~孤独の密室 後日談~ (カロライナ)
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~孤独の密室 後日談~ 0説

今回の探索者一覧。

キャラシート提出順にて貼り付け。

 

 

・名前:グラトニー

職業:力士 出身:イギリス

STR17   DEX18   INT10

CON16   APP9   POW17

SIZ17   SAN85   EDU19

アイデア50  幸運85   知識95

HP17    MP17    DB+1D6

 

・職業技能

回避=80 投擲=80 登攀=80

乗馬=76 水泳=80 跳躍=80

武道[立]相撲=80 マーシャルアーツ=80

 

・興味技能

こぶし=80 聞き耳=49 目星=50

他の言語(日本語)=21 芸術(ちゃんこ鍋)=6

 

・持ち物

防刃グローブ、携帯ちゃんこ*10、

カセットコンロ*2、ガスセット*10

 

・設定

外国産力士。スポーツ選手で技能値を取得。

相撲部屋に入っていたがちゃんこの食べ過ぎで追い出される。現在はちゃんこが沢山食べられる民宿に居候中。

力士名は「愚羅徒兄」。当て字。自分でつけた。普通は師匠等の関係者と相談して決めるものだが、上記の理由からそういう人が居ないため。階級は〈関脇〉。

基本的には、戦うことと食事すること以外に興味はない。

このグラトニーは善良だから人間も食べない。

 

1回目のシナリオ、孤独の密室。

クトゥルフホラーショウに準じ、maと武道の初期値は50で作成した

 

特徴表

実は生きていた

生き残るすべに長けている。死からの生還(”クトゥルフ神話TRPG"64ページ)のチャンスが通常の次ラウンドではなく、5ラウンド以内に伸びる。

 

・元キャラ外見イメージモデル

『アニメ:鋼の錬金術師』より『グラトニー』

 

・そのほか外見の特徴

髪色:スキンヘッド 瞳の色:白 肌の色:白

 

・リアル探索者として存在。

彼は元気にしているのだろうか・・・。

彼の活動記録も聞いていない。

 

・所持武器ステータス

こぶし

ダ1D3+DB 距タッチ 攻1 装-- 耐-- 故--

 

 

 

 

 

・名前:チンロック・パンムズ

職業:私立探偵 出身:日本

STR14   DEX14   INT18

CON13   APP12   POW15

SIZ15   SAN75   EDU18

アイデア90  幸運75   知識90

HP14    MP15    DB+1D4

 

・職業技能+110

鍵開け=87 写真術=90 図書館=90

心理学=90 変装=90 芸術(推理)=50

他の言語(英語)=21

 

・興味技能-110

拳銃=90 

 

・持ち物

45口径リボルバー、45口径銃弾*19、鹿撃ち帽

一眼レフカメラ、虫眼鏡、タバコ、キーピック

グロック17 9mmオートマチック、グロックマガジン*2

インバネスコート

 

・設定

迷探偵。私立探偵で技能を取得。

幼い頃にシャーロック・ホームズの小説を読んでからホームズの熱烈なファンとなり、ホームズを目指し探偵となり現在に至る。

チンロック・パンムズはもちろん偽名で、本名は本人しか知らない。基本的にはチンパンと呼ばれる。イギリス人の父と日本人の母のハーフ。

ホームズの様にバリツやらを使う事は出来ず、ガタイに見合わず接近戦の腕はお粗末そのもの。しかし、練習の甲斐あって拳銃の腕は中々のもの。コカインはやってない。

 

・元キャラ外見イメージモデル

特になし

 

・そのほか外見の特徴

髪色:金 瞳の色:青 肌の色:白

 

・リアル探索者として存在。

孤独の密室後に、シナリオへ出かけている模様。

下に出て来るツェペリ スモーキーと共に共闘関係で戦ったとか。

 

・所持武器ステータス

45口径リボルバー

ダ1D10+2 距15m 攻1 装6 耐10 故00

グロック9mmオートマチック

ダ1D10 距20m 攻3 装17 耐8 故98

 

 

 

 

 

・名前:ハードラック=ファンブレラ

職業:聖職者 出身:1920s,アメリカ

STR13   DEX17   INT13

CON17   APP11   POW18

SIZ12   SAN90   EDU19+1

アイデア65  幸運90   知識100

HP15    MP18    DB+1D4

 

・職業技能

聞き耳=80 図書館=80  説得=80

オカルト=80 心理学=80 歴史=55

他の言語(日本語)=41

 

・興味技能

目星=80 回避=79

ブラックシャック=70

 

・持ち物

ドレス、革靴、ネグリジェ、麦わらカンカン帽

ストッキング、ニーソックス*2足(4つ)、聖書

防水毛布、野営キット、料理用具セット

 

・設定【1920s聖職者データ】

いとこのファンブレラ(初代)がゾンビに春画的な展開にされたと聞いてから、

ブラックジャックと12ゲージショットガンが手放せなくなった女性。

ゾンビを見つけたら自前のブラックジャックで撲殺するか、12ゲージで吹っ飛ばす予定。

 

・・・・もちろん中の人はCoCゾンビに銃は禁物であることは知っている。けど、持ちたい。

何やら妹が面白そうなことに参加する様子。ぜひともハードラックも参加したい。

 

・そのほか外見の特徴

髪色:ブロンド 瞳の色:緑 肌の色:白

 

・リアル探索者として存在

1回探索。見事生還。存命。

TRPG側では、SANが残り89

 

・所持武器ステータス

ブラックジャック

ダ1D8+DB 距タッチ 攻1 装-- 耐4

12ゲージショットガン

ダ4D6/2D6/1D6 距10m/20m/50m 攻1or2 装2 耐12 故00

 

 

 

 

 

・名前:|村松«むらまつ» |大輝«たいき»

職業:軍人 出身:日本

STR15   DEX16   INT15

CON16   APP14   POW17

SIZ9    SAN85   EDU17

アイデア75  幸運85   知識85

HP13    MP17    DBなし

 

・職業技能

応急手当=80 機械修理=20 忍び歩き=80

回避=80 隠す=69 聞き耳=80

マーシャルアーツ=80 ライフル==50

 

・興味技能

目星=80 太刀=75 キック=80

ショットガン=80

 

・持ち物

太刀、ショットガン、安全靴、スマホ、腕時計

 

・設定

自衛隊に入隊しようと努力する、しかし もっと身近にいる人を守りたいと思い、その夢をやめて、近所の脳筋探偵に就職する。考え方が似ていたせいか、やることが荒くふざける。

しかし、喧嘩においては元自衛隊になろうとしていた人、そこそこ出来る。

何故、太刀を持っているのか? それは、ヤの付く人から盗んだ。

 

・元キャラ外見イメージモデル

特になし(不明)

 

・リアル探索者として存在

彼もグラトニー同様、活動について特に聞いていない。

元気だと良いが・・・・。

 

・所持武器ステータス

太刀

ダ2D8+DB 距タッチ 攻1 装-- 耐30 故--

ショットガン

ダ4D6/2D6/1D6 距10m/20m/50m 攻不明 装不明 耐不明 故不明

安全靴

ダ+2 距-- 攻1 装装備品 耐-- 故--

 

 

 

 

 

・名前:ツェペリ スモーキー

職業:軍人 出身:日本

STR8   DEX15   INT17

CON13   APP9   POW14

SIZ13   SAN70   EDU15

アイデア85  幸運70   知識75

HP13    MP14    DBなし

 

・職業技能

回避=75 隠す=80 応急手当=80

聞き耳=75 忍び歩き=50 機械修理=70

 

・興味技能

精神分析=71 拳銃=60 医学=65

 

・その他

他の言語(英語)=11

 

・持ち物

スマホ、財布、バッグ、スモークグレネード*10

デザートイーグル、デザートイーグルの弾

応急箱、可燃性殺虫剤*3

 

・設定

日本人とアメリカのハーフである。日本在住だがアメリカの血が濃ゆいのか。

見た目は外人である。また軍人としては軍医の役割である

 

・元キャラ外見イメージモデル

特になし

(セッション時の話を聞いているとジョジョの奇妙な冒険に出て来るキャラの様子。)

 

・そのほか外見の特徴

髪色:red 瞳の色:brown 肌の色:white

 

・リアル探索者として存在。

既に孤独の密室後に、シナリオへ出かけている模様。

他のシナリオでお亡くなりになったなどの噂を聞きつける。

 

・所持武器ステータス

デザートイーグル

ダ3D6+3 距30m 攻1 装7 耐9 故94

 

 




これにて、~孤独の密室 後日談~ 本編は完全に閉めとなります。
ご愛読、ありがとうございました!

また次回作があればマイペースに執筆を行っていきたいと思います!!

グラトニーが優遇されているような気がしましたが、
すみません。一番動かしやすそうな探索者がグラトニーさんだったんです。



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第1章 ~アメリカ編~
~孤独の密室 後日談~ 1説


【前書き】今回の探索者
名前:ハードラック=ファンブレラ
職業:聖職者 出身:1920s,アメリカ
STR13   DEX17   INT13
CON17   APP11   POW18
SIZ12   SAN90   EDU19+1
アイデア65  幸運90   知識100
HP15    MP18    DB+1D4

職業技能
聞き耳=80 図書館=80  説得=80
オカルト=80 心理学=80 歴史=55
他の言語(日本語)=41

興味技能
目星=80 回避=79
ブラックシャック=70

・持ち物
ドレス、革靴、ネグリジェ、麦わらカンカン帽
ストッキング、ニーソックス*2足(4つ)、聖書
防水毛布、野営キット、料理用具セット

・設定【1920s聖職者データ】
いとこのファンブレラ(初代)がゾンビに春画的な展開にされたと聞いてから、
ブラックジャックと12ゲージショットガンが手放せなくなった女性。
ゾンビを見つけたら自前のブラックジャックで撲殺するか、12ゲージで吹っ飛ばす予定。

・・・・もちろん中の人はCoCゾンビに銃は禁物であることは知っている。けど、持ちたい。
何やら妹が面白そうなことに参加する様子。ぜひともハードラックも参加したい。

・そのほか外見の特徴
髪色:ブロンド 瞳の色:緑 肌の色:白

・リアル探索者として存在
1回探索。見事生還。存命。
TRPG側では、SANが残り89

・所持武器ステータス
ブラックジャック 70%
ダ1D8+DB 距タッチ 攻1 装-- 耐4
12ゲージショットガン  30%
ダ4D6/2D6/1D6 距10m/20m/50m 攻1or2 装2 耐12 故00



 人里離れた一軒家。

 ここに一人のブロンド髪の長髪で、翡翠色の宝石のような瞳を持ち、Cカップ程の乳房を持つ人物がベンチに腰を掛けている。透き通るような白く艶のある左手で聖書を読みながら、右手で机上のティーカップを持ち上げ、一口含む。そして一息つくと白い息が空気中に吐き出された。

 

「ハードラック曾おばあちゃん。そんなところで紅茶なんか呑んでいたら風邪引くよ?」

 

 一軒家の扉が開かれ、20代ぐらいの若い女性が半身だけ出して現れる。彼女は黒髪のボブヘアにキリッとした眉毛をしており、ハードラックと呼ばれた女性と同じ翡翠色の瞳をした女性だった。

 

「大丈夫ですわ。まだわたくしは35歳ですのよ? 免疫力も老人の様に衰えている訳ではありませんし、今は逆に過敏すぎるのですわ。1920年代は、もっと酷かったのですのよ?」

「それでも肉体が堪えているかもしれないでしょ? ほら、もうじき夕食の時間だから部屋に入って。パパもママも帰ってくると思うから。」

「はいはい。」

 

 ハードラックは、現れた女性の気遣いは不要だと言うように、鼻でその様子を笑いながら聖書をまた捲り、紅茶を啜る。

 なかなか部屋に入ろうとしないハードラックに痺れを切らした女性は、そのまま全身を出すと彼女の真横に立ち、立腹したかのような表情を創り両手を自分の両腹部に当て詰め寄った。

 ハードラックは迫りくる彼女に向けて、仕方なく伴侶に折れてやるかのように振る舞うと聖書を閉じ、聖書とティーカップを持ち立ち上がる。怒った表情の女性も、彼女が大人しく部屋の中に入ろうとする姿を見て、その後ろに続く。

 

「そうそう。曾おばあちゃんって呼ぶのは止めて下さらないのかしら? わたくし、これでも貴方のお母様より 若いんですことよ?」

「それでも曾おばあちゃんは1920sからタイムスリップして、現代にいるんだから私から見たら どうあがいても曾おばあちゃんよ。だから私は『曾おばあちゃん』って呼ぶことにしているの。」

「うーん・・・・やはり慣れないものは慣れないですの。」

 

