もう一人の劣等生 (@マークマン)
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入学

暁さまとマルチ投稿です


俺は今日からこの国立魔法大学付属第一高校に入学する、但し二科生としてだが。

魔法科高校は一科生と二科生に区別される、成績優秀者は一科生として、普通の者は二科生として分けられている。

そろそろ入学式が始まるので会場に入る見事に一科生と二科生に分かれて座っている、俺も二科生の座っている方に座る事にする。

新入生代表で司波 深雪(しば みゆき)さんがスピーチしていた超絶美少女だ、スピーチの内容はかなり際どく一科生と二科生の事を揶揄していた。

一科生の事を通称ブルームと言う二科生の事を通称ウイードと言って差別している。

式が終わったので教室に向かう俺は一年E組だ

 

 

*****

 

 

ああ自己紹介がまだだったな俺の名前は四葉 刃更(よつば ばさら)十師族に連なる者だ。

ちなみにこの教室にいる司波 達也(しば たつや)とは親戚だ。

但し親戚だと言うことは伏せるように言われている。

 

中学ではみんなに恐れられてつねに一人だった、たぶん高校でもそうなるだろうと思う。

みんな俺が四葉だと分かると避けていくので大概ボッチになる。

『こんにちは私、千葉エリカよろしく』

突然赤い髪の美少女に、こえをかけられて思わずフリーズした

『ねえねえ』

我にかえったので、あいさつをする

「ああ、俺は四葉刃更よろしく」

『ええっ、四葉ってあの?』やはりこうなるか・・・

「ああっ、あの四葉だよ」実は四葉は魔法師の中ではかなり恐れられている。

『ふうーん、よろしくねーーー』

えっ普通の反応だ?四葉が怖くないのだろうか。

教室の中での作業を終わらせる。

無事に入学式が終わったのでマンションに帰ることにする。

 

 

*****

 

マンション

 

とりあえず達也に連絡をしてみる・・・

『はい司波ですが』あっ深雪だ

「おれおれ」

『刃更さんですか?』

「うんそうだよ、今日のスピーチよかったよ」

『ありがとうございます、よろしければ夜ご飯食べに来ませんか』

「ありがたいんだけど、母さんから止められてるから残念だよ」

『叔母様からご命令が出ているのなら仕方ありませんね』

「じゃあ学校でも、他人の振りよろしくね」

『あの一つお聞きしたいのですが、なぜ刃更さんは無能の振りをしてらっしゃるのですか』

「深雪、俺はふりなんかじゃなく本当に無能なんだよ」

『でも深雪は知っていますよあの時「深雪っ」すいません』

「もういいよ、それより明日も早いんだろおやすみ」

『はいおやすみなさい』

さて俺も寝るか・・・

明日からの学校生活について考えながら眠りについた。



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校則違反

翌朝とりあえず学校に着いたE組の教室に入るとエリカが挨拶してきた。

『おはよう刃更くん名前呼びでいいよね、私もエリカでいいからさ』

「了解エリカよろしく」

『おはようおっ新顔か、俺は西城レオンハルト、レオでいいぜ』

「おはよう俺は四葉刃更だ刃更でいいぞ」

『『よろしく』』

『あいつは司波達也だ』

「よろしく司波くん『達也でいい』じゃあ達也よろしくな俺は刃更でいいから」

『私は柴田美月ですよろしくお願いします』

「柴田さんよろしく」

始業のチャイムが鳴るそれぞれが自分の席に着く。

あっという間に昼になった、俺は恒例のボッチ飯だ。 

達也たちは食堂に行くらしい。

 

*****

 

放課後

 

帰ろうとしたら達也たちが揉めていた、お互いにピリピリしているほっといてもいいのだが深雪がいるので干渉することにした。

俺が近づこうとしたら一科生の男が拳銃型CADを抜いた、おいおいおい

さすがに洒落にならんぞ、俺も拳銃型CADを抜こうとしたらエリカが警棒型CADで叩き落した。

 

「そこまでだ」俺は声を出して近づいていった。

「校内でのCADの使用は校則違反だぞ」

一科生と二科生はお互いに顔をみあわせて、気まずそうにしている。

『そもそもお前は誰だ?』拳銃CADの奴が聞いてくる。

「俺は四葉刃更だ」『

 

『四葉だと』ザワザワ・・・

やはりこうなったか

『あの四葉かやばいんじゃないか』

『でもウイードだぜあいつ』

『だが四葉だぞ』

『くっ、今日のところは引いてやるが次はないぞ』

一科生達は去って行った。

『ありがとうございました』深雪が笑顔でお礼を言ってきた。

「いや、お気にせず、じゃあ俺はこれで」そう言って立ち去ろうとしたら深雪に腕を掴まれた。

『あの、お礼がしたいのですがご一緒願えますか』

母さんに言われてるからまずい気がするが、腕をまだ掴まれてるしここはOKするか。

「ええ、いいですよご一緒しますので、そろそろ腕を離して貰えるとありがたいかなー」

『ああ、すいません私ったら失礼しました私は司波深雪といいます、よろしくお願いします』

「四葉刃更だよろしく」

 

 

*****

喫茶店

 

『さっきのエリカ凄かったな』

「そうだな~千葉って、あの千葉か?」

『そうだよ、あの千葉だよどう驚いた?』

「ああ、驚いたよまさかエリカが千葉道場の娘だったなんてな」

『四葉さん、先程はありがとうございました』

「刃更でいいよ」

『では、刃更さんとお呼びいたしますね私は深雪で結構です』

 

 

こうしてみんなで喫茶でお茶をして帰った。



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負傷

昨日学校でこんな話を聞いた何でも達也が風紀委員になったそうだ。

二科生では初と言うことだ。

放課後は最近クラブの勧誘が激化しているが俺は関係なくマンションに帰る。

どうやら四葉という事で勧誘も遠慮しているようだ。

母さんから聞いた話だが、近いうちに一高でテロがおこるらしい。

注意するように言われた。

 

*****

 

