で、琴葉葵と申します。」

葵は自己紹介を済ませると、チラリとマキを流し見る。

 

オ-キド「この三人は、それぞれ別々の地方からタマムシ学園の初等科へ編入が決まった、前途有望なトレーナーでのう。

ぜひともタマムシ学園の高等科の優秀な三人に、先輩として指導をしてもらいたいんじゃよ」

 

 

ゆかり「は?」

 

マキ「ふえ?」

 

ずん孑「ひょ?」




このSSは、なんかテンションが乗らない時に書いています。
つまり不定期です。

なお、次回はバトルパートです(多分)


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2 バトルと言ったな。だが届かなかった。

前回のあらすじ。

 

オーキドに美少女ロリ三人の指導を頼まれたマキ、ゆかり、ずん子。

 

きりたん「あらためまして、ずん姉さまの妹の東北きりたんです。小学五年生です。」

茜「琴葉茜です。ウチらは小学6年生やで、みなさんよろしゅうな~」

葵「琴葉葵です。よろしくお願いします」

 

オーキド「面倒よろしくの。」

 

 

そして、今に至り。

 

ゆかり「オラ、調子付いてんなよジジイ。」

オーキド「ちょ、待って!?いたいけなジジイを足蹴にしないで!?

あ、でもなんじゃろう。これは、これで……」

ゆかり「…………。」

無言でモンスターボールを構えるゆかり。

 

無論中にはオーキドをシバくポケモンがいる。

 

マキ「ゆかりちゃんストップ!さすがにポケモンはマズイって!!」

オーキド「そうじゃよ!どうせこの子たちとバトルして貰おうとおもっとったし、そうしよう?」

 

ゆかり「-‐良いでしょう。ではまず棺桶に片足突っ込んだボケ老人は出荷しましょうか。」

ずん孑「これはもうダメですね。ほっときましょう。」

マキ「ほっといちゃダメだよ!?ハカセ死んじゃうってば。ゆかりちゃんやめてー!」

 

 

オ-キド「ああ……毒が回って死ぬかと思ったわい」

ゆかり「ちっ」

紆余曲折の末、半分になったオ-キドの寿命を対価にゆかりの気を沈めると、ようやく話しの続きを始める。

オ-キド「で、ではあらためて。ゴホン。

本日集まってもらったのは、今期編入する彼女達の指導を頼みたいという事なんじゃが。」

 

ゆかり「そもそも、ウチの学園って国内でもトップの学園でしょう。

何でそんなもんに編入してくるようなジャリ共に、指導がいるってんですか」

オーキド「それを、それを説明しようとしてたのに……ゆかり君が」

ゆかり「うるせえさっさと説明しないと残り半分の寿命も消しますよ」

 

オーキド「解せぬ。だが、これ以上話が拗れるのはたまらんから説明しよう。」

 

ゆかり「三秒以上話したら寝ます。」

 

オーキド「ぐぅ……彼女達には、他のトレーナーには無い、育てても育たない才能があって--」

 

ゆかり「はい三秒です。思った通りくっそ下らないですね。年寄りが子どもの才能に目を付けて、頼んでも居ないのにあれこれちょっかいかけて『きりたんは私が育てた』とか言いたいんですね、ふざけんなこのロリコンが殺すぞ。」

オーキド「何でこの子こんなに物騒なの!??」

マキ「…………コホン。えっと、それじゃあとりあえず私達も自己紹介しようか。

ね?ゆかりちゃん。」

ゆかり「えー……結月ゆかりですーよろしくお願いしません。」

マキ「しませんって!?よろしくお願いしませんって!」

心底めんどくさそうに口だけであいさつすると、ゆかりはそのまま近くのソファーに突っ伏した。

 

そんな様子を心配そうに三人は見つめている。

 

葵(……あのゆかりって人、何だか不良みたい。服装も常軌を逸してるし、何だか少し怖いなぁ。

あの人にだけは、近付かないでおこう。ああ、マキさん綺麗な人だなあ)

 

茜(さっきから話が全然前に進んでないなぁ……うちら、どないしようかな。黙っとると死んでしまうなあ。キャラとか。)

 

きりたん(さっさと話し終わらせて、ずん姉さまの太ももでリラックスしたい。ああ、ずん姉さま太ももペロペロ。)

 

…………心配そうに見つめている。

その様子を見たマキは一つ、提案をした。

 

マキ「そうだ!自己紹介を兼ねて、みんなでポケモンバトルしようよ」

ずん子「え?ポケモンバトルですか?」

マキ「うん。みんなポケモントレーナーなら、バトルすれば分かりあえるよ」

オーキド「そうじゃ。それが良いじゃろう。

こんなこともあろうかと、既に戦う相手と順番は決めてあるんじゃよ。」

マキ「さすが博士。準備良いです。」

オーキド「うぅ……こんな哀れなボケ老人を労わってくれるのはマキ君だけじゃあ……」

マキ「なんだか少し卑屈になってませんか??」

オーキド「うう。ゆかりくんが虐めるんじゃ。

だが、そんな鬱屈した気分もゆかり君がワシの計画通りにポケモンバトルしてくれる事実があれば発散される。さあワシの計画通りにバトルするが良いわ。発散するぞー!」

ずん子「なんでバトルを楽しく観戦して発散出来ないんですか」

オーキド「さて、それではこれがワシが徹夜して考えた対戦カードじゃ。」

 

ドーンという擬音と同時にホワイトボードを回転させ、対戦カードを発表する。

 

オーキド「まず第一試合。

東北きりたんVS結月ゆかり。」

 

きりたん「ゲッ、私が痴女の相手させられるんですか……」

ゆかり「すー……すー……」

きりたん「しかも寝てるし。」

 

オーキド「第二試合。琴葉葵VS弦巻マキ」

 

葵「つ、弦巻先輩。よろしくお願いします!」

 

マキ「うん。宜しくね。」

 

オーキド「第三試合。

東北ずん子vs琴葉茜」

 

茜「よろしゅう。ずん子センパイ」

ずん子「はーい。よろしくね、茜ちゃん。」

 

その後、マキがゆかりをちからづくで引っ張ってバトルフィールドへ移動した。

 

マキ「ゆかりちゃん。やり過ぎちゃダメだよ?相手は小学生なんだからね」

 

ゆかり「ならいっそ棄権して不戦敗で良いじゃないですか。」

 

マキ「まあまあ。ゆかりちゃん。私も久しぶりにゆかりちゃんのバトル観たかったんだよ。戦ってる時のゆかりちゃん、とってもかっこいいから……ダメ?」

 

ゆかり「…………ハァ。分かりましたよ。

 

やり過ぎず、真面目に戦うって言う舐めプしながらガチ対戦しろみたいな矛盾をなんとかしろって言う無理ゲーをヤレってんですね。」

 

マキ「エヘヘ。ありがとう、ゆかりちゃん。」

 

 

 

ずん子「はーい、2人ともそろそろ始めますよ。

 

ジャッジは老いぼれーーオーキド博士の代わりにわたしがつとめますね。」

きりたん「ずん姉様。観ていてくださいね。私があの痴女を在るべき務所(ばしょ)に送り返してみせます。」

 

ずん子「うん。頑張ってね、きりたん。ゆかりは汚いやり方ばっかりするから気をつけるんだよ?」

きりたん「はい。ずん姉様!」

 

ずん子「それでは第一試合。

 

東北きりたんVS全裸パーカー痴女の交流試合を始めます。」

 

ゆかり「おいずんだ餅。お前のせいでお前の妹は地獄を見る」

きりたん「おや?おかしいですね。ソレをみるのはあなたのハズですが。」

 

互いを煽りながらモンスターボールを構えるふたり。

 

マキ「きりたんちゃんが持ってるボール、ヘビーボ-ルだ。重量級のポケモンを使うんだね。」

ずん子「ええ。どこから拾って来たのか、子どもの頃から一緒の子ですよ。」

 

マキ「なるほど。対するゆかりちゃんは……」

 

「「あ。」」

 

 

揃ってゆかりを見た2人の声が重なった。

 

 

 

茜「葵、ゆかりさん見て!あのボール。」

 

葵「え、嘘!?あれって……もしかして」

 

 

青をベースとし、Mのエンブレムが飾られた世界最高のモンスターボール。

 

マスターボールが、ゆかりの手で玩ばれていた。

 

 

 




バトルまで行けなかったよ……


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3 わたしはハガネ。あなたはなに?

気が向いたので書いて速攻投稿しますた


ゆかり「まったく、いつ来ても木に囲まれたフィールドですね。落ち葉だらけじゃないですか。」

オーキド私有地の庭にあるバトルフィールドは、ポケモン達が過ごしやすいように自然に近い形に保たれている。

かったるそうにフィールドをひと眺めしたゆかりの第一声はやはり罵倒だった。

オーキド「もうワシ、Mに目覚めてしまおうかな……」

マキ「はかせ……」

悲しみのあまり虚ろな目で空を見上げながら、オーキドは自身の人格改造を試みるのだった。

 

そんな様子を見ていた対戦者のきりたんは、ゆかりが指でクルクルと玩んでいるマスターボールを注視していた。

 

きりたん(マスターボール。シルフカンパニーが造りあげた究極のモンスターボール……。

一般流通は無く、リーグ四天王やチャンピオンクラスですら手に入らないボールのハズ…。一体どこから?)

 

思案中、ポンポンと肩を叩かれる。

 

茜「ーーきりたんちゃん、きりたんちゃん。」

きりたん「え?何ですか?茜さん」

茜「あんな~バトル頑張ってな。ウチら応援するよ」

キラキラとした天使のような笑顔できりたんにエールを送る茜。

きりたん「応援ですか。それはありがたいですが、ずん姉様の声が聞き取り辛くなるので、声援は控え目でお願いします。」

茜「うん。分かったよ~」

にぱっ笑うと茜は観覧席へ戻って行った。

 

葵「お姉ちゃん、どこ行ってたの?」

茜「きりたんちゃんの応援や。ゆかりさんのマスターボール見て緊張しとったみたいやから」

葵「お姉ちゃんは優しいね。きりたんちゃんって、少し変わってるから、私

苦手で…。」

茜「そっかぁ。なら、お姉ちゃん葵の分まで仲良くするわ。きりたんちゃんも、わかり辛いけど悪い子とちゃうよ。

お、始まるみたいやな」

 

 

 

ずん子「それでは両者。ボールを構えて--試合開始!」

 

開始の合図と同時にお互いにボールを投げ込む。

が……。

きりたん「行くよ。ハガネまる!」

きりたんのボールはしっかりとバトルフィールドに着地した。

ゆかりのボールは…。

 

ゆかり「あ……」

 

手から滑り90度直角にフィールド外にはえている木に引っかかり、取り敢えず開閉されたボールが虚しくポトリと地に落ちた。

 

きりたん「…………。」

ハガネまる「……。」

その光景に絶句したきりたんと『ハガネまる』ことハガネールを尻目に、面倒くさそうにダラダラとボールの元へ歩き、足で器用に蹴り上げて手に取った。

 

ゆかり「………あ-。どうすっかな。

まあ、なんでもいいですね。オイ、むしけら。適当なわざで好きなように戦え。負けたらしばきます。」

 

きりたん「あなたそれでトレーナーのつもりですか!?」

 

ガサッ-ー!!

 

ハガネまる「グオオ?!」

きりたん「え?」

 

ほんの一瞬きりたんが目を離した瞬間に、何かがハガネまるに無数の攻撃を仕掛けてきた。

 

きりたん「え!?え!!?ハガネまる!?

どうしたんですか!一体何が起きたの?」

 

ずん子「きりたん。落ち着きなさい。

ハガネまるのダメージは微々たるものよ!」

 

葵「お、お姉ちゃん見える?」

茜「な、なんも見えんよ……」

 

ハガネまるに何かが攻撃を仕掛けている。だが周囲の木々が揺れ木の葉が擦れる音。そして金属同士が打ち合うような音と火花が舞うだけ。

 

マキ「……ゆかりんのあの子、またスピードが上がってる。」

 

ずん子「……ッッ。」

 

見えないポケモンの正体を知っている旧友の二人でさえ、その姿を視認することが出来ないでいる。

マキは目を開き必死に姿を追い、ずん子は勝てるイメージが浮かばない悔しさで歯噛みする。

 

ゆかり(…………さてと。)

ゆかり「オイ、くそがきさん。反撃も無く負けるくらいならいっそ地面に這いつくばって許しを請え。」

 

きりたん「な……!?……ぐすっ」

地面を指してきりたんを見下ろすゆかりに対して反撃するつもりでにらみ返すが、その目には既に涙が溜まっている。

 

きりたん(……冗談じゃ無い……相手のポケモンすら分からないまま、負けるなんて……っ。

負け無くないもん…っ!)

 

 

きりたん「…………居場所さえ、見えたら。」

 

 

ゆかり「目に見えないスピードで動いている敵に当たりますか?」

 

きりたん「ぐっ……なら、なら……。

 

あ--それなら、避けられない攻撃をしたら良いじゃないですか。」

 

そう口にしたきりたんの目は、完全に据わっていた。

 

ずん子「--!!?きりたん待ちなさい。

あなたまさか!!」

 

きりたん「私は負けたく無いんです!!

ハガネまる『すなあらし』です」

 

ずん子「皆さん逃げて下さい!

このままじゃここら一体が砂に埋もれて……!!」

 

 

バァン--!!

 

 

ハガネまる「オ、オオ………」

 

 

ずん子「え……」

 

破裂音と同時にハガネールのうめき声が上がり、その巨躯が地面に投げ出された。

 

 

ゆかり「……36点。ま、逃げなかった分で及第点ってとこですかね」

 

欠伸をしながらゆかりんは呆然とするきりたんを見ながら言った。

 

ゆかり「クソガキさん。」




マスターボール中身はだ~れだ。

ヒント:すばやさ種族値は75 メガ枠




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4 影の唄--ゆかりの歌--子守と“まもる“

書きたくなったので。
その内挿絵付けるか考え中


ハガネまる「グ………グガ…!!」

 

きりたん「は……ハガネまる!まだ立てるんですか」

 

謎のポケモンの目にも止まらぬ速さに対応出来ずに攻撃を食らったハガネまる。

だがそこは最高クラスの『ぼうぎょりょく』を誇るハガネール。危うく見えても持ちこたえていた。

 

ゆかり「ハア…まだ生きてるんですか。ったく、面倒ですね。ハガネタイプの硬さは。」

 

きりたん「どうやら、『すばやさ』はあっても『こうげきりょく』は無いようですね……これならまだ行ける!!」

 

ゆかり「…………。」

 

ハガネまるの健在に精神的余裕を取り戻したきりたんの目には、活気が戻っていた。

しかし、外野で見学し謎のポケモンの正体を知っているマキとずん子だけは、目に見えて顔面蒼白だ。

 

 

ずん子「は……ハガネールに…ダウンを取った………う、嘘ですよ。あり得ない……こんなの…ッッ」

(認めたく……無い!!)

 

特にゆかりに対して日頃ライバル意識を燃やすずん子は、その魅惑的な太ももを震わせ、握りしめた手には血が滲んだ。

 

マキ「…………ずんちゃん」

 

一方マキも気付かない内にモンスターボールを握っていた。

それは同じくライバル意識があるゆかりに対しての競争心。そして、トレーナーとしての本能だ。

 

マキ「久しぶりに、私も燃えて来ちゃった…」

 

 

きりたん「さあ、まずは周りの木を全部なぎ倒して逃げ場を無くしましょう!」

オーキド「止めて!!?ワシの家滅茶苦茶になっちゃう!!」

きりたん「ハガネまる、じしーー」

 

ゆかり「戻れ。」

 

きりたんがじしんの命令を出そうとしたところで、ゆかりは謎のポケモンを引っ込めた。

 

きりたん「むっ、倒せないと分かって交代ですか。そんな無様な姿を小学5年生相手に恥ずかしくないんですか」

 

きりたんの挑発に耳を貸さず、ゆかりは別のモンスターボールを指で弾くとそのままフィールドに蹴り込んだ。

 

ゆかり「行け、くろすけ」

 

ボールが展開されると、中から出てきたのは黒いガスだった。

そして、またしてもポケモンの姿は無い。

 

きりたん「逃げ隠れがお好きですか?でももうさせません。ハガネまる。今度こそじしんです。」

 

ハガネまる「グオオオオーー!!」

 

ハガネまるのパワーを込めた一撃を地面に叩きつけ、地脈を刺激し大地を揺らす。

その力は木々をなぎ倒し、人が両足で立つことすら赦さない。

 

葵「きゃあっ!?」

 

茜「あららら~!?」

 

ずん子「き、きりたん。もう少し押さえて!!」

 

マキ「すすす、すごい威力だねーー」

 

姉妹二人は頭を抱えて丸くなり、バトル経験者二人は膝を折って身体を支える。

 

 

きりたん「これでもう逃げ隠れが出来なくなります!!アハハハハ!!」

 

 

トレーナーのきりたんはハガネまるに乗って安置を確保。

 

 

ゆかり「……」

 

そしてゆかりは、何事も無いかのように立ちながら深くいきを吸うと……

 

ゆかり「~~~♪」

 

突然唄を歌い出した。

 

 

ゆかり「~~~~♪♪」

 

きりたん「な、何をやってるんですあの痴女??

何で平然と立って……って言うか歌ってるんですか」

 

ゆかり「星の痛みはチリ積もり、咲きゆく華に汚れ無く、歩み行く人は悪なれば、善性の惰性、滅びの罪に泣き濡れる。

泣けど、鳴けど、散りゆけし。巡り咲きゆき、枯れて咲きゆく。

現世と彼岸ーー全盛と悲観を持って、その命。

散って咲き誇り枯れるが良い。」

 

 

ゆかりの唄が終わると、じしん攻撃を続けていたハガネまるは眠るように戦闘不能で倒れた。

 

 

きりたん「えーー」

 

その瞬間の訪れがあまりにも自然で、それが当たり前のように見送ったきりたんの反応は遅れてやってくる。

 

きりたん「え!?ハガネまる!!何で??!」

 

ゆかり「…………。」

 

ハガネまるが倒れるのを確かに見送ると、ゆかりは静かに踵を返した。

 

きりたん「ねえ起きて、ハガネまる!こんな負け方嫌だよ!!何で……ねえ!?ハガネまる!!!」

 

ハガネまる「………………。」

 

きりたんの必死の呼びかけに応える事も出来ず、ハガネまるは地に伏したまま。

 

きりたん「う……嘘…う、うああああぁぁーー!!」

 

何が起きたのか?相手は何だったのか?

何一つ分かることもなく、ただ負けたのだという結果だけを突きつけられたきりたんは、わけが分からないまま泣くしかなかった。

 

 

そんな少女の泣き声が響くバトルフィールドに、先ほど現れた黒いガスが一点に集中しカタチを作る。

 

くろすけ「………………。」

 

そこに現れたのは、二等親の黒い身体に赤い瞳のポケモン。

 

 

きりたん「…………ゲンガー」

 

くろすけ「……(ペコリ)」

 

ゲンガーはきりたんにしっかりとしたお辞儀をすると、すぐにまた姿を消してしまった。

 

ずん子「きりたん!!」

 

泣き腫らしたきりたんの元に、姉のずん子が駆け寄り抱きしめた。

きりたん「ねー……さ、ま」

ずん子「きりたん。きりたん。きりたん!!」

 

フィールドから戻ったゆかりは、再び姿を現したゲンガーのくろすけに身を預けると、クッション代わりにして目を閉じ息を吐いた。

 

ゆかり「ふう……」

 

マキ「おつかれ…ゆかりちゃん。」

 

ゆかり「…………ええ。ガキのお守りは疲れます。」

 

きりたんを抱きしめたままゆかりを涙目で睨むずん子を見ながら、ゆかりは心底嫌そうに言った。

 

マキ「そんなに見込みが有った?きりたんちゃん。」

 

ゆかり「…………その辺のエリート(爆笑)トレーナーよりはマシでしょうね。」

 

パーカーから草の葉のような紋章が掘られた宝玉を取り出すゆかり。

 

ゆかり「まあ、ここで折れるようなら見込み無しですがね。」

 

マキ「だからってやり過ぎだよ。あとでもう少し優しくしてあげてね。きりたんちゃんのこと、ゆかりちゃんが面倒みたくなったんでしょう?」

 

ゆかり「………………」

 

マキ「わざわざポケモン隠したり、自分で歌って“ほろびのうた“を隠したり。

タイプ相性で攻めれば簡単な相手に絡め手使う時は、いつもそう。

だったら、きりたんちゃんに嫌われるのいやでしょ?」

 

ゆかり「別にどうでもいいですね。私が嫌われようがなんだろうが。

好かれるのは嫌いです。」

 

そう言うと、ゆかりは研究所に一人戻って行った。

 

マキ「もう…素直じゃ無いんだから。ゆかりちゃんは。ずんちゃんのこともきりたんちゃんのことも好きなくせに。」

 

手の掛かる友人に慈しみの眼差しを向けながら、マキは次の自分の試合の前にずん子ときりたんのフォローへ向かうのだった。

 

 

 

ずん子「…………ゆかり……きりたんの借りは、私が返します」

 

 

 




戦闘描写が地味なのは、手加減苦手なゆかりが本気で戦うときりたんの命が危険と判断したがゆえの手探りの優しさと配慮があったことを言外に描写したかったためです。
ゆかきりワンチャン……?



さて、次回はいつ更新になるやら。
話自体は決まってるので、モチベーションさえあがれば直ぐにでも書けるんですがね……(今回の執筆時間二時間ちょい)


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5 炎の神、氷の神--そして

超展開()もなければ、世界の平和も賭けない。カードも創造されない。
ポケモンの世界は平和で暖かい。


そして、初代のポケモン図鑑から予想可能な範囲に収まるなら、いくらでも創作設定追加できる。
だから私は盛る。
バイキングは食い切れないほど皿に盛り、死ぬ思いしながら食うのが礼儀だ!
そう、原稿の締め切りや夏休みの宿題の如く。焼け付くほどの思いが載らなきゃ書く意味がねええええーー!!!


こんな感じの熱さとノリだけでお届けするかもしれない弦巻マキVS琴葉葵戦です。
バトル前にキャラ付けするのは基本。






空から地上を見下ろして進む雲が一つ。

ソレは気の向くままに空を泳ぎ、風に逆らい、時に乗る。いつも通りの日々の中、その雲は懐かしいものを見つけた。

「アレは…………フフッ。帰ってきていたのか。」

揺蕩うわが身を止めて、休憩がてらその姿を眺めていることにした。

 

 

 

オーキド研究所の庭で行われた弦巻マキ、結月ゆかり、東北ずん子の高等部組と、東北きりたん、琴葉茜、琴葉葵の初等部組の親善試合。

その第一試合。結月ゆかりVS東北きりたん戦は、一人に大きな傷を残して終わった。

 

オーキド「ああ……ワシの庭。頑張って植えた木がバキバキに折られとる……一生懸命慣らした土がボロボロじゃあ………」

 

そう、オーキドに。

 

マキ「博士、元気出して。試合終わったら私も片付け手伝うから。ね?」

 

オーキド「ううっ…!マキ君!!ぎみは、わぢのゆいいづの癒じぢゃああぁぁ………」

 

 

なお、その試合の敗者、東北きりたんは。

 

 

きりたん「あああああーー!!!ファック!ビート板!!出てきなさい!!勝ち逃げなんて赦しませんよ!!!」

 

鍵が掛かった研究所の扉をガンガン叩いていた。

 

ハガネまる「ガー!」

 

ひんし状態のハガネまるに“げんきのかけら“と“いいきずぐすり“を与え、バトルで全く活躍しなかった得意技--

“アイアンテール“と“アイアンヘッド“で扉をぶち破ろうとしているその姿には、もう敗者の哀愁は無い……。

研究所内でクッションに顔を埋め耳をふさぐゆかりは心底うんざりしながら一言ぽつりと呟く。

 

ゆかり「ああ、ウゼえ……」

 

 

ずん子「えーそれでは、きりたんも元気になったことですし、第二試合。

マキちゃんVS葵ちゃんの試合を始めましょう。」

オーキド「ああ、それなんじゃが二人とも。

このバトル、良ければダブルバトルにしてみないかの?」

 

マキ「ダブルバトル?」

葵「ですか?」

 

オーキド「うむ。さっきのバトルを観て思ったんじゃ。ポケモン一体で戦うと経験の差が大きいと。

現にきりたん君はゆかり君に翻弄され続けとったからのう。」

 

マキ「それで、私たちが慣れてないダブルバトルをしようってことですね?ハカセ」

オーキド「ああ。それに、今の初等部の学生はダブルバトルもカリキュラムに含まれておってのう。

時代の進歩を感じるわい。」

 

ずん子「その言い方だと私たちまでお年寄りみたいじゃないですかー」

マキ「でもダブルバトルはおもしろそうだよ~!

葵ちゃんはどう思う?」

葵「あ、はい。弦巻先輩さえ宜しければ、私も賛成です。」

マキ「じゃあ決まりだね。

ところで、ハカセ。バトルフィールドはどうしよっか?」

オーキド「ああ、フィールドなら別の……」

 

「--地ならしが必要か?」

 

オーキドの言葉を遮って聞こえた声の後、凄惨な姿のバトルフィールドに雷が落ちた。

 

葵「きゃあああぁぁー!?」

茜「うお~?!」

ずん子「ずんだ!??」

マキ「うわっ!?」

オーキド「ぬぐおおおおーー!!?あ!腰が!?」

 

辺り一面に散らばっていた木は落雷の衝撃で払い除けられ、“じしん“の影響で凸凹になっていた地面はしっかりと平面に整えられる。そんな場所に降り立った男が一人、威圧感を放つ。

 

葵「な、なに!?何がおきたの!?」

茜「かみなりさまや!かみなりさまが降りてきた!おへそ取られてまう」

ずん子「うあああああーー!??耳があああーー!!」

オーキド「(ギックリ腰で白目)」

 

バチバチと電光が身体を走り逆立った金髪に黒のメッシュ。同じカラーリングの革ジャンを纏った男は、得意げに皆に歩み寄り、バトルフィールドを眺める。

 

「ふむ……少し味気ないな。少しばかり飾り付けるか。伝説のポケモンの像でも作ってみるか?

暫し時間を貰えれば擬似的なジムのようにも飾れるぞ。」

 

手をかざして身体の電光が掌に集中していき…………

 

「フフフフフ…。」

 

マキ「めっ。」

 

「む…?」

 

--すぐに分散した。

 

マキ「もう。“10万ボルト“撃ちながら空から来たら怖がる人もいるからダメって、前にも言ったよね」

 

「俺様は雷神様だぞ?寧ろ“かみなり“落とさなかっただけ感謝しろよ。」

 

マキ「めっ!!」

 

「……ヤレヤレ。気の小さい主だ。ちっとはその胸を見習え」

 

マキ「女の子に身体のことは言わないの。

あんまり聞き分けないと、モンスターボールに容れちゃうんだからね!ライディーン」

 

ライディーン「特に構わん。出たけりゃ勝手に遊びに出るまでだ。」

 

自信に満ちた顔でケラケラと笑うライディーンと呼ばれた男は、そのままバトルフィールドに立つ。

 

葵「つ、弦巻先輩。その方はお知り合いですか?」

 

マキ「う、うん……。なんて言うか、あの子は…ポケモンなんだよ。」

 

葵「ポケモン……」

 

葵は半信半疑で金髪の男を見る。

全身から放たれる稲妻に、どこからか降り立ってきた事実は、彼が人間ではない何かだと思わせるのには充分。

だが見た目は完全に人なのだ。

 

ライディーン「フフッ。何をしていたのかは空から眺めていたから分かる。聞けば次のバトルは我が主だと言う。

久方ぶりに会ったのだ。愉しませろ。」

 

マキ「ライディーンが戦ったら葵ちゃんが危ないから。ブライトで行くよ?私は」

 

ブライト「ピカチュー(うんうん)」

 

ライディーン「なに、直接俺が攻撃しなければ良い。 技は“でんきショック“で統一だ。そして、2対1。

それなら少しばかり遊びになろうさ。」

 

葵「むう……あなたがどんなポケモンかは知りませんが、そんなにハンデがあって良いんですか?」

 

葵は少しむくれて、暗に『心外だ』と言わんばかりに抗議する。

 

ライディーン「ああ……。」

 

バサリ…音を立てて現れた黄色と黒の羽で出来た翼が広がる。

 

ライディーン「我が名は『ライディーン』。お前達に分かりやすく言うならば、カントー地方の伝承にある三柱の内『雷』を司る雷神『サンダー』だ。」

 

葵「な……!?」

 

ライディーン「さあ、全力を賭して挑むが良い。

我が雷、その欠片を見せてやろう!!」

 

葵「くっ!まさか神様をメンバーに入れているとは、さすがは尊敬する弦巻マキ先輩です!

いいでしょう!!たとえカントー地方の神の力でもアオイは逃げません!!

私は琴葉葵。タマムシ学園初等部コンテスト科5年生の主席として、あなたに勝ってみせます!!」

 

ライディーン「そのイキや良し!!神の名を恐れぬ少女よ、お前の器--示してみよ!!!」

 

まるで熱血バトルマンガのようなノリと勢いだけで対峙する神と青の少女。その士気は高まり、昂ぶる。

 

ライディーン・葵「勝負(です)!!」

 

 

 

 

 

マキ「…………ライディーンでは戦わないよ?

戦わないからね!ねえ二人とも!?」

 

 

トレーナーのマキの意思はどうなるか。次回の展開のみ知る。

 

 

 

 

 




このままライディーンが押し切ってバトルまで行くのか、それともマキが勝つのか?

次回 軍配はきんいろに上がる。

おたのしみに







二次設定&メンバー紹介

結月ゆかり(17)
タマムシ学園高等部実戦科二年。
得意科目は無し。
敬語もどきで滅茶苦茶口が悪い少女。

服装は紫のフード付きを素肌に着て前チャック全開。
短い白のフレアスカート。そしてはいてない。
縛られるのを嫌っている。断じて痴女では無い。
腕輪、指輪、髪留め、チョーカー、バンクルなどの装飾品が目立つ

ジム戦のようなルール整備されたバトルに苦手意識があり、逆にルール無用の闘いの場合相手がどんな卑怯な戦法や非倫理的行動を取っても、それが効率的であるならば肯定の意を示すなど闘いに対してはストイック。

反面。戦法としては肯定するが自身の大切なものに手を出す相手には兎に角容赦が無い。
敵ポケモンを全滅させた後にボロボロな身体でありながら自ら相手トレーナーの肩を外した時は肝が冷えた。マキ君が止めなかったらナツメ君は五体満足ではいられなかったかもしれない。

嫌いな相手とは口を効かないタイプで、一切の接点を絶とうとするため、バトルすらしない。もし行うならばそれは害虫駆除と同義。殺害のための行動である。

本編では判りづらいが、オーキドのこともずん子のことも気に入っており、本人もそれを否定はしない。

パーティー
ゲンガー(くろすけ) Lv91
???(むしけら) Lv???
???
???
???
???

東北きりたん(10)

タマムシ学園初等部実戦科5年生
本来大学院生が専門で行う進化論学の天才で、ハガネまるもイワークから意図的に進化させたものである。

初等部の生徒の手持ちはせいぜいがラッタ、ピジョン、バタフリーなどが良いところ。
平均的な戦力はコラッタなので、ハガネールを持つきりたんに勝てる相手などいなかった。
そのためゆかりに負けたショックは大きい。
勿論姉であるずん子にも負けるが、ああも一方的に負ける。まして敗因すら判らないほど圧倒的だったのは初めてだったこともあり、姉妹そろってライバル意識を持つことになった。
悔しくてたまらないしリターンマッチに燃えているが、敗北はしっかりと認めるタイプなので、これからも成長するだろう。ロリなのが可愛いのじゃが……。

いつかデレる日が来るだろう。きっと

服装は公式から大きく離れて洋服。流行とは異なる自分の良さを引き出すコーディネート。
進化論と似ているとは本人の談。天才なのは真実だろう。


パーティー
ハガネまるLv28
???
???



                 著オーキド


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6 軍配はきんいろに上がる

ノって来ちゃった☆


ゆかり「…………やっと静かになりましたね。ハア…」

研究所のソファで寝そべっていたゆかりは、ようやくきりたんの打撃音が聞こえなくなってクッションの山から這い出てきた。

 

ゆかり「くろすけ、ぼうへきはもう充分です。戻れ」

ゆかりとくろすけオリジナルの、まもるをアレンジして作った特製ワザ、ぼうへき。

通常ゲンガーはリフレクターを覚えないため、攻撃の接触箇所に寸分違わず必要面積だけまもるを発動することで、リフレクターとひかりのかべ両方の役割を果たす壁を生みだし、アイアンヘッドとアイアンテールを防いで居たのだった。

 

すると

 

ピシャーン!!!ゴロゴロゴロゴロ……

 

ゆかり「--うるっっせえ!!

なにやってんですかマキさんは!?今のはライディーンの10まんボルト。ったくあのトリはマキさん見つけるとは撃ってきて…バカなんじゃねーですかね!」

バタン!!

きりたん「うあああああーーん!!ゆかりーー!!」

ゆかり「--は?!え??は!?」

 

ゆかりがくろすけを引っ込めたことで扉を開くことが出来るようになったきりたんがライディーンの10まんボルトを雷と勘違いし、ガチ泣きしながら中に入って来た。

 

きりたん「うあああああーー!!雷が!雷がぁ~~!!」

ゆかり「泣くな引っ付くな、わたしのお腹が涙で濡れるでしょうが。」

 

素肌にフードを着ているゆかりの腹部に顔を埋めているきりたんの涙が伝い、下のスカートまで濡らしていく。

 

しばらく泣き止むのを待っていたが、泣き止まないきりたん。

 

きりたん「ごわいですーー!!」

ゆかり「…………あーうるせえ。ったく。」

 

引っ付いて離れないきりたんの足を自分の足の甲に乗せて竹馬のように歩き外に出ると、モンスターボールを投げる。

 

ゆかり「出ろ、ざっそう。」

 

ざっそう「バーナ~」

 

ボールが開くと、四足歩行の身体に巨大な華を背負った

緑のポケモンーーフシギバナが現れる。

 

ゆかり「“にほんばれ“」

 

ゆかりの指示に自らの巨大な華から体内に溜め込んだ太陽エネルギーを放出し、小型の太陽を作り出す。

 

きりたん「えぐっ、ぐすっ……」

 

ゆかり「おら、こんだけ晴れてりゃ“かみなり“なんざ恐くないでしょう。

学園でも晴れてりゃ“かみなり“が辺り辛いってことぐらい教えてるでしょう?基礎なんだから」

 

きりたん「うっ……うう……はい」

ゆかり「何だってこっちに来るんですか。ずんだがそこに居たでしょうが」

 

きりたん「…………だって、ゆかりの方が近かったから……」

 

ゆかり「たかが雷でそこまで取り乱しますかね……ガキは面倒です。」

 

きりたん「…………だって、恐いじゃないですかぁ。かみなりは当たったら痛いし、死んじゃうじゃないですか。

死んだら、ゆかりに勝てないじゃないですか…………」

 

ゆかり「生きてたって勝てやしませんよ。わたしはガキに負けるほどヤワじゃありません。」

 

言いながらきりたんをハガすと、研究所の中のあずかりボックスへ向かった。

まだかみなりが恐いのか、きりたんは迷い無くゆかりの背に付いていく。

 

ゆかり「ああ、ありましたね。ほら、ガキ。」

きりたん「--え?わっ、いたっ!?」

ボックスから一体のポケモンを引き取ると、そのボールをきりたんに投げ渡す。が、きりたんの反応が間に合わず頭に当たり、開閉ボタンが押し込まれる。

 

ゆかり「あ……」

 

ボールはテーブルに落ち、そのままポケモンが出てくる。

岩で出来た身体に二足歩行。身体のバランスを取る大きな尻尾。そして鼻の頭のドリル。

少年の中には憧れる者も多いかいじゅうグループ、いわポケモン。サイドンだ。

 

バキバキミシミシ……!

 

ボールが落ちたテーブルはサイドンの重みで潰れ、落ちた衝撃で床はめり込んでしまった

 

サイドン「……………(めっちゃ気まずそう)」

ゆかり「ガキ、こいつは昔私が手当たり次第に山に穴開けて金を探してた時に使ってたサイドンです。

これをあなたにやります。」

 

きりたん「……ゆかりは、バカだったんですか?

適当に山掘って金なんか出るわけ無いじゃないですか……」

ゆかりのあんまりなバカ話にようやく涙が引っ込んだきりたんから辛辣なツッコミが入る。

 

ゆかり「うっさい。当時6歳だった私に言いなさい。

今の私は17歳の結月ゆかりです。」

 

きりたん「え…ろくさい……?」

 

ゆかり「良いからほら、モンボ。

このサイドンのとくせいは“ひらいしん“です。これでもうかみなりで泣くのは止めなさい。ウザいから。」

 

きりたん「あ……はい。」

 

ゆかりはきりたんにサイドンのモンスターボールを手渡すと、外に出ていった。

 

 

サイドン「ガウ。」

 

よろしく。という意味を込めて右手を上げ挨拶するサイドンを見ながら、きりたんは目を見開く。

そのサイドンは、子供のきりたんから見てもサファリパークのサイドンより立派なことが分かった。

 

きりたん「6歳でサイドンを……?まさか、サイホーンから育てたなんてことないですよね……」

サイドン「ガウ。」

首肯。その通りだとサイドンは肯定する。

 

きりたん「…………よろしくお願いします。サイドン。じめんタイプの貴方なら、ゲンガーにも勝てるハズです。名前は……そうですね。」

 

バトルフィールドに向かって歩くゆかりの背中が、きりたんの目に写る。

 

きりたん「…………」

(オーキド博士の話を聞いたときは、ずん姉様に教えて貰うつもりで来たんだけど…………)

 

きりたん「貴方の名前は」

 

(分かる。悔しいけど、ゆかりは……)

 

強い。心の声ですらカタチにすることが出来なかった。

『強い』という言葉の本当の意味を、今のきりたんは計れない。

最初に出てきたポケモンに至っては正体も分からなかった。だから。

 

きりたん「あなたの名前は『ユカリ』です。」

 

ユカリ「ガウ!」

 

きりたん(強くなって下さい。私と一緒に。

そして、見ていて下さい。ゆかり。)

 

 

きりたん「ゆかり、あなたを倒すまでは…あなたに教えを請いましょう…………師匠。」

 

 

 

 

前話の終盤まで時間は遡り……。

 

 

マキ ライディーン「「さ~いしょはグー!ジャンケン・ポン!!」」

 

ジャンケンでライディーンが出るかブライトが出るか決めていた。

 

マキ「あ~いこで!」

ライディーン「しょ!!」

 

 

 

ずん子「そこまで!勝敗は決まりました。

それでは第二試合。弦巻マキVS琴葉葵のバトルを始めます。

両者かまえ、試合開始です!!」

 

 

 

 

 

 




キャラ紹介は、試合が終わってから乗っけましょうかの


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7 翼が無くても空くらい飛べる。

ゲームだけ考えるとオカシイですが、ポケスペでもアニポケでもイワークはピカチュウに負けてるから何かしら当たる理由が在れば相性無効も貫通する。
みやぶる先生が言ってた。



電撃で焼けた土の臭い。炭になったかつて木だったものの臭い。そして、そこに住んでいたポケモンたちの臭い。多種多様の臭いがそこに在る。

だが、今一番強いのはトレーナーの闘志。嗅覚とは異なる感覚がニオイを感じ取る。

そして、今闘志を燃やしているのは--

 

琴葉茜「アオイ。ウチいっしょうけんめい応援するからね!がんばってな~!!ふぁいとー!」

 

葵の双子の姉。琴葉茜だった。

わざわざチアリーダーの服に着替えてボンボンを振る姿は、愛らしいながらも本気を感じさせる。

 

葵「うん。頑張るよお姉ちゃん」

 

茜「うん。きりたんちゃんの時は静かにしとってって言われとったから、その分お姉ちゃん葵を応援すろからね。

フレーフレー!ア・オ・イ!がんばれがんばれ、がんばって!!ふぁい!」

 

一方、対戦相手となる弦巻マキの方は……。

 

マキ「本当に、ほんっとうに手加減してよね!

相手は子供なんだからね!?忘れてたらダメだからね!!」

 

ライディーンとのジャンケンに負けてしまい、バトルさせることになってしまったことに負い目を感じながら、半泣きでライディーンに自制を呼びかけ続ける。

 

ライディーン「そう声高に叫ぶな主よ。何故そこまで念を押すやら。ハッハッハッハッハ--」

 

自信満々に笑うライディーンに対してマキは……

 

マキ「……忘れてないわよね?昔シルフカンパニーのビルを倒壊させたの」

 

ライディーン「ハッ、ハ…………あ」

 

そこで自信満々のライディーンの表情が笑ったまま固まった。

 

マキ「--あの時のビルの建て直しの請求。まだ残ってるよ?」

 

ライディーン「あー……うん。」

 

マキ「私、借金返すためにひたすらポケモンバトルしてて、最近『賞金稼ぎのマキ』とか呼ばれてるの知って少しショックだったんだよ?」

 

ライディーン「…………知ってる。数年くらいまえに聞いたぞ。」

 

マキ「そのくらいむかしから戦って賞金稼いでも、まだ残ってるの。分かるかな?」

 

ライディーン「……はい。」

 

マキ「葵ちゃんに怪我…させないでね?」

 

ライディーン「はい…」

  

マキ「……………博士の研究所。壊さないでね。

分かったかな。ライディーン?」

 

ライディーン「はい。分かりました。」

 

マキ「…………うん。信じるからね。ライディーン。」

 

ライディーンの表情が真面目になったのを確認すると、ようやく納得してライディーンをバトルに送り出した。

 

ライディーン(いやはや…まさかあそこまで怒っていたとは。)

 

ばつが悪そうに頭を掻きながらフィールドに立つ。

 

マキ「あ、そうだ、ライディーン。」

ライディーン「--お、おう!」

(まさか、まだ何か怒られるのか!?)

 

マキ「言い忘れたけど、ただいま。久しぶりのバトル、楽しもう。

今度はゆかりちゃんやずん子ちゃんともバトル出来ると思うから。ごめんね、ライディーン。」

 

ライディーン「…………」

 

先ほどまでの怒りが嘘のように、マキはライディーンに笑いかけ、ライディーンが全力で戦えないことを謝った。

その様子を見て一瞬面食らうも、ライディーンもまた笑う。

 

ライディーン「……お前のいないカントーの地は、少し物足りなかったぞ。おかえり。マキ」

 

 

こうして、双方戦う準備が整ったのだった。

 

マキ「じゃあ行くよ、葵ちゃん!」

葵「はい、弦巻先輩!!」

 

ライディーン「少女よ、俺様に挑む2匹を呼ぶが良い!!」

 

小さな両手に大きなボールを二つ構える葵。

 

葵「--行きます!

『ミネルヴィ』『トリトディア』!」

 

その姿は美の象徴。流れる水のように涼やかに煌めく鱗を持つ世界で一番美しいポケモン。『ミネルヴィ』のミロカロス。

 

住む場所により姿を変える高い生命力を持つ殻付きの軟体生物。『トリトディア』のトリトドン

 

ライディーン「知らん顔ばかりだな……カントーではいない種か?」

 

葵「ええ。どっちもみずタイプ。因みにトリトディアはみず・じめんタイプですから、貴方のでんき攻撃は効きませんよ」

 

ライディーン「ほう、そうか。

だが、直接電気攻撃はしないと言ったのだ。

じめんタイプだろうが“ちくでん“持ちだろうが同じことだ。」

 

ライディーンは人型の姿のまま腕を組み、初めて見るポケモンを観察する。

 

ライディーン「先手は譲ろう。来るが良い」

 

葵「だったら、トリトディア。“どろあそび“」

 

どろあそび。それはでんきタイプの攻撃の威力を下げるワザだ。

 

トリトディア「ぽわ~!」

 

ライディーン「ほう…その年で慎重な闘いをするのだな。」

 

先手確実の状況でまずでんき対策。

子供としてはかなり上手い手だ。

 

葵「そして、ミネルヴィは“みずのはどう“」

 

ミロカロスのミネルヴィの全身のウロコから発する水分が波動となってライディーンへ向かう。

 

ライディーン「ぐうっ……」

(む…何だ?目が回る)

葵「やった。“こんらん“してる!トリトディア、“どろばくだん“!」

トリトディア「ぽわぁ~お!!」

ライディーン「ぐっ…!」

 

ライディーン(ドロが目に入った……)

 

マキ「…………凄い葵ちゃん。的確にライディーンが力を出せないようにワザを出してる」

 

葵「大丈夫。行ける!ミネルヴィ“どくどく“!」

みずのはどうと同じく、綺麗なウロコから精製される桃色の光の矢がライディーンに放たれる。 

葵「これが当たれば勝てる。伝説のポケモンに!」

 

猛毒で敵を蝕むどくどくは、伝説のポケモンでも容赦なく体力を奪う。でんきショックだけど縛っていてはどろあそびの影響とミロカロスの元々の耐久値と回復力を考えればダメージは期待できない。

そうで無くても耐久系じめんタイプポケモンのトリトドン。

積みも良いところだ。

 

ライディーン「ぬぅ…」

(さすがに縛りが強すぎたな。勝てぬ。)

“しんぴのまもり“や“ひかりのかべ“などが使えない。

オマケにニンゲンの姿では空も飛べない。

でんきショックだけ縛りはさすがに無理だった。

…………ライディーン()()なら

 

 

 

マキ「ライディーン。手を地面に!」

 

 

ライディーン「っっ--!!」

トレーナーの指示に対して、反射よりもう一段階速い反応で手を突き出す。

こんらんとドロの影響で目が見えない中、ライディーンが信じられるのはトレーナーの判断と指示のみ。

 

マキ「でんきショック。」

ライディーン「ハアッ!!」

 

でんきショック発射の衝撃が地面と自身の身体に伝わりライディーンは宙に吹き飛び、どくどくの射程範囲の外に逃げだせた。

 

ライディーン「ぐおっ…!」

しかし目が見えず普段飛んでいるライディーンではまともな着地は出来ず地に転がってしまう。

 

葵「あんな方法で“どくどく“を躱しちゃった……」

 

葵のポケモン達の怒濤の攻めにこれまで全く指示する気配が無かったマキが動いた。

 

マキ「凄いね葵ちゃん。まだ初等部なのに、みずタイプででんきタイプと戦う方法を勉強してるのがよく分かるよ。大人だってこうはいかないもの。」

 

葵「ほ、本当ですか弦巻先輩!ありがとうございます!」

 

マキ「ライディーンは分かってたのかな。葵ちゃんが強いって」

 

ライディーン「……弱い者イジメの趣味は無いな」

 

マキ「うん。そうだね……。

ゴメンね、葵ちゃん。私は葵ちゃんのことちゃんと知らないのに、手加減なんて図々しかったよ。

ライディーンも。パートナー失格だね。貴方の考えをちゃんと聞くべきだったよ。」

(きっと…ゆかりちゃんも分かってたんだ……だからきりたんちゃんに…)

 

葵「え…?弦巻先輩?」

 

そこでマキの表情が変わった。

それまで優しいお姉さんの体でいたのとは打って変わり、一人のトレーナーとしての顔があった。

 

マキ「葵ちゃん。改めまして、タマムシ学園、実戦科2年生。

兼--カントー地方リーグ殿堂入り。弦巻マキです。

ここからは私とライディーンが戦います。」

 

葵「殿……堂、入り…?」

 

マキ「ゆかりちゃんときりたんちゃんのバトルを見て、やり過ぎてしまったら傷つけちゃうかと思ってたの。

でも、葵ちゃんはちゃんと戦える。それが分かったから……」

 

スッと右手にハイパーボールを構える。

マキのバトル時のクセ。臨戦態勢。

 

 

 

マキ「行くよライディーン!久しぶりのゼンリョク全開!!」

ライディーン「ああ。怪我させない程度にゼンリョクだ!!」




サブタイトルと前書きでこんだけピカチュウ出そうな雰囲気出しといて本編。

だが私は誤らない





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8 放てZワザ、熱き心に乗せて。

ぽわぁ~おぐちょぐちょぐちょ

書いてたらポケモンやりたくなってきた…USMのストーリーがもっかいおんなじ事する感じがダルくて、進まないんですよね……


茜「前回のあらすじ。葵ちゃんが強いから弦巻先輩がゼンリョクやー」

ずん子「茜ちゃん、誰に話してるんですか?」

茜「お空のお星さまやな」

ずん子「そうですか…茜ちゃんはメルヘンですね」

茜「める…へん??」

ずん子「いえ、いいです。

では引き続き二人を応援しましょう。」

茜「せやなーさあみんなも葵を応援したってな~」

モンスターボールを四つ放ると、中から出てきたポケモンは3匹が“コラッタ“最後の1匹は…………

 

ゲル状のピンク「セヤナー」

 

ずん子「え…?茜ちゃん、このピンク色の子は一体??」

 

茜「ああ~この子の名前は『えびふらい』や」

 

えびふらい「ヤデー」

 

ずん子「………………えーっと、何ていうポケモンですか?」

 

茜「えびふらいはな~メタモンや。

なんでか色違いのメタモンやな~」

 

えびふらい「エビフライー」

 

ずん子「…………えっと、ポケモン図鑑は…っと」

 

ポケモン図鑑『メタモン。へんしんポケモンーー』

 

ずん子「あ、ほんとにメタモンですね……」

(たとえピンク色でもゲル状でも作画崩壊の呪いを一身に受けていそうでも、あの子はメタモンなんですね…)

 

えびふらい「ヤデー」

 

 

 

 

葵(弦巻先輩は、伝説のポケモンサンダーをどう使いこなすのかな……)

マキ「行くよ。葵ちゃん。

ライディーン、でんきショック」

 

ライディーン「ハアッ!」

 

ピシャーン。音速を超える破裂音が耳を突きトリトディアを囲む。

 

トリトディア「ぽわわっ!?」

 

葵「トリトディアにでんきショックを?

でもじめんタイプには効果が無いはずなのに」

 

マキ「葵ちゃん。ポケモンのワザには使い方があるんだよ。直接効果が無くてもね。」

 

ビリビリと弾ける電気が檻のカタチを取る。

そして

 

葵「でんきショックが黒くなっていく!?」

 

地面の砂鉄を付着させ、本物の鉄の檻となる。

 

 

マキ「これでトリトドンは戦えないよ。」

 

葵「でんきショックにこんな使い方が……!?」

 

ライディーン「何故か我一人でやると成功しないのだがな……何故なのだホント」

 

マキ「強くても力が全部制御出来ない。だからトレーナーと戦うポケモンがいるんだよ。

貴方みたいにね、ライディーン。」

 

ライディーン「ふむ。そうだな。」

 

葵「やっぱり、弦巻先輩は凄い。」

 

 

琴葉葵が弦巻マキを知ったのは、ロケット団というポケモンを使った悪の組織の首領、サカキとの闘いの様子を放送したニュース特番でだった。

その時のマキはピカチュウとリザードンを使い戦っていた。

一方、サカキが使用したのは伝説のポケモン。何故か当時を知る人は全員サカキの使用した伝説のポケモンについては口を閉ざしていて、現場にいた者以外は分からなくなっていた。

もしかすると、そのポケモンは……。

 

 

葵「弦巻先輩。私、貴女に憧れてトレーナーになりました。

だから、貴女に勝ちたいです。」

 

そう言って、葵は蒼のブレスレットを装着し、自身の首の前で交差する。

 

マキ「そのブレスレット…まさか!」

 

--円を描いて腕を下ろし

 

葵「負けたくない。たとえ伝説のポケモンでも。

だって、弦巻先輩は昔--私と同じ年の頃に……」

 

その手をしっかりと握りしめ、拳を前に突き出す。同じくもう一方の手を握り腕を重ねる。

 

葵「弦巻先輩。ゼンリョクって、言いましたよね。お願いします。」

 

海の流れを感じさせる流水の動き。

 

 

葵「私は今--ゼンリョクです。」

 

 

蒼のブレスレットから放出される青の光が、ミネルヴィの美しいカラダをより一層輝かせる。

 

 

マキ「ライディーン!!私たちも行くよ。」

ライディーン「ああ!」

 

ライディーンの帯電している光が輝き、ヒト型のカラダが本来の姿へ変わり--羽ばたく!

サンダー本来の姿が現れる。

 

バチバチと鳴る雷の力がライディーンの一点に集中する。

 

葵「行きます、弦巻先輩!!」

マキ「行くよ、葵ちゃん!!」

 

葵「ミネルヴィ。スーパーアクアトルネード!!」

マキ「ライディーン。かみなり!!」

 

ミネルヴィ「ーーー!!!」

ライディーン「ハアアアアーーッッアアアアアーー!!!」

 

ミネルヴィを中心に巻き起こる巨大な水の渦が

ライディーンの全身から放たれる電光の神鳴りが激突する。

 

 

 

オーキド「--いや、こんな場所でそんな大技使ったら衝撃で研究所が倒壊あああぁぁぁーー!!??」

 

 

 

マキ・葵「……………あ。」

 

既にポケモン達がワザを放つ瞬間、ぎっくり腰で動けなくなってそのまま放置されていたオーキドのツッコミが入った。

もはや水のZワザと電気の大技は止まらない。

 

ずん子「あーこれはもう間に合いませんねえ。グッバイ研究所。」

 

オーキド「誰か止めてえええーー!!」

 

オーキドの悲痛な叫びに応えるかのように、奇跡が起きた。

日差しが唐突に強くなり、スーパーアクアトルネードの威力は半減し、元々の命中不安に加えてどろばくだんの命中デバフを喰らっていたライディーンのかみなりは日差しの影響で狙いが逸れて少しだけスーパーアクアトルネードに擦って別の場所に落ちてしまった。

 

オーキドのカラダに。

 

 

オーキド「あぎゃあああああああーー!!!???」

 

 

 

こうして、弦巻マキと琴葉葵のバトルの決着はお流れとなり、便宜上引き分にした。

 

 

 




弦巻マキVS琴葉葵のバトルはオーキドアタックによりまたの機会になりました。
きりたんは負けてゆかりに自ら弟子入り(するつもり)
葵ちゃんはどうするのでしょうか……?

残るバトルは東北ずん子VS琴葉茜。
ここまでびっくりするほど目立たない二人のバトル。
どんな地味もんになるやら。ヤレヤレ……



キャラクター二次設定紹介。

弦巻マキ(17)
タマムシ学園高等部2年生実戦科所属。

人当たりが良く誰とでも仲良く出来るが、ゆかりと正反対の博愛的な性格で、情で一方に肩入れすることは少ない倫理主義者。
幼い頃に母を亡くしているのは共通。

得意科目はワザ定義理論学。苦手科目はレンタルバトル。
経験でゆかりに劣っているが、才能と発想でギリギリ離されないようにしている。

これは断じてマキくんがサボっているわけでは無く、ゆかりくんの実戦経験の豊富さと、常に環境と地形を把握し続けて隙の無い行住坐臥が異常なのである。
才能だけ比べたらゆかりくんがマキくんと対等な相手になるはずが無いのだが、先んじている。
この異常性に気づけている者は今の時点でワシ以外はいない。

服装は帽子着用、少しだけボーイッシュ寄り。だがスカート。それが良い。良いのじゃ。
メガゴーグルと黄色のZリングを装備。 

彼女のバトルは、これまでの限界と言う名の常識を根底から覆し、ポケモン協会からはチャンピオンの座に着くことを期待されている。
借金も協会に押し付けたらいいのにのう……。


パーティー
ピカチュウ(ブライト) Lv88
リザードン(ブラスト) Lv96
サンダー(ライディーン) Lv63
???
???
??? 


