ある龍のお話 リメイク前&外伝 (流血事故)
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プロローグ
全ての始まりは.....


後からプロローグを入れるスタイル(思いついたから入れただけ)
テスト勉強中に浮かんだ、そんな話です。


 

???side 〜昔話〜

むかしむかし...とは言ってもそれほど昔ではないけど。

そこにはとても美しい島がありました....

 

 

少し昔のお話。

 

 

 

深い森に覆われた遥か遠くにある島。

島は森の中心部に大きな湖があり、そこを中心に花の咲き乱れる平原がありました。

その島の名は、楽園。

 

楽園には1匹の龍が住んでいました。

その龍は島近隣の村々でカキア・サナトスと名をつけられ、人々に恐れられていました。

龍の生態は解き明かされていません。

確実にわかっていることとしてその龍が絶対的死を与える存在ということ。

この地に降り立つハンターを悪戯(いたずら)に殺していく、この島の絶対強者だということでした。

 

しかし、意外にもこの島は命が溢れていました。

理由は簡単。

小型モンスターから大型モンスターまで全ての生態がその龍に守られていたからです。

 

しかしその平和も、人間たちによって奪い去られてしまいました。

人々はそれを滅龍戦争(めつりゅうせんそう)と呼んで全面的に協力しました。

 

戦争の目的はカキア・サナトスの討伐。

一頭の龍のために森が焼かれ、全てのモンスターが標的となりました。

持ち込まれるはずのない兵器の数々が使われ、生態系が崩壊していき、島はモンスター達の悲鳴で埋め尽くされてしまいました。

島の弱者も強者もなすすべも無く物言わぬ死骸となり、積み上げられていきました。

それもそのはず、持ち込まれた兵器はバリスタや大砲を始め、撃龍槍、小型の龍撃砲など普段は持ち込みを禁止されているものだったからです。

さらに、この滅龍戦争にはハンターの人数の制限がなく参加するハンターが増え続けるという最悪の状況でした。

海上には大砲を積んだ船、空からは救援物資を送る飛行船が待機していて絶えずそこから攻撃やサポートを始め、飛んで逃げようとした飛竜や翼竜も無差別に殺されていきました。

 

森を焼き払い、モンスターを駆逐しながら進むハンター達は、ついに森の中心部へ到達しました。

そこで見たのは漆黒の鱗に覆われ、2対の翼を持つ紫色の目をした龍。

龍の瞳にはハンターの姿が映されていず、燃えていく森が映されていました。

その瞳はハンター達を捉え、愚かな人間たちに恐怖とそれを塗りつぶす殺気をぶつけました。

 

龍の咆哮に島全体が震えました。

森の炎が消え、一瞬島から音が消えました。

 

龍の最初の一撃は、戦争に参加したG級ハンターでさえ捉えることは出来ませんでした。

ハンターが組んだ陣の後方、主に支援を担当するハンター達が無残に吹き飛び、そのほとんどが攻撃されたと気付く前に死んでいきました。

 

次の攻撃でバリスタや大砲のほとんどがバラバラに壊れ、近くにいたハンターも巻き添えになって死にました。

それを見届けた龍は空高く舞い上がり、深く息を吸い込み大きく咆哮しました。

 

その咆哮は先ほどとは違い、低く怒りに震えるかのようでした。

咆哮を引き金に島全体に雷が落ち始め、幾つもの飛行船が墜落し、船が沈んでいきました。

ハンター達はそれぞれ武器を構え降りて来た龍へ攻撃を繰り出し始めました。

バリスタや大砲が容赦なく射たれ、龍を埋め尽くしていきました。

 

しかし龍はバリスタや大砲をものともせず、近づいて来たハンターをサマートルで弾き飛ばし、着地の勢いで地割れを起こし沢山の人間を屠りました。

そのまま炎を纏いテオ・テスカトルのように龍を中心に大爆発を起こし、全てを焼き尽くそうとした瞬間、金属を叩く音とともに撃龍槍が龍を貫きました。

 

撃龍槍は龍の心臓を正確に捉えていました。

龍の血が大地を染め、身体中が人間の兵器で撃たれても龍は止まりませんでした。

撃龍槍を噛み砕き、近くのハンターを轢き殺し、猛威を振るいました。

 

 

雷雲が徐々に消えていき、よく晴れた空が見える頃には島で動けるのは4人のハンターと龍だけとなっていました。

先に動いたのはハンター。

大剣使いのハンターが龍に向かって一歩踏み出し、剣を振り下ろしたのです。

龍はそれを横へ滑って躱し、噛み付こうとしました。

それに気づいたハンターは大剣を横へなぎ払い、龍を牽制しました。

龍が後ろへ下がった刹那、後ろから双剣使いが飛び込んで来きて、双剣が龍の腹に食い込み横へ大きく切り裂いていました。

 

龍が怯み、後退したのを合図に双剣使いと龍の間にハンマー使いが割り込み、龍に刺さったままの撃龍槍に溜め攻撃を叩き込みました。

鈍い音がして撃龍槍がさらに深く刺さり、龍は痛みに呻きましたが、すぐに体制を立て直し大きく息を吸い込みました。

 

龍の誇るバンドボイスが前方にいた大剣、双剣、ハンマー使いを吹き飛ばしていました。

しかし、龍は忘れていたのです。

ハンターがもう1人いたことに。

 

最後の一人、操虫棍使いが龍の頭を越す高さまで舞い上がり渾身の一撃を龍に叩き込みました。

龍の体に大きく縦線が刻まれ、血が吹き出しました。

最後に龍は大きく咆哮し、地に伏せました。

絶対的死と呼ばれていた龍が倒れたことでハンターの歓声が島に響きました。

しかしその声が恐怖の叫びに変わるのに時間はかからなかったのです。

龍を中心にとてつもない力が集まっていき...

 

この日、地図上から島は消えました。

生還者、ゼロ。

目標達成、不明。

 

 

島があった場所は後に大陸の一部になり、今も深い霧で覆われているのです。

 

▼△▼△▼△▼△▼△

 

.....

...

..

 

暗く、何もない場所で、龍は様々な生き物の記憶を見ていた。

それは、人間の記憶であったり、モンスターの記憶であったり。

龍がわかることはただ1つ。

この記憶が全て、死んだものの記憶であること。

龍は、生まれた時からずっと死者の記憶を見てきた。

目を閉じればすぐに死者の記憶が見える日々。

その日々に龍は退屈になった。

 

龍の意識は眠っていた。

それでもゆっくりと、しかし確実に意識が戻ってくるのを感じていた。

 

 

それは何かの前触れ。

 

....狭い。

体が何かに押さえつけられている。

体に力を込めてみる。

確かな手応えを感じ、さらに力を込める。

 

パキッ

 

 

....これはある龍のお話。

 

 

 




え?後半龍が弱体化し過ぎてる?知らんな。
どっかの話と被っているような気がするが...気のせいです。
感想、評価待ってます。
質問コーナー(意見箱)を活動報告に設置しようと思います。
どんどん質問や意見を言ってもらえると嬉しいです。


ちょっと直しました


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第1章
第1話 誕生


初投稿です。テンパっています。暖かい目で見てください


孤島昼エリア8。

飛竜の巣として使われているこのエリアで、リオレイアは目の前にいる生き物に首をかしげていた。

自分が産んだ卵は確かに6つだったはずで、巣はずっと自分が守っていた。

だから他のモンスターの卵が混じったということもありえない。

最初に希少種の金レイアが生まれ、今回も希少種を育てることになるのは誇り高かった。

続いて生まれてきたのは亜種である蒼レウス。

こちらも毎回1匹はいて慣れていた。

ただ、3番目に生まれてきたのはリオレイアが生きてきた中で初めて見る竜。

姿形も間違いなくリオ種ではなく、リオレイアが生涯2度ほど目撃した古龍のような姿をしていた。

 

しかし、古龍と言い切れないのには理由があった。

それは翼が4つ、二対なのだ。

また、動くごとに鱗同士が擦れあって不思議な音を立てているのも気になった。

音は、不快ではなく、心地よかった。

だが当の本人(竜)は自分の姿がわからないため目の前で3頭の飛竜が口を開けているシュールな光景を見ている。だがしばらくすると、

 

「キュキュー」

「ギャウギャウ!」

 

飛竜の子供達と遊び始めた。

どうやら竜はリオレイアたちを家族と認識したようだった。

リオレイアはしばらく巣から追い出そうか悩んでいたが、子供達と遊んでいるのを見ているうちに一緒に育てようと思った。

 

 

数時間後

リオレウスが帰って来た。

自分の子供達と一緒に見たことのない竜がいたせいで空から落ちそうになるほど驚いていた。

リオレイアは事情を説明すると一緒に育てるつもりだとリオレウスに伝えた。

リオレウスが狩ってきたアプトノスを半分ほど食べた頃、4つ目の卵が孵った。

とてもやんちゃなリオレイアだった。

リオレイア(レイア)は動けるようになるなり近くにいた竜に飛びかかっていった。

いきなりのことに竜が怒るんじゃないかとリオレイアはヒヤヒヤしていたが、楽しそうにじゃれ合っていたので安心した。

 

夕方空が赤みがかってくる頃6つ目の卵が孵った。桜レイアだった。

その日エリア8は深夜まで騒がしかった。

 

 

古龍観測所より本部へ

孤島に住んでいるリオ夫婦の巣で卵のカケラを発見しました。幼体はまだ確認できていません。

また、リオレウスが巣に着陸する際におかしな行動をしていました。このリオレウスは片爪のリオレウスだということがわかりました。比較的安全な個体ですが子供がいた場合危険度が増していると考えられます。

 

本部より古龍観測所へ

了解しました。孤島の件については下位のハンターの立ち入りを規制し、商人などに注意を呼びかけます。そちらでは引き続き調査を行なってください。

 

クエスト名

孤島の生態調査

 

メインターゲット 報酬金12000z

ネコタクチケットの納品

 

サブターゲット 報酬金0z

なし

 

目的地 孤島

契約金 1200z 受注・参加条件 HR4以上

失敗条件 報酬金ゼロ

 

依頼主 龍歴院本部

依頼内容

孤島のリオ夫婦に新しい動きが見られた。生態にどのような変化が起こっているのか知りたい。リオレウスのほうは片爪のリオレウスとの報告が来ている。比較的安全な個体だが十分気を付けてのぞんでほしい

 

 




1000文字いくの難しいですね。続くかわかりません。感想などお願いします。

直したけどほぼ文字数変わらん....


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第2話 子供達は育ち盛り

続き書きました。しばらくリオレイア視点です。感想などよろです。


あの竜が生まれてから3日がたった。

リオレイアは竜の成長の早さに驚きを隠せなかった。

何故なら一番最初に生まれた金レイアと同じくらいの大きさに成長していたからである。

自然に生きる動物は人間よりも成長が早く、モンスターの中でも飛竜は成長が早いほうだが、それでも生まれた順番で大きさが決まるのが普通でなのだ。

 

「キュ?」

 

リオレイアの視線を感じたのか竜は顔を上げ首をかしげる。

とても可愛らしいのだがそれは口の周りが血で濡れてない場合である。

 

「ハァ…」

 

思わずため息が出た。

見たことのない竜に、成長途中の食べ盛りな4頭の飛竜。

すでにアプトノス2頭でも足りなくなっていていた。そろそろ自分も狩りをしに行かなくてはいけないようだ。

だが巣を留守にするのは問題もあった。

自分が巣に居ない間に他のモンスターやハンターが来るかもしれないからだ。

そうなるとまずは子供達に戦い方を教える必要がある。

金レイアと竜はアオアシラ位の大きさに成長している。問題は蒼レウスより下の子達である。

成長しているが体の大きさはまだドスジャギィ程度にしか育っていない。

それと竜の名前を決めなくてはいけない。

このままだと緊急の時に指示が通らなくて危険だ。

とりあえず巣から出てエリア7へ行こう。

そこなら何らかのモンスターは居るだろう。

 

〜親子移動中〜

 

何とかエリア7についた。

脇道を通るだけなのになぜこんなにも大変な作業になるのだろう?

苦労した甲斐があり、オルタロスやジャギィなどの小型モンスターがいた。

ー少し数が少ない気がするが。

何故なのかはすぐに分かった。

アオアシラの匂いが風に運ばれて来たからだ。

 

(アオアシラなら子供達の訓練相手にも丁度いいだろう。)

 

どうやらアオアシラはエリア3に居るようだった。

気にすることはないだろう。

リオレイアは注意を子供達に向けた。

子供達は普段見ないオルタロスに興味を持ったようだった。

それぞれの方法で、金レイアは小さな炎でオルタロスを火炙りにし、竜はとにかく追い回し、蒼レウスは注意深く観察、レイアと桜レイアはタッグを組んで挟み撃ちにと変わっている。

その時リオレイアは竜の変化に気がついた。音を使っていたのだ。

正確には、音の衝撃と言うべきか。

いつも動く時になっている音よりも少し高く、長く鳴らしていた。

例えるならガララアジャラの高周波のような音だった。

 

そうこうしているうちにエリア3の方からアオアシラがやって来た。

アオアシラは一瞬立ち止まり足元に駆け寄って来た竜をジッと見つめた。

そして、前足で投げ飛ばした。

威力もなく、アオアシラにとっては邪魔なものをただどかしただけなのだろう。

しかし竜にそんな理屈は通じない。

次の瞬間、竜の姿が変わった。

 

 

 




行を使ってみました。どうでしたか?
とりあえずここで一旦切ります。読んで下さり感謝です。続きを楽しみにしていて下さい。

なぜ絵文字を使っていたのかあの頃の自分が理解できない...


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第3話 竜が戦い、リオレイアは竜の名前を決める

あれ?お気に入り登録来てる?よっしゃー!!
〜歓喜の舞〜
ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
相変わらず駄文です。
2話で竜がアオアシラに投げ飛ばされた後のお話です。


アオアシラに投げ飛ばされた竜は怒っているようだった。

鱗同士をスレ合わせて低く唸るような声を上げている。

リオレイアの目には竜の鱗がスライドして耳に重なるところが見えた。

 

竜は咆哮した。

まだ小さいが、音爆弾程度の大きさがある。

竜はアオアシラが怯む一瞬の隙をついて飛びかかった。

アオアシラも負けてはいない。

前足を振り下ろして上から竜を押さえつけようとした。

竜はそれをサッとかわし、アオアシラの後ろ足に噛み付く。

驚いたアオアシラは腕を振り回して竜を爪に掛けようとするが、竜はアオアシラの爪が当たりそうになると後ろ足を離して距離を取った。

 

その光景をリオレイア達は驚いた様子で見ていた。

リオレイアからすれば、ここまでの動きを出来るとは思っても見なかった。

そして次に竜がした行動はリオレイア達をさらに驚かした。

 

竜が炎を吐き、その炎に向かって音を鳴らし、爆発させたからだ。

さすがのアオアシラもこんな事は予想できていなかったのか尻餅をついていた。

それを見逃す竜では無い。

先ほどの戦い方を見て、頭が良いのは確実だ。

竜はアオアシラに向かって飛び前足と翼を使ってアオアシラの頭を叩いた。

大した威力には見えなかったが、アオアシラが対応しきれずそのままビタンッと頭から地面に倒れるほどの強さはあるようだ。

だが、その時アオアシラが振った腕が不運にも竜の後ろ足に当たり、爪が刺さってしまった。

 

「ギャウ!?」

 

竜は驚きバタバタと暴れ出す。

出血量は少なく、すぐ塞がるほどの大きさだ。

アオアシラはこれを好機と見て、鋭い爪で竜を引き裂こうとした。

 

バキッ!!

 

だが、吹き飛んだのはアオアシラだった。

とても頑丈だと言われているアオアシラの腕甲が爪もろとも吹き飛んでいた。

驚いてアオアシラが見つめた先には、前翼を大きく広げた姿のままアオアシラを睨む竜の姿があった。

 

あの一瞬の間、竜は瞬時に体制を整えて翼を広げ、圧縮された高周波をアオアシラに向けて放ったのだ。

前翼には音を反響させて何十倍いや、下手をすれば何百倍にも音を大きくすることができる特別な鱗があった。

それを使えば高周波の威力はアオアシラの腕甲を簡単に破壊してしまうほどの威力が出るのだろう。

我に返ったアオアシラは勝ち目がないと見て一目散に逃げようとするが、金レイア達に囲まれて袋叩き状態になっていた。

 

竜の実力を改めて知ったリオレイアは、どこから思いついたのか竜は名前をシオンと呼ぶことにした。

 

一方シオン達はアオアシラを倒してムシャムシャと食べていた。

アオアシラの肉はちょっとした贅沢品なのである。

アオアシラの主食はハチミツなので肉もハチミツの風味が付いていて美味しいのだ。

 

余談だが、この後金レイアが火でアオアシラの肉を焼く事を思いつき、それがとても美味しかったため孤島のアオアシラ達はしばらく新しい危機に脅かされていたという...

 

 

 




やはり1000文字いくのも難しいです。初めての戦闘描写でしたが、どうだったでしょうか?シオンは漢字で書くと死音です。はい。あなたの予想どうりです。
感想などお待ちしております。これからも頑張っていきます

ちょくちょく直していきます


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第4話 初狩のはずだった

相変わらずの駄文だ...
お気に入り登録&感想して下さった方々、ありがとうございます!!


バサッバサッ...ボテッ バサッバサッ...ボテッ

 

一生懸命羽ばたいて少し上がっては落ちる。

また羽ばたいて少し上がっては落ちる。

 

孤島の昼エリア8ではそんなことが繰り返されていた。

 

リオレウスが飛ぶ手本を見せ、それに習って子供達も飛ぶ。

しかし、簡単に飛べるはずもなく子供達は次々と落ちる。

 

一生懸命飛ぼうとする子供達をリオレイアはジッと見つめていた。

リオレイアが一番気になったのはシオンである。

 

リオレイアは今まで4枚羽の竜を育てたことがなかったためどの様に飛ぶのか気になっていたのだ。

 

リオレイアがシオンを観察しているうちに蒼レウスがコツをつかんだのか不恰好ながらも飛べる様になっていた。

さすが空の王者と言うべきか。

 

シオンはと言うと....

とっくに飛べていた。

羽が4つあるからか、安定して飛んでいる。

 

自分が飛ぶことに必死になっていた金レイア達も唖然としてシオンを見つめていた。

 

金レイアは力任せに羽ばたいているうちに飛び方がわかったのか、しばらくするとシオンと並んで飛んでいた。

桜レイアとレイアは競う様に羽ばたくうちに飛べる様になっていた。

 

数時間後...

子供達全員が飛べる様になり、遊びも空中を使う様になった。

こうなればもう獲物も自分で取れるので、リオ夫婦が苦労する時期は終わろうとしていた。

そして、いよいよ自分で獲物を取る訓練が始まった。

子供達はそれぞれのエリアへ向かって飛んでいく。

リオ夫婦は子供達が危険な目に合わない様、それぞれ監視を始めた。

 

 

 

シオンはエリア2へ向かっていた。

何故かと言うと、そこから複数の足音が聞こえたからだ。

現在孤島には、ナルガクルガがいるようだった。

シオンは聴覚が優れていて、その気になれば孤島全体の様子を探れるほどだった。

なので、どこにどんなモンスターがいるのか探るのも得意であった。

また、エリア2からは聞いたことのない足音が聞こえたのでシオンは少し興味が湧いたのだ。

 

シオンがエリア2の上空に差し掛かったころ、突然大きな音が聞こえ、驚いたシオンはエリア2へ落ちてしまった。

 

 

エリア2では、ハンターがナルガクルガと戦っていた。

だが力の差は明らかだったようで、ハンターの方は傷だらけだ。

 

「旦那さん!一旦引くニャー!!」

「わかってるわよ!!」

 

アイルーに促されてハンターは一旦引くためにポーチから音爆弾を取り出した。

 

「えい!」

 

音爆弾は丁度飛びかかろうと構えを取っていたナルガクルガに命中し、怯ませる。

 

闇夜に紛れて獲物を取るナルガクルガは音に敏感なので音爆弾のような大きな音が苦手なのだ。

だが、ハンターは忘れていた。

音爆弾で怯ませた後ナルガクルガは怒り状態になり、動く速度が早くなるということを。

結果的にハンター達は追い詰められてしまった。

 

その時、空から落ちてきたモンスターがナルガクルガを押しつぶした。

あたりどころが悪かったのか、鈍い音とともにナルガクルガは動きを停止した。

 

だがハンター達は喜べなかった。

ナルガクルガは死んだが、その代わり新しいモンスターが現れたからだった。

 

 

シオンは大きな音が聞こえたショックで落ちたが、偶然下にいたナルガクルガのおかげで怪我をしなかった。

起き上がると目の前に見たことのない生き物がいた。

 

「キュルルル!?!?」

 

驚いたシオンは飛び上がり...こけた。

 

「わぁあああ!?!?」

「ニャアアア!?!?」

 

いきなりモンスターが大声を出して転んだので、驚いたアイルーは気絶し、ハンターは腰を抜かした。

どうもこのハンター達とシオンは似た者同士のようだった。

 

だが、さすがハンターと言うべきか。

すぐに立ち上がったハンターは、アイルーを抱いて全力で走って逃げていってしまった。

 

取り残されたシオンは

 

「キュ?」

 

ただ呆然と立っていた。

この一連の出来事を見ていたリオレイアは、一足先に巣に飛んで行ったのであった。

 




ナルガクルガさんごめんなさい。
初めて1500超えました!頑張りましたよー!!
こんな駄文毎回読んで下さりありがとうございます!
続くよう頑張ります!


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登場モンスター&人物紹介

やって見たかった。予定の人物もとりあえず載せとく。


こんにちは〜刹那です。今日は登場予定の人物も含めて紹介していこうと思います。

まずは登場モンスターを紹介していきましょー

最初のモンスターはリオ夫婦から

 

片爪のリオレウス

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

左肩から胸にかけて大きな切り傷がある。

長年生きているため黒炎王になりつつあるが、この傷のせいで左肩周辺から左足までの所は変化していない。

特徴的な傷はハンターと戦った際についたとされている。

もともと好戦的な性格だったが、リオレイアとつがいになってからはリオレイアを見習い大人しくなった。

時折、戦闘時に体の傷から炎が出る不思議な現象が目撃されている。

 

リオレイア(緑風の舞姫リオレイア)

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

非常に大人しくこちらから攻撃しなければ安全である。

一部のハンターからは【緑風の毒姫リオレイア】と言われている。

このハンター達の多くはリオレイアに命を救われたハンター達である。

こちらのリオレイアも長年生きているため紫毒姫になりつつある。

特に目立った特徴は無いが一部のハンター達は一目でわかるとか。

 

リオレイアの呼び名ちょっと中二病チックになったな〜(素知らぬ顔)

リオレイアとリオレウスの過去は番外編にでも書いとこうか。

次行きましょ次〜

 

シオン(主人公)

種族 ???

特徴&説明

詳しいことは何もわかっていないモンスター。知能が高い。

羽が4つあり、前翼の方が大きい。

音を使うことに長けていて、クルペッコのようにモンスターの鳴き声を再現することも可能。

 

金レイア

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

リオレイアの希少種。

親に似て温厚な性格だが、負けず嫌い。

なんでも力任せにすることが多く、よく失敗する。

 

蒼レウス

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

リオレウスの亜種。

感がよく、飛行能力に長けている。

兄弟の中では一番冷静で、大体のことは簡単にやってのける。

 

リオレイア

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

とてもマイペースな次女。

自分の気が向いた時に時折凄い能力を発揮することがある。

 

桜レイア

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

特徴&説明

リオレイアの亜種。

父親似の好戦的な性格だが、一番小さいためあまり兄弟には喧嘩を売らない。

最近は一人で出かけてジャギィを捕まえて遊んだりしている。

 

疲れた...

普通のリオ夫婦の巣に何故こんなに亜種やら希少種が生まれるのかと言うと、実はリオレイアとリオレウスも両親は亜種や希少種だったんです。(ご都合主義)

次は登場予定の人物達

 

名前 ミキ

 

年齢 18

 

性格 明るく活発

 

外見 ベリオ装備一式

 

使用武器 太刀

 

 

名前 フミ

 

年齢 20

 

性格 冷静沈着

 

外見 ナルガ一式

 

使用武器 幻想剣【思】(オリジナル武器)

 

 

名前 レオ

 

年齢 16

 

性格 チャライがビビり

 

外見 ラギア一式

 

使用武器 チャージアックス

 

 

名前 リュウガ

 

年齢 17

 

性格 無口だが優しい

 

外見 ジンオウ一式

 

使用武器 ハンマー

 

 

こんな感じでしょうか...

上手くいかなかったような気がする...

 




なんか真面目に疲れたー
地味にオリジナル武器出してるけど気にしなーい。
感想など待ってます。
今日はすぐオフトゥンにインしよ。


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第5話 騒がしい孤島の1日

名前変えました。特に意味はないです。
投稿が大幅に遅れたよ〜〜(汗)
3,000文字いきました!やったね!


孤島 朝 エリア8

モンスターが活動を開始する時間帯、リオレイアの巣では4人の人影があった。

ラギアX装備の男とガララX装備の男、レギオスX装備の女の子。

それぞれの頭にはたんこぶが一つ....

 

「どういうことか1から説明してくれるかな?」

 

半壊しているエリア7を横目で見ながらリオレイアは目の前に正座している3人に問いかけた。

まず口を開いたのはラギアX一式の男。

 

「私は、姉様の子供に変わった子がいると聞いて来たんです。そこで姉様の巣の入り口近くに不審な者を見つけて...「俺のこと!?ねぇ、俺のこと!?」うるさいです。黙って下さい」

 

話に突っ込んできたガララX装備の男をゴミでも見るような目で見つめ、男が話を続けようとすると

 

「私は喧嘩してる2人を止めようとしたの!」

 

レギオスX装備の女の子が割り込んで来た。

 

「完全にただ乱入しただけだよね?」

 

ここぞとばかりにガララ装備の男が突っ込んだ。

 

「2人とも黙ってて下さい!話が進まないじゃないですか!」

 

痺れを切らしたラギア装備の男が2人に向けて怒鳴る。

そんな3人を見てリオレイアはため息を一つ。

 

「まとめると、私の巣の近くでうろついていたライズをヴォルトが見つけて戦闘を始めて、それを止めようとしたシアラも戦闘に参加したって事かな?」

 

一向にまとまる気配が無いので大体のところがわかったリオレイアが綺麗にまとめた。

 

『そう言う事です』

 

3人が声を揃えて答えるとリオレイアは2度目のため息をついた。

 

「みんなが擬人化していたから半壊で済んだけど、これから絶対に乱闘騒ぎを起こさない事。」

 

『はい』

 

リオレイアは懲りずに戦闘を開始しようとしている男2人を見ながら改めて釘を刺し、説教を締めくくった。

3人はずっと正座していた足を恐々と伸ばしている。

痺れた足をさすりながら、ヴォルトと呼ばれた男が言った。

 

「ところで姉様、この者たちは誰ですか?」

 

「あれ?知らなかったの?」

 

リオレイアは不思議そうに首を傾げ何やら考えた後、

 

「そうか!ヴォルトは初めてだったね!種族は戦っているうちにわかったと思うけど、男の子の方がガララアジャラのライズで、女の子はセルレギオスのシアラだよ。

ライズ・シアラ、こちらラギアクルスのヴォルトだよ。」

 

「よろしく!」 「よろしくね!」 「...よろしく」

 

自己紹介が終わると、シアラが忘れてた!と慌てたように言った。

 

「ところでみどりの子供達はどこにいるの?」

 

リオレイアの名前はみどりというらしい。

 

「ん?あぁ、あの岩陰から見てるよ」

 

みどりが何気なく答えるとヴォルト達は驚いて岩に注目した。

そして、

 

「気づかなかったよ...」

 

「隠密でもつけてるんじゃ無いかな?」

 

「なんたる不覚...子供の気配に気付けないとは...」

 

などとつぶやいた。

みどりはみどりで子供達が怯えていることに気がついた。

 

「いつもの癖で普通に人化したけど子供達に見せるのは初めてだったね。」

 

「姉様、もう少し子供達に気を使った方がいいですよ。」

 

「そうだね...まず、みんな元の姿に戻ろうか。」

 

「いえ、その前にエリア5へ行きましょう。」

 

「それもそうだね」

 

竜移動中.....

 

みどり達はエリア5にいたモンスターを追い払っていた。

 

しばらくして落ち着くと、ヴォルト達はそれぞれが持ってきたお土産(ハンターから盗ったポーチに入れていた)を広げた。

所詮は子供。食べ物につられて出てくるものだ。

 

ヴォルトからはモガモ海峡の深海で獲れるモガモガニ、ライズからはズワロポスの脂身、シアラからは熱帯いちごだった。

 

どれも普段は食べられないのでシオン達は警戒心は何処へやら、仲良く食べていた。

そんなシオン達を見て、

 

「子供って単純だなぁ」

 

とライズがつぶやいたのはここだけの話。

シアラはそんな子供達を見て、

 

「今年も亜種、希少種が生まれたんだね〜」

 

とみどりと話していた。

シアラがみどりと話している最中、男子2人と子供達は特訓を交えた取っ組み合いを始めていた。

 

 

場所は変わってハンターズギルド

 

クエストボードの中心に緊急クエストと書かれた紙が貼って有った。

緊急クエストの依頼何用は

 

緊急クエスト 孤島の大狩猟クエスト

 

と書かれていた....

 

......

....

..

一瞬の閃光

一拍置いての凄まじい爆音が響いた。

爆発の起こったエリア2を見てみると、中心からややエリア3にズレた辺りから三分の一ほどが見事なクレーターになっていた。

 

そしてクレーターから十分に離れた場所では、とぐろの中に器用に頭を突っ込んで震えているライズ。

 

「これあかん奴やあかん奴やあかん奴や....」

 

「ちょ、ライズ落ち着いて、ね?」

 

なぜか関西弁になっているライズをなだめているシアラ。

クレーターの中心では

 

「ぅ...ッ....」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ....」

 

痛みに顔を歪ませるヴォルトと必死に謝るシオンがいた。

意味不明である。

 

...事の始まりはみどりとシアラが話を終えた辺りから。

シアラがシオンの鱗を飛ばせるように特訓したいと言い出した。

シアラ曰く「鱗は飛ばそうと思えば飛ばせる」ものらしい。

 

半信半疑で特訓をすると、シオンは見事に鱗を飛ばせるようになった。

それからシオンはライズに音の使い方と穴の掘り方、ヴォルトからは帯電と放電の仕方を教わり出来るようになった。

 

問題はこの後である。

今使える技を組み合わせて強力な技を作ろう、ということになった。

そこで起こったのがこの爆発。

 

作戦を立ててヴォルトが帯電を手伝うところまでは良かったのだが、シオンが暴走、結果大惨事になった。

 

 

「シオン....回復の音色とか...出来ません..か?」

 

ヴォルトは特訓をしている時にシオンが怪力や硬化の音色をしていたことを思い出し聞いた。

人間のように回復系もできるのではないだろうか。

 

「あ!」

 

回復の音色を考えた事が無かったのか、シオンは驚いた顔をして謝るのを止めて音を調整していった。

しばらくすると、心安らぐ優しい旋律が流れた。

 

「!?」

 

ヴォルトが体から痛みが引いたことに驚いていると、体に無数にあった傷が塞がっていった。

 

「ここまで...力が有ったんですね。」

 

心配して降りてきたみどりにヴォルトが感心したように言った。

みどりも驚いていたのか、そう...みたいねと言った。

ライズは一人ポツリとつぶやいた。

 

「もう...俺帰るね...」

 

 

日が沈み始める頃...

 

「今日はお邪魔しました。」

 

「また遊びにくるね〜〜!」

 

「いつでも来ていいよ〜〜!」

 

先に帰ってしまったライズを除く2人はエリア8リオレイアの巣で解散となった。

ヴォルトはそのままエリア11の海に向かって飛び込み、シアラはライズを追って原生林の方へ飛んで言った。

シオン達は1日知らない人と一緒に特訓や遊びをしていたのですぐに眠ってしまった。

そしてリオレイアは重要なことに気づく。

 

「そう言えばリオレウスはどこに行ったんだろう...?」

 

その夜にリオレウスはボロボロになりながらも帰って来たとか。

 

 

ハンターズギルド

 

「何!?G1ハンターがいても片爪だけで全員重症だと!?」

 

「はい。圧倒的な強さだったそうです。しかし片爪は動けなくなった者に対する追撃はしなかったそうです。やはり緑風の影響でしょうか」

 

「そうだろうな。ところで緑風とその他のモンスターとは交戦しなかったのか?」

 

「はい。皆普段は大型モンスターが入るはずのないエリア1で片爪の足止めを食らったそうです。それと交戦している最中エリア2から中規模の爆発があったそうです。」

 

「何が起こっているのかも確かめられないとなると...これはもうG3とギルドナイトに頼るしかないか...」

 

「しかs「報告します!」」

 

「なんだ」

 

「孤島からガララアジャラ、セルレギオス、ラギアクルスがそれぞれ元の生息域に戻ったとのことです。」

 

「そうか、それは良かった。直ちに討伐に向かったハンターを収拾するよう伝えてくれ」

 

「了解しました」

 

「何はともあれ、良かったな」

 

「そうですね...」

 

「何かあったのか?」

 

「いえ、何も...。失礼しました」

 




次回は物語を大きく動かすつもり。
次回がいつになるのやら...どうせ待ってる人などいn(黙)
感想お待ちしてます〜〜


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第6話 力の目覚め(孤島の悲劇 前編)

どうも、刹那です。
名前変えたけど刹那でいきます。

「おーい刹那。ちょっと来い」
「ん?」
「お気に入りが40件以上来てる件について」
「!?」

本当だった...
まじ!感謝です!こんな駄文ですが、これからも宜しくお願いします。
一部パクってしまいました。怒られないか不安です。すみません。
ということで本編いきます


ハンターズギルド

背中に禍々しい黒い太刀を背負った少年が一つのクエストを取る。

 

孤島の狩猟クエスト

獰猛化ジンオウガの狩猟

 

「へ〜〜獰猛化ね。ちょっくら行きますか」

 

少年は背中の剣に手を添えて不敵に笑いクエストに出発した。

...自分が監視されていることなど知らずに

 

獰猛化モンスターとは

モンスターが何らかの要因によって「極度の興奮状態」に陥ってしまった状態のこと。
これらのモンスターは特定の部位の筋肉が過剰活動を起こしており、その部位が黒い霧を纏っているように見える。

また、その部位での攻撃は絶大な威力を誇り生半可な防具だと耐えきれないほどの威力がある。

 

.....

...

..

 

「ウォオオオォン!!」

 

ジンオウガが超帯電モードになる。

そして瞬時にハンターとの距離を詰めサマートル攻撃を繰り出す。

 

「ッ!くっそッ!」

 

獰猛化モンスターは攻撃するタイミングやパターンが違ったりすることが多い。

そのせいで苦戦またはリタイアするハンターも多かった。

 

「...? やっとか!」

 

その時、剣が脈打つのを感じた。

これまで自分がピンチになった時に何度もこの感覚に陥ることがあった。

記憶を失うこともあったがその度に自分の足元にはモンスターが転がっていた。

しかし、今回は違っていた。

 

『チガタリナイ。チヲサシダセ。ワレニ、チヲ。』

 

「?なんだ?」

 

今まで無かったことに戸惑うハンター。

剣が喋るなんて初めてのことだった。

 

『ワレニチヲ、チヲ、チヲチヲチヲチヲチヲチヲチヲチヲ...』

 

「うッ!!」

 

突然襲って来た頭痛にハンターはうずくまる。

すぐ近くでは足に電気を貯め、ハンターに迫るジンオウガがいた。

頭の中にノイズが混じり、やがてその音は大きくなった。

そして...ハンターの意識を飲み込んだ....

 

 

ガイside

「...何なんだ?彼奴は...」

 

先程まで追い詰められていたハンターが一方的にジンオウガをいたぶっている。

その手に握られている剣は戦闘前よりも禍々しいオーラを纏い、刀身をジンオウガの血で真っ赤に染めていた。

と、ジンオウガが地面に倒れ勝負が決した。

そのハンターは名残惜しそうにジンオウガの死体を刺し、何かに気づいたのか辺りを警戒していた。

 

一瞬、目があった気がした。

ゾクリと刺すような殺気がガイに当たる。

ギルドナイトをしてきた中でもごく稀にしか体験しない殺気。

その殺気はガイに向けられているように感じた。

しかし、ガイからの距離があった為ハンターはガイを見つけることが出来なかったのかそのまま何処かへ消えていった。

 

しばらくしてハンターが戻って来ないのを確認し、ガイはジンオウガの死体の検分を始めた。

これほど損傷した死骸を見るのはガイも初めてのだった。

ジンオウガは尻尾以外の全ての部位が破壊されていて、尻尾もギリギリ繋がっているように見えた。

エリアにはおびただしい量の血が飛び散っており、血だまりが所々出来ていた。

片目は剣で刺したのか、深い切り傷になっている。

まるで血がよく出るところを狙い、その全てを的確に斬っていったかのようだった。

詳しく死体を見ようと移動した時、目の端に人影が映った。

待ち伏せ__

 

「な...」

 

__言葉を最後まで言い切らないうちに凄まじい殺気を纏うハンターが攻撃を開始した。

 

 

 

リオレイアside

...?

リオレイアは不吉な気配を感じ辺りを見渡した。

目の前にはじゃれ合う子供達がいる。

子供達は大きく成長し、もうすぐ成体になろうとしていた。

リオレウスは狩りに出ていて今は巣にいない。

 

不吉な気配は先日シオンが破壊したエリア2(不思議なことに次の日には治っていた)の方向から感じる。

ちょうど、リオレウスが向かった方向である。

リオレイアの変化に遊んでいた子供達は遊ぶのをやめ、不安そうにリオレイアへ視線を送る。

子供達は不安を無くす為に遊んでいたらしい。

 

「心配は要らないよ。大丈夫。だって...」

 

「ォォォォオ...」

 

リオレイアが言い終わる前に協力を求めるようなリオレウスの咆哮が聞こえた。

リオレウス一頭ではどうにもならない敵のようだ。

 

「ちょっとリオレウスを手伝ってくるね」

 

平然を装ってリオレイアは言った。

本当のところはリオレウス一頭でどうにもならない敵に不安を抱いていたが。

リオレイアは一刻も早く行こうと巣を飛び立った。

 

 

 

ハンターズギルド

「道を開けてください!急を要します!道を開けてください!」

 

「退くにゃ退くにゃ!急を要するにゃ!」

 

集会所に切羽詰まった声が響く。

運ばれて来るのは血塗れになった男性。

ズタズタになった防具は赤く染まり、元の装備が分からないほどだった。

一見見ると惨殺死体のようにも見え、悲鳴をあげる人もいた。

しかし、微かに上下する胸と時折苦しげに呻く声で生きていることが分かる。

 

「おい、どうしたんだ?この人は....酷いな」

 

「全て後で説明します!今はなるべく早く治療しなければいけません!道を開けてください!」

 

「聞いたか?今のハンター、ギルドナイトのガイさんらしいぞ」

 

「なんだと?あのガイさんがあんな姿に...」

 

「何があったんだろうな?」

 

「古龍じゃないか?」

 

「だが、ガイさんはクシャル・ダオラやテオ・テスカトルにも負けた事は無いと...」

 

集中治療室に運び込まれるガイを見て ハンター達はそれぞれの予想を話し合っていた。

 

...数時間後

集中治療室では、大部分の治療が済んだガイがベッドに寝ていた。

その姿をガラス越しに見ながら医師とギルドマスターが話をしていた。

 

「まだ意識は戻らないのか?」

 

「はい。今は出血が酷かった事もあり昏睡状態です。それともう一つ。残念なことにガイさんの右腕は重要な組織が全て断ち切られていてもう動かす事も難しいかと...」

 

「...これは全て私の責任だ。彼に出来る事は全てやって欲しい。治療費はこちらで出そう。」

 

「私はどんな人でも最善の事をしているつもりです。彼の事は任せてください。しかし、右腕は...」

 

「それは私も承知の上だ。私も彼の他に腕を動かせなくなった者を知っている。」

 

「そうですか...」

 

「報告します!」

 

「なんだ?」

 

「孤島のクエストに向かったパーティーがまだいるとの報告が!」

 

「「なんだと!?」」

 

「直ちに撤退命令を出せ!被害が出る前に!」

 

 

 

 

リオレイアside

全く...歯が立たない、とリオレイアは本能的に感じた。

こちらの攻撃は躱され、相手にダメージを与えることが出来ないままこちらの傷だけが増えていく。

リオレウスは少し前に古傷をなぞるように深く斬られ今は巣へ帰った。

リオレイアも既に顔を斜めに抉られ、重症を負った。

このままではやられてしまう...

