やはり俺が魔法少女?なのは間違っている (磯山ゲル)
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新たなる一歩を

「っ!ばかやろう」

そう言って俺は駆け出しこちらに向かってきていたあざとい後輩を突き飛ばした。あざとい後輩に向かってきていたトラックは俺の目の前に来ていて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぎぁ!おぎゃあ!」

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」

(は?)

俺は状況判断のために脳をフル回転させた。

(手がちっちゃくて、知らない人が回りにいて…、声もおぎゃあしか出ない…フム)

 

「おぎぁああああああ」(生まれ変わってるうううう!?)

__俺、比企谷八幡は生まれ変わってしまったようだ。

 

…マジでか

 

 

横になっているのが母親で、その手を握っているのが父親とすぐに理解できた。

母親の方は髪はつややかで黒髪ロング、顔は美人よりかはかわいいといった方が合いそうだ。

(らき☆〇たのこなたのおかあさんっぽいな。父親は普通にかっこいいサラリーマンって感じだな。)

そんなことを考えていると俺は、看護師さんの手から母親へと手渡された。

母親と父親は、うっすらと瞳に涙をためながら笑っていた。

「ずっと決めてたんだ、男の子が生まれたら八幡って名前にしようって。」

と父親がいい。母親は、

「今日からよろしくね。八幡。」

と微笑みそういった。

 

(また八幡かよ。)

(前世って言っていいのかわかんないけど。もう終わっちまったことだからな。あいつ助かってればいいけど、

確認する方法もないし、しょうがねえか。)

 

―――――この世界で一生懸命生きていこう―――――

 

 

――2年後――

やっとしっかりと歩けるようになって、家じゅう歩き回っていた。

この2年間で分かったことは、苗字は比企谷、また同じ名前の同じ苗字かよと思ったがまあよしとした。

父親の名前は、龍斗(たつと)というらしい。性格は明るい。昼間も家にいる。なんの仕事をしているんだろうか?

母親は紗奈(さな)。専業主婦でおっとりとした性格でいつもニコニコしている。

そして俺が今住んでいる場所は海鳴市という場所で海も近く自然も多い地域だ。

そこの一軒家としては大きめと思われる家に住んでいるのが比企谷(ひきがや)家である。

 

俺は取り敢えず色んな本を読むことにした。父親も読書家らしく書庫がなん部屋かあるぐらいだ。

よたよたと歩きながら俺は本を探す。一応前世と同じ世界だと思ってはいるが自分がいた世界の別世界って事もあり得る。

(歴史系の本を読み漁ってみないとな…)

 

そうして本を読み始める。

(フム…、あんまり変わらないな。もとの世界で死んでから直ぐに生まれ変わったんだったらあいつが無事かどうかも確かめられるんだがな。)

 

 

そうして情報を集めるため八幡の冒険は始まるのであった------

 

 

 

 

はい、また数年立ちました。今日は小学校の入学式です。…え?展開早すぎだって?

バカお前、俺の生活なんていたって普通だったわ。結論から言わせてもらうとこの世界は以前の世界に限りなく似た別世界って事だ。

なぜわかったって?総武高校が無いからだ。それだけじゃ根拠は薄いだろうがまぁ色々調べた結果だしはしょるぞ。

俺は誰にたいして言ってるんだろうな(すっとぼけ)

 

「八幡、忘れ物はない?ハンカチは持った?」

母さんが心配そうに俺を見る。そのお腹は大きく入学式には同行できないので俺と父さんだけで行くことになっている。

「大丈夫だよ、母さん。父さんもいることだし、今日は入学式だけですぐに帰ってくるから。」

「紗奈、俺もついてくんだし大丈夫だって。それよりも一回写真撮ろう!ほら、二人とも並んで。」

父さんは三脚にカメラをセットし、ドアの前に俺と母さんを立たせる。

「よし!それじゃあいくぞー。笑って笑って。」

走って俺の隣に立ちカメラを見る。

カメラが光り、三人並んだ姿をうつした。

 

三人での入学式前の撮影を終え、母さんが見送る中、俺と父さんは私立聖祥大付属小学校へと向かった。

 




はい!ゲルでございます。
最後まで読んでくださった方感謝です。

ご意見ご感想ご指摘お待ちしております。

次回は未定です。ではさらば!


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出逢い

2話目です。

前話お気に入り登録してくれた方々のおかげで、布団という誘惑に負けず書くことが出来ました。

ではどうぞ


「はじめまして、比企谷八幡です。えっと…、よろしくお願いします。」

(なんで、こんなところでも詰まっちゃうんだろうなぁ…)

そんなことを考えながら席に座る。因みに父さんたち保護者組は入学式が終わって解散した。父さんは先に家に帰るそうだから帰りは一人で帰ることになっている。

 

「それじゃあ皆さん、これから六年間一緒に勉強するお友達だから仲良くするようにね。」

「はーい。」

見た感じ、若くて明るいお姉さんのような担任だな。それに元気に答えるのも小学生だから当たり前か…。

「じゃあ、今日はおしまいです。みんな気をつけて帰るのよー。」

そう担任が言うと、子供たちは近くの席の奴と話したり、ランドセルをしょって教室を出て行ったりしている。

(俺も、帰るとするか…。)

 

ランドセルを背負い校門から出る。校門付近にリムジンが止めてあったのは気にしないでおこう。

校門を出てしばらくたった時だった。

『―――――――――て』

「ん?」

(声が聞こえたような気がしたんだけどな。)

『誰か、力を貸して――』

(聞こえた!ほかの通行人は気づいてないみたいだが…)

昔だったら気にしていないかもしれない。でも、ここでは何もしないなんてことはしたくないと思った。

――自然と足は声のする方、山の方へと向かっていた。―――

 

「はぁ、はぁっ…、結局どこだここ。」

走っている間ずっと声は続いていた。そしてたどり着いたのが古い神社の境内だった。

(階段長かったし、ずいぶんと高くまで登ったけど…。)

そこからは、街が一望できた。時刻は既に夕暮れ時、赤く染まった街を日が沈むまで見ていたいところだがここに来たのは理由があることを忘れてはいない。

「おい!誰だか知らないけど来たぞ!どこにいるんだ!」

声を大きくして神社に向かって叫ぶ。

 

 

―――時が止まったかのように音が消えた―――

 

先ほどまでうるさいほどだった鴉の鳴き声も、草木が風で揺られている音も、すべてが俺が叫んだあとに消えたのだ。

 

『こちらです』

社の戸が開き中から今まで俺を呼んでいた声が中から聞こえた。

 

――ごくん。

この中じゃ唾を飲み込む音ですらずいぶんと響くもんだな。

そんなどうでもいい考えをしながら俺は社の中へと歩を進めた。社の中は外のぼろさとは打って変わってきれいなものだった。ただ、人の住んでいるようには思えなかった。

『私の声を聴くことが出来る方をずっとお待ちしておりました』

中の様子を見ていた俺の視線は声のする方―――社の一番奥へと向けられた。

 

「お前が、声の主…で間違えないのか?」

俺はそう声の主であるとされる、最奥に置かれた刀へと語りかける。

『ハイ、間違えありません。私がここにあなたを呼んだのです』

「で、俺は何をすればいいんだ?そもそもお前は何なんだ?」

『私の名前は…、白影(びゃくえい)と申します。あなたに来ていただいたのは、この地に封印された力を消滅、もしくは再封印していただきたいのです。』

 

…うん、ファンタジー。

え?何この展開、刀と話してるだけでもおかしいってんのに封印されていたものと戦うの?俺が?…あー、おうちかえってマッカン飲みたいなあ。

 

「それで…、その封印された力ってのを倒すには俺はどーすればいいんだ?」

『私と契約してください。そしてその力でやつを倒すのです。』

―――僕と契約して魔法少女になってよ…的なやつか?

 

「いくつか聞きたいんだがいいか?」

『ハイ、私でできることであればお答えします。』

刀-白影―はそう言いきらりと光った。

「まず、お前と契約する上でのメリットとデメリットを教えてくれ。」

まあ、魂を宝石にしたくないし当然だよね。

『メリットは、強大な力を得ることが出来る…でしょうか?えっと、デメリットは…。』

言葉が途切れる。

(なんだ?やっぱり宝石になっちゃうのか?)

「言えないぐらいやばいことなのか?」

『いえ…、その申し上げにくいのですが…わからないのです。』

「は?」

『私は生まれてこのかた、やつの封印のために力を使い続けていました。ですが、いままでに私と契約したものはおらず…、どのような悪影響を及ぼすかはわからないのです。』

「封印のために作られたってことか…。で、そのやつってのの封印が解けそうになったから協力者を探していたと。」

『ハイ、その通りでございます。』

「じゃあ、二つ目だが、その封印ってのはあとどんぐらいもつんだ?」

――これも重要だからな。もう少し時間があれば特訓も『あと数分でございます』

…は?

「は?」

「えっと、じゃあ俺がお前と契約するしかないってことじゃねえか。」

『そうです。それと私のことは(はく)とおよびください。』

頭をかく、どうしようもないなとも思う。

俺にはこい―『白でございます。』白と契約する力があって、時間がない。

少しの間腕を抱え考えた。この世界の家族を失いたくはない。そう考えるということ自体答えがもうできてるんだと思った。

「わかった…。契約する。」

『本当ですか!数百年待ち続けた甲斐がありました。』

「で、何をすればいいんだ?」

嬉しそうにカタカタと揺れる刀に聞く。

『では、最初にお名前を教えてください。』

「比企谷八幡だ。」

そういうと刀は淡く光り始める。

『マスター登録。比企谷八幡…認証。それでは私を手に取り私の言う言葉に続いて下さい。』

歩を進め、白影を手に取る。小学校上がりたてだと持つのに苦労する。

 

「おい白…。この重さじゃ持つので精一杯なんだが…。」

持っているだけで息が切れるほど重い。

『女の子に重いなんて言ってはダメですよ主様。ですがそうですね。その体には負担が大きいので主様に合わせます。』

そういうといきなり刀が軽くなった。

「どうなってんだこれ?」

『主様の肉体を一時的に強化いたしました。契約後はなるべくこの状態で過ごしていただくことになりますが…。』

刀が軽くなったわけではなく、俺が力持ちになったらしい。

「それじゃあ、契約とやらを続けてくれ。」

『はい、それでは…、〈我が求むるは力なり、悪を切り裂き、善を切り裂き、愛しきを守らんがための力なり。〉』

「我が求むるは力なり、悪を切り裂き、善を切り裂き、愛しきを守らんがための力なり…」

『〈我が名のもとにて契約する。我に力を与えたまえ――〉』

「我が名のもとに契約する。我に力を与えたまえ。武装…白影‼」

 

全てを言い終わると同時に刀から光が発せられ八幡を飲み込んだ。

 

「う…ん。」

『主様!契約は成功です!』

「そうか、そいつはよかったな…。で、何が変わって…えええええええ!?」

俺は社内に置いてあった鏡で自分の姿を見た。

 

見たんだが…。

鏡の中には巫女服を着た銀髪ロングの美少女がいた。しかも、狐の耳としっぽまで生えていた。

「おい、白。これは一体どうゆうことだ?」

『おそらくこれが、私のデメリットとやらなのでしょう。しかし、―――が流れているとは驚きです。』

なるほど、これが白のデメリットねぇ。最後の方はなんかぼそぼそ言ってて聞こえなかったが…。

『‼主様、封印が解けます!早く外に!』

地面が揺れ始め、白に言われるがまま外へと出る。そして俺が出るのと同時位に社が大きな音をたてて崩れた。

土煙が上がる。

『主様、戦い方は私が教えます。一緒にやつを倒しましょう』

白が語り掛けてくる。まぁ、俺も巻き込まれてしまったのだからもう逃げることはできないが…。

そんなことを考えてるうちに土煙が晴れる。

土煙の中にいたのはトラックほどの大きさのサソリの形をした化け物だった。

 




どうも、ゲルです。

2話目書きました。
中途半端なところで終わりますがご容赦ください。

それは、ともあれ八幡女の子になっちゃいましたねえ(ニヤニヤ)
イメージとしてはストライクウィッチーズのエイラが巫女服を着て、耳としっぽが白くなったといったところです。絵がかければ…

ともあれ、これからも頑張って登校していこうと思ってますので、ご意見ご感想ご要望などどしどしください。

…TSタグつけた方がいいのかなぁ?


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初戦闘

3話目投下です。




キャラ崩壊がまじやべーですが、どうぞ!


晴れた土埃から出たサソリ型の怪物はまだ本調子ではないのか体を小刻みに震わせている。

 

『主様、やつの名は樹毒(じゅどく)。尾から毒を発射してきます。気を付けてください。』

(なんか、昔見た〇イドに出てきたサソリみたいだな…。黒い霧を纏ってるがあれも毒か?それとも認識阻害とかか?)

 

 

「白、人への被害を抑えることはできないのか?このままじゃ街に出て相当な被害が出ることになっちまう。」

『結界が張ってあります。建物への被害を抑えることはできませんが、人への被害をなくすことが出来ます。』

「なるほど、俺が来た時にはもう張ってあったわけだ。道理で周りの音がいきなりなくなったわけだ」

 

『来ます!後方へ飛んでください』

いつの間にか樹毒は大鋏を振り上げていた。白の指示通り後ろへとジャンプする。少し飛んだだけのつもりだったが、鳥居の上を通り過ぎ、街へと身を投げ出していた。

『飛行』

白がそういうと、落下が止まり宙にとどまる。

「おお、空も飛べるのか。で、次はどうするんだ?」

『まず、遠距離からの毒発射が可能な尾を切り落とします。斬撃を飛ばすイメージをして私を振ってください』

イメージ…、斬撃を飛ばしてあいつの尾を切り落とす…。

「おりゃああああ‼‼」

思い切り振った刀から白い線がまっすぐに境内にいる樹毒へと飛んでいく。

―――しかし、その斬撃は境内の石畳をえぐっただけだった。

跳んだのである。尾の先端をこちらへ向けて八幡へと樹毒が近づく。

(やばい―――)

そう思ったのもつかの間、尾の先端から緑色の液体が発射された。 

『――障壁――』

 

毒液は俺の前に突如現れた白い障壁に阻まれ蒸発していった。

「白!シールドみたいの使えるなら早くいってくれ。」

樹毒の高度は下がっていく。跳ぶことはできても飛ぶことはできないようだ。

『申し訳ありません主様。この障壁は主様の魔力を使って発生させているものです。』

「…いや、発動してから言われても…。」

(なんだろう…、もしかしたら白って残念なのか?)