琴葉葵(11)
タマムシ学園初等部コンテスト科6年生。
編入段階で全教科学年最優秀点であるため、主席である。
この世界のコンテストは、見た目審査とコンテストバトルがあるため、バトルの腕は実戦科にも迫るもので無ければ通用しない。

弦巻マキに憧れたのは、ピカチュウを進化させずにトップクラスに立つ拘りを持って戦う姿。
だが、マキは進化させ無いのではなく進化させておく必要が無いだけだということを後に知る。

姉の茜とは別の地方に住んでいたが、一緒の寮で暮らせると言う理由で茜が後追いでタマムシ学園に編入したため、これからは一緒だ。


パーティー
ミロカロス(ミネルヴィ) Lv48
トリトドン(トリトディア) Lv32
???

きりたんと同じ年齢でハガネまるとのレベル差が大きいのはコンテストで大人とバトルする機会も多かったため。




          著オーキド


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9 きりたんです。ゆかり。

この小説は健全であり恋愛要素とかはありません。
仲間意識とか絆の類です。


ゆかり「死肉の焦げた臭いがしますね……」

弦巻マキと琴葉葵のバトルが引き分けに終わり、ライディーンのかみなりが直撃したオーキドがぶすぶすと焦げている様子を見て、ゆかりは鼻を摘まんだ。

 

オーキド「の、のお。ゆかりくん。

老人の悲痛な姿を見て言うことがソレ?」

 

ゆかり「どうせ棺桶に片足突っ込んでんですから、火葬の予行演習みたいなもんでしょ」

 

オーキド「酷い……あんまりじゃ。グスッ」

 

ゆかり「んで、マキさんは引き分けたと?」

マキ「うん。葵ちゃん強かったよ。」

ゆかり「ふーん」

大して興味も無さそうに葵を見る。すると、葵は少し怯えた様子でマキの背に隠れた。

 

マキ「葵ちゃん?どうしたの」

葵「すみません弦巻先輩。わたし、ちょっと、その……」

 

茜「ごめんな、ゆかり先輩。葵ちゃんは、ちょっと人見知りやねん」

そう聞くと、ゆかりは欠伸しながら応える。

ゆかり「ふわぁ…そうですか。」

茜「悪いように思わんといて、ゆかり先輩。

その分内ウチがめいっぱい抱きしめたるさかいな!」

ゆかり「いや、いりませんから。マジで」

もう一つ欠伸すると、観覧用のベンチに腰掛けた。

茜「ほんでも…ゆかり先輩」

ゆかり「おら、あなたの対戦相手はもうフィールドに立ってますよ。さっさと行かないと、ずんだ餅がカビ餅になるでしょう。」

ずん子「おいゆかり、まずはアンタからやってやりましょうか」

ずん子の威嚇に見向きもせず、シッシッと手を払い欠伸をする。

ずん子をいつまでも待たせておくわけにはいかないので、茜は『またあとでな。ゆかり先輩。』と言うと、バトルフィールドへ向かった。

マキは自分の後ろに隠れる葵の面倒を見ている。

 

ゆかり「……………ふわぁ~」

 

ようやく静かになったと思いながら、一人独占状態のベンチに横になると…、

 

きりたん「さっきからやたら欠伸してますね、ゆかり。」

 

きりたんがゆかりに声をかけた。

 

ゆかり「やっと泣き止みましたか、ガキ。」

きりたん「きりたん。」

ゆかり「あ?」

きりたん「もしかしたら貴女のビート板には記憶と言うものが無いのかもしれませんが、私の名前は東北きりたんと言う名前なんですよ。結月ゆかり。」

ゆかり「いや誰のビート板にも記憶なんてもんがあるわけねえだろ--誰がビート板だクソガキ」

きりたん「きりたんです。ゆかり。」

ゆかり「ガキで充分です。」

きりたん「ならゆかりが覚えるまで言い続けましょう。いくら年増で衰えていても、忘れられないほど言い続けます。」 

ゆかり「ずんだのところへ行け。鬱陶しい。」

きりたん「バトル中にトレーナーのところへ行けるわけ無いじゃないですか、バカですか?それとも阿呆ですか?」

ゆかり「ぶん殴って良いですかクソガキ」

きりたん「きりたんです。ゆかり。

ところで少し頭上げて下さい。ビート板が邪魔で座れません」

ゆかり「座る場所に胴体は関係ねえだろうが!!」

 

キレるゆかりをはいはいと流すと、きりたんは「頭上げますよ~」とゆかりの頭をゆっくり持ち上げ、その下に座り、ゆかりの頭を自分の膝に乗せた。

 

ゆかり「なんだこれ」

きりたん「膝枕です。」

 

ゆかり「状況の名前なんざ聞いてませんよ。

何人の頭テーブル代わりに膝に置いてんですか。肘置きにでもする気か」

 

きりたん「いいから貴女は少し寝て下さい。

さっきから欠伸の声がうるさくてずん姉様の美声が聞こえないんですよ。」

 

ゆかり「テメエから湧いてきて図々しいガキが」

 

きりたん「きりたんです。ゆかり。

寝なくて良いなら、私にバトルの解説して下さい。」

 

ゆかり「は?バトルの解説??」

 

きりたん「ええ。ずん姉様の素晴らしいバトルを実は間近で見るの初めてなんです。だから解説してください。

貴女に負けた私では、貴女より強いずん姉様のバトルを理解するのは難しいでしょうから。」

 

ゆかり「おいサラッと人をずんだ以下にするな」

 

きりたん「本当はずん姉様本人に聞きたいところですが、ご多忙ですし、弦巻先輩は葵ちゃんに忙しいようですから。

貴女を選びます。ゆかり。」

 

ゆかり「いや、選んでねえからソレ。消去法な上に嫌々じゃねえか」

 

きりたん「じゃあ消去法で嫌々。

そういうことでよろしくお願いします。」

 

サラリとゆかりの髪を撫でながら、きりたんは微笑み

 

 

きりたん「--私の……初めてのお師匠さま」

 

 

弟子入りを宣言した。

 

ゆかり「……………………。」

 

きりたんに対して返答しなかったゆかりは、寝るのを諦めてきりたんの膝枕で仲間のバトルを観戦することにした。

 

 

 

 

マキ「よかった……二人とも、なんとかやって行けそう。」

葵「弦巻先輩、どうしましたか??」

マキ「ううん、何でも無いよ。葵ちゃん。

二人とも何だかんだで似たもの同士だなって思っただけだよ。」

 

 

 

 

そう口にするマキは、太陽のような眩しい笑顔だった。

 

 

 




単体の押しはマキときりたんなのですが
カップリングはゆか×きりが好きなような気がする。
続いてマキ×ゆか。


ゆかりときりたんにスポットが向けられるのは、単純に好きだからでは無い断じて無い。
こいつらめっちゃ動かしやすいから楽してるだけなんです。(なお悪い)


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10 茜のナイト

書き込み過ぎた(笑)


伝説のポケモン。

それは種として1匹しか存在しないとされていて、まだまだ知られていないことが多くある存在。

中には人間に化けたり、人語を話したり、時を操れたりする不思議な存在。

伝説と呼ばれるほど人前には現れないので、大抵は人生に1匹でも一瞬チラリと見えるだけでも幸運な方である。

 

 

ライコウ「コオオオオーー!!!」

エンテイ「ガアアアアーー!!!」

スイクン「フォウフウゥーーウ!!」

 

 

 

まして、手持ちに加えているトレーナーなど100年に一人いるかいないか--

 

ライディーン「アレが、ジョウトの命の神に仕える重神達か……」

マキ「文献に載ってるヤツだね。」

オーキド「ま、まさか……そんなことが起こるとは……!!」

 

 

 

ライコウ「我が姫君、アカネ。」

エンテイ「我が娘、アカネ。」

スイクン「神の巫女、アカネ」

 

伝説の三体「「「我らが力はアカネの意志で振るわれる。」」」

 

 

ずん子「……\(つ・ω・だ)/」」

 

いるところには、割といるのかもしれない(諦め)

 

茜「何か格好つけとるけど。三人ともライディーンのバトル観て自分らも戦いたくなってだだコネとった姿は忘れんよ?」

 

伝説の三体「「「ギクッ」」」

 

 

 

 

話は少し遡る。

 

茜「それじゃあずん子先輩。ウチらはトリプルバトルやな。」

 

ずん子「え。」

シングルバトル・ダブルバトル(1対2)とくれば、次はトリプルバトルだろう。

茜にとっては自然な流れでフィールドに三体のポケモンを出していた。

 

ずん子(それは構いません。二次創作はおろか、オリジナルですら滅多に使われることの無いトリプルバトルルール。

どうせボイポでも今後二度と出てくることは無いでしょうし、ノリでやってしまおうということなのでしょう。

それは良いです。書き手が怪我しようが知ったことじゃ無いですし。どうせまたオチは博士でしょうから。

 

しかし、問題なのは……)

 

 

コラッタ×3「「「コラッタ!!」」」

 

ずん子「何故コラッタなんですか!?」

茜「この子らがウチのエースやからね~エヘヘ」

ずん子「な、何故に誇らしげなんですか……?!」

 

茜「頼むで~『おむれつ』『はんばーぐ』『ゼリー』。

先輩たちと、葵と、きりたんちゃんに良いとこ見せたろ!

ウチらが先輩達から一勝をもぎ取るんや~おー!」

 

コラッタ!と元気よく鳴き右足を上げるコラッタ達。

そこにエースという言葉が結びつく場所は無い。

 

 

ずん子「……………どうしよう」

(これ下手したらゆかりよりも酷い絵面のバトルになるんじゃ……でも手加減って言っても、私のポケモン達打たれ強さ重視だし…………)

 

ずん子「えーい!ままよ!!

茜ちゃんにはバトルの厳しさを教えて上げます。先輩として!いっけーみんな!もうどうにでもな~れ!!」

 

 

葛藤と苦悩の果て、選ばれたポケモン達がずん子の陣営として場に現れる。

 

ずん子「ずんバドロ!」

 

バンバドロ「バッフー!!」

 

ずん子「ずんだルドン!」

 

カバルドン「カバアアアアーー!!」

 

ずん子「ずんだイゴン!」

 

フライゴン「フッ--ラァァー!!」

 

 

重量級大型ポケモン揃い踏み。

間違ってもコラッタにぶつけるメンバーでは無い。

 

ゆかり「相変わらず頭のイカれた名前ですね。」

ずん子「ポケモンにむしけらって名前着けるアンタに言われたくありませんよ!!」

 

 

オーキド「……あー、茜くん?

他のポケモンはおらんのかね?」

 

茜「うん。ウチのベストメンバーはこの子らとえびふらいで全員やよ?」

 

オーキド「この前フーディンとかニドキングとか使っておったのを見たのだが…」

茜「全部えびふらいのへんしんや!」

オーキド「うそん~……」

 

茜「ね~ね~もうバトル始めてもええ?

みんな気合まっくすやで~」

 

--コラッタ!

 

オーキド「うむ……で、ではラストバトル。

東北ずん子VS琴葉茜のトリプルバトル。

試合開始じゃ」

 

ずん子「仕方ないです。せめてやり過ぎないように……」

 

バトルをしましょう…そう口にしようとした瞬間--

 

茜「ゼリー!ふぶきや!!」

 

ずん子「え……?」

 

猛スピードで前に出たコラッタのゼリーの“ふぶき“がクリティカルヒットする。

 

ずんバドロ「ドロロ!?」

ずんだイゴン「フラアッ!?」

 

弱点の氷ワザで攻められて手痛いダメージを負ったずんバドロは、少しだけふらつき、ダメージ4倍のずんだイゴンはひんし寸前で耐えた。

 

ずん子「な、何でコラッタがふぶきを!!?」

 

それまでずっときりたんの膝枕されていたゆかりが飛び起きて言う。

 

ゆかり「ずんだ餅!惚けてんじゃ無い。

ノーマルタイプポケモンのワザの適合範囲の広さ忘れてんじゃねえですよ!!

コラッタは“ふぶき“も“かみなり“も覚えやがる変態でしょうが!!」

 

ずん子「そ、そんなワザ覚えるんですか!?」

 

ゆかり「~~~ッ。それぞれの個体の使用可能ワザ程度も全部把握してないほど不勉強で何ガキに手ぇ抜いてるんです!

そんなに強いのかお前は!自惚れてんなバカ野郎ッッ!!真剣にやれ!!見た目に騙されて雑なバトルするんじゃ無い!!」

 

きりたん(……なるほど。師匠はこう見えて勉強家で勝負に対して真剣なんですね。キャラがブレてる気もしますが、メモメモ…っと)

きりたん「それはソレとして、ゆかり。」

ゆかり「ああ!?」

きりたん「キレ過ぎで葵ちゃんが泣いてます。」

ゆかり「………………。」

 

葵「つ、つつ弦巻先輩ぃ……!??」

マキ「あーごめんね、葵ちゃん。大丈夫。恐くないよ~よしよし。ほ~ら、ぎゅ~」

マキ(さっきのバトル観られてたら、私も怒られてたかもなぁ……)

 

ゆかり「ハァ………っ」

冷えた頭を抱えて、ゆかりはベンチに座る。

するときりたんがゆかりの頭をまた自分の膝に乗せた。

ゆかり「アンタは泣かないんですね、ガキ。」

きりたん「きりたんです。ゆかり。

そりゃ、雷ほど恐くないですし。

それに、アレでずん姉様も冷静になりましたしね。」

 

茜「はんばーぐ。シャドーボール!」

ずん子「ずんだイゴン、そらをとふです!」

茜「おむれつ、スピードスター!」

ずん子「まもる!」

 

フライゴンがあと一息で倒れるとみると、茜はすぐに攻撃目標をフライゴンに集中した。

しかし、冷静さを取り戻せばずん子も実力あるトレーナー。そうそう一撃は決まらない。

 

マキ「茜ちゃん、容赦ないね……」

きりたん「バトル前はあんなにほんわりしてたのに、バトル始まった瞬間暗殺者もかくやってほど弱点狙いのオンパレードですね」

 

葵「お姉ちゃん凄いんです。エンジュシティのジムバッジゲットの最年少記録がありますから!」

 

姉の活躍に興奮気味にはしゃぐ葵。

 

きりたん「たしか茜ちゃんって、学園の育成科ですよね…?何であんなに強いんですか」

 

葵「お姉ちゃんは、ジョウトの守神様、ホウオウに選ばれた巫女さまなんです。

もしもジョウトに巨大な悪が現れた時、ホウオウと共に戦うトレーナーとして勉強してるんです。」

マキ「なるほど…戦うことに躊躇いが無いわけだ」

きりたん「ですね……」

 

ゆかり「……だから隙だらけなわけか」

 

きりたん「え?隙だらけ??」

葵「それは、どういう意味ですか結月先輩?お姉ちゃんが弱いって言うんですか!」

 

ゆかりの発言に疑問を持ちながらメモを構えるきりたんと、姉をバカにする発言に不機嫌になりながら問う葵。

それに対して、ずんバドロとずんだルドンを指差して言う。

 

ゆかり「大型ポケモンを2体も放置して死に損ないを仕留めるなんてハイリスクローリターンです。

複数バトルなら弱ってる相手は巻き込んで一気に倒すのが基本です。ああやって」

 

 

ずん子「今です!ずんバドロ、いわなだれ」

ずんバドロ「バゥゥーー!!」

 

ゼリー・おむれつ「「コラッター!?」」

 

ずん子「ずんだイゴンにだけ気を取られていると他の子にやられますよ、茜ちゃん!」

 

ゆかり「はい良いですかー次にずんだが言うセリフは『“\(ず・ω・だ)/』です」

葵・きりたん「へ??」

 

いわなだれが直撃したゼリーとおむれつの輪郭がブレて姿を消し、その中から弾丸のような速度で肉薄するコラッタ達。

 

茜「おむれつ、『さきおくり』。

ゼリー、『ふぶき』!!」

 

さきおくりは複数バトルで相手の行動を強制的に後にさせるワザ。

対処が取れなくなったじめんタイプ達に

 

ずんだ達「「「ーー!!??」」」

 

弱点のふぶきが直撃する。

4倍弱点のこおり最強ふぶき2発直撃に耐えきれなくなったずんだイゴンはたおれた。

他の2体も大きくダメージを受けている。

 

ずん子「\(ず・ω・だ)/」

 

ゆかりの予言通りお手上げになったずん子。

 

マキ「さっきのは“みがわり“?」

ゆかり「多分。

みがわりのワザはポケモンの殆どが扱える物ですが、その手法は様々です。

実体のある分身を生み出したり、当たる直前に使ってみがわりで受けて、敵の攻撃の衝撃を利用しながら離脱するやりかた。

そして、あのお子様ランチどもが使ったのは、みがわりを殻のように自分に着せておくタイプ。

だからみがわりが消えた瞬間に特攻してきたんでしょう。『でんこうせっか』で。」

 

マキ「さすが、ゆかりちゃん。見ただけで分かるなんて、キョウさんに修行仲間に誘われたわけだ。

でも、そんなことが出来るのかな……まだ未成熟なコラッタで」

 

ゆかり「コラッタじゃなきゃいいんでしょうよ--っと!!!」

 

言いながらゆかりはモンスターボールを茜に向けて蹴り込んだ。

 

茜「え……?」

 

開閉されたボールから出てきたのは、大量の水。

空へ向かって上がり、三日月のカタチを取る。その数は100を超えている。

 

ゆかり「ボケガエル“みずしゅりけん“!」

茜「ええ!??」

 

ゼリー・おむれつ・はんばーぐ「「「フワッ!!???」」」

 

ゆかり「さあその位置から“コラッタ“で間に合いますか!!」

 

 

言い切られる前にずんだ達の前にいたコラッタ達は姿を消し、主の前には全く別のポケモンがいた。

 

 

スイクン「フォウフウゥーーウ!!」

 

水色の四足歩行、特徴的な角を持つオーロラポケモン。スイクン。

主の命令を待たず、ストールのように揺蕩うリボンを鋭く重ね、自身の角と同じ結晶型のミラーコートを張る。

 

スイクン「喰らえ!!主を狙う愚か者め!!」

 

ミラーコートに跳ね返された一部のみずしゅりけんが、二倍の威力になってゆかりを襲う。

ゆかりはその危機的状況に眉一つ動かさず、肉薄し、身体を抉る直前まで引きつけて回避、バク宙、時に蹴りおとして、全ての“みずしゅりけん“を躱し切った。

 

ゆかり「ふぅ……」

 

 

きりたん「(゚Д゚)」

その姿を目の当たりにしたきりたんが自分達が勝とうとしている相手が人間なのか怪しく感じたというのは…別の話。




ゆかり!お前はいちいち場をかき乱さずに居られないのか!!?

因みに、ゆかりがミラーコートを回避した後ろには、研究所が………


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11 決着。親善試合。

まさか、GW中に親善試合終わるとは……まったりやるつもりが気付いたらフルスピードだった。
これは学生時代のモチベーションに匹敵しますわ。休み凄え。


前回までのあらすじ。

ゆかり、スイクンとタイマン。

 

 

スイクン「ポケモンを使うかと思ったが…まさか我が身だけで躱すとはな」

 

ゆかり「自分のケツくらい自分で拭きますよ。

なんでもポケモンに頼り切るのは三流です。」

 

オーキド「躱したみずしゅりけん。研究所の壁壊しとるんじゃが……」

 

スイクン「剛気だな…その心意気に免じ、主への非礼を私は赦そう。

アカネ、お怪我はありませんか?」

 

茜「うん。ちょっとびっくりしたけどな~バトル中に攻撃されるなんて思わんかったから、びっくりしてしまったけど。嫌われたんかな?」

 

スイクン「え……?いえ主殿?結月ゆかりがみずしゅりけんを使ったのは、我らをいぶり出す為ですぞ?」

 

エンテイ「その通りだ。元はと言えば、我らが良いとこ見せたいがために出張ったのが悪いわけでな。アカネよ」

 

ライコウ「まあ姫は空気読めないから多少面倒くさいとか思われるわな。」

 

スイクン・エンテイ「ライコウてめえ!!!」

茜「あはは~冗談やて。…アレ?」

 

 

 

ゆかり「でんきタイプの準伝はアレなのが多いんですかね」

 

ライディーン「それは俺様のことかゆかり。もう電気風呂やってやんねーぞ」

 

ゆかり「まあ待て。アレは私の生きがいです。

つまり、アンタは私の生きがいになるわけです。偉大なことだと思いませんか」

 

ライディーン「フフッ…仕方ねえな。」

 

ゆかり「チョロ。」

 

ライディーン「今なんて?」

 

 

ずん子「ゆかりぃー!!」

ライディーンのツッコミは、ずん子がゆかりに掴みかかったことでかき消された。

ゆかり「痛え、爪食い込んでる!」

ずん子「あなたは分かってたんですか!?

あのコラッタが伝説のポケモンだってことを」

ゆかり「痛え、痛え!!」

ずん子「答えなさい!!ゆかりっ!!」

マキ「ずん子ちゃん、落ち着いて。どうしたの急に?」

マキに諭されて少しだけ力が緩むと、ゆかりは乱れたコートを正す。

ゆかり「あーいってえ……ったく」

 

ずん子「貴女はいつもそうやって、自分だけ分かってて……!!」

 

悔し涙を浮かべながら、ずん子はゆかりを睨む。

自分がゆかりに劣っているのが悔しくて、認めたくなくて。子供の癇癪を起こすように時々こうなる。

 

ゆかり「いや、アレがコラッタじゃないことが分かったのはボケガエル出す直前ですよ。」

 

ボケガエル「ゲコッ」

ボケガエルことゲッコウガは、自身の水でゆかりの傷口を洗うと、ケロムースで傷口をふさいだ。

ゆかり「はいご苦労さま。戻って休みなさい」

 

マキ「それで、ゆかりちゃんはどのタイミングで何を把握してたの?」

ずん子「ううううっ……!!」

ゆかり「はぁ…ったく『さきおくり』は、カントーのコラッタじゃ覚えられない。

だから何か別のだろうなと思って見たくなっただけです。

わたしだって伝説のポケモンとか、予想の中でもケツの方でしたよ。」

ずん子「それでも予想の範囲内だったんですね……」

ゆかり「そりゃ、人に化けるサンダーが居るぐらいですからね」

 

マキ「でもみずしゅりけん撃つ理由は無いよね?」

 

ピシリ。

鏡に亀裂が入ったような音がした。

実際には何も割れていないハズなのに。

空気に近い何かが急激に冷えて割れたような錯覚を覚えたのだ。

ゆかり「やっべ…」

弦巻マキは、怒っている。

東北ずん子は一気に冷静に戻る。

 

そして、結月ゆかりは

 

ゆかり「--ミラーコート撃たれるの予測してました」

 

淀みなく怯えなく言い切った。だが若干早口。

 

マキ「ふーん?予想してたんだぁ……?相手がスイクンだって分からなかったのに、ミラーコートは分かったんだぁ?」

 

ゆかり「最悪ゲル状のメタモンいたしへーきへーき。 」

マキ「ゆかりちゃん!!」

ゆかり「(・.・)」

マキ「真顔で誤魔化さないの!!

もし茜ちゃんが怪我したらどうするつもりだったの!?」

ゆかり「アハハハハ」

マキ「本っ気で怒るよ」

ゆかり「すんません」

マキ「茜ちゃんに謝りなさい!」

茜「ウチは大丈夫やよ~何があっても皆が守ってくれるから」

マキ「本当に大丈夫だった?怪我してない?」

 

茜「平気や。だってゆかり先輩。ウチらが思うよりもずっと凄い人やんか。」

 

マキ「え?」

 

茜「な~くろすけ。」

 

茜の背から黒い霧が出て、ゲンガーのくろすけが現れた。

 

くろすけ「ガー」

 

マキ・ずん子「くろすけ!?」

 

茜「自分の予想が外れとったらくろすけで逃がすところまで考えとったみたいやな~ゆかり先輩。」

ゆかり「気付いてたんですか。」

茜「ゼリーがミラーコートでゆかり先輩を攻撃するまで気付かんかったわ。ほんでも、ゆかり先輩が心配やったんやね。一瞬気が漏れたわ。それまで完璧に分からんかったよ。

凄いお人や。ゆかり先輩は。忍者みたいやわ。」

 

ゆかり「そりゃどうも。」

 

オーキド「のう、ゆかり君。そこまで考え取ったのなら、ワシの研究所も壊さないように出来たんじゃ無いかのう?」

 

ゆかり「たりいから無理です。」

 

オーキド「ワシ泣くよ?仕舞いにゃ本気で泣くよ??

ギャン泣きするよ??」

 

ゆかり「気持ち悪ぃから他所でやってください。」

 

オーキド「ココわしの家ええええーーー!!!」

 

ずん子「…………ところで、まだバトル終わってないんですが」

 

 

全員「あ……」

 

 

色々なハプニングが起こり中断していたバトルだったが……

 

茜「さすがにウチの3匹が真の姿で戦うのは不公平やし」

 

と言うことで、ずん子は比較的体力の残ったずんだルドンを。茜はずん子の希望でゼリーことスイクンでの一対一のバトルに変更になった。

 

 

ずん子「ずんだルドン。相手は伝説のポケモンな上にアナタのダメージは少なくありません。

一撃で決めますよ。」

 

ずんだルドン「カッガアアアアーーオッ!!!」

 

ずん子は緑色のZリングを装着した。

 

茜「…………。」

ゼリー「どうします?アカネ。アレは妹君が持つZリングです。正面から行きますか?回避して狙いますか?」

茜「……もちろん、決まっとるやろ。ウチらはホウオウの巫女さまや。

ホウオウに見せられんようなバトルは出来んよ。」

ゼリー「では……」

 

ゼリーは空気を吸って溜めのモーションに入る。

 

ずん子「行きますよ、茜ちゃん!!」 

茜「ええよ!ずん子先輩!!」

 

両手を交差し、ポージングを取り……

 

茜「ゼリー“いばる“!!」

 

ずん子「ずんだルドン“じわれ“!!」

 

双方、全力のワザを出すと見せかけて別のワザを使用した。

 

ゼリーの咆哮はずんだルドンをこんらんに陥れ、ずんだルドンのじわれはゼリーを襲う。

 

茜「躱してふぶき!!」

ゼリー「コオオオオーー」

茜(これで決まる)

 

ずん子「いっけえええええーーー!!!!」

 

ドッカーン!!

 

唐突に地面が爆発し、ずんだルドンの渾身の“あなをほる“がゼリーの腹部にクリティカルヒットした。

 

ゼリー「ガッ!??アーー!!??」

 

ずんだルドンはまだその場にいた。足下には穴。

そして、ゼリーに突撃したのも、ずんだルドンだ。つまり

 

ゆかり「こんらんして見えたのはみがわりか。」

マキ「いつの間にみがわりが!?」

きりたん「さすが、ずん姉様!!」

葵「お姉ちゃん……っっ!!」

 

 

ずんだルドンの衝突した衝撃で宙に浮く寸前のゼリー。

その格好は、ゼリーの顔がずんだルドンにゼロ距離だった。

 

 

茜「“ぜったいれいど“」

 

ずん子「え……」

 

ここまで全部分かっていた。そうとしか思えないほど、琴葉茜は冷静だった。

そして、パートナーのゼリーは

 

ゼリー「ーーーーーー!!!!」

 

 

主の命令通り、“ぜったいれいど“を必中距離で撃ち放った。

 

 

ずんだルドン「ガ………………」

 

 

その名の通りいちげきひっさつ。瞬間的に冷凍され、ずんだルドンは戦闘不能に陥り……

 

 

ずん子「あ……ああ………」

 

茜「ウチらの、勝ちやな。」

 

 

 

琴葉茜の勝利が決まった。

 

 

 




一応言っておきたいのですが、別にずんちゃん嫌いとか無いのです。
元から決まっていたのは
一勝一敗一分けでどっちが勝つか負けるか、その後の展開に関わることは予め決定事項。
マキのバトルはブライトとブラストで空中戦しようかと思ってましたが、ライディーンに変更に。
ずんちゃんは……実はもっとコテンパンになる予定だったのですが、盛り上がり重視にした結果ああなりました。
全体的に戦い方がセコい気もしましたが、只のワザのぶつけ合いなら他所でもやってるしと言うことで、クドいくらいに化かし合った感じになりました。
これは、作者が遊戯王の大会でよくやる戦法が参考になってます。


さて、既存のキャラクターに二次設定で性格を与えて小説書くのは初めての経験でしたが、ボイスロイドは好きで、元々各々の作者によって性格が変わるのが通例なところがあったので、楽しくやれました。

大まかに書くと

弦巻マキは
温厚。気遣いや。怒ると恐いお姉ちゃんタイプ。
でも博愛者。
才能は図鑑所有者で一番高い。
が、予定変更の関係でしばらくお目見え出来なくなりましたとさ(笑)

結月ゆかりは
口が悪く、面倒くさがりで、子供嫌いな我が道を行く自由人タイプ。
けど仲間に対して深い愛情を持ち、仲間にすると誰よりも心強い人で、厳しいながらもどこか甘い。

東北ずん子
ゆかりにライバル意識兼の憧れがあって、自分が負けている事も薄々自覚している。でも負けたくなくてつい憎まれ口を言う。一度素直になれば尽くす面倒くさい愛人タイプ。
同じ宿に泊まると朝は必ず朝食作って待っている。
無論ずんだ。

メンバー
ずんバドロ(バンバドロ)Lv81
ずんだルドン(カバルドン)Lv90
ずんだイゴン(フライゴン)Lv62
???
???
???


東北きりたん
同年代に負けたことが無く、イワークを専門知識無しで
進化まで持って行った“進化論学“の天才。
何気に自分が井の中の蛙であった自覚があり、ずん子に会いたいだけで無く、いずれ来るであろう限界を見極めるためにオーキドにアプローチをかけた。
本人は脅した結果編入出来たと思っているが、オーキドに認められるほど学に才を示しただけあり、早熟だが紛れもなく天才である。
本来の編入枠は琴葉茜一人だったのを無理矢理ねじ込んだ辺りにオーキドの期待の本気が伺える。


琴葉葵
ホウオウの巫女さまである姉とは違い両親の仕事の都合で各地方を転々としていた。
本作で使用したZリングは、かつてゆかりが手に入れたものの、ポーズがダサくて辛いという理由でオーキドに投げてよこした物を巫女の茜に流した末、妹を心配した茜からプレゼントしたという回りくどい経緯がある。

なお、Zリングはマキ・ゆかり・ずん子の三人がタマムシ学園の修学旅行中にカプから送られたかがやくいしを加工して作ってあり、残り二人は所持している。


琴葉茜
ホウオウの巫女で、エンジュシティに住んでいる。
巫女として戦術と戦法をとある指導者から学んでいたが、ホウオウから外で色々知って欲しいと願われ、スズのとうから出てきた。舞子のお稽古事もしており、大人になったら舞子兼巫女として生きることになる。
将来の進路に文句は無かったが、葵と会えないのが寂しくてオーキドに頼み葵と一緒に編入になった。
当時はどんな理由づけをするか頭を悩ませたオーキドだったが、コンテストに出場してマスターランクのリボンを各地方で獲得していたため、コンテスト科の編入試験を受けさせたところ、各地方を回って得た知識が豊富で主席レベルの実力を見せた。

メンバー
えびふらい(メタモン)Lv40
ゼリー(スイクン)Lv60→30
おむれつ(ライコウ)Lv62→32
はんばーぐ(エンテイ)Lv73→43

※右コラッタ時




さて、もうすぐ学園編。
ようやくなのか、もうなのか、分からなくなってきた


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タマムシ学園襲撃事件編
12 いざ、タマムシ学園へ


これが第二章と言えるのだろうか……ううん。分からん。


全ての親善試合に一応の決着が付き、少女達は仲良く話し合っていた。

 

葵「弦巻先輩。あの、マキ先輩って呼んでも良いですか!?」

マキ「うん。もちろんだよ。葵ちゃん。これからもよろしくね」

葵「はい!」

 

ずん子「うう……アレだけ卑怯な手使っておいてぜったいれいどにやられるなんて……ううっ…ぐすっ」

きりたん「ずん姉様、さすがに伝説のポケモンじゃ仕方ないですよ。」

茜「ううん…困ってしもうたなぁ…」

ゼリー「こらった…」

きりたん「う~ん……あれ?

そう言えばゆかりは何処へ行ったんでしょうか?」

茜「あーホンマや。どこにもおらんようになっとる。

ウチゆかり先輩に話あってん。探さな。」

きりたん「ゆかりに話ですか?」

 

茜「うん!ウチな、ゆかり先輩に弟子入りしたいんよ!」

 

きりたん「あ!」

 

茜「どうしたん?きりたんちゃん。」

 

きりたん「い、いえ!別にどうもしませんよ!?」

 

(茜ちゃんがゆかりに弟子入り……どうしよう。わたしまだゆかりに返事貰ってない。

もし茜ちゃんを弟子に取ったら、わたしはどうやってゆかりを越えたらいいんです……!?)

 

茜「ゆかり先輩、ウチの知らんこといっぱい知っとるみたいやし、なんとかお願いせんとな~」

 

きりたん「あわわわわ…!ゆ、ゆかりを探さないと!!」

 

茜「ウチもー」

 

 

脱兎の如く。二人の幼女は全裸パーカーの痴女を探すべく部屋を飛び出した。

 

 

 

 

ずん子「あはは……わたし、バトルだけじゃなく、先輩としての人気もゆかりにぼろ負けしてるじゃないですかー……。

まさかきりたんまでゆかりに行ってしまうなんて……もうゆかりに勝つの、諦めちゃおうかなー……」

 

 

きりたん「オーキドはかせ!」

茜「おじいちゃん~」

 

オーキド「おお?どうしたんじゃ二人とも。そんなに急いで。」

 

廊下でパーティーの料理を運んでいたオーキドと出会った。

 

きりたん「ゆ、ゆかりは何処ですか?」

茜「ウチらなゆかり先輩のこと探しとるんよ。何処におるかしらんー?」

 

オーキド「ゆかりくんなら、用も済んだからと帰って行ったよ」

 

きりたん「は!?」

茜「帰ってしもうたん?」

 

オーキド「ああ。元々彼女は後輩の面倒をみるタイプでは無かったから、まあ仕方ないと言えば仕方ないのじゃが……あの子のように努力で才能を越えるタイプは、師匠になるにはピッタリじゃと思うたんじゃが……おや?もうおらん。

子供は元気だのう…」

 

 

オーキドに必要な情報を聞き出すと、二人は部屋にとんぼ返りした。

 

きりたん「ずん姉様!」

ずん子「あ、ああ…きりたん!戻ってきてくれたんですか。」

きりたん「ゆかりは何処へ帰るんですか?」

ずん子「え?ゆかり??」

きりたん「ハカセが言ったんです。ゆかりは帰ったって。わたしゆかりに用があるんです!教えて下さい。」

 

茜「マキ先輩は知らへん?ゆかり先輩の帰るとこ」

マキ「ゆかりちゃんの帰るとこ?」

 

マキ・ずん子「ゆかり(ちゃん)なら、タマムシ学園の寮だと思うけど」

 

きりたん・茜「タマムシ学園!」

 

聞くや否や外に飛び出し、モンスターボールを開いた。

 

きりたん「アムドまる!」

茜「おむれつ!」

 

タマムシ学園に連れて行って!!

 

 

 

 

マキ「……どうしたんだろう、二人とも」

 

葵「あんなにアクティブなお姉ちゃん初めて見ました。でも楽しそう。」

 

ずん子「うう……マキさぁん、きりたんがゆかりに取られてしまいました……」

マキ「……あー、そういえばきりたんちゃん、さっきゆかりちゃんの言ってたことメモ取ってたよ。あと、膝枕とか。」

 

ずん子「膝枕!?私だってして貰ったこと無いのに!!!」

 

マキ「そこ傷付くところなの!?

と、とにかく私たちも二人を追いかけよう。」

 

ずん子「うう…!!きりたん………っっ」

マキ「ほら行くよ、ずん子ちゃん。」

ずん子「うう…はいぃ…」

 

 

マキ「ブレイズ!」

ずん子「ずんだイゴン…」

 

--二人を追って。

 

 

 

 

 

 

 

オーキド「お~いみんな。料理が出来たぞ~たくさん食べて親睦を深めておくれ………………あれ??」

 

ゆかり「zzz……」

 

そこにいたのは、なぜかきりたんと茜が追いかけて行ったはずのゆかり一人だけだった。

 

 




何でいるんすかゆかりさん……。


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13 結月ゆかりははいてない

その後のゆかりの行動


オーキド「ゆかりくん!ゆかりくん、起きとくれ」

 

ゆかり「ん~……」

 

オーキド「ゆかりくん。キミはただでさえ破廉恥な格好しとるのにそんなに動いたら肌が丸見えに……」

 

言いながら視線は常にパーカーの中にロックオン。一瞬たりとも逃すまいと目をカッ開く。

 

ゆかり「んん~…………はかせぇ…???」

 

オーキド「お?おお!起きたかゆかりくん。」

 

寝ぼけ眼で船をこぎながらも返事を返す。

 

ゆかり「………おきた…」 

 

オーキド「ゆかりくん。良く聞いておくれ、さっきまで部屋に居たはずの皆が突然おらんくなったんじゃ!!」

 

その言葉を聞き、ゆかりの頭は完全に覚醒した。

 

ゆかり「……どういうことです?

マキさんやずん子にきりたん、茜、葵。いずれも誘拐されるようなトレーナーじゃありませんが?」

 

オーキド「おお。キミが小学生組の名前もしっかり覚えておったとは意外じゃ……」

 

ゆかり「いいから順を追って話なさい。」

 

オーキド「あ、ああ。実はさっき茜くんときりたんくんがのう…」

 

説明中…

 

 

ゆかり「ならタマムシ学園ですね。二人は私の学園の寮以外の寝床は知らないですし。」

オーキド「ふむ。ところでゆかりくんは、何故研究所に残っておったんじゃ??たしか帰ると聞いたんじゃが…」

 

オーキドの問いにゆかりはきょとんとしながら…

 

ゆかり「何言ってるんです?ここは私の家ですよ?」

オーキド「ここワシの家!!」

ゆかり「アナタの物は私のものです。」

オーキド「横暴!!!」

 

ゆかり「うら若い乙女の肌をいやらしい目で覗く老害にはムショがお似合いでしょう」

 

オーキド「え!?あ、いや……それはその………」

 

ゆかり「まあ、チョーカーのリボンで局部は隠してますけど。」

 

オーキド「ジイィィィザス!!」

 

ゆかり「うるせえジジイですね…履いてるパンツでもやれば黙るんですかね?」

 

オーキド「もう騙されねえから!ぜってー騙されねえからな!!フン!!」

 

ゆかり「どのみち無理ですけど。わたしパンツは履かない主義ですし。」

 

オーキド「…………………(チラリ)」

 

そう言いながらたくし上げたスカートの横から見える生足には、下着の線がどこにも無かった。

 

オーキド「……………………………………(バタン)」

 

ゆかり「あーあ…鼻血吹いて倒れたよ。若いジジイ…」

 

やれやれと頭を掻きながらオーキドをソファの上に寝かせて止血・輸血を済ませると、オーキドが持ってきた料理を摘まんで手紙を書いて出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

さっさと連れて帰ります。

美味い食事でも用意しといて下さい。

 

 

                  ゆかり

 

 

 

 

 




オーキドはゆかりのオモチャなんやなって


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14 突撃、タマムシ学園

新キャラ登場


ここはタマムシ学園。

各地方のポケモン塾で優秀な成績の生徒だけを集めたエリート学園だ。

ここを卒業すれば、ポケモンに関する就職が非常に有利であること。そしてエレベーター式で一度入れれば受験も無いこともあって、世界中の学生の憧れの的。

人数は少ないが初等部も存在している。

今も初等部のバトルフィールドで生徒がポケモンバトルをしている。

 

 

「いけ!ラッタ!!ひっさつまえば」

 

「いっけえー!しらすどん!!ドラゴンクロオオオォォーー!」

 

ラッタ「ブラアアッター!?」

 

しらすどんと呼ばれているシビルドンのドラゴンクローがラッタにヒットし、ラッタは場外に吹っ飛んだ。

 

それを見ていた審判役のゆるふわコーデのお姉さんが宣言する。

 

「ラッタ、戦闘不能。シビルドンの勝ち。

よってこのバトルの勝者はウナちゃんです。」

 

「よおおおおっしゃあああーー!!」

 

マッギョの帽子を被ったメガネの少女。音街ウナは、ハイテンションでシビルドンに抱きつき勝利を喜んだ。

 

ウナ「さすがしらすどん。わたしのドラゴンだー!」

 

ゆるふわお姉さん「あの、ウナちゃん。シビルドンはドラゴンタイプじゃないんだよ……?」

 

ウナ「ええー!でもしらすどんはちゃんとドラゴンクローしたよ?ささら姉ちゃん!」

 

ささら「ウナちゃんにとってはドラゴンクロー出来るポケモンならドラゴンなんだね……」

少し複雑そうに笑いながら、ゆるふわお姉さん。さとうささらは納得する。

 

ささら「さあ次は誰がバトルしようか?

バトルしたい人~」

 

初等部生徒達「「「は~い!!」」」

 

皆元気よく手を挙げる。

すると……

 

 

「おむれつストップやああああーー!!?」

「アムドまる止まってえええーー!!?」

 

ドカーン。

 

何者かがバトルフィールドの壁を突き破り、空からの飛来物が突き刺さり、何かが音街ウナにぶつかった。

 

きりたん「ふぎゃっ!?」

ウナ「むぎゅっ!!??」

 

茜「ああ~~目が回るわ~」

 

 

ささら「え?え?えええーー!!?なんか突撃してきたー!?」

 

 

 

 

一方その頃、きりたん達を追っていたマキ達は……

 

 

マキ「どうしよう。思ったよりきりたんちゃんのスピードが速い……」

ずん子「あの子はこうそくいどう出来ますからね……」

想定以上のスピードで移動されたことで焦燥感を感じるマキと未だ立ち直っていないずん子。

マキ「困ったなぁ…こっちがりゅうのまいでスピードあげても、向こうの方が速いし……」

葵「お姉ちゃんのおむれつはただ移動するなら瞬間移動に近い速さで移動出来ますし……」

ずん子「…………。」

マキ「ずん子ちゃん、元気出して。きりたんちゃんだって、ずん子ちゃんが嫌いになったわけじゃ無いんでしょう?」

ずん子「そうですけど………うう…」

マキ「大丈夫だよ。学園に着いたら研究所に戻ってちゃんとお話しよう?ゆかりちゃんも一緒に。」

ずん子「はい……」

 

葵「ところでマキ先輩、結月先輩は飛行手段あるんですか?二人とも当たり前のように飛んで行っちゃいましたけど」

 

マキ「ううん、私が知る限り持ってないと思う。」  

 

葵「じゃあ二人が飛んでいったのって無駄なんじゃ……」

 

マキ「う~ん、ゆかりちゃんはいつも知らない内に傍にいるから、学園に着いてても不思議じゃ無いけど」

 

葵「なんですかソレお化けですか!?」

 

ゆかり「う~ら~め~し~や~」

 

葵「きゃーーー!!???」

 

3人が後ろを見ると、ライディーンの足に掴まったゆかりがいた。

 

マキ「あれ?ゆかりちゃんどうして??」

ゆかり「いや~こうそくいどうが出来るライディーンを置いてって貰ったのは助かりました。」

 

ライディーン「つまみ食いしてただけなんだがな…」

 

ゆかり「死にぞこないはドードリオしか持って無いですからね。あいつの空中走りをそらをとぶに認定している協会はどうかしてますね。」

マキ「いや、学園帰ったんじゃ無かったの?」 

 

ゆかり、説明中…

 

 

 

マキ「ゆ、ゆかりちゃんってオーキド博士のこと好きなの?嫌いなの??」

ずん子「オーキドはかせの研究所がマイホーム扱いとか……あそこ、結構散らかってますよ?

わたし到着そうそう片付けましたし。

てっきり嫌ってると思ってましたよ」

 

ゆかり「?何言ってるんです?私は研究所も、あの死にぞこないも好きですよ?」

 

マキ・ずん子・葵「ーー!!?」

 

ゆかり「……???」

 

何言ってんだこいつらという顔のゆかりと、あんだけのことをしといて博士と研究所が好きって何考えてんだこいつという顔をする一行。

 

マキ「ゆかりちゃん、もう少し博士に優しくしてあげた方がいいよ?嫌われる前に」

ずん子「ですね。」

 

ゆかり「いいんです。…私は、好かれない方が好きですから。

あのおじいちゃんは天然記念物並みのお人好しですけどね。フフッ。」

 

マキ・ずん子(……可愛い)

 

思わず思ってしまうほどの笑顔で、ゆかりは笑った。

 

 

 

ささら「本当に大丈夫?3人共」

 

きりたん「はい。この度はご迷惑をおかけして済みませんでした…」

茜「ウチも大丈夫です~。壁、壊してもうてごめんなさい。」

ウナ「ウナはマッギョ帽子があったから平気。」

きりたん「ごめんね、ぶつかっちゃって」

 

ウナ「いいよいいよ。ウナは音街ウナっていうの!

あなたの名前は?」

 

きりたん「私は東北きりたん。

4月からここの実戦科に編入することになってるの。よろしくね」 

 

茜「ウチは琴葉茜や。双子の琴葉葵と一緒にウチらも編入組やねん。よろしゅう」

 

ウナ「うん!よろしくねー」

 

ささら「なるほど~あなたたちが編入生だったんだね。

まさか空から飛んできて壁を突き破って来るとは思わなかったよ。

私はさとうささら。4月から高等部の1年生だよ。」

 

茜「先輩やったん?ウチてっきり先生かと思ったわ~」

きりたん「私も。」

 

ささら「えへへ。将来は学園で先生になりたいんだ。

だからこうして、初等部の子達と一緒に自習練習してたの。」

 

きりたん「それでまだ3月なのにバトルしてたんですね。」

 

ウナ「ちなみにウナが勝ったよ。ブイ!」

 

茜「お~立派なシビルドンやな~。」

 

ウナ「えっへへ~。パパと一緒に育てたんだ」

 

ささら「あ、ところで二人は今日はどうして学園に来たの?見学かな?」

 

 

きりたん・茜「「あ!」」

 

きりたん「忘れるところでした。佐藤先輩。」

 

ささら「ささらで良いよ。きりたんちゃん。」

 

きりたん「じゃあささら先輩。私たち人を探した来たんです。」

 

ささら「人?だれかな?」

 

茜「あんな、結月ゆかりって言うねんけど」

 

 

ささら「結月ゆかり--!?」

 

ゆかりの名を聞いた瞬間、ささらはビクッと肩を震わせた。

きりたん「ささら先輩?」

 

ささら「ゆ、結月ゆかり……さんって、2年生かな?」

 

きりたん「そう言ってました。実戦科です。」

 

ささら「う……う~ん…………」

きりたん達の言葉に、ささらは困ったなぁと考え込んでいると……。

 

男子生徒「なあささらちゃん。」

ささら「え、あ。何かな?」

男子生徒「あの二人とウナ、行っちゃったんだけど。」

ささら「え!?うそぉ!」

 

さっきまでそこにいた少女達は、さっさと行ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さとうささらさんはうらおもてのないいいひとです。

そんなわけで音街ウナとさとうささら。参戦。






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15 幼女捜索。タマムシ学園をあされ。

ずんちゃんが、段々病んでいってる気がする……


現在の状況。

 

きりたん・茜・ウナ 高等部学生寮へ移動中。

マキ・ゆかり・ずん子・葵 タマムシ学園到着。

さとうささら 幼女3人を探して学園探索中。

 

 

ゆかり「さて、とっととジャリ2匹を拾って帰りますか」

欠伸をして学園内に入っていく。が、そんなゆかりの肩を掴む者がいた。

 

ずん子「ゆかり、何であの二人がこんなところまで来たか分かってるんですか?」

 

ゆかり「ええ。体力有り余ったガキの暴走です。」

 

ずん子「…………。」

 

マキ「ずん子ちゃん、今は」

 

ずん子「マキちゃん。すみません、先にきりたんと茜ちゃん、探してきて貰えますか?」

 

マキ「ずん子ちゃん……」

 

ずん子「お願いします。ちゃんと話がしたいんです。」

 

マキ「…………分かった。何か分かったらポケギアで電話して…」

 

ずん子「……はい。」

 

マキと葵は、先に学園内に入って行った。

これで、ゆかりと話が出来る。

 

ずん子「ゆかり、まず私はあなたに謝りたいこと………え?」

 

だが、ゆかりはさっさと門の中へ入って行った。

 

ずん子「に、逃げる気ですかゆかり!?」

ゆかり「話なら、何も学園の門の前でやる必要は無いでしょう。学食、私の寮部屋。それとも……」

 

ゆかりは挑発気味に笑いながらずん子を見て

 

ゆかり「バトルフィールドに行きますか?」

 

ずん子「--なっ!?」 

 

その笑みには、自分を脅威に感じていないことが伝わる。

今日一日だけで、ずん子の拳は劣等感から食い込む爪で刺し傷に近い裂傷が出来ている。

 

本当は今すぐにでもバトルを挑んで倒してやりたい。

 

だが……。

 

ずん子「……………マキさんと、約束しましたから…ッッ!」

 

ゆかり「答えになってませんよ…何処で話すんです?

ねみーんで、早く済ませて帰りたいんですが」

 

ドンッ!!

 

ゆかりは校門に叩きつけられた。

ゆかり「いってえ……」

ずん子の目には怒りが、悔しさが、涙が、一斉に浮かぶ。

ずん子「--私は!!私は……!!!あなたに……っ!」

ゆかり「壁ドンするほど欲情してるんですか」

 

ゆかりの茶化しも聞く耳持たず、ずん子は自身の心の泥を吐露する。

 

ずん子「何で私は……あなたに負けなきゃいけないんですか!!?」

 

ゆかり「知りませんよそんなこと。勉強しなさい」

 

ずん子「何できりたんが貴女に懐いてるんですか!!?」

 

ゆかり「なお知しません。本人に聞きなさいよ」

 

ずん子「きりたんも!!茜ちゃんも!!

貴女を追ってこんなところまで飛んできた!なんで貴女みたいな自分勝手な人のところに!?」

 

ゆかり「……さあ?」

 

いずれも、ゆかりには心当たりが無いことばかり聞かれている。

 

ずん子「う………うわあああああーー!!」

癇癪を起こしたずん子は、モンスターボールを取り……

 

ささら「止めて下さい!」

 

ずん子「っっ!?」

 

偶然通りかかったささらに制された。

 

ささら「何があったのか分かりませんが、無抵抗の人にポケモンで攻撃するつもりなんですか!?」

 

ずん子「あ……………ゆか、り」

 

ずん子に押さえ付けられていたゆかりは支えを失い力無く崩れ落ちた。

ささらはすぐにゆかりに駆け寄り、様子を確認する。

 

ささら「あの、大丈夫ですか?怪我は?」

 

ゆかり「ええ。まあ、無事です。」

 

ずん子「あ……ゆかり………」

 

ゆかり「ほら、行きますよ。さっさときりたんと茜を探して帰るんですから。」

 

ずん子「…………(コクン)」

 

研究所で怪我させたことを謝りたかった。

きりたんと茜ちゃんがゆかりを尊敬してここまで来たんだと言うことを知って欲しかった。

 

でも、全部台無しにした…………。

 

ゆかり「ハア…面倒だ……ガキども、さっさと拾って帰ろう…」

 

ささら「……あの、いいですか?」

 

ゆかり「はぁ…?なんですか」

 

ささら「もしかして、結月ゆかり先輩ですか?」

 

ゆかり「そうですが?」

 

ささら「さっき、東北きりたんちゃんと、琴葉茜ちゃんが、あなたを探していたのですが」

 

ゆかり「…………今はどこに?」

 

ささら「それが、初等部の音街ウナちゃんと何処かに行ってしまって……」

 

それだけを聞くと、ゆかりは少し考え、ある程度居場所を絞り込んだ。

 

ゆかり「ずんだ、アンタは初等部の教員室へ行きなさい。私は女子寮を見てきます。」

 

ずん子「居場所、分かったんですか?」

 

ゆかり「大方、その音街ウナギってのと私の寮部屋を探しに行ったんでしょう。ウナギが知らなくても、あの二人なら、教員に聞きに行く程度の頭は回るはずです。

私は大穴で音街ウナギが高等部女子学生寮を知っていた場合を考えて寮長のとこへ行きます」

 

ささら「あの、ウナギじゃなくてウナちゃんです。」

 

ゆかり「ああ、ついでに貴女。放送室で二人に放送して下さい。結月ゆかりが来たから、校門に来るようにと」

 

ささら「ええ!?放送室を私用で使うのは…」

 

ゆかり「子供が迷子なんですから、教師に言えば使えますよ。そうでしょう?よろしく。」

 

ささら「…………。」

 

ゆかり「おら。ずんだ、働け。妹が迷子ですよ」

 

ずん子「う……うう~~はいっ!!分かりましたぁ!!!きりたーん!!」

 

ゆかり「じゃあよろしくお願いします。」

 

こうして、ゆかり、ずん子、ささらはそれぞれの場所に分かれる事になった。

 

 

 

 

ささら「あれが結月ゆかり先輩……噂通りのかたやぶりな人だなぁ……。」

(きりたんちゃんと茜ちゃんは、どうしてあの人に弟子入りなんて言い出したんだろう…?)

 




ささらんは巻き込まれ系のヒロイン枠が似合いそうだと思ってたの。似合わない?


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16 少女の修行風景

ゴールデンウィーク、最後の投稿です……さらば休日、さらばモチベーション。


さらば、毎日上がる閲覧数とお気に入りの数…………


きりたん・茜・ウナ 高等部女子学生寮前。

 

ウナ「と言うわけで、ここが高等部の女子寮だよ!」

 

きりたん「デカいですね。魔女でも住んでそうなほど暗いし」

茜「小さくて可愛らしいな~。お人形さんのおうちみたいや 」

 

両者の意見は両極端だった。

 

きりたん「え!?マジですか茜ちゃん。これが小さい……!?」

茜「ウチが住むスズのとうはでっかいけど可愛らしさは無かったんや。ちょっと嬉しいわ~高等部になったらこんなおとぎの国みたいなとこに住ましてあたるんやろか~」

 

そう語る茜の表情は、夢見る乙女のソレだった。

 

きりたん(この人、ホウオウの巫女とか言ってたけど、めちゃくちゃ浮き世離れしてるんじゃ……それとなくフォローしないとマズいかもですね。主に茜ちゃんにケンカ売って行った生徒の命が。ジョウト準伝ポケによって)

 

先ほどゆかりに躊躇無くミラコートを撃ったスイクン、ゼリーを思い出す。そして、人間か疑わしいほど完璧にポケモンのワザを避けきったゆかりを。

 

きりたん(…………ゆかりは特殊な訓練をしてるんでしょう。だから助かったんです。

けど、小学生が伝説のポケモンのワザなんか喰らったら普通に死にますからね。

--普通死にますからね!!)

