奇跡のなくパーティーに (ゆるポメラ)
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主な登場人物

ゆるポメラです。
今回は『うみねこのなく頃に』の四コマ作品、
『うみねこのなく(パーティー)に』をモチーフにした小説を執筆する事になりました。
こちらの登場人物は自分が連載している小説『奇跡のなく頃に』の人物と
同じになります。
至らぬ点もあると思いますが頑張りますのでよろしくお願いします。
今回は登場人物の紹介になります。


柚深月穹(ゆみつきそら)

 

 

容姿イメージ:『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希

 

誕生日:12月2日、いて座

 

血液型:A型

 

一人称:僕

 

 

 

・使用魔法:奇跡魔法(ベルンマジック)

 

 

普段は大人しい性格。

たまにメタな発言や最近のゲームネタを使う。

ベルン曰く『昔から天然なところ』もあるとの事。

魔女達の世界では畏怖されてる存在。

ただし本人は全く気にしてない。穹曰く『そんな大それた存在じゃない』との事。

 

3つの隠し武器を持つ。

ベルン曰く『穹の3つの隠し武器を1日で全て見た暁には命は無い』との事。

具体的に何を持っているのかは犠牲になった者のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緋未月羅奈(ひみつきラナ)

 

 

 

容姿イメージ:『アカメが斬る!』のチェルシー

 

誕生日:9月2日

 

血液型:O型、おとめ座

 

一人称:私

 

 

・使用魔法:絶対魔法(ラムダマジック)

 

 

 

自称、穹の愛人。

普段から真意を読ませない雰囲気を漂わせる少女

ラムダデルタとは仲が良く彼女を『ラムちゃん』と呼んでいる。

逆にベルンカステルとは仲が悪い。

それでも口喧嘩では羅奈が勝ってしまう。

ライバルでもあり、親友でもある穹の事を第一に考えている。

魔女の世界では穹と同じく畏怖されてる存在。

 

お菓子作りが得意でラムダからも絶賛される腕前。

しかし羅奈自身が『これだけで満足してたら私がイヤなのね…』と言う為、

周りは凍てつく空気に変わるという噂。

 

 

 

 

 

 

 

 

・その他の主なキャラ(作者が好きなやつだけ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルンカステル:

 

 

 

千年を生きた奇跡の魔女。

絶大な力であらゆる奇跡を生み出せる。

『運命』や『可能性』といった概念を視覚化できる世界に住んでいる。

…まぁお約束のセリフだが時に貴方(画面の読者)でもある。

理論上ベルンの魔法は、例えるなら、『メモ用紙を百回畳めば月にも届く』

というようなものであり少々現実的ではない。

……それを彼女はやってのけた訳だが(凄くない?)

 

穹とは彼女が魔女になる前からの幼馴染みであり、

異性として好意を抱いている。

普段はクールでドライで毒舌な彼女も穹の前だとデレデレになる。

その姿は、まさに恋する乙女である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラムダデルタ:

 

 

 

 

千年を生きた絶対の魔女。

"努力する者は報われる"を具現する魔女で人間達からも大変崇められている。

補足すると、誰の努力を報うかは彼女の気まぐれで、多くの場合はラムダ自身を

より喜ばせる事のできる者が微笑まれることになる。(要するに努力すればいいの、分かる?)

絶大にて速攻の凄まじい力は如何なる魔女をも屈服させる。

しかし猪突猛進らしく、それが仇となり穹とベルンに読み切られる。

 

羅奈とは幼い頃からの親友であり、

彼女が自分を助ける為に必死に努力していた事を理解している。

穹と羅奈の世界でラムダは『絶対の魔女』の他に『お菓子の妖精さん』とも呼ばれている。

それを聞いた超パーな彼女は嬉しくてはしゃいでいたとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から本格的に執筆しますので
紅茶を片手に読んでいただければ嬉しいです。


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宴1 始まるよ、全員集合

ゆるポメラです。
今回は読んでいただきありがとうございます。
4コマ作品系統の執筆は初めてなのですが
頑張りますのでよろしくお願いします。

それではどうぞ。


…えっ?

もう始まってるの?

しょうがない、めんどくさいけど自己紹介系統は

僕が担当させてもらいます(ペコリ)

 

「……」

 

ソファーに座りながら考える動作をしている

この個性的なヘアースタイルの赤髪の男は、右代宮戦人(うしろみやばとら)

年齢は18歳だったかな……?

彼は今、魔女とゲームをしている。

どんなゲームか説明すると、六軒島(ろっけんじま)で起こる親族を巻き込んだ不可解な殺人事件。そのトリックを暴くというやつ。

早い話、犯人は『人間』か『魔女』なのかという感じ。

…分かんない場合はググって調べて?

 

「スキありっ♪」

「うごッ!?」

 

あっ……

戦人がラムダにピコピコハンマーのような物で殴られた……

地味に痛そう……

 

「なぁによ、カッコつけちゃって!。間抜け面とキャラが合ってないのよ!」

「…この子の名前はラムダデルタ、絶対の魔女であり以下省略……」

「ちょっと穹!?、私の自己紹介テキトー過ぎ。あと声に出して言う事!?」

「…そこは上手く流しといて?」

「「司会者がそれでいいのか!?」」

 

ラムダと戦人が何か言ってる気がするが気にしてはいけない……

…あ、自己紹介が遅れました。

僕の名前は、柚深月穹(ゆみつきそら)と言います。

 

「てかなんで、お前こんなとこいんだよ」

「それはもちろん、あんたの邪魔…」

 

本音を言いそうになった事に気づいたラムダは……

 

「戦人に会いたくて来ちゃった☆」

「何そのキモイキャラ」

 

うん、ラムダって嘘が下手だよね……

そんな事を考えていたらラムダと戦人が取っ組み合いを始めてた。

 

「どうせ俺の華麗な推理を邪魔しに来たんだろ!?」

「どこが華麗よ!、穴だらけじゃないっ!。あとキモイって何よ!?」

 

ギャーギャーと騒ぎ出す2人。

いやー、仲が良いなー(棒読み)

 

「いいわ。この絶対の魔女を怒らせたらどうなるか思い知らせてあげる…!」

 

うっわ…めんどくさくなったな。

今回は全面的に戦人が悪いって事で☆

 

「これから3秒後に後ろに滑って後頭部を強打するわ!、()()にね!」

「ケッ、あほらしー……」

「戦人、そんな事言うと……」

 

 

 

 

 

ーーズルッーー

 

 

 

 

 

僕が忠告しようとしたのも束の間、

何故かその場に置いてあったバナナの皮に足を滑らせ

ラムダの予告通り後頭部を強打した戦人の姿が……

当の彼女はケラケラと笑っている。

 

「それに、こんな使い方もあるのよ?」

「…どんな?」

 

僕が興味本位で聞いてみたところ、

彼女は得意げな表情をしながら……

 

「今から羅奈とベアトが焼きたてのバタークッキーを持って、この部屋に入ってくるわ!!、()()!」

 

するとドアが開き入ってきたのは……

 

「おお。穹殿にラムダデルタ卿!来ておられたか!。ちょうどいいクッキーはいらぬか?今焼けたのだ」

「穹~♪、ラムちゃーん♪。新作クッキー焼いてみたから食べてみてー♪」

 

ラムダの宣告通り、

無限の魔女ベアトリーチェと僕とラムダの親友、緋未月羅奈(ひみつきラナ)

バタークッキー片手に部屋に入ってきた。

 

「「べ、便利だ…!」」

「穹達は食べないのー?」

 

羅奈の掛け声で一時中断になりました。

何がって…?、今からおやつ食べるんだよ。異論は認めない

 

「ククク、お二人が揃うと賑やかでいい」

「私は賑やかなのは嫌いじゃないわ」

「…僕も嫌いじゃない」

 

ベアトと羅奈の意見に同意する。

賑やかなのは良い事だ。

…ただし行き過ぎない程度が一番だが。

 

「んなこと言われてもうれしかねーぜぇ?」

「あらあ、金髪美女に囲まれて内心うはうはなんじゃないのぉ?」

「戦人はツンツンしつつもデレデレするタイプだからなぁ?」

「…略してツンデレ」

「私は金髪じゃないけどねー」

「…羅奈はどっちかっていうと朱色かオレンジ系統の髪でしょ?」

「やーん♡、穹ってばそんなとこまで見てたのー?」

「…離れてくんない?」

「い・や・よ♡」

 

コアラのように僕の腕に引っ付く羅奈。

…今思い出したけど最近、ネッコ〇ラの育成とかやってないなー

あと、ナマコ〇シとか……

 

「ハッ、美女?、どこだよ羅奈しかいねえぞ?」

 

戦人さーん……?

あなた色々と地雷踏んでるよー……

ほら、後ろの約2名が切れかかっているし……

 

「無限の魔女なめんなよォォ、戦人ぁぁぁああ?」

「ケッ!、読めてるぜ。お得意の『無限に再生して無限に殺す』とかだろ?」

「…戦人、凄いね。正解だよパチパチパチパチ……」

「こちとら殺され慣れてんだよ!」

「…いや。慣れちゃダメでしょ」

 

もう色んな意味で戦人は人外じみてるよ……

ベアトの魔法は戦人が説明してくれた通りだ。

『再生しては殺す』、生き地獄みたいな魔法だ。

日常生活とかだったら便利な魔法なんだけどなぁ……

壊れた物とかも治せるし。

 

「なら、これならどうだ」

「…Gを手に持ってどうする気?、てか何処にいたの?」

「クッキーを作ってる最中に現れてな」

 

…あ、ベアトが戦人に何をやらかすか読めてきた。

これを読んでる貴方ならどう思う?

そう今から戦人がやられる拷問は……

 

G(こいつ)をバリバリ噛ませて中で何度も再生するとかよぉおお?」

「や…やめ…来るな…ッ、来るなああああぁぁ」

「…アレをやられるくらいなら僕は死んだほうがマシかな」

「私も。女としてイヤよ」

「私も羅奈と同じ意見ね」

 

 

 

 

 

 

ーーで、結果……ーー

 

 

 

 

 

 

 

「う”~……あ”~……」

「…ダメっぽいね」

 

戦人は50回くらいGの刑を喰らう破目になりました。

正直、見てるこっちも吐き気がしてきた。

ラムダは、まだ笑ってるし……

 

「面白ーい!、しばらくこっちにいようかしら?」

「おや珍しい」

「ラムちゃん滞在するの?」

「はぁあああ!?」

 

約1名、冗談じゃない勘弁してくれって言いたい人が

いるんですが……

 

「させないわよ」

「きゃふん!?」

 

ラムダの頭を手刀でかます

ゴスロリ系のドレスを身に纏った少女が現れた。

いつの間に……

 

「いきなり何よ、ベルンカステル!」

「私は戦人の勝ちに賭けてるの、邪魔するのは当然よ」

 

抗議を上げるラムダをよそに淡々と言う少女。

彼女の名前はベルンカステル。

『奇跡の魔女』と言われている伝説の魔女。

クールビューティーって言葉が似合う可愛い女の子でよく怖い話とか

を聞かせてくれる。

ちなみに彼女とは幼馴染みだったりする。

 

「ちょっと穹!?、なんで私の自己紹介だけテキトーでベルンだけはちゃんとやるのよ!!、差別反対ー!!」

「ラムちゃんに同意ー!、ぶーぶー!」

「穹に可愛いって……///、ふふ……///」

「…僕は差別したつもりはないんだけど?」

 

それ以前に最近の女の子って読心術でも使えるの?

 

「ベルンがなんと言おうが私はベアトの屋敷で過ごすわ!、()()ね!」

貴女(あなた)と金平糖のお風呂に入ってあげてもいいわ」

 

ベルン、そんな事したら体がベタつくよ?

だいたいラムダがそんな条件を飲む訳……

 

「え…っ♡、本当?。じゃあベルンの事、金平糖で窒息させてもいーい…?」

「先に私に1回やらせてくれるなら」

「ホント!?」

 

マジですか……

まぁラムダだし……

 

「こいつらのツボが分からねぇ…」

「…戦人。分かったら色々とアウトだよ」

「それにしてもなんだ?、ラムダデルタはベルンカステルに弱いのか?」

「…それは合ってる」

「ば、馬鹿言ってんじゃないわよ!」

 

…あれ?

こっちの話が聞こえてたみたい。

ラムダって地獄耳?

 

「確かに魔女としての相性は、ちょぉーっとだけ悪いけどね!。例えばベルンがチョキなら私はパーって感じ?」

 

そろそろあの台詞が来るぞ。

ラムダの迷言が……

 

「でも私は、そんじょそこらのパーと違ってチョキなんか軽く凌駕する()()()で全然問題ないんだから!!」

「そうよ!、ラムちゃんは凄いんだから!!」

 

ドヤ顔で宣言するラムダと羅奈。

これを聞いた周りの反応は……

 

「ほぉ~、超パァなのか」

「僕も忘れてたよ。2人共、超パァだもんね」

「そうよね。この子達、超パァだものね」

「…ベルンもそう思う?」

「穹も知ってるでしょ?、この2人が超パァな事」

 

うんうん♪

ラムダと羅奈が超パァな事は今に始まった事じゃないしね?

 

「その通りだけど、なんか鼻につくわね。その言い方……」

「しかも私とラムちゃんがバカにされてるように聞こえるのは気のせい…?」

 

しかしジャンケンねぇ……

僕はチョキを先に出す癖があるからなぁ……

みんなはジャンケンで先に何を出す?

 

「はっ、お前が超パァなら…俺なんか超グーチョキパーだぜ!!!」

「はぁ!?、何それ最強じゃない!!」

「そんな手があったなんて……Σ(゚Д゚)」

「イーッヒッヒッ、戦人無双の始まりだぜぇぇ?」

 

戦人、得意げに言ってるところ悪いけど

今の戦人、ラムダと羅奈と同レベルなの気づいてる?

あと羅奈も顔文字使わないでよ……

 

「…ベルン。同レベルが……!」

「もう1人いたわね……」

 

 

 

ーーで……ーー

 

 

 

 

 

 

「それじゃラムダ行くわよ」

「今日はベルンに免じて帰ってあげるわ」

「はよ帰ーれ」

 

どんだけ戦人はラムダに帰ってほしかったのか……

 

「まあ待て。お茶を1杯飲んでからでも構わぬであろう?」

「あー飲む飲む!」

「ラムちゃん、スコーン作ってみたんだけど食べる?」

「食べる食べる!」

 

この後、ベアトが戦人の朝食に怪しげな薬を

混ぜたという事をカミングアウトし戦人はトイレに駆け込んだ。

それにも気づかない戦人って……

 

「そういえば穹もしばらくここにいるの?」

 

紅茶を飲んでいた時に羅奈が聞いてきた。

 

「…退屈しのぎになりそうだし、お世話になろうかなと」

「じゃあ穹がいるなら私もお世話になるー♡」

「…だからって引っ付く必要ある?」

「私と穹の仲なんだから良いでしょー♡」

 

このやり取りを何回やった事か……

羅奈も女の子なんだから気にした方がいいのにね……

溜息を吐くと僕の隣に座っていたベルンが……

 

「ちょっと羅奈、穹が嫌がってるじゃない離れなさいよ」

「はぁ?、あんたには関係ないでしょ?」

「あんたの頭は超パァよね?、それとも栄養源はその脂肪の塊に行ってるのよね?」

「まな板魔女には言われたくないわね。昔から貧相な身体つきだし?」

 

また始まったよ……

何故かベルンと羅奈は昔から仲が悪い。

いや、仲が悪いというよりは犬猿の仲という表現が正しい。

 

「ラムダデルタ卿……あの2人は仲が悪いのか?」

「仲は良いわよ?、お互い実力は認め合ってるから。1日1回は見る光景だし」

「あれは仲が良いのか……?」

「ベアトも慣れときなさいよ。3日もすれば慣れるわ」

 

あのさラムダ。

ベアトに説明するのは構わないけど、この2人を止めてくれない?

 

「…まな板」

「…メス豚」

「…根暗」

「…風船女」

 

僕の右腕には羅奈が、左腕にはベルンが

引っ付きながらお互いに悪口を言い合っている。

ラムダは面白そうに笑ってるし……

 

(当分、退屈はしなさそうだな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます。
基本的に4コマ系統の作品なので文章が短かったり長かったりです。
ご了承ください。
それではまた次回に……


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宴2 料理について

ゆるポメラです。
今回は料理の云々の話になります。
視点ですが前半がベルン、後半が穹になります。

それではどうぞ。




今回は私が司会……?

めんどくさいわね……

まぁいいわ。暇潰し程度にはなりそうね。

 

「穹の部屋でも行こうかしら」

 

時刻は……8時30分ね。

この時間帯なら穹は起きてる筈なんだけど……

そう考えてる間に部屋に到着した。

私はドアに手をかけノックする。

 

 

 

ーーコンコンーー

 

 

 

 

「穹?、いる?」

「…………」

 

声をかけるも返事がない。

少し心配になった私は悪いと思いつつも

部屋に入る事にした。

 

「すぅー、すぅー」

「寝てる……」

 

穹の近くに寄ってみると綺麗な寝息を立てていた。

なんだか起こすのも気が引けるわ……

 

「………んぅ?、ベルン?」

「穹、おはよう」

「おはよ…?」

 

疑問形になるのも当然よね。

目が覚めたら目の前に私がいるんだもの……。

 

「…今、何時?」

「もうすぐ8時40分よ」

「…寝過ごしちゃった。起こしてくれてありがと」

「わ、私が好きで…やってるだけだから気にしないで…いいわよ///」

 

小さい頃からの付き合いとはいえ

未だに慣れないのよね…はぁ…ヘタレなのかしらね、私……

 

「…どうしたの?、溜息なんか吐いて……」

「なんでもないわ」

「…ならいいけど」

「さぁ、早く行きましょう。」

「…はいよ、まだ少し眠いけど」

 

もう少し寝かせてあげた方が良かったかしら……?

 

 

 

 

 

 

ーー屋敷の廊下ーー

 

 

 

 

 

 

「そういえば穹が寝坊なんて珍しいわね?」

「…2時間前にラムダに叩き起こされた」

 

…ラムダに?

 

「…暇だから料理を教えなさいよって」

「あの子が料理…ねぇ……」

 

大方、戦人に悪戯をする為ね。

それ以前に包丁なんて持てたのかしら?

 

「…で、更に1時間前に羅奈に起こされた」

「は?」

「理由はラムダと同じく料理教えてだってさ……お陰で眠い……」

 

あのクソ女!!!

穹に何て事をさせんのよ!!!

ていうか自分だって料理ができる癖して余計にタチが悪いわ!!

 

「…そんで自分で作った料理を食べてダウン中」

「どんな料理を作ったの?」

「…ラムダが何かの文献で読んだみたい。確か材料が、挽き肉・たくあん・塩辛・ジャム・大福…あとセミの抜け殻で作ったシチューだってさ」

 

何よ……そのゲテモノ料理。

そんな物を自分で食べて倒れるなんて、いい気味だわ。

……くすくす。

 

「…それで今から羅奈を起こさなきゃならないんだよ」

「なぁに?、弱みでも握られたの?」

「…いや。単なるワガママだよ……っと着いた着いた」

 

話してる間に羅奈の部屋に着いた。

…やけに静かね。死んでるのかしら?

 

「…羅奈、入るよーってか異論は認めない」

「ノックとかしなくて平気なの?」

「…僕もさっきこれで叩き起こされたから、これでフェアだと思う」

「聞いた私がバカだったわ…」

「…ベルンは悪くないでしょ?」

「ほら…///、早く起こすんでしょ///」

「…そうする」

 

部屋に入った瞬間……

 

「穹ー♪、おっはよー♡」

「…全然元気じゃん。僕が起こしに来た意味ないし……あと朝から抱きつかないで」

「私の朝のエネルギー分だもん♡、大目に見ても良いでしょ♪」

 

この女を×××してもいいかしら?

 

「…はいはい。それで?、ラムダは何処にいるの?」

「ラムちゃん?、リビングだと思う…多分……」

「多分とか使えないわね、この女……」

「あ"ぁ?、まな板魔女がなんで私の部屋にいるのよ」

 

チッ!!、相変わらずラムダと同じで地獄耳ね……

 

「別に。私は穹を起こしに行くついでに寄っただけよ」

「ふーん。……どうせヘタレ」

「あんた、今なんか言った?」

「ぜーんぜん?、奇跡の魔女が()()()()()()()()なんて私言ってないしー♪」

 

このクソ女!!!

今この場で××して■■■してやりたいわ!!!

けど穹の前だし耐えるのよ……私……

 

「というのは冗談よ♪、PAD卿♪」

「殺すッ!!!」

「ちょっ……ベルン!?、落ち着いて!!」

「そーそー♪、冗談に決まってるでしょPAD卿♪」

「羅奈もベルンを煽らないでよ!?」

 

やっぱ、この女。気に入らないわ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご乱心になったベルンを宥めた僕は、

3人でリビングに移動する事になった。

するとドアの前で中を窺ってるベアトを発見した。

 

「…何してんのアレ?」

「あ、ラムちゃんと戦人の声もする」

「…ベアト、僕達が近くにいるのに気づいてないね。ベルンちょっと悪戯してきて?」

「しょうがないわね……」

 

『悪戯』という単語を聞いたベルンは乗り気なようだ。

するとベアトの背後に近づき……

 

「何してるのベアト」

「ひゃぉおおぉ!?」

 

人差し指で背筋をツツツーっとくすぐる悪戯をやってのけた。

 

「ベ…ベルンカステル卿…」

 

どうやら効果はバツグンのようだ!

 

「コソコソとどうしたのよ?」

「…入るタイミングでも逃したの?」

「入ればいいのにー」

 

僕達3人が聞くとベアトは慌てた様子で……

 

「な、何を言う!。今から入ろうとしていたところだ!。た、楽しそうだな、お主らっ」

 

いや…これだけ騒いだら……

 

「あ、やっと入ってきた」

「覗きみたいだったぞ」

「ぷっくっく」

 

上からラムダ、戦人、そしてベアトの執事のロノウェが順に言った。

ロノウェに至っては笑ってるし……

 

「あ、ベルン!。未来のお土産は?」

「は?未来?」

 

ラムダの質問に驚く戦人。

当の彼女は……

 

「そうなの。私、未来に行けるの。凄いでしょ」

「ホントかよ…嘘くせぇ…」

 

ドヤ顔だった。

まぁ、ベルンが未来に行き渡れるのは嘘じゃないしね。

僕と羅奈も行けるけど……

 

「信用しない戦人に未来の最先端技術をお見舞いするわ」

 

くわっとした表情でノートパソコンを戦人に見せつけるベルン。

 

「なんだこれ!?、て、テレビか?。薄ッ!、薄くねー!?」

「ノーパソよ」

「ノー……?」

 

忘れてた。

戦人は1986年の人間だから

この反応が普通だよね……

 

「それにしてもラムダデルタ卿が料理とは面白い」

「あんなもん料理って呼ばねえよ」

「…一体何を食べさせられたのさ戦人」

 

僕が何気なく聞いてみると……

 

「見た目は普通で人の肉を使ったハンバーグ」

「…へぇー、ラムダって料理できたんだ。凄いねー」

「ちょっと!?、なんか棒読みな感じがするんだけど!!」

 

ラムダ。それは気のせいだよ?

 

「お前ら本当の料理ってもんを分かっちゃいねぇ」

「ほう…戦人は料理ができるのか」

 

戦人とベアトがそんな事を話していた。

後ろでは……

 

「バトルバトル」

「フルアタには負けない……」

 

ベルンとラムダがポケ〇ンの対戦をやっていた。

ちなみにハートゴー〇ド、ソウルシ〇バーである。

未来のお土産ってまさか……

 

「家事のできる男はモテるからな……なぁ穹?」

「その話が本当なのかは謎だけどね……」

 

…で、気がついたら料理対決をやるハメになった。

僕と戦人、そしてロノウェの3人で。

審査員はベアト、ベルン、ラムダ、羅奈の4人だった。

なに、このとんとん拍子な流れ?

 

「負けた人は、うさ耳を付けてね☆」

「ラムちゃん、シエスタ姉妹の服も着せるとかは?」

「それ良いわね♪、それも追加ねー」

「これは負けられませんなぁ」

「なんでそーなる!?、誰得だよ!!?」

「…負けなきゃいいんだよ、負けなきゃ」

 

 

 

 

 

 

で、結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦人が最下位でしたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(負けなくて良かった……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます。
ベルンの口調が難しかった……
面影を残しつつも可愛く表現するのは難しいです。
こんな感じで気まぐれに更新しますので
次回もよろしくお願いします。


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宴3 ゲームの力って凄いよね 前編

ゆるポメラです。
早くも3月ですね。
なんか最近、この小説の執筆がしたい気分が強いんですよね……
気が向いたら他の小説の執筆もしなければ……

それではどうぞ。



「ふぁ……眠い……」

 

どうも、おはようございます。

柚深月穹です。

昨日は料理対決をやった後、ベルンとゲームをやってました。

ちなみにスマ〇ラを……

 

「…ん?」

 

起き上がると隣では何故かベルンが寝ていた……

えっ…なんで?

 

(流石に起こしてあげた方がいいかなぁ……?)

 

気持ちよさそうに寝ているベルンを起こすのは気が引けるけど、

この状況について聞きたいので、とりあえず……

 

「…ベルン、起きて。朝だよ」

「…………」

 

まだ眠気が覚めてないのかな?

そういえばベルンは朝が弱かった気がする……

そんな事を考えていたら……

 

 

 

 

ーーガバッ!!ーー

 

 

 

 

ベルンが抱きついてきた。

……What?

 

「…ねぇ、どうしたの?」

「…………」

 

未だ僕に抱きついてるベルンに聞いてみるが答えてくれない。

顔も俯いてる為、彼女がどんな表情をしてるか分からない。

すると、ある事に気がついた。

 

(震えてる……?)

 

彼女の手をよく見ると震えていた。

普段のベルンだったらこういう事は滅多に無い。

仮にあったとしても少し言いにくそうに話してくれる筈だから……

 

「…怖い夢でも見たの?」

「……………」

 

僕が何となく思い当たる事を聞くと彼女は声には出さないが

首を縦に振り小さく頷く。

どうやら本当のようだ……

 

「…ベルンが気が済むまでこのままでいてあげるから」

「………うん」

 

そう言うと僕にしか聞こえない声で返事をしてくれた。

いくら彼女が千年を生きた伝説の魔女だからって言っても元々は1人の女の子だ。

普段はプライドが高く周りに弱音とかを言わない彼女は辛い事がある時は、

幼馴染みである僕にだけ話してくれる。

2人きりの時だけどね……

 

(ベルンが見た怖い夢って……)

 

それはきっと彼女しか知らない。

気のせいか啜り泣く声が聴こえた……

 

(…こんな様子じゃ肝心な事が聞けないよ)

 

とりあえずベルンが落ち着くまで

待ってあげようと思った僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20分くらいした後。

ベルンは着替えてくると言って自分の部屋に戻って行った。

それにしても……

 

(ベルン、大丈夫かな……?)

 

そう思いながら部屋のドアを開け、

屋敷の廊下に出るとベルンがいた。

 

「大丈夫よ」

「…そっか」

 

どうやら心配無用だったみたい。

とりあえず話題でも変えるかな……

 

「…ベルン。今日も一緒にゲームでもやる?」

「やる。でも今日は何のゲーム機を使うの?」

「そうだね……」

 

実を言うと数日前から僕とベルンは様々なゲーム機で

遊んでいたりする。

大型ゲーム機はもちろん、小型ゲーム、体感型ゲームとかetc……

数えたらキリがないよ。全く……

 

「…ピンクの悪魔が主人公のゲームは?」

「そのシリーズだったら私はエアライドがやりたいわ」

「…それにしよっか。僕も随分そのゲームやってないからね……」

「意外ね。別のゲームでもやってたの?」

「…最近、ポケ〇ンW2ばっかりやってて……」

「奇遇ね。私もW2をやってたの」

 

なんか意外かも。

ベルンの事だから、てっきりB2かと思ってた……

 

「…最初の手持ちは何選んだの?」

「水タイプよ。そういう穹は?」

「…僕は草タイプ。あ、後でタマゴ交換してくれない?」

「いいわよ。欲しい性格とか個体値とかはある?」

「特にないから大丈夫。ベルンは?」

「私も特にこだわってないから穹に任せるわ」

「そういえばストーリーでさ、チャンピオンのアーケ〇スとオノ〇クスがウザかった…」

「アーケ〇スに苦戦したの?、オノ〇クスは分かるけど……」

「飛行ジュエル持ちで、特性にやられたよ……あと素早さ意外と高い」

「私の時は運が良かったのかしら?」

「それもあるかもね。ベルンはオノ〇クス以外で苦戦した奴いた?」

「サザン〇ラ。あいつ前作のラスボスの父親が使ってるのより強くないかしら?」

「…僕も思った。物理型なのか特殊型なのか、それとも両刀なのか悩んだけど」

「ラムダが使いそうよね」

「羅奈も使うと思う。2人共、対戦で初手か最後辺りに出すんじゃない?」

「あり得そうね」

 

ホント誰なんだろうね……

サザン〇ラなんて凶悪な奴を降臨させたのは……

弱体化しないかね?

 

「…エアライドのゲームは何か制限とか付ける?」

「ドラ〇ーンとハイ〇ラは無しがいいわ」

「…ん、了解。他は何でもアリ?」

「あ。負けた方は罰ゲームを与えるのはどう?」

「…偶にはイイよ。でも出来る範囲の罰ゲームにしてよ?」

「……くすくす、考えておくわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし僕が勝った場合、

ベルンにどんな罰ゲームをさせようかな……?

…あ。勝った場合だけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます。
後編に続きます。
ベルンとの会話だけになってしもうたΣ(゚Д゚)
…実は半分は、それが狙いだったり。
次回も気まぐれで更新しますので
よろしくお願いします。


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宴4 ゲームの力って凄いよね 後編

ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。


ベルンと歩いていると、

戦人の部屋でベアトとロノウェを発見。

気配を消しながら中を覗くと戦人がラムダと羅奈の3人で

テレビゲームをしていた。

 

「ベアト、何してるの?」

「あひゃんっっ!?」

「ロノウェ、おはよう。」

「おはようございます、穹様」

 

そう言いながらベアトの腰回りをくすぐりながら

問いかけるベルン。

ロノウェも朝から大変だね。

 

「きゅ…急に現れるならまだしも…体をつついたりくすぐるのは止めてくだされ」

「フッ…ごめんなさい、つい癖で」

「そうですとも!、首筋なんかは特に弱いのでお気をつけください!」

「余計な事を…って何故お前がそんな事を知っておる!?」

 

ふーん、ベアトって首筋をくすぐられるのが弱いんだぁ……

ベルンも僕と同じ考えだったのか……

 

「「…へぇー……」」

「お主らアレか!?、3人して妾を虐めようって魂胆か!?」

「…気のせいだよ」

「そうよ。失礼しちゃうわね」

「えぇ、滅相もありませんよ?、ぷっくっく……」

 

そんな事を僕達がするわけないじゃない……(ニヤリ)

 

「して原因を御二方は知っておるのだな?」

「僕は知らないけど…ベルンは?」

「ええ知ってるわ。あれは少し前…」

 

話を聞くと何でも数日前に戦人がそこら辺をブラブラしてたから

ベルンが終わったゲームを貸してあげたとの事。

その後も色んなゲームを貸してあげてたとの事……

 

「まさか引き籠もるほどハマっちゃうとはね……」

「ゲームの力って侮れないからね…戦人の時代だとファ〇コンだっけ?」

「そうね…あとは●橋名人くらいでしょ」

「知ってるも何も原因そのものではないか…?」

 

ま……ベアト言う通り原因はそうなるね。

するとベルンが溜息を吐きながら……

 

「私も戦人がああで困っているのよ」

「ベルンカステル卿が?」

「やはり戦人様側に付いておられるからですか?」

「今は暗い中、部屋でゲームしてるしね。勝負以前の問題だと僕は思うけど?」

「そうね。穹の言う通りあのままじゃ勝負にはならないわね」

 

ちなみに僕は誰の味方でもない。

なので戦人とベアトのゲームを邪魔するつもりは毛頭ない……

 

「でもそれ以上に戦人があの調子だと私のブログのアクセスが激減するのよ…」

「ベルンのその様子だとまた最近アクセスが減ったんでしょ?」

 

最近の彼女の趣味はブログ更新らしい。

どんな内容を更新してるかは僕も分からないけど……

 

「魔女界きってのブロガーとしては由々しき問題だわ…ッ!」

「それは確かに問題だね」

「穹もそう思うでしょ!?」

「いや大事か?、それは妾とのゲームより大事なのか……?」

「…そう思うならベアト。早急に戦人を戻そうね」

「わ、妾がかよぉ~?」

 

エ"ーと言いながら嫌そうな顔をするベアト。

いやだって戻したいんでしょ?

 

「しかし、あの調子じゃすぐには元に……」

 

戻らないぞ?とベアトが言いかけた瞬間……

 

「そうよ無理無理!、私は戦人の邪魔しに来てるんだからそう簡単に元に戻させるもんですか!」

「私はラムちゃんの付き添いだけど、どうしてもって言うなら条件があるわよ」

 

ラムダと羅奈が話に割り込んできた。

…ん?、携帯ゲーム機を持ってるって事は羅奈が言ってた条件って……

 

「ゲームで私と羅奈に勝ったら協力してあげてもいいけどね!」

「私とラムちゃんに勝ったらね!!、さぁ穹、勝負よ!」

「「ちっ…めんどくさい……」」

 

2人がこんな条件を出したのは、

この前ゲームで僕とベルンがボッコボコにしたのを根に持ってるからだ。

状況を打破する為、念話をベルンに送ってみる……

 

『ベルン、勝ったら余計めんどくなりそうだから今回は負けていいよね?』

『ええ。負けるのがよさそうね』

 

さてと……どの手持ちで戦おうかな……

 

「フフーンだ。この前はちょっーと油断したけどねっ」

「今日は完膚なきまでに穹達を負かしてやるわ!」

 

気にしない、気にしない……

 

「ま、前回は運だけで勝てたようなモノでしょー?そもそも私と羅奈の方が強いし」

「穹の場合なんてマイナー系しか使わないじゃない、運ゲ乙ってやつね!!」

 

ラムダと羅奈も随分言いたい事を言ってくれるよねぇ……?

