こんな所に転生させずともいいじゃないか (影の泉)
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プロローグ

初めまして影の泉です。


 ある日気付いたら知らない部屋に居た。

 

 あれ、私寝たっけ?

 

「ああキミキミ、良い所に来てくれた。H○NTER×○UNTERの念について話さないかい」

 

「え、狩人×狩人の?」

 

「そうそう、それそれ」

 

 声のした方を見ると、金髪の中学生位の子供がいた。

 どうやら人気漫画の話がしたいみたい。

 

「僕は今″念″に嵌っているんだよね。何か良い案ないかい?」

 

「良いわよ」

 

 私も彼位の時は良くジャ○プを読んでいたな。

 それに自分の念について考えた事もある。

 そう言えばどんな念を考えていたっけ?

 

 童心に帰る夢を見たって別に良いわよね。

 

「強化系なら英雄(ジークフリート)なんてどう? 心臓部分の背中が絶になるけれど、弱点がある分強くなるかも」

 

「ふんふん、続けて」

 

「後は強化系、特質系も入るのかな? 強者との訓練(クレイジーダンス)、肉体や念で強い相手と戦うほど強くなる」

 

「なるほど」

 

 ここまで思いだすと後はスラスラ出て来る。

 

火炎と氷結(ファイヤー&アイス)、変化、具現化、特質を集めた感じで炎と氷を出す能力。魔剣の様に剣にもできて念すら焼いたり凍らせたりできる。制約は発動する空間がないと発動しない。屋外では炎のみ、室内では氷ののみ発現可能。両方同時には発動しない」

 

「おお」

 

癒しの口づけ(ヒーリングキス)、特質強化かな? キスした相手や自分、場所は問わないを治療する能力で、傷や病気を治す。治しにくいものほどオーラを消費する」

 

「うんうん」

 

 少年の相槌に私の口はどんどん回って行く。

 それにしてもこんなに思いだせるものなのね。

 

重力(グラビティー)、操作系。円の範囲内の重力を操作できる」

 

「ほうほう」

 

増強機器(メモリースティック)、特質系。オーラが増えれば増えるほどメモリが増える、ただしこの事を他人に言ってはならない」

 

「ふむふむ、まだある?」

 

「そうね、パクリだけど。空間転移扉(どこで○ドア)、具現化放出系。扉を具現化して扉を潜る事で転移できる。一度本人が行った事のある場所にしか行けない。こんな所かな」

 

「そっか、色々あるね。そうだ君を送らないとね。戦い(おもしろい)の世界へ行ってらっしゃい」

 

「え?」

 

 少年の言葉に何処か不安を覚え聞き返そうとしたら、私は黒い空間に落ちていた。

 

「きゃあああ」

 

 

 

 

 

 

「おぎゃあ、おぎゃあ」

 

 ん? 赤ちゃんが泣いているな。誰よ泣かしっぱなしなのは!

 

「おぎゃあおぎゃあああ」

 

 何で私の口から声が!?

 

 私は手を口に持って行き、口を触った。

 その時私の目に紅葉の様な手が見えた。

 

「おぎゃあああ(え――――!)」

 

 私赤ちゃんになっちゃった!?

 

「元気な赤ちゃんで良かったわ。お母さんですよ」

 

 上を見上げると赤い髪に金の瞳の女性が居た。

 うん。凄い美人さん。

 赤い髪は肩下で揃えられ肌は健康的、金の瞳は好奇心でキラキラ光っている。

 

「母さん産まれたみたいだね♡」

 

「ヒソカ来たのね、貴方の妹のマドカよ」

 

 え? ヒソカってもしかして。

 ……はい、若いですがヒソカです。

 赤い髪に金の瞳の十代半場程の少年、後に主人公ゴンの前に立ちはだかる戦闘狂。

 

「やあマドカ♡僕がお兄ちゃんのヒソカだよ♠」

 

 ええ!? もしかして私HUN○ER×HUNT○Rに転生しちゃった?

 じゃあさっきの少年って神様か何か?

 ああ、頭が混乱する。

 それにしたって、こんな所に転生させずとも良いじゃないか!

 

 




オリ主が念の設定をスラスラ思い出せたのは神様が弄ったからです。


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新たな登場人物

 私が転生して五年が経った。

 早いって?

 いやいや、これから説明するよ。

 

 赤ん坊の間、する事のなかった私は念の修行をしていました。

 食っては寝ての間に念の修行、一カ月弱位で念を感じる事ができました。

 私の念の才能もまずまずなんじゃないかな、と思います。

 その間にハンターの母は何処かにハントに行ってしまいました。

 私をヒソカに預けて……。

 止めて二人きりにしないで、と思ってみましたが現状は変わりません。

 分かった事はヒソカって意外に良いお兄ちゃんなのかな、って事です。

 

 が、私が念を感じられるようになり纏・練・絶の練習をしていると、ヒソカが気付きとても気持ち悪い顔をした。

 余りにも気持ち悪くオーラを集めて防御した。

 初めて堅をした瞬間だった。

 私が堅をするとヒソカは不気味に笑いだした。

 怖い、怖すぎる。

 そしてヒソカはこう言った。

 

「いいねえ♢念は僕が確り教えるからね♡」

 

 ええ、ヒソカに目を付けられました。

 その後は寝物語変わりに念について耳元で語られ、前世で知っている事知らない事を覚えました。

 それからヒソカの組んだ練習メニューをやって来ました。

 既に四大行と応用もバッチリです。

 そして水見式をやってみた所、水は増え色が着き葉は動き渦潮が産まれ、不純物が出現し味が変わった。

 え、私チートじゃない? と思った。

 要は全ての系統使えるって事だよね。

 これにはヒソカも驚いていた。

 でもこの後落とし穴があったんだ。

 発を作ろうと思った時何故か作れなかった。

 もしかして私のメモリないの!? と、あたふたしていたらヒソカが「もしかしたらもうできているのかも♠」言って来た。

 え? 私作った記憶ないよ。と、思い記憶を遡ってみたけど覚えがない。

 仕方がない他の技術で何とかしないと。

 

 変わった事といえばやっと喋れるようになり、喋った時ヒソカの事を上手く発音できず「ひーにぃ」といった所ヒソカが気にいってしまったのです。

 その後ちゃんと喋れるようになり、「兄さん」と呼んだ所「ひーにぃ」が良いと言いだし、今では「ヒー兄」と呼んでいる。

 

 ヒソカは鬼畜だった、念の練習はいつの間にか念の修行になっていた。

 そして四歳の時初めて人を殺した。

 ヒソカに連れられ盗賊のアジトに連れて来られたのだ。

 そしてヒソカは盗賊のヘイトを稼ぐと、盗賊の中に私を放り込んだのだ。

 最初の頃は殺さない様に気絶させていたのだ。

 しかし、いかんせん人は多く念能力者も居た。

 相手の発で私は死にかけ、私の発が発現した。

 私の発は、あの不思議な家で神様? に喋ったものだった。

 それと同時に私の手から放たれた氷は、相手の念能力者の首に刺さっていたのだ。

 その後次から次へとやって来る盗賊を倒し、ヒソカと合流した。

 ヒソカと合流後私は堪らず吐いてしまった。

 吐いている私の背をヒソカはさすってくれた。

 繰り返し念能力者と戦わされ、最近では殺す事に慣れてきてしまった。

 

「マードーカ♡ちょっとここに行ってこいつ殺して来てくれない?」

 

「ヒー兄が行けば良いでしょ」

 

「ダーメ♠僕は別の奴()って来るからさあ♢あ、こいつブラックリストに載ってる奴だから首持って来てね♡」

 

「……分かった」

 

 ブラックリストに載っているって事は犯罪を犯した相手。

 放っておけば何をするか分からない。

 それにお金にもなる。

 

 現地に到着した。

 飛行船を使ったら問題なく辿りつけた。

 ここはヨークシンから南に十五キロにある衛星都市だ。

 

 ヒソカからもらった写真と情報を元にターゲットを探して行く。

 念能力者らしいので陰で隠した円を展開させながら探す。

 探す事一時間、ついにターゲットを見つけた。

 絶をしターゲットを追いかける。

 人気の少ない所へ出た所でターゲットの前へ出た。

 

「マーティス・グルマスですね」

 

「ああ、何だ餓鬼か。殺されたくなかったらどきな」

 

「そうはいきません」

 

「いんや、退いてくれんかねお嬢さん」

 

「!?」

 

 ターゲットに確認の為声をかけた。

 間違えなくマーティスの様だ。

 反撃される前に狩ろうとした所で、背後から声がかけられた。

 そこに立っていたのは、白髪に青い瞳のお爺さんだった。

 服には『一日一殺』と書かれている。

 

 そうゼノ・ゾルディックが立っていたのだ。

 

 




クローバーが記号化してくれません。


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ゾルディック家

「貴方は?」

 

「儂か、儂はゼノ=ゾルディックじゃ。お嬢さんこそ誰じゃ」

 

「私はマドカ=モロウと言います」

 

 私とゼノさんの自己紹介にマーティスは次第にイライラしだした。

「ガキと爺が俺様に何の用だ!」

 

「お前さんを殺しに来たんじゃよ」

 

「ヒョロヒョロの爺が何言ってんだ! 俺様が殺してやるぜ!」

 

 ゼノさんの言葉にマーティスは激昂し、ナイフを取り出した。

 

「ベンズナイフ!?」

 

 曲線を描くナイフからは僅かにオーラが漂っている。

 ベンズナイフは過去の殺人鬼が作ったオーラを纏ったナイフの事だ。

 

「マドカ、こやつ譲ってもらえんか?」

 

「……」

 

 ゼノさんが来たという事はゾルディック家に暗殺依頼があったという事。

 ヒソカもゾルディック家との争いは避ける……はず。自信がない。

 私はゼノさんを見て頷いた。

 

「助かったわい」

 

「なめるなー!」

 

 マーティスはベンズナイフを振るが、それより早くゼノさんが動きマーティスの心臓を抜き去った。

 ゼノさんの手にある心臓が数度脈動すると、その心臓は鼓動を止めた。

 

「お、俺の心臓……」

 

 そう言うとマーティスは息を引き取った。

 

「獲物を取ってしまって悪かったのう。お詫びと言っては何じゃがお茶でもせんか?」

 

『念が使えるんじゃろう』

 

 ゼノさんは申し訳なさそうにお茶に誘ってくれた。

 同時に念で文字を書いて来た。

 

「はい」

 

 私は二つの意味を持たして頷いた。

 

 喫茶店でゼノさんと二人席に着いた。

 ゼノさんの背後には身体の大きな女性、ツボネさんが控えている。

 

「それにしてもその年で能力者とはのう、大した才能じゃ」

 

「そんなことないです。ゼノさんの事全然気付きませんでした」

 

「お前さん程度に気付かれるようでは暗殺者のなおれじゃ」

 

 ゼノさんは愉快そうに笑いながら答えた。

 

「そうじゃ、ワシの家に遊びにこんか?」

 

「え、ゾルディック家に?」

 

 暗殺一家に遊びに来いと? 怖いんだけど。あ、でもキルアに会えるかな。

 

「孫を一人外に修行に出しておるんで最近静かでのう」

 

 あ、そうか。キルアは天空闘技場か。

 

「兄に聞いてみます」

 

 その後私は携帯でヒソカに連絡した。

 ターゲットをゼノさんに譲った事、ゾルディック家にお呼ばれしていることなど。

 何故かヒソカは終始楽しそうにしていた。

 話が終わりゼノさんに向き直り、一緒について行く事を言うとゼノさんの飛行船に乗せられゾルディック家にたどり着いた。

 

 ゾルディック家の飛行船で直接ゾルディック家本邸に着いたので、試しの門は素通りだ。

 

「親父帰ったか、客がいると聞いてやって来たぞ」

 

「シルバか、紹介しようマドカじゃ。マドカこやつは息子のシルバじゃ」

 

「シルバだ。よく来たな」

 

「マドカです。宜しくお願いします」

 

 ゾルディック家の飛行船置き場に銀髪の巨漢シルバさんがやって来ていた。

 私はゼノさんの紹介でシルバさんと自己紹介をした。

 ゾルディック家の屋敷の中に入ると黒髪の美人さんとそれに良く似た十代後半の少年、黒髪の恰幅の良い十代中頃の少年と私と同じ年位の少年が立っていた。

 

 自己紹介をし、黒髪美人さんがキキョウさん、キキョウさんに良く似た少年がイルミさん、ポッチャリ型がミルキさん、おかっぱ頭の少年がカルトだった。

 皆原作登場時より若い。

 

 食事の席では皆キルアの事を話して来る。

 私は今のキルアを知らないが、過去のキルアの事を思って終始相槌を打っていた。

 キキョウさんは高い声で良く話しイルミは淡々と、ミルキはボソボソと話す。カルトはキャッキャとキルアについて喋る。シルバさんは時々相槌を打ち、ゼノさんは朗らかに笑う。これを見て暗殺一家と思う者は少ないだろう。

 

 私は二泊三日ゾルディック家に滞在した。

 途中キキョウさんに着せ替え人形にされたり、イルミさんに念の修行にかこつけて針で刺されそうになったりした。

 シルバさんからはゾルディック家に嫁に来ないかと言われた。まさか冗談だよね。

 

 こうして私の初めてのお宅訪問が終わった。

 

 

 



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幻影旅団

 私が八歳になった年、ヒソカが妙に楽しそうだった。

 

「マドカ♡一緒に出かけよう♢」

 

「良いけど、なんか最近変だよ」

 

 ヒソカの言葉に読んでいた本から顔を上げた。

 私は比較的本が好きだ。

 特に好きなジャンルはファンタジー物。

 この世界には念があるせいか、古代の歴史などファンタジー要素が溢れている。

 

 

 ヒソカに連れられ古びたビル群に連れて来られた。

 そこから感じるのは複数の強いオーラ。

 ヒソカが壊れかけの扉をあけると、中に居た人々のオーラが跳ね上がる。

 相当警戒されている様だ。

 

「ヒソカか。そのガキはなんだ」

 

「僕の妹さ♡今回の仕事に役立つと思ってさぁ♠」

 

 黒髪をオールバックに撫で付け額には逆さ十字の刺青、そう幻影旅団団長クロロ=ルシルフルその人だった。

 って幻影旅団かい!?

 

「ここは保育園じゃないネ、ササと連れて帰るネ」

 

 比較的身長が私と近いフェイタンがそう言った。

 ええ、そうですよね。私帰ります。

 

「何帰ろうとしているんだい♠紹介するからちょっと待とうね♢」

 

 踵を返そうとしたらヒソカに捕まった。ッチ。

 そうしてヒソカに紹介されたのは団長であるクロロ、丁髷の剣士ノブナガ、大男ウボォーギン、大人しそうな少女シズク、着物の女性マチ、優しそうなイケメンシャルナーク、不良の様なジャージを着たフィンクス、小柄な人フェイタン、フランケンシュタインの様なフランクリン、前髪の長いコルトピ、全身包帯のボノレノフ、キャリアウーマンの様なできる女性パクノダ、の計12人。

 確り幻影旅団である事を告げられた。

 

「それでヒソカ、役に立つと言うマドカの念能力はなんだ?」

 

「実際見た方が早いだろう♢マドカちょっとこのビル歩いて空間転移扉(どこで○ドア)使ってごらん♠」

 

 ヒソカに促され条件を満たすためにビルを歩く。

 ビルの屋上に着いた所でヒソカにメールし念能力空間転移扉(どこで○ドア)を使いヒソカの居る所に戻る。

 

「なるほど放出系能力の転移系か。条件は一度自分が行った場所と言う所か」

 

 流石クロロ、一発で条件に気付いた。ヒソカがヒントっぽい事言っていた気がするけど。

 

「その能力で行ったり来たりできれば今回の獲物は結構取れるな。良いだろうマドカを連れて行こう、皆良いな」

 

 団員はクロロの言葉に頷いている。

 いや、反対しようよ。

 

「今回の獲物の場所を説明する、ワルイーダ財閥に宝部屋がある事が分かった。この宝を根こそぎ奪う」

 

 ワルイーダ財閥、悪徳商法などで財をなしたと言われていると聞いた。

 黒いうわさも多いらしい。

 

「おお、たから全部たーイカスじゃないか。なるほど、宝部屋でマドカの念能力使って運ぶのか」

 

 そうウボォーギンが大きな声で言った。

 

「後はマドカの戦闘能力を見るか。誰か相手したい奴はいるか?」

 

「おう、俺が相手をする」

 

「分かった。殺すなよ」

 

「分かってるって」

 

 ええ!? ウボォーギンが相手って、嫌過ぎる。

 誰が良いって人はいないけど、ウボォーギンはいやー。

 

「マドカ行っておいで♡」

 

 ヒソカに促され私はいやいや足を動かした。

 

「死なない様に手加減はしてやる。行くぜ!」

 

 そう言ってウボォーギン、ウボォーは床を陥没させ私に殴りかかって来た。

 右に左にかわして行くがパワーの割にスピードが速い。

 一度バックステップで距離を取ったが直ぐに距離を詰められる。

 

「ヒソカ、マドカの実力は如何なんだ?」

 

「念の才能では僕以上♡点数を付けるなら100点、ただし念だけならね♠身体能力がまだまだ何だ、子供だから仕方ないけど♢後は戦闘経験を積ませたいね♡」

 

 クロロとヒソカの声が聞こえた。

 ヒソカに取って私ってお弁当か何かだと思う。

 何時も唐突に襲いかかって来るし、寝込みも襲う。

 寝込みにトランプ突きつけられる事が続き、寝ている時も身体の周りギリギリに円を張る事を覚えた。

 

「おら! よそ見してっと危ないぜ」

 

 いけないいけない集中力が反れた。

 ウボォーはそこを見逃さず右手にオーラを集中させると殴りかかって来た。

 か、かわせない。

英雄(ジークフリート)

 私のオーラが跳ね上がって、ウボォーの拳を両手で掴む事に成功する。

 

「オーラが跳ね上がりやがった、なるほど強化系の念か。こりゃあ楽しめそうだな」

 

 ウボォーは楽しそうな笑みを浮かべるとオーラを高め出した。

 戦闘狂はヒソカだけで間に合ってます。止めてー。

 私の願いは適わずウボォーは嬉々として打ちこんで来る。

 ウボォーの力は強く受け止めるには両手が必要だ。

 対して私はウボォーにたいした攻撃が通らない。

 筋力がまだまだ低い私には念のブーストはあってもそれ程の力はない。速度で対応してるがそれにも限度がある。仕方ない。

 〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)

 氷の剣を出しウボォーに備える。

 

「変化系か具現化系の能力か、メモリの無駄遣い。いや、籠ってるオーラ速度共に早い。どうなってやがる……面白い」

 

 ウボォーが肉食獣の様な笑顔を向け襲いかかって来た。

 嵐の様に襲いかかって来るウボォーの拳を氷の剣で反らす。

 

「うおー、冷てーな。威力もまずまずと」

 

 ウボォーは私の氷の剣の威力を探りつつ打ちこんで来る。

 

 ウボォーと組み合ってから一時間、私の息は大分上がって来ていた。

 まだまだ体力は少ない私は必死で集中力をかき集めた。

 

「そこまで」

 

 打ちこんで来ようとしたウボォーがクロロの声に咄嗟に停まった。

 

「実力は分かった。だがどういう事だ? 放出系ではなかったのか?」

 

「……」

 

 クロロの質問に私は息が上がっていて答える事ができない。

 

「マドカは全能力を使う事ができる♢」

 

「なるほど、そんな能力者が居るとわね」

 

 代わりにヒソカがクロロに答えを言った。

 それにクロロは感心したように返した、がそれ以外のクモのメンバーが驚いたような顔をする。

 

 

 その後クモのアジトに泊まり、次の日にクモの獲物狩りに出発した。

 

「俺とシャル、パク、マチ、マドカは宝部屋まで一直線で向かう。他のメンバーは陽動役だ。行くぞ」

 

 クロロの合図に皆が動き出す。

 私達は隠し扉からワルイーダの屋敷に侵入し、地下の宝部屋を目指す。

 他のメンバーは正面からだ。

 

 おとり役の派手な音が聞こえるまで絶で隠れ、警備がおとりに向いた所で深部に侵入を開始した。

 途中出会う警備はマチがどんどん倒して行く。

 地下を進み宝部屋に侵入に成功した。

 

「マドカどの程度の大きさまで運べる?」

 

「扉に通るサイズまでなら運べます。私以外にも扉を潜れば移動できます」

 

「上出来だ」

 

 クロロが宝の選別をし、 私が宝部屋とクモのアジトを能力で繋ぎ何度も宝を運んで行く。

 パクとシャル(そう呼んでいいと言われた)も運ぶのを手伝ってくれる。

 マチは扉の所で警戒中だ。

 

「よし、皆にも集まる様に連絡する」

 

 そう言うとクロロが陽動メンバーに連絡を開始した。

 

 爆音が響き宝部屋に次々とクモのメンバーが集結して来た。

 最後のメンバーが到着した所で空間転移扉(どこで○ドア)の扉を開き、皆に合図する。

 全員が潜り終えた所で扉を消す。後方で怒鳴り声が聞こえたが無視をした。

 

 

 こうして初めての泥棒は終わった。

 その後クモのメンバーと携帯の番号を交換し帰宅した。

 度々呼び出されては手合わせやタクシー代わりに使われもした。

 一度言った事がある場所でしか空間転移扉(どこで○ドア)は使えないので、色々な場所を突破させられた。

 戦闘組に呼ばれては試合をしていた為、私の経験値も大幅に上がって行った。

 

 

 クモと会って半年位経った日にヒソカに呼ばれて天空闘技場にも行った。

 残念ながらキルアは帰っていて会う事は適わなかった。

 何だかんだで家に帰らず天空闘技場で過ごし、両親にも会っていない。

 両親は放任主義というか、ハントで殆ど家を空けている。

 私も母に会ったのは産まれた時を除き、片手の指の数程だ。

 父親に関しては生きている事は聞いているけど、会った事もない。

 

 

 

 

 そうして私は十歳の誕生日を天空闘技場で迎えた。

 

 

 

 

 




次回からハンター試験になります。


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一次試験

「マードーカ出かけるよ♡」

 

「グッ、襟首掴まないで」

 

 ヒソカが何時もの様に出かけると言って来た。また誰か殺すのだろうか。

 しかし捕まえ方が雑で、襟首を掴まれた。

 

「今年もハンター試験受けようと思ってね♠マドカ暇だろう♢」

 

「ハンター試験?」

 

「そうハンター試験♡去年受けたけど暇でさぁ、暇つぶしの相手にマドカは丁度いいだろう♢」

 

 ヒソカはハンター試験を受けると言いだした。

 確か去年受けて試験官を半殺しにして失格になったんだっけ。

 

「試験会場は僕が知っているからさ♢じゃ行くよ♠」

 

「ちょっと待って。荷物ぐらい準備させて」

 

 しょうがない、みたいな顔をするヒソカを背後に鞄に着替えに水、塩、ナイフ、非常食を詰めた。

 準備が完了するとヒソカに連れられハンター試験会場に向かった。

 

 

 

 ザバン市の小さな定食屋でヒソカが合言葉を言うと奥の部屋に通された。

 その部屋はエレベーターになっており、地下に向かって下りて行く。

 そこに置かれていたステーキはとても厚く私は食べきる事ができなかった。

 

 地下に着くと豆の様なマーメンさんに番号の書かれたプレートを貰い胸に付けた。

 ヒソカが44番、私が45番だ。

 ヒソカを見て集まっていた受験生が後退して、場はシーンと静まり返りざわめき出す。

 そこかしこから「ヒソカだ!」と言う声が聞こえる。

 ヒソカが歩を進めるとモーセが海を割ったように人が割れた。

 一緒について行っている私も注目が集まる。

 うう、注目が痛い……。絶をしよう。

 私は絶をして受験会場の端によった。

 そう言えばトンパさんが来るかと思ったら来なかった。ヒソカと一緒に下りて来たからだろうか。

 

 受験生がどんどん集まり丁度100番目の人が下りて来た。

 降りて来たのはキルアだった。

 あれ? キルアって99番じゃなかったっけ? そっか、私が居るからか。

 一人突っ込みに答えをだしつつキルアを見ていると、キルアは受験会場を見まわしだした。

 偶然か必然か私の居る方へよって来たキルアは私の前まで来て驚きの声を上げた。

 

「おわ、こんな所に子供!?」

 

「初めまして私はマドカ、貴方は?」

 

 驚いているキルアに自己紹介した。

 

「俺はキルア、マドカお前幾つ? 俺は十二歳」

 

「私は十歳です」

 

「ッチ、俺が最年少だと思ったのによ」

 

 悔しがるキルアに私は曖昧な笑顔を向けた。

 

「それにしても凄い穏形だな、俺も近付くまで気付かなかったぜ」

 

「注目が凄くってね……」

 

「ふーん、ま、お互い頑張ろうぜ」

 

 キルアはそう言うと人ごみに紛れて行った。

 

 受験生を見ているとイルミさんのオーラを感じてエレベーターを見た。

 エレベーターから出て来たのは顔に針を刺した男だった。

 うーん、挨拶に行った方が良いよね。

 そう思って挨拶に行くとイルミさんがカタカタカタと音を立てた。

 

『マドカも来ていたんだ、俺の事はギタラクルって呼んで。後、キルアには内緒にしといてね』

 

『了~解』

 

 イルミさん、ギタラクルさんとの会話は念で行った。

 ギタラクルさんが動くと人も割れた。

 その光景を見てヒソカを思いだす。

 あー、顔針男だもんな。

 

 更に時間が立ち400番を超えた所で主人公組がやって来た。

 黒髪にサングラスの男レオリオが404番。

 金髪に茶色い瞳の女性的な顔立ちの少年クラピカが405番。

 キルアと同じ年の黒髪の少年ゴンが406番だ。

 やはり原作より1番後ろになっている。

 主人公組にトンパさんが話しかけ、ジュースを渡した。

 ゴンが駄目になっていると言い、そのジュース達は廃棄された。

 

 ヒソカがぶつかって来た相手の腕を切り落とし、念で天井にその腕を張り付けた。

 あーあ、その腕があればくっ付くかもしれないのに。

 この世界の医療は意外と進んでおり、腕があればくっ付ける事もできる。

 

 そんな事を考えているとジリジリジリと音が鳴って、スーツ姿の試験官サトツさんが現れて第一次試験が始まった。

 

「マドカ前の方に居てくれないかい? 僕は後ろの方から着いて行くからさ♡」

 

 聞いて来ているが命令の様な物だ。絶対に譲らない。

 

「分かった、連絡は携帯で良い? やり過ぎないでね」

 

 そう言うと私は人混みを縫うように先頭に躍り出た。

 

 暫く走っていると後ろから子供の高い声が聞こえた。

 

「あ、あそこが先頭だ。キルアあそこに居る子俺達と同じ年位だよ」

 

「ん、あマドカか。俺達の二つ下だぜ」

 

 そんな声と共にキルアとゴンが私の隣までやって来た。

 

「俺はゴン。君がマドカ?」

 

「うん、私がマドカよ。キルアさっきぶり」

 

「おう」

 

 そう挨拶をすると私達はサトツさんの後ろに着き走り出した。

 暫く走るとゴンが質問をしてきた。

 

「二人は何でハンター試験受けたの? 俺は親父を探してるんだ」

 

「俺はハンター試験が難しいって聞いたからだな」

 

「私は兄に連れて来られたからよ。でも、色々な世界を見て見るのも良いかなって思う」

 

「兄妹で来たのかよ」

 

「お兄さんが居るんだ。見た事ある人かな?」

 

 私の答えにキルアは驚き、ゴンは誰が兄か聞いて来る。

 

「ヒソカって言うんだけど知ってる?」

 

「「ヒソカ!?」」

 

 私が答えると二人が驚きの声を上げ、前を走るサトツさんのオーラが揺れる。

 

「お前ヒソカの妹だったのかよ」

 

