秘封先導鉄 (”蒼龍”)
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ハジマリ
序章「秘封倶楽部にようこそ」
何度か構想していた話が頭の中で纏まったので、少しばかりお付き合い下さい。
この物語の主人公は秘封倶楽部となりますが、『鉄』の文字がありますのでその成分が嫌いな方はブラウザバックをお願い致します。
なお、現在一般公開中の他作品に関しましては後書きにてお話しします。
ーーー暗い、見えない、聞こえない、分からない、近付けない、触れられない、感じない。
モノクロの少女は真っ黒塗りの少女に走り、手を伸ばし、叫び、涙を流す。
ーーーしかし、真っ黒塗りの少女は聞こえない声で何かを呟き、深い闇の中に堕ちて行く。
モノクロはそれをただひたすら追い掛け、追い掛け、追い掛けて行くが距離は縮まらずに離されて行く。
ーーーそして、モノクロの少女は何も掴めないまま転び、真っ黒塗りの少女は見えなくなった。
真っ黒塗りの少女を見失ったモノクロの少女は、無音状態の中で見失った少女………たった一人の親友の名を木霊させる…………。
「…………はっ!!?」
自らの自室のベッド、人間の肉体にとっての安息である睡眠を取る家具の上でモノクロの少女…………『宇佐見蓮子』は目覚めた。
それも、悪夢で魘された上に汗を掻いて気分も悪いと言う最悪の状態で。
そしてその悪夢は自分の記憶に鮮明に残り、嫌な気分をより確固たるものにする。
「…………嫌な夢…………」
ベッドの上でそう一言だけ呟き、悪夢を直ぐに忘れようとそのまま起き上がりパジャマから普段着に着替えて自室からリビングに行き、簡単な朝ご飯(トーストとスクランブルエッグ)を食べ、通っている大学へと足を運ぶ。
自分の相方で親友の…………真っ黒塗りの少女の姿を見る為に。
家を出た蓮子はいつもの通学路にて見知った顔を見かける。
それは悪夢に出て来た親友の真っ黒塗りの少女………『マエリベリー・ハーン』、メリーその人だ。
蓮子は直ぐに駆け寄ろうとするが一瞬、あの悪夢の内容が頭を過る。
自分が幾ら駆け寄ろうと、幾ら手を伸ばしても届かずにメリーが消えると言うあの悪夢が。
しかし、所詮は夢だと片付け頭から悪夢を振り払いメリーに駆け寄った。
「おはよう、メリー!」
「おはよう、蓮子………?
蓮子、貴女顔色が良くないわよ?」
「えっ?」
メリーに何時もの様に声を掛けた蓮子だったが、親友たるメリーは蓮子を一目見て顔色が良くないと口に出す。
顔色が良くないのは勿論先程頭を過ぎったあの悪夢の所為である事は明白である。
その顔色を一目で見分けるメリーにさすが親友と思った蓮子。
そんな彼女に悪夢の内容は全てを話さずぼかして伝えようと口を開く。
「あ〜そうなんだよね〜、この秘封倶楽部部長にして才色兼備文武両道、道行く男共は皆私に注目するこの完璧美少女蓮子ちゃんともあろう者が嫌な夢を見てバッドモーニング状態なんだよね〜」
「あらそう、貴女みたいに頭スカスカで能天気でおバカな子街道まっしぐらな蓮子でもそんな事があるのね〜w」
「ちょっ⁉︎Σ(゚д゚lll)
メリーさん私は頭スカスカでも能天気でもおバカ街道まっしぐらでもなく才色兼備にして文武両道、道行く男共は「あーはいはい、遅刻するから早く行くわよおバカ蓮子」あっ⁉︎
メリー待ってよまだ話は〜…………」
メリーと話したおかげで何時もの調子を取り戻した蓮子は、何時ものマシンガントークをメリーに浴びせるが、そのメリーは微妙に鋭い言葉のナイフで茶々を入れた上に走って先に大学へ行こうとしていた。
そんなメリーを追って蓮子は慌てて、しかし何時もの他愛無い会話を走りながらも交わし何の曇りもない笑顔を二人は浮かべていた。
そして、そのまま大学に行くのであった。
「成る程、あれが宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン………秘封倶楽部、運命の…………」
しかし、それを背後側にある木の陰から見ている少し身長が低い青年の存在に気が付かないまま……………。
午前の講義を終えた二人は昼休みに集合場所と決めてる喫茶店に入り、これまた他愛のない会話を交わしていた。
「………と言うわけで、その怪異の全貌を我ら不良オカルトサークル『秘封倶楽部』は暴こうと思うんだけどどうかな?」
「うん、良いわね。
最近アテが外れた物ばかりだったから漸くマトモな怪異が出て来て私としても是非暴いてやりたいわ」
「よし、じゃあ今日の夜にでも「失礼、ここに座っても良いかな?」………まぁ、勝手にどうぞ」
蓮子とメリーは自分達が結成したサークル、秘封倶楽部の活動について話し合い、今日の夜に目的地に向かおうと決めようとした所、記憶力の良い二人が大学内でも見た事の無い、見知らぬ青い瞳とマロン色のミドルヘアーのやや低身長の青年が隣に座って良いかと尋ね、蓮子が少々顔をしかめつつも了承するとメリーの隣に青年が座る。
二人はこの見知らぬ青年に少々警戒してると青年は口を開く。
「突然の来訪にすまない。
僕は今日大学に編入した所でね、交友関係も何もかもが0の状態なんだ。
そこで、何かサークルに参加しようかと思っていた所に不良オカルトサークルなる物があると聞いてね。
興味が湧いたので可能なら参加出来ないかと君達を探す為にカカッととんずらを使って偶然にも普通ならまだつかない時間に来た訳なんだ」
「(カカッ………とんずら?)は、はぁ…………ふっふっふ、秘封倶楽部に入りたいと………?」
蓮子とメリーは青年の話に要点を纏め、『今日編入したばかりの新顔で秘封倶楽部の噂を聞いたので自分達を探していたが、土地勘が無いので迷った挙句此処に偶然此処に行き着き話をする為に隣に座った』と言う情報が分かった。
一応メリーは青年の話に嘘がないかを簡単に確かめてみたが、メリーには青年が嘘を言っているとは思えず蓮子もメリーの表情からそれを察した。
そして、秘封倶楽部に入りたいと言うのが真実と分かると蓮子は不敵な笑みを浮かべて青年を見やった。
「この不良オカルトサークル、秘封倶楽部は才色兼備文武両道、道行く男共は皆私に注目する完璧美少女蓮子ちゃんと、その相方にして大親友で私と同じ位美少女なメリーとが牛耳る謂わば絶対不可侵の領域!
其処に入ろうものならそれなりの対価…………妙な能力かオカルトアイテムでも貢がなきゃダメダメよ〜ん‼︎」
蓮子は青年に他人からは超ウザい、自分では完璧美少女的な顔と口調で二本の人差し指を指しつつ話す。
これに対し青年は少し引き気味になりながらも「はぁ…」と相槌を打つ。
するとメリーが青年に普通に話し掛けて来る。
「ゴメンね、あのおバカの言う通り「ちょっ、メリーさんΣ(゚д゚lll)」この秘封倶楽部は私達二人が結成したサークルで、他の人を入れようにもオカルトに寛容的で且つ何らかの妙な能力かオカルトアイテムでも無いと入れさせる事が出来ない………まあ適性試験的な物があると思って構わないわ」
「適性試験………ふむ、確かに能力は無いですがオカルトには寛容的ですね。
それと………」
メリーの言葉に青年はそう答えると持って来たリュックサックの中を漁り始め、中からカードケースが9個と筆記用具にノート(教科書は置き勉らしい)、そして何だか嫌な雰囲気を纏ったそれなりに分厚い黒い本を取り出した。
「…………あの〜、付かぬ事をお聞きしますがこれは一体………?」
メリーが恐る恐るその本が何なのかを青年と少女に問う。
すると青年はその本を見ながら流す様に答える。
「ああこれ、最近文献を漁って漁って漁り抜いた上で何処にあるのか予想を立てて漸く見つけた魔導書『ネクロノミコン』です。
無論中身は確認済みですが、見たらSAN値直葬待った無しですから見ない方が身の為です」
『………………………( ゚д゚)ポカーン』
蓮子達は自分らの隣に居る青年が戦利品として出した品が魔導書、しかもクトゥルフ神話などで有名なSAN値直葬魔導書であるネクロノミコンだと言うのに驚きを隠せなかった。
否、とても信じられる内容じゃなかった。
何故ならクトゥルフ神話とはあくまでもコズミックホラー、人間では如何しようもない宇宙的恐怖とそれに纏わる地球外より飛来した邪神と配下達を題材にした創作上の神話であり、現実に存在する訳では無いのだ。
「……これが偽物かって表情をしてますね?
そもそもこれはギリシャの写本であってオリジナルの『アル・アジフ』ではないから『偽物ではないけどオリジナルのコピー』、不完全本です。
まあそれを偽物って言うならそうかもしれませんが」
「は、はぁ…………まさか碌でもない本を持ち歩くなんてどんな神経してんの貴方」
「下手に保管して盗まれて悪用されて邪神を呼ばれるよりも安全且つ迷惑にはならないと思うんだが?」
そんな会話を他の人に聞かれない様に小声で話す蓮子達と青年。
この青年の会話の内容に確かに邪神を呼び出す術が書かれた魔導書を利用されてしまう位なら自身の肌身離さず持ってた方が安全だと妙な納得を得てしまう。
そして、魔導書を見つけたと言う実績と非常識への飽くなき探究心を持つこの青年は秘封倶楽部に参加する資格を持っていると確信する蓮子達は互いに見やり、一度頷いたら蓮子は青年に握手を求めた。
それを見た青年は手を取り握手を交わす。
「貴方達の探究心に感心したわ、秘封倶楽部へようこそ。
改めて私は部長の宇佐見蓮子、こっちは親友で副部長のマエリベリー・ハーンよ」
「どうやら参加を認めてくれるみたいですね、では…………初めまして部長、副部長。
僕は『シャドウ』と言います、以後よろしく頼みます」
こうして蓮子とメリーは青年、シャドウを秘封倶楽部に受け入れた。
この行動が如何なる結果を齎すかはまだ分からないが、蓮子は不思議とシャドウから新たな非常識の謎が舞い込んで来ると感じ、メリーも蓮子と同じ様な事を感じたのであった。
そしてその夜、蓮子が仕入れて来た怪異の噂を確かめに行くが、それがガセネタだと知り肩透かしを食らうが、新メンバーを加えた秘封倶楽部の日常はここから回るのである。
夜中の3時、新月の為月光が無い不気味な暗さを醸し出す暗夜の廃棄にて、ランタンの小さな光が灯る中で『カードファイト‼︎ヴァンガード』と言うカードゲームをする二人が居た。
一人はフードを被った人物…………声と低い身長からすると女性だと断定出来る人物と、もう一人は鋭い目付きでフードの人物を睨む青い瞳とマロン色のミドルヘアーが特徴のやや低身長の青年…………そう、昼頃に秘封倶楽部に入った青年、『シャドウ』がカードファイトを行なっていた。
フードの人物:布陣
ヘスペリス ミネルヴァ カモミール
R アメノホアカリ メリッサ
ダメージ:3/6
シャドウ:布陣
ガタリヲ ヲクシズ ヱッダ
グヰム ガノヱク ヱディ
ダメージ:5/6
「くっ、何故だ!
お主と我らの目的は同じでは無いのか⁉︎」
「…………ファイナルターン………ドロー。
『
ヲクシズのパワーを+10000し、ヲクシズでアタック………ダブルクリティカルトリガーゲット、ヲクシズに全て付与し………終わりだ」
フードの人物が慌てふためく中、『シャドウ』のヴァンガードのスキルで相手ヴァンガードのパワーは0になり、フードの人物はパワー21000を防ぎ切れずそのままダブルクリティカルで敗北した。
フードの人物は俯きながらそのフードの中にあるグレーの瞳で『シャドウ』を睨み、それに対し『シャドウ』は意に介さずデッキをしまい、指を軽く鳴らすとフードの人物の足元に黒い穴が開きフードの人物は落ちそうになり穴の端を手で掴み踏ん張る。
「く、くう………お主、いずれ後悔するぞ!
我らに牙を剥く事、それ即ち世界に仇なす事!
それを理解しての狼藉か‼︎」
「………俺の目的はただ一つ、その目的はお前達と相容れない物。
ならば後悔はしない…………時間だ、消えろ」
二人は短く会話のドッジボールをすると黒い穴が更に大きくなりフードの人物はそのまま暗闇の中に落ちて行った。
それを淡々と見ていた『シャドウ』はそのまま振り返り、廃ビルのから外に出て夜の街の中に足を運ぶ。
「………そう、目的はただ一つ。
その為にならば、俺は………」
『シャドウ』はそう小さく呟き、その瞳に強い意志を秘め、ただ目的を達成する為にその足を進めて行った。
例えそれが、誰にも理解されない孤独な道だったとしても…………。
閲覧ありがとうございました。
さて、前書きにもありました様に一般公開中の2作品についてお話しします。
まず先に結論から言いますと………あの2作品は、ひっそりと打ち切り宣言させて頂きます。
何故そんな事になったのかと言えば、原因は大きくて分けて2つ程(しかも全部自分の所為)あります。
まず1つ目は自分が怪我をしたのが原因で生活環境を変化させざるを得なくなり、とてもじゃないですが複数の作品を書いてる余裕が無くなってしまった為です。
そして2つ目…………実はこれこそが最大の原因なのですが…………前記の2作品は生活環境が変わる前、しかも自分が最も苦しい時に書いていた為、途中から現実逃避をする為に作品を更新し、無理矢理空元気を作っていた為です。
その為、作品のクオリティ向上や継続へのモチベーションが完全に絶たれてしまったのです…………。
2作品を楽しみに待っていた皆様、本当に身勝手な理由で打ち切りをしてしまい、申し訳ありませんでした。
また、この作品は2作品の教訓を活かして『リアル事情を持ち込まない』、『無理して更新しない』を守っていきます………最後にもう一度だけ、『バカテスファイト‼︎ヴァンガード』と『東方光剣輝』を待っていた皆様、本当に申し訳ありませんでした………。
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第1話「私達、ヴァンガードを知りました(前編)」
途中『あるぇ〜?』と思う展開があると思いますが、それは相手が『バカ(悪い意味で)』としてご了承下さい。
シャドウが秘封倶楽部に入ってから3日が経過した。
蓮子とメリーはシャドウの探索能力(某TRPG風に言えば目星、聞き耳等)を見て秘封倶楽部内での立場を『現地の安全確認担当』とし、蓮子又はメリーが仕入れた怪異の現地を下見し、安全を確保するとした。
無論これは以前二人で安全確認もせずに現地入りしたら痛い目に遭い掛けた前例がある為だ。
「………それで、今日は部長か副部長のどちらが情報を仕入れて来たんですか?」
「うーん、それが超絶ヒロイン体質な美少女蓮子ちゃんのセンサーをもってしても情報を手に入れられなかったんだよね〜」
「あら、蓮子も?
実は私の方も今日は………となると、今日は暇になるわね」
どうやら今日は蓮子もメリーも情報を仕入れてはおらず、予定が全く無い暇な1日になる事が確定した。
秘封倶楽部としてはこんな日は珍しい事では無く、寧ろこの3日間情報が面白い様に入った方が珍しかったりする。
「………そうですか。
では今日は解散しましょう。
一応こちらも目星は付けているのですが、確証を得るまで待っていて下さい」
「あー、うん」
シャドウは蓮子達に解散を促し、情報を探すと言うとそのまま昼の集合場所である喫茶店の席から立ち、その場を離れて行く。
その後ろ姿を見ていた蓮子は、ふとシャドウの大学の講義を終えた後の日常風景を全く知らない…………と言うより、知り合ったばかりで知れなかった事に気付いた。
「あ、そう言えば私達ってシャドウの日常風景?
みたいな奴を全く知らなかったよね、メリー?」
「確かに知らないわね。
其処まで気にならなかったって言えば嘘になるけど。
何せネクロノミコンなんて物騒な魔導書を見つけた人だし、余り絡まない方が良いのかなって思ってもいたし、彼の日常に干渉する程男には飢えていなかったし」
蓮子とメリーは互いに見合い、シャドウについて深く知らない事を確認し合う。
すると蓮子がニヤァ……と笑い、何か悪巧みをしているのが分かる。
それを察したメリーも蓮子程ではないが含みのある笑みを浮かべ、再び口を開く。
「これは由々しき事態だとは思いませんかね、メリーさん?」
「ええそうね蓮子、確かに由々しき事態ね。
私達秘封倶楽部の仲間である彼について何も知らないのは部長、副部長としてはダメだと思うわ〜。
仲間ならある程度はお互いの事を知らないといけないわ」
「と、言う訳で………本日はシャドウも私達もこの後は講義が無いからフリータイムだから彼の後をつけるもとい、彼が普段どんな事をしてるか知る為に彼について行くわよ‼︎
無論こっそり‼︎」
「OK蓮子、じゃあ早速会計済ませて行きましょうか‼︎」
そして二人共他人から見たらかなりウザ可愛い笑顔を見せ、お互いに人差し指を指し合い飲んでいたコーヒーの会計を済ませてシャドウの後をこっそりつけ始めた。
幸いにしてシャドウは店からそんなに離れていなかった為あっさり発見出来た。
そのシャドウの足取りだが別に愉快にスキップしてる訳で無く、かと言って落ち込んでしまったかの様な重いものでは無く至極普通な物………と、注意深く見なければそんな風に見えてしまうだろう。
しかし、蓮子とメリーは二人で怪異を暴いていた為に卓越した観察眼を持つ故に気付く。
その歩き方からは『一切の隙らしい隙が見当たらず、距離がある為推測だが足音も立てず、更にいつでもアクションを起こせる無駄の無い無駄に洗練された無駄な動きに相当する歩行』だと分かった。
これには二人も改めてシャドウは何者なのか、唯の一般人では無く逸般人に当たる人間だと思った。
そうして、そんなシャドウの後をつけて駅から電車に乗り、一つ先の駅で降りて着いた先は……………子供達が一杯居る公園だった。
『…………はい?』
逸般人の後をつけてみて辿り着いた先は唯の公園だった事に呆気に取られてしまう二人だったが、更に二人の目の前で不思議な光景が広がってしまう。
なんと…………シャドウが公園の中に入った瞬間に子供達(男女問わず、年齢層は最年小でも8、最年長が14歳程)が駆け寄り、全員が何やらカードケースを持っていた。
それが気になり、シャドウに気付かれないギリギリのラインまで近付くと子供達とシャドウの声が聞こえて来た。
「さあシャドウの兄ちゃん、僕とファイトだ‼︎」
「ダメよ、お兄ちゃんとファイトするのは私が先よ!」
「おいおい(笑)
此処は年長者であるこの俺が一番手だろ?www」
「はは、やれやれ。
僕の尊敬する人の言葉だけど、こうも大人気で誘いがあっては1りの時間も作れないな。
どれ、此処は公平にジャンケンをして順番を決めようじゃないか。
因みに後出ししたら強制的に最後に回すから其処の所はしっかりルールを守る事、いいね?」
『はーい!』
「…………ねえ、何あの………何?」
「………分からない、私にも何が何だか分からないわ蓮子」
蓮子とメリーはそんな不思議な光景を見てちょっと(?)人よりも良い頭を以ってしても状況が呑み込めず、理解出来ずにいた。
そんな蓮子とメリーだったが、子供達の中の一人が二人に気付いてしまう。
「あ、お姉さん達〜!
シャドウの兄ちゃんとカードファイトしたいならこっちに来なよ〜!」
「えっ、お姉さん………って、部長に副部長?」
「あ、やべ気付かれた」
「………気付かれたなら仕方無いわ、行くわよ蓮子」
子供の一人の所為で蓮子達はシャドウに気付かれてしまい、二人は渋々公園内に入りシャドウ達の方に向かった。
するとシャドウが苦笑してやれやれと言った表情を浮かべていた。
「お姉さん達、シャドウの兄ちゃんとファイトするんでしょ?」
「えっ?
いや〜お姉さん達はその〜………」
「部長達、僕が普段何をしてるのか気になったならそう言って下さいよ。
そしたら二人も此処に誘いましたのに」
蓮子達が少々戸惑っているとシャドウが苦笑しながら二人に話し掛けて来る。
その様子からは二人がこっそり付いて来てた事に少々びっくりはしているが、言葉通りの意味を持っている事が伺えた。
「それで、お姉ちゃん達はどんな『クラン』を使うの?
『ロイヤルパラディン』?
それとも『ジェネシス』?」
「いや、『エンジェルフェザー』や『ペイルムーン』もあり得るぞ?」
「………ねえメリー?」
「……うん、そうね」
そんな二人に対して子供達はどんなクランを使うかと聞いてきた。
すると蓮子とメリーは互いに見合い、正直に話そうと決めた。
そう、自分達はただシャドウに
「ごめん、私達何を言ってるかさっぱり分からないんだけど………」
「えっ、『カードファイト‼︎ヴァンガード』を知らないの?」
子供達の内の一人が『カードファイト‼︎ヴァンガード』の名を出し、カードケースからデッキを取り出した事により、蓮子達は漸く子供達がヴァンガードと言うカードゲームの話をしていて、シャドウはそんな子供達の相手をしてあげていた事を理解した。
そして、シャドウが子供達を纏め上げてる様子を見て子供受けが良く、世話好きだと言う事も理解した。
「じゃあお姉ちゃん達、ヴァンガードを知らないのにどうして来たの?」
「あ、あはは………いや〜、私達其処のお兄さんとお友達なんだけど、普段何してるのか分からないからちょこっと様子を見に来たって感じかな〜?」
「へえ〜、兄ちゃんにこんな綺麗なお姉さんの友達が居たんだ〜。
しかも二人も居るなんて、兄ちゃんやっぱりスゲー人だよ!」
「で、シャドウの兄ちゃんはどっちが本命なの?
まさか、ハーレムルート?」
「あ、あのね。
お兄ちゃんは別に凄くは無いし女性関係は…………ちょっと待ってて、少し離れるよ」
蓮子からそんな事を聞いた子供達はシャドウを見て凄いと言い、一部おませな発言もあり彼の周りでテンションが上がる。
それをシャドウが少し落ち着かせようと口を開く………が、何かに気付きその場から少し離れた。
子供達と蓮子達はそれを目で追い、シャドウが向かった先を見ると男の子が泣いて公園の前に居たのだ。
シャドウは話を少し聞くと、公園内に男の子を連れて戻って来る。
「ねえ君達、この近くにヴァンガードファイターだけど明らかに不良な年上で『負けたらレアカードを盗るアンティルールを仕掛けて来る奴』は知ってるかな?」
そのシャドウの口から出た言葉はレアカードを巻き上げる不良を知っているかと言う質問であり、シャドウが連れて来た男の子はそれの被害に遭ったと言う事を物語っていた。
更に言葉や態度には現れてはいないがシャドウは明らかにキレており、その不良の居場所を聞いたら殴り込みに行く気満々だと言う事をその場に居た全員が理解出来た。
「えっと………それならあの隣町の不良じゃない、かな?
ほら、高校生だけど物すっごく俺様不良だからSUGEEEEEしてるあの………」
「ああ〜、あの不良ね。
僕も兄ちゃんと会う前に『騎士王の先導者 エゼル』を全部盗られたよ」
「私も『全知の神器 ミネルヴァ』を盗られたの………」
「やっぱそいつだよな。
そいつなら隣町やこの近辺がナワバリだから探せば見つかるよ。
俺も付いて行くよ、そいつの顔分かるし」
「そう、ありがとうね」
シャドウはそう言うと泣いていた男の子を一旦なだめてから道案内を買って出た別の男の子(年長者)を連れて公園から出ようとした。
「あ、ちょっと待ってシャドウ!
私達も付いて行って良いかな!」
「構いませんよ、別段疚しい事をする訳じゃないんで」
そんなシャドウに付いて行こうと蓮子は声を掛けると当の本人は二つ返事でOKを出し、蓮子はそれに付いて行き始めた。
するとメリーが蓮子の後を付いて行きながら彼女に声を掛けた。
「蓮子、本当に付いて行く気なの?
別に私達も一緒に行かなくても良いのに」
「あのねメリー、私達はシャドウが普段何をしてるのか気になって来たんでしょ?
だったらこのまま付いて行くのは必然だと思うけど?」
「それはまあそうなんだけど…」
「おーいお姉さん達〜!
早く歩かないと追いてかれちゃうぞ〜!」
蓮子とメリーが少し話し合っていると年長者の少年が二人を呼び、早く来る様に促す。
二人はそのまま早歩きをしてシャドウ達の直ぐ後ろをに追い付き、歩調を合わせる。
それから数十分歩いていた所で年長者の少年がピタッと止まり、三人も止まり周りを見ると明らかにTHE・不良な人物が数名居た。
「兄ちゃんあいつ、あのグループのど真ん中で威張ってるあいつが犯人だよ!」
「そうか………で、大方周りに居る連中は共犯者と言った所か」
少年の一声で誰がカードの巻き上げを行なったかを確認したシャドウはその周りに居る不良も共犯と推察し、そのまま不良達に近付いて行く。
「って何の策も無しにいきなり近付くの⁉︎」
「策ならあるよ」
シャドウはメリーの心配をよそにそう答え、不良達に近付く。
それを見かねた蓮子達は年長者の少年を先に公園に戻る様に促してからシャドウの後を付いて行った。
すると不良達が三人が近付いて来る事に気が付き、因縁をつけて来る。
「あぁん、何だてめえら!
何こっち見てるんだ‼︎」
「単刀直入に言う、子供達から巻き上げたカードを全て返せ。
そうすればそっちも何もなくて済むぞ」
そんな因縁をつけて来た不良達にシャドウはカードの返還をド直球で要求する。
しかも何もなくて済むの下から何かをする事を仄めかし、少しだけ威圧を掛けている。
が、それに対し不良達は高笑いをしてシャドウを煽る。
「お、おい聞いたかよ今の!wwwwww
こいつ俺らに対して、クップハハハハハハwwwwww」
「こいつ、最近こっちに来たバカか?wwwwwwwww
俺らはちゃんと条件を飲んでもらってアンティしてるだけだっての!wwwwwwwwwwww
無理矢理盗った訳じゃないからこっちは悪くないってのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
『(………ああ、頭の悪いTHE・不良ってそう言う………)』
蓮子とメリーは不良達の反応から、明らかに社会一般の常識が欠如したTHE・不良だと言うのを理解し、恐らくこちらが何を言おうと無駄であると言う事も同時に分かり、話し合いの解決は無理だと考え始めた。
するとシャドウはそんな不良達を尻目に次の『警告』を、道案内役の少年が居ない事を確認して最大限の威圧を以って不良達にする。
「………3度目はない、『最終警告』だ。
子供達から巻き上げたカードを全て返せ………」
『っ⁉︎』
その威圧が発せられた刹那、蓮子とメリーは後ろに無意識で後退り、不良達の一部は腰が抜けて動けなくなってしまう。
その威圧は常人が普段では感じ得ない、本当に世界の頂点に立つアスリートがスイッチを入れたかの様な凄まじい物で、この域に達するにはその道をひたすら走り続け、世界選手権にでも出場して優勝しない限り無理だろう。
そんな威圧をいきなり受けた不良達の一部、具体的に言えば主犯以外はそのままTRPGで言うSAN値チェックに失敗したかの如く悲鳴を上げ逃げ出してしまう。
「ヒ、ヒイイイイイ‼︎
怖いよ助けてお母ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん‼︎」
「あ、ああ、うああああああああ‼︎」
「あ、お前ら待てよおい‼︎」
「後はお前一人だな………今直ぐカードを返せ………」
主犯以外が逃げた直後シャドウが主犯の目の前に立ち、不良よりも身長が小さい為下から覗き込む様にシャドウが主犯の不良を睨んでいた(蓮子達からは位置の関係上表情が見えていない)。
すると不良は苦し紛れの笑みを浮かべ、シャドウに声を掛けた。
「そ、そうだ!
そんなにカードを返して欲しいなら俺とアンティルールでヴァンガードファイトしろよ!
俺が負けたら文句無しでカードを返してやるよ!
それならまだ文句は無いだろ⁉︎」
「………そうか、ならファイトだ。
こっちも持っているカードを全て賭ける。
これでアンティルールは成立だ」
主犯の不良はシャドウに対してヴァンガードファイト(アンティ有り)を要求し、シャドウはその言葉を待っていたかの様にそれに応じてリュックの中からカードケースを9個取り出し、その内の一つを使いファイトをする様だ。
しかし、蓮子とメリーはヴァンガードを知らないのでただ見ているしか出来ないが、これにシャドウが勝てば子供達のカードを取り返せると言う事は理解出来た。
しかもシャドウの方が相手のファイト要求を受けたと言う事はそれこそが最大の譲歩であり、負けても言い訳不可能の様にし、ヴァンガードファイトをさせる様に誘導したのだ。
「もう一度言う、こちらが勝ったら」
「分かってるっての!
スタンドアップ!「THE」
ヴァンガード……って、THE?」
そしてファイトが開始された…………が、その結果はどうなったかと言えば簡単であった。
シャドウによるノーダメージワンサイドゲーム、唯の一度もダメージを受ける事無く不良を一方的に倒したのだ。
「……………………………orz」
「カードは返して貰った。
もうこんな事はするなよ。
次やれば………その分お前が地獄を見る事になると思え」
シャドウは去り際に不良に更に威圧を掛け、二度と子供達からカードを巻き上げない様警告をする。
その姿はつい1時間程前に蓮子達が見た喫茶店で甘めのコーヒーを飲みながら自分達と談笑し、また子供の世話を焼くのが好きな好青年とはまた違った、少々強い姿であった。
Q:ヴァンガードでノーダメのままゲームエンドなんて出来るの?
A:滅茶苦茶確率が低く、相当運が無いと森川デッキが相手ですらダメージを受けますが、一応可能です。
それからこの作品を見ている皆様、カードゲームでアンティは稀に推奨されてましたが現在ではマジで賭博罪になりかねません、公共の場でも友達間でもやらないで下さい!
健全なカードゲームを心掛ける駄作者’’蒼龍’’とのおやくsヤルワケナイダロ○(#`・ω・)=○)Д´∵. グハッ!!
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第2話「私達、ヴァンガードを知りました(中編)」
此処で終われたら前後編だったんですが………やはりヴァンガードの説明には『イメージしろ!』が無いとダメですよね⁉︎(思考放棄)
シャドウがカードを取り返してから数十分後、再び公園に戻って来た所、子供達がシャドウに駆け寄って来る。
「シャドウの兄ちゃん、カードはどうなったの!」
「ほら、完封勝利で取り返したよ。
皆、カードを盗られた人を集めて来てくれないかな?
今から盗られたカードの返却をするから」
「!
うん、分かったよ‼︎」
そして子供達は一斉に公園から駆け出し、カードを盗られた他の子供を呼びに行く。
その後ろ姿を見送るシャドウの表情と雰囲気はとても穏やかで、さっきの不良からカードを取り返す際に見せた威圧的な雰囲気とは180度違うものである。
「………シャドウって、やっぱり子供が好き?
なんか、あの子達の前では良い兄貴分で、見てない所ではヒーローっぽいと言うか…」
「子供を泣かせて笑っているゲスな大人になりたくないし、子供の笑顔はこの世の中で最も尊ぶべきものだからね。
それを曇らせたくないだけだよ。
それに、僕は別にヒーローじゃないただのお節介焼きだよ。
ヒーローと呼ぶべき人は、僕以外に沢山居るから」
「………うん、やっぱり君は優しい人ね。
だって、そんな優しい表情で子供達を見て世話を焼いて、子供達を泣かせない様にしてるんだから」
蓮子達とシャドウはそんな会話を交わし、二人はシャドウが本当に子供が好きで、自分の都合で子供を泣かせる身勝手な者が嫌いなのだと分かる。
そして、子供の笑顔の為なら泥を被ろうが鬼を装おうが構わない……そんな有り体に言えば優しい人間だとも理解出来た。
「おーいシャドウの兄ちゃ〜ん!
カード盗られた子を集めたよ〜!」
「って早いな!
はいはい待ってて、直ぐに行くよ〜!」
すると子供達が予想外にも早く集まり、シャドウは急かされながらその側に駆け寄って行く。
蓮子達もその後ろを付いて行き、事の顛末を見守る事にした。
それから2時間余り、如何やら子供達はシャドウがカードを取り返しに行った時点でカードを盗られた子を呼び、いつでも集まれる様にしていたらしく、お陰で全てのカードはそれぞれの子供達(年齢は矢張り14の少年が年長者で、年少は8歳だった)に滞り無く返却され、返し終わった頃には少し陽が傾き始めたので子供達はそのまま解散し、家に帰って行った。
シャドウと蓮子達は一旦何処かに行こうと言う事になり、蓮子が行きつけのゲーセン(フリーテーブルがあるのでTCGをする事も可)に入りテーブルに座り、シャドウが二人にジュースを奢る。
因みに蓮子はオレンジ、メリーはメロン、シャドウはグレープの炭酸ジュースを飲んでいる。
「……で、
二人は何故僕をこのゲームセンターに連れてきたんですか?」
「ふふん、シャドウを此処に連れて来たのは他でもないよ。
そう、子供達の世話焼きが好きなシャドウ君が子供達と一緒になって遊ぶツール、つまりそのヴァンガードってカードゲームを教わろうと思ってね〜。
その理由に関しては、はいメリー!」
「おほん、私達は同じ秘封倶楽部のメンバーなんだけど、如何も貴方とは微妙に距離がある所為で貴方の事を良く知れてないのよ。
だから、親交を深めるって意味合いも込めてヴァンガードを貴方から教わりたいって思ったのよ」
蓮子達は自分達の親交を深めたいと言う目的をシャドウに話し、それを聞いたシャドウも確かに同じ秘封倶楽部の人間の割に二人と距離が開きっぱなしで、そろそろ二人と仲良くした方が良いと思った。
「確かにそうですね………分かりました、じゃあヴァンガードの事を教えます。
で、ルールなどは「全く分からない!」だと思いました。
ではヴァンガードのルールを説明しますのでしっかりと聞いて下さい」
そして秘封倶楽部の親睦会を兼ねたヴァンガードの説明会が始まる。
この時蓮子とメリーはノートとペンを取り出し、これから出て来るヴァンガードの内容を事細かく記録しておこうとし、シャドウはそれを見てガッツリと説明しても問題無しと判断し、説明に入る。
「先ずヴァンガードの正式名は『カードファイト‼︎ヴァンガード』と言い、プレイヤーはヴァンガードファイターと呼ばれ、自分が選んだ50枚のカードをデッキとし、対戦するカードゲームだよ。
ルールは相手ファイターに6点ダメージを与えれば勝利となる簡単な物だよ」
「某カードゲームみたいにライフ制じゃないんだ」
「ヴァンガードは簡単にユニット、他で言うモンスターやらクリーチャーやらのパワーが上がるからライフポイント制にしたらシステム上直ぐにゲームエンドになるのでダメージ制の方が良いんだ。
で、ヴァンガードには魔法や罠カードは存在せずこのカード、ユニットカードしか存在しないからに相手ターンでああだこうだするスキルは少ないよ。
さて、次にこのカードゲームはイメージが重要になるんだ。
相手がどんなデッキで来るか、次に引くカードは何か、自分の勝利の道筋………それら全てのイメージがこのゲームに絡むんだ。
じゃあ早速イメージして下さい、このカードゲームの戦いの舞台であり、ユニット達の故郷であり、この星と良く似た惑星『クレイ』の大地を。
貴女達は其処にか弱い霊体として降り立つんです」
シャドウは実際に使われるカードを見せながら説明中にイメージが大事と挟み込んで来て、蓮子とメリーに地球と良く似た星、『クレイ』と言うヴァンガードの舞台となる星に霊体として降り立つイメージする様に促す。
肝心の二人はそれを聞き、一旦目を閉じてクレイのイメージをする。
すると、二人のイメージした光景の中に騎士や天使達が護る光の聖域が、恐竜やドラゴン、忍者が駆け巡る帝国が、植物の人間やエルフ、学者風の動物が平和に暮らし、怪人が今日もコミカルに計画を立てる自然豊かな緑の大地が、人魚のアイドルや海賊、海軍が今日も活躍する蒼き深海が、スポーツやサーカスと行った華々しい物の裏で悪魔達が覇権争いをする暗黒世界が、ロボ格闘技が盛んに行われ、平和を愛する勇者と怪獣が戦い、謎に包まれた存在を受け入れた未知の世界が広がっていた。
「これが惑星クレイ………なんて不思議な世界………」
「綺麗な世界………いつかこんな場所に行きたいな………」
「二人共凄いイメージ力だよ、初めてで此処まで明確なイメージが出来る人は中々いないよ。
そして………ようこそ、惑星クレイへ。
此処でヴァンガードの戦いは行われ、貴女達がそれを導くんです」
それぞれの感想を思い思いに言い、それを同じイメージ内でシャドウが笑顔で二人を見ており、如何やら二人のイメージ力に感心している様だった。
そしてシャドウは再び二人にイメージ説明を聞かせ始めた。
「僕らは霊体だから直接は戦えないけど、この世界に降り立った時に二つの力を与えられたんだ。
一つは『コール』!
この世界の住人であるユニット達を呼び出して共に戦う力!
もう一つは『ライド』!
ユニット達に憑依してコールしたユニット達を導き、直接戦える様にする力!
そして僕ら霊体が憑依したユニットは彼らを導くその姿から先導者、『ヴァンガード』と呼ばれるんだ!」
その言葉を聞いた瞬間、二人の周りが眩い虹色の光に包まれ、様々な戦いのイメージが流れ込む。
帝国の暴竜と光の騎士が好敵手として戦う場面、光と闇を受け入れた騎士が闇の竜を討つ場面、雷を纏う朱い皇竜と獅子の心を持つ白光の騎士と嵐を発す蒼い覇竜の激突の場面、虚無に囚われた世界を救う為に立ち上がった騎士王とその剣たる騎士の命懸けの戦い、並行世界にて行われた虚無に囚われた騎士と偉大なる暴竜の戦い、そして、暴竜と騎士が初めて手を取り合い、異形なる根絶者と星の命運を懸けた死闘が。
それらが頭を過っては次に移って行き、最後の場面が流れた後は現実世界に意識が戻った。
先程までのイメージに少し戸惑いながらも目の前のシャドウに意識を集中する蓮子達。
するとシャドウはバックからプレイマットを取り出し、また説明に入る。
「うん、中々のイメージ力です。
さて、また説明しますね。
このゲームでは自らの分身となるユニットを決めます。
そして左前からR、V、R、その後ろにあるR三つの中でこのVにそのユニットを置きます。
このV、ヴァンガードサークルに置かれたユニットこそがファイターの分身となるユニット、つまりヴァンガードです。
そして周りのRがコールされ、ヴァンガードと共に戦うユニット達が出て来る場所、リアガードサークルです。
さて、後は実演しつつ説明しますので二人でジャンケンしてどっちがファイトするか決めて下さい。
デッキは貸し出しますので安心を」
するとシャドウはデッキを取り出して、二人にどちらがファイト実演をするのか決める様に促す。
すると蓮子はジャンケンの際に素人目には分からない程度に後出しをして負ける。
如何やらメリーに実演を譲る様だった。
「良いの、蓮子?」
「大丈夫大丈夫、このパーフェクト美少女の蓮子ちゃんは見てるだけで大体分かるから!
なら、こう言ったゲームを理屈っぽく考えちゃって実際にやらないと分からないメリーちゃんが実演した方が良いでしょ〜☆」
「……何だかかなりイラっとしたけど、言ってる事は否定出来ないから分かったわ、私が実演を受けるわ………因みに後で蓮子は地獄の擽り刑よ」
「ニギャアー!!?
マジすんませんでしたメリーさんだから地獄の擽り刑は勘弁して下さい〜‼︎」
そんなコントを交えつつも、メリーはシャドウからデッキを受け取り、内容を見た。
デッキは如何やら〈ロイヤルパラディン〉と言う名の物が右下に書かれており、50枚全てがその〈ロイヤルパラディン〉だった。
これにはメリーも少し分からないので実演を交えたら分かるのかと思い、準備をシャドウから教わりながら進めようとする。
「先ずは最初のヴァンガードをヴァンガードサークルに置こう。
カードの左上に0〜3の数字があるよね?
これはグレードと言って他のゲームで言うレベルみたいな物だよ。
で、このグレード0の中から右上にアイコンが書いてないユニットを選んで裏向きでヴァンガードサークルに置くんだ」
「右上にアイコンが無いグレード0……これね」
「で、次はデッキをシャッフルして5枚上から引こう。
そしてこれは手札になるんだけど、ファイトが始まる前に一回だけ気に入らないカードをデッキに戻してシャッフルして引き直しが出来るんだ。
カードを戻す基準は手札のグレードを揃えつつ、グレード0も戻してダブらない様にするんだ。
僕は2枚引き直すね」
メリーは引き直しのルールとどんな風にするかを聞き、手札を確認する。
手札にはグレード3が無く、代わりにグレード0が2枚、グレード1が2枚、グレード2が1枚だった。
此処からメリーはグレード0を2枚と1を1枚戻し、改めてシャッフルして3枚引く。
すると手札にグレード3が1枚、グレード2が1枚、グレード0で右上のアイコンが『引』と書かれたカードが1枚手札に入る。
引き直しが終わった直後、シャドウが裏向きのカードに手を掛けたのを確認するとメリーもカードに手を掛けた。
「じゃあ準備が終わったからファイトを始めるよ。
ファイトを始める時はこの裏向きのカードを『スタンドアップ・ヴァンガード』の掛け声で表向きにするんだ。
そしたらファイト開始だよ。
じゃあ、スタンドアップ・THE・ヴァンガード!」
「えっ、THE?「あーこれは僕の癖みたいな物だからTHEは付けなくて良いよ」
じゃ、じゃあ………スタンドアップ・ヴァンガード!」
そしてファイトが開始され、蓮子とメリーは再びイメージをする、自分らがクレイに降り立ち、今度はメリーがユニットに憑依する場面を。
メリーが憑依したのは神聖国家の光の騎士団〈ロイヤルパラディン〉の天使、『スターダスト・トランペッター』だ。
対してシャドウは帝国のドラゴン部隊〈かげろう〉の『リザードソルジャー アンドゥー』である。
「さて、本来はジャンケンで先攻を決めるんだけどルール説明の為に僕が先攻を取るよ。
先ずスタンドフェイズ、横向きになっているユニットを縦向きに直す場面だけど今はレストしたユニットは居ないからこのままドローして、次ライドフェイズ、手札から今のヴァンガードより数字が1大きいか同じグレードのユニットを選び、今のヴァンガードの上に置く場面だよ。
この一連の動きがライドなんだ!
てな訳で僕は『鎧の化身 バー』にライド!
ライドしたら次はメインフェイズ、手札からヴァンガードと同じグレードまでのユニットをリアガードサークルに出せる様になる、これがコール!
僕は『希望の火 エルモ』をバーの後ろにコール!
で、アタック………は、先攻じゃ出来ないのでターンエンド」
シャドウの一連の動きを見てライド、コールのルールを理解する。
蓮子もルールが分かり、案外他のカードゲームよりも単純な動きで理解し易いゲームなのだと思っていた。
そしてメリーもカードをドローし、次にライドするのは今引いたのか元々あったグレード1のどちらかであると思い、どちらにしようか決める。
「………うん、こっちにしよう。
私は『小さな賢者 マロン』にライド!
そしてヴァンガードの後ろに グレード1『みるびる』をコール!
えっと、後はアタック……だよね?」
「うん、アタックは前列のユニットを選んで、相手の前列のユニットに対してアタックを宣言してカードを横倒しにしたら成立するよ。
この時同じ後列にグレード0か1のユニットが居れば、前列のアタックするユニットに自分のパワーを与えるブーストが可能だよ」
メリーはシャドウの説明を聞いて、自分もシャドウの真似をしてマロンの後列にグレード1のみるびるをコールして良かったと思う。
そしてメリーはいよいよアタックするので少し落ち着きを利かせ、カードに手を掛ける。
「みるびるのブースト、マロンでバーにアタックするわ!」
「うん、これでマロンの合計パワーはみるびるのパワーと合わせて14000、攻撃を受ける側のバーのパワーは8000だからこのままじゃあアタックはヒットするね。
だから攻撃を受けない様にする為のルールもある。
それが『ガード』!
自分の手札からヴァンガードと同じグレードまでのユニットを選んでヴァンガードサークルの前にあるG、ガーディアンサークルにユニットをコールして攻撃を防ぐんだ!
僕はグレード0『槍の化身 ター』でガード!
ガードのルールはカードの横に書いてるシールドの数値とパワーを足して、相手の合計パワーを上回る様にすれば防げる。
この場合ターはシールド10000、だから合計シールド18000となり攻撃は当たらない!」
「えっ、ちょっと待ちなさいよ。
これじゃ明らかに先攻が有利になるじゃない!」
シャドウがアタックをガードし、それにより攻撃が通らないと知ると蓮子がチャチを入れる。
それもその筈、このままアタックがヒットしないとなるとジリ貧になり、先にグレードを上げられる先攻の方が有利にしかならないからだ。
しかし、此処でシャドウは補足説明をする。
「勿論このままでは終わらないよ。
ヴァンガードがアタックするとデッキの上から1枚を確認して、右上にアイコンが無いかどうかをチェック出来るんだ。
この動きを『ドライブトリガー』と言うんだ!
で、トリガーだった場合はパワー+5000とそのトリガーの効果を発揮出来る。
だからアタックがもしかしたらヒットするかも知れないよ。
さあ、トリガーチェックして」
「あ、うん。
ドライブトリガー、チェック。『幸運の運び手 エポナ』『☆』
あ、トリガーだったよ!」
「これはクリティカルトリガーだね。
カードの下にクリティカルって数値があるでしょ?
その数だけ相手ヴァンガードにダメージを与えられるんだ。
で、クリティカルトリガーはクリティカルの数を+1出来るから僕はトリガーのパワー+5000と合わせられてガード突破で2ダメージを受けるね。
あ、後トリガーは割り振りが一応出来るけど今はマロンに全足しで良いよ。
で、ダメージはデッキの上から1枚ずつダメージゾーンに置くんだけどこの時もトリガーチェックが入るから覚えていてね。
じゃあダメージチェック『槍の化身 ター』『☆』『リザードソルジャー ガンルー』『醒』あ、スタンドトリガーだ。
これはレスト、横倒しになってるリアガードを1体スタンドさせて再アタック、ブーストを可能にさせるんだ。
ダメージチェック時はクリティカルと同じくパワーを上げるしか無い上に今はリアガードはスタンドしてるから本当に無意味だけどね。
因みに、アタックが一度でもヒットすれば途中でトリガーの恩恵でパワーを上げてもダメージチェック処理はそのまま行われるよ」
シャドウはトリガーの効果を説明し、スタンドトリガーに関してもダメージに落ちて欲しくなかったと遠回しに言い、少し残念そうな表情を浮かべながらダメージゾーンにカードを置いて行く。
「さて、次は僕のターンなんだけど、みるびるのスキルは使う?
そのユニット、ブーストしたユニットのアタックがヴァンガードにヒットすれば、手札1枚をドロップして1枚ドロー出来るんだけど「しないわ、これで終わり」なら、僕のターン。
ドローして『ドラゴンナイト ネハーレン』にライド!
更に『ワイバーンストライク テージャス』をコール!」
このままテージャスでマロンをアタック!
ガードは「えっと、『武器商人 ゴヴァノン』でガード!」じゃあ、エルモのブーストでネハーレンがアタックします!
ガードは「しないわ」ドライブトリガー、チェック『クレステッド・ドラゴン』エルモのスキル発動、クレステッドをドロップして1枚をドローし、ターンエンド!」
シャドウはグレード2にライドし、リアガードにもグレード2をコールして一気に攻撃を仕掛けて来たが、メリーはこれを手札1枚でダメージ一枚に抑え、そのまま自分のターンに移る。
が、メリーは此処までヴァンガードファイトをして不思議とこのカードゲームに惹かれ始めるのだが、どうにもメリーにはこのデッキ、〈ロイヤルパラディン〉のカードが肌に合わない様に感じていた。
寧ろこのデッキは蓮子が使ってこそ輝く、そんな予感がメリーにはあった。
此処でシャドウが貸し出した&使ったデッキですが、ほぼフラッシュファイトのデッキを50枚にしただけのお試しデッキです(一部は全然違う)。
なので、トライアルデッキの看板ユニットもキーカードもほぼ無いです。
これならしゅしゅしゅ(初心者の意)も安心してファイトが出来る………かも?
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第3話「私達、ヴァンガードを知りました(後編)」
さあイメージして下さい………此処からが『本当のスタート』だと。
「じゃあ、『沈黙の騎士 ギャラティン』にライド!『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
更にギャラティンとマロンをコール!『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』」
メリーはパワー10000のグレード2のユニット、ギャラティンにライド、及びコールをし、そのリアガードギャラティンの後列にはマロンを呼び、攻勢に入る。
シャドウもそれを見て手札のユニットを確認し、最低値かつ枚数少なめでガードしようと手札に手を掛ける。
蓮子もそれをリアル視点、イメージ視点の両方から見ている。
するとイメージ視点の蓮子が気付いた事だが、シャドウのネハーレンはライドした影響か彼の特徴であるマロンカラーの髪の毛と青い瞳が兜から出ているのに対し、メリーがライドした筈のギャラティンにはメリーの特徴………眼は隠されている為分からないが、髪の毛の色も反映されていないのか彼女の金髪では無く、カードイラストと同じく紫色であった。
これに蓮子は少々違和感を感じ、首を傾げる。
「じゃあ、マロンのブースト、リアガードのギャラティンでアタック!「ダメージチェック」」
と、此処でメリーが攻撃を仕掛けた。
シャドウはリアガードのアタックをガードせずに受け、次のヴァンガードのアタックに対処する動きを見せていた。
対するメリーもそれは分かっているらしく、だったら何も気にせず突撃と考えていた。
「みるびるのブースト、ギャラティンでアタック!「ガード!」
ドライブトリガー、チェック!『断罪の騎士 ボールス』
トリガーじゃない………ガードは突破出来ないわね、ターンエンド」
メリーのアタックをトリガーが来ないと予測したシャドウは10000のガードだけ使い、このターンにおけるダメージを1枚だけに抑えて次の自分のターンで巻き返しの札を残す。
此処で蓮子はシャドウの先程のガードは経験則から導き出した最小限のガードだと考え、この分だとメリーはいずれジリ貧になりダメージレースで負けると言う予測を立てた。
「よし、スタンド&ドロー!
僕はグレード3『クレステッド・ドラゴン』にライド!
更にネハーレンと『ドラゴンダンサー モニカ』をコールして、モニカのブースト、テージャスでヴァンガードにアタック!
……ガードはしなかったね、ならエルモのブースト、クレステッド・ドラゴンが行く!」
イメージ世界にて、炎を纏う剣をメリーがライドしたギャラティンに向ける青い竜が、咆哮を上げて襲い掛かって来る。
其処にメリーの指揮下のユニットがそれを阻もうとしてメリーの下に走るが、メリーがライドしたギャラティンはそれを制止させ、自らの刃1つでそれを受け切る気でいた。
するとシャドウはそれを見て説明に入る。
「さて、今グレード3のヴァンガードがアタックしたんだけど、グレード0と1にブーストが、ついでにグレード2には前列リアガードサークルからガーディアンサークルに移動してアタックを防ぐ『インターセプト』があるんだけど、このグレード3にも同じ様にグレード固有能力があるよ。
それは『ツインドライブ』、文字通りドライブトリガーを2回行う能力だよ!」
「えっ⁉︎」
「なっ、トリガーチェックを2回も出来るの⁉︎
それじゃあ、グレード3になればトリガーを引ける確率が倍以上になるって事⁉︎」
「その通りですよ部長。
さて副部長、これを聞いて改めて聞きます。
ガードしますか、しませんか?」
蓮子とメリーはグレード3の固有能力であるツインドライブを聞き驚く。
トリガーチェックが2回になる、これは単純に2枚分トリガーを引く確率が上がるのでは無く1枚引く毎にデッキが減るのでその分トリガーを引ける率も上がり、また引けなくても次の1枚がトリガーである確率も跳ね上がる為攻撃側に大きなメリットを齎すのだ。
しかし、トリガーチェックで2枚引くと言う事は公開手札も2枚増えると言う事にもなり、これがシールド0のグレード3を2枚引いた場合相手に手痛い反撃を許しかねない諸刃の剣でもあるのだ。
メリーはそれを考慮しつつ、シャドウがクリティカルトリガーを2枚引く確率を計算する。
そして、シャドウのデッキが自分と同じ仕様のデッキだと考えて残りのクリティカルトリガーはおそらく3枚、更にデッキの枚数も計算式の中に入れ、答えを導き出した。
「………クリティカルトリガーを2枚引く確率はまだ少ない、ならノーガード!」
「うん、じゃあツインドライブトリガーファーストチェック『槍の化身 ター』『☆』ゲットクリティカルトリガー!
パワーはネハーレンに足してセカンドチェック『グラファイトキャノン・ドラゴン』ノートリガー」
「ひ、ヒヤッとしたわ………メリーが自信満々にノーガード宣言したらファーストチェックからクリティカルトリガーを引いて来た………」
シャドウがトリガーチェック1枚目からクリティカルトリガーを引き、ヴァンガードのクリティカルを引き上げた事に自信満々にノーガード宣言をしたメリーと観戦中の蓮子は冷や汗をかいてしまう。
何せまだデッキ枚数は多く、クリティカルトリガーも残りは3枚なので引き当てるだけでも確率が少ないにも関わらず1枚目から引きダブルクリティカルの可能性を生み出したのだ。
二人はシャドウの強運をかなり凄いと思い、メリーに至っては次の自分ターンで決めなければ負ける確率が増えたとさえ考えていた。
「さてダメージチェックは………ドロートリガーが出てパワーは同じだけど、このターンでは決められないか。
ネハーレン、アタック!「ガード!」
ターンエンド」
「ふう……トリガーに助けられたけど、次のターンを渡したら負けるかも………私のターン、スタンドしてドロー。
『スタードライブ・ドラゴン』にライド!
これで私もグレード3………ここで決めるつもりで行くわ!
コール、『断罪の騎士 ボールス』と『ナイトスクワイヤ アレン』!」
メリーはそのままリアガードをコールして全ての盤面を埋め、攻撃態勢を整えてこのターンで決めると意気込む。
蓮子もその雰囲気に乗りドキドキしながらメリーのアタックフェイズを見守る。
しかし、二人は初めてやるカードゲームに此処まで意気込まなくても良い筈なのに妙に力み、ずっと以前から今に至るまで続けて、しかも真剣に向き合っているかの如くヴァンガードにのめり込み始めていた。
そう、二人はいつの間にかこのカードゲームの魅力に引き込まれ、心の底から楽しいと感じていたのだ。
それは観戦してるだけの蓮子や肌に合わないと感じる〈ロイヤルパラディン〉を使っているメリーのどちらも変わらない、二人は同じ位に、このヴァンガードと言うカードゲームに引き込まれたのである。
「マロンのブースト、ギャラティンでアタック!「ノーガード、ダメージチェック『ワイバーンストライク テージャス』
これで決めるわ!
みるびるのブースト、スタードライブ・ドラゴンでヴァンガードにアタック‼︎「ターでガード、2体のリアガードでインターセプト!」
うっ……」
メリーはこのアタックで決める気でスタードライブのアタックを行うが、それを合計シールド30000でしっかりガードしてそのアタックを完全にシャットアウトする。
しかし、メリーは次にボールスを見る。
このユニットはアタック時に何らかのコストを払えばパワーが+3000されるとテキストスキルに書かれており、更にブーストを入れればトリガーが無くても20000までパワーが上昇する。
其処にトリガー2枚を引けば更に+10000上昇し、シャドウは合計シールド35000でしか防ぎようが無い。
オマケにメリーは覚えていた、シャドウの手札にはガードには使えないグレード3のユニットが1枚確かにあると。
それを考えればトリガーを2枚、内1枚は必ずクリティカルを引けばゲームエンドに持ち込める可能性が高かった。
故にメリーは必ず2枚引くと意気込んだ。
「よっしメリー、トリガー引いてバッチリゲームエンドよ‼︎」
「勿論よ蓮子、ツインドライブトリガー1枚目‼︎『世界樹の巫女 エレイン』『治』
あ、トリガーゲット!「それはヒールトリガー、相手とダメージの枚数が同じか相手より多い場合に1枚ダメージを回復……ドロップゾーンに送ってダメージ枚数を減らせるよ」
なら、ダメージを1枚回復してボールスにパワー+5000!
2枚目‼︎『幸運の運び手 エポナ』『☆』
クリティカルトリガーゲット‼︎
パワーとクリティカルはボールスにプラスするわ‼︎」
「ダブルトリガー………ダメージ4で手札はコレ、ボールスのスキルを加えたら………うん、次はボールスでアタックするよね?
そしたらボールスのスキルを発動出来るんだけどそのコストが分からないよね?
ボールスのスキルのコスト、紫色のカードをひっくり返す様に書かれているそれはダメージを指定された枚数裏向きにする事なんだ。
これを専門用語で
他にもヴァンガードのソウル………ライドや一部のカードのスキルでヴァンガードの下に置かれるカード群を使う
「じゃあ、アレンのブースト、ボールスでアタック!
ボールスのスキル、アタック時に
これによりボールスの合計パワーは2枚のトリガーによるパワーアップを含めて30000、更にクリティカルは2よ‼︎」
シャドウのスキルの説明を受けた後、メリーはボールスのスキルを使い合計パワーを30000に引き上げ、ガードへの圧力を高める。
当たる、当ててみせる、そうメリーは心で念じ、蓮子も同じく当たれと強く念じる。
対してシャドウは手札を見て、35000のシールドを出せない、ヒールトリガーが出る事に期待するしか無いと言う結論に至り、そのままアタックを受ける事にした。
「……ノーガード、ダメージチェック『ドラゴンダンサー モニカ』『引』ドロートリガー、パワーをヴァンガードに与えて1枚ドロー。
セカンドチェック『リザードソルジャー ガンルー』『醒』スタンドトリガー………負けました」
シャドウはダメージトリガーに期待したが、結局ヒール以外のトリガーが出てしまいそのままゲームエンドとなった。
「………勝った?」
「うん、副部長の勝ち」
メリーはアタックがヒットし、シャドウのダメージが6枚になった所で惚けてしまい、いまいち自身が勝ったと言う結果が飲み込めなかったが、シャドウの副部長の勝ちと言う言葉を受け漸く自身の初ファイトを白星で飾る事が出来たと実感し、右手をギュッと握って勝利を噛み締めた。
「よっしゃ‼︎
流石メリー、初めてのヴァンガードファイトでも問題無く勝てたわね‼︎」
「ええ、勝ったわ。
そう………勝てたわ」
蓮子とメリーは初めて知り、不思議と引き込まれたカードゲームで勝利を収めた事にこれまた不思議と互いに喜び合っていた。
それはまるで今までこのカードゲームをしていて、久々に勝ったかの如く。
それを見ていたシャドウは2つのデッキを片付けている最中にそれを見て…………………自分の当初の思惑通りに、否、予定よりも大分事が運んでいると考えていた。
「(少々予定と食い違っていたが、軌道修正の必要も無く計画が早々と最終フェイズ前まで来た。
………此処まで来るのに後2ヶ月程最悪掛かると考えたが杞憂に終わり、第3、第4フェイズを飛ばせた。
残るは二人を……………)」
そんな事を考えている中、デッキの片付けが終了しいよいよ最後の仕掛けに入るべく、シャドウは喜び合う二人に近付き声を掛け始めた。
「部長、副部長。
ヴァンガードファイトに付き合ってくれてありがとうございました」
「ううん、私達も十分………私は見てただけだけど、楽しめたからこっちの方こそありがとう!」
「はい。
で、数日前から其処の怪異を調べてて、昨日下見をして安全を確認したので本格的に調べようか………と思ってたんですが、今日のいざこざとかがあって今から調べて、当たりと思たらメールをしますので途中で合流して行きませんか?」
「そうなの?
分かったわ、待ってるわ」
「で、その場所の名前は?」
「はい、名前は…………『博麗神社』です」
蓮子とメリーは先程のファイトで上機嫌、且つシャドウの丁寧な態度に二つ返事でOKを出し、行く先が博麗神社だと告げた後一旦そのまま解散となった。
そしてシャドウは目的地たる博麗神社…………シャドウにとってこれ以上と無い所縁ある地に行き、最終フェイズの準備に取り掛かるのであった…………………。
深夜2時、蓮子とメリーは必要最低限の物をポシェットに入れ、シャドウに連れられて目的地に向かう道を林の中にある舗装されていない道を歩いていた。
「ふふーん、今回の怪異は何だろうね〜。
前行った時は何もなかったけど今回いよいよ、あの神社に秘められた謎を解き明かす時が来たわ!
いや〜、このパーフェクトブレインの蓮子ちゃんも楽しみで仕方ないよ〜!」
「すみません、其処に何かあるって分かったんですが僕だとそれが何なのか微妙に分からなくて………わざわざ足を運ばせてすみません」
「良いのよ、シャドウが来る前は何時もこんな感じで行き当たりばったりだったし、何もなければまた夢の世界に行ってみようって言うのが秘封倶楽部だったから。
だから気にしなくても良いわよ」
二人はシャドウの話を聞きながらこの先に何が待つのか楽しみながら歩いて行く。
すると、蓮子達の前に神社に続くやや長めの石段と古ぼけた鳥居が現れ、二人は走って石段を上がり鳥居を潜った。
すると目の前にはこれまた古ぼけた神社の本殿があり、賽銭箱の前まで歩き、普通に歩いていたシャドウを待っていた。
「よっし、じゃあシャドウ!
何処に何がありそうか教えてplease‼︎」
「ええ、何かありそうって思ったのはこの神社の本殿の裏手です。
行ってみましょう」
蓮子とメリーはシャドウから裏手に何かあると聞き、そのまま裏手へと行く。
すると、其処には確かに何か………………メリーの目にはっきりと映る、境界の裂け目があった。
メリーがその場所を蓮子に伝え、二人で調べると蓮子の目にも境界がはっきりと映る様になり、二人はその前に立っていた。
「確かにあったわ。
この境界…………何処に続いてそう?」
「………分からない、こんな境界は初めて見たわ。
まるで『何かの力で無理矢理こじ開けられた』みたいに歪な境界………今中に入るのは危険過ぎるかも」
「むむむ、そりゃ不味いわね。
今は調べるだけだったから碌な準備もして無いわ。
…………仕方無い、明日改めて来ようか。
シャドウもそれで」
二人がそんな会話を交わし、この境界が何か歪で先に進むのは危険と判断して一旦帰り後日改めて境界の先を調べると決定する。
それをシャドウに伝えようと蓮子とメリーは振り返る……………筈だったが振り返る事が叶わなかった。
何故ならば……………シャドウが二人の背中を押し、境界に無理矢理押し込んだのだ。
『…………………えっ?』
「悪いが今入って貰う。
それが最終フェイズなんだからな………さて、一旦さよならだ、宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン………」
シャドウのそんな呟きが聞こえた後、二人は境界の中に真っ逆さまに落ちて行った。
そして二人は気付いた、否、気付かされた。
この境界はシャドウが自分達を落とす為に用意し、今までの態度も何もかもこのワンシーンを実行する為に彼が仕込んだ罠だったと。
「いやあああああああああ‼︎」
「っ、メリー‼︎」
境界に真っ逆さまに落ち、悲鳴を上げるメリーを蓮子は何とか抱きしめ、そのまま一緒に落ちて行く。
其処でふと、蓮子は最近見ていた悪夢を思い出す。
幾ら手を伸ばしてもメリーとどんどん離れて行き、彼女が自分の前から消える悪夢を。
「(冗談じゃないわ‼︎
あんな夢の通りにさせてなるもんか‼︎
絶対に離さない、絶対に離さない、メリーを失ってたまるもんか‼︎)」
蓮子は強くそう思い、より一層メリーを強く抱き締め絶対に離さまいとする。
そんな蓮子の思いが伝わったのかメリーも強く彼女を抱き締め、互いに離さない様にした。
しかし蓮子は知らない、自身が見ていた様にメリーも同じ悪夢を……………蓮子と離れ離れになり、もう二度とその手を握る事が叶わない悪夢を見ていた事を。
そして…………二人は互いに抱き締め合いながらそのまま意識を落とし、目の前が真っ暗となって行った………………。
「さあ、これで二人の運命が流転し、新たな運命が紡がれた。
その先の結末が、俺が求める物だと期待してるぞ、宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン」
二人を落とした直後、そう呟きシャドウも境界の中に入り、彼もまた境界の中へと落ちて行った。
一体何故シャドウは二人を境界の中に落としたのか?
彼の目的とは?
それを知る者はまだ誰も存在せず、明かされる日も遠いのであった……………。
3話編成の話を最後まで閲覧して頂き、本当にありがとうございました。
さて、前書きにもありました様に此処からが『本当のスタート』です。
果たしてシャドウは何がしたいのか………と言うか、全国の蓮メリファンの皆さんを敵に回してまでやる事だったのか、その答えはこれから先に待っています。
………では、次回より秘封倶楽部の物語は彼女達の世界から境界の先の世界に移ります。
其処に何が待ち受けるのか、お楽しみに。
追記:とある方からヴァンガードのルール関係を分かりやすく示す箇所、又はサイト誘導が無いと初見さんが苦労すると指摘を受けましたので活動報告にURLを貼りました。
そちらをご覧になればルール関係を理解出来る筈です。
また、自分の力量不足で上手くルールを解説出来ず、対応もかなり遅れてしまった事を深くお詫び致します。
本当に申し訳ありませんでした。
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第1章「幻想入り」
第4話「現の幻想へ……」
・蓮メリが辿り着いた先は我々の知る場所と名は一緒なのに違う部分が多い。
・『DA☆SAKU☆SYA!、オレの指摘だぞ!尋問だ!YEAH!〇〇はどこだ!(ATM風)』
・『〇〇⁉︎〇〇なのか⁉︎何故〇〇がここに?自力で出演を?(不審者兄ちゃん風)』
・『幻想郷のカードとは、スペルカードの事だったのではないのか?答えてみろ、駄作者!(蟹風)』
では、どうぞ。
あ、それから物語の基本視点は蓮メリの両方です。
一体どれ程の時が流れたのか、どれだけ落ちたのだろうか?
私は生きているのか、死んでいるのか?
彼女は無事なのか、私の側に居るのか?
そんな事を考えながら、メリーは目覚めた。
目覚めて早々、身体をガバッと起こし、周りを見て蓮子が近くに居るかを確認する。
すると当の蓮子はメリーの横4m程で気絶しているのが分かった。
「っ、蓮子!
蓮子しっかりして、起きて蓮子‼︎」
メリーは直ぐに駆け寄り蓮子を揺すり、起こそうと声を掛ける。
すると蓮子は目を覚まし、メリーに視線を合わせ始める。
「うう……メリー?
此処は…………?」
「………分からない。
境界を抜けた先何だと思うけど…………」
身体を起こした蓮子はメリーと一緒に周りを確認する。
二人が改めて周りを確認すると其処は深い森の中で、しかし木々の隙間から朝日が覗き込んでいる。
時刻は朝日がある事を加味して9時から10時前後だと二人は憶測を立てた。
しかし、幾ら時刻を予測しようとも現状自分達が何処に居て、何処に行けば良いのかが分からなければどうしようもなかった。
「ねぇ蓮子、これからどうしよう?」
「………とりあえず森を抜ける道を探すわよ。
そして元いた場所に帰る境界を見つけて私達をこんな場所に落っことしたアイツをぶっ飛ばす‼︎
それが今考え得る私達が取るべき行動よ」
「………そうね、とりあえずアイツをぶっ飛ばすには大いに賛成よ蓮子!」
蓮子とメリーは今やるべき事を決め、こんな場所に落としたシャドウをグーパンでぶっ飛ばす事もついでに決めて二人は森を抜けるべく歩き出した。
すると森を歩く事30分、二人は獣道を見つける。
しかもこの獣道はなだらかで、明らかに人が踏み固めた物だと分かる。
この事から二人はこの獣道を辿れば人がいる場所に着くと分かりホッとし始める。
「よ、良かった〜。
この道を歩いて行けば人が居る=助かるわ〜」
「ええ。
それに………少しお腹が空いてきたわ。
このまま森を抜けられる見通しが立たなかったらちょっと危なかったわ」
二人は本来道とは呼べぬ獣道を辿って行きながら朝食にもありつけるかも知れないと希望を持ち、そのまま早歩きで森を抜けようとする。
そして……………二人は獣道抜け、開けた場所に出る。
しかし開けたと言ってもまだ森の中ではある。
が、二人は目の前に見覚えある物を見つける。
そう、博麗神社に続く石段である。
「…………あれ?
私達、確かに境界の中に落ちたよね?
なのに何でこの石段が目の前に⁉︎」
「…………えっと、こっちの参道を降れば神社に来る道に戻れて、上がれば神社…………アイツが居るかも知れないから一旦登りましょうか?」
「…………そうね、行こう」
二人は石段を降るか登るかを短く話して、登る方にして今シャドウが居るかを確かめ、居たらぶっ飛ばすとして一段、また一段と石段を登り出す。
すると二人は気付く、石段を登る度に不思議な感覚が強くなり出していると。
しかもその感覚は不快な物では無く、寧ろ心地良く二人のシャドウに対する怒りを和らげる物だった。
更に、ある程度登ると鳥居の先、境内から絃楽器の音が聞こえ出し、その音色もまた心を安らぐ心地良い物である。
不思議とそれらに釣られて二人は遂に鳥居の前まで来て、絃楽器を弾く者の正体を見る。
絃楽器を弾いていたのは、白い服に胸元に赤の紐リボン、更に赤いスカートと頭の大きな赤いリボンが特徴の金髪ボブヘアーの少女だった。
すると少女は二人が石段を登り切った直後に丁度一曲終えたらしく一息吐いていた。
すると二人は少女に対していつの間にか拍手をしていた。
「えっ⁉︎
あ、参拝客の方ですか?」
「あ、別にそんなんじゃなかったんだけど………ちょっとこの場所に用があって来たら貴女が一曲弾いてたからつい聴いちゃって。
で、良い曲を聴かせて貰ったからね」
「うん、だから拍手したって訳」
「は、はぁ………(この人達の服装…………もしかして、『外の世界』から来たのかな?)」
少女は戸惑いながらも蓮子達の話を聞き参拝客では無いが此処に用がある事、服装から『此処』とは違う場所から来た人間だと理解し、話を聞く為に近付き、挨拶を始める。
「えっと、初めまして。
私は『冴月麟』って言います(ペコッ)」
「麟さんね。
私は宇佐見蓮子、才色兼備、文武両道、超絶コワモテな美少女よ!
気軽に蓮子ちゃんでも呼び捨てでも良いよ〜」
「あ、ごめんなさいおバカ蓮子が調子に乗ってしまって。「ちょっ、メリーさん⁉︎Σ(゚д゚lll)」
私はマエリベリー・ハーン、気軽にメリーって呼んで下さい」
「えっと、蓮子さんにメリーさんですね。
それで、一体どんな要件でこの神社へ?」
絃楽器を弾いていた少女、麟は一時蓮子の自己紹介に戸惑いながらも、二人が何故博麗神社に用があるのか聞こうとし、蓮子達も今までの経緯を(シャドウの事は終始ぶっ飛ばしたいムカつく男とした)話し始め、麟は其処から二人が矢張り『此所』とは違う所から来た人間、『外来人』だと確信する。
すると蓮子達から腹の虫が鳴り、二人がお腹が空いていると分かると麟は一旦母屋に二人を入れ、ご飯を振舞いそれを食べ終えた後話を続けた。
「やっぱり、貴女方は『外来人』だったんですね」
『外来人?』
「はい、外来人と言うのは此所………結界により隔たれた世界『幻想郷』………妖怪と人間が微妙なバランスの下で共存する世界の外の世界から人達の総称で、皆それぞれの理由で幻想郷の中に入り込む、『幻想入り』をするのですが、貴女方の場合はそのぶっ飛ばしたいムカつく奴の所為で幻想郷の中に送られてしまったのでしょう………少し考え難いパターンですが、貴女方が嘘を言う人には見えないのでそれが事実なのでしょう」
麟は外来人が何なのか、幻想郷の事、外来人の事を簡素に説明し、二人は何と無くそうとは思ってはいたが、博麗神社があったのでもしかしたら違うかもしれないと淡い期待を抱いていたが見事な崩れ去り、改めて自分達が異世界に迷い込んだと理解してしまった。
そして尚更シャドウをぶっ飛ばしたいと思い、二人はプルプルと怒りに打ち震えていた。
「と、兎に角本来なら早急に貴女方を外の世界に送り返さないとならないんですが………実は、今幻想郷ではその役割を担う『博麗の巫女』が不在で、送り返そうにもそれが出来ない状態なんです………申し訳ないのですが、巫女が決まるその時まで幻想郷で過ごして貰います………」
「な、何ですとー!!?」
「あ、ああ………試験が、進級が………」
更に二人は麟から絶望的な宣言をされ、いつ帰れるかも分からぬ身となってしまい項垂れてしまう。
しかも休み過ぎれば進級出来ず留年してしまい、最悪退学処分を受けてしまう為、花の女子大生生活を棒に振ってしまう事が確定したのも当然となり、二人の絶望感はピークに達して普通の人間なら暫くは再起不能になっていたであろう。
しかし、其処は幾つもの怪異やメリーの夢の世界を潜り抜けて来た秘封倶楽部、こんな事では再起不能にはならず、寧ろシャドウへの怒りが余計に燃え上がりながら復活していた。
「ぬ、ぬっふっふ……………あの低身長キザ男め‼︎
次に会った時がアンタの最後よ‼︎
その微妙に良い(具体的には中の上以下)顔をボコボコにしてやるんだからな覚悟してなさいよぬははははははははは‼︎」
「ああ蓮子が微妙に壊れた…………でも、それには大賛成よ。
あの顔を徐々に絶望に染め上げて私達にこんな事をした事を後悔させてあげるわ……う、ふふ、うふふふふ…………」
「(わ、わ………二人共かなりキレていらっしゃいます…………)」
二人の怒りに少し引き、その怒りを向けられている『ぶっ飛ばしたいムカつく男』に対してやや同情し、見つけてもなるべく穏便に済ませようと心掛けた。
それから数分後、二人が落ち着くのを見計らって咳払いし、改めて幻想郷で過ごして行く為に必要な知識など教え始める。
「コホン、では改めて言いますが、今現在幻想郷には博麗の巫女が不在の為私や守矢の巫女などが一同に博麗の巫女の代理をしています。
ですが、私達には外来人を外の世界に送り返す手段が無いので博麗の巫女が決まるその時まで幻想郷で過ごして貰います」
「分かったわ」
「ええ」
「それから、この幻想郷では揉め事などを解決するのにある物を使っているのですが、貴女方にも人喰い妖怪などに襲われた時に撃退出来る様にそれを手にして貰います」
蓮子とメリーは人喰い妖怪の話を聞いた途端ギョッとし、夢の中で似た様な怪物に襲われた経験から身を強張らせるが、幻想郷ではそれらを撃退する手段があると聞き、安全を確保するために何が何でも手に入れようと思い、それが何なのか聞き始める。
「な、成る程………で、冴月さん「麟で良いですよ」じゃあ麟、そのある物って、何なの?」
「はい、そのある物とは…………『カードファイト‼︎ヴァンガード』のデッキです!」
『……………………はい?』
二人は麟から必要な物がヴァンガードのデッキと聞き、ポカーンとなり、いまいち頭が理解しようとしないでいた。
しかし、麟の表情は至極真面目な物で、とても嘘や冗談を言っているとは思えず、何とか情報を飲み込む為に話を続ける。
「えっと………麟さん?
何故カードゲームのデッキが必要なんですか?」
「はい、この幻想郷ではカードファイトで物事の是非を決める『カードファイトルール』が施行されていて、ヴァンガードの勝敗により殆どの事が決まる様になっています。
なので、何をするにもヴァンガードのデッキを作る事が必要で、それが自分の身を守る第一歩にもなるんです。
あ、勿論身を守る、揉め事解決とは関係無くヴァンガードの大会に参加して幻想郷で名を馳せるトップファイターになるなんて事も、幻想郷に居る間目標にしても良いんですよ?」
「な、成る程、ヴァンガードか……………あのムカつく男からヴァンガードを教わったのは悔しいけど正しかった訳か………分かったわ、ヴァンガードのデッキを手に入れる為に頑張るわ」
蓮子とメリーは皮肉にもシャドウから学んだヴァンガードがこの幻想郷で生きていくのに必要不可欠なツールであり、最優先でデッキを手にする事が1番だと教えられた。
二人は一旦頭を冷やし、ヴァンガードのデッキを手に入れる為にどうすれば良いのか麟に聞こうと互いにアイコンタクトをして決める。
「では、先ずはカードショップに行きましょう。
此処から近く、また品揃えが良い店は『香霖堂』と言う店がありますので其処に行きましょう」
「OK、じゃあ行きま『カタッ』…………おりょ?」
「えっ?
蓮子のポシェットから…………まさか………『ガサゴソ』…………」
麟がカードショップに行く事を促し、早速行動しようとした瞬間蓮子が少し勢い良く動き、且つポシェットが少し開いていた所為からとある物が落ち、それを見たメリーは自分のポシェットの中を探ると蓮子の落としたある物と同じ物が出て来る。
しかもそれは自分達が持っている筈も無く、またこれから手にする筈だった物で、そんな物を二人のポシェットに仕込む事が出来たのはあの時自分らを境界の中に押し込んだ一人の青年………シャドウしか居なかった。
そして、そのとある物の正体とは…………蓮子達が最優先で手に入れるべき物、ヴァンガードのデッキとそれを収めるデッキケーキだった。
「あ、あら?
貴女達はもうデッキを持っていたんですか?」
「……違う、私達はまだ昨日ヴァンガードを知ったばかりで、ムカつくアイツからティーチングファイトを受けただけでまだデッキは……」
「………境界に落とされたあの瞬間に仕込んだ?
でもどうして…………そんな事をするメリットも何も………」
「……………失礼ですが、そのデッキを貸して下さい」
蓮子とメリーの態度を見た麟は持っていたデッキが彼女達の物では無く『ムカつくアイツ』が仕込んだ物だと察し、更にそんな事を態々したのだから何かあるかもしれないと考えてデッキを二人から受け取り、何か細工されていないかを魔法、目視の両方で確かめる。
先ずは魔法で検査するが異常な点、変な何かが仕込まれてる様子は無く、次に目視の為にケースからデッキを取り出して1枚1枚確認する。
すると、麟は二人の持っていたデッキがかなり異常(何か細工の意味では無く珍しいと言う意味で)だと分かり驚く(蓮子達は麟が目の前で魔法陣を展開した事を驚いている)。
先ず蓮子の持っていたデッキは〈ロイヤルパラディン〉……但し、これだけだと別段珍しく無いがその中身の1枚、その1枚は幻想郷の中でもかなりのレアリティで、持っている者は数が少ない上に品揃えが良いカードショップでも先ずお目に掛かる事の無い伝説のカードの1枚…………ヴァンガードの歴史の始まりを齎したカード、『ブラスター・ブレード』が入っていたのだ。
更にブラスター・ブレードのみならず、その派生ユニットやブラスター・ブレードに関わりがあるユニットで固められた物なのだ。
しかもそのデッキ構築は何処と無く、彼女や彼女の友人の知り合いの物と良く似ている………偶然には出来過ぎたデッキだった。
更にメリーの方はデッキその物が珍しい…………否、麟も全く見た事の無いクランで構築された未知のデッキなのだ。
これには麟も驚きを隠せず唖然とし、返す分は問題無いが怪しさ満点なのに変わり無く、麟の中で蓮子達を幻想入りさせた『ムカつくアイツ』と言う人物の謎が益々深まったのだ。
「………麟、もしかしてこれ何かあったの?」
「えっ?
い、いえ、何も無かったわ。
使う分は全く問題無いですよ、うん」
『?』
麟は二人にデッキを返し、少々オドオドとした態度で何でもないと言う………が、これには二人も何かあると思い気に留め、店に着いた後に聞いてみる事にして今は店に向かう事を優先する。
「あの〜麟?
カードショップに行くんじゃ」
「あ、そうでした!
では、お二人にはデッキ作りから改めてヴァンガードを学んで貰う事に目的を変更して行きましょう!」
「ええ、分かったわ」
こうして蓮子とメリーは麟に連れられカードショップ香霖堂へと向かい、改めてヴァンガードを学びに行く。
しかし二人の頭の中で引っ掛かる事があった。
何故シャドウは自分達を幻想入りさせたか、何故シャドウはヴァンガードの事を教えたか、何故シャドウは自分達のポシェットにヴァンガードのデッキを忍ばせたのか?
これらの答えを知る為にも今は、幻想郷で生きる選択をするのであった。
お互いが、お互いに教えていないあの悪夢を実現させない為に………、
第4話の閲覧ありがとうございました。
さて、蓮子が持っていたデッキと麟の知り合い………一体どんな関係があるのか?
また、メリーが持つ未知のクランのデッキとは?
そして、何で『ムカつくアイツ』がそんなデッキを所持し、二人の持ち物に仕込んだのか?
それらが分かる時は…………大分先です。
それなら『冴月麟』について。
彼女は本来『東方紅魔郷』に登場する予定だったと言われるキャラで、二次創作界隈では清純派の麟ちゃんにコ麟ブ麟などのキャラ付がなされてますが、本作では清純派寄りです。
コ麟ブ麟は流石に表現が無理&ボケが多過ぎてツッコミ寄りのメリーの胃のストレスがマッハなので、其処の所はどうか許して下さい。
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第5話「輝ける光の剣」
実は前後編で、前編と後編でタイトルが違うのはヴァンガードでは常識です(例題:櫂の戦い→戦いの果てに…)
では、どうぞ。
蓮子達は博麗神社から『人間の里』に向かい、その人間の里から更に『魔法の森』と呼ばれる森の方面に向かい、その森の入り口にあると言うカードショップ香霖堂へと歩いていた。
道中は麟が守っていた事もあり妖怪に襲われる事も無く、そのまま数十分程で香霖堂の目の前まで来た。
「これが香霖堂………何だが思ったより小さな店ね。
カードショップって確かフリースペースみたいなのがあって其処でカードゲームをやるってイメージがあったんだけど」
「フリースペースならちゃんと店外と店内の両方に完備されてますよ。
店内フリースペースは確かに小さいですが、この裏手の店外フリースペースはかなり広くて香霖堂主催の大会は雨さえ降らなければ店外で、雨が降ったら少し窮屈ですが店内でやりますし、ブースターパックの品揃えは一部を除けば此処が随一で、人里からも近いので利用客も多いんですよ」
「そうなんだ。
店の外観だけじゃ価値は測れないって言う言葉は本当にあったのね〜」
蓮子達は麟から香霖堂の説明を受けて耳を澄ませると、確かに裏手からはワイワイと声が聞こえて来ており、更に店の中にも微かに声があり、見た目以上に賑わいがある店だと言うのが分かった。
そんなこんなで香霖堂の賑わい振りに驚きつつ店の中へ入ると、中には骨董品………と言うより、珍しい物からガラクタまで色んな物が置かれ、隅っこの方にテーブル四つのフリースペースがやっとあり其処で計16人のヴァンガードファイターがファイトしていて、レジの方を見るとヴァンガードのブースターパックの箱が幾つも置かれており、更にカードのシングル売りまでやっており品揃えは良いと言う言葉に嘘偽り無しだった。
「おや、麟かい。
いらっしゃい………後ろの二人は誰かな?」
「こんにちは、霖之助さん。
この二人は外来人で、ヴァンガードの事を学びに来て貰ったんです」
するとレジの奥からブースターパックの補充から戻って来たのか、店主らしき人物が現れ麟と話をしていた。
すると店主らしき人物は蓮子達を見て関心が湧いたのか、二人の下に来て話し掛けてくる。
「へえ、外来人とは珍しい。
初めまして、僕は『森近霖之助』、この香霖堂の店主で、『幻想郷ヴァンガードファイト普及協会』………幻想郷でヴァンガードの良さを広め、皆が正しいルールの下でヴァンガードを楽しめる様にする組織の一員さ、よろしく頼むよ」
「ほうほう………では、私も名乗るとしましょうか!
私は、頭脳明晰スポーツ万能、才色兼備なパーフェクト美少女にしてコワモt「はいはい、一旦お黙蓮子『コツンッ!』ったい‼︎」
霖之助の挨拶に対して蓮子は何時もの名乗り上げをしようとした所、メリーが話が拗れると判断してグーで軽く蓮子の頭を叩きそれを制止し、メリーの方が改めて挨拶をする。
「初めまして、私はマエリベリー・ハーンと言います。
私の事は気軽にメリーと呼んで下さい。
こっちは親友の宇佐見蓮子と言って、私達が活動するサークル秘封倶楽部の部長をしているんです、よろしくお願いします」
「は、はあ、蓮子とメリーと言うのか、よろしく頼むよ。(………このメリーと言う子、似ている………)」
メリーの挨拶で二人の名を知った霖之助は挨拶を返し、温和な表情で二人を見ている………しかし、霖之助は同時にメリーに対し、とある人物と良く似ていると感じ、心の底でその部分を気に留めつつ表情に出さないようにし、会話を続ける。
「で、ヴァンガードを学びに来たと言う事はもうデッキは持っているんだね?
なら、自由にフリースペースを使ってくれて構わないよ」
「あ、それと霖之助さん。
一応二人のデッキの確認をお願い出来ますか?
海賊版だった場合は取り替えないといけませんので」
「………あっ、そうか。
このデッキはアイツが忍ばせた物だから正規品かどうかも怪しい物だったわ」
「あ〜、確かに…………海賊版を使ったら何だかその普及協会って所から罰則が来そうだし、チェックして貰いましょう」
霖之助からフリースペース使用の許可を貰いフリースペースに行こうとした瞬間、麟が二人のデッキを霖之助に改めてチェックして貰う事を提案し、二人はそれに対して正規品かどうかについて失念していた事を改めて知り、霖之助にデッキを渡した。
「ふむ、少し待っててくれ。
直ぐに終わるから」
そう言って霖之助は2つのケースからそれぞれデッキを取り出し、専用のスキャナーに掛けて正規品かどうかのチェックを始める。
すると霖之助は、蓮子のデッキの中に『ブラスター・ブレード』などが入っていた事に驚き、別の機械でカード登録を調べて他の誰かが使っていたかの盗難チェックもして、そちらにも引っ掛からず蓮子のデッキは正規品で且つ盗難された物ではない事が証明される。
一方のメリーのカードは1枚1枚が幻想郷ヴァンガードファイト普及協会の一員である霖之助すら見た事の無いクランのカードであり、此方に関しても念入りにチェックして海賊版か否かを確かめる。
そして結果はメリーのカードも全てが正規品で、問題無く使える物と証明された。
「はい、二人のカードはかなり珍しい物だったから念入りにチェックしたけど、何方も正規品で盗難された物では無いと証明されたよ。
これで二人は問題無くヴァンガードファイトが出来るよ」
「あ、ありがとうございました!
ふう、これで私達は何のお咎めも無く幻想郷で過ごせるわ……」
チェックが無事に終わり、そのまま店外のフリースペースに向かう蓮子達。
更に霖之助も、幾らメリーのカードら海賊版では無いとは言え全く見た事の無いクランなので興味が湧き、彼女らに付いて行き店外フリースペースの空いている席を利用させる。
すると店外フリースペースの1つのテーブルに座っていた少女………黒い服の上に白エプロンをし、如何にも魔法使いな白リボンが付いた黒い三角帽と箒を所持した金髪の少女が麟達に近付く。
「よお、麟にこーりん!
そっちの二人は新しいお客さんかい?」
「あ、魔理沙。
丁度良かったわ、今からこの人達………外の世界から来た二人とヴァンガードファイトをしようと思っていたのよ」
「ほうほう、外来人か。
私は普通の魔法使い『霧雨魔理沙』、魔理沙って呼んでくれよ!」
麟達に近付いた活発そうな少女、魔理沙は自己紹介を簡素にして来たので蓮子達もそれに習い自己紹介を返す。
「魔法使い………まあ、麟が目の前で魔法陣を展開したし、妖怪が居るって言われたらもう驚かないわ。
私はパーフェ「コホン!」…………宇佐見蓮子、蓮子って呼んでよ」
「私はマエリベリー・ハーン、気軽にメリーって呼んでね」
「ほうほう蓮子にメリーか、宜しくな!
で、今からヴァンガードファイトをするんだろ?
だったらどっちか私とファイトしてくれよ、答えは聞いてない!」
蓮子とメリーは魔理沙に自己紹介すると、その魔理沙がヴァンガードファイトをしてくれと(しかも強制YES)要求して来る。
蓮子とメリーとしては今改めてヴァンガードを学び、幻想郷で帰れるその時まで過ごす為にもって来いなのだが、肝心のどっちがファイトをするのかを先に決めて置かなければならず、蓮子は此処は公平にジャンケンをしようとする。
「あー、ちょっと待ってて。
メリー、ジャンケンして魔理沙と「私は一旦観戦するから蓮子は魔理沙とファイトしてて」ファイトするよってメリーさん⁉︎」
「私はもう蓮子よりも先にファイトをした事があるから、次は蓮子の番よ。
それに、蓮子も意外とヴァンガードしたくてウズウズしてるでしょ?
なら尚更、魔理沙とファイトしてよ」
「………まあメリーがそう言うなら」
しかし、メリーが蓮子にファイトを譲られたお返しに魔理沙とのファイトを譲り、当のメリーは観戦する事となる。
因みに今現在、魔理沙の目の前が唯一空いて居る席であり、他の人は付き添いかファイト待ちで控えの椅子に座って居る状況である。
そうして魔理沙と蓮子がファイトをする事となり、蓮子が座ると魔理沙が声を掛けて来る。
「私の相手は蓮子か。
じゃあちょっと確認するが、ヴァンガードのルールは何処まで知ってる?」
「えっ?
確か………最初のグレード0は基本トリガー以外、ライドにコール、ダメージ6点、ブーストとかのアイコンスキル、後はトリガーチェックかな?」
「成る程、基本ルールは大体知ってるって訳か。
じゃあ、後は応用系になるが知らない物が出て来たらジャンジャン言ってくれよ。
私が分かりやすく解説してやるから。
それと………」
魔理沙が蓮子にヴァンガードのルール確認をし、他の知らない部分を教えると言って蓮子もまだビギナーズラックだと知り気軽にファイト出来ると思う。
しかし魔理沙はその後に何かを言おうと少しダンマリして来る。
それに対して蓮子は何かと思い黙って準備しながら聞く。
「このゲームはイメージが重要なのは知ってるよな?
