バカと喫煙と召喚獣 (こげたろう)
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1話

またあの夢か

 

『………!………!』

 

なんて言っているかは聴こえないが、なんて言っているかは知っている

 

『………!……ぃ!』

 

だってこの夢は俺の思い出だから

 

『…ぬな!美…ぃ!』

 

けど、決していい思い出なんかではない

 

 

だって…

 

 

『死ぬな!美咲ぃ!』

 

 

大切な人が殺されるんだから

 

 

---------------------------------------

 

ジリリリリリリリリ

 

「ん……」

 

 

毎朝聴いている時計のベルの音で、俺は夢から覚める。

 

何度も見てきた夢だから汗は掻いていないものの、やはりいい目覚めとは言えないものだから、朝から胸くそ悪い

 

 

「さっさと準備するか…」

 

 

そう、今日から俺菊池 潤は新学期が始まるため、タンスにしまってあった制服に着替えていた

そこからはいつも通りにコーヒーを淹れ、タバコをくわえて火をつけて…

 

 

「って、遅刻してんじゃん!」

 

 

呑気に朝のブレイクタイムを楽しんでる暇なんかなく、慌てて家を飛び出した

 

---------------------------------------

 

「遅いぞ菊地!」

 

 

全力で走ったんだが、結局遅刻してしまった

 

 

「おはようございます西村先生、遅刻に関しての説教はまた別の機会にしてくれないっすか?」

 

「まったく、別に説教するつもりはないが、次からは気をつけるように」

 

 

呆れながら俺に茶封筒を渡してくれたこの男性は、本名西村宗一・あだ名は鉄人

ここ文月学園の教師にして、俺にとって信頼できる数少ない大人だ

 

 

「これってどうせクラス分けの結果ですよね」

 

 

この学校は毎年学年末時に、来年度のクラス分けの為の振り分け試験という名のテストがあるのだが、俺はその試験を受けていなかった…否、受けられなかったから、自分のクラスがわかっていた

 

念の為に封筒を開けてみると、やっぱり大きくFクラスと書かれていた

 

 

「ああ。お前には不要かもしれんが、これも学園の教育方針の一環だから…しかし、お前の件に関しては俺個人としては未だに納得がいかんが…」

 

「別に構いませんよ。どのクラスに行こうと俺はいつも通り過ごすつもりですし、なによりあいつらも一緒のクラスらしいですから」

 

「ふ、なら大丈夫だろうが、この一年精一杯楽しめ!」

 

 

俺は西村先生に一度お辞儀をしてから、自分のクラスに向かった

 

 

---------------------------------------

 

「なんだこの教室」

 

 

まっすぐFクラスに来てみると、そこに待っていたのは馬小屋みたいな部屋…

 

表札には2-Fと書かれているから一応ここが俺のクラスなんだろうけど、流石にこれは酷い

振り分け試験の結果によってクラスも設備が変わることは知っていたのだが、ここまで酷いとは、流石は文月学園

 

 

「ま、いっか」

 

 

そう自分に言い聞かせながら、クラスの扉を開ける

 

 

ガラララララ

 

 

「遅れまs「早く座れこのウジ虫野郎が!!」あぁ!?って雄二か」

 

 

人生で初めて教室の入って罵言を浴びさせられたが、浴びせたのがこいつなら仕方ないな

ちなみにこいつは親友の坂本雄二で、昔喧嘩をしあったなかでもある

 

 

「なんだ潤か。随分と遅かったな」

 

「まあな。それよりなんでお前が教壇に立ってやがんだ?」

 

「俺がこのクラスの最高点数保持者だからな、自動的に俺が代表だ」

 

「ほう…なるほどな」

 

「これでこいつらは俺の手足も当然だ」

 

 

そういってニヤリとクラス全体を見下ろす雄二

 

なんで見下ろしているかというと、このクラスには椅子と机はなく、座布団とちゃぶ台と貧乏臭い設備だからだ

 

とりあえず座席は自由らしいので、他の親友のいる席の近くに移動する

 

 

「よう秀吉、康太」

 

「おはようなのじゃ兄上」

 

「……おはよう」

 

 

挨拶をすると、二人とも返してくれたところで、この二人も紹介しよう

 

 

まず始めに俺の事を兄上としたってくれている方が木下秀吉

 

一見するとそこらへんの女子よりも可愛い部類の女子に見えるが、立派(?)な男子だ

秀吉とはガキの頃からの付き合いで、気がつけば俺の事を兄としてしたってくれていて、オレもこいつを弟のようにしたっている

 

 

そしてもう1人のこいつは土屋康太

 

