ある人々の話をしよう (締切り3秒前)
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善き人々の話をしよう
終章の直前までですが、微妙にネタバレがあります
また、7章までもネタバレがあったりなかったりします
1.5部楽しみですね
――善き人々の話をしよう
彼らは天文台に勤める、一般の職員だった。古今東西の英霊を率いる力もなく、曲者ぞろいの魔術師と渡り合う交渉力も少ない。ごく一般的な、普通の職員たちだった。
あるものは医療スタッフとして。
あるものは調理スタッフとして。
あるものは技術スタッフとして。
歴史に突然浮かんだシミを拭い去るという、人類史において名誉ある大事業に携われることを誇りに思いながら、その日を迎えた。
――その爆発が起きた時、彼らは様々な要因で難を逃れた
あるものはたまたま用を足しに行って。
あるものはたまたま交代の時間だった為。
あるものはたまたま別の配置だった為。
そうやって、運よく死を免れたのは、ほんの20人程度。トップである所長を失い、頼りになる技術者も爆発に巻き込まれた。レイシフトのノウハウを知っているものの大半も、もはやこの世にいない。繰り上げ式にトップにたってしまった青年は、分野が全く違う医療部門の責任者。
スタッフは混乱した。
外に助けを求めに行くもの。
同僚の死に泣き崩れるもの。
必死に現状を把握しようとするもの。
その混乱を収められたのは、ひとえに青年の普段の行いのおかげだろう。
最初に気づいたのは、現状を把握しようと、レイシフトの様子を確認していたスタッフと、トップに立たされた青年だった。
――特異点に飛ばされた者がいる
意味消失の恐れを知るスタッフは、急いで青年に説明する。まだ生きているかもしれない、なら、死なせてはならない。成果を出すためではなく、生存者を守るために。何より、大人の都合で巻き込んだ者を死なせるのは、
トップの青年もその意味を知っていたらしく、レイシフトスタッフからアドバイスをもらいながら、スタッフに指示を出した。
混乱を極めながらも、このトラブルが終われば、外部から救援が来る。そう信じて、彼らは必死に戦った。
――その期待は、すぐに裏切られることになるが
――人類は、世界はとっくになくなっていた
かつてともに肩を並べていた技術者が、嗤いながら所長を殺すのを、彼らは見ていることしかできなかった。
無理もない、彼らには力がないのだ。化け物と戦う力が。
特異点から命からがら戻ってきた少女達。意識不明の彼らを医務室に搬送し、スタッフは対策会議を開く。
医療スタッフは、医者としての観点から、休息が必要だと主張した。
技術スタッフは、新たに見つかった特異点を示し、これを復元しなくてはいけないと主張した。
調理スタッフは、今ある食糧庫の在庫を表に出し、生きる為には自給自足が必要と主張した。
20名あまりの少人数でも、意見は飛び交い、一つにまとまるころには数時間が経過していた。
人理定礎の復元。それはまだ10代の2人には重すぎる任務だ。だが、彼ら以外にそれをできる人間はいない。ここにいるスタッフには、時代を飛ぶための適性がなかった。
せめて、もう1人でも適正者が生きていれば、負担は軽かっただろう。
せめて、自分たちに適性があれば、彼らを戦場に放り出す真似などしなくてよかっただろう。
特異点へ向かい、そこで様々な事態に遭遇する彼らを見ながら、スタッフは願う。どうか、生きてくれ。その場から逃げてもいい、戦いをしなくてもいい。もう嫌だと泣き叫んでもいいから、生きてくれと。弱音を吐いてくれたら、どれだけよかったことか。
だが、彼らは弱音1つ吐くことなく、特異点を駆けていった。そんな、震える足でもって必死に進む彼らに対し、人々ができることは、精一杯のサポートだけだった。
医療スタッフは常に、彼らの体調を把握、調子が悪い時は問答無用でドクターストップをかけた。
技術スタッフは常に、レイシフト先の様子を観測、接敵の危険を伝え続けた。
調理スタッフは常に、様々な料理を考案し、スタッフや彼らの胃を満たしていた。
中でも、トップになった青年の負担はかなりのもので、スタッフはそれを軽くできるよう、馬車馬のように働いた。1人では重くとも、分散すれば軽くなる。この場にいる全員で、人理修復がなされるのを見届けるのだと、誓っていた。