 

ほんの少し自分も出来るようにならなければならない気がするきりたんは、しっかりとアレがよい子は真似してはいけない物だと自分に言い聞かせる。

 

ウナ「それじゃあ、ウナは寮長にゆかり先輩を呼んで貰ってくるから、少し待っててね。」

きりたん「はい。よろしくお願いします。音街さん」

ウナ「ウナで良いよ~!じゃあ行って来まーす!!」

 

 

寮へ入っていくウナを見送ると、茜はまだ女子寮を楽しそうに見つめていたので、きりたんはノートを出して今日の復習を始めた。

 

きりたん(えっと、ゆかりが出した最初のポケモンは分からないままだったから、あの黒い霧の正体のゲンガー。くろすけについてですね。)

 

私が出していたのはハガネまる。

個体名称ハガネール。ハガネ・じめんタイプ。

ゲンガーは、たしかゴースト・どくタイプ。

 

きりたん「実はタイプ相性的には私の方が有利だったんですよね…」

 

どくタイプは、ハガネタイプに無効化され、じめんタイプのワザには弱い。

特殊攻撃には弱いハガネールだが、正面から戦っていればじしんで倒せていた。

少なくともタイプ相性では。

 

きりたん「けど、実際私はゆかりに負けました。

それも、何で負けたのかすらゆかりは気付かせなかった。

突拍子無く歌ったのは、ほろびのうたを隠すためでしたーなんて馬鹿にしてる………でも、実際やられてみたら、凄く有効な手でしたね。」

 

なら、まずはそこから試してみようか?

 

きりたん「地元のポケモン塾では、同年代の子には負けたことありませんでしたからね。

ハガネタイプのハガネまるに、コラッタやらキャタピーで戦えるわけは無いですけど。」

 

つまりタイプ相性が良い相手には、トレーナーの実力差が無ければ勝てる。

だから…

 

きりたん「実力差が小さい相手のあえて相性不利で勝てるように研究してみましょうか……う~ん…どうしょう?」

 

茜「なにしとるん?きりたんちゃん」

 

きりたん「あ、茜ちゃん。もう女子寮は見飽きたんですか?」

 

茜「ううん。まだまだ見てて飽きひんよ。

ただ、きりたんちゃんが悩んどるみたいやから。

ウチは、きりたんちゃんのお手伝いには…ならんかな?」

 

きりたん「う~ん、そうですねぇ…実はやりたいことがあって…………」

 

せっかくなので、ホウオウの巫女さまならどうするのか参考がてら聞いてみましょう。

弱点相手にどう戦うか。

 

きりたん「という訳なんですが」

 

茜「なるほどな。なら、こういうひっさつわざがあるよ」

 

きりたん「あるんですか!?」

ちょっと聞いただけで、すぐ方法が浮かぶほど勉強してるんですかね……少し悔しい気もしますが、強さに関するプライドはこの際ゆかりに勝つまでお預けです。

……悔しいけど

 

 

 

茜「うん。ハガネまるって確か………やろ?」

 

きりたん「……な、なるほど。そんな手が……」

 

 




ポケモンUSUMのチュートリアルがようやく終わりましたとさ。

ボイスポケットのパーティー作ってみようかな……
予定外のウナとささらん以外はフルメンバー決まってるし………


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17 揺れ始める。心と物語

タマ園編はスロースタートでお送りしております。

それにしてもそろそろバトル欲しいですも


ずん子「きりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたん……………………」

 

皆さんこんにちは、東北ずん子です…。

今私は愛する妹を探して初等部教務員室から出てきたところです。

けど…きりたんも、茜ちゃんも、どこにもいませんでした。

 

ずん子「きりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたんきりたん……………………」

 

探し人が見付からず、ゆかりには癇癪起こして八つ当たりして…私は一体なにをしているのでしょう……。

 

ずん子「…………リーグの出場権を手に入れて、強くなれば。ゆかりに追いつけると思ってたのに」

 

マキさんは凄い才能を持っていて、カントーのポケモンリーグ四天王とチャンピオンすら一目置く殿堂入りトレーナー。

でも、ゆかりにはそんな肩書きも無ければ、人には出来ない特殊な力があるわけでも無い。

 

ずん子「だから、勝ちたかった。勝てると思ってた…」

 

傍若無人。自由奔放。人間嫌い。

…………でも…尊敬出来る女性。

 

 

ずん子「……わかってますよ、格好いいことくらい。」

 

 

 

傍若無人?

あの人について行けるトレーナーがいなくて、結果一人だっただけじゃないですか。

自由奔放?

そんな人が本当にこんな所まで追いかけて来る?

人間嫌い?

 

 

ずん子「…………そんな人が、私みたいな癇癪玉と…………一緒に居てくれてるわけ…ない、じゃないですか……今度こそ、今度こそちゃんと謝らなきゃ。

今度こそ……」

 

 

 

???「フフフフ……面白い。なんと面白い、悪意とも害意とも違う--純粋悪の素質だ」

 

 

 

ずん子「え?あ…」

 

背後からかけられた声に振り返ることも出来ず、東北ずん子は、意識を手放した。

 

???「この素質、我々が、レインボーロケット団が利用させて貰おう。」

 

 

 

 

--高等部女子寮内。

 

ウナ「おまたせー。ただいまー」

きりたん「お帰りなさいウナちゃん。ゆかりは居ましたか?」

 

ウナ「それがねー結月先輩に会いに来ました!って言ったら……

『だ、ダメよそんな人のところに行っては!!【紫毒のゆかり】は小学生だって手加減なんてしない怪物よ!?近づいちゃダメ!!』

……ってめっちゃ涙目の震え声で言われてね。」

 

茜「おお~ウナちゃん演技めっちゃ上手やな~」

 

ウナ「えへへ~これでもウナ、アイドル目指してるから~」

 

きりたん「…………『シドクのゆかり??』」

 

ウナ「うん。何か、そう呼ばれてるんだって。

それでね、結月先輩のお弟子さんが会いに来てるんですって言ったらウナもそうなのか聞かれたけど、話が逸れそうだったから

『……結月先輩を待たせていいんですか?』

って悪い笑顔で言ったら、オシッコ漏らしてカギだけくれたよ。」

 

きりたん「一体ここで何してたんですかあの女は!?」

 

ウナ「う~ん、結月ゆかりは昔ロケット団を壊滅させたって聞いたことあるけど……分かんないなぁ」

 

きりたん「ロケット団……??何ですかそのスケット団みたいな名前の組織は。

ロケットでも作ろうとしてたんです?」

 

茜「Raid On the City, Knock out, Evil Tusks.(町々を襲いつくせ、撃ちのめせ、悪の牙達よ)」

 

ウナ「茜ちゃん??」

 

茜「その頭文字を取って、ロケット団。世界征服を企む悪の組織や。

七年前までカントーで活動しとったけど、ボスのサカキがマキ先輩に負けて解散したもんを作り直したやつを、ゆかり先輩がもう一度倒したんや。」

 

少しだけ大人な茜は、後輩ふたりに昔のことを語り聞かせる。

 

茜「サカキその人は、純粋に力で人を支配しようとしとって、強い人と正々堂々と戦うから、悪の組織ながら憧れる人も多かったんやけど、それでもポケモンも人も、沢山傷付いた。

マキ先輩はそんな様子を見てサカキを止めるために戦ったらしい。」

 

ウナ「マキ先輩なら知ってるよ。おっぱい大っきい人気者の人だね。」

 

茜「けど、もう一度ロケット団を作り直した次世代のロケット団は、ずる賢い奴やったらしい。

 

当時はマキ先輩がもう一度倒してくれることをみんな信じとったけど、倒してくれたのは英雄では無く、嫌われ者やったんや。」

 

きりたん「嫌われ者??ゆかりが?」

(たしかにゆかりは誤解を受けやすい性格してそうですが、嫌われ者??)

 

茜「うん。あんなぁ、きりたんちゃん。ゆかり先輩はな…」(あ、でもこれはもしかしたらウチが言わんでゆかり先輩が言い出すの待った方がいいかな……??)

 

きりたん「茜さん?」

 

茜「あ、えっとな……」

 

 

 

「あら…貴女は、東北きりたんさんではないですか」

 

きりたん「え?」

 

茜が言い淀んでいると、背後から声を掛けてくる女性がいた。

 

きりたん「………」

 

「きりたんさん?どうか致しましたか?私の顔をじっと見つめて」

 

 

きりたん「………誰でしたっけ??」

 

 

ツツジ「ホウエン地方カナズミジムのツツジですわ!

お会いしたのは三日前ですのよ!?

何で忘れられているんですか!!」

 

きりたん「???」

 

ツツジ「え??嘘ですよね、わたくしそんなに印象に残らないんですか………」

 

 

カントー地方に唐突に現れたホウエン地方ジムリーダーにより話が逸れたことで、茜は人知れず胸をなで下ろすのだった。

 

 




ずん子「東北ずん子と」
葵「こ、琴葉葵の」

ずん子・葵「後語りコーナー!」

葵「あの…東北先輩、これは一体何なんでしょうか?」

ずん子「説明しよう!このコーナーは第1話から今に至るまで、ビックリするほど出番が薄い私たちがスポットライトを浴びるために作られた苦肉の策なのである!!」

葵「余計なお世話ですよ!?」

ずん子「いや、でもさ…私、ゆかりやマキさんと比べて扱い雑じゃない?
マキさんは冒頭でこの子主人公です感出てたし、伝説持ちだし。
ゆかりは説明不要レベルで優遇されてるのに私今のところ癇癪持ちのヤバい奴ってことしか伝わってこないよ?」

葵「それは確かに不遇ですけど、私は別に自分の出番は気にしてませんよ?」

ずん子「双子の姉の茜ちゃんは
ホウオウの巫女で、ジョウト準伝三体持ちで、今まさにきりたんウナちゃんと組んでJSトリオで主人公みたいになってるのに?」

葵「う…」

ずん子「ぽっと出のウナちゃんと比べてもなお出番が薄い気がしないの?本当にしないの?
既に特技が演技、マッギョの帽子、元気キャラ、目指せアイドルとキャラが掘り下げられている中で葵ちゃんは本編に出てる設定だけ、ネタバレ無しで自己紹介出来る?」

葵「いちおう私、Zワザを本編中に初めて使用したんですけど」

ずん子「そもそも何でZリングを葵ちゃんが持ってるの?それすら描写なかったよね?」

作者「ビクッ」

ずん子「アローラ地方でしか出てこないリングを葵ちゃんが持ってるの何で?」

葵「私だけじゃ無いですよ?お姉ちゃんもきりたんちゃんも研究所で貰ってますが」

きりたん『ポーズがダッサイから研究所に置いてきた。』
茜『伝説ポケモンにZワザ使うたら大惨事やと思うから止めといた』

ずん子「こいつら先輩相手に舐めプかよ後で屋上な」

葵「東北先輩が段々と所謂クズん子に近づいてませんか?」

ずん子「本当は作者もクズん子で行きたかったんだけど…ほら、私今何か変態に襲われたっぽい雰囲気出てるじゃん?囚われのお姫様的な事になってるじゃん?
私がクズん子だと今後こういう展開でも誰も助けてくれないし悲壮感無いから出来なかった。読者的に」

葵「今も大概悲壮感無さそうですけどね。
むしろクズん子より嫌われてそうですけどn」
ずん子「そそそそんなことねーし!わたし超人気者のアイドルだし!!ゆかまきより人気者だし!」

葵「マキ先輩はともかく、結月先輩は嫌われ者なのでは?結月先輩以上の人気って、あんまり自慢出来ないような」

ずん子「タマムシ学園では人気者だもん。
男女問わず私の美貌にメロメロだもん。
お願いすればヤマブキシティまでマックのポテト買ってきてくれるもん」

葵「パシリですか…」

ずん子「かくなる上は人気投票で決着よ!」

葵「投票する人もいないのにですか?」

クズん子「だからこそ身内投票で私の勝ち。ふひっ」

葵「見下げ果てたゴミクズさんですね。」


クズん子「感想・意見・コメントお待ちしています!!」

葵「最後に、お気に入り登録して頂いた12人方々へ感謝を。
ありがとうございます。」




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18 未来を先に置いて過去を後に置いてみる

休みで予定も無かったので話を進めてみることに。
毎日少しずつ増えていく閲覧数。更新しないままひと月経ってても見て貰える。


結論、ポケモンやボイロの知名度ってすげー


きりたんと茜を探して学園内を探索していたマキと葵のグループは、かれこれ30分近く歩き続けていた。

 

マキ「お~い、茜ちゃんーきりたんちゃんー?」

葵「おねえちゃーん」

 

ぽよんぽよんと揺れるマキの双丘に挟まれながら、手持ち無沙汰なピカチュウーーブライトは木魚を叩くようにしてマキの胸を叩いていた。

 

ブライト「ピカァ、チュピァ、チュ~チュ~ピカァ……」

 

葵「あの、マキ先輩…ブライトは一体何を……??」

 

マキ「う~ん…最近私の胸を使って遊ぶのがマイブームみたいで。昨日は太鼓だったんだけど、痛いから止めさせたの。一昨日は板チョコが何枚乗るのか試してたみたいだし」

 

葵「そ、そんなことが」

 

マキ「もしかしたら、最近バトルしてないから運動不足で暇なのかもしれないなぁ」

(本当ならさっき研究所でのバトルで運動させてあげたかったんだけど)

 

ブライト「ピ~カ………ピ?」

 

唐突に手を止めたブライトは、キョロキョロと辺りを見回し始めた。

 

ブライト「ピカ…」

 

マキ「どうしたの?ブライト」

 

ブライト「ピカチュウ!」

 

ペシペシとマキのヘッドホンを示すブライト。

 

マキ「……ちょっとまってね」

 

そう言うと、マキは首に下げているヘッドホンを外していじり始めた。

 

葵「マキ先輩?どうしたんですか?ヘッドホンなんていじって……」

 

マキ「うん…ちょっと待ってね。私機械の操作ってあんまり得意じゃなくて…………あ、出来たかな?ブライト、どう?」

 

操作を終えたのか、マキはヘッドホンを再び首に下げた。

するとブライトはピカッっと咳払いのような仕草をして

 

ブライト『…………ピカピカーただいまヘッドホンのテスト中。ピカピカ。

おっけー('◇')ゞ一発で成功なんて、今日はついてるね。マキ』

 

葵「え!?ブライトがしゃべった!」

 

ブライト『正確には、日本語を話した。ってことだね。

ピカチュウだって言葉くらい話すよ。ピカチュウ語だけど。

なんでポケモンは人間の言葉分かるのに逆はダメなんだろうね~?』

 

葵「ピ、ピカチュウって言葉だけでこんなに話してたんだ。日本語話せるなら、普段から話してくれれば良いのに。」

 

ブライト『いや、ペットって何言ってるか分からないから可愛い~とか癒される~とか言ってられる余裕があるんだと思うよ?

普段からしたい?ピカチュウに

「マキ、もう夜なんだからジュース飲んじゃダメだよ!」

とか

「食器洗うのに水を出しっぱなしにしちゃダメ」

とか日本語で言われる生活。

同じ意味を感じるにしてもピカチュウ~って言われてるのとは全然感じ方違うと思うよ?』

 

葵「な、なんか嫌かも。そんなピカチュウ。」

 

主に目の前で人間そのもののように例え話をするピカチュウを見ながら思う葵であった。

 

マキ「あう……」

 

そして私生活でピカチュウに説教喰らっていたことを暴露されたマキは恥ずかしそうに顔を背けるのだった。

 

 

 

 

タマムシ学園 特別通路ーー殿堂の間

 

 

ライディーン「ここが往年のポケモンリーグ殿堂入りを果たした者達を記録する場所か」

 

カントー伝説の鳥ポケモン、サンダー。ゆかりを運んで学園に訪れた彼は、さっさとヒト型に変化して園内を回っており、偶々足を運んでいた先で目にした場所に来ていた。

 

せっかくだからと探していたとある写真を見つけると足を止めた。

 

ライディーン「随分早く見つかった…いや、これだけ少なければ当たり前だな。」

 

 

カントー殿堂入りの3人目にして、今世紀最初の殿堂入りトレーナー弦巻マキと、かつてのパーティーの写真がそこにあった。

 

サンダー「…懐かしいな。」

 

10歳のマキがいた。手には“かみなりの石“と、ハイパーボール。

 

ピカチュウのブライトがいた。特技の“みがわり“とハイタッチをしながら写っている。

 

リザードンのブラストがいた。誇示するように“かえんほうしゃ“を天高く上げている。

 

イーブイのエヴォルがいた。寝ている。

 

そして……雷の神、サンダー。炎の神、ファイヤー氷の神、フリーザー。

 

ライディーン「かつての英傑達の姿は、今はもうこのような人間の利器によってしか見ることは叶わん……」

 

写真に写るファイアーとフリーザーの姿を手で撫でる。

 

 

ライディーン「さて…今どこで何をしているやら」

 

 

 

 

 

場所:???

 

コツン、コツン、コツン。

石で出来た階段を、緑髪の少女と共に降りるクセの無い長髪を腰まで垂らした女が一人。

タブレットでデータを閲覧する。

 

「なるほど…東北じゅん子。ホウエン地方チャンピオンリーグまで出場か。

使用タイプはじめん。そして……」

 

ずん子の右手の中指、矢を模したリングを見る。

 

「フフフ。ボスもお喜びになるだろう。」

 

ずん子「………………。」

 

「さあ、東北じゅん子よ、まずは貴様の闇を見せて貰おう。この●●●●●●●とともに。」

 

 

階段を降りきった先に広がっていた研究所は、冷凍庫のように寒かった………。

 

まるで、冷気の塊がそこに在るかのように。

 

 

「弦巻マキ。そして…………結月ゆかり。

かつての復讐と行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紲星あかり。ギャラ子。
モチベーション保ちながら話を進められればこの二名も出したいト思います(小並)

特に紲星さんに関しましてはキャラははっきり決めてますが、ポケモンどうするかな……


ご意見・感想などお待ちしております。














ささらさんはうらおもてのないすてきなひとです
きずなさんはうらおもてのないすてきなひとです


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19きりたんがわんわんお

Side:きりたん・茜・ウナ

 

ツツジ「コホン、それでは改めて自己紹介致します。

私はカナズミジム・ジムリーダーのツツジ。

二つ名は【岩にときめく優等生】です。」

 

面識があるはずのきりたんにすっかり忘れられていたツツジは、自らの存在を改めて教えていた。

 

きりたん「二つ名って自分で名乗ると痛い人みたいですね…」

 

ウナ「しかも【岩にときめく優等生】って、ダッサイね」

 

小学5年生二人は正直で辛辣だった。

 

ツツジ「そんな!?わたくしの二つ名は優雅で知性ある物ですわよ!?」

 

ウナ「いやダサいよ(断言)」

 

きりたん「岩にときめくとか普通に想像すると物凄いサイコパスですね。」

 

ツツジ「ガーン!!!?」

 

 

茜(容赦ないなぁ…)

 

心で思いつつ、二人の意見を否定しない茜にとっても、ツツジの二つ名は魅力を感じるものでは無いらしい。

しかしそこは天子の茜ちゃん。何とかフォローしようと話の内容を修正しようとする。

 

茜「えっと、ツツジさんその年でジムリーダーって凄いなぁ。ツツジさんもタマムシ学園を卒業したん?」

 

ツツジ「いいえ、わたくしはトレーナースクールの生徒ですの。そしてジムリーダーを兼任させて頂いています。

戦うことでポケモンの全てを知りたいのです。」

 

ウナ「へえ~生徒って、今何歳?」

 

ツツジ「わたくしは16歳ですわ」

 

ウナ「じゃあ、きりたんや茜ちゃんの師匠よりも年下なんだね。」

 

きりたん「そうだね。たしかゆかりは17歳だって言ってたし」

 

 

ツツジ「……きりたんさん、今なんとおっしゃったのかしら?」

 

 

きりたん「え?」

 

ツツジ「ゆかりとは、まさかとは思いますが、あの【紫毒】こと結月ゆかりさんのことではありませんよね?」

 

きりたん「ありますわよ?弟子(仮)ですが」

 

ツツジ「な!??」

 

ウナ「茜ちゃんもだぞー」

 

茜「せやね~ウチも(仮)やけどね」

 

 

それを聞いたツツジの顔色はドンドン険しい物へと変わっていき

 

 

ツツジ「いけませんわ、きりたんさん!!あのような悪名高い方に、貴方のような才能ある方が近づいてはいけません!悪影響を受けるだけです!!」

 

きりたん「は?」

 

ツツジ「貴方はわたくしのノズパスの新たな進化を見つけて下さった恩人で、ポケモンのことを学ぶ者として敬意も感じています。

研究や対戦がしたいのであれば、このわたくしがお相手を務めます。ですから、あのような方への弟子入りなんて今からでもお止めなさい。

貴方があんな悪辣非道な外道に堕ちるなど、決して見過ごせーーー」

 

 

ドオオオオオオオオオ………ン!!!!

 

 

鈍く、重い衝撃音がフィールドに響く。それはまるで花火のようで、事情を知らない人間は耳をふさいで身を屈める。

そして、衝撃音の原因たるはアイアンテール。ポケモンのハガネ・物理ワザの中でもトップクラスの破壊力を持つワザ。

間違っても…人間に向けて放ってはいけません。

 

 

ツツジ「な……何を……」

 

 

あまりにも唐突に自身に襲いかかったハガネールの尻尾が、ツツジのカラダスレスレで地面に横たわる。

掠りでもすれば、骨折は免れまい。

自身の身を危ぶめた元凶に理不尽を訴える。

 

ツツジ「何をしているのですか東北きりたんさん!?

貴方は自分が何をしているのか分かっているのですか!!?」

 

きりたん「…………。」

 

ハガネールのハガネまるにアイアンテールを命じたきりたんの目は、怒りに震えている。

 

ウナ「きりたんどうしたの!?何で急にハガネール!?」

 

茜「お、落ち着くんやきりたんちゃん。いきなりこんなことしたらツツジさんも訳分からんよ!」

 

ツツジ「ま、まさかもう既に【紫毒】に何らかの洗脳を受けてしまっているのでは……きりたんさん、落ち着いて下さい。冷静にわたくしの目を見てーー」

 

きりたん「黙れ」

 

ツツジ「え……」

 

 

きりたん「何なんですかねえ、どいつもこいつも……!ゆかりが一体何をしたってんですかねえ………」

 

 

ツツジ「きりたんさん…貴女は結月ゆかりに騙されているんです!紫毒は、貴女の師匠に成れるようなトレーナーではありません!!」

 

 

きりたん「………………そこまで言うなら、私とバトルです。」

 

ツツジ「え?バトルですか?」

 

きりたん「ええ。私はゆかりに完敗しました。

私は弱いです。だから、もしあなたが私に負ければ、あなたもゆかりより弱い事になる。ゆかりの代わりに、私がアンタを黙らせます。」

 

きりたんの言葉は、ツツジのプライドを刺激する。

 

ツツジ「きりたんさん。わたくしは仮にもジムリーダーです。幾ら才能ある貴女でも無謀ですわよ?」

 

きりたん「無謀でも何でも構いませんよ。

 

私の師匠をバカにする奴は徹底的に黙らせる。」

 

そう言ってツツジを見るきりたんの目は、完全に据わっている。少なくとも小学生5年生がしていい目では無い。

 

茜(ずん子先輩もやったけど、東北姉妹はものすっごい攻撃的やなぁ……)

 

ウナ「おお~!戦う女だ!!いいぞ、きりたん!頑張れー」

 

 

ツツジ「仕方有りません。いいでしょう。わたくしにもジムリーダーとしての誇りがあります。

全力で戦いますわ。

ただし、わたくしが勝ったら、結月ゆかりさんに弟子入りするのは考え直して下さい。」

 

ツツジは分厚い本からモンスターボールを取り出し構える。

 

 

きりたん「良いでしょう。では、私が勝ったらーーー

 

 

ハガネまるのアイアンテールでアナタの顎を砕きます」

 

 

ツツジ「ゑ?」

ウナ「うお!?」

茜「…………。」

 

 

茜(きりたんちゃんが勝ったら頼むで…ゼリー)

ゼリー(お、仰せのままに……)

 

今のきりたんなら絶対にやるという確信を持った三人。

 

その中で茜は1歳年上の先輩として、彼女が殺人者にならないように全力で止める決心をした。

擦ってもカラダが抉れる威力のアイアンテールで、顎だけ砕くなど不可能だからだ。

 

 

 

茜「ウチ、ゆかりさんに会うまできりたんちゃんから目放さん方がええな~」

 

困った顔で笑う茜は、こっそりコラッタフォームのゼリーをモンスターボールから出し、いつでも止められるようにスタンバる。

 

 

 

 

 

この日、きりたんと茜がお互いに抱いたフォローの念は、最後まで続くことになる。

 



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20出来るなら誰だってやる。きりたんだってやる

バトルパートはただの会話パートと違って台詞回しとか表現方法とかしっかりしないと詰まんなくなるから難しい。
この気持ち、分かって頂けるだろうか。部屋にクーラーも無く、最高気温35℃の地獄を恨む気持ちが(脱線)




そんなわけで、誰かが空気になったりしても仕方無いんや。(混乱)


ジムリーダーそれは、地方に点在するポケモンバトルに関する職に就く公務員だ。

普段はジムで挑戦者を待ち、勝者にはジムバッジを。敗者には引導を渡す。

有事の際にはポケモンバトルでの戦闘要員としてポケモン協会に招集される。つまり、ジムリーダーはポケモンバトルのプロフェッショナルなのだ。

 

 

きりたん「ハガネまる、すなあらし!!」

 

故に、今のきりたんとツツジのバトルはーー

 

ツツジ「ぐうっ!?前が見えないっ」

 

きりたん「いやなおと!」

 

きりたんの方が劣勢でーー

 

ツツジ「耳があああぁぁーーっ!?」

 

きりたん「じしん!!」

 

勝ち目が薄いバトルである。

 

ツツジ「きゃああああー!?」

 

ゴローニャ「ゴロォ!?」

 

きりたん「アイアンテール!!」

 

ゴローニャ「グゴォ!!?」

 

ツツジ「ゴローニャがこっちに吹っ飛んで来たアアアアーー!!???」

 

 

…………ハズだった。

 

 

きりたん「さあ……ガンガン行きましょう。」

 

きりたんのバトルは、兎に角周囲を顧みない、全体に影響を及ぼすワザを多く選択し、トレーナーのツツジの指示を間接的に妨害しながらの猛攻だった。

 

 

ツツジ「ぐぅ…バトルも苛烈ですが。

おかしいですわ、あのハガネール…」

 

きりたん「ハガネまる、アイアンヘッド!」

 

ツツジ「ゴローニャ、今度こそ躱して!」

 

ツツジの指示を受けて、ゴローニャはハガネまるが迫って来るのを躱そうとするが、躱しきれずにダメージを受けてしまう。

 

ツツジ「ハガネールが……速すぎる…ッッ!!」

 

圧倒的な攻撃力、強固な防御力、それに加えて、鈍足とは思えない程の速度。

余りにも強すぎる。

 

ツツジ(考えられるのは、ボディパージかロックカットですが…指示していた様子は無い上に、あの攻撃力の高さが説明出来ない……しかも)

 

きりたん「地面に潜って!」

 

ツツジ(あれだけのスペックが有りながら、間を図り防御もするから、闇雲にカウンターも狙えない……っ!)

 

ツツジ「ゴローニャ、じしんです!」

 

きりたん「ハガネまる、まもる!!そのままアイアンヘッド!」

 

ツツジ「ゴローニャ、こちらもまもるです!」

 

攻撃を決め損ねたハガネまるが、地面から身体を出しツツジを睨む。先ほどのようにツツジを直接狙うことはしないが、それでもアイアンテールの威力は、思い出すだけでも身が震えるも止む無し。

 

ツツジ「…………仕方有りません。戻りなさい、ゴローニャ。」

 

ツツジ(このバトルは、使用ポケモンは二体。その内一体でも戦闘不能になった時点で負け。だいばくはつで削ることすら出来ません。まあ、流石にそこまで美意識の無いバトルを小学生相手にするのは気が進みませんしね。)

 

ツツジ「きりたんさん。貴女のハガネールは素晴らしいです。育成難度SSランクのハガネールを小学生の身で扱えているだけでも、その才能はわたくしを凌ぎます。」

 

分厚い本から、別のモンスターボールを取り出すツツジ。

 

ツツジ「ですが、わたくしは才能の差をお勉強で覆します。

出番です、メレシー!」

 

メレシー「ピューイ!」

 

タマゴから孵ったばかりの殻のような岩の身体の、可愛らしいポケモンが出る。

 

ウナ「お~可愛いポケモンなー」

 

茜「メレシーかぁ、これは気ぃ付かれたかな……」

 

ウナ「ん~?茜先輩は何か知ってるの?きりたんのハガネールについて」

 

茜「うん。教えたんはウチやからね。

でも、いきなりあそこまでやれるとは思わんかったなぁ…」

 

 

きりたん「小さなポケモン…力はこっちが上!

じしん!!」

 

 

茜「ウチが教えたんは、二つ。一つ目はワザ範囲を拡大することや」

 

ウナ「わ、ワザ範囲のかくだい……?」

 

すなあらし、いやなおと、じしん。

いずれも場の全体を襲うワザ。ならば、その攻撃を、相手トレーナーまで広げてしまったら?

 

 

茜「要は、トレーナーも怪我せんくらいにワザに巻き込んで、指示を阻害するんや。」

 

うなぎ「すっげー姑息で卑怯なー。まるでロケット団みたい」

 

茜「せやなー。けど、これはあくまでも練習や。

この先、本番に行けるかは、きりたんちゃん次第やな」

 

茜(実際、ゆかり先輩やったらそのくらいは言うやろな。)

 

ウナ「へぇ~それで、二つ目は?」

 

茜「そっちは単純やよ。

バトル前に“のろい“と“ボディパージ“でこうげき、ぼうぎよ、すばやさを限界まで上げておくように予めハガネまるに指示しとくだけや。きりたんちゃんは、ハガネまるで最初にツツジさんに攻撃した時には、もうバトルする気やったんやろうね。その時にはこっそり準備しとったから。」

 

ウナ「こっすいな~」

 

 

茜「でも、相手はジムリーダーや。本当に勝つつもりでやるなら、やり方なんて選んでられんよ。

ほら、見てみ」

 

ウナ「なぁに?コレ」

 

茜「ポケモン図鑑や、オーキド博士に貰ったんや」

 

図鑑には対戦中のハガネまると、メレシーの情報が載っていた。

 

 

ハガネールLv28 vs メレシーLv50

 

 

ウナ「レベル差倍近いじゃん!?」

 

茜「ゴローニャの時はハッキリ倍越えとったんよ」

 

ウナ「それは……凄いなー」

 

ウナちゃんは、ちょっとだけ死んだ目をした。

 

 

 

ツツジ「行きますわよ、きりたんさん!貴女のハガネールを、わたくしのお勉強の成果で攻略致します。

メレシーじこあんじ!」

 

きりたん「『じこあんじ』……?」

 

ウナ「思い込み??」

 

 

メレシー「ーーー!」

 

きりたん「???」

 

ツツジ「フフフ…さあ、行きますわよ!ワンダールーム!!」

 

茜「あ……」

 

じこあんじ→相手の能力ランクをコピーする。

現在ハガネまるは、こうげき・ぼうぎよ・すばやさが限界値まで上がっている。

これによりメレシーも同じ能力が上がる。

 

ワンダールーム

ぼうぎよ・とくぼうの数値が入れ替わる。

この時ランクは入れ替わらないが、ハガネールはとくぼうがかなり低い。

 

つまり………ここから導き出される答えは。

 

ツツジ「メレシーじだんだ!」

 

小さなカラダが弾丸のように跳ね、ハガネまるの頭上に幻影が見えるほどの速さで連続で踏みしめる。

 

 

ハガネまる「グオオオオーー!!?」

 

 

その余りのダメージに、ハガネまるは地に伏した。

 

 

 

 

 




ハガネまるは地に伏す。


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21凄惨

コメントを貰えると投稿したくなる。
これは投稿者の性ですな。





…………まあ、それはそれとして、ポケモンって生き物な訳ですから、当然生死は存在するわけですよね。
別に関係無いけど。



きりたん「戻って、ハガネまる。」

 

ハガネまるが戦闘不能になる直前、きりたんはハガネまるをボールに戻す。

レベル差はほぼ倍、更にアドバンテージだったハズのステータスアップすら、相手に並ばれた。

じだんだ一発でも、ハガネまるにはかなりの痛手。

とくせいの“がんじょう“が無ければきりたんが負けていた。

その事実に、きりたんは歯噛みする。

 

ツツジ「今のメレシーのじだんだの威力は……!?

なるほど…やはり、何らかの補助ワザでハガネールのステータスを上げていたのですね。

素晴らしいですわ、きりたんさん。やはり貴女は才があります!」

 

小学生がここまでハガネールを扱えることは無い。

既にポケモンの扱いだけならエリートトレーナーレベルだ。

 

きりたん(ちっくしょう……!!)

 

だが、きりたんにとって目の前の女の賛辞など、こおりなおしほどの価値も無い。

 

きりたん(ハガネまるが勝てない以上、今のメレシーに勝てるポケモンなんていない…わたしの、負け?)

 

ボールに収めたハガネールを見ながら、きりたんは考える。

 

 

ウナ「きりたん、次のポケモン出さないのかな?」

茜「……さすがに、もう諦めるしかないやろな。」

 

きりたんでは勝てない。もう誰もがそう思った。

 

きりたん「……くそっ!!」

 

茜(さっき飛ぶ時に乗って来たエアームドは、バトル用のポケモンでは無いやろし、仮にそうでも、ひこうタイプを持つ以上、岩タイプに対してあんまり有利にも働かん」

 

 

目に涙をため、顔が歪むほど眉間にしわが寄る。

悔しさで、不甲斐なさで…何よりも怒りが湧く。

 

 

きりたん(くそっ!!くそっ!!くそォッ!!!勝てない。わたしじゃ、勝てない……勝てない!!

畜生、あんなやつなんかに、ゆかりがバカにされたまま終わるくらいならいっそーー)

 

きりたん「……………あ」

 

 

()()()()()()…………勝てない。

 

頭に血が上ると兎に角周りを顧みず、勝つことに固執するきりたんの頭が、僅かに冷静になる。

 

 

ツツジ「きりたんさん、気に病むことなどありません、まだ幼い貴女が、ジムリーダーに本気を出させたことは、寧ろ偉大なことなのですよ…?」

 

俯き黙るきりたんを心配し、言葉をかけるツツジ。

 

しかし、その言葉は耳に届かず、きりたんはハガネまるのボールを戻し、別のモンスターボールを取り出す。

 

 

きりたん(ごめんなさい、ゆかり。わたしは勝てませんでした。でも、貴女は絶対負けないよね?)

 

祈るようにボールを両手に持ち、胸に抱く。

 

きりたん「ーーあなたが育てたポケモンがどれだけ強いのか、私に見せて!!お願いします、ユカリ。」

 

 

モンスターボールから解き放たれた二足歩行の岩の怪獣。その巨躯は標準のサイズより一回り巨きく、ハガネまるのじしんに荒らされたバトルフィールドの砂を、着地と同時に巻き上げた。

 

ユカリ「ゴオオオオオオォォォォォーーー!!!!」

 

ツツジ「きゃあっ!?」

ウナ「ひいっ!??」

茜「な、このポケモンは…!?」

きりたん「あははっ!凄いやる気!!」

 

思わぬポケモンの登場に、茜は思わずポケモン図鑑を開いた。

 

きりたん「ユカリ!つのドリル!!!」

ユカリ「ガアアアアアアアーーー!!!!」

 

頭部の自慢のツノをドリルのように回転させる。

すると、ツノを中心に竜巻が起こり始めた。

バチバチと音が成り、次第に竜巻がユカリのカラダごと包み込み始める。

 

 

ツツジ「な、なんですの…?何が起きているの……??これが…つの、ドリル…??あれ、は……サイド…ン???」

 

ウナ「…………格好いい」

 

茜「うそやろ……」

 

 

きりたん「行って!ユカリ!!」

 

茜「きりたんちゃん!!あかん!!!」

 

きりたんのかけ声に応え、ユカリはメレシーに向かって前進する。

茜の悲痛な叫びは届かない。

その光景に唖然としていたツツジが、ようやく理性を取り戻した。

 

ツツジ「はっーー!?

い、いいえ、落ち着くのですわたくし。メレシーのとくせいはがんじょうです。つのドリルでひんしになるようなことはありません。

そうです、知識は絶対です。お勉強で知識を身につけたわたくし達に怖いものなど……」

 

それは、自分に言い聞かせるだけの、虚しい言の葉の羅列だった。

事実、ツツジの言っていることは正しい。

とくせいのがんじょうは、つのドリルを無力化する。

意味は無い。脅威では無い。

 

ユカリ「ゴアアアアアーー!!」

 

メレシー「キュアアアアア!!???」

 

ユカリのツノがメレシーのがんじょうなカラダを貫き、串刺しにする。そして、それまでツノに纏っていた竜巻が内側に注がれ、中身をズタズタにしていく。

 

ツツジ「あ………あああ…!!!?」

 

きりたん「な……え……!?」

 

その凄惨な様子は、きりたんにも予想外で、最初に出会った優しそうなサイドンの面影は無い。

 

ウナ「う…うわああああー!!」

 

目の前の光景が理解出来ず、音街ウナは泣き出す。

琴葉茜は、間に合わなかったことを悟る。

 

茜「………………。」

 

 

その後、ユカリは完全に意識を手放したメレシーをツノから払い落とし、“ふみつけ“た。

 

きりたん「え……ユカ、リ……??」

 

ツツジ「め……メレシイイイィィィーー!!!?」

 

 

 

 

 

 

その光景から目を背けた茜の手にデータの記録を終えたポケモン図鑑が、ユカリのデータを表示していた。

 

 

 

 

サイドン Lv100

現在使用したワザ

 

つのド●ル●ずし●か●な●だい●●じ

 

ふみつけ

 

 

 

 

 

 




この小説には不快かつ残酷な描写をなるべくソフトな表現で用いる場合があります。(今更)



さて、今回の話の補足を少し。

これまでゆかりは学園内で、子供にも容赦ないだの、残虐非道だのと言われていましたが、当然今回のサイドンーーユカリのバトルの様子など知りません。
何故ならゆかりは基本格下に本気でかかることが無いからです。
それでも何故か、ゆかりの悪い話は、知られているのです。



な ぜ で し ょ う ?


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22ちい姫サン“マア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ーー!!!!!

このタイトルで賢明な読者諸兄は取り敢えず挟まれてるネタは察する。

ポケリンガルは便利


一方的、圧倒的……完勝?

最強を言葉にして語るとき、どんな言葉を使うんだろう?

少なくとも、私はこれまではドラゴンだと思ってた。

でも、きりたんちゃんのポケモンは、ちょっとウナの知ってる最強とは、違うみたいだ。

 

ユカリ「ガアアアアアアアーーー!!!!」

 

おおきい、怖い。嫌……

そんなきもちにのみこまれて

わたしは

泣き出して

しまいました…………

 

 

 

そして、その5分後……

 

 

 

『ン申し訳ありませんでしたアアアアァァァーーちい姫さンマア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ーーーーー!!!!』

 

 

 

 

一声で喉が潰れそうなほどゼンリョクで叫ぶ声が聞こえて、思わず涙が引っ込みました。

 

 

 

 

 

時は少し戻り、マキがヘッドホンの翻訳機能でブライトの言葉が分かるようにしてから暫くして………

 

 

マキ「ちょっと待ってブライト!今は葵ちゃんもいるんだから、ちょっとスピード抑えて!」

 

ブライト『そいつはもうダメだ!捨てていこう!!』

 

マキ「ダメ!!今見捨てたら葵ちゃんまで迷子になっちゃう!!」

 

唐突に五階の窓から飛び降りたブライトを追ってミニスカで飛び降りた金髪巨乳-弦巻マキと、五秒ほど唖然とした後マキのリザードンのブラストに降ろして貰った葵は、校舎から学生寮へ向けて全力疾走していた。

 

ブライトは全く遠慮無しで走っている。

それを難なく追いかけるマキ。

そして、流行りのランニングシューズを使っても少しずつ離されていっている葵が遅れて追走する。

 

 

葵「…………ハ、っ…ハア、ハア……っ!」

 

 

ブライト『仕方ないなぁ……マキ、キミだけでも先に女子学生寮に行って。さっき聞こえたんだよ。

 

【目の前の女をぶっ殺したいけど、法に触れるから仕方なくギリギリ擦らない程度の場所に打ち込んでやろう】

 

っていう気持ちで撃ったアイアンテールみたいな音が。』

 

マキ「何でそんな具体的な音が聞こえたの!?」

 

ブライト「良いから行って。さもなくばマキが何歳までオネショしてたかを学園内の全生徒・教師に曝されることになるよ」

 

マキ「ブライトの鬼!悪魔!ピカチュウ!!」

 

手持ちポケモンに脅されたマキは、この場をブライトに任せて走り去って行った。

 

 

ブライト「…………ピカ、ピカチュウピカカピカ(いや、ピカチュウは悪口じゃない)」

 

 

 

 

こうしてマキは、葵と別れ、きりたん、茜と合流した。

 

ツツジは重傷のメレシーをモンスターボールに戻し、きりたんに直ぐ戻ると伝えると、ポケモンセンターへ走って行く。

そして、メレシーに重傷を負わせる程のつのドリルを放ったサイドンのユカリは………

 

 

ユカリ『不肖、このユカリ!新たな名を賜り、久方振りの出陣。更に、御館様を貶める不貞な輩を誅するとあって、つい本気をだして仕舞いました!!!

申し訳ございませんでしたああああーーーー!!!!!ちい姫様アアアアアアアアアアーーーーー!!!!』

 

 

土下座という、世界有数の学者でも生涯お目にかかれないであろう状況になっていた

 

ユカリ『ううううっっ!!!お役目から離れて幾年月。強敵との戦の中でこのツノを振るい続けましては、弱き相手とのポケモンバトルというものを失念しておりました!!』

 

なお、マキのヘッドホンは特にポケモンの指定は無く、誰でも声が分かるものであるが、声の大きさはそのポケモンに依存するため、現在とにかく喧しい。

マキが普段ヘッドホンを使わないのはコレが理由だ。

今は首から外して全員が囲む位置に置かれている。

 

 

きりたん「…………まじですか、アナタそんなキャラだったんですか。本当にサイドンですか。」

 

ユカリ『ははあっ!!某は紛れもなくサイドンで御座います!!

御館様がまだ幼少の砌にサイホーンから進化させて頂きまして、それからは御館様の命によりお役目を仰せつかり次第、全う出来るよう全力を尽くしております!!!』

 

きりたん「そ…そうですか。」

 

ウナ「すっげえーうるさいのなー」

 

茜「この子がさっきのサイドン…………」

 

マキ「相変わらずだね…この子も」

 

茜「…………おかしいなー」

 

茜のポケモン図鑑には先ほど表示されていたステータスとは別物の表紙がなされていた。

 

サイドン Lv65

 

茜「さっきは確かに、レベル100ってなっとってんけどな~」

 

慣れない手つきでポチポチするが、表示が変わることはなかった。

 

マキ「それじゃあ、茜ちゃん。きりたんちゃん。

オーキド博士も待ってるし、マサラタウンに帰ろうか。

ゆかりちゃんと、ずん子ちゃん。葵ちゃんも皆で迎えに来たんだよ」

 

きりたん「え?ゆかりが……?学園にいるんじゃ??」

茜「ウチら今からゆかりさんの学生寮部屋に行こうとしとったんやけど。」

 

マキ「ああ、実はね……」

 

 

金髪ボイン説明中……

 

 

きりたん「まさかゆかりが研究所で寝てたとか……」

茜「ウチら、とんでもない回り道してしもうたんやね……」

 

マキ「二人とも物凄いスピードで飛んで行っちゃうから。今度は勝手に行っちゃダメだよ?みんな心配するからね」

 

きりたん・茜「「ごめんなさい…」」

 

ウナ「結局二人は学園来て壁壊してメレシーにダメージ与えただけになっちゃったなー」

 

二人の少女のくたびれもうけに苦笑するウナ。

すると、学園の放送アナウンスが入る。

 

 

ささら《……えー学園内の生徒及び、校内の方をお呼び出しします。

初等部、実戦科の4ーAクラス、音街ウナさん。並びに学園にお越しの東北きりたんさん。琴葉茜さん。

 

結月ゆかりさんがお待ちです。まだ校内に残って居るようなら、校門前に集まって下さい。

繰り返しますーー》

 

ウナ「あ、ささらちゃんだ。」

きりたん「ああ。あのゆるふわな感じの人ですか。」

茜「ゆかりさん、ささらさんとは会ってたんやね」

 

マキ「ちょうど良いね。えっと、ウナちゃん。二人を校門に案内してあげてくれるかな。私は葵ちゃんを迎えに行ってから向かうから」

 

ウナ「うん。いいよ。」

 

マキはありがとうとお礼を言うと、元来た方向に向かって行った。

 

ウナ「じゃあ二人とも、行こうか~」

きりたん「ええ。よろしくお願いします。ウナちゃん」

茜「お願いします~」

 

 

 

 

 

 

3人が校門に向かった5分後、結月ゆかりは女子寮前に到着したのだった。

 

 

ゆかり「ハァ…………眠い」

 

 




「ポケモンバトル書いたから、少し巫山戯たくなったのです。
タマにはこういうのも有り………かな?教えてアイアント。」

アイアント「蟻」

「ウエエエエエエエエエイ!キモすぐるwwww」



…………うん。俺にギャグのセンスは、無い。


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23これから平和は崩れ出す

最近、建物が壊れる描写してないなぁ……


現在の少女達の居る場所は

 

弦巻マキ

琴葉葵の元へ引き返す。

 

東北きりたん・琴葉茜・音街ウナ

正門前へ進行。

 

琴葉葵

ブライトと女子寮へむけて進む

 

結月ゆかり

女子寮へ入り、寮長室に行くも、寮長不在。

 

東北ずん子

???

 

 

 

Side:さとうささら

 

学園の放送室を借りて放送を終えたささらは、教員室にカギを返却し、音街ウナと合流すべく、正門前へ向かっていた。

 

ささら「ふう…今日は慌ただしい日だなぁ。

ウナちゃん、きりたんちゃんと茜ちゃんを正門に連れて行ってくれていると良いけど。」

 

「アレ?さとうじゃん。どうしたん?こんなところで」

 

ささら「え?あ…」

 

歩いていたささらに声を掛けたのは、前髪に虹色のメッシュを入れた長身の女性。

 

ささら「ギャラ子さん。」

 

ギャラ子「おいっす。ギャラ子だぞ。」

 

本名不明、年齢不詳、無表情。学園で実技指導として雇われている女性ポケモントレーナー。

手持ちであるギャラドスの強さから、ギャラ子の愛称を持つ。ミステリアスさと相反するフランクな人柄の良さのギャップが男子女子共に人気が高い。

 

ささら「お疲れ様です。ギャラ子さん。

実は初等部の音街ウナちゃんが、来年転入予定の子と学園案内に出ちゃって、探してるんです。

でも、放送をかけたので、正門前へ来てくれるはずなんで、行ってみようかなって」

 

ギャラ子「へえー、ウチに転入生か~。

音街ウナって確か、アイドル活動してた子だよね?マッギョの帽子被った。」

 

ささら「ええ。そうです。初等部の中では多分1番ポケモンバトルが強いんじゃないかと思ってます。」

 

ギャラ子「へえ~やっぱりそう言うのは気になる?『称号持ち』としては」

 

ささら「……いえ、わたしはもう強さを競うポケモンバトルにはあんまり参加したくなくて」

 

ギャラ子「そうなんだ。()は『紫毒のゆかり』や『雷火のマキ』に挑むって意気込んでたのに。辛いことあった?」

 

ささら「いいえ。ただ、今の私は、ソレより夢中なれることがあるんです。」

 

ギャラ子「…………そっか。

呼び止めて悪かったね。音街ウナ、どっかで見かけたら教室戻るように言っとく。」

 

ささら「はい。ありがとうございます。

じゃあ、失礼します。」

 

 

ペコリとお辞儀をすると、さとうささらは校門へ向かっていった。

 

ギャラ子「……やりたいことか。あたしは、何だろーな?

とりあえず、今日は晩酌だな」

 

 

 

 

Side:???

 

 

学園のシンボル、大きな時計塔の屋根の上には、二人の人影が立っている。

 

「フフフ…まさか我々ロケット団の怨敵が二人も揃っているなんてね。

いいわ。二人纏めて始末しましょう……。」

 

「…………。」

 

「さあ、準備はいいかしら?今から……アラ?」

 

長身の女性が振り返る。すると、一緒に来ていたハズの二人の内、一人がいなくなっていた。

 

「まったく…せっかちね。

まあいいわ。アナタだけでも着いてきなさい。

レインボーロケット団結成の狼煙を、タマムシ学園と二人の怨敵を焼くことで上げるわ。

 

 

待っていなさい…弦巻マキ。そして、結月ゆかり!

アーハッハッハッハッハー!!」

 

 




地味……地味じゃない?


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24心を秘めた美少女達が集う

中弛みがキツいと思ったので二つに分けましたとさ


Side:ゆかり

 

きりたん達が校内放送を聞いて移動した後、全身から気怠そうな雰囲気を放つ結月ゆかりが女子寮の自室に到着した。

 

ゆかり「…………」

 

(部屋の扉に人が触れた形跡無し。)

 

何故か寮長室に居なかった女子寮長とガキどもに関連性は無し。

そう判断すると、女子寮廊下窓から飛び降りて地上に降りる。

 

ゆかり「……あ。」

 

だが、降りる先にいた銀髪の少女と目が合った。

踏み殺すのもマズいので、多少強引に窓の外枠を掴んで体勢を変えて、壁を蹴って進路を変えた。

 

だが……

 

 

「待ってたよ、お姉ちゃん……」

 

 

少女は笑うと、胸元から金色のモンスターボールを取り出し、ゆかりに向けて放った。

 

 

???「イッちゃえ、ごっくん。」

 

金色のモンスターボールから出てきたのは紫色の丸いポケモン、マルノーム。

自身の特徴の大口を開けて、ヘドロばくだんを撃つ。

 

 

ゆかり「ざっそう。」

 

ゆかりは自身に襲いかかるヘドロばくだんに向けて、モンスターボールを掲げ、そのままフシギバナを解き放つ。

 

フシギバナ「バナアアアーー!!」

 

ヘドロばくだんが直撃するも全くダメージにならず、物理法則に則り、マルノームにすてみタックルで突撃する。

 

ごっくん「ノオオオオーー!??」

 

そのままマルノームを踏みつけて、銀髪の少女につるのムチを放った。

 

???「ーーッッ!!!」

 

ここまでゆかりの指示は一切無く、フシギバナの動きにも無駄が無い。さらに速い。この行動が予測の範囲外だったのか、少女はつるのムチを避けきれずに捕まった。

 

???「ぐうっ!??い…痛いよ、強く絞めすぎ、お姉ちゃーーきゃっ!」

 

少女が言い切る前に、ゲッコウガが喉元に三日月型に模った“みずしゅりけん“を添えていた。

 

ゆかり「フワァ……で、アンタは誰ですか?」

 

依然として気怠げな態度を崩さないが、ゆかりの目には人としての温かみが一切消えている。下手なことを言えば、彼女が何者であれ、命を消す。そういう目だ。

例え、目の前の少女が、自分を姉と呼んでいても。

 

不用意な返答は、この学び舎で有ってはならない事件が起こる。

 

???「………私のこと、分からないの?何で…?お姉ちゃん……」

 

だが、銀髪の少女は質問に質問で返した。

 

ゆかり「知るか」

 

時間の無駄を感じ、ゆかりが無慈悲な指示を出すーー

 

 

 

???「だいばくはつ」

 

 

 

直前、少女は信じられない行動を起こす。

 

 

ゆかり「ちっ!」

 

 

マルノームが指示通りの行動を起こし、辺り一面が爆音に包まれ、爆風で吹き飛ばされた。

砂煙が晴れた頃には、まもるの技を解除したフシギバナ、ゲッコウガ。そして、間一髪ゆかりの間に立ったゲンガーが、銀髪の少女の視認を試みる。

 

ゆかり「辺りに血痕も服の破片も無い……予めエスパーポケモンのテレポートが控えていた……?」

 

逃げられたか。そう考えた瞬間ーー

 

ゆかり「だったら“だいばくはつ“をする意味が無い。」

 

ゆかりはそれまで立っていた場所から飛び退いた。

 

 

その一瞬後で、れいとうビームが着弾する。

 

 

ゆかり「ぐっ……!!」

 

足に僅かに擦った。

 

敵を確認するために足に触れた、れいとうビームの角度から敵の位置に当たりを付けて視線を向ける。

 

ゆかり「……何?」

 

そこで、信じられない光景が映った。

 

 

青の躰、美しく羽ばたく翼。そして、頭部には氷の結晶。纏いしは、氷の粒子。

 

「~~♪」

 

唄うような鳴き声の鳥ポケモン。

伝説の氷の神ーーフリーザーが、そこにいた。

 

 

ゆかり「フリーザー……?マキさんのゲットしたものとは別固体??いや、それより」

 

 

青色の鳥ポケモンの遥か上空。だいばくはつでボロボロになった女子寮の最上階に立つ、緑色の髪の少女。

 

 

ゆかり「何でそこにいるんです?ずんだ餅」

 

 

 

東北ずん子が、そこにいた……。

 

 




銀髪の少女……いったい何りんなんだ?!


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25少女達のおしゃべり

息抜き回


ゆかりが伝説のポケモンフリーザーと対峙していた頃……。

 

きりたん「…おっせえ」

茜「せやな~」

ウナ「う~な~~」

 

幼女三人組が校門前に到着し待ちぼうけていた。

 

 

きりたん「なにか時間潰しになることでもしますか…」

 

茜「しりとりでもする~?」

 

ウナ「茜パイセン。ソレ、やっちまったら最後のやつなー。

絶対退屈でストレス溜まる」

 

きりたん「じゃあウナちゃんのポケモンを見せて貰うってのはどう?」

 

ウナ「ウナのポケモンか~。じゃあ、出て来いウナのドラゴン達!」

 

ウナの手から放たれた三つのボールから現れたのは

 

シビルドン、マッギョ、エモンガの三体だった。

 

茜「…………どらごん??」

 

ウナ「お~ドラゴン強いウナのポケモン達だぞ!