今日は偶然を装って深雪に話しかけた。

ニッコリ微笑んで少し話しに付き合ってくれたラッキーな一日だった。

 

そうこうしている内にテロが起こった、俺も鎮圧に少しは貢献した。

達也たちと十文字先輩たちがテログループのアジトに乗り込むらしい、関係ないやと思っていたら深雪も行くらしいこれは放ってはおけない。

「十文字先輩、俺も連れて行って下さい」

『何故だ危険だぞ』

「俺も十師族の一員としての責任がありますから」

『わかった、但し自分の身は自分で守るように』

「はいわかりました」

 

*****

 

ブランシェ アジト

 

俺は深雪と達也と一緒に突入した・・・

『刃更、深雪を頼む』「了解、体張っても守るぜ」

深雪がクネクネしながら身悶えしてる、そのしぐさも可愛いな。

達也が先行した、俺と深雪は近くに居る奴等の対処をする。

十分ほどで制圧したみたいだ、終わったかと気を抜いた時だった物影から拳銃を持った男が出てきて発砲した、咄嗟に深雪を庇う。

わき腹が火傷したみたいに熱い、どうやら当たったみたいだ深雪の顔から表情が消えた、ヤバイ・・・

『私の大事な刃更を傷つけるなんて万死に値します』

「深雪、俺は大丈夫だから殺すなよ」

『でも「いいから」わかりましたでは、氷つきなさい』

男は活動停止した。

『刃更、大丈夫ですか「ああ、何とか意識はあるぞ」血がたくさん出てますどうしましょう』深雪がオロオロしている。

ヤバイな意識が朦朧としてきたそのまま意識を失った。

 

*****

 

病院

 

「うう、いつつ」

目が覚めたどうやら病院に担ぎ込まれたみたいだ。

『良かった心配しましたよ』深雪はついていてくれたようだ。

『少ししたら退院できるそうですよ』

「そうか心配かけたな」

『たいした事なくてよかった』

「そろそろ帰らないと達也が心配するぞ」

『はい、庇ってくれて本当にありがとう』

「じゃあまたな」

一人になり少し考えて見た、多分母さんに怒られるであろう。

しかし、深雪に怪我が無く本当に良かったと思う、もし怪我でもさせてたら、あのシスコンが黙っていなかっただろうと思う。

 

さて、深雪がかえったので寝ることにした。

 

 

 



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婚約

さて早いものでもう退院の日が来た。

 

入院して母さんにはめちゃくちゃ怒られた。

深雪は時間が許す限り毎日見舞いに来てくれた、あのシスコンおっと間違えた、達也は一度来ただけだった。

ただ、深雪が来てくれるのは嬉しいんだが母さんに接触は控えるように言われてたのに大丈夫だろうか?

 

今日は平日だから誰も退院祝いには来てくれない。

深雪たちは学校だし。

取り敢えず部屋に帰る事にする。

 

*****

部屋

 

帰り着くと丁度デジホンが鳴った、葉山さんからだった。

「はい、刃更です、はい・・はい伺います、では今からすぐ・・はい、では」

内容は母さんが呼んでいるから四葉本家に来て欲しいとの事だった。

迎えの車が来たので乗って移動するやる事もないので寝ることにした。

 

*****

 

四葉本家

 

『刃更様着きましたよ、起きてください』

運転手に起こされた。

本邸に入ると母さんの書斎に通された。

四葉 真夜(よつば まや)俺の母親がいた。

『あら、刃更さんいらっしゃい、退院おめでとう』

笑顔が怖い、しかし、我が母親ながら本当に若く見える。

「用件はなんですか?」多分、深雪のことだと思う。

精一杯冷静を装って聞く。

『言われなくってもわかってるのじゃなくて』

「もしかして深雪の事ですか?」

やはり怒っていらっしゃる。

『もしかしなくてもそうよ、あれほど接触は控えるように言ってたのにどういうつもりですか』

ここは正直に行こう。

「正直にぶっちゃけると俺は、深雪が好きだから会いたいと思うんだ」

『そうですか、ではしかたがないですね、あなた深雪さんと婚約しなさいな』

えっ、いきなりの急展開なんですが?

「行き成りどう言う事ですか」

『正式に婚約するのならお付き合いを許すといっているんですよ』

「俺はそれでもいいけど、深雪と達也がどう言うか」

『深雪さんは昨日のうちにOKもらってますよ、達也さんは気にしなくても大丈夫でしょう、では今夜のうちに婚約発表してしまいますのでいいですね』

「わかりました、それでお願いします」

こうして俺と深雪は婚約する事となった。

 

*****

 

翌日学校に行くと大騒ぎになっていた、俺と深雪の婚約が発表されたからだ。

深雪のファンの奴らから殺意のこもった視線を向けられる。

深雪が居たので話しかける

「深雪良かったのか?」

『ええ刃更さんと一緒に居られるのなら構いません』

「達也はなんていっている?」

『お兄様は好きにしたらいいと』

「そうかじゃあこれからよろしく」

『はいこちらこそ』

こうして深雪と一高公認のカップルになった。

 



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九校戦

さて季節は移り九校戦の時期がやってきた。

俺と深雪の仲は相変わらず良好だ。

深雪は九校戦のメンバーに、達也はエンジニアにそれぞれ選ばれた。

俺は相変わらずフリーだ。

「深雪、九校戦のメンバーに選らばれておめでとう」

『ありがとうございます』

「気合を入れて応援に行くからな」

『楽しみにしてます、私は刃更さんの為に頑張ります』

「婚約者としては同じ舞台にたちたかったんだがな」

『そんな、刃更さんも本来なら、あっ・・・失礼しました』

「それより、何の競技に出場するんだ?」

『ピラーズ・ブレークとミラージュ・バットですよ』

「もちろん、優勝狙っているンだろ」

『ええ一応は優勝を目指していますよ』

「そうか、がんばってな」

長話をしてデジホンを切る。

 

*****

九校戦 

 

