咲の世界にジョセフのようなキャラクターをオリ主として登場させてみた (橆諳髃)
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プロローグだぜ!

よぉ‼︎ 星条承悟だぜ!

早速だがプロローグだぜ‼︎


大学3年生の冬……俺は就職活動のために県外を渡り歩いていたんだ。

 

企業さんのインターンシップや、中には選考会の予定もあった。特に3月は忙しくて、俺としちゃ大学のゼミのテーマを考えてる余裕なんて無かったな‼︎ いやぁ〜まずいまずい……

 

とまぁ、んな事を考えながら歩いてるせいか、俺はトラックに跳ねられちまった。まぁ? 横断歩道はちゃんと確認したんだが……どうやら居眠り運転だったらしい。

 

全く……これから社会に出て立派に働いて、それで……

 

(親にもちゃんと親孝行しなきゃいけねぇのになぁ……)

 

段々意識も無くなって、視界も暗くなりやがった。チクショー……俺の人生もここまでか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぁーんて思ってたんだがな……なんかいきなり視界が明るくなって、そんで神様っていう存在も現れたりと……正直場の流れについてこれなかったんだが……その後落ち着いて話を聞いたら、どうやら俺は間違えて死んでしまったらしい。

 

そんで神様も泣いて詫びてくるわけだ。正直親に何もできなかった事は残念だが、なってしまった事は仕方がねぇ。それに、人である俺にこんなに頭下げて謝ってくれてんだ。許さない方が鬼だろ?

 

だから俺は許したんだ。そしたらあちらさんが、俺が死んなでしまった代わりに違う世界に転生させてくれるっ言ってきた。転生先はランダムだから、それについては決定権がないが、特典は自由に決められるってよ。

 

でもいきなり特典って言われてもなぁ……

 

と思ってたら、最近丁度ジョジョの漫画にハマってたから、俺は神様にジョジョの世界で使われる能力が欲しいと頼んだ。まぁこう答えた理由としては、こっちからすれば転生先なんてランダムで明かされねぇし、それにもしもその世界が平和だったら、例えスタンド能力もらっても宝の持ち腐れだしな。

 

ん? ジョジョの世界で使われる能力は全部平和寄りじゃないってぇ? んなもん仕方ねぇじゃねぇか! 神様だって色々忙しそうだし、俺ばっかりにかまけてる訳にはいかねぇだろう? だからさっさと答えようと思って考えたら、思い浮かんだのがそれしか無かったんだよ! だから問題ナッシン‼︎

 

そっからは想像通り、足元に俺が普通に落ちるような穴が空いて自由落下するしながらの転生……

 

 

 

 

っておもったら、実際にはその場がもんの凄く光って目すら開けられなかったわけよ! まぁ結果としちゃあ……

 

(この神様すっげぇ優しかったんだなぁ……)

 

と思いながら転生しましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでぇ、無事に違う世界に転生したわけだけど……窓から見える景色を見たら、自然豊かでのどかな場所……この一言に限る。いやぁ……やっぱりスタンド能力とか言わなくて良かったぜ! だが……そしたら俺が貰った能力はなんだ?

 

別にここは戦争とか変ないざこざとか起こらなそうだし、俺自身平和な世界で暮らしてきたから戦いなんてまっぴらごめんだ。

 

とそんな事を考えていて、不意に窓とは真逆の方を向いたら、そこには大人1人は余裕で入る大きな鏡があった。そしてそこには赤ん坊の姿も映っていたが、多分俺だろう。そしてもう1つ映ったものがある。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチバチ……

 

 

 

 

 

 

 

(えっ? これって……波紋?)

 

 

 

 

なんと俺は波紋使いとしてこの世界に転生していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから4年後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どもぉ……大学生A改めまして星条承悟でぇす!

 

ん? 時間すっ飛ばし過ぎだってぇ? ならお前らは、好きでもない赤ん坊の、しかも性別男の成長を長ったらしく見守りたいのか? 俺は自分の子や親戚の子じゃねぇと無理だな‼︎ お宅らもそういう口だろ? だから時間すっ飛ばしてもなんも問題ねぇな! はいこの話は以上!

 

で、今なにやってるかって言ったら、俺含めた家族4人で麻雀してまーす! 俺前世で麻雀やった事ないけど、これって案外楽しいもんだな‼︎

 

あぁ、そうそう。因みに俺に宿った波紋だが、今では意識のオンオフで波紋を扱えるようになったぜ! いやぁ〜、赤ん坊の頃から意識して波紋法の呼吸をしてきたけど、練習した甲斐があったわ〜。

 

まぁ家族に波紋なんて見せる訳にもいかねぇから、家族のいる前では普通に呼吸してるけど、それ以外は外で色々試してる。そのおかげもあって、外を元気一杯に駆けずり回ってもそんなに疲れはしねぇ。

 

っと、色々と考えているうちにいつの間にか俺の最後の待牌が来たぜ‼︎

 

「ツモ! りゅうーいーそー!」

 

「あら⁉︎ 承くん4歳なのにもう役が分かるのねぇ! 賢い子だわ‼︎」

 

この人が、この世界で俺を産んでくれた母さんだ。一応プロ麻雀師らしい。

 

「また承悟が上がりか。ははっ、これは参ったなぁ〜」

 

んでこっちが俺の父さん。仕事は、ここから遠くに離れた会社で働いている。

 

「後少しでいいのができたのに〜」

 

最後に俺の兄ちゃん。俺とは3つ歳が離れてるから7歳で小1だ。まぁその歳で麻雀打てるのもすごいよなぁ。俺が言えた義理じゃないけど……

 

まぁそうやって楽しく生活してたって訳よ! 前世の親には悪いが、俺はこっちで幸せに暮らしてるぜ! だから、俺がいなくても元気に暮らしてほしいな。

 

そう思いながら俺は、今の家族で幸せに生活してたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時までは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は小学1年になった。入学式も既に終わって、既に夏……自然のどかなこの地でも暑く感じちまう。

 

まぁそれはそれとして……最近家族の様子が可笑しい。前まで楽しく麻雀を打ってた筈なんだが……今では俺の事を恐がって見てるように見えた。俺はただ、普通に楽しく麻雀を打ってたし、親も喜んでくれていた。でも、それも日に日に笑顔とか笑いとか消え失せて、いつの間にか無言で麻雀をやるようになっちまってた。

 

確かに……小さい頃から連続で上がり続けたってのもあるんだろうし、それも確率としては役満も多かった。だからあんなに俺の事が怖く見えてしまったのか?

 

(まぁ今日聞いてみるか。それで俺の思った事が正しければ直せばいいだけだし……)

 

そんで目の前に我が家が見えた。いつものように、正面のドアから家に入る。

 

「ただいまぁー」

 

……シーン

 

いつものこの時間帯なら、お母さんがある筈で、ちゃんとお帰りって言ってくれていた。なのにそれが今日は返事が返ってこない。お手洗いにも行ってんのかな?

 

まぁそれだったら気にする必要ねぇし、いつも通り居間を通って自分の部屋に戻りますかねぇ……

 

そう思いながら居間を通った時だった。居間のテーブルの上には、手紙と……

 

(これって通帳じゃねぇか? いつもならこんな所に置いてねぇのに……元あった場所に戻しとくか)

 

そんでいつも母さんが通帳を入れてある所に戻そうとしたとき、通帳と一緒に置かれていた手紙に目が止まった。それで俺は……それを読んじまったんだ。

 

そこに書いていた内容が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺という存在が恐ろしく見えてしまった。自分の子なのに、俺を見るたびに心の中に恐怖が湧き出る。だからここを離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡潔に言えばそう書いてあった。そんで結論からすれば、俺以外この家から家族はいなくなった。毎月俺が生活出来る分のお金は支払われるらしいが……そんなの……そんな事……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……ぐっ……うわぁぁぁぁぁっ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また俺は……家族を失っちまったんだ。お金の事なんて……そん時はどうでも良かったんだよ……




この作品を読んでくれてありがとうございます。

私は橆諳髃という者です。

最近咲のアニメを見始めてしまい、書きたい衝動を抑えきれなかったんです……

という事で、今主に書いている作品と同時進行をなんとかしながら書いていきますので、遅くなったら申し訳ありません。

それではこれにて……


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鶴賀学園編
1話 太陽のような笑顔の人


「よぉ作者! 案外書き上げるの早いじゃんよ」

なんか今日は少し調子がいいみたいで……それで前々から書きたいと思ってた場面だから早めに書き上げました。

「へぇ〜……まぁどんなもんかは見てからのお楽しみだな! そんじゃ、1話の開始だぜ‼︎」

OP:BLOODY STREAM


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は……小さい頃からとても影が薄くて、相手の事を呼んでもなかなか気付いてもらえなかった。そして、遂には目の前で歌ったり踊ったりしなければ相手に気付いてもらえなくなった。

 

そして私の事を産んでくれた両親にまで認知されにくくなってしまって、コミュニケーションも無くなってしまった。人は必要な事と不必要な事を天秤に掛けて、不必要な物は切り捨てるという事をする。

 

そして私も、いつの日からかコミュニケーションは捨てた。それは家族との間でも例外ではない。

 

 

 

 

 

そして今日は、春真っ盛りで満開の桜が、高校に新入生として入って来た私達を出迎えてくれたっす。入学式の日が桜で満開なのは、正直言って嬉しいっす。でも……

 

(それでも私の事に気付いてくれる人なんて……この世界にはいない)

 

体育館で入学式があった後、クラスが振り分けられている紙を見た。私は1年A組で、その教室に入った後は自分の名前が書かれた机に向かう。

 

名前は認知されているのに、“私”という存在は認知されない……

 

(でもこれもいつも通りっす。期待なんてハナからしてないっす)

 

そう頬杖をかいて窓を眺めていた時っす。

 

「えぇっと……俺の席は……おっ! あったあった! ここだな」

 

そんな声が耳に入って来たっす。その声を発した人物の足音が近づいてくる。そしてその足音は、私の丁度隣の席で止まった。どうやら私の隣の席らしいっすね。まぁそんなのどうでもいいっす。

 

「隣の席は……おっ! ラッキー‼︎ 女子じゃねぇか‼︎」

 

はいはい良かったっすね隣が女子で……私も女子なのに……

 

「なぁ、あんたの名前なんってんだ?」

 

早速女子に話しかけるとか、コミュニケーション能力凄いっすね。私は同性からも声かけられないのに……

 

「おいおい、聞いてんのか?」

 

はぁ……隣がうるさいっす。これは席運がなかったっすね。それよりも隣の女子、早くその人に返事してほしいっす。

 

「なぁ!」

 

羨ましい……こんなに声をかけてくれてるのに……何で答えないっすか?

 

「なぁって!」

 

「……えっ?」

 

その時、私の肩が誰かにトントンってリズムよく叩かれたっす。気のせいだと思って無視したら、またトントンってされたっす。

 

(わ、私の事を認識しているっすか⁉︎)

 

9割恐る恐る、でも1割は期待して叩かれた肩の方を向いたっす。すると……

 

「よぉ! やっと気付いてくれたんだなぁ。俺初っ端から女の子に嫌われたと思って落ち込むところだったぜ!」

 

そんな事を言いながらその人の顔は笑っていた。その笑っている顔がまるで……辺りが真っ暗でも一瞬で照らせるような、そんな優しい光を持った太陽に見えたっす。そう思ったと同時に……

 

「そんじゃ自己紹介な! 俺は星条承悟ってんだ! 好きなように呼んでくれ‼︎」

 

「わ、私は東横……東横桃子っていうっす!」

 

(この人の顔を……もっと見ていたいっす!)

 

そんな感情が、いつの間にか私の心に芽生えていたっす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉ皆! 元気でやってたか⁉︎ そうか、それなら良かった‼︎

 

ん? 何でお前はあんなことあったのに平気そうな顔してるかだって?

 

……確かに最初のうちは辛かったよ。いきなり俺の目の前から家族がいなくなるとか……もしかしたら前世の親もこんな気持ちだったんだろうな。多分俺が小さい頃に、俺がいなくても幸せに暮らしてほしいって思ったから、それに対して多分バチが当たったんだろうな。

 

今はそんな風に思ってる。別に独り暮らしが苦って訳じゃねぇよ? 何たって俺……元大学生Aだぜ? そうそう、某有名企業のap◯leの頭文字な!

 

そんな事はさておきだ! 独り暮らしを元からやってた俺が、今更身体が小さくなったくらいで苦になるわけないだろ!

 

(そんでも……心にポッカリと穴は空いちまったがな……)

 

家には、未だに麻雀の自動卓がある。今の俺の現状を作った原因……元は俺なんだが、それでもこの卓には俺の幸せだった思い出が詰まってる。だから、捨てれない……いや、捨てれるわけがねぇんだ!

 

でも結局1人しかいない家で1人で打つのは退屈だ。だから小学生高学年になった頃から、自宅にパソコンを設置した。そんでもって、ネットワークで対戦できる麻雀をし始めたんだ。

 

そんでこれがまぁ面白くてハマっちまった! 心の穴はそれで塞ぐ事はできなくても、それでも楽しいと思える場だ。それに中には強い奴もいるしな! 打ってて面白い。

 

そんなこんなで日が過ぎて、今日は高校の入学式だ。高校の名前は鶴賀学園って所で、ここ3、4年前から共学化した。なんでも過疎化が進んで、共学化しないとやってられないって事らしいぜ?

 

そんで校長の長い話が終わって振り分けられてる教室に着き、そこめ自分の机を確認する。そこまでいって席につき……

 

「隣の席は……」

 

不意に隣の席を確認した時だ。確認した限り、女子の制服だった。そんで気も緩んでいたためか……

 

「おっ! ラッキー! 女子じゃねぇか‼︎」

 

隣の席に聞こえるぐらいの声で言っちまった。絶対に聞かれてるし、これで俺の事嫌いになっちまったかなぁ……いや、でも取り敢えず自己紹介はしときたい‼︎ だから俺は隣の女の子に名前を尋ねたんだ。でも反応なし。諦めずにまた声をかける。またもや同じ無反応……今度は強めに呼びかけて見る……結果惨敗……。

 

嫌われちまったかなぁ……と本当に思いながらも、最後の手段として相手の肩を叩いてみる。これで反応が無かったら試合する前に不正がバレて失格……てな感じかな。

 

でも反応して欲しいと一縷の望みを持ってその子の肩を優しく叩いた。すると、ビクって反応したんだ。まるで怯えている小動物が、背後から何者かに触れられたように……

 

まぁともかく気付いてくれそうだったんで、俺はまた肩を優しく叩いた。すると、女の子の方もやっとだが、俺の方にゆっくりと顔を向けてくれたんだ。

 

(よし! ファーストコンタクトはなんとかなったな! いやぁ……入学初日から女の子に嫌われるってのは……なかなか堪えるからな。それも隣だし……)

 

だが、どこか妙に感じた。なんでそう感じたかっつったら、相手の目が見開いていたからだ。まるで何かに驚いてるかのように……

 

(ただ目を見てるだけだが……なんでこんなに驚いているんだ? 知り合いって訳でもないし、俺の記憶の中にもいない)

 

まぁそれを考えるのは後回しにして……

 

「よぉ! やっと気付いてくれたんだなぁ。俺初っ端から女の子に嫌われたと思って落ち込む所だったぜ!」

 

今は自己紹介だな。……怒ってないと良いんだが……

 

「そんじゃ自己紹介な! 俺は星条承悟ってんだ! 好きなようにに呼んでくれ‼︎」

 

「わ、私は東横……東横桃子っていうっす!」

 

それでその女の子は、やっと返事を返してくれたんだ。それも俺の予想以上の元気で明るい声ととびきりの笑顔で……

 

まぁそんな顔を見ちまったから……

 

「……すげぇ別嬪さんだ」

 

「べっ⁉︎」

 

またつい口から言葉が出ちまった。そのせいか東横の顔が赤くなってる。

 

(これは怒らせちまったか? いや、なんとか誤魔化さないと‼︎)

 

「いやぁ……横から見たら髪で顔が隠れてて……そんでやっと振り向いて返事をしてくれたと思ったら、東横の顔がが凄く綺麗で可愛かったから……つい口で言っちまって……」

 

「き、ききききれ⁉︎ か、かかかわっ⁉︎」

 

俺が言った発言で、ますます東横の顔が赤くなっていった。耳まで最終的に赤くなって、今にでも顔から蒸気が出そうな、そんな雰囲気だった。って……

 

(これってさっきと何も変わってねぇじゃねぇかぁ⁉︎ 寧ろ詳細に言っちまってるし⁉︎)

 

頭の中でどうしようと慌てふためいている時、不意に俺の手が誰かの両手で握られていた。柔らかくてスベスベとしたその手は……東横の手だった。

 

「私……私そんな事言われたの! 星条くんが初めてっす‼︎ とても嬉しいっす‼︎」

 

あり? これって怒ってるんじゃなくて、逆に喜んでる?

 

 

 

 

 

とまぁそんなこんなで、俺の第2とも言える高校生活がスタートした訳なんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「んでもって1話終わった訳だな! よし! じゃあ今回登場してくれた人に出てもらおうか‼︎」

という事で東横さんお願いします!

「はい! 1年A組で、星条くんと隣の席の東横桃子です‼︎」

「てな訳で、今回は東横に来てもらったぞ! そんで質問したいことがあるんだが……」

「な、何っすか?」

「いやな? 今回……というよりこの物語始まったばかりだけどさ……なんで俺が呼びかけて目が合った時、あんなに驚いてたんだ?」

「そのことっすか? それはっすね……私が昔から影が薄くて、誰からも呼ばれなくなったのが原因っすね。だから星条くんが最初に私に呼びかけた時も、違う子に声をかけてたんだなって勘違いしてたっす」

「なるほどなぁ……そういうことだったのか。どうりで反応がない訳だな」

「それで……私の方からも星条くんに質問しても良いっすか?」

「ん? なんだ?」

「その……どうして星条くんは私の事を認識できたっすか? それも初対面なのに……」

「あぁそれかぁ? それはな……」

「そ、それは……」ゴクッ















「ズバリ! CMの後‼︎」

「なっ⁉︎ ここじゃあCMは流れないっすよぉ〜」

「ははは、悪い悪い! まっ、それも物語を進めていったら分かるんだろうぜ‼︎ だからそれまでお預けな?」

「うぅ〜……気になるっす……」

とまぁ、今回はここまでにします。読者の皆様が、また読んでくれる事を楽しみにしてます。それでは……

「「またな‼︎/またっす‼︎」」


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2話 R-15 初めての味

「なぁ作者……今回のタイトルR-15って入ってるが……俺に何させる気だ?」

ん? あぁ、それはですね……男の人達が羨ましがるシチュエーションの1つを

「んだと⁉︎ 俺にそんな恥ずかしい事しろってか⁉︎」

はい、やってもらいます‼︎

「きっぱり言い切りやがった⁉︎」

ともかく2話スタートです‼︎


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式初日……俺は高校生になって初めての友人ができた。それも席が隣で、これまたどえらい別嬪さんなんだよなぁ……

 

(というより俺のストライクゾーンど真ん中じゃねぇか‼︎)

 

あれから話してると、東横の事について段々と分かってきたんだ。俺が最初に声をかけた時に驚いていたのは、昔から自分の影が薄過ぎて認知されず、目の前で歌ったり踊ったりをしなければ相手に気付いて貰えなかったんだとか。

 

そんで挙げ句の果てに両親にも認知されにくくなって、そのためか相手とのコミニュケーションも取らなくなったんだと。

 

そんな事を聞いた。それを聞いた時俺は、場違いな質問をしたと思ったんだ。あぁ、今はもう最初のHRとか終わってるから、もう家に帰っても良い時間になってる。

 

でも俺からすれば、こんなに早くに帰ってもやる事がない。だから隣の席の東横と面と向かって会話してる。まぁ東横以外にも友達はできたはできたが……そいつらもどうやら東横の事が見えていないらしい。目の前に本人がいるのに、さもそこには俺以外誰もいないという風に見えてるようだ。

 

東横は……いつもの事だと言って気にしてないアピールをしてきた訳だが……言葉で言っても顔には本音が出てて丸わかりだ。

 

(ったく、そんなこと言うんだったらもっとポーカーフェイスも上手くなるんだな‼︎)

 

まぁそんな事がどぉうにも気に入らなかったんで、俺っちはその場で誰にも気付かれずにある事したわけよ! その結果どうなったかだってぇ? そんなの……

 

「えっ⁉︎ なんで目の前にこんなに可愛い子が⁉︎」

 

「嘘⁉︎ 全然気付かなかった‼︎」

 

「クソッ! なんでよりにもやってジョジョの隣の席なんだよ⁉︎」

 

「おい最後の奴‼︎ テメェは後で全力でぶん殴ってやっから覚悟しとけ‼︎」

 

「げぇ⁉︎ ヤッバイ聞かれてた⁉︎ 俺はクールに去る(逃げる)ぜ‼︎」

 

「それカッコ良くねぇだろ⁉︎」

 

「クスクス……」

 

そんな芝居じみた事をやってっと、東横がクスクスと笑っていた。本当ならば、もっと色々な話とか表情とか彼女はできるはずなのに……本人が持つその体質故か他の人との繋がりを諦めちまってる……

 

今回の事だって……俺が皆に気付かれずにあの能力を使ったから、周囲には東横が認識できるわけで……俺がこの能力を切ったら東横は皆の前から忽然と姿を消したように見えちまうんだろうな。

 

とまぁそんな事を考えていたらよ……俺の肩がトントンって叩かれたんだ。そっちに顔を向けると、東横がこっちに笑みを浮かべてたんだ。そんで俺がどうしたって聞いたら……

 

「もうそろそろ良いっすよ。皆に私の姿が見えてるのって……星条くんが何かしてるだからっすよね?」

 

「……やっぱバレちまうか?」

 

「バレバレっすよ。皆が星条くんに私の姿が見えないって言って、それを私が気にしてないって言ったら星条くん……悔しそうな顔してたっすから」

 

「……いらねぇ気遣いだったかな……」

 

そんで俺はこう思っちまった。俺は、東横に同情したからそうしちまったんだろうかって……。彼女の事を見て欲しい、無視しないで欲しい……そんなものも俺の中にはあったんだろうが……

 

(これ……どう見たって同情にしか見えねぇよな……悪い事しちまったな)

 

そう思って俺は、すぐに謝ろうとしたんだ。そんで俺が口を開くその前に……

 

「ホントに、いらない気遣いっすねぇ」

 

謝る前に彼女からそう言われちまった。まぁ悪態つかれてもこれは仕方ねぇな……何せ今回の事は、俺が考えなしに行なった結果だ。だから後から散々文句を言われよう。

 

(だが……何故そんな悪態をつきながらも顔が笑ってるんだ? ま、まさかこの顔で怒ってんのか⁉︎)

 

と内心焦っていると、また彼女の口から言葉が発せられたんだ。

 

「でも……星条くんは私の事を思ってやってくれたんすよね? なら……私はその事が嬉しいっす」

 

「東横……」

 

「それにこの顔……星条くんにしか見えて欲しくないっす。だから、もう何もしなくて大丈夫っすよ?」

 

「そうか。なら……」

 

俺は皆が明後日の方向に向いている隙をついて能力を解除した。すると皆の前からいきなり東横の姿が消えたように見えて……

 

「あれっ? 東横さんどこ行ったんだ?」

 

「ん? 東横さんなら家の用事で帰ったぞ? 帰る前に一言言ってたが……まさか気付かなかったのか?」

 

「ま、マジ⁉︎ スゲェな東横さん。ジョジョ以外の皆に気付かれずに帰るなんて……」

 

まっ? その当の本人は目の前で今の状況を面白がって笑ってるが? そんで俺もつられて笑うわけよ。

 

そんなこんなで時間も過ぎて、今は昼の12時丁度。教室も俺と東横の2人きりで、他の奴らはもう帰ってる頃だろう。そんで俺はというと……

 

「さぁ〜てと……家帰っても暇だし、時間もいい頃合いだし、ここで弁当でも食べて帰るとしますかねぇっと」

 

「えっ⁉︎ 今日って購買開いてたっすか⁉︎」

 

「いんや? 今日は開いてねぇよ? まぁ明日から授業だから、明日からなら開いてんだろうな」

 

「じゃぁお弁当って……」

 

「あぁ、それはこれの事よぉ。いつもの日課でつい今日も作っちまった手作りだぜ‼︎」

 

「ほ、星条くんの手作り弁当っすか⁉︎」

 

なんか驚いてるような顔でこっちを見てきた。あり〜? まさか俺って家事ができないって思われてたか? まぁなんだ……俺のなりがこんなならそう思っちまっても当然か?