特にシビルドンの“しらすどん“はパパと一緒に育てた自慢のドラゴンだ。」

 

しらすどん「ビビっ」

 

バチバチと電気を起こし元気にアピールするしらすどん。

 

きりたん「ウナちゃん、マッギョの帽子被ってるけど、マッギョは特別じゃないの?」

 

ウナ「ん~この子は“ひつまぶし“。何でマッギョなのかはウナにもよく分かんない」

 

きりたん「自分のことなのに!?」

 

ウナ「事務所の考えはいっつも意味不明だからなー」

 

茜「事務所?ウナちゃんも働いとるん?」

 

ウナ「うん。ウナ、歌ったり踊ったりするお仕事してるよー。このエモンガの“ももんちゃん“は、事務所がイメージアップの為にってくれたの。

バトル嫌がるから殆どボールからだしてないけど」

 

ももんちゃん「えもっ!」

 

茜「へ~」

 

茜はポケモン図鑑を開き、三体のデータを確認する。

 

ウナ「お?ソレポケモン図鑑じゃん。オーキドのおじじ、ウナにもくれないかな~」

 

きりたん「茜さん、よく図鑑開いてますよね。」

 

茜「うん。気になる子がおると、ついな」

 

 

シビルドンLv39

 

マッギョLv11

 

エモンガLv5

 

まるで初めて貰ったポケモン以外殆ど闘わせずに来たトレーナーのようにレベル差が開いている

 

 

きりたん「へえ~この機械、ポケモンのレベルが分かるんですか」

 

茜「はかせが教えてくれたやろ?」

 

きりたん「その、あの時は、興味なかったので……」

 

茜「そうか…じゃあきりたんちゃんの図鑑で、手持ちのポケモン調べてみる?

気になることもあるしなぁ…」

 

きりたん「??まあ、そうですね。面白そうですし、やってみますか。ハガネまる……はさっきダメージ受けてたし……アムドまる。」

 

アムドまる「シャーオ!」

 

アムドまるのエアームドが現れる。

 

茜「ここをこうしてな?」

きりたん「ふむふむ。で、アムドまるに向ける、と。」

 

エアームドLv16

 

茜「きりたんちゃんも、エースを重点的に育ててくタイプなんやな。さっき、見たときはハガネまるがLv30やったし。」

 

ウナ「ってことは、ウナのしらすどんの勝ちだ!」

 

きりたん「ハガネまる、はがね・じめんタイプでシビルドンのでんき無効なんですけど。」

 

ウナ「くっ、いつかウナのしらすどんが進化してみず技を覚える日まで勝負は引き分けだ!」

 

きりたん「ふーむ……」

 

きりたんはしらすどんをまじまじと見つめる。

 

しらすどん「び?」

 

 

きりたん「…………なるほど、シビルドンは、かみなりのいしで進化したんですか。」

 

 

茜「え!?」

 

ウナ「正解だ~」

 

きりたん「わたしの知る限り、石で進化したポケモンは、その後の進化形態を持っていたことは無いですよ?」

 

ウナ「そ、そうなの?」

 

きりたん「まあ、誰もさせたことが無いだけかも知れませんが、少なくとも私には進化の兆しは見えません。」

 

茜「きりたんちゃん、ポケモンがどうやって進化したか分かるん!?」

 

きりたん「ええ。なんとなくですけど、私にはポケモンの、進化に関する何かが分かるんです。

だから、イワークだったハガネまるもハガネールに進化出来ました。」

 

茜「なるほど……【進化学論の天才】は、超能力持ちやったんやな。」

 

 

きりたん「【ポケスキル】って言うらしいです。

東北家はみんな持ってます。

でも私のはショボいもんですよ。ずん姉様なんて、昔レックウザと空を飛んだらしいです。」

 

茜「それも【ポケスキル】なん?」

 

 

 

きりたん「ええ。確か名前は……【キズナむすび】。

極めれば、他人のポケモンを従わせる事が出来るほどポケモンと絆が結べるんだろうです。

 

 

ーーだから、ずん姉様に掛かれば、伝説のポケモンだって従わせることが出来るんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




トレーナーにも人知を越えた何かくらい持っていないと、ポケモンを従わせることは出来ないと思うのです(てきとー)


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26告白

ゆか×きりの好きな性格パターンのアンケートをTwitterで取ったのですが、どうやらウチのゆか×きりは1番人気無かったみたいです。

まあ、今回の2人の会話はある程度予定していたので良し。


季節は春の開花を待つばかり。あと半月もせず、学園には新たな世代の子供たちが入学してくる。

そんな今、この時の気温は冬真っ只中のように寒い。

 

何故なら……

 

 

フリーザー「コォォォォーー!!!」 

 

 

カントーに伝説を遺す三柱が1羽、れいとうポケモンのフリーザーが、遺憾なくその身の冷気を奮っているからだ。

 

ずん子「クスクスクス…」

 

その頭上に立つ東北ずん子は、学園に着くまで来ていた和服姿から、黒を基調としたボンテージの格好をしている。

 

ゆかり「…………。」

 

その姿を見上げて睨むゆかり。

フシギバナをボールに戻し、ゲッコウガだけが場に残った。

 

ずん子「いいのぉ?ゆかりちゃん。せっかく出したポケモン戻しちゃって。フリーザーと闘うんだよ?少しでも多くポケモンが居た方がいいんじゃない?」

 

ゆかり「………」

 

ずん子「……あっそ。どこまでもわたしを軽く見てるわけですか。ま、良いや。

凍らせちゃえ、フリーザー。ふぶき」

 

フリーザー「フアアアアーー!!」

 

ずん子の命令に従い、自身の纏う冷気を羽ばたきで奮う。フリーザーの前方、つまりゆかりに向かって凄い速度で建物や大地、草木を凍て付かせながら、ふぶきが襲いかかる。

 

ゆかり「…………」

 

なのに、何故かゆかりは動かないのだ。

 

ゲッコウガ「コオオオオォォ--ガアアアアアアアーーー!!!」

 

だが、ゆかりの指示を待たず、ゲッコウガは同じくふぶきをフリーザーに放つ。

 

ずん子「アハハハハ!無駄です、むううだぁぁでぇすぅぅぅ~!!」

 

ゲッコウガ「コウ……ガッ!!」

 

フリーザーのふぶきはゲッコウガのふぶきを上回り、威力も勢いも劣らない。

 

ずん子「アハハハハ!!凍りたいんですかゆかり?

氷像ですか?永久保存ですかぁ!?」

 

ゆかり「……………。」

 

ずん子「トドメを刺しちゃいますよ~フリーザー!!」

 

ずん子の指示で更に勢いを増すフリーザーのふぶき。

ゲッコウガも背中の主を護るために必死に力を出している。自分の中の力を、本来の全力をだそうと。

 

ゲッコウガ「コ…ウガァ!!」

 

だが……

 

ゆかり「…戻りなさい、ボケガエル。」

ゲッコウガ「ガッ…!???」

 

ゆかりはゲッコウガの抵抗を他所に、攻撃の途中でボールに戻してしまった。

抵抗するベクトルを失ったふぶきは、本来の威力のままに辺り一面を凍らせてしまった。

 

ゆかり「くっ…!」

 

ゆかりは間一髪で先ほどマルノームがだいばくはつで開けた女子寮の壁の穴に逃げ込んだ。

 

 

ずん子「逃げた……?何で……??

どうして?そんなに嫌?わたしとバトルするの…そんなに無駄なの?」

 

 

宙を飛ぶフリーザーより更に高い場所に立つずん子には、ゆかりが校舎に入って何をしているのかが分からず、手持ちのずんだイゴンを出して地に降り立った。

ゆかりが逃げこんだ校舎の床には、“あなをほる“で開けたであろう大穴が空いていた。

 

ずん子「フフフフ…じめんタイプ使いの私から逃げる場所が地下?アハハハハ。面白くないなぁ……」

 

ずん子はじめんを無視して進む。

 

ずん子「面白くないよ……だってさ、地面の下に潜ったら、じしんの影響は通常よりさらに大きくなって、ダメージが増える。

だから私は嬉々としてじしんを撃つ。そこで出来た隙を狙う。

そんなこと、もう長い付き合いの私が……ずっと貴女に勝ちたかった私が分からないハズがないじゃない。」

 

眉間にシワを寄せ、憎らしそうな顔をするずん子。

 

ずん子「ねえ、そんなことも予想出来ないと思った?分からずにじしんを撃つと思った??

ねえ何で?何で貴女は私が貴女の考えを理解出来ないと思ったの?

 

私はあんなにいつも貴女(ゆかり)を見てるのに!!」

 

ゆかり「知ってますよ」

 

ずん子「きゃっ!?」

 

ずん子が叫び、最も隙が大きくなった瞬間、背後から急襲したゆかりが、ずん子に馬乗りになってうつ伏せ状態でコンクリートの床に這わせた。

 

ずん子「う、後ろに……!?どうやって…?」

 

ゆかり「くろすけ、れいとうビーム。」

 

ゲンガー「ガー!」

 

ずん子の質問に答えることなく、冷静にフライゴンを戦闘不能に持ち込むゆかり。

寮部屋の中では飛ぶこともままならず、4倍弱点のワザが直撃する。

 

ずんだイゴン「ぐぅ~!?」

 

ずん子「ずんだイゴン!」

 

ゆかり「ハァ…ハァ…さぁ、答えなさい。

あのフリーザーは何処から引っ張って来たんですか。」

 

ずん子「さあ、私には分かりませんよ。あの子は借りたんです。

ロケット団のナツメから」

 

ゆかり「ナツメ……ロケット団??

何を寝ぼけたことを…あいつらは潰したハズです。」

 

(ボスのサカキが失踪した。その後ロケット団の名で再興した組織は、その都度潰してきた。

何故、今更になって旧幹部のナツメが活動を……?)

 

ずん子「そんなことはどうでもいいです。

私は今、あなたに勝ちたい。それだけで充分だし、他のことなんて面倒なだけです。」

 

ゆかり「バカなことを。今、学園にはアンタの妹がいるの忘れたんですか」

 

ずん子「だったら、場所を変えましょう。それなら文句無いでしょう?それとも、学園を氷河期にしますか?」

 

ゆかり「気は確かかよ」

 

ずん子「確かに見えます?狂ってますよ。

 

ずっと勝ちたかった相手に、こんな方法で挑んでる時点で、私はもうオカシイ。

でも、貴女を倒した先に何があるのか、今はただ、それだけが。

 

私……気になります。」

 

 

ゆかり「ずん子………」

 

 

ずん子「お願い、ゆかり。

わたしと……戦って。恥も、プライドも、全部捨てて、出来る全てをやって、貴女を倒す。

かっこ悪くても、みっともなくても、自分の力じゃ無くても、私の『出来る』全てを、貴女にぶつけたいの。

だから、私の挑戦を受けてください。

 

【紫毒のゆかり】として。」

 

ゆかり「……………。」

 

ゆかりは、床に這わせたずん子を拘束する力を緩めると、ゲッコウガを戻すと、部屋の扉を開いて廊下に出る。ずん子も戦闘不能のずんだイゴンをボールに戻し、フリーザーに待機を命じ、ゆかりの後を歩く。

 

 

 

 

 

チャンピオンと、それに挑戦するチャレンジャー。

 

どちらからでも無く、そんな言葉が浮かんだ。

 

 




コレまでと違い、ついに対等に近い実力のトレーナーが激突する!!


……多分


※追記
ゆかりが見上げてずん子を睨む状況ですが、実はゆかりはずん子の顔まで見えていません。
オマケに服も通常の東北ずん子の衣装とは全く異なる物です。
それでもゆかりは、遥か頭上にいた少女が東北ずん子であることに一瞬で気付きました。


【挿絵表示】



ちょっと描きたくなったのでその時の状況を描いてみました。
シャーペンでサラッとね。
クオリティーは気にするな。



挿絵のタイトルは
【気付いて、私の嫉妬(きもち)。受け止めて、裏側の想い】


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27キャラクター達の空気の温度差で風邪引きそうだからそろそろ均一化を図り始める

現状、ゆかりとずん子が何で戦おうとしているのか分かっているキャラが当人達しかいない……(A.自己満足)


廊下を少し行くと、寮生用の簡易的なポケモンの回復装置が設置されている場所に着く。

 

ゆかりは無造作に自分の持つ()()のボールを置く。

マスターボール。モンスターボール。ムーンボールの3種類。

 

通常、トレーナーは市販のモンスターボールや、精々スーパーボールくらいしか持っていない。まして、ゆかりのムーンボールはS級レア。マニアに売れば6桁は行くだろう。

 

ゆかり「…………。」

 

全部のポケモンを回復し終えると、ボールを腰にセットすると、少し場所を避けて壁に背を預ける。

 

すると、今度はずん子が回復装置に五つのボールを置く。

 

モンスターボールが一つとフレンドボールが4つ。

 

ずん子「…………。」

 

2人は回復中に一言も話をせず、ずん子の回復が終わると、フリーザーをボールに戻し、校門へ向かって歩いて行った。

 

 

 

Side:弦巻マキ&琴葉葵

 

マキ「お待たせーごめんね葵ちゃん。1人にしちゃって」

 

葵がピカチュウと一緒に進んでいると、葵を迎えに来たマキと出会った。

 

葵「いいえ、大丈夫です。それより、何があったんですか?」

 

マキ「うん。ブライトが聞こえてた音、きりたんちゃんのハガネールのアイアンテールだったよ」

 

葵「あ、本当にバトルしてたんですね。

きりたんちゃんが見つかったってことは、お姉ちゃんもいたんですか?」

 

マキ「うん。初等部の生徒の音街ウナちゃんって言う子に、校門に案内して貰ってるよ。私たちも行こう」

 

葵「はい。分かりました。」

 

マキはブライトを拾い上げると、葵と一緒に校門へ向かった。

 

 

これにより、学園に来ていた弦巻マキ、結月ゆかり、東北ずん子、琴葉茜、琴葉葵、東北きりたんの6名全員が校門前に集まることになった。

 

 

きりたん・茜・ウナ

 

ウナ「で、あれからもう30分たったウナ~」

きりたん「やっべえですね。小学生だけで30分もステイさせるとか、車の中とかだったらもうアウトですよ。

……きりたん」

 

茜「最近は涼しくなってきたし、車の中で蒸し焼きになることはないんやないかな~茜」

 

ウナ「遊び盛りのjsに30分も大人しくさせとくとか拷問に等しいウナ。虐待ウナ」

 

 

きりたん「申し訳ありませんねえウナちゃん。きりたん。

 

…………やっぱりこの言葉の語尾に名前付ける遊びは、ウナちゃんだけが有利過ぎると思うんです。」

 

茜「せやな~。けど、しりとりもやってしもうたし、もう出来ることがなー」

 

何もせずに待っているという時間は子供にとっては中々辛いものがある。

30分間ひまな時間でだらけていた。

 

 

ゆかり「そんなに暇なら、ポケモン図鑑でも開いて勉強しておきなさい。」

 

きりたん「それもいいんですけど~ウナちゃんは図鑑持ってませんよ。」

 

ゆかり「そんなことですか。ほら。私の図鑑です。」

 

ウナ「ありがとウナ。ところでどちらさま?」

 

ゆかり「結月ゆかりです。」

 

ウナ「あーきりたんのお師匠さまか~。

きりたん、ほらほら。だらけてるとまたにげられるよ?」

 

きりたん「ん~?」

 

ウナ「き~り~た~ん~ゆかり師匠いるよ!!」

 

 

きりたん「ゆかり~?……………はっ!?ゆかりいいいぃぃー!??」

 

ゆかり「五月蝿い…」

 

茜「あ~ゆかりさんやー。やっと見つけた~」

 

きりたん「今までどこにいたんですか!?

校門に来れば会えると思ってたのに」

 

ゆかり「少し黙りなさいガキ。」

 

きりたん「きりたんです!ゆかり。

一体いつになったら覚えられるんですか」

 

ゆかり「はいはい。これからアンタの姉と戦うんですから黙って見てなさい」

 

きりたん「え?ずん姉様と?何で??」

 

茜「おお~ずん子先輩とのバトルかぁ~

見とってええ?ゆかり先輩」

 

ウナ「ウナもー!」

 

ゆかり「……まあ、どこに居るか分からないより視界に入ってた方が良いか。」

 

ずん子「……きりたん、なるべく離れていてね。」

 

それまで近くにいたものの口を開かなかったずん子がきりたんに言う。

 

きりたん「………ずん姉様…?」

 

何か違和感を感じたきりたん。

 

 

 

お互いに間隔を開けて約40メートル。向かい合う。

 

ゆかり「……準備は?」

 

ずん子「ええ。」

 

 

互いにボールを握る。

 

 

ウナ「高校生のバトルって、こんなに雰囲気暗いの……??」

 

きりたん「ずん姉様……ゆかり……」

 

茜「ゆかりさん……」

 

 

 

ずん子「行きますよ……ゆかり!!」

 

ゆかり「ーー来い。」

 

 

 

互いに、ボールを投げ放った……

 

 




ゆかりとずん子の最初のポケモンは何が出るでしょう?

両方当てられたら何か良いことがあります。
チンケな達成感とか


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28熱き開戦

閲覧も減ってきたし、そろそろ何かしらインパクト有ることが出来たら良いな~



あと、後書きに後付けで挿絵貼ったの気付いた人どのくらい居るのかな?





前回までのあらすじ。

 

どーもどーも。きりたんです。

ゆかりを追って来た(つもりになって)タマムシ学園に

来たわたしと茜さんは、学園門前でみんな揃うのを待ってたわけですが……。

 

ゆかり「ルールはいつも通り。

六体使用、内三体戦闘不能で負け。これでいいですね」

 

ずん子「ええ。構いませんよ。

チャレンジャーですからね。従いますよ。」

 

ゆかり「……じゃ、始めますか」

 

何故か私たちが師事するつもりのゆかりと、私のアイドルのずん姉様がガチバトルしようとしている件。

 

 

 

きりたん「え?何これ?どーしてこうなった?」

ウナ「ウナにも分からん」

茜「ゼリー。念のためリフレクター貼っといてくれるか~?」

ゼリー「仰せのままに」

 

ゆかりとずん子は、お互いに適当な距離を取った状態でボールを手に持つ。

 

ゆかりが持つのは、ただのモンスターボール。

ずん子が持っているのは、(ずんだ)色ベースのフレンドボール。

 

ずん子(モンスターボール……と言うことは、アレはカントーを出る前に貰ったフシギバナか。

重量級要塞みたいなポケモンだけど、この子なら相性は悪くない。

 

……行ける。)

 

ずん子「きりたん。ボールを投げるので、相図だけして下さい。」

 

きりたん「え?あ、はい。

それじゃあ、試合開始!」

 

きりたんの咄嗟の掛け声に完璧に合わせてきた二人のボールから、それぞれの先鋒が解き放たれたーー!!!!

 

ずん子「お願いします、ずんリアス!!」

 

ずん子の先鋒は……

 

 

ずんリアス「ガアアアアアアァァァァーーー!!!!」

 

 

ドラゴン・じめんタイプのガブリアスだ。

凄まじい咆哮と共に、闘志全開で臨戦態勢を取る。  

 

きりたん「うひゃっ!??なんつーデカい声…」

ウナ「おおおーー!!ドラゴンだーー!!」

ずんリアスの咆哮に負けない元気さでウナが興奮を露わにする。

茜「ずん子先輩、ガブリアスを持ってたんか」

 

 

対して、ゆかりの先鋒は…

 

 

ゆかり「あ」

 

きりたん「あ」

 

ボールを投げる瞬間に手を滑らせ、90°の角度で上空に飛んでいった。

 

きりたん「既視感みを感じる」

 

ウナ「魔球みたいな」

 

茜「ゆかりさん、もしかしてねらっとる?」

 

少しして落ちてきたモンスターボールをスポッと手に収めると、ゆかりは……。

 

ゆかり「………ま、適当で。」

 

そう言うと、モンスターボールを仕舞った。

 

ウナ「あれ?ポケモン出さないの?」

 

 

きりたん「…………。」

 

 

ずん子「ずんリアス。ゆかりが悠長している内に、手早く場を整えます。すなあらし!」

 

ずんリアス「ゴオオオオーー!!」

 

ずんリアスは鎌のような両手を広げ、屈むような体勢で砂を起こし始めた。

周囲の人間を巻き込まないように調整して、バトル場に制限した状態で。

 

ずん子「じゃあ行きましょうか。ずんリアス。

先ずは、ドラゴンクロー!!」

 

ずんリアス「ガアアアアアアーーー!!!!」

 

指示を受けると、ずんリアスは迷わずトレーナーのゆかりに向かって突進する。

 

ウナ「ええ!?ゆかり先輩にワザを!?マズいよきりたん!!止めなきゃお姉さん犯罪者になっちゃう!!」

 

茜「…………」

 

慌てるウナと、言葉にはしないものの、ゆかりの身を案じる気持が僅かに隠しきれない茜。

 

だが……。

 

 

きりたん「………………。」

 

 

七歩、六歩…ゆかりに肉迫していく、ずんリアス。

 

ウナ「きりたんってば!!

んもう!!こうなったらウナが止めにーー!!」

 

五歩、四歩。鎌が振り上げられ、ドラゴンクローの発動に入る。

 

茜「…………ゆ、ゆかりさん…!」

 

 

三歩……

 

 

???「バアアアアアアアアァァァーー!!!」

 

 

空から、叫び声が聞こえた。

 

 

ずんリアス「ガアアアアアアーーー!!!!」

???「ッッッシャァアアアアアアアアアアーー!!!!!」

 

 

ズドン!!!!!

 

 

赤い、熱い何かがずんリアスに激突し、メリメリと抉ってその場に月の表面のようなクレーターが一瞬で出来上がる。

 

それはまるで小さな隕石のようで……

 

ウナ「な、何か降ってきた!!」

 

燃え盛る炎のようで……

 

茜「………ふぅ……そ、そうやね。何も無いわけ無い。ゆかりさんやもんな…」

 

ピンチの時に現れる正義の味方のよう。

 

きりたん「既視感みが、深い…」

 

 

メラメラと燃える足から強烈なブレイズキックを放ち。

 

 

ずんリアス「ガアッ!!!」

 

ずん子「……予想からは外れましたが、まあ良いでしょう。それでもこちらが有利です。」

 

 

 

???「バシャーモ!!!」

 

 

ホウエン御三家炎ポケモンの最終形態。 

もうかポケモン。『バシャーモ』が舞い降りた。

 

 

 

 




なるべく格好良さが伝わるように書いたつもりですが、如何でしょうかね?

次回は超近接、ノーガードなバトルになるかもしれません。そろそろ熱いバトルがあっても良いよね。小細工ばっかじゃなくてさ

バシャーモとガブリアス。共に大好きなポケモンです。二足歩行、火力、スピード持ち。攻撃も補助もいける万能タイプ。強いかはプレイヤーの腕次第。
何処をとっても良い!

そんな二体が正面から激突する。
ゲームならガブリアスの方が有利ですかね。

だが、小説だ。



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29バシャーモVSガブリアス 

うわっ、本文長っ。


この長さ書いたの久しぶり


ガアアアアアアーーー!!!!!

 

バシャアアアアアアアーー!!!!!

 

 

「うおっ!?な、なな何だ!? 」

 

「今のはポケモンの鳴き声!?」

 

学園門前でバトルが開始された頃、門に近い教員室ではモブ教師共が慌てふためいていた。

 

 

ささら「誰かがポケモンバトルしてるのかな?」

 

更に、校門に近い位置にある初等部のバトルフィールドでウナの帰りを待っていた、さとうささらもその音に気付いていた。

 

初等部の女子生徒達は、自分たちの持つポケモンとは余りにも違う音に怯えて、男子生徒は喜んでいる。

 

ロリ生徒「ささらちゃん、ウナちゃんまだ戻って来ないのかな?」

 

ささら「……そうだね。そろそろ30分は経つけど。」

 

ささら(探しに行こうか……けど、今は女の子たちも怯えてるし……)

 

子供たちの周りにはささらの手持ちポケモンのピィやププリン達がなだめているが、不安そうな表情は消えない。

 

ささら「…………仕方ないか。」

 

ささらは耳をふさぐと、ピィとププリンに指示する。

 

ささら「うたう。」

 

 

ピィ・ププリン「「~♪」」

 

 

ささら「良い子で待っててね…」

 

コロンと眠る子供たちをひとりずつしっかりと教室へ運び、手持ちのプリンとプクリンとピッピを出し、子供たちを預けると、ささらはウナを探しに行った。

 

 

 

ささらが教室を出て直ぐの校門前では

バシャーモとガブリアスが目に止まらないスピードで撃ち合いをしていた。

バシャーモの炎がガブリアスのカラダを焦がし、ガブリアスの爪がバシャーモの身体を引き裂く。

これはバトルなのか……血飛沫が舞う凄惨な光景は、否応なしにこれを殺し合いと表現する他に無し。

 

ずん子「ずんリアス!!ドラゴンクロー!!!」

ずんリアス「ガアアアアアアーーー!!!!」

 

バシャーモ「シャアアアアアアアーーー!!!!」

 

ずんリアスの爪がバシャーモに突き立てられ、バシャーモはそれを無視してかえんほうしゃで応戦する。

 

ずん子(どうしよう……バシャーモが速すぎてじしんを撃つタイミングが無い……)

 

通常なら炎タイプに有効なじしんをノータイムでブッパしたい。だがそれを初手に空中からの攻撃という形で無力化しておいてほぼゼロ距離の接近戦に持ち込んでバシャーモは、ずんリアスから離れない。

 

ずん子(多少のダメージなら無視して良いのに、あのバシャーモは所々で“ばくれつパンチ“を牽制代わりで撃ってくるから不用意に行けない。)

 

ずんリアス「グオオオオオーー!!!!」

 

 

思うように戦えないずんリアスは次第にイライラを募らせ、精細さを欠いた力任せのドラゴンクローで攻撃する。

 

バシャーモ「----シャア!!!!」

 

そこに隙を見いだしたバシャーモは、ずんリアスの肘にマッハパンチを放つ。

 

ズドン!!!

 

ずんリアス「グガアアアアアーー!!?」

 

頑丈なポケモンと言えど、間接にカウンターの要領で物理攻撃を撃たれれば当然激痛が走り、打撲する。

 

ずん子「ずんリアス!!」

 

ドラゴンクローは不発に終わり、もう利き手でのドラゴンクローは撃てなくなった。

だが--

 

ずん子「今よ!!じだんだ!!!」

 

ずんリアス「グオオオオオーー!!!!」

 

バシャーモ「バシャアッ--!?」

 

じしんは、地面を揺らす衝撃を地面沿いに相手に伝えるワザ。そのため1度地面に力を加えるという僅かな隙が生まれる。

だが、直接攻撃のじだんだならそのままバシャーモにたたき込む事が出来る上に、ドラゴンクローが失敗した今なら、威力はじしんを越える!!

 

強力な一撃がヒットしたバシャーモは、地に倒れ伏した。

 

 

ウナ「おおー!!凄いぞガブリアス!!さすがドラゴン!!」

 

茜「まずはずん子先輩が一勝か~」

 

きりたん「……と、思うじゃないですか」

 

ウナ「え?」

 

きりたんがジト目で倒れたバシャーモを指差すと、バシャーモだった物が炎に包まれて消えた。

 

ウナ「バシャーモが消えた!?」

 

きりたん「みがわりでしょうね。

アレは攻撃を受けるときに別の場所に瞬間移動するタイプのようです。」

 

ウナ「きりたん、何で分かったの?」

 

きりたん「バシャーモがあんまり簡単に受けてたから。」

 

ウナ「それだけ?」

 

きりたん「それだけ。」

 

きりたん(………それだけで充分。

たったそれだけで、ああ今絶対何か企んでるなって思うのは……それだけゆかりとのバトルが衝撃的だったのかな……)

 

きりたん「さーて、バシャーモはどこから現れて何をしてくるんですかね?」

 

 

ずん子「ずんリアス。何処から来るか分からないから注意して!」

 

ずんリアス「ガウッ!!」

 

ゆかり「…………」

 

ずん子「…………。」

 

ずん子(上………)

 

真っ先に疑う。首を動かさずに目線だけで確認する。

最も可能性が高いように思える。じしんの影響を受けず、落下の威力を上乗せした物理攻撃が可能。

ビルをひとっ飛び出来る脚力のバシャーモなら造作も無い。

 

ずん子(違う……落ち着け。

ゆかりはこうやっていつも、最も可能性が高いと思わせるものを囮にして別の行動をする。)

 

ゆかりの思考を読み、パターンを思い出して戦略を絞る。

 

ずん子(1番無いのは地中。じしんのダメージを最大以上に受ける最も危険な場所。

だったらゆかりなら敢えてそこを選ぶ?

違う。思い出せ。ゆかりはずんリアスの腕を持って行った。ドラゴンクローを咄嗟に使わせないため?

それならじだんだを躱した所でまたゼロ距離の接近戦?)

 

バシャーモが“みがわり“で姿を消してから4秒。

未だに現れない。

 

ずん子(バシャーモの状態は?

まずドラゴンクローはしっかり入った。

最初に撃ったすなあらしの襲うダメージもカラダをボロボロにしていく無視できない物のハズ。何度か打ち合った以上、ずんリアスの“さめはだ“でもダメージはある。そしてみがわり。

もう体力は残り僅か。2割は無いと断じて良い。)

 

ずん子「だったら……ずんリアス!スピードスター!!」

 

5秒。

バシャーモの姿を探しながらずん子が立てた戦略は、弱っているバシャーモを必中ワザで炙り出すこと。

 

ずんリアスは利き手と逆の手で地面を抉り掻き出す。砂が幾つかの星の形を型どり放射される。

 

ずん子「これで、バシャーモがどこに居るか分かる!!ずんリアス。いつでもトドメをさせるように構えて!」

 

ずんリアス「ガアアアアー!!」

 

真っ直ぐ進んだスピードスターは、くいっと向きを変えた。バシャーモを補足しホーミングした相図だ。

 

ずん子「良し、ずんリアス。スピードスターが中る先にだいちのちから用意!!」

 

スピードスターが走る先。その先のバシャーモを見据えた瞬間が勝利の瞬間。見逃しはしない。

 

 

 

クルクルクルクル……。

 

 

 

茜「…………スピードスターは、どこへ行こうとしとるやろ??」

 

ウナ「ガブリアスの周りを回ってるよ?故障??」

 

きりたん「いや、スピードスターに故障って何ですか。ポケモンのワザですよ?」

 

回る。ずんリアスの周りをクルクルと。真円を描くように正確に。

 

ずんリアス「ガ……ガア……??」

 

回る。規則的に。クルクルクルクル……。

 

ずん子「……なに?これ??」

 

すなあらしの砂の中でもしっかりと光って。

クルクル。少しずつ。ずんリアスから()()()()()()

 

----瞬間。スピードスターがずんリアスに向かって向きを変えた。

 

 

ずん子「--あ!?ま、まさかそんなことが……

ず、ずんリアス!!!スピードスターに向けてだいちのちから!!!!」

 

ずんリアス「ガアアアアアアーーー!!!!」

 

きりたん「----そうか!バシャーモは……」

 

 

ずん子が、遅れてきりたんが、気付く。

スピードスターが回っていた理由。

それは…………

 

 

ゆかり「……遅い。」

 

バシャーモがあんまり速すぎて着弾する前に走り去ってしまうから。

つまり。バシャーモは、ずっとずんリアスの周囲を走り回っていたのだ。音も無く。誰にも視認させず。そして

バシャーモのスピードが頂点に達した時、ついにスピードスターはホーミングで後追いするのでは無く、直線で動き、急激に角度を変えることになる。

 

 

バシャーモ「シャア!!!!」

 

ずん子「ずんリアス!!!後ろ!!」

 

ずんリアス「ガアッ!??」

 

スピードスターに向けて放つハズのだいちのちからを、腰を回して強引に目標をバシャーモに変更する。

だが……

 

狙いを定める瞬間。バシャーモが消える。

 

ずんリアス「ガ……ッ!!!」

 

懐に飛び込んだ“ばくれつパンチ“

殴り飛ばされたずんリアスは、そのまま自分の放ったスピードスターに激突し、上空に吹き飛ぶ。

バシャーモは目に止まらぬ速さで飛び上がると、スカイアッパーを放つ。

 

ずんリアス「ーーグウッッ!!?」

 

ずん子「ずんリアス!!!」

 

バシャーモの拳は密着したままで更に上空に上がる。

 

バシャーモ「シャアアアアアアアーーーー!!!!」

 

空いた方の手に炎を、そして気合を込める。

しだいに重力に従い、2体は自然落下していく。

 

そして…

 

ゆかり「……きあいパンチ」

 

落下の勢いを乗せたきあいパンチで、ずんリアスは無惨に散った。

 

 

 




ゆかりは一体いつになったらポケモンに指示するってことを覚えるのかな……?


過激なバトルに疲れた人用に
ちびゆかりとちびマキを描きました


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※追記

実は今回のバトル描写は多少自主規制が入っております。
これ以上生々しい物にするかどうか。皆様のご意見を聞かせて頂ければ幸いです。


次回のバトル描写はまるで不良マンガのようなバトルにするか、能力系バトルにするか、その他か
……悩み




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29.5マキと葵の合間の雑談

こちらはコメント返信回を書こうとして後書きの方でやることになった回です。

後書きが本編……ですかね


ゆかりとずん子がポケモンバトルという殺し合いに興じて居た頃、葵とマキは校門に向かっていた。

 

葵「マキ先輩、少し気になることがあるですけど」

 

マキ「うん?何かな、葵ちゃん。」

 

葵「結月先輩とはどういった繋がりなんでしょうか?」

 

マキ「え?繋がり??」

 

葵「はい。私は、その…結月先輩は、あまり人と居るのが好きな人には見えなくて。

お姉ちゃんときりたんちゃんは結月先輩に弟子入りしたいって言ってこんな遠くまで追いかけて来てましたけど。

私は、あの人が怖いです……。

何でお姉ちゃんが弟子入りしたがるのか分からなくて。」

 

マキ「ゆかりちゃんが怖い…う~ん……」

 

マキはよく分からないと言った表情でコレまでのゆかりと葵が見ていた主な出来事を振り返る。

 

 

・自己紹介

 

お世辞にも友好的には見えなかった。

 

・きりたんとのポケモンバトル

 

ポケモンの正体すら明かさず瞬殺。

 

・ずん子とのケンカ

 

論外。

 

 

マキ(あーこれは葵ちゃんが怖がるのは仕方ないなぁ。

完全に()()()だ。

 

 

マキ「……葵ちゃん。私達は、生まれた地方も違うし、初めて貰ったポケモンも、戦い方も違うんだよ。」

 

葵「え?それは…はい。そうですよね」

 

マキ「それでね、そう言う人は世界中にいっぱいいるからね、ゆかりちゃんが怖いと思う葵ちゃんに『そんなことないよ』って言っても、きっと伝わらないと思う。

 

ただね……」

 

葵「ただ?」

 

 

マキ「私にとって結月ゆかりって言う人は、トレーナーはどんな人?って聞かれても、よく分からないかな。」

 

 

葵「よく分からない?友達とか、ライバルとかじゃ無いってことですか?」

 

マキ「うん、そうだね。

友達って言えるほど、私はゆかりちゃんをよく知らない。

ライバルって言えるほど、私はゆかりちゃんに勝ちたいって思ったことも、あんまりないんだよ。

 

 

たださっきの移動中に思ったのはーー『好かれる』ってことを禁じてるってこと。」

 

葵「好かれるのを、禁止している……?

でも、オーキド博士を好きだって」

 

マキ「そう。自分は相手を好きになるけど、相手に好かれることを望まないの。

 

自分勝手に好かれたい人はいっぱいいたけど、あの子は自分勝手に人を好きになって、それでも自分を好きになって貰おうとしない。」

 

 

葵「…………。」

 

『私は研究所も、あの死にぞこないも好きですよ。』

 

そう言った結月先輩の表情は、普段からは想像出来ないくらい穏やかで、落ち着いていた。

少しだけ見とれてしまうくらい素敵で、曇りない大人の女性の笑顔。

ほんの一瞬だけだけだけど、あの人から、怖さが消えた。

 

 

マキ「私が昔、捕らえられた時には助けてくれた。

その時は私よりボロボロになってたよ。

それでも、ゆかりちゃんは言ったの。

別に、友達でもなんでも無い。って」

 

葵「それは本当に友達じゃないんですか??」

 

マキ「そうみたい。でもね…。

 

友達でもなんでも無い。私が一方的に貴女を助けたかっただけ。って……もう訳分かんないよね。フフッ」

 

葵「……そうですね。ほんの少しだけ、結月先輩のことが分かった気がします。」

 

マキ「うん。良かったよ。」

 

マキ(……アレ??きりたんちゃんは、バトルが終わった後で何かゆかりちゃんと話して、それで考えが変わったみたいだったけど……何で茜ちゃんはゆかりちゃんに弟子入りしたがるんだろう?)

 

 

 

 

 

 

 




ずん子「東北ずん子と!!」
葵「………こ、琴葉葵の」
ず・葵「質問返信コーナー!!!」

どんどんぱふぱふ~

ずん子「このコーナーは!!本編で出番がそれほど無かった私、東北ずん子と!!本編で出番が無い葵ちゃんのせめてもの慈悲のコーナーです!!」

葵「……キレそう。」

ずん子「おやおや~?どうしたのかな葵ちゃん~?
先輩にその態度は良くないんじゃないかな~例え私が不遇枠から唐突に劇的なポケモンバトルを()()で!!!しているからといって~」

葵「ぐぬぬ……っっ!!!!(涙目)」

ずん子「大丈夫だよ葵ちゃん!!私がたとえ、本・編・で!活躍して引っ張りだこになってしまっても!
葵ちゃん一人を置いてきぼりとかには、しwなwいwかwらwww」

葵「ううううううーーー!!!!(半泣き)」


「ブライト、かみなり。」


ブライト「ピカ。」


ピッシャーン!!!!


ずん子「ほぎゃああああああああああーーー!!!??」

マキ「やれやれ…ずん子ちゃんったら。キャラ崩壊が過ぎると戻れなくなるよ?」

葵「ま、マキ先輩!」

マキ「よしよし、葵ちゃん。遅くなってごめんね」

葵「マキ先輩~~!うううっ!!」

マキ「何とか間に合って良かったよ。
ずん子ちゃんが本編で目立ってたおかげで、私の方が陰薄くなってなかったら来れなかったから」

葵「そ、そんな!!マキ先輩は陰薄くなんか無いですよ!!きっと結月先輩とあのミドリムシのバトルが終わればマキ先輩の時代がとんぼがえりしてくるんです!!」

マキ「そ、そう?ありがとう…」

マキ(私のボイスポケットの全盛期って、今のところ第一話冒頭でオープニング飾ったくらいなんだけどなぁ…って言うか、ミドリムシ…葵ちゃんの好感度がゆかりちゃんとずん子ちゃんで総入れ替えされたのかな)

マキ「ところで葵ちゃん。これから何かしようとしてたんじゃなかったのかな?」

葵「あ、そうでした!あのクズん子のおかけですっかり忘れてました!」

マキ「葵ちゃん戻ってきて!!葵ちゃんまでキャラ崩壊しだしているから!!」

葵「あ、はい。
すーっ、ふううぅ…。

はいっ、それじゃあこれからはこちらの弦巻マキ先輩と、その弟子、琴葉葵の二人で幾つかのコメントや質問について気になった所にお答えしていきます。」

ポケモンってバトルで死ぬ事ってあるんですか?

その場合はポケモンセンターで蘇生可能なんでしょうか?

マキ「前回のゆかりちゃんとずん子ちゃんのバトルの様子を見て感じたみたいだね。」

葵「あれは今までのポケモンバトルの様子とは一線を引いた描写でしたよね。

きりたんちゃんの2回目のバトルvsツツジ戦までは、何処に出してもだめ出しはされてもレート指定が付くような表現はなかったんですよね」

マキ「色んなポケモン小説はサイト内にもあるけど、中々ポケモンの死を連想させるほど残酷な描写って付かないもんね。」

葵「そもそも何であんな唐突に流血だの打撲だの生々しいこと言い出したんですか?」

マキ「う~ん、ちょっと言い辛いことなんだけどね?
ほら、これまでのボイポケのポケモンバトルは、必ず葵ちゃん、茜ちゃん、きりたんちゃんって子どもがバトルに入ってたんだよ。

そして相手は、私、ゆかりちゃん、ずん子ちゃん。そしてジムリーダーのツツジさん。
いずれも、実力を証明する肩書きを持つトレーナーばかりなの。

だからその…つまりね?ある程度は…その」

葵「手加減してたと言うことですか?」

マキ「…………ごめんね?
でもねでもね!ライディーンのかみなりとか本気で撃つと研究所火事になるだけじゃ済まないから……」

葵「……いつかは、マキ先輩と本気でバトルしたいです。」

マキ「うん。きっと、しようね。」

葵「はいっ!」

マキ「というわけで、質問の答えです」

葵「実際どうなんですか?」

マキ「ポケモンは生き物です。
ヤドンのしっぽとか、コイキングの刺し身とか、食用にされてるくらいには生ものですので、当然生き死にも存在します。

そして攻撃とか毒とかあるからには、絶対に死なないなんて保証はありません。
なので、私達トレーナーは常にポケモンの健康状態に対して万全の準備をします。

それでも、年間でバトルでポケモンが死亡する例は幾つかあります。

特に初心者トレーナーが旅に出て凶暴なポケモンに運悪く出会ってしまった例。

ロケット団を初めとするマフィア組織や、それに準ずるトレーナーとのバトル。

あるいは、一部トレーナー以外の立ち入り禁止区域で。

いずれも死亡例があります。
ポケモンも…()()()()()も。」

葵「……っっ」

マキ「原則この世界のポケモンの『ひんし』状態というのは、人間で言うところの気絶や重傷というだけで死んではいません。
ずんリアスやツキ……コホン。バシャーモが良い例で、身体はズタボロ。切り傷、出血、打撲。充分重傷ですよね?タフネスが人間と違うだけで、命そのもののルールは、人間とおなじです。つまり


死者は、蘇らない。


だから、ポケモンもバトルで死にます。
ポケモンセンターでも死んだポケモンは生き返りません。

そうでなければ、シオンタウンにポケモンの眠る場所も、ガラガラのゆうれいも…うまれなかったんですから……ね?」

葵「マキ先輩……」


マキ「というわけで、質問の返信とさせて頂きます。
これからも素朴な疑問。この小説固有のポケモンに関するルールなど、気になることがあればドンドンコメントください。
その分だけ、この世界の深みと現実味は増していきますから」

葵「今回の質問はここまでです。
ポケモン×ボイスロイド ボイスポケットを閲覧頂いている皆様、並びにお気に入り登録やコメントを頂いている皆様に感謝を込めて」

マキ・葵「次回もお楽しみに!」











ずん子「………あれ?私の出番はどこ…?ここ…??」


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30 確かめ直す。戦う意味を

あけおめ~


 

【挿絵表示】

 

 

パシャリ。

片手でカメラを使い、自分とリザードンのブレイズを撮影しているのは、金髪の少女、弦巻マキ。

 

マキ「え~っと…うん。上手く撮れたかな。

かっこいいよ。ブレイズ。」

 

ブレイズ『……首と頭しか写っていない。しかも白黒だ。』

 

マキ「仕方ないんだよ。お母さんの時代は白黒のカメラしかなかったんだもの。

ほら、ゲンガーもニドリーノも白黒でしょ?」

 

別技能の動画をブレイズに視せるマキ。

 

ブレイズ『ゲンガーがニドリーノに格闘戦を挑むとは…これはシャドークローか?』

 

マキ「昔は物理攻撃や特殊攻撃の分類や知識が確立していなかったんだよ。

お父さんの時代は、ポケモンが()()()()()()の時代だから。オーキド博士だってまだ若かったくらいだし。」

 

ブレイズ『おう…コレが嘗てのオーキド・ユキナリか。目が違うな。強いトレーナーだったと聞いたが、ここまでとは……。』

 

マキ「うん。ゆかりちゃんも言ってたよ。

『若い時に逢いたかった』って」

 

 

話をしている。

語り継ぐ事でしか知れない、過ぎ去った(かこ)の話。

 

これは、学園の課題【他地方のリーグ出場権獲得】の旅立ち前に三人が集まる日に、たまたま母の遺品のカメラを見つけた話。

 

 

 

場所は変わって、オーキド研究所の訓練場。

 

ずん子「行きますよ、ズナイパー!」

ズナイパー『宜しい。参りましょう。』

 

東北ずん子は、アローラ御三家、草のポケモンジュナイパーと訓練中だ。

 

ズナイパーは風を纏って空高く舞い上がる。

地上には“ふうせん“をくくりつけた小さな“かるいし“が地面の不規則に風を起こす装置によって上下に浮かぶ。

数にして6。

ただでさえ小さい的を人間に視認不可能なレベルまで小さくなる。

 

ずん子にはもうズナイパーが見えない。

ソレを確認すると、翡翠のZパワーリングにZクリスタルをはめ込む。

 

ずん子「両手をクロス。大地からつぼみ咲くように……」

 

トレーナーがワザの準備を始めたのを確認したズナイパーは自分を飛翔させる翼を広げ、首のツタを弦に。

ーー弓を構える。

 

 

ズナイパー『…………。』

 

 

落ちる、落ちる、落ちる。

重力に従う自然落下。

 

力を鏃に。光を通さぬ影を鏃に纏う。

 

ずん子「さあ、準備完了。行くよ、ズナイパー。」

ズナイパー『影を纏えば光を取り込む。射貫け。』

 

ズナイパーの弦は限界まで張り詰める。

 

 

ずん子・ズナイパー「『シャドーアローズストライク!!!!』」

 

 

弦が弾かれ、矢が吹き飛ぶ。

 

直線では無く、曲線で“かるいし“を射貫く。

 

1、2、3、4、5……。

 

不規則な動きで浮くかるいしを追尾して上へ、左へ、下へ、上へ、左へ、右へ。6個目。

 

当たる直前に風が止み、かるいしが落下。軌道を下へ修正するも、当たらない。

 

ずん子「はぁ……ハァ……や、やっぱりZワザは、制御が、難しいですね………っ」

 

ズナイパー『やはり、まだ足りませんな…ここはやはりもう一矢』

 

ずん子「矢を番えても直ぐにZワザもう一回は撃てないよ……って、アレ?ズナイパー……言葉が」

 

ズナイパー『おや?これは一体どういう…??』

 

 

マキ「ずん子ちゃん~」

 

 

ずん子「あ、やっぱりマキさんだったんですね。」

 

マキさん「うん。お待たせ、ずん子ちゃん。

はいっ、チーズ!」

 

 

パシャリ

 

ずん子「ふえっ!?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ずん子「ま、マキさん、そのカメラは?ずいぶん古い物のようですけど」

 

マキ「うん。これね、お母さんの遺品なの。

旅の前に虫干しとか必要な物は無いかなと思って調べたら出てきたの。

だから、お母さんにも私の友達見て貰えたら嬉しいなって……」

 

 

ずん子(友達……友達……私が、マキさんの友達……!!)

 

この時、ずん子はマキの才能に尻込みし、どこか劣等感と後ろめたさを感じていたのでした。

 

ずん子「そうなのですか。お母様にも届くと良いですね」

 

マキ「うん!ところで、ずん子ちゃん。」

 

ずん子「何ですか、マキさん?」

 

 

マキ「ゆかりちゃんはどこかな?」

 

 

ずん子「……………」

 

 

その時、ずん子のゆかりに対する嫉妬心と対抗心は更に膨れあがった。

 

 

マキ「ずん子ちゃん??」

 

 

が、マキは気付かなかった。

 

ずん子「………あ。

すみませんマキさん。ゆかりは研究所には来たんですが、どこに居るのかは……」

 

 

ゆかり「ーーふわぁ~……」

 

 

マキ・ずん子「ふわぁ??」

 

 

ゆかり「………………ねむ」

 

ゆかりは、直ぐ傍でフードに身体全体を包み、フシギバナに背を預けて眠っていた。

 

マキ「ゆかりちゃん!」

 

ずん子「え?嘘?!いつからそこに!?

私の対ゆかり用の秘密特訓を覗いていたのですか!?」

 

ゆかり「…………。」

 

フシギバナ『我が主は、ずん子様の特訓より以前より休息されておりましたよ。因みに、訓練につきましては見向きもせず瞼を閉じておられました。』

 

ゆかり「zzz……」

 

マキ「あ、マズい。ゆかりちゃん、ゆかりちゃん!

寝ちゃう前にこっち向いて!!お願い!!」

 

ゆかり「………………何ですか……」

 

フシギバナ『どうやら、写真を撮りたいようです』

 

ゆかり「…………はぁ……」

 

眠たげにしながらマキのカメラに目線を送るゆかり。

 

マキ「ありがとう、ゆかりちゃん。じゃあ撮るよ~」

 

ずん子(……やっぱり、ゆかりはマキさんの言うことは聞くんですね………ソレは、やっぱり……)

 

 

 

 

 

ずん子「才能の違い……なんですかね」

 

目を開く。

 

ずん子の目の前に広がっているのは、ボロボロのバシャーモと……

 

 

ゆかり「……………。」

 

 

ずん子「それでも、才能の違いがあっても……」

 

 

握る。新たなボールを。

 

 

ずん子「プライドを捨ててでも、他の何かで埋めて、ゆかりを倒す!!」

 

 

 




はい、こちらゆかりさんでーす




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31ヤムチャ視点が終わりを告げる。

そろそろこの殺し合いに対等な視点の解説が欲しかったので


ーーきあいパンチ。

 

消えてしまいそうなほど小さい声で、ゆかりちゃんがそう口にしたのが、確かに聞こえた。

 

でも、それは●●●に指示した訳じゃ無い。

それはきっと、多分。バトルしている内に少しだけ思い出してしまったんだと思う。

まだ、ゆかりちゃんがポケモンにバトルの指示をしていた時のことを。

まだ、あの子達のことを『ニックネーム』で呼んでいた昔のことを。

 

葵「………………。」

 

ゆっくり葵ちゃんのペースに合わせて校門に向かっていた私と葵ちゃん。

けど、あの校舎全体を震わせる咆哮が聞こえて、すぐにブレイズの背に乗って飛んできた。

 

マキ「…………ゆかりちゃんと、ずん子ちゃん。

やっぱりバトルになったんだ…。

さっきの校内放送聞いたときは大丈夫かと思ったけど……」

 

ハッキリ言ってしまえば、東北ずん子という子は、感情の制御が苦手だ。

喜怒哀楽がハッキリ現れる。それも、最も強い感情が優先して出てくる。

 

マキ(ずん子ちゃんは、多分ゆかりちゃんと仲良くしたい気持ちがある。

でも、肝心のゆかりちゃんは)

 

心の内を見せない。

自分から本心を語ることが殆ど無い。

本人が秘密主義な訳じゃ無い。

ただ、面倒なだけで。

 

 

正面からぶつかろうとする東北ずん子と

相手の寝込み・背後を狙うことに効率の善し悪し以外は考慮しない結月ゆかり。

 

この二人が言葉でわかり合うのは難しい。

 

だが……。

 

 

マキ「…………ずん子ちゃんがゆかりちゃんとバトルで語り合うには……」

 

 

 

東北ずん子は、純然たる事実として、結月ゆかりに届いていない。

 

 

 

大地にクレーターを作る衝撃音と共にずんリアスが地面にめり込む。

 

マキ「先ずは、ゆかりちゃんが一本取ったね……。」

 

弦巻マキは、ブレイズの背に乗りながら、見慣れた光景であるソレを、冷静に見つめていた。

だが、その後ろにいた琴葉葵は……。

 

 

葵「……な……に……こ、れ……!?」

 

 

見たことの無いコレに対して、目を見開いてマキの背に隠れていた。

マキは葵の目を手とカラダで優しく隠しながら、二人のバトルから目を逸らさない。

 

 

マキ「ゆかりちゃんの本気()()のバトルだよ。」

 

葵「…………っっ」

 

マキの声すら辛うじてしか聞こえていないほど、葵は怯えていた。

 

マキ「…………降りようか。

ほら、茜ちゃん達も一緒だよ」

 

葵「あ…、………は、い…。」

 

 

ブレイズはゆっくりと、地上に降りていった。

 

 

 

 

ゆかり「あと、二つ。」

 

 

ずん子「負けない。絶対に。」

 

 

あれだけ凄惨なバトルがあったにもかかわらず、結月ゆかりの表情は険呑で、眠たそうだ。

 

 

ウナ「……………」

 

音街ウナの元気で明るさを感じさせる表情は完全に凍り付き、目尻に涙を浮かべている。

 

茜「ゆかりさん……」

 

スイクンのゼリーに『リフレクター』を前もって準備させていた茜は、この光景もある程度予想の範囲内であったようで、怯えていたウナをお姉さんらしく抱きしめていた。

実際、直撃していたら大怪我するかもしれない位の破片が何度かリフレクターにぶつかっている。

 

 

きりたん「ずん姉様……ゆかり……」

 

 

ずん子「さあ行くわよ2番手!!ズナイパー!!」

 

 

ズナイパー「じゅっぱぁ!!」

 

ずん子の2番手、ずナイパーのジュナイパー。

草・ゴーストタイプのアローラ御三家。

 

弓ワザを得意とするポケモンは、モンスターボールから現れると同時に、地面に向かって突進した。

 

きりたん「え?!ずん姉様!?」

 

すると、ズナイパーは地面に激突する事も無く、ぬるりと中へ入って行った。

 

きりたん「な、何あれ…??」

 

 

ずん子「ゆかり、私達が貴女に勝つためにしてきた修行の成果を見せて上げます。」

 

 

バシャーモ「…………(ゼェ…ゼェ…)。」

 

バシャーモは虫の息になりながらも集中している。

突然目の前で地面に潜ったジュナイパーだが…。

 

 

ゆかり「ゴーストダイブ。」

 

 

ずん子「ああ…やっぱりすぐに分かっちゃうんですね。

でも、これは分かりますか?」

 

バシャーモのすぐ足下。前触れも無く矢が飛び上がる。

それはバシャーモの顔を狙って突き進む。

 

バシャーモ「………ッッ!!!!」

 

間一髪“みきり“で顔だけ動かして躱すバシャーモ。

 

ゆかり「これは……!」

 

きりたん「あれって…!!」

 

ずん子「さすがに貴女も予想出来ないでしょう?

見えない影の中で、音も無く、更に攻撃が届く場所にもいない!