 

「…とりあえず、もっと速く動くことはできないか?最初に脚を切って機動力を落とした方がよさそうだ。」

『あなたがそう望むのであれば。イメージしてください、もっと早く動いて脚を切り落とすことを。』

白が言った通りに目を瞑ってイメージする。

 

(もっと速い自分…)

 

目を開いて落下している樹毒を見る。樹毒が着地するまであと5秒ぐらいだろうか?

ただ今の俺には落下している樹毒がスローモーションに見える。

 

(3,2,1…今!)

 

タイミングを計り樹毒が落下する寸前に地面に着地し白影を横一線にふるった。

その刃と刃から飛ばした斬撃が樹毒の四対あったうちの前二対の脚を切り取りその場から離れるように後方へとジャンプした。

(これぞ、一撃離脱方法!…なんてな)

「!?」

着地しようとしていた樹毒は今まであった脚が半分に減ったことでうまく着地することが出来ずに住宅街の道路に叩きつけられる形となった。

 

『主様すごいです!』

屋根の上に着地すると白は興奮したようにそう何度も繰り返す。

「ああ…で、とどめを刺すにはどうすればいいんだ?」

『あっ、えと…私を樹毒の胴体に十秒ほど刺し続けていただければ封印できます。』

思い出したかのように白が言う。やつが落ちた位置ではまだ土煙が上がっていてやつを確認することが出来ない。

「わかった。煙が晴れたら―――っ‼。」

煙の中から毒液が飛んできた!俺はとっさに他の屋根に移ることでそれを回避する。

 

「あいつ…、鋏を前脚代わりにしやがったのか。」

樹毒は鋏を地面に突き立てて尾からの毒液で攻撃してきたのだ。そして尾からまた毒液を発し……

 

 

前方へと走り出した。

 

「は?」

(なんで俺じゃなくまっすぐに…)

屋根へと飛び移りそんなことを考えた。

『主様!樹毒の前方に生体反応です!』

白が叫ぶ。(っち、そうゆうことか!)

やつの行く先に目を向けて初めて気づいた。――俺以外の人間に――

 

気づいた時にはやつは、小さな存在…茶髪で髪を両サイドに束ねている女の子に鋏を振り下ろそうとしていた。

さっきの感覚がよみがえる…下ろされる鋏がスローモーションに感じられる。だからわかる…

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの速度じゃ間に合わないと―――。

 

 

 

 

 

 

 

そうわかっていても彼は動いた。――助けたいから。

「間に合えええええ。」

刹那、彼の目の前には鋏を振り下ろさんとする樹毒の姿があった。

(―――は?)

とっさのことで戸惑いながらも白影で鋏を受ける。

(意味が分からん、なんでいきなりこいつが俺の前に現れたんだ?)

鋏を受け止めながらもそんなことを考えてしまう。

「ギイ?!」

受け止められた樹毒も驚いている。そして、このままではらちが明かないと考えたのか後方へジャンプし八幡との距離をとる。

樹毒が距離をとったため、状況把握する余裕が少しできた八幡は後ろを振り返ってみる。

そこには腰を抜かして自分を見上げるさっきの女の子がいた。

(白、どうゆうことだこれは?)

短距離瞬間移動(ショートジャンプ)です、主様』

心の中で白に聞くと返事が返ってきた。

(瞬間移動も使えるのか…、だから先に言えって。)

『申し訳ありません。それと、使えるのはあと一回ですので気を付けてください。』

(…わかった。これが終わったらいろいろ聞くからな)

『承知いたしました。』

心の声…、思念通話とでも言っておこうか。思念通話で白との会話を終える。そして、おびえている少女に手を差し伸べた、

「大丈夫?」

少女は俺の手を取り立ち上がる。彼女の頭を優しくひと撫でする。

「今はおうちに帰りなさい。人がいないのが不安かもしれないけれど、ベットで寝て、目を開ければ今まで通りにもどるわ。…だってこれは夢だから。」

そう優しく言ってあげると少女は涙を拭き、コクリとうなづいてから走っていった。

 

 

 

―――強いな…。

そんなことを思った。普通だったらその場で動けなくなってしまっているだろう。

(…というか、女の人のしゃべり方になってた…。ナニコレハチマンワケワカンナイ)

 

恥ずか死しそうな状況を我慢し、前の樹毒を見る。やつはキチキチと体を動かしこちらの見たまま動かない。

『さっきの接触時に電気を流しておきました。しばらくは動けないはずなので今のうちに封印をしてください主様。』

(…残念なのか優秀なのかわからんな…)

それはともかく―――と、八幡は駆け出し樹毒の眉間に白影を刺し込む。

「キイイイイイイ!!」

甲高い声とともに樹毒の尾から俺に向かって毒液が発射される。

(‼――動けないんじゃないのかよ!)

白影を刺した右手はそのままで、左手を毒液に向ける。

『――障壁――』

障壁で毒液を防ぐ。

「今だ白!封印を」

『はい!――――――――封印!』

白影が発光するとともに樹毒が霧となって霧散する。

「これで終わりか?」

『はい、そこにある黒い球に私で触れてください』

樹毒が霧となって消えた後、その場に残ったのはゴルフボールぐらいの大きさの黒い球だった。

「こうか?」

白影を近づけると黒い球は白影の中へと吸い込まれていった。

『封印完了…お疲れ様です主様』

「お疲れ様…、んじゃ俺の家に帰るとするか。」

『はい』

 

――そうして八幡の魔法少女としての長い夜が終わったのだった―――

 

 

 

 

 

 

家に帰ったら、父さんにめちゃくちゃ怒られました。母さんには泣きながら心配されましたです。正直怒られるのよりもきつかった。…ほんとにごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――女の子side―――――

 

今日は入学式だった。学校で友達もできたし、明日からも楽しみだなと思ってベットに潜った。

ドオォォォォォォン!

大きな音がし、地面が揺れ、私は驚いてベットから飛び出した。

「なっ、なに!?」

ベットから飛び出した私はお父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんを探した。

 

けど、誰も家にはいなかった。ちょっとした正義感だったのかもしれない。場所を調べてパトカーや救急車を呼ばないと…、そんな考えだった。

私は家を出て、音のする方へと走っていった。

 

家から少し離れた山の近くの住宅街、その道路の真ん中で大きい何かが動いている―――。

土煙でよく見えなくて、でも場所が分かったから110番をしようと携帯を持った時だった。土煙の中から大きな、子供の私にはとてつもなく大きな黒い塊が私に向かってきた。

「――っぁ!」

声も出すことが出来ずにその場にへたり込んでしまった。

黒い塊は鋏を振り上げ私に向かってそれを振り下ろした。私は、目を瞑ることしかできなかった。

 

でも、衝撃が私を襲うことはなかった。

訳が分からず、目を開けた。

黒い塊と私の間に、白くてきれいな髪をした女の人が立っていた――。

(キレイ。)

こんな状態でもそんなことを思ってしまうほどその人はきれいだった。

 

黒い塊が女の人から離れると、女の人はこちらを向き少しの間ジッと私を見ていた。

「大丈夫?」と、その人は私に手を差し伸べてくれた。私はその手をとり何とか起き上がった。

彼女は立ち上がった私の頭を撫でながら、

「今はおうちに帰りなさい。人がいないのが不安かもしれないけれど、ベットで寝て、目を開ければ今まで通りにもどるわ。…だってこれは夢だから。」

そう言った。私はうなずき落ちた携帯を拾って、彼女に言われた通りに走って家へと帰って、ベットに入り目を閉じた…。

 

朝――、

目が覚めた。夢を見た、白い髪をして耳としっぽが生えたきれいな人が黒い塊に襲われそうになっていた私を助けてくれる夢。

 

携帯のアラームが鳴っている。私は、携帯のアラームを止めるためにベットから出て、携帯に手を伸ばす…、

携帯には夢の中で落とした時のキズがついていた。

(夢じゃ…なかった?)

そんなことを考えていると下の階からお母さんの声が聞こえた―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはー、朝ご飯出来てるわよー。」

「今行くー。」

ぱたぱたと階段を下りる。

(あの人にまた会いたいな。)

そんな考えがずっと私の頭の中に残っていた―――――――――。

 




どうもゲルです。

3話目も無事、無事?投稿できました。
お気に入り登録、感想くれた方々のおかげだと思っております。


戦闘描写は苦手です。ぐっだぐだで申し訳ありません。
ここで、なのはちゃんの初登場です!

無印はオリキャラの入り込む余地がなかったので少しだけ魔法少女になる前に出会わせちゃいました(テヘペロ)

まぁ、今後も頑張って投稿していきたいと思っております。ご意見ご感想ご要望お待ちしております。

では、さらば!


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復讐…ではなく復習もとい確認

今回は説明回です。


「よし、今日はとことん説明してもらうぞ白。」

先日、俺は白影と契約し、魔法少女…って言っていいのかわかんないが変身をした。

そして、その場で樹毒という化け物と戦い勝利し、両親に帰りが遅くてめちゃくちゃ心配された。

その日はさすがに疲れたので飯を食べてそのまま寝た。…成長期だし、あんまり睡眠時間がないと身長伸びないかもとか心配したわけじゃないからな?疲れてたんだからな。

 

ということで、今日は学校へ行き、何事もなく家に帰ってきて、確認をするために部屋にこもっている。

『はい、えーとどこから説明すればよいでしょうか?』

白い鞘に収まり、ベットに立てかけられている白影こと白が聞いてきた。因みに俺は勉強机の椅子に座りこいつと向かいあっている。

「…じゃあ、俺が質問していくから白が答える形式で頼む。」

『かしこまりました主様』

 

「まず、俺のできることの確認だ。空を飛ぶことができて、障壁での防御、高速で移動することが出来る、んで瞬間移動もできる…これはあってるな?」

『はい、あっております。空を飛ぶのは飛行の魔法で、障壁での防御は魔導士方のいう魔力障壁と同様のものと思ってよろしいかと…、それで高速で「まて。」…何でしょうか?』

 

「お前今魔導士って言ったがあーゆうことをできる人間が他にもいるのか?」

『はい、他の世界にはいっぱいいると思います。ただ、地球にはあまりいないものと思っても大丈夫でしょう。私が生まれてから数百年で数回しか視たことがありませんから…』

 

「…まあ、魔導士の話うんぬんはまた後で改めて聞くとして…、俺のことを続けてくれ。」

『えと…、高速で動いたのは主様の動きを魔法で強化したものです。ですが、主様は高速戦が得意のように感じられましたので、今後の特訓次第では強化無しであの程度動くことが可能になると考えられます。また、短距離瞬間移動ですが、これは主様の先天的な資質です。今のままでは先日移動した100メートルほどしか移動できませんが、これも特訓すれば目の届くところならどこでも…といったぐらいに移動できると思われます。』

 

「そうか…、他にはなんかできたりするのか?」

『申し訳ありません…。今の状態だとこれぐらいしかわからないです。私にも封印のようなものが施されておりまして、封印が解けていくほどできることも増えていくと思います。』

なるほど…、つまり特訓をする→レベルアップ→八幡は〇〇を覚えた!ってことになるのか。

「じゃあ、次行くぞ。特訓ってのはどんなことをすればいいんだ?」

『私の中の仮想空間で仮想敵と戦う、魔法を使う、あとは体力をつけたりするなどです』

「普通だな…。」

『そう…ですね』

 

「じゃ、じゃあ気を取り直して次行くぞ。変身するとなんで性別がかわったんだ?」

『わかりません…』

フム…やっぱりか。まあ今後も白のデメリットってことで納得しておくか。

「じゃあ、まあ長くなるのもあまり好きじゃないから聞くが…俺は強いのか?」

『はい!』

即答だった。

『まず、主様の魔力量は今は少ないですが今後どんどん多くなっていくでしょう。それこそどこまで多くなるのか予想もできないほどです。また、主様は体質的に魔力変換資質をお持ちのようです。』

「魔力変換資質?」

『魔力を外に放出する際に現象に変える資質といったところでしょうか。魔力を炎に変えたりすることが出来る資質ですが主様は炎と電気の二つをお持ちのようです。』

 

『ほかにも、接近戦で有利に立てる短距離瞬間移動をお持ちなど上げるとキリがありません。今回相手をした樹毒ですが、普通の魔導士だったら手も足も出ないほどの強さなんですよ?なので、それを封印した主様は間違いなく強いです!』

 

「お…おう。」

ここまで持っているとは…チートかな?

 

「まあ、もう少しいろいろ詰めていくか。」

 

そうして一人の小学生と刀の夜は更けていった。

 




どうもゲルです。

説明回+文字数極少で大変申し訳ありません!

一日中バイトの後は頭が回らんとです。どうかご容赦ください。
でも、一回書くのを止めるとズルズルいきそうな気がしたので投稿しました。


次回投稿未定です。次回はキングクリムゾンして3年生から始めよっかなーとか考えてたりしてます。
はやくリリなのに持ち込みたい!

今回も駄文となってしまいましたが今後とも本作品をよろしくお願いいたします。


では、さらば!