「言われてみれば似てるね。髪の色と目の色が」

 

 キルアは少し引き気味に、ゴンはヒソカと私が似ているという。

 確かに外見は結構似ているのだ。

 赤い髪に金の瞳、でも内面は似たくない。

 

「お、階段が見えて来たぜ」

 

「本当だ」

 

「この距離で登るって事はヌメーレ湿原に出るのかな?」

 

 キルアが階段になっているのを発見した。

 原作で知っているが私はヌメーレ湿原にも行った事がある。

 クモのメンバーがタクシー代わりに私を使う為世界各地を歩きまわされたからだ。

 各都市はもちろん秘境や魔境、流星街にも連れて行かれた。

 私が行った事がないのは暗黒大陸位ではないだろうか。

 

「ヌメーレ湿原って何?」

 

「独特な動物とか魔獣が住んでいる所よ」

 

「へー、マドカって物知りだね」

 

 ゴンが純粋に賛辞を送って来た。

 ゴンの余りの純粋さに、私にもそんな時期があっただろうかと考えた。

 考えたが、ないな。という感想に終わった。前世の記憶にない子供時代にはあったかもしれないが、今世ではない。

 

 階段の上の方から光が射し外に繋がっている事が分かった。

 

 

 

「ここはヌメーレ湿原、通称詐欺師の塒と呼ばれています」

 

「嘘だ、そいつは嘘を吐いている」

 

 階段を登り切りヌメーレ湿原に着くとサトツさんが説明をしてくれた。

 そこに新たな登場人物が現れた。猿なんだけどね。

 この猿もしかしてハンター試験の試験官なのかな? 都合よすぎるよね。

 そう考えているとヒソカがサトツさんと猿にトランプを投げ付けた。

 猿は死にサトツさんは残った。

 ヒソカはサトツさんが本物だとわかっていてトランプを投げた。

 オーラを見ればわかるよね。

 サトツさんがヒソカに注意しその場は収まり、ヌメーレ湿原を走り出した。

 ヒソカもサトツさんへの殺気もっと減らせないのかな。

 

「もっと前に行こうぜ」

 

「そうだね」

 

 キルアの案で私達は更に前へ進んだ。

 キルアがヒソカが人を殺したがっていると言い、私は賛成した。

 ヒソカのサトツさんに向けていた殺気はいつの間にか周りにも向かっている。

 

「クラピカ、レオリオ。キルアとマドカが前に来た方が良いって」

 

「行けたら行ってる。ってマドカって誰だ! ……うわー」

 

 レオリオの悲鳴にゴンが後ろに戻って行く。

 それを見たキルアが悲しげな顔をしながら走り出した。

 

「ゴンなら大丈夫だよ」

 

「何でそんな事が言えるんだよ」

 

 私の言葉にキルアは怪訝な顔を向けて来た。

 

「キルアはさっき兄と自分が似ているって言っていたけど、私は似ていないと思う」

 

「はあ! 俺もあいつも人殺しだぜ」

 

 キルアは先ほど自分とヒソカが似ていると言った。

 

「そこじゃなくて。兄は重度の戦闘狂だからゴンの様な伸び代がある相手なら殺さない。寧ろ帰って来られるか心配した方が良いと思う」

 

 私は原作知識とヒソカの妹として過ごしてきた時を考えキルアに答えた。

 原作知識からは帰って来られるのは知っているが、ヒソカの事を考えれば心配するのはそちらだろう。否、連れて帰って来るかな。

 

 そんな会話をしていると二次試験会場にたどり着いた。

 飢えた獣の様な鳴き声が響きわたる。

 どこから帰って来るか分からないので円を広げて気配を探る。

 一方向からヒソカの念が感知でき、その少し後ろから微弱な気配を感じる。

 恐らくゴン達だろう。

 少し待てばヒソカがレオリオを抱え二次試験会場までやって来た。

 そしてゴン達の気配もどんどん近付いて来る。

 

「そんなにゴンが気になるなら兄に聞いて来ようか?」

 

「気になるとかそんなんじゃねーし」

 

 キルアは顔は心配そうに、しかし言葉は淡泊に答えた。

 

「キルアあそこ」

 

「何だよ、……ゴン!」

 

 ゴンがやって来たのを見つけキルアは駆け寄って行った。

 私もキルアに続く。

 キルアがゴンに良く辿りつけたなと聞くと、ゴンはレオリオの香水の匂いを頼りに辿り着いたと言った。

 原作で知っていたけどゴンの嗅覚どうなっているの? 念で強化しても数メートル程度しか分からないけど。

 そしてレオリオが目覚め改めて自己紹介をした。

 クラピカは私がヒソカの妹だと知ると警戒したが、レオリオは驚きはしたが直ぐに受け入れてくれた。

 

 

 




軽く手直ししました


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二次試験

 大きな銅鑼の音が鳴り、大男のブハラさんと際どい衣装の女性メンチさんが現れた。

 二次試験は知識にある通り料理試験になった。

 最初の課題は豚の丸焼きで、私は素早くグレートスタンプという大きな豚を倒した。

 鞄からナイフを出し、血抜きをする。ナイフには勿論周をして強化する。

 その間に枯れた枝を探していたら枯れ木を発見した。

 枯れ木を血抜きしているグレートスタンプの元まで運び、今度は内臓を取り除き、皮を剥ぐ。

 枯れ木を薪にして火炎と氷結(ファイヤー&アイス)で火を付ける。

 じっくりグレートスタンプに火を通して、出来上がったグレートスタンプ丸焼きを試験会場に運んだ。

 

 試験会場では既に合格者が出ており、列も残り少なかった。

 列に並び暫くすると私の番になり、持って来たグレートスタンプの丸焼きをブハラさんに渡し合格した。

 

 次の試験はメンチさんの握り寿司だった。

 私は少し考えた後ゴン達と分かれメンチさんの元にやって来た。

 

「メンチさん少しよろしいですか?」

 

「何? ヒントならあげないわよ」

 

 メンチさんはかったるそうに答えた。

 

「いえ、私握り寿司を知っているのですがこのまま試験受けて良いですか?」

 

「知っているならアドバンテージじゃない、何で私に言いに来たの?」

 

「私が作れるのは素人寿司ですから。知っていると分かれば味で判断されそうだったので、事前に聞きに来ました」

 

 訝しげな顔をしたメンチさんは私の答えを聞き溜息を吐いた。

 

「こんな子供に見極められるとはね。そうね、貴女は創作寿司を作りなさい」

 

 メンチさんとそんな会話をしていると遠くの方からレオリオの「魚!?」という声が聞こえて来た。

 その声と共に受験生達が外に駈け出して行く。

 私は調理台に向かうと調味料や道具に何があるか確認してから湿原にある沼へと向かった。

 

 沼は受験生により濁されており水の中の魚が見えなかった。

 沼を遡り川付近になると水は澄んでおり、魚影も確認できた。

 円を広げなるべく大きな魚を探す。

 一匹の魚に狙いを定めると重力(グラビティー)を使い、魚を岸に上げる。

 巨躯を誇る魚には髭が生えており、ナマズと推定された。

 ナマズを素手で持つとヌメヌメして滑ってしまうので、重力(グラビティー)で持ち上げ試験会場に向かう。

 

 調理台にあった塩で滑りを取り、ワタを取って三枚に下ろす。

 身を少し切って食べて見ると泥臭いので、火を入れる事にした。

 頭と真中の骨のある部分は鍋に入れ出汁を取る。

 皮の付いている部分は皮を取り、ぶつ切りにして行く。

 調味料を取り出しボールに醤油、お酒、生姜、ニンニクを入れ混ぜ合わせぶつ切りにしたナマズを投入した。

 

 ナマズの身に味をしみ込ませている間に鍋の様子を見る。

 大分出汁が出てきている様なので、途中で見つけたミツバを千切る。

 味見をしたが毒などは特になかった。

 ミツバを入れるタイミングを計っているとゴンが側までやって来た。随分落ち込んだ様子で。

 

「うわー、良い匂いだね。鍋で何作っているの?」

 

「ナマズの出汁を使ったおすましよ。ゴンは何で落ち込んでいるの?」

 

「実はさ、料理持って行ったらメンチさんにレオリオ並みって言われちゃって……」

 

「ああ、あれじゃあね。味見した方が良いよ」

 

 私はゴン達の持って行った料理を思いだす。

 そのままの魚をご飯で包んだ物が多かった。あれではメンチさんも食べないだろう。

 

「味見?」

 

「料理ってものはね、自分で食べて美味しいって物を出すのよ」

 

「へー、そうだったんだ」

 

「45番良く言ったわ、その通りよ。なのにこいつ等ときたら味見もせずに持って来るのよ」

 

 私の説明にゴンは納得した様な顔をし、メンチさんは同意する。

 声聞こえていたんだ。

 

 その後多少味の滲みたナマズの身を粉を塗し溶いた卵に着け、熱した油で揚げた。

 油を切ったナマズの唐揚げを握った酢飯の上に載せ海苔を巻いて行く。

 幾つか作った唐揚げ寿司の中で良いものを残し味見した。

 鍋の方も出汁が出たのでミツバを入れ完成だ。

 寿司をお皿に、おすましを御椀に入れメンチさん持って行く。

 

 列に並ぶと直ぐ前に良く喋る忍者さんがいた。

 確か名前はハンゾーさんと言ったか。

 列は進みハンゾーさんの番になると、やり直しと言われたハンゾーがキレ、寿司の作り方を大声でバラした。

 あーあ、ハンゾーさんの前に渡したかったのにな。

 私の番になりメンチさんに寿司を渡す。

 

「へー、から揚げにしたのね。それにおすましまで。……シャリが少し硬いわね、から揚げももう少し味をしみ込ませて欲しいわ。でもおすましは美味しかったわ、やり直しね」

 

 流石美食ハンター。私ももう少し味をしみ込ませたかったのよね。

 

 私は調理台に戻ると取り合えず腹ごしらえをした。

 いやだって、お腹すいていると良い案が出ないんだもん。

 

 私が昼ご飯を食べているとメンチさんがお腹いっぱいになり二次試験が終了した。

 

 空からハンター協会会長のネテロさんが降って来て、二次試験のやり直しが発表された。

 ネテロさん登場でメンチさんに向いていたヒソカの殺気がネテロさんに向かった。

 メンチさんはヒソカの殺気を浴びてイライラしていたのに対してネテロさんは糠に釘、暖簾に腕押し、柳に風とまったく効いていない。流石だと思う。

 

 

 メンチさんが二次試験のやり直しを宣言し、クモワシの卵を使ったゆで卵になった。

 メンチさんが実演した後私達はクモワシの卵を取りに行き、ゆで卵を作り二次試験を合格した。

 

 

 

 




以外に二千文字行きましたので、二次試験後の飛行船の話とくっつける予定でしたが切ります。

活動報告も書かせてもらいます。


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二次試験後飛行船で

 二次試験に合格した私達はハンター協会の保有する飛行船に乗り空の旅をしていた。

 クモのメンバーとの空の旅は密航がだいたいなので安心感が違う。

 

 ゴン達と飛行船を探検して、外の見える窓のある所で話をしていた。

 

「キルアとマドカの両親は何している人なの」

 

 ゴンの質問にキルアは「殺人鬼」と答えゴンは納得した。

 それに対してキルアは虚を突かれた様な顔をした。

 

「ゴンの親父はハンター、うちは殺人鬼、マドカの所は? ヒソカを考えるとマトモそうじゃねーけど」

 

「うちもハンターしているらしいよ」

 

「え、マドカの所もハンターしているんだ。両親とも?」

 

「ハンターかよ。裏の仕事しているのかと思った」

 

 私の答えにゴンは更に質問し、キルアは自分の思った事を言った。

 ヒソカを見ればキルアの意見も的を射ているよね。

 

「両親ともよ。父親とはあった事がないからどんな人柄かは知らないけど」

 

「へー、俺と一緒だね」

 

 ゴンの返答にそう言えばそうだなと納得した。

 ヒソカがいるからかなり濃くて両親の事思いだしている暇がなかったんだよね。

 そんな事を考えていると後方から人の気配がした。

 気配はほとんど感じない達人のそれで、私は警戒して円を広げる。

 ……ネテロさんか。

 ネテロさんは茶目っけたっぷりに笑った。

 そして殺気。

 ゴンとキルアが殺気に反応して飛び上がる。

 私はネテロさんの移動を感知して右側を向く。

 キルアの素早い爺さんという言葉にネテロさんは惚け、ゲームを提案して来た。

 私にも念文字で念は禁止と伝えると、私達を伴い広い部屋に向かった。

 

 ゲームに最初に挑戦したのはキルアで、キルアの見せてくれた技に関心した。

 次はゴン。

 ゴンは最初大きく飛び上がり天井に激突し、大きな隙を逃したが靴を足の指で挟み距離を縮める事で隙を作ったが失敗した。

 最後は私の番だけど、ネテロさん念禁止って言っていたけど使っているんだよね……。こっちは念禁止でネテロさんは緊急時念を使えるでは勝ち目がない。

 

「私は止めておくよ、それよりシャワー浴びたいから。じゃあまたね」

 

 私はそう言うとさっき見つけたシャワー室を目指した。

 

 

 シャワーを浴び終わり髪を乾かしているとキルアと会った。

 

「キルア人殺して来たでしょ、死臭がするよ。シャワー浴びたら? ゴンに気付かれるかもしれないよ」

 

「そうだな、つい興奮しちまった」

 

 匂いを辿りに試験会場まで辿り着けたゴンを考えると、気付きそうだ。

 キルアもそう考えたのか素直にシャワー室に向かって行った。

 

 ……、死体ってどうすれば良いんだろう? 試験官さんに言えば良いか。

 キルアの通って来た道、さっきまでゲームをしていた通りを歩いて行くと死体を発見したので、試験官の控室に向かった。

 

 

 試験官の控室に辿り着くとノックした。

 出て来たのはメンチさんで、メンチさんに死体のある場所を言ったら係りの者が掃除するから大丈夫よ。と答えられた。

 そんな係りってあるんだ。

 

「そんな事よりアンタ、少し話して行かない? お茶ぐらい出すわよ」

 

「え? 良いんですか?」

 

 美食ハンターの入れたお茶が飲めるとな。

 メンチさんに招かれ室内に入るとサトツさんとブハラさんがいた。

 

「今丁度あんた達の話をしていた所なの、あんた44番の妹って本当なの?」

 

「はい、本当です。……ありがとうございます」

 

 メンチさんにソファーを進められそこに座った。

 メンチさんからの質問に答えているとお茶を差し出してくれた。

 

「気配が全然違うよね。44番が狂人なら45番は随分マトモに思えるね」

 

 ブハラさんの言葉に私は何故か安心した。

 ヒソカと似ているなんて言われたら、寝込める自信がある。

 

「それにしてもハンター試験に念能力者が3人。随分豪勢ですね」

 

「そうよね、それだけじゃなくルーキーが良いわよ。あんたからみて他の受験生はどう?」

 

 サトツさんが豪勢と言うとメンチさんが賛成し、私に話を振って来た。

 

「そうですね、44番と302番(ギタラクル)は除くとして。100番・192番(ボドロ)295番(ハンゾー)・404番~406番が良いのではないでしょうか」

 

 私は私見だがこれから強くなりそうな者、一度手合わせしてみたい者を言った。

 手合わせしてみたい者は192番ボドロさんだ。本気を出せば簡単に勝てるが、念なしで一度手合わせしてみたい。単純な技術の面ではボドロさんの方が上だ。

 

「そうね、そいつらが上がって来そうよね。そう言えば会長出て行ったきり帰ってこないわね」

 

「ネテロさんなら受験生と遊んでいましたよ」

 

 メンチさんの疑問に私は答えた。

 ネテロさんのあのゲームは、ゲームというよりただの遊びだ。

 勝てばハンターにすると言ってはいたが、絶対に勝たせるつもりはない。

 はっきり言ってネテロさんの暇つぶしでは? と感じてしまうほどだ。

 

 それから暫くメンチさん達と話し、私は試験官室を後にした。

 最初に通された広間に着くとヒソカはトランプタワーを作り、クラピカとレオリオは眠っていた。

 私は端に置いてあるタオルケットを二枚取るとヒソカの元へ向かった。

 

「随分楽しんでいたみたいだね♡」

 

「ヒー兄眠らないの? 私は眠いのだけど」

 

 そう、私の瞼は随分下がって来ている。

 子供の身体とは不便なものだ。

 

「こっちにおいで♢」

 

 ヒソカは胡坐をかき、膝を叩くと私を招いた。

 

「ここで寝ればいいよ♡」

 

 膝枕か、枕があるのは嬉しいな。

 ヒソカはしょっちゅう襲ってくるが、かわせばいいだけ。

 私ヒソカの元へ向かい、ヒソカの膝を枕にした。

 キルアやまだ起きている受験生が驚いた顔をしたが、気にしてはいられない。眠いのだ。

 ヒソカに結っていた髪を解かれ、私は眠りに落ちて行った。

 

 

 

 シュッ!

 風切り音と共に殺気が私に叩きつけられる。

 私は腕を持ち上げ、私に向けて下ろされる凶器持った腕を掴む。

 

「ククク、おはようマドカ♡」

 

「び、吃驚した。もっと普通に起こしてよ」

 

 トランプを私の喉元に着きつけようとしていた爽やかなヒソカの笑顔に私は眉間に皺を寄せた。

 ヒソカに襲われても既に心臓は高鳴なる事はなかった。

 

「一発で起きれただろう♢」

 

「そりゃあ起きるよ、起きないと死ぬもん」

 

 私は何度ヒソカの爽やかな笑顔に拳を叩きつけようと思った事か。

 マチに話したらマチも頷いていた。

 

「まあまま♢そこに座りなよ♡」

 

 頬を膨らませていた私の頬を押しながらヒソカは言った。

 私はヒソカの前に背を向けて座った。

 ヒソカは櫛を取り出すと私の髪を梳き出した。

 何故かヒソカは私の髪を梳いて結うのが好きなのだ。

 手先が器用なので結うのが上手い為、私は任せている。

 

「はいできた♡」

 

「ありがとう」

 

 私はヒソカに礼を言って食堂に向かった。

 ヒソカと一緒に行かないのかって? ゴン達とご飯が食べたいからだよ。ヒソカが一緒だと引かれるからね。

 私が周りを探るとキルアは壁に寄り掛かって寝ていた。隙がないので話しかければ直ぐに反応するだろう。

 クラピカとレオリオはまだ起きそうにない。

 

「キルアおはよう、ご飯食べに行かない?」

 

「おう、おはよ。ってかヒソカと仲良かったんだな」

 

「うん、仲は良いと思うよ」

 

 キルアの引いた様な顔に私は苦笑した。

 

「あれでも良い所はあるのよ」

 

「はあ! マジかよ」

 

 キルアの驚きに心の中で面倒見はいいよ、鬼畜だけどと呟いた。

 

「それよりゴン迎えに行こう」

 

「そうだ。ゴンどこに行った? ここには来なかったみたいだが」

 

「昨日ネテロさんとゲームした所だよ」

 

 円で確認したので確かだ。

 

 その後ゴンを起こし、シャワーを浴びさせてから朝ご飯を食べた。

 この頃にはクラピカとレオリオも起き出しており、五人で一緒にご飯を食べた。

 

 

 

 こうして飛行船は無事三次試験会場トリックタワーに辿り着いた。

 

 

 

 

 




二次試験とこの飛行船の話はセットにすると森でしたが、思いのほか筆が進んだので分けたものです。
当初は二次試験と合わせても今回の文字数ぐらいかな? と思っていました。予想外です


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三次試験

 トリックタワーに私達受験生が下りると、72時間以内に下まで降りて来るように告げられた。

 飛行船から降りる時トリックタワーに念で書かれた〝外周から降りるのを禁止する〟という文字を発見した。

 

 塔を観察しているとロッククライマーの受験生が塔の外周を降り始めた。

 素早く降りて行くロッククライマーを見ていると、顔が人面の怪鳥が現れ連れ去られてしまった。

 やはり隠し扉を探すしかないと、隠し扉を探し始めた時首筋にチリリとする殺気を感じて後ろに飛びのいた。

 瞬時に襟首に伸ばされた腕を払うと、払った腕を掴まれ捩じり上げられた。

 

「「「「ヒソカ!?」」」」

 

 ゴン、キルア、クラピカ、レオリオが声を上げる。

 私は殺気を放たれた時点で気付いていたので上を見る。

 

「マドカを放せ!」

 

 ゴンが私を助けようと声を上げた。

 

「今の君達に用はない♠用があるのはマドカだけだ、下で待っているよ♡」

 

「ゴン私は大丈夫だから、下で待っているね」

 

 ゴンに何とか答えると、私はヒソカに担がれて連れて行かれる。

 ヒソカに連れて来られたのは一つの隠し扉だった。

 そこから降りると下には既にギタラクルさんが居た。

 ヒソカが私の後から降りて来るとブザーが鳴り何処からか人の声が聞こえた。

 

『ようこそ〈地獄の道〉へ。その道は三人揃う事で先に進める』

 

 

 

「三人だけだし針抜こうかな」

 

 そう言うとギタラクルさんは針を抜きイルミさんになった。

 

「相変わらず面白いね♡」

 

 面白がっているヒソカを置いてイルミさんが歩き出した。

 

 三人で塔を攻略し出して直ぐにワラワラと囚人が出て来た。

 ヒソカはトランプで斬り殺しイルミさんは針を投げ、顔を変える時の痛みで引かせて行く。

 私は撃ち洩らされた囚人を気絶させて行く。

 

「何だい二人とも殺さないのかい?」

 

「仕事じゃないからね」

 

「殺さなくて良いなら殺さないよ」

 

 ヒソカの質問にイルミさんは抑揚のない声で答えた。

 私は何時もの通りだ。

 

 その後進んでいくと大きな広間に出た。

 ただし私達の居る地点から十メートル下に剣山の様に針というより槍が刺さり、刃の部分が上を向いている。

 

「これだと堅をしていても痛いかな」

 

 下を覗き見て言う私の言葉にヒソカとイルミさんは頷く。

 

「反対側に通路があるからあそこまで飛べば良いんじゃない?」

 

「そうだね♢僕は伸縮自在の愛(バンジーガム)で飛んで行くけど君達は如何する?」

 

「俺は壁を走るよ」

 

「私は重力(グラビティー)で渡る」

 

 そう言うと私達は行動を開始した。

 ヒソカは天井に念を飛ばしてそれを起点に飛び、イルミは壁を走り出す。

 私は重力(グラビティー)で重力を操作して一直線に通路へ向かう。

 

 通路に着いた私達が進むと、また囚人が現れた。

 先程と同じくヒソカは殺し、私とイルミは殺さなかった。

 そんな通路を進んでいくとまたしても大きな広間に出た。

 今度の広間は下に通路がある訳ではなく、同じ高さに通路があった。

 しかし通路の真ん中には穴が開いており、そこにポコポコを泡が浮き出るいかにも怪しい水が張られていた。

 

「いかにも怪しい水と、これは板かな?」

 

 私は脇に置いてあった板を掴むと水の中に落とした。

 そうするとジュワジュワ音を立てて板が溶けだした。

 

「うわー、これ酸だよ」

 

 抑揚のない声でイルミさんが言う。

 酸って……、この場所の材質どうなっているの?

 

「さっきと同じ方法で渡れば良いさ♠」

 

「そうだね」

 

 ヒソカの決定に私もイルミさんも賛成した。

 

 渡った先の通路にはまたしても囚人が居て襲いかかって来る。

 既に単純作業とかした囚人撃退をしつつ私達は会話をしていた。

 

「針山地獄の後は血の池地獄か、酸の池だったけど。次はなんだろう糸かな?」

 

「何その針山地獄とか血の池地獄って」

 

「ジャポンで語られている地獄の話し。地獄の道って言っていたし関係あるのかなと思って」

 

「ふーん」

 

 私との会話しながら、内容に興味がないのかイルミさんの答えは抑揚が何時も以上に少ない。

 

「今までのパターンだとそろそろ次の罠があるんじゃないかい♢」

 

 ヒソカの言葉に通路の先を見ていると通路が途切れていた。

 途切れた通路の所に着くと下を覗き見た。

 

「百メートル位の穴が開いていて、あるのは糸だけ」

 

「こんな糸じゃあ簡単に切れるよ」

 

 私の言葉にイルミさんが補足した。

 

「これじゃあ堅をして飛び降りるしかないね♠マドカは念を使えば行けそうだね♡」

 

「それしかないね」

 

 ヒソカとイルミの会話で今後の方針が決まった。

 ヒソカとイルミは堅、私は重力(グラビティー)を使い穴に飛び込んだ。

 

 二回ドンッと音を鳴らしヒソカとイルミが穴の下に着地した。

 私は重力を少しずつ変え静かに着地をする。

 私達は脇にあった通路を更に下り出した。

 

「人がいるねえ♠試験官かな?」

 

 ヒソカの言葉通り通路の先には人が一人居そうだ。

 通路を通り小さな空間に入ると一人の男がいた。

 

 

 

「ヒソカ待っていたぞ」

 

「ヒー兄知り合い?」

 

「さあ?知らない奴だよ♠」

 

 待ち構えていた人はヒソカの知り合いらしい。……ヒソカは忘れ去っているようだが。

 

「何だと!? 俺は貴様の事を忘れた日はこの一年、一分たりともない!」

 

 そんな言葉と共に二人の戦闘は幕を開けた。

 相手の人は四刀流の使い手で、去年ヒソカが半殺しにした試験官だった。

 ヒソカが相手の四刀流を軽々真似し、相手を殺した。

 

「怪我しちゃった♢マドカ治してくれよ♡」

 

「しょうがないな、手貸して」

 

「はい♡」

 

 ヒソカの手を取り癒しの口づけ(ヒーリングキス)を発動した。

 

「ありがとう♡」

 

 

 ヒソカが相手を殺し小部屋を見ると小部屋の扉の所に『ここを通れるのは一人のみ、他の受験生を殺せ』と書かれていた。

 

「これって扉壊しちゃいけないの?」

 

「それが一番手っ取り早いねえ♢マドカgo♡」

 

「え、私?」

 

「言い出しっぺはマドカだろう♢」

 

 私は肩をガックリ落とし硬をして扉を殴った。

 ガコンと音を立てて扉は吹っ飛んで行く。

 

 

 

『44番、45番、302番第一号~第三号合格。所要時間3時間13分』

 

 そんな声をスピーカーから聞き私達は第三次試験を通過した。

 

 その後私達はトランプをして時間を潰した。

 私達の次にクリアしたのはハンゾーさんで、トランプをしないか誘ったけれど断られた。

 イルミはハンゾーさんの気配がした時点で顔に針を刺し、姿を変えている。今後はギタラクルさんと呼ぼう。

 ゴン達は原作通り制限時間ギリギリにクリアした。

 

『三次試験合格者26名、内1名死亡』

 

 そうアナウンスが流れた。

 

 

 

 




針が顔に刺さっている時→ギタラクルさん
素顔→イルミさん
と表示しています。


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四次試験

「三次試験を通過した順番に籤を引いてくれ」

 

 説明では自分のプレートが3点、籤を引いた番号のプレートが3点、その他のプレートが1点だった。

 ようは自分のプレートを守りつつターゲットのプレートを狩れという事のようだ。

 そして試験官の説明にまずヒソカが籤を引いた。

 

「質問です。自分のプレートだけで6点になる事はあるのですか?」

 

 私の質問に試験官はニヤリと笑い答えた。

 

「ある、運も実力のうちだ。自分の受験番号と同じ数の籤を引いたものはその時点で6点。しかし奪われてしまう事もある」

 

 その答えに受験生の目がギラギラ輝き出す。

 ま、自分の番号なんて引ける訳ないけど、私運ないからね。あったらヒソカの妹なんてしていなし。

 その後ギタラクルさん、私と引いて行く。

 

 全員が籤を引き終わりゼビル島行きの船に乗った。

 

 

 