ベルンも今の言葉を聞いて黙ってないと思う。

 

「「お望み通りフルボッコにしてあげる……」」

「穹殿もベルンカステル卿も負けるのだぞ!?、分かっておいでか!?」

 

 

 

 

で結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とベルンの圧勝でした。

 

「な……何をボコボコにしておる!」

「ハッ、僕とした事がつい……」

「ごめんなさい。私もラムダと羅奈には負けたくない体質で……」

「気持ちは分かるがな!?」

 

するとラムダと羅奈も諦めたのか……

 

「そういえばなんでベアトが戦人の事を元に戻そうとしてんのよ?」

「一応、2人共。敵同士なんでしょ?」

「そんなの決まっておろう。あのままじゃゲームどころではなかろう?、それではつまらんでは……」

 

素直じゃないねベアトも……

 

「というのが建て前でして最近、戦人様が引き籠もられて寂しいのですよ」

「「あ~……」」

「し、しつこいぞ!!、違うというのに!!!」

 

そんなこんなで……

 

「そういう事なら協力してあげてもいいわ」

「私もベアトの恋路を邪魔するのはねぇ…」

「ぐ…羅奈殿まで……なんだこの不本意過ぎる流れは……」

 

戦人の方を見ると布団をかぶりながらテレビ画面に

夢中な状態だった。

 

「でもあれは相当キてるわよね」

「完全に現実逃避状態ねー」

「…ストレスでも溜まってたんじゃないかな?、ベアトとのゲームで」

「妾だけのせいか…?」

 

とりあえず戦人をゲームに夢中になってる状態から

引っぺがせばいいわけだから……

すると1つの案が浮かんだ僕は隣にいたベルンに提案をしてみる。

 

「ベルン、あれ以上に戦人が興味を示すものっていえばやっぱり……」

「ええ、そうね」

 

ラムダと羅奈も僕が言った意味が分かったのか、

僕達4人はベアトに視線を向け……

 

()()だよね……」

「まぁあれよね……」

「あれね……」

「うん、あれね……」

「何故こっちを見るのだ……」

 

僕達4人が言った()()とは……

 

「自称、おっぱいソムリエの戦人だし……現物見せれば案外正気に戻ったり……」

 

つまり僕が提案した事とは引き籠もり状態の戦人に

ベアトの胸を見せれば元に戻ると判断したのだ。

 

「穹殿も妾を虐めてそんなに楽しいか!?」

「…だってこれ以上の案なんてないし。羅奈お願い」

「ベアト観念しなさい……」

「自分からはいいが人に強制されるのは敵わん…!!」

「…あっ、よそ見してると……」

 

僕がそう言ったのも束の間、

ベアトはコンセントに足を躓き床に転んでしまった。

それと同時に電源のコンセントがブチッと外れてしまう。

そうなると当然テレビの画面も消える。

それを見た戦人はベアトを殴った。

 

「殴られた!?、何故だ!?」

 

急に殴られた理由が分からないと嘆くベアト。

ゲーム経験者だったら一度はあるだろう……

ベルン達に目を合わせると僕と同じ考えだったようだ……

 

((((今のは絶対に殴った……))))

 

で、結局ベアトは僕の案に乗る事になった。

流石に全裸はマズいのでスクール水着を着させた。

ちなみにベルンが選んだ水着である。

 

「さ、頑張ってね~☆」

「むぅ…こうなればヤケだ!!、ば……戦人アァアア!」

「…あっ、ベアトの方を向いたね」

 

さぁ何て言葉をかけるんだか……

 

「そんなにゲームばかりしてるとバカになるぞ…?」

 

胸を強調しながら言ってるけど

男の僕からしたら目に毒なんだけど……

 

「…なぁベアト」

「おお、元に戻っ……」

「気でも触れたか?、その格好はねぇだろ……」

「殺す!!!」

「ギャアアアアア!?、俺が何をしたッッ!?」

 

うわぁ……これ以上はグロ過ぎて

説明するのも大変だよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー戦人を修復後……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!、俺は一体何を……!」

「おお、正気に戻ったか!」

 

戦人が戻ったのはいいけど……

 

「ああ…確かに悪い夢でも見ていたようだ…」

「それは多分、別の意味でだと僕は思うよ?」

「それにしても効いたぜぇ、お前の一撃!。おかげで目も覚めたぜぇ」

「戦人、まずは血を止めなよ。頭から出てるから……」

「そうであろ?、妾にかかればこれくらい容易い事だ!」

 

そういう問題じゃない。

近くにいた羅奈に思った事を聞く……

 

「…羅奈、あの2人を見てどう思う?」

「私も同じ。ラムちゃんはどう思う?」

「…色気じゃなくてドツいて正気にって……」

 

ラムダも同じ事を思っていたようだ。

戦人ってまさか……ドM?

 

「穹、環境が戦人を変えたのよ……」

 

ベルンが上手く纏めてくれました。

うん、きっとそうだよ。多分……

 

「しかし、このテレビゲームというのはそんなに面白いのか?妾は、こういうのはイマイチ分からん……」

「なんだ。お前も興味あんのか?」

 

まぁベアトはテレビゲームとかはあんまり興味なさそうだしね。

戦人の言いたい事は分かる。

 

「じゃ。やってみたらどうだ?、俺はもうこりごりだぜ……」

「ふむ……」

 

そう言いながらベアトに渡したゲーム機は、

P〇3。ちなみに薄型タイプではなく初期に出たバージョン。

ちなみに買うんだったら、ある程度の時期に買った方がオススメである。

何故なら初期版→薄型版→カラーバリエーション増加→値段が安くなってる…の謎の発売法則があるからなんだ。

…あくまでも僕の纏めた感じだけどね?

 

「ま、お前の事だから3秒で飽きそうだけどな!」

「そもそもどう使うのだ?」

 

そうは言うけどさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー1週間後ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢様ー、出てきてくださーい!」

 

ロノウェがドアを叩く。

 

「ラムちゃん。ベアト返事もないし出てこないね……」

「まさか今度はベアトまで……」

 

そう。羅奈とラムダが言った通り、

今度はベアトが部屋に引き籠もってしまった。

 

「戦人のせいね」

「そうよね」

「俺かよ!?」

 

そしてまぁ……お察しの方もいるかもしれませんが、

ベアトと同じ目に遭う戦人でした。

やっぱりゲームの力って凄いんだね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
戦人が今回、あんまり喋ってない……
この調子で執筆していきますので
次回もよろしくお願いします。


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宴5 若返りの薬で小さくなっちゃった

ゆるポメラです。
今回からワルギリアが登場します。
お師匠様の口調とか上手く表現できるか不安ですが、
頑張るぞい!

それではどうぞ。



僕達は今アルバムを見ています。

誰のかというと……

 

「ほら見てください!、これも可愛いですよ♪」

「ホー……」

「「へ~、この頃のベアト可愛いー」」

「何をしているのだ、お師匠様ぁ……」

 

先代無限の魔女、そして有限の魔女ワルギリアが

小さい頃のベアトのアルバムを見せてきたのだ。

それを見て意外そうな顔をする戦人とラムダ、羅奈の3人。

 

「久々に現れたと思ったら!!」

「ああ!?、私のコレクションが!」

 

ワルギリアからアルバムをひったくったベアトが焦っていた。

まぁベアトからしたら他の人に小さい頃の姿を見せられては

恥ずかしくてたまったもんじゃない……

 

「そういえば、ここ数日見かけなかったけど出かけてたの?」

「ええ。魔女友達と慰安旅行に」

「私も旅行は最近行ってないなぁ~」

 

少し羨ましそうにワルギリアに言う羅奈。

旅行ねぇ……僕も行ってないや。

 

「お土産は?」

「お土産はー?」

「ありますよ、はいどうぞ」

 

ベルンとラムダに箱を渡すワルギリア。

ラムダが箱を開けると、温泉饅頭が入っていた。

 

「むぅ!、妾は聞いておらんぞ。除け者かぁ?」

「あら、ベアトも行きたかったのですか?。てっきり戦人くんと離れるのは寂しいかなと思いまして……」

 

あっ…ベアトが敵が増えよった!って顔になってる。

すると戦人が……

 

「そういやベアトは千年の魔女なんだよな?」

「まぁな…」

「そいでワルギリアはベアトの師匠なんだよな……」

「そうですね」

「じゃあワルギリアは、2~3千歳くらい……」

 

その言葉を言った瞬間、

ワルギリアが凄い形相をしながら戦人の肩を掴み……

 

「戦人くん人にはですね?、言っていい事と悪い事があるのですよ?」

「ス、スミマセンでした……」

 

この人の前では禁句らしいからね。

僕も深くは言えないけど……

 

「もうっ、それに私は永遠の17歳ですよ!」

「…この人、赤で言い切ったよ」

 

赤き真実を使ってまでって事は、

今後ワルギリアに年齢の事とかは言わない方がいいかな……

 

「12個入りだから7個食べても平気よねっ」

「あんた、いつから胃袋キャラに……」

「私は1個で充分かな♪」

 

一方、ラムダは温泉饅頭を何個食べるかとの事。

急に胃袋キャラになった事に呆れるベルン。

…全くラムダはどういう計算で7個食べるって事になったのさ?

羅奈だけじゃん、まともなのは……

 

「しっかし千年も前なのに写真なんてあんのか?」

「ああ。これは魔法ですよ」

「正確に言うと記憶念写魔法だけどね」

「はい。穹くんの言う通り、覚えていれば何でも写し出す事ができますよ。戦人くんもやってみますか?」

「それはつまり昔見たエロ本の念写も……」

「そんな不純なモノはお断りです」

 

戦人には敢えて言わないけど、

実を言うと彼が先程言ったエロ本の念写は不可能ではない。

ワルギリアが言ってた通り()()()()()()()であれば写し出す事が出来る訳だし……

 

「ま、そういうの無しにしても昔の写真てのは悪くねぇよな」

「じゃあやってみますか?」

 

そう言うとワルギリアはポラロイドカメラを取り出した。

どうやらあれが記憶念写魔法の媒体らしい。

 

「ではいきますよ。さぁさ思い出してごらんなさい、あなたがどんな姿だったのか……」

 

そしてポラロイドカメラから写真が出てきた。

さて戦人の記憶からどんなモノが念写されたのか?

そう思った僕は写真を1枚手に取る。

そこには小さい女の子の姿が写し出されていた。

 

「……」

「穹どうしたの?…って、うわぁ……ラムちゃん見てこの写真……」

「うっわ"~……もしかしてロリコ……」

「まさか私達も……」

「妹だ妹。ぶん殴るぞ、てかお前ら知ってんだろ」

 

…まぁ、分かってたけど。

 

「本人の思い出なので本人の姿を写し出せないのが欠点ですね」

「戦人がシスコンって事くらいね、分かったの」

「「「確かに」」」

「うるせぇ!」

 

それにしても小腹空いたなぁ……

 

「戦人も穹も饅頭でも食べなさいよっ」

「ワルギリアのお土産か?」

「ありがとラムダ、1つ貰うよ」

 

あ。この温泉饅頭、美味しい……

でも気のせいかな……なんか変な味がするんだけど……

 

「まぁ戦人の小さい頃なんぞ見なくても分かるがな!、どうせ妾と正反対でガサツでワガママに決まっておろう!」

 

ベアトそれまんま金持ちの子供じゃん……

というか……

 

「ククク…のぉ戦人ァ!」

「ベアト、戦人が子供になってるけど?」

「…はい?」

 

そこには子供姿の戦人がいた。

 

「ちょっ……ちょっと穹……」

「ベルンどしたの?」

「いやだって穹……」

「羅奈もどうしたの?」

 

ベルンが珍しく動揺している。

よく見ると羅奈もだった……

この2人が動揺するのは珍しい。

そういえば着ている服が大きすぎるような……

…あれ?

 

「「そ、穹が……」」

 

自分の姿を近くにあった鏡で確認する。

そこにいたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4歳くらいの頃の姿に戻った僕がいた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
この後は一体どうなるか?
次回はベルンの視点になります。


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宴6 子供の姿は何かと不便

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
視点はベルンです。
余談ですがタグの編集もしました。
活動報告に記載してあるので良ければそちらも
ご覧になってください。

それではどうぞ。


「やっぱり私は天才ね!若返りの薬の開発に成功したわ!」

「ラムちゃんいつの間にそんなモノを……」

 

羅奈が苦笑い気味に言うのも分かる。

あんた、いつの間にそんな薬なんて作ってたのよ……

 

「これを人間どもに売りつけて金を巻き上げるのよ!そしてゆくゆくは、お城でも買ってリッチに……」

「夢を持つ事はいいことだが…戦人と穹殿は元に戻るんだよなぁ?」

「そうよラムダ。穹は元に戻るんでしょうね?」

 

まさか戻らないって言うんじゃないわよね?

 

「……は?」

「ラムダ今すぐ穹を元に戻す薬を作りなさい、今すぐに」

「ちょっとベルン!?、なんで私の首根っこを引っ張るのよー!」

「あんたが穹に余計なモノを食べさせたからでしょ」

 

さてラムダにどんなお仕置きをしてあげようかしら……

フフフフフフ……

 

「ベルン、待って」

 

そんな事を考えてると穹が私に声をかけてきた。

それにしても穹…か、可愛いわね……///

 

「多分この薬、時間が経てば元に戻ると思うよ。そうでしょラムダ?」

「そうそう!!、穹の言う通り時間が経てば戻るわよ!」

「…本人もこう言ってるし、元に戻らなかったらベルンの好きにすればいいよ」

「あれ?、私って寿命が延びただけ?」

 

まぁ穹がそう言うなら仕方ないわね……

とりあえずラムダの首根っこを離す。

 

「ラムダ、穹に免じて時間をあげる。ただし元に戻らなかったら……分かるわね?」

「は、はい!!」

「それにしても昔の姿の穹、やっぱり可愛い~♡」

「ちょっと羅奈!!、あんたなんで穹を抱っこなんてしてんのよ!!」

 

気づけば羅奈は穹を抱っこしていた。

しかもあの女、頬擦りなんてしてるし!!

う、羨ましい……!!

 

「あなたおいくつですか?」

「5歳」

「お師匠様、戦人は元に戻せるのか?」

「記憶も戻っているみたいですし、私の魔法で元に戻せるかもしれません」

「触んなよババァ」

「ベアトいいからその子をこっちによこしなさい」

「いやでもさぁ、お師匠さ……」

「よこしなさい」

「…とりあえず戦人の方はベアト達に任せるよ」

「それにしては穹殿は落ち着いてないか……?」

「そう?これでも僕、焦ってるんだけどな……」

 

羅奈に抱っこされながらもベアトに言う穹。

記憶が当時のままだとしたら焦ってる筈。

その証拠に若干、困った表情になっている……

 

「子供の頃からこの品のなさ!さすが戦人って感じね!」

「じー……」

「な、何よ?」

「お前、なんかむかつく」

「痛いっ!」

 

ラムダに頭突きをかます戦人。

普段からの恨みがこめられているわね……

本当に記憶が当時のままなのかしら?

 

「ベアトの言ってた通りガサツでワガママだね。更に言うなら乱暴……」

「そうね、まごうことなき金持ちの子供ね……」

「ねぇベルン、なんで僕は君に抱っこされてるの?」

「穹は嫌……?」

 

私がこう言うと穹は大抵の確率で……

 

「ベルンが嫌じゃないならこのままでいいよ」

「そ、そう……///」

 

こう言ってくれる。

それに私は嫌じゃない……

寧ろラッキーね。

 

「ねぇねぇ…逆さ吊りにして●剥いで××して△△を■■■してもいいかしら?」

「それはせめて元に戻ってからにしてくだされ」

「ラムちゃん大丈夫?、ボロボロだけど……」

「戦人のヤツ、大人しくしていれば付け上がりやがって……」

 

そんなのラムダの自業自得でしょ?

私の知ったこっちゃないわ……

穹をチラッと見ると眠たそうにウトウトしていた。

 

「眠いの?」

「…ん。僕、部屋で少し寝てくるよ」

「眠いなら、このまま寝てもいいわよ」

 

子供の状態になってるとはいえ、

流石に部屋まで移動させたら穹が可哀想だもの……

 

「でも僕が寝てる間に元に戻ったらベルンが困るんじゃ……」

「いいの。廊下で倒れて寝るよりはマシでしょ?」

「……じゃあ、ちょっとだけこのまま寝させてもら……」

 

そう言うと穹はすぐに寝てしまった。

ラムダが作った薬のせいとはいえ、私が知ってる小さい頃の穹を見れたのだからこれくらい気にしない……

ただ、あるとすれば……

 

「羅奈、あんた何写真なんて撮ってんのよ。ぶっ飛ばすわよ……」

「あら?、そんな事したら穹が起きちゃうわよ~♪」

「ぐっ!!……この言わせておけば……っ!!」

 

羅奈が私の写真を撮ってるくらいね……

絶対、後で私をからかう材料にする気だろう……

しかもご丁寧に穹が起きないよう、シャッター音やフラッシュは無しで撮ってるから余計にタチが悪い……

 

「ねぇ羅奈、私にも後でベルンの写真頂戴!」

「もっちろーん♪、ラムちゃんには高画質で現像してあげる♪」

 

しまいにはラムダも乗っかってきた。

あんた達ねぇ……

穹にはラムダには時間をあげてって言われたけど……

 

(ラムダも追加でぶっ飛ばす)

 

そう決めた。

今は穹の寝顔でも見て癒されようかしらね。

…あ、でも元に戻った時の態勢とかも考えとかないと私の理性が持たないわ……///

やっぱり肩に寄り添う形にした方がいいわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(たまには、こういうのも悪くないわね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
少し短すぎたかな…?
次回も頑張って執筆しますので
よろしくお願いします。


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宴7 魔女でも風邪をひくんです

ゆるポメラです。
今回はタイトル通りです。
看病する描写が上手く伝わっているか不安ですが……

それではどうぞ。


いつも通りの朝。

なんかこれじゃあんまり変わんないなぁ……

 

「そういえば昨日、地鳴りがした気が……」

 

昨日は疲れてたせいで1日中部屋で寝てたから

覚えてないんだよなぁ……

そう思いながら屋敷のリビングに行くと、

羅奈とワルギリア、ロノウェ、戦人がいた。

 

「あ♪、穹おはよ♪」

「羅奈おはよ。あれワルギリア、ベルン達は?」

「3人共ダウン中です」

 

聞けば昨日、ラムダが地球破壊爆弾なる物を作っていたら屋敷が半壊。

……昨日の地鳴りはそれが原因か。

話を更に戻すと、色んな薬品を混ぜた為に魔女達を弱らせる薬の成分が

ベルン達にかかってしまい3人はダウン中との事……

 

「それにしても俺に影響とかはないのか?」

「人間には影響はないですよ、分かりやすくいえば風邪みたいなものですね」

「それから人と違うのは薬を使って制御できなくなった魔力を熱として外に放出するの」

「それで風邪みたいな症状になるのか」

 

ワルギリアと羅奈の説明に納得する戦人。

 

「じゃあ命に別状はないんなら心配する必要もねーな、少しは反省しろってんだ」

「…て事は戦人は命に別状があったら心配するって事?」

「うるせぇ!」

 

だって言い方を換えればそう聞こえるんだよね……

 

「ま、俺に被害がねーんなら弱った顔観に行くか!、いっひっひっ」

「あら、イイ性格してますね」

 

戦人とワルギリアのやり取りを聞きながら

ダウンしているという3人の部屋に向かった。

 

「3人共、同じ部屋なのか?」

「被害を最小限にと思いまして……」

 

そして戦人が扉を開けた次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーゴォッーー

 

 

 

 

 

 

凄まじい熱気が襲ってきた。

…いや熱気っていうよりは火炎放射だよ

 

「大魔女なので魔力の放出量が半端ないんですよ」

「それを早く言え!」

 

ワルギリアって肝心な事を言い忘れるよね?

 

「つか、こんな事になってロノウェも大変だな。世話とか」

「ええ……それが……」

「いや~今から悪魔執事の集いに行かなくてはならなくて……」

「主人ほっといたら意味なくね!?」

 

これはちょっと困ったな……

するとワルギリアも……

 

「実は私も友人に借りた小説の続きが気になって気になって……」

「我慢しろよそれくらい!!」

「気持ちは分かるけどさ……」

「どんだけ続きが気になるのよ……」

 

というかロノウェの理由は分かるけど、

ワルギリアの場合は完全に個人的な理由じゃん……

で結局、戦人と僕、羅奈の3人で看病をする事になった。

 

「ちょっと俺、あいつらの様子を見てくるわ」

 

そう言うと戦人は部屋に入って行った……

と思ったらすぐに戻ってきた。

 

「どうだった?」

「あいつら火を吐いていたぞ……ってか本格的にオカシイ!?」

「ラムちゃん達、重症みたいだね~」

「そろそろ12時になるし、何か作るか……といってもお粥だけど」

「じゃあ私はラムちゃんの分を作るわ、あんまり味気ないのだとラムちゃん食べないから」

「俺はベアトの分を作っとく」

 

こうして僕がベルンに、羅奈がラムダに、

戦人がベアトの分のお粥を作る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後、作り終わった僕達は再び

部屋に入った。

余談だがここに戻る途中、気になったのが羅奈がラムダに作ったお粥だ。

何故かは分からないが、お粥から甘い匂いが漂っていたからだ……

 

「うーむ、お粥とは味気ない……妾はアイスが食べたい」

「いいから黙って食え」

 

お粥は胃に優しいからね……

代わりに味があまりしないのが欠点だが……

ベアトの言いたい事は分からなくもない。

 

「ベルン、食べれそう?」

「ちょっと頭がボーっとするけど……平気」

「…梅干しの量が尋常じゃない時点で大丈夫じゃないでしょ」

 

彼女の皿には何故か山のように乗っている梅干しが……

僕が指摘した事に気づくと……

 

「あら?、梅干しを2つに増やそうと思ったのに……何この量」

 

自分でも驚いていたようだ。

これは相当参ってると感じた僕は彼女が持ってるレンゲを取る。

 

「…はいベルン、口を開けて?」

「えっ……で、でも……///」

「いいから。食べないと治らないよ?」

「み、みー……///」

 

観念したのか大人しく僕に食べさせられる状態になるベルン。

頭から蒸気が出てるけど大丈夫かな?

食べ終わるまで彼女は真っ赤だったが……

 

「それにしても、こんな状態だと……治りそう?」

「薬を飲んで一晩寝れば治るんじゃないかしら」

「…やっぱりそういうもんなの?」

「私達は魔力が強くて症状が重いだけで普通だったらなんてことのない病気だもの」

「そっか。ところでベルン……」

「なに?」

 

僕がラムダを指差すと……

 

「新世界の神に私はなる!!」

「ラムちゃん寝てなきゃダメだってば!?」

 

なんか何かの文献で聞いた事を発言しているラムダと

それを止めてる羅奈がいた。

 

「ラムダは戻ってこれるよね……?」

「あの子、魔力だけは馬鹿みたいにあるから症状が重いのよ……」

「そっか……あ、ゼリー作ったんだけど食べる?」

「うん。ねぇ、穹……?」

「どしたの?」

「そ、その……さ、さっきみたいに…た、食べさせて?」

 

なんかベルン、今日はいつになく素直だなぁ……

他のみんながいる前で言うなんて……

 

「はい、あーん……」

「みー……///」

 

ま、風邪をひいているとはいえ彼女は上機嫌っぽいし喜んでるならそれでいいかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー次の日ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に魔女風邪が治ったベアト、ベルン、ラムダの3人。

 

「魔女風邪はもうコリゴリだ。退屈で敵わん」

「俺の方がコリゴリだぜ……」

 

そういえば戦人は昨日、

ラムダの火炎放射を直撃したんだっけ?

僕とベルンは目撃してないけど……

あ、そうだ……

 

「ねぇラムダ、3+4は?」

「は?、7でしょ?」

「カエルの子供は?」

「お…おたまじゃくし?」

「…君の名は?」

「ラムダデルタちゃん様よ……って!!、何よこの質問は!?」

 

今の質問はどういう意味かって?

 

「良かった、良かった。トンでないみたいだよベルン?」

「そんなラムダ、私だって見たくないもの」

 

つまりはそういう事だよ……

 

「バカにされてる?私、穹とベルンに今バカにされてるわよね?」

 

 

 

 

 

超パァな彼女もバカにされてるという自覚はある……らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は六軒島で海水浴の話になります。
それではまた。


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宴8 六軒島で海水浴 

ゆるポメラです。
今回は海水浴です。
少し短いかもしれません。

それではどうぞ。



「「みんな、出かけるわよ!!」」

「「は?」」

 

突然ラムダと羅奈がそんな事を言い出した。

つい僕と戦人はアホみたいな声を出してしまった……

 

「なんだよ……どこにだよ」

「来れば分かるわ!」

 

ラムダ随分とノリノリだね……

で、とりあえず着いた場所は海辺だった。

 

「さ、泳ぐわよー!」

「わーい!」

「なぁ、かなり時期外れな気がするのは俺だけか?」

「気が合うね。僕もそう思った」

 

こんな寒い日に泳ぐとか、

ラムダと羅奈は頭がおかしいとしか思えない。

 

「あらぁ、時期外れの方が人が少なくていいじゃない」

「そうそう♪」

「人が少ないって…ここ六軒島だろうが!」

 

そうです。

実は海辺と言ってもここは六軒島。

右代宮家が所有してる孤島なので人が少ないのは当たり前だ。

 

「第一まだ寒いだろ!、俺とか危ないだろ!?」

「僕は平気だけど、流石に気温とかはなんとかならないラムダ?」

「そんな問題くらい、このラムダ様がバシッと解決!そぅれっ」

 

そう言いながら指を一振りするラムダ。

するとどうだろうか。さっきまで寒かった気温が一気に

暖かくなった。

 

「うぉ、ぬるっ……てか熱っ!」

「水温まで変えるなんて……流石ラムダ」

「ラムちゃんすっごーい♪」

「褒めていいのよ!、褒めて!!」

 

ここで僕と戦人はある事に気づいた。

水温が上がってしまったせいで、お魚さん達が犠牲に……

 

「娯楽には多少の犠牲はつきものなのよ!」

「たかだか泳ぐくらいで犠牲を出すな!!」

「…羅奈、この魚あとで食べよ?」

「そうね、美味しく頂きましょ」

 

犠牲になった魚はロノウェに頼んで調理してもらう事になりました。

 

「あら穹と戦人はまだ着替えてないの?」

 

声をかけてきたのはベルンだった。

彼女が着ていたのは黒スクール水着。

というか凄く可愛い。めちゃくちゃ似合ってるよ。

 

「…あ、ありがと…///」

 

おかしいな。僕、声に出した覚えがないんだけど……?

あ、ベルンが照れてる……

 

「俺、水着なんて持ってきてねぇしなぁ……」

「あんた、これだけ見せられて魔法はないとか言うんじゃないでしょうね!」

「でも戦人の水着どうするのさ?」

「ふっふーん♪、そこはこの私に任せてね♪」

「羅奈がねぇ……」

 

ドヤ顔で戦人の水着を用意すると言う羅奈。

でもなんか裏がある気がする……

 

「着替えなんて指先ひとつでホイッと♪」

「おい!!、なんで女物なんだよ!?」

「あっ、ゴメーン☆」

 

しかも紐ビキニって……やば笑い過ぎてお腹痛い……

 

「でも羅奈がやるのも分かるわー、1回やっとこか!みたいな感じでしょ?」

「あ、ラムちゃんも分かる?」

「ねーよ!!、そんなの!!」

「じゃあ心の優しいラムダデルタちゃん様が戦人のリクエストを受けようじゃないの!」

 

ラムダがリクエスト……だと?

僕だったら気持ちだけ貰っておくよ。

 

「お!じゃあ男らしいカッコいいのを頼むぜ!、お色気ムンムンのやつ」

「ん~……お色気むんむん?、いまいち想像つかないわね~」

 

それ以前にそんな水着なんてあったかな?

 

「私に心当たりがあるわよ」

「ベルン?、参考までに聞くとどんなの?」

 

僕がそう聞くとベルンは指を一振りする。

すると戦人の水着……っていうよりは何処かの民族衣装に変化した。

腰回りが草で中央付近は動物の角みたいな筒で隠してあった。

 

「…もはや水着でも何でもないよね。いやお色気という意味では合ってるけど」

 

で、結局ラムダが普通の水着を戦人に用意してくれました。

ついでに僕も着替えました。

 

「穹って腕細いわよねー」

「…羅奈だって細いじゃん」

 

そう言うと左腕に羅奈が引っ付いてきた。

あの……色々と当たってるんだけど……

 

「…あのさ当たってるんだけど?」

「ふふ♪、当ててるのよ♡」

「ちょっとあんた、穹から離れなさいよ」

 

すると今度はベルンが右腕に引っ付いてきた。

こっちも色々と当たってる……

 

「なによ。私と穹の邪魔しないでよ」

「黙りなさい風船女。穹は私と遊ぶのよ」

「誰が風船よ……この、まな板魔女!!」

「…っ!!、あんた私に殺されたいのかしら?」

「なによ。私と殺る気?」

 

あぁ…どうしよう……羅奈とベルンの胸が当たってるんだけど……

しかもこの2人はワザとやってるのかな?

そんな僕の考えてる事をよそに未だに火花が散っている2人。

ラムダに目線を送ると流石に溜息を吐いていた。

そして……

 

「あ~もうホラ!、羅奈もベルンも喧嘩しないの。ビーチバレーで決着つけたら?」

 

ラムダさん?

何故あなたはビーチバレーを提案したの?

この2人が乗る訳……

 

「へぇ~……いいじゃない、ラムちゃんの案に乗るわ。この女を後悔させてやるわ」

「奇跡の魔女に向かってよく大口が叩けるわね……腸を引き摺り出してあげる」

 

ダメだ。完全に殺る気満々だよ2人共……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「クスクスクスクスクスクス……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六軒島の海辺で2人の少女の不気味な笑いだけが支配していた……

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回に続きます。


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宴9 恐怖のビーチバレー

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
今回はラムダが視点となっています。
超パァで有名な彼女を上手く表現できるか不安でしたが
頑張ってみました。
そして今回も短いです。

それではどうぞ。


ハーイ、全世界の人類☆

私は絶対の魔女ラムダデルタちゃん様よ!

ちょっと今は修羅場な状況になってるのよ……

 

「ラムちゃーん、審判の方お願いね?」

「ラムダ早くしなさい」

 

前回の話を見た人なら分かると思うけど、

羅奈とベルンが穹を巡って今からビーチバレー対決をするのよ。

で、公平にする為に私が審判をする事になったのよ。

 

 

(ラムダさん、前回の話とか言うのは控えてください。by作者)

 

 

うっさいわねぇ……

まぁとにかく簡単に言うとそういう事よ。

養分共、理解した?

 

「ルールは魔法無しの普通のビーチバレー対決よ。2人共異論は?」

「「問題ないわ」」

 

この2人って勝負する時だけは声を揃えて言うのよね~

っていうかベルン、あんた体力ない方って言ってなかった?

でも、ただ勝負させるのもつまんないわねー……

 

「勝った方には穹からのキスが貰えまーす」

「「っ!?」」

「…それ逆に罰ゲームになりそうな気がするのは僕だけ?」

「まぁまぁ穹、アレを見なさいよ。2人共やる気みたいよ?」

「そんなわけ……ってなんで!?」

 

穹が驚いてる理由?

それはというと……

 

「「絶対に私が勝つ!!!」」

 

羅奈とベルンがやる気だからよ♪

それにしても恋の力って凄いわねー♪

あの2人、魔力全開にしてるのは気のせいかしら?

 

「それじゃ試合開始!」

 

開始の合図を宣言する。

先攻は羅奈みたいね、さてどう出るのかしら?

 

「死ね!、まな板魔女!!」

 

あ、悪口を言いながらサーブを打つのね。

羅奈らしいといえばらしいけど……

 

「風船女に言われたくないわ……よ!!」

 

ベルンあんたもなのね……

っていうより何よ、あのレシーブのやり方。

完全にコークスクリューブローじゃないの……

 

「最早、ビーチバレーの絵じゃないのは僕の気のせい?」

「2人共、穹の事になるとガラリと変わるのは知ってるでしょ?」

「…女の子ってよく分かんないや」

「あんたねぇ……」

 

これを素でやってるのかワザとやってるのかは、

絶対の魔女である私でも理解できない。

それ以前に柚深月穹という人物を完全に理解しろというのが無理に近い……

前に羅奈が気が向いたら穹がどういう存在なのか教えてくれるって言ってたけど。

 

「ねぇラムダ、これいつまでやるの?」

「そんなの勝負がつくまでに決まってるじゃないの」

「なんかこのままだと、0対0で終わる確率が高いんだけど……」

「なんでそう言い切れるのよ?」

「…あの2人のラリーを見て気づかない?」

 

穹が言うので2人に目を戻す。

その意味がすぐに分かった……

確かに羅奈とベルンはラリーを繰り返していた。

ただ問題はその速度。

例えるなら新幹線と同じ速さかしら?

で、ボールの姿が全く見えないのよ……打ち返してる音が鳴ってるのは分かるんだけどね……

ていうか砂埃が異常な程、舞っているし!?

 

「わー羅奈とベルン凄ーい」

「あんた、呑気な事を言ってないで止めなさいよ!!」

「だってラムダが審判でしょ?、僕が止めたら不公平じゃん」

「しょうがないわね、後で私にプリン作ってよね!?」

「うん、分かったー」

 

よし、交渉成立ね!

 

「2人共ー、試合は中止よ!」

「「先生、私達はビーチバレーの続きがしたいです!!」」

「そのセリフはバスケよ!?、それに私はいつから監督になったのよ!!」

 

なんなの!?

このラムダデルタちゃん様に諦めたら試合終了ですよって言ってほしいわけ?

というかベルンも軽くキャラ崩壊してるし……

本当に2人は穹の事になると周りが見えなくなるんだから……

結局、ビーチバレー対決は無効になってみんなで一緒に平等に遊ぶ事になったわ☆

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
戦人が出てない!?、
ついでに言うとベアトとワルギリアも出してない。
次回はオリジナルになります。
原作だと、みんなで墓場で運動会する回なのですが
その回で煉獄の七姉妹が初めて登場してたので、
このタイミングで新オリキャラを出したいと思っています(やっと出せる)
設定とかも後々、載せたりしますので
次回もよろしくお願いします。


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宴10 煉獄の魔女

ゆるポメラです。
前回の予告通りオリジナルになります。
視点はベルンになります。
煉獄の七姉妹も出てきます。
個性的な七姉妹を上手く表現できるか不安ですが……
それから新しいオリキャラが出ます。
楽しんでいただければ嬉しいです。

それではどうぞ。


また私が司会?

本当に物好きなヤツね……

まぁいいわ。退屈しのぎになりそうだし……

 

「ねー、ラムちゃん……」

「なにー?」

「暇だね」

「そうね。私達4人だけってもなんかねー……」

 

超パァな2人が説明した通り、

今この屋敷には私達4人しかいない。

ちなみに穹は厨房にいる。

 

「戦人とベアトはワルギリアの3人で買い物だしー」

「ロノウェも執事の集まりがあるって言ってたし……」

「「はぁ……暇……」」

「リバーシをやりながら何言ってるのよ……」

 

ラムダと羅奈が溜息を吐く。

ま、私達しかいない理由は2人が説明してくれた通り。

それでバカ2人はリバーシをやりながら暇を潰している。

もう20回くらいやってるわね……さっきまで数えてたけど。

 

「…3人共、プリン作ったけど食べる?」

「「食べる食べるー!」」

「ねぇベルン、この2人まだリバーシをやってたの?」

「20回くらいやってたわよ」

「やり過ぎじゃない?、はいベルンの」

「ありがと……」

 

穹からプリンを受け取る。

私は、あんまり甘い物は好きじゃないけど彼が作ってくれたものは別。

昔から私好みの甘さにしてくれるから文句は言わない。

というか言わない。

 

「やっぱり穹の作るプリンは美味しいわねー♪」

「羅奈だって作れるじゃん」

「え、でも私が作るプリンより美味しいわよ?、こんな味なかなか出せないもん」

 

お菓子作りが得意な羅奈でさえも絶賛する穹の手作りプリン。

実際本当に美味しいのは事実。

ここだけの話、穹の作るプリンは彼の母親直伝だというのを

小さい頃に私だけに教えてくれた事がある。

 

「それにしても今から私達4人で何すんの?」

「リバーシは私とラムちゃんでやったしー……」

「…本でも読めば?」

「そうよ。退屈しのぎにはなると思うけど?」

「「やだ!」」

 

まぁ私は本を読むのは嫌いじゃないけれど……

 

「ラムちゃん何とかならない?」

「七姉妹でも呼ぼうかしらね……」

「「七姉妹?」」

 

あら。穹と羅奈は知らないなんて意外ね……

 

「…ベルン、ラムダが言ってる七姉妹ってなに?。ラムダの妹か何か?」

「違うわよ。簡単に言うとベアトの家具よ……それにラムダに妹なんていたら嫌よ」

「そういえばそだね」

 

穹に簡単に説明すると彼は納得したようだ。

それにしてもここで天然なんて出さなくても……

しかも七姉妹をラムダの妹って……く…くく……

 

「ちょっと!、なに2人して私の事をdisってんのよ全く……七姉妹!」

 

ラムダが私と穹に文句を言いつつ指を鳴らすと、

ベアトの家具『煉獄の七姉妹』が現れる。

 

「傲慢のルシファー、ここにッ!」

「嫉妬のレビィアタン、ここにッ!」

「憤怒のサタン、ここにッ!」

「怠惰のベルフェゴール、ここにッ!」

「強欲のマモン、ここにッ!」

「暴食のベルゼブブ、ここにッ!」

「色欲のアスモデウス、ここにッ!」

 

穹と羅奈を見ると唖然としていた。

七姉妹を見て、そんなに驚く事なの?

