転生したハイスペック彼女 (綾南)
しおりを挟む
プロローグ
地獄の様だった
毎日通った学校も、行き帰りした通学路も、慣れ親しんだ町並みも、生まれ育った家も、無事なところが無いくらいに崩壊して火の海に呑まれている。そんな見知った見知らぬ場所の瓦礫を足場に行く当てもなく彷徨い続ける
いつもと変わらぬ日常をただ義務的にこなし続けていたはずなのに、帰宅時間に突然おきた地震で全てが変わった。
みんな死んでゆく。家族も友人も知り合いも顔見知りも知らない人も犬も猫も鳥も鼠も魚も虫も植物だってみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんな生きとし生きるものはみんな死ぬ。
地面に呑まれ、体を潰され、炎に焼かれ次々と死ん絶える阿鼻叫喚に恐怖して「死にたくない」と逃げ惑い、空から落ちてくる巨大な瓦礫に死を悟った
もう体力も気力もなくて、死にたくないその一心で這いずって移動してだんだん近付いてくる『死』から逃げようとしたけど無駄だった
グチュリと自分の内臓が潰される音に頭は妙に冷静ながら身体を痛みと苦しみに踠き私は絶命した
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めた。なんだ夢か、やな夢を見た。まさか自分が死ぬ夢なんてろくでもない、きっと今日はついてないんだろう。占い最下位とか
・・・ってちょっと待て、私!さっきまでのが夢?違う、あれは確かに起きた。あの苦しみも痛みも絶望も死も全てが全て本物だ
じゃあ何で私はこんな見知らぬ場所で目を覚ましたんだ⁉︎此処は一体全体どこだというんだ⁉︎
取り敢えず落ち着け私ほら深呼吸だ、冷静になって状況を確認しろ。周囲を観察するんだ
白い、とにかくだだっぴろくて地平線までひたすらに白い空間。そこに私を除き約50人程の人?がいる。ただしこの人?達はまるでミステリーの犯人の様に全身が黒くて人相や服装が伺えない
犯人みたいな人たちはさっきの私の様に困惑してるっぽかったり、焦ってるっぽかったりしてるから私と同じ気付いたら此処にいたんだと思う。いや、そう思いたい
深呼吸もだが自分より慌ててる人?達を見てかなり落ち着いたためもう一度考えてみる。
今ある疑問は、此処は何処なのか,この人?達は何なのか,先程までの 地獄絵図について,犯人の目的ぐらいだろうか。
何一つ分からない。
「皆さ〜ん!意識が覚醒しましたかぁ〜」
なんかでた
「聞こえてましたぁ?もう一度言いますよ。グズで愚かでノロマで惨めで救いようがなくて、とくに価値も意味も無く生産性のない毎日を送り続け無様に死に絶えた皆さ〜ん!意識は覚醒しましたかぁ〜。オマエラの為だけにこの俺様がせっかく用意した時間を無駄遣いしないでさぁい。いい加減に反応してくれないと、オマエラのこと虫にしちゃいますよぉ〜、無言はオーケーと捉えちゃいますからねぇ」
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
プロローグ2
男の様な女の様な、子どもの様な大人の様な、低い様な高い様な、大柄な様な小柄な様な、非凡な様で凡庸な様な、いろんな対極な様相を詰め込んだ様な、人間の様な人間じゃないナニカ