俺は予約してあったホテルにチェックインした。

深雪たちはセレモニーがあるらしく別行動だ。

実は俺は九校戦にはあまり興味がない、ただ深雪が出るから応援に来ただけだ。

エリカやレオ達も応援に来ているので一緒に見ることにした。

吉田君とも友達になった、なんでも昔は神童と呼ばれていたらしい。

 

新人戦の女子ピラーズブレークが始まったもちろん深雪の応援をする、こちらを見つけて微笑んでくれた。

結果は深雪の圧勝だった、相手の子が少し可哀相なくらいだった。

深雪はミラージュバットにも出るらしい。

結局ピラーズブレークは深雪の優勝で終わった。

その夜ホテルで深雪と二人で優勝を祝った。

「優勝おめでとう」

『ありがとうございます、これも刃更さんの応援のおかげです』

「いやいや深雪の実力だよさすがだね」

『刃更さんも本来「深雪っ」すいません軽率でした』

「いやいいよただ、いい加減あの事は忘れようお互いに」

「そういえば達也はどうしてる?」

『お兄様はCADの調整に追われてますわ』

「そうか、大変だな~」

『刃更さんはどうされているんですか』

「俺はエリカ達と一緒に行動してる」

急に部屋の温度が下がりだした。

『へーずいぶんと、エリカと仲が良いんですね』

「ちょっとまって、レオたちも一緒だから落ち着け」

部屋の温度が戻っていくどうやら落ち着いたようだ。

『浮気は許しませんよ』

「してない、してないから」

「それより、深雪の方こそ三校の一条だっけ、あいつに声かけられてたじゃないか」

『それは、無視するわけにも参りませんし、仕方なかったんです』

「じゃあお互い様って事で」

『はい』

「明日も早いだろうからこの辺で」

『はいでは』

さあ寝ようかな。

 

*****

 

 

今日は深雪の出るミラージュバットを観戦しようと思う、もちろんエリカ達も一緒だ。

そう言えば飛行魔法を使うっていっていたが大丈夫なのだろうか?

 

飛行魔法とは、最近トーラス・シルバーが発表した魔法だ。

トーラス・シルバーとは、達也が片割れを努めるCAD製作者のコードネームだ。

シルバーモデルという限定品も発売している。

九校戦とは、全国魔法科高校親善魔法競技大会の略称だ。

 

 

*****

ミラージュバット会場

 

エリカが聞いてきた

『刃更くんと深雪って婚約してしばらく経つけど、どこまでいってるの?』

「何を期待してるか知らんが、まだキスもしてないぞ」

『えー、婚約してるんだからキスくらいしてもいいんじゃないの』

「色々と事情があるんだよ、こっちにも」

『へーそうなんだ、事情は聞かないほうが良さそうだね』

「ああそうだな、聞かれても答えられん」

『そろそろ始まるわね』

そして深雪が空を飛んだ・・・

会場が大きな歓声に包まれる。

俺も空を飛んでいる深雪に見惚れていた。

『あれって飛行魔法じゃ』

「そうだな」

『トーラス・シルバーが開発したのは最近のはずだよな』

「そうだな」

事情を知っているが話す訳にはいかないので、適当に相槌をうっとく。

『深雪綺麗だねー』

「そうだな、思わず見惚れてたわ」

結局は深雪が優勝した、まあ当然だろうな。

 

 

*****

 

男子モノリスコード決勝

 

達也と一条が対戦した、結果一高が優勝した。

レオと吉田も出ていた。

 

後夜祭

 

深雪と一条がダンスを踊ったらしい。

なんかイライラする。

その夜は悶々としながら過ごした。



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論文コンペ

今俺は深雪たちと論文コンペとかを聞きに横浜に来ている

「なあ深雪さんやどうしてもその論文コンペだっけ、それ見なきゃだめなのか」

『ええ、お兄様が関わっていますのでぜひ刃更さんにも見ていただきたいと思いまして』

「まあ、深雪の頼みは聞かない訳にはいかないけどな」

『おいおい二人の世界からソロソロ帰って来てくれないかな』レオが言う。

「ああ、すまんすまん、ついな・・」

『あーあついあつい、あんまり俺達の前でイチャイチャしないでくれよあつくてたまんねー』

レオの言葉に深雪がクネクネしながら身悶えている。

『いやですわイチャイチャなんかしていませんよ』少し頬を染めながらそう言う。

かっ可愛い・・・イヤイヤ平常心だっ、ここは落ち着け俺。

「そうだぞこれは、いつもどうりだぞイチャイチャなんてしてないぞ」

そんな話をしていると会場に着いた。

 

*****

 

論文コンペ会場

 

一高が終わって三高の出番の時だった、突然自動小銃を持った男達がなだれ込んできた。俺は深雪の前に出て庇う。

『抵抗せずにおとなしくしろっ』男の一人がそう言う。

その時達也が一歩前に出る、男が警戒して銃を向ける。

『お兄様・・』深雪が心配しているが達也なら大丈夫だろう。

一歩二歩、達也が前に出る、男が達也に発砲したが、達也は無傷で平然と前進を続ける。

『化け物め』男は夢中で引き金を引き続ける。

達也が男の目の前まで歩き右手を振り下ろす、すると男の右手首が切断された、男が悲鳴を上げる、するといままで静観していた警備の係りが反撃に出て男達を鎮圧した。

 

 

会場の外には、まだまだテロリストがいるらしい。

達也たちがこの建物内を制圧することを提案する、俺も賛成した。

賛成が多数だったので制圧する事となったいくつかのグループに別れて制圧する事となった、俺、深雪、達也、エリカ、レオ、吉田がおなじグループだ六人で制圧に向かう。

 

はっきり言おう達也がいれば俺は出番がない、深雪の隣で達也について行くだけの簡単なお仕事だ、もちろん深雪の安全には注視しているが。

どうやら建物内はほとんど制圧できたようだ、そこで一高だけで集まった時だった。

 