 

あぁ因みにだが、俺の容姿と声はジョジョに出てくるジョセフそのまんまだぜ? ただ中身が違うってだけで、話し方は真面目な時以外はこんなんだったな。

 

「Exactry‼︎ This lunch box is my handmade.」

 

「な、何で英語っすか?」

 

「まぁともかくとして頂きまぁす!」

 

「あれ? いつの間にか質問が流されたっす……」

 

そんな発言が聞こえた訳だが、俺は気にせずに食べていた。いんやぁ……やっぱ今日も美味いな! 流石俺だぜ‼︎

 

「……」ジーッ

 

とまぁそんな風に食べてたら、隣から視線を感じたら。横を向いたら、案の定東横で……俺の弁当をジッと見てたんだ。まぁなんだかんだ言って昼だしな。東横もお腹空いてんだろう。てな訳で……

 

「何なら少し食べるか?」

 

「えっ? 良いんすか⁉︎」

 

「あぁ、1人で食べるのって、なんか寂しいじゃん? それに、今日は結構多めに作ってきた方だからよ。だから一緒に食べようぜ?」

 

「っ‼︎ ありがとうっす‼︎ なら……」

 

そう言って東横は俺の方に目を瞑りながら口を開いて……

 

「あ、あ〜ん……」

 

(あぁ……俺しか箸持ってねぇから食べさせてって事ね?)

 

「東横、あーんするのは良いが、まず何が良いか決めてからな?」

 

「星条くんが食べさせてくれるなら何でも良いっす」

 

(こ、こいつ……何って事をサラリと言いやがるんだ⁉︎ これ本当にコミニュケーションゼロが取る行動か⁉︎ っていうかドキッとした……)

 

まぁともかくとして、弁当の中では定番の卵焼きを1つとって東横の口の中へ……

 

「はいあーん」

 

「あ〜ん……」パクッ

 

おっ、すんげぇ美味しそうに食べてらぁ。これは多めに作ってきて良かったぜ‼︎

 

(あぁ……この卵焼きとても美味しいっすけど……星条くんとの間接キス///)

 

ジョジョは、まさか自分の前で彼女がそんな甘い思いをしている事を全く知る由も無い。そしてそんな楽しい時間はあっという間に過ぎていったのだ。次回に続く‼︎

 

 

 

 

 

to be continue →






「うふふ、これが間接キスっすか〜///」

「東横? 赤くなってるけどどうした?」

「えっ⁉︎ な、何ともないっすよ⁉︎ 平常運転っす!」

「平常運転って……まだ会って初日の設定だろ? まだ東横のいつもの知らねぇしなぁ……」

「……私の日常……知りたいっすか?」

「へっ? い、いや! 別にそういう意味で言ったわけじゃあ……」

「ふふ、冗談っすよ。からかっただけっす」

「くっ……口で達者なはずの俺がまさかからかわれるとは……」

と言うわけで、今回はここまでにします。

「いきなり唐突に現れやがったな作者……って言うより、早く麻雀始めやがれ‼︎」

次回には書きますんで、読者の皆様もどうかお待ち下さい。それでは……

「「また見てくれよな!/また見て下さいっす!」」


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3話 オンラインで対局!

「結構日が空いてたがどうしたんだ?」

いやはやお恥ずかしい話……本格的に就活に入りまして……

それで昨日もクタクタで……

「まぁそんな日もあるわな。そんでも書き上げてんだからスゲェぞ!」

はい、これからも頑張ります。それではご覧下さい。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉ皆! ジョジョこと星条承悟だぜ‼︎ 今は昼の1時くらいで、弁当も食べ終わったところだぜ‼︎ えっ? 弁当食べるの遅くねぇかって⁉︎ おいおい、お前ら前回の話ちゃんと見てたかぁ? 確かに俺1人だったらあれぐらいの量は15〜20分ぐらいで食べれるぜ? でも今回は2人で食べたからな! それも相手は女の子……相手のペースに合わせたり、途中で談笑も入ったに決まってんだろう!

 

それによ……箸1つしかないんだぜ? だったら時間かかるに決まってらぁ! それともあれかぁ? 箸を東横に渡して俺は素手で食べろってかぁ? 確かにオニギリなら素手で食べたって良いけどよぉ……他のを素手で食べるとかないだろ? それに女の子の前でだぜ? できるわけねぇじゃねぇかよそんな事よぉ! まっ? 相手からの評判が落ちても良いってんなら構わねぇぜ? 俺はやらねぇからな!

 

「ところで星条くん、気になってたんすけど……今日は入学式だけで何もなかったっすよね? 何でこんな時間まで残ってたっすか?」

 

「何でって……それ言うなら東横こそ、何でこんな時間までここにいるんだ?」

 

「えっ⁉︎ そそ、それは……/// 星条くんと話したかったからっす///」

 

(oh……なんか不意にドキッとしたぜ……)

 

「そ、それで……私は答えたっす。こ、今度は星条くんの番っすよ!」

 

なんか東横が顔を赤くしながら言ってくるんだが……すげぇ可愛い。それになんか震えてるように見えるし、もぅお持ち帰りとかすげぇしたい‼︎

 

(っと……いかんいかん。落ち着けぇ……coolになるんだ俺)

 

「こ、こほん……あぁ、俺がここまで残ってた理由な……まぁ外見れば分かるぜ。ていうか、今までここで話したり弁当食べたりしてる時にも聞こえてただろ?」

 

「そ、外っすか? それに聞こえたって……」

 

俺は窓の外を指差して、東横もそれにつられて窓から見える外の景色を見た。すると本人も納得したような表情をしていた。

 

そう、俺がここにこの時間まで残っていたのは、この学校の部活がどんなのがあるかなって事だ。外を見れば女子だけの部活や男子に人気の部活の練習が行われていた。

 

「へぇ……こんな時にも部活の練習してるんっすねぇ〜」

 

「ほんとな。大体入学式の日とか、部活の練習するってのはあんまし聞いた事ねぇけどよ……ここの学校は文武両道をモットーにしてて、学力も部活の成績も高いんだってよ。そんでもって、この高校から卒業した先輩方では、普通に有名になって活躍してる人達多いんだと」

 

「そ、そうなんすか? それは初耳っす。それでその……星条くんはやっぱり、体育会系の部活に入るっすか?」

 

そう言った東横の顔を見たんだが……どこかしら悲しそうな顔で俺の事を見ている。

 

(えぇっとぉ〜……この状況一体何? 俺なんかまた悪い事した? わ、分からん……俺は一体何しちまったんだ⁉︎)

 

とそこまで考えて、さっき言われた発言でなんか引っかかったわけよぉ。確か……『体育会系の部活』って言ってたなぁ。はぁはぁなるほど……そゆことね。つまり東横は、俺がこんなガッチリしたような身体だからどっかの運動部に入るんじゃないかって考えてるわけだなぁ?

 

(ははぁ〜ん……そうと分かれば少しからかってやるか)

 

「そうだなぁ〜……確かにどこの“運動部”系の部活も魅力ありそうだしぃ〜、普通に楽しそうだからなぁ〜。それに比べて文化系はパッとしねぇしぃ〜……俺“運動部系”の部活に入ろっかなぁ〜!」

 

とまぁある部分を強調して言って見たわけよ! そしたら東横の奴、「そ、そうっすか……確かに星条くんならどの運動系の部活でも活躍できそうっすよね……」と意気消沈しながら言ってきやがった。それも暗い顔しながらな……。

 

(……これはやり過ぎたな……なんか目もハイライト無くなってるような……)

 

まぁこれはあくまでもお巫山戯に過ぎない。確かにどの運動系に行ったところで、この身体つきとあの能力だ。中学の頃試して見たが、あの呼吸法で100km走って見たら、もう息切れとかそんなのしないレベルまで能力が昇華してたわけよぉ‼︎

 

ってなわけでだ! 俺はどの運動系の部活に入っても、即戦力として活躍する自信がある‼︎ 特に陸上とかな! だがな……

 

(男子だけの男臭い部活なんて誰が好き好んで入るかよ‼︎ できうる事ならそんな所より、人数少なくても女子と話せる部の方が断然マシだな‼︎)

 

この男……理由が極端過ぎるのである! 何かで活躍して人気になるではなく、ただ異性と会話とか活動する方が自分にとって価値があるものだと思っているのだ‼︎ そんなしょうもない考えを普段から持っているのだ‼︎

 

(って、今誰かに蔑まれたようなニュアンスで言われた気がする……なぁんか腹立ってきたから、直感で見つけ次第ぶっ飛ばすか……。あぁ、それも男の場合ね? まぁそれより先に……)

 

俺は椅子から立って東横に近づく。本人は自分の中で何か考えているのか、近づく俺に気付いていない。

 

そんな本人の頭に俺は、優しく自分の手をポンと置いて優しく撫でてやった。するとやっと俺と今の状況に気付いたのか、顔を赤くして慌ててた。

 

「な、なぁっ⁉︎ 星条くん何してるっすか⁉︎」

 

「ん? いやな……さっきのあれ……嘘なんだわ」

 

「えっ……嘘っすか?」

 

「あぁ……確かに俺は運動とか体を動かすのは好きな方だし、今から入ったて即戦力になる自信はある。だけどよ……俺男ばっかの部活とか嫌なのよねぇ……男むさいし」

 

「そ、それを星条くんが言うっすか⁉︎」

 

「はっはっはっ! 確かにその通りよなぁ! まぁともかくとして、俺は運動部系の部活に入る気はねぇぜ?」

 

「えっ? でも、部活の中には男女混合のもあるっすよね?」

 

「まぁな? でもよ、今の俺は運動部とかよりもある文化系の部活に魅力を感じてるのよねぇ」

 

「えっ? それって何っすか?」

 

「あぁ、入学式終わって教室行く前に、偶々部活動の勧誘が集まってる掲示板見つけたんだよなぁ。んで、そこである所に目が止まったわけよ‼︎」

 

「そ、それって……どこの部っすか?」

 

「それはな……ジャジャーン‼︎ 麻雀部だぜ‼︎」

 

「ま、麻雀部っすか⁉︎ って、星条くん麻雀できるんすか⁉︎」

 

「Exactry‼︎ I can play Mahjong‼︎」

 

「ま、また英語っすか……」

 

「ってなわけでぇ〜、俺麻雀部に入ろうと思うわけよ。まぁその前に、そこにいる人達がどれほどのもんかってのを確かめてみてぇからさ、実際に今日の活動時間にその人達とやってみようかなって思ってこの時間まで残ってたわけよ‼︎」

 

「そ、そうだったんすか? で、でもそれだと、もうその麻雀部も活動時間に入ってるっすよね? 部室の方に行かなくて大丈夫なんすか?」

 

「チッチッチ、それだとなぁ〜んか面白みが無くねぇか?」

 

「えっ? そこは面白さとか追求する所なんすか?」

 

「まぁ俺にとっちゃあなぁ〜。そんでここ注目な‼︎」

 

「……学内のオンラインで麻雀打てる人募集中っすか?」

 

「そうそう、これなら匿名や偽名で麻雀打つ事が出来るからな! それに俺もどちらかと言えば、人と打つよりもオンライン上で打つ回数の方が多いしな。だからまずはこれで対局してみんのよ! 丁度ノートパソコンもここにあるし‼︎」

 

それで俺はノートパソコンを立ち上げてすぐ様学内のオンラインに入り、麻雀部の所をクリックした。まぁユーザーアカウントとか、そこんところは既に自分仕様にカスタマイズしたし、ハンドルネームもいつものオンラインで登録した。そしてある機能も付けてるから、普通に打つよりも奴さんは驚いてくれるかなと期待もしている。まぁ遊び心ってやつさ。

 

「さて……んじゃまぁ対局してみっかな‼︎」

 

俺は麻雀部のオンライン対局室に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日も一応活動の日にしたが……やはりほとんどの1年は帰るか」

 

「そうですね。やっぱりまだ部活とか決めてないのでは?」

 

「ワハハ、それかもう入る部活を決めてるかだ」

 

「だが、だからと言ってこのまま解散というのも勿体無いな。取り敢えずは学内のオンラインでいつも通りに麻雀をしよう。例え数が集まらなくても、足りない数はCPUにして貰えば良い」

 

私達、鶴賀の麻雀部は実質3人しか部員がいない。蒲原がこの前幼馴染を強制的に入部させるとか言ってはいたが、それでも4人だ。県大会の団体戦には出れない。

 

確か3年ほど前から男女混合の部もできたから、男子が入っても団体戦には出れる。だが、私たちの部は男子部員はいない。世界人口のうち、麻雀人口は1億人だから競技としては主要に入るだろう。

 

だがうちの学校では何故か入りたがる人はいないし……そもそも設立したのが最近になるから知名度が低いというのもあるが……

 

(だがどちらにせよこのままでは団体戦には出れない……何か良い策は無いものか……)

 

そう考えながら学内オンラインで麻雀部屋に入る。私が入った時には、私のハンドルネームである【かじゅ】、部長で私と親友である蒲原の【カマボコ】、そして2年で今の所唯一の後輩である津山の【むっきー】がそのオンライン麻雀部屋に入札していた。

 

「さて……望み薄だが、少しの間待ってみるか……」

 

そう呟いて数十秒後の事だった。パソコンからピコンッと音が鳴る。それと同時に、見慣れぬハンドルネームが私達が入っている麻雀部屋に入ってきた。

 

「部長‼︎ これって……」

 

「ワハハ、どうやらこの学校にもうちの部に興味がある物好きがいたものだねぇ」

 

「それはともかくとして、このプレイヤーに挨拶しよう」

 

相手のハンドルネームを見て見ると、【joestar】とネームが付けられてあった。既に名前が付いていることから2年生かと思った。それはさておきとしても、私は素早くタイピングして相手にメッセージを書いた。

 

【かじゅ】こんにちは! 君は麻雀に興味があるのかい?

 

最初はこんな感じで様子を見る。そしたら相手の方からも返事が返ってくる。

 

【joestar】どうも初めまして‼︎ 私はjoestarと申します。よろしくお願いします‼︎ そうですね、麻雀は好きでネットの方でもやってます‼︎

 

これは予想外の返事だった。まさか麻雀に興味がある以前に、ネットでもやってる人とは……

 

「こ、これって! この人ならうちの部に入ってくれるんじゃないですか⁉︎」

 

津山が少し興奮気味に言う。確かにその気持ちは分からないでもない。もしこの子が入ってきてくれたなら、蒲原の幼馴染も入って団体戦の人数も合う! 少なくとも男女混合に出れるぞ‼︎

 

「ワハハ、これは期待の新人の予感だね! まぁ数もあったようだし、さっそく麻雀するか誘ってみるか」

 

【カマボコ】やぁやぁ、来てくれてありがとう! さっそくなんだけど、私達と何局か打ってくれないかな? あぁ、勿論時間があればで構わないよ?

 

【joestar】えっ⁉︎ 良いんですか⁉︎ 勿論対局して欲しいです! あっ……勿論そちらがよろしければですが……

 

【かじゅ】あぁ! 勿論良いぞ‼︎ それじゃあ早速やってみようか‼︎

 

【joestar】はい! お願いします‼︎

 

そして私と蒲原と津山の3人、そして【joestar】を含めた4人でオンライン麻雀を始めた。

 

 

 

東 1局目

 

 

 

 

7巡目 蒲原

 

 

(ワハハ、これでリーチだ)

 

私はいらない牌を捨ててリーチ棒を場に出す。

 

 

13巡目 津山

 

(役は小さいけど、これでリーチとドラが当たれば!)

 

津山もリーチ棒を場に出していらない牌をきる。

 

 

 

15巡目 加治木

 

ここまで来て2人リーチ……そして私の方も役ができた。今リーチをしてるのは蒲原と津山、そして私だ。joestarには悪いが、ここは私もリーチをかけさせてもらう‼︎

 

私もリーチ棒を出していらない稗をきる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私達3人は自分達の欲しい稗が来るまでツモ切り。当たった時は仕方が無いが、それとは別に……

 

(この状況……joestarにとっては辛いな)

 

そう思いながら自分の欲しい稗以外はきっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそう思ったのもその時までだった。

 

「こっ、これは⁉︎」

 

最後がjoestarだったから、joestarでこの1局目は終了だ。正直私を含めリーチしてた皆は、joestarがきる稗で上がれると思っていた。

 

だが、joestarがきった稗は誰の有功稗でもなかった。

 

リーチをしている私達は普通に聴牌だ。そしてjoestarは……

 

【joestar】私も聴牌です!

 

そしてjoestarも聴牌で見せてきた。

 

「ワハハ、私の欲しかった牌をjoestarが持ってたなぁ」

 

「あっ! 私の欲しい牌も‼︎」

 

「私の牌もだな……運がいい奴だ」

 

そして全員が聴牌だったから、親の蒲原の1巡だな。

 

そして東場の1巡目が始まった。だが、この時誰も予想していなかったんだ。まさか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今私達が相手をしているユーザーが、私の想像を遥かに超える打ち手だったとは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それに気づいたのは、蒲原が親の“東場3巡目”のが終わった時だった。

 

「せ、先輩……幾ら何でもこれは……」

 

「あぁ、私もそろそろ異常だと思い始めていた頃だ」

 

「ワハハ、これは偶然には見えないなぁ」

 

そう、あれから蒲原の親は動いていない。そして私達の点数も変わっていないときた。2巡目からも、役は普通にできていた。まぁリーチをかける時もあれば、そのまま黙聴の時もある。だがそれでも和了る事もなかった。津山も蒲原も、それにjoestar同じなんだが、私達の和了牌を持っている状況だった。

 

(まさかこの子は、私達が何が欲しいのか分かるのか?)

 

私がそう言い始めた時だ。

 

【joestar】さてさて、一応ここでウォーミングアップは済みましたんで、ここからは本気でいきますよ‼︎

 

「……これまでは本調子ではなかったのか……」

 

そして、蒲原の親で4巡目が始まった。だがそれでも……

 

「り、リーチ!」

 

津山が千点棒を場に出してリーチ宣言を出した。だがこのままではさっきと同じだ。joestarが言った事はハッタリなのか?

 

【joestar】今かじゅさん、私がさっき言った事ハッタリだと疑ってるでしょ?

 

(なっ⁉︎)

 

その時、背筋が張り詰める感覚に襲われた。何故実際に私の顔も見えてないのにそんな事が言えるのか……そもそもこれはオンラインだ。そんな事を考えているかどうかさえも分かるわけがない……

 

(だが……相手がもし規格外の相手なら……)

 

私がそう思っていた時、joestarが牌をきる。そして、蒲原もjoestarが言った発言に不信感を持ちながら牌をきったとき、またjoestarから……

 

【joestar】そしてむっきーさん、次にあなたがきってしまう牌は索子の2です。

 

「えっ⁉︎」

 

津山は既にリーチをしているから、相手が欲しいと思っている牌であってもきらなければならない。そして津山が自動的に牌をきったときそれは起こった。

 

『俺の出番だぜ‼︎』

 

いきなりパソコンの画面に現れたのは、白人系でガタイが良く、全体の筋肉が盛り上がっている男の画像だった。って……

 

(こんなシステム内のオンラインにあったか⁉︎)

 

『今回俺が見せる技はこれだ‼︎』

 

私が……いや私達がそう思っている間でも、パソコンの中に映し出される人物の動きは止まらない。

 

『そう! 俺の代名詞の1つでもあるクラッカーヴォレイだぜ! まずはこいつに波紋を練り込んで……』

 

すると紐の両端に付いた鉄球が光を浴び始める。

 

『よぉっし! これで準備かんりょ』

 

ここから何が起こるかと思ったら、男が振り回していたクラッカーヴォレイが手から離れ、津山が捨てたであろう牌を通り越して奥へと行ってしまった。

 

『……手遊びが過ぎたか……チックショ……もっと練習するんだったぜ』

 

男が顔を手で覆いながらそう呟いていた。やはりさっきの予言じみた事はハッタリか……

 

(だが、こうしたパソコン上でこんな演出はなかなか無い。誰がしてくれたかは分からないが、これはこれで面白みが『なぁーんてな!』なんだ⁉︎)

 

悲嘆に暮れていたと思っていた男が突然口の両端を吊り上げてニィッと笑っていたんだ。

 

『ここからが本番だぜ‼︎」

 

すると、男がもう片方で持っていたクラッカーヴォレイを投げた。それはまたもや牌を通り越した。また失敗したかと思ったら、今度は柱にめり込んでいるクラッカーヴォレイの画面に切り替わり、そこに先程投げられたクラッカーヴォレイの紐部分が当たる。

 

そして、壁にめり込んだクラッカーヴォレイは、先程投げられたクラッカーヴォレイの紐と連結して、あろうことか最初に捨てられた牌に当たり男の手元に戻ってきた。

 

『これぞ名付けてクラッカーブーメラン! 成功だぜ‼︎』

 

男は活き活きとした表情でそう言う。そしてそれに当たった最初の牌に巻き込まれたかのように、場に捨てられた牌がその男の元へと向かって行った。

 

『たかだか玉っころ1つで俺に勝てるわけねぇだろ!』

 

筒子の1が男によって砕かれる。それから萬子、索子と小さい値の物は簡単に砕け散って行った。だが大きい値の物は、自らの意思を持っているのか、牌の中から飛び出して男に襲いかかる。

 

『おぉこわ! これはいくら俺でも絶体絶命かぁ⁉︎ まぁこんな時は……おーい! シュトロハイム‼︎』

 

『ん⁉︎ どうしたジョジョ‼︎』

 

そこに新たな人物が現れた。ガタイはジョジョと呼ばれた人と同じみたいで、肌も白く髪の色は金髪だった。ただ……髪型はおかしいと思う。

 

『今絶体絶命中』

 

『なに⁉︎ なら俺が力を貸してやるぞ‼︎ 我がドイツのかが『と言うことで髪貰うぜ!』ギャァーッ⁉︎』

 

シュトロハイムの髪の毛が幾らかジョジョにむしり取られる。

 

『よぉーし、これに波紋を流し込んでっとぉ‼︎』

 

するとジョジョは髪を辺りにばら撒いた。次の瞬間……

 

 

バチバチバチバチ‼︎

 

 

ジョジョに襲いかかってきた牌はそれに弾かれた……って。

 

(あんな髪の毛存在するわけないだろ‼︎)

 

『名付けて波紋ヘアアタック‼︎ そんじゃこっから仕上げだぜ‼︎』

 

私が突っ込んでることなんか御構い無しにジョジョはまた懐からクラッカーヴォレイを取り出して、自ら捨てられている牌の元に向かう。その牌は、先程津山がリーチの時に捨てた索子の5だった。

 

『うぉぉぉっ‼︎』

 

ジョジョは索子の5下部分の竹を削り取った。そして上部分の竹が下に落ちる。

 

『感じるぜ! 竹から伝わる生命エネルギー……小さいながらも美しい容姿を持つ姫さんよぉ‼︎』

 

そしてジョジョは、赤い竹をクラッカーヴォレイで削り始めた。

 

『震えるぜハート‼︎ 刻みつけるほどにビートォ‼︎ 竹と月と竹月の姫が織りなすharmony‼︎』

 

『波紋Moon Flash Bamboo Princess疾走‼︎(月光に照らされる竹月姫オーバードライブ‼︎)』

 

ジョジョのクラッカーヴォレイが緑に輝き、竹の中央部分を割った。そして割られた竹の中からは、美しい着物を着た小さなお姫様が現れた。

 

『お見事にございます』

 

『これで俺の勝ちだぜ‼︎』

 

そして津山が自動的に捨てられた牌が明らかになる。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

索子の2だった。

 

 

 

 

【joestar】緑一色(りゅーいーそう)役満で私の勝ちです‼︎

 

 

 

 

 

 

この時初めて、対局した相手がとんでもない奴だと知ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out & to be continue




「あの相手……とんでもなかったな」

「……は、ハコ……」

「ワハハ、まぁそんな時もあるさ」

3人ともお疲れ様でした。まぁ今回は相手が悪かったと言うことで……って、聞こえてないみたいですね。

まぁともかくとして、次の話も近日中にあげようと思います。

それではここで解説します‼︎


クラッカーヴォレイ

ジョジョが使う道具。一本の紐とその両端に鋼鉄製玉がある。それに波紋を流し込み、相手を攻撃する。

クラッカーブーメラン

その名の通りクラッカーヴォレイをブーメランの作用で使うもの。

波紋ヘアアタック

髪の毛に波紋を流し込んでっ銃弾などを防ぐ。髪はシュトロハイムのを使用。

波紋 Moon Flash Bamboo Princess疾走

ジョジョが緑一色の時に使った技。竹からの生命エネルギーを感じたり、自らの波紋と重ね合わせて使用する。またこれは、相手のリーチ時に出した牌が索子であり、尚且つ赤い竹が混じっていなければ出せない。(混じってない場合は別の技名になる)

と言うことで、解説終了です。
それではまた……


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4話 その気持ちは痛いほど分かる

「今回の話……なんか辛気臭くねぇか? それに後半なぁーんかまとまりねぇな」

すみません……いつのまにかこうなってしまっていて……
なんか今回は調子が悪かったみたいです。いや……いつもの事かな……

「おいおいしっかりしてくれよ! そんなんじゃこの物語続きっこねぇぞ‼︎ まぁ今疲れてんなら、ゆっくり休めよ」

ありがとうございます……

「てな訳で、始まるぜ‼︎」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は星条くんが学校のオンラインで麻雀をしているのを見ていた。相手はこの高校に所属している麻雀部の人達で、会ったことが無いから強いのかどうか分からない。

 

私も偶にオンラインで麻雀はする。まぁ自分の実力がどうかと問われればぼちぼちと答えるっすけど。

 

そして隣の星条くんの実力はというと……

 

(最初は当然少しバラツキがあったっすけど、6巡目辺りでもう聴牌……)

 

毎回星条くんの所に来るのが、持ってる牌の隣か同じ牌だった。

 

(しかも一盃口と北の自風牌で最低でも二翻ある。まずまずの滑り出しっすね。後はドラがのるかどうか……)

 

そんな中で対局する相手の1人がリーチした。相手も中々早く役ができたようっす。

 

そして後の2人もリーチをかけた。

 

「このままじゃ誰かに和了られるかもしれないっすけど、星条くんはどうするっすか?」

 

「ん? そうだな、俺はリーチせずにこのまま行くぜ。それに今きた牌……これはカマボコって人の待牌っぽいな」

 

そうして星条くんは自分の手牌の中から北を1つ捨てた。これで自風牌は無くなった。それからも星条くんは、来た牌を自分の手牌に加え、最初の方で揃えていた牌を捨てた。

 

そして星条くんが捨てた牌で1局目は流局した。リーチしていた3人は当然ながらも、星条くんも聴牌していた。役は無かったけど、それでも聴牌で自分でツモれば和了ってたっす。

 

全員の聴牌を見たっすが、全員が欲しい牌を星条くんが握っていたっす。

 

元の手牌をきって違うのに作り変えるのは決断力が伴うものだ。でも星条くんはそれを躊躇わずに行い、結果的に誰にも振り込まずに自分も聴牌した。

 

運が良いということもそうだと思う。でも星条くんは……見た感じどこかそれだけじゃ無いような気がするっす。

 

そして私の勘は当たった。何故なら、その後の東場1巡目から3巡目にも、彼は誰にも振り込まず全員が聴牌したという状況だったから。

 

(星条くんは……多分誰がどの牌を欲しいか的確に分かっているっす)

 

そして迎えた4巡目には……

 

「よぉ〜っし! 肩慣らしもこれぐらいにして、少し本気出すとしますかねぇ〜」

 

星条くんの顔がニタァっとした笑みを浮かべていた。それも何かを考えて、それを今から実行するかのように……

 

そして、結果を言えば星条くんの1人勝ちだったっす。

 

(それよりもあの演出は何か意味があったんすかね?)