無口で大人しい性格だが、かなりの想像…妄想力と欲望に誠実な男で、この学園にかよう女子の情報はほとんど知っている

そして生徒の写真を昔は無許可(今は収入の3割渡すという契約を結んでいる)で他の生徒に販売している奴だが、信頼するに値するやつだ

 

 

ガラララ

 

「すいません遅れま「早く座れウジ虫野郎!!」

 

扉があいてまた雄二の声が聞こえてきたと思っていたら、またまた親友のおでましだ

 

あいつの名は吉井明久、俺や秀吉の中学からの親友で、友達思いのバカ正直なやつだ

 

 

「よう明久」

 

「おはようなのじゃ明久」

 

「………おはよう」

 

「あ、潤に秀吉に康太おはよう」

 

 

これでおそらくこのクラスにくるであろう親友はそろったかな

 

 

ガラララ

 

「すいません、そこを通してもらってもよろしいですか?」

 

 

今度はこの学校の教師である福原先生が入ってきて、雄二と明久を座らせる

 

あの先生はぱっと見は冴えないオッサンだが、中身はかなり優秀な先生で、オレも何度かお世話になっているが、福原先生が担任みたいだし、これはたのもしいな

 

 

「え~おはようございます。今年度皆さんの担任になった………福原です」

 

 

もしかしてチョークすら配布されてないのか?

こんなんじゃ授業もままならないだろうが、んなこと俺は知らん

 

 

「ではまず設備の確認をしてください。不備が見つかったら報告お願いします。なお必要なものがあれば極力自分で調達するようにください」

 

「先生、僕の座布団に綿があまり入っていません」

 

「我慢してください」

 

「先生、僕のちゃぶ台の脚が折れています」

 

「木工用ボンドが支給されますので自分で直してください」

 

「窓ガラスが割れていて寒いです」

 

「わかりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきます」

 

「「「本当にここは教室か!!!???」」」

 

 

福原先生…流石にFクラスとはいえそれは酷すぎませんか?

 

 

「では、自己紹介でも始めましょうか。そうですね。廊下側の人からお願いします」

 

「うむ、木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。いい年間よろしく頼むぞい」

 

 

廊下側というと、俺も結構最初に自己紹介か…あまりしたくないんだよな

 

 

「………土屋康太」

 

 

康太の紹介短いな 

 

まぁ適当に話せばなんとかなるか

 

 

「……です。海外育ちで、日本語はできるけど読み書きが苦手です。あ、でも英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味は―」

 

 

おっと、考え事していたら俺の前のやつが紹介していた

 

おそらくこの声は…

 

 

「趣味は吉井明久を殴ることです☆」

 

 

やはり島田か

 

こいつは島田美波 

自分でも言ってたが、ドイツで育ったいわゆる帰国子女というやつだが、意味もなく明久に暴力をふる奴だ

 

たしかこいつは明久に好意を向けているらしいのだが

 

 

「はろはろ~」

 

「し、島田さん」

 

 

勿論明久はそんな好意に気付くはずもなく、島田に対して苦手意識すら持っている

 

 

「菊地潤だ。基本的にあまり人は信用しないたちだがよろしく頼む。そして俺のダチに敵意を向けている奴には男女問わずに潰しにかかるから覚悟しておけ」

 

 

簡単にクラス全体に威圧をかけると、逆に睨み返してくる連中とうなずく連中とに分かれていた

 

もっとももともと学習能力の悪い連中だから期待はしてないけどな

 

 

「流石じゃな兄上、あの一言でクラスの連中に威圧をかけるとは」

 

「別に大した事はしていない。その気になれば秀吉にだってできるさ」

 

「それでもやはりあそこまではできんとおもうがの…」

 

 

「コホン、えーっと、吉井明久です。気がるに『ダーリン』って呼んで下さいね♪」

 

「「「ダァァァリィィィン!!!!!」」」

 

 

明久、お前とうとうそっちの道に進むのか…

 

あんあ連中の野太いダーリンをそんなにききたかったのか?

 

 

「失礼、忘れてください。ともかくよろしくお願いします」

 

 

やっぱり吐き気を覚えたのか、口を押さえながら席に座る

ギャグだとわかっていても、俺なら絶対にあんな挨拶はしないな

 

 

ガララララ

 

 

「あの、遅れてすみま、せん・・・」

 

「「「えっ?」」」

 

 

クラス全体が驚きを隠しきれていないが、今の状況を整理すると、ただ遅れてきた女子生徒が教室に入ってきただけだ

ただ、その女子生徒こそが問題なのだ

 

 

「丁度よかったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします」

 

「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします」

 

「し、質問です!なんでここにいるのですか!?」

 

 

一見かなり失礼な質問だが、この質問にはクラス全体が同意しただろう

 

姫路はもともと学年次席の実力の持ち主で、Aクラスに入っていると皆が予想していたぐらいである

 

 

「そ、その…試験中に体調をくづして途中退席しまして…」

 

 

そういや明久が誰かを保健室に連れて行っているという話しを聞いたが、姫路の事だったのか

 

 

「そう言えば俺も熱の問題が出たせいでFクラスに」

 

「ああ。科学だろ?アレは難しかったな」

 

「俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて」

 

「黙れ一人っ子」

 

「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて」

 

「今年一番の大嘘をありがとう」

 

 

こいつらとはこのクラスに来た理由が天と地の差だな

 

 

「はいはい皆さん静かに…」

 

 

トントン バキッ!