「マドカ凄いや、随分早かったんだね」

 

「三番か、頑張ったじゃねーか」

 

 船に乗って少しゴンとキルアが話しかけて来た。

 本当は同着だけど籤の順は三番目だったからね。

 

「そんなことないよ、殆ど真っ直ぐ進んでいただけだし」

 

「はあ!? そんなんで合格できたのかよ」

 

「えっとね兄とギタラクルさん、顔に針刺している人ね。と一緒の道だったから、後ろを着いて行っただけ」

 

 私の説明にキルアは「ふーん」と答えた。

 ゴンは「それでも凄いや」と言っている。

 

「それでマドカのターゲットは誰? 言えなかったら別に良いけど。それよりプレート隠さないんだね」

 

「安心してゴン達がターゲットじゃないから、私のターゲットは282番よ。プレートを隠さないのは、既に目立って番号覚えられているから今更隠しても意味ないからね」

 

 私のターゲットが自分じゃなかった事にホッとするゴンとキルア。

 

「俺のターゲットは199番だ、誰だか覚えているか?」

 

「えーと、確か大中小の三人組じゃなかったけ?」

 

 原作知識もあるが、もう大分薄れている。紙に書いておく事も考えたが、読まれてしまう可能性がある為書いていない。

 文字は違うがヒソカはあれでかなり頭が良い。それにジャポンの字が日本語と同じだ。

 

「お、サンキュー」

 

「で、ゴンは如何したの?」

 

 私達の話を聞いている間ゴンは笑ったり、顔を顰めたりしていた。

 楽しそうであり不安そう、二つの相反する思いがぶつかっている様に見えた。

 

「こいつのターゲット44番だったんだ。そう言えば分かるだろう」

 

「あらら。でも正面から戦う試験じゃないし取れるかもしれないよ」

 

「そっか……」

 

 私の言葉を聞いたゴンは何故か嬉しそうだ。

 

 船がゼビル島に着きハンター試験の助手さんが説明してくれる。

 出発する順番は三次試験を通過した順番。同着の場合は番号の若い順に出発するという物だった。

 この順番だと二番目になるのか……。

 

 ヒソカが出発すると少しした所で止まってしまった。

 

「ヒソカ、テメー何で止まるんだ!」

 

 受験生の罵声にヒソカは不気味に笑っている。

 

「ククク、マドカと一緒に行こうと思ってね♡」

 

 あ、独りで過ごすって夢が消えた……。

 

「二番目の方」

 

 助手さんの言葉に私は歩き出す。

 ヒソカの所まで歩くとヒソカが手を差し出して来た。

 手を握れって事ですね、分かります。

 うわー、独りにさせてくれるつもりまったくないな。

 

「マドカ、試験前受験生見ていただろう♠僕のターゲット384番何だけど覚えてないかい?」

 

 ヒソカは知っていても知らなくともどうでもいいよ、とでも言いたげに言った。

 

「確かアフロに帽子を被った吹き矢持っていた人だよ。五番目に三次試験通過した人」

 

「うん、ありがとう♡」

 

 ヒソカと話していて、ヒソカの着ている服が気になった。

 

「三次試験で切られた服、血が着いちゃったね」

 

「そうだね、好血蝶が寄って来る♠」

 

「スタート地点が見える所で待ち伏せしないの?」

 

「それじゃあつまらないだろう♢だから円も禁・止♡」

 

「えー……プギュウ」

 

 ヒソカに膨らませていた頬を手で潰された。

 いかんいかん、幼児化している。

 監視している試験官も居るのに……。

 

 それから二日、ギタラクルからヒソカに電話がかかって来た。

 内容はヒソカのターゲットについて。

 これをヒソカは断った。

 もう知っているもんね。

 この電話がかかって来る少し前、ヒソカに警戒し過ぎたゴンの気配を感じた。

 ヒソカを警戒しすぎて私への気配の消し方が甘かった。

 今は完全に気配が同化してしまって私も分からない。

 うーん、ゴンの為にもヒソカと分かれた方が良いかな。

 

 夕暮れ時一人の男がヒソカに手合わせを挑んできた。

 槍を振るう男にたいしてヒソカはかわしてばかり。

 それに気づいた男がヒソカを問いただすがヒソカは重傷を負って、今にも死にそうな相手に用はないらしい。

 男の最後の特攻の最中、男に向かって針が飛んできた。

 茂みの中から出て来たギタラクルさんは更に針を飛ばす。

 死んでしまった男を前にヒソカとギタラクルが話をしている。

 やがてギタラクルは顔の針を外し素顔になると、土を掘り土の中でタイムリミットまで眠ると言って眠ってしまった。

 

「ヒー兄、私もプレート取って来る。またね」

 

 ヒソカが捕まえる気を起こさない内に距離を取る。

 

「まったくしょうがないなあ♢また後で♡」

 

「ヒー兄、良い事あるかもよ」

 

「ふーん♠楽しみにしているよ♡」

 

 そう言って私はヒソカと分かれた。

 

 ヒソカと分かれた私は誰かに着けられていた。

 後方五十メートル程か。望遠鏡か何か持っているのかな?

 大きな木の幹に隠れ私を着けている人が動くのを待つ。

 その人が動いた所で足元に落ちていた石を拾い投げ付けた。

 

「痛っ!」

 

 小さな、だが確かな声を聞き、相手が怯んでいる内に相手の元まで駆ける。

 首元に手刀を叩きつけ気を失わせた。

 持っていたバックを探りプレートを取る。出て来たプレートは34番、そのプレートをポケットに入れた。

 まあ、そうだよね。都合良く私のターゲットの訳ないか。

 私は溜息を洩らしつつ背後を振り向いた。

 

「もしかしてこの人、小父さんのターゲットだった?」

 

 私の言葉と態度に木の陰から年配の男性が出て来た。

 

「ほう、気付いておったか。中々油断できないお嬢さんだ」

 

「私はマドカ、貴方は?」

 

(それがし)はボドロと申す。察しの通りその者は某のターゲットだ」

 

 私とボドロさんは自己紹介をした。

 

「相談なのだが、某の持っているプレートとそのプレート交換してくれんか?」

 

「良いですよ」

 

 ボドロさんの言葉に了承すると、とても驚いた顔をされた。

 

「戦って取ろうとは思わんのか? マドカならできよう」

 

「別に話し合いで解決できるのならそれに越した事はありませんし」

 

「ハハハ、ヒソカを警戒するあまり同一視していた」

 

「兄と同一視なんてしないで下さい!」

 

 笑い出したボドロさんにプリプリ怒る私。

 笑いを納めたボドロさんはプレートを一枚差し出して来た。

 

「某が取ったプレートだ」

 

「ありがとうございます。……あ、私のターゲットのプレート」

 

「何と! それは良かった」

 

 プレートに書かれていた番号は282番。

 そのまったくの偶然に顔を綻ばせる私達。

 

「これは提案なのだが、試験終了まで一緒に行動せんか?」

 

「私とですか? 良いですよ」

 

 ボドロさんの提案に乗り、私達は四次試験終了まで共に過ごした。

 

 

 

 

 




次回は別視点になります。
数話分書き溜めてあるため、それまで毎日投稿します。


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キルア

キルア視点になります。


 俺はキルア=ゾルディック、暗殺一家の三男だ。

 人を殺す事に躊躇いはない、暗殺者としても向いているだろう。家族からの期待も俺に向いた。

 だが足りないものがある。

 それは友達だ。

 友達が欲しいと思うようになり、家がまるで鳥籠の様に感じるようになった。

 俺の周りには家族と家に仕える執事のみ。

 家族は暗殺者としての俺に執着し、執事は一歩引いて物事に当たる。

 昔、執事見習いの少女に友達にならないか聞いたが、友達にはなってはくれなかった。

 そんな事を考えている時ヒステリックなお袋と直ぐ上の兄貴を見て無性に腹が立ち、二人を刺して家を出た。

 

 

 家を出た俺は最難関といわれるハンター試験を受ける事にした。

 試験会場はザバン市、調べた通りに定食屋でステーキを注文する。焼き方は弱火でじっくり。

 エレベーターを降りて行くと、豆みたいな奴から100番の番号札を渡された。

 ちぇー、結構早く来たつもりなのに前に99人居るのかよ。

 俺はそうぼやきつつも周りを確認する。

 そうしたら一人やばい気配の奴がいた。44番の番号札を持っている奴だ。

 

「やあ、君ルーキーだろう。俺はトンパ、ハンター試験のベテランさ」

 

 俺の前に四角い鼻の太ったおっさんが現れ、色々説明してくれる。

 俺はそれを右から左に適当に聞き流しながら聞いていた。

 

「お近づきの印にこのジュースあげるよ」

 

 ふーん、毒入りのジュースね。ま、俺には効かないけど。

 くれるって物は貰っておけば良いか。

 

 俺はおっさんと分かれた後、適当に試験会場を歩いていた。すると正面から微かに気配を感じた。

 そこには赤い髪を腰まで伸ばし金の瞳の俺と同じ年か少し年下位の子供がいた。

 名前はマドカ、年齢は俺より二つ下の十歳だった。

 チッ、俺が最年少だと思ったのによ。

 その後マドカと少し話、分かれた。

 

 一次試験が始まり、俺はスケボーに乗り進んでいた。

 暫く進んだ時前方に俺と同じぐらいの子供が二人の人間と話していた。

 仲良し組か。

 そいつらはゴン、クラピカ、レオリオといった。

 まさかレオリオが俺と同じ十代だとは思わなかった。

 

 ゴンと二人前に行く事にして、進むとマドカがいた。

 マドカとゴンが自己紹介し俺達は一緒に走り出した。

 階段を上り出した所でゴンと出口まで競争する事にした。

 絶対俺が勝つ!

 

 ヌメーレ湿原に出て、人面猿という奴が現れた。

 サトツと猿にヒソカがトランプを投げ付けサトツだけがトランプを受け止めた。

 なんでトランプが刺さるんだ!

 

 またマラソンが始まりヒソカが興奮し出した。あれは人を殺す。

 ゴンとマドカを連れ先頭に出た。

 何故先頭に出たかゴンに説明すると、ゴンはレオリオとクラピカに前に来るように叫んだ。

 緊張感ねーな。

 レオリオの悲鳴が聞こえ、ゴンがレオリオの元に戻って行った。

 く、ヒソカに殺される! 俺も行くか? いや、俺じゃあヒソカに勝てない。

 勝てない相手に向かって行くな。そんな兄貴の声が聞こえた気がした。

 くそ、こんなんだから友達ができないんだ。

 そんな俺に気付いたのかマドカがゴンは大丈夫だと言った。

 しかも俺とヒソカは似てないという。どう言う事だ。

 

「おいマドカ、アイツの妹だろ。何とかならないのか?」

 

「無理」

 

「即答かよ!?」

 

 ま、しゃーねえ。

 ヒソカに対抗できる奴なんていないか。

 こうして俺達は二次試験会場に辿り着いた。

 

 二次試験会場からは獣の鳴き声が聞こえた。

 少しするとマドカがゴンを見つけた。

 良かった無事か。

 

 その後豚の丸焼き、握り寿司という料理試験になった。

 豚の丸焼きは分かるけど握り寿司って何なんだよ!

 クラピカのおかげで魚料理って事が分かったが、レオリオが周りにまで聞こえる声で叫んだ。

 何とか寿司の様な物を作りメンチに出したが合格する事は出来なかった。

 マドカが味見と言っていたが、味見って何だ?

 

 結局二次試験の合格者は出ず、会場は騒然とした。

 そんな時飛行船から一人の爺さんが降って来た。

 かなりやるな、親父ともやりあえる。

 その後マフタツ山のクモワシの卵でゆで卵を作る試験に変わった。

 谷に飛び降り卵を取って風に乗ろうと風を待っている時、マドカは崖を蹴ってひとっ飛びに上に戻って行ってしまった。

 何だアイツ猿か!? なるほどヒソカの妹って言うのもあながち間違ってないな。

 無事ゆで卵ができ二次試験を通過した。

 

 飛行船に乗り、俺はゴンやマドカと一緒に飛行船を探検した。

 途中夜景を見つつゴン達と話をした。

 ゴンに両親は何をしているのか聞かれ「殺人鬼」と答えると直ぐに納得した。

 直ぐに信じやがった。面白い奴。

 マドカの話になり、マドカの両親はハンターをしている事が分かった。

 マドカとあって一日も過ぎていないが、マドカは闇の住人だ。ヒソカ程でもないが闇の匂いを感じる。

 そんな時殺気を感じ振り向くと、誰も居なかった。いや、隣から話しかけて来た爺さんだ。素早いな。

 爺さんがゲームをしないか誘って来た。

 そのゲームに勝てばハンターにしてくれるらしい。

 ゲームのルールは飛行船が次の試験会場に着くまでに爺さんからボールを奪う事だそうだ。

 俺が最初に出て、開始早々に肢曲を使った。しかし、簡単に見極められてしまった。

 蹴りを爺さんの足に入れたのに俺の方が痛かった。

 何て硬い身体だ!

 

 ゴンと順番を変わった。

 ゴンは開始早々ジャンプをした。が、天井まで飛び頭をぶつけてしまった。

 せっかく爺さんが油断してたのに。

 マドカは俺とゴンの挑戦を見て参加を諦め、シャワーを浴びに行った。

 

 その後交互に挑んだが一向にボールを取る事ができなかった。

 ゴンと同時に挑みもしたが、あと一歩という所で奪う事ができなかった。

 あと一歩といっても爺さんにかなり手加減されているが。

 ハー、ここまでにしておくか。

 

 爺さんに挑むのを止め廊下に出ると人とぶつかった。

 咄嗟に気が高ぶり殺した。

 シャワーでも浴びるか。

 シャワーを浴びにシャワー室に向かっているとマドカと会った。

 マドカに死臭がすると言われ、良く洗う事にした。

 

 シャワーを浴び終わり広間に行くとマドカは居なかった。何処で油をうっているんだ?

 マドカが帰って来るとヒソカと会話を始めた。

 会話が終わるとマドカはヒソカの膝を枕に寝てしまった。

 オイ! そこで寝るのかよ!?

 

 翌朝ゴンを起こし、飯を食べた所で三次試験会場に到着した。

 

 三次試験会場は大きな塔で、その降り方を模索した。

 ロッククライマーが壁を降りている途中で怪鳥に捕まり、周りから降りる事ができない事が分かった。

 そんな時マドカが飛びのいた。

 マドカの動きは早く俺でも反応できるか分からない。

 しかしマドカは簡単に捕まってしまった。ヒソカだ。

 ヒソカがマドカを連れて行った後、隠し扉を発見し下に降りた。

 

 ゴン達と分かれて攻略かと思ったら同じ道だった。

 『多数決の道』らしい。

 最後の一人はトンパのおっさんだった。足引っ張らなければいいや。

 

 その後多数決をしながら道を進んで行く。

 トンパのおっさんは足を引っ張る気満々らしい。

 

 俺達は闘技場に辿り着き、囚人と試合をすることになった。

 第一試合はトンパのおっさんが出て、土下座して負けた。

 第二試合はゴンが出た。ゴンの試合はどちらが長く蝋燭を灯していられるかだった。

 相手は奇策を使って来たが、ゴンはそれを破り勝つ事ができた。

 第三試合はクラピカだ。クラピカの相手は幻影旅団の元メンバーと言っていたが、あれは嘘だろう。が、蜘蛛の刺青を見た瞬間クラピカの目が赤くなって、あっという間に相手を倒してしまった。

 暫く経ち気絶したままの相手を見て時間稼ぎをしているのが分かった。

 レオリオが確かめようと言った時、相手が試合を申し込んできた。

 レオリオの勝負方法は賭けになった。

 アイツ起きる気がないんじゃないか?

 レオリオの行動でクラピカの相手が起きている事が分かった。

 感心したのもそこまでで、レオリオの奴相手の策にまんまと嵌りやがった。

 結局レオリオの負けで終わった。

 最終試合は俺の番、いっちょやってやるか。

 俺の相手は連続殺人犯だった。

 けど結局アマチュアじゃん、俺元プロだし。

 相手の心臓を抜き去り、あっさり勝負がついた。

 

 進んだ先の小部屋で五十時間過ごす事になった。

 ゴン達と過ごす時間はこれまでになく楽しいものだった。

 

「あーあ、マドカがいたらもっと楽しかったのにな」

 

「そうだな、マドカがいたらもうとっくにここから進んでるな」

 

「おいおい、マドカはお前達の二つ年下だろう?」

 

 俺達の会話にレオリオが加わって来た。

 

「アイツあれでヒソカの妹だ。かなり強いぜ」

 

「そういえばそうだったな……」

 

 レオリオは納得した様な顔をした。

 その後50時間その小部屋で過ごし俺達は進んだ。

 

 更に進んだ先で『長く困難な道』と『短く簡単な道』という選択をする事になった。

 『長く困難な道』は五人で進められて『短く簡単な道』は三人でしか進めない。

 残り時間は一時間を切っている『短く簡単な道』しかない。

 レオリオとトンパのおっさんが争い出した。そんな時ゴンが『長く困難な道』へ行って通過する事ができると言いだした。

 俺達はゴンを信用して『長く困難な道』を選んだ。

 ゴンは置いてある武器で『長く困難な道』から『短く簡単な道』に入る事になった。

 道を壊すとは良く考え着いたな。

 こうして俺達は三次試験を通過した。

 

 四次試験はゼビル島という所での狩りだった。

 引いた籤の相手がターゲット。

 ゴンやマドカとターゲットの確認をするとゴンは44番ヒソカだった。

 ゴンはやる気を見せている。

 俺はターゲットが分からなかったが、マドカが憶えていてくれた。

 簡単な特徴を聞きターゲットを知る事ができた。

 

 ゼビル島に着き次々と受験者が出発して行く。

 俺の番が来て、俺も出発した。

 ゼビル島に着いて暫く、着けられている事が分かった。

 ま、隙なんか見せないぜ。

 相手の元に仲間が現れ、まだ俺から受験札を取ってないのか責める。

 バーカ俺から受験札取れるかよ。

 ん、待てよ。こいつら俺のターゲットじゃないか?

 ラッキー。

 俺は即座に動き相手の後ろを取る。

 手を変形させ相手の首に突き付ける。

 相手は簡単に受験札を渡してくれた。

 いらない札は、っと。

 前と後ろに思いっきり投げ捨てる事にした。

 いやー、良い仕事したぜ。

 後は受験札をタイムリミットまで守れば四次試験通過だ!

 

 

 ゴンとマドカは友達になってくれないかな……。

 

 

 

 

 




少し長くなりました。

ヨークシン編まで書けているので、それまでは毎日投稿予定です。

キルアとの友達フラグが立った模様。
オリ主も友達のいないボッチなので友達を欲しいと考えています。
しかし、オリ主の関係ある人物がヒソカとクモメンバーという時点でお察し下さい。


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最終試験

 四次試験が終わり、ボロボロのゴンと合流した。

 流石にキルアは余裕そうだ。

 飛行船に乗り会長の面接を受けた。

 内容は何故ハンターになりたいのか、自分以外で一番注目している相手は誰か、今一番戦いたくない相手は、という事だった。

 私はハンター試験には兄に無理やり連れて来られたと答えた後に、色々な世界を見て見るのも楽しみと答えた。

 注目している相手は100番キルアと406番ゴンと答えた。

 今一番戦いたくない相手は44番ヒソカと答えた。ゴン達共戦いたくないけど、今ヒソカと戦って勝てるとは思えない。

 

 最終試験会場に着きネテロさんから最終試験内容が発表された。負けた者が上って行く逆トーナメント。

 失格者はたった一人。ずっと負け続けるかルール違反、人を殺すと負けだそうだ。

 ヒソカとギタラクルさん対策に思えるのは私だけ?

 ルールとしては殺してはいけない事は勿論、相手に参ったと言わせる事だった。

 私の対戦相手はレオリオだ。

 対戦表は左からハンゾー・ゴン・ポックル・キルア・ギタラクル・ボドロ・クラピカ・ヒソカ・レオリオ・私の順で、ハンゾー対ゴンが一番多く五回戦え、負けた方がポックルと戦う、更に負けた者がキルアと、そしてギタラクルさんと戦う。その後はブロックが少しずれ、クラピカ対ヒソカ、負けた方がボドロさんと戦う。私対レオリオで戦い、ボドロさんと戦い負けた相手と私かレオリオが戦う。

 対戦回数が違うのは今までの試験の結果と身体能力、印象値だった。

 これに対してキルアはお冠だ。

 

「まーまーキルア、結構印象値が大事みたいだよ。ハンターの資質で考えたら私達はゴンに遠く及ばない。確かな目標のあるゴンと何となくで参加したキルアと私じゃ、差があるのは仕方ないよ」

 

 苦笑しながら説明する私にキルアは息を吐く。何となくでも納得してくれれば良いな。

 印象値を重視しているなら私の戦闘回数も妥当かな。自分からハンター試験を受けに来た訳でもない私がそうそう何回も戦える訳ないよね。

 

 始めの対戦はハンゾー対ゴン。

 ハンゾーとゴンではハンゾーの方が戦闘力は高いけど、ゴンは参ったとは言わないだろう。

 それこそ対戦前に事前ルールを作って気絶した方が負け、とでもしておかないとハンゾーに勝ち目はないと思う。

 ハンゾー対ゴン戦はだいたい予想通りに進んでいく。

 ハンゾーがゴンにたいして拷問を続けるが、ゴンは一向に参ったと言わない。

 これを見ていたレオリオが止めようとするが試験官に止められる。

 最終的にゴンに参ったと言わせる事ができないと悟ったハンゾーが参ったと言い試合は終わるかに思われた。

 しかしゴンが納得いかず、双方納得する勝負方法にしないか提案した。

 それにハンゾーはキレ、ゴンを殴り飛ばし参ったと言った。

 これには見ていた受験生皆で笑った。あー笑った笑った。

 

 第二試合はクラピカ対ヒソカ。

 勝つのはヒソカかと思いきや、少し戦った後ヒソカが参ったと言って試合が終わった。

 んー、クラピカもそうそう参ったって言わなそうだよね。余り続くとヒソカが大変な事になりそうだから、これはこれで良いのかな。

 

「ヒー兄クラピカに何て言ったの?」

 

「ひ・み・つ♡」

 

 ヒソカは楽しそうに指を振りながら答えた。

 あ、これは答える気ないな。

 

 第三試合はハンゾー対ポックル。

 ハンゾーが一瞬でポックルを下し、ハンゾーが勝利した。

 

 第四試合はヒソカ対ボドロ

 ボドロさんも頑張ったがヒソカにダウンさせられ、ヒソカが何か囁きボドロさんが降参。

 

「今度は何て言ったの?」

 

「んー、何だと思う?」

 

 ヒソカが聞いて欲しそうなので黙殺した。

 

 第五試合はレオリオ対マドカ、つまり私だ。

 

「マドカとは戦いたくねー、降参してくれないか?」

 

「いいよ」

 

「は!?」

 

 私の答えにまさか頷くとは思っていなかったレオリオが驚きの声を上げる。

 

「試験官さん参りました、私の負けです」

 

「お、おい! ちょっとまて!?」

 

 レオリオが何故か止めて来る。

 

「何でだ! そんな事されても俺は嬉しくねーぞ!」

 

「何でって言われても……。飛行船でネテロさんに質問された時は挙げなかったけど、レオリオとも戦いたくなかったんだ。だってレオリオは戦いを主体にした人じゃないもん」

 

 そこで私は言葉を一度きり、更に続ける。

 

「レオリオはお医者さんとかが向いていると思う」

 

「何でそれを」

 

「四次試験が終わったときのゴンの治療やさっきのボドロさんの傷を心配していたからかな、だから良いお医者さんになって」

 

 原作知識とは言えないので言葉を濁しておく。

 言うだけ言うと私は端によった。

 

 第六試合はポックル対キルア。

 私はここで口出しすることにした。

 

「キルアここで勝ちなよ」

 

「お前に言われたくはねーよ」

 

 ……それもそうか。私も降参したもんね。

 ポックルと戦いたくないとキルアは降参。

 

 第七試合はボドロさん対私。

 ボドロさんとは戦ってみたかったから嬉しいけど今のボドロさんは怪我人、少し休ませてあげて欲しいと私は提案し、それが受理された。

 

 第八試合キルア対ギタラクルさん。

 キルアとの試合が始まるとギタラクルは顔から針を抜き、素顔のイルミになった。

 そしてキルアに挨拶をするイルミ。

 イルミを見てキルアの顔色はグッと悪くなった。

 イルミはキルアにハンターは向いていない、キルアの天職は殺し屋だと言い家に帰る様に言った。

 

「俺はゴンやマドカと友達になりたい」

 

「暗殺者に友達はいらない」

 

 キルアの必死の言葉もイルミには届かず、切って捨てられた。

 

「キルアお前とゴンとマドカは友達だ! 少なくともゴンはそう思ってる!」

 

 レオリオの叫び声にキルアはピクリと反応した。

 レオリオ私は友達に入らないの? というかキルアと友達になって良いの?

 

「困ったな、向こうはもう友達のつもりで居るんだ……。うーん、ゴンを殺そう」

 

 これに反応するキルア。いや、広間の多くの人間が反応した。

 

「イルミさんゴンを殺したら、イルミさん失格にならない?」

 

「そーだそーだ! お前が失格になるぞ!」

 

 私の言葉にレオリオが乗る。

 

「それは困ったな、俺仕事の都合でハンターライセンス必要なんだよね。そうだ、合格してからゴンを殺そう」

 

 これに真っ先に反応したのはクラピカとレオリオ、ハンゾーだった。ヒソカもトランプに手をかける。

 んー、でも言葉だけで本気で殺そうとしている訳ではなさそうなんだよね。

 精神攻撃かキルアを試しているかかな。

 イルミさんもヒソカと戦いたい訳じゃなさそうだし。

 私も念を何時でも発動できるようにしながら考える。

 迫って来るイルミさんにキルアは最終的に降参した。

 

 キルアにクラピカとレオリオと共に話しかけるが反応がない。

 ボドロさんも回復し私の対戦が開始する。

 

 第九試合はボドロさん対私

 

「子供に向ける拳は持っておらん、降参してはくれんか?」

 

「嫌です。ボドロさんとは戦ってみたかったので」

 

「そうか、なら手加減はせん!」

 

 試合開始の合図とともに私に向かって来るボドロさん。

 しかしボドロさんと同じに動き、ボドロさん以上の早さで駆ける相手がいた。

 私は素早く移動しボドロさんの背後に回り、突き刺そうとしていたキルアの腕を取る。

 無意識に腕を外そうとするキルアの足を払い、床に叩きつけ抑え込む。

 

「キルア、落ち着いて」

 

 私が声をかけるとキルアはビクリと震え、視線を上げて来る。

 

「キルア、家出の様に逃げれば追って来るものよ。こちらにも負い目があるから強くは出られない……、ねえキルア、シルバさんと話してみた? シルバさんならキルアが外に出たいって言って、無下にするとは思えないけど」

 

 何か策は練るだろうけど止めはしないと思う。

 

「……親父を知ってるのか?」

 

「昔ちょっと会ってね、ちゃんと話あってみれば良いじゃない。会いたいと思って会えない相手ではないでしょう?」

 

「外に出られるかな、……お前達と友達になれるか?」

 

 キルアの心が少し前を向き出したのを悟った。

 

「うん、外に出られるよ。それに私達はもう友達でしょ、駄目って言われたら迎えに行ってあげる」

 

「ちょっとマドカ余計な事言わないでくれる、マドカと友達とか迷惑なんだけど。百歩譲って嫁に来るなら良いけど、友達は駄目」

 

 イルミの言葉に少しショックを受ける。

 考えてみれば私と友達って貧乏くじ?

 ヒソカと関わりになるし、クモとも関わるかもしれない。うわー、イルミさんじゃなくても嫌かも。でも、私も友達は欲しい。

 誰でも良い訳ではないからね!