 

それだけが後に気になって、中々頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、一応勝ってそれなりに楽しめたし、時間もちょうど良い頃合いだから、そろそろ帰るかなっと」

 

俺はオンラインの麻雀で勝った後、麻雀部の人達に時間になったから帰るという旨の連絡を送って麻雀部屋から退出した。

 

(大体この部に入っている人達の実力は分かったし……後は俺がどうやって部に入るかだな)

 

あ? 普通に入部すればいいじゃないかだってぇ? 何言ってんだお前! そんなのなんも楽しくねぇじゃねぇかよ‼︎ はぁ? いつも楽しさを追求する所が違うってぇ? ほっとけ‼︎ こちとらいつもこんな感じなんだ‼︎ 見目麗しい女性から言われたんだったら10秒ぐらい考えては見るが、それ以外は黙ってろぉ‼︎

 

てな訳でこの話題終了な!

 

「星条くんって、麻雀強いっすね」

 

「ん? それほどでもねぇよ。俺だって負ける事ぐらいある。全部が全部あんな感じじゃねぇしな」

 

「それでもあの打ち方は中々できるものじゃないっす。それも綺麗に揃っていたものを……」

 

「確かに大体のやつは手を変えたがらねぇ。なにせ次来る牌が何なのかわかるはずもねぇからな」

 

「それだと、星条くんは分かるって言い方っすよ?」

 

「ん? そうか? 俺は普通のことだと思って言ったんだが……まぁそこはいいじゃないよ! さて、結構時間も潰せたことだし、俺はそろそろ帰るが……東横は帰らないのか?」

 

「私? そうっすねぇ……確かにこのまま学校残ってもやる事ないから帰ろうかな」

 

「おぅ。なら鍵閉めるからよ。東横は先出てくれ」

 

「う、うん」

 

そして俺は教室の施錠をして学校を出た。その時に東横と出たな。

 

「そういやぁ、東横の家ってどこなんだ?」

 

「私? 私の家はこの道をまっすぐ行った突き当たりを左に曲がったところにあるっすよ。星条くんはどこっすか?」

 

「俺の家はその突き当たりを右に行ったらあるぜ」

 

「そうなんすか⁉︎ なら以外と近いっすね!」

 

「と言ってもまぁ、もう少し遠いところだがな」

 

そう、俺の家はここから少し遠い。小中学生の時も、家から遠かった。高校もそうだが、今までで1番近いってところかな。

 

「そうっす! 星条くん、もう良かったらで良いっすけど……明日私と学校に行きません?」

 

「ん? あぁ、東横が構わないなら良いぜ?」

 

「っ‼︎ ありがとう! なら約束っす‼︎」

 

右手の小指の方を俺の方に突き出してくる。確か、テレビのドラマでやってたような……

 

(そんで俺も小さい頃にやってたような……なんだっけ?)

 

「ど、どうしたっすか? ま、まさか……私と一緒に行きたくは……」

 

「えっ? い、いや! そうじゃないんだ。ただ……その小指を突き出すその……行為が何なのか分からねぇんだ」

 

「そ、そうだったんすか?」

 

「小さい時に……母親とやった記憶はある。ドラマでも見た事はある。だが……それが何なのか分からない。そのドラマも小さい時にそれっきりだし……」

 

「なら、まずは小指を出すっす。私と同じように」

 

「こ、こうか?」

 

「そうっす。それで……」

 

俺の小指と、東横の小指が絡まる。そう、小さい時とドラマで見た時と同じように……

 

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ますっす。指きった!」

 

そんな言葉と同時に俺の小指と東横の小指が離れた。

 

(ん? ちょっと待てよ……さっきなんか途中で不穏な単語が聞こえたような……て)

 

「針千本だと‼︎ そんな事したら死んじまうだろ⁉︎」

 

「ふふ、本当に間に受けてるっすか? 可愛いところあるんすね星条くんは」

 

「か、かわ⁉︎ ンな訳あるか!」

 

「ふふふ、あたふたしてるっすね〜。まさか不意打ちとか苦手なタイプだったなんて……これは良い情報を知ったっす」

 

「おい! そんな情報知っても何にも何ねぇだろうが⁉︎」

 

「それとツッコミ役っと……」

 

「メモしてんじゃねぇ‼︎」

 

「あははは! 星条くんって面白いっすね! 私、帰り道にこうやって誰かと楽しく帰るの憧れてたんすよね」

 

「……そうか」

 

「はい。できれば行く時も、1人じゃなくて……こうやって楽しく行きたいなぁって」

 

東横は、儚げな笑顔を浮かべながらもそう言った。これまで東横は、自分の体質で友達ができなかった。それで今まで人とコミュニケーションを取ることを捨ててきた。

 

だが、俺という彼女を見れる奴が現れた今……彼女は明るく振舞っている。まるで、もう1人は嫌だというふうに……

 

そう見えてしまうのは俺だけかもしれない。でもその気持ちはよく分かる。なんったって……

 

(俺も……1人だったからな……)

 

「ご、ごめん……少し舞い上がりすぎたっすかね……」

 

「いや良いんだ。俺も……東横の気持ちは分かるからな」

 

「えっ?」

 

「それで? 明日俺と学校に行きたいんだったか? 良いぜ。約束だ」

 

「っ! 約束っすよ‼︎」

 

それで俺たちはその道で別れて家に帰った。そんで俺の家も見えてきた。東横の方は、既に家に帰ってるだろう。

 

家の玄関まで後5歩……鍵を取り出す。

 

玄関まで後2歩……鍵穴に鍵を差し込……

 

「みぃーの前にまずはポストの中を確認な」

 

ポストの中身を覗く。

 

「あらら、今日はやけに広告多いのなぁ」

 

それを回収してやっと鍵を開けて家の中へ……

 

「ただいまぁー」

 

シーン……

 

あぁ、分かっているさ。家の中に誰もいないって事ぐらい……

 

(それでも……家に帰ったらこれだけは忘れねぇ……なんたって、この家だけは俺を置いて行かなかったからな)

 

変な事だって事ぐらい分かってる。あぁ、十分分かっているんだ。俺以外の家族が目の前からいなくなっても……この家だけはずっとここにあった。家だから人のように自由に動くなんて事はねぇ。当然の事だよな?

 

それでも……俺がここまで育ったのはこの家があったからだ。確かにここから出て行った家族からの振り込みもあったからこそ、今まで飢えることは無かった。でも、中学のある日からは、それは使ってない。別にアルバイトをしたから不要になった訳でもねぇ。

 

だから、俺が今まで生きてこれた大半はこの家のおかげだ。

 

(まっ、家族が俺のために残したのかどうかは知らねぇが……結果的には家族のおかげって事かもな……)

 

なら、何で俺1人にしたんだ……

 

(いや……考えなくても分かりきってることか……)

 

まぁ暗い雰囲気なのはここまでな?

 

それにしても本当に今日は広告が多いいなぁ。アルバイトの求人に……これは家電製品の宣伝か……後は……

 

広告の中からヒラッと床に落ちた。それはある一通の手紙だ。それも海外版からの……

 

(あぁ……今年もこの日が近づいてきたんだな)

 

俺はそう思いながらもその手紙を拾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「指切りげんまん……懐かしい響きだな」

「懐かしいっすか? まぁ確かに最近はこれをやる事も少なくて見る機会も減ったっすからね」

「そうだな。俺は……小さい時に1回やったぐらいかな? よく覚えてねぇや」

「それで戸惑ってたんすね? まぁほとんどやった事がないなら仕方ないっす」

私も昔はよくやってましたね。ですが、東横さんの言ったように最近ではそれも見なくなりました。

「でも針千本っていう単語があるから、それが怖くてやる奴が少なくなったからじゃねぇか?」

「星条くんはまだ言ってるっすか? なんか変なところで真面目というか……」

「おいおい、その言い方じゃ俺は真面目じゃないって言うふうに聞こえるんですが……」

「それも仕方ないっす。だってこれ、まだ1日しか経ってないんすよ? 物語の中では……」

「作者! 早く物語を進めてくれぇ! でないと俺が不真面目なレッテル貼られちまう‼︎」

えっ? でもジョセフみたいなキャラだったら真面目とか努力とか嫌いって設定じゃ……

「ここに俺の味方はいねぇのかよ⁉︎ コンチクショー‼︎」

と言う訳で、次回もお楽しみに。


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5話 入部するのはこの条件をクリアしたらだぜ‼︎

「へぇ〜、やっと入部するかどうかって話だな!」

そうですね。まぁタイトル見て気になる人は多いでしょう。

「そうだなぁ……俺も何が条件なのかっては気になるところだしぃ? 早速読み進めていくぜ!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式翌日……今日から授業が開催される。まぁそれでも最初はデモンストレーションみたく、教師の自己紹介から入るんだろうが……

 

そんで俺が今何してるかっていうと……

 

「えへへ、こうやって誰かと一緒に学校に行けるなんて……まるで夢っすね!」

 

そう、今は学校に登校している最中だ。俺の隣には東横がいて、とても嬉しそうにしながら歩いてる。それを見ていると、なんだか微笑ましく思えてくる。

 

普通なら、誰かと一緒に登下校するぐらいで夢のようだとは思わない。それこそ、有名人と一緒に歩くとか、同じ時間を過ごすとかだったらそりゃ納得だが……

 

(でも、これは東横にとっては非日常だったんだ。そう思ってはしゃぐ気持ちは……俺にも普通に分かるぜ)

 

あぁ、なんでこんなに可愛くていい子なのに、誰にも認識されなかったんだろう……物静かではあるが、ちゃんと人とは会話ができる。こんなにも人前で明るく振る舞える。

 

なのに……たかだかの体質のせいで今まで認識されにくい、はたまた認識されないなんてよ……

 

(ずっと1人みたいなもんじゃねぇか……悲しすぎるにも程がある)

 

「星条くん、そんな難しい顔してどうしたっすか? やっぱり私と一緒は楽しくない?」

 

「ん? いやいや、んな訳ねぇよ! あぁ! 神に誓ったって良いぜ‼︎」

 

いかんいかん、つい難しく考えちまったぜ。逆に不安がらせてどうすんだ……

 

「そう……すか? それなら良いんだけど」

 

「あぁ! 実際に俺も、こうして東横と一緒に登校できて楽しいぜ。それによ……」

 

「それに……? って、ふぁふぃふるっふはぁ⁉︎ (何するっすかぁ⁉︎)」

 

「東横はそんな暗い顔よりも、笑っている方がすんごく可愛く見えるんだぜ? 自分で気付いてたか?」

 

俺は笑みを浮かべながら東横の両頬をつまんで少し引っ張る。本人は突然の事で驚いていたが……

 

(てかっなにこの感触⁉︎ すんげぇもっちりしてんだけど⁉︎)

 

最初は少しの間するつもりだったんだが……なんだかこうしてるとハマっちまったぜ。なんなんだこの頬は? なにでできてんの? えっ? 東横成分? そんなん初めて聞いたわ‼︎ ていうか東横の頬なんだからそれでできてて当然だろ⁉︎ でも東横成分ってなんぞ?

 

「いふまふぇやっふぇるっふか⁉︎(いつまでやってるっすか⁉︎)」

 

「ん? おぉ、すまねぇ。つい夢中になっちまって……」

 

「むぅ〜……ほっぺが赤くなったっす。だから星条くんもこうっす!」

 

「なにっ⁉︎ って、いふぁいいふぁい! おふぇほほまふぇいふぁくひふぇねぇよ⁉︎ (痛い痛い! 俺そこまで痛くしてねぇよ⁉︎)」

 

「あははは、やられたら倍返しっす! これは常識っす‼︎」

 

そんな常識あってたまるかー‼︎ って心の中では叫んでみるけどよ……

 

(あぁ、別にこれで東横が笑ってくれるって言うんだったら、俺は鎌わねぇよ)

 

そんなこんなしているうちに、学校に着いた。まぁ待ち合わせって言っても時間とか指定してなかったしぃ? でも女の子を待たせるわけにゃいかねぇだろ? だから早めに準備して待ち合わせ場所で待ってはいたんだが……東横も俺が着いてすぐに来たから、そんなに待つことはなかった。

 

でもその代わりとしては、まだそんなに生徒とかの往来が少ない時間帯に学校に着いたもんだから退屈だ。別に授業の予習は……まだ本格的に授業やってねぇからあれだが、やって時間を潰しても問題はねぇ。でもそれでもなぁ〜んかなぁ……

 

そんな時に東横がノートパソコンを取り出して俺に向けてくる。

 

「星条くん、暇なら私と一緒に麻雀してくれないっすか? オンラインでなんすけど……」

 

「おっ! それナイスアイディアだぜ‼︎ 俺も東横が麻雀やるって言ってたから、一緒に打ってみたかったところだったのよぉ‼︎」

 

「っ⁉︎ 嬉しいっす! それじゃあ早速やるっすよぉ‼︎」

 

それで俺達は、HRの予鈴が鳴るまで一緒に麻雀をした。良い時間つぶしにもなったし、それに東横も中々強かったから、俺としては良い時間が過ごせたぜ!

 

(後は……ここの麻雀部にどうやって入るかだなぁ……)

 

普通に入部するっていうことに面白みを感じない俺は、東横との麻雀が終わった後頭の片隅ではそう考えていた。

 

そうこうしているうちに授業も大半が終わって今は昼休憩だ。まぁ今日も東横と一緒に弁当を食べているが、今回は東横も弁当を用意して来たようで……

 

「はい星条くん、あーんするっす」

 

「お、おう。あ、あーん……」

 

状況を言ってしまえばこんな感じだ。ん? 人がいる目の前でよくも堂々とそんな事をできるなって? んなわけねぇだろ? 俺だって人がいる前でこうするのは流石に恥ずかしい。

 

だからこそ、あまり人がやって来そうにないところを選んで食べてるんだよ。

 

「どうっすか? おいしい?」

 

「あぁ! おいしいぜ! これって東横が作ったんだよな?」

 

「そうっすよ! 手作りとかあまりした事がなかったすけど、なんとか上手くできたんすよ‼︎」

 

とまぁ、昼休憩はそんな談笑をしながら過ぎていった。時間というのはあっという間で、楽しい時間ほど早く過ぎちまうもんだよな……

 

そんで昼休憩の後は午後の授業が開始された。まぁこれも最初はデモンストレーションだから、詳しい内容とかには入らなかったけどな。

 

そんで放課後……今日から新入生は部活に入部できるって事で、皆躍起になって回っていた。運動が好きな奴らは運動部系……特に男子はその傾向が強い。それでそれ以外は文化系か無所属かなどちらかだな。まぁ俺は既にやりたい事があるから、躍起になって回る必要もないわけで……

 

「そういえば東横はどこの部活に入るんだ?」

 

「私? そうっすねぇ……まだ決めてないっすけど……できれば星条くんと一緒の部活が良いかなぁ」ボソッ

 

「ん? なんか後半の方言ったか?」

 

「えっ⁉︎ い、いや、なんでもないっすよ⁉︎」

 

「そうか? それなら良いんだが……」

 

(こ、こんな事大きい声で言えるわけないっす……聞こえてたら恥ずかしいっす……)

 

「まっ、そのうち決まるだろ。俺は俺で、どうやって麻雀部に入るかねぇ……普通に入るの面白くねぇしなぁ……」

 

東横がそう思っている横で、この男はそんな事を考えていた!

 

「そういえば、今日もオンラインでやってるっすかね?」

 

「ん? やってるんじゃねぇか? まぁ俺も今日入るつもりだったしな」

 

そんで俺はパソコンで昨日と同じく学内のオンライン麻雀室に入った。すると東横もノートパソコンを起動して何かをし始めた。まぁ気になりはするが……それだとなぁんかしつこい男に見えちまうからやめておこう。こっちはこっちで麻雀を楽しむか!

 

麻雀室に入ると、昨日と同じ3人と……

 

(ん? なんだぁ〜? なんか知らねぇユーザーがいるが……)

 

【かじゅ】また来てくれて感謝するよjoestarくん。今日も麻雀をしに来てくれたのかな? それと今日初めて入ってくれたもう1人の子も感謝するよ。

 

【joestar】いえいえ、私も今回も楽しみに来たものですから……

 

【かじゅ】ははは……君は私達よりも強いというのに、正直楽しんでもらえているのか不安でな……

 

【joestar】十分楽しんでますとも! まあそれはそれとして、今日初めて入っているユーザーの方こんにちは! joestarです。あなたも麻雀に興味が?

 

【guestユーザー】そうですね! 私も麻雀に興味があります‼︎ だから昨日あなた方麻雀部の募集の紙を見て、私も入りたいなとは思っています‼︎

 

【かじゅ】そうか! それはこちらとしても嬉しいな‼︎ まぁ今はそれよりも麻雀を始めようか!

 

【カマボコ】やぁやぁ、なんか盛り上がっているねぇ。こちらとしても嬉しい限り。じゃあ今回は私とかじゅ、そしてjoestarとguestを踏まえてやろうか‼︎

 

そしてオンラインで麻雀対決が始まった。さてさて……今回はどんな手で和了ろうかねぇ〜っと……

 

んなこと考えながらオンライン上で麻雀を打っていた。そんな事もあって隣でパソコンを開いている東横の方は気にならなかった。

 

まぁそれなりに集中してやってるっつう証拠だよな! そんで既に東場の親は2回流れて3局目……今回は相手もそれなりに戦略を練ってきたようだな! 順応が早くて恐れ入るぜ‼︎ それにしてもぉ〜……

 

(このguestの打ち方……堅実でどこか見覚えがあるようなぁ〜……)

 

あぁでも、こういう打ち方する奴はどこにでもいやがるからなぁ〜……だが、ほんの最近に見た気が……

 

【guest】joestarさん、その牌ロンです。

 

げぇ⁉︎ 考え事してたらまさかの俺が点数取られちまうなんて〜⁉︎

 

【guest】二盃口、ドラ2の5翻30符、満貫8000点貰います!

 

Oh Noォォォォッ⁉︎ 8000点だとぉ⁉︎ クッ……こいつなかなかやるなぁ……

 

その時隣の東横が笑った気がするんだが……まぁ気のせいだろうな。それにしてもこのguest……なかなかやりやがるぜ。俺から点数をとるとぁ……

 

(だが、これでこっちも本気モードだぜ‼︎)

 

そっからは俺の独壇場だ! かじゅから先程guestから取られた8000点を取り、カマボコからはその倍の16000、そんでguestからは……残念ながら半分の4000点しか取れなかった。

 

まぁでもぉ? 終わってみりゃ俺の1人勝ちだったがな‼︎ そんで2番目がguestだった。

 

俺の点数は38000、guestが30000、かじゅが20000、最後にカマボコの12000だった。

 

【かじゅ】いやぁ〜、今回も負けてしまったな。

 

【カマボコ】ほんとだよ〜、わはは……これは手強すぎるぜぇ〜。

 

【joestar】いやいや、あなた方も昨日とは違ってどうやら戦略を練って来てたみたいだったんで、こっちとしても楽しめましたし、昨日より手強く思えました。それとguestさんも強いですねぇ!

 

【guest】いいえ、joestarさんこそ凄く強いです! それに皆で麻雀するのはとても楽しかったです‼︎

 

【かじゅ】そう言ってもらえるとありがたい。それでこんな所で野暮だとは思うのだが……2人とも私達の麻雀部に入ってはくれまいか? 私は3年で今年で引退なんだ。その引退する前に、私はどうしても県予選に出て全国大会に行きたいのだ。私事で申し訳ないが……なんとか入ってもらえないだろうか?

 

へぇ〜……全国ねぇ……

 

(向上心があって良いねぇ! 気に入ったぜ‼︎ 是非ともこの方々には全国に行って欲しいもんだぜ‼︎ まぁ……それはそれとして入部の件は話が違うからなぁ〜……)

 

そうジョジョが思っていた時! ジョジョは唇の端を吊り上げてニヤついていた! その顔は、何か良からぬ事を考えている顔だ‼︎ 一体ジョジョは何をしようというのか⁉︎

 

【joestar】全国ですか! それは確かに興味深い‼︎ まぁ私がどれほど力になれるかは分かりませんが、是非とも麻雀部に入りたい……というのは山々です。が、ただでの入部は残念ながらしません。

 

【かじゅ】え……それはどういう……

 

【joestar】簡単にいえば、ある条件をこちらが出して、それにクリアすれば入部するという事です。

 

【かじゅ】条件……か。分かった。その条件、もしよろしければ教えて欲しい。

 

(よぉ〜し食い付いたぜ! まぁ喉から手が出るほど欲しいって事はこちとら分かってたからな‼︎ そんじゃまっ、条件書くとするかねぇ〜っとぉ)

 

【joestar】私が出す条件……それは、私にあなた方の意地を見せて欲しい。何より見せて欲しいのは……どれだけ自分がハコになったとしても諦めないという信念……それを見せて頂きたい。

 

【かじゅ】……今まではそこまで本気を出していなかったということか?