それにちょっと関係があるんだが………蓮子はお気に入りのユニットは居るかい?」
「うーん、私これが初ファイトだからまだお気に入りとかは分からないけど、それがどうかしたの?」
「いや、外の世界では如何か分からないけど、幻想郷のヴァンガードファイターは皆自分のフェイバリットユニットを分身、又は相棒として扱ってライドする時の口上を考えて言うんだよ、一種の意気込みとか願掛けとかそんな感じで。
まぁそんな風習があるんだ程度に思ってくれれば良いさ。
じゃあ、準備OKか?」
如何やら幻想郷のヴァンガードファイターにはフェイバリットユニットにライドする際の口上か存在するらしく、それを聞いた蓮子は確かに気合入れなどに口上を述べるのは可笑しくも無いと思い(恥ずかしくないとは言ってない)、引き直した手札を見てお気に入りのユニットを今見つけようとするがイマイチライドした際のイメージがパッとせず、ファイトしながらお気に入りのユニットを見つけようと思い、それを頭の片隅に追いやる。
「OK、準備完了!
じゃあジャンケン………負けた」
「なら、私が先攻だな。
じゃあ行くぜ!」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
遂に蓮子の初ファイトが始まり、当の本人達に加えて観戦中のメリー、麟、霖之助も蓮子達のファイトをイメージし始めた。
舞台は聖域連合『ユナイテッド・サンクチュアリ』の一角にある騎士訓練所、其処で蓮子は霊体として降り立ち、1人の少年騎士にライドする。
「『先陣の
「『伏竜の
成る程な、蓮子は〈ロイヤルパラディン〉、仲間をコールするのに長けたクランか。
だが私のクランは〈なるかみ〉、そして軸は『
相手のリアガードを壊滅と圧倒的なパワーで相手を倒すのに特化したデッキだぜ!」
対する魔理沙は〈なるかみ〉と言うクラン(幻想郷に来る直前の道中でシャドウに教えられた部隊、組織の事)のショタ青年(魔理沙ライドの為、美少女顔になってる)で、妙に魔理沙がライドすると可愛くなってしまっていた。
が、蓮子は聞き逃さなかった。
リアガードの壊滅を得意とするクランとリアガードをコールするのに長けたクラン、つまり相性がかなり悪い組み合わせだと分かり、初ファイトでいきなりこれかと警戒心を強めた。
「まあまあ、私は初心者には優しいからそう肩に力を入れるなって。
ライド、『送り火の
リンチュウは先駆スキル、他のユニットがライドした際にソウルからリアガードサークルに移動するスキルでヴァンガードの後ろにコール!
ターンエンドだぜ!」
「そう言われても相性的に無理でしょ………ドロー。
じゃあ、『連節棍の
更に『誠実の
シンリックでカストルをアタック!
この時シンリックはヴァンガードに『
ファイルのブースト、イスバザードでアタック!
トリガーチェック『まぁるがる』『引』ゲット、ドロートリガー!」
蓮子は初ファイトの初ヴァンガードのアタックをドロートリガーで飾り、手札の枚数アドバンテージを稼ぐ。
これにはメリー達や相対する魔理沙も引きの強さに感心し、負けていられないと思い反撃を開始する。
「ドロー、『覇軍の
更に『
………宣言したな?(ニヤリ)」
「あれ?
なんかマズった?」
蓮子のノーガード宣言に魔理沙はニヤリと笑みを浮かべ、そそくさとトリガーチェックに入る。
これには経験者の麟や霖之助も知らなかったから仕方無いとし、それを横から見たメリーは蓮子がかなりやばい地雷原に突っ走ったと思い、経験者達はこれを次のファイトの教訓にして欲しいと思った。
「トリガーチェック『
パワーはローレンツフォース、クリティカルはズイタンに割り振るぜ!「初回アタックがクリティカルとか痛いって、ダメージチェック‼︎『ぐりんがる・
またまたドロートリガーゲット‼︎」引き強いな!
まあ、それでも良いさ。
先ずはリンチュウのスキル、
シンリックを退却させて、次にズイタンのスキル!
これまたヴァンガードが『
「んなっ⁉︎
シンリックが退却したのにそれのコストがほぼ帳消しですと⁉︎「ローレンツフォースでアタック‼︎」
ガ、ガード‼︎」
ダメージを2枚受け、リンチュウとズイタンのコンボに驚きながらもローレンツフォースのアタックで余計なダメージを受けない様にしっかりガードする蓮子。
更に蓮子の中で教訓として、リンチュウを見掛けたら先ずリアガードは必ず1体は序盤から退却させられる事が刻まれ、ガードするタイミングを計るのも大事なんだと学んだ。
しかし今の蓮子の行動は別段プレイミスでは無く、寧ろクリティカルトリガーを引かれた後のローレンツフォースのアタックを受けてダメージレースを広げる事がプレイミスなので此処まではまだ挽回可能である。
「さて、私はこれでターンエンドだぜ」
「蓮子、初ファイトだけど頑張って!」
「も、モチのロンだよメリー!
此処から超天才パーフェクト美少女な蓮子ちゃんが華麗なる大逆転を見せてやるわ‼︎(………とは言え、今の魔理沙の動きで本当にこっちのリアガードを簡単に薙ぎ払う事が証明されちゃった訳だし………堅実に動くか、速攻を掛けるか………)
私のターン、スタンド&ドロー!」
メリーの声援を受けて、蓮子は少し動揺しながらもそれを何時ものノリで返す………が、内心では魔理沙の動きに対して如何動けば良いのか考え倦ねており、何時も以上に悩んでいた。
しかし、それではファイトが何時まで経っても進まないので取り敢えずドローだけしてその後考えようとする………正にその時だった。
「(………あれ、此処は?)」
突如、蓮子のみに不意に魔理沙達と別のイメージが流れ込み、彼女らとは別の場所にイメージを跳ばされる。
其処は真っ暗な空間に幾つもの虹色の球体が浮かぶ不思議な空間で、気付けば其処には蓮子ともう一人………白い鎧を身に着け、同じく白い剣を携えた一人の騎士が片膝を地に付けながら居た。
「貴方は………誰?」
「………貴女が、今のマイ・ヴァンガードか?」
蓮子の問いかけに騎士は質問を返し、何とも微妙に会話が噛み合っておらず何時もふざける側の蓮子も困惑する。
が、この騎士がマイ・ヴァンガードと言う言葉を発したのでこの騎士はヴァンガードのユニット、それも今自分が使う〈ロイヤルパラディン〉の騎士かもしれないと何とか理解し、その質問に返答する。
「えっと………貴方が〈ロイヤルパラディン〉のユニットで、私の使ってるデッキに入っているなら、貴方の
「………そうですか。
一度は先導者の剣となり切れず、先代のマイ・ヴァンガードを支え切れなかった私に再び先導者の剣となる機会が訪れるとは………」
蓮子の返答に騎士は安堵の表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がり蓮子の前まで歩いて来る。
その騎士を間近で見た蓮子はその佇まいから歴戦の勇士たる貫禄を感じ、また以前この騎士をイメージで………シャドウからクレイの初イメージを促されたあの時に見た事を………帝国の暴竜や、世界を蝕む侵略者達と仲間と共に戦っていた事を不意に思い出していた。
「貴方、名前は何て言うの?」
「………その問いに答えましょう、マイ・ヴァンガード。
私の名は………ーーーーー」
その名を聞いた瞬間、蓮子と騎士の周りの真っ暗な空間は砕け散り、代わりに美しき青い空と草原が広がり、その青い空はまるで二人を包み込む様に何処までも広がっており、更に二人の出会いを祝福するかの様にそよ風が優しく吹き、次の瞬間蓮子はイメージ世界からリアル視点に戻された。
そして、先程ドローしたカードはイメージ世界で出会った騎士だった。
「………そう、あんたが来てくれたんだ。
なら、一緒にファイトしよう…………魔理沙、今決めたよ!
これが私のフェイバリット、そして分身よ‼︎」
「おお、ファイト中に決めたのか!
なら見せてくれよ、蓮子の分身を!」
蓮子は魔理沙に高らかに自らの分身を決めた事を宣言し、魔理沙や観戦中のメリー達、更に周りのヴァンガードファイター達もそれに興味を持ち、一旦手を止めてそれを見る。
そして、蓮子はそのユニットにライドする。
数多くの死闘を経験し、何度も世界を救い、何度も傷付きながらも立ち上がり、その度に仲間と共に強くなっていった一人の騎士に。
その騎士の名は………。
「立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』‼︎」
「っ⁉︎
ブラスター………ブレード………⁈」
………光の剣士、『ブラスター・ブレード』である。
Q:何で魔理沙〈なるかみ〉なの?
A:マスター『スパーク』→弾幕はパワー(〈なるかみ〉もパワーカード多し)→石田ナオキや馬場タケルが努力家(一応魔理沙も努力家(人に見せないが))
以上の点から決定しました。
他にも魔理沙には魔女繋がりで『黒魔女』か『白魔女』、『ウィッチ』も良いかなと思ってました。
では次回、蓮子VS魔理沙の決着編です。
このまま突っ走りましょう。
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第6話「絆の力、束ねし2つの刃」
因みに蓮子のデッキには意味不明☆な『ブラスター・ブレード』のピン挿しがありますが、これに関しては先導アイチのブラブレピン挿しと同レベルでツッコミを入れないで下さいm(_ _)m
では、どうぞ。
『ブラスター・ブレード』、それはヴァンガードの歴史を切り拓いた偉大なるユニットであり、この幻想郷に於いては伝説のレアカードであり、所有者とカードはヴァンガード普及協会に登録され、盗難防止を徹底される程の希少なユニットである。
そのユニットに今、蓮子はライドして魔理沙がライドしたズイタンと相対している。
それをイメージ視点と現実視点で見ていたメリーの目や感覚には、蓮子があのユニットにライドした途端に雰囲気が変わり、いつものおバカな残念系美少女では無く、勇気を力に変え、闇に迷える者を光に導く騎士の様な力強いイメージが伝わってきており、蓮子自身もそれをひしひしと感じていた。
「ブラスター・ブレードの
今、魔理沙の場にはローレンツフォースが1体居るだけだからローレンツフォースを退却させるわ‼︎」
「うぐっ…………ブラスター・ブレード………‼︎」
一方魔理沙は、蓮子がライドしたブラスター・ブレードを見てある記憶が呼び起こされる。
その記憶とは、かつて魔理沙の友人………親しき人物の中に、〈ロイヤルパラディン〉とブラスター・ブレードを使っていた少年が居たのだ。
その少年は魔理沙と幼馴染であった今は消息不明となった博麗の巫女と共通の幼馴染で、蓮子とは似ても似つかぬ真逆の少し大人しめの性格で、しかし誰よりもヴァンガードに対して情熱を持ち、誰よりもヴァンガードが好きだった………今はもう袂を別ってしまった自分にとって忘れられない人物の一人。
その少年のかつての姿と今目の前に居る蓮子、その二人がブラスター・ブレードにライドした姿が不思議と似ていたのだ。
更に魔理沙は何故か、蓮子が博麗の巫女………自分にとってかけがえの無い、唯一無二の親友であり幼馴染だった彼女にもダブる様に見え、困惑する。
「(………なんでアイツらと蓮子の姿がダブるんだ、全然似てないじゃないか!
なのに、なんで懐かしく感じるんだ、このファイトが!
アイツらに、似てない筈なのに………⁉︎)」
「コール、『爛漫の
これでセルディックのパワーを+5000するわ!」
蓮子:ダメージ0/2
手札:3
布陣
ギルダス ブラスター・ブレード セルディック
トランキル・ユニコーン ファイル R
蓮子は2回のドロートリガーの恩恵をフルに使い、リアガードサークルを埋めると同時に『
「驚いた……彼女は本当に初心者なのかい?
あんな風にパワーラインの調整を行うなんて、ある程度ヴァンガードに慣れた人じゃないと出来ないよ?」
「蓮子はああ見えてこう言ったゲームはかなり得意なんです。
感覚で覚えると言うか、見ただけでもそのゲームの動きみたいなのを何となく勘混じりで導いちゃうんです。
だから私はいつも蓮子にはこの手のゲームでは勝てなくて……」
「そうなんですか………じゃあ蓮子さんは、ヴァンガードファイターとしての天賦の才を持っているんですね」
霖之助と麟は蓮子がやったパワーラインの調整………トリガーが出ようと必ずガード札1枚を削るヴァンガードの応用的な動きを見て、更にメリーの話を聞いて彼女がこの手のゲームに強い事を知り、彼女が成長するのが楽しみに思えてしまっていた。
対して相対する魔理沙はそれを聞き、更に自らの信条である『ファイトにはなるだけ集中し、心の底で楽しむ』と言う信条に従って気分を切り替え、このファイトや蓮子に対しての懐かしさなどを振り払った上で目の前に天才肌の将来のライバルが現れた事への期待を膨らませると同時に、天才には負けたくないと言う対抗心を燃やし始めた。
「へへ………まさか初心者と侮ったらいけないタイプの奴が相手とはな。
こりゃ、ヴァンガードファイターの先輩として負けてらんなくなって来たぜ!
さあ蓮子、ビギナーズラックは終わりだ!
お前の全力を私にぶつけて来な‼︎」
「ありゃ、早くもビギナーズラックが終わって蓮子ちゃん大ピンチ⁉︎
………でも、何だかブラスター・ブレードにライドしてからは凄く自信が湧いて来たわ!
これなら負ける気がしない、行くわよ魔理沙‼︎
セルディックでヴァンガードにアタックよ‼︎「イエロージェムでガード!」
次、ファイルのブースト、ブラスター・ブレードでヴァンガードにアタック‼︎
トリガーチェック‼︎『
ヒールトリガー‼︎
パワーはギルダスにプラスしてダメージ回復‼︎
ギルダス、トランキル・ユニコーンのブーストを加えてアタック‼︎「ノーガード!『神槍の
蓮子は一気に攻撃を仕掛けた事により魔理沙にダメージを2枚、内1枚はクリティカルで自分はヒールトリガーを引くと、状況をひっくり返してしまった上にヴァンガードの経験で上を行く魔理沙に勢いで互角の勝負を繰り広げる。
その展開に周りのファイター達(年齢、性別共にバラバラ)がザワつき始める。
「なあ、あの子本当に初心者なのか?
ウチらの中でも、いや、幻想郷内でも指折りのファイターの魔理沙と互角に渡り合うなんて今この場にいる中じゃ、店長と麟さんや師範しかいないぜ?」
「解らんのか!
確かにあの娘は霧雨と互角に渡り合えている様に見えるが、それはあくまでも勢いでありまだまだ土台が出来上がっておらぬ初心者だ!
しかし初心者故に我武者羅に走り、勝利を収めようとする………それが故に霧雨にも負けぬ強いプレイングが出来、自ずとトリガーを引き寄せるのだ!」
「さ、流石師範。
見ているだけで其処まで見抜いて的確に状況を説明してくれてる…………」
そんなギャラリーの会話を気にせず………と言うより目の前のファイトに集中し過ぎて耳に入らない蓮子と魔理沙は、何方も絶対に負けないと対抗心を更にヒートアップさせファイトに入る力が更に強くなり出す。
そして魔理沙はドローし、いよいよグレード3となり実力を披露し始める。
「蓮子、こんなにも熱くなるファイトは久々だよ!
初心者だからって理由で手加減しようとしたのが間違いだったし、お前将来は凄いヴァンガードファイターになれるぜ!
だから見せてやるよ、私の全力全開を‼︎
響け強者の咆哮、轟け破軍の雷刃!
全てをブチ抜け、限界を超えて‼︎
ライド、『
蓮子と魔理沙のイメージ世界に雷を轟かせる者、『
それも既に臨戦態勢に入っており、もういつでも目の前の敵を壊す準備を整えていた。
「これが魔理沙のフェイバリット……!」
「コール、『鉄血の
さあ、その手札をブチ抜くぜ!
ガントレッドバスター・ドラゴンのスキル、
で、どれを選ぶんだい……?」
魔理沙はガントレッドバスターのスキルで蓮子に対し、4体居るリアガードの中から1体を選んで退却させる様に迫る。
蓮子はどれを退却させるか悩み、考え出す。
先ずグレード2を選ぶが出るが、これはガード値を削る為論外とする。
ならば残るはトランキル・ユニコーンかファイルだが、何方か選び間違えれば次のターンで攻め倦ねる為慎重に選ばねばならず、盤面のユニットを1体1体確認する。
……すると、トランキル・ユニコーンの前に居るギルダスのスキルを見てトランキルがリカバリーがまだ出来ると判断し、退却させる。
「トランキル・ユニコーンを退却させたか。
じゃあ、此処から本番だぜ!
ガントレッドバスター・ドラゴンは相手のリアガードが退却した瞬間、パワー+3000とクリティカル+1を得る
さあ限界をブチ破れ、
更にシュキもヴァンガードに『
「なっ、スキルの制約を解除してパワーとクリティカルが上がったの⁉︎
しかもご丁寧にガード値が中盤の筈なのに重い‼︎」
蓮子はたった1体の退却のみでいきなりパワーがガード値5000分アップした事に驚き、手札とダメージゾーンを見る。
幸いにしてダメージは1枚、例えクリティカルを引かれても大丈夫な計算………だが、それはクリティカルが1枚引けたらであり、魔理沙のクリティカルトリガーを確認するとイエロージェムとボルックスの2種類あり、これをフルで投入しているとなればクリティカルは合計8枚、しかもデッキにはまだ6枚も眠っている計算となる。
メリーとシャドウがファイトした時の比ではない程のダブルクリティカル率があり、引かれた瞬間手札と盤面を犠牲にしない限り生き残れない計算だった。
「エッグヘルムのブースト、ガントレッドバスター・ドラゴンでアタック‼︎
ブチ抜け雷刃‼︎「た、頼むからクリティカル2枚は堪忍して、ノーガード‼︎」
ツインドライブ‼︎『
っしゃ、ダブルクリティカルゲット‼︎
パワーは勿論スパークレインに、クリティカルはガントレッドバスターに‼︎」
「にぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ、クリティカル2枚引かれたぁぁ!!?『
しかもこっちはトリガー0!!!?」
「うわぁ、こりゃあ決まっちまったか………⁉︎」
「あの子頑張ったけど、やっぱり相手が悪かったか………」
「蓮子………!」
魔理沙のアタックにノーガードをした蓮子だったが、まさかのダブルクリティカルを引かれた上にダメージトリガーが出ずにシールド値が上がらず、更にダメージも5枚となりもう後が無い状況に一気に追い詰められる。
そしてギャラリーも魔理沙の勝ちが決まったのかと思い、ザワつきが徐々に静まり始め、メリーもハラハラしながらファイトの行く末を見守っていた。
しかし、対して魔理沙は蓮子のダメージに落ちた4枚のダメージの内、1枚…………『
「(あれは……シングセイバー⁉︎
ブラスター・ブレードだけじゃなく、あんな怪物ユニットまで投入されてるのかよ‼︎
この蓮子って奴、マジで初心者でヴァンガードを始めたばかりのデッキじゃないぞ‼︎)此処で決める、シュキのブーストを入れたスパークレインでアタック‼︎
スパークレインはセルディックと同じスキルを持つのでパワー+3000、合計パワーは32000‼︎
合計シールド35000じゃなきゃ防げないこのパワーで、終わりだ‼︎「ラヴィング・ヒーラーとイスバザードとシンリックでガード、更にセルディックでインターセプト‼︎」
決め切れなかったか………まあ、そうこなくっちゃ燃え切れないよな!
ターンエンド!」
「あ、危なかった………首の皮一枚って奴だった………幾ら図太さに定評がある蓮子ちゃんでもこれはビックリするよ………」
蓮子は手札1枚……先程ダメージに落ちたグレード3を残して何とかガード仕切り、ゲームエンドだけは防ぐ。
しかし、あくまでもゲームエンドだけを防いだだけであって、状況が最悪なのには変わり無く、次のターンで魔理沙にダメージ6枚目を与えなければ確実に蓮子の黒星が待っている。
だが………初心者なのにこんな風に追い詰められているにも関わらず、蓮子は楽しいと感じていた。
ブラスター・ブレードにライドしてから不思議と世界が広がった様な感覚を持ち、シャドウから教わった時以上にヴァンガードに対して興味………否、最早興味と言う言葉で収まり切らない楽しさが蓮子の中に溢れ、もっと楽しみたい、もっとファイトをしたいと思い、そして魔理沙に対して不思議と負けたくない、競い合いたいと言う感情があったのだ。
だからこそ、このファイトは絶対に勝つと更なる闘志を燃やしていた。
「………うん、まだまだファイト出来る。
なら私は諦めない、最後のダメージが落ちるまで………ドロー!
勇気を力に変えて、希望への道筋を切り開け‼︎
ライド、『
蓮子は次にグレード3、セイクリッド・ういんがるにライドする。
しかし、蓮子はこのういんがるのスキルの詳細が分からない為。真の力を発揮するには誰かから聞かねばならない………が、肝心の蓮子はファイトに集中し過ぎて周りの声が聞こえず、誰かにういんがるのスキルを聞く事が出来そうに無く、このままでは敗北が必至だった。
「(ヴァンガードって、こんなに楽しいゲームだったんだな………もっと早く知っていればメリーと今までファイト出来てたのにな〜……ちょっとだけ損したかも。
さて、その損も一気に取り返す様にこのファイト、絶対に勝つ(マイ・ヴァンガード)って、ブラスター・ブレード?)」
すると、イメージ世界の蓮子の頭にブラスター・ブレードの声が響き、それに耳を傾ける。
「(マイ・ヴァンガード、少し肩の力が入り過ぎてる。
リラックスしてファイトに臨まねば、勝てるファイトも勝てなくなってしまう。
何より、マイ・ヴァンガードはまだ初心者だ。
まだ我々の力を全て知っている訳では無いが故に、我々の真の力を引き出す事が出来ない。
先ずは周りの声に耳を傾け、目の前のファイターに『我々のスキルの中で気になった物を聞くと良い』)」
「(ブラスター・ブレード………)」
ブラスター・ブレードの声を全て聞き終えた瞬間、蓮子の視点はイメージからリアルに戻り、やっと周りの静まり返り始めたギャラリーや、少しハラハラしながら見守るメリーなどが視界に入り、頭を冷やして冷静になり出す。
「すぅ………はぁ………いけないいけない、負けそうになって頭が熱くなり過ぎてたわ。
さて、ユニットをスキル………???」
少し深呼吸をした蓮子はギルダス、ファイル、そしてセイクリッド・ういんがるのスキルを改めて見直し始める………すると、この3体のユニットに共通のテキストが存在した。
そのテキストの名は『
しかもセイクリッド・ういんがるにはその
』の名前、更に()内には発動条件と思しきテキストまで存在した。
このスキルに興味が湧いた蓮子は早速魔理沙に聞き始める。
「ねえ魔理沙、この
「おっ、そのういんがるの目玉スキルに気付いたか。
なら説明するぜ。
そのユニットを山札の中から探し出して、
要はヴァンガードが2体になり、強力なパワーとスキルが使える様になるスキルさ!」
「ヴァンガードが………2体に………」
魔理沙の説明を一通り聞いた蓮子は、ブラスター・ブレードと今自分がライドしているういんがるが並び立ち、強大な敵に立ち向かうイメージを浮かべた。
その瞬間、自分の中のイメージがまた膨れ上がり、不思議と力が湧き上がった様に感じる。
更に、今なら魔理沙に勝てる………何となく、漠然とした感覚も覚えた。
そして蓮子は、魔理沙を見ながら高らかに声を上げる。
「シークメイト!
私はラヴィング・ヒーラー、セルディック、シンリック、まぁるがるを山札に戻してレギオンメイト、『ブラスター・ブレード・
ドロップゾーンから4枚のカードを戻し、山札の中にあるレギオンメイトを探す蓮子。
そしてそれを見つけ、山札から引き抜く。
「集え、気高き魂達!
聖なる剣に誓いを立て、並び立て!
再び立ち上がれ、私の分身!
『ブラスター・ブレード・
蓮子の分身たるブラスター・ブレード………正確にはその今よりも過去の姿の騎士がセイクリッド・ういんがると
その力に一瞬魔理沙がライドしたガントレッドバスター・ドラゴンが気圧され、その瞬間を蓮子は見逃さなかった。
「セイクリッド・ういんがるのスキル発動!
ブラスター・ブレード・
『
スパークレインを退却して、次にギルダスのスキル!
シンリックをギルダスの後ろにコールして、次に手札から『湖の巫女 リアン』をコール‼︎」
蓮子:布陣
ギルダス ブラブレ探/ういんがるブラブレ探
シンリック ファイル リアン
手札を全て使い切った上にスキルを駆使して失った分以上に盤面を埋め、ラストアタックへの準備が完了する。
そして、蓮子は白黒をはっきりさせる為に動く。
「ファイルのブースト、セイクリッド・ういんがるとブラスター・ブレードで
ツインドライブ‼︎『
クリティカル、パワーはギルダスに加えてクリティカルはヴァンガードに!
セカンドチェック!『必殺の
クリティカルトリガー、クリティカルはヴァンガードに、パワーはリアガードのブラスター・ブレードに‼︎
いっけぇぇぇ‼︎」
イメージ世界で2体の先導者の剣が、相手の先導者を深々と斬り裂き、竜はその激痛から咆哮を上げた。
リアル視点の魔理沙もダブルクリティカルにヴァンガードの先輩としての余裕が消え、ダメージチェックに入る。
「ダ、ダメージチェック!『
うがぁ〜、負けたぁ〜‼︎」
「………勝った………」
最後の最後まで諦めずに粘り強くファイトを展開した結果、蓮子が経験者の魔理沙を下してヴァンガード初の白星を挙げた。
その光景にギャラリー達は静まり返り、ただ二人の………麟と霖之助の拍手がその場に響いていた。
「蓮子、ナイスファイト‼︎」
「あ、メリー…………ええ、勝ったわよ‼︎」
『ワァァァァァァァ!』
そしてメリーが駆け寄り、蓮子と二人でハイタッチをする。
その瞬間静まり返っていたギャラリー達が歓声を上げ、魔理沙も蓮子に握手を求めて来ていた。
「全く、今回は負けたぜ。
けど、次は負けないからな!」
「ええ、私もよ、魔理沙!」
蓮子と魔理沙は握手を交わし、二人はこの瞬間ヴァンガードファイト仲間兼ライバルとなり、今後も互いに負けない様に切磋琢磨し合う関係となった。
更にそれは、間接的に蓮子の親友であるメリーともライバルとなったと言え、秘封倶楽部は新たな、そして幻想郷で初の友人とヴァンガードの白星を得たのであった。
蓮子VS魔理沙、ファイト終了!
しかし、名称軸や双闘が絡むとやっぱり文字数ががががが。
次回もこれに負けじ劣らず文字数が多いです。
長ったるい上に紙クオリティの話ですが、これからもよろしくお願いいたします(土下座)
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第7話「今こそ示せ、我が真に望む世界を……!」
マジでこりゃ無いと自分で思いました。
何がヤバイのかは本編をどうぞ。
香霖堂の裏手のフリースペースにて、先程の大盛り上がりだったファイトの興奮がやっと冷め、周りのファイター達は自分のテーブルに戻り、各々の相手と再びファイトをしていた(因みに霖之助はカード購入をする客が来たので店内に行っている)。
「いや〜、此処の人達のテンション凄かったわね〜」
「ええ。
最後の方なんて大会の空気みたいになっていたわ………」
「皆それだけ蓮子のファイトに惹かれたって事だよ。
全く、私の方が先輩なのに途中から周りの声が聞こえなくなり掛けてたし、本当にヴァンガードへの情熱と引き、そしてイメージ力は誰にも負けてなかったぜ」
ファイトを終えて、蓮子とメリーは改めて魔理沙と会話し、蓮子のイメージ力とヴァンガードに対する情熱の高さを聞いたメリーはこれを心の内で同意し、更に『ブラスター・ブレード』………蓮子が分身と呼んだ白き騎士にライドする前までは正に初心者らしい雰囲気であったが、ライドした後は魔理沙の言っているそれを見せつけていて、あのユニットがあの時蓮子の支えになったのでは無いかと推察する。
「………さて、次はメリーがファイトする番なんだが……麟、お前ちゃんと初心者に優しいファイトが出来るか?」
「うっ…………それは…………」
そんな中、魔理沙がメリーと麟のファイトを口にするが、それに対し麟は何故か歯切れの悪い返事が返す。
その様子から、どうやら麟はティーチングファイトが苦手らしく上手く初心者に合わせてファイトが出来ないと言うのが伝わる。
「うーむ、こうなれば私が2連続ティーチングをするしか無いのか………………あっ、あれは!」
『?』
魔理沙が悩みながら周りを見渡していた所、その魔理沙は何かを見つけたのかフリースペースと店の表と繋ぐ角まで走り、其処にはメイド服を着た10代後半に見える銀髪ボブカットの少女が居て魔理沙と何かを話し合っており、最初はメイド服の少女は微妙な表情を浮かべていたが、魔理沙に何度も頼み込まれているせいか途中で折れたと言わんとばかりに溜め息を吐いて魔理沙の後に付いて来た。
「お待たせ!
ティーチングファイトの相手を用意して来たぜ!」
「はぁ、まさか休憩がてらにを香霖堂に寄ってみたら、フリースペースがいつもより賑やかだったから見に来たらティーチングをやらせられるなんて思わなかったわ…………貴女がティーチング相手のマエリベリー・ハーンね?
私は『十六夜咲夜』よ」
「あ、はい。
私がマエリベリー・ハーン、メリーって呼んで下さい」
魔理沙が連れて来た少女、咲夜はどうやら香霖堂に休憩ついでに来たらしく、其処を魔理沙に発見されて今に至るらしい。
これにはメリーも苦笑し、早めにティーチングファイトを終わらせないと不味いと思い始め、デッキケースを出す。
「そう言えば咲夜さん、そちらに居るメリーさんのご友人の蓮子さん、彼女は今さっき魔理沙に勝ったんですよ。
それも、ブラスター・ブレードや
「うわぁぁぁぁぁ麟⁉︎
私が負けたのは言わないでくれって⁉︎」
「えっ、ブラスター・ブレード………?
貴女、蓮子と言うのね?
本当にブラスター・ブレードを?」
「えっ?
あー、うん」
すると麟が先程のファイトを咲夜に教え、ブラスター・ブレードの事も言うとそれを咲夜が直接蓮子に確認し、蓮子が答える。
「後………(ゴニョゴニョ)」
「………あら、それは良い事を聞いたわ」
更に麟は何かを咲夜に耳打ちし、それを聞いた咲夜は何か嬉しそう………と言うより、新しい玩具を見つけた悪い人の様な笑みを見せ、メリーはそれに一瞬身をすくめてしまう。
すると蓮子がメリーの隣に座り、メリーをいつでも庇う体勢に入る。
「大丈夫よ、別に取って食べようなんて思っていないわ。
それより貴女、珍しいクランを持っているらしいわね?
私、それを今直ぐにでも見たいから早くファイトをしましょう。
勿論、あくまでティーチングだけどね」
「は、はぁ………」
「なぬ、メリーはなんか珍しいカードを持っていたのか⁉︎」
すると咲夜が蓮子達の警戒を解かせ、メリーが珍しいクランを持つと言って早くファイトをする様に促す。
対して当のメリーはまだデッキを確認しておらず、またヴァンガードの初心者で余りカードの事も分かっていないので咲夜の言っている事が微妙に理解出来ず、しかしファイトをしたいと言われたので準備を進める為にグレード0のユニットを探す。
すると、デッキを見ていなかった為に気が付かなかったが、2枚のカードのみ裏目が銀色で、他のカードとは何処か違っていた。
「ああ、そのカードはデッキから外してダメージゾーンの上にある『Gゾーン』って場所に置きなさい。
使う時になったら教えてあげるわ」
「えっ?
は、はぁ……」
それを見た咲夜はそのカードをメリーにデッキから外す様に指示し、それに従ったメリーはそのままグレード0を探す作業に戻る。
そしてそれをヴァンガードサークルに置き、手札を見て入れ替えをする………が、グレード3が引けずそのままファイトに突入する様になってしまう。
その様子をメリーの後ろから手札を確認する様に見た魔理沙は、確かにメリーの使っているデッキは自分が今まで見た事も無い全く未知のクランと判別し、目を輝かせていた。
「では、始めるわよ」
「ええ、良いですよ」
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
そうしてメリーと咲夜のファイトが始まる。
戦いの場所はとある地方の遺跡、其処に2人の霊体が2体のユニットにそれぞれライドする。
メリーがライドしたユニット、それは紫色と言う情報から〈ダークイレギュラーズ〉や〈ペイルムーン〉、〈スパイクブラザーズ〉と同じ暗黒国家『ダークゾーン』の所属と分かるが、今までのクランと違い陰がある様には感じず、また今までのクランの特徴とも合致しない未知の存在………名を〈ギアクロニクル〉と言う。
そして、そのクランの
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
「『
対して咲夜は蓮子と同じ〈ロイヤルパラディン〉で、装具に煌びやかな宝石が施されている騎士の少女にライドする。
その姿は、蓮子がライドした〈ロイヤルパラディン〉のユニット達よりも凛としていて、かなりファイト慣れしている事が分かる。
メリーはグレード3が引けなかった事を差し引いても、シャドウと初ファイトをした時よりも遥かに苦戦すると直感で理解していた。
「ジャンケン………最初は貴女のターンだけど、基本ルールは何処まで知っているかしら?」
「大体は」
「そう、なら分からない部分が出たら聞きなさい」
「は、はぁ…………ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』にライド、ガンナーギアは先駆スキルでヴァンガードの後ろに移動してターンエンド」
メーザーギア・ドラコン:P8000、C1
咲夜にルールの事を聞かれ、彼女が今相手している初心者は一応基本ルールを覚えた人と理解し、そのままターンを進める様に促されたメリーはパワー8000の所謂『グレード1のバニラ』にライドして、返しのターンでパワー7000以下のブースト無しのアタックをシャットアウトする。
それを見て咲夜は手札を確認し、次如何に動くか決める。
「ドロー、『
ヘロイーズは左後列に移動「………あれ?」ふふっ、これはティーチングファイトよ。
後から少し応用的な動きを見せるから楽しみにして置きなさい。
次に『
ドライブチェック『
咲夜は堅実にダメージを与え、メリーがどう動くかを見極めるべく展開を観察する。
「………成る程、そう動くか」
「ティーチングらしい動き方だけど、下手したら速攻でゲームエンドになるかも………」
「……はい?」
すると経験者の魔理沙と麟が咲夜が次に取る行動を予測したらしく、速攻ゲームエンドの可能性を口にして蓮子がそれを聞き、咲夜の盤面を見る。
すると、咲夜のさばるみーが魔理沙のエッグヘルムと同じスキルを持っていた事に気付き、もしかしたら咲夜のグレード3はクリティカルが上昇する
そして咲夜とファイトをするメリーは、咲夜の盤面のユニットのスキルをダメージを受けた時点で確認し、とっくにその答えに辿り着いていたが、肝心の対処に関してはその場で思い付いていなかった。
「(うーん、こう言った咄嗟の判断は蓮子の方が感覚的に行動する分早いのよね………取り敢えず、ドローした後に考えよう)ドロー。
『スモークギア・ドラコン』にライド。
『スチームファイター アンバー』と『ブラスウイング・ドラコン』をコール」
スモークギア・ドラコン:P10000、C1
スチームファイター アンバー:P9000、C1
ブラスウイング・ドラコン:P7000、C1
次にメリーは『グレード2のバニラ』にライドし、更に手札を2枚使い左列にパワーラインを作る。
返しのターンでの防御とインターセプト、更に堅実なアタックラインを形成して順当なファイト運びをする。
これには初心者の蓮子も何となく感覚的にやる自分と違い、しっかりと計算して行動するメリーの動きでかなり勉強になり、更にこんな風に動く相手に対して自分は如何動くかを考える良い機会になっていた。
「ブラスウイングのブースト、アンバーでアタック!「ノーガード、チェック『
うっ………ガンナーギアのブースト、スモークギアでアタック!「今ドローしたさばるみーでガード」
トリガーチェック『腹時計付きのギアラビット』『醒』スタンドトリガー!
パワーは…………仕方無い、パワーはヴァンガードに足してアンバーをスタンド!「あら、トリガーのパワーをリアガードに回さずガード突破にしたのね『
あう…………ターンエンド」
「さて、ドロー。
『
そして『
因みにスキルでコールする事を『スペリオルコール』、スキルによるライドを『スペリオルライド』と呼ぶわ。
さて、そーどみーのスキルで『
思う様にダメージを与えられなかったメリーに咲夜は、そーどみーをコールして本来の手札消費を1枚分少なくして盤面を揃えてしまう。
更にシェリー、トレーシーはアタック時に他の
「これが応用的な動きよ。
今ある手札から最適なユニットイメージしてそれらを場に出し、必要以上の手札を使わない様にする………貴女は計算型だからこんな風に考えながらファイトをするのが1番かもね」
「………凄い展開力………」
この咲夜の少し容赦無く、またたったダメージ1枚から此処までの展開力を見せつけられ、メリーは改めて互いの間にある実力差を知り、またこれでもティーチングの為に加減していると感じ、これにはメリーも苦笑いを浮かぶてしまう。
「シェリーのブースト、トレーシーで………リアガードをアタック「えっ、リアガード⁉︎」出されたアタッカーを潰すのもこのゲームでは必要な事よ。
さて、いよいよヴァンガードのアタックよ。
チェック『
更にアンバーをトレーシーのアタックされ、阻止しようにもそのパワーは19000、15000のガード値を要求された為泣く泣くアンバーを退却させ、ミランダのアタックもスルーしてその次のそーどみーのアタックはしっかりガードする。
しかし、メリーの手札にはまだグレード3が無い上にそのグレード3は今さっきのダメージチェックで落ちてしまい、次のドローで引けるかどうかが分からなくなっており、メリーは少し不安になっていた。
「…………気を落ち着かせなさい。
これはあくまでもティーチングファイト(応用編)、負けても良いファイトなのよ?
勝たなきゃいけないファイトや大会じゃない、ただのお気楽ファイトよ。
確かに負けたら悔しいかもしれないけど、ちゃんとそれを次に生かせる練習なんだから気負う必要は無いわ…………ただ笑ってファイトをすれば良いのよ、最後まで」
「咲夜さん……」
「そうだよメリー。
もし負けたら負けたで次は勝ってやる〜って思えば良いんだし、プレッシャーを感じる必要は無いわよ!
ただ気楽にファイトして、でもって勝てたらガッツポーズ、負けたら『ああ〜負けた〜!』程度に思えば良いって!
ね、メリー?」
「蓮子………そう、よね」
しかし、ティーチングしてくれている咲夜と横でファイトを見ている蓮子の言葉で、別に負けても構わない事を改めて思い出し、肩の力が抜けてリラックスする。
更に今さっきまで自分がそんな不安になっていたのが、たった2回しかファイトせず、更に蓮子のファイトを見ていただけ、更にその顔にグーパンをしたいシャドウに教えられたにも関わらずこのカードゲームにのめり込み、いつの間にか好きになっていた所為だと実感する。
そう考えると何故自分はこんなにもヴァンガードが好きになってしまったのか…………そう考えたメリーだったが、主な理由が見当たらず、結局好きな物は好きだから仕方無いと言う考えに落ち着き、不安な表情が消えて笑顔になっていた。
「(うん、別に負けても良い…………勝てば儲け物。
気負う必要なんて何処にも無い…………なら、最後まで楽しまなきゃ損よね、蓮子……)私のターン、スタンド&ドロー!『ドクン…』
…………これは…………」
そんな風に気楽にファイトしようとしてドローした瞬間不思議と胸の鼓動が高鳴り、何かと思いカードを見た所………そのカードはグレード3のユニットであり、何故かこのユニットが手札に来るのを待っていた様な感覚と、このユニットにライドしたイメージが明確に………しかし、蓮子とブラスター・ブレードのそれとは何と無く違い、またこのカードを手にした瞬間に真っ暗な空間に居た自分にカードを中心として光に包まれたイメージも浮かんだ。
そんな不思議なイメージが浮かび、しかし何処か心地良い感覚を感じたメリーは更に肩の力が抜け、完全にリラックスした状態でファイトに臨める様になった。
「…………うん、来てくれてありがとう。
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
そしてメリーは今引いたユニット………赤いスカーフを巻き、額に欠けた渦巻きマークの様な装飾と、背中に翼を思わせるブースターと足がローラーとなっているのが特徴な青いドラゴンに………咲夜や麟、魔理沙が全く見た事も聞いた事も無い不思議なユニットにライドした。
「クロノジェット・ドラゴン………」
「『ツインメーザー・ドラゴン』をコールして、ツインメーザーでヴァンガードにアタック!「此処はガード、そーどみーでインターセプトね」
ガンナーギアのブースト、クロノジェット・ドラゴンでアタック!
ツインドライブ!『引っ込み思案のギアレイヴン』
セカンドチェック!『スチームメイデン ウルル』『治』
ヒールトリガー、パワーをクロノジェット・ドラゴンにプラスしてダメージ回復‼︎」
イメージ世界にてティルダにライドしている咲夜にローラーで全力ダッシュをし、そのままの勢いを乗せたパンチで殴りつけて壁に叩きつけるクロノジェット・ドラゴン。
リアルでもヒールトリガーの所為でダメージ差が元に戻り、咲夜もミスはしていなかった筈だったがメリーの勢いとトリガーを引き寄せる運に微妙に押され始めていると感じ、そろそろ本気を出すかと思いだしていた。
「ライド、『
更にサロメのスキル、
トレーシーをコールして、そのままサロメでアタックし、
『
ガードする、しない?「ノーガードします!」
………思い切りが良いわね貴女。『
嫌いじゃ無いんだけど、少しは警戒した方が良いわね」
「あっ………」
しかし逆転も束の間、メリーはノーガードを宣言した瞬間にダブルクリティカルを引かれてしまい、一気に4枚ものダメージを受けてしまう。
これには見ている蓮子も驚き、麟や魔理沙は勝負が決まったかと思い始める。
「シェリーのブースト、トレーシーでツインメーザーをアタック。
更にヘロイーズのブースト、トレーシーでクロノジェットをアタック「えっと、ギアレイヴンでガード、手札を1枚ドロップしてアタックはヒットしません」ターンエンド」
しかし、そのターンは咲夜が決め切れないと判断してリアガードを退却させ、そのままヴァンガードにもアタックしたが完全ガード……手札1枚と引き換えにあらゆるアタックをシャットアウトするユニットの力もあり凌ぎ切る。
しかし、油断して手痛いアタックを受けたメリーは流石にこれは負けたかなと思い始め、勝利の確率がほぼ0になったと感じて心の中で少し悔しがっていた。
「(あーあ、あのアタックを通したのは痛過ぎたなぁ。
このユニットにライドして、もしかしたら勝てるかもって思ってたんだけど、現実は甘く…………無いけど、なんか負けるのはね〜。
………うん、勝ちたい、ファイトを始めたからには勝ちたい。
蓮子みたいに熱血で直感的なファイトは出来ない………でも勝ちたい。
だって………何だかヴァンガードの事が好きになったんだから『汝の声は届いた』っ、誰⁉︎
って、この声………直接脳内、いやイメージ内に⁉︎)」
そんな中、イメージ世界で謎の声が響き、周りを見渡して声の主を探る。
すると、背後にあった竜の石像に自然と視線が向き、それを見ていた。
『我は、汝のイメージにより生まれた新たな可能性の一つ。
時空を超え、新たなる世界へと導け………唱えよ、『ストライド・ジェネレーション』と………!』
その声を一通り聞いた瞬間、イメージ世界からいつの間にか現実視点に戻り、既にドローを終えて手札にはグレード3『剛腕粉砕の
「あら、貴女既に『
「スト………ライド?」
「………まあ良いわ、
手札からグレードの合計が3以上になる様にドロップして、『
まあ、要は特殊なライドの様な物だと思えば良いわ」
するとメリーは咲夜から
「………
…………今こそ示せ、我が真に望む世界を!
ストライド・ジェネレーション!
『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』‼︎」
時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン:P15000+、C1
ミステリーフレアに
そして、そのままアタックして槍状の銃から閃光が迸り、サロメを飲み込んだ。
そして現実では…………メリーがお返しと言わんばかりにクリティカルトリガーを3枚(現デッキに採用されてる枚数は4枚)引き当てて、咲夜に6枚目のダメージを落とさせてそのままゲームエンドとなった。
「………あら?」
「………勝った………」
「凄いよメリー!
最初のファイトの時よりも劇的な大逆転勝利だよ!
もぉ〜、この豪運ルーキーは〜!」
「ちょ、ちょっと蓮子!
離れ、ルーキーは貴女もでしょ⁉︎」
すると横で見ていた蓮子がいきなりメリーに抱き付き、ファイトで勝った本人以上に喜んでメリーを少し恥ずかしがらせていた。
そんな仲慎ましい光景を見た咲夜はデッキを片付け、すれ違い様にメリーに「ファイトありがとう」と一声掛け、そのままその場から離れ出す。
「な、中々面白いファイトだっただろ?」
「………ええ、とても良い時間だったわ。
貴女もありがとう、魔理沙」
魔理沙がその場から去る咲夜とそんな短い会話を交わし、そのまま見送った。
どうやら魔理沙はメリーのティーチングが面白いファイトになると言って咲夜を誘った事が今の会話で分かるが、そんな会話を聞いていたのは麟だけで、蓮子とメリーはそんな事は知らずに笑い合っていたのであった。
そしてその後魔理沙はメリーにもファイトを挑み、麟と蓮子がそれを観戦する事になるがそれはまた別の話であった。
その夜、綺麗な満月が浮かぶ静寂の中。
幻想郷の一角にある巨大な洋館、『紅魔館』のバルコニーにてその月を見上げ、優雅に紅茶を口にする一人の少女………しかし、人間と違い、その背中には蝙蝠を思わせる羽が生えていて、瞳も人間としてはあり得ない程美しい紅く、少女が纏う雰囲気も見た目に不釣り合いな人を魅きつけるカリスマと呼ぶべき物があった。
この少女こそが紅魔館の主にして500年以上の時を生きる吸血鬼『レミリア・スカーレット』だった。
そんなレミリアの傍に昼間にメリーとファイトをした咲夜が立っており、2人で昼間の事を話していた。
「………お嬢様の言う通り、香霖堂で面白そうなファイターが二人現れました。
片やブラスター・ブレードを持つ宇佐見蓮子、片や未知のクラン〈ギアクロニクル〉を操るマエリベリー・ハーンと言う少女でした」
「ふふ、言った通りであろう。
幻想郷に新たな息吹が吹き込まれ、新たな未来への道が切り開かれる………それが私が見た運命だと」
「はい、お嬢様」
そんな会話を交わし、レミリアは再び紅茶を口にしてその真紅の瞳で月を見やり、まるで新しい玩具を待つかの様に、しかしそのカリスマにより妖しい魅惑を醸し出す笑みを浮かべていた。
「ふふふ、早く会ってファイトがしてみたいものだよ……宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン……」
そう短く呟き、レミリアは懐からヴァンガードのカードを1枚抜き、月明かりに照らし出す。
そのカードはブラスター・ブレードと浅からぬ因縁を持ち、嘗ては彼を憎み、今ではクレイを影から守護する剣となった者………… 影の騎士『ブラスター・ダーク』、その派生型のユニットであった…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
さて、何がやばかったのかもうお察しですね。
hai、本編の文字数が後少しで1万字に達しそうになってしまってました‼︎
実はこれには『切り所が分からない→ならば最後まで1話に収めてみよう→名称軸と超越の説明+使用で文字数がマッハ』なんて情けない背景がありました‼︎
これ、マジで教訓にして何処かで切る事を覚えないとこんな失敗例が積み重なる事に………。
と、兎も角今後はこんな事の無い様にしますのでこれからもよろしくお願いいたします‼︎
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第8話「初めてのクエスト受注」
うん、今回は文字数が5000未満で切り上げられたぞ!
………しかしヴァンガードファイト成分は申し訳程度になったそうな。
蓮子達が幻想入りしてから既に2日が経過した。
取り敢えず二人は魔理沙の家に引き取られ、今日も今日とてヴァンガードファイトをしていた。
「『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』でアタック!「ぬぐぐ………ま、まあミステリーフレアのスキルが発動する訳無いしノーガード!」
トリプルドライブ………トリガーが無かったけど、ミステリーフレアのスキルを発動!
山札の上から4枚を公開して、それが全て異なるグレードのユニットなら
1枚目『ラッキーポット・ドラコキッド』グレード0、2枚目『スチームファイター アンバー』グレード2、3枚目『引っ込み思案のギアレイヴン』グレード1、4枚目!『クロノジェット・ドラゴン』
グレード3、条件達成なので追加ターンを得たわ‼︎「うそーん⁉︎」
そして私のターン、今こそ示せ、我が望む真の世界を!
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』‼︎
アタックしてトリプルドライブ………クリティカルトリガーゲットよ‼︎」
「ぬがぁぁぁ、負けたぁぁぁぁぁぁ!!?」
どうやらこのファイトは、明らかに発動し辛いミステリーフレアのスキルを発動させたメリーが勝利し、ロマン砲に負けた蓮子はかなり悔しがりテーブルに突っ伏していた。
「あははは、お前ら本当に仲が良いな!」
「あ、魔理沙。
キノコ採取はもう終わったの?」
「ああ、これで今日はキノコスープが夕食だぜ」
すると魔理沙が帰宅し、収穫であるキノコを蓮子達に見せて夕食の話をし、そのキノコを保管庫に置きテーブルに座り、二人と会話し出す。
「そういや二人共、幻想入りしてから時間が少し経ってヴァンガードに慣れた頃だし、そろそろ『クエスト』を受けたくないか?」
『クエスト?』
魔理沙が唐突に『クエスト』と言う言葉を出し、蓮子達は頭に?を3つ程浮かべ、魔理沙から詳細を聞き出す。
どうやら幻想郷では『ヴァンガードファイト普及協会』の会員になるとクエストと言う依頼を受け、困っている人やデッキのテストプレイなどを解決し、会員レベルの証であるグレードを上げていき、公式で定められた大きな大会の予選などに参加する資格を得るらしい事が分かる。
しかも会員になればよりヴァンガードにのめり込める様に公共施設の利用が出来る様になるなどの良い事づくめで、年会費や参加費は一切掛からないと非常に良心的な制度の為、幻想郷の住人は既に大半が会員、又は普及協会の職員になっているらしい。
「へぇ〜、普及協会ねぇ〜………メリーさんメリーさん、これは中々………」
「面白そうね、参加してみる?」
「モチ‼︎」
二人は魔理沙の話に興味が湧き、ヴァンガードファイト普及協会の会員にノリノリでなる事に決定し、それを見ていた魔理沙はこの2日で二人のふざけるノリなどが大体分かり、それに対してはツッコミを入れない様になっていた(蓮子のボケもメリー持ち)。
「んじゃ、早速普及協会指定の支部に向かうんだが、此処から近い場所には2つ支部があるんだ。
一つは『命蓮寺支部』、もう一つは咲夜が所属する紅魔館支部だ。
で、どっちに向かうんだ?」
「2つも支部があるんだ………うーむ、やっぱりティーチングしてくれた咲夜が居る紅魔館支部かな?」
「そうね、やっぱり知り合いが居る場所には行きたいわよね」
すると魔理沙は地図を出し、現在地である魔理沙の家の近くに2つの支部がある事を蓮子達に教え、二人は少し考えて咲夜の居る紅魔館支部に向かう事にし、魔理沙もそれを聞いて早速紅魔館支部に向かい始めた。
道中、妖怪に遭遇するも比較的温厚な妖怪だった為か、又は魔理沙が居た為か特に襲われず魔理沙と居ない時は迷子にならない様にと忠告されたのみで終わる。
そして一行は『霧の湖(断じてアトリーム製の霧では無い)』に佇む紅い館、『紅魔館』の正面入り口たる門の前まで辿り着いた。
その門の横には華人服とチャイナドレスを足して2で割った様な服を着た赤いストレートロングヘアーの女性が立っており、一行を見掛けると声を掛けて来る。
「ああ、魔理沙。
そちらのお連れ二人は何方でしょうか?」
「よう『
この二人は外来人で、私の家で世話してる宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、メリーだせ。
蓮子、メリー、こいつは『
どうやら女性の名は
その
「ああ〜、貴女達が咲夜さんの言ってた方達ですか!
そうですかそうですか、お二人が此方に来たと言う事は普及協会紅魔館支部で入会登録をしてくれるのですね!
改めましてようこそ紅魔館へ、私は
「あのメイドさんから話を聞いてたの………じゃあ改めて、私は頭脳明晰スポーツ万能才色兼備が服着て歩くパーフェクト美少女、宇佐見蓮子ちゃんよ‼︎」
「あ〜、この何かウザい挨拶する友人の戯言は軽く流して下さい「シドいよメリーさん⁉︎」お黙蓮子。
え〜と、改めて初めまして、私はマエリベリー・ハーン。
蓮子とは秘封倶楽部と言うサークルで活動する一応親友です。
気軽にメリーと呼んで下さい」
「はい、蓮子さんとメリーさんですね。
いや〜お二人はかなり個性的ですね〜。
え〜、では改めて中に入って情報登録をお願いします」
三人は軽く会話を交わした後、
それから門を潜って中庭と正面玄関の中間地点まで歩いてると、いきなり咲夜が正面玄関前に突如現れ、蓮子達は気付いた瞬間には既に彼女が視界に入って居た事に驚き足を止める。
「うわっ、2日前にメリーとファイトしたメイドさんがいきなり現れた⁉︎」
「二人共、家に泊めさせ始めた夜に言っただろ?
私ら幻想郷の住人の中には『程度の能力』を持った奴が居るってな。
咲夜の場合は『時間を操る程度の能力』を持っていて、時間停止とかが出来るんだぜ」
「そ、そうなんだ……」
魔理沙が咲夜がいきなり現れた事について二人に説明していると、咲夜が歩いて来て一行に話し掛けて来る。
「ふふ、どうやら紅魔館支部で入会手続きをしに来たのね。
手続きをする場所案内するから付いて来て下さいな。
魔理沙も付き添いで、ね」
「分かってるって」
『え〜と、失礼します』
そうして一行は咲夜の案内で紅魔館の中に入り、エントランスを抜けて入会手続きを行う部屋に向かう。
因みに館の中が外から見た以上に広く、その理由を咲夜に聞くと彼女の能力は空間にも作用しているらしく、それにより空間を広げているらしい。
そんなこんなで歩いて少し経ち、地下の大図書館に入ると其処に薄紫のゆったりとした服を着て、ドアキャップに似た帽子を被る紫色のロングヘアーが特徴な少女がテーブルに座り、悪魔を思わせる黒い羽と司書服を思わせる黒服を着た赤いロングヘアーの少女がその横に立っていた。
「パチュリー様、普及協会に入会手続きをする方を二名案内して参りました」
「ご苦労様。
貴女達、私の目の前に座りなさい」
『あ、はい』
するとパチュリーと呼ばれた少女(後から魔理沙に『パチュリー・ノーレッジ』と言うフルネームを教えられる)に対面席に座る様に促され、その横に立っていた女性(此方も後から『小悪魔』と教えられる)が蓮子とメリーに書類を渡し、それに名前などの記入事項などを書いて少し時間が経過すると次に特殊なカードケースらしき物が出される。
「あの、これは?」
「これは『ファイターズカード』、略してファイカよ。
このカードケースには様々な機能があって、個人情報などもこれに記録される普及協会に入会した証よ。
これさえあれば普及協会からのサポートが受けられるし、ショップなどで配信されるクエストを受ける事が可能になるのだけど、詳しい詳細はこの書類に書かれているからしっかりとチェックしなさい。
………さて、長話はしたくないでしょう?
早速受け取ったファイカをこの簡易モニターに翳しなさい。
それで登録完了よ」
ファイカを渡され、一旦それを簡易モニターに翳すと『読み込み中』の文字が表示され、暫くすると『読み込み完了、ヴァンガードファイト普及協会にようこそ』と表示され、ファイカの方にも新しくアカウントとクエストとチームメイトの項目が表示される様になり、二人はアカウントを押してみると二人の名とグレードが表示される。
「登録完了、ようこそヴァンガードファイト普及協会紅魔館支部に」
この言葉と共に二人は正式に普及協会に入会した事となり、これで漸く公式大会にも参加出来る目処が立ったのである。
それから、二人は地下図書館から出て再びエントランスホールに戻ると、咲夜が大型モニターの前に立ち二人に説明を開始する。
「さて、早速クエストを受ける為の説明をさせて貰うわね。
このモニターにあるタッチパネルのクエストと言う項目を押すと、画面に幾つかクエストが表示されるのでそれをタッチパネルで操作して選んで、タッチパネルにファイカを翳せばクエスト受注が完了するわ。
因みにクエストはチームメイトが一緒に受けて、片方が完了するとチームメイトにも協力したと言う証でグレードポイントが半分貰えるわ」
「ほうほう………幻想郷と言う割には近代的な物も多いわね」
「主に河童達の所為だぜ」
蓮子とメリーは咲夜からの説明を受けて、早速タッチパネルを操作してチームメイトの項目を選び、互いの名を入力してファイカをパネルに翳すと『チーム登録完了』と表示され、更にクエストを選ぶとモニターに幾つもクエストが表示され、クエストにはグレード〜からと指定された物があるのも分かり、今の自分達はグレード0なので簡単なクエストしか受けられない様になっていた。
するとクエスト内に『僕のカードを探してください』と言う物があり、二人はそれを受ける事にした。
「よし、それじゃあ早速行くわよメリー!」
「OK蓮子、私達でパパッとクエストを終わらせるわよ!」
「よっし、私もついでに様子を見に行くぜ!」
二人はクエストを受注し、そのまま待ち合わせ場所に向かい始める。
ついでに魔理沙も同じクエストを受けて二人について行き、二人がちゃんと初クエストを最後までやれるかを見届けに行く。
そんなこんなで幻想郷に来てから3日目、漸く二人は幻想郷のヴァンガライフを謳歌し始めたのである。
果たしてこの先に何があるのかは二人にも分からないが二人は互いが側に居ればどんな苦難も乗り越えられると考え、このヴァンガライフの道を歩むのであった。
「因みに魔理沙のグレードって何なの?」
「私か?
ふっふっふ、私のグレードはな………特別仕様の『シルバー』だぜ‼︎」
『と、特別仕様⁉︎』
その道中で魔理沙のグレードに関して盛り上がり無かったりがあったのはまた別の話である
さて、ファイカの話がありましたので少々。
ファイカはグレードが上がる度に表面の色が変わります。
例えばグレード0なら白、グレード1なら黒……と。
そして魔理沙のファイカは特別仕様のシルバーで、他にも特別仕様にはゴールド、プラチナとあります。
ヴァンガードを見てる方なら特別仕様と言うのが何なのかはもう分かってますね?
で、以下がグレード2以降の色になります。
グレード2:茶
グレード3:緑
グレード4:紫
グレード5:紺
グレード6:群青
グレード7:青
グレード8:赤
グレード9:橙
グレード10:黄
こんな感じです。
さて、次回はクエストを受注した二人ですが其処に難敵(?)が……?
次回もよろしくお願いします。
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第⑨話「バカルテット推参!」
タイトルにある様に彼女らが出ます………が、本格的な活躍はまだだいぶ先です。
それと今回のファイト描写に関してはマジですみませんでした!
紅魔館でクエストを受けた蓮子達は早速依頼者の待つ人間の里、その一角にある寺子屋へと来ていた。
「此処が依頼人が居る場所……」
「ぬっふっふ、いよいよ始まる私達の初クエスト!
幻想郷から元の世界に帰れる目処が立つまで、此処ででヴァンガライフを謳歌して、私達秘封倶楽部の名を幻想郷中に轟かせるわよメリー!」
其処でメリーは冷静に周りを見て、此処に多く居る子供達の中に依頼者が居るか否かを確かめるべくファイカを取り出し、クエスト内容と依頼者に名前を確認し出し、対して蓮子はハイテンションでメリーに話し掛けながらファイカを取り出していた。
すると寺子屋の子供達の中から、ファイカを取り出したのを見て近付く男の子一人と女の子四人が居た。
「ほほーう、あんたらもクエストを受けたヴァンガードファイターか!」
「おっと、寺子屋の仲良し四人組の登場だな」
「あ、魔理沙も居たんだ」
「魔理沙と一緒に居る見知らぬ人………まさか、その二人が噂の外来人?」
「そうなのか〜?」
すると女の子四人組………一人はウェーブ掛かった青髪セミロングと頭に大きな緑のリボンと………背中に氷の羽の様な物が左右3対あり、人間では無い事が分かる。
更に他の三人も一人はマゼンタのボブカットだが、背中に鳥の翼が生えており、耳も羽の様になっていて、一人は緑のショートヘアでボーイッシュだが、頭に虫の触覚の様な物が生えており、一番人間に近い最後の一人も黄色いボブで頭の左側にリボンをしているが、瞳の色が人間のそれと比べて異様に赤く、更に蓮子達だから気付けたが纏っている雰囲気も人間のそれとは全く異質な物で、全員が人間では無い事が分かった。
「おっと、互いに紹介をしなきゃな。
こっちの青髪でバカっぽいのがが氷の妖精『チルノ』「あたいはバカじゃなあやい‼︎」、金髪のが『ルーミア』、一応人喰い妖怪の部類に当たるぜ「魔理沙も金髪だよね〜」うっさいやい!
緑髪の奴が『リグル・ナイトバグ』、虫の妖怪でちゃんと女の子だから男の子と間違えるなよ「魔理沙、一言余計だよ!」。
最後が夜雀の妖怪『ミスティア・ローレライ』で、四人合わせて『バカルテット』だ『その名で呼ばないでよ‼︎』。
で、四人共。
こっちの黒帽子を被ってるのは宇佐見蓮子、噂の外来人の一人で『ブラスター・ブレード』の使い手だ。
もう片方はマエリベリー・ハーン、私すら知らなかった〈ギアクロニクル〉を使う奴だよ」
「どうも〜、頭脳明晰スポーツ万能、才色兼備が服を着て歩くパーフェクト美少女の蓮子ちゃんで〜す!」
「はいはいお黙蓮子。
あ、私の事は気軽にメリーって呼んでね、皆?」
魔理沙は互いに互いの名を教え、面識を作り出して以降話し掛けるのに抵抗を無くす………但し、それはチルノ達の方が無条件であって、蓮子達は内心ルーミア辺りを少し警戒していたりする。
「ほほーう、やっぱり伝説のレアカード使いに未知のカード使いだったか!
ね、あたいの言った通り目当ての奴だったでしょ!」
「確かにおバカなチルノにしては珍しく観察が上手く行ったね〜」
どうやらチルノが他の三人に蓮子達が噂…………伝説のレアカードと未知のクランを使う二人組の外来人であると予測を立てて蓮子達の下に来た事が分かった。
蓮子達は自分達がそんな噂になっているのかと知らずに少し驚くが、直ぐに平常に戻りチルノ達について来た少年が気になり話し掛ける。
「えーと、それでボク?
君がクエストを出した子かな?」
「うん………僕の『パーフェクトライザー』、少し目を離してたら無くなってて………探しても探しても見つからなくて………」
「成る程ね………じゃあお姉ちゃん達に任せてよ。
こう見えても私達、物探しは得意なんだよ」
「ってコラー‼︎
クエストを先に受けたのはあたい達だ!
抜け駆けなんかさせないぞ‼︎
さあ行くわよルーミア、リグル、みすちー!
カード探しだ‼︎」
話し掛けた少年が依頼者と分かり改めて話を聞くと、クエストの内容通りファイトに使っていたグレード3のユニットがいつの間にか無くなってたらしく、此処から蓮子達はカードが盗まれた可能性もあると考え、調査を開始しようとした所で対抗心を燃やしたチルノがいきなり寺子屋の敷地から出てカード探しを先に始めた…………他の三人を置いてけぼりにして。
「あー、あのおバカは………」
「えーと、じゃあお二人さんに魔理沙、クエストを先に解決するのは私達だよ!」
「じゃあ皆、行くよ〜!」
そして他の三人も蓮子達に話し掛け終えた後にチルノを追い掛け、クエストをスタートする。
するとそれと入れ替わりに青いメッシュが入った銀髪の女性と、緑の髪を左のサイドテールで纏めた少女が敷地内に入って来て、それを見た少年が「大ちゃん、先生!」と声を上げて駆け寄り、話し出す。
「………おや、魔理沙に………君達はクエストを受けた人か?」
「はい、私はマエリベリー・ハーン、メリーって呼んで下さい。
こっちは友人の宇佐見蓮子と言います」
「うむ、そうか。
私は『上白沢慧音』、此方は『大妖精』だ。
君達もクエストを受けているなら話が早い。
私はこの寺子屋の教師をしているんだが、騒ぎを聞いて大妖精と二人でカードを探してたんだがその場では見つからずにな」
「それで一旦クエストを出して、私達も範囲を広げてカードを探したんですけど……見つからないのでもっと人を呼ぼうと……」
どうやら二人はそれぞれ寺子屋の教師と生徒らしく、彼女達もカードを探しているが一向に見つからないらしく、探す人数を増やすべく一旦戻って来たらしい。
それを聞いて蓮子とメリーは早速少年にその時の状況を聞き出し始める。
すると、窓は一ヶ所開いており其処から誰かが侵入してカードを盗った可能性があるらしく、しかし付近の人に聞いても怪しい人物は居なかったと証言があり、益々訳が分からない状態になっているらしい。
「ふむふむ、怪しい人物は無し……でも窓は開いていて、外を見てもカードは無く、今日は風は穏やかでカードが飛ばされる心配はない………ねえねえメリーさん、これはもしや………」
「………そうね。
ねえ君、無くなったカードのレアリティは何だか分かる?」
「?
更に蓮子達はカードのレアリティを聞き、それが
すると、二人は『ソレ』を見つけて後を追う。
それを見ていた魔理沙や慧音達は何かと思い、二人を追い掛け、人里のとある木の前で止まる。
「何なんだ二人共、この木がどうかしたのか?」
「うん、犯人が分かったしもしかしたらカードもこの木の上にあるかもしれない」
「むっ、それは本当か?」
蓮子達は追い掛けて来た魔理沙や慧音達にカードがあるかもしれないと言う可能性を話し、早速蓮子が木の上に登りある物を見つけ、其処に件のパーフェクトライザーがある事を確認してそれを回収し、木から降りて少年に見せた。
「あ、僕のパーフェクトライザーだ‼︎」
「本当にあったのか。
しかし何故木の上…………木の上……もしや?」
「ええ、犯人は光る物を集めて遊ぶ習性があるカラスよ。
私達はもしかしたらそうかな〜って思って周りを探したら丁度カラスが居たのよ」
「しかもそのカラス、他にも色々と集めてたらしくてね〜。
はい、他にもこんなのがありました」
慧音達もカラスが犯人と分かり、更に蓮子はカラスの巣から他にも色んな物、ヴァンガードのカードやらビー玉を見つけて回収して慧音に渡した。
すると慧音は成る程と呟き、次からはカラスがカードを盗らない様に窓を閉めてからファイトをさせる様にする事を考え、更にカラスに盗られた物を元の持ち主に返すべく里を回る事にし、また一旦寺子屋に帰ろうとした。
「ふむ………では、君達がついでに回収したこれらを持ち主に返す必要があるので我々は帰るとするよ」
「あ、お姉ちゃん達、ファイカを出してよ!
クエストを完了したから僕のファイカからクエスト完了ボタンを押すよ!
カードを見つけてくれてありがとう!」
するとクエストの依頼者である少年がファイカを操作して、二人のファイカにクエスト完了とクエストメールを送り、二人のファイカにグレードアップに必要なファイターズポイントが5ポイント入り、これでクエストが終了する。
そして三人が寺子屋へと帰って行った………と同時にチルノ達がその場に現れる。
「あ、アンタ達!
今ファイカにクエスト終了の知らせが届いたんだけど、まさかアンタ達がクエストを解決しちゃった⁉︎」
「あ、うん。
解決したよ」
「あちゃ〜、先を越されちゃったのか〜」
「全く、チルノが当てずっぽうに探すから………」
どうやら蓮子達に先を越されたのを察知し、それの確認の為に蓮子達の下に来たらしく事実を聞いて四人共それぞれの理由ではあるが、クエストを達成出来ず悔しがっていた。
「くぅ〜!
おいメリーって奴!
あたいとファイトしろ!
この悔しさ、アンタにぶつけないと気が済まない‼︎」
「あ、じゃあ私も蓮子とファイトしたい。
ブラスター・ブレードの使い手ならきっと凄いファイトをしてくれそうだからね〜」
「あ、チルノにルーミアずるい!」
「先を越されたわね、私達」
『え、ええ〜⁉︎』
するとチルノがメリーに、ルーミアが蓮子にファイトを仕掛けて来て二人は突然のファイト宣言に驚き、あれよあるよと言う間にヴァンガードファイトをせざるを得なくなってしまう。
それを見てた魔理沙は笑いながら二人に話し掛ける。
「あっはっは、やっぱりチルノ達が相手だとこんな感じでファイトが始まっちまうよな。
あ、そうそう二人共。
ヴァンガードファイターたる者ファイトを仕掛けられたらしっかりと受けるのが礼儀だからちゃんとファイトしろよ?」
『いや止めてよ⁉︎』
※以下、ダイジェスト
「これがあたいのフェイバリット、大海原へと進撃する正義の刃!
ライド、『嵐を超える者 サヴァス』!
あたいが使うクランは〈アクアフォース〉、連続攻撃に長けた蒼い絶対正義の海の海軍だ!
その力、見せてやるわ!
『タイダル・アサルト』と『レールガン・アサルト』をコールして、タイダル・アサルトでヴァンガードにアタック!「インターセプト!」
タイダル・アサルトのスキル、ヴァンガードにアタックしたバトル終了時にパワー−5000してスタンド!「えっ、スタンドトリガー無しでスタンドした⁉︎」
これがあたいの〈アクアフォース〉だよ!」
「地獄の門より現れてその力を振るえ!
ライド、『魔界侯爵 アモン』!
『アモンの眷属 ヘルズ・ドロー』をコールしてスキル発動、
『アモンの眷属 ヘルズ・ディール』をコールしてヘルズ・ドローと同じスキル発動!
更に『ドリーン・ザ・スラスター』のスキル、メインフェイズでソウルが増える度にパワー+3000!
オマケにアモンのスキル、ソウルの枚数につきパワー+1000、よってパワー+6000!だよ〜「何そのパワー⁉︎」
これが〈ダークイレギュラーズ〉の力、ソウルを増やしてパワーを劇的に上げるんだよ‼︎」
それぞれのファイトで蓮子達は初めて戦うクラン、しかも自分らと実力は恐らく上の相手に翻弄され、互いに後攻でグレード2であるにも関わらず既にダメージが4枚になっており、側から見ても形勢不利なのは明らかだった。
しかし、蓮子達は初めて戦うクランやファイターと言うのもあって最初こそ驚きはしたが一旦ファイトが始まれば楽しいと言う感情が湧き上がり、ヴァンガードファイターとして真剣にファイトに臨んでいた。
「ライド、『クロノジェット・ドラゴン』!
そして、
今こそ示せ、我が真に望む世界を!
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』‼︎」
「開け、光臨の扉!
舞い降りて、白銀の翼!
ライド、『
シークメイト!
二つの光の力よ、今此処に一つとなれ、
『いっけぇぇぇ‼︎』
『手札が最強過ぎてガード出来なーい⁉︎/Vスタンドは割と本気て苦手なのに〜‼︎』
そして漸くそれぞれグレード3にライドした蓮子、メリーはそれぞれ
負けそうな雰囲気が漂い始めた中での勝利で二人は深呼吸をして、緊張を解いて改めて勝利を噛み締めた。
「うがぁぁぁぁぁ‼︎
あそこで完全ガードがあれば返しのターンで
………メリー!
次は負けないから覚えて置きなさいよ〜‼︎」
「ってチルノ待ってよ⁉︎
今から寺子屋で授業でしょうがぁ………」
メリーに負けたチルノはクエストを先に越された時以上に悔しがり、そのままデッキを片付けた後は何処かで聞いた様な捨て台詞を言って何処かに走り去り、リグルとミスティアはそれを急いで寺子屋に連れて行くべく追い掛けて行った。
「うーん、二人共将来有望なファイターだね〜」
「おっ、ルーミアは分かるみたいだな!」
「うん、だって本気でヴァンガードを楽しんでいるんだからね〜。
これで強くなれないなんて逆におかしいよ」
するとルーミアはデッキを片付けながら魔理沙と話し、蓮子達が将来有望株だと言ってその成長が楽しがっており、それを聞いた蓮子達は少し照れて、しかしこのファイトでまた一つヴァンガードファイターとして成長したと感じ、もっとヴァンガードを楽しんで成長したいと思っていた。
「じゃあ私、寺子屋に戻るね〜」
「ああ、早く戻らないと慧音の頭突きが飛ぶぞ」
「分かってるよ〜」
そんな会話を交わしていたルーミアは寺子屋に戻るべく蓮子達が来た道を歩き、蓮子とメリーの横を通り過ぎる。
「…………」
『⁉︎』
しかし、そのルーミアは蓮子とメリーにしか聞こえない様に何かを言い、それを聞いた二人はバッとルーミアの方を向き、その言葉の真偽を確かめようとする……が、ルーミアは既に走って寺子屋へと向かい出したのでそれを止められず、その後ろ姿を見送るしか出来なかった。
「うん、どうしたんだ二人共?」
「えっ⁉︎
い、いや………ルーミアが横を通り過ぎる時に蓮子の服が透けてブラが見えるよ〜って小声で言われたのよ、ね?」
「そ、そうそう!
全く、ものすっごい冗談を言うから少し頭をグリグリしてやろうかと思ってね〜!」
「……そうか?」
そんな二人に少し不思議がりさっきの行動を聞く魔理沙だったが、蓮子達はそれを適当な事を言ってごまかし、何かを言われたのか本当の内容は言わなかった。
しかし、ルーミアの言った言葉は確かに二人の胸に刺さり、彼女に対して言い様の無い疑念が生まれてしまい、次に会った際に言われた事を問い正そうと決めた。
そして、二人が言われた事の本当の内容とは………。
「やっぱり、あの人が言ってた通りだったよ………」
蓮子達に自身が何かの思惑があるかの様に捉えられる言葉であった………。
「………で、お前達は午後の授業をそんな理由で遅れたんだな?
しかもクエスト『外』で」
『ほ、本当にごめんなさい〜‼︎(泣)』
その後、午後の授業に遅れたバカルテット全員(特にチルノ)は慧音に絞られ、宿題の量を増やされてしまったのであった。
最後にルーミアが何やら不穏な事を言いましたが其処はやっぱりバカルテット、オチはしっかりつきました(笑)
因みに宿題の量はチルノ>ルーミア>ミスティア=リグルで量が違います。
さて、次回はあの『ムカつくアイツ』が……?
次回もよろしくお願いします。
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第10話「『シャドウ』再来!」
さて、遂に『ムカつくアイツ』がまた出ますが、此処でちょっとだけ言いましょう。
『カードは大事に扱う様に!』
『カードゲーム中はマナーをしっかり守りましょう!』
それだけ言いたかったです。
では、どうぞ。
幻想郷のとある施設のとある一室。
見渡しの良い窓から外を眺めている青年が一人居り、少し経つとテーブルの前に立ち、ヴァンガードのカードを2枚取り出してそれをテーブルの上に投げ、更にその2枚は斜め向きに立ちながら回転し、2枚のカードは互いに引き寄せられながら弾き合い、それを何度も繰り返す。
その様を見て青年は一人呟く。
「回り始めた運命、果たしてその結末は………」
そう短く呟いた後、回転が止まりパタリとテーブルに倒れるカードを2枚回収し、そのまま部屋から退出して何処かへと行く。
その青い瞳に決意を秘めながら………。
蓮子達の初クエスト完了から数日後、今日も紅魔館のエントランスホールにて蓮子とメリーはクエストを受けに来ており、蓮子の方は順当にクエストをこなした上、最初のクエストを蓮子がカードを回収した事により等倍のポイントが入ってたのでメリーよりも早くグレード1に昇格してファイカの色が茶になっていた。
一方のメリーは早く蓮子に追いつきたいと思い、今日は別々のクエストを受ける事になっていた。
「うーむ、私はこの『迷子の猫ちゃん探し』(1ポイント)をやるとして、メリーはどれをやるの?」
「えーと、どれが良いのかな………」
しかし、案外メリーは蓮子が先に行動して付いて行く事が癖になってた為か、いざ自分から動こうとすると自身の性格も相まって中々行動を決められず如何しようかと悩んでいた。
「むむむ、このままじゃクエストの待ち合わせ時間に遅れてしまう………仕方無い、私先にクエストに行ってるからゆっくり選んでねメリー!」
「ええ、そうするわ」
此処で蓮子はクエストの時間に遅れそうになり、メリーの側から離れて一人クエストに向かう。
メリーも早くクエストを決めようと思い、画面と睨めっこをしている………と、画面に新しくクエストが発生し、内容は『新しいデッキのテストプレイを手伝ってください』と言うもので、ポイントも今自分のグレード昇格に必要な7ポイントあったのでそれを受けようと決め、パネルを操作して決定した。
「あら、誰かのデッキのテストプレイを受けたの?」
「あ、咲夜さん。
ええ、丁度昇格に必要な7ポイントだったから」
「そうなの。
まあ、頑張りなさい………あ、そうそう」
其処に咲夜が来て少し会話をしていると、何かを思い出してメリーにそれを聞き始める。
「貴女、今持っているデッキは最初私とファイトした時のままよね?
新しいカードを入れたりはしないのかしら?」
「えっ?
デッキの改造………そう言えば、考えた事は無かったですね」
その内容とはデッキの改造、つまり新しいカードを使うのかと言うものである。
それを聞いたメリーは少し悩むが、今の考えを咲夜に話す。
「………でも、今の私にはこのデッキに何を入れたら良いのか分からないから、暫くはこのままで良いです。
それに………何だか、このデッキを使ってファイトをしてると………何て言ったら良いのか分からない不思議な感覚を覚えるんです。
例えるならそう………運命、みたいな。
経緯はどうあっても、私がこれを使って、このデッキは私の世界を広げてくれた気がしますし…………だから、今の自分に何処まで出来るのかも試してみたいな、なんて」
「運命……ね。
まあ、それなら私がとやかく言うのも野暮ね。
デッキが改造したくなったら魔理沙や蓮子、それに私とかを頼りなさい、アドバイス位はあげるわ」
「はい、ありがとうございます」
メリーは咲夜に今の自分の考えなどを話し、それを聞いた咲夜は何かを少し思った様だったが、メリーの考えなどを尊重して何も言わずにクエストへ行くメリーを見送る。
そして、メリーが玄関から外に出たのを確認するとメイド業務に戻ろうとする………と、其処に再び玄関が開く音がし、振り返って誰が来たのかを確認する。
「あら、魔理沙」
其処に居たのは魔理沙で、何やら真剣な表情で咲夜を見て何かを言おうとしてる様子が見え、それを問いただす。
「……何か用かしら?」
「ああ、ちょっと付き合ってくれよ」
そう言って魔理沙は咲夜を外に連れ出そうとし、何かしらの大事な用だというのを行動で指し示そうとし、咲夜もそれを察してか主のレミリアに休暇を貰い、魔理沙に付いて行く。
果たして彼女の用とは……?
所変わり人里、その一角のヴァンガードファイト専用施設『ファイトハウス人里支部』と言う場所に来て、メリーは依頼者を探している………が、何故か依頼者が見つからず立往生してしまい、少し如何しようか悩んでいた。
「うーん、クエストを出した人は何処に居るのかしら………?
と言うか、依頼者が居ないと如何しようも「貴女がクエストを受けてくれたマエリベリー・ハーンさんですね?」えっ、あっはい。
私がデッキのテストプレイを受けたマエリベリー・ハーンです」
そんなメリーに対し、クエストを受けた人と名指して話し掛けてきた少女が一人現れた。
その少女は薄紫のショートヘアーと深紅の瞳、そして複数のコードで身体と繋がっている不気味な瞳は特徴的で、見るからに妖怪だと分かる。
「えっと、貴女がクエストを出した人ですか?」
「いえ、私では無いですがその依頼者の代理人から貴女を自分の下に案内して欲しいと頼まれたんですよ。
全く、彼は本当にシャイな方なんですよ、比較的ヒッキーな私に道案内をさせる位に。
さあ、代理人が待って居ますので付いて来て下さい」
「は、はぁ……」
すると少女は依頼者では無く、その代理人に道案内役を任された者と話し、メリーはその代理人に対してヒッキーすら道案内に使う程面倒臭い人物なんだなと言う印象を持ち、しかし早くグレード昇格する為にもクエストを受けるしかなく、道案内役の少女の後を付いて行く事にした。
すると少女は関係者以外立ち入り禁止の扉の前まで来て、その近くに居た警備員に挨拶(と言う名の顔パス)してその扉を開け、更に奥にある転移魔法陣の前まで歩いていた。
「あの、貴女は此処の職員なんですか?
なんか警備員に顔パスしてましたし」
「いえ、私は此処の職員では無いですよ。
まあ、ヴァンガードファイト普及協会の職員ですがね。
ではマエリベリーさん「あ、メリーって呼んで構いませんよ?」じゃあメリーさん、魔法陣の中に入りましょうか。
この先に待ち人が居ますので」
そうしてメリーは普及協会の職員を名乗る少女と一緒に待ち人が居ると言う場所に向かうべく、魔法陣に入ると瞬間、メリーはさっきまでの場所とは違う所、しかも周りはプラネタリウムみたいな閉鎖型のドームに近い物となっており、少し先にはポツンと何かの台があり、それの更に先にも同じ台があり其処に人が立っていた。
しかも…………………その人物は、今この場に居ない蓮子とメリーも顏を知り、そして次に出会ったらぶっ飛ばしたいと思って居た人物………シャドウその人であった。
「なっ………あいつ、シャドウ⁉︎」
「『シャドウ』………ああ成る程、彼は貴女にはそう名乗っているのですか」
「なっ、貴女まさかアイツとグル⁉︎」
「グル………うーん、協力者、と言う意味ではそうですが、貴女と彼の個人間のいざこざには関係無いので、何と言えば良いのでしょうか?」
するとメリーを此処に連れて来た少女はメリーのグルと言う言葉に対し、協力者とは言ってはいるがメリー達を幻想郷に無理矢理連れて来た件には完全に無関係と言い、微妙な反応をしていた。
そうして、メリー達のやり取りを見ていたシャドウも口を開き、メリーに話し掛けて来る。
「久し振りだな、副部長」
「………ええそうね、本当に久し振りで会いたかったわ、絶対にぶっ飛ばしたいって意味で!」
「そうか…………単刀直入に言おう、ヴァンガードをしてお前は強くなったか?
何か変わったか?」
「………何で貴方なんかにそんな事を言わなきゃいけないのよ……!」
明らかな嫌悪の態度を見せるメリーに対し、シャドウはそれを意に介さず不思議な問いをする。
が、メリーはシャドウを完全に嫌っているのでそれに答えず、更に嫌悪感を見せつけ今にもその顔面にグーパンをしようかと利き手に力を込め、足にもいつでもダッシュ出来る様に力を加えていた。
「………まあ良い。
それを確かめるならヴァンガードファイトが一番だ。
俺とファイトしろ、そのデッキに相応しいか如何か見極めてやる」
「何ですって‼︎」
そのシャドウは明らかに上から目線でメリーに対しファイトをしろと言い、更にデッキを使うのに相応しいかなどと挑発+身勝手な物言いをし、普段どちらかと言えば温厚なメリーの頭に血を上らせるのに十分な程の言葉だった。
「私がこのデッキを使うのに相応しいか?
貴方が勝手に私の持ち物にこのデッキを加えて、この幻想郷に私達を勝手に送った癖に………上等よ!
此処で貴方を、私の世界を広げてくれた、私に運命みたいな物を感じさせてくれたこのデッキでファイトで倒して、その上で貴方をボコボコにしてやるわ‼︎」
「運命………か。
まあ良い、手短に済ませるぞ」
そうしてメリーとシャドウのファイトが早くも決まり、メリーは〈ギアクロニクル〉のデッキを取り出してファイトの準備をしようとする。
するとシャドウもデッキを取り出してFVとGユニット(
「………何この無駄に凄い設備」
「初見では驚きますよね、これ。
この設備の名は『Grand Image Reality System』、略式名称は『ギアース』と言います。
今まで人のイメージとして朧げにしか捉えられなかったヴァンガードファイトやユニット、クレイの大地をホログラム化して、より視覚的に、リアルなファイトを実現する画期的なシステムですよ。
………まあ見た目的にも幻想郷とかなり不釣り合いな物ですが、より良いヴァンガードファイトを実現すると言うスローガンを掲げた河童達がこれを作り上げたんですよ」
幻想郷と言う名の世界とは不釣り合いな近未来的な設備を目にしたメリーはシャドウへの怒りが頭を支配してるのには変わりないが、こんな物を見ては惚けてしまうのは必然であり、面食らった表情を浮かべてしまい、それを少女が設備の名などを説明し、その少女も何処か呆れた様子で苦笑し、メリーの気持ちが良く分かると言った態度を見せていた。
「どうした、早く準備しろ」
「っ!
分かっているわよ‼︎」
それらを見ていたシャドウはさっさと準備をする様に催促し、それを聞いたメリーは勿論怒りながらGユニット、FV、デッキを分けてギアースのファイト台に置き、それが先程のシャドウの時と同じ様に吸い込まれ、電子状のプレイマットとデッキなどが現れ、メリーもデッキに手を翳すと手札がふわふわと浮き、左手をお盆を乗せる様な形にするとその上に手札が浮き、右手でそれらを回したりして少し遊んでいた。
「では始めるぞ」
「………いつでも!」
『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード‼︎』
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
「『ドラゴンナイト サーデク』」
そしてファイトが始まり、互いにFVをスタンドアップさせた。
するとシャドウのFVはメリーとの初ファイトの時と同じ〈かげろう〉のユニットで、しかしアンドゥーとは違いパワーは5000で、明らかに先駆スキルを持っているタイプのユニットであった。
「………ファイトには」
「?」
「ファイトにはその人間の全てが表れる。
どんなファイトをするかで、その人間の性格や考え方、更には今どんな感情で動いているのかもはっきりと分かる」
するとシャドウはメリーに対し、そんな哲学的な事を独白し始め、更にメリーのデッキやファイトの動きを見透かす様な目で見て、何かを図る様な態度を見せていた。
「さあ、見せてみろ。
お前の言う運命とやらを……!」
「ええ、見せてあげるわよ………貴方が嫌と言う位ね!」
こうして互いに煽り合いながらファイトが始まり、メリーはシャドウに怒りをぶつけ始めた。
それを側から見ていた少女はやれやれと言わんばかりに苦笑し、しかしメリーを観察する様に、このファイトの行く末をその脳裏に刻む様に見ていた。
………そして、第1ターンが開始された。
此処まで閲覧して頂きありがとうございました。
え〜それと、シャドウのやった事はジャッジキルやマナー違反、『〇〇はカードを傷めるぜ!』などのツッコミが満載ですが、リアルではやらない様にしtヤルワケナイダロ○(#`・ω・)=○)Д´∵. グハッ!!(天丼)
次回、二人のファイトが本格的に始まります。
次回も楽しみに待っていて下さい。
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第11話「アイツを見返したい‼︎」
さて、今回はメリーVSシャドウの第2戦の結果が出ますが、色々アレな気がします。
では、どうぞ。
「はぁ〜、やっと見つけたよ猫ちゃん」
メリーがシャドウとファイトを始めたその頃、蓮子はクエストの猫探しで目的の猫を見つけ、依頼者の下に連れ帰る所であった。
「………そう言えば、メリー大丈夫かな〜?
私にこれを預けてたし」
すると蓮子はポシェットの中からヴァンガードのカード………それも、〈ギアクロニクル〉のカードを幾つも取り出し、眺めていた。
実はこれは、つい先日の朝早くに魔理沙がポストの中を確認した所、何故かこれらのカードが入っており、魔理沙達を困惑させたが新カードがあるなら使ってみようと魔理沙と蓮子は提案し、メリーのデッキ改造をしようとしたのだ。
しかし、それをメリーは咲夜にも言った事を二人にも言い、デッキ改造をせずに手にした時のままにしていたのだ。
「うーむ、何か強いファイターに会ったら負けちゃいそうな気がしてならないなぁ〜………まっ、メリーもその内デッキ改造をするだろうし、その時までこれは預かる約束もしたからね、とやかく言わないでおこうかな〜。
で、デッキ改造の時には……」
そんな独り言を話しながら、蓮子は依頼者の下に走り、クエストをクリアしようとしていた。
しかし、彼女は知らない。
今まさに、メリーがシャドウとファイトを始めていた事に………。
「ライド、『メーザーギア・ドラゴン』!
ガンナーギアは後ろに移動してターンエンド!」
「ドロー、『煉獄闘士 マレイコウ』にライド、サーデクは後ろに移動して『ドラゴンモンク ゴジョー』を『
スキル発動、レストして手札1枚をドロップし、1枚ドロー。
サーデクのブースト、マレイコウでアタック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』ドロートリガーゲット、1枚ドロー」
メリーとシャドウのファイトが始まり、ギアースによりユニット達がホログラフィックで動きを再現され、派手に動き回り戦っていた。
対して二人の立ち上がりはとても静かな物でいつ爆発するのかタイミングを伺っているかの様な動きだった。
そのファイトを観戦する少女も二人が如何動くのか、またメリーとメリーの〈ギアクロニクル〉の力を見たいと考え、黙って二人のファイトの行方を見ていた。
「ライド、『スモークギア・ドラゴン』!
更に『山盛り甲羅のギアタートル』とメーザーギアをコールして、ギアタートルの方からアタック!「ダメージトリガーチェック『煉獄の踊り子 アンナ』
ガンナーギアのブースト、スモークギアでアタック!
ドライブトリガーチェック『腹時計付きのギアラビット』『醒』スタンドトリガー!
パワーとスタンド効果はギアタートルに!「ダメージトリガー『煉獄竜 ボーテックス・ドラゴニュート』」
ギアタートルでアタック!「………『煉獄の踊り子 アガフィア』『治』ヒールトリガー、ダメージ回復」
ターンエンド!」
メリーはヒールトリガーに阻まれたとは言え、シャドウに序盤からいきなり3枚のダメージを与えかけ、それを観戦していた少女もメリーの強気な動きに対して小さく拍手を送っていた。
「(よし、3枚目のダメージは与えられなかったけど良いスタートを切れた!
それに万が一シャドウが一斉攻撃を仕掛けたとしてもギアタートルのインターセプトがあるから防げる!
後はクロノジェットにライドして
メリーは心の中でそう思い、意外と次のアタックに対しての防御手段を確保していた。
更にクロノジェットにライドした後の事も考え、いつも通りにやれば勝てるとし、このファイトに対して勝機を見出していた。
「スタンド&ドロー、『煉獄竜 ワールウインド・ドラゴン』にライド。
………今お前は、『ギアタートルもあるしこの調子で行けば勝てる』と考えているな?「………えっ⁉︎」
言った筈だ、ファイトにはその人間の全てが表れると。
お前はギアタートルで防御手段も確保し、更に後続をコールする用意があるから敢えて序盤からリアガードを展開した、違うか?」
するとシャドウはそれらの動きに対して指摘し、更にメリーが今強気であるとも話し出し、当の本人にその指摘が正解だと言い始めた。
事実、メリーの手札には『スチームファイター アンバー』があり、例えギアタートルのインターセプトを使おうとまた次のターンでも同じ『
それらをきっぱり当てられ、メリーは少し動揺する。
「………そんな程度が見抜けないと思ったか?