貴女の得意なステルス戦術を、完全な形に仕上げたんですよ!!」

 

 

きりたんも思い出す。

ゆかりがマスターボールから出した謎のポケモンを。

正体も分からないまま一方的にハガネまるを攻撃していたあの戦術だ。

 

 

きりたん「すごい、ずん姉様……!!あれなら、いくらゆかりでも攻撃出来ない……」

 

 

 

 

ずん子「ふふふ……さあ、2戦目を始めましょう。」

 

 

 

 

 

 




力のぶつかり合いの後は、ワザの比べあいをば


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32シャドーステルス

空には雷、地面には地震。水の中にはなみのりを。

では、ここはどうだ?


地面から矢が放たれる。

一本、二本、三本。

 

矢続けに。追い込むように。不規則に。

ソレをバシャーモは“ビルドアップ“で受けきり、“みきり“で避ける。“ほのおのうず“で身を隠す。

 

ずん子「ふふふ……弱った獲物を逃がさないのは、アーチャーの基本です。」

 

ゆかり「………。」

 

ゆかりは自分のモンスターボールを前に突き出すが、収納技能が反応しない。

 

 

きりたん「茜さん、何でモンスターボールが反応しないんでしょうか?」

 

茜「う~ん…何でやろう??故障やろうか?」

 

きりたん「茜さんも分からないんですか?」

 

茜「う~ん…ウチもホウオウの巫女として勉強することを強いられとるけど、まだまだ修業中やしなぁ…

“くろいまなざし“なんて覚えとるんかな?」

 

うーんと頭を悩ませる二人の幼い少女に対して、声をかける金髪の少女が一人。

 

 

 

マキ「それはね、バシャーモの影に刺さってる矢だよ。」

 

 

 

茜「マキ先輩。それに葵!」

葵「お姉ちゃん!」

感極まって茜に抱きつく葵。

 

きりたん「弦巻先輩、あの影の矢に何かあるんですか?」

 

 

バシャーモの影に刺さる(やじり)に気がついたきりたんが、マキに問う。

 

 

マキ「一番最初のズナイパーの一矢はね、“かげぬい“って言うジュナイパー専用のワザだったからだよ。」

 

きりたん「かげぬい?って何ですか?」

 

マキ「う~ん…どう説明したら良いかな?

 

つまりね、“くろいまなざし“の効果を持った攻撃なんだよ。」

 

きりたん「そんなワザがあるんですか。

でも…………」

 

 

ずん子「ズナイパー!ブレイブバード!!!」

 

依然影の中に身を潜めながらも矢を三本番え放つ。

隠れとくせい“えんかく“の恩恵で直接攻撃のワザを鏃に込めて放つ。

 

バシャーモ「シャモ……ッッ!!」

 

矢の先端に竜巻が起こる。矢は形を留められずに崩れ去り、音速を超えた“空気の矢“が出来上がる。

 

かげぬいと虫の息になったHPの余力の無さで走ることすらままならないバシャーモに、擦ってもトドメになる最高威力のワザが襲う。

 

バシャーモ「シャアアアアアーーッッ!!」

 

バシャーモは後ろに吹き飛ぶ。

その後、パァンと空気が破裂する音が遅れて鳴る。

 

ずん子「これで1対1に……!!」

 

シュルリと赤い回収ビームが走り、戦闘不能前にバシャーモが他に戻る。

 

ずん子「え、な!?何で!?かげぬいでボールには戻せないハズ……」

 

 

ーーコロンコロン……。

 

 

軽いプラスチックの何かが地面を転がる音がした。

ずん子はソレを視認

 

ずん子「赤い……バトン?」

 

すっ…とソレを拾う青色の手が一つ。

 

 

ゲッコウガ「………コウガ!」

 

 

しのびポケモン、ゲッコウガだ。

 

ずん子「ゲッコウガ…何で!!」

 

 

きりたん「何が起こったんですか?弦巻先輩」

 

 

マキ「“くろいまなざし“に囚われても、ひんし以外でボールに戻す方法はあるんだよ。

それのひとつがあのワザ。

 

一般的なトレーナーには、名前すら認知されてないサポート技。その名も“バトンタッチ“だよ」

 

楽しそうに笑いながらワザの説明をするマキの方を気にせず、図鑑にメモするきりたん。

 

ずん子「くっ……ズナイパーはっぱカッター!!」

 

シャドーダイブの影から無数のはっぱカッターが吹き出し、ゲッコウガに向かう。

 

ゲッコウガ「ガアッ!!」

 

ソレをふぶきで凍らせ無効化する。

 

ずん子「次!“かげうち“」

 

ズナイパー「ぱあぁぁーー!!」

 

同じく影の中からかげうちの矢を射る。

 

ゲッコウガ「…………。」

 

それを苦も無く回避するゲッコウガ。

 

ずん子「連続で“かげうち“!!」

 

ゲッコウガ「…………フン。」

 

 

 

マキ「………………そろそろ限界のハズだね。」

 

きりたん「限界?」

 

マキ「うん。ゴーストダイブは本来あり得ざる影の中、つまり虚数空間に身を潜めて闇討ちするワザ。

本当はいないハズの異世界に居る様なもの。」

 

ずん子「ぐっ……当たらない……っっ!!」

 

 

マキ「もっと分かりやすく言うならね、アレは宇宙服無しで宇宙にいるようなものなんだよ。」

 

きりたん「な……」

 

マキ「そんな所に、いつまでも居られるくらいなら、“ゴーストダイブ“なんてしなくても、ただ隠れながら相手を攻撃するだけで勝てるんだよ。」

 

 

ずん子「もう時間が………ズナイパー!!全方位からリーフブレード!!」

 

虚数空間の中を動き回り、ゲッコウガの周囲に孔を開け攻撃準備に入るズナイパー。

 

 

ゆかり「……………正直、ゴーストダイブの待機限界まで待っても別に良かったんですがね……」

 

 

ゲッコウガの身の回りに無数の虚数空間の孔が空き、そこからリーフブレードが突き出される。

 

 

ズナイパー「じゅぱ!?」

 

 

その遥か前に、青い腕がズナイパーを掴み、虚数空間から引きずり出した。

 

 

ゲッコウガ「コウガァッ!!!」

 

そのままズナイパーを宙に持ち上げ、校門に投げつける。

ゲッコウガの“ぶんまわす“がクリーンヒットした。

 

ずん子「ズナイパー!飛んで!!」

 

ゲッコウガ「ーーガッ!?」

 

 

ズナイパーの飛行を許すまいと追撃を仕掛けようとしたゲッコウガは、足に纏わり付く“くさむすび“によって止められた。

 

 

マキ「ぶんまわすを喰らってる最中に結んだのか。」

 

きりたん「流石です、ずん姉様!」

 

ズナイパーは飛行限界まで飛び上がる。

 

ずん子「ズナイパー!あやしいひかり!!」

 

茜「ここで“あやしいひかり“かぁ、ずん子さんエグいな……」

 

ズナイパー「…………。」

 

ずん子「ズナイパー!?どうしたの!?」

 

マキがゲッコウガの方を確認すると、指をチョイチョイと振って“ちょうはつ“していた。

 

ゲッコウガ「…………コウ。」

 

ずん子「ぐっ……!!」

 

 

ゲッコウガは“たきのぼり“を使い水柱でズナイパーの位置まで高度を上げると、ふぶきで氷の足場にする。

 

 

ずん子「あ、あんなことまで……ゆかりの指示無しでやるの…!??」

 

 

 

マキ「……………。」

 

きりたんは、何かを覚悟した表情で、マキに向く。

 

きりたん「弦巻先輩。一つ…聞いても良いですか?」

 

マキ「なぁに?きりたんちゃん。」

 

 

 

きりたん「…………ずん姉様は、ゆかりに勝てますか?

……ううん、ゆかりに勝ったことがあるんですか?」

 

 

それは、姉を尊敬する妹としては悲しい質問だった。

それを、聞いてしまうくらい、きりたんはもう、姉が勝つ姿が想像出来なかった。

もう、既に起こった過去を確認しなければいられないほどに。

誰かに否定されなければ、信じることが出来ないくらい。

 

誰の目にみても明らかに、ずん子はゆかりに負けていた。

 

きりたん「教えて下さい。弦巻先輩」

 

きりたんだけで無く、ゆかりに師事する茜。この凄惨なバトルに怯えつつ、逃げずに見届けていたウナ。茜にしがみついていた葵。

皆がマキに集中していた。

 

マキ「………それはーー」

 

 

 

ドスン!!!!パリンーー。

 

 

何かが地面に衝突した音と、何かが割れた音がした。

 

皆が一斉に同じ方向を見ると

 

 

 

ゲッコウガ「…………。」

ズナイパー「…………。」

 

 

氷漬けにされたズナイパーの上に立つゲッコウガの水手裏剣が宛がわれていた。

 

 

 

 

 

 




ずん子「え~今回ズナイパーが使ったゴーストダイブからの攻撃は【ステルスダイブ】と言うオリジナル技です。ゲーム的にするなら」


タイプ:ゴースト
PP1
最大5ターンの間、攻撃しか出来ない代わりに、相手からの攻撃を受けない。
ターンの終わり毎に最大HPの1/5のダメージを負う。
ゴーストダイブを使用した場合、溜めは無くなりシャドーダイブが解除される。

ただし、相手がゴーストタイプの技を使用した場合、必中ダメージ倍となり解除される。


ずん子「実際あったら害悪ってレベルじゃないですね。
滅びの歌とかどくどくとかヤバいですよね。
…………まぁ、負けたんですけど。」

マキ「ずん子ちゃん……」

ずん子「マキさん、ここのゆかり絶対おかしいですよね!?転生物のチートじゃあるまいし!!!ズルい!!汚い!!貧乳!!ゆかり!!!」

マキ「どうどう」

ずん子「影に逃げて、攻略されたら空にって結構プライド砕いて実行したんですよ!?
あんな簡単に攻略しますか普通!!!
しかもポケモン自身のセルフサービスで!!!!畜生!!!!
次こそ見てろよ!!次回ーー氷の神が荒ぶりますから!!!」

マキ「………え?氷の神??ゑ??」←本編でずっとハブだったから知らない奴


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32.5 謹賀新年

新春を言祝ぎ、新年明けましておめでとうございます。

って言う回を書くの忘れてたので


IA「このオハナシは、本編とは直接関係の無い場所から、カンケイの無い時間軸より、お送りいたシマス。」

 

ずん子「台詞取られた!?と言うか誰だお前は!!」

IA「IA。いあ って、呼んで?」

 

小首を傾げながら言うIA。改め、いあ。

銀髪の髪を握って言う少女は自分の言語を確かめるように話す。

 

ずん子「お前cevioだろ何脈絡無くボイポ出てんだ潰すぞ。」

 

いあ「……わたし……ここでも生きてちゃダメなんだ…」

 

ずん子「え、何この自殺前のいじめられっ子みたいな反応。絡みづらい。

 

あのー!誰か他にいませんかー!?ずん子辛いーー!」

 

クズん子が助けを求めながらシャウトしているのを放置して、少し離れた場所に琴葉葵と琴葉茜が立つ。

 

葵「こほん。遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

今回は、今年のボイスポケットの大まかな話の流れの予定(みてい)分をお知らせして行きたいと思います。

なんと今年は昨年に活躍という言葉を何処に忘れて来たのやら。

Zワザを撃った以外何もしていない私、琴葉葵をメインにした番外編も企画しておりますよ!

 

その他にはタマムシ学園編を完結後には第三章として

 

東北きりたん 琴葉茜 琴葉葵 音町ウナ のロリ枠を中心とした成長系ほのぼの学園生活を描きたいとのことです。

本当に完結するんですかね?迷走しているようにすら見えますけど。」

 

茜「そもそもこのお話し自体が本当はもっと青春物書くつもりやったのはあらすじに書いてある通りやねん。

どうしてこうなったんやろ?

ゆかりさんとずん子先輩のバトルなんて殺し合いとすらコメントに書かれるぐらいになっとるし~」

 

葵「ボイポの明日はどちらか!?」

 

茜「ウチな~いつかポケスロンやってみたいんよ~」

 

葵「私は、元々設定にあったポケモンコンテストかな。いつか出来るのかな?やりたいな」

 

茜「それもきっと今後の読者さんの人気次第やな~。

ウチのマスターはやる気あるときと無いときの落差がアルセウスとコイキングくらい違うからな。

やろう思えば一日二回投稿するしやる気起きんと半年以上放置されてしまうんよ。

ウチな~ちょこっとだけ、寂しいねん。」

 

葵「マスター。やる気なくさないと良いね、お姉ちゃん。

 

 

--では最後になりますが、冒頭で唐突に出てきたIAさんの第三章登場プロット案として描いた投稿者の落書きを貼って今回は此処までとさせて頂きます。

本年もどうぞ私たちをよろしくお願いいたします。」

 

茜「おねがいします~」

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 




追記
前話で書いた後書きにオリジナルワザ【シャドーダイブ】と書きましたが、コメントで
既存でギラティナのワザに在ることを教えて頂きました。

恥曝し続けるところだった……
コメント下さった方には改めて感謝申し上げます。

改めまして【ステルスダイブ】です。


本当……こういう間違いの指摘って『面白い』ってコメントより有難いって痛感しました。
いや、面白いって言って貰えるのはそれはソレで有難いですが。

ありがとう御座いました。


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33,通じなかった全て

一戦目には血みどろの力のぶつかり合い。
二戦目には鮮烈な技巧の比べあい。



では三戦目はどうなるか。次回をお楽しみに(前書き)




ずん子「お疲れ様。ズナイパー…」

 

ずん子は凍傷を起こしたズナイパーを戻した。

 

ずんリアスはバシャーモに五臓六腑を粉砕され、ズナイパーはゲッコウガに骨まで凍らされた。

 

あまりにも圧倒的であるが故に気付いていない者もいるが、どちらもゆかりにとってはタイプ不利のバトルでの圧勝だ。ゲッコウガはタイプ不利と言って良いかは怪しいが。

 

ずん子は改めて自分のポケモン図鑑を開き、ゆかりのゲッコウガのステータスを確認する。

 

ずん子「…………。」

 

ようやく気付く。

こうげき

ぼうぎょ

すばやさ

のランクが限界まで引き上げられていたことに。

 

ずん子(バシャーモの“かそく“の“とくせい“はともかく、更に“ビルドアップ“まで限界まで積まれてたんだ……本当に隙を見せるとあっという間に…………)

 

ずん子「強いですよね。ゆかりは」

 

ゆかり「…………。」

 

ずん子「ゆかり。わたしって……弱いですか?」

 

決心したように一息ついて、ずん子はゆかりに問う。

これまでずっと疑問に思っていたことを。

 

ずん子「ゆかりは、マキさんとバトルする時って、水を得た魚みたいに活き活きしてますよね。」

 

ゆかり「…………それが?」

 

ずん子「私も、そんな顔させてみたいんです。」

 

そう言うと、モンスターボールから3番手を繰り出した。

 

出てくるのは、さっき見せた伝説のポケモン。氷の神。フリーザー。

 

 

フリーザー「ピョオオオオーー!!!!」

 

 

解き放たれた瞬間に、タマムシシティ全体の気温が変化

するほどの冷気を放ち、ずん子のプライドの対価ーー氷の神フリーザーが現れた。

 

きりたん「うわっ!?さ、寒っ!!何ですかあの災害みたいなポケモン!!?」

茜「くしゅん!うう…ハンバーグ、ちょっと温度上げてー」

葵「……綺麗。なんてポケモンだろう?」

 

マキ「な、何で……」

 

 

カントー伝説のポケモンに対してそれぞれが異なる感想を述べる。

そんな中、弦巻マキだけが

 

 

マキ「何でずん子ちゃんのボールに居るの!?()()()()!!」

 

 

自身の手持ちであるハズのフリーザーに声をかけた。

 

 

マヒャド「…………。」

 

 

マキ「マヒャド!!私の声が聞こえてないの!?こっちを向いて!返事してよ!!」

 

だが、マヒャドと呼ばれたフリーザーは、全くマキに反応を示さない。

 

 

ずん子「マキさんは凄いですよね。

こ、こんなポケモンを三体も扱って……」

 

カントーの伝説の三鳥。

それぞれが天候を司り、一体でも危機に陥れば、地上の気象が変わる程の影響力を持つ自然の化身。

 

 

ずん子「さあ、ふぶきです。」

 

フリーザー「フオオオオーー!!!」

 

 

ずん子の指示と同時に翼を羽ばたかせ、自身の冷気を解剖するフリーザー。

そのふぶきの威力は、大地の僅かな水滴を完全に凍て付かせ、一瞬で地上を氷の世界へ変貌させ、ゆかりとずん子の両者をドーム状に覆う。

 

ゆかり「…………。」

 

 

ずん子「エキスパートのじめんタイプ。」

 

ポケモンの力ではダメだった。

 

ずん子「得意な弓も通じない。」

 

努力も通じなかった。

 

ずん子「ゆかり。これが私の、最後の全力です。

 

私の最後の……才能(ポケスキル)。」

 

 

 

 

 

 

 

ゆかり「…………何だここ寒っ」




ゆかり「風邪引きそう。」

マキ「ゆかりちゃん今素肌にフード着てるだけだもんね。下もスカート()()だし。」

ゆかり「真冬並みの気温にその格好とかバカじゃね?」




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34 炎の赤、水の赤、血潮の赤

この作品には流血や人が焼かれる場合があります


タマムシ学園 正面入り口扉前

 

 

ささら「よいっっっ……しょ!!!っと……」

 

--こんにちは、さとうささらです。

今年初の登場です。

久しぶりの登場で私は今、可愛い薄い桃色のワンピース姿で、大股開いて生足曝して、学園の正面玄関を無理矢理押し開いてます。

正直仮にも乙女の端くれとしてはあまり人に見られたくない姿です。

 

ささら「だから……まあ、うん。助かったんじゃないかな?春休み中だからあんまり人が居なくて……」

 

こじ開けた扉の先には、私が探していた音街ウナちゃん。

けど、私が真っ先に視界に捕らえたのは--

 

 

ささら「…………アレが【カプ】とは違う、カントーの神か。」

 

 

蒼く美しい羽根と冷気を纏う神鳥。フリーザーの姿だった。

 

ささら「まずい……見るんじゃ無かったよ。」

 

自分の雰囲気が僅かにピリ付くのが分かる。自制しなきゃ……。でも、少し……

 

 

 

ささら「--少しだけ、血が……騒ぐなぁ……」

 

 

一方、氷に閉じ込められたゆかりとゲッコウガは

 

 

ゆかり「さっみぃ…」

 

素肌にフードという、女子高生としては狂気を疑われる格好で、氷のドームに閉じ込められたゆかりは、只でさえ眠いのに眠らせて貰えなかった状態で、身体的にはいつ限界を迎えても不思議では無い状況にあった。

 

ずん子「フリーザー!こおりのつぶて!!」

 

 

ゆかり「くっそっ!!」

 

ゲッコウガ「ガアッ!!」

 

ゲッコウガとゆかりの足場となっている氷が突起となってゆかりの身体を貫こうと襲いかかる。

 

ゲッコウガの方は自身のとくせい“へんげんじざい“を使い『めざめるパワー・はがね』と、限界まで引き上げたぼうぎょ・すばやさのおかげで、致命的な一撃にまでは至らない。

 

だが……

 

ゆかり「痛いわ寒いわ眠いわ……こおりタイプに関わると碌な事が無いですね」

 

ゆかりは寒い、身体が動かない、眠い、足にはバトル前に襲われたれいとうビームの凍傷。

更にこおりのつぶては二本、三本と数で押してきており、もはや殺すつもりで追い込んできている。

と、条件最悪で、死んでいないのが不思議な程に追い詰められ、足場の氷は血で真っ赤になっている。

ゲッコウガがどうにかゆかりの回避をフォローしているが、その隙を狙い、今度はフリーザーが、れいとうビームで襲う。

閉鎖的空間で、自由自在に攻撃してくる敵を前に、ゆかりとゲッコウガは手も足も出ないでいた。

 

 

ずん子「やっぱり…伝説のポケモンは強いなぁ」

 

ゆかり「--!」

 

恍惚とした表情のずん子の言葉にゆかりは、フリーザーの攻撃で複雑に突起した氷の槍の森の中に一筋の細い道を指差して--

 

 

ゆかり「ねっとう!!」

 

 

このバトルで初めて、ゲッコウガに指示を出した。

 

ゲッコウガ「ガアッ!!」

 

体内から放出する熱湯は、フリーザーの氷を溶かしながら、フリーザー本体へ向かう。

 

ずん子「れいとうビーム!!」

 

だが、それでもフリーザーのれいとうビームに凍り付き氷塊へ変わり、氷の床に落ちる。

 

ずん子「ゆかり…ようやく指示を出しましたね!!

ふふふ……アハハハハ!!フリーザー、ふぶきです!!

ゆかりもゲッコウガも凍らせてしまいましょう!!」

 

フリーザー「ピオオオオーーー!!!」

 

ゆかり「これ以上寒い思いさせられてたまるか!!」

 

ゆかりはゲッコウガに駆け寄り身を預ける。

 

 

ゆかり「ダイビング!!」

 

 

ゲッコウガとゆかりの身体が液状化して、トプンと身を氷の中に落とす。

氷の森を氷の川として移動する。

外側へ外側へ。

 

そしてゆかりだけを吐き出す。

 

 

ゆかり「おしっ、脱出!」

 

 

と同時に

 

マキ・茜・ウナ・「ゆかりちゃん(さん)《先輩》!?」

 

外側からドームを溶かしていたリザードンとエンテイ、シビルドン、サイドンのかえんほうしゃで炙られた。

 

 

ゆかり「熱っっっっ!?!?何だコレ!!?」

 

 

マキ・茜・ウナ「ごめんなさーい!!」

 

きりたん「ごめんごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかり「だから嫌なんですよ、こおりタイプに関わるのは……!!」

 




ゆかり「こおりタイプは害悪。」


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35 お前、その服脱げ

今回の話、流れが性急過ぎるような気もするしそうでないような気もしています。
なのでもしかしたら大幅な修正や加筆が入るかも知れません。話の大筋事態は変わらないのですが。

なので読み返したりした時に
『何か前と違くね?』
と思ったらそう言うことだと思って下さい。一応修正したら『しました』と入れますが。


それとアンケートの結果、毎日楽しく眺めさせて頂いています。

バトルの描写について感想で意見を貰えた時などはとても嬉しく思います。
挿絵についても、気が向いたら入れていこうと考えてます。

ラッキースケベとか王道にして必須だと思いませんか?



ゆかりが氷のドームに閉じ込められた頃。

 

 

マキ「なんで……どうしてマヒャドがずん子ちゃんの所にいるの?」

 

きりたん「……多分、ずん姉様のポケスキル【キズナむすび】だと思います。あれなら、ずん姉様は誰かのポケモンも操れます」

 

マキ「ポケスキル……でも何でずんちゃんがそんなことを…」

 

葵「マキ先輩……」

 

普段は自由にカントーを飛び回っていても、自分の仲間であるフリーザーのマヒャドが、ずん子のボールに入っていたことがショックで仕方ない。

 

 

茜「ハンバーグ、かえんほうしゃ!!」

 

 

マキ「え…」

 

みんなでマキを励ましている中、茜だけはずん子が生み出した氷のドームを溶かそうとハンバーグに指示をしていた。

 

ウナ「茜ちゃん、何してるの?」

 

茜「氷を溶かそうとしとるんよ。

周りをよく見てみて、ウナちゃん。全部凍ってる」

 

ウナ「たしかに、じめんの草も土も学園も氷柱張ってるけど……?」

 

茜「こんな所におったら、二人とも風邪ひいてまう。

特にゆかりさんは、あの格好やから、はよう出してあげんと死んでしまう。」

 

ウナ「死んじゃうって、ウナたちは無事だよ?」

 

茜「ハンバーグのおかけでウチらは風邪ひかんで済むように暖かくなっとる。けど、ハンバーグのかえんほうしゃでも溶けん氷の奥までハンバーグの熱が届いとるとは思えへんねん……このままやったら、ゆかりさんが……

やから!!」

 

ウナ「茜ちゃん…分かった!ウナたちも手伝うな!

出てきてしらすどん!かえんほうしゃ!!」

 

茜とウナがドームを溶かそうとしている様子を見て、きりたんと、少し遅れてマキも手伝い始めた。

 

きりたん「ユカリ、かえんほうしゃ!」

 

マキ「ブ、ブレイズ!かえんほうしゃ!!」

 

ハンバーグ、しらすどん、ユカリ、ブレイズの4体のかえんほうしゃが、フリーザーの作った氷を溶かし始める。それでも、まだ足りない。

 

茜「頑張ってハンバーグ!もう一息や!!」

 

ウナ「しらすどんファイトなー!!」

 

きりたん「ユカリ!!」

 

マキ「ブレイズ!!」

 

一息入れて、今度は一斉に一点集中--

 

 

茜・ウナ・きりたん・マキ「「「「かえんほうしゃ!!!!」」」」

 

 

ハンバーグ「ガアアアアアーーー!!!!」

 

しらすどん「ビッビイイイイーー!!!!」

 

ユカリ「ゴオオオオオオーーーー!!!!」

 

ブレイズ「リザアアアアアアーー!!!!」

 

 

ポケモン4体同時かえんほうしゃが、フリーザーの氷をかき消そうと一気に放射され--

 

 

 

ゆかり「おしっ、脱出!」

 

 

 

茜・ウナ・きりたん・マキ「あ……」

 

ハンバーグ・しらすどん・ユカリ・ブレイズ「!??」

 

 

ゆかり「熱っっっっ!?!?何だコレ!!?」

 

 

マキ・茜・ウナ「ごめんなさーい!!」

 

きりたん「あーごめんごめん」

 

 

茜の本気の心配を他所に、さっさと脱出してきたゆかりだった。

 

 

 

 

ゆかり「--焼き殺されるかと思ったんですが?」

 

ゆかりのいちゃもんー!

 

茜「あわあわあわあわ……ごめんなぁゆかりさん~!」

 

ウナ「茜ちゃん、あんなに心配してたのに。

ゆかりパイセンってばあっさり出てきたのな」

 

マキ「ま、まさかあんな形で脱出してくるなんて思わなくて……」

 

きりたん「どんだけ人間止めてるんですか?ゆかり」

 

 

バン!!

 

 

ウナ「うナっ!?」

 

茜「にゃっ!?」

 

葵「きゃあっ!?」

 

きりたん「うおっ!?」

 

マキ「っっ!?」

 

氷のドームが大爆発を起こし、中からゲッコウガが空高く飛び上がってくる。

 

 

ゲッコウガ「ゼェ……ゼェ…………--コウガッ……!!」

 

 

マキ「な、何が起きたの!?」

 

ゆかり「あんまりあの中で戦うのが不利過ぎるから、尻尾巻いたんですよ。

ただ、そのまま逃げるのも癪なんで、ついでにフリーザーに一撃入れてドームもぶっ壊しといたんですよ。」

 

 

茜「よ、4体同時のかえんほうしゃでも溶けなかった氷なのに……どうやって!?」

 

 

ゆかり「どうって…“ギガインパクト“で」

 

 

茜「む…無茶苦茶や……」

 

 

 

ゆかり「--無茶苦茶なのは、向こうかも知れませんがね」

 

ゆかりが氷のドームへ振り向くと同時に、破裂音と一緒に、闇色の波状の攻撃がドームを中心に周囲へ拡散した。

その攻撃は速く戦闘経験(レベル)の低いポケモン達は反応すら出来ず直撃してしまう。

 

ウナ「しらすどん!?」

 

茜「大丈夫か!?ゼリー!!ハンバーグ!!」

 

ウナのシビルドン、茜のスイクンとエンテイはダメージが大きく戦闘不能に。

 

ブレイズ「ガアッ!!!!」

 

ユカリ「ゴオオオオオオーー!!!!」

 

一方でベテランのマキのリザードンは翼を使い『エアスラッシュ』で相殺し、元ゆかりのポケモンであるきりたんのサイドンは頭部の角の『つのドリル』でなぎ払うが、どちらもダメージを殺しきれない。

 

 

 

ゆかり「…………ソレが、アンタがプライド安売りしてまで手に入れた最後の切り札ですか?ずんだ。」

 

 

唐突に現れた攻撃にもはや反応すらしなかったゆかりは、ドームを壊して現れたフリーザーに目をやる。

 

 

 

 

 

フリーザー「ーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

そのフリーザーは、呪いに蝕まれたように黒く、血管の鼓動がハッキリ分かるほど浮き出ている。

 

 

 

ずん子「フフフ。閉じ込めて攻撃すれば、絶対に自分から距離を取ってくれると思ってましたよ、ゆかりちゃん。

どうですか?このフリーザー。ちょっとスロースタートなのが玉に瑕ですが、全体攻撃でも一撃で三体ひんしに持って行くほど強化されてるんですよ。

これで積んでないとか凄くないですか?」

 

 

ゆかり「プライド安売りした割にはショボいですね。」

 

 

ずん子「ええ~なぁんだ…褒めてくれるかと思ったのにぃ~ねえねえ褒めてよーゆかりちゃん~」

 

 

ゆかり「…………。」

 

ゆかりは攻撃に巻き込まれたポケモン達を見る。

 

シビルドン。でんきタイプ

エンテイ。ほのおタイプ

スイクン。みずタイプ

 

ゆかり「奴らを一撃で纏めてひんしに追い込める()()()。またワザは存在しませんね」

 

 

ずん子「でしょ!?でしょ!?凄いよね!?ねえねえ~褒めてよ。ゆかりちゃん~」

 

 

今までの情報を簡単に整理する。

●フリーザーはロケット団から受け取った。

●ずん子は訳の分からないボンテージにワザワザ着替えている。

●タイプ相性を無視した攻撃威力。

●禍々しく黒く変色したフリーザー。

 

ゆかり「………………ずんだ。」

 

 

ずん子「うんうん!!」

 

ゆかりはずん子に呼びかけて、ずん子は応える。

褒めて貰えると的外れな期待と共に。

 

●どういう訳か、さっきから余りにも情緒不安定なずん子。いや、もうこれは情緒と言うよりは幼児退行だろうか。

 

 

ゆかり「…………。」

 

 

●ロケット団幹部、そして、エスパータイプのエキスパート・ジムリーダーでもあるナツメが関わっている

 

この条件で1番辻褄が合う真実は……。

 

ゆかり「お前、その(ボンテージ)脱げ」

 

 

ずん子「はえっ!?///」

 

 

 

 




ここまで読んで頂いてありがとうございます。

実際の所如何でしたでしょうか?

グダ付くのが気になって少し地の文を減らしたりしたのですが、わかりにくかったりしませんか?
あるいは展開が急に早くなってたりしませんか?

ご意見お願いします。


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36 ゆかり、死す。(挿絵追加)

アンケート調査にご協力頂いた方々、ありがとうございます。
実は一枚描いてあるのですが、それはタマムシ学園編完結後にしか張れそうにありませんでした。

脱がせたのは失敗だったんだ……張るところが無い………。


ずん子「脱げ……って、こんな所で私に何をしようって言うんですかゆかり!?」

 

ゆかり「アンタのクソみたいなキャラ崩壊を戻す。

叩けば直るでしょう。」

 

ずん子「そんな中古のテレビみたいな扱いしないで!!私はまだ新品です!!」

 

 

ゆかり「聞いてねえよ。」

 

ゆかりは話ながら、自身の右手首の様子を確かめる。

握りしめ、開く。グッ、ぱっ。グッ、ぱっと。

 

ゆかり(五体に分散した威力にも関わらずジョウトの犬っころ2匹を纏めて葬った知らないワザ。)

 

左腕二の腕に付けたバックルに触れる。

右手中指の指輪を親指で撫でる。手首の腕輪に。

スカーフに隠れたチョーカーに。

最後に、結月ゆかりの象徴とも呼べる髪飾りに。

 

そして、最後に……。

 

オーキド研究所から持ち出してきた、赤と銀色の二つのZリングを取り出した。

 

ずん子「それって、きりたんと茜ちゃんにあげるはずのZリング?」

 

ゆかり「…………ええ。深い意味も無く持ってきたんですがね。」

 

上衣のポケットから炎Zクリスタルを取り出す。

 

ゆかり「まったく……初めはただ、久しぶりに知り合いのツラを見たら寝るつもりだったってのに……」

 

カチリ。赤いZリングに装着。

 

ゆかり「いきなりチビガキの相手することになって、ソレが終わったら弟子だのなんだの言い出して……」

 

ちらり、きりたんの顔を見る。

 

ゆかり「バトルが終わってようやく寝始めようとすれば起こされ、ガキのお守りするハメになって」

 

サッ。きりたんがゆかりから目を逸らした。

 

ゆかり「それが終われば今度は勝手に遊びに出て行ったガキの迎えに出て。

一匹弟子入りしたいとかほざくのが増えて。」

 

今度は茜を見る。

きりたんと違って目をそらすことはせず、心配そうにゆかりを見る。

 

茜「ゆかり先輩。多分、そのフリーザーは()()()やと思う。まだ、視えへんから。」

 

ゆかり「そうですか。」

 

ひょいと赤いZリングを茜に投げ渡す。

 

ゆかり「学園凍らせてる氷の後処理は任せましたよ。

ホウオウのせいなるほのおを受け継いだエンテイから出来るでしょう?……茜。」

 

茜「……はい。ゆかりさん。後は任せて……」

 

ゆかり「それじゃあ、準備も出来た所で、その黒いの…とっちめさせて貰いましょうか。

 

行け!!ボケガエル!」

 

ゲッコウガ「コウガッ!!」

 

ずん子「ふふふっ!もうどっからでも来て!!

行くよフリーザー!!」

 

 

最高速度でフリーザーに突っ込んで行くゲッコウガの姿が三体に分裂する。

 

ずん子「かげぶんしん?でも甘いよ、ゆかり!!

今度はしっかり見せてあげるから!!

 

これが私の全部を捧げて手に入れた力!!

 

『ダークレイヴ』!!!!」

 

フリーザー「ーーーー!!!!」

 

声にならない悲痛な叫び声を上げて、フリーザーの身体から黒い何かが放出される。

 

その攻撃は全てのゲッコウガにヒットする。

それは、本体のゲッコウガにも同様だった。

 

 

きりたん「す、凄い……遂にゆかりのポケモンにクリーンヒットした……!」

 

 

マキ「一体何なの…あのワザ?私も知らないワザをマヒャドが使うなんて……」

 

茜「あれは、ダーク技です。」

 

マキ「ダーク……技??」

 

茜「はい。それから、今フリーザーが黒いんは、ダークポケモンにされてしもうたからです。」

 

マキ「ダークポケモン……?ヘルガーやデルビルみたいに?」

 

茜「いいえ、それはあくまでも図鑑状の分類。後でどうとでも変えられる書類のことでしかないけど。

 

この場合の『ダークポケモン』はちゃうんよ……。

 

違いはいっぱいあるけど、1番大きな違いは、ダーク化するとステータスが上がるってこと。そして

 

ダークポケモンしか覚えへん『ダーク技』は

『ダークポケモン以外の全てのポケモンに

“こうかばつぐん“になる』

 

ってことや」

 

マキ「……茜ちゃん。ダークポケモンになったマヒャドはどうなるの?」

 

茜「ごめんな。それはウチにもよう分からんよ……」

 

マキ「そっか…教えてくれてありがとう。茜ちゃん。」

 

マキの暗かった表情が少しだけ戻り、顔を上げた。

 

マキ(このバトルが終わったら、しっかりとずん子ちゃんにも状況を聞いておかないとね。()()()()())

 

 

ゲッコウガ「ゼェゼェ…………」

 

 

フラフラとするゲッコウガ。元より紙耐久のポケモンにこうかばつぐんとなるワザが直撃すれば堪える。

 

ゲッコウガ「…………ガアアアアアアーー!!」

 

突然、ゲッコウガが水飛沫を上げて吼える。

力を引き出すタメに、自分の限界を越えるために。

 

ゲッコウガを濡らす水飛沫が強くなり激流に変わる。

勢いが変わる。色素が変わる………。

 

 

ゆかり「ダメです。」

 

 

ゲッコウガ「ーー…………」

 

ゲッコウガは吼えるのを止め、ゆかりへ振り向く。

 

 

ゲッコウガ「コウガ……」

 

ゆかり「仕方ないんです。こうでもしないと、あのバカはあのままですから。」

 

 

きりたん「ゆかり、ゲッコウガと…しゃべってる??」

 

ウナ「ポケリンガル持ってるのか~?」

 

きりたん「マキ先輩。スイッチ入れて下さい」

 

マキ「え?!あ、えっとその……!?」

 

 

ブライト『ほい完了。マキは機械に触れると必ず1D10でSAN値チェック入るくらいの感じで失敗するからボクに言ってね。』

 

 

きりたん「あ、そうなんですか。どうも。」

 

マキ「ブライト~~!!」

 

ウナ「1D10ってなんだ??」

 

きりたん「TRPGです。」

 

 

 

マキの首のポケリンガルからゲッコウガの言葉が翻訳される。

 

ゲッコウガ『ーー止めても無駄か。ゆかり。』

 

ゆかり「ええ。正直そこまでダメージ負わせたのは悪かったと思わないでも無いですがね。」

 

ゲッコウガ『それは気にしていない。お前がいつも辛い思いをしているのは俺にも分かる……。』

 

ゆかり「そうですか。じゃあ奴隷らしくご主人様に従って下さい。」

 

ゲッコウガ『…………。』

 

無言で首を縦に振り、ゲッコウガは三度フリーザーに向き合い、苦無型にしたみずしゅりけんを構える。

 

 

 

ゲッコウガ『…………。

 

 

 

生きろ、ゆかり……』

 

ゆかり「余計な世話です。ボケガエル。」

 

 

 

 

 

ずん子「ん~?なぁんかサイヤ人みたいな事してましたけど、メガシンカとかしないんですかぁ?ゆかり」

 

ゆかり「要りませんよ。奥の手は奥に隠しとく主義なんで。」

 

ずん子「隠しすぎて誰かに食べられないと良いですね~」

 

ゆかり「…………笑止。」

 

 

ボンーー!!

 

 

爆発音から続き煙が舞い上がる。

 

 

ずん子「ここでえんまく!?

フリーザー!きりばらい!!」

 

ゆかり「遅えっ!!たきのぼり!!」

 

フリーザーが翼で煙幕を払うと同時に間欠泉が飛沫を上げる。

翼を完全に振り抜いている状態では身動きが取れない。

だが

 

ずん子「フリーザー!!たきのぼりの上空にれいとうビーム!!」

 

頭だけを上に向けて、れいとうビームを放つ。

既に上空に身を投げているゲッコウガに向かって飛ぶ。

 

 

スカッーー

 

 

ずん子「かげぶんしん。もうみがわりを使う体力は無い。だったらゲッコウガ相手なら一発擦れば充分!!

 

フリーザー、『ダークレイヴ』!!!!」

 

フリーザーの全身から放たれる闇の波動を全方位に放つ!!

 

ずん子「たきのぼりの激流を切り刻み、地上に闇の雨を振らせる。

 

逃げ場の存在しない、理不尽な死刑宣告よ!!」

 

 

デコボコに抉られた氷と草と土が混ざる地面。

切り払われた水柱。

 

何処にもゲッコウガの姿が無い。

 

ずん子「“まもる“か。だったらもう一度ーー」

 

ゆかり「かげうち!!」

 

突如、フリーザーの背中にゲッコウガが一撃を入れる。

 

ずん子「なっ!?背中に!ダークレイヴ!!」

 

フリーザーの背から瞬時に跳んで離脱したゲッコウガはまもるを使い攻撃を防ぐ。

 

ずん子「身動きが出来ない上空ならもう何も出来ない!!これで終わりよ!!!」

 

バッとゲッコウガを視線で射抜き、ロックする。

 

ずん子「これが、ダーク・フリーザー最強の必殺技!!

 

 

 

闇の瘴気を纏う冷気ーー『ダークフリーズ』!!!!」

 

 

 

全身から闇と冷気を混成したダーク技がゲッコウガに襲いかかる。

 

ずん子「まもるは一度使うと僅かに使用不可能な時間が出る。身代わりは使えない。

能力を限界まで引き上げたゲッコウガでも倒せないダークフリーザーを倒すことは最早出来ない!!

 

これで私の勝ちよ!!ゆかりに勝った!!!」

 

 

ずん子が勝ちを確信する。

勝った!!人生で初めて、ゆかりに勝ったんだと。

 

 

一方、ずん子が指示を完了する直前。ゆかりは銀色のZリングを右手に嵌めて手を交差する。

 

 

ゆかり「Zワザーー発動。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかりの銀色のZリングが、装着者本人の意思により、宙に舞う。

 

 

そしてーー結月ゆかりは膝を折った。




物語の中で説明とか出来ないので、ダークポケモンのオリジナル設定書きます。


【ダークポケモン】データ

ダークポケモンは、本作では状態として反映されます。
ポケルスと同じ位置のものです。

ダークポケモンとなると、レベルが止まり、上位三つのステータスが+30されます。
なのでダークフリーザーのステータスは

HP90
AT85
DFF100→130
SAT95→125
SDF125→155
SPE85

合計値670

となっております。

なお、ダークポケモンにはハイパー状態とリバース状態がありますが、デメリットしかないリバース状態は役に立たないので
ダークラッシュが急所率アップ状態から、ダーク技急所確定。に変更してハイパー状態を採用しました。



原作ダークポケモンは、黒いオーラを纏っているだけで、オーラもヒロインしか視えないとまあ、普通の人間にはただのポケモンにしか見えないがトレーナーにも平然と攻撃仕掛ける戦闘マシーンとなっていますが

本作はポケスペベースなので、別に普通のポケモンでもトレーナーにダイレクトアタック位します。
つまり、ぱっと見ダークポケモンと普通のポケモンを描写で書き分けるとか無料だったので、ダークルギア≧本作ダークポケモン≧ダークポケモン

くらいにするつもりでこの設定にしました。
既プレイの方にはどう考えても弱体化しているだけのダークポケモンが強いとか言われても……ねぇ?




タマムシ学園編完結までが纏めてプロローグ
くらいの気持ちで今まで書いていましたが、ステータス系の説明とか、どうやって数値関係無しで出来なかったのでここで書きました。

書き逃している設定もあるかも知れないので、気になったらコメント下さい。


それと、今回初めてコメント返しをしなかったのですが、ネタバレが嫌だったので、代わりにいいねを入れさせて貰いました。そうです暗黒技なのである。




アンケート調査の結果、ゆかりを描いてみました。

こんな程度の絵です


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37不意打ち

いや~この章もようやく終わりが見えてきました……。
何とかここまで引っ張って来れました。

タマムシ学園編も残り僅かです。プロット的には。




今日名探偵ピカチュウ観てきまーす


私は、今日だけで一体どれだけの経験をしたんだろう。

 

元々はずん姉様を追いかけて来ただけだった。

 

オーキド博士を脅して、編入枠をこじ開けて、カントーにやって来た。

 

ただ、ずん姉様に会いたくて。

 

けど、最強と信じて疑わなかったずん姉様は、聞いたことも無い変態みたいな女に敵意をむき出しにしていて、あろう事か相手の女は全くずん姉様を気にしていない。

 

だから代わりに私がぶっ倒してやろうと思った。

 

結月ゆかりを、倒してやろう。って……。

 

 

けど、いざ対面すれば、バトルなんて恥ずかしくて呼べない位に負けた。

 

凄く悔しかった。勝ちたいって思った。

 

これが、ずん姉様の気持ちなんだって思ってた。

 

でも、違った。

 

この気持ちは、私の……東北きりたんだけが懐いた気持ちだ。

 

だって、私は欲しくない。

 

 

伝説のポケモンを、人から奪ってまで、勝ちたくない。

 

ずん姉様は、何が何でも結月ゆかりに勝ちたいって。

 

違うよずん姉様。それは、結月ゆかりに勝とうとしてるんじゃない。

 

 

結月ゆかりを、負けさせたいだけなんだ。

だって、これでゆかりが負けたって、ずん姉様の勝ちな訳が無い。

 

このバトルは、“東北じゅん子“が“結月ゆかり“に挑むバトルじゃ無い。

 

“誰か“が、自分で用意したダーク・フリーザーが、“結月ゆかり“を倒そうとしているだけなんだ。

 

そんなことが分からなくなるくらい、ずん姉様は苦しんでいたのかな?

 

それとも、誰かに良いように使われているのかな?

 

 

何にしても、誰かの目的は果たされない。

 

 

ゆかり「Zワザ、解放ーー行け、()()()()

 

Zーーきしかいせい!!!!」

 

ゲッコウガ『はあああああああああーーーーっっ!!!!』

 

 

フリーザー『■■■■■■■■ーーーーー!!!!』

 

 

離れた位置からでも分かるほど寒い、暗いれいとうビームが、ゲッコウガを狙い撃つ。

 

そして、ゆかりから放たれたZパワーが、ゲッコウガの右手に収束されて、ゲッコウガが突撃する。

 

純粋な力のぶつかり合いになったんだと()()

 

学園の校門が粉砕されるほどの勢いで殴り飛ばされたダーク・フリーザーも、地に身体を伏せって、呼吸も止まっているんじゃないかって位静かに停止している、まばらに氷漬けになったゲッコウガ。

 

両者が戦闘不能であることは、全ての世界中の常識を掻き集めたって否定できない事実になる。

 

そして、ルールに則って三体のポケモンが戦闘不能になったずん姉様と、虫の息ながら戦闘不能を免れたバシャーモと、姿すら見せない三匹目を完全な状態で残しているゆかり。

 

 

勝者は、結月ゆかりだった。

 

 

 

 

何かが私の頭に当たる。

 

オーキドのジジイに『ゆかりが持ってきた物だから、ゆかりに礼を言っておくように』と言われて、まだゆかりに出会う前の私が、敵から貰いものなんて貰ってたまるかって拒否した物。

マサラに戻ったら、改めて受け取りたいと思ってた物が私の手元に落ちる。

 

 

きりたん「銀色のZリング。」

 

 

取り出した二つの内赤いZリングは、茜ちゃんに渡された。

もう一方は、多分私にくれるつもりなんだろうとは予想していた。

まさか使った直後とは思わなかったけど。

しかもご丁寧に『ハガネZクリスタル』まで装着済み。

 

相変わらず何考えてるんだか。

 

とりあえずお礼くらいはちゃんとしますかね。そう思ってゆかりに振り向くとーー

 

 

 

 

 

 

血だまりに身体を投げた、ゆかりが倒れていた。

 

 

 

 

きりたん「え……何で??

ーーゆかりいいいいいぃぃぃぃーー!!!!」

 

 

 

 

きりたんと茜の二人は、すぐにゆかりに駆け寄る。

 

きりたん「ゆかり!?どうしたんですか!?ゆかり!!!」

 

倒れたゆかりの身体を揺すりながら、きりたんはゆかりに呼びかけるが、ゆかりから返事が無い。

 

茜「あかん、きりたんちゃん!

こんな状態で動かしたらあかん!」

 

きりたん「ゆかり!!起きろゆかり!!ねえ!!!」

 

茜の話が全く耳に入らないきりたんは、重症のゆかりを揺すって起こし続ける。

 

きりたん「ゆかり起きろっっ!!」

 

茜「ーーっっ!!」

 

 

パァン!!

 

 

仕方なく、茜はきりたんの頬を引っぱたいた。

 

茜「落ち着き!!無事なモンが慌てふためいて冷静に判断出来んくなったら誰がゆかりさんを助けるんや!」

 

きりたん「……あ、茜ちゃん………。」

 

茜「マキ先輩!!ポケギアで救急車呼んで!!」

 

 

マキ「あ…うんっ!!」

 

度重なるショッキングなストレスから一瞬、我を忘れかけていたマキは、茜の呼びかけで冷静さを取り戻した。

 

茜「何が起こったんか、冷静に見極めてーーせや!!

ゆかりさんのゲンガーやったら何か分かるかもしれん!」

 

 

茜がゆかりのベルトからムーンボールを一つ取ろうとしたその時だったーー。

 

 

 

「アラアラ、それは困るわよお嬢ちゃん!」

 

 

“サイケこうせん“が、倒れたゆかりときりたんごと茜を襲った。

 

 

カシュッーー!!

 

 

その危機に反応し、茜のボールからライコウが現れ盾となった。

 

オムレツ「不意打ちは効かねえぜ。俺たち茜の守護者は、耐久値高えんだよ!」

 

茜「オムレツ、ありがとう……」

 

オムレツ「おうよ。

 

ーーオラァ!!出て来やがれ三下ァ!!何処の雑魚か知らねえか、ウチの姫さんに手ェ出す奴は俺が相手だ!!」

 

 

「フフフフフ……可愛いわねぇ。サイケこうせん一発止めただけで、自分が勝てると思ったのかしら?」

 

 

テレポートによって、不意打ちの主が、ポケモンと共に姿を現す。

 

一体は、バリアーポケモン『バリヤード』。

もう一体は、両手にスプーンを持つねんりきポケモン。『フーディン』。

そして、ソレを従えるのは。

 

 

マキ「あ、貴女は……!!」

 

「お久しぶりね、我らの怨敵。弦巻マキ。

 

復讐を果たしに来たわよ。」

 

 

ヤマブキシティ・ジムリーダー。

エスパー少女のナツメだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




血に沈んだゆかり。
そしていよいよ現れたレインボーロケット団ナツメ。
復讐に燃えるエスパー少女(BBA)に、おっぱい少女マキはどう立ち向かうのか。

そしてそもそも何で出て来たのか?
何しに来たのか?
目的は?今出て来た意味は?もっとベストなタイミング無かったのか!?

狡い答えは次回明らかに……なるかな??


前話にも乗っけましたが、まあ一日に同じ話二回読む人少ないと思うので……


アンケート調査結果、1番数があった
全開パーカーのゆかり張っておきますね


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38 全てを見抜いた者からの餞別。

口を開けば毒舌と憎まれ口。
人の名前もマトモに呼ばない。


なのにゆかりは、誰よりも仲間を大切に思う。

優先順位に、自分の命を下に置くほどに。




生まれ落ちた命には宿命が付きまとう。

ただ一つの例外も無く、悉くに振りまかれる運命。

 

ソレを、私は才能と呼んだ。

 

ただ一言に才能と呼ぶと、それを常に良い方向にのみ捕らえる無才の愚か者がいる。

 

 

“才能を持つことは良いことだ“

 

 

寝ぼけるなクソが……。

 

物事には裏と表があって、『報酬』の裏には『対価』の支払いが生じる。

 

当たり前の等価交換の原則を、無才の愚者は、才能を振るう機会が無いが故に知らない。

 

 

才能とは、自身の人生と命を注いだ先に磨き上げられた宝石で、研磨されなければ輝かない原石だ。

自分という果てしない砂漠の中に、有るか無いかすらも確認できない宝を探し当てた者のみが振るえる力。

 

才能の原石を探し当てられなかったものは、研磨する権利すら存在しないだけ。

 

なら、才能の原石。

それが研磨すればすり切れてしまう程の小さな物だったら?

ソレをもし()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

答えは……

 

 

 

 

 

 

ゆかり「…………砕けて砂になる……。」

 

ああ、どうやら私は夢を視ていたらしい。

 

きりたん「ーーゆかり!?ゆかり!!!目が覚めましたか!!私が誰だか分かりますか!?」

 

微かに視覚出来るだけだが、誰かが私を見つめている。

 

コイツは……

 

ゆかり「……………ガ…キ……」

 

きりたん「きりたんです。ゆかり……。

良かった……こんなに血を流して、死んでしまったかと思って……っっ!!」 

 

茜「ゆかりさん。大丈夫か?何が合ったかわかっとるんか?」

 

ゆかり「…………あ…か……」

 

茜「ああ、もう、しゃべらんで良いわ。兎に角、すぐに病院へ連れて行きたいんやけど、中々難しいんや。

 

今、何でかヤマブキジムのナツメって人が出て来て、マキさんを倒すって……」

 

 

ゆかり「………………」

 

 

やっぱり、出て来た。

来ると思った。

 

アイツは、私とずんだを同士討ち、或いは消耗させたところで、マキさんを討つつもりだったんだ。

 

だから私はーー敢えてこうなる事を選んだ。

 

 

 

私、結月ゆかりはーーZワザを使う才能が無かったから。

 

 

 

ソレを無理矢理発動させると、身体が過剰反応を起こして、筋肉組織や血管系が千切れて身体中からウイルス感染かってくらいに流血し、更にZパワーに生命力を根こそぎ持って行かれる。

 

 

つまり、カラダが動かなくなるほど消耗し、命を削り、瀕死寸前の死に体に変わる。

 

全部、知っていた事だ…。

 

 

ゆかり(そう、でも、しないと、アイツは……出て来ない。

 

アイツが………出て……来ない………と………。

 

ああ、もう……ダメ、だ。時…間切、れ)

 

ゆかり「……………ふ………に……」

 

きりたん「え?」

 

茜「ゆかりさん?」

 

 

ゆかり「………ふ……………ぅ…………………ど…………に…」

 

 

ゆかり(伝わったかな?

 

これから、貴女た、ちにも………頑張って………貰わないと……………伝えなきゃ、………)

 

 

ゆかり「フーー……ど……の…………な、か。」

 

 

茜「フードの…なか?」

 

きりたん「まさか薬でもあるんじゃ!?」

 

 

 

ゆかり(がんばれ…………………()()()()()。)

 

 

 

きりたんが、ゆかりの生存を期待して探ったフードの中に有ったのは、戦闘不能ポケモンを全快にするレアアイテム。二つの『げんきのかたまり』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誰にも明かさない心の中では、ちゃんときりたんのことを『きりたん』として認識していたゆかりなのでした。


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39 やっぱ無理!!助けて!!

この作品はキャラ崩壊しないように頑張っています


テレポートで目の前に現れたのは、かつての仇敵。

元ロケット団の幹部、エスパー少女のナツメだった。

 

ナツメ「フフフ……ご苦労様、東北じゅん子。

お前の悪の素質と、ポケスキル。実験段階のダークポケモンを試用するには充分だった。」

 

そう言うと、ナツメのバリヤードが、バトルが終わって電池が切れたように佇むずん子をねんりきで崩れた校門の瓦礫に向かって跳ね飛ばす。

 

マキ「ずん子ちゃん!!」

 

ナツメ「用は済んだ。後はゆっくり死になさい。」

 

 

ガコンーー!