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悩み

今日で戦闘描写はいるぞー。
と息巻いていましたが入れませんでした…。


まあ、とりあえず5話をどうぞ


3年生になりました。―――――

え?すっ飛ばすなって?気にすんな。

 

3年生になるまでに変わったことがいくつかある。

まず、俺に友人というものができた。3年から同じクラスになった月村すずか、アリサ・バニングス、高町なのはの仲良し三人組だ。

そして、白の力の封印をいくつか解除できたこと。これによっていろいろとできるようになった。ここ2,3年はほとんど特訓漬けの毎日だった。実践は樹毒以降はないがイメージトレーニング自体がめちゃくちゃリアルなので実践と何ら変わりがないくらいだと思う。

今のところはそんな感じだ。

 

「おはよう。」

「おはようはっちゃん、ご飯出来てるよ~。」

母さんは今日もニコニコとしており、朝一番に平和を感じさせてくれる。父さんは新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。なんというかとても様になっていると思う。

そして、父さんの横で子供用チェアに座っているのが妹の灯里だ。

灯里はとにかくよく動きどこへでも行ってしまう。母さんは灯里の居場所が分かるようにすぐに見つけられる。近くで見ているとすごく大変なんだろうと思うのだがそれをも終始ニコニコと楽しそうに相手をしている母さんはホントにすごいとしか言いようがない。まぁ、灯里が可愛すぎるのも当然わかる。というかわからないということ自体が分からん。灯里はとてつもなくかわいい(哲学)。「はーおにいちゃん」なんて言われた時には何でもお願いにこたえてしまうほどだ当然だろう。…っと話がそれた、まあ家族四人で朝ご飯を食べて俺は学校へ行く。そういった毎日を送っている。

 

「バスが来たな。」

俺の家は正祥大付属小学校域のバスが一番最初に来るバス停の近くにある。つまり、バスの席を選び放題なのだ。と言ってもいつもきまっている場所にしか座らないのだが…。

「おはようございます。」

バスの運転手に挨拶をし、後ろから二番目の席に座る。ここが俺の指定席だ。時間が進むにつれ小学生がどんどん入ってくる。

「「おはようございます!」

運転手に挨拶する元気のいい声と落ち着いた声が聞こえる。

「おはよー!八幡。」

「おはよう、八幡君。」

「おう、バニングスに月村、おはよう。」

二人は挨拶をして一番後ろの席に座る。っとバニングスが背もたれから顔を出してくる。

「だーかーら、アリサって呼んでっていつも言ってんでしょ!」

どうやら前に要請された名前呼びの件らしい。どうせ月村が抑えてくれるだろうと思って窓の外を見ていた。

「まぁまぁ、アリサちゃん落ち着いて。」

案の定抑えに来てくれたようだ、バニングスも席に座ったようだ。

「でも、私も名前で呼んでほしいなぁ。」

「は!?」

意外なところからの攻撃を受け、焦って後ろを見てしまう。月村はニコッと微笑みこちらを見ている。

「おはよーございます!」

バスの前方、俺の後方から元気のいい声が聞こえる。

「なのは―!こっちこっち。」

バニングスは、手を振り高町なのはを呼ぶ。

「アリサちゃん、すずかちゃん、八幡君おはよー」

「「おはよう」」

「おう」

高町に挨拶した後、俺は向き直って学校につくまでの間寝ることにした。

後ろでは「聞いてよなのは!八幡ったらまだ苗字で呼ぶのよ。」

「にゃはは…、八幡君も強情だなぁ」

なんて話をしていたが関係ない。

 

今俺は教室で授業を受けている。バスを降りたあたりから教室まで3人に「名前で呼んでよー」なんて言われたが「やだ」の一点張りで通した。

 

「―――こんな風にいろんなお仕事があるわけですが、みんなは将来どんなお仕事に就きたいですか?今から考えてみるのもいいかもしれませんよ。」

今は、仕事についてのことを先生が話してくれている。

(…将来か、白お前は今後俺が魔法なんて関係ない仕事についたらどうする?どっか行くか?)

『いいえ、私の魂はいつまでも主様のものです。』

(…そうか)

白は、いつもはミサンガのような形でいる。授業中に授業を受けながら頭の中で模擬戦闘などをするために学校にも持ってきている。なんでも、2つのことを並行してやるのは魔導士として必須なんだとか。

 

そんなこんなで、また一日が終わる。

「なのはー、八幡一緒に帰りましょ。」

バニングスと月村が俺と高町を帰りに誘う。この四人で帰るのは家の方向が同じだからだ。いろいろ雑談しながら帰り道を歩く、俺は相槌を打つくらいだが。

そして公園に入ったのだがなんだが騒がしい。

「あぁ、危ないから入っちゃだめだよ。」

公園の管理員が俺たちを止める。ふと視線を巡らせるとボートや桟橋が壊れている。

(壊れているっていうか…、白、これは魔法が関係しているか?)

『はい、主様。おそらく危険指定物でしょう。海鳴市にはなかったはずですが…。』

 

「あの、なにがあったんですか?」

「いやぁ、はすけとボートが壊れちゃってねぇ…、片づけているんだ。」

「そうなんですか。」

「いたずらにしてもちょっとひどいんで、警察の方にも来てもらっているんだよ。」

バニングスが聞き、管理のおじさんが答える。その間高町はなんだかきょろきょろしている。

(何かを探してるのか?)

『―――助けて――――』

「なのはちゃん?」

高町の動きを不思議に思った月村が心配そうにする。

「すずかちゃん!今何か聞こえなかった?」

「…なにか?」

月村には広域念話が聞こえなかったのか頭にはてなマークを浮かべる。

「ちょっと、ごめん。」

そういって高町は、林の中へと入っていく。そのあとを追って月村とバニングスが入っていくのを俺は見ていた。

「今の広域念話…、高町聞こえていたな。」

『はい、確実に』

「危なっかしい事だったら助けてやるか…友達だしな…。」

『やはり主様は照れ屋さんですね』

白がおかしそうにそういう。うるせぇと白に言い俺も彼女らを追って林に入っていった。

 

林の中を見ると三人がかがんで何かを見ている。

「どうしたんだ?」

「八幡君、この子…」

と高町が三人が見ていた位置にあるものを見せてくれた。

(動物形態になった異世界人ってとこか?でもこの三人の前だし…)

「フェレットか?じゃあ、直接手で触らないように…」

そういって俺はカバンの中からタオルをだして、フェレット(仮)を抱き上げる。

「んじゃ、動物病院に行くぞ。」

そういって、心配そうに見ていた三人に言うと少しだけ顔が明るくなった。

「ありがとう、八幡君。」

高町が微笑んでそう言ってくる。俺は直視できなくて顔をそむけ、

「別に…、それより行くぞ。」

と言い早歩きで動物病院へと向かった。

後ろからバニングスと月村が「捻デレね…。」「そうだねぇ。」

なんて言いながら俺の後をついてきた。高町はやっぱり心配なのか俺の腕にいるフェレット(仮)を見ながら早歩きしている。

 

動物病院についた俺たちは事情を説明しフェレット(仮)の手当てをしてもらった。

「けがはそんなに深くないけど、ずいぶん衰弱してるみたいね。」

「院長先生ありがとうございます。」

「「ありがとうございます」」

「…ありがとう、ございます。」

高町がお礼を言い月村とバニングスが続き、おれが少し遅れてお礼を言う。

 

「いいえ~、まぁしばらく安静にしないとだから明日までうちで預かっておこうか?」

「「「おねがいします。」」」

「…おねがいします。」

三人が声を合わせていった後にやはりおれが遅れてしまう。…声を合わせるとかあまりしないし。

 

院長先生にフェレット(仮)を預け俺たちは解散した。バニングスと月村は動物病院からだと方向が違うので今は高町と二人で帰っている。

「八幡君、ちょっと寄り道していいかな?」

「別にいいぞ。」

高町は不安そうな顔をしてそう尋ねてきた。さっきの一件のことではないのだろう。

 

 

 

 

 

―――朱色に染まった海岸沿いを二人で歩く。

ぽつりぽつりと高町は話し始めた。

「私ね、何にもできないの…。私がちっちゃいときにお父さんが事故にあって入した時があったの、その時丁度翠屋を始めた時で、お母さんは一生懸命私たちに寂しい思いをさせないように頑張ってくれて、お兄ちゃんとお姉ちゃんも家の手伝いとかお店の手伝いとかをしてたの…。そんな時に私は何してたと思う?」

(何もできなかったんだろう。)

だが、俺は言葉にせず無言でいた。

「何もしなかった。何もできなかったの。今でも思うの…、どうして私の手はこんなにも小さくて、こんなにも無力なんだろう…って。]

 

そういうと高町は俺の胸に顔をうずめて来て小刻みに震えている。

 

わかる…。行き場のない気持ちがどこへも出ていかず今日の将来についての授業を聞いてるうちに、自分には何ができるんだろうと考えているうちに思ってしまったんだろう…と。

 

「まぁ…、なんだ。今は周りに誰もいないしもっと吐き出してもいいんじゃないか?」

胸元にある頭を優しくなでてやると今まで我慢していたものが噴き出してきたのだろう、泣き出してしまった。

『主様は罪なお方ですね。』

(黙ってろ白、今はそんな冗談に付き合ってられん)

頭を撫でてやりながら前世でいじめられていた時の妹を慰めていた時のことを思い出していた。

(いまさら、考えたってしょうがないけどな…。)

何もできないことに悔しいのはわかる。だけどわからないのはなぜ俺なのかだ。バニングスや月村といった親友に相談すればいいんじゃないか…と思った。

 

10分ぐらい泣き続けた高町は、泣き終わると顔を赤らめ下を向いて黙ってしまった。

「お前の気持ちはなんとなくわかる。だが間違ってるぞ、お前はお前が思ってるほど無力なんかじゃない。バニングスや月村とお前が友達になったのだってお前がいたからだと思うしな。俺だってお前がいなきゃ…その、あいつらとも知り合ってなかったわけだしな。感謝してるよ。」

「う…ぁ…。」

高町の顔はゆでだこのようになっていた、

「あ、ありがとう。それじゃあ…また明日!」

そういって高町はすごい速度で走って行ってしまった。

(そんなに怒らせるようなこと言ったか俺?)

 

 

 

 

――――なのはside―――――

 

今日の授業で将来のことのお話があった。私は何がしたいんだろう、何ができるんだろうと考えてるうちになんだか寂しいような苦しいような思いになった。

 

怪我したフェレットを預けた後、八幡君に寄り道のお誘いをし、胸の内にあることをすべて話してしまった。

不思議でならない…、八幡君だったら受け止めてくれるんじゃないかと思ったら、口が勝手に動いていた。私がしゃべっている間八幡君は無言で話を聞いていてくれた。

話が終わって、泣きそうになって、泣き顔を見られたくなくて八幡君の胸に顔をうずめた。

彼は、「吐き出していいんだ」と言い、私の頭をとても優しくなでてくれた。泣いている間ずっと…。

 

泣き終わった後は恥ずかしくて彼の顔を見ることが出来ずに下を向いていた。そうしてたら彼が、

「お前の気持ちはなんとなくわかる。だが間違ってるぞ、お前はお前が思ってるほど無力なんかじゃない。バニングスや月村とお前が友達になったにだってお前がいたからだと思うしな。俺だってお前がいなきゃ…その、あいつらとも知り合ってなかったわけだしな。感謝してるよ。」

なんて言って微笑んだ。

「う…ぁ…」

私は八幡君にそんなことを言われるとは思わなかったので驚いて顔を上げると彼は微笑んでいた。

顔が熱くなるのが分かり、これ以上恥ずかしい姿を見られたくなくて走ってその場を逃げた。

 

家に帰ってベットに飛び込む、目を瞑ると彼の微笑んだ顔が浮かんでまた顔が熱くなる。

「どうしちゃったんだろう…私。」

 

お母さんが夕飯できたと教えに来るまで、私はずっと彼のことを考えていたのだった…。

 

 

 

 

ご飯時までフェレットを保護していいかを聞くのを忘れていた高町なのはであった…。

 




どうもゲルです。

どうでしたでしょうか?なんでいきなりこんなに好感度上がってんの?状態でしたが気にしないでください。

次回はついに…ほんとにやっとなのはが魔法少女となるでしょう(仮定)

今後も頑張って投稿していきます。ご意見ご感想ご要望ご質問お待ちしております。

では、さらば


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二度目の…  そして始まり

前回言い忘れていましたが八幡君は樹毒から助けた少女がどんな子だったかは覚えておりません。
自分とおんなじぐらいの女の子を助けた程度の記憶です。



では、どうぞ。


――――なのはside――――

 

『明日学校帰りに動物病院にフェレットの様子を見に行きませんか?』

 

「送信っと。」

アリサちゃん、すずかちゃん、八幡君にメールを送り携帯を充電器に置く。

今日は寝ようと思ってベットへ向かう途中にキィンという甲高い音がしてつい耳を塞いでしまう。

『聞こえますか?僕の声が聞こえますか?』

(この声…、今日も聞こえた声…)

『聞いてください…。僕の声が聞こえる方…お願いです、力を貸して。』

 

その声を聞いた私はすぐに家を飛び出していた。向かう先は今日フェレットを預けた動物病院。

動物病院に着いた私の耳に耳鳴りのような甲高い音が聞こえる。

「またこの音…」

つい耳を塞いでしまった私だが、数秒と立たないうちに風の音や人の生活の音がこの世界から消えたことに気づいた。

不思議に思いあたりを見回していると、病院の庭の方で黒い塊が昼間に助けたフェレットを襲っていた。

黒い塊は庭の壁や木を壊しながらフェレットを追いかけている。

(助けなくちゃ!)

そう思って庭の方へと行く。黒い塊の攻撃をよけてこちらに飛んできたフェレットを受け止める。

黒い塊はムカデのような形をとり、こちらへ突進してきた。

「きゃっ。」

私はしりもちをついてしまったがそれをよけることが出来た。黒い塊は勢いそのまま玄関に突っ込んでしまい身動きが取れないようだ。

「なに?一体何?」

「来て…くれたの?」

胸の中にいるフェレットがしゃべる。驚いて変な声を出してしまった。

「えと…なんなの?一体何が起きてるの?」

しゃべるフェレットに質問しながら起き上がった。

「あの、お願いがあるんです。ぼくに少しだけ力を貸して。」

「ふぇぇ?!」

フェレットの顔は真剣そのものだった。私はとりあえず黒い塊がはまってるうちにその場を離れた。

「お礼は必ずしますから!」

フェレットはそう言った。

「お礼とか、そんな場合じゃないでしょう。」

過去に私を助けてくれた白銀の髪の女性も何も言わずに私を助けてくれた…。そんなことを思い出しながら走っているとフェレットが腕の中から飛び出す。

 

「今の僕の魔力じゃあれを止められない。だけど…あなたなら。」

「魔力?」

聞きなれない単語につい聞き返してしまう。

「ウオオオォォォォォ!」

動物病院の方からあの黒い塊の叫ぶ声が聞こえた。

(きっと、すぐに私たちを探しに来る…それなら)

「どうすればいいの?」

「これを」

そういってフェレットは私に首から下げていた赤い宝石を渡してくる。私が宝石を手にすると宝石が輝き始めた。

「それを手に目を閉じて…心を澄ませて。」

私が集中すると宝石が脈動する。

「管理権限、新規使用者設定フルオープン。」

また、宝石が脈動する。

「繰り返して、『風は空に、星は天に』」

「風は空に、星は…天に」

「『不屈の心はこの胸に』」

「不屈の心はこの胸に」

心が澄んでいくのが分かる、そして次に何を言うのかも

「『この手に魔法を』」

「この手に魔法を…、レイジングハート、セーットアーップ!」

『Stand by,ready.Set up.』

宝石…レイジングハートから機械的な声が聞こえピンク色の光に私が包まれる。そして光は天へと上る。

 

『初めまして、新しい使用者さん』

「へ?あ、あ…初めまして。」

レイジングハートに話しかけられ驚きながらも返事を返した。

『あなたの魔法資質を確認しました。デバイス・防護服ともに最適な形を自動選択しますがよろしいですか?』

「えっと…、とりあえず、はい!」

 

そして、なのはは着ていた服ではない、白い服―バリアジャケット―を着ていた。

「えぇぇ」

(あ、あの人と同じ白色なんだ)

服装が変わっていた事にも驚くが、過去に助けてくれていた人が着ていた服―巫女服―と同じ色で少し嬉しい気持ちになった。

だが、嬉しいのもつかの間、屋根の上には黒い塊がいてこちらへ攻撃してきた。その攻撃をなのはが飛んでよける。そうして高町なのはの戦闘が始まった。

 

 

 

―――八幡side――――

 

『―――聞こえますか?―――』

八幡が家でイメージトレーニングをしていたところ広域念話が聞こえる。

「白、今のは昼間の動物病院からか?」

『はい、主様。どうしますか?向かわれますか?』

「一応行ってみるぞ。…武装―白影―。」

八幡は、銀髪狐耳の巫女服姿の女の子に姿を変え、窓から飛び出す。

「やっぱこの姿には慣れないな。」

『お美しいですよ主様。』

そんな、他愛もない話をしながら八幡は動物病院へと向かった。

 

 

「やっぱりというか、なんというか…、巻き込まれてるなぁ…。」

高町なのはから、魔力が解き放たれるところを透明化の魔法を使いながら見ていた。

「しかし、こんだけの魔力を持っていたとはな…。」

『ですが、主様には及びません!』

手元の白が強く言ってきた。…俺としてはどうでもいいんだが。

「それで白、あそこにいる黒いのはなんだ?」

『主様は最強なんですから!…え?えっと…ロストロギアの異相体だと思われます。』

(こいつの評価はなんでこんなに高いんだよ…)

「まぁ…、助けたいのは山々だが、魔法にかかわっちまった以上今後も戦うことは多くなるだろうから今回は見学するぞ。」

『わかりました。主様が出て行っちゃうと一瞬で終わっちゃいますもんね。』

(いやだから…なんでそんなに評価高いんだっての。まぁ仮想戦闘で慣れてるし、戦闘スタイルの関係上早く終わるだろうけど…)

 

「高町の魔力なら、初めてだろうと大丈夫だと思うけどな。」

そんな話をしながら八幡は姿を消したまま戦闘を見ていた。

(魔法障壁の強度も結構ありそうだし、あの単発の射撃魔法も威力あるな。鍛えれば相当なものになるんじゃないのか?)