 

「ねぇねぇラムちゃん、この子達が煉獄の七姉妹?」

「そうよー……ってか羅奈は知らないの?」

「私と穹の世界(カケラ)だと名前だけしか知らないって感じだよー?」

「…個性的な子達だね」

 

穹と羅奈の世界(カケラ)だと煉獄の七姉妹の名前だけは

知ってるみたいに聞こえるわね……

更に穹が言った言葉を聞く限り、実物もとい本物を見るのは初めてみたいね。

 

「ラムダデルタ卿、そちらの2人は……?」

「私の親友の緋未月羅奈よ。ベルンの隣で紅茶を飲んでる男の子が柚深月穹」

「気軽に羅奈でいいからね、ルシファーちゃん♪」

「えっ、は、はぁ……」

 

穹と羅奈って私とラムダと同じ大魔女の位があるのよね……

これはラムダから聞いた話で羅奈は相手が家具だろうとフレンドリーに接する。

…私?、あんな風船女なんて大嫌いよ。

死んでも友達なんて言いたくないわ、吐き気がする。

 

「暇だからどうにかして~」

「ボードゲームでもいいから何かないかな?、ルシファーちゃん」

「人生ゲームでよければ……」

 

なんで人生ゲームなのよ……

だいたい人数的に無理じゃない。

確か最大で7人までじゃなかった?

 

「ルシ姉、未開封の12人専用の人生ゲームならあるけど?」

「ベルフェなんでそんなもんがあるのよ……」

「マモンが最後の1つだったから買ったて……」

「私やりたーい!、ラムちゃんも一緒にやろー?」

「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

「ま、リバーシをやるよりはマシね。ベルンと穹も一緒にやるわよー」

 

12人専用の人生ゲームって一体なんなのよ……

しかも私と穹も巻き込むとかバカじゃないの?

別に暇潰しになるならいいけど……

結局、私と穹も参加する事になってしまった。

っていうか……

 

「人数足りないじゃない……」

 

ここで問題が発生した。

人数が足りない。私と穹、ラムダと羅奈で4人、煉獄の七姉妹を足しても

11人。あと1人が足りないのだ。

 

「マモンちゃん、この人生ゲームって12人じゃないとダメなの?」

「はい。買った時に必ず12人で遊んでくださいって注意書きが……」

「こ、これじゃゲームが遊べない……穹っ!!」

「なに?」

 

というか羅奈、なんで百面相なんてしてんのよ……

梅干しみたいな表情して気持ち悪いわよ……

 

()()()、呼んでくれない?」

「やだよ」

「だって穹の家具でしょー!?」

「僕は家具にした覚えはないんだけど?」

「私だって本当は嫌よ!、でもラムちゃん達と人生ゲームで遊びたいのー!」

 

羅奈が穹に文句を言ってるって珍しいわ。

ところで……

 

「穹って家具なんていたの?」

「向こうが勝手に自称してるだけ。僕は契約した覚えもないけどね?」

「で、どうするの?。羅奈がうるさいんだけど……」

「このままだとラムダも騒ぐから呼ぶよ。不本意だけど……」

「だからなんで私をdisってんのよ!!」

「…はいはい、ちょっと待ってて」

 

すると穹は召喚する魔法陣を展開した。

この魔法陣は私やラムダでも出現させる事ができる。

 

「…さぁさ、おいでなさい。煉獄の頂点に君臨し悪魔よ……」

 

穹が詠唱すると魔法陣が紅く発光し、

17歳くらいの少女が現れた。

 

「煉獄のクイナ……ここに」

 

その少女の特徴を一言で表すならサキュバスに近い。

尻尾は生えてるわ、悪魔の羽はあるわ、それにムカつくほどの胸が……

なんなの、私に対する当てつけか何かなの?

紅い髪を靡かせた少女は穹を見るなり……

 

「あ~ん♡、マスター♡」

「くっつかないで、鬱陶しい……」

「ちょっとクイナ!、穹にくっつかないでよ!!」

 

抱きついていた。

それを引きはがそうとする羅奈。

 

「ねぇベルン気づいた?」

「ええ、魔力が嫌というほど伝わってる」

「あの子、何者かしら?」

 

家具の割には魔力があり過ぎる……

というか、それ以前に穹から離れてくれないかしら?

そこのバカ2人。

 

「それでマスター、誰なんですか?、そこの()()()()2人は?」

「「あ"っ?」」

 

この女、私とラムダの事をクソガキなんて言わなかった?

 

「ちょっとクイナ。まな板魔女ならまだしもラムちゃんをバカにすると殺すわよ?」

「風船女、あんた今なんて言った?」

「ぷふっ♪」

「何笑ってんのよ!!、やっぱ呼ぶんじゃなかった……!」

「…だから僕は嫌だって言ったのに」

 

羅奈、あんたに初めて同情するわよ。

私もその女は好きになれそうにないわ

 

「マスター♪、ご用件は何でしょうか?」

「…12人専用の人生ゲームをやるからクイナも一緒にやらないかと思って」

「はい♡、ご命令であれば♪」

「じゃあやろ。」

「いっそ私と契約しませんか?」

「…お断りしまーす」

「あぁん♪。マスターのいけず~♡、でもそこも好き♡」

 

なんなのよ……

調子狂うわね……

ラムダが溜息を吐いてる羅奈に聞く。

 

「あの子、何者なの?」

「煉獄の七姉妹のオリジナルにして、家具でありながら大魔女なのよ。クイナは……」

「家具でありながら魔女!?」

「私と穹の世界(カケラ)だと穹と同じ異例の魔女なの。穹の場合は例外だけど……それでラムちゃんが『絶対の魔女』って呼ばれてるならクイナは『煉獄の魔女』って言われてるのよ……」

 

するとクイナがいつの間にか私の背後にいた。

気配すら感じなかった為、私とした事が気づかなかった……

 

「ふーん……」

「何よ?」

「………………小さくても需要はありますよ?」

 

なんで私の胸を見て言うのかしら?

いちいち癇に障るわね………

 

「あー煉獄の七姉妹のみんな?、この子があなた達のオリジナルで詳しい説明は省くけど、あなた達のお姉ちゃんよ」

 

めんどくさそうにクイナの事を説明する羅奈。

露骨に嫌そうな顔をしてるって事は、

よっぽど嫌いなのね……

当のクイナは早速馴染んでいる。

煉獄の七姉妹……特に長女のルシファーは姉ができた事に喜んでいた。

 

「…じゃ早速みんなで人生ゲームでもやろっか」

 

 

 

 

 

 

 

穹の合図で12人専用の人生ゲームを始める事になった。

結果的に割と楽しめたわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
新オリキャラのクイナです。
こちらが彼女の簡単なプロフィールです。

容姿イメージ:『東方Project』の小悪魔

誕生日:12月2日(穹と同じ。後の話で公開予定)

血液型:A型、いて座(こちらも穹と同じ。後の話で公開予定)

一人称:私


・使用魔法:煉獄魔法(インフェルノマジック)



ちなみにクイナは今後も出させる予定です。
また別に連載している『奇跡のなく頃に』の『うみねこ編』でも
登場させますので、もし見かけたらよろしくお願いします。
では次回に続きます。


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宴11 墓場で運動会 前編

ゆるポメラです。
この回では「うー、うー」でお馴染み、
右代宮真里亞ちゃんが登場します。
あとマリアの家具である、さくたろうも出ます。

それではどうぞ。



今日はお客様が来ていた。

戦人の従妹の右代宮真里亞(うしろみやまりあ)である。

最初は、こっちの世界に来れた事に驚いていた

戦人だったがワルギリアがマリアも『原初の魔女』だからと説明すると

納得していた。

 

「うー、戦人に頼み事ある」

「俺に頼み?」

「今度、真里亞の学校で運動会するの。ママも見に来るから練習付き合ってほしい、うー」

 

運動会かぁ……

懐かしい響きだよ。

 

「別に構わねぇけどなんでわざわざ……」

 

なんか後ろの方でラムダと羅奈が目を輝かせてるよ。

これってもしかして……

 

「分かった!隠れて練習してマリアちゃんをバカにする奴も一緒にギャフンと言わせたい、という事だね!!」

「楽しそうだし協力してあげてもいいわよ感謝なさい!」

「うー!」

「お前ら、暇だっただけだろ……」

 

予想通りの流れだった。

するとラムダが運動会らしい場所に移動すると言い出した。

で、魔法を使って移動した場所は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「夜は墓場で!、うーんどーかーい!!」」

 

墓場だった。

なんでここを選んだのさ?

 

「え?、日本って墓場で運動会するんでしょ?」

「伝統だってラムちゃんから聞いたけど?」

「お前ら2人は日本をなんだと思ってんだ……」

 

間違った知識を言うラムダと羅奈(バカ2人)

それにそれは有名なお化けの学校だよ……

 

「ラムダ、火の玉がないと雰囲気が出ないわよ!」

 

ベルンが珍しく乗り気なんだけど……

 

「うー、テレビじゃもっと人いっぱいで行進してた」

「ラムちゃん、どうせなら賑やかにしましょ?」

「そうね!やっぱりなんでも賑やかなほうがいいわよね♪」

「おい……お前まさか……」

 

戦人の止める声をよそに、

そぅれ!と言いながら指を鳴らすラムダ。

すると上空にブラックホールみたいな物が出現し、

その穴から煉獄の七姉妹とマリアの家具さくたろうが落ちてきた。

ちょっと怖いな光景がカオス過ぎて……

 

「呼んでくだされば駆けつけましたのに……」

「全員、一気に呼びたくて~」

「気持ちは分かりますが……」

 

ルシファーの言い分も分かる。

てかラムダは、もうちょっと丁寧に呼んだ方がいいと思うよ?

 

「そういや真里亞は何の競技に出るんだ?、それを練習したいんだろ?」

「うー、騎馬戦!!」

「よりにもよって……俺が殺される……」

 

戦人、そればかりは諦める他ないと思う。

僕だって本当はやりたくないよ……

騎馬戦ってかなり体力使うし。

 

「せっかくだしプログラム通りにやりましょ。マリアちゃん、運動会のしおりある?」

「うー、ある」

「…赤組、白組の組み分けはどうするの羅奈?」

「うーん……、ラムちゃーん組み分けどうする?」

「そりゃもちろん!」

 

ラムダが提案した赤組、白組。

それは……

 

 

 

 

赤組:ラムダ、べルン、羅奈、煉獄の七姉妹

 

 

 

 

 

白組:僕、戦人、マリア、さくたろう

 

 

 

 

 

 

というふざけたチーム分けだった。

ちょっとこれはラムダに話をしないと♪

 

「ちょっと穹、なんでそんな怖い顔してんのよ?」

「……ラムダ。仏の顔も三度までって諺を知ってる?」

「す、すみませんでした……」

 

まぁ、ラムダはこうやって話せば分かってくれるから。

それにしても人数的にも戦力的にも問題がある気がすなぁ……

今、この場にいるのはワルギリアを除いて14人。

 

「…人数を1人足そうか、クイナ!」

 

指を鳴らすと魔法陣が展開され

僕の呼びかけに応じたクイナが現れた。

 

「マスターお呼びでしょうか?」

「今から運動会やるからクイナも参加してほしいんだけど……」

「構いませんが私はどちらに入ればいいでしょうか?」

「…人数と戦力的な意味で赤組に入って」

「妹達と同じチームという事ですね。承りました♪」

 

で、公平にする為に結果的に

こんな感じになりました。

 

 

 

 

 

赤組:クイナ、煉獄の七姉妹

 

 

 

 

 

白組:僕、ベルン、羅奈、ラムダ、戦人、マリア、さくたろう

 

 

 

 

 

という8対7という感じに分けた。

このチーム分けに異論を言う人はいなかった。

今更なんだけど僕達白組ってロリとショタしかいない気がする……

傍から見たら戦人に犯罪臭が……

 

「それでは魔法は一切禁止でいいな?、ラムダデルタ卿とベルンカステル卿相手では歯が立たん」

「マスター、お手柔らかにお願いしますね?」

 

ルシファーからしたらそう見えるよね。

でも安心して?、その為にクイナがいるんだから。

そんな事を考えてると戦人が………

 

「おい!、運動会で体操着を着用しないとは何事だ!!!」

「黙れ!!」

 

あ、戦人がルシファーに刺された……

大丈夫……じゃなさそう……

 

「私は動きやすくてイイと思うけど?」

「雰囲気って大切だしねー♪」

「ラムダデルタ卿、羅奈様まで!!」

 

いつの間にかラムダと羅奈は体操着に着替え終えていた。

…僕?、ジャージに着替えたよ。

 

「お言葉ですがそうやって甘やかすから戦人が付け上がるです!。私は着ませんよ!、クイナ姉様やみんなだってそ……」

 

そう思うでしょとクイナや妹達に同意を求めようとする

ルシファーが振り向くと、そこには……

 

「意外と可愛いかも……」

「うむ。布が軽いし通気性がいい。確かに運動に適しているな」

「マスター♪、似合ってますかー?」

 

上からアスモデウス、ベルフェゴールそしてクイナ。

他の七姉妹も体操着を着用していた。

で、結局ルシファーも着る事になった。

ようやく運動会を開始する事になりました。

 

 

 

 

 

『えーそれでは挨拶等は省略しましてプログラム5番、玉入れ』

 

 

 

 

 

あ、ワルギリアが司会とかをやってくれるんだ……

 

「玉入れ?、コレをあのカゴの中に入れればいいのか?」

「そうね、それで数が多い方が勝ちってルールよ」

「ふむ……」

 

玉入れのルールが分からないベルフェゴールに

クイナが分かりやすく教えていた。

 

「人にぶつけて妨害するのは……」

「ベルフェ、雪合戦じゃないんだからそれはダメよ」

 

一方、僕達白組はというと……

 

「うー真里亞、届くか分からない……」

「まぁ大人用の大きさだからな」

「…ほんとに届くかは怪しいけどね?」

 

ラムダと羅奈を見てみると楽しんでいた。

ベルンはあんまり楽しそうじゃないけど……

 

(運動会なんて何年振りだし僕も楽しむ事にするか……)

 

玉入れの競技が終わった後、

ベアトとロノウェがやって来て七姉妹にはベアトが作ったお弁当、

僕達白組にはロノウェが作ったお弁当を頂いた。

余談だが食べてる最中に起きた以下のやり取り……

 

「マスター♪、玉子焼き作ってみたんで食べてください」

「穹~私の特製リンゴパイも食べて?」

「ねぇ穹……その、私のハンバーグも食べて?」

 

クイナ、羅奈、ベルンの3人が互いに作ったお弁当を

僕に食べてとせがんできた………

しかも体を密着させてくる。

で、他の周りの反応はというと……

 

「うわ~、羅奈とベルンも大胆ね~♪」

 

これ、ラムダ。

 

「うー穹、仲良しー」

「うりゅ~」

 

これ、マリアとさくたろう。

 

「「「「「「「クイナ姉、大胆過ぎ……///」」」」」」」

 

これ、煉獄の七姉妹。

 

「戦人~、妾もお前に食べさせてやろうか?」

「謹んで遠慮するぜ」

 

これがベアトと戦人。

戦人も素直じゃないよね……

っていうかそんな事を考えてる場合じゃなかった!?

 

「「「……………」」」

 

そこの3人?

表情は笑ってるのに目が笑ってないよ?

しかも僕の周りだけ氷点下並みに寒いのは気のせい……だと思いたい。

このやり取りは後半戦が始まるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
後編に続きます。
それではまた次回。


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宴12 墓場で運動会 後編

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
前半がクイナ視点、後半が穹の視点に
なります。

それではどうぞ。


クイナです。

私は今、マスターの命令により

妹達とチームを組んで運動会に参加しています。

 

『え~次はプログラム6番、パン食い競争』

 

あら。次の競技の時間みたいですね……

 

「パン!食い!競争!!」

 

六女のベルゼが目を輝かせてる。

確かパン食い競争って運動と食を見事に両立させた

完璧な競技だと何かの文献で読みました。

 

「次のパン食い競争の参加人数は3人だから、ルシファーお願いしてもいい?」

「はい。クイナ姉様」

「あとは……ベルフェとサタンお願い」

「うむ」

「クイナ姉の頼みなら……」

 

ふぅ…これで参加人数は大丈夫ですね。

 

「わっ…私は~!?なんで出してくれないのぉ!?」

 

ベルゼが半泣きになりながら訴えてきた。

本当は出してあげたいけど……

 

「オチが見えてるもの……この理由、ルシファー達も分かるでしょ?」

「「「「「「あー確かに……」」」」」」

「オチって何!?」

 

それはあなたが『暴食』だからよ?

ちなみに、この競技だけ勝敗等は関係なく

純粋に楽しむものみたいです。

ところでパン食い競争なのに何故か『ベルンカステラ』なるモノが

あったのですが……あれはパン類に分類していいんでしょうか?

 

「う…うっ…ぐず……っ」

 

パン食い競争が終わった直後、

やりたかった競技に参加できなかったベルゼが体育座りをしながら泣き出してしまった。

流石に可哀そうに思えた私達は……

 

「お姉ちゃんの手作りパンをあげるからベルゼ泣かないで?」

「うっ…ほんとぉ~?」

「ほら私の分もあげるから!」

「私の分もあげるわよ、だから泣かないの!」

 

結論から言うと妹には弱いんですよ……

私もまだまだ甘いですね……

 

『次はプログラム7番、リレー』

 

次の競技のアナウンスが鳴りました。

しかもリレーですか……

なんかやる気が起きないですねぇ……

 

「みんな、次の競技は私1人でするから少し休め!!」

「ベルフェあなた正気?、無理しなくても……」

「よっ、余裕だ!!!」

 

四女のベルフェは『怠惰』を司るから少し居心地が悪かったのか、

リレーを1人ですると言い出した。

まぁ本人がやるというならやらせてあげようと思い私とベルフェ以外の6人は

応援席に移動する事になりました。

 

「ねぇ、クイナ姉……」

「どうしたのマモン?」

「ベルフェ姉、大丈夫なの?」

 

五女のマモンが私に聞いてきた。

まぁベルフェの事だし……

 

「私も大丈夫だと……思いたいわ、本人がやるって言ったわけだし」

「だよねぇ……」

 

ベルフェ1人で私達8人分を走るのは流石にキツイと思うんだけど……

でもペース配分を考えたり、最初に走る相手次第によっては勝てるかも……

 

「あ。白組は穹様が最初なのね。ベルフェ姉ほんとに大丈夫かな……」

 

マモンがそう言ったのでスタート地点を確認すると、

けだるげな表情をしているマスターの姿が♪

ちょっとベルフェ?、なんで頬を赤らめてるのかしら?

 

「ベルフェ!!!、今すぐマスターの隣を私に変わりなさい!!!、今すぐ!!!」

「「「「「「「えええ!??」」」」」」」

「…クイナ、少し黙って」

「はぁ~い♡」

「「「「「「「えええ!??」」」」」」」

 

『嫉妬』と『強欲』が爆発する私。

でもマスターに黙れって言われたので素直に従う事にしました♪

リレーの結果ですか?

言わずもがなマスター達、白組が勝ちました。

後でベルフェに謝らないと……

 

「あーもーベルフェ姉、何やってんのよ!負けるとかありえない!!」

「うる…さ…ひとりでリレーは無理…だ…ッ」

 

マモンに怒られながらも息切れしながら律儀に答えるベルフェ。

次の競技は確か綱引き?

えっ……リレーをやった後に綱引きとか何の虐めなんですか?

 

「この強欲のマモン!どんな勝負でも勝利をモノにしないと嫌なの!!」

 

マモンは『強欲』を司るから勝負事とかには強い執着を持つ。

『強欲』にはいくつか種類があるんです。

例えば『独占欲』、『知識欲』とかですね。

私の場合は『性欲』も含まれてますが……キャッ♡

コホン!、説明に戻りますね?

数日とはいえ分かった事があります。

こう見えてマモンは主の為なら頑張る凄い努力家なんです♪

 

「見てなさいよ!次は気持ちさえあれば私1人でも勝てるってところ見せてあげるわ!」

 

言ってる事はカッコいいけど、

なんかベルフェと同じ事になってる気がするのは私だけでしょうか?

とりあえず綱引きはマモンが1人で出る事になりました。

 

「…クイナ、さっきからいいの?これ……」

「マスター遠慮なくやっちゃってください♪、マモンなら大丈夫ですから♪」

「クイナ姉!?」

 

結果はマモンの頑張りのあって両者引き分けになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…はぁ、僕もう疲れたよ。

さっきの綱引きだって無駄に体力を使ったし。

 

「たまには体を動かすのも悪くないよね~♪」

「そうねー、ちょっと汗をかくのはウザいけど」

 

そう思ってるのは羅奈とラムダだけでしょ……

 

「僕もう疲れた……」

「私も疲れたわ……」

 

奇遇にもベルンも僕と同じく疲れているようだった。

 

「だいたいワイン片手に高みの見物が何より好きな私が運動会なんかに参加する時点で間違ってたのよ……自分で言うのもなんだけど体力あるほうじゃないし……」

 

いつにも増してイライラしてるベルン。

僕だって同じだ。誰とは言わないがバカの相手をしてたせいもあって

ストレスが溜まっていたからだ。

そしてついに……

 

「「あー疲れた帰りたい帰りたい、帰って梅干し紅茶飲みたい……それでまったりタ●リ倶楽部観たい…疲れた休みたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい……むぐ」」

「うー……」

 

それ以上の事を言おうとしたらラムダと羅奈、クイナに口を抑えられた。

 

「はいはい疲れてイライラしてるからって小さい子供を泣かせないの~」

「穹もマリアちゃんを泣かせちゃダメでしょ……」

「マスター、ストレスを溜めて他人に当たるのはよくないですよ?」

 

あっ、よく見たら確かにマリアが泣いてたよ……

流石に9歳児を泣かしてしまった事に罪悪感を感じた。

反省、反省……

 

「はっ、いつの間にかスコアボードが!!」

「この点差ぁ?やる気あんのぉ~?」

 

今はスコアボードなんてどうだっていいんだよ……

 

「妾の家具なのに情けない…仕方がない!こうなったら妾も参加しようぞ!!」

 

急遽ベアトが参戦する事になった。

赤組に入るのかなと思いきや白組に入ってきた。

ルシファーが理由を聞くと最近、戦人のほうにいる方がしっくりくるという

遠回しに酷い理由だった……

ベアト達が戦人達と話してる間に僕はベルンのところに行き……

 

「ベルン、一緒にサボ……休まない?」

「うん…私もサボ……穹と休みたい」

 

代わりに誰を入れとこうかな?

あ、司会をやってるワルギリアがいるじゃん。

ワルギリアに相談したところ快く引き受けてくれた。

代わりに僕とベルンの2人で司会をやってくれと頼まれたけどね……

 

「「え~それではプログラム8番、玉転がし」」

「ってオイ!?」

 

競技のお知らせをしていたら戦人とマリアがやって来た。

 

「2人で何ちゃっかり休んでんだよ」

「うー」

「いいじゃない少しくらい。ねぇ穹?」

「そうだよ戦人、代わりにワルギリアを入れたから問題ないと僕は思うんだ……」

 

向こうの方ではワルギリアが体操着のサイズが小さくないかと

ラムダとベアトに文句を言ってるのが聞こえた。

いやー賑やかでいいねー……

 

「いや、みんなで力を合わせるのが大事だろ!?なのに2人で途中で抜けるとか……」

 

…だから同じ事を言わせないでよ。

 

「「チッ…だから疲れたから休みたいって言ってんだろうがァ……」」

「………!!」

「休んでていいから真里亞の前でその顔やめろー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じで競技が始まった……

 

「ねぇ、穹……」

 

戦人達が玉転がしをやってるなか、

ベルンが話しかけてきた。

 

「…どうしたの?」

「私、少し疲れたから寝ててもいい?」

 

別に断る理由もない。

なので……

 

「うん。いいよ」

 

そう言うと彼女は僕の肩に寄り添い始めた。

しかも腕まで組んでくるというおまけ付き。

 

「…寝ずらくない?」

「平気、こっちの方が私は安心できるから……」

 

僕は抱き枕かと思いつつ、

横目で見るとベルンは綺麗に寝息を立てていた。

よっぽど疲れたんだろう……

 

(次の競技は騎馬戦だったなぁ……どうやってお知らせしようかな?)

 

隣で寝ているベルンを起こさないように気をつけながら、

次の競技の事について考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………穹………………………き……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
こんな調子ですが次回もよろしくお願いします。


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宴13 人格が変わってしまったベルン

ゆるポメラです。
今回は少し原作と違った感じになってます。
原作だとベアトが人格変化を起こしてしまう回なんですが
今回は敢えてベルンにしてみました。
ベルンが人格変化した場合は……お察しの方もいると思います。

それではどうぞ。



「という事で、さぁ飲みなさい今すぐ飲みなさい!!」

 

戦人に瓶を渡すラムダ。

どうやらまた新しい薬を開発したようだ。

朝っぱらから元気だねぇ……

 

「最初になんの薬かを言えよ」

「そうだよラムダ。飲ませる前になんの薬か言わないと……」

 

すると超パァな彼女は言いました。

 

「えっ、でも素直に『人格が変わる薬』って言ったら飲んでくれるの?」

「「確かに素直に言われても飲まない……」」

 

そんな素直に人格が変わる薬飲む?って聞かれて

飲む!って言う人がいたら相当の変わり者だと思う……

気づけば戦人とラムダが取っ組み合いをしていた。

 

「あら?珍しく往生際が悪いじゃない?」

「俺だってこんだけ付き合ってりゃ悪くもなるっつの!」

 

それにしても人格が変わる薬かぁ……

もしかしてアレかな?、ツンデレの子が飲んだら常にデレ状態に

なっちゃったりしちゃうとか……そんな感じの効果かな?

 

「穹おっはよー♪」

 

後ろから羅奈が飛びついてきた。

突然の衝撃に耐えられなかった僕はバランスを崩してしまい……

 

「「痛ッ!?」」

 

ラムダとぶつかってしまった。

 

「…ごめんラムダ。大丈夫?」

「イタタ……平気だけど……あれ?、薬は?」

「「あっ、あそこに!!」」

 

薬が手元にない事に気づいたラムダ。

戦人と羅奈が同時に叫んだので2人が叫んだ方に目をやると、

ラムダが作った薬は空中を舞っていた。

するとドアが開きベルンが中に入ってきた。

そして次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

ーーバリーン!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

盛大な音が鳴りながらベルンの頭に落下し瓶が割れた。

彼女の綺麗な蒼い髪は薬の液体がかかってしまってる為、

ポタポタと滴って濡れていた……

心配になった僕はすぐに駆け寄り……

 

「ベ、ベルン?大丈夫……?」

「…………」

 

顔を下に俯いてるせいか反応がない……

ちょっと待って…これ完全に怒ってない?

 

「みぃ……♡」

 

と思っていたのも束の間、

猫のような鳴き声を上げながらベルンは僕の腰に手を回しながら抱きついてきた。

しかも頬擦りまでしてきた………

…えっ?

 

「やったー大成功♪、さすが私ね!?」

 

戸惑ってる僕をよそに、そんな事を言ってるラムダ(バカ)

 

「お前、俺と穹を子供にした時と同じパターンだろこれ!?」

「…ちゃんと元に戻せるよね?」

「ハイ!このラムダ様は一度失敗した繰り返しませーん、ちゃんとあるわよ☆」

 

良かった、ちゃんと元に戻る薬を今回ラムダは用意してくれてるみたい……

そう聞いて少し安心した時……

 

「ラムちゃん、もしかしてそこに置いてあった饅頭が薬だったり……?」

「そうだけどー……って、羅奈もしかして食べちゃったの?」

「てへっ☆」

 

もうこれ、お手上げ状態だよ……

それ以前にさ……

 

「なんで元に戻る薬を饅頭にしたの!?」

「日本じゃ饅頭は怖いって聞いてたから……」

 

どういう説なの!?

もしかして古今東西、饅頭には浄化する力が備わってる的なアレなの?

最近ラムダの説明は時々ズレた方向にいってる気がする……

ベルンには気の毒だが元に戻る薬ができるまでこの状態のままという事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、僕は部屋にいるのだが何故かベルンもいる。

これには理由があって僕がラムダに任せようと思い部屋から出ようとしたら

ベルンが離れちゃ嫌という感じで引っ付いてきたのだ……

 

『かなり懐いてるみたいだし穹が面倒みてあげなさいよ。薬は私と羅奈で作っておくから』

 

ラムダに言われ今に至るという訳……

当の彼女はというと……

 

「みー♡」

 

尻尾を振りながら僕にくっついたまま。

完全に猫化状態だよコレ……

いや、元々ベルンは猫なんだけど……

しかもさっきから『みー』しか言わない。

まさかと思うが言語力まで落ちたとかは勘弁してもらいたい。

そんな時だった……

 

「みぃ……穹は()()の事が嫌いなのですか?」

 

今のは聞き間違いだろうか?

というか、そう思いたい……

一人称が『私』と言ってるベルンが『ボク』なんて聞き間違いだよきっと……

念のため確認をしようかな……

 

「急にどうしたのベルン?」

「みぃー……ボクはそんな名前じゃないのです。穹はイジワルなのです……」

 

確信した、というより()()()()()()()()

今の彼女は『奇跡の魔女ベルンカステル』ではなく僕が知ってる女の子『古手梨花』の人格になってしまった……予想はしたくなかったけど、よりにもよって梨花ちゃんの人格になるなんて……

 

「ご、ごめんね?。ベル……じゃなかった、梨花ちゃんはどうしてそう思ったの?」

「みぃ…最近、穹が他の女の子と喋っていたのでボクは嫌われてるのかと思ったからなのです……」

 

他の女の子?

羅奈は彼女も知ってるから例外として……

もしかしてラムダとかベアトとかワルギリアとかの事かな?

更に挙げるならクイナも含まれているのかもしれない。

…で、それを見た彼女は自分が僕に嫌われてると思い込んでしまったらしい。

 

「……僕が嫌うわけないでしょ。大切な人なんだから」

 

それを聞いた彼女は嬉しそうに僕の腕を組んできた。

しかも僕だけが知ってるあの表情をしながら……

 

「今日は1日中、穹にくっついてやるのです。にぱ~☆」

「…僕に拒否権なんてないんでしょ?」

「みー♪、ボクに寂しい思いをさせた罰ゲームなのです。」

 

たまには彼女の好きにさせてあげてもいいだろう。

普段はクールで弱音を言わない彼女。

甘えるのはちょっとだけ不器用で……

そんな彼女が少しでも安心できるなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ところで元に戻った時って、記憶は覚えたままなのかな……?)

 

 

 

 

 

 

 

もしもベルンが元に戻った時の事を考えてた僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
やっちゃったZE☆
でも後悔はしてません!
次回もよろしくお願いします。


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宴14 魔女に家具は必要不可欠

ゆるポメラです。
3月も残すところ今日を入れて3日ですね……
早いものです。

それではどうぞ。



ベルンの人格変化事件が終わって次の日の朝。

説明し忘れたけど、この屋敷ではロノウェの他に

山羊さん達が家事をしています。

 

「「…………」」

 

寝起きの為か表情がよろしくないラムダとベルン。

目の前にはカップ麺が置いてある。

そして3分を知らせるタイマー音が鳴ると……

 

「朝からこんなモン食えるかああああ!!」

 

キレながらラムダがカップ麺を山羊に投げつけた。

…あのさ、食べ物を投げちゃダメでしょ?

 

「そうかぁ?こんな朝食も妾は新鮮だと思うけどなあ」

「懐かしい味だぜ……」

「私はベアトみたいに安い女じゃないもん!」

 

なんで僕らが朝食にカップ麺を食べてるのかっていうと、

いつも朝食を作ってくれてるロノウェが旅行でおらず今朝その事を知ったので急遽カップ麺を食べる事になったのだ……

 

「そ・れ・にぃ~、本当にアンタたち図体と数だけで何もできないんだから!!」

 

うがーっとイラつきながら山羊に八つ当たりするラムダ。

そんなに朝食がカップ麺が嫌なのかな……?

美味しいのに……

 

「ねぇ羅奈、ラムダ凄く機嫌が悪いけど……」

「今朝からなんだけどラムちゃんに聞いたら……」

 

羅奈によると昨晩、ラムダが『戦人のヘタレさと学習能力の無さについて』という研究レポートを完成させそのまま就寝。

翌朝、起きたら苦労して完成させたレポートを山羊が食べてしまっていたとの事……

ていうかなんなの、その研究レポートは……

 

「あの子達は特に手紙なんかの想いが込められてるものを好んで食べますから」

「そんなレポート食われてよかったんじゃねぇか?」

 

ワルギリアの説明にイラつきながら答える戦人。

そんなレポートを自分が知らぬ間に書かれていた事にイラついているのだろう……

 

「…シッペデコピン…ババチョップ……フージーサーン……」

 

ここにも機嫌が悪い少女がもう1人。

…そう、ベルンだ。

私不機嫌ですオーラが凄い出ている……

 

「ねぇワルギリア、ベルンが不機嫌なのは何で?」

「どうやら穹くんと一緒に最近撮った大事な写真が食べられたらしく……」

「…そりゃ機嫌が悪くなるね」

 

機嫌が悪い理由を聞いて納得した。

だから今朝から拗ねていたんだね……

 

「しかし全ての原因はロノウェが不在な事であろう?」

 

ベアトは随分と余裕だなぁ……

 

「情けない、家具が1人いないだけでこのザマとは……確かにロノウェはよくできた奴だがなぁ……ってラムダデルタ卿と羅奈殿もどうした?妾の顔に何かついておるか?」

 

するとラムダと羅奈が少し言いずらそうにしながらも……

 

「うわー……あんた着替えまでロノウェ任せだったの?」

「流石に着替えくらいは1人でやった方がいいわよベアト……女の子としてどうかと思う」

「なっ!!?」

 

…嘘でしょ?

しかしベアトの反応を見る限り図星のようだ。

僕の隣で戦人が言わないでやったのにとぼやいていた……

 

「いかにベアトがロノウェに頼っていたかが分かるな」

「3日ほどいないって言ってましたからねぇ」

「問題はメシだよなぁ……」

 

流石にロノウェがいない間、3日間3食カップ麺は問題がある……

となると誰かが料理をするのかぁ……

 

「…ラムダは?」

「私はパース、メンドくさいもん」

 

聞いた僕がバカだった。

いやむしろ、ラムダに料理させていいのだろうか?

 

「ベアトは()()だし俺もそんなにレパートリー多いわけじゃねぇしなあ」

「私はフルーツ料理しかできないからパスね」

 

戦人と羅奈もできるけどパスだと言う。

ちなみに羅奈はフルーツを使用した料理しかできない為、

それ以外の料理はからっきしだとの事……

 

「ワルギリアはどうだ?」

「私ですか?、朝昼晩3日間、鯖料理になりますけどいいですか?」

「なんでだよ!?」

「ちょっと戦人くん、鯖をバカにしてるんですか?鯖というのは実に優れた……」

「それ最後まで聞かなきゃダメか……?」

「ダメです!!」

 

寧ろ鯖料理ってレパートリーそんなにあったかな?

僕が知ってる限りだと味噌煮とか塩焼きくらいしか分かんないんだけど……

それをたくさん作れるワルギリアって凄い気がする。

 

「別に妾の家具はロノウェだけではないぞ、他に優秀な家具が7人もおる!七杭!」

「お呼びでしょうかベアトリーチェ様」

 

現れたのは煉獄の七姉妹のベルフェゴールとベルゼブブの2人。

ねぇ、人数があと5人くらい足りないんだけど……?

 

「ベアト……2人しか来てないけど?」

「家具だって忙しい時もある!!というか他のものはどうしたのだ!?」

 

まぁ確かにベアトの言う通り家具だって忙しい時はあるよね……

それにしても他の5人はなんでいないんだろ?

 

「アスモは男とデート、レヴィア姉とサタン姉はショッピング、ルシ姉は昨日からクイナ姉と飲みに行ってて、マモンはカラオケです。」

「…そういえばクイナ、妹の愚痴を聞きに行くって言ってたけ」

 

なるほど。

だから昨日クイナが2~3日くらい召喚に応じる事ができませんって言ってたのか……

別に滅多に彼女を呼ばないから問題ないのだが……

 

「しかしこの怠惰のベルフェゴールにお任せを!人を怠惰にさせ人の分まで作業するのが私の仕事です、ベアトリーチェ様達は楽になさってください」

 

へぇ……そんな役割なんだ。

しっかりしてるんだなぁ、ベルフェゴールって……

 

「まぁ暴食ならまだしも、お前なら……」

 

大丈夫だろと戦人が言いかけた瞬間、

ある事に気づいたようだ。

なんだろうと思ったが答えはすぐ分かった。

そう思った僕達は厨房に向かったが……

 

「「や、やっぱり……」」

 

時すでに遅し。

ベルゼブブが冷蔵庫にある食材を全て平らげてしまったのだ……

なんで召喚された時点で気づかなかったんだろう……

当の主犯格はというと……

 

「だって朝ご飯前だったんだもん!」

 

頬を膨らませていた。

お腹空いてたんだね……

 

「それにしても何も残ってないね……」

「つーか、調味料しか残ってねぇ……」

 

するとベルゼブブはマヨネーズを飲み始めた。

ちょっと待とうか。

 

「マヨネーズを飲むな!」

 

戦人の言ってる事を無視しながらもマヨネーズを飲み続けるベルゼブブ。

そして飲み終わったベルゼブブは……

 

「調味料?、いいえマヨネーズは飲み物です!」

 

ドヤ顔で言い切った。

それってドヤ顔で言い切る事なの……?