 

 

瓦礫の山に落下して、鈍い音が、一つ聞こえた。

 

 

マキ「嘘……っ」

 

 

ナツメ「あの子はとっても役に立ってくれたから。ひと思いに殺してあげる。

 

辛いでしょうからねぇ。自我を奪われて操られて、友達のポケモンをポケスキルで洗脳して、戦闘殺戮マシーンのダークポケモンにする手伝いまでして、挙げ句、お友達の結月ゆかりを間接的に殺したんですもの!」

 

下卑た笑いが、マキの耳を刺す。

 

だが、マキはナツメではなく、ずん子の元へ駆けだした。

 

 

マキ「ずん子ちゃん!」

 

 

ナツメ「あらお優しい。けど甘いわよ。」

 

ナツメが指をパチンと鳴らすと、バリヤードがサイコキネシスでマキの自由を奪おうとする。 

 

 

ブライト『やらすかよ!!』

 

 

スイッチが入ったままのポケリンガルから、マキのピカチュウ。ブライトの声が叫ぶ。

 

マキから飛び上がったブライトは、両頬の電気袋からバチバチと発電し、一瞬の内に電気を尻尾に移動させる。

 

ブライト『エレキボール!!』

 

バリヤード『ぎやっ!?』

 

直線で放つ電気の球がバリヤードに当たる。

 

 

ナツメ「ほう。トレーナーの指示無しに戦うつもりか?」

 

 

ブライト『要らねえよ。テメエらは俺がぶっ飛ばす!!』

 

 

研ぎ澄まされた雷のピリリとした音がほお袋から鳴る。

コレまでの態度から一変して荒々しい雰囲気で、ブライトはナツメ達を見る。

 

 

ナツメ「だったら来なさい。七年前、手も足も出なかったピカチュウに何が出来るのかしら!?」

 

 

ブライト『じゃあ行くぜ!こうそくいどう!!』

 

 

小さな四つ足で素早く走り回り、ナツメの周囲を動き始める。

 

ナツメ「バリヤード、『ひかりのかべ』よ。

何するつもりか知らないけど、これでピカチュウの攻撃など無力にーー」

 

ブライト『かわらわり!!!』

 

パリン。踏みつけられた氷の膜のようにあっさりと割られた『ひかりのかべ』と同時にバリヤードがダメージを負う。

 

ナツメ「なっ!?」

 

ピカチュウ『喰らえや…ワイルドボルト!!!』

 

バリヤード『ギャアアアアーー!!??』

 

雷の塊となったピカチュウが、自分への反動を全く厭わずに、自分自身をバリヤードに叩き込んだ。

 

ナツメ「このピカチュウ、近接戦闘型なのか!?」

 

 

ブライト『アイアンテール!!!』

 

 

突っ込んだバリヤードを踏み台代わりに、今度はフーディンへ突撃するブライト。

 

ナツメ「不味い、フーディン!!『ワンダールーム』!!」

 

特殊な空間を生み出し、フーディンは紙耐久のぼうぎょの数値と、とくしゅぼうぎょの数値を入れ替え、ブライトのアイアンテールを両手のスプーンで受け止めた。

 

ブライト『10まんボルト!!!』

 

ナツメ「サイコキネシス!!!」

 

ワンダールームの効果を知っているブライトは、順次に攻撃をとくしゅこうげきに切り替えて応戦する。

 

電気と念派がぶつかり合うが、フーディンのとくしゅ値の方が高く、マトモにぶつかり合えばピカチュウの方が劣った。

 

 

ブライト『ちっ…』

 

 

ソレをしっかり把握しているブライトは、放った10まんボルトで僅かにサイコキネシスの勢いを殺しただけで回避に移った。

 

ナツメ(このピカチュウ…物言いが粗暴な割に、知性的にバトルを組み立てている……!!)

 

2対1において最も重要なことは、1番強い方を倒すのでは無く、1番自分の力や動きを阻害する相手を倒すことにある。

 

何故なら、相手のエースを2対1で倒そうとすると、サポート役が邪魔をして、結果相手に良いようにさせてしまうのことを防げないからだ。

 

最初はエースを壁役にして、準備が出来たらサポートが補助に回り、エースが全開で戦う。これが基本的な最強パターンになる。

 

この時サポートのバリヤードを倒すために多少ダメージを負ってでも、エースをこれ以上強化させずに済むなら儲けものなのだ。

 

更にナツメの驕りと慢心。

 

種族値的には相当な弱者であるマスコットや愛玩動物的役割に近いピカチュウを舐めていた。そこに速攻を仕掛ける。

 

理に適った行動だった。

 

 

ナツメ「フーディン。このピカチュウは強い、ここからは慢心せず、一人の強敵として迎え撃つぞ!!」

 

フーディン「フーディンっ!!」

 

 

 

 

ブライト(うわぁ…逆上して暴れてくれれば良かったのに冷静になっちゃったよ……さすがジムリーダー兼ロケット団幹部。

 

困ったなぁ…………ボク一人で何処まで時間稼ぎ出来るか。

精神的に打たれ弱いのがマキの1番の弱点なんだよなぁ……早く立て直してくれないかなぁ……)

 

 

 

ブライト「ピ、ピッカァ~」

 

そして、実はマキがずん子の元に走り出した辺りからずっと

 

 

 

『一人じゃ勝ち目無い。無理!!!!だれが助けてーー!!!』

 

 

という気持ちで一杯だったのに強気な演技までするこのブライトは、相当な役者でもあるのだった。

 

 

 

 




ブライトの心情については、日本語字幕が張られた『名探偵ピカチュウ』の予告編動画で
檻に入れられてリザードンと戦う際の
『やっぱ無理 助けて!』
の画像から考えました。


名探偵ピカチュウ。ストーリーは普通ですがね、ポケモンリアルに動いたらこうなるのか~感はあって勉強になりましたよ~


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40メガ・フーディン

あらすじ
ブライト『やっぱ無理 助けて!』


ナツメ「行きなさい、スリーパー。

やつの足止めを!!」

 

スリーパー「スリ~!」

 

ブライト「ピッカァ!!」

 

マキのポケリンガルの有効範囲から離れ、人間の言葉を話さなくなったブライトだが、今はメリットしか無いだろう。何故なら。

 

ブライト(もう無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!只でさえボク種族値低いんだよ!?本来ある程度搦め手を使って戦うピカチュウだよ!?

今んとこ相手全員マジックコート使えるポケモンじゃん!!どうするのこれ?!

でんじは!?出来るかァ!!!ホッペすりすり?近づけるかァ!!!

もう限界もう限界もう限界!!!!)

 

既に一人で戦う限界を感じて内心号泣していたからだ。

 

メンタル的に弱いのは、マキもブライトもどっこいである。

 

 

ブライト(マキー!!!早く来てえええええーー!!!!)

 

 

その頃マキは

 

マキ「はぁ、はぁ……!!ずん子ちゃん!!」

 

瓦礫の山をよじ登ってずん子を探していた。

 

マキ「お願い死なないで、ずん子ちゃん……!」

 

ゆかりは原因不明(マキ視点)の瀕死。そしてずん子はねんりきで瓦礫の山に放り出される。

どっちも命の危機。

 

幼い頃に母を失ったマキとしては、親しい者の死が怖すぎて仕方が無い。

 

 

マキ「ずん子ちゃーーむぐっ!?」

 

 

何者かが、突然マキの口を塞ぎ、身体を屈ませる。

 

咄嗟にモンスターボールに手を掛ける。

 

 

ささら「落ち着いて下さい。弦巻先輩……ですよね?

私この春から高等部育成科の『さとうささら』って言います。」

 

マキ「………」

 

ささら「東北先輩なら、ギリギリ助けられました。ちゃんと生きてます。」

 

 

マキ「!!」

 

 

その言葉を聞いて、マキは抵抗を止めて力を抜き、ささらも口を抑えるのを止めた。

 

 

マキ「ずん子ちゃんはどこ?」

 

ささら「あそこです、この辺とても寝かせておけないから少し離れた所に運んでます。ホラ」

 

ささらが指差した方には確かにずん子が寝かされていた。

 

マキ「どうやって助けたの?」

 

ささら「落ちてきた所を走って受け止めました。その、ポケモンで」

 

マキ「そんな力が強いポケモンがいるの?」

 

ささら「あー……えっと、わたしこんな(清楚系ファッション)格好してますが、元はバトルメインでポケモン育ててたので……」

  

マキ「そうなんだ…兎に角ありがとう。ずん子ちゃんを助けてくれて。」

 

ささら「お気になさらず。

それよりも、今のこの状況って何なんでしょうか?」

 

 

マキ「それは……私も何て説明したらいいのか分からないんだけど。

今はまず、あそこにいるフーディンのトレーナーが、悪の組織ロケット団幹部のナツメなの。」

 

ささら「ナツメ…確かヤマブキジムリーダーの人ですよね……本島では悪の組織の幹部もジムリーダーになれるのか」

 

マキ「それは誤解なんだけど…とにかく、私はナツメを倒さなきゃいけないの。今あそこにいるブライトが足止めしてくれてるから、戻らなきゃーー」

 

 

 

マキが立ち上がろうとしたその時ーー

 

 

 

ナツメ「見るが良い!!我がフーディンを新たな境地へ導く力を!!」

 

ナツメが誇示するように、自身の人差し指に指した弓矢を模した金属のアクセサリーを天に

掲げた。

 

 

マキ「あれは……ずん子ちゃんのキーストーン!!」

 

ささら「キーストーン!?」

 

ナツメ「ありがとう東北じゅん子!私にキーストーンを提供してくれて!!あの世で見ていると良い!!

我がキーストーンよ!フーディンと結び合い、フーディナイトを生み出し、昇華せよ!!!

 

フーディン、メガシンカだ!!!」

 

フーディン「フウウウウーーー!!!!」

 

遺伝子図のような紋章が浮かび、フーディンは進化の兆しに包み込まれる。

そして……

 

 

メガ・フーディン「フーディンッッ!!!!!」

 

 

メガシンカが完成した。

 

 

ブライト「ピッカァッチュウ!!!?(畜生最悪だ!!!寄りによってメガシンカなんて!!

あのずんだちゃん何て物を渡しやがったのか!?このバトルが終わったら彼女にはずんだの代わりに擦りわさびに砂糖をまぶした餅を食わせてやる!!!)」

 

 

ナツメ「機は熟した!!

さあ、メガ・フーディンよ!!200人の同胞達を呼び寄せろ!!『テレポート』!!!」

 

 

メガ・フーディン「フーディン!!!!」

 

 

背に浮いた大量のスプーンに念力を込めて、別の場所に待機していた200人のロケット団員達が、学園前を取り囲むようにテレポートで召喚される。

その時間は僅かに5秒。1秒で40人をテレポートさせた計算だ。

 

 

ブライト「ピ……ピッカ……!(で、デタラメだ……!)」

 

 

 




小説欠くのは楽しい


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41 ガンガンいきましょう

凄まじい誤字を見つけました。

何だテニスコートってwどんな予測変換なんだ


きりたんと茜が、ゆかりのフードから『げんきのかたまり』を見つけた時。

 

 

きりたん「これ……『げんきのかたまり』?

何でこんな物を?何でポケモン用の回復道具を私達に??

自分の治療はどうしたんですかゆかり!!」

 

何故ポケモン用の回復道具をこのタイミングで?そう思いながら、茜は現状はっきり敵と分かるナツメの方を見る。

 

すると、何故かブライトが一人でバリヤードと戦っていた。

マキはどこへ?視線を泳がせると、ダークフリーザーが激突して崩壊した校門に走っていた。

 

どうやら、ゆかりが目を覚ましたことで、少し気を抜きすぎたらしいと自覚する茜。

 

 

気を入れ直す。集中する。

 

茜(…………何でゆかりさんは、回復道具を優先した?

コレを使わせるためや。

 

誰に?ゲッコウガか?)

 

茜はゲッコウガに駆け寄り、げんきのかたまりを差し出してみた。

すると

 

ゲッコウガ「…………。」

ゲッコウガはゆっくりと首を横に振り、持っていた『オボンのみ』口にし、回復する。

 

ゲッコウガ『…ゆかりは、お前達に託した。』

 

まだポケリンガルの有効範囲らしく、ゲッコウガの言葉が聞こえた。

 

茜「託す?何をや?」

 

ゲッコウガ『あのエスパー使いは、ゆかりを恐れたのだ。

故に、ゆかりが無事である内は決して姿を見せない。』

 

ゲッコウガがナツメに目をやると、バリヤードとブライトが戦っていて、フーディンがサイケこうせんを放とうとしている。

 

ゲッコウガ「ーーフッ!!」

 

それをゲッコウガは『みずしゅりけん』で牽制した。

ナツメの死角にいたフーディンは、それをねんりきで防ぎ直す。

 

一瞬とは言え、ゲッコウガが牽制したことにより、ブライトはかわらわりとワイルドボルトの連撃をバリヤードに当てて倒すことに成功した。

 

ゲッコウガ『俺は、今すぐゆかりを運ばなければならない。

 

つまり、お前達はこれから来る敵に自分たちで立ち向かわなければならない。』

 

ゲッコウガは言いながら、ゆかりの方へ歩み、ゆかりを抱き抱えた。

 

きりたん「ゆか、り……」

 

ゲッコウガ『東北きりたん。ゆかりは一目見てすぐ、お前の才能に気付いた。』

 

きりたん「え…?」

 

ゲッコウガ『ゆかりに師事を本心で望むなら、コイツと同じ舞台に立つ覚悟を決めるのだ。』

 

立ち去る直前、背中で語る。

 

 

ゲッコウガ『ゆかりはキミと同じ年の頃には、もう誰かに守られる子どもでは無かったぞ………』

 

 

きりたん「ーーーー!!!」

 

 

そう言い残し、ゲッコウガはゆかりと共に一瞬で去って行った。

 

 

 

 

時間はメガ・フーディンがテレポートでロケット団員を呼び出した頃へ戻る。

 

 

ささら「嘘……移動用の技のテレポートで、逆に人を呼び寄せるなんて……しかもあんなに沢山」

 

あれをもし、山や海の一部に使ったとしたら、この辺りは一瞬で史上最悪の災害に見舞われる。

グレン島の火山災害よりも被害が大きくなるかもしれない。

 

成人男性の平均体重は60~70㎏

 

それを宣言通り200人呼び寄せた。いや40人ずつとしよう。

 

それでも、あのメガ・フーディンは一度に2400~2800㎏の重量の物質を移動させるテレポートが使える。

しかも、触れずに遠くの物質を複数だ。

 

ささらは冷や汗を掻いた。

 

その光景を観ていたマキは立ち上がる。

 

マキ「私行かなきゃ……あそこには子ども達もいる」

 

強大な力を目の当たりにして、マキは覚悟を決めた。

 

マキ「ロケット団は、自由にさせちゃいけない。」

 

ささら「私も手伝いますよ。子ども達を避難させなきゃ」

 

マキ「お願い。ささらちゃん。」

 

ささら「はい。」

 

 

マキ「じゃあ行くよ!ブレイズ!!」

 

ささら「ピーくん!!」

 

弦巻マキと、リザードンのブレイズ。

そして、さとうささらと、ピクシーのピーくんが、今ロケット団員に囲まれた子ども達を助けに駆け出す!!

 

 

 

 

ズドーンンンンッッッ!!!!!

 

 

 

 

マキ・ささら「え?」

 

 

重くて鈍い、何かを落とした音が響いた。

 

 

土煙が上がり、視界が悪くなる。  

 

 

その場から離れていた全員の視線があつまる。

 

 

マキが、ささらが、ブレイズか、ピーくんが、ブライトが、ナツメがメガ・フーディンが、スリーパーが、そして、()()()()()()()()()()()()()()()が。

 

 

 

土煙が晴れると、そこから幼女が姿を見せた。

 

そして、巨躯なてつへびポケモン、ハガネールが。

 

そのハガネールのトレーナーの幼女の手に持っていたはずの『げんきのかたまり』は既に無い。

 

俯き加減の幼女から、鋭い眼光が光る。

 

 

 

きりたん「つまり、この大人になりきれてない悪の組織(笑)に対して無双ゲーすれば言い訳ですか。そうですか。では……

 

(ロケット団員が)サクサク逝きますよーフッ、草生えますね。」

 

何か気の抜けた感じの事を言いながら、きりたんの目はギラギラと獣のように血走っていた

 

 




次回から、ボイスロイド×ポケットモンスター ボイスポケット無双 はじまりますん


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42 フルバトル

ここで、これまでバトルに参加したポケモンの状態を書いときましょう。
ゆかりとずん子は離脱なので省きます。

東北きりたん

ハガネまる(全快)
ユカリ(残り6割)
アムドまる(全快)

琴葉茜
ゼリー(ひんし)
ハンバーグ(ひんし)
オムレツ(残り7割)

音街ウナ
しらすどん(ひんし)
ひつまぶし(全快)
ももんちゃん(全快)








ギラギラと目を輝かせていたきりたんは、今子どもらしく微笑ましいモグラ叩きに興じていた。

 

 

きりたん「アッハッハッハッハッハッハーー!!!!

いやぁ~モグラ叩きなんて子どもっぽいことを5年生にもなってやることになるとは思いませんでしたよ~おらおらー」

 

ロケット団A「ぎゃあああああーー!??」

 

B「助けてえーー!!!」

 

C「こ、殺される!幼女に殺されるううううーーー!!!!」

 

D「何が幼女だ!??あんなもの地獄の鬼か悪鬼羅刹だろうがあーー!!!??」

 

ドターン!!!!バターン!!!!

 

ハガネまるが1発アイアンテールを振り下ろす度に、二三人程度のロケット団員が地に埋まり、骨を砕き、ゴミとなる。

抵抗するために手にしたモンスターボールは砕かれ、中から出て来たポケモンは迷わず逃げる。

そんな状況にこの悪鬼羅刹こときりたんは、文字通り鬼のような目で嗤っている。

 

きりたん「全殺しと半殺し、どっちがいいですかァ~?」

 

ロケット団員「たっ、助けてえ!!!」

 

E「おっ、お慈悲をオオオオーー!!!!」

 

ドガーン!!!!

 

きりたん「はいばーい」

 

 

 

茜・葵・ウナ「………………。」

 

 

 

きりたん「ごー!ごー!」

 

※モグラ叩きです。

 

200人位居たはずのロケット団員が今では半分になろうとしている。

 

 

その光景を観たナツメはーー

 

 

ナツメ(悪の素質、選び間違えた………!!!!!)

 

 

 

 

 

きりたん「草生えますね。」

 

 

 

 

 

 

 

大方きりたんによるモグラ叩きが終わったころ、良い感じに骨があるレベルのロケット団員が、ようやく抵抗を始めた。

 

「行け!ヤドラン!!みずでっぽう!」

 

ハガネまる「グオオオオーー!!」

 

「ガキがっ!!楽しそうに次から次へと殺戮を行いやがって!!俺たちの命を何だと思ってやがる!!?

言ってみろコラ!!」

 

 

きりたん「ゴミ。」

 

 

「…………………。」

 

包み隠さず正直に言うきりたん。

 

その言葉があまりにも自然で『何言ってんだコイツ』と言わんばかりの表情で、そのロケット団員は、時間が止まったような錯覚を起こす。

 

 

ブチ。

 

 

その大きな隙を突かれて、さっさとアイアンテールで潰されてしまった。

 

 

 

茜「あの、きりたんちゃん。まだゆかりさんに会って一日経ってないのに、めっちゃゆかりさんに影響受け取らんか?」

 

 

きりたん「子どもですからね、影響を受けやすいんですよ。フフフフ。」

 

 

茜「目ぇが完全に笑っとらんで~」

 

 

「ナッシー!!たまなげ!!」

 

「スリープ!ねんりき!!」

 

 

茜「少しずつとは言え、敵も抵抗が大きくなってきたな。

ウチも戦うわ。頼んだで!エビフライ!!」

 

エビフライ「セヤナー」

 

ピンク色のゲル状のメタモンらしい何かが、へんしんを行う。

その姿は、その場の何処にも居ないネコの姿を取った。

 

 

茜「え~っと、何に変身したんかな?」

 

ゴソゴソとポケモン図鑑を取り出す。

 

きりたん「へ?茜ちゃん、メタモンが何に変身するか分からないんですか?!」

 

茜「うん、さっぱりや…取り敢えず有利なタイプにはへんしんするんやけど、レベルアップで覚える技しか使えんし、結構大変なんや。」

 

きりたん「何でそんな博打ポケモンを……」

 

茜「あ、分かったで!『レパルダス』か。

 

よし、エビフライ、つめとぎや!」

 

エビフライ「ヤデー!!」

 

ガリガリガリとその辺の石で爪を研ぐ。

 

茜「よっしゃ、エビフライ。ナッシーにつじぎりや!」

 

エビフライ「ニャー!」

 

ザシュッーー!!

 

ナッシー「ナッシー!?」

 

 

きりたん「ハガネまる、アイアンテール!!」

 

 

パコーン!!

 

 

ここで、痛快にポケモンバトルをする二人を、モブのように観戦しているだけの二人が口を開いた。

 

ウナ「……………。」

 

葵「………えっと、ウナちゃんだっけ?」

 

ウナ「うな。」

 

葵「今のうちに、マキ先輩達の所へ逃げようか。

いても邪魔になるだろうし、ホラ。呼ばれてる。」

 

葵の目線の先には

『もうきりたんと茜は戦力にカウントして葵とウナだけ逃がす』

方針に切り替えたマキとささらが手招きしていた。

 

葵「行こうか、ウナちゃん」

 

ウナ「…………葵パイセン。その前にちょっといいウナ?」

 

葵「何?マキ先輩、かなり急いでるみたいなんだけど」

 

 

ウナ「ウナ達、このまま向こうへ行ったらきっと安全だよね?

学園主席の弦巻パイセンと。実は実力あるの隠してるささらちゃんの所なら、安パイだよね?」

 

葵「もちろんだよ。だから早く行こう?

お姉ちゃん達の邪魔にもなるし。」

 

ぐいぐいと手を引っ張ろうとする葵に対して、まあ待ってと宥めるウナ。

 

ウナ「そうなるとウナ達、もうこのタマ学編で二度と出番無いままベンチ入りして、第三部に出て来て

『アレ?この小説に青髪の子なんて居たっけ?』

ってなってその後も完全に出番無くなってリストラされない?」

 

葵「」(ピタリ)

 

それまでウナの手を引っ張っていた葵の身体が、完全に停止した。

 

 

ウナ「ウナ、一応クラスでもバトル好きなタイプだから、この後平和な感じになったら元気ッ子ポジで使って貰える算段はあるけど、葵パイセン。

 

このままだと性格は無個性、行動は安パイって、現実に居れば陰キャ。漫画的には空気っていう、扱い最悪の感じになっちゃわない?

 

それでもささらちゃん達の所行って、安全取る?」

 

 

 

 

マキ「葵ちゃーん!大丈夫!?動ける?

迎えに行こうか~!?」

 

ささら(…………やっべぇなぁ。何かウナちゃんが青い子に言ってる。ウナちゃん時々すっごいバクダン落とすからなぁ……本人は善意のつもりとか手が付けられない感じで……)

 

 

葵「いっけぇ!!トリトディアーー!!!」

 

 

マキ「何でえええええーー!??」

 

 

ウナ「よっしゃあ!!ウナも行くぞーー!!ももんちゃん!」

 

 

こうして、ガチ犯罪集団ロケット団とのバトルに対して、

東北きりたんとハガネールのハガネまる。

琴葉茜とメタモンのエビフライ(レパルダスのすがた)

琴葉葵とトリトドンのトリトディア(青)

音街ウナとエモンガのももんちゃん

 

の四名全員が参加することになった。

二人は尊敬する師匠の為に。

二人は単純に出番の為に。

 

 

 

 

きりたんが駆除したロケット団雑魚兵を滅ぼした為、最早残っているのが、幹部補佐候補レベルの実力者しかいない事も知らずに……。




次回

混戦


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43 あかきり

皆様こんばんわ。
今夜は楽しい楽しいGW十連休の初日ですね。
私は今年のGWはハワイに行きながらグラムに行って戯れに道頓堀で食い倒れ死ながら10日間断食に挑戦してみたいと思います。

暫く更新は滞りますでしょうが何時ものこととお察し頂けますれば幸甚に存じます。

皆様に置かれましては、楽しいGWを送れますことをお祈りしております。アハハハハハwww


信じて手招きしていた琴葉葵が、急にバトルに参戦し出しました。

 

マキ「何で?どうしてぇ…??」

 

マキの精神状態は既にいっぱいいっぱいで、琴葉葵が見せ場欲しさに戦いだしただなんて夢にも思わなかった。

 

ささら(あー……こりゃウナちゃんやらかしたなー……)

 

一方、音街ウナという少女が焚き付けていたことを確信していたささらは、諦め半分で笑っている。

無論、その大きな瞳は全く笑ってはいなかったが……。

 

 

ナツメ「子どもの心配をしている場合かしら?」

 

 

そう言いながら、ナツメのメガフーディンが、強化されたサイコキネシスで地面をドカドカと抉りながら攻撃してくる。

 

マキ「うわっ!?ブレイズ、飛んで!!」

 

突然の攻撃にハッとしながらリザードンのブレイズの背に飛び乗った。

ささらの手を掴みながら飛翔するブレイズ。

ある程度距離を取り、そのまま“かえんほうしゃ“でサイコキネシスの威力を削ぐ。

 

マキ「ささらちゃん大丈夫!?」

 

ささら「あーはい…何とか。」

 

空中で膝を折ってスカートを挟み下の視線に対処するが、突然手を取って飛ばれた事に関しては別段気にしない。

 

ささら「ピッくんー。今のうちにめいそうしておいてー」

 

ピッくん「ピー!」

 

隙があれば取り敢えず積んでおく。実力あるトレーナーの基本行動である。

 

マキ「不味いなぁ…メガフーディンのサイコキネシスが強すぎる……」

 

マキも一度バトルが始まってしまえばトップクラスのトレーナー。相手の分析に入り始めた。

 

マキ「ささらちゃん。ちょっと危ないけど、攻撃しながら地面をスレスレで飛ぶから、そのタイミングで降りて!」

 

ささら「スカート履いてる女の子にとんでもない要求してきたよこの先輩……まあ、やりますけど。バトルの邪魔になるだろうし。

 

いつでも良いんで、好きなタイミングで降りて下さーい」

 

マキ「ありがとう!」

 

ささらから気持ち良く了承を得ると、マキはブレイズと共にナツメの攻撃をいなしながら、タイミングを探り始めるのだった。

 

 

 

 

茜「だんだん、きりたんちゃんが敵を倒す時間が長くなって来始めたな。」

 

それまできりたんとハガネまるによる

モグラ叩きショーのモグラでしか無かったロケット団員だったが、生き残った者達は流石に相応の強さを持った敵になり始めていた。

 

ロケット団員(中堅)「キリンリキ!!サイコウェーブ!!」

 

きりたん「ハガネまる、かみくだく!!」

 

キリンリキのサイコウェーブを正面で受けながら、キリンリキの胴体を骨までかみ砕き、地面に叩きつけたハガネまる。

 

ハガネまる「ゼェ……ゼェ………!!」

 

きりたん(流石にここまで来ると、ハガネまるのダメもかなり貯まってますね……)

 

きりたんはハガネまると交代でボールに戻しておいたサイドンのユカリに意識が行く。

 

だが、首を横に振り意識を振り払う。

 

きりたん(これは甘えだ……元々このユカリだって、雷に怯えた私を守るためのものだった……。そうでなくても…)

 

 

葵「トリトディア!みずのはどう!」

トリトディア「ぽわ~!」

ラッタ「ーーギッ、ガ……!?」

ロケット団員(雑魚)「今だスリープ、ねんりきでそのナメクジを叩きつけてやれ!!」

 

葵「トリトディア!」

 

ウナ「援護するよ葵パイセン!ももんちゃん、でんきショック!」

 

ももんちゃん「エモー!」

 

ロケット団員(雑魚)「くそっ!攻撃の当たらない所からチマチマと鬱陶しいぞガキがっ!!!!」

 

ウナ「しょうが無いじゃん!!ウナのしらすどんは“ひんし“でバトル出来ないんだから!」

 

ロケット団員(雑魚)「だったらお前は俺が直接バトルしてやるよ!!」

 

葵「余所見してていいのかな?

トリトディア!どろばくだん!」

 

スリープ「ぷぉ~!?」

 

ロケット団員(糞雑魚)「なっ!?しまった!」

 

葵「ロケット団員にめざめるパワー!」

 

ロケット団員(塵)「ぐえーー!!」

 

葵・ウナ「いえーい!」

 

パチンとハイタッチをする葵とウナ。

 

 

きりたん(今ユカリを出したら、ウナちゃんのエモンガが電気技を使えなくなる……っっ!)

 

ユカリは、きりたんが結月ゆかりから受け取ったもの。

そのとくせいは“ひらいしん“。

全ての電気技をその身に呼び込む力。

それは、仲間の攻撃も同じ事。

 

 

きりたん「私ひとりなら全く気にする必要無かったんですけどね……」

 

茜「けど、きりたんちゃん一人やったら、今頃アソコで睨み利かし取るお兄さんに襲われとるで」

 

きりたん「茜ちゃん…」

 

茜の視線の先には、ロケット団員の塊の中でも後方の位置。

そこには、他の団員とは雰囲気の違うロケット団員が立っていた。

 

きりたん「あいつ、何なんですかね。

一度ハガネまるに“じわれ“使わせて何十人か奈落の底に落としてやった時も、顔色一つ変えずに避けてたんですよ。

不気味だから後回しにしてたんですけど……」

 

茜「分からんな…ウチも何か気になっとったから、オムレツも戻してエビフライだけで闘っとったんやけど……」

 

きりたん「取り敢えず、茜ちゃん。あのメタモン……エビフライでしっけ。

へんしん、やり直せないんですか?ハガネまるで戦うにしろ、ユカリを出すにしろ、オムレツと一緒に戦ったら、お互い足の引っ張り合いですよ?」

 

茜「んー?なんや、きりたんちゃん~。

自分一人で戦っとったら~って言うとったのに~」

 

いたずらっ子のように笑う茜。

 

きりたん「急に何煽って来てんですか?それが素ですか?」

 

茜「いや~ごめんな。

きりたんちゃんがちゃんと冷静なんかな~って思ったんや。

ほら、いざ協力して戦う時になって我を忘れて暴走されたら大変やん?

せやからね…確認のためにな。」

 

天使のような笑顔で包み隠さず話す茜。

『役に立つのかどうか試した』と。

 

きりたん「………見なくて良い闇を見た気がした」

 

茜「そ、そんな闇とかやないんよ!ただ、ロケット団とのバトルになるとホンマに命の危険があるから!それだけで……!」

 

きりたん「きっと戦いに勝つために私は見捨てられるんですねーあーやっぱり一人で戦うしかないのか~」

 

茜「あ~ん!きりたんちゃん堪忍や~~!」

 

 

戦いにシビアな茜。

やられたらやり返すきりたん。

 

 

 

 

特に教わるでも無く、二人はしっかりゆかりの弟子なのだった。

 

 

 

 

 

 

 




さて、誰のバトルから書こうかな……


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44 ロケット団はクソやわ

ポケモン新作の内容、ちょこっと出ましたね。
何でよ…入ってないよ…メガシンカ入ってないよう………(メソメソ)


ロケット団員と小学生チームとの戦いが始まってから30分が経過した頃……。

 

 

葵「トリトディア、みずのはどう!!」

 

トリトディア「ぽわ~お!」

 

トリトディアのトリトドン(青)は、小さな軟体のカラダから波状の水分を放出し、敵のスリーパーとネイティオに同時に攻撃する。

そのダメージは微々たる物。だが、その後に襲う異常状態が無視できない。

 

中堅ロケット団員♀A「くっ!?私のスリーパーがこんらん状態に!!」

 

中堅ロケット団員♀B「私のネイティオやられた!だが、このこんらん状態は貴様に返してやろう!異常状態を相手に押し返し回復するワザでな!ネイティオ『サイコシフト』だ!!」

 

茜「はぁ…ハァ……エビフライっっ、『ダメおし』や!!」

 

エビフライ「ニャー!!」

 

ネイティオ「トゥートゥー!?」

 

ネイティオが翼を広げ、サイコシフトを発動する直前に、きりたんと二人で八割前後のロケット団員を倒していた茜とエビフライが攻撃してトドメを刺す。

 

ロケ♀B「バカな!?私のネイティオが!」

 

ロケ♀A「この小娘がァ!!行け!ズバット、トレーナーの方を狙え!!」

 

ウナ「そうはさせないぞ!ももんちゃん『でんきショック』だー!」

 

ももんちゃん「エモー」

 

ボールからズバットが出された直後を狙い、ウナとももんちゃんが急襲する。

こうかばつぐん のダメージを受けたズバット。だが、悲しいかなももんちゃんのレベルが足りていないのか、倒すには至らなかった。

 

ロケ♀A「相性ばつぐんのワザで倒せないなんて、なんて情けないポケモンなのかしらね!

ズバット、構わずトレーナーを狙いな!つばさでうつ!!」

 

 

葵を狙って突撃するズバット。こんらん状態のスリーパー。今ボールから出ている敵の残存勢力はコレで全て。

 

ハガネまる「ガアアアアアアアーーー!!!!」

 

その全てが今、あなをほるで地面から忍び寄っていたハガネまるのモグラ叩き式のアイアンテールでプチプチ潰されてしまった。

圧倒的な質量と物量に、声を上げる暇も無く、2体のエスパーポケモンと、ついでにそのトレーナーであるロケット団員も纏めて土に葬られた。

 

パンパンと手を払いながら、きりたんは最後まで残っていたロケット団員の男に目を向けた。

 

きりたん「さて…これでようやく、あと一人まで追い詰めましたね。」

 

男はいけ好かない笑みを浮かべながら、子ども達に向かって歩み寄る。

 

???「フフフ…まさかこんな小さな子ども達が、アレだけの数のロケット団員を倒してしまうなんてね。

 

どうだい、ロケット団に入っては?キミたちなら幹部も夢ではない」

 

 

茜「絶対おことわりや!」

 

ウナ「時給安そうだから無理ー」

葵「制服ダサいから嫌です」

 

きりたん「私に跪くなら飼い殺してあげましょう。土の下で」

 

 

「フフフ。若いというのは良いですねえ。恐れ知らずで」

 

 

懐からRのエンブレムが装飾されたボールを取り出し、ポケモンをだす。

 

 

「では、教育的お仕置きを始めます。

大人の邪魔をするとどうなるか、分からせてあげましょう。

行きなさい、エルレイド。」

 

 

エルレイド「レィアアアアアアーー!!!」

 

 

瞬間ーーエルレイドの姿が消えた。

 

きりたん「なっ!?」

 

ズドンーー!!!!

 

そして、きりたんの傍に居たハガネまるのカラダが宙に浮き、そのまま背後の校門に吹き飛ぶ。

勢いはそれでも止まらない。更に奥の氷漬けの学園まで届く。

 

近場では大きな音が響いただろう。だが、ここでは虚しい音が僅かに聞き取れるだけ。

 

きりたん「ーーっ」

 

きりたんの横に居たハガネまるに代わり、近くに居たのは敵のエルレイド。

その現実を知覚したきりたんは、頬に冷たい汗を流した。

 

「フフフ。少しは理解できましたか?

子どもと大人では、そもそも実力が違う。」

 

きりたん「ちっ…」

 

「当然の結果だ。実力とは、積み重ねた経験の数。

子どもと大人では過ごした時間が違う。」  

 

エルレイドは、ハガネまるを失ったきりたんに手を伸ばす。

 

きりたん「ぐうっ!?」

 

小さな首を掴み、カラダを浮かび上がらせる。

 

ウナ「きりたんちゃん!」

 

バシュッ!!

 

ウナ「い、痛いッッ!?」

 

捕まったきりたんを助けようと前に出たウナに、エルレイドのサイコカッターが腕を掠め、血を流す。

 

葵「ウナちゃん!!」

 

「どれだけ雑魚団員を倒せようと、アレはトレーナーと呼ぶに値しない弱者。

それで思い上がっていたのかな?

 

私は、レインボーロケット団幹部」

 

きりたん「ガ……」

 

呼吸が塞がれる。アタマが圧迫される。苦しみが襲う。

 

きりたん「ア……ア……ァ!?」

 

ウナ「きりたんちゃん!!!」

 

葵「止めて!!!」

 

 

きりたん「……………カ………」

 

 

「くびり殺しなさーー」

 

茜「つじぎり!!」

 

茜の虚を突いた攻撃指示によって、エビフライが跳びかかる。

だが、それに反応したエルレイドが、きりたんを盾にしようとエビフライの前に出す。

 

エビフライは、それに反応が間に合わず、きりたんの背中に鋭い爪を突き刺してしまった。

 

 

ウナ「きりちゃーん!!!」

 

 

「フフッ!これは悲劇。いや、喜劇か!!

まさか仲間を助けるために攻撃しておいて、自分からトドメを刺してしまうとは!!アッハハハ!!!」

 

 

茜「何がおかしいねん。」

 

「オカシイともさ!!子どもはこうやって勝手な行動を起こして、事態を悪化させてしまう。

今まさにソレを痛感しただろう?ソレが愉しいんだよ!!」

 

茜「そうか。」

 

ドンッ!!

と音がして、きりたんを掴んでいたエルレイドが仰け反った。

その拍子に、きりたんが地面に落とされる。

 

 

「何…!?」

 

軽蔑の嫌悪の目で、茜はロケット団の男を睨み付ける。

 

 

茜「ほんまに、ロケット団は根性腐っとる。クソやわ」

 

 

 




茜ちゃんに罵倒されて興奮した人はアカネチャンカワイイヤッター


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45 茜ちゃん、全開

お気に入りを40人の方に頂きました。とても嬉しいです。
嬉しいから連投します。

茜ちゃん回


きりたん「ーーーーッッ……ハァッ!!!スゥゥ……ハァッ……!!」

 

 

ウナ「き、きりたんちゃん!!」

 

葵「きりたんちゃん、怪我を見せて!!治療しないと!!」

 

きりたん「はぁっ……はぁっ……っ!

け、怪我…??何のことですか?」

 

葵は、治療用のキットを出しながら地面に手を着きながら呼吸を整えているきりたんの背中を確認する。

 

葵「え?あれ?怪我が無い??」

 

きりたん「何言ってるんですか?」

 

 

茜「葵ちゃん、大丈夫や。

きりたんちゃんにケガさせたりせーへんよ。」

 

 

葵「お姉ちゃん?」

 

葵(お、お姉ちゃんが怒ってる……。)

 

葵に声を掛ける茜は、いつも通りのおっとりな、可愛い茜ちゃん。

 

だが、目の前のロケット団員を見据えるその目は、怒りに満ちていた。

 

ゆかりのように、非情に冷酷な敵を駆除する目では無く

きりたんのように、目に映る者に牙を剥く狂犬のようなものでもない。

 

大切なものを傷付けられた人がする、真っ直ぐで綺麗な怒りだ。

 

 

「フフフ…なるほど。良い“ふいうち“だ。

どうやったのかは知らないが、友達に爪を立てたと見せかけて、私の隙を作ったわけだ。」

 

茜「そんなんちゃうわ。

きりたんちゃんに刺さる寸前に、エビフライの『へんしん』を()()()()()()()()だけや」

 

茜のネタばらしに、男は目を見開いた。

 

「ーーまさか、キミはその年でワザのコントロールをものにしているのか」

 

葵「ワザの…コントロール??」

 

茜「……今だけは、それが出来るようになっとって良かったわ。

修行も、無駄や無かった。」

 

「素晴らしい!実に素晴らしい!!

ソレを者に出来る者など、全地方を探しても稀だろう!

発展途上とは言え、子どものキミが!!

フフフフフ!!良いぞ!興味が湧いてきた。

 

キミの今の実力を見せて貰おう!!行け!エルレイド!!」

 

トレーナーの指示により、エルレイドは茜のエビフライに突貫する。

 

エルレイド「ガアアアアアーーー!!!!」

 

エビフライ「ヤァァデーー!!」

 

「つばめがえしだ!」

 

茜「つじぎりや!」

 

エルレイドの手刀と、エビフライの爪が、互いを切り裂こうと交差する。

 

「続いてインファイト!!」

 

茜「じゃれつく!!」

 

エルレイドは両腕を腰へ持って行き、一瞬だけタメを作り、交互に拳を放ち、エビフライは一歩先を行き、エビフライの拳を躱しながら、自分のカラダをじゃれつかせる。

 

エルレイド「グウッ!?」

 

「はたきおとす!!」

 

自分に纏わり付くエビフライを剥がすために腕を高く振り上げるエルレイド。

それこそが、好機。

 

茜「そう来ると思っとったんや、今やエビフライ!!“へんしん“!!!」

 

葵「お姉ちゃん何言ってるの!?メタモンのへんしんは、一回しか出来ないハズじゃ!?」

 

ウナ「って言うか、こんなタイミングでへんしんって、何にへんしんするんだー?」

 

ドロリ。

 

茜の指示を受けたエビフライは、本来の自分のゲル状の姿に戻る。

肉体を構成する材質の()()が変化したことで、エルレイドは腕の体重移動に失敗し、はたきおとすは不発に終わった。

 

エルレイド「アアアアアーー!!」

 

そして、エルレイドがもう一度はたきおとすを使うために腕を振り上げた瞬間ーー

 

茜「こんな絶好のタイミングで変身するなら、あのポケモン以外ないやろ。」

 

 

エビフライは、質量保存の法則を嘲笑うかのように膨張し、そしてカビゴンにへんしんした。

 

重量に耐えきれないエルレイドの腕は、振り下ろそうとした勢いとベクトルを強引に変更され…

 

 

茜「ヘビーボンバー」

 

 

ウナ「鬼か。」

 

ボキンーー小気味良い音とともに、エルレイドの腕がへし折られた。

 

 

エルレイド「エッ……ガアアアアアーーー!???」

 

 

 

 




最初のずん子とのバトルを覚えていますか?

茜ちゃん。実はバトルでは結構容赦ないです。戦いは勝つための技術しか学んでません。





バトルでは容赦ない子を順に纏めると

●慈悲が強い子

 音街ウナ
 琴葉葵
 
●普通

 弦巻マキ
 さとうささら
 
●容赦ない

 東北きりたん
 琴葉茜


●外道

 結月ゆかり

こんな所でしょうか


 




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46.ポケモン図鑑、そこ代われ

いずれ簡単に挿絵追加したい話があるので、いつの間にか前の話に入っているかもしれません。

あとロリーズの戦いと言いながら今のところ茜ちゃんしか戦っていないこと、本当にすまないと思っている……


茜のエビフライがヘビーボンバーでエルレイドの腕をへし折った頃、きりたんはウナと共に吹き飛ばされたハガネまるを診に駆けつけた。

 

ハガネまる「ガァ…」

 

きりたん「良かった…なんとか無事のようですね、ハガネまる。

オボンのみです。食べて下さい」

 

ハガネまる「ガァ…ン。(もぐもぐ…)」

 

ウナ「まぁ、これでウナ達の出番も終わりだろうし、あとは中の回復マシーンで回復してあげようなー」

 

きりたん「そんなものがあるんですか。ウナちゃん。」

 

よしよしとハガネまるの頭を撫でながら、ウナは敵の方を見る。

 

ウナ「うん。でも、まだ敵は戦うつもりみたいだけどなー」

 

きりたん「え?」

 

 

 

腕を折られ、骨が露出した痛々しい姿のエルレイド。

痛みに呻き、うずくまる様子をロケット団員は……

 

「……立て。エルレイド」

 

茜「なんやて?」

 

その言葉に、茜はますます険しい顔を見せる。

 

茜「そんなんケガでバトルなんて出来るわけないやろ!」

 

「凡庸なポケモンならばな。だが、私のエルレイドは別だ。」

 

茜「ホンマに、これ以上戦わせるつもりなんか…?」

 

「今からバトルで叩きのめし、キミの負ける姿を、お友達の前に曝してやろう!!」

 

胸のRのエンブレムに触れて、男は宣言する。

髪は蛇のように揺らめき、目は真っ赤に充血してーー

 

「レインボーロケット団、シャドー支部。ジャキラの名の下に命じる。

ーー目覚めよ。ダーク・エルレイド!!!」

 

エルレイド「アアアアアーーギィャアアアアアアアーーー!!!!」

 

ロケット団員の男、ジャキラの声にエルレイドは悲鳴にも近い雄叫びを上げた。

 

茜「なっ…!?あれはまさか、ダークポケモンか!?」

 

ジャキラ「さあ行け!!ダークエルレイド!!

シャドーの力を我らが怨敵にみせつけるのだ!!!」

 

エルレイド「エルァァアアアアアーー!!!」

 

茜「こんなん……なんでや…っっ!!

エビフライ!!」

 

エビフライ「ヤデー!」

 

 

 

 

 

きりたん「あれって……もしかして」

 

ウナ「ダークポケモン。そう思うな…」

 

きりたん「じゃあ…まさかアイツがずん姉様に……」

 

きりたんの目に、狂気が混じる。

 

ウナ「でも、もうハガネまるは戦えないよ?

一度ジムリーダーにやられて、げんきのかたまりでドーピングして、もう限界な」

 

ウナの言葉に、浮かんだ狂気が瞳から消える。

 

きりたん「………。」

 

ハガネまるをボールに戻し、別のボールを手に取る。

 

ウナ「サイドン、使うの?」

 

きりたん「…………。」

 

考える。東北きりたんは考える。

サイドンのユカリを使ったとして、勝ったとする。

だがソレは、きりたんが否定した勝利だ。ソレは東北きりたんの勝利では無く、結月ゆかりの勝利。

 

勝ちたいハズの相手の力を、何度も頼りにするのか?

 

茜「きゃあーー!?」

 

考えが纏まらない内に、茜の悲鳴が聞こえる。

 

 

ジャキラ「フハハハハ!!どうだね?ダーク・エルレイドの力は!?」

 

茜「やかましいわ!!」

 

ジャキラ「そうかね!エルレイド、サイコカッターだ!」

 

茜「ぐっ、まるくなる!!」

 

ジャキラ「フハハハハ!!グロウパンチ!!」

 

茜「ころがるで躱して、のしかかり!」

 

ジャキラ「無駄だ!インファイト!!」

 

エビフライ「ギャー!!」

 

茜「ぐうっ……!!」

 

 

 

ウナ「このままじゃ、茜パイセンもすぐに……」

 

ウナはゆかりから受け取ったポケモン図鑑を起動する。

 

メタモンLv42

 

エルレイドLv60

 

ウナ「レベル60…ウナのしらすどんより、強い。」

 

今度は、きりたんのハガネまるの入ったボールに向ける。

 

ハガネールLv40

 

きりたん「どうです?」

 

ウナ「ダメ。レベルはかなり上がってるけど、やっぱり全然足りてないよ。

 

それに、腕が折れてるのに戦ってる辺りもう、ダークポケモンって、戦闘不能にするには()()()()で一気に体力削りきる位しないとダメなんじゃ無いかな?」

 

ちらり、とウナはきりたんの持つ、ユカリのモンスターボールを見た……。

 

 

 

きりたん「物凄い力…………ですか。」

 

 

 

 

一方、茜もまた、自身の赤のZリングに意識が行っていた。

炎Zーーそれを使うには、戦闘不能になっているエンテイをげんきのかたまりで起こす必要がある。

 

問題は……

 

茜(オーキドのお爺ちゃんが言うとった。Zワザには幾つか決まりがあるって……)

 

一つ、Zワザは同じタイプのワザの威力を限界まで高めるワザの奥義。

一つ、それを撃つポケモンの元々の力によって、威力が大きく変わる。

 

一つ……

 

茜(Zワザは、トレーナーの寿命をワザに変換する諸刃の剣。故に、一日に1発撃てば、命の保証は無い。)

 

ジャキラ「フフフッ!苦痛に歪むその顔は、私の胸を晴れやかにしてくれるな!」

 

葵「お、お姉ちゃん!私も一緒にーー」

 

茜「アカンよ、葵ちゃん!

ダークポケモンは、理性も感情も奪われ取るんや!

ポケモンだけやなく、葵ちゃん自身も狙われる。

葵ちゃん守りながらはウチも戦えんのや」

 

葵「うっ…」

 

エビフライに何とか指示しながら、自身と茜の身を守りながら戦う茜は、既に余裕が無く、今の状態の葵の参戦は、残念ながら足手まといだ。

 

茜(もうこうなったら、オムレツに交代して……)

 

 

茜が交代を考えたその瞬間、他で戦っていたであろうポケモンのワザが、茜達に飛び火した。

 

茜「えっーーキャアアアアーー!!!?」

 

エビフライ「ヤー!?」

 

その隙を、ジャキラは逃さずにたたみ掛けた。

 

 

ジャキラ「トドメを刺せ!!ダークラッシュだ!!」

 

 

折れた腕を振り回し、エルレイドが激突する。

その衝撃で、茜とエビフライは、ハガネまると同じく校門に跳ね飛ばされた。

 

 

葵「お姉ちゃんっっ!!」

 

 

きりたん「ウナちゃん!!」

ウナ「オーライオーライ!!」

 

きり・ウナ「キャッチ!!!」

 

 

エビフライはそのまま校門に激突。

茜は、きりたんとウナがなんとか受け止める事に成功する。

その様子に、葵は胸をなで下ろした。

 

きりたん「生きてますか、茜さん?」

 

茜「ううん…なんとか。ありがとうな。きりたんちゃん、ウナちゃん。」

 

ウナ「お構いなく~」

 

だが、茜は無事だが、ダークラッシュが直撃したエビフライは、ひんし状態だ。

 

茜「あかんな…アイツ強いわ」

 

きりたん「そりゃ、レベル20くらい離れてますしね」

 

茜「そうなん?」

 

きりたん「図鑑確認しなかったんですか?チョイチョイやってたのに」

 

茜「ちょっと、冷静やなかったなぁ…ごめんなぁ、エビフライ…」

 

きりたん「そうですか。それじゃ、冷静になったところで、私の話を聞いてください。

 

 

アイツをみんなでぶちのめしますよ」

 

 

そう言いながら、きりたんはウィンクしながら、自分のポケモン図鑑に軽いキスをした。

 

 

 




実は次の展開が浮かんでいないまま書いていること、本当にすまないと思っている…


ああ、早く学園編に移行したいわん


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47.小者のジャキラ(あとがきに挿絵追加)

最近モチベが上がりつつある。


カビゴンの姿を取っていたメタモンが、とうとう変身を解き、ボールに戻される様子を見て、ジャキラは上機嫌に嗤う。

 

ジャキラ「カカカ…!!これが、現実だ。

これこそが、シャドーの力だ……我々は、ロケット団などに組する必要など無かった!!

 

さて、それでは作戦上通り、中の者達と合流するか……む?」

 

葵「よくもお姉ちゃんをあんな目に合わせたな!

危うく大怪我するところだったじゃない!!」

 

ジャキラ「何かと思えば、さっきまで振るえていた小娘か。

む?よく見れば、あの赤い髪の少女にそっくりだな。

髪を伸ばして赤くすれば瓜二つだ。

 

まさかとは思うが、双子か?」

 

葵「まさかって何よ?私は双子の妹だよ!!」

 

ジャキラ「カカカ…!!なるほど、出来損ないの片割れか…」

 

葵「なっ…出来損ない…!?」

 

ジャキラ「何だ、その驚き様は?自覚が無かったとでも言うのか?

キサマの姉はあれほど勇ましく戦っていた。

そして、ハガネールを使っていた飾り気の無い少女もだ。

 

だが、キサマは何だ?トレーナーとすら呼べる実力も無い捨て駒の団員に、あの奇妙なマッギョの帽子を被った少女と共闘し、ようやく倒せている程度。

 

これが出来損ない以外の何なのだ?」

 

葵「うるさい!私は、出来損ないなんかじゃない!!」

 

 

ジャキラ「カッカッカッカッ!!!才無き者ほど良く吼えるものだ」

 

葵「……っっ!!」

 

ジャキラの言葉に涙ぐむ葵は、それでも、ジャキラを睨み付けている。

 

ジャキラ「吠えるだけで何も出来んなら、今すぐ死んでしまえ!!」

 

 

 

きりたん「自分より弱い者に吠えるだけのお前こそ、今すぐ死んでしまえ!」

 

ジャキラ「む?」

 

 

悦に入って葵にマウントを取っているジャキラの前に、遮るようにきりたんと、茜が前に出て来た。その手には、モンスターボール。

 

葵「お姉ちゃん…きりたんちゃん……」

 

ジャキラ「ほう……まだ戦うつもりなのかね?これほど力の差を見せつけられても?

見事だ。その判断そのものは愚かだが、折れない精神力は賞賛に値する。

 

もう一度言ってやろう。私に跪き、ロケット団に……いや、我らがシャドーに入れ。キサマ達には充分な素質がある。

今なら私自らボスに進言してやろう。

 

これが、最期のチャンスだ」

 

 

きりたん「無理ですね。ああ、別にプライドの話じゃ無いですよ?

お前みたいな小者に跪くとか、途中で笑いが止まらなくって、跪くポーズとか維持できそうに無いんで」

 

茜「お天道様の下を歩くことも出来ん影になるなんて御免や。

影になるなら、誰かを護れる月に寄り添いたいねん」

 

 

ジャキラ「全く愚かなーー」

 

 

きりたん・茜「愚かはお前だ、お前なんか私達の師匠の足下にも及ばないーー!!」

 

 

2人は同時に手に持ったモンスターボールを解放し、ポケモンを出す。

 

ブチリーー!!

 

そして、ジャキラの血管が切れたのが同時だった。

 

 

ジャキラ「子ども風情がアアアアアーーー!!!!」

 

 

 

茜「行くで!オムレツ!!」

 

きりたん「頼みましたよ、ハンバーグ!!」

 

 

茜のボールからはオムレツのライコウが。

 

そして、何故か?

きりたんのボールからは、茜のポケモンであるハズのハンバーグのエンテイがあらわれた!

 

茜「これでもう、げんきのかたまりは無い!

全力で全開や!!」

 

きりたん「伝説の力、しっかり見せて貰いますよ」

 

オムレツ「待ちくたびれたぜ!!暴れてやるよ!」

 

ハンバーグ「ふん。良いだろう。我が力、とくと見せてやろう。」

 

 

ジャキラ「行け!!ダークエルレイド!!!」

 

茜「オムレツ、でんきショック!」

 

ジャキラ「何だと!?」(でんきタイプ最弱クラスのワザ、でんきショックをこの局面で指示するだと…?)

 

 

オムレツ「ガアアアアーー!!」

 

バチバチと鳴る雷を操り、ライコウの周囲に磁気を帯びた砂鉄を纏うでんきショックが出来上がる。

 

茜「行けぇ!」

 

砂鉄はダークエルレイドを抑えるさすまたの様に襲いかかる。

 

ジャキラ「動きを止めに来たか!