そんなことを考えていると高町が撃った射撃魔法で3体に分裂した敵が逃走を図った。

(このままじゃ、逃げられちまうがどうする?)

俺は、敵が本当に逃げないように捕縛魔法の準備をしておく。高町はデバイスに何か言うとこのあたりで一番高いビルの上へと着陸する。

(何をするつもりだ?…あーなるほど砲撃魔法でもするつもりか)

俺の予想は当たっていたらしく高町が砲撃体制に入る。そして…。

 

 

「一撃で三体同時封印って…、あいつ初心者なのにスゲーことやりやがるな。」

『八幡様でもあんなの簡単に…「そういうのはいいって、ああいうのは素直に称賛しとくもんだ。近接型の俺じゃあ一体ずつしかできないからな。」…わかりました』

なんでこいつはこんなにも張り合おうとするのかなぁ…。

高町はデバイスの中に今回のことの発端となったロストロギアを収納し、変身を解除した。

(さて…無事解決したようだし、帰るとするか…―――⁉)

「高町の近くになんか居やがる!」

高町なのはのいるビルを何かがよじ登っていくのを見た八幡は固有魔法を発動させ、すぐに彼女のもとへと向かった。

 

――――――なのはside―――――

 

私がレイジングハートでジュエルシードを触るとジュエルシードはレイジングハートの中へと入っていった。

そして、変身する前の服装へと戻りしりもちをついてしまう。

「大丈夫?」

「大丈夫…だと思う。」

心配して駆け寄ってきてくれたフェレットにそう言い、微笑みかけた。

 

 

――――――その時、私の座っていた地面がはじけた。

下からの衝撃で私はビルの橋の壁に叩きつけられる。

「きゃぁ!」

レイジングハートがとっさに衝撃を緩和してくれたのか痛みはほとんどなかった。私が目を開けるとそこには鎌を持ったムカデの胴体をしたものがいた。

「ジュエルシードの異相体⁉まだいたのか!」

フェレット君は、私とは反対方向の壁で驚いている。ムカデは鎌を大きく振り上げて私へと振り下ろした、私はつい後ろを向いて目を瞑ってしまう。

(あぁ…、なんだか似ているな)

そんなことを思った。過去にもこんなシチュエーションがあったなと…。

そして、私が変身する間もなく鎌が私へと振り下ろされた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――目を開けると、鎌だけが私の目の前を落ちていくのが見えた。

「…え?」

不思議に思って、先ほどのムカデがいた位置に視線を戻すと、二年前に私を助けてくれた女性が立っていて、ムカデは鎌を切断されて苦しんでいた。

 

 

 

――――八幡side―――――

 

「―――瞬動(しゅんどう)―――」

瞬動は八幡が短距離瞬間移動(ショートジャンプ)につけた名前だ。八幡が移動したときには高町なのはにムカデ(おそらくはロストロギアの異相体)が鎌を振り下ろすところだった。八幡はその鎌を根元から切り裂いた。

 

「あっ、あの!」

「少し待ってて、アレを先に倒しちゃうから。」

高町なのはが声をかけてきたので、先に倒す旨を話しムカデへと意識を集中させる。

ムカデはまだ、暴れている。その隙に八幡はムカデとの距離を素早く詰め、白影をムカデの胴体へと突き立てる。

 

「――封印。」

そう八幡がつぶやくとムカデが白い光に包まれ形を崩していく。

その後に残ったのはひし形の宝石だった。

八幡はその宝石を手に取り、少しばかり見る。

(これが、ロストロギアか…。随分とエネルギーを秘めてるみたいだな。)

『わかるんですか主様?』

(なんとなくだけどな、まあこれはあのフェレットが集めてるものっぽいし渡してやるか。)

「これはあなたが集めているものでしょう?」

…と八幡はなのはにその宝石を投げる。

「ふぇ!?」

なのはは驚きつつジュエルシードをレイジングハートで触れ、ジュエルシードを収納した。

フェレットはなのはのそばへと駆け寄り俺を見ている。

(まぁ、いきなり現れたらそりゃ驚くのも当然か…。)

「このあたりにはもうさっきのような異相体はいないわ。また変身したところ悪いけどもうといても大丈夫よ。」

「え?あっはい。」

そういうと、備えとして変身していたなのはが変身を解く。

「それと、そこで魔法の準備をしているフェレット君もね。私から何かするつもりはないから。」

そういって、白影を鞘に納める。

「あのっ!二度も助けてくださってありがとうございます。」

「二度?」

俺は今回しか高町を助けたことはないと思い首を傾げた、

「えっと…、二年前の夜にサソリみたいな黒い怪物に襲われそうになった時です。」

(驚いた…、樹毒から助けた少女が高町だとは思いもしなかった。)

驚きはしたが、その驚きを隠し頭を撫でてやる。

「あの時の女の子だったのね、それが魔導士になってたなんて驚きだわ。」

「私高町なのはって言います。魔法を知ったのも使ったのも今日が初めてなんです。」

「僕はユーノ・スクライアって言います。」

高町と、そばでやり取りを見ていたフェレットが名乗る。

(これって俺も名乗らなきゃ怪しいよな…、八幡じゃばれるしどうしようか…)

『私の名前でいいんじゃないですか?主様』

(なるほどな…、助かる)

 

「私のことは(ハク)って呼んでくださいね、高町さんスクライア君。でも、初めてで異相体を封印しちゃうなんて大したものね。」

ニコリと微笑んでそういうと二人は少し呆けてしまう。いい人を演じるのはとても疲れるなぁとか思っていると、

「じゃっ、じゃあ!私のことはなのはって呼んでください!」「僕もユーノって呼んでください」

二人が声を大きくしながらそう言ってくる。俺はその気迫に負け「ええ…。」と答えてしまった。そして、今が夜遅くということを思い出して

「二人とも、もう遅いから帰りなさい。おうちの人も心配してるでしょう?」

といって、話を終わらせた。高町が帰り際に、

「また会えますか?」

なんて、上目遣いでいうもんだから

「ええ、あなたが望むならきっと会えるわ。」なんて返事をしてしまった。…上目遣いはずるいと思った。

二人を見送り、俺も家へと変えることにした。

 

 

 

 

 

――――なのはside――――

 

今は家のベットで横になって今日の出来事を思い出していた。

変身して戦ったこと…、ユーノ君からジュエルシードについての話を聞いたこと…、そして過去に助けてくれた憧れの女性―白さん―にまた助けてもらったこと。白さんには頭を撫でてもらったり、褒めてもらったりしてとても嬉しかった。

(撫で方がなんだか八幡君みたいだったなぁ・・・。)

そんなことを考えつつ高町なのはは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、比企谷八幡は今日のこと、八幡として高町なのはを撫でてやったことと先ほどの白として高町なのはを撫でたことを思い出し…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何やってんだ、俺はぁああああああああああ!)

…ベットで悶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――とあるビルの屋上に金髪の少女が立っていた。

 

月明かりが彼女の金色の髪を美しく照らす。

「第97管理外世界、現地名称『地球』…、母さんの探し物『ジュエルシード』はここにある。」

『Yes sir.』

 

 

そして物語は進んでゆく。

 




どうもゲルです。

やっと魔法少女リリカルなのはになった!!

全っ然!ストーリーが思いつかない!やばいですよお…
これやりたい!っていう八幡オリストのアイデアばかりが加速している!!
気づいた補足などはちょくちょく入れていきます。

まぁ、これからもアイデアひねり出して投稿していくので本作品をどうぞよろしくお願いします。

あ、ご意見ご感想ご要望ご質問もドキドキしながらお待ちしております。

では、さらば!


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金髪の少女

投稿遅くなって申し訳ありません。
何もかも〇ルクラが面白いのが悪い!


補足ですが、デバイスたちのセリフで簡単な所は英語で、長い部分は日本語で書いてます。

あと、本作は映画版とTV版を混ぜたうえで改変したストーリーとなっております。
今更ながらですがご了承ください。

ジュエルシードは原作では21個ですがちょっと数が増えております。


それとお気に入りが100件超えました!ありがとうございます。
では、どうぞ



今俺は普通に授業を受けている。俺の席はバニングスの横で窓際の席だ。

「…」

ふいに横を見るとバニングスが授業を聞かずに何かを見ている。不思議に思って視線を追ってみると、その先にいたのは高町だった。多分イメージトレーニングをしながら授業を聞いているんだろうがはたから見ると上の空に見える。バニングスと廊下側の席から高町を見ている月村には心ここにあらずみたいな感じに見られているのだろう。

 

そして授業が終わり、放課後になった。

「八幡、ちょっと来なさい。」

そそくさと家に帰ろうとしていた俺を高町たちといたバニングスが呼ぶ。

 

「なんだよ、家に帰ってのんび「いいから!」…はい。」

有無を言わさずとはよく言ったものだ、何にも言わせてくれない(泣)

 

俺が近寄るとバニングスが、

「あんた、明日明後日空いてる?」

と聞いてきたので、俺は空いてないと答えた。

 

「じゃあ、オッケーね。明日は翠屋JFCの応援で、明後日はすずかの家でお茶会だからね。忘れずに来なさいよ。」

 

…あれ?おかしいなー

「おい、バニングス俺土日は無理だといったはずだが?」

 

「どうせ家でゴロゴロしてるだけでしょ!なら来なさい。」

 

…どうやらバニングスは俺の休日の過ごし方を知っているようだ。正確にはトレーニングなんだが、それを言えるわけでもない。高町も月村も呆れながら笑っている。

 

「明日はすまんが無理だ。灯里と一緒に午前中留守番するんだ。明後日は行けたら行くってことでいいか?」

明日は父さんと母さんが午前中、町内会とかで家を空けるため俺が灯里とお留守番であり、明後日は少しゆっくりしたいためにそういった。

 

「まぁ、それならしょうがないわね…。でも、日曜日のお茶会は行けたらじゃなくて遅れてもいいから必ず来なさい!」

 

「まあ、わかった。でも俺がいてもつまんないと思うぞ?面白い話なんてできないしな。」

女子同士で話したいこともあるだろう…とやんわりというと。

「そういうのはいいから来なさい。」

とバニングス。

「私は八幡君にも来てほしいなぁ。」

と月村。

「は、八幡君と一緒に居たいの!」

と高町。

まぁ、バニングスはともかく、月村と高町は勘違いされるからそーゆー言い方はやめた方がいいと思う。…心臓に悪い。

 

「わかったよ。じゃあ遅れていくわ。」

そういうことで話がついた。

 

 

「じゃあ、私とすずかはお稽古があるからここで。」

 

「うん、アリサちゃんすずかちゃんまた明日ね。」

「じゃあな。」

 

「「ばいばーい」」

二人は手を振りながら帰っていった。

「じゃあ、八幡君私たちも帰ろうか。」

 

二人で帰り道を歩く。隣を歩く高町を見る。

 

――この少女は数日前に魔法少女になったというのに一人で既にあの後2つのジュエルシードを封印している。…俺は近くで見ているだけで手は出していない。

白として高町にあったのは高町が初めて魔法少女になった日だけだ。それ以外は姿を消している。

なぜかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――恥ずかしいからだよ!口調も変わるし名前で呼ばなきゃいけなくなるだろうしな。

 

 

 

「どしたの?」

高町が俺の視線に気づきこちらを向く。

「いや、何でもない。MAXコーヒー飲みたいなと思ってただけだ。」

 

「それって私を見る必要ないよね!」

高町はツッコミのセンスがありそうだ。…と

「じゃあ、俺はこっちだから。」

 

「うん、じゃあ八幡君はまた明後日だね。ばいばーい。」

そして別れ家に着く。

(そういえば、高町の家って道場あるって言ってたな。今度行ってもいいか聞いてみよう。)

 

「ただいまー。」

「お帰りはっちゃん。」

「お帰り。はーおにいちゃん。」

家に帰って出迎えられて、ご飯を食べて、イメトレをして寝る。

こうして俺の平和な時の一日は過ぎていく。

 

 

――――はーおにいちゃんと呼ばれたときに顔がだらしなくなってしまうのは兄として当然だと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、土曜日の午後…というか夕方。

俺は今金髪の女子と一緒にベンチに腰かけている。

 

―――――――――なぜこうなったかと説明すると…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、灯里とのお留守番が終了しゴロゴロしようとしたところ父さんからお使いを頼まれてしまったのだ。普段の俺だったらもちろん断ったのだが、MAXコーヒーを箱で注文していいと頼まれたのでは断ることはできなかった。