 

【joestar】exactry‼︎ その通りです。なのでこれからは本気を出して挑みます。調子に乗っていると思われたら……それは申し訳ないんですけど、私を入部させたいというのであれば、どうかそれ程の気概を私に見せて欲しい。

 

【かじゅ】……分かった! その挑戦受けてたとう‼︎ 私達も君を入部させるのに本気でかかる気だ‼︎

 

おぉ‼︎ 良い返事だことで! いやぁ、これは見所あるぜ‼︎

 

【かじゅ】さて、joestarについてはこれから対策を練るとして……guestの君はどうだろうか?

 

かじゅがここでguestに話を振る。はてさて、どんな解答が返ってくるかねぇ?

 

【guest】私は入部しても良いですよ? ただ……多分あなた方は私を見つけることができない。

 

【かじゅ】ど、どういう事かな?

 

【guest】そのままの意味ですよ。ただ入部したいという意思はありますから、私の方からも条件を出させて頂きますね。条件としては……私を見つけることができたら入部する、という事で……

 

……ん? なんだそれ? 私を見つけることができたらって……こいつ何言ってんだぁ?

 

【guest】あぁ、後もう1つ条件があります。

 

(もう1つ? こいつ俺より欲張りじゃね?)

 

正直そう思ってたんだよなぁ。だが、次の文章を見たらそんな余裕がどっかに消し飛んだのよぉ……

 

【guest】joestarさんがあなた方の部に入部する事です。まぁ私からは、このどちらかが満たせたら入ります。

 

「……は⁉︎」

 

こいつ何言ってやがんだ⁉︎ 俺が入部したらはいるだとぉう⁉︎ な、なんでそんな面倒な条件を……

 

「ふふ、星条くんもこれには驚いてるようっすねぇ?」

 

「なっ⁉︎ ま、まさかguestって……東横か⁉︎」

 

「ふっふー……当たりっすよ。星条くん」

 

俺が隣を向いた時、東横が自分のパソコンを俺の方に向けながら微笑んでいたんだ。

 

 

 

 

 

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皆さんいかがでしたか? ジョジョが言った条件……あれどっから見ても上からですよね‼︎

「って、そう言わせたのはあんただろ⁉︎ それに東横! あの条件なんなんだ⁉︎」

「えっ? そんなの決まってるっすよ。……あくまで星条くんと同じ部に入りたいだけっす」ボソッ

「おいぃっ⁉︎ また後半聞こえなかったぞ⁉︎」

それはあなたがちゃんと耳かきをしていないからです。

「そうっす。現に作者は聞こえてるっす」

「ここに俺の味方はいねぇのかぁー⁉︎」

って事で次回もお楽しみに。


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6話 自業自得……後悔……それを癒すのは……

「な、なんかまた変なタイトルなんだが……」

そうですかね? まぁ確かに言われて見れば……変えるつもりありませんけどね?

「おいぃっ⁉︎ そこは変えろよ‼︎」

嫌です。とにかくスタートです。

「無理やり進まんじゃねぇっ‼︎」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星条くんが隣でオンライン麻雀室に入っている時、私もguestとしてそこに入っていた。オンラインであれば、相手が誰であろうと私の存在は認識されるし、何より朝星条くんと麻雀を打つのが楽しくて、また一緒に打ちたいと思ったから入った。

 

麻雀部の方達も私の事を歓迎してくれて、少し嬉しい気持ちになった。まぁ星条くんほどではないのは間違いない。そして、いよいよ麻雀部に所属する2人と私、そして星条くんとで対戦した。

 

そしたら、麻雀部の人達の動きが少し変わっていたっす。どうやら星条くんに対抗しての事だと思うけど、多分星条くんには勝てないと思うっす。

 

(まぁ私は勝ち負け抜きにして星条くんと楽しく打ちたいだけっすけどね?)

 

星条くんは起動してからパソコンの画面に集中しているから、私が隣で一緒に打ってることには気付いてはいないと思うっす。私としては、後で驚かせることができると思うとワクワクはするっす!

 

そして東場の3局目……隣を見ると星条くんは何か考え事をしながら打っていたっす。そして星条くんが突き捨てた牌が、私の欲しかった牌だったのですかさずロンしたっす。

 

そして隣を見ると、星条くんが頰に両掌を押し込むように当てて驚いていた。それを見たら思わず笑っちゃったっす! 後から気付かれたかなと思ったけど、どうやらまだ気付かれていないようで、こちらとしては安心したっす。

 

ただ、それとは裏腹に星条くんを本気モードにしてしまったのは不味かったっすね。私はどうにかとった半分の4000点しか取られなかったっすけど、後の2人が悲惨だったっす。

 

かじゅさんが8000点……そしてカマボコさんに至っては16000点も取られてビリになってたっす。カマボコさんに対してはただ一言……ご愁傷様としか言えなかったっす。

 

それで終わった後、かじゅさんの方から私達を勧誘してきた。星条くんは乗り気みたいっすけど、条件クリアで入部って返事を返していた。そして私も思い付いた。私も条件を付けようって……

 

それは、私を見つけるか……それとも星条くんを入部させることができたら私も入部するという事っす。こう書いた時、星条くんは何が何やら訳がわからないというような表情をしていた。

 

そこで私は星条くんに種明かしをして、guestが私だというように仄めかしたっす。そしたら私の思った通り、星条くんは驚いていた。もうこれは最高に気持ちの良い瞬間だったっす‼︎

 

これまで私を認識させるために、わざと他人の前で踊ったり歌ったりして、結果的に相手を驚かせたようになってしまったっすが、今回は認識できている相手を驚かせる、私にとって初めての経験だったっす‼︎

 

だから、何故か心の中が満足感で溢れてて……

 

(星条くんの色んな表情やリアクションをもっと見たい‼︎)

 

なぁーんかそんな想いも湧き上がっていたっす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東横にさっき騙されて、今は家への帰り道を歩いている。勿論俺の隣には東横はいるが……

 

「さ、さっきは黙っていて悪かったっす……だから許して欲しいっす……」

 

さっきからこの調子で俺に謝ってくる。それに対して俺はというと……

 

「ツーン……」

 

こんな調子で反応している。いんや、まぁさっきの仕返しみたいなもんだなぁ〜。かれこれ校門から出て5分くらいこうだろうかねぇ?

 

「ほ、星条くん……ほ、本当にごめんなさい……」

 

まぁでもこちらとしてももうそろそろ限界だ……なにせ俺ってそんなキャラじゃねぇしぃ? それにさっきから東横の声が震えててなぁーんか嫌な予感がするっつうかぁ……校門出てから1回も東横の顔見てねぇからこちらとしてはすんげぇ気になってんのよ。

 

そんでもうそろそろ許すかなって思って東横の方に顔かけたらさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぐすっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……なぁ〜にやってんだ俺……)

 

こんなの……東横が嫌がる事だってわかってたじゃあねぇか! なのに俺は……またこの子をそんな気持ちにさせちまった……

 

本当に情けなく思うぜ。俺としたらさっきのお返しと巫山戯ただけだった。でも彼女はそれを真と捉えちまってたんだ。全くもってよ……なんでそんな事に俺は気付くのがおせぇんだよ……

 

(それだから……家族も離れて行っちまったんじゃねぇか……)

 

「あんな思いは……2度とゴメンだ」

 

俺は東横に聞こえない程度の声で呟いた。そんでもって俺の頬を両手で喝を与えるかのようにして叩いた。

 

「えっ……な、何やってるっすか⁉︎」

 

東横にはどうやら、俺がいきなり自分の頬を叩いてるようにしか見えなかったようで驚いていた。

 

そして目の前には昨日の下校時と同じく別れ道が見えた。そこに差し掛かった時、俺は東横の両肩を掴んで俺と対面させる形にした。

 

「ど……どうしたんすか?」

 

その声はまだ震えていて、目にも涙が溜まっていた。それを見て俺は、また自分に嫌気がさしながらも東横の顔を直視した。それで東横と目が合った瞬間に、俺は口を開く。

 

「さっきの態度……悪かったって思ってる。東横をそんな顔にさせちまった。ただ巫山戯ただけだったのに……それで東横を傷つけちまった。だから……」

 

「だから俺を、好きなだけ殴ったって引っ叩いたって構わねぇ! これで東横の受けた傷を癒せる訳でもない。でも俺は……自分勝手ながらそうされなきゃ気がすまねぇんだ! だから……東横が気がすむまで俺をどうにでもしてくれ‼︎」

 

それで東横の肩から手を退けて、俺は真っ直ぐ立って目を瞑った。それは痛みを堪えるものじゃない。痛みを真摯に感じるがためだ。

 

「……なら、そのまま目を瞑ってて下さいっすよ?」

 

返答が聞こえた。俺はそれに従うだけだ。目を開ける気なんてさらさらねぇよ。でもそうしてるから色々と考えちまってる。

 

許されようなんて思ってなくとも、このまま東横が俺の事を嫌いになってしまったら? 俺の目の前から遠ざかっていて、目を開けた時にそこにいなかったらなら? そんなの……殴られるよりも辛い。

 

(でも俺は……東横にそうさせても仕方がない事をした。ハハ……俺の前から誰かがいなくなるのなんて……全部……俺の自業自得じゃねぇかよ……)

 

悲しいと思った。そうなってしまうのが辛いと思った。でも俺は……いつも気付くのが遅れる……。それが偶然なのか……それとも分かっていて気づきたくないだけか……どっちかわかんねぇ。

 

でも結果的にそうなっちまうのは……全部……

 

ジョジョの頭の中で……そんなマイナスな考えがループしていた。後悔先に立たず……まさにそれを体現していた。それから生じる悲しみが過去を思い出させ、後悔させ……それの延々の繰り返しで、さらには未来にまでその負の連鎖は及ぼうとしていた。だがそれは……突然ある者の行為によって破られたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ⁉︎」

 

目を瞑ってた俺には……正直者何が起こったかの認識が遅れた。でも、顔や体を殴られた訳じゃない。確かに体に衝撃はあった。でもそれは痛みじゃない。逆に温かさを感じる。これは……そう……

 

(まるで昔……お母さんに抱きしめられてた頃の感覚だ。でも……なんで……)

 

「星条くん……まだ目を瞑っているっすか?」

 

「……あぁ」

 

東横の声が俺の真下から聞こえる。その声は……確かに震えてはいた。でも何でか……さっきとは違う感じがした。

 

「星条くんは……いつも巫山戯たような態度をとって私を笑わせてくれる。さっきのだって……本当は後から軽い気持ちで巫山戯てたって告白して、それで私を笑わせるつもりだったんすよね?」

 

俺は……それには返事ができなかった。確かに巫山戯てたのもあった。後から冗談だと言うつもりでもいた。東横の言ったことは……全て的を射ていたんだ。でも……俺には後からそうですって言う権利なんて無いと……自分の中では思う。最終的に、東横を傷付けたのには変わりない。自業自得だって……

 

だから答えなかったし、頷くこともしなかった。

 

「……星条くんは真面目っすね。いつもはそう言う風に見えないのに……でも今は、貴方が真面目に私の事を考えているってことぐらい分かるつもりっすよ?」

 

何も反応していないのに……東横は俺に言葉を投げかけてくる。その一言一言が……後悔が降り積もる俺の心に入ってくる。それで……何故か心が温かいと感じてくる。

 

「私の事を……今の星条くんのように考えてくれた人っていないっすよ? 皆私を認識してくれていなかったし、親からも認識されにくくなってしまったっすから……今まではそれでも仕方ないって思ってたっす。でも……こうして他の人からこんな風に思われるのが……こんなに嬉しいなんて思っていなかったっす。だから……目を開けて……もう私は許してるから」

 

俺はその言葉を聞いて……尚更目を開けられなくなっちまった。なんでかって? そんなの……

 

「どうしたっすか? 泣いてるっすか? どこか痛かったとこがあったっすか? 辛いことがあったっすか?」

 

俺は……こんなにいい子が側にいて良いのかと思えてくる。こんなにも良い子が……なんで今まで……

 

(それで俺は……こんなに良い子に悪い事して、勝手に自己嫌悪になって、謝って、それで……)

 

「泣いてる理由は分からない。けれど……私にも、貴方の今を癒せる事は出来ると思うっす。だから……」

 

「私で良ければ、その涙や悲しさが収まるまで側で見守ってあげるっす。それで泣き止んだ後は……私にいつものように巫山戯た口調と態度で笑わせて。そして……いつものように、私に笑顔を見せて」

 

その言葉で……どうやら俺の涙腺は決壊したようだ。俺……こんなキャラじゃねぇのにな……

 

(でも何故だか……恥ずかしいとか……そんな感覚はねぇ)

 

心が温まるって……こう言う事を言うのかもしれねぇ。子供の時は小さ過ぎて……よく分からなかった。でもこれがそれだと言うのなら……俺は弱かったんだな。

 

人それぞれによってその感じ方は違う……だがジョジョは、他から見ればただの仲直りであるこの瞬間でも、心は強くなっていくのだ。自分の弱さを感じ……他者からの想い……東横の想いから幼かった頃体験できなかった想いを形成させていく。

 

「ふふっ……星条くんは真面目で、それでいて涙脆い……また新しい星条くんが見れて……私は嬉しいっすよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「作者ぁぁぁっ‼︎ まずは一発ぶん殴られろぉぉっ‼︎」

えっ? 何事ですか⁉︎ いや、まてまて⁉︎ なんで波紋練ってるのっ⁉︎

「そんなの自分の心に直接聞きやがれぇ! 波紋! オーバードライブのビートォッ‼︎」

や、やめっ⁉︎ ぐぁぁっ⁉︎ ヒューン……キラン✴︎

「全く……東横を悲しませた罰だ。潔くぶっ飛ばされて反省しろってんだ……」

「星条くん……殴るのは良くないと思うっすけど、私の事を考えてやってくれたのなら嬉しいっす」

「ま、まぁ? 今回は東横にも迷惑かけちまったしぃ? その……ま、まぁともかくとしてだ! 次回も見てくれると助かるぜ‼︎」

「あ、星条くんが照れてるっす!」

「う、うるせぇー‼︎」

「以外と星条くんは照れ屋さんと……それでは、読者の皆さんも、また見てくれると嬉しいっす!」

「勝手に締めるなぁー!」

チャンチャン(ナレーター)


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7話 冗談から出た真

「やぁ諸君‼︎ シュトロハイムだ‼︎ 3話ぶりだなぁ! 今回は、未だに徐々に殴り飛ばされて帰ってこれない作者に変わって、この私が! この話を進めていくぞ‼︎ はっはっは! やはりドイツの科学は世界い「長い‼︎」グベェラ⁉︎」

「ったく調子に乗りやがって……まぁそんな事よりも皆待たせたな! こっから7話の始まりだぜ‼︎」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何分だった事やら分からねぇ……でも、その間もずっと俺の事を見守ってくれた子がいる。そもそも俺がこうなったのはこの子をからかっちまったのが原因だが……さんでも、この子は俺から離れずに、それで温かく見守ってくれた。

 

俺も……男がこんな道の往来で泣くなんて事が恥ずかしい事だって分かっている。でも俺はそんな中で泣いちまってる。

 

だけども……それが恥ずかしいだなんて思っちゃあいないぜ。なんでかなんて……そんな理由は俺にも分かりっこねぇよ。

 

けどこれだけは言える……昔と違って、泣いている俺の周りに誰もいないなんて事はねぇ。泣いている時に、冷たさなんて事はねぇ。なんったって……

 

「星条くん、もう泣き止んだすか? まだ泣きたいなら、泣いていても大丈夫。私が受け止めてあげるっすから」

 

今俺の側には……こんなにも良い子がいるのだから。

 

(あぁ……昔からだと考えられねぇな)

 

さて……もう俺も結構泣いただろ? そろそろよ……お礼とか言わねぇとな。

 

「東横……ありがとう」

 

まずはその一言を言って、こっちからも東横を抱きしめる。

 

「は、はわわわ⁉︎ ほ、星条くん⁉︎」

 

俺と東横の身長差は結構ある。なにせ東横の頭が俺の胸あたりに来るくらいだからな……しかもガタイもどちらかと言えば良い方だし……そんな大男がこんな往来で泣くなんて事は……多分俺が初めてだ。それも女の子の前で……そして女の子に慰められる様な形で……だが恥ずかしくはない。

 

「俺さ……もし東横が俺から離れちまったらどうしようって、正直考えてたんだ。昔……それも小さい時によ……俺のせいで大切な人達が離れちまったんだ。だから今回も……そんな事になっちまうんじゃないかって……」

 

「そうだったんすね。それが辛くて泣いてたんすね」

 

「あぁ……でも、側に東横がいてくれたから、ずっと悲しかった訳じゃない。体の内が……心が温まった感じがしたんだ。だから……感謝してるんだ」

 

「感謝なんていらないっすよ? でも、もし感謝してるって言うなら……さっき私が言った様にいつもの調子で巫山戯て私の事を笑わせて下さい。それか……いつもの様な貴方の笑顔を見せて下さい」

 

「はは……すぐには無理だって」

 

「なら、そうしてくれるまで私はこうしてるっすからね?」

 

「い、いや……それはちょっと……」

 

「……いや?」

 

「そ、そんな訳ねぇじゃねぇか⁉︎ 嫌なもんかよ!」

 

「なら良いっすよね?」

 

俺はそれ以上は何も言えなかった。まさか俺が泣いた後にこんなに言いくるめられるなんて……思う訳がない。なにせこんなに泣いたのはあの時以来だ。

 

「よーしよーし……いい子いい子」

 

それでさっきから東横はこの調子で俺の背中をさすっている。まるでお母さんか……もしくは姉の様な振る舞いといっても過言じゃねぇ。

 

そんで俺は未だに東横を笑わす事も笑みを見せれる事も出来ずで……東横に感謝の言葉は述べたものの、抱きしめたまま何も出来てないし……

 

(って……今更だがこの状況なんだよ⁉︎)

 

あぁもう……分かんなくなってきちまったじゃねぇかぁ‼︎ 何なんだよ本当に‼︎ 誰だよこんな訳わからん状況作り出した奴はぁ⁉︎ はい俺でしたねぇ!

 

まぁともかくとして……頭の中がそんな訳の分からん状況だったから、なんかさっき抱いていた辛い昔とか云々かんぬんがどうでもよくなってきた……

 

だからこそ……こんな状況も何故か笑えてきた訳よぉ!

 

「あっ……やっと笑ってくれた……」

 

「あぁ……なんかよ……頭の中が訳わからなくなっちまったからか、今のこの状況がなぁ〜んか面白く見えちまってよ……だから思わずな」

 

「それでも、さっきより元気にはなってくれたっすか?」

 

「あぁ、おかげさまでな。それで何だが……東横はいつまでこうしてるつもりなんだ?」

 

「えっ? 私はいつまでもこうしていて良いとは思っているっすよ?」

 

……この子コミュニケーション捨ててきたって言ってたけど嘘だろ⁉︎ 捨ててきた人がこんな事を、しかも人の往来でずっとしていても良いとかっていうはずねぇよな⁉︎ まぁでもぉ? 本人がそう言うなら別にこの状況のままでもありっちゃありだしぃ?

 

「そうか……東横が今の状況でも別に構わねぇって言うんだったら、俺もそれに甘えるかねぇ?」

 

「えっ⁉︎ 私に甘えてくれるっすか⁉︎」

 

「東横が良いって言うんならな。それで? 東横的には今の状況って、俺のお母さん的ポジ? それとも姉?」

 

「えっ⁉︎ そ、それは考えてなかったっすけど……でも強いて言うなら姉ポジションっすかね? 星条くんとの年齢的にも……母親って感じでは無いっす」

 

「そうか……因みに生まれは何月よ?」

 

「えぇっと……7月26日っすよ」

 

「へぇ、俺の4ヶ月先か! なら、普通に俺の姉ポジやってけるな‼︎」

 

「ほ、本気っすか⁉︎」

 

「Exactry! マジだぜ?」

 

「そ、そそそそんな⁉︎ 私が星条くんのお姉さんになんて……」

 

「なれる訳ないって? いやいや! 東横にはその素質が十分にあり得るぜ! なんったって、今のこの状況がまさにそれだろ? だからいけるって‼︎」

 

「うぅ……そんなの絶対嘘っす! 今まで人とのコミュニケーションを諦めて来た私がなれる訳ないっす‼︎」

 

「東横……それは違うぜ?」

 

「な、何が違うっすか?」

 

「それは、相手との距離感だ。友達とか親友で一緒にいる時は確かに楽しい。だがな……それはさっき東横が言った様にコミュニケーションがないと中々難しい。だがな……姉や母親というのは、別にコミュニケーションが下手でもやっていけると俺は思うんだ。相手が楽しいと思っていたらそれを分かち合って、相手が悲しいとか辛いとかって思ってる時は、相手の側に寄り添う。そこに言葉とかなんていらねぇ。ただ相手の事を思う気持ちがあればそれだけで十分だって……俺は思うぜ?」

 

俺はそう静かに語りかける様に言った。東横は俺の顔を見上げながらそれを聞いてた。まぁ半分冗談で、それで半分は本気でこの話をした。冗談のところは勿論、東横の事をからかうつもりで言った。

 

だがよ……こうも思った。この状況は結構落ち着くってな。それが東横だからなのかは分からねぇが……でも落ち着いた事に変わりは無い。

 

俺は小1までの記憶が朧げにしか残ってない。特に、抱きしめられたりとかそういうの……あまり覚えてない。

 

いや、覚えてないよりもあまりされなかった記憶があるな。なに前世の記憶を引き継いでいるから、それなりの事は自分でやってた記憶もあるし……危ない事もやっては来なかった。

 

だから親からは……それなりにしっかり者として見られてた感じはする。それに……俺の方からも抱っことか甘えた記憶は無いかもな。

 

前世での記憶はあるってのに……それでも昔抱いてた感情云々は……日が経っているからから思い出しにくいと思う。母親に甘えた時の感触や匂いも……

 

それでこっちに転生してからは甘えるなんて事はまず無かった。だからかな……東横にこんなにされて嬉しいって思って、まだまだ甘えていたいと思っちまうのはよ……

 

「さてっと……そろそろ時間も時間だしよ。帰るか」

 

「そ、そうっすね……」

 

そんで俺達は互いに離れた。東横は俺が言ったさっきの言葉に影響されてか少し考え込んだはいたが……まぁ明日になれば元どおりだろうよ。そんで俺も気分は晴れたし、今日は良い夢見れそうだぜ!

 

また明日っつって俺と東横はそれぞれの帰路へ……

 

「あっ……今日の夕食と明日の弁当何にすっかな」

 

俺はそう思いながら帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように朝早起きして、筋トレとランニングした後朝食兼弁当の中身を作る。それから諸々の事を済ませていつものように登校していた。

 

それで昨日も東横と帰り道に別れた所に差し掛かった。すると誰かがそこで待っていたわけよ。まぁ東横だって事は一目瞭然で分かったんだがな?

 

「よぅ、東横! 今日もいい天気だな‼︎」

 

だいたいそんな感じで挨拶をした。俺の声で東横も俺が来た事に気付いたようで、顔をこちらに向けて来た。

 

だがなんだろうなぁ……まだ会って2日ぐらいしか経っていねぇが、何だか様子がおかしい。そんな疑問を頭の中で巡らしてたらよ……

 

「ふふ、おはよう星条くん。今日も元気なようで、お姉ちゃんも嬉しいっすよ。それじゃあ、今日も一緒に行こう?」

 

……あれ? 様子がおかしいのは俺の気のせいか? 大体いつもと同じような受け返しだった。あぁ〜……でもなんだ? この歯がグラつくように浮く感じ……

 

「昨日はあんな事があったっすけど……1人でちゃんと眠れたっすか?」

 

「と、唐突だな……まぁなんだ? あれは俺の自業自得ってやつでもあるし……それに東横からは元気もらったからな。だからいつも通り眠れたぜ?」

 

「そう……それなら良かったっす。お姉ちゃんの方は、星条くんがあの後また辛くなって眠れなくなってたらどうしようって不安だったっすよ?」

 

「い、いやぁ……なんつぅーか……俺そこまでメンタルの方は弱くないと思ってる方だしぃ〜……」

 

「嘘はいけないっすよ星条くん? 昨日周りに人がいなかったとはいえ、道の真ん中で泣いていたっす」

 

「うっ……ま、まぁなぁ〜……仰る通りです」

 

「ふふ、星条くんのその正直な所、お姉ちゃんは嬉しいっす。でも……また悲しかったり辛くなったりしたら、お姉ちゃんにすぐ言うっすよ? その時はまた慰めてあげるから」

 

「えっ? あ、あぁ……うん」

 

……やっぱりおかしかった。というか最初の時点で気付くべきだったな。

 

(いつのまにか東横の一人称がお姉ちゃんに変わってやがる……それも、最後にすをつける癖は変わっていないが、どこかしら一般論で姉が話すような話し方をしているし、それでこう感じるのは変だが……お淑やかさまで感じちまってる)

 

こうなった原因を作ったのは誰だ⁉︎ はぁ〜い俺でしたねチクショウ‼︎ 俺が昨日東横に姉ポジいけんじゃね? って半分冗談半分本気で言っちまったから本人もマジで捉えてやがる……

 

(こ、これはどうみたって俺の所為だよな? 別に今の東横が変って訳じゃあないが……)

 

でもここで直さないと後々大変な目にあう気がする……

 

「な、なぁ東横……さっきから気にはなっていたんだけどよ……」

 

「ん? 何っすか星条くん?」

 

「その……さっきから東横の話し方が気になるなーって思ってんだが……」

 

ここはいっその事ストレートに聞いてみるぜ!