だが、この程度では止まらん!!ねんりきで跳ね返してやれ!!」

 

きりたん「ここでこっちからふみつけ!!」

 

ハンバーグ「ハアッ!!」

 

 

ジャキラ「甘いわ!!インファイトで跳ね返せ!」

 

 

ダーク・エルレイドは、指示通りねんりきで砂鉄を防ぎながら、インファントを放つ。

 

だが、隻腕では流石にエンテイの体重に押し負けてしま、防ぐのが精一杯のようだ。

 

ジャキラ「そのままダークラッシュだ!!」

 

茜「あいつ…!!」

 

だが、ダークエルレイドの限界をお構いなしで指示してくるその様子に、茜は少し焦りを感じる。

そこに、きりたんが耳にふぅと吐息をかける。

 

茜「ひゃぅん!?き、きりたんちゃん…」

 

きりたん「ダメですよ、暴走したら。さっきそれで失敗してんですから。」

 

茜「あぅ……ごめんなさい」

 

きりたん「分かればいいです。じゃあ、予定通り少しの間、アイツの世話お願いしますね、

 

葵さん。」

 

 

葵「え?あ、何?きりたんちゃん」

 

きりたん「戦闘不能のポケモンのボール全部こっちに下さい。回復マシーンがありますんで」

 

葵「そんなものあるの?じゃあお願い。」

 

葵はボールをひとつ手渡す。

 

すると、きりたんはそれを何処からか取り出した白く柔らかい大砲(?)に込める。

 

葵「ーーえ、いや待って大砲!?何ソレ何で大砲!?どっから出したのその大砲!?」

 

 

きりたん「捕獲用きりたんぽ式モンスターボール砲台、きりたん砲、はっしゃー」

 

葵「いや待ってちょっと待ってお願い何するつもりなの!?私のミネルヴィに酷いことしないで!?」

 

葵の抵抗虚しく、葵のモンスターボールはポーンと発射されてしまった。

 

葵「ミネルヴィー!?」

 

きりたん「さて、これで仕込みは完了ですね。」

 

葵「き、き……」

 

きりたん「それじゃあ葵さん。ボールが来るまで少し下がってーー」

 

葵「きりたあああぁぁーん!!!!」

 

きりたん「ぐはっ!?」

 

葵「私のミネルヴィ何処へやっちゃったの!?大丈夫なの!?ちゃんと無事なの!?ねえ!!」

 

グラングランと揺らされるきりたん。

 

きりたん「ちょ、待って!待って!揺れる揺れる!脳がゆれますから!

大丈夫ですから離してー!」

 

葵「大丈夫って…あれ?あそこに居るのは…」

 

ボールの丁度着地点には、少しの誤差もなくウナが立っていた。

 

ウナ「キャッチ!!

 

それじゃあ、きりたんちゃんーウナ衛生兵。行って来まーす!!」

 

何処から引っ張ってきたのか分からない袋にボールを詰め込むと、ウナは手を振って走って行った。

 

葵「そう言うことだったのね……ごめんね、きりたんちゃん。」

 

 

きりたん「…………ハァ…フゥ…殺されるかと思ったですよ……」

 

 




挿絵昨日3枚位描いたので、次回張るかも知れないです。

ウナ回(予定)です


追記


ちょっと描いてみたので観て欲しくなったです。
後悔は無い。公開だ。


【挿絵表示】


この服装しまむらなのがきりたん、もう片方が茜ちゃんです


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48.ウナが斬(られ)る

少し意味が分からない感じになっていますが、少しウナの戦力を補強したかったのです。

エモンガとマッギョじゃ戦えねえ!!

マッギョはレベル的にステロ撒けないし、エモンガはボルチェン撃てないし!シビルドン復帰はよ!!


ウナスは激怒した。必ず、かの(ロケット団)を取り除かなければならぬと決意した。

ウナスには政治がわからぬ。ウナスはコガネシティのアイドルである。唄を歌い、ファンと戯れて暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。今この時、ウナスは校門から出発し、下駄箱を越え廊下を越え、このポケモン回復装置の前にやって来た。

 

ウナ「えーっと、確かこのボタンを押して…

あ、ふたが空いた。

ボールを入れて、お金を入れる………勿体ないから取り出し口のカギ壊して入ってる物を取り出して入れるかー(バキッ!!)

(チャリーン)

 

んで、三分待つっと」

 

 

機械を操作してすることが無くなったウナは、自身の歌った曲から適当にセレクトしてスマホで流した。

 

 

ウナ「ふんふんふん~♪

瀕死状態じゃ無ければ回復一瞬なんだけどな~」

 

言いながらゆかりから預かっていたポケモン図鑑を取り出してみる。

 

ウナ「うわっ!?ゆかりパイセン個人情報にロック掛けてないとかマジか………ふんふん。

 

手持ちポケモンからあずかりシステムのポケモンまで筒抜けじゃん。こんなん預けるとか、凄えな」

 

 

ふと、誰かが歩いてくる音が聞こえ、頭を上げた。

 

 

ロケット団したっぱA「おいおい~こんな所に子どもがいるじゃねえか」

ロケット団したっぱB「しかもかなり可愛い子供だな。グヒヒw」

ロケット団したっぱA「なんだよ~お前そっちの趣味あんのかよ」

 

ロケット団したっぱB「グ、グヒヒ…そのためにロケット団入ったんだよ。早速楽しませて貰おう……グフフフ」

 

 

ロケット団したっぱA「あーあ~運が悪いなぁお嬢ちゃん。

学校なんかに来ずに遊んでれば良かったのになぁ~」

 

 

下卑た笑い声は生理的嫌悪をもたらし、ウナを性のはけ口として見下す視線は、吐き気を催す気持ち悪さ。

性の体験も、経験も無い少女にすら、女としての本能が目覚める。

 

 

ウナ「気持ち悪い、『私』に寄るな。」

 

 

ロケット団したっぱB「グヒヒ」

 

スパーン!!

 

柔肌を打つ音が響き、ウナのカラダが転がる。

トレードマークの帽子も、ウナの頭から飛び出した。

 

ロケット団したっぱB「お、大人に生意気な口を聞く幼女を、力ずくで躾てみたかったんだ…グフフ」

 

ロケット団したっぱA(趣味悪いなぁ……)

 

仲間の団員すら引くほどの気持ち悪さを滲ませて、したっぱBはウナに馬乗りになり、ウナのジャージのチャックに手を掛けて……

 

 

したっぱB「あぎゃああああアアアアアアアーーー!!??」

 

 

感電した。

 

したっぱA「な、なんだ!?何が起きた?」

 

ウナ「…………。」

 

倒れたしたっぱBの躰をけり飛ばして、服の汚れをパンパンと払うウナ。

 

隣には、エモンガのももんちゃん。

 

 

ウナ「…………ああ、ももんちゃん。

レベル20まで上がってたんだ。使えるワザも増えてるね。

じゃあ、『じゅうでん』して、そいつに『スパーク』」

 

ももんちゃん『エモ!』

 

指示通りにしたっぱBに攻撃して、黒焦げにするももんちゃん。

 

したっぱA「な、なんだこのガキ…容赦なさすぎだろ……!」

 

赤渕メガネを外して、髪を掻き上げる。

 

ウナ「聞いておきたいことがある。

何でロケット団が校舎の中にいるんだ?

外で戦っている奴らの仲間だろ」

 

 

したっぱA「ああ~?なんだロケット団のこと知ってたのかよ。

 

じゃあ、俺達が怖くて悪い奴らだってことも知ってるよなぁ?」

 

したっぱAがモンスターボールを構える。

 

したっぱA「どんなポケモンが入ってるか知らねえが、後ろの回復装置のボールも、俺達が奪っておいてやるよ。」

 

スパッーー。

 

ウナ「!?」

 

ウナの頬が僅かに切れる。

 

 

 

したっぱA「そんじゃあ、行くぜ。

ついでにそいつの敵討ちもしてやるよ。ーーオラァ!!」

 

 

ウナ「………残り2分30秒か。

暇つぶしに使ってあげる。女の顔に傷を付けた報いを受けろ」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 




ウナの隠れ属性 かいりき がアンロックされました。
ゲーセンのゲーム機のお金を吐き出すところを素手で壊してる感じです。

多分。きっと。なんか思いついたら後付けするかもしれません。


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49.汚物は消毒だー!!

今回は多少情報量が多めかも知れませんので、後書きで補足入れますかね。細く。
何となく察している人も居るかも知れませんが、恐らく学園生活は今年中とか無理ですね。多分。

暑さとモチベーション低下のダブルパンチは辛かった。

断じてマリオメーカー2で遊んでたワケジャナイヨー




あとイラスト描いたので見てって下さい


ーーーーーー

 

 

 

 

 

何かが焦げた臭いがする。

何かが切り裂いた痕がある。

 

ポツンと廊下に落ちていた赤渕のメガネがあった。

 

少女がメガネを拾い上げ、ふぅと一息つく。

 

???「………全く、ロリコンはこれだから嫌だ。」

 

ゴミのように捨てられたロケット団員を、ゴミを見るように見る。

 

「別に、私が出てくる必要なんて無かったのに…バカ」

 

モモンちゃん「エモ…」

 

 

一緒にバトルしたエモンガのモモンちゃんが、少女に声を掛けると、ニコッとウィンクして、指を口に添え

 

 

 

「みんなには内緒だよ?」

 

 

 

そう言うと、少女はメガネを掛けたのだった。

 

 

ーーーーーー

 

ウナ「ふわぁ~」

 

 

ポケモンが回復するまでの時間、ポケモン図鑑でドラゴンタイプのポケモンを観ながら、音街ウナは欠伸をしながら待っていた。

 

ウナ「なんかキモいロケット団員に見つめられてからの記憶が無いんだよなー」

 

二つのモンスターボールを眺めながら呟く。

中にいるのは、何故か黒焦げになっているロケット団員2人の手持ちのポケモン。念のため没収した。

 

ウナ「ももんちゃん、ウナどうなったの?」

 

ももんちゃん「エモ~?」

 

ウナ「う~ん、言葉は分かんないけど、何となくももんちゃんも分からないって言ってる気がするなー」

 

テン・テン・テテ・テーン♪

 

その時ポケモンの回復の完了を告げる音が聞こえた。

 

ウナ「お、回復したか!」

 

みんなのモンスターボールを両手に抱えて、準備完了。

 

ウナ「そんじゃ、みんなの所に戻りますかー」

 

ももんちゃん「エモ!」

 

何があったのか抜け落ちたまま、大量のモンスターボールを抱えて、音街ウナはみんなの元へ帰っていった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

茜「オムレツ、かみなりのキバ!」

 

ジャキラ「ダークエルレイド、ダークラッシュ!!」

 

バチバチと神鳴る雷光と、暗いオーラがぶつかり合う。

地面は幾重にも行われたバトルの影響で深く抉れており、もはやスラム街にいることを幻想させる荒廃振り。

 

その荒廃した地面を駆け回り、自身の雷撃で更に土地を焦がすオムレツは、主の意向で最低限の攻撃でのみ敵の攻撃を捌くのみ。

 

一方ダークエルレイドは折れた腕が2倍近い膨張を見せ、戦って良い状態で無いことは明らか。

それでも戦う戦闘マシーンになる。それがダークポケモンになるということだ。

 

 

ダークエルレイド「ギジャアアアアアーーー!!!!」

 

 

オムレツ『コオオオオオォォォーー!!!』

 

 

無事な左腕での攻撃。キバでかみつき、封じる。

ギシギシと軋むその腕が痛々しい…………。

 

それでも、止めない。

戦う。

 

 

茜「…………………あと、2分半」

 

 

 

きりたんに作戦を聞いた茜は、今エルレイドを留めている。倒すために、留めている。

 

きりたんの作戦なら、確実にエルレイドを倒せる。

 

 

茜(…………ウチは、それでええんか。)

 

 

右手には、無意識に握った()()()()()()()()()()

 

茜「…………このままいけば、ウナちゃんは帰ってくる。

このままやったら、間違いなく、エルレイドを………」

 

 

茜(倒して…………そして、ジャキラを捕まえて、ポケモンを回収してやれば、同じ事……)

 

 

 

ジャキラ「もう良い。飽きた。

期待外れだったな。ダークエルレイド。」

 

 

 

そう呟くと、ジャキラはボールを取りだした。

 

茜「え……っ」

 

ジャキラ「行け、メタグロス!!」

 

新たに現れたポケモンーーメタグロスは、ホールから出ると同時に、4本の腕を地面に突き刺した。

 

 

ジャキラ「じしん!!!!」

 

 

茜「なっ!?しまった!!」

 

その瞬間、グラグラと大地は揺れ、震動が、大地の瓦礫が、その場に立つ全てのポケモン・人間に襲いかかる。

 

 

オムレツ「グオオオッ!?」

 

でんきタイプのオムレツにはその攻撃が致命的で、大ダメージが入る。

 

茜「キャアアアアーー!?」

 

人間である茜は、ポケモンのワザをマトモに受けてしまい、吹き飛ばされる。

 

そして、エルレイドは 

 

 

エルレイド「………………。」

 

 

声を上げる力も失われ、地に伏した。

 

 

ジャキラ「フハハハハ!!!感謝しよう、少女よ。

おかげでダークエルレイドのデータは取れた。

 

全く使えない。ダークポケモンの恥さらしめ。

本部に帰ったらしっかり教育し直してやらねばな」

 

 

茜「痛……っ」

 

 

ジャキラ「伝説のポケモンが出て来たのは意外だったが、これは当たり前の結末だ。

 

キミたちの複数のポケモン達は、我がダークエルレイド一体のみと戦っていた。

そのあと、残りのポケモンと戦うことになるのは頭に無かったのかね?

まして、バトル中に出てくることなど予想外か?

 

そうだろうとも。これが、現実を知らない子どもの限界だ。

 

フハハハハ!!ハーッハッハッハッハ!!!!」

 

 

茜「う……あ…………ッッ!!!!」

 

 

ガタガタと振るえる膝を支えながら、ポタポタと滴る血潮を無視して、茜は立ち上がる。

 

 

ジャキラ「もう立ち上がっても無駄だ。私にはこのメタグロス以外にもポケモンがーーいや、待て。

先ほどから姿が見えないもう一人の少女は何処へ…?」

 

 

茜「………っっ!!!!」

 

 

バッーー!!痛みを無視して、自身の腕を交差して組む。

 

茜「天照らす…灼熱の…威光。

羽ばたくは…虹彩の大翼。

命輝くその価値を、邪悪なるものを焼き尽くさんがためにーー」

 

メラメラと燃えるようなポージングを取り、腕に付けた赤のZリングが呼応し始める。

 

ジャキラ「何をする気か知らんが、そのような隙だらけな姿を晒して何になる!

メタグロス、バレットパンチ!!」

 

 

メタグロス「グロオオオーー!!」

 

オムレツ「させるかァ!!」

 

攻撃にでんこうせっかで割って入るオムレツに、メタグロスは阻まれた。

 

ジャキラ「ならまずはお前からだ!!メタグロス、コメットパンチ!!」

 

オムレツ「テメエも喰らっとけや!!!雷光の一撃を!!!」

 

ジャキラ「行け、ネイティオ!!あの少女を止めろ!!」

 

ネイティオ「トゥートゥー」

 

三度ジャキラがボールを放り、ネイティオが茜に襲いかかる。

まだ、Zポージングは完了しておらず、ふらついた茜は、急ぐ事も出来ない。

 

 

ジャキラ「眠れ!!少女よ!!!サイコキネシス!!!」

 

 

 

茜は、突然、完成仕掛けていたポージングを解き、自分の身を腕で庇う。

 

ジャキラ「フハハハハ!!諦めたか。ソレで良い!!

 

地獄に堕ちるが良い!!フハハハハハハハハーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きりたん「………………お前が堕ちろ。」

 

 

 

 

次の瞬間

ーー嬉々として勝利を確信したジャキラは、完成したZワザの炎に飲まれて行った。




簡単な荒筋。

●ウナ、みんなには内緒だよ
●茜、から鍋ならぬ空のモンスターボール持ちながら、なんか悩む。
●茜、気持ちリョナる

●きりたん、お前が堕ちろ でいいとこ取り


もうすぐロリーズのバトルが終わる……そしたらささらとマキとやって、終わったら学園生活書ける……暫くガチバトルせずにユリユリするんだ~アハハハ







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50.炎Z、発射準備

ジャキラが上手に焼けるほんの少し前のお話。


きりたんはポージングが気に入らないから覚えてるわけも無く、茜は一応覚えている。

そして葵は、コンテストに使えるかも知れないと、全種類覚えてます。

そんなわけで、茜が戦っている間に、きりたんは葵にZポージングを教わるのでした。


きりたん「葵さん、Zワザの型を教えて下さい。」

 

葵「え!?」

 

ミロカロスのミネルヴィを大砲で吹き飛ばされてすぐ、きりたんちゃんがそんなことを私に言ってきた。

 

きりたん「実は今私のZリングには、茜さんから借りた炎Zが付いています。ついでに、茜さんからエンテイ借りました」

 

言いながらきりたんちゃんが腕に付けた銀色のZリングを見せてくる。

確かに赤い炎Zが付いている。

 

 

きりたん「コイツを使って、あのキモいのを焼き殺したいんですが、オーキドの爺さんがやってたあの

『自殺もんの盆踊り』

を私は全く覚えていないんです。」

 

葵「じ、自殺もん……」

 

確かに、あんまり格好いいものは無いけど…それはあんまりでしょ。

あ…言われてみれば水Zのポージングって盆踊りっぽい……ぽいかな……??

 

 

きりたん「葵さん?聞いてますか」

 

葵「あ、うん…」

 

きりたん「今、茜さんがオムレツと一緒に、奴が痺れを切らして別のポケモンを何体か投入させるまで焦らすようにバトルしています。そこをZワザで一網打尽にします。

 

アレはプライドが高くて、小者臭がするので、恐らくすぐに出すことも無ければ、逆に何時までもそのままにもしないはずです。

 

一発勝負ってのも不安が残るので、早めにお願いします。」

 

 

葵「…………。」

 

 

正直、私はこの子、東北きりたんがあんまり好きじゃ無い。

そんな子に教えるって、出来るんだろうか?

何より不思議なのは…

 

葵「ねえ、何で私が知ってるって思ったの?」

 

きりたん「茜さんが言ってましたよ。

最初はウナちゃんに私のリング渡して茜さんから教わって、その間私が時間稼ぐつもりでいましたが、ワザワザ戦力割かなくても葵さんが出来るんなら、それ以上はありません。

 

だからウナちゃんは回復装置へ向かうことにしたんです。」

 

 

………何よそれ。

 

 

葵「…つまり私が一番役に立たないってことを言いたいの?」

 

きりたん「え?いや、今そう言うの要らないんですけど。状況見て下さいよ。」

 

真顔で何言ってんだって顔で言ってくる。

ムカつく……何でこんな舐められてるんだ私は。

 

 

葵「……………そうだね。始めようか」

 

それでも何とか怒りを抑え込めたのは、お姉ちゃんが戦っているから。

けど、やっぱり私は、コイツ嫌いだ……。

 

 

きりたん「お願いします。」

 

 

 

少女、コーチング中……………

 

 

 

きりたん「…………はっ!!」

 

バッ!と最後に手を前にかざして、炎Zポージングの完成。

運動神経は別に悪くないけど、カラダの動きそのものがおぼつかない。

 

葵「……もしかして、普段あんまり運動しない?」

 

きりたん「え?そうですね。それが何かマズいですか?」

 

いちいち言葉にトゲを感じるのは何なんだ一体。

 

葵「別に…ポージングは出来てるから、もういつでも撃てると思うよ。」

 

きりたん「そうですか、じゃあ良いです。

ハンバーグ、移動しましょう」

 

ハンバーグ「移動…何故だ?」

 

きりたん「今の場所から撃っても、茜さんが焼け死ぬだけですよ。

 

それと、どうせ殺るなら、出来るだけ多く巻き添えにして高得点狙いに行きましょう」

 

 

そう言ったアイツの視線の先には、さっきマキ先輩の近くに居た茶髪の先輩が、何かとバトルしている光景が見えた。

 

ハンバーグ「なるほど、そのような合理的な理由があるのなら、ソレに従うとしよう」

 

きりたん「それじゃあ、美味く近づいて、遠くの敵も射線上にいれるとしましょう。」

 

ハンバーグ「あくまでも、それは幸運次第だ。

二兎を追う者は一兎も得ずという言葉がある。忘れるなよ?」

 

きりたん「分かってますよ。けど、一発切りの銃弾なんだから、余裕が有れば一石二鳥と行きましょうよ」

 

ハンバーグ「ふむ…まあ、我はその考え方。嫌いでは無いがな……」

 

 

そう話しながら歩いて行くきりたんとエンテイは、小さな絆が、芽生え始めていたのかもしれない。

 

 

 

だからこの後、ふたりの放ったZワザ、『ダイナミックフルフレイム』は、確実にジャキラに命中し、その先に居た顔も知らない敵にも、影響をもたらしていたんだろう。

 

 

 

 

 

 

葵「…………何でよ。何で琴葉茜(おねえちゃん)の代わりが…琴葉葵(わたし)じゃなくて東北きりたん(アイツ)なの…」

 




ロリーズのバトルはここまで。
次回からは大人組のバトルになります。


え?切り方が中途半端?ジャキラの殺られ方が雑?
それは 428渋谷 的な、全員のバトルが終わったら纏めてエンディングってカタチにするための物です。ご容赦くだはい。




きっとそうなると思うんです……

モチベーション回復の為の感想をお願いします


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51.緊急突貫作業勃発。さっさと喰らえダイナミックフルフレイム!!! (あかり、ささらの立ち絵追加)

明けますね、おめでとうございます。

年末ジャンボ当てて仕事辞めて執筆に集中したかったのです。

どうやら、世界は・・・俺に執筆を望んではいないらしい・・・・・・(風が吹いている)

そんなわけで、せめてもうさっさと学園編書いて美少女同士の美しい世界書いたり、新しいポケモン一から育てて育成系路線やったり、少女マンガみたいに男子と対決してクラスの覇権競ったり、もう全くお仕事が無い葵にスポットライト当ててやったり、きりたんに主人公的活躍させたり茜に天然年上系ヒロインムーブさせたりしたい。
あとヒメとミコトとついな出したいヨクバリスしたい。




あ、ポケモン剣盾面白いッス。ヘヘヘ。厳選終わったら対戦したい



雲を切り、地を滑空し、大空を旋回する。

目の前の景色が嘘のように混ざって、脳の中の神経が荒ぶり、ぐちゃぐちゃに固まる。

 

ささら「……は、吐きそう……」

 

リザードンのブレイズに運ばれながら飛んでいるさとうささらは、乙女の尊厳を悉く破壊されていた。

 

メガフーディンのサイケこうせんが矢継ぎ早に襲いかかり、その都度ブレイズは

 

旋回。回転。宙返り。急上昇。急降下。

 

特に訓練も受けていない人間の平衡器官が耐えられるはずも無く。

 

また、ささらのワンピースのスカートも、物理法則に従い上下に揺れる。

 

 

ささら(動き回りすぎて気持ち悪いし、両手が塞がってるからスカートは荒ぶり放題だし、胸は揺れて千切れそうだし。

 

早く降りたい……)

 

 

マキ「……ナツメがテレポートで移動しまくってワザワザ子ども達を背にしながら攻撃してくるから、反撃も出来ない(イライラ)」

 

ブレイズ「…………(汗)」

 

ささらの願い虚しく、マキは避けるばかりで攻撃も出来ない現状にフラストレーションが溜まり、そのイラつきは、ブレイズが冷や汗をかくほど漏れ始めている。

 

 

マキ「………………………攻撃したい(イライライライライライラ)」

 

ブレイズ(あーあ…入っちまったか)

 

 

主人の様子から何かを察したブレイズは首をささらの方に向ける。

 

ブレイズ『あー、その…なんだ…』

 

ささら「うぇっ!?リザードンが喋った!??」

 

ブレイズ『わりぃが、マキのバトルスイッチが入っちまった。

こうなったらもう俺じゃ止められねえんだ。

そんなわけで、安全に降りるのは諦めてくれ。』

 

ささら「えーーー」

 

ブレイズ『いくぜ!!ちきゅうなげ!』

 

言い終わった瞬間、ブレイズはささらを投げ飛ばした。

 

 

ささら「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーー!????」

 

 

身を投げ飛ばされたささらは、放物線を描き重力に従って落下していく。

 

 

ささら「ちょ!?これ死ぬ!!本当に死ぬやつ!!

ピッくんーー!!!」

 

 

ピッくん「ピピッ!!」

 

 

地上からトレーナーの呼びかけに応え、これまで愚直に積みワザを重ねていたピクシーのピッくんが『とびはねる』を使い、ささらを救助した。

 

現実時間では四ヶ月。本編時間でも1時間は固い。このピクシー、“せいかく“は『がんばりや』か『まじめ』だろう。

 

ささら「あ、ありがとう…ピッくん」

 

ピッくん「ピィ!」

 

1時間ぶりに地上へ生還したささらは、大地に足を着ける。

ガラクタと化した

 

ささら「ああ…先輩が言っていたとおりだった。

人間は土から離れては生きられないのね。

踏みしめた土の感触が素敵。

これは、じめんタイプ極めたくなるよ…」

 

ピッくん「ピピィ…(ボク捨てられるの)?」

 

ささら「ああ、ごめんねピッくん。大丈夫だよ。

今の私はフェアリータイプだからね」

 

 

「ふーん。別にじめんタイプでも良いんじゃない?エキスパートタイプなんて、どうせ“自称“でしょ。

 

--お姉ちゃん以外の人は」

 

ささら「え?」

 

声のする方へ振り返る。

 

 

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「特にこのカントーの四天王は顕著だよね。ゴースト使いとか言って手持ちゲンガーだけのバアさんとか、ドラゴン使いとか言って”はかいこうせん”打つしか能の無い元チャンピオンとか。」

 

日の光を反射して輝く自身の銀髪を掻き上げると、美少女は空を見上げる。

 

ささら「アナタは誰?学園の生徒の中では見たこと無い人だけど」

 

「ふーん。あれが弦巻マキ。ナツメ如きに苦戦してるけど、本当にお姉ちゃんのライバルなのかな?少し試してみようかな」

 

ささらに声を掛けられたのを無視して、二本指でマキを狙い、ボールを構える。

マキのブレイズがナツメのメガフーディンのサイケこうせんを宙で回避する瞬間を狙い、移動するであろう空間を先読みして・・・・・・。

 

「はかいこうせん」

 

 

ボールが開くと同時に、ノーマルタイプ最強のワザがマキに襲いかかった。

 

ささら「なっ!?」

 

迫り来るはかいこうせんに気付いたリザードンは、”まもる”を発動し事なきを得る。

だが、まもるを解除して生まれる隙は、決して無視できるものでは無く、二流以下のトレーナー同士でのバトルでも無ければ致命的な瞬間。

そして、ナツメは二流以下の雑魚トレーナーでは無かった。

 

 

ナツメ「今だメガフーディン!!私と忌まわしき怨敵をテレポートで跳ばせ」

 

 

マキ「くっ!ブライト、エレキボールでフーディンを止めて!!」

 

ブライト「いっけえ!!エレキボール!!」

 

 

「それは遅いよ。それでもお姉ちゃんのライバル?」

 

銀髪の少女は、”はかいこうせん”を放ったボールを地に落とし、縮小化されていた別のボールをリロードするかのように手元に出現させた。

 

「はかいこうせん」

 

ささら「ピッくん、『スポットライト』!!」

 

攻撃技での牽制が間に合わないと判断したささらは、ピッくんにタゲ集中のワザを使用させる。

するとボールから出て来たはかいこうせんが不自然に曲がり、ピクシーに襲いかかる。

めいそうでとくぼうを最大限に上げておいた現状においては、イワークのたいあたり程度のダメージしか入らず、ちっちっちと指を横に振る。

 

そこまでは良い傾向の現象。

問題はこの後だ。既に発射されていたブライトのエレキボールが、これまた不自然に起動を変えてしまった。

横で放たれたはかいこうせんとは異なり、距離が遠かったことと、メガフーディンに着弾する手前という距離感が災いし、変更された軌道の先はーー

 

琴葉 茜の元だった。

 

茜「きゃああああーー!?」

 

マキ・ささら「しまった!?」

 

 

その様子を見た銀髪の少女はお腹を抱えて笑った。

 

「あっはははは!!何ソレおっかしい~!

あはははー!」

 

ささら「ぐぬぬぬぬぬぬぬ・・・!」

 

「あはははははー・・・・・・はぁー。

さってと。お姉ちゃんは倒れちゃったし、あかりはこれからどうしようかな。

あの負け犬(ナツメ)はもう何の役にも立たないし。どこかに遊びに行こうかな。」

 

空を見上げて言う少女の様子につられて、ささらもマキを思い出し、空を見上げる。

だがマキ達はメガフーディンのテレポートによってどこかへ連れ去られた後だった。

 

ささら「一体どこへ・・・?」

 

「そりゃあ、海でしょう。あの姑息なだけでリーダーになっただけの雑魚が、自分に不利なところに運んだりしないだろうし。」

 

ささら「そうなんだ。じゃあついでに教えて貰えるかな?あなたは誰?」

 

 

「うん?あかりのことが知りたいの?もう要らない情報だと思うけど・・・・・・ねえ?もぐもぐ。ぺろぺろ。」

 

そう話しかけるささらの後ろには、カビゴンとベロリンガが立っていた。

 

ささら「バカな・・・いつの間に背後にポケモンを?しかも鈍足のポケモンを二体・・・・・・」

 

 

「フフフ・・・お姉ちゃんが言ってたよ。答えを他人に聞いても、上辺しか返ってこない。

自分で考えて応用すること。

そうしないと、せっかく拾った命が無駄になる。」

 

ささら「ぐっ・・・・・・テメエ・・・!!」

 

「ふーん。不良みたいな言葉遣い。そっちが素なのかな?

素敵だよ。噛みつきたがるワンパチみたいで。」

 

ささら「・・・・・・・・・ざっけんなよコラ。」

 

「フフフ。でもどんなに吠えてももう貴女の負け。だって貴女はあかりに攻撃すら出来ないもの。

頑張って吠える()()()()

ほらほら吠えなよ。その方が可愛いよ?ほら、イヌヌワン!って」

 

ささら「(ブチッ)ーー」

 

瞬間。ささらが自身のスカートをたくし上げふとともに手を伸ばしーー

 

 

 

きりたん「ダイナミックフルフレイム!!!!」

 

 

膨大な熱量と大きさの火炎砲が襲いかかってきた。

それは、人間やポケモンを纏めて飲み込めるもので・・・・・・。

 

「ふわッッ!?」

ささら「うそだろ・・・うっそだろお前・・・・・・」

「わー・・・・・・あ、そうだ。あかりの名前は紲星あかりだよ。

もう知ってる人も知らなかった人もよろしくねー」

 

奇天烈なタイミングで自己紹介した紲星あかりは、特にダイナミックフルフレイムを喰らう事も無く、ささらがあっけに取られている内にさっさと安全を確保して、どこへとも分からないところへ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あかり「じゃあまたねーイヌヌワンちゃんー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そんなわけで予定変更して急遽突貫しました。
本当はピクシーのチート性能で遊んだりしたかったんですがね。
考えてはいたんですが、もうこれ以上詰めてたら、学園編再来年になっちゃう。

そして、第1話から良いところ無しのマキのバトルだけはガッツリ書かないといけない。


それでは皆様良いお年を。イヌヌヌワ!


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52.Why your came here?

新春を言祝ぎ、新年明けましておめでとうございます。
今年もボイスポケットをヨロシクお願い致します。
と言うわけで、書き初めです。



今回、閲覧注意です。
これまで散々主人公勢がロケット団をころころしているような描写が書かれてきましたが、アレは現実で致命傷の描写がされている特に言及が無い場合





本 当 に 生 命 活 動 を 終 了 し て い ま す 。






また、生命体を戦わせて生計を立てる世界観であるポケモン世界において、人が死ぬという事象は、特別でも無ければ、非日常な物でも無く、当たり前に存在しています。
これはゲーム原作でもはっきり明言されておりますので、原作崩壊要素ではありません。

特に今後活躍が無い場合、原作キャラでも容赦なく退場します。
扱いが悪いキャラクターが出ることに関しては、作者の力不足です。反省しています。


音街ウナがポケモンを回復させるために中へ入った時、何故か現れたロケット団員。

 

奴らは、何のためにここに?

 

そもそもあんな目立つことをしておいて、やることがただの復讐なのか?

 

 

何か目的があるはずだ。そうでなければおかしい。そうでなければ--

 

 

ライディーン「我に物言わぬ炭にされることは無かっただろう」

 

 

マキのポケモン、カントー三鳥の一柱。サンダーのライディーンが、たった一人、散らばるロケット団員の死骸の中心に君臨していた。

 

それまでの、マキに怒られて腰が引けて、ゆかりに良いように電気風呂のバッテリー役にされるライディーンとは異なる、神と呼ばれるに相応しい風格をもって、雷の神は、残った死骸を跡形も無く焼き尽くし、残った最後の一人に目を向ける。

 

ライディーン「フン・・・よもや、再び我が前に姿を晒す愚を犯すとはな。ニンゲン」

 

「HAHAHA!まさかユーがこんな所に居るなんて、ナツメからは聞いてなかったゼ。」

 

男は、横に立つポケモン--ライチュウと複数のレアコイルを侍らせてニヒルに笑う。

 

クチバシティージムリーダー。そして、元ロケット団幹部、マチス。

マチス「エレクトリックなポケモンの使い手として、もう一度お前をmeのものにするのも良いかもナ。」

 

ライディーン「・・・・・・。」

 

マチスがボールを、ライディーンは右手がバリバリと空気を破るような神鳴りを纏わせ臨戦態勢となる。

 

 

 

 

互いに手を振り上げ、開戦の狼煙を上げる一撃を振り下ろすーー!!

 

 

 

 

「ーーのは少し遠慮して欲しい」

 

 

 

マチス「what?」

ライディーン「何者だ?」

 

 

ギャラ子「オイっす。ギャラ子だぞ。」

 

 

カラフルなメッシュの前髪に、明るさの異なるブラウンのロングヘアの美女が、右手を元気よく挙げて挨拶をした。

 

ライディーン(何だあの異様な髪型は?)

 

マチス「what`s? ギャラドス?」

 

ギャラ子「ギャラ子だぞ?」

 

ジト目をしながら静かに抗議するギャラ子。その心中が如何なるものかは、本人にしか分からないミステリアスな女性だ。

 

マチス「で?そのギャラドスがme達のバトルに横やりを入れるつもりカ?」

 

 

ギャラ子「むう。ギャラ子だぞ・・・。

それと、ここは色んな殿堂入りトレーナーの記録が保管されている。

アナタ達がジムバッチを渡した、弦巻マキも。

表舞台から記録を抹消されてしまった結月ゆかりも。

ここにいるみんなは、未来のチャンピオンになる子ども達に、明日の頑張れのエールを送る助けになる。

だから、ここで暴れないで。ここを荒らさないで。」

 

 

マチス「HAHAHAHA!!!未来のチャンピオンなんてmeには関係ないことだ。

エレクトリックなワザで、全て壊してやるサ!」

 

挑発的に笑うマチス。

 

ギャラ子「そう・・・・・・言ってもダメなんだね?」

 

マチス「meに言うことを聞かせたいなら、ポケモンバトルで掛かってきな。

カモン。ベイビ~」

 

ギャラ子「そんなことしないぞ。」

 

ポタリ。素敵が落ちる音がする。

 

 

マチス(な、何だ??何か生臭い臭いがするようナ・・・?)

 

 

ギャラ子「ねえ、知ってる?元ロケット団のマチス。

 

数年前ーー『ポケモン協会』が法令として可決した、特別指定暴力組織対策法案第一条。」

 

マチス「???な、何の話だ?」

 

 

ギャラ子「そう。じゃあ、教えてあげるね。」

 

 

 

???「ガアアアアアアアアーーーー!!!!」

 

ガブリーー!!

 

マチス「What`s happend?what!?Nooooooooooooooooooooooooooooooooーーー!???」

 

 

マチスは気付かなかった。後ろから忍び寄っていた巨大な影。

数多くのポケモン中でも、きょうあくポケモンと分類される暴竜ーーギャラドスの存在に気付かず、喰われた。

 

 

 

ギャラ子「特別指定暴力組織対策法案第一条。

ポケモン犯罪組織に加入している全ての人間に対して、基本的人権を失効するものとし、対象の生命及び、尊厳と財産を保証しないものと定める。」

 

 

そう口にするギャラ子は、少し寂しそうな目をしながら、口回りがあかいギャラドスの口の中を見つめる。

 

 

ギャラ子「つまりーー

 

『ロケット団を殺しても、犯しても、財産を強奪しても、もうこの世界は犯罪として処理せず、アナタ達を煮ても焼いても合法』

 

なの。」

 

 

ライディーン「・・・・・・・・・。」

 

ライディーンはギャラドスから感じる”死の気配”を感じ取った。

 

 

ライディーン「ギャラ子と言ったか、女。

そのギャラドス、一体何人飲み込んだ?」

 

 

ギャラ子「この子は『でっかギャ』だよ。

何人食べたかは・・・分からない。

今日だけでも、結構ロケット団がいたけど、みんなで食べたから。」

 

ギャラたろうの他にもう2匹、ギャラドスがギャラ子の背後に現れる。

 

ギャラ子「おかえり、『メガ・ギャ』『ゼット・ギャ』」

 

2匹のギャラ「ぎゃおうん~」

 

ギャラ子「初等部の子達は大丈夫だった?

そっか。ささらちゃんのポケモン達は無事だった?

うん。良かった。」

 

3匹のギャラドスは全員ギャラ子に懐いているが、やはり口元があかいギャラドスとなっている。

 

ライディーン「しかし何故、ロケット団がここにいる?

かつてマキが崩壊させ、ゆかりが根から絶やした。

それが散らした嘗ての残党が何故今一度徒党を組むに至った?」

 

ギャラ子「それは、この先に保管してある物が欲しいからだと思うよ。

殿堂入りしたチャンピオンの中で厳選されたトレーナーしか存在を知らないはずの物のハズだけど。

ロケット団幹部がジムリーダーやってるくらい防犯意識ガバガバなんだし。

誰かがポロッと知ってても不思議無いし」

 

ライディーン「保管だと?この先にも何も、周辺に力は感じないが?」

 

ギャラ子「うん。それは仕方ないと思う。

ホウオウも、ルギアも。この星で生まれた神だから。

ルギアの眷属のサンダーにも、この星の理から外れた物の力は感じ取れないんじゃないかな?」

 

 

ライディーン「なら、キサマの正体は何だと言うのだ?」

 

 

ギャラ子「ギャラ子だぞ。」

 

 

ライディーン「・・・・・・その三体のギャラドスで我を飲み込める腹づもりでの発言か?」

 

 

ギャラ子「違うぞ。ギャラ子はギャラ子だぞ。

あたしは自分をギャラ子としか説明できない。ライディーンが記憶を覗けるなら、覗いてもいいけど、無理だろう?」

 

 

ライディーン「・・・・・・フン、まあ良い。用も済んだ。

そろそろ夕刻か。上で騒いでいた『マヒャド』の気配も沈静化したな。我はもう行く。」

 

 

ギャラ子「気付いてたの?だったら助けに行ってあげれば良かったのに。」

 

 

ライディーン「我では”リライブ”は出来ん。あの闇を打ち消すには、ポケモンと人間の絆がいるのだ。」

 

 

ライディーン(・・・・・・しかし、ポケモンの心を閉ざして生み出すダークポケモンを生み出すには、絶望と嫌悪を連鎖させ、途切れることの無い”闇”の供給が不可欠とされていた。

ロケット団は一体どこでダークを生み出している?)

 

 

 

 

 

 

ライディーン「・・・・・・・・・近いうちに、調べに行くとするか・・・・・・」

 

 




マチスファンの方や及び、ポケスペファンの皆様には、混乱と不満がある人も居るかも知れません。


補足説明としては
●ナツメが過去にゆかりに腕をやられている。
●マキがロケット団との戦いでシルフカンパニーのビルを倒壊させて借金を負っている。
●そもそもこの二人がロケット団を壊滅させている。

等と言った状況なので、当然ながら『ポケスペ原作で活躍した』レッドもグリーンも存在していません。
設定のオマージュはあるものの、ポケスペの世界観設定というわけでも無いのです。

似ている所もあるけど別物です。




とまあ、描写不足が否めないのは自覚していたので、後の話に邪魔にならない範囲でこれからも後書きに補足を入れていこうかと思います。

今の執筆スピードでは伏線と言い訳しても回収する前に私のほうが書けなくなっているかもしれませんし。



そんなわけで『これ何なん?』と言う疑問が御座いましたらコメント下さい。後書きに補足を入れます。ネタばれにならない範囲で。


最後に、だらだらと長文を読んでくださってありがとうございます。




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53.弦巻マキは何かこう色々不憫なポジションが似合う。似合わない?

笑顔動画でボイスロイド劇場観てると、マキが可哀想な扱いされてるのが一番可愛く見える。
ほらあの駄女神みたいな…


ゆらりゆらゆら揺らめいて。色づく景色は白黒で虹色で鈍色。

私の視界が境界を無くして行く。平行感覚も自我も飲み込まれていくようで気持ち悪い。

 

ブレイズ『おい、マキ・・・無事か?』

 

マキ「ぶ・・・ぶれいず・・・・・・頭が回って気持ち悪いよ」

 

ブレイズ『ああ、こんな強引にテレポートで移動させられちまったからな・・・。

あと、お前が頭を回している場所、俺の背中だから。吐くなよ?絶対にな。』

 

ブライト『マキ、ナツメもすぐやってくるハズだからそろそろ気を入れ直して。』

 

マキ「う、うん。そうだね。とにかく、まずはここがどこかを確認しないと・・・・・・。」

 

今にもゲロインになりそうなレベルの吐き気に耐えながら、周囲を見渡すマキ。

 

マキ「くんくん・・・。あれ?何か気持ち悪いのが収まってきたような・・・・・・磯の香りもするような・・・・・・」

 

ブレイズ「下を見てみろ。下を。」

 

マキ「下?えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・海??」

 

寄せては返す波の音、磯の香り、視界が一面全部水で埋め尽くされている。

 

ブレイズ『あの女、オレ達を海に落として溺死させるつもりなんだろうよ。』

 

ブライト『リザードンのブレイズは水で死ぬし、ピカチュウのボクはこんな海面のど真ん中に置いてかれたら溺れるからね。

ホラ見なよ。前に見えるセキチクシティがあんなに遠いよ。仲間を呼ばれて不利になるのが嫌だったんだろうね。仮にも悪の組織の元幹部がチキン過ぎて笑う』

 

 

ナツメ「あら、心外ね。お前如きに私が負けるようなことが有るとでも言うのかしら?」

 

雑談に興じている一人と2匹の中に、歪な雑音が混じった。

 

ブライト『出たよ。イキリエスパー(元)少女。』

 

ナツメ「ネズミ如きが煽るわね・・・良いわよ?続けてご覧なさい。

その実験動物並みの脳みそでそれ以上の語彙があるのならね?」

 

ブライト『では、お言葉に甘えて。・・・コホン。

 

やーいやーい小学5年生にボロクソに負けた挙げ句トラウマ植え付けられた悪の幹部(笑)w

ゆかりには有利タイプの毒だったのに6タテされて、同じく5年生の段階でマキに胸の大きさで負けた糞雑コソクムシwww

人からパクった借り物の力でオレツエーする社会不適合者ー。

お前の両腕が関節の逆に曲げられて失禁して

 

『ごべんなじゃいいいいいいーーー!!!もうしまぜんんんんーー!!!嫌ああああああー許じでえええええーー!!どぼじでごんんあひどいごどできるのほおおおおーーー!!???』

 

ってうんこ漏らして土下座してる画像はしっかりニヤニヤ動画やチックタックに投稿されてるから安心してくれよ。

そのこおりなおし程度の価値のプライドを売り払って乞食したとしてもきっと趣味の悪い変態がルージュラと間違えて買い取ってくれるさ安心してマキにボコられて路頭に迷ってくれよ

 

 

ピカチュウに2対1のハンデ接近戦で翻弄されたざあああああああああああああああああああああああああああこwwwwwwwwwww』

 

 

ナツメ「デメエぜっだいぶぢごろじでやるうううううううううううううーーーー!!!!!

 

やれえメガフーディン!!!!サイコキネシスだあああああああああああーーーー!!!!!」

 

メガフーディン「フーディン!!」

 

1㎏以上の重量を一瞬で空間跳躍させるフーディンの超念力で海水を持ち上げ、擬似的なアクアブレイクを放つ。

 

ナツメ「沈めええええええええーーーー!!!!」

 

ブレイズ『お前、どうすんだよ。あの肌荒れババア。ヒステリーが重加速してるぞ。』

ブライト『頃せば良いと思うよ。』

 

マキ「いいからアレ何とかしてええええ!!?ブレイズ!」

 

ナツメ「ギャハハハハハハハ!!??バカが!!1トン超の海水にリザードンの炎が利くものか!!」

 

大きく息を吸い込むブレイズ。大きく仰け反り尻尾の炎を激しく燃やす。

 

マキ「行くよ、ブレイズ。かえんーー」

 

ナツメ「超重量の海水に押しつぶされてしまえ!!」

 

マキ「()()()()!!」

ブレイズ「ーーーー!!!!」

 

首を前方に突き出し、尻尾の炎を空を貫くほど燃え上がる。

 

放出されたかえんほうしゃは、始まりこそ口から直接放出されていた。

だが、僅かな時間で火炎とブレイズの口に感覚が開き始める。

それは圧力が高くなった証。つまり、放出される火炎の熱と威力が高くなっているということ。

 

 

 

ジュワァアアアアアアアアアーーー・・・・・・!!!!

 

 

 

火炎と海水が激突し、水が蒸発して貫通した。

 

ナツメ「海水が蒸発しただと!?何だこのかえんほうしゃは!?ぐっ、四方から掛かれ、メガフーディン!!」

 

 

マキ「だったら全部蒸発させよう!

ブレイズ!!かえん()()()()!!」

 

ブレイズ『ーーーー!!!!』

 

メガフーディンのサイコキネシスで海水を次々掬い上げ竜巻のように責め立てる。

それをブレイズはかえんほうしゃを越える威力のかえんレーザーなるワザで次々蒸発させていく。

 

ナツメ「ぐっ・・・・・・メガフーディン!(そこ)から巻き上げろ!!」

 

 

ゴオオオオオオオーーー!!!!

 

 

ブレイズ『グアッ!??』

マキ「きゃあっ!?」

 

死角からの一撃がきゅうしょに当たったブレイズは、体勢を大きく崩してしまい、上に乗っていたマキは、メガフーディンの操る海に落ちてしまう。

 

 

 

ブライト『マキ!?マキいいいいいいいいーーー!!!』

 

 

 

 




オーキドメモより

オリわざ
【かえんレーザー】タイプ ほのお
PP10/10 威力105 命中95

水タイプに当てるとこうかばつぐんとなり、当たった相手は水タイプを失う。
リフレクター、ひかりのかべ、ダイビングの効果を発揮している場合、それを無効化し、威力が1.2倍になる。



ずん子には【ステルスダイブ】
ゆかりには【紫毒】(未登場)が有る中、マキにはボイスポケットとしてのポケモンオリジナル要素が無かったので、急遽作製された。ガッシュのザケルガ的ポジションに収まる予定。

オリジナル要素と言えないチートなら現在ぶっちぎりトップの保持数な設定のマキマキ。
果たしてこの設定きのこる事が出来るのだろうか……

本当にマキにはなんの関連性も無いのに妙にチート与えすぎて扱いに困る(*´д`*;)


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EX1. 今よりずっと未来の、日常の一コマ。 きりたん 茜 ウナ登場

バトルに疲れたので、簡単にゆるゆりしてみた。

時系列はもう完全に未来です。オチ無し(いつも無し)


いやらしくないピュアなゆるゆりが好きって方は、この先に書く学園生活編も、きっとこんな関係性を育む事になっていくことをお楽しみ下さい。

地味にヒメミコのミコの方も絡むストーリーを書いているわけですがこの先どうなるやら



某年。オーキド研究所、訓練フィールドにて

 

 

きりたん「セット!」

 

きりたんの掛け声で、カメックスの『カメまる』が背中のハイドロキャノンを構える。

眼前の的は、厚さ2メートル。直径30㎝の鋼鉄で出来た丸太。二本が不規則に動く。

それを行っているのは、親友の茜の持つマフォクシーの『おうどん』が操るサイコキネシスだ。

因みに、主人の茜本人は、ベンチに座ってきりたんの修行を見学している。

 

きりたん「行け!!ハイドロカノン!!」

 

カメまる「ガアアアァァーメエエエエェェェ!!!!」

 

ズドン!!凄まじい水圧で放射されたハイドロカノン。

カメまるはその反動で踏ん張りながらもカラダが後ろにズリズリ下がる。

 

放った1発は、しっかり丸太に当たっていき、正確に2メートルの銅を貫き跡形も無く破壊していく。

だが、もう1発の方は、途中から進路が逸れて、僅かに残骸がカタチを残してボトリと落ちた。

 

 

きりたん「くそったれっ!!どうしても二本同時に行かないじゃないかバカ野郎が!!」

 

ゆかりに弟子入りして暫く。口の悪さだけは師匠を超えたきりたんは、苛立ちながらベンチへ戻る。

 

茜「充分な精度は出とるやん。そんなに完璧をもとめんでもええんちゃう?きりちゃん」

 

きりたん「ぜったいに嫌だ。

大体茜が出来ることが私に出来ないのが、ムカつく」

 

茜「うちかて、一度撃ったブラストバーンを、無理矢理サイコキネシスで操るだけやし、ワザの制御とは別物やよ?

無反動で連射しとった《お姉ちゃん》がオカシイだけやって。

なー『わたあめ』」

 

言いながら、膝の上で転がしていた雲状のポケモン、ペロッパフをフニフニしながら遊ぶ茜。

 

きりたん「私はそのバケモノに勝つために修行してんですよ!」

 

茜「せやかて、こんな修行してたってお姉ちゃんに当たるわけないやん。目に見える物を狙う特訓では、目に見えん音速なんて捕らえ切れんやろ?」

 

きりたん「見えてる物にも当てられないものが、どうやって不可視の速度に確実に当てるんですか!

ああああーー!!くっそったれがあああーー!!!」

 

ガリガリと頭を掻きむしりながら、ベンチにカラダを全部預けて仰け反る。

茜は『はい』とカバンの中に入っていたずんだ餅を渡し、きりたんは無言でソレを受け取って囓る。

隣の訓練フィールドの方を見た。

 

ウナ「よおおおーし!いっくぞー!!『くろやき』」

 

くろやき「ジュッカアアアアアーー!!!」

 

ジュカインのくろやきの咆哮に呼応して、大地に眠る大樹の根が蠢く。

空にはこうそくいどうで極限までスピードを上げたカイリューが不規則に飛び回る。

 

ウナ「包み込めー!」

 

くろやき「ガアアアーー!!!」

 

超成長した樹木が矢続きにカイリューに襲いかかり、360°包囲する。

 

ウナ「そこだぁ!ハードプラント!!!!」

 

くろやき「ガアアアアアーー!!」

 

くろやきのハードプラントの樹木が鞭のように撓り、一斉にカイリューに叩き込まれた。

 

 

カイリュー「グオオ…!!」

 

 

ウナ「よっし!やったぞくろやき!!成功だー!」

くろやき「ジュカ!」

 

飛び跳ねて喜ぶウナに、グッと親指を上げてサムズアップで応えたくろやきも、今のワザの出来に満足したらしく、誇らしげだ。

 

カイリュー「きゅーごん」

 

ウナ「カイリュー。ありがとウナ!」

 

くろやき「カイン!」

 

カイリュー「きゅるるん♪」

 

練習役を務めたカイリューは、元々相性は1/4で、更にクスリでとくぼうを上げてあるので、ダメージは殆ど無く、二人の特訓の成功を喜んでいる。

 

きりたん「ウナは、追い込みが随分上達しましたね。

昔はツメの甘さが目立ってたのに」

 

茜「せやね。勉強以外の集中力は最初から高い方やったし、やれば成功するんは時間の問題やったところもあるんよね。

ウナちゃんおめでとうなー」

 

きりたん「おめでとう、ウナ」

 

ウナ「あーちゃんもきりちゃんもありがとウナ!!

ウナもこれで【紫毒の遺産】として、少しは恥ずかしくない成長が出来た気がするよ」

 

きりたん「ふぅ…友だちの成功を見ると、余計に焦りますね。」

 

そう言いつつも、カメまるの反動と、これまでの練習量を考えてグッとこらえるきりたん。

 

茜「きりちゃんも、いつかは出来るようになるよ。

せやから、もうウチらを置いて勝手にどっか行くんは堪忍してな。」

 

きりたんの肩に頭を預けて、茜はそう口にした。

 

きりたん「……ハァ。分かってますよ。

たかが2・3日留守にしたくらいで、一月も付いて回られてはウザいですから」

 

茜「クロガネ山に2・3日はホンマにアカンって。

次やったら半年くらいは離れんよ?お風呂にも着いていくからな」

 

きりたん「マジ勘弁」

 

ウナ「アハハ。あーちゃんは本当にきりちゃんのこと好きなんだな」

 

茜「………うん。好き。」

 

真っ直ぐにきりたんを見つめて、茜はもう一度口にする。

 

 

茜「きりちゃんのこと、大好き。せやから、危ないことは一人でせんといて。

親友がおらんくなるんは…ウチ、耐えられへんよ」

 

 

 

きりたん「…………」

 

きりたんは、ずんだ餅を囓りながら、茜の膝枕に頭を預けて横になると

 

 

きりたん「まあ、お互いもう無茶するほどガキじゃありませんからね…」

 

 

 

 

 

そう呟いて、そのまま眠り始めるのだった。




ウナ「ねえ、あーちゃん。
あーちゃんって、よく男子に告白されてるけど、付き合わないのって…」

茜「その……なかなか、きりちゃんより格好良いと思える男子って、おらんくって…」

きりたん「zzz…」

ウナ「ミコちゃんのことと言い、きりちゃんは年上の女の子にモテるのなー…」

茜「ウチも困っとるんよ。
いっそ、きりちゃんが付き合ってくれるって言ってくれたら、ウチも吹っ切れるんやけど…一人だけ盛り上がってもアカンしなぁ」


ウナ(別に吹っ切れなくても、今の二人の様子って、完全に付き合ってる関係性に見えるんだけどなー)


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53.5 帰る。返る。還って、変える。遺すものは何か 【東北ずん子、東北クズん子登場】 (ロリ組挿絵後書きコーナーに有り)

段々裏設定で終わるはずだった物が引き出されていくゥ!

ノリが分かんない。読み辛いって人は後書きコーナーだけ読めば、必要なことだけ書いておきます。


聴こえますか。聴こえますか。東北ずん子さん。

美人で優しくて皆から好かれている絶世の美女の東北ずん子さん……。

今、貴女の心に直接話しかけています。

 

ずん子(……聴こえていますが、私の知っている東北ずん子は、友だちに八つ当たりするメンヘラで、妹からも愛想尽かされて、マキさんのポケモンを強奪してダーク化させてゆかりに喧嘩売ったのに結果3-0で負けて、挙げ句、みんなが大変な目にあってるのに今もこうして気絶して何の役にも立たないゴミカスです)

 

うわぁ、面倒くせえ。

それでも私ですかあなた?本当にもうひとりの東北ずん子ですか?しばきますよ?

 

ずん子(えっと、結局あなた何の用で話しかけて来たんですか?東北ずん子)

 

その呼び方は読者の混乱を招いて、どっちのずん子か分かりにくいから、私は東北ウン子って呼ぶね。

 

ずん子(嫌です。それは嫌です。乙女としての最後の尊厳を失いたくありません。

せめてじゅん子にしてください。)

 

でさでさ~ウン子。私たちウルトラホールに迷い込んで自分の世界とサヨナラバイバイして何年か経過してきました。

具体的な年数は、いずれの伏線回収か後付け設定に期待するとしてだな。なんとこの度!私!!東北ずん子が!!