で結局、食材はベアトが魔法で何とかすると言った。

それにしてもなんで料理はできないのかな……?

ワルギリアに聞いたら作るのは魔法でも本人の腕が影響されるとの事……

便利なんだか不便なんだか……

 

「ではベルフェゴール、腕によりをかけて作らせていただきます。何か食べたい物はありますか?」

 

食べたい物かぁ……

 

「妾はフランス料理フルコース」

「私、パスタとピザ!」

「寿司、ラーメン」

 

上からベアト、ラムダ、ベルンである。

注文された料理も見事にバラバラ……

 

「デザートはシャルロットケーキで頼む」

「じゃあ私は生ドーナツ食べたい!」

「文●堂のカステラ」

 

しまいにはデザートもバラバラだった……

あとベルン?、そのカステラを作らせるのは無理があるって……

いや、その某有名なカステラは僕も好きなんだけどさ……

案の定ベルフェゴールは驚愕の表情をしていた。

けどロノウェは朝昼晩1人で全てこなしてしまう超人執事なのである。

 

「…羅奈、僕達は自分達で作ろ?」

「そうしましょ………」

 

 

 

 

 

 

 

ーー5時間後ーー

 

 

 

 

 

 

 

「ご…ご用意いたしました……」

 

息切れしながらもベルン達がリクエストした料理を持ってきたベルフェゴール。

僕と羅奈も厨房で作るのを見ていたが凄まじかった……とだけ言っとくよ。

 

「わーい♪、お腹ぺこぺこ~」

「随分、時間がかかったわね……」

 

普通5時間はかからないからね……

ただ今回は料理的な問題があったんだから仕方ない。

 

「「「……………」」」

 

食べてるベルン達を見て思ったんだけど、

なんか反応がイマイチである。

もしかして美味しくなかったのかな……?

 

「…なんかフツー」

 

ちょっとラムダ。

ズバッと言わないであげようよ全く……

 

「スミマセンでしたーっ!」

「いや!?、ロノウェが超人なんだ気にすんな!」

「お呼びでしょうか?、心配で少し早く帰ってきたのですが……」

 

そんなやり取りをしてたらロノウェが帰ってきた。

 

「アンタがいないせいで大変だったわよ!」

 

まぁラムダ達にとっては大変だろうね……

 

「ああそうだ。お土産がありますよ」

 

そう言うとロノウェは、

ベアトには前から欲しがっていたマジックアイテム、ラムダには実験用の材料、ベルンには最高級ワインを渡した。

 

「穹様と羅奈様の分もありますのでどうぞ」

 

羅奈には限定クッキーを、そして僕には限定の紅茶の茶葉をいただいた。

なんでもベアトや煉獄の七姉妹の世話を手伝ってくれる日頃のお礼だそうだ。

とりあえず今日、分かった事は魔女には家具は必要不可欠という事だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますのでよろしくお願いします。


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宴15 屋敷内でかくれんぼ

ゆるポメラです。
今回は原作通りのタイトルになります。
…なんですが、タイトル詐欺っぽくなってるかもしれません。
ぶっちゃけ言うとベルンとイチャコラさせたかっただけ……

「絶対の魔女である私の出番を増やしなさいよ!」

うわっ何をするヤメ……そ、それではどうぞ……(ガクッ…)



「ちょっとどういう事なの!?」

「なんだよいきなり……」

「暇潰しに屋敷(ここ)に来てるのに暇を持て余すってどういう訳!?」

 

ラムダが意味不明な事を言い出した。

戦人も聞いてウザそうな表情になっている……

 

「毎日毎日、戦人いじり…別に悪くないけど戦人のリアクションがマンネリしてるのがちょっとねぇ……羅奈は出かけてていないし……」

「おいやめろ、俺がつまんねぇみたいに言うな!」

 

ソファーにごろんと横たわりながら愚痴るラムダ。

ちなみに羅奈はラムダが説明した通り、ここにはいない……

僕達2人が住んでた世界(カケラ)に出かけるって言ってた気がする……

 

「最近の楽しみといったら毎夜毎夜、寝てる戦人の髪の毛を毟ってるくらいよ……」

「おい!」

「はぁ~……いつ気づくかワクワクしてたのに全然気づかないんだもん……」

「おい!!」

 

なんかとんでもない事をラムダが言ってた気が……

 

「なぁ穹、俺の髪の毛大丈夫か!?」

「あ~……これはちょっと……」

 

それ以上僕は何も言わずに、

育毛剤を戦人に渡した……

どうなってたって?、察してあげてください……

 

「七姉妹!」

「お呼びでしょうかラムダデルタ卿」

 

ラムダの呼びかけに煉獄の七姉妹が現れる。

 

「暇で死んじゃうからどうにかして~」

「ちょうどみんなで人生ゲームをしていたのですがいかがですか?」

 

そう答えるルシファーの後ろでは、

人生ゲームで遊んでる他の七姉妹達の姿が……

というかまた人生ゲームで遊んでたんだ……

しかも今回は『激辛』なんだね……

 

「人の人生なんて、いつでも好きにし放題だしー」

「お前サラッとひでー事を……ていうかそれ俺も入ってるか?」

「じゃあ、かくれんぼなんてどうですかー?」

 

そうラムダに提案したのは煉獄の七姉妹の末っ子、色欲のアスモデウス。

 

「小さい頃、姉妹でよくやってたんですよっ。意外と燃えますし」

「コラッ!、そんなモノでラムダデルタ卿の退屈しのぎには……」

 

子供っぽいと思ったのかアスモデウスの案を却下するルシファー。

…かくれんぼねぇ。ラムダの事だし案外……

 

「いいじゃない!、かくれんぼ!」

 

乗ってきたよ……

僕の隣に座っていたベルンも意外そうな表情をしていた。

 

「へー、そんなにテンション上がるもんかねぇ?」

「たまにはこういう遊びもいいものよ?、100数える間に隠れる場所を見つけなければいけない緊張感……そしていつ鬼に見つかるやもしれないドキドキ感……!」

 

なんか意外かも。

ラムダがこんなにかくれんぼが好きだったなんて……

 

「何より追い詰める側って楽しいじゃない?」

 

ギヒヒヒヒヒヒと邪悪な笑みを浮かべながら言うラムダ。

隠れる役じゃなくて鬼役なんだね……

 

「罰ゲームを設けたらもっとドキドキするんじゃないですか?」

「オイ!、煽るな!?」

 

罰ゲームねぇ……

なんか前の世界(カケラ)の部活でやった事を思い出すよ……

まぁ……ただやるよりはいいんじゃないかな?

 

「例えば好きな人に告白とか……最下位2名は熱いキスをするとか…っ」

「生爪剥ぐとか、全裸で六軒島を練り歩くとか……」

 

上からアスモデウス、ベルンが罰ゲーム内容を言う。

普通の人だったらどっちも嫌だって言いそうだな……

 

「とりあえず始めましょ!、見つかった人は私の実験台になってもらいまーす♪」

 

ラムダがそう言った瞬間、

戦人と煉獄の七姉妹はもの凄い速さで隠れる場所を

探しに行ってしまった。

僕は応援しかしないけど頑張れ……

 

「穹はやらないの……?」

「そんな気分じゃないからね……ベルンもでしょ?」

「そうね。あんまり動きたくないし……」

 

何とも彼女らしい理由だ。

 

「ひゃーくっ、じゃあ私探してくるわねー♪、ベルンもせいぜい頑張りなさいよ♪」

「よ、余計なお世話よ!!、早く探しにどっか行きなさいよ!!!」

「はいはーい。じゃあ穹、ベルンの事頼んだわよー」

「…ん。行ってらっしゃい」

 

そう言うとラムダは屋敷内を散策しに行った。

すると開始10秒でベルゼブブが確保のアナウンスが……

1人目が捕まるの早いね?

 

「ねぇ穹……羅奈は帰ってこないの?」

「少なくとも今日1日はいないよ……所用で出かけるって今朝言ってたし」

「じゃ、じゃあ……ふ、ふたり……///」

「2人きりだね。今もだけど」

「み、みぃ……///」

 

そう言うとベルンは顔を真っ赤にしながら、

僕の右腕に自分の腕に絡ませてきた。

色々と当たってるけど……本人が満更でもない表情をしていたので

敢えて何も言わない事にする。

 

「…ベルンは僕と一緒で退屈しないの?」

「そんな事ないわよ……前も言ったじゃない。私は穹がいてくれるだけで辛い事も忘れられるから……」

 

退屈は魔女にとって唯一殺す毒。

それはベルンやラムダも例外じゃない……

僕と羅奈は影響を受けない為、別に不安等はない。

ただ、あるとすれば……

 

「んぅ……」

「…寝ちゃったか。ベルン疲れてたのかな……?」

 

これはベルンとラムダも知らない事だが、

僕と羅奈にも弱点がある。

それは彼女達の死だ。

もしそうなってしまったら僕と羅奈も壊れてしまうだろう……

 

「…ベルン。君は自分の事を世界で一番残酷な魔女って言うけど僕はそう思ってないからね?、僕が今まで頑張れてこれたのはベルンの事が……」

 

"大切だから"……なんて恥ずかしくて言えないや。

…もし僕が死んだらどんな顔をするんだろうね?

 

「んぅ……穹……」

「どんな夢を見てるんだか……」

 

今は彼女を休ませてあげよう。

とりあえず起きたら梅干し紅茶を作ってあげようかな?

気のせいか隣で彼女が笑ってるように見えた……

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は変態探偵が登場します。
それではまた次回。


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宴16 探偵が来たようです

ゆるポメラです。
今回はサブタイ通りになっています。
探偵にして真実の魔女が登場します。

それではどうぞ。


夜中の0時30分……

珍しく寝付けなかった僕は、

屋敷内を散策する事にした……

 

(それにしても羅奈……戻るのが遅くなるって言ってたけど珍しいな)

 

ちょうど昨夜の事である。

僕宛てに手紙が届いた。

読んでみたところ、屋敷に戻るのが1週間くらいになると書いてあった。

ラムダとベルンも一緒にいたのだが、ラムダは珍しく落ち込み、

ベルンは新世界の神のようにニヤリと笑っていた。

その事を思い出しながら歩いてるとラムダの部屋に着いた。

珍しく戦人もいた。

 

「どうしたの、2人して……」

「穹か。いや実は……」

 

戦人の話によると、

いつも通り自室で寝ようと思ったところ部屋が荒らされていたとの事。

しかも部屋のプレートに包丁が刺さっていたり等……

それでこんな事をやるのはラムダぐらいかと思い今に至るとの事。

 

「そこまで陰険な事しないわよ~……」

「そうだな……お前なら俺の目の前でやるよな。悪かったよ……」

 

眠そうに答えるラムダに謝る戦人。

 

「…それにしても誰がやったんだろうね?」

「だよな……ベアトやベルンも考えにくいし……」

 

ちょうど僕達が考えてた時だった。

 

「うふっあははは!、噂通り頭悪そうな顔してますねぇ!」

 

声がした方を振り返ると、

そこにはベルンと同じ蒼い髪、ただ髪型はツインテール。

更に性格を分析するならプライドが高そうという印象だった。

 

「初めまして。私、古戸(ふるど)ヱリカと申します。以後お見知りおきを!」

 

ふーん……

このプライドが高そうな女の子はヱリカというらしい。

一応夜中だよ?、声のトーンを下げてくれると助かるんだけど……

 

「ってなんだ急に!お前が俺の部屋をあんなにしたのか!?」

「はっ!、お・れ・の・部・屋ぁあ?」

 

あっ……絶対に戦人の部屋を荒らしたのヱリカだよ。

今の言い方からして……

 

「いずれ私の部屋に改装しますし今更どうしたって問題はないでしょう?」

「はぁ!?」

「あら。来てたのヱリカ」

「我が(あるじ)!」

「ちゃんと言いつけは守った?」

 

するとベルンが隣の部屋から出てきた。

ヱリカの反応を見る限りだとベルンの事を尊敬か崇拝してる感じがするけど。

…というか言いつけって?

 

「はい…♡ちゃんと嵐の海の中をライフジャケットのみで来ました!!」

「おい穹!、どういう事なの!?」

「僕が知る訳ないでしょ……」

 

驚くのは分かるけど、

戦人は何故それを僕に聞くの?

というかヱリカ凄いな……嵐の中ライフジャケットだけで来たの?

 

この子(ヱリカ)は言わば私の分身なの……ちなみに普通の人間よ」

「そうなんだ……でもなんで屋敷にいるの?」

「本人が来たいって言うから招待したの」

 

ベルン曰く、

本当だったら次のゲームが始まってから連れてこようと思ってたらしい。

それにしても随分慕われてるなぁ……

 

「うう……また面倒くさそうな奴を……」

「それより戦人さん!あなたに言いたい事があります!」

 

うん……口には出さないけど僕も戦人には同情するよ。

こういうタイプ苦手だもん……

 

「毎日毎日、我が主と一つ屋根の下……寝食を共にしているにも関わらず毎日ヘラヘラヘラヘラと……主の寝顔を見るチャンスはいくらでもあったのにそれをしない!!!!あんた舐めてるんですか!?」

 

逆ギレしながら戦人に文句を言うヱリカ。

言いたい事っていうより私見でしょ……?

 

「フフ……この子、ちょっとおかしい子なの」

「うん。ちょっとだけおかしい子だね……?」

「俺は少なくとも今までで一番ぶっ飛んでる気がするぞ…?」

 

そこはまぁ……上手くスルーすればいいよ。

 

「私がおかしいのかはさて置き!あの部屋を賭けて勝負です!!!負けた方は、これから犬小屋で寝るんですよ!!」

「おい!、なんでそうなる!?」

「…ベルン、ヱリカあんな事言ってるけどいいの?」

 

僕が聞くと彼女は……

 

「そうね……負けた方には首輪をつけて毎日、犬のように可愛がってあげる……クスクス……」

「え………………っ♡?」

 

ベルンがそう言うとヱリカは嬉しそうな反応をした。

確信した……ヱリカはドMだ。

 

「客人が来ていると聞いて来たぞ」

「先程、海岸で倒れているところを発見いたしました」

 

ベアトとロノウェが部屋に入ってきた。

ついでに言うとラムダもいつの間にか起きてた。

全然気づかなかったよ……

 

「で!、なんの勝負するの!?」

「ラムダも起きちまったじゃねぇか……ったく……」

「あれだけ騒げばラムダも起きるよ……で何で勝負するの?」

「私に提案があります!この勝負に相応しいのはただひとつ!」

「…それは?」

「我が主のいいところを1つずつ言っていくゲームで決着をつけようじゃないですか!」

「ラムダ、どう思う?」

「えーつまんないー。」

「確かにヱリカに期待をし過ぎていたようね……」

「主…!」

「よく考えてごらんなさいよ。そんな勝負全部の一言で終わっちゃうでしょゴミクズ」

 

ヱリカの事をゴミクズって……

というよりこの勝負ってヱリカが言いたいだけなんじゃ……?

 

「だいたいそんな勝負だと穹の勝ちに決まってるじゃない」

「…まってラムダ。そこでなんで僕が出てくるの?」

「まあまあ☆。じゃあとりあえずベルンのいいところ言ってみて?」

 

あー……これは言わなきゃいけないパターンだな。

ベルンのいいところ?

とりあえず……

 

「可愛い、さり気ない優しさでしょ?、梅干し紅茶を作る時になると一心不乱になる……王道のヒロイン役も似合うけどどっちかというとダークヒロイン系で……黄昏てる表情が大人っぽい、この前の水着姿はとても色っぽくって……」

「穹、ちょっとストップ!」

「ラムダ、僕まだ半分も言ってないんだけど……」

「それ以上言ったらベルンが羞恥で死ぬわよ」

「えー?そんな訳……」

「あれ見なさい」

 

ラムダに言われた方を見ると、

顔を真っ赤にしながら床にのたうち回ってるベルンがいた。

 

「ベルン……なんかゴメン」

「い、いいの……き、気にしないで……///」

「…あーでもベルンの事、可愛いと思ってるのは本当だから」

「か、かわっ……///」

「あんたらイチャつくなら部屋でやりなさいよ!」

「ま、負けた……我が主の事はこの私がよく知ってる筈なのに……」

 

とまぁ気を取り直して……

 

「気を取り直してゲームの準備しといたわよ☆」

「…流石ラムダ。それで今回はどんなゲームなの?」

「この屋敷に()()()を隠したから探し当ててね!」

「宝探しゲームってやつか……俺らは何を探せばいいんだ?」

 

この屋敷内だと見つけるのに、

時間を要する。

まぁラムダが隠したっていう宝によるけど……

 

「ちなみに宝はベルンの使()()()()()()()になりまーす」

「流石ラムダデルタ卿!いい仕事してます!!!!」

 

宝がベルンの私物と聞いたヱリカは、

もの凄い速さで屋敷内を捜索しに行った……

これにはベルンも自分の私物がゲームに出されるとは思ってなかったのか、

表情が引き攣っていた。

 

「ちょっとラムダ!、なんで私の寝巻にしたのよ!!」

「そっちの方が面白くないー?」

「ふざけんじゃないわよ!!」

「まぁまぁ……って穹は?」

「…呼んだ?」

「穹、お前どこに行ってたんだ?」

 

実を言うと、

ベルンがラムダに詰め寄ってる間に魔法を使ってベルンの寝巻を探していたんだ。

本当は僕、魔法は使いたくないんだけど………

 

「はいベルン。一応畳んでおいたからね」

「あ、ありがと……」

「つーかそれ、どこにあったんだ?」

「普通に隣の部屋の棚にあった。ラムダ何でそこに置いたの?」

「だって隠した場所、忘れそうで……」

 

そんな理由でそこに置いたの?

なんか僕、魔法を使って損した気が……

 

「ラムダだから許すけど穹以外の他のやつが持ちだしたら×××を×して×××を代わりに×××を……」

「ごめん、ごめん☆」

 

あのさベルン……

僕、君の私物を持ちだしたりはしないよ?

 

(そういえばヱリカはどこをうろついているんだか……って)

 

さっきと同じように探索魔法を使う。

すると何故かベルンの部屋の中にいる事が分かった。

 

「ベルン、部屋の鍵……ちゃんと閉めたの?」

「閉めたけど……どうして?」

「ヱリカがベルンの部屋の中にいるんだけど……」

「は?」

 

…ん?

ヱリカ、何を覗こうとしてるんだろ……

本のようなものだけど……

 

「D…I…ARY…日記?、あっ……ヱリカが日記を開こうとしてる」

「ちょっと迎えに行ってくるわ……」

 

僕がそう言った途端、

ベルンは自分の部屋に駆け込んで行った。

あっ……ヱリカ死んだかも。

数分後、ベルンが戻ってきた。

 

「…で、ヱリカは?」

「犬小屋で寝てたわ」

 

ヱリカご愁傷様です……

 

「なんだあっけなかったな……俺らもう寝てもいいのか?」

「いいんじゃない?、というかラムダ、立ったまま寝てるし……」

「しゃーねな……ほら。立ち寝すんな」

「妾も寝るかー」

 

戦人達は自分の部屋に戻って行った。

残ったのは僕とベルンだけだった……

 

「じゃあ僕も寝るよ……ってどうしたの?」

「…ぁ、あのね……」

 

自分の部屋に戻ろうとしたら、

ベルンに服の袖を掴まれた……

しかも何か言いにくそうだけど……

 

「穹の部屋で一緒に寝てもいい……?」

「なんで?」

「理由を言わななきゃ……ダメ?」

 

あのさ、僕思うんだ……

上目遣いは反則だと思うんだよね……

嫌ではないんだけど僕が理由を聞いたりするとベルンは上目遣いでねだってくる。

 

「…風邪ひくと大変だから厨房を借りて2人で梅干し紅茶でも飲もっか」

「うん♪」

 

上機嫌に僕の腕を組んでくるベルン。

 

「あのさ……当たってるんだけど?」

「さっきの仕返しよ、私に恥ずかしい思いをさせたんだから……///」

「僕が言ったベルンが可愛い云々?」

「そうよ、穹って昔からそういう事を人前で平気で言うじゃない……///」

「だってベルンが可愛いのって事実だし」

 

そう言うと彼女は顔を真っ赤にしながら腕を抓ってきた。

腕を組まれてる状態とはいえ、地味に痛い……

 

「罰ゲームよ。今日は穹の事、寝かせてあげないから……」

「そんな事したらベルンも睡眠不足になるよ?」

 

ただでさえベルンは朝が弱いんだから、

僕個人としてはそっちが心配である。

ちなみにこういう時の彼女は意外に頑固だ。

だから僕が……

 

「僕も眠いから普通に寝かせて?」

 

こう言うとベルンは決まって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………だぁめ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こう言うんだよね……

今夜は無事に寝れるのかと切実に思う僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回はオリジナルになります。
新オリキャラが登場します。
こちらも設定とかを後々、載せたりしますので
次回もよろしくお願いします。







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宴17 時空の魔女

ゆるポメラです。
前回の予告通り新オリキャラを出します。
視点はラムダになります。

それではどうぞ。


ハーイ、全世界の人類☆

絶対の魔女ラムダデルタちゃん様よ!

今日は私とベルン、穹の3人しか屋敷にいないのよ……

だから暇で困っちゃうの。

ベルン達とお喋りすればいいじゃないかって?

私もそうしたいけど……

 

「「………」」

 

見なさい!!

この2人、梅干し紅茶を飲みながら黙ったままなのよ!?

昔から慣れたとはいえ、少しは何か会話くらいしなさいよ!

私からしたら空気が重くてたまったもんじゃないわよ!?

 

(羅奈……早く帰ってきてくれないかしらねぇ……)

 

いつもだったら羅奈がベルンを煽って、

2人が喧嘩モドキをするのを私と穹が見てる感じだけど。

 

「たっだいまー♪」

 

そんな事を考えていたら何もない筈の空間から

ドアが出現し扉が開き、羅奈が帰ってきた。

見慣れたからいいけど、その魔法ってどういう原理なのかしらね?

 

「穹~私がいなくて寂しくなかったー?」

「…ま、それなりには」

「アハ♪、穹が私の事をそんな風に想ってくれたなんて嬉しい♡」

「分かったから……」

 

相変わらず穹と羅奈って仲が良いわね……

見てて羨ましいわ。

そんな2人を見てベルンは面白くなさそうな顔をしてる。

あらあら♪、ヤキモチかしら?

 

「ラムちゃーん、これお土産だよー♪」

「これ何?、ポップコーン?」

 

渡されたのは私がよく食べるポップコーンだった。

なんか随分とカラフルなフレーバーね……

 

「ちょうど最後の1セットだったから買ってきたの♪」

「羅奈……それってもしかして七色ポップコーンでしょ」

「当ったりー♪」

 

穹曰く、

このポップコーンの名前は『七色ポップコーン』というらしい。

年に売ってるか売ってないかのポップコーンで羅奈達の世界(カケラ)では幻のお菓子の1つと言われてるらしい……

見た目は綺麗だけど味は大丈夫なのかしらね?

 

「それとね?、お客さんを連れて来たの♪」

「「お客?」」

「…誰を連れて来たの?」

「私と穹の()()よー♪」

 

羅奈が知らない誰かを連れてくるなんて珍しいわねー。

それにしても穹と羅奈の後輩ってどんな子かしら?

穹は誰だかは予想がついたらしく何故か溜息を吐いている……

すると目の前の空間が突然割れた……

ってなんなの!?、突然いきなり空間が割れるとかあり得ないじゃないの!!

あっ……ベルンも突然の事で状況整理ができてないみたいね。

 

「お、お邪魔します……」

 

割れた空間から現れたのは私が見た感じ12~14歳くらいの女の子。

青みがかった黒色の髪をツインテールに纏めてて見た事もない制服を着ていた。

 

「あ、先輩。お久しぶりです……」

「…久しぶり。羅奈がまた無茶を言ったんでしょ?」

「いえ……今回はありませんでした。」

「羅奈、脅してないよね?」

「そんな事しないわよ!?、なんで私が可愛い後輩を脅さなきゃいけないわけ!?」

 

酷いと言わんばかりにジタバタする羅奈。

 

「ラムダ、あの子も魔力が……」

「そうね、しかも得体の知れない()()も感じるわね……」

 

やっぱりベルンも気になってたのね。

抑えてるのかは分からないけど穹の家具であるクイナと同じくらいの魔力を感じた。

私とベルンの視線に気づいたのか……

 

「自己紹介が遅れました。私、水無月涼香(みなづきすずか)と言います」

 

あら、クイナと違って随分と礼儀正しいわね。

まるで何処かのお嬢様みたいな子ね……

 

「涼香の事もあるし、みんなでお菓子を食べましょ?、他にもあるわよー♪」

「…涼香、羅奈いったいいくら使ったの?」

「私が見た限りだと軽く1万円は超えてたと思います。」

 

まぁ細かい事は気にしなくてもいいわよね☆

それより早くお菓子食べたいわ!

 

 

 

 

ーー5人でお茶を飲んでる最中にて……ーー

 

 

 

 

涼香っていう子も入れて5人でお茶をしていて思ったんだけど、

ベルンが珍しく初対面の涼香と喋ってるのよね……

しかも表情は穹と話す時と同じ楽しそうによ?

 

「ラムちゃん、どうかしたの?」

「んー?、ベルンがあんなに楽しそうに喋るの珍しいと思って」

「気が合うんじゃない?、涼香も大魔女だし」

「………え?」

 

ちょっと待ちなさい。

あの子も魔女なの!?

 

「羅奈、それってマジなの?」

「マジだよ。魔力とか感じなかった?」

「感じたけど全然見えないわよ……それ以前に普通の女の子にしか見えないわ」

 

普通、魔女っていったら残酷な性格が殆どなのよね。

私やベルン、ベアトみたいな残酷な魔女もいれば羅奈のようにフレンドリーな魔女も存在する。穹の場合は分かんないけど……

 

「涼香は『時空の魔女』って言われてるの。高位魔女も簡単に殺せるしね……元々あの子はラムちゃんが言った通り普通の女の子だったんだけど……」

「けど?」

「孤児院で育ったせいか自分の家系を殆ど知らなかったみたい。けど唯一の身内である涼香のお兄ちゃんが時間が空けば会いに来てくれたから寂しいとかはなかったの」

 

なんか随分と重い話ね……

 

「そこから先は私も知らないけど、お兄ちゃんだけは幸せになって欲しくて魔女になったみたい」

「健気じゃない……って事は涼香は死んでるの?」

「ううん、本人曰く意識だけを殺したって私は聞いたから並大抵の技じゃないと思う。ラムちゃんならこの意味分かるでしょ?」

 

羅奈の意味は分からなくもない。

私達のような大魔女でもそのような行為は絶対にしない……

そんな事をした場合、自らを滅ぼすという事なのだから……

 

「そういえば高位魔女でも簡単に殺せるってどういう事なの?」

「簡単に言うとカケラの狭間に永遠に閉じ込めて脱出不可能にしちゃうの」

「そ、そんな事できるの?」

「涼香だからこそ可能なの。実際に聞いた話だと高位魔女を100人は殺してるもん。しかも本人はカケラの狭間を自在に操る事ができるからタチが悪いわ……それだけじゃなくて"時間と空間"を意のままに出来る事から『時空の魔女』って言われてるの」

 

穹と羅奈の知り合いって随分と化け物じみてるわね……

他の魔女からしたら敵に回したくないって絶対に言いそうね。

絶対の魔女である私が言うんだから間違いないわ。

 

「ラムダ、風船女、何2人でコソコソ喋ってんのよ」

「うっさいわね!!、それと誰が風船女よ!、まな板魔女!!、洗濯板!!」

「誰が洗濯板よ!!!」

「はっ!、あんた以外に誰がいんのよ!」

 

あぁまたいつものが始まったわ……

退屈しないからいいんだけど。

 

「あの……羅奈先輩とベルンさんは何で喧嘩してるんですか?」

 

すると涼香は私に2人が何故喧嘩をしてるか尋ねてきた。

 

「まぁ……あの2人はいつもああだから気にしなくてもいいわよ」

「は、はぁ……もしかして先輩の事でしょうか?」

 

あら意外に涼香って勘が鋭いわね。

だいたい羅奈とベルンが喧嘩モドキをする原因は穹なんだけど。

 

「恋する女の子って複雑よねー」

「くすっ……そうですね♪」

 

 

 

 

 

 

やっぱり羅奈とベルン(この2人)を見てると退屈しないわ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
新オリキャラの涼香です。
こちらが彼女のプロフィールになります。


水無月涼香(みなづきすずか)


容姿イメージ:『D.C.Ⅲ』の瑠川さら

誕生日:12月(何日生まれなのかは本人も分からない)

血液型:A型、いて座

一人称:私


・使用魔法:真実魔法(トゥルーマジック)時空魔法(タイムスペースマジック)


・大切なモノ:家族。別の世界(カケラ)で生きてる兄



・固有能力:古流暗殺使い

水無月流(みなづきりゅう)…身近な物を凶器に変える。涼香が普段使用する流派

夜月流(よづきりゅう)…自身の精神を狂気化させ相手を死に至らしめる

三日月流(みかづきりゅう)…対象に攻撃が当たらなかった場合、自然現象で攻撃

明美流(あけみりゅう)…反射速度が鈍くなる代わりに素手での攻撃が異常強化

如月流(きさらぎりゅう)…自身の先読みが特価される。相手が強いほど真価が発揮

詳細:

穹と羅奈の世界(カケラ)から来た少女。
2人より年下であり穹の事を『先輩』、羅奈の事を『羅奈先輩』と呼ぶ。
『時空の魔女』の異名を持ち、高位の魔女達からは畏怖されている。
魔女になる生前は普通の女の子であり、年に数回遊びに来てくれた兄に甘えるのが何よりの楽しみだった。
しかし生まれた家系が人を殺す家系だと知った時は拒絶反応を起こす。
更に彼女の兄が悲惨な中学時代を知ると自分の無力感に絶望する。
ところが『涼香は悪くないよ』と優しい笑顔で兄に諭され、今まで辛い思いをしてまで自分の事を大切にしてくれた兄には幸せになって欲しいと願い魔女になった。

極度のブラコンであり、暇さえあれば自分の故郷である世界(カケラ)に戻り兄に会いに行ったりしている。また義理の姉達に最近の兄はどうだったかと聞く徹底ぶりで少しでも無茶をしてたなら義理の姉達と一緒に兄を説教するのが日課になっている。

涼香の故郷である世界(カケラ)では『スクールアイドル』なるモノが流行っているらしく具体的な意味等はスクールアイドルをしていた義理の姉達から教えてもらった。
また幼い頃に兄がアイドルをしてた事を知ると一目散に自分の音楽プレーヤーに曲を入れ、魔女になった今でも大切に持っている。








ちなみに涼香も別に連載している『奇跡のなく頃に』の『うみねこ編』でも
登場させますので、もし見かけたらよろしくお願いします。
それではまた次回。










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宴18 絶対の魔女が作った媚薬は絶大です

ゆるポメラです。
今回は作者の妄想が爆発しています。
視点はベルンと穹になっています。
イチャイチャ成分を補給や補給♪
ブラックコーヒーが必要かどうか分かりませんが、
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。




私がまた司会?

これで何度目なのよ……全く。

まぁいいわ。今日の私は機嫌もいいから。

 

「…それにしても屋敷に僕達2人だけっていうのは珍しいよね」

「そ、そうね……」

 

穹が言った通り、

この屋敷には私と穹の2人しかいない。

ラムダ達は朝から何処かに出かけて行った。

その際、私に……

 

『ベルン。私達、明日の朝まで帰ってこないから♪』

 

みたいな事を言ってきたのよね……

しかもその際に透明な液体が入った瓶を渡してきた。

ラムダ曰く、羅奈と2人で作った紅茶用のシロップだそうだ。

何でも私でも飲めるかどうか感想が聞きたいので試してくれとの事……

はぁ……めんどくさいわね。

 

「ベルンどうしたの?、溜息なんか吐いて……」

「ラムダにこれの感想を頼まれたの」

 

例の瓶を穹に見せながら説明する。

これには彼も溜息を吐いていた……

 

「怪しい薬だけじゃないだけマシなのかな……」

「確かにマシね」

「でもなんか裏があると僕は思うんだけど勘繰り過ぎかな……」

 

穹の言いたい事も分かる。

あのラムダ(バカ)の事だから何かしら裏があるんじゃないかと……

 

「まぁ……その時はその時よ。穹、梅干し紅茶でも飲む?」

「うん。飲む」

「じゃあ私、ちょっと作ってくるわね……」

 

時間も夜の20時過ぎだし、

梅干し紅茶を飲んでお風呂に入って寝ようかしら……

私は梅干し紅茶を作る時だけは魔法は使わない。

……何故かって?

そうしないと美味しくならないのよ。

それに……穹に私が作ったの美味しいって言ってもらいたいし///

 

 

 

 

梅干し紅茶を作り終わり、

リビングに戻る。

 

「はい。穹の分」

「ありがと……」

 

穹に紅茶を渡した後、

私もソファーに座る……

そしてラムダから渡された瓶のコルク栓を開ける……

 

「…ねぇ、それ本当に入れるの?」

「やらないとあのバカがうるさいでしょ?」

「そうだけど……」

 

不安な表情をする穹。

私の事を心配してるのはすぐに分かった……

それだけでも私は嬉しかった。

そう思いながらも自分の梅干し紅茶にラムダが作った紅茶のシロップを入れる。

 

(紅茶の色が変色しないっていうのがまた怪しいわね……)

 

まぁ……変化しないだけ良しとするわ。

少しだけ安心した私は梅干し紅茶を口にする……

 

(……?、この梅干し紅茶……なんか美味しすぎるわね)

 

気のせいか()()()()()()()()()

自分で作る特製の紅茶だから変な調味料は絶対に入れてない……

いつも通り作った筈なのに何故か美味しすぎる。

その時だった。自分の体が熱くなっていく感覚になった……

 

(な、なに…コレ…体中が……熱い)

 

それだけじゃなく胸の辺りが苦しくなってきた。

そのせいで手に持っていた紅茶のカップを落とし割ってしまう……

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

「ベルン?、顔が赤いけど大丈夫?」

 

カップを割った音と私の様子が変だと思った穹が、

私の元に近づき心配そうな声をしながら聞いてきた。

 

(なんで……穹の顔を見たら体がさっきより……熱い)

 

それどころか息をするのも苦しくなってきた。

しかもさっきの比じゃないくらい……

と、とりあえず……

 

「わ、私は大丈夫……」

「……ほんとに?」

「うん…だから……今は1人に…させて」

「…分かった、何かあったら呼んでね?」

 

そう言うと穹はリビングから出ていった。

平静を装ってても未だに胸が苦しい私は原因である瓶を手に取る。

すると小さい文字でこう書かれていた……

 

"ラムダデルタちゃん様と羅奈の特製の絶対媚薬"

 

それを見た私は血の気が引いた……

媚薬……興奮作用を高める薬だというのは聞いた事がある。

効果作用は薬の強度によって違うらしいけど……

あのラムダ(バカ)、だから私に(・∀・)ニヤニヤしながら渡してきたの!?

う、迂闊だったわ……

 

(穹は……今頃……)

 

思考も今の自分の事より穹の事しか考えられなくなってきた……

それを考えたら余計に体が熱くなってきた。

今頃……お風呂にでも入ってるのかなぁ?、あっ……考えたら私も入りたくなってきちゃった……今から穹のところに行けば間に合う…のかな?

 

 

気づけば私はふらふらしながらも穹を捜しに向かっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ベルン……大丈夫かな?)