部屋の中に藤林少尉が風間少佐と共にはいってきた、部屋の空気が張り詰める、みんなが緊張する。

『諸君、いまこの場で話すことは軍事機密に相当する、故に守秘義務が発生するので肝に銘じてくれたまえ』

『大黒特尉、四葉特佐、前に出てくれたまえ』

俺と達也が前に出る、みながざわめく

『戦時特例である、君達にはこれから我々の指揮下に入ってもらう』

『「ハッ」』

『深雪くん四葉特佐の封印を解いてくれ給え』

『はい、ですがここでですか』

『非常事態だすまない』

『分かりました』

深雪が俺の前にやって来た。



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封印解除

深雪が俺の前にやって来た少し緊張している、それはそうだこれからする事を考えたら俺も緊張してきた。

封印を解く為に何をするかといえば、まあ接吻だキスとも言う。

まあ別に口にする必要はないので、少しは緊張も解れる。

『では、まいります』深雪よどこに参るつもりだ。

俺は目をつぶる、すると突然唇に柔らかい感触が、目を開けるとドアップの深雪の顔があった。

唇が離れる同時に封印が解かれた。

みんなが目を丸くして俺達を見ていた、そら突然キスをしたら驚くわな。

まあ俺も驚いたけど、ファーストキスがこれなんて少々色気が無いな。

『ぞんぶんに戦い下さい』深雪が言う、少し顔が赤い。

「ああ、ありがとう」俺も多分顔が赤いと思う。

 

七草先輩と十文字先輩がこちらに来た。

 

『四葉と司波は軍の関係者だったのか』

『刃更くんも達也くんもなんてショックだわ』

「俺達にも機密事項の守秘義務がありますから」

『そうか、一つ聞きたいのだが四葉の特佐とは聞かない階級だがその辺はどうなんだ』

「説明するとですね、大尉よりは上で少佐よりは下と言う事です、簡単に言うと準佐っていう感じですかね」

『そうか、説明ありがとう』

 

『では大黒特尉と四葉特佐は我々と来てくれ、これから作戦の説明をする』

『「了解です」』二人でともに敬礼する。

 

俺は深雪によって、封印が解かれた事により、固有魔法が使えるようになった 

俺の得意魔法は消滅だ、すべての物を消し去れる。

簡単に説明すると無人島などでも消し去ることができる。

本来は戦略級の魔法だ、後は自己再生だ、この二つが固有魔法だ。

 

『四葉特佐は単独で敵を殲滅してほしい、以上だ』

「ハッ 了解しました」作戦の説明が終わった、俺は市街地で敵を各個撃破するらしい。

 

俺は一人で横浜の市街地で戦っている、そして、敵を見つけては消滅させている。

もう何人の敵を消しただろうか、もう作業と化している。

付近の敵はあらかた殲滅したみたいだ敵は撤退していった、終わったか、溜め息が出る。

 

達也がマテリアル・バーストを使ったようだ、俺は作戦終了したので深雪たちと合流した。

 

深雪たちも戦っていたようだ。

 

「おつかれさん、無事か?」

『おつかれさまでした、私は無事ですよ』

「それはよかった」

『刃更さんは大丈夫でしたか?』

「俺の特別魔法知っているだろ、封印解いたの深雪だし」

『それでも、心配なんです』

「心配かけたな」

今日二度目のキスをした。

 

戦闘とか色々あり、今日は疲れた早く寝よう。



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追憶

いまから三年前刃更たちにとって、忘れられない出来事が起こった。

場所は沖縄だった深雪と達也、そして俺の関係が根本的に変わる出来事だった。

中学一年の夏すべてはここから始まった

 

*****

 

三年前 夏 沖縄

 

ここは空港のロビー俺達は一人の少年を待っていた、少年の名前は司波達也俺の従兄妹だ。

ここには、俺の叔母司波深夜、従兄妹の深雪が一緒に待っている。

しばらくして、達也が大きな荷物を持ってやって来た。

「やあ、達也お疲れさん」

達也は軽く一礼するだけだった、この従兄妹は基本俺とは喋らない。

俺は達也から自分の荷物を受け取った、すると深夜さんが

『あら刃更さん、荷物なんてこの子に運ばせればよろしくってよ』

そう言ってきた

「いえ、自分の荷物位は自分で持ちますよ」

『そう』

俺はこの叔母が苦手だ。

『刃更っさんは、あの人に荷物預けないんですね』深雪が言う

「ああ、自分で出来るからな」

そうして叔母さんの別荘に移動する。

 

*****

 

司波家 別荘

 