 

 

「…教壇が壊れたので新しいものを持ってきます」

 

 

気まずそうに教室を後にする福原先生だが、今はそれに感謝をするとしよう

 

 

「秀吉、スマンが屋上で一本吸ってくるから、先生にはトイレに行ったと言っててくれ」

 

「む、了解したが、先生に気をつけるのじゃぞ?」

 

「はいよ」

 

 

カバンから愛用のマルボロを取り出してポケットに忍び込ませ、そのまま屋上にむかった

 

 

------------------------

 

一服から帰ってくると、なにやらクラスが盛り上がっていた

 

おそらく雄二の紹介で皆に例の計画を言ったんだろうな

 

そのまま扉を開けてこっそり席につき、そして…

 

 

「我々FクラスはAクラスに『試召戦争』を仕掛けようと思う!!」

 

 

雄二の計画の開始に対してニヤリとわらった




改めてはじめましてこげたろうと申します

この小説をよんでいただき、誠にありがとうございます


最低でも一週間に一度は交信していきますので、どうぞこれからも呼んでいただければ幸いです


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2話

記念すべき二本目です!

ぶっちゃけ潤君のキャラが僕自身分かっていないので、なんとかAクラス戦までには確立させたいとは思っているんですが…w

それでは第二話 どうぞ


雄二の宣言、『FクラスがAクラスに試験召喚戦争を挑む』に対してのクラスの反応は、まぁ想像通りだったわけだ

 

 

「無理に決まっている」

 

「これ以上設備をさげられたらどうするんだ」

 

「姫路さんがいるならそれでいい」

 

 

……最後の発言だけは想像できなかったが、こいつらの言っている事も一理はある

 

この学園は成績によってAからFクラス分けされるが、Aクラスに入る生徒は並大抵の努力なんかではなく、必死な努力が実を結んだものばかりだし、それに比べこのクラスは努力という言葉をトイレに垂れ流してきた連中がほとんどなわけだ

 

もしこの話を食事中に読んでいる人がいるなら、心よりお詫び申し訳ないと思っているが、それほどAクラスとFクラスとの差ははっきりしている

 

 

「そんなことはない、必ず勝てる!いや、俺が必ず勝たせてみせる!!」

 

「何を根拠にそんなこと言ってんのか…」

 

「根拠ならある…このクラスにはAクラスに勝つ為の戦力が揃っている」

 

 

そういった雄二は、ふと姫路の方を見て一言

 

 

「おい康太、いつまでも姫路のスカートの中を覗かずにこっちに来い」

 

「………(ブンブン)」

 

「は、はわぁ!?」

 

 

雄二に指摘されると、畳の痕を隠しきれていないまま教団にあがり

 

 

「まずは一人目、土屋康太。こいつがあの寡黙なる性職者(ムッツリーニ)だ」

 

「………!(ブンブン)」

 

 

『寡黙なる性職者』

 

康太の裏の名で、この学園でこの名を知らないものはいないほど有名だ

 

一時前まではこの名に対して女子は軽蔑の念を抱いていたが、康太が普段の行いを改めた結果女子からも信頼を抱いてもらっている

 

勿論今みたいな行いがあるせいで全ての女子ではないが、そこは目をつぶってもらおう

 

 

「馬鹿な、奴があのムッツリーニとでもいうのか…!?」

 

「だが見ろ、あんなにわかりやすい翔子を未だに隠し続けているぞ…」

 

「ああ、ムッツリの名に恥じない姿だ」

 

 

本来はムッツリの名は恥じるものだがな…

 

 

「姫路の実力は言うまでも無いだろう」

 

「わ、私ですか?」

 

「ああ、うちの主戦力だ。おおいに期待している」

 

 

確かに姫路の戦力は1人でFクラスを完膚なきまでの潰すことのできるほどだしな

 

 

「木下秀吉だっている」

 

「木下ってあの…」

 

「ああ、あの木下優子の妹にして…「待て!わしは男じゃ!!」」

 