 部屋に入りティーカップをシンク台の上に置く。そしてハードラックが普段から使用していると思われる席に座席すると再び手の中で聖書を開いた。女性の方は、彼女が席に座ったのを見るとその隣に座り覗き込むようにして聖書を眺め始める。

 しばらくして、何かを思い出すのようにハードラックは聖書を読む手を止め、黒髪の彼女の方へと向き直ると、少し納得のいかない様子で口を尖らせる。そして『曾おばあちゃん』と言う呼び方に対して不満の声を上げ彼女を見た。そんな子供のような反応に呆れながらも彼女もハードラックを『曾おばあちゃん』と呼ぶ理由を説明する。

 静寂が周囲を包むこむものの ふて腐れたかのように聖書へと向き直るハードラックの姿があった。

 

 

 

 




【後書き】
半年ぶりですね。お久しぶりです。カロライナです。
今回は執筆リハビリも兼ねて、再び小説を書き始めてみました。

またもや、若干語彙力が下がって非常に焦燥しておりますが
何とか最後まで書き上げたいです。

これから出てくる探索者達の最悪の未来を回避させる物語です。
幸せを掴む瞬間を見たいだけに書き上げたものですが、
またしばらくお付き合い頂けると嬉しいです。




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~孤独の密室 後日談~ 2説

「・・・・・・。」

「・・・。」

 

 しばらくの間、互いに一言も話すこともなくダイニングルームキッチンには、聖書が一枚一枚捲られる音のみが響く。

 

「・・・ねぇ、曾おばあちゃん?」

「・・・・なんですの?」

 

 先にその静寂を破ったのは黒髪の女性の方だった。彼女は何も言葉が交わされない空間に対して、話しかける直前 忙しなく動いた後 何か決心したかのような表情で話しかけたのだ。

 

「本当に、おばあちゃんはパパの祖先が所持していた形見の品を使うの?」

「・・・・・・・。」

 

 その問いにハードラックは答えない。しかし、聖書を読むその手は止まっていた。

 

「私には、あんな物使える気がしないんだけど・・・・。それに祖先が残した記録にもさ、腐った犬に追い掛け回されるとか何か嫌な不吉なことが書かれていたし、本当に使う気なの?」

「・・・・・・。」

「パパも言ってたよ。あれは、現代の科学でも刺し測れない科学力が秘められた危険な道具だって。・・・突然何を言い出すんだって思うだろうけど。曾おばあちゃんが初めて この家に来たときは怖がったり、アメリカの悪い人達に復活させられて1920sから現代に現れたと言った時は頭のおかしい人かと思った。だけど、その後DNA鑑定をして本物の親族であることが分かったんじゃない。ファンブレラ家に訪れる前に、散々辛い思いして、お父さんに撃たれそうになって、それでもなんで。なんで、そんなに危険を顧みずに過去に戻ろうとしているの? 曾おばあちゃんは、過去に戻るのは助けられなかった友人達を助け出すために必要なことだと言っていたけど、別に曾おばあちゃんが頑張らなくても良いんじゃないかな? ほら、その人たちはそこで死ぬ運命だったっていう奴っていうか・・・。」

 

 彼女が言い終えるか終えないかの瞬間、ハードラックは手にしていた聖書を閉じる。そして、静かなダイニングキッチンにパタンと聖書が閉じる音が響く事だろう。

 ハードラックは俯くような姿勢になりながらも、座っている女性の方を向く。女性は『失言をしてしまった』とでも言いたげに表情を青ざめると、何かしら言葉を取り繕うとするものの瞬時に単語が出てこないようで、口からは詰まった言葉しか出てこない。

 

「・・・・それでも。」

「・・・・・・?」

「それでも約束したんですの。グラトニーさんや、ツェペリさん、村松さん、チンロックさんと。別れ際に 長生きや子孫を通じて、『貴方達が死んでしまう未来・時代を捻じ曲げに行くから、未来で待っていてください』と。」

「・・・・。」

「わたくしには、限られた枠組みの中で、生存権を1920年代から来たわたくしへ。僅かな希望に掛けて、わたくしを助けて下さった友人達を見捨てることなどできないですわ。それが例え、どんな茨の道を突き進むことになろうとも その約束は果たされるべきですの。彼等は、今でもあの部屋で待っているかもしれません。」

 

 ハードラックは俯いた姿勢から一転。決意を込めた瞳で、隣に座る女性を見つめ伝える。その瞳の奥には何か執念のような物が燃えているのが、向かい合う彼女には分かったようだ。そして思わず、彼女はゴクリと生唾を飲み込んだ。

 

 

 

 




【後書き】
2説目終了
セッションでは後日談をする卓は、なかなか無いですからね。
このようにして何かしら形にして彼等が確かに生きて、共に戦った
軌跡を残したかったのです。

グラトニー、村松 大輝、ツェペリ スモーキー、チンロック パンムズ・・・
彼らは、PC,PL共々、本当に素敵な方々でした。
具体的にどのような部分が素敵部分であったかについては、
3説からハードラック=ファンブレラを通じて語りたいと思います。

そして次回はネタバレが最も含まれている箇所のため、そのすべての閲覧者の皆様方に
勇士をお伝えできないのが、非常に悔やまれるところです。
20時頃に、また投稿する予定でございます。




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~孤独の密室 後日談~ 3説※注意

「皆さん、面白い方々でしたわ。あの時は、そう・・・出口のない部屋に閉じ込められましたの。」

「目が覚めたらフカフカのソファーで寝てしまっていたようでして・・・。」

「村松さんは、一番 初めにわたくしに不思議な魔法を見せてくれましたわ。緑色の炎を本から噴き出す魔法を見せて・・・・代償に非常に老けてしまいましたけど・・・それでも部屋から脱出する為に全力を尽くしてくださいました。時には壁に書かれた奇妙な文字を読み上げてしまったせいで、グラトニーさんに撲殺されてしまったり・・・。」

「・・・グラトニーさんは、日本のSUMOU選手の様に太っていた方でした。しかし見かけによらず、かなりの頭脳明晰で謎解きのギミックを解読して行ったり・・・時には、わたくしを含む他の被害者の為に『TYANKO鍋』とやらを作って振る舞ってくださいましたのよ。あの『TYANKO鍋』は、心が休まるほど、とても美味しかったですわ・・・。」

「ツェペリさんは・・・・・・・大雑把な方なのか、ガラス戸などを・・・拳銃や机で破壊しようとするパワフルな方でしたわね。・・・非常に寡黙な方で・・・したけど、鍵が見つからない部屋で・・・・物理でこじ開けようとする そのお姿は・・・鬼神にも・・・・勝る勢いでしたわ・・・っ。」

「チンロックさん・・・・はっ、・・猫 顔負けの・・・好奇心と・・・我先にと・・・・危険地帯へ飛び込んでくださる・・・・勇敢な人ですの・・・・っ。ジョークのセンスも・・・・素晴らしい お方でしたわ。っ・・・。グラトニーさんがっ、作って下さった・・・『TYANKO鍋』を・・・食べながらっ『口が幸せ、しかし体から幸せが流れ出てしまう。』なんてっ・・・ゾンビみたいな・・・・っ体で・・・・おっしゃ・・・・るんです・・・・の・・・・。触手プレイ・・・・になっても・・・一番・・・・・状況を楽しんで・・・らしてっ・・・とても・・・とてもっ・・・素敵な方・・・でしたの・・・・っ。でもっ。でもっ・・・!! あの方はっ・・・あの方々はっ!!!」

「・・・・・・・・。」

 

 ハードラックは話し始めの頃こそ、満面の笑みを創り彼女へ向けて、ぽつりぽつりとではあるが自分が体験したことを彼女へ向けて、名の通りハードラックな事件について語り始める。しかし、終盤にもなるとその声は震え、顔は俯き聖書の上に ボロボロと雫が零れ落ちる。

 

「だから・・・・だからっ・・・。」

「・・・・。」

「だから・・・・っ。例え、鋭角から、クソッタレな腐った犬が現れようともっ。彼等が、これからっ、楽しみにしている旅行を邪魔されてっ、わたくしの事を憎んだって構わない・・・っ。・・・1920年代から来たという、わたくしにっ、最後の希望を授けてくれた友を裏切りたくないんですの・・・。ですから、わたくしは、誰に、なんと言われようとも、イス人の時空転送装置で彼等を助ける義務があるんですのっ!」

 

 再び両目に涙を溜め、両手や聖書をグシャグシャに濡らしたハードラックは彼女を見据える。

 その姿を見た彼女は、泣きじゃくるハードラックを抱き締めた。

 

「オーケー。オーケー。曾おばあちゃん。もう誰も止めない。分かったから、泣き止んで。大人が泣くなんて みっともないよ。」

「うぇぇ・・・っ・・・ひっぐ・・・・ぐすっ・・・・・。」

 

ハードラックが泣き続けたのは、彼女の両親が帰宅する10分前までだった。

 

 

 

 




【後書き】
本当に愉快で。
時には一緒にシリアスをして。
ほのぼのして。
戦々恐々としながら、探索をして。
意見交換をし合って。
脱出の糸口を見つけたと思えば、あんな残酷な未来が待っていて。
その中でも設定を生かして、どんでん返しの希望を作って。
皆の期待と希望を胸に抱えて。
希望を掴んで戻った矢先に 絶望を突き付けられて。
セッションクリア後の雑談はお通夜状態に陥って。

どうあがいても幸せはやってこない。
だからこそ、ここで“あいつ等”が想定していなかった機械で未来を変えるのだ。
例え、命が燃え尽きようが、ゾンビのような人間になろうが関係ない。

1人分の命で4人が救えるのならば、
それが早死に一族1920s 探索者 ファンブレラ家 ハードラックの本望だ。

※注意
“あいつ等”とはKP様でも、シナリオ製作者様でも御座いません。
ここの“あいつ等”は最後の彼等です。(既プレイ者には分かる筈)





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~孤独の密室 後日談~ 4説

 早めの夕食を済ませ、時刻は夕方の16時を回った頃。

 ハードラックは旅立つのに十分な身支度を整え、一軒家の離れにある倉庫の中で四角いキューブ状の箱の前で、英語訳された取扱説明書を見つめながら、これから自分が飛ぶべきであろう過去の日付・時刻を記していた。

 そのハードラックの背後にはハードラックよりも年老いた男女が1人ずつ。ハードラックが泣き止むまで慰めていた女性が1人、黙々と作業する彼女を見つめていた。

 

「よし。これで良いですわね。」

 

 ハードラックはスッキリとした表情で取扱説明書を片手に、自分が飛び立つ年号/日付/時間が誤っていないかどうかの確認を行うと、満足げに四角いキューブに向けて頷きを見せた。

 

「・・・本当に良いのかい?」

「何がですの?」

「何が、って・・・祖先の記録によれば過去や未来を遡れば、名状しがたき生き物が君の事を襲うかもしれないとあるのだが・・・。」

 

 背後から眺めて居た男性がハードラックに対して声をかける。非常にうそぶく様子を見せるハードラックに対し、非常に心配の声が上がるが、ハードラックは特に気にする様子もなく、とびっきりの笑顔でその男性の方に振り返る。

 

「大丈夫ですわ。例え、そんな生き物が出やがりましたら、聖書+ニーソックスのブラックジャックで頭を砕いてぶっ殺して差し上げますから、御心配なさらず。・・・・そんなことよりも現代のファンブレラ家の皆様、このような わたくしを家族の一員として迎え入れて下さって、ありがとうございます。この御恩は生涯を遂げても忘れませんわ。」

「い、いや、こちらこそ貴重な1920時代の十分な話を聞かせて貰ったり、留守中の娘の相手をしてくれたりしたからね。こちらも感謝しているさ。それに、君は我々の遠い親戚であり家族だ。家族が家族を助けるのは当たり前のことだろう?」

 

 笑顔で振りかえった彼女は、そのまま男性に向けて頭を下げる。男性はそんな彼女に向けて照れるように はにかみながら手を横に振り否定の念を示した。ハードラックも男性に向けて一度はにかむ。頷いた後、四角いブロックに向き直る。

 

「ハードラック曾おばあちゃん。」

「だから曾おばあちゃんと言うのは・・・っ。」

 

 やれやれといった様子のハードラックが感じたのは、彼女が自分の背中に抱きつく感覚。

 そして生暖かい水滴が1920年代の衣服に染み渡る感覚だった。ハードラックは困ったなといった表情で髪を掻き上げる。抱きつかれた腕は まだ解かれない。背後から見守っていたハードラックより年老いた男女が離れるように彼女に対して伝えられるが、腕は離されない。

 