最初の特異点は、
2つ目の特異点では、
3つ目の特異点では、
進むにつれて、魔術にかかわりがあった者たちの表情が暗くなっていくのが、一般人出身のスタッフは不思議で仕方なかった。
だが、その理由を、彼らは知るところになる。
4つ目の特異点で、
――魔術王 ソロモン
二つ名は知らなくとも、その名前は有名だった。かつて人類史に生きた英雄が、人類史を滅ぼした。その衝撃の事実が、スタッフの心に強い衝撃をもたらした。あまりにも強大な敵に、折れかける者もいた。
だが――
それを見て、自身を叱咤したのは大人たちだ。
自分は何を折れかけている。自身よりもずっと年下の彼らが、ああやって立ち向かっているのに、
励ましあい、支えあう2人。彼らが問題なく進んでいけるのをサポートするのが大人としてできる、最低限のことなのだ。諦めてはいけない。
スタッフも、彼らと同じようにボロボロになりながら、強大な敵に立ち向かうために技術を開発していった。
あるスタッフは限りある道具以外にも、その場でできる応急処置を彼らに教え込んだ。
あるスタッフは、彼らが持ち帰った聖遺物を解析し、それをサーヴァントに活かせるように術式を開発した。
あるスタッフは、マスターが英雄をサポートできるように、新たな魔術礼装を開発した。
心身ともに削りながら走る彼らを――星の獣は見守っていた。
5つ目の特異点――
しょっぱなに重傷を負ったマスターに、誰もがひやひやした。
6つ目の特異点――
途中、技術面で頼りになっていた
7つ目の特異点――
偉大なる王を見て、絶対に守り通さなくてはならないと、改めて誓った。
気が付けば、タイムリミットまであとわずか。最後の決戦は間近に迫っていた。
「はぁ……明日でいよいよ最後かぁ」
そのスタッフは、皆が眠る暗闇の中、管制室までやってきていた。医療スタッフであるその人は、定期的にコフィンの中で眠る47人の様子を確認し、その状況を記録する役割を担っていた。
1人1人、様子を確認し、声掛けを行っていく。もちろん、それに返事は返ってこない。彼らが目覚めるかどうかも、明日の戦いで決まる。そう考えると、自然と背筋が伸びる気分だった。
「――あれ、なんでこんなところで寝てるんですかーDr.ロマン」
その人は、レイシフトを担当するスタッフだった。明日の準備もかねて計器の確認をしに来たのだが、何故か責任者である青年が眠っている。作業中にここで寝てしまったのだろうか、彼の疲労度はやはり自分たちより何倍も多いのだろう。
「全くー。たまには自分らにも頼ってほしいところですねー」
まだ信頼には足りてないのだろうか。そんな思いを抱きながら、自身の上着を背中からかけてやる。風邪をひいてしまっては大変だ。
「明日無事に勝てたら、ゆっくり休んでくださいねー」
頭を一撫でして、スタッフは自身の用事を済ませに入った。
「片手で食べられる料理、ストックは今までのスピードで考えると一日分は大丈夫。何が起きるか分からないし、管制室に朝一で全部持っていくとして……」
その調理スタッフは食料の確認に来ていた。明日は最後の決戦であり、今までとは比べ物にならないくらい神経をとがらせる戦いになるだろう。少しでもリラックスしてもらうため、集中を切らさないためにも、片手間に食べられるものでなくてはならない。
備蓄の最終チェックをし、管制室までの経路を確認。必要な時間と人員をもう一度算出。
「計算は苦手なんですけどね……」
ぶつぶつと言いながら、確認を続けていった。
「マシュもあの子のバイタルも正常値。戦闘に出すのは問題ないな」
その医療スタッフは、最終決戦に向けて眠る彼らの体調を確認していた。どうやっても彼らを送り出さなくてはいけないとはいえ、医者として健康かどうかを確認するのはもはや習慣だ。純粋に2人が心配、というのもあるが。
「だが……問題はマシュの寿命だな」
バイタルとは別の問題に、スタッフは頭を悩ませる。彼女本人が戦う気でいる限り送り出す気ではいるが、このままだと、彼女は戦いが終わった直後に息絶える可能性もある。医者として、1人の大人として、年端も行かない少女を死地においやっていいのか、ずっと悩んでいた。
聖杯をもってしても、彼女の寿命は解決しない。なら、それ以上の奇跡があれば――
「って、そんな都合のいいこと、早々におきるわけがないか」