「「「学園のかぐや姫!!!」」」

 

「だからわしは男なのじゃ!!」

 

 

うん、この名も残念なことに知っている

 

秀吉は演劇部のホープにして、既に時期部長という地位を得ている

 

その演劇のおかげもあってか、古典に関してはこの学校でも上位クラスの実力者でもあるが、元々の容姿とたまたま行った演劇のせいか、いつしか陰で『かぐや姫』と呼ばれるようになっていた

 

 

「うう、なんでいつもこうなるんじゃ…」

 

 

そして当の本人は若干ナミダを浮かべながらうなだれているが、こうなるといろいろろ面倒なので

 

 

「悪いが、それに関しては諦めろ」

 

「兄上には慰めるという言葉がないのか!?」

 

 

トドメをさすとなんだか理不尽に怒られたが、これもいつもの日常だ

 

ちなみに秀吉の泣き顔はバッチリ康太が撮影して、後のムッツリ商会のラインナップに並ぶ

 

 

「勿論俺も本気を出すつもりだ」

 

「坂本って昔『神童』って呼ばれていなかったか?」

 

「じゃあ、坂本も本当はAクラス並みの点数が取れるのか?」

 

「うおお!このクラスにはAクラス並みの成績の奴がこんなにもいんのか!?」

 

 

言うまでも無く、『神童』というのは雄二の二つ名だが、あくまで昔の話だ

 

だが学力はAクラスまでとはいかないが全教科がバランスよく取れており、元々から持っている策士としての才と好戦的な性格が幸をなし、代表としての素質を充分に持っている

 

 

「それに…このクラスには吉井明久と菊地潤がいる」

 

 

一気に湧き上がっていた士気が冷める感じがした

 

 

「吉井と菊地って誰だ?」

 

「そもそもそんな奴クラスにいたっけ?」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ雄二!潤はともかくとして僕にはなんのとりえもないじゃんか!」

 

「おい、俺はともかくってどういう意味だゴラ」

 

 

俺にもなんも優れた特徴なんて……って

 

 

「おい雄二、お前まさか…」

 

「ああ、まず始めに吉井明久だが、この学園初の『観察処分者』だ。更に菊地潤はその上をいく『特例危険対象者』だ」

 

 

言いやがった…

 

人が隠すつもりの事をバッサリと

 

 

「おいこのくそゴリラ、よくも人の知られたくないことを言いやがったな」

 

「黙れ煙突、遅かれ早かれ知られることだ。諦めて座りやがれ」

 

「チッ」

 

 

これ以上何を言っても駄目だな

 

 

「なぁ、観察処分者って確か…」

 

「ああ、バカの代名詞だろ?」

 

「特例危険対象者ってまさか」

 

 

ザワザワザワザワザワザワ

 

 

「ええいいちいち騒ぐな鬱陶しい!」

 

「黙れ元凶」

 

 

こいつは本当に何を考えてやがんのかわからん

 

 

「まずは明久の『観察処分者』についてだが、これは生徒に教師の手伝いをさせるための役職で、召喚獣に物理干渉をさせることができる。勿論リスクは存在し、召喚獣が受けたダメージはそのまま観察処分者にフィードバックされる」

 

「おいおい、それじゃ戦争時には足手まといじゃないか」

 

「使えない奴だな」

 

「ああがっかりだ」

 

 

俺はお前らの思考回路にがっかりだよ…

 

 

「まぁ明久の凄さは実際にみたら分かるだろう。次に潤の特例危険対象者についてだが「雄二」ん?」

 

雄二が話そうとしているところを止めて、俺自らが教壇に立つ

 

 

「それは俺自ら説明する。異論は認めん」

 

「…ああ、わかった」

 

 

さすが俺の親友の1人、こういうときの聞きわけが良くて助かる

 

それにこの事はあまり他人伝いに説明はしたくない

 

 

「まず、俺の持つ、この『特例危険対象者』についてだが、こいつの意味はお前らが知っている通り、『学園側から見て最も危険な生徒』に与えられる称号だ」

 

「やっぱり…」

 

「じゃああいつがあの…」

 

「『非情喫煙者(サイコスモーカー)』なのか…?」

 

 

非情喫煙者

 

これこそ俺が特例危険対象者になるに至った原因だ

 

全生徒の中で最も思考が犯罪者に近く、普段の行いが極めて悪い生徒に送られる称号が『特例危険対象者』なのだが、俺の場合は思考が犯罪者だからという理由ではないが、その理由はいずれ言うつもりだ

 

 

「皆がどう思ってくれても構わないし、俺はさっきも言ったがあまり人を信用しない。だが代表の意見を尊重していくつもりではある」

 

「「「……………」」」

 

 