「・・・・しょうがないですわね。クラックス。腕を離して、顔を御上げなさいな?」

「・・・・?」

「はい、これ。」

「曾おばあちゃん・・・これって・・・。」

 

 彼女。クラックスが渡されたのは、ハードラックが常日頃から読んでいた聖書であった。最初は受け取れないと首を横に振るが、手を掴まれ聖書を強制的に握らせられる。

 

「神様は必要な時に助けてくれないですわ。私の友人達がそうだった様に。・・・しかし、聖書はイザっていう時には、鈍器にでも装甲にでもなるんですの。これがあれば、貴方は聖書に守られます。これをわたくしだと思って 預かっていて欲しいのと、この聖書はわたくしにとっても大事な物ですから、必ず取りに帰ってきますわ。だから信用して笑って送り出して下さいませんこと? あぁ、安心してくださいませ。日本にも『ROPPOUZENSYO(六 法 全 書)』とかいう、分厚い兵器があるそうですわ。聖書が無ければ、それを武器にしてみせますわよ。だから。ね?」

 

説得

ハードラック80→9【成功】

 

 ハードラックはクラックスに言い聞かせる。クラックスは返そうとしていた聖書を力強く握りしめ、袖で涙を拭う。そして彼女なりの精一杯の笑顔を作ると、抱きしめるようにしてハードラックの聖書を抱えた。ハードラックも彼女の頭を一度だけ撫でると、今度こそと仕切り直すかのようにして四角いブロックに対峙する。外のパネルを操作し、入り口を開ける。中からは真新しいプラスチックのような、新築のような匂いが、干し草の香りしかしない納屋を包み込む。

 ハードラックは開かれた入口から中に入り、未来の自分の子孫に対して笑顔で手を振る。

 彼女達もハードラックに向けて手を振る事だろう。

 

 

 

 そして。イス人の時空転送装置は、ハードラックを中に入れたまま閉じた。

 

 

 

 

 

 過去へ飛ぶためのスイッチを目の前に、ハードラックは息を整える。

 手元には1920年代で自分がゾンビ狩りをしていたころに持っていた得物、ポケットの中には彼女達に貰った日本へ渡日し、少しの期間 生活するためのドル紙幣と帰還用資金だ。聖書は無いが、ニーソックスを履いている。

 

「さぁ、グラトニーさん、村松さん、ツェペリさん、チンロックさんっ! 1920年代の使者ハードラック=ファンブレラ、あなた方を救いに推して参りますわっ!!」

 

彼女はそう叫んだあと、そのままスイッチを押した。

 

 




【後書き1】
4説が終了しました。
六法全書、国語辞典、聖書、CoCの基本ルルブは武器&装甲。
はっきり分かんだね。

さてはて、彼女の最悪の絶望の未来は回避することができるのか。

小説を書くという。しかも、他の話の後書きに書いている内容から
察する方も居ると思いますが、このまま最後までお付き合い頂ければ、
感謝。感謝。感謝の極みで御座います。

次の話は12時からではなく、20時投稿を予定しております。



【後書き2】
名前:クラックス=ファンブレラ(女)25
職業:警察官 出身:アメリカ
STR8    DEX14   INT13
CON11   APP8    POW18
SIZ17   SAN90   EDU15
アイデア65   幸運90   知識75
HP14    MP18    DB+1D4

職業技能
聞き耳=85 目星=80 追跡=70
日本語=41 運転=80 説得=80

興味技能
回避=78 ブラックジャック=80

・持ち物
衣服靴、財布、携帯、懐中電灯、
ZIPPOライター、タバコ、応急手当セット
アロンアルファEX、ニーソックス、聖書

・設定【2010s警察官データ】
アメリカで警察官の研修を行ったのち、日本での研修を重ねる為に日本に渡日。
日本語技能が、長けているのは日本のアニメが大好き。
ブラックジャックは最近1920sからタイムスリップしてきた曾おばあちゃんから学んだもの。
自宅が基本的に人里離れた場所に立地しているため、自動車の運転能力は若くともそれなりにある

日本におばあちゃんが『過去の忌まわしき事件から』友人を助け出すために出かけているので、後を追うように何かの拍子に出会えたら手伝いたいなと思っている。
『未来は変えられる。そう、曾おばあちゃんは教えてくれた。』

・そのほか外見の特徴
髪色:黒髪 瞳の色:翡翠 肌の色:白

・リアル探索者として存在
1回探索。見事生還。存命。
TRPG側では、SANが残り85

・所持武器ステータス
ブラックジャック
ダ1D8+DB 距タッチ 攻1 装-- 耐4



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第2章 ~日本編【準備】~
~孤独の密室 後日談~ 5説


 時を遡り、現時刻は2017/01/22日 彼女は再び あの一軒家の納屋にある四角形状のブロックから抜け出し、干し草の上に足を踏みしめた。カサリ踏みしめるたびにカサリと言う音が聞こえる。

 ハードラックは、そのまま納屋を出て『遠くの人と話ができる箱』にデンゲンとやらを入れ、『鉄の馬車』を呼び寄せるためにおぼつかない指先で数字を入力していく。

 肌寒い冬の季節、荒野に1920年代の服装をした女性が1人で居るだなんて、正気の沙汰ではないが、彼女が連絡を入れると予定より若干遅れながらもタクシーが到着する。トランクの中に荷物を詰め込み、運転手に日本へ渡日する為に空港まで連れて行ってもらう。なるべく時間丁度。あるいは、若干早めに空港につくことが出来た彼女は運転手に乗車料+チップを支払うと足早に空港の中に入って行った。

 幸いにも最終便の飛行機には乗れるようにと、クラックスの両親が手配を済ませておいたチケットを片手に、たどたどしい足取りでチェックインを済ませる。クラックスと、その両親の正装ではハードラックの体格と合わないため 1920年代の私服しかないハードラックは、明らかに周囲からは浮いた存在であり、すれ違う人々が断りを入れてから写真を撮ったり、物珍しそうに見て行くのであった。

 その辱めに耐えきり金属探知機の門を潜り抜け、荷物検査も済ませる。特に引っ掛かることもなく巨大な『空飛ぶ鉄の船』に乗りこむ。本当にこんなものが飛ぶのかとハードラックは祈りながらガタガタと震え始めていたが、見兼ねたキャビンアテンダントに宥められ 無料分の飲み物を口に含んだ。『空飛ぶ鉄の船』が飛び立つ瞬間、浮遊感によって意識が飛びかけたハードラックではあったが、怖い思いをしながらも4人の友人は、これから恐ろしい事を体験する。それを絶対に止めなければいけないと自己暗示を掛け、飛行機を乗り切った。

 

 そして時刻は2017/01/23 午前8時。日本の羽田空港に到着をする。

 

 

 

幸運

ハードラック90→100【ファンブル】

 

 ここでも、ハードラックに対して不幸を降り注がれる。

 用を催し手洗いに入った時のことだ。便座に座り、そして何気なく横を見るとボタンがついている。ボタンがあると押して見たくなってしまうハードラックはボタンを押してみる。なんと驚愕を隠せない。生暖かい水が臀部に当るではないか。1920年代では考えられない、その暖かさにほのかな幸せをかみしめていると、なんということでしょう。次の瞬間レーザー光線の様に発射されたウォシュレットが臀部の穴にピンポイント直撃。

 

 

 

「アッーーーーーーーッッッ!!??!?」

 

 

 

 絶叫が女性トイレ中に響き渡り、職員まで出動する始末。

 更に不運なのが、ハードラックは適当なボタンを押したため、今度は止め方が分からない。

 再び、適当にボタンを押してみる。

 

幸運3分の一

ハードラック30→08【成功】

説得

ハードラック80→95【失敗】

 

 適当にボタンを押したところハードラックの臀部を破壊しかねない勢いで噴射されていたウォシュレットは動きを止め、ハードラックは泣き面になりながらも事なきを得る。しかし、ハードラックの絶叫を聞きつけ駆けつけてきた署員を説得することは叶わず、どうしようもない外国人が、しょうもないことで、絶叫したという内心では嘲り笑われて居るような辱めを日本でも受けるのであった。

 手洗いにて凶悪な洗礼を受けたハードラックは、涙目になりつつも、羞恥により泣きそうになるのを必死に堪え、荷物を受け取りチェックアウトを済ませる。慣れていない初めての航空旅行は、この日 散々な結果となって終結を迎える。なんとなくパスポートに判子を押してくれる従業員や換金機ですらも、何処かハードラックを嘲りているのではないかと若干不安になりながら、羽田空港を後にした。

 

 

 




【後書き】
実のところ、~孤独の密室 後日談~は昨日で終わりを迎える予定でした。
しかし。脳内が『やるんだったら最後まで書き上げろ』と囁きかけて
居たような気がしましたので、詳細を省かずにハードラックの後日談を
最後まで書き上げることになりました。

ダイスですが、作っているわけではありません。
実際に振った結果、幸運90で100ファンブルを叩き出したのです。
正直。ダイスを導入したため
4人を救うことができるのか、今から不安になってきました。
現在、4人のPLにキャラシを公開していいかどうか、尋ねています。
全員分 公開できれば、今までと同じように『0説』を作り上げ公開したいと思います。

これからは、20時からの投稿になりますが、よろしくお願いします。




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~孤独の密室 後日談~ 6説

「アー・・・Excuse me.(すみません。) トウキョウト? シンジュク? には、どうやって行けば良いんでショウカ?」

「新宿駅ですか? 1・2番線から発車する京急空港線エアポート急行・印旛日本医大行に乗って頂いて、13駅後の大門で乗り換えですね。4番線の都営大江戸線の六本木・都庁前方面に乗って頂いて、7駅先に新宿駅がありますよ。」

 

日本語

ハードラック41→57【失敗】

 

oh()? エーット、ケイキュウ? インバ? ダイモン? Four(4)? ロッポ?」

 

 少しばかり、アメリカ訛が入っている日本語を上手く使いながら、駅員に東京都新宿にはどのように向かえばいいのか尋ねる。しかし、返答が日本語を嗜んでいる程度を更に上回るような形でハードラックに伸しかかってくる。改めて、事前準備も兼ねて事件が起こる一日前の過去に遡って良かったと思うハードラックだった。

 

良心ロール

駅員??→53【??】

ナビゲート

駅員??→13【??】

 

「ちょっと待って下さいね。」

「・・・スミマセン・・・。」

 

 駅員は一度窓口から消える。粛々とした態度で、ハードラックが周囲の目に恐々しながら待っていると、10分後、駅員が戻ってくる。手には白黒の印刷した地図を持っている様子だ。

 

「今、貴方が居る駅がこちらですね。そして向かいたい駅がココ。」

「ココ・・・・。」

「この駅から発車する1.2番線の電車の京急空港線エアポート急行・印旛日本医大行に乗って下さい。駅のホームにも駅員は居るので、お困りになったら聞いて下されば結構です。ここから13駅後の大門駅で降りて頂いて。」

「イタダイテ・・・。」

「ここから、4番線の都営大江戸線の六本木・都庁前方面に乗りかえて頂いて、7駅先に新宿駅で止まりますからそこで降りて頂ければ、大丈夫ですよ。」

 

 駅員は白黒の地図上にハードラックが乗り返すべき駅と、次に乗り換えする線について記載をしていく。ハードラックは、それを見て居る事しか出来なかったが、記載されていくマップを見ているうちに、なんとなくどのように行けばいいのか分かったような気がした。

 

「何か困ったらこの地図を他の駅員さんに見せて下さい。新宿に行きたいと言えば、教えてくれますから。」

「ハイ! Thank you... .(ありがと...。) Ah!(あ!) アリガトウゴザイマス!」

「いえいえ。」

Oh chip(えっと、チップ)ハ....。」

「サービスですのでお気になさらず。それよりも、5分後発の電車に乗り遅れると次を待たなくては いけなくなりますよ。」

What(うそっ)?! エ、エット、アリガトウ! アリガトウゴザイマス!!」

 

 駅員は分かった気で居るハードラックに向けて、細かく行き先を記入した白黒地図を手渡す。そして、不安が少し残ったのか、ハードラックへ向けて簡易的なアドバイスを残した。

 お礼を伝え、財布を取り出し千円ほどを払おうとしたハードラックではあったが、駅員はそれを受け取らず、ハードラックを1.2番線へと促す。ハードラックもチップを受け取らない日本の駅員に対して、戸惑いを隠しきれなかったが精いっぱいの礼を伝えると1.2番線ホームに降り立つ。

 そこは非常に混雑している場所ではあったが、なんとかドレス姿ではあったものの、身を捩り 『なんとか(印旛)日本医大行』と表示された電車に乗る。『先頭車両にも乗客が乗り込み、石炭を入れる場所もないのに、どのように動いているのだろうか?』などと考えていると、あっという間に大門駅に到着する。