 

「なぁーんだ、そんな事っすね?」

 

「そんな事って……」

 

「お姉ちゃんね……あの時星条くんを抱きしめていたら、ずっとこうしていたいって正直に思ったっす。それであの後、星条くんが私の事を、母親か姉のようだって言って、私に姉の素質があるって言ってくれた時ふと思った。嘘の関係でも、星条くんの姉になれるんじゃないかって」

 

「で、でもあれは……」

 

「勿論、星条くんがいつものように私をからかっているって事は分かっていたっす。でも、それでも半分は本気で星条くんが言ってるような気がしたっすよ。だから……私は今日から貴方のお姉ちゃんになるっす。貴方があの時、私に声をかけてくれた。それで貴方の顔を見たら、太陽のような笑みを浮かべてくれた。私の事を初めて照らしてくれた太陽だって思ったっす。私にとって星条くんはそんな存在で、まだ2日しか付き合いはないっすけど、それでもそう思ってしまった。だから……」

 

東横が近づいてきて、俺の首に両腕を回して抱き締める形をとった。つま先立ちをしてまで、俺と同じ顔の高さに東横も顔を置こうとする。そして東横の顔が俺の真横に来た時だ。

 

「私も……貴方にとってお姉ちゃんの様な存在になりたい。太陽の様な笑顔を持つ貴方を傍で見守れる、そんな優しいお姉ちゃんになりたい」

 

……なんだろこの感情? つぅかさ……なんで最近、俺の心はこんなにも揺れ動いちまうんだ? 1人暮らしは苦じゃなかった。でも……なんでか物足りなかった。

 

そんな時にこんな言葉投げかけられて……元は冗談半分で言った事なのに……この子はそれを本気で捉えて、それでこんないい加減な奴の側にいたいと言い出して……そんなん急に言われて……

 

(でもその東横の言葉が……俺にとっては嬉しい)

 

「……バカ野郎」

 

「ふふ、星条くんにそう言われても、お姉ちゃんはなんとも思わないっすよ。寧ろばっちこいっす」

 

「はは……優しいぜ……東横はよ。本当にコミュニケーション絶って来た奴には見えないぜ……でも」

 

「ありがとな。俺は今……側にそう言ってくれる人がいてくれて嬉しい」

 

俺も、東横を抱きしめ返した。この心に響く東横の言葉をもっと聴きたいと。そして……

 

(もう俺は……大切な存在を手放しはしねぇ‼︎)

 

この時、俺は新しい人生をやっと踏み出せた気がしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「な、なぁ東横?」

「ん? 何っすか?」

「これ……マジで東横が俺の姉ポジなの?」

「星条くんの目は節穴っすか? そんなの作品の中にもちゃんと書いてあるっすよ? もう1回見直したらどうっすか?」

「えぇ……いやなんつぅか……恥ずかしいんだよなぁ……」

「ふふ、でも慣れるっすから心配しなくて大丈夫っすから」

「でもなぁ……」

まぁまぁ心配しなくていいです。という事でまた!

「作者いつのまに⁉︎」


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8話 R-15 ジョジョ、入部を決意する!

「お、おい……何で入部するだけであの指定が入ってんだよ……」

読めば分かります。ではどうぞ。

「サラッと流すな‼︎」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経った……俺は学校のクラスにも慣れ、勉学については……前世が大学生というのもあって余裕でこなしていた。

 

まぁ小学生の頃なんて楽勝すぎて逆にやるのが面倒だったが? 一応大学生になったら自分の興味のある事しかやってねぇから、中高教育のブランクは流石にあるよなと思って小学生の頃から復習してはいたさ。

 

そんな努力の成果もあって、今の授業は楽に付いていける訳よ!

 

はぁ? ジョセフのようなキャラのくせに何で努力が嫌いじゃないかってぇ? そんなん決まってんだろぉ? 俺が元々勤勉な性格だっただけのことよ! ていうか今物語の中だからそんなメタイ質問はやめやがれ‼︎ どっかのカエルのごとくメメタァ〜っていう効果音着いちまうからよ‼︎

 

コホンッ……それはさておきとして……俺はあれからもオンラインの麻雀室に入って麻雀部の方々と打っている。それなりに俺とやっているせいか、日を追うごとに皆強くなっているのよなぁ……

 

(まぁそこんところも考えて日々地道にこうやってる訳だが?)

 

んで東横もいつも俺と一緒に麻雀してる。オンラインの時もそうだし、前あったように朝早くに来てからもやってる。

 

今の俺の日常はそんなところで、今の所何か特別な事があった訳じゃあない。

 

(あぁ……でも強いて挙げるとするなら……)

 

俺が泣いた翌日以来……東横は学校にいる時や登下校中、俺の姉のように振舞っていることかな。今この瞬間でも……

 

「星条くん、最近少し暑くなって来たっすね」

 

「そうだな。これも環境汚染のせいだな……全く人って奴は……確かに便利な物を創るのは良いし、俺もそれを利用してるからこんなこと言うのは矛盾しているが……自然環境大事にしやがれってんだ……」

 

「確かにそうっすよね……でも、暑かったら暑かったでお姉ちゃんとしてもその状況は有効活用できるっすよ」

 

「ん? それってどう言う意味だ?」

 

「例えば夏になると半袖になるっすよね? それで同然汗もかくっす。女からしてみれば汗臭さとかそう言うのは嫌なところだけど、場合によっては肌や下着が透けて見える場合もあって……それを星条くんにあっけらかんと見せびらかしてメロメロにするっすよ!」

 

「……聞いた俺が馬鹿だった。ていうか、そんな恥ずかしけしからんそんな状況見るもんかよ‼︎」

 

「でも星条くんの顔……まんざらでもなさそうっすけど?」

 

「そ、そんなん……恥ずかしいからに決まってんだろうが‼︎」

 

「ふふ、冗談っすよ。もぅ、星条くん本気にして〜……でもお姉ちゃんそんな星条くんの反応が見れて嬉しい!」

 

「うわっ⁉︎ ちょっ⁉︎ こんな体勢で抱きついたらっ⁉︎」

 

「抱きついたら?」

 

「そ、その……や、柔らかいシュークリームが……」

 

「お昼食べたばかりなのに、まだお腹が減ってるすね〜? ふふ、食べ盛りな元気な子……お姉ちゃん好きっすよ。だから……た〜んとお食べ?」

 

「ぐわぁ〜っぷ……い、いふぃあ"ぁ"ぁ"っ⁉︎ (い、息がぁぁっ⁉︎)」

 

「ふふ……いっぱい食べるっすよ?」

 

まぁそんな感じで……東横が完全に俺の姉ポジになって、振る舞いもそんな感じになってた。いやぁ……俺も驚いてるよまじで……

 

(でもさ……凄く嬉しいんだ。こうやって誰かと一緒にいれるってさ……普通だと思っても、よくよく考えてみれば奇跡みたいなもんで……)

 

こんな事前世でも無かったぜ? 女の子に膝枕されながら抱き締められるとか……

 

(って……いやいやそうじゃなくて! でもこうされてると落ち着くもんだ)

 

そう思いながらもいつものような光景になりつつある昼休憩の時間は過ぎ去っていく。

 

それで今日も既に放課後になり、俺が麻雀オンライン室に行くのもいつもの日課となっていた。これまで麻雀部の人達と何回試合したことやら……まぁ全部俺が買ってるけどな?

 

でもあちらさんも中々にやる様になってきた。これに対してはいつもの楽しみで見てるよ。時より危ない場面もあったし……

 

(でもそれが楽しくで仕方がないんだよなぁ!)

 

よし決めた! この人達の意思も十分に見させてもらったし、確実に上から目線に思われるだろうが、俺としても直接会って打ちたくなってきた!

 

そうと決まったら早速アポ取るぞ‼︎

 

【joestar】かじゅさん、かまぼこさん、むっきーさん。少し折り入って話たいことがあるんですが良いですか?

 

【かじゅ】ん? どうしたんだい?

 

【joestar】えぇ、前にあなた方が言ってきた感についてですが……残念ながら今日はそちらに行く事は出来ません。

 

【かまぼこ】わはは、それはどういう意味だい?

 

【joestar】簡単に申し上げるなら……私はそちらに行くための準備を今はしていないという事です。ですので……明日そちらに赴かせて頂きます。

 

【かじゅ】っ⁉︎ という事は……

 

【joestar】えぇ、私は正式にあなた方の部に入る事を決意しました。ここまで時間がかかってしまった事をどうかお許し願いたい。

 

【かじゅ】いや、謝らなくても良いさ。現に私達は君に麻雀の腕を磨いて貰ったし、諦めないという心意気も教えて貰ったからな。だから礼を言うのはこちらの方だ。

 

【joestar】……ありがとうございます。では翌日の放課後に、そちらへ向かいます。では、今日は準備もあるのでここで失礼します‼︎

 

そして俺は麻雀したから退出した。

 

「よし……じゃあ俺は早速帰って準備の方に取り掛かるとするか」

 

「ふふ、星条くんなんだか嬉しそう」

 

「あぁ。やっと俺も決心が付いたからな……そしてあの先輩方も、俺の無茶な条件によく付き合ってくれたと思ってる。だからその感謝の意味も込めて、これから準備に取りかかるわけよ!」

 

「ならその準備を、お姉ちゃんも手伝って良い?」

 

「えっ? あぁ……まぁ良いぜ。そう言えば東横はケーキとか作れるか?」

 

「ケーキ? うーん……デザートは使った事はないけど、星条くんが教えてくれればお姉ちゃんは頑張るっすよ‼︎」

 

「よし! なら帰る前に店に寄って行くか‼︎」

 

「お姉ちゃんも当然それに付き合うっすよ! それで星条くんの家まで一緒に行くっす‼︎」

 

「なら善は急げだ! 帰ろうぜ‼︎」

 

だが俺はここで気付かなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東横が俺の家に来ると言う事は、俺の今の現状を知られるという事に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「おい作者! あの中盤の展開は一体なんだ⁉︎」

えっ? 見ての通りですが?

「ちゃんと説明しろぉ‼︎」

「まぁまぁ星条くん落ち着いて……お姉ちゃんとしては嬉しい展開だったすよ。星条くんは……まさか嫌だった?」上目遣い

「そ、そそそんな訳ねぇよ! しょ、正直うれしかったよ……」

「わーい! お姉ちゃんそう言ってもらえて嬉しいっす‼︎」ダキッ

「うわぁ⁉︎ い、いきなり抱きつかないでぇ⁉︎」

よし、この話は終わりだな……

「さ、作者も唐突に終わらせるな! まぁそれはともかくとして、やっと入部の決断をしたのかよ……遅すぎやしねぇか?」

まぁ遅いですね。

「こいつ悪びれる事なく認めやがった⁉︎ 何でそんなに遅くする必要あるんだよ⁉︎」

こちとら物語の中身を重視したい書き方と言いますか……あまり日常を疎かにしたくないという思いもありますね。まぁ早く進めたいという気持ちはありますが、どうしてもそんな書き方になるんですよねぇ……

「でも、そこも作者の良いところだと私は思うっすよ?」

「まぁ確かに……現にちょっとずつだが進んでるし、その方が読者も後の展開がどうなるか気になると思うかもしれねぇしな」

ありがとうございます。さて、そろそろ時間ですから、今回はこの辺でお開きとしましょうか?

「そうだな!」

「それじゃあ皆さん!」

「また見てくれよな!/また見て欲しいっす!」


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9話 尊敬される臆病

「結構日が経ってたけど、ようやく新しいのが書けたのな」

えぇ、ちょっと手付かずでしたし……こっからまた忙しくなりそうですけど頑張ります!

「よしその意気だ! つぅわけで物語の始まりだぜ‼︎」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベーキングパウダーに生クリーム、卵に薄力粉っと……そんで後は……」

 

いかにも主婦か女の子が買い物をしているかのような材料を口に出しながら籠の中に入れているのは、今日私達が通っている麻雀部に入部を決意した星条くん。

 

実に楽しそうに買い物をしていた。全くそんな事想像できないと思うっすけど、案外星条くんには女子力というのがあるのかもしれないっすね。

 

(しかも毎日持って来るお弁当も自分で作ってるって言ってたし……)

 

高校生でしかも男の子なのに毎日作って持って来るなんて、普通の男子高校生ならできないと思うっす。まともに台所にも入ってないと思うっすよ?

 

でも星条くんはそれを普通の事のようにやっている……星条くんに初めて会って、そしてお弁当も食べさせてもらった時……私は彼の事を凄いと思った。それと同時に……少し悔しくも思えた。

 

私は女の子なのに……手料理をまともに作ったことがない。昔から人との関わりを絶って来た私は、昼も当然1人で食べていた。親からお昼代をもらい、それでパンを食べて昼を過ごしていた。

 

周りにも私と同じ様にお昼にパンを食べている人達はいたっすけど……皆誰かといっしょに食べていた。正直それに対しては憧れたっす……。でも私の体質上、それは夢の様な話だった。

 

でもあの日……私を認識できるあの人が現れて、お弁当まで分けてもらって……

 

(それであの人の笑った顔……)

 

私の薄い影すらも照らしてくれたあの人の笑みは、私を変えてくれた。

 

入学式が終わって、星条くんと一緒に帰り道を帰った後……すぐに家に帰って……

 

「ただいま! お母さん! お願い事があるの‼︎」

 

家にいる時そんなに大きな声で親と接した事が無かったために、最初は驚かれた。でもそれは最初だけで、それからは私のお願い事も聞いてくれた。

 

「それにしても、桃子がお弁当を作りたいなんて、何かあったの?」

 

「そ、それは……」

 

そんな私の反応を見たお母さんはニヤついて……

 

「桃子……まさか気になる子でもできたのかしら? ふふ、とうとう桃子にも春が来たのね!」ニヤニヤ

 

「ちょっ⁉︎ お母さん⁉︎」

 

「ただいまー……ん? どうしたんだ?」

 

「貴方! とうとう桃子にも春が来たのよ‼︎」

 

「な、なんだと⁉︎ ど、どこのどいつだ! 私の桃子は渡さんぞ‼︎」

 

「お、お父さんまで⁉︎ うぅ〜……」カァッ

 

そんな事がありつつも、私1人でもお弁当をなんとか作れる様になったっす。そして学校2日目の時には、私も朝早く起きてお弁当を作って持って行ったっす。ただその時……

 

「おっ⁉︎ 桃子がお弁当を作っている……まさかお父さんのためにか⁉︎」

 

「いや、それは違うよ?」

 

「なっ⁉︎ はっ! さては昨日言ってた……」

 

「……」ポッ

 

「も、桃子ぉぉっ‼︎ 冗談だと言ってくれぇー‼︎」

 

家を出る時になっても、お父さんはしつこく追求して来た。私は星条くんを待たせるわけにはいかないと思って早く出たかったのに……結局お母さんがお父さんにOHANASHIするために引きずって行くまで家を出れなかった。

 

(でも……久しぶりに親子とちゃんとした会話ができたっす)

 

それからというもの、私は親とコミュニケーションをよくとるようになった。それが普通の事だとは思うっすけど……それでも私としては変われたかなって思う。

 

そして……

 

「よしよし……これでケーキの材料は揃ったな。でもなんだろうなぁ……なぁ〜んか足りねぇんだよなぁ……」

 

「ねぇ星条くん。お姉ちゃんプリンも食べたいなぁ?」

 

「……分かったよ。なら卵とか諸々追加だな」

 

「やったー! 星条くん大好き!」

 

「ぐわぁ⁉︎ と、東横! いきなり抱きついたら危ないぞ⁉︎」

 

「ふふ、照れてるっすねぇ? そんな所が可愛いと思うっす」

 

抱き着きながら星条くんの横腹をツンツンとつつく。

 

「よ、横腹をつつくな‼︎ 横腹はっ……」

 

「まさか苦手なんすねぇ? ふふふ、また星条くんの事が知れたっす」

 

「そんなの別に知らなくても良いだろうが‼︎」

 

やっぱり星条くんと一緒にいると楽しいっす‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉ! 星条承悟だ‼︎ そういえば久々に下の名前を名乗った気がすんなぁ……。

 

まぁそんなのはともかくとしてだ! 俺は今東横と一緒に俺の家に向かってるぜ!

 

これから、明日麻雀部に入部するための手土産を作ろうって魂胆でお菓子を作る事にした。それで東横も、自分で手伝いたいって言ってきた。

 

まぁ1人じゃなくて、俺と2人で作るし、東横の料理……弁当しか食べたことはねぇが、それでも美味しかった。だから、お菓子作った事がなくても東横なら教えればすぐにできるだろう。

 

そんなことを考えながら、着々と俺の家に向かっている。

 

「ふふふ、星条くんの家に行くのお姉ちゃん楽しみっす!」

 

「東横にとっては、友人の家に行くこと自体初めてのようなもんだものな」

 

「そうっすよ! それも最初が星条くんの家なんて‼︎ ドキドキするっすよ‼︎」

 

「まぁ確かに……初めて友人の家に行く時ってのは、ドキドキするもんかもな」

 

「そうっすね〜。でもお姉ちゃんがこうドキドキしているのは……星条くんと長くいるという時間を共有できるからなんだよ?」

 

「っ⁉︎ そ、そんな事を急に言われたら……」

 

「どうしたの? まさか照れてるのかな? だとしたらお姉ちゃん……嬉しいっす♡」

 

東横が俺の左腕に抱き付いてくる。東横特有の柔らかい感触も同時に感じて、それだけで身体が熱くなってくる。何で東横は、こんな大胆な事が出来るのだろうか……

 

(た、確かにぃ? 俺としても嬉しいところではあるけどさ……)

 

女の子にここまでされるというのは、前世含めて無かった。確かにこれまでは友人関係は大事だと思って、男女関係なく平等に……そして大切に接して来たつもりだ。今だって、それは変わらねぇ。

 

でも……東横の様なスキンシップをとる子は今までに会った事がない。

 

最初は……席が隣だったことから始まった。それで本人の体質故に、俺だけが完璧に本人を認識できる事から友人関係がすぐに構築できて、そして今この状況にある訳で……

 

(でもよくよく考えると……高校に入ってからの交友関係で1番長くいるのは東横なんだよな……)

 

そうとなると……今まで俺がやって来た様な交友関係の平等さというのが傾いていると感じてしまう。

 

だが……友人は誰1人としてお粗末にしていない事だけは事実だ。俺には……東横の様に何かを切り捨てるなんて事は……多分怖くてできない。関わりを持ったのなら……大事にしたい。

 

そんな想いがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから程なくとして俺の家が見えて来た。あの家だと指を指して東横に教えたら、年相応でなくはしゃいでいたな! でも俺としては、ギャップというものは良いものだと思う。自分の思い込みが発端ではあるが……その人の思いがけない様な姿を見た時、新しい価値観というものは必ず生まれるだろう。

 

それが良いものか悪いものかは……感じる本人次第だが……な。

 

そんで玄関の前にようやく着いた。何故かいつもより時間がかかったなとは思ったが……

 

「はわ〜……なんか緊張するっす……それに星条くんの親とも初めて会うかもしれないっすし……何だか心臓が飛び出そうっすよ‼︎」

 

「……」

 

あぁ……俺は忘れちまっていたよ……その事を完全に忘れていた。東横は確かに影が物凄く薄い。だが……だからと言って親に完全に認識されないと言われれば……そういう訳じゃない。

 

確か東横が昼に弁当を持ち寄った日からだったか、親ともよく会話をする様になったって言っていたな。そして日に日に、親とコミュニケーションを取る時間が長くなったんだと。

 

なんか俺のおかげだって言ってた様だが……俺は何もしちゃいない。ただ……東横がそうしようっていう気持ちがあったからこそだ。

 

対する俺だが……周りには明るく振舞って来たつもりだ。そして大切にもして来たつもりで、そこに嘘なんてこれっぽっちもない。

 

でも俺には……唯一近くにいるはずの親がいない……俺が幼いながらも前世の記憶を持っているが故に……そして常人では持たない様な能力を持っているが故に……離れちまった。ずっと小さい時に……

 

「ただいまー」

 

「お、お邪魔します!」

 

身体は……そんな俺の心情を御構い無しに自然と動作する。遂に東横を……友人を家に招き入れちまった。

 

「……あれ? 物音1つ聞こえないっすけど、もしかして星条くんの親は留守なんすかね?」

 

「……」

 

俺はその問いに答える事なんてできない……

 

そんな中でも俺と東横は俺の家のリビングへと進む。

 

そして東横も……自分の体質故に段々と気付きだした。

 

「……これって……まさか……星条くん?」

 

関心をつく様に……東横が俺の顔を見上げてくる。その瞳には……悲しさが垣間見えた様な気がした。

 

それでよ……ここまで気付かれてしまったのなら、隠す事なんてもうできない。隠していたわけではないが……な。

 

「すまない東横……本当は隠すつもりなんて無かった。だから今正直に言う。俺には……家族がいないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからは、俺に起きた過去を隠さずに話した。東横は依然悲しさを含んだ瞳をしながらも……俺の話を遮らずに最後まで聞いてくれた。

 

「……そうだったんすね」

 

「あぁ。隠すつもりは無かった。でも俺にとっては……今この時が楽しくてよ……だからそれを壊すまいと、そう考えるとこんな事言えなかった。俺は……本当は臆病なんだよ。臆病だから、周りにはああして明るく振る舞うしかなくて……それで……俺から何かが離れていってしまうと思うと怖くて……」

 

俺の口から次々と言葉が溢れ出してくる。今まで押し殺して来た本当の思いが……言葉として出ながらも次々と消えていった。これまで生きて来た中で、欠けていた時間を代弁するかの様に……

 

「ははっ、いやすまねぇ! ちょっとどころかかなり辛気臭くなっちまったけど、今日はサプライズを作るためにわざわざ東横にも来てもらったし、時間も無駄にはできねぇ。つぅ訳で早速手をつけるとするか‼︎」

 

そう言ってリビングのソファから立ち上がろうとした。でもそれは遮られた。

 

目の前が真っ暗になった。一瞬のことだったから、なんかの弾みで倒れて気を失っちまったのかなって思った。

 

そう思ったんだが、感覚としてはちゃんと生きている。俺の体を優しく包み込む感触と温かさ……そして……

 

「ずっと……寂しかったんすね」

 

そんな優しい響きが俺の耳に入り込んできて……それが俺の心の中にも入り込んで来る。東横がそう言ったんだってすぐに分かった。

 

本当は……自分の過去を語っている時悲しかったんだ。でも……東横にはこれまでさんざん迷惑をかけてきた。さんざんじゃねぇかもしれねぇけど……俺からすればそんな感覚があって……

 

だから……話している時は、そんな素振りは見せていないと思う。でもそれが、東横にとっては寂しく見えたんだろう。自分の体質故に、俺の心の内も見えちまったんだと思う。

 

「星条くんは……周りにはいつも明るく振舞っているし、気さくに話しているからとても凄いなって思う」

 

「……俺は何も凄くなんかない。ただ……臆病だから……」

 

「星条くんが言う様に……確かに臆病なのかもしれない。でも私は……」

 

「お姉ちゃんは、そんな星条くんだから今の自分がいるし、それに星条くんと会えたんだよ? だから自分が臆病な事は、星条くんが思うよりも悪い事じゃないんだよ? だから……」

 

体を包み込む温かさが増して、心に響く声も……この前あったあの時の様に心の奥底に染み込んでいく。

 

「お姉ちゃんは貴方の事を尊敬する。自分の事を臆病と思っていても、周りに明るく振舞っている貴方の事を尊敬する。そして……そんな星条くんに会えてお姉ちゃんは幸せだよ」

 

「っ⁉︎ ……うぅ……」

 

「我慢しなくても良いの。泣きたい時は泣いて? お姉ちゃんが、全部受け止めるっすから」

 

「ぐぅ……うわぁぁぁぁぁっ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから泣き止んだのは数10分経った時だ。女の子の手前でまた泣いてしまって、自分の事を情けないと思ってしまう。情緒不安定にも程があるだろうって事も思っちまう。

 

そんな中でも東横は、俺の事を優しく抱きとめてくれた。泣いている間、ずっと俺の背中を優しくさすってくれて、頭も撫でてくれた。

 

その時間が……俺にとってはとても安心できた。もっとこうしていたいと思えるくらい、愛おしい時間だったんだ。それと懐かしくも感じた。

 

まるで自分の親にそうされている様な……上手くは言えないが、ともかくそう感じたんだ。別に東横が俺の親の様だって言ってるわけじゃねぇぜ? それは分かって欲しい。

 

まぁそれはさておきとして、そのまま東横に抱きついているのも良かったんだが……今日はそのために東横を招いたわけじゃなくて、明日麻雀部にサプライズをするために手伝いに来てもらったんだ。だからそこからは東横と一緒にケーキとか作ったり、他のお菓子を作ったりした。

 

正直……あのまま抱きついて時間を過ごすというのは、俺としてはありだった。だが……

 

(途中から気付いてまってたんだが……抱きついていた時に俺の顔に当たるあの柔らかい感触……)

 

「星条くん、こっちは星条くんの言った通りにやっておいたっすよ! 後は待つだけだし、洗い物も殆ど終わったっす。だからぁ……」

 

ダキッ

 

東横が俺の左腕に抱きついて来た。そしてまたこの柔らかいっ⁉︎

 

「ふふふ、星条くんのその照れた顔……可愛いっすよねぇ♡ またさっきみたいに星条くんを抱きしめたいっす」

 

……今日はなすがままにされても良いかと正直……正直に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日の放課後……

 

「ここが麻雀部の部室か……」

 

「いよいよっすね」

 

「あぁ、楽しみだぜ。これからの学校生活……どう変わって見えるのかな」

 

「お姉ちゃんは、星条くんと毎日こうして話しているだけで満足っすよ?」

 

「……さて行くか」

 

「ちょっ⁉︎ お姉ちゃんの事無視しないで欲しいっす‼︎」

 

そんないつもの……俺としてはいつもの様に、隣の東横とそんな会話をしながら麻雀部の扉をくぐった。

 

「ようやく……ようやく来てくれたね」

 

「ワハハ、待っていたよ。joestarくん」

 

「な、なんだか想像していた人とは違う雰囲気はしますけど、よろしくお願いします!」

 

出迎えてくれたのはその3人で、薄紫色のロングヘアーでどことなく大人びた人と、赤いショートヘアーで失礼ながら何も考えていない様な顔の人、そして髪を後ろでポニーテールでまとめた普通そうな人だった。

 

「入学初日のオンラインからお世話になっています。私はハンドルネーム【joestar】こと、星条承悟です。入部した目的は、私……いや、俺自身が楽しく学校生活を送ることと、先輩方を全国に導くためです‼︎ よろしくお願いします‼︎」

 

「そして私は【guest】の東横桃子と言うっす。先輩方よろしくお願いしますっす」

 

「あぁ、よろしく星条くん。私達は君を歓迎しよう!」

 

……ん? ありぃ? なんかおかしくね?