 

屋敷のお風呂に浸かりながら、

さっきの事について考える……

ベルンがラムダから渡されたという透明な液体を自分の梅干し紅茶に入れて飲んだ後、

突然、カップを床に落とし彼女の息づかいが荒くなった。

心配になった僕が声をかけても本人が大丈夫だと言っていたから先にお風呂に入ってるんだけど……

 

 

 

 

ーーガラッーー

 

 

 

 

お風呂場のドアの開く音が聞こえ誰が入って来たのかと思い振り返る。

そこにいたのは……

 

「…………」

「…ベ、ベルン!?」

 

僕が驚いている理由?

それは混浴でもないのに身体にタオルを巻き、僕の事をじっと見つめて佇んでいるベルンがそこにいたからだ。

 

(ちょっと待って、これどういう事!?)

 

考えている間も束の間、

ベルンは軽くシャワーを浴びた後、

僕の隣に寄り添ってきた……

 

(見てない…見てない……というか何!?、ベルンの表情が分かんないんだけど!?)

 

今の彼女は無言状態。

…というより頬を赤くして息が荒い。

落ち着け僕!、圭一兄みたいにKOOL(クール)になるんだよ!

 

「見たいなら……見てもいいわよ?」

 

ベルン…今なんて言った?

今の言葉、僕の聞き間違いだよね……?

 

「ねぇ穹……黙ってないで何か言いなさいよ」

「あ…いやその……色々と当たってるんだけど……」

 

主にベルンの胸とか。

しかも湯気とかのせいで普段より色っぽく見える……

そんな事を考えているとベルンは僕の首に手を回した。

彼女の顔が間近に、そして……

 

「んっ……」

「っ!?」

 

ベルンにキスされた……

突然の事なので状況整理ができない。

な、何でこうなったの!?

とりあえず離れるように抵抗しようとしたが……

 

「んぅ…んちゅ……んはぁ…そらぁ♡」

 

させてくれなかった……

しかも今されてるのは俗に言うディープキス状態。

僕の事を逃がすまいと抱きしめる力を強くしていた……

そして唇を離すとそこには銀の糸が垂れ下がる。

ベルンは恍惚な表情になっていた……

 

「ねぇ…そらぁ………………………………()()?」

 

…Why?

目の前にいる彼女はどういう意味で言ってるの!?

それ以前に色気で誘うのは羅奈とクイナで充分だよ!

…って何を言ってんのさ僕は!?

 

「…今、私以外の女の事……考えたでしょ」

 

あれ……湯船に浸かってるのに寒気がするのは何でだろうね……

それからベルンの背後に般若が視えるのは気のせい?

 

「そんな穹には………罰ゲームよ♡………んぅ♡」

「ベル………んむぅ!?」

「あッ…もぅ……そらぁ…逃げちゃダメよ♡」

 

僕の抵抗も虚しく、

ベルンは気がすむまでキスをしてきた……

本当に何でこうなったの?

 

(まさかラムダの作ったっていうアレ……まさか媚薬だったんじゃ………)

 

 

 

気づいた時にはもう時すでに遅しだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重い瞼を開けると外はすでに朝だった……

身体を起こした瞬間、頭痛が襲ってきた。

 

(痛ッ!………私…なんで?)

 

隣を見ると何故か穹が寝ていた。

という事は穹の部屋かしら?

とりあえず着替えようと思った私はある違和感が……

 

「なんで私……穹の私服なんて着てるのよ?」

 

自分の服じゃなく穹の服を着ていた……

それ以前になんでか服の下がスースーするわね。

 

「…………っ!!?///」

 

その理由はすぐに分かった。

何故なら私の服の下は生まれたままの状態だった……

 

「あ。ベルン……起きた?」

「穹……なんで私、穹の服を着てるの?」

「そ、それは……」

 

穹が起きたので私が理由を聞くと、

答えにくそうに渋っている……

そして意を決したのか……

 

「昨日の事……ベルンは覚えてない?」

 

昨日……?

そう言われた私は思考を巡らせる。

確かラムダが作った透明な液体が入った瓶の正体が媚薬だと知って……

それから穹がお風呂に入っているのを知ってたのにも関わらず私は入って………は?

 

(な、なんで覚えてんのよ!?)

 

その後……確か私……穹とキスして…………って!!?

 

「あっ……あのわたっ……私///」

「あー……僕は気にしてないから」

 

私の表情を見て察したのか、

それ以上は何も言わなかった。

媚薬のせいとはいえ穹と一緒にお風呂に入った挙げ句、自分からキスを穹に何度もしてしまった事を今になって思い出してしまった……

 

(あの後もしかして穹が運んでくれたんじゃ……)

 

それなら納得がいく。

お風呂に入った後の記憶は何故かない。

そして私が穹の私服を着ている理由はそれで説明が着く。

 

「穹ー!、ベルンしらないー?…………あ」

 

ドアが乱暴に開き誰かと思い振り向いたら、

媚薬を作った諸悪の根源のラムダ(バカ)の姿が……

 

「ラムダ~………!!!」

「じゃ私はこの辺で!」

 

あのバカ……今すぐ絞めるわ。

でもその前に……

 

「ベルン……媚薬の事…気づくの遅れてゴメンね?」

「いいの。あの時、私も穹に言わなかったのが悪いもの……だから……」

 

穹の両頬に手を添えた。

そしてそのまま私は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼にキスをした……

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが私からの誠意よ♪」

「あ……うん……」

 

 

 

 

これで少しは私の事を意識してくれるかしら?

そうであって欲しいけど………ね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
こんなベルンもいいなと思い我慢できず書いちゃいました。
次回もよろしくお願いします。

「…よくも私に恥をかかせてくれたわね?」

…えー、満更でもない表情でも言われてもなぁ。
ちょ、ちょっと待っt……

「死ねっ!!」

アッー!?


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宴19 魔女同士でハロウィンって楽しい?

ゆるポメラです。
今回から原作第2巻のストーリーになります。
短いかもしれませんが楽しんでいただけると嬉しいです。
視点は前回に引き続きベルンになります。

それではどうぞ。


また私が司会?

いい加減にしなさいよ……

まぁ退屈しのぎになるから別にいいけど……

 

「ハッピィィィハロウィィイン!!」

 

うっさいわね……

何をそんなに騒いでんのよ……

 

「今日はベルンに堂々とイタズラできるチャンス。ベルンの事だし、お菓子なんて用意してないだろうしね!」

 

こんな事だと思ったわよ。

さて……

 

「はい、飴あげる」

「へっ?」

「で?、ラムダももちろん用意してるわよね……?」

「ごめんなさいごめんなさい!?」

 

用意してないのね、つまんないわ……

 

「だいたい魔女同士でやってどうするのよ……」

「あら、楽しければいいじゃない~」

 

楽しければ…ねぇ……

私はあんまり楽しめないわ……

 

「こんな事を楽しむのはあんたと羅奈ぐらいでしょ……」

「まぁ私と羅奈もこういうイベント事は思い切り楽しむ性分だしね、それにー……」

「な、何よ…人の顔をジロジロ見て……」

 

ラムダは何やら(・∀・)ニヤニヤしながら、

私の事を見てきた……

 

「ベルンも大胆よねー♪、穹に対してあんな事とかこんな事とかして……キャッ♡」

「あ、あんた……まさか……」

 

そんな筈はない。

昨日、屋敷にいたのは私と穹の2人だけの筈。

このラムダ(バカ)は知らない筈なのに!?

 

「私と羅奈は知らないわよー?、()()()()()でモニタリングしてたなんて♪」

 

今すぐに×××してやろうかしら?

ここにいない羅奈もそうだけどまずはラムダを先に殺った方がいいわよね……

 

「ま、でもベルンも満更じゃなかったんでしょ☆」

「ち、違ッ……///」

 

実際ラムダの言った通り、

昨日の媚薬の件で起きてしまった事については私も満更じゃないのは事実。

くっ……否定できないのがなんか悔しいわね。

 

「次は誰にしようかしら!、ロノウェはお菓子いっぱい用意して待ってるだろうし……」

 

考えてるラムダをよそに私は猫耳と尻尾をラムダに気づかれないように付ける。

 

「やっぱり戦人かしらね!。あいつ馬鹿だからハロウィンの事なんか忘れてるわ!…………って、ベルンさっきから何よこれぇ!?」

 

あんたも意外とバカね……

溜息を吐きながらも私は自分の頭に黒い猫耳を付ける。

装・着!!

 

「ハロウィンといえば仮装でしょ、やるならしっかり楽しまないと……ラムダも似合うわよ」

「ちょっと撫でないでよ……子ども扱いやめなさいってば!」

 

 

 

 

 

ーーダダダダダダーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「この音、何かしら?」

「地震?」

 

私とラムダが地震かと思いながら、

部屋に入って来たのはヱリカだった。

 

「猫耳を付けたら主に撫でてもらえると聞いて飛んできました!!!」

「で?、お菓子は?」

「は?」

 

ヱリカはお仕置き決定ね。

めんどくさいからとりあえず全身を縛っておく事にした。

 

「さ、次は誰のところに行こうかしら……」

「さっきも言った通り、まずは戦人でしょ!さーどんなイタズラをしてやろうかしら!」

 

ここで私達2人はある事に気づいた……

 

「…って、いつもと変わらないじゃない……」

「つまんない男ね……」

「あっ!!、私はいつでもイタズラウェルカムですよ!!!」

「だそうよラムダ」

「ワーイ」

「え…ちょ…ある……」

 

とりあえずラムダは先に羅奈のところに寄ってから戦人にイタズラをすると言った。

ま……お菓子目当てだと思うけどね。

 

「ベルンー、この際だから穹にイタズラしてきたら?」

「一応聞くけど…どんなイタズラよ?」

「はぁ……そんなの決まってるでしょ?、セッ……」

「す、する訳ないでしょ!?、バカラムダ!!!」

 

あんたは何を言おうとしてんのよ!?

それは……私だって穹と……ゴニョゴニョ……///

 

「えー?、ベルンって昔は()()()()()()()()……」

「ちょっと待ちなさい。その情報どこから聞いたのよ?」

「えっ、本当なの?」

「あっ……///」

「ベルン、図星なのね……」

「わ、私の事はいいのよ!!!、ていうかどこから聞いたのよ!!!」

「羅奈から☆」

 

あの風船女ァァァッ!!!

なんでラムダに余計な事を喋ってんのよ!!!

大方、面白いからって言うのが目に見える……

じ、事実なんだけど……///

私が葛藤しているとラムダは私の肩を叩き……

 

「昔みたいに勢いに任せてやっちゃいなさいよ☆」

「ニャー!!!」

 

ラムダの言葉を聞いた私は追いかけまわしていた……

(・∀・)ニヤニヤしているのが余計にムカつくわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

ラムダに逃げられた後、

私は穹の部屋に着ていた……

 

(イタズラ…か……)

 

そういえば穹にイタズラをした事なんてあったかしら……?

よく考えてみたらないわね。

そんな事を考えていたら部屋のドアが開いた……

 

「あれ…ベルンどうしたの?、そんなところに突っ立って……」

「え、えっと……」

「部屋……入る?」

「うん……」

 

私が言いたい事を察してくれたのか、

穹は部屋に入れてくれた。

ソファーに座ると……

 

「…その猫耳、似合っているね。可愛いよ」

「あ、ありがと……///」

「でも珍しいね?、なんで猫耳を付ける事になったの?」

「ラムダがハロウィンだからって……」

「あーそういう事か……」

 

なんで猫耳を付ける事になったかの経緯を穹に話すと、

彼は相槌を打ちながら納得していた。

 

「ねぇ…穹……トリックオアトリート……」

 

"トリックオアトリート"とはハロウィンのイベントで使われる用語で、

お菓子をくれないとイタズラをする……というものだと昔ラムダと羅奈に聞いた。

でも、穹の事だしお菓子を持ってるんじゃないかと思ったんだけど……

 

「お菓子……持ってないや」

 

やっぱり持ってなかった……えっ?

それってつまり穹にイタズラをしてもいいって事よね?

 

「イタズラ…してもいいの?」

「逆にベルンは何をする気なのさ……」

 

私が今からどんなイタズラをするのか苦笑いをしている穹。

そんなの決まってるじゃない……

 

「こう……するの♪」

「んむ!?」

 

不意打ちを狙って穹に飛びついた私は、

彼の唇を重ねた……

 

「んちゅ…れろ…ん…ふちゅ………」

 

今更ながらだけど自分で言うのもなんだけど、

恥ずかしくなってきたので穹に対するイタズラだと割り切った方がいいわね……

そうしないと私の理性が持たない……キスしてる時点でだけど……

 

「はぁ…はぁ……ベルン、また舌入れたでしょ?」

「……穹は嫌?」

「嫌というか……びっくりしただけ……」

「ねぇ……もう1回だけしてもいい?」

 

私何言ってのよ……

コレ絶対に俗に言う『変なスイッチ』が入ったってヤツよね……

正直に言うと体が熱くなってきた……

 

「…いいよ。しても」

「本当?」

「お菓子がない訳だし……気のすむまでイタズラしてもいいから」

「二言はないの?」

 

穹に限ってないと思うけど

念の為に……ね?

 

「うん。ないよ?」

「じゃあ………♪」

「べ、ベルン?、なんで獲物を狩る目をしてるのかな……可愛い顔が台無しだよ?」

「にぱー☆、覚悟するのですー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハロウィンで………イタズラするのも悪くないわね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
後半ちょっと色々と頑張ってみました☆
ベルン可愛いよ、お持ち帰りしたいくらい←(ダメだコイツ)
こんな調子ではありますが……

ラムダ「祝!、(パーティー)がアニメ化よ☆」


ベルン「チャンネルロック!」


羅奈「詳しくは公式サイトで♪」


穹「…今すぐアクセス」





※当時、作者も原作を買いページを捲った時に書いてあったので期待しましたが『(パーティー)に』のアニメ化はしませんでした……
改めて、こんな調子ではありますが次回もよろしくお願いします。






※余談ですが、
『奇跡のなく頃に』、『奇跡のなくパーティーに』を合わせたR18小説を
執筆したいとなぁと最近思ったので、その気になったら本気で連載したいと思います。
連載してた時にはツイッターでお知らせしますので皆さん、
よろしくお願いします。
それではまた次回。





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宴20 屋敷に戻ったら喧嘩が勃発していた

ゆるポメラです。
久しぶりの投稿になります。
だいたい2ヶ月振りですかね……
少し短いかもしれませんが楽しんでいただけると嬉しいです。
視点はベルンになります。

それではどうぞ。


あら?

また逢うなんて奇遇ね。

涼香の世界(カケラ)で逢った以来じゃないかしら?

それにしても私がまた司会とか物好きなものね……

 

(それにしても騒がしいわね……)

 

涼香の世界(カケラ)から帰ってきた私は、

屋敷を向かって歩いているとリビングから騒がしい声が聞こえてきた。

 

「穹が悪いんでしょ!!!」

「羅奈が悪いんじゃん!!!」

 

声の主は穹と羅奈だった。

口調はかなり荒れてるように聞こえる……

ちょっと……あの仲の良い2人が喧嘩……?

少し疑問に思った私がリビングに入ると……

 

「「ぐぬぬ……!!!」」

 

互いに睨みつけながら唸っている穹と羅奈がいた。

2人の近くにいたラムダと涼香が私に気づく……

 

「ベルン! あんた今まで何処に行ってたのよ!!」

「こんにちはです。ベルンさん」

「散歩に行ってたのよ、それよりも……あの2人どうしたのよ?」

「私だって知らないわよ!! さっき来たばかりなんだから!!」

「あはは……私もラムダさんと同じなんです」

 

ちょっと……ラムダと涼香も2人が喧嘩してる理由を知らないの?

 

「先輩と羅奈先輩が喧嘩する光景なんて滅多に見ないんですが……」

「しかも穹が珍しくマジギレしてるのよねー……」

 

確かに珍しい。

まずそれ以前に穹が本気で怒るところなんて私は見た事がない。

しかもなんか怖い……

何があったか本人に訊きたいけど近づいたら殺すぞという雰囲気がでている……

 

「ラムダ…あんた羅奈を止めてきなさいよ」

「はぁ!? だったらベルンも穹を止めてきなさいよ!!」

「そんな事したら殺されそうだから嫌よ」

「私だって嫌よ!! 今の羅奈めちゃくちゃ怖いのよ!?」

 

羅奈からは爆発的な魔力が放出されていた。

さながら今にも噴火しそうな火山のように視える……

一方で穹も魔力が沸々と放出されている。

こっちは逆に例えるなら噴水のように静かだけど……

 

「でも先輩達…そこまで怒ってないみたいですね、私が見た限りですが……」

「「あれで!?」」

 

涼香の呟きに私とラムダは驚きの声を上げる。

9割の人が見たら怒るっていうレベルじゃない……どう見ても。

 

 

「2人の周囲に地鳴りが起きないのが何よりの証拠なんです。もし先輩と羅奈先輩が本気で怒っていたら屋敷が全壊じゃ済まなくなりますし、ニンゲンや家具も失神状態になるのは確定です。もちろん魔女も例外ではありません」

 

涼香の説明を聞いた私とラムダはゾッとした……

もし今の話が本当なら私達はどうなるのかしら……?

私の考えてる事が分かったのか……

 

「ベルンさんとラムダさんは大丈夫ですよ? 何せ先輩達にとって大切な人ですから。補足すると私や先輩の家具であるクイナさんも影響は受けません。先輩達が()だとみなした対象のみに影響が出ますので」

 

涼香が付け加えるように説明した。

ちょうどその時……

 

 

「穹!! 今から決闘よ!!!」

 

羅奈が指を差しながら穹に決闘を申し込んだ。

ラムダも目を見開きながら唖然としてる……

実を言うと私自身も驚いてる。

まさか決闘しろなんて言うとは思ってもなかった。

しかも赤き真実を使って宣言した……

 

 

「いいよ…その決闘……受けてあげるよ!!!」

 

すると穹も赤き真実で羅奈の決闘を受けると宣言した。

静かなる覇気が伝わってくるのが分かる……

今の穹は止めるのが不可能……

付き合いの長い私には分かった。

 

「先輩も羅奈先輩も場所を変えましょう。本当にもぅ……」

 

 

こうなる事を予見していたのか、

涼香の溜息がこの場を支配していた……

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は穹と羅奈が魔法バトルをします。
頑張って書きますので、
これからもよろしくお願いします。


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宴21 ルール説明も楽じゃないんですよ?

ゆるポメラです。
今回は穹と羅奈が喧嘩をおっぱじめます。
楽しんでいただけると嬉しいです。
視点は涼香になります。

それではどうぞ。



「穹!! 今からギッタンギッタンにしてあげるから!!!」

「その言葉、羅奈にそのまま返してあげるよ!!」

 

あ…どうも。水無月涼香です。

前回の話をご覧になった皆様方ならお分かりかもしれませんが

今から先輩と羅奈先輩が決闘をするんです……

 

「「で? 場所はどこでやるの!!」」

 

声を揃えながら私に訊く先輩達。

私の隣にいたベルンさんとラムダさんも先輩達の迫力にビビッてます……

 

(あの場所だったら大丈夫かな……)

 

とりあえず思い切り戦える場所を決めた私は指を鳴らす。

そして一瞬の内に屋敷内から絶海に背景が変わる。

 

「「ここは……?」」

「先輩と羅奈先輩が思い切り戦える場所を私が選びました。ここは私が創り出した世界(カケラ)の1つです」

 

ベルンさんとラムダさんが疑問の声を上げていたので簡単に説明する。

ちなみに先輩と羅奈先輩は魔法を使って海の上に浮いてます。

とりあえず先に進めましょうか……

 

「今回はお互い"変化魔法"のみです。それ以外の魔法は禁止にします。先輩と羅奈先輩が持ってる固有魔法も然りです。ただし移動系や身体強化系は例外でアリになります……それから勝敗の決め方ですが私が戦闘不能と見なしたらその時点で止めますのでご理解してくださいね?」

 

ある程度のルールや魔法の制限を付けないとシャレになりませんから……

 

「質問いいかしら?」

「あ、なんでしょうか? 羅奈先輩」

「変化魔法の制限はあるの?」

 

あわわわわ!!!

私とした事が忘れてました……

 

「はい。今回は変化魔法にも制限をつけようと思います」

「具体的には?」

「1つの世界(カケラ)のみにします。ちょっと待ってください……」

 

私は腰に付けてあるポーチから2枚のカードを取り出す。

本当は他にも何枚かあるんですがメンドクサイからこの2枚だけにしましょう。

 

「ラムダさん、この2枚から1枚選んでもらえますか?」

「じゃあこれにするわ。何コレ? 戦艦の絵が描いてあるけど?」

 

ラムダさんが選んだのは戦艦の絵が描かれてるカード。

そしてそのカードを先輩と羅奈先輩に見せる。

 

「先輩、羅奈先輩、この世界(カケラ)になりました」

「…ん」

「了解したわ」

 

それにしてもまさか比較的安全なカードを選んでくれるラムダさんに感謝ですね……

これがいわゆる運命力ってやつなんでしょうか?

 

「では……試合開始です!」

 

私が宣言すると先輩達の姿がその場から消えた。

消えたと言うよりは踏み込みで移動したが正しいですね……

現に今も常識外れの格闘戦をしてますし……

 

「…あら。腕は鈍っていなのね…穹?」

「…そう言う羅奈こそ。加減でもしてるつもり?」

「ふーん……言ってくれるじゃない」

 

お互い含み笑いをする先輩達。

そして距離を取り始め足元に魔法陣が展開される。

先輩は藍色、羅奈先輩は朱色の魔法陣……

 

「…考える事は一緒みたいだね羅奈? 1st Change!!

「そうね、お互い考える事は一緒ね? 1st Change!!

Character Change!!

Character Change!!

 

2人が変化魔法の最初のコマンドを唱えると同時に

何処からか音声が聴こえてくる。

私やクイナさんが変化魔法使う時も聴こえてくるんですよね。

そこはまぁ…ロマンと言う言葉で片付けてますが……

 

「…先ずは小手調べ」

Change!! Kancolle!! Akatuki!!

 

先輩が光に包まれる。

そして光が消え姿を現したのは……

 

「暁よ、一人前のレディーとして扱いなさいよね……って流石に声は僕のままか。当たり前だけど……」

 

先輩の変化魔法の最初の姿、暁ちゃんになっていました。

 

「やっぱそうなるのね……私も穹の事あんまり言えないけど」

Change!! Kancolle!! Kisaragi!!

 

羅奈先輩の場合もだいたい予想はつきますが……

というか音声が答えを言ってましたよ?

 

「如月と申します、お傍に置いてくださいね…ってやっぱ如月ちゃんはエロい身体つきだわ……」

 

羅奈先輩は変化魔法の最初の状態、如月さんになりながら溜息を吐いていた。

そういえば羅奈先輩と如月さんって雰囲気が似てるんですよね……

主に性格とか……

そんな事を考えてると先輩と羅奈先輩が主砲をぶっぱなし始めました。

 

「ねぇ涼香、変化魔法ってもしかして……」

「ベルンさんの考えで合ってますよ。つまりはそういう事です」

 

変化魔法……

それは別世界の登場人物に変わる魔法。

私や先輩と羅奈先輩、そしてクイナさんが行った事のある世界(カケラ)の人物になれ、更には身体能力も受け継ぐ事もできる。

ゲーム、アニメ、漫画の世界(カケラ)も例外ではない。

先輩と羅奈先輩は『艦隊これくしょん』…略して『艦これ』の登場人物の姿になっている。厳密には"艦娘"なんですが……

 

「…だったら」

Form Change!! Kancolle!! Shokaku!!

 

媒体となってるカードが光の粒子になり、

暁ちゃんの姿になっていた先輩が今度は翔鶴さんの姿に変化した。

弓を構え航空攻撃を羅奈先輩に仕掛けた。

 

「航空攻撃とか面倒な事してくれるわね!」

Form Change!! Kancolle!! Suzuya!!

 

悪態をつきながらも羅奈先輩の姿が如月さんから鈴谷さんの姿に変化する。

航空攻撃をされたからには相殺するしかないと判断したからだと思います。

実際アレってどうやって回避するんでしょう?

運とか、気合いですかね?

 

「穹と羅奈の姿が色々と変わったりしてるけど、もしかして艦隊編成みたいに6人に変わるとか?」

「変わりますよ? 先輩と羅奈先輩が所有してる艦娘6人になれます。今回は多分3人までしか見れないかと思いますけど……」

 

ラムダさんの疑問に答える私。

先輩と羅奈先輩が艦娘6人に変化した時は本気になった時。

今回のは単なる喧嘩なのでそこまで変化する必要はないとお互いに理解はしている筈だと思います……

…ま、私も艦娘6人変化は滅多にしませんけどね?

 

「ぜぇ…ぜぇ…中破状態にもならないとか……穹ふざけてんの?」

「そん…なの…お互い様……でしょ?」

 

いつの間にか先輩達、疲労してますね……

多分ずっと速度を全開のままで戦ってましたね。

それでも喋れるのはまだ余裕あるんだなと私は思います。

 

「…次の攻撃で終わらせる」

Form Change!! Kancolle!! Hibiki!!

 

翔鶴さんの姿になってた先輩は響ちゃんの姿に変わる。

奇跡を起こす響ちゃんと私とクイナさんの間では呼んでいます。

 

「上等じゃない。そっちが響ちゃんの姿だったら……」

Form Change!! Kancolle!! Kongou!!

 

その姿を見た羅奈先輩は、

鈴谷さんから金剛さんの姿に変わった。

これは恐らく先輩の響ちゃんの姿に対抗できるのは金剛さんの姿になるしかないと羅奈先輩は確信したんだと思います。

それより少し離れないと危ない気がします……

 

「ベルンさん、ラムダさん。少し離れましょう、先輩達のあの姿の攻撃余波が飛んでくる可能性もあるので」

 

2人にそう言った瞬間……

 

Last Attack!!

Last Attack!!

 

先輩達の最大攻撃が放たれる音声が聴こえた。

"Last Attack"は……つまり簡単に言うと最終奥義なんです。

これを使うと代償として同じ登場人物…この場合、響ちゃんと金剛さんの姿に一時的になれませんが威力は絶大です。

先輩の響ちゃんの奥義は超連射、対する羅奈先輩の金剛さんの奥義は大火力の主砲攻撃という…どちらもバカにできない代物です。

 

「「墜ちろー!!!」」

 

相変わらずなんていう最終戦争なんでしょうか……

聴こえてくるのは凄まじい爆撃音。

ベルンさんとラムダさんも表情が引き攣ってました。

そして煙が晴れると……

 

「「ぅ……」」

 

海面に仰向けになりながら倒れている先輩と羅奈先輩がいました。

この様子だと引き分けですね……

 

(変化魔法の制限をして良かったです……)

 

今回はあくまで『艦これ』の世界(カケラ)を使用しただけ。

本当はだいたいで7つの世界(カケラ)まであるんですが……

それと余談なんですがベルンさんとラムダさんが先輩と羅奈先輩に喧嘩する原因は何だったのかと訊くと……

 

「「なんでだっけ?」」

 

…と声を揃えて言いました。

これを聞いた私はどっと疲れました……

いやまぁ……何事もなければ私としては嬉しいですけど、

それでも疲れました……

 

 

(お兄ちゃんに甘えに行ってこよっと♪)

 

 

とりあえず私は自分の世界(カケラ)に帰って、

お兄ちゃんに甘える事にした。

あ! 穂乃果お姉ちゃんと海未お姉ちゃん、ことりお姉ちゃんに最近の様子とお兄ちゃんが無茶をしてないか聞いておかなきゃ!!

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
戦闘描写を表現するのって難しいですねぇ……
それから個人的なお知らせですが近い内に『艦これ』の小説を
執筆しようと思ってます。
穹達が『艦これ』の世界に来訪した時の小説になります。
こんな調子ではありますが頑張りますので
これからもよろしくお願いします。



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宴22 戦人とベアトを尾行しよう

ゆるポメラです。
久しぶりの投稿になります。
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。


「俺とベアトで森まで行って薬草を採ってこいって?」

「はい。道案内はベアトにさせますので戦人くんには荷物持ちをと」

 

ある昼くらいの事。

ワルギリアが戦人とベアトにお使いを頼んでいた。

 

「それなら別に俺らじゃなくても山羊達に頼めばいいんじゃねぇか?」

 

棚を掃除していた山羊を指差しながら言う戦人。

すると山羊がお腹を抱えながら倒れた……

 

「は? 集団食中毒で無理?」

「では戦人くん、お願いしますね♪」

「だいたい山羊が何を食ったら食中毒になるんだよ……」

「古い本ですかねえ~」

 

いやいや不自然過ぎるでしょ……

絶対に仮病を使わせたよね?

 

「ていうかなんで薬草なんているんだ?」

「ええ、それが……」

 

戦人の疑問は尤もだった。

ワルギリアが理由を話そうとした時……

 

「戦人ぁ! 実験台になりなさい!」

 

扉が乱暴に開き入ってきたのは、何やら怪しげな薬を持ったラムダだった。

それを見た僕は何となく察した……

 

「この通りラムダデルタが使っているので減りが早くて……」

「やっぱし……」

「おい…まさかそれを俺に採りに行けと……?」

 

 

てなわけで……

 

 

「とりあえずリストを渡しておきますね」

「まぁこれくらいなら……」

「ベアト? ハンカチは持ちましたか?」

「お師匠様しつこいよぉ……」

 

今更だけどワルギリアってベアトの事になると過保護なとこあるんだよね……

なんていうか保護者っていう感じがするし……

戦人とベアトが出かけるのを見送りながらそう思った直後、ワルギリアの目がギラリと光り今度は不敵な笑みを浮かんでいた……

なんか見ててめっちゃ怖い……

 

「さあさあ、作戦開始ですよぉ…! 2人きりにしてよりお互いを意識させるんですっ!」

「…は? どゆこと?」

「そういえば穹はあの時いなかったわよね? えーと……」

 

羅奈によるとハロウィンの気分を楽しんだ時にヱリカがベルンに使おうとしていた惚れ薬が間違ってベアトに当たってしまい突然のデレ期的な状態になったらしい……

最終的にはワルギリアの手作りお菓子『鯖クッキー』を食べて元に戻ったとの事。

 

「てな事があったのよ」

「…あのさ鯖クッキーって美味しいの?」

「私は美味しかったけど、ラムちゃんは口に合わなかったみたい」

「いやだって生臭いのよ~?」

 

どうやら鯖クッキーは通好みのお菓子だという事が分かった。

ちなみにベルンはヱリカの首を絞めていた……

 

「山羊達に仮病を使わせたのも作戦の内です!」

 

それはその場にいた僕でも分かってたよ。

 

「でもそんな簡単にうまくいく~?」

 

ラムダがそう言うと……

 

「任せてください! 私が陰でサポートしますから!」

「「「いやいや!? ほっかむり必要!?」」」

 

ほっかむりを装備したワルギリアが真顔で言い切った……

これには僕やラムダと羅奈も声を揃えてツッコんでしまった。

 

 

 

ーー屋敷から少し離れた森にてーー

 

 

 

戦人とベアトを尾行に来た僕達。

ちなみにメンバーは羅奈、ベルン、ラムダ、ヱリカ、そして発案者のワルギリアである

 

「なぁこういう時こそ魔法だろ?」

「うむ、そうだな。さっさと終わらせるか」

 

様子を窺う限り、

頼まれたものを早く終わらせようとベアトが魔法を使おうとしているようだ……

すると突然ベアトがコケたではないか

 

「おいベアト、大丈夫か?」

「ぐぅ…何もない所でコケよった……」

 

確かにベアトからすればドジっただけだと思うだろう。

だが実を言うと……

 

「フフフ…そう簡単には終わらせませんよ♪」

 

ワルギリア(ベアトを転ばせた主犯格)が笑っていたのだから……

 

「「うわぁ……」」

 

羅奈とラムダもドン引きである。

ぶっちゃけ言うと僕もである……

どうやらタダでは終わらせないようだ……

魔法を使うとコケると勘違いしたベアトは戦人の提案で歩いて行く事にしたようだ。

 

「そういえば昔お師匠様に聞いた事があったな」

「何をだ?」

 

引き続き2人の尾行をしているとベアトが何かを思い出したようだ……

 

「うむ、一時的に魔力を奪う薬草があるとかなんとか……」

 

ふーん、そんな薬草があるんだ……

魔女の世界はまだまだ広いなと僕が思ってると……

 

「お、おい…なんでそんな大事な事…魔法が使えないアイツらなんかゴミ以下!! それがありゃアイツらをぎゃふんと言わせられる!」

 

戦人がはっちゃけ始めた。

あのー…それって僕も含まれてないよね?

 

「こりゃもう一刻も早くその薬草を手に入れるしか……!」

 

ないだろうと言おうとした瞬間、

戦人の頭上に巨大な大木が落ちてきた。

それを行ったのは……

 

「誰がゴミ以下よ」

「失礼しちゃうよね!」

 

ラムダと羅奈だった……

というか戦人は大丈夫だろうか?

 

「で? 本当にそんなのあるの?」

 

ベルンが訊くとワルギリアはおとぎ話のようなものだと言った。

するとそれを聞いたヱリカは……

 

「大丈夫ですよ我が主! 主が魔法を使えなくなったとしても私が責任を持っte……」

「うるさいわね、戦人達に聞こえるでしょ」

「ガボォ!!」

 

なにかをヱリカの口にぶち込んだ。

そして昏倒した……

 

「…ベルン何を食べさせたの?」

「そこら辺に生えてたキノコよ、まぁ死にはしないんじゃないかしら?」

 

キノコの色が凄く毒々しい紫だったのは気にしてはいけない。

ベルンが死にはしないんじゃないと言ってるんだし……

 

「はっ!? よく考えたら主のキノコを食べるって興奮しますね!!」

「ねえヱリカちゃん復活早くない!?」

 

いつの間にかヱリカが復活していた。

ほんの数秒前のだよね? 倒れたの……

近くに生えてた花の蜜を吸ったら元気になったらしい……

状態異常治しの蜜ってところかな?

せっかくなので僕達も吸ってみる事にした。

 

「あっ意外と美味しい!」

「ほんとだー♪ しかも甘さも控えめで好きかも♪」

「それに心なしか疲れも取れてる気がするわ……」

「あらホント♪」

 

初めて花の蜜を初めて吸ってみたけど実際こんな味なのかな?

 

「私が見つけたんですよ! この古戸ヱリカga……ぶふぇっ!!」

 

突然ヱリカが吐血した。

するとベルンが……

 

「効き目が切れたみたいね」

 

と言いながら締めくくった。

どうやら完全に治す蜜ではなく一時的に治す蜜だという事が判明した……

 

 

 

その後も戦人とベアトを窺ってみるも何の変化も無かった。

あのままでも別にいいんじゃないかなと思った時……

 

「なかなかいい感じになりませんねえ……こうなったらベアトの足に怪我をさせて戦人くんにおぶらせて……」

 

ワルギリアがとんでも発言をし始めた。

そこまでしてやる事……?

ほらぁ…ラムダと羅奈も引き攣ってるし……

そんな様子のワルギリアを見ていたヱリカが……

 

「愛弟子を怪我させてまでくっつけようとするなんて最低ですね」

「グハッ!!」

 

珍しくまともな事を言った。

 

「はぁ…そうですね、確かにあの2人はまだあのままでいいのかもしれませんね」

 

正気に戻ったのかワルギリアも諦めたようだ。

屋敷に帰っておやつでも食べましょうとなりワルギリアが魔法を使おうとしたが何故か何も起こらなかった……あれ?

 

「あ、あら? 魔法が使えなく……」

「わ、私もっ!」

「ラムちゃん…そんな訳が……あら? 私も使えなくなってる!? なんで!?」

 

ワルギリアだけでなくラムダと羅奈もだった……

僕も魔法を使おうとしてみたがやっぱり何も起こらない……

 

「もしかしてさっきの蜜が原因……?」

「「「あっ……」」」

 

ベルンの一言に声を揃える僕と羅奈とラムダの3人。

一時的に魔力を奪う薬草ってもしかして……さっきの花の蜜!?

どうしよう…ベアト達は魔法で戻っちゃったし……かといって僕達は地図すら持って来てない……

 

「お任せくださいっ!」

 

するとヱリカが自信満々に言った。

何か当てがあるらしい……

 

「私なら主が来た道を鼻で辿る事ができますから!」

「「「気持ち悪いけどなんか頼もしい!」」」

 

よし!