 

目星

ハードラック80→15【成功】

 

 あの駅員が支持してくれた通り大門駅で降り、大門駅に降りた直後 適当な駅員を見つけ、地図を見せながら新宿への行きかたを訪ねる。そして、4番線の都営大江戸線の六本木・都庁前方面の電車に乗りこむ。ぎゅうぎゅう詰の車内に乗りこみながら7駅後の新宿駅へハードラックはついに辿り着く事となる。

 

 




【後書き】
新宿駅って迷宮だと思うの。
この前、FGOの舞台となっていましたね。新宿駅。
地図が無ければ即死イベント(デス   トラップ)だったぜ・・・。
まぁ、地図があっても強制即死イベント(リアル デス トラップ)なんですけどね。(1敗)

初台駅さえ通れば、あのイベントを引き起こして
別シナリオの導入の糸口も考えましたが、残念ながら羽田空港から新宿に行く場合
初台駅は通らないようですね。
通るためには一度降りて、徒歩で移動した後 別の電車に乗らなくてはならないという

最初は初台駅イベント書いていたんです。
しかし、内容的に完全に本命を見失っていたのと初めて日本へ渡日した外国人が
駅員から貰った地図を無視して勝手に下車するか?と考えた結果。
やむなくボツとなりました。



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~孤独の密室 後日談~ 7説

ナビゲート

ハードラック10→10【成功】

 

「Thank you!!」

 

 近くの駅員に聞くことによって、なんとかして明日の夜行バスが発車される停留所までこじつけることが出来た。道中、新宿駅で迷子になりかけるものの、新宿の駅に置かれている駅内パンフレットのおかげもあってか迷うことなく、比較的早めに到着することが出来る。

 時刻はお昼の12時頃と言ったところのようだ。飛行機内で朝食を取ったものの、『空飛ぶ鉄の船』がどういう原理であるか不明であるが、飛んでいるという事実に対し、恐怖で食事が喉を通らなかったため電車に乗車している辺りから腹鳴りが止まらなかった。

 お腹を空かせていたハードラックではあるが、まずは友人達が乗る場所であるバスの停留所を確認しに動く。道行く人を観察していて分かった事だが、何やらバスに乗るにはチケットが必要な様子だ。

 すぐさまチケット販売所で、券を購入しようとするものの40席分の座席は、既に売り切れてしまった様子で 手の打ちようがなくなってしまっていた。

 更に何やら、バスに乗る時は、どうやら大きな荷物は巨大鉄馬車の側面が怪物の様に口を開いて、その中に荷物を放り込む様ではないか。ハードラックに恐怖の戦慄が走る。

 

ぐぅぅぅぅ・・・。

「....hungry(おなかへった)....... .」

1D3→3

 

 また腹の鳴ったハードラックは、何処かで食事を摂ることにした。

 迷子にならない程度の場所を歩き回り、歩いているうちにサイゼ〇アと書かれた良さげなレストランを見つけその中に入る。ハードラックが着用しているのは腐ってもドレスだ。恐らく食事を行う場所の服装として、こじゃれているし最適な服装であると思っていた。

 ・・そう。その認識は1920年代アメリカでは通用していただろう。『1920年代アメリカ』では。

 しかし、ここは『現代日本』だ。サイ〇リアにドレスやスーツを着て来る人間など、滅多には居ない。ここでも変わらずハードラックの不運は続き、周囲から浮き辱めを受けるのであった。

 500円ランチを(たいら)らげ、デカンタワイン200mℓを飲んだハードラックは会計を簡潔に済ませる。あまりの安さと、ここでもチップが受け取られないことについて唖然とするが、そういう国なんだと割り切ることで事なきを得る。

 

Well then.(さて、と。) I will finish shopping where ,(お腹も満たしたところで、) I am satisfied with my stomach.(買い物を済ませてしまいましょうか)

 

 少量のワインを飲み欲し、いい気分になったハードラックは、英語でそんなことを呟きながら、周囲を歩き回っているうちに 見つけたモデルガンショップに立ち寄る。そこで疑似ショットシェルを2つ購入し、塗装ペンキ(黒)を購入し、着々と迫る決行日時に備えての準備を始める。

 次に向かったのは現代アメリカでも社会見学として参加したホームセンターへ訪れる。ホームセンターではノコギリ、彫刻刀、金槌、ヤスリ、金属片、プラスチック官を2本、太めの材木、釘、火薬、艶の出るニス、鉈、ブルーシート、懐中電灯、腕時計を購入。

 そしてそのまま本屋に直行し、現代アメリカに置いてきた聖書並みに重く頑丈そうな六法全書を購入することに成功した。そしてついでに御土産物屋で長い木刀を購入し、今夜止まる宿を探し始める。

 傍から見れば真の目的を忘れ、日本に遊びに来た一風変わった外国人に見えるが、ハードラック自身は至って真面目に行動しているつもりだった。明日の期会を逃してしまえば、次のチャンスは二度と訪れない。4人の友人と交わした約束を果たすために自分は今、ここに居るのだと。

 例え彼等が、自分の事を知らないとしても。彼等の日本での思い出を破壊することになろうとも。未来の彼等に託された希望を叶えるために1920年代から彼女は、この世界に降り立ったのだ。その未来を変えるという決意だけは変わらない。

 

「ン?」

 

 暫く街中を歩いていると、城の形をした豪邸に近い宿らしきものが見えてきた。桃色の看板に値段が書かれており、『宿』の文字を見る限りでは間違いなく、この城の建物が宿泊施設であることを指示していた。

 いくら、クラックスから日本は平和な国であると聞かされているとしても、どれだけ安全であるのかは分からない。現に街中を歩いているだけでも、普通に(モデル)ガンショップは見つかったし、街中にも板の中に居る人間に向けて銃を向けている子供たちの姿も見た。決して安全そうな国ではないと思ったハードラックはそのまま、その『城の形をした宿』に侵入していく。まさか、自分が安全そうだと思って入った場所が、一番、危なっかしい場所である事などつゆ知らずに。

 

 

 




【後書き】
ハードラックは遊んでいません。
至って真面目に行動しています。
知らない時代に、知らない文化。
初めての行動と言ったらこんな感じになるだろうな。といった
想像の段階で小説を書いていました。

そして、今夜はグラトニーさんの卓で遊んできます。
今から楽しみです。



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~孤独の密室 後日談~ 8説

「....Gluttony,(グラトニーさん、)Muramatu,(村松さん、)Zeppeli(ツェペリさん、)Chinlock(チンロックさん). Always help you ......(必ず救って見せますわ・・・・・・).」

 

 部屋にある、人間を拘束できそうな巨大な十字架に向かって、ハードラックは必要な時に助けに来てくれない 神に対し英語で祈りをささげる。

 

Well,will begin!(さて、始めますわよ!)

 

アイディア

ハードラック65→25【成功】

器用さ判定

ハードラック85→99【ファンブル】

 

 彼女はドレスを脱ぎ捨て、ネグリジェ一枚に成り果てる。そして、そのままブルーシートを床に敷くとホームセンターで購入してきた品を並べ、疑似ショットガンの作成に入り始める。木材を組み合わせてハードラックが1920年代に愛用してきたショットガンの構造外見を思い返しながら、丁寧に彫刻刀やノコギリを使って製作していく。しかし、ノコギリで板を切断している間、誤って指も傷を付けてしまう。

 

ouch(痛いッ)!!」

耐久値

15→14

「....Shit.(チッ)

 

応急手当

ハードラック30→5【クリティカル】

器用さ判定

ハードラック85→68【成功】

 

 しかし、周辺に置いてある白い紙を取り出し、止血を済ませる。そして手当の心得は全くなかったハードラックであったが、器用に手当てすることに成功し、今までやったことが上手くいかなかったことが上手くいったことで、自信を取り戻し 再度ショットガン作成に戻る。

 ・・・次はどうやら上手くいったようだ。ソードオフショットガンを連想させるために、長すぎるパイプ菅は短めにノコギリで切断。リアリティを出すためにリロードができるよう中折式の構造を付け加える。金属片をトンカチで叩きダブルバレルの形を作る。途中、隣の住人が文句を垂れてきたが、外国人です すみませんアピールし、大人しく引き下がって貰った。パイプ菅に黒の塗装を塗り、乾かしている間ショットガンの木材の方をヤスリ掛けをしニスを塗りたくる。

 乾かしている間、再び怪我をした時の為の応急セットと、今晩の夕食を購入しに出かける。テイクアウトと言う魔法の呪文を唱えると、食べ物を持って帰ることができることに気が付き、テイクアウトの呪文を唱え、食料を得たハードラックはそのまま『城の形をした宿』に戻る。

 

幸運

ハードラック90→53【成功】

器用さロール

ハードラック85→10【成功】

 

 丁度、ニス塗装も乾いたことを確認すると、それの接着作業に移る。接着作業もそこまで手間がかかることもなく、そこそこ本物に似ている疑似ショットガンを作り上げることが出来た。

 時刻は20時を指示している。夜行バスが発車するのは、明日の19時であることを聞いたハードラックは、紅い看板に黄色の文字でMと書かれた店で、お持ち帰りしてきた味の濃いサンドイッチを頬張る。

 そして散らかした部屋を片付け、風呂に入り、フカフカのベッドに横たわるとそのまま睡魔に誘われ寝入ってしまった。

 

 




【後書き】
現代のアメリカにはクラックスが君の帰りを待っているぞ!
頑張れハードラック! 1920sの使者ハードラック!!
絶望の未来を打ち砕いて皆で笑って帰るんだろう!!

名前が不運で、セッション中 技能が大体80%にも関わらず
クリティカルなしのファンブル2回引いたハードラック!
お前 既に後日談で2回ファンブルしているのな。
はえーよ。


次回は明日ですが、明日は20時には投稿してあると思います。



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第3章 ~悪夢~
~孤独の密室 後日談~ 9説


 その夜。ハードラックは夢を見る。

 

 ハードラックはあの忌まわしき思い出の詰まった部屋で仲良くなり、全員脱出し生還した世界でグラトニー、村松、ツェペリ、チンロックと一緒にバスの最後部座席に乗って、日本の天然『ONSEN(温 泉)』とやらに遊びに出かけるのだ。グラトニー曰く、そこで出される『TYANKO鍋』はグラトニー1人でも食べきれないほどの巨大な『TYANKO鍋』が出て来るらしい。そこであの部屋で仲良くなった4人を募って みんなであの時と同じように鍋を囲もうと。

 チンロックは迷推理を披露し、ツェペリが酒に酔った勢いで旅館にスモークグレネードを投げ込んで「ボヤ騒ぎになるか、机であの時と同じようにガラス戸を粉砕するんじゃないの?」とからかう姿が窺える。

 ツェペリも、そんなからかわれ方をしチンロックに対して拳で小突くように殴りつける。それを痛がるチンロックだったが、心配した村松が応急手当をしようとしたところで、痛がっていた振りをしていたことを告白。周囲が笑い声に包まれる。

 ハードラック自身は、その村松とチンロックとツェペリの掛け合いを見ながらケラケラと笑いながら1920年代から持ち込んだのであろう射影機を取り出して、その光景を撮影する。

 そして、射影機なんて代物を見慣れていない、現代の4人が射影機について尋ねてくる。使い方を教えて、村松が用意していた自取り棒を改造し、5人そろって撮影。

 夢にまで見ていた幸福が目の前にあった。

 

アイディア

ハードラック65→48【成功】

 

 しかし、ここで何か忘れていることをハードラックは思い返したのか、一旦笑うのを止め、神妙そうな顔で考え込む。グラトニーがハードラックに悩み事ごとでもあるのかと問う。

 他の3人は自取り棒に射影機を括り付け呑気に記念写真を撮っている。

 

目星

ハードラック80→73【成功】

 

 折角の旅行気分を台無しにしてはいけないと。嫌な予感を頭の隅に追いやり、何でもない事をグラトニーに伝える。そして、いつまでも射影機で自取り画像ばかり取っている3人に向けて射影機を返す様に催促しようとした時だ。三人の奥。奥の暗闇ばかりが写る窓が気になった。そこには無くてはならないものが写ってなかった。

 暗闇に反転して移る姿。それはハードラック1人だけの姿。他4人の姿は映っていない。

 すぐさま反射していない4人に視線を移す。そこに4人は居ない。足元には射影機が転がっている。嫌な予感は更に加速していく。そして何故かは分からないが、運転手を止めなければいけない、そんな予感がした。