 

「嫁って、あれ本気だったの?」

 

「父さんが冗談言うと思う?」

 

 思いません。

 いや、でもねえ……。

 

「……わかった。爺さん俺の失格で良い、兄貴、俺帰るよ」

 

 

 

 こうしてキルアが原作同様失格になった、しかしボドロさんは死んではいない。

 

 

 

 

 




最終試験は原作と少し変わっています。
ボドロさん生きています。


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ゾルディック家再び

 キルアの失格に不審な点があるとクラピカとレオリオが異議申し立てをしている中、ゴンが部屋にやって来た。

 ゴンはイルミさんの元まで行くとキルアに謝れという。

 拒否したイルミの腕を持ち持ち上げ、凄い力で握っている。

 あー、痛そう。骨折しているよね……。

 異議申し立てはゴンとネテロさんにより閉幕したが、ゴンはイルミさんを追って行った。

 見張っていた方が良いかな。

 

 イルミさんにキルアの居場所を聞いたゴン。

 その後ろにはクラピカとレオリオが居る。

 これに対してイルミさんは、キルアは自宅に帰ったと言った。

 イルミさんに自宅の場所を聞くゴンに私に聞けば分かると言った。

 

「え! マドカ知っているの?」

 

「知ってる。パドキア共和国デントラ地区ククルーマウンテンがキルアの家だよ」

 

 私が知っているという言葉に驚いたのはゴンだけではなくクラピカとレオリオもだ。

 

「よし、迎えに行こう!」

 

「待った♢」

 

 決意を新たにするゴンを止めたのはヒソカだった。

 

「マドカ、君も行くんだろう? だけど二週間以内に帰っておいでよ、さもないと――♡」

 

 ヒソカは私の元まで歩いて来ると私にだけ聞こえる声で呟いた。「迎えに行っちゃうよ♡」と。

 

 その後改めてゴンがハンターライセンスの説明を受けた。

 私達はその間同期のハンターと連絡先を交換した。その際ボドロさんにお礼を言われた。キルアの攻撃を見きれなかったそうだ。

 ゴンがやっと説明を聞き終わり出て来ると、ネテロさんが私の方を見た。

 

「マドカ少し良いか?」

 

「何ですか?」

 

「こちらの部屋で少し話そう」

 

 ネテロさんからの申し出に私は少し悩んだ。

 

「マドカ私達はククルーマウンテンを調べ、足を用意しておく」

 

「うん、分かった。……ネテロさん話って何ですか?」

 

 クラピカの助け船に私はネテロさんとゴンの出て来た部屋に向かった。

 

 

「ではマドカ、表と裏のハンター試験合格おめでとう。念の習得が裏ハンター試験じゃ。そこで本題なのだが、ゴン達に念を教えるのは控えてくれんか」

 

「……念専門の試験官が居ると言う事ですか?」

 

「そう取ってもらって構わん」

 

「そうですか、分かりました」

 

 ネテロさんの話が終わりゴン達と合流すると、列車の切符を取っていてくれた。

 こうして私達はキルアの居るククルーマウンテンに向かった。

 

 

 パドキア共和国デントラ地区にたどり着いた私達は、聞き込みをして観光バスに乗った。

 ゾルディック家の正門、試しの門に辿り着いた私達の横を賞金稼ぎが通り過ぎて行った。

 脇にある偽の扉に入った二人組はゾルディック家の番犬ミケに食われてしまった。

 門番のゼブロさんの説明にレオリオが試しの門を開けようとしたが開けられずに終わった。

 うーん、私に残された時間はそんなにないしゴトーさんに連絡した方が良いかな。

 

 ゼブロさんが執事室に連絡し、ゴンがゴトーさんに怒鳴った。

 ごめんゴン、私には時間がないんだ。

 

「ゼブロさん電話をもう一度繋いでもらえませんか?」

 

「分かりました」

 

 こうして私はゴトーさんと話す事ができ、門の内側まで迎えに来てくれた。

 

「ごめんゴン、私は時間がないから先に行くね。伝言あったら言っておくけど何かある?」

 

「そういえばヒソカと約束していたもんね。俺達が来ている事だけ伝えて」

 

「うん。分かった」

 

 こうして私は一の試しの門だけ開け中に入った。

 

「お久しぶりですマドカ様」

 

「ゴトーさんお久しぶり。キルアに会いたいのだけど会えるかな?」

 

「ご当主様にお伺いしないと分かりませんが、短時間なら可能でしょう」

 

 迎えに来てくれたゴトーさんと会話しつつゾルディック家本館に向かった。

 

 ゾルディック家の本館に辿り着き、ゴトーさんからシルバさんが居る事を聞き挨拶に向かった。

 

「マドカか久しぶりだな。キル達とハンター試験で会ったんだってな」

 

「お久しぶりですシルバさん。キルア達とハンター試験で会って吃驚しました、特にイルミさん」

 

 原作知識で知っていたけどイルミのあの顔には驚いた。

 

「ハハハ、イルもキルにばれない様にしたのだろう」

 

「それは分かりますが、顔面針男に会ったインパクトは凄かったんですよ」

 

 こうしてシルバさんとハンター試験であった事、特にキルアの話をした。

 

「そうだ、キルに会いたいんだったな」

 

「はい。会えそうですか?」

 

「五分なら許そう」

 

 シルバさんの許しを得てゴトーさんにキルアの元に案内して貰った。

 進んだ先は地下の拷問室の様な所で、中にミルキさんとキルアがいた。

 ゴトーさんがミルキさんに話しかけ、ミルキさんを部屋から連れ出してくれた。

 キルアは拷問を受けていたのか手を鎖でつながれている。

 

「キルア試験ぶり」

 

「……マドカ、何でここに……」

 

 キルアは言葉が出て来ないとでも言いたげに、かすれた声で呟いた。

 

「私だけじゃなくゴンとクラピカ、レオリオも来ているよ。三人は試しの門で止まっているけど、その内会いに来るんじゃない」

 

「ゴン達が……」

 

「私は今回帰らないといけないから、もし何かあったら連絡ちょうだい」

 

 私はキルアに言いたい事だけ言うと、キルアのズボンに私のアドレスを書いたメモを入れた。

 

「キルアまた今度会おうね」

 

 こうして私とキルアの面談は終わった。

 もう少し話したかったんだけど、何を話したら良いか分からなかった。

 どうせ友達一人居なかったボッチですよ。

 

 ゾルディック家本館から試しの門に向けて歩いていると、ログハウスの様な所からゴン達の気配がした。

 気配につられログハウスに向かうとゴン達が揃っていた。

 ログハウスの扉をノックするとゼブロさんが出て来た。

 ゴン達を出してもらい挨拶をする。

 

「マドカ、キルアに会えた?」

 

「うん。会えたよ」

 

「そっか、良かった。マドカはもう帰るの?」

 

「約束だからね。ゴンこれ私の携帯の番号」

 

 ゴンに携帯の番号を書いたメモを渡し、私はゴン達に分かれを告げた。

 

 

 天空闘技場に辿り着き、私の部屋に向かうと中からヒソカの気配がした。

 

「マドカお帰り♡」

 

「ただいまヒー兄」

 

 私が扉を開けるより先にヒソカが扉を開けた。

 何で私の部屋に居るの?

 

「帰って来たら直ぐ分かるだろう♢」

 

「ナチュラルに心読まないで」

 

「ククク、じゃあ僕は帰るよ♠」

 

 はぁ、まったく何だったんだろう。

 確か原作ではゴンとキルアが天空闘技場に来るんだよね。

 楽しみだなー。

 

 

 

 

 




ヒソカはヒソカなりにオリ主を可愛がっています。
ヒソカの基準で、ですが。


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天空闘技場

 

「ククク♡」

 

 私の前に怪しく笑うヒソカがいた。

 

「ヒー兄何か良い事でもあったの?」

 

 私はヒソカに引きつつ質問をしてみた。

 

「ゴンとキルアが天空闘技場に来る♡」

 

「本当!」

 

 やっとだ。やっとゴンとキルアがやって来る!

 

「マドカ、ゴン達が200階クラスに来るまで会う事を禁止する♠」

 

「えっ、何で!?」

 

 やっと再会できるかと思ったらヒソカに止められた。

 

「君、念を教えそうだからねえ♢」

 

「えー! 教えないよ、ネテロさんと約束したもん!」

 

 ヒソカの言葉に反論したが、ヒソカの考えは変わりそうにない。

 

「ヒントも教えないって言えるかい?」

 

「うっ、それは……」

 

「だから駄・目♡僕もヤりたいのを我慢しているんだ、マドカも我慢しなよ♢」

 

「はーい……」

 

 確かにヒント位ならって教えそう……。

 私の反応を見てヒソカはまた笑いだす。

 

 

 下の階を注目しているとゴンとキルアが来たのが分かった。

 ヒソカに止められている事もあり、私は見学に終始した。

 そしてやっとゴンとキルアが200階クラスに上がって来た。

 喜び勇んで200階の受付前まで向かうと、先にヒソカが待っていた。

 

「マドカ、君も来たのかい♡僕が先に話すからマドカはその後だよ♢ゴン達に200階クラスはまだ早い♠」

 

「追い返すって事?」

 

「そうなるね♢今ここには心源流の師範代が来ている、彼に任せれば良いだろう♠マドカは絶して待機だね♡」

 

「……分かった。ゴンとキルアに洗礼を受けさせる訳にはいかないもんね」

 

 こうしてヒソカはやって来たゴンとキルアを追い返した。

 

 

 日付の変わるギリギリにゴンとキルアは念を覚えて200階クラスの受付に戻って来た。

 まだ纏のみ覚えたばかりだろう二人にヒソカはオーラを飛ばす。

 纏でガードした二人はヒソカのオーラを突破した。

 

「200階クラスにようこそ♡」

 

「そっちから現れるとは思ってなかった」

 

「纏を覚えた位で意気がるなよ♠一勝したら戦ってあげよう♢」

 

 ヒソカとゴンが会話している。

 うん、そろそろ良いよね。

 

「ゴン、キルア久しぶり」

 

「「マドカ!?」」

 

 驚いている二人に手を振って見せる。

 

「ここに居るって事はお前も念使えるのか?」

 

「うん。使えるよ」

 

「なるほどな」

 

「それより登録しなくて大丈夫?」

 

「「あ!」」

 

 二人は忘れていたのか急いで登録をしに向かった。

 

 ゴンとキルアを見送ると、二人の後を三人の人間が追って行った。

 確か新人ハンターと言われる200階クラスに上がったばかりの人を狙う三人組だったか。

 名前はギド、サダソ、リールベルトだったけ? 前に三人共倒したけど、たいして強くない。

 けど、今のゴンとキルアより強い。

 止めた方が良いかな。

 

「駄目だよマドカ♠あの程度の相手で死ぬ様じゃつまらない♢」

 

 そう言いながらヒソカはガシリと私を捕獲して、担ぎあげる。

 しょうがない明日改めて会おう。

 

 翌日ゴン対ギド戦が発表された。

 ゴン早速対戦するのか……。

 ゴン対ギド戦はギドの優位に進んでいた。

 多数の独楽に念を込めて攻撃するギドに纏だけのゴンに勝ち目はない。

 戦闘が進んでいくとゴンが絶をした。

 その後ゴンは気配を読み独楽を避けて行く。

 命がけの修行か、ゴン楽しそうだな~。ついでにヒソカも楽しそうだ……。

 しかし、独楽の動きを読み間違えたゴンに独楽が殺到して行った。

 

 ゴンの試合が終わった後、ゴンの部屋を探しゴンに会いに行った。

 その時男の人とキルアが歩いていった。

 うーん、少し待った方が良いかな。

 

 キルアがゴンの部屋に戻って来てから私はゴンの部屋をノックした。

 

「はいよー」

 

 キルアの声が聞こえ、キルアが扉を開けてくれた。

 

「マドカ!?」

 

「キルア昨日ぶり、ゴンの調子は?」

 

 突然来た私に驚くキルアとゴン。

 

「ゴンの怪我の状態は?」

 

「全治四カ月だとさ」

 

 私の問いに答えてくれたのはキルアだった。

 

「私なら治せるけど如何する?」

 

「それは念だったりする?」

 

「そうだけど」

 

「じゃあ駄目、二ヶ月間念について調べる事を禁止されているから」

 

 私ならゴンの怪我を一瞬で治せるので聞いてみたがゴンに拒否された。

 その後ゴンとキルアと話をして分かれた。

 

 

 一ヶ月後ゴンの怪我は完治していた。

 ゴン、君の体はどうなっているの?

 

 ヒソカ対カストロ戦があったりしたが、ヒソカがカストロを殺し試合は終わった。

 カストロは強化系、けど使っていた念は具現化系で念獣を作る技を使っていた。

 強化系である虎咬拳を極めていれば勝機もあったのに。

 試合中ヒソカが怪我をしていたので、ヒソカの部屋に行ったらマチさんが来ていた。

 マチさんの念糸縫合でヒソカは腕をくっ付けて貰っていた。

 癒しの口づけ(ヒーリングキス)では失った部位は戻らないからね。

 

「マチさん来ていたんだ」

 

「マドカ久しぶり。ハンター試験合格したんだって、おめでとう」

 

「ありがとうマチさん」

 

「ヒソカ後はマドカに治してもらいな、じゃあね。あ、八月三十日正午までに団員全員集合、マドカもね」

 

マチさんはメッセンジャーだったようだ。

 

「マチ食事でもどうだい?」

 

「……」

 

 ヒソカの食事の誘いにマチは無言で部屋を出て行った。

 

「やーい、ふられた」

 

「マドカ今日は外で食事にしよう♡」

 

「はーい……」

 

「伸ばさない♢」

 

 藪蛇でした、私のおバカさん。

 こうして夕食を外で取る事になった。

 

 

 

 



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くじら島

 ゴンは念の修行を再開し、一勝してヒソカへの挑戦権を得た。

 ヒソカ対ゴンはヒソカの勝利に終わった。

 内容はゴンの善戦と言って良いだろう。

 発を作ってすらいないゴンがヒソカからポイントを奪ったのだ。

 

 その後ゴンの部屋に行くとゴンがくじら島に招待してくれた。

 お宅訪問はゾルディック家以来か、私の友達の輪も広がって来た。

 八月末にはヨークシンへ行かなければいけないが、嬉しいイベントだ。

 

 飛行船と船を乗り継ぎくじら島に辿り着いた。

 

「ミトさんただいま、友達を連れて来たんだ。こっちがキルアでこっちがマドカ」

 

「まあまあ、いらっしゃい。ミトよ」

 

「キルアです」

 

「初めましてミトさん。マドカといいます」

 

 ミトさんと自己紹介をしあう。

 その後お風呂に入りご飯をご馳走になった。

 

 ゴンの案内でクジラ島を巡り、キツネグマのコンがゴンにお帰りの意味を込めて魚を送ってくれた。

 その後三人で話をした。

 ゴンとキルアは九月にヨークシン行くらしい。あっちで会えたりするかな。

 

 夜、キルアはゴンの部屋、私はミトさんの部屋で寝かせてもらった。

 

 翌朝ミトさんがゴンに小さな箱を手渡した事が分かった。

 その箱はゴンの父親、ジンさんが残したものだった。

 箱はゴンやキルアが力を入れても壊れない。

 キルアが念で開けられるのではないかと気付き、ゴンが練をして箱を開けた。

 これは神字ね。

 壊れた箱の中には更に箱が入っており、中にカセットテープと指輪、ロムカードが入っていた。

 

 まずカセットテープを聞いてみた。

 カセットテープにはゴンへのジンさんからのメッセージが入っていた。

 カセットテープには念が籠っており、聞き終わった後カセットテープに籠っていたジンさんの声は消去された。

 指輪は念の為着ける事はせず、ロムカードを見て見る事にした。

 キルア曰くジョイステ、テレビゲームのロムカードだそうだ。

 ジョイステを知らなかったゴンと私に呆れるキルア。仕方ないじゃん、念の修行とかに明け暮れていたんだから。

 ジョイステを買いロムカードを差してみると、ロムカードいっぱいにグリードアイランドというゲームが入っていた。

 グリードアイランドは市場最高額のゲームで、五十八億だそうだ。

 ハンター専門のゲームだった。

 グリードアイランドって念能力者のゲームだったよね。

 ゲームに詳しい相手という事でキルアが自宅に電話した。兄貴に連絡をつけるといって。

 あ、ミルキさんか。ゴンはイルミさんを想像しているでしょう。

 キルアがミルキさんと交渉してコピーしたロムカードと情報を交換した。

 キルアは二つの情報を手に入れてくれた。

 ハンターの情報サイトとヨークシンシティーのオークションだそうだ。

 

 その日の夜はご馳走だった。

 凄く美味しかったです。

 

 ゴンとくじら島を散策していると銃声が聞こえた。

 ゴン曰く密漁者だそうだ。

 銃声がした地点に行くと、密漁者達がキツネグマの子供を捕ろうとしていた。

 密漁者を倒し、キツネグマの子供を見ると酷い怪我をしていた。

 

「ゴン! こいつはもう助からない。ここで殺してやれ」

 

「嫌だ! 何か助ける手段があるはずなんだ」

 

 苦しまない様直ぐに殺せというキルアと何とか助けたいゴンの言葉がぶつかった。

 

「ゴン、その子助けるから貸して」

 

「はあ!? もう無理だ!」

 

「本当! マドカ!?」

 

 キルアとゴンの言葉が重なりかける。キルアの方が少し早いか。

 ゴンからキツネグマの子供を預かると私は癒しの口づけ(ヒーリングキス)を発動した。

 治ったキツネグマの子をゴンに渡すとゴンとキルアは驚いていた。

 

「マドカありがとう!」

 

「お前の念って重力を操るんじゃなかったのかよ!?」

 

「良く気付いたね」

 

「お前の念少し調べさせて貰ったからな」

 

 私にお礼を言うゴンと私の念を当てるキルア。

 天空闘技場で調べたのかな? 天空闘技場で使ったのは〝重力(グラビティー)〟だけ。

 ゴンとキルアが来てから一度戦ったものね。

 

「天空闘技場で使った能力も今の能力も私の念よ」

 

「マドカお前操作系だよな? って事は今のは元の状態に戻すように操作したってことか」

 

 キルアが何かブツブツ言っているが訂正が難しい。全ての系統を扱えると言いたい所だけど如何しよう。

 

「えーとね、私全ての系統が扱えるのよ」

 

「ええ!?」「はあ!?」

 

 見事にゴンとキルアの声がハモった。

 

「念ってどれか一系統しか扱えないんじゃないの?」

 

「普通はそうなんだけど、私は全ての系統が扱えるのよ」

 

「マジでか!?」

 

「うん」

 

 私は二人に頷いた。

 その後キツネグマの子を森にかえしゴンの家に帰宅したが、道中私は質問攻めにあった。

 

 

 

「ねえマドカ、この島に居る間俺達に念を教えてくれない?」

 

 ゴンの言葉に私は驚いて瞬きをした。

 

「確かに。念に関してはマドカの方が知っていそうだもんな」

 

「私が二人に念を教えるの?」

 

「うん。だめ?」

 

 ゴンの言葉にキルアも賛成している。

 

「私順序立てて教えられるか分からないけど、良いの?」

 

「うん!」

 

 こうしてゴンとキルアに念を教える事になった訳だけど……。自信がないのだけど。

 私の場合実践戦闘が殆どだったんだよね。

 

 二人に少し待って貰い新聞紙とセロハンテープを借りて来た。

 

「新聞紙とセロハンテープで何するんだよ」

 

「ちょっと見てて」

 

 キルアの問いにストップをかけ、新聞紙を丸めて端をセロハンテープで止めた。

 

「チャンバラごっこの棒?」

 

 ゴンもまだ何をするか分からないのかクエスチョンマークを上げている。

 そんな二人を前に周をして新聞紙の棒を振るう。

 私が新聞紙の棒を振ると目の前にあった木の枝が切れた。

 

「「なっ」」

 

「これが応用技の一つ〝周〟よ。オーラの量を増やす作業や練や絶の切り替え何かはゴンとキルアが自分でやってね」

 

「すげー! マドカ今の如何やったの?」

 

 私が木の枝を切った事に驚くゴンとキルア。

 私が説明している間に気を取り直したゴンが私に詰め寄って来る。

 

「オーラを物に込める事を周って呼ぶのよ。ゴンとキルアのオーラ量だとまだ余り続かないかもしれないけど」

 

 私が説明している間にゴンとキルアは新聞紙を取り、棒を作って行く。

 

「これに念を込めるね。……ふーん、そんなに難しくないんだな」

 

「もしかしてヒソカが使っていたトランプも周をしていたの?」

 

「ゴン正解。ヒーに、兄が得意にしている物の一つよ」

 

 ゴンとキルアは直ぐに周を使えるようになった。

 ゴンはヒソカの力の一つに触れられたのが嬉しそうだ。

 ……うん。途中ヒー兄って呼びそうになった。

 意気揚々と周をするゴンとキルアだけど、直ぐにオーラが尽き地面に横になった。

 

 その後ゴン達の修行、チャンバラごっこの念バージョンを見つつ時間が過ぎ、私はゴンとキルアと一緒にくじら島を出た。

 

 

 

 



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クロロ

クロロ視点です。


 俺の名はクロロ=ルシルフル。

 俺が13歳の時流星街をでて幻影旅団、クモを結成した。

 結成当初は俺、マチ、パクノダ、ノブナガ、ウボォーギン、フェイタン、フィンクス、シャルナーク、フランクリンの九人だった。

 今では頭の俺と十二本足のメンバーが揃っている。

 

 クモを結成して十年程経った頃、四番の団員になったヒソカが子供をアジトに連れて来た。

 

「ヒソカか。そのガキはなんだ」

 

「僕の妹さ♡今回の仕事に役立つと思ってさぁ♠」

 

 ヒソカが連れて来たガキはヒソカの妹でマドカといった。

 見た目は赤い髪に金の瞳と色彩は似ていた。性格の方はどうなのだろう。

 ヒソカの言う〝仕事に役立つ能力〟とはいったい何なのか試してみる事にした。

 ヒソカはマドカにこのビルを歩いて来るように言い、マドカはこれに従った。

 少し経つとヒソカの携帯にマドカから連絡があった。

 俺は何処に居るのか円で探ると屋上に居た。

 何をするのかとマドカに集中していると、俺達の集まっている広場に突如〝扉〟が現れた。そして、その扉を開けマドカがやって来た。

 なるほど放出系の能力か。だが扉を作っているという事は具現化系も入っているのか? 対極に位置しているはずだぞ。

 

 その後マドカの実力を見る為団員と手合わせをさせた。

 立候補したのはウボォーだった。

 俺はウボォーに殺すなとだけ伝えて送り出した。

 マドカがウボォーと戦い出し、俺はヒソカにマドカの実力を聞く。

 

「ヒソカ、マドカの実力は如何なんだ?」

 

「念の才能では僕以上♡点数を付けるなら100点、ただし念だけならね♠身体能力がまだまだなんだ、子供だから仕方ないけど♢後は戦闘経験を積ませたいね♡」

 

 ヒソカがここまで評価するとはな。

 

「何時か僕のデザートになってくれると信じているんだ♡」

 

 なるほど目を付けているという事か、気の毒にな。

 

 そんな話をしているとマドカが発をした。

 その発は強化系の様でマドカを覆うオーラが跳ね上がった。

 なるほど、放出系なら強化系とも相性は良い。

 それにしても戦いが始まった時より明らかにマドカの動きが良くなってきている。

 この短期間の戦闘で成長しているだと。なるほど、流石ヒソカの妹だけはある。

 その時マドカが新たな発をした。

 作りだされたのは氷の剣だった。

 どういう事だ氷を作り出すなら変化系か具現化系のはずだ。メモリの無駄遣い……いや、そんな気はしない。

 もう少し様子を見るか。

 

 試合を止めるとマドカは体力が尽きたのか床に倒れていた。

 なるほどフェイタンと同じスピードファイターか。

 マドカの念系統を聞くとヒソカが答えた、全ての系統が使えるのだと。

 なるほどそんな能力者がいるとはな。

 それにしてもマドカの能力は有用だ。取ってしまおうかとも考えたが、マドカの能力のままの方が使い勝手が良いと判断した。

 転移能力を取れば俺がタクシー代わりに使われるだろう。そんな事は我慢できない。

 

 翌日ワルイーダの屋敷へマドカも連れ仕事に行った。

 その後も度々マドカを仕事に参加させた。

 ある日はアジトの見張りとしてアジトに待機させた。

 そんなある日仕事から帰る途中シャルにマドカの立場はどうするのか聞かれた。

 

「そうだな子供だからコグモか、あるいは……」

 

「あ、皆お帰り。ご飯できているよ」

 

 俺の話に被せるようにマドカが声をかけて来た。もうアジトだったか。

 このアジトは電気、ガス、水と生活に必要な物が揃っている。

 

「そうだな〝クモの巣〟というのはどうだ」

 

「クモの巣か、そうだなマドカに何か専用のアイテムでも持たせておくか」

 

 俺の言葉に納得するシャル。

 ごそごそと携帯を取り出し何処かに連絡している。

 マドカに持たせる物の事だろう。

 今まで俺達はかなり暴れて来た。恨みも買っている。

 今後俺達専門の念の使い手が現れないとも限らない。マドカはそんな時用のカードだ。

 クモであってクモでない、そんな存在はジョーカーになるかもしれない。

 

 数日後シャルからペンダントを渡された。

 十三本の糸が絡まるクモの巣をモチーフにしたペンダントだ。

 

「マドカ、これをやる。何時も着けておけ」

 

「ペンダント? ありがとう」

 

 マドカはクモの巣のペンダントに首を傾げたが、さっそく首にかけた。

 

 マドカがクモと関わり出し一番にちょっかいをかけ出したのは戦闘組だ。

 マドカは英雄(ジークフリート)火炎と氷結(ファイヤー&アイス)といった戦闘用の念能力を有している。

 ウボォー達と戦った結果マドカが怪我する事は良くある事で、新たに癒しの口づけ(ヒーリングキス)という能力を知った。口づけをする事で怪我や病気を治す。

 更に気を良くした戦闘組は盛んにマドカと手合わせし出した。

 

 フェイタンに拷問の手伝いをさせられた事もあった。

 その後マドカは青い顔をして去って行った。

 

 最終的に分かったマドカの念は〝英雄(ジークフリート)〟〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟〝空間転移扉(どこで○ドア)〟の四つ。物凄いメモリ量だ。

 だが他にも念がありそうではあるが。

 それに戦闘での成長スピード、ヒソカが目を付けるのも分かる。

 

 クモから離れられないようにしていけばいい。少しづつじっくりと。

 

「マドカ、クモを裏切るな」

 

 もうお前はクモの糸で雁字搦めだ。そう、お前は〝クモの巣〟だ。

 

 

 

 

 




クロロのカリスマ性が全然表現できませんでした。

少し文章を追加しました。


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ヨークシン

 ゴンとキルアと分かれてから空間転移扉(どこで○ドア)を使いヨークシンのクモのアジトに着いた。

 

「あれ? クロロとシャル、フィンクスだけ?」

 

「マドカ久しぶり、元気そうだね」

 

 私はアジトに着き見回すと未だ三人しか人影がなかった。

 シャルが話しかけて来たので会話をしている。

 私が呼び捨てにするのはクモの男性陣だけ、さん付けは気持ち悪いんだって。

 その後パクさん、ボノレノフ、コルトピが到着し、少し遅れてウボォーとシズクさんが到着した。

 シャルの話でフェイタン組が夜に到着するのが分かった。

 

 夜になりフェイタン、マチさん、ノブナガ、フランクリンがやって来た。

 

「マドカ、ヒソカとは一緒じゃなかったのか?」

 

「ごめん、別行動だったから知らない」

 

 本を読んでいるクロロは兎も角、他のメンバーは一向にやってこないヒソカにお怒りだ。

 私にシャルが訪ねて来るが、私も知らない。

 

「ヒソカの野郎、こうなったら八つ裂きにしてやる」

 

「物騒な話をしているね、怖い怖い♢」

 

 ヒソカに対して怒りをあらわにするウボォー。

 明け方になりやっとヒソカがやって来た。

 クロロ相手に殺気を込めるの止めてくれないかな。

 ヒソカがやって来てクロロが話を開始しだした。

 

「オークションのお宝全部だ」

 

 クロロの言葉にウボォーが興奮して叫び出す。

 

「マドカ、お前はアジトの見張りに着け」

 

「え!? それって私の呼ばれた意味は!?」

 

「後で役に立ってもらう、マフィア相手にお前を曝す訳にはいかない」

 

 クロロの言葉に驚く私だが、確かに私が目立っても仕方ないか。

 クロロ曰くクモに何かあった時の保険だし。

 原作のクラピカの様にクモ専門の念能力者に対する備えだもんね。

 うーん。クラピカとも友達の様なものだろうけど、クモのメンバーについては喋れないな。何だかんだで良くして貰っているんだよね。

 でもヒソカが喋っちゃうんだっけ? 原作知識も結構あやふやになって来たな。

 だからと言って私がヒソカを止められる訳でもないしな。

 ここは静観かな。

 あー、そうするとクモの何人かが殺されちゃうんだっけ? うーん如何しよう。

 クラピカに私がクモと関わりがあるって知れたらこっちに来るだろうしな。そうなったらゴンもクラピカの味方するのかな……。

 どーしよう。

 

 私が如何するか悩んでいると、クロロ達の話が終わったのか解散して行く。

 私はアジト待機だからこのままで良いか。

 アジトに残ったのはクロロ、パクさん、フィンクス、コルトピ、ボノレノフ、ヒソカ、私の七人。

 

 夜の九時を過ぎ作戦を開始していたウボォーから電話がかかって来た。

 何でもマフィアの宝がなかったようだ。

 その為裏切り者がいるのではないかと言っていたそうだ。

 それにクロロは、裏切り者はいないと言った。マフィアにクモを売って得する奴はいないと。

 十老頭の配下の陰獣とやりあえと伝えた。

 

 陰獣の一人フクロウを連れ帰ったシャル達は、その際ウボォーが攫われた事を伝えた。

 毒と蛭を身体に入れられているウボォーを助けるためフィンクス、シャル、シズクさん、ノブナガ、マチさんが向かった。

 五人が迎えに行きウボォーを助けたが、ウボォーを捕まえた〝鎖野郎〟と決着を付けるため一人で向かったそうだ。

 

 鎖野郎ってクラピカだよね……。本当如何しよう。

 

 一向に帰ってこないウボォーにクロロは作戦を変え朝まで待って帰って来なければ鎖野郎を探すと言った。

 

 朝になりウボォーは帰ってこなかった。

 私がクラピカの事を言えば変わっていただろう。

 本当に私ってどうしようもない。判断が着かない。

 

「シャル、マドカ出かけるぞ」

 

 クロロに着いて行きハンターサイトでノストラードファミリーを探り出した。

 その間クモのメンバーを二組づつに分けて街に繰り出すように指示した。

 

 その後シャルと分かれクロロと服屋に来ていた。

 クロロは黒のタキシード、私は黒いワンピースを盗んだ。

 

「服を取って如何するの?」

 

「少し気になる念使いがいてな、それを取りに行く」

 

「ふーん」

 

 クロロのターゲットはノストラードファミリーの娘ネオンさんだそうだ。

 マフィアの管轄しているビル、セメタリービルの近くでネオンさんと会い、ネオンさんを連れセメタリービルを訪れた。

 

 上手い事ネオンさんを丸めこみ占いをしてもらうクロロ。

 クロロは途中涙を流し出し、占いの正確度を褒める。

 ネオンさんをオークション会場に誘い、念を奪った。

 

 念を奪ったクロロはクモに電話をした。

 セメタリービルで暴れろ、と。

 

「派手に暴れろ」

 

 そう言えば私はマフィアに曝したくなかったんじゃなかったのかな?