今はヱリカだけが頼りだと思い僕達は彼女を先頭にしてついて行く事になった。

 

 

 

 

 

 

そして歩いて10分経過したのち……

 

 

 

 

 

 

「よ、よく考えたら近くに主がいたら臭いが混ざって嗅ぎ分けるの困難ですよね…?」

「「「おい!!」」」

 

 

そして結局、

蜜の効果が切れたのは24時間後でした☆

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますのでよろしくお願いします。
本日はありがとうございました。



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宴23 スゴロクをやる事になった 前編

ゆるポメラです。
今回はスゴロクをやる回になります。
少し短いですが楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。



戦人とベアトの尾行から次の日の朝。

リビングに入ると……

 

「何コレ? サイコロ?」

 

両手に持つくらいのサイコロが目の前に置いてあった。

試しに持ってみると何処からかチャララララ♪という音楽が流れ、異様にサイコロが振りたくなった……

 

「…7?」

 

僕が出した数字は7だった。

ラッキーセブンなのかアンラッキーセブンなのか判断しづらい……

するとちょうど戦人も入って来た。

 

「あん? なんだコレ……サイコロか?」

 

そして戦人もサイコロを手に取ると同時に、

またもや奇妙な音が流れ始めた。

ホントに何なのこの音楽?

ちなみに戦人が出した数字は3だった……

 

「3とかまた微妙な数字ね!」

「そうそう!」

 

声の正体はラムダだった。

隣には羅奈もいた……

 

「…で? このサイコロと音楽は結局なんなの?」

「フフフ…聞いたら穹でも驚くわよ」

 

何やらもったいぶる羅奈。

どうでもいいから早く答えてくれないかな?

 

「この曲を流すと体が勝手にサイコロを振る魔法をラムちゃんとかけたの♪」

「「何の意味があるの!?」」

 

羅奈が持ってる音楽プレーヤーからは、

先程のチャララララ♪とか何が出るかな♪とかが流れていた……

 

「ていうかその曲なんなんだ?」

「これ? 羅奈も同じ考えだったんだけど、この魔法をかける時は必須なのよ☆」

「ねー♪」

「「何それ」」

 

全くもって理解不能である……

 

「そんな事よりそのサイコロ! 何のために使うかというと!」

「いや興味ないです」

「フフフ…ちなみに羅奈と2人で1ヶ月もかけて用意したんだから……」

「だから遠慮するっte……」

 

さっきからラムダ、戦人の言う事をスルーしてるよね?

 

「さ! みんな準備できているから戦人と穹も行くわよ!」

「話聞いてたか!! だから俺はヤダって言ってんだろおお!!」

「…あのさ、僕はやるとは一言も……」

「まあまあ穹♪ せめて見るだけでもいいから♪ ねっ?」

 

正直そんな気分じゃないのに……と表情に出ていたのか、羅奈が見るだけでもいいからと背中を押しながらニコニコ笑いながらそう言った。

ちなみに戦人は言わずもがなラムダに強制連行である。

 

 

ーー超パァな2人に連れてかれ10分後ーー

 

 

 

「…で? 今から何するのさ?」

「まあまあ見てみなさいよ! 絶対に楽しいから!」

「じゃじゃーん! 今からするのはラムちゃんと作った巨大スゴロクでーす☆」

「うおおおおでけええ! これほんとにスゴロクかよ!?」

 

そこには戦人の言う通り、

見渡す限り一面スゴロクのマスで埋まっていた。

これ全部で何マスあるのさ……?

 

「マスの数は約4万!!」

「ちなみに長さは200km!! ラムちゃんと作った傑作の超巨大スゴロクよ!」

 

ちょっと待って?

このパァ2人は長さ何kmって言った? 聞き間違いじゃなければ200kmって聞こえたんだけど……

 

「「……ちょっと待て…200km?」」

「「200km!!」」

 

ドヤ顔で宣言するラムダと羅奈。

これを聞いた戦人は当然……

 

「ふざけんな!! 200kmってちょっとした旅じゃねーか!!」

「やるなら壮大な方が楽しいじゃない?」

 

キレだした。

只でさえここ最近運動不足だったもんね……

それを聞いてもラムダはこの態度である。

 

「ハッ! なんですか? たかが200km程度で怖気づいてるんですかぁ?」

「んだと…ヱリカ!!」

 

するとそこへヱリカがやって来た。

ヱリカだけじゃなく後ろにはベルンとベアトもいた……

 

「それくらいこなせる自信もないなんてなんという惰弱! 同情すらしてしまいますよ!」

「言わせておけばテメェ……」

 

戦人がヱリカに言い返そうとした瞬間……

 

「私なんて我が主に言われてオイミャコンを水着1枚で駆け抜けた事ありますから!」

「お前…少しはキレていいんじゃないか?」

 

サムズアップをしながら決め顔で言い切った。

 

「主の言葉は絶対なんですっ そしてそれを実行する事こそ私の幸せっ」

「「うわぁ……」」

 

これを聞いた戦人と羅奈はドン引きである……

 

「そんなヱリカのために! 今回の1位のご褒美は好きな相手を1日好きにしていい権利をあげまーす!」

 

ラムダがそう言った瞬間、

ヱリカは鼻から大量の血を出してその場に倒れた……

大方ベルンに何かしようと考えたんだろう……

 

「ラムダせんせー、好きにしていいって事は日頃の恨みとかも……」

「やり返すけどね」

 

とまぁこんな感じで巨大スゴロクを一部やる事になった。

最初は戦人の番である。

 

「5か。ったく…どうせやらなきゃ帰れないんだろ……」

「いってらっしゃ~い」

 

すると突然、戦人が1マス目で落ちた。

…はっ? なんで?

 

「…1マス目は落とし穴を作ってたのを忘れてた☆」

 

 

てへぺろをしながら羅奈が言った。

こんな鬼畜な予感がしない巨大スゴロクをゴールできるのか不安な僕だった……




読んでいただきありがとうございます。
後編に続きます。
本日はありがとうございました。


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宴24 スゴロクをやる事になった 後編

ゆるポメラです。
久しぶりの投稿になります。
視点が色々と変わったりしたりしますが
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。


前回の話……

ラムダと羅奈が暇潰しで作ったという巨大スゴロクを

半ば強制的にやる事になった。

 

「もっと早く言えっ!!!」

「いや~ゴメン☆ うっかりしてて……」

 

あっ……そういえば、戦人が1マス目で落ちたところからだったね。

この仕掛けを作ったのは羅奈だった。

 

「……ったく。5マス目、なんもないマスじゃねーか……」

 

戦人は結局落ち損だね……

 

「次は私が投げますねっ」

 

2番目はヱリカ。

そして出た数字は……

 

 

 

 

    "1"

 

 

 

 

「キャアアアアアアアアァァ……」

 

先程の戦人と同様に落とし穴落ちた……

 

「同じ罠に掛かるとか芸がないわね、ヱリカ」

「…ほんと、どういう偶然なんだろうね?」

 

これには僕もベルンも溜息を吐く……

 

「妾は4か! こういうのは好きだぞ!」

 

3番目はベアト。

指定されたマスを進むと謎の瓶が置いてあり、

『これを飲んでね♪』と書いてあった……

 

「おお? これは……男になったのか? 見ろ戦人! お前より背がでかいんじゃねぇか? ついでに服も替えておくかぁ!」

 

性別変換の薬かぁ……

これを作ったのはラムダだな……

 

「つーか、お前は楽しそうでいいなー……」

「そーそー、戦人もいい加減に楽しむって事を覚えなさいよね!」

「お前らが相手じゃなきゃ楽しかったと思うぜ……」

 

それには僕も戦人に同意である。

余計な仕掛けや怪しい薬がない巨大スゴロクだったら僕も普通に参加してたよ……

 

「ってか、お前ら2人も参加するのか?」

「せっかく羅奈と2人で時間かけて作ったのに遊ばないでどうすんのよ!」

「作ったからには遊ばないと☆」

 

なんか意外だなぁ。

てっきりラムダと羅奈も高みの見物かと思ってたけど……

ちなみに僕とベルンは見物である。

 

「「…………」」

「随分と可愛くなっちまってまぁ…ぷくくく…………」

「「うるさい!!」」

 

そして超パァな2人は身長が小さくなるマスで止まり、

それを見た戦人に笑われていた。

 

 

 

ーーそして3時間後ーー

 

 

 

「お……おい……いつになったら終わるんだよ……」

「むぅ…妾なんか男のまま小さくなったり訳が分からなくなってきたぞ……」

「マジで不憫だな……」

 

ヤッホー☆

絶対の魔女のラムダデルタちゃん様よ☆

スゴロクをさっきからやってるんだけど、

なんてゆーかなんか………

 

「「私もう飽きたー」」

 

羅奈と私の声が見事にハモった。

 

「全部お前ら2人のせいだろうが!!」

「え~? だって私とラムちゃんの予想だと、もっとサックリ終わると思ったんだもん」

「いや長さを考えて作れよバカ!」

 

そーよ、そーよ。

私だってもっとこう…パパっと終わるかと思って作ったんじゃない……

 

「とりあえず続きは明日にして今日はもう帰ろうぜ……」

 

戦人はそう言うけど……

 

「えっ? ゴールしなきゃ戻れないよ? ね、ラムちゃん?」

「そうね☆ しかも全員☆」

「本当にバカなんだな、お前ら2人は!?」

「「だってすぐ終わると思ったんだもん!!」」

 

とは言ったものの……

 

「つか魔法でパパっと何とかならねーのかよ……」

「実は参加した人には魔法を使えないようにしたのよ……」

「こういう時だけお前ら……」

 

平等に楽しむ為に魔法を使えないようにしたのは、

良いけど、もうちょっとルール説明しとけばよかったわね……

 

「待てよ……それなら2人参加してねぇヤツがいるじゃねぇか!」

「あっ! 確かに言われれば……!」

「そうよ! 穹とベルン!!」

 

そうよ! あの2人に頼めばいいじゃない!!

そう思った私達がベルン達の方を向くと……

 

 

『飽きたので帰るわね。ベルン』

『僕達2人の分も楽しんでね? 穹』

 

2枚の書き置きだけがあった……

 

 

ーーその頃、一方の2人は……ーー

 

 

「ラムダ達、楽しんでいるかな?」

「そうね。今頃全員泣き叫んでいると思うと心底笑えるわね……」

「確かに……」

 

 

現在の状況を笑いながら予想していた。

そしてラムダ達が帰って来たのは数日後の事であった……




読んでいただきありがとうございます。
次回の更新がいつになるか分かりませんがよろしくお願いします。


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宴25 バ・レ・ン・タ・イ・ン・チョ・コ・作り

ゆるポメラです。
こちらの小説が遅れてしまい申し訳ありません……(土下座)
サブタイを某ライダーベルト風にアレンジしてみました。
楽しんでもらえると嬉しいです。

「そのバレンタインチョコレート……神に返しなさい!!」

それではどうぞ。



ある日の朝。

部屋でヱリカの変死体が発見された……

 

「ついに犠牲者が! おいラムダ、さすがにこれは俺も引くわ……」

「いや私じゃないし!」

「私でもないわよ」

「僕も心当たりがないよ?」

「私も知らないよー?」

 

上から戦人、ラムダ、ベルン、僕、羅奈が言う。

 

「う……」

「あっ……ヱリカ、生きてた」

「おい無事か? 犯人は見たのか!?」

 

するとヱリカは、

よろよろとしながらも体を起こし……

 

「いえ……主のバレンタインチョコを何にしようか考えてたら…飲まず食わずで1週間も経っていまして……」

「お前ってやつは……」

 

もうなんか、呆れ半分と尊敬半分だよ。ほんと……

 

「フフ…いい心がけね」

「あ……主……っ」

 

ベルンがヱリカの頭を撫でながら言う。

しかも珍しく笑顔だ……

 

「それで? 1週間も考えたのだから、さぞ素敵なチョコなんでしょうね」

「もちろんですっ! 最高のチョコを……」

「まさか自分にチョコ塗ってくるなんてベタな事しないわよね?」

 

その一言にヱリカは目を逸らす。

 

「ね?」

「も……もちろんです……」

「「「「うわー……」」」」

 

これには僕とラムダ、戦人はドン引きである。

羅奈に至っては苦笑い。

 

「にしてもバレンタインか……ここにいるとまったくトキめかないイベントだな……」

「あら? チョコが世の中に溢れるなんて素敵じゃない!」

 

ラムダはラムダでなんか機嫌が良いけど……

あっ……そっか。ラムダはこういうイベント事には目がないんだっけ……

 

「はぁー。今年はどんなチョコ作ろうかしら!」

「てか、お前がチョコ作るのかよ」

「トーゼン!!」

 

するとラムダは自信満々に指を鳴らすと……

 

「ちなみに! 去年作ったのは、等身大ラムダちゃんチョコよっ! これこそまさに芸術品っ!」

 

等身大のラムダのチョコを見せてきた。

っていうか保存してるの……?

 

「ラムちゃんすっごーい!」

「でしょでしょ! はっ! そうだわ……今年は10倍スケールのラムダちゃんホワイトチョコとかどうかしらっ」

「どうじゃねぇし、何時間かかると思ってんだ!!」

「えっ!? 主の人形チョコがなんですか!!?」

「言ってねぇし!」

 

なんだろ……この流れだと、かなりめんどくさい事になりそうな予感が……

 

「じゃあどっちがより凄いチョコ作るか……勝負っっ!!」

「おい。なんでそうなるんだよ!」

「望むところです!! ラムダデルタ卿おおぉお!!!」

「あーもーお前らホントめんどくせえな!」

 

予想通り、めんどくさい展開になりました。

 

 

 

 

ーー審議の結果。結局……ーー

 

 

 

 

「ラムダデルタ卿!! あとで吠え面かかないでくださいよおおお」

「あんた如きが私に勝てると思ってんのぉ?」

 

バレンタインチョコを作る事になってしまった。

……ほんとにどうしてこうなった?

 

「制限時間は明日のバレンタインまでっ! いいわね!」

「了解ですっ」

「ラムダ、私はチョコを溶かしていればいいのね?」

「って主! なんでラムダデルタ卿側なんですか!?」

 

ヱリカはベルンと違うグループで不服なようだ。

 

「当たり前でしょ。自分で自分のチョコ作るなんてキモイじゃない……」

「あ~、ですよね~」

 

あっ……ラムダが固まってる。

多分、今のベルンの一言とバカにされたという二重の意味でショックを受けたのだろう……

 

「じゃあ戦人。ヱリカのこと手伝ってあげてね」

「はぁー? 俺が!?」

「嫌ですよ!! こいつに手伝わせたら体液と体毛とか入れられそうじゃないですかっっ!! 主が汚れるっ!!!」

「するわけねぇだろ!!」

 

するとベルンがこう言った。

 

「見張りつけなきゃ、あんたが入れるでしょ」

「さすがは主……! なんでもお見通しってことですね……っ」

「「おい。それでいいのか?」」

 

思わず戦人とハモってツッコんだ。

 

「てか穹、アンタあれは放っておいていいわけ?」

「……えっ? なにが?」

「いやだから……あの2人……」

 

ラムダが指を差した方に目を向けると、そこには……

 

「ちょっとクイナ!! 私が今から使おうとした牛乳横取りしないでよっ!!」

「人聞きが悪い事を言うのは止めてくれませんか!! そもそも貴女が私のテーブルの近くに置いたのが悪いのでしょう!? やっぱり超パァなんですね?」

「ちょっと……誰が超パァですって……?」

「貴女以外に誰がいるんですか? そもそも今もこうやって貴女と喋べるだけでも時間の無駄です。私はマスターに渡すバレンタインチョコを作るのに忙しいんです」

「……ちっ!! 確かにコイツを相手にするだけ時間の無駄だわ……

 

羅奈とクイナが口論をしながらもチョコ作りをしていた。

そうそう。なんでクイナがここにいるのかというと、僕達がバレンタインチョコを作るという事を何処から嗅ぎつけたのか、召喚に呼んでもないのに勝手に現れたのだ。

……で、今に至るという訳。

一生懸命にチョコを作ってるクイナを見てると、視線に気づいたのか僕の方を向き、微笑んできた。

 

(……クイナのあの表情、久しぶりに見たかも)

 

その微笑みは、いわゆる年相応の表情だった。

そういえばここ最近、クイナに何かしてあげたっけかな……?

 

「穹、アンタ何か考え事?」

「……なんで?」

「アンタが珍しく小難しい顔してたからよ」

「……まぁ、ラムダが言った通り、考え事してたのは合ってるよ? さてと。僕も向こうでチョコを作ってくるよ」

 

とりあえずチョコを作ってあげようかな……

ミルクチョコ系とビター系、後はブランデー系……かな?

 

 

ーーチョコ作り開始から1時間30分後……ーー

 

 

 

「さ! 勝負よっ」

「おい!! その前に、お前が作ったチョコ、結局天井突き抜けたままじゃねえか!!」

「ラムちゃんこれ……ホワイトチョコいくつ使ったの?」

「そーねー……軽く10万円分はいってると思うわよー」

 

じゅ……10万円分って……

ラムダ本人はなんともないように言ってるが、もしかしたらそれ以上の値段がするかもしれない……

だって天井を突き抜ける程のラムダの超巨大等身大ホワイトチョコだよ?

 

「…そういえば勝負って言ってたけど誰に判定してもらうの?」

「暇そうなのが、1人いるでしょ?」

 

ラムダがそう言った途端、ドアが開き入って来たのはベアトだった。

 

「ベアト、マスクなんかしてどうしたの? 気分でも悪いの?」

「お恥ずかしい話なのだが……また風邪をひいてしまったようでな……」

 

あー……だからマスクしてたんだ。

なら寝てなよ。あと心なしか部屋全体が熱いんだけど……

 

「ねぇラムダ、君が作ったチョコが……」

「えっ? ギャーーーーーッ!? 熱気で!! 私の!! 顔がっ!」

「ラムちゃんのチョコが溶けてる!?」

 

ベアトの風邪の熱気でラムダの超巨大等身大チョコが溶けだしたのだ。

そしてベアトがくしゃみをした瞬間、ラムダの作ったチョコ、ついでに言うとヱリカが作ったチョコも溶けてしまった……

 

「あんたのチョコも溶けちゃったわね」

「すみません……主へのプレゼントだったのに……っ」

「……まぁでも、いい出来だったから許してあげるわ」

「あるじ……っ」

 

それを聞いたヱリカはベルンに抱きついた。

 

「よしよし、あんたのそういう犬より扱いやすいところ好きよ」

「光栄ですっっ」

「いや……おい。それは光栄か? てかヱリカはそれでいいのか?」

 

 

一件落着でいいのかな?

その前に……この溶けてしまったチョコの残骸をどうやって片付けよう?

そう思った僕だった。




読んでいただきありがとうございます。
重ね重ね、この度は更新が遅れてしまい申し訳ありません……
こんな調子で投稿が遅れる事があるとは思いますが、なるべく週1か月1で投稿できるように努力しますので、今後もよろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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宴26 夢の中で学園生活? 前編

ゆるポメラです。
今回は学園生活の話になります。
最初は短いですが楽しんでもらえると嬉しいです。

それではどうぞ。


ふと目が覚める。

何故か周りが教室になっていた……

……えっ? なんで?

 

「あ。起きた?」

「穹は居眠りしても、寝顔は変わらないわねー♪」

 

そう言ったのはラムダと羅奈……なんだけど……

 

「あんた達、次の授業当たるのに、そんな悠長にしてていいのぉ?」

 

そして、僕の隣にいた戦人がラムダに一言。

 

「お前……何その……制服のコスプレ……受け狙い……? ないわ~……」

「剥ぐわよ」

 

そう。

何故かラムダが学校の制服を着ていたのである。

似合ってるけど……どう反応すればいいか分かんないのが本音だ。

 

「なぁ、なんで俺や穹も制服を着てるんだ……!?」

「……ほんとだ。戦人に言われるまで全然気づかなかった……」

「あんた達、何も覚えてないの?」

 

そんな事を言われても覚えてないのが現状。

思考を巡らせ、どうして今の状況になったのかを考えていると……

 

「我があるじ~~~っ♡」

 

ヱリカの声が聞こえた。

 

「主ステキですーっ 制服超似合う!! はぁ……♡ 主! 主ィ────っ!!」

 

カメラを構え、制服姿のベルンを撮っていた。

それを見た僕と戦人は目を合わせ……

 

「あ──── 思い出したかも……」

「というか絶対そうだよ。ラムダ、羅奈。僕思い出したよ……」

「「ねっ?」」

 

そうだよ。あれは確か……

 

 

 

遡る事3時間前────

 

 

 

 

「あるじ────っ 制服取り寄せたので、着ませんか────!?」

 

ヱリカが制服を持ち、喜々としながらリビングに入って来た。

 

「お前はいつも唐突だな…… ていうかなんで制服?」

「とある本を読んでいたら、ネクタイを直すシーンがステキで! 主にしていただきたくて……っ」

 

お嬢さま学校でよくある上級生が下級生にやってあげるアレね。

よく見たらヱリカ、制服着てるし……

なるほど。それをベルンにやってもらいたくて、わざわざ制服なんかを取り寄せたんだなぁ……

 

「……しょうがないわねー」

 

あれ? ベルン、もしかしてヱリカにやってあげるのかな……

 

「あっ、主……っ!?」

「ヱリカ。タイが曲がっていてよ」

「ありが…と…あの…主…しまって……しまってま……」

 

と……思ったら、ヱリカの首を絞めてるだけだった。

流石に見ててアレなので、それくらいにしときなよと僕がベルンを止める。

すると彼女は案の定、すぐに止めてくれた。

 

「はー、死ぬかと思いました! さあ主、これを着てもう一度!! 後写真もお願いします……!」

「……ヱリカ、君って強いね。色んな意味で」

 

せっかく僕が止めたのに……

その様子を見ていたラムダが何かを思いついた表情をしていた。

 

「…………制……服……」

 

ラムダの呟きを聞いた戦人はラムダを羽交い締めにした。

何かを察したんだろうか……?

 

「って何よ!? いきなり!!」

「お前今ぜってーくだらないこと思いついたろ!?」

「なんでわか……ってくだらなくないし!!」

 

そのやり取りを見た最後に何故か急に眠くなったのだった……

 

 

────そして現在。

 

 

「そうだ!! ヱリカ!! テメーよくも鈍器で殴りやがったな!?」

 

そうだ。

そもそもヱリカが戦人を鈍器で殴ったのが原因だった……

 

「主の制服姿を拝めるチャンス…… 貴方一人の命、ゴミクズにも劣りますし……」

「殺す気だったのかよ……」

 

やった本人は反省もしてない。

 

「ていうか此処どこなんだ? パラレルワールドか?」

「異世界に全員つれてくるなんてメンドーだから、みんな同じ夢を見てるのよ」

「早い話、みんなで1つの夢を共有してるの」

 

ラムダと羅奈曰く、

異世界に連れてくる事も可能だが、そうなると手間が色々とかかるので、全員が見てる夢を同じにしてしまおうという事にしたらしい……

 

「それにしても別に学校なんて別に楽しくねーだろ……」

「あらっ? そんなことないわよ? 私は新鮮っていうか~」

 

まぁ学校が楽しいか楽しくないかは個人によるだろう……

あとさ。羅奈? さり気なく僕の腕を組むの止めてくれない? 別に僕は嫌じゃないけど……

 

「私と穹は学校生活には慣れちゃってるけどね~♪ ね~♪ 穹♡」

「ちょっと羅奈!! なんで穹にくっついてるのよ!! 穹が困ってるじゃない!! 離れなさいよっ!!」

「はぁ? それはアンタの偏見じゃないの? あーあー……ヘタレで根暗なヤツの妬みはみっともないわね~♪」

 

それを聞いたベルンは羅奈とは逆に反対側の腕を組んできた。

顔を真っ赤にしながらだけど……

近くで見て気づいたけど、ベルンが着ている制服って沙都子ちゃんが着る制服に似てるなぁ……それの長袖版ってところかな?

 

「ふん! 誰がヘタレかしら? こ、これぐらいなら私だって出来るわよ」

「あーハイハイ。強がり乙」

「うっさいわね!! 別に強がってないわよ!!」

「も~ほら、ベルンもムキになんないの。羅奈もベルンを煽るのもそのくらいにしたら?」

「さっすがラムちゃん♪ ナイスタイミングだよ♪ そろそろ煽るのも飽きたし♪」

 

夢の中でも、この2人は仲が悪いのか……

というかラムダが止めに入ってくれて助かったよ……

 

「学校生活か。なんか楽しい事あったか?」

「学校といえばイベントが盛りだくさん!! 例えば水泳とか、体育とか体育着とかブルマとか!!」

 

戦人の言葉にヱリカが答える。

 

「あ────そういえばお前、運動会の時いなかったんだよな────」

「「あー……」」

「…確かにヱリカって、あの時いなかったもんね」

「えっ、ちょ……え……なんですかソレ!? ねぇっ!? 聞いてます!?」

「「「「「フフフフフフフフフフ…………♪」」」」」

「主まで!? 運動会の時っていったいなんですかー!?」

 

運動会か~。懐かしいなぁ………

またいつか機会があればやってみたいなぁ。

無駄に体力を使う競技はゴメンだけど……

 

 

 

 

 

一方その頃現実世界────

 

 

 

 

「みなさん、今日はやけに静…………っ!?」

 

 

 

ワルギリアがリビングに入ると、

穹、ベルン、羅奈、ラムダ、戦人、ヱリカの6人が倒れてる姿がそこにあった。

果たしてどうなってしまうのか?

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は中編になります。
本日はありがとうございました。


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宴27 夢の中で学園生活? 中編

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
うみねこの新規エピソードと新しい"なく頃に"凄く楽しみです。
新しい情報早く来ないかなぁ……?

それではどうぞ。


※前回のあらすじ

現実世界で戦人達は死にそうになっているのであった……

果たしてどうなってしまうのか?


「そう…これは夢の中……。そんな中、俺達は学園生活を送る夢を見ている訳だが……」

 

現在、僕達は1時間目が終わり5分休み中。

そして今の状況を戦人が説明してくれてる……

 

「夢って事はあれだよな。普段できない事ができたりする反面、できる事ができなかったりするってよくあるよな?」

「…まぁ、よく聞くね。それがどうかした?」

 

すると戦人は1時間目に行った小テストを取り出し……

 

「つまりこのテストの点数も俺の本当の実力ではなくて……」

「闘いなさいよ、現実と」

 

現実逃避する戦人にラムダがツッコんだ。

戦人の点数結果は、なんと3点である……。ちなみに僕、ベルン、羅奈、ラムダ、ヱリカは100点である。正直に言うと、あのテスト15分も要らなかった……

 

 

ーー2時間目 体育ーー

 

 

2時間目の授業は体育か。

気が進まないけけど、しょうがない……。体操着もといジャージに着替えて、教室から出ると隣の空き教室からベルンが出てきた。

 

「あれ? ラムダ達は?」

「先に着替えて体育館に行ったわ。羅奈と一緒に」

「…ヱリカは?」

「そこで寝てるわ」

 

ベルンが教室のドアを開けると、確かにヱリカが寝ていた。

簀巻きされた状態だったが……

なんでそうなったのかは察しがついた。ヱリカがベルンを怒らせるような事をしたんだろう……

 

「安心して着替えができなかった……と」

「平たく言うとそうね。授業前なのに疲れたわ……」

「…大変だね、ベルンも。話変わるけど、髪結んだだね? 似合ってるよ」

「へっ!? あ、ありがと……/// 体育で動くし、結んだ方がいいなと思って……」

 

少し上ずった声を上げながら頬をかくベルン。

今の彼女の髪型はポニーテール。普段は髪を結んだりはしないので、ある意味この髪型はレアだ。いつもとは違った魅力を感じる……

 

「あ、あんまりジッと見ないで……」

「…ゴメン。髪を結んでるベルンが可愛かったから、つい……」

「~~~ッ!?///」

 

謝りながらもそう言うとベルンは顔を赤くした。別に嘘は言ってない。

 

「……穹は」

「え?」

「穹は…その……私が髪を結んでいた方と結んでいない方……どっちが……好き?」

「僕は両方好きだよ。もし、どっちかって言うなら……偶に結んで欲しいって感じかな」

「そ、そう……。なら今日はずっとこの髪型でいようかしら……

 

そして体育館に着くと全員揃っていた。

ちなみにヱリカもである。あれ? さっき簀巻きにされてなかった?

 

「あ・る・じ~~~♡ 超似合う♡ まじ●REC!!」

 

ヱリカはベルンの姿を見て大興奮。しかも手にはビデオカメラを持っていた……

当の彼女はヱリカに言われても無視。

するとそれを見ていた戦人が……

 

「それにしても、お前……今回はやけにおとなしいな……」

「だって夢の中なんだから、写真も録画も意味ないでしょう?」

「「確かに……」」

 

そうだ。これが夢である事を忘れてたよ……

 

「じゃあチーム分けをするわよ~」

 

授業内容が何故かバレーボールだったので、割り箸を使ってチームを決めた。

ちなみに結果は、僕と戦人、ヱリカのチーム。ベルンと羅奈、ラムダという公平なチームになった。

さて、いざ始めようと思った時……

 

「……ヱリカ。お前そろそろ瞬きしたらどうだ?」

「そうだよ。怖いよ……」

「いえ、主の姿をこの目に焼きつける為には、瞬き等不要です……」

「「あ……そう……」」

 

という、ヱリカの謎のプレッシャーがあった。

 

「いっくわよ~。ラムダちゃん必殺殺人……サーブっっ♪」

「ラムちゃん、いっけ~♪」

 

ラムダがサーブを放つと、ボールは何故かヱリカの方に飛んでいき……

 

「「案の定!!」」

 

顔面に直撃した……。

そしてそこからバウンドし、ネットの下を通り抜け、ベルンの顔面に当たってしまった……。うわっ……痛そう、大丈夫かな……?

 

 

ーー3・4時間目 家庭科ーー

 

 

「お菓子作れて食べられるなんて最高じゃないっ♪」

「ラムちゃん、それが家庭科の良いところだよ♪」

 

今からやる家庭科は、調理実習。

超パァな2人は大はしゃぎ。特に羅奈はやる気満々である……

 

「…戦人は何作るの? お菓子……」

「そうだなぁ……料理のお題がお菓子だろ? 何作るかね……」

「ていうかこれは前回のチョコを私がリベンジしろって事よね?」

「「また収集がつかなくなるから止めなさい」」

 

ラムダがとんでも発言をしたのですぐさま止める。

 

「まあ私は作りましたけどねっ」

「は!? この短時間で!?」

 

いつの間にか、ヱリカはベルンの等身大チョコを作り終えていた。

 

「さあ我が主♡」

「それじゃいただくわ」

 

そう言うとベルンは、等身大チョコの首をへし折った。しかも無言で。バキョッ!!という音が調理室内に響いた……

 

「あの……主……」

 

ヱリカが何か言いたそうだが、ベルンはお構いなしに等身大チョコを次々と折っていく……

 

「主……その……もうちょっと優しく……」

「こうしないと食べにくいでしょ」

「「「「…………」」」」

 

いや、ベルン? 等身大チョコを無言で折ってる光景を

見せつけられるのも、僕らからしたらけっこう辛いんだけど……

 

 

ーーお昼休みーー

 

 

「「おっひるっ♪ おっひるっ♪」」

 

時間はお昼休み。いわゆる昼食の時間だ。

 

「お前ら2人、弁当か? いいな────」

「フフン! 全部スイーツ尽くしのスペシャルラムダちゃん弁当よ」

「やっぱ要らね……」

「ラムちゃん、私のストロベリーチョコと何か交換しよ~?」

「それ美味しそうね♪ 羅奈は何がいい?」

 

…出たよ。伝説の"絶対の魔女弁当"……。

僕はその弁当の味がどういうのかは知っている。具体的に言うなら、この世の物とは思えない甘さなのだ……

それを再現できるのは、羅奈くらいだが、羅奈本人もラムダが作った味の完全再現は難しいらしい……

 

「私は主のためにっ! 主のためにお弁当を作ってまいりましたっ! さあ召し上がれっっ!」

「購買でコロッケパンと焼きそばパンと梅こぶ茶を買ってきたら食べるわ」

「はいっ♡」

「つか……お前、食ってやる気まったくねェな……」

 

ベルンはベルンで上手い断り方を実行していた。

しかもヱリカをさり気なくパシリに使っている……

 

「ねぇベルン。夢の中だし、ちょっとくらい食べてあげてもいいんじゃない?」

「しょうがないわね……」

 

流石にヱリカが可哀想に見えたので、僕が軽くフォロー。

そう言うとベルンは、ヱリカのお弁当の卵焼きを1つ手に取って食べた。

 

「まぁ、美味しいんじゃない」

「あぁるじぃぃぃ♡」

「私が食べたからって調子に乗らない」

「はい……」

 

ヱリカをフォローして良かった……のかな?

 

「ところで妙に体の調子が悪いというか、意識が朦朧とするんだが……。しかもやたらと眠いし……」

「…どしたの戦人? 夢の中で貧血?」

 

すると、その様子を見たラムダが口を開き……

 

「あ! そういえばアンタ、ヱリカに鈍器で殴られてたでしょ!? その血が流れ過ぎて血が足りてないのよ!」

「ラムちゃん、それってつまり?」

「つまり今の戦人は死にそうって事よ! 私冴えてる~☆」

「ラムちゃん、すっごーい♪」

「バカ野郎。全然冴えてねェし、早く元に戻せ!!」

 

うん。戦人の言う通り、全然冴えてない。

 

「おい! どうしたら起きれるんだよ!?」

「え~、めんどくさいヤツぅ……」

「どっちが!!」

「…ベルンは、大丈夫? 僕はちょっとだけど……」

「…実は私もさっきから」

「そういえば私も息苦しいような……」

「それはお前がベルンにハァハァ言ってるからじゃねーのか?」

「人をなんだと思ってるんですか!!?」

「「「「「変態」」」」」

「主まで!?」

「あれ? でも私達ってどこで倒れたんだっけ?」

 

そして羅奈の言葉で僕達は、ある事に気付く。

ま、まさか……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「「「「「「ぶはぁっ」」」」」」

「あ、あら。生きてたんですか?」

「「「「「「いや、殺す気かっ!?」」」」」」

 

案の定、僕達は、ワルギリアに墓場で生き埋めにされてる最中だった。




読んでいただきありがとうございます。
次回は後編になります。
本日はありがとうございました。


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宴28 夢の中で学園生活? 後編

ゆるポメラです。
明けましておめでとうございます。
こちらの投稿が遅れてしまい申し訳ありません……
サブタイ通り、後編になります。

それではどうぞ。


※前回のあらすじ

危うくワルギリアに手違いにより、生き埋めになりそうだった戦人達。

物語はここから再開する……


「あらあらスミマセン…てっきり皆さん、集団食中毒か何かで死んでしまったのかと」

「確かめろよ!! ちゃんと!!」

 

手違いにより危うく生き埋めにされかけた戦人達。

ワルギリアはのほほんと笑いながら謝るが、戦人達にとってはたまったもんじゃない。

 

「それにしても楽しそうではないか。妾も入れてくれ!」

「お前もかよ……てか、頭から血が止まんねぇし……」

 

その様子を見ていたベアトも混ざりたいと言った。

 

 

 

……という事で。

 

 

 

「ふふん♪ どうだ、似合うか?」

 

再び夢の中の教室。

ドヤ顔でスーツ姿のベアトが戦人に言う。

 

「制服はないわ~と思ったけど、それもねぇな……」

 

ベアトの格好に若干、引き気味の感想を言う戦人。

 

「……あれ? ベアト、そういえば、ワルギリアは?」

「お師匠様なら、やるなら理事長の席とかなんとかと言ってたぞ」

「ちゃっかりしてるわねー……」

 

穹の質問に答えるベアト、そしてその答えに溜息を吐く羅奈。

しかしワルギリアが理事長というのは、何の違和感も感じない一同なのであった。

 

「ん? 待てよ……ていうか好きなポジションになれんのか!?」

「……みたいだね。それがどうかした?」

 

穹が訊くと……

 

「つまりだ!! 高校教師になって可愛い女子高生とイチャイチャ!!? 手取り足取り何とり指導だってできるって事じゃねぇか!」

 

うっひょーと言いながらテンションアゲアゲで答える戦人。

 

「うわ……流石にそれはキモイ」

「思春期なのは分かるけど、そこまでいくと私でもちょっと……」

「ドン引きね。AVの見過ぎ」

「ていうか死んでください」

 

その反応を見た女性陣、ドン引きである。

ちなみに上からラムダ、羅奈、ベルン、ヱリカである……

 

「穹は!? 穹は俺の気持ち、分かるよな!?」

 

戦人が涙目で、同じ男である穹に同意を求めようとするが……

 

「……気持ちは分からなくはないけど、僕はどっちかっていうと…………幼馴染み系の恋愛がいい…かな……」

 

チラッと横目でベルンの方を見ながら答えた。

 

(そ、穹が……今、わ、私の事を…み、見て……み、みぃ~///)

 

視線と小声に気付いたベルンは顔を真っ赤にしているが。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(何故か教室に入るのは緊張するな……)

 

一方で。

ベアトは教室前のドアに立っていた。

それは何故か?