巣に帰れば勝率は上がる。

そう考えたリオレイアは斬りかかってくるハンターを躱しボロボロになった翼を広げ飛び去った。

 

シオンside

巣で眠るリオレイアとリオレウスを見ながら、シオンは頭を働かせていた。

リオレイアは巣に帰ってくるとハンターが入ってこれる場所を全て固めるように自分達に言った。

そのハンターは今まで戦った中で一番恐ろしいものだと言う。

 

ここよりもエリア7の方が広いし天井も高い。迎え撃つならエリア7が良い。

そう思ったシオンは、金レイア達にこの事を伝えエリア7に移動した。

 

最初にハンターの接近に気づいたのは耳をそばだてて注意深く警戒していたシオンだった。

すぐに撃退する為の体制を整え、ハンターの一つ一つの行動を見逃さないようにする。

ハンターの姿を捉えた時、シオンは全身の鱗が逆立つのを感じた。

 

全身が赤く染まり、様々なモンスターの匂いがする。

ここに来るまでに沢山のモンスターを虐殺したのだろう。

そのハンターはシオン達の姿を捉えるとピタリと動きを止め、ジッと何かを考える素振りを見せた後一番近くにいたレイアに躍り掛かった。

 

レイアはこれほどまでに俊敏に動く生き物と戦った事もなかった。

桜レイアが助けに入る間も無く、鮮血がエリア7に飛び散った。

 

『1匹目...』

 

シオンにはそんな声が聞こえたような気がした。

桜レイアのなぎ払いサマートル。

ハンターはまるで攻撃が来ると分かっていたかのようにひらりとかわし、無防備な体制の桜レイアを下から突き上げるように刺した。

その刀は正確に心臓を捉える。

桜レイアが地面に落ちる。

 

『2匹目...』

 

ハンターと目が合う。

凄まじい殺気に一瞬金縛りにあう。

地上では敵わない。

シオンは天井近くまで飛び上がった。

金レイアと蒼レウスもシオンに習い飛ぶ。

しかし、ハンターにとっては取るに足らなかった。

 

桜レイアを踏んで高く跳躍。

その高さは飛び上がった蒼レウスに届く。

ハンターが空中に光線を描いて太刀を一閃する。

 

悲鳴が響き、飛び散った鮮血が日の光に反射する。

 

右翼を半分ほど斬り裂かれ、痛みの余り気絶した蒼レウスは落下した。

そのままハンターがトドメを刺そうとした所を金レイアとシオンが炎ブレスで焼き払った。

並のハンターなら一撃で黒焦げになるほどの威力。

 

しかしハンターは平然と立っていた。

体の周りを禍々しい靄がまとわりつき、不気味にうねる。

 

金レイアが急降下からサマートルを繰り出した。

すかさず反撃をしようと近付いてきたハンターに炎ブレスで攻撃する。

だが次の瞬間

炎の後ろからハンターが飛び出し金レイアの頭と尻尾へ斬撃を当てる。

桜花気刃斬III

少し遅れて傷口から血が飛び散り、金レイアの右目とその近くの顔が深く傷つき、尻尾も半分無くなっていた。

片目の視力とバランスを失った金レイアは落下する。

 

その時

リオレウス(お父さん)リオレイア(お母さん)の咆哮。

ハンターの注意がリオレウス達に向く。

しかしシオンは反応しなかった。

体の中から憎しみと怒りの感情が溢れる。

しかし同時に、家族を守りたいという強い思いも湧き上がった。

 

『キュウウウリェエエエ!!』

 

高く咆哮

同時に鱗を擦り合わせ様々な音を出す。

激しく攻撃的な音の中に美しいメロディーが重なりだんだんと調和し迫力を増す。

 

その音は孤島中に広がった。

リオレイア達の傷から出ていた血が止まり、傷が塞がる。

体にも変化が起こっていた。

 

リオレイアは体全体にかけ紫と緑の鱗に覆われの周りに薄っすらと霧が漂う。

その色は毒々しい紫から爽やかな緑に色を変え近くにいたリオレウスの傷を癒した。

 

リオレウスの体全体に黒と赤の鱗が覆い左肩の傷から炎が吹き出した。

その炎はやがて左半身を覆った。

指ごと断ち切られて無くなっていた左足からは指と爪が再生し明るいオレンジ色の爪が生え、先端から炎が時々出ている。

その姿はまるで断裂群島のみ生息する豪火種のようだった。

リオレウスは半分黒炎王、半分豪火種のような姿になった。

 

金レイアの顔の傷口からは高温で半透明になった炎が立ち昇る。

あまりの高温で陽炎が立ち昇り、金レイアの姿を歪ませ隠す。

 

気絶している蒼レウスにも変化が起こった。

蒼レウスの鱗の隙間から可燃性の粉が漂っていた。

その粉は空気に触れると小さな爆発を起こした。

 

 

シオン、リオレイア、リオレウスは同時に咆哮した。

空気がビリビリと震える。

 

リオレイアとリオレウスが同時に飛び上がる。

リオレイアが翼から毒の棘を飛ばす。

ハンターが剣でなぎ払おうとした瞬間、リオレウスが炎ブレスを当て爆発を起こした。

剣に亀裂が入り、シオンと金レイアのブレスでも傷付かなかったハンターが吹き飛ぶ。

 

『ナゼ..ここまデ、力が..』

 

ハンターを覆っていた靄が薄くなる。

立ち上がったハンターの腰にポーチごとシオンは噛み付いた。

そのまま左右に大きく振る。

剣が体に傷をつけるが気にしない。

勢いで腰の防具がちぎれ飛び、ハンターは壁に激突した。

靄は完全に消え、気を失ったハンターはそのまま地面に倒れた。

だが、そこで追撃を止めるシオンではない。

ハンターをズタズタに引き裂いてやろうと飛び出す。

しかし、たまたま足元に転がっていた回復薬の瓶を割った驚きでその勢いが止まった。

シオンがハンターにトドメを刺そうか迷っていると他のハンター達の話し声が聞こえて来た..




これは私の独断と偏見の塊...
文字数は...頑張りました。
後編に続きます。
感想、評価お待ちしております。

後日記入
ちょくちょく改善していくスタイル。
意見箱設置中です。


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第7話 竜はハンターに会う(孤島の悲劇 後編)

これって7、8にして良かったのかな??
初めての人間サイド(大嘘)
駄文投稿
後編いきます


ハンターside

「ね〜まだ着かないの〜?」

 

G級クエストは危険すぎるため到着があまりにも遅い。

それは猫タクを運転する猫さん達が危険をなるべく避けるためなんだけど...

 

「遅くない?」

 

思ったことが思わず口から出ちゃった。しょうがないよね?だって遅いんだもん!

 

「今回のクエストは孤島ですから...」

 

私の不満が聞こえたのか隣に座っていたフミが当然です、と言うように答えた。

 

「それにしても遅くない〜?」

 

「当たり前です。そもそも、初めからあなたは落ち着きが無さすぎなんです。」

 

「ハイハイ私が落ち着きが無くて悪かったです〜」

 

「ミキ落ち着けって孤島はもう見えて来てるから、さ?」

 

私とフミが言い争っていると見兼ねたレオが割って入って来た。

レオは肝心な時に逃げ出したりするけど、よく喧嘩を止めるのが得意みたいなんだよね。ビビリのくせに。

それでも私がまだ続けようとすると

 

「...もう少し、静かに出来ないのか?」

 

武器を研いでいたリョウガが静かに言った。

リョウガが怒ると怖いのは私も知っているのでここは大人しくする。

 

「待たせて悪かったにゃ。着いたにゃ。」

 

そうこうしているうちに孤島に着いた。

やっと着いた!と思って見回すといつもと雰囲気が違って違和感がある。

いつもはあちこちで飛び跳ねてるジャギィやアプトノスがいないし、なんだか金臭い。

猫タクさんはサービスにゃ。と言ってベースキャンプまで送ってくれたけど途中で降りたかったな。

道具を整えてエリア1に入るとすぐに違和感の正体に気がついた。

 

「なんで...」

 

目の前にはアプトノスの死骸が転がっていた。

しかも、剥ぎ取った後もなくてただ切り裂いただけの死骸。

 

「...」

 

ショックのあまり呆然と立ち尽くしていると、いつもは真っ先に逃げるレオがエリア2に向かって歩いて行った。

前にもこんなことがあった気がする。

 

あの時は怒り喰らうイビルジョーを討伐しに行っていて、着いた時にはハンターだった残骸やちぎれ飛んだ内臓なんかが散乱していた。

そんな場所はもう慣れていると思ってたのに吐いちゃったんだよね。

あの時もレオは先に歩いて行き「早く行こうよ」って言ってたっけ。

 

そんなことを思い出していると、行かないのですか?とフミに声をかけられた。

フミはなんだか少し迷っているような顔をしていた。

私は次のエリアこそ孤島らしい光景が広がっていることを願い、エリア2へ一歩踏み出した。

だけど、そんな望みは叶わないことを私はどこかでは気付いていたのかもしれない。

 

「何...これ...」

 

「こんなことが...」

 

「ヤバい」

 

「こっちも酷いな..」

 

目の前に広がっていた光景は、予想以上に酷いものだった。

おびただしい量の血が、エリア2の中心近くを赤く染めていた。

レオはいつもの調子に戻り、ヤバいヤバいと取り乱している。

私は注意深く辺りを見回した。

流れる水の傍にモンスターの死骸が横たわっているの見えた。

そっと近寄る。

 

「これ...ジンオウガだよね...」

 

ジンオウガの死体は激しく損傷していて、無意識にあの時の映像が脳裏に浮かんだ。

あの時とは違う、と自分に強く言い聞かせる。

そうじゃ無いとまたあの時みたいに迷惑をかけてしまうから。

 

「!これは...」

 

リョウガが何かを拾い上げる。

それはちぎれた布のようなもので血が付いているけど元々の色が濃い青色だったことがわかった。

誰かが戦っていた?

 

「わ、わ、マジやめてくれよ!!」

 

少し離れたところでレオが叫ぶ。

フミの後ろでガタガタ震えるレオ。

乱入が来た時より取り乱してどうしたんだろう?

あんなにまでなるのは人の血を見たときぐらいなんだけど...

前に私がすごい怪我をした時すごく取り乱して意味不明の言葉を発してたっけ。

レオが気になって駆け寄る。

 

「どうしたの...て、えぇ!?」

 

下を見ると血の足跡があり、思わず叫んでしまった。うん。レオと同じことした。

その足跡は乱れていてハンター同士が戦った後につく足跡にとても似ていた。

所々血が飛び散った跡が付いていたから間違いないと思う。

 

「足跡が続いているわね。」

 

フミはその足跡を慎重に見てエリア3を見つめた。

その顔は厳しく、ひどく怒っているように見えてとても怖い。

 

「フミ...?」

 

フミの雰囲気が変わったことに気づいたのかレオが不安そうな顔をする。

フミはいつも静かで何にも怒らないからレオも驚いているみたい。

 

「お、俺も行かなきゃいけない?キャンプで待っててもいい?」

 

「いえ、キャンプが安全とは限らないので一緒に来てください。」

 

「え!?嘘だよね?う、嘘だよね!?俺は嫌だからね??だっt「いいから来て下さい。」ちょ、止め、止めて!止めてくれぇええ!!!まだ死にたくないんだぁあああ!!!」

 

フミは逃げようとしたレオの襟首を捕まえてそのままズルズルと引きずって行く。

いつもは私がやってるんだけどね。

私とリョウガは引きずられて行くレオを見ていた。

 

「....俺たちも行こうか。」

 

「うん...。」

 

慎重に進んでいると突然、綺麗な音色が孤島中に響いた。

その音は、前に聞かせてもらった狩猟笛の音に似ているような気がした。

いきなりの事に私は驚き、辺りを見回す。

とっても綺麗な音でなんだか心地が良い。

レオは完全にビビりまくって尻餅をついていたけど。

 

「な、ななな何!?す、スゲーいー音だけど...」

 

「エリア7からだわ。それにしても...綺麗な音..」

 

私達はしばらく音の余韻に浸っていた。

違う。そうじゃない。

 

「早く行かないと!!音源を突き止めなきゃ!!」

 

「そ、そうだったな...」

 

「注意していきましょう。」

 

細心の注意を払ってエリア7の入り口まで進む。

流石に怖い。何が待っているかわかったもんじゃない。

そっと中を覗くと、そこには見たことのない竜がいた。

その竜は真っ直ぐ私を見つめていた....

 

シオン回想...

エリアの入り口にハンターを見つけた。

そのハンターは僕を見て驚愕の表情を見せた。

そのハンターはこちらに見られている事に気がついたのか、そろりと後ろに下がっていった。

心臓の音はバクバクいっていてそのハンターと後ろにいる仲間が緊張しているのがわかる。

今、動けるのは僕しかいない。

皆んな疲れ果てて眠っている。

最悪の場合に備え準備をした。

すでに桜レイアとレイアの亡骸はエリアの端に移動させてある。

今なら限界まで戦うことが出来るはずだ。

 

 

レオside

ヤバい。絶対ヤバい。

新種のモンスターとか聞いてないし、まず勝てる保証がない。

他の3人は意思疎通がなんとかとか言ってるけど正直早く逃げたい。

今なら..バレないバズだ。

ソロソロと後ずさって忍び足で逃げようとしたがいきなり後ろに現れたフミに襟首を捕まれた。あ、これオワタ。

そのまま引き戻される。

ヒィッ止めてくれぇええ!まだ死にたくないんだ!

そんな思いも虚しく(流石に声出したら死ぬだろ。うん。)俺はフミに連行された。

 

話がまとまってしまった。

いよいよ死ぬ時が来たのか...

話はこうだ。

まずフミが意思疎通を試みる。

 

フミの持っている武器は思想剣〈夜月〉と言ってフミが思う形にその姿を変えることができる。

俺にも特注の武器が欲しいぜ。これが終わったら取り寄せてもらおうか。

 

ミキは万が一の時フミを援護出来るように後ろに待機。

俺がしたかったのに「お前は逃げるだろ」と言われて却下された。

俺とリョウガはフミが竜の気を引いている間にハンターが近くにいないか探す。

なぜ俺には面倒な仕事ばかりが付きまとうのだろう。

俺は密かに、ピンチになったら真っ先に逃げようと心に決めた。

 

俺たち一行は、竜を刺激しないよう気を付けながらエリア7へ入った。

中も酷い有様で辺りに血が飛び散っている。

こんな場所、仕事上どうしても通るが未だになれない。

冷や汗をかきながらエリア全体を見回..そうとして俺は驚愕で目を見開いた。

なんでここにリオ種のほぼ全てが集結してるんだ!誰か100文字以内で説明してくれ!

隣にいるミキ達も固まってしまっている。

 

竜は相変わらず動かない。何を考えているのだろう。

俺は完全にパニックになり兎に角早くここから逃げ出して全て忘れて寝たかった。

どう見ても勝ち目ないだろ、これ。

しかもなんか見た目違うし?戦ったら全滅だ。

どうやったら逃げられる?背を向けて走り去るか。いや、それなら炎ブレスを喰らう方が早い。こんがり焼けた俺を食べる竜の姿が浮かび、俺は逃げることを諦めた。

そんな中フミが動いた。

手には思想剣〈夜月〉が握られ思想剣は笛の形に変わっていた。

笛でどうしようってんだ、フミ。

目の前でフミが黒焦げになるのを覚悟して見ていると、フミは竜の手前で止まった。

竜が身を少し乗り出せば簡単に噛み付ける距離だった。

ハンターはモンスターに近づけば死ぬ。なぜならモンスターにとってハンターは大きな脅威であって狩られる前に狩るが当然だったから。

だが驚いた事にフミは竜に食べられなかった。

 

今動けば死ぬ?それとも...

 

フミは今、完全に竜の攻撃範囲内にいる。なのになぜあんなに落ち着いていられるのだろう?

フミが静かに笛を吹く。

突然の事に竜が構えたが、すぐに緊張を解いて音に耳をすます。

その音は先ほど孤島に響いたあの音の優しい旋律を真似ていた。

しばらく吹いてフミは笛を下ろし竜に話しかけた。

 

「私達には敵意がない事、わかってもらえたかしら?」

 

「グル」

 

「そう、それは良かった。」

 

おい、ちょっと待て。なぜフミは当然のように竜と会話してるんだ?

そうか、フミはある程度ならモンスターの話している事がわかるんだったな。こんな時役に立つんだな。

と、フミが振り向いた。

 

「この子は皆んなに手を出さなければ何もしないそうよ。」

 

皆んな?あのリオ達のことか?

フミの言葉を聞くなりリョウガが歩き出す。

 

「おおい、どこ行くんだ?」

 

「向こうに人が倒れてる。とりあえず様子を見る。」

 

「危ないんじゃないか?」

 

「倒れてるということは、動けないか気を失ってるんだろう。」

 

そうか、確かにそうだ。

安心した俺はリョウガと一緒に倒れている人を見に行く事にした。

そして俺は今頃になって気付いた。

水辺の近くに二つの死骸がある。

リオレイアとリオレイア亜種の準成体。

恐らくあのハンターの被害にあったのかもしれない。

 

ハンターには目立った外傷は少なく(とは言っても重度の火傷と骨折、腰にある深い切り傷だが)周りにはポーチの残骸とポーチの中に入っていた物、ヒビの入った太刀くらいしか無かった。

まあ、もし目が覚めたとしてもすぐ動けるような状態ではないし剣も取り上げた。

これでとりあえず安心だ。

リョウガはハンターに回復薬を飲ませた(俺は猛反対したが)

ハンターが目を覚ましたら事情聴取するつもりだろうな。意味はよく分からないけど。

 

シオンside

あのハンター達は約束どうり何もしなかった。

パーティーの中にいたフミと言う人は僕の言葉がわかるみたいだ。

前に巣に入って来たアイルーも僕の話が分かっていたし、分かる人は分かるのかな。

ハンター達は帰るみたいだ。出口まで送っていこう。

 

 

観測所から本部へ

命令の出ていたハンターを確認しました。

孤島で騒ぎを起こしていたのは黒龍の太刀を持ったハンターでした。正直驚きましたよ、あの話が本当だったのが。

そのハンターは発見したパーティーが確保しました。

孤島のクエストを受けていたパーティーはギルドナイトの真冬が潜入しているパーティーでした。

 

真冬(マフユ)から本部へ伝言を同封

孤島にて新種のモンスターを確認。

意思疎通できる知能を持っています。

緑風の毒姫、片爪に体の変化あり。凶暴性は確認できず。

リオレウス亜種準成体、リオレイア希少種準成体を確認。

リオレウス亜種は片翼を三分の一ほど負傷している模様。爆破属性を確認。

リオレイア希少種は頭部を損傷。傷口から透明な炎が出ており、姿をうまく確認できず。

 

 

本部から観測所へ

「ココロヨワキモノワガマエニヒレフス」

まさか本当だったとは...

黒龍の武器の使用を規制します。

パーティーが無事でなによりです。

リオ達については危険があればすぐ撤退してください。

それぞれを仮命名

リオレウス亜種「片翼のリオレウス」

リオレイア希少種「片冠リオレイア」




駄文アレルギーの方は死にかけじゃ...(そもそも最初でフラバ)←意味わかってない
あの...フリガナ出来てます?
感想、評価待機中です(うざい)


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第8話 とある盗賊の一日

最近の出来事
中体連は応援団です。
「中体連だぞ!頑張れ!!」
「もう無理...疲れました...」
中体連応援終わり
「やったー!!!!終わった!」
「次は期末テストがあるぞ!!」
「ぇ...死...」
期末テストが...あるんです...

この盗賊...わかる人はわかるんじゃないでしょうか?


渓流 深い森の中

 

ジンオウガを囲むハンターが4人

 

「おーい!そっちいったぞ!!」

「シビレ罠設置します!!」

「任せた!!」

「麻酔玉は任せろ!」

 

罠にかかってもがいていたジンオウガが崩れ落ちる。

どうやらクエストは成功したようだ。

 

「お疲れーー!」

「お疲れ様です」

「じゃ、自分届けて来るんで先言っててください。」

「いつもごめんね〜」

 

パーティーの仲間と離れ男は捕獲したモンスターを運んで行った。

 

 

??side

簡単だな...

このパーティーと組み始めてどれくらい経つだろう?

怪しまれないうちに抜けたほうがいいかな。

目指していた人の気配を感じ立ち止まる。

 

「そこに居るんだろ?早く出てこいよ。こっちも時間がないんだ。」

「やっぱりバレちゃいましたか...さすがは【(ムクロ)】さんですね。」

「で?用意は?」

「出来てますよ。もうアイテムボックスに送ってます。」

「そうか。」

 

ジンオウガを引き渡し、帰ろうとした男..否骸は何かを思い出したかのように振り返る。

 

「親父は?元気にしてるか?」

「元気すぎるほどですよ。」

「ならいい。」

 

ということは前送ったアレも失敗か...

あのクソ親父は死ぬという言葉がいつになっても出てこないからな。

これなら死ぬか?

 

「ちょっとこれ、親父に渡しといてくれ。」

「何ですか?これ?」

「セルレギオスとゴア・マガラの鱗で作った新作の爆弾だ。ウイルスも飛び散るから注意してくれ。」

「そんなものを親父さんに渡すんで?」

「あの親父はこのくらいで死なねーよ。」

「まぁ、そうですね。逆に解体してそうですね。」

「渡すもんは渡したし、そろそろ本当に危ないから今日はこれで終わりだ。なんかあったら暗号文かなんかで伝えてくれ。」

「わっかりやした〜!それじゃあまた!」

 

去っていく運び屋を見送り、骸は今来た道を引き返す。

しばらく歩いたところで殺気を感じ立ち止まる。

また、か。

木の陰から現れた先程まで仲間だった(・ ・ ・)3つの人影を見てそんなことを考える。

 

「どうして!?どうしてあなたが骸なの!?」

「今ここで...お前を斬る。」

「骸...都市伝説かと思っていましたが...本当にいたんですね。」

 

冷静を装っているが、信頼していた仲間に裏切られると皆同じ顔をする。

怒り...が大半か。それでも表情にはあまり出てないな。

男が抜刀とともに振り下ろした太刀を、片手に構えていた剣でいなしもう片方で切る。

体勢を崩した相手を容赦なく蹴り飛ばす。

木に激突しゴキッという音がかすかに響く。

あまり、この音は好かない。

 

先程まで動揺していた片手剣の女が斬りかかって来る。

それを前方に回避しボウガンで撃って来ようと構えているガンナーに片方の剣を投げる。

突然の事にガンナーは反応しきれず剣が刺さり倒れる。

 

振り向きざまに跳躍。相手の頭を超える。

着地の勢いもそのままに頸動脈を狙い片手に残った剣を突き出す。

相手の顔は見てはいけない。後悔するのはわかっている。

だが見てしまう。いつもと同じで。

そしていつも...

 

相手の首にあたる直前で剣が一瞬止まる。

その瞬間、自分の首に激痛が走った。

 

...こうなることはわかっていた。

少しずらして切る、そして距離を取った。

相手が倒れるのを見届けた瞬間、がくり、と膝をつく。

傷を押さえながら、回復薬を飲む。

血が止まる、がそれ以上は回復しない。

そのくらいがいい。傷は自然に治るのを待つほうが。

全員、まだ息をしている。

1人ずつ近づく。

ポーチの中をあさり、目当てのものを取り出す。

 

少し赤みがかった小さな粒。

博士いわく、これっぽっちの大きさでも十分人の生命活動を停止させられるとか。

いつも全員生かしてしまう。

殺せない俺には、毒物を使うしかない。

慣れた手つきで毒物を飲ます。

作業が終わると瞬時にその場から立ち去る。

あとは自然か、ギルドが処理をしてくれる。

 

あの時みたいに...人が殺せればよかったのに....

これは同情?後悔?もっと違うものか?

こんな感情、盗賊にはいらないはずなのにな...

 

 

 

 

テーブルを囲み、笑い合う家族。

これは夢。昔の記憶の方が正しいのか。

母が振り向き笑う。

視界が暗くなり、映像が切り替わる。

覆面をつけた盗賊達が村を荒らす。

見えるのは燃える家、戦う人々、そして...先程まで生きていた家族の死体。

盗賊の1人が近づいてくる。

何度も見た過去。だがこの瞬間はいつも死を覚悟する。

盗賊が吹き飛ぶ。先程まで盗賊がいた所には1人の男が立っている。

その人の後ろにはたくさんの人がいた。

盗賊達はそれを見て逃げ出した。

振り向いた男はとても悲しそうな顔をしていた。

 

目を覚ますと外はまだ暗かった。

いつもの夢だ。この続きはいつも見れない。

男に拾われたあと、男も他の盗賊を率いる頭だということを知った。

村を襲った盗賊とは無関係だと知っていながらも何度も殺そうとした。

全て惨敗だったが...

 

何十回目かの失敗の後、いきなり「強くなりたいか?」と聞かれた。

「当たり前だろ」と返すと「特訓してやるよ」と言われいじめ及び虐待(特訓)を1年ほど受けた。

本人は特訓と言い張っていたが、どう考えてもいじめ及び虐待にしか思えない。

常識のある人間なら絶対にラージャンの巣の中に子供を放り込んだりしない。

そう信じたい。

そのおかげもあってかG級クエストも1人でこなせるほど強くなったが。

 

あとでわかった事だが親父はハンターをしていたらしい。

なんでもその頃は『モンスターハンター』に一番近い存在と噂されるほど。

そこまで強かったのになぜハンターを辞めてこんなことをしているのか何度も聞いたが結局わからず仕舞いだった。

 

 

次の偽名はどうしようか。

流石に本名で盗賊稼業をするつもりはない。

本名といっても親父がつけたのだが...

嫌なことまで思い出して目が覚めてしまった。

することもないし、新しくもらった剣でも研いどくか。

 

 

とある地の盗賊の根城

 

ドォオオン....!!

空気を揺るがす爆音。

間を置いて男の豪快な笑い声。

 

「骸!ここまで出来るようになったとは!感激だなぁ...たまには送られてきた爆弾を起爆させてみるもんだ。」

「お頭ぁ!!ウイルスをどうにかしてくだせぇ!!」

「あぁ、悪い悪い。」

「うわぁああ!!感染者が出たぞぉ!!」

 

あたふたと慌てる人々の声があちこちで上がる。

....この盗賊団、心配である。

 




こういうキャラを出したかった。
お気に入り登録者が増えていて夢じゃないかと何回か自分を殴りました。痛かったです。
文章能力は上がっているのか??上がっているといいな。
そろそろ1話とか直さないとかな。
出来るだけ高評価をもらえるよう頑張ります!
感想、評価待ってます!非ログインの方々も宜しくお願いします!


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第9話 秘密

お気に入り...増え...た...?(増えました)



孤島 夜...銀色の月がエリア5に降り立った───

 

シオンside

 

──何をしにきた?

──酷いな。折角兄が会いに来てやったのに。

──今頃兄だと?あの時お前がしたことを忘れたか?

 

....何か聞こえる。

話し声に、シオンは目を覚ました。

ここ最近、ハンターがあちこちを調べて回っていたせいで少しの物音にも敏感にならなきゃいけなかった。

音源は....それほど遠くはない。エリア5?

片方はレウス(お父さん)の声だけど....もう片方は?

話し声のする方へ意識を傾けてみる。

 

──...それで?お前の子供に不思議な力を持つ、

──帰れ。お前に話すことはない。

──兄に対してその態度か?力の差がどれほどあるか忘れたか?

──黙れ。あの頃とは違う。

──なら、試してみるか?

 

何だか平和的には終わらなそう。

ものすごい殺気がエリア5から伝わってくる。

おもわず鱗が逆立つ。とても...強い。

レイア(お母さん)達も殺気に飛び起き、戦闘態勢をとる。

なぜかレイアはすぐに構えを解き、

 

「ちょっとあのバカ達とOHANASIしてくるね」

 

と言って飛び立った。

OHANASIって何だろう?

その直後、

 

「ガァアアアアッッ!!!!」

 

レイアの咆哮が響き渡った。

 

 

数分後....

 

「あの!?みどりさん?ちょ、やめて下さい!!」

 

頭上ではレイアが銀レウスと戦っている。

レイアの火球が孤島に小規模のクレーターを作るため火災寸前だった。

これには銀レウスも驚いたのか当たらないように避けていた。

 

あの力を使った後、しばらくはみんな力の制御が出来なくて大変だった。

金レイア(お姉ちゃん)に近づいたら火傷するし蒼レウス(お兄ちゃん)の周囲はいつも爆発してるし....

今はみんな使いこなせてるけどあの時何を...?

 

ッッッドォォォン!!!

 

ひときわ大きな爆音が響いた後、レイアと銀レウスが降りて来た。

さっきので決着がついたようで、銀レウスはあちこちがちょっと焦げていた。

 

「本当にこの力はすごいね....」

「みどりさん、前より強くなってませんか?」

「ん?確かにそうだね。」

 

レイアと銀レウスはさっきまでの戦いがあったのかと思うほど普通の会話を始めた。

銀レウスはレウスと話す時とは違って上から目線の口調じゃない。

 

「....。そこの子供が噂の?」

「そうだよ。」

「へぇ。君、名前は?」

 

銀レウスが近づいてくる。

今更銀レウスが僕より頭一個分しか大きくないことに気がついた。

いつの間にかまた成長していたみたいだ。

僕は自分の名前だけ名乗ることにした。

 

「シオン」

「シオンか。俺は残月。よろしく」

 

銀レ..残月がさらに僕に近づいてくる。

飛竜の挨拶はこんなだったけ。と思った時、レウスが間に入り止めた。

 

「なんだ?」

「これ以上近づく必要はないだろう?」

「....。」

「用が済んだなら帰れ。」

「お前は全然変わらないな?ヴュール?」

「その名で呼ぶな!!」

 

すごい剣幕でレウス...ヴュールが残月に詰め寄る。

レウスの名前はヴュールっていうのか....なんだか怒っているけどどうしてだろう?

残月は面白いものを見つけた、みたいな顔をしている。

 

「お前、名前を教えていなかったのか?」

「煩い。」

「おぉ?なぜ怒る?名を教えるのは当然では無かったか?」

「お前には関係ない。」

「関係無くはないぞ?お前は俺達───」

「黙れ!!お前達と一緒にするな!!」

 

なにか言いかけた残月を遮り、ヴュールが声を荒げる。

そこにレイアが割って入った。

 

「残月さん。いい加減にしてくれますか?」

「....」

 

残月は何かを言いかけたが口を閉じ、どこかへ飛び去っていった。

 

レイアside

残月さんが言ったことで確信した。

レウスは何かを隠している....とても重要なことを。

レウスは会った時から少し他のリオレウスと違っていた。

どこが違うのかはわからなかったけど。

名前は...ヴュールってさっき残月さんが言っていた。

特におかしな名前ではない。

でも何か、頭の隅に引っかかった。

 

「レウス、何を隠しているの?」

「俺は...。これを話しても.....」

 

レウスが悩む姿は、あまり見たことがなかった。

何かを躊躇っていた。

それでもやっぱり教えて欲しい。

レウスは決心したのか、私の目を見て。

 

「俺は....俺の名前は、リオ・ヴュール..だ...」

「リオ...?レウスはリオの子供?だから私に?」

 

レウスがゆっくりと頷く。

あまり驚くことがないのが自慢な私だけど、流石にこれは驚いた。

リオと名乗れるのは塔の秘境に住まうアカムウカムを除けば飛竜の頂点と言われる一家。

希少種の生まれる確率がとても高く、家族全員揃って最強とも言われている。

その1人がこんなに近く...というか家族だったなんて。

驚きのあまりポカンとしていると、何を勘違いしたのかレウスが。

 

「俺はあそこが嫌で....それで逃げてきたけど...迷惑かけたな。」

「迷惑じゃないよ。逆にすごく嬉しい。レウスがきちんと言ってくれて。」

「えっと...その、ありがとう。」

 

良いところなんだけど聞きたいことがあるんだよね。

これ、結構重要。

 

「それでなんだけど....レウスとヴュールどっちで呼んだら良い?」

 




待たせたなぁ!?
テンションおかしい?気のせいです。
テスト終わって速攻で書きました。

後日談(みたいなもの)
「ヴュール。思ったんだけど...」
「ん?」
「残月ってもしかして弱い?」
「....。(多分女だから手を出さなかっただけ。でもお姉さんの方が強いか....)」
レウスはヴュールと呼ばれることになりました。

感想、評価などなどおねg「いつまで機会触ってんの!?(親)」...お願いします。


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第10話 モンスターリスト更新

話の繋ぎ方が難しかったので孤島の観測隊とギルドのやりとりで。
ハンターの皆さん、モンスターリストが更新されたそうですよ?(大嘘)
そして文字数が一気に落ちる。ごめんなさい。


ギルド本部より全ハンターに通達 モンスターリスト更新

 

片爪 リオレウス

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

半分黒炎王、半分原種の姿をしている。

一定の条件が揃うと原種の半身が炎に覆われる。

圧倒的な強さを持ち、戦闘能力は並のG級モンスターを凌駕する。

強さは未知数。

 

緑風の舞姫 リオレイア

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

外見は紫毒姫だが、甲殻から生える毛や翼爪の色が原種とは違い白に近い色をしている。

非常に大人しくこちらから攻撃しなければ安全である。

一定の条件が揃うと非常に危険度の高い毒を霧状に纏う。

この毒に触れると神経が麻痺し、即死する。

毒の濃度は調節ができる。

また、ハンターを救う姿が時々見られるためこちらから手を出さない限り非常に大人しく、友好的である。

強さは未知数。

 

奏音龍 ムエルト・ソヌス(仮名)

種族 ???

全てにおいて謎の多いモンスター。

音を使うことに長けており、様々な行動をする。

孤島エリア2を半壊させるなど大技を隠し持っている。

また、奇妙な演奏をすることで力を半永久的に上げる不思議な生態をもつ。

 

陽炎 リオレイア希少種

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

孤島の悲劇で頭部と尻尾に傷を負った金レイア。

ハンター遭遇時などに力を発揮する。

G級金レイアをも超える高火力で周りの空間を歪ませることができる。

ブレスは瞬時に地面を蒸発、または溶岩に変えるほどの高火力である。

 

爆翼 リオレウス亜種

飛竜種

竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科

孤島の悲劇により片翼を失った蒼レウス。

翼は3分の2ほど回復し、自在に爆破属性を操る。

時折海上でも爆風を起こすことから水があっても適応できることが分かった。

爆風を使い原種のように空を駆ける。

足は地面での生活で発達しており、瞬発力はナルガクルガ希少種に匹敵する。

 

 

孤島の観測隊からギルド本部へ

孤島の生態系は順調に回復しつつあります。

近くで漁をしていた人によると「銀色の太陽が孤島に降り立ち、爆音がした後に去っていった」という報告がありましたが、特に生態系に変化はありません。

銀色の太陽と片爪が交戦、のちに緑風により両成敗の形で終わりました。

なお、爆音の正体は緑風の起こしたブレスでした。

爆翼、陽炎、奏音も近くに発見。ほぼ成体にまで成長しています。

 

ギルド本部から孤島の観測隊へ

生態系の回復は実に喜ばしい事です。

銀色の太陽は、おそらく同時刻に塔から飛び立ったと報告の来た「銀星リオレウス」と思われます。

爆翼、陽炎、奏音はおそらく巣立ちが近いです。

近いうちに観測隊が必要になるでしょう。

 

孤島の観測隊からギルド本部へ

爆翼、陽炎、奏音がそれぞれ巣立ち、移動を開始しました。

すでに隊を3つに分け、追跡を開始します。

現在、爆翼が水没林、陽炎が地底火山、奏音が森丘へ進路を取っています。

 

ギルド本部から孤島の観測隊へ

了解。

それぞれ安全性が確認できるまでは通常モンスターと同じ距離で観測して下さい。

また、古塔にいた祖龍の目撃情報が途絶えました。

関連性は低いですが、念のため頭に入れておいて下さい。

 




名前を考えるのに約20分。
ますますチートじみてくるレイア一行は、これからどんな伝説を作っていくのか?
とか大掛かりな宣伝。伝説ほどじゃない。物語だ。


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第11話 記憶

1ヶ月ほど更新していなかった....
文字数、文章能力ともに伸びてません。
今回はいよいよシオンが...


 

〜旧砂漠付近の森 上空〜

 

一頭の龍が空を飛んでいた。名前はシオン。

シオンはハンター達から奏音龍 ムエルト・ソヌスと呼ばれ、観察対象となっている。

先程まで少し離れて追跡していた観測船もいつの間にか消え、この空域を飛ぶものはシオンだけとなっていた。

シオンを恐れてだろうか、普段千刃竜を始めのする飛竜が一匹も見つからなかった。

 

 

───森丘に行け

孤島を発つ時にヴュール(お父さん)が言った一言。

特に行こうと思っていた場所が無かったから目指して飛んでたけど....

 

「キュルル(やっぱ遠いな〜)」

 

思ったより遠かった。

それだけなら良かったのに海を越えるのに一日かかり、海岸に降りればラギアクルス亜種に狙われて全然休めなかったり。

一休みできそうなところを探しながら飛ぶ。

森に4つの足に二対の翼、尻尾は扇型の影が映った。

 

(やっぱり、全然似てないよな〜)

 

どう考えても自分がリオ種ではないのが分かった。

生まれた時に見た家族の顔もよく覚えてる。

と、シオンの影にもう1つの影が被った。

僕はそこそこ大きい方になるけどこんなに大きな影を見たのは初めてだった。

体を捻り影を作ったモンスターを見ようとした瞬間、凄まじい熱を放つ塊が意識を刈り取った。

 

 

〜Now loading〜

 

 

「う....ぐっ.....」

「目が覚めたみたいだね♪」

 

頭上から降ってきた幼い声に飛び起きる。

ゆっくりと辺りを見回すと顔中に満面の笑みを浮かべてこちらを見ている白い服を着た少女と、黒に近い赤色の服を着た男がいた。

なぜか男の方は頭を抑えてうずくまっている。

何がどうしてこんな状態になったんだろう?

ふと、体に違和感を感じて視線を落とす。

───は?

見えたのは鱗に覆われた胸と前足ではなく、その姿はまるで───

孤島でよく見かけた小さな者。そう、

───人間だった。

僕の混乱をよそに少女は話を続ける。

途中からはほぼ愚痴のようになり、最終的に、

 

「いやwあんな攻撃普通に避けられたでしょ♪なんでモロに受けてるのww」

 

少女はいかにも可笑しいと言った表情で肩を震わせている。

なにかやらかしたのだろうか。

 

「貴方7角の1人でしょ♪なんであんな大怪我になってるの?しかもあの島から勝手に消えて探すの苦労したんだからね♪言ってなかったけど、傷治すのめんどくさかったから人化させておいたよ♪」

「え、あの....えと....?」

 

全く意味がわからなかった。

少女はさも当然のように話しかけてくる。

それも、友達に話しかけるように軽い感じで。

ようやく僕が何も理解していないのに気づいたのか、だんだんと少女の表情が硬くなる。

そのまま男の方まで歩いて行き、何やらヒソヒソと話し込んでいた。

少し気になり聞き耳を立ててみる。

 

「ねえ、バルカン?ちょっと強くやりすぎたんじゃない?」

「は?俺はいつも通りにしただけだぞ?少々恨みが混ざってたかもだが。」

「え、恨みって、私もあるけど。でも嘘をついているように見えないから記憶飛んだんじゃない?」

「そんなこと言われても困る。」

 

どうやら2人(?)は僕のことを知っているようだ。

僕でさえよく自分のことをわかってないのに。

僕は知らないし名前くらいは聞いてもいいはず。

その時、いきなり頭痛が襲ってきた。

あまりの痛みにうずくまる。

ズキズキと痛みが増していく。

何か....思い出しそうで....

一瞬、なにかの記憶が頭をよぎる。

 

《幼女ルーツ、紅衣バルカン、黒衣ボレアス》

 

名前..?

頭痛が徐々に収まっていく。

この名前は、あの人達の...?

だとすれば、今いるのは、

 

「ルーツ、バルカン...」

「「!?」」

「あは♪ちゃんと覚えてるじゃん♪ビックリしたよ♪」

「巫山戯るのも大概にしろ。」

 

目だけ笑ってないルーツさんが怖い...

 

「ち、違くて...!!名前しか...わからないんです」

「「え!?」」

「いやいや、そんなことはn」

それから数時間....