苦笑して、カルテをしまい込む。どうせ最後は彼女の意思に押される形で、死地に送り出すことになるのだから、くよくよ悩んでも仕方ない。
明日に備えて寝る準備を始めるスタッフを、ある獣が見守っていた。
朝が来た。もしかすると、最後になるかもしれない朝が。
太陽はこの1年久しく見ていない。あの日、何気なく見た曇り空が最後になるなんて、当時は思いもしなかった。
――そして、戦いが始まる
あるものは、戦地へと向かう彼らの体調を最後まで心配し。
あるものは、少女たちやスタッフに食料を配り。
あるものは、しっかりとしたナビゲートを行うため、手順を改めて確認し。
そして――ある青年は、1つの決心を、固めようとしていた。
――
――
――
――
誤字訂正しました
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ある主人公の話をしましょう
※「善き人々の話をしよう」を美しいままで終わらせたい人は読むのは推奨しません
※CCCより、あるAIがゲスト出演しています
※鬱です
※主人公が報われていません
※もう一度、この話はメリーバッドエンド、主人公に救いがありません
我々が見るその人の面は、時々現れる選択肢だけ
それが本心からのものだと、誰が言ったかな――
――ある主人公の話をしましょう
その人は、どこにでもいる普通の人でした。
ただ友人と笑い、泣き、怒り。
そんな普通の日々を生きて、普通に死んでいくはずの、無辜の民の1人でした。
ですが、そんな人生に転機がやってきます。
それは、ほんの少しの分かれ道。ただ、ある適性があった、たったの48人の中に入ってしまったが故の、分かれ道。
――その日から、
自分がいなければ、自分が動かなければ、皆消えてしまう。主人公は懸命に走り回ります。
その
結局、最後に決めるのは主人公。他は、ヒロインやキーパーソン以外は、変わっても気づかない、普通の人。
――自分だって、前まではそっちだったのに
そんな本音をひた隠し、主人公は頑張ります。そんな姿は、きっと大人たちには励みになったのでしょうね。
どんな敵にさえひるまず、時には思いもよらない策で状況を切り抜けていくその姿は、きっと
そんな主人公に、皆は次々と
限りある道具以外にも、その場でできる応急処置を彼らから教わりました。
――痛みを誤魔化すやり方があったら
持ち帰った聖遺物から、サーヴァントに活かせる術式を開発してもらいました。
――
主人公が英雄をサポートできるように、新たな魔術礼装を開発してもらいました。
――自分以外が、彼らをサポートできる魔術礼装があったら
醜い本音は隠します。隠して隠し続けて、ありがとう、助かります。と言います。
だって、それが
ある看護師は言いました。何かを救い続けるという偉業は、いっそ狂っていないとできないのだと。彼女は、主人公の心の真実に気づいていたのでしょうか。それは、分かりません。
主人公の言葉は、ずっと、
マスター、マスター、マスター。
――あれ、あれあれ?
――あなたの名前、なんでしたっけ?
ちゃんと呼んでくれていた
今のあなたは、ただの主人公。
「――そう、今のあなたはもう、
そう言い切る私に、主人公は苦笑しています。いつもの、
「あなたはセンパイではありません。だってセンパイは特別でしたから」
唯1人、あの世界で気づいてくれた。
あの人が別の誰かになっていたら、きっと自分は生まれていないでしょう。そして、生まれたのだとしても、きっとあそこまで私は執着することはありません。
「ですが、あなたのポジションは違います」
魔術を知らない人間。特別な出自を持たない、ただのサブ。
「あなたは、生きたいがために頑張ってきました」
センパイもそうでしたけど、あなたの隣には誰もいない。いえ、逆ですね。
「あなたの隣には、周囲には
強いつながりを持つ後輩?――彼女は、結局主人公の為に命を投げ出せる
サポートをしてくれるスタッフ?――彼らは、結局謝罪しながらも自分に押し付けるしかできない
それを指摘しても、主人公は言います。できるのは自分だけだった、ならば、しなければいけなかった――仕方のない、ことだったのだと。
その張りぼてに、溜息を1つ。もしも、
――なんて、考えても仕方ないんですけどね
ふと浮かんだ考えをかき消して、私は話を締めくくります。