コール、『ガトリングクロー・ドラゴン』。
更にガトリングクローのスキル、
ガンナーギアを退却」
「うっ、ガンナーギア………(でもまだガンナーギアしか退却されてない、これなら立て直しも)「更にサーデクのスキル、相手のリアガードが退却した時にソウルに移動し、相手は自らのリアガードを選んで退却させる」…………えっ⁉︎」
返しのシャドウのターンにて、ガトリングクローを起点とされ、いきなり2体のリアガードが退却させられる事が確定し、はっきりとした動揺を浮かべてしまう。
そしてメリーはサーデクのスキルで退却させるのを何方にするのか考え、まだ後続のアンバーが居るのでブースト要員を残すべく、敢えてギアタートルを退却させた。
しかし………。
「コール、『煉獄竜 メナスレーザー・ドラゴン』。
スキル発動、
消えろ、メーザーギア」
「なっ、嘘………たった1ターンで私のリアガードが3体全て退却させた⁉︎」
メナスレーザーにより同じ縦列………メリーから見れば右側、シャドウから見れば左側のリアガードサークルに居たメーザーギアすら退却させられ、ヴァンガードしか場に居ない完全孤立状態が築かれてしまう。
経験が浅く、こんな序盤から中盤にかけての苛烈な退却は魔理沙の〈なるかみ〉相手ですら無かった為、次に如何に展開すれば良いのか分からなくなってしまう。
「〈かげろう〉は基本的に〈なるかみ〉を上回る退却能力を持つクラン、序盤から展開するのは展開力が高いクラン以外では愚策だ。
ワールウィンドでアタック「っ、ノーガード‼︎」………確かに9000のワールウインドではパワー10000のスモークギアにはアタックはそのままではヒットしない。
しかし『煉獄竜 バスターレイン・ドラゴン』『☆』こんな風にトリガーが出れば話は別だ。
全てヴァンガードに割り振る」
「ダ、ダメージチェック!『ブラスウイング・ドラゴン』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
クリティカル、パワーはヴァンガードに!」
更にシャドウに〈かげろう〉の特性を話された上でクリティカルトリガーも引かれ、状況は一気に逆転させられてしまうが、ダメージトリガーが出たので次のメナスレーザーのアタックはギリギリギアラビットで防ぎ切った。
しかし、次のドローでメーザーギアの代わりのブースト要員が引けず、今はただクロノジェットにライドし、ブースト無しのアンバーも出すしか道が無くなっていた。
「ま、まだ負けない!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎
『スチームファイター アンバー』もコールして、アンバーでヴァンガードにアタック!「……『煉獄竜 ブレイクダウン・ドラゴン』
クロノジェットでヴァンガードにアタック‼︎『スチームメイデン ウルル』『治』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
ヒール、クリティカルトリガーゲット‼︎
全てクロノジェットにプラスしてダメージ回復‼︎」
メリーは何とか食らい付こうとしてクロノジェット、アンバーのアタックを加え、ダブルトリガーも引き何とかダメージレース上では逆転する。
しかし、5枚のダメージを受けても尚シャドウは涼しく、また何処か呆れた様な表情を浮かべていた。
「………この程度か」
「な、何よ」
「運命だ何だとほざいて置きながら一方的に追い込まれ、デッキの改造もしなかった為ブースト要員も確保出来ず、また新しいカードを使わずに自らの視野を狭め、新しい玩具を得たガキの様にはしゃいでこのザマ………大方『自分には何処まで出来るか、何をデッキに加えれば良いのか分からない』と言い訳して今の状態を維持して、『適当にデッキを作り直してみよう、もしも何かあったら蓮子が居るから大丈夫』と高を括っただろう!」
「な、ち、違「違わない‼︎」っ⁉︎」
更にシャドウから一方的な分析が始まり、自分はこう考えていると勝手に決められそれに反論しようとするが、メリーはシャドウの違わないの一言で押し黙ってしまう。
そう、シャドウの指摘が少し違っていてもだ。
「何故なら、自らのデッキをしっかりと組まなかった時点でお前は結果的に宇佐見蓮子におんぶ抱っこの状態になったんだ!
その時点で宇佐見蓮子に頼り切りという部分も結果的に変わりはしない!
それに、デッキを改造しないのは成長しない、折角新たなイメージで広がった世界をまた狭めてしまう、そんな事も考えていなかった!
その結果がこのザマだ‼︎
緩い考えを持ったまま適当に行動し、致命的なミスを招く、余りにも鈍臭くバカな宇佐見蓮子以上に楽観的過ぎだ‼︎
しっかりとデッキを組んでさえいれば、俺にこの場で勝つ事も出来た筈なのにな………やはり貴様にはそのデッキは相応しくない、俺が頂く‼︎」
「っ⁉︎」
更にシャドウから発せられた殺気に気圧されてしまい、肩を竦めてしまうメリー。
その光景を見ていた少女は小さく「大人気ない……」と呟き、シャドウのメリーに対する言動に対して良い印象を持っていなかった。
しかし、そんなのはファイトをしている二人には関係無く無情にターンが進む。
「ライド、『煉獄竜 ブレイクダウン・ドラゴン』!
更に『カラミティタワー・ワイバーン』をコールして
ドロップゾーンに4枚のカードが揃った今、条件は達成された!
シーク・THE・メイト!
混沌蔓延る世の中で、並び立ちて焼き払え、『煉獄竜騎士 タラーエフ』、
ブレイクダウンの
この時相手リアガードが2体以下なら裏向きのダメージを1枚表向きに!
更に『煉獄の踊り子 アンナ』をコールし、『煉獄』名称の
同じ縦列に相手リアガードが居なければダメージを2枚表向きにする‼︎
そして『煉獄竜 ボーテックス・ドラゴニュート』をコール‼︎」
「あ、ああ…」
そして再びリアガードを退却され、更にそれに使われたコストを丸々回復されてしまったメリーは、逆にリアガードをフル展開したシャドウとの間に圧倒的な、しかも初期デッキでは万に一つ勝てない程の差をはっきりとイメージさせられ、勝利する確率が完全に0になってしまったと感じ取ってしまっていた。
その為………幾ら悔しくても、幾ら言い返したくても、何一つ言えない精神状態にまで追い込まれてしまった。
「………ボーテックス・ドラゴニュートでアタック!「ウ、ウルルでガード……」
ブレイクダウンとタラーエフで
ツインドライブ『煉獄竜 ボーテックス・ドラゴニュート』『煉獄竜ブレイクダウン・ドラゴン』トリガーは無し「……………『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』」
メナスレーザーでアタック「……………『引っ込み思案のギアレイヴン』」もう何も言えないか…………結局此処までだったな。
ならばこのままサレンダーしろ、そして〈ギアクロニクル〉のデッキを置いて、一生お前の大事な宇佐見蓮子に縋っていろ」
その上サレンダーしろとまで言われ、最早何もかもが嫌になってしまう程の悔しさと何も言えず一矢報いる事も出来ない無力感に苛まれ、右手がデッキに吸い込まれ始めてそのままサレンダーの合図をしようとしていた…………………と、シャドウと少女は思っていた。
しかし、その右手はいきなり握り拳となり、あろう事か勢い良く台パンをしていた。
「…………よ」
「何?」
「好き勝手言って、あんたは何様のつもりよって言ったのよ‼︎
確かにデッキに何を入れたら良いのか分からないのは事実よ!
でもね‼︎
何回かファイトしていて何を入れようかなって考えてたしイメージも掴み始めてたのよ‼︎
それを一方的にああだこうだ言って勝手に私の事を分析したみたいに言って‼︎
オマケに私が蓮子におんぶ抱っこしているですって⁉︎
ふざけないで‼︎
私は蓮子と一緒に居てもかけがえの無い親友に頼り切りにならない様にしてるわよ、鈍臭くてドジをいつもやらかすから説得力は無いけど‼︎
なのにあんたは私が気にしていた事をズケズケズケズケ言った上に身勝手な事を…………あんたの勝手なイメージを私に押し付けないでよ‼︎」
するとメリーは涙を流しながらもはっきりとシャドウに対して怒りをぶつけ始め、普段温厚な人物が怒ると止まらないと言う言葉を今体現していた。
如何やらシャドウに言われた事などは気にしていたらしく、それを指摘されてたから何も言えなかった様だが、彼の最後の一言で遂に頭に血が上る所か燃え始めていた炎に燃料を更に投下されたらしく、もう誰が何を言おうと止まる事の無い大爆発を起こしたのである。
「スタンド&ドロー‼︎
私があんたに勝てない⁉︎
だったらそのイメージを今崩してやるわよ‼︎
今こそ示せ、我が望む真の世界を‼︎
ストライド………ジェネレーションッ‼︎」
メリーはドローフェイズで2枚目のクロノジェットを引き当てて、そのまま
するとそれに呼応するかの様にギアースのホログラフにノイズが走り出し、更にはバチバチと電流が走り出し、明らかにギアースの機器が動作不良を起こし始めていた。
それを見てシャドウは外のカメラの映像を電子モニターっぽい物に出し、外の光景を見始めていた。
そしてその外では…………子供達やイメージ力が高い人が空を見上げ始め、其処に何かがあるかの様な振る舞いをしていた。
余りイメージ力が無い人にはそれが何なのか、何故周りの人の一部や子供達が空を見上げているのか訳が分からずにいた。
だが、イメージ力が高い人や子供達にはそれが見えていた。
そう、メリーが
『ボンッ‼︎』
すると、ギアースが遂にオーバーフローを起こして爆発を起こして緊急停止装置が作動し、完全にギアースは沈黙した。
それと同じくして、イメージ力が高い人や子供達の目に映っていたミステリーフレア・ドラゴンも消え去り、後には何も残らなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
「…………(な、なんてイメージ力………これがマエリベリー・ハーンと〈ギアクロニクル〉が持つ………)」
「(ヴァンガードを始めて間も無いにも関わらずこのイメージ力………如何やら、こちらの予想以上の………)ギアースが動作不良を起こし緊急停止したらしいな。
ファイトは此処までだ」
「なっ、待ちなさいよ………‼︎」
「あ、待ちなさい!
ギアースが停止したとは言え爆発まで起こしたのですよ!
早く避難をしますよ!」
するとシャドウは何かを考えたらしく、ファイトを中断してそのままメリーが入って来た方とは反対方向の魔方陣に向かい出し、メリーが
後を追おうとするとファイトを観戦し、今の現象に惚けていた少女が我に返りメリーをこの場から避難させようとしてそれを阻んだ。
するとシャドウは振り返り、メリーに話し掛ける。
「……このファイトの決着はまた今度だ。
それまでそのデッキをお前に預けておく。
精々強くなるんだな、『副部長』」
「………上等よ、いつか吠え面かかせてその顔面にグーパンしてやるわよ!」
そんな短い言葉を交わした後、シャドウとメリーは互いに来た魔方陣から外に出て、2回目のファイトは機器の故障と言うアクシデントにより有耶無耶になったのであった。
因みにメリーのファイカにはクエスト完了の証として7ポイントが入り、グレード昇格が決まっていた………。
「全く、貴方と言う人は本当に不器用を通り越して大人気ないですよ。
あんなに可愛らしい女の子に散々精神攻撃をするなんて…………アレが正式な試合で私が審判だったら貴方をジャッジキルしていた所です!」
「そうでもしなければマエリベリー・ハーンの現段階の実力を引き出せないと踏んだからだ。
しかし、デッキを一切改造して無かったのははっきり言って予想外だった。
お陰で熱くなり過ぎて要らん事まで言う結果になった」
メリーが魔理沙の家に帰った直後、メリーをあの場に案内した少女とシャドウは人里の一角で落ち合い、先程のファイトの事で少し口論となり若干険悪なムードが二人の間に漂っていた。
「………だが、予想以上の結果も出せた。
これなら期待は出来る、違うか?
ヴァンガードファイト普及協会『地霊殿』支部長、『古明地さとり』」
「……本当、貴方は可愛げが無くなりましたね。
昔は愛想が良くて弄り甲斐があったのに……」
「昔は昔だ。
それよりもプランは修正は無し、このまま進める方向で行くぞ。
………それと、このデッキの持ち主の子に伝えてくれ、良く出来たデッキで使い易かったと」
しかし、シャドウはそれに意に介さず話を進め、何かの計画はそのままと言い、更にファイトで使ったデッキの持ち主の子供にも言付けを地霊殿の長、古明地さとりに頼み、そのまま何処かへと歩いて行ってしまった。
その背中を見送った後、さとりは「はぁ……」と溜め息を吐き、彼女も元居るべき場所である地底に戻ろうと歩き出した。
「………ああ、そうそう。
これは独り言ですが、プランの事を聞きたいなら彼に直接聞いて下さいな、紅魔のメイド長に普通の魔法使いさん?」
『っ⁉︎』
するとさとりは少し振り向きながら物陰を見て、そこで盗み聞きをしていた咲夜と魔理沙に『話をするならシャドウとやれ(意訳)』と言ってそのままその場から離れて行った。
「………流石は覚妖怪、私達の心を読んで盗み聞きを看破していたわね……」
「………何だよアイツ、プランが如何だのって………一体何考えてんだよ……‼︎」
二人は物陰から出て咲夜はさとりの強かさに警戒心を強め、対する魔理沙はシャドウ………かつては共にヴァンガードファイトを楽しみ、一緒のチームを組んで博麗の巫女達と共に切磋琢磨し合い、時には異変解決を一緒にしていた袂を別ってしまった幼馴染に、言い表す事の出来ない複雑な気持ちを抱いていた…………。
一方魔理沙の家にて、蓮子は家主と親友の帰りをお腹の虫を鳴らしながら待ち、暇な時間を使ってデッキを見直して何を入れようかと考えていた。
「うむむ………『ブラスター・ブレード』は抜きたくないんだけど、他には何を入れるべきか………一層の事『マジェスティ・ロードブラスター』を加えた『マジェシング』構築なるものでもやって「『バタンッ‼︎』蓮子っ‼︎」うっひゃい⁉︎
メ、メリーさん一体どうし…………メリー、何で泣いてるの⁉︎
何があったの⁉︎」
そんな時、昼間のファイトを終えて涙を流しながら帰って来て抱きついて来たメリーに驚き、何があったのかを聞き出す。
そして昼間にシャドウと再会し、散々な事を言われて一方的なワンサイドゲームをやられ、その怒りをぶつけ切る事が出来ずにファイトが終わった事を蓮子は知った。
「あ、あの低身長キザ男が‼︎
メリーに勝手なイメージを押し付けた上にそんな事言って泣かせるとは…………アイツ、次会ったら絶対ファイト前に本気のグーパンしてやるわ‼︎」
「蓮子、だからシャドウを見返す為にもデッキ改造を手伝って‼︎
私、アイツに一泡吹かせないと気が済まないわ‼︎」
「私もよ‼︎
だからデッキ改造、手伝ってあげるわよ‼︎」
そうしてメリーは自分の〈ギアクロニクル〉デッキを改造し始め、蓮子もそれを横から見て何を入れるのかのイメージを手伝い、デッキ完成に勤しんだ。
途中からそれに魔理沙も参加し、三人は夕食を食べた後もデッキを改造し、夜が更けるまで改造とテストプレイを重ねて行くのであった。
☆祝、蓮メリのシャドウに対するヘイト値がオーバーフローを起こしました☆
はい、シャドウは蓮子と出会ったら問答無用の顔面グーパンが決定です。
因みに蓮子はそんじょそこらのTHE・不良を叩きのめす位には戦闘力(物理)が高いです。
やっぱりカードゲームをする人はリアル戦闘能力がある程度高くないとダメですよね‼︎(確信)
でも戦闘力(意味深)はメリーの方が……ゲフンゲフン‼︎
さて、次回は流れ的に『アルトマイル』使いか『アーシャ』使いが出ないといけない気がしますが果たして……?
次回もよろしくお願いします!
後、『サヴァス』のフライングはノーカンです。
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第12話「突撃新デッキテスト!」
何だか目がショボショボして大変ですがまあ大丈夫でしょうね(適当)
さて、今回はメリーが新しいデッキで3連戦予定の導入編です。
果たして誰がファイトをするのか………本編でお楽しみ下さい。
では、どうぞ。
メリーのシャドウ戦2回目から1週間が経過し、蓮子とメリーはクエストをこなしつつデッキの改造に明け暮れ、どんな構築が使い易いか模索していた。
そんなある日の朝、メリーは何となくポストの中を見るとまた〈ギアクロニクル〉のカードが封筒に入れられており、今度はGユニットと今デッキに入ってる完全ガードとはまた別の完全ガード、更にサブのグレード3が数種類と
「おお、今度は前の以上に大盤振る舞いだな!
これならかなりデッキ改造が捗るぜ!」
「確かにね〜。
でもこれ、誰が送って来るんだろう?」
「そうね………あんな事を言った『キザ男』が親切にカードを送って来る訳無いし………うーん……………ても、折角カードを送って貰えている訳だし、使わないと勿体無いよね?」
蓮子達はカードの送り主が誰なのか分からず、若干困惑していたが其処にメリーがカードを使う意志を自分から見せ、送られて来たカードを1枚1枚しっかりとスキルを確認し、何を抜いて何を新たに加えるのか選別していた。
「メリー………そうね、折角のカードを使わないのはね〜。
てな訳で私も手伝うわ!
何、安心なさい!
この超高性能の頭脳を持ち、ゲーム類であろうが直ぐに本質を理解してスッゴイ実力を発揮する超天才の蓮子ちゃんが手伝うんだからメリーの納得の行くデッキに仕上げられるわよん‼︎」
「ええ、勿論手伝って貰うわよおバカ蓮子「お、おバカぁ!!?」」
「おいおい、この家の家主でお前らの世話してやってる私も混ぜろよ!」
すると蓮子と魔理沙もカードの選別を手伝い、メリーのデッキを徐々に形作って行く。
しかし、魔理沙は顔には出さないがシャドウ…………袂を別ってしまった幼馴染の発したプランと言う言葉が頭から離れず、何を企んでいるのか気になっており、だが目の前の二人に要らぬ不安を与える訳には行かず心の隅にしまっている。
「(………確かにプランって奴は気になる。
それが二人に関わっているのも何となく察せる。
だがな、一緒に居た時間はまだ短いがそれでもこの二人は私の友人で、世話してる後輩ファイターだ。
もしお前が何か企んで二人に害を与えるって言うのなら、私は………)」
そんな秘めた決意を魔理沙は胸の内に固め、デッキ改造を手伝いメリーのデッキver.2を完成させる。
ガンナーギア、メーザーギア、スモークギアは変更されていないが、他のカードの枚数や新カードでデッキ内容はガッツリ変わっており、これからテストプレイを兼ねて香霖堂のフリースペースへと行く事となった。
そしてやって来た香霖堂。
相変わらず店内外共に賑わっており、数多くのヴァンガードファイターがファイトをして互いに切磋琢磨し合い、デッキの洗練を行なっていた。
「ひゃ〜、此処は何時もヴァンガードファイターが多いよね〜」
「そりゃそうだぜ、此処はカードショップとしての質も上位、店長が普及協会の一員だからクエストも受けられる、オマケに集まるファイター達はエンジョイ勢、ガチ勢、ルーキー、ベテラン様々だから雰囲気もマジで良い。
もしも香霖堂以外で質も雰囲気も良いショップを探そうって言うなら逆に骨が折れる位なんだ」
「そうなの⁉︎
じゃあ麟さんはかなり良いショップを紹介してくれたんだ………後でお礼を言わないと」
そんな人気ショップ香霖堂の話に花を咲かせている三人は店の裏手にある店外フリースペースへと足を運び、空いた席を探そうとしていた。
すると、そんなフリースペースの席の一角に人や妖精が集まり、何やらファイトの観戦をしていた。
「うん?
あれは………」
『?』
そのファイトをしている人物に見覚えがあったのか、魔理沙は人混みの中へと入って行き、蓮子とメリーもその後を追い、何とか人混みを抜けてテーブル前まで辿り着く。
すると其処には先程メリーがお礼を言おうと言っていた冴月麟その人もファイトを観戦していて、ファイトをしている二人は蓮子とメリーは見覚えが無かった。
片方は金髪、瞳の色は青系、青いワンピースの様なロングスカートと頭にカチューシャの様にリボンを巻いた人形の様に綺麗な少女と、もう片方は銀髪赤眼、更に尖った耳と褐色肌で外見的特徴がまんまエルフそのもので、更に座高がかなり高い上に手や足の長さも加味すると明らかに身長2m程あり、オマケに身形が騎士甲冑とファンタジーのナイトがそのまま現実に現れた様な容姿をした男性だった。
「最後の最後で決め切れなかったわ………ターンエンド!」
「うみゅ、〈ロイヤルパラディン〉は転回力がA+なので速攻力が高いが実は防御もかなり高くまさに光芒一退のファイトが出来るクランである事は明白に明瞭であった。
更に注目するのはGユニットで
では、俺のターン!
俺は『月桂の騎士 シシルス』を
シシウrスは
そして現れろ、誇り高き意志と使命を貫き通した名も無き白竜の戦士、 ストライド・ジェネレーション‼︎
『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎
『青天の騎士 アルトマイル』の
更にセイントブローのスキル、
セイントブローでアタックするんだが⁉︎」
どうやら金髪の少女(使用クランは〈ペイルムーン〉)のアタックを騎士の男は防ぎ切り、かなり長い話を終えた後に
それに対して少女はお手上げと言わんばかりに手を上げ、男のトリプルドライブの結果を見てダメージチェックをし、そのままゲームエンドとなった。
「ふう………流石は『ブロントさん』ね。
武者修行の旅から帰って来てファイトをしてみたけど、以前よりもずっと強くなったわ。
それに、新しいデッキを組む方向性が見えたわ、ありがとうね」
「いあ、『アリス』も中々のイメージ力だったと関心が鬼させられた感。
確かに武者修行の旅をして俺のイメージ力もヴァージョンアッポしていたんだが、アリスも同じ様に実力を身につけていたのでかなり危ない端を渡ったと言う事実が先程のファイトにあるのだよ。
やはり思考のナイトの仲間は同じく思考なものだった、それが今回ので良くわかったよ>>アリス感謝」
どうやら金髪の少女は武者修行の旅を終えた騎士の男とテストファイトをして、互いの実力確認とどんなデッキにするかのイメージングをしていたらしく、騎士の男も少女の実力に感心してその健闘を讃えている事が伺えた。
それを近くで見ている麟もその光景に笑顔を浮かべ、拍手を送っていた。
そして、二人の白熱したファイトが終わった事で周りのギャラリーが解散し始め、徐々にテーブルの周りが静かになって行った。
すると魔理沙が前に出て騎士の男達に声を掛け始めた。
「よっ、『ブロントさん』に『アリス』に麟!
さっきのファイト、最後の方だったけど見てたぜ!」
「何いきなり話しかけてきてるわけ?
っと、マルサか」
「あら魔理沙、御機嫌よう」
「あ、魔理沙。
それに………蓮子さんにメリーさん」
『こんにちわ』
それに釣られて蓮子とメリーも前に出て、麟がそれに気付き互いに挨拶をする。
しかし、騎士の男と少女は二人の事を知らないので『誰?』と言う表情を浮かべ、魔理沙と麟に説明を求めて来る。
「ああ、お二人は知りませんでしたね。
このお二人は宇佐見蓮子さんとマエリベリー・ハーンさん。
私が博麗神社の境内で会って保護した外来人なんです」
「んで、今は私の家で世話してやってるんだ。
二人の使うクランはそれぞれ蓮子がブロントさんと同じ〈ロイヤルパラディン〉、しかも『ブラスター・ブレード』を使うんだぜ!
そしてメリーは今まで私や麟もこーりんも見た事が無いクラン〈ギアクロニクル〉を使うんだ!」
「あら、貴女達が噂になってる外来人なの?」
「ほう、未智のクラン……」
二人の説明を聞いた少女と騎士の男はブラスター・ブレードと未知のクランを使う二人に興味津々らしく、テーブルから立ち上がり蓮子達に自己紹介を始める。
「初めまして、私は『七色の人形使い』、『アリス・マーガトロイド』よ。
一応魔理沙の友人よ「アリスぅ〜、一応は無いだろ一応は!」だったらいつも貴女の尻拭いをする私の身にもなってくれるかしら?」
「ふむ、俺の名は『ブロント』。
思考のナイトで謙虚なのでさん付けでいい」
「うん、アリスにブロントさんね。
んじゃ、私はずn「蓮子ぉ〜、お願いだからこんな人が多い公共の場で何時もの奴はヤメテヨネ〜?」………初めまして、宇佐見蓮子ですハイ」
「初めまして、私はマエリベリー・ハーンと言います。
気軽にメリーって呼んで下さい」
アリス、ブロントさんの自己紹介を聞き終えた二人は彼女らに自己紹介(蓮子のいつもの自己紹介はメリーが強制キャンセル)をして互いに面識を持ち、アリスは蓮子とメリーと握手を交わしていた。
「それでな、なんでこの二人を此処に連れて来たかって言うとメリーの改造したデッキの試運転の相手を求めて来たんだよ。
私達とファイトしただけじゃ余り馴染む馴染まないの感触が掴めないだろうし」
「ほむ、つまり俺達とヴぁーんガドファイトをしてνdeckの実践して経験値を貯めてレベルアップをしたいと言う清い努力家の精神が現れたのだな。
ならばヴァンガードファイターとしてそれを受けない訳にはいかないと言う意見。
なぜならヴァンガードはTCGで人とのコミュニケーションツールとしても帰納するゲームだからな。
更についげきの未知のカードと対決はヴァンガードファイターの痴的好奇心をくすぐり新たな想像英語で言うとイメージを広げてくれると言う実績もあるのだよ。
だから折角なのでヴァンガードファイト【よろしくお願いします】」
「あら、良いわよ。
丁度私も〈ギアクロニクル〉の動き方を知りたかったからね、付き合ってあげるわ」
「私も良いんですけど………手加減が苦手なので気を悪くしないで下さいね?」
挨拶が終わった直後に魔理沙が蓮子達を連れて来た理由を三人に話すと、それぞれメリーのテストファイトに付き合ってくれるらしく、OKを出しながら改めてファイカからデッキを取り出し、いつでもファイトが出来る状態にする…………前に三人共仲良くジャンケンをしてだれが先にメリーとファイトをするか決めようとする。
すると一発勝ちでアリスが最初にファイトする事が決まり、次にブロントさんと麟がジャンケンをしてブロントさんが2番目になり、最後が麟になった。
「じゃあ、私が先にファイトをするわ。
よろしくね、メリー」
「ええ、よろしくお願いします」
こうしてメリーとアリスがファイトをするべくテーブルに座り、プレイマットに互いのFVとGユニットを置き、デッキをシャッフルして5枚の手札を引いて引き直しをし、準備を終える。
因みにメリーの引き直した初期手札にはしっかりと『クロノジェット・ドラゴン』や新カードがあり、
「(うん、前回のシャドウ戦と違ってしっかり
それにGユニットは8枚フルになってる………数多くの選択肢の中からその状況に適した物をしっかり選び抜いてみせるわ!)じゃあ、行くわよ!」
「ええ、来なさい。
貴女に〈ペイルムーン〉の力を見せてあげるわ」
『スタンドアップ・ヴァンガード!」
そして二人のファイトが開始され、互いのFVがスタンドアップする。
様々な感情を胸にメリーは今、新たなデッキと共に新たなスタートを切ったのであった。
はい、今回出た新キャラは魔理沙の相方に定評があるアリスとタグの有頂天要素の最大手であるブロントさんでした。
アリスは〈ペイルムーン〉、ブロントさんは〈ロイヤルパラディン〉となっており、いきなり蓮子とブロントさんのクラン被りが発生しましたが、これに関しては直ぐ、と言いよりユニット名が出た時点で差別化が出来ております。
さて、最終戦に回された麟ですがデッキ内容もしっかり決めております。
その辺も楽しみにしていて下さい。
次回もよろしくお願いします。
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第13話「メリーの新カード達!」
いや〜、前回までの更新速度はマジで可笑しかったです(断言)
おかげで目がショボショボして眠気も凄まじかったです………うん、やっぱり寝る間を惜しんで更新するのは良いけど限度がありますね(白目)
では、本編をどうぞ。
イメージ世界、メリーとアリスは『ダークゾーン』の一角で公演していた〈ペイルムーン〉サーカス団の会場に降り立ち、其処でFVにライドしてファイトを始める。
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
「『イノセント・マジシャン』!」
メリーは相変わらずガンナーギアを使いライド事故よりもパワーラインを意識しており、ガード札を1枚でも多く削りトドメを刺す戦略を立てている。
そんなメリーと対峙するアリスのFVを見てメリーは自分とは違い、あくまでもライド事故を防ぐ様にしていると感じていた。
「ドロー、『スカル・ジャグラー』にライド。
スカル・ジャグラーのスキル、
イノセント・マジシャンは後ろに移動してターンエンド」
「ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
ガンナーギアは後ろに移動して、『頂に立つギアウルフ』をコール!
ギアウルフでヴァンガードにアタック!「ダメージチェック『ナイトメアドール きゃろる』」
次、メーザーギアでアタック!
ドライブチェック!『スチームブレス・ドラゴン』」
アリスの立ち上がりは
そんなファイトを観戦していた蓮子は〈ペイルムーン〉の特徴が気になり、魔理沙に聞き始める。
「ねえねえ魔理沙、〈ペイルムーン〉ってどんな動きをするの?
〈ダークイレギュラーズ〉みたいに
「ああ、〈ペイルムーン〉は確かに〈ダークイレギュラーズ〉みたいにソウルを貯めるスキルがあるけどあっちはソウルの量でバカパンプするのに対して〈ペイルムーン〉は『ソウルの質』で勝負するんだ。
例えば強力なグレード2をソウルからスペコやソウルとリアガードを入れ替えて連続アタックみたいにな」
蓮子は魔理沙の説明を聞き、ヴァンガードのメモ帳に『〈ペイルムーン〉:ソウルからのスペコが得意、ソウルのカードに注意』と特徴と何を気を付けるべきかを簡素に書き、後で魔理沙のカード集からデッキを作り一人回しやメリーに対策の手伝いをして貰おうと考えていた。
一方メリーもその説明が耳に入り、ソウルのカードを警戒し始めた。
「(ソウルの質…………さっきのスカル・ジャグラーのスキルで入ったユニットは『パープル・トラピージスト』、スキルはリアガードとソウルのユニットを入れ替えるみたいだけど、他にも色々厄介なユニットが居るかも………)」
「考え中の所悪いけど、私も行くわよ。
ドロー、『
更に『ニトロジャグラー』をコール、
メリーが〈ペイルムーン〉について考えて居る中、アリスもグレード2にライドし、更にソウルを貯めて質を上げて行く。
しかもこの時ソウルに入ったユニットは〈ペイルムーン〉の中でも有名な『ナイトメアドール ありす』で、この布陣もアタックをヒットさせたら危ない布陣の一つであったが、当然メリーはこれを知らない為特に警戒はしていなかった。
「ミッドナイト・バニーのブースト、ニトロジャグラーでアタック「ノーガード、ダメージチェック『ツインメーザー・ドラゴン』」まあ初心者ならバニーのスキルを知らないからアタックをヒットさせるわね………ミッドナイト・バニーのスキル、このユニットのブーストしたアタックがヒットした時、
来なさい、『パープル・トラピージスト』!
更にパープル・トラピージストのスキル、ニトロジャグラーをソウルに送り、トラピージスト以外をスペリオルコール!
さあ見なさい、これが私のフェイバリットにして分身『ナイトメアドール ありす』よ!」
「おお、アタックしたラインが丸ごと入れ替わってアタック回数を増やした!
成る程、これが〈ペイルムーン〉………メリー、連続アタックは後半からキツくなるけどガンバ!」
アリスのアタックは見事にレフトラインを丸ごと入れ替えつつしっかりパワーラインを形成、その鮮やかな動きに蓮子はメモ帳に書き、メリーに応援を入れた。
一方メリーはやってしまったと言わんばかりに一瞬驚き、しかし直ぐに気分を切り替えて次からはスキルを確認してからアタックを通すか通さないかを決めようと改めて心掛ける様にしようと考えた。
しかし、そう考えている間であってもアリスの攻撃は止まらない。
それもユニットヴァンガードとリアガードを見比べて、何を攻撃するべきかを考えてだ。
「(今のありすのアタックでもダメージは与えられるけど………頂に立つギアウルフ、スキルは私のリアガードがメリーのユニットのスキルで『山札に置かれた』らパワーアップするスキルを持っている。
となれば〈ギアクロニクル〉の動き方は……)パープル・トラピージストのブースト、ありすでギアウルフをアタック!「なっ、『スチームバトラー マシュダ』でガード!」
やはりそう動くわね。
りりあんでヴァンガードにアタック、ドライブチェック『レインボー・マジシャン』『引』ドロートリガーゲット」
ギアウルフをアタックされた事によりメリーはヴァンガードのアタックを防ぐ為のガード札を切る事となったが、アリスがドロートリガーを引き当てた為にガードしたら貫通していた事になり、結果的にガードしなかった事の方が正解となり、メリーはヴァンガードではこんな事もあるのかと思い、トリガー1枚分のガード値が如何にギャンブル性があるかを学んだ。
「ドロー、ライド、『スモークギア・ドラゴン』!
ギアウルフを後ろに下げて、『ツインメーザー・ドラゴン』をコール!
(ナイトメアドール ありす……アタックがヒットされれば対象がリアガードであろうがスキルが発動して、連続攻撃を仕掛けて来る厄介なユニット………で、あるなら……)ツインメーザーで、ありすをアタック!」
メリーはリアガードを展開しつつ、ありすの厄介さをスキルを読み取って理解し、敢えてツインメーザーのアタックをありすに向けてリアガードを減らそうとした。
が、アリスはこれを読んでいた為あっさりガードしてアタックをいなしてしまう。
「………スモークギアでアタック!
ドライブチェック『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』ドロートリガー、1枚ドロー!」
「ダメージチェック『レインボー・マジシャン』『引』あら、またドロートリガーね。
それじゃあ私のターン、スタンド&ドロー。
じゃあ、もう1体のフェイバリットを見せるわ。
誘え、全てを魅了する人形劇へ!
ライド、『ナイトメアドール きゃろる』!
イノセント・マジシャンのスキル発動、
私は2枚目のナイトメアドール ありすを手札に加えてそのままコールして、レインボー・マジシャンをヴァンガードの後ろにコール!」
メリーの攻撃に対してアリスもフェイバリットにライドし、リアガードも2枚目のありすの後ろ以外にコールして攻撃態勢を強め、メリーに連続アタックの怖さを叩き込もうとしていた。
「ありすでヴァンガードにアタック!「ツインメーザーでインターセプト、そのアタックは通させないわ!」
ならきゃろるでヴァンガードにアタック!
ツインドライブ『ポイゾン・ジャグラー』『☆』クリティカルトリガー、パワーは1枚目のありすに、クリティカルはきゃろるに与えるわ!
セカンド『
中々トリガーを引き当てるわね、レインボー・マジシャンのスキルを発動して
やるわね、ターンエンド」
このアタックを敢えてツインメーザーをインターセプトさせる事により『リアガードをアタックして連続でアタックを仕掛けて来る』ありすのスキルならではの動き方を封じ、更に(それ程嬉しく無い)ドロートリガーでヒールを手札に引き、パワーアップした1体目のありすのアタックも防ぎ、ダメージは4枚で止める事に成功する。
そして次のターン、いよいよ自分もグレード3にライドし、
「ドロー、よし!
行くわよアリス、これが私のグレード3よ!
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』!
そして
今こそ示せ、我が望む真の世界を!
ストライド・ジェネレーション!
私の新たな未来、新たな可能性、『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』!
手札からもう1体のギアウルフをコールしてラッキーポットもコール、ギアウルフを前に移動するわ!」
時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン:P15000+、C1
メリーは
イメージ世界でもクロノスコマンド・ドラゴンが時空の壁を超えて〈ペイルムーン〉サーカス団の前に現れ、その力を今にも振るおうとしていた。
「来た、ミステリーフレアに負けじ劣らず豪快なスキルのメリーの新切り札!」
「さて、アリスはどう捌くかな?」
メリーが新切り札を使った事でデッキ改造を手伝った蓮子と魔理沙も嬉しい気分になり、二人もメリーの気分に合わせて押せ押せムードとなり、それに合わせるかの如くメリーがユニットに手を掛け、アタック宣言に入る。
「ガンナーギアのブースト、クロノスコマンドでヴァンガードにアタック!「(………クロノスコマンドのスキルも気になるけど、ダメージも少し………………なら此処は迷わず)ノーガード!」
トリプルドライブ!『スチームメイデン アルリム』『スチームバトラー マシュダ』『☆』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
ゲット、ダブルクリティカル!
クリティカルクロノスコマンド、パワーはそれぞれのギアウルフにプラスするわ!「えっ、嘘でしょ⁉︎『ナイトメアドール きゃろる』『エッグ・ジャグラー』『
ヒ、ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーをきゃろるに‼︎(な、何とか生き残ったわ………さあ、〈ギアクロニクル〉が持つスキルの答え合わせをするわよ!)」」
更にメリーはダブルクリティカルトリガーを引き当てたが、其処はアリスの意地でヒールトリガーを引き当てられ、ダメージを抑えられてしまうが今肝心なのはクロノスコマンドのアタックがヒットした事とメリーは割り切り、そのスキルを使おうとしていた。
またアリスは〈ギアクロニクル〉が使うスキルを測る為のノーガードでもあった為、そのクロノスコマンドのスキルに興味が湧いていた。
「クロノスコマンド・ドラゴンのスキル、アタックがヴァンガードにヒットした時に
更にギアウルフの
今送られたリアガードは4体、よってギアウルフのパワーは12000プラスされ、トリガーの分も合わせて24000と26000のラインが出来上がるわ!」
メリーのギアウルフのパワーを見てからアリスは改めて手札を確認し、このターンでガードは出来るが余計な手札も削ってしまう事が分かり、後はもう一度ダメージを受けてヒールトリガーを引き当て、次のアタックをポイゾン・ジャグラーでガードするのが1番理想的で確率が低い選択だった。
「ギアウルフでヴァンガードにアタック!「…………やるしかないか、ダメージチェックよ!『レインボー・マジシャン』『引』
あ、さっき戻ったレインボー・マジシャン…………」
勝てた…………私が自分で、蓮子達と一緒に組んだデッキで………」
「よっし、ナイスファイトよメリー!
アリスも丁寧なプレイングだったわ!」
そしてダメージチェックで最後に落ちたのは先程デッキに戻ったレインボー・マジシャンだった為、メリーがそのままゲームエンドさせて新デッキで初勝利を収めた。
観戦していた蓮子はメリーとアリスのファイトに拍手し、二人のファイトを称えていた。
一方アリスはメリーの引きもあったが、ブロントさんとファイトした時みたくキーカードが上手く引けなかった為、少しだけ不完全燃焼に陥り近付いてくる魔理沙を見て完全燃焼しようと考えた。
「アリス、今回は惜し「魔理沙、私とファイトなさい‼︎」かったなっておい⁉︎
あんま引っ張るなって!」
「ほむ、〈ギアクロニクル〉はリアを山札英語で言うとdeckの中に贈っちぇまう今までにないニュータイポのであったなと驚きが鬼なったがどこもおかしくなかったな。
しかも山札に送るskillは盤面が整っていればアルスの〈ペイルムーン〉なら『ほう……』と受け流せたが、今回はミリーの引きやそれが無かったのでアイrスは僅かに一歩遅れて勝てなかった感。
………だが、俺も一級の廃のヴァンガードファイターだからよ、強い相手や新しいクランを見つけたら燃え上がるしファイトしたいと思う。
だからよ…………真剣なタイマンでよろしくなんだが!」
そんな初勝利に喜ぶメリーの反対側にメリーの前にアリスとファイトしていた騎士、ブロントさんが座りデッキを取り出して闘気を剥き出しにしてメリーと真剣な表情で向き合い、ファイトを申し込んで来た。
これにはメリーもアリスの時とは違う緊張感が入り、またこのブロントさんが放つ闘気はあの『ムカつくアイツ』………シャドウが2戦目で発していた物と似ており、魔理沙が出しているエンジョイ勢の気質とはかなり異なる物とも分かる。
そしてメリーもそんなブロントさんに無言で頷き、もう一度ファイトの準備を進めるのであった。
えー、今回はアリスのデッキについて少し話します。
先ずアリスのデッキにGユニットはありますが、〈ペイルムーン〉のGユニットでは無く全部〈クレイエレメンタル〉のGユニットとなっています。
理由は………察して下さい(泣)
で、その〈クレイエレメンタル〉Gユニットは4枚が『レインエレメント マデュー』、もう4枚は『ミラクルエレメント アトモス』となってます。
これでライド事故が発生してもGアシストが使えるし、パワー不足もまだGユニットがある分マシです(なお現在の環境では……)
さて、次回は遂に謙虚なナイト(ガチ勢)がメリーとファイトします。
更に言えばクロノジェットVSアルトマイル、その内容に乞うご期待です。
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第14話「誇り高き騎士の剣」
偉い人が言っていました、『無理をしない程度に頑張る事がモチベーション維持の秘訣』だと(…って言っておかないと完全に怒られるからな…)。
そんな冗談はさておき14話目です。
では、どうぞ。
メリーとブロントさん、二人はそれぞれFVを置いて手札も引き直し、いよいよファイトが始まろうとしていた。
「(ブロントさん………蓮子と同じ〈ロイヤルパラディン〉を使うヴァンガードファイター………一体どんなファイトをするのかしら……?)」
「うみゅ、俺の準備は完 全 完 了したので早速ファイトをするが、OKっすか?」
「OKです、じゃあ行きます!」
『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード!』
メリーとブロントさんは準備を終えてFVをスタンドアップさせてファイトが始まる。
メリーがイメージした場所は蓮子が初ファイトで浮かべたユナイテッド・サンクチュアリの修練場と同じ場所。
其処にメリーの霊体が降り立ち、早速ガンナーギアにライドする。
しかし、そのイメージした場所にブロントさんが見当たらず、周りを見渡しても居なかった。
「…………あら?
私しかこの場所に居ない?
もしかしてブロントさんは私がイメージした場所と違う場所に「俺は此処に居るんだが?」っ!」
しかし、暫くするとブロントさんの声が聞こえ、その声がした方に視線を向けると修練場の出入り口の上………高さ約12m程に騎士甲冑を身に着けた青年、ブロントさんが立っており、更にメリーが視線を向けたと同時に其処から高くジャンプしてメリーの少し先に飛び降りながらヴァンガードのユニットにライドする。
「『閃きの騎士 ミーリウス』!
そして先攻は俺、ドローしてライド、『繊月の騎士 フェレックス』!」
ブロントさんは先攻でマロンと同じグレード1バニラにライドし、メリーのギアウルフなどのパワー7000以下のアタックを受けない様にし、メリーの出方を伺っている。
「私のターン、ドロー。
『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
更に手札から『スチームブレス・ドラゴン』をコールしてスキル発動!
手札からこのユニットがコールした時に手札のグレード3のユニットを公開する事でデッキから『クロノジェット』を含むグレード3を手札に加えられるわ。
私は手札の『スチームメイデン エルル』を公開して『クロノジェット・ドラゴン』を手札に、そして手札から『ラッキーポット・ドラコキッド』をドロップ、そしてシャッフル。
メーザーギアでフェレックスをアタック!『スチームファイター アンバー』」
一方のメリーは冷静にメーザーギアにライドし、更に手札に確保出来なかった『クロノジェット・ドラゴン』を確保するべく、敢えて手札から『
しかし、そのスチームブレスもアタックさせたいのにフェレックスのパワーが8000の為ヒットしない……これにメリーは歯痒さを覚え、スチームブレスを今の所前に出さない様にした。
「ふむ、では少しスピードをアッポ使用ではないか………ライド、『絶剣の騎士 リヴァーロ』!
更にコール、『スターライト・ヴァイオリニスト』!
スターライトの思考のskillが神秘のベールから披露宴を迎える!
コストとして
来い、我が剣にして切り込み隊長『ナイト・オブ・ツインソード』‼︎
更に『天駆ける塔のアーチャー』をコールするんだが!」
「おおおおおお、何そのパワーカード⁉︎
そんなカードが〈ロイヤルパラディン〉にあったの⁉︎」
「あ〜すまんな蓮子。
私は〈なるかみ〉が専門な上に自分の使わないクランのレアカードやパワーカードは一応コレクション目的で集めてるんだが、いかんせん集まり辛い物ばかりで全部は持っていないんだよ。
だからヴァイオリニストが欲しいなら自分で買うしかないぜ」
そんなメリーに対してブロントさんは再びバニラユニットにライドし、更にメーザーギアでもアタックがヒットするパワー8000のグレード2をコールし、おまけにスキルを使い左のパワー16000ラインを形成する。
そのユニットを見て蓮子は同じ〈ロイヤルパラディン〉使いとして目を輝かせて、明らかにそれが欲しいと言う表情をしていたが魔理沙も持っていないらしく、自分で買えと言われてしょんぼりしていた。
一方ファイト中のメリーはたった手札2枚で盤面を揃え、一気に攻撃態勢に入るその様はまるで咲夜を彷彿とさせたが、あちらと違いこちらは一撃のパワーが低く、更にコストが一つ重いがサーチ範囲がそーどみーよりも上と、少し比較が出来る様になっていた。
「………ほむ、その表情や俺の思考のユニットを見て何かを思う辺り、お前咲夜とファイトをして比較していたな?『ナイト・オブ・グレートスピア』」
「え、えっ⁉︎『ツインメーザー・ドラゴン』
何でそれが分かったの⁉︎『スチームメイデン ウルル』『治』」
「うみゅ、それは俺のファイトを見て何かを感じると思えるのは俺以外の思考の騎士の〈ロイヤルパラディン〉を使い俺と似た序盤天界をするのは俺が謙虚な騎士達の盾の意思とヴァンガードファイトを鍛えたあsくや以外にいないと言う意見。
更にこれは…………いあ、こるは別に良いな」
「?」
するとブロントさんは自分が咲夜のヴァンガードの師匠、そして〈ロイヤルパラディン〉を教えた先導者であると告げる。
しかしその後に何かを言おうとしていたのを途中でやめた事にメリーは疑問に思い、頭の上に?を浮かべていた。
「それよりも、ミリーのターンだぞ。
ナイトはどんな相手にも礼儀を祓うし全力出してヴァンガードをやる。
そして、俺はおもえの全力の封印がとけられるその瞬間と全力でぶつかり合いたいのだよ。
オマケにヴァンガードファイトをすればファイター同士はライバルとなり互いを切磋琢磨して強くなって行き友情を深められるのでデメリットがほぼ無いのも魅力的なんだがここについげきの」
「あ、あの〜、私のターン、進めても良いんですよね?「おおっと、長々と話をしてしまった感、どうぞ【進めてください】」
じゃあ、『スモークギア・ドラゴン』にライド!
更に『スチームファイター アンバー』をコールして、スモークギアでアタック!『スチームメイデン ウルル』『治』
ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーをアンバーに!
アンバーでアタック!「『ヒーリング・ペガサス』『治』ふむ、「」確かに見事なヒールトリガー合戦だと感心が鬼なるがどこもおかしくないな」
そうしてその会話の後にブロントさんの長話があったがメリーのターンも進み、互いにグレード2となりダメージもヒールトリガー合戦でメリーが1枚、ブロントさんが2枚と僅差になり、何方がこの均衡を崩してもおかしくない状況となりメリーの中に緊張が走る。
そして、ブロントさんのターンへと移り遂にグレード3が現れる。
「俺のターン、スタンド&ドロー!
我が騎士の誇りは汝と共にあり!
ライド、『青天の騎士 アルトマイル』‼︎」
「………さっきも見たけど、これがブロントさんのフェイバリット………このユニットにライドしたと同時に、何か雰囲気が変わった………!」
『青天の騎士 アルトマイル』………このユニットにライドした瞬間ブロントさんの醸し出す雰囲気は鋭く研ぎ澄まされた剣を思わせる闘気になり、その闘気に気圧されてメリーにプレッシャーが掛かり、顔から嫌な汗が滲み出始めていた。
「『まぁるがる』をコールし、まぁるがるの謙虚なブーストを入れたヴァイオリニストでヴァンガードをアタッコ!「ダメージチェック『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』ドロートリガー、1枚ドローしてスモークギアにパワーを与えるわ」
アルトマイルでヴァンガードにアタック!「『スチームバトラー マシュダ』でガード!」
ツインドライブ『月桂の騎士 シシルス』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』ついげきのクリティカルトリガーなんだが!
パワーとクリティカルをツインソードに与えて、アーチャー(サーヴァントではない)のブーストを入れてアタック‼︎「………ノーガード!『スチームメイデン アルリム』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』」
ほむ、これで俺はターンエンドだぞ」
ブロントさんのユニット達の攻撃によりメリーのダメージは4枚となり、いきなりピンチになるが此処までは計算通りで別に慌てておらず、寧ろメリーはダブルクリティカルが出ないで良かったとも思っている為静かだった。
そして、いよいよメリーの反撃の狼煙が上がる。
「ドロー、………うん、対戦相手が本気でファイトしてくれているならそれに応えなきゃ!
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』!
そしてグレード3のエルルをコストに
今こそ示せ、我が真に望む世界を、ストライド・ジェネレーション!
『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』‼︎
『頂に立つギアウルフ』をコールして、クロノスコマンドでアタック!「ふむ………此処はノーガードを選択するのが0か100かと言えば100だろうな、なので此処はノーガードだ!」
トリプルドライブ『スチームメイデン アルリム』『スチームブレス・ドラゴン』『スチームメイデン ウルル』『治』ヒールトリガー(3枚目)!
ダメージ1枚を回復………アルリムをドロップして、パワーはアンバーに!
そしてクロノスコマンド・ドラゴンのスキル!
全てを飲み込み、時空の彼方へ消し飛ばして!」
イメージ世界でクロノスコマンドが放ったエネルギー波がブロントさんがライドし、褐色肌などの特徴や顔が反映されたアルトマイルにヒットし、その瞬間彼の周りに居たリアガード全ての足場にローマ数字が時計の如く描かれた魔法陣が現れて皆それに吸い込まれ、残ったのは
「ギアウルフのスキル、私のユニットのスキルで相手リアガードが山札の中に送られたら、その度にパワー+3000を得る………よって今はパワー22000‼︎
スチームブレスのブースト、アンバーでアタック!「ダメージチェッコ!「『バーニングメイン・ライオン』『☆』」
ギアウルフでアタック!「ナイト・オブ・フラッシュの放つフラッシュで敵の視界は消滅してアタックはあらぬ方向へ行く!」
ターンエンド!」
そうしてメリーはヒールトリガーを再び引き当ててダメージレースを逆転させ、次のアタックに備える事に成功する………が、何故かブロントさんはまだまだ余裕がある表情をしている為か油断出来ず、それ所か何か受けたく無い手痛いアタックをさせられる気がしてならず、まだ嫌な汗が拭えないでいた。
「ふむ………ドオrー。
そるがおもえのGユニットか、成る程「」確かに圧倒的なカードパワーがオーラとなって見えそうになっているがどこもおかしくないと言う意見だな誇って良いぞ。
ならば………俺のGユニットの力も神秘のベールで隠されていたがついにそのカーテンが開かれて披露宴を迎える事になる!
指し示せ、我が騎士としての誇りと魂を!
ストライド・ジェネレーション、『朧の聖騎士 ガブレード』‼︎
アルトマイルの
フェレックスとシシルスをコールしてこの2体にパワー+5000‼︎」
ブロントさんも返しのターンで
「ガブレードでアタックだ‼︎「………ノーガード!」
ならばナイトの思考のトリプルドライブ‼︎『まぁるがる』『引』
パワーはフェレックスに足して1枚ドロー!『ヒーリング・ペガサス』『治』
ダメージを回復してパワーはシシルスに‼︎『バーニングメイン・ライオン』『☆』
クリティカルはガブレード、パワーはフェレックスだ‼︎」
「ふえっ⁈
トリプルトリガー!!?『スチームブレス・ドラゴン』『スチームメイデン ウルル』『治』『スチームファイター アンバー』
しかも4枚目のヒールトリガーが⁉︎」
「よし、ガブレードのアタックがヴァンガードにヒットした時そのスキルは発動する事が許さるる‼︎
デッキからグレード2以上のユニットをスペリオルコールする‼︎
ナイトが一声呼ぶとヴァイオリニストがそれに応えて『のりこめー^^』と言って戦場に舞い戻るがここで注目するのはヴァイオリニストのスキルだコストを支払えばその音色が響き新たなるナイトも現れる‼︎
来い、『ナイト・オブ・フラグメント』‼︎
そしてフラグメントでアタック「ウルルでガード、インターセプト‼︎」ヴァイオリニストでアタック‼︎「アルリムでガードしてスキル発動、手札から1枚をドロップすればあらゆるアタックがヒットせず、更に2枚目のアルリムがドロップゾーンにあれば裏向きのダメージを1枚表向きにするわ‼︎」
ふむ、ターンエンド」
「…………同じ〈ロイヤルパラディン〉使いだけど………今の私だと勝てる気がしない………」
そしてその嫌な予感は的中し、ブロントさんにトリプルトリガーと言う滅多に無い物凄い引きを見せつけられ、更にアタックをヒットさせてしまったのが仇となり、リアガードを完全に補充されてしまい高パワーのアタックもやられて手札もポロポロにされ、完全にこのファイトの勝ち筋を失ってしまったメリー………だが、それでも諦める事はせずにドローし、クロノジェットを引き当てていた。
「ストライド・ジェネレーション、クロノスコマンド・ドラゴン‼︎
クロノジェットの
フラグメントを送ってギアウルフのパワーも+3000!
ギアウルフでヴァイオリニストをアタック!
クロノスコマンドでアタック‼︎「『ホーリーナイト・ガーディアン』でガードしてその攻撃をシャッタアウトするます‼︎」
トリプルドライブ‼︎『メーザーギア・ドラゴン』『スモークギア・ドラゴン』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
ターンエンドです」
しかし、矢張りその最後のアタックは防がれてしまい次のアタックを受けたらヒール出来ずそのまま負けになる事が確定する。
だが、メリーはそれでもまだ諦める事無くブロントさんを見て次のターンも凌ぐ気でいた。
それを見たブロントさんは手札などを見て、自分の全身全霊を込めてアタックする事を決める。
「うむ、その諦めない意思はまさしくヴァンガードファイターだなと関心が鬼なったよやはり一級の廃のファイターは一級の廃を呼ぶのだな、今回のファイトでそれがよくわかったよ>>メリー感謝。
なので今から俺は全身全霊をもって勝ちに行く、マエリベリー・ハーンと言う新しいライバルに対しての敬意と再戦の誓いを込めてな!
ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎
セイントブロー、アタック‼︎」
「………あ〜、負けちゃった………でも、楽しかったですよ、ブロントさん。『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』
次ファイトする時は負けませんから覚悟して下さいよ?」
ブロントさんの駄目押しのセイントブローのアタックにより、メリーはそのアタックすらガード仕切れないとなり大人しくダメージを受けて負けを認める。
しかし、その瞳には既にブロントさんに対してのリベンジ精神が燃え上がっておりそれを見たブロントさんもリベンジ上等と言う表情を浮かべていた。
「うむ、ナイトは人気者だしどこにでも引っ張り凧だから1りの時間も作れないがいつでもリベンジしに来ても良いぞ俺は一級の廃のヴァンガードファイターだからな申し込まれたファイトはしっかり受けるし後腐れなく全力で臨んだりもする。
なので次のファイトも【楽しみに待っています】」
こうしてメリーのテストファイト第2戦はメリーの敗北に終わったが、新たなるライバルのブロントさんと言うファイト仲間を得てスッキリした気分のままファイトを終える事となった。
そして、ブロントさんとのファイトが終わった事によりメリーのテストファイトは残り1戦、自分らに香霖堂を教えてくれた恩人の一人、冴月麟とのファイトのみとなった。
果たしてその勝負の行方は?
また麟が使うクランは?
それらの興味やファイトへの意欲がメリーの中で燃え上がり、早く麟とファイトをしたいと思いウズウズするメリー。
「………いよいよ私の番ですね。
改めて言いますが私は加減がかなり苦手なのでブロントさんみたいに本気で行きますよ?」
「ええ、私も全力でぶつかりに行くわ」
それを察して改めて加減が苦手と宣言してメリーと全力対全力でぶつかると言う麟。
そして今二人のファイトが、メリーの最後のテストファイトが始まろうとしていた。
さて、此処で一つ小話を。
1回のファイトでメリーみたいにヒールトリガーが4枚全て出る事はあり得るかと言うと、実はあります。
と言うのも昨今のヴァンガードは超越や双闘の影響もありヒールトリガーが非常に出やすくなっているので、狙っていなくてもヒールトリガーは出る場合が多いんですよ(狙ってやるには語弊がありますが兎に角出やすい認識で)。
そして4枚ヒールが出尽くしてその後に6枚目のダメージを受けたら………。
次回もよろしくお願いします。
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第15話「麗しの花乙女」
もうタイトルでネタバレしてますが、冴月麟の使うクランはアレです。
そしてこの時点で蓮メリ以外の主役が決まったも当然となりました。
はてさてこれからどうなる事やら、物語は『まだ』スタートラインですね。
では、どうぞ。
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
メリーと麟は早速準備を終えてFVをスタンドアップさせる。
その瞬間メリーはクレイの大地をイメージし始め、イメージ世界で目を開くと其処は見た事もない程の巨大な木々が生え、その葉の間から陽の光が漏れて幻想的に彩る美しき森だった。
そんな場所に立ったメリーは周りを見渡すと、すぐ側に麟も居てメリーよりも手早くユニットにライドしていた。
「これが私の使うクラン、〈ネオネクタール〉です。
そして私のFV、『春待ちの乙女 オズ』!」
「〈ネオネクタール〉………『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
麟が使うクランは〈ネオネクタール〉と言う植物に纏わるクランらしく、メリーと観戦している蓮子はどんなスキルを持ち、どんな特徴のクランなのかが楽しみで仕方無く、蓮子の方はブロントさんと同様自分ともファイトをして欲しいとウズウズしていた。
「私の先攻、『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
ガンナーギアは後ろに移動して、ターンエンド!」
「私のターン、ドロー。
『萌芽の乙女 ディアン』にライド!
オズはヴァンガードの後ろに移動して、ディアンでアタック!『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』
スタンドトリガー、オズをスタンドしてパワー+5000をディアンに、ターンエンドです」
メリーはやはりと言うべきかメーザーギアにライドして防御力を高め、対して麟もグレード1バニラにライドしてそのままアタックするも、今引いても意味が全くないスタンドトリガーを引いてしまい、少しガッカリした形でターンを終える。
「うーむ、ブロントさん達のファイトを見てるとバニラユニットの採用率が高いわね。
そんなにバニラユニットは優秀なのかしらね?」
「ふむ、蓮子はバニラユニットが採用される理由をまだ知ってない感と言った感じか「あ、ブロントさん」だから俺が分かりやすく解説するので聞くべきそうすべき。
まずバニラユニットはスキルを持っていないと言う点で他のユニットに劣るが其処は別にどうでも良い部分なので本当に注目するのはそのパワーだ。
バニラユニットは基本スキル有りのユニット達よりも洲のパワーが高いく実は防御力が高いので序盤のダメージを抑えらるる盾のユニットなのだよ。
しかも昨今は
「へぇ〜……成る程」
このファイトの進行に蓮子は疑問に感じ、それをブロントさんが解説し解決する。
それを聞いて蓮子は名称軸を使う自分にはバニラユニットのガードを突破する手段としてシンリック等が重宝すると感じ、今後も緊急時のアタッカーとして採用して置こうと考える。
そんな説明を聞いていた間にメリーと麟は互いにグレード2バニラにライドし、リアガードを展開し次のメリーのターンでグレード3に突入する所まで来ていた。
メリー:ダメージ枚数2/2
布陣
スモークギア・ドラゴン スモークギア・ドラゴン R
メーザーギア・ドラゴン ガンナーギア・ドラコキッド R
麟:ダメージ枚数2/2
布陣
メイデン・オブ・グラジオラス 開花の乙女 ケラ R
コーラルベリー・スクワイア 春待ちの乙女 オズ R
「スタンド&ドロー。
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』!
『ツインメーザー・ドラゴン』をコールして、クロノジェットでヴァンガードにアタック!「………ノーガードです!」
ツインドライブ!『メーザーギア・ドラゴン』『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』
ドロートリガー、パワーはツインメーザーに与えて1枚ドロー!
ツインメーザーで『メイデン・オブ・グラジオラス』をアタック!「デイブレイクでガードします!」
リアガードを守った………?
スモークギアで、ヴァンガードにアタック!「ダメージチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーはケラに与えますよ!」
ダメージは1枚しか………ううん、1枚与えただけでも上出来と考えるべきね、ターンエンド」
メリーは麟にダメージを与えるも、ヒールトリガーもあり1枚しかダメージが入らなかった。
更にメリーは途中でリアガードにアタックして麟の手札を1枚削ったが、これは別に深い意図はなくパワーが低くく、インターセプトで防がれてしまう為リアガードを狙っただけである。
しかし、実はこの行動は〈ネオネクタール〉とファイトする時に重宝する行動だったのであるが、メリーや蓮子は〈ネオネクタール〉の事を良く知らない為それが分からなかった。
そして、次の麟のターンでそれを思い知る事となる。
「スタンド&ドロー。
クロノジェット………すっかりメリーさんのフェイバリットになりましたね。
では、フェイバリットを相手にする為にも私もフェイバリットを出します!
煌めく蕾よ、今こそ美しく花開け!
ライド、『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』!
そしてグレード3『メイデン・オブ・フリルドロッド』をコストに、
今こそ紡ぎ出せ、私が望む世界よ!
ストライド・ジェネレーション、『春色の花乙姫 アルボレア』!」
麟は自らのフェイバリットユニットにライドし、更に
イメージ世界でそのGユニットと相対したメリーはその優雅さに心を魅了され、つい惚けていた。
「アーシャの
私はグラジオラスを選択して、山札の中から同名カードを1体スペリオルコールしてパワー+2000します!」
「同じ名前のリアガードが増えた⁉︎
〈ロイヤルパラディン〉のコールと何か違う!」
「これが〈ネオネクタール〉、場に居るユニットと同名カードを呼び寄せ、植物の様に繁殖し、花の様に美しく成長し咲き誇るクランです!」
〈ネオネクタール〉の植物の様に同じ種類のユニットが繁殖するかの如く場に現れ、その力を振るう様を見てメリーは〈ロイヤルパラディン〉のコールとは違うと感じ取り、それと同様に蓮子も同じ感想を抱きメモに〈ネオネクタール〉の動き方をメモに書いて記憶する。
その間に麟が動き、メリーに対し攻撃を仕掛ける。
「コーラルベリーのブースト、グラジオラスでヴァンガードにアタックします!
グラジオラスのスキル、このユニットがブーストを受けてヴァンガードにアタックした時、
コーラルベリー・スクワイア(を選択して3枚目をコールします!「うう………ノーガード!『スチームバトラー マシュダ』『☆』」
トリガーが出ましたか………なら、もう1体のグラジオラスでアタック!
勿論ブーストが加えられてますので、最初のグラジオラスを選択してそのリアガードサークルに上書きコールします!「インターセプト!」
なら、アルボレアでアタックします!
アルボレアのスキルはガブレードと同じくアタックがヒットしたら発動します!
そして発動するスキルはアーシャと同じく同名カードをパワー+2000しながらコールするスキル、ガードはしますか?「アルリムで完全ガード、コストはラッキーポット!」
では、トリプルドライブ『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』スタンドトリガー、パワーは上書きコールされたグラジオラス、スタンド効果はその後列に居るコーラルベリーに。
セカンドチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』ヒールトリガー、パワーは上書きコールされたグラジオラスに与えてダメージ回復。
サードチェック『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』トリガー無し、グラジオラスでアタック!「ダメージチェック『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』ドロートリガー、1枚ドロー!」
ターンエンドです」
麟の〈ネオネクタール〉の上書きコールを絡めた連続アタックによりメリーは徐々に追い詰められ始め、当のメリーはこの状況を打開するには『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』のスキルで全てを一気に吹き飛ばすか、『時空竜 ロストエイジ・ドラゴン』に敢えて
「ドロー………麟さん、実は私達、麟さんにお礼を言わなきゃって思っていたんです」
「えっ、お礼………ですか?」
すると麟は突然メリーの口からお礼と言う言葉が出て来た為何の事かと驚き、何のお礼なのか分からず最後まで聞こうと話を進める様に促す。
「私達、この幻想郷に来て右も左も分からない状態だったから麟さんに出会わなかったら、多分今みたいに色んな人とヴァンガードファイトが出来たり、魔理沙の家に世話になる事も出来ていなかったと思うんです。
それにこのお店、香霖堂の評判を魔理沙から聞いたんですけどかなり良いお店らしいですよね?
私達を成り行きとは言え保護してくれて、そんなお店まで紹介してくれて、それに新しいデッキの試運転まで付き合ってくれて、何から何までお世話になっていて………だから、お礼を言わなきゃって………麟さん、『本当にありがとうございます』」
「………顔を上げて下さい。
別にお礼は言わなくて良いですよ、人として困った人を見過ごせなかっただけでしたし、今もヴァンガードファイターとしてメリーさんの実力が知りたいだけなんですから。
それに、お礼よりも私は二人と友人になりたいのですが………駄目ですか?」
メリーは自分が思った事を口にしていき、目的の一つであった麟にお礼を言うを達成し頭を下げ、それに便乗して蓮子もうんうんと言って頷きながら一緒にお礼を言い、横から見ていたブロントさんやアリスとファイト中の魔理沙はそれを見守り、当の麟はお礼よりも友人になる様に言って二人の頭を上げさせる。
それを聞いた蓮子とメリーは互いに見つめ合い………最初から答えが決まっていたかの様に同時に頷き、麟を見つめ直す。
「………そんなの、駄目な訳無いじゃない。
ええ、分かったわ………今日からもう貴女は『恩人』じゃなくて、私達の『友人』よ、麟!」
「………はい、改めてよろしくお願いしますね、『蓮子』、『メリー』!」
メリーと同じ考えを持つ蓮子は、麟の事を改めて『友人』として接する事を彼女に答え、麟もそれを聞いて満面の笑みを浮かべて新しい『友人』を迎え入れた。
それを見ていたブロントさんやアリスもメリー達を『友人の友人』では無く自分の『友人』とファイトを終えた時点で考えており、メリー達と麟が友人同士になった事に嬉しさを感じ、二人やメリー達の幻想郷での初の友人である魔理沙は笑みを浮かべていた。
「じゃあ、本気で行くわよ麟!
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』‼︎
クロノジェットの
更にアンバーをコールして、クロノスコマンドでヴァンガードにアタック‼︎「『メイデン・オブ・パッションフラワー』で完全ガード、アーシャをコストでドロップ!」
トリプルドライブ‼︎『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』『スチームバトラー マシュダ』『☆』
ドロートリガー、クリティカルトリガー、クリティカルトリガーゲット‼︎
パワーとクリティカルは全てアンバーに、1枚ドロー‼︎
アンバーでアタック、アンバーもグラジオラスと同じくブーストを受けてヴァンガードにアタックすれば、
よってグラジオラスは山札の下に‼︎「………ノーガード!『メイデン・オブ・ディモルフォーセ』『☆』『メイデン・オブ・パッションフラワー』『メイデン・オブ・フリルドロッド』」
ターンエンド!」
そしてメリーはリアガードを揃えられないながらもトリプルトリガーでそれを補い、ダメージを再び逆転させる。
だがヴァンガードは最後まで気を抜けない場面が続く為次の麟のターンも気を抜かず、全力で守りに入る事を心掛ける。
更に麟も次のターンが自分にとってのファイナルターンと定めて、全力でメリーを倒しに行くとして構えていた。
「………行きます、ドロー!
『開墾の戦乙女 パドミニ』をコストに
このユニットは
春を司る花乙姫よ、今此処に現れ私に力を!
ストライド・ジェネレーション、『立春の花乙姫 プリマヴェーラ』‼︎
そしてデイブレイクをスキル使用後にデッキに戻してシャッフルして、前列の居ないコーラルベリーを前に出します!」
「麟が一気に手札を使った!」
「うむ、麟は次のメリーの攻撃を凌ぐよりもこのターンでゲームエンドにしようと攻撃態勢に入った様だな。
しかも切り札のプリマヴェーラに
そんな麟の姿勢を相対するメリーや観戦していた蓮子やブロントさんも感じ取り、場の空気が一気に張り詰める。
このターンでメリーか麟、何方かの勝利が決まると言う確かな感覚が二人や二人の友人達に伝わり、そして………一気に状況が動き出す。
「コーラルベリーでヴァンガードにアタックします、
ケラでアタックします!「ノーガード!『スチームメイデン エルル』」
これで決めます、プリマヴェーラでヴァンガードにアタックします‼︎
そしてスキル発動、
残りのコーラルベリーとヒールトリガーでドロップゾーンに落としてプリマヴェーラのコストで山札に戻していたコーラルベリー、そして残りのケラをコール‼︎「なっ、これじゃあガード仕切れない、ノーガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『開墾の戦乙女 パドミニ』『メイデン・オブ・ディモルフォーセ』『☆』『ダンガン・マロン』『☆』
クリティカルトリガーダブル、ゲット‼︎
クリティカルはプリマヴェーラに、パワーはケラ達に‼︎」
「ダメージ、チェック‼︎『クロノジェット・ドラゴン』
…………負けたわ、これで試運転は終わり。
付き合ってくれてありがとうね、麟、ブロントさん、アリス」
「………どういたしまして」
そして麟のアタックがヒットし、メリーは1勝2敗で新デッキの試運転が終わる。
しかし、当のメリーは敗北した悔しさやデッキの見直しを考えるよりも新たに増えた友人3人にお礼を言い、3人もそれぞれの反応を返して彼女達との友情を確かな物とし、更に深め始める。
それに対する嬉しさにメリーは笑顔を見せ、蓮子はいつの間にかメリーに抱き着き出していた。
「うーん惜しかったねメリー!
魔理沙の家に帰ったら早速見直しや悔しさを私の胸にブチまけても良いんだよ〜‼︎」
「ちょ、ちょっと蓮子いきなり抱き着かないでよ恥ずかしいわよ⁉︎
それに、蓮子には貸せる位の胸は無いでしょうもう〜!「グハッ……メ、メリーさん、幾ら親友でも胸のサイズの話はダメージがデカイよ……‼︎」」
「ははっ、やっぱりお前ら仲良いよな!」
「そうね、見てて微笑ましいわ」
「うみゅ、やはりヴァンガードは新たな友人を呼びゆゆうじょうをかなり深めて絆オンラインにするな(確信)。
更に友情が芽生えて深め合う事により俺達ヴァンガードファイターは互いに切磋琢磨してレベリングして行き更に思考のファイターに成長してヴァンガード界で伝説になる事は確定的に明らかでヴァンガードファイター同士の絆の輪が広がって行くと言う意見。
更に注目するべきはその絆オンラインには上限が無くヴァンガードファイターが居る限り無限に輪が広がり続けるのでイメージを更に広げて行き俺達の成長は止まらない事実」
「ふふ、そうですね」
こうして蓮子、メリーは魔理沙のみならずアリス、ブロントさん、そして麟と言う友人を得てヴァンガードの輪を広げ、その友情が深まって行くの感じ、シャドウによって無理矢理幻想郷に連れて来られはしたが、その後に得た友人やヴァンガードによってこれはこれで悪くないと考えていた。
そして七人はいつまでもこの友情は、仮に蓮子達が幻想郷から外の世界に戻って行ったとしても不滅だと思い笑顔でいたのであった。
「………まだ『兆候』は現れていない、か。
しかし、幻想郷に来た以上外の世界に居た時よりも加速度的に兆候が現れるだろう。
そしてその後は…………果たして何方の道へ行くか…………仮に『あちら』へ向かうと言うならば、俺は…………」
しかし、その光景を影から覗き見る者………シャドウが其処に居り、何か意味深い独り言を呟きながらその場を離れて行く。
そしてその後ろ姿を捉え、彼が立って居た場所に立ち、何がその視線の先に見えて居たかを確認する者………霖之助も居た。
「………成る程、『ブラスター・ブレード』などが入ったデッキや 〈ギアクロニクル〉のデッキを彼女達に与えたのは君だったのか。
しかし、君の目的は一体何なんだい?
それにそれは彼女達やその友人である魔理沙達に害を与える物なのかい?
もしそうであるなら、僕は君の事が許せなくなるよ。
…………魔理沙の幼馴染で、『霊夢』や彼女にヴァンガードを教え、互いにファイターとして成長して、異変を解決し合った頃の君は何処へ行ってしまったんだろうね…………」
そんな独白を小さく呟き、店の中へと戻って行く霖之助。
彼の中でシャドウの目的が何なのか、魔理沙達に害があるのか、かつての少年への追憶などの複雑な感情が渦巻き、また害を為すならば自分が何としても魔理沙達に危害を与えない様に影で解決する事も誓っていた。
そして…………七人が出会い、友情を育み始めた瞬間に運命の輪が回り始めた
その輪は最早止める事叶わず、彼女達…………否、メリーを中心に蓮子がその隣に、そしてその回りに魔理沙達にこれから増えて行く数多のファイター達を巻き込み、ひたすら回り続けるのである。
更に、その輪が如何なる結末を呼び込み、それに対してメリーや蓮子達をどんな風に変えて行くのか、まだ誰も知り得ない………。
最後の最後で何かのフラグが立った気がしてなりませんが東方二次創作を知る人は微妙に分かりそう………かなぁ?
そしてシャドウ、彼が何を企んでいるのか。
また、魔理沙達のシャドウに対しての発言とかに実は共通点がある物を打ち込みましたがこれにも意味がある…………かも?
次回もよろしくお願いします。
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第2章「白玉楼編」
第16話「白玉楼へのお誘い」
さて、今回はほぼヴァンガードファイトが無いですが、少しとあるキャラの謎が少し深まる………かも?
では、どうぞ。
とある場所のとある屋敷、其処に桃色の髪を肩まで伸ばした青い浴衣を『左合わせ』に着た少女と白のボブカットヘアーと黒いリボンが特徴の少女が居て、ボブカットの少女が浴衣の少女にお茶を汲み、和菓子と共に出していた。
「うん、今日も美味しいお饅頭ね。
これなら貴女も良いお嫁さんになれるわね〜?」
「滅相な、貴女様への主従を断ち切り嫁に向かうなど、私にはとても出来ませんよ」
「あらあら〜、そんな事を言っていると旨味が抜けて取り返しがつかなくなるわよ?
早く良いお婿さんを連れて来るかお嫁さんに向かわないと後悔するわよ」
「ですから滅相な……」
そんな他愛の無い会話を行いながらも、途中から浴衣の少女がその視線を細め始め、それが何を意味するのかを従者であるボブカットの少女は察しており、先程の和やかな雰囲気から一変して鋭い刃の様な雰囲気に変わり、視線も鋭い物にして主人たる浴衣の少女の前に正座をし、頭を下げて彼女の問いに受け答えする姿勢を取る。
「………して、首尾はいかがな物かしら?」
「はっ、対象はレベルの低いクエストをこなしながらもファイトを重ね、実力を磨いております。
そしてその周囲に、貴女様の予想通り彼の者が監視をしておりました」
「ふむ…………時の歯車の回転する時期を前倒しにし、忘れ去られし者が集いし泡沫の地に迷える子羊を放し飼いにして何を思い馳せるか……………確かめる必要があるわね。
それも、彼の者に塩を送りつつ毒を盛らせて………ね」
「………御意」
そんな意味深い会話を行い、ボブカットの少女は浴衣の少女に何処かへ向かう様に促され、そのまま茶を飲み干した湯飲みと饅頭が盛られていたお盆を片付け、何処かへ行き始める。
それを見ていた浴衣の少女は扇子を開き、口元を隠しながら独り言を話し始める。
「………どんな物にも鮮度や収穫する時期はある。
それらを前倒しにしても仕上がりが悪く味の無い物にしかならない。
なのに何故彼の者は何故それらを無視し推し進めるのか………………全く、可愛げがあって弄り甲斐があったあの頃の貴方は何処で迷子になっているのかしらね…」
この浴衣の少女の頭の隅にはかつて、この地で行われた『春を取り戻す為の戦い』が脳裏を過ぎり、其処には魔理沙や博麗の巫女………『霊夢』と、その幼馴染の少年が自分や従者であるボブカットの少女に挑む姿があった。
そして、その記憶を思い出し切ると浴衣の少女は何処か悲しさを感じさせる瞳で空を見上げ、最早戻って来ない物に対して想いを馳せるのであった。
ある日のアリスの家にて、その日は蓮子達や魔理沙はアリスと麟と何をしようかと話し合い、結果アリスの家で話ししながらお茶を飲んだりしようと言う事となり、アリスは全員を家に上げて洋菓子や紅茶を飲んで女子会を開いていた。
「うーん、やっぱりアリスの淹れる紅茶は美味いなぁ〜」
「しかもこのクッキーもサクサクしてるし、ケーキも美味しいからついつい食べ過ぎちゃうよ〜」
「もう蓮子に魔理沙ったら、お菓子を口にしながら喋らないの、行儀が悪いわよ?」
「まあ魔理沙の気持ちは分からなくもないですよ?
アリスのお菓子や紅茶は本当に美味しいんですから」
「そうは言うけど私よりも美味しいお茶やお菓子を作る人は居るわよ?
例えば咲夜とかね」
蓮子、メリー、魔理沙、麟、アリスは女子会の中でアリスのお茶やお菓子の美味しさの話、クエストの話、デッキの話、そして蓮子とメリーのタブーに当たる『ムカつくアイツ』ことシャドウの話もし、二人の話を聞いてアリスと麟は『ムカつくアイツ』に対して嫌な印象を持つに至っていた。
「………つまりその『ムカつくアイツ』は貴女達を騙した挙句この幻想郷に貴女達を放り込んだり、クエストと偽ってメリーの事をああだこうだと自分の事を棚に上げて色々言っていたと?」
「それは少々………いえ、かなり人として許せませんね」
「でしょ⁉︎
しかもアイツメリーをその時思いっきり泣かせた最悪な奴なのよ‼︎
だから私はアイツに出会ったら問答無用でぶん殴るって決めたのよ‼︎」
「はいはい蓮子まずは落ち着きなって。
取り敢えず私もソイツが何かして来ないかを警戒してるんだ。
仮にも二人を泊めてる家主だし、しっかりと守ってやる義務があるし、友人として放って置けないしな」
その話の中で『ムカつくアイツ』が蓮子達にちょっかいを出して来ない様にと話し、アイコンタクトでアリスと鱗にもそれに協力する様に促し、二人もアイコンタクトでそれを了承する。
因みに魔理沙は今までの話とメリーがクエストで泣かされた件から既に『ムカつくアイツ』がシャドウ…………自分の幼馴染だと特定しており、アリス達にもこの事を後で話そうと決めていた(因みにブロントさんにはまだ話せていない)。
「まあ、そう言う事なら手伝わない事は無いわね。
女の子を泣かせるなんて最低な事をする男の魔の手から友人を守るのは友人の努めだからね」
「私は今までそのムカつく人と蓮子達が穏便に事を済ませられたらと思っていましたが、今ので考えが変わりました。
その人を一度懲らしめないと気が済みませんね。
まあ、方法はヴァンガードファイターらしくヴァンガードで、なんですがね」
「皆………ええ、ありがとう」
「よし、じゃあ早速今から作戦会議を『コンコンコン』?
誰か来たわね」
蓮子が『ムカつくアイツ』に対する作戦会議を開こうとした所、玄関を3回ノックする音が聞こえ、来客が訪れた事を蓮子達に知らせる。
アリスは今日は蓮子達以外に来客の予定は無いと思いつつも、親しい人のノックだった為気になり玄関へと向かい、ドアを開ける。
「はい、誰かしら?」
「あ、アリスさん、こんにちは。
今日はこちらに魔理沙さんや噂の外来人のお二方がいらしていると伺ったのですが、上がってよろしいですか?」
「あら、珍しい来客ね。
ええ、ちょっと待ってて」
するとアリスは来客が魔理沙と蓮子達に用があって此処に来たと聞き、魔理沙を玄関に来る様に促して魔理沙とも話し合わせる。
すると魔理沙はその来客に対して二つ返事でOKを出し、それを聞いてアリスも縦に頷き来客を家に上げてテーブルに座らせた。
「ねえ魔理沙、この子は?」
「ああ、こいつは『魂魄妖夢』、私らの友人の一人で礼儀正しい奴だよ。
今日はおまえらに用事があって来たんだとさ」
「えっ、私達に?」
「はい。
改めて初めまして、私は『魂魄妖夢』と言います。
今日は私の主人である『西行寺幽々子』様が、貴女方、特に未知のクランである〈ギアクロニクル〉使いの方に会いたいと仰り、私が魔理沙さんの家に行きそれを伝えよう………としたのですが、家の玄関に今日はアリスさんの家に貴女方と一緒に居ると言う張り紙を見てこちらに来ました」
どうやら目の前の少々、妖夢は主人である幽々子が蓮子達、特にメリーに会いたいと知り二人で互いに見やり、如何するかをきめかねていた。
「無論、此方にお招きするものとしては最大限のおもてなしを致します。
それでもダメでしたらクエストと言う形で」
「ええ⁉︎
良いって良いって、そんな事をクエストにさせられたらこっちも困るって!」
「そ、そうよ!
そんな事をしなくてもちゃんと私達は行くわよ!」
すると妖夢は最大限のおもてなしだけでなく、今回の系をわざわざクエストにしようと言う話も出て来た為二人は慌ててYESを出す。
この一連の会話で二人の中で妖夢の印象は『真面目で誠実な女の子だけど少し融通が利かない子』と言う物に固まり、妖夢の前ではなるべくはぐらかして話す事は止めておいた方が良いと言う暗黙の了解が交わされる。
「ふーんおもてなしねぇ………なあ妖夢、私らも付いて行って良いか?」
「………あーそうでした、魔理沙さんもお誘いしようかと思っていたんですよ、このお二方……えーと「あ、私宇佐見蓮子、こっちはマエリベリー・ハーン、メリーって呼んであげて」はい、蓮子さんとメリーさんの保護者として招こうかと………私『ら』?」
妖夢は魔理沙の問いに対して魔理沙も招こうと言ってみた………が、魔理沙の口から私『ら』と言う言葉が出た為、何かと思いキョトンとしてしまう。
そして、その答えは直ぐに出る。
「ああ、私『ら』ってのは其処にアリスや鱗、それとブロントさんに咲夜を誘って欲しいんだ。
実は最近、て言うより蓮子達が幻想入りする前から幻想郷の結界を乗り越えた不審者に二人が狙われててな、万が一が無い様に私らで二人をガードしときたいんだ。
つい先日もメリーがその不審者にクエストと騙されてちょっかい出されたんだ。
駄目か?」
「………成る程、そんな事情があるなら魔理沙さん以外にも付いて来て貰いましょうか。
それに、おもてなしをするのに三人だけを誘うなんて少し寂しい感じがしてたので丁度良かったです」
魔理沙は妖夢にそう答え、それを聞いていたアリスや麟も互いに見やった後に頷き、それを聞いた妖夢は少しだけ考え込む仕草をした後にそれにOKを出して魔理沙以外が付いて来れる様になった。
「それでは2日後、『白玉楼支部』に来て下さい。
その日は皆さんの貸切にいたしますので」
「おう、分かったぜ!」
そして、妖夢は日程を伝えてアリスの家から去って行き、残った者達は魔理沙を見やり魔理沙の言い分は分かったので一応話に乗ったが、何故其処に行き着いたかは分からない為魔理沙に問い質そうとしていた。
「ねえ魔理沙、あれは」
「……実はな、私はブロントさん、麟、アリスに個人的に話したい事があるんだ。
だからこれを機に話したい相手を全員集めようって訳さ」
「成る程、魔理沙達の話し合いか………保護者として伝えたい事があるからって感じ?」
「まあそんな感じ。
後は……本当に個人的な話さ」
魔理沙はアリスの問いに直ぐに答え、蓮子の問いにも保護者会の様な感じと個人的な話の両方があると言い、一応蓮子達を納得させてアリス達も分かったと言う感じに頷く。
すると魔理沙は箒を持ち出し、何処か………と言うよりブロントさんと咲夜の下に向かおうとしていた。
「んじゃ、私はブロントさんと咲夜に話を付けて来るよ。
二人はお茶会が終わったら真っ直ぐ帰るんだぞ、ムカつくアイツに遭遇するかもしれないからな!」
「分かってるわよ〜!」
そう言って魔理沙はドアを閉め、箒で空を飛んで行った。
そして魔理沙が退場したものもお茶会は続き、此処でアリスと麟は蓮子のあのノリをマジマジと見せつけられ、蓮子とメリーは白玉楼支部と呼ばれる普及協会支部が冥界(死者の世界)にあると知り、オカルトに敏感な秘封倶楽部の精神を久々に擽られ早く2日後にならないか内心ウズウズしていたのであった。
所変わり紅魔館、其処でヴァンガード専用ホールでブロントさんと咲夜がファイトをし、周りを大盛り上がりにしていた。
「これで決める、『
ツインドライブ……ゲット、クリティカルトリガー!
トレーシーでアタック‼︎「ガード‼︎」
くっ、流石はブロントさん、私の攻撃を凌がれた…!」
「凄え、あの咲夜さんと互角以上に渡り合ってる‼︎」
「さすがにナイトは格が違った!」
「当然の事ナイトは攻撃力はあるが実は防御もかなり高いこれはヴァンガードに於いても変わらない絶対不動の不文律である事は確定的に明らか。
しかしそれはナイトの謙虚な精神を持つファイターなら自ずと辿り着く境地なので咲夜もその境地に至っていると言う意見なのでさすがに今のは危なかったと冷や汗が鬼なった。
お前らもファイターとして目指すなら咲夜や俺みたいなナイトの精神を持った正正堂堂としたファイターを目指すべきそうすべきヴァンガードを楽しみたいならそうすべき。
んじゃ、俺のターン‼︎
ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎
アルトマイルの
そしてブロントさんは周りのギャラリーにヴァンガードファイターとして目指すなら咲夜などを見本にしろと言いながら
すると観戦していた者達は二人のレベルの高いファイトに拍手喝采をし、二人のファイトを讃えていた。
「ふむ、やはり咲夜のファイトはさすがは紅魔のメイドは格が違ったと言うべきかなと言う感じにA+だったな。
俺が武者修行の旅をして色んなファイターと戦い実力を付けたつもりだったがアリスとかと同じく俺のイメージを超えた成長をしていたと言う意見。
これはうかうかしてナイトの実力を付けたと言うイメージにしがみ付くべきではなくさらなる飛躍を遂げて思考のナイトを目指すべきだろうな今回のファイトでそれが良く分かったよ>>咲夜感謝」
「いえ、ブロントさんもやはり凄いですよ。
貴方が武者修行に行った後、私はお嬢様達に揉まれてかつてを超える実力を身に付けたのですが、私のヴァンガードの師匠である貴方を未だ超えるに至っていなかったと思い知りました。
私ももっと上を目指すべきだと感じました」
二人は握手を交わしながら互いの健闘とファイトの実力を讃え、これまた互いに強くなろうと言う意欲を見せ合い、ギャラリーに二人は似た者同士だと思わせていた。
するとその場にもう一つ拍手が起き、ブロントさんと咲夜がその拍手があった方へ向かうと其処には魔理沙が居て、二人に満面の笑みを浮かべて拍手をしていたのた。
「いや〜流石は咲夜にブロントさんだよ。
二人共メリーとファイトをしてたからどっちが強いかな〜と考えたけど、そんなの私の浅はかなイメージだったって思い知ったよ。
いや〜、これは私も〈なるかみ〉使いとしてトコトン真っ正面からリアガードを退却させまくらないと勝てないな」
「ほむ、魔理沙か。
だがそうは言うが俺達の〈ロイヤルパラディン〉とお前の〈なるかみ〉は相性最悪で俺達は毎ターンコールしないと攻撃が追い付かずコールすれば退却させられで工夫しないと勝てないからなお前も謙遜する必要は無いと言う意見。
寧ろ正面からぶつかり合った方がゆゆうじょうを深め合えるので正面からぶつかり合うべきだと思った感」
「そうよね〜って、ブロントさんもメリーとファイトを?」
そんな会話を交わしてる中で咲夜がブロントさんに対してメリーとのファイトの部分に気付き、その事を聞いてみる。
するとブロントさんは首を縦に振りながら答え始める。
「うむ、確かに俺は〈ギアクロニクル〉と言う未知のクラン使いのメリーとファイトをしていたぞ。
更にメリーの口からお前とファイトをしたとも聞いたのでメリーに俺が咲夜に清いナイトの精神とファイトを教えたと伝えたぞ。
そしてファイトをしてみて分かったんだがメリーはかなり伸び代があるのでいずれ近い内に思考のファイターの仲間入りを果たすなとも思った感。
因みにその時俺はファイトに勝って来たぞ」
「そうなんですか」
昨夜はブロントさんがメリーとのファイトを通し、自分が感じた事………あの場では敢えて言わなかったメリーのファイターとしての才能をブロントさんも感じ取っていた事を知り、自分の目には狂いが無かったと感じた咲夜はティーチング(応用編)をした甲斐があったと思っていた。
「あ、そうそう。
それで二人に話があったんだ」
「むっ、話とな?」
魔理沙は此処に来た目的である妖夢のお誘いの話を咲夜達にもし、更にその場で重要な話があるので是非来て欲しいと言い、その事から咲夜は例の件についての話をブロントさんやアリス達にもすると察し了承する。
そのブロントさんと言えば。
「………うむ、魔理沙が真剣な目で話があると言う時は何時も重要な話が来る事は過去の実績により証明されてるからなその日は予定も無いし断る理由も無いのでよろしいぞ、白玉楼へのお誘い【受けさせて頂きます】」
「ありがとな、ブロントさん」
魔理沙の話に(ブロントさんなりの)二つ返事で受け、その日に白玉楼へ行くメンバーが決まる。
それを聞いて魔理沙は集合場所を決め、直ぐにアリス達にもその集合場所を伝えるべく再びアリスの家に向かって行った。
「……あの、ブロントさん」
「事情は魔理沙の口から直接聞くから何も言わなくても良いぞ。
それより、レミリアにこの事を伝えて2日後の予定を空けて置くべきだと思うんだが?」
「…それもそうですね、では今日はもう解散としましょうか。
またファイトする時は負けないわ」
「うむ、俺も負ける気は無いので全力でリベンジして来るとよろしいんだが?」
そして残った二人もその場で解散となり、ブロントさんは周りのファイター達からファイトの誘いを引っ切り無しに受けそれ全てファイトして要望に応え、咲夜は主人であるレミリアに2日後の予定を話しに行くのであった。
えー新しく西行寺幽々子と魂魄妖夢が出て来ましたが、上手くキャラを表現出来ましたかなぁ?