その口から紡がれる言葉は間抜けた緩い口調とは裏腹に逆らう事が出来ない威圧感を放っている。今も、アレの言うことを聞かないと本当に虫にされると本能から理解していた
「じゃあ、全員ちゅうも〜く!えーこれよりぃオマエラの身に突然引き起こった悲劇(笑)や、今後について説明してやりま〜すぅ。ただし俺様は話している最中に声をあげられたり遮られたりするのが大・大・大ッッッ嫌いなのでぇ、オマエラの声が出ない様にしました〜。これよりどんだけ怒鳴ろうが喚こうが一切合切の話し声が封じられて喋ろうモノなら、まるで金魚みたいに口をパクパク間抜け面を晒すだけなのでぇ、それが嫌ならお口ミッフィーにしててくださ〜い
それではぁーゴホンゴホンあーあーマイクテスゥマイクテスゥーーーこの世界には幾多もの時限があり、オマエラがいた場所もその時限の一つなのですぅ。時限はずーーーーーーーーーーーっと昔から存在し続けこれからもあり続けるモノだったのですが、ある問題が起きてしまったのです!オマエラのいた時限ーーー仮にα時限としましょう、α時限にとんでもなく大きな、それこそブラックホール級の大穴が開いてしまったのですよ‼︎それによる被害は未知数、少なく見積もってもα時限の消滅,道連れに周辺5,600個程の時限も消滅しましょう。かくいう俺様の時限もまた消滅の危機にひんしたのですぅ
俺様達道連れ組はそんなモン溜まったもんじゃねぇ!と奮起し協力し事態に収集を付けようとした結果がアレでしたぁ
アッハハ、そんな怖い顔しないでくださいよぅ。アレ?何か言いたいんですか?声も出ないのに必死にパクパクと、俺様は読唇術は使えないから分かりません〜。それにしても、鬼の形相で金魚みたいな間抜け面って俺様の腹筋を殺しにきてるの?スッッッゴイ面白いよぉ。いや、ほんと呼吸困難一歩手前ぐらいにねぇ
煽りと冗談はこれくらいにして置いて、次の話題に行きましょう〜。時限が消滅すると時限内に存在する魂も消え去りましすぅ。魂っていうのは、時限内に現存する生命体の核を担っている超超超高濃度なエネルギーを圧縮した塊なのです‼︎本来魂は、現界での生を全うし輪廻の輪というシステムで前世を浄化し記憶を消し落とされて、また現界での生を全うする。それをただ延々に繰り返し続けるモノなのですぅ
我々は考えました。このままα時限内にある魂を時限ごと消滅させるのは勿体無い、事前に魂だけを取り除き我々の時限の輪廻の輪に乗せてしまえ〜、と
・・・・・そうなのです。勘の良い方はお気づきになられた様ですが考えのとうりですぅ。オマエラにはこれより俺様の時限に転生して貰うのです‼︎」
次こそはFAIRY TAIL要素を・・・
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
プロローグ3
「ですがですが、ただ転生するのでは無く俺様の時限の輪廻の輪には乗せずオマエラには自己を持ったまま生まれ変わってもらいますぅ。何故なら〜俺様はオマエラに大人の記憶と経験を持ち、
さっきからおとなしく聞いているが、アイツの言っていることはふざけてやがる。
あのままα時限にいたら魂ごと消滅していたらしいがもっと回収の方法あっただろう!
経験を持ったまま転生も剣と魔法の世界じゃ常識のギャップが凄すぎてやっていけなそうだし!!
何より私たちを連れてきた理由が自分が楽しむ為とか巫山戯んな!!!