そして道を歩いていたところで、なんか挙動不審にしている金髪の少女を発見、

 

「おいあんた、落とし物でもしたのか?」

…つい声をかけてしまったのである。少女は驚いたように目を見開きしかしすぐに表情をもどす、驚いた顔の幼さと真顔に戻った時の少し寂しそうな顔がなんだか放っておいたらいけない気がしてしまった。

 

「…何でもないです。気にしないでください。」

彼女はそう言うが、どうしてもほっておくことが出来ない。

 

「そうはいってもな…、で何を落としたんだ?」

 

「…なんで?君は手伝おうとしてくれるの?」

「わからん、あんたがなんだか寂しそうにしていたから…だと思う。」

 

「っ⁉」

また、彼女は目を見開いた。俺はなんか変なことを言っただろうか。

 

「…じゃあ、探し物よりもこの街を案内してくれないかな?」

少女は少し考えた後にそう言った。

 

「まあ、手伝うって言ったのは俺だし…いいか。」

そういい少女にこの街を案内したのだった。

 

 

そして、空が赤く染まり始めたころに俺と金髪の少女は海鳴臨海公園のベンチで休憩したのだった。

 

「なあ、この街案内したのはいいんだが、引っ越してきたのか?」

MAXコーヒーを飲んで一息ついた後にそう聞いた。

「う…うん。つい最近この街に来たんだ。それでちょっときょろきょろしちゃって。」

「そうか…。今日回り切れなかったところはどうする?」

MAXコーヒーを飲み干し聞いた。少女にもこのソウルドリンクを渡してある。今じゃ千葉県民ってわけでもないが…。

 

「できればその…」

彼女は少し距離を詰め上目使いで俺を見る。

 

「また明日もお願いできない…かな?」

 

「…わかった。だけど明日は午前中だけでいいか?そのあと用事があるんだ。」

「うん!じゃあ明日の9時にここで待ち合わせでいいかな?」

彼女の顔は年相応の明るさを見せる。それだけで今日案内してよかったと、声をかけてよかったと思わせてくれる。

…こんな考えは前世の俺じゃああまりしなかったと思う。今じゃあまり覚えていないがあの後輩と一緒に過ごすようになる前は誰かに話しかけるということ自体もできなかっただろうしな。

 

「おう、もしもなんかあったら連絡してくれ。」

とメモ帳の一ページを破り彼女に渡す。彼女は首を傾げながらもそれを受け取る。

「…俺の電話番号だ。」

「ありがとう。それじゃあ私はそろそろ帰るね。」

「おう、また明日な。」

「うん!今日はありがとう。このコーヒーも甘くておいしかったよ。」

そういい彼女は帰っていった。

 

 

俺はしばらく彼女が返っていった方を見たまま動かなかった。

『主様?私たちも帰らないとご家族の方に心配されてしまいますよ?…あるじさま?』

「おい白、あの子は最後になんて言って帰っていった?」

『えと…、今日はありがとうでしたが?』

 

「馬鹿野郎!そのあとだ!」

『も、申し訳ありません。このコーヒーも甘くておいしかったよ…です。』

やはり聞き間違えではなかったのか。

「コレの良さが分かる人間だったとは…。」

そういって俺は手元の黄色に黒で縞々が入った空き缶を見る。

『そういえば、主様はその飲み物ばかり飲んでおりますよね?おいしいのですか?』

「ああ、これは俺のソウルドリンクだ。」

『そうなのですか。ぜひ飲んでみたいものです。』

 

「刀は飲み物なんて飲めないだろ。」

『そうですね。あっ、そろそろ帰らないと怒られてしまいますよ。』

 

「そうだったな、帰るか…。」

そうして俺は帰路についたのだった。

 

 

 

―――――――やはり帰りが遅いと怒られてしまった。

 

 

 

 

 

――――少女side――――

 

母さんの探し物をしにこの『地球』という世界に来た。母さんの探し物の『ジュエルシード』を探すために今日は街の中を散策していたのだったが、突然後ろから声をかけられた。

声をかけてきたのは同い年ぐらいの少年だった。

誰かに声をかけられるとは思わなかったので驚いたが、すぐに表情を戻し、探し物を手伝ってくれるという彼の申し出を断った。

 

「で、何を落としたんだ?」

彼は断ったというのに一緒に手伝おうといってきた。…普通だったら断られた相手のことなど気にすることもないだろう。私も普通のことはよくわからないが…私だったら断られたら立ち去るだろう。

不思議に思った。だから聞いてしまった、

「なんで君は手伝ってくれようとするの?」

 

彼はこの問いにわからんと答えた。…私が寂しそうに見えたとも。

私は二度も彼に驚かされた。ただ、彼は引きそうになかったので街の案内を頼んだ。

「まあ、手伝うって言ったのは俺だしいいか。」

そういって彼は街のいろんなところを案内してくれた。

 

私の行ったことのない学校や病院、図書館にゲームセンターという場所、色々なお店などほんとに色んな場所を教えてくれた。

「そろそろ、終わりにするか…。ちょっとそこのベンチで待ってろ。」

そういって海の見える公園のベンチを指さした。彼は少し遠くへ行ったのか見えなくなってしまった。

 

私は、母さんのために探し物をしなくちゃいけないのに…、こんなことをしている余裕はないのに、なぜこんなにも胸があったかくなるのだろうか。

「待たせたな。」

そんなことを考えていたら彼が両手に黄色い缶を持ってベンチに座った。

「ほらよ。」

そういってそのうち一つを私に手渡してきた。

「ありがとう…。」

彼はプルタブを開け、その飲み物を飲むと、

「なあ、この街を案内したのはいいんだが引っ越してきたのか?」

そう聞いてきた。

「う…うん。つい最近この街に来たんだ。それでちょっときょろきょろしちゃって。」

嘘は言っていない。

「そうか…。今日回り切れなかったところはどうする?」

少し遠慮気味に彼が聞いてきた。

 

 

本当はこんなことしてる暇はないのだけれど…、

「また、明日もお願いできないかな?」

頼んでしまった。現地人とはあまり交流を持たない方がいいと思ったけど、彼とはもう少し一緒に居たいとも思った。

彼は「わかった」と了承してくれた。その言葉が嬉しくて、明日の朝早くから約束をした。

 

彼はそのあとポケットからメモ帳を取り出し何かを書いた後にそのページを破って差し出してきた。

私は意図が分からずについ首をかしげてしまう。

 

「俺の電話番号だ。」

私は彼の連絡先をもらい彼に感謝を述べた。

「今日はありがとう、このコーヒーも甘くておいしかったよ。」

そういって彼と別れ、今住んでいるマンションへと帰った。

 

「フェイト!今日はどうしたんだい、連絡もつかないし!」

マンションに帰ると私の使い魔であるアルフがすぐに私の所へ来た。

「え?」

…通信をオフにした記憶はない。私は愛機であるバルディッシュを見る。

『sorry master』

バルディッシュが自身で通信をオフにしていたようだった…。

「どうして通信をオフにしたのバルディッシュ?」

『マスターが楽しそうにしていたもので。』

彼はそう答えた。

「私のことを考えてくれてたんだね、ありがとう。でももうこんなことしちゃだめだよ。」

彼は私のことを考えていてくれたのだろう。

『Yes sir』

「ごめんねアルフ、でも問題ないから。」

そういって心配させてしまったアルフの頭を撫でてあげる。

「そうかい?ならいいんだけどさ…。明日はどうする?」

 

「明日の午前中は分かれて探して、午後から合流しよう。」

「わかったよ、フェイト。」

 

そうして私とアルフは眠りについた。

 

 

 

――――――明日、彼にまた会うのを楽しみにしながら…。

 




どうもゲルです。
前書きにも書きましたが、ここ二日ギ〇クラを今更ながら見ていたので投稿遅くなってしまいました。
あと、フェイトと八幡の出会いをどうするかが難しすぎました。

ぐっだぐだですが気づき次第間違えなどは修正していきます。

次話どうしようと頭を抱えながら頑張りますので今後も本作をよろしくです。


では、さらば。


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八幡の日曜日~午前中~

ごめんなさい、全然かけなかったです。

文字数少なめ、ストーリーも全く進まずと申し訳ありません。



ではどうぞ


『主様、起きてください。あの子との約束に遅れてしまいますよ。』

白に起こされ時計を見ると、今は8時20分だった。

家から海鳴臨海公園は走って30分近くかかってしまうので急いで準備を始めた。

 

「なんで、今日に限ってこんなに遅く起きるんだよ。」

 

そう、いつもはトレーニングのために6時くらいには目が覚めるのだが今日に限ってはなんでか起きることが出来なかった。

 

『それは主様が昨日の遅くまで起きていたからです。コーヒーなんて飲んで眠れなくなりますよって注意も致しましたのに』

 

「すまなかった。……これじゃあ朝飯は抜きだな。白、身体強化を少しばかり頼む。」

 

どたばたと慌ただしく着替えをしながら言う、

 

『わかりました。ちゃんとご家族に行ってきますは言うんですよ。』

 

「お前は俺のオカンか。」

 

階段を下りてリビングにいる母さんと父さんに行ってきますと言って家を出た。

 

「走るのは本当に疲れるからやなんだけどなぁ…」

 

『あの子、帰るときすごくうれしそうでしたよ?』

 

「わかってる。遅れるわけにはいかないからな、全力で行くぞ。」

 

そう言って走る、時には車を追い越したりしている。まあ、当然ながら透明化の魔法を使ってるから問題ないんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――着きました。

時計台の時計を見ると時刻は9時5分だった、俺は息を切らしながら昨日彼女と別れたベンチへと向かった。

金髪の少女は下を向いていた。

 

「すまん、少し遅くなった…。」

 

そう声をかけると彼女は顔を上げ少し微笑んで、

 

「大丈夫だよ、わがまま言って早く来たのは私だから。」

 

そう答えた。彼女の寂しそうな瞳が気になって昨日は俺らしくない行動をとったというのに、今日は俺が彼女に寂しい思いをさせてしまったかと思うと自分に腹が立った。

 

「本当に遅れてごめん。お詫びと言ったらあれだが飯でもおごらせてくれ。」

 

そういって、頭を下げた。

 

「本当に気にしてないから大丈夫だよ。だから、頭を上げて……えっと」

 

彼女が何か言おうとしているが続きが出てこない。俺は顔を上げ彼女の顔を見ると同時に彼女は、

 

「君の名前…私知らないや。」

 

「比企谷八幡だ。」

 

「はち…まん?」

 

そういって彼女は首をかしげる、こういう時は年相応の表情を見せてくれる。…でも、いきなりの名前呼びはビックリするからやめてほしい。

 

「―――ああ…、変な名前だけどな。」

 

一呼吸おいてそう言い肩をすくめて見せた。

 

「ううん、とってもいい名前だと思うよ。私の名前はフェイト、よろしくね八幡。」

 

彼女は頭を振ってそう言って手を差し出してきた。。この名前を変と言わずにいい名前と言ってくれたのはフェイトで3人目だった。いい名前じゃなくて「面白い名前じゃない。」って言ったやつもいたけれど…。

俺は彼女から差し出された手を握る。

 

「よろしく、フェイト。」

 

「うん、それじゃあ最初はどこを案内してくれるの?」

 

握手を交わすとフェイトはそう聞いてきた。

 

「そうだな…まずは「ぐうううう」……すまん。」

 

「ふふふ、いいよ。まずはご飯食べに行こうか。」

 

俺の腹の激しい自己主張に一瞬驚いたフェイトだったが、すぐに笑ってご飯にしようと歩き出した。

 

「じゃあ、八幡のおすすめのお店に行きたいな。」

 

「わかった。少し歩くけどよく行く喫茶店があるんだ。」

 

俺はフェイトの横に並び俺の良く行く喫茶店「翠屋」へと向かった。――――

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――フェイトside――――――

 

 

 

今日は午前中に昨日会った男の子に街の案内をしてもらう予定だ。

私は、約束の時間の9時よりも少し前に約束の場所のベンチに座っていた。

座っている間はいろんなことを考えた。あの人はどうして私のことを気にかけてくれるのか今日聞いてみようだとかどんなものが好きなんだろうとか…他にも色々。家族のこと以外でこんなに考えたことはあっただろうか…。

 

ふと気が付くと公園の時計は9時を指していた。

…なぜだか不安になった。ただ私は楽しいことなんてしてはいけないんじゃないかと考えてしまい俯いてしまう。

 

「すまん、少し遅くなった。」

 

声がかけられる。昨日も聞いた少し低めだけどすごく安心する声。

私が顔を上げると昨日の彼が額から汗を流し、息を切らしていた。私はさっきまでの暗い気持ちを隠して微笑んで「大丈夫」と伝えた。

 

「本当に遅れてごめん、お詫びと言ったらあれだが飯でもおごらせてくれ」

 

彼は頭を下げてそう言った。本当に人のことを良く見ているんだと思う。きっと私のこともわかってしまったんだろう。

だけど、私がわがままを言って彼を謝らせてしまうのは申し訳ないと思った。

 

「本当に気にしてないから大丈夫だよ、頭を上げて…」

 

名前を呼ぼうとして詰まってしまう。

(そういえば彼のこと何も知らないな。名前も…)

 

「そういえば、君の名前知らないや…」

 

「比企谷八幡だ。」

 

彼はこちらを見てそう言った。その名前の響きを確かめるように口にする。

 

「はち…まん?」

 

「―――おう、変な名前だろ。」

 

と彼は肩をすくめた。きっとあまりいいふうに言われたことがないのかもしれない。

 

「ううん、とってもいい名前だと思うよ。私の名前はフェイト、よろしくね八幡。」

 

そう言って、手を出した。本で読んだことがあるだけだからあまり詳しくないけれど、これからも彼とは仲良くしたいから握手を求めた。

 

「よろしくな、フェイト。」

 

彼は少し躊躇したように見えたけどちゃん握手に応じてくれた。

どこへ行こうか、八幡に聞くと彼のお腹が大きな音でなったからご飯を食べることになった。

大きな音に驚いてしまったけれど、大人びて見えていた彼が恥ずかしそうにするものだから少し笑ってしまった。

 

 

 

彼と並んでお店まで歩いて行く間私は少し考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――母さんともこんな風に楽しく過ごせるようになるかな?と

 




どうもゲルです。

申し訳ありません、一日分書くぞーと思ってましたが無理でしたので分けて書くことにしました。

あと、書き方をちょっと変えてみたのですがどうでしょうか?
読みやすくなってればいいなあ…
ご感想ご意見ご希望ご質問お待ちしております。


補足ですが八幡は翠屋の常連ではありますが翠屋が高町家経営とは知らないです。


ではさらば。


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邂逅


補足です、
八幡は翠屋へ良く行く→高町家が経営していることは知らずなのはが手伝っている時には偶然にも来店したことがない。

翠屋(士郎)→八幡のことを少年と呼ぶ。マッカン仲間。なのはと同い年ぐらいだろうなぁくらいにしか考えていない。

ではどうぞ



「お、少年じゃないか!横の可愛い子は少年のコレか?」

 

そう言ってこの店の店長が小指を立てる。明るくてイケメンな店長さんで俺はマスターって呼んでる。

 

「違います。とりあえずいつものサンドイッチと例のコーヒーを二人分でお願いします。」

 

そうマスターに言ってからフェイトを連れて窓際の席に座る。

 

「ねえ八幡…これって何?」

 

席に座るとフェイトが小指を立ててそう聞いてきた。

 

「あー…、まだフェイトは知らなくていいことだから気にすんな。」

 

(だれだ!この純粋な子に無粋なことを教えようとしたのは!!)