かと言って幽々子を良くある二次創作での暴食姫にするとありきたりですし………むむむ、
次回から白玉楼でのお話となりますが、どうなるかお楽しみに。
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第17話「第一印象は非常に大事な要素である」
後、前回で新しい章を作るのを忘れてしまっていたので今回から前回も含めて新章となります、ガバ管理ですみませんでしたm(_ _)m
因みに注意点として、今回は完 全 茶 番 回です、ヴァンガード要素皆無です。
では、どうぞ。
妖夢がアリスの家に来てから2日後、蓮子とメリー、魔理沙とアリスは麟、咲夜、ブロントさんを待ち合わせ場所である人里の一角、本来死後にしか行けない冥界に行く為の設備………冥界に繋がる魔法陣の前に居るが、直ぐに咲夜、麟は来るがブロントさんが待っても待っても一向に現れず、時間だけがどんどん過ぎ去って行っていた。
「もぉ〜う、ブロントさん遅過ぎ!
いつまで待たせるのよ〜!
早く冥界に行って霊魂が写真に実際に映るかとか死後の世界がどんな感じなのかこの目にバッチリと押さえて人間が知り得なかった未知の一つを暴きたいのに〜‼︎」
「蓮子落ち着きなさいって………私も蓮子の意見には同意見だけど、しっかり待つのも大事なのよ?
いつも遅刻してばかりの貴女にはちょっと分からないと思うけど。「グハッ‼︎
や、止めて下さいメリーさん、その言い方は私に効く……」だったら遅刻はもう止めてよね〜?」
「お前ら仲が良いのか悪いのかどっちなんだよ、後少し感性がずれてるぜ。
……まぁ、ブロントさんが遅いのには同意するぜ。
あの人いつもいつも約束の時間に遅れて来るんだよなぁ」
『うんうん』
どうやらブロントさんは蓮子の様な遅刻癖があるらしく、いつも約束の時間に遅れては皆を苦笑させてるとされ、この遅刻癖は一生治らないと魔理沙達は半ば
「あーもうブロントさん〜、早く来てよ〜「うむ、別によろしいんだが?」……はい?」
すると蓮子の言葉に応えてブロントさんが周りか呆れ顔なのを御構い無しにドヤ顔で登場し、魔理沙達にとって何時もの口上を述べようとしており全員とある考えの下でジト目で黙っている。
「おれは集合時間に遅れてしまったんだがちょうど集まり始めたみたいなのでなんとか待てているみたいだった。
おれは自宅にいたので急いでいたところナイトが来ないことにLSメンが泣きそうになっているのがシャウトで聞こえていた。
どうやらお手本がいないために泣き叫んでいるLSメンバーのためにおれはとんずらを使って普通ならまだ付かない時間にきょうきょ参戦すると「遅いわよ!」「また寝坊したのか?」「ブロントさん、とりあえず言うべき事は?」「レディを待たせるのはナイトのやる事では無いですよね、しかも20分以上も」「流石の私もメリーを此処まで待たせた事はないわよ?」「全く、次は約束の時間の10分前には待っていて下さい男として………後蓮子は鏡を見て自分の無い胸に聞きなさいよ」「グハッ⁉︎」……………と、寝坊して来たら大ひんしゅく状態だった、すいまえんでした、許してくだしあ;;(プリケツ土下座)」
完全に全員の呆れなどを買い、ブロントさんは土下座をしてメリーとファイトした時の毅然としたナイトの風貌など無いかっこ悪い首長の青年の姿が其処にあり、蓮子とメリーは魔理沙達以上に呆れ、蓮子とメリーはブロントさんに対しての評価が少し下げてしまっていた。
「全く頼むよブロントさん、こっちはあんましブロントさんを知らない二人が居るんだから、約束の時間位は守って欲しいぜ」
「はぁ、ヴァンガードファイトやトラブルの時は頼りになるのに……」
「以降は気を付けて下さいね?」
「でないと、蓮子とメリーのブロントさんに対する評価がダダ下がりになるわよ?」
「う、うむ。
この次から約束した時間の15分と言いたいが謙虚なので9分「ブロントさん?」………15分前にはカカッと参戦してるから期待してるべきそうすべき」
そしてブロントさんは魔理沙達の注意を受けた後ちゃんと約束の時間の15分前に来る事を約束し、それで女性陣は先程の事をチャラにし、改めて全員が居るか確認し、それから魔法陣の前に立ち中に入る用意をする。
その間蓮子とメリーは今か今かと冥界に行くその時をウズウズしながら待っていた。
「うむ、ではこるより俺達は幽々子の誘いで冥界の白玉楼へ行くぞ。
で、これは蓮子達への注意なんだが向こうに入る霊体は転生待ちの害の無い奴だが、余り調子に乗ってちょっかいを出すと裏世界でひっそりと幕を閉じる事になるので注意するべきそうすべき。
後幽々子の怒りも買わない様にするべき、怒りを買うと『死を操る程度の能力』でレベル5デス使われて一貫の終わり。
よろしいか?「分かったわ」「右に同じく」
うむ、んじゃ冥界にのりこめー^^」
『わぁい^^』
「えっと………わ、わぁい^^;」
「わ、わぁい………^^;」
蓮子とメリーはブロントさんの注意喚起をしっかり聞き、問題行動に当たる物はなるだけ控える様にしながら冥界を楽しむ事とし、それを聞いたブロントさんは自分達がしきたりにしている友人らと一緒に何処か行く際の掛け声をかけ、蓮子達はそれに戸惑いながらも合わせて一緒に魔法陣の中へと入り、その瞬間視界が光に包まれたと思った瞬間には先程の人間の里とは別の場所…………人が居る気配がせず、代わりに人魂がふわふわと幾つも浮かぶ場所………冥界へと到着したのだ。
「お、おお〜‼︎
此処が冥界、人の魂が死後に来ると言う人間が未だその知識で理解し得ない世界‼︎
私達秘封倶楽部は遂に…………そんな不思議に満ちた世界へと足を踏み入れたんだわ‼︎」
「蓮子ったらはしゃいじゃって………でも、そんな世界に来たんだなって私も思うわ。
これが………冥界…………空気が澄んでいるわ………」
冥界に着いた途端蓮子は大はしゃぎし、メリーはメリーでその死後の世界と言う一見すれば恐ろしく思え、しかしその澄んだ空気と人魂達が個々の自我を持ち、宙で優雅に踊る姿に神秘的な感覚を覚え目を輝かせていた。
そんな二人に外の世界の人間なら一度は驚き腰を抜かすだろうと考えていた麟、咲夜、アリス、ブロントさんはその極一般的な反応からかけ離れたものを見せる姿に変わってるなと思いながらも二人の近くに来て微笑ましく見守っていた。
一方の魔理沙は蓮子の口から『秘封倶楽部』と言う言葉を初めて聞き、何処か頭の隅に引っ掛かる感じがするも、今は白玉楼に行く事を優先すべく蓮子達の側に近寄った。
「んじゃ、早速『白玉楼』に行こうと思うんだが………今思い出したけどさ、妖夢以外にも『あいつら』が居るんだよなぁ〜………」
『………ああ〜』
「いあ、アイツらも別段悪い奴じゃないのでストレスが溜まらない適度にスルーすればよいぞ?
………俺も思わずマジで親のダイヤの結婚指輪のネックレスを指にはめてぶん殴りそうな程イラッと来てしまった事もあり説得力がないのだが、ナイトは心が広大だし今回は蓮子達が居る訳だから何とか耐えてみようかと思った感」
『???』
すると魔理沙達はいざ白玉楼に行こうと瞬間、彼女達は突如としてゲンナリし始め、ブロントさんも表情自体は平静その物に見えるが、良く見ると青筋を立てており実際はキレている事が伺えたが、蓮子達は何故そうなっているのか分からず頭に?を3つ浮かべていた。
すると其処に白玉楼へと続く道の先から妖夢が走って来て、蓮子達と合流した。
「すみません、蓮子さん達が初めてこちらに来る事をすっかり忘れて道案内が遅れました!」
「いや、私らも今来たばっかだし丁度良いタイミングだよ。
ありがとな、妖夢」
「は、はぁ………では、改めまして白玉楼へはこちらの道を通って頂きます。
私にしっかり着いて来て下さいね」
魔理沙は妖夢にブロントさんが遅れた事を言わず丁度来たばかりと説明して妖夢に道案内をさせる様に誘導し、彼女は蓮子達の前に立ち誘導し始める。
「………そう言やさ、秘封倶楽部ってことって一体何なんだい蓮子、メリー?」
「秘封倶楽部?
えっとそれは」
「ぬっふふふ………魔理沙なら何とな〜く食いついて来そうだと思ってわざわざ名前出して良かったよ。
いや〜やっと何時もメリーに止められてた物を吐き出せるよ〜…………じゃあ説明しよう、秘封倶楽部とはっ‼︎
この頭脳明晰、スポーツ万能、道行く外の世界の男共は皆私の方を振り向く超絶美少女であるこの蓮子ちゃんと!!!
その大親友で私と同じ位可愛くて頭の良いお嬢様のメリーとで一緒になって作ったこの世のあらゆる怪異や『メリーの眼に映る境界』を暴く超コワモテ不良サークルなのであ〜る!!!!!」
その間魔理沙が蓮子達に秘封倶楽部の事を聞き、メリーがそれに答えようとした瞬間蓮子が遮り遂に今まで抑えられていた枷を解き放ち、この中ではメリーと魔理沙位しか知らなかった蓮子のウザカワの部分を全開にしながら秘封倶楽部を説明し、その蓮子の普段とは全く違う姿に魔理沙以外は呆気に取られしまい、目を丸くしていた。
一方の魔理沙は蓮子のこの部分をギリギリ窺い知れていたので何とか会話の内容を聴き漏らさずにいて、その中で『メリーの目には境界が見える』と言う内容も耳に入り、改めてメリーの事をジッと見る。
すると今まで気付かなかった、否、考えようとしなかった内容の物が魔理沙の頭の中に浮かび、彼女の思考をかき乱した(この間蓮子はメリーに素敵な笑顔で顳顬を拳でグリグリされて半泣きし、咲夜と麟がそれを宥めている)。
「(な、何で私は気付かなか、いや、考えていなかったんだ?
良く見ればメリーも似て、いや、まんま瓜二つじゃないか、『あいつ』に⁉︎
…………だが、どうして蓮子とメリーがファイトスタイルとかがあのバカや………色んな物が『霊夢』とダブったり『あいつ』と瓜二つなんだ………それにあのバカ、何で二人に接触してちょっかいを…………ダメだ、ピースが足りない!
答えを出すのに決定的な物に導く周りのピースの数も少ない、これじゃあのバカが何をして、蓮子達に感じた物も分かりゃしない‼︎)「魔理沙?」えっ⁉︎
あ、どうしたんだアリス?
私の顔に何か付いてたか?」
「ううん、何だか貴女、怖い表情を浮かべてたから…………何か………恐らく蓮子達の事だろうけど、保護者会(仮)の時に話してよね?
一人で抱え込んでも分からない事が多いだろうし、ね?」
「………ああ、分かったよ………」
魔理沙がかき乱した思考で考え込んでいた所でアリスが彼女に話し掛け、魔理沙は一旦考える事を止め、この事は確証が無い為保護者会(仮)では一旦伏せ、麟やアリス、ブロントさんには当初話そうとしていた事を言おうと考え、足を進めた。
すると、全員の前に白玉楼へと続く長い石段(博麗神社の比ではない位長い)が現れ、魔理沙が蓮子を箒に乗せ、アリスと咲夜がメリーを運びながら空を飛び、ブロントさんは空を飛びないので『とんずら』と言うスキルを使い本人曰く『天狗並のスピード』で石段を駆け上がって行った。
そして数分掛けて漸く石段の頂上へと辿り着き、門を潜り『白玉楼』の敷地内に蓮子達は入れた。
「………よし、『あいつら』は居ないな。
今の内に幽々子のトコに行くぞ」
「あ、あの〜。
『あの方達』の事は余り邪険に扱わないで下さい。
二人共…………ほんのちょっとアレですけど…………良い方達なんですから、ね?」
「そのほんのちょっと、いや、『大部分』がほんのちょっとだけ良い部分を全部塗り潰しても尚あり余ってダメなんだろうって。
そんな連中に構ってる暇は無いからとっとと「うっはwwwwwwwwwwwwwwwwww何だか妖夢タン以外の美少女の気配キwwwwwwタwwwwwwコwwwwwwレwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」「ちょっ、幽々子さんから任された仕事をほっぽり出すなんてこんなの、普通じゃ考えられない……って、待って下さいよ⁉︎」…………来ちまったよ」
すると魔理沙はさっさと幽々子の所に行こうとし、妖夢と何かを話し合うがその時、蓮子の秘封倶楽部時の名乗り上げ以上の面倒臭い何かを出す二人の男の気配がし、それを聞き、感じた魔理沙は完全に呆れた表情を浮かべ、アリス達は何かを悟り諦めており、蓮子とメリーは何が起きてるのか分からずオドオドしていた。
そして…………それは現れた。
「うはwwwwwwwww魔理沙ちゃんにアリスタンwwwwwwwww、それに咲夜ちゃんに麟ちゃんwwwwwwwww西京催促の俺様、今ここに光臨wwwwwwwwwwwwwwwwwwあら?wwwwwwwwwwww見慣れないカワユイおんにゃの子発見wwwwもしかしてwwwwwwwww俺様のモテ期ktkrwwwwwwwwwwwwww」
「ちょっと『内藤』さん、掃除をサボらないで戻って下さいよ!
このままじゃ俺、幽々子さんに怒られて掃除をしたくなくなっちゃいますよ⁉︎」
「うはwwwwwwwww『ミスト』クンよwwwwwwwwwカワユイ美少女が其処に居るならwwwwwwwwwww例え火の中水の中何処でも参上wwwwwwwwwwwwwwwそれがこの俺様wwwうはwwwwwwwwwマジカッコよすwwwwwwwwwwwwwww」
「幽々子さんの掃除の頼みよりも美少女のナンパを優先するなんて、俺と『内藤』さんの間でこんなにも意識の差があるなんて思わなかった………‼︎」
二人の青年は異次元の会話を交わし、その内容もオレンジ髪の青年の方は掃除の優先をしたいが何故か一言一言が霧が掛かった様な印象を受け、更に何処か引っ掛かる言い方をし、ブロントさんと同じく騎士甲冑を着けた金髪の青年は最早存在自体が普通の神経を持つ人を逆撫でする様な大草原を生やし、更に蓮子達にナンパを仕掛けて来ているのだ。
これ見て聞いた蓮子とメリーがこの二人に抱いた印象と言えば。
『(………………何これ、超ウザい………………)』
第一印象最悪でしかも秘封倶楽部時の蓮子以上のウザさの所為で(特に金髪の青年は)最低ランクを突き抜けた好感度となり、二人は今後この青年達とはなるべく会いたくないとすら思ってしまっていた………。
えーと、まず今回出た新キャラ『内藤』ですが………読み辛いですよね、これ。
でもマジでこんな話し方するんです、はい。
そして何故スパロボの『ミストさん』が出たかと言うと…………『東方有頂天』と言うジャンルは凄いですよね。
原作東方の『幻想郷は全てを受け入れる』を逆手に取り、ブロントさん以外にも凄い漢やローザリアのブラックプリンスとかをバンバン吸収したんですから。
『ミストさん』もその一人なんです、はい。
次回もよろしくお願いいたします。
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第18話「内藤と言う男」
今回も何となく伏線がある様な無いような、そんな感じの回となっております。
では、どうぞ。
蓮子達が呆気………と言うより、何故か分からない目の前の二人を受け付け難い気持ちに襲われる中、そんな事は全くお構い無しに金髪の青年は再び蓮子達女性陣にナンパを仕掛けて来る。
「ほうほうwwwwwこれはこれはwwwww凄くレベルが高い娘達で俺様テンションアゲアゲwwwwwwwwwwwwおぜうさん方www初めましてwwww俺様はナイトの中のナイト『内藤』だぜwwwwwwwww
君達初対面の二人の名前ww聞かせてくれない?wwwwww」
「(えぇ〜)………宇佐見蓮子」
「………マエリベリー・ハーンです(本当は嫌だけど)メリーって呼んで」
「蓮子ちゃんとメリーちゃんか〜wwwwwwwwwwwwwww名前に違わず超美少女wwwwwwどうかな?wwwwwwwwww
俺様とwww夜明けのコーヒーをwwwwwwwww飲んでみない?wwwwwwwwwwwwwww」
「って内藤さん、それド直球のセクハラ発言ですよ⁉︎
こんな真っ昼間からそんな発言をするなんて、こんなの普通じゃあ考えられない、失礼にも程がありますよ⁉︎」
金髪の青年、内藤は蓮子とメリーに対していきなり上位のナンパ(セクハラ混じり)をし、二人の顔を青ざめさせた上に後ろに半歩後退りさせる。
それに対しオレンジ髪の青年はそれに(一応)正論を投げ掛けて内藤を諌めようとしていた。
が、内藤はそれを聞かず更に蓮子達がドン引きしたのを確認すると別の行動に入る。
「うはwwwww何だか微妙な反応wwwwwwwww泣けるぜwwwwwww魔理沙ちゃん達『断る(わ)/ごめんなさい!』オウフwwwwwwwwwwww即答で断られたwwwwwwwwwwwwwwwモテ期到来の筈なのになして?wwwwwwwww」
「おいィ、内藤お前は少し自重すろ!
蓮子達は初対面でおもえのノリに付いて行けず困惑が鬼なってるのは明白に明らかだし出会い頭のセクハラ発言なんかはよすべきそうすべき、天狗ポリスに捕まって牢屋で汚いメシを食べたくないならそうすべき!
そるにお前がナイトの中のナイトを名乗るのは謙虚なナイトとして苦言を出すぞお前がナイトの中のナイトと誤認さるるとナイト全体の品格が問われるので止めてくれませんかねぇ?」
「そうですよブロントさん、もっと言っちゃって「お前は内藤と同じく白玉楼で世話されてるのでもっと強く内藤を止めるようにすろ!」はい、マジですんませんでした……(…って言っておかないと、ブロントさんの説教が長くなるからな……)」
そんな内藤に対しブロントさんはナイトとして内藤の行いに苦言をし、それに便乗しようとしたオレンジ髪の青年にも注意をするが内藤は態度から、オレンジ髪の青年は内心ブロントさんの言葉を真に受けずその場を凌ごうとし、それらを見たブロントさんは遂に頭を抱え、額に青筋が出来ていた。
「………ねえ魔理沙、これ、何?」
「ああ……こっちの金髪が内藤、見ての通りタダの馬鹿「うはwwwwwヒドスwwwww」。
こっちのオレンジ髪は『ミスト・レックス』、一応私達は呼び捨てにして、麟は親しみをほんの少量、申し訳程度に込めてるが他は大体親しみを持てないって理由で『ミストさん』と呼んでる内藤とは別ベクトルでウザい奴だぜ「こ、この俺が世間ではウザキャラ認定されてるだって?
そんな事、本当にあるのか………⁉︎」ほら、こんな感じでな」
蓮子が魔理沙に内藤とオレンジ髪の青年、ミストについて聞いてみると彼女も心底嫌そうな顔で二人を紹介し、麟は微妙な感じの笑みを浮かべ、咲夜達は魔理沙と同じ様な表情を浮かべおり、彼女らの中で二人がどんな扱いかが良く分かり、更に妖夢を見ると申し訳ないと言った感じの表情で頭を下げて無言で謝っていて、蓮子達も内藤達がどんな人物かは把握出来たのであった。
「でもwwwwww俺様は諦めないぜ!wwwwwwwww
絶対に蓮子ちゃんや魔理沙ちゃん達とデートしてやるぜwwwwwwwwwwwwwその為にもwwwwwwwwwww俺様とヴァンガードファイトよろwwwwwwwwwwwwwwwwww俺様が勝ったらwwwwwwデート1回してもwwwwらwwwwwwうwwwwwwぜ!wwwwwwwwwwwwwww」
「な、何でそうなるの⁉︎」
「別に受けなくて良いぜ、さっさと幽々子の所に「あwwwwww今幽々子ちゃんはwwwwww妖夢タンが出掛けた後wwwwwwwwww冥界の魂がwwwwwwwwww喧嘩し始めたから諌めに行って居ないぜwwwwwwだから暇潰しも兼ねてファイトよろwwwwwwwwwwwwwwwwww」………マジかよ」
そして内藤は諦めずにヴァンガードファイトで勝利したらデート1回と言う無茶苦茶な条件を出し、更に幽々子は現在白玉楼から離れてしまってる為、帰って来るまでの暇潰しも兼ねてと言い、それを聞いた魔理沙は完全にゲンナリする。
だが、内藤とデートをしたくない蓮子は先程ミストが言っていた事を思い出し、それを引き合いに出す。
「………じゃあ、あんたが白玉楼の掃除を終わらせたらヴァンガードしても良いわよ?
(どうせ途中でサボってたし早く終わる筈ないし)悪くない条件でしょ?」
「えっ!wwwwwwwwwwww
掃除を終わらせたらヴァンガードしてくれる?wwwwwwwwwwww
うっはwwwwwwwwwwwwwwwwみwなwぎwっwてw来wたwぜ!wwwwwwwwww
じゃあちょっと待っててwwwwwwwwwwwwとんずらwwwwwwwwwwwwwwww」
蓮子の言った内容、掃除を終わらせたらヴァンガードをするを聞き、内藤はブロントさんも使ったとんずらを使い、掃除に向かう。
しかもテンションHighmaxで。
「ちょ、ちょっと蓮子⁉︎
あんな事言って大丈夫なの⁉︎」
「平気平気、この白玉楼は見た感じかなり広いし、掃除にも時間がかかるでしょ?
ならそれを最大限利用して幽々子って人が帰って来るまでの時間を「終わらせて来たぜ‼︎wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」…………うそん」
メリーが心配していた中、内藤は然程時間が経っていない筈なのに蓮子達の下に戻り、既にヴァンガードのデッキを取り出しており、こんなにも早く掃除を終わらせて時間を稼がせない内藤のデートへの執念に蓮子は信じられないと言わんばかりの表情で呆気にとられ、脱力maxを受けてしまった。
「や、やる気が入った内藤さんがあっと言う間に白玉楼の掃除を終わらせただって⁉︎
こ、こんなの普通じゃ考えられないしこんなにも早く終わらされたら俺がまるで役立たずみたいじゃないか………こんなんじゃ俺、本当に掃除をしたくなくなっちまうよ……」
「ミ、ミストさんファイト……」
そんな内藤に先程から振り回されっぱなしのミストは完全に項垂れてしまい、遂には隅っこで地面にのの字を書く程に意気消沈してしまいネガティヴオーラが目に見えそうになる程の状態になってしまった。
それを見た妖夢はミストの肩を叩き、何とか立ち直って貰おうと励まし続けていた。
「………で、これどうするんだよ蓮子?
言っておくがファイトの代わりはしないからな」
「わ、分かってるわよ………うん、負けなきゃ良いんだ、負けなきゃ……………さあ私とファイトよ‼︎(ヤケクソ)」
「うっはwwwwwwwwwwおkkkwwwwwwwwwwwwwww」
こうして蓮子と内藤のファイトが成立してしまい、当の蓮子本人は嫌々ながらも、これもヴァンガードの知識を深める為だと自分に言い聞かせて内藤とのファイトに臨んでおり、その様子を見ていたメリーは自分で蒔いた種とは言え蓮子の不憫さに口を抑え、目尻に涙を浮かべていた。
「さあどっからでも来なさい!
スタンドアップ・ヴァンガード‼︎」
「うはwwwwwwwwwwそれじゃあwwwwww行くザマスwwwwwwwwwwスタンドアップwwwwwwwwwwwwヴァンガード!wwwwwwwwwwww」
内藤により用意されたスタンドファイトテーブルで蓮子はFVをスタンドアップし、内藤もそれに合わせる。
そしてイメージ世界で降り立った場所はユナイテッド・サンクチュアリの超高層ビルの上だった。
「『先陣の
「『ライジング・ライネット』!wwwwwwwwww」
その内藤がスタンドアップさせたユニットのクランを見て、蓮子は自分のファイルのクランと見比べた上で魔理沙の持っていたコレクションの中にあったカード群の事も思い出し、そのクラン……聖域連合の第二正規軍〈ゴールドパラディン〉の概念を頭から絞り出した。
「〈ゴールドパラディン〉………確か〈ロイヤルパラディン〉と同じくリアガードのコールを山札の上から何枚かの中でやり、安定性には欠けるけどいざと言う時の爆発力は〈ロイヤルパラディン〉以上の……」
「その通りwwwwwwwwww俺様は笑顔を忘れない太陽の騎士だからwwwwwwこのクランがwwwwwwwwww一番似合うのさ!wwwwww
ライドwwww『朝影の騎士 キマルクス』!wwwwww
ライネットは後ろにwww」
「………成る程ね、騎士団対決って訳じゃん。
だったらあんたのその雑草を全部刈ってファイトにも勝ってデート1回をオジャンにしてやるわ‼︎(ヤケクソ)
『小さな賢者 マロン』にライド!
ファイルは左前列に移動して、『ぶらぼがる・
ぶらぼがるのスキル、『
マロンでアタック!「『蒼穹のファルコンナイト』でガードww」
ドライブチェック!『
クリティカルトリガー、マロンに全てプラス‼︎「ちょっ⁉︎wwww『フレイム・オブ・ビクトリー』『☆』『だんてがる』『☆』」
内藤は手札のヒールトリガーをガードに回せばマロンのアタックを止められたにも関わらず、代わりにファルコンナイトでガードしトリガー1枚貫通で止めて格好を付けようとした為蓮子のクリティカルトリガーで手痛いダメージを受ける。
無論1枚貫通をした蓮子は心の中で『よっしゃ‼︎』とガッツポーズを決めており、このまま内藤に何もさせない内にゲームエンドを狙っていた。
「ドローwwwwwwうは、これマジ?wwwwwwwwwww
『遠矢の騎士 サフィール』にライドwwwwwwこのままアタックwwwwwwでもってドライブチェックwwww『曙光の騎士 ゴルボドゥク』しかも前のダメージに2枚クリティカルが落ちたのマジ痛いwwwwww」
「内藤の奴、手札が完全に事故ってるな、ありゃ」
「しかも格好を付けて1枚貫通でガードしてガードを失敗したと言う苦虫食ったか鬼なってるあるさま。
やはりナイトは自分から格好を付けるのではなく格好が付いてしまうのだなと確信したな下手に格好を付けて見事な右ストレートを受けた内藤を見てそるが良く分かったよ>>蓮子感謝「………でもそれって結局格好を付けた結果ですよね?」お前は頭が悪過ぎるなナイトは自ら格好を付けずとも自然と格好が付きそこに思考の盾と剣が両方備わる事で最強に見える様になるが内藤はそれを忘れて自分から調子に乗って格好を付けたからああやって痛い目に遭ってると言う事態。
それが分からず変なレス立てるならお前にはその目は必要ないな後ろから破壊してやろうか?「ま、マジスンマセンした;;」
分かれば良いんだが」
更に内藤の様子を見て魔理沙とブロントさんは当然の帰結とも言うべき推測を立て、内藤の格好を付けようとした挙句のプレイングミスや手札事故などを指摘して呆れていた。
実は内藤は普通にファイトをすれば公式大会入賞が出来る程の実力は間違い無くあるのだが、ナンパ目的や格好を付けてのファイトなどでミスを多発して結果的に実力と戦績が比例しない事態になっており、同じヴァンガードファイターとしてもブロントさんとしてはナイトとしても嘆かわしい事になっていたりするのだ。
「ドロー、立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』!
更に『スターライト・ヴァイオリニスト』をコールしてスキル発動、
『忠義の騎士 ベディヴィア』をコールして、ヴァイオリニストでアタック!「ゴ、ゴルボドゥクでガード!wwwwwwwwwww」
ぐりんがるのブースト、ブラスター・ブレードでアタック!
ドライブチェック!『必殺の
クリティカルトリガー、クリティカルはブラスター・ブレード、パワーはベディヴィアに!「オウフ!www『老練の騎士 ダンヴァロ』『だんてがる』『☆』
ベディヴィアでアタック、ヴァンガードが『ブラスター』を含むのでパワー+3000‼︎「『エリクサー・ソムリエ』とゴルボドゥクでガード!ww」」
そしてファイトしてみれば蓮子の圧勝ムード、最早ゲームエンドまで一直線所か直近であった。
しかし………そんな状況下でも内藤は笑い、余裕の態度が全く崩れておらず逆に何故こんな風に負けそうになってるにも関わらず、内藤が笑っていられるのか蓮子は不思議がっていた。あ
「………何でそんなに笑えるのよ、もうボロ負けしそうなのに」
「だってwwwwwカワユイ女の子とファイトするなんてwwwww男として楽しくない訳ないじゃんwwwwwwwwファイトだってwwこんな状況から一気に逆転したらwwwwwwwwwwwもっと面白くない?wwwww
だからwwwww俺様はその可能性を捨てずに信じてwwwwwwww笑ってられるんだよwwwwwwそれがこの俺様のファイトスタイルwwwwwうはwwwwマジカッコヨスwwwwwwwwそれでは逆転の一歩としてドロー!wwwwww」
内藤のその言葉を聞き、蓮子はこの青年がどんな姿勢であれヴァンガードの一戦一戦を楽しんでいると感じ、ウザキャラには変わりないが何処か不思議な感覚の持ち主として改めて認識し、ただのウザい雑草を生やす奴ではないと思い始めていた。
「それでは行くぜ!wwwwwwwwwww
………発現せよ、この身に宿りし新たな力!
『旭光の騎士 グルグウィント』にライド!」
「⁉︎(さっきまでと雰囲気が………それに、あんなに生えてた雑草が消えた⁉︎)」
内藤がグルグウィントと言うユニットにライドする瞬間、内藤の雰囲気がガラリと変わった上に笑顔なのは変わらないが会話で生い茂っていた雑草がいきなり消え、其処にはウザキャラでは無く顔立ちが整った青年が立っていたのだ。
「グルグウィントをコールして、ベディヴィアにアタック!「インターセプト!」
ヴァンガードのグルグウィントで、ブラスター・ブレードにアタック!
ツインドライブ『光臨の盾 マルク』『エリクサー・ソムリエ』『治』ヒールトリガーゲット、パワーはグルグウィントに加えてダメージを1枚回復!
………ふう、ターンエンドwww」
「………何なの、今のは………ライド、『
更にモドロンをコールして、その上に『誠実の
並び立て、私の分身、『ブラスター・ブレード・
ういんがるの
ういんがるとブラスター・ブレードで
ツインドライブ『
「ダメージチェックwwww『神聖魔道士 プイス』『朝影の騎士 キスマルク』うはwwwwwwww俺様ボロ負けwwwwwwマジカッコ悪過ぎワロタwwwwww」
蓮子はそんな内藤に困惑しながらもファイトに勝ち、しかし内藤の先程の変化が気になり少し内藤に聞いてみることにし、彼に話し掛ける。
「あ〜、内藤?
さっきグルグウィントにライドした前後でなんか除草剤を撒かれたみたいに変わってたけど、あれって…」
「あれはねwwwwwwグルグウィントが俺様のフェイバリットだからwwwwwwwwwww気合の入れ直しとかを兼ねてwwwwwwwwwww余りカッコ悪くならない様にしてるだけwwwwwwwwwwwまあ直ぐに除草剤切れるけどwwwwwwwwwww」
どうやら内藤は自分のフェイバリットたるグルグウィントにライドする際はカッコ悪くならない様に、またファイトに勝つ為の気合掛けなどで除草剤を撒くらしく、その状態の内藤は確かに普通のイケメンになるのだが、内藤と言う人物を知った蓮子やそれを聞いていたメリーにはそれが違和感しか感じず何となくモヤモヤし、慣れそうにもなかった。
「あらあら、内藤君負けちゃったわね〜。
「ふえっ、幽々子様⁉︎
一体いつから私達の後ろに⁉︎」
するとメリーや妖夢達はその声に驚き後ろを見ると、に妖夢の主であり、この白玉楼の管理者で内藤達の保護者でもある『西行寺幽々子』が立っており、内藤達のファイトを見守っていたのだ。
「う〜ん、第3ターンの始め辺りから見てたわね〜。
あ〜後〜、ようこそ白玉楼にお越し下さいました〜。
早速お話がしたいのでどうぞ上がって下さい。
さあ妖夢〜、お客様のお持て成しをするのよ〜。
後、内藤君達は途中でサボろうとした罰としてまた掃除ね〜」
『は、ハイ分かりました〜‼︎』
そして妖夢達にそう命じると幽々子はそそくさと白玉楼の中に入って行き、襖が開かれ外から見える居間に用意された座布団の上に正座で座り、蓮子達を手招きしていた。
「相変わらず神出鬼没の亡霊だな。
『魅魔様』と良い勝負だぜ」
「紅魔のメイド長たる私の背後を取る辺り、やはり侮れないわね」
「(あの幽々子って人………いや、亡霊?
はそんなに凄い人なのかしら………?)」
「(ブロントさんフ◯◯◯キ下さい)」
「(蓮子…………こいつ、直接脳内に………⁉︎)」
蓮子達はそれぞれの考えをし(一部内藤達が居なくなった為気が抜けてふざけているが)、幽々子の手招きに応じて白玉楼の玄関から上がり、そのまま通路を経由して居間へと向かう。
其処で幽々子が蓮子達を招いた理由が恐らく話されるがその内容とは……?
「あーもう、内藤さんがサボった所為で俺まで巻き込まれたよ……」
「うはwwww言い掛かりワロスwwwwwwwww別に俺様を無視して一人で掃除続けたら良かったのにwwwwwwwww勝手に付いて来たのミストの方だしwwwwwwwww「………あっ⁉︎」………お前、それにマジで気付かなかったのか……ww」
そして幽々子に罰として追加の掃除をさせられてる二名は雑談を交えながらも掃除をし、ミストに至っては内藤を無視して自分一人が真面目に掃除を続けたら追加の掃除などせずに良かった可能性を内藤に指摘されて今更気付き、バカやったとして完全に意気消沈してしまっていた。
その一方、内藤は先程のファイト………否、蓮子とメリーの二人を見た時から、その時は顔には出さなかったが感じた事をこの状況で思い返し、その事に何かを思いミストに聞いてみる事にする。
「………なあミスト、君蓮子ちゃんとメリーちゃんを見て何かを感じたり思わなかった?」
「えっ?
…………いや、何も」
「そう………実は俺、蓮子ちゃんを見てなーんか『霊夢』ちゃんと雰囲気が似てるし、ファイトスタイルはブロントの舎弟だった『あいつ』にソックリなんだよね」
そんな事を雑草を刈って真剣に話し始めた内藤にミストはそれを聞き、蓮子の事を思い返してみると確かに内藤の言う通りだと感じ、頷いてみせた。
が、何故内藤がそれを話すのか分からずにいた。
「………確かにそうでしたけど、それって重要な事なんですか?」
「割と。
だって外来人の蓮子ちゃんが『霊夢』ちゃんの独特な雰囲気と似た物を持ってるなんて確率上あり得ない偶然だし、『あいつ』と同じ『ブラスター・ブレード』を分身としてるなんてもっとあり得ないよ。
それに…………特にメリーちゃんは、ーーーさんと瓜二つなんだよ?」
「えっ⁉︎
…………そ、そう言えば………こんな偶然、普通じゃあ、いや、どんな状況でも考えられないしあり得ない………それに、何で内藤さんに言われるまで気付かず……」
更に内藤の言葉を聞き、普通ではあり得ない偶然や容姿の一致にミストの中にも疑問が生まれ、掃除してる手が止まる程に考え始める。
そして当の内藤も何故外来人の二人がそんなあり得ない様な偶然の要素を持つのか、また(妖夢から聞いていなかった為知らなかったが)そんな二人を幽々子が何故客としてこの白玉楼に呼んだのか?
これらの疑念が内藤の直感を刺激し、この『かつてから微妙に変化した幻想郷』で何かが起きようとしている…………そんな嫌な予感が彼の中で渦巻き始めていたのであった。
えー、今回内藤がグルグウィントを使っていた事に対して少し言及します。
先ず幻想郷のカード環境は今の所『風華天翔(ファイターズコレクション2015も含む)+α』と言った感じとなっており、まだ微妙に『覇道竜星』のカードは本格的には出ないです。
よって内藤のGユニットもスピアクロスがありませんでした(カンベルは先行で出ている)、
そこの部分をご理解頂けたら幸いです。
さて、直感型の内藤が何かを最後に感じたが、それが幻想郷にどう関わるか、また蓮子達に何をもたらすのかと言った回でした。
次回もよろしくお願いします。
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第19話「幽々子の話と魔理沙の涙と異常事態」
今回もファイト描写無しの会話回です。
そしてブロントさん達と魔理沙&咲夜の謎の共有回でもあります。
では、どうぞ。
蓮子達は全員幽々子が正座する居間へと入り、全員大きな座卓の下座に正座し、幽々子が口を開くのを待っていた。
するとそんな蓮子達を見て幽々子はおっとりとした笑顔を見せ、和やかに会話し始める。
「あらあら、そこまで緊張しなくて良いのよ〜?
今回は皆を呼んだのはゆっくりお話する為なんだから、ガチガチに固まってたら折角の妖夢が手塩を掛けて作ったお持て成しの品が美味しくなくなってしまうわ。
さて、改めましてようこそ白玉楼にお越し下さいました。
貴女達の噂は予々聞いていましたわ、伝説のレアカード『ブラスター・ブレード』を操る宇佐見蓮子さんと未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使うマエリベリー・ハーンさん。
私がヴァンガード普及協会白玉楼支部の支部長でこの白玉楼の当主、西行寺幽々子よ。
まあ支部と言っても実質妖夢や内藤君達位しか所属ファイターがいないのだけれどね」
「は、はぁ………えっと、どうも初めまして、宇佐見蓮子です」
「マエリベリー・ハーンです、メリーと呼んで下さい」
「ええ、分かったわ」
蓮子とメリー、幽々子は互いに自己紹介をすると其処に妖夢が『大量』の料理を幽々子の前に置いて行き、それに蓮子とメリーが驚いたが魔理沙達から幽々子が亡霊なのに常識外な程の大食いであると説明を受け、微妙に納得が行かないが蓮子とメリーはそう心に留め、その後女性陣には適量、ブロントさんには幽々子程ではないが多目、料理を運び終えると同時に座り、全員で頂きますを言って料理に手を付け始めた。
「あっ、この豚汁美味しいわ。
もしかしたら、今まで食べた物よりもずっと美味しいかも」
「………確かに美味しいわね。
また料理の腕をあげたわね妖夢、改めて紅魔館のメイドとして雇いたいわね」
「ありがとうございます、でも私はまだまだ未熟ですし幽々子様との主従がありますので紅魔館のメイドには…「冗談よ」あ、あはは、相変わらず咲夜さんは真面目な顔して冗談を……」
そんな談笑を交えながらも和気藹々と料理を口にして行き、全員が食べ終わりご馳走様を言い終えた辺りで幽々子はが口を開き始める。
「さてさて、私が皆を呼んだ理由が知りたい人も多分居るだろうし早速お話を聞いて貰うわね〜。
まず私はこの幻想郷に現れた新しい『ブラスター・ブレード』使いと、〈ギアクロニクル〉のファイターに興味を持ってお話がしたいな〜って思って呼んだのよ。
で、次に保護者の魔理沙と友人のブロントさん達にも付いて来て欲しいって聞いて、私が興味を持った貴女達に何が起きてるのか、またどんな経緯で幻想入りしたのかも知りたくなったの。
それで、初対面で図々しいかもしれないけど聞かせて貰えないかしら?
無論口外はしないと約束するわ」
「は、はぁ………じゃあ先ず、私とメリーが幻想入りした経緯なんですが………」
幽々子の話を聞き、蓮子とメリーは互いに顔を少し合わせて話すか否かをアイコンタクトで伝え合い(其処に変なモーションが数多くあり周りを少し引かせたが)、取り敢えず幽々子に言われた事を話す事にし、幻想入りした経緯や不審者たるシャドウを『ムカつく男』と呼び、幻想入りの際やクエストと偽ってメリーにちょっかいを掛けて来た事を全て話した。
これにはこの場で蓮子達の事情などを初めてブロントさんも怒り気味な表情をして麟とアリスに宥められていた。
すると幽々子は真剣な眼差しで蓮子達を見始めていた。
「……そうなの、もう一度聞くけれどその『ムカつく男』は幻想郷の外で貴女達に接触して幻想入りを無理矢理させたのね?」
「ええ、間違いないです」
「………可笑しいわね、幻想郷は二つの大結界によって外の世界と隔離されてて、外から中に入って来る事は稀にあっても中から外に出るには条件、しかも幻想郷の住民が知らない方法を使わない限りは出来ない筈…………確かに不可解な点が多いわね。
………調べる必要があるわね、その『ムカつく男』の名を教えてくれないかしら?」
「はい、そいつは『シャドウ』って名乗ってました「えっ⁉︎」?
どうしたの魔理沙?」
「い、いや、何でもないぜ」
幽々子から不可解な点が幾つもある事を伝えられ、調査をしようと言う事となり蓮子とメリーは今まで魔理沙やブロントさん達にもムカつくアイツとしか言って来なかったシャドウの名を出す。
すると魔理沙が突然驚いた声を上げ、蓮子が何かあったのか聞くと何もないと答えられ蓮子とメリーは首を傾げた。
しかし、咲夜はメリーがクエストと偽られちょっかいを出された際にメリーの後を付け、その時に魔理沙と同行した為、彼女が声を上げた理由を知っている。
魔理沙と咲夜の中では『ムカつくアイツ』とは魔理沙と袂を別った幼馴染の青年であり、ちょっかいを掛けた後にファイトハウスからメリーが泣いて飛び出して来てその後に件の青年がこっそり古明地さとりと共に出て来た為断定していたが、蓮子の口から出た名前はその幼馴染の青年の名では無かった為だと。
「………『シャドウ』、ね………分かったわ、その男はこっちで調べてあげるわ。
それとこの後、蓮子ちゃんとメリーちゃんに個人的に話があるから他の人、妖夢も一緒に出て貰えるかしら?」
「うむ?
別に構わないのだが何故そうするのか説明をするべきだなと思った感」
「本当に個人的な事よ、それとも謙虚なナイトさんは女同士の会話を図々しく聞くのかしら?」
「むう………」
すると幽々子が蓮子とメリーに個人的に話があるとして、従者の妖夢も含めた蓮子達以外の全員を退室させ始め、此処で蓮子達と魔理沙達は別々の部屋となり、残ったのは蓮子とメリー、そして幽々子のみとなった。
「それで、私達に個人的に話があるって、一体何なんですか?」
「ええ、個人的な話って言うのはそのシャドウが貴女達を狙う理由にも関わるかもしれない事のとシャドウがもしかしたら私の知人であるかもしれないって事よ」
「えっ⁉︎
……で、でも、それなら皆にも話した方が…」
其処で蓮子達は幽々子の口からシャドウの目的に関わるかもしれないと言う言葉が出た事、更にシャドウは幽々子の知人である可能性まであると言われた事に驚き、声を上げた。
しかし、それなら魔理沙やブロントさん達にも話した方が良い内容なのも事実であり、それを指摘するが幽々子は首を振ってそれを否定し、理由を話し出す。
「確かにそうかもしれないけど物事には順次があり、それらは深く噛む事で隠し味とかが分かる………つまりはそれが確信であるかを確かめる必要があるのよ。
無論それは簡単な事だけど、貴女達だけをこの部屋に残した理由なのよ」
「……って言うと?」
「メリーちゃん、私とファイトをして欲しいの。
この三人しか居ない密室空間で私が貴女とファイトをすれば、私がそれを確信だと分かって貴女達に情報を与えられるの。
良いかしら?」
「そう………なんですか、ならファイトをします」
如何やら幽々子の話によればメリーが幽々子とファイトをすれば幽々子の中の疑念が確信となり、ちゃんとした情報を与えられるらしく、メリーはシャドウの情報や目的を得る為にも幽々子とファイトをする事こそが近道と判断し、ファイトを受ける事からなったのであった。
場所が変わり幽々子達が居る部屋から離れた客室にて、魔理沙と咲夜はいよいよブロントさんに蓮子達が誰に付け狙われているかを話す時が来ていた。
それを察してアリスや麟、ブロントさんも真剣な表情で魔理沙と咲夜を見て、案内した妖夢もその場に留まり話を聞こうとしていた。
「………丁度保護者会(仮)が出来る状態になったな」
「うむ、では魔理沙。
お前が何を話したかったのか今までは神秘のベールに隠されていたが今こそそのカーテンを開き話すべきだなと思った感。
では早速保護者会(仮)の開催【お願いします】」
ブロントさんの一言にアリスと麟も頷き、妖夢は表情で私に構わずどうぞと言った感じのものを伝え、魔理沙と事情を知る咲夜もそれに頷き口を開き始めた。
「じゃあ………皆はもう聞いた通り、蓮子とメリーは不審者に狙われた上にそいつが幻想郷の外に出て、二人を意図的に幻想郷の中に入れたんだ。
しかもそいつは今も蓮子とメリーにちょっかいを出してる」
「うむ、しかも名前はシャドウとか余りにも根暗なオーラが見えそうになる奴だし裏でコソコソしたり♀フレに粘着するストンカーな汚い忍者タイポのカス猿なのは確定的に明らか。
こんな奴が居ては蓮子達は充実したヴァンガ生活が認可されないので圧倒的な防御率を誇るナイトの盾が必要ひ可決なのだろうな(確信)」
「私達も蓮子達からある程度は聞いていましたが、今日漸くその名を聞きました。
シャドウ………この人物には十分警戒する必要がありますね」
「………それで、私達に改めて蓮子達を一緒に守って欲しいって話なんでしょ?
なら否定意見は」
魔理沙の言葉を聞いてそれぞれが蓮子とメリーを守ろうとする意思を見せ、アリスは魔理沙がこれを確認し合う為に保護者会(仮)を開いたのだと思い、全員賛成だと言おうとした所、魔理沙が首を少し振りまだ何かを言いたそうな………しかも何処か複雑な感情が渦巻いている事が表情に浮かび、全員それを見て魔理沙が何かを言わんとしているのか聞こうとしていた。
「……確かにそれもあるけど、私が言いたいのは其処じゃなくて『シャドウ』の事なんだよ」
「…どう言う事なの?」
「………」
「魔理沙、辛いなら私が」
だがいざ口にしようとした魔理沙の表情は更に辛そうな物になり、咲夜が代わりに言おうか提案しようとした所で魔理沙は手を突き出し、首を振って自分が言う事を頑なに示し、咲夜は黙ってしまう。
そして何度かの深呼吸をして、漸くその先を話し出す。
「………その『シャドウ』はな………あいつなんだよ」
「あいつ?」
「ああ……あいつなんだよ……!
私や、居なくなっちまった『霊夢』の幼馴染で、ヴァンガードを始める切っ掛けを作って、偶に起きた異変を自分の分身である『ブラスター・ブレード』を掲げて一緒に解決しに行って、そして…………『霊夢』が居なくなっちまった直後に私に一方的に絶縁を突き付けたあいつなんだよ‼︎」
「………えっ⁉︎
あいつって、まさか………でも蓮子とメリーは『シャドウ』って…………いや、まさか、偽名………?」
「魔理沙、それは本当なんだな」
魔理沙の口から『シャドウ』の正体………蓮子とメリーにちょっかいを出していたのは、魔理沙や『霊夢』がヴァンガードを始める切っ掛けを作った先導者で、蓮子の様に『ブラスター・ブレード』が分身であった幼馴染の少年………今はめっきり会っていないが、恐らく青年になっていると思われ、それを聞いた瞬間アリスや麟、更にはブロントさんでさえ驚き表情が崩れ、アリスは蓮子達の情報を照らし合わせて『シャドウ』とは偽名である答えにあっさり着き、ブロントさんは魔理沙に事実確認を一言入れると魔理沙は帽子を抑え、しかしその下からは涙がポロポロと落ち、今まで泣くのを我慢していたのが伺えてしまっており、咲夜が落ち着かせる為に背中をさすっていた。
するとブロントさんの怒りのボルテージが急上昇し、今話しかければ「今腕に血管が血走ってるから騒ぐと危険」と返されるのが目に見える程怒っていた。
そして麟も信じられない、しかし魔理沙が嘘を吐く訳が無い事を知っている為複雑な感情が渦巻き始めていた。
「では蓮子とメリーを幻想郷に無理矢理入れたのも、デッキも忍ばせたのも、ちょっかいを出してるのも彼だとして、何故?」
「分からないわ、私や魔理沙は蓮子とメリーがバラバラにクエストを受けてしまって、その時に魔理沙が何かが起きる予感がするって事でメリーの後をつけたら………事が終わった後に彼が地霊殿の主である古明地さとりと一緒に出て来て、裏手で何やら企みがあるって会話をしていたのよ。
そして………蓮子の『ブラスター・ブレード』だけど、あれも元々は彼の物で、自分の物と言う事をデータベースから抹消して、セキュリティに引っ掛からない様にもしたと思うわ」
泣き始めた魔理沙に代わり咲夜が麟の質問に答え、古明地さとりも関わりを持ち、更にデータベースで所有者チェックが行われ、盗難防止措置が厳重な『ブラスター・ブレード』も自分のデータをこっそり消し、誰も触ってないニュートラルな物と細工をした可能性すら示唆され益々訳が分からなくなり始めた。
が、これらを全て紐解く方法を既にブロントさん達は知っており、分からないならそれを実行するだけだと思っていた。
その方法とは………ヴァンガードファイトで負かした上で、目的を話すアンティを課せば良いと言う物だった。
このアンティは大小、公式非公式大会問わず本来は禁止だが、幻想郷で起きる異変解決や相手が何らかのトラブル発生時に、異変の首謀者に即時異変を終わらせるやトラブル解決に関わるのであるならば特別に許可されているのだ。
「んじゃ、あのバカをアンティファイトで負かせてプリケツ晒して土下座させて目的を話させれば良いんだな?」
「………頼む、私も、やるから…!」
魔理沙の一声にブロントさん、麟、アリス、そして改めて咲夜も頷き、蓮子とメリーを守る事や魔理沙達の幼馴染の青年に何を企んでいるのかを話させる事に同意し、協力する事となった。
すると妖夢が魔理沙達の側に来て、口を開き始めていた。
「………矢張り、彼の目的は蓮子さんとメリーさんにある様ですね」
「妖夢?
矢張りって………貴女知っていたの?」
「はい、『ブラスター・ブレード』使いと未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使う二人組の少女の噂を聞いた幽々子様の命で蓮子さん達の周りを調査していた所に、咲夜さん達が言った場面や彼が蓮子さん達の周りに影を残している事が分かり、彼女達に何らかの目的を持って接触したと結論付けました。
そして今、幽々子様はその原因たる蓮子さんとメリーさんに何かがあると推測し、それを確かめる為にファイトを『ビュワッ‼︎』⁉︎」
どうやら妖夢も蓮子達の噂を聞き付け、二人を確かめようとした矢先に魔理沙達の幼馴染が蓮子達にちょっかいを出してる事やその周りで何らかの痕跡を残して居たらしく、ある程度は分かっていたらしく、現在幽々子が何故蓮子達が狙われているのかを原因を探るべくヴァンガードファイトを始めている………と言おうとした瞬間、突如部屋の外、と言うよりも幽々子と蓮子達が居る部屋を中心に強風が吹き荒れ、更に肌に感じ取れる程の強烈なプレッシャーが掛かり始めていた。
「な、何なんだこの後ろから不意だまされて逃れられない様な圧倒的な襲い掛かって来たプレッシャーは⁉︎」
「しかもこの強い風も………幽々子様達が居る部屋を中心に!」
「い、一体何が起きているの⁉︎」
「分からない、けど確かめる必要があるのは確かよ‼︎」
「…っ‼︎」
ブロントさんや魔理沙達は嫌な予感が脳裏に過ぎり、この異常事態が何なのかを確かめるべく客間から飛び出して蓮子とメリー、幽々子が居る居間に向かって走り出した。
果たして其処で何があったのか、魔理沙達が目にする物とは……?
さて、今回の最後に何やらトラブル発生。
一体何が起きたのかは次回に。
そして、魔理沙の口から『霊夢』、掛け替えの無い親友の名も……ですが、謎の解答はまだまだ先に。
次回もよろしくお願いします。
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第20話「終末の時を刻む竜」
えー、今回描写したらヤヴァーイ物をやってしまったと感じてしまいました(←だったら書くなよ)
何があったのかは本編へどうぞ………。
時を遡り、幽々子とメリーがファイトをする事となった直後にてメリーは早速デッキを取り出し、FVを抜いてデッキをシャッフル&カットし、ファイトの準備を進めていた。
「……ねえメリー、大丈夫なの?」
「大丈夫って、何が?」
「何か話が上手い気がしてならないんだけど」
「う〜ん、大丈夫だとは思うわよ?
ただヴァンガードファイトをするだけだから」
すると蓮子は嫌な予感がしたのか、メリーに少し話が上手い気がしてならない事を伝え、彼女に警戒心を持たせようとしたが当のメリー本人はただヴァンガードをするだけだから平気と考え、特に警戒心も無くそのままファイトの準備を終えようとしていた。
「それに、これはアイツの数少ない情報を得るチャンスだし、今朝また送られて来た新しいカードを試す機会でもあるの。
一人のヴァンガードファイターとして、可能性やイメージを広げたいの………あいつを、シャドウを見返す為にも」
「メリー……其処まで言うなら任せるわ、しっかりファイトして情報を貰ってやろうじゃん!」
「ええ、最初から全力で行くわ!」
更にメリーは自分の今の気持ちを、余り自分から強く主張しなかったメリーが珍しく強気に出てはっきりと蓮子にその言葉を言う。
それにより蓮子はメリーのやりたい様にやらせようと決め、互いにハイタッチをしてメリーはこのファイトに臨み出した。
「じゃあ、先攻は私からね………スタンドアップ・ヴァンガード!」
「スタンドアップ・ヴァンガード!」
そしてジャンケンの結果幽々子の先攻となり、ファイトを開始した。
メリーは早速クレイの大地をイメージし始め、霊体の状態で降り立つ。
しかし其処は夜の所為か、はてまたは霧の所為か薄暗く、降り立った場所も地上では無く海の上、巨大で浮かんでるのが不思議なポロポロで不気味な船の上だった。
「此処は……「此処はクレイに名を轟かず海賊連合〈グランブルー〉の支配する海、その上に浮かぶ幽霊船よ」幽霊船……〈グランブルー〉?」
「あらあら、〈グランブルー〉とファイトをするのは初めてなのかしら?
じゃあ、その特性はファイト中に教えてあげるわ〜。
さあ、私の下にいらっしゃい、『お化けのぴーたー』」
「……どんな相手でも全力よ、『ガンナーギア・ドラコキッド』‼︎」
幽々子の話によればその船は〈グランブルー〉海賊団の幽霊船の一つらしく、幽々子がライドしたユニットも何故か可愛げがあるお化けのユニットだった。
しかしメリーの中では今、如何なる特性を持つクランであろうと全力でぶつかりに行き、シャドウの情報を引き出すだけだと言う考えが強く、だがそれでも冷静に考えてファイトをする方向性である。
「じゃあドロー。
『サムライスピリット』にライド、ぴーたーは先駆スキルでヴァンガードの後ろへ移動、ターン終了よ」
「ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』!
ガンナーギアは先駆でヴァンガードの後ろに移動して、このままアタック!『クロノジェット・ドラゴン』「ダメージチェック『ナイトスピリット』『☆』」
メリーはメーザーギアにライドし、次のターンでの7000以下のユニットの攻撃をシャットアウトと言ういつもの動きをし、更にクロノジェットをドライブチェックで引き当てた為
「私のターン、ドロー。
『大幹部 ブルーブラッド』にライドして、次にぴーたーのスキルを発動。
「えっ、自分からデッキをドロップした⁉︎」
「これは〈グランブルー〉の特性を活かす為に必要な前準備、慌てずじっくり噛み締める事が大切よ」
しかしメリーは次のターンで幽々子がスキルとは言え自分のデッキを削り出した事に驚いてしまうが、これが前準備と言われこの次に何が来るのか警戒し出し、防ぎようのある物ならば防ごうと考えた。
更に観戦中の蓮子も〈グランブルー〉の特性をしっかり書こうとしてメモとペンを取り出していた。
「更に『ルイン・シェイド』を2体コール、ルイン・シェイドでヴァンガードにアタックして、スキルを発動。
デッキの上から2枚をドロップしてパワー+2000。「またデッキ削り……ノーガード『メーザーギア・ドラゴン』」
次にもう1体のルイン・シェイドでアタック、先程と同じくパワー+2000「『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』ドロートリガー、パワー+5000をヴァンガードに与えて1枚ドロー」あらあら〜、じゃあブルーブラッドでアタック「何か嫌な予感…さっきのトリガーで引いたラッキーポットでガード!」う〜ん、ドライブチェック『荒波のバンシー』『☆』う〜ん折角のクリティカルだけど、アタックがヒットしないから処理は省略するわ」
「危ない危ない、シャドウとのファイトで得た経験が役に立つ時が来るのは皮肉だけど、何とか4枚のダメージは受ける事態は防いだ…!」
シャドウとのファイトが経験となり、トリガー1枚でヒットする場面に於ける危険察知能力が付き、それにより1ターンでいきなり4枚のダメージを受けてしまう大失態を防ぎ、これを皮肉と言ってファイト経験に関しては体験して微妙に良かったと思っていた。
「ドロー、ライド、『スモークギア・ドラゴン』!
更に『ツインメーザー・ドラゴン』と『頂きに立つギアウルフ』をコールして、ギアウルフのブーストを掛けたツインメーザーでヴァンガードにアタック!
スモークギアでアタック、ドライブチェック!『スチームメイデン ウルル』『治』
ヒールトリガーゲット、パワーはスモークギアに与えてダメージ回復!」
その返しのターンでヒールトリガーを引き当て、バニラユニットにもライドして堅実にファイトが進み出していた。
これには観戦中の蓮子も喜ぶ………筈なのだが、蓮子はメリーがダメージを受けた時から気分が沈んだり目が霞んだりして何か当の蓮子でも自身の様子が可笑しいと感じ、このファイトには何かあるのではと感じ始めていた。
「スタンド&ドロー。
じゃあ此処からが本当の勝負になるから、気を付けてね『二人共』…………深淵なる深海に潜みし悪意よ、深海の底にありし氷獄より招来したりて悪しき力を具現せよ。
ライド、『氷獄の冥王 コキュートス ‘‘
コキュートス ‘‘
幽々子のターンとなり、グレード3にライドしようとした瞬間におっとりとした雰囲気が豹変し、絶対零度の威圧感を放ち、ライドしたユニットもメリーは何処か異質な何かを感じてしまい、嫌な汗が頬を伝い始めていた。
「な、何………このユニット、クロノジェットとかと違って、何か変……」
「これは‘‘
まぁ、このカードには既に対戦者に害を為す虚無の力は残されていない為コピーカードと同様に普通のファイトでも使えるし、幻想郷に来たばかりの貴女達には分からない話だろうから気にしなくても良いわ」
すると幽々子がメリーが感じた事を簡素に説明し、取り敢えずこのカードが幻想郷にとって余り良い思い出の無い物としてそのユニットをに対して浮かばせた表情と視線からは静かな怒りの感情が読み取れ、しかし蓮子とメリーには気にするなと言ってファイトを続行し始めた。
「さて、『ブルータル・シェイド』をコールして
先ずはコストとしてデッキから3枚をドロップして、呪われし力を我が従者に振るう……ルイン・シェイドを『
幽々子:布陣
【⚫︎】 コキュートス ‘‘
R ブルータル・シェイド R
【⚫︎】:
更に幽々子はいきなりルイン・シェイドを1体裏向きにし、その瞬間コキュートスからは禍々しい何かがルイン・シェイドを縛ったイメージが流れ、蓮子とメリーを青ざめさせた。
「ユ、ユニットが裏向きに⁉︎」
「それに、今のイメージは……⁉︎」
「
そして‘‘
海中散歩のスキル、ドロップゾーンからコールされた時に
更にコキュートス ‘‘
そして
そして蓮子とメリーは此処に来て〈グランブルー〉の特性を理解する。
このクランは徹底的にドロップゾーンを肥やし、其処を第2の手札として扱う不死や復活をテーマにした物だと。
「ブルータルのブースト、コキュートス ‘‘
ツインドライブ『お化けのりっく』『治』『お化けのじみー』『☆』ヒール&クリティカル、パワーは全てルインに与えてクリティカルは当然ヴァンガードに。
ルインでヴァンガードにアタック「ダメージチェック………!『スチームメイデン ウルル』『治』ターン終了時に
「ギ、ギリギリダメージ3枚で抑えられたけど、状況は芳しく無い……なら此処は一気に「はぁ……はぁ……」えっ、蓮子どうし………⁉︎
蓮子、どうしたの、顔が物凄く青白くなってるわよ⁉︎」
メリーはこの状況を打開しようと算段をしていた所に突然蓮子の息が荒くなったのが耳に届き、蓮子の方を向くと彼女は普通ではあり得ない程顔が青白くなり、明らかに様子がおかしく放って置いたら不味い事になり兼ねない状態になっていた。
「な、何なの………胸が苦しいし、息が………それに何だか、気分が……」
「……悪いけど、今貴女にはこの私が持つ能力、『死を操る程度の能力』を掛けさせて貰ったわ。
今ならまだ大丈夫だけれど、メリーがダメージを受ける度に効力を強め、6枚目のダメージを受けて敗北した瞬間………貴女の命は尽きるわ」
「な、そ、そんな!!?
幽々子さん、一体何でそんな事を………今直ぐそんな事を「止めないわ、貴女はこのままファイトをして勝てば良いのよ」っ⁉︎」
すると幽々子が何故蓮子がそんな状態になっているのかを種明かしをする。
幻想郷の住民の中には特殊な能力を持っている事を魔理沙から聞いていた為、幽々子が能力を持っている事には驚かなかったが問題はその能力……『死を操る程度の能力』である事だった。
メリーはこの能力名を聞き、一瞬で幽々子は相手を問答無用に死なせる事が可能な事を知り、即時能力の解除を求めたが幽々子は止めず、ファイトに勝てと要求する。
更にメリーはその雰囲気から、サレンダーも認めない事を察し、蓮子を死なせない為にファイトを進める以外に他なかった。
「ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎
そしてクロノジェットをコストにストライド・ジェネレーション、『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』‼︎
蓮子が私が負けたら死ぬなんて冗談じゃないわ、絶対に勝ってやるわ‼︎
クロノジェットの
更に『スチームメイデン エルル』をコールして、エルルでヴァンガードにアタック!「インターセプト」
クロノスコマンドでアタック‼︎「『突風のジン』で完全ガード」
っ、トリプルドライブ‼︎『スチームメイデン アルリム』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』『スチームブレス・ドラゴン』
ツインメーザーでアタック‼︎「ダメージチェック『荒波のバンシー』『☆』『氷獄の冥王 コキュートス ‘‘
ターンエンド……!」
しかし先程のヒールトリガーやバンシーによる2枚のドローにより完全ガードを引かれた為、思う様にダメージを与えられず、しかし幸いにも完全ガードはドロップゾーンに3枚あり次の
だがそれでも蓮子の状態が気になり、焦る気持ちを落ち着かせる余裕は無かった。
「ドロー。
ライド、『死海の呪術士 ネグロボルト』。
そしてシークメイト、『不死竜 グールドラゴン』とナイトスピリット、お化けのじみー、荒波のバンシーを山札に戻してレギオンメイトのグールドラゴンを探し、
更に手札からネグロボルトをコールして、海中散歩のブースト、ネグロボルトでアタック!『ダメージ………‼︎『クロノジェット・ドラゴン』」
ネグロボルトとグールドラゴンで
ツインドライブ『氷獄の冥王 コキュートス ‘‘
ネグロボルトでアタック「……『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』1枚ドロー、パワーはクロノジェットに……‼︎」ラスト、ルインでアタック、スキルでデッキの上2枚をドロップ、パワー+2000「ガード‼︎」ターンエンド」
そして遂にメリーは5枚のダメージを受けてしまい、その瞬間蓮子の方を見ると先程よりも益々状態が悪化しメリーは悟ってしまう、最早蓮子の命は風前の灯火、自分が負けてしまえば掛け替えのない親友を死なせてしまうと言う最悪の状況に陥ったと。
するとメリーの脳裏にシャドウが言った言葉、『緩い考えを持ったまま適当に行動し、致命的なミスを招く』と言うあの時の言葉が。
今正にこの状況こそがそうではないかと青ざめ始め、あの時以上のミスを犯したと後悔し、思考がグルグルして考えが纏まらなくなり始めた。
「(どうしよう、このままじゃあ蓮子が死んじゃう‼︎
でも今この状況を打開するならあのカードを……ダメ、もし完全ガードがもう1枚あったら止められてアウト‼︎
けれどそうしないと蓮子が、でも決め切れる保証も…………アイツ、シャドウが言った通りだ、適当な行動をして致命的なミスを、蓮子が死ぬかもしれない最悪の状況を作り出してしまった‼︎
私の、所為で………負けたら、蓮子が…………嫌だ、そんなの嫌だ。
蓮子を死なせるなんて嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
蓮子と永遠に離れ離れなんて、嫌だ‼︎『なら勝ちさない』………)」
自己嫌悪と蓮子が死ぬかもと言う絶望、それを否定するなど様々な感情が渦巻き、最早思考がまともな状態では無くなった瞬間、彼女の中で声が聞こえ始めた。
誰の物か分からない、が、何故か聞きたくないと思えてしまう声が。
『勝ちなさい、目の前の宇佐見蓮子との永遠を壊そうとする敵を蹂躙なさい、そうすれば宇佐見蓮子は助かるわ………さあ、カードを引いて超越なさい、今の貴女を超える存在に』
その声を最後まで聞いた瞬間、メリーの中で幽々子に対してある感情が………人間の感情の中でも負の一面であり、ドス黒く制御が困難な感情が芽生え、幽々子を見る視線がそれに変わり始め、そして………憎悪と殺意に満ちた言葉が口から溢れようとしていた。
「…………幽々子さん……いや、西行寺幽々子、お前を……潰す‼︎「っ!」
スチームブレス・ドラゴンをコストに、
現れよ、終末の時を刻み、脆弱で愚かなる者達を滅する竜よ。
超越せよ、『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』‼︎
ラグナクロックでアタック‼︎」
「(これは………矢張り私の予測通り、そしてこの傾向は……しかし、今手札には大量のグレード0がある、ギアウルフにパワーを回さずラグナクロックに一括集中したのは判断ミスよ、このアタックを防ぎ)「ラグナクロックのスキル、
「トリプルドライブ『スチームバトラー ダダシグ』『☆』『スチームバトラー マシュダ』『☆』『スチームバトラー マシュダ』『☆』ゲット、トリプルクリティカルトリガー。
全てをラグナクロックに与える。
さあこの一撃で、消え去れぇぇぇぇぇぇ!!!!「メ、メリー……ちょいストップ」
⁉︎」
メリーは怒りのまま今朝方に届けられた新たなGユニット、ラグナクロックに
その瞬間、メリーを中心に風が吹き荒れ、常人ではあり得ない威圧感も放たれそれら全てが幽々子に向けられ、イメージ世界にて終末の時を刻む竜の一撃が海賊団の呪術士に放たれようとしていた。
しかしその瞬間、蓮子の声が耳に届き、一瞬我に返り蓮子の方を向く。
すると、彼女の顔色が徐々に良くなって行くのが分かり、それと先程までのメリーの様子を見てか宥めようとしているのが表情から見て取れた。
「わ、私は平気だからさ、あんまし怒っちゃダメだって。
折角のメリーの綺麗な顔が台無しになっちゃうって」
「れ、蓮子……でも…「メリーちゃん」……」
すると幽々子の方からも声が掛かり、そちらを見ると幽々子の右手には4枚のカードが引かれており、それらは全てダメージゾーンへと置かれ、メリーの勝利だとしっかりと示された。
更に、幽々子の表情は申し訳無さで一杯となっていて、その状態から言葉が紡がれ始めた。
「……ごめんなさい、こう言う状況下にしないと貴女の中の『力』が見極められなかったからなの。
でも、その為に蓮子ちゃんを持って死ぬ『500歩手前まで』、貴女の精神も極限状態に追い詰めてしまったわ…………本当に、申し訳ありませんでした」
「…………えっ、500歩手前?」
幽々子はメリーと蓮子に対して謝罪し、土下座までして目的の為に二人を追い込んだ事を悔いていた。
しかし、メリーはその部分では無くその後に幽々子が発した死ぬ500歩手前と言う言葉に頭がそれを理解出来ず困惑し始めていた。
「『ザザァッ!』幽々子様、大丈夫ですか⁉︎」
「蓮子、メリー、お前ら大丈夫か……………何だ、これ⁉︎」
その時襖を勢い良く開けて妖夢や魔理沙達が居間に駆け込んで来て、この目の前で起きてる状況を把握出来ず、何があったのかを説明する必要が出て来る。
そしてメリーは、この場で何が起きて如何してこうなったかを魔理沙達に話すのであった…。
はい、全国幽々子ファンの怒りを買いそうな胸糞回になってしまいました。
一応フォローしておくと、幽々子様はああしなければならない理由がしっかりあった為やってしまったのです………マジですみませんでした‼︎
今回のはケジメ案件としてしっかりと反省します……。
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第21話「事情説明と忠告」
今回はタイトル通り前回の話が何故起きたか、何故ハプニングを起こしてしまったのかが分かります。
では、どうぞ。
メリーと幽々子のファイトが終了してから1時間が経過し、蓮子はすっかり顔色が良くなってのんびりとお茶を啜り、生きてる事は素晴らしい事だと理解してそれを噛み締めていた。
「ズズゥ〜……はぁ、生きてるってなんて素晴らしいのかしら。
今まで自分の命に真剣に向き合った事が無かったから分からなかったけど死ぬ500歩手前まで行って今に至った時、命は一つしかないし生きてる時には出来る事は死んだら出来なくなるって悟ったわ………ズズゥ〜………ほっ」
「ほっ、じゃないわよ⁉︎
え、何?
実は蓮子はピンピンしていたのに私一人が幽々子さんの言葉に惑わされて盛り上がってただけなの⁉︎
わ、私がどんな思いをしたのか分かってないの⁉︎「分かるよ、本気で怒ってくれてた事も、ありがとうメリー、でもあの凄みのあるメリーは少し慣れないかな〜と私は思ったわ」
………おバカ蓮子」
「………でだ、何でお前がこんな事したんだよ。
はっきり言って、お前はこんなバカな事をする奴じゃないだろ、幽々子」
そんな蓮子に呆れ、更に自分が柄にも無く熱くなって敵意剥き出しになったことが恥ずかしくなり顔が紅潮するも、その上で蓮子に礼を言われたり抑制する様にと言われ、顔を上げられなくなってしまった
しかし、それに対して魔理沙やブロントさん達は幽々子、及び妖夢に怒りながら見据えており、下手な事を言えば爆発する様な一触即発状態となっていた。
すると幽々子はそれに臆する事無く左腕を押さえながら口を開く。
「何故こんな事をしたか、それに対する問いは愚問よ魔理沙。
私は必要と思った事以外は余りやらないわ、ましてやこんな初対面の人を追い込む真似は尚更。
全ては必要なプロセスだったのよ、彼の目的を看破し且つ蓮子ちゃんやメリーちゃんが狙われる訳を探るのには。
そして、私の中の疑念は確信へと変わったわ」
「なら聞かせて貰おうかしら?
貴女が見抜いた物を」
全員が幽々子の一言を聞き、この様な事態を引き起こしてまで見抜こうとした物を彼女の口から引き出させようとする。
無論幽々子もそうするつもりだったので情報を開示し始める。
「先ず彼の目的はメリーちゃんの中にある『力』が目的で、蓮子ちゃんやメリーちゃんが狙われるのは間違いなくそれが原因よ」
「………はい?
あの、私はそんな特別な力は余り無いんですけど………強いて言うならこの『境界が見える眼』位しか」
「いいえ、貴女にはそれ以外にもう一つ『力』があるわ。
しかも、ヴァンガードに密接に関わる物が。
その証拠が………これよ」
ブロントさん達、特にメリーはその返答に疑問を感じ、更にメリー自身は力は精々その眼が境界を捉えられる位しか無いと言う(因みにブロントさん達はこの言葉にも反応している)。
しかし幽々子は確かに『力』があると断言し、その証拠と言って左腕を押さえてた右手を退かした。
すると、幽々子の浴衣の左腕部分がバックリと切れており、更に左手の人差し指である方向を示すと、そこにあったのは同じくバックリと切れた跡が残る襖と一本の柱だった。
「……あの、それとあれは何なの?」
「これはね、メリーちゃんが『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』でアタックした時に出来た傷跡よ。
私が血を流さない亡霊で無ければ、今頃この左腕からは止め処無く血が流れて、床に綺麗な鮮血の花が咲いていた事でしょうね」
「………本当に?」
「事実よ」
蓮子の問い掛けに幽々子は答えると、メリーは信じられないと言った表情を浮かべ、何が何だか分からなくなって来ていた。
だが幽々子はそれにお構い無く自分が導き出した答えを淡々と述べ始めた。
「そして私は、この現象からメリーちゃんの力は『ヴァンガードのユニットのアタックを実体化させる』と判断し、更に他の事だって出来ると確信したわ。
例えばそう………『惑星クレイのユニットをこちら側へと呼び寄せる』事………とか」
『な、何だと/何ですって⁉︎』
幽々子の言葉に魔理沙やブロントさん達は驚愕し、声を上げてしまった。
しかし蓮子とメリーは何故ブロントさん達が驚いたのか訳が分からず、更にクレイからユニットを呼び寄せると言う言葉も架空の物を如何に呼び寄せるのか、そもそも存在しない物をどうやって出すのか説明になっておらず、蓮子はやれやれと手を上げていた。
「はぁ〜幽々子さん、冗談ならもっと上手い物を出さなきゃダメでしょうに。
クレイだとかユニットとか、架空の物を実体化させるなんて………まぁ幻想郷には程度の能力があるから分からなくも無いけど、ちょっと押しが足りないんじゃありませんかな〜?」
「…………いや、蓮子、メリー、惑星クレイは実在するんだよ、私らの世界とは違う別次元に」
『………えっ⁉︎』
しかし、次の魔理沙の一言で蓮子達も驚いてしまう。
何と、魔理沙のは惑星クレイは別次元に存在すると言い出し、ブロントさん達も深刻な表情を浮かべてそれが確かな事実だと雄弁に物語っていた。
「………マジで?」
「ええ、そしてそれこそが私が『‘‘
あれは、惑星クレイがとある異次元の侵略者に侵攻を受けた際に虚無の力を打ち込まれたユニット達が、侵略者の尖兵と化した存在なの。
そして惑星クレイで起きた事柄は幻想郷、引いては地球その物に影響を与えてしまうわ、逆もまた然り。
その所為で、幻想郷にもその侵略者の力に犯されたファイター、『‘‘
更に侵略者はクレイと地球の両方を滅ぼす気だったわ、‘‘
お陰で2つの世界は虚無の力が満ちて行き、滅亡寸前まで追い込まれたけれど、ギリギリで踏み止まって侵略者を撃退したのよ。
そんな訳だからメリーちゃん、貴女の持つ力は悪用されれば非常に危険な物なの、過去に起きた事の再現やそれ以上の事態を引き起こしかねない恐ろしく大きな、ね。
分かったかしら、私が何故あんな事をしてまで確かめたのか」
真剣な表情の幽々子にクレイが存在し、地球と密接に影響し合う関係にある事と、蓮子とメリーが知らない過去に侵略者が攻めて来て世界滅亡寸前と言う壮大且つ深刻な事態を引き起こした事件があったと説明を受け、更にメリーの力が悪用されれば危険と断言された蓮子とメリー。
その話にメリーだけで無く神経が図太い蓮子も青ざめてしまっていた。
「……だが、なら何故予め私らに言わずにあんな事をしたんだ?
そこが説明が」
「魔理沙の言い分も分かるわ。
確かにそれだけならあの時点では確証が無い上に話せば良いって事も言えるわ。
でも貴女達、特にメリーちゃん自身がその力の大きさをしっかりと理解する必要性があったし、どんな条件でその力が発揮されるかも確かめなければならなかったわ、今後の暴発を防ぐと言う意味でも。
魔理沙達ではメリーちゃんに何か力があるって事すら気付くのに時間が掛かり、確かめるのにもまた時間が掛かるのは明白、ならば初対面で特に関係を築けていない私がそれをあっさりやれるのもまた然り。
これが私が強硬策なんて穏やかじゃない手段を取った理由よ。
それとメリーちゃんに何か力があると思ったのには彼が蓮子ちゃん達を狙っていて、且つメリーちゃんには未知のクランである〈ギアクロニクル〉を、対して蓮子ちゃんには『ブラスター・ブレード』……かつて自分が分身として苦楽を共にして来た半身とも言うべきユニットとその派生系を入れた〈ロイヤルパラディン〉を渡した事で、蓮子ちゃんにはメリーちゃんを守る為の力を与え、メリーちゃんの方が本命って予測を立てられたわ。
そしてもう1つハッキリしてる事は、蓮子ちゃん達がシャドウと呼ぶ彼は、メリーちゃんの力を何らかの目的の為に利用しようとしている………その何らかがまだこれから調べ出す所だけどね」
そして魔理沙の反論も予測してたと言わんばかりに幽々子は遮り、強硬策を取った理由とメリーに『力』があると予測を立てた理由をきっちり話し、その上で『シャドウ』がメリーを利用しようとしていると言う事実も言い、その場に居る全員に緊張感を持たせた。
そして蓮子は自分が持つ『ブラスター・ブレード』が『シャドウ』の分身であった事を知り、不思議なイメージの中で邂逅した彼が言っていた言葉の意味を理解し、自分の分身を切り離した『シャドウ』に対して益々ムカッ腹が立っていた。
……だが、それと同時に幽々子は一度目を伏せ、改めて蓮子とメリー、更に魔理沙達に申し訳なさで満ちた表情で見つめて言葉を紡ぎ出して行く。
「………でも、だからと言って私が行った事が許されると言う免罪符で無いのも事実よ。
貴女達を騙して、蓮子ちゃんに私の能力を向け、メリーちゃんを極限状態まで追い詰めてしまった事………蓮子ちゃんを死なせるつもりは毛頭無かったとは言え、とんでもない事をしてしまったわ。
本当に、申し訳ありませんでした……」
「私も、幽々子様の従者として、一人の半人半霊として貴女方に対する非礼をお詫び致します。
申し訳ありませんでした…」
そして幽々子、更に漸く口を開いた妖夢は自分がした強硬策や蓮子やメリーを追い詰めた事などを深く謝罪し、蓮子達に深く頭を下げていた。
それを見て蓮子とメリーは魔理沙達の方に向き、対して魔理沙達は当事者に幽々子達の謝罪に対する答えを任せると言い、蓮子とメリーは二人で見合ってどうするかを考え出す。
すると蓮子が直ぐに答えを出し、口にし始める。
「顔を上げてよ二人共。
そう言う事情があるなら私自身は気にしないし、次からはしっかりと説明してくれるならもうこの謝罪フェイズはお終い、後腐れ無く私は許しますよ」
「蓮子ったら………まぁ、私の方も次から説明をしてくれるなら許します」
「………そんなアッサリで良いの?」
蓮子の答えを聞いたメリーは楽観的な彼女に少々頭を抱えたが、1番被害に遭った蓮子がそれなら自分が何を言っても可笑しな方向にしか話が進まなくなると考え、次回から説明をしっかりと言う蓮子と同じ条件で幽々子と妖夢を許す。
それを聞いて魔理沙達も蓮子とメリーの意見を尊重する為に幽々子達がしでかした事は水に流す事に決め、漸く怒った顔を和らげていた。
対して幽々子と妖夢はキョトンとするが、直ぐさま蓮子とメリーが首を縦に振った為、表情が少し和らぐ。
だが幽々子は直ぐ真剣な表情に戻り、蓮子とメリーに最後の話を始める。
「………じゃあ、蓮子ちゃんとメリーちゃんに一つ忠告よ。
私の予測ではシャドウ、彼だけがメリーちゃんの『力』を狙っている訳が無いと思ってるわ。
恐らくこの幻想郷内には貴女達に明確な裏を持って接触する輩が存在するわ。
それらを見極める様に、また対抗出来る様にヴァンガードの実力を身に付けて欲しいわ。
幸いにもメリーちゃんの『力』はメリーちゃんの感情、特に怒りや敵意と言った負の感情で爆発する物だと今回で分かったから普通にヴァンガードをしたり、心を落ち着けさえすれば暴発はしないわ。
気を付けてね、二人共」
「りょうか〜い」
「ええ、分かったわ」
幽々子から一つの忠告を貰った蓮子とメリーは、シャドウ以外にも居るであろう自分らを狙う者達を撃退出来る様により一層ヴァンガードファイトの実力を高めて行こうと言う決意に至り、それを見ていた魔理沙やブロントさん達は保護者会(仮)で決めた事以外にも蓮子達を狙う輩から二人を守ろうと言う決意を固める。
そして、その話が終わった事により幽々子の言うべき事は言い尽くされ、蓮子達は冥界から家に帰る事となった。
「じゃあ、私達はもう帰りますね。
また何か話があるならこっちに来て、幽々子さんや妖夢ともファイトをしたいわ。
今度はあんなハプニング抜きでね…………後ついでに内藤達がいない時に呼んで下さいお願いします」
「あ、あはは………あ、これはお詫びの品なので持って行って下さい。
それから、私や幽々子様も皆さんとまたファイトがしたいですので、いつの日か、今度は本当のお持て成しをさせて頂きます」
「それじゃあ皆、また今度ね〜」
こうして蓮子達は帰路へと着き、白玉楼で起きたちょっとした(?)ハプニングは幕を閉じ、それぞれの家へと帰宅していくのであった。
それを見守ってた幽々子と妖夢は、全員が見えなくなる前に一礼して、見えなくなったのを見計らってそのまま白玉楼の中に戻って行った。
「しかし、良かったのですか?
メリーさんには、まだ言うべき事が一つあった筈ですよ?」
すると妖夢は足を止め、幽々子を見据えてメリーに対しての事を口にする。
それを聞いた幽々子は妖夢の方を振り向き、しかしその表情は何処か悲しげな物で、目も伏せていて妖夢は一瞬で踏んではならない地雷を踏んだと思い、気不味くなっていた。
そして幽々子は、首を横に振りながら口を開く。
「………言える訳が無いわ。
もし今のメリーちゃんに言えば、蓮子ちゃんとメリーちゃんは必ず悲しい結末へと真っ逆さまになってしまうわ。
私には、そんな残酷な事………出来はしないわ。
だってメリーちゃんは……………」
「………申し訳ありませんでした、私の配慮不足でした。
今のは私の戯言と斬り捨てて下さい」
幽々子の辛そうにしながら絞り出した言葉を聞き、妖夢は頭を下げて先程の発言を取り消し、そのまま中へと戻って行った。
そして、今までの会話全てを盗み聞きしていた人物二名………内藤とミストは物陰から出て、もう既に帰ってしまった蓮子達の方を向いた。
「……何か、話のスケールが大きくなって来ましたね、内藤さん」
「うん……w
まあ、これは俺様達も関わる必要があるよねwww
後で幽々子さんと妖夢タンを説得してwwwww蓮子ちゃんとメリーちゃんを守り隊を結成するぞ〜!wwwwwww
うはwwwwwwwww俺様マジでナイト様wwwwwwwwww」
「任せて下さい、説得と防衛任務は防衛隊時代で慣れっこですよ!」
そんな会話を交わした内藤とミストは幽々子と妖夢を説得するべく早速二人が居る居間へと向かい出した。
しかし、それが原因で二人が掃除をサボって話を盗み聞きしていたのがバレて追加の掃除を言い渡される事を、テンションが上がった二人はまだ知らない。
前回の話の直後の回となった今回の話で、白玉楼編は終わりとなります。
そして実は裏話として、妖夢とミストさんのファイト回も実は作ろうとしたのですが、今回は二人のファイトは見送りとなってしまいました、申し訳ありませんでした。
一応二人の使うクランも決まっていて、妖夢が〈たちかぜ〉、ミストさんが〈ノヴァグラップラー〉となっています。
………えっ、ミストさんは〈ディメンジョンポリス〉だろ?
スミマセン、ミストさんの猪突猛進っ振りの所為で〈ノヴァグラップラー〉しかイメージ出来ませんでした。
次回もよろしくお願いします。
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第3章「ドタバタ編」
第22話「紅魔の者」
今回はあるキャラが出ますが…………設定は違いますよ?
後他に言える事は………ファイトをする時はお互いに笑顔でやって気分を悪くする事は言ったりやったりしちゃダメだよ‼︎
これの意味は、本編にどうぞ。
幽々子達の一件から2日後、蓮子、メリー、魔理沙はアリス、麟、ブロントさんと共に紅魔館支部の休日日に紅魔館へと来るようにと咲夜に手紙で誘われ、門の目の前まで来ていた。
「一体急に呼び出すなんて、咲夜ったら何の用かな?」
「私らは分かるけど、お前ら二人は幻想郷に来てまだ間もないから分からないよな。
まあ、中に入れば分かるぜ」
そう言って魔理沙が先導して美鈴を顔パスで抜け(美鈴も付いて来る)、玄関ホールへと入ると其処には咲夜と長い紫色の髪と月のアクセサリーが付けられた帽子、薄紫の縦縞が入ったゆったりとした服を着た少女と赤いロングヘアーに黒い服、悪魔的な翼が生えた咲夜位の少女、更に水色混じりのセミロングの青髪に赤いリボンを巻いたナイトキャップ、白に近いピンクの服と長いスカートに加えて人間の色彩ではあり得ない真紅の瞳に蝙蝠を思わせる翼が特徴の少女と金髪にサイドテールにナイトキャップ、赤が主体の服にミニスカート、そして青髪の少女と同じく真紅の瞳に加えて木の枝や骨の様に見える色とりどりの宝石の様な物が付いた翼を持つ少女が其処に居た。
「えっと、あの人達は……?」
「ふふふ、ようこそ我が館へ。
お前達二人の事は咲夜から聞いているぞ、『ブラスター・ブレード』を使う宇佐見蓮子と〈ギアクロニクル〉を使うマエリベリー・ハーン。
我が名は『レミリア・スカーレット』、この紅魔館を治める吸血鬼してヴァンガード普及協会紅魔館支部の長だ。
此方に居るのがファイカを配る時に会ったであろう我が友人にして七曜を操る魔女『パチュリー・ノーレッジ』とその従者の『小悪魔』。
そして私の横に居るのが我が妹の『フランドール・スカーレット』だ、よろしく頼むぞ」
「は、はぁ………つまり、咲夜の上司さんですね、よろしくお願いします」
どうやら青髪の少女、レミリアは紅魔館の主らしく、周りに居るのはその友人だったり妹らしく、彼女から常に放たれる気配は正に人間のそれと違い威厳に満ち溢れ、見る者を魅了する確かなカリスマがあると蓮子とメリーは感じていた。
「へぇ〜、貴女達が蓮子とメリー?
咲夜から話を聞いてるよ、すっごく将来有望なヴァンガードファイターだって!」
「どんな風にファイトをしているのか実に興味があるわ………機会があれば是非ヴァンガードファイトをお願いしたいものね、こっちは喘息だから座りながらだけれどね」
「へ、へぇ〜、そうなんだ」
「こらフラン、余りはしゃがない。
それとパチェ、興味津々だからと言ってあまり迫ってやるな。
……さて、今日来て貰ったのは他でも無く私達がお前達と話を交えながら優雅にお茶会をしたいのと、我が紅魔のファイトをこの支部に所属する者としてその目に刻んで欲しくてな、急遽呼ばせて貰った訳だ」
「まぁ様は話がしたい、一緒にお茶飲みたい、ファイトを見てくれってだけだから肩の力は抜いときな。
あんな態度を取ってるけど、レミリアは結構とっつきやすいんだぜ「おいコラ魔理沙」」
レミリアの話や魔理沙からの簡素な話を聞き、蓮子とメリーは自分らが呼ばれた理由はお茶会に誘われたからであり、彼女やその周りの人物が話をしたいと言うのを理解し、紅魔館の盟主達総出で出迎えられた時の異様な緊張感は解れ、溜め息を吐いて漸く肩の力が抜け出した蓮子達であった。
「さてレミィ、そろそろ娯楽室へと向かいましょう。
そろそろ時間になるわ」
「おっと、もうそんな時間になるか。
では全員娯楽室へと来て欲しい。
最高のお茶とデザートでおもてなしをしよう」
するとパチュリーが時間の事を言及し、レミリアは其処から早速娯楽室へと向かう事を宣言し、それを聞いた咲夜が全員を先導し、蓮子や魔理沙達も付いて行き始めた。
するとメリーが紅魔のファイトを見せると言う言葉を気にし始め、魔理沙達に聞き始める。
「ねえ皆、紅魔のファイトを見せるって事は、魔理沙達の誰かとレミリア支部長「レミリアで良いぞ」あ、じゃあ私達も蓮子とメリーで良いですよ〜。
で、レミリア達とファイトをするのかしら?」
「いあ、レミリア達はファイトをしないと言う事実はあるのだが紅魔のファイトを見れると言うのもまた事実なので俺達は咲夜のお茶とデザートを口にしてダベればよろしいんだが?」
「えっ、それってどう言う」
「まあ、見てれば分かるって事よ」
「だから今は黙って付いて行きましょう、ね?」
しかしブロントさんやアリス達は見れば分かる、付いて行こうとしか言わず、更に自分らはファイトをしないと言う為余計に混乱し、訳が分からずに何がどうなるのかが気になって仕方が無い状態になっていた。
蓮子はそれを見て落ち着いてと耳打ちし、黙って前を歩いて行くのを促していた。
そうして娯楽室に着き、その扉が開かれると大きなソファーとテーブル、更に大きな…………幻想郷には余りに似つかわしく無いデジタルテレビが其処にはあった。
『………ふぇ?』
「ほむ、やはり蓮子とメリーでも幻想郷にディジタルテレビがあると思考が固まって頭がおかしくなるんだろうなと言う事が証明されてしまった感」
「まぁ、幻想郷にこれは似合わないのは分かるわ、ラジオ並に」
すると蓮子達の反応を見たブロントさんとレミリアは目の前のテレビを指差しながら幻想郷には似合わないと酷評をしつつ電源点け、映像が流れ始めた。
これには蓮子とメリーは驚き、自分達のスマホを取り出し、電源を入れ………ようとしたが、バッテリー切れだったと言う事を思い出し、項垂れる。
するとパチュリーが口を開き出す。
「ああ、幻想郷には電波は無いわ。
代わりに『クリスタル』から生成される魔力を動力とし、中継機から送られた魔力を受信してそれをビジョンとして映しているわ。
通信機とかもそう。
理由は幻想郷は妖怪などの最後の楽園であり、科学は妖怪達を淘汰したからよ…………まぁ、これも科学文明と何ら変わらないとは思うけど、これはブロントさん達が居た世界『ヴァナ・ディール』がこの幻想郷と融合した結果生まれた物だからノーカンよ」
「そ、そうなんだ…………ふーん、電気の力では無く魔力で動く不思議テレビか………秘封倶楽部としてはこれを隅から隅まで調べたいわぁ〜」
「あー、ダメですよ。
これ、パチュリー様でも修理するのに時間が掛かりますから分解なんて以ての外ですよ?