「貴方はセンパイとは違うし、私はあの少女とも違います。あなたはただの凡人で、それなのに世界を救ってしまった愚かな人。だから――だから、私は、あなたが嫌いです」
――
――
――
――
――
――めでたし、めでたし
我々が見てきたその人の面は、全てペルソナによるものだったなら
話の発端は、CCCコラボの発表でした
BBがぐだに会った時、絆レベルが上がり切った時、どう話すのだろうと考えたのが始まりです
それに加えて、とある投稿サイトにて、「ぐだがマスターと呼ばれ過ぎて名前を忘れる」というイラストや「名前を呼ばれなくなって、一般人としての自分を無くしていく」という小説を読み、この話は出来上がっています
思いついたままに書き切ったので、ふんわりとしていたり、納得がいかない部分があるかもしれませんが、自分の中のぐだの評価は「哀れな人」です
ごく一般的な感性の持ち主なら、かの看護師が言ったように「狂わずにはいられない」
かの王が見たぐだもまた、「作られた主人公(一般人)」だったなら
そしてぐだの本当の心が、ペルソナに侵食されてしまっていたなら
そんなことを、考えてしまうんです
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ある守護者の話をしよう
1.5部に出てくるエミヤオルタのマテリアルバレを見てしまった結果です
あとがきにマテリアル文をふわっと書いたのを置いておきます
微修正しました
――ある守護者の話をしよう
その男は、傭兵だった。弱者を救うため、人々が幸せに暮らすため、活動していた。
――男は正義の味方になりたかった
その為なら、自分は何でもできると、そう思っていた。
――男は贋作だった
望みすらも誰かからの貰い物だったが、それでも望みは本物だった。
――そう、本物だった筈だ
だが、男は今何をしている?
――関わったすべての人間を堕落させ、自殺させる、崇められるおぞましい魔性の女を殺そうとしている
それは男の目的だ。そのために、いま、男は何をしている?
――彼女を守る、何の罪もない、ただ心酔していただけの一般人を殺した
その前には、何をした?
――同じように、信者を、それを庇った家族を、恋人を、友を、殺した
男の後ろには、今何がある?
そう、男の後ろにあるのは、女を殺すために殺した、信者と言う名の無辜の民。
男が救いたいと願っていた彼らを、男自身が手にかけていた。
その矛盾に、男の心が悲鳴を上げる。こんなはずではない、こんなことをする為にここに来たのではないのだと、正義の味方になろうとしたわけではないのだと。
だが事実、男は今も信者を手にかけている。何故、何故。
双剣を持つ手が震える、心が軋み、今にも壊れてしまいそうだ。
一見善良な市民を手にかけた。
――彼はあの女のために、明らかにかなわない男に挑んできた
幸せそうな恋人を手にかけた。
――彼らもまた、女を守るために身をなげうってきた
小さな子どもを手にかけた。
――こんな小さな子どもすら、女に心酔するのかと寒気がした
殺す、殺す。ひたすら殺す。
守ると決めたものを、正義の御旗の元、刻み、裂き、確実に殺していく。
正義とは、こうも残酷なものなのか。これほどまでに矛盾にまみれたものなのか。
女のもとに辿り着いたころ、男は手にかけた
女はそんな男を見て嗤う。そして問うた。
「目的のために無辜の民を手にかけた気分はどうです?」
男は静かに答えた。
「何も」
「何も感じない。感じるものか。感じてたまるか。アレは必要な犠牲だ。
何も感じないと言いたげな男に、光を無くした瞳の彼に、女はまた嗤う。
「そうやって、あなたは自分が傷ついてないふりをして、大切なものすら切り捨てて、大義を貫くのですね」
そんなことをせずとも、私に溺れてくだされば幸せになれるというのに。そんな女の
――それからのことは言うまでもない
男は大義の為に犠牲を良しとし、正義のための犠牲を出し、その体を削り、腐り果てていき、最期は刑に処されることになる。
その後、人類の抑止力であるアラヤと契約し、
――
――
――
――
エミヤがオルタった理由→キアラ(マテリアル内では「魔性の女」と称されている)を殺すための道中で信者を殺し続けたため
第三スキル→その非道を行うことに対する抵抗をなくす洗脳スキル
この情報に自分自身の解釈を加えたものがこちらになりました
彼自身の在り方を哀れと呼ぶべきなのかは自分も分かりませんが、キアラの空恐ろしさは感じてしまいます