 

俺は少しの間頭を抱えてフェイトに心配された。

 

「ほい、お二人さんお待たせ。おすすめサンドと少年専用コーヒーだ。」

 

そう言ってテーブルに二つのトレーが載せられる。

 

「食べたいものとか聞かずに注文して悪いな、多分気に入ると思ったから。」

 

「ううん、あんまり自分で食べたいものとかないから大丈夫だよ。このサンドイッチは?」

 

「右からタマゴサンドで、ポテサラサンド、フルーツサンドだ。まあまずはこのコーヒーから飲んでみろよ。サービスでお代わり自由にしてくれてるんだ。」

 

「うん。……‼これって昨日飲んだ缶のコーヒー?」

 

昨日フェイトがマッカンをうまいと言ってくれたからな。

 

「そうだ、この街じゃここだけしか扱ってなくてな。サンドイッチもうまいから食ってみろよ。」

 

「うん、…いただきます。」

 

そうして二人で他愛のない話をしたりしながら朝ご飯を食べたのだった。

 

「最近、あんまりご飯をおいしいとか思わなかったけど、八幡と一緒に食べたからかな?とってもおいしかった。」

 

サンドイッチを全部食べ切ったフェイトに言われ、

 

「……まあ、ここのは美味いからな。」

 

眼を合わせるのが少し恥ずかしくて外を見ながらそう答えた。

 

「今日はどこを案内してくれるの?」

 

「今日は俺の好きな静かな場所とかを紹介しようと思ってる。昼とかになると騒がしくなるけどここもその一つだ。」

 

そう言ってコーヒーを飲み干す。

 

「んじゃあ、行くとするか。」

 

そう言ってお会計を済ませて二人で店を出た。マスターが「お幸せに~」なんて手を振りながら言うもんだからおばさま方がくすくす笑って恥ずかしかった。

……フェイトは頭にはてなマークを浮かべていたけどな。

 

―――――12時近くになったころにはこの街のマッカンが売ってる自販機とその周辺の景色が良くて人が全く来ない場所を案内することが出来た。

案内し終わった後にフェイトが急いで帰ってしまったが何か用事でもあったんだろうか?

 

俺はそのままバスでのんびりと月村邸へと向かうのだった。

 

 

 

―――――――――なのはside――――――

 

今私はすずかちゃんのお家で3人でお茶会をしています。今ここにはいませんが後から八幡君も来てくれるというのでとっても楽しみです。

ユーノ君が子猫ちゃんに追いかけられたり、メイドのファリンさんが転びそうになったところをすずかちゃんと二人で受け止めたりトラブルはありましたが今はお庭でまったりおしゃべり中です。

 

「しっかし相変わらず、すずかの家は猫天国ね。」

 

アリサちゃんが私たちのいるテーブルの周りで遊んでいる子猫たちを見て言う。

 

「子猫たち可愛いよね、八幡君が来たら驚くんじゃない?」

 

「そうだねぇ、八幡君猫好きだといいんだけど…。」

 

私が言うとすずかちゃんは少し心配そうに答える。猫が苦手な人にとってはここは少しいずらいかもしれない。なにせこのテーブルの周りだけでも十数頭はいるのだから。

 

「でも、八幡君だったら好きじゃなくても気にしなさそうなの。」

 

「そうねえ、猫苦手でも「別に気にすんな…」とかぶっきらぼうに言いそうよね。」

 

「アリサちゃんの八幡君のマネ似てるの。」

 

「そうだね。」

 

3人で笑っていた時だった。

 

 

――――すぐ近くでジュエルシードの発動が近いのが分かった。

 

『なのは!』

 

ユーノ君が私に念話をつなぐ。

 

『うん、すぐ近くだ!』

 

『どうする?』

 

ユーノ君がそう聞いてくる。二人は今近くにいる猫を抱き上げて撫でたりしている。私が悩んでいるとユーノ君がテーブルから降りて走り出してしまった。

 

「ユーノ君?」

 

「あらら、ユーノどうかしたの?」

 

アリサちゃんが聞いてくる。

 

「何か見つけたのかも。ちょ、ちょっと探してくるね。」

 

そういうとすずかちゃんが心配そうに、

 

「一緒に行こうか?」

 

と聞いてきてくれる。

 

「大丈夫、すぐに戻ってくるから。」

 

そう断って私はユーノ君の後を追った。だけど間に合わなかったみたいでジュエルシードが発動してしまった。

 

「僕が結界を張るからなのははその間に変身を。」

 

「うん。レイジングハートお願い。」

 

『stand by, ready.』

 

私が変身したころにはジュエルシードは完全に発動してしまって、虎のような羽の生えた異相体がいた。

 

「アクセルシュート!」

 

私は4発の魔力弾で異相体へ攻撃する。異相体は羽を使って飛び上がりアクセルシューターを避ける。

 

『flier fin』

 

私も異相体を追って空を飛ぶ。

 

「アクセルシュート!」

 

今度は二発に数を減らしてスピードと威力を上げて攻撃する。

 

「ウオオオォォォォ。」

 

二発のうち一発が羽の根元にあたり異相体が地上へと落下する。

 

「てぇぇぇぇぇい!」

 

落ちた異相体に魔力を纏って突撃する。攻撃は成功して異相体はダメージを追って今私の足元にいる。私はレイジングハートを向けた、

 

「ジュエルシード封印!」

 

しかし、異相体は下半身を切り離して羽を再生させて空へと逃げてしまった。私が追おうとすると黒いマントをした金髪のきれいな女の子が異相体へと近づいていき、

 

「ジュエルシード、封印!」

 

異相体を縦一閃に切り裂いた…。そして空にはジュエルシードと金髪の女の子だけが残る。

彼女と目が合う…。

 

(なんて奇麗な子なんだろう。)

 

そんなことを考えた。彼女はそのままジュエルシードへと近づいていく。

 

「あ、待って。」

 

そういうと彼女は黒い斧をこちらへ向け魔力弾を自分の周りに待機させる。

 

「あなたもそれ、ジュエルシードを探しているの?」

 

私は彼女と同じ高さまで飛びジュエルシードを挟むように対面してそう聞いた。

 

「それ以上近づかないで。」

 

彼女の表情は厳しくそう答えた。

 

「お話ししたいだけなの、あなたも魔法使いなの?とかなんでジュエルシードを?とか。」

 

そう言って彼女に近づく。彼女は、

 

『fire』

 

待機させていた魔力弾を発射させてきた。

私はそれを急上昇して躱す。さっきまであの子がいたところにあの子の姿はなかった。

 

(後ろにいる!)

 

『Scythe Slash』

 

彼女の背後からの攻撃をさらに上昇して躱す。攻撃が速すぎてロングスカートの一部が切られてしまったが…。

 

彼女は私を見るとまっすぐにこちらへ飛んできて大鎌になったデバイスを振り下ろす。私はレイジングハートでそれを受け止める。

 

「待って!私…戦うつもりなんてない!」

 

「だったら…私とジュエルシードに関わらないで。」

 

彼女は大鎌を押し込んで私との距離をいったん空ける。そして離れた位置で大鎌を振り上げ、

 

『Arc Saber!』

 

魔力の刃を私に飛ばしてきた。私は魔法防壁を張る。

 

『Protection!』

 

だけど、私の目の前で

 

『Saber Explode』

 

刃が爆発した。私はそれを防御しきれずに墜ちてしまう。私は片目をかろうじて開けて彼女を見る。彼女は魔力弾を待機させており…

 

「ごめんね…。」

 

私は打ち出された魔力弾で地面に叩きつけられてしまった。魔力弾は電気を帯びていたようで私はしびれたまま動けなくなってしまう、

 

「今度は手加減できないかもしれない、ジュエルシードは…諦めて。」

 

ジュエルシードをデバイスに収納して彼女がそう言って飛んで行った。私はその言葉を聞いた後に意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

――――目を覚ましたのは夕方だった。私はベットで横になっておりすずかちゃんとアリサちゃんが私の顔を覗き込んでいた。その奥では椅子に座って八幡君がこちらを見ていた。

 

「私…どうして?」

 

そう問いかけた。

 

「八幡がすずかの家のインターフォン鳴らす前に林で倒れているあんたを見つけて運んできてくれたのよ!怪我だってしてたし!何があったのよ!」

 

アリサちゃんが起こったように言う。

 

「ごめんねアリサちゃん、八幡君も…その、ごめんね。」

 

「別に気にすんな、怪我とか具合とか大丈夫か?」

 

「うん、ちょっとした切り傷だし大丈夫。」

 

「そうか…。」

 

そう言って彼は黙ってしまう。

 

「アタシの質問に答えなさいよ!」

 

アリサちゃんに怒鳴られてしまう。…でも言うことが出来ない。どうしようかと思っていると、

 

「バニングス、高町も今はそれどころじゃないだろうし、後は家族に任せて退散するぞ。…月村も邪魔したな。」

 

そう言ってアリサちゃんを連れて出て行ってしまう。廊下からはアリサちゃんの声がまだ聞こえている。

 

「私もお兄さん呼んでくるね。ちょっと待ってて。」

 

そう言ってすずかちゃんも部屋を出て行った。

 

『なのは、大丈夫?』

 

ユーノ君がそう聞いてくる。

 

「私は…大丈夫。みんなに心配かけちゃったね…。」

 

私のせいでみんなに迷惑をかけてしまったことが悔しくて俯いてしまう。

 

(もっと、強くなりたい。強くなってみんなに迷惑をかけないように、あの事ちゃんとお話しできるようになりたい)

 

――――――その思いが私の胸の中で大きくなった。

 

 

 

 

 




どうもゲルです。

今日は日帰りでちょっと遠出をしたので投稿が遅くなりました。

やっとなのはとフェイトを出会わせられた!

というか書いてて思ったのですがフェイトと八幡って相性がものすごくよさそう…。
今後どう書いていこう…

まぁ、ご感想ご意見ご要望ご質問お待ちしております。


ではさらば!


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相談

投稿遅れて申し訳ございません。

今回は短めです。

UAが10000突破!ありがとうございます。


――――今は放課後、俺は自分の席に座って帰ろうともせずに外を見ていた。

 

(昨日の高町の様子からして怪我した原因はジュエルシードだと思うが、そのくらい強い敵だったってことか?いやしかし…)

 

俺は昨日月村邸に行った時に怪我している高町を見つけた。その時のことを考えている時、机を叩くを音が聞こえてそちらを向く。

 

「謝るくらいだったら、事情くらい説明しなさいよ!」

 

バニングスが高町の机を叩き、怒鳴っていた。高町は小さく「ごめん…。」と謝っている。怒ったバニングスは俺の方に向かってくる。殺されると冗談を考えていたら

 

「八幡!今日ちょっと付き合いなさい。」

 

帰りのお誘いをいただいてしまった。

 

「すまん、今日は俺用事が…「…お願い。」……わかった。」

 

その後月村を誘い三人で帰ることになった。俺は帰り際に高町の近くに行き

 

「お前を心配してるだけだと思うから、説明できるようになったら説明してやれよ。じゃあな。」

 

そう高町に告げ教室を後にする。

そして、そのあとはバニングスに言われるがままバニングスのお部屋にお邪魔しています。

……バニングスの家も月村に負けないぐらいの豪邸で広い。高町と俺はとんでもないやつらとお友達なんだなー(棒)

紅茶を飲んで一息ついたバニングスが口を開く。

 

「ねえ、八幡あんたなんか知ってるんじゃないの。」

 

静かな口調、真剣に俺の眼を見る。バニングスの隣にいる月村も同じように俺のことを真剣に見ている。

 

「…二人で話し合って俺に聞こうと思ったのか?」

 

「ええ…。なのはから話してくれるまで待とうって決めたんだけどね。あんたには聞いておきたくて。」

 

「悪いが知らん。知ってたとしても多分言わないと思うぞ。」

 

「そう…よね…。」

 

バニングスが肩を落とす。月村はそんなバニングスをなぐさめている。

 

「こんなことを言うのはなんだが。高町は今自分の中での答えを出そうとしてるんだと思うぞ。お前らの事を本当に友達だと思っているからこそちゃんとした答えを出すまで言いたくないのかもしれん。…だからお前ら二人で決めた待つっていう選択肢は正しいと思う。」

 

柄にもなく長くしゃべってしまった。二人だって驚いて目を見開いてるじゃんか。

 

「…そうよね。なのはがちゃんと言ってくれるまでアタシたちはいつものあたしたちのまま言ってくるまで待ってやろうじゃない!」

 

「うん。なのはちゃんが言ってくれる時になるまで二人でいい結果になるよう応援しようね。」

 

高町と俺は本当にいい友達を持ったもんだな。待つということも闘いだとなんかで呼んだことはあるがこの二人なら負けることはないだろう。

 

「八幡君、ありがとうね。私たち本当はちょっと不安だったの…。なのはちゃんが何も言ってくれないのは私たちを信用してないからだって…。でもさっきの八幡君の言葉聞いてそんなことはないって思えたよ。」

 

「また不安がらせるかもしれないが、俺だって確証はないんだぞ。それなのにその言葉を真に受けちまっていいのか?」

 

「うん、だって八幡君はいつもぶっきらぼうだったりするけどちゃんといつも私たちを見てくれている優しい私たちの大事なお友達だもん。」

 

「そ、そうね。八幡は私たちの大事な友達…だからね。」

 

二人にそういわれて俺は言葉を発することが出来なくなる。そんなことを言われるなんて思ってもなかった。素直にうれしいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、また明日。」

 

「「また明日ー。」」

 

バニングスと月村と別れる。時刻はそろそろ19時になるといったところだ。

あの後は、少し話をしたりゲームをしたりして過ごした。自分たちの方針を決めたからか二人はすっきりとした顔をしていた。

 

 

『主様、ジュエルシードの反応です。』

 

「わかった。位置は?」

 

『二か所ございます。一つには魔導士と思われる反応がありますがもう一か所の方にはありません。』

 

「じゃあ、魔導士の反応がない方に行くぞ。――武装、白影――。」

 

 

 

 

あの二人のためにも高町の用事をさっさと終わらせないといけないな。

そんなことを考えながら俺はジュエルシードの発生位置へと向かった。

 




どうもゲルです。
投稿これからは少しばかり遅くなるかもしれません、ご了承ください。

フェイトと八幡を出会わせてしまったことにより今後の展開をどうするか本気で考えつかずに休憩回みたいのを挟んでしまいました。

どーーしよーの一言に尽きます。なんも思い浮かばない…。

まあ、ご感想とかいっぱいもらえるとやる気もいっぱいになるかもですのでお待ちしております。



ではさらば


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鋼鉄の〇〇

どうも磯山ゲルです。

4か月ぶりの投稿ですが文字数は少ないです。
これからも、ちょくちょく落ち着いた時間に投稿していきたいと思います。


では、どうぞ


「〇ランスフォーマーだなあれ…。」

 

ジュエルシードの発生源近くに着いた俺は今道路で悠々と歩いている鉄の塊を見てそうつぶやいた。

一軒家のの屋根の上に居ても視線が下へと行かないほどの巨体、トラックっぽいパーツやタイヤなどが人の形をしている。誰しも一回は見たことはあるだろう機械が人の姿になって戦う作品、そう!ト〇ンスフォーマーだ!