 

(って……まさか東横の事が見えてない⁉︎)

 

急いで俺はある事をして東横を先輩方に認知させた。案の定先輩方は驚いていたが……

 

「ふふ、先輩方にも見えてない事はこれで分かったっすね。オンラインでは結構点数は取られてはいたっすけど、実際に麻雀したらどうなるのか楽しみっすね」

 

「え、えぇっと……君は?」

 

「さっきも自己紹介はしたっすけど、私の事を認知できていなかったみたいっすからもう一度するっすね」

 

こうして東横も自己紹介は終わって、鶴賀学園の麻雀部は5人になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




−おまけ−



オンラインでの対局時、ジョジョがロンやツモで和了る場面




ジョセフvsシーザー

「お前はこの女の子に勝つ事すらできない!」

「ケッ! ならテメェはこの鳩にすら勝てねぇよ‼︎」

結果……ジョジョが女の子に首を絞められて息が不安定になるも、波紋を纏った鳩で金髪波紋使いシーザーと相討ちになる。



ジョセフvsエシディシ



「孫子ってのを知ってるかぁ? 俺は勉強嫌いだがエリナおばあちゃんの歴史は好きでよ! だからこの戦いで孫子の兵法を活用するぜ‼︎」

「孫子かぁ……懐かしい名前だな。それに俺は孫子とも実際に会っているし、そしてこの言葉をお前に贈ろう。戦う前から既に結果は見えているとなぁ‼︎」




結果……エシディシはジョセフのロープマジックにより破れる。





ジョセフvsワムウ

「あれから随分と修行した様だな……この1ヶ月を待った甲斐があったものだ」

「ケッ! そうやって余裕ぶっかますのも今の内だぜ‼︎」

結果……辛くもジョセフは勝利したが、破れたワムウに敬意を評して敬礼する。





ジョセフvsカーズ

「カーズゥ! 貴様ぁ‼︎」

「フハハハッ! 勝てばよかろうなのだぁ‼︎」

結果……カーズは最終的に究極生物となるも、ジョセフと火山に岩ごと押し上げられる。カーズはそこから脱出を図るが、後から来た小石などによって大気圏外に押し上げられる。ジョセフは押し上げられた岩とともに海水面に落下……九死に一生を得る。

そしてカーズは、空気操作で地球に戻ろうとするが、宇宙によって冷やされ、挙げ句の果てに鉱物と生物の中間の存在となる。それからカーズは生命が存在する様な惑星に行ける事はなく、そして死ぬこともできないので……カーズは考えるのをやめた。


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10話 依存しているのかな……

「大体約2週間ぶりだよな?」

えぇ、そうですね。

「それで今回は……まぁた状況がややこしいことになってるじゃねぇの。それに……」

あ、あの星条さん? どうしましたか? ってその目怖いんですが⁉︎

「俺がこんな表情になってるのは少なくとも作者……お前だってわかっているだろ? だからなぁ?」

えっ? ちょっと待ってください⁉︎ 波紋流して何するつもりですか⁉︎

「それはこうするんだよ! 彼方まで吹き飛べ! 殴り飛ばしの波紋疾走‼︎」

ぎゃあぁぁぁっ⁉︎

「ふぅ……つっても気分はスッキリしねぇな……」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式から数えて早1ヶ月……5月の最初だ。んで、麻雀部に入ったのが大体2週間前で、先輩方の名前と顔は一致させた。まぁ、3日くらい経つと自然と覚えるよな。なんせ人数少ないし……

 

あぁそれともう1つ、なんか部長の幼馴染の妹尾先輩という方が入って来た。麻雀は初心者の様だけど、その代わりにビギナーズラックが半端なく高い。俺もそのせいで何点か取られたが……その代わりに次の時にはその倍をかっさらってやったぜぇ!

 

なぁにぃ? 大人気ないだってぇ? はん! こちとらまだ子供なんでなぁ! 大人気ないなんて言われてもなんとも思わねぇぜ! あぁ……たしか精神年齢は30代後半だったな……そう見方を捉えれば大人気なかったか?

 

まぁンなことはともかくとしてだ。一応これで全国大会は、女子の定員も揃ったし、俺がいなくても普通に出れるって訳だ。

 

だけど……加治木先輩はこう言ってくれたんだ。俺がいてくれたから私達は前よりも上手くなったんだと。だから俺も一緒に参加して欲しいってな。

 

確かに数年前から男女混合でも団体には出れるようになった。だがそれは別に、絶対に男や女を入れろという訳じゃねぇ。女子だけなら女子だけでも良いし、男子だけなら男子だけでも良い。

 

それなら普通に男女で分けてやれば良いという結論になるだろうが……昨今の麻雀界は結構特殊で、男子よりも女子の人口が圧倒的に多い。比率でいうと男女3:7という割合だ。

 

だからこそ麻雀協会は、できるだけ多くの男子雀士を育成するという方針を取り、数年前からは男女混合で団体戦に出てもありにしたそうだ。

 

まぁ? 男女混合のチームは少ない方だろうよ。そして混合で出場する場合、男女の割合で多い方の団体戦に出る事になる。だからもし俺が団体戦に出る時は、必然的に女子の方に組み込まれる。

 

混合となると、チーム数は必然的に多くなりそうだが……それは都会に限っての話で、田舎に近いここではあまり多くないだろう。

 

それにこれも同じく数年前からだが、定員+1人の人員を団体戦に参加させる事が可能だ。だから、1回戦と2回戦でメンバー交代ができる仕組みが備わっている。まぁこれはチーム次第なんだが……

 

そんな訳で、加治木先輩は是非俺にも出て欲しいという。他の先輩方や東横も同じ様な考えなのか……一緒に団体戦に出たいと言ってくる。

 

……正直ここまで言われちゃあ、断るなんで俺にはできねぇからよ。だから俺も先輩方と一緒に出る事にしたんだ。

 

それを了承したのがついこの前だ。それからも朝は東横……そしてたまに先輩方と一緒にオンラインで打って、昼はいつもと同じく東横と一緒にのんびり過ごして、放課後になるとまた先輩方と一緒に打つ。これが日常になっていた。

 

因みに自動卓は家から部室に移動させておいた。今までの活動は手で混ぜたりしていた様だから、時間が少なからずかかっていた様なんだが、俺が持ってきた事で少しでも時間短縮や能力向上に繋がったら良いなぁとは思っている。

 

そして昼に東横とのんびり過ごす件についてなんだが……

 

「星条くん、はいアーン♡」

 

「あ、あーん」

 

昼を一緒に食べる時は、大体の確率で東横が俺にアーンor俺から東横にアーンを所望してくる。そして食べ終わった後は……

 

「さぁ星条くん、お姉ちゃんが膝枕をしてあげるっすよぉ!」

 

「い、いや……いつもして貰うのは流石に悪いし……」

 

「う〜ん……それじゃあ今日は、星条くんの肩に寄りかからせて貰うっすよ」ピトッ

 

「〜〜〜〜っ⁉︎ ///」

 

と、こんな風に東横が甘えたり、俺に膝枕したりしてくれる。正直この感覚は今でも慣れねぇ……だが、不思議とこの日常が俺は気に入ってるんだよな。だから嫌だとか思わないぜ。

 

それで今日の活動の時の話になるんだが……

 

「来週とある高校の麻雀部と練習試合をする事になった。団体戦として公式非公式別で初になるが、気を引き締めていこう。これがその高校の公式戦でのデータだ。皆1回は読んでおいてくれ」

 

加治木先輩が相手高校の和了牌やそれぞれの持ち牌のデータが記された紙が配られた。俺もそれに目を通していく。

 

(ふ〜ん……大体平和、断么九、対々和が多いな。それに集める牌も偏ってやがる……これは上手いとこ突けば相手の点数を奪えるぜ! ただなぁ……)

 

この練習試合は……俺も面白そうだと思っているし、参加したいとは思っているのよぉ〜……だが……だがなぁ……

 

「ここで何か聞きたいことはあるか?」

 

俺がそう思っていたタイミングで加治木先輩がそう言ってきた。だから……申し訳なく思いながらも挙手させてもらった。

 

「その……何というかですね……非常に申し訳ないんですが……」

 

「ん? どうかしたのか星条? なにかわからない点があったかな?」

 

「いえ、そういうわけじゃないんですよ……ただ……」

 

「ただ?」

 

「ただ……その日は私用があって……学校を休まなきゃいけないんですよ。だから俺は参加できそうになくて……」

 

「……プライベートな事を聞いてすまないが、何の用かは聞いても良いかな?」

 

「全部は言えないんですけど……アメリカに行かなくてはいけなくて……」

 

「あ……アメリカだと?」

 

「えぇ……なので来週のその日は、できれば行きたかったんですけど参加できないです。すみません……」

 

そう……その日はアメリカでしなくてはならない行事がある。別にアーティストのライブに行くわけじゃねぇ……ただこれは数年前から……俺が中学生の頃から必然的に参加しなきゃいけねぇものなんだ。だから先輩方や東横には申し訳ねぇ気持ちでいっぱいだ。

 

「……そうか。分かったよ。これ以上は聞かないが……君の事だ。そこに嘘はない事ぐらい知っているつもりだよ。だから……気を付けて行ってきて欲しい」

 

「っ⁉︎ ありがとうございます。部長」

 

「ん? なんか最後に変な事を言わなかったか?」

 

「いえ? ただ、ありがとうございます、部長と言っただけですが?」

 

「……星条くん、それはわざとかい?」

 

「さぁ? 俺はそんなつもりで言ったわけではないですよぉ?」

 

「嘘をつくな! 君がわざと私にそう言ってくる事は明らかなんだぞ! それにこのやり取りも今月に入って何回めだと思っているんだ⁉︎」

 

「えっ? いえ、俺の感覚では今月に入って初めてじゃないですかねぇ〜? まぁ俺が意識してないとしたら3回くらいじゃあないですか?」

 

「惚けるな! 既に10回は軽く超えているんだぞ⁉︎」

 

「ワハハ、そうだよ星条くん。それに部長は私だぞ〜?」

 

「えっ? いやいや、どう見ても蒲原先輩が部長には見えないですよぉ〜。何言ってるんですかほんとにぃ〜」

 

「いやいや、これは事実だぞ〜?」

 

「ンなわけないでしょ? 部長は加治木先輩ですよどう見たって?」

 

「私もそれには同感すね」

 

「わ、私も前からそう思ってしまっています……」

 

「わ、私は最近入ってきたばかりですけど……加治木先輩が部長だったんじゃないんですか?」

 

「き、君たちもか⁉︎」

 

「あっはっはっはっはっ‼︎」

 

「星条くん! 元はと言えば君が言い出した事だろう⁉︎ 何を笑っているんだ‼︎」

 

「いえ、ただ単に面白くてですね。いや〜、生きていると良いことってあるもんですよね?」

 

「最後にそんな良さそうな言葉で締めようとするな⁉︎」

 

これもいつも通りっちゃあいつも通りだな! まぁなんの変哲もなくて面白げもない漫才……で訳でもねぇが、いつもこうやって何かあるごとに誰かをからかったりしてる。

 

さっきのようなしんみりとした雰囲気は……俺が作ったようなもんだが、それでも場の空気を和らげようとあぁやってる。

 

でもその変哲も無いただの漫才まがいな事でも、周りがこうやって笑みを浮かべてくれたり笑ってくれたりしたら……俺としてもいくらか気が楽になるもんよ。

 

(それに……今は俺の事を心配してくれている人がいるからな。それだけでも俺は助かる)

 

来週はアメリカに行っちまうが、皆も練習試合は頑張って欲しい。そのエールを心の中でしながら、今日も皆で楽しく日常を過ごした。

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

1週間後……

 

 

 

 

 

星条くんは昨日アメリカに行ってしまった。私は星条くんの用事が気になって気になって仕方がなかったんすけど……でも私は聞かなかった。そうしてしまう事が……星条くんにとっては迷惑だと思ってしまったから、だから聞かなかったっす。

 

でも私は心配もしたっす。星条くんの家庭については……実際に家に行ってるし本人からも聞いたから知っているっす。でも、その年で……しかも1人で遠い異国に行くのは……私からしてみれば考えられない事で……

 

それに、星条くんは昨日アメリカに行ったばかりだというのに……何故か星条くんが近くに感じられないと不安で仕方がなくて……授業にも身が入らなかったのは事実っす。でも練習試合の時は、星条くんが旅立つまでのギリギリの時間を私達の練習や戦略に充ててくれた。だからその時はいつも通りにできて、試合も相手と大差をつけて勝てたっす。

 

でもそれも終わってしまえば、意気消沈するのも早かったっす。そして今日もそんな感じで過ぎて行ったっす。

 

今はもう家に帰っていて、リビングでぼぉっとしていた。

 

(はぁ……星条くんがいないと身が入らない……)

 

いつの間に私はこうなってしまったのだろうか? 星条くんと会う前は……例え人と1日会話をしなくてもいいこんな気持ちにはならなかったのに……

 

(それなのに……なんで私は今こんな気持ちになっているんすか?)

 

そう考えてしまえば話は簡単だった。私は……

 

(私はいつの間にか……星条くんに依存していたんすね……)

 

依存……この言葉は、他の人にとってはどう思うんすかね? 他の人から言えば……多分悪い事だって思うかもしれないっす。

 

依存してしまえば……その依存先を頼って堕落してしまう……。逆に依存させてしまう者は……依存させる側を甘えさせてしまう……

 

私も……そうなのかなと思ってしまうっす。私は星条くんと一緒にいると安心してしまう。そして……彼とできるだけ時間を共有したいと思ってしまう。その自分の過ごし方が……悪い方向の依存と思えてならない。

 

(私は……星条くんの事を考えずに……ただ自分勝手に彼の事を求めているだけなんすかね……)

 

そう思うと……途端に涙が溢れてきて……それでいつの間にか両手で顔を覆っていた。何故か悲しくて……それで自分が情けないと思ってしまった。彼は……私が勝手に彼のお姉さん役をやっているのを、いつも困った顔とか照れた表情をしながらも明るく接してくれる。

 

でもそれが……彼にとって重荷になっていたら?

 

(私は……馬鹿っすね……)

 

そんな事……考えもしなかった。でも彼と……星条くんと少しだけ離れただけで、私が彼に依存していると思って……そしてそれが……星条くんにとって迷惑なんじゃないかと思ってしまって今涙を流している……

 

私は……星条くんにとって優しい人ではなくて……ただ依存しているだけだったんすね……

 

それが悲しくて……情けなくて……今はただただ泣くことしかできなかった。

 

それから数時間が経った。両親は……今日はどちらとも用事があって帰りが遅い。だからリビングで1人で泣いていても、ただ私のすすり泣く音が響くだけだった。でもここで泣いていても仕方がないと思って、気分転換に新聞を読んでみた。時刻は9時になる前で、テレビ欄で何かやっていないかを見た。

 

(……アメリカで開催される麻雀世界大会の生中継?)

 

私はこれが気になったので、テレビをつけてその番組をやっている局のボタンを押した。

 

『さぁさぁ! 今年で4年目となる麻雀世界大会! 私は今その会場に来ています! 全国から予選を勝ち抜いて来た猛者達が集う全国大会……そこに男女や年齢や学歴諸共関係なし‼︎ 全てはどれだけ麻雀の腕を持っているかで勝者が決まるこの大会‼︎ それでは出場選手を紹介していきましょう!」

 

そして選手の紹介が順に行われていったっす。そして紹介された人からクジを引いていく。そして空欄だったトーナメントの欄が次々と埋まっていった。そして残り1つの枠になった時……

 

『お待たせしました! ここで本大会3年連続の覇者の登場です‼︎』

 

中継している人がそういった途端、選手の出場口から物凄い量の白い煙が流れて来た。出場口はそれで完全に見えなくなった。

 

『年齢、性別、学歴一切非公開! これは大会本部に問い合わせても答えてくれません‼︎ しかし! 名前だけは私達は知っています‼︎ 3年連続本大会の覇者……そして今宵行われるこの大会で4連覇を成し遂げ、麻雀会の伝説を作っていくのか‼︎ それでは紹介しましょう!』

 

白い煙が徐々に晴れていって、そこには一般の人よりも大柄の人がシルエットで現れていた。そしてその人の名前は……

 

『3年連続覇者‼︎ ジョルノゴ・ジョースターさんです‼︎』

 

……その名前を聞いた時……私は何故か星条くんの事を思い浮かべていた。

 

『彼は、何故か言葉を発しません。障害を持っているのかどうかさえも私達には分かりません! ですが! 彼の麻雀の腕だけは、ここの会場にいる人ならば誰もが知っています‼︎ そして今宵もその奇跡の一手を私達は見る事が出来るのです! しかしここに集まった選手達も皆予選を勝ち抜いて来た猛者達です! その内の1人が、彼の連勝記録をストップさせ新たな王座を打ち立てるのか‼︎ それはこれからやってみないと分かりません。しかし! この試合会場に来ている人! そしてこの中継を見ている全ての人の記憶に! この白熱するであろう戦いの記憶を植え付ける事でしょう‼︎ それではそろそろ1回戦目の火蓋が幕を開けます!』

 

その後は簡単にルールが説明された。東場のみの4局で次の試合に臨めるか決まるもので、萬子、筒子、索子それぞれ1つずつに赤ドラを加えるものとする。ただし、場風牌と自風牌を重ねて2飜としてはならないというルールだったっす。

 

そして私はテレビ画面を凝視していた。正直レベルが違いすぎて、どの予選を勝ち抜いて来た選手もとても参考になったし、美しいと思った。でもそれよりも目を引いたのが……

 

(……やっぱりこのジョースターって選手……星条くんと打ち方が似ている)

 

仕草は別人に見えたっす。でも打ち方は……彼そっくりだった。そして……

 

『ここで……ここでなんと、なんと‼︎ ジョースター選手がロンしたぁっ‼︎ そして役は……っ⁉︎ ま、萬子の九連宝燈だぁっ‼︎ 萬子を出しているにもかかわらずこの引き運‼︎ そしてロンされた選手はハコになってしまったぁ! よって……第4回麻雀世界大会勝者は! ジョルノゴ・ジョースターさんです‼︎』

 

その大会で優勝者はジョルノゴ・ジョースターさんになり、中継している人も最後に思った感想を言っていた。その時下の方にジョルノゴ・ジョースターからのお知らせと書いていたから、番組を変えずにそのまま待っていた。

 

そしてCMの次に映ったのが、スケッチブックを持っているジョースターさんだった。そこには文字が書かれていて……

 

《今日この試合会場、並びにテレビを見てくれた皆様に感謝いたします。、そして今回この大会に出場してくれた選手の人達にも……一緒に打てて楽しかったという事を伝えたいです》

 

英語で書かれていたものの、字幕があったので意味は理解できたっす。そしてジョースターさんはスケッチブックを1枚めくった。

 

《さて、今回お知らせしたいのは、私個人で提案したものです》

 

《来週の5月18日土曜日、私は日本の長野の地にて大会を開催するというものです。これは初の試みというのもあり、参加できる地域の人は制限させてもらいますが、男女等の制限、年齢や学歴も制限はありません。ただ……麻雀が誰よりも好きだと思っている人、私と打ちたいという人は、誰であっても歓迎します! 応募方法は、インターネット上に掲載していますので、もし打ちたいという人がいれば参加して見てください! そして最後にも言いますが、今回私達の勇姿を見てくださった方に、本当に感謝しています。それでは……またいつか会いましょう》

 

最後にはジョースターさんが手を振って、その番組は終わった。

 

それが終わった後、私はすぐにインターネットで応募方法を検索した。応募についてはまず、自分の名前と住所を入れる。最初はそれだけ。次に出た欄に、その大会に出るために予選が開かれるというものだった。その予選の日と都合のいい日時を選択して決定ボタンを押した。

 

それが最後の選択欄で、後から確認画面が出て来た。これで同意するなら、1番下の確定ボタンを押して予選に出場登録完了となる。そして私は、確定ボタンを押した。

 

「……あの人が本当に星条くんなのかどうか……会って確かめたい」

 

さっきまで抱いていた感情はもう消えていて、今はそれだけしか頭になかった自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

to be continue →




「あのジョルノゴ・ジョースター……一体彼は何者なのだろうか?」

「しかも今度はこの長野でやるそうですよ? 応募方法のところで確認して見たんですけど、全国予選が行われる会場でやるって……」

「ワハハ、それは私達も参加しようと思えば参加できるかもしれないねぇ」

「でも参加する人って何人くらいになるんでしょうかね?」

「それは私には分からない。だが、この大会に参加することはこれから麻雀をやる上でも大切な経験になるに違いない。私は出てみようと思う」

「おー、それじゃあ私も出てみようかなー」

「えっ? これってみんな出る雰囲気? なんですか?」

「わ、私も今の自分がどれだけやれるかためしてみようかな……」

と言うことで次回に続く!