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守護者・裏話
独自解釈の色がかなり強いのでご注意ください
また、例によってマテリアルの微ネタバレ、CCCのラスボスの話がちらりと出ます
「男」
マテリアルの文、そしてCCC内での「彼女」の発言から、「男」はEXTRA世界の「衛宮士郎に近い誰か」と仮定しました
無銘は「エミヤに限りなく近い別物」という話があるので、エミヤオルタ≠無銘≒原作エミヤとしています
「信者を殺した」
マテリアルにて、魔性の女を追い詰めるために信者を殺した、という記述から
エミヤなら、無闇矢鱈に無辜の民を殺すとは思えないので、殺さざるを得ない状況になったと推測。信者が身を呈して「女」を守ろうとしたと考えました
「あれはただの作業」
鉄心という単語、第三スキルから
この衛宮士郎は、衛宮切嗣と同じ、それ以上に酷い末路を辿っていると思っています
あれはただの邪魔者、これは仕事に必要な作業、目的のためにやらなくてはいけないこと
そう思い込むことで、乗り越えるようになったと考えました
第三スキルの説明を見る限り、エミヤオルタ自身はまだ「衛宮士郎」のままなのだと思います
でも正気に戻れば、「女」を殺すために手にかけた無辜の民の屍と向き合わなければならない
Aランクの洗脳スキルが無ければ任務を遂行出来ないところから、本当に精神の壊れ方は「エミヤ」内で随一だと思っています
「そうやって、あなたは~」
原作の鉄心エンドオマージュです
元のセリフはイリヤの「顔も知らない誰かの為に~」「そんな泣きそうな顔のまま~」
見返して原型が無くなってて頭抱えてます
「女の戯言」
ラスボスでも破綻者でも、「女」は人間を愛してます
彼女のこれは戯言でも何でもなく、本心からの忠告であり、最後の救いでもありました
ここが最後のルート分岐、耳を傾けていたら、確かに信者と同じ道を辿り、最終的には自殺してしまう
ですが、欲に溺れて破滅することと、罪と向き合い続けて壊れてしまうこと
どちらがマシなんでしょうね
「殺した感触のない道具」
これは完全な独自解釈です
何故彼が双剣を改造するに至ったのか、それを考えていた時、某錬金術師の漫画で言われていたことを思い出したのです
「銃を使うのは、人を殺した感触が手に残らないから」
信者を手にかける、その罪から少しでも目を背けたくて、彼は銃を使い始めたのではないのでしょうか
「最後に」
独自解釈が多分に含まれているので、少しでもわかりやすくしたいと思い、解説として書き上げました
無銘とエミヤオルタの元になったのは同じ「衛宮士郎」なのでは?という疑問もあるでしょうが、無銘はムーンセルと契約した英霊であり、エミヤオルタはアラヤと契約した英霊だとしています
平行世界という便利な言葉もありますが、「無銘士郎」と「オルタ士郎」は、似た境遇でありながら、運命のいたずらにより、正反対の道を歩むことになった
そう、結論づけました
独自解釈ばかりですが、参考までに、どうぞ
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ある夫妻の話をしよう
久しぶりに書いてみたので、どこか違和感があるかもしれません
――ある夫妻の話をしよう
2人は日本のある都市に住む老夫婦だった。
その土地の朝日を、海を気に入り、そこに移住してきた外国人だった。
移住する際、息子夫婦とは仲違いをし、彼らは故郷へと帰ってしまった。それ以来、孫の顔も見ていない。
年々、暗い雰囲気を纏っていく妻に、夫はどうしようかと、悩む日々だった。
――そんなある日、孫を名乗る少年がやってきた
最初は何の疑いもせず、久しぶりにやってきた――と思っていた――彼を歓待し、楽しく過ごした。彼の友人だという大柄な男も、孫も、とても気さくで明るく。2人だけ、穏やかでありながらもどこか陰のあった生活が一変した。
特に妻はそれが顕著に表れていた。影を背負っていた顔は徐々に輝きを取り戻し、甲斐甲斐しく孫たちの世話を焼く日々。夫はそれを、ほほえましく見守っていた。
――おや、と夫が思ったのはいつだっただろうか
いつの間にか、ふと当たり前の日常の中に感じた違和感。
仲違いしてしまった息子達の孫が、こんなに自分に優しくしてくれるのだろうか?