 

…変なテンションになってるな俺。

 

『主様、先程から心此処に在らずといった様子ですがどうなさいました?』

 

「いや、大丈夫だ。それよりも無機物もジュエルシードの影響を受けたんだな。あれは、結構堅そうだ。」

 

俺を心配する白を誤魔化しつつ奴をどうするかを考える。

 

『おそらくですが、アレに対しての斬撃は有効ではなさそうです。元々堅牢であることもありますが、魔法力によって防御力も上がっているようにも思えるので。』

 

白がアレ…めんどいからコン〇イでいいや。コン〇イの解析を行う。

 

「まぁ、一度斬ってみなきゃわからんこともあるだろ。行くぞ。」

 

そう言って俺は屋根から屋根に飛び移りコン〇イに近づく。

 

「GOOOOOOOM!」

 

コン〇イがこちらに気付きその大きな鋼鉄の拳で殴り掛かってくる。結界は既に張ってある。こちらも本気で行ける。

 

「———参の太刀…、火陀怜」

 

そう言い放ち、只々コン〇イの横を通り抜ける。

 

「GOO!?」

奴は驚いている。

——当然だろう、コン〇イからしたら確実に当たったと思っていた拳が空を切っていたのだから。

それに…、

 

「GOOOOOO!!!」

 

自分の拳に10以上の傷がついていたのだから驚くだろう。

しかし、それは八幡にとっても驚きだった。

 

「まさか、こんなに浅いなんて思わなかったな…。」

 

八幡は、コン〇イの拳を十等分にするつもりだったのだが、奴の拳は健在である。

 

『主様、やはり斬撃は効果が薄いのではと考えられます。』

 

「考えられますじゃないからね?実際に効果薄かったからね?てかお前が斬りつけたようなもんだろ。なんで気づかないんだよ…。」

 

こんな時でも白は少しおっちょこちょいなところを出してしまう。八幡は「こいつはアホの子だな…。」と改めて思うのだった。

 

「GOOOOMM!」

 

そんなことをしている間にコン〇イは八幡の姿を見つけまた殴り掛かってくる。

 

「おっと!…さっきも思ったがパワーだけはあるなこいつ。」

 

コン〇イの攻撃を難なくかわす八幡。しかし彼も攻めあぐねる。

それだけ相手の装甲が堅かったのだ。ただでさえ鉄でできている車を刀で切るのは難しいというのにジュエルシードといった魔力タンクから魔法で防御力まで上乗せしているのだから。

 

「しかし、どう攻めたもんかな。一番はジュエルシードの場所を調べてそれを封印か…。調べることはできるだろうが、その後の封印がなあ…。」

 

『とりあえずは、ジュエルシードの場所を調べておきませんか?主様。』

 

「そうだな、じゃあとりあえず…『影縫い』」

 

八幡がそう言いつつ、魔法で刀身が黒い小太刀を生成し、それをコン〇イの足元にできた影に投げつける。

 

「GO!?」

 

小太刀は相手の影に突き立ち、そして刀身の部分すべてが影の中へと消えた。

 

「よし、行くぞ。」

 

八幡がコン〇イの足元へ瞬動を使って近づき、触れる。

コン〇イは動かない、いや動けなかった。

 

「影縫い」とは、その名の通りその場に縫い付けるものである。刀が刺さり続ける限り影を持つものはその動きを封じられてしまう。

 

「さて…」

 

八幡はその女性の手でコン〇イの足に触れ目を閉じる。

 

「魔力の流れを探ってジュエルシードの居場所を探す…。」

 

時間にして十数秒だろうか、八幡は足から手を放し距離をとる。

 

「やっぱりというか、心臓と同じ位置か…。一番装甲が厚い部分じゃねえか…。」

 

彼はあきれる。装甲の薄い部分であればまだやりようはあったかもしれない、だが厚い部分となると彼の行動は一つしかない。

 

「装甲はがすしかないよな…。」

 

刺さっていた小太刀が「カラン」とお音を立て影から抜け落ちる。

そして、鋼鉄の巨人がその大きな体を小さな少女に向けて走り出した。

 




いかがでしたでしょうか?

私事ではありますが、ツイッターを始めましたのでフォローとかしてくれると嬉しいです→@isogeruge8

イラスト絵を投稿したりするかもしれません。てかフォロワー増えたらしたい。


あともう一つ、TS転生ものを書き始めたのでよかったらそちらも読んでいただけると嬉しいです。

ではさらば。


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夜の終わり

どうも
失踪者磯山ゲルでございます。

一年ぶりぐらいに投稿させていただきました。

え?なんでこんなに間が空いたのかって?

…アレだよアレ。





…すいません。急になんか書けなくなりまして。


ま、まぁ久々の投稿で展開もグダグダですが許してください。
とりあえずどうぞ


「これで何合目になるんだよ…、いい加減疲れてきたぞ」

 

俺は〇ンボイもどきから距離をとってそうつぶやく。

あいつは、俺がコアの場所を調べた後に動きを変えてきた。コアのある胸の位置を隠すように腕で覆い、背中から新しい腕を生やして攻撃したり防御したりしてきたのだ。正直なところ斬撃では今のあいつには傷をつけることしかできていない。

 

『あの異相体は、今の状態が一番の状態のようですね…。ですが今が一番ということはこれ以上はないはずです!主様の斬撃で真っ二つにしてしまいましょう!』

 

「いや…、斬撃が効果ないのに何で真っ二つだよ…。てかあのジュエルシード?とかいうのも切っちゃって大丈夫なものなのか?」

 

…こいつは本当になんというか残念度が増してきているよな。

 

『私に主様の魔力で炎の力を付属していただければ可能です。』

 

「そうかい…。ここ2年間でそんなこと聞いたことなかったけどな。」

 

『そっ、それは申し訳ありません。その…、主様の剣術があまりにも見事だったもので忘れてしまっていました。』

 

「はぁ…。そういうことはちゃんと事前に言っておいてくれよ?今後もこう言った戦いがあるかもしれないからな?」

 

『はい!申し訳ありませんでした!』

 

「今回はいいや…。とりあえずその方法で行くしかなさそうだな。…やるぞ。」

 

俺は数メートル先で様子を窺っているコンボ〇をみる。

白の言っていた炎を纏うことは恐らくだが…できる。白に教わらないでも自分でできるんだろうというのがある。

 

(しかしまぁ、影縫いをして動きを奪ったとしても少しばかり時間が足りなさそうなんだよなぁ…)

 

どうしたものかと頭を悩ませていた時にソレは起こった。

 

「GOOOOOO!?」

 

 

 

——————————————地面…、いや空間が揺れコンボ〇がバランスを崩す。

 

(今だ!)

 

俺は瞬動を使って奴の背後へ一瞬で回り込み具現化させた影の小太刀を放り投げる。

 

「影縫い。」

 

これでバランスを立て直した後すぐに奴の動きを止められる。

そうして俺は頭の中に浮かぶイメージを言葉にして具現化する。

 

「わが焔よ。我に従い力となりて現界せよ————。」

 

俺の周囲に熱が舞い、炎に代わっていく。

 

「わが刀に纏いて、我に仇名す力を灰燼と化せ。———鬼炎————。」

 

俺の周囲を舞っていた炎が白の刀身に集まる。

白の刀身には色が変わり白色になった炎がオーラのようにゆらゆらと揺れていた。

 

『主様、今のは…、それにこの炎は————。』

 

「白。」

 

『は、はい』

 

「行くぞ」

 

『はい!わが力、主様とともに!』

 

俺は影縫いの効果が切れこちらに攻撃を仕掛けようとしている奴に刀を振るう。

 

「弐の太刀ー浮雲ー」

 

刀は振るわれた鉄腕をするりと通り抜け胸の前にある二本の腕をも通り抜ける。

 

————ドロリと奴の腕が落ちる。切断面は赤いペンキのようになっており、地面に落ちるとコンクリートをも溶かしていった。

 

「GOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」

 

「悪いがもうここまでとしよう。伍の太刀————神成————。」

 

いうなれば牙突と類似しているこの技は俺が持っている中でも最速。

奴の体を突き抜けて地面に着地する。奴の体には刀が通ったとも思えない大穴が開いていた。

 

「これで終了だな。」

 

奴の体は崩れ落ちジュエルシードが姿を現す。

刀を振るうと白色の炎は霧散した。少しばかり周囲の気温は上がったと思う。

 

「ジュエルシード封印っと。」

 

ジュエルシードを白の刀身へとしまい込む。

 

『お疲れ様です主様!最後の攻撃凄くかっこよかったですし、お美しかったです。』

 

「いや美しいとか言われても…、まぁいいか。」

 

興奮気味の白の言葉を半ば諦め気味に受け取った。今回の戦いは終わったが…、

 

「あの振動が気になるな…。」

 

『恐らく大きな魔力がジュエルシードに影響を及ぼした結果でしょう。向かいますか?』

 

「そうだな、ここまで魔力の余波が来たんだ。少なくとも無傷ってわけないだろうからな…、行くか。」

 

『かしこまりました。』

 

そう言って俺は地面を蹴って先ほどの振動の震源地へと向かった。

 

 

 

———————————————————

 

 

ユーノside

 

なのはとあの金髪の女の子の魔力衝突でジュエルシードが暴走してしまった。

その暴走で強い次元振を起こしてしまい二人のデバイスがボロボロに傷ついてしまい、ジュエルシードも金髪の子に取られてしまった。

 

「なのは…。」

 

僕の呟きはなのはには届かない。そんな時だった、

 

「ここで一体何があったの?」

 

凛とした声。

忘れもしない僕がなのはと出会った日、敵を倒して油断して襲われそうになったなのはを助けてくれた人の声。

 

「白さん!」

 

「お久しぶり…かな?ユーノ君で会ってたわよね?」

 

「はい、そうです!」

 

僕がそういった後白さんはちらりと僕の奥に視線を移す。

 

「それで、一体何があったのかしら?」

 

なのはを見ているんだ。

なのはは今あの場から動けないでいる。戦いの消耗もそうだけどジュエルシードの暴走で受けた魔力のダメージが多いからだろう。そのことを含めて僕は白さんに今日の戦いの事を伝えた。

 

「…そう。そんなことがあったのね。」

 

そうつぶやくと白さんは何かを考えるように顎に手を当ててなのはを見ている。

 

(何を考えているんだろう?)

 

「…あ。」

 

何かを思い出したように顔を上げた白さんがこちらを振り向く。

 

「そういえば、さっき別の場所で封印したの忘れてたわ。これ、集めているんでしょう?」

 

白さんがかがんで手を差し出す。

僕が何だろうと思い手のひらを覗き込むとその手のひらにはジュエルシードがあった。

 

「は、白さん!これ!え?!」

 

「あなたたちが封印しようとしてたジュエルシードとはまた別の場所で見つけたのよ。ほら貴方に返すわ。」

 

「ありがとうございます!」

 

僕は彼女からジュエルシードを受け取った。

(僕らが戦っている間に、別の場所でもジュエルシードは発動していたんだ…。もし白さんが見つけてくれていなかったら…。)

 

町に被害が出てしまっていた。

そんな考えをしてしまい、僕は自分が情けなくて下を向いてしまった。

 

「ここで落ち込むのはあまりよくないわよ。」

 

そう言って白さんはなのはの方へ歩いていく。

そして立ち止まって僕の方を向いた。

 

「どうしたの?あなたは彼女のサポート役でしょ?一緒に来ないの?」

 

僕はハッとする。

(そうだ!僕がなのはを回復してあげないと!)

 

「はい!行きます!」

 

僕は白さんが歩いた後に続いてなのはのもとへと向かった。

 




うん、八幡が八幡じゃないのはわかっているんですよ。
誰だこいつ状態ですが勘弁してけろ。

しかしお話は全然進展せず。
申し訳ないです。

今後も気が付いたら
アレ?話数増えてる。みたいなことあると思います。末永くどうか本作品をよろしくお願いします。

感想質問評価いただけると嬉しいです。

それではアデュー


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決意…そして再びの…

こんばんにちは
磯山ゲルです。

また、約1年ぶりの投稿となります。
なんだかんだで書きたい気持ちはあっても他の事に気が行っちゃって投稿できずじまいで申し訳ないです。
そしてお話も進んでいない…。

ま、まぁ、今後もね、頑張っていこうと思うので、うんとりあえず読んでいただければと。

ではどうぞ


「ごめんね、レイジングハート…。」

 

ひび割れたレイジングハートはぼんやりと光るだけで何も言わない。

 

「自己修復機能は作動させたから大丈夫だよ。すぐ直るよなのは。」

 

「うん…。」

 

ユーノ君に言われ私はベットで横になった。電気を消し天井を眺める。

 

————————私、強くならなきゃ。

 

そう思った。

あの子に勝ちたいっていうこともあるかもしれない。

あの人に助けてもらってばかりが嫌だからかもしれない。

でも、何かもっと違うことのため…。

それが何かはわからないけれど今のままじゃいけない。

そういう気持ちが強くなっていた。

 

八幡side———————

 

朝日が昇り始めている。

こんな朝早くから目が覚めちゃうから小学生って怖いな…。

 

『主様?どうしたのですか、こんなに朝早くから。』

 

『白か、いや昨日のことを考えていたんだ。』

 

『昨日ですか、たしか彼女たちとは異なった勢力…。今後の対応ですか?』

 

『まぁ、そうなんだがな。今後俺はどういった風に関わっていくべきなのかと思ってな。』

 

完全に敵と言い切ってしまえればそれでよかったんだが、昨日ユーノから聞いた話では高町はその敵対している少女としっかりと話したいんだと思う。

何故そう思ったか?