 おもいっきり来てるけど。

 騒ぎの起こり出したセメタリービルでクロロは楽団の指揮者の様に指を振っていた。

 

 セメタリービルの屋上から大きな円が降りて来ていた。

 このオーラはゼノさんだな。

 

「クロロ、この念はゾルディック家のものだよ」

 

「そうか。少し下に行こう、マドカぶつかったら時間稼ぎをしろ」

 

 クロロと下の階に向かって行った。

 戦う場を整える為に。

 

 

 

「ゼノさんシルバさんカルト久しぶりです」

 

 私達の前に現れたのはゼノさんシルバさんカルトだった。

 

「カルト、マドカの相手をせい。時間稼ぎをすればワシ達が後で相手をする」

 

 うん。当然私もターゲットだよね……。

 

「うん、分かった」

 

 〝蛇咬の舞〟

 うわっ、カルトから紙吹雪が飛び出して来た。

 バックステップでかわすが追いかけて来る。

 囲まれない様に周りを把握しつつ避けて行く。

 ここは〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟!

 氷の刀を作り出しカルトの作り出した紙を切り裂く。と、同時に切った紙を凍らせて行く。

 ノブナガ仕込みの刀捌きだ。

 囲まれそうになる度に紙の包囲から抜け出して行く。

 

ドゴーン

 

 その轟音にカルトの念が消える。

 シルバさんに電話がかかって来てイルミさんが十老頭の暗殺が終わった事を告げた。

 その後ゼノさんシルバさんカルトは帰って行った。

 

 クロロはというと床に倒れている。

 

「疲れたー」

 

「大丈夫?」

 

「団長! 派手にやったな」

 

「あ、シャル」

 

 崩れた壁からシャル達が顔を出した。

 オークションの宝をコルトピ達とコピーしつつオークションを進行して行く。

 

 アジトに帰った私達は、クロロが取った念で占いをする事になった。

 最初に書かれたのはノブナガだった。

 疑うノブナガにクロロは自分の予言を見せる。

 

 大切な暦が一部欠けて

 遺された月達は盛大に葬うだろう

 喪服の楽団が奏でる旋律で

 霜月は高く穏やかに運ばれていく

 

 菊が葉もろとも涸れ落ちて

 血塗られた緋の目の地に臥す傍らで

 それでも貴方の優位は揺るがない

 残る手足が半分になろうとも

 

 幕開劇に興じよう

 新たな仲間を探すのもいいだろう

 向かうなら東がいい

 きっと待ち人に会えるだろう

 

 その後シズクさんを占う。

 その結果分かったのはシズクさん、パクさん、シャルが死ぬそうだ。

 更に皆を占って行く。

 私の占いは……。

 

 貴女の家の暦が一部欠けて

 遺された月達は盛大に葬うだろう

 卯月の行動に注意するといい

 本の知識を使って知る事ができるから

 

 貴女は楽団から離れるといい

 貴女は狙われていないのだから

 貴女は結局楽団を家に招き入れる

 貴女が紡ぐのは十三本の糸だから

 

 犬と猫に会いに行こう

 新たな世界を見られるから

 巣の事は話さない事がいいだろう

 溝ができるから

 

 このまま一緒に居るとクラピカにバレるって事か。

 犬と猫ってゴンとキルアかな……。

 

 パクさんがヒソカの予言が何だったか訊ね、ヒソカがクモの情報を売っている事が分かった。

 しかしクロロがヒソカは念により脅されていると結論付けた。

 

「マドカはどうだ?」

 

「なるほどな、ヒソカを見張れるのはマドカだけか、だがヒソカを見張っていると鎖野郎にマドカの事がバレる可能性もある。……マドカ、これからは独りで行動しろ」

 

 クロロは私の予言を見ると独りで行動するように言った。

 

「ペンダントは持っているな」

 

「うん」

 

 鎖野郎の能力の討論会になった所で私はクモのアジトを出た。

 

 

 

 

 




クモかクラピカか選べないでいるオリ主。
ラストへの伏線にしているつもりです。


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グリード・アイランド①

 携帯が鳴り出るとカルトからだった。

 カルトが言うにはクモに入りたいから紹介をしてくれというものだった。

 クロロの電話番号を教え電話を切った。

 

 私は予言にあった通りゴンとキルアに会う為にゴンに電話した。

 ゴンに連絡すると、ある廃ビルに居るらしい。

 ゴンとキルアに会う為に廃ビルに向かった。

 

「このビルよね。ゴンー、キルアー、居るー?」

 

「おう居るぜ」

 

 廃ビルからキルアの声がして、ゴンとキルアが顔を出した。

 

「マドカこっちこっち」

 

 手を振るゴンの元に向かう為、ビルの入り口を潜った。

 ビルの中に入るとレオリオが出て来た。

 

「おう、マドカ久しぶり」

 

「レオリオ! 久しぶり。もしかしてクラピカも居るの?」

 

「いや、行っちまったよ」

 

「そっか」

 

 ちょっと遅かったか。

 

「「マドカ!」」

 

「ゴン、キルア!」

 

 ゴンとキルアがビルを駆け下りて来た。

 そしてヨークシンであった事を話してくれた。

 クモにあった事、グリード・アイランドをプレイする選考会に出る事、必殺技の修行をしていることなど。

 

「マドカ、グリードアイランドの選考会一緒に行かない?」

 

「うん、私も行く」

 

 

 

 オークション最終日、私はゴンとキルアと共にバッテラ氏の選考会に参加していた。

 あの金髪ツインテールはビスケだっけ? うん、強いな。

 簡単な説明が終わり、私達は席に座っていた。

 待っていると後ろの席に座っている男が話し始めた。

 私達は少し話し時間を潰した。

 

 先ずキルアが席を立ち、次にゴンが席を立った。

 ゴンが席を立った後物凄い音がした。

 その音を聞き私も席を立った。

 

「また子供か……。今度は何を見せてくれるのかな」

 

 審査員のツェズゲラさんの言葉に微笑を浮かべる。

 その言葉からゴンとキルアが合格したのが分かったからだ。

 鞄から取り出した石を床に置き〝重力(グラビティー)〟を発動させた。

 ゴツン!

 と音を立てて床にめり込んだ。

 

「何と、その年でこれほどの念を……、合格だ」

 

 扉を開け進むと九人の人間がいた。うち二人、ゴンとキルアの元に向かう。

 

 選考会をクリアし契約書を貰い、一度会場を後にした。

 レオリオと合流し、契約内容を確認する。

 皆と話し、レオリオと分かれ会場へと向かった。

 

 グリードアイランドへ入る為にじゃんけんをして順番を決める事になった。

 うーん、順番はなん番でも良いな。

 ゴンが一番でキルアが十七番、私が十八番となった。

 キルアの次か。

 キルアはゴンにスタート地点で待っている様に伝えた。

 

 グリードアイランドに入り、説明を受けスタート地点に出るとゴンとキルアが揃っていた。

 

「二方向から見られているね」

 

「マドカも気付いたか」

 

「ねえゴン、キルア。二方向に分かれない?」

 

「え?」

 

 私の案にゴンが声を上げる。

 

「行き先が二つあるのなら二手に分かれた方が良いでしょ。ゴンとキルアがペアで私が独りでどう?」

 

「ええ!? 三人で行こうよ!」

 

「そうだな、二手に分かれるか」

 

 ゴンは反対しキルアが賛成した。

 

「マドカは独りで良いんだな」

 

「うん、大丈夫」

 

「ゴン考えてもみろよ、この世界がどのくらいの広さか分からないんだぜ。情報は多い方が良い」

 

「うう、分かったよ」

 

 キルアの説得にゴンは渋々頷いた。

 

「じゃあ二人ともまた今度」

 

 こうして私はゴンやキルアと分かれ一路南に南下した。

 暫く歩くと空を飛んで一人の男が降って来た。

 私の前でバインダーを開き何かしている。

 

密着(アドヒージョン)オン、マドカを攻撃!」

 

 カードを掲げ私への攻撃を宣言するとカードが光、私へ迫って来る。

 ここは〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟! 即座に炎の刀を作り光と化したカードを切り裂く。

 炭化し崩れさるカード見た男は動揺しバインダーを捲る。

 

再来(リターン)オン、マサド……」

 

 男がカードを使う前に男からカードを掏る。

 掏り技術向上したな……、嬉しくないけど役に立つんだよね……。

 

「さてと、色々話し聞かせて貰えますよね」

 

 男を脅……、話を聞いた結果プレイヤーと会ったらまずバインダーを出す事。私がカードと言った物が呪文(スペル)カードというカードの攻撃だという事。カードには他に防御、対攻撃、対視、対通など計四十種ある事が分かった。

 男が好意で渡してくれたカードをバインダーにしまい、南下を開始した。

 

 『勝負の街 ルビキュータへようこそ』そんな看板がでかでかと書かれた門を潜り、私はルビキュータに到着した。

 街のそこかしこで勝負事が発生していた。禁止事項はギャンブル、お金を賭ける事だった。

 男から通貨もカードになっていると聞いたので、街を歩き簡単そうな勝負を受けて行く。

 勝負は肉体勝負だけではなく知能戦、所謂ボードゲームも多かった。

 オセロ、トランプ、将棋、ダーツの勝負で勝った所で見知った者の気配がしたのでそちらに行ってみる事にした。

 広場で話しているのは金髪の優男と黒髪に眼鏡の女性、小柄で長髪の男性の三人組。

 

「シャル、シズクさん、コルトピ! 三人もこっちに来ていたのね」

 

「マドカ!? 携帯に連絡しても出ないと思ったらここに居たのか!」

 

 三人組のクモの構成員がこちらを振り返った。

 代表してシャルが話しかけて来る。

 

「連絡って何かあったの?」

 

「お前ヒソカがクモじゃないって知ってたか?」

 

「? クモじゃないって?」

 

 シャルの質問に記憶を探る。

 あー! そっかヒソカってクモのフリをしていただけだっけ。

 正直に知っているとは言い辛いな……。雰囲気的に。

 

「兄は、巻き込みはしても巻き込まれてはくれないから知らない事の方が多いよ」

 

「そうだよなー……。いや、連絡に出ないから気になっていただけだよ。マドカの予言にも不審な点はなかったし。マドカが出て行った後にあった事話すからそこに座りな」

 

 嘘を吐いた。これぞクモ仕込みの嘘の付き方だ。

 クモってさらっと嘘吐くからね、特に知性派が……。何度痛い目にあった事か!

 シャルの話で私がクモのアジトを出てからの事が分かった。

 ヒソカがクモを裏切っていた事、クロロが念を封じられた事、パクさんが死んだことなど。

 ああ、パクさん死んじゃったか……。パクさんには良くしてもらったんだよね……、やっぱり言った方が良かったのかな。……いや、駄目か。

 

「そんなに落ち込むなよ、パクは誰も恨んでなかったからさ。それよかマドカ、お前の念で団長にかかった念消せるか?」

 

「結論から言うと無理だね。火炎と氷結(ファイヤー&アイス)の炎や氷は念を燃やしたり凍らせる事は出来るけどクロロにかかった念は心臓、身体ごと燃やすか凍らせるか斬るかしないといけないからね」

 

「そっか」

 

 シャルも分かっていたのか落ち込む事はなかった。

 

「マドカの予言が俺達とは別行動の方が良いって出たんだ、一緒に行動するのは不味い。ここで別れよう」

 

「うん、じゃあね。シャル、シズクさん、コルトピ」

 

「またねマドカ」

 

 最後に話しかけてくれたのはシズクさんだった。

 シャル達と分かれトレードショップで手に入れたカードの中で要らない物を売り払った。

 地図は男がくれたので買う必要はなかった。

 ショップの小父さんに地図上に書かれているものについて聞いた。

 ゲーム外に出る為のカード離脱(リーブ)を用意する為、港を目指す事にした。

 港があるのはマサドラの西、此処からだとゴンやキルアと分かれたスタート地点の平原に戻り、更に北上する必要があった。

 途中でゴン達とも会えるかもしれない。

 そんな事を考えトレードショップから出ると、一人の男が話しかけて来た。

 

「君、俺達と手を組まないか?」

 

「お断りします」

 

 そう言って通り過ぎようとすると男は更に話しかけて来た。

 

「俺はジスパ、君は念を燃やす能力を持っているんだろう。仲間になれば優遇するぜ!」

 

「結構です。私は一緒にプレイする人は決めています」

 

 どうやら見張っていた人達の仲間らしい。

 というかこの人たいして強そうには見えないのだけど……。

 

「君が言っているのは子供の二人組だろ? そっちにも声をかけている。俺達とくれば合流できるぜ」

 

「あの二人が貴方達と手を組むと言ったら組みましょう。ですから今は失礼します」

 

 ジスパというしつこい男を置いて歩いて行く。

 

「分かった、その子供達は必ず仲間にして後から連絡する」

 

 後ろから声をかけられたが止まらず前に進む。

 ゴンとキルアが仲間に入るかな? 多分入らないと思う。

 それよりまずマサドラに行かないとな。

 今月の末までに天空闘技場に行かないといけないのだよね。今八勝だから次勝てば九勝、フロアマスターに大手をかけた事になる。

 いい加減サボりたいんだけどな……。止めたらヒソカが五月蠅そうだしな。

 はあー、今回戦ったら次は期限ぎりぎりに対戦予約だけ入れてサボっちゃお。まだ負けは0回だし良いよね。

 

 こうしてのんびり歩きながらマサドラを目指し、西に向かい港に出た。

 港の所長を倒し離脱(リーブ)のカードを手に入れ、ゲーム外へ出た。

 

 電波が繋がり携帯に続々と連絡が入って来る。

 クロロを始めクモのメンバーからも連絡が入っていた。

 クロロはクモには連絡を出来ないが、クモでない私には連絡をする事ができるという事か。

 履歴を辿り皆に返信を返して行く。

 ヒソカからもメールが来ていた。

 

『やあマドカ♡僕はクモを抜けたから君も好きにしなよ♢』

 

 余りに自分勝手な物言いに携帯を握り潰しそうになった。

 いけない、物に当たるな。

 何とか自分を諫め返信を送った。

 

『勝手な事言うな!』

 

 

 

 

 




勝負の街ルビキュータは捏造です。
しかし、入口に近い街なので簡単に金策はできるだろうと思いこのようになりました。


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グリード・アイランド②

 天空闘技場で九勝目を上げバッテラさんの屋敷を目指した。

 シャルがグリード・アイランドは現実世界にあると言っていたので、鞄に食べ物を入れて見た。この位は大丈夫だろう。

 空間転移扉(どこで○ドア)で行ってもいいが他の人にバラす気はないので、公共交通網を駆使して時間をかけて向かう事にする。

 

 だいたいゲームを始めて一月位でまたスタート地点の草原に立っていた。

 ある程度は分かったしゴンやキルアと合流するのも良いかもしれない。

 フリーポケットのカードが全て白紙に戻ったので、お金と呪文カードはまた手に入れないといけない。

 お金を稼ぐのに手っ取り早く山岳地帯の怪物を狩る事にした。

 スタート地点から北へ歩いて懸賞都市アントキバへ向かい、更に北へ向かった。

 空間転移扉(どこで○ドア)を使っても良いが、ゲームを楽しみたいので封印することにした。

 

 山岳地帯に着き怪物を倒して行く。

 あれ? このオーラは……。

 

「ゴンとキルアのオーラだ」

 

 ゴンとキルアのオーラを追い、山岳地帯を走って行く。

 ゴンとキルアは金髪ポニーテールの女の子と流の修行をしていた。

 

「ゴン! キルア!」

 

「「マドカ!?」」

 

 驚き修行を中断した二人の元まで辿り着くと、金髪の少女がゴンやキルアと私を交互に見ていた。

 

「初めまして、私はマドカです。貴女は?」

 

「ご丁寧に。私はビスケット=クルーガー、気軽にビスケって呼んでちょうだい」

 

 ビスケと私が自己紹介しているとゴンとキルアが目を白黒させていた。

 

「お前何で此処が分かったんだ?」

 

「良く此処が分かったね」

 

 ゴンとキルアは私がこの地点を見つけた事に驚いているようだ。

 

「それはね、近くを通ったらゴンとキルアのオーラを感じたから円を使ったの」

 

「ああ、円か!」

 

 私の言葉にゴンがポンと手を鳴らす。

 

「そう言えばあんた達、知り合いだったわね」

 

「え、ビスケ何で知っているの?」

 

「そりゃああんた、選考会に一緒に来てたじゃない」

 

 ゴンがボケるとすかさずビスケが突っ込みを入れた。

 

「ん? ビスケって結構前に座っていなかったか? 良く俺達に気付いたな」

 

 ビスケの話に違和感を覚えたのかキルアが疑問を口にした。

 

「そりゃあ、マドカが一流の念使いだからだわさ。あの中で一番注意しなくちゃいけなかったのがマドカよ」

 

「それ本当!?」

 

 ビスケの言葉にゴンはキラキラした目で聞いている。

 

「本当よ。あんた達マドカを凝してみなさい」

 

 ビスケの言葉に素早く凝をするゴンとキルア。

 凝の速度が上がっている。滑らかになった。

 私が感嘆の籠った目でゴンとキルアを見ていると二人が話しだした。

 

「俺達の纏となんか違うな」

 

「うん、力強さというか根本的に何か違う。薄い衣を纏っているみたいだ」

 

 キルアが私と自分達の違いを指摘し、ゴンが補足して行く。

 

「それはそうだわさ。マドカがしているのは四大行の纏ではなく、応用技の円よ」

 

「「なっ!」」

 

 ビスケの言った答えにゴンとキルアは絶句する。

 応用技ってオーラ食うもんね。でもそれを知った分ゴンとキルアは成長した。

 

「応用技って凄くオーラの消費量が多いよな。それを常時展開しているって言うのか!?」

 

「そう、円もオーラの消費量は激しい、更に集中力もいる。それを可能にしているのは絶対的なオーラ量。だから私はマドカを警戒したんだわよ」

 

「凄い! マドカ凄いよ!」

 

 驚きの声を上げるキルアにビスケが答える。

 ゴンは純粋に褒めてくれるが、その純粋さが汚れきった私には痛かった。

 常時円をしている理由が、ヒソカやフェイタンが突如襲ってくるのに対抗して考えただけだし。

 出来たら出来たでヒソカは更に不気味に気持ち悪くなったけど。

 因みにフェイタンは舌打ちをしていた。治せるのを知ってから結構頻繁に仕掛けられたもんね。

 

「ちょっとあんた大丈夫!? 遠い目をしているわよ!」

 

「はっ……、大丈夫です。ちょっと昔の事を思い出しただけで」

 

 私が昔を思い出しているとビスケが声をかけてくれた。

 

「そうだ! マドカも一緒に修行しない?」

 

「私も一緒に参加して良いの?」

 

「うん!」

 

 おお! 友達と一緒に修行!? やったー!

 

「ちょっと、マドカに教える事なんて殆どないわさ」

 

「へー、マドカってビスケから見てもそんなに強いんだ」

 

 ゴン、そのキラキラした目は私に痛い。

 神様(?)にあって転生させられて、赤ちゃんの頃から念使っていたらゴンとキルアなら私以上になっているかもしれないよ。

 

 所変わって夜、ゴンとキルアの修行は寝る時まで及んでいた。

 

「へー、岩を綱で縛って吊るしているのね」

 

「ああ、俺は大丈夫だけどゴンが暫くタンコブだらけだったぜ」

 

「今はタンコブないみたいだけど」

 

「今は慣れてきたみたいだぜ」

 

 吊るされた岩を見て呟いているとキルアが話しかけて来た。

 なるほどね、寝ている時にも注意深くなるよう修行しているのか。

 

 綱の先端を持ち眠りにつく。

 シュッ!

 寝る時に広げた円が刃物の形を捉えた。

 脇に置いておいた小石を取り、刃物に向かって投げる。

 キーン!

 刃物と小石がぶつかり音を鳴らす。

 その音に気付きゴンとキルアがこちらを見る。

 

「なるほどな。何で脇に小石を置くかと思ったらその為か」

 

「マドカ凄い!」

 

 私は照れて頬を掻く。

 ビスケは綱だけ狙っていたから反応が少し遅れた事は内緒だ。

 ヒソカやフェイタンは急所狙いが基本だからね!