 そして運転席に辿り着いた時、そこに運転手は居ない。しかしバスはひとりでに走行している。次の瞬間。フロントガラスにあるものが映った。それは、大量の青白い 苦渋に満ちた顔・・・まるで窒息しながら、助けを求めるかのような腕。深淵を覗いているとしか思えない暗黒だった。その見知らぬ顔が殆どであったが、中にはあの4人の・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「イヤアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!」

 

 自分の叫び声でラブホテルのベッドから飛び起きる。時刻は午前2時を指していた。

 

「はぁっ・・・! はぁっ・・・・! はぁっ・・・・・っ!!」

 

 息は最高潮まで上がり切り、過呼吸のような状況に陥る。

 あれは夢である。

 そう。悪い夢。

 ただの悪い夢。

 悪い夢であると分かっているのに現実味を帯びていて、どうも気分が悪かった。まるで胃袋の中で邪悪な蛇が這いずりまわって居るような気色悪く、不気味な感覚。

 

「・・・・・うっぷ・・・。」

 

 這う這うの体になりながら、ベッドから降り手洗いに向かう。

 そしてトイレに到達した瞬間。喉元の決壊が始まり、胃に入っている物が全て逆流する。

 

「ゴフッ! ・・・・はぁっ・・・!! ・・・はぁっ・・・・!! はぁっ・・・・・っ!!」

 

 左手で右手を握り、震えを止めようとするが止まらない。寒さによる震えであれば、立ち上がり熱い風呂に入れば止まると考え立ち上がろうとしても、腰が抜けてしまって立ち上がれない。

 

Fuck off(失せろ)...Evil fellows... Mother fucker... .(腐れ・・・邪信徒共が・・・。) ...Are you showing hallucinations(あの時の魔術の様に) like the magic of that time(幻覚を見せられているとでもいうのかしら)?」

You can not have your own way fuck(テメェ等の思い通りになってたまるかですの).... . No matter how you interfere(どんな邪魔をして来ようが),I will not yield fuck(わたくしは屈しませんことよ).... . I want to stop me(わたくしを止めたければ), Thompson sub machine guns as well(トンプソンサブマシンガンでも) bring up(持ってきやがれですわ)... .」

 

 口の中が酸っぱさによって、気持ち悪い気分を保ったまま、立ち上がることが出来るようになるまでハードラックは便器に寄り掛かる。その瞳は明らかに澱んでおり、正気を感じられるものではなかったが、瞳の奥で燃え盛る決意の色は変わることは無かった。

 

 

 




【後書き】
うーん、小説を書くときに冒頭に
その人物や背景を書くと『クソつまらなくなる』って
教師に指摘されてから書かない様にしていましたが、
いきなり「ハードラックは夢を見る。」で入っちゃってますね・・・。
修正するにも、昨晩 布団に入ったって出してしまったんですよね。

丑の刻を連想させて、深夜2時に投稿したいってノルマがあったから
って言うのは言い訳ですよねぇ・・・。

あー、今 思えばいきなり話が飛んだ!? と驚かせてからの・・・?!
って展開もありだったかなーと思い出しました。


次はまた章が変わるので、通勤ぐらいに覗ける
朝8時ぐらいから投稿しようと思っています




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第4章 ~日本編【潜入】~
~孤独の密室 後日談~ 10説


 時刻は事故が発生する7時間前。

 準備を整えたハードラックは一足先に停留所に向かう。

 停留所には、あの4人が乗るであろうバスが停車しているのが見える。

 あの部屋で聞いた特徴とバスの色や特徴、夜行バスを運転する運転手の名前『車出(くるまで) (はこぶ)』。運転手にも直々にこのバスが新宿駅から出発し、4人から聞いていた聞きなれない地名へ向かうことが確認する。ハードラックにとって、その行き先が何処であれ、核心を持って、このバスが友人達を地獄へと輸送する片道切符である事が分かっただけでも十分であった。

 

「ソウデスカ。ありがとうございマス。」

「いいえ。そしてお嬢さん貴方もこの夜行バスに乗るお客さんですか?」

「Ah-・・・乗れたら・・・良いんデスケド・・・乗れマスカ?」

「でしたらチケットを拝見致します。」

「ソノ・・・チケットはカンバイ? しているみたいで・・・買えなかったんデス。お金であれば、いくらでも払いマス。アノ・・・乗せて頂けマセンカ?」

 

値切り

ハードラック5→77【失敗】

 

「いえ申し訳ないですが、それは出来ないですよ。お嬢さん。こちらも安全運転管理書で決まっていることですから、どんなに頭を下げられても乗せられないですね。」

 

 早速彼女は、運転手に対してチケットは無いが金ならいくらでも払うと提示し、運転手に5万6千円ほどの札束を見せた。それでも運転手は首を縦に振ることは無く、そのままバスの乗車は不可能という厳しい現実を突きつけられたのだった。

 

幸運

ハードラック90→28【成功】

ハードラック90→86【成功】

ハードラック90→41【成功】

目星

ハードラック80→2【クリティカル】

 

 やはり運命を。未来を替えることが出来ないのか。悔しくて、とめどなく涙が溢れかえりそうになる。

 4人は自分を信じて、送り出してくれたのに期待に応えることはできないのかと。

 そんな時だった。急に運転手の方が、何か右手を右耳に押し当て、覆うようにして虚空に向けて『ハイ。ハイ。ハイ。』と、まるで見えない何かがそこに居るのではないかと思えるように、ヘコヘコと頭を下げ始めた。そして、そのまま不用心にも夜行バスのエンジンを掛けたまま、何処か、否。バスチケット販売所がある地下へと小走りで消えて行くのがハードラックの目に映る。

 周囲には人影も非常に少ない。また、あろうことか、昨日ハードラックが開閉しているところを目撃した荷台の搬入口が、完全に閉まり切っていないことが分かる。忍び込めるチャンスは今しかない。犯罪も手に染めることすらも、これから自らが行うことを考え、決心したような表情をする。彼女は、昨日 他の運転手が開けていた方法と同じようにして、半分開きかけている荷台搬入口を開放した。

 中は非常に暗く、ライトが点いているもののその容貌にゴクリと生唾を飲み込んだ。バスを初めて見るハードラックにとっては、自分自身すらも地獄に引き込もうとしている凶悪で邪悪な怪物の姿にしか見ることは出来なかった。しかし、友人の未来を変えるため。全ては約束を果たすため。彼女はそのまま荷台の中に飛び込み、搬入口を閉じ、入り口からは分からないような場所に潜み、この怪物が動き出すのを待った。

 

 

 




【後書き】
物語も半分を越え、後半戦に入って参りました。
プロットを振り返っているのですが、なんだか長くなりそうです。
後日談なのに他の小説の『第○クトゥルフ神話』並みになりそうな予感・・・w

それでも久々に自分が『書きたい!!!』ってなった一本なので
長くなろうとも最後まで書き上げますけどね。



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~孤独の密室 後日談~ 11説

聞き耳

ハードラック80→43【成功】

 

 ハードラックが荷台に忍び込んでから、5分もしないうちに嗚咽を漏らすあの運転手の足音が聞き耳をせずとも聞こえてきた。しかし、ひとりだけではない。もう一人の足音がバスの中に入って行くことが分かる。そして何かを話しているようだ。ハードラックはその話し声に耳を傾ける。

 

「いやー、12連続勤務お疲れさま。」

 

 ・・・先ほどの運転手の男とは別の男の声。

 

「あぁ・・・・。運転するだけなら まだしも、時には怪物みたいな乗客を相手にしなきゃならねぇからな。ほんと、転職しようかと考えてるぜ。重い荷物もトランクに搬入しなきゃいけねぇし。やってらんねぇよ。」

 

 ハードラックが先ほどまで話していた運転手『車出(くるまで) (はこぶ)』の声がする。

 ハードラックは、そのまま物音を立てないように配慮しながら、運転手と男の話に耳を傾け続ける。

 

「腰痛を患って退職して行った奴も居るしな。まぁ、前半戦 頑張ってくれよ。先に仮眠を取って、0時を回ってパーキングに着いたら運転を交替してやっから。」

「頼んだぜ・・・・嗚呼、眠眠打破やエナジードリンクを飲んでねぇと、ホントにやってらんねぇ。」

 

 そのまま会話はそこで手短に区切られ、運転手の男の大きな欠伸をする音が聞こえてくる。そして、その仮眠を取る場所は夜行バスの後方にあるのか、足音はハードラックの真上を通り過ぎ、奥の方に消えて行った。

 

聞き耳

ハードラック80→21【成功】

 

 それから40分ほど身を潜めていると、この夜行バスの隣。外側に位置する場所がザワザワと時間が経過するにつれて騒がしくなり始める。耳を澄ませ、外の様子を探るとそこには待ち望んだ友人達の懐かしい声が聞こえる。ハードラックの胸も喜びによって高鳴るのを感じていた。

 喜んでいると次の瞬間、荷台が勢いよく開かれ冷たい外気がハードラックを包み込む。そして荷台には、夜行バスに乗る乗客の荷物であろう巨大なキャリーケースが仕舞われていく。

 ハードラックの気分は一転。いつか、自分が忍びこんでいることが発覚してしまうのではないかと背筋に冷汗を流しながら、荷台の扉が閉じられるのを待つ。時々見え隠れする運転手の腕が、いつかハードラック自身を見つけ、指を指し引き摺り降ろされるのではないかと。今、ここで発覚すれば、友人を助け出す機会は失ってしまう事だろう。ハードラックは必死に、現代に置いてきた聖書に対して祈りをささげ続ける。

 そして、そのまま発見されることもなく、一通りの荷物が乗せられると搬入扉は閉まった。

 

 




【後書き】
いやー、バスの荷台に乗れたハードラックが
私はうらやましくて仕方がないです。
実はバスのトランクに乗ってみたい派なんですよね。
普段、乗れない場所に乗ることができるって何か特別な気がして
ワクワクするんです。

まぁ、でも。
実際には暗くて、居心地悪くて、景色も見えないのでつまらないの4拍子なんですがね
でも子供の頃はトランクに乗ることについて、よくわかりませんが憧れたものです。

席と席の間の座席は、急な急ブレーキによる前方へ転がったことから
もう二度と乗りたくありません。乗る機会など もうありませんが。




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~孤独の密室 後日談~ 12説

他の言語(日本語)

ハードラック41→7【成功】

 

 ハードラックは暗闇の中、懐中電灯をつけ 六法全書を開く。そこには日本国憲法の成り立ちや法律について、細かく記載されているものが目に入る。聖書を読み上げるのと同じように、ペラペラと日本人でも時折迷いの生じる書物を淡々と読み込んでいく。

 上の車内からは乗車瞬間よりは減ったものの微妙に微かな話し声が聞こえてくる。もちろん、その中にはグラトニー、村松、チンロック、ツェペリの話し声も聞こえ、これから起こる惨劇も知らず、何も知らないまま東京都発の夜行バスに乗り、シズオカのイズハントウに向かうのだろう。

 

 ・・・・・・・・。

 

 時刻は22時を指している。

 乗客の声も出発当時より、ほとんど聞こえなくなっていた。

 ハードラックは一呼吸を置き、聖書の代わりである六法全書をパタンと閉じた。そして、そのままニーソックスを脱ぐと、まだ生温かさの残るニーソックスの中に六法全書を仕舞い、ブラックジャックを作り上げる。そしてドレスの腰帯に鉈を下げ、刃物として活用できるように準備を整えた。

 失敗は出来ない。チャンスは一度きり。

 そんな言葉が頭の中を駆け巡る。

 疑似ショットガンを背中に背負い、右手には金槌を握りしめる。

 

 そして、力強く荷台の中から天井へ向けて、金槌を叩きつける。

 周囲にかなり大きな音がガンガンガンッ!と響き渡り、他の乗客も「なんだ? なんだ?」と起床し、驚きを表しているような声が聞こえる。しかし、屋根を破壊するかのような勢いでハードラックはトンカチで叩き続ける。

 その異常な音に12連勤をしている運転手も気が付いたのか、急ブレーキを踏む。

 

回避

ハードラック79→80【失敗】

1D3→2

耐久力

15→13

 

 急ブレーキに耐え切れず、荷台に積まれている荷物がハードラックに直撃する。

 重量物が肺に直撃し、押しつぶされる様な圧縮感。同時に持っていた金槌も荷物に紛れてしまい、天井を叩くことは出来ない。しかし、それでも声を張り上げることは出来る。

 呼吸すらもままならなくなるが、そのまま全力の吠える様な叫び声を上げた。

 夜行バスは完全に停車する。中からは乗客の戸惑う声。そして、戸惑いの声色は一際大きくなった。まるで電話を通じて聞こえるかのような大きな運転手の声が、上層部に位置するバス車内の周囲に響きわたる。

 