後、主に私が過労死しますので止めて下さいお願いします」
パチュリーの説明によりこのテレビが『クリスタル』と言う物質から生成される魔力を動力とし、更に中継機から放たれる魔力をビジョンとして映像化してる未知の技術のてんこ盛りと知った蓮子はテレビに近付き触ろうとしたが、小悪魔に止められソファーに座ってジッとしていた(因みにブロントさんはヴァナ・ディールの話の辺りからドヤ顔をしている)。
「さて、咲夜さんの紅茶とデザートは「もう持ってきたわよ美鈴」あ、来た来た。
じゃあ咲夜さん、早く配って座りましょう、もう直ぐ始まっちゃいますし」
「ええそうね………コホン、本日の紅茶はダージリンとお菓子はパウンドケーキとなります。
ごゆっくりと味わい下さいませ」
「ご苦労咲夜。
では席に着き見届けようではないか、我ら紅魔の誇り高き戦いを」
「咲夜〜、私とお姉様の間に座って〜♡」
「はい。
では失礼いたします、お嬢様、妹様」
そして咲夜がやって来て、紅茶とお菓子を全員に配り、フランの要望でレミリアと彼女の間に座りテレビが目的の物を映すのを待っていた。
蓮子とメリーは何が始まるのかをドキドキしながら待ち、魔理沙達は何が始まるのかを分かってる為笑っていた。
そして………それが始まった。
『こんにちは、本日も始まりました熱いファイトをお伝えするヴァンガードTV特別編PartXIです!
本日も此処、『月の都』で行われる超大型大会『ヴァンガードファイトエキスパートカップ本選』の中継と実況をこの『射命丸文』がお送りいたします!
今回は勿論、この月の都のエキスパートカップに幻想郷出身でありながらも推薦枠で殴り込みを掛け、予選で総スカンを食らいながらも優勝候補を次々と下し、本選ですらその実力で並居る強敵を撃破して行き、今やエキスパートカップに現れたダークホースとして大活躍中の紅魔館の執事さんの準決勝試合をお届けします‼︎
今回の相手は前回の中継の終わりで姫海棠さんが言っていた様に本選第3回戦で当たった優勝候補の一人『綿月豊姫』さんの妹さんであり、これまた優勝候補である『綿月依姫』さんが相手となります‼︎
『ロイヤルパラディン』の『サンクチュアリガード』軸を使い、他を圧倒して来た彼女に対し、紅魔の執事…………我ら幻想郷の代表である『オリオン』さんはこれまで通りのジャイアントキリングを成し遂げ、ダークホースとしてこのエキスパートカップを優勝出来るのでしょうか⁉︎』
中継内容はどうやらヴァンガードの大型大会の実況であり、幻想郷、しかも紅魔館の執事がその大会に出場してダークホースとなり今や優勝にまで手が届きそうな位置にまで来ているらしい。
しかし、開催されている場所が蓮子とメリーには大問題だった。
何と、大会が開かれている場所は地球の衛星であり酸素の無い大地である月らしく、そんな場所に中継を見る限り数万人以上が観客席に座る超大型の屋根なしアリーナがあり、外の世界で常識だった地球の外には生物が住める環境は無いと言う常識が崩れ去っていた。
「驚いただろ?
あのお月様にも人間や兎が居てヴァンガードをやってたり幻想郷を超える技術を生み出しているんだぜ!」
『………うそん』
「まあ蓮子達も驚きが鬼なるのは分からなくもないと言った感。
月に人間や兎が住んでるなんて知れば誰だろうと驚くのはミエミエでかくゆう俺も月に幻想郷みたいなエリアがあるのに驚き思わずシャウトを上げてしまっていた過去があるのだよ」
魔理沙やブロントさんの言葉により幻想郷では外の世界の知識などチリにすら役立たない事を改めて理解してしまった蓮子とメリーはもう何が来ようが絶対に驚かない事を誓い、またそれが幻想郷の常識だと思おうと努力する事を誓う。
その間にテレビには対戦カードである月側の優勝候補の一人と言われた薄紫の長髪を黄色いリボンでポニーテールで纏め、白の半袖の襟広シャツに右肩だけに肩紐がある赤サスペンドスカートのような物を着たレミリアの物とはまた違う紅い瞳の女性『綿月依姫』と、黒色で若干右目が前髪で隠れ、更にその下は黒の眼帯をし、見えている左目は月の金とも取れる色で、後ろ髪も若干首筋まで隠れているが、そこまで奇抜な髪型では無く寧ろ雑誌に載りそうな整った容姿のイケメンの青年(蓮子&メリー談)『オリオン』が入場し始めて対峙しようとし、それに反応した観客達が盛り上がり出していた。
『おっと、両選手が入場を始めて会場が大盛り上がりです‼︎
さて、そんな注目の選手達が何を話しているのかマイクで声が拾える位置まで行って聞いてみたいと思います!」
すると現場を中継している『射命丸』と言う少女が観客席から取材班がギリギリまで近付いて良い位置まで走り、会場の中央に居る両選手の声を拾おうとしており、それが功を奏したのか声が聞こえ出していた。
『よもや、地上の民がこの穢れ無き月人しか参加出来ない筈の大会に殴り込みを掛けるだけで無く、本選にまで上がって遂にお姉様や数々の優勝候補を屠り、準決勝まで駒を進めてしまうとは思いませんでしたよ。
しかも、かつて私が追い払った吸血鬼とメイドと同じ所属の者が………悪い事は言いません、吸血鬼とメイド、オマケの金髪の娘と同じ目に遭いたくなければ今直ぐ棄権して地上へとお帰りなさい。
今ならまだ私も本気で潰しには行きませんので、背中を向けるなら今の内です、直ちにこの場から去りなさい』
『ふん、やはり貴様も優勝候補(失笑)共と同じく寝言を言うか』
『………何?』
『俺の知り合いの言を借りるなら、お前達が自分達の誇り高い歴史(爆笑)にしがみ付いている間にも時代は進んでいるヴァンガードでも絶対に負けないと思っていたのかよって奴だ。
お嬢様や咲夜、博麗の巫女とオマケの金かわの子を過去に倒したからと行って、それが全てで無い事を知らずにお前達は俺を倒そうとし、逆に返り討ちに遭いトーナメントを脱落した。
フッ、所詮は古い考えと地上を見下す傲慢さに塗り固められただけの馬鹿でしか無いと言う訳か………態々こんな場所まで殴り込みに来るまでも無かったな。
レベルが低過ぎて話にならんな』
『貴様………』
『そんなに自分らの誇りに泥を塗られて悔しいか?
ならば甘い言葉は捨てて最初から本気で来い。
少なくとも、貴様の姉である綿月豊姫はそうしたぞ。
………それとも、このまま本気を出さずに無様に這い蹲りたいか?』
何と、互いにフェアで戦おう精神の楽しいファイトでは無く出会い頭からいきなりの煽り合いから始め、これからやるのは競技の戦いでは無く刃と刃を交える死合と言わんばかりにギスギスし始め、依姫の方は自らの誇りや忠告を完全に泥を塗られた上に油を掛けられて火を点けられた様な怒りの表情で、オリオンは舐めた態度を取られた事に対する呆れと失望、そして本気で来ないと宣言された事に対する怒りが見て取れ、完全に競技では無く戦争を引き起こす気だと会場と射命丸、更にテレビの前の者達に見せつけていた。
「あのバカ………何で態々油断している相手に油を注いで火を点ける事をしているのよ………しかも相手はあの綿月依姫よ、何を考えているのよ…………」
「おいィ………幾らヴァンガードガチ勢の俺でもあそこまでは煽らない寧ろ油断して舐めた態度を見せるなら一気にバラバラに引き裂く位しかやらないと言う意見。
と言うよりもそもももあのチート引き姉妹の片割れに真っ向から挑むのは烏合の民でもやらない無謀な特攻である事は明白に明瞭な事実なんだが?(呆れ)」
「あのヤロウ………私を金かわって呼ぶなって何度も言ってるだろ………‼︎(怒)」
「ああ………あの人は何で本気で来ない相手を見るとああも煽ってしまうの…………」
これを見ていたアリス、ブロントさん、魔理沙、麟は呆れ果ててしまい、また魔理沙は『金髪の子かわいそう』の意味である金かわと言われてしまい、そこに対しぶつけようのない怒りを抱いてしまい画面に集中出来ていなかった。
一方のレミリア達と言えば………。
「クッ…………クククク…………ハハハハ、アッハハハハハ‼︎
そうだ、良いぞオリオン‼︎
本気を出さない敵を潰しても、我ら紅魔の名が廃ると言うものよ‼︎
流石は紅魔に属する者、我が従者として良くぞ言った、褒めて使わすぞ‼︎
アッハハハハハハ‼︎」
「も〜う、お姉様うるさい〜‼︎
………でも、言いたい事は分かるよ〜。
アンナ風にナメた態度取られたらプッツンシチャイソウニナルヨネェ〜……‼︎」
「…………と、紅魔の主とその妹様が言っているけど、貴女達は何か言う事はあるかしら、咲夜、美鈴?」
『無いです、寧ろオリオンには良いぞもっとやれと』
「はぁ………こんなんだから参謀役の私が苦労するのよ………確かに私達の誇りと力を舐めた彼女に怒るのは分かるけど、これをきっかけに月と争いになったらどうするのよ………」
「(あ、相変わらず怖いですよお嬢様達………;;)」
オリオンが放った挑発や依姫の自分らが見る気を削ぐ様な発言に対する失望、そして挑発された事や誇りに泥を塗られた事を怒るその姿を見てレミリアやフランは完全に妖怪としての側面、紅魔の誇りを何よりも大事とする吸血鬼として狂気の笑みと高笑いを上げ、その横と間に居る咲夜と美鈴は特に気にする事無く………と言うよりも二人に同調しており、唯一この中ではリスキーな事を避けようと策を練る側であるパチュリーはレミリア達の考えなどはわかり、寧ろ賛同側ではあるが月との争いに発展しかねないこのテレビの先で起きている事態に頭を悩ませ、本に顔を埋めて、小悪魔は半泣きでそれを見ており、ブロントさん達との温度差が見て取れた。
そしてそれらを傍で見ている蓮子とメリーはと言えば……。
『………何、この温度差』
ブロントさん達とレミリア達の反応の温度差に完全に困惑し、テレビの方に意識がまだ向かず呆気にとられてしまっていた。
そしてレミリア達の妖怪としての側面を見た事で、その側面に対して言い様の無い恐怖、妖怪に対しての怖れを抱いてしまっていた。
更に学んだ事と言えば、レミリア達の逆鱗に触れる事をしてはいけないと言う危険回避の心得だった。
そしてテレビの先では依姫とオリオン、二人が睨み合いを効かせながらデッキをシャッフルし、ファイトの準備を進めていた。
無論それを見ていた観客達は先程の盛り上がりが完全に失せ、会場にはシャッフルをする際に出るカードが擦れる音しか響いていなかった………。
えー、今回の後書きは短く済ませます。
今回の話で自分の過去作のキャラが出た意味は………一つ言える事があるとするなら、リ・イマジネーション的な物だと思って下さい。
次回もよろしくお願いします。
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第23話「黙示録の炎」
今回は前半部となっており、後半はちょっと遅れるかもしれません。
では、どうぞ。
オリオンと依姫が静まり返った会場の中では互いに睨み合いを効かせながら淡々とデッキをシャッフルして既に数分、漸くシャッフルが終わりデッキをギアーステーブルに置き、デッキがギアーステーブルへと接続され、初期手札が目の前に浮かぶ。
それをテレビ越しで見てた蓮子はギアースの不思議技術に目を輝かせたが、一方のメリーはシャドウとのファイトが一種のトラウマとなっており、頭を抱えていた。
そんな中で手札の入れ替えが終了して既に両者はFVに手を掛け、審判の合図を待っていた。
『………では、綿月依姫選手対オリオン選手、ファイト開始ィィィィィ‼︎』
『スタンドアップ・『THE・』ヴァンガード‼︎』
『煉獄竜 ペタルフレア・ドラコキッド!』
『始まりの伝説 アンブロシウス‼︎』
『さあ始まりました、ヴァンガードエキスパートカップ準決勝‼︎
オリオン選手がスタンドアップしたペタルフレアは
『ブラスター・ブレード 』並に希少とされる『サンクチュアリガード・ドラゴン』を使う彼女と、その『ブラスター・ブレード』と並ぶ伝説のユニットの1体、『ドラゴニック・オーバーロード』を使うオリオン選手………手札交換と展開対Vスタンドと退却、果たして何方がこの試合を制するのか予測出来ません‼︎』
審判の合図で両者はスタンドアップし、その瞬間会場が大盛り上がりとなり、実況の射命丸もヒートアップする。
すると蓮子はデッキから『ブラスター・ブレード』を取り出し、メリーもそれを見て、画面に居る青年が使う伝説のユニットとされる『ドラゴニック・オーバーロード』を使う彼の存在が気になっていた。
「ふふふ、オリオンと『ドラゴニック・オーバーロード』が気になるか?
私も一応その光の騎士の対の存在を持っているんだが………まぁ、今はどうでも良い。
今はオリオンのファイトを見る事を専念する事だ、さすればオーバーロードの力と私の従者のファイトスタイルが見える筈だ」
「は、はぁ……」
「(オリオン………『ドラゴニック・オーバーロード』………幻想郷に来てからユニットの方は噂に聞いてた。
私が持つ『ブラスター・ブレード』の永遠の好敵手であり、『ブラスター・ブレード』が姿形を変え、仲間達と力を高め合う絆の象徴と言われるのに対して、『ドラゴニック・オーバーロード』はあらゆる手段を用いて自らの力を昇華させる力の象徴とされる…………それがどんな物なのか、見せて貰うわよ)」
そして蓮子とメリーはレミリアにも言われ、画面に集中し始めた。
その画面の向こうでは第1ターンが開始され、先攻は依姫の方からだった。
『ライド、『小さな賢者 マロン』!
アンブロシウスは先駆で後ろにコールし、『湖の巫女 リアン』をコールしてスキルを発動、手札の『ホーリーナイト・ガーディアン』をドロップして1枚ドロー!
ターンエンド』
「あれ⁉︎
初回ターンで完全ガードをドロップ⁉︎
あの依姫って人、もしかして舐めプしてる?」
「いや、多分違うと思うよメリー。
『ホーリーナイト・ガーディアン』はガード時にドロップゾーンに同名カードがあれば、
後は序盤は完全ガードが腐るからって理由もあると思う………けど、実際にやるかは別だけどね」
「ふむ、「」確かに蓮子の予測は見事な物だとは関心はするがどこもおかしくないな。
そう、完全ガードは序盤は全くいらないと言って良い程に腐る中盤から力を披露宴を迎える盾のユニット、序盤はアタッカーの方が欲しいのはミエミエなので手札交換が出来るなら落とすのも一応アリだと言う上級テクニックがあるのだよ。
しかし、実際にやるとこれは一見すると非常に役立つテクなのだが一歩間違えればカウンターを受けてギャラリーが沸くので普段はやらないと言うのが0か100で言えば100だろうなと言う意見。
なのでそれをすると言う事は、綿月依姫は中盤や終盤をあの完全ガード1枚が無くとも守り切るか攻め切るかのどちらかを考えているのは明白に明らか」
依姫がいきなり完全ガードをドロップした事に驚き、メリーがそれを指摘すると同じ〈ロイヤルパラディン〉使いたる蓮子とブロントさんが説明をし、実際にやるかは別の上級テクニックをやったのだと分かりメリーは困惑していた。
が、画面内の両者はそんな画面越しに困惑する者などお構い無しにファイトを淡々と進める。
『ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンモンク ゴジョー』!
ペタルフレアはヴァンガードの後ろに移動し、左後列に『エターナルブリンガー・グリフォン』をコールし、スキル発動!
手札の『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』をドロップし、デッキから『ドラゴニック・オーバーロード』を1枚探し手札に加える!
ペタルフレアのブースト、ゴジョーでアタック!
チェック・THE・ドライブトリガー『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』ゲット、ドロートリガー!
1枚ドローし、パワー付与は省略しターンエンド!』
『私のターン、『決意の騎士 ラモラック』にライド!
『スターライト・ヴァイオリニスト』をコールしてスキル発動、
ヴァイオリニストでアタック!『ダメージトリガーチェック『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』ゲット、クリティカルトリガー、パワーはゴジョーに』
ならばヴァンガードでアタック!『ガドリングクローでガード』
トリガーチェック『幸運の運び手 エポナ』『☆』クリティカルトリガー、パワーとクリティカルはブレードゥに!
ブレードゥでアタック!『ダメージトリガーチェック『バーニングホーン・ドラゴン』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』ゲット、ヒールトリガー、ダメージ回復!』』
此処まではまだまだ静かな方の立ち上がりでファイトが進み、しかしヴァイオリニストの展開力で依姫の布陣が整いつつあり、オリオンの方はやや苦しいと言った感じのファイトとなっている。
しかし、メリーはこのクランとファイトをした為知っている。
〈かげろう〉を前にして迂闊にコールすればただの餌となる事を。
『ドロー。
ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンナイト ネハーレン』!
更に『ガトリングクロー・ドラゴン』とエターナルブリンガーの前列に『ドラゴニック・バーンアウト』をコール!
バーンアウトのスキル、ドロップゾーンの『オーバーロード』をデッキの下に戻し、更に
更にガトリングクローのスキル、
そして、ネハーレンでアタック!『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』
パワーはバーンアウトに、ダメージ回復は裏向きのゲンジョウだ!『『まぁるがる』『引』残念ながらドロートリガーなので、パワーをヴァンガードに与えて1枚ドローします』
俺の狙いはラモラックでは無い、貴様だ、ブレードゥ‼︎『……退却』』
「うっひゃ〜………ダメージレースも負けてないし、展開したら退却させてって、すっごく激戦になってる……」
この〈かげろう〉の連続退却を見せつけられた蓮子は汗をかき、〈ロイヤルパラディン〉の展開力を以ってしても片っ端から退却される事を学び、メモしていた。
しかし、実際に〈かげろう〉とファイトしたメリーや蓮子以外の面々はまだこんなのは生温い方だと感じ、爆発するとすれば互いがグレード3になってからだと確信していた。
そして画面の向こうでは、この退却を見た依姫は………オリオンに嘲笑を向けていた。
それに対しオリオンも不敵な笑みを浮かべ、無言ではあるが互いの考えを把握し合い、それを表情に出している事が見て取れ、未だこの両者の間には競技戦の空気では無く血を血で洗う空気が流れている。
『ドロー。
絶対にして美しき聖域より出でし守護竜よ、悍ましき帝国の竜を討ち払え!
ライド、『サンクチュアリガード・ドラゴン』‼︎
サンクチュアリガード・ドラゴンのスキル、手札を1枚ドロップして、山札の中からグレード1以下のユニットをコールします。
来なさい、『希望の剣 リシャール』!
そのリシャールのスキル、山札より出でし時
更に『まぁるがる』をコールしてソウルイン、ヴァイオリニストにパワーを与え、『ナイト・オブ・ツインソード』もコールします。
ヴァイオリニストでネハーレンをアタック!『ゲンジョウでガード!』
ならサンクチュアリガード、やりなさい!『世界樹の巫女 エレイン』『治』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』
ヒール&クリティカル、パワーは無論ツインソードへ、クリティカルはヴァンガードに!『ふん、少しはやるみたいだな『プロテクトオーブ・ドラゴン』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』だが、俺の首を取るにはまだまだだな』
その余裕、何時まで持つか見物ですね………ヴァンガードにアタック!『ラーヴァフロウ・ドラゴン』』
『さあ〜ファイトは中盤に差し掛かり、ダメージも3:2と盛り上がって参りました‼︎
オリオン選手はバーンアウトなどを駆使してトリガーなども引き寄せ、依姫選手に徐々にダメージを蓄積させるのに対し、依姫選手はお返しと言わんばかりに切り札のサンクチュアリガードのスキルで展開、そしてトリガーを引きダメージレースも返す‼︎
この様な先の読めない熱いファイトは本選第3試合の綿月豊姫選手戦以来です‼︎
果たしてオリオン選手は此処から如何に逆転するのか必見です‼︎』
実況の射命丸のボルテージも上がる中、ファイトも激しさをどんどん増して行き勝利の行方も分からなくなって来ており、蓮子やメリー、更に他の面々は画面に釘付けになっている………が、一人だけ笑い、静かに言葉をその口から出していた。
「ククク………何を寝言をほざいているのだ、天狗?
如何に逆転するのかだと?
そんな瑣末な事、初めから決まっている……」
その言葉を合図にしたかの様に画面越しのオリオンも黙ってドローをし、一旦瞳を閉じ、そして見開いた時には先程の目つきとは全然違う………相手を圧倒する威圧感と画面越しから伝わる桁違いの殺気が放たれる。
「そう、紅魔のファイトとは‼︎
敵を遥かに圧倒し、蹂躙し、そして誇りに満ちた高貴なるファイトの事よ‼︎
さあオリオン、我が紅魔の執事よ、今こそ貴様の分身を、黙示録の炎と呼ばれし帝国の暴竜を月の者共の眼に焼き付けてやれ‼︎」
『ライド・THE・ヴァンガード‼︎
この世の全ての物を焼き尽くす黙示録の炎‼︎
『ドラゴニック・オーバーロード』‼︎』
更にレミリアの高らかなる言葉を合図にオリオンはエターナルブリンガーで加えた伝説のユニットの1体………ドラゴニック・オーバーロードにライドし、ギアースのホログラムにも地面から吹き出る炎を裂き、カードに描かれた紅い竜が白き光を纏う白竜と対峙していた。
「あれが………『ブラスター・ブレード』の永遠の好敵手、『ドラゴニック・オーバーロード』……‼︎」
「サンクチュアリガード・ドラゴンもそうだけど………同じグレード3の筈なのに………『クロノジェット・ドラゴン』とは比較にならない位、凄く重い威圧感がを放ってる…………‼︎」
「ああ……ヴァンガードに於いて『ブラスター・ブレード』の次に派生ユニットが多く、また、サポートユニットも数多く存在する〈かげろう〉の最強のユニット………オリオンの分身であり、全ての派生ユニットを所持しているのも現状あいつただ一人の、コレクター癖がある私ですら派生ユニットの1体すら実物を手にしていない、超激レアのユニットさ!」
蓮子とメリーはその他を圧倒する威圧感に加え、サンクチュアリガードも放つ他のユニットとはまるで違う存在感に固唾を飲み、画面越しでありながらもまるであの会場に居てそれらに当てられた様な錯覚すら覚えていた。
そして、魔理沙もその感覚に当てられた為か、早く画面の先に居るあのドラゴニック・オーバーロードを使う青年と戦いたいと言った感情が滲み出ている笑みを浮かべ、更に続けて言う。
魔理沙自身でさえドラゴニック・オーバーロードやその派生ユニットを手にしておらず、更にそれらはあの青年、オリオンの分身であると。
それを肯定するかの如く、ブロントさん達はそれを黙って聞き、そして魔理沙の様にヴァンガードファイターとしての感覚を刺激され、あの場に何故自分は居ないのかと言う悔しさ混じりの笑みを浮かべ、画面に釘付けとなっているのであった。
此処でちょっとした小話を。
ドラゴニック・オーバーロードの派生ユニットに関してですが、流石のオリオンもあの1体……『ドラゴニック・オーバーロード‘‘
まぁ、流石にグレンディオスやブラスター・ジョーカーなどが相手ではこのユニットは相性的に高確率で使いませんが………。
次回もよろしくお願いします。
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第24話「黙示録は不滅」
さて、今回はよっちゃんの引きとか色々注目箇所が多いです。
そして切る場面が見つからずに……。
では、どうぞ。
蓮子達が見ているテレビの向こう側にて伝説の白竜と黙示録の竜が対峙し、会場の熱気は画面越しであるにも関わらず最高潮に達しつつある事を感じる蓮子とメリー。
それに感化された為か、二人は画面から目を離せず、テレビの音声しか耳に入らなくなっていた。
『そして、今ドローしたジ・エンドをコストに
ストライド・THE・ジェネレーション、『神龍騎士 ムスタファー』!
ムスタファーのスキル、
消えろ、ツインソード!
更に
更にバーンアウトをコールしてスキル発動、ヴァイオリニストを退却する‼︎』
『おおっと‼︎
オリオン選手ムスタファーに続き2体目のバーンアウトのスキルを使い依姫選手の前列リアガードを徹底して退却!
更にジ・エンドをドロップゾーンから山札の下に戻しまくったと言う事は、次のターンには綿月豊姫選手に見せ、圧倒的な猛威を振るい彼女を倒した『ドラゴニック・オーバーロード‘‘
「オーバーロードの派生ユニット………オリオンのデッキにはジ・エンド以外にも投入されてるのか……」
「それが構築上必要な物なのか、それとも……」
蓮子とメリーは実況の射命丸の言葉を聞き、オリオンのデッキ内には『ドラゴニック・オーバーロード』の名を含むユニットが最低でも3種ある事を知り、どんな構築デッキでどんな戦略なのかが気になり、より一層画面に集中し出す。
その光景にブロントさん達は初心者の二人ならオリオンの使うデッキの構築が分からないのは仕方無いと感じ、少々微笑ましく見ていた。
その間に画面の中の状況が動く。
『ペタルフレアのブースト、ムスタファーでアタック!
トリプルドライブ‼︎『封竜 アートピケ』『引』『槍の化身 ター』『☆』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』
ドロー、クリティカル、ヒールトリガーゲット‼︎
パワーは後列の居ないバーンアウトにパワー+10000、もう片方に+5000してクリティカルはムスタファーに‼︎』
『ダメージチェック『まぁるがる』『引』『世界樹の巫女 エレイン』『治』ドロー&ヒール、折角の2枚のダメージですが、ドローさせて貰うのと共に1枚回復、更にパワーはサンクチュアリガードに加えて19000のバーンアウトのアタックはシャットアウトします。
そして、もう片方はこのエポナでガードします『……ターンエンド』ふふ、気に病む事はありませんよ。
そう、まだファイトはこれから……違いますか?』
オリオンのトリプルトリガーを何と依姫はダブルトリガーを引き、あっさりと返してしまいこれには蓮子とメリーも空いた口が塞がらなかった。
そう、二人がファイトしてもこんなにもトリガーが出合い、先の見えないファイトになる事など無かった為だ。
無論ブロントさんや麟であろうと魔理沙やアリスだろうとトリプルトリガーやダブルダメージトリガーinドロー&ヒールなど余り引いた事の無い神引きでもある為、二人はそれらを加味してあり得ないと思っていた。
「ぐぬぬぬ………依姫の奴、私らとファイトした時みたいな頭のおかしい引きを見せ付けやがって……‼︎」
「あまりにも都合の良過ぎる引きっ振りを見て俺は思わず呆れて物が言えないある様!
汚いなさすがチート姉妹(妹)きたない、これで俺はチート姉妹が更に嫌いになった誰彼構わずあんなクソ引きをしでかすなんてエンジョイ勢ガチ勢の療法を谷底に突き落とすその姿あまりにも残酷すぎるでしょう!」
「二人共落ち着きなさいって。
けれど、オリオンも引きが良い方だから今は食いさがってる方なのにあちらはそれ以上の引き………これは、長引くとキツイわね………」
そして魔理沙とブロントさんも依姫の神引きに苦虫を噛み潰した様な顔を見せ、麟は苦笑いしながら見てアリスは二人を宥めつつ、状況は今はオリオンと依姫は互角ではあるが、長引けば長引く程不利になる事を示唆し、画面内の状況を見守っていた。
『では先に私の切り札をお見せしましょう………ストライド・ジェネレーション!
聖域を護り、聖域を繁栄させし竜王よ、我が声に応え権現せよ!
『神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア』‼︎
レガリアのスキル、このターン中私の前列のユニットはグレード1以下のユニットの数だけパワー+3000を得る!
更にコール、『ミスリルの召喚術士』!
スキル発動、このユニットがコールされた時、山札の上がグレード1か2の〈ロイヤルパラディン〉ならコールする!
さあ見なさい、これが私の引きである!
ミスリルの召喚術士をもう1体コールし、更にスキル発動!
次はマロンをコール!
これにより、両方の召喚術士はパワー+6000、単体14000となる!』
「はい⁉︎
デッキトップがコールしたのと同じユニットでしかもそれのスキルで呼ばれたのはマロン⁉︎」
「何なの、この引き………」
そして切り札たるサンクチュアリガード・レガリアに加え、ミスリルの召喚術士のスキルを連鎖させた依姫の引きを見てまたしても蓮子とメリーは驚き、またドン引きしている。
それもその筈、ミスリルの召喚術士はデッキトップを捲る性質上グレード0や3が捲れる事もあり、いざ該当グレードを引いても同じミスリルが捲れたりする確率はトリガーを引くよりも低く、こんなに上手く行く事などまず無いのだ。
それを難無く成功させた依姫は正に神の手を持ち、引くカードは全て必然だと言わしめる程の物である。
『合計パワー20000のミスリルでアタック!『ゲンジョウでガード!』
レガリア、やりなさい!
トリプルドライブ『月桂の騎士 シシルス』『ホーリーナイト・ガーディアン』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』クリティカルトリガー、パワーはアタックしていないミスリルに、クリティカルはレガリアに『『ドラゴンナイト ネハーレン』『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』ドロートリガー、1枚ドローし、パワーはオーバーロードを!』
ふふふ、矢張り引きましたか。
でなければ、レガリアを出した甲斐が、私が本気を出した意味がありません、マロンのブーストを含めたミスリルでアタック!『ゲンジョウでガード、後列の居ないバーンアウトでインターセプト!』
ターンエンド………さて、4枚のヒールがドロップする中、貴方は如何なる行動をとりますか?』
依姫の猛攻が終わり、オリオンのターンが訪れるも状況は依姫が言う様にヒールトリガーが全てドロップゾーンにあり、これではダメージが回復出来ないオワタ式に突入するのは時間の問題だった。
しかし、オリオンの表情は揺らがず、寧ろ更に闘気を燃やし出していると蓮子とメリーは感じ、これを如何に切り抜けるのか、また如何に逆転するのかが分からず画面をただジッと見つめていた。
『ドロー。
再誕に再誕を重ね、更なる力を求めし修羅の道!
その探求の果てに、終焉と交わりて激しく燃え上がれ‼︎
ブレイクライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
ブレイクライドスキルで、‘‘T
そしてシーク・THE・メイト‼︎
ドロップゾーンのゲンジョウを4枚戻し、『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』を1枚探し
全てを焼き尽くす業火よ、禁忌の交差を経て更なる力を得よ、
ペタルフレアのスキル、ヴァンガードが
「な、グレード3と、しかもオーバーロード同士の
「しかもブレイクライドスキルで1回はスタンド確定………‼︎」
「それだけじゃなく、ジ・エンドもアタックヒット時にコストを払えばスタンドするスキルを持ち、あのレギオンリーダーはそのコストの一つであるペルソナブラストをアッサリ確保するスキルを持ってやがるんだ!
あれこそが‘‘
そしてその答えをブレイクライド、
幾ら相手が神掛かった引きを見せようとも、Vスタンドスキルでそれを真っ向から蹂躙し、無理矢理にでもダメージを6枚与えようとする………それは相手が誰だろうと関係無く、ただ真っ向から叩き潰す事に特化しているからだ。
ブロントさんのガチファイターの姿勢ともまた違う、ヴァンガードファイターとしては原始的な、しかし最高到達点である勝利を貪欲に求める姿勢が見て取れ、とてもじゃないが今の蓮子とメリー、何方が挑もうがボロ負け必至でまともに戦えるのは恐らくブロントさんと魔理沙位しか無いと感じてしまっていた。
「そうだオリオン、それこそが紅魔のファイトだ!
さあやれ我が従者よ、敵を討ち砕くのだ‼︎」
『‘‘
ツインドライブ『プロテクトオーブ・ドラゴン』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』クリティカルはヴァンガード、パワーはバーンアウトに‼︎
ブレイクライドスキルでスタンド、更にマロンを退却‼︎
そしてもう片方のミスリルに
パワーはバーンアウト、クリティカルはヴァンガード‼︎
そしてリシャールも退却‼︎』
「良し‼︎
リアガードがパワーアップするだけじゃなくクリティカルもアップして相手リアガードを全滅させた‼︎」
「これなら………行ける‼︎」
魔理沙はオリオンの連続アタックと退却、パワーアップとクリティカルアップにガッツポーズをし、アリスも、いや、この場の全員が勝利を確信し、レミリアでさえ依姫を討ち取ったとさえ思っていた。
そして………
『………オリオン、今まで私は何枚ヒールとドローを引いた?』
『ドロー……2枚ずつ』
『そう、そして私のデッキはドローが5枚ある、よってデッキには残り3枚のドローと2枚のヒールトリガーが残っている『何が言いたい』つまりは………こう言う事よ、ノーガード‼︎』
『な、何だと⁉︎『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
クリティカルはヴァンガード、パワーはバーンアウトに与える‼︎
貴様………最後の最後で手を抜くか‼︎』
『いいえ、手は抜いていないわ。
寧ろ、ここまで私を追い詰めるその執念に近しい闘志に敬意を表してよ。
そう………誇り高いファイターに見せてあげるわ、最強のファイターには全て必然、トリガーさえも己の手の中に引き寄せる事を‼︎『武器商人 ゴヴァノン』『引』
パワーはヴァンガード、1枚ドロー!『まぁるがる』『引』
1枚ドロー、パワーはヴァンガード!『世界樹の巫女 エレイン』『治』
パワーはヴァンガード、ダメージ回復!『世界樹の巫女 エレイン』『治』
パワーはヴァンガード、ダメージ回復‼︎
よってサンクチュアリガードのパワーは31000、50001枚でバーンアウトのアタックを防げますわ‼︎』
「…………嘘…………だろ?」
だが、依姫は更にその上へと上がってしまった。
ダメージが3枚でクリティカル4のアタックを受ければヒールを2枚引かない限り敗北する、それをあっさりトリガー4枚を引き当て、倍返しと言わんばかりにヴァンガードのパワーを盛り上げてしまっていた。
これには対峙しているオリオンも驚愕の表情を浮かべ、言葉を失ってしまい、ただジッと依姫を見つめているだけしか出来ていなかった。
しかし、それでもバーンアウトのアタックは止めずに行い、あっさりガードされてしまった。
『ふふ、たかが地上のファイターと侮った結果が準決勝進出を許す結果に繋がり、貴方の安い挑発に乗らなければ私も同じ轍を踏んでいた所でしたね…………感謝してますよ、本気で来なさいと言った貴方に。
お陰でとても有意義なファイトが出来ました………ストライド・ジェネレーション、サンクチュアリガード・レガリア‼︎
更にシシルス、『ホーリーナイト・ガーディアン』、『ナイト・オブ・フラッシュ』をコールしてミスリルをコール、スキルでリアンをコール‼︎』
「バカな………あの状況でオリオンが首を討ち逃すだと………⁉︎」
「それに、折角全滅させたリアガードがあっさり揃っちゃった………」
「………これは不味いわね、幾らオリオンの手札に完全ガードがあろうと、綿月依姫がトリプルクリティカルなんて神引きをして、パワーは片方に集中してクリティカルを3:2でリアガードに分配されたらガードし切れずに6枚目のダメージを受けるわ」
「しかもギアースでシャッフルされたデッキ、トリガーが来るかは予測不可………」
「後一歩の所でコレですか………恐るべし、綿月依姫!」
そして、そんな状況下に陥り紅魔館勢は全員敗戦ムードが漂い、オリオンの逆転こそ信じてはいるが、それが極めて困難な物と現実を突き付けられまともに声が上げられなくなっており、ブロントさん達の方も依姫の神引きを見せ付けられ、レミリア達と違い全く声が出せなくなっていた。
「ちょ、ちょっと皆まだファイトは終わってないでしょ?
それにギアースでシャッフルって事はランダムシャッフルなんでしょ?
ならそう都合良くトリプルクリティカルなんて『ゲット、クリティカルトリガートリプル』………何でそう都合良く引けんのよアンタァァァァァァァァ!!?」
そんな中で蓮子が図太い精神で何とか声を絞り出すも、パチュリーが言った最悪の状況が生まれてしまい自分が言おうとした事が無駄になり、それに腹を立ててテレビをグラグラと揺らし始め、それを小悪魔と美鈴が取り押さえて止める始末となった。
『これで幕引きです、シシルスでアタック!『ター、ブルーレイ2体でガード、インターセプト………!』
ミスリルで、アタック!』
そしてクリティカル2のミスリルのアタックがヒットする事が確定し、オリオンは手を震わせながらデッキからカードを引こうとしていた。
しかし、レミリアは自らの能力………『運命を操る程度の能力』で、オリオンの運命が闇に閉ざされているのが見えており、其処からオリオンの敗北を悟り、目を閉じてリモコンに手を掛けようとし、オリオンの方も何時まで経ってもカードが引けていない為、審判がジャッジキルを行おうとしていた………だが、其処に蓮子が美鈴と小悪魔の拘束を抜け、またテレビに手を掛け、息を大きく吸い込んでいた。
「えっ、ちょ、蓮子?
一体何「こぉんの臆病者ぉぉぉぉぉ‼︎」…っ〜〜〜〜〜〜⁉︎」
メリーが話し掛けようとした所で蓮子は彼女が耳を押さえる程の大声を出し、他の面々も耳を押さえてしまった。
すると、画面越しのオリオンの手の震えが止まり、審判もそれを見てジャッジキルを行うのを止め、動向を伺っていた。
「あんた男でしょ‼︎
なぁにインチキチート引きにビビってブルブル震えてんのよ‼︎
あんたの勝ちを信じる人が見てる中で諦めて心折れてんじゃないわよ、そんな意気地無しなトコ見せる暇あったらさっさとダメージ捲って4枚戻したヒールを引きなさいよ‼︎
あんたが堂々とダメージ引いて負けたら誰も責めないけど、そんな風に縮こまってダメージ引くんならあんたの主人もあんたを許さないし、私も許さないわよ‼︎
あんたの誇り高い紅魔のファイトを最後まで続けなさいよ、このままじゃあんたの主人の顔に泥を塗るのよ分かってんの⁉︎」
どうやら蓮子はオリオンの手の震えを及び腰になっていると受け取り、大の男がそんな風になっているのが神経に触りテレビに向かって叫んだらしく、メリーの前で良く見せていた自分よりも情け無い男に対する喝入れを全員の前でやって見せた。
しかし、テレビ越しである為その行為には全く意味が無く、ただテレビに八つ当たりしてるだけでしかない為メリーがナンセンスと言わんばかりに頭を抑え、蓮子の首根っこを引っ張りテレビから引き剥がそうとしていた………すると、画面の先に変化が置き、レミリアも何かを感じたのか目を見開き、テレビを蓮子の腋の下から見ていた。
『…………煩い、貴様に…………何が分かる‼︎
俺の全てを分かった様な、口を…………聞くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎『バーニングホーン・ドラゴン』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』』
『な、何ですって⁉︎
此処で……ヒールトリガー⁉︎』
「………嘘、画面越しに蓮子の喝が届いちゃった………」
「運命に纏わり付いた闇が……消えた……」
「お、おりょ?」
何とオリオンは蓮子の喝が聞こえたかの様な発言をしながらギアースのホログラムカードを引き、6枚目のダメージでヒールトリガーを引き当てて首の皮一枚を繋ぎ、依姫に意趣返しを行う形となり当の対峙する依姫はあり得ないと言わんばかりに驚き、会場もこの神引き合戦に大いに盛り上がっていた。
そんな事が発生した為蓮子、メリー、レミリアはそれぞれ違った形で驚き、元のソファに戻り座る。
『さ、さぁ!
ファイトは大詰め、神引き合戦でオリオン選手にターンが回り、これを凌がないと依姫選手はヒールトリガーがもう無い為1ダメージでも受けたら即ファイト終了となりますが、果たして勝利の女神は何方に微笑むのでしょうか⁉︎』
『………貴様に言われなくとも、紅魔の誇りは、紅魔のファイトは捨てはしない‼︎
ファイナルターン、ドロー‼︎
ラーヴァフロウ・ドラゴンをコストに
今蘇る黙示録の炎!
天をも焦がし、この世統べるは業火の力‼︎
ストライド・THE・ジェネレーション、『覇天皇竜 ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
そしてスキル発動、
『そしてこの状況でそのGユニットを………成る程、どうやら貴方は私の予測を上回る実力者であるか………良いでしょう、来なさい‼︎』
『‘
ツイン……ドライブ‼︎『バーニングホーン・ドラゴン』『槍の化身 ター』『☆』
全てヴァンガードにプラスしスキル発動、コストを払いスタンド‼︎
‘‘
俺の………勝ちだ‼︎』
そして‘‘
『つ、遂に決まったぁぁぁぁぁぁ‼︎
ヴァンガードエキスパートカップ準決勝はオリオン選手が制し、史上初………いえ、幻想郷勢初進出にして初出場で決勝戦へとオリオン選手が駒を進めました‼︎
幻想郷出身としてこれ程栄えある名誉は、恐らく人の寿命ではこれ以降存在し得ない物と言えるでしょう‼︎』
射命丸が実況を続け、最後の言葉を言い切った瞬間テレビは消される。
この栄えある決勝進出は紅魔館勢のみならず、魔理沙達も幻想郷出身として、また元はヴァナ出身ではあるが、友としてブロントさんも本来は喜ぶべき場面である事は重々承知していた。
………しかし、それが蓮子が喝を入れ、それがまるで届いた様な状況が生まれなければの話である。
「…………あり?」
そして当本人は何が何だか分からず、締まらない声を出し首を傾げ、何で全員に見られているのか理解が追い付かずにいたのであった。
さて、蓮子にも何やら不思議なフラグがポッと立ちましたが、実はこれヴァンガードの方を見てると微妙に分かる………かも?
そして1番苦労したのはよっちゃんの引きです。
もう頭が混乱しかけました、はい。
まあ櫂君辺りが良くやらかしてるので問題は無いでしょう!(思考停止)
次回もよろしくお願いします。
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第25話「お月様へGO」
閲覧してくれる皆さんへ、かなり見辛くヴァンガードなんざ知るかよ、有頂天ネタは飽きてると考えている方もいらっしゃるかと思いますが、最後までお付き合い頂けたら幸いです。
では、どうぞよろしくお願いします。
テレビの視聴後、蓮子は娯楽室のテーブルの目の前に座らされ、他の全員は彼女を囲む様に座っていた。
こんな事になった理由は無論蓮子がテレビに向かって叫び、画面の向こうにいてその声が届かない筈のオリオンがまるでその声が聞こえたかの様に反論し、そのまま勢いで依姫に勝利した事が原因だった。
「………では蓮子よ、何故あんな事が起きたか心当たりは無いか?」
「全然無いわよ⁈
私もあんな不思議現象が起きてビックリよ!
えっ、何?
私幻想郷に来てこの『星空を見たら時間や位置が分かる眼』以外にも不思議能力に目覚めたの?
『相手に思念を伝える程度の能力』とでも言う力がこの私に宿ったの⁉︎
うっわマジ…………局所的にしか役立たな〜い…………」
如何にも蓮子にすら心当たりが無いらしく、当の本人は幻想郷に来て何らかの能力が目覚めたのかと最初は喜ぶも、考えた能力名を口にした途端に余り便利な力では無いと理解し、完全に項垂れてテーブルにのの字を書き始めていた。
「全くこのおバカは………で、他の皆はどう思う?」
「ふむ………これはあくまでなんとなくであり確信はないと言う意見なのだが、敢えて言わせて貰うならば蓮子は程度の能力に目覚めた感じがまるでしないと言ったふいんき(何故か変換出来ない)であると思うんだが?」
「私もブロントさんと同意見だぜ。
程度の能力ってのは幻想郷内で目覚める力でたまに外来人も目覚めたりするんだがな、それらが目覚めると幻想郷に居る奴が感じ取れる……例えるなら『ニオイ』、みたいな奴が出るんだよ。
でも、蓮子にはそれが無い。
だから程度の能力が目覚めたって訳じゃないと思う」
しかし魔理沙とブロントさんは蓮子が能力に目覚めた可能性を否定し、確証では無いが幻想郷に居る者が感じ取れる物が蓮子に無い為だとも話し、アリスや麟と言った他の面々も首を縦に振りそれを肯定している。
それを聞いた蓮子は何処かガッカリと、しかし思念を伝える程度の能力が宿った訳では無いと知り何処かホッとした感が出ていた。
「ふむ、となれば他の可能性は…………『ポゥ』」
するとレミリアは蓮子に近付きマジマジと見始めたかと思うと、位置的に蓮子にしか見えない位置でレミリアの瞳が一瞬、瞬きをしたら見逃してしまう様な一瞬紅とその周りを虹色で囲う輝きが宿り、蓮子はそれを見逃さず首を傾げる。
するとレミリアは何かを察したかと思わせる様子を見せ、自分が座っていた位置に戻りまた蓮子を見ていた。
「………それでレミィ、何か察した様だけれど、何かあったのかしら?」
「ああ、あったな。
それを手っ取り早く理解する方法もキッチリと浮かんだよ。
………宇佐見蓮子、それとマエリベリー・ハーン、お前達に起きてるトラブルは咲夜の口から一応聞いているが、改めてお前達の口から聞きたい。
お前達は今、どんなトラブルに巻き込まれているかを」
「えっ?
……『ピッ、スッ、ババァーン‼︎』…………分かりました、実は…」
蓮子は突然レミリアに自分とメリーの身に降り掛かるトラブルの事を聞かれ、それを話すかメリーとアイコンタクト(と周りを引かせるウザ可愛表情での指差し、厨二、荒ぶる鷹のポーズなど)をし、結果幽々子にも話した情報と幽々子から齎された情報をレミリアや咲夜以外の紅魔の面々に伝える。
「………ふむ、話には聞いていたが………成る程、蓮子の『ブラスター・ブレード』は元は奴のカードだったか。
フン、自らの分身を切り捨て剰え魔理沙に一方的絶縁を叩き付け我らから離れたのみならず、人攫いの一貫を行なう下衆な人間に成り果てるとは………これでは今この場に居る魔理沙が本当に金かわになるではないか」
「?
あの、何でそこで魔理沙が?」
「本人の口から聞いてくれ、私が言う立場では無い」
するとレミリアの口から魔理沙の事を異様な程気にする言葉を出した為、蓮子とメリーはその理由を聞こうとしたが魔理沙本人に聞けと返され、二人が魔理沙の方を向くとその魔理沙は「あー……」と言いながら頭をポリポリと掻き、少し深呼吸をして二人に向かって口を開いた。
「……いやな、これは如何でも良い情報で、幽々子の奴も気を遣って話さなかった事なんだけどな………『シャドウ』って偽名を使って蓮子達にちょっかいを出したバカ、そいつはな、私の……幼馴染なんだよ。
でもって、これ以上はちょっと聞かないでくれたら嬉しいよ」
「えっ、幼…………うん、分かった」
魔理沙の口から『シャドウ』が彼女の幼馴染と聞かされ、其処からどんな奴であったかを聞こうと思った矢先に釘を刺され、更に魔理沙の様子からこの事は余り触れて欲しく無いタブーの一種だと観察眼で察した蓮子とメリーは、それ以上の事は聞かずいつか魔理沙が細かい事を話してくれるだろうと思い、話題にするのを止める。
「………で、それが一体如何したんですか?」
「いや、何。
如何も西行寺幽々子では蓮子の方は気付かないなともはっきりと思っただけさ…………蓮子の声が月に殴り込んでる我が従者に届いたかに見えたあの事象、案外『シャドウ』の目的の一つかも知れんと推察したんだ。
確証を得るには、お前達二人には来て貰いたい所があるんだが、良いか?」
レミリアは幽々子では気付かず自分なら気付く情報があるかの様なニュアンスの言葉を口に出し、更に蓮子とメリーを何処かに連れて行こうともしており、二人はそれが何処なのかを聞き出そうと質問をする。
「あのー、ちょっと良いっすか?」
「えっと、私達を何処に連れて行こうと?」
「ああ、月に居る我が従者オリオンの下さ。
実は私ら紅魔の面々と魔理沙、ブロントさん、麟、アリスはオリオンが今から3日後に行われるエキスパートカップ本選決勝、つまり優勝者決定戦にオリオンにはサプライズでVIP席で観戦する約束を取り付けていてな、其処にお前達二人も追加してオリオンに会って貰うのだ。
どうだ、生で我が従者のファイトを見れるし蓮子の起こした事象の正体が分かるのだ、行きたくはないか?」
レミリアはオリオンが決勝まで進んだ暁にはVIP席での観戦を向こうに約束させたらしく、彼が決勝まで進んだのが嬉しいのか、はてまたは依姫の態度から月の人は地上の者を見下す傾向にある事が分かり、それをジャイアントキリングの形で見返せたのが痛快なのか、或いはその両方か背中の羽をパタパタと揺らし、表情も明らかに嬉しそうに笑っており、蓮子とメリーはそれを見てついレミリアを可愛いと思ってしまうも、冷静に考えあのファイトが生で見られるのと蓮子が起こしたとはっきりと言われてしまった事の正体が分かると知り、二人は互いに見て顔を縦に振り、答えを出す。
「分かったわ、今回は危険が危ないなんて事は支部長達から離れなきゃ無さそうだし、付いて行くわ」
「その言葉を待っていたわ。
ならオリオンの居る月に行くわよ、『明日』‼︎」
『…………ゑ?』
しかしいざ付いて行くと答えた蓮子とメリー、いや、魔理沙達もレミリアの口から思考が一瞬追い付かない爆弾発言が飛び出して来て呆けてただ一言しか口に出来なかった。
すると咲夜達が少し申し訳無さそうな表情で蓮子達を見る中、レミリアが更に口を開く。
「ああ、言っていなかったか?
大会の決勝自体は3日後に行われるが、我らが月にのりこめー^^するのは明日になっているぞ。
いや〜、明日迎えに来る『綿月姉妹』をドヤ顔で出迎える日が来るなんて夢にも思わなかったわ、アッハッハッハッハ!
だからまあ、今日は明日に備えて紅魔館で泊まって行くと良い。
だが魔理沙、お前は地下図書館出入り禁止な!」
『え、工エエェェΣ(°д°;)ェェエエ工!!?』
何と魔理沙達すら聞いていなかった明日月へと行くと言う予定に全員驚き(魔理沙のみ地下図書館出入り禁止にも驚く)、全員紅魔館に泊まる事が強制決定してしまう。
一応家を空ける為戸締りはしっかりとして来る様にと言われ、それぞれ一度家に帰り戸締りを確認し、改めて紅魔館に戻り意図していなかったお泊まり会が始まった。
豪華な夕食を見て蓮子が驚き過ぎてテーブルマナーをメリーに逐次聞いたり、浴場にて魔理沙、蓮子が胸囲の格差社会に涙し、蓮子はメリーに、魔理沙はアリスとパチュリーにセクハラさて三人に拳骨を受けたり、夜中に蓮子が『人の家に泊まったら枕投げはお約束!』と言う謎の発言をし、意外と全員ノリノリで(枕がダメにならない程度に)白熱した枕投げが行われたりその枕投げでブロントさんが理不尽に狙われたりなどがあったりした。
そして迎えた朝、吸血鬼が朝早く起きて活動するなどの蓮子とメリーの中にあった吸血鬼のイメージが崩れるプチ事件があったが、門の前で全員が迎えに来る『綿月姉妹』を待ち、咲夜は紅魔館の戸締りを彼女の能力である『時間を操る程度の能力』を駆使して隅々まで時を止めながら確認し、全部確認し終えてから日傘を差しているレミリアの下に立ち、月の迎えを待った。
「そう言えば迎えに来る姉妹の内一人って、オリオンが準決勝で戦った態度が大きいチート引きの姫騎士っぽい人ですよね?
そのお姉さんってどんな人なんですか?」
「私達は直接会った事は無いが、話によれば依姫よりかは柔軟な思考を持つがやはり月人と言った感じの奴らしい。
そして奴が持つ扇子は『森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子』で、そんな物を仰がれたら最近は爆破されなくなった紅魔館ごと辺り一帯が綺麗サッパリ消し飛ぶらしいぞ。
だから警戒だけは怠るなよ、特にバカっぽい蓮子と魔理沙」
『何でだし!?』
そんな中でメリーはレミリアに『綿月豊姫』の方を聞くと、恐ろしい物を持つ危険人物的な答えが返って来た為、顔を少し青ざめさせて豊姫を警戒しようと心掛け、バカと言われた蓮子と魔理沙はレミリアに反論していた。
「流石のナイトも圧倒的な防御力を誇るが素粒子レベルに分解されたらまるで意味がないと言うある様……マジで震えてきやがった…………だ、だがナイトはLSメンは見捨てないので扇子を振るおうとしたらインビンで無敵状態になって全員かばってやるからよ俺の後ろに隠れておくべきそうすべき分解されたくなかったらそうすべき「あらあら、幾ら地上が穢れで満ちていると言っても、この扇子を易々と仰ぐ真似はしませんわよ?」………来やがったか」
ブロントさんが扇子に少しビビりながらも全員を庇う姿勢を見せていた所、突然女性の声が聞こえて来てブロントさんはケーニヒシールドを装備し、警戒し始める。
すると蓮子やレミリア達の目の前にオリオンとファイトをしていた綿月依姫と、依姫と同じ様な白の長袖シャツ、依姫と違い色が青で肩紐も逆に着いたサスペンドスカートの様な服、そして長い金髪と青いリボンが巻かれた白の帽子、及び扇子を持っている女性………件の『綿月豊姫』が姿を現した。
「これはこれは、我ら下賤なる地上の民を遥々迎えに来てくれた我が従者に無様に敗北した高貴なる綿月姉妹ではありませんか。
態々この紅魔館の前に醜態を晒して迎えに来てくださるとは光栄の極みであるな(ドヤァ………)」
「(イラッ☆)ええ、高貴なる月人である我々は一度約束した事は反故にはしないわ。
例えそれが私に負けた腹いせに自分の部下を送り込み、自分が倒してもいないのにまるで自分の功績の様に振る舞うお山の大将であるうー☆うー☆いつも言ってるかりちゅま吸血鬼が相手でもね」
「(ビキッ!)あっはっはっはっは、従者の功績は主の功績でもあると言う一勢力の長の基本事項をまるで知らない博識(失笑)な負け姿がお似合いな姫騎士っぽい方とこうしてお喋りが出来て痛快だわ。
それにしても試合、見ていたぞ。
いや〜相変わらずな積み込みを疑うチート引きを見せてくれて、最後には6点ヒールからのVスタンド確定でプリケツ晒した様は見事だったよ!」
「(ビキビキッ‼︎)ふふふふ、そんな貴方はその時はさぞやお山のボス猿の如くはしゃぎ回られた事でしょうね〜。
カリスマブレイクの場面を見たかったですよ、そして思いっ切り笑い飛ばしてやりたかったですよ!」
「あっはっはっはっは(#^ω^)」
「ふふふふ………(^ω^#)」
出会い頭の会話でレミリアと依姫は既に一触即発の状態になり、依姫は懐の刀を抜こうとし、レミリアは魔力で作られた紅い槍『スピア・ザ・グングニル』を形成しようとし、いつでも互いを攻撃し合える体勢に入り蓮子達をオドオドさせる。
すると豊姫が前に出て依姫に手を出して制する。
「依姫、ちょっと興奮を抑えなさい。
此度の彼らはあくまで客人、ならば我々が持て成すのは必然である筈よ」
「し、しかしお姉様!」
「依姫………口約束とは言え約束は約束、月人は約束を反故にしないと誰が言ったかしら?」
「………申し訳ありません」
「分かればよろしい」
豊姫は依姫を諌め、そのままレミリアと会話を始め、持って来ていた書類等に目を通させ、レミリア自身にサインをさせていた。
その中には月に行くメンバー名簿があり、其処に自身らの名を書き、豊姫が数の確認をして首を縦に振るやりとりがあった。
「さて、これでやっと月行きなのね。
レミリアがいきなり喧嘩腰になったから、どうなることやらと思ったわ」
「なら止めろよアリス」
「嫌よ、火傷したくないもの」
こんなアリスと魔理沙の会話などがその間にあり、和気藹々とした雰囲気が戻って来て蓮子とメリーはホッとし、気分を落ち着けてその時を待っていた。
「お待たせしたわね。
早速月に跳びますのでリラックスして下さいな」
「よしよし、いよいよ月に行くのね………冥界と同じく、其処には何が待つやら」
「非常に楽しみね、蓮子」
そして月に跳ぶ時間となり、蓮子とメリーは未だ見ぬ世界をこの目にする事に秘封倶楽部としての高揚感を覚え、心音が高鳴り少しだけ落ち着きがなくなって来ていた。
「では、カウント3で跳ばせて頂きますわ。
はい1、2………3」
その瞬間、蓮子とメリーの目の前は突如として暗転し、気付いた時には其処は先程の紅魔館前では無く、森も無く空は星空で、背後には海と青く輝く星が見えていた。
そう、今の一瞬で蓮子達は地球の周りを回る物………夜に浮かび太陽光を反射して輝く衛星である月へと来たのであった。
今回はファイト描写は無く、代わりに会話パートのみとなりました。
予定としては後1、2話程は会話パートのみになります。
最後にですが、前書きにも書きましたが最後までお付き合い頂けたら本当に嬉しい限りだと思っています。
次回もよろしくお願いします。
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第26話「交差する絆と力」
そして大体はチェック入れましたが誤字脱字があるかも………そして一般公開して置きながら非ログインユーザーにも感想が描ける様に設定変更していなかったミスが発覚。
完璧で幸福な作者ならこんな初歩ミスを犯さないのでコミーだと発覚し前の作者はZAPられました。
今度の自分は完璧で幸福の為ミスは無い(と思いたいです)。
では、どうぞ。
「………此処が………此処が、月!
人類が初めて有人ロケットで月に着陸し足を踏み入れたとされるのは1969年のアポロ11号とされてるけど、この月にはそれ以前から人が居て文明を…………くぅ〜、秘封倶楽部としてはこの神秘は唆られるわぁ〜‼︎」
「おバカ蓮子、私達はあくまで客人としてこっちに招かれただけなのよ?
あんまし粗相が無い様に大人しくしてなさいな、秘封倶楽部として謎と怪異とかを解き明かす活動はこっちでは禁止よ!」
「君、そのお嬢さんの言う通りだよ。
もしこの月で何かしようものなら、即刻地上に送り返す事になるから大人しくなさい」
豊姫の合図と同時に目の前の景色が幻想郷の物から月のそれに変わり、蓮子は数歩歩きジャンプなどしてはしゃいでいた所でメリーからストップ、依姫からは完全な警告をされてしまい、余りはしゃげなくなった蓮子は「ぶーぶー」とブーイングしていたが、当然聞き入れられる訳も無く無視され、蓮子は月の地面を不貞腐れて蹴っていた。
「(………それにしてもこの子達………それぞれ似てるわ。
メリーは『奴』と瓜二つ、蓮子は………微妙に容姿と、性格は全然違う筈なのに彼女、『霊夢』の持っている独特な雰囲気が………一体何故なのかしらね)」
そんな中で依姫は蓮子とメリーが自分が知る二人の人物に似ている事に疑念を抱き、それをレミリア達と話しながら思考していた。
無論依姫が気付いた事は姉の豊姫も気付かない訳が無く、月の賢者の弟子であった彼女達に蓮子とメリーは微妙に目を付けられてしまう。
しかし、そんな事とは知らず蓮子は月の石を見て一個持ち帰っても良いかや写真を撮ろうとしてスマホのバッテリー切れを改めて思い出し項垂れていたりと割とフリーダムな行動を起こしており、最後ら辺でメリーが動き、蓮子のこめかみを拳でグリグリとして行動を諌めていたりと仲の良い二人組の行動をして魔理沙達を笑わせていた。
「はいはい仲の良いお二人さん、そろそろ貴方達が寝泊まりする場所に行くから此方へおいでらっしゃいな」
「あ、分かりました。
ほら、行くわよ蓮子」
「う、うい〜………」
すると豊姫が蓮子とメリーを呼び、二人はレミリア達の側に戻って行くと再び景色がいきなり変わり、月の殺風景な場所からレミリア達の紅魔館の様な数階建ての物と違い一階建てではあるが、立派なお屋敷の前に場所が移った。
「あ、また景色が………このお屋敷は?」
「此方のお屋敷は私と依姫の住まいよ。
そしてあっちが、オリオンが本選に出場しちゃった辺りから約束を守らなきゃって思って急遽玉兎達に作らせた宿泊所よ。
見た目はアレだけど、圧縮空間で出来てるから貴女達位の人数はアッサリ入りますわ」
メリーが目の前の屋敷に疑問を投げかけた時に予想してたと言わんばかりに豊姫が直ぐに答え、更に屋敷の敷地内にポツンと建つ二階建てプレハブ小屋に指差し、それが自分らが寝泊まりする宿泊所と言う。
しかし、見た目が何処からどう見てもプレハブ小屋の為蓮子、魔理沙、ブロントさん、レミリアは完全に嫌そうな顔をし、フランが率先して小屋に近付いて中へと入り、それに続いて嫌そうな顔をしてる者以外は全員中に入って行き、最後に残った四人も渋々中へと入る。
すると中は外観とは似て似つかぬ程広く、内装は洋風で案外紅魔館の内装に引けを取らない上品な雰囲気を醸し出していた。
「へ、へぇ〜、ウチの紅魔館には劣るけど中々に良い所じゃないの、外観は完全に嫌がらせにしか思えないけど」
「それは当然よ。
この小屋は月の技術が使われて、貴女達吸血鬼に合いそうな作りにする様に指示したのですから良くない訳が無いわ。
因みに外観は私の遊び心を込めた物よ、気に入って頂けたかしら?」
「あはは、凄いすごーい!
紅魔館みたいな場所で気に入っちゃった、ありがとうよっちゃん♪「えっ、よ、よっちゃん?」」
レミリアとフランの姉妹による温度差感想を聞いて蓮子とメリー、魔理沙達は確かに外観はアレだが中身がしっかりとしてる為、こんなプレハブ小屋みたいな外観の宿泊所を用意し、自分らを招き入れた綿月姉妹には感謝せねばと思い、特に蓮子とメリー以外は月が地上人と地上を穢れに満ちている為毛嫌い、その穢れが無い月に招き入れる事自体が異例中の異例であり、レミリア達が立てた口約束が月の上層部に届けられた上、高貴なる月人は約束は地上人の様に破らないと言うプライドとオリオンの予測外の快進撃がこの結果を生み出したとし、改めて紅魔の勢力は他に干渉した際の影響力が大きいと感じていた。
「では、オリオンを呼んで来ますから依姫と一緒に此処で待ってて下さいな「えっ、お姉様?」じゃあ依姫、『レイセン』と一緒に客人を退屈させない様にね〜」
「えっ、あ、ちょっ………はぁ、行ってしまいましたか。
まあお姉様の能力があるから直ぐに来るとは思うけど………『レイセン』、来なさい!「は、はい、今行きまってうわぁ⁉︎『ドテン、ガラガラ、ガシャーン‼︎』」………ちょっと様子を見て来ますから大人しくしてなさいな」
すると豊姫がオリオンを呼んで来ると言って何処かに行き、残された依姫は『レイセン』と言う人物(蓮子とメリーは部下と予想)を呼ぶが、プレハブ小屋の外で何やら倒れる音や割れ物が割れた音がし、その様子を依姫が見に行く事となりその場を一時離れ、それを見てた咲夜は妖精メイドがいつもやらかしては怒るの繰り返しのメイド業務を思い出し、何だか依姫に部下に四苦八苦する自分と同じ様な上司の苦労的な物を感じ、後で紅茶とケーキを差し入れしようと考えたり、他は大体言葉にならない何かを感じて苦笑してたりした。
「待たせたわね、ウチの部下が屋敷の物を壊したから片付けと反省として正座する様に言って来ましたよ………お陰で私がお茶と菓子を運ぶ事になりましたが、どうぞ召し上がれ」
「わぁ〜い、お菓子だ〜☆」
「うむ、おれはおれは丁度小腹が空き喉もほんのわずかに乾き始めていたんだが其処に月のチート姉妹の片割れが謙虚にもナイトとそのLSメンにお茶と菓子を運んで来た様なので玲技正しく頂こうと思いとんずらを使い普通ではまだ取れない菓子をきょうきょと参戦して取り口に運ぶ前にナイト礼を忘れにぃのでいただきますをするます。
なので【いただきます】」
『頂きます』
直ぐに依姫が戻り、部下の不手際に頭を抱えてその部下の代わりにお茶と菓子を運んで来て、宿泊所の入って直ぐにある大きな丸テーブルに置き、全員で頂きますを言って食した。
すると味は地上の菓子やお茶よりも高級感が溢れる物で、風味が極めて高く地上で店を出しこれを提供したら大繁盛間違いなしの味だった。
これには咲夜やアリスも参ったと思わずにはいられず、そんな様子を見ていた依姫からは何か勝ち誇った様な雰囲気が漂い何故かレミリアは悔しそうに見ている。
「ゴクッ、ゴクッ………ふう、ご馳走様でした。
依姫さんが出したお茶とお菓子、とても美味しかったですよ」
「そう、ありがとうね。
それより貴女……」
「?」
1番先に食べ終えた蓮子が依姫にお茶と菓子がとても良かったと感想を送ると依姫は当然と言った感じに素っ気なく返し、その後蓮子に近付きジッと見つめ始めていた。
当然蓮子は首を傾げ何の用かと思い始める。
そして依姫の取った行動は……。
「……えい(ワシャワシャ)」
「に、ニギャァァァァ⁉︎
な、何突然髪の毛をワシャワシャとするんすか〜⁉︎」
「貴女、黒帽子を被ってるからと言って寝癖を直さないのはどうかと思うわよ?
後ろ向きなさい、髪をとかしてあげるから」
何といきなり蓮子の帽子を取り、髪をワシャワシャとした後に後ろを向かせて常備している櫛で髪をとかし始めたのだ。
この行動にレミリアやブロントさん、魔理沙やメリー達は何が起きているんだと言わんばかりに驚き、思考が凍り付き事の成り行きを見ている以外が出来なくなった。
その間にも蓮子の髪の毛は依姫のによって手入れられ、その手付きは彼女の髪の質感などを初めから把握していたかの様にとても丁寧なとかし方で、蓮子に乱れた髪がどんどん綺麗にとかされ、そしてとかし終えた時には何故か髪をとかしただけで蓮子が今まであった事のない美少女の様に輝いている様に見え、また鏡で自分の姿を確認する蓮子も一瞬誰コレと思ってしまっていた。
そして魔理沙、アリス、咲夜、レミリア、麟、ブロントさんは蓮子の今の姿が自分らの知り合いで中心人物の一人であった少女……魔理沙の幼馴染で博麗の巫女であった『博麗霊夢』と重なり、魔理沙に関しては何故か本人が気付かない内に涙が頬を伝っていた。
「はい、貴女顔とかの素材が良いのに適切に髪の手入れをしてないから少し魅力が落ちていたわよ。
全く、折角の整った容姿がそれじゃ台無しよ、これからはちゃんと髪の毛を手入れしなさい」
「……あるぇ〜?
コレ私?
何か、自分以外の絵にも描いた様な美少女が鏡に映り込んだ様に見えたわ……ねえみん………魔理沙?
何で泣いてるの?」
「はっ?
………あれ、何で涙が流れてるんだ………」
蓮子がそれを指摘して魔理沙は頬を手で拭うと、確かに涙が流れており何故こうなったか訳が分からず魔理沙は困惑し始めた。
しかし、魔理沙は確かに蓮子が『霊夢』と重なったと見えた為、最初のファイトで感じた事を今改めて思い出し、するとまた涙が流れて、今度は涙が止まらなくなり何度も手で拭い出していた。
「ま、魔理沙⁈
貴女、大丈夫なの?
突然どうしたの?」
「魔理沙、貴女大丈夫なんですか?」
「魔理沙、何処か痛いの?」
「な、何でもない……何でもないよ……」
「魔理沙………ほら、顔を隠してあげるから、泣きながらでも良いから気を落ち着けなさい」
そんな魔理沙を心配してパチュリー、美鈴、フラン、更にアリスが側に駆け寄り、彼女を宥め出して場の空気がしんみりとし始め、依姫はそのきっかけを作った事から余計な事をしたかと、また、初対面の筈の蓮子にいきなり髪をとかすなどの行動を何故やったのか考え出し、その答えは魔理沙達が感じた様に蓮子が『霊夢』に似ていた為だと結論付け、綿月依姫は宇佐見蓮子と言う少女に興味を持ち出していた。
「………あらあら、戻ってみたら何故か金髪の子「き、霧雨魔理沙だぁ………!」…コホン、霧雨魔理沙が泣いてしまってますが……依姫、貴女何かやったのかしら?」
「お、お姉様!
いえ、私はその……宇佐見蓮子の寝癖が気になったので髪をとかしたらこんな事に……」
「ふーん(依姫が初対面の少女に髪をとかした……ねぇ)」
すると其処に豊姫と、傍に蓮子とメリーがテレビ越しで見た青年、しかし大会中に着用していた執事服では無く私服を着たオリオンが現れ、その場の空気や魔理沙が泣いているのを不思議がって依姫を見てたりした。
するとオリオンはレミリアの前に来て腰を落とし、片膝をつきながらレミリアを見上げていた。
「お嬢様、遥々月へとお越し頂いた事に感謝し、またこの場所にまで来た事に対するご足労をお掛けしました」
「いや、良い。
貴様がエキスパートカップを決勝まで駒を進めたらVIP席で観戦させて貰う約束事だったのだ、気にする必要は無い。
それよりも我が従者として、また幻想郷の代表としてよくぞ此処まで勝ち抜いた、褒めて使わす」
「勿体無きお言葉です」
レミリアとオリオンは主従の会話を交わし、レミリアが手を差し出すとオリオンはそれを受け取り、忠誠心を示し褒美の言葉も同時に受け取っていた。
それを見て咲夜がオリオンに近付き、声を掛ける。
「久々ねオリオン、予選を含めて4ヶ月半振りね」
「ああ、大体それ位だな。
……で、何故お嬢様達以外に魔理沙達が居るのには別段気にはしないとして、あの見知らぬ二人と何故魔理沙が泣いているか説明をしてくれないか?」
「そうね、じゃあ簡素に説明するわ」
咲夜とオリオンは同じ主に忠誠を誓う者同士として対等に話し、オリオンが疑問を投げ掛けると咲夜が分かり易く蓮子とメリーの事、二人が居る理由、二人が主であるレミリアが気に掛け、また二人が置かれてる状況下、そして蓮子の髪をとかしたら魔理沙が突然泣き出した事を聞き、オリオンは大体理解する。
「………そうか、そんな事がな。
しかし………あの時聞こえた声は確かに……「オリオン?」いや、何でも無い。
だが、奴が自らの分身を捨て宇佐見蓮子に一方的に渡し、外来人、しかも二人の女を付け回すとはな………ヴァンガードファイターとしても男としても失格だな、次に奴と会ったら俺が直接奴に手を下してやる……」
「うむ、それはそうだな………して、オリオンはあの二人、特に宇佐見蓮子を見て何か感じないか?」
オリオンは咲夜の説明を聞き、『シャドウ』……魔理沙の幼馴染であり、『ブラスター・ブレード』を使っていたかつての最大級のライバルが其処まで堕ちた事に怒りを見せ、しかし何でも無いとしながらも準決勝時に聞こえた声の主が蓮子であった事に対し疑念を抱き、またレミリアに言われ蓮子を見ると蓮子とメリーの前へ行き、特に蓮子をジッと見ていた。
「あ、あの……一体なんすか?」
「…………成る程、奴がブラスター・ブレードを渡したのはそう言う事か」
「やはり私の睨んだ通りか」
「?????」
するとオリオンは何かを察したのか一人で納得をし始め、レミリアも自分が予想した通りだったと確信を持ち、しかしまた面倒な事になるとも思い始め、それが全く分からない蓮子は頭に疑問符を幾つも浮かべ、解答を待っていた。
一方その場で咲夜とオリオンの会話などを聞き耳を立てた豊姫と依姫は、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンが自分らには関係なさそうで、しかしとある人物と『霊夢』にそれぞれ似た二人がそんなトラブルに巻き込まれてる事を知り、益々興味を抱き個人的に調べてみようかなどと考えていた。
「………ふむ、挨拶がまだだったな。
俺はオリオン、レミリアお嬢様の従者であり『ドラゴニック・オーバーロード』を使う者だ」
「あ、ご丁寧にどうも。
私は宇佐見蓮子で、咲夜から聞いた通り『ブラスター・ブレード』を使ってるわ、よろしく」
「こちらも初めまして、〈ギアクロニクル〉使いのマエリベリー・ハーンです。
メリーと呼んで下さい…」
そして改めて二人がオリオンと挨拶を交わし、視線を合わせる。
すると、この三者の脳裏にとあるイメージが浮かぶ。
それは、惑星クレイにて『ブラスター・ブレード』と『クロノジェット・ドラゴン』が、数多くのユニットに囲まれその中心で『ドラゴニック・オーバーロード』と互いに見合う光景だった。
更に光の剣士はかつての先導者と黙示録の炎とその先導者と数多くの因縁があり、再び相見えた事に嬉しさなどとは違う不思議な高揚感が身体を走り、もう二度と対峙する事は無いと思った宿命の強敵との再会に互いの剣を差し出し、重ね合せる。
その瞬間光が周りを照らし、またイメージを見ていた蓮子とオリオンにも不思議な感覚が押し寄せ、一気に現実視点に戻った。
「今のは一体………」
「………ああ、やはり………先導者が変わろうとも、この宿命は変わらんか………『ブラスター・ブレード』の先導者と対峙する宿命は……」
そんなイメージを見た蓮子とメリー、特に不思議な感覚にも襲われた蓮子は困惑しオリオンの呟きが耳に入ると静かに視線を向ける。
すると彼の瞳に赤……レミリアの血を思わせる紅と違い炎を思わせる赤とその周りを虹色が囲む不思議な輝きが見えていた。
しかしこの時、蓮子は気付かず隣に居たメリーと目の前のオリオンのみが気付く。
蓮子の瞳にも青とその周りを虹色が囲む不思議な輝きが宿っていた事を………。
蓮子達が月に行き、其処で2人目のオリキャラと邂逅し、また蓮子に前回からあったフラグが着々と建築されました。
蓮子の瞳に宿った光………一体、何SY何オリアなんだ………。
次回もよろしくお願いします。
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第27話「消えた対戦相手と『ムカつくアイツ』」
そんなこんなですが第27話を更新しました。
では、どうぞ。
蓮子とメリーがオリオンと相対した後、魔理沙が泣き止むまで待ち改めてオリオンを含めた全員が丸テーブルを囲み、豊姫と依姫はそれを入り口近くで見て会話が始まる。
「お嬢様や咲夜から話は聞いた。
お前達、『シャドウ』を名乗る奴に付け回されてるらしいな。
しかも、マエリベリー「あ、長いのでメリーって呼んで下さい」分かった、メリーにあるクレイのユニットを実体化させかねない力を利用する為に。
そしてお嬢様は実は宇佐見「私も蓮子で」……蓮子にもメリーと別の目的で狙ってるのではと看破し俺に巡り会わせた、元々サプライズで応援に来るオマケとして」
「そうそう。
で、私と出会った事で何かわかったの?」
オリオンの話に蓮子は受け答え、更にこの巡り合わせで何か分かったのかを確認する。
それに対し『ドラゴニック・オーバーロード』を操る青年は首を縦に振り、答え始める。
「お前がメリーと同じ様に幻想入りさせられ、『ブラスター・ブレード』の入ったデッキを一方的に渡されたのもメリーを守らせる力をそれなりに与えるだけで無く他意があった。
それは、宇佐見蓮子に宿りし力が原因であり、奴はそれを目覚めさせようとしている。
で、その力は………いや、まだ完全に目覚めた訳では無いので言及する必要はないだろう」
「ちょっ、当事者の私に詳細please⁉︎」
「今回はあくまでお嬢様が確証を得る事とお前すら狙われている事の証明が目的だろう?
ならそれは完遂したと言える。
これ以上の情報が欲しいなら力を完全に目覚めさせろ、そしたら使い方を教えてやる」
蓮子はオリオンから自分の中に何らかの力がある事を知るがその詳細は敢えて伏せられてしまい、不機嫌になる。
だがそれでも、シャドウはメリーのみならず自分まで狙い、オリオンが詳細を伏せた力を利用しようと企てているのが明らかになり、蓮子の中でシャドウを打ち負かし、親友であるメリーを守ると言う使命感が改めて湧き、またシャドウはヴァンガードを利用して来るのをメリーにした仕打ちで分かっておりヴァンガードファイトの実力を更に付けようと思い始めていた。
「それで、これからお嬢様達はどう過ごす?
あと2日経過しなければ決勝は行われないんだが………」
「そんなの、適当に月の都を回れば良いのよ。
グループ分けして依姫と豊姫のグループで半々に分かれる形で。
こちらに来る前に見せられた規約にもあったからな、『私達が居なければ外に出てはならない』と。
つまり、貴様らの片方さえ居ればグループ分けしても構わないと言う意味だ!」
するとオリオンがレミリア達にこれからの事を聞くと当のレミリアはグループ分けしての月の都巡りを敢行しようとしていた。
それを聞いて依姫が何かを言いたそうにしたが豊姫がそれを制止させ、レミリアの話に乗る。
「確かにそうですわね……なら、グループ分けをするなら今この場で決めて下さいな。
但し、重要区画等の一部には私達が居ても入れないのでお気を付けあれ」
「ふむ………では、私、フラン、咲夜、ブロントさん、美鈴、小悪魔は豊姫と(フランを一人にすると色んな意味で危ないからな……)。
蓮子、メリー、魔理沙、パチュリー、アリス、麟、オリオンは依姫と回る事とする」
「何故にこの人選?」
「私と依姫は反りが合わん「はっ?(威圧)」、咲夜は私の従者、ブロントさんと美鈴はボディガード、フランは姉として一緒に居なければならない(本当に色んな意味で)。
蓮子とメリー、魔理沙とパチュリーとアリスはそれぞれ仲良し、麟はこの面子なら一番とっつきやすい筈、オリオンはブロントさんと同じくボディガードでメンバー内で貴重な男手二人だから分けた」
レミリアの謎人選に蓮子が質問すると納得出来るか微妙な答えが一部混じりつつも割とまともな人選だった事を示され、首を縦に振り成る程と呟いていた。
そして男手と言われたブロントさんとオリオンは十中八九買い物の荷物運びをやらされると理解し、二人揃って苦笑していた。
「……ふむ、割とまともな人選なので異論は無いわね。
依姫も異論は無いわよね?」
「……概ね」
「なら問題無いわ、では月の都巡りを始めますが余り勝手な行動は慎む様に。
幻想郷と月の間で波風を立てれば両者にメリットなど無い筈ですしね」
豊姫と依姫の間でも人選に問題は無いと言う判断が下され、先に豊姫側が出発(徒歩)する。
その間レミリアと依姫は互いに視線で火花を散らしており、レミリア自身の言った通り反りが合わない事は明白であった為レミリアの謎人選は正しかったと蓮子とメリー、魔理沙達はそれぞれ思っていた。
それから数分間待ち、レミリア達が十分離れたと判断した依姫は漸く出発宣言をする。
「では月の都を回りますが、本来貴女達は皆招かれざる客だと言う事を自覚し、礼節無き行動は慎みなさい。
貴女達の行動一つが幻想郷の批評に繋がるのですから自分達の首を絞めたくなければ尚更妙な事は「『バタン‼︎』申し上げます、『稀神サグメ』様が部屋に『探さないで下さい』と言う置き手紙を残して行方を眩ませました‼︎」な、何ですって⁉︎」
すると其処に薄紫に近い青色のショートヘアーと垂れたうさ耳、学生服を思わせるブレザーを着た少女(足がプルプル震えてる)が現れ、その報告を聞いた依姫は驚きの余り声を上げてしまう。
だが蓮子とメリーは何故依姫が此処まで驚くのか分からず魔理沙達にも聞き始める。
「ねえ皆、『稀神サグメ』って誰?」
「稀神サグメは、『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』と言う起きている事象に関わる人物に対してその事象を口にすると、それが逆に進み始める事象干渉能力を持つ、俺が決勝で戦う相手だ」
「へぇ〜、物事が逆転する力を持ってるの………あれ?
決勝で戦う?
て事は今、対戦相手が行方不明?」
それをオリオンが説明するとそのサグメと一応面識があった魔理沙はうむうむと言いながら頷き、しかしメリーがそのオリオンが決勝で戦う相手が行方を眩ませた事を指摘すると場が凍り付き、もしこのまま行けばサグメの不戦敗でオリオンが優勝する事になるが、オリオン本人はそんな結果に納得しない為微妙に汗が流れ、そして報告を聞いた依姫は垂れうさ耳の少女の肩を持ちブンブンと少女の体を揺らしており、少女は既に目が回ってしまっていた。
「あの〜、そんな事してる暇があったら探した方が」
「はっ、そうだった‼︎
えっと………………貴女達を此処に置いたら勝手に何処か行きそうですし、付いて来なさい」
『(信用無いな〜)』
蓮子が依姫にサグメ捜索を指摘すると依姫はたれうさ耳の少女を離し、更に少し考え事をして蓮子達を置いて行く訳にもいかないと判断し、彼女達を連れて行きながら探す事にするが蓮子とメリーは依姫の信用度0な態度に少し苦笑しながらも、此方に来た目的の一つである決勝戦が不戦になるのを絶対阻止したいが為に依姫の後に続いて行った。
しかし、2時間半程月の都を回ったり、依姫が重要区画を玉兎(蓮子とメリーから見てうさ耳少女)達を使って探させたが結局見つからず、依姫は頭を抱えてしまいながら近場のベンチに座り込んでしまう。
「ああ〜サグメ殿………何でこんな時に行方を眩ませたのですか………!」
「あ、あのな依姫さんよ、幾ら行方を眩ませたと言っても大会の決勝があるだろ?
ならその内ひょっこり帰って来るんじゃ」
「………サグメ殿は理由は分からないが、何故か偶に行方を眩ませてしまう時があり、しかも一度行方を眩ませたら最低1週間は姿を見せなくなるのよ。
私が頭を抱える理由は分かったかしら、霧雨魔理沙」
「い、1週間………」
「……明らかに決勝に出ないつもりね……」
そんな依姫に魔理沙は声を掛けるとその口からサグメが行方を眩ませたら最後1週間は絶対姿を見せなくなる事を告げられ、蓮子やメリー、パチュリーやアリスだけでなく対戦相手であるオリオンも反応に困っていた。
「ああ、よりにもよって地上人がエキスパートカップの決勝に上がり、更に私やお姉様並の実力者たるサグメ殿が不戦敗なんて真似をすれば、我々月人の面子は丸潰れなのに………本当に何処に行ってしまわれたのですか………‼︎」
「……どうするのよこれ?」
「……正直月人の面子などどうでも良いが、このまま不戦敗で優勝など紅魔の誇りにも泥を塗り、俺自身も不完全燃焼で紅魔館に戻らねばならん。
もう一度稀神サグメを探すぞ」
「だよね」
しかし、不戦勝で地上に帰る事を良しとしないと宣言したオリオンはその場の全員に対しサグメ捜索を再開するとまで言い、蓮子達もそれに同意し、依姫も抱えた頭を上げ、気を持ち直して再び捜索を開始する。
「………そう言えば、そのサグメって人の特徴は?」
「サグメ殿の特徴……そう言えば慌てて探したものだから言っていなかったわね。
サグメ殿の特徴は銀髪セミショートのハーフアップと紅い瞳、白いジャケットと紫色のシャツとスカート、更に白い翼が右だけ生えてるからパッと見で判別可能よ」
「ふむふむ………銀髪セミショート………白ジャケットと紫シャツ&スカート………右だけ生えた白い翼……………」
その際蓮子が依姫に対しサグメの特徴を聞き、それらが全てパッと見で分かる物だと理解して周りを見渡してみて、その特徴にピッタリ合う人物を探してみると……………何と蓮子の視界にその特徴全てに当て嵌まるスケッチブックとマジックペンを持つ少女が映る。
しかも……………何と、蓮子とメリーを付け回す『シャドウ』が黒いサングラスを掛けながらその少女と相対し、何やら(少女は筆談で)口論をしている様だった。
「宇佐見蓮子、一体どうし………あっ、サグメ殿⁉︎」
「えっ、居たの………って、アイツ………シャドウ⁉︎」
『えっ⁉︎/何⁉︎』
すると全員も蓮子の視界の先を見て、依姫が少女の事をサグメ殿と呼んだ事で少女が稀神サグメと確定。
更に蓮子の見間違いでは無くメリーも口論中の青年を『シャドウ』と呼び、魔理沙達は月では聞く事の無い偽名を聞き驚きその方向を見て、それが『シャドウ』であると確定する。
「あ、あいつ………何で月に居るんだよ⁉︎」
「こ、このパターンは流石に予測してないわ……って、蓮子⁉︎」
全員が驚いている中、突如蓮子がサグメと『シャドウ』の下………否、『シャドウ』に向かって一直線に走り出し、右手には握り拳を作り思い切り力を込めている事が伺えた。
「ちょ、ちょっと、蓮子!!?」
メリーが蓮子の突然の行動を制止しようと叫ぶが時既に遅く、蓮子の走った勢いと体重、更に右手に込めた力を全て乗せた全力の右パンチが『シャドウ』の意識外から放たれ、その顔面を捉えていた………。
蓮子が『シャドウ』に向かって走るほんの少し前、『シャドウ』は地上のヴァンガードファイト普及協会の本部職員として普及協会会長と共にエキスパートカップ決勝を観戦すると共に月と幻想郷の(上部だけの)連盟設立会議の為に月に招かれ、その日のみ自由行動を許され月の都を黒いサングラスを掛けながら回り、怪しい人物と間違われて捕縛され、普及協会本部職員の会員証を見せて漸く解放されたり、迷子となっていた子供を親の下に送り届けたり、クレープの食べ歩きをしたり、ヴァンガードファイトを始めようとしていた月人にどんなクランが合うか軽く診断しそのクランを極める様にアドバイスをしたりする中、エキスパートカップ決勝に出る筈の稀神サグメが行方を眩ませた事を偶然にも通り掛かった玉兎数名の会話を聞き、折角見に来たエキスパートカップ決勝が台無しになるのと月側の面子を立てる為に探し始めていた所だった。
「全く………栄えある大会の決勝前に姿を眩ませるとは、一ヴァンガードファイターとしての、月代表としての自覚は無いのか…………さて、稀神サグメは確か右だけ翼が生えているのが最大の特徴だった筈、何処にいるやら…………?」
『シャドウ』はそんな事を愚痴りながらもサグメの捜索を開始し、周りを見渡しながら歩きサグメの特徴に合う少女を探していた…………そんな時、周りをキョロキョロしながらスニーキングミッションの如くコソコソと動く右側のみに白い翼が生えたスケッチブックとマジックペンを持つ少女………稀神サグメが其処に居り、玉兎や月人の視界に上手く入らない様に動いていた。
それを見た『シャドウ』は溜め息を吐きながら近付き、サグメに声を掛ける。
「………おい」
「〜〜〜〜〜っ⁉︎」
いきなり声を掛けられ驚いたのか、サグメはバッとスケッチブックとマジックペンを落としながら後ろを振り返り(その時直ぐにスケッチブックとマジックペンを拾い上げる)、見知らぬ目の前の人物に困惑しながらスケッチブックに何かを書き見せていた。
「『なっ、見つかった⁉︎
私は能力を使って月人と玉兎には見つからない様に逆転した筈なのに何故………って、貴様地上人か⁉︎』」
「………ああ、地上人だ。
どうやら確かに月人には見つからない様に事態は逆転したが、逆に地上人には見つかる様になったらしいな。
普段ならば月人と玉兎しか居ないから見つからないと高を括ったが、俺と言うイレギュラーが月に居た所為で意味が無くなっていたな」
するとサグメは今の状況をペンに書きながら筆談し始めた様で、それに『シャドウ』が受け答えた上で皮肉を口にし、呆れたと言わんばかりの乾いた笑顔を見せていた。
「それより稀神サグメ、何故こんな場所でコソコソしている?
貴様は2日後に行われるエキスパートカップ決勝に出る筈だ。
なのにこうやって無駄に時間を浪費し、雲隠れする気か?」
「『エキスパートカップ決勝………成る程、下賤な地上人が何故月に居るのか疑問に思ったが、貴様は幻想郷のヴァンガード普及協会本部職員だな?
ふん、何故私がこんな場所に居て時間を消費してるかだと?
知れた事よ、エキスパートカップ決勝が下賤なる地上人、しかも一度月に来て依姫殿にあっさり敗北したあの吸血鬼の執事だと言うではないか。
実力的に見ても吸血鬼以下の執事が此処まで勝ち上がり、しかも依姫殿のみならず豊姫殿にまでマグレ勝ちをして決勝に上がって来た者と私が戦うなど、蟻が隕石に立ち向かうのと同義。
余りの実力差に惨めに敗北し紅魔の誇りとやらが傷付かぬ様私は気を使っているのだ。
それすら分からんとは矢張り地上人はただ無謀に戦いすら勝てると思いがる野蛮人であるな』」
『シャドウ』の問いに対しサグメはそう答えて来て、如何にも月人らしい返答だと感じたと同時に呆れて物が言えず、更に『シャドウ』は途中から怒りが身体の奥から込み上げて来ており、その感情を今目の前に居る月人に何の躊躇も無く打つける事を今決めてしまう。
「………紅魔の誇りに傷が付かぬ様?
蟻が隕石に立ち向かう?
……成る程な、貴様はオリオンに敗北し無様な姿を晒すのが怖いのか」
「『………何だと?』」
「何故そう言われたか分からんか?
なら教えてやる、オリオンの紅魔の誇りは敗北した程度では傷付いたり泥を塗られたりはせず、全力同士で戦いその中で敗北したなら奴やレミリア・スカーレット達は実力差を納得した上で敗北を認めるだろう。
寧ろ貴様の今する事こそが紅魔の誇りを侮辱する行為だ。
貴様………案外それを分かりながらもこの場所に居るだろう?