 

 翌日からゴンとキルアの流の修行を手伝ったり、凝の競争に参加したりした。

 凝の競争はまだ私の方が早い。

 系統別修行が始まり、私も強化系の修行レベル1を一緒にやらせてもらった。

 同じ大きさの石どうしをぶつけ、同じ石で他の石を千個割るのが目標だそうだ。

 私は一日でクリアしたが、ゴンとキルアはクリアできなかった。

 その後ビスケからじゃんけんの語源、邪拳の話を聞きゴンが何か考え着いた。

 グーが強化系、チョキが変化系、パーが放出系だそうだ。

 その後キルアが電気を発生させてゴンが電気ウナギみたいって言っていた。

 ビスケがパーティーをしないか提案して来た。もう直ぐ新年になるそうだ。

 

「あー! ハンター試験!」

 

「あ! 如何やって出るんだ?」

 

 そうだったキルアはハンター試験受かっていなかったんだっけ。

 

「マサドラから西に行った港の所長さんから離脱(リーブ)手に入れられるよ」

 

「お、サンキュー」

 

 こうして私達は港に向かいキルアがゲームの外に出て行った。

 マサドラに戻る中、念を変化させる変化系の修行をしていると呪文カードでアベンガネがやって来た。

 アベンガネの話によると嵌め組全員にボマーが爆弾を仕掛けたそうだ。

 ボマーとはグリード・アイランドでプレイヤーを殺して回っている念能力者とのこと。

 アベンガネは他の者にも話を回すと言って飛び去って行った。この時アベンガネにかけられた念を消そうかと聞いたがアベンガネに拒否された。

 

 ゴンは嵌め組を助けられないと知り、修行を続ける事にした。

 私の念なら体の外にある爆弾を取り除けると思い、嵌め組の元へ急いだがすでに血の海と化していた。

 

 ボマーが大量殺人をしたのは知っていたが、どの位の規模になるのか確かめるためと呪文カードを手に入れる為にマサドラに向かった。

 マサドラのトレードショップでは予想通り、呪文カードが大量入荷されていた。

 呪文カードを手に入れられたものの、キルアが居なくて使い方が分からなかった。

 使い方が分からない物ばかりなので暗幕(ブラックアウトカーテン)だけ使ってみた。

 

マサドラ近くの平原で修行を再開し、放出系の修行をしていた。

 オーラを指からから離し留め、前に放つ。

 ゴンはこれを二回で目標の距離に当てる事ができた。

 変化系に比べればずっと才能があるな。ゴンは強化系だけど、放出系よりなのかもしれない。

 

 

 

 

 




設定が穴だらけですがご容赦下さい。


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グリード・アイランド③

 

 キルアは二週間ほどで帰って来た。

 手に入れられた呪文カードをキルアに見せると、ガンガン使ってみる事を進められた。

 まず交信(コンタクト)を使ってみる事にした。

 交信(コンタクト)でバインダーを見ていると、ゴンのバインダーに〝クロロ=ルシルフル〟の名前があった。

 え!? クロロもう除念終わったの? 原作知識が大分穴だらけになって来たな。

 ゴンとキルアが二人で会話しているとビスケが仲間に入れろと二人を殴り飛ばした。

 ビスケが掛けた念を解く除念の事をゴンとキルアに言うと、クラピカに話した方が良いとキルアがもう一度ゲーム外に出た。

 

 キルアが帰って来るとクロロに掛った念はまだ解かれていないらしい。

 ゴンがキルアに必殺技の出来を披露した。

 パーは易々目標の岩に当たり、チョキは木の枝を切った。

 ゴンは〝じゃんけん○○〟と必ず言うと息巻いている。

 キルアの方は合金のヨーヨーを持ってきていた。

 

 ビスケが本格的にゲームの攻略を開始すると宣言し、大きな大樹の元に辿り着いた。

 ナンバー53のホワイトキングオオクワガタを入手する為、ゴンが大木を殴った。

 大樹が大きく揺れ数多の虫とホワイトキングオオクワガタが降って来た。

 三枚を手に入れた。他にも手に入れようとしたけどカード化限度枚数が上限になっていてカードにする事は出来なかった。

 

 その後金粉少女を手に入れ、ギャンブル都市ドリアスに向かう途中アントキバの月例大会に参加した。

 参加したのはゴンとキルアで、ペア戦で優勝した。

 聖騎士の首飾りを手に入れ、聖騎士の首飾りの効果でカードを取られる心配がなくなった。

 そして『魔女の秘薬』、『記憶の兜』、『リスキーダイス』を順調にゲットした。

 次に向かったのはスロット。あるスロットマシーンでリスキーダイスを使いレインボーダイヤを手に入れた。

 キルアはこの街の攻略にリスキーダイスが鍵になっているといった。

 失敗した時のリスクを考え、いざとなったらビスケと一緒にキルアを止める事にした。

 トランプのポーカーで『ギャンブラーの卵』を手に入れた。

 キルアが図に乗っているのでビスケと止めに入り、余ったリスキーダイスは売り払った。

 

 どんどんカードを手に入れ指定ポケットカード五十一種のカードを手に入れた。

 プレイヤーとトレードしていると偽物が混じっていたりしたが、『聖騎士の首飾り』で直ぐに分かった。

 ゴンが『聖騎士の首飾り』で山賊の病気を解けるのではないかと言い、ゴン達の会った山賊の元に向かい『奇運アレキサンドライト』を手に入れた。

 その後交信(コンタクト)がゴンにあり、他のプレイヤーと会う事になった。

 

 プレイヤーと会うとゲンスルー組、ボマーがクリアしそうな勢いだと教えてくれた。

 プレイヤー達と交流でランクSのカード二枚でゲンスルーの能力をキルアが教えた。

 集まったプレイヤーの雰囲気からゲンスルーに触られていた事を知った。

 一坪の海岸線を独占する為ソウフラビへ向かった。

 住人に話を聞き十五人の海賊が仕切っていると聞く事ができた。

 他の集まっていたプレイヤーが同行(アカンパニー)で十五人以上纏まって来る事ではないかと当たりを付けた。

 酒場で海賊に会い海賊のボスに会う為に相撲をする事になった。

 同行者の一人が勝負をするが海賊に弄ばれてしまう。

 その男を助ける為にゴンが助けに入った。

 ゴンは反動で土俵から出てしまい負けた事になり、代わりにキルアが出た。

 キルアがお酒を海賊の顔にかけ、微弱な電気を発生させ火を起こす。

 顔に火を付けられた海賊はキレてキルアに襲いかかろうとしたが、他の海賊に止められた。

 

 海賊にアジトに案内してもらって十四人の海賊とレイザーに会った。

 

 海賊達との勝負方法は十五対十五の団体戦、テーマはスポーツだそうだ。

 出られるのは一人一試合、念あり。

 最初の試合はボクシング。

 味方の男が猛ラッシュのジャブをかけた所に、海賊の男が拳を瞬間移動させショートアッパーを放った。

 ショートアッパーが決まり味方の男が気絶した。

 この試合は私達の負けで終わった。

 うーん、それにしても今の念に気付いたのがゴンとキルア、ビスケと私、後はゴリラっぽい人、名前はゴレイヌさんだっけ。

 

「皆ちょっと……」

 

 キルアに呼ばれてゴンとビスケ、私がキルアの周りに集まる。

 キルアの案は、今回は負けて情報を得るというものだ。

 

 次の試合はサッカーのリフティング。

 これに手を上げたのはビスケだった。

 ルールは相手より長くリフティングしている事、念はあり。

 一回足に当てると別の方向に飛んでいき、ビスケの負け。

 

 次はゴンでフリースロー。

 ゴンは真面目にやって入っていなかった。

 

 キルアは相撲に出たが直ぐに負けた。

 

 情報収集を終えた私達に話しかけて来たのは、ゴリラに似た見た目のゴレイヌさんだった。

 ゴレイヌさんをパーティーに加えた私達は食事をしつつバインダーを確認していた。

 ゴンがバインダーを見て〝クロロ〟に話を聞きたいと言いだした。

 キルアと口論になりつつ〝クロロ〟に会う事になった。

 

 同行(アカンパニー)でクロロ=ルシルフルの元に飛んだ。

 

「ってヒー兄!」

 

「「ヒソカ!」」

 

 飛んだ先の泉で水浴びをしていたのはヒソカだった。

 

「ヒー兄、タオルは?」

 

「あそこの木にかかっているよ♢」

 

 ヒソカにタオルを渡し、服を着させる。

 ヒソカの会話でヒソカはクロロを探している事が分かった。

 クモのメンバーがグリード・アイランドに興味を持っていたのを知って探りに来たようだった。

 確かに来ていたよな……、もう会ったのかな?

 

 ゴンがヒソカにクモの質問をしたかっただけ、と答えると呆気に取られていた。

 ビスケがヒソカを仲間にしたいと言い、ヒソカは暇だから仲間になって良いよと言った。

 あ! 絶対もうクモのメンバーと会っている。暇って事はもう用事を終えているって事だもんね。ゴンには言えないなー、ヒソカにバレるもんね。キルアには言うべきかな。でもキルアは変に疑ってしまうかもしれないし、今は戦力が必要だからな。

 ビスケが戻って来て念で『奴は嘘を吐いている』と書いて来た。

 うんうん。嘘吐いているよね。

 その後ヒソカと歩いているとゴンがツィズゲラさんを誘おうと言った。

 ヒソカのバインダーでツェズゲラさんを探し同行(アカンパニー)で移動した。

 

 ツェズゲラさんに交渉を持ちかけるとツェズゲラさんは了承してくれた。

 ツェズゲラさんにスポーツの種類を教えた。

 ゲンスルー組を確かめていた人の言葉で、ゲンスルー組が九十七種になっている事を知った。残るのは『一坪の海岸線』と『奇運アレキサンドライト』の二種。ナンバー0は九十九種集めるとイベントが発生するらしい。

 

 ソウフラビへと戻り海賊とのスポーツ勝負を開始した。

 最初のボクシング、次のボーリングと順調に勝ち星を重ね。

 フリースローを勝ち私がフェンシングに勝った所で相撲勝負に出るはずだったボポボという人がレイザーに反旗を翻して、レイザーに殺された。

 

 レイザーがドッジボール勝負を仕掛けて来た。

 八対八の勝負だそうだ。

 ボポボを殺したレイザーとゴンが言い争っていると、ツェズゲラさんがゴンを諭しに入った。

 

 その後ゴレイヌさんが念獣を二体作り出し八対八に持ちこんだ。

 私はもう出ちゃったからなー。

 ルールはクッション性と内野に戻るときは『バック』と宣言しなくてはならない。『バック』は一度のみ。

 

 ドッジボールが始まり相手の念獣二体を外野に出した所でレイザーが、準備が整ったと言った。

 ゴレイヌさんに剛速球のボールが向かい、ゴレイヌさんに当たりそうになった所でゴレイヌさんが白い念獣と入れ替わった。

 白い念獣は粉々になり、ゴレイヌさんがレイザーのボールにどれだけ恐怖を感じたか分かった。

 

 レイザー達は高速でパスを回し、ツェズゲラさんに背後からボールが当たった。

 ふむふむゴンとキルアとツェズゲラさんの差は、総合的戦闘能力ならツェズゲラさんの勝ち。だけど敏捷性や反射神経、基礎能力はゴンとキルアの方が上か。

 うーん、ツェズゲラさんには重力(グラビティー)見せてしまっているんだよね……。

 いいか、治そう。

 

「ツェズゲラさんちょっと良い?」

 

「何だ?」

 

「手を貸してくれませんか?」

 

「何のつもりだ?」

 

 疑問符ばかり飛び交う中ツェズゲラさんの腕を取り手の甲に〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟を発動する。

 〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟は別に患部に口づけする必要はない。それだと病気は治らないからだ。

 

「何!? 怪我が治っただと!? 君の能力は……、いや聞かないでおこう」

 

 ツェズゲラさんがドッジボールに外野で復帰した。

 

 ゴン達の自陣ボールで始まり、ゴンはヒソカにボールを渡した。

 ヒソカは〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟をボールに付け投げた。

 順番的にはレイザーは最後かな、最後の一人は内野に戻る事は出来ない。

 ヒソカは〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟でぶつけたボールを手元に戻した。

 

 ヒソカがボールを投げた所にレイザーの念獣6と7が控えておりクッションで同時に倒せると思った所で6と7が合体して13という大きな念獣になった。

 そんな事ありなんだ……。

 

 またレイザーのボールを取らないといけなくなり、ゴンとキルアは堅をした。

 ボールは真っ直ぐゴンに向かって行く、ゴンは手を額に交差させて硬をした。

 うん、ゴンの今のオーラ量でレイザーのボールを止めようとしたら硬をするしかないよね……。

 

 吹っ飛ばされたゴンは自力で立ちあがった。

 額からは血が流れていた。

 ボールは天井にめり込んでいる。

 ボールの落下地点はゴンチームの中、しかしゴンは外野に出る事になった。

 

「ゴン治療するよ」

 

「あ、うん。宜しく」

 

 〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)

 

「あ、もう痛くない! ありがとうマドカ!」

 

 ゴンの治療の間キルアとゴレイヌがパスをして時間を稼いでくれた。

 

 ゴンの治療が終わるとゴレイヌさんが内野に居る黒いゴリラにボールを投げた。

 瞬間、レイザーと黒いゴリラが入れ替わり、レイザーにボールが当たった。

 ボールが飛び此方の内野ボールで始まると思った瞬間、レイザーの念獣が足場を作りボールを取られた。

 その後レイザーがボールをゴレイヌさんにぶつけた。

 ボールが当たりゴレイヌさんが気絶するとゴレイヌさんの念獣が消えた。

 なるほどオートの念獣じゃなく操作された念獣か。

 ゴレイヌさんが気絶から回復した場合を考えて治しておくか。

 〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)

 今日だけで何度癒しの口づけ(ヒーリングキス)したことか……。試合には出ていないけどオーラがどんどん削られていく。皆これ以上怪我しないと良いけど。

 

 レイザーからのボールがキルアに真っ直ぐ向かい、キルアが避けると直角に曲がりビスケとヒソカに向かった。

 ヒソカは避けきれないと気付くと〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟で受け止めた。

 今のボール、キルアが左に避けていたらキルアに当たっていた。

 ギリリと歯を食いしばる。

 ビスケの服にレイザーのボールが当たっており、ビスケがアウトになった。

 内野が二人になった事でゴンが『バック』を宣言して内野に戻った。

 うん、ゴンも怒っている。

 

 キルアがボールを持ち、腰を下ろすとゴンが〝じゃんけんグー〟をして念がこもったボールは13を外野に飛ばした。

 今のゴンの〝じゃんけんグー〟だとレイザーは倒せないな……。それにキルアの手、ゴンがじゃんけんグーをする時念でガードしていない。

 ゴンはオーラを溜めレイザーにボールを放った。

 レイザーはバレーのレシーブでボールを弾くと余裕で着地した。

 ヒソカが宙に飛んだボールを〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟で手元に引き寄せた。

 これによりレイザーは外野へ、しかし『バック』で戻って来る。

 ビスケがボールを2にあて敵内野にはレイザーのみになった。

 

 ツェズゲラさんがタイムを取り、ツェズゲラさんがゴンのじゃんけんグーをする時自分が持つと言った。

 しかしこれに反対するゴンとキルア。

 

「このタイムの間にキルアを治しましょう。〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟」

 

「サンキュー」

 

 そしてゴンはキルアの持つボールでないと真剣に打てないと言った。

 その後に、マドカでも打てたと思うけどマドカはドッジボールには参加できないもんね、と言われ不覚にも涙が出るかと思った。

 ゴンがそこまで私の事を思ってくれていたなんて。

 

 試合が開始するとレイザーがバレーのスパイクの様にボールを打って来る。

 対するゴン達は、ゴンがボールを捕球しヒソカが〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟でこぼれない様にし、キルアが真ん中でクッションと踏ん張りの二役をこなした。

 キルアの身体のオーラ、踏ん張り用のオーラの攻防力の移動は誤差1%もなかった。

 私は〝強者との訓練(クレイジーダンス)〟で辿り着いた地点にゴンとキルアは地で行ってしまう。凄い! 私も頑張らないと。

 

 ゴン達のボールになり、ゴンは更にオーラを高めて行く。それでこそゴン!

 

「最初はグー、じゃんけんグー!」

 

 ゴンのボールをレイザーはゴンにはじき返した。

 ゴンに向かって来たボールをゴンは気絶してかわした。

 倒れたゴンにヒソカは〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟で弾き返し、レイザーは更に弾き返そうとして〝伸縮自在の愛(バンジーガム)〟でボールを貼られエリア外に出るまで止まらなかった。

 レイザーの負けで、この勝負ゴンチームの勝ちになった。

 

 気絶から目を覚ましたゴンがレイザーとジンさんについて話している間に、私はキルアの手の治療をした。

 

 その後に『一坪の海岸線』を手に入れた。

 

 

 

 

 




オリ主の原作知識が大分薄れてきています。


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グリード・アイランド④

 

 『一坪の海岸線』をクローンで三枚に増やした。

 ゴレイヌさんとツェズゲラさんはクローンの方で良いそうだ。

 怪我の治療が終わったヒソカは帰って行った。

 

 ゴレイヌさんとツェズゲラさん組が手を組み、私達とも手を組まないか誘って来た。

 そこへツェズゲラさんに交信(コンタクト)が入りゲンスルーと話す事になった。

 前に一緒に海賊討伐に参加した人達が殺されていた。

 ゴンが怒りゲンスルーに喧嘩を吹っ掛ける。そこをツェズゲラさんが諫めた。

 ツェズゲラさん達が三週間時間を稼ぎ、ゲンスルー組を倒す手立てを考えて欲しいと言われた。

 

 ツェズゲラさん達が去って行った後、ゲンスルー組にたいしての策を練った。

 と言ってもゴンはビスケとゲンスルーの〝一握りの火薬(リトルフラワー)〟対策中で、キルアと私で策を練る事にした。

 

「まずゲンスルー組の確認ね」

 

「おう。まずはリーダーのゲンスルー、他にザブ、バラ、ビルの四人組」

 

「分かっている念能力はゲンスルーの〝一握りの火薬(リトルフラワー)〟と〝命の音(カウントダウン)〟の二つね」

 

 私とキルアが確認をしているとビスケがやって来た。

 

「なあ、ビスケの能力って何だ?」

 

 キルアの問いにビスケは〝魔法美容師(まじかるエステ)〟の説明をした。

 それに対して「使えない」と返すキルアとビスケの言い合いは日暮れまで続いた。

 

「で、マドカの能力は〝重力(グラビティー)〟と〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟で良いか?」

 

「追加で〝英雄(ジークフリート)〟と〝強者との訓練(クレイジーダンス)〟、〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟、〝空間転移扉(どこで○ドア)〟ね」

 

「ちょ、ちょっと待つだわさ。発の量もだけどそれ以上に念の系統は何なの!?」

 

「あー、こいつ全部の念系統使えるんだと」

 

「はあ!?」

 

 私の話に驚くビスケ。

 念って一人一系統だもんね。

 

「でも名前だけだと分かんねーな」

 

 キルアの言葉にそれぞれ説明して行く。

 

「ビスケとマドカはゲンスルー組と戦えるか。チッ俺は相手次第だな」

 

 キルアはそれだけ言うとまた思考の海に潜って行った。

 

 

「マドカ空間転移扉(どこで○ドア)ってどれくらいの人数まで一緒に飛べるんだ?」

 

「特に人数制限はないよ。でもグリード・アイランド(ここ)では使う気はないよ。ゲームマスターにどう取られるか分からないし、場合によっては危険がある。ゲームはゲームで楽しみたいし」

 

「そうか」

 

 

 

 

 タイムアップが大分見えて来た頃、キルアは策を思い付きタイマーを買って来た。

 カードをバインダーから取り出し元の物体に戻る時間、一分をゴンに憶え込ませる為ひたすらタイマーに向かわせた。

 大きく削り出した大岩をゲンスルーに落とすためだ。

 

 ツェズゲラさんと別れ三週間がたちゴレイヌさんから交信(コンタクト)が届き、ツェズゲラさん達の様子と私達の調子を聞いて来た。

 ゴレイヌさんとキルアが話し交信(コンタクト)は切れた。

 

 ゲンスルー達のオーラが近づき戦闘態勢を取った。

 ビスケの案通り私達は弱者を演じる。

 同行(アカンパニー)等を使いマサドラ郊外の森に誘き出す。

 一度やり過ごした私達の元にゲンスルー達がやって来た。

 よし、後は四人を引き離す。

 

 

 

「お前達が俺達を引き離そうとしているのは知っている。同行(アカンパニー)を使ったらどうだ?」

 

 え!? 気付かれている!?

 確か私を追いかけて来ている赤毛の男はビルと言ったか。

 

「……同行(アカンパニー)オン、ルビキュータ」

 

 ルビキュータに着くと一路南に向かう。

 ルビキュータの南には山岳地帯が広がっている。

 

「此処で良いだろう、ヤリ合おうぜ!」

 

 そう言うとビルはオーラを高め出した。

 

「まったく主人公組が四人になっているとはな!」

 

 主人公組? まさかゴン達の事? もしかしてこの人も転生者!?

 

「俺はあいつ等より強いぜ! バグ風情が勝てると思うなよ」

 

 私が戦闘の構えを取るとビルは私に火炎を放って来た。

 ビルもオーラを炎に変えられるのか。手から炎が放たれている所を見ると放出系も混ぜているのか。

 うん、この人強い。

 私も最初から本気で! 〝英雄(ジークフリート)〟〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟同時発動! 

 発を二種類同時に使うとオーラを物凄く食うから持久戦に持ち込めなくなるけど、この人の場合一つの能力では勝てない。

 

「オーラ跳ね上がったな。それにその炎の刀、変化系か?」

 

 ビルが火炎の弾を撃って来るのでそれを避け、切り裂きながら近付いて行く。

 私の刀の攻撃範囲に持ち込んだ所で袈裟切りに刀を振り下ろす。

 大きくバックステップをとったビルに更に近付き二閃三閃と刀を振るって行く。

 接近戦に持ち込まれた相手は距離を取ろうとするが、私は攻撃を休めず攻撃して行く。

 隙のできた足元に刀を振るうとギリギリかわされてしまう。

 逃がすか! 

 刀を戻す時間はないので凝をした蹴りを放つ。

 

「グッ、お……重い」

 

 そりゃあ蹴る瞬間〝重力(グラビティー)〟使ったからね。

 これ位しないとウボォーに攻撃通らなかったからね。

 この人の強さはクモよりか幾らか下という所か。

 

 呻いているが直ぐに体勢を整えようとしているビルに接近し、隙のある掌に刀を突き立てる。

 刀から炎が迸るがビルは凝で防ぐ、それどころか刀を掴んで来ようとした。

 刀を直ぐに引き抜き横に薙ぐが避けられてしまう。

 瞬間的に〝重力(グラビティー)〟を使いビルの動きを止めると、峰打ちで打ちつけ意識を刈る。

 

 持って来ていた綱でビルを縛りつける。

 同行(アカンパニー)でビスケの元に飛んだ。

 飛んだ先にはビスケとキルアが揃っていた。

 

「後はゴンだけか……。作戦通りにしているかな……」

 

 ゴンだけに頗る不安だ。

 同じ事を考えているのかキルアとビスケも不安そうだ。

 

 ゴンから交信(コンタクト)が来て話してみるが、喉を潰されているのか声が上手く聞き取れない。

 ゴンがゲンスルーを捕まえ合流してみると、ゴンはボロボロだった。

 左腕は無く右腕もボロボロ、喉も潰されている。

 

 ゲンスルーが気付きカードの受け渡しに条件を付けた。

 バラとビルを直す事。

 流石にこの人達に口づけしたくないのだけど……。

 

 『大天使の息吹』を使いゴンを治した。

 〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟じゃ、無くなった腕まで治せないからね。もしゴンを私が治して『大天使の息吹』が使えなくなってしまっては困る。

 

 『大天使の息吹』を使っていると『大天使の息吹』の複製(クローン)が消えてしまった。

 慌てるビスケにゴレイヌさんから交信(コンタクト)があり合流して来た。

 合流後『大天使の息吹』を使いゲンスルー達とキルアを治した。

 

 ゴレイヌさんからバッテラさんの事情とカードを貰い、最後のイベントが始まった。

 問題は100問、正解率の一番高いものが勝ちだ。

 問題は指定ポケットカードの問題。

 100問終わった所で最高得点者の発表がされた。

 87問回答したゴンが最高得点者だった。

 

 リーメイロに向かいゴンが城に向かった。

 城から戻ったゴンと報酬のカードの話をした。

 ゴンは申し訳なさそうに現実世界でも使えるバインダーを持ち出した。

 持って帰れるのは三枚、同じ指定ポケットカード入れられない。

 ゴンは同行(アカンパニー)を持って行きたいそうで、その為にはカードを擬態(トランスホーム)しその後、擬態(トランスホーム)を解く『聖騎士の首飾り』が必要になった。

 私とキルアに申し訳なさそうな顔をするゴンに私達は「気にするな」と答えた。

 

 現実世界に戻りビスケに『ブループラネット』を渡した。

 ビスケはゴンにジンさんに会ったらどうするか聞いている。

 

「それは勿論、キルアとマドカを紹介する」

 

 この言葉にキルアと私は照れるしかなかった。

 ビスケと別れ同行(アカンパニー)でニッグ、ジンさんの元に向かった。

 

 

 

 

 




今回でグリード・アイランド編終了です。
書き溜めたものが底を尽きそうになってきています。
キメラ=アント編は数日あけるかもしれません。


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キメラ=アント①

キメラ=アント編開始


 

 同行(アカンパニー)で飛んだ先で出会ったのはジンさんではなくカイトさんだった。

 カイトさんはゴンの知り合いでジンさんの弟子、ゴンにジンさん生存を教えてくれた相手だとか。

 カイトさんと新種の生物の調査中キメラ=アントという物を知った。

 キメラ=アントとは捕食した相手の遺伝子を次代に繋げる摂食交配の能力を持っている。

 そして人間サイズのキメラアントの女王が居る事を知り、ゴンとキルア、カイトさんと共にNGLに向かう事になった。

 NGLは自然保護に力を入れている国で、文明の利器、機械は持ち込めない。

 

 NGLに入国できたのはゴンとキルア、カイト(呼び捨てにするように言われた)とカイトの仲間、私の六人だった。

 NGLに着くと少し空気が変わった。より重く暗くなった気がする。

 勘だけど、此処に女王は居る!

 どうやらカイトも同じように感じているらしい。

 馬に乗って海岸線上を目指して移動して行く。

 

 そんな移動をしていると蜂が手紙を持って来た。

『助けて! キメラアントの巣 岩石地帯』と書かれていた。

 カイトの仲間二人は国境に戻りハンター協会に知らせに戻った。

 進んだ先には死体があり拳銃の薬莢が落ちていた。

 機械の持ち込めぬNGLに機械を持ち込めるのは、NGLの陰の支配者のみ。

 影の支配者は既にキメラアントに襲われている。そして拳銃はキメラアントに持ち去られた。

 そう結論付けたカイトは私達に現状を語ってくれる。『最悪の組み合わせ』になっている恐れがあると。

 既にNGLはキメラアントに襲われている。女王が王を産むまで猶予はいったいどれほどあるのか。

 

 私達は人のいない村を発見しゴンの何か臭うという言葉に、ゴンを先頭に進んでいくと声をかけられた。

 何処か兎っぽいキメラ=アントだ。

 そのキメラ=アントを見てカイトはゴンとキルア、私に戦闘するように言った。

 

 三人でキメラ=アントの兵隊に殴りかかって行く。

 するとキルアが落雷(ナルカミ)を使いゴンがじゃんけんグーを使った。私の出番はなさそうだ。

 キルアの念の雷で動きを封じられゴンに殴り飛ばされたキメラ=アントは、仲間のキメラ=アントに連れられて行った。

 

 更に進んで行くと腐臭が道標になっている程の死体の山があった。

 

 私達は不自然に穴の空いた岩山に着いた。

 キメラ=アントの巣ではなさそうだが、何かありそう。

 中に入って行くとカイトがNGLの裏の中核をなすアジトだと教えてくれた。

 穴倉にキメラ=アントがいた。

 人を虐殺しているキメラ=アントをゴンは止めようとしたがカイトに止められる。

 

 向かって来るキメラ=アントは三人、一人は奥で待ち構えている。

 ムカデの様に手がいっぱいある者、蚊の様な格好の者、カブトムシの様な者が襲いかかって来る。

 奥に居る馬の様な者はカイトが相手をすると言っていた。

 私はカブトムシの様な奴の元に向かった。

 〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)

 氷の刀を作り出しカブトムシの様なキメラ=アントを細切れにして凍りつかせる。

 周りを見るとキルアも倒し終わっていた。

 ゴンは必殺技の構えだ。

 カイトは此方の様子を伺いつつライフルを撃っていた。

 ゴンが〝じゃんけんチー〟でキメラ=アントを切ったが、キメラアントはまだ死んでおらずゴンに襲いかかった。

 カイトがライフルでゴンに襲いかかったキメラアントの頭を潰した。

 カイトの〝気狂いピエロ(クレイジースロット)〟の能力は1~9スロットが回りランダムで武器が出て来るものだった。出て来る武器は選べず、一度使わないと変えられないそうだ。

 カイトは私達の念能力について考察を述べる、使い勝手の良い能力だと。

 そう思うなら何でそんな能力にしたのか……。

 

 その後私達はキメラ=アントの巣を目指して進んでいく。

 

「囲まれているね」

 

「そのようだ、かなりの数だな」

 

 私の意見とカイトの意見が重なった。

 その時山の上から蛙の様なキメラ=アントが降って来た。

 キメラ=アントの兵隊長とのタイマンになった。

 最初はゴンが出た。

 出て来たのはダンゴ虫の様なキメラ=アント。

 キメラ=アントが団子状になって襲いかかって来るのをゴンは避けて行くが、キメラアントは転がるコースを変えてゴンに襲いかかる。

 キメラアントの言葉に怒ったゴンがキメラアントを潰し、倒した。

 

 次はキルアの番で相手のキメラ=アントはサイの様な奴だった。

 肌の硬い相手で、キルアは何度も左胸を突いて行く。

 硬い肌も何度も攻撃される事で砕け、心臓を潰される。

 

 次は私かと思ったらカイトが〝気狂いピエロ(クレイジースロット)〟を使い大鎌を作り出し、キメラ=アント達を倒してしまった。

 え? 私の番は?

 何となく嫌な予感がするし急いだ方が良いかな。

 カイトがまだ完全に死んでいないので気を着けて進めと助言してくれる。

 

 

「つけられているな」

 

「そうだね」

 

「「!?」」

 

 ゴンとキルアが後ろを振り返った。

 カイトがそっちじゃないと上を見た。

 

「トンボ」

 

 私の言葉にカイトが頷くと左右からトンボが襲いかかって来た。

 トンボの相手をしながら森を抜けて行くと、追い立てられているのに気付いた。

 カイトもそれを感じたのか〝気狂いピエロ(クレイジースロット)〟を使いトンボを倒し、森を抜けるとライオンに似たキメラ=アント達がいた。

 しかし、キメラ=アント達は襲いかからず引いて行った。

 

 カイトが円で獅子のキメラ=アント達を追い、それを着けて行く。

 

 

 

「「な!?」」

 

 カイトと私の声が重なる。

 

「ゴン、キルア、マドカこの場から逃げろ!」

 

「カイトもう遅い! 〝英雄(ジークフリート)〟〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟」

 

 私に振り下ろされる凶刃、否、凶爪。

 ガキン!