こうやって心の中で文句を垂れても声に出せないし、もし出ても言わないが思考がまとまらない
だけど、私の考えている間にもアレは話を進める
「それでは、あらかたの説明も終わりましたしぃ転生イっちゃいましょ〜。オマエラ50人を時代も場所もバラバラに送りますね、もちろん俺様はオマエラが必死に足掻く様を見たいので特典なんて御都合主義はありません。せいぜい早死にしないよう頑張って下さいねぇ」
アレがそう言い終わるといきなり足元に穴が開く。私も含め全員そこからなす術なく落ちていった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誰かに抱き抱えられている。やっぱり転生だし赤ん坊スタートなんだけど、これからの母親の世話を想像するだけで羞恥心で恥ずか死ぬ
「シルバー、この子がとっても可愛い私たちの子どもよ」
なるほど、この超絶美人のナイスバディでボンキュボンな優しげな笑顔がよく似合うお姉さんが今世のお母さんか・・・何だあれは⁉︎日本どころか外国でも稀なサイズじゃないか⁉︎落ち着け私、深呼吸だ
「ああ、ミカに似て美人な女の子だ」
「何言ってるの、まだ赤ちゃんよ」
お母さんの名前がミカさん、横の男の人がお父さんでシルバーさん
お父さんを見てみる。美人なお母さんの横に並んでもつり合う様な整った顔の若い男、私はこいつを知っている。人としてでは無くテレビとか本とかで見た様な、気のせいであって欲しい勘
「名前はもう考えているんだ。俺とミカの一人娘、ベル,ベル・フルバスター」
気のせいじゃなかった。此処はフェアリーテイルの世界で、私はその主要キャラの姉ポジになってるじゃないですか
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
1話
ハロー!漫画の世界に転生してしまった元地球人の女子高生ことベル・フルバスターです☆
・・・ダメだ。自己紹介でテンションを使い切ってしまった。いつも通りに直そう。
生まれてすぐの時に主要キャラの姉だと思ったけど違う可能性にかけていたら、先日グレイと言う名の弟ができておよそ3年の現実逃避がついに終わってしまいました。
考えてみたらこのポジションは数年後に悪魔によって死に確なんじゃないかと思いたち絶望したのは数日のこと。考えてみたら、悪魔が来るまで私が生きてられる確信がなかった。
そうです!私、今世ではとてつもなく病弱でした!!
原作知ってるやつは救済とか考えちゃうんだろうけど、私の場合はそれどころじゃない。
なんせ下手したら明日の朝には毛布の中で冷たくなって・・・、をやらかしかねないくらいの生まれつきの病弱っ子なのだ。比喩でもなんでもなく、明日は我が身である。
この世界の人って地球より強くて丈夫なはずなのに前世より低スペックボディなんてほんとついてないわー。
今世の両親には本当に感謝してる。
明確な病名なんかも分からず少し目を離していたら死んでしまいそうなほど体の弱い娘に、特別裕福というわけでもないのにたくさんのお金をかけてめいいっぱいの愛情を注いでくれた。
この人達のおかげで高熱が出て苦しい時でも生きてやるって思えた。
そんな人たちを見捨てるのは心苦しいが、結局私には何もできやしないんだ。
・・・それはそうと話は変わるが、私の弟がめっちゃくちゃに可愛い。
なんだこの子は。下界に舞い降りた天使かよ。
弟の名前がグレイに決まった時は軽く絶望したけど、ただ無邪気にこっちに手を伸ばす赤ん坊は比べられるものがないほど可愛らしくて尊い。未来だとか何だとかの難しいことも、この笑顔を見てたらどうでもよくなる。
将来イケメンなのは確定してるけどまさかこんなに可愛いとは、お姉ちゃんびっくり。
こんなに可愛い弟の成長も見守っていけないかもしれないなんて、ほんとなんで私は病弱に生まれたんだろうか。
あの管理人とかいうやつも私たちが精一杯もがき生きてるのが見たいっていうなら特典がなくても、丈夫な体くらいくれていたって良かっただろ。
最近、今まで以上に身体が重くて辛い。熱もずっと下がらない。
まだグレイは小さいのに父さんと母さんは私につきっきりになってしまっている。私のことは放って置いていいのに。
明日大きな街からこの近くにお医者様がくるらしくて、2人は私を見せるつもりみたいだ。そんなことしたってお金の無駄なんだから、もう私のことなんて諦めればいいのにな。
あー目の前がぼやけてるし意識が朦朧としてる。私も潮時かな。
「お医者様!お願いします。この子を助けて下さい!」
「生まれつき身体が弱くて、熱が下がらないんです」
「これは・・・魔力が高すぎることが原因でしょう」
「魔力、ですか?」
「はい、小さな身体を魔力が圧迫して熱が収まらなくなる症状です。この症例ならば、専門の施設があります」
「治るん、です、か?」
「ええ。娘さんは治りますよ」
「ベル、ベルが助かる!あぁ、ありがとう神様!あなた!」
「良かった!ベル良かったな!ミカ!」
目次 感想へのリンク しおりを挟む