ならその答えは自ずと分かる。
そう、貴様はただ地上人に敗北する事を恐れ、及び腰になって逃げ回っているだけだとな」
「『違う、そうではない‼︎』「違わない‼︎」っ‼︎」
そしてサグメのスケッチブックの返答を途中から見ずに自分が今言う事全てが真実だと言わんばかりに強く威圧し始め、同時にサグメの事を睨みつけ更に言葉を荒らげる。
「何故なら月人は自分達に対し絶対的な自信と誇りを持つ‼︎
穢れた下賤なる地上人なんかよりもずっと上位に立ち、地上人如きには敗北などしないと言うな‼︎
だが、今回はエキスパートカップに突如として地上人のオリオンが乱入し、遂には本選にまで勝ち上がり綿月姉妹すら破り決勝まで勝ち上がってしまった‼︎
そんなイレギュラーな事態が続き、残った月人は自分一人となりこれに敗北すれば月人の絶対的な誇りをは地に堕ちてしまう、そんな圧倒的な重圧と月人の威信を賭けた戦いの場に赴く事が敗北の恐怖を増大させ余計に時間を浪費し、逃げ回っているに過ぎん‼︎」
「『貴様………下賤なる地上人が我ら月人の何が分かる⁉︎』」
「違うとまだ言いたいか、ならば決勝でオリオンを、『ドラゴニック・オーバーロード』の先導者を打ち負かしてみろ‼︎
貴様が持つそのデッキ………綿月豊姫も使うクレイの侵略者であり、『救世主』の力により一部は侵略の力を失い、クレイの生命として転生しつつも未だクレイを狙いし者絶えぬクラン〈リンクジョーカー〉、その中でも反転の力を取り込んだ黙示録の炎の最大の天敵であり、反転せし者達を操る終末兵器『
「『………グレンディオスや〈リンクジョーカー〉の現状を其処まで事細かく知っているだと?
まさか貴様は………』」
『シャドウ』はサグメに対し痛烈な言葉を浴びせつつも、最後にはサグメのデッキ内容やクランの話も交えつつオリオンを正面から打ち負かせと誘導し始める。
そう、『シャドウ』はサグメの態度に怒りを覚え完全に言葉選びを放棄しつつも、彼女を焚き付けてエキスパートカップ決勝に出させようとしていたのだ。
決勝の観戦をする為で無くサグメに月側代表としての面子や絶対的な誇りを保つ為にだ。
無論自分がやってる事はただ文句を言うだけの愚か者と自覚しており、怒り任せに言ってるだけに過ぎないとも分かっており、問題行動で処罰を受ける事が確定したと考えていた。
一方のサグメは散々言われっぱなしで頭に来ており、自分がエキスパートカップ決勝から離れようとした理由を勝手に解釈された事を腹を立て、『シャドウ』の思惑通り決勝に向かう事を考え出していたが、〈リンクジョーカー〉の話が出た途端目の前の礼節を弁えない地上人の怒りがふと感情の奥深くへと仕舞い込まれ、とある考えが脳裏を過ぎり別の感情が芽生え始めていた。
そんな中…………何かが全力で走って来る足音が二人の耳に届く。
「……何だ『ドガァッ‼︎』ッ!!」
「(えっ、な、何なの⁉︎)」
『シャドウ』の左頬に全力全開の右ストレートが叩き込まれ、掛けていた黒いサングラスが地面に転がり『シャドウ』の青い瞳が露わになる。
そして今正に『シャドウ』を全力で殴った人物とは、依姫達と共にサグメを探し、ついさっきまで現場付近で周りを見渡していた宇佐見蓮子その人だった。
えーサグメ様ファンの方、ごめんなさい。
『シャドウ』の発言は全部彼女がエキスパートカップ決勝を出ないから焚き付けて出させようとした結果あんな風になりました。
自分としてはサグメ様大好きです、いや、東方のキャラや有頂天キャラとかは大好きです(ミストさんは微妙)。
後、サグメ様の能力に関しては独自解釈で「自分が行方を眩ませたら月人と玉兎が自分を探す事を理解しその場に来た月人と玉兎に言及したから自分は月人と玉兎に見つからない(でも地上人には見つかる)」と考えましたが、これで正しいのでしょうか?
事実サグメ様を発見したのは地上人の蓮子と『シャドウ』でしたが……。
因みに置き手紙は予め自室に置いておいた感じです。
次回は事前予告としてファイト回になります。
こんな作品と作者ですが、どうぞよろしくお願いします。
PS:一部誤字発見しました、作者はセプク案件によりZAPられ刑に処されました。
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第28話「〈リンクジョーカー〉」
不肖この’’蒼龍’’、ごく自然な流れのファイトを目指して今日も頑張っていますが、まだまだ架空ファイト作者としては底辺の為その境地には達していませんが、これからも架空ファイト作者としてのレベルアッポを目指して頑張って行きます。
では、本編へどうぞ。
PS:一部ユニットの名前が見辛い為此処に補足として説明します。
『
蓮子は『シャドウ』に全力の右ストレートを放ち、それが顔面を捉えて綺麗に決まり、黒いサングラスが地面に勢い良く吹き飛び青い瞳が露わになり互いに視線を合わせ、此処で『シャドウ』は蓮子を認識する。
「宇佐見蓮子………何故貴様が此処に『パシッ!』それから、1発以外は決めさせないと決めている、殴るだけ無駄だ」
「チッ、こいつ………やっぱりかなり出来る!
今のストレートだってアンタみたいなヒョロっちい低身長な奴が受けたら意識を持ってく威力なのに!」
『シャドウ』の問いに次のパンチで返す蓮子だが、それをあっさり止められた上自慢の全力ストレートで意識を刈り取れなかった事で改めて『シャドウ』は逸般人だと理解し、少しだけ距離を置く。
「宇佐見蓮子、何故いきなり人に殴り掛かったのですか!
月では勝手な行動を慎みなさいとあれほど私は言いましたよね!」
「ええ言いましたよ、でも私とメリーにちょっかい掛けて来るアイツの顔見たらブン殴ってやるって決めてたんですよ‼︎」
「………(彼が宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンに接触する男……)しかし、幾ら理由があろうとこれ以上の揉め事を起こす様なら此方も考えがありますよ‼︎」
其処に依姫達も直ぐに来て、蓮子にこれ以上のいざこざを起こさせない様に警告を放ちつつ、蓮子と『シャドウ』の間に割って入り庇える位置に陣取る。
するとその直ぐ後ろにメリー、魔理沙、パチュリー、アリス、麟、そしてオリオンが来て『シャドウ』と相対する。
「くっ、『シャドウ』!」
「………よう、絶縁されてから一度も会っていなかったからもう2年位経ったな……!」
「魔理沙や蓮子達から話は聞いていたけど………」
「やっぱり、アンタだったのね……‼︎」
「何故、蓮子さん達に酷い仕打ちを……!」
「……自分の分身を捨て、宇佐見蓮子にそれを与えたらしいな………それも、宇佐見蓮子の中に眠る『先導者の力』を目覚めさせようとしてな…………何が目的か知らんが、これ以上の愚行はかつての………有り体に言えばライバルだった俺が許さん………‼︎」
「……マエリベリー・ハーンにパチュリーにアリス、麟、そしてオリオンと………成る程、大方エキスパートカップ決勝のサプライズ応援に来たと言った所か…………この様子では宇佐見蓮子もマエリベリー・ハーンもちゃんと成長し切れてないな、ふん………」
それぞれが『シャドウ』に対し物申している中、当の本人は全員を一瞥した上で蓮子とメリーがまだ自らの中では成長途中だと判断した発言をして、振り向いてサングラスを拾い、テンプルなどが破損していない事を確認してその場を去ろうとしていた。
「ま、待ちなさいよアンタ‼︎
今日はブン殴るだけじゃないわ、此処でアンタの目的を洗いざらい吐かせてやるわ‼︎
幻想郷のアンティルールで私とファイトしなさい‼︎」
「だから宇佐見蓮子、これ以上の揉め事は「綿月依姫、別に良い」………何?」
「これ以上の揉め事を起こさない様にするなら手っ取り早くアンティファイトをして俺が勝てば良い。
それと、宇佐見蓮子にも一度力の差と言う物を教えてやろうと思っていた所だ。
俺から出す条件は『この場に居る者とオリオンの応援に来た全員エキスパートカップ中は俺に関わるな』だ。
これなら揉め事は起きずに済むし、今やるのはただのヴァンガードファイトの一つだ、問題は無い筈だ」
それを蓮子が制止して、依姫の様子からこれ以上のグーパンはこの場では出来ないと判断し、魔理沙達から聞いたアンティルール有りのヴァンガードファイトを『シャドウ』に申し込み彼の目的全てを吐かせようとする。
それを依姫は咎めようとした所で『シャドウ』が黒いカードケースからデッキを取り出し、近くのテーブルとファイカのファイトテーブル機能を使い、デジタルテーブルマットを形成する。
それを見た蓮子もファイカからデッキを取り出し、此方もファイトテーブル機能を使いFVを置き、デッキをシャッフルし始めた。
「なっ、だから揉め事は「やらせてやってくれ」オリオン、何を」
「頼む」
依姫が二人の行動を止めようとした所でオリオンが二言やらせる様に進言し、魔理沙やパチュリー、メリーや麟も無言で依姫を見て真剣な眼差しで頼み込んでいた。
因みにこの間サグメはその場を去ろうとしていたがアリスに回り込まれて逃げられなくなり、黙ってファイトを見ることにしていた。
「………一回、一回だけなら見逃します。
後はもう駄目です」
「一回あれば良い」
魔理沙達やオリオンの頼みやただファイトをするだけと言う言葉、更にどの道この場でこのアンティでやらせなければ更に揉め事が大きくなり、月の上層部と幻想郷が表面上とは言えヴァンガードファイトの連盟を築き上げる予定であるのにその前に関係が冷え切りかねないと判断し、二人にファイトをさせるのを了承してそれを見守る事とした。
『スタンドアップ・『THE・』ヴァンガード‼︎』
「『先陣の
「『
蓮子と『シャドウ』のファイトが始まり、イメージ世界が広がる。
蓮子が降り立った場所はクレイの月明かりの無い夜の渓谷で、其処でファイルに憑依するが、対して『シャドウ』は髑髏を思わせる不気味なユニットに憑依し、更にクランも完全初見な物であり、その上そのユニットからは何処か邪悪な気配を感じていた。
「な、何………このクランとユニット……⁉︎」
「そうか、お前はまだこのクランと戦っていないか。
なら教えてやる、これが俺が操るクランであり、クレイに動乱を齎せし邪悪の権化にして二つの世界に呪いの力を振り撒いた者達……その名は、〈リンクジョーカー〉だ‼︎
ライド、『
ヰゴールは先駆でヴァンガードの後ろに移動!」
ヱッダ:P8000、C1
蓮子が
そして同じく観戦中の魔理沙達は、『シャドウ』が〈リンクジョーカー〉を使った事に驚愕している。
「なっ、〈リンクジョーカー〉ですって⁉︎」
「そんな……『ブラスター・ブレード』だけじゃなく〈ロイヤルパラディン〉まで捨て去って、あのクランを⁉︎」
「……〈リンクジョーカー〉……!」
「何でだよ………何でお前が侵略者を使ってんだよ………お前は先導者だった筈だろ、なのに何でだよ‼︎」
「魔理沙………」
そしてこの間にサグメは逃げられないと判断を下し、何が起きてるのか依姫に事情を説明して貰い、依姫が得ていた情報を受け取りつつそのファイトを見ていた。
「(『
その目的は侵略では無く名が示す通り全生命の根絶………しかし、アレも今やオリジナルカードでさえ目的を果たせる力をほぼ失っている。
そしてそんな〈リンクジョーカー〉の現状をまるで全て知る様に振る舞った彼………恐らくあのデッキでさえ2軍扱い、なら1軍は……)」
「ライド、『小さな賢者 マロン』!
ファイルは左後ろに移動してその前列に『誠実の
侵略者だが何だか知らないけど関係無い、絶対倒す‼︎
マロンでアタック、ドライブチェック!『ブラスター・ブレード』
ファイルのブースト、シンリックでアタック!「ダメージチェック『
1枚でもダメージ与えればまだマシ、ターンエンド!」
サグメが考察する中で第2ターンが始まり、蓮子が攻勢に出るもヒールトリガーに阻まれ1枚のダメージを与えるのみに止まる。
しかし、蓮子はこれをポジティブに考えて1枚与えれば十分して『シャドウ』の出方を伺う。
「ドロー、ライド、『
更に『
ガタリヲでヴァンガードをアタックしスキル、『
更にギヲでヴァンガードにアタック、ドライブチェック『
ガタリヲでアタック「『必殺の
「危なっ、後少しでいきなり4枚のダメージが入る所だった……スタンド&ドロー!
立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』‼︎」
第3、第4ターンと淡々と進み蓮子が3枚のダメージを受けた中、第2ターンのドライブチェックで引かれた蓮子の分身でこのデッキに1枚ピン刺しで入れてあり、かつては目の前の相手の分身であったとされるユニット、『ブラスター・ブレード』がヴァンガードに立ち、それを見た『シャドウ』の目が一瞬だけ細くなり目の前のヴァンガードのユニットを気にしている様子が蓮子の目に映る。
「………やっぱりこれ、アンタの分身だったのね。
なのに何でこんな凄く大事で、主人思いなユニットを捨てて私に渡したのよ‼︎
スキル発動、
コール、『スターライト・ヴァイオリニスト』!
スキル発動、
更に『湖の巫女 リアン』をブラスター・ブレードの後列にコールしてスキル発動、レストして手札1枚をドロップ、1枚ドロー!
ベディヴィアでガタリヲをアタックしてスキル発動、『ブラスター』のヴァンガードが居るならパワー+3000!「ノーガード、退却」
ブラスター・ブレードでアタック、ドライブチェック!『
ヒールトリガー、ダメージを回復してブラスター・ブレードにパワーをプラス!
更にファイルのブースト、ヴァイオリニストでアタック‼︎「ダメージチェック『
ターンエンド!(良し、こっちのダメージは回復したしダメージ3枚目を与えた、これなら!)」
このターンで相手リアガード2体を退却し、更にダメージ回復と3枚目のダメージを与える事に成功した蓮子は小さくガッツポーズをしてこの調子で行けば勝てると計算していた。
また、リアンやヒールトリガーのお陰でドロップゾーンも3枚になり、次のターンでガードするかまたリアンのスキルを使えば
それを観戦していたメリーや魔理沙達もこれなら行ける、そう考えていた。
しかし………依姫とサグメ、更にオリオンはそんな甘い考えは持っておらず、そもそも『
「ファイトにはその人間の全てが現れる………成る程、持ち前の引きの良さを生かした一部ハイランダー仕様とそれらを活かした意外性のあるデッキと、怒り任せと思わせて堅実な展開をする………確かに最初の副部長とは違い、自分の持ち味をデッキに反映させ成長してるか………だが、まだまだだな」
「なぬ⁉︎」
「この程度の成長では俺には絶対に勝てない………ファイナルターン!」
『ファイナルターン⁉︎』
蓮子のファイトを見た『シャドウ』は彼女の確かな成長と、彼女の持ち物に忍ばせたデッキが自分が組んだ物と比べて改造されている事を十全に理解しファイト展開その物も何をどうすれば良いのかを判断していると感じた事を呟くが、次にはまだ勝てないと言う言葉を放ち、更にはファイナルターン宣言まで行い、蓮子や観戦中の魔理沙達を驚かせ、月人二人とオリオンは予測通りと言った反応を示した。
「ドロー!
仇なす愚者の魂を消去せよ。
ライド、『
コール、『
スキル発動、
更にヲクシズのスキル発動‼︎
そしてパワー+10000‼︎」
「えっ、デリートって………うわっ⁉︎」
『シャドウ』は禍々しいグレード3のユニット、ヲクシズと言う他者を全て蹂躙するかの如き威圧感を放つ者にライドした後、コストを払い『デリート』と呼ばれるスキルを発動し、その瞬間蓮子や全員のイメージ世界で蓮子がライドしたブラスター・ブレードが謎の瘴気の塊に包まれ、その瘴気の中で蓮子の憑依が解けて鎧と兜が砕け散り、蓮子の顔がはっきりと露わになり、現実でも蓮子のヴァンガードが裏向きになってしまっていた。
「な、何なの、今のイメージ………ヴァンガードの憑依が……解けて、現実でもヴァンガードが………⁉︎」
「これが俺のデッキ、『
デリートを受けたヴァンガードは裏向きになりパワーとテキストスキルを失い、コントロールプレイヤーのターンエンド時かライド、及び
無論パワーを失ったと言う事は、パワー10000のアタックにも手札を2枚確実に使う事になり、ブースト5000程度ではアタックがヒットしなくなる。
さあ、まだまだ行くぞ。
ヰゴールのスキル、デリート時にソウルに移動し裏向きのダメージを1枚表向きにし、1枚ドロー!
更に『
そして『
呪いの力により縛られよ、ベディヴィア‼︎」
蓮子:布陣
ヴァイオリニスト
ファイル リアン R
【●】:
『シャドウ』:布陣
ゲヰール ヲクシズ R
R ガノヱク ヱディ
『シャドウ』はデリートの説明を行いつつドローとコールを繰り返し、更にゲヰールのスキルで
「………そう言えば、
〈リンクジョーカー〉の特性、今分かったよ。
相手のリアガードをひたすら縛ってこっちの行動を阻害する妨害系クラン、そして『
「流石に直感型なだけあってこの手の物の理解力は高いか………コール、『
これで終わりだ、グヰムのブースト、ゲヰールでアタック‼︎「ダメージチェック‼︎『
グヰムのスキル、このユニットがブーストしたアタックが相手ヴァンガードにヒットし、デリートされていれば相手前列のリアガードを
ヴァイオリニストよ、呪いの力に縛られよ‼︎
そして合計パワー26000のヲクシズでアタック、ガードには最低30000が必要だ‼︎「んなもん今あるわけ無いでしょ、完全ガード‼︎」
ツインドライブ!『
クリティカルトリガーダブル、効果は全てヱゴットに付与‼︎
ヱディのブースト、クリティカル3のヱゴットでヴァンガードにアタック‼︎
ヱゴットはガタリヲと同じ条件でパワー+3000、合計パワー26000、これを今の貴様が防ぎ切れるか⁉︎」
「うぐっ…………ダ、ダメージチェック………‼︎『
ブ、ブラスター・ブレードが最後のダメージに…………私の、負けよ…………‼︎」
蓮子は両サイド前列のリアガードを
「嘘………蓮子まで………最初と比べてもかなり成長した筈の蓮子まであっさり………」
「………腐っても『先導者の力』を持つ者、と言った所かしらね?」
「(扱いの難しい『
となれば矢張り、彼の1軍デッキとは………)」
「………」
メリーや魔理沙達もこのあっさりとし過ぎた敗北に目を疑い、特にメリーに至っては信じられず目を見開いてしまって首を静かに横に振ってしまっており、今にも泣きそうな表情をしていた。
一方のサグメは『シャドウ』のファイトを見て〈リンクジョーカー〉の動きや特性を熟知『し過ぎている』事を看破し、其処から『シャドウ』と言う青年の1軍デッキを考察………否、解答へと思考を導いており、その視線は警戒と言うよりも寧ろ同情に近い感情を抱き、しかし険しい表情を一切崩してはいなかった。
その間に『シャドウ』はデッキを仕舞い、その場から去ろうと振り向いていた。
「………待てよ、待てよ‼︎
私の事をちゃんと見ろよ、b「俺に!」っ………」
「俺に関わるな、それがアンティだ」
魔理沙が声を掛け引き止めようとするも、それを声を一瞬荒らげて遮り、更にアンティを引き合いに出しその場から歩いて去り始めた。
その際魔理沙は涙を目尻に浮かばせ、帽子を深く一瞬被りながらその後ろ姿から目を離さなかった。
「待ちなさい」
「最後に少し言っておくわ」
するとアリスとパチュリーが『シャドウ』に対して声を掛け、それを一応聞いておくと言った感じで立ち止まり、しかし魔理沙の側に来た二人には一切振り向かずに黙っている。
「蓮子やメリーにちょっかいを掛けまくるし色々問題行動が多いけど、昔の友人として警告しておくわ。
二人に害を及ぼす行為………具体的には二人を傷付けたりするなら私達は貴方を許さないわ」
「それとこれ以上、魔理沙を泣かせる様なら………」
『アンタを殺すわよ……』
「……………」
アリスとパチュリー、麟やオリオンが知る中でも本気でキレる事が滅多に無く更に殺すなどの言葉も使わない二人が『シャドウ』に対して本気の殺気を向け、その背中をハイライトが消えた瞳で完全に睨み付けて魔理沙を泣かせるなと最終警告を発し、魔道書と人形を取り出して今にも攻撃しそうになっており、依姫とサグメ、オリオンと言った比較的冷静な者が間に割って入り、『シャドウ』へ攻撃が行かない様にする。
そして『シャドウ』はそのまま立ち去り、一触即発となったその場に人の声すら聞こえない静寂が訪れ、やっとピリピリした空気が微妙に消えた為動ける様になったメリーが、敗北した蓮子の側に近付き様子を伺うと……蓮子は涙を流してはいないが、右手に握り拳を作り上げ、悔しさに表情が険しくなり負けた状態の自分の布陣をただただ見つめていた………。
はい、『シャドウ』のクランは〈リンクジョーカー〉と相成りました。
そして『シャドウ』は二つデッキを持っており、もう一つのデッキをお披露目するのは別の機会に。
また、魔理沙の悪友(親友とも言う)としての立場からアリスとパチュリーがガチでキレてしまいました……うん、自分で書いていて何ですが、『シャドウ』はヘイト稼ぎすぎでいつか後ろから刺さr(自主規制)
次回もよろしくお願いします。
PS:脱字を発見した為修正しました。
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第29話「考察と秘密」
今回は会話パートで珍しくサブタイにネタバレ要素が少なくなってます。
そしてあるキャラがキャラ崩壊を起こしますが、悪条件が見事に重なり過ぎたと思って下さい。
では、本編へどうぞ。
『シャドウ』と蓮子のファイト後、蓮子はデッキを回収して一旦状況整理の為に宿泊所へと戻り、稀神サグメも一緒に(逃げない様に)連れて行くと先に豊姫側が戻って来ていたらしくフランが豊姫にファイトを挑み負けてしまっていたらしい。
「あぁ〜も〜う、彼処で『
「ふふ、世の中全てが上手く行くとは限らないのよフランちゃん。
さて次は……あら、依姫。
先に戻ってたわよ」
「ああお姉様………え〜と、ちょっと話があるので全員で丸テーブルを囲んで貰いますか?」
『?』
豊姫が依姫達の帰宿を確認し声を掛けると依姫は豊姫組全員に丸テーブルを囲む様に提案。
それに何か嫌な空気を感じたのかブロントさんが至極真面目な表情を浮かべて率先してテーブルの椅子に座り、他の全員も座り(サグメを含めた月人3人は上座)、メリーや依姫が自分達の方で何があったのか話し始め、それを聞いていた豊姫組の全員が表情を険しくし出し、特にブロントさんの怒りの表情が前面に出ておりかなり頭に血が上り出している事が伺えていた。
「………そう、サグメ殿がちょっと行方を眩ませたのを皮切りにそんなトラブルがね………」
「申し訳ありませんお姉様、私の監督不十分が招いた」
「いいえ、依姫の責任では無いしサグメ殿の責任でも無い、かと言ってトラブルを引き起こした宇佐見蓮子が、と言う訳でも無い。
今回のトラブルは起こるべくして起きた必然的事象と私は判明します、なので余り気に病む必要は無いわ。
宇佐見蓮子も同様に」
これらを聞き豊姫は依姫や『シャドウ』を出会い頭に全力右ストレートで殴った蓮子には責任は無く起こるべくして起きたと言い、特に誰を咎める事無く話を円滑に進ませようとする。
するとブロントさんが丸テーブルを力強く叩き、全員が驚いてそれを見てしまう。
「ちくしょう…………幾ら心が広大で表情豊かでぜいいんの中心人物のナイトでももうダメアイツの俺の一級の廃の友でアイツの幼馴染だった魔理沙を泣かして蓮子達に対しても舐めた真似を取っている事で俺の怒りが有頂天になった‼︎
この怒りはしばらくおさまる事を知らない‼︎」
「落ち着きなさいブロントさん、幾ら貴方が怒った所で今回はアンティでエキスパートカップ終了まで手出し不可能だ。
アンティに逆らえば如何なる結末を迎えるか知っているだろう?」
「ぐっ………ちくしょう………チクショー‼︎」
ブロントさんの怒りが爆発してオーラが目に見えそうになる状態となったがレミリアがアンティの件を指摘しそれを諌め、ブロントさんは手が出せない事に怒りの叫び声を上げ、宿泊所全体と綿月姉妹の屋敷に木霊する。
「くっ、私がその場にいれば時を止めて捕縛し、アンティファイトでも……」
「恐らく無理ですよ。
咲夜さんや蓮子に引いては私、パチュリー様、小悪魔さんに妹様は聞く限り『
ヴァンガードがデリートされればパワーだけでなく
それに彼の実力は私達は良く知ってる筈………悔しいですが勝つにはお嬢様やメリー達の
後は
「………うがぁぁぁぁぁ悔しい〜‼︎
あの場で勝ててたらアイツの目的を洗いざらい吐かせてついでにボコボコに出来たのにぃ〜‼︎
次アンティ外で会ったら負かせてやる〜‼︎」
咲夜が自分ならばと口にするが、美鈴が的確に自分達や蓮子の
一方の蓮子は悔しさの余り声を荒らげ、頭を掻き毟りながら顔を上げ、しかしどうも其処まで深く引きずっている様子は無く寧ろリベンジに燃えていると言った印象だった。
このポジティブさを見てメリーは、シャドウに惨敗して泣き付いた自分と違いやっぱりサバサバしてるなと感じ、またそれが少しだけ羨ましいと思っていた。
「『……ふむ、では今話に出てる彼について私が感じた事を話して構わないか?』」
「サグメ殿?
……ええ、どうぞ」
するとその場でサグメがスケッチブックに字を書き、筆談で何かを言おうとしており、豊姫はそれにOKを出し、他の全員もサグメのスケッチブックに視線を集中し出す。
「『うむ、私は彼の言動や私が使うデッキ、それから〈リンクジョーカー〉に余りにも精通し過ぎていると感じ、其処から予想した事ではあるのだが………恐らく、彼の『
「な、何だと⁉︎
おい稀神サグメ、それは一体どう言う事だ‼︎」
「レミリア・スカーレット、サグメ殿に「はい依姫ストップ〜」うぐっ……」
サグメが突然スケッチブックに『シャドウ』が蓮子に使ったデッキが2軍だと言う予想が書かれた事でレミリアは声を荒らげてしまい、依姫がそれを諌めようとして逆に豊姫にストップを掛けられ、黙ってそれを見ているだけとなる。
「『と言ってもあくまで私の予想ではある。
先ず彼と私は初対面であり、デッキの中身も知らない筈だ。
にも関わらず私のデッキを『
「………いや、それだけではアイツのデッキが2軍だと思うにはちょと僅かに押しが足りないと言う意見。
何故ならば、〈リンクジョーカー〉が侵略の力を失ったのは『シード』と呼ばれる〈リンクジョーカー〉に勝利した者に憑依し、その者を更に強い新たな〈リンクジョーカー〉にする恐るべき物質であり、奴らの力その物と呼べる物をバラバラに引き裂かれて幻想郷、果ては月に居た全ファイターや外の世界に居るであろう未来のファイターにその欠片が分散した事が原因の筈。
俺達はその当事者だったから良く覚えている、たがらこそ稀神サグメ、お前が言う根拠に説得力が欠けているんだが?」
サグメの筆談内容を見たやっと頭を冷やしたブロントさんが答え出し、〈リンクジョーカー〉が侵略の力を失った原因を知る者としてサグメの根拠を説得力が欠けていると指摘する。
これには当時関わっていた魔理沙、レミリア、オリオンがそれに頷き、ブロントさんの言う事が正しいとする。
するとサグメはその答えを予想していたと言わんばかりに次のページに文字を書き、見せてくる。
「『確かに地球側で『シード』が砕かれた事もまた〈リンクジョーカー〉が侵略の力を失った原因の一つだ。
だが君達は知らない、クレイ側と地球側で密かに起きた事件とその顛末を。
それこそが〈リンクジョーカー〉が侵略の力を失った最大の原因だと』」
「………何?」
その内容とはブロントさん達が知らない事件の事であり、それこそが〈リンクジョーカー〉が力を失う最大の原因とまで言い、それを見た魔理沙とオリオンは勢い良く椅子から立ち上がり、その際に椅子が倒れてしまう。
「……何故お前が幻想郷の上層部、管理者や薬師に守矢の二柱、そして当時の被害者でもあった閻魔や、関わった俺や魔理沙、博麗の巫女と………アイツしか知り得ない事を⁉︎」
「『月はクレイと関わり深くなり始めた幻想郷を気にしていると言う事だ。
最も、私達は閻魔以外に誰が関わっていたかは知らなかった。
上手く情報が秘匿されてた為な。
そして君が今、誰が関わっていたか話してくれた』」
「っ⁉︎」
オリオンの問いに筆談で答え冷静な表情で会話を進めるサグメ。
しかし、〈リンクジョーカー〉の事やそれらが原因で起きた事件を蓮子とメリーは知らない為首を傾げている。
しかし、それらは今に繋がる事件ではあったと言う認識だけは何とか関わりが全く無い二人にも理解出来ていた。
「『そう、〈リンクジョーカー〉が力を失う最大の原因とは『
その力を振るう事で一部を除く〈リンクジョーカー〉が力を失い今に至るのだと…』」
「………ああ、そうだ、しかし、それらが何故奴の持っていた『
そしてサグメはその事件の内容を簡素に言い、オリオンはそれを肯定し魔理沙も無言でサグメを見つめるがそれらが何故『
「『……実はもう一つ理由がある、まだ誰にも言っていない事が。
私も君の様に『先導者の力』を使え、ある時惑星クレイに意識がシンクロした際に見たのだ………何人たりとも侵入した事が無い穢れ無き聖地で一部の〈リンクジョーカー〉がクレイの生命として転生し、更にそれらを見守る存在を。
そしてそれは私にこう話した、『二つの世界を救いし我が見守りし者を頼む』、この一言を………そして彼からはその存在に似た気配が感じられた。
更にクレイの一生命へ転生した〈リンクジョーカー〉の気配すら感じた。
これが私が感じ、『
まあ、この予想は外れてくれてたらややこしく無くて済むがな』」
サグメのスケッチブックに書かれた文字を全て見終わり、その場に居た全員は沈黙し場の空気が重くなる。
もしかしたら『
「ぬ、ぬっふっふっふっふ………上等じゃないのよ、アイツがそんな切り札みたいな物を隠し持ってるならそれを出させて、文句の付けようが無い位に倒してやれば良いのよ!
でしょメリー?」
「蓮子………そう、かもね。
ううん、絶対そう!」
蓮子は空元気とは違う心の其処からの元気を出し、若干実力が不透明に不透明になりつつある『シャドウ』に勝てるか不安を抱き始めたメリーを励まし、メリーも蓮子のポジティブ振りに感化されて笑顔になり、二人は互いの心の内で何処までも強くなろうと誓い合って手を重ねていた。
自分達を狙う謎多き青年に負けない、必ず勝つ為に。
「……ふむ、まだまだ初心者マークが抜けてにい二人に追い抜かれない様にナイトは今の地位にしがみ付くよりも実力を昇華させるべきだろうと思った感。
アイツにも一撃を入れる為にも必要ひ可決ならば尚更な」
「私達も、ですね。
帰ったら早速ショップへ……」
そんな二人を見ていたブロントさん、麟も感化され更なる実力向上を図ろうとし、月の都から幻想郷へ帰った後は早速ショップにより新しいカードの購入などしてデッキの改造をすると決める。
美鈴達も見守る役として、咲夜やアリスもブロントさん達と同様の事を思っていた。
「(今回の一件はこの者達の成長を促す結果になるか………特に宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、彼女達とは帰る前に…………そう言えば、何か忘れている様な……あ)ああ、そうだ!
サグメ殿、今日は何故行方を眩ませたのですか!
地上人が今回居なければ、決勝までに見つかっていたか怪しいですよ!
一体何故なんですか!」
これらを見ていた依姫は蓮子とメリーに対し思う所があり、彼女達が幻想郷へと帰る前に……そう思っていた所でサグメが今日行方を一時眩ませた事を思い出し、幾ら豊姫が非はないとは言えど今回の一件が間接的にトラブルに繋がってる為、立場上それを追及する必要がある為サグメに問い質す。
するとサグメは慌ててスケッチブックに文字を書き出す。
「『あ、ああ………それは………』」
「と言うよりサグメ殿、貴女確か『普段話す分には能力が暴発する怖れは少ないから、口数が少なくても話せる』って前に言ってたじゃないですか?
なのに何故今更筆談を?」
「『だ、だからこれは』」
「ああそれは………えい♪」
すると依姫はサグメが何故筆談でコミュニケーションを取っているかの理由まで問い質し、それに対応する為にもサグメは急いでスケッチブックに字を書いていると、豊姫がいきなりスケッチブックを没取してしまう。
それに慌ててサグメはスケッチブックを取り返そうと躍起になり、まるで親にオモチャを取り上げられた子供の構図になっていた。
「サグメ殿、もう決勝の組み合わせが決まってしまったので遅かれ早かれバレますよ。
なら、今この場でバラした方がダメージが少ないかと。
では先ずは、改めて自己紹介からどうぞ」
「〜〜〜〜〜〜〜‼︎
………………っ」
『?』
スケッチブックを取り返せず豊姫に自己紹介する様に言われ……しかしその直前の言には今バラした方がと言う一言がありそれが何なのか分からず蓮子達は注目する(依姫も)。
そしてスケッチブックを取り上げられたサグメは俯きながらも深呼吸して心を落ち着かせる動作をし、全員の方を向く……但し顔が紅潮しながら、である。
「…………あ」
『あ?』
「あああああああの、わ、わ、わわわ私は稀神サグメと、い、言う者だ。
ほ、本日はお日柄ららが良く」
『⁉︎』
そしてやっと開かれた口からは筆談時にはクールと言った印象を受けた彼女の雰囲気が一気に崩れ、身体が震え呂律が上手く回らず声質も甲高くなっており、明らかにガチガチに緊張している様子が伺え(依姫も含めた)全員驚いてしまっていた。
「えっ、えっ⁉︎
い、一体どうしたのですがサグメ殿⁉︎
何がありましたか⁉︎」
「え〜と、サグメ殿は実は見知らぬ人、特に異性を前にするとガチガチに固まり過ぎて頭も真っ白になってこうなっちゃうらしいのよ。
筆談での会話への参加は問題無いみたいだけれど、それが無ければこの通り。
しかも本人曰くまともにヴァンガードファイト出来る状態じゃないらしく、上手くデッキを回せるか怪しくなる位ヤバイって言ってますわ。
因みに私もコレを相談に受けたのは私がオリオン、彼に敗してからたった2時間後だったのよ………」
「ええええええええ!!?Σ(゚д゚lll)」
こんなサグメの一面を見て依姫は驚き、更に豊姫の説明とこの状態ではまともなファイトが出来ないとまで言われ余りの衝撃に声を上げてしまう依姫。
そのやり取りを見ていた蓮子達は等しく思考停止し、一体何が起きているのか分からず固まっている。
「ちょっ、これどうするんですか⁉︎
決勝でこの状態になられたらまともなファイトが出来るなんて私も思えませんよ⁉︎」
「ええ、だからちょっと困ってたりするのよね〜」
「すすすすすすまない、すまないいい〜」
こんなやり取りがほぼ30分以上繰り広げられ、結局豊姫にスケッチブックを返されて筆談に移るまでこのサグメの緊張状態が続き、そして行方を眩ませた理由も何とか緊張状態になるのを治そうとしたのとこれを知られるのを避ける為だったと釈明され、そして『シャドウ』が言っていた事もこの緊張状態の所為であったらしく本人ですらどうすれば良いのか分からずにいたらしい。
そしてこれらのやり取りの中で蓮子とメリーは思ってしまう、世の中には不思議な事が一杯あり過ぎると。
日が変わる真夜中の月の都、その中の議会場内を『シャドウ』と、共に招かれたヴァンガードファイト普及協会会長が歩いており、その先の大きな扉の前で一人の眼帯を巻いた少年らしき人物と遭遇する。
「ようこそ議会場へ。
僕は『エルドナーシュ』、一応はヴァナ・ディール出身で名誉月人と呼べるべき者だよ」
「ヴァナの人間が月人に歓迎されているとは………一体どの様な経緯で?」
「ふふ、僕は少々特殊な出自でね。
それ故に歓迎されたのさ。
さっ、早く中へ入ろう。
議会が始まるよ」
そして『シャドウ』と普及協会会長は扉が開かれ、エルドナーシュに先導されて中に入る。
其処には如何にも自分達地上の者を見下し、早く自分らの視界の中から消えてくれと言う雰囲気を醸し出している。
これらを両者は一切合切気にも止めず、自分らが座る下座に歩いて行こうとし、エルドナーシュの隣を通り過ぎる。
「……成る程、君は余程閉心術が得意なようだ、僕でも微妙に心が読み辛いよ。
でも結局、幾ら心に鎧を纏わせようと僕の前では無意味だけどね……ふふ……」
「………」
擦れ違い様にエルドナーシュにそう言われた『シャドウ』だが、それすら無視して普及協会会長の隣に座り静かにその時を待つ。
そして議会室の扉が閉められ、中で月の都と幻想郷の間で結ばれる(明らかに表向きのみの)ヴァンガードファイト連盟の設立の議会が開かれた………。
今回の最後はあんな感じで締めましたが、あの議会は特に描写するまでもなく淡々と話が進むだけです。
そしてサグメ様をこんなキャラにしてしまった。
これも全部筆談サグメから働いたイメージが悪いです(←結局自分の所為)
次回は小話を挟んでやっと決勝開幕となります。
次回もよろしくお願いします。
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第30話「小話、そして決戦へ」
そして第3章も終わりが近付いて来ました。
今回は小話なので其処までフラグっぽい話はあまり無いです(全く無いとは言ってない)
では、本編へどうぞ。
サグメを含めた者全員で丸テーブルを囲み、最後の最後でサグメの秘密が分かり固まってしまってからの翌日、依姫は玉兎達の訓練があるらしく朝早くから居なくなっとおり、屋敷には豊姫のみが残り、宿泊所では蓮子がブロントさんに挑んでる真っ最中であ、他は観戦中である。
「『
だから口上長〜い!
ツインドライブ……クリティカルトリガーダブル‼︎
クリティカル2枚の効果は全てリアガードのブラスター・ブレード・
そしてシングセイバーの
更にソウルのブラスター・ブレード・
これぞ絶対に断ち切れない絆の体現、ソウルメイトレギオンよ‼︎
もう一度
ツインドライブ……ゲット、クリティカルトリガー‼︎
勿論これもブラスター・ブレード・
んな、完全ガード3枚手札にあるとかそんなのアリ⁉︎」
シングセイバー・ドラゴンのスキルを駆使してクリティカル3枚を引き込み、それらを以ってブロントさんに攻撃を仕掛けるも完全ガード3枚に阻まれてしまい、勝機を逃してしまう。
これには流石の蓮子もかなり悔しがっており、頭をクシャクシャと掻き毟っていたがメリー達から言わせてみれば、Vスタンドとは言えデッキの中からスペリオルライドをする為、デッキがシャッフルされるシングセイバーでトリガーを3枚引き込んだ蓮子も大概であった。
「ストライド・ジェネレーション!
騎士の誇りと力、今此処に!
『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎
『青天の騎士 アルトマイル』の
フラグメントのスキル、自身を含めたグレード2のユニットが2体以上居ればパワー+2000とヴァンガードへのアタックヒット時に裏向きのダメージを1枚表向きにし、
更にセイントブローのスキル、
セイントブローでアタックだ‼︎「ガ、ガード………出来ない」
思考のナイトによるトリプルドライブ……全部外れ。
だがクリティカル2は受けてもらうんだが⁉︎」
「ダ、ダメージ………あっ、負けちゃった/(^o^)\」
そして返しのターンでブロントさんにゴリ押しされてしまい、蓮子はそのまま6枚目のダメージを受けて敗北し、オワタ顔を披露した後思い切り悔しがる。
しかしブロントさんも実は今のファイトはギリギリ勝利した様な物であり、蓮子が着実に成長し始めている事が分かり、事実その手には汗が滲んでいた。
「うむむむ………やっぱり私にはシングセイバーは合わないかも。
今日のファイトでシングセイバーにライドして敗北する率が8割以上になっちゃったし………これは帰ったらデッキの見直しをして何を入れ直すか決めないと……………あ、そう言えば…………」
その蓮子はシングセイバー・ドラゴンを見ながらメモ帳にシングセイバーとタイトルが書かれ、更に白星と黒星の欄にページが分かれておりその黒星に正の一角を書き、それにより正が7個になり白星の正と対比して2:8となってしまい、おまけにこの黒星はブロントさんやメリー達だけでなく、クエストで会った人のファイトも含まれてしまっており、蓮子とシングセイバーの相性が明らかに良く無いと言う事を示していた。
その結果を踏まえて幻想郷に帰った後はデッキの改造とシングセイバーを抜き他のユニットを入れ直す事を考える………そんな時ふと蓮子は、昨日の会話で気になった事があり、それが昨日の時点で聞けてなかった事を思い出し、ブロントさんにそれを聞こうと思っていた。
「ブロントさん、そう言えば昨日レミリアさんが『アンティがあるから関われない』って言ってましたけど、私達は肝心のアンティルールはある事と、どんな事を要求出来るかしか聞いてなくて皆から絶対にアンティには従えとしか聞いてなかったんだけど………アンティに逆らったりしたら何が起きるの?」
「……ふむ、いつかはアンティを利用するから聞いてくるだろうなと予想はしていたがどこもおかしくないと言う意見。
ならば説明するからちゃんと聞くべきそうすべき、死にたくなかったらそうすべき」
ブロントさんがその質問に対して昨日の会話みたく真剣な表情で蓮子を見ており、これはふざけた態度では聞けないと察した蓮子は同じく真剣な表情になり黙りながらその話を聞くべく無言で首を縦に振る。
「……うむ、前に白玉楼から帰った際に幻想郷には異変やトラブル解決用に特別にアンティルールが設けられていると説明したが、俺達は敢えて蓮子とメリーにアンティに逆らった際に何が起きるのかは省いたがこれは蓮子達が余程の事でない限りアンティには逆らわないだろうと考えたからだった。
そして今蓮子がそれを聞こうとするなら答えるしメリーにも後でちゃんと伝えるべき。
そして本題のアンティに逆らったりしたらなんだが………実はアンティに逆らうと『鬼や吸血鬼と言った一級の廃の妖怪ですら余りの痛みに動けなくなる程の激痛が走り、強制的にアンティに従わせる』と言う罰が発生するのだよ」
「鬼や吸血鬼………つまりはレミリアさんやフランちゃんが痛がって動けなくなる………でも、生きてるなら痛みは」
「俺は言ったはずなんだが、『鬼や吸血鬼と言った一級の廃の妖怪』と。
つまりは『普通の人間なら少し逆らっただけで激痛の余り死にかねない程の痛み』が襲うと言う事なのだよ」
「………⁉︎」
そしてそれを聞いた蓮子はその余りにも予想外な解答に言葉を失う。
アンティに逆らえば普通の人間なら耐えられない激痛に襲われ、最悪死にかねないと言うその内容に。
「蓮子、吸血鬼と言った妖怪の肉体の耐久力と人間の耐久力を一緒とは考えない方がよろしいぞ?
一級の廃の妖怪達はほぼ弱点を突かない限り人間の攻撃は「ほう……」と受け流しちぇまう鬼の耐久力を誇り、それが痛過ぎて動けなくなると言う事は人間の肉体では耐えられない恐ろしいレベルの痛みが襲うと言う事実。
実際魔理沙も……アイツに絶縁を叩き付けられた時にアンティルール有りでファイトをして、アイツが出した内容は『負けたら今その場で追って来るな』と言った内容だったらしいんだがアンティ執行時間を過ぎて魔理沙が後を追おうとして遂に激痛が襲い………魔理沙は2週間も昏睡状態に陥り、最初の4日はマジで危なかったんだ。
あの時アリスがその場に居合わせてなければ不味かったと言う過去があるのだよ」
「ま、魔理沙が………そんな事があったんだ………」
ブロントさんの口から魔理沙がアンティに逆らった際の話が出て来て蓮子は今の明るい魔理沙からは考え難い壮絶な体験があった事を知り、彼女の方を向きながら驚きのあまり悲痛な表情になっており、それをたまたま見たメリーが蓮子に近付いて来る。
「蓮子………一体何があったの?」
「メ、メリー……実は……」
蓮子はメリーにも自分が聞いた事をありのまま話し、それを聞いたメリーは左手で口を押さえ驚きを隠せずにいて、更にメリーの口から今日この後蓮子や魔理沙を誘って『シャドウ』をこっそり追おうとする計画を立てていたらしく、それを聞いてこれは無理だと判断して計画は始まる前に破綻し、魔理沙に起きた様な事は未然に防がれる。
「……でも、これで魔理沙やアリス達がアンティに絶対に逆らうなって言った理由が分かったわね」
「ええ………まさかそんな死のリスクまである事だったなんて思わなかったわ」
「まあこれに関しては異変やトラブル解決の為の強制力を持たせる為にあると言う物なので仕方無いと言う側面すらあるとも言える事実。
何故ならばただカードゲームで負けただけで異変やトラブルを起こした側がそれを止めたりするのはまずあり得ないからな間違いなく勝敗に関わらず歯向かう奴は出ちまう。
なので強制力を持たせる必要があったのだろうなと思われるので俺はこれに関してはとやかく言わないんだが」
そして蓮子とメリーも今更ながらカードゲームの勝敗で全てが決まるならばそれに対し大きな強制力が働いているだろうと気付き、以降は絶対にアンティは従おうと考え冷や汗を拭う。
すると其処に依姫が豊姫と共に現れ(依姫は髪がサラサラな為間違い無く風呂上がり)、蓮子とメリーの前まで来る。
「あ、あの、どうしたんすか?」
「いえ、貴女達二人と私達二人でただ散歩をしたいだけよ。
少し付き合いなさい」
「は、はぁ……分かりました」
どうやら綿月姉妹は蓮子とメリーを散歩に誘う為に来たらしく、二人はそれにOKを出すと姉妹は二人を宿泊所の外に出し、するといきなり二人は宿泊所の前から桃の木が生い茂る海がある場所に移動し、紅魔館から月に来た時や其処から綿月邸に一瞬で移動した時と同じ現象に遭う。
「うおっ、またあの時みたく一瞬で移動した⁉︎」
「ああ、貴女達は知らないのでしたわね。
これは私の能力で説明すると長い時間を掛けなければならないから簡単に言いますが、自身や他者、物を気付くのが遅れる程の一瞬で別地点に移動させるものよ。
さて、此処には今私達しか居ないからゆっくりと散歩をしてお話ししましょうか」
蓮子達は月に来る際やさっきのは現象は豊姫がワープ能力を使ったから起きたと理解し、それ以上は追及すると長い説明を延々と聞かされると本能的に理解した二人は豊姫の能力の話はせず、姉妹の歩調に合わせて歩き出す。
すると豊姫が桃を見つけては身長的に届かない為手に持つ扇子を投げて落とそうとし、それを見た依姫が何をしてるかとツッコミを入れ、代わりに蓮子がメリーを肩車して桃を取ってあげたり(豊姫のアドバイス入り)などがあった。
「うーん、やっぱり庭で育てた桃の方が美味しいわよね〜」
「はぁ………まあ今は散歩中なのでもうとやかくは言いませんよ。
………さて、この辺で少し座りましょうか」
すると少し歩いていた所で依姫がその辺の浜辺で座る事を提案し、他3名は了承してその場に座り込む。
そして蓮子達の目の前には海が波を立てて広がり、空はやはり黒く、しかし周りが見えなくなる様な暗さではない不思議な明るさがあり何処か神秘的な場所だと蓮子とメリーは感じ、更にメリーの目には今自分達が居る場所の境界の先、自分達が知っている月の景色が見えていたりもした。
「なんか……神秘的な場所ですね」
「それはそうよ。
此処は浄土、一切の穢れ無き場所である清らかな地なのですから、
………さて、そんな事より少しだけ聞きたい事があるのですが良いですか?」
蓮子の呟きに依姫が答え、しかしそんな事はどうでも良いとして蓮子とメリーに何やら話があるらしく、二人に聞きたい事と言い二人に了承を得ようとし、蓮子とメリーは何かと思いながらもそれに頷き、話を聞こうとする。
「コホン、宇佐見蓮子さん、マエリベリー・ハーンさん。
貴女達に聞きますが……貴女達には『行方不明になった自分に容姿が似てたり雰囲気が似てる歳が同じ位か少々離れた親戚』は居ますか?」
「えっ、歳が同じ位か離れた?
………うーん、歳の離れた親戚なら実家に居ますが、行方不明になった訳じゃないですし、居ませんね〜」
「私の方も日本には親や親戚は居ませんし………容姿が似てたりって事もありませんし、居ませんよ?」
「あら、そうなの」
すると豊姫から不思議な質問を聞かれ、蓮子とメリーはそれぞれ該当する人物は居ないと答え、それを聞いた豊姫は半分予想通りと言った反応を示し、依姫もそうですかと呟いていた。
「あの、何でそんな質問を?」
「いえ、実は私達が知る人物の中に蓮子さんやメリーさんに容姿や雰囲気が良く似た人が幻想郷に居たので、もしかしたら貴女達の関係者かなと思っただけですよ。
まあ、考え過ぎみたいでしたが」
「はぁ………因みに、その人達には今も会っているんですか?
なら私達も会ってみたいんですけど」
「いえ、彼女とあの者は今、端的に言えば行方不明です。
なので今会う事は不可能です。
そして、今この場でその二名の名を出しても無意味なので言及はしませんよ」
「ああ、そうですか」
蓮子とメリーは二人に何故そんな質問をされたか理由を聞いてみると、自分達に似た人物が幻想郷に居たと言われ、更にその二人は行方不明だとも言われ、世の中には似た様な者が三人は居ると言う迷信がある為そうなのか程度にしか気に留めていなかった。
「さあ、そろそろ帰りましょうか。
二人共、私の側にいらっしゃい」
『あ、はい』
すると豊姫がスカートをはたきながら立ち、綿月邸に戻ると言い蓮子とメリーを側に寄せる。
すると依姫が蓮子の髪を見てまた頭の手入れを怠っているのかと思い溜め息を吐いていた。
「蓮子、貴女また髪の毛の手入れを適当に済ませましたわね?
女性は髪が大事なのだから余り手入れをしないと痛みますよ?
帰ったらまた髪の毛を手入れしてあげるからテーブルに座ってなさい。
後ちゃんと髪の手入れを時間を掛けてする事」
「は、はい〜………
依姫に髪の毛の事を指摘され、ボソッと依姫の事をお母さんかお姉ちゃんかと愚痴り、また自分の髪の毛を見てそんなに手入れを怠っているのかと感じて微妙な表情を見せ、側からそれを見ていた豊姫とメリーは少しだけ笑っていたりしたのであった。
そして翌日、遂にエキスパートカップ決勝が開かれる10分前の時間となり、蓮子達は依姫と豊姫に連れられ会場を一望し、その中心が良く見えるVIPルームの一つに案内させられる。
「うっひゃ〜、飾り付けも置物も明らかな高級感MAX。
革のソファーまで用意されてるし、流石VIPルームって感じ……」
「蓮子、余り部屋を汚さない様にね。
これ、弁償するのにどれだけ掛かるか分かった物じゃないからね「確かに弁償額がヤバいのは分かるけど何で私限定⁉︎」
さて、そろそろ試合が始まるわね」
メリーと蓮子が何時もの仲の良い雑談を繰り広げる中、綿月姉妹以外の全員がソファーに座り、試合開始の時刻を待ち早くしないかと蓮子、魔理沙、ブロントさんやフランがウズウズしていた。
「こらお前ら、余りはしゃぐな。
みっともないぞ「お姉様こそ羽パタパタしてる癖に〜♪」なっ⁉︎
い、一体いつ私が羽をパタパタして落ち着きがないというんだ⁉︎」
「(それは今ですよお嬢様………と言ったら多分、今よりも騒がしくなるわね)」
「はあやれやれ………貴女達、落ち着かないのは分かったから少し静かにしようね」
その間にレミリアとフランが大きな声で話してたりしたが、アリスがそれを諌めて二人を静かにせ会場の方に目をやる。
そして時計の針は刻一刻と決勝開幕時刻へと時を刻んで行き…………遂に、針がぴったりと開幕時刻を示し、会場に歓声が一気に湧き始めた。
『さあいよいよ決勝開幕時刻となりました‼︎
今回は特別に私幻想郷の伝統ブン屋射命丸文が、実況席で試合を盛り上げる為に招かれました‼︎
さて、では早速選手入場です‼︎』
その瞬間アナウンスが流れ、更に同時に選手入場用の扉が開かれ中からオリオン、サグメが会場の中心へと向かい出し、遂にヴァンガードファイトエキスパートカップ最後の試合が始まろうとしていた…………。
次回はいよいよ決勝となり、先にネタばらしされたサグメ様のデッキはグレンディオス軸、対してオリオンはオーバーロード軸(
どちらが勝つかは………次回をお楽しみに。
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第31話「終末の剣」
今回はファイト回の前編であり、決着は次回に持ち越しとなっています。
では、どうぞ。
遂にエキスパートカップ決勝開幕が宣言され、目の前の扉が開き出し、ゆっくりとオリオンは歩き出し、決戦の舞台へと足を踏み入れる。
その瞬間観客席から歓声が湧き、選手入場を待っていたと言わんばかりに声が響き、大会の決勝と言う独特の空気を作り出していた。
そしてオリオンは4つあるVIPルームをそれぞれ目を配り、西側のVIPルームにレミリアや蓮子、ブロントさん達がいる事を確認しフランが手を振るのを見ると左腕を掲げ、期待に応えると言う自らの心構えを動きで示した。
一方サグメは矢張りと言うべきか、スケッチブックとマジックペンを持っており、試合中アレが使えなくなればまともなファイトが出来なくなると先日知ったオリオンは分かってた為、どうすれば良いのかを考えて来てもいた。
「『………先日は醜態を晒してしまったな』」
「別に気にしてはいない、誰にでも苦手な物は存在する。
俺はそれを否定しない」
「『………しかし、試合が始まれば筆談が出来なくなるな』」
「その件ならば俺の方でも考えた案がある」
オリオンとサグメの両者は短くコミュニケートし、更にオリオンが手話でサグメに即席で何をすれば良いかを伝え、それにサグメは何とかそれで行こうと同意し、首を一回縦に振る。
そしてオリオンそれを確認したと同時にデッキケースからデッキを取り出し、FVとデッキ自体を分けてギアーステーブルに置く。
サグメもそれを見て一旦深呼吸してからデッキとFVをギアーステーブルに置き、ファイトがいよいよ始まろうとしていた。
「………して、あの超緊張してガチガチに固まる稀神サグメはどうやってオリオンとまともなファイトをするのだ?」
「(結局その案はサグメ殿の方では浮かばず今に至ってしまった………本当にどうしたら良いのですか、これ⁉︎)」
一方のVIPルームで試合開始直前の様子を見ている蓮子達だったが、レミリアの一言で表情には出さないが依姫がかなり焦っており、このままでは決勝の筈にも関わらず盛り上がらないワンサイドゲームになり兼ねない実は大変な事態だったりした。
すると豊姫はオリオンの手の動きを見て何を伝えてるのかを判別するが、果たして上手く行くかは分からない為苦笑している。
そして咲夜やブロントさん達と言えば。
「……遂に決勝が始まるわ。
そして相手はよりにもよって『
「果たすてオリオンは過去の心の傷英語で言うとトラウマを植え付けた因縁の相手に打ち勝てるのか……」
「?
過去のトラウマって、私達が知らない過去の話?」
‘‘
ブロントさんや咲夜、魔理沙達は互いに見合い、オリオンの方を向き話すか否かを考え、しかしオリオンがこの場に居れば「別に構わん」の一言で済ませる事は明らかだった為、話す事にする。
「分かったわ、聞かせてあげる。
もう蓮子達は過去の幻想郷で〈リンクジョーカー〉による侵略があった話は何度か聞いてたわね?
その過程でオリオンはある2体の〈リンクジョーカー〉のユニットにトラウマを植え付けられたのよ」
「その内の1体が俺達が名を出した『
こいつのスキルは場に居る‘‘
そいつの所為でオリオンは何も出来ないまま敗北し、‘‘
「何、その何でもアリなスキルてんこ盛りは?
て言うか、オリオンってそんな過去が……」
「私達とサグメさんが話してた時にはそんな素振りは見せ無かったのに……聞けば聞く程、とんでもない事態だったんだ……」
蓮子とメリーは咲夜とブロントさんからオリオンに何があったかを聞き、〈リンクジョーカー〉に従わされた上で主人であるレミリア達とファイトをさせられると言う執事としてこれ程屈辱的であり、未来永劫トラウマになる事をされたと知ってしまう。
その事から二人は〈リンクジョーカー〉の侵略の際はこんなトラウマレベルの事態がデフォで起きてたかもしれないと思い、青ざめていた。
「だがオリオンも成長して『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
「そうだと良いよね……」
「……」
しかし魔理沙は成長したオリオンと進化したオーバーロードならば食らい付き勝てるとすら豪語する。
しかしフランやパチュリーはグレンディオスの力を軽視しておらず、現在は
そんな中でグレンディオスだけが置いてけぼりを喰らう訳が無いと紅魔の頭脳やメイド、門番や吸血鬼姉妹は考えていた。
またレミリアは、自身の能力でこの試合の運命が全く見えないと言う事態が起きている事を胸に秘めていた。
『さあいよいよ来ましたエキスパートカップ決勝!
果たして勝利の女神は何方に微笑むのか⁉︎』
「……行くぞ!
スタンドアップ・THE・ヴァンガード!」
「すぅ〜…………スタンドアップ・ヴァンガード」
そして射命丸がテンションを上げながらアナウンスをする中、遂に決勝戦開始の時間となりオリオンとサグメの両者はFVをスタンドアップさせ、二人の瞳に一瞬赤や白を中心とし、その周りを虹色模様が渦巻く不思議な輝きが宿り、同時にギアースで再現された空間は何と惑星クレイが間近に見える大気圏突入ギリギリの地点で、其処に二人のFVが現れる。
「『煉獄竜 ペタルフレア・ドラコキッド』!」
「『
オリオンは準決勝と同じくペタルフレアで、‘‘
「(‘‘
「先攻は………私、ドロー。
ライド、『
ターン終了」
オリオンが自らにトラウマを植え付けた因縁深きユニットを思考する中、サグメは『
それを見てオリオンは取り敢えず自分の即席案は上手くいっていると考え、またサグメの手札はライドする際にワールドラインを使わない程グレードが揃っていると踏み、自分はこれに対しどう動くかを組み立てて行く。
因みにサグメに立てた即席案の正体とは………。
「『取り敢えず目の前の俺の顔は見ず、俺自身に意識せず、ファイトの盤面と手札、ドライブチェックのみを見てろ』」
オリオンの存在そのものを無視させ、ただただファイトにのみ集中しろと言うとてもお世辞にも頭の良い案とは言えない即席案で、これをさっきサグメに手話で伝えたのだ。
しかし、どうやらサグメには効果覿面らしく、即席案はピンポイントで良い案へと昇華されていた。
「良し………これならばファイトに集中出来るな。
ドロー、ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンモンク ゴジョー』!」
ドラゴンモンク ゴジョー:P7000、C1
煉獄竜 ペタルフレア・ドラコキッド:P5000、C1
「ペタルフレアは後列に下げ、ゴジョーでアタック!
チェック・THE・ドライブトリガー『ドラゴニック・オーバーロード』」
「ダメージチェック……『
私のターン、ドロー。
ライド、『
マグネットホロウとヴァンガード後列に『抜刀の
抜刀の
そんなサグメはグレード2にライド後、リアガードを展開する。
これに対しオリオンは見慣れないユニット……ボーリウムが居た物も、矢張り手札がワールドラインを使わなくとも、Gユニット2枚と手札2枚と手札公開と引き換えにデッキの上5枚から今のグレードより一つ上のユニットを1枚探し手札に加える『Gアシスト』を利用せずとも順当にライド出来ると判断する。
実はこのグレンディオスデッキは『他クランの‘‘
しかしそれを使わない=ライド事故は発生して無いと言う解答を自然と発生させるのだ。
「ボーリウムのブースト、マグネットホロウでアタック「マグネットホロウ……アタックがヒットすれば………仕方無い、ノーガードだ」ドライブチェック『
パワーはリアガードのマグネットホロウに、1枚ドロー。
ボーリウムのスキル、このユニットがブーストしたアタックが相手ヴァンガードにヒットした時、山札の上から5枚を見て『
………私は『
マグネットホロウのスキル、アタックが相手ヴァンガードにヒットした時、
私は『最凶獣神 エシックス・バスター ‘‘
もう1体のマグネットホロウでアタック『エターナルブリンガー・グリフォン』ターン終了」
「(エシックス・バスター………アシュレイ………ふっ、美鈴と咲夜のユニットの‘‘
サグメのアタックを全てノーガードで受けたオリオンは手札に加えられた‘‘
その一方、レミリアや蓮子達の方もサグメが手札に加えたユニットを見て騒ついている。
「アシュレイ……咲夜、あのアシュレイって確か、『
「ええ、あれはその‘‘
しかも加えられたもう1枚は美鈴のエシックス・バスターの………ふふ、この分だとパチュリー様のレオパルドや小悪魔のアモンまでもが採用されてるかもね。
全く………過去の失態の象徴を見せつけられて、しかもオリオンのトラウマチェックが入っているなんて、質の悪い運命の悪戯ね……」
『…………(咲夜達………目が笑ってない………)』
咲夜の口から出る言葉と表情は笑っていても目が笑っていないと言う状態、更に美鈴やパチュリー、小悪魔達の表情を見た蓮子とメリーは、其処から彼女達の〈リンクジョーカー〉に対して抱える感情を垣間見て、今この場で彼女達を刺激しない様にそっとしておこうと二人はアイコンタクトで伝え合い、黙って試合観戦をする。
「凄い………サグメ殿、私達とファイトをしてるかの様に冷静な展開を……」
「ふふふ、そうよね〜」
依姫はそんな中でサグメが冷静なファイトをガチガチに固まらずにやっている事に驚き声に漏らすが、豊姫はそのカラクリを知っている為笑いながら決戦を見届けている。
「ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンナイト ネハーレン』!
更に『バーニングホーン・ドラゴン』をコール!」
ドラゴンナイト ネハーレン:P10000、C1
バーニングホーン・ドラゴン:P9000、C1
「ネハーレンでヴァンガードをアタック!
チェック・THE・ドライブトリガー『槍の化身 ター』『☆』ゲット、クリティカルトリガー!
パワーはバーニングホーンに、クリティカルはネハーレンに!「ダメージチェック…『禁忌の
ドロートリガー………バーニングホーンでアタック!「インターセプト」
ターンエンド!」
オリオンは着実にダメージを与え、このまま押し切る………考えではあるが、何故か言い知れようの無い悪寒を感じ、これは経験則から来るのか、又は気のせいなのか、それともファイトの始めに共鳴反応を示し発動した『先導者の力』から来るのか分からないが、サグメは何かをして来ると感じ警戒心を強める。
そしてサグメのターンが周り………手札からかつて自分に何もさせずに倒したあのユニットの気配を感じ、額から嫌な汗が流れ始める。
「ドロー。
………ライド、全てを漆黒に染め上げる絶望の剣、『
「現れたか………グレンディオス‼︎」
遂にギアースに再現された空間に無機物の身体から紫色の炎が溢れ出し、それらは見る者全てに恐るべき物………負の感情から生まれたエナジーが視覚化された物と理解させてしまう。
そしてこのサイバーゴーレムこそが〈リンクジョーカー〉の道化が生み出した最悪の玩具にして最強の終末兵器、その名は‘‘
それと再び対峙したオリオンは静かに、無言で一度目を閉じ、前に手を出し握り拳を作る。
その瞬間、オリオンは目を開き、更にその瞳に再び赤とその周りを虹色の輝きが渦を巻き、『先導者の力』を使った証である輝きが宿り、グレンディオスをジッと見据えていた。
「………えっ?」
その光景を見た蓮子は呆けた声を出すと突然目の前が真っ白に包まれてしまい、目を閉じる。
それから少ししてから目を開くと、其処はVIPルームでは無くギアースで再現された光景と全く同じ空間が広がり、更に自分の手を見ると透けており、蓮子は本能的にこれはクレイに霊体として降りるイメージと同じと理解し、しかしこれはただのイメージでは無く、実際の光景ですらあるとまで不思議と分かってしまう。
「…………これって一体…………あっ⁉︎」
突然起きた謎の事態に困惑しながら周りを見る蓮子の目の前にギアースのホログラムで現れたユニット、‘‘
「オーバーロードに、グレンディオス………これってやっぱり、エキスパートカップで今やってる……(……子………子………蓮子!)えっ、メリー?」
蓮子がこの光景に対して考察している中、蓮子の頭にメリーの声が響き、そちらの方を向くと再び目の前が真っ白に包まれ、次の瞬間には蓮子の目に移る光景はVIPルームに戻り、更に隣にはメリーが居た。
「蓮子、一体どうしたの?
突然ぼーっとして?」
「えっ?
………メリーには今のイメージは見えなかったの?」
「えっ………そう言えば一瞬だけギアースで再現された光景が現れたみたいな………もしかして蓮子、さっきからそれをずっと見てたの?」
メリーの問いに蓮子は先程の光景と話を振ると、どうやらメリーも一瞬だけだったらしいが蓮子が見ていた物と同じイメージが現れたらしく、しかし自分だけメリーよりも長い時間ずっと見ていたらしく蓮子自身も何故こんな時間差が発生したのか分からずにいた。
「……蓮子、貴女大丈夫なの?」
「…うん、大丈夫。
だから、最後までファイト見よ?」
心配するメリーを他所に蓮子は最後までファイトを見ようと言い、メリーは何故か心配な気持ちになり蓮子の左手を右手でしっかりと握り、試合を見る。
そしてメリーには見えていた。
先程の蓮子は自分の声に気が付く間でぼーっとしている際に、空を思わせる蒼とその周りを虹色の光が渦を巻き、瞳の中で輝いていた事を………。
今回は会話多めなファイト回でゴチャゴチャしてしまいすみませんでした。
また、前書きにある様に次回が決着回となりますので、次回も今回と同じ様な感じになるかと思われますがご了承下さい。
次回もよろしくお願いします。
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第32話「決着、黙示録VS終末兵器」
今回の話の中にはこの私’’蒼龍’’を悩ませた処理があります。
これをちゃんと把握出来てたら更新も早かったのですが………当時周りにはグレンディオス使いが居らず、オバロで対決出来なかったんですよ(´・ω・`)
では、どうぞ。
オリオンはグレンディオスをじっと見据えてた後、サグメが如何に動くかを思考し、それへの対応すら幾つも用意する。
これは以前グレンディオスに敗北を喫した事から得た教訓であり、このユニットに対しては正攻法以外の攻略手段を用意してた方が良いからである。
一方サグメはこの後の引きとオリオンのトリガー運次第で早々と決着がつく事を既に察しており、『自分のデッキ構築を悟られない内に』自身が想定した状況下に持って行かねばと考え、ついでにオリオンの顔は一切見ない様にしないとすら考えている。
「コール、『
グレンディオスのスキル、アセンダント・ジョーカー発動、私のターン中『
アシュレイの‘‘
これを見たオリオンは相変わらず自身が知るデタラメスキルをこれでもかと言わんばかりに搭載したユニットの1体と考え、呆れている。
「アシュレイ ‘‘
そしてサグメは淡々とアタックをし、更に手札を多めに残している事から次のターンで何かを仕掛けて来る事をオリオンは予測し、ならば仕掛け時は今かとも考え、グレンディオスに鋭い視線を向ける。
「スタンド・&・ドロー!
ライド・THE・ヴァンガード‼︎
この世のもの全てを焼き尽くす黙示録の炎、『ドラゴニック・オーバーロード』‼︎
更にバーニングホーンと、『ラーヴァフロウ・ドラゴン』をコール‼︎」
ドラゴニック・オーバーロード:P11000、C1
ラーヴァフロウ・ドラゴン:P7000、C1
「ドラゴニック・オーバーロードで、アタック‼︎
あの時の雪辱、今此処で果たさせて貰う!
ツインドライブトリガー‼︎『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
ゲット、ドロー&クリティカルトリガー‼︎
クリティカルはオーバーロード、パワーはバーニングホーンに与える‼︎」
「……‼︎
ダメージチェック……‼︎『
ドロートリガー、1枚ドローし、パワーはグレンディオスに……‼︎」
バーニングホーン・ドラゴン:P9000→19000
「バーニングホーンでアタック、バーニングホーンは『オーバーロード』の名を持つユニットがヴァンガードに居ればパワー+3000、合計パワーは29000だ‼︎「プラセオジム、ネビュラキャプター、『
ターンエンド!」
オリオンはトリガーを駆使し、サグメのダメージを5枚まで追い込み勝利を目前まで迫らせる。
それを見ていたVIPルームの魔理沙達はあと少しで勝てる、そんな希望に満ち溢れ喜び合っていた。
「よっし‼︎
遂にダメージ5枚‼︎
しかも
「はい………
「やったやった、オリオンがリベンジ出来ちゃう〜!」
「やっぱり、トラウマって物は乗り越えて行く物なんですね……」
魔理沙、麟、フラン、美鈴はこの状況を大いに喜び合い、優勝とリベンジ達成に王手を掛けたオリオンの勝利が確定したとも考えていた。
しかし……この状況に何か違和感を感じていた人物も居た。
「(何かが……可笑しい)」
「(グレンディオスのデッキもあの時以上に進化を果たしている筈なのに、精々仕掛けて来た事と言えばただの
「(単に準備が出来てにいから仕掛けなかったか?
それとも……)」
「(或いは、『仕掛けられなかった』?)」
「(仕掛けられないにせよ、その理由とは……)」
「(サグメさんのダメージ5枚なのに落ち着きよう………何か、嫌な予感が………)」
咲夜、アリス、ブロントさん、パチュリー、レミリア、メリーはサグメの落ち着きようと派手に動かなかった件を不審がり、何かあるとすら思い次の動きを注視していた。
そして………ファイト中に謎のイメージを垣間見た蓮子は、再びその瞳に輝きを宿してオリオンとサグメを見ている。
「(何だろう………何故か分からないのに………サグメさんが何をするのか分かる………サグメさんの狙いは……!)」
蓮子はサグメが何をやるのか、如何に動くのかが不思議と理解出来てしまい、更にスキルが分からない筈のユニットの真価すら読み取ってしまっており、そんな事が起きてるにも関わらず蓮子は不思議と目の前のファイトに集中してしまい、今の自分の状態を気にも止めていなかった。
そして、もう一方の綿月姉妹は焦る事無く笑っており、ここまで来れば後は勝利するだけだと言わんばかりに余裕な表情で試合を見ていた………。
一方の東側VIPルームにて、オリオンとサグメの試合を『シャドウ』とヴァンガード普及協会会長を含めた月の上層部+エルドナーシュが観戦し、月の上層部の面々の一部はサグメの盤面を見て笑っていた。
「はっはっは、地上人に此処まで押され、碌に僕を呼び込めぬとはサグメ殿も地に堕ちましたなぁ」
「ふん、それを言うならば豊姫殿や依姫殿もだ。
結局地上人を討ち果たせぬ所か、この神聖なる月の大地にあの様な下賤で野蛮な地上人、そしてクレイの暴竜をのさばらせている。
この時点で彼女らの威光は失墜していると言えよう。
全く、八意殿の弟子や志を受け継ぐ者と期待してみれば………蓋を開ければ地上人にすら劣る者共だったと言う事よ」
「くっ………彼奴ら………」
しかもVIPルームは現在この様な発言が飛び交い、明らかに雰囲気を濁している。
と言うのも、月には月から抜けた賢者『八意永琳』の教えを請い、彼女の意思に同調した『八意派』とそれ以外の『体制派』と呼ばれる二大勢力が上層部に居り、体制派は八意派以上に月の人としての選民思想が高く、また八意派を疎ましくも思っており、発言権を失くし体制派に吸収しようと日夜画策しているのだ。
そして八意派の者達はこの発言を聞いて『自分らの部下すら止められなかったのにお前が言うな』と思っており、これらの言葉と心の声を聞いてエルドナーシュは呆れ果て、試合の方しか見てなかった。
「ふふふ、やはり月は我々体制派が主導を握るべきだと証明された様な物だな。
八意殿におんぶ抱っこな腑抜けた連中では頼りには」
「なっ、貴様らいい加減に「失礼、発言を許して貰う」?」
すると先程から黙っていた『シャドウ』が突然口を開き、体制派に対して視線を向け何かを言おうとしていた。
「何の用か、下賤な地上人?」
「今はヴァンガードの試合が行われている、政治事情は持ち込まず同胞の応援を優先すべき筈だが?」
「むっ………」
『シャドウ』はどうやら体制派に対して試合の方に集中せよと言いたいらしく、それを聞いて体制派の一人は気分を害し、『シャドウ』に食ってかかる。
「ふふふ、下賤な地上人には分からんだろうが今我らはどちらの派閥が月の平和を担うかを話し合ってるのだ、下賤な地上人の価値観で話に割って入られては」
「それに、八意派がとは言うがどうもこの資料にある試合結果を見るに、八意派の方がオリオンに善戦し、特に綿月依姫に関しては敗北一歩手前まで追い込んだ。
対して体制派はオリオンの実力を過小評価し過ぎて中にはダメージ1枚すら与えられず敗走している始末。
これを見るにオリオンの実力は規格外その物で、実力者を悉く敗り、今に至る。
ならば、同胞が規格外を破る事を信じるのが最優先の筈。
にも関わらず不毛な政治の駆け引きを今やるのは場違いだろうと思うが?」
「がっ………⁉︎
ぐっ…………」
「(あーあ、下賤な地上人下賤な地上人言ってるから一枚岩じゃない事指摘され、体制派が見たくなかった酷い戦績を客観的に言われたな〜。
全く、派閥争い(失笑)ばかりして権力に固執するからバカにしてる地上の人間に言い返しようの無い事実を言われるんだ、本当………彼らは愚かしいにも程がある)」
しかし『シャドウ』に手痛い部分を指摘され、これ以上何かを言おうとすれば同じ様に手痛い部分を更に抉られてしまうと察した体制派の一人はそのまま席に座し、『シャドウ』を憎らしい目で睨みつけていた。
一方のエルドナーシュは何方かと言えば八意派寄りの中立の為、先程のやり取りを見て体制派の傲慢な態度や『シャドウ』に指摘され何も言えなくなる体たらくを見て愚かなとバッサリと切り捨て、先程の政治的やり取りよりもずっと価値のある試合の方に目を向ける。
そんな中八意派の一人が『シャドウ』に近付き、耳打ちをする。
「すまない、客人の目の前で醜い内情を見せてしまった。
取り敢えず、揚げ足を取るしか能の無い彼らを黙らせた事に感謝する」
「別に構わない、こちらとしては試合に余計な雑音を持ち込ませたくなかっただけだ。
それよりも試合の方を」
「うむ、そうさせて貰う」
この様なやり取りがあったが『シャドウ』は直ぐに試合の方に目を向け、何方が勝つかを見届けようとする。
すると、ヴァンガード普及協会会長が溜め息を吐きながら『シャドウ』を見る。
「全く、余計な口は開くなとあれ程言ったであろう?
月側との関係が悪化したらどう責任を取るつもりなんだ?」
「………」
先程のやり取りを静かに咎められた『シャドウ』は無言で頭を下げ、試合の方を再び見る。
これを見て会長は今の『シャドウ』は矢張りこう言った面々とは上手く付き合う事が出来ないのだなと思い再び溜め息を吐く。
そんな中、試合が遂に動く。
「ドロー………今のは危なかった………が、今度はこちらから行く。
グレンディオスをコストに
「むっ!(
サグメが手札のグレンディオスをコストとして
オリオンは豊姫の使った『星雲竜 ビッグクランチ・ドラゴン』などの〈リンクジョーカー〉のGユニットも存在する事は月に来て知ったが、グレンディオスには如何なるGユニットが合うか皆目見当が付かず、実際にファイトをしてみなければ分からなかった。
するとサグメの瞳にオリオンと似た白の輝きを中心に周りを虹色の輝きが渦を巻く『先導者の力』の証が現れ、更にグレンディオスの身体から吹き出る紫の炎が更に激しく燃え上がり、グレンディオスそのものを包み隠した上で時空間にヒビを入れる程のエナジーが生み出される。
「ぐっ、こ、これは……⁉︎」
「………善悪を超越し、造物主すら超えし傀儡よ。
世界の理を塗り替え、最恐の力を示せ。
ストライド・ジェネレーション………『
そして、
創造主〈リンクジョーカー〉達すら滅ぼし、数多の星々に滅亡を齎す災厄……かつての姿よりも禍々しく、また善悪を超えた力を体現するフォルムとなった終末兵器……‘‘
「何だ……このGユニットは……?」
「グレンディオスの名を冠した……Gユニット、だと…?」
「サグメ殿はあんな禍々しいGユニットを持っていたのか⁉︎」
「(稀神サグメ、矢張りグレンディオスの先導者、ただ〈リンクジョーカー〉に乗っ取られていただけの天邪鬼とは訳が違い、アレを保有してたか……さて、オリオンはどうする……?)」
「(あのGユニット………あれの使い方は………)」
オリオン、レミリア達、八意派のデッキを把握していない体制派は現れたGユニットに対して驚き、『シャドウ』はサグメを見ながら使う事を予期しており、またオリオンが如何にこれを対処するかをじっくりと見るつもりらしい。
一方蓮子は現れたGユニットの特性などが頭に浮かび、その使い方が分かりオリオンが今、非常に危ない橋を渡る事になると何故かはっきりと分かってしまう。
そして、サグメは手札に手を掛けられ動き出す。
「コール、『最凶獣神 エシックス・バスター ‘‘
各‘‘
「そして‘‘
そして其処に、山札の上から1枚を
更に私のダメージが5枚なら、それは
「何だと⁉︎
ぐっ、これでは全てのリアガードサークルが
オリオン:布陣
【Ω】 ドラゴニック・オーバーロード 【Ω】
【Ω】 【Ω】 【Ω】
【Ω】:
オリオンのリアガードサークルが全て
それを見た蓮子以外の面々や体制派、観客は絶句して声が出ず、依姫と豊姫、八意派の面々はサグメの真の切り札が出た事で勝利を確信していた。
「………グレンディオスでヴァンガードにアタック、ガードは?」
「………ターとブルーレイでガード‼︎」
「……⁉︎
クリティカルトリガーが怖く「これで良い、さあ引くが良い、トリガーを‼︎」………トリプルドライブ『
オリオンはサグメの問いに対して何とトリガー1枚貫通で応え、それで押し通してしまう。
そして案の定トリガーを引かれてしまい貫通してしまうが、オリオンはこれで良いと考えておりダメージチェックを行う。
「なっ、オリオンは何やっているんだ⁉︎
クリティカルトリガーを引かれたらどうするつもりだったんだよ⁉︎」
「あ、危ないなぁ〜」
「冷や汗を掻きましたよ……」
魔理沙、フラン、美鈴は今のオリオンの行動に冷や汗が流れ、クリティカルトリガーが出てたらと言って息が詰まりそうになっていた。
しかし、それに対し蓮子達の反応と言えば……。
「(……違う、あのデッキには、クリティカルは………)」
「(あれ、今の……)」
「(あれは……)」
「(むっ、今サグメが引いたのは……)」
「(あ、あれ?)」
「(………成る程ね)」
「(ふっふっふ……よくもまぁ、そんな狂人じみた構築で勝ち抜いたものよ……!)」
「(……どうやら、オリオンはサグメ殿の試合を見て、デッキの研究を怠らなかったようだ……)」
「(あらあら、サグメ殿の構築を最初から看破していたのね……)」
それぞれ違うがサグメのデッキ構築に対して考えており、依姫と豊姫に関してはオリオンがデッキ構築を看破していた事を見抜き、地上の人間としてカテゴライズするのには余りにも勿体無く、優秀な人材として引き抜きたいとすら考え出してしまっていた。
そう、オリオンは見抜いていたのだ、稀神サグメのグレンディオスデッキの構築を、トリガーの配分を。
各試合を逐次見て相手を研究した中で、その構築を看破したのだ。
そしてその構築とは……。
「(見抜かれていたか………私の、ドロートリガー『16枚』構築を!)」
ドロートリガー16枚、つまりヒールもクリティカルもスタンドも無く、ただただドローソースに傾け手札確保のみを目的とした本来ならば自殺行為、しかし特殊過ぎるグレンディオスデッキでは理想型にすらなり得る恐るべき物である。
「……いつ、見抜いた?」
「準決勝で漸くだ」
「………そうか……」
そんな会話が二人の間で行われ、この試合に入ってから漸くまともに言葉を交わしていた。
そしてオリオンは、此処から最後の反撃にして賭けに出る。
「ブレイクライド・THE・ヴァンガード‼︎
『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
そしてシーク・THE・メイト‼︎
並び立て、黙示録の炎、『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』、
ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド:P11000→13000、C1
何とオリオンは折角ブレイクライドで得たスタンドスキルを使わずそのままグレンディオスにアタックしてしまう。
これにメリーは何故だと考えてしまうが、他の面々や何故か戦略がイメージで浮かぶ蓮子は、これが今のオリオンに残された最後の賭けだと理解していた。
「『禁忌の
「な、アタック先の変更⁉︎」
「そう、グレンディオスにはこの防御手段があるから厄介なんだ‼︎
だが、これをVスタンドで真正面から破れるのは……‼︎」
メリーはオーバーロードのアタック先を変更された事に驚き、魔理沙はこれが防御時のグレンディオスの中で最も厄介と言う。
そしてそれを真正面から、しかもVスタンドと言う条件で破れるのはオリオンを見ながら言い、この賭けに勝って欲しいと考えていた。
「ツインドライブ‼︎『槍の化身 ター』『☆』『プロテクトオーブ・ドラゴン』
全てレギオンリーダーのヴァンガードに付与し、ブレイクライドスキルで手札1枚ドロップ、更にCB(1)を払いスタンド‼︎
もう一度
ツインドライブ‼︎『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
パワーをヴァンガードに、ダメージ回復‼︎
そして今度はジ・エンドのスキル、ペルソナブラストと
ルビジウム2体に阻まれながらも2体のオーバーロードは2度立ち上がり、その手に持つ剣で終末兵器に最後の一太刀を浴びせるべくその咆哮を上げる。
同じ様にオリオンはサグメを見て、また(いつの間にか)サグメもオリオンを見て互いにアタックをヒットさせる、させないと考え互いに手に力が入る。
そうして観客や蓮子、メリー達が固唾を呑んで見守る中、最後の攻防が繰り広げられる。
「‘‘
「何っ⁉︎
ダメージにも置かれてるから、これで4枚目のルビジウムだと⁉︎」
「くっ、オリオンはジ・エンドを確保してるのか、それとも⁉︎」
2体のオーバーロードの前にまたしてもルビジウムが立ちはだかり、特殊なシールドを張り攻撃をアシュレイの方に往なしてしまう
これに対しオリオンは瞳を閉じてしまい、ジ・エンドが手札に無い事を無言ながら、しかし確かにレミリア達に示唆してしまっていた。
「……諦めるの?」
「蓮子?」
「あんた、諦めるの?」
すると瞳に輝きを宿したままの蓮子がオリオンに向きながら話し、メリーが不思議がって見て、またあの輝きが、しかも今度は輝きの強さが増してる様に感じ、蓮子の手を絶対に離さないと誓いながら握りしめ、蓮子もそれには絶対に応えると言わんばかりに同じ様に手に力を込めていた。
するとオリオンは、不敵な笑みを浮かべ瞳を開ける。
「……いや、諦めんさ。
準決勝で言われてイラついたからな、もう何も言わせんぞ。
………ツインドライブ『プロテクトオーブ・ドラゴン』」
それと同時に呟きながら静かに、しかし力を込めてツインドライブを引く。
確実にジ・エンドを引き当て、勝利を収める為に。
そして……トリガーチェックの2枚目が引かれた。
「……………賭けは…………『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』俺の勝ちだ、コストを払いスタンド!」
『引いたぁー‼︎
もうダメかと思われたオリオン選手が3枚目のジ・エンドを引き当てヴァンガードをスタンドさせたぁぁぁぁ‼︎』
『ワァァァァァァァァァァァァ‼︎』
此処で漸く試合に集中していた面々の耳に観客や射命丸の声が響き渡り、試合への集中から解放され始め周りの音が聞こえ出す。
オリオンはサグメに笑みを浮かべ、サグメも目を閉じながら笑みを浮かべ、2体のオーバーロードの剣が深々とグレンディオスに突き刺さり………グレンディオスは爆発四散する。
それと同じくサグメは最後のダメージを置き、試合終了の瞬間を訪れさせる。
「……俺の勝ちだ」
「そして、私の敗北だ」
『ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎』
そして互いに勝利宣言と敗北宣言をして、ヴァンガードファイトエキスパートカップ決勝はその幕を閉じ、後に残ったのは観客達の歓喜と蓮子やレミリア達の拍手や喜びの声であった。
グレンディオスのデッキについて補足を。
本編でもドロートリガー16枚は意外に理想型になり得ると書きましたが、実際やってみると面白いですよ。
全部ドローだから4枚のダメージを受けたらもうオワタ式、いざ5枚のダメージ受けてその後防げないかもというシビアさ、そしていざ決まれば達成感MAXとファンデッキやネタデッキ(ガチに近い)方面でかなり使って面白いです。
まぁ、今はパラダイムシフト(☆)やラクスカリーナなんて優秀なユニットが増えたのでもうこの構築は余り見かけませんが(´・ω・`)
次回もよろしくお願いします。
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第33話「月ツアー終了」
タイトルにある様に今回で月ツアーは終了、月の皆さんは暫く出番がなくなります(予定)
では、どうぞ。
遂にオリオンが勝利を果たし、VIPルームに居たレミリア達は喜び合い、生で試合を見た蓮子(先程まで瞳に宿ってた輝きは消えている)とメリーはその空気に観客としてだが触れ、興奮冷め止まぬ様子だった。
「やった、やった、オリオンが勝った〜☆」
「ククク、流石我が従者、良くぞあのワールドエンド寸前の状況を覆し、勝利したものよ!」
「いや〜、流石に今のファイトはヒヤッとしたぜ………」
「ほむ、Gユニットとなり思考のヴァージョンアップを果たしたグレンディオス相手に見事なファイトをしたなと関心が鬼なるがどこもおかしくないな山札の上から
さすがに紅魔の執事は格が違った!
そしてオリオンだけでなくオーバーロードの強さが圧倒的なオーラとなり見えそうになっていても強気のファイトをしたサグメにはその神秘のベールに包まれた実力のカーテンが開かれ披露宴となり思わず素晴らしいファイトだったすばらしいと褒め称えていた。
そしてオリオンはグレンディオスに勝つ事で新しい時代に一歩踏み出す事となり(ry」
「まあ何にせよ、何方も凄いファイトだったわ、敗れた稀神サグメにしろ勝ったオリオンにしろね。
そして、優勝おめでとう」
「……凄いファイトだったわね」
「ええ……レベルが高過ぎてまだ私達じゃ真似出来ない位ね」
その一方でサグメが負けてしまった事でエキスパートカップで月人が地上人一人に全滅し、優勝までされた事に頭を抱えてしまう物の、双方が全力でファイトをした結果でこうなった為余り悔しいとは思わず、寧ろあの実力ならば油断し切った月人を圧倒し、自分達と僅差の試合をしたので優勝は十分可能だと考え、優勝したオリオンとそれと相対しこちらも十分優勝に手が届いてたサグメの両者の健闘を讃えるかの如く短く拍手をする豊姫と依姫。
そしてその従者を抱える『現在のレミリア』にも興味を持ち、何れはファイトをしようと考えですらもいた。
そして東側VIPルームにて、体制派の者達は散々同胞のサグメ達をコケにし、オリオンを見下していたがそのファイトを見て何も言えなくなり口が半開きになり、八意派もサグメが敗北した事にすっかり驚き騒ついていた。
そんな中エルドナーシュは拍手をし、如何にも作り笑いな笑顔を振り撒いていた。
「あっはっは、実に素晴らしいファイトだったよ。
サグメ殿のドロートリガー16枚構築にルビジウムによる特殊ガード3回、それに対しチャレンジャーのオリオン氏によるオーバーロードの3回スタンド、何方も決勝として見応えのある物だったよ」
「そう言って頂けるなら、幻想郷のヴァンガードファイト普及協会会長としても鼻が高いです」
「うんうん、裏表なくそう言える君は好きな部類だよ。
後、其処の仏頂面の君も何だか嬉しそうだねぇ。
出来ればもっと表情豊かに「断る」釣れない人だね」
エルドナーシュの言葉に普及協会会長は頭を下げるも、『シャドウ』は変わらず仏頂面のままオリオン達の方、及び対面側のVIPルームから気配を感じ取り、蓮子やメリー達が其処に居ると分かり、ただただジッと見つめていた。
それを2分間続けていると、何を考えたのか席を立ち、その場を去ろうとする。
「待て、これより表彰式が行われるのだぞ、何処へ行く?」
「周りに何か怪しい奴が居ないか見回る、表彰式参加者の警護と言う奴だ」
会長の問いに『シャドウ』は見回りと答え退室し、そのままVIPルームに戻る事無く表彰式が終わってしまう。
そしてその表彰式でオリオンがトロフィーを受け取った瞬間、ついつい嬉しさの余りフランが飛び出して抱きついたり、それをレミリアが怒って止めに入ったりのハプニングがあったが、結局蓮子達は『シャドウ』と関わる事無く会場を後にしたのであった。
表彰式が終わってから3時間後、蓮子達は荷物を纏めて地上に帰る途中であった。
そんな中で、メリーは蓮子に起きた現象に何か変な予感……嫌な感覚ではないが、兎も角妙な感覚に襲われ、レミリアの部屋に話があると言って中に入っていた。
「して、私に話とは何なのか?」
「はい、あの……実は、オリオンさんと初めてあった時、それとオリオンさんとサグメさんの試合中に蓮子の瞳に変な光が見えて、蓮子自身も変なイメージを見たって言ってまして………あの、蓮子に一体何が起きたか分かりますか?」
「瞳に妙な光と変わったイメージ………ふむ、成る程な、座ると良い」
するとその話を聞いたレミリアは何かを察したらしく、メリー隣に座らせ、自身が予測しオリオンが確定させた事をメリーに話そうと決め、口を開く。
「メリー、私はオリオンを貴様や蓮子に会わせた理由は、貴様達が『シャドウ』を名乗る我らの顔見知りに狙われている理由、それも蓮子の方を看破する為だったのは覚えているな?」
「はい、覚えてます。
………もしかして、蓮子に起きた現象が、蓮子の中に宿る力なんですか?」
「そう、それこそが私達が看破した物、副次効果としてカードの声を聞き、ファイトの流れとデッキの本質を読み、真の力は我らの世界とクレイをシンクロし、両者に影響を与えるクレイの歴史上に現れる先導者が持つ力、名は『PSYクオリア』だ。
この力を利用すれば、クレイの歴史にこちら側から影響を齎す事すら可能であり、PSYクオリアを持つ者は形は違うが『強くなりたい』と言う想いが強くなり、暴走しがちになる少々癖がある力だ」
「『PSYクオリア』……そんな力が蓮子に……」
メリーはレミリアから、蓮子の持つ力がやや自分とはベクトルが違うが、ヴァンガードに密接に関係しファイトにまで影響を及ぼす力だと知り、もしかしたら悪用されてしまうのではと考え、不安になり始める。
しかし、レミリアはそんなメリーを見て笑みを見せ更に話を続ける。
「心配はするな、PSYクオリアと言えど蓮子は目覚めたばかりと見える。
そう、上手くコントロール出来ず発動すらしない場合さえあるな。
それに、貴様達は互いを守り合おうとしている。
その想いさえ忘れなければ悪用されようが必ず宇佐見蓮子はマエリベリー・ハーンの下へ戻り、より強い輝きを手にして親友を守る為の剣となる筈だ。
だからこそ、変に心配して奴を不安がらせるなよ?」
「レミリアさん………」
レミリアからの励ましを受けてメリーは多少は不安が残るものも、蓮子が気に掛ける程で無く寧ろ逆に元気な部分を見せつけ明るく接しようと心に決め、笑顔をレミリアに見せる。
「……ふむ、心配は無さそうだな。
さて、そろそろ帰る支度を済ませるぞ。
でなければあの姉妹が煩いからな」
「はい」
レミリアに促されたメリーは彼女にお礼として頭を下げ、そのまま部屋から出て自分の部屋にある荷物を纏めて地上の魔理沙の家に帰る準備を進める。
そんな中でメリーは蓮子は私が守ると言う想いを更に固め、今後再び接触して来るであろう『シャドウ』に対しても、目的や魔理沙の幼馴染であろうとちょっかいをかけて来るなら今まで通りに全力で倒そうとも思ったのであった。
それから30分後、蓮子達は全員地上へと豊姫の能力で送られ、更に見送りには豊姫や依姫だけで無く、サグメまで付いて来ていた。
「……ふむ、漸く戻って来たぞ我らが紅魔館!