 

〜Now loading〜

 

「つまりね、シオンは7角の1人で私も苦労する禁忌、要するに世界の破滅を望む厄介な頭の固い連中を封印する要の1人なんだよ♪」

「ちなみに君以外の7角は、アカムトルム、ウカムルバス、アルバトリオン、ボレアス、バルカン、グランミラオスだよ♪アカムウカム以外は禁忌だけど私側(・・)だから7角に組み入れたんだよ♪」

 

なんとかルーツさんとバルカンさんを納得させて話を聞いてみた。

どうやら僕は7角の1人で禁忌モンスターを封印していたらしい。

しかも1匹1匹がとても強くルーツさんでも苦労するとか。

 

「まさかシオンが記憶喪失なんてね〜♪どうしたら良いんだか」

「代わりのものを用意すれば良いだろう?」

「そうにもいかないんだよ♪」

 

と、ルーツさん達が話していると、黒衣をまとった人が歩いてきた。

一見シアラと同じくらいの年に見えるけど、おそらくこの人がボレアスさんだから僕より年上だろう。

ボレアスさんは僕を見て一瞬足を止め、さっきより早足で歩いてきた。

 

「ルーツ。なぜ、こいつがいる?消えたのでは、なかったのか。」

「久しぶりにシオンの気配を感じたから来たんだよ?私達は。」

「それも、そうだ。しかし、こいつ、変わった。」

「うん。それは私も思ってたよ♪まぁ、見つかったから別に良いけど♪」

「わかった。疲れた。帰る。」

「はいはいそうしようか。それじゃあ私達は帰るね♪」

 

バイバイ♪と言った時にはルーツさん達の姿はなくなっていた。

本当に凄い人たちなんだな。

あれ?そういえば.....

 

どうやったら戻れるんだろう?

 

人間の姿のまま色々と試行錯誤を繰り返した。

そのうちに気付いたことがあった。

 

まず、この体でも音は問題なく聞こえるし少し感覚が違うけど自由に動ける。

体には鱗の代わりみたいなものがついていて脱ぐこともできるみたい。

 

それと...腰についてるこれ。

あのハンターが使っていた『太刀』とかいうのに似てるんだけど。

まぁこれで音が使えるし良いかな...。

 

その時、バキバキッという木の折れる音が聞こえて来た。

音源は真っ直ぐにこちらへ来る。

どうしよう...この姿で何ができるか...

臨戦態勢を取りながら逃走策を練る。

 

シオンと殺意の塊までの距離、残り250m。

 




はい。毎度毎度読んでいただきありがとうございます。
えーと...シオンですね。はい。擬人化しました。
それにお馴染みのあの人達も出ました。と言うより出しました。
ボレアスさんはですね、言葉は知っているけど人との関わりが皆無なのであの話し方にしました。(謎のやってしまった感)
7角ってなんだよ!等、色々ツッコミ所があると思いますがこれからもよろしくお願いいたします。(活動報告欄にて質問できる所があります)
次回から後書きにてオリモンの素材紹介をしようと思います。
感想、評価よろしくお願いします!
では、また次回で!


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第12話 遭遇

おはこんばんにちわ。

寝る前に投稿しておきます...

〜sideが無い限りはシオン視点かその話の主人公の視点です。

間違いなど見つけたら指摘お願いします。

お気に入りありがとうございます!



木々をなぎ倒しながら向かってきたのはやっぱりと言うか...モンスターだった。

と言うかモンスター以外あり得ないよね....

2本の角を僕に向け突進してきたのはお父さんの話に出てきたディアブロス。

あの突進は絶対に避けないと。

まだ立ち上がることもできないのに!

なんとか突進を躱す。

 

「ぐあ!?」

 

避けた、と思った次の瞬間。

掬い上げられるようにして体が宙に浮いた。

ディアブロスの尻尾が当たったとわかる頃には地面は目前に迫っていた。

何回かバウンドした後、木に衝突する形でなんとか止まる。

突然の事で頭がついていかない。

ただ、全身の骨が軋み相当のダメージだったのがわかった。

体制を立て直そうにもこの体だと上手く動けない。

木にもたれかかりなんとか半身を起こす。

このままじゃ死ぬ...

ディアブロスはとっくに体制を立て直し突進しようとしていた。

半端諦めたその時、太刀のことを思い出した。

 

「(そうだ僕にはまだ)これがある!」

 

自然と体が動いた。

気合いとともに抜刀し突きを放つ。

とは言っても半身で放ったほとんど威力のないものだが。

ストンと覚悟していた衝撃より軽い手応えがした。

その突きはディアブロスの眉間辺りを正確に捉え、貫いていた。

 

ディアブロスの勢いがあったとはいえ剣の鋭さが無かったら大惨事だっただろう。

制御を失っても勢いのついたディアブロスは止まらない。

左肩に突き飛ばされるような衝撃を受け軽く仰け反る。

間髪入れずに全身を打つ強い衝撃が走り視界がブラックアウトした。

 

 

時は遡り....3時間前

 

レオがG級のクエストを見て唸っている。

しばらくすると、パーティだからな。と何か決心したような顔つきになった。

 

「はー。リハビリがてら、いっちょやりますか。」

 

レオが選んだのはディアブロス一体の狩猟。

どうやらレオにはこれがリハビリになるらしい。

 

レオside〜

はー。

何度目だ?このため息。

なんであんなミスしたかな〜。まったく。

あ、ミキ達いた。声かけよう。

 

「おーい、クエスト選んできたぞー。」

「遅いですよ。一体何をそんなに....ってディアブロスですか?」

「ディアブロスって...しかもG級の。怪我は大丈夫なの?」

「ああ。アレにやられた傷はもう治ってるよ。開くこともない。」

「しかし、臆病なあなたが「イビルジョーの不意打ちを食らって重症だ」って言われた時は驚きましたよ...1人で無理しないでください。」

「ま〜まー、いーじゃないかよー。死ななかったんだし」

「首の動脈をかすっただけで済んで良かったですね。」

「そうだな。ほいじゃ、クエスト行くかー。」

 

さてさて...ディアブロスだし砂漠だな。

あいつの角は欲しいな。

まぁ、この傷の様子を見ながら新しい双剣にも慣れますか。

回復薬、グレート、硬化薬、鬼人薬...それとヤバい薬。

身体能力がモンスター並みになるって本当か?

取り敢えず着いたら一本試してみるか...

ネコタクに乗り込みいつもの交渉を始める。

 

「ネコタクさん、ここまで頼む。出来ればオアシスまで!」

「荷車が壊れない程度で行くニャ。そこら辺は...」

「マタタビ2つでどうだ?」

「6つニャ。」

「それは取りすぎだろ!」

「じゃあ4つニャ。」

「わかった。なるべく早くで頼むぜ?」

「ガッテン承知ニャ」

 

ふ。チョロいもんだぜ。

なんか視線が冷たくなったような...気のせいか。

さて、時間もあることだし寝るか....。

 

「....ろ。...ぞ。」

 

あ、なんだよ...。

 

「起きろ。クエストが始まる」

 

...ビックリした。

リョウガか。声低いな...

 

「クエストはディアブロスの討伐、または捕獲です。今回は討伐しようと思います」

「あー。俺、角欲しいからなるべく破壊、頼むわ。」

「全部位破壊、しよう」

「そうしましょうか。では、作戦は....」

 

....

..

しばらく経って

「では各自、ディアブロスを発見次第合図を。全部位破壊を目指して頑張ります。」

「「「おー!」」」

さてさて...どこを探そうか。

そういえばヤバい薬が何本かあったな。

まだ試作品で副作用も強いって言ってたけど試してみるか。

不気味な色をした液体を一息で飲み干す。

うげっ、ま、まずぅ...

なんだか知らんけどもう飲みたくねぇ...

少し経つと体に変化が起きた。

感覚的には鬼人薬グレートと硬化薬グレートを一気に飲んだ後。

 

「....意外と使えるじゃねーか。」

 

視力が格段と上がり遠くまで見渡せる。

千里眼付きとはありがたい。

さてさて、どこにいますかね。

ゆっくりとエリア内をくまなく探す。

なるほど、そりゃあ見つからないわけだ...

砂漠を森に向かって突き進むディアブロスを見つけた。

おー。随分と血気盛んで...。

それじゃ、狩猟開始☆

 

 

いや...何故こうなった?

現実的に考えてありえねぇ。あるはずない。

 

「どうゆうことだ...これ...」

 

 

 

「森林破壊レベルじゃないですか...」

 

ディアブロスを追いながらひたすら走る。

見失う心配はなかった。

何故ならディアブロスの走って行った後は木がヘチ折れていたり地面がえぐられていたからだ。

なんともえげつね〜。

しっかし、本当にあいつは何を追いかけていたのやら。

まったく面倒だな....。

小走りにディアブロスが破壊した後を追って行くととんでもない光景を目にした。

 

ディアブロスは死んでいた。

もっとあり得ないのは、まだ少年良くて青年の子供が...ディアブロスを殺していた事だ。

ディアブロスはあまりに綺麗だった。

ただ頭に一箇所、綺麗に急所を突いている傷のみ。

ギルドナイトでさえこんな芸当できるか....。

青年の方も気を失っていたが、目立った外傷は少ないらしい。

なんなんだあいつは....

俺たちは気を失っている青年としばらく行動しようと決めた。

 




どうでしたか?

主人公はチーーート!!ですので...。

ハンター達に見つかってしまったシオンはどうなるのでしょうか。

これからも文章能力を向上させるため頑張ります!

良ければお気に入り登録、評価、感想などよろしくお願いします!

追記
ごめんなさい!素材説明忘れてました!!

片爪 リオレウス(煌炎帝)
煌炎帝の黒鱗
煌炎帝の半身を覆う並みの武器では欠けさせることすら困難な鱗。黒炎王を思わせる鱗には高熱の炎により一枚一枚変わった模様がある。

◇煌炎帝の炎鱗
煌炎帝の半身を覆う並みの武器では欠けさせることすら困難な鱗。素手で触れることが非常に危険なほどの高温である。

◇煌炎帝の煌炎鱗
条件が揃った時のみ現れる炎に包まれた鱗。常時炎に包まれており、触れることすら叶わない。

◇煌炎帝の黒翼
煌炎帝の片翼。黒炎王を思わせる黒い翼は軽く羽ばたくだけでも圧倒的な威力を誇る。

◇煌炎帝の天翼
煌炎帝の片翼。時折発火現象が起こるほど高温である。

◇煌炎帝の煌炎翼
条件が揃った時のみ現る、炎に包まれた片翼。空気中に炎をばらまく。

◇煌炎帝の欠爪
昔の戦闘で欠けたとされる爪。欠けてもなお威力はとどまることを知らない。

◇煌炎帝の煌炎爪
条件が揃った時のみ現る、炎に包まれた爪。噴き出すエネルギーは爪を型取り、対象を切り裂く。

◇煌炎袋
煌炎帝の体内にあるブレスの核となる内臓器官。生身で近づけば消滅するほどのエネルギーを放つ。

◇神炎核
煌炎袋とは別にある特殊な内臓器官。心臓のような役割を果たし、第二の心臓と呼ばれている。

◇煌炎帝の逆炎鱗
煌炎帝の鱗の中で逆巻く鱗。一枚しか存在せず、どこにあるかもわかっていない。条件が揃った時のみ炎が噴き出し青白く光る。

◇煌炎帝の天煌玉
煌炎帝の体内で作られる宝石。内部で渦巻く炎は時折形を変え煌めく。煌炎帝に認められたもののみ持つことを許される。内部の渦巻きは煌炎帝の体調や感情を映し出す。




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第13話 再開

今更ですが、感想やお気に入り、評価をしてくださった方々、ありがとうございます!
こんなにも読んでくれる人がいてとても嬉しいです。
投稿速度はとても遅いですが何卒よろしくお願いします。

前回のあらすじ
ルーツに擬人化させられたシオンは戻り方がわからなかった。
そこにディアブロスがやって来て相討ちのような形でシオンは気絶してしまう。
そこにお馴染みのハンター達がやってきて...


「起きろ」

 

と、どこかで聞いたことのある男の声が頭の中に響く。

目を開けて見回しても辺りはどこまでも黒で埋め尽くされていた。

光があるわけでも無いのに見える。

ただ、それだけ。

この場所では見ることに意味が無いのかもしれない。

直感でそう思った。

 

「起きろ」

 

今度ははっきりとそう聞こえた。

気配はあるのに見えない。

声だけが聞こえてくる。

 

「起きろ。お前は───」

 

突然、黒で塗りつぶされた空間に光が射した。

それはだんだんと空間そのものを塗り替えて行く。

そして───

 

 

 

 

 

 

「ぅ.....。」

 

ゆっくりと目を開けると、知らない天井が見えた。

反射的に飛び起きると肋骨に軋むような痛みが走った。

 

「い、痛....。ここは...?」

 

なんとか手をついて痛みをこらえる。

とにかくここから逃げないと。

目を覚ましたばかりで全ての感覚が全開になっている。

 

ここは人間の匂いが強すぎる。

その時、鉱石の割れるような甲高い音が耳を貫いた。

痛みよりも先に驚きで、寝ていた場所から転がり落ちる。

慌てて立ち上がろうとして上手く立てずにすっ転ぶ。

受け身も取れずに頭を床にぶつけた。

頭の痛みで声を上げそうになり、歯を食いしばって耐えた。

 

「ぐぅ.....」

 

そもそも、ここはどこなんだろう。

痛みで覚醒した頭で考える。

 

確か、ルーツに擬人化っていうのをされて人間の姿に変わった。

その後戻り方がわからなかった時にディアブロスが出て来て.....

あの突撃で僕は気絶してたのかな?

でも....

この姿なら人間とも仲良くできるのかもしれない。

 

そんなことを考えていると、勢い良く壁の一部が開いて人間が入って来た。

その壁はよく見るととても薄くて僕でも開けられそうだった。

入って来た人間を見上げると見覚えのある顔だった。

孤島で黒い人間をやっつけた時にいた男。

名前は...レオって言われてた気がする。

 

その時、気がついた。気がついてから後悔した。

僕は今なにも持ってなくて弱ってる。

もし、本当の事がバレたら....

いきなり目の前にいる人間が怖くなった。

殺されるんじゃ無いかって。

 

レオは少し不思議そうな顔をした。

どこかで反応を間違ったのかも。

人間はすぐに表情に出るからバレないようにしたいけど。

 

いきなり、レオが手を伸ばして来た。

ビクッと僕が震えたのを見てその手が止まる。

 

「....お前」

 

きっと僕のこと怪しんでる。

普通の人間ならこんなことしない。

でも、レオの次の言葉は僕の思っていたのと違った。

 

「お前、どこかで会ったことあるか?それより傷は大丈夫か?」

 

傷?

指摘されて視線を落とすと人間が着ているようなものが巻かれていた。

よく見ると長い草みたいなものが何重にも巻かれていた。

ちょうど、ディアブロスの突進をくらったところだ。

 

「なあベットに戻してもいいか?まだ動けないだろうし。」

 

レオはそう言って僕の腕を取った。

突然の事に抵抗しそうになったけどレオはそんな事御構い無しに僕を支えるようにして立ち上がった。

そのまま寝床...じゃなくてベットに戻った。

レオを見上げながらなんとか自分を落ち着ける。

大丈夫。この人間はなにもしない。

今の僕は人間と変わらないんだから。

 

「しかし森でお前を見つけた時はびっくりしたぜ。ディアブロスは死んでるし、近くにお前がほぼ無傷で気絶してたからな。」

 

感心したようにレオは言った。

こうゆう時はなんて言えばいいんだろう?

モンスター(人間じゃ無い)僕には人間の常識がわからない。

レオは返事を求めていたわけじゃなかったようで、話はコロコロ変わっている。

その時、薄い木の壁が開く音がした。

音の方を向いて僕は固まった。

....人間が、増えた。

ただでさえどんな対応をすればいいのかわからないのに。

 

全員、見たことのある顔だった。

それは気休め程度だけど。

一番信じても良さそうなのは笛の人。

約束守ってくれたし。

人間たちはなにやら話していた。

僕は耳がいいから丸聞こえだけど....。

 

「....なるほど。では私が話してみます。一対一の方が落ち着くかもしれませんし。」

「わかった。じゃあ何か進歩があったら教えてくれ。」

 

笛の人が残るのかな?

あの人になら話せるかも。

でも上手く話せるかな?

兎に角、頑張ってみないと。

部屋には笛の人...フミが残った。

僕から話しかけようとすると僕よりも早く、フミが話しかけて来た。

 

「いきなり驚かせてすみません。そういえば...これ、覚えていますか?」

 

そう言って取り出したのは見覚えのある笛。

そのままフミは笛を吹いた。

あの時と同じ音色が響き、少し安心する。

一通り吹き終わるとフミは僕をまっすぐに見てニッコリと微笑んだ。

 

「久しぶりですね。奏音龍...いえ、シオンさん。」

 

 

 

 

 




どうでしたか?
1800文字でとても少ない内容ですが少しずつ頑張りますので!!
書いている途中、これモンスターはわからんよ!というのが(例えばドアとか)表現がすごい悩みました。
感想、評価、お気に入り登録などよろしくお願いします!
感想は一言コメントでもいいのでお願いします(返信不要には適当にマークを入れてください)


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第14話 新発見

「すー…すー…」

 

シオンが静かな寝息を立てている。

その無防備な姿や寝顔を見て、フミはため息をついた。

 

…殺すはずだった。

実際、殺そうとは思っていた。

新種のモンスター。

しかも他の種を進化させるほどの強大な力を持った未知の生物。

 

人々の不安を取り除き安心して過ごせるようにする為にハンターをしている。

モンスターから1人でも多くの命を救う為に、害なす可能性のあるモンスターは殺そうと心に決めていた。

それなのに…

シオンの恐怖と混乱で引きつった表情や絶望と焦燥を込めたような声を聞いた時、その決意は揺らいだ。

 

自分たちとなんの変わりもない、人のように見えた。

単にそれだけの理由で躊躇っていた。

...笑えてくる。

人に似ているから?それがどうした?

モンスターだ。

人に危害を加える。それは変わらない。

それでも....

 

──もしも人と竜が互いに歩み寄れるのなら、それはそれで良いかもしれない。

 

なぜだかわからない。

頭の中でありえない考えが浮かんだ。

できるとしてもこちらの意思を伝えるのが限度だと思っていたのに。

 

そんな夢のような話考えたこともなかった。

ただ、シオンを見ているとそんなことすら可能なんじゃないかと思えてくる。

フミはその想いに賭けてみる事にした。

 

 

フミがあの青年のことを奏音竜だと思ったのにはちゃんと理由があった。

一つ目はディアブロスの死体の周辺に散乱していた奏音竜のものらしき鱗。

それが気絶していた青年の装備や太刀にもあったこと。

もう一つはフミたちを見て明らかに(普通の人間にしては)動揺していたこと。

そしてフミの取り出した幻想剣【思】を見て、その音色を聴いて少しだけ安堵の表情を見せたこと。

 

人間の姿になったシオンは人間の表情が変わりやすいことを知らない。

あの時も自分がどんな顔をしていたかわからなかったはずだ。

 

シオンと話している時、フミは違和感を感じていた。

時々、知らないはずの言葉を使ったりそれが本人にもわからないようで....

記憶力が良く何一つ欠けることなくその時あったことを話し、一度教えた言葉はなぜか完璧にできる。

話し方は少し幼くてそれはあまり言葉を知らないせいなのか。

考える事が多すぎてどうしたらいいのか....。

これからどうしましょうか。

 

シオンの記憶力には文句の付け所がない。

人間の常識を覚えて仕舞えば難なく溶け込めるほど。

最初は人間の生活に慣れさせるしか..。

 

「うっ....ぐ..」

 

突然聞こえて来た声にハッと意識を戻す。

さっきまでは穏やかに寝ていたシオンがうなされている。

 

「シオンさん、シオンさん!」

 

フミが慌てて声をかけるとシオンは目を覚ました。

心配そうな顔をしているフミを見て、シオンは首をかしげる。

どうしたんだろう?

横になったまま周りを見る。

無意識に片方の手は枕に爪が立つほど握りしめていた。

どうやら悪い夢を見てうなされていたらしい。

なにか、とても怖い夢を見ていた気がする。

 

「...大丈夫ですか?」

「大丈夫(だと思う)。」

「良かった。」

 

「なにか持って来ます。」と言いながらフミは部屋を出て言った。

どのくらいうなされてたんだろう...?

シオンは先ほどまでみていた夢を思い出そうと眉間にしわを寄せる。

とても重要なことだったような...。

それに何処か懐かしかった。

 

シオンは窓から空を眺め、飛んでいく鳥が群れをぼんやりと眺めながめた。

....どうやったら元の姿に戻れるかな?

ルーツが勝手に擬人化させ、戻り方をシオンは知らなかった。

ここで人間と仲良くしたいけど、今は....。

とにかく動けるようにならないと。

 

ふぅ。

なんとか自力で起き上がり呼吸を整える。

人ってやっぱりすごい。これを1人ですぐにできるし。

ていうかもっとこう...ガバッと起き上がってたし....

床にそーと足をつけ立ち上がってみる。

なんとか行けそう...。

壁に寄りかかりながらゆっくりと歩く。

一歩一歩慎重に....ちょっとマシになったかな?

そう思った次の瞬間、壁の一部が動き外側に開いた。

 

「え?あ....」

 

それがドアとか言うのだと気づいた時にはシオンの体は倒れ始め....

ドアの向こうから手が伸びてきて体が支えられた。

 

「全く。何をしているんですか?」

 

シオンが頭上から降って来た声に上を向くと呆れ顔のフミの顔があった。

もう片方の手には平たい板にカップが二つ乗っている。

 

「えっと...あの、ごめんなさい?」

「謝ることではありませんが...まだ傷も治ってませんし、少し気をつけてください」

 

フミは近くの椅子を引き寄せシオンを座らせながら言った。

 

「それに、こんな時『ありがとう』と言われる方が嬉しいんですよ」

「...ありがとう」

 

シオンが少し戸惑いながらもお礼を言うとフミは柔らかく微笑んだ。

この人なら信じてもいいかも、とシオンは感じ不器用ながらも微笑み返す。

表情がコロコロ変わるシオンを見ながらフミはカップを差し出した。

 

「塩ミルクです。口に合うかわかりませんがとにかく温かい飲み物がいいかと」

「みるく...?」

 

シオンは初めて見る飲み物に興味を持って覗き込む。

匂いはいい匂い....。

シオンは思い切って一口飲んでみた。

...?

よく味がわからない...。

何度飲んでも味がよくわからずシオンは美味しいという結論を出した。

 

そんなシオンをフミは面白そうに眺めていた。

フミの視線に気づきシオンが顔を上げ首をかしげる。

シオンの思ったより面白い反応にフミは我慢できずに笑った。

ひとしきり笑ったあと、フミは安心したような顔をした。

 

「味覚は私たちと変わらないのかもしれませんね。もうすぐ夜ご飯なのでシオンさんが良ければ下で待機している皆さんと食べませんか?」

「大丈夫かな...?」

「うまく歩けないのもしばらくは傷が痛むと言い訳できますし、良いリハビリになるんじゃないですか?」

 

シオンはリハビリという言葉がよくわからなかったが、フミを信じてわかったと返事をした。

 

〜Now loading〜

 

シオンが階段を降りていくと、美味しそうな匂いが漂ってきた。

同時にレオとミキがシオンを見つけ声をかける。

 

「おーい!こっち空いてるぞ〜」

「あっ!私が先に話そうと思っていたのに!!」

「これは早い者勝ちという事なんだな」

「何を〜!」

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎ始めた2人を見てシオンは困惑する。

2人の向かい側に座っていたリョウガがそれを見て「こっちの方がいいな」と隣にシオンを招いた。

喧嘩中にもそれを見逃さない2人は同時に「あっ!!」と叫び悔しそうな顔で席に着いた。

シオンは、意外と諦めは早いんだな...と1人納得する。

そこに見計らったかのようにフミが料理を運んできた。

 

「竜の合挽ハンバーグと古代真鯛のあら汁、天空の雪山サラダです。」

「毎度思うけどフミって料理人みてーだな」

「バランスも良いしどっちかっていうとお母さんじゃない?」

 

シオンはと言うと竜の合挽きハンバーグに釘付けだった。

肉が赤くない...!

火を吐けない人が肉を焼くなんて!

肉の形と匂いも違う...。

フミは軽く咳払いして注目を集め言った。

 

「とりあえず皆さん自己紹介でもしながら食べましょうか」

「じゃー今度は私から〜!」

 

「私はミキ!片手剣をよく使うよ〜!よろしく〜」

 

「俺はレオだ。切断系武器ならほとんど使える!よろしくな!」

 

「....リョウガだ。得意武器はランス。よろしく」

 

「知っているとは思いますが...。フミです。太刀を主流としています。改めてよろしくお願いします」

 

「し、シオンです。よろしく」

 

「じゃー自己紹介も終わったし食おうぜ!」

「おー!」

 

レオとミキは自分の分をガツガツと平らげおかわりの順番で言い争う。

巻き込まれないようにそーとシオンは手を伸ばす。

知らない言葉が飛び交い、楽しそうに笑うフミたちを見てシオンもつられて微笑んだがそれに気づいた人はいなかった。

賑やかな騒ぎは食事の後にも続いた。




....(無言の土下座)
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
受験勉強やら行事が重なりなかなか投稿できなかったんです許してくださいなんでもしますから!!(なんでもするとは言ってない)
...はい。凄い人はどんなに忙しくても投稿しますよね。本当にすみません。
今回は誰目線というのを設定してないので「あれ?」ってなる方が多いと思います。
ちょっとした日常みたいのを書きました。

UA8000件、お気に入り80件突破ありがとうございます!!
しおりも15件以上来ていて感動すると同時にプレッシャーが(笑)
できるだけ投稿速度を上げられるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!
感想って意外と書くの勇気いりますね....。
「そうだそうだ!」って方は評価だけでもいいのでお願いします!!

えーと今回はリオレイアですね。(1話開けたことをバックレる)

緑風の舞姫リオレイア(毒霧姫)
◇毒霧姫の紫鱗、毒霧姫の焔緑鱗
毒霧姫の体を覆う鱗。紫鱗は猛毒を含み、焔緑鱗は衝撃を与えると時々炎が吹き出る。

◇毒霧姫の霧棘
主に毒霧姫の背中と翼に生える棘。毒霧姫の体内で生成された毒により色が変わる。元の色は銀色。

◇毒霧姫の霧翼
保温性や耐毒性が期待される短い毛で覆われている。時折体内の毒が棘から放出され毒を纏っているように見える。

◇毒霧姫の透刻爪
地を駆ける時にスパイクのような役割を果たす毒霧姫の鉤爪。生成された毒によって色を変える。

◇煌炎袋
煌炎帝や毒霧姫に共通する唯一の器官。圧倒的な火力を生み出す。

◇透霧袋
毒霧姫が使用する毒が作り出される器官。作り出された毒は空気中に放出されるまで無色透明である。

◇毒霧姫の天鱗
毒霧姫のエネルギーが煌緑玉とは別に蓄積された鱗。持ち主をあらゆる毒から守ると言われている。

◇毒霧姫の煌緑玉
毒霧姫のエネルギーが蓄積されてできる宝玉。持ち主を選び、時に毒霧姫の心情や状態により内部の様子が変化する。まれに毒霧姫の見た情景が映ると言われる。

◇煌火竜の鎧殼
鱗が集まり強固になった甲殻。煌炎帝や毒霧姫、煌陽炎、駆爆翼の甲殻の総称。


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第15話 いざ、ドンドルマへ!〈前編〉

あけましておめでとうございます!!
今年も投稿頑張っていくので最後まで付き合ってもらえると嬉しいです!
投稿速度なんとか上げるよう頑張ります...。


ーシオンsideー

 

ズシン、ズシンという足音を響かせて紫色の甲殻に体を包んだ飛竜が歩く。

ほんの数メートル先を飛竜の足が通り、心臓が跳ね上がった。

お、大型モンスターがいるって、聞いてないよ...。

 

 

とっさに隠れたのは、少し動くと音がなりそうな茂みだった。

小枝が首に当たってチクチクする。

それでも今は動けない。

さっきチラッと見えたけど...あれは、イャンガルルガだ。

握った手がじっとりと湿る。

心臓の音がうるさい。

 

緊張しながらじっと伏せる。

運のいいことにイャンガルルガは水を飲みに来ただけだった。

すぐに羽ばたきの音が聞こえ、やがて遠ざかって行った。

ホッとして茂みから這い出した瞬間、強い力で地面に押さえつけられた。

 

腕を押さえつける足に、くすんだ赤色の爪が光る。

僕の顔を覗き込むようにそのモンスターは顔を寄せて来た。

青い鱗に、赤色の大きなトサカ。

ドスランポス...!!

油断した。

どんな時も周りに注意を払えって、あれだけ教えられていたのに。

なにも出来ていない...。

どうにかしてここから...

 

「グルルル...(コイツハ...チガウ)」

 

鳴き声の意味が、わかった。

モンスターが喋った?

恐る恐る目を開けるとドスランポスはゆっくりと瞬きした。

体を押さえつけていた重みが消えて、自由になる。

ドスランポスは僕を襲わない。

なぜか、そう確信があった。

確かな理由はないけど。

また、ドスランポスがギャアと一言鳴いた。

 

「オマエハ、ニンゲンジャナイ。ソレニ...」

 

どうやらドスランポスには匂いがわかるみたいだ。

だけど、僕が人間じゃないのと襲わないことに関係あるようには思えない...。

本能で避けている...?

 

「ソウカ、オマエハヒカリ(・・・)トオナジニオイガスル。」

「ヒカリ...?」

「ソウ、ヒカリダ。ワレワレハヒカリ(・・・)ニキバヲムケナイ。ナニガアッテモ」

 

ヒカリが何かわからないけど、ドスランポスたちには何かがあるみたい。

 

「スコシマエ、ツキガオマエノヨウニナルノヲミタ」

 

...?

もしかして、お姉ちゃん?

でも、そうだとしたらどこにいるんだろう?

詳しく聞こうとすると、ドスランポスは空気の匂いを嗅いで

 

「ハンター...」

 

と低く呟いた。

そして、「キヲツケロ」と言い残すとあっという間に森の中に消えた。

 

 

 

「すっかり新米ハンターですね。」

「ひゃっ!!」

 

背後からの声に驚いて思わず声が出た。

慌てて後ろを振り返るとフミが笑っていた。

気配がしなかった。

僕に声をかけるまで気配を消すことはよくあったけど、今回は死ぬかと思ったよ..。

 

「ハンターらしい、と思った瞬間にコレですか。声を出さなければまだセーフだったんですけど。」

 

口調は厳しかったけどフミはなぜか嬉しそう。

何かあったのかな?

 

「実はですね、竜の卵が取れたんですよ」

 

僕も卵から生まれたから心中複雑だけど確かに竜の卵はとても美味しい。

一個で何人分かのたまご料理が作れる。

フミは料理が好きだからもっと嬉しいのかもしれない。

だけど...。

卵って結構重いし、気づいた親が飛んでくるんじゃなかったっけ?

 

「よく気づきましたね。教えた甲斐があります。」

 

僕が人の姿になってから一週間。

長いようでとても短かった、と思う。

覚えることもたくさんあったし、何より知らないことをたくさん知れた。

でも...。

その間、どこか違和感を感じた。

習ったことがどこか懐かしく感じたり、実際に使っていたような気がしたり...。

関係があるとしたら、やっぱりミラルーツ?

僕は....

 

「シオンさん?話を聞いていますか?」

「あ、え?う、うん」

 

今は元に戻る方法とこの姿でも強くなることを頑張らないと...!

それに...。

“ツキガオマエノヨウニナルノヲミタ”

月...。クエスト欄にお姉ちゃん月って例えられてたけど...。

...よし。

 

「フミ、街に行ってみたい。」

「いきなりですね...。まぁ、不足気味の調味料を自分で選ぶのもよさそげですし、準備をしたら少し出かけましょうか。ここからは近い街は...ドンドルマが近いですね」

「ドンドルマ?」

「戦闘街の話はしましたよね。戦闘街はドンドルマの一部にすぎません。名前からはあまりわからないと思いますが、結構栄えているんですよ」

 

フミの方が僕より嬉しそうに見える...?

なんか勝手に話進んじゃってるし、このままでいいのかな...!?

 

「そうと決まれば早めに切り上げて準備をしましょう!」

 

あれ?

いつもとフミの雰囲気が違うような?

もう行くの決まっちゃってるし!?

 

「シオンさん、ここからはダッシュです!早くしないと置いていきますよ」

 

ぇええ!?

フミ、ちょ、待っ!

速すぎるよぉ!

 

 

〜Now loading〜

 

「カクカクシカジカで...。街に行きましょう!情報収集も含めて。」

「まぁ...いいんじゃないか?」

「そうだね!私も友達と会いたい!」

「俺は〜...武器でも作ってもらおうかな」

 

拠点に帰ると早速フミがみんなに説明していた。

ていうかフミ、行動早...。

 

「シオンさんも荷物をまとめてください。夕方には飛行船に乗りたいので」

 

夕方って、もうすぐじゃん!

僕は荷物少ないからいいけど。

こうしてみるとみんな準備早いな〜。

慣れてるのかな?

大きな街か〜。

なんだかドキドキしてきた。

楽しみだな...。

 

 

とか思ってたんだけど。

 

「シオンさん..。大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫」

「まさか飛行船で酔うなんて想定外でしたよ」

 

そう、僕は飛行船で酔った。

だって空飛ぶのはいつものことだったし、酔いとかとは全く無縁だと思ってたんだもん。

少なくとも飛行船だけは大丈夫だと...。

う〜...

 

「これは重症だな」

「ま、ちょっと休めば治るよー!大丈夫!」

 

その自信はどこからくるんだ?

 

〜数分後〜

 

「それじゃ〜張り切って行きましょう!!」

「「おおー!」」

 

う..。フミテンションおかしいよ...。

みんなにテキパキと指示しているのはいつも通りなんだけど。

 

「ほらシオンさん!ぼーとしてないで行きましょう」

 

フミが僕に向かって手を伸ばす。

え?

 

「え?じゃないですよ。シオンさんは人の多いところは初めてでしょう?だから」

 

僕が反応するよりも早く手を取られ、そのまま引っ張られる。

ちょ、フミ力強い!

痛いよ!

 

休むために入っていた裏道から出ると、一気に色々の情報が頭に流れ込んできた。

そういえばいつも通りにしてたんだった。

感覚を人間に戻すと喧騒も少し収まった。

 

「調整は済みましたか?」

「あ、うん。ありがとう」

「それでは行きましょう!」

 

フミはズンズンと人の間を縫って進んでいく。

それに引っ張られる形でついていくんだけど.....。

 

「おい、坊主気をつけろ」

「わっ、すみません」

「ちょっと!前見て歩きなさいよ!」

「ご、ごめんなさい!」

 

なんでこうなるのかな...。

人にぶつかりそうになって怒られること数回.....。

....やっと抜けた〜!

人通りの少ない道に出て、一息つく。

フミは疲れた様子もなく地図を見てなにやら唸っていた。

やっぱり広いんだな〜。

人がいない分、広さを感じた。

その時、視界が一瞬フラッシュバックした。

そして...

 

「ふーん。ここがドンドルマ...。広いんだな」

「そりゃそうよ。いざという時はきちんと守れる要塞にもなるんだし。」

「....それは恐ろしい。」

 

目の前に男性と女性が歩いている。

街の風景はさっきと変わり、見たことのない看板が並んでいた。

あれは....どこかで......。

 

ドンッ

 

衝撃が体の中心を貫く。

同時に足にも衝撃を感じた。

街の風景が元に戻り、視界が傾く。

倒れる...!

受け身を取るより早く体が抱えられ、そのまま運ばれていく。

ど、どうなってる!?

どうにか振りほどこうにも体はガッチリと固定され動かせない。

なんで!?なんで僕はこんなことになってるの??

パニックで頭が真っ白になる。

僕、これからどうなるの!?

 




カットシーン

「ゼェ...!ゼェ...、はぁ、はぁ...」
「お〜い、黒髪の旦にゃさん!大丈夫かにゃ〜?」
「だい...じょうぶ.....ですっ」
「全然大丈夫そうじゃないにゃ〜」

そりゃ、エリア10からキャンプまで...ノンストップダッシュ..しちゃ...無事で済むフミの方がすごい。
ネコタクさんにパタパタと葉っぱで仰がれながら、ふとフミを見る。
フミは何やら深刻そうな表情でブツブツ呟いている。
正直、怖い。

「塩や香りづけ用のアイテムにスパイス...新しい調合法も見て来なければ...!しかしこれでは予算の都合が...。」

考えてることも怖...くない。


いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。
長くなりそうなので前編後編で分けることにしました。
完結させるまで投稿するので評価、感想、お気に入り登録などよろしくお願いします!
久しぶりなので間違っているところがあったら教えてください。


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第16話 〈後編〉ドンドルマの騒動

大変ッ!!長らくッ!!お待たせしましたぁッ!!(あれ?待ってる人いるよね??)
後編です!ドンドルマ離れないけど!!後編です!
3,000文字超えています!注意です!
本編どうぞ!


「ぅ.......」

 

なんか...頭ズキズキする.....。

 

「やっと起きた〜?まったく、あれくらいで寝るなんて思ってなかったんだけど。」

 

上から声が降ってきた。

片手で頭を抑え顔を上げる。

黄色の髪長い髪に顔の左側を隠した少女が僕を見下ろしていた。

 

「チョーシはどう?上手くやってる?」

 

そんな風に声をかけられても僕は知らないんだけど....。

ていうか、誰?

 

「は、はぁ?なに、わからないの?」

 

ずいっと少女が顔を寄せてくる。

赤い目がギラギラと光って...て、近い近い...。

壁で後ろに下がれないし..。

 

「私よ!あんたのお姉ちゃんでしょうが!!」

 

お姉ちゃん?まぁ話し方とかよく似てるしなんか懐かしい匂いするけど....。

 

え?

 

「本当に気づいてなかったの?」

 

待って、怖い。

そんな殺気全開の顔でニコニコしないで....。

 

「ん〜?一目見て気づかないあんたが悪いでしょ〜?」

 

ちょっと待ってそれだけは...!

構え取らないで!

お願いごめんなさいなんでもs

 

裏路地に鈍い音が響いた。

 

うぅ...頭が.....

体の強度は普通のハンター位って言われたのに...。

 

「そこまで強く殴ってないけど?」

 

待って、なんでまた殴ろうとしてるの?

慌てて立ち上がる。

これ以上殴られたらたまらない...ってあれ?

お姉ちゃんの頭が下にある。

丁度手が置けそうな高さに....。

 

「...フッ」

「ぐは!?」

 

鳩尾に鈍い痛みが走り、視界が揺らぐ。

足を踏ん張り倒れそうになるのをなんとか防いだ。

気持ち悪い....。

 

「ちょっと!吐かないでよ?もう一回殴ろうか?」

 

本当にもうやめてください...。

なんとか吐き気を抑える。

....次殴られたら死にそうだし。

今更だけどなんでそんなに強いの?

 

「え?元からだけど」

 

それって人間になっても変わらなかったってこと...?

僕は平均とか言われたけど...。

 

「なにそれ?弱すぎない?」

 

さっきから思ってたけど口悪すぎない!?

僕だって弱いこと気にしてるし!

て、それよりも...。

お姉ちゃんはどうして人間の姿になってるの?

しかも見るからにすごい人そうな服着てるし。

 

「この姿になったのはルーツのせいよ!いきなり『ちょっと国任せるね〜』とか言ってきて勝手にどっか消えたのよ!」

 

なにそれ怖い。

国ってじゃあお姉ちゃんは王女様なの?

 

「そういうことになるわね...。このどれす?ってやつ動きにくくて嫌なんだけど。」

 

問題そこじゃなくて、王女がどっか行ったら困る人いるんじゃない?

 

「大丈夫でしょ」

 

軽!?

なんでそんなに余裕なの??

 

「だって〜いつも黒い人と赤い人がなんとかしてるしー?」

 

えー...。

そんなんで大丈夫なのかな?

念のために辺りの音でも集めてみよう...。

 

「「バドル様!ご無事ですか!?」」

 

ーッ!!耳がッ....!

大きすぎる声をあげて男たちが飛び込んできた。

激痛で思わずしゃがみこむ。

 

「うん。大丈夫だよ。...シオン?どうしたの?」

 

なんでもない。

それにもう治ったし...。

ていうかこの人たち誰?

 

「えーと...部下?らしいよ」

 

らしいって...。

男たちの後ろにちらりと銀色の髪が光る。

そして...

 

「シオンさん!大丈夫ですか!?」

 

フミ!やっぱり探してたんだ...!

珍しく慌てた様子のフミが飛び込んでくる。

そのまま僕とお姉ちゃんの間に入り、お姉ちゃんを軽く睨み...。

うん。なんかわからないけど止めた方が良さそう。

 

「シオンさん?危ないので下がっててください。」

 

いやいやなにが危ないの?