む、なんだ?怖いぐらい静まり返ったが…

 

まぁこのまま説明を続けるか

 

 

「そして『特例危険対象者』の能力だが、こいつは一度の試召戦争で一度だけ償還用のフィールドを張ることができる。ただこの能力で普段の召喚獣に対してのフィードバックは勿論、展開したフィールド内での戦いにおけるダメージは全部俺が受けるが、おかげで召喚獣の扱いは人並み以上に心得ている」

 

「マジかよあいつ」

 

「しかも菊地って確か試験を受けていないって噂があったな」

 

「もしかしてあいつも賢いのか!?」

 

 

なんだかよくわからん考えだが、とりあえず士気は取り戻したな

 

 

「じゃ、後は頼んだ」

 

「おう、ともかく、これだけの戦力が揃っているんだ!Aクラス撃破も夢じゃない!」

 

「「「そうだ!夢じゃない!!」」」

 

「みんな、このクラスの設備には不満だろう?」

 

「「「当然だ!!!」」」

 

「ならば全員筆〈ペン〉を握れ!出陣の用意だ!!」

 

「おおーーー!!!」

 

「俺たちに必要なのはちゃぶ台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!!」

 

「「「うおおおおお!!!!!」」」

 

「お、おおー!」

 

 

相変わらずのカリスマぶりを発揮した雄二の手により、見事こいつらをまとめやがった

 

何故か姫路もノッていたが、まぁ事は順調だろう

 

 

「てなわけで早速だが、明久と潤にはDクラスに宣戦布告をしてきてもらいたい」

 

 

だからなんでそこで俺の名が出るんだ?

 

 

「まぁいいか、行くか明久」

 

「うん」

 

------------------------------------

 

~Dクラス前~

 

「さて、間違いなく殴りかかれるとして、どうしたものか」

 

「殴られる前に殴り返すのは?」

 

「お前は俺をこの学園から追放したいのか?」

 

 

俺たちは今Dクラスの前にきてから気づいていた

 

俺たちは下位クラスからの使者、そして上位クラスに宣戦布告しに来たわけだが、不通に考えてDクラスの連中は怒るだろう

 

そうすると結果暴力に走り、俺たちはこのままでは袋叩きにされてしまう

 

流石に俺の立場上暴力沙汰は起せないとはいえ、このまま素直に殴られるほど俺は馬鹿ではない

 

つまり今は殴られないための方法を考えているのだが…何も思いつかない

 

 

「宣言してそのまま逃げ出すっていうのは?一番安全だと思うけど」

 

「それも難しいな。クラスに入れば退路を絶たれるだろうし…結局逃げ道は無いわけだ」

 

「そっか…どうしようか」

 

 

二人で悩んでいた時

 

 

「何しているんだい?」

 

 

後ろから突然声をかけられて焦り、そのまま臨戦態勢をとるが…

 

 

「なんだ、平賀か」

 

「なんだとはいささか失礼じゃないかな?」

 

 

そう、去年のクラスメイとの平賀が呆れ顔で立っていた

 

 

「もしかしてお前、Dクラスか?」

 

「ああ、一応ここの代表だ」

 

 

おっとこれは…まさしく鴨がネギ背負ってやってきたな

 

 

「えっと、平賀君だよね、僕たちは「Fクラスの使者だろ?菊地がここにいる時点で分かったよ」え、あ、うん」

 

 

やっぱり勘付きやがったか

 

平賀は成績こそDクラスレベルだが、こういうときにはすぐに勘付くやつだ

 

ま、俺って存在がいたからこそだろうが、さすがと言うべきだな

 

 

「勿論引き受けた。うちのクラスにはオレの方から説明しておく。開始はいつ頃がいいかな?」

 

「できれば昼休み以降にしてもらいたい。そっちも昼食とる時間も必要だろうし」

 

「わかった。じゃ、お手柔らかに頼むよ」

 

「そちらこそ」

 

 

軽い社交辞令を交わした後、俺たちはFクラスに戻った

 

 

 

「…さて、作戦会議でも開こうかな。楽しみだな」

 

 

 

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

「ただいま戻った」

 

「おうおかえり。早速だが作戦会議を開くぞ」

 

 

帰ってきた瞬間に、雄二と秀吉、康太に島田に姫路の面子が弁当こ片手に待っていた

 

 

「おう、けどこんなかびだらけの部屋でなく屋上に行かないかあそこなら気分も晴れるし」

 

「お前はただ吸いたいだけだろうが」

 

 

確かにそれもあるが、今言ったことも本音だしな

 

やはり衛生管理の行き届いていないところでの食事は命取りになりかねない

 

 

「ちょっと菊地、アンタ吸いたいってまさかタバコじゃないでしょうね?」

 

 

いきなり島田が嫌悪感をあらわにして食いかかってきたが、何の不満があるんだ?