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11話 ふざけんじゃねぇ‼︎

「おい作者? 今回の……なんか色々とおかしな点あり過ぎじゃね?」

……あり過ぎました。

「まぁでもそんなのいつもの事だし? 一応見てやろうじゃあねぇか。んじゃあ、スタートだぜ!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やぁ皆! 俺の名前はジョルノゴ・ジョースター! 先週行われた麻雀世界大会で4連覇を成し遂げてきたところだぜ‼︎

 

はぁ? お前は誰だってぇ? おいおい……まさかこの物語でこんな話し方する奴他にいねぇだろ? 俺だよ俺! あぁ⁉︎ 分からねぇってぇ⁉︎ 逆に今時そんなの通用しないってぇ⁉︎

 

……あぁもう分かったよ。最初からちゃんと名前を言えっつってんだろ? はいはい、鶴賀学園1年の星条承悟で〜す。この前麻雀世界大会でジョルノゴ・ジョースターとして参加して4連覇してきました〜。

 

……これで良いんだろ? あぁ⁉︎ もっとやる気出せってぇ? ……もぅいいだろ。

 

まぁそんな事はさておきだ……最近東横の調子がおかしい。いつもなら俺にべったりとしてくるはずなのに、俺が大会から帰ってきた時からその回数が嘘のように減った。まるで何かを躊躇っているかの様な感じがした。

 

それにあの日から自分の事を姉と呼んでいたのに、何故かこれも私と元に戻っていた。

 

会話はいつも通りしてはいるはずなんだが……調子が狂う。この前の練習試合では、皆それぞれの戦績を収めてるって聞いてるし、悪いところはどこも無かったとも聞いている。

 

それ故に……気になって仕方がねぇ。だが、無理矢理聞くのも違う。だから俺は、東横が言うまで待つつもりだ。それがいつになるか分からねぇが……

 

(まぁ耐え切れなくなったら聞くかもしれないが……)

 

こんな事を考えながら、日常を送っていた。どこか満足できないと思いながらもな……

 

(それに、何故か東横は今週の1日だけだが部活を休んでるし……)

 

「いや……おかしいと言ったら、他の先輩方も何故か1日だけ休んでいた様な……」

 

まぁなんかの偶然だろうな。

 

そして金曜日も終わって、土曜日になった。この日は大事な用がある。

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いよいよ……いよいよこの日がやってキタァ‼︎ 麻雀世界大会がアメリカで行われて1週間後のまさに今日! ここ長野で初の試みが行われようとしています!』

 

なんか司会のやつ……スゲェテンション高いんだが……

 

『今回の大会は世界麻雀協会が主催したものではなく、ジョースター選手自らが主催したものであり、また世界的に見ても世界トップ選手が開くのは初めての試みです。そんな初の試みの中! 日本の長野で開かれるとは、私達日本の麻雀ファンにとってはとても嬉しい事です‼︎ では早速ですがジョースターさんにインタビューして見ましょう‼︎』

 

(えっ⁉︎ まさかの最初にこっちにふられんのかよ⁉︎)

 

『えぇ……では早速なのですが、今回何故ジョースターさんはこの地で開催しようと思ったのよでしょうか? ……あっ、に、日本語は大丈夫だったでしょうか?』

 

おい‼︎ そこ考えずに質問してきたのかよ‼︎ 全く……まぁ誤魔化せるけどな?

 

〈日本で開催する事は前々から計画していたので、日本語で質問されても大丈夫です。また、何故日本で開催するのかについては、昨今の日本から輩出される雀士の方々が強いということもあって……ですので、日本で麻雀している人と打ってみたいなという考えもありました。長野で開催する理由は、クジ引きで決めさせていただきました〉

 

『お、おお! そうだったんですか⁉︎ それにしても字も上手ですし、何より丁寧ですね。いつから日本語は学んでいたんですか?』

 

〈実は昔、日本で過ごしていた事もありまして……その為にある程度の日本語はその時に学びました。丁寧な所は、努力したからと答えておきます〉

 

『なるほど! そうだったんですね‼︎ まさかジョースターさんが日本で住んだことがあったのは驚きです! はてさて、掴み部分の質問はこれで終わりにするとしまして、ここからは今回行われる麻雀についてお話を聞かせていただきたいなと思います! ジョースターさん、今回の大会は年齢や学歴は一切関係ないとの事ですが、その中からジョースターさんを将来的にも超える人物が現れるかもしれないとは思っていますか?』

 

〈えぇ、そこは勿論思っています。あるいは、今日私を超える人も中にはいるとも考えています。ですがその前に、今回参加してくださった方と純粋に楽しみたいという気持ちが強いです。最後まで勝ったからどうという訳ではなく、今回は純粋に楽しんでほしいです〉

 

『ジョースターさん、コメントありがとうございます! それでは、試合開始の時刻も刻々と迫ってまいりました! 早速ではありますが、今回予選を勝ち抜いてきたから選手達の対戦表を発表致します‼︎』

 

大きなスクリーンに対戦表が出た。今回は元からある点数からのプラスが大きい順に評価していくという方式を取っている。このトーナメント……主催した俺も出る。まぁ負けるつもりはないし、でもさっき伝えたように楽しむ事を優先するがな?

 

んでスクリーンを見ていたんだが……

 

(はぁ⁉︎ 加治木先輩に蒲原先輩……それに津山先輩に妹尾先輩まで⁉︎ つぅことは……)

 

俺は無意識のうちか、もう1人の名前も探していた。最近は何故か余所余所しいと感じてしまう……あの子の名前を……

 

そして俺は見つけた……東横桃子の名前を……

 

選手は番号が振り分けられていて、それでどこの卓か支持される。まぁ、俺が鶴賀学園の麻雀部の人と当たるかは分からねぇが……まぁ自動的に振り分けられるからな。当たった時はいつも通りにやるさ。

 

そして試合は始まっ

 

 

ー試合は早くも最終戦へー

 

た……ってはやっ⁉︎ えっ⁉︎ いつの間にこんなに進んだよ⁉︎ おいさくsy『さぁ! この大会もいよいよ終局になってまいりました‼︎ ジョースターさん、今のお気持ちはどうですか?』し、司会者がここで俺に質問をふるだと⁉︎ ……おのれ作者めぇ……

 

とりあえず司会の質問には答えよう……

 

〈私もここまで参加者の皆さんとは戦ってまいりましたが、プロアマ問はず個性が抜きん出ている方も大勢いた様に感じます。その個性をこれからも磨いていって欲しいです〉

 

『はい、ありがとうございました‼︎ ではここで、最終決戦に進出する選手を発表致します‼︎』

 

そしてスクリーンに選手の名前が表示された。今回は……まぁ俺もいつのまにか試合に参加していた様で(何故か試合が始まったかと思ったら最終戦になっていたため……)俺の名前が呼ばれる。

 

まぁ? 主催者も大会に混じるってほとんどない様だから違和感がある。んでも、だからこその試みな訳だが……

 

そして1人また1人と紹介された。その2人はどっちとも男で、少しヤが付いてしまいそうな雰囲気はあった。まぁ雰囲気だけな? そして最後の1人は……

 

『最後の1人は……なんと高校生! また試合の時は、相手は何故かその選手に振り込んでしまうという謎現象を引き起こした今大会のダークホース! 鶴賀学園1年! 東横桃子‼︎』

 

……ここまで勝ち残ってきたんだな……。あの大会以来、素っ気ない態度されて悩んでいた。でもこの場で……この場でなら、それを知ることもできるかもしれない。これはただの勘だ。

 

それに俺の正体も東横には知らせてない……ましてや誰にも分かってないだろう……

 

(でも俺は……いつも通りの麻雀をして……この大会に参加してくれた東横を楽しませてやる!)

 

もう大会を開いた主旨とは随分離れた感じはする。だが俺はこれでいいと思う。なにせ試みだ。ダメだったらまた考え直したら良いだけだ。だから……

 

「この試合……全力で楽しんでやるぜ」

 

誰にも聞こえない口調でそう呟き、俺は卓に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

 

 

いよいよこの大会もここまで来たっす。最初はただ……あの人が星条くんかを確かめるものだった。でもやっているうちに楽しくて……そうしたらいつのまにか相手が勝手に私に振り込んでくれたり、相手から見逃しもされた。いつも麻雀部で出てくるその能力が出ていたっす。

 

こんな初対面の人達の前だと、緊張して能力が出るまでに時間がかかるはずだったんすけど……あの人と打ちたいと思った影響か、試合が始まってすぐに能力が発動していたっす。私と打った人達は、私に振り込むたびに驚いていた。

 

その結果として、決勝まで登ったっす。そこには、予選で打ったことのない男の人2人と……

 

(この人が……ジョースターさん……)

 

テレビ越しでは感じられない迫力が感じられたっす。でも……

 

(それと同時に……落ち着いている私がいる……)

 

これは……星条くんと打ってる時と同じ感じ……

 

その感じを感じながらジョースターさんを目に映した。その時に、一瞬だけっすけど……星条くんがそこに立っている気がした。

 

でもずっと見ているわけにもいかなくて、ジョースターさんもこちらを見てきたからさっと目をそらしたっす。グラサンをしていたっすけど……私はこの体質だから人の視線にも少し敏感なところがあるっす。

 

今は多分、この場にいる人達に私の姿は見えていると思うっすけど、もう少し時間が経ったら見えなくなると思うっすね。

 

そして試合は始まったっす。最初は丸井さんという方で、席順は東から丸井さん、私、秋口さん、ジョースターさんとなったっす。

 

そして今は秋口さんの8巡目で、索子の2を切ってリーチしてきた。秋口さんの捨て牌率を見ると、見るからに索子が多かった。でも所々に出してない部分もあったので、そこも注意しながら打つ。

 

次はジョースターさんの番で、山から牌を取る。そして迷うそぶりを見せず、それを加えて手牌から牌を捨てた。どうやらそれは安牌の様っすね。丁度いらない牌があるので、次はそれを捨てることにするっす。

 

それから何巡目かで丸井さんが秋口さんに振り込んだ。安い手ではあったっすけど、親が私に流れてきた。そしてここからは……

 

(ここからは……ステルスモモの独壇場っすよ!)

 

丸井さんと秋口さんには、この状態になった私を認識することはもうできないと思うっすけど……問題は……

 

(ジョースターさんがもし、星条くんと同じくこの状態の私を認識する事が可能なら……)

 

少し複雑っすね……私を認識できる人が親や星条くん以外で普通に認識できるとなると……

 

そう考えると何故か悲しい。この私の能力は特別だと思っていた。高校生になるまで、私を認識できる人はいなかった。親でさえ……私の事を認識しづらくなった。

 

そんな中……星条くんと出逢った。私の事を認識できる人に……それから私の日常は変わった。親とも昔の様に楽しく接する事ができた。そして私の隣には……いつもとは言わないけど星条くんがいた。星条くんといると……いつも楽しくて嬉しくて……そして……

 

(あっ……私……星条くんの事が好きなんだ……)

 

今気付いた……私は出逢った時から星条くんのあの笑顔に救われて、そして接しているうちに好きになっていったんだ。だから、星条くんに会えなかったあの日も寂しかったんだと思う。

 

(でも結局はこれも私よがりで依存になるのかな……)

 

だけど今はそれを考える前に、この大会を楽しもう。そして……ジョースターさんが星条くんなのかどうなのかを確かめるっす! そのために……

 

「ロン! 8000っす!」

 

「ツモ! 3900オール!」

 

「ロン! 5800っす‼︎」

 

この試合……全力で楽しむっすよぉ‼︎

 

そして私の4本場になろうとした時……

 

「イカサマだ!」

 

そんな声が会場に響いた。それを発したのは秋口さんだった。

 

「さっきからリーチかけてる様だけど、こっちはそんな宣言全く聞こえてないんだよ!」

 

「そ、そんな……私はちゃんと!」

 

「嘘をつくな! なら丸井さんにも聞いてみようじゃねぇか! 丸井さん! あんたにはこの子のリーチ宣言が聞こえたか⁉︎」

 

「えっ? そ、そうですね……僕にも聞こえてなかったんだけど……」

 

「ほら見ろ! 丸井さんにも聞こえてねぇみたいじゃないか! この卓で2人も聞こえないんだったら、そんなのイカサマに違いない!」

 

秋口さんの視線が……私には怖く見えた。そして……会場で見ている人達も私に視線が集まって……それも怖く思えてきた。

 

怖い……怖い怖い怖い怖い怖い……

 

(助けて……)

 

私は……依存しているかもしれない……でもその時は……心の中で助けを求めるしかなかった。あの人に……太陽の様な笑顔を向けてくれるあの人に……

 

(助けて……星条くん……)

 

涙が私の頰を伝った時だった。

 

「……ねぇ」

 

(……えっ?)

 

その声は……私が今1番聞きたい人の声だった。でもどこから? 周りを見渡しても、それらしき人はいない。いや、そもそも星条くんは私よりも麻雀が好きで強い……なら、この大会に出ていてもおかしくないはず……なのにこの大会では見かけなかった。それにあのスクリーンにも映っていなかった。なら……どこから聞こえたんだろう?

 

「観客にだって聞こえてねぇはずだ! それがこの反応だろう⁉︎」

 

「……じゃねぇ」

 

(また……聞こえた……)

 

「こんな試合! ジョースターさんに恥ずかしいとは「ふざけんじゃねぇ‼︎」っ⁉︎」

 

「その子はさっきからリーチをかけていた時、ちゃんと宣言していたぞ。それは中継でも取られているはずだ。お前達に聞こえてないのは……ただ単にその子の声を聞こうとしてねぇからじゃねぇか?」

 

それを言ったのは、ジョースターさんだった。でも、そんな事よりも……

 

『じょ、ジョースター選手が喋ったぁ⁉︎』

 

いや違うっすよ‼︎ そんな事よりももっと驚く事があったっす……

 

「そんでテメェ……確か秋口って言ったか?」

 

「あっ……は、はい……そうですが……」

 

「テメェ……その子の事をイカサマと言ったよなぁ? ちゃんとリーチ宣言したその子にイカサマっつったよなぁ?」

 

「で、でも俺には全く聞こえては「つべこべ言ってんじゃねぇ! そんなこと言うんだったら、俺を含めた現役のプロや高校生で有名な人で強い奴らは皆そんなんばっかだぞ。その人達にもイカサマとテメェは言うのか?」い、いえ……そんな事は……」

 

「ほぅ……なら、現役でプロの人達や高校生で誰もが知っていら様な選手にはイカサマと言わず、この子にはイカサマと言うんだな? ルールに則ってちゃんと、そして楽しみながら打っているこの子には言うんだな?」

 

それを聞いていた秋口さんはとても震えていた。途轍もなく震えていて、さっきまでの態度は消えていた。

 

「それに……テメェはこの子を傷つけた。俺はそれが許せねぇ。だから……」

 

ジョースターさんがきていた服を脱ぎ去った。正確に言えば、上着を脱ぎ去っていたっすが……問題なのはそこじゃないっす。脱ぎ去ったその後……そこには……

 

「次の局……俺はテメェを飛ばしてやるよ‼︎」

 

秋口さんに対してハコ宣言をする星条くんがいたっす!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は……東横がイカサマと言われるのが我慢ならなかった。彼女が傷付いてしまうのが我慢ならなかった。

 

だから俺は、この場で正体を明かした。4年間……誰もがずっと俺の素性を知らないでいた。頭には……マナー違反ではあるが帽子を付けていた。そしてグラサンもかけて、口はつぐんで喋らない様にしていた。これは、俺をプロデュースしている人に対してもその態度を取っていた。

 

俺がいくら非難されても馬鹿にされても……怒るなんて事はしなかった。それで自分の素性がバレるのが怖かったからじゃない。ただ起こる理由が無かったからだ。

 

俺が非難されるのは……それを言う人達にとってはそう見えただろうから。俺が馬鹿にされるのは……この格好や態度が非常識に見えただろうから……とかそんな風に考えていた。

 

だが俺は……我慢ならなかった。俺以外の……しかも純粋に麻雀を打って楽しんでいる彼女に対してイカサマと言われたのが我慢ならなかった。そして……東横が傷つくのが我慢ならなかった。

 

だから俺は……今この場で……テレビでも生放送されているであろうこの場で姿を晒した。

 

こちとら、この姿を隠していたのは……メディア関連が面倒臭かったからだ。嗅ぎ回られるのは好きじゃないし……でも俺は……それよりも目の前で、俺にとっての大切な人が傷つく方がよっぽど見たくなかった。

 

それに、東横が助けを求めている気がしたんだ。だから、俺がここにいるって安心させてやらねぇとな? 後は……東横をイカサマ呼ばわりしたあの秋口って奴を叩きのめすだけだ!

 

「さぁ……続きをやろうか? それで最初に言っとく……俺が上がる時は、あんたが箱になる時だ」

 

その言葉でこの場は不穏な空気になる事は分かったが……いまの俺にそんな事は関係ねぇ! ただ、東横を侮辱した奴を叩きのめす事しか考えてはいなかった。

 

そして東横が親の2局4本場が始まった。自動卓から牌がせり上がってくる。

 

そんで俺の手牌……萬子索子筒子字牌がバランス良く揃っていた。ただ……これは九種九牌でこの場を流すこともできる。だが俺はそんな事はしない。何故なら……これは俺が望んだ手だからだ。

 

そして俺の番……俺が1番初めにこの牌を加えるか加えないかで俺の作る役は決まる。

 

それを引いた承悟の空気が変わった。少しだが、承悟の周りが光った気がした。しかしそれは、この場にいる殆どの人が気付いてはいない。ただ……東横だけはそれに薄っすらと気付いていた。あの……最初の日に承悟に出逢った時の笑顔と一緒の輝きだと……

 

 

 

 

 

 

 

to be continue →




「……これどうなん? 正直この終わり方……不満かわなくねぇか?」

……すみません。

「そもそも……ちょっとこの試み無理があったんじゃね? 確かに主人公をカッコ良く見せようってのは分かるけどさ? でもこれは……ずさんじゃね?」

……正直者書いていると行き詰まりました。ですがそのまま終わるのは……私としても嫌だったので、無理矢理にでもと……

「……はぁ〜。まぁ作者の気持ちも分かるわぁなぁ……多分お前以外にもこういう事にぶち当たる奴はいるだろうな。でもこれまだこの大会終わってねぇだろ? なら最後まで書けよ?」

それは勿論です。

「よし! ちゃんと約束したからな‼︎ 読者の皆も、なんか変な展開になりすぎてついて行けねぇかもしれねぇが、作者は一応この作品で色んなの妄想してるからよ! だからそれが気になるんだったら、また見に来てくれよな‼︎」


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12話 迷惑なんかじゃあねぇ‼︎

「今回すげぇ遅れたな?」

なんか中々書けなくてですね……

「まぁいいや。とりあえず久々に始めようぜ?」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目の前で……東横がイカサマ呼ばわりされた。

 

 

俺の目の前で……東横が傷ついた。

 

 

東横が俺に助けを求めている様な気がした。

 

 

そして俺は……目の前で東横がそんな悲しそうで辛そうな表情をしているのが……

 

 

許せなかった。

 

筒子1

 

だから俺は……

 

萬子9

 

(俺は東横を傷つけた奴を許さねぇ……絶対にだ‼︎)

 

索子9

 

俺がこれを引いて手牌からいらない牌を捨てた後、懐からバンダナを取り出しておでこに括り付ける。それを見ていた他の卓の連中もその動作に緊張を露わにしていた。にしても……

 

(この感覚……あの時以来だ。何もわからず純粋に打っていた……あの子供時代の時と)

 

役なんて正直分からなかった。ただ……同じ奴とかを揃えればそれで良いって思いながら打ってた。その子供時代の感覚が蘇るかの様に……今の俺は、秋口って奴をぶちのめすと思うと同時に楽しいと思える。

 

(俺の手牌は揃った。後は待つだけだ)

 

星条は静かに待つ……相手が牌をきるのを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 東横

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星条くんの正面に座っていた。その場で真剣な表情で打つ星条くんの姿に……私は魅力された。確かにいつも真剣には打っていると思うっす。

 

でも今回は……いつもと同じ様に真剣に打っている感じはするのに、彼の顔を見ると笑っていた。それも、私が初めて会った時と同じ様な太陽の様な輝きを持つ笑みだった。いつもの様な悪巧みをする笑みじゃない。

 

そんな顔を見てしまったら……見てしまったから……

 

トクン……

 

「んっ……」

 

つい声が漏れてしまった。他の人にはかろうじて聞こえてはないと思うっすけど……

 

(か、身体が熱い……)

 

今の星条くんを見ると……何故かはわからないけど身体が熱い。できれば身悶えたいっすけど……ここでは我慢する。他の人には見えてはいないと思うっすけど……カメラの方には写ってると思うっす。それに……

 

(正面の星条くんにも……見られてると思うし……)

 

星条くんに見られること自体……嫌じゃない。ただ……身悶える姿の私を見られたくない……今はそう思ってしまう。

 

でもそれと同時に、今の笑みを浮かべた彼を見ると元気になってくる。さっきまでの嫌な気持ちが段々無くなって、明るい気持ちになった。だからか分からないっすけど……牌を切る時がとても軽い。それで……今打っているこの瞬間がとても楽しい!

 

(これも……星条くんの笑顔の影響っすかね?)

 

本当に……彼には助けられてばかりだ。彼がいたから、私は高校生活は毎日が楽しいし退屈じゃない。それに、こんなに人が多い場にも出ることができた。

 

そして、今私は目の前で彼と……星条くんと一緒に打ってる。いつもの様に……楽しいと思いながら打つことができている。

 

星条くんはさっき、次で終わらせると言っていた。その発言は、私のために言ってくれたこと自体とても嬉しい。でも……

 

(私は……この楽しい時間を終わらせたくない‼︎ だから‼︎)

 

「リーチ‼︎」

 

私は……もっと貴方と打っていたい‼︎

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東横がリーチをかける。他の奴には見えてないかもしれない。だが俺はしっかり見えている。東横がさっきの様な不安な顔じゃなくて、笑った顔でいつもの様に打っている事を……

 

それでここに来てリーチをかけて来た。でかい手なのは間違い無い。でも俺も……ここまで来て引くわけがない‼︎

 

東横が捨てた牌を見てみると、どの牌も満遍なく捨てられていて分からない。だが……

 

(粗方の予想はついた。多分東横が待っている牌は……)

 

俺の予想が正しければ……

 

承悟がそう思っていた矢先……承悟の次にツモを切る秋口が山から1つ牌を取る。しかしその取った牌が悪かったのか顔をしかめる。そしてそのまま手牌に加えず捨て牌にした。その瞬間……

 

「「ロン‼︎」」

 

その場に2人の声がその場に響いた。1人はリーチをかけていた東横だった。秋口が捨てた牌は筒子の9……その捨て牌で出来た東横の役は……

 

「リーチ、一発、清一色……倍満で16000っす」

 

「な……なっ⁉︎」

 

『おおっと⁉︎ 東横選手のロンが決まったぁ‼︎筒子のみの清一色! 鮮やかな手並み‼︎ そしてもう1人ロンした人は……』

 

「俺だぜ」

 

承悟は自分の手牌の両側を持って前に倒した。その結果は……

 

「国士無双……32000点だ」

 

『こ、国士無双だぁっ‼︎ なんと今大会初の役満だー‼︎』

 

全く……司会者のテンションが下がる気配がない……こっちが脱帽するくらいだ。それで……ここで点数計算してみようか。

 

秋口って奴は……まぁそこまで点数はないだろうな。あんなにばかすか取られたんだ。その証拠に意気消沈してやがるし……

 

まぁ? 自業自得だ。東横をイカサマ呼ばわりしたんだ。これぐらいで済んだ事をありがたく思って欲しいくらいだ。

 

丸井って奴の方は……特に何もしてねぇしお咎めは無しだ。でもロンする時は普通にロンさせてもらうがな? それよりも……

 

(東横……なんて楽しそうに打ってやがるんだ)

 

確かこれで東横が親の4本場だったか……8本場まで行くと強制でその親が勝つってルールがあったと思うが……

 

(それで勝ち越されるのもこっちとしちゃあ面白くねぇな……楽しく打ってくれるのは何よりだが、こちとらプライドは持ってる。早々に親を流させてもらうぜ?)

 

4本場が始まった俺の手牌……これって本当に機械がランダムで配ったのか? 何せ白・撥・中が2つずつ揃ってやがるし……まぁここはあまりでかい手を狙わずに親を流すか。まぁ小三元にはするが?

 

結果的に俺は10巡目に行かないくらいで小三元で上がった。4巡目ではもう白と撥が3つ揃っちまったからな……だから後は適当にした。そこでドラも2つのって子の6飜……跳満の12000を掻っ攫う。因みに東横からだがな?

 

本人の顔を見ればとても悔しそうにしていたが……それでも戦意喪失はしちゃいなかった。いやぁ……本当に今が面白い!