いきなり乱闘しようとするのやめてくれる!?

 

「人の連れを誘拐する人間が、危険人物以外の何だと...?」

 

えぇ...。

フミものすごく機嫌悪い顔してる...。

 

「あんた誰?てか人の弟連れて何してるわけ?」

 

あの...お姉ちゃん?

ややこしくなるから後にしてくれる...?

 

「あんたはちょっと黙ってて」

 

.....。

何でこうなったのかな〜?

お姉ちゃんの部下(?)達も困った顔してるし。

取り敢えずフミを引っ張って...て、あれ?フミ全然動かない......。

えぇ...。

 

「大変そうだな?シオン」

 

うん。どうしたらいいのかわからないよ...。

...て、え?誰!?

横を向くといつのまにか男の人がいた。

こちらに振り向いた顔には古傷がたくさんついて、青い目が真っ直ぐ僕を捉えていた。

 

「俺だ。イルム...と言ってもわからないか。」

 

低く穏やかな声に聞き覚えがあった。

ん..音....?

まさか、お兄...ちゃん?

 

「そうだ。まぁ、この流れじゃわかるよな」

 

確かに。

でもなんで2人とも人の姿してるの?

 

「この姿の方がマークされないんだ。」

 

あ〜...あれは大変そうだしね。

 

「あんたのこと追っかけてたのもあったでしょ?」

 

そんなのあったっけ?

よく考えたらいつも近く飛んでる気球?があったけど。

 

「「それだ(よ)」」

 

へ〜そうなんd...ぇえ!?

あれが?何で僕を??

 

「自覚...なしって.....」

「....」

 

あの...?

2人ともそんな顔してどうしたの?

と言うかお姉ちゃんいつのまに睨み合いやめたの?

 

「あんたがアホすぎるからよ」

 

ゔ...地味に傷つく。

 

「シオンさんの家族...ですか」

 

僕たちのやりとりを聞いてフミは驚きを隠せないようだった。

まぁそうなるよね。

そういえばフミは僕のことも知ってるんだった。

うーん...

 

「ここでは話しづらいこともあるでしょう。近くの宿でもどうですか?」

 

フミがそう提案する。

僕もいいと思う。

 

「では続きは宿で」

 

フミがそうまとめて移動を始めた。

それにしても...。

お姉ちゃんの部下?ずっと黙ってるけどそれで良いのかな?

 

〜Now loading〜

 

「じゃああの女は私たちの正体が分かるわけね」

 

ベットの上でゴロゴロと遊んでいたお姉ちゃんがいきなり話し出す。

それに合わせて外をぼーと見ていたお兄ちゃんも向き直る。

 

「うん。なんかすぐにバレた」

「でもあんた嘘自体下手でしょ」

「えっと....」

「ほらやっぱり」

 

うぅ...言い返す言葉もない...。

お兄ちゃんもやっぱりなみたいな顔してるし。

 

「お前はもっと危機感を持つべきだと思う。」

「あとお人好しなところとかね」

 

危機感...十分持ってると思うんだけどな〜...

2人揃って変な顔しないでよ....。

 

「ま、シオンに会えただけでも得だったわね。」

「バドルは騒ぎを起こしすぎだ。」

「その方が目立っていいじゃない。」

「はぁ」

「何よ!そのため息!」

「変わってないな」

 

お姉ちゃんは騒ぎを起こすの好きなのかな?

と言うかもう眠いんですけど。

 

「疲れてんなら先寝とけば?」

 

あー...お姉ちゃんがこんな竜なの忘れてた。

お言葉に甘えて今日は寝ようかな...。

 

....。

 

 

「あいつ、本当に寝たね。」

「しょうがない。疲れてたんだろ。」

「まーいいわー。私も寝る」

「珍しいな。」

「ま〜ね〜」

 

〜Now loading〜

 

ん....。冷たい....。

真っ暗...て、ここどこ?

体が宙に浮いているような感覚。

これ...どこかで...

 

「警告する」

 

...え?

暗がりから男が歩いて来た。

僕を見る目は冷たく光り、暗闇に溶け込んだ体は輪郭が掴めなかった。

 

「人間たちから離れろ。町を離れたらすぐに。」

 

フミたちと...?

でも、良い人だしそんなことしなくても、

 

「このまま行けば、お前のせいで全員死ぬ。」

 

どうして...そんなことが言える?

フミたちは強い。

絶対に負けたりしない。

それに...どうやって離れたらいいかもわからない。

 

「自力で無理なら、体の主導権を渡してくれればいい。一瞬で済む」

 

体の主導権...?

男が浮かべる笑みがとても恐ろしく見える。

フミに何かするつもりなら...

 

「その件は問題ない。お前が全て決められる」

 

....。

 

「いい返事を待っている」

 

待って!どうやってそんなこと...!

 

「時間だ。続きはいつでも出来る。お前がしようと思えば、な。」

 

男が背を向けると同時に、周りが白く光り始めた。

それは目も開けていられないほど眩しくなって...

 

.....

...

..

 

「起きろーー!!」

 

ゔ!?

体から空気が強制的に抜かれて、むせる。

あれ?お姉ちゃん!?

 

「なに寝ぼけた...て言うより青ざめた顔してんの?あーさ!めぇー覚ませ!!」

 

痛って!

なんでいつも殴るの!?

 

「あんたが起きないから。飯いくぞ!早く準備しろよ!」

 

...。

あれは...夢..だった?

でも、なんか夢とは違ってたような...。

あとでまた考えよう。

 




入れ損ねた場面(バドル視点)
バドルがシオンを誘拐した後


ヤベーあの女以外と早いよー
てかこいつ、私だって気づいて無いよね?後で殴ろうか?
取り敢えず裏道でも使うかー
よっと ガツ
「ヴっ」
あれ?シオンぶつかった?
なんか一気に大人しくなったし気絶したのかな。
よくこんなので生きていられたな〜

ここら辺まで来れば大丈夫かな?
ふーやっと一息つけるな〜
あれ...?
...なんでシオン人間といたんだろう?



まいど読んでいただきありがとうございます!
今回久し振りに兄弟と再開です。
金レイアはバドル、蒼レウスはイルムと名前を持ち、擬人化してました(元凶はルーツ)
黒い人と赤い人は察して下s((殴
時間があれば評価、感想よろしくお願いします!
(誤字、脱字は仕様です)報告お願いします。


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第17話 別れ

シオン
一人称 僕 二人称 相手の名前(さん)
バドル
一人称 私 二人称 あんた お前 (貴方)
イルム
一人称 俺 二人称 貴方 君

です。毎度見てくれてありがとうございます!
なぜか8700文字超えてます。注意
そろそろ記念に何かした方が良いですかね?
何かあったら感想or活動報告欄などにお願いします


〜朝 宿屋〜

 

シオン達はテーブルを繋げ、2パーティー用に作られた席に案内された。

バドルとその護衛、イルム、シオン、フミ。追加でレオとミキが合流して丁度8人だ。

運ばれてきた料理はどれも大人数用...だが。

朝から食欲全開のバドルやレオ、ミキたちが凄い勢いで皿を積み上げていく。

どこに大量の食べ物が入るのか、皿の山は3つ目に突入し始め...

 

「お、お姉ちゃん!ストップ!!」

 

周りからの視線に耐えきれず、シオンは1番近いバドルに待ったをかけた。

食事の中断を強制されたバドルは不機嫌そうに顔を上げシオンを睨む。

それも一瞬のことで、自分の横に積み上げられた皿の量を見て納得したように頷いた。

 

「デザート持ってきて〜」

「違うお姉ちゃん食べすぎ!!」

 

シオンはいつもこんな感じなの?という視線をバドルの部下達に向ける。

...お金を余分に持ってきていたのは食事代だったようだ。

バドルを止めることに失敗したシオンは諦めて食事を続けることにした。

 

〜Now loading〜

 

2パーティーにしては多すぎる山積みの皿が片付けられ、王族、流浪人、ハンターの食事会は終わりへ向かう。

 

「それで、あんた達はシオンを連れて行くわけね。」

 

緩んだ空気を緊張させる声。

声の主、バドルは先ほどまでと違いとても機嫌が良いとは言えない表情をしている。

シオンはバドルが昨日話し合った中で、最後まで納得しなかった事...自分がハンターに連れ回されることにひどく怒っていたことを思い出す。

同時に背筋を冷たい汗が伝うのを感じた。

 

「シオンさんを危険に晒すつもりはありません」

「ハンターといるだけで十分危険な状態なのよ?」

「それは否定できません。しかし、私は...私達は全力でシオンさんを守ります。」

 

バドルの威嚇するように細められた目を真っ直ぐ見返して、フミがはっきりと宣言する。

バドルは口を開きかけ、閉じた。

一触即発。

そんな空気が流れる中、バドルが....目をそらした。

 

「....シオンを守るって?あんたにそんな力がある?」

「シオンさんは私達の仲間です。命ある限り、守り通します。」

 

バドルが俯き聞き取れないくらい小さな声で何かを呟いた。

その顔は少し引きつっている。

昨日会ったばかりの他人を信じろと言われても無理な話。

 

沈黙。

その時間は1分も無かったが、シオンにはとても長く感じられた。

 

「シオンは、嫌じゃないの?」

「うん」

 

フミはシオンがモンスターだと知っても態度を変えず、人に馴染む手助けをした。

それがシオンにとって1番信用できる理由だった。

旅を通して知ることも楽しく、まだ続けたいと思っている。

 

『だが、それは無理なことだ。』

 

突然聞こえた声にシオンは固まる。

なんで、ここでこいつの声が。

警告をしてきたあの黒い影...その声が夢でもないのに聞こえる。

 

「シオンさん...?」

「え?あ、何か言った?」

 

外に向いていた意識が戻る。

シオンは自分に視線が集まっていることに気づいた。

 

「だからー、嫌になったらすぐに私かイルムのとこ行けって言ったの」

「うん。わかった」

 

困惑しつつもそれを顔に出さないよう気をつけ、シオンは返事を返した。

嫌な予感に心臓が早鐘を打つ。

もし、あれが夢じゃないとしたら....?

 

『ああ、そうさ。夢じゃない。』

 

「ッ!」

 

夢で聞こえた声は低く、しかしはっきりと、シオンに告げる。

シオンはフミに不思議に見つめられていることに気づく。

これ以上はもう、隠しきれない。

 

「シオンさん?」

 

ゆっくりと立ち上がったシオンにフミが声をかける。

怪しまれないように....シオンは必死に笑顔を見せて、

 

「ちょっと、外の空気を吸ってくるね」

 

逃げるように宿の外に出た。

 

『フン。嘘はつけるのか。』

 

「僕になんの用だ」

 

バカにするような問いにシオンは質問で返す。

その問いを声は軽く笑った。

 

『返事をまだ聞いてないぞ?お前はどうするんだ?』

 

ぁ、とシオンの口から声が出る。

夢だと思ってた。

きっとこれからも変わらずみんなで旅ができると。

でも、もし男の言う通りならそんなことはできなくなる。

みんなと会うことも。

 

『自分で何も思い浮かばないなら....俺に体の主導権を寄越せ』

 

「なん..!?」

 

『大丈夫。お前の心配していることは起きない。誰も殺さないさ。』

 

シオンは迷うように視線を動かし....ゆっくりと自分が思っていたことを声に出す。

 

「僕が...いたら全員死ぬの....?僕がいなければみんな死なずに済む?」

 

『「僕が助ければ」と考えているなら無理だ。お前がいたところで何も変わらない』

 

「どうして....」

 

『お前に寄ってくる...と言えばわかるか?....そうだな..あいつらはお前が人間と関わるのがお気に召さないのさ。だからお前が人間達から離れれば何も起きない』

 

シオンは訳がわからず混乱する。

自分がいなければ何も起きないのにいたら何かが起こるなんて理解できない。

 

『今すぐに、とは言わんが....日没。それまでに考えておけ。』

 

「待って...!僕は!」

 

正解がわかない。

シオンがまとまりきらない頭で話しかけようとしたが、何を言っても声は聞こえてこなかった。

 

 

 

「シオン〜!遅いぞー!」

 

シオンがなんとか頭を整理して宿に戻ると、不満げなバドルがデザートを食べていた。

5皿目だが。

 

「お姉ちゃん、食べすぎ...」

 

シオンは一言だけツッコミを入れると席に座り、心配げなフミに「ちょっとボーとしてた」と言いって食べ途中だった料理を掻き込んだ。

 

〜Now loading〜

 

「じゃあさ〜、前から俺がいってた怪しい店行かない!?」

「怪しい店と言っていながら常連になっているあなたが理解できないのですが。」

「おぉっとそこは突っ込まないでくれる?まあ理由としては金銭的なね??うん。あとね、なんか使ったら狩がスムーズに進む...というか?」

「なんで疑問形なんですか?」

 

楽しげに話すフミ達をシオンはボーと見つめる。

その視線にフミ達は気付かず、レオに押される形で行き先を決定した。

 

...日没までに。

短すぎる制限時間にシオンは頭を抱えそうになる。

先ほどバドルは王族の集まりに出席するため先ほど宿を出て行き、イルムは体調が優れないと言って部屋に戻った。

僕は...みんなと....。

 

「シオンさん、出発しますよ?」

「うん」

 

シオンは思考を中断して仲間との時間を精一杯楽しもう、と心に決めた。

 

宿の外は人のごった返す大通り。

その中をシオン達一行はレオを先頭に進む。

 

「さあ、まずは大通り!あそこに見える怪しい路地に向かいます!」

「もうその時点でついていくのを躊躇うのですが。」

「まあまあそう言わず〜」

「ついたよ〜!ここから先は?」

「おぉっと、抜け駆け厳禁...さらに奥に見える看板を曲がると到着です!」

 

薄暗い路地を歩き、会話を挟みながら進む。

看板(文字はかすれて見えない)のある路地を進むと怪しげな建物が建っていた。

その入り口に立ち、シオン達が一言。

 

「「「怪しすぎる(ですね)」」」

「えぇ...何も全員が言わなくていいじゃん」

 

珍しくシュンとした顔でレオが無理な注文をつける。

いくら耐性のあるシオンでもさすがにこの建物は怪しく感じた。

ふてくされた顔をしているレオを見てフミがため息をつく。

 

「普通ならここで引き返すのですが....まぁレオがいますし、入っても大丈夫でしょう」

「俺ってどういう役割!?」

 

フミの言葉に機嫌を直しかけていたレオが、思わずツッコミを入れる。

おそらく弾除け程度に思っているだろう。

自分に対しての評価がいまいち納得でいないレオだったが、よほど嬉しいのかすぐに笑顔になる。

コロコロと変わるレオの表情にフミが冗談めかして眉を寄せ、、

 

「いつもはあんなあなたがここまで上機嫌だと気味が悪いですね。」

「だからなんで!?あんなってどんなこと!?」

 

レオとフミが討論しているのをシオンは楽しげに見つめる。

その中に同行者の一人、ミキが見当たらない。

あれ....?

キョロキョロと辺りを見渡すシオン。

その後ろから入り口のドアを開けて入っていく一人の少女....。

 

「おじゃましまーす!」

 

「「ああー!!」」

 

残念そうなレオと心配そうなフミ。

レオは「案内役は俺...」と肩を落とし、フミは「無警戒で入るなんて」と少し身構える。

二人の感情に気づかないミキはズカズカと奥へと入っていく。

背後を取られた驚きでシオンは反応が遅れ、3秒ほど硬直していた。

その間にミキが顔だけ出す。

 

「みんな来ないの〜?面白いものたくさんあるよ!」

「知ってる....だって俺が全部教えようと思ってたから....」

「レオ、なんかキャラ違くない?」

 

いつも元気いっぱいのレオは、先を越されたのが残念だったのかテンションがいつもより低い。

それでも気合を入れなおすように首を振り、案内を始めた。

 

「ここが、俺の行きつけの店!試作品を安く売ってくれるんだ!」

「へ〜!それで、どんなものがあるの?」

 

試作品という言葉には突っ込まず、店内を見て回る二人。

その間にフミとシオンは奥のカウンターに向かう。

 

「あなたが、ここの店長ですか?」

「ああ、そうだ。よく来たな。」

 

奥のカウンターには中年の男が座っていた。

 

「どうだ?ここの物は。なかなか良いものも安くしてるぞ。」

「そのようですね。レオとはどんな関係で?」

「全く、少しは警戒を解いたらどうだ?こっちまでピリピリして敵わんよ」

 

敵わない、と言いながら少しだけ殺気を放つ男にフミは眉を寄せる。

 

「おー怖いな〜ちょっとふざけただけだってのに」

 

そう言って男はおどけた調子で笑った。

同時に殺気も消え、緊張から解放されたシオンはホッと息をつく。

 

「あいつには色々試作品を安く買ってもらって、その結果をもとにまた作品を作るんだ。最近は客が少なくて随分助かってるよ。俺の名前は....店長とでも呼んでくれ」

 

名前は明かさず、男....店長は面白そうに笑う。

完全に無防備な店長を見て、フミは警戒を解いた。

それを見て店長は満足げにもう一度笑った。

何がおかしいのか理解できないシオンは、首をひねる。

 

「うん?そんなに不思議そうな顔しなくても良いじゃないか。俺はただ、久しぶりに面白いのに会えて嬉しいのさ。なんせここには人が来ないからな。しっかし、お兄さんはちょっと違った匂いがするね。」

 

一発で店長はシオンが他の人と違うことを見抜く。

シオンはびくりと肩を跳ねさせた。

 

「えっと、シオンです」

「シオン....うん。良い名前じゃないか」

 

シオンの反応を気に留めず店長は頷く。

それからフミの方を向き、

 

「お嬢ちゃんはなんて名前だい?」

「その呼び方、やめてください。虫唾が走ります」

 

ふざけた店長にフミは割と本気で睨みつける。

睨まれた店長は首を引っ込め、「随分と威勢のいいお嬢ちゃんだ」と反省の色を見せない。

 

「私の名前はフミです。」

「おじょ...フミって名前なのか」

 

口を滑らせかけた店長はフミの殺気にすぐに言葉をなおす。

そうこうしているうちに、店内を見回っていたレオとミキが戻る。

 

「んー?店長フミに睨まれてやんの!一体何して...痛い痛い!!」

「この馬鹿とは面識があるのですか?」

「いだだだ!ば、馬鹿って何!?痛い痛い」

 

言葉の途中でフミに耳を掴まれ、レオが悲鳴をあげる。

....今のは馬鹿にしたレオが悪い。

そのままの状態でフミが店長に問う。

店長は面白そうに目を細めた後「そうだよ」と答えた。

フミは何か言おうと口を開きかけ、片手で馬鹿を引っ張っていた事を思い出し手を離す。

勢い余って床に転がったレオは文句を言いながら立ち上がる。

 

「痛ったいなぁ!もうちょっとで落とすとこだった」

 

そう言ってレオが取り出したのはペイントボールに似たもの。

ただ、その匂いは誰もが知るあるものの匂いに酷似している。

 

「おお、それはペイントこやし玉だな。俺の試作品第43号だ」

 

モンスターの位置を教えるためにペイントするのに逃がしたら意味がないということに気づけていない。

探究心は常識を忘れるようだ。

 

「ま、店長はこんな感じで43個もガラクタを作って日々遊んd痛い痛い痛い!!」

 

懲りずにズケズケものを言ったレオに今度は店長が爪先を踏みつける事で罰を下す。

メキメキィッと音がしたのはご愛嬌。

相当のダメージだったのか、レオは薬草を噛んでいる。

 

「ま、役に立つものもある。存分に見てってくれ。」

 

追い打ちでレオの足をグリグリ踏みながら店長が言う。

シオンたちはゆっくり店内を見回りながら時間を潰すことにした。

 

 

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「ありがとうございました」

「おう!また来い!」

 

久しぶりの客にライン・トーネル...否、店長は口に笑みを浮かべていた。

その興味対象は主にシオンに向いている。

シオン、か....。随分と変わった気配...いや、あれは匂いで間違いないはずだが。

彼はこう見えても数々の死線をくぐって来たG級ハンター。

シオンがいくら擬人化しようと、モンスターの匂いに気付いていた。

少し前の自分なら斬りかかっていただろうがそれも昔のこと。

昔は古龍すらソロで討伐する猛者だったが、今はこうして日々ガラクタ...試作品を作っている。

店長は久しぶりに同格の、もしかしたらそれ以上の実力を持っている可能性のあるハンターと、その仲間に気分の高まりを感じていた。

だが入れ違うように店に入って来た人物を見るとその笑みをさらに大きくして迎える。

 

「おっ!お前が来るとは珍しいな〜前あったのはどれくらいだったか?」

「今来たから忘れた」

「おいおいひでーな骸さんよぉ。そうそう、お前に頼まれてた武器、完成したぞ」

 

使いこなせるかどうかは別だが。と付け加え骸に武器を放る。

鞘が2つ、真ん中を紐で結ばれた双剣。

骸はそれを引き抜き、一瞬驚いた顔をする。

骸のなかなか見ることのできない顔を堪能して店長は上機嫌に笑う。

 

「これは....どういうことだ?」

「どうもこうも、見たまんまだが?」

「俺の見たまんまだって言うなら双剣が四属性もってる気がするんだが?」

「ま、その通りだ。属性も自由に変えられるようにした。大変だったんだからな?」

「店長が言っても説得力が感じないな」

 

正確には鞘で属性を切り替えるわけだが、店長はわざと説明をしない。

体で覚えた方が早いからと言うのとただ困った顔が見たいと言うのも半分。

何回か練習すればこいつは使いこなしそうだがと思っていた店長の予想は、

 

「あ、出来た」

 

という少し興奮した声で見事に白旗をあげる。

やはり元々の才能にあの鬼が指導を入れたからか...。

全く。飛んだ天才が出たもんだ。

どんな戦闘狂もこいつに会ったが最後、血の海に伏せることになるんじゃないか?

いや、それは前までとつけた方が良いか。

 

「あいつらには手を出すなよ」

「さっきのやつらのことだろ。今のとこ手を出すつもりはない。」

 

さも当然のように言われ店長は驚く。

てっきりターゲットにしていると思ったんだが....。

ま、油断は禁物か。

 

「お前、この前また潜入したパーティーを潰したろ」

「利用価値がなくなったからな。」

「だからって潰すことはないだろに」

「それ以外は面倒くさいんだよ」

「お前なぁ....」

 

思考がぶっ飛んでいると言うか冷酷なんだよな。

あれがあったから仕方ないか。

店長が昔を思い出していると骸が出口へ向かう。

 

「体に気をつけろよ」

「わかってる」

 

店長はしばらく骸が去った扉を眺めていた。

前より傷が増えていたのが気になる。

変なところで優しすぎるのがあいつを苦しめてるんだろうな。

だから愛されるのかもな。

 

「死ぬなよ」

 

誰もいない店内に店長の呟きが響いた。

 

 

▼△▼△▼△▼△▼

 

森の中にシオンたち一行はテントを設置していた。

日暮れが近づきいたこともあり、今日は野営しようということになったのだ。

シオンはテントから離れた森の中にいた。

もう、時間が無いことをシオンは痛感する。

もうすぐ日没。

太陽が森の木を赤く照らす。

何が一番最善なのかシオンは考えた。

意識を体に向ければ、何かが蠢いているような感覚がある。

 

「いるのか?」

 

『ああ、いるぞ。で、どうするんだ?」

 

「....」

 

『今、龍に戻って飛べばいいだろ?』

 

「僕は.....」

 

 

.....

...

..

 

「シオンさん」

 

どれだけ時間が経ったのかシオンにはわからなかった。

フミに声をかけられて初めてシオンは人が近くまで来ていたことに気づいた。

フミなら答えを知っているだろうか...

シオンはそんなことを考え、フミを見つめる。

....だめだ。

フミなら私たちがいるといって聞かないだろう。

 

...僕が、ここにいなければ。

 

『準備はできたか?』

 

誰も傷つけずに。

 

「シオンさん?」

 

ごめん。とシオンが呟いた瞬間、シオンの意識とは別に龍脈が体に流れ込み...

 

「ーーーーーーーーッッッ!!!!」

 

紫がかった漆黒の龍の咆哮が夕暮れの空を震わせた。

大地を踏みしめる4本の足、二対の翼、先端に向けて大きく広がる尻尾。

久しぶりに龍へ戻りシオンは歓喜する。

それと同時に、体が自分の任意で動かないことに恐怖を覚えた。

そして、シオンの恐れていた事態が起きる。

 

「きゃあッ!」

 

前足を振るう。

地面を抉る一振りはフミに直撃しフミが吹き飛んだ。

とっさに背中の太刀を自分とシオンの間に挟んだのかフミは空中で体制を立ち直す。

その目には困惑の色が濃く、シオンは自責の念にかられる。

 

『やめろ!殺さない約束だろ!!』

『ふん。俺は殺さないとしか言ってない。多少怪我をしてもこいつらはすぐ治る』

『そんなっ』

 

「ーーッッ!!」

 

咆哮を上げ、突進。

横に回避したフミを右前足を軸にターンし尻尾で一撃を入れる。

フミはそれを太刀で受け流し、体の下を通って反対側へ抜けることで被弾を防いだ。

全て自分が戦っているような感覚。

地を踏みしめ、尻尾を振るう。

鳴鱗を飛ばしフミの着地地点を潰す。

 

攻撃をしていても手加減をしているのかシオンが繰り出す技より威力は落ちている。

それでも突進や前足を使って殴る攻撃は地面を抉り、木をなぎ倒す。

次に何をするのかわかっていてもシオンはその命令にブレーキをかけることができない。

ついに、シオンの鳴鱗爆発がフミにあたりフミは木にぶつかる。

体がターンし、シオンは次に突進をしようとしていることに気づいた。

フミとの距離は15mほど。

一気に加速しフミとの距離が残りわずかになった瞬間、

 

『と、まれぇええええ!!!!』

 

シオンは全力で突進を前足叩きつけにキャンセルする。

地面が震え、クレーターができる。

そのクレーターはフミの足に届くギリギリにできていた。

シオンは体を震わせ、激しく息をつく。

いつのまにか男の気配は消えて体の主導権はシオンに戻っていた。

 

「シオン....さん...?」

 

あたりには大小様々な穴や抉れた地面がある。

それを見てシオンは動揺した。

 

「シオンー!!フミー!大丈夫!?」

「なに!?え!!?穴空いてる!?」

 

ミキとレオが駆けつけ、シオンとフミ、地面に空いた穴を見て目を見開く。

そして、見覚えのあるモンスターに殺意の目を向ける。

シオンには一瞬二人の姿がかき消えて見えた。

 

「ーーッ!?」

 

脳を焼く痛みにシオンは咆哮する。

いつのまにか右肩、左の脇腹にそれぞれ赤い線ができ、血が流れている。

 

「くそッ硬い!!」

「フミ!今のうちに逃げて!」

 

混乱するシオンの頭に二人の声が聞こえる。

そして、気づく。

シオンは本当の姿になり、ミキたちはシオンが龍だと知らない。

フミがモンスターに襲われているようにしか見えていない。

シオンは急いで逃げようと翼を広げ、一瞬躊躇う。

説明しなくていいのか。

謝らずにこのまま逃げて。

その躊躇いが命取りとなった。

 

「ッッ!!!」

 

翼、足、尻尾、そして頭に無数の傷が刻まれた。

あまりの痛みにシオンは本能的に防御に入る。

 

ギイィイイイン!!!!

 

金属をするような高い音波が無差別に繰り出された。

シオンが得意とする衝撃音波だ。

シオンの周辺から地面が吹き飛び、その破片すら粉々に粉砕される。

龍としての誇り高き本能が怒りに震える。

シオンは痛みに脳を焼かれ苦悶しながらもなんとか本能の暴走を抑えようとした。

だが、ハンターはその隙を逃さない。

 

上空から、一閃。

無数の斬撃がシオンに降り注ぎ、鱗を砕き、貫通し、傷跡を抉る。

レオが得意とする双剣の空中乱舞のアレンジだ。

シオンは声を上げることすらできず、大きくフラつく。

追い打ちをかけるようにミキの盾コンがシオンの胴に決まる。

G級ハンターが誇る圧倒的火力と連携に、シオンは満身創痍になりながらも倒れない。

倒れれば命が無いことくらいわかっていた。

 

「ーーーーッッッ!!!!!」

 

衝撃波を伴う咆哮で追撃を防ぐ。

鳴鱗を撒き散らし、砕かれた破片すらも使い、音の防御層が完成する。

たった数秒間の戦闘でシオンは動けなくなるほどの傷を負った。

 

「ま、待ってください!」

 

シオンの防御層を突破しようとしたミキとレオにフミの声が届く。

と、同時に力尽きたシオンは地面に倒れた。

フミは急いでミキたちのとなりに行き状況を説明した。

受け身もとらずに倒れたシオンは激しく肩で息をしている。

体の下には血だまりができ、とても動ける状態では無い。

それでも気力を振り絞りシオンは立ち上がった。

(巻き込むわけにはいかない!)

そのシオンの目の前にフミが立つ。

 

「シオンさん...どうして」

 

そこから先はシオンの羽ばたきに遮られ聞こえることは無かった。

 

 

〜Now loading〜

 

雲より高い上空をシオンは一直線に飛んでいた。

ほとんど意識も消えかけ、いつ落ちてもおかしくない出血量でもなお飛び続ける。

それはただひたすらフミたちを巻き込まないためだった。

だが所詮は気力で持っていた体。

ガクリと高度が急激に下がり、シオンに体の限界が訪れたことを告げた。

雲を突き抜けた眼下に、濃霧がかかる森が広がっている。

その森を視界の端に写したのを最後にシオンの意識はブラックアウトした。




えっと....その、あの〜....ハイ。
シオンはフミたちが大好きなんで、ハイ。
え?別ゲー感が凄い??すみません
ちょくちょく過去話直したりしてます。駄文は変わらず....
バドルがあんなに敏感なのは6,7話が原因です。
あの、もし良ければここまで読んでいるみなさんに評価をお願いしたいのですが....ついでに感想も((殴
感想はちゃんと返信します。
いや〜しかしなんで8000文字も行ったんだかさっぱりですw


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第18話 知らない場所

お久しぶりです、流血事故です!
お気に入りが増えてて驚きで眼をパチクリさせてました...。
まだ、油断大敵!!いつ減るかわからないですし...。
テスト終わったので更新です!
今回は戻って約3800文字です。


ゆっくりとシオンの意識が浮上する。

身体中に鈍い痛みが走り、少し動くと血が滲む。

シオンはなんとか上半身を起こし今の状況を整理しようとした。

見回したところシオンは泡のようなものに覆われ、その外にも泡のようなものがふわふわと浮いている。

 

泡から足を出し、シオンは後悔する。

外に出した瞬間痛みが倍以上になって脳を焼いたからだ。

どうやら泡には痛み軽減のようなものがあるようだ。

 

「おはようございます。気分はいかがですか?」

 

澄んだ鳴き声。

それは瞬時にシオンの理解できる言葉に翻訳される。

シオンはとっさに起き上がろうと体を跳ねさせたが、失敗して崩れ落ちた。

 

「だれ....?」

「あら、わたくしのことをお忘れですか?...やはり貴方の言っていたことは本当だったようですわね」

 

警戒を露わに再度立ち上がろうとしたシオンを見て、そのモンスターは少し傷ついた顔をする。

モンスターの姿はスラリとした胴長で、白や桃色が目立っている。

特徴的な大きなヒレがあり、前足には長い爪が生えていた。

しかし、何より目立つのは....

 

「わたくしはテンというものですわ。種族は"天眼"タマミツネですわ。」

 

両目に大小様々な傷がつき、盲目であることだ。

テンはシオンを包んでいる泡に近づきそっと匂いを嗅ぐ。

 

「傷は...治りが遅いですわね。一体どこでこんなにひどい傷をつけられたのですか?えっと...」

 

そこでテンは言葉を切り困った顔でシオンを見た。

シオンは視線に気がつき、顔を上げる。

 

「し、しおん...です」

「シオンと言うのですね!名前まで変わられて....」

 

シオンが弱々しく自己紹介するとテンがぱあっと明るい声を上げ、嬉しそうに尻尾が揺れる。

少し前からテンはシオンと誰かを重ねて見ているようだ。

危険なモンスターじゃない....?

シオンは緊張の糸が切れ、ぐらりと体勢を崩した。

倒れるシオンと地面の間にテンが滑り込み、衝撃を抑える。

 

「シオン?大丈夫ですか?」

「....すう..」

「寝てしまいましたか。」

 

「....本当にあの人ではないようですね。」とテンが小さな声で呟いたが、それを聞くものはいなかった。

 

 

ーテンsideー

 

本当に、あなたはわたくしの手の届かぬ所へ消えてしまわれたのですね。

シオンと名乗ったモンスターを起こさぬよう慎重に体を滑らす。

呼吸は目覚める前よりマシになったが、安定していない。

 

それにしても...。

改めてシオンを触ってみる。

もちろん傷口に触れぬよう慎重に触っているだけ。

クスッと思わず笑ってしまう。

前までのあなたならどんなに傷を負ってもわたくしに触れさせることなどしなかったのにね。

本当に....良いところも悪いところも変わってしまって。

良いところが増えたような気がしなくもないですが...決してあの人の良いところがなかったわけではないですよ?

....ないですからね。

 

さて、気を取り直して体を伸ばしてきましょうか。

ついでに薬草とハチミツも取れたら取ってきましょう。

たしか人間たちが回復薬と呼ぶものがとても良いものだった気がします。

それと、食べ物も用意した方がいいですね。

わたくしは魚以外を取るのは苦手なのですが...少し頑張って見ましょうか。

 

ゆっくりと森の中を歩いて進みましょう。

森にはわたくしと同じくらいの強さを持っているものは少ないでしょうし、問題はないはずです。

わたくしの泡を見れば大体のモンスターはシオンを避けるでしょうし。

何かあってもすぐ駆けつけられるくらいにはわたくしも強く、この森にも慣れていますから。

命をかけても、わたくしはシオンを守ります。

わたくしはとても恩を感じているのですから。

今度はわたくしがあなたを守ってみせます。

 

 

 

わたくしがあの人と出会ったのは異常気象で渓流周辺に雪が降り始めている頃。

当時わたくしは弱く、ハンターに続いてモンスターと戦うという最悪の連鎖の真っ只中にいました。

そんな絶望的な状況に奇跡が起こった...と、わたくしは思いました。

なぜならハンターとの戦いで両目に傷を負い、続いて現れたモンスターには格下の餌と見られいたぶられていたわたくしを、あの人が救ってくれたのです。

 

漆黒の鱗で全身を覆い、神々しく羽ばたくあの人をわたくしは夢で時々見ます。

二対の翼に細く先端の鋭い尾。

薄紫色に輝く瞳と宝石のようにあたりを照らすブレスで一瞬にしてモンスターを倒してしまうその強さにわたくしはすくみ上るしかありませんでした。

しかしあの人はわたくしをチラリと見ただけで獲物として見ていませんでした。

それだけではなく、時間も経たずに失明したわたくしを寒さから守り、わたくしが一人で生活できるまで面倒を見てくれたのです。

 

それからしばらくしてあの人は渓流を出て行き、わたくしは一人になりました。

置いていかれたのはわたくしが役に立たない弱いだけの存在だからだとわたくしは思いました。

何度も何度もわたくしは渓流に住むモンスターたちと戦い、ハンターたちを幾度も退け、ひたすら強くなるためだけに行動しました。

あの人...「───」のそばにもう一度立って見たくて。

今こそ渓流を離れてこの森で暮らしていますが、あの頃のわたくしはどこか盲目的だった気がします。

...本当に目が見えないのですが。

ものはたとえとよくあの人も言っていますし、セーフというものです。

 

 

今ではあの人の名前すら思い出すことができません。

あの人がいなくなった後、名前を思い出せなくなるのは「俺が本当はこの世界にいないはずの生き物だから」とわけのわからない理由を言っていましたが、まさか本当に思い出せなくなるとは思ってもいませんでした。

その後もいくら時間が過ぎようと思い出すことができずに、ずっとこの森で過ごしていましたが....。

 

目的の場所に着きました。

泡を飛ばしてあたりを調べてみましょう。

たしか...アプトノスでしたっけ?

あれがどうやら5頭ほどいるようですね。

2頭くらいで足りるでしょうか。

 

流れるようにアプトノスに近づき腕を振るう。

わざわざ力を出さなくても簡単でしたわ。

最近は強いモンスターも減って少し暇なのが悩みなのですが。

程よい強さのものはいないのでしょうか。

 

ああ、思考がズレてしまいましたわ。

後は薬草とハチミツが必要だったはずです。

あれ...この反応...!

バクレツアロワナですわ!!

泡のセンサーに引っかかったアロワナを一噛み。

やはり!この味は間違いないですわね!

やりましたわ!

久しぶりのこの味....あっ

 

遠巻きにモンスターの気配がありますわね。

わたくしの至高の時間を覗き見とは、死にたいようですね。

 

 

 

さて、わたくしも十分休憩しましたし、本気で薬草とハチミツを探しましょうか。

水辺で体を流しながら探すのがいいかも知れないですね。

あの人はいつもどこから聞いたのかわからない情報を話していましたが、間違っていることは少なかったですわ。

たまに間違えて「そんなの聞いてねぇ!!」と叫ぶのは悪い癖だと思うのですが...。

これは...?

薬草ですね。2本ほど取りましょうか。

次はハチミツですね。

 

......

...

..

 

見つからないですわ!!

一体どうゆうことですの〜!?

あまりの悔しさにぐるりと一回転。

遠心力で振るわれた尻尾の一撃が近くの木をなぎ倒した。

 

はぁ...はぁ....。

ちょっとふざけすぎましたわ。

あら、この気配...蜂ですわね....。

倒した木のうろに蜂が巣を作っていたようですわ。

運がy..いえ、作戦通りですわ!!

 

後は調合作業だけですわね。

ドキドキノコ...このあたりにあるでしょうか?

 

なんてことをのんびりと考えていた時。

シオン....?

反応が小さいですわ。

まるで人間のように....。

脳裏を嫌な記憶がよぎる。

まさかっ!

地面を蹴り、全速力でシオンに向かう。

どうか...間に合ってくださいまし!

 

 

『古龍の全てができるかは知らんが、俺は瀕死の重傷を負った時に勝手に擬人化するみたいだ』

『そんな面倒なことは必要ないと思いますわ』

『いや、傷の程度が少し軽くなる。少し、な。』

『では今あなたは重傷を負っているのですか?』

『俺は人の姿が心地いいだけだ』

『それにしては血の匂いがきつすぎますわね』

『....フン』

 

 

どうにか間に合いましたわ!!

葉で包んだ素材からドキドキノコを取り出し一気に飲み込む。

...擬人化成功ですわ。

シオンに駆け寄り脈を確認する。

まだ、大丈夫ですわ....。

急いで回復薬を調合しないといけないですわね!

やっと再会できたのに、そう簡単に諦めるものですか!

 

〜Now loading〜

 

やっと...終わりましたわ.....。

シオンの胸が規則正しく上下しているのを手で触れ、確認。

となりに座り、しばらくそのままでいる。

決してシオンをずっと触っていたいとか、そんなものでは断じてありませんからっ!

擬人化したわたくしは、比較的傷の浅かった左目が見えるようになりますわ。

その感覚に慣れるのも時間がかかりましたけど。

 

シオンは少し幼さが残る顔立ちで静かに寝息を立てている。

顔から足先まであちこちに大小の傷が目立っていて少し...いえ、とても不快ですわ。

回復薬を使えば傷も塞がりはしますけど。

あの人の顔より少し幼いですわね。

昔のあの人もこんな顔だったのでしょうか?

 

さて少し休みましたし、アプトノスを回収してきましょう。

シオンが眼を覚ます前にきちんとした食事を用意しないとですわ。




はい!新キャラ登場ですよ!
テンこと天眼タマミツネですね!
名前はちょびっと出てきた"あの人"とやらがつけました!
テンはわたくしとかですわが口癖ですけど姫さまキャラではないと...。
しかし閲覧数が一番高いのが人物紹介とは...。
一章の終わりにイラスト付きで人物紹介を入れられたらいいなと個人的に思ってます。
絵は決して上手くないので期待しないでください。
お気に入り登録者2桁記念に登場人物人気投票とかしたいですね。
締め切りは一章終了まで...とか。
活動報告にでも作っておきます。

誤字あったら報告お願いします!
時間があれば評価、感想などもよろしくお願いします!!