 

 

「勿論そうだが、お前には俺が薬中にでも見えたか?」

 

「アンタまだ未成年でしょうが!なに当たり前のように言ってんのよ!」

 

「んなもんこの国の事情だろう?俺はしっかり税金納めてるんだ。それに俺が喫煙者だからと言ってお前には関係ないことだ。それのどこに不満がある?」

 

「あんたのせいでウチらが体壊したらどうすんのよ!!」

 

 

ほう、俺に正論で立ち向かってくる気か

 

確かに正論だがまだ甘いな

 

 

「ならお前は俺から離れて飯を食えばいいだろ」

 

「アンタが離れなさいよ!」

 

「悪いがそれは無理だな。一応俺も雄二から紹介された戦力の1人だから会議には参加の義務がある。大してお前は戦力の1人ちしてカウントされていない…今重要なのはどっちかわかるだろう?」

 

「んなことどうでもいいのよ!あんたが離れればね!」

 

 

まさか正論を屁理屈で押し返してくるとはな

 

こいつはただの馬鹿ではなく、かなり面倒くさい馬鹿みたいだ

 

 

「まぁまぁ島田も兄上もその辺にしておかぬか?早くせねば会議どころか昼食すらままならんぞ?」

 

「くっ……覚えときなさいよ」

 

 

秀吉が何とかこの残念女子(島田)を押さえてくれたおかげで、俺は本来の目的を思い出した

 

確かに今はこいつと言い争ってる暇はなく、俺たちは荷物を持って屋上に向かった

 




はい、今日はここまでとします

早速島田アンチの匂いが軽くしてきましたが、ここらで潤君の紹介を

菊地潤
身長178cm
体重63kg
容姿 簡単に言えばTOVのユーリ並の髪の長さで、黒髪
   裸眼だが左目の下に少し傷がある
   服装は制服を着崩した感じ

性格はもう少しキャラが定まってからきめます
グダグダでなんかごめんなさい

次回よりVS Dクラスとなりますので、どうぞご覧下さい

それじゃ、See you next story


追記 美波の一人称が間違ってましたので訂正いたしました


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3話

うーん アンチって書くのが難しい

もしかしたらアンチをなくした方がスムーズに書けるのですかね?

このあたりの意見等でもいいので、感想等いただけたら幸いです

それでは第三話 ご覧下さい


唐突だが、俺はこの学園の中でも屋上が一番好きな場所である

 

理由はタバコが吸えるのもあるが、最も開放感のある場所であるのと、空が近いからである

 

そんな屋上に俺たちは昼食をとるためにやってきたんだが

 

 

「なぁ秀吉、なんで俺はあの馬鹿女に睨まれ続けてんだ?」

 

「兄上もう少し声を落としてもらえんか?なんだか聞こえそうなのじゃが…」

 

 

そう、さっきの話が気に食わなかったなしく、島田がずっと俺を睨んでいるのだ

 

 

「やはり今だけは喫煙を抑えたほうがよくないかの?」

 

「いや、あの馬鹿の言いなりになるのはなんか癪だ」

 

「兄上も頑固者じゃの~」

 

 

実際頑固者ということは自覚してあるけど、これはお前にも言えることだからな?

 

まぁ実際、最初はこいつらの前でタバコを吸うことに躊躇いはあったものの、今では気兼ねなく吸えてるが、最低限のマナーは守っているつもりだ

 

姫路の体調の事もあるかもしれんが、それについての配慮もしっかりとしていくつもりだしな

 

 

「明久、頼んでたものは大丈夫か?」

 

「うん、お代までもらっちゃってるからいつもより気合いが入ったよ」

 

 

そういって明久はカバンから弁当を2つ取り出して。一つを俺に渡してくれた

 

 

「なんだ、潤は明久に作ってもらったのか?」

 

「ああ、なにかとこいつの飯は美味いからな」

 

「え、このお弁当って吉井君が作ったんですか?」

 

 

すると興味を持った姫路が明久の弁当見ながら尋ねてきた

 

 

「え、まぁ一お「「嘘ね(嘘ですね)」」うってなんで否定するのさ!?」

 

「だって吉井が料理できるはずないじゃない!」

 

「そうです!一体誰に作ってもらったんですか!?」

 

 

おいおい、いきなり否定するのかよ

 

 

「いや、明久は1人暮らしだから家事は大得意だぞ?」

 

「うむ、一度ご馳走になったことがあったか見事な腕じゃった」

 

「………(コクコク)」

 

「なんなら姫路、1つなにか食ってみるか?」

 