 何このオーラ、ヒソカ以上のおぞましいオーラだ。

 

「カイト、ゴンとキルア連れて行って」

 

「マドカ……。分かった、ゴン、キルア行くぞ」

 

「嫌だ! 俺も戦う!」

 

 ガッ!

 

 一緒に戦おうとするゴンにキルアが手刀を叩きつける。

 

「良くやったキルア、行くぞ!」

 

 そう行ってカイトはゴンとキルアを連れて去って行った。

 

「帰しちゃって良かったの?」

 

「うん」

 

「そう、じゃあやろうか」

 

 私達の元にやって来た禍々しいオーラを纏ったキメラ=アントは猫と人間が混ざり合った様な姿をしていた。

 円を五メートルにして戦闘態勢を取る。

 重なる爪と刀。

 幾重にも重なり互いに浅い傷を着けて行く。

 速さと力はあちらが上、でも経験なら私が上か。

 それにしても〝強者との訓練(クレイジーダンス)〟が物凄いスピードで上がって行く。こんな事はヒソカやクモと戦いだした時のようだ。

 

「ふははは、きみ凄いね。どんどん強くなって来る」

 

 キメラアントって戦闘狂が多いな……。

 

「巣に帰ってくれて良いのだけど……はっ(〝重力(グラビティー)〟)」

 

「何!? 身体が急に重く、グハっ」

 

 避けられたか、でも右腕は切り落とした。

 私が斬った右腕と斬られた肩の部分が燃えだす。

 

「このままだと燃え広がるね、じゃあ切り落とすだけだ」

 

 そう言って猫のキメラ=アントは残っていた肩の部分まで切り落とした。

 

「ははは、きみ強いね。僕はネフェルピトー、君は?」

 

「マドカ」

 

「マドカ、マドカ。うん、覚えたよ」

 

 ネフェルピトーは残った左手の爪を煌めかせて襲いかかって来る。

 ガキン、カキン、ガガキン!

 

「ぐふっ」

 

 手負いの獣程厄介なのは居ないと言われるはずだ。

 ネフェルピトーの爪は私のお腹に突き刺さった。

 右腕を失ってからネフェルピトーは更にスピードが増した。

 それにしても凄い吸収力。私との戦闘でどんどん動きが良くなっている。

 

「マドカ、君はこんなものではないだろう。もっともっと僕に教えてくれよ!」

 

 はー、コレだから戦闘狂は……。でも、負ける気はない! でも〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟をしている暇はないな。

 痛いけど此処が踏ん張りどころ!

 

 〝英雄(ジークフリート)〟〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟〝重力(グラビティー)〟最大出力!

 私のオーラが高まり肉体を強化して行く、手に持った刀の炎が燃え盛り白色に変わる、私の重さが軽くなりネフェルピトーの重さが増す。

 

「「ッグハ」」

 

 私がネフェルピトーの右足を切り落とした時、ネフェルピトーは私の刀を持っている右手に爪を振るう。斬られそうな右手を左手でガードしたら左手の掌にネフェルピトーの爪が刺さった。

 ネフェルピトーは右足を腿の部分で切り裂いた。

 

「これじゃあマトモに戦えないね。そうだ何か発を考えよう」

 

「そんな時間あげると思う? はあっ!」

 

 ネフェルピトーは片足で避けようとするが、避けきれず身体に刀がかする。

 かすった部分を剥ぎ取るネフェルピトー、その僅かな隙を逃さず刀を心臓に打ち込んだ。

 そう思った。

 

「僕も死ぬ訳にはいかないからね」

 

 私の刀がネフェルピトーに刺さる瞬間、大きく後ろに飛んでいた。

 

「今回は引かせてもらうよ、でも……次は殺す!」

 

「!?」

 

 ネフェルピトーから今までにないほど禍々しいオーラが迸り私に当たる。

 オーラがまるで物体かの様に身体に叩きつけられた。

 此方の怯んだ隙にネフェルピトーは巣に向かって去って行った。

 

「くそっ!」

 

 仕留め損ねた! ネフェルピトーは強い、放っておいたら間違えなく被害は増す。

 ネフェルピトーを追おうにも既に巣の近くだ。

 此処は引くしかない。

 

 

 

 

 




今回起こったこと。
カイトの生存、ゴンさんフラグの折り。

最終話まで毎日投稿できそうです。


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キメラ=アント②

 

「ぐっ、お腹も左手もぐちゃぐちゃだ。〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟あー、これでオーラ使い切った。後は絶で逃げ切らないとな」

 

 本当は倒れたいところだけど、こんな所で倒れたらキメラアントにお持ち帰りされる。

 疲れた足を引きずりカイト達が去った街の方に歩を進める。

 そこに朝日が顔に射しこんだ。

 

「戦い始めたのが夜だから、何時間戦っていたんだろう」

 

 少しでも早くこの場を離れないと。さっきまでのネフェルピトーとの戦いで、大抵のキメラアントは怖じ気づき去って行ったけど、何時戻って来るか分からない。

 本来より大分遅い足で街に向かって走る。

 途中何度も縺れそうになる足を叱咤して前に進む。

 

 日が沈む頃森の端まで来ていた私だけど、今日はここで休む事にした。

 もっと進みたい所だけど、夜目はキメラ=アントの方がある。それに此処で休めばオーラも大分回復する。

 

 視線? 悪い感じはしない……。

 視線のした先を見ると四人の人物が見えた。

 

「あれはカイトとネテロさんと誰だろう?」

 

 合流するか。

 下していた腰を上げカイトとネテロさんの元に向かう。

 途中人影の一人が煙管から煙を出すと数多の兎になり駆けて行った。

 探索系の念能力かな。

 

 カイト達の立つ岩場の真下まで辿り着くと、登れそうな低い傾斜の所を辿り登って行く。

 

「マドカ! 良かった無事か!」

 

 途中で私に気付いたカイトが駆け寄って来た。

 

「カイト……。ゴンとキルアは?」

 

「無事だ。今は国境を抜けて街に居る」

 

 良かったー、三人共無事だった。途中でネフェルピトーレベルの相手に会っていたら如何しようかと思った。

 

「マドカが帰ったか、また強くなったのう」

 

「ネテロさん、とえーと?」

 

「私がノヴで此方がモラウです」

 

 黒髪に眼鏡、黒スーツの人がノヴさん。大柄で白髪、大きな煙管を持った人がモラウさんだ。

 

「マドカです」

 

 ノヴさんとモラウさんに自己紹介をする。

 

「フォフォフォ、自己紹介が終わった所で敵の話をしようかのう」

 

 ネテロさんのその言葉に皆の雰囲気が変わる。

 

「見た感じネテロさんより上ですね」

 

「そうじゃろうのう。さっき見た猫型の蟻は儂以上じゃった」

 

 私の意見にあっさり納得したのはネテロさんだった。

 

「カイトからもそう言われていますし、実際に戦った者が言うのです本当の事でしょう」

 

 ノヴさんの言葉に話し合いが始まり、色々話し合い私はキメラアント討伐隊に加わった。

 

「マドカ、ゴンとキルアが国境を越えた街に居る。一度あって来ると良い」

 

 ネテロさんにそう言われて私はゴンとキルアのいる街を目指した。

 服も変えないとな、ボロボロだし。

 

 国境線で服を買い、近くの街に急いだ。

 

 街に着きネテロさんに聞いた家に向かうと、ゴンとキルア、ビスケのオーラを感じた。

 チャイムを鳴らし待っていると髪の長い女性が現れた。

 ゴンとキルアに会いたいと伝えると中に通してもらえた。

 ゴンとキルアの居る部屋の扉は開いており、中が窺えた。

 ゴンとキルアはビスケに念の修行を見てもらっていた。

 

「ゴン! キルア!」

 

「「マドカ!」」

 

「ビスケもグリード・アイランドぶり」

 

「無事そうで何よりだわさ」

 

 ゴンとキルアは嬉しそうに駆け寄って来てくれた。

 ビスケにも挨拶して部屋の中に入る。

 

「次はマドカと一緒に戦えるように念の修行をビスケに見てもらっているんだ」

 

 少し話した結果分かったゴンの動機だった。

 キルアは少しばつの悪そうな顔をしている。

 

「直ぐにマドカに追いつくから、次は一緒に戦おう!」

 

 ゴンは気合を新たに念の修行に入って行った。

 何でもモラウさんの弟子とキメラ=アント討伐に向け割符を賭けて戦うらしい。

 

「次は一緒に戦いましょう。私も強くなって待っているから」

 

「お前まだ強くなるのかよ」

 

「今回結構ギリギリだったから。ネテロさん達の推察通りならまだ同レベルの相手が居るらしいし」

 

「分かった。俺達も絶対強くなる」

 

 その日はゴン達の居る家で眠り、次の日ゴンやキルアと別れNGLへ向かった。

 

 NGLに着き円でネテロさん達の元に急いだ。

 

「カイト、ネテロさん、ノヴさん、モラウさん。今戻りました」

 

「戻って来ましたか、〝四次元マンション(ハイドアンドシーク)〟此方に入って待機していて下さい。私達がキメラアントをそちらに送るので倒して行って下さい」

 

 皆の元に手を振り向かうと、昨日話していた通りノヴさんの念、〝四次元マンション(ハイドアンドシーク)〟に入る。入るのはネテロさんとカイト、私の三人。ノヴさんとモラウさんはキメラ=アントを此方に送る係だ。

 

四次元マンション(ハイドアンドシーク)〟に続々とキメラ=アントが入って来て、それを淡々と倒す。

 キメラ=アントが入ってこない時はカイトやネテロさんと組み手をした。

 カイトから入る経験値は少ないが武器の扱いは上手くなった。〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟で具現化できる武器が剣と刀以外にも増えた。

 ネテロさんとの組み手ではガンガン経験値が溜まって行く。オーラ量では既に私の方が上だが、オーラの質の様な物はネテロさんが上だった。基礎身体能力も私の方が上だが経験という一点で負けている。

 何度挑んでも軽くいなされてしまう。

 

 

「今日で30日、一緒に連れて行く者達が決まるのう」

 

「そうですね」

 

「あ! ゴンとキルアの持っていた割符の期限か」

 

 最初に気付いたのはネテロさん、それに相槌を打ったのがカイト。私はすっかり忘れていて記憶を探る。

 さっきまでネテロさんと組み手していてそれ以外の事はすっかり記憶の彼方だった。

 

「二人はゴンやキルアとモラウの弟子、どっちが来ると思っておる?」

 

 ネテロさんは面白そうに聞いて来る。

 確かに此処に居るのってゴンとキルア側のカイトと私だもんな。

 

「私はゴンとキルアが来ると思います。次は一緒に戦うと言ってくれましたから。信じることしかできません」

 

「俺からは何とも。モラウさんの弟子がどんな奴か知りませんし。ですがゴンとキルアが来てくれると嬉しいですね」

 

「ふぉふぉふぉ、そうかそうか」

 

 私達の意見を聞きネテロさんは面白そうに笑っている。

 そう私達が話しているとネテロさんの携帯が鳴った。

 

「……ふむふむ、そやつをここに連れて来てくれんか」

 

「何かあったんですか?」

 

 ネテロさんの真剣な面持ちにカイトが代表して聞いてくれた。

 

「何、キメラ=アントの一部が降伏して来た」

 

「「キメラ=アントが」」

 

 ネテロさんの言葉にカイトと私は驚きの声を上げた。

 

「今から降伏して来たキメラ=アントの代表がここに来る。……そら来たぞ」

 

 

 

「貴方が人間の代表か?」

 

 現れたのは背に鳥の様な羽をもつキメラ=アントで雰囲気が真面目そうだ。しかし、今はとても焦っていた。

 

「そうじゃ、儂が代表をしておる」

 

「頼む女王様を助けてくれ! その為だったら俺は何でもする!」

 

 やって来たキメラ=アントは地に頭を着ける勢いで頭を下げて来た。

 

「まず自己紹介をしようかのう。儂はネテロ、お前さんは?」

 

「俺はコルトという」

 

 カイトと私は蚊帳の外だがキメラ=アントの話に耳を傾ける。ネテロさんとキメラ=アント、コルトさんの言葉を聞く。

 

「王が産まれたと聞いたが本当かのう」

 

「本当だ、王は産まれた。女王様を傷つけてな。今少数の師団長が女王様を見ている。何とか女王様を助けたい、その為に俺達はお前達に降伏する」

 

「分かった、降伏を受け取ろう。直ぐに医者の手配をしよう。カイト、マドカ一旦此処を出るぞい」

 

「「分かりました」」

 

 私達はコルトさんを連れ一度〝四次元マンション(ハイドアンドシーク)〟を出た。

 ネテロさんは急いで電話をかけて行く。

 

「マドカ、賭けのけ……勝負の結果を見に行きますが貴女も来ますか」

 

「はい」

 

 ノヴさん賭けの結果って言おうとしなかった……。

 ゴンとキルアの様子を見に行こう。

 

 

 

 

 



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キメラ=アント③

 ゴン達の居る街に着くと車が用意されておりその前にゴンとキルア、二人の見知らぬ男性が居た。

 ゴンとキルアは俯き手を握っていた。その体は細かく震えている。

 

「ゴン、キルア……」

 

「ごめんマドカ、俺達勝てなかった。一緒に行けないんだ」

 

「……」

 

 ゴンは絞り出すように言葉を紡ぎ、キルアは俯いたままだ。

 

「ゴン、キルア諦めないで。まだこの事件は終わっていない。一緒に戦いましょう、待っているから。カイトも同じ気持ちだと思うよ」

 

「そっか……、そうだよね。俺達、絶対強くなる!」

 

「……、俺は」

 

 ゴンは決意も新たに力を入れる。しかし、ゴンからはオーラを感じない。念を封じられているのだろう。

 それより気になるのはキルアだ。何かを諦めた様な、傷ついた顔をしている。言葉も小さく聞き取れない。何があったのだろう。

 

「キルア、キルアも待っているから」

 

「っ! ……俺は」

 

「何があったかは知らないけど、私はキルアも待っているから。私達友達でしょ」

 

「! ……」

 

 キルアはまた俯いてしまった。今、私に言えるのはここまでか……。

 

 ゴンやキルアと別れて見知らぬ二人と合流した。

 

「俺はモラウ(ボス)の弟子ナックル、こいつはシュートだ。宜しくな」

 

「マドカです。宜しくお願いします」

 

 一見不良の様に見える白い服の男性がナックルさん、和服の様な服に片腕を隠している人がシュートさんだった。

 どちらもモラウさんの弟子だそうだ。

 ノヴさんは後から来るお医者さん達を誘導するためにこの場に残り、私はナックルさんとシュートさんをネテロさんの元に連れて行く。

 

 ネテロさんの元に戻るとモラウさんとカイト、コルトさんも居た。

 ノヴさんがお医者さんを連れてきたら直ぐにキメラ=アントの巣に向かうつもりだろう。

 ゴンとキルアの元に向かう前に〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟の事は伝えてある。しかし、〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟では失った部分までは治せない事も伝えた。

 女王の生死はどれだけ内臓が無事か、だ。お医者さん達が内臓を繋げている間生きていられるかも問題そう。それがコルトさんから聞いた話を繋げた結果だ。

 

 お医者さん達がノヴさんに連れられてやって来るとキメラ=アントの皆さんに連れられ空を飛んでいる。

 一直線に飛んだ方が早く着けるというコルトさんの案に乗った形だ。

 お医者さん達は最初悲鳴を上げていたが、直ぐに悲鳴を噛みころした。この先に患者が居ると聞いているからだ。

 

 キメラ=アントの巣に着くと直ぐに女王の居る場所に案内された。

 キメラ=アントの女王は胸から下が爆散しており酷い状況だった。内臓はキメラ=アントの皆さんが集めており、側に置かれていた。

 お医者さん達はすぐさま治療に取りかかり、内臓を繋げて行く。

 お医者さん達曰く内臓は思ったより無事らしい。

 女王は何かキメラ=アントだけに分かる通信でコルトさんを呼ぶと何かを話し始めた。

 コルトさんの言葉しか分からないが、息子『王』の事を心配しているようだ。

 

 コルトさんの奮闘も虚しく女王は息を引き取ってしまった。

 嘆き悲しむコルトさんが見つけたのは女王の腹に宿ったもう一人の子供だった。

 モラウさんがコルトさん達がもう人間を食べない事を条件に女王に着いて来たキメラ=アントと女王の子供を保護する事にした。

 

 キメラ=アントの王が東ゴルドー共和国に行った事が分かり、私達は準備を始めた。

 ネテロさんは用事があると一人別行動を取った。

 ノヴさんは弟子を迎えに行くと街に戻り、モラウさん、ナックルさん、シュートさん、カイト、私は女王の元を離散したキメラ=アント達が人里に出てきた場合の戦闘員として残った。

 

 カイトと事件が起こった街に向かい、そこに居たキメラ=アントを退治しているとノヴさんからゴンとキルアも東ゴルドー共和国に連れて行くと連絡が入った。

 

 ゴンやキルアと合流するとキルアは何か吹っ切れた様な顔をしていた。

 合流したのは私とカイトが最後で、直ぐに列車に乗る事になった。

 私はゴンやキルアと電車の中でトランプをしていた。

 

「皆さん聞いて下さい、会長からの指示が来ました。二人ずつ四方に別れ東ゴルドー共和国に入りシャウアプフ、モントゥトゥユピー、ネフェルピトーを分断し殲滅せよ、との事です。組み分けは私とモラウ、ナックルとシュート、カイトとマドカ、ゴンとキルアにします」

 

 

 

 東ゴルドー国境近くで私はカイトと一緒に水の中を泳いでいた。

 

「東ゴルドー共和国に着いた訳だが、俺達はこの道を通って行こう」

 

 そう言ってカイトと北周りで王の元に向かう事にした。

 東ゴルドー共和国に入る前、テレビ放送で選別を開始するのを聞いていた私達はなるべく早く王のいる宮殿へ向かう事にした。

 

 途中、人っ子一人居ない村を発見した。捜索してみるとおざなりな隠蔽工作がされており、既に選別が開始されている事を知った。

 選別を止めたかったが、カイトに選別を止めるには早く王のいる宮殿に行く方が良いと諭され宮殿のある東へと急いだ。

 

 携帯のニュースを見ていると変わった報道が流された。選別に向かっている住民全てを家に籠らせ、軍隊を向かわせるというものだった。理由は政府に対する不穏分子が現れて活動しているので、家に籠ってやり過ごせというものだった。軍が一軒一軒不穏分子を匿っていないか確かめるために家を検めると言っていた。

 

「この不穏分子はゴン達だな」

 

「カイトもそう思う?」

 

 カイトと私の意見が重なった。

 ゴンとキルアが行動した結果、こうなったのだろう。

 今回の作戦で動くとしたらゴンだろうな……。

 キルアは最終的には賛成して、誘導を開始するのかな。

 

「宮殿近くの街までもう少しだ、急ぐぞ」

 

 カイトの言葉に頷くと動き出した。

 

 宮殿のある街に着くと人の気配がせず、街全体が静まり返っていた。

 

「既にこの街の人間は選別され始めているらしい」

 

 カイトの言葉に頷くしかない。

 ノヴさんとモラウさんに連絡をし、カイトと私が到着した事を告げた。

 

 ゴンとキルアの行動に感化されたモラウさんが、念で選別に使われているネフェルピトーの人形を破壊する事を決意した。

 その為、王達との戦闘には本調子で参加できそうにないと連絡があった。

 モラウさんの念獣が街に放たれ行動を開始した。

 

「ねえ、カイト。そこら中にいるトンボ、なんか変じゃない?」

 

「確かに、……もしや念獣か!?」

 

 何故かモラウさんの念獣の周りに集まるトンボを指し声を上げると、カイトは念獣だと当たりを着けた。

 

「ノヴさんが当たりを着けたみたいだぞ、見てみろ」

 

 カイトの言葉に視線を向けると、ノヴさんがトンボっぽいキメラ=アントの後方に陣取っていた。

 

「操作している念が消えた?」

 

「ネフェルピトーの円も消えているよ」

 

 カイトが操作されている人に振り分けられていた念が消えたといった瞬間、私は宮殿を覆っていたネフェルピトーのオーラが消えた事が分かった。

 カイトと顔を合わせ何が起きているのか考えた。

 考えたが何が起きたのか分からなかった。

 そんな時ゴンから連絡があり、合流する事になった。

 

 

 

「えーと、この状況は?」

 

「あはは、何か意気投合したみたい」

 

 私がゴンに訪ねたのは、幾重にも集まった犬達の中心でナックルさんがカメレオン型のキメラ=アントと何やら楽しそうに話していた。

 

「おう、カイトにマドカ来たか! こいつはメレオロン。仲間になった」

 

「初めましてマドカです。こっちはカイト」

 

 始めて会ったら自己紹介だよね。キメラ=アントと言ってもコルトさんみたいな人(?)もいるしゴン達が〝仲間〟って言っているし良い人なんだろうな。

 

「二人とも聞いてくれよ、メレオロンは凄い奴なんだぜ。何て言っても――」

 

 ナックルさんがメレオロンさんを褒めちぎる。

 メレオロンさんは照れているのかそっぽを向いていた。目に入る耳が少し赤くなっている。

 確かにメレオロンさんの透明になる能力〝神の不在証明(パーフェクトプラン)〟は凄い能力だった。触っていても全然気付かなかった。更に〝神の共犯者(かみのきょうはんしゃ)〟はメレオロンさんが触っている人物も透明になれるものでナックルさんの〝天上不知唯我独尊(ハコワレ)〟とは相性が良さそうだ。

 ただ気になるのは王と三人の王直属護衛軍の中に範囲攻撃して来る相手がいないか、という事だ。透明になり殴っても範囲攻撃されてしまえば当たる可能性がある。

 

「あれ? キルアは?」

 

 私はキルアが居ない事に気付きゴンに問いかけた。

 

「それが連絡着かないんだ」

 

 それからゴンに選別を邪魔する為にキルアと別れた事を聞いた。

 なるほど、選別の邪魔をしていたのはキルアか。キルア、ナイス!

 潜入しているなら連絡を取れないのも納得がいく。

 

 暫くしてモラウさんとノヴさんとも合流した。

 合流したノヴさんは項垂れ手を握りしめていた。

 モラウさん曰く、潜入した時敵との差を実感してしまったそうだ。

 私がネフェルピトーに怯えずに済んだのは、格上は逃げても向こうからやって来る。っていう教訓があったからだ。逃げても追って来るなら対峙するしかないと開き直った。

 私も潜入して〝空間転移扉(どこで○ドア)〟の条件をクリアする事も提案したが、〝空間転移扉(どこで○ドア)は出入りの際扉を具現化しなければならないので、敵に見つかる可能性を考えて却下された。

 

 それから二日ゴンの元にキルアから連絡があった。

 敵のキメラ=アントと遭遇して戦闘。戦闘の怪我で入院していたそうだ。

 闇医者にかかっていてお金を振り込んで欲しいと伝えて来た。

 ゴンがキルアと話をしている間に私がお金を振り込んでおいた。

 

 キルアと合流するとタコの様なキメラ=アントを紹介された。名前はイカルゴさんだ。

 タコなのにイカなの? と思った事は内緒にしておく。それを口走ったナックルさんにイカルゴさんが怒っていたからだ。

 それにしてもゴンといいキルアといい良く人格の良いキメラ=アントと遭遇するよね。

 

「それでキルア身体の調子は? 調子悪い所あるなら治すけど」

 

「大丈夫、もう治ったから」

 

 治すか訪ねた結果、治ったと言われてしまえばそれまでだ。歩き方に違和感ないし本当に大丈夫そうだ。

 

「よし、全員揃ったな。王宮に潜入後それぞれ相手をする相手を説明する。まずモントゥトゥユピーにナックル、シュート、メレオロン。ネフェルピトーにカイト、マドカ、ゴン、キルア。イカルゴはパームの救出。最後にシャウアプフは俺だ。絶対に王に近寄らせるな!」

 

「「「「「「「「おう!」」」」」」」」

 

 

 

 

 




次話は本日20時に更新します


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キメラ=アント④

 ついに突入開始まで三分を切った。

 キルアが何故王は自分を傷つけたのかを無性に気にする。王が怪我をしたのが分かったのはネフェルピトーの念や円が消えたことからの推察だ。ネフェルピトーの〝玩具修理者(ドクターブライス)〟という念は集中力がかなり必要で、発動の際、円など他の念は使えないらしい。

 自分で自分を傷つける、恐らく自分が許せない時だ。そう考えると王はプライドのある為政者、と考えられる。王がプライドを持って治めるなら、配下は王のプライドに沿うように行動するだろう。話し合いは持たれる事はないと思った方が良い。

 それにしても、そんなプライドの高い王が自分を傷つけるなんて何があったのだろう。

 これはキルアのいう通りイレギュラーがあったと思って行動した方が良いかもしれない。

 

 深呼吸をする、いよいよ潜入だ。

 自分に活を入れノヴさんの〝四次元マンション(ハイドアンドシーク)〟の出口に立つ。

 

 大階段に辿り着いた私達を待っていたのは振動だった。

 これはゼノさんの念かな。

 轟音と共に念で作られた龍が宮殿に降りかかる。

 

 階段の正面に回った私達を待ち構えていたのはモントゥトゥユピー。まさか此処で会うとは思わず一瞬歩を緩める。

 その一瞬にゴンは前進し私とキルアはゴンの後を追った。きっとナックルさんも進んでいる。

 モントゥトゥユピーを通り過ぎた所でモントゥトゥユピーに何処からか攻撃が入った。姿を消したナックルさんとメレオロンさんだと気付いた。

 ゴンを追い更に階段を上がって行くとエレベーターのある部屋に辿り着いた。

 ゴンは真っ直ぐエレベーターの先の階段を目指すが、キルアがエレベーター側に居たキメラ=アントを倒しに行った。おそらくエレベーターを使うイカルゴさんの為。

 私はゴンの後を追い階段を上って行く。登った先にあったのは煙に包まれた王の間。煙に包まれているという事はシャウアプフが居るという事。王と引き離す作戦の為王は一緒にはいない。

 ネフェルピトーは何処?