今日は爆発して無くて良かった〜」
『……爆発?』
「さてお嬢様、早速オリオンと共に館内チェックを行って来ます。
オリオン、貴方は東側」
「西は任せた」
「んじゃ、闇系の仕事が今からあるからこれで」
「じゃあね、またこんなイベントに誘ってよ?」
「では皆さん、また明日」
そんな会話が流れ、各自が解散していく中で依姫は蓮子、豊姫はメリー、サグメは魔理沙に近付いて来る。
三人は何かと思い立ち止まって依姫達が何の用かと聞き始める。
「あの、何ですか?」
「ええ蓮子、別れ前に貴女に行って置く事があります。
先ず女の子なんだから髪の毛の手入れはしっかりとなさい、それからもう少し身嗜みにも気を配る事!「あ〜……」
それから………これをあげます」
どうやら依姫は蓮子にお節介を焼く為に近付いたらしく、それを聞いて蓮子はいつも以上に身嗜みや髪の毛に気を配らなきゃならないのかと少しゲンナリしていた。
だが依姫の用はそれだけで無く、懐から何かを取り出し蓮子にそれを渡す。
蓮子に渡された物、それは後頭部に結ぶ縫い目入りの大きな赤いリボンだった。
「あの、これは?」
「貴女は、私が気に掛けてた娘に良く似てるの。
だから、多分これが似合うと思って布を切って作ってみたのよ。
これを結んだら身嗜みの一つを丁寧にやってみなさい」
「は、はぁ」
魔理沙はそのリボンを見て、それのデザインが自分の親友であった『霊夢』の物と寸分違わない物だと直感で理解し、そのリボンを付けた蓮子の姿を想像する………が、いつもの蓮子では不恰好過ぎて似合わないと言うイメージが浮かび、少しだけ口元を押さえてた。
……しかし、依姫がしっかりと髪の毛をとかした状態の蓮子にリボンを結んでやると、矢張り『霊夢』と重なり何故か懐かしさすら覚えてしまい、更にはまた涙が出掛けるが今回は我慢が効き、涙が頬を伝う事は無かった。
その間に豊姫もメリーと話し始めていた。
「メリーさん、大人の私から貴女に少しだけ忠告よ」
「忠告ですか?」
「ええ………余り、境界や異質な物に近付き過ぎてはダメよ?
貴女には大切な親友が居るのだから彼女を悲しませたり置いてけぼりにしない事よ?」
「……勿論、そんな事は絶対にしませんよ」
どうやら豊姫の方はメリーに忠告を入れに来ただけらしく、それを聞いたメリーは蓮子が悲しむ事や一人きりにする事は自分がレミリアの前で再確認した事に反すると分かっており、絶対そんな事はしないとキッパリと否定し、豊姫に強い意志を込めた瞳を向ける。
それを見た豊姫は静かに頷き、瞳を閉じたまま笑みを浮かべそのまま下がって行く。
どうやらこの忠告は無意味だったらしい、そんな感じの雰囲気を豊姫は醸し出している。
一方サグメは魔理沙に耳打ちをし、魔理沙はそれを聞いてハッとサグメの方を向き、誰にも聞こえない声で何かを話し、更にサグメが耳打ちをする。
そのサグメもほぼ無表情ではあるが、何かをした様な雰囲気を纏っており、更にスケッチブックには『私は口を使わないコミュニケーションしか回りくどい事が出来ない、だから単刀直入にはっきりと言わせて貰った』と書かれており、それを見た蓮子とメリーは何なのか分かっていなかった。
「さて、私達はこれで帰りますね〜」
「いつかまた会いましょう。
それからレミリア・スカーレット………いずれファイトをしましょう」
「……さらばだ」
そして月人三人は用事を済ませた後は直ぐにワープして月に戻って行った。
そんなこんながあったが蓮子とメリー無事に月旅行から戻り、レミリアにしっかりと挨拶をした後は魔理沙の家に戻りデッキの組み直しとテストファイトに勤しみ、仲良く幻想郷生活を送るのであった。
「オリオン、話がある」
それから1時間後、突如として雷雨が降り始め出しメイド達や咲夜等が急いで換気の為に開けた窓を閉じている中、レミリアはオリオンに紅魔館内の廊下の一角で話し掛け、オリオンは何なのかと思い振り向き、少し腰を低くして話す。
「何の御用でしょうか、お嬢様?」
「ふむ、実はお前の発言で気になった事があってな…………何故、お前は咲夜から聞いた『蓮子のPSYクオリアとの共鳴現象』の部分で言葉を濁した?」
「⁉︎
………バレバレでしたかな、あの態度は」
レミリアが聞いて来た内容に驚き、またあんな態度をレミリアの前で見せれば何かを隠していると彼女や咲夜にバレるのは明白であった為、溜め息を吐きながらレミリアに視線を向け答え出す。
「この事は金か……いや、魔理沙の前では言える筈の無い内容だったので伏せただけです」
「ふむ、では今言え。
此処には魔理沙はいない」.
更にレミリアは魔理沙が居ない事から伏せた事を話す様にオリオンに要求する。
それを聞いてオリオンは、周りには自分と主人であるレミリア以外は誰も居ない事を確認し、魔理沙の前であった為に敢えて伏せた内容をレミリアに話し出し、それを聞いたレミリアは瞳を見開き、それと同時に雷が落ち、一瞬の閃光が二人を照らしていた。
その日付が変わる直前の夜、雨や雷はすっかり止み、厚い雲に覆われていた夜空が雲の切間からその顔を覗き出し、綺麗な星が輝き出していた。
そんな中で人里付近を見回る身長が低めな青年が一人居た。
その青い瞳は、昼間は張り詰めていなければならずにいる為か今はすっかりと穏やかな瞳をしており、しかしその内に秘めた物は昼の時と全く変わらず、如何にも近寄り難い雰囲気があった。
その中で青年が今日の分の行動を終え、当てもなく歩いていた………が、その足は突然止まる。
何故止まったかと言えば……………青年が歩く先に一人の少女が立っており、しかもその少女には青年は見覚えが………否、その少女を知っており、そして雲の切間から月明かりが漏れ、少女を照らし出した。
その少女は白黒の服を着込み、魔女の帽子を被り、箒も持ちかつては何時も青年と顔を合わせては笑い合い、その間に『博麗の巫女』を入れて仲良くヴァンガードファイトをし合い、偶に起きた異変も共に解決して来た、青年にとっては忘れようにも一緒に居た期間が長い為どうしても忘れられない幼馴染………。
「………」
「…………よう、数日振りだな、このバカ幼馴染」
霧雨魔理沙、その人が今、『シャドウ』を名乗る青年の前に立っていたのだ。
月ツアーは確かに終了し、あらかたの話は終わりました。
でも、あとちょっとだけ第3章は続きます。
次回は魔理沙と『シャドウ』のファイトとなりますが果たして……?
次回もよろしくお願いします。
PS:一部加筆をしました。
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第34話「運命の白き翼」
そしてまた複数話完結です。
今回で(蓮子達は知らないけど)『シャドウ』の所持するデッキの2つ目が判明します。
では、本編へどうぞ。
月明かりが雲から漏れ出した夜道にて月から数えて二度目の再会を果たした魔理沙と『シャドウ』。
だが魔理沙としては、蓮子とメリーに何らかの目的を持って接触して火種を撒き散らす今の『シャドウ』に対して良い印象は全く無く、寧ろ抱きたくない嫌な感情すら湧きかねなくなっていた、
しかし『シャドウ』は何故目の前に魔理沙が立っているのか、しかも彼女が活動する時間外且つ普段寄らなそうな場所に居たのか理解出来ずにいた。
「………何故こんな時間にこんな場所に居る?」
「とある奴に発破かけられてな、変な事言われる前に行動させて貰っただけさ
でなきゃこっちがもたないからな」
「(………成る程、宇佐見蓮子達は綿月姉妹と一緒に居た。
となれば、稀神サグメが魔理沙の側に居て必然か。
ちっ………魔理沙の性格上、絶縁してから探しに来る事はまず無いと考えていたが、キッカケがあれば来るか……見通しが甘かったか。
それとあの女、余計な事を……)」
魔理沙は『シャドウ』の問いに軽口で、しかし表情自体は崩さずに答え『シャドウ』を見る。
それに対して『シャドウ』は魔理沙の側にサグメが居た事を看破し、余計な真似をしてくれたと思い、舌打ちをしていた。
「………でだ、単刀直入に言うぜ。
お前、蓮子とメリーに何する気なんだよ?
蓮子の方はレミリアやオリオンがなんか力があるって言ってたから大方『PSYクオリア』何だろうな。
だがメリーは何だ?
『PSYクオリア』とはまた違う、ユニットを実体化させる力があるそうじゃないか!
一体何が目的なんだよお前、それに蓮子とメリーは何で『霊夢』や『アイツ』に似てるんだよ!
全部洗いざらい此処で答えろよ!」
「…………」
魔理沙は今自分が思う事を全てを目の前の絶縁を叩き付けた青年にぶつけ始め、これでもかと言わんばかりに問い詰める。 しかし『シャドウ』はそんな魔理沙の問いを涼しい顔で流し、、何も言おうともせずそのまま立ち去ろうとしていた。
だが、魔理沙はそんな『シャドウ』の動きを完全に予測しており、先回りして『シャドウ』が逃げ出さぬ様に道を塞いでいた。
「待てよ、話は終わってないぞ。
私の言った事を答えるまで絶対此処から退かないからな……‼︎」
魔理沙は強い口調と決意を固めた瞳で『シャドウ』を睨み付け、未だ自分の顔しっかりと見ぬ青年の足を止めさせ自然と視線を集中させる。
そんな魔理沙を見る『シャドウ』だったが、少しだけ瞳を閉じて考えるそぶりを見せ、そして何かを決めたかの様に瞳を開き、魔理沙をジッと見つめ返し、自身が考えた事を口にし出す。
「………あくまで立ち去らせないつもりか。
ならば、ファイトで俺に勝ってみせろ。
そうすればお前に全てを話す」
『シャドウ』は魔理沙に対しヴァンガードで勝てば全てを話すと言い放ち、懐から蓮子に使った『
「(白いデッキケース……いや、それよりも……)『俺』……かよ。
お前に『俺』なんて一人称、似合わなかったのにな………もう昔のお前じゃないのかよ…。
〈ロイヤルパラディン〉を使って、『ブラスター・ブレード』とヴァンガードが大好きで、曲がった事が嫌いで、私や……『霊夢』とのんびりと過ごして、お茶飲んで三人で縁の下で横になってたりしたあの頃のお前は…」
「最早過ぎ去った話だ、昔の俺は『ブラスター・ブレード』と決別する事で消え去った、もうこの世の何処にも居ない。
今霧雨魔理沙の目の前にいる人間は……過去の俺とは全く別人と言って良い」
「……そうかよ……だったら………私が、この場で勝って、ついでにぶっ飛ばしてお前の目ぇ覚まさせてやるよ‼︎」
白いデッキケースに目が行きそうになるが、それよりも昔と比較してガラリと変わってしまった幼馴染に言葉を投げ掛けたが、返って来た言葉は魔理沙が期待した言葉とは程遠い、過去を捨て去った事をはっきりと示す物だった。
その言葉と同時に雲が完全に切れ、より強い月明かりが二人を照らし出し、其処から見える青年の表情は魔理沙が知る物ではない険しく鋭い目をしていた。
それらが全て魔理沙に深々と突き刺さるが、普通の魔法使いの少女はそれらにギリギリ耐えて涙を堪え、それと同時に勝って一発殴り目を覚まさせると言い、攻撃的な表情でファイカからデッキを取り出す。
互いにファイトが成立した中で『シャドウ』は近場の二つの切り株が丁度良くファイトテーブルと同じ大きさであり、其処に両者は移動し、ファイカのファイトテーブル機能を起動しデジタルテーブルマットを形成、其処にFVとデッキを置き手札を用意する。
「(あいつは『
そしてクランも恐らく〈リンクジョーカー〉………けど、どんなのが相手だろうと、私の『
魔理沙は手札を交換しながら『シャドウ』のデッキとクランを考察し、しかし最終的には『
対して『シャドウ』は涼しい顔で手札を淡々と交換し、ジャンケンをして『シャドウ』が勝ち先攻を獲得してから両者はFVに手を掛けていた。
「行くぜ………スタンドアップ・ヴァンガード‼︎」
「スタンドアップ・THE・ヴァンガード!」
両者はFVをスタンドアップさせ、イメージを広げてファイトを開始する。
魔理沙がイメージした場所は何処か今自分らが居る場所と雰囲気が良く似た月明かりが大地を照らす平原だった。
魔理沙はそんな場所に降り立ち周りを見渡すと其処に『シャドウ』も降り立ち両者睨み合いを暫く効かせ……魔理沙が先にFVに憑依する。
「『伏竜の
「相も変わらず〈なるかみ〉か…」
「そう言うお前は〈ロイヤルパラディン〉を捨てて〈リンクジョーカー〉なんだろ?
さあお前の1軍デッキを見せてみろよ!
『
魔理沙はリンチュウに憑依し雷を纏う左腕で指差しながら声を張り上げる。
すると『シャドウ』は一度瞳を閉じながら魔理沙に向けて言葉を紡ぎ出した。
「1軍か………俺は別に『
「何!」
「だが、お前達がこれを1軍と呼ぶのであれば好きに呼ぶが良い。
………さて、お喋りは終わりだ。
良く見ておけ、このデッキを………俺のもう一つの姿を!」
魔理沙は『
しかし、それを他所に『シャドウ』はFVに憑依を始め、更にその瞳に『PSYクオリア』の輝きが宿り、魔理沙を見下ろす様に見つめる。
そして、『シャドウ』がユニット憑依する瞬間周囲が一瞬眩く、また何処か暖かく、心地良い光に包まれ魔理沙は目を逸らしてしまうと同時に、これまでの〈リンクジョーカー〉の様な虚無感や悪意を感じず、寧ろ生命に満ち溢れた気配と光を感じ取り困惑し始める。
「うっ、この光と気配は…………⁉︎」
それから直ぐに光が収まり、『シャドウ』が居た場所に目をやる魔理沙の視界に、謎の生命体が存在した。
身体は純白で繭の中から生まれたばかりの様に瞳を閉じ、しかし先程の暖かな光に包まれた存在。
リアル視点でカード情報を読み取るも、確かにクラン自体は〈リンクジョーカー〉ではあるが、イラストには『
「これがこのデッキのFV……『ネオンメサイア』!」
「ネオン……メサイア?
『メサイア』って、よりによって侵略者が救世主を名乗り上げるのか………いや、待てよ?
メサイア……メサイア………『ハーモニクス・メサイア』……?」
魔理沙は『シャドウ』が出したネオンメサイアに〈リンクジョーカー〉が救世主を語る事に皮肉ろうとしたが、ふと記憶の隅に何かが引っ掛かり慎重に思い出し始める。
すると魔理沙の脳裏に、かつての『
すると、2体のメサイアには驚く程の共通点……純白の身体に暖かな光、種族の〈メサイア〉と言った共通点が見つかり、頭の中が混乱し始める。
「2体のメサイアに共通点を見出したか。
当然だな、このネオンメサイアは、ハーモニクス・メサイアが変化したユニットなのだからな……ライド、『アスリープ・メサイア』!」
「ハーモニクスが……変化?
……(いや、確かに気になる事とかは多いけど、今はファイトに……)ライド、『突撃の
リンチュウのブースト、サイケイでアタック!『
ネオンメサイア:P5000、C1
アスリープ・メサイア:P8000:C1
『シャドウ』:布陣
R アスリープ・メサイア R
R ネオンメサイア R
伏竜の
突撃の
魔理沙:布陣
R サイケイ R
R リンチュウ R
「ドロー、ライド、『アローザル・メサイア』!
コール、『落日の刀身 ダスクブレード』、『ダークメタル・カメレオン』!」
アローザル・メサイア:P9000、C1
落日の刀身 ダスクブレード:P9000、C1
ダークメタル・カメレオン:P7000、C1
『シャドウ』:手札:3枚
布陣
ダスクブレード アローザル・メサイア R
ダークメタル・カメレオン ネオンメサイア R
『シャドウ』は手札を使い早々と展開。
此処で魔理沙は漸く〈メサイア〉の見慣れた〈サイバロイド〉や〈サイバービースト〉の種族を持つ〈リンクジョーカー〉を目にするが、これもまた今までの〈リンクジョーカー〉とは違う異質な気配を感じ、更に此処でサグメが言っていたクレイの一生命に転生した〈リンクジョーカー〉の話を思い出し、これがそれだと確信する。
「これがクレイの生命に転生した〈リンクジョーカー〉……私が、私達が知る連中とは異なる存在……」
「呆けてる場合か?
アローザルでアタック、ドライブチェック『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガーゲット、パワーはダスクブレードに与えドロー!
ダークメタルのブースト、ダスクブレードでアタック!「ダメージチェック『蠱毒
ターンエンド」
「はん、お前が新カードで来るなら私も新カード見せてやる、ライド、『覇軍の
更に『両刀の
覇軍の
両刀の
電離の
魔理沙:手札:3枚
布陣
コエンチャク ズイタン R
カプーニス リンチュウ R
魔理沙は新しい〈リンクジョーカー〉に驚きはしたが、結局は同じユニットと割り切り新カードには新カードで対抗すると啖呵を切り、新カードであるコエンチャクとカプーニスをコールしてアタック体勢に入る。
「カプーニスのブースト、コエンチャクでアタック!「超弦理論の落とし子でガード」
だったらズイタン、リンチュウのブーストを入れてアタック!『神槍の
クリティカルトリガー、効果は全てズイタンに付与!
更にリンチュウのスキル、『
ネオンメサイアを退却し、更にコエンチャクのスキル発動!
相手のリアガードが私のカード効果で退却した時、私は『全てのファイターは自分のリアガードを選び退却する』をしても良い!
勿論私はこのスキルを使い、カプーニスを退却する!「ダークメタルは相手の対象を取るスキルを受け付けない『
カプーニスのスキル発動、私のカード効果でリアガードサークルから退却したらデッキの上3枚を見て『
私が加えるのは『
その後カプーニスは山札の上に戻してシャッフル!
最後にズイタンのスキル、
魔理沙:手札:5枚
魔理沙は『
その為ターン終了時には手札は初期と同じく5枚になってた上に完全ガードまで手札に加えた為防御手段の確保すらしていた。
「ファイトにはその人間の全てが表れる。
『
「………ホント、お前それが口癖だったよな」
それを『シャドウ』は己の持論である『ファイトにはその人間の全てが表れる』を口にし、ファイトから分析した魔理沙のファイトスタイルや、今の心理状況を話し出す。
それらは魔理沙の中でズバリと正解し、数多くの疑念を目の前のファイトに集中し、勝利する事で全てを解き明かそうとする自分の心境を見透かされてしまっていた。
「………ファイトに集中するのは良いが、頭の隅に余計な考えがあっては勝てるものも勝てないぞ、特に今の俺にはな」
「んだと‼︎」
しかも疑念を持ったままでは勝てないとすら言われ、魔理沙は頭にやや血が上り『シャドウ』に対し若干キレ始める。
しかし『シャドウ』はドローをしてそんな魔理沙など御構い無しと言わんばかりにスルーし、手札に手を掛けていた。
「疑念があって全力を出せない様ならば、俺はこのまま勝ちそのままこの場から去ろう。
だが、もしお前が全力を出し俺に届く様ならば………試させて貰うぞ、霧雨魔理沙!
信じし未来の為に羽ばたけ、我が運命の翼!
ライド、『オルターエゴ・メサイア』‼︎」
オルターエゴ・メサイア:P11000、C1
そして魔理沙に全力を出させ、それを試すと宣言した『シャドウ』はグレード3にライドする。
そのユニットは、クレイに現存する竜や巨大な悪魔達よりも更に大きく、更に『ハーモニクス・メサイア』の様にクレイと地球を表す球体を双肩に浮かばせ、2つの星の未来を背負う事をを示す救世主の名を冠し、また別人格の名も持つ純白の身体を持つ者……『オルターエゴ・メサイア』、それまでのメサイアとは比べ物にならない輝きを纏うユニットである。
「……私を試すだって……?
蓮子達に散々ちょっかい出して私達の前にいきなり現れて陰でコソコソしてるのに上から目線だと………上等じゃないか、試させてやるよ………お前の敗北って結果でな‼︎」
しかし、『シャドウ』の一言が遂に魔理沙をキレさせ、怒りのボルテージで疑念などすっかり頭から離れ、今目の前に居るこの青年を全力で打ち倒す事しか頭に浮かばなくなった。
それを見た『シャドウ』は不敵な笑みを一瞬浮かべ、直ぐに仏頂面に戻りファイトを進めようとする。
そしてこのファイトは、例え雨風が阻もうとも最後まで続けられるだろう。
それだけの意地が、今の魔理沙にはあるのだから。
いよいよ始まった魔理沙VS『シャドウ』。
保護者対スt………ゲフンゲフンの戦い、果たして勝利は何方に……。
次回もよろしくお願いします。
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第35話「全てをブチ抜け‼︎」
今回はテストで描写を変更して見ました。
これの為に少し投稿が遅れました、すみませんでした。
さて、今回は魔理沙VS『シャドウ』のファイト後半です。
魔理沙の〈なるかみ〉は『シャドウ』の〈リンクジョーカー〉を上回るか、それとも………。
では、本編へどうぞ。
魔理沙が切れ、啖呵を切った後『シャドウ』は平然とし、そのままターンを進める。
「メインフェイズ、このままリアガードをコールせずにアタックフェイズに移行「へいへいビビってる〜www」ダークメタル以外をコールすれば『
『
ならばこそ、
オルターエゴ・メサイアでヴァンガードにアタック!
あるべき世界を救う翼よ、あるべき未来へ導け!
ワールド・ウイング!」
「(ちっ、テンペストボルトは握ってないって予測されたか!)ノーガード!」
ツインドライブ『中性子星のレディガンナー』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ダメージチェック『
『シャドウ』:ダメージ:2→1 手札:6枚
魔理沙:ダメージ:1→2 手札:5枚
『シャドウ』は魔理沙の『
しかもそのメタは的中したらしく、魔理沙の手札にはドライブチェックで得たガントレッドバスター以外にもグレード3、しかもガントレッドバスターがありテンペストボルトは確保出来ていなかった。
よって魔理沙はダークメタルを退却させる事が現時点では不可能になっていた。
「此処ぞとばかりにメタ戦法を取りやがって……けどな、このデッキは蓮子とファイトした時よりもずっと進化してんだ!
その証拠がこの8枚(裏向き)のGユニット‼︎
今からそれを見せてやる、ドロー!
響け強者の咆哮、轟け破軍の雷刃!
全てをブチ抜け、限界を超えて‼︎
ライド、『
更に手札のガントレッドバスターをコストに
ストライド・ジェネレーション、『雷龍騎士 ゾラス』‼︎」
雷龍騎士 ゾラス:P15000+11000=26000、C1、ハーツ:ガントレッドバスター
魔理沙:布陣
コエンチャク
R R R
しかし魔理沙はそんなメタなど無視し、ガントレッドバスター・ドラゴンにライドした直後に
「そしてコール『
エッグヘルムのブースト、コエンシャクでアタック‼︎
更にゾラスでアタック‼︎
ゾラスのヴァンガードへのアタックヒット時、相手は自分のリアガードを選んで退却し、ドロップゾーンの2枚を表向きでバインドするんだが、今回発生するのはバインドのみ。
さあガード「ノーガード」……」
コエンシャクVSオルターエゴ・メサイア
9000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『白色矮星のレディバトラー』
ゾラスVSオルターエゴ・メサイア
26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『妖剣の
ダメージチェック『重力井戸のレディバトラー』『アスリープ・メサイア』
『シャドウ』:ダメージ:1→4 バインド:2枚
魔理沙:手札:6枚
魔理沙は『シャドウ』に一気に3枚もダメージを追加で与え、後2枚で勝利と言う致死圏内に追いやるが、元々は手札を削る事と
対して『シャドウ』の方はいよいよ自分のターンが回り、
「ドロー!
見せてやる、これがこのデッキの力だ!
ストライド・ジェネレーション、『創世竜 ジャッジメント・メサイア』‼︎
オルターエゴの
そしてヴァンガードにパワー+5000!」
創世竜 ジャッジメント・メサイア:P15000+11000+5000=31000、C1、ハーツ『オルターエゴ・メサイア』
『シャドウ』:布陣
R
【●】R R
魔理沙:布陣
【●】 ガントレッドバスター R
エッグヘルム R R
「な、何⁉︎
私のリアガードは兎も角、自分のリアガードすら
魔理沙は『シャドウ』のオルターエゴの
しかし、『シャドウ』は更に一手を投じて来る。
「コール、ダスクブレード!
ジャッジメント・メサイアで、ヴァンガードにアタック!「ちっ、ノーガード!」
トリプルドライブ!」
ジャッジメント・メサイアVSガントレッドバスター・ドラゴン
31000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『アローザル・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』『アステロイド・ウルフ』『☆』
ジャッジメント・メサイア:C1→2
ダスクブレード:P9000→19000
ダメージチェック『
「ジャッジメント・メサイアのスキル、ヴァンガードへのアタックヒット時に相手の後列のリアガードを
そして……
ダークメタルを
「なっ………〈リンクジョーカー〉が、
更に魔理沙は〈リンクジョーカー〉が持つ
何故なら〈リンクジョーカー〉は相手のリアガードを
にも関わらず目の前の『メサイア』の名を冠したユニット達はそれをやってのけたのだ。
かつての〈リンクジョーカー〉を知る者からすれば、このユニット達は正に異質な存在であり、理解に苦しむユニットであった。
「ダークメタルのブースト、ダスクブレードでアタック!「ノ、ノーガード…!」
ダメージチェック『電離の
『シャドウ』:手札:7枚 ダメージ:4→3
魔理沙:ダメージ:2→5
魔理沙は
そしてドローをするも引いたのはズイタン、テンペストボルトでは無かった。
「(くそ、これじゃない!
……この状況を打開する最善策はテンペストボルトで全リアガードを退却させる以外に無い、後は……賭けになる。
けど今の状況でなら、賭けに出るのも)悪くねえ‼︎
ブチ抜け、我が前に立ちはだかる全ての壁を!
ストライド・ジェネレーション、『征天覇竜 コンクエスト・ドラゴン』‼︎
ズイタンと『鉄血の
Gペルソナブラストを払い、私の
さあ退却しな、ダスクブレード‼︎
そしてシュキのスキルも発動してパワー+3000‼︎」
征天覇竜 コンクエスト・ドラゴン:P15000+11000+10000=36000、C1、ハーツ:ガントレッドバスター
ズイタン:P9000+10000=19000、C1
鉄血の
魔理沙は次に手札2枚を使い無理矢理
「……成る程、『
矢張り、お前のファイトは俺とは相性最悪だ」
「はっ、今頃それを思い出すのかよ。
んじゃ、思い出したついでにもう一つ思い出させてやるよ………お前が私に勝った回数よりも私がお前に勝った回数が多いってな‼︎
コンクエスト・ドラゴンでオルターエゴ・メサイアをアタック‼︎
「完全ガード‼︎」そんなもんお見通しだぜ、トリプルドライブ‼︎」
コンクエスト・ドラゴンVSオルターエゴ・メサイア:36000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『雷槍の
覇軍の
そしてコンクエストからアタックし『シャドウ』の手札に完全ガードが確保されている事を予測しておりそれを吐かせてトリプルドライブでクリティカルを3枚引き当てる。
これによりズイタンは単独でパワー34000、現在のシュキのブーストを含めればパワー44000、クリティカル4という化け物パワーを生み出していた。
それを見て『シャドウ』は真面目に手札を見て、確かにこれはガードが可能だが、次に
「こいつでぶっ飛びやがれ‼︎
シュキのブースト、ズイタンでアタックだ‼︎
さあ存分に思い知れ、これが、私のッ‼︎
実力、っだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「……(これをガードしようと次は……そうか、これが今の………ならば)ダメージトリガーチェック」
ズイタンVSオルターエゴ・メサイア:44000VS11000=ヒット
ダメージチェック『真空に咲く花 コスモリース』『震脚のブラストモンク』『デスティニー・ディーラー』『オルターエゴ・メサイア』
『シャドウ』:ダメージ:3→7 LOSE
魔理沙 WIN
そうして『シャドウ』は自身の敗北を悟りノーガードを宣言し、そのままダメージチェックに入り敗北する。
「………っしゃあ‼︎」
魔理沙は『シャドウ』に自身の最大級のアタックが届き勝利した事に嬉しさの余りガッツポーズを決め、これで洗いざらい『シャドウ』の口から全てを吐かせる事が出来る……と思ったが、改めて思い返すと互いにアンティルールによるファイト宣言を行っていない事に気付いてしまう。
このままでは逃げられる、そう思い急いでデッキを仕舞おうと慌て始めていた。
それを見て『シャドウ』は一瞬何をしてるのかと思うが、直ぐにアンティファイト宣言をして無かった事に気付き、溜め息を吐きながら口を開く。
「はぁ………おい、確かにアンティファイトは宣言して無かったが、流石の俺も一度言った事は守ろうとはするぞ?
約束通りお前の質問に答える、但し宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンには話すな、でなければ話さん」
「な、なぬ?
…………何で二人には内緒なんだ、疚しい事がやっぱりあるのか?」
「現段階では奴等に何も言えんからだ。
少なくとも、弱い今のままならな」
「………」
魔理沙は『シャドウ』の一言一言に耳を傾け、何故蓮子とメリーには黙ってなければならないか疑問に思うが、このままそれを承諾しなければ目の前の、漸く捕まえた幼馴染から自分が聞かんとしている事全てを吐かせられず、しかもそのまま雲隠れされかねずまた探してファイトをして勝つと言う二度手間になる為、魔理沙は止む無くその要求を呑む事にした。
「………ああ、分かったぜ。
蓮子とメリーには取り敢えず話さなきゃ良いんだな?
だから私が聞こうとする事全部吐けよ、分かったなこのバカ幼馴染…………『ブライト』」
「ああ、話してやる」
そして『シャドウ』………幼馴染の本当の名を最後に口にし、目の前の幼馴染の青年、『ブライト』はそれを聞いて魔理沙に聞かれる事を全て話そうとしていた………自分の目的に協力するか、否かを問う為に。
こうして二人の間にピリピリした空気が流れる中、時間は過ぎて行った………。
「後ついでに今までの分と蓮子とメリーの分を乗せた全力パンチを喰らいやがれ‼︎『バキッ‼︎』」
「(………まぁ、殴られて当然か。
さて、後は何回殴られるかだな)」
訳では無く、魔理沙の全力パンチをまともに受けながらである。
ファイト描写を変更してみましたが、如何でしょうか?
前の方が良いなら前の方に戻します。
さて、『シャドウ』の本名がボロっと出ました。
蓮子とメリーはこの名を知るのは何時になるか、それはそれで楽しみにしてて下さい。
次回もよろしくお願いします。
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第4章「永遠亭編」
第36話「いざクエストへ‼︎→その後………」
今回前書きで何かを書くと本編のネタバレになるので特に何も書きません。
では、本編へどうぞ。
『シャドウ』………否、『ブライト』から聞ける事全てを聞いた魔理沙は翌日、朝早くから起き紅魔館へと入り、パチュリーとレミリアにその内容を話していた。
それを聞きレミリアとパチュリーは溜め息を吐きながら喋り出した。
「はぁ………『メリーの力については極秘事項だから魔理沙達が知ってる情報以外は与えられない』、『二人を幻想郷に無理矢理入れたのはそれが二人の為になり、また幻想郷はメリーの力が必要になるから』、『蓮子のPSYクオリアを目覚めさせようとしたのはメリーを守らせる力を付けさせる為』、極め付けは『俺以外にもメリーの力、メリー自体を狙う輩が居る、しかも邪な感情、それが善行だと思うなど様々な理由で』とか………あいつ、蓮子の部分以外はまるで分からん事をペラペラ話したのか?」
「はっきり言って、彼の印象が更に悪くなったわよ。
どれもこれもきっちり説明させてくれなければ納得の行かない漠然とした内容ばかり、そんな物を言って魔理沙の問いに答えた気でいるなら最悪よ」
そして語られた内容をかなり伏せた漠然とした目的にかなりの不満を漏らし、魔理沙の幼馴染たる青年に対する評価が地の底に落ちて来始めていた。
しかし、魔理沙の中でもう一つ、しかしこれも誰にも言わないでくれとまで言われてしまった内容が一つあり、これが魔理沙の中で『ブライト』が言った事全てにどう繋がって来るのか分からず悩ませていた。
「兎に角、これはアイツが蓮子とメリーにはまだ絶対に話すなとか抜かしていたな?
ふふ……なら、これをうっかり私が二人に漏らしたら奴はどんな顔をするか見物だなぁ…」
「………後、『今二人に言えば絶対、確実に二人に厄災が降り掛かる』とも言ってた。
それは二人にはとても残酷で耐えられず、必ず二人を破滅させるものだって」
「……つまり、それを回避したかったら言うなと?」
「二人が成長したら全部絶対に言うとも……」
更に魔理沙は追加情報として二人に『ブライト』が話したこれらを二人に話す事は二人に破滅を齎すと言う警告をレミリア達に話し、絶対に蓮子達の耳には入れない様にさせようとする。
魔理沙もこの警告を最後に聞いた時はお前は何を言っているんだ程度にしか思えなかったが、その目は余りにも嘘を付いておらず、ジッと自分を見つめて来ていた事を加味し、1000歩譲って蓮子達には話さないと約束をしていたのだ。
「………ふん、奴の言葉を信じる訳ではないが念には念を入れねばな。
この話は我々の中で留めておくぞ」
「そうした方が良いわね」
そして三人はこの話は三人の間で共有するに留めておく事として一旦解散する。
しかし三人は『ブライト』の言葉を全て信じた訳ではない為警戒は怠らない様にするのは変わらず、また『ブライト』が蓮子達に手を出したりするなら全力で排除(魔理沙は全力パンチ)に変わりなかった。
一方蓮子とメリーは、魔理沙から『今日は適当にクエストを受けてな』と言われ、どんな感じのクエストがあるか見に行き、万が一トラブルに巻き込まれても切り抜けられる様に改造、及び新カードを投入したデッキを持って紅魔館向かった…………だが、其処で二人は会いたくない人物達に遭遇する。
『……………』
「うっはwwwwwwww蓮子ちゃんとメリーちゃんこにゃにゃちわwwwwwwwwwwww」
「どうもこんにちは、今日も今日とて内藤さんに振り回されそうで心配になってしまってるミストです」
「そしてそんなミストさんと同じ様に振り回される妖夢です」
何と紅魔館に来ると其処でいきなり内藤、ミスト、妖夢と再会したのだ。
蓮子とメリーは妖夢の方は歓迎はするが、残りの二名ははっきりと会いたくなかったと思っており、こんな所で何故会ってしまったのかと自分達の対人遭遇運の無さに嘆いていた。
「いや〜wwwwwwwww『蓮子ちゃんとメリーちゃんを守り隊』結成からそんなに経ってないのにwwwwwwwwwこんなに早く再会するなんてwwwwやっぱりwww俺様のモテ期到来だぜ!wwwwwwwww」
「いや無い無い……って、私達を守り隊?」
内藤がモテ期到来を口にした瞬間蓮子は流す様に切り捨てるが、『蓮子ちゃんとメリーちゃんを守り隊』と言う言葉を聞いた途端何か嫌な予感がし、メリーも同じく嫌な予感がしたのか顔が若干青くなりながら妖夢を見る。
「ああそれはですね、お二人が彼の者……お二人が『シャドウ』と呼ぶ輩に狙われてるのを知った内藤さんとミストさんがお二人を守る為に結成した親衛隊ですよ。
因みに私は幽々子様の命で内藤さん達の
「あ〜………なんか、ドンマイ……後其処の二人は半径2mから先に近付かないで」
蓮子とメリーは妖夢の説明を聞いて妖夢は真面目キャラで苦労人ポジに居ると改めて思い、二人で肩をポンと置いて同情していた。
そのついでに蓮子は内藤とミストに対して半径2m圏内に近付くなと言い放ち、メリーと共に妖夢を抱き寄せながら後ろに下がっていた。
「オウフwwwwwwwww俺様達の扱い辛辣過ぎwwwww修正されてwwwwwww」
「護衛対象からいきなり近付くなと言われてしまうだって?
それじゃあ護衛の意味が全くないじゃないか!
こんなんじゃ俺、護衛任務をやりたくなくなっちまうよ………」
「だったらその超が付く位ウザい言動とか直してよ」
「流石に私もお近付きには………ねぇ……」
蓮子とメリーの辛辣な態度に内藤とミストは涙を流したり項垂れたりしたが、更に二人の追撃が入りその言葉が深々と刺さっていた。
それに対し妖夢はオドオドしながらも何とかフォローしようと言葉を引き出そうとしたが、今の蓮子とメリーには何を言ってもこの青年二人組の評価などは変わらないと悟り、この先まだまだ苦労するのだろうなと思い始めていた。
そんな中で蓮子とメリーはクエストボードを見てると、中に『私の知り合いを外に出して下さい』と言うクエストがあり、しかもそれは成功すればメリーのグレードが丁度3になり、大型の大会に参加に必要な最低グレードに到達する様になっていたのに気付く。
「あ、これ受けたら丁度メリーのグレードが3になるじゃん!
メリー、これ早速受けるわよ!」
「うーん、まあ良いかな?
でも『知り合いを外に出して下さい?』
これってどう言う意味なのかしら?
もしニートを出せなんて滅茶苦茶な内容だったら即放棄して他のクエストをするで良い?」
蓮子は早速これを受注してクエスト配信者の下へ行こうとする。
それに対しメリーはこれなら受けても大丈夫かと思った上で面倒な内容であった場合は即クエストを放棄して別のクエストを探そうとする事を告げ、蓮子もそれに同意して妖夢を離して向かい出す。
「え、あ、ちょっと待って下さい‼︎
私達も行きます行きます‼︎」
「ちょwwwwww待ってよ蓮子ちゃん達wwwwwwwwww」
「護衛対象が好き勝手に動くなんてこんなの普通じゃあ………なんて言ってる場合じゃない‼︎
皆待ってくれって‼︎」
そんな蓮子達を追うべく内藤達も同じクエストを受けて彼女達の後を付いて行く(ご丁寧に内藤とミストは半径2mから先には近付いてない)。
そんな奇妙な五人組は待ち合わせ場所に指定された人里の蕎麦屋へと急いで行った。
「………で、あんた達がクエストを受けてくれた訳だな。
それには感謝するよ。
けどさ………何で噂の外来人二人に半人半霊の庭師、大草原の男に霧の申し子なんて奇妙な集まりが出来たの?」
『成り行き』
そして待ち合わせ場所の人里の蕎麦屋にてクエスト配信者である白のカッターシャツに赤いもんぺの様なズボン、白のロングヘアーに赤いリボンが特徴の少女に出会って早々、奇妙な五人の集まりに対し問われるが蓮子とメリーは成り行きと答え、妖夢は苦笑しながらメリーの隣に座っていた(内藤達は別席)。
「まぁクエストを受けてくれる分には関係ないね。
取り敢えず噂の外来人の二人は初めまして、私は『藤原妹紅』だ、宜しく頼む」
「ご丁寧にどうも。
私は宇佐見蓮子、こっちはマエリベリー・ハーンよ」
「初めまして藤原さん、私はマエリベリー・ハーンです。
メリーって呼んで下さい」
「なら私も妹紅と呼んでくれ、苗字で呼ばれるのは余り慣れてないんだ」
取り敢えず初対面の三人は一先ず挨拶をし、それから妹紅はクエスト内容を語る為口を開き始め、他の五人は耳を傾ける。
「さて、クエストの話をするんだが話は簡単さ、私の知り合い………て言うか腐れ縁の奴を外へ引っ張り出す事さ」
「えーと、それってニー「微妙に違うから安心しろ」アッハイ」
妹紅からクエストの話をされた時ニートを外に出すのかと蓮子が聞こうとした所、少し違うと言いながら否定され蓮子はまた黙って話を聞き始める。
「そいつはヴァンガードファイターで、しょっちゅう大会や私個人を相手に何度も住まいから出て来ていたんだ。
しかし、ある時を境にパッタリと外で見なくなったし何かあったのか住まいに見に行けば追い返されての繰り返しさ。
で、気になるからそいつを引っ張り出す、それだけ」
「えーと、その人が外で見かけなくなった時期は?」
「そうだな……1ヶ月と6日位か?
大体その位からあいつ、『蓬莱山輝夜』を見なくなったぞ」
蓮子とメリー、更に内藤達はクエストの内容を聞き、内藤達の方は矢張り『蓬莱山輝夜』かと言う顔をしており、これなら案外外に出すのは楽かもしれないと考えていた。
しかし蓮子とメリーは『蓬莱山輝夜』が外で見かけなくなった時期が、丁度自分達が初クエストを受けた時と大体一致する事が分かり、何かの偶然かと思いつつも変な予感が頭を過ぎり、もしかしたらまた『シャドウ』が関わっているのかもしれないと言う万に一つの可能性を胸に秘め、互いにアイコンタクト(及び指差し、J◯◯O立ち、ハイタッチをウザ可愛顔で)しながらクエストを受けるだけ受けてみようと意見を纏めた。
「分かりました、そのクエスト引き受けます」
「そ、そっか、それは有難い(今の外来人はあんな変な意思疎通方法があるのか?
やっぱ私の知る外の世界とはかなり違うんだな……)」
「二人共固くなり過ぎwwwwwwww輝夜ちゃんならもこたんが一言掛けたらwwwwwwwwお外に出て来るよwwwwwwwwwwwwだってww二人は仲良しざますからねwwwwwwwwwwww「断じて違う、後もこたん言うな‼︎」うはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwもこたんカワユスwwwwwwwwwwwwwwwww」
そんな談笑を交わしつつ蕎麦屋で注文(メリーはかけ蕎麦、蓮子はもり蕎麦、妖夢はおろし蕎麦、ミストは天ざる、内藤はもり蕎麦大盛り三丁)を取り、全て食して会計を済ませてからクエストを達成すべく『蓬莱山輝夜』が住まう場所、『迷いの竹林』の中にある幻想郷随一の薬師が居る『永遠亭』へと向かうのであった。
しかしそれからたった数時間後、蓮子達のファイカの反応が消え、4日が過ぎても彼女達の姿を見た者は誰一人として居なかった。
そう、それが蓮子達に何かと関わり火種を残して行く事に定評が出来ている『シャドウ』、否、『ブライト』であっても…………。
新章突入からいきなり蓮子達と妖夢達の合わせて六人が行方不明に………永遠亭に向かった彼女達に何があったのか?
更にこの事態を解決するのは誰なのか?
それは………次回をお楽しみに。
次回もよろしくお願いします。
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第37話「蓮子達を救出せよ!」
今回も会話回で魔理沙やブロントさん達が如何に動くか注目です。
では、本編へどうぞ。
蓮子とメリーが消えてから1週間が過ぎ、その中で同時期に妖夢、内藤、ミスト、更に妹紅が居なくなった事を知った魔理沙やブロントさん達は幻想郷の端から端まで隈なく探すが、何故か六人の痕跡が人里の蕎麦屋から先が消えており、全く足取りが掴めずに居て焦り始めていた。
「くそ‼︎
蓮子達は何処に消えちまったんだ‼︎」
「蓮子達だけじゃありません、妖夢さんや内藤さん達、そして妹紅さんも」
「………六人が蕎麦屋で席に着いて何かを話して蕎麦食べて六人一緒にPT組んで何処かに行ったのは目撃情報などを照らし合わせて火を煮るより明らかなんだが、底から先は何故か足取りが消えていてコレガワカラナイと疑問が鬼なる。
蓮子達は珍しく組み合わせでPT組んでいた事から間違い無く何かのクエを受けていた事は間違いにい、だが何故かクエを受けていた事すら「そこにある筈なのになかった」とクエストボードからデータが消えていた。
まるで蓮子達が消えたかと演出をする為みたいに………だが何故そうする必要があった?
………駄目だ、パズルのピースが足りそうで足りてない、足りにくい!」
魔理沙、麟、ブロントさんは昼に人里前に集まり情報を交換しようとするも、全く情報を掴めてなかった為焦りが募るばかりであった。
特に魔理沙は友人が消えてしまった事はこれが初めてでは無い為、余計に焦り出し悪い考えばかりが頭の端から端を過ぎりネガティヴの悪循環に陥っていた。
麟がそれを宥め唯一冷静なブロントさんが考察をするも、パズルのピースが足りず答えを導き出せずにいた。
「ああ〜くそ‼︎
………これでもし蓮子達が見つからなかったら、私は……………‼︎」
「魔理沙………」
「……兎も角今は二人をもっとよく探すべきそうすべき。
少なくとも俺達にはそれ位しか出来にい……!」
魔理沙が焦り、麟がそれを宥めている中ブロントさんは二人に蓮子達の再度捜索をしようとし、二人もそれを一旦首を縦に振り立ち上がり、三人それぞれ別れて蓮子達を探そうとした………そんな時、魔理沙の目の前に矢文が飛んで来て、魔理沙は驚いて尻餅をついてしまう。
「うわっと⁉︎」
「魔理沙、大丈夫⁉︎」
「あ、ああ〜大丈夫………それよりこれ……」
麟が魔理沙を心配し駆け寄り、彼女を支えながら立たせると、当人の魔理沙は矢文に紙以外に何かが括り付けてあり、ブロントさんが矢文を引き抜いて文とその何かを取り何が書かれているのか、括り付けてあったのは何かをまじまじと見て確認し、魔理沙にも渡して見せてくる。
魔理沙と麟はそれらを見始めた。
「えっとこちらは………PC用『メモリークリスタル』………魔導機械に用いられる記憶媒体ですね」
「んで手紙には何々?
『そのクリスタル内にあるデータを解析すれば宇佐見蓮子達の行方が掴める』だって?
………名前が無い妙な文に怪しさ満点の記憶媒体………二人共、どう思う?」
手紙の内容とメモリークリスタルを見て魔理沙は改めて二人にこれらをどう思うのかを敢えて聞き出す。
「うむ、これはあくまでも一般論なんだがこれがミエミエな罠である事は明白に明瞭なんだが手掛かりが今はこれしか無いと言う意見。
なので此処は敢えて罠に乗って罠を雷属性の左で叩き潰して蓮子達の居場所を吐かせた方が良いんじゃないかと俺は思うんだが?」
「私もブロントさんに賛成です。
例え罠だとしても、今は飛び込まなければいけない時なんです!
それにこれが罠では無いしっかりとした情報なら、今の私達には僥倖です!」
「……決まりだな、じゃあこれをパチュリーに解析させよう。
紅魔館ならこれに罠が張ってあっても………!」
すると当然答えはこの罠らしき情報源に乗っかり、罠か否か関係無く蓮子達の行方の手がかりを掴もうと言うものが返って来る。
それを聞いた魔理沙は首を縦に振り紅魔館へ向かおうとし、他の二人も同じ考えだったらしく走ってパチュリーやレミリア達の下へ急いで行った。
「………問題無く乗ってくれたか。
さて、此方も先に動くか………」
すると少し離れた場所の屋根から双眼鏡で三人を見つめる一人の人間……青年の姿があった。
その青年は一切の表情を崩さず三人の動向を見て、先程飛ばした矢文とそれに括り付けた手掛かりをしっかりと解析するのを察し、これを矢文と言う形ではあるが渡せて一先ずはプラン通りになると思っていた。
そして青年………『ブライト』は三人よりも早く動く為にメモリークリスタル内にある解析が必要な情報の先………自分には解析と『修復』が出来なかったが、常に蓮子とメリーの動向をチェックしていた為ある程度は予測出来た二人の居場所(仮)に向かうのであった。
魔理沙達が紅魔館へ走り出し、途中から空を飛び(ブロントさんはとんずらを使い)ものの10分程度で辿り着き、地下図書館に行きパチュリーにメモリークリスタルを見せ、早速解析をして貰っていた。
すると其処にレミリアやアリス、更に幽々子達も駆け付け、魔理沙達に話し掛けて来る。
「魔理沙、ブロントさん、麟!
蓮子達の手掛かりが見つかったの!」
「それに妖夢や内藤君、ミスト君のも!」
「まだ決まった訳じゃないし罠かもしれない。
だからパチュリーに手に入れたメモリークリスタルの解析を……」
「成る程、情報源自体が罠であるなら此処の設備でならそれすら打ち破り、更に情報の先が罠なら我らの力を借りれば力尽くで捩じ伏せられる上、あわよくば蓮子達の居場所を吐かせられる……考えたな、魔理沙」
魔理沙はパチュリーに解析を頼んでいるとレミリア達に説明するとそのレミリアが不敵な笑みを浮かべ紅魔館の面子と設備なら如何なる罠も打破可能だと言い、全員がそれに頷く。
何故ならばレミリアを始めとした紅魔館の主要メンバーは全員トップファイターとその直ぐ下、トップファイターすら喰らう可能性がある強豪ヴァンガードファイターなのだ。
特にレミリアは〈シャドウパラディン〉の中でも恐るべき力を持つユニットを多数所持し、それらを自在に操るのだ。
そんな面子を相手にすれば大打撃間違い無しなので正面きっての抗争は避けられているのだ。
「……皆、盛り上がってる所でちょっとこれを見なさい」
『?』
そんな中パチュリーが全員に話し掛け、モニターを見るようにと指示して来る。
それを聞いて全員パチュリーの後ろに身長が小さい順から前に並びモニターを見ると、其処には日付けが1週間前のクエスト管理データのファイルが映し出されていた。
しかし、いざファイルを開くと所々文字化けや穴が空いた様に黒くなっている部分があり、とてもじゃないが管理データとは思えない程中身が破損、及び改竄され尽くしていた。
「何だこりゃ?
見た所ヴァンガード普及協会本部で管理されてるクエストデータだけど、滅茶苦茶に弄られてるじゃないか」
「……つまりこのメモリークリスタルを渡して来た素敵な方はこれを解析、修復してくれと言ってる訳ね。
全く、無茶な要求をして来るわね」
それらを見てパチュリーはやれやれと言わんばかりに肩を竦め、メモリークリスタルを渡して来た人物に皮肉を言い出していた。
これを聞き魔理沙は少しだけ「これ大丈夫か?」と思い始め、パチュリーに声を掛けようとする。
しかしそれと同時にパチュリーは座りながら背伸びし、再び画面に向かい、更にキーボードを高速で打ち始めた。
すると小悪魔もそれに参戦し、二人でキーボードを打って行くと見る見る内に破損、改竄されていたデータが解析と復元が進む。
「お、おお………!」
「『カタカタカタカターン!』はい終了、お疲れこあ」
「いえいえ、パチュリー様をサポートするのは使い魔の私の務めですから」
そしてものの5分もしない内に全て修復、解析が終わりクエスト管理データが元の改竄前の状態になっていた。
それを見て魔理沙達は矢張り紅魔館は格が違うと感じ、薄ら笑いを浮かべている者やガッツポーズをとる者が居た。
そんなこんなで復元されたデータを少しずつ慎重に覗いて行くと、其処に蓮子とメリー、更に妖夢に内藤やミストの名がありクエストを見てみるとクエストを出した人物は妹紅で、クエスト名は『私の知り合いを外に出して下さい』であり、此処から内容は『永遠亭の蓬莱山輝夜』を外に出すものだと全員は容易に想像出来た。
「……そう、妖夢達に蓮子ちゃんとメリーちゃんは藤原妹紅のクエストを受け、永遠亭に向かい其処で……」
「ふん、となれば犯人は永遠亭に居る誰かか藤原妹紅自身、或いは永遠亭の面子全員か………面白い、我らが紅魔の者に連なる者共に手を出せば如何なるものが返って来るか教えてやろうではないか………‼︎」
するとモニターに映し出されてた内容を見てレミリアがかなり殺気立ち、今にも永遠亭に飛び出して行きそうな雰囲気を醸し出しており、咲夜とオリオンが『失礼します』と一声掛けてレミリアの肩と足を押さえつけていた。
「なっ、お前達離せ!」
「駄目です、今にも飛び出して行きそうですのでせめて作戦を立ててからにして下さい。
……それで、ミッション内容は如何に?」
「今回は恐らく永遠亭に囚われている六人……藤原妹紅が被害者と仮定してだけど、彼女達を囚えている者に感付かれる事無く救出する潜入ミッションよ。
………人選は、ブロントさん、麟、魔理沙、咲夜、後こあ、貴女にも出て貰うわ、良いわね?」
「はい、分かりました」
するとパチュリーが潜入ミッションのメンバーを選出し、全員で5名での潜入ミッションとなった。
それを聞いた魔理沙達は真剣な表情となり、顔を上げる。
するとオリオンが手を挙げパチュリーに意見を言おうとし、それを予測してたのかパチュリーが口を開く。
「オリオン、貴方の言わんとする事は分かるわ。
確かに潜入ミッションなら貴方も得意だけどもし向こうに貴方も連れ出していきなり捕まれば切り札とバックアップを一気に失う事になるわ。
だから、今回は魔理沙達に何かあった場合に備えて取り敢えず待機よ。
アリス、幽々子、貴女達もよ」
「……了解」
「バックアップと言う事なら」
パチュリーの説明な渋々了解し、ブロントさん達に任せてオリオンやアリス達はバックアップに回る事となり、いよいよ潜入ミッションが開始されようとしていた。
するとパチュリーは魔理沙を手招きし、側に寄せる。
「どうしたんだ、パチュリー?」
「魔理沙、もしも蓮子達を見つけたらこのクリスタルを砕きなさい。
これには私の魔力が微量に込められた結晶よ、砕けば私が察知する様になってる。
要は証拠を押さえたって合図よ。
それを合図にバックアップ組も突入するわ、良いわね?」
パチュリーからクリスタルを渡された魔理沙は首を縦に振り、それを懐にしまい込みブロントさん達の下に戻る。
そして潜入ミッション成功の為に会議を開き、話をどんどん煮詰めて行き最終的に内容が30分で決まった。
「………えーとつまり、『兎に見つからない様に地下を掘り進めて永遠亭の直下から侵入して蓮子達を救出する』?
上手く行くのかよそれ……」
「ブロントさんのマッピング能力で永遠亭の正確な位置は把握してるから、迷いの竹林の近くから掘り進めて行けば何とかなるわ。
それに、地上や空から行けば兎達にどうしでも見つかってしまうわ。
ならば、見つからない様にするには………」
「地面を掘り進めて行くしかない、と言う事ですね……」
そして決まった内容は何とブロントさんのマッピング能力で正確な位置を把握してるので、監視に見つからない様に地面を掘り進めて永遠亭に侵入すると言うギャグ漫画などで良くある事をしようと言うのだ(咲夜提案)。
更にそれの説得力はかなりの物で、全員兎達に見つからない様に地上から行くのは咲夜以外は不可能だと感じこれしか無いとまで思えていた……が、これが成功すると思えてなく、魔理沙はジト目となり、地面を掘り進める役のブロントさんはゲンナリとしていた。
「しかし、現実的に永遠亭に侵入するには矢張り地面からの方が見つからない確率が非常に高いです。
ならば、これに賭けてみる他無いでしょう。
……なのでブロントさん、ヴァナで鍛え上げた身体に秘められた超パワーを披露宴にする機会ですよ、頑張って下さい」
「………ム牛ン」
こうして魔理沙達は咲夜が提案した作戦を実行するべくスコップやツルハシなどを持ち出し、迷いの竹林近くから地面を掘り進めだそうと出掛けて行った。
それを聞き、側で見ていたレミリア達は『大丈夫か?』と思ってはいたが、矢張り咲夜の立てた意外性が高い作戦以外に現状方法が見当たらない為、魔理沙やブロントさん達の背中を見送る以外に他なかったのであった……………。
はい、今回咲夜が立てた作戦はこんな感じになりました。
『三月精を使えば楽』とかメタは無しで。
因みにブロントさんの頭の中には幻想郷のマップが大体インプットされています。
次回もよろしくお願いします。
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第38話「潜入、永遠亭!」
そして一言、ファイターズルールは守りましょう、リアルファイトや友情ブレイクを避けたいなら(目撃談)
では、どうぞ。
ブロントさん達が紅魔館を出て2時間、迷いの竹林の中を見回りしている妖怪兎の視界に一人の人間の青年が映り、その者を囲み警戒していた。
「待て、お前は何者だ!」
「ヴァンガード普及協会本部の職員だ、八意永琳に用がある、通して貰いたい」
兎達が警戒する中、青年はヴァンガード普及協会本部職員証を見せ、その場を通り過ぎ永遠亭に居る八意永琳の下へ行こうと言い、それを聞いて兎達はひそひそ声で話し合うが直ぐにその場で1番偉そうな兎が判断を下し青年に話し掛ける。
「分かった、八意様に会わせよう」
「話が早くて助かる」
どうやら直ぐに八意永琳に青年を会わせてくれるらしく、周りを囲んでいた兎達は道を開け、青年を先に通らせていた。
しかし此処は迷いの竹林、青年でさえ正確なマッピングが出来ておらず勘や朧げな記憶頼りに進むしか出来ない為か、道案内役に周りを囲んでいた妖怪兎の1体を指名し、その者に案内させた結果直ぐに永遠亭へと到着し、青年は中に入ると真っ先に診察室に向かい、其処には今日の診察を終えたばかりの八意永琳その人が居た。
「あら、貴方は………確か、ブライト………と言ったかしら?」
「久し振りだな、八意永琳。
直に会うのは数年振りだな」
青年………ブライトが八意永琳と対面し、近くにあった丸椅子に座り彼女を見据える。
しかもその瞳には警戒色が隠れずに表れている。
「あらあら、そんなに警戒色を強めてどうしたのかしら?
何か私にあるのかしら?」
「………藤原妹紅と複数名が行方不明になった件を追ってる、会う人間全員に警戒するのは当然だと思うが?」
「藤原妹紅が?」
ブライトは永琳に妹紅が行方不明になった事を告げ、それを聞いた永琳は驚いた様子を見せる。
だが此処でブライトは必要以上に情報を出さない為に何時行方不明になったかは言及を避けていた。
無論そうした事にも理由があったりする。
「そう、彼女が………姫様も少し寂しくなると思うわ」
「だからこちらの方としては人手が欲しいし、藤原やその他の者が何故行方不明になったか原因の解明がしたいんだ。
俺としても、迷いの竹林の案内人が消えるのは痛い」
更にブライトは永琳に対し妹紅や他数名が行方不明になったか原因が分からないというニュアンスの言葉を発し、更に永遠亭までの道程を知る妹紅が居なくなった事を気にしてる風に話し、遠回しに永琳にも協力しろと言っており、其処から永琳の反応を伺っている。
「……つまり私にも協力しろと?」
「出来ないならそれで」
「いえ、大丈夫よ。
ある程度は協力出来るわ」
それを聞いた永琳は当然ながら協力はすると答え、ブライトは言質を取ったかの様な表情を浮かべ、永琳に協力すると言った以上は絶対にそうしろと言った雰囲気を醸し出していた。
「……はぁ、それで?
どれ程協力すれば良いのかしら?」
「『因幡てゐ』、『鈴仙・優曇華院・イナバ』を含めた兎達を借りたい。
それも大人数でだ」
「大人数は無理よ。
こっちは少し前に大きな『ネズミ』に入られて大変な事になったのだから」
するとブライトは兎達を大人数借りたいと申し出るものも、永琳はそれを永遠亭に侵入者が居た事を話し、大人数の部分を蹴る。
それを聞きブライトは何があったのかと言う表情を浮かべ、永琳にそれを問い質す。
「永遠亭に侵入者が入ったのか?
そんな報告は聞いていないが……一体何時入った?」
「一週間前によ。
貴方、私が知らない内に普及協会本部職員になったのに聞いてないの?
私は既にその件は管理者達の耳に入れたのだけど」
「藤原妹紅達の捜索の方に集中していて報告を聞いていなかったんだ。
里の子供達が『妹紅お姉ちゃんが帰って来ない、どうしよう‼︎』と泣き付いて来てな、急いで探してやらないと不味いと感じて必ず藤原は見つけると約束したんだ。
それと上白沢慧音も『子供達の為に妹紅捜索に協力してくれ‼︎』と一週間前に頼みこんで来てな」
「相変わらず子供が好きなのね、貴方」
ブライトは本部からの報告を聞いていないのと、子供達の為に動いている事をそっぽを向きながら気不味い表情で言い、それを永琳は茶化しながら子供好きを指摘する。
それを聞きブライトは子供好きに関して何も言及しなかった。
「……兎も角、そちらの事情も把握した。
なら少人数でも良いから『鈴仙・優曇華院・イナバ』を含めた兎達を借りたい」
「どうしてもうどんげは外さないのね………分かったわ、私も子供達を泣かせるのが好きな鬼畜生では無いから借りて良いわよ」
そうして漸く交渉が成立し、ブライトは永遠亭から人手を借りる事が可能となり、それを聞くと丸椅子から立ち上がりドアの前に移動しようとする。
「すまないな、礼を言う」
「良いわよ、困った時はお互い様よ」
それから礼を言いブライトはドアノブに手を掛け、開けようとする………その瞬間何かを思い出した様な仕草をし、永琳は何かと気になりブライトの様子を伺う。
「………あー、八意永琳、一つ質問良いか?
永遠亭に侵入者が現れたのは何時だったか?」
「……貴方若年性健忘症でも患ったのかしら?
一週間前によ」
「藤原妹紅以下数名が居なくなり、俺が子供達に藤原を見つけると約束したと言った時期は?」
「自分の言った内容も忘れるとか………貴方疲れ過ぎよ。
一週間前と言ってたわ」
「そうだな、それじゃあもう一つ質問だ」
ブライトは何故か先程聞いた内容や言った内容を永琳に質問し、頭の横を指数本で叩きながら永琳に表情が見えない様に、しかし明らかに阿呆面をしてる様に感じる雰囲気をしており、永琳は呆れながら質問を返す。
するとブライトはもう一つ質問と言って永琳の方へと振り向く………最大限の敵意を永琳に対して向けながら。
そして、核心を口から紡ぎ出す。
「藤原妹紅、魂魄妖夢、内藤、ミスト・レックス、そして宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは何処に捕らえている?」
「……………あら、余りにも阿呆みたいな雰囲気を出してたから気付いていないと思ったわ」
その核心を聞いた永琳は動揺もせず、また怒りを向けるでも無くただただニッコリと笑い、見た目が19〜20代程の整った容姿の微笑みを敵意を剥き出し、明らかに永琳に怒りを向けるブライトに向けていた。
対してブライトはドアノブに手を掛けていた手で鍵を閉め、両手をフリーにして八意永琳と向き合っていた。
「ふふふ、たった今気付いたにしてはかなりの敵意の向けようね。
何時から気付いていたのかしら?」
「一週間前、子供達から藤原を見つけてくれと言われ調査を開始するのと、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンのファイカのログイン状態が藤原達のと一緒に途切れてからだ。
藤原の奴の事だ、大方『蓬莱山輝夜』を外に出せと言うクエストを立てて宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンが受けたのだろう。
そして………貴様の狙いは宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、違うか!」
「あらあら、あの二人を私に気付かれない様にマークしていて、しかも最初から私が今回の行方不明の主犯でアレコレして揉み消したクエスト内容の答えや足取りの解答とかに辿り着いたの?
ふふ………私、貴方みたいな勘の鋭い餓鬼は好きよ、割と」
ブライトの何時から気付いてたかや紅魔館並の施設とパチュリー並の頭脳が無ければ元に戻せなくなっていた一週間前のクエスト情報や、ある場所から、しかも永遠亭が関わっているとは思えない場所から足取りが消えた蓮子達が何処へ行き、更に行方不明事件の目的にすら気付いている事に椅子に座りながら拍手を送り、ずっと微笑みの表情を永琳は、逆に不気味としか言い様の無い程崩さずに怒りの表情を向けるブライトと対峙していた。
「オーイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ、オーォ、おいィィィィィィィィィ‼︎」
一方その頃魔理沙達はブロントさんの働きにより異常な程快調に地面を掘り進め、もう既に迷いの竹林直下の地面に突入しており後は永遠亭の下まで掘り進めるだけであった。
「おー、流石はブロントさんだぜ!
いや〜やっぱりナイトはこんな荒仕事も卒無く熟せる位Pスキルが高いな。
すごいな〜、憧れちゃうな〜」
「ゼェ、ゼェ、それほどでも………ない……」
「しかも謙虚にもそれほどでもないと言った!
やっぱりナイトじゃないとダメか〜」
「はいはいブロントさん後少しですよ、頑張れ❤︎頑張れ❤︎」
「………………^^;」
そんな穴掘り作業を息絶え絶えで行う謙虚なナイトに対して謙虚なサポシ舎弟と瀟洒なメイドはテンプレ褒めを行いナイトの手を止めさせず、更に其処についげきの狡猾な悪魔♀が何故かやる気がMAXになる応援をして快進撃を続けさせていた(尚三人に悪意は無い模様)。
そんな光景を目の前で繰り広げられていたナイトの謙虚なリアフレ♀はどんな反応をすれば良いのか分からず苦笑しながら足を進めていた。
「オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオォォォォォォォラァァァァァァァァ!!!!!(ヤケクソ)
ズェ…………ズェ…………こ、此処が丁度永遠亭の直下である事は決定していたんだが?
もう………ゴールしても良いよn「後ちょっとだ、頑張れブロントさん!」……………hai……………ちくしょう覚えてろよ………」
そして永遠亭直下に来たにも関わらず少しも休ませずにブロントさんに上を掘る様に魔理沙が応援しながら要求し(無論悪気はry)、ブロントさんは想像を絶する悲しみに包まれながらも上を掘る作業に入り、それから暫くして漸くブロントさん達は永遠亭……………と思われる、ブロントさん達が見た事も無い空間に床をくり抜きながら入り込んだ。
「………何なんでしょう、この場所?
永遠亭にこんな場所ってありましたっけ?
あ、ブロントさんこれ強壮剤です」
「う、うむ……………ふう、いあ、俺もてるよとファイトやゲームする為に稀によく永遠亭に来てはいたんだがこんな場所は無かったと記憶しているんだが?
となれば最近になって増築された空間英語で言うとNew Spaceだろうな(名推理)」
ブロントさんは小悪魔から渡された強壮剤を飲んだ後に自分の記憶の中にある永遠亭のマップと今居る空間を照らし合わせて位置は永遠亭の物置部屋と同じで通路や床の作りが永遠亭と全く一緒だが、どの部屋や通路にもこんな構造はしていない為新しく作られた場所だと判断する。
それを聞いた魔理沙達は消えた蓮子達に加え自分達の知らない全く新しく作られた場所と明らかに怪しさ満点なシチュエーションであった。
「では、此処に蓮子やメリー達は此処に………」
「その可能性が高いわね。
さあ行くわよ、見回りに見つからない様に気を付けましょう」
「ああ、そうだ「ウーサウサウサウサ!」‼︎」
そしていざ蓮子達を探す為に行動しようとした所魔理沙達の背後から声が響き、全員がそちらを向くと其処には永遠亭のモブイナバ4体と、永遠亭でう詐欺師や悪戯者として悪名高く、しかし何処か憎めない妖怪兎『因幡てゐ』が居た。
「な、お前はう詐欺師!」
「う詐欺師じゃない、因幡てゐだ!
いや〜そんな事より、まさか地面を直下掘りしてこの最近作り終えて利用し始めた地下空間に侵入してくる奴が居るなんて思わなかったよ!(あ、危ねぇ〜⁉︎
もし今見つけてなかったらお師匠様のお仕置きを食らうトコだった………‼︎)」
魔理沙がてゐをう詐欺師と呼び、全員が臨戦態勢を取り敢えずとる中、てゐは此処で魔理沙達を見つけた事をかなりの幸運だと思い、見つけてなかった場合の自身の身をイメージして内心青ざめており、絶対に魔理沙達を捕まえる事に躍起になってたりする。
「くっ、潜入ミッションがいきなり失敗するとは……!」
「でもこれで蓮子達が此処に居るのは確実になったわ。
取り敢えず予定を少々変更してこいつらをファイトで負かせて縛り上げてミッションを再開するわよ!」
魔理沙や咲夜達ははてゐの反応から蓮子達が居ると判断し、デッキを取り出して目の前の障害を取り除こうとし、それを見た妖怪兎達は不敵な笑みを浮かべてデッキを同じく取り出していた。
「ほうほうやっぱりあの人間達を助けに来た訳か。
なら此処を通す訳には行かないから本気出して止めちゃおうか………この『シングアビス』デッキでね!」
「やっと私の『ドントレヌーベル(コンローFV)』が火を噴く……」
「『シンバスカイザーローレル(コマンダーローレルガン積み)』の力、見せてやる」
「私の『ネコライザー(ネコ執事ガン積み)』も忘れて貰っちゃ困るよ」
「何か制限化されそうな『宝石サンク』が通りますよ〜^^」
「………はぁ⁉︎
お前らファイターズルールを守ってないデッキを使うのかよ⁉︎」
魔理沙はやる気満々な妖怪兎達のデッキを聞き目を丸くしながら驚愕する。
そう、てゐを含めた妖怪兎達3体のデッキはファイトを公正化する為、また異常な程の使用率で大会を埋め尽くすカードやデッキに制限を設ける『ファイターズルール』と呼ばれる、ヴァンガード普及協会が公式に定めた制限ルールを完全に逸脱したデッキなのだ。
しかも1体のモブイナバが使うデッキも制限化されるのではと噂のデッキであり、通常のデッキとは一線を画していた
無論このファイターズルールは公式大会で適用される物の為、非公式大会や個人ファイトに於いては守らなくても良い物だが、ファイター達は暗黙の了解でこれらを非公式大会などでも律儀に守っていたのでファイターズルールは守る物が幻想郷では当たり前になっていた。
「公式大会でも無いのにファイターズルールを守るなんて良い子ちゃんだよね〜。
でも私らは警備任務中、勝って侵入者を捕らえる為なら手段は選ばないのが常識」
「くっ、ぐう正論………‼︎」
しかし警備任務中の妖怪兎達にはそんな物は関係無い、手段を選ばないと言われた為反論出来ずそのまま論破される。
そして妖怪兎達は魔理沙達をそれぞれ誰が相手をするか選び、それぞれ分かれて魔理沙達に襲い掛かる。
「ちぃ!
全員臨戦態勢‼︎
絶対に勝つぞ‼︎」
『はい‼︎/おう‼︎/ええ‼︎/了解です‼︎』
そして魔理沙、麟、ブロントさん、咲夜、小悪魔は襲い掛かるてゐ達を迎撃するべくファイト態勢に入る。
果たして、このデッキ群を相手に魔理沙達は勝利を収める事が出来るのであろうか、それはまだ誰にも分からない…………。
ファイターズルールに関しては少し話で取り上げましたが、これらは他のTCGで言う制限カード、構築禁止を指定するルールです。
これが設けられた理由は勿論大会で異常なまでに使用されたからです。
やっぱりTCGはルールを守って楽しくするものですよね(結論)。
次回もよろしくお願いします。
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第39話「小悪魔は怖い(byモブイナバD)」
いやぁ………自力で宝石サンクに勝つ手段を考えたら此処まで酷い内容にしかならないとは思わなかったです………(泣)
無理難題は程々にした方が良いと教訓になりました。
では、本編にどうぞ。
ブロントさん達がてゐ達とファイトを始める寸前だったり『シャドウ』が永琳と対峙していた頃、蓮子とメリー、妖夢と妹紅は一週間前に永遠亭に来た所で何故か捕まり、一週間も同じ牢屋に入れられてた。
その間蓮子が騒いで牢屋から出す様に叫んでたりしたがスルーされ、3日が過ぎた辺りから暇過ぎた為互いにファイトをやったりなどして助けが来るのを待っていた。
「『光源の
アルフレッドは
合計パワー31000のクリティカル2、これで決まりだ‼︎」
「あぁ〜………完全ガードが無いからノーガードで負け………蓮子、貴女メインヴァンガードをエクシヴに変えたら化けたわね」
蓮子は自分の肌に合わなかった『
………但し、牢屋の中でメリー、妖夢、妹紅しか相手が居ないが。
因みにミストと内藤は隣の牢屋に入れられてる。
この牢屋に蓮子達を押し込めた永琳曰く『男女を一緒の牢に入れる真似は医者としてしない』と、明らかに男女間の間違いが起きない様にする配慮だったらしい(尚メリー以外は男二名をボコボコに出来る模様)。
「………でも、やっぱり暇だね………」
「はい……」
「ちっ、永琳の奴なんで私らをこんな牢屋に………‼︎」
そんな中で蓮子が暇と口にすると妖夢も同意し、妹紅に至っては永琳に対して一週間も怒りを募らせている為、目が座っており迂闊な発言を彼女に掛けられない状態となっていた。
「……はぁ……」
そしてメリーも溜め息を吐き天井を見上げながら、この1つの空間にしか居られない監禁状態に疲れたと言う様子を見せつつ、脱出不可能のこの牢屋から颯爽とブロントさんや魔理沙達が現れて助けに来ないかと心の底で期待と来ないかもしれない不安との板挟みとなっているのであった。
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「アモンの眷族 バーメイド・グレイス』!」
「『
一方その頃、蓮子達の救出に来ていたブロントさん達はてゐ達妖怪兎の集団とファイトを始め、小悪魔は『宝石サンク』と言う幻想郷の大会全てを総なめにしている所の流行りデッキを使うモブイナバDとファイトしていた。
「『宝石サンク』……確かに普通にやれば勝ち筋0、運や諸々に頼らないと勝てないですね………ライド、『イエロー・ボルト』!
バーメイド・グレイスをヴァンガードの後ろに移動し、イエロー・ボルトのスキル、レストして
アモンの眷属 バーメイド・グレイス:P5000、C1
イエロー・ボルト:P7000、C1
小悪魔:手札5 山札:42 ソウル:1
布陣
R イエロー・ボルト R
R バーメイド・グレイス R
「はっ、〈ダークイレギュラーズ〉とかwwww
そんなので『宝石サンク』に勝てるの?wwww
ライド、『
ヘロイーズは左後ろにコールして、ヴァンガードにアタック!「『アモンの眷族 クルーエル・バンド』でガード!」ちっ」
シンベリンVSイエロー・ボルト:7000VS7000+10000=ガード成功
ドライブトリガー『
小悪魔はギリギリ確保していたクリティカルトリガーをガードに使い、モブイナバDの初手クリティカルを防ぐ。
と言うのも、小悪魔が相手してるデッキは手札とトリガー次第ではダメージ1枚からでもゲームエンドに無理矢理運びかねない程の制圧力を持ち、まともに戦えるデッキが少ないとすら言われているのだ。
よって小悪魔はダメージをカット出来る部分はカットし、トリガーを引いて勝つと意気込みながらファイトをしているのだ。
「スタンド&ドロー、ライド、『アモンの眷族 ヘルズ・ネイル』!
『ドリーン・ザ・スラスター』と『アモンの眷族 ヘルズ・ドロー』をコールして、ヘルズ・ドローのスキル発動!
リアガード登場時に
更にドリーンのスキル発動、メインフェイズ中にソウルが増える度にパワー+3000‼︎(相手は『宝石サンク』の力を過信し過ぎて油断してる………ならば、その油断さえ突ければ………)」
アモンの眷族 ヘルズ・ネイル:P:9000、C1
アモンの眷族 ヘルズ・ドロー:P9000、C1
ドリーン・ザ・スラスター:P6000+3000×2=12000、C1
小悪魔:手札:2 山札:39 ソウル:3 トリガー数:14
布陣
ドリーン ヘルズ・ネイル ヘルズ・ドロー
R バーメイド・グレイス R
小悪魔は頭の中で勝利の為の道筋を作り出して行き、この目の前のモブイナバDが全力で来る前に油断を逆手にとって勝とうとしている。
小悪魔は決して紅魔の中で恵まれた実力は無く、レミリア達と比べても一目瞭然で1番弱いと自覚している。
しかし、1番弱いなりにも紅魔に属する者として無様な醜態を晒す真似はしないと誓っている。
全力で勝ちに行くと考えている。
故に、このファイトに掛ける想いは強い。
そうであるからこそ。
「ヘルズ・ドローでアタック!「『ノーブル・スティンガーでガード!」
次、ヘルズ・ネイルでアタック!「ノーガード!」
ドライブチェック!」
ヘルズ・ドローVSシンベリン:9000VS7000+10000=ガード成功
ヘルズ・ネイルVSシンベリン:P9000+5000VS7000=ヒット
ドライブトリガー『アモンの眷族 クルーエル・ハンド』『☆』
ヘルズ・ネイル:C1→2 ドリーン:P12000→17000
ダメージトリガー『
ドリーンVSシンベリン:P17000VS7000=ヒット
ダメージトリガー『
小悪魔:山札:38 トリガー数:13 手札:3
モブイナバD:ダメージ:3
「ちっ、やけくそに速攻をかけて来るか………ライド、『ナイト・オブ・ツインソード』!
更に『
そしてアタックフェイズ‼︎」
モブイナバD:手札:3 ダメージ:2/3
布陣
シェリー ツインソード そーどみー
ヘロイーズ ぷりずみー R
「そーどみーでドリーンをアタック!「インターセプト」
更にツインソードでヴァンガードにアタック!「ノーガード」
ドライブチェック!」
そーどみーVSドリーン:9000VS6000+5000=ガード成功
ツインソードVSヘルズ・ネイル:9000+7000VS9000=ヒット
ドライブチェック『
シェリー:P7000+5000=12000
モブイナバD:手札:4→5
「更にシェリーでアタック、ブーストしてるヘロイーズのスキルとシェリーのスキル発動、他の『
「(此処は………受けるべきかな?)ダメージチェック……ドロートリガー」
シェリーVSヘルズ・ネイル:12000+5000+6000VS9000=ヒット
ダメージチェック『ヒステリック・シャーリー』『引』
小悪魔:ダメージ:2 手札:3→4 山札:35 トリガー数:12
小悪魔は危険な行為ではあるが、ダメージ2枚目を受けドロートリガーでカードを補充、更に引いたカードも中々良い物であった為か汗が少々滲みながらも笑みを浮かべていた。
「何か良いカードでも引いた?「……」
でも所詮悪足掻き、幾らファイト中に差を埋めようと元々のデッキパワーとかは補えないよ。
しかも後半から本気を出す〈ダークイレギュラーズ〉じゃあこっちのスピードには追い付けず、ただただ負けるだけ………だからさ、惨めに負けたくなきゃサレンダーしたら?
そしたら誰もあんたを咎めないよ」
「言いたい事はそれだけですか?」
「………はい?」
そんな小悪魔に挑発を掛け、更にサレンダーをする様に話すモブイナバD。
しかし、そんな言葉を右から左に流し、ファイトテーブルの盤面と相手の手札にしか注目せずサレンダーを蹴る小悪魔。
何故なら彼女は曲がりなりにも紅魔館に属するファイターであり紅魔の誇りを持っている………その為、その誇りに泥を塗る様な行為だけは絶対にしないと決めているのだ。
例え相手がどれ程強く、勝つ可能性が0であっても決してサレンダーはせず、最後の最後までファイトを全力で行い、相手を圧倒し勝利を掴む………それこそが、小悪魔なりの紅魔の誇りなのだ。
「あんた、まさか私のこのデッキに勝つ気でいるの?」
「だとしたら如何なものですか?
酔狂、愚劣と誹りますか?
なら結構、好きに言って構いませんよ、私はただ私のファイトを全力で続けるだけなので」
「………はっ、惨めに負ける道を選ぶなんて馬鹿げてるね。
だったら、こっちもあんたを負かせてやるから覚悟するんだね!」
「………ドロー」
そんな会話をキャッチボールなどせず行った小悪魔は静かにドローをし、手札を見つめた。
そして………この瞬間から、小悪魔の勝利の方程式が完成し、後は実行に移すだけとなった。
「ライド、『魔界公爵 アモン』!
更に『アモンの眷族 ヘルズ・ディール』をコールし、スキル発動!
ヘルズ・ドローと同じく
更にバーメイド・グレイスのスキル発動、
更に今ソウルへ入った『アモンの眷族 グラオザーム』のスキル発動、ア『アモン』指定の
更に魔界公爵のスキル、私のターン中ソウルの枚数だけパワー+1000!
ドリーンも先程と同じくパワー+3000が4回発生します!」
小悪魔:ダメージ:0/2 手札:3 山札:30 ソウル:4+2+2=8 トリガー数:10
魔界公爵 アモン:P10000+1000×8=18000、C1
アモンの眷族 ヘルズ・ディール:P7000+1000×8=15000、C1
ドリーン・ザ・スラスター:P6000+3000×4=18000、C1
「ほうほう………全ラインきっちりシールド10000要求………」
小悪魔のアモンへのライドと、
そんな中小悪魔はそれとは関係無くアタックを始める。
「ヘルズ・ディールでツインソードにアタック!「ユニコーンでガード、そーどみーでインターセプト」
アモンでアタック、ツインドライブ!」
ヘルズ・ディールVSツインソード:15000VS9000+5000+5000=ガード成功
アモンVSツインソード:18000VS9000=ヒット
ツインドライブ『アモンの眷族 グラオザーム』『☆』『アモンの眷族 ヘルズ・ドロー』
アモン:C1→2
ドリーン:P18000+5000=23000
ダメージ『
「あと一撃………ドリーン・ザ・スラスターで、アタック!「完全ガード!」
まぁ通して貰えませんね、ターンエンド」
そうして小悪魔はモブイナバDのダメージを5枚まで追い込み、残り1ダメージで勝利する場面に移る。
しかし小悪魔には分かっていた、このターンで決め切れなければこちらの敗北する確率が上がると、4枚のダメージなど余裕で与えられてしまう恐れがあると。
更にそれが間違いではないかの如く、モブイナバDは余裕の笑みを浮かべていた。
「まあご苦労様、これで私のターンが回って勝てるよ、ドロー。
ライド、『サンクチュアリガード・ドラゴン』!
スキルで手札1枚をドロップし、ぷりずみーをコール。
そして手札のサンクチュアリガードをコストに
『神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア』‼︎
更にツインソードをコールして、レガリアのスキルでシェリー、レガリア、ツインソードはグレード1以下のリアガードの数だけパワー+3000‼︎」
神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア:P15000+11000+3000×3=35000、C1
シェリー:P7000+3000×3=16000、C1
ツインソード:P9000+3000×3=18000、C1
モブイナバDは全ての手札を使いサンクチュアリガード・レガリアに
更に小悪魔は依姫とオリオンのファイトの時と違い、モブイナバDは追撃用のツインソードを配置し、更にデッキ内にはまだそーどみーとシンベリンがあると予測しており、小悪魔は勝つ為にはここを凌がねばならないと理解しており、最初からこの光景が見えていたのか手札に既に手を掛けており、ガード仕切ろうと意気込んでいるのが分かる。
「さてさて………詰ませますか。
シェリーでブースト無しでアタック!「グラオザームでガード!」
はい此処でぷりずみーのブースト、ツインソードでアタックしてからの
シェリーVSアモン:16000VS10000+10000=ガード成功
ツインソードVSアモン:18000+7000VS10000=ヒット
ダメージ『ヒステリック・シャーリー』『引』
そーどみー:P9000+9000+10000=28000、C1
小悪魔:ダメージ:3 手札:5 トリガー数:8 山札:26
「あはは、やっぱりこの程度だったわね、噂通り紅魔館の妖精メイドを除いた中で1番弱い奴だったわ〜ww」
「………」
そしていざアタックに入るとモブイナバDは調子に乗り始め、小悪魔を挑発し始めた。
しかし、妖精メイドを除く紅魔館のファイターの中で1番弱いのを知る小悪魔はそんな挑発には反応せず、涼しい表情でそれを聞いていた。
「はん、あんたがこの程度だと他の紅魔の連中も大した事無いんじゃないかな〜?ww」
「………(ビギッ!)」
しかし、モブイナバDが他の面々に対して言及した瞬間、小悪魔の眉が一瞬動き、モブイナバDはその反応を待っていたかの様に口を開く。
「だってそうじゃん、あんたこんなにも弱いんだもん。
なら他の連中………特に紅魔館に居る魔女辺りも其処まで大した事無いザコなんだろうね〜wwwwww」
「……………」
今まで涼しい表情で挑発を流していた小悪魔だったが、紅魔館の他の面々、更にパチュリーの事を言及された瞬間、涼しい表情が一瞬で崩れ去り、顔を伏せているが明らかに怒りに満ち溢れた状態となっていた。
モブイナバDはこれが狙いであり、小悪魔の冷静さを欠かせてファイトを一気に終わらせようとしていたのだ。
そうしてモブイナバDの目論見通り小悪魔は怒りで頭が一杯になっているのが目に見えて分かる様になってしまい、モブイナバDはゲームエンドの為に手を掛ける。
「んじゃ、大した事無いザコファイターさん、このターンでさようなら〜。
サンクチュアリガード・レガリアでヴァンガードにアタック‼︎(さあガードを切りなさい、そしたらこっちがクリティカル引いて終わらせるわ!)」
モブイナバDはガードを切らせ、それを正面突破して勝負を着ける気であった。
冷静さを欠いた者は目の前の事すら分析し切れず間違った対応をする………どんな場面にも適応するシチュエーションであり、モブイナバDはそのシチュエーションを意図的に起こしていたのだ、小悪魔を挑発する事により。
そしてそんな挑発を受け、怒りで頭が一杯となってしまった小悪魔はと言えば………。
「…………ノーガード「はい?」ノーガード、このアタックで決め切ってみなさいよ、貴女が私よりも強いなら、ね」
敢えて彼女の予定通りノーガードでレガリアのアタックを凌ぎ切ろうとしていた。
「……はっ、バッカみたいwwwwガードし切れないからこの状況でノーガード戦法とかwwwwwwwwならお望み通り、トリプルドライブ!」
サンクチュアリガード・レガリアVSアモン:35000VS10000=ヒット
トリプルドライブ『サンクチュアリガード・ドラゴン』『
サンクチュアリガード・レガリア:C1→2
そーどみー:P28000+5000=33000
ダメージ『アモンの眷族 ヴラド・スペキュラ』『イエロー・ボルト』
そして、小悪魔はダメージ5枚になるが再び涼しい表情を浮かべ、溜め息1つすらしていなかった。
「はん、余裕かましてるとこ悪いけどこれで終わり!
ヘロイーズのブースト、そーどみーでアタック!
ヘロイーズのスキルで更にパワー+3000、よって合計41000だ‼︎「完全ガード」
………えっ!?」
「舐めプじゃ無いですよ、次のターンで勝つにはこうしないとダメだっただけです」
更に完全ガードを切り最後のアタックを凌ぎ切り結果としてみれば小悪魔が脳内で想定した通りにファイトが運ばれていた。
「ば、バカな………こいつは今、冷静さを欠いた状態の筈なのに何でこんな冷静に………!」
「冷静?
いえいえ、そんな事無いですよ。
私………今目の前に居る兎を鍋にしたい位キレてますよ」
そして小悪魔は目が明らかに笑っていない貼り付けた様な笑みをモブイナバDに見せ、自分ターンでドローし手札に手を掛けていた。
……目の前の兎を全力で屠る為に。
「悪しき力により深淵の扉開け放ち、謀略と力を示せ!
ライド、『アモンの主謀者 アスタロト』!
更にシークメイト!
ドロップゾーンの4枚を戻し、レギオンメイト『魔界侯爵 アモン』を呼ぶ!
悪しき力よ並び立て、
更にバーメイド・グレイスのスキル、
此処で
更にアモンのスキル、
更にアスタロトのスキル、私のカードの効果で相手リアガードがドロップゾーンに置かれた時、
オマケにヘルズ・ドローもコールして
アモンの主謀者 アスタロト:P11000、C1→2 、
魔界侯爵 アモン:P10000+17000=27000、レギオンメイト
アモンの眷族 ヘルズ・ディール:P7000+17000=24000、C1
ドリーン・ザ・スラスター:P6000+3000×8=30000
小悪魔:手札:1 山札:19 ソウル:17 トリガー数:7
布陣
ドリーン アモン/アスタロト ヘルズ・ドロー
R R ヘルズ・ディール
「………えっ、何それ………ガードし切れないじゃん………」
モブイナバDは小悪魔の盤面のパワーと自分の手札を見比べ、ヴァンガードのアタックは既にインターセプトを含めたシールドを突破し、更にドリーンもシールド5000しか残らずヘルズ・ドローの方も全てのシールドを使わなければ防げない高火力の布陣に青ざめていた。
しかも小悪魔はパチュリーやレミリア達が馬鹿にされた事を完全にキレており、先程から貼り付けた様な笑みをずっと崩さず目の前の兎を見ている。
これによりモブイナバDはカタカタと震えだし、小悪魔に対し怯え始めていた。
「怖いですか?
でも、貴女が悪いんですよ?
私だけバカにすれば良いのにレミリアお嬢様、更にパチュリー様にまでその口でバカにした発言をしたんですから………ぶっちゃけて言いましょうか?
貴女みたいな雑魚がパチュリー様達を貶すんじゃない………!