 

雄二たちのフォローの後に弁当を姫路に差し出すと、弁当の卵焼きを1つ口に運んで、そのまま膝から崩れ落ちた

 

 

「え!?大丈夫姫路さん!?美味しくなかった!?」

 

「いえ、すごく美味しかったです…。美味しすぎて凹みました」

 

 

やっぱり

 

はっきり言えば、明久の料理の腕前はそんじょそこらの料理人のレベル以上で、都内に店を出せばたちまち大人気にられりであろうレベルだ

 

しかもこんだけ美味い料理なのに食材費もかかっていないというからこそ、こうやって気軽に弁当を頼める

 

 

「なに、そんなに美味しいの?ウチにも1つ「却下」なんでよ!?」

 

「俺の分が無くなるからに決まっているだろうが。そんな小学生でもわかるようなこともわからないのか?」

 

「なんで瑞希にはあげてウチは駄目なのよ!」

 

「さっきあれだけ県下を売っておいて俺の飯をよこせとは随分都合のいい考え方だな」

 

 

軽く睨みつけると諦めたように島田も引き下がった……すっげえ目つきで睨んできてるが無視無視

 

ちなみにこのとき一方では

 

 

「あ、あの、吉井君」

 

「うん?」

 

「明日アタシのお弁当味見してもらってもいいですか?」

 

「え!?姫路さんのお弁当を!?」

 

「はい、皆さんにも味見の方をお願いしたいのですが」

 

「ではお言葉に甘えるとするかのう」

 

「………楽しみ」

 

 

なんでてめぇらは楽しいランチタイムを過してんだよ!

 

 

「ってそれは俺もいいのか?」

 

「はい、ご迷惑でないなら」

 

「いや、むしろ助かるよ。雄二は?」

 

「そうだな、たぶんこれだけじゃたりないだろうから頼む」

 

 

どうせ島田もいるだろうからここにいる全員分か、かなりの量を作らせてしまうな

 

------------------------------

 

「で、実際のところAクラスに勝つ算段はあるのか?」

 

 

弁当も食い終わったところで会議も始まり、俺はタバコに火をつけながら尋ねる

 

勿論副流煙とかもあるため、俺は1人立っているが

 

 

「いや、いくらこの面子が揃ったところでAクラスには勝てないだろう」

 

「なんで?」

 

「考えてもみろ。確かにこっちにはお前や潤、秀吉、康太に姫路まで揃っているが、この中で総合科目でも充分に戦えるのは潤と姫路しかいない。対してAクラスは総合的に点数が高いから、こっちの弱点を突かれりゃ一発KOだ」

 

「だから普通の試召戦争では勝ち目が無い…逆に言えばそれ以外なら勝ち目は充分あるな」

 

 

そう、おそらくそれこそが雄二の狙いだろうな

 

Aクラスとはいえ、やはり油断すればやられてしまうわけだから、そこの部分を突いたいい作戦だ

 

 

「で、わざわざDクラスに挑む理由はなんだ?」

 

「言ってしまえば単なる士気を上げるための踏み台だ。あいつらが少しでも『勝てる』って思い込みさえすれば今後の作戦に繋がるからな」

 

「ふむ、では…」

 

 

PPPPPPP

 

っと、電話か

 

 

「すまん、少し席を外す」

 

「おう、適当に戻ってこいよ」

 

 

タバコの火を消して灰がらはしっかりと携帯灰皿に入れてから、校舎に入る

 

電話の相手は…あいつか

 

 

「もしもし?」

 

『あ、潤兄!なんでAクラスにいないのよ!?』

 

 

いきなり電話の向こうから俺の鼓膜を破る勢いで叫ばれた

 

 

「落ち着け優子。なんだいきなり」

 

『いきなりじゃないでしょ!?せっかく潤兄と一緒のクラスと思っていたのに!』

 

 

この電話の相手は妹分の木下優子

 

秀吉の姉であり、ずっと一緒にいるためこいつも俺を兄貴扱いで接してくれているが、最近性格がきつくなっていけいるのが悩みだ

 

 

『まさか潤兄、本当に試験受けていなかったの?』

 

「受けられなかったの間違いだ。それにそのことは説明してただろ?」

 

『冗談だと思っていたのよ。まさか特別危険対象者ってだけで学園側も試験を受けさせないわけないと思っていたし』

 

 

そう、俺が試験を受けていなかったのは、俺が『特別危険対象者』だからというのが理由だ

 

何人かの先生は俺を味方してくれたんだが、大半の先生に反対されてしまった

 

結局受験資格なして言われ、見事にFクラスの仲間入りになったわけだ

 

 