「申し訳ございませんお客様。不吉な物音が致しましたので、車両点検をさせて頂きます。乗車のまま、しばらくお待ちくださいませ。」

 

聞き耳

ハードラック80→41【成功】

 

 後方の方向から、仮眠を取っていたであろう もう一人の運転手の足音がハードラックには聞こえる。そして、ガッチャンと荷物搬入口である扉のロックが開けられる音が聞こえた。

 

「...It's a show time(ショーの始まりですわ)!!」

 

 その音と共にハードラックは内側から扉を開け、荷台を蹴り飛ばしながら 掛け声と伴に外へと飛び出す。

 

 

 




【後日談】
出やがりましたよ。妖怪イチ足りない。
しかしハードラックのCONは高い。
へでもないですね。

物語も佳境に入って参りました。
さてはて、ハードラックは皆を助け出すことができるのか!
それは後日談のみが知る。

余談なのですが、今回のハードラックの決め台詞である
「...It's a show time(ショーの始まりですわ)!!」
ですが、『It's a show time!!』にするか『It's show time』にするか
小一時間ぐらい悩みました。
結局『a』を入れたんですけど・・・。
理由としては、ハードラックにとって、一つ。
たった1回しかないが、大切な1回の出来事という思いを込めてのことでですね。




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~孤独の密室 後日談~ 13説

 外は満点の星空だった。目の前にはガードレールがあり、その奥、下方からは岩肌に波が打ちつける さざ波の音が聞こえる。周囲に蛍光灯のような明かりらしい明かりは設置されておらず、ハードラックが懐中電灯で照らさなければ、そこには何も見えない漆黒の暗闇が広がっていることだろう。

 この何も見えない暗闇は、夢を思い出させハードラックの心を抉る。しかし、振り払うように首を横に振ると、暗闇を睨み付け 漂ってくる磯の香りを肺一杯に吸い込んだ。

バスの乗車扉が開かれ、1人の男性が非常にやつれた表情で降りてくる。

 車掌帽を被りながら左手で顔面を押さえる『車出 運』の姿だった。

 どうやら、扉から聞こえてくる様子からして、もう一人の男が運転席に座り他の乗客を宥めている様子だ。フットブレーキをかけ忘れ、一人でに夜行バスが動き出してしまうという悲劇は起きないことだろう。寝起きの運転手が誤ってアクセルを踏み込まない限りではあるが。

 

「あれ? 搬入口が開かれて・・・って・・・・ア、アンタは・・・!!」

Good evening.(こんばんは)It is a good night.(良い夜ですね) The entrance was half open?(荷物扉が半開きでしたわよ?)

 

 非常に流暢な英語で話しかけながら、度肝を抜かれている運転手に向けて、笑顔でハードラックは歩み寄る。一歩一歩確実に。これから起こりうる最悪でクソッタレな絶望の未来を止める為に。

 

「こ、困るよ。こんな勝手なことをされちゃ! アンタがやっていることは犯罪だよ!? 犯罪! わかってる!? あぁ・・・報告書が増える・・・。」

「何か分かったのか・・・うわ・・・・マジかよ。トランクに外国人が勝手に乗りこんでいたって奴・・・? しかもこの時期にそんなドレスって・・・。」

 

 男は、疲労が見え隠れするような悲鳴に近い声で、ハードラックが行った行為に対し咎めながら、両手で顔面を覆う。

 ハードラックは更に距離を詰め、男に鉈を突きつける射程範囲内一歩と言うところまで詰め寄る。そして鉈に手を掛けようとした時、運転手の悲鳴が気になったのかもう一人の男が現れる。男は寝起きなのか、目を擦りながらワイシャツに黒の長ズボンと言った服装でひょっこりとこちらに半身を見せた。

 

Hey,You!(ちょっと、貴方) Have you applied a foot brake?(フットブレーキは掛けたかしら?)

 

他の言語(英語)

運転手??→19【??】

 男 ??→9【??】

 

「アンタ、日本語喋れるだろ・・・? 英語で話しかけられてもなんて言っているか、わかんねぇよ・・・・・・。」

「フットブレーキを掛けたか? ・・・か? あぁ、もちろんだ。パーキングにも入れている。」

OK.(そう)That's great.(それは良かった)

 

 カタコトの日本語ではしまらない為、英語で話しかけるハードラックに対し、車出は嘆き、男の方は英語を理解したかの様に返事を返す。その言語は日本語で返されることとなったが、それだけでもハードラックにとっては十分すぎる返答であり、友好的な笑顔が更に愉快な笑顔へと切り替わる。

 

コンコン

 

「・・・。」

「・・・。」:)

 

 そんな中、ハードラックの頭上の窓が叩かれる。そこには幼い少女がハードラックに対して手を振っているのだった。ハードラックは彼女にも優しい笑顔を向け、手を振りかえす。と、同時に これから行う非道を行う決意を更に固める。

 そしてヒソヒソと話している彼等に向け、更に一歩踏み出る。何やら、彼等はハードラックの処遇について、今ここで警察を呼んで引き取って貰うか、このままバスに乗せて現地に到着したら警察を呼ぶか話し合っているようだが、ハードラックにとってはどちらでも良かった。鉈を引き抜き、車出の首筋に押し当てる。2人とも何が起こっているか理解が追い付いていないような表情をしている。

 

I'm sorry,(ごめんなさいね) yet(まだ) I am not going to(私は警察の世話に) take care of the police.(なるつもりはありませんの。) 両手を上げて、そのままバスの中に入って頂けマスかしら?」

「な、何を・・・。」

Do not let me say the same things over and over?(何度も同じことを言わせないで?) I’m telling you to(私はすぐに) get on the bus quickly fuck.(バスに乗るように言っているのだけど。)

 

 ドスの利いた声で、ハードラックは鉈を更に押し当て、鉈は首筋に刃が更にくい込んでいく。

 

 




【後書き】
最初の骨組みプロットを見る限りでは、
ハードラックがイス人が開発しファンブレラ家が鹵獲した
時空転送装置に乗り込むところで終了する流れだったのですが・・・。

いつの間にかに、とても長話になっていますね。
今回ハードラックには英語だけで第4章を締めくくって欲しかったのですが、うまくいきませんでしたね。運転手である車出に対する優しさってものでしょうか。
彼に分からないことが無いように日本語をカタコトで話させました。

もう一人の男を人質に取れば良かったのですが、バスと3人の人物関係図的に
人質に取れない場所に男が立っていたと脳内完結をしていただけると私としても
とても、ありがたいです。

ps: 途中に出てきた『:)』とは海外における顔文字の笑顔のようなものです。
  首を左に倒すと分かるとその意味が分かると思います。
  顔文字は小説に入れるべきではございませんが、少女、ハードラック共に
  無言でしたので、区別する為に あのような処置を施しました。


また新章に入るので、時間変更したいと思います。
時刻は今までの『第1,2クトゥルフ神話』と同じ時刻(22時頃)を予定しております。
よろしくお願いいたします。



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第5章 ~日本編【未来変革】~
~孤独の密室 後日談~ 14説


 運転手2人は大人しく手を挙げると、そのままバスの中に入る。

 明らかに不審な様子に対し、乗客はざわめきを増していく。ハードラックは車出に入口の扉を閉め、エンジンキーを抜き、渡す様に指示を入れる。車出は首筋に鉈を押し当てられている為、おっかなびっくり状態で指示通りに動く。鉈とは反対の手に持った懐中電灯を仕舞い、背中から疑似ソードオフショットガンを引き抜く。そして車出の背中をショットガンで背中を押し、奥に行くように指示を出す。

 

Mr, Kurumade?(車出さん?)Driving lack of sleep is the cause of a traffic accident.(睡眠不足の運転は交通事故の原因です。) Please come and(仮眠室でゆっくり) heal the fatigue slowly in the back room?(疲れを癒しては如何かしら?)

「車出さん。何故か分からないですが、心配されているようです。奥で休んできてくださいと。」

「もう永遠に目覚めたくないね。あぁ・・・これが夢なら冷めてくれ。」

 

 車出はショットガンで背中を押された後、もう一人の男性に肩を抱かれるようにしながら、耳打ちで日本語訳したものを聞かされる。車出は顔面を両手で覆うようにしながら、奥の仮眠室へと消えて行った。

 

Excuse me!(ちょっと いいかしら!) A,Ah-(え-っと)・・ちょっとダケ話を聞いて頂けルかしら?」

 

 取り残された38名の乗客は変わらずザワザワと騒ぐが、それよりも大きな声でハードラックは日本語をアメリカ訛のカタコトで話し始める。最初ほどのざわめきは抑えられるものの、それでも少しの話し声がバス内には残っていた。しかし、ハードラックは自分の声が通った様子を確認すると完全に静寂が訪れるよりも先に、日本語で乗客へ向けて語りかけ始める。

 

「セッカクの夜行Busに乗ってノ旅行を、こんな形でフカイなモノにして仕舞ってゴメンナサイ。I’m(わたくしの名前は) Hard(ハード) luck(ラック)=Fanbrler.(=ファンブレラと申します。) 安心して下サイませ。アナタ方、お客サンや運転手サンに必要イジョウに、わたくしカラ、Ah・・・アタエル?クアエル? つもりはありマセンわ。So...Ah...(つまり・・・・・)少しの間ダケ、bus jack(バスジャック)させて下サイ。」

 

目星

ハードラック80→36【成功】

 

 あまりにも丁寧かつ粛々と、顔を一切隠すこともせず、むしろ目立つドレス姿でバスジャック宣言に33人の乗客と代理運転手の男は、彼女の意図が理解しきれず、再びざわめき始める。

 その中でも静かな人間も4人程。確かに存在していた。

 1人は非常に肥った男性。下半身が短小で、非常にずんぐりむっくりとした体形をしている。頭部はスキンヘッド上になっており、肌の色は褐色肌で日に焼けているように見えた。非常に薄着でシャツから見える臍の中身の色すらも褐色といった様子から、地肌が褐色の外国人である事が分かる。また、とても筋肉質なのが腕の骨格の様子から感じ取ることができ、彼一人で2つ分の座席を占領しているようだ。そして彼にチャームポイントを上げるとすればクリクリとして、ぱっちりと見開かれた瞳であろうか。

 次の1人は、短髪の黒髪に鼻下と顎に髭を生やした黄色人種の男性。彼は最初に紹介した男に比べて非常に小柄な体格をしていたが、それを補うかのような筋力を持ち合わせているようであった。顔つきも決して悪いものではなく、中年の顔つきをしているが凛々しさが引き出され、彼が最も周囲の状況を判断し、どのように動くか考えているような視線の移り方をしている。

 もう1人は、イギリス人のような容貌をした男性。シャーロックホームズのファンでもあるのか、シャーロックホームズが着用していたような鹿撃ち帽を被り、インバネスコートを羽織っていた。左足を右足に乗せるように交差させながら、タバコを口に咥え、火をつけるか、そのまま咥えておくか迷った様子で考えながら、鹿撃ち帽で額まで隠し、バスの上空を眺めて居るようだ。首からは一眼レフカメラが掛けられ、胸ポケットの中には虫眼鏡 上に形が浮かび挙がっていることが分かる。

 最後の1人は、ハードラック同じ様なアメリカ人らしい外見をした男性。彼は、周囲がざわついている間も一言も話すことなく、窓ガラスの外の景色を眺めている。傍らにはポケットからは絆創膏などの端が見え隠れしているのが分かる。特に外見が他の人に比べて特に美形であったり、身体のサイズが大きいという訳でもなく、ハードラックを含めた5人の中で最も筋力もあるという方ではない。至って普通の人と言った印象を与えていた。しかし、ポケットの中に左手を突っ込んだまま、それを出そうとはしない。

 

 




【後書き】
確実に『第一クトゥルフ神話』の話よりも長くなりそうです。
誰がここまでしろと言った。

4人の特徴については、立ち絵の画像や提出されたキャラシートの文から
想像を膨らませ書いたものです。

彼らの描写だけで1本として投稿できそうでしたが
流石にそれだけでは話が伸びるだけなので一つに纏めました!