『お待ちしていました』

入り口で桜井 穂波(さくらい ほなみ)さんが出迎えてくれた。

彼女は叔母さんのガーディアンだ。

四葉家では重要人物にはガーディアンがつく事になっている、何故か深雪のガーディアンは達也だ。

確かに達也はこの年にしては強いと思うが、子供の護衛に子供をつけるなんて変だと思う。

そのことを母さんに聞くと大人には色々事情があるのよって言われた。

『せっかくですから散歩でもして来てはいかがですか』穂波さんが深雪に言う

『そうですね、刃更さんも行きましょう』

「ああ、一緒に行こう」

『では達也くん護衛お願いね』『承知しました』

せっかく深雪とデートだと思ったのに達也も来るらしい。

でも深雪には護衛が付くのに俺にはいない。

前に母さんにその事を聞いたときあなたには要らないでしょって言われた。

まあ確かに俺を殺せる奴は、ほとんど居ないと思うけど。

系統外特殊魔法、自己再生これが俺の固有魔法だ、暗殺や事故等で死ぬことはまずないといえる。

もう一つの固有魔法は系統外特殊魔法、消滅だ、どちらも特殊な魔法だ。

固有魔法なのでおれ以外には使えない。

このおかげで今の所、四葉の次期頭首候補筆頭だ。

おっと、考え事をしていたら深雪の準備ができたらしい。

『では、まいりましょう』と深雪

『行ってまいります』と達也

「いってくるね」と俺

こうして、三人で初めて出かけることとなった。

散歩をしているが深雪と達也の距離感は微妙だ、なんかよそよそしい。

どうも深雪が、達也を苦手としているようだ。

しばらく歩いていると前から、がらの悪そうな男達が近づいてきた。

いわゆる、レフト・ブラッドと言われる奴ららしい。

『おい、ガキ共邪魔だどっか行け』

いきなり深雪に絡んできた、達也が深雪の前に出る。

『おい前に出てきて何するつもりだ』

男達はにやにやしている。

『今なら穏便に済ませてやるから去れ』達也が挑発する。

俺は深雪に害が無い限り動くつもりは無い。

これでは俺が深雪の護衛みたいだ。

深雪は怯えている、達也がさらに前に出る。

そこからは一方的だった、達也が相手をのして終わりだった。

そして別荘に帰るのであった。



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追憶2

三人で別荘に帰ってきた。

深雪が怯えていたので穂波さんが理由を達也に聞いていた。

深雪は穂波さんと話しているうちに落ち着いてきたようだ。

俺と深雪は今晩パーティーに招待されている、招待主は 黒羽 貢(くろば みつぐ)、俺の叔父に当たる人物だ。

深雪は憂鬱そうだあまり行きたくは無いらしい。

 

 

****

 

パーティー会場

 

俺と深雪は会場に到着した、もちろん達也も護衛として来ている。

『良く来てくれたね刃更くん、深雪ちゃん』

「叔父さん今日はお招きありがとうございます」『ありがとうございます』

いつも貢叔父さんは達也をいない者の様にあつかう。

達也は壁際で控えている、俺と深雪は貢叔父さんに連れられ会場の中央に向かう。

中央にはハトコの亜夜子(あやこ)文弥(ふみや)がいる。

『刃更兄様、深雪姉さんこんばんは』

『亜夜子さん文弥くん、お元気』

『深雪姉さんお久しぶりです』と文弥。

『お兄様もお変わり無いようで』と亜夜子。

「ああ、亜夜子に文弥久しぶり元気か」

相変わらず深雪は、亜夜子が苦手みたいだ。

『刃更兄様、ところで達也兄さんはどちらにいらっしゃるのですか』

亜夜子と文弥は達也の事を慕っているらしい。

「あそこの、壁際にいるぞ」

二人がそちらを見る。

『達也兄さん!」

二人が達也を見つけて、壁際に移動する。

三人で楽しそうに話している、そんな光景を貢叔父さんは不機嫌そうに見ていた。

そんな時間もあっというまに終わり別荘にと帰った。

 

*****

 

翌朝、達也の早朝トレーニングに付き合った。

二人で組み手を行う、なんか視線を感じる二階の窓を見ると深雪が覗いていた。

少しして組み手を終了して、演武を行った。

 

朝食が終わり深雪にビーチに誘われた。

『刃更さんよろしければビーチに行きませんか』

「ああいいぞ」深雪の水着姿かいいな!

 

ビーチでは深雪が眠っている、俺も隣で寝てた。

二時間ほど眠っていたようだ。

少しして別荘に帰った。

 

午後からはクルーザーで沖に出る予定だ。

みんなでクルーザーに乗り込み沖えと出た、しばらくは何事も無く順調だった。

 

いきなり船員達が慌ただしく動き出した、見ると沖には潜水艦がいた。

何かが近づいてくる、どうやら魚雷のようだ見ると達也が魔法を放っていた。

魚雷が分解される、達也の固有魔法[分解]だ、達也はCADもなく魔法を放った。

俺は特に何もせずに見ていた。

深雪と目が合う、別に俺が固有魔法[消滅]で消し去っても良かったんだがタイミングが悪かった。

その後は何事も無く港に、そして別荘へ帰った。

 



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追憶3

翌日 別荘

 

国防軍の風間玄信大尉という男が事情聴取に来た、穂波さんと達也が対応していた。

途中で深雪も呼ばれたようだ、俺は呼ばれない。

結局最後まで呼ばれなかった、もしかして俺が四葉だからか?

達也と深雪が見送りをしている、二階の窓から外を見てみるとそこには、先日達也にやられたレフト・ブラッドの男が軍服を着て立っていた。

玄関では風間大尉と達也が話してる、聞き耳を立てる。

『司波達也くん自分は今、恩納基地で空挺魔法師部隊の教官をしている、もし良かったら是非、基地を訪ねてくれ、きっと後悔はさせないから』

そういって車で帰って行った。

 

 

翌日

あいにく天気は荒れ模様だ、達也は深夜さんに言われて基地見学に行く事になったらしい、何故か深雪も付いて行くと言い出した、深雪が行くなら俺も当然の事のように付いて行くことにした。

深夜さんは達也に一つ命じた、人前で四葉の縁者だと悟られないようにお嬢様ではなく人前では深雪と呼ぶようにと。

深雪と達也は少しばかり混乱したようだった。

でも良く考えたら俺が行く時点で縁者だと言っている様な物だ。

なるべく深雪の後ろにでも隠れていよう。

 

 

国防軍  恩納基地

 

基地に着くと[防衛陸軍兵器開発部]の真田中尉という人が出迎えてくれた。

達也は士官が案内に来た事に驚いたみたいだった。

なんでも、風間大尉は達也に期待しているそうだ。

そうして体育館のような建物の中に入った、中は相当広い。

中では風間大尉が訓練を指導いしていた、達也を見つけると笑顔を向け近づいてきた。

『早速きてもらえるとは、軍に興味が出たのかな』

『興味はありますただ軍人になるかは分かりません』

達也はそう答える、そうだ深雪の護衛の達也には選択の自由など無きに等しい。

しばらく訓練を見学していると風間大尉が『君達見ているだけじゃ退屈だろう組み手に参加してみないか』こう言ってきた。

達也は乗り気だが俺は目立ちたくない、しかし深雪の見ている前で引く事も出来ずに参加する事となった。

組み手で達也は目立っていたがおれは無難にこなした。

しかし、ここで達也のせいで俺達が魔法師だとばれてしまった、しかも俺が本気を出していない事まで見抜かれた。

それから、達也はCADの事で真田中尉と盛り上がっていた途中で術式解体の事も話していた、俺と深雪は話題から取り残されていた。

達也は充実していただろう、しかし俺と深雪は退屈だった。

そうこうしていたら話が終わったので別荘に帰った。



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追憶4

翌日  沖縄四日目

深雪とビーチで遊ぶ事にした。

達也がCADに興味を持ち自室を改造したみたいだ。

自分でCADのチューニングもしているようだ。

 