そもそも、どうやって息子達から自分たちの居住地を聞き出したのだろうか?
最初は些細な違和感だったが、それは日に日に大きくなっていく。彼は、本当に自分の孫なのだろうか。
――だが、そんな疑問を抱きながらも、夫は誰にも言わず、静かに彼らを見守っていた
本来なら、詐欺師だと、うそつきだと罵るべきなのかもしれない。だが、それはできなかった。彼らはそれを抜きにすれば、心優しい人間だとわかっていたからだ。
もし、だましてここに住み着くだけなら、付き合いはほどほどにし、最低限にしておけばいいだろう。こちらの言葉に一々耳を傾けず、ただ流していればいいだろう。優しすぎたから、夫は違和感を感じたのだ、そうしていればきっと、何もバレずに済んだに違いない。
――だが、彼はそれをしなかった
彼自身に、どんな目的があって、夫妻をだまし、この家に住み着いたかは分からない。だが、その言動、そして日に日に明るさを取り戻す妻を見て、悪意を持って騙していたとは到底思えなかったのだ。
――そして、夫はある1つの策に出る
それは、月がきれいな夜だった。
久しぶりに明け方に目が覚めた夫は、屋根に上り、遅くまで何かをしている孫――を名乗る少年を待っていた。
傍らにはコーヒーなどを入れたクーラーボックス。彼は来てくれるだろうか。
帰ってきた少年を誘い、屋根に上ってくれるよう促す。ぶつぶつと何かを言いながらも上ってきてくれる辺り、やはり彼は優しい人だ。
毛布とコーヒーを差し出し、夜空を眺める。そして、他愛のないように、昔話を少年に振った。
「明け方に目が覚めてみたらまだお前が帰っていないもんだから、久々に空でも眺めようと思ってな。お前が小さい頃は、何度もこうして一緒に星を眺めたなあ
――覚えとるか」
無論、それは嘘だ。息子夫婦が来てくれたこともなければ、孫がきてくれたことももちろんない。彼が本当の孫ならば、そこで「そんなことしたことないぞ」と返してくれるが――
「うん、まぁね」
返ってきたのは、肯定の返事。
――そうか、君は、孫ではなかったか
偽りの事実を確信し、それでもなお、夫の心は凪いでいた。
穏やかな気持ちのまま、少年に嘘を指摘する。その言葉に驚きながらも、少年は怒らないのか、と疑問を投げかける。
それに対し、夫はただ、微笑みを浮かべたまま穏やかに述べる。
確かに、ここは怒るべきなのだろう。だが、彼らがやってきてからは、妻はよく笑うようになった。そして、その言動から、悪さをしに来たとも思えない。寧ろ、これからも妻のために、騙してほしいくらいだ。
それは多分、妻にしてみたら、酷い提案なのかもしれない。いつか息子たちと和解したとき、彼が偽りの孫だと知ることになるのだから。その場しのぎのもの。それでも――夫にとって、そして多分、妻にとっても、彼は本当の孫同然の存在だったのだ。
夫の言葉に、少年は涙を流した。そして誓いを立てた。彼らを裏切らない、孫と呼び、愛してくれた2人に報いると。
――そして、少年の口から告げられる、大きな戦いの話
世の中、長生きしていても知らぬことが山ほどあるのだなと、夫は思う。
その戦いに、目の前の自分の半分にもならない齢の少年が挑んでいる。とても不思議なことだった。
それがどれほど、目の前の少年、そして友人だという男にとって大事か、それを夫が測ることはできない。だから、彼にできたのは、少年に告げることだけだった。
「人生長生きした後で振り返って見ればな、命と秤にかけられるほどの事柄なんて、結局のところ一つもありはせんもんじゃよ」
年を食った老人としてのアドバイスと。
「――そして、何時でも帰ってきなさい、わしらはお前さん等が無事に帰ってくるのを待っておる」
――帰る場所がここにあるという、宣言を
「あらあら、ウェイバーちゃん10年前とは大違いに様変わりしたわねぇ」
「どれどれ……なんと、これはすごいな!あの幼顔がここまで大人びるとは、年月と言うのは残酷なものだ……」
「もう、あなたってば。そういうことは言うものじゃないわよ……にしてもイケメンになったわねぇ」
「――惚れるなよ?」
「あら、孫の成長を喜ばなくて何がお祖母ちゃんよ」
「…………」
――
――
――
――
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