ウルトラホールを発見致しましたー!いえーい!!お家帰れるーー!!!\(ず∧ω∧だ)/

 

ずん子(え?ウルトラホール…見つかっちゃったんですか……?)

 

は?おいおい?

見つかっちゃったんですか?じゃねーよ!

こっちとらオメー、後書きコーナーでの茶番も出演控えて真面目に探してたってのにテメーは私の席で何してやがったわけ?サボってたの?

殺すよ?全殺しだよ?

 

ずん子(えっと…今度こそ勝つべく、ゆかりとバトルを)

 

負け続けるパチンカスかよお前。

ソレでよくウン子呼び拒否れたな?

クズん子の称号処す?処す?

 

ずん子(ごめんなさい……)

 

全くよー。どうせそっち戻ればウン子の方の記録はそっちの人の記憶には残んないんだろうけどよー。

勝手に黒星増やして()()()()()()()()()()()させるなよな~。

 

ずん子(……勝率を()()?つまり、勝率0%じゃなかったーー貴女はあのゆかりに勝ったことがあるんですか!?)

 

いや当たり前だろ。()()だろ。そりゃ。

ウルトラホールに飲まれる直前の戦績は

半々か、下手すりゃ私の方が一歩リードしてましたよ。

 

ずん子(な………!??え…!?!は!??)

 

何をヌメラがバトルに勝った時みたいな顔してんですか?

ゆかりんとマキマキ、私の3人は

【紫毒のゆかり】【雷火のマキ】【天穹のずん子】って

どの地方のリーグに顔出しても、『顔は知らなくても名前くらい常識として知ってる』ってくらいには認知された三すくみのライバル関係なんですけど?

まあ、マキちゃんは稀に賞金稼ぎのマキって方が通りが良くて、なるべく耳に入らないように事前にお話とかしてたけど。

 

ずん子(じゃ…じゃあ何で私は、ゆかりとあんなに差があるんですか!?私も東北ずん子なのに!)

 

ん?個体値か努力値の問題じゃね?

私達はお互い本気でやると地形とか生態系とか変わるから、専用のスタジアムにエスパーポケモン達に外からのリフレクターやひかりのかべを大盤振る舞いして貰わないと満足に戦えないチャンピオンクラスと同じ制限喰らってるし、ホイホイ本気ではやらないと思うけども。

 

ずん子(本気で戦って…ない。ダークフリーザーとのバトルでも?

Zワザも使って…)

 

は!?!Zワザ!?

何考えてんだあのまな板!!バカが!!

 

ずん子(え?何ですか急に)

 

いいか東北ずん子。間違っても二度とゆかりんにZワザは撃たすな!

 

あいつまだ自己犠牲の悪癖が直ってないのかよ!!

 

ずん子(どういうことですか?)

 

 

うっさいバーカ!畜生わたしがその場にいればゆかりんにんなバカ野郎な真似させなかったのに…!

マキマキは…あ、隠してたの私もか。

やっぱり今すぐにでも還らなければ!!

 

ずん子(ちょ!?ちょっと待って下さい!

わたし、まだーー)

 

…………あー…でも今こっちの世界もヤバいことになってきてるんだよなー…この惨状放ると、こっちのきりたんが死ぬか…不味いな。

 

ずん子(…ヤバいこと?何が起きてるんです?)

 

 

グラードンとカイオーガですよ。アローラでウルトラホール見つけたと思ったら、きりたんからSOS来て。

 

『助けて下さいずん姉様!ホウエン地方が滅んでしまいます!!』

 

って。しゃーないからウン子に連絡してあと任そう…と思ってたんですがね…。

 

ずん子(グラードン……カイオーガ……ッッ)

 

ゆかりんが信頼しない程度の力しか持たないアンタじゃ、任せてもきりたんが死にますね。

 

ずん子(それは…)

 

仕方ないから、グラードンとカイオーガを倒してから潜ります。

日照りになっても豪雨でも、枝豆が育ちません。

それでは、こっちのきりたんがずんだ餅を食べられないですし。

 

 

 

ーーだから、東北ずん子。

アンタがどうするかは知りませんけどね……。

 

 

 

 

 

私は還ってアンタも還る。

還れば世界も変わって戻る。人の記憶に残る物は何も無い。

それでも私は、世界を救った記録を遺す。

アンタも何かを遺したいなら、時間はもう…余り残されてませんからね。

 

 

 

 

 

 

ずん子(遺す………もの…………)

 

向こうの世界の東北ずん子の聲が聴こえなくなった時、こちらの東北ずん子が、目を醒ますのだった………




この物語は平行世界が存在している。
 
ウルトラホールに入ることで、世界AとBの同一人物が入れ替わる。

その時、存在を上書きする事になるので、性能や人格が変わっても基本的に気付く人がいない。

同じ世界が繋がるホールにもう一度入り直すと還れる。

入れ替わった同一人物は、通信出来る。


以上です。
矛盾があったら教えてね(丸投げ)



今後学園生活編で活躍するロリ組を描いたので見て欲しかった。



【挿絵表示】



【挿絵表示】



追記
やる気が出たので、ゆかきりの膝枕も描いてみた



【挿絵表示】


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54.ナツメの計画 【弦巻マキ登場】

ようやく終わりが見えてきました。多分、今月くらいには終わるんじゃないでしょうか。

そしたら、ボクもっとボイスロイドの青春学園物書くんだ・・・・・・フフフ。


ナツメとの戦闘で海に落とされたマキは、冷たい水の中で意識を失わないように抗っていた。

 

マキ(マズい・・・今メガフーディンにサイコキネシスで海水を操られて荒波にされたら、私は確実に窒息死する・・・・・・。)

 

腰に付けたモンスターボールと、水色の石を取り出すと、海面に向かって浮き上がろうと水を掻く。

 

マキ(お願い・・・ブライト。ブレイズ。ナツメを食い止めておいて・・・・・・!!)

 

 

 

 

そして、海面上のブライトとブレイズは。

 

 

ブライト「ピカッチュウ!!ピッカァ!!(うおおおーーん!!離せブレイズ、離してくれ!!マキが!!マキがあああ!!!)」

 

ブレイズ「ぱぎゅあ!!(何を言ってるのか全然分かんねえけど取り敢えず海に行くな電気ネズミ!!死ぬぞ!?)」

 

マキのポケリンガルが有効範囲の外へ出たことで意思疎通が出来なくなった2匹の方針は正反対。

 

マキを助けに行きたい泳げるブライト。

尻尾の炎は命の灯火であるブレイズ。

 

 

ナツメ「フフフ・・・弦巻マキが落ちた。トレーナーさえ居なければやつのポケモンでも烏合の衆だ。

さあ、トドメを刺してやろう。メガフーディン。『テレポート』だ!」

 

メガフーディン「フーディン!!!」

 

宙に舞うスプーンに超念力を集中し、ロケット団を召喚した時のように大きな力を働かせていく。

 

ブレイズ「ぱぎゅあ!!(何をするつもりか分からんが、やらせなきゃいい!)」

 

メガフーディンに割り込むように『かえんレーザー』を打ち込むブレイズ。

 

ナツメ「甘いわ!行け、スリーパー!」

 

ナツメもスリーパーを壁にして防ぐ。

 

スリーパー「~~~!??」

 

ブレイズ「ぱぎゅあ!!(あの女、自分のポケモンを盾にして防ぎやがった!)」

 

 

ナツメ「そろそろ良い頃合いか、メガフーディン」

 

メガフーディン「フー!!」

 

ナツメ「ではやれ!!メガフーディン【テレクスプロージョン】!!」

 

ブレイズ(テレクスプロージョン??全く聞き覚えのワザ名だ)

 

 

ドカーーーン!!!!!

 

 

ブレイズ「アアアーー!??」

 

ブレイズが一瞬の思考の間に、背後で何かが大爆発を起こし、衝撃に巻き込まれた。

 

その拍子にブレイズの手が離され、捕まれていたブライトが飛ばされる。

 

ブライト「ピッカァー!??」

 

吹き飛ばされたブライトは、カラダを翻して”みがわり”を使用する。

その”みがわり”はピカチュウのカタチを取っていた姿を変化させ、サーフボードに変化し、ブライトがその上に乗る。

 

ブライト『いってて・・・何が起こったんだ・・・・・・って、言語が翻訳された。

マキがこの近くにいるーーでも、今の爆発は』

 

上空を見上げると、ツバサがボロボロになったブレイズが、大きく息を乱して飛んでいた。

 

ナツメ「フフフ・・・【雷火】のリザードンも、トレーナー無しではこのザマだ。

さあ、もろとも死ぬが良い!!空に舞う群れに埋もれて!!」

 

ブレイズ「ぱぎゅあ・・・・・・(何?)」

 

ブライト『空・・・??』

 

ブライトは更に上空を見上げた。すると、白い雲に違和感を感じた。

 

ブライト『あの雲、ピンク色・・・・・・あ、違う。アレは!』

 

 

 

ピンク色の雲「タマタマタマタマタマタマタマタマタマタマタマタマ!!!」

 

 

 

ブレイズ・ブライト「『タマタマ』の群れだ!!」

 

一体何100匹居るかも分からない程のタマタマが、メガフーディンのサイコキネシスで浮いている。それは、キョダイな雲のようだ。

 

 

ナツメ「さあ降り注げ!!タマタマよ」

 

ナツメの合図を皮切りに、ブレイズに向けてキョダイ雲から千切ったわたあめを落とすように振ってくる。

 

 

ブレイズ「ぎゅお・・・(これはマズいな)」

 

ナツメ「だいばくはつ!!

 

ブレイズの周囲に六匹ほどのタマタマが囲った辺りで、ナツメが無慈悲な命令を下す。

 

 

ズドンーー!!!!

 

 

ブレイズを爆心地として

鈍く、カラダに響く爆発音と爆炎が広がった。

 

 

 

ブライト『ブレイズーー!!』

 

ブレイズ「ーーーーー」

 

声無き悲鳴を上げるブレイズは、カラダとツバサの肉を焼き、血管を焦がし、意識を刈り取られ、飛ぶ力も無いままに海面へ投げ出されていく。

リザードンの生命力を現す尻尾の炎は風前の灯火。

 

 

ナツメ「落ちてしまえリザードン!そしてしっぽの炎を消してしまえ!!」

 

 

ブライト『くっそー!!』

 

絶対に受け止められない体格差、この行動は実らない。

分かっていながら、ブライトはブレイズの着地点に移動し、受け止めようとする。

 

ナツメ「アッハッハッハッハ!!メガフーディン!タマタマをそこへテレポートさせろ。

タマタマはだいばくはつだ!!」

 

ブライト『ぐっーー!!』

 

僅かな抵抗、チリほどにも希望を許さず、徹底した動き。もう、2匹に打てる手は無い。

 

 

ナツメ「死ね!!【雷火】よ!!すぐにあの女も地獄に送ってやるさ!!」

 

勝利を確信するナツメが吠える。そして

 

ーーバシャン!

 

ナツメには決して届かない水の跳ねた音がして・・・・・・

 

 

 

マキ「ぷはぁっーー!!エヴォル、お願い!!」

 

 

浮かび上がったマキが、手にしていた”モンスターボール”と”水色の石”を投げ上げる。

 

エヴォルと呼ばれた茶色のポケモン-イーブイに、水の石が触れて進化、シャワーズへ。

 

マキ「ハイドロポンプ!!!」

 

『水よ、流水の槍となれ』

 

海面にエヴォルの片足が触れた瞬間。海水が巻き上がり、ブライトとブレイズを回避して、タマタマを上空へ巻き上げる。

 

ナツメ「なーー!??」

 

その水は、そのまま遥か上空に浮いているハズのナツメとメガフーディン、スリーパーの元まで届き、その後ナツメの命令を遂行したタマタマが”だいばくはつ”を実行した。

 

 

ナツメ「ぐああああー!!?」

 

 

 

 

マキ「アクア、ブレイズを助けて上げて!」

アクア『お任せ下さい、マスター!』

 

アクアと呼ばれたシャワーズは、ポチャンと海水と同化すると、ブレイズを水の塊として受け止めた。

 

ブライト「マキ!助かった・・・」

 

マキ「ゴメンね、ブライト。心配掛けて。

でも今はとにかく足場を作らないと、海で沈んじゃう。お願い、クーガ」

 

クーガ「ロト!」

 

でんき・ゴーストタイプポケモンのロトムが、ボールから出てくる。

 

マキ「ロトムのカタログから冷蔵庫で--フォルムチェンジ!!フロスト ロトム!!」

 

クーガ『ゴーゴー冷やすロト!!』

 

マキ「ふぶきで海を凍らせて足場を作って」

 

クーガ『お任せロト!!ゴーゴー!!』

 

 

一方、タマタマのだいばくはつに巻き込まれたナツメは、スリーパーが張ったバリアによって直撃を避けていた。

 

ナツメ「ぐっ・・・おのれ弦巻マキ・・・!!」

 

フロストロトムのふぶきによって足場を確保している今、マキは隙だらけだ。

 

今すぐタマタマを全部落としてしまえば、有効打になりうる。

 

ナツメの頭はそう判断している。だが、しない。出来ない。

 

 

ナツメ(それは、私の視た未来視には無いヴィジョンだ。

ここまで上手く未来視通りにやってきた。あの結月ゆかりすら、私の未来視に逆らえなかったんだ。いくら格下の弦巻マキとは言え、ここで万が一にでも失敗すれば

過去既に失敗を犯している私の幹部としての立場。なにより)

 

ナツメ「私自身が消される・・・・・・」

 

ナツメ(今のレインボーロケット団は、過去のロケット団とは比べものにならないほど冷酷な組織になっている。失敗は許されない!!)

 

 

だからナツメは待った。フロストロトムによって足場が出来るまで。

そして、その時こそ・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナツメ「ここまで計画通り。そして--この後もな。

お前がZワザを使った時、私の勝利は決定する。」



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55.【死】を払え、放て全力。勇気を込めて

やっと……やっとバトルシーン書き終わったよ……2話同時投稿します。読んで感想聞かせてね…聞かせてね……うふふふふ。ねっむい……


時はナツメがずん子のキーストーンを手に入れた頃に遡る。

 

ナツメ「フフフ。なるほど、この女は東北ずん子と言うのか。」

 

エスパーとしての超能力でずん子の頭の中を覗くナツメは、その時初めて、ずん子が結月ゆかり、弦巻マキの仲間であることを知ったかのように呟く。

 

ナツメ「ただ資質を持っているだけのトレーナーかと思ったが、これは好都合だ。」

 

???「ほう?それはよかったですね」

 

ナツメの隣にいた何者かがそう言った。

 

「この女の悪の資質を使えば、研究途中だった【ダーク】を試作段階まで上げることが出来る。そして終われば用済みです。

貴女の任された作戦の遂行に役立つなら、無駄なく使い潰せると言うもの」

 

ナツメ「ああ。タマムシ学園に封印されているアレを手に入れて、更に【ダーク】を完成させれば【Ur】を手中に収められる。そうすれば、全てをレインボーロケット団の支配下に。

【M2】も【D】も全てだ」

 

「そのためにも貴女の作戦は必ず成功させなければなりません。失敗は許されませんよ?」

 

ナツメ「キサマに言われるまでも無い。【光を喰らうモノ】は必ず手に入れる。

これは既に決まった未来だ。」

 

「それは凄い自信ですが、勝算は?」

 

ナツメ「フン・・・この時の為にロケット団の科学力で量産し続けた『けいけんアメM』を与え力量(レベル)を30程度まで上げ、同じく実験で量産化した『ノーマルジュエル』を持たせたタマタマと、たった今手に入れた

 

ーー()()を使う。」

 

「・・・・・・キーストーン。ですね」

 

ナツメ「そうだ。これを使い、私のフーディンをメガシンカさせれば、この基地に置いた状態からでもタマタマをテレポートさせられる。

 

そして、私はすでにこの作戦の成功を視ている。

あの結月ゆかりが血に沈む姿を。

私の予知夢によって、タマタマのだいばくはつで木っ端微塵になる弦巻マキを!

 

私の勝利は、このキーストーンによって確定した」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

クーガ「フーやっと出来たロト~まったく、頭脳労働担当のボクにはきっつい仕事だったロト」

 

そして、舞台は現代に戻る。

フロストロトムのクーガが海を凍らせて充分な足場を確保し終えた。

 

ナツメ「・・・・・・さあ、最期の仕上げだ。弦巻マキ、貴様をあの女の元へ叩き落とす」

 

悪意に満ちた愚劣な笑みを浮かべながら、マキに届かない声で宣言するナツメ。

 

 

マキ「よっこいしょ・・・っと。

ありがとう、クーガ。

アクア、ブレイズを乗せてあげて。ブライトは『オボンのみ』を食べて。」

クーガ「ほい、マキ。まんたんのくすりロト。」

マキのリュックから出て来た素ロトムのクーガがマキに手渡す。

 

マキ「うん。ありがとう、クーガ。はいブレイズ。『まんたんのくすり』だよ。それから『ねむる』」

 

ナツメが何もしてこないことを不思議におもいつつ、マキはだいばくはつに巻き込まれた2匹の体力を回復させることに専念する。

 

クーガ「・・・・・・ねえアクア。

あのナツメとかいうオバサン、何で攻撃してこないロト?」

 

アクア『分かりません。ですが、あの敵に良心を期待するのは無理でしょう。

決して隙を見せないようにして下さい、クーガ』

 

クーガ「ふーん。ボクは自分の目で見た物とマキのおっぱい以外信じないロト。

だからちょっと見てくるロト。もしかしたら微粒子レベルの可能性で優しい美人のお姉さんに目覚めた可能性!!」

 

アクア「な!?クーガ、行けません!戻ってきて下さい!!」

 

マキのロトムのカタログで扇風機を出して『スピンロトム』へフォルムチェンジしたクーガは、ナツメの元へと飛んで行く。

 

 

ナツメ「何だ?何かがやって来る・・・・・・こんな光景は予知夢で視てはいないが・・・・・・」

 

警戒しつつも、自身の周りにはメガフーディンとスリーパーがいる。

あの程度のポケモン一匹では脅威にはならないと思い、予知夢の未来を外れないことを優先した。

 

クーガ「ねえオバサン。何で攻撃してこないロト?腰でも壊したロト??

大丈夫ロト?お婆ちゃんロト?人生のセーブ&ロードは出来ないから年寄りの冷や水は控えた方が良いロトよ?」

 

ナツメ「こいつぶち殺せ」

 

手持ちの残りポケモン全てをボールから出し、抹殺命令を下したナツメ。

その沸点はオリーヴよりも低かった。

 

クーガ「ぎゃああああああああああーーー!!!!」

 

無情に連射されるねんりきやサイケこうせんを目から滝汗を流しながら回避して、逃げ帰ったクーガ。

 

 

 

クーガ「あのオバサンが美人で優しいお姉さんとかほざいたバカは誰だ」

 

アクア「・・・・・・。(ゲシゲシゲシ)」

ブライト「・・・・・・。(ゲシゲシゲシ)」

 

そんな戯れ言に対して、アクア、ブライトは無言でクーガを踏みつけまくった。

 

クーガ「ぎゃあああああーー弱いモノイジメする奴は心が汚いいいいいいいいーーー!!!!」

 

 

 

ナツメ「何だあのポケモンは・・・まあ良い。そろそろ準備は出来た頃だろう。

メガフーディン、この辺り一帯の全ての海水をテレポートで奴らの真上に上げろ!!」

 

メガフーディン「フー・・・・・・ディン!!」

 

大粒の汗を流しながらもナツメの指示通りにテレポートを実行するメガフーディン。

しかし、いかにメガの力といえど、限界が近いのが伺えた。

 

ガクン!!!!

 

マキ「キャアッ!??」

 

突然、マキ達の足場の氷が大きく揺れて落下した。

距離にしておそらく1~2メートル程度だろう。

おそらく1~2メートル程度()()()()()()()()のだ」

 

マキ「・・・・・・・・・嘘・・・なにこれ」

 

シティ一つは簡単に飲み込めるであろう量の海水が頭上に現れたことで、マキは唖然とした。

この水が振ってくれば助からない。

 

アレは【死】だ。

 

重さで押し潰される。カラダの骨が無事では済まない。

耐えきれても、海底まで押し込まれ、呼吸が確保できずに、死ぬ。

 

 

ナツメ「助かる方法は二つに一つ。

自力で逃げるか、この海水を消滅させるか・・・・・・フフフ。

 

しかしありえないだろうな。私の予知夢はこの後にお前達を殺すことになっている。

あと三手詰めだ。だが、この一手に対抗する手が果たして打てるというのか?

 

の海水は、お前達の仲間のガキ共が使ったZワザでは決して対抗できまい。

 

それは、先ほどの【かえんレーザー】とやらでも一緒だ。表面積も体積も、あの程度の炎では対抗出来ない!!!ふははははははははははーー!!!!」

 

 

マキ「ーーアクア、クーガ。すぐにここを離れるよ!!」

マキはそう叫ぶと、腕に黄色のZリングを装着した。

 

 

ナツメ「ククク・・・そうだろうさ。お前は無様に尻尾を巻いて逃げるために、()()()()()()使()()()()Zワザを使うんだ!!

それでも果たして逃げ切れるかな!?さあ落とせ、メガフーディン!!!」

 

 

 

アクア『マスター、準備出来ました!!』

クーガ「いつでも良いロト!!」

 

マキ「うん!氷の足場ごと移動するよ!!アクアはハイドロポンプ、クーガはぼうふうでジェットスキーみたいに足場を運んでセキチクシティへ向かって!!

ブレイズ、ブライト、海水が落ちた後の津波に備えるよ!!あんな大きな海水が落ちたら、カントーが水没しかねない!!」

 

マキは海水を見据えながら危なげなくバランスを取って低く屈み、ブレイズはまんたんのくすりでHPは癒したが、すぐには戻らない生き物としての体力を少しでも回復するためにねむる。

 

 

そして・・・ブライトは瞳を閉じ『エレキフィールド』で場を整えながら、『じゅうでん』で電気わざの威力を限界まで高める準備に入った。

 

ブライト(・・・・・・マキ。)

 

この状況ーー命を落とす可能性も否定できない状況で、ブライトは僅かに走馬燈を視た。

自身が生まれた瞬間の光景。マキの母と、自身の母の笑う顔。

マキが生まれた瞬間の光景。自身の母は言った。

『ほら、お前のマスターで、妹みたいな子だよ。』

 

ブライト(集中しろ・・・・・・電気を・・・・・・)

 

初めてのジム戦。タケシのイワークとの戦いで、マキがケガをした光景。

初めての殿堂入り後のバトル。先んじて非公式ながらワタルを倒したゆかりとのバトルは、錯覚では無く、死神が自身の首を横切った。

 

ブライト(死に対抗するのも、マキの死を払うのも、今に始まったことじゃない。)

 

バチバチと電気袋から青い閃光が走る。

 

(マキ「・・・・・・ブライト・・・・・・・・・・・・『お兄ちゃん』。

私も死んじゃうのかな。お母さんが血塗れになって死んじゃったみたいに・・・死んじゃうのかなァ!?)

 

 

ブライト(集中しろ、前を向け、幻想しろ、生存を。妄想しろ、この後に転がる勝利をーーーーーー無ければ作れ!!無理でも笑え!!前に出ろ-臆せば死ぬぜ!!!!』

 

 

ズドオオオオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

落とされた海水のバクダンが、今海面に叩きつけられ、爆ぜた。

マキ達は、アクアの決死のハイドロポンプで何とか移動が間に合い、直撃だけは避けた。

それでもアクアは力を使いすぎてピクンピクンと四肢が痙攣している。

だがそれでもすぐに襲い来る、第二の【死】大津波が。

 

ブレイズはまだねむるが続く。ブライトは完了する、覚悟の充電。

 

マキ「ブライト・・・・・・ブレイズ・・・・・・」

 

目の前に押し寄せてくる大津波。次第にハッキリしてくる。

自分たちの10倍はある波の高さが、逃げ出しても逃げ切れない、カントー水没という未来の光景が。

 

生きるか死ぬか。さあ、勝負の一丁目!!!!

 

 

 

 

 

マキ「ーーさあ、ギュンギュン行くよおおおおおーー!!!!」

 

ギュウウウウウウウウウウウンンンンーー!!!!

 

手元に取り出すはマキのエレキギター。思いっきりかき鳴らす!!

 

ギターの音に共鳴し、腕のZクリスタルが輝く。水晶に刻まれた紋章のカタチ、クリスタルに込められたZワザの名前を勇気を込めて叫ぶ。喉の許す限り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マキ「グレートエレキファイヤアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!!」

 




ようやくシリアスとギャグ両方書く機会が作れた


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56.良い夢は視れたロト?【マキ登場】

これにて、タマムシ学園侵入編のバトルシーンは全部書き終えました。
あとはなんか良い感じにブッパして、綺麗に纏めて、学園生活編書くんや…やっと書けるんや。


マキ「グレートエレキファイヤアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!!」

 

マキの咆哮にも似たZワザの号令により、ねむっていたブレイズが覚醒する。

 

ブレイズ『ゴオオオオオオオオオオオーー!!!』

 

そして、準備万端にしていたブライトもまた、じゅうでんしていた電気を電気袋に集中する。

 

ブライト『うおおおおおおおおおおおーー!!!』

 

 

ナツメ「【グレートエレキファイヤー】まるで聞いたことの無いワザ名。

奴も何かしらの新ワザを開発していたか・・・さて、リザードンとピカチュウ、どちらのZワザだ?」

 

 

ブレイズの口からは『青白い火炎』がブライトの電気袋からは『青白い電光』が今か今かと解放の時を待つ。

 

大津波はマキ達を飲み込む寸前。そして--

 

ブレイズとブライトの()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ナツメ「な、何?二体に注ぎ込まれた?これでは折角のZパワーも分散されてしまうだけだろうに」

 

マキ「アーユーアーレディ!!」

 

ブライト・ブレイズ『イエエエエエイ!!』

 

マキ「それじゃあもう一回!!皆で行くよおおーー!!!」

 

 

マキ・ブレイズ・ブライト『「グレートエレキファイヤー!!!!」』

 

 

再度放たれた号令の直後、二体は信じられない行動を起こす。

くるりとマキの方を向き、『だいもんじ』と『かみなり』をマキに向けて全力で撃ち抜いたのだ。

 

 

ナツメ「なんだと!?何が起きている!??」

 

 

ナツメが驚愕で声を上げた瞬間--マキのエレキギターが『だいもんじ』と『かみなり』を吸収し、そして

 

 

ギュウウウウウウウウウウウンンンン!!!!

 

マキがギターを再度鳴らす。

 

すると、吸収されたエネルギーが放出された。

 

 

大の字型の青白いエネルギー波が大津波にぶつかる。そのエネルギー同士の衝突に逃げ場を求めた余波が拡散され、海を蒸発させていく。

 

抗う為に放出される力は蓄えた限界が存在し、いずれは尽きるだろう。

だが、相手は意志無き自然現象で、一度放たれた海水のバクダンが与えたエネルギー以上の動きは起きず、弱まっていく。

 

全てを消し去る必要など無い。物理法則に従う水の暴力に対して同等、或いはそれ以下であっても、波の威力を被害を起こす力を削ぐだけのエネルギーさえぶつけてやれればそれで良かった。だが

 

ナツメ「かかったな弦巻マキ!!ここからこの攻撃を防ぐ余力は無い!!

やれ、メガフーディン【テレクスプロージョン】!!」

 

空中に漂う残ったタマタマの処理が追いつかないなら、マキ達の運命を変えることは出来なかった。

 

メガフーディンは残った力を全て使い、空中のタマタマをテレポートさせ、マキ達の足場の上に落とした。

 

フーディン「フー・・・・・・」

 

メガフーディンはメガシンカが解け、ナツメがモンスターボールから出したエスパーポケモンに乗せられる。

 

ナツメ「先ほどのようにシャワーズで打ち上げようにも、この数ではどうにもなるまい!!終わりだ、弦巻マキ!!我らの怨敵の血を持って、ロケット団復活の祝砲を上げよう!!!」

 

マキ「・・・・・・・・・」

 

マキはナツメの声に反応もせずに大津波に集中。

その様子にナツメは爆笑する。

 

ナツメ「ふはははははは!!!!せめてセキチクシティだけは助けようと言うことか?

私にとっては裏切り者のキョウが残したマチなど共に滅ぼしておくつもりだ!!残念だがマチと共に沈め弦巻!!!」

 

 

 

その時、先ほどナツメを一気にキレさせた声がした。

 

 

「ーーーーランセ地方の魔王ノブナガは、己が疎まれうつけと笑われ、されど皆の平和のため、優しさを魔と偽りて、神を納めようとイクサを勝ち進んだ。

されど破れたノブナガは、それでも願う結果に進んだ世界に喜び、姿を消したという。」

 

 

ナツメ「さっきのポケモン!?どこだ?貴様はこの手で殺してやろう!」

 

 

彼の魔王は自身の行いを償うべく自刃したと言う者もおり、一説には海を越え、人知れず生き残ったとも言われている。

・・・・・・はたしてノブナガは生きていたのか・・・・・・生きていたとすれば何処へ行ったのか・・・」

 

 

ふわり、大量のスピンロトムがナツメの前にあらわれた。

 

 

 

クーガ「ここ」

 

 

 

その数は、大体下のタマタマと同数。

 

ナツメ「な、何だこの数のロトムは・・・・・・!?」

 

クーガ「クックック・・・さっき近づいたときに、こっそりマキのリュックから拝借したまんたんのくすりを全部使って作っておいた『みがわり』ロト!!ちなみに予想が外れて無駄遣い扱いになったら殺される綱渡りだったロト!!」

 

 

 

ナツメ「ぐっ・・・だが、ロトムが何匹いようと、弦巻マキは終わりだ!!」

 

パチン。合図の代わりに指を鳴らすナツメ。

そして

 

 

クーガ「ところでロトムの代名詞的ワザを知らない?

『ボルトチェンジ』って言うんだけど」

 

 

言うと、クーガのみがわりたちが次々とナツメの手持ちポケモン達に『ボルトチェンジ』を撃ちまくる。

そしてワザの特性を利用して安全にマキのもとへ帰って行く。

ナツメのタマタマと入れ替わりで。

入れ替わったタマタマに埋もれていき逃げ場を失うナツメ。

 

ナツメ「な・・・な・・・・・・!!!????」

 

 

ボルトチェンジの特性でボールに戻るみがわりは消えていく。証拠もしっかり隠滅していく。

 

そして、みがわりの数が僅か一匹足りず、爆発寸前のタマタマが一匹。

 

ピトリと触れる。そして--

 

 

クーガ「(都合の)良い夢は、視れたロト?」

 

 

サポートわざ『トリック』により

 

タマタマと『ずん子のキーストーン』を入れ替えた。

 

 

ナツメ「なぜ・・・・・・??なぜぇ・・・・・・??????」

 

 

クーガ「ボクの名前はクーガ。直線的な攻撃ばっかなパワーバカチームの全ての弱点を埋める()()()()スターロト。

この程度の企みじゃ、イタズラは成功しないロト」

 

 

 

 

 

 

ナツメ「くそ……くそおおおおおおおーーーー!!!!!」

 




超久しぶりに手持ちポケモン紹介。
ようやく活躍した弦巻マキさんのパーティーです。 

ピカチュウ(ブライト) Lv88

リザードン(ブラスト) Lv96

サンダー(ライディーン) Lv63

イーブイ(エヴォル) Lv82

ロトム(クーガ) Lv67

フリーザー(マヒャド) Lv61


ブライト♂
マキの母のピカチュウの息子。
マキより先に生まれたお兄ちゃん的なピカチュウ。

ブレイズ♂
オーキドから貰ったヒトカゲが進化
パーティーのエース的なリザードン。

エヴォル♀
ロケット団の実験の犠牲者
全てのイーブイの進化系になったり戻ったり出来る。
進化毎に人格が異なる多重人格イーブイ。因みに名前も変わるし性別も変わる。イーブイの時は基本寝てる。
進化の度に進化の石を使うので、あまりバトルに出さない。当人もバトル好きじゃ無いので、winwinの関係(?)
それでも感謝はしてるので、どの進化系になってもマキに対して好意的である。


クーガ
マキのパーティーでは参入時期が遅く、レベルに差がある。
しかし、別にパーティーで1番強い必要も無いし、自分の力が役に立つことも知っているため、気にしていないどころか稀にレベル差を忘れる。
トラブルメーカー兼トリックスター。
出て来てから僅か3話だが既に大活躍しているので自惚れでも無い。
めっちゃ扱いやすかったけど、終盤に出て活躍した方が強キャラ感あるのでここまでガマンした。
マキの影が薄かった理由の遠因でもある。



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57.それぞれの守り方。

メガシンカは絆で進化するらしいんですけど、なんとか団って何でメガシンカさせられるんすか?



クーガ「(都合の)良い夢は視れたロト?」

 

 

爆殺数秒前。周囲は全てナツメを殺すタマタマのだいばくはつに囲まれて。

文字通り必死の状況を作り出したクーガは、目をそらすこと無く見届ける。

 

クーガ「・・・・・・・・・バカ野郎。」

 

見届ける。目をそらさない。これを作り出したのは自分だ。

 

クーガ「・・・・・・・・・。」

 

強制的に解除されたメガシンカが、既に抵抗する力が残存しないことを証明している。

それを理解出来ないお前(フーディン)じゃ無い。

分かっていたハズなんだ。

 

メガシンカしたメガフーディン。そのIQは、未来すら視るという。

同じく未来を視るエスパーのナツメは自身の勝ちを予言した。

だがそれは誤りだ。

 

お前なら分かっていたはずだ。なのに何故・・・・・・?

 

 

---ドカアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 

 

クーガ「何故そこまで分かっていながら引かなかった。フーディン。

何故そこまでポケモンと絆を深めながら(ロケット団)に身を堕とした。ナツメ」

 

ふわりと氷塊から移動し、目的物に向かう。

そして()()()()()ナツメを風で受け止めた。

 

クーガ「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()くらいなら・・・・・・何故?」

 

バラバラになったタマタマ、他のナツメの手持ち、そしてナツメの切り札--フーディンの灰になった血肉が風に流され海に撒かれる。

 

 

ぽとり。ナツメの腹に何かが落ちる。

クーガがソレを視認して

 

クーガ「・・・・・・・・・。」

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

クーガ「・・・・・・・・・何が、『命だけは助けて欲しい』だ。お前が護れ、バカ野郎。

 

 

ボクは絶対に守り抜く。マキを。ブライトを、ブレイズを。

エヴォル、アクア、ボルツ、ヒート、ルナ、サン、グラス、スノウ、ライトを。

 

精々見てろ死ねば護れない現実を・・・・・・あの世で悟れ。」

 

空に向けて言い放つ。

ナツメに降りた『スプーン』を、そっとナツメのポケットに忍ばせながら・・・・・・。

 

 

 

そして、クーガの背後では----。

 

 

マキ「もうちょっと、もうちょっとなのに【グレートエレキファイヤー】のエネルギーが足りてない・・・・・・っっ!!」

 

ブレイズ『きゅう・・・・・・』

 

死にかけのブレイズの方にパワーが足りず、ブライトの全力のサポートをした必殺技でも力不足だった。

 

波の威力を削いで入るが、それでも威力を殺しきる前にマキの方が先にエネルギー切れになる。

 

マキ「ぐうう・・・ブライト!!『こおりのいし』使って!!」

ブライト『分かった!あと少し頑張って!』

 

マキの服の中に入り込んで隠してある『石』を見つけてアクアに投げる。

 

ブライト『はい、アクアパス。』

 

アクア『はい、兄上殿!!』

 

ブライトから受け取ったこおりのいしを使い、姿を変える。フォルムチェンジとは隔絶された神に忌み嫌われる変化(しんか)だ。

 

『・・・・・・ふぅ。』

 

フワリと前髪を靡かせ、前を見据えるのはイーブイ氷タイプ進化形『グレイシア』。

 

『こうしてわたくし自身の目で見ると、とんでもない大きさの津波ですわね』

 

マキ「お願い、スノウ。ブライトに氷で道を作って!」

 

スノウ『お任せくださいな。お姉様。

本物の氷をお見せしますわ。準備はよろしいかしら、お兄様?』

 

ブライト『みがわり+かげぶんしん混成ワザ。【みがわりぶんしん】!』

 

ブライトから現れた『みがわり』が1体。そしてそのみがわりが分裂し、小さなピカチュウへと変化した。周囲に発動していたエレキフィールドから電気を吸収しほお袋に溜めた。

 

スノウ「ああ・・・小さなお兄様、お可愛らしいですわ」

 

ブライト『マキ、5秒後に行くよ!』

 

マキ「うん!」

 

ブライトの前に立つ3体のピカチュウ分身がバチバチと放電準備を始める。

 

マキ・ブライト「『5・・・4,3,2,1・・・・・・』」

 

マキ「ブライト!!」

 

掛け声と共に津波の威力を削いでいた【グレートエレキファイヤー】を切り離す。

 

その瞬間、波は勢いを取り戻し、マキ達に襲いかかった。

 

ブライト『行け!!』

 

ピカチュウ分身1・2・3「ピッカア!!」

 

ブライトの号令で2匹のピカチュウ分身達はそれぞれ『かみなり』を放つ。

大部分の勢いは削いだ。しかし、まだ足りない。このままではその場にいるマキ達は波に呑まれて死ぬ。

 

スノウ『行きますわよ、お兄様!!『ふぶき』!!』

 

3体分のかみなりと、スノウのふぶきが津波の勢いを殺していく。

更に、津波に届くまでの空間の水を凍て付かせていく。

 

スノウ『準備は出来ましたわ。さあ、いつでもどうぞ。お姉様。お兄様。』

 

Zリングのクリスタルを外し、別のクリスタルを装着する。

 

マキ「よっし・・・アーユーレディ!!ブライト」

 

ブライト『さあ、行こう、マキ!!』

 

二人揃って両腕をクロスして2()()()のZワザの準備をする。

 

 

マキ「雷走って天が泣き、音速越えて星が鳴く。突き進め--『ひっさつのピカチュート』!!!」

 

マキのZパワーが、ブライトに注がれる。

そして、もう一度クリスタルを替えて・・・・・・。

 

マキ「そそげ、そそげ、更にそそげ。目指すは100倍、10000%!!!

全力全壊--『1000まんボルト』!!!」

 

3体のピカチュウ分身にZパワーが注がれた。

 

 

マキ「いっけえええええええブライトーー!!!」

 

大きな津波に3体のピカチュウ分身の『1000まんボルト』が撃ち込まれる。

既に威力が殺された波は完全に拮抗し、一進一退。そこに

 

 

ブライト『うおりゃああああああああーー!!!!』

 

 

『ひっさつのピカチュート』が撃ち込まれ、厚い厚い死の水を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マキのチートことポケスキルを公開します。

【アルセウスメイカー】
複数存在する選択肢を両方選べるように世界のルールの方を変化させる。
対象は自身と手持ちのみだが、ブライトやエヴォルの進化退化を負担無く行える。
ただし石無しでやると負担が出るので、基本は高価取引しか無い石を借金を返しながら収集している。
(だからいくら金稼いでも一向に借金が減らない)




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最終回 偉い人はほざいた。途中まで面白い話なら最終回が雑で適当で全部ぶん投げでも許される。それが商業というものだ。ま、面白かったかは知らんし商業でも無いのだが

色々考えたんですが、コレ本当は最終回でも何でも無いから最終回って入れるべきなのかガチで悩んだんですが、ま、良いよね。便宜上最終回って書いとく。

次回、ボイスポケットつーぎ(かめい)をヨロシクお願いします。


タマムシ学園校門前、燃え盛る炎が一つの命を焼き尽くしたのを見届けて、東北きりたんは膝を折った。

 

きりたん「ハァ・・・結構シャレにならない疲れが来ますね、Zワザってのは」

 

ハンバーグ「大きな力には常に相応の対価が必要な物だ。などと、わざわざ言う必要も無さそうだな。」

 

きりたん「ええ。ずん姉様がゆかりに勝ちたくてマキ先輩のフリーザーを使ったのと同じ道を歩むつもりはありませんよ。」

 

腰に付けたモンスターボールを手に取りながら、きりたんは改めて誓う。

 

ハンバーグ「うむ。その心意気を感じ取ればこそ、私も指示に従うことにしたのだ。

そして、茜もな・・・・・・。」

 

きりたん「ま、それでもいつかアンタ達もぶっ倒してやりますよ。

ゆかりに勝つことを考えたら、負けてられませんからね。」

 

ハンバーグ「構わぬさ。正々堂々、ポケモンと心を通わせ挑み来るトレーナーを、私は拒まない。

その時をただ待とう。東北きりたん。」

 

きりたん「・・・・・・。」

 

無言で肯き微笑むと、きりたんはモンスターボールにハンバーグを戻した。

 

 

 

 

オムレツ「ふいいいいいーー!!つっかれたあああああーー!!!

ってか今日一日でどんだけハードスケジュールだったよ?明日から週休8日くれ!!」

 

茜「オムレツ、1週間ってな、7日しかないんやで?」

 

オムレツ「知ってますよ?バカにしてない?茜ちゃんオレのこと馬鹿にしてない!?あかちゃんよぉ!?

そんだけ休みたいってことだよ!!」

 

茜「それじゃあ、しばらくホウオウのところに里帰りする?連絡しとくよ~。

きっとホウオウも久しぶりにオムレツが帰ってきて喜んでくれるやに。」

 

 

オムレツ「 い や で す 。 」

 

 

茜「なんでみんなすぐホウオウに会うん嫌がってしまうん??」

 

オムレツ「もういいからボール戻して・・・週休8日要らないから・・・」

 

茜「??うん・・・でもたまには顔見せてあげてな?」

 

腑に落ちない顔をしながら、茜はオムレツをボールに戻した。

 

そして、差し出された手からモンスターボールがひとつ。

 

きりたん「返却します。茜さん」

 

茜「うん。お疲れや、()()()()()。」

 

きりたん「きりちゃん?」

 

茜「うん。こんだけ一緒に戦ったんやし、ウチらもう友だちやろ?

せやからきりちゃん。」

 

茜はもじもじとしながら、意を決して息をすぅと吸い・・・・・・

 

茜「ウチ、ずっと友だちおらんかったから、本とかマンガばっかりやって、憧れやってん。

せやから・・・・・・」

 

バッと手を前に出し頭を下げながら

 

茜「一緒に海行ったり山行ったりするような、親友を前提に友だちになってください!!」

 

まるで交際を申し込む乙女のように顔を赤らめ、恐る恐きりたんを見上げると。

 

きりたん「嫌です」

茜「ガーン!!!?」

 

ふいとそっぽを向き、モンスターボールを手に持たせる。

 

きりたん「海も山もクソ飽きてんです。一緒に連れて行くんなら、もっと面白みのあるところにして下さい。」

 

そう口にすると、きりたんはずん子が寝ている方向へ歩いて行く。

 

きりたん「さて・・・ずん姉様を起こして、フリーザーをマキ先輩に返して、ああ、あと校門前の汚いマグロ共の清掃をポリに依頼しないと。取り敢えず手伝って貰っていいですか?

 

ーー茜。」

 

 

茜「ーーうん!行こうきりちゃん!!」

 

先んじるきりたんの後を追うように、茜は走り出す。

 

 

葵「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

その後、回復を終えたポケモン達を連れて戻ってきた音街ウナ、人知れずセキチクシティの沈没という大災害を命がけで防いで帰ってきた弦巻マキが合流し、到着した警察からの事情聴取を終えた少女達を迎えに来たオーキド博士と共に、ゲッコウガがゆかりを運び込んだ病院へ向かっていくのだった。

 

 

 

 

 




入学式当日

マキ「それじゃあ、葵ちゃん、茜ちゃん、きりたんちゃん。
入学おめでとう!!折角だから写真撮ろうよ!」

ウナ「マキパイセン!ウナも入れて!!」

マキ「うん!もちろん良いよ。さあ入って。」

ゆかり「・・・・・・・・・・・・(確かこいつアイドルやってるとか言ってましたね。売ったら金になるんでしょうか?)」

ずん子「それなら、みんなモンスターボールを持って撮るのはどうでしょう?
折角タマムシ学園の入学記念ですし」

茜「ウチ、きりちゃんと葵の間が良い!」

きりたん「私は端っこで。」

ウナ「じゃあパイセン二人が真ん中で、ウナときりちゃんが両端だね!」

葵「音街さん、アイドルなのにセンターじゃ無くて良いの?」

ウナ「ウナはみんなで撮れればヨシ!あ、でもポージングはみんなバラバラがいい!」



マキ「みんな決まったかな?じゃあ撮るよー。はい、チーズ。」

パシャリ。


【挿絵表示】




ゆかり「・・・・・・・・・マキさん、それ、白黒カメラじゃ」

マキ「えっと・・・新しい機械って難しいから・・・・・・」

ずん子「私がスマホで撮っておきますね。みんな~take2行きますよー」



ゆかり(どうせなら、桜の花でも舞っていれば良かったんですがね)

誰も気付いてない中、こっそりとカメラのシャッターを切ったゆかりは、フードのポケットに入れていたブレスレットを玩びながら、まだここにいない者達の顔を思い浮かべるのだった……。


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エクストラ
EXTRA.1  東北ずん子はただー結月ゆかりと語りたい。


この話は、本来ならタマムシ学園入学編を書く前に説明回として入れておいた方がいいかと思っていた、後日談です。

でもタマムシ学園入学編を書きたかったのでお蔵入りしてました…が、この度やっぱ載せとこうかなと思い、書きました。

タマムシ学園襲撃事件の後、入院してた東北ずん子と、結月ゆかりの僅かな会話内容が書かれています。





許容(ゆる)される事が出来るだろうか?

 

 

私の欲望(きもち)を。この薄汚れた尊敬(しっと)裏返(まなざ)しを向けることを。

 

 

ずん子「・・・・・・・・・ん・・・・・・」

 

月明かりが夜の闇を照らし、街の電光すら沈む時間。

病院に入院していた東北ずん子は、意識を覚ました。

 

ずん子「・・・・・・・・・?」

 

病室の窓から見上げた空には月の光が輝く。そして、月明かりに影を落とす人影。

視覚は色彩を黒と語り、それでもずん子の心が、その月影を紫だと告げる。

 

会いたい。彼女に会いたい。

『私』は学園でゆかりに謝りたかったんだ。何故かここは病院で、今は真っ暗闇な深夜だけど、そんなことは気にならない。

 

 

東北ずん子はただーー結月ゆかりに謝りたい。

 

 

 

ベットから起き上がろうとカラダを起こす。そこでずん子はようやく自分のカラダに管が付いていたことに気付く。

呼吸補助の管に、点滴を打つ注射の針。

 

そして、何故か凄く弱っている東北ずん子の身体が、ずん子の行方を遮っている。

 

 

ずん子(身体が動かない・・・動けないよ・・・・・・イヤだ。もうイヤだ。

もう私には時間が無いの!お願い、邪魔しないで。お願い、私はゆかりと話がしたいの!!)

 

 

それでも身体が動かない。動けない。ずん子はゆかりに会いに行けない。

不甲斐なさにボロボロと零れる大粒の涙。

 

 

ずん子「・・・・・・う・・・ぁり・・・・・・」

 

 

掠れてうまく発声出来ない喉。

高所から落下したダメージだろうか?

点滴は、外したくても、指先の感覚が無くて針を引っ張ることすら出来ない。

 

ずん子「うぁ・・・ぃ・・・・・・うありぃ・・・・・・!!」

 

会いたい。会いたい。ゆかりに会いたい。

 

ゆかりーー・・・・・・・・・・・・・・・!!!!

 

 

 

「呼びましたか?」

 

 

 

ふわり。病室のカーテンが突如舞い上がる。開かれた窓から吹き抜ける風に煽られて。

 

ずん子「あ・・・・・・」

 

 

窓の縁に絶妙なバランス感覚で手も付かずに立つ紫の少女が一人。ずん子を見下ろす。吹き抜ける白いカーテンはまるで・・・天使の翼のようだった。

 

 

ずん子「うぁい(ゆかり)・・・・・・・・・!!」

 

ゆかり「一週間ぶりですが、言葉を忘れたんですか?」

 

ずん子「うぁんれうわぁあはいっちゅもいっちゅもいちわりゅいうお(なんで貴女はいっつもいっつも意地悪言うの)!!!?」

 

ゆかり「何言ってんのか全然分かんねーんですが」

 

 

ずん子「うわかあああああ(バカあああああ)ーーー!!!!」

 

前のめりに叫んだずん子は、盛大にベッドから落ちたのだった。

 

 

 

ゆかり「で・・・・・・・・・・・・なんの用だったんです?」

 

ベッドから落ちたずん子を戻してやると、ゆかりはその隣に椅子を置いて座る。

 

ずん子「・・・・・・うぇ?」

 

ゆかりにお姫様だっこでベッドに戻されたずん子は、紅潮した顔と涙ぐんだ目で俯いている。

 

ゆかり「その呂律の回らない口で、私の名前を呼んだでしょう」

 

ずん子「・・・・・・ぅあ・・・・・・そぇは・・・・・・」

 

ゆかり「…………。」

 

ずん子「………なんでお、あいよ…」

 

ゆかり「…………そうですか」

 

 

そう言うと、ゆかりは椅子から立ち上がろうとする。

話が無いなら、用は無い。

用は無いなら、ゆかりは去る。ここにいる理由も、特にないのだから。

 

ずん子「ぁ……」

 

このまま行けば、何も変わらない。

 

このまま終われば、何も始まらない。

 

 

このままでは

 

 

ずん子(何もかも、同じまま……)

 

ゆかりを引き留めるために、ずん子はゆかりに手を伸ばした。

 

 

ずん子「ゆぅ、かり…」

 

 

ゆかり「はい?」

 

感覚の無い指で、満足に動かない身体でゆかりの袖を心許なく握り……

 

 

 

ずん子「…………いかないで。」

 

 

 

東北ずん子は、ようやくゆかりに本音を語る。

 

まずはずっと言いたかった謝罪の言葉…これを無くして、先には進めまい。だから、ずん子の口から先ず出る言葉はーー

 

 

ずん子「さみしいよ……おいていかないで」

 

 

ーー建前(しゃざい)よりも、本気(だいじ)な言葉だ。

 

 

ずん子「はなれたくないよ…ゆかり。

 

あなたはいつも、どこかにいっちゃう。

 

おはなししたいよ…ゆかり。」

 

 

ゆかり「…………。」

 

 

ずん子「聲を聞きたいよ……あなたの声は、綺麗だから。

 

バトルがしたいの。それが、一番あなたが一緒にいてくれる手段だから。

 

喧嘩なんてしたくないよ。もっと私に優しくして欲しいよ。

 

向き合って話すより、隣に座って話したいよ。

 

負けちゃうのは悔しいよ…でも、負けても良いよ。本当は傍にいて欲しいだけだから。

 

必死に必死に追いかけたよ。あなたは気付いたら、一人で高いところへ登っていっちゃう。

 

難しい顔なんてさせたくないよ。あなたの顔は、綺麗だから。」

 

 

ゆかり「……………。」

 

 

 

ずん子「どんな形でも良いよ。

 

 

ゆかり、私はあなたの傍に居た()()()よ…………」

 

 

ゆかり「…………。」

 

 

ずん子「………………でも、ただの人じゃ、『月』には手が届かないんだもん」

 

 

ゆかり「…………。」

 

ずん子「…………。」

 

 

秘めた想いを語ったずん子は、立ったままのゆかりを見上げて見つめた。

 

言いたいことを、言い切って。

 

その後の判決を待つように。

 

長い間、互いが沈黙を貫いたのち、遂にゆかりの方が口を開いた。

 

 

 

ゆかり「だから、アンタはロケット団に利用されたと?」

 

 

ずん子「………うん。私の中にある『悪の素質』って呼んでた何かを、欲しがってたから、ソレと引き替えに。

マキさんのフリーザーを操るだけの【ポケスキル】の増強をしたの」

 

 

ゆかり「友達の大切な仲間を奪ってまで、そんな手段もゴールも分からないものを追いかけたと?」

 

 

ずん子「うん。

フリーザーにも、マキさんにも、悪いことをしたと思ってる。

 

でも、私は自分の意思でソレを選んだよ…」

 

 

ゆかり「そんなことしても、普通は軽蔑されるだけですよ。

仮にあの時、勝っても何も得るものなんて無い。

 

友達も、(きりたん)も、失うだけで」

 

ずん子「うん。

今ならそれが分かるよ。ゆかりが話してくれる、今だから。」

 

ゆかり「何でそれがやる前に分からなかったんですか」

 

 

 

ずん子「………………必死だったから。」

 

 

 

ゆかり「…………。」

 

ずん子「必死だったから仕方ないなんて、言わないよ。

 

でも、ゆかりがきちんと話してくれる今は、なんだかとっても冷静に考えられるの。

 

いつもあんなに、感情が暴走してたのに」

 

 

ゆかり「サイホーンだって、もう少し頭使いますよ」

 

 

ずん子「それって、昔ゆかりに金山掘りたいからって、一度だけトレードを申し込まれた、あのサイホーンのこと?」

 

 

ゆかり「ええ。今ではサイドンですが、小さい脳みその割には頭使うやつです」

 

 

ずん子「懐かしいなぁ…あのね、ゆかり。あの時私はすっごく嬉しかったの。初めてゆかりに頼み事をされて、すごく……すっごく嬉しかったの。

 

あの子、元気にしてる?」

 

 

ゆかり「先週、泣きわめくガキを泣き止ますために、くれてやりましたよ。アンタの妹に。」

 

 

ずん子「きりたんに?そっかぁ。

 

私が捕まえたサイホーンが、ゆかりの手に渡って、サイドンになって、今はきりたんの手持ちかぁ…。

 

なんだか、嬉しいなぁ。そういうの」

 

 

ゆかり「………………そうですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかりと話したこの時間が、何を進めて、何を変えたのか。

ずん子の行動にどんなバタフライエフェクトが生まれたのか?

今は、誰にもその答えは掴めない。

それでも、夜空に輝く月をゆかりと共に眺めるずん子の心は、充実し、満ちあふれたのだろう。

 

ずん子が何のために作中の暴挙に出たのか、それは他人が納得のいくものなどでは到底無く、このあとめちゃくちゃマキに謝罪することになる。

 

 

それでも、今は…今だけはーーーー今この時に限っては……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずん子「ねえ、ゆかり。」

 

 

ゆかり「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずん子「ーー月が綺麗ですね」

 

 

 

 

東北ずん子はただーー結月ゆかりと語りたい。

 

 




いかがだったでしょうか?

作者が初めて書いた物語は恋愛物だったので、そういった要素を仄めかす程度に抑えてでも書きたかっただけなのですが、楽しんで頂けたら幸いです。



※誤字を修整しました。
テニスコートて(困惑)テニスコートて!!!(絶望)


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