沖縄七日目  西暦二〇九二年八月十一日俺はこの日を忘れない。

ちょうど朝食を食べ終えた時だった。

緊急警報が鳴り響いた。

急いでテレビを点ける、すると警報の発令元は国防軍だった。

つまり外国の攻撃ということだ。

達也の携帯端末に連絡が入った、どうやら風間大尉からみたいだ。

『はい司波です・・はい、いえ先日はありがとうございました、はい・・基地へですか・・はい、いえ申し出は大変ありがたいです・・はい、では母と相談してみますはい・・・では後ほど』

『奥様、恩納(おんな)空軍基地の風間大尉からでした』

『何の御用かしら?』

『基地のシェルターに避難してはどうかとの事です』

その時母さんから俺の携帯端末に連絡があった。

「はい、刃更です、はい・・・はい、今かわります、深夜叔母さん、母さんからです」

携帯端末を渡す。

『もしもし、真夜・・・ええ、私よ、ええ・・・そう。あなたの口添えなのね、ええ・・・危険ではないのかしら、ええ、そうね分かった、ありがとう」

話がついたみたいだ。

どうやら母さんが国防軍に話を通したみたいだ。

『達也、風間大尉さんにお話お受けしますと、連絡してちょうだい、それから、迎えの車も頼んでちょうだい』

基地から迎えがやって来た深雪は不安そうだ。

『風間大尉の命令で迎えにやって来ました』

『ご苦労様、案内をお願い』

『ハイ』

こうして基地に移動した

 

*****

 

国防軍恩納空軍基地

 

シェルターに入る、結構な人が避難している。

銃声が聞こえる敵がこの近くまで来ている証拠だ。

シェルター内部にまで侵入されたようだ、やばいキャスト・ジャミングだ咄嗟に深雪を庇う、どうやら銃で撃たれたようだ深雪が震えている。

『刃更さん、大丈夫ですか?』

「ああ、俺には自己回復があるからな」

『でも痛みは感じているのでしょう』

「・・・大丈夫だ」

俺は、深雪を庇って撃たれ続けている。

しばらくして、やっと銃声が止まった。

『私のために、ごめんなさい』深雪は泣き続けている。

「俺は、大丈夫だからもう泣くな」

達也が近づいてきた。

『すまないな』

「ああ」

これで十分伝わる。

奴らはやりすぎた深雪を泣かせた。

俺は達也と共に打って出る事にした。

勝算はある、俺の[消滅]と達也の[分解]があれば、敵は雑魚みたいなものだ。

風間大尉に戦う事を伝える。

すると、アーマースーツを貸してくれた。

『刃更さん危険ですやめてください』深雪がいう。

「大丈夫だ必ず帰ってくるから」

なぜか深雪が真っ赤になっている。

「では、行って来ます」

達也と共に戦場に出た。

戦場で出会う敵すべてを消滅させて行く、俺と達也の通った後には何も残らない死体さえもだ。

俺達は修羅となって敵を倒していった。

とうとう敵は白旗をあげて降伏してきた。

だが敵はとうとう、切り札を使ってきた巡洋艦二隻と駆逐艦六隻による艦砲射撃をおこなってきたのだった。

「俺にやらせて下さい、俺の消滅なら敵艦すべてを消し去れます」

『自分のマテリアル・バーストでも敵の殲滅は可能です』

『今回は達也くんにお願いしよう、刃更くんは護衛を頼む』

「わかりました」

達也が準備している間、艦砲射撃のすべての弾を消滅させていた、風間大尉が驚いていたが、気にしない。

そして、達也のマテリアル・バーストで敵を消し去った。

これが三年前の事の顛末だ。



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元旦

西暦二〇九六年 元旦

年の始まりを俺と深雪と達也の三人で迎える。

今日は深雪の友達と、エリカ達で初詣に出かける予定だ。

深雪達と待ち合わせ場所に向かう事にする。

因みに俺は普段着、深雪は振袖姿で、達也は羽織袴姿だ。

今日の深雪は普段にもまして美しい、まるで女神のようだ。

「深雪よく似合っているぞ、達也はまあ、どこぞの組の若頭みたいだな」

『お前は何で、普段着なんだ?』

「だって、着替えるの面倒くさいじゃん」

『刃更さんも、羽織袴着ればよかったのに』

「来年は考えるよ」

『絶対ですよ、約束しましたからね』

「わかった、わかった、そろそろ行かないと、待ち合わせに遅れるぞ」

『はい『ああ分かった』分かりました』

こうして三人で向かう、途中で達也の体術の師匠である九重八雲先生とカウンセラーの小野遥と合流した。

「新年明けましておめでとうございます」

『ああ、おめでとう』

『おめでとう、四葉くん、司波くん、司波さん』

『師匠と小野先生は一緒にいて大丈夫なんです?』

『いきなり、嫌な事を聞くわね、あなたは、八雲先生とはさっき、偶然会ったのよ、今日の私はあなた達の引率よ』

『そう、そう、細かい事は気にしないようにね』

『そろそろ、参りませんか』深雪が言う。

「ああそうだな、行きましょうみなさん」

そう言ってコミューターに乗り込み待ち合わせの場所に向かう。

駅でコミューターを降りて歩く事十分待ち合わせ場所に着く。

あっ、深雪の友達の光井ほのかさんも振袖だ。

エリカ達は普段着だ、レオが達也と話している。

「新年明けましておめでとう」俺が言う。

『『『『『おめでとう』』』』』

『達也はどこの若頭だよ』「それ、俺も言った」

『妙に貫禄あるよな「だな」』

話をしながら神社に向かった。

 

日枝神社

 