 

(ただ……昔から家族とこんな風に打ちたかったっていうのは……我儘な事かな……)

 

一瞬そんな事を思いながら、今を全力で楽しむために俺は丸井の親を安手で流した。

 

そして俺の親……俺の手牌は索子中心だ。って……これは……

 

(俺はもう何で和了るか決まったぜ……さて、東横はどうする?)

 

いつものような悪巧みの笑顔を浮かべながら承悟は東横を見た。東横は承悟の視線に気付いたようで、臨むところだと言った意味合いで視線を返した。

 

それから場は進んでいった。承悟は索子以外を捨てながらもう1つある牌を待ち、東横は東横で全ての種類を満遍なく捨てて行く。しかしながら傾向としては真ん中の牌が多かった。そんな時……

 

(げっ……これは中々に危ない牌だぜ……)

 

承悟が手にしたのは筒子の9……その牌は、未だに捨て牌の場には無かった。

 

(えぇい! ままよ‼︎)

 

承悟は筒子の9を捨てた。それを見計らってか……

 

「ポン!」

 

東横がそれでポンをした。そして捨てたのは撥だった。

 

(……東横の奴分かってやがるな)

 

俺の手元には……撥は1つだけ。後もう1つ来てくれればなぁ……と思ってた時

 

「ろ、ロンです! 四暗刻の役満で32000です‼︎」

 

丸井って奴がその撥で四暗刻を決めた。それで俺の親も流れてそのまま試合は終了……会場は拍手に包まれたが、俺は何とも打ち足りなかった。

 

(でも……東横な様子がいつもの様に戻ってよかったぜ)

 

終わった後はその事ばかり考えていて、その後司会者に何を問われて何を答えたか覚えては無い。その状態で楽屋に戻ったんだが……不意にドアがノックされた。それに応えると、スタッフさんが入って来て、俺にお客さんですと言ってきた。誰だろうかと思ってたら……

 

「ほ、星条くん……」

 

「東横……」

 

俺としては全くの予想外だった。まさか東横が俺のところに来るとは……だってここ高校じゃねぇしさ? でも何の用なんだろうな? 世間話……? でも別に構いやしねぇが……

 

「星条くん……その……私が来て迷惑じゃあ……無いっすかね?」

 

……ん? なんだって?

 

「と、東横? そのぉ……なんだ。確かにいきなり来られて驚いているのもあるんだがな……そのせいかさっきなんて言ったのかよく分からなかったんだ。だから……もう1回言ってくれないか?」

 

「わ、私が来て……その……星条くんは迷惑じゃ無いっすか?」

 

「は? 迷惑な訳ねぇだろ? なんだいきなり?」

 

「その……私のせいで、星条くんにさっきの大会で迷惑かけてしまったっすし、それに……私星条くんの事考えずにいつも自分勝手に振舞ってたかなって……」

 

そう語っていた東横は……泣きそうな顔をしていた。俺はまた、いつのまにか東横に辛い思いをさせてしまっていたようだ。だけど理由が分からない……情けない話、今回は思い当たる節が無い。

 

(いや……ただ俺が見落としているだけかもしれねぇ)

 

でも、考えても考えても分からねぇ……俺は一体東横に何しちまったんだ?

 

(ただ……様子がおかしくなったのは今週からだよな? とすると、何かあったのは先週の金曜日から今週の日曜日にかけての3日間の間? 俺がアメリカに行ってる間に何かあったって事になる……)

 

「東横……良かったらで良い。そう言ってしまう訳を話して欲しい」

 

「……私、星条くんがアメリカに行ってから、ずっと寂しかったっす」

 

「授業中も全く手が入らなくて……練習試合の時はいつもの様な調子でいけたのに、その後は全く違って……それで何でなのか考えたっす。そしたらっすね……」

 

「私……星条くんが傍にいないとダメだって……星条くんが私の隣にいないのが寂しいって……そう考えついてしまったんっすよ」

 

「そこからまた深く考えた。そう思ってしまったのは何故だろうって? それで分かったんっすよ。私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は……星条承悟くん……貴方の事が好きだって……大好きだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう……だったのか。東横は……俺の事が好きだったのか。しかも友人ではなく異性として……

 

「でも……それと同時にこうも思った。相手の事が好きなら……相手の事も深く考えなくちゃって。それで私は……星条くんに依存してるんじゃ無いかって思った」

 

「依存?」

 

「そうっすよ……そう考えたら、いつも星条くんに対して姉の様に接している私が気持ち悪い存在に思えたんすよ」

 

……だから最近、妙に様子がおかしかったのかよ……

 

「そう思ったから私……星条くんに聞きたい。私は……星条くんにとって迷惑じゃ無いっすかね? 私……」

 

さっきの試合とは違って……いや、心の中では不安だったんだろう。それに……俺は気付けなかった。だからそれについては、俺は東横に謝りたい。でも……それよりも前に東横に言いたい事がある!

 

「この……」

 

「……?」

 

「このっ……馬鹿野郎‼︎」

 

「っ⁉︎ ほ……しじょうくん?」

 

俺は……初めて女の子に馬鹿野郎って言った。女の子に対して汚い言葉は……出来る限り使わない様にしていたんだけどな。だけど、今回は使わざるを得ない。いや……使わないと俺の想いが届かないと思ったんだ。

 

この……今俺の身体の中を巡り巡ってるこの熱い想いを……東横に知って欲しい。分かって欲しい。そんで俺も言ってやるんだ‼︎ ……まぁ抱きしめてしまったのは勢いだけどな?

 

「俺が……俺がいつ東横の事を迷惑っつったよ⁉︎ 迷惑だったならこちとら最初から相手してねぇんだよ! 俺はな? 俺は……お前がいつも一緒にいてくれて助かってんだよ」

 

「私が……一緒にいて?」

 

「そうだよ! 他の誰でも無い! 東横、お前がいつも傍で笑ってくれるから……俺はいつも孤独じゃあねぇんだよ。昔みたいによ……誰もいない寂しい所で泣く事なんてもうない! その後悲嘆に暮れることもない‼︎ 俺は……東横に救われてんだよ」

 

「……本当に?」

 

「当然だろうが……! だから……東横が俺の事を好いているって言われて嬉しいんだよ。んで……俺も東横……お前の事が好きだ。だから、俺にどんだけ依存したって構わねぇ! というかいつもの振る舞いが依存に入るのかって思うほどだぜ? それに俺……東横なあの姉キャラな……気に入ってんだ。だから……毎日よ……あぁ振舞ってくれねぇと……困る。だから……だからよ……自分の事迷惑だなんて……もう言うんじゃねぇぞ……?」

 

「うん……うん! 私……ううん……お姉ちゃんはもう、そんなこと言わないっすよ。そしてこれからも……星条くんの事好きでい続けるから」

 

その日、星条と東横は恋人同士となる。




あぁ……あぁ……やっと書けた……しかも久々に!

「ウルセェよ作者‼︎ それに最後のあれ……な、ななななんだよ⁉︎」

(´・ω・`)

「えっ? なんだよその顔⁉︎ なに見て分からないのって顔してんだよ⁉︎」

だって事実でしょ?

「こいつムカつく……」

「まぁまぁ星条くん! それはさておきとして、私達……やっと恋人になれたっすね‼︎」

「あ、あぁ……それはそうなんだがな……」

「もしかして……お姉ちゃんとは……いや?」(ウルウル)

「ばっ……馬鹿言うなよな⁉︎ そ、そんなん……嫌な訳ねぇじゃねぇか! 寧ろ好きだよ‼︎」

「ならいいと思うっす。さて! 次回は、なんと今回恋人同士になった私と星条くんが大人の階段登っちゃうっすよぉ〜! 皆さん乞うご期待っす!」

「しません! そんな事したら話変わるから‼︎ というよりタグも変わっちまうから‼︎ ま、まぁ次回も見てくれよな?」


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13話 R-15 東横とのデート

久しぶりです皆様……お元気にしていらっしゃったでしょうか? 私作者は……まぁ元気です……

「おいおい! なに久々なのに辛気臭くしたんだよ? もう少し元気出せよ!」

まぁそうなんですけどねぇ……なんていうかですねぇ……

「だぁーっもう! ウジウジしやがって‼︎ んなことより早く物語に移るぞ‼︎」←諸悪の根源


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

髪型は……あぁ、いつもと変わらない。というか寝ても覚めても、挙げ句の果てに風呂に入って乾かした後もこうだ。

 

ともかくとして髪型は問題ない。次に服装は……Gパンに深緑の半袖の上から赤色で袖のない薄地のカーディガンだ。

 

あぁ? 何で服装とかを気にしてるかだと? まぁそうだな……今日は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ち合わせ時間には……15分前だな」

 

俺は都市部に来ていた。都会ほどではないが……ここも長野でいえば発展してる都市だ。

 

そして俺は、駅前にある噴水広場にあるベンチで読書をしながら待っていた。その本の題名は、《自分のやる気スイッチを入れる10の方法》という奴だ。これが案外面白い。

 

っと、そんなこんなで待ち人が来たぞ。

 

「承悟く〜ん! お待たせっす〜♪ 待ったっすか?」

 

「ん? いや、こっちも来たばかりだぜ! じゃあ早速行こうか‼︎」

 

そう、何を隠そう今日この日は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東横とデートの日なのだから‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「承悟くん、まずどこに行くっすか?」

 

「そうだな……先ずは服でも見に行こうぜ」

 

ってな訳で最初に来たのは全国的にチェーン店として展開しているユ◯クロだ。因みに今の東横の服装についてだが、黒いシャツの上から長袖で薄いカーディガンで、正面を2つのボタンで留めている。そして黒いズボンを履いていた。タイプとしては、脚のラインが出るようなものだった。

 

ここで俺の東横に対する評価を合わせてもらおう。実に……実に俺好みで素晴らしい‼︎ 東横は、どちらかというと基本色は白でスカートといったような少し大人の様な感じのお姉さん風、ってな感じのファッションが似合うと思うが……個人的には俺、女性が履くのはスカートよりもズボン&パンツ系なんだよな‼︎ それがロング丈かショート丈かは別として……

 

ともかく俺は今の東横の服装は気に入っている。

 

それでさっき東横に今日の服装の事を褒めたら、凄く嬉しそうにしていた。俺に会うまでは……やはりというか自分の体質上、大勢の人がいる中でも認知されずに過ごして来た事もあって、自分の服装でどうこう言われた事はなかった様だから、それも相まって俺から褒められた事が嬉しかった様だ。

 

よし、今度からどんどん褒めていこう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……て話があったのはいいんだけどさ……今俺的にかなりマズイ状況にある。何かって? 知りたいか? ほんとに知りたいか? ホントのホントだな⁉︎ ならもうここからは後戻りできないぞ‼︎

 

何がマズイかって……それは俺達が今いる場所だ。それも男子が立ち入ったらマズイ所だ。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「承悟くん! これなんすけど……私に似合うっすかね?」

 

(女性専門の下着売り場! ランジェリーショップだよぉ‼︎)

 

lingerie shop……何故英語に態々直したか疑問だが、俺はユニクロで俺の分と東横の分を何着か見繕った後、東横がそのお礼にある所に連れていきたいと言い始めたのがきっかけだった。

 

その時の俺は……東横がユニクロで俺の好みは別として物凄いファッションセンスを披露してくれた事もあって正に眼福物だった。つまり何が言いたいかって? 最高にハイッて奴だぁ‼︎ もう最高だね‼︎ てな感じでテンションMAXだった事もあり、東横がどこに連れていこうとしているのか全く気にはならなかったんだが……

 

(ま、まさか男子である俺をこんな所に連れてくるとはっ……)

 

「承悟くん、どうっすか?」

 

そして目の前には……着替えスペースに入っている東横が下着しか着てない状態で俺に、自分の下着姿はどうかと聞いてきた。因みに色は黒だ。

 

「そ、その……」

 

「その?」

 

「……に、似合ってるし……と、東横に凄く合ってる……」

 

「っ! て、照れるっすねー‼︎///」

 

「っ⁉︎」

 

俺のその一言で、東横が顔を赤くしながらデレた……

 

(敢えて言おう‼︎ 眼福であると‼︎)

 

もうその一言に限る‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでランジェリーショップから出た俺達は、そこから昼食食べたり映画を見たりゲーセンに行って遊んだりと、デートを満喫した。今はその帰り道だ。

 

「承悟くん、今日はとても楽しかったすね!」

 

「そうだな! 俺……凄く楽しかった。誰かと一緒に……それも、俺の好きな人と一緒にこうして遊びに行くなんて無かったからよ。だから……凄く楽しかった」

 

「っ⁉︎ そ、その笑顔は反則っすよ……///」

 

東横がまたデレる。笑顔になった自覚はない。自覚はないが……自然と出てたんだろうな。

 

「承悟くん……その……これはお願いなんすけどね……」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「その……お姉ちゃんね……まだ承悟くんと離れたくなくて……だからその……承悟くんの家に行っても……良い?」

 

「グハッ⁉︎」

 

俺は東横のその言葉で精神ダメージを負っていた。だって口をグーで隠しながら上目遣い+モジモジしながら言ってきたんだぞ? これでダメージ負わん方がおかしいわ‼︎

 

「だ、大丈夫っすか承悟くん⁉︎」

 

俺に精神ダメージを負わせた本人は全く自覚はなく、ただいきなり口から血を少量吐いた俺の事を気遣っていた。

 

「あ、あぁ大丈夫だ」

 

俺は何事も無かったかのように振る舞い、東横の手を握る。

 

「っ⁉︎///」

 

「さて、じゃあ帰るか。俺の家にな?」

 

「っ! うん‼︎」

 

そして何事も無かったかのように自然に東横の手を握って帰り道を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでやっとこさ家に帰ってきた。勿論東横を連れてだが?

 

「今日は少し暑かったし喉乾いたなぁ……。俺お茶用意してくるからよ。だから東横は部屋で寛いでてくれ」

 

俺の部屋に東横を招き入れた後は、台所に行ってお茶の用意をする。そしてまた自分の部屋に戻って東横に振る舞う。まぁ簡単なおもてなしといった所だ。

 

それで今はというと……

 

「ふふ……承悟くんは相変わらずお姉ちゃんの膝枕が好きっすね♡」

 

「し、仕方ないだろ……東横の太ももが柔らかいのが悪いんだ……」

 

「承悟くんからそう言われるのは、お姉ちゃんとても嬉しいっす‼︎」

 

ぷ、プラスに受け止めるとは……

 

「それに……」

 

「ん? うわっ⁉︎」

 

急だったもんだから俺も情けない声をあげちまった。さっきまで後頭部にあった東横の心地よい膝枕の感覚が、いつの間にかベットの敷布団の感覚になっていた。相変わらず東横の顔は正面にある事はあるんだが……一体どうなった?

 

そう考えていると、俺の体は急に温かく優しく包み込まれた。そしてやっと状況を理解した。東横が俺に抱きついていたんだ。

 

「承悟くんとこうして身体を密着しているの……とても良い気持ちなんすよ。心がポカポカする様な……この感覚がお姉ちゃんは大好きっす♡」

 

柔らかい感触が身体全体を襲う。特にお腹のあたりとか……

 

「ねぇ……お姉ちゃんとキス……しよ?」

 

「っ⁉︎ う、うん……」

 

今日何度目だろうか? 東横の上目遣いにやられてしまうのは……

 

そして俺は……東横の柔らかい唇と俺の唇が触れ合った。それだけにとどまらず、その後は啄ばむ様なキスにまで発展して……俺は終始顔が赤いままだった事は覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あっはっはっはっ! やっと私の理想が実現した‼︎

「おい作者ァッ‼︎ なんてもの書きやがるんだ⁉︎」

なんてもの? はてさて何のことやら……

「と、惚けんじゃねぇ! あ、あんな桃色の空間創り出しておいて……」

いやはや……私はシナリオを作っただけです。実行したのは主人公である貴方ですよ?

「ぐっ……屁理屈言いやがって……」

「えっ……承悟くんは私とキスしたの嫌だったっすか?」

「HA⁉︎ と、東横⁉︎」

「承悟くんは、私とキスしたの嫌だったっすか?」ウルウル+上目遣い

「そ……そんなことねぇじゃねぇかよ‼︎ お、俺は東横とき、キスできてぇ? す、凄く嬉しかったしぃ? だ、だからそんな目で俺を見ないでくれ‼︎」

「わーい! 承悟くん大好き‼︎」

「ふがっ⁉︎ いふぃあ"っ⁉︎ (うわっ⁉︎ 息がっ⁉︎)」

うわー……チョロいなぁー……


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14話 ありふれたこの時間が……

「よぉ作者! かれこれ3年ぶりだな?」

まぁそうですね。3年ぶりですね。

「全く、中途半端な所で中断しやがって。その作品が後どんだけある事やら」

それ言われると何も言えないですけど……やっぱり気分って大事ですよね?

「まぁそうだがよぉ〜。取り敢えず鶴賀編は終わらせろよ?」

まぁそのつもりで考えていますよ。今のところは。取り敢えず本編どうぞ。


 

 

 

 

 東横とデートをした翌日は普通の登校日だった事もあり、日常としては今のところ変わりは感じられない。

 

 まぁ……変わった事としたら、あれ以降さらに東横がべったりとしてくるぐらいで、授業中も誰にもバレない程度でコッソリイチャイチャしたり、部活中も先輩方の目は気にせずに俺にスキンシップを取ってくる。

 

 しかしながら……悪くはない。両親と別れて以降ポッカリと空いた穴が、それで塞がれていくかのように。

 

 そんな日常も何週間か過ぎ去り、いよいよ今日……

 

「皆集まってくれ。いよいよ来週の土日には予選を含めた県大会が始まる。私達3年は今年が最後の大会となる。今までは個人戦にしか出れなかったものの、星条くん達が入部してくれたおかげで参加資格も満たせた。まずはお礼を言いたい」

 

「そんな事は良いですよ部長。それに俺だって、先輩方の最後になるかもしれない大会に付き添えるとあれば光栄ですし」

 

「そうっすよ。まぁ私は星条くんが行くところにはどこにでもついて行きたいっすし、最終的に加治木部長のお供を星条くんがするのなら、私もついて行くっすよ」

 

「わ、私はあまり力にならないかもしれないですけど……そ、それでも頑張ります‼︎」

 

「ありがとう。思いはどうあれ、私達に付き合ってもらった事を……私は誇らしく思うよ」

 

「それはそれとしてだ。星条くん……」

 

「ん? 何ですか部長?」

 

「私は君が入部した時から何回も繰り返しいっている事なのだが……私が部長ではないと何回言ったら気が済むんだ⁉︎」

 

「えっ? いや、どうみたって部長でしょ? 今の立ち位置は、俺から見てもそう値する所だと感じますし?」

 

「わはは、星条くん、私が部長だよ?」

 

「いや、浦原先輩じゃなくて加治木先輩が部長ですって。良い加減現実を見て下さいよ先輩」

 

「君が1番現実を見るべきだが?」

 

「まぁまぁ、そんな軽めの漫才じみた事はどうでも良いとして。今回の県大会についてですよね?」

 

(((あっ、話を逸らした)))

 

「……あぁ。そうだ。とりあえず団体戦では誰が何番目に出てやるのかを決めたい。とりあえず私の考えなのだが……」

 

 そうやって決まっていく人選だが、俺はというと……

 

「へぇ〜、俺は仮に最終戦行った時の大将ですか」

 

「あぁ。まぁ出たい時に私の代わりに出ても勿論構わないし、そこの許可も取ってあるからな。それに……」

 

「君がこの鶴賀学園の生徒だと知った時の他の者の反応も見てみたい事だしな」

 

「いやぁ……部長も案外悪いお方ですねぇ〜」

 

「そうでもないぞ。これまで4年間素性が分からなかった選手が、まさか今年高校1年生になっていたというのを隠し通していた君ほどでもないさ」

 

「えぇ〜? そうですか?」

 

「そうだよ。実際君だと知ったときは驚きを隠せなかったからな」

 

「……まぁそうやって今までの関係が全部他人行儀になるんじゃないかって思ってたから隠してたんですがね。まっ、そもそもあの放送日本でしかやっていなかった様なので、一応各国で流すのならば俺の正体は上手く隠す様にも言いましたが、実際にその場にいた人達やあの放送を見た人にはバレたでしょう」

 

「それでも……俺の正体を知ってからも先輩方は変わらずに接してくれましたし。だから感謝なら俺だってしてるんですよ」

 

「そうか。それだったら私の事を部長とかって言うのもやめてもらいたいんだが……」

 

「いや、そもそも……まぁ良いです。ともかくとして、俺が入ったからには最低でも全国狙わせて頂きますよ」

 

「あぁ、頼りにしているよ星条くん」

 

 それからはまた卓を囲って牌を打っていく。取り敢えず予選に出る前に今よりも強くしとかないとな。

 

 その活動も今日は終わりを告げ、今は東横と並んで帰り道を歩いていた。それも恋人繋ぎしながらな。

 

「ふふっ、今日も承悟くんカッコよかったすよ♡」

 

「俺はいつもの通りに打っただけなんだがな……でもまっ、東横に褒められるのは嬉しいけどな」

 

 東横に笑みを浮かべながら俺はそう答える。それに対して東横も、俺の腕に身体ごと密着して応えた。

 

「そういえば承悟くん、承悟くんはお姉ちゃんの事をいつ名前で読んでくれるんすか?」

 

「……えっ?」

 

「だって、お姉ちゃんだけ承悟くんの事を下の名前で呼ぶのはフェアじゃないと思うだ。だからお姉ちゃの事も……下の名前で呼んで?」

 

 っと、また上目遣いしながらそう言ってくるもんだから……俺は断れない。

 

(そもそも断るつもりもないし……)

 

「……確かにそうだよな。もう俺達付き合ってるし……俺も姉ちゃんの事名前で呼ばないとな?」

 

「そうっすよ。だからお姉ちゃんの事……今から名前で呼んでみて?」

 

「あ、あぁ……呼ぶぞ。……も、桃子」

 

「はい♡ 良くできました。そのご褒美として……承悟くん、目を閉じて下さいっす」

 

 俺は、東横……いや、桃子が何をするかを何となく理解して目を閉じた。それから数秒後……俺の唇に柔らかくて温かい感触のものが押し付けられた。

 

「はい、もう目を開けて大丈夫っすよ」

 

 目を開くと、少し頬を赤く染めながら笑みを浮かべる桃子がいた。

 

「……かわいい」

 

「えっ? どうしたっすか?」

 

「いや……俺そんな桃子の、お姉ちゃんの様子を見たらなんか歯止めが効かなくなってきてるみたいでさ……だから」

 

「ふふっ、分かったっす。じゃあ続きは承悟くんのおうちで……良いっすね?」

 

「あぁ。じゃあ早く帰るか。お姉ちゃん、俺の背に乗ってくれ。お姉ちゃんの事おんぶして走って帰るから」

 

「だ、大丈夫っすか?」

 

「心配する事ないさ。伊達に身体鍛えちゃいねぇからな。さっ、乗ってくれ」

 

「分かった。それじゃあ、お願いするっすよ」

 

 桃子を背中に乗せ、桃子の両手が俺の肩をしっかり掴んだのを確認すると、あまり負担にならないくらいの速度でその帰り道を駆けて行った。

 

(にしても……)

 

 何が……とは言わないが、背中に当たっているこの感触って……いや、何を今更な事考えているのやら。

 

 と、取り敢えず俺は頭の中で煩悩退散という単語を繰り返しながら駆けて行った事は想像にたやすい事だろう。

 

 

 

 

 

 

side 桃子

 

 

 

 

(あぁ……これが承悟くんの背中♡)

 

 私は承悟くんの身体の大きさを改めて肌で感じていた。私の身体が余裕ですっぽりと入る大きさだと思うっす。

 

(でもこれだけ身体が大きいのに、私に甘えてくるあの姿……これが正にギャップ萌えってやつっすね)

 

 そう思っている今でも、彼は頼もしい足取りで帰路を走っている。それも私に出来るだけ負担をかけまいとしながら……

 

(ふふっ♡ 本当に承悟くんは優しい)

 

 そう思った私は、承悟くんを背後から抱きしめる様な形で私の身体を背中に預ける。

 

「ふぁっ⁉︎」

 

 そうしていると、承悟くんから可愛い反応が……

 

(もっとそんな可愛い反応が見たいなぁ♡)

 

 私はそれから承悟くんの背中から様々な悪戯を仕掛けては、承悟くんの反応を楽しんだ。後で怒られるたのは想像に容易いっすけど……でもこの時間が、承悟くんと一緒にいられるありふれたこの時間が……私は好き。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 



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