 

 宮殿を見回してみるとネテロさんとゼノさんが見え、後ろを指された。おそらくその先にネフェルピトーがいる。

 ネフェルピトーの右腕と右足は人間の腕と足を移植したのか、人間の様になっていた。

 ネフェルピトーの元まで行くとネフェルピトーは一人の女性を治療していた。

 

「ピトー! 俺と戦え!」

 

「今は無理だ、この人を治療しないといけない」

 

「「「「!?」」」」

 

 ネフェルピトーの言葉に私達全員が息を飲む。

 ネフェルピトーは怪我した人間を治療する様な人間性は持ち合わせていない。

 

「その治療私も手伝いましょうか?」

 

「要らない。王に頼まれたのは僕だから」

 

 怪我をした女性の治療に声を上げたがネフェルピトーに拒否された。

 私が近づき、万が一その女性を傷つけない様に。

 

「戦いたければ治療が終わるまで待って欲しい」

 

「分かった。どれくらい待てば良い?」

 

 治療が終わるまで待って欲しいというネフェルピトーにゴンは何時まで待てばいいか訊ねた。

 

「一時間あれば大丈夫、僕もマドカと戦いたかったからね」

 

「おいおい、この場には俺達も居るんだぜ。俺達の相手もしてくれるだろう」

 

「うん。君達も中々強そうだ」

 

 私を名指ししたネフェルピトーにカイトは自分達も相手をしろという。そして頷くネフェルピトー。

 

 ネフェルピトーの近くに最初に腰を下したのはゴンで、続いてカイトも腰を下ろした。それを見てキルアと私も腰を下ろす。

 

 腰を下して数分、僅かな気配を感じて後ろを振り返ると〝神の不在証明(パーフェクトプラン)〟を解いたメレオロンが視界に映った。

 モントゥトゥユピー担当のメレオロンが何の用だろう? 何かイレギュラーが起きたのか。

 

「(俺が行って来る。皆はピトーを頼む)」

 

「「(了解)」」

 

 小声でキルアが呟くとカイトと私が頷く。ゴンはネフェルピトーに集中している。

 キルアとメレオロンが出て行くのを見送るとネフェルピトーに集中する。

 これまでの会話で、あの女性は王にとっての重要人物だと分かった。王がこの女性をどう見たかは分からないが、ネフェルピトーに治療を頼む程には重要な人物なのだろう。

 もしかすると王の自傷行為もこの女性が関わっているのかもしれない。

 

 殺気を感じて〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟の氷の刀を背後に構える。

 

「プフ、マドカは僕の獲物だ」

 

「ピトー……。此処で何があったのですか?」

 

 背後からやって来たのはシャウアプフだった。

 シャウアプフの質問にネフェルピトーは今まであった事を話しだした。最後に締めくくりの様に扉、南を示して王は出て行ったと喋った。

 しまった! 王のいる方向をシャウアプフに教えられてしまった。

 

「此処に居ろ」

 

 踵を返そうとしたシャウアプフを止めたのはカイトだった。カイトも今のネフェルピトーの行動に王のいる方向を示しているのを気付いた様だった。

 

「何故私が貴方の言葉を聞かないといけないのです」

 

「プフ、お前が此処に居ないとあの女を殺す」

 

「プフ! 此処に居てくれ」

 

 カイトの殺すという言葉に真っ先に反応したのはネフェルピトーだった。必死に女性を守ろうとしている。その様を見て眉間に皺を寄せるゴン。ゴンは人間の事を何とも思わないキメラ=アントが嫌いでこの討伐隊に志願した。自分が逃げないといけない状況に陥らせたネフェルピトーとの再戦も願っているが、大本はキメラ=アントへの嫌悪のはずだ。

 それが今では女性を守り必至で治療しているネフェルピトーに何を感じているのだろう。

 ネフェルピトーの王からの命令で女性、コムギさんを治療している。という話を聞いていた為かシャウアプフはその場に留まった。

 それにしてもシャウアプフはモラウさんの管轄のはずだ。何かモラウさんにあったのだろうか。円をするべきか、……いや、今はモラウさんを信じる。

 原作知識を覚えていれば今の状況も載っていたのだろうか、私がギリギリ憶えていれたのはハンター試験まで。その後は虫食いでドンドン色あせて行っている。

 

 宮殿の中庭の方から何度も爆発音の様な音が聞こえて来た。皆は戦っているようだ。

 出て行ったキルアも戻って来ずに戦っている。

 そんな時、ついに痺れをきらしたシャウアプフが部屋から出て行った。

 カイトが身じろぎするとネフェルピトーがピクリと反応した。

 

「プフの事はすまない。代わりに僕が謝る」

 

「謝罪は確かに受け取った。……治療の時間は縮められないのか」

 

「10分は縮まる」

 

 ネフェルピトーの謝罪をカイトは受け取り、治療の時間を縮められないか聞いた。ネフェルピトーの答えはイエスだった。

 

 ネフェルピトーの〝玩具修理者(ドクターブライス)〟が解けコムギさんの治療が終わった事を知る。

 丁度戻って来ていたキルアにコムギさんを託し私達は場所を移した。

 キルアに預けるのを渋ったネフェルピトーだが、最終的には此方の意見を飲んでくれた。

 少しでも王との距離をあけるため北に向かった。

 開けた土地に着くとネフェルピトーは私達から距離を取った。

 私はすぐさま〝英雄(ジークフリート)〟と〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟、〝重力(グラビティー)〟を威力最大で発動させる。

 私の身体が強化され手には炎の刀、私にかかる重力は減りネフェルピトーの重力は増す。ゴンとカイトの重力も減らしたい所だけど、カイトは兎も角ゴンとは合わせた事がないので止めておく。

 

「その刀どうなっているのかニャ、さっきは凍っている様に見えたけど」

 

「さあ、どうかしら」

 

 私の刀を見て疑問を上げるネフェルピトーに私は空とぼける。

 一生懸命治療していた様にしか見えなかったけど、見ている所は見ているんだな。

 

「まあ、いいや。じゃあ()ろうか」

 

 ネフェルピトーから禍々しいオーラが吹き出し私達に叩きつけられる。

 ゴンとカイトが一歩下がるが、二度目の私は前に躍り出た。

 ネフェルピトーの爪と私の炎の刀幾度となく交差する。

 

「あははは、君の弱点発見! 君の背中の心臓部分だけ絶になっているニャ」

 

「……」

 

 これだけ使えば弱点もばれるか。でも弱点を突こうと攻撃すれば背後に回り込まねばならず、動きが単調で余計な行動をしなくてはならない。

 弱点を突かれる行動は経験がある。その上でどうするかは私の行動にかかっている。

 

「マドカ俺達も戦う」

 

 そう言って刀を振り下ろしたのはカイトだった。

 刀の柄の部分は〝気狂いピエロ(クレイジースロット)〟1番で、念で作られた物だと分かる。

 カイトの後ろからはゴンが迫っており拳を振るう。

 ネフェルピトーはゴンの拳を回避すると黒いバレリーナの様な念を発動させた。

 

「僕も本気にならないとね、これは〝黒子舞想(テレプシコーラ)〟だ。〝黒子舞想(テレプシコーラ)〟こいつ等を殺せ!」

 

 ネフェルピトーの言葉と同時に〝黒子舞想(テレプシコーラ)〟に操られたネフェルピトーが突っ込んで来る。

 は、速い。

 今まで以上のスピードで攻撃をくり出して来る。

 ギリギリ刀で捌きつつネフェルピトーの速度に目を慣らしていく。

 本当にギリギリだけど反応できる!

 ネフェルピトーが攻撃して来た瞬間に刀を反して薙ぐ。私の攻撃は空を切ったがカイトの刀がネフェルピトーの腹を薄く切り裂く。それに続いたゴンだが、ゴンの攻撃も空を切った。

 

 何度もカイトと私の刀とネフェルピトーの爪がせめぎ合う。ゴンも必死に攻撃をするが決定打は与えられない。

 カイトと私がネフェルピトーを両側から刀で攻撃する。そこにゴンが突っ込み拳を振るう。虚を突かれたネフェルピトーはカイトに傷つけられた傷の上からゴンの拳を受ける事になった。

 

「ぐふっ、君達も中々やるニャ」

 

 ネフェルピトーが嬉しそうに笑うとオーラが益々増す。

 

「行くニャ!」

 

 ネフェルピトーは言葉と同時に疾風の様に駆けだし、私の背後に詰め寄る。

 私の炎の刀とネフェルピトーの爪がせめぎ合い、刀の間合いにネフェルピトーの右手が突っ込んで来る。そこを背後に回っていたカイトの刀が斬り裂いた。空を舞うネフェルピトーの右腕、その陰からゴンが拳を振るう。ゴンの拳はネフェルピトーの右脇腹に打ち込まれた。

 ネフェルピトーは躊躇うことなく攻めて来る。

 此処までの攻防でネフェルピトーの右腕と右足が他の部分より幾分反応が遅い事に気付いた。そこを突こう、次は右足!

 私の気持ちに呼応するように炎の刀は燃え上がった。

 

 相変わらずネフェルピトーは凄い。片腕が無くなっているのに動きのキレは増している。

 ネフェルピトーの動きは増すが、私達の動きも良くなっているのが分かる。カイトの攻撃も当たり出し、ネフェルピトーの身体に傷を刻んでいく。ゴンも〝ジャジャンケン〟を当てる事は出来ていないが、流をした拳は何発か当たっている。

 

「最初はグー、じゃんけんパー! あいこでグー!」

 

 ゴンがオーラを高めネフェルピトーに攻撃を繰り出した。そのオーラは今までにないほどの巨大さでネフェルピトーもゴンに注目している。

 カイトと私はそんなネフェルピトーに攻撃を繰り出した。

 ゴンの〝ジャジャンケン〟のパーがネフェルピトーにかすったがネフェルピトーは気にせずゴンに迫って行く。

 

「ぐはっ、痛いでも捕まえた! カイト! マドカ! 今だ!」

 

 カイトと私はゴンの言葉を聞く前から駆けだしていた。

 ネフェルピトーの攻撃を避けず、ゴンの腹部にはネフェルピトーの左腕が刺さっていた。ネフェルピトーの腕の先を握りしめゴンはカイトと私に攻撃をするように促した。

 〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)の炎の刀が燃え上がり大太刀の様に見えるほどだ。その刀をネフェルピトーの首に打ち込んだ。

 炎の刀を受けたネフェルピトーの傷口はすぐさま白い炎が噴き出し燃やして行く。

 

「あははは、僕の負けだ。でも君たちでは王には勝てない。それでも僕は君たちを排除しよう〝黒子舞想《テレプシコーラ》〟僕の死体を操作してマドカ達を殺せ」

 

 しかし、〝黒子舞想《テレプシコーラ》〟に炎が燃え移り燃やして行く。

 

「私の炎は念も燃やす。貴女の念は消えるわ」

 

「そっか、僕の完敗か……」

 

 ネフェルピトーは最後の言葉を残し燃えて行った。燃え尽きた灰は風に乗り舞い散って行った。

 

「ゴンの治療をしないと! 〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟ぐっ、オーラの残りが少なくて完治までいかない。早くお医者さんに見せないと」

 

 私は既に意識のないゴンに駆けより〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟を行ったが、ゴンの傷が深すぎて完治まで持って行けない。できたのは応急処置としての血を止めただけだった。

 

「ゴン! マドカ! カイト!」

 

「「キルア!」」

 

 王宮のあった南の地からキルアが猛スピードで駆けて来る。

 カイトと私が声をかけた時には隣にまで来ていた。

 

「ゴン! 血は止めたのか、速く医者に連れて行こう」

 

「NGLの時に来てくれたお医者さん達が待機していてくれているはず。急ぎましょう〝空間転移扉(どこで○ドア)〟」

 

 こうして私達の戦いは終わり、お医者さんの居る地にまで転移した。

 転移した所には既にシュートさんとモラウさんが運び込まれていた。先生にゴンを渡し、治療をしてもらう。

 その間にキルアから王宮であった事を聞いた。

 パームさんがキメラ=アントにされていた事、ネテロさんが死に王が帰って来た事など。しかし、王に特殊な爆弾を爆発させており、王の命は時間の問題という事だ。

 

 キルアから話を聞いていると続々とキメラ=アントの討伐隊のメンバーが帰って来た。

 パームさんが王の最後は自分が見ると右目を隠していた。

 私達は後をパームさんに任せる事にした。

 

 そしてキメラ=アントの王は死んだ。

 

 

 

 

 




結局ネテロさんは亡くなりました。
王とマドカが戦えるとは思えなかったのでこうなりました。
結局原作をなぞるようになってしまいました。


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アルカ

 ゴンの目が覚め私達がゴンと話していると、キルアが何か葛藤しているような顔をした後頭を下げて来た。

 

「頼む妹を、アルカを助けるのに力を貸してくれ!」

 

「「分かった」」

 

 キルアの言葉にゴンと私は頷く。

 

「良いのか!? 俺の家と戦う事になるかもしれないんだぞ!」

 

「うん。だけどキルアは助けて欲しいんでしょう」

 

 キルアの驚きの声にゴンはキルアを真正面から見て答えた。

 

「それで、何で妹さんを助けて欲しいの?」

 

「マドカまで……。実は――」

 

 キルアは少し言葉を切ると昔キルアの家であった事を語り出した。

 キルアにはアルカちゃんという妹がおり、私の一つ年上だそうだ。

 更にアルカちゃんには〝おねだり〟と〝お願い〟の能力があり、〝お願い〟で叶える事のできる事には制限がない事。また難しい〝お願い〟の後の〝おねだり〟は命をかけるものが多く、その〝おねだり〟を失敗した者はその人物だけでなくその人が大切に思っている者、多くの時間を共有した者も死ぬというものだった。

 〝お願い〟を叶えるには三回〝おねだり〟を叶える必要があるそうだ。

 キルアの話は更に続き、アルカちゃんには〝ナニカちゃん〟というもう一つの人格が宿っており、〝おねだり〟と〝お願い〟はナニカちゃんがしているそうだ。

 また、キルアだけが〝命令〟する事ができるなど、かなり重要な事まで話してくれた。

 

「アルカ達は俺の大切な妹なんだ」

 

「シルバさんがアルカちゃんを閉じ込めているのって、アルカちゃんがゾルディック家に不利益をもたらす〝お願い〟を叶える可能性があるからで良いのかな」

 

「ああ。そうだ」

 

 私の質問にキルアは頷いた。

 

「今の仮定が間違っていないなら可能性はあるよ」

 

「本当か!」

 

 私の言葉にキルアは期待に満ちた目で見つめて来る。私はそんなキルアに頷き言葉を続けた。

 

「アルカちゃん、正確にはナニカちゃんがゾルディック家に対する不利益をもたらさない様に念をかければ良いんじゃない?」

 

「だが、そんな念どうすれば作れる」

 

「私が作れば良いと思うよ。私ならどんな系統の念も作れるし、制約を詰めて行けばいけると思う」

 

 私の考えを述べるとキルアは如何するべきか悩みだした。

 その間私も念の誓約と制約を考えて行く。ふと隣を見るとゴンが撃沈していた。深く考えるのは苦手だもんね。

 

 シルバさんが閉じ込めなければならないほどの念と考え、私が考えた念は以下の通りだ。

 〝限定契約(ギアス)

・かけられる対象は一人のみ。

・対象者に同意を貰わないといけない。

・対象者に同意を得られなかった場合、私が死ぬ。この事は言ってはならない。

・この念を作った後、新たに念は作れない。

・念をかけた後一週間絶状態になる。

 この考えでいけると思うのだけど。

 キルアに考えた念の概要を伝えて行く。言えない部分は言わなかったけど。

 

「本当に良いのか? それが本当だと今後念を作れないんだぞ」

 

「構わないわ。結構念の数が多いから言える事だけど、念が多いと念に対する習得率が下がると思うの。私は今の数で精一杯よ」

 

「分かった。アルカ達を頼む」

 

「うん。任された」

 

 私に向かって深々と頭を下げるキルアに私は頷いた。

 

「そうと決まればゴンを治して向かいましょう」

 

 私はゴンに〝癒しの口づけ(ヒーリングキス)〟をしてゴンの傷を治した。

 ゴンは私にお礼を言うと手早く移動の準備を始めた。私も持って来ていた鞄を取り中身を確認した。

 

「何処かでお土産買わないとね」

 

「あ、そうだね」

 

「別にいらねーだろ」

 

 私の言葉に頷くゴンといらないと答えるキルア。その反応は実に対照的だった。

 そんな話をしていると、ゴンの部屋にカイトが入って来た。

 

「お前たちもう行くのか?」

 

「カイト! 俺達でかけて来るね」

 

 カイトは何処か呆れたように言葉を紡ぎ、ゴンは嬉しそうに手を振ると駆けだして行った。

 

「おい! ゴン待てよ! カイトまたな」

 

「カイトまた会いましょうね」

 

 駆けだしたゴンを追ってキルアと私も後を追った。

 それを見ていたカイトは肩をすくめると「ジンさんそっくりだ」と呟いた。

 

 ゴンを捕まえ、まずは飛行船のチケットを取りキルアの家に向かう。パドキア共和国行きの飛行船に乗り、デントラ地区行きの列車に乗った。ククルーマウンテンまでは観光バスに乗ってゆっくり観光を楽しんだ。

 パドキア共和国に着いた時にお土産は買ってある。

 

「久々の試しの門だな。競争しよーぜ」

 

「うん。負けないよ」

 

 試しの門に辿り着くとキルアとゴンが競争をしている。

 最初に挑んだのはキルアで5の扉まで開けた。続けて挑んだゴンは4の扉までだった。しかし、ゴンが扉を開けた時5の扉も少し開いており非常におしかった。

 

「マドカー! マドカもやろうよ」

 

 ボーっと見ているとゴンに呼ばれた。

 門の前で待っている二人の所まで行くとお土産を持ち上げ二人に話しかけた。

 

「お土産先に持って入ってて」

 

「ゴメン。マドカにずっと持たせたままだった」

 

 私の言葉にゴンは謝りお土産を持ってくれた。

 

「じゃあ行くよ」

 

 私は自分の合図と共に試しの門の扉を押した。

 

「5の扉までだね」

 

 私は開いた門を見上げて答えた。しかしキルアは少し悔しそうにしている。私が開けた5の扉までなのは一緒だが、私が開けた時は少し6の扉まで開いたからだ。

 

 ゴンに預けたお土産を受け取り、私達は本館までの道を進んでいる。

 

「キルア様お帰りなさいませ」

 

 途中ゴトーさんがキルアの出迎えに来てくれた。

 

「ゴトー久しぶり、親父はいるか?」

 

「ご当主様でしたら本館の方にいらっしゃいます」

 

「サンキュー」

 

「ゴトーさん、これお土産です」

 

「わざわざすみません」

 

 キルアとゴトーさんの会話が終わった所でゴトーさんにお土産を渡した。

 

 キルアと本館の扉の前に立つと内側から扉が開いた。

 

「うわー、自動ドアみたい」

 

 ゴンの感想に苦笑するキルア。私も似たような事を考えた。

 キルアの案内でキルアの家(本館)を進んでいくと前方にシルバさんとゼノさんのオーラを感じた。

 

「親父、話があるんだけど良いか?」

 

「キルか、入れ」

 

「「御邪魔します」」

 

 キルアはシルバさんの許しを得ると部屋の中へ入って行った。ゴンと私も挨拶をして中に入る。

 

「マドカと、君がゴンか」

 

「こんにちは、シルバさんゼノさん」

 

「親父紹介する、こいつがゴン。ゴン座っているのが親父で、奥に居るのが祖父ちゃんだ」

 

 シルバさんの言葉にキルアがゴンを紹介した。

 

「それでキル如何したんだ」

 

 シルバさんの問いにキルアの喉がゴクリと動いた。

 

「アルカを外に連れ出したい」

 

「駄目だ」

 

 キルアの願いを瞬時にシルバさんが却下した。

 

「アルカにゾルディック家に不利益になる願いはさせないから」

 

「キル、それはできるのか?」

 

 再度願いを言うキルアにゼノさんが問いかけた。

 

「マドカの念でアルカがゾルディック家に不利益な〝お願い〟をできない様にする」

 

「ほう。キル、マドカと三人で話がしたい。お前達は出て行ってくれ」

 

「分かった。ゴン行くぞ」

 

 シルバさんの言葉にキルアは頷くと出て行ってしまった。

 シルバさんとゼノさんの注目が痛い。

 

「マドカちょっとやそっとでは、あやつに念は通らんぞ」

 

 私が黙っているとゼノさんが問いかけて来た。

 

「シルバさん達が閉じ込めなくてはならない相手って事ですよね。その上で誓約を考えました」

 

「話してみろ」

 

 シルバさんの問いに私は頷くと誓約に着いて語った。〝限定契約(ギアス)〟の誓約のあらましを。

 

「なるほど、それなら行けるかもしれないな。で、どこに命を賭けた」

 

 シルバさんの言葉に私は目を丸くした。まさか命を賭けている事に気付かれるなんて。

 

「マドカの目は命を賭けた者の目だ。見れば分かる」

 

「い、言えません」

 

 答えについどもってしまった。

 

「……。分かった、アルカに会わせよう」

 

「ありがとうございます」

 

 シルバさんは数秒押し黙るとアルカちゃんに会わせてくれると約束してくれた。

 

「だが、命を賭けるのはこれだけにしろ」

 

「そうじゃのう、親御さんが心配するじゃろう」

 

「はい!」

 

 シルバさんは私の頭に手を乗せると優しく撫ぜてくれた。ゼノさんも私の肩を叩きながら言葉を続けた。

 私はめったに会わない親だけど、知らない所で死んでいたら確かに嫌だと思い頷いた。

 

 シルバさんの先導で私達はアルカちゃんの元へ向かった。何重にも設けられた門の多さにアルカちゃんの重要度を悟る。

 

「アルカ、久しぶり」

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

 キルアがアルカちゃんに話しかけると、アルカちゃんは嬉しそうに駆け寄って来た。

 

「アルカ、俺と外に行かないか?」

 

「お兄ちゃんと一緒に? うん。行く!」

 

「アルカ、マドカの言う事を聞いてくれるか? そうしたら一緒に行けるから」

 

 キルアに促されて前に行くとアルカちゃんがキョトンとしていた。

 

「初めましてアルカちゃん。私はキルアの友達でマドカって言います」

 

「は、初めまして。アルカです」

 

 私が自己紹介するとアルカちゃんも自己紹介してくれる。アルカちゃんは黒いぱっつん髪に青い瞳の可愛い女の子だった。

 

「アルカちゃん、ゾルディック家に関わる悪い〝お願い〟は聞かないでくれる?」

 

「うん。いいよ」

 

 アルカちゃんが頷くと禍々しいオーラが溢れだし、ナニカちゃんが出て来るとナニカちゃんも頷いた。

 

「〝限定契約(ギアス)〟」

 

 〝限定契約(ギアス)〟を発動するとオーラがドンドン流れて行き、枯渇寸前に流れが止まった。成功だ。

 私のオーラが消えうせ、何処か心もとない。

 見ていたキルアに頷くとアルカちゃんに抱き着いた。

 そんなキルアをゴンと私は温かく見守った。そんな視線に気付いたのかキルアは顔を赤くすると横を向いてしまった。

 

 

 

「マドカ、絶が解けるまで家にいろ」

 

 キルアがアルカちゃんにゴンを紹介し終わった所でシルバさんの声が聞こえた。どうやら絶が解けるまでキルアの家に居て良いそうだ。

 

「キル、アルカを上に連れて行け」

 

「分かった」

 

「キルア良かったね」

 

 ゴンが嬉しそうにキルアに話しかけた。キルアはアルカちゃんを抱っこしたままだ。キルアが照れて離れようとしてもアルカちゃんが嫌がり、抱き着いたままなのだ。

 

「あ……」

 

「マドカ大丈夫?」

 

「うん、大丈夫。少しふらついただけだから」

 

 動こうとして足を縺れさせた所をゴンが支えてくれた。一気にオーラを吸い取られて疲れただけだから。

 その後アルカちゃんも交えて色々話をした。

 

 

 

 

 




マドカの新たな念を出しました。
次話は本日20時に更新します


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エピローグ

少し短いです


 アルカちゃんが疲れて寝てしまうまで私達は話し通した。

 

「それでマドカは何に囚われているんだ」

 

「え?」

 

 唐突なキルアの問いに私は何も帰す事は出来なかった。私が囚われている? 何に? 頭に過るのはヒソカの顔、それにクモのメンバー。

 

「クモ……」

 

 ヒソカに囚われていないと言おうとして出て来た言葉に息を飲む。

 

「マドカ、クモを知っているの!」

 

 ゴンが問いかけて来るが、答える事ができない。

 

「ヒソカ経由で知り合った、って所か」

 

 キルアの問いに首だけで頷く。

 

「俺もつい最近気付いたんだけどな、お前何かに捕まってるぜ」

 

 キルアの言葉に思考する。私は何かされたか? と。考えてみるが憶えがない。

 そんな時心の奥底で声が聞こえた。「クモを裏切るな」と。クモを裏切るってどういう事? 私がクモを裏切ると思ったの? 確かにクラピカにクモの事を話そうか悩んだ事があった。結局クモの事は話さなかったけど。でも最初にクラピカに会った時殺そうとは思わなかった。あれは未来が確定してなかったから? 私は……。

 

「あああああぁぁぁ!」

 

 突如叫び出した私にゴンとキルアがギョッとした。

 今はそんな事に構っていられない。叫んでいる途中確かに感じたのは私以外のオーラ。

 普段は私のオーラに隠れてしまうほど微弱なオーラを、絶になった今感じ取れた。

 首の後ろから少し上に行った所、頭のつけね。

 私は首の後ろに手を回しオーラの籠っている部分を掴んで取り除いた。私の掌に残ったのはシャルの念に使うアンテナだった。そのアンテナは普段使う物より小さく細かい。

 

「私は……操られていた?」

 

「だと思うぜ」

 

 ポロリと漏れた言葉に反応したのはキルアだった。

 

「クソっ! あいつ等マドカを操るなんて!」

 

「ゴンとりあえず落ち着いて」

 

 私がどうすれば良いのか悩んでいると、ゴンが怒りだした。

 ゴンの怒りを目にしてストンと落ち着いた。とりあえずゴンを落ち着かせないと。

 

「マドカは悔しくないの!?」

 

「ゴンが怒っているのを見たらなんだか落ち着いちゃった」

 

「マドカ! キルアも!」

 

 ゴンの問いについ思っている事を告げるとゴンは怒鳴り返して来た。キルアは何故かお腹を抱えて笑っている。

 

「確かにっ。ゴンが怒ると何か落ち着くよなっ。くく、わりい」

 

 キルアは笑いながら喋っている。

 

「ふふふ、何か怒って良いのか分からなくて。そうしたらゴンが怒っているから何か落ち着いちゃって」

 

「二人とも」

 

 私達の言葉にゴンは眉を下げて困っている。

 

「あー、笑った。で、マドカは如何するんだ?」

 

「如何するって?」

 

「クモだよ。如何するんだ?」

 

「ああ、暫く距離を置こうと思う。自分で何をしていいか分からないし」

 

 笑っていたキルアが真剣な顔をして聞いて来たが、私は何を聞かれているのかピンとこず、問い返すとクモの事だと言われた。

 

 そんな話をしているさなか着けていたテレビにネテロさんの写真が写り、ハンター協会の会長を選挙で決める。と流れた。

 

「選挙で次の会長を決めるのか」

 

「日付は四日後、か」

 

 最初にテレビに注目したのはキルアでゴンが日付を見る。

 

「選挙はハンター全員で、って。ゴン、ジンさんと会えるかも!」

 

「そうかハンター全員集まるならゴンの親父も来るな!」

 

「ゴン急いで飛行船のチケット取らないと」

 

 ニュースが流れて行くとハンター全員の投票で決めると流れて来た。キルアと私でゴンを見つめる。

 

「俺、行かないよ」

 

「「ゴン!」」

 

 ゴンの〝行かない〟発言にキルアと私の声が重なった。

 

「だって、まに会う様に行ったらマドカ絶のままじゃん」

 

「私は良いから。シルバさんが家に泊めてくれているし」

 

「駄目! 行くなら皆一緒じゃなきゃ。じゃないと紹介できないじゃん」

 

 ゴンの頑なな態度にキルアと私は顔を見合わせた。

 

「ゴン、マドカは俺が見ているから行ってこい」

 

「やだ!」

 

 キルアが言い聞かせるがまったく反応がない。

 

「……じゃあ、私の絶期間の消える一週間後に飛行船の予約をしましょう。もしかしたらジンさんもハンター協会で待っているかもしれないし」

 

「うん。分かった」

 

 私の代案にゴンは素直に頷いた。

 

「あ、アルカの分もチケット取らないと」

 

 キルアが動き出しそれに私達は着いて行く。ベッドの方から「お兄ちゃーん」という声が聞こえる。

 その声に起こしてしまったのかと私達は振り返るがアルカちゃんが起きた気配はしなかった。私達は小さく笑うとパソコンに向かった。

 

「ジンに会えたら二人を紹介するね」

 

 ゴンの言葉に私とキルアの顔は笑顔になっていた。

 

「あれ? もしかして私のお父さんにも会えるかも」

 

 一度も会った事のない父親の事を思い出し告げる。

 

「じゃあマドカのお父さんに俺達紹介してよ」

 

「うん、良いよ。私の大切な友達です! って紹介する」

 

 私の言葉にキルアが「はずいだろ」と言っているが私とゴンは笑いあっている。お父さんお母さん私にも友達ができたよ。

 




これで完結になります。
ゴンは原作通りジンに会うことになります。レオリオが殴る事はないでしょう(いや、あるかも)。
幼稚な作品でしたが今まで見て下さった皆さんのおかげです。


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