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第18話 約束

こんばんは、人気投票がこなくて恥ずか死している流血事故です。
投稿、毎度毎度遅くなってすみません!
まさかのお気に入り90件が超えていて死ぬほど焦りました(汗)
しおりも確認しているのですがすぐに最新話に移るのを見てニヤニヤしたり焦ったりしてます。
お気に入り登録ありがとうございます!
最近面白い小説が多くて羨ましいです....(そしてそれを読むのに夢中になり投稿が遅れる)
だいたい1ヶ月を目安に投稿できるように頑張ります!
更新が遅いので1話の進行速度が馬鹿みたいに早いですが許してください!!
今回6000文字いっています。
この話から少しずつ記憶が鮮明に、それでいてシオンが覚えていないことが多くなって来ます。
なぜかおひさしぶりに感じるあの人もでます。
分かる人には不自然なことに気付き始める....かも。

時間経過の表現がなかったので簡易説明します。
現在シオン、バドル、イルムは生後5ヶ月、とは言っても竜の成長は早いので準成体です。
第1話の誕生からモンスターリスト更新までで3ヶ月ちょい。
地球で例えると、3月の下旬に生まれてこの話で8月中旬あたりになります。
オリジナルも入れていきますよ〜!


「どうしようもないことだって、きっとあるんだ。」

 

少年は口を開く。

いつのまにかそれは口癖になっていて、心は麻痺し、感情は消えている。

彼は日常にそれを出すことはない。

幼い頃にとっくに折れた自分の心を嗤って、笑顔の仮面をかぶる。

 

幼い頃から"調教"され、両親の着せ替え人形として生かされている彼は、生きる屍になって虚ろな表情に笑顔を貼り付け毎日生きている。

そんな彼に光がさしたのは彼が14回目の誕生日を迎えた日だった。

 

 

▼△▼△▼△▼△

 

 

シオンの瞼がピクリと動き、シオンは眠りから目を覚ました。

シオンの真上をふわふわと緑色の泡が通過していく。

泡を目で追いながらシオンは意識を失う前のことを思い出そうとした。

不思議と体が楽で、痛みが引いている。

少し体が怠い。

 

「....あ、れ?」

 

体を起こそうとして、シオンは自分が人の姿をしていることに気づいた。

確か意識を失う前までは元の姿だったはずだけど...。

上体を起こし周りを確認する。

目線の高さは違っても寝る前の景色と一致している。

 

「ぼく...は....」

 

あの後、どうなったんだろう。

上手く舌が回らない。

頭や体に違和感を感じて触ってみる。

サラッとした葉っぱ。

それが何重にも巻いてある。

感覚からして、ネンチャク草とクモの巣を使っているようだ。

 

「やっと目を覚ましましたね。流石のわたくしももう目を覚まさないかと思いましたわ。」

 

聞き覚えのある声。

それが人間の声としてシオンに届く。

 

「...え?」

 

頭のてっぺんから毛先にかけて青紫色が淡く、鮮やかになる長い髪に、見たこともない服を着た女性が優雅にお辞儀をする。

浴衣、という言葉が自然に浮かぶ。

その女性はにっこりとシオンに微笑みかけた。

 

「改めて自己紹介させていただきますわ。わたくしはテン。種族は天眼タマミツネ。よろしくお願いしますね?」

 

女性はテンと言って僕を治療するために擬人化までしてくれたらしい。

話を聞く限り、いい人で僕のことをなぜか知っている。

不思議なことにシオンはテンに警戒心を抱くことができなかった。

 

 

 

 

自己紹介を改めてした後、シオンはテンにここに飛んで来る前のことを細かく聞かれた。

それについてシオンは暗い空間や黒づくめの男について伏せ、それ以外のことを少し表情を暗くして語った。

話がフミ達との別れに入るとシオンの表情は一層暗くなり、声も消え入るように小さくなった。

 

「大体のことはわかりました。」

 

シオンの辛そうな顔を見て、テンは話を切る。

テンの配慮にシオンは救われた気がした。

 

テンはシオンに緑色の泡を数個飛ばした。

泡はシオンに触れると弾けて消えた。

 

「シオンさんの傷は大丈夫そうですね。傷の塞がりが一気に早くなりました。これなら日が昇り切る前には動けるようになっていると思いますよ。」

 

安心したのかテンがふう、と息をついた。

上体を起こしたまま固まっていたシオンは、はっとして口を開く。

口を開く前にお腹がぐうぅと鳴り、シオンは恥ずかしそうに顔を伏せた。

 

「ふふ...ちょうどアプトノスを取ってきたところです。食事にしましょうか。」

 

口元を隠しながらテンが笑い、「少し待っててくださいね」と言って森へ消える。

テンが消えた方向から特に急ぐ様子もなく動く音が聞こえてきた。

その数分後...

 

「お待たせしました。肉入りスープを作ってみました。口に合うといいのですが」

 

数分で作ったとは思えないクオリティのスープがドンっとシオンの前に出される。

回復したばかりのシオンを気づかい、肉は一度ミンチにし団子状にまとめてあった。

理性より食欲が優ったシオンはそんなことには気付かずガツガツとスープを掻き込んでいく。

 

「いきなりたくさん食べると体に悪いですよ」

 

そう言っているテンは心配しているように見えて顔が少しにやけている。

シオンが手料理を食べたことが相当嬉しいのか、おかわりを持ってきていた。

シオンの食欲が収まるまでしばらく時間がかかるようだ。

 

 

 

「...そろそろ、ですわね。」

「....?」

 

西へ傾く太陽を見ながら小さくテンが呟いた声に、スープに夢中になっていたシオンが顔を上げた。

シオンの視線を感じてテンは振り返り、にっこりと笑う。

不思議そうな顔をするシオンにテンは泡を飛ばす。

その泡はシオンに触れると弾けて消えた。

 

「体の傷は全部塞がりましたね。私は川に洗い物をしにいきますが、シオンもリハビリがてら一緒に来ませんか?」

「え?...でもまだ治ったばかりだし....」

「時間ならいくらでもありますし、シオンのペースで全然大丈夫ですよ」

 

迷惑をかけたくないとシオンが躊躇していると、半端強引にテンがシオンの手を引く。

引かれるがままシオンは立ち上がり、フラフラと2、3歩よろめいたがなんとか倒れずにバランスを取った。

 

「まだ少し危なっかしいですが...シオン、大丈夫ですか?」

「うん..大丈夫....」

 

いつのまに取って来たのか、テンは片方の手で石や木でできた入れ物を持っていた。

もう片方の手は僕を支えるために開けている...そう気づいたシオンは恥ずかしくなって俯く。

 

「それでは、川に向かいましょうか」

 

テンは開いた方の手でシオンの手を取り、驚いて顔を上げたシオンに笑いかける。

シオンもふっと頬を緩め、テンについて歩き出した。

 

 

 

 

シオンのペースに合わせてゆっくり歩き、道中薬草などを摘みながら進む。

次第に森が開け、目の前に川が現れた。

 

「うわぁ...」

 

川は、沈み始めた太陽で赤く染まりキラキラと輝いていた。

初めて見る景色にシオンは思わず声が出る。

そうしていくらか時間が過ぎた頃。

 

「夕暮れは雨上がりが綺麗、らしいですよ。」

「...?」

 

不意にテンがそう言ってシオンを見る。

真っ直ぐにシオンを見るその目は見定めるような、それでいてなにかを躊躇うように揺れていた。

しばらくシオンを見つめていたテンは小さく息を吐き、その目から躊躇いの色が消えた。

 

「約束を、果たしましょう」

 

なにを、とシオンが問いかけるより早く、首に手がかけられ水の中に押し倒される。

いきなりのことにシオンは反応できず水を飲んだ。

慌てて拘束を解こうと暴れるが余計に苦しくなっただけ。

(苦しい....どう、して......)

抵抗する、動かない。

苦しい、苦しい....。

シオンが水中でもがいていると頭に激痛が走った。

 

「ガボ....」

 

(あ"ぁ....ッ!痛い、いだい"ッ!)

シオンが見る世界が歪む。

苦しくて痛くて。

徐々に動きが鈍る。

シオンの耳にテンの苦しげな声が聞こえた。

 

「ごめんなさい.....!」

 

その顔は影になって見えない。

シオンの頭の痛みは増していく。

 

ズキン

 

 

ズキンッ

 

 

 

ズキンッ!

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はああああッッ!!!」

「甘い。もっと踏み込め。がむしゃらに武器を振るだけじゃ、本物には勝てん。」

 

草原の真ん中で男性と女性が打ち合う。

女性は長い棒の両端に刃をつけた奇妙な武器、対する男性は長めの剣...太刀を使っている。

金属のぶつかりあう音が響き、女性の方が大きく仰け反った。

一歩踏み込んだ男性に向けて女性はバク転の要領で蹴り上げる。

一瞬男性は驚き、それを半歩下がって避た。

 

「なるほど。その手があったな。最近どうも忘れがちになるな...」

「まだ終わってませんわ!!」

 

ギンギンギンギンッッ!!

音が繋がって聞こえるほどの連続攻撃。

それを男性は顔色ひとつ変えずいなしていく。

斬り込む女性の顔に段々と焦りの色が強くなり、攻撃の手にムラが出る。

一際大きな音が響き、女性の持っていた武器が地面に叩き落とされた。

 

「チェックメイト。」

 

剣を突き付けられた女性は悔しそうにうつむく。

男性は先程叩き落とした武器を拾い何回か振ってみる。

 

「操虫棍、随分上達したな。次回は部分竜化も試して見るか?」

「貴方の攻撃についていけませんのにそんなことして大丈夫なのですか?」

「逆にその目でついてこれるのが凄いと思うんだが....」

 

「それに、」と男性は付け加え、左腕を見せる。

腕には薄っすらと血が滲んでいて間違いなく攻撃が当たっていたことを物語っていた。

 

「その刃に属性が入っていたらと思うとゾッとする。お前は十分強いよ。多分奇襲食らったら死んでる。」

「そう..ですか....」

 

少し嬉しそな顔をする女性。

その女性を見て、男性はほんの少し表情を緩める。

 

「だから、今後のことで少し約束して欲しいんだが───」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ごぼ....」

 

(そうだ....やく、そく)

視界が暗くなっていく。

 

『俺が俺でなくなった時、それを殺すのはお前に任せる。』

 

(あの時...あの場で、約束して)

思い出すと同時に、シオンの頭から痛みが消える。

体に力が戻ってくる感覚に、シオンは首を絞める手、その腕を掴む。

ぐるりと体を回転させ、シオンはテンの拘束から逃れた。

 

「ゴホっ!か、はぁ..ゼェ...はあ......ッ!」

 

座り込み、飲み込んだ水を吐いてシオンは貪るように酸素を吸い込む。

驚いたように目を見開いたテンは、次の瞬間には崩れる体制すら利用してシオンに回し蹴りを放つ。

紙一重でテンの攻撃を避けたシオンは文字通り湧き上がってくる力を使い、陸へ飛んだ。

 

「逃がしません!」

「ッ!?」

 

その足をテンが掴み、川へ向けてシオンを投げる。

そして、その姿が変化した。

 

「──────ッッッ!!!」

 

頭から川の最深部に突っ込んだシオンは目前まで迫る竜形態のテンの姿に硬直する。

ガチンッ!

歯の噛み合う音とともにテンが横を通る。

シオンの意思に関係なく、本能に従って体が動いたことで噛み殺される未来を回避した。

 

「〜〜ッ!!?」

 

ぱっと。

暗くなり始めた水中に赤い花が咲く。

脳を焼くのは激痛の奔流。

肉を裂き、骨を断つ。

竜の持つ単純にして必殺の威力をもつ噛み付き攻撃。

それがシオンの左腕半分を奪った。

チカチカと点滅するシオンの視界に大きく開いたテンの口が迫り──

 

「───ぁ」

 

シオンの世界から色が抜け落ちる。

体の中心、そこから何かを取り出すような感覚。

とても単純だった。

それを見つけるために時間をかけて...

 

「───ッッッ!!!!」

 

シオンの命を確実に刈り取るはずだったテンの牙は、突如発生した音の壁により大きく弾かれる。

続いて凄まじい水圧。

テンは弾かれたままの体制で水の流れを受け流すことができずにシオンとの距離が離れた。

瞬間。

 

「キイイイイィィィイインッッ!!!」

 

甲高い音が水中を切り裂くように広がる。

音は範囲内にいた魚達を絶命、または気絶させ次々と水面に浮かび上がらせた。

そして、その音はテンの動きを一時的に止めるのに十分効果がある。

 

シオンはがむしゃらに翼と足を動かし、水中から空中へ飛び出す。

大きく羽ばたき、さらに上空へ。

ザシュッ

水面を切り裂いてブレスがシオンへ迫るがシオンは大きく旋回して回避し、森の外へと滑空することで射程範囲を抜け、そのまま霧に紛れて見えなくなった。

 

ーテンsideー

 

「ああ...っ」

 

なぜ、わたくしはここまで愚かなのでしょう。

あの人との約束も守れず、かといってシオンの手助けをすることもしない。

わたくしは全て中途半端で何もできない、あの時から何も変われていない幼体のまま。

ポタポタと滴り落ちるのは水か、それとも....。

 

「今日も、星が綺麗ですね...」

 

たくさんの星がさざ波1つ立たない川に写り込んで、あの日と全く変わらなくて。

あの日だって変わらず1日が過ごせると思って、1人川を覗き込んでましたっけ。

また、関係のないことを考えて....わたくしはバカですわね。

 

「どうしてわたくしは......」

 

....どうしても、いつも一線が越せずに。

差し込む日差しがボロボロになったシオンを照らしていたのを見て、真っ先に助けることが頭に浮かんで。

なにも考えずにあの時、約束通り殺していれば。

かすかな息に気づかず素通りしていれば。

わたくしはこんな気持ちにならなかったでしょうか。

約束は果たさなければならないのに。

 

「わたくしは....っ!」

 

どうして、こんなに悲しいのでしょう?

 

「ーーッ!!」

 

どうして、あの人がいなくなった時のように寂しく思うのでしょう?

 

「シオン...」

 

どうして、シオンがわたくしから逃れたことが嬉しく感じるのでしょう?

 

 

 

どうして.....?

 

 

 

 

〜Now loading〜 ハンターsideー

 

「もうこの近辺にはいないだろう。」

「俺もそう思う。」

「....私も」

「そう、ですね。」

 

なにも聞くことが出来ないまま、明らかに大怪我...いえ、正直に言って致命傷、それを負ったシオンさんが何処かへ飛び去って数日。

点々と続く血痕も大河をまたいで追えなくなり、モンスターの討伐依頼を受けながら痕跡を探して周りできることはしましたが....。

 

「「本当に、ごめんなさい!」」

「頭を下げないでください!2人は悪くありません!」

「でも...」

「でも、もダメです!」

 

そんなに謝られたら私はどうすればいいのですか?

私にも問題がありましたし、2人は私を助けようとしただけ。

そんなこと、私だって理解してます。

しています、けどっ!

 

「ギャア!?」

 

ブンっと太刀を一振りし、後ろから迫っていたジャギィを斬りふせる。

邪魔、です。

私はシオンさんを見つけなくてはいけないのですから。

 

「迎えニャ、ギルドに行くかニャ?」

「はい、お願いします。」

「あんまり怖い顔してても始まらないニャ。パップルアップルジュースでも飲むニャ」

 

シオンさんを探すにはギルドで噂を集めたり依頼書を見る方が効率がいいです。

すっかり常連となった私たちにパップルアップルジュースを投げ渡してアイルーさんがグッと親指を立てる。

なんでも、最近あるハンターのお陰で出回るようになったんだとか。

アイルーさんに従ってジュースを飲みながら、ギルドに着くのを待った。

 

 

 

「ハンターさんお帰りなさい!新しいクエストが来ていますよ!わっ!?」

 

ギルドの入り口をくぐると、まだ小さい女の子が駆け寄って来た。

最近仲良くなった女の子で純粋で可愛い。

今も目をキラキラさせてとても可愛いので思わず頭を撫でてしまいました。

確か名前はティナと言ってましたね。

 

「ごめんなさい。思わず手が...それで、新しいクエストってなんですか?」

「クエストはね、『霧かかる森』!霧の森に入れるようになったんだって!」

「あの森に?どうして今更.....」

 

あの森は見つかってからも入れない未知の領域だったはず。

なぜ、今になって入れるように?

このタイミングで.....。

ありがとう、とティナにリオレイアの厚鱗を渡す。

今回のクエストで手に入ったものですが、私は使いませんし。

 

「『霧かかる森』を受注できますか?」

「『霧かかる森』は難易度未知数、現在1パーティーが受注し、向かっていますが、集団クエストなので受けられますよ」

「では、お願いします」

「はい。こちら、難易度未知数のクエストです。十分な準備を済ませてから挑んでください。」

 

ギルド職員からパーティー用のクエスト説明が書かれている紙を受け取ってテーブルに向かう。

メンバーはすでに全員いるので問題なし。

依頼紙をテーブルに置いて、クエストについて説明する。

今回は集団クエストですし、私たちも急いで向かった方がいいでしょう。

 

 

 

特別緊急クエスト 『霧かかる森』

目的地 未知の樹海北部

契約金 1500z

報酬 1500z〜報告に応じて報酬金UP

依頼主 近辺の住民

 

〈依頼内容〉

村から少し離れた霧の森になにかが落ちていった!森から流れる川も増水してきてなにやら不穏な空気だ。森の近くには大型モンスターがいて近づけない。森の中もなにが潜んでいるかわからないから誰かが行くこともできない。最近霧も晴れてきたし、なにか起こる前にあの森を調査してくれ!

 

*集団クエストのため同時に受注できるパーティーは4パーティーまで、個人の人数の制限は10人までとする。




話がどんどん進んでいきます!
わからなくなったら質問コーナーがあるのでそこで質問してもらえると嬉しいです。(ついでに人気投票お願いします!)
みどり、シオン、バドルの絵の下書きが終わりました。
今更気付いたのですが、テンや少女も描かなければいけない....!?
画力がないのでつらいです。

誤字、脱字報告お願いします!
これから1ヶ月、テストや実習で投稿が遅くなるかもしれないのであらかじめご了承ください。
それでは次の投稿で会いましょう!


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第19話 ハンター①

友「お前さ、もっといい名前にできないの?」
作「...え?....イカゲソ太郎とか?」(テンパり)
友「は?」(ちょいキレ)
作「じゃあ、暇人Pとか?」(パニック)
友「は?」(鬼人化準備)

と言うことがありました。(関係ない)
記憶に残る名前だったらなんでもいいんじゃないかと思いました。

この作品転生のタグ入れたほうがいいな....。
文字数が伸びませんでした。
4000ちょい手前くらいです。


ーシオンsideー

 

翼を動かしてひたすら遠くへ飛ぶ。

どこへ行こうとしてるのか....考えるのも面倒くさい。

頭が割れるように痛くてボーとする。

視界が歪んで、ガクリと落ちた。

途中で翼を動かしてなんとか体のバランスが戻す。

僕におこっていることなのになぜか他の人を見ているみたいだ。

なにもやる気が起きない。

ただ、頭が痛くて、どこかに向かっている。

どこに.....?

 

ザザザザッ

 

足が木に当たった。

いつのまにか森のスレスレを飛んでいて、足が当たったちょっとの衝撃で簡単に落ちそうになる。

ちょっと頑張ったけど無理だった。

なにかが折れる音が連続で耳に響いて、静かになる。

体が少し軽くなった。

目がやたらと霞んでよくわからない。

地面に手をついて四つん這いになった後、二本の足でゆっくりと起き上がる。

 

頭が、痛い。

 

ふらふらとバランスを取ろうとして下がると、硬いものが背中に当たった。

バランスが取れたから歩こうとしたのに体が言うことを聞かない。

そのままズルズルと座り込んだ。

頭...痛い......。

まだ日は登り始めたばかりなはずなのに、暗い。

だんだんと、なにも、見えなくなって。

目を開けているのも辛くなって目を閉じる。

身体中から痛みが、遠ざかっていく。

ただ、やけに、頭の痛みだけは続いて.....

プツンと意識が切れた。

 

 

 

〜Now loading〜

 

 

 

う....ん...。

眩しい..て、あれ?

人の姿になってる...。

ここは.....?

森のすぐ横に、落ちた?

僕は、

 

「いづっ!!?」

 

熱と間違えるような痛みが頭と左腕を中心に全身にくすぶる。

....起き上がれない。

頭が、殴られてるみたいに痛い。

そうだ、僕はテンから逃げて

........逃げて?

その後どうしたんだっけ...。

 

「あ...ぐ、ぅ.......」

 

痛い、いたい、イタイッ

左腕...血が止まってない!?

いつもはすぐに止まるのに...傷が大きすぎる?

血、止めないと。

どうやって止めよう.....。

「〜〜〜〜ッ!!」

 

だめだ。頭が回らない。

火を起こして、焼けば血は止まるかな?

確か腰に剣があるからそれを使って.....。

ゆっくり、ゆっくり動けばあんまり痛くない。

やっぱり座った方がやりやすいかな。

 

「火、どうしよう.....あっ」

 

僕は火が使えるじゃないか。

この姿でも使えるといいけど。

軽く口を開けてほうっと息を吐き出す。

息を出している間、火がチロチロと出ていた。

 

「これなら....こう、やって」

 

刃の先に当たるよう火を吹きかける。

ちょっと赤くなった。

これで血は止められるかも。

少し赤色になった刃を左腕に当てる。

 

「ぐぅッ!?ゔ....く........ッ」

 

痛ッ!!!

ジュと音を立てて肉が焦げた匂いがした。

痛いッ!けど!

これで大丈夫、なはず。

剣を取り落としそうになるのをなんとか堪える。

ゔぅ...涙が出てきた.....。

焼いたのはほとんど一瞬だったけど、肉もちょっと硬くなって血も止まった。

 

「....はあ」

 

鞘にしまった剣を杖代わりにして立ち上がる。

体が悲鳴を上げているのを無理やり無視して、辺りを見回す。

どうしよう...まだ頭が痛い。

ん....?

 

パキッ

 

 

ガキンッ!!

 

「チッ」

「ぐっ」

 

後ろから切り掛かってきた剣を受け止めた、と思った瞬間。

舌打ちとともに腹を蹴られる。

これは..僕が、死ぬっ

力が抜けそうになるのをなんとか堪え、鍔迫り合いに持ち込んだ。

武器が短い?

でも、これで足止めできて───

 

ドスッ

 

....え?

 

衝撃が右肩に走り、ジワリと赤いシミが服に広がる。

その中心に剣が刺さっていた。

ササッテイタ....?

 

「あ"ぐッ」

 

気づいた途端痛みが押し寄せて、頭痛と合わさり視界がぼやける。

それでも歯を食いしばり一旦下がって距離を取ろうとっ!?

 

「化け物がァ!!」

 

後ろ!?

大剣ッ!避けるのもいなすのも今はできないっ

こんのっ耐えてよ僕の剣!!

轟音と衝撃。

直前に受けの体制をとって間に合わせたのが正解だったのか。

 

「クソが!!」

「っ...」

 

体が押し潰される寸前で剣を受け止めることができた。

そのかわり剣を持つ右腕からはほとんどなにも感じられなくなったけど。

体をひねって重心をずらしながら横に転がるように抜ける。

そのまま走り出そうとして、体が勝手に反転した。

風を切る音がして髪の先端が切れ、はらりと落ちる。

 

「驚いた。これを避けるか」

 

3人目....もハンターで、一目見て勝てないと思った。

もともと死に物狂いで逃げようと思ってたのに、このハンターは明らかにほかのハンターより強い。

そのハンターは僕のよく見慣れた武器、太刀を真っ直ぐ僕に向けて構えた。

突きだっけ...。

目の前ハンターから目を離さないようにしながら手を動かす。

やっぱりさっきので完全に壊れたみたい...。

右はほとんど動かすこともできないし、左は動かせる腕がない。

逃げられるかな....。

 

「シッ!」

 

避けられなくはない!

一歩ずれて攻撃をかわす。

連続で斬りかかってくるのを避ける。

これならいける...

時間の流れがやけにゆっくり感じる。

後ろに下げた足が地面につく感触。

さらに下がろうとして、太刀使いの顔が笑っていることに気がついた。

何を笑ってッ!?

空気を割く音が聞こえた。

まさか、僕がどう避けるのかも考えて!?

 

ズドドドドドドドッッッ!!

 

矢の雨、という表現がよく合う攻撃。

被弾を覚悟して横に飛ぶ。

耳の横を矢がかすめる。

なんとか避け切れ、た....?

 

「痛づッ!」

 

ガクリと体が傾いて地面が迫る。

剣を握ったままだったからか、うまく受け身をとれずに倒れこんだ。

体が、動かない。

肩と背中、太ももに矢が刺さっていた。

 

「フンっ所詮モンスター。こんなものね。」

 

影が、4つ。

赤い液体が地面と黒い影を赤黒く染めていく。

腕で支えようと力を込めても体はピクリとも動かない。

指先だけ動いた。

こんな時に限って僕の体は限界らしい。

 

「まだ生きてるのかよ。首を落とすか?」

 

首を落とす!?

大剣が目の前に刺される。

もう少しで僕の顔が切れてた。

ギリギリ当てないようにやったに違いない。

どうにかしてここから逃げないと....。

 

「とりあえずバラして、動けないようにした後ジジイに投げればいいんじゃない?」

「それは流石にいただけないな。仮にもあのジジイはギルドマスターだぞ?」

「お前もジジイって呼んでるじゃねぇか」

 

太刀を使っていた男の声だけ聞こえない。

大剣越しに歩いてくる人が見えた。

誰の足だろう?

僕を直接殺したい人がいるのかな。

いや、だな....死にたくないのに......。

一か八かで話しかけてみる?

駄目だろうな...。

 

「ゲホッゲホッ」

 

痛い、苦しい.....もう、嫌だ。

怖い....逃げたい。

体、動けよ...。

お願いだから、もう少しだけ。

腕と足に力を込める。

不思議と力が湧いてくるような...。

....でも、まだ足りないっ!

 

「こいつは私に殺させてよ」

「ああ?なんでだよ?お前は遠くから撃っただけじゃねえか!」

「ふ、2人とも落ち着いて!」

「じゃあこいつが死なないうちに誰が殺すか決めましょうよ」

 

ははは...やっぱり僕死ぬんだ。

このまま放って置かれても、人間たちの誰かが殺すにしても。

くそ...動け....動け!!

全身になにかが駆け巡るような感覚。

力を込めて地面から体を引き剥がすように、無理やり立ち上がる。

 

「離れろ!」

 

驚いた顔をしてハンターたちが飛び退く。

僕のことを相当警戒しているみたいだ。

試しに、一歩踏み出す。

ハンターたちが後退した。

 

...変なの。

 

さっきまで散々僕に攻撃を仕掛けて、殺そうとしていたくせに。

ボロボロの僕に警戒してなにもしないなんて。

 

もう一歩。

ハンターたちがさらに後退した。

っ...。

崩れそうになる体を木に手をついて支える。

龍には、なれない。

この姿じゃ逃げられない。

さっきから流れ込んでくる力がもっと多ければ。

地面から吸い上げてるような....。

 

ゾッ

 

意識を地面に傾けた瞬間、背筋が凍るような恐怖を感じた。

力を溜め、解放。

ゴッと低い音とともに衝撃波を出す。

 

「ぐあ!?」

「キャッ!?」

 

双剣使いの男が吹き飛ぶ。

飛んできていた矢が弾かれて弓使いの女をかすめて飛んで行った。

強くやりすぎた!?

これだと僕がハンターたちを殺しちゃうかも....。

いつもより威力が上乗せされてる。

なんで───

 

───バゴッ

 

視界がブレる。

遅れて右から突き抜けるような衝撃。

一瞬で景色が入れ替わる。

 

「がっ.......あ....」

 

背中から硬いものにぶつかった。

息がつまる。

倒れそうになる体を地面に手をついてなんとか支えた。

膝をつく。

...立てない。

 

「ぜぁ...はぁ...はッ」

 

苦しい....うまく息ができない。

駄目だ。

このままじゃ、殺される。

硬いものの突起に手をかけて力をかける。

立ち上がった感覚が、感じられない。

足が、動かない。

動け....動けよ......。

もう一回だけ、それで逃げて───

 

「もう、諦めろ」

 

───太刀が、手を貫通していた。

 

「ゔ...ぐうぅッ」

 

痛みで意識が遠ざかる。

ずり落ちる体を、足で踏まれて固定される。

力が、入らない。

口の端から温かいものが伝う。

それは、地面に赤い水たまりを作って。

 

ミシ...ミシ....。

 

胸を圧迫されて、骨が軋む。

痛い、苦しい。

....寒い。

 

「ぁ...う..........」

「お前は頑張ったさ。そんな体で───」

 

一瞬、男が言葉を詰まらせて、

 

「───だから、もう、諦めろ」

 

一言一言区切るように、ゆっくりそう言った。

 

 

 

 

「ひゅー....ひゅー......」

 

くるしい....

意識が朦朧として、目を開けているのが精一杯で。

 

「■■が■■ば?」

「そ■、■■」

 

なに、言って...?

 

不意に、手を突き刺していた太刀が抜かれ、それをハンターが高く掲げて...。

 

あ...僕....死ぬんだ........

 

剣に反射した光が地面を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死にたく、ないよ.....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




行をすごい使った感。
流血事故は特殊タグの使い方を習得した!
次回はハンターsideでお届けします。(話が進むとは言ってない)


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第20話 ハンター②

こんばんは。お久しぶりの流血事故です。
ちょっとずつ書いてたのを眠い中仕上げたのでおかしいところあったら訂正ください。
この話を投稿し始めて本編は20話になりました!
ここまで読んでもらいありがとうございます!
これからも「ある龍のお話」をよろしくお願いします!!

6000文字くらいです。
ちょっと多かったですかね...


時は、シオンとハンターの出会う数時間前に遡る。

 

ーハンターsideー

 

霧の森に入れるようになった。

クエストボードに貼られていたその依頼は、ハンターを生業としている僕たちにとってはとても信じられない情報だった。

 

霧の森。

名前の通り自分の手も見えなくなるような濃霧が常に森を覆っている。

さらに厄介なのは方向感覚が狂ってしばらく森の中を迷い、必ず元の場所に帰ってくること。

初めは挑戦するものが多かったけど、違和感に気づいてから引くまでは早かった。

周囲を何百キロも続く豪雪地帯、足元は凍りつきスパイクが無いと下手に動けず、たどり着けない。

新しい土地で新発見をして一躍有名に、と考えて何度も挑んでいた人たち(ライバル)もいた。

でも、みんな諦めた。

森に入れないんじゃ意味がないからね。

 

凍りついた土地に森がある、ということに研究者たちも目を輝かせて飛び込んだらしいけど、結果は散々だったって聞いた。

なんでも、豪雪地帯に入ってすぐにベリオロスの親子に襲われて、命からがら逃げたところでメラルーに測量具の一部を盗られた。

どうせなら一眼森を見よう、と進んだ先で暴嵐が直撃した。

...本当にひどい話だ。

死にかけていたところを氷上を移動する村の見張りに助けられたらしいけど。

と言うか、なんであんなところにメラルーがいるんだろう。

......まあ、いいか。

結果、一応誰1人欠けることなく無事帰還したらしい。

が、霧の森は研究者と護衛の身体ともに傷を残してったって訳。

 

これだけ考えてると今回のクエスト自体を受ける人は相当なバカか、腕に覚えのある奴だけだろうな。

クエストを依頼したのは氷上を移動して暮らす村人の1人。

研究者たちを助けた人たち。

なんで水が凍っていないのかいまいちわかんないが森に"なにか"が落ちた、と言うのが重要だ。

もし、それが森の霧が変化した理由なら徹底的に調べる必要がある。

何日経っているか知らないが相手は手負い、簡単な仕事なはずだ。

それに報酬が増えればあの子達にも美味いご飯を食べさせてあげられる。

あとはライバルに気をつければいいだけだし。

 

「───ン。ジアン!そろそろ着くぞ!」

「ん...?ああ、わかった。」

 

少し、考え事をし過ぎたらしい。

僕の悪い癖だな。

この森に来たのは何回目か...。

本当に霧が薄くなってる。

これなら....もしかしたら。

そんな期待を胸に、一歩踏み出し───

 

───その足が、霧に巻かれることなく降り積もった雪に沈んだ。

 

「...本当に入れちゃったね。霧の森」

「そう、だな」

 

しんと静まり返った森の中を歩いていく。

振り返れば真っ直ぐ進んでいることを示す足跡がくっきりと見えた。

感動は、あった。

ただそれを塗りつぶすほどの.....

不安、だろうか。

 

「静かすぎる。」

「動物に出会ってもおかしくないのにね」

 

歩いていくうちに足元が雪のない地面に変わる。

豪雪地帯で、木がまばらなのにもかかわらず、だ。

それだけじゃない。

 

「さっきより暖かくない....?」

「もしかして、僕たち古龍の縄張りに入っちゃったとか?」

「おいやめろ。冗談でもきつい」

 

冗談は半分だけ。

古龍ではなくてもそれと同じくらいの気配を感じる。

これを言っても不安がらせるだけだから言わないけど。

古龍の影響じゃなきゃこの現象は起きないだろうし。

あの豪雪地帯は古龍の縄張りを囲む要塞のようなものなのか。

だとしたら古龍自体はさほど強くないのか....それとも余った力を使っていたり?

 

「おーいジアン、黙ってないで指示をくれー!」

「......そうだな、まずはこの近辺を調べようか。」

「おー!俺たちがお宝を見つけてやるぜー!」

「ウィーゼル、はしゃぎすぎだ。」

「そーよ!ここは未開の地なんだから気を引き締めないと!」

 

ウィーゼルはいつにも増して陽気だな。

まったく...羨ましく感じてくる。

まあ...みんなも薄々気づいているんだろうけど。

僕もそれに便乗させてもらおうかな。

口を開いて言葉を話す、瞬間。

 

「ゴガアアアアアアッッッ!!!!!」

 

咆哮、衝撃。

鼓膜が破れるほどの大音量と、凄まじい風圧が叩きつけられた。

すぐ、目の前に。

オレンジに近い鱗と、青いしまのような模様。

轟竜ティガレックス。

そのG級個体と思われる巨体が興奮状態(・・・・)で目の前に現れた。

 

「───シッ」

 

息を吐きながら抜刀。

鞘走りで加速したその一撃は軽くない。

踏み込みからの抜刀切りは本能でバックステップする轟竜の左前脚を切る。

追いかけ切り込む。

途中でぞわりと悪寒が走りその場で横にステップを踏み───

 

───ガチンッ

 

先ほどまでいた空間を大きなアギトが噛み砕く。

戦慄するより早く横なぎにティガレックスの腕が迫る。

ギラリと光る研ぎ澄まされた鉤爪をいなし、迫る尾を背面跳びでかわす。

着地したところへティガレックスの上から体重を乗せた一撃。

ティガレックスの懐に滑り込み、その勢いを利用して胸から腹をなぞるように切る。

ボディプレスをかわし、咆哮をいなす。

踊るように戦いながら援護に回っている仲間に合図を送る。

 

閃光が夜明けの森を白く染めた。

 

「ガアアア!!」

 

狂ったように暴れるティガレックスから一旦退避して息を整える。

よく見てみればティガレックスの体には無数の傷があり、その中には僕の見覚えのないものもあった。

なにかから逃走してくる最中だったのなら、興奮状態だったのも頷ける。

しかし、一体何から逃げてきたのか....?

 

バキバキバキバキ.....

 

遠くから連続して木の折れる音が微かに聞こえた。

他の人より耳が良くても、ギリギリ聞こえる小さな音。

なにかが、そう...例えばモンスターが縄張りの印として木に傷をつけたり、折ったりする音に似ている。

ただ、それが連続しているのはおかしい。

飛行船が不時着してもこんな音になりそうだ。

それだけの重量を持ったなにか、であるのは間違いないだろう。

ティガレックスが現れた方向とは微妙に合わないが。

 

「閃光が解ける!一気に叩くわよ!」

「「「おう!!!」」」

 

弓をつがえ直すミアの声を合図に逸れていた意識が戻る。

今は考え事をしている場合じゃない。

油断していた人たちがどうなったかなんて何回も見てきた。

ティガレックスの強さは脅威にはならないがここはなにが起きてもおかしくない。

現にこのティガレックスだって通常の個体より硬い。

G級の個体で間違いないだろう。

閃光が切れて視界が元に戻ったのか、ティガレックスはターゲットの僕たちを視界に入れた。

 

「.......え?」

 

あまりに突然のことでそんな声が出た。

なぜならティガレックスが瞬時に方向転換し、森の中へと走り去ったから。

命尽きるその瞬間まで敵と戦い続ける単純なモンスターじゃなかったのか?

ティガレックスはそんなものだと思っていた。

単純で余り物を考えずに手当たり次第に暴力を撒き散らす危険な竜といった認識は、僕らの中で凝り固まっている。

この地のモンスターは....あそこまで知性があるのか?

 

「まいったなぁ....」

 

ぽりぽりと頭をかきながらウィーゼルは拍子抜けした顔で言った。

あまりに間抜けな顔に思わず吹き出す。

 

「なんだよー?」

「いや、ウィーゼルも真剣に考え事をするとはね。まあ、あそこまでモンスターの頭がいいと本当に困るんだけど」

 

非難げに僕を睨むウィーゼルに同意の意味を込めて笑いかける。

ウィーゼルはまだ不満そうだが、ニッと笑って剣を研ぎはじめた。

 

「まいったな、じゃないわよ。やり損ねたのよ?どうするの?」

「まさか考える頭があるとは思わなかったからな。奇襲をかけられても困るし、深追いはやめておいた方が..」

「あんな害獣に知性ですって!?さっさと駆除して安全にすべきよ!!」

「ミナ、お前の気持ちはわかるんだ。」

「はいはいそうですか。私だって死に急いでるわけじゃないんだけどね!」

 

ミナはいつもより機嫌が悪い。

モンスターを恨む気持ちは多少僕にもあるけど、やっぱりミナは他の人たちよりもよりモンスターを恨んでいるみたいだし...。

空気の悪くなってしまったパーティーはいつもより精度が落ちてしまうし、モンスターに遭遇しないように川の様子でも見に行った方がいいかもな。

 

川のことをみんなに伝え、歩き出す。

事前に森周辺は調べてきているし、川も問題なく見つかった。

問題は....

 

「これ、大河の方があってるんじゃない?」

「確かに。川といってもこれは広い。」

「ガノトトスとか出そうだな!」

「そうしたら私が撃ち殺してやるわ」

「みんな、ちょっとここで休んで」

 

バッシャーーーン

 

遠くでガノトトスが跳ねた。

 

 

 

 

 

 

「すげぇ!薬草がめっちゃ綺麗だぞ!」

「薬草なんて普通でし..なにこれめっちゃ綺麗!!」

「葉の色が鮮やかだな。」

 

川の周辺を歩きながら採取に勤しむ。

たまにはこういうのもいいな。

ワイワイと採取に精を出していると突然マルトが集合の声をかけた。

 

「これ、古龍の血じゃないか?」

「確かに似てるけど...そんなのどうでも良いじゃない!サンプル採取のために狩猟よ!」

 

森の奥に続いている血痕は頻度が高く、痕跡は見つけやすかった。

ミナの言った通りその血痕は古龍の血のような独特さがあったけど、まだ断定できない。

先ほどのティガレックスかもしれないし奇襲に十分気をつけて進まなければ。

 

前進するたびに、少しだけ悪寒が強くなる。

嫌な予感、肌が敏感になにかを察知しているような。

ただの杞憂で終わってくれればいいが。

 

その祈りは、届かなかったようだ。

 

 

 

時は戻り───

 

ーシオンsideー

 

真っ赤な鮮血が。

地面を赤黒く汚す血が。

赤が視界を埋め尽くして、次第に考えることが億劫になってくる。

 

血だ。血を、血が、赤い、血が、ちがちがちがちがチガチガ

 

真っ赤に染まる。

怒り、いかり、怒り?

わからない、知らない、多分怒ってる?

怒り、怒り!

 

血が、騒ぐ。

怒りに沸騰する。

心臓が爆発しそうなほど脈打って。

 

いまは、いまは、目の前の%*➖●を。

ーーして、ーーーーーーに。

*-・●(るんだ!

 

体が変。動かない。

知らない、関係ないや。

とにかく今は羽虫を殺さなきゃ。

 

危ない危ない危険な羽虫。

 

ぐちゃぐちゃに殺して、血を。

 

 

 

 

違う、違う....違う。

そうじゃない。

こんなの嫌だ。

気持ちが悪い。

 

 

僕はこんなの、望んでいない。

 

 

 

 

 

 

ージアンsideー

 

 

 

 

 

「あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

 

それ(・・)は叫び声をあげた。

叫び声と言うよりもモンスターの咆哮に近い悲痛な声を上げた後、ゆっくりとそれが立ち上がる。

ゆらり、ゆらり。

危なげに揺れるそれの体からは、ボタボタッと血が流れ出し地面を染める。

それの目は光が完全に失われ、代わりにドロドロとした負の感情が渦巻いているように感じた。

体から滲み出ていると錯覚するほどの殺意がそれから放たれる。

 

「ッ!?」

 

気づかぬうちに一歩下がっていた。

脅威。

先ほどまで一ミリも感じなかったそれは、脳内で激しく警鐘が鳴るほど強く感じるようになっている。

今まで久しく忘れていた恐怖が全身を駆け巡り、初めて大型モンスターと出くわした時のような無力感が思考を支配し始めた。

これほどまでに恐ろしいものと対峙していたのか。

殺気だけで僕を無力化できるほどの怪物と僕は戦って、勝てるのか?