 

「明るい系でいくか、厳しい感じでいくか……それとも優しい系か?」

 

今回、夢の中での彼女の役職は教師。

なので、どのようなキャラで教室に入るのか悩んでいるのである……

その姿はまるで新人教師のようだ。

 

「第一印象なめられてはイカンからなァ。やはりここは厳しく……」

「おい何をもたもたしてんだ?」

「一人言でかすぎ~」

「ふおおっ!?」

 

いざ入ろうとした矢先、教室の窓から戦人とラムダが顔を出した。

 

「どうせ入ってくる時のリハでもしてたんでしょ」

「あ~……」

 

ラムダの状況把握に納得の声を出す戦人。

 

「なんでバレとるのだ……」

 

何故バレたのか理解できていないベアト。

それ以前に、教室の外で一人言を言ってれば誰でも気づくのである。

 

「別にフツーでいいよ。いつものお前でさ!」

「そうそう。気にせず入ってき来なさいよ」

「お前たち……」

 

戦人とラムダの言葉に感動し、教室に入ったベアトだったが……

 

「………………」

 

びしょ濡れになっていた。

それは何故か?

実は、教卓にの上に水入りバケツが仕掛けられていたのである。

 

「────……出席をとります……」

「「「「あっははははははっ!!」」」」

「「…フフ……フ……」」

 

仕掛けた本人達……主にラムダ、羅奈、戦人、ヱリカは大笑い。

穹とベルンは、声には出さないようにしてるが、腹を抱えて笑っていた。

 

「フ……フフフ…このベアトリーチェを怒らせた事……後悔させてやる!!!」

 

当然これをやられて怒らないベアトではない。

彼女の背後には無数のチョークが宙を舞っていた……

 

「あ~ら、このラムダデルタ様相手にやれるものならやってみなさいよ!」

「ラムちゃん頑張って!」

 

教科書を宙に浮かせ、防御態勢を取るラムダ。そしてそれを応援する羅奈。

 

「壮大なチョーク攻防戦だな……」

「「大魔女同士だしね」」

 

戦人の一言に穹とベルンが言葉を紡いだのは言うまでもない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「くらえっっ!!」

「あでっ!!!」

「…おっと。ベルン、危ないからこっちに来て」

「ふぇっ!?」

 

チョーク攻防戦が繰り広げられる中、流れ弾もとい"流れチョーク"が戦人の額に命中。穹はベルンを抱き寄せながら防御魔法を展開し、チョークを回避する。突然抱き寄せられた彼女は戸惑っていたが……

 

(…穹、良い匂い……まるで全身を穹に抱かれてるみたいで……好きかも……)

 

軽くトリップ……とはいかないが、好きな人との密着し過ぎで危ない状況になっていた。

そして、チョーク攻防戦を止めようとした戦人が、ベアトとラムダによって瞬殺されたのは言うまでもない。

 

「ハーイ。試合終了ー」

「フ……妾のチョークをこれだけ防ぐとは……大したお方だ……」

「それはこっちのセリフよ。私は全弾避けるつもりだったのにね……やられたわ!」

「うんうん♪ ラムちゃんもベアトもいい勝負だったよ♪ 私感動しちゃった♪」

 

最終的に盛大なチョーク攻防戦は羅奈が止めた。

ベアトとラムダはお互いに健闘を称え合っていた……が……

 

「夢の中とはいえ、チョークで教室を全壊なんて……もうただのバカですね」

 

ヱリカがドン引きの表情で今の状況を締めくくった。

そう。この2人、教室が全壊するまでチョーク攻防戦を繰り広げていたのである。

しかも攻防戦を行った2人は、悦になっている……

最早、ただのバカである。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「なんで後片付けをやらなきゃいけないのよ────」

 

ぶー垂れた表情でラムダが呟く。

 

「ラムちゃん、私、思ったんだけど、魔法で直せば良くない? ねぇベアト?」

「うむ」

「そうよそうよー。こんなの魔法で直しちゃえば……」

 

羅奈の意見に頷くベアトとラムダだったが……

 

「だめです。理事長命令ですよ」

 

顔は笑ってるが、目は笑ってないワルギリアに止められた。

何故か額が赤いが……

 

((理事長室までチョークが飛んでいったのか))

 

その様子を察した穹と戦人なのであった。

 

 

キーンコーンカーンコーン……

 

 

「放課後か……そろそろ戻ろうぜ」

 

放課後を知らせる予鈴が鳴り、現実世界に戻る事を一同に提案する戦人。

 

「えっと……さっきみたいに起きられればいいんだっけ?」

「自力じゃムリよ。外からの刺激で体を目覚めさせないと」

 

あの時は、たまたまワルギリアのかけた土で起きられたと補足しながら穹の疑問に答えるラムダ。

 

「あっ♪ その辺は大丈夫♪ 私とラムちゃんで時間に合わせて、部屋に目覚まし時計をセットしといた────…………」

 

から。と……羅奈は言おうとしたのであろう。

しかし。ここで彼女も重大な事に気付いたようである。

その表情を察した穹は……

 

「……だからさ、僕ら墓場に移動したでしょ? そもそもあそこって……人来るの?」

「「………………」」

 

確認するかのように、ラムダと羅奈に訊ねた。

2人は黙ったままである……

 

「でっでもよ! ロノウェなら……ロノウェなら、何とかしてくれるんじゃねぇ!?」

「そ、そうね! ねっ! 羅奈!?」

「そ、そうだよ! まだワンチャンあるよ!」

 

戦人の僅かな希望を砕くかのようにガラッと教室の扉が開く。

 

「お呼びですか? 偶々ここを通りかかったもので……」

「「「………………」」」

 

入って来たのはロノウェだった。

 

「うおおおい!!? なんでお前、こんなトコにいるんだよ!!!?」

「いやー、保健の先生というのも中々いいですね♪」

 

ロノウェは、白衣を着こなしながらもちゃっかり楽しんでいた。

しかし、全く違和感がない。

 

「ヒイイイ!!? 墓場で寝てたら、そのまま永眠とかシャレになんね────!? おいラムダ!! お前のせいだぞ!?」

「うるさいっ!! 私のせいじゃないもん!! そもそもはヱリカでしょ!!」

「私のせいだというんですか!? ラムダデルタ卿!!」

 

 

この後、異変に気づいた七杭とクイナが起こしに来てくれました。

 

 

余談だが。

 

「ふええ~ん!! マスタ~~~!!」

「…うっわ……穹に泣きつきながら好感度上げようとする淫乱悪魔、質悪いわー……」

「羅奈と同じ意見になるなんて珍しい事もあるものね。私も質が悪いと思うわ……」

「………………まな板魔女、風船女

「「…あ"ぁ? 今なんつった淫乱悪魔?」」

「さあ~♡ マスター♡ 今日はアレの日ですよね? 今すぐ2人で愛の巣に戻りましょう♡」

「「殺すっ!!!」」

 

恋する乙女達による修羅場が発生した事をここに記す。




読んでいただきありがとうございます。
次回は、オリジナルの話にしようと思っています。
投稿が遅れたりする事もあると思いますが、頑張りますので、今年もよろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 あうあう少女の誕生日 前編

ゆるポメラです。
今回は、ある人物の誕生日回になります(うぅ……日付がぁ……(泣))
皆様の寛大な心と温かい目で読んでいただけると幸いです。
尚、今回の内容の時系列ですが、宴16話『探偵が来たようです』と宴17話『時空の魔女』の間の話になります。いわゆる、宴16.5話というやつです。
視点が色々変わったりしますが、お楽しみください。


祝え! 我が守り神の生誕の日を!!

……それではどうぞ。



「ふぁ……朝かぁ……」

 

まだ眠いなぁと思いながらも僕は、身体をゆっくり起こす。

おかしい……今日はやけに眠いのは何故だろうか?

そう思って思考を軽く巡らせた時……

 

「すぅ……すぅ……」

 

隣から綺麗な寝息が聞こえ、振り向くとベルンがいた。

なんでベルンが僕のベットで寝てるんだろう……? しかも隣で……

 

(あっ……)

 

そうだ。思い出した。

昨夜、ヱリカが夜中に来訪してきて、色々あり、いざ寝ようとしたらベルンが一緒に寝たいって言ったんだっけ……

そういえば……ベルン、寝かせてあげないって言ってたけど、ホントに寝かせてくれなかったよ……

 

(…ベルン……激しかったなぁ……)

 

私服に着替えながら、昨晩の事を思い出す。

ちなみに彼女はまだ寝てるので、起こさないように僕は着替えてます。はい。

 

(そういえば別の世界(カケラ)だと今日の日付は……8月1日か)

 

ふと、ある少女の姿を思い出す。

しばらく会ってないと思った僕は、今から会いに行こうと思い、ベルンを起こさないように、部屋を後にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

部屋を出て屋敷の廊下を歩いた近くの場所で、穹は別の世界(カケラ)へ向かう為の魔法を準備していると……

 

「あれ? 穹、何してるの?」

 

偶々近くを通りかかった羅奈が穹を見つけ、声をかけてきた。

 

「……今から出かける。1日半くらい戻らないかも」

「それは分かったけど……何処に……って、雛見沢(ひなみざわ)(ゲート)!?」

 

穹の足元に描かれた魔法陣から現れた障子で出来た和風のドアを見た羅奈が驚きの声を上げる。

 

「…今日は特別な日だから……」

「特別? あぁ……はいはい。そういう事ね、理解したわ。気をつけて行ってきてね?」

「…ん。じゃあ行ってくる」

 

穹を見送った羅奈は、魔法陣が消えるのを確認すると……

 

「そっか……雛見沢(あっち)だと今日は、8月1日で()()()()()()だったわね。てか、みよの誕生日を祝いに行ってからもう2ヶ月も経つのね……」

 

雛見沢の月日が経つのが早いと思った羅奈は、ちょっとだけ仮眠しようと自分の部屋に足を運んで行く途中……

 

(…全く……みよも無茶言ってくれるわね……私に名付け親になって欲しいとか。自分が落ち着く状況になるまで何年先になると思ってんのよ……もぅ……)

 

療養中である幼馴染みの親友からの頼みに羅奈は苦笑いするのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……暑い」

 

昭和58年の8月1日の雛見沢。

穹は自宅で目を覚ました。正確には()()()()()()()()()()()()()させたという表現が正しいが。

 

「今、何時だっけ……」

 

近くに置いてある時計を持ち、時刻を確認する。

 

「……16時30分……は、はぁ!?」

 

なんと驚いた事に時刻は夕方過ぎであった。

窓を開け、外を見るがまだ明るい方だった。まぁ夏だからという事もあるのだが……

 

(待って、待って!? なんで目が覚めたら夕方になってる訳!?)

 

とりあえず状況整理をする為に、手掛かりがないか部屋の周囲を歩く。

自分が目を覚ました場所は、自室。という事は、さっきまでこの世界での穹は何かをしていたのだ。

それは解る。テーブルに目を向けると、何やらキラリと光る物が視えた。近くに寄ってみると……

 

「箱とブレスレット……? あっ、という事は……」

 

小さな箱と作りかけのブレスレットだった。

ここである答えが出た。おそらく自分はここで、誕生日プレゼントを作っていて、途中で寝落ちしてしまったのであろうと穹は思った。

 

「……とりあえず仕上げちゃうか」

 

多分、夜辺りに彼女……羽入の誕生日会を部活メンバーでお祝いをするという流れになりそうな予感がしたので、ちゃっちゃと仕上げる穹なのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……終わったぁ」

 

仕上げを終えたブレスレットを箱に入れ、リボンを付ける事を忘れない。これでやっと誕生日プレゼントの完成である。

 

(羽入ちゃん……喜んでくれるかなぁ……)

 

ふと、この村の守り神で、1人の女の子の顔が浮かぶ。

何せ昭和58年の6月を越えた世界で彼女に誕生日プレゼントを渡すなんて初めての経験である。

 

「…とりあえず何時になるか分からないけど、時間になるまで散歩しようかな……」

 

誕生日プレゼントを腰に付けているポーチにしまい、穹は外に出るのだった。

 

そして歩いて少しの事。

気づけば穹は、古手神社の境内に辿り着いていた。

 

(…なんで境内(ここ)に来ちゃったんだろ……)

 

まぁいいかと思いながらも、賽銭箱の近くに行き、仰向けで寝そべる。

未だに明るい夕焼け風景、カナカナカナと鳴くひぐらしの音を聴きながら、穹は目を閉じた……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

なんだろう……?

なんていうか頭の辺りが……柔らかい感触があるような……?

それに心なしか、良い匂いがする。

そう思った僕は、ゆっくりと目を開ける……

 

「あう? 目が覚めたのですか?」

 

青紫色のロングヘアーで、頭部から漆黒の尖った角が二対生えた少女の顔が近くにあった……

 

「……えーと羽入ちゃん? これは一体どういう状況?」

「近くを通りかかったら、穹が寝ていたので僕が膝枕をしてるのです」

 

ドヤ顔で質問に答える羽入ちゃん。

膝枕されてたんだ……僕。

流石にこの態勢は彼女に悪いので、自分の身体を起こす。

 

「あうあう、もう少し堪能してもいいのですよ?」

「…魅力的な提案だけど、羽入ちゃんの負担になりそうだからやめとく。というか、羽入ちゃんはここで何してたの? 近くを通ってたって言ってたけど……」

 

そう言うと、羽入ちゃんは頬を膨らませながら……

 

「梨花がその辺を歩いてろって言って、僕を追い出したのです!」

「……は、はい?」

「しかも僕が理由を訊いても、無視なのですよ!?」

 

僕に説明した。

というか、羽入ちゃんの誕生日だから準備する為の口実なんじゃないの?

…それ以前に羽入ちゃん、今日は自分の誕生日だって気づいてない?

 

「あのさ。羽入ちゃん……」

「あう?」

「……今日は何月何日?」

「8月1日ですが、それがどうかしたのですか?」

 

気づいてないよ!? この子ー!?

まぁ色々あったんだからしょうがないよなと思いつつ、僕はポーチから例のモノを取出す。

 

「はい」

「あう? なんですかこれ? あ! もしかして僕にプレゼントですか?」

 

渡すと彼女は、案の定の反応をしてくれた。

友達からのプレゼントだと思ってるのだろう……

 

「…ん。そうだよ。()()()()()()()()()()()()()()()

「そうですかー♪ 僕への誕生日プレゼン……ト…………えっ……?」

 

その時の羽入ちゃんは借りてきた猫のように大人しかった。

 

 




読んでいただきありがとうございます。
続きは次回になります。
本日はありがとうございました。


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特別編 あうあう少女の誕生日 後編

ゆるポメラです。
前回は微妙ななところで区切ってしまい申し訳ありません……
今回は、後編になります。
視点は前回と同じく色々と変わったりしますが、お楽しみください。


祝え! 我が守り神の生誕の日を!!

……それではどうぞ。


「…………」

「(えっ……どうしよう……?)」

 

ありのまま起こった事を話すよ?

羽入ちゃんに誕生日プレゼントを渡したら、借りてきた猫のように大人しくなっちゃったんだけど………

 

「あ、あのぅ……穹?」

 

あ。復活した……

 

「……何?」

「どうして今日……僕の誕生日だって……」

「…あのねぇ。覚えてるに決まってるでしょ? 寧ろ、羽入ちゃん自身が覚えてない事に驚いてるんだけど……」

「あぅあぅ……」

 

僕がそう言うと彼女は、しゅ~んといった感じで落ち込んだ。

自分でもなんで忘れていたのか自覚はあるのだろう……多分……だけど。

 

「はっ! まさか梨花がその辺を歩いてろと言っていたのは……」

「……多分そういう事だと思うよ?」

 

ここにきて、梨花ちゃんの意図に気づいた羽入ちゃん。

 

「あうあう……でもだからと言って、あの言い方はないと僕は思うのですよ!」

「…そこは大目に見てあげてよ。梨花ちゃんだって悪気はないんだからさ……」

「穹は梨花に甘いのです!」

「……そんな事ないけど?」

「いいえ! そんな事あるのです! それはもうシュークリームくらい甘いのですよ!」

 

随分と具体的な例えだなぁ……

頬を膨らませ、拗ねている。擬音を付けるなら、"ぷんすか"かな……

本気で怒った羽入ちゃんは怖いんだけどね……

 

「でも……」

「…でも?」

「穹が僕や梨花に対して優しいのは昔からなので、僕は気にしないのです♪ 偶に複雑な気持ちになる時もありますが♪」

 

前半は嬉しい事を言ってるのが伝わったのは分かるけど、後半は何故か負のオーラが出ていた。

…乙女心は難しいもんだね……なるべく解るように今でも努力はしてるけど。

 

「あうあう♪ 開けてもいいですか?」

「…ご自由に。ちょっと渡すのがフライングになっちゃったけど……」

 

僕がそう答えると、彼女はそんな事ないのですと言いながら箱を開ける。

 

「…わぁ~♪ 綺麗なのです~♪」

 

僕が羽入ちゃんに渡したのは、手作りのブレスレット。

色は彼女の髪色に合わせて青紫色にしてみた。より輝きが増すように、素材を磨いて透明度を引き出した自信作だ。

 

「穹♪ どうですか? 似合ってますか?」

 

早速とばかりに彼女は、ブレスレットを左手首に付けて僕に感想を求めてきた。

 

「うん。凄く綺麗だし、とても似合ってるよ……」

「はうあう~~……綺麗……僕が綺麗……穹に綺麗って言われたのですぅ~~~……」

 

正直に思った事を言ったら、羽入ちゃんは両手を頬に当て、何やら自分の世界に入ってしまったようだ……

 

(まぁでも……こんな風に喜んでもらえてるなら……いっか)

 

ちなみに羽入ちゃんは、梨花ちゃん達が境内に迎えに来るまで、ずっとこのままの状態だった。

まぁ僕も圭一兄や魅ぃ姉、詩ぃ姉にからかわれたけどね?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雛見沢の世界(カケラ)から戻った穹は、右代宮家の屋敷ではなく別の場所に姿を現した。

その場所は、とある大魔女の書斎だった。

 

「……誰かと思えば、そなたか。今日は珍しい客が続々と来る日だな」

 

書斎の主が穹の姿を見て驚きの声を小さく上げた。

 

「…えっ? その言い方から察するに、さっきまで珍しい客が来てたっていう風に僕は聞こえるけど……」

 

穹がこの書斎の主で『尊厳なる観劇と戯曲と傍観の魔女』……フェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラに訊ねる。

 

「メルとメラルの2人が来てな。その2人揃ってという事でも珍しいというのに、そなたと羅奈の創造主の3人で私の書斎に来たから驚いたものだ」

「そりゃまた珍しいね? フェザリーヌが驚くわけだ」

 

自分と羅奈の創造主が来てたという事に穹も内心、驚いていた。

ちなみにメルとメラルというのは、穹と羅奈の創造主の眷属みたいな感じで、穹と羅奈にとっては家族感覚な関係でもある。

 

「…そういえば近い内に知人の誕生日を祝いに行くって言ってたけど、もしかして……」

「そなたの考えてる通りだ。私に誕生日など在って無いものだろうに……」

 

ふぅ……と溜息を吐きながら、穹の考えてる事に答えるフェザリーヌ。

 

「……ハッピーバースデー」

「よ、よせ。こそばゆいわ……」

「照れる事ないでしょうに。ベルンには内緒にしてあげるから安心して?」

「べ、別に照れてなど……」

 

気のせいか、フェザリーヌの頭部に浮いている馬蹄状の記憶補助装置がピコピコとまるで感情があるかのように動いてたように視えたのは、穹の気のせいだと思いたい。

ここで穹は、フェザリーヌの左手首に()()()()に目が映る。

それは青紫色のブレスレットだった……

 

(フェザリーヌが付けてるブレスレット……僕が羽入ちゃんの誕生日にあげたやつと同じなような……)

 

「…そのブレスレット……どうしたの? 前は付けてなかったよね?」

「……貰った」

「…ふーん。まぁ、綺麗だし、フェザリーヌに似合ってると思うよ?」

「………………そうか」

「うん。世辞じゃなくて本当に僕はそう思う。あ……この前の本の新刊、借りていってもいい?」

「構わぬが、纏めて持って行っても私は気にせぬぞ?」

「それはちょっと……」

 

それはマナー違反でしょと穹は言うのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

穹が書斎から去った後……

 

(綺麗で……私に似合う……か……)

 

左手首に付けてる青紫色のブレスレットを見つめながら先程の事を考えるフェザリーヌ。

穹が来るまで、実は彼女、穹と羅奈の創造主は誕生日パーティーをしていたのだ。

その際にも自分には誕生日なんて在って無いものだと3人には説明したのだが……

 

『そんな事……ない』

『そんな事ないと思いますけど……』

『我はそう解釈しているが……卑屈になり過ぎだぞ……お前。あってもいいだろう誕生日くらい。こんな我だって一応誕生日くらいあるぞ?』

 

……と何言ってんだお前という呆れた目とそんな事言うなよという目で3人に見られた。

その後はもう、どんちゃん騒ぎだった。

ケーキに蝋燭を立てて、火を消したりするなどという経験は、何千年ぶり……いや初めての経験だったのかもしれない。

 

「ふ……っ、誰かに祝ってもらうのも悪くはない気分だな……」

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
アウアウローラの口調、大丈夫だよね?(汗)
いやぁ……でも自分がやりたかった感じに書けて良かった(満足)
ただ強いて言うなら……誕生日の日付に間に合わせたかった……(泣)
最後の「かぁわいい!!! 惚れちゃいそうだぜー!! アウアウローラ!!!」ってなってしまったかもしれないそこの貴方。
……とまぁ、そういう冗談はさて置き。何故最後にアウアウローラを入れたのかは、察しの良い方なら分かってくれますよね? よね?

次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 にぱー☆な少女と奇跡の魔女の誕生日

ゆるポメラです。
またまた誕生日回です。
誰の誕生日回なのかはお察しかもしれませんが……(苦笑)
今回の時系列ですが、前回の羽入ちゃんの誕生日回と同じ時系列になります。
ある意味、前回の続きになります。
視点が色々変わったりしますが、お楽しみください。


祝え! 惨劇の運命を乗り越えた少女と奇跡の魔女の生誕の日を!!

それではどうぞ。



(いや~……楽しかったな)

 

羽入の誕生日を終えた穹は、自宅に帰路に付いていた。

尤も普通の誕生日をやるのかと思ったが、普通ではなかった。

例えば……

 

『よ~し! 折角だから、羽入を王様にした中心でやる王様ゲームをやるよ!』

『おっ! 面白そうだな! みんなでやろうぜ!』

 

部活メンバーの部長の一声と口先の魔術師の盛り上げにより、少々変わった王様ゲームをしたり……

 

『……おっと、さくたろうストラップが……』

『はぅ~♪ かぁいいよー♪ お持ち帰りぃー♪』

 

さくたろうがディフォルメされたストラップを穹が落としかけた時、可愛いものには目がない少女がうっかり、穹に向かって不可視の攻撃RFI(レナフラッシュインパクト)をかまして穹が難なく避けたり等々……ハチャメチャな誕生日会だった。

 

(……人?)

 

境内付近を少し進んだ場所に人影があった。

暗くてあまり視えないが、近づくにつれてその人物の姿が確認できた。

 

「…あれ? 梨花ちゃん?」

「……ふえ? ……そ、穹!? 」

 

穹の声に気づいた少女、古手梨花(ふるでりか)は普段とは違う声を上げながら、穹の姿を見て驚くのであった。

同時に驚きたいのは、こっちなんだけどなーと内心思った穹だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

……なんで梨花ちゃんがここにいるんだろ?

さっきまで羽入ちゃんの誕生日会をみんなで祝ってたのに。まさか……梨花ちゃんのドッペルゲンガー?

 

(そんな訳ないか……)

 

そう思いながらも彼女を見る。肩紐型のライトグリーンで胸元にスリットが入ったワンピースを着て、ベルンと同じ綺麗な蒼い髪、夜の為か一層より魅力が引き立っていた……

 

「そ、そんなに見ないで……は、恥ずかしい……」

「……ごめんごめん。梨花ちゃんがいつも以上に可愛くてつい……」

「か、可愛っ……!? み、みぃー……」

 

聞かれた事に対し正直な感想を言っただけなのに、もじもじし始めた梨花ちゃん。再び彼女が落ち着き、さっきまで家にいたのにどうしたのかと聞いたところ……

 

「ぼ、ボクと……デート……夜のデートしてくださいなのです!」

「はい喜んで」

 

デートのお誘いだった。

なんで珍しく即答出来たのか? 僕でも分かんなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

夜の雛見沢。

それは星空がキラキラして都会の夜とも見劣りはしない美しかった。

僕達2人は、手を繋ぎながら夜の雛見沢を歩いていた。

 

(……って、なんて例えを僕はしてんだか……)

 

ふと隣を見てみると……

 

「……っ! み、みぃ……」

 

僕が視線を向けている事に気づいたのか、梨花ちゃんは視線を逸らしてしまった。だけど、手を繋いでる力を強めてきた。

そういえば、ベルンも最初はこんな感じだった気がする……

 

「梨花ちゃんはどこか行きたいところとかある?」

「……ボクが今から行きたいところを言ったら引いたりしないのですか?」

「まぁとりあえず言ってみてよ」

 

すると彼女は頬を赤くしながらこう言った。

 

「……ボクは穹と()()()()()()()()()()()()()()()()()()がしたいです」

 

その言葉を聞いた僕は即座に意味を理解した。

彼女と恋人同士になったのは、昭和58年の6月を越えた夏休み。花火大会が行われる事になり、梨花ちゃんから誘われて一緒に観に行った時に彼女から告白された。

……その後は梨花ちゃんに押し倒されて色々したのは今でも覚えてる。

 

「……あーじゃあ……その、僕も久しぶりだから……梨花ちゃんを上手くエスコートできるか分からないけど……行こっか?」

「っ!! はい! ボク……凄く凄く嬉しいのです」

 

その時の彼女の表情は、月の光に負けないくらい素敵な笑顔だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「んっ……」

 

まだ眠いと思いながらも、ゆっくりと目を開ける。

目の前には穹が本を読んでいた。

 

「……あ。ベルン、起きた?」

 

私が起きた事に気づいたのか、穹が声をかけてきてくれた。

正直に言ってまだ眠い……けど彼がいるので、私は自分の身体をゆっくりと起こす。

 

「その本、どうしたの?」

「…これ? フェザリーヌに前の本を返すついでに新刊も借りたんだ……って痛い、地味に痛いから噛まないでよ」

「……ひょらのふぁか(穹のバカ)

 

アウアウの名前を出た瞬間、私は穹の首元に噛みついた。一応言っておくけど甘噛み、好きな人に対して本気で噛みついたりしないわよ……

穹が望むなら本気でしてあげてもいいけど♪

 

「それで? アウアウと何を話してたの?」

「……んー? ベルンは可愛いよねとか、ベルン可愛いよねとか、ベルンもっと甘噛みしたいならしてもいいよーとかそんな話」

 

……絶対嘘ね。

それから露骨に可愛いって言わないでほしい。私の理性が持たなくなるから。

私の思ってる事が分かったのか、穹は口元にうっすらと笑みを浮かべながら私を見た後、再びアウアウから借りた本を読み始めた……

 

「ん……」

 

彼の隣から後ろに回り込み、覆いかぶさるようにして抱きつく。

…これ、なんていう抱きつき方だったかしら? 忘れちゃったけど……

私が抱きついても穹は嫌な顔はせず、私が今やってる行動を受け入れてくれた。これで拒否されたら、かなりショックだけど……

 

「…ねぇ、ベルン」

「なあに?」

「こういう雰囲気の中、こんな事言うのは空気読めてないって言うかも知れないけど敢えて言ってもいい?」

「一応聞いてあげるけど、なあに?」

「……服。着なくて平気なの……って、やっぱり地味に痛い……」

「……ひょらのふぁか(穹のバカ)

 

聞かれる内容は予想はしてたけど、実際に言われるとやっぱり恥ずかしい。

だから私は羞恥心を少しでも隠す為、穹の首元に甘噛みをする。ついでに抱きしめる力を強める事も忘れない。

 

(私がこんな事をするの……穹だけなんだから……)

 

穹の温もりを感じながら、自分が想ってる事を遠回しに彼に伝える為……

 

「みぃ……私がなんでこんな事すると思う?

「…………」

 

耳元で息がかかるくらいの小声で言った。

その時の穹は、何も答えてくれなかったけど、代わりに手を握ってくれた。




読んでいただきありがとうございます。
最後はベルンの視点にしてみました。
誕生日回、無事に間に合って良かったです……(前回の事がある為)

次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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宴29 煉獄の魔女から見た奇跡の魔女

ゆるポメラです。
お待たせして申し訳ありません。久しぶりの投稿に投稿になります。
『ひぐらしのなく頃に』の新アニメ化発表、『キコニアのなく頃に』の話題、『うみねこのなく頃に』の完全版のゲーム化発表で嬉しい自分がいます。
今日は2月8日『にぱー☆の日』みたいなので、ちょっと短いかもしれませんが楽しんで頂けると幸いです。

それではどうぞ。


もうすぐ昼下がりの陽光が差す屋敷の中。

 

穏やかに寝息を立てる2人を見守る視線があった。

いや、それは視線と言うべきなんだろうか?

 

気配を消しながら穹の寝顔を楽しむクイナの口元が緩む。

 

昼食を取ってしばらくした後、眠ってしまったベルンを眺めていた穹だったが、その穹も先程、ベルンに寄り添うかのように眠ってしまった。

そこに偶々、クイナがやってきて今に至るという形である。

 

そういえばここ最近、穹が笑う事が多くなった事を思い出したクイナは、その元凶であるだろう……穹の隣で寝ているベルンに視線を移す。

初めてベルンを見た時の彼女は、随分と大人びた子供だなと思った。

……あと腹黒そうで、何がとは言わないが、ある部分が小さかった気がする。

 

それから少ししてベルンの事を観察していたクイナはある事に気付く。

 

穹の前だと年相応の女の子のように素直でデレデレになるのだ。

腹黒で、ドライで、朗読か何かさせたら抑揚が無さそうなベルンがである。

 

自分の思惑はバレないよう、穹にベルンはどんな子なんですか?と何気なく聞いてみたところ……

 

「…ベルン? クールビューティーな幼馴染み。晴れの日にデートもいいけど、ベルンの場合は、雨の日にデートが似合うと思う」

「…あー……髪の色とか性格的な事も含めて……ですか?」

「それもあるけど……"水も滴るいい女"って言葉、知ってる?」

「流石に私もその言葉くらい分かりますよ。悔しい事に似合ってますよね、彼女の場合は特に」

「…拗ねないでよ、クイナ」

 

という感じで答えてくれた。

拗ねさせてしまったお詫びに、クイナに何かしてあげるからという穹からのご褒美は貰えた事は割愛させてもらう事にする。

 

ちなみにクイナがベルンに穹が今言った事を本人には内緒で教えてあげたところ……

 

「…それ、褒められてるのかしら?」

「褒めてると思いますよ。マスターが"水も滴るいい女"という言葉を使う時点でべた褒め……まではいきませんが、かなり褒めてますね」

「…………そう」

 

ベルンも心当たりがあるのだろうか、否定はしなかった。

その証拠に彼女の尻尾が嬉しそうにブンブンと振って視えたのは、クイナの気のせいだと思いたい。

 

そんな事を思い返してる内にクイナはふと思った。

 

この目の前の光景を記録しておこう、と。

先程、穹がベルンの寝顔をカメラで撮って軽いイタズラをしていた事を思い出す。

テーブルに穹が使っているカメラが良い具合に置いてあった。

クイナが持つ記録魔法を使っても良いのだが、魔力感知で気づかれても困るし。

 

そう思い立つと、クイナは穹が使ってるカメラを拝借する。

 

カメラが写真を撮る対象を認識したのを確認したクイナは満足そうにカメラを元にあった位置に戻す。

よし、これでいい。

 

穹がベルンに見せようとして、カメラを再生した時にベルンもビックリする顔が見られるだろうから。

 

(意外と暇ですね……)

 

しかし2人の寝顔が見れるので、その考えは直ぐに捨てた。

 

穹にしがみつきながら、幸せそうに「みぃ……」と寝言をもらすベルン。

そんな光景を見ながらクイナはベルンなら穹の事を任せられるかもしれないと思う。

自分と同じ……彼に救われた事のあるベルンなら……と。

 

そう思うクイナだった。

 




読んでいただきありがとうございます。
間に合って良かったです……(苦笑)
『キコニアのなく頃に』もいずれは何かのゲーム機で発売するんですかね?
個人的には、スイッチやPS5で出て来て欲しいですね。

次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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宴30 開催? 黄金郷横断ウルトラクイズ!

ゆるポメラです。
久しぶりの本編です。
今回はゼパルとフルフルが登場します。
楽しんでいただけたら幸いです。

それではどうぞ。


「「勝てれば天国、負ければ地獄! 知力・体力・時の運! このゼパルとフルフルが司会をさせてもらう黄金郷横断ウルトラクイズ! 始まるよ!!」」

 

恋愛を司り、試練を課して試す大悪魔、ゼパルとフルフルが進行する。

 

「いや意味わかんねえし!? お前ら誰だし、ウルトラクイズってなんだし!? そんでもっていきなり過ぎてツッコミが遅れたし!!」

「…僕が言いたい事を戦人が全部言ってくれた件」

 

今の状況を1人で慌てる戦人に対し、穹が今の心境を落ち着いて答える。

 

「つか! いつもの屋敷でバカで鬱陶しいお前らを華麗にあしらう俺とのゲームはどうなったんだよ!!」

「…華麗に?」

「そんな事あったけー?」

 

戦人の言葉に首を傾げながら疑問をもつ穹と羅奈。

 

「それはもちろん!」

「このクイズを通して君たちを紹介するためさ!」

 

ゼパルとフルフルがそう言うが、その言葉を聞いて思った一部の人は思った。

 

『……紹介って……誰に……?』

「まぁ聞きなさいよ! 私は思ったの! この物語の主人公は誰が相応しいのかって!」

 

そこにドヤ顔で一同に言うラムダ。

 

「そ・こ・で! このクイズ大会の優勝者には、次回から主人公の座が与えられるのよ!!」

「「な、なんだってー!?」」

「…………」

 

ラムダがこのクイズ大会の優勝者の景品の発表に驚きのリアクションをする穹と羅奈。それを聞いた戦人はというと……

 

「…ベアト、俺今日は本気出すわ……(今までで一番負けたくねぇ……)」

「お。珍しくやる気だなー」

 

謎のやる気に満ちていたのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「みんなーっ! 黄金郷に行きたいかー!!」

「おおおおー!」

「…てか……ゼパルとフルフルって、こんなテンションの高いキャラだっけ?」

 

そもそも謎が多い恋愛を司る悪魔に対し、疑問をもつ穹。

この2人は、穹と羅奈の世界(カケラ)でも謎が多過ぎる悪魔としても有名で、七不思議化しているのである。

 

「それでは第1問! ラムダデルタ卿の最大の特徴は?」

 

フルフルが最初の問題を読み上げる。

どうやら3択問題だ。しかもラムダについて。

 

1.超可愛い

 

2.超かっこいい

 

3.超パー

 

「制限時間は1分だから、それ以内にボードに書いて答えてね!」

 

呑気な表情をしながらゼパルが言う。

 

「何よそれ、ちょーカンタン!! 時間なんて3秒で充分よ!」

「ラムちゃんと言ったら、やっぱりコレでしょ!」

 

あまりにも簡単な問題だったのか、ラムダと羅奈はボードに1番と書く。

他の人達はと言うと……?