それは、高町・バニングス・月村の三人と友達となるきっかけを見ていたからだ。月村がバニングスからいたずらをされていたころに高町が正面切ってバニングスに問い詰めた。二人は喧嘩になったがいたずらをされていた月村が喧嘩中の二人をノックアウトし、収拾がつかなくなってしまったところで俺が仲裁に入り4人でつるむようになったのだ。

 

…まぁ、何が言いたいかというと。高町はまっすぐなんだ。ただひたすらに前だけを見る。もちろん立ち止まることもあるだろうが、必ず再び歩き出す。そんな少女なのだ。

 

「だからなのか…。」

 

俺が今も前を向けているのは。過去…生前にあったことを忘れてはいないが今の比企谷八幡とはまた別であると割り切れているのは。

 

「まぁ、考えてもしょうがないことか。」

 

『白』

 

『はい、主様。』

 

『今日の訓練を始めるとしよう。今後も必要となりそうな技をもう一度体に覚えさせておきたい。』

 

『承知いたしました。』

 

 

 

———なのはside——————

 

「であるからして、目に見えている月が形を変えるのは…」

 

授業を受けているときに横から視線を感じてみてみるとアリサちゃんがフンっと視線をそらした。事情を話せないからまだ怒っているんだろうなと少し寂しくなってしまう。

八幡君は、アリサちゃんの後ろの席でぼーっと外を見ていた。

 

————何を考えているんだろう?

八幡君は事情を話していないけれど、いつものように接してくれている。

そんな彼は、私の今の事を知ったら「そうか…。」なんて言うだけで特に何も変わらないんだろうか?それともびっくりしてくれるんだろうか?

そんなことを考えてしまった。

 

 

授業も終わり、スクールバスから降りると電柱の陰からユーノ君が出てきた。

 

「なのは。」

 

「ユーノ君」

 

ユーノ君の首にはレイジングハートがぶら下がっていた。

 

「レイジングハート、治ったんだね。」

 

「condition green」

 

「また一緒に頑張ってくれる?」

 

「all light my master」

 

「あっ」

 

レイジングハートが自分の事をマスターと認めてくれたことに驚いて小さく声を上げていまった。レイジングハートを優しく手のひらで包み込み目を閉じる。

 

(これからもよろしくね。レイジングハート)

 

心の中でそう伝えた。

 

 

———場所は変わって工場地帯。

 

私は道の真ん中に落ちているジュエルシードを横目に、こちらに向かってくるあの子の方へと歩を進める。

彼女もまた、こちらへ向かって杖を構える。

 

「あの…、フェイトちゃん?」

 

「フェイト…テスタロッサ。」

 

彼女は一瞬驚いていたが、答えてくれた。

 

「うん、私はフェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど…」

 

「ジュエルシードは、譲れないから。」

 

「私も譲れない。理由を聞きたいから。フェイトちゃんが何でジュエルシードを集めてるのか。どうしてそんなに寂しそうな瞳をしているのか。…私が勝ったらお話、聞かせてくれる?」

 

風が吹き抜ける。

 

私とフェイトちゃんが駆けだす。

 

————瞬間、私とフェイトちゃんの間に青い光が入り込んだ。

 

「そこまでだ!」

 

私とフェイトちゃんの動きが封じられた。

間に入った男の子が手をかざし身分証のようなものを出す。

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。」

 

ユーノ君とアルフさんが驚いている。

 

「さて、事情を聞かせてもらおうか。」

 

男の子は私とフェイトちゃんを交互に見る。

私は何が何だかわからなくて動けなかったけれど、アルフさんがクロノと名乗った男の子に攻撃し、それを防いでいた。

 

「フェイト、撤退するよ!」

 

アルフさんの攻撃をクロノ君は私ごと守ってくれた。

煙で見えなかったけれど、クロノ君が攻撃し、アルフさんの「フェイト!」という声が聞こえたところで煙が晴れ始めた。

 

負傷しているフェイトちゃんに抱きかかえているアルフさん。そして攻撃しようとしているクロノ君。

 

「だめぇ!撃っちゃダメぇ!」

 

私が声を上げるとクロノ君がこちらを向く。

 

だけど準備された攻撃は発射されていて…。

 

 

「だめぇ!」

 

その攻撃はフェイトちゃんに向かっていく。

 

(フェイトちゃんを助けて、ユーノ君、白さん…

 

 

八幡君!!)

 

 

 

 

 

パキィィィン!

 

フェイトちゃんに向っていた攻撃は光の粒へと姿を変えた。

 

「行きなさい。その子のけがを治してあげなさい。」

 

凛とした声に反応して、アルフさんとフェイトちゃんがこの場から姿を消す。

そしてこの場に残ったのは四人。

私、ユーノ君、クロノ君、そして…

 

「白さん!」

 

今までフェイトちゃんたちがいた場所に立ち、クロノ君の攻撃を切り捨てた白さんは頬をポリポリと掻く仕草をしながら苦笑する白さん。

 

「えーっと…、逃がしちゃダメだったかしら?」

 

茫然とするクロノ君の前にモニターが表示される。

モニターには緑色の髪をした女の人が写っていた。

 

『クロノ執務官、お疲れ様。』

 

「すみません艦長、片方逃がしました。」

 

『うん、まぁ大丈夫よ。詳しい事情を聞きたいわ。その子たちと彼女をアースラまでご案内してね』

 

「了解。」

 




いかがでしたでしょうか?

八幡がいいとこどりをしすぎているのはしょうがないですね。
だって今まで見たアニメキャラの男性では1・2を争うほど好きなんですもん。

まぁ、なにはともあれ正直作者的にも投稿できてホッとしています。
今後もどうか末永くよろしくお願いいたします。

ご感想などもお待ちしていますのでどしどしくださいね。

あ、追記ですが、
白さん状態の絵とかあったほうがいいでしょうかね?
色なし状態であれば何とか投稿とかできるかもしれないですが…。
そちらのほうについてもご意見お待ちしています。
ではまた次回お会いしましょー


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勘のいい女性は苦手だよ

どうも磯山ゲルです。

いつも読んでいただきありがとうございます。
楽しんで読んでいただけていればうれしい限りです。

休み最終日ということで連投!
人間やればできるもんですねぇ、話自体進んではないけど。

(5/8追記)下書きですが白さん状態の八幡の画像を出しておきます。全体像じゃありませんが!
気に入っていただけると嬉しいなぁ

↓白さん

【挿絵表示】



まあ、細かい話はさておき本編どうぞ。


———八幡side———————

 

気が付いたら「アースラ」という船の中で高町と並んで歩いていた。

 

(なんで、こんなことになってんだっけか?)

 

 

まず、自宅に戻った時にジュエルシードの反応があります。と白から言われ武装展開して現地へ向かった。向かった先では高町が動きを封じられており、動きを封じたと思われる少年…多分同年代ぐらいが高町の正面に向って攻撃を加えようとしていた。

まぁ、ちょうど高町の正面ぐらいから見えたから攻撃される相手の顔は見えなかったんだけど…。

それで、どうしようかと悩んでいるときに高町の「だめぇ!」という声が聞こえ思わず瞬動を発動し攻撃を防いでいた。

 

(なんで動いちまったのかはわかんねぇよな…、あの時は様子見が最善だったはずなのにな。)

 

そして、攻撃された相手を確認したらつい最近一緒に行動したことがあるフェイトだった。

俺は、フェイトを抱きかかえている女性に「行きなさい」と言って逃がしてあげた。

それから、時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンにここアースラまでご案内されたというわけだ。

 

 

「あぁ、君たちバリアジャケットは解除して。」

 

前を歩いていたハラオウン執務官は振り向くとそう言った。

高町はすぐにバリアジャケットを解除し制服姿になっていた。

 

(やばいやばい!この状況で高町に知られるのはものすごく恥ずかしいことになるぞ!女装…なのか?これは。いや!そんなことよりもそういった趣味があると勘違いされると今後が!)

 

「白さん?」

 

高町が心配そうにのぞき込んでくる。

こちらは内心ヒヤヒヤだが、少し微笑み高町の頭を不意に撫でてしまう。

 

(こんなところでお兄ちゃんスキルを発動してしまうなよ俺!)

 

そして、ハラオウン執務官に向き直る。

 

「ごめんなさい、私のこの状態は簡単にはといてはいけないの。武装解除ということだったらこの白影を預かるだけにしてもらえないかしら?」

 

白影に手をかざし、ハラオウン執務官にそう言うと彼はため息をつきながら「わかった」といい手を差し出してきた。

彼に白影を渡したところで、彼は俺たちの後ろをついてきていたユーノに目を向ける。

 

「君もだ、それが本来の姿じゃないんだろう?」

 

「あぁ、そういえば。」

 

二人の会話を聞いた高町が不思議そうにユーノを見るためにその場にかがむ。

ユーノが光り始め人の姿に変わる。

俺は、なんとなくそんな気がしていたから特に驚きもしなかったが、高町はユーノが喋るフェレットだと思っていたのか、驚き、ユーノを指さしたまま固まっていた。

 

「なのはにこの姿を見せるのは久しぶり…だっけ?」

 

驚いている高町に手を指しのべるユーノ。

 

「ユーノ君って普通の男の子だったんだ!」

 

「えぇ!白さんにはこの姿を見せたことなかったけど…。」

 

そこまで言い、思い出したかのようにこちらに向き直る。

 

「そうでした。白さんにはこの姿を見せたことはなかったですけど、改めて、ユーノ・スクライヤです。」

 

「なんとなく、普通の子だとは思ってたから改めなくてもいいわよユーノ君。」

 

ふふっと微笑む仕草も入ってしまう。

 

(なんかだんだんと女っぽくなってきてるよな~)

 

『微笑んだ姿もお美しいです主様!』なんて念話のBGMを聞き流しつつ遠い目をしていると、何故だか高町が頬を膨らませながらこちらを見ていた。

 

「白さん、ユーノ君のことは普通に呼ぶのに私の事名前で呼んでくれたことないですよね!」

 

どうやら、ユーノの事は名前で呼んでいたが高町のことは呼んでいなかったことが不服だったらしい。

 

「今!私の名前言ってみてください!」

 

「えっと…、なのは…ちゃん?」

 

「はい!」

 

満面の笑みを浮かべる高町。

 

(名前で呼ぶなんてこと今までなかったからなぁホント。この姿だからできたことか…。ㇵァ…。)

 

「コホン!」

 

咳払いが入り二人してそちらを向く。

 

「とりあえず、こちらを優先してもらっていいか?」

 

「「「あ、はい」」」

 

三人の返事が重なる。

 

 

ハラオウン執務官に連れてこられたのは和をモチーフとした部屋だった。

 

(というか、桜あるし水流れてるし…、すごいなこの部屋)

 

部屋の中央には、先程モニターに映っていた緑の髪の女性が正座で座っていた。

俺達は、女性の前にユーノ・なのは・俺という順番で座った。

 

「なるほど、あのロストロギア…ジュエルシードを発掘したのはあなただったんですね。」

 

「はい…。」

 

「あの、ロストロギアって?」

 

なのは…ンンッ!高町が女性に問いかける。

 

「んー、異質世界の遺産って言ってもわからないわよね。」

 

と、そこからロストロギアについての説明が始まった。

ジュエルシードは莫大なエネルギーを秘めたもので、この前の空間の揺れは高町とフェイトの魔力に反応して起こった『次元震』らしい。

 

(ん?じゃあ樹毒のコアもなにかしらの力を秘めてるのか?)

 

『樹毒も根本的には同じようにエネルギーの塊ですが、この二年間で内部の魔力を無害なものに変換して主様の戦いのサポートように回しています。』

 

白が俺の考えを聞いたのか念話で答える。

 

『まぁ、無害ならそれでいいんだけどな。』

 

 

「だから、ジュエルシードの回収はこれより私たちが担当します。」

 

「君たちは今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻るといい。」

 

「でも!」

 

「まぁ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう。今夜一晩二人で話し合ってそれから改めてお話をしましょ。」

 

二人に向かい、女性はそういった。

 

…あれ?二人?俺は?

 

 

「それと、あなたは別で少し残っていただけるかしら?」

 

やはりというか、女性はこちらを見てそう言った。

 

「白さん…。」

 

高町が心配そうにこちらを見つめる。ユーノもだ。

 

「心配しないで大丈夫よ。それと、ジュエルシードの件、私が手伝うかどうかも貴方たちで決めてしまって構わないわ。」

 

フェイトが関わっているのであれば同志として見過ごせないと思う。それに、高町もユーノもきっとこの件にはかかわりたいと思っているはずだ。こう答えておけばいいだろう。

 

「わかりました。それでは失礼します。なのはも行こう。」

 

「う、うん。」

 

ユーノに手を引かれ高町達は部屋を出て行った。

 

 

「それじゃあ、何故先程の攻撃を防いだのか聞かせてもらってもいいか?」

 

後ろに立っているハラオウン執務官が俺にそう聞く。

 

「まぁ、その前にその格好ももういいんじゃないかしら?」

 

…は?

 

目の前の女性は今何と言った?もういいんじゃないか?俺の事を知っていたのか?

いやでも、後ろのハラオウン執務官は特に言及はしなかった。なんでだ?

女性は変わらずニコニコとしている。

 

「知っているんですか?」

 

何を…とは聞かない。きっと聞いても意味はないだろうし、もしも俺の事を知らないでただ武装解除をしろと言っているだけなのかもしれない。

 

「知ってはいないけど…、そうね、女の勘ってものかしら?」

 

ふふふと頬に手を当て俺の問いに答える。

ああ…、これはわかっているんだろう。

ホントに何だろう、全てを見透かされている感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これだから、大人の女性は苦手なんだ。

 




いかがでしたでしょうか?
まぁ、リンディ提督はなんかこう何でも知ってそうな雰囲気があるんですよね。

ともあれ、今回は連休ということもあり出来たことですが、今後はそうもいかないかもです。(努力はしますが)

感想などお待ちしております。
ぜひぜひくださいな(別に催促しているわけではないですからねホントですヨ?)


まぁ、またいつか登校しますので気長にお待ちいただければと思います。
それではアデュー!


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