 

「無理、だ。だけど...」

 

ひとりでにそんな弱音が口から漏れる。

僕以外の3人は立てなくなるほど震えて、ブツブツと何かをつぶやいていた。

ここで動けるのは、僕だけ。

守らなきゃ。

こんなところで諦めていたらアイツには届かない。

 

「ぁ...あ、ゔ..」

 

うめき声をあげて、それは唐突に動く。

僕がそれを繋ぎとめられていた岩...それに爪を立てた。

苔で覆われた岩のように見えていたもの、その正体は青緑に輝く綺麗な宝石。

その宝石に、それは指を食い込ませていた。

爪ではなく指。

おそらく手がなにかしらの変化をしている。

 

「───ヒュ」

 

音を置いてきぼりにするほどの一撃。

とっさに横へ転がった僕を通り過ぎて、それは後ろにあった木をへし折った。

大木、までとはいかないがそこそこの大きさの木が簡単に折られ、倒れる。

直線的な一撃...知能が退化した?

一撃必殺としては申し分ない威力、おそらくあの木が僕だったなら今頃バラバラの肉片になってただろう。

 

ゆらり。

 

それが振り向く。

 

「───ヒュ」

 

また同じ一撃。

直線的で高威力な、それでいて方向修正はきかない。

カウンターをしてくださいと言っているようなものだ。

念のため、突進の範囲には入らず脇から切り裂く形でカウンターしようと───

 

───それが、ニタリと、凶悪な、笑みを、浮かべていた。

 

 

「ガア"あ"ア"あ"あ"ア"ッッッ!!!!!」

 

全身の骨が軋むような衝撃。

吹き飛んで、地面を転がり、ようやく止まって顔を上げてそれを見た。

それは、

黒く美しかった。

大きく広げた翼はクシャルダオラを連想させるような、それでいて一風違った風格を放っといた。

スラリとした四肢は美しく整って、爪は宝石より美しく。

その瞳だけ、名称し難い狂気に満ちた、黒。

 

「っ!?」

 

それが翼を無造作に振るう。

その翼からなにかが飛び散った。

 

キィィィィィイイン!!

振動した鱗がガララアジャラの鱗と同じように高周波を撒き散らしている。

鼓膜が強制的に揺らされて、平衡感覚が狂う。

倒れないよう踏ん張って鱗を切り捨てる。

もう少しで狂うところだった。

恐怖で頭がどうにかなりそうだ。

救いだったのはそれが偶然攻撃を外してこと。

 

体が震え出す。

耐えきれない、もう、なにも考えたくない。

なにができるんだ?

他の人より、少しだけ剣を振るうのが上手い?それだけでなにができるんだ。

ああ、あの時だって、今回も救えないのか?

またなにかに救われることを期待してなにもしない。

それでいいのか?

 

...

 

.......

 

...........いいはずが、ない

 

 

ドクンッ

 

 

心臓が強く脈打った。

 

身体中を回る血液が熱く燃え上がるような気がしてくる。

 

僕は、守りたい。

あの時とは違う。

強くなった。

強くなるために努力した。

大切な仲間も増えた。

 

今度こそ。

 

 

剣を強く握る。

体から震えは消えて、代わりに力が湧いてくる。

 

それはミナに前足を振るおうとしていた。

鉤爪がミナを捉える、その前に。

滑り込み鉤爪を剣でいなす。

2撃、3撃と繰り出される攻撃の合間を縫ってそれに傷をつけていく。

 

 

本当は僕たちが悪い。それはわかっている。

 

標的が僕に変わる。

 

 

最初に手を出したのは僕たちだ。

 

集中攻撃、動きの鈍ったところに鱗の破片が突き刺さる。

 

丸太のような尻尾に吹き飛ばされて、木に激突して止まる。

血が口からこぼれた。

肋骨が折てる。右腕に鱗が突き刺さっている。防具は今にも壊れそうだ。

目の前にそれが迫っていた。

膝が笑って、うまく立てない。

 

それでも僕は....

剣を構えて、覚悟を決める。

木にすがりつくように立って、形だけの構えを取る。

僕は!

 

 

ザシュッ

 

 

「は.....」

 

それの攻撃が....

 

ボタボタッ

 

僕のすぐ横に炸裂して。

 

 

 

あの攻撃が外れるはずはない。

確実に、一瞬前まで目の前にそれはあった。

振り下ろすだけで済んだはず。

なぜ、なぜ?なぜ、どうして?

 

 

 

 

 

 

「ぁ...」

 

声が漏れる。

だって、それは、その行動は。

僕の親友と同じ。

 

 

それ...彼の胸から僕の剣が突き出ている。

柄の部分以外、見えるところはない。

その先から赤い血が流れ出て、

僕の手を真っ赤に染めていた。

 

「───.....」

 

彼は唸りもせず、ゆっくりと後ずさる。

その胸から僕の剣が抜けてカランと音を立てておちた。

彼の目に光が戻っていた。

その瞳は、とても綺麗な紫色をしていた。

 

バサッ

 

翼をはためかせて彼は空へ吸い込まれていく。

 

「あ、待...!」

 

ピシピシ.....

 

僕の小さな声は、宝石に入ったヒビが広がる音にさえかき消され、彼には届かない。

いつのまにか彼を追い詰めていた宝石の前まで移動していることに気づいた。

雨が降ったあとのように鮮血が地面を濡らしている。

 

パキン....

 

宝石は、僕の後ろで粉々に砕け散った。

まるで衝撃が後から来たような。

宝石のカケラは陽の光を受けてキラキラと輝いた。

僕が硬直から溶けるまで、ずっと。

ずっと輝いていた。

 

 




闇落ちって良いですよね(違う)
作者は変態に分類される人種なのでちょくちょく血が出てきますので苦手な方は自衛お願いします。
相変わらず汚い文面と亀更新になりますが、よろしくお願いします!

20話記念に奏音龍描いてみました!

【挿絵表示】


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第21話 最強

お待たせしました。
リアルが忙しくなりモチベがさらに低下してしまっています。モチベをこれ以上下げないよう頑張ります。
4000文字超えています。
*初登場キャラの視点となります。


彼女はとても退屈だった。

森の中をぶらぶらと歩く彼女の前には、モンスターは疎か、動物すら現れることが無い。

なぜなら、森に住まうモンスター達は本能的に強者が通ることを理解し、彼女の視界に入らぬよう身を潜めるからだ。

彼女が森に入ったその瞬間から、モンスター達は彼女の動作、呼吸の一つ一つに注意を払い、決して彼女を不快にさせないよう縮こまることしか出来ない。

だが、その行動すら今の彼女にとっては不快。

 

「暇だわぁ....」

 

ため息とともに彼女はそんな独り言をこぼす。

彼女はいっその事森を吹き飛ばしてしまおうかしらぁ、と不機嫌極まりない顔で頬をふくらませた。

風が木々を揺らす。

葉の隙間から差し込んだ光が、彼女を照らしだした。

 

彼女の見た目は10歳ほどだろうか。

長い、先に向かって明るさの増す紫の髪に、怪しく輝くオレンジと銀のオッドアイ。

小さな体に対して大きな魔女帽子を被った少女こそ、先程から森を吹き飛ばそうと目論んでいる彼女の姿だ。

 

帽子を弄りながら頬をふくらませる彼女は、どこからどう見ても無力な子供。

先程も言った通りモンスター達は襲いかかる機会を伺っている訳ではなく、ただ弱者なりに縮こまって震えているだけなのだ。

見た目こそ弱者。

されど、その身に纏う覇気はそこらのモンスターを束にしても叶わないことを表している。

それもそのはず、彼女と並のモンスターでは生きた年月が違う。

文字通り、私に勝つのは1000年早いわぁ、と言われるだろう。

姿こそは少女だが、彼女の正体は生まれてから1000年を軽く超えるれっきとした古龍なのだ。

 

完全に見た目詐欺だ。

 

 

 

 

 

冒頭に戻り、彼女は退屈していた。

それはもう暇つぶしに森ひとつを消し飛ばそうかと考えるほど。

実際に彼女はそれができる訳だが、暇つぶしに消し飛ばされる森の住人はたまったもんじゃない。

 

と、その時。

森のさらに奥から、低い地鳴りのような音が響いた。

普段の彼女なら注意を払わなかっただろう。

しかし、今の彼女は面白いことに飢えていた。

モンスター達にとっては運が良かった、としか言いようがないだろう。

彼女の注意は森の奥へ向けられたのだ。

 

「あらぁ...珍しいこともあるみたいねぇ....」

 

モンスター達の幸運は続いたようだ。

どうやら森の奥には何があるらしく、彼女の注意は全てそちらに向けられた。

足早に森の奥に進んでいく彼女の後ろ姿を見て森に潜んでいたモンスター達は大きく息をつく。

モンスター達だけでなく森の動物や、あげく森の木々まで警戒を緩めたように見える。

どうやら幸運は森の生き物全てのものだったらしい。

 

 

 

ザッザッザッ...

 

森の中を少女の皮を被った古龍が歩く。

彼女の小さな足では進む速度もそれなりに遅い。

...はずだが、たいして大人と歩く速度が変わっていない。

 

「ルン♪るる♪ルンルン♪」

 

彼女は、ここ数十年感じられなかった気分の昂揚に酔いしれて、上機嫌に鼻歌を歌う。

いつの間にか、のんびりとした足取りは早歩きに変わり、ついにはスキップに変わる。

そのスピードの、なんと早い事か。

全力で走る成人男性ほどの速度。

まだまだ早くなる!

 

「フーン♪フフー♪ンーン~♪」

 

ついには自転車の速さに追いつき、追い越す。

スキップとは一体なんだったのか。

自転車の全力でこいだ早さに匹敵する速度でスキップする彼女は、息も切らしていない。

速度の異常さを除けばスキップで森を進む可愛い女の子なのだが...。

汗のひとつもかかず自転車の速度でスキップする彼女はなるほど、怪物そのものだ。

 

「あらぁ?」

 

ピタッと慣性の法則やなんやらを彼方に吹き飛ばす止まり方をした彼女は、珍しい来客に目を細める。

 

「いち、にぃ、さん、、し?」

 

距離にして250メートルほど。

彼女の注意を引いてしまったのは、森を歩き回っている哀れなハンター達だ。

 

(男と女、2人ずつねぇ...)

 

250メートルといえば常人なら顔は確認できないだろう。

しかしそれも彼女からしてみれば、たかが250メートル。

彼女にしては5メートルも250メートルも大して変わらない。

彼女が何かをしようと思えばどうにでもなるのである。

 

(ハンターだわぁ!どうしようかしらあ...邪魔されるのも嫌だしぃ....)

 

先程の幸運が続いていたのか、彼女はハンター達にさほど興味を持たなかったようだ。

普段の彼女ならハンターを片手で倒しながら散策などもこなすが、余程余裕が無いらしい。

彼女は掌で石ころを転がし、ポーンと投げながら考える。

 

(ハンターを別のところに誘導できないかしらぁ)

 

ふと彼女は名案を思いついたように指を鳴らし、石ころを斜め上に向けて弾くと、何事も無かったかのように森に消えた。

 

 

~Now Loading~

 

ッッドン

 

遠くで何が爆発したような音が響く。

ちょうど目的地の前に来ていた彼女は、その音を聞いてにっこりと笑顔を浮かべた。

 

(これで邪魔者もいなくなるわぁ!あとは、)

 

「ここで何があったのかしらぁ」

 

全く疑問に思ってなさそうな不敵な笑みを浮かべて彼女は目的地の巨大な建造物を見上げた。

 

それは、言うならばコロシアムだろう。

なぜ危険な森の中に建てているのか。

その理由はこのコロシアムの所有者にある。

所有者の名前はマリス·コシュマール。

悪名高い貴族の中でもトップクラスにブラックな人物だった。

事実、マリスは裏でならず者達を率いており、密かにこのコロシアムのようなものを建てては違法行為を繰り返しているのだ。

その行為に、罰が下ったのだろうか。

 

「楽しそうねぇ~」

 

跳躍ひとつで壁の上に立った彼女は、呑気にそう言った。

壁の中では人間達が逃げ回っているが、彼女の興味はそちらには向いていない。

彼女が熱心に見つめる先には、4対の翼を持つ漆黒の龍がいた。

それがところ構わず暴れ周りコロシアム内部に地獄を生み出している。

龍の体は返り血で汚れ、しかし傷一つついていない。

人間達が大砲やバリスタ、あげく撃龍槍まで使い龍を攻撃しているにも関わらず、だ。

 

「ッッガアアァアアアアア!!!!」

 

龍が、吠える。

たかが咆哮、されど咆哮。

小型の竜が使うそれとは全く別もの。

龍がそれを行うだけで前方の瓦礫が吹き飛び、更には聴覚保護を付けていない人間は耳から血を流し絶命または気絶した。

 

龍が暴れ回る様子をゴロゴロと寝転がりながら眺めていた彼女は、ふと何を思ったのか立ち上がる。

ちょうど彼女のいる壁の下が出入口だったようで、我先にと人間達が逃げ出し始めていた。

人間が逃げ出すのを待っていたかのように(いや、実際待っていたのだろう)モンスター達が森の中から現れる。

まさに一難去ってまた一難。

護衛のハンター達が飛び出し、交戦を始める。

彼女はコロシアムの中と外を見比べしばらく考える。

そして、いきなりモンスターと人間の入り交じるその中心部に降り立った。

 

「な、子供!?」

「グルルル」

 

一瞬、護衛ハンターとモンスター両者の動きが止まる。

 

「え?ぁガあア!?」

「ギャアア!?」

 

比較的離れた位置にいたハンターの腕が、半ばから切れ、地面に落ちた。

その反対側ではモンスターの背中に大きな傷ができ、その痛みにモンスターはのたうち回った。

あの一瞬で動けるものは限られている。

この場所では上機嫌に笑う彼女にしかできない芸当だ。

悲鳴と血飛沫が舞い、彼女はニコニコと笑いながらハンターに近づく。

彼女が加わったことで恐怖はさらに加速する。

そして、その恐怖が限界を超えるのに時間はかからなかった。

 

「う、うわあああ!!」

「グオオオ!!」

 

恐怖と緊張に負けたハンターが突進し、1部のモンスター達もそれに乗る。

ハンターの剣が、モンスターの牙や爪が、彼女に迫る。

刃が彼女に触れる瞬間、

 

「面白くないわぁ.....」

 

彼女は残念そうに小さく呟いた。

先程まで浮かべていた笑は消え、退屈そうな冷たい目を向ける。

 

ああ、なんだ。

あいつが居なくなってから何一つ面白くない。

ハンターは腑抜けの集まりになったしモンスターすら弱い。

 

彼女からすれば今迫る刃や牙、爪、その全てが停止して見える。

仮に全ての攻撃が当たったとしても彼女には幼児が木の棒で叩いた程度、酷ければそれ以下のダメージもない。

 

(当たるのも癪だしぃ...)

 

それでもやはり古龍としてのプライドがあるのか、彼女はどこからか取ってきた大剣を片手で軽く振った。

そのまますたすたと歩いてき、適当な場所で止まる。

丁度合わせるように闘技場から爆音が響き、彼女はニタリと好戦的な笑みを浮かべた。

 

「100年と、ちょっとぶりかしらぁ...!」

 

僅かに上ずった声は恋する乙女のそれだが、彼女の目は獲物を見つけた古龍の目だ。

足早に去ろうとした彼女は何かに気づいたように足を止め、

 

「もう食べてもいいわよぉ」

 

細切れにされ原型をとどめていない肉塊のその後ろの森に声をかけた。

足を軽くまげ彼女は跳躍した。

 

「...飛びすぎたわぁ」

 

少々力加減を間違ったのか、彼女は雲に手が届きそうな高さまで飛んでしまった。

だが、彼女は失敗の1つや2つではめげない。

いや、10や20でもめげはしないだろう。

 

...なんにせよ、彼女は飛び上がった高さを生かすことにした。

落下に合わせて位置を調整し、丁度龍の頭を狙いかかと落としを繰り出す。

 

ドゴッッ

 

衝撃でコロシアムが振動した。

 

「やっぱり避けるのねぇ...」

 

龍に避けられたにもかかわらず、彼女は何ら変わりない姿でニッコリと笑った。

普通なら彼女は衝撃に耐えられず絶命または足が使い物にならないはずだが、強度が足りなかったのはコロシアムの床だったようだ。

1mほどのクレーターができている。

 

「ッッガァ!!」

 

龍が吠える。

先程の咆哮と違い一点集中の威力が彼女の、

 

「....まさか、その程度なのぉ?」

 

髪を僅かに揺らした。

彼女は心底驚いた顔をし、同時に落胆した。

あれほど楽しみに待っていたのにまさかのハズレ、それも大ハズレである。

まさか、他人の空似か。

それはありえないわぁ、と彼女は首を振った。

その間も龍の攻撃は留まることを知らず、現にコロシアムは崩壊寸前。

それでも、彼女は髪の毛1本たりとも失ってはいない。

彼女は絶対強者なのだ。

並び立つ者がいる時点でおかしい。

 

「それでも"彼"は、彼だけは私と同等...それ以上だったわぁ。」

 

彼女はすでに『偽物』を見ていない。

彼女にとってはこの龍も『偽物』なのだ。

弱者に変わりのないただ、似ているだけの『偽物』。

 

「....少し、違うかもしれないわねぇ」

 

彼女は、何かに気づいたようだ。

先程も言ったように、龍は全力て彼女を攻撃している。

ただ、全ての攻撃が当たらなければ意味をなさない。

当たったとしても意味が無い可能性も捨てきれないだろう。

 

彼女は考える。

この龍は『本物』だ。

中身が違うのだ。

器だけ用意しても中身が違っては意味が無い。

"彼"でなければ意味が無いのだ。

どんなに強い体を手に入れても、一般人には100%の力が出せないのと同じだろう。

なら、もし、"彼"があの龍の中にいたのなら...?

答えは、直ぐに浮かんだ。

 

「たたき起こしてやるわぁ...私を待たせたんだからぁ、その位は良いわよねぇ?」

 

彼女の姿が掻き消え、瞬間移動をしたかのように龍の頭の上へ。

 

「眠りなさい」

 

ッッドッッッッ!!!!

 

血飛沫が舞い、凄まじい衝撃が地面を揺らす。

衝撃は森全域と近くの村を襲い、この世界で数少ない地震として数えられるほどの威力だった。

そして、その場に立っていたのは、

 

「...あーあ、また汚しちゃったわあ」

 

先程の一撃を生み出した、彼女1人だった。




最後の言葉は、彼を叩き起すために偽物を眠らす意味で言ってます。
次回はシオン視点になる...はず。
お気に入り、評価、感想待ってます!
低評価でもいいのでバンバン評価ください


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第22話 嘘つき

大変ッッお待たせしましたッッ!!
生きてます!更新やめません!!(だが遅い)
文字数少なめです!すみません(土下座)
シリアス展開!!ごめんなさい!!(土下寝)
お気に入り減ってて死にそう(メンタル豆腐)
最近モンハンと別ゲーの小説別に書きたくなってていろいろごっちゃですが、この小説が完結するまで頑張ります!
「続きまだか!!」「もうちょい頑張ろーぜ」と思ったら...評価、感想などよろしくお願いします!


 

─シオンside─

 

 

狂いそうなほど身体中が痛かった。

 

刺されて切られて潰されて焼かれて

 

手が切り落とされて足がもがれて体が吹き飛ぶ

 

何度も何度も何度も何度も

 

痛みから逃げようとしても体が動かなくて。

 

助けを求めようと開いた口から黒い液体が溢れる。

 

僕は、ここで死ぬのかな。

 

そう考えただけで恐ろしくて体を貫く痛みすら遠のくくらいに。

 

「───たくない」

 

死にたくない。

 

こんなところで、死にたくない。

 

爪で切り裂かれ大きなアギトに噛み砕かれる。

 

「死にたくない」

 

炎で水で雷で氷で毒で

 

何度も視界が暗転しかける。

 

痛みで心が折れそうになる。

 

「死にたくない!!」

 

吐きだす。

 

僕は、まだ

 

 

 

 

足元が砕け散って、光が視界を埋めつくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『───かないで。』

 

 

...?

今、なにか...。

 

 

『私を、置いていかないでくれ。お願いだ。1人にしないで』

 

 

消え入りそうなくらい小さな声。

 

この声は....?

 

 

『私の言いたいことがわからないのか?なんて奴だ。本当にお前は、変わらないな』

 

 

なにを、言っているんだろう?

 

遠くに人影が見える。

 

なぜだか、気になって思わず手を伸ばす。

 

人影は、僕に背中を向けているみたいで、顔は見えない。

 

変わった形をした帽子から綺麗な、紫色の髪が見える。

 

『...わかってる。だがな、早く戻ってこいよ!私は待ってるからな!!』

 

乱暴な言い方だけど、その子からはなにか別の感情も伝わってくる。

 

誰に話しているのかは影になって見えない。

 

この明るいところで見えないのは変だと思うけど。

 

それにしても....

 

この子は、誰だろう?

 

「──ぁあ!」

 

ガクン、と僕のたっている地面が揺れた。

 

なにが、起きて!?

 

ドゴンッッ

 

チカチカと視界が点滅して、僕は倒れ込んだ。

 

痛みはなくてどっちかというとフワリという感じだけど....。

 

「...やく、....せ!」

 

明るい光が僕を包み込む。

 

視界がぼやけて体から力が抜けるけど、なぜか嫌な気分にはならなかった。

 

そして、光が一際強くまたたいて....。

 

『ずっと、待ってるよ』

 

....少女の呟きはシオンには届かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────ぁ」

 

 

戻ってきた。

そんな言葉がピッタリと当てはまる、何度か経験した感覚にシオンは覚醒する。

 

その眼前に

 

 

拳が迫る。

 

 

「うわ!?」

 

 

反射的に顔を仰け反らしたシオンはたたらを踏んで倒れ込んだ。

何度か感じたことのある"死の予感"にシオンの体から遅れて汗が吹き出す。

シオンの目の前には、少女が拳を突き出した状態のまま固まっている。

 

 

「うん?」

 

 

少女はどうにも理解出来んといったふうに首を捻る。

 

 

「ハッ!」

 

「わ!?」

 

 

振り向きざまに拳を振る少女。

シオンの頭を狙った拳はシオンが首を傾けることによって回避される。

しかし避けられたのは拳だけ。

凄まじい速度で繰り出された拳にはそれ相応のエネルギーがあるわけで、1泊遅れてやってきた風圧にシオンは地面を転がる。

 

 

「まぐれって訳じゃないのねぇ」

 

 

泥まみれになったシオンが顔を上げると、すぐ目の前に少女が仁王立ちで立っている。

その顔は不満げで、シオンでも分かるほど殺気が溢れだしていた。

 

 

「ひっ」

 

 

殺される。

シオンの頭に警鐘が鳴り響く。

震える足を踏ん張り手をついてなんとか膝立ちになったシオンを見て少女は僅かに眉を上げた。

 

 

「これも、悪くないわねぇ」

 

 

悪い笑みを浮かべて少女は呟く。

殺気が霧散し、シオンは詰めていた息をそっと吐き出した。

 

 

「っ!?」

 

「あらぁ?今頃気づいたのぉ?」

 

 

緊張が解けたことにより、一気に周囲の情報がシオンに流れ込む。

鼻をつく鉄臭い匂いや、火薬に混じって匂う焼けた....

 

 

「うっ...あ」

 

 

耐えきれず胃の中身をぶちまけるシオンを尻目に少女はため息をつく。

シオンは手についた赤い汚れや周囲に飛び散る肉塊などを見てさらに取り乱す。

呆れたとばかりに少女が闘技場の外に歩き出し──

 

──ドサ

 

 

「嘘でしょぉ!?」

 

 

気を失い倒れたシオンを見て心底驚いた声を上げた。

 

 

 

〜Now Loading〜

 

 

 

「う....」

 

 

パチパチと薪が爆ぜる音にシオンは目を覚ました。

言うことの聞かない体に鞭打ってなんとか半身を起こす。

日は暮れかけ、すり鉢上になっている闘技場には影がさしている。

あたりを見回したシオンは先程の惨状が頭にフラッシュバックし口を抑えた。

 

 

「あれ...?」

 

 

押さえた手に傷や汚れがない。

あたりを見回してもわずかな血痕以外何も見あたらず、シオンは混乱する。

遅れて腹部や胸...限りなく心臓に近いところが痛み、シオンは微かにうめいた。

 

 

「起きたのねぇ〜」

 

 

シオンの足元に影がかかる。

目を細めて壁の方を見上げたシオンは驚愕に目を見開いた。

沈む夕日を背に、人の形をとった古龍が立つ。

そこにいたのは、形の変わった帽子に、紫と黒を基調とした不思議な服に身を包んだ少女だった。

恐らく、地球の....日本の知識を持つものなら魔女っ子と言う単語が浮かぶであろう。

 

 

「もしかしてぇ、私の事知ってたりするのかしらぁ?」

 

 

なにかを試すように、少女はシオンに問いかけた。

まさか「夢の中であなたを見ました」なんて言えるはずもなく、シオンはゆるゆると首を振った。

少女は顎に手を当ててしばらく考え事をし、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「そう、それはぁ───残念、ねぇ」

 

 

少女は壁から飛び下りる。

10mは軽く超える壁を、だ。

悲鳴をあげたシオンはふらつく体で立ち上がり、スタッと無傷で着地した少女に別の意味で悲鳴をあげる。

もちろん前者は心配から、後者は恐怖からだ。

少女はそんなことはお構い無しにシオンに近づく。

じりじりと後退するシオンを追い詰める少女。

壁際まで追い詰められたシオンは警戒心を剥き出しにする。

シオンの体は容赦なく限界を主張しているため、壁に寄りかかり呼吸は少し上がっている。

少女は見かねたようにポーチから小瓶を取り出し再度シオンに近づく。

 

 

「そんなに怖がる必要ないじゃない〜大丈夫、何もしないわぁ」

 

「そんなこと....信用できむぐ!?」

 

 

反論しようとしたシオンの口に少女が瓶を突っ込んだ。

シオンが暴れるより前に少女は強引にビンの中身を開ける。

 

 

「ゴホッゴホッはあ、はあ...」

 

「ほーらぁ、何もしなかったでしょぉ?」

 

 

これのどこが...?とシオンは言いかけ、身の危険を感じ直ぐに頷いた。

少女は満足気な表情をして焚き火の方へ歩いていく。

いつの間にか手をがっちりと掴まれていたシオンは逃げることを諦め大人しくついていく。

 

 

「自己紹介がまだだったわねぇ!私はリカーよぉ」

 

「シオン....」

 

 

そっかぁ、と少女...リカーは呟き焚き火をつつく。

その顔は、どこか寂しそうな顔をしていた。

シオンからその顔は見えない。

ただ、恐ろしく見えていたリカーの背中が少し小さくなったように錯覚し───

 

 

「っ....」

 

 

強烈な睡魔に襲われ、シオンはぐらりと体制を崩した。

倒れるシオンをリカーは軽々と支える。

寝息を立てるシオンに溜息をつき、そして

 

 

「嘘つき」

 

 

ポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─ハンターside─

 

 

キインッと鋭い音が廃墟に響く。

半ばから折れた剣が石質の床に突き立ち、刀身から僅かに白い煙をあげる。

廃墟に2つの影が立つ。

 

 

「なんの、真似かな?」

 

 

その、1人が口を開いた。

声は淡々としていて焦りや動揺がない。

対峙する影がかすかに揺れる。

その手には冷気が溢れ出る一振の太刀。

沈み掛けの太陽が廃墟へ射し込む。

 

 

「指名手配犯レオさん...いえ、骸。あなたを倒しに来ました。」

 

「...まさかギルドナイトが絡んでるなんてな〜。フミ、いや...真冬さんよぉ?」

 

 

照らし出されるは、方やハンターを取り締まる人外の集団ギルドナイト、方や最凶の盗賊。

 

ギルドナイト真冬が手にするのは、名前の由来ともなった六花垂氷丸【瑞雪】。

 

骸が手にするのは、形の歪な双剣。

名前すらわからぬそれは殺すのに最適な形で、限りなく最高に近いが最高ではない。

 

まだなにか有るのだろう、と真冬は警戒を最高に高めていく。

奥の手を使われる前に殺る、と骸は殺意を高める。

 

つい先程まで言葉を交わしあっていた2人は、それぞれの立場を変える。

光と闇、決して相いれぬ2人は同時に1歩踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます!
駆け足すぎますね....リカーさんや...。
なかなか文章どうしようかと消したり直したりしてて遅くなりました!
誤字脱字...表現おかしい所などなどあったら指摘お願いします!!
読んでて面白いと思われる小説をかけるよう頑張ります!


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第23話 剣閃

....私、凄くないですか?(褒められたい)
今年の内に1章終わらせたいマン。
1章はハンター達の話で終わりです。すみません。
次章からシオンの出番増やします許してくださいなんでもしません(断言)

前回のあらすじ!(適当なので飛ばしてオケ)
少女「私リカーって言うの!よろしく!」ゴゴゴゴゴゴ←古龍オーラ全開
シオン「えっ」

フミ「人殺し発見!ぶっころ!」
レオ「何故バレたし」


骸side──

 

憂鬱だ....なんだって、ギルドナイトなんかと...。

ため息は白く凍りつく。

頬を掠めて通り過ぎた刀身に人間に使うには過剰すぎる冷気がまとわりつき、前髪が凍りかけている。

 

 

....本当はしばらくの間大事は避けて暮らそうと思っていた。

普通のハンター生活に、人殺しは必要ないから。

息抜きとして狩りに出かけ、気づけばパーティの一員になっていて。

クソジジイにモルモットとして使われたりもしていたがそれなりに楽しかった。

 

....ああ、楽しかったよ。

 

まさか、ギルドナイトが潜んでいるとは思わなかっがな。

 

腕、足、首、胴...容赦なく打ち込まれる連撃。

掠りでもしたら間違いなく凍傷は免れない。

ギルドハットから覗く双眸は俺を狩りの対象に見立てている。

本気で打ち込んできてるんだろう。

殺すために剣を振るってるのだろう。

だけど──

 

 

──遅い。

 

今まで数え切れないほど人を斬ってきた。

もちろんその中にはギルドナイトも数人いる。

ギルドナイト複数人を相手にしたこともあるし、その時より今の方が圧倒的に強いのは当たり前。

普通ならギルドナイト1人に勝てる人間は少ない。

普通は。

生憎と普通に育ってないもんだからナイト1人くらいどうとでもなる。

なってしまう。

 

今からでも変えられないのか?

あの日々に戻ることは出来ないのか?

全てにNOが帰ってくる。

 

楽しかった。

バカ騒ぎして何もかも忘れられる「レオ」という存在になりきって過ごしてみるそのひと時が。

「骸」とはまた違って、手を人間後で汚すことは絶対に.....。

...なりきれて、なかったんだろうな。

だからどうしても知りたい。

 

 

「なぜ、俺が骸だと気がついた?」

 

 

剣が触れ合うわずかな間に真冬へ問いかける。

突然口を開いた俺を警戒したのか真冬は後ろへ飛んで距離を離した。

真冬の、湖のように澄んでいた瞳に少し動揺が走ったのが見えた。

それも一瞬のことで瞬きの間に消えた。

 

 

「....決定打はこの鱗です。」

 

 

真冬が取り出してみせたのは...なるほど、確かに分かっただろうな。

なにせゴアマガラの鱗、その模様には個体差が出る。

最初からすり替えを疑い目を凝らしてなければ気づかないほど些細な違いだが。

まあ、なんだ...つまり...俺は──

 

 

「最初から、演じきれてなかったわけだ」

 

 

──レオという存在を中途半端に演じていた。

そのせいで疑われ信じられてなかったってことか。

 

 

「ここにたどり着いた時、真冬サマの疑問は全て解かれ、俺の正体に完全に気づいた。」

 

「残念です。まさか私のすぐ近くにいたとは思いもしなかったですから。」

 

「灯台もと暗しってやつだな」

 

 

これ以上の会話は無用。

俺もまだまだだって訳で気づかせてもらったお礼に一思いに───

 

ドクン

 

「───がっ」

 

 

くそ...なんで、こんな時に限って....。

心拍数が一気に上昇するのを感じる。

心臓を食い破られるような形容しがたい激痛が波のように襲いかかり、意識が朦朧とする。

だが、ここで、隙を晒す訳には....いかねぇんだよ!!

 

ギイィイン!!とけたたましい音を立てて剣がぶつかる。

最適な角度でもないし力のこめ方もあまりに適当。

押し負けて2、3歩後退する。

真冬は間髪入れずに何度も剣を振るう。

横薙ぎ、突き、切り上げ、上段からの振り下ろし....。

 

息が上がる。かすり傷が凍りつくのを感じる。

防御に徹して痛みが引くのを待って.....。

いや、それじゃあ遅い。

少なくても5回は死ねる自信がある。

ここは後先考えてる場合じゃない、か。

 

奥歯に仕込んでいた麻酔薬を噛み砕き、攻撃に転じる。

双剣を片刃ずつ一度納刀し、抜き放つ。

新しいものを使った不意打ちってのはいいもんだな。

 

 

「それは!!?」

 

 

真冬が驚きに目を見開た。

逃げようとしてんのか?

逃がすかよ。

右手に持つ刃が炎を纏い、左手に持つ刃が雷を纏う。

狙うは...首!

 

ガキィイイイン!!!

 

...まさか、ここまで反応が早いとは思わなかったな。

切りつけた感覚はあった。

切ったのは....真冬が咄嗟に差し込んだ右腕。

あの装備...中に金属でも入れてんのかよ。

切れたは切れたが、浅いな。

次は取る!!

ダンっと強く踏み込む。

刃がぶれて上手く当てられない。

真冬の太ももあたりに傷ができるが、もう一方の刃は弾かれる。

 

....もっと、速く。

今度は両刃とも弾かれる。

 

もっと、鋭く。

衝突した刃から馬鹿にならない衝撃が伝わってきた。

 

もっと、確実に。

 

もっと、もっと、もっと、もっと!!

 

石の床と壁が削れ、ひび割れ、凹む。

真冬の着るギルドナイト装備が赤く染っていく。

それは俺のつけた傷からの出血だったり、俺から飛んだ血だったり。

体が悲鳴をあげる。

これ以上の負担には耐えきれない、凍りついた血を溶かす体温すら保つことが出来ない、と。

だが手を止めることは出来ない。

まだ、俺は死ねない。

俺は死にたくない。

 

 

──骸は命を燃やす。

 

 

 

 

真冬side──

 

ああ、どうして私は気づいてしまったんだろう。

ギルドナイト真冬。

私に付けられた二つ名は骸にも知られていたらしい。

太刀から溢れ出す冷気に骸が少しだけ眉をひそめた。

レオさんは寒いのは苦手ではないが好きではない、と言ってましたね。

グッと強く柄を握る。

今は睨み合う時間も惜しい。

私の焦燥を知ってなのか骸は余裕の表情を崩さず私の剣を弾いている。

 

....悔しい。

ギリッと歯を食いしばる。

普段はこんなこと、しないのに....。

骸からしたら私はさぞかし滑稽なんでしょうね。

こんなに近くにいたのにレオの正体が骸だとも気づかずのうのうと過ごしていたのですから。

 

 

「なぜ、俺が骸だと気がついた?」

 

 

剣の触れ合う僅かな間に、骸がそう問いかけてきた。

このタイミングで聞いてくるなんて人が悪い。

...まあ極悪人にそう言ってもしょうがないですね。

距離をとる私に反撃することも無く骸はただ立っていた。

隙を作らすためではなく、単純に気になっただけですか...。

散々ヒントを置いていったくせに、本当に人が悪い。

 

 

「....決定打はこの鱗です。」

 

 

ポーチから取り出したゴアマガラの鱗を骸へ見せる。

骸の目に一瞬なにか過り、その正体がわかる前に消えた。

 

 

「最初から、演じきれてなかったわけだ」

 

 

どこまでも嫌味な人。

わざと気づかせるようなミスをしておいて、そんなことを言っても説得がないですね。

 

 

「ここにたどり着いた時、真冬サマの疑問は全て解かれ、俺の正体に完全に気づいた。」

 

 

あまりに怪しかったので付けてみればここにたどり着いた。

ここではレオさんは消えて骸になるんでしょうね。

....まさか、犯罪者と狩りをして楽しいだなんて思ってしまっていた。

レオさんが骸でなかったなら、正体に私が気づいていなかったなら、まだ狩りをできていたのでしょうか。

 

 

「残念です。まさか私のすぐ近くにいたとは思いもしなかったですから。」

 

「灯台もと暗しってやつだな」

 

 

私の頭に浮かんだ言葉と、全く同じことを言ってくれますね。

前も...ずっと前、その言葉を使って以来、そうならないように気をつけていたのですが...。

ゆっくりと六花垂氷丸【瑞雪】を納刀して骸に狙いを定める。

どんな隙も逃さない。

全身の神経を研ぎ澄ませいつでも対応できるよう───

 

 

「──がっ」

 

 

──骸が目を見開き僅かに体勢を崩す。

なにが....。

驚きで一瞬停止した思考を置いて、体が動く。

 

ギイィイン!!とけたたましい音を立てて剣がぶつかる。

無理な体勢からガードしたため、骸が2、3歩後退するのに合わせ、踏み込む。

骸の涼しげだった表情は何かに耐えているように歪み、少し動きが鈍っている。

──ここで、畳み掛ける!!

 

斬って斬って斬って斬って斬って!!

 

斬る!!

 

振り下ろした刃が骸の体に吸い込まれ....

 

 

「それは!?」

 

 

私の一撃を受け止めた骸の双剣は、それぞれの刃に炎と雷をまとっていた。

そして、その刃が私の首めがけて一閃され...

 

ガキィイイイン!!!

 

凄まじい衝撃が右腕に走り、私は吹き飛ばされた。

焼けるような痛みが右腕に走る。

ちらりと確認したところ服も焼けてるしアレで斬られたみたいね。

...この装備の下からゲリョスの皮をつけていて正解だった。

もっと深い傷だったら危なかったわ。

 

風を切る音がした。

来る!

骸の連撃でだんだん私の装備が血で染まる。

何度かカウンターが決まり、時たま骸の血が飛んできた。

骸の体にも無数に傷がついていて、大きな傷から流れ出た血がそのまま固まっているのが見えた。

 

──どれだけ、打ち合っただろうか。

どちらから止めたか、同時に私と骸はは距離を取った。

骸は少しだけ目を見開いて動きを止めた様子に、なぜだか面白くて笑ってしまった。

そんな私を見て、骸はどこか吹っ切れたかのように笑い──その初めて見る表情に私はドキリとした。

なんだか心拍数が上がっているような...。

....気の所為でしょう。

再び武器を構え、対峙する。

手から流れる血が、地面に落ちる。

そして───

 

 

「「はあぁあああああ!!!!」」

 

 

それを合図に前へ飛び出す。

ぶつかり合う刃、衝撃と、耳をつんざくような金属音が鳴り響く。

手数で勝てないのなら、手数を増やす!

私だってギルドナイトの端くれ、手数を増やすくらいは出来る!

斬る。

時に拳や蹴りを加えて。

 

後ろへ体重をずらした時、ずるりと足が滑ってしまった。

ほんの1cmか2cmほど。

首元を狙い振り下ろされた剣が、やけにゆっくりに見える。

私の振るった剣も。

 

──間に合わない。

良くて、相打ち。

この体では切られた途端に動かなくなる可能性も十分にある。

...ここで、終わりですね。

せめて、活動を先延ばしに──!!

 

──先に届いたのは、私の太刀だった。

手に肉を断つ感覚が、続いて左肩に凄まじい痛みが襲ってきた。

驚きで混乱する頭とは裏腹に、剣を振りぬき追撃をしようと構える体。

 

 

「ああ、くそ......また..か......」

 

 

ふら、ふらと後退した骸は、自嘲の色を浮かべた。

様々な感情が混ざったような、そんな声に、私は硬直する。

体が動かなかった。

動けなかった。

問いかけようとしても、声が出ない。

その、一瞬をつくように──

 

──閃光が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いつもの先延ばしにするスタイル(殴)
クソネミテンションで書いたのでおかしいかもです指摘お願いします(懇願)
次回で1章は終わりです。
1章前半の手直しを大規模にしたいと思っているので人物設定を書きながらちょくちょく手直しするかも。
お気に入り、評価、感想よろしくお願いします!
してくださっている方、いつもありがとうございます!
それでは!また!