 

穹、ベルン、戦人、ベアト、ヱリカの解答は揃って3番と書いていた。

そして正解がどうだったのかは言うまでもなかった……

 

「いやいや、自分の事って意外と分からないものね」

「じゃあ次の問題だよ!」

「なんで…俺だけ……」

 

ラムダに鉄槌された戦人を無視し、ゼパルとフルフルは次の問題に移る。

 

「問題。戦人の最大の特徴は?」

 

1.無能

 

2.髪型が変

 

3.学習能力が無い

 

「おい!! なんで全部悪いとこばっかなんだよ!!」

 

あまりに酷い解答候補にツッコミを入れる戦人。

 

「……ったく……(にしても、どれが選ばれるか検討もつかねえな。まぁラムダに合わせときゃいいか……)」

 

そう思い戦人は、隣にいるラムダをチラッと見る。

 

「よいしょっと♪」

 

ラムダのボードには、1番、2番、3番の答え全てが書かれていた。

それを見た戦人は当然……

 

「おい。馬鹿にしてんのか」

 

流石にそれはないだろと言おうとしたが、まさかの正解で落ち込む羽目になるのであった。

 

「次は早押しクイズだ! 答えが分かったら、お手元のボタンを押してね!」

「おお~。これか~」

「…ようやくクイズっぽくなってきた件……」

 

ゼパルが出演者に手元のボタンを指差す。

ベアトと穹はボタンを押しながら、感触を確かめてた。

 

「ふふふ……早押し……もらったわね……」

「なんだお前、自信あんのか?」

 

早押し問題と聞いたラムダがやけに自信満々なのが気になったのか、戦人が訊く。

 

「早押しは奥が深いのよ! 相手の強さや人数、果ては設問の傾向やジャンルを見越しての駆け引きがある!! もちろん押し方ひとつとってもボタンのタイプによって様々なスタイルや方法論がある! それを極めた私に敵は……「クローゼットの一番下の棚」なんでよ!?」

「正解!」

 

早押し云々をラムダが言ってる間に問題がスタートしてしまった為、戦人に答えを先に答えられてしまうのであった……

 

「なんであんたが主の下着の場所…知ってるんですか……回答によっては……」

「前にお前が喜々として喋ってたからな。なぁ穹?」

「…うん。割と最近の事だよね?」

 

先程の問題の答えを戦人が正解した事に、ヱリカが険悪な表情をしながら戦人に言うが、自分で言ってただろと戦人と穹に指摘される。

そしてその事を聞いたベルンは、何処から取り出したのかナイフを持ち、ヱリカの首根っこを掴みながら奥に連行して行った……

 

「ふ……ふふ……きょ、今日はたまたま調子が悪かっただけなんだからね……」

「メンドクサイなお前。ていうか、言うほど早くねーし」

「えっ…あの……主? ギャーッ!?」

「…ベルーン、あんまりやり過ぎないようにねー?」

 

ヱリカにお仕置きしてるであろう姿が視えないベルンに穹が声をかけつつ、戦人とラムダは、ヱリカの悲鳴を無視しながら話す。

 

「あ。ねぇ、ラムちゃんラムちゃん。今回って罰ゲーム的なものはないの?」

「あー♪ 忘れてたわ♪ ナイスね。羅奈♪」

「うああああ!? バッキャロオオ!!」

 

羅奈の余計な一言で罰ゲームが追加される事になってしまった。

 

「じゃあ新ルール追加ね!」

「罰ゲームの内容はどうするんだい?」

 

ゼパルとフルフルが罰ゲームは何にするか訊ねる。

 

「そうね……主人公獲得がご褒美なら……『次回から出番が半減』でどうかしら」

「余計に負けたくねえよ!!」

 

ラムダの提案に戦人はより焦るが、同時にある事に気づく。

 

「ていうかお前……自分がビリになった時の事、考えてないな……」

「ああ。ご心配なく。私は()()()ビリになんてならないし! 絶対の魔女が言うんだから間違いなし!」

「ちなみに私も()()に負けないし☆」

「「…なんと卑怯な……」」

 

ラムダと羅奈の一言に絶句する戦人と穹であった。

 

「さあ。次は熱湯クイズさ!」

「なんかお色気な雰囲気!!」

「ルールは簡単! ペアの片方が熱湯に浸かった時間だけ回答時間が得られるんだ!」

「今日初めてテンション上がったぜ」

 

ゼパルの説明にテンションが上がる戦人。

おそらく女性陣のお色気姿が視れるんじゃないかと期待してるのだろう。

だがその考えも虚しく……

 

「…………」

「早く入りなさいよ」

「ぎゃー!?」

 

自分が熱湯に入る立場になってしまい、ラムダに突き落とされたという。

 

「我が主! たとえ火の中水の中熱湯の中! 主のためなら、どこにでも飛び込む準備はできてますよ!」

 

一方でこちらはベルン&ヱリカチーム。

普通なら熱湯に入りたくないのに、ヱリカの目は何故か輝いていた。

 

「…あっ、主といえど絶対に押さないでくださいね! 絶対に押さないでくださいね!」

「…………」

「…………」

「「…………」」

 

そしてヱリカは熱湯に飛び込んだ。()()()()

 

「…ねぇベルン。待ちきれないからって、自分から飛び込む? 普通……」

「マテもろくにできないなんて犬以下ね」

 

穹の問いかけに、ベルンはヱリカを見て呆れるのであった。

 

そしてその後も……

 

○×クイズ……

 

ビーチフラッグ……

 

アスレチック競争等々……どんどんクイズから離れていくのであった。

 

「さあ! 黄金郷横断ウルトラクイズもいよいよ終盤!」

「最後は早押し問題だ!」

「ポイントはみんな僅差さ! 誰が優勝するかは神のみぞしる知る!」

「見逃せない展開よね! それでは問題だよ!」

「(早押し系なら、分があるのはこの俺だ!)」

 

これなら勝てると戦人が思った瞬間……

 

「人間の性別は男ともうひとつは?」

「女!」

「正解!」

「て、てめえ……」

 

ラムダがボタンを戦人に投げつけ、戦人の早押しを阻止しつつ問題を答える。

こんな妨害をされた戦人からしたら、堪った物ではない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

こうして激しい戦いの末、問題も残すところ、あと1問となった。

 

「優勝はあんたと私……どっちかに絞られたようね……」

「悪ィが、主人公の座は譲らねえぜ……」

 

火花を散らすラムダと戦人。

ところが……

 

「もちろん最終問題は……()()()()1()()()()()()()()()() 大逆転のチャンスだよ!」

「「…………」」

 

ゼパルの一言で戦人とラムダは焦り始めた。

 

「だよな~」

「…最終問題だしね」

「定番だよね☆」

 

ベアトと穹の言葉に笑いながら答えるフルフル。

 

「じゃあ最後は3択問題だよ。分かった時点でボタンを押してね? 昭和51年に函館に飛来したソ連のとある中尉が乗っていた、ミグ25戦闘機の機体番号は……」

「31!!」

「正解!」

「うぉっしゃあぁああ!!」

 

問題の正解に、座ってた席から立ってしまうくらいの喜びを見せる戦人。

だがその時全員が、早押しの問題に負けたことよりも、戦人が何故そんな問題を即答できたのかが疑問だったという………

 

「「で、ビリは!?」」

 

クイズが無事に終わり、戦人とラムダが最下位は誰だとゼパルとフルフルに訊く。

 

「はい! ビリはこちら!」

「ロノウェ、あなたよ!」

 

まさかのロノウェだった。

 

うわあ……ただでさえ出番あんまりないのに……どうすんだよラムダ

わ…私に言わないでよ……

 

この場合はどうすんだとお互い小声でロノウェを見ながら話す戦人とラムダ。

 

「あ……皆さんの出番が減らないのであれば……私は全然……」

 

最下位になってしまった当人は気にしてないように言うが、顔がゲッソリだった……

 

「ロノウェェェ!?」

「ごめんなさい!! 私が悪かったです!!」

 

そして結局、いつも通りになったとさ。




読んでいただきありがとうございます。
ゼパルとフルフルの口調って難しいですね……(苦笑)
次回も頑張りますのでよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。


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宴31 屋敷で花見

ゆるポメラです。
こちらの投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
楽しんでいただければ幸いです。

『ひぐらしのなく頃に業』、おもしろいです♪

それではどうぞ。


「そういえば私達、お花見してなくない?」

「いやもう桜、とっくに散ってるけど……」

「…急にどうしたのさ?」

 

真顔で言うラムダに対して、急にどうしたと訊く戦人と穹。

 

「いえね……この前鯉のぼりが上がっているのを見てね……」

 

一番でかいのと目が合ったと言いながら……

 

「『あれ? お宅花見をし損なったうえに鯉のぼりもないんスか? ウワ~それは引くわ~』って!!! 目で訴えられたのよ!」

「スゲー被害妄想だな。大丈夫かお前……」

「ラムダがおかしいのはいつもの事……」

 

遠回しに言われたのよ!と言う彼女に、それはただの被害妄想では?と呟く戦人と穹だった。

 

「花見かぁ……うーん、料理とか」

「花見かぁ~、いいな~……酒とか」

「偶にはゆっくりするのもいいわね。お酒とかね」

「完全に花より団子だな」

 

花見の話題につられ、羅奈、ベアト、ベルン、ヱリカの4人が集まってきた。

料理はどうするのかと穹が言ったが、花見料理なら自分に任せてくださいとロノウェが言ったので、任せる事にした。

 

「満場一致ね! じゃあ花見しましょうか!」

「「えっ!? ここですんの!?」」

 

指をパチンと鳴らし、屋敷の中に桜の木を出現させるラムダ。

外じゃなくて、まさかの屋敷の中で花見をする気かとつっこむ戦人と穹。

 

「ついでに鯉のぼりも付けときました」

「完全に埋もれてるし!」

 

その光景を見た戦人は、風になびいてるというよりは刺さってんなあれ……と思ったそうな。

 

「ラムダ。鯉のぼり付けるなら、ひな祭りもしてないわ」

「…それなら豆まきも」

「正月もしてないですよね~」

「クリスマスもねー」

 

ベルンを始め、あれよあれよと意見を出す一同。

そして最終的には、色んな季節の催し物が混ざり、わけがわからない状態になってしまった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まぁメインは花見って事でいいじゃねーか」

「こっちは既にできあがってるし……」

 

早速ワインを飲んで酔っぱらってるベアトを見て呆れる戦人。

 

「とりあえず豆まきしとく!?」

「お前はもうちょっと花見を楽しめよ!」

 

発案者だろ!と付け足しながらラムダに言う。

 

「…花見って何するんだっけ?」

「え? あー……美味しいもん食ってお酒飲むっつーのが定番だろ」

「え~、それだけじゃつまんな~い」

「ラムちゃんに同じく~」

 

あ、思い出したとばかりに……

 

「あ! あと王様ゲームとかな!!」

「「「何その合コン脳」」」

 

ドヤ顔で言う戦人につっこむ一同であった。

 

「王様だーれだー」

 

とりあえずやってみる事にした。

 

「はい!」

 

最初の王様はヱリカのようだ。

 

「(フフフ……私には主の番号が手に取るように分かりますよ……)」

「……」

 

なぜなら私と主は一心同体!と早速、不純な事を考えるヱリカ。

彼女の表情を見て、そう察した穹。

何を命令する気なのだろうか……?

 

「3番は王様にその……あ、熱いキスをおおおお」

 

……結果。

どうなったかというと……

 

「…バカね」

「…うん。バカだね」

 

呆れるベルンと穹。

ヱリカが指名した3番はベルンではなく、ベアトだった。

命令した本人は汚されたと呟いてるが、自業自得なのは明白だった……

 

「…次の王様は?」

「おっ。次は妾が王様か」

「…ベアト。あんまり過激なのはナシねー」

 

次の王様がベアトだったので、穹がなるべく過激なのはナシねと注意する。

 

「んじゃあ、4番は全裸!」

「……」

「…で? 4番は? ちなみに僕は2番」

 

穹の問いかけにヱリカ以外が指定された番号と違うと手を挙げた。

つまり……

 

「なんでまた被害者が私なんですか!! だいたい主以外に裸を見せるなんて……」

「ちゃっちゃと脱ぎなさい。穹は見ちゃダメよ……わ、私以外の女の身体を見たら罰ゲームなんだから……」

 

ベルンに両手で目隠しされる穹。

なんか耳元で囁かれたが、まぁ彼女なりのヤキモチなのだろう。

あとできれば、背中に胸を当てる行為は嬉しいけど、恥ずかしいなら無理しなくても……と穹は内心思った。

 

堪能できて嬉しかったけど。

 

「それじゃ今日1日そのままねー」

「こういうのは戦人さんの仕事じゃないですかっ!!!」

「おいっ! 俺の仕事ってなんだよ!?」

 

その後も戦人が調子に乗ったり、ラムダと羅奈が盛大な豆まきを提案したり、戦人とベアトがイチャコラしてたりと色々とカオスな花見になったとさ。

 




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 トラップマスター少女の誕生日

ゆるポメラです。
今回はある人物の誕生日回です。
ちょっと暗めな部分もあるかと思いますが楽しんでいただけると幸いです。

え? 時系列ですか? お察しください。

それではどうぞ。


屋敷内で花見という珍妙な1日を終えた穹は借りている部屋のベットにダイブしていた。

 

「……なんか色々と疲れた」

 

そう呟きながら、天井を見上げる穹。

 

「……」

 

ふと、ポケットからペンダントを取り出し中に入ってる写真を眺める。

 

そこに写っていたのは自分と2()()()()()の姿。

 

確か……ああ……入学記念にと、3人一緒で撮った写真だった事を思い出した穹。

 

「……(我ながら自然な笑顔な気がする)」

 

そう思いながら、指をパチンと鳴らし、雛見沢の(ゲート)を出現させる魔法を展開する。いつも通り、魔法陣から障子で出来た和風のドアが出現する……が少し違っていた。

 

よく見るとドアのところに小さいシャンデリアの装飾が施されているのだ。

 

これは穹がクリアしてない……否、正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()はしてないという表現が正しい。

 

「……」

 

今日は2人に会えるのだろうか?と思いながら、穹は門のドアを開くのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……やば。寝ちゃってた」

 

穹は教室で目を覚ました。以前と同じように精神をこの世界の自分に移動させたのだ。

 

「お前よく器用に寝れるよな~」

 

そう声をかけてきたのは同じクラスメイトの男子。

入学当初にクラスで最初に穹に声をかけてきた人物で、趣味も自分と似てる部分があるのでお互いに気が合うのだ。

 

「昼ご飯はどうすんの?」

「……今日は天気もいいし、外で食べる」

「はいよ」

 

穹の様子を察してくれたのか、男子は午後の授業には遅れんなよーと言い残し、他のクラスメイトと昼食を食べに行った。

 

その様子を見送った後、鞄から弁当箱と水筒を取り出し教室を出る穹。

 

「……(慣れたとは言っても、ひそひそ話は気になっちゃうな)」

 

廊下を歩きながら思う。

聞こえる限り、悪口ではなさそうだ。というか、この学校で自分がどう思われているか等、穹にとっては二の次だが。

 

運命のループを越え、雛見沢の分校を卒業した後、聖ルチーア学園が新しく建てたという共学の分校に穹は通っている。

ルチーアでの評判は詩ぃ姉こと、園崎詩音(そのざきしおん)曰く『貞淑な温室野菜の生産工場』とか『何年も幽閉されたら洗脳されるか発狂するかの2つに1つしかない施設』らしい。

 

なので、ルーチアに共学の分校が建てられた事を詩音に相談した時は、自分も含め疑ったくらいだが。

 

入学に求められる偏差値も普通だったので、こうして入学できた訳だが。

 

「ごきげんよう、柚深月さん」

「ごきげんよう(……この挨拶、ほんとに肩身が狭い。しょうがないけど)」

 

そんな事を考えてたら通りかかった女子生徒から挨拶をされたので、穹も軽く会釈をしながら女子生徒に挨拶をする。

目的地である外……というよりも中庭に向かう為には、学園のエントランスを通らなければならない。

 

なのでよく女子校側の女子生徒と出くわすのである。

 

そもそも聖ルチーア学園自体が元々女子校で尚且つ典型的な『お嬢様学校』なので仕方ないのだが。

 

「……やっと着いた」

 

なんとかいつもの中庭に辿り着いた穹。ここに着くまで、今日は何人の女子校側の女子生徒と出くわした事やら。

 

「はぁ……」

「何をそんなに溜息を吐いていますの?」

「あ、沙都子(さとこ)ちゃん……」

 

溜息を軽く吐くと同時に、聞き覚えのある人物が穹に声をかけてきた。

振り返ると穹と同じ雛見沢分校の卒業生で、ルチーアの女子校側に通ってる美少女……北条沙都子(ほうじょうさとこ)がそこに居た。

 

沙都子が隣に座ったのを確認した穹は、その理由を話す事に。

 

「いや……女子校側の生徒に挨拶をする時、毎回いつもと違った挨拶をするのは肩身が狭いなって思って」

「確かにそれについては(わたくし)も同感ですわ」

「……沙都子ちゃんの場合、僕以上に肩身が狭いもんね」

「まぁ……そうですわね……」

「「……」」

 

微妙な空気になり、お互いに弁当を食べ始める穹と沙都子。

 

「……梨花(りか)ちゃんとは……最近話せてるの?」

「……」

 

穹の質問に沙都子は答えず代わりに首を横に振った。その表情は何処か暗い。

 

「……(この様子だと梨花ちゃん、まだ気づいていないんだな。こんな沙都子ちゃんをずっと見続けるのは正直……僕も見てて辛い)」

 

心の底からそう思った穹。

沙都子がこうなってしまった原因というのが、ここには居ない自分の大切な彼女……古手梨花(ふるでりか)である。

厳密には、梨花や沙都子のどちらかが悪いって訳じゃない……と穹は今でも思ってる。

 

「中立な立場でごめんね?」

「……いえ……寧ろ、穹さんまで巻き込んでしまって申し訳ないですわ」

「それはもういいって前の時に言ったでしょ? ちゃんと梨花ちゃんと沙都子ちゃんから聞けたし。まぁ……いきなり過去に戻されてからの状況整理は焦ったけど」

 

これには理由がある。

沙都子は自分や梨花と同じ()()()()()を持っている。少し異なるタイプだが。

何故かいきなり昭和58年の雛見沢に戻っていて、自分なりに原因を探っていたところ、思わぬ事が解ったのだ。

 

なので自分は()()()()()という役割しかできない。大切な2人の為だから。

 

「……ふぁ~……」

「? 穹さん、眠いんですの?」

「えー……うん、丁度いい感じに風も吹いてこの場所って、今日みたいに天気がいいと日当たりもいいから」

 

雛見沢に居た時も外でお昼寝とかしてたからねと軽い欠伸をしながら付け足す穹。

 

「あ、あの……」

「沙都子ちゃん?」

「……」

 

沙都子が少し顔を赤くしながら自分の太ももをポンポンと叩いている、急にどうしたんだろうか?

 

「……てあげますわ」

「え?」

「で、ですから、わ、私が膝枕! し、してあげますわ……っ!」

「……え?」

 

思考が一瞬飛ぶかと思ったが、瞬時に彼女が言った意味を理解した穹。色々と言いたいが、ここは大人しく厚意を受け取る事にした。

 

「……やば。眠くなってきたかも」

「寝ててもいいですわよ? ある程度の時間になったら起こしてあげますわ」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「ええ。あの、穹さん……」

「……んー?」

「……大好きですわよ

 

その言葉を最後に穹の意識が段々と遠のいていく、心地よい微睡の中、穹は眠りについた……




読んでいただきありがとうございます。
間に合って良かったです……(苦笑)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 あうあう少女の誕生日

ゆるポメラです。
今回はある人物の誕生日回になります。

それではどうぞ。


「……暇だ」

 

穹が呟く。何を隠そう今日は屋敷には珍しく誰も居ないのだ。

 

「ベルン達はちょっとした旅行に行ってくるって言ってたし……」

 

いつも一緒に居る彼女達はお出かけ中なのだ。……羅奈とラムダがベルンを困らせてなければいいのだが。

 

「雛見沢にでも行ってこようかな」

 

思い立ったが吉日。穹は早速とばかりに指をパチンと鳴らし、雛見沢の(ゲート)を出現させる魔法を展開する。いつも通り、魔法陣から障子で出来た和風のドアが出現する。

 

「えっと季節は……運命の袋小路を越えた次の夏の6月30日か……。実質的に7月がスタートって事か。都合がいいじゃん」

 

実はこの門には行き先の現在の季節と日付が表示されるのが特徴だ。

 

「さて。今年はどんな夏休みになるんだろ?」

 

そう思いながら、穹は門のドアを開くのだった。

 

 

 

 

「……分かってたけど、やっぱり暑い」

 

穹は自宅で目を覚ました。以前と同じように精神をこの世界の自分に移動させたのだ。

 

「えっと……今は何時だっけ?」

 

近くに置いてあった時計を手に持ち、時刻を確認する。

 

そこには7月1日、朝7時30分と時計に刻まれていた。

 

「今日の朝ご飯……何にしようかな……?」

 

私服に着替えながら朝食は何にするか悩む穹。すると玄関からチャイムが鳴った。

 

「はい、どちら様……」

「穹っ! おはようなのです~♪」

 

ドアを開けると、青紫色のロングヘアーで、頭部から漆黒の尖った角が二対生えた少女、羽入が穹に抱きついてきた。

 

「…朝から元気だね、羽入ちゃん……」

「あうあう。梨花より先に穹成分を取れると思うと、居ても立っても居られなかったのですよ♪」

「なんなのその成分……」

 

羽入を家の中に入れ、自分の名前が入った謎の成分について訊く穹。

 

「僕と梨花にとって必要必須な成分なのです♪」

「シュークリームよりも?」

「なのです」

「そうなんだ。ところでそんなにくっついて大丈夫? 僕、変な臭いとかしない?」

「そんなのは些細な事なのです。寧ろ、穹の臭いならウェルカムなのですよ♪ あうあう♪」

 

未だに自分にギューっと抱きついてる羽入。

 

「とりあえず座りなよ」

「す、座る!? それは僕が穹に×××(ピー)したり、穹が僕のを×××(ピー)してくれたり、梨花に内緒ではにゅんはにゅん的な事をするのですか!?」

「……」

 

彼女がちょっとポンコツになってきてる件。主に変態的な意味で。この場に梨花が居たら、羽入に激辛キムチの刑が執行されそうだ。

 

「羽入ちゃん、頭大丈夫? 暑さでやられたりしてない?」

「僕はいつも通りですよ?」

「そっかそっか」

 

いつも通りなら、何故あんな事を言ったんだろうか?と穹は思ったが、気にしない事にした。

 

「ところで穹は朝ご飯はもう食べたのですか?」

「いやまだ。何にしようか迷ってたとこ」

「それなら僕が作ってあげるのです♪」

 

質問に答えると、羽入はニコニコした表情で穹に言った。

 

「え? いいの?」

「はい♪」

「それじゃあ……お願いします」

 

彼女の手料理を食べれるのは素直に嬉しいなーと思ってた矢先……

 

「そうと決まれば、先ずは服を脱がなくては!」

「いやなんで!?」

「あうあう! 何を言ってるのですか! 男はみんな裸エプロン姿が好きなのでしょう!?」

「世の中の男がみんなそうとは限らないからね!? 僕は好きだけど!」

 

何の知識で得たのか知らないが、目の前で服を脱ごうとした羽入を穹は全力で阻止するのであった。




読んでいただきありがとうございます。
今年は間に合って良かったです……(2019年の時の誕生日回が間に合わなかった為)
この話の続きは、8月21日が誕生日の()()()()()()()の時に書こうと思ってますので、お楽しみください。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 にぱー☆な少女と奇跡の魔女の誕生日

ゆるポメラです。
前回の予告通り、今回はあの子とあの子の誕生日回になります。

それではどうぞ。



「穹、あ~んなのです~♪」

「あ、あーん……(なんなのさ、この状況は……)」

 

今の状況に疑問を抱く穹。何故かというと、現在進行形で羽入にあーんされているのである。

 

「あのさ、羽入ちゃん? 僕、自分で食べれるんだけど……」

「嫌……でしたか?」

「うっ……嫌じゃないけど……」

 

上目遣いで言うのは反則だと思う。嫌じゃないが。

 

「それに今日は休みなのです。なので穹を独占する事にしたのですよ♪」

「……ちなみに何する気?」

「あうあう♪ 恋人や夫婦がする事なのです♪」

 

あっ、これから何をされるのかを察した……その時だった。

 

「は~にゅ~う~……!!!」

 

肩紐型のライトグリーンで胸元にスリットが入ったワンピースを着て、ベルンと同じ綺麗な蒼い髪をした1人の少女が柚深月家のリビングに乱入してきた。

 

その少女、古手梨花(ふるでりか)はもの凄い形相で羽入を睨んでいた。

 

「あ。梨花ちゃん、いらっしゃい」

「お、お邪魔しますなのです……」

「ちっ……」

「……(羽入ちゃんの顔が怖く見えるのは……うん。気のせい、気のせい)」

 

ちょっとだけ助かったとばかりに穹が声を掛けると、先程の表情とは一変して緊張気味な梨花。そしてまるで空気を読めとばかりに梨花に舌打ちをする羽入。心なしか彼女の表情がちょっと怖い……

 

「ほら梨花ちゃん。そこに立ってないで座って待っててよ」

「穹、何か手伝いますか?」

「大丈夫だよ。2人はお客さんなんだからさ。気持ちだけ受け取っておくよ」

 

そう言って穹は台所に向かい、梨花と羽入の為にデザート作りをする事に。

 

「あんた、朝っぱらから抜け駆けなんていい度胸ね?」

「何を言ってるのです。それは梨花が僕や沙都子(さとこ)よりも起きるのが遅いからでしょう。これだから梨花はお子様なのです……」

「それならあんたは年寄りじゃない」

「あうあう! 聞き捨てならないのです! 穹と×××(ピー)した事ない癖に!」

「あ、あるわよ! なんだったら、この間も穹と×××(ピー)してたわよ!」

「あう!?」

 

作ってる最中、梨花と羽入の喧嘩モドキが背後で聞こえてきたが気にしない事にした。

 

 

 

 

そしてなんやかんやあって雛見沢から屋敷に無事に戻った穹。

 

「…ん。穹、やっと見つけた」

「ベルン?」

「ん……」

 

すると不意打ち気味に背後から誰かに抱きしめられた。その正体はベルンだった。

 

「どうしてここに?」

「帰ってきたら、穹がいなかったから捜してたの」

「そうだったんだ。僕もさっきまで別の世界(カケラ)に行ってたからさ」

「ふーん……」

 

彼女の質問に答えると、ベルンは少し不満げな反応だ。

 

「……他の女の臭いがするわね」

「気のせいじゃない?」

「じー……」

 

私、ちょっと疑ってます的な感じで穹を見続けるベルン。

 

「ちなみになんでそう思うの?」

「女の勘よ」

「それはまた恐ろしいね。勘に頼るなんてベルンらしくないんじゃない?」

「穹の事なら別」

 

真顔で言い切る彼女。なんていうか……

 

「……真顔で言うベルン、可愛いなぁ……」

「~~~~~~!!?」

「あ。ごめん、声に出てた?」

「……ひょらのふぁか(穹のバカ)

 

穹がそう言うと、照れ隠しなのか、ベルンは穹の首元に甘噛みをする。慣れているが、相変わらず地味に痛い。

 

「この後、どうする?」

「穹と一緒に居る。穹が居ない間……寂しかったんだから……」

 

普段はクールで弱音も言わない甘えるのがちょっとだけ不器用な彼女、ベルンは屋敷に戻ってからも相変わらずなのであった。




読んでいただきありがとうございます。
今年も間に合って良かったです……(苦笑い)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 奇跡の魔女とのクリスマス

ゆるポメラです。
今年最後の投稿になります。短いかもしれませんが、楽しんでもらえれば幸いです。

それではどうぞ。


雛見沢の世界(カケラ)から戻り、ベルンと過ごしてた翌日の昼過ぎ。

 

「……(そういえば今日はクリスマスだっけ。僕と羅奈の世界(カケラ)だと……)」

 

そういえば今日は自分と羅奈が住む世界(カケラ)ではクリスマスだという事を穹は思い出したのだ。

 

「……何してるの?」

「あ、ベルン」

 

今年はどうしたものか?と考えてるとベルンが声を掛けてきた。

 

「…急な質問なんだけどさ、ベルンって……今日は暇?」

「暇ね」

「じゃあ僕とクリスマス過ごさない?」

「いいけど…………は?」

 

彼女の予定を確認した穹は早速とばかりに、指をパチンと鳴らし、自分達の世界への(ゲート)を出現させる魔法を展開する。すると魔法陣から蒼色の結晶で出来たドアが出現する。ベルンは穹が言った事状況が解らず目が点になってるが。

 

「それじゃ行こっか」

「ふえ!? ちょ、ちょっと……」

「さあ~、今年は楽しむぞ~」

 

未だに状況が呑み込めてないベルンをよそに、穹は彼女の手を繋いで門のドアを開くのだった。

 

 

 

 

「……ここは何処の世界(カケラ)なの?」

「んー、僕と羅奈が住んでる世界(カケラ)

 

穹に連れてこられた場所をベルンが訊くと、彼はいつもの表情で答えた。周りを見渡すとベルンでも見た事がない風景だった。一言で例えるなら、外国と日本が入り混じった未来的……いや、近未来的過ぎるのがベルンの第一印象だった。

 

「……? 穹……身長、少し変わってる?」

「やっぱりベルンは違和感に気づくんだね。うん、この世界(カケラ)だと僕と羅奈は中学1年生なんだよ」

「あまり変わらない気がするけど」

「その方が僕は楽だけどね」

 

そして穹の身長が微妙に変わってる事に気づいたベルン。今とあまり変わらない感じがしたが彼は特に気にしてないようだ。

 

「ねえ、あの男女に()()()()()()()()何?」

 

とりあえず2人で歩いていると、ベルンは目の前の若い男女に憑りついてる何かを指差す。

 

「ん、あれ? 使()()()だね。家具の同率互換的な存在だと思ってもらえればいいよ。あっちの親子にも使い魔が居るの視えるでしょ?」

「ほんとね。あら。向こうは私の姿は視えないのかしら?」

「うん。ベルンやラムダは僕らの世界(カケラ)だと特別な存在だからさ、視える人間や使い魔が限られてるんだよ」

 

穹曰く、この世界(カケラ)では人間が魔法を使えるのが当たり前で、使い魔との共存生活、ヘンテコな格付け制度が存在するとの事。

 

「……ベルンが1人でこの世界(カケラ)に迷い込んだら、詳しく教えるから別に気にしなくていいよ」

「じゃあなんで私をここに連れてきたの?」

「クリスマスだから」

「ふふ、何よ、それ……」

 

答えになってない事を言う穹に、ベルンはくすりと笑ってしまう。やっぱり彼と一緒に居ると居心地が良い。

 

「さて。店内が混まない内にデパートに行こうか。せっかくベルンとクリスマスを楽しむ訳だし」

「まだお昼だけど?」

「それが毎年クリスマスの時期になると、関係なく混むんだよ……僕がいつも行くデパート」

 

聞けば今から、クリスマスパーティーをする為に食材やケーキ等の材料を買いに行くとの事。お酒も飲めるのかなとベルンが思った矢先……

 

「……悪いけど、シャンメリーで我慢してね? ただでさえ、未成年で買えないんだから」

「あら。残念。けど、よく分かったわね?」

「顔に出てたよ。……代わりに別なのを飲ませてあげるから」

「ん。楽しみにしてるわ。……期待してもいいんでしょ?」

 

ベルンがそう言うと、君がお気に召すかは分からないけどと穹は苦笑いしながら答えるのであった。




読んでいただきありがとうございます。
クリスマスに間に合って良かったです……(せっかくなのでこの日に投稿したかった為)
余談ですが、今回の話は今後予定してる新作の前日談だったりします。
来年も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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特別編 奇跡の魔女とのクリスマス おまけ編

ゆるポメラです。
前回……というか、去年のクリスマス回のおまけ編です。短いかもしれませんが、楽しんでもらえれば幸いです。

それではどうぞ。


穹に誘われて、彼と羅奈が住む世界(カケラ)でクリスマスを一緒に過ごす事になったベルン。

 

「…デパートに着いたのはいいけど……」

「人がたくさんね……」

 

やって来た場所は巨大なデパート。クリスマスなのか、現在進行形で人がたくさん出入りしている。

 

「父さんと母さんが迷子にならないようにとは言ってたけど……今年もこの混み具合か」

「え? ご健在なの?」

「うん。時期的なせいで、僕はまだ中学1年生だからね。まぁ、簡単に言うと……」

 

なんと彼の両親は生存しており、穹曰く『前世の転生体であり且つ本人』だそうだ。

 

なので、穹の両親はベルンの事も憶えてるし、いつか逢えたりしないかな?と年々思ってるそうだ。

 

ベルンとしてもそれは嬉しい事だった。

 

「ちなみに父さんと母さんには泊まり込みでクリスマスデートに行かせた。涙目で遅めの反抗期!?って詰め寄られたけど。主に母さんに」

「穹の事を溺愛してるんだもの。その反応は当然だと思うわよ」

「心配してくれるのは僕としてもありがたいんだけどね? で、前に福引きで当てた旅行券をクリスマスプレゼントって言いながら渡したら、泣かれた」

「いい意味で泣いたんでしょうね。きっと」

 

ちなみにベルンも穹の両親……特に彼の母親の性格は把握しているので、涙目になる理由も解らなくもない。

 

「店内で入ってすぐ迷子になったら大変だから、手でも繋ぐ?」

「どうせなら、こっちの方がいいわ」

 

そう言ってベルンは、穹の腕に自分の腕を絡ませる。自分でやっておいてなんだが、これはこれで恥ずかしい。

 

「えっ、ベルン?」

「…ダメ?」

「だ、ダメじゃないけど……とりあえず、行こっか?」

「……ん♪」

 

そんな事を話しながら、2人はデパートに入っていった。

 

 

 

 

デパート内では親子連れや学生、はたまた使い魔等がデパート内部を歩いていた。賑やかな声が穹とベルンの耳にも聞こえてくる。

 

「なあ、あの男の子が連れてる女の子って……」

「いやいやありえねーって。でも可愛いよな……」

「使い魔かな?」

「だとしてもあんな神々しい使い魔なんて見た事がねーよ、俺……」

 

何か視線を感じるなと思った2人。どうやらベルンの姿が視える人間が偶然居たようだ。その人達は今も穹とベルンの方を興味深そうに見ている。

 

『ベルン、念話で悪いんだけどさ……』

『何? ああ……もしかしてあの男達?』

 

急に念話で話し始めた穹を見て察したベルンも念話で返す。

 

『うん、でもあの様子だと他人の空似だって思ってそう。…って言っても、奇跡の魔女であるベルンに他人の空似もクソもないけども』

『まあでも今なら、お忍びで出かける有名人の気持ちが解らなくもないわね』

『ごめんねベルン。せっかくの()()()()()()()()なのに……』

『っ!?』

 

寧ろ、ベルンとしては穹の口から今行ってるのが『クリスマスデート』という事実が重要で嬉しさが爆発しそうだった……

 

『お昼ご飯、何か食べたいのある? まだお腹空いてないなら、色々と見て回る?』

『そうね、せっかくなら……服を見てみたいわ』

 

穹に訊かれたベルンが言う。単純にこの世界の服に興味があるだけ。もしこの場にラムダが居たら腹を抱えて笑いそうだが。

 

『ベルンが良ければ、僕が選んであげよっか?』

『…あまり派手なのは選ばないで』

『善処するよ』

 

ジト目で穹を見るベルン。彼の性格上、そんな事はしないと思うが偶に……ほんと偶にはしゃぐ時があるのだ。ラムダ達が居る時はともかく、二人きりの時なら全然いいのだが。

 

『そもそも店員が私の事を気づいたりしないかしら?』

『口が堅い店じゃないと、このデパートで店を出すとかできないから、安心してもいいよ? まして今日はクリスマスなんだし』

『穹が言う、クリスマスっていう言葉の絶大な信頼感はなんなのよ……』

『今日くらいいいじゃん』

 

まあ仮にそうなったとしても、穹と二人きりで過ごすクリスマスだし、今日くらいは普通の女の子みたいに過ごしてみようかなと思うベルンなのであった。




読んでいただきありがとうございます。
クリスマスに間に合って良かったです……(せっかくなのでこの日に投稿したかった為)
来年も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


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