「まぁ秀吉や明久も一緒だし、問題は無いがな。それより優子はどこのクラスになったんだ?」

 

「アタシはしっかりAクラスに入ったわ。翔子が代表のクラスよ」

 

 

霧島翔子

 

この学年の主席であり、なんと雄二の彼女でもある子だが、予想通りAクラス代表になったか

 

 

「そっか、まぁクラスが違ったって別に縁が切れるわけじゃないんだが、優子的には学校内では俺に絡まないほうがよくないか?いくら幼なじみつっても、『学園一の問題児』とつるんでたら『優等生』としての名が廃るだろう?」

 

「別に構わないわよ。それにAクラスには何人か潤兄のこといの心配している子もいるし」

 

 

それは少し嬉しいな

 

 

「そっか、じゃあ放課後にでも迎えにいってもいいか?」

 

『ええ、待ってるからね?』

 

 

そう言って優子との通話を終えたが、まさか俺ごときを心配してくれる奴がいるとはな

 

携帯で時間を確認すると、どうやらまだ時間はあるらしいが、おそらくもう作戦会議は終わっているだろうが、一応戻ってみるのもいいだろう

 

 

-----------------------------------

 

「ん?」

 

 

屋上に戻ると、なぜか姫路だけが残っていた

 

 

「なにしてんだ姫路。他の連中は?」

 

「あ、菊地君。皆さんなら先に戻られましたが、これを…」

 

 

そういうと、俺のカバンを渡す姫路

 

 

「ああ、すまなかったな」

 

「いえ……あの、1つ質問していいですか?」

 

「断る理由はないが、答えにくい質問はカンベンしてくれよ?」

 

 

柵に腰掛けて、またタバコに火をつける

 

勿論姫路が体が弱いことは知っているため、ある程度距離はあけてあるが、それでも姫路は距離を詰めてくる

 

 

「あの、なんで菊地君は美波ちゃんにきつく当たるのですか?」

 

 

思っていた以上にくだらない質問に驚いたな

 

 

「そりゃあ、話を聞いている分には美波ちゃんも言い方はきついとは思います。でも、だからってあそこまできつく言わなくても…」

 

「姫路、お前はそんなこと聞くために残ってんのか?だったら随分とご苦労なこった」

 

 

肺に入った煙を空へと吐き出しながら、じっと姫路を見て一言

 

 

「簡単だ、俺はあいつの事が気に入らない。だからこそきつく当たってんだ」

 

 

そう、ただそれだけの理由だ

 

 

「そ、そんな理由だけであそこまできつくしているんですか!?」

 

「ああ、そんなに難しい理由じゃないだろ?気に食わないやつとは仲良くしない。だからきつく当たる…それのどこがおかしい?」

 

「そんなのおかしいと思います!それで美波ちゃんがどれだけ傷ついたかわかってるんですか!?」

 

 

なるほど、こいつもそういう奴か

 

 

「なら聞くが、あいつにおかしいところあるっていうのはわかってんだろうな?」

 

「え?」

 

「俺はあの女が話し掛けてこなけりゃ話しかけてないし、あいつがキャンキャン騒ぐから相手してやってるだけだ。お前からみて、俺がアイツに一度でも話しかけていたか?」

 

「そ、それは…」

 

 

そう、俺は島田に一言も声をかけていない

 

よく『話してみたら悪い奴じゃない』っていう奴がいるが、そんなのただのきれいごとだ

 

現にこの学園で大半の人間は俺を畏怖し、軽蔑してるし、島田もそんな奴らの1人だ

 

 

「姫路、間違ってるって思うのは勝手だ。けどな、この世にはお前のように考えられない人間もいるってことを覚えとけ」

 

「………」

 

 

短くなったタバコを消し、灰皿にいれてからカバンを肩にかける

 

こいつがどう考えるかなんざ興味はないが、こいつはうちの主戦力になる存在だから、つれて帰んなきゃいけない

 

 

「いくぞ姫路」

 

 

そう声をかけ、そのまま屋上を後にしようと歩き出す

 

 

「…もし」

 

「ん?」

 

「もし美波ちゃんが考えを改めたたら、仲良くしてはくれますか?」

 

「…………」

 

 

なるほど、お人よしとは思っていたがここまでだったとはな

 

姫路瑞希…こいつは明久とよく似ている

 

故に危なっかしいだろうが、なかなか面白いやつだな

 

 

「…俺だけへの考えなら変えるつもりはない。そっからはあの女次第だろうよ」

 

 

そう一言だけ告げ、俺は屋上を後にした

 

 

 

 

 

 




たぶん姫路アンチは無くすと思います

てかこれは果たしてアンチ小説なんでしょうか…

感想やご意見のほうお待ちしております


それでは See you next story


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