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~孤独の密室 後日談~ 15説

 ハードラックは、ざわめく乗客たちをこれ以上に刺激しないように配慮しながら、鉈とショットガン片手にバスの通路を歩いて行く。そして動じない他3人に警戒しながらも、アメリカ人らしい男性の傍に立つと彼に向けて手を出した。

 

「Excuse m... . あ。あなたは、日本人でしたネ。申し訳ないのですが、ソノ・・・ポケットの中に入っているスモークグレネード・・・ピンを付けたまま渡して下さいマセンこと? ツェペリ スモーキーさん。」

 

 ハードラックは懐かしむような視線を向け、はにかむように笑いながらアメリカ人らしい男性に話しかける。彼にとってハードラックは初対面だ。であるのにも関わらず、名前に加えポケットの中身を言い当てられると、ツェペリと呼ばれた男性は少しばかり驚いたような表情をハードラックに向ける。

 

「ここニハ、小さな子供もいらッシャいマスの。もしも、あなたがそのグレネードを投げマシタら、間違いなく必要以上のギセイが出ると思いマセンか? 医学的観点カラ、あの少女のハイカツ?量も分かるハズです。」

 

 それに畳を掛けるようにして、ハードラックは言葉を続け渡すように催促する。チラリと周囲の乗客を見回した後、観念したかのようにツェペリは大人しくポケットからスモークグレネードを渡す。ハードラックはそれを笑顔で受け取ると、ツェペリに一礼し背中を見せることはせず入り口まで戻る。

 

「そうデスわ。どなたか、どなたでも良いですカラ、この箱を使ってポリスを呼んで下さるカシラ? わたくしが呼べば済む話なのですけど、このキカイ?とやらの使い方を存じ上げマセンの。必要とあれば、わたくしの箱をお譲り致しマスわ。」

 

 すると思い立ったかのようにして、今度は警察を呼ぶようにと乗客に対して呼びかける。ハードラックが何を行ないたいのか、全く予測できない33人の乗客たちは、ある者は恐れを抱き硬直し、ある者は逆らったら殺されると思った者は携帯を取り出し連絡を取り始め、そして一部の者はツェペリに対して敵の一味ではないかと疑いの視線を向けられるのであった。

 

 ・・・・・・。

 

 時刻は23時を回る。

 相変わらず入口にはハードラックが、腕時計を確認しながら鉈とショットガン片手に佇んでいたが、先ほどよりもパニックに陥っている乗客は少なかった。むしろ心臓に毛でも生えてそうな乗客は、余程疲れているのかウトウトと転寝を始め、初めハードラックに手を振っていた少女も、今は母親の胸の中でハードラックの持っていた毛布に包まって寝息を立てている。

 しかし、ハードラックに視線を外さないものは4人居る。スモークグレネードを隠し持っていることを当てられたツェペリ。イギリス人のような男。身体のサイズは小さいが筋肉質な日本人。スキンヘッドに非常に肥った褐色肌の男性・・・。

 彼等だけはハードラックを警戒。または敵意を。はたまた状況を打開する方法について探っているようだった。

 

 




【後書き】
やはり第一クトゥルフ神話よりも長くなりました・・・。
初めの頃は全く想定していなかった人が、ここに居ます。
しかし、それもまた一興です。

バスジャック(未来変革・革命)編は、まだ始まったばかりです。



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~孤独の密室 後日談~ 16説

 23:30を回った頃、ついに警察官もSAT(対テロ特殊部隊)を引き連れ現場に到着。

 最初の通報から既に60分は経過していたが、ハードラックはやっと来たかと言った様子で窓の外の警官部隊を眺める。非常に練度の高そうな機動隊の面々が盾を構え、こちらを見据えているのが分かり、何処かホッとした表情で胸を撫で下ろした。そして、包囲をしていると言わんばかりにスポットライトで中央に存在するバスが照らされる。

 

「こちらは機動部隊SATの交渉人の家守だ。中に立て籠っているバスジャック犯に告ぐ。悪いことは言わない。大人しく武器を捨て投降しろ。今であればやり直しがきく段階だ。これ以上の罪を重ねるのは止めるんだ!」

 

 拡張機が使われ、ハードラックに呼びかけが行われる。警察車両のヘッドライトや、その他の照明器具だけが 周囲を照らし、その周辺だけが昼間のような人工的な明るさで照らされていた。

 その呼びかけの大きさからウトウトしていた人達は目覚める。あの毛布に包まれていた少女も身体を起こし、目を擦る。

 

Good morning.(おはよう。) お願いがあるのデスが聞いて頂けマスか?」

 

 目を擦り、怯える母親をそっちのけで、外の様子を伺う少女に向けてハードラックは近づき 悪意のない表情を作りながらとある提案を持ちかける。

 

 

 

 

 

 しばらくして、夜行バスの入り口の自動ドアが開かれる。

 警察隊やSATは突然開かれた扉に向けて銃口を構え、何が起きても対応できるように構えた。中から、ハードラックが話しかけた少女とその母親が、ゆっくりと出てくる。母親の方は、バスジャックの現場に居合わせたということから非常に青白い顔をし、なんとか娘だけでも助けなければならないという意思のみで立っているのか、千鳥足になりながらも必死に警察官の方へと歩いてくる。

 彼女たちが中ほどまで歩くと、警察官は彼女達を瞬時に保護する。

 ハードラックはその様子をバスの中から観察し、少女が警察官に向けて何かを伝えているのが遠目から見ても理解することができていた。少女の訴えを聞いた警察官は、他の警察官に少女とその母親を任せると一目散に交渉人と名乗った家守という男の元まで走って、何かを話しかけ始める。家守は何度か頷いたのちに、再びバスの方に向き直り拡張機で語りかけ始めた。

 

「確かに君の要求を了解した。今、無線機を持たせた警察官を一人そちらに向かわせる。無線機を受け取ったら、彼女が言っていた通り人質を解放して欲しい!」

 

 ハードラックはその言葉を聞くと、扉から人質をもう1人出すと〇と言ったハンドサインを提示させ、そのまま逃がした。

 5分後、交渉用の無線機がバス内に届けられ、ハードラックは それを覚束ない手付きで手に取る。無線機の向こう側からは、拡張期で聞こえたあの男や警官たちの声がする。確認が終わるとまた一人、人質を逃がす。

 

「Ah-・・・もしもし? 聞こえマスか?」

 

 そしてハードラックは無線機に付属していた説明書を読みながら、試行錯誤しながら無線機に話しかける。

 

 




【後書き】
ここに出てくる家守は
『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』に登場した
あの家守(やもり) 源水(げんすい)です。

なんのこっちゃ?という読者の方は、カロライナページから
『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』をチェック!!(ステマ)

彼は、今こそ陸上自衛隊・特殊警備部隊SHIELD隊員ですが、
SHIELDに就職する前は機動隊のSATに入隊している設定があったような気がします。
無かった場合、今そんな設定がついたことにします。

意図して居ないところで活用できそうな設定が登場したため
時間軸として、この後日談は『第四クトゥルフ神話』よりも前。
SATの交渉人として働いていた時代設定を付け登場させることになりました。

小説は、こんな過去のMy 探索者利用ができるので好きです。



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~孤独の密室 後日談~ 17説

「おう。聞こえるぞ。あの少女とその母親を通じて、伝言してくれたとおりのモノを用意した。人質も約束通り1人だけ解放してもらった。・・・単刀直入に聞こう。それで要求とは一体なんだ?」

「ンー・・・簡単なことデス。アト30分ばかりバスジャックさせて欲しいノト、ちょっとバカリ、とある研究機関へ向ケテ 伝言して欲しいコトがあるのデス。」

「・・・・・。」

「・・・。」

「・・・・・。」

「・・・・・できマスカ?」

「しばし待ってくれ。」

 

 無線機を片手にハードラックは眩しさに目を細めながら、警察隊と機動部隊の動きを探る。何やら警官隊は集まり、何かを話し合っているようだ。無言になってから少し時間を空け、可能かどうか再度確認を取ってみるが返答は曖昧な言葉であった。

 しかたなく警察官側の議論が終わるまで待つことにし、口元から無線機を離して、乗客たちにあと少しで大体の人は解放できる趣旨を伝える。もう一度 思い出を滅茶苦茶に壊してしまったことに対して謝る。大半の人は怯えながらも警察官が周囲を包囲して助け出してくれるという事に対して心を躍らせ、一部の人は何故 この人はたったこれだけの要求の為にバスジャックを行っているのだろうと非常に疑問を抱いたような表情をしているのだった。

 

「もしもし、聞こえるか?」

「・・・・! 聞こえマスヨー。」

 

 家守に待つように言われ、ハードラックが乗客に対して謝り始めて早3分。

 ついに無線機から家守の声が響く。ハードラックは素早く無線を口元に当てると返答を返した。

 

「その要件だが・・・・30分間バスジャックした後、君はどうするつもりなんだ?」

「大人しくジシュ(自首)?シマス。今回、わたくしは誰モ傷つケルつもりはナイデスから。だから、30分間ダケ待ってほしいのと・・・・伝言シテくれマス?」

「・・・・・・わかった。その要求を飲もう。人質についてだが・・・。」

「本当デスカ! Thank you!!」

「お、おう。」

「人質については32人解放しマスネ。乗客4人は保険の為に人質になって貰いマス。・・・しかし約束が果たサレタ時ニハ、皆さん解放するコトをわたくしカラ約束しまショウ。」

 

 ハードラックの言葉に能天気な乗客は更に歓喜の声を上げる。しかし、賢明な乗客はその4人の中に自分が入っていないかどうか、神に祈り出すような神妙な顔つきをし始めた。

 要求通りに簡単なビデオカメラが渡され、これに放送して欲しい内容を話されるように伝えられる。ハードラックは、また見新しい道具を前に、乗客たちから使い方を教えて貰うような形で、ビデオカメラに向けて汚い英語を使い、相手を冷徹かつ冷静に罵詈雑言、罵り始める。

 

他の言語(英語)

グラトニー??→37【??】

 村松  ??→26【??】

チンロック??→97【ファンブル】

ツェペリ ??→82【??】

 

 言語は英語で、大半の乗客はハードラックが何を話していたかは分からないと言った様子ではあったが 褐色肌の太った男だけはハードラックが伝えている言葉が分かった様で、眉を潜める。イギリス人風の男性は話を聞こうと身を乗り出すあまり、その椅子から転倒してしまうが、幸いにも怪我を負わずに済んだようだ。

 

 




【後書き】
家守について第2弾。
ちょっとお話したいと思います。

あれから家守は元気です。
家守を含む、足高、青大、クリスティーナ、ロジーナ全員生存しております。
〖彼等については『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』をチェックすれば関係が分かるかと思います!(ステマ)〗


家守は『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』の
時よりも逞しくなり、自分の部下を従えるようになりました。
ロジーナは家守と関係を深め、のちに婚約。元気な娘(探索者・生存)を産みました。

足高はクリスティーナと上手くイっています。
警察の仕事は姉に引き継ぎ、今は同じ公務員で教師を目指しているようです。
クリスティーナを過剰に慕うクリスティーナの妹達に手こずっていますが、関係は良好です。
クリスティーナは、周囲を振り回しながらも熊野家の天然ポジションの王座に居ます。
魔境である(褒め言葉)やろうず卓に言った結果
妹たちが約半数が神話生物になりましたが 能天気に日常を過ごしていますね。

青大は相変わらずのゲスで探偵事務所を開いております。
小説上ではボッチENDみたいな終わり方でしたが、セッションの方では『緋雅 奏夜』という素敵な女性を伴侶とし迎え入れ、二児(両方探索者・生存)の父になり探索者としての人生を生きたまま終えています。



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~孤独の密室 後日談~ 18説

【前書き】
俺の探索者は、こんなことしない! と思われましたら申し訳ございません。
それは私の実力不足で御座います。

今回のようなバスジャックシナリオがあったとして、
もしも探索者が何も知らなければどんな反応を指し示すだろうか?ということを
考えながら書きました。

私は皆さんのキャラについて完璧に理解している訳ではない為、特にセリフなどは用意しておりません。それこそ、自分のキャラが異なる口調、異なる性格でRPをしましたら萎えると思いましたので今回の物語のような処理を致しました。





 ビデオカメラが無事に自分の顔を写しだし、話した内容と同じことを話し始めた途端、ハードラックは満足したかのように笑い、操作を教えてくれた乗客に向けて後日談中これまでにないくらいの感謝の気持ちと自分が*板の中に居る*ことに対して驚きを示した。一方、乗客はハードラックに振り回されながら、ビデオカメラを知らない彼女に対して複雑な表情を向ける。

 ハードラックは一通り喜んだ後、運転席の真後ろ一番前の座敷に腰を掛ける。そして、ビデオカメラを運転帽をかぶっていない方の運転手に渡すと、乗客にカーテンを全て閉めるように伝え 指示通り動いたのを確認してから、そのまま外に出て行くように促した。

 

「・・・Oh, I forgot.(あぁ、忘れていましたわ。) ・・・グラトニーさん、村松さん、チンロックさん、ツェペリさん、アナタ方は座席に座ったマまで、お願いデキルかしら?」

 