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第24話 決着

なんとしても今年中に完結させたかったので頑張りました!
(本当は三連休前に投稿したかったんですけど何回読んでもなんか違う気がして直してたら三連休終わってたんですよね...)



 

 

「──ぁ」

 

 

意識が、飛んでいた。

石壁がやけに冷たい。

私は確か....骸と戦っていて......。

 

 

「ガッ..あ"あ"あ"あぁあ!!!!」

 

 

ボキリと硬いものが折れる音と、悲鳴が上がる。

この、声は...!

ガバリと立ち上がり、剣を持つ。

視界に飛び込んできたのは、漆黒の毛をまとったモンスター。

まだ未発達なのか、体は小さい。

だけど、全身の毛が逆立つようなこの気配。

 

....ラージャン!!

古龍に匹敵する力を持つモンスター...。

 

 

「その手を、離しなさい!!」

 

 

思わず、声が出てしまった。

ラージャンの手に掴まれ、その怪力で締め付けられているのは骸だった。

ラージャンが瞳をギラギラと輝かせてこちらを睨む。

 

 

「おやぁ?そこで寝ていたのは、真冬サンじゃあないですかぁ」

 

 

声が、ラージャンの上から聞こえてきた。

ニヤニヤと笑みを浮かべているのは、ギルドナイトの中でも悪人に部類される嫌われ者。

 

 

「餓狼のジョセフ...!!」

 

「覚えてもらえているなんて、至極光栄なこってぇ。」

 

 

舐めた真似を...。

ラージャンの力が緩んだのか、骸はぐったりと脱力し肩で息をしているのが見えた。

無力化に成功している....なのに、なぜ離さないのか...。

それと、このモンスターは?

 

 

「これは、なんのつもり?」

 

「ああ、手助けしそうと思ったらんだがぁ...間違えて巻き込んじまったみたいだなぁ?それと、このモンスターは『ライダー』とやらからもらったからなんの問題もねぇや」

 

「ライダー...?」

 

 

ピクリと骸が反応した。

ライダー....から、貰った?

ジョセフの右腕に、青色の石がはめ込まれたブレスレットが輝いている。

あれで、モンスターを操るという話は、本当だったの....?

それにしては、ラージャンが嫌がっているように見えるけど。

 

 

「これを使えば俺は最強だァ!真冬サンとて手を出せねぇだろ?」

 

「確かに、無理そうね。でも──」

 

「ガアァアアアッッ!?!?」

 

「なん!?なにが...!?」

 

「──私ばかり見すぎてたわね。」

 

 

餓狼の首が落ちる。

残った体がラージャンの背から崩れ落ちた。

ジョセフの腕にはまっていたはずのブレスレットを手に骸が立つ。

 

...手を負傷しているとはいえ、ラージャンをけしかけられたら終わりね。

それは、無いでしょうけど。

骸は何かを呟いたあと、ラージャンに向けてブレスレットを投げた。

そして、去っていくラージャンに見向きをせず、私を射抜くように見つめる。

 

 

「「.....」」

 

 

お互い、無言のまま。

だけど....体から発せられる闘気が膨らむのを感じる。

ここで、決着をつける。

まるで示しあったかのように一歩一歩互いに近づく。

そして──

 

──剣が交錯する。

 

 

△▽△▽△▽△▽

 

 

『...もう、限界なはずなのに。』

 

(私の受けた傷は馬鹿にならない。

なにせ、古龍すらも撃ち抜くブレスの直撃をくらってしまったのだから。

体が言うことを聞かないし、もう、意識も途切れそう。)

 

(俺の受けた傷は相当なもの。

体中の骨が折れて、肋骨は肺に突き刺さっている。

目はかすむし、手足が震えて限界などとうに超えている。)

 

 

『ああ...でも、どうしてだろう。』

 

 

『こんなにも心が踊っている』

 

 

殺し合いの場で、こんなに感情が高ぶるなんてなんておかしいんだろう。

狂っているとしか言い様がない。

でも、なぜだか今『生きている』と思う。

 

 

(なんでこんなに楽しいのだろう?)

 

(なんだってこんなに楽しいんだ?)

 

 

(ギルドナイトの主な仕事には人殺しも入っていたけれど、こんな高揚したことは無かった。)

 

(何人も殺してきた。だけど、これはなんだ?)

 

『わからない。所詮、人殺しの考えなんて狂っているんだろう。だけど。』

 

『身についた力、技術全て...』

 

 

(私の───)

 

(俺の───)

 

『──生き様だ』

 

 

お互いが、生きてく中で身につけた全てを出しぶつかる──

 

 

 

 

月明かりが窓から射し込む。

はめられているはずのガラスはなく、窓枠だけが残っている。

光が照らすのは、ボロボロになった装備を身にまとった男女。

 

仰向けに倒れ、力のない微笑を浮かべている男は、人殺しとして知らぬ人はいないほどの悪名高い盗賊、骸。

そして、その上に馬乗りになって剣を突き立てている女は、ギルドナイト太刀使いの真冬。

剣は骸の首のすぐ横に突き立てられ、その刃から白い冷気を放っている。

骸は口から血を吐き出し、それでもなお笑みは崩さない。

僅かに、骸が剣を持つ手に力を込める。

 

 

「これ以上の抵抗は無駄です。諦めて....」

 

 

半場から折れた剣をしばらくみつめいていた骸に真冬が警告する。

骸は剣をゆっくりと頭の上まで持ち上げ....

 

カシャンッ

 

....抵抗する気は無い、と言ったように落とした。

頭の横に力なく置かれた腕は、ちょうど降参のポーズのようになっている。

骸は長く息を吐いたあと、ふふっと方頬に笑みを浮かべ、

 

 

「俺の...負け、だ。後は、好きに...しろ」

 

 

一言一言絞り出すように、時折血を吐き出しながら言い切り、ぐったりと動かなくなった。

 

 

「骸...!!」

 

 

真冬は慌てた様子で脈をとり、呼吸を確認する。

弱々しい鼓動と集中していないと気づかないほど浅い呼吸。

骸は眠るよう意識を失っていた。

 

(まだ、間に合う!!)

 

真冬はポーチをかき回し中から淡い緑の粉塵の入った袋を取り出す。

生命の大粉塵と呼ばれるそれを骸にふりかけた。

 

(だめ...このままじゃ、足りない!)

 

真冬の顔に明らかな焦燥が浮かぶ。

傷はある程度塞がったが、肝心の大きな傷からは出血がある。

既に血溜まりができるほどの出血、限界は近かった。

 

 

「レオ!フミ!外にラージャンがいたから...キャ!?」

 

 

バンッと入口のサビ着いたドアを蹴り破り入ってきたミキは廃墟内の惨状に目を見開く。

 

 

「え...嘘...。レオ!フミまで!こんなにボロボロになって、大丈夫なの!?」

 

「すみません、説明は後で...生命の粉塵などは持っていないですか?」

 

「も、持ってるは持ってるけど....」

 

 

ミキはフミがギルドナイト装備を着ていることに狼狽えながらも素早く回復アイテムを取り出し駆け寄る。

ギルドナイト装備。

それを着た人間がいるということはすなわち...。

 

 

「......うっ」

 

 

微かに呻き声をあげる骸と少しだけ安心したように息をついた真冬を交互に見て、ミキはなにかモヤモヤしたものを感じた。

(きっと、大丈夫よ....ね...。)

懸命に手当を続ける真冬を手伝いながら、ミキは頭をもたげようとする不安を押し殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??side──

 

 

これで、また1人っと。

 

机の上に新しい人形を置く。

 

ああ、もうすぐ。

 

僕の作り上げた作戦をまた始めることが出来る!

 

そう思うだけで口が自然に緩んでくる。

 

馬鹿だと思ってた駒が勝手に台無しにしちゃって困ってたところだったけど、プランBを考えててほんと良かった!

 

あいつはもう手出しできないところに飛ばしたし、祖龍は勝手に手を出してこれない。

 

後は、人形が動くのを待てばいいだけ。

 

踊り出すほどってこういうことなんだね〜。

 

クルクルと踊りながらついでに人形のひとつを拾い上げる。

 

 

「君の考えてたこと、全部無駄になっちゃったね!まあそこから見てなよ!」

 

 

守ろうとしたものが壊れてく様を、ね。

 

あははは!!楽しい!楽しすぎるよ!

 

やっとコピーも出来たんだ。

 

今度こそ確実に、腑抜けた古龍なんて恐れるに足りない。

 

僕は完璧なんだから。

 

──さあ...ショーのはじまり、はじまり♪

 

 




Qなぜリョウガいないんだ?

Aギルドから呼び出し食らってます。その理由は次章で。忘れている訳では無いので安心してください。

Qラージャン....

A幼体&指示が不完全だったので弱っちいです。

Qおい、最後。▽△の所。

A表現力足りなすぎました本当にすみません。(土下座)

お読みいただきありがとうございます!
1章はこれにて完結(になっているのか?)です。
人物紹介を挟み、修正を加えながら2章を書いていこうかと思います。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!
次章もよろしくお願いします!


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調査記録書

....はい。
投稿遅れてすみませんでしたッ!!
いや〜おかしいな?年明けてから3ヶ月もたってるよ(目を泳がしながら)
まあ、亀更新ですし?(開き直り)
冗談です許してくださいなんでもしますから(土下寝)

ちょっと少なめです。


 

 古龍種

 

 ムエルト・ソヌス

別名 «奏音龍»

 

 片爪と緑風の巣から発見された未知のモンスター。

 古龍に多く見られる四肢に2対の翼という異形の姿。

 遠目から黒に近い紺色の体色、美しい紫の瞳が瞳が特徴。

 何もかも未知な生体、また、ほかのモンスターとは一線を超える違いから「古龍種」と認定。

 2枚の大きさの異なる鱗を使い「演奏」を行い、炎を吐く。

 「演奏」を行わずとも十分に強く、エリアを半壊させるほどの技を隠し持つ。

 過去に似たようなモンスターの発見例はなく、新種と思われる。

 知能も高く、人後を解すると言われる。

 傷を癒し、そのモンスターを強化(進化とも呼べるだろう)をする。

 追跡していた気球が見失ったため、早急な発見が求められる。

 

 生態調査と考察

 孤島ではリオ種と混じり生活していたことから異種族との交流も可能なのではない方とされる。

 雑食性でなんでも口に入れていた。

 聴力が発達しているのか、音爆弾を使った直後落ちてきたと言う。

 その為、奏音龍に接近する際は音爆弾を携帯することをオススメする。

 孤島から渡った際、戦闘から逃げることが多く見られた。

 

 痕跡について

奏音龍の鱗片

 大きく紫がかった紺の鱗(大紫鱗)と小さな黒い鱗(小黒鱗)を重ねることでひとつの鱗になると推測される。

 この2つの鱗を擦り合わせると高い掠れた音が出ることがわかっている。

 これを一斉にすり合わせることで様々な音を出しているとされる。が、現時点で我々の力では高い掠れた音以外を出すことは出来ていない。

 

 痕跡が見つかることが少なく、情報量もそれに比例するため痕跡を見つけることを優先することにする。

 奏音龍は完全に未知の古龍なため、刺激をしないよう要注意である。

 

 

 飛竜種(竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科)

 

 片爪リオレウス

別名 «煌炎帝»

 

 「塔」から移動したと推測されているリオレウス。

 左側、翼の付け根から胸にかけて大きな古傷が目立つ。

 これは「絶雷」が撃退の際に負わせた傷であり、そこから先の翼と足を含めた半身が原種の姿を留めている。

 長く生きたためか黒炎王のような姿へと変わりつつあった。

 過去の記録から凶暴性が非常に高く、総合的な危険度は『リオレウス』の域を軽く超えていることが予想される。

 現在孤島を巣としているが本来の凶暴性はなりを潜めており、「絶雷」の負わせた傷が活動に影響を与えているという説や、«緑風の舞姫»と謳われる『リオレイア』が関係していると言う説がハンターの間で広がっている。

 また、«奏音龍»の1件から特殊な姿が見られるモンスターの一体であり、この状態を「煌炎纏い」と命名。

 

 生態調査と考察

 孤島から離れることは稀。

 朝方と昼間、夕暮れに1回ずつパトロールと捕食を行う。

 この時間帯以外にもパトロールをランダムに行うことがわかっている。

 ごく稀に海上をホバリングしている様子が確認されており、海中に巨大な影を見たという。

 巣や番に危害を加えない、一定の距離を保って行動する、などを守っている限り威嚇などを一切行わない。

 痕跡から危険度は低くてG2以上に設定すべきである。

 緑風と寄り添い仲睦まじい様子が観測でき、双方の絆は硬い。

 

 以上のことから、緑風と共に行動する片爪は何らかの理由で原種と異なりある程度縄張り内を徘徊することが可能である。

 危険度が未知数のため無駄な刺激は避け、なるべく巣から離れた位置でクエストを行う必要がある。

 あくまで現状のことでありこれからの行動は予測できない。

 

 特殊状態について

 片爪の特殊状態について興味深い文献が見つかった。

 片爪の半身を炎で覆った状態は「空駆ける咆炎」と呼ばれるリオレウス豪火種と呼ばれる個体に酷似していることがわかった。

 またもう半身は黒炎王を連想する体躯となっている。

 特殊状態はなんらかの条件が揃うと発現すると予想され、通常の状態と区別するべきである。

 

 痕跡について

煌炎帝の鱗片

 こちらは2種類あり、右半身と左半身で鱗の色、強度が変わっていることがわかった。

 黒鱗は一つ一つの模様が違い、生半可な武器では傷一つつかない。

 模様の違いは鱗が形成される際の温度で変わると予想される。

 炎鱗は模様にある程度統一性があり、強度はやや落ちる。

 しかし素手では触れられないほど高温で取り扱いには細心の注意が必要。

 

欠けた爪や爪痕、捕食後なども発見されているが詳しいことは調査中である。

 

 

 

 

緑風の舞姫リオレイア

別名 «毒霧姫»

 

 以前から各地で目撃情報が多数上がっていたリオレイアと同一であることが確認された。

 1部のハンターから「救われた」と言う発言を皮切りに似たような例が相次ぎ、愛好家などが立ち上がっていることから幻覚作用のある毒を持つと予想される。

 こちらも紫毒姫のような姿へと変わりつつあった。

 過去の記録から見ても緑風に関する情報は危険度を調べられるほどではなく、しかし数少ない緑風の戦闘記録を垣間見てもその強さは片爪と並ぶほどであると予想できる。

 愛好家や保護団体の1部から「人の姿をとる」「片爪を圧倒していた」など真偽はあやふやな証言もでている。

 また、«奏音龍»の1件から特殊な姿が見られるモンスターの一体であり、こちらは「毒霧纏い」と命名。

 

 生態調査と考察

 孤島を離れることがある。

 片爪と時折合流するがパトロールはほとんど行わず、エリア内を歩き回ったり日に当たっている様子が観測されている。

 棘から毒の霧を噴出させる行動も時折観察されており、彼女の去った後には痕跡が残されていることが多い。

 捕食頻度は少なめで2日で2回〜4回の頻度である。

 威嚇などを一切行わず、一定の距離以内に入ると緑風自らが移動する。

 非常に温厚な性格なのかはさておき、近距離で安全に観察できるモンスターとして研究者らにも人気が高い。

 何より研究者らを驚かせたのは、緑風の翼の骨が1本多い事だ。

 また、遺伝性があるのかこれまで育ててきた子供の中にもこの特徴を受け継ぐものがいると報告されている。

 

 評判通りの獰猛性の低さ、明らかに人を認識している中で一定の距離を保つという行動から知能の高さが伺える。

 また日に当たりながらウトウトと眠りこける様子もあり、彼女はのんびり屋と言う線もある。

 その行動が片爪に影響を与えたのか、これから研究していきたいところ。

 

 特殊状態について

 緑風の特殊状態は毒を霧状に纏う。

 現在毒の種類は特定出来ていないが、恐らく出血性ではないかと思われる。

 彼女の痕跡から毒の噴出後に発見される結晶を紫結晶と命名。

 毒が結晶化したものだと思われ、現在解析中である。

 

 痕跡について

毒霧姫の鱗片

 紫がかった鱗には強力な毒が含まれており、また硬度も異常な程高い。

 緑をベースにオレンジが縁取られた鱗。

 こちらは前触れなく高温になるため扱いが難しい。

 硬度も高温時は軟化することがわかっている。

 

毒霧姫の銀棘(ギンキョク)

 稀に発見される銀色の棘。

 非常に透明度が高く、鋭い。

 内部が空洞になっていること以外分かっている事はない。

 恐らく毒を内蔵するための空洞と予想される。

 

 片爪同様、他の痕跡は調査中である。

 

 

 

陽炎 リオレイア希少種

別名 «煌陽炎»

 右頭部と左尾先に傷の目立つリオレイア希少種。

 右目は失明しておらず、興奮すると付近の傷口から青い炎が立ちのぼる。

 目撃情報が少なく、調査中の気球がいとも簡単に引き離されるほど。

 孤島では回復後、片爪と連れ立って飛び回るのが目撃されていた。

 唐突に陽炎のように揺らぎ姿をくらますことが多く、警戒心が高い。

 

 特殊状態について

 全身から立ちのぼる熱気で空気の層を作りだし、消えたように見せているとされる。

 この状態になると発見が困難かつその姿が補足できたとしても陽炎のように実体との区別が困難なため「陽炎化」と命名。

 

 

 

爆翼 リオレウス亜種

別名 «駆爆翼»

 

 右翼が少し回復し、緑風についてエリア内を歩き回る様子が観察されていた。

 その後爆発性の鱗粉を使い再び空を駆け回るようになった。

 大地を駆け、風をつかんで飛ぶ様はまさに空の王者。

 再び発見された(しかし直ぐに姿をくらませた)時にどこで負ったのか不明の傷が体中についていることが確認された。

 特殊状態については謎に包まれている。

 

 

 上記の陽炎と爆翼に関しては痕跡が一切見つからず、また目撃情報も途絶えている。

 

 奏音龍に関してはドンドルマ近くで発見された、また未知の樹海、森丘など発見場所がバラバラであるため、ハンターを派遣しその足取りを追跡したい。

 

 

 




2回に分けて投稿しようかと思いまして...(冷や汗)
あ、はいイラストですよねまだ書いてなくて((殴
擬人化モンスターズはできてんですけど...ハンターさん...

お気に入り登録を解除せずに待ってくださった皆様ありがとうございます!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!


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第2章
登場人物紹介


年号変わってから投稿してなかったことに気づきました。((殴
どうも皆様お久しぶりです。流血事故です。
後書きにて挿絵あります。(嫌な人は後書きは飛ばしてください)
全員集合をかこうと思ったら失敗しました(瀕死)
なので初期絵シオンです。

後書きに挿絵があるのでここで挨拶を...

いつも見てくださってる皆さんありがとうございます!
UA?が15.000超えていて驚きました!
またお気に入り登録、しおりなども少しずつ増えていてとてもありがたいです!
駄文ですがこれからもよろしくお願いします!



.....設定だけ詰めたら5.800文字超えました。
注意です。


主要人物 〜主人公とその周り〜

 

 

奏音龍 ムエルト・ソヌス(仮名)

(シオン)

種族 古龍

全てにおいて謎の多いモンスター。

音を使うことに長けており、様々な行動をする。

孤島エリア2を半壊させるなど大技を隠し持っている。

また、奇妙な演奏をすることで力を半永久的に上げる不思議な生態をもつ。

性格は慎重だが好奇心が強いため慎重さは薄れている。

擬人化時

まだ幼さが残る青年。見た目は17歳くらい。

黒い長袖にジーンズ、上からフード付きパーカーを着ている。パーカーの腕の部分には薄っすらと鱗が見える。

本人は気づいていないが、首から純白の鱗のネックレスがかかっている。

黒髪に紫がかった目。瞳孔は黒。

 

 

陽炎 リオレイア希少種

(バドル)

飛竜種

孤島の悲劇で頭部と尻尾に傷を負った金レイア。

右目は失明せずにすんだ。

G級金レイアをも超える高火力で周りを薙ぎ払う。

ブレスは瞬時に地面を蒸発、または溶岩に変えるほどの高火力である。

一定条件が満たされると状態変化。

鱗の隙間から高温の炎(透明)が吹き出て温度差で姿が消える。

性格は押しが強く後先考えることがない。(バカ)

擬人化時

よくか弱い女の子扱いされて怒っている。

見た目は12歳くらい。

髪を長くすることで右目の傷を隠している。

ドレスまたはTシャツ短パン。

金髪にオレンジ色の目。瞳孔は濃いオレンジ。

 

爆翼 リオレウス亜種

(イルム)

飛竜種

孤島の悲劇により右翼を失った蒼レウス。

翼は3分の2ほど回復し、自在に爆破属性を操る。

時折海上でも爆風を起こすことから水があっても適応できることが分かった。

爆風を使い原種のように空を駆ける。

足は地上での生活で発達しており、瞬発力はナルガクルガ希少種に匹敵する。

一定条件が満たされると状態変化。

鱗の隙間から爆破粉塵が出始め、爆発を操れる技術が上がる。

性格は温厚で身内以外には寡黙。

擬人化時

顔に古傷の目立つ好青年。

長いローブで体を隠している。

ローブの下には軽めの防具をつけているが、見た目とは裏腹に防御は高い。

黒の混じる青い髪に明るめの赤い目。瞳孔は赤。

 

 

 片爪 リオレウス(リオ・ヴュール)

飛竜種

右半分黒炎王、左半分原種の姿。

左肩から胸部に斜めに入る大きな古傷と、左脚の外側から二本の爪が生え際から削られているのが特徴。

この傷により左半身の成長が止まっている。

一定の条件が揃うと原種の半身が炎に覆われる。

基本的に無口。負けず嫌いで獰猛な性格だがみどりに矯正された。

擬人化時

見た目は20代前半の青年。

先端の赤みがかった黒髪。みどりを意識して片方だけ耳にかかる髪を長めにしている。

炎を想像させる赤の瞳、瞳孔は黒。

黒の長袖、長ズボン、靴と全て黒づくめ。靴には赤の模様(リオ種の翼膜の模様)が描かれている。

 

補足

リオは日本でいう苗字のようなもの。リオの家系からは希少種が多く生まれる事で有名。また、火竜種最強の異名を持つ。ヴュールは他の火竜種より少し強く生まれていた。

 

 

ヴュールはギルドから警戒されるほどの危険な竜だったんですけど、みどりに会ってから色々変わったんです。性格とか、見た目(擬人化時)とか....過去話として出したいと思ってます。

 

緑風の舞姫 リオレイア

(みどり)

飛竜種

外見は紫毒姫(より少し原種より)、甲殻から生える毛や翼爪の色がクリスタルのような物質でできている。内部は空洞でその時使っている毒により色が変わって見える。

一定の条件が揃うと非常に危険度の高い毒を霧状に纏う。

毒の濃度は調節ができる。

毒は神経毒(麻痺に近いものから即死級まで使える)、成分がわかれば他の毒も使える。

回復効果のある霧(毒ではある)も使える。

めっちゃ優しい。捨て身で襲いかかってきたハンターを軽く突き飛ばして「命は大事にしなきゃダメでしょ!」って説教するくらい優しい(実際にしたことはない)。他のモンスターと違い、怒り状態が三段階ある。

擬人化時

見た目は20代前半の美女。

銀色の長い髪を先端でまとめている。

薄い赤紫の目で瞳孔は黒めの赤。

灰色半袖の服の上から深緑のローブ(のようなもの)を羽織っている。

黒に近い色の短パン、暗い赤色の靴。

ローブの下に二本の鎖が付いている。

 

補足

時折霧を出す姿が見られる理由は、放っておくと毒が結晶化して棘の中に詰まるからです。

もし詰まったとしても一応解決策はあるのですが(棘を抜く、唾液で溶かすなど)、人間で言うところの風呂みたいな感覚でやってます。

 

みどりはとにかく優しい竜です。竜です。大事なことなので二回言いました。転生者ではありません。

みどりが助けた人間の殆どが「緑風の舞い姫」という名前で呼んで、親衛隊のような状態になってます。

祖龍ミラルーツ(以後ルーツ)とはみどりが幼竜の時からの付き合いです。シアラ、ライズ、ヴォルトを卵の時から育てたお姉さん的存在。

みどりが人間や他の種族にも優しい理由は過去話で出したいと思ってます。

二本の鎖は擬人化時にみどりの怒りが3段階目に突入した時弾け飛ぶ....という設定です。

 

火刃竜 セルレギオス特別種

(シアラ)

飛竜種

通常より赤みがかり、火属性を得意とするセルレギオス。ギルドからは特別種と認定されている。

体内に熱を生み出す器官があるのか、鱗は触れただけで並みの素材を融解させるほど高温になることがある。

戦闘能力が通常種よりも非常に高く、炎やられを持った攻撃と裂傷でハンターを追い詰める。

みどりを見習ってサマーソルトを繰り出す。その際前方に刃鱗を飛ばす。

性格は好奇心旺盛で必要以上の追撃をしない優しさがある。

擬人化時

見た目はレギオスX装備一式を着た15歳前後の少女。

明るい黄色の髪を短めに切っている。

目は紫に近いピンク色で瞳孔は紫。

 

 

シアラはみどりに育てられたので通常種と異なる成長を遂げました。あれですよ...竜に育てられた人が強くなるのと一緒な展開です。みどりに育てられたのでシアラは優しさを持ってます。ただ、本気で怒ると相手の生死は特に気にしない、セルレギオスの性格が戻ってきます。シアラは見た目より少し精神年齢が幼いです。

 

閃海竜 ラギアクルス特別種

(ヴォルト)

海竜種

火属性に高い耐性を持つラギアクルス。ギルドからは特別種として警戒態勢をひかれている。

通常種と違い、陸上での戦闘も得意。

発電器官、帯電器官が背中、頭、胸にそれぞれある。

肉質の柔らかい胸部にも発電器官があるため、攻撃に危険を伴う。

性格は真面目。

擬人化時

見た目はラギアX装備一式の青年。

海のように青い色をした長めの髪を後ろでまとめている。

目は宝石のような黄色、瞳孔は暗めのオレンジ。

 

ヴォルトは生まれてからしばらく陸上での暮らしていたので亜種よりも陸上生活が得意です。ハンターと1番戦い慣れているのはヴォルト。あまり人間とは関わりたくないと思っているのですが、遭難したり困っている人には手を差し伸べる優しいやつです。みどりに育てられた順番は最後で一番年下となるが、3匹の中で精神年齢は1番大人。

 

紫蛇竜 ガララアジャラ特別種

(ライズ)

蛇竜種

通常種より紫がかり猛毒を持つガララアジャラの特別種。

牙の麻痺毒に加えて鱗に猛毒がある。

鳴甲の内部に毒が蓄積されるため、破裂とともに毒が霧散する。

通常種よりさらに狡猾。

性格は好奇心が強く、人懐っこい。が、びびり。

擬人化時

見た目はガララX装備一式の少年(16くらい)。

髪は暗めの黄緑でいつもボサッとした髪型。

目は紫色で瞳孔は黒。

 

 

ライズは一言で言うならアホです。アホ故の圧倒的矛盾。ただ一旦戦闘モードに入ると一転、戦う気の失せるほど狡猾な戦い方をしてハンターをあっという間に撃退します。ひびりなので人を殺したことはないです。本人の記憶にある限りでは。

 

 

 

ハンター

 

ミキ 16歳 女

人間

明るく活発な少女。

オレンジに近い茶髪でボーイッシュ。

キラリと輝く金色の瞳がチャームポイント。

幼さが抜けきらない態度と容姿に加え、誰とでも仲良くするコミュ力もあり、密かにファンクラブができているとかいないとか。

新米の頃から愛用している片手剣を強化し、派生武器を最大強化して使っている。

気まぐれに強化を戻しては別のものを作ろうとする。

 

リョウガ 17歳 男

人間

基本無口な青年。

深緑の短髪に細くキリリとした黄緑の瞳。

狩りの時など必要最低限のことしか話さない(パーティの中ではなかなか話す方)

G級バンギスシリーズにハンマーを担いでる。

ランスが得意だが、全ての武器を使える。

最近は王都に呼び出されることが多いが.....?

 

フミ 17歳 女

人間

冷静沈着、敬語女子。

長い銀髪に深い青の瞳。

オリジナルの武器「思想剣【奏】」をメイン武器として扱う。

キメラ装備、臨機応変に変えている。

 

〈ギルドナイト 真冬〉

氷属性の太刀と白銀にも見える薄水色のギルドナイトシリーズを身につけていることから〈真冬〉と呼ばれている。

新大陸で発見された「レイギエナ」のように太刀から漏れ出る冷気を使ったりと自由自在な戦闘スタイル。

 

レオ 16歳 男

人間

元気はつらつという言葉がよく当てはまる、陽気だが臆病な青年。

ボサッとした短めの黒髪にオレンジ色の目。

地味に背が低いことを気にしている。

キメラ装備、動きやすさに重点を置いている(いざという時に逃げやすいため)

武器は選ばないが太刀を使うことが多い。

 

〈盗賊 殺人鬼 骸〉

実は15歳。

15でハンター登録すると最年少G級ハンターとして目をつけられる恐れがあったため年齢を偽って登録していた。

モンスターの革を使った服をつけ、防具らしいものは一切身につけていない。

モンスターの革と言ってもそこらのG級モンスターの革とは一線を超えた頑丈さがある。

身軽な装備と異形な双剣を使う。

首元に走る大きな傷跡と胸元のひし形のネックレスが特徴。

神出鬼没で変幻自在な変装技術を持つ。

 

 

イビルジョーの牙がかすったように見せかけるため、あの後ポーチから取り出したイビルジョーの牙を使って傷つけてます。

 

ジアン 18歳 男

人間

落ち着いた雰囲気を醸し出す青年。

青みがかった黒髪にアズライトの目。

G級パーティー「赤牙」の1人。

太刀や大剣を使う。

安全性を第一に行動するため、装備も比較的充実している。

モンスターに強い恨みを持つ。

 

ウィーゼル 20歳 男

人間

狩場に生きがいを見出す青年。

イエローブロンドの髪に薄緑の目。

「赤牙」の年長者だが自分より才能のあるジアンをリーダーとして慕っている。

スキル「広域」を使い補助に回るが、ソロでも十分に活躍していた。

片手剣や笛、大剣を使う。

モンスターに強い恨みを持つ。

 

マルト 19歳 男

人間

「赤牙」の盛り上げ役。

こげ茶の短髪にホットピンクの瞳。

植物やキノコについて知識があり、知恵袋的存在。

ふとした瞬間に雰囲気が変わったりする。

チャージアックスやスラッシュアックス、双剣を使う。

本人曰く、ロマンだとか。

モンスターに強い恨みを持つ。

 

ミナ 18歳 女

人間

「赤牙」唯一の遠距離武器使い。

ミントグリーンの髪に鋭い黄色の瞳。

狩猟場を駆け回る持久力と高い索敵能力を持つ。

感情的になりやすく暴走しやすい。

弓を使う。

モンスターに強い恨みを持つ。

 

 

主要人物 〜各場所にて〜

 

ーモンスターー

 

リオレウス希少種(歴戦王)

飛竜種

(リオ)

塔の秘境に巣を構える飛竜の頂点と名乗る飛竜の親玉。

ギルドに付けられた2つ名は炎鬼。

自身の子孫にリオをつけて名乗ることを強要している。

はじめにリオをつけるのはリオの子供という意味。

実力至上主義で弱いものは許さない。

 

リオレウス希少種(歴戦)

飛竜種

(残月)

本名と言うか両親に付けられた名前はソル。

本人はカッコ悪いと思っており、昔対峙した人間の名前を名乗っている。

父親に似て実力至上主義だが姉にトラウマを持っており、それ故にメスには手を出さない。

擬人化時は銀髪碧眼のいかにも貴族の坊ちゃんといった見た目。

見た目と裏腹に拳(炎纏い)で殴り合う系。

 

リオレイア希少種(??)

飛竜種

(ルナ)

リオをつけると響きが悪くなる名前に不満を持っている。

実力至上主義に不満はないが母親が無下にされていることに苛立ちが募っている。

メスだからと調子に乗ったり、可愛いおもちゃを何処かへやってしまった愚弟を叩き潰すことを日課にしている。

擬人化時は金色の短髪に真紅の瞳。

炎の扱いに長け、擬人化時にも身軽さと炎を武器に戦う。

 

天眼タマミツネ(超特殊)

海竜種

(テン)

"あの人"が再び現れることを願い、霧の森で生活していたタマミツネ。

「わたくし」や「ですわ」が口癖。

感情の上下が激しく、キャラ崩壊が起こりやすい。

擬人化時は頭のてっぺんから毛先にかけて淡く鮮やかな青紫色の長髪に薄桃色を基調とした浴衣を着ている。

青紫色の長髪をいろいろな結び方にしたりと思考錯誤している。

 

オオナズチ(歴戦王)

古龍種

(リカー)

退屈な日常にうんざりとしている古龍。

長く生きすぎたためか非日常さえも日常と化している。

日々気ままに世界中を散歩している。

擬人化時は10歳ほどのロリっ子の姿だが、ほぼ本体と同じくらい力を出せる。

先に向かって明るくなる紫のロングヘアーにオレンジと銀のオッドアイ。

 

 

ー人間 その他ー

 

盗賊団

??〈頭〉

盗賊団を率いるリーダー。

骸から送られてくる危険物を楽しむ。

アジトを転々と変えギルドに察知されないようにするといった作戦も取る。

もうすぐ3桁を越す大集団をまとめ上げるカリスマ性やそれらを守る圧倒的強さをもつ。

 

「頭、マジパネェっす!」が団員の口癖。

 

盗賊団

??〈運び屋〉

盗賊団と骸の間を行き来する運び屋。

骸の作る危険物を暴発させずに運ぶプロ。

むしろ改良すらしてみせる。

 

ギルドマスター

「クソジジイ」の愛称(笑)で呼ばれる小太りの人間。

金や権力を使って大体のことは済ませる。

 

 

ストーリー補足

 

シオンの進行ルートについて

孤島を飛び立ち森丘付近で火球受け墜落。

旧砂漠に面する森の中でルーツ一行と邂逅。

ドンドルマまで連れていかれ、その後霧の森へ。

テンから逃れ霧の森最南部でハンターと戦闘、逃走。

未知の樹海、その中に作られたコロシアムにてリカーと接触。

 

この小説ではモンスターは早くて1ヶ月、遅くて1年で生体まで成長する設定です。

また、奏音龍についての資料が一切見つからないのには理由があります。

 

集団クエスト

ベースは大人数で古龍を討伐、撃退するあのクエストたちです。

こちらは最大4パーティー、ソロ参加は10人までです。

 

 

 




一応今現在出てきているキャラクター(モブを除く)はかけたかなと思います。
いない子がいたら指摘お願いします。



挿絵がどうも納得できなかったので初期のシオンを貼っときます。

(一年くらい前の絵なので色々おかしいとは思いますが...)

お目汚しならぬ目潰し失礼します。


【挿絵表示】




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第25話 芽

突然ですが「ある龍のお話」リメイクします。
こちらを外伝とし本編は別で投稿しようと思います。
詳細は後書きに書いています。




※今話にモンスターは出ません。



 

 「────」

 

 

 風が少年の髪を揺らす。

 ベッドに寝かされている少年は右手に枷が嵌められ、鎖に繋がれていた。

 少年の体のほとんど全身に包帯がまかれている。

 少年──盗賊「骸」と名乗るその殺人鬼が昏睡状態に入ってから3日が経過しようとしていた 。

 

 

 

 

 

 

 

 「────·····」

 

 

 風が頬を撫でる感覚に骸は目を覚ました。

 靄のかかったような意識の中、骸は視線を彷徨わせる。

 最初に感じたのは下腹部の燻るような痛み、体の倦怠感。

 次に喉の乾き。

 立て続けにやってくる不快感に骸は顔を顰めた。

 ただ、それらの苦痛は耐えられないほどではない。

 骸は重い瞼を開けているのも億劫になりもう一度目を閉じようとした。

 

 

 「....?」

 

 

 ふと、半身に重りが乗っているような圧迫感を感じ視点を落とす。

 視界に飛び込んできたのは明るい茶色。

 モゾモゾと起き上がる塊が生き物──人間であることに気が付くのに、数秒。

 骸の頭の中に疑問符が飛び交う。

 困惑の色をうかべた骸の瞳と眠たげな金色の瞳が交差する。

 それはぱちぱちと何度か瞬きし、

 

 

 「れ、お....?おき、た?」

 

 

 それ──ミキの顔に安堵と喜びが浮かぶ。

 その顔がくしゃりと歪んだ。

 

 

 「よがっだあぁああああ!!!」

 

 「ッ!?」

 

 

 骸に飛びつき泣きじゃくるミキ。

 突然の衝撃、胸部に走る鋭い痛みに骸は呻き歯を食いしばる。

 泣きじゃくるミキを宥めようと左腕を上げようとしたが、鉛のように重く動かない。

 

 

 「──」

 

 

 右腕を上げて撫でようとしたが、ピンッと張られるような感覚とともに腕が動かせなくなった。

 

 

 右手首に鈍く光る手枷が、鎖で繋がれていた。

 

 

 

 

 

 ........

 

 ....

 

 ..

 

 数日後 · · ·

 

 

 「──驚きました。たった数日でほぼ問題なく動けるなんて。」

 

 「少々育ちが特殊なのでね。」

 

 

 骸の監禁部屋から数メートル離れた廊下で骸は床に転がされていた。

 不機嫌な顔を隠そうともせず、骸は真冬を見上げる。

 仁王立ちになって骸を半目で睨んでいた真冬はその顔を見て大きくため息をついた。

 

 

 「...一応聞きますが、何をしようとしていたんですか?」

 

 「トイレだ。」

 

 「やはりにげ──

 ....えっ?」

 

 「トイレだ。」

 

 

 骸があまりに自然に「トイレ」と答えたため真冬は唖然とした。

 嘘の気配が一切しないのもその一因だ。

 

 

 「...逃げるつもりではなかったのですか?」

 

 「逃げる必要があるか?」

 

 

 何言ってんだこいつ、とでも言いたげな顔で骸は問い返す。

 問に対しての答えはあまりにありすぎる気がする。

 真冬は内心頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「人を呼ぶという発想がないあたり、人殺しは非常識なのですね。」

 

 「....」

 

 「自然治癒能力の高さも異常ですし、それについても──」

 

 

 部屋に戻るまでこれか?

 骸は内心ため息をついた。

 

 

 「──?」

 

 

 ふと、骸は体の違和感に気づく。

 動悸が激しい...?

 と言うよりモヤッとするような?

 首をかしげ、胸に手を置いてみる。

 

 

 「....」

 

 

 体温も上がっている...?

 動悸が激しく、体温が上昇...逃げ出したいようなそうじゃないような感覚。

 あれが来るのか?

 いや、大体は予兆なく来るはずだが。

 ハッと骸は目を見開いた。

 この症状...。

 

 ...これは、恐怖かッ!

 骸は自身が真冬に恐怖しているということに愕然とした。

 まさか、手酷くやられただけで恐怖心が芽生えた...?

 

 

 「──ッ」

 

 

 いや、違う。

 違うはずだ。

 絶対に違う。

 

 ...。

 

 違う...はずだ。

 

 ...違うに決まっている!

 認めない。それだけは決して。

 骸は歯を食いしばる。

 ギリギリのラインでポーカーフェイスを保っているが、衝撃の事実に心臓はバクバクと鳴っていた。

 

 

 「骸、聞いてますか?」

 

 「ぉ!?あ、ああ。」

 

 「...?まあ、次からは何かしら用意するのでそれを利用してください。無駄に人は斬りたくありませんので。」

 

 

 これが恐怖なら色々と面倒だな。

 どうしたものか。

 トントンと指の腹でベットを叩きながら骸は悶々と考える。

 

 

 「ああでも、ちょうどいいですね。骸、あなたについてまだ聞いていないことがありました。」

 

 

 

 

 

 「レオと骸、どちらが本当のあなたですか?」 

 

 

 その言葉に骸は妙な気分になった。

 何かが引っかかって取れなくなったような不快感。

 

 

 「どちらでも」

 

 

 素っ気なくそう言い放つ。

 どちらでも。

 どちらでもあると言えるししどちらでもないとも言える。

 

 

 「.......そうですか。」

 

 

 気に入らなそうな表情で、しかし何も言わずフミは立ち上がる。

 そこは気になってもいいと思うが。

 背を向けて去っていくフミを見て骸は胸の違和感が強くなるのを感じた。

 ...不愉快だ。

 

 

 「....ン。」

 

 「え?」

 

 「レイン、だ。」

 

 

 ....おかしいな。

 なぜ俺は自分から名を明かしたんだろう?