なんか凄い格好でこちらを見ている外国人がいる。

金髪でツインテールにして、かなり昔のファッションだろうと思われる。

はっきり言って周りから浮きまくっている、思わず目が合った。

格好は変だがかなりの美少女だ。

しばらく見ていると、深雪に尻をつねられた。

『凄く、美人な子ですね』深雪が拗ねているようだ。

「ああ、でも深雪の方が綺麗だよ」

『そんな、言葉では誤魔化されませんよ』

言葉ではそう言っているが、深雪は顔を赤くし、身を捩ってクネクネしている。

外国人の子はこちらを観察しているようだ。

エリカ達も気づいたようだ

『凄く変な格好してるわね』

「ああそうだな」

お参りも終わったので、無視して帰る事にした。

 

 

 



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留学生

冬休みも終わり、今日から三学期だ。

一時間目の授業が終わり、休み時間になった。

A組に留学生が来たと、噂になっている。

二時間目の休み時間のことだ。

エリカが興奮して話している。

『なんか、凄い美少女なんだって、噂では上級生まで見に来てるみたい』

「エリカは見たのか?」

『人が多すぎて無理だよ』

『エリカが行かないなんて、珍しいな』レオが言ってから、エリカに殴られていた。

 

*****

 

昼休み

 

俺にしては珍しく、達也達と昼食をとることにした。

学食に行くと深雪達・・・光井さんと昨日の変な服の外国人が一緒にいた。

『同席しても良いかしら?』

金髪の外国人の子が上手な日本語で聞いてきた。

『どうぞ』達也が言う。

『達也さん、紹介しますね』光井さんが達也を見て言う。

『こちら、アンジェリーナ・クドウ・シールズさんです、A組に留学してきた方です』 

『リーナって呼んで下さい、よろしくお願いします』

『よろしく』

『E組の司波達也です、深雪の兄です、呼びにくければ[達也]と呼んで下さい』

『じゃあ、タツヤと呼ばせて貰うわ、私は[リーナ]でいいわ、後敬語はなしで』

「四葉刃更ですよろしく、シールズさん」

『エッ・・・』リーナが固まった。

「どうかしましたか?」

『いえ、あの、聞きずらいんだけど、ヨツバって、あのヨツバなの?』

「ああ、その四葉で間違いない」

『そう、よろしくヨツバくん』

その後は順番に自己紹介していった。

『私は千葉エリカ、エリカでいいわ』

『私は柴田美月、ミヅキでおねがいします』

『俺は西城レオンハルト、レオでいいぜ』

『僕は吉田幹比古、ミキヒコでいいよ』

『エリカ、ミヅキ、レオ、ミキヒコ、よろしくね』

あれ?俺だけ名前じゃないぞ、まさかの仲間はずれか。

『ねえリーナ、なぜ刃更さんだけ名前で呼ばないの?』深雪が聞いてくれた。

『あの、その・・・ヨツバだし』

「名前でかまわないぞ」

『じゃあ、バサラあらためてよろしく』

「ああ、よろしくリーナ」

リーナが小声でボソボソ言っている『シールズでいいのに・・・』

食事が終わって雑談をしていると達也がリーナに聞いた。

『ところで、リーナは九島閣下の血縁か?』

『あら、よくわかったわね、そうよ、私の母方の祖父が九島将軍の弟なのよ、その縁で今回の交換留学になったみたいよ』

 

なぜ九島烈が閣下と呼ばれているかと言うと、退役将官であることに由来する敬称だ、日本では老師とも呼ばれている。

弟は渡米して家庭を築いた、当時は今と違い国際結婚が奨励されていた。

こうしてA組の留学生との顔合わせは無事に終わった。

 



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リーナ

実はリーナは、USNAの魔法師部隊スターズの総隊長アンジー・シリウス少佐なのだ。

今回の任務は戦略級魔法師を探り出す事だ。

ようは、潜入捜査員と言う事だ。

容疑者は三人いるがその内の二人が一高に通っている。

はっきり言えば刃更と達也だ。

リーナの見た感じではタツヤを怪しく思っているが、バサラも怪しい、なんと言ってもバサラはあのヨツバなのだから。

リーナは今日も一人思い悩んでいる。

 

 

*****

 

一週間後 昼休み 食堂

 

今日は、一週間ぶりにリーナ達と一緒に食事を取ることになっていた。

「久しぶりだな」

『そうね』

会話が続かない。

どうも俺はリーナに警戒されているみたいだ。

『それにしても、リーナは凄いな、まさか深雪さんと互角に競い合うなんてさすが留学生だね』

『これでも、母国のハイスクールでは負け知らずだったんだけどね、自信なくすわほんと』

どうやら深雪とリーナはライバルのようだ、お互いに意識しあっている。

「お互いに競い合うのはいいけど、授業中だけにしておけよ」

『はい、刃更さん』

『わかったわバサラ』

達也とリーナが話している。

『なあ、リーナ普通はアンジェリーナの略はアンジーだと思うんだが』

『いえ、別にどっちでも良いのよ、私がリーナの方が気に入っているだけよ』

『そうか、それでアンジーではなく、リーナなんだな』

何故かリーナが、うろたえている。

「そういえばUSNAにアンジー・シリウスっていう魔法師がいなかったか?」

リーナが固まった。かなり狼狽している何故だろう?

『リーナは知らないかい』

『えっええ、名前だけは聞いた事があるわ』

何故か達也も苦笑いをしている?

なんか俺、へんなことを言ったかな。

 

アンジー・シリウスとは、USNAのスターズ総隊長で戦略級魔法師で十三使徒の一人。

 

ここでリーナが深雪に話しかける。

『ミユキとバサラはどういう関係なの?』

『刃更さんは、私の婚約者ですわ』

『エッそんな関係なんだ』

『ええ、そうよ』

『でもあのヨツバよ恐ろしくは無いの』

『私は、気にしないわ』

 

*****

 

リーナのマンション

 

リーナは布団の上をゴロゴロと、転がりながら考えていた。

どうやって、刃更と達也から情報を引き出すかを。

まずは、色仕掛けでメロメロにしてからね・・・

ターゲットは達也にした、何故かと言うと刃更には深雪がいるから無駄だろうと思ったからだ。

自己評価をして見る、ルックス、自分では美人だと思っている、スタイル、この年にしては良い方だと思う。

評価完了、うん自信を持とう、でも色仕掛けってどうすれば良いのだろう?