 乗客が出ようとする際、4人の顔をそれぞれ見据え下車しない様にと指示を送る。4人も他の乗客同様に立ち上がり、バスジャック犯から解放されると安堵の表情を浮かべていた村松とチンロックだが、ハードラックの居残り発言を聞いたとたん、表情に戦慄が走る。

 

 

 ・・・・・・・。

 

 

 バスジャックされた車内にはハードラック。そして、乗客4人が取り残された。

 スモークグレネードを所持していたアメリカ人っぽい、ツェペリ。

 イギリス人のような風格を持つ男、チンロック。

 身体のサイズは小さいが筋肉質な日本人、村松。

 そしてスキンヘッドに非常に肥った褐色肌の男性、グラトニーの4人だ。

 あれほど眩しかった外は、今はカーテンで遮られ眩い光源は隙間からしか通していない。

 ハードラック4人に他の乗客・乗務員に見せていた表情よりも、更に申し訳なさそうな顔をしながら、撃つことのできない擬似ショットガンを構え4人の後部座席方面に歩いて行った。

 4人の視線はハードラックに集まる。

 その視線は、決して好意的な物ではない。警戒。軽蔑。怯え。殺意。全ての負の感情が凝縮され見つめられるような感覚。NPCではない。PC、探索者としての確固たる意志の強さを秘める力強いものだ。

 

 時刻は23:50を回っている。

 夜行バスの中に設置されたデジタル時計が刻々と時間を刻んでいた。

 乗客である4人が何か口を開くのよりも先に、ハードラックは手に持っていた鉈をしまい、ブラックジャックを解体、ニーソックスを履き直し、擬似ショットガンを座席に置いた。

 

「・・・・・・。」

 

 そして名状しがたい視線を向ける4人に対して、もう一度申し訳なさそうな顔した後に 傍から見れば開き直ったかのような・・・何処か悲しげな微笑の表情を浮かべる。本来であれば、また会えた4人に対し全力で胸の中に飛び込みたい。そんな気持ちでいっぱいの筈だ。

 しかしそれは出来ない。今、ハードラックの目の前に居るのは『孤独の密室で仲良くなった4人』ではない。『バスジャック犯と乗客』として敵対している関係だ。左手で右手を押さえ、感情を押し殺しながら小刻みに震える。

 そして、完全に敵意が無いことを4人に伝えるため、ハードラックは持っていた鉈と、疑似ショットガン、六法全書、スモークグレネードを通路に滑らせ、4人が拾おうと思えば拾えそうな位置に投げた。

 4人とも、それぞれの持ち物を拾う。疑似ショットガンを拾った過去の仲間は、それが偽物であることを悟ると驚いた様子でハードラックを見つめる。

 

Oh,(あぁ、) finally I(やっと わたくしは) could fulfill(あなた方との) my promise with you.(約束を果たすことができたのですね。)

I’m really sorry,(怖い思いをさせてしまって、) I made you scary.(本当にごめんなさい。)

 

 彼女は4人に対して、祈るかのように両手を組み、跪き、(こうべ)を垂れた。

 “約束を果たすことが出来た”と涙ぐみながら、4人に懺悔するハードラックに対してグラトニーは、どんなを約束したのか。どうしてこんな事をしたのか。と尋ねる。

 

 ハードラックは、自分が妄想癖が過ぎたイカレ(アマ)だと思うだろうと4人に対して前置きを置いてから、今まであった事。全て、過去の彼等に話した。

 

 自分は未来から来たこと。

 過去にはイス人の時空転送装置を使いやって来たこと。

 しかし、生まれは1920sアメリカの過去の人間であること。

 一度 死を経験し、『とある過程』を経て現世に生き返って来たこと。

 その『とある過程』を経ている最中に、未来の貴方達4人と出会って仲良くなったこと。

 結果的に生き返ることが出来たのがハードラックだけであったこと。

 未来の貴方達4人に、『クソッタレな未来をぶち壊して、絶望の未来から過去のあなた達を必ず助け出す』と約束を交わしたこと。

 

 4人に対して、すべてを話した。

 4人は淡々とハードラックの話を聞く。

 ハードラックの中で今まで抑えてきた感情が溢れ出し、クラックスに対し4人について話した時と同様、涙がとめどなく溢れ 祈るように組んでいる指に、バスの床に、雫の塊がボタボタと落ちて行く。4人に表情は見えなかったが、潤むようなその声から 表情について察することが出来た。

 最後にハードラックはこう続ける。本来起こるべきであろう死亡時刻は過ぎ去った。と。安易かも知れないが「未来を変えて、約束が果たせた」と。泣きじゃくりながらそれを必死に伝える。

本人が気付かぬ内にその訴えは、途中から英語での訴えになってしまっていたが、英語がよくわからない村松、チンロック、ツェペリの為に、グラトニーがそれを翻訳して伝えていた。

 

心理学

チンロック??→??【??】

 

 




【後書き】
前作の主人公の1人である家守について話していたら
孤独の密室 後日談も終わりに近づきつつありましたね。

時間をズラしただけでは事故死の運命は変えられないと仰る方も居ますが
私はそうは思いません。事故死はその一瞬一瞬が重なり合うことによって引き起こっていると考えているためです。

時間がズレることによって、そこで起きるはずの問題は過ぎ去る可能性があります。
勿論、過ぎ去らない。向こう側もこちら側に合せてくると言う可能性が残っていますが、そのような不運な奇跡が発生しないためにもバス自体を使えなくし、乗客を人質に取り、バラバラに散開させることで、未来を変えると言う暴挙にハードラックは打って出た訳です。

死のリスクを回避させるには詰めが甘いですが、あとの判断はその時のKPにかかっていると思います。

私が『孤独の密室』をPLとして参加させて頂いた時のKPさんは、過去に戻り未来を変えることに対してOKの許可を出してくださいました。
これで、KPさんが『それでも運命は強制的に死へ導くのである』と言えば、この世界線は存在していなかったことでしょう。
だからこそ、今回の物語は生まれたのです。

許可してくださったKPさんには感謝しか御座いません。



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~孤独の密室 後日談~ 終 説

 4人は それぞれハードラックに視線を見送る。

 その視線の中には、もう敵意などの感情は含まれていないようだった。それどころか、第三者から見た時、何処か温かみすら感じ取ることができる。

 そして互いに頷き、日本語で何かを話すとツェペリ、チンロック、村松の順番でバスを後にして出て行く。日本語で何を話したのかは、それはハードラックには聞き取れなかったが、聞こえようが聞こえなかろうがハードラックの耳には届きそうになかった。

 3人が出て行き、外が騒がしくなる。

 バスの中には、ハードラックとグラトニーしか残っていない。

 (こうべ)を垂れたまま すすり泣くハードラックに対し、グラトニーは大きな手でハードラックの(あたま)に手を置く。一瞬だけ、ピクリとハードラックが反応を返す。グラトニーはそのまま、ハードラックの頭を撫でる。ハードラックはそれが引き金であるかのように子供の様に声を上げながら、泣き声をバス内に響かせた。

 

 グラトニーは暫くハードラックの頭を撫でた後、4人を代表してのお礼と、ハードラックがバスジャックをしたという事に対する罪を咎め、警察署でしっかりと罪を償ってくるようにするようにと伝える。ハードラックはそれに対し、英語で謝り肯定の返事を返し、胸元から手紙が入った封筒を差し出す。彼もそれを受け取り、彼女が落ち着いてきた兆しを確認すると背中を見せてバスから降りて行った。

 

 しばらくして、彼女もバスから下車をする。

 外では警察官やSATが待ち構え 瞬時にハードラックを囲んだが、彼女は抵抗素振など全く見せず、そのまま捕まり事件は終焉を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

―――――プツン

 お昼のニュースです。

 昨日、深夜0時頃。東京都新宿駅発の静岡行きの夜行バスにてバスジャックが発生しました。

 バスジャックを行ったのは、日本へ旅行で訪れていたと思われる国籍不明ハードラック=ファンブレラ容疑者(35)です。現在、警察の取り調べの結果。『(ハード)(ラック)(ダンス)っちまったぜ。でも、約束は果たせました。遅くなって申し訳ございませんでした。』と意味不明な供述をしているとの事です。

 また、ハードラック容疑者はバスに乗り合わせていた乗客は40名のうち、最後まで4名の人質を取っていたとのことでしたが、投降を呼びかけたところ大人しく投降に従ったようで、幸いにも怪我人は居ないようです。現在、警察はその他のテロの関係性と同日0時30分頃に心臓麻痺で死亡した運転手との事件の関係性を調べているそうです。

 

~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~

 

【???】

 

 9:00になりました。朝のニュースです。

 昨晩、一昨日バスジャックで逮捕されたハードラック=ファンブレラ容疑者が変死体と なって留置所で発見されました。彼女が、何者かに殺害される直前を発見した警察官の証言によると『鋭角から煙が発生し腐臭と共に犬に似た怪物が容疑者を襲った』と証言しているようです。傍らには遺書も置かれており『来世では、私を貰ってくれると言った貴方と結ばれますように―――――ブツンッ

 

 




【後書き】
これにて本編。
~孤独の密室 後日談~は終了となります。

最後まで付き合って下さった読者の皆様方、
このシナリオを回してくださったKP様、同卓してくださったPLの皆様方
そしてシナリオを作成してくださった朔様。
更に、セッションにて同席した時、励ましの言葉を掛けて下さったPLの皆様!!
誠に、ありがとうございました!!!

この物語が最後まで書けたのは、皆様の応援や励ましの声があったからこそ
物語を書き上げることができました!

ダイスの女神は本当に女神(クソビッチ)です。
本編の最後ですから、ちょっとしたネタ晴らしをすると
前回の最後のチンロックの心理学ですが、クリティカルを出しました。
うつむいていましたが、心からのハードラックの心境が読み取れたいう処理をしました

最後の【???】は好きなように捉えて頂いてもらって構いません。
帰宅した乗客が確認したと言うニュースでも構いませんし、ハードラックが最後の方に汚く罵った『とある研究機関』であると想像するのもありです。捉え方は、自由自在です。

本編はこれにて終了ですが、
03/17日の01:25に、~孤独の密室 後日談の後日談~を投稿する予定です。
ちょっとした謎々も用意する予定でございます。もしよければ、見て頂けませんか?



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番外編
~孤独の密室 後日談~ 後日談


グラトニーに宛てた手紙

To Mr. Gluttony(グラトニーさんへ)

 I am sorry(昨晩は、) I let you bad at the bus jack(バスジャックで不快な思いにさせて) last night.(申し訳ございませんでした。) It is because I have a favor(私が貴方にこのような手紙を) to send such a letter to you.(送ったのはお願いがあるからです。) I’m sorry.(本当にごめんなさい。) I’m overkill to ask you for(バスジャックなんかして、被害者の) a bus jack and ask the victim.(貴方に御願いをするだなんて。) I would be pleased(どうか、最後まで手紙を) if you could read the letter to the end.(読んで頂けたら幸いです。)

 Please ask…….(お願いと言うのは・・・。) Modern USA(現代アメリカ) There is a house(マサチューセッツ州の) in the place of Mr. 0000(〇〇という場所に) in Massachusetts.(わたくしの家があるのですが。) I would like you to meet(クラックスという人物に) the person called Crax.(会って頂きたいのです。) It’s just a post-mortem report,(事後報告なのですが、) but I do not feel like going.(私は行ける気がしません。) I am telling you about Crax.(クラックスには貴方の事を伝えてあります。)

 Since it is always good,(可能であれば、) if possible,(いつでも良いので) Thanking you in advance.(よろしくお願いします。)

 

 

クシャクシャになった手紙の切れ端

Really selfish please(本当に勝手なお願い)

 If you forgive me(もし貴方が許してくれるのであれば)

 I came to see me on 25th February 2017(2017/2/25日の私に会いに来てください)

 

 

クシャクシャになった手紙の切れ端の裏

I said that I would like you to be my daughter is future you(嫁にしてくれると言ったのは未来の貴方)

 It is irrelevant to you in the past.(過去の貴方には無関係。)

 How to marry you in the past,(過去の貴方に結婚して下さいなんて、) You are no longer obliged.(おこがましいですわよね。)

 




【後書き】
私の探索者を『嫁にもらってやる』と言ってくださったPLさんへ。
グラトニーさんはどうされますかね?

こんな形でしか、二度と愛の告白を出来なさそうなので一筆、
ハードラックになりきって書いて見ました。

英語文の大変さよ・・・。
返答の方、お待ちしております。

投稿日には、ハードラックの別の思いが含まれています。
前回、取り上げた謎々とはこの部分です。
ヒントとしては、
1.西暦を除いた日付と時間。
2.本当は3/7にこの手紙を渡したかったこと。
3.アニメの時間表記
ですかね。



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