 そっぽを向いて窓の外を眺めながら、骸は考えた。

 自身に興味を持たせるため...なのか、訳の分からない感情に流されたのか。

 1度だけ....そう、1度だけ...こんなことがあった気がする。

 いつだったか。

 

 

 「レイン。」

 

 「!」

 

 

 まとまりかけた思考は小さな囁きを拾ったことで瓦解した。

 心臓が痛いほど早鐘を打つ中、足音が遠ざかる。

 

 

 「それでは。

 今度は誰かを呼ぶことを忘れないでください。」

 

 

 扉の閉まる音と鍵のかかる音。

 それらを聞きながら骸はゆっくりと目を閉じる。

 その口元が自然に上がっていることに気づかないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わりドンドルマ。

 大通りから外れた脇道のさらに奥、怪しげな店があった。

 店の中にはずらりと棚が並んでいる。

 棚の中には店主の作った試作品、もといガラクタが乱雑に置かれている。

 その一つ一つを店長であり制作主でもあるラインはぼけーと眺めていた。

 

 

 「ライイィイイインッッ!!!!」

 

 「うおっ!?」

 

 

 扉をけやぶる勢いで乱入してきた人影にラインは反射的に武器を向けた。

 しばらく掃除をしていなかったためホコリが煙幕のように入口を覆う。

 

 

 「ゴホッゴホッ...ゔぇ」

 

 「ちょ、お頭ぁ...」

 

 

 咳き込む音と間の抜けた声が聞こえ、ラインは武器を下ろした。

 聞き覚えのある声だ。

 お頭、という呼び方に隠そうともしていない大きな気配。

 となると、ラインの知っている人物とよく重なる。

 

 

 「頭ぁ...」

 

 「んな情けない声出してんじゃ──って、そうだッ!!」

 

 

 ホコリから飛び出した友が一息で距離を詰めてくる。

 初対面のハンターなら泣き出しそうな勢いだ。

 

 

 「ライン、聞け──」

 

 

 興奮からか熱量が凄まじい。

 相変わらずの友の様子にラインは苦笑した。

 

 

 「レインが、笑った、らしい」

 

 

 一言一言噛み締めるように、鼻息荒く告げた友の声はとても弾んでいる。

 満面の笑顔で、本当に心の底から嬉しいのだろう。

 そうか。あのレインが笑ったか。

 しけた面に久しぶりに笑顔が浮かぶとはな。

 そこまで考えて、ラインは驚愕に目を見開く。

 直後、

 

 

 「──なにぃいいいい!?!?」

 

 

 ここ数年は出していなかったであろう叫び声が遠く響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 「──というわけでして、骸の旦那は本名を明かしたついでに隠れて笑ったんさぁ」

 

 

 ニヤニヤと笑みを浮かべて運び屋が語り終える。

 先程から思い出し笑いをしているということは相当いいものが見れたのだろう。

 

 

 「な....ありえん!そんな、あいつが」

 

 

 未だ頭の整理がつかないラインは落ち着きなく武器の柄を指で叩き否定する。

 

 

 「証拠ならありますぜ」

 

 

 畳み掛けるように机に置かれた紙を見てラインは撃沈した。

 机に突っ伏したラインの目からはとめどなく涙が流れており、とても幸せそうな笑みを浮かべている。

 その横に2度目にもかかわらず同じく机に沈むお頭の姿が。

 紙には骸の笑みを浮かべた瞬間が描かれており、何度も修正を加えられた跡もあった。

 

 

 「骸の旦那にも気付かれないよう、遠くから不安定な木の上で望遠鏡を見ながらスケッチしたものさぁ!」

 

 

 あとからちょこっとだけ修正しましたがね、と付け加え運び屋は自慢げに胸を張る。

 確かにその絵は実物を見なければ描けない類の細やかな部分まで描かれており、想像のものとは明らかに違った。

 

 

 「これは...もう、疑いようがない....!」

 

 

 ありがとう、ありがとうと繰り返すラインは、さながら生まれてきた我が子を目にした親のようである。

 それほど骸の笑顔はこの場に集う者たちには貴重なものなのだ。

 

 

 「問題があるとすれば、それがギルドナイトに向けられてたことだ。」

 

 

 ほんわかとした表情だったラインは冷水をかけられたように一気に真剣な顔つきになる。

 ギルドナイトが悪い訳ではなく、それを取り仕切るギルドマスターが問題だ。

 

 性格に問題あり、ハンターたちの嫌われ者。

 どうしてこうなったと言わんばかりの人物であり、現状ギルドマスターとして椅子に座るもの。

 

 

 「今のままならレインは確実に不幸になる。」

 

 「それは許容出来るもんじゃあありません」

 

 

 ピリピリとした空気を醸し出す一同。

 路地裏に住む動物たちが大通りに飛び出すほどの圧を醸し出す。

 

 

 「...やるか。」

 

 

 重々しくラインが口を開く。

 賛同するように運び屋が何度も首を縦に降った。

 

 

 「後任は?」

 

 「あいつがいる。」

 

 

 静かに計画が練られ始める。

 ....実行日は遠くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──??side──

 

 

 「アハッ!最高だねェ.....」

 

 

 机上に並べられたカードを裏返しにしながら歌うようにそれは言う。

 『GAME OVER』と馬鹿にしたように舌を出す絵が描かれたカードを何枚も混ぜながら、それは隣に並んだ人形を手に取った。

 

 

 「君の決死の判断はァ...1000年ちょっとしか持チませンでシたァー!ざァんねんだねェ」

 

 

 人形の首を引きちぎり嗤うそれは足元から赤い液体を掬い人形をデコレートしていく。

 一通りして満足したのか、それは人形置き場へと赤い固まりを投げる。

 粘度を持った液体が染み込んでいく人形の傍らに同じような形をした人形がもうひとつ並んでいた。

 

 

 「そこで見てなよォ?

 キミが守ろうとしたものが壊れていくサマをさァ!!」




 ある龍のお話を読んで頂きありがとうございます。
 ある龍のお話をリメイクするというのは前々から決めていました。
 書いていくうちに色々とおかしな所が多く、繋がらなくなっている箇所もあったため、1から設定を見直し要らない箇所を削り、1部書き足すことにしました。
 更新速度も遅くグダグダだったこの話を読んで頂いていた皆様には感謝しかありません。
 現在投稿した話以降はif、番外などを投稿する「ある龍のお話 外伝」とし、「ある龍のお話」本編を別に作り直すことにしました。
 ストックができ次第リメイク版の投稿を再開しようと思います。
 ここまで読んで頂きありがとうございます。
最終回のような後書きですがリメイク版は必ず出します。
 もし興味がありましたらリメイク版もよろしくお願いします。




知ってると想像しやすいかもな設定
レインはフミと比べて体長は20センチ以下なので小さめ。
左利き。



それではまたいつか。


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番外
一目惚れ


平成ももうすぐ終わり。
頑張って書きあげました!
なんだかんだいって結構続いているこの小説(笑)ですが、これからも頑張って完結させますので『令和』でもよろしくお願いします!

...ここまで言っておいてアレなんですが。
幕間です。すみません。



 

 ...どこで間違えたんだろう。

 額に流れる汗も、早鐘を打つ心臓の音も、何もかも。

 俺は身の丈に合わないクエストを受けながらそんなことを考えていた。

 

 

 

 地平線の向こうから太陽が顔を出し始めた頃。

 リオレイア──緑風の舞姫と呼ばれている彼女の一日が始まる。

 

 立ち上がり、両翼を地につけながらぐー、と背伸びをした彼女は続いて両翼をよく広げ、数回羽ばたかせて違和感がないか確認し、尻尾を振る。

 問題がなければ彼女は飛び立っていくのだが...寝ぼけて尾の棘を飛ばしてしまったたらしい。

 幸いなことに棘に毒がまだ蓄積されていなかったのか毒霧は噴出されず、棘は沈黙している。

 それを確認した彼女は地を蹴り飛び立った。

 遅れてやってくる風圧で棘が舞い上がる。

 

 ──予備動作もなく飛び立てるのはあの翼の骨が関係しているのだろうか?

 

 近くに突き刺さった棘を拝借し、ネコタクを呼ぶ。

 彼女はまだしも、片爪とは顔を合わせたくない。

 

 こうして彼女の観察を夕暮れから朝までの間担当しているが...彼女の性格は少々、いや、かなりおかしい気がする。

 大体、巣に立ち入られても威嚇すらしないのはリオレイア...というか雌として大丈夫なのか?

 

 まあ、彼女の代わりを片爪が担当しているのなら納得するが。

 とは言え...口から炎を漏らしながら詰め寄られるのは二度とゴメンだ。

 

 ...そう言えば、彼女はどこかライダーと絆を結んだオトモンと似通った雰囲気のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「ないない。」」」

 

 「ひっでーなぁ!おい!」

 

 ネコタクで帰還し、酒場に溜まっていた飲み仲間(同志)達に先程思いついた考察を話す。

 満場一致で否定されるとさすがに思うところがあるが、こいつらはこいつらの考えがあるというのは分かりきったことだ。

 大体は...

 

 「舞姫様はオトモンだったなどありえない!気高くお美しい舞姫様は高潔な血が──」

 

 「1部のライダーは認めるがそれが舞姫様と関わっているなど笑止!我らが救世主である舞姫様は──」

 

 「舞姫様が元オトモンとでも言いたいの?なんの冗談かな?死ぬ?舞姫様への無礼を働いたとして──」

 

 「前からお前らは頭がおかしか(過激派だ)ったな。」

 

 「「「じゃかましい!!」」」

 

 何故俺は奇人変人ども(過激派)にこの話をしようと思ったのか。

 大体、緑風の舞姫である彼女が幻覚性の毒を使うと木偶の坊(ギルマス)共に思われたのも大体こいつらのせいだろ。

 俺たち愛好家と違って過激派は狂信者が多いからなぁ。

 まあ過激派の働きかけのおかげで飛竜保護団体とも協力関係になれたのは思わぬ収穫だったが。

 

 ....まあ。

 

 「俺もあいつらのこと言えないからなぁ」

 

 「なんか言った?リーダー。」

 

 「いや、なんでも。」

 

 隠れて活動していた愛好家達を集めてたらサークル作られててリーダー扱いされてたし。

 なんか大組織になってるし。

 俺、強くないん( H R 5 )だけどなぁ。

 いや、まじで。

 

 「Gハンがやれよ!!なんか結構いるんだからさぁ!?」

 

 「諦めろ、リーダー。全員あんたが適任って言ってんだ、」

 

 「問題児(過激派)相手するのも俺なんだけど!?軽くGハン混ざってんじゃねぇかよ!?」

 

 「みんなリーダーのことは尊敬してるから痛い目には合わないでしょ?」

 

 「毎日胃が痛いです!!」

 

 勘弁してくれよ。

 おれ、ざこです。

 まだ死にたくないんだよォ!!

 

 「毎日緑風の舞姫さんを拝めるんだからいいじゃないですか」

 

 ──せやな!

 死ぬなら彼女のそばがいい...。

 

 「片爪にとどめ刺されると思うんですけどね。」

 

 「それだけは勘弁したいなHAHAHA...。」

 

 いやまじで。

 

 

 

 ....

 

 ...

 

 ..

 

 

 

 俺が「緑風の舞姫」と出会ったのはまだHR3に上がりたての頃だった。

 ベルナ村にも慣れ、中型モンスターともそこそこ戦えるようになった俺へ村長からクエストが渡された。

 

 思えばあれさえ無ければこんなことにはなっていなかった。

 彼女に、出会うことすら。

 

 村人達がなにやら不穏な話をしていたので万全の準備を整えて挑んだ。

 たかがキノコぐらいで...と思っていたが、着いて仰天、まさかキャンプではなく深い森の中。

 そしてこちらを睨みつける巨大なモンスター。

 紅蓮の甲殻に遠目からでもわかる蒼く大きな尻尾。

 地面に大剣のような尾を叩きつけ、金属のような甲高い咆哮をあげるそれは....

 

 「斬竜...ディノバルド.....ッ」

 

 独自の進化を遂げた獣竜種として報告された「灼熱の刃」とも称される竜だった。

 

 

 

 

 

 「やばいやばいやばいやばいやばいっっ!!」

 

 蜘蛛の巣を突き破り足に絡みつくツタを無理やり引きちぎり倒木を飛び越え走る。

 後ろから追ってくる竜に追いつかれれば最後、噛みつきひとつ、いや、ちょっとした頭突きなどでも死ねる自信がある。

 息が切れ、集中力が切れたところでツタに足を取られ転ぶ。

 その頭上スレスレに鋭い音を立てながらなにかが通り過ぎた。

 頭が悪くてもわかる。

 今まさに通り過ぎたのが斬竜の尻尾だってくらい。

 

 「ああ、くそ、だめだ、にげ...」

 

 背筋が凍りつく。

 直感で身をひねる。

 すぐ横に蒼い尻尾が突き刺さり衝撃に吹き飛ばされた。

 ゴロゴロと胞子にまみれになりながらみっともなく転がっていく。

 受身もそこそこに立ち上がり、走り出そうと1歩進めば頬に熱が走った。

 遅れて、背後から爆音と熱を伴った爆風が衝撃となって俺の体を紙切れかなにかのように吹き飛ばす。

 

 なにをされても抵抗すらできない自分の弱さに泣きたくなったのを覚えている。

 

 雪のように爆風で舞った胞子が降り注ぐ。

 涙で霞む視界、眼前に赤が、

 

 「──ガアアァアアアアアアッ!!!」

 

 風が、通りすぎた。

 硬直する赤が、怯えた色を見せる青が。

 幻想的な空間に、美しい緑が降り立つ。

 

 「──」

 

 言葉が出ない。

 あまりに唐突で、あまりに美しくて。

 

 「──ガアッッ!!」

 

 止まっていた時を動かしたのは、赤。

 体をひねり上から下へ力任せに降り下ろした尻尾を、低く構えていた緑が横へステップして避ける。

 お返しとばかりに噛み付く緑を赤は仰け反って躱し、上から押さえつけるように噛みつこうと──

 

 「ゴァ!?」

 

 ──横から緑の尻尾で殴打され体制を崩す。

 間髪入れず至近距離から緑のブレスが赤の顔面へ叩きつけられた。

 大きく体制を崩し倒れ込む赤へ緑が大きく一歩踏み出す。

 翼を僅かに上げ、頭を、重心を低く構えたその動きは。

 

 「ガアァアアッ!!!」

 

 大きく体を逸らしながら大回転。

 サマーソルト、必殺の一撃。

 立ち上がろうとした赤の顎を砕かんばかりにかち上げ、沈める。

 

 「りお、れいあ....?」

 

 光源に反射して輝く緑の甲殻。

 黒光りする無数の棘。

 俺を真っ直ぐ射抜く赤い瞳は、美しく澄んでいて。

 

 今でもその姿を鮮明に覚えている。

 俺が死ぬその時まで忘れはしないだろう。

 

 早い話...俺は彼女に一目惚れした。

 

 

 

 

 「──...ダー?リーダー!」

 

 「んあ?」

 

 「ちょっとリーダー、しっかりしてよね」

 

 おっと、またあん時のことを考えてた。

 どれだけ時間が経っても薄れない思い出...

 

 「リーダー!」

 

 「痛え!?」

 

 ちょ、お前Gハンだったよな!?

 なんでそんな殴るんだよ!

 俺の頭がトマトみたいになったらどうすんだ!

 

 「今のはリーダーが悪いですよ」

 

 「HR上げ手伝うって言ってんのになにぼーとしてんのよ!」

 

 oh......まさかGハン付き添いのもとHR上げですと?

 ....控えめに言って地獄だ。

 

 「私もまだ上がりたてだけどね?」

 

 「そうですよ、僕達はまだ上位ハンターから抜け出してないですって。」

 

 「えぇ...」

 

 どっちにしろ俺には無理そうだが。

 装備だけならすでにGハン並。

 だけどそれに技量が追いつかなければ死ぬ。

 今までも散々な目にあって(あわされて)きたが...

 

 「帰りたい...」

 

 「一応言っておきますがリーダーが緑風の舞姫さんの監視をできるのは特例なんですよ?もっと自覚を持ってもらわないと。」

 

 「彼女はG3指定なんだろ?俺はGハンになれる気がしねぇよ....」

 

 「私たちがいるから大丈夫...と言いたいところだけど、今度HR解放済みの先輩も連れてくるから、ね?それまで私たちとG級まで行きましょ?」

 

 「勘弁してくれ....」

 

 まじで....俺はどこで間違えた!?

 

 




今話は「緑風の舞姫」に一目惚れしたとあるハンターのお話でした!
皆さんご存知あのトラウマクエストですよ!
私は手汗でDS滑らせながら1乙クリアしました。
....キャンプまで戻るのがめんどくさかったんですよ。はい。

次回から2章となっていきますのでよろしくお願いします!
2章始めは人物紹介からなんですけどね。
それでは皆様、次の更新までさようなら。
楽しいGWをお過ごしください。


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騒ぎの後で

お久しぶりです...(開幕土下座)
文字数が...伸びぬ....なぜだ(サボりすg((殴
忙しすぎて(自業自得)アイスボーンのMR上げで力尽きたので投稿しときます。
微シリアスだよ(シリアス大好きマン)


 

 魔境とも称される孤島の夜。

 打ち寄せる波と輝く満月を背景に、白い少女が1人、海岸の岩に腰かけていた。

 髪、肌、あげくに服まで真っ白な少女は、波のかからない場所に座り足元の砂が流されていくのを血のように赤い目で見つめている。

 強い風が少女の髪を揺らした。

 

 

 「来るなら来るって言ってくれればよかったのに...シアラもヴォルトもライズも帰っちゃったよ?」

 

 

 柔らかく、おっとりした声に少女は振り返った。

 と、同時に思わずと行った様子で吹き出した。

 

 

 「あ、酷い!」

 

 

 声を上げたのは腰に手を当てて怒ってます、とアピールする女性。

 ぷんぷんっという音が聞こえそうな顔で女性は怒る。

 それを見ながら少女は口を開いた。

 

 

 「別にいいよー。私はちょっと気になることがあってきただけだから♪

 それに他の子は怖がっちゃうだろうしね。」

 

 「確かにライズは無理かもねー」

 

 

 あはは、と女性が笑う。

 綺麗な緑色の長髪が、月明かりを反射し紫色に光った。

 警戒、恐怖もなく笑う女性を見て、やっぱり変わらないなと少女は呟いた。

 

 そもそも古龍の中でも最上位とされる"禁忌"と対等に会話が出来ること自体がおかしいのだ。

 黄色の瞳からは知性を感じられるし、怯えている様子もない。

 ふんわりとした雰囲気からは想像しにくいが相当胆力があるのかもしれない。

 初対面の時はとても驚いた。

 古龍にも匹敵するほどの覇気を纏うようになった友達に少女は嬉しくなる。

 

 

 「また強くなったね♪今なら長く生きていない古龍なら楽勝じゃない?」

 

 「そんな〜!

 うーん...でもルーちゃんは間違えないからなー」

 

 

 相変わらず何も考えてなさそうな表情からは強者特有の威圧感を感じない。

 ...出会った時はちょうど半分くらいの大きさだったのに。

 

 

 「どうしたの?」

 

 「んー?いや、みどりは変わらないなーって。」

 

 

 竜らしくないというか、と最後に付け足す。

 女性...みどりは特に気にした様子はなく、どこか遠くを見つめた。

 

 

 「まあ、確かに他とは違うなーとは思ってたよ?」

 

 

 間延びした言葉に少女は目をキラッと光らせて食いついた。

 元から変わっていると思っていた。

 今こそ秘密を知るとき!

 

 

 「そう!そこ!みどりは他の竜とは違うの!なんでなの?」

 

 

 知能指数が随分下がったような質問にみどりは目を見開く。

 キラキラと眩しい光を放つ赤い目にずいっとよられ、押され気味に座り込む。

 隣に座った少女の好奇心が隠しきれない顔にみどりはゆっくりと話し出した。

 

 

 「私のお母さんは凶暴化しちゃってハンターに討伐されたの──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日はとても暗くて、豹変したお母さんの唸り声と、雷の音だけが響いていて。

 見つからないように、じっと、岩陰に隠れていた。

 ...雷の音が遠くなって、だけど空は暗いままで。

 

 

 「──ォォォオオォ......」

 

 

 風の音と思うほど、小さな声だったけど、それがお母さんのお別れの言葉だって理解して。

 思わず、隠れていた洞窟から飛び出して、声が聞こえた方向に走った。

 きっと、ハンターがいると思うけど、その時はただ、お母さんに会いたかった。

 

 空は真っ暗で、雨が降り出していた。

 お母さんの元にたどり着くまでに、わたしはびしょ濡れになって体が凍えたけど、それでもたどり着いた。

 

 ──お母さんは、とても綺麗な姿で眠っていた。

 

 いつも優しかったお母さんに戻っていた。

 

 わたしは少し大きな顔に抱きついて、お別れの挨拶をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うそ.....」

 

 

 カラン、という乾いた音と震えた声にわたしは振り返った。

 2本足で立っていて、モンスターの匂いが混じった鎧と武器。

 ハンターが、わたしをみて固まっていた。

 

 逃げなきゃ。

 

 そう思ったのに動けなかった。

 ここまでずっと走ってきて、雨にも打たれて。

 もう、動けそうになかった。

 わたしはただ、ブルブルと震えながらハンターを見上げることしか出来なくて。

 

 

 「凶暴化したリオレイアは、雛や卵も認識できなくなるんじゃ...だったら、なんで」

 

 

 ハンターはそう言うと座り込んだ。

 獲物をとったら、嬉しいはずなのに、そのハンターは悲しそうだった。

 

 気づけば、わたしはハンターの元までフラフラと歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ハンターは、お母さんが言うみたいに悪いものばかりじゃないと、私は思ったの。だって、その人泣いてたんだもん。」

 

 「みどりの過去にそんなことがあったなんてね。確かに人間に影響されて変わる竜もいるし...」

 

 

 それにしても、と少女は呟く。

 みどりは不思議そうな顔をして少女を覗き込んだ。

 

 

 「ん?...ああ、大したことじゃないんだけどね。

 どうして、みどりのお母さんは正気に戻ったんだろうって。」

 

 「んー...私にも、わからないかなー。」

 

 

 難しそうに顔を顰めていたみどりは、星を見上げて笑った。

 

 

 「でもね、それがお母さんの愛だったら凄いなって」

 

 「そうだね...」

 

 

 つられて星を見上げた少女の目に流れ星が映った。

 

 

 ....

 

 ...

 

 ..

 

 

 

 「あれ?みどりがここにいるってことは討伐されなかったんだよね。でも、私と会った時には人間の姿を見なかったし、匂いもしなかったと思うけど....」

 

 「そのハンターはね、近くの村のハンターだったんだ。それで私にもよく会いに来てくれてたんだけど...」

 

 

 ふと、みどりの言葉が切れる。

 少女は何となくみどりをみて、後悔した。

 その顔はとても悲しげな顔をしていて。

 

 

 「長くは生きられない病気にかかってたの。」

 

 

 悲しげに笑うみどりはどこか遠くを見ていた。

 少女は軽い気持ちで聞いたことを後悔した。

 あまりに、悲しすぎる。

 少女が泣きそうな顔をしていることに気がついたみどりは、大丈夫だよと笑いかけた。

 

 

 「だけどね」

 

 「そのハンターは、強かったよ。」

 

 「私にたくさんのことを教えてくれた。」

 

 「私の名前だって、彼女が付けてくれたの。」

 

 「人の言葉がわかるようになったのも」

 

 「周りより少し強いのも」

 

 「全部、あの人のおかげだよ。」

 

 

 少しだけ震えた声でしかしはっきりとみどりは言いきった。

 その姿に少女は気付かされた。

 私はみどりという特別な竜を、友人を侮っていたのかもしれない。

 100年すら生きられない竜が、永遠にも思える時を過ごす私に叶うはずがないと、たかを括っていた。

 たが....この竜は、私が何もしていなかった年数ほどしか生きていないのに、その内面はとても強い。

 知れば知るほど彼女の素晴らしさに気付かされるとは。

 

 

 「...みどりは強いんだね」

 

 「そうかな?えへへ...嬉しいな」

 

 「私も負けてられなんぞー!」

 

 「それ以上強くなってどうするの〜」

 

 「....誰も私には逆らえまい?ドヤァ」

 

 「なにそれ〜!」

 

 

 楽しげに揺れるふたつの影。

 美しく輝く満月を背景にドヤ顔をキメる少女とそれを見て笑う女性。

 

 ああ、願わくばずっとこのままで...。

 少女は変わり者の竜を見つめながらそんなことを思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 「うーん...火竜の雛なんてどう育てればいいんだろ?」

 

 

 本当に困った。

 モンスターを育てるなんてそんな物好きは居ないだろうし、そもそも巣から卵を盗みだすこと自体が危険。

 というかなんで懐いちゃったんだろこの雛。

 

  

 「ギュー?」

 

 「これは困った...村の人達は受け入れないだろうし(多分焼いて食べるよね..)私は....うーん。」

 

 

 首かしげるなんて反則っ!!

 可愛すぎるでしょなんでこんなに可愛いの?

 というか私親の仇だよ?なんでそんなに懐くんだい?

 ...もう、好きにしてもいいのかなー。

 弟子くんはそこそこ戦えてるから私が戻らなくてもなんとかなるだろうし。

 

 

 「ギャ!グゥウー?」

 

 「あー、わかった、わかったよ!私が今日からお母さん!」

 

 「ギャッ!」

 

 

 うーん、言葉が通じてるの?これ。

 ...今、気がついたけど。

 なんで狂気化したリオレイアと、この雛の翼の骨、1本多いんだろ。

 ....。

 

 

 「私は何も見なかった。うん。ギルドには討伐と引退を報告しよう。そうしよう。」

 

 「ヴー」

 

 「...君、鳴き声のレパートリー多いね?」

 

 「ギャウッギャッグッ、グー」

 

 「...やっぱり、モンスターって頭いいんじゃないかな。」

 

 

 多分、考察とか書いたら面倒なことになる気がする。

 

 

 ○月□日

 

 凶暴化したリオレイアを討伐した。

 ギルドに亡骸を預け、私は残ることにした。

 彼女の子供(多分)が生き残っていたから。

 どうして子供を持ったリオレイアが凶暴化したのか。

 学者たちなら分かるのかな。

 

 とにかくこの子には幸せになってもらおう。

 私が死ぬまでには大きくなっているだろうから、それまではこの子のお母さんでいよう。

 

 私は自分の子...

 ──日記下部は塗りつぶされている。

 




時間開きすぎて頭がパーになってる(通常運転)
あとスマホ投稿誤タップ多すぎて辛い。
さて、今回はみどりさんの過去チラ見せ回的な何かでした。
みどりさんはそのハンターに憧れていたので姿はそっくり(色は違う)

あと影から見守っていたヴュールはもれなく尊死しました(生きてます)



リメイクつくるの難しすぎて死にそう(コナミ)
時間かせゴホッゴホッ参考として番外次何読みたいですかアンケをします!

モンスターズは
シアラ、ライズ、ヴォルトの話
リカー、テンのどっちかの話
お姉様(バドル)、お兄様(イルム)のどっちかの話
のどれかになるはず。(シリアスがないとは言って)ないです。


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お姉ちゃん争奪戦、あるいは弟妹会議

Q リメイクまだ?

A あと1年くらい待って

やる気のない作者のクズ。
投稿している自覚がないと書こうとも思わなかったので番外投稿頑張ります


 

 命溢れる弱肉強食の舞台、孤島────

 

 ──から、いくらか離れたこじんまりとした無人島。

 小さいとはいえ、平均よりは少し大きいその島に3頭の竜が集っていた。

 竜たちはそれぞれ持っていたキノコを食べると瞬く間に人間の姿に変貌する。全員が人の姿になったのを確認し、真っ先に口を開いたのは海を閉じ込めたような青色の髪を低い位置で括った仏頂面の美丈夫。

 

 

 「改めて名乗ろう。ヴォルトだ。種族は海竜種、この海域を縄張りとしている。」

 

 

 「シアラだよ〜!セルレギオス!縄張りは...ない!!」

 

 

 「ガララアジャラのライズです...。原生林に住んでます...。」

 

 

 ヴォルトに続いてボーイッシュな金髪の女の子...シアラが紫寄りのピンク色の目を輝かせて手を挙げながら自己紹介する。最後に濃い黄緑色の髪の少年...ライズがおずおずと自己紹介した。

 ヴォルトは2人を改めて見、実力がほとんど変わらないことを感じ取る。なお、ヴォルトに目を向けられた瞬間シアラは好戦的に笑い、ライズは「ヒッ」っと声を上げた。

 

 

 「今回お前たちを呼んだのは、お互いをある程度理解し合うためだ。」

 

 

 実力を含めてな、とヴォルトが続けた途端、シアラを中心に気温が上昇する。

 

 

 「....へぇ」

 

 

 先程までの無邪気な顔は消え、獰猛な顔でシアラは嗤う。狭められた瞳孔が気持ちの昂りを表していた。

 

 ...笑みに当てられたライズは一瞬のうちに島の端まで退散した。

 

 ライズに参加の意思なしと判断したヴォルトはシアラと向き合う。黄色の目に静かな闘志を宿して。

 

 

 「ただし、本来の力で戦うにはこの島は小さすぎる。よって、擬人化(この姿)で戦う。無論、命を奪うことは禁ずる。」

 

 

 「わかった!

 

 ...間違って殺しちゃったら、ごめんね?」

 

 

 シアラが地を蹴る。刹那、爆発。

 轟音が連続して響き渡り、余波で木々が根こそぎ吹き飛ぶ。熱が地を焦がし、雷撃が地を穿つ。互いに擬人化という枷をつけながらも、人の域を脱する力を存分に撃ち合う。

 

 その戦いをライズは震えながらも冷静に観察していた。精神が追いついていなくても、ライズはシアラやヴォルトと同格の強さを持っている。余波の熱や散った雷撃程度では擬人化をしていようとも傷つきようがない。

 ...とは言え、熱や雷撃が当たる度に大袈裟なほど反応するのだが。

 

 (なんでこんなに本気でやってるんだ....)

 

 シアラは拳で、ヴォルトは大剣で。互いに得意な武器を使い、時に炎を、時に雷を混ぜて戦う。その様はライズから見ても本気でぶつかり合っているのがわかった。

 

 ライズは命を優先するため理解できないが、ヴォルトとシアラにとって実力は最優先事項と言っても過言ではない。

 

 

 ──全ては、敬愛する姉様(あねさま)のため。

 

 ──いちばん強い竜がお姉ちゃんのいちばん!!

 

 

 少しだけ考えは違えど、ヴォルトもシアラも思うことは同じ。

 

 即ち...夫と子供を除き、みどりの1番になりたい。

 

 モンスターの価値観は単純だ。強いものが上で、弱いものが下、悪ければ死ぬ。だからこそ、弟妹であっても負けられない。

 

 島の動植物が凄まじい勢いで死滅した行く中、変化は思わぬところから訪れる。

 

 後にこのことを聞くと、ヴォルトとシアラは目を逸らして言う───

 

 ───不運が重なった、と。

 

 

 不幸だったのは、2人は戦いに夢中で周りが見えていなかったこと。本気で相手を倒すべく、属性攻撃(炎や雷)を使っていたこと。

 なにより.....張本人(ライズ)が恐怖で固まり動けなかったこと。

 

 

 「あっ」

 

 

 誰が出しただろうか。

 そんな間抜けな声とともにライズの意識は暗転した。

 

 

 

〜Now Loading...?〜

 

 

 ゆらり、と。

 至近距離でヴォルトとシアラの攻撃──2人はズラした──が炸裂し、吹き飛んだライズが立ち上がる。

 不意打ちではなかった。ライズは攻撃を見ていたが避けられなかった。衝撃を受け流す体制は取れていた───

 そんな言い訳がヴォルトの脳内をグルグルと回る。

 

 (やってしまった...。)

 

 熱を入れすぎた。急激に脳の温度が下がる。

 氷海を泳いだときのように、体が冷える。

 

 (はやく、手当をーーー)

 

 

 「避けてッ!!」

 

 

 咄嗟の判断だった。反射的に体を傾ける。

 先程までの首があった位置をなにかが通り過ぎた。それを理解している間に体が引かれ、さらに後ろへたたらを踏む。

 

 (ーーなんだ?なにが起きた?)

 

 

 「...酷いよ、姉ちゃん。

 

 ーー邪魔するなんて。」

 

 

 酷く、抑揚に欠けた声が耳朶を叩く。ヴォルトの腕を引いて下がっていたシアラが、苦虫を100匹ほど噛んだような顔をして「やっちゃた」と呟いた。

 ヴォルトは、今しがた起こり、現在も続く状況に理解が追いつかない。

 

 (目の前に立っているのはなんだ)

 

 

 「僕は兄ちゃんと遊びたいのに。」

 

 

 (こいつは、ライズなのか?)

 

 ハンターの持つような剥ぎ取り用ナイフを振って、歪な笑みを浮かべているのは、

 

 

 「...キール、久しぶりだね」

 

 

 ライズと呼ばれていたはずの少年だった。

 

 

 

〜Now Loading...〜

 

 

 

 「キー...ル?ライズではないのか?」

 

 

 ガンガンと警鐘を鳴らす本能に戦慄しながら、ヴォルトは絞り出すように尋ねた。シアラは先程から引きつった笑みで冷や汗を滝のように流している。

 キールと呼ばれた少年はこてりと首をかしげ、シアラの顔を見て合点したような顔をした。無表情で。

 

 

 「兄様からなにも聞いていないの?(ねえ)さまは...多分言ってないことを忘れてたのかな。

 でも、姉ちゃんまで僕のことを言ってないなんて...傷つくよ。」

 

 

 「あ、はは...ヴォルトとは、あったばかりなんだよ...!」

 

 

 びくりと体を震わせ、目を泳がせながらシアラは答える。

 

 ──いや、それで納得するわけないだろう。

 ヴォルトは心の中で冷静にツッコミを入れた。

 

 

 「...そっか。なら自己紹介するよ。

 僕が姉さまから貰った名前はキール。よろしくね?兄ちゃん。」

 

 「...ヴォルトだ。」

 

 

 嘘だとわかっているのか、キールは表情を動かさないまま自己紹介をした。

 シアラはぶるりと体を震わせる。サブイボがたった。

 互いに自己紹介できたことが満足なのか、キールはうんうんと頷いた。

 

 

 「あー...キール、そのナイフ、どうしたの?前は持ってなかったよね?」

 

 「.......戦利品。」

 

 

 長い沈黙から一言。

 シアラは確信した。また(・・)こいつ人殺したな、と。念には念を込めて確認する。....十中八九、殺しているだろうが。

 

 

 「人間は殺したの?」

 

 「........尻尾で叩いたら落ちてった。

 弱っちいのに、剣向けてきたから。」

 

 

 キールは無表情を若干崩し、ボソボソと言い訳する。

 あれ?これは勝てるのでは?シアラは思った。いくらキールが子供でも、自分より弱い相手を殺したことは気にかけているのかもしれない。

 

 

 「ねぇ、キールーー」

 

 「ガアアアッ!!!」

 

 

 突如、怒りに包まれた咆哮が響き渡る。声の主はこの島を寝床としていたルドロスの群れだ。寝床を荒らされた彼女らが怒るのは当然のことだろう。ただ、相手が悪かった。

 

 

 「うるさいんだけど。」

 

 

 たった一言。咆哮が響く中、キールは呟く。いつ取りだしたのか、鈍く光る赤黒い弓を引き絞っている。殺意に揺れる錆色の目がルドロスの群れを睨み付けた。

 

 

 「今、姉ちゃんが話していただろ。」

 

 

 キリキリと、ハンターの引く力にも耐えられるはずの弓が軋む。

 

 

 「邪魔。」

 

 

 限界まで引き絞られた殺意が開放される。

 番えられた矢は1本。竜をも穿つその矢は直線状の障害物(ルドロス達)を射抜き、遠くの沖で大きな水柱をおこした。

 遅れて、轟音。音速を越す矢から生まれた摩擦熱で炎が生まれ、ソニックブームが大地を抉りとった。

 

 

 「消えるなら許してあげる。」

 

 

 一撃で群れの大半を消し飛ばしたキールは、運良く生き残ったルドロス達を睨み殺気を乗せて言う。

 

 (攻撃前にそれを言え)

 

 我先にと逃げ帰るルドロス達を睨み、焼けた地面をグリグリと踏むキールを見ながらヴォルトは戦慄しつつ心の中でつっこむ。いつの間にか隣に来ていたシアラが真顔になったのを見て、いよいよ事の重大さが理解出来てきた。

 

 (シアラがこうなる真顔(こうなる)ということは気持ちが落ち込んだ時、もしくはーー)

 

 とてつもなく面倒なことが起こった時。

 

 

 「邪魔なのもいなくなって綺麗になったね。」

 

 

 くるりと振り向いたキールは、心底嬉しそうに笑う。その笑みが悪魔の微笑みに見えるのは果たして気の所為なのだろうか。

 

 

 「それじゃぁ、遊ぼ?」

 

 

 相手してよ。兄ちゃん。

 

 

 

 

 ──それから日付を2つほど跨いで、その間に島は岩山のような有様になり、孤島に舞台を移そうとした2頭は煌炎帝により丸焼きにされかけた。

 

 勝敗は最後までつかず、ヴォルトは火傷と毒で、ライズは火傷と痺れで、シアラは説教で苦しんだ。

 

 

 




〜多分本編で語れないからここに置いとこうのコーナー〜
 
3(4)頭の強さ比較(現時点)
 
 シアラ≧ヴォルト=(キール)>ライズ
 
将来(完全成長)
 
 キール>シアラ≧ヴォルト≧ライズ
 
精神年齢
 
 ヴォルト>ライズ>シアラ>キール
 
 シアラ···戦闘センスが飛び抜けて高く、それにあった身体能力の高さも比例して現時点最強。
 
 ヴォルト···成長しきれば希少種並みの電気を扱える。技術力は高く、物理属性共に圧倒的な攻撃力を持っていて、属性相性のいいシアラにたまに勝てる。
 
 ライズ···身体スペックがチートなのに気持ちが伴っていない。本気出せば強い。
 
 キール···全ての能力がチート級に高い。毒や麻痺で絡め技などを使う反面、スピードと攻撃力も高いため一瞬で狩られる危険がある。
 
 シアラは今のところいちばん強いですが、既にキールと戦うことが嫌になるくらいにはキールも強い。純粋にぶつかり合っている感じがするヴォルトとは結構戦うかも。
 
 ヴォルトは意外と戦うのが好きで、売られた喧嘩は買う。ただ何気ない日常というのも好きなのでギルドからは特殊許可扱いになっている。
 
 ライズとキールは双子。卵の中で成長している途中にキールはライズに吸収された。そのためライズの体にキールも宿ったいわゆる二重人格のようになっているが主人格はライズである。ライズ(キール)の体は通常の臓器を1とすると2ある。つまり2倍。心臓と肺、脳の比率が2。
 
 キールは全てのステータスがカンストしているような状態。ただし、精神年齢が幼いまま成長しないのでその面では不安定。通常個体を遥かに凌駕する身体スペックはラージャンを一方的に転がせるくらいには強い。キール相手に立回るさいはカウンターを狙うしかない。
 
キールが家族に使う呼び方
 みどり···姉様(アネサマ)
 ヴュール···兄さん(ニイサン)
 ライズ···兄様(アニサマ)
 シアラ···姉ちゃん(ねえちゃん)
 ヴォルト···兄ちゃん(にいちゃん)
 
擬人化時の姿について
 それぞれ自身の鱗などを変化させて身に纏う。大体視野が狭まるのが嫌なので頭装備は取っていることが多い。アレンジが入っている。武器に関しては生成できない。ハンターの振りをしたり(ヴォルト)そのまま突撃したり(シアラ)ハンターから奪ったり(キール)する。
 
ヴォルト「この素材で大剣を作ってもらいたい。」
鍛冶屋「なんじゃこの素材はァ!?」(超爆速生成)
 
シアラ「武器作って〜!」
鍛冶屋「なんだコイツ!?」(脅されて作った)
 
キール「あっ....死んじゃった。なんか使えるのあるかな」(死体漁り)
 
使用武器
 ヴォルト···大剣
 シアラ···ナックル(殴る)
 ライズ···戦わずに逃げるか擬人化を解除する
 キール···弓:衝弓【虎穿】改(死体漁り)
 


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