こうして一人思い悩むリーナであった。

 



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リーナ2

翌日からリーナの攻勢が始まった。

『ハーイ、タツヤ風紀委員の活動が見たいの、ぜひ一緒に行動したいのだけれど』

明らかに昨日と態度が違う、一体リーナに何があったと言うのだろう。

『そういうことは風紀委員長に聞かなければ何とも言えない』

『では、すぐに聞きに行きましょう』本当に付いて行くつもりのようだ。

こうして達也とリーナは風紀委員長である千代田 花音(ちよだ かのん)に許可を取りに向かったのだあった。

 

『なあ、今日のリーナおかしくなかったか?』レオが言う。

『少し変だったね』幹比古が言う。

『あれは、ちょっと変だったわよ』エリカまでが言う。

深雪は少し困った顔をしているだけだ。

これは何か知っていそうだな、今夜にでも、深雪に話を聞いてみるか。

 

 

*****

 

 

その夜

 

俺はマンションの部屋で深雪とデジホンで話をしていた。

「ああ・・うん・・それで・・うん、そうなのか?うん・・へー」

『ええ、それで・・そういう事なの、うん、うん・・・じゃあまた明日、はいおやすみなさい』

深雪との楽しいおしゃべりタイムが終わってしまった。

まあ話を要約するとこんな感じだ。

まず、リーナがアンジー・シリウスの可能性が極めて高いと言う事、次に達也のマテリアル・バーストについて調べに来ている可能性があるということ。

要はそういうことらしい、完全に達也狙いだな、今日の事といい。

深雪に聞いた所では、あの後も変な行動を取っていたようだ。

俺は、あんがいあの二人はお似合いではないかと思ってしまった。

実際に、リーナのポンコツっぷりは傍から見ていて大丈夫かと思うレベルだ。

昨日の昼食の時の狼狽振りが良い例だろう。

あれだけ、あらかさまに動揺していてはスパイなどは持っての他だろう。

それを、達也がフォローするそんな未来があっても良いのかも知れないと思ってしまった。

 

*****

 

数日後 学校

 

教室に入ると怪事件の話題ばかりだった。

どうやら、吸血鬼の話題らしい。

ちょうど、エリカが達也にその話題で、話を聞いている所だ。

『刃更くんも聞いた?吸血鬼の事』

「ああ、一応ニュースはみたぞ」

『ほんとに奇妙な事件だよね』

俺は、あまり興味が湧かなかったので話を適当に切り上げる。

エリカは少し不満のようだったが、ここはスルーする。

またエリカは達也のところに、話しに行った様だ。

エリカは少し、話し足りないのかもしれない。

そうこうしていると、教室にレオが入ってきた。

「よう、今日は遅いんじゃないか」

『ああ少し、夜更かししてな』

ちょうど授業がはじまったので席に着いたのだった。

 

 



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吸血鬼

今俺の前には、一人の吸血鬼がいる。

と言っても実は可愛い吸血鬼のコスチュームを着た深雪なのだが。

「深雪、一体どうしたんだ?」

『いえ最近、リーナがお兄様に猛アタックしているのを見ていて、負けていられないと思いまして』

こんなところでも、ライバル意識むき出しだ。

「そうか、まあ可愛いから別に良いのだが」

『そんな、可愛いだなんて』

深雪がクネクネと身を捩っている。

「それで、吸血鬼について達也は何か言っていたか?」

『ええ、お兄様は魔法師のしわざかもしれないと、そう言ってました』

「魔法師のしわざかー、一体何の為に体中の血を抜く必要があるんだろうか、何かの実験なのか?」

『私には、分かりかねます』

「そうか、また何か分かったら教えてくれ」

『はい』

 

 

*****

 

ある日の朝の事だった、エリカから連絡が来た。

「ああ・・えっ、レオが・・ああ、そうか、後で向かうよ・・ああ、また後でな」

エリカによると、レオが吸血鬼に襲われて入院したと言う事だった。

エリカの兄さんの手伝いをしていたらしい、ちなみにエリカの兄さんは警察官だ。

なんにせよ放課後に見舞いに行く事にした。

学校で達也達とも相談して、一緒に見舞いに行く事にした。

 

 

*****

 

放課後 病院

 

達也達と病院にやってきた、レオの病室の前まで移動するとエリカが待っていた、ノックをして病室に入る。

すると、若い女性がいた、エリカがレオのお姉さんだと教えてくれた。

全員で挨拶をした。

「災難だったな、大丈夫か?」

『ああ、なんとかな』

『怪我は無いみたいだが、どこをやられたんだ』達也が聞く

『それが分からないんだ、ただ突然体の力が抜けて立っていられなくなった』

『よく助かったな』

『ああ、ただでやられた訳じゃ無いからな、一応は反撃したからな』

「なんにせよ無事で良かったよ」

『ああ、サンキュー』

今日の、エリカはやけに大人しい終始無言だ、責任を感じているのだろうか?

「おい、エリカ元気無いな、どうしたんだ」軽い調子で尋ねる。

『別に、何でもないわよ、私だって大人しい時だってあるんだから』

「ああ、なんかすまん」

『気にしないわ』

「ああ」

やべ、失敗した~、空気が少し重くなったみたいだ。

俺は、みんなが話すのを大人しく聞いておくことにした。

達也がレオに詳しく話を聞いている。

俺は、ぼんやりと吸血鬼のことについて考えて見たが、全然考えがまとまらない、逆に先日の深雪の吸血鬼コスチュームが浮かんできて困った、本当に可愛かったな。

あまり話し込んでも迷惑なので退散する事にした。

 

 



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