ヴァンガードにアタック‼︎」
「ひぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
そうして、小悪魔の怒りを買ったモブイナバDはそのままアタックを受けてしまい、最初は6点ヒールをしたが結局アスタロトのクリティカル2を受け沈黙する。
更に小悪魔の最後に出した怒気が余りにも怖かった為か、ファイトが終わった瞬間気絶していた。
「…………少々、いえ、大分大人気無い事をしたわね………私もまだまだだなぁ…………さて、咲夜さん達は………」
小悪魔は挑発して来たとは言え、モブイナバDに悪い事をしたなと思いつつ、挑発に乗り怒りをぶつけてしまう時点でまだまだ未熟と感じ、これからも精進しなければならないと思っていた。
そして、咲夜達の方が心配になり小悪魔は横を向き、他の面々を見やった。
本編閲覧ありがとうございます。
次回はまた遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします。
最後に改めまして一言………更新遅れてすみませんでした。
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第40話「アルトマイルVSシングアビス」
今回は前回と同じくエクストリームファイトになってますが………詳細は本編にて。
「行くぜ、『
「『
「『立春の花乙姫 プリマヴェーラ』で『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』にアタックです!」
『やられたぁ〜‼︎×3』
小悪魔が見やると、魔理沙、咲夜、麟はモブイナバA、B、Cをそれぞれ倒し、ハイタッチをしていた。
それを確認した小悪魔は三人に近付き、話し掛ける。
「皆さんも勝ったんですね」
「当然!
一時はどうなるかと思ったが、相手がGユニットを採用してない所為で『Gアシスト』が使えず足踏みしてる内にダメージを入れさせて貰ったぜ!」
「私は『ネコ執事』を一回使われたけど、クインテットウォールの弱点を突いて勝ったわ」
「初めはペースを握られてブレイクライドや
全員それぞれ圧勝もあればだいぶ苦戦したファイトになったらしく、しかし終わってみれば全員何処か余裕がある表情を浮かべており、逆にモブイナバ達はギャフンと言って伸びていた。
そして四人がブロントさんとてゐのファイトに視線を向けると……。
ブロントさん:手札:5 ダメージ:2
布陣
R アルトマイル フラグメント
フェレックス R ミーリウス
てゐ:手札:5 ダメージ:3
布陣
ベディヴィア ブラブレ探 R
R R R
一見するとブロントさんが押してはいるが、てゐのドロップゾーンは既に3枚あり、何かをコールして更にそれを上書きコールして踏み倒せば
そして、上書きコールで何を呼び出すのかも四人には分かっていた。
「ドロー、ライド、『
そしてエポナをコールして『闘気の
更にシークメイト、ドロップゾーンの4枚をデッキに戻して『ブラスター・ダーク・
マックアートのスキル、ヴァンガードが
ダークボンドのスキル、
「やっぱり来たな、『シングアビス』十八番の『
「しかも今回はファントム・ブラスターの方のコスト確保してるから、アレが飛ぶわね」
魔理沙達が予測した展開となり、てゐの布陣の大半は『〈シャドウパラディン〉』、〈ロイヤルパラディン〉などの様にリアガードの(但しグレード1以下)コールに長け、また〈ロイヤルパラディン〉が仲間を強化するスキルが多いが〈シャドウパラディン〉は逆に味方リアガードを退却させ、強力なスキルを発揮するユニットが大半を占めている。
更にこのファントム・ブラスターにはあるスキルが備わっている為、ブロントさんもかなり警戒していた。
「じゃ、マックアートでフラグメントをアタック!「むう、退却させるんだが」
次、ファントム・ブラスターとブラスター・ダークでヴァンガードにアタック、ヴァンガードにアタック時パワー+2000!「………
ツインドライブ!」
マックアートVSフラグメント:9000VS9000=ヒット
ファントム・ブラスター ‘‘Abyss’’VSアルトマイル:11000+9000+2000=VS11000=ヒット
ツインドライブ『幸運の運び手 エポナ『☆』』『ホーリーナイト・ガーディアン』
ファントム・ブラスター:C1→2
ベディヴィア:P9000+5000=14000
ダメージチェック『風雅の騎士 ベニゼール』『まぁるがる『引』』
アルトマイル:P11000+5000=16000
ブロントさん:手札:5→6
「アタック終了時、ファントム・ブラスターの
さあ、今再び2体のヴァンガードは立ち上がる、ファントム・ブラスター・ライジング発動!」
「矢張りファントム・ブラスター・ライジングを使ってきたわね…」
「そしてファントム・ブラスターのクリティカルは2、これを止めないと……!」
てゐがファントム・ブラスターのスキルを発揮させた時、自分の主が同じユニットに同じスキルを使っていた場面を思い出しながら咲夜と小悪魔は警戒色強めで呟き、更にこのアタックで最悪ブロントさんが沈みかねない状況に嫌な汗が頬を伝い、二人は指でそれを拭き取り、ファイトの行方を見守る。
魔理沙や麟もまた固唾を呑みながら見守る。
そんな中でファイトは彼女らに関係無く進む。
「もう一度
ツインドライブ…………ちっ、全部ハズレ、ベディヴィアでアタック、スキルでパワー+3000!」
ファントム・ブラスター ‘‘Abyss’’VSアルトマイル:22000VS16000+0=完全ガード
ツインドライブ『ブラスター・ブレード・
ベディヴィアVSアルトマイル:14000+3000VS16000=ヒット
ダメージチェック『ヒーリング・ペガサス』『治』
ダメージ回復
ブロントさんはクリティカルが出たら終わりに一歩近付く中でもプレッシャーに負けずてゐの攻撃を冷静に捌き切り、ギリギリダメージ4枚までに踏み止まる。
魔理沙達もそれを見てホッと一息を吐く。
しかし、今を凌ごうとこれからが問題である事に変わりなく、ファントム・ブラスターの次に来るのはシングセイバー、2種類目のVスタンドである。
しかも
よって、ブロントさんに選択肢があるとすれば『シングセイバーが来る前に倒す』か『シングセイバーも凌いで倒す』しか無く、後者はコストによっては絶望的である。
「行くぜ、グレード3『ナイト・オブ・シンセリティ』をコストにストライド・ジェネレーション‼︎
穢れを知らぬ純真なる天馬騎士、『閃火の聖騎士 サムイル』‼︎
アルトマイルの
更にベニゼールの
来い、2体目のフラグメント‼︎
フラグメントの
閃火の聖騎士 サムイル:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『青天の騎士 アルトマイル』
風雅の騎士 ベニゼール:P9000+2000+5000=16000、C1
夢の運び手 ベレヌス:P4000 C1 『☆』
ナイト・オブ・フラグメント:P9000+2000+2000=13000、C1
閃きの騎士 ミーリウス:P5000+5000=10000、C1
ブロントさん:手札:2 ダメージ:2/4 ソウル:2 GB:1
布陣
ベニゼール
フェレックス ベレヌス ミーリウス
そんな後者は無理と判断したブロントさんは手札やあらゆるコスト、特に
それを見ててゐは不敵な笑みを浮かべる。
「あれ〜、そんな風に特攻態勢に入って良いのかなぁ〜ブロントさ〜ん?
こっちの手札は謙虚にも9枚あるんだよ?
突破出来ると思ってるの?」
「ウザイなおまえケンカ売ってんのか?
俺のユニット達は防御がかなり固いが実は攻撃もかなり高いので油断してると前歯をへし折られて永琳のお仕置きを受けるハメぬなる!
それに俺は自慢じゃないがパワー41000とか普通に出すし手札9枚をあっさりブチ抜いた経験があるので余計な心配は【いりません】。
そるよりも自分の心配をするべきそうすべきあっさり負けたくないならそうすべき!」
てゐの挑発を挑発で返し、ブロントさんはユニット達に手を掛け、新たなる仲間達を交えてアタックを開始し出す。
魔理沙達も黙ってブロントさんの勝利を信じて見守る。
「行くぞ、サムイルでヴァンガードにアタックし、サムイルのスキル発動‼︎
相手のダメージが4枚以下で俺のリアガードが5体いる時に
喰らいやがれ、生半可なナイトでは使えないホーリ‼︎「うげ、ダメージチェック……シングセイバーじゃん‼︎」
更にベレヌスのスキル発動、『アルトマイル』を含むヴァンガードがアタックした時、自身をソウルに送りヴァンガードにパワー+5000を与え1枚ドロー‼︎
さあ吐くんだな、その手札にある完全ガード‼︎「ちぃ、完全ガード‼︎」
生半可なグレードでは真似出来ないトリプルドライブ‼︎」
てゐ、ダメージ:3→4
ダメージチェック『
サムイルVSファントム・ブラスター ‘‘Abyss’’:26000+5000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ:ホーリーナイト・ガーディアン』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』『夢の運び手 ベレヌス』『☆』
ベニゼール:P16000+5000=21000、C1→2
フラグメント:P13000+5000=18000、C1→2
「げっ、ダブルクリティカル⁉︎」
「よっし、これヒットすればブロントさんの勝ちだ‼︎」
「フェレックスのブースト、ベニゼールでアタック‼︎「使う予定の無い手札を使わせて………完全ガード、更にホーリーナイト・ガーディアンのスキル、ドロップゾーンに同名カードがあるなら裏向きのダメージを1枚表向きにする‼︎」
ならフラグメントだ‼︎「これも完全ガード、さっきと同じスキルが発動してダメージを1枚表向きにする‼︎」
ちぃ、矢張り完全ガードを3枚確保していたと確信が鬼なった……‼︎」
ブロントさんが今出せる最大火力で突撃するも、てゐに3枚の完全ガードを使い全て凌ぎ切られてしまう。
ブロントさんは予測していたらしいが、魔理沙達は開いた口が塞がらず、咲夜も決め切れてもおかしく無い状況下を凌ぎ切ったてゐの引き運をかなり上位の物と判断し、ブロントさんが万が一負けた場合は自分がファイトをして全員を先に行かせる用意を始め出す。
「ふう………危なかったぁ………ドロー!
ライド、『
シークメイト、4枚をデッキに戻して『ブラスター・ブレード・
ベディヴィアの後ろにリアンをコール!
ふっふっふ、これで決めてあげるよ…シングセイバーとブラスター・ブレードで
ツインドライブ!」
シングセイバー・ドラゴンVSアルトマイル:11000+9000+2000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『幸運の運び手 エポナ』『☆』『必殺の
ベディヴィア:P9000+10000=19000、C1→3
「なっ、てゐの奴もダブルクリティカル⁉︎」
「これは………面倒な事になったわね……!」
「此処でシングセイバーの
更にソウルに行ったブラスター・ブレード・
これでおしまいだ、
ツインドライブ………クリティカルゲット、ベディヴィアに全てプラスだよ〜!」
シングセイバー・ドラゴンVSアルトマイル:22000VS11000+20000=ガード成功
ツインドライブ『
ベディヴィア:P19000+5000=24000、C3→4
ブロントさんは何とかシングセイバーの2回のアタックを防ぎ切るも、今度はベディヴィアがスキルとブーストを込みで合計パワー34000のクリティカル4と言う強烈なパワーラインが出来上がってしまう。
更にブロントさんの手札は2枚しか無く、とても防ぎ切れるとは思えない内容であった。
「マジかよ………‼︎」
「あっはっは、これで1名様牢屋へのご案内確定!
残り4人もさっさと倒してしまおうか、リアンのブースト、ベディヴィアでアタック!
スキルを含めてパワー34000、止めれるものなら止めて「完 全 防 御 なんだが?」み…………なっ………⁉︎」
そしてラストアタックが完全に決まると思っていたてゐはブロントさんが手札から完全ガードを出されてクリティカル4を防がれた事に目を見開き、口を半開きにしながら驚愕の表情を浮かべていた。
「………ふむ、手札は0、GBも1しか発動しない、こんな状況で勝つにはシシルスかグレード3を引き当てなければならないと言うある様。
まあビクビク怯えてダンマリするくらいなら俺はドローをするだろうな。
………引いたカードはシシルス、
指し示せ、我が騎士としての誇りと魂を!
ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎
アルトマイルの
更にセイントブローのスキル、
神聖竜 セイントブロー・ドラゴン:P15000+11000+12000=38000、C1→2 、ハーツ『青天の騎士 アルトマイル』
ベニゼール:P9000+5000=14000
フラグメント:P9000+2000+5000=16000
ブロントさんはドローし、トップ解決で
それを見ていたてゐは真っ白になり、何故か天井を見上げて乾いた笑みを浮かべていた。
「あ、はは………これで私もお仕置き確定…………」
「セイントブローでアタックなんだが‼︎」
「あぁー負けたー‼︎」
セイントブロー・ドラゴンVSシングセイバー・ドラゴン:38000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『青天の騎士 アルトマイル』『青天の騎士 アルトマイル』『ナイト・オブ・シンセリティ』
ダメージチェック『必殺の
それからラストアタックのトリプルドライブは3枚ともグレード3であったが、てゐもヒールトリガーを引けなかった為ゲームエンドとなった。
そしてブロントさん達はてゐやモブイナバ達を囲み、蓮子達の居場所を聞き出そうとしていた。
「さーて、蓮子達は何処に居るか答えろよ〜?
兎鍋にされたくなかったらな〜」
「わ、分かってるよ………あっちの通路を右に行ってその先の牢屋の中だよ、これが其処の鍵」
魔理沙の問い掛けにてゐはどっちにしろお仕置きは回避不可となった為腹をくくり、蓮子達の居場所とその牢屋の鍵をあっさり渡した。
魔理沙はそれを見て妙に正直だなと思いつつも蓮子達の救出を優先した。
「………よし、じゃあ早く蓮子達のトコに行こうぜ皆!」
「はい、行きましょう!」
「後ろは私とブロントさんに任せて」
「うむ、んじゃ救出系の仕事が今からあるからこれで」
魔理沙達は急いで蓮子達の下に向かうべく、最後尾をブロントさんと咲夜にして走り出した。
1週間も会えなかった為か全員の足取りは全員の無事を確認する為に早く、しかし後ろの警戒は怠らないものであった。
そうしてその場から魔理沙達が見えなくなった頃、てゐ懐から何かを取り出し始めていた。
「………まぁ、通信位は流石に入れるけどね〜、アンティは蓮子達の居場所を教えろだったしアンティ違反にはならないし私は悪くない」
取り出した物はどうやら通信用のクリスタルらしく、てゐが少し念じると永琳の横顔が通信モニターの様に出て来る。
そして侵入者が来た事と自分らが倒された事を今正に伝えようとしていた……………お仕置きが少しでも軽くなる事を祈りながら。
はい、本編にあった様に魔理沙、咲夜、麟のファイトはカットしました。
理由としては1に3人のデッキは余り変わってない、2に話数が多くなる、3に早く蓮子達を牢屋から出してあげたいからです、マジですみませんでした。
因みに次回の内容は…………内緒です。
次回もよろしくお願いします。
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第41話「操られた二人を元に戻せ!」
最近更新が遅れがちになってしまい申し訳ありませんでした。
更新は絶対しますのでご安心下さい。
では、本編にどうぞ。
ブロントさん達が地下でてゐ達を倒し、蓮子達が閉じ込められている牢屋に向かっていた頃。
地上ではブライトが永琳を相手に『蓮子達の解放』を賭けてファイトをしていた。
ブライト:ダメージ:4 手札:7
布陣
重力井戸 アローザル R
ダークメタル ネオンメサイア R
永琳:ダメージ:1 手札:5
布陣
クロイカヅチ スサノオ R
R ハヒキ R
「あらあら、〈ロイヤルパラディン〉から〈リンクジョーカー〉にクラン変更をした割にはダメージ受け過ぎね。
貴方、弱くなったんじゃないかしら?」
「言っていろ………信じし未来の為に羽ばたけ、我が運命の翼!
ライド、『オルターエゴ・メサイア』!
そして手札のオルターエゴをコストに
混沌を切り裂き、白き翼で描け未来!
ストライド・ジェネレーション!」
4枚のダメージを受けている中、ブライトは順当にライドし、
呼び出したGユニットはジャッジメント・メサイア…………では無く、ドラゴン達の始祖である『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』と同じ特徴が幾つか見られ、また『メサイア』の特徴である神々しさと2つの惑星を模した球体を足の部位に浮かばせていた。
「全ての罪を赦す救世の翼、『創世竜 アムネスティ・メサイア』!」
創世竜 アムネスティ・メサイア:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『オルターエゴ・メサイア』
「『アムネスティ』………大赦ね。
侵略者だった物が大赦を名乗るとはね………しかも、救世主が侵略者と同じクランになるとは皮肉ね」
「………オルターエゴの
更に『神凪 クロイカヅチ』を
更に『白色矮星のレディバトラー』と『中性子星のレディガンナー』をコールし、レディガンナーの
白色矮星を
『重力井戸のレディバトラー』の
ブライト:GB:1 布陣
重力井戸
【●】 【●】 【●】
永琳:布陣
【●】 スサノオ R
R 【●】 R
ブライトは更に
また、永琳は〈リンクジョーカー〉が自陣
「アタックフェイズ、アムネスティでヴァンガードにアタック、スキル発動!
俺は自陣の3つを選ぶ、そして、選んだ
ダークメタル、ネオンメサイアの
先ずはダークメタル、
アムネスティ・メサイアのスキルによりブライトの
「成る程ね、これが貴方の切り札。
貴方の戦術……
ふふ、確かに見事な物ね………」
「御託は良い、さっさとガードするかしないか決めろ、時間が惜しい」
「……本当、可愛げが無くなったわね。
さて、これは…………『お、お師匠様〜……』?」
そして永琳にガードするか否かを早々と決めさせようと促し、彼女が手札を見た所でクリスタルの魔力で構成された映像が永琳の横に現れる。
其処に映っていたのはてゐとモブイナバ達だった。
「あら、貴女達何があったの?
今はファイト中だから手短に済ませて頂戴」
「は、はい………実は、地下区画に侵入者が………」
「……はい?」
すると、てゐの報告を聞いた永琳はファイトの手を一時止め、映像の方に顔を向け、詳細情報を聞き出そうとし、ブライトもそれに聞き耳を立てていた。
「ちょっと待ちなさい、地下区画は貴女達の警護地区でしょ?
なら侵入者はどうしたの!
そいつらは誰?
そもそも何処から侵入を許したの!」
「え、え〜と………侵入者は私達を倒して進行中、そいつらは白黒を中心とした捕らえた連中の救出隊、そんでもって侵入経路は………地面の直下掘りです」
「………はい?」
ブライトがその話を聞いていると、永遠亭の地下に区画があり、魔理沙達がまさかの地面の直下掘りと言う守矢の巫女もびっくりな常識外れの方法で侵入し、更にてゐ達を倒して蓮子達の下に向かっているらしい。
「ちょっと……地面の直下掘りで侵入を許した……?
いつかは侵入されるとは分かってたけど、こんな方法で………?」
それを聞いた永琳は侵入に関しては予測はしていたが、スニーキングでは無くギャグ漫画の方法で入って来られた事に頭を抱えてしまったらしく、手と方向でブライトから表情を隠していたが明らかに動揺していた。
そしてブライトも侵入経路を聞いた瞬間表情が固まり、思考停止し掛けたが直ぐに頭を元に戻し、魔理沙達が来たなら自分は動く必要は無いと判断しデッキを仕舞い込む。
「!
待ちなさい、貴方ファイトを中断する気?」
「ああ、中断する理由も3つある。
1つ、魔理沙達が来た為動く必要が無くなった。
2つ、ファイトもあのまま続けても負けは確定していた。
3つ、魔理沙達ならば宇佐見蓮子を助け出せる。
俺はどの道アンティで敗北すれば一連の出来事が終わるまで介入するなとされていた。
負けが確定し、俺がわざわざ動く必要が無いなら此処で手を引くべきだと合理的に判断した。
そう言う訳だ、俺はこのまま去らせて貰うぞ」
ブライトはファイトを中断する理由を永琳に話し、デッキケースにカードを全て仕舞いそのまま部屋の鍵を開け、永遠亭から去って行った。
そして永琳は、去る者には構わず地下区画の宇佐見蓮子達、『特に蓮子とメリー救出』を阻止するべく警報装置を作動させ、同時にクリスタルに魔力を込め、永遠亭内から外周全てにビジョンを出し、妖怪兎達に指示を出し始めていた。
「貴女達、侵入者が既に永遠亭の地下区画内に侵入したわ!
外にいる者は4割を地下区画に突入、6割は万が一侵入者達が外に脱出した場合に備え厳戒態勢に入りなさい!
それから永遠亭内に居る者も地下区画へ突入、主要ポイントと侵入者が使った侵入経路の入り口を押さえなさい!
それとうどんげ、貴女は私と共に行動なさい!
後てゐ、貴女達は後でお仕置きよ!」
『りょ、了解‼︎』
永琳は次々と妖怪兎達に指示を出し、魔理沙達を捕らえるべく要所要所の警備を厳重にし始める。
「………さて、次は………あーあー、聞こえるかしら?
貴方達の出番よ、準備なさい」
更に永琳は手を打ち、とある人物達に指示を出していつでも動ける様に準備させる。
そしてこの人物達こそが、永琳が蓮子達を救出されぬ様に水際作戦の位置で配置した駒であった。
一方その頃牢屋の中では、再び蓮子達は妹紅と蓮子、妖夢とメリーの組み合わせでファイトをして捕まってるのが嘘な程のんびりしていた。
「『ドラゴニック・ブレードマスター』でヴァンガードにアタック、
ノーガードよ‼︎」ツインドライブ………ゲット、クリティカルトリガーダブル、全てヴァンガードに付与。「嘘だッ‼︎
だ、ダメージチェック………うがぁぁぁぁぁ負けた〜‼︎」はい、私の勝ち」
「『古代竜 ティラノクエイク』と『古代竜 ティラノバイト』で
ティラノクエイクのアタック時スキルでリアガードのティラノバイトを退却してパワー+5000!
更に
更にティラノバイトのスキル、このユニットが退却した時
ツインドライブ………さあ、ダメージを「えっとダメージチェック………負けました」
ありがとうございました」
その結果は蓮子もメリーもクリティカルを引き上げられたりパワー増加でガード出来なかったりとヴァンガードの基本『パワー上げて殴れ』で負けていた。
そんな事をして時間をまた潰していた。
「………しかし、私達はこんな感じでのんびりしてて良いのでしょうか?」
「妖夢、今はジタバタしても何も始まらないわ。
兎に角体力は温存しつつ脱出の機会を伺うって10分前に決めたよな?」
「分かってますよ。
でも………」
しかし妖夢は、10分前に妹紅や蓮子達と話し合って決めた時間を潰しつつ脱出の機会を伺う、及び落ち着く事での体力温存と言う事に慣れていない為か疑問を口にし、妹紅がそれに口を出しそれ以上の話を止めようとする。
それに便乗して蓮子も口を開く。
「確かにね〜、妹紅の言う通り脱出の為に体力は残すべきだよ。
幸い此処の連中は1週間ご飯を運んで来たり、お風呂には監視付きで入れてくれた訳だし、隙さえあれば出られるわ。
その為にも余計な体力を使う事は避けるわよ」
「………意外だな、お前みたいな明らか行動派タイプが私の意見に同調するなんて」
「へっへーん、こう見えても私は冷静に考えて行動するタイプなのよん!」
「はいはい何時も猪突猛進で内心早く出たいとウズウズしてる臨機応変派(笑)の蓮子さんご高説どうも。「ちょっ、シドいよメリーさん!」
まあ私達もやる事が無いですから、妹紅の意見には概ね賛成よ。
だから妖夢、貴女も落ち着いてチャンスを待ちましょう、ね?」
其処にメリーも同調して妖夢に語りかけ、脱出の機会を待つ事を促す。
それを聞いて妖夢は確かに此処でジタバタしても無駄な体力を使うだけだと分かってはいたが、矢張りジッとしているのが苦手なのだと改めて自己認識し、自分はまだまだ未熟者だなと妹紅達の意見に同調する事とした。
「そう、ですね。
分かりました、ジッと機会を待ちましょう」
「そうこなくっちゃ!」
「それでOKよ、妖夢」
そして妖夢は改めて蓮子達…………否、メリーの方を見て瞳を閉じ、思案し始めた。
「(そして矢張り………メリーさん、貴女は幽々子様が仰ってた通り………)『タッタッタッタッタ!』!
足音が5つ、近付いて来ます!」
『!』
すると妖夢がいち早く牢屋があるこの区画に近付く足音に気付き、他の三人に伝え警戒を始めた。
しかし妖夢は既に武器である二振りの刀、『楼観剣』と『白楼剣』を奪われており、護身術程度の挌闘技しか使えなく、もしこれが自分らに危害を加える者の足音ならば戦闘面は不老不死の『蓬莱人』であり、自分以上の実戦で鍛えられた我流の挌闘技を持つ妹紅に頼り切りになってしまうが、それでも一般人たる蓮子とメリーを守らねばと思い、構えていた。
そして…………この区画に足跡の主達が入り、牢屋の前に立っていた。
その顔は蓮子達が良く見知った者だった。
「あ、魔理沙!
それに皆!」
「ビンゴ、情報通り此処に居たぜ!
1週間振りだな蓮子、メリー!」
「妖夢さん、妹紅さん、お二人を守ってくれてありがとうございます!」
「あ、あんたら!」
「兎も角今牢屋を開けるのでちょと下がるべきそうすべき!
早く出たいならそうすべき!『カチカチッ、カチャンッ!』
よし、、牢屋の鍵が開けられたぞ!」
そう、其処に来たのはてゐ達を倒し、蓮子達が居る牢屋を聞いて鍵を持ってやって来た魔理沙達であった。
そして彼女らにより牢屋の鍵は開けられ、蓮子達は漸く窮屈な空間から出られた。
「ありがと皆、助けに来てくれて!」
「礼は後よ、早く脱出しましょう!」
「一度使った出入り口は多分押さえられてる、別の正規の出入り口から正面突破するしかない!
まだ永琳達が気付いていない今の内に」
再会を喜び、会話をしようとしたが直ぐに脱出を促され魔理沙達が使ったのと別の出入り口から正面突破を掛けると言い、走ろうとした正にその時であった。
『WARNING‼︎
WARNING‼︎』
「あ、まさかこれ警報か⁉︎」
「恐らく因幡てゐ達ね。
私達、此処に来た時にあいつらに見つかってたのよ!
どの道見つかってたから増援を呼ばれるのは時間の問題だったから貴女達の救出を優先したのよ!」
「マジか⁈
なら早く出ないと囲まれるぞ!」
突如として警報が鳴り響き、咲夜が蓮子達に事情を説明し、妹紅がそれを聞き早く脱出する事を促し出す。
「なら内藤さんとミストさんも早く出しましょう!
二人もこの隣の牢屋に『ガシャン!』………えっ?」
妖夢が鍵を持つブロントさんに内藤とミストの入れられた牢屋を開ける様にと言おうとした所、その牢屋が開き、中から内藤とミストが出て来た。
「内藤、ミスト、おもえら自力で脱出を?」
『…………』
「………内藤さん、ミストさん?」
しかし件の二人は何故か目が虚ろで、蓮子や魔理沙達と目の焦点が何処か合わず、更に普段の二人からは考えられない程静かで妙に不気味な雰囲気が二人から出ていた。
「お、お前ら何がどうしたんだよ?
ほら、早く脱出するぞ?」
「………し」
「し?」
「囚人が牢屋から脱走するなんて、こんなの普通じゃ考えられない………」
「うは…………監視役の俺様達が牢屋に戻すザマス……………」
『⁉︎』
更に二人の口から信じられない言葉………監視役や脱走と言う単語が出て来て、二人は懐からデッキを取り出し蓮子達に構えていた。
「お、おいお前ら冗談はやめろよ!
あまりにも悪質な冗談を言うと迷惑防止条例法違反で天狗ポリスに捕まるハメになる!」
『……………』
「てか内藤!
お前草どうしたんだよ⁉︎
会話文にお前がアイデンティティの草が無いとか異常だぞ⁉︎
何があったんだよ⁉︎」
『……………』
更に魔理沙は内藤の会話文が草まみれで無い事を指摘し、これは明らかな異常事態だとして二人に説明を求めたが、二人はだんまりしてその質問に答えなかった。
すると二人と蓮子達の間に映像が映し出され、其処に映っていたのは蓮子達を捕らえた者、八意永琳の顔だった。
『あら、まともに会うのは1週間振りね妹紅、魂魄妖夢、それから宇佐見蓮子にマエリベリー・ハーン。
そしてようこそブロントさんに霧雨魔理沙達。
歓迎するわ、盛大に』
「あんたは私達を閉じ込めた………八意永琳!」
「オイコラ!
内藤達に何やったんだ!
特に内藤は会話文に草が無いとか除草され尽くしてるぞ!」
『あ、あら?
ちょっと洗脳しただけなんだけど………もしかして変になっちゃった?』
『せ、洗脳⁉︎』
『ええ、貴女達の監視役にと思ってね』
すると永琳の口から内藤達が洗脳されていると告げられ、全員驚き再び内藤達に視線を向ける。
すると確かに内藤達は目が虚ろで、とても正気とは思えない状態であり洗脳と言われれば間違い無くその状態であると言えた。
「おい永琳!
何故こんな事をしでかすんだ‼︎
答えろ‼︎」
『うーん、今この場で答えてあげても良いけど………説明するのも面倒ね。
内藤達、捕らえなさい。「あ、コラ‼︎」
もしも私の下に来られたら答えてあげなくも無いわ。
じゃあ、精々頑張りなさい』
そして彼女は妹紅の質問に答えず、自分の居る場所に来れたら答えると言い映像を切ってしまう。
その後、内藤達がジリジリと蓮子達に近付き、ファイトを今にも仕掛けて来そうであった。
「くっ、洗脳されているとは言え、内藤達に構ってる時間は………!」
「………仕方ありません、皆さん此処は私が押さえます‼︎
皆さんは脱出を‼︎」
すると妖夢が全員の前に出て庇う様にデッキを取り出し、内藤達を押さえようとする。
それと同時に妹紅も前に出てデッキを構えていた。
「何だ、貴女も同じ考えだったんだ。
……て言う事だから、私らに任せて早く行きな!」
「な、妖夢に妹紅⁉︎」
「でも………‼︎」
それに対し蓮子とメリーは二人を置いて行けないと言わんばかりに反論しようとしたが、二人の、特に妖夢の内藤とミストの洗脳を解こうとする決意の表情を見て何も言えなくなってしまう。
すると魔理沙が二人の手を取り、妖夢達に振り向きながら引いていた。
「………すまねぇ、絶対に助けに来るからな!」
「分かってますよ。
ほら、早く行って下さい!」
「………二人共、ごめん‼︎」
そして、蓮子とメリーは魔理沙達に引かれながらその場を去り、牢屋がある区画から姿を消す。
それを追おうと内藤とミストが駆け出そうとするが、妖夢と妹紅に阻まれ奥に行けなかった。
「さて、あんたらの相手は私達だ。
ちょっと付き合って貰うぞ!」
「内藤さん、ミストさん、貴方達の目を絶対覚まさせます!」
こうして妖夢、妹紅は内藤、ミストを押さえるべくファイトをする事となり、ファイターとしての闘気を醸し出していた。
そしてマッチングは妖夢VS内藤、妹紅VSミストと言う形となった。
妖夢は二人の手の内を知ってはいるが、果たして彼女達は洗脳されている二人を正気に戻す事が出来るのであろうか……?
はい、次回からは妖夢と妹紅が内藤とミストさんを押さえつつ元に戻すべくファイトをします。
白玉楼編でファイトをさせてあげられなかった妖夢と内藤ですが、漸くファイトをする所まで漕ぎ着けました。
四人のファイト、楽しみに待っていて下さい。
次回もよろしくお願いします。
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第42話「殴り倒すのが先か、焼き切るのが先か」
徐々にお気に入り登録が増えて今やお気に入り登録をしてくださったユーザーは12人となりました!
この場を借りてお気に入り登録をしてくれた方、更に閲覧してくださる皆様に御礼を申し上げます、本当にありがとうございます!
至らない点はありますが、少しでも皆様に面白いと思える作品になる様に努力して行きます!
では、本編へどうぞ!
ファイカのファイトテーブル機能を使い、デジタルファイトテーブルを形成した妹紅はFVを置き、手札を引く。
すると手札にグレード3が集まり過ぎた為直ぐ様1枚残し、引き直す。
そうして妹紅の手札は理想の初期手札に近くなり、後はファイトの流れ次第となった。
「スタンドアップ・ヴァンガード!
『ワイバーンキッド ラグラー』!」
「スタンドアップ・ヴァンガード……『メチャバトラー ランボール』……」
そしてそのままファイトを開始する。
妹紅のクランは〈かげろう〉、但しオリオンの使う『オーバーロード』型と違い、
対してミストのクランは〈ノヴァグラップラー〉、豪快なスタンドとパワーで攻める元祖連続攻撃特化のクランであり、また妹紅と同じく
その証拠に、両者のFVには
「ランボールか………さっさと焼かないと危ないな。
ドロー、ライド、『ワイバーンストライク ギャラン』!
ラグラーは先駆でヴァンガードの後列に移動!」
ワイバーンキッド ラグラー:P5000、C1
ワイバーンストライク ギャラン:P8000、C1
「ドロー………ライド、『メチャバトラー ケンドール』、ランボールは先駆で左後列に移動………。
ケンドールでアタック……」
メチャバトラー ランボール:P5000、C1
メチャバトラー ケンドール:P8000、C1
ケンドールVSギャラン:8000VS8000=ヒット
ドライブトリガー『メッチャバトラー ビクトール』
ダメージチェック『ヒロイックサーガ・ドラゴン』
ミスト:手札:6
妹紅:手札:5 ダメージ:1
「ドロー!(ランボールがFVの辺りから予想してたけど、やっぱり『メッチャバトラー ビクトール』がメインヴァンガードか………恐らく
妹紅はドローした直後、ミストが引いたグレード3を見て予想通りと考え出し、更に自分の予想が当たるなら、否、現在の〈ノヴァグラップラー〉のGユニットで特に強力なユニットが必ずあると判断し、それが出されれば自分の敗北する確率が危険域まで増加するとも考え、〈かげろう〉が持ち合わせる退却能力、それらをフル活用して勝とうとする。
「ライド、『ワイバーンストライク ドーハ』!
更に、『ガトリングクロー・ドラゴン』をコールし、スキル発動!
ワイバーンストライク ドーハ:P10000、C1
ガトリングクロー・ドラゴン:P4000、C1、『引』
ドーハVSケンドール:10000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『ラーヴァフロウ・ドラゴン』
ダメージチェック『メチャバトラー ザンバーラ』『☆』
ミスト:手札:6 ダメージ:1
布陣
R ケンドール R
R R R
妹紅:手札:5 ダメージ:0/1
布陣
R ドーハ R
R ラグラー R
妹紅はFVであるランボールを焼き払った上でダメージも与えるが、ミストは洗脳状態にある為それをやられても涼しい表情……否、無表情で淡々とファイトを進める。
「スタンド&ドロー……ライド、『メチャバトラー ガンゾック』。
『ファイナル・レンチ』をヴァンガードの後ろにコールして、そのままヴァンガードにアタック「…ノーガード」」
メチャバトラー ガンゾック:P9000、C1
ファイナル・レンチ:P7000、C1
ガンゾックVSドーハ:9000+7000VS10000=ヒット
ドライブチェック『ラウンドガール アイ』『治』
ミスト:ダメージ:1→0 手札:6
ダメージチェック『マグナムショット・ドラコキッド』『☆』
妹紅:ダメージ:2 手札:5
「………あーやり辛い‼︎
洗脳された奴の相手ってのはいつの世も、どんな物でもやり辛いった、ありゃしないよ‼︎
ライド‼︎
立て、その剣に炎を纏いて‼︎
『ドラゴニック・ブレードマスター』‼︎
更に『トワイライトアロー・ドラゴン』、『ドラゴンモンク ギョクリュウ』をコール‼︎」
ドラゴニック・ブレードマスター:P11000、C1
トワイライトアロー・ドラゴン:P9000、C1
ドラゴンモンク ギョクリュウ:P6000、C1
すると妹紅はファイトをしているのに洗脳下にある為まるで反応しないミストに対し、色々とやり辛いのか妹紅は文句を言いつつ自らのフェイバリットユニットたる『ドラゴニック・ブレードマスター』にライドする。
「ブレードマスターでアタックだ‼︎
ツインドライブ………クリティカルトリガー‼︎
パワーはトワイライトアロー、クリティカルはブレードマスターに‼︎
トワイライトアローで更にアタックだ‼︎」
ブレードマスターVSガンゾック:11000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『ドラゴンナイト ジャンナット』『☆』『プロテクトオーブ・ドラゴン』
ドラゴニック・ブレードマスター:C1→2
トワイライトアロー・ドラゴン:P9000+5000=14000
トワイライトアローVSガンゾック:14000+6000VS9000=ヒット
ダメージチェック『メチャバトラー アラシード』
妹紅:手札:5 ダメージ:2 ソウル:2
ミスト:ダメージ:3 手札:6
妹紅は一気にダメージを3枚与え、更に次の自ターンで相手のリアガードを焼き切る手段を固める。
だがミストも操られていながら堅実なファイトを展開し、手札を温存して次のターンでも攻め切れる様にしていた。
「スタンド&ドロー……。
滾れ情熱、燃え上がれ魂………ライド、『メッチャバトラー ビクトール』。
そして手札のビクトールをコストに、
ストライド・ジェネレーション、『メテオカイザー ビクト・テン』……。
ビクトールの
2体目のランボールと、『スターライト・ヘッジホッグ』をコール…。
スターライト・ヘッジホッグのスキル、ランボールにスキル付与………」
「げっ、2体目のランボール!
焼き対策でFVを2枚採用してたか………しかも、スターライト・ヘッジホッグのスキルを付与しやがった!」
更にミストは
妹紅は付与されたスキルが発動するのは避けられないと判断してこの場を凌ぐ手立てを考えだす。
「ランボールのブースト、スターライトでアタック………「インターセプト!」ビクト・テンでアタック………スキル発動、
メッチャバトラー ビクトール:P11000、C1
メテオカイザー ビクト・テン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『メッチャバトラー ビクトール』
スターライト・ヘッジホッグ:P8000、C1
スターライトVSブレードマスター:8000+5000VS11000+5000=ガード成功
ビクト・テンVSブレードマスター:26000+7000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『レディ・サイクロン』『ミニマムライザー』『☆』『メチャバトラー アラシード』
ビクト・テン:C1→2
スターライト・ヘッジホッグ:P8000+5000+5000=18000
ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』『ドラゴンナイト イマード』
ドラゴニック・ブレードマスター:P11000+5000=16000
妹紅:手札:5→6 ダメージ:4
スターライトVSブレードマスター:18000+5000VS16000=ヒット
ダメージチェック『ワイバーンストライク ドーハ』
妹紅はファイトで勝つ為に賭けに出て、1回目のアタック以外を全てノーガードにし、ギリギリダメージ5枚のラインで踏み止まる。
溜め息を漏らしながら妹紅は次は自分の番だと考え、集中を始める。
「ドロー!
ストライド・ジェネレーション、『神龍騎士 ムスタファー』‼︎
ブレードマスターの
ギョクリュウの
更に『ドラゴンナイト イマード』と『ドラゴンナイト ジャンナット』、ギョクリュウをコール‼︎
ムスタファーのスキル、
この時
更にイマードの
同じ縦列の相手リアガードが退却した時
ギョクリュウのスキルも発動してパワー+5000、オマケのラグラーの
ギョクリュウは更にパワー+5000‼︎」
神龍騎士 ムスタファー:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『ドラゴニック・ブレードマスター』
ドラゴンナイト イマード:P9000+2000=11000、C1
ドラゴンナイト ジャンナット:P4000、C1、『☆』
ドラゴンモンク ギョクリュウA:P6000+15000=21000、C1
ドラゴンモンク ギョクリュウB:P6000+10000=16000、C1
妹紅は
しかもその切り札となるのパワー+2000と謙虚なパワーアップをしたイマードである。
「ギョクリュウ(A)のブースト、ジャンナットでビクトールにアタック‼︎「ガード……」
次、ムスタファーでアタック‼︎
トリプルドライブ‼︎」
ジャンナットVSビクトール:4000+21000VS11000+15000=ガード成功
ムスタファーVSビクトール:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『マグナムショット・ドラコキッド』『☆』『マザーオーブ・ドラゴン』『治』『リザードソルジャー ベローグ』
ムスタファー:C1→2
イマード:P11000+10000=21000
妹紅:ダメージ5→4
ダメージチェック『レディ・サイクロン』『メッチャリーダー ム・サーシ』
「う、うう………」
「こいつでどうだ!
ギョクリュウのブースト、イマードでアタック‼︎
イマードは現在スキルで相手のガーディアンが1体ならそれを退却させ、完全ガードのスキルも無効にする!
そしてパワーは37000、防ぎ切れるか‼︎「ガ、ガーディアンが1体だけなら退却するだって?
こんなの、『超次元ロボ ダイカイザー』系列以外じゃ考えられない………『レディ・サイクロン』で完全ガード、コストはミニマムライザー、『ラウンドガール アイ』でガード、これでレディ・サイクロンは退却されない………!」
………ターンエンド、ミストさん、あんたまさか………」
しかし、一通りアタックを終えたものもイマードのアタックを完全ガード+1枚で防がれてしまい決め切れなかった。
が、その時ミストの様子が変わり、頭を抱え込みながらファイトを続けていた為妹紅は、彼の意識が戻ったのかを確認するべく声を掛ける。
「あ、ああ………頭がぼ〜っとするけど、意識は戻り出したみたいだ………。
蓮子さんや妖夢ちゃん達と別室に連れられて、其処で永琳さんと『鈴仙』さんに対面してそれで………駄目だ、それ以降記憶が………!」
「あんたは今の今まで永琳達に洗脳されてたんだよ。
………ファイト、中断出来るか?」
「洗脳……そうか、だから記憶が飛んでるのか…!
………『グググ……!』だ、駄目だ、意識が戻っても身体の方が言う事を………妹紅さん、頼むから1度俺を本気で倒してくれ‼︎
ファイトに負けそうになって意識が戻ったのなら、負ければ全部元通りになるかもしれない!」
「……ああ、分かったよ!」
どうやらミストは意識だけは元に戻るも、肉体の方はまだ永琳達に操られっぱなしらしく今は『洗脳、操作されているのは分かるが止まらない』と言う面倒な状態らしく、ファイトに負け掛けたからこの状態になったと考えたミストは妹紅に本気で自分を倒す様に言い、妹紅もそれを承諾し、次のミストの攻撃を防ぎ切ろうとしていた。
「兎も角、身体の自由が利かないから全力で防いでくれ!
ドロー、
ビクトプラズマのスキル、Gペルソナブラストで
これでビクトプラズマは………
更に、ファイナル・レンチを、コール………!」
メテオカイザー ビクトプラズマ:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『メッチャバトラー ビクトール』
「来たな、ビクトプラズマ………‼︎」
妹紅の目の前、そしてイメージ世界で妹紅が憑依したブレードマスターの前に〈ノヴァグラップラー〉の切り札が1体、『メテオカイザー ビクトプラズマ』が
ビクトプラズマが持つのはVスタンド、しかも同じ様な‘‘
これを見て妹紅は矢張り1撃目をノーガードにし、ミストがクリティカル以外を引かなければガードし切れず敗北すると理解していた。
「ファイナル・レンチのブースト、ビクトプラズマでブレードマスターを、アタック…!
ビクトプラズマに付与されたスキル、
1度ブーストを使用すれば、ブースト中にスタンドしても消えない……よって、ビクトプラズマは合計パワー38000………!」
「今日は何度も危ない橋を渡るよな………ノーガード‼︎
此処でクリティカルトリガー引けばあんたの、永琳の勝ちだ‼︎」
妹紅は吠えながらノーガードを宣言し、ミストのツインドライブにクリティカルトリガーが出ぬ様に、また引かれたとしても自分が6点ヒールをして次に繋げようとする。
そして………運命のツインドライブが始まる。
「ツインドライブ………『エナジー・ガール』『醒』スタンドトリガー、スタンド対象が居ないので省略してパワーはビクトプラズマ…!」
「…………」
「………セカンド、チェック…………!『ホワイト・ハンク』
………外れ………」
「ふう………ダメージチェック‼︎『リザードソルジャー コンロー』」
ミストはクリティカルトリガーを引かなかった為、妹紅はギリギリダメージ5までで踏み止まり、次のターン繋ぐ事が確定する。
何故なら、妹紅の手札には『プロテクトオーブ・ドラゴン』、完全ガードがあるからだ。
「ビクトプラズマのスキル、手札を2枚捨ててスタンド……ファイナル・レンチのスキル、俺のユニットの効果で同じ縦列のユニットのユニットのパワーを+4000、よってビクトプラズマは現在合計パワー47000……!
もう一度、アタック……!「完全ガード‼︎」
………ツインドライブ」
ビクトプラズマVSブレードマスター:35000+12000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『メチャバトラー ザンバーラ』『☆』『メッチャバトラー ビクトール』
「じゃ、私のターンだ。
これでダメならもう防げないから実質ファイナルターンだ………ドロー!
『ヒロイックサーガ・ドラゴン』をコストに
焼き焦がせ、仇なす者全てを!
ストライド・ジェネレーション、『炎帝龍王 ルートフレア・ドラゴン』‼︎
Gペルソナブラストで裏向きのルートフレアを表向きにし、この時
ギョクリュウのスキルでギョクリュウはパワー+5000‼︎
アタックフェイズだ‼︎
ルートフレア・ドラゴンでアタック、これで終いだ‼︎」
「う、うおおおお⁉︎」
炎帝龍王 ルートフレア・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『ドラゴニック・ブレードマスター』
ドラゴンモンク ギョクリュウ(A&B):P6000+5000=11000、C1
ルートフレアVSビクトール:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ドラゴンモンク ギョクリュウ』『ドラゴニック・ブレードマスター』『ヒロイックサーガ・ドラゴン』
ダメージチェック『スターライト・ヘッジホッグ』
最終ターン妹紅はデッキトップから
すると、ゲームエンドと同時にミストの身体が何故か後方に倒れ込み、ミストは思い切り頭を打ってしまう。
「イ、イタタタタタ………⁉︎」
「お、おいあんた、大丈夫か?」
「へ、平気です、頭を思い切り打つ位、アトリームの防衛隊時代に慣れっこですよ………!」
そんなミストを心配して妹紅は彼に駆け寄るが、手を前に出して静止させ、頭を摩りながら立ち上がった。
どうやらミストの身体も元に戻ったらしく、ミスト自身も苦笑いを浮かべながら妹紅に駆け寄り、頭を下げていた。
そして妹紅は、矢張りヴァンガードファイトに勝てばミスト、内藤の洗脳は解けると判断し、それを伝えるべく今まで目の前のファイトに集中して見れなかった妖夢の方を見る。
その時、妹紅の目に映ったのは、まだファイトを続けている妖夢と内藤の姿だった。
もこたんVSミストさんの軍配はもこたんに上がりました!
しかし、その内容はメチャギリギリでクリティカル1枚でも余分に飛んでたら負けてたかもしれない勝負でした。
さて、次回はこのファイトが始まったと同時に始まった妖夢VS内藤のファイトとなります。
蓮子に速攻+手札事故で負けた内藤ですが、きっちりとデッキの真価を発揮する………かも?
次回もよろしくお願いします!
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第43話「太陽の笑顔、庭師の太刀」
今日は比較的早めに仕上がりました。
最近暑くなり出してますので熱中症には注意して下さい。
では、本編へどうぞ。
時を少し戻して妖夢と内藤もファイトを開始すべく準備を終え、FVに手を掛けていた。
『スタンドアップ・ヴァンガード!(……)』
「『古代竜 ベビーザウルス』!」
「『ライジング・ライオネット』………」
内藤は蓮子とのファイトでも見せたFVを、妖夢は〈たちがぜ〉、味方リアガードを喰らう事で必殺の一撃を相手に与える弱肉強食を体現する一撃必殺重視のクラン、その中の『古代竜』と言う名称軸を使っていた。
「(内藤さんは乗ってしまえば恐ろしいファイト力を入れ発揮するタイプ、油断したら………負ける!)」
「手札は理想形…………勝率は72%………ドロー…………『朝影の騎士 キマルクス』にライド……ライオネットは移動………」
ライジング・ライオネット:P5000、C1
朝影の騎士 キマルクス:P8000、C1
「………ドロー、『古代竜 ガトリングアロ』にライド!
ベビーティラノはヴァンガード後列に移動して、アタック!」
古代竜 ベビーティラノ:P5000、C1
古代竜 ガトリングアロ:P7000、C1
ガトリングアロVSキマルクス:7000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『古代竜 ディノクラウド』
ダメージチェック『神聖魔道士 プイス』
妖夢:手札:6
内藤:手札:5 ダメージ:1
「ダメージ1………問題なし………ドロー………『暁光の騎士 イアゴー』にライド……アタック……」
暁光の騎士 イアゴー:P10000、C1
イアゴーVSガトリングアロ:10000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『きゃっちがる・
ダメージチェック『古代竜 スピノドライバー』
内藤:手札:6
妖夢:ダメージ:1
ファイトは淡々と進み、内藤は上手くグレード2バニラであるイアゴーにライドし、次の妖夢のターンで単発パワー9000までのアタックをシャットアウトする。
対して妖夢はただ攻め切ると考えている………が、何故か表情は微妙な感じであった。
無論これには理由があるが、妖夢はまだ溜め込むとして黙っていた。
「(ま、まだ………耐えられる、多分内藤さんならグルグウィントにライドしさえすれば………)ドロー、『古代竜 ディノクラウド』にライド!
『古代竜 イグアノゴーグ』と『古代竜 ティラノバイト』をコール!
このまま、行きます!
アタック「ガード………」、アタック‼︎」
古代竜 ディノクラウド:P9000、C1
古代竜 ティラノバイト:P9000、C1
古代竜 イグアノゴーグ:P7000、C1
ディノクラウドVSイアゴー:9000+5000VS10000+10000=ガード
ドライブチェック『古代竜の炎術巫女』『☆』
ティラノバイト:P9000+5000=14000、C1→2
ティラノバイトVSイアゴー:14000+7000VS10000=ヒット
ダメージチェック『曙光の騎士 ゴルボドゥク』『フレイム・オブ・ビクトリー』『☆』
妖夢:手札:5
内藤:手札:6 ダメージ:3
そうして妖夢はリアガードも展開し、アタックをするもヴァンガードは防がれてしまう。
が、代わりにクリティカルトリガーを引き当ててダメージ1枚分のディスアドは取り戻し、内藤のダメージ枚数を3にする。
それも内藤のクリティカルトリガー、
だが………それでも内藤はなんら反応を示さず、虚ろな目のまま静かにファイトを進めていた。
「ダメージ3、許容範囲内………ドロー………発現せよ、この身に宿りし新たな力………ライド、『旭光の騎士 グルグウィント』…………コール、『神聖魔道士 プイス』………アタック………「リアガードのアタックは『古代竜 トライプラズマ』でガード……!」」
旭光の騎士 グルグウィント:P11000、C1
神聖魔道士 プイス:P9000、C1
内藤:手札:4 布陣
プイス グルグウィント R
R ライオネット R
プイスVSディノクラウド:9000VS9000+5000=ガード成功
グルグウィントVSディノクラウド:11000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『神聖魔道士 プイス』『エアレイド・ライオン』『☆』
ダメージチェック『古代竜 ティラノバイト』『古代竜 パラスウォール』
内藤:手札:6
妖夢:手札:4 ダメージ:3
内藤はお返しと言わんばかりにクリティカルトリガーを引き当て、ダメージを並べてしまう。
それに対し妖夢はダメージを受け切った瞬間………否、内藤がグルグウィントにライドした辺りから俯き、グルグウィントにアタックされた時点で黙り込んでしまう。
もしもこの場に応援する者が居れば、妖夢が気力を削がれたと思い声を掛けそうな状況と貸していた。
「ダメージ2枚を与える………相手の戦意喪失を確認………相手手札は4………こちらのダメージも3………手札は6………問題なし………ターンエンド………」
その状況を見て洗脳状態の内藤は淡々と状況確認をしてターンを終了する。
そして内藤の言った様に妖夢は戦意を喪失し、既にサレンダー直前………と言う訳では無かった。
「………………き」
妖夢は一言口から漏らし、プルプル震え始める。
そう、妖夢は別に戦意喪失した訳では無かったのだ。
確かに内藤の行動により削がれた物はあった。
しかしそれは戦意では無く別の物である。
そう………妖夢が削がれた物とは……………。
「………キモチワルイデスゥゥゥゥゥゥゥ!!」
内藤らしくない、会話文に一切の草が無い所か、機械じみた発言と行動により妖夢はいつもの内藤とのギャップに謎の違和感を覚え、正気度と気分が削がれてしまっていたのである。
それも、初期ターンからずっとその状態が続いていたのだ。
「お願いですよ内藤さんいつもみたいに草生やしまくって笑顔の絶えない一見ウザい男に見えるけど実は皆の事をちゃんと考えてる太陽の騎士に戻ってくださいよこのままじゃ私のSAN値やら何やらが色々マッハなんですよ〜‼︎
ライド、『古代竜 スピノドライバー』と
古代竜 スピノドライバー:P11000、C1
超古代竜 パーリータイタン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『古代竜 スピノドライバー』
「パーリータイタンのスキル、ヴァンガードに登場時、互いのリアガードを1体ずつ退却して退却したユニットのパワー分パーリータイタンのパワーが上がります!
ティラノバイトとプイスを退却してパワー+18000!
更にティラノバイトのスキル、このユニットがドロップゾーンに置かれた時ヴァンガードが『古代竜』なら
本当にお願いです内藤さん私草を生やさない内藤さんなんて考えられません世界が崩壊してもあり得ない現象なんですだから早く元に戻ってくださいよ〜‼︎」
パーリータイタン:P26000+18000=44000
パーリータイタンVSグルグウィント:44000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『古代竜 ディノダイル』『☆』『古代竜 オルニトヒーラー』『治』『古代竜 ティラノドレイク』
パーリータイタン:C1→2
ティラノバイト:P9000+10000=19000
妖夢:ダメージ:3→2
ダメージチェック『ファーマシー・ウィッチ』『治』『老練の騎士 ダンヴァロ』
グルグウィント:P11000+5000=16000
内藤:ダメージ:3→4
ティラノバイトVSグルグウィント:19000+7000VS16000=ヒット
ダメージチェック『すれいみー』
内藤:ダメージ:5
妖夢:ダメージ:2 手札:6
更に妖夢は暴走(?)しながらも的確にファイトをし、『古代竜』と言うカテゴリの中で唯一相手に干渉出来るパーリータイタンで内藤の攻撃の要たるプイスを退却させ、更にダメージを5枚まで与えた上で自分はダメージを2枚まで回復し、返しのターンに備える。
「……………」
「内藤さん………本当に…………元に………戻って………」
だが妖夢の精神は内藤の異常振りによってガリガリに削られ、遂に目に涙が溢れ出し、今にも頬を伝って流れそうになっていた。
そんな妖夢を見て内藤は………。
「…………う」
「……う?」
「うはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwナニコレwwwwwwwwwwwwwwwwwww草生やさなかったのか会話文が大wwww草wwww原wwwwwwwwwwwと言うか妖夢タンwwwwwwwww何で泣いてるのwwwwwwwwwお願いだよ笑ってpleasewwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww妖夢タンに涙は似合わないよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「な、内藤さん!
元に戻ったんですか⁉︎」
何といきなり会話文に大草原が生い茂り、何時ものふざけた口調の笑顔の絶えない男に戻ったのだ。
妖夢はそれを見て駆け寄ろうとするも、内藤は何故か左手で右手を抑え出し、少しだけ表情が苦笑の方に変わる。
「うはwww身体の自由利かないしwwwwwwもしかして永琳てんてーにナニカサレタヨウダかにゃwwwwwwwwwミストと一緒に別室連れられた辺りから記憶が無いや………ww」
「な、まだ八意永琳達の支配下にあるのですか!?」
「うんwwwだから、まだ近付いちゃダメダメだよんwwwwファイトを続けるんだ妖夢タンwwww多分洗脳はファイトで負けた瞬間に切れる筈なんだwwwwwwその証拠に今俺様は、ファイトに負けそうだから妖夢タンと話せると思うんだwwwwwwだから妖夢タン………いや、『妖夢ちゃん』wwwww勝つんだ!wwwwwwww」
内藤は自分の無い頭で状況を把握しようとし、また今自分は妖夢とファイトをしていて、ダメージ5枚の状態となった辺りから思考のみが正気に戻ったのを加味し、ファイトを終わらす事が、しかも妖夢が自分に勝てばもしかしたら完全に自由になると考え、妖夢に勝つように言う。
それを一通り聞き終えた妖夢は1度目を擦って涙を拭い、深呼吸をして内藤を見つめ直す。
しかも今度は、ファイトを始める時よりも鋭い……いやまるで刀の様に研ぎ澄まされた瞳となった。
「……はい、来てください内藤さん!
このターンを凌ぎ、貴方に勝ちます‼︎」
「うっはwwwwwおkwwwwwwwwwwwwwwwそれではwwww俺様のターンザマスwwwwwwwwドロー!wwwwwwwwww
じゃあちょっと除草して………
俺様が掴む未来!
自由の力、今此処に!
ストライド・ジェネレーション、『黄金竜 スカージポイント・ドラゴン』‼︎
グルグウィントの
『ロップイヤー・シューター』をコール!
ロップイヤーのスキル、デッキからコールされたなら手札1枚をドロップして、デッキの上から3枚を見て〈ゴールドパラディン〉を1枚コール!
『ふぁーむがる』をコールしてふぁーむがるの
デッキの上から3枚を見て、1枚をスペリオルコール!
ふぁーむがるの後ろに『くーるがる』をコール!
くーるがるの
そして、スカージポイント・ドラゴンのスキル発動!
デッキからリアガードがコールされたなら、そのユニットとスカージポイントをパワー+5000する!
よって、ロップイヤーとふぁーむがるとくーるがるをパワー+5000、スカージポイントはパワー+15000‼︎
更に、ライジング・ライオネットの
デッキからリアガードがスペリオルコールされたなら、このユニットをソウルに送ってパワー+5000と、ヴァンガードへのアタックヒット時、
パワーとスキルはロップイヤーに付与!
更に、キマルクスを普通にコール!
……うはwwwこれが俺様の〈ゴールドパラディン〉だ!wwwwww」
黄金竜 スカージポイント・ドラゴン:P15000+11000+15000=41000、C1、ハーツ『旭光の騎士 グルグウィント』
ロップイヤー・シューター:P9000+2000+5000+5000=21000、C1
ふぁーむがる:P8000+5000=13000、C1
くーるがる:P6000+5000=11000、C1
内藤:手札:4 布陣
ふぁーむがる スカージポイント ロップイヤー
くーるがる R キマリウス
内藤は少ない手札消費から一気にリアガードを山札から連鎖的に展開し、更にスカージポイント・ドラゴンのスキルでパワーラインを底上げし、攻撃態勢を整えてしまう。
これこそが内藤の本来の実力であり、蓮子とファイトをした時は本当に手札事故の為あっさり負けてしまったのだ。
「ふぁーむがるでアタック!www「ノーガード……ドロートリガー、パワーはスピノドライバーに!」
次はロップイヤーザマスwwwwwwアタックがヒットしたらまたスペコしちゃうぜwwwwww「こちらはガード!」それではwwwwwwwwスカージポイント・ドラゴンでアタック!wwwwwwwwww
みwなwぎwっwてwきwたwぜ!wwwwwwwwww」
ふぁーむがるVSスピノドライバー:13000+11000VS11000=ヒット
ダメージチェック『古代竜 タイタノカーゴ』『引』
スピノドライバー:P11000+5000=16000
妖夢:手札:7
ロップイヤーVSスピノドライバー:21000+8000VS16000+10000+5000=ガード成功
スカージポイントVSスピノドライバー:26000VS16000=ヒット
トリプルドライブ『旭光の騎士 グルグウィント』『神聖魔道士 プイス』『きゃっちがる・
ロップイヤー:P21000+5000=26000、スタンド
ダメージチェック『古代竜 スピノドライバー』
「くっ、ロップイヤーがスタンドした………また来る‼︎」
「うはwwwwwwwwww俺様超ラッキーwwwwwwwwロップイヤーでまたまたアタック!wwwwww「くっ、ノーガード!」
ロップイヤーの付与されたスキルktkrwwwwwwwwアタックヒット時wwwwデッキの上から3枚を見てwwwwwwww1枚スペコwwwwwwロップイヤーにロップイヤー上書きwwwまたロップイヤーのスキルwwwwww手札1枚ドロップして3枚を見て1枚スペコwwwwwwふぁーむがるコールwwwwwwふぁーむがるのスキルでまた3枚を見てスペコwwwwwwゴルボドゥクをコールwwwwwwwwwデッキからコールされたユニット全てにスカージポイントのスキルでパワー+5000!wwwwwwww」
曙光の騎士 ゴルボドゥク:P7000+5000=12000、C1
ロップイヤーのアタックを受けてしまい、妖夢は4枚目のダメージを受けた上にアタックラインが復活してしまい拙い状況となった…………と、思ってはいたのだが、内藤の布陣を見てある事が頭に浮かんでしまう。
その内容は………。
「………あっ、ロップイヤー・シューターが死にラインになってます」
「………えっ?wwwwwwwwww」
そう、パワーアップしてもロップイヤー・シューターが何ら役に立たない棒立ちユニットになった事である。
何故ならロップイヤーの現時点でのパワー14000に対し、スピノドライバーはドロートリガーにより16000になっておりアタックはヒットしない。
また、リアガードにアタックするにしてもティラノバイトは『リアガードサークルからドロップゾーンに置かれた時にコストを払いリアガードサークルに帰還する』スキルを持っている為、ロップイヤーが殴っても
よって、ロップイヤーは本当の意味で棒立ちなのである。
「;;wwwwwwwwwwww」
ふぁーむがるVSスピノドライバー:13000+12000VS16000=ヒット
ダメージチェック『古代竜 ナイトアーマー』
妖夢:ダメージ:5
結局内藤はふぁーむがるでアタックした後はロップイヤーをスタンド状態のままターンを終了させ、妖夢にターンを回してしまった。
内心カッコ良く決めたのにこの締まらないファイト運びに内藤は泣いており、妖夢も同情していた。
「おい、妖夢大丈夫か!」
「あ、妹紅さん!
そちらは終わったのですね!」
「ああ、お前のお察し通りファイトに勝ったよ!
そして、妖夢も気付いてるかもしれないけどファイトに勝てば内藤を元に戻せられるよ!
私もミストさんを元に戻せた!」
「すみません妖夢さん、迷惑を掛けました!」
すると其処にファイトを終えた妹紅とミストがやって来て妖夢と言葉を交わす。
そして妖夢はそれにより、内藤の仮説通りファイトに勝てば内藤を元に戻す事が出来ると確信し、より一層気合が入る。
「よし………これで内藤さんに勝たねばならない理由が仮説から確信に変わった!
後は勝つのみ……ドロー!
砕け、その悪しき戒めを!
ブレイクライド、『古代竜 ティラノクエイク』‼︎
ブレイクライドスキル、コストとしてティラノバイト、イグアノゴーグを退却し、ヴァンガードにパワー+10000とクリティカル+1、更に2枚ドロー‼︎
ティラノバイトとイグアノゴーグのスキル、それぞれ
『古代竜 ジオコンダ』をコールして、
まだまだ、ディノクラウドをコールし、そしてシークメイト‼︎
ドロップゾーンの4枚、トライプラズマとヒールトリガーでドロップゾーンに落としたティラノバイト、古代竜の炎術巫女とディノクラウドを山札へ戻し、レギオンメイトのティラノバイトを探して
古代竜 ティラノクエイク:P11000+10000=21000、C1→2、
古代竜 ジオコンダ:P5000、C1
妖夢:手札:5 布陣
ティラノバイト バイト/クエイク ディノクラウド
イグアノゴーグ ベビーレックス ジオコンダ
妖夢はブレイクライドと
そして、ディノクラウドもティラノクエイクも味方リアガードを食いパワーアップするスキルを持ち、ティラノバイトはドロップゾーンに行けばコストが続く限り復活する為、連続アタックが可能だった。
「うはwwwwwやっぱり妖夢タン強スwwwwww」
「ええ、皆さんに鍛えられてますからね……行きます、ティラノバイト単体でロップイヤーをアタック!
更にディノクラウドでアタックし、スキルでティラノバイトを退却してパワー+5000、更に
次、再びティラノバイト単体でふぁーむがるをアタック、そしてベビーレックスのブースト、ティラノクエイクでアタック‼︎
ティラノクエイクのアタック時スキル、ティラノバイトを退却してパワー+5000!
更に
そしてティラノバイトのスキル、復活です‼︎「パワー45000のクリティカル3………うん、ガード無理ぽwwwwwwwwww」
ツインドライブ‼︎」
ティラノバイトVSロップイヤー:9000VS9000=ヒット、退却
ディノクラウドVSグルグウィント:9000+5000+5000VS11000+10000=ガード成功
ティラノバイトVSふぁーむがる:9000VS8000=ヒット、退却
ティラノクエイクVSグルグウィント:30000+5000+5000+5000VS11000=ヒット
ツインドライブ『古代竜 ナイトアーマー』『古代竜 ガトリングアロ』
ダメージチェック『フレイム・オブ・ビクトリー』『☆』『ファーマシー・ウィッチ』『治』『老練の騎士 ダンヴァロ』
内藤:ダメージ:6オーバー:LOSE
妖夢のインターセプト潰しと一撃必殺により、内藤はオーバーキルを受けて敗北。
無論ミストの様に後ろに倒れ、思い切り頭を打ち付けてしまう。
「だ、大丈夫ですか内藤さん⁉︎」
「うはwwwww頭痛いwwwwww妖夢タン痛いの痛いの飛んでけ〜してwwwwwwwww」
妖夢は倒れた内藤に駆け寄るが、至って大丈夫だと判断し一息を吐き、改めて内藤が元に戻ったと安堵したのであった。
「あwwwww妖夢タン今日は白なんだwwww」
「えっ…………〜〜〜〜っ!!!!」『ドゴォ、ザクザクズシャッ、!!』
「オウフ………ww」『ピチューン!!」
その直後、内藤は調子に乗って妖夢のスカートの中を見た為、妖夢に成敗されたがミストはいつもの光景と片付け、妹紅は平和だなぁと思いながらモブイナバ達が来ないか見張っていたのであった。
第43話を走り抜いて一言、『草の無い内藤はただのイケメンだ(混乱)』
はい、妖夢の中では内藤とは本編通りの印象を抱いてる為、機械的なファイトや草を全く生やさない彼には謎の違和感を覚え、拒絶反応が起きます。
自分も草が全く無い内藤とか普通じゃ考えられない為この話を書いてる時は違和感MAXでした^^;
そして最後のオチですが………『幻想郷はドロワしかないだろJK』と言う意見もありますが、ちゃんとドロワもありますよ。
但し、この時の妖夢はちょっと外にお出掛け→なら気合を入れようと言った感じです。
つまりは…………。
次回もよろしくお願いします。
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第44話「対峙」
最後に更新したのが12日前と大幅に遅れてしまい申し訳ありませんでした。
猛省しております。
遅れた分クオリティは……上がってませんがご容赦下さい。
では、本編をどうぞ。
内藤達は妖夢、妹紅の活躍により漸く洗脳から脱し、正気と肉体の自由を取り戻し、二人と合流する。
「いやぁ、洗脳ファイトは大変でしたね………て言うか、マジですみませんでした!」
「うはwwwwww俺達男性陣超カッコワルスwwwwwwwww足手纏いメンゴwwwwwwww」
「ああ全くだよ。
もう2度と洗脳状態のあんたらとは戦わないわ!」
「あ、あははは………」
ミスト、内藤はネタや草にまみれながらも妖夢達に土下座し、洗脳されてヴァンガードファイトをし、二人を負かそうとした事を悪びれた。
それらを聞いて妹紅は2度と二人がまた洗脳されようとファイトはしないと心に誓い、妖夢は苦笑しながらミスト達を許し、頭を上げさせる。
『あらあら、貴方達負けた上に正気に戻ってしまったのね。
ファイトの結果次第ではそうなる様にはしたとは言え、案外呆気ない上に二人だけしか足止めして無いのね』
「!
永琳さん……!」
「永琳あんた……!」
其処に八意永琳が再び妖夢、内藤達に通信し、話し始める。
無論妖夢達は警戒し、その一言一言を注意しながら耳を傾け、今この場所から離れて蓮子達の居る場所へ行く算段を立てようとする。
「(兎も角、今は此処を脱して蓮子さん達と合流する算段を立てないと………)永琳さん、何故今更通信を入れて来たのですか?」
「それは勿論、貴女達に伝える事2つあったからよ。
しかもどちらも私には良い事、貴女達には悪い事よ」
「………何だ、それは?」
「先ず1つ、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは補足完了したわ。
後は私の下に誘導してまた捕らえるだけ。
因みに救出にきた霧雨魔理沙達も一緒に捕まって貰うわ」
『⁉︎』
その永琳の口から蓮子達の居場所を特定し、誘導し再び捕らえると言う言葉が出て、妹紅や妖夢達は驚き目を見開く。
そして尚更蓮子達と合流しなければならない、また理由も分からず蓮子達を捕らえさせる訳にはいかないと考え動き出そうとする。
「そしてもう1つ、貴女達、もうその区間からは出られないわよ♪」
『えっ!?』
更に永琳は妖夢達に牢屋の区間から出られない事を告げ、それに妖夢達が驚くと同時に区間同士を繋げる通路の壁が勢い良く閉じ、妖夢達の居る場所を隔離空間にしてしまう。
「な、閉じ込められた⁉︎」
「………分厚過ぎて焼き切るにも時間が掛かり過ぎる。
やられたわね、私達はこれで蓮子達と合流出来なくなったわ…」
「うはwwwwwwwwwwwwwwマジでメンゴwwwwwwwwwwwwww俺様達が操られたばっかりにwwwwwwwww」
妖夢達は壁に近付き叩いたり触ったりして厚さを測ったりするが、妹紅の炎でも焼き切って進むには壁が分厚過ぎ、また妖夢の刀などでも斬る事は叶わない為、完全に手も足も出ずに隔離された形となってしまう。
「くっ、蓮子さん達と合流しないといけないのに……!」
「くそ、このままじゃあ俺、全くの役立たずみたいに話が終わるじゃないか………‼︎
せめて洗脳されて元に戻して貰った恩を返さないとならないのに……ッ‼︎」
「ちっ、蓮子、メリー、魔理沙達、無事でいてくれよ……!」
「……………」
妖夢達はそれぞれの思いを吐露しつつ壁を叩いたりし、へたり込んだり天井を見つめながらその場を動けずにそのまま待機する。
そして、蓮子達と合流出来ず、何も出来ない事への歯痒さを噛み締めながら彼女達の無事を祈るのであった。
同じ頃、ブロントさんや魔理沙達に先導された蓮子とメリーは地下区画を行ったり来たりしながら出口を探し、防衛体勢に入ったモブイナバ達を蹴散らしながら何とか足を進める。
「『
「『閃火の聖騎士 サムイル』でハイスラァ‼︎」
「『聖樹竜 ジングルフラワー・ドラゴン』でヴァンガードにアタックです!」
「『大魔神 ソウルレス・デマゴーグ』でアタック!」
「『
「『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』でヴァンガードにアタック‼︎
回せ、歯車!
流れよ、時流!
全てを飲み込み、時空の彼方に消し飛ばせ!
タイム・リワインド‼︎」
「行くわよ、『光源の
2つの閃光の剣よ、敵を斬り裂け!
デュアル・シャイン・ブレード‼︎」
『プギャピッ⁉︎』
無論ヴァンガードファイトで蹴散らしているだけだが、アンティで互いに動くなと言う条件の下でファイトしている為、負ければその場で動けず捕まえもせず、または逃げ出せもせずに相手に為すがままにされる為かなり効果的な方法である。
「ちっ、それにしても出口は一体何処なんだよ⁉︎」
「わからにぃが今は足を止めるなと言う意見!
止まったら捕まり汚い牢屋で不味いメシを食うハメぬなるのは明白に明らか‼︎」
「……………」
「メリー、どうかしましたか?」
そんな中、メリーは何か気になる事があるのか走りながら考え込み、麟がそれが気になり話を掛け何を考えているのかを聞く。
「あ、別に大した事じゃないわ………ただ、八意永琳………あの人が何故、私達を捕まえたりしたのかなって」
「あー確かに気になるわねそれ。
で、メリーの考えは?
私の場合は『明らかに私達二人が目的で妖夢達はオマケだった』位までは分かるけど、目的自体はちょっとね〜」
すると其処に蓮子も走りながら参加し、自らの考えをメリーに言い彼女の考えている事を聞こうとする。
それに対しメリーは言わない理由も無い為話しだす。
「ええ……先ず、蓮子の言う通り私も八意永琳の目的は私達と言う点では概ね同じ。
で、肝心の目的なんだけど、私は最初は『私の持つ力を狙っている』と思ったんだけど、それは違うかな〜って」
「その理由は?」
「ええ、先ず私達を捕らえた時に立ち会って、その時に見た八意永琳の目。
今にしてみればあれは私達を利用する人の目じゃなかった……寧ろ、私達を完全に敵視しているみたいな………そんな目だった」
「言われてみれば………」
メリーに言われた蓮子も永琳が向けてきた目を思い出し、それが正にメリーの言う通り敵意を秘めた冷たい目であり、何かをすれば容赦無く潰して来ると言う所まで悟り、背筋に氷柱を入れられた様な悪寒が走り、嫌な汗が頬を伝う。
「それに…………八意永琳が、短絡的な目的の為に動くとは思えないの………あの人の頭脳は幻想郷でも随一、ならその頭の中でとんでもない計算が成されてると思う」
「あー確かに、あいつは月の頭脳って二つ名がある位だし、私らの及びつかない計算があるんだろうなぁ」
更にメリーが永琳の頭脳を指摘し、魔理沙達もそれに頷き永琳が蓮子達を捕らえた理由がとてつも無い計算の末に導き出された答えだとし、苦笑が自然と浮かぶ。
「………ねぇ、メ「見つけたぞー‼︎」あ、また見つかった!?」
すると蓮子達は再びモブイナバ達に見つかり、ファイトに入り突破を図る。
だが、その直前に蓮子は素朴な疑問をメリーに聞こうとしたがそれが聞けず頭の隅に追いやろうとする………が、何故かそれは頭の隅に追いやる所かどんどん膨れ上がり、蓮子の思考をそちらへ向けてしまう。
「(………メリー、『何であんな憶測が立てられた』んだろう?
だって私とメリーが聞いた話は………)」
そして、その疑問に矛盾点が発生していないかを頭の中、牢屋内で話した事全てを思い出して答え合わせを始める………。
『チクショー‼︎
此処を開けろ〜‼︎』
『ちっ、永琳の奴なんで……!』
『私達、永琳さんを怒らせる様な事をしたかなぁ……?』
『あの、私達を捕まえて閉じ込めた人は一体……?』
『ああ、『八意永琳』、この永遠亭に居る医者で私達のクエストの目的の輝夜の従者だよ。
だが、何故こんな………』
「(そう、妹紅や妖夢は『八意永琳が超絶的な頭脳を持つ』とか『幻想郷で1番賢い』とかは
捕まった日も、次の日も、次の日も………一週間一度も。
なのにメリーは何で知っていたの?
人里で聞いた?
なら私も聞いている筈、ずっと一緒に居たんだから。
ならどうして?
私にも教えても差し支えない他愛のない情報だったのに……。
…………何だろう、この変な感じ………誰かに相談すべきなのかな………?)』
その疑問には全くの矛盾点が無く、また蓮子の疑問を更に大きくする。
何故メリーが八意永琳の情報を知り得たか?
何故メリーは自分に伝えなかったか?
これらは蓮子の思考を完全に絡め取り、また蓮子の中に何とも言えない予感を植え付ける。
何かが起きるかも知れない、そんな予感を………。
「あ、階段がある!
上に行く為の出入り口だ!」
「どうする?
上は絶対に此処よりも手厚い歓迎が待っているわよ?」
「だが今は前に進むしかにぃ!
前に進まずネガっては事態は解決しないんですわ、お?
ならばこのまま蓮子達を守りながら進むのは必至だと言う意見!」
「だな、此処で待って囲まれるよりも正面突破の方が脱出出来る確率は高いし、何より今囲まれるのは拙い!
何の為に妖夢や妹紅は脱出の時間を稼いだって話になる!」
「なら、このまま行きますよ!」
「はい!」
すると蓮子、魔理沙達の前に上に続く階段を発見し、少し止まり話してから上に昇り始める。
すると案の定モブイナバ達の歓迎を受けるが、これも難なく突破し奥へ行こうとする………すると、またモブイナバの妨害を受け、今度は囲まれてしまい進路変更をせざるを得なくなり、更にその奥へ行くとまた囲まれてを繰り返し、それが5回以上も続いた。
「ちっ、マジで兎達多いなおい!」
「………何だろう、なんか誘導されてるみたいな……」
「いえ、されてるわね。
現に………」
そして、それらの進路変更をされた結果蓮子達は謎の空間に出てしまう。
其処は部屋の中でありながら夜の光景が広がっており、また月が輝く不思議な場所と化していた。
更に、蓮子達の目の前には八意永琳と、一人の妖怪兎の少女……しかも、学生服の様なブレザーとミニスカートが特徴が其処に居た。
「ようこそ、私の用意した特別ルームへ。
貴女達二人に改めて自己紹介するわ。
私の名は『八意永琳』、この永遠亭で医者をしている者よ。
こっちは私の弟子の『鈴仙・優曇華院・イナバ』、短い間になるけどよろしくね」
「やっぱ誘導されてたか………‼︎」
永琳が自身の名と鈴仙の名を紹介した後、そのままブロントさん達の目の前まで歩き始め魔理沙達が蓮子達を庇う為に前に出て、二人を近付けない様にする。
すると、永琳はクスクスと笑い出し蓮子達の方を見やる。
「あらあら、随分魔理沙達に好かれているわねぇ………危険因子の癖に、ねぇ………」
「危険因子………?
蓮子達の何処が危険因子なんだよ!
二人はただの普通の女の子だぜ、言い掛かりはよせよ!」
「普通ね………片やユニットを実体化させかねない力を持ち、片やPSYクオリアを持つ者、何処をどう見たら普通なのかしら?
貴女達の普通の定義は『武器を常時構えてしかも制御不能な不安定な状態で歩き回る』とでも言うの?」
「何を……‼︎」
永琳が蓮子とメリーを危険因子と呼び、薄ら笑うと魔理沙が反論をするが、永琳はそれを否定するかの様に普通の定義を魔理沙達どんな風に捉えているか問い、魔理沙はブロントさん達は睨みを利かせて更なる反論をしようとする。
すると、メリーが魔理沙達の前に立ち永琳を見据えて話しだす。
「八意永琳………教えて下さい。
何で私や蓮子を捕らえたんですか?
私と蓮子が危険因子って何ですか?
貴女の目的は何ですか?」
その問いに対し永琳は少し考え、その後話し始める。
「ふむ、良いわ、教えてあげるわ。
私の目的、それは今も昔も変わらず姫様…………『蓬莱山輝夜』の身の安全を確保する事。
貴女達が危険因子と言うのは近い将来、姫様の身に害を齎す存在だからよ………いえ、姫様だけじゃない。
この幻想郷に厄災を齎す、間違い無く、確実に。
だからこそ私は貴女達を捕らえたわ………お分かり?」
「そんな………私やメリーは輝夜って人や幻想郷に害は齎さないわ!
それに、そんな大それた事なんか絶対しないわ!」
「いえ、間違い無くやるわ。
それが自覚があれ、無自覚であれね……」
「何でそう言い切れて」
「私の計算や推察などが弾き出した解答よ。
だからこそ、貴女達は捕らえる。
今、此処で…」
蓮子とメリーの言葉を永琳は自らの計算や推察に基づき切り捨て、再び二人を捕らえようとする。
それを阻止すべく魔理沙達は再び蓮子とメリーの前に出て阻もうとする。
「………なら、私とファイトをして、八意永琳。
私が勝ったら、私と蓮子、それに妖夢達を捕らえるのを止めて。
貴女が勝ったら、好きにして良いわ」
その時、メリーは永琳にアンティファイトを持ち掛け、条件は自分らや妖夢達を捕らえるのを止めさせる、つまり自由の身にすると言う条件だった。
その代わりに負けた場合のアンティも指定し、ファイカからデッキを取り出してファイトに臨もうとする。
対して永琳は、また考え始めるが自分が負ける可能性が低い為、受けても何ら問題は無く、またそれが幻想郷のルールである為受ける事とする。
「ふむ、良いわ。
その条件で呑むわ」
「な、メリー待ってよ!
その条件でファイトをして勝てるn「待ちなさい宇佐見蓮子、貴女の相手は私よ。
他の奴は手を出さないでね、特にブロントさんと魔理沙」っ‼︎」
すると、蓮子がそれに苦言を言おうとした所で鈴仙が動き、蓮子にファイトを仕掛けて来る。
しかもご丁寧に魔理沙やブロントさん達の感覚を狂わせるべく、蓮子とメリー以外に自らが持つ『狂気の瞳』を使い視線を合わせ、魔理沙達の片膝を突かせてしまう。
「げっ、しまった………‼︎」
「ム牛ン」
「か、感覚が………⁉︎」
「鈴仙、貴女本気ね………‼︎」
「み、皆どうしたの⁉︎
大丈夫⁉︎」
蓮子は何が起きたか分からないが、突如自分とメリー以外が片膝を突いた事を心配し駆け寄る。
すると鈴仙が口を開く。
「心配は無用よ。
ただ感覚を狂わせただけだから。
さあ、これで邪魔な連中は動けないわ、存分にヴァンガードファイトをしましょう……!」
「くっ、やるっきゃないって訳か……‼︎」
蓮子は鈴仙とファイトをするしか無いと悟り、デッキを取り出して構える。
そしてメリーの方も永琳に向けてデッキを構え、ファイカのファイトテーブル機能を使いファイトの準備をする。
自分らの自由とブロントさん達の感覚を元に戻す為に………。
はい、次回は流れ的に蓮子VS鈴仙となります。
また、ほんのちょっとですが姫様も出る………かも?
次回もよろしくお願いします。
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第45話「天使と騎士」
そして今回蓮子の様子が………?
詳細は本編へどうぞ。
蓮子達が永遠亭の地上部に出た頃、更に奥のとある一室にて前髪が眉にかかる程度のぱっつんと腰より長い黒髪と長い袖と右袖に月と山、左袖に月と雲が黄色で描かれ、胸元に白いリボンがあしらわれたピンクの服とその下に白い服を、赤い生地に月、桜、竹、紅葉、梅が金色で描かれた長いスカートとその下には白いスカート、更に半透明なスカートを重ねて着込む大和撫子を体現した美少女………そう、妹紅がクエストに出した人物であり、竹取物語のかぐや姫その人である少女、『蓬莱山輝夜』が其処に居た。
………3◯Sやゲーム◯ーイ、P◯PやP◯VI◯A、P◯にP◯2にP◯3にP◯4、Xbo◯ ◯◯0、ゲーム◯◯ーブやW◯◯などに囲まれながら。
「あーあ、永遠亭から出られなくなって1ヶ月以上。
妹紅にもちょっかい掛けられないしヴァンガードの大会にも出られないし、そもそも私のデッキを永琳に『取り上げられた』し…………積みゲーを消化し尽くしてやり込みもやってバグ技も全部発見したし、あ〜やる事無いな〜。
………永琳に頼んで新しいゲームでも買って貰おうかしら?
ならさっさと行きましょうか」
輝夜はそうで呟くとゲームの電源を消し、部屋の外へ出て永琳の下へ向かおうとする。
すると、輝夜は永琳の部屋とは反対方向の一室に異空間が形成されたく事を察知する。
しかもこれは隔離結界術の応用で、一度部屋に入った者を許可無しに外に出させなくするタイプの物だとも分かる。
「?
永琳、何で結界術を永遠亭内で使ったの?
………侵入者が入ったのかしら?
そう言えばイナバ達も見えないし…………何かあるわね、行ってみますか」
輝夜は永琳が何故術を使用したのかを推察し、更に永遠亭のモブイナバやてゐ、鈴仙の姿が全く見えず永遠亭内が異様に静かになっている事にも気付き、何が起きているのかを確かめるべく永琳が術を発動した部屋に走って向かう。
幸いにして此処から部屋まではそんなには離れていない為、ものの数分で到着する距離であった。
だが、輝夜は知らない。
この永遠亭に侵入したのは魔理沙やブロントさん達で、永琳が蓮子達を捕らえた事が原因で騒動が起きている事に………。
一方その頃、蓮子はFVを置き、更に初期手札を確認する。
すると、初期手札は何とグレード2と3はあるものもグレード1が無く、いきなりライド事故を起こす手札となっていた。
「(んぎゃ⁉︎
何この手札⁉︎
無理、こんなので戦えない‼︎
さっさと手札を入れ替えないと‼︎)」
慌てた蓮子は急いで手札をグレード2と3が1枚ずつ残る様に入れ替え、デッキをシャッフルする。
それを見ていた鈴仙は自身の能力で蓮子の波長を見て、蓮子が完全に焦り切っていると分析する。
「(………感情の波長が揺らいでいる、これはかなり焦っているわね。
成る程、手札が完全に事故ってて戦えないから焦っているのか………悪いけど、このデッキの力を最大限引き出して倒すわよ………例え手札が事故ってようと、貴女達が『彼』の目的を果たす為の手札であってもね………それが私の役割だから)」
鈴仙は一切の手加減をしない事を考え、冷淡な目で蓮子を見つめる。
更に頭の中でとある光景を浮かべ、思い返す。
そう、今から数ヶ月前、蓮子とメリーが幻想郷に来る前の出来事である。
「さて、今日も早々とお薬を売らないと……」
鈴仙は何時もの永琳の薬を里に売り込む為、大きな笠を被り、また大きなつづらを行者の出で立ちで担ぎ、人里の中を歩いていた。
すると、その直ぐ後。
『ガッ!』
「うわっ⁉︎
あっつぅ〜………」
鈴仙は誰かとぶつかり、尻餅をついてしまう。
更に顔からぶつかり、その上顔面を強く打ったのか顔をさすっており、ある程度痛みが引いた後ぶつかった人物に抗議を入れる
「ちょっと‼︎
痛いじゃないのよ‼︎
人が歩いてる前を通らないでよ‼︎」
「それはすまなかったな、鈴仙・優曇華院・イナバ。
それよりも話がある」
「はぁ、あんた何言って…………ちょっと待って、その声、まさか⁉︎」
するとぶつかった人物………どうやら青年は鈴仙に話があるらしく、軽く抗議に謝罪をすると淡々と言葉を紡ぐ。
その声に鈴仙は聞き覚えがあり、青年の顔を見上げると…………其処には、魔理沙の幼馴染にして彼女に一方的な絶縁を叩き付け、魔理沙や自分らの前から数年間も姿を消した者、ブライトの、数年分成長した姿があった。
「あんた…………魔理沙に酷い仕打ちして、数年間全く姿を見せなかった癖によくもノコノコと現れたわね…‼︎」
「そんな事は今はどうでも良い、今は時間が無い、手短に話すから聞け。
これは今の幻想郷や、消えた者や目覚めない者、そして『とある人物達の未来』を左右する重要な事だ。
注意事項として魔理沙達や、特に八意永琳には知られるな。
八意永琳がこれを知れば、根本の簡単な、しかも確実な解決法を選択する。
それは絶対にあってはならない事だ、分かったな」
「………………」
鈴仙はブライトの話の中で、魔理沙との間で起きた事をどうでも良いと言う発言に堪忍袋の緒が切れそうになるが、幻想郷などの未来や特に強調した『とある人物達の未来』と言う言葉がが引っ掛かり、ずっと睨みながらブライトの話を聞く事にする。
そして………プランの初期段階として蓮子とメリーを幻想郷に引き込むなどの所々容認出来ない部分があったが、取り敢えずは話を聞いてブライトの協力者として、蓮子とメリーの監視や永遠亭に来た際の対応などを聞き、万が一ファイトに発展する状況になった場合は2軍デッキの本気で戦うよう条件付けられたのであった。
その記憶を思い返した後、再び蓮子を見る。
当の蓮子はと言えば…………今にも全部が終わりそうな絶望の表情を浮かべ、手札交換を終えていた。
そう、先程の手札交換は失敗に終わりトップ解決に頼らざるを得なくなり、更にそれすら失敗した場合はとある事が可能になるが……それだけは蓮子自身は避けたかったりしてた。
「……うう〜、女は度胸!
こうなったらとことんやろうじゃん‼︎
さあ、行くわよ‼︎」
「……来なさい、宇佐見蓮子!」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『先陣の
「『
蓮子は相変わらずのファイルをFVに選び、いざと言う際に『ブラスター・ブレード・
そして相手の鈴仙は……イメージ世界とリアルで蓮子が初めて対峙するクラン、魔理沙から話を聞き把握はしているダメージを第2の手札などに活用し、防御力に長けた速攻に対するメタが可能な者達、傷付いた者を癒す医療部隊〈エンジェルフェザー〉だった。
更にこれは鈴仙の2軍デッキの『
「さあ、先攻はあげるから早くファイトを進めるわよ。
私はこれから薬の売り出しがあるから暇じゃないの」
「ぐう、私達を閉じ込めておいて…………でも今はファイトに集中!
ドロー‼︎
………くっ」
そうして蓮子の先攻、最初のドローでグレード1を引き当てようとしたが結局グレード3、セイクリッド・うぃんがるだった為ライド事故が確定してしまった。
そして蓮子は、このままファイトを進める訳には行かず最終手段を切る事になった。
「私はドローフェイズ時、私の場にグレード3以上のヴァンガードが存在せず、手札に現ヴァンガードよりもグレードが1上のカードが無く、また
手札に現ヴァンガードよりもグレードが1上のカードが無い事を相手に手札全てを見せて確認させる‼︎「………(アルフレッド、ういんがる、トリガー2枚、グレード2が2枚か)グレード1は無い、確認したわ」
そしてその後、デッキの上から5枚を見て現ヴァンガードよりもグレードが1上のカードを相手に見せて手札に加えて、その後手札の2枚と
………私は『護法の
そしてライド、『護法の
ファイルはヴァンガード後列に移動‼︎」
護法の
先陣の
蓮子:手札:4
蓮子は数々のディスアドバンテージ……手札2枚とGユニット2枚の損失、更に手札全公開を負いながらも次グレードのカードをサーチするGアシストを使い、漸くグレード1にライドした。
しかし、そのユニットは完全ガードのシロン。
相手ターンで攻撃を受けるには心許なく、また防御手段を1枚損失したと同じ状態であった。
「ふぅ〜ん、ファイトから除外したのはヴァイオリニスト、ういんがる、そして『神聖竜 レリジャス・ソウルセイバー』ね……それらの損失を経てライドしたのもシロン、貴女ファイトを進める度に何かを得る代償にそれ以上の何かを失ってるわね」
「う、うるひゃい!
これからそれ全部補えば全て良しよ!」
「………ファイトには、その人間の全てが表れる「………えっ、その言葉……」絶縁した知り合いの口癖、今の貴女はガムシャラに結果を得ようと踠き苦しみ、そして得た過程で得る物以上を失う。
まるで、『必死に嫌なものから目を背けて逃げている』みたいに」
「……っ………⁉︎」
その蓮子に対し、鈴仙はあの言葉………『シャドウ』が月でファイト中に投げ掛けた言葉を口にし、蓮子の心を揺さぶりそれが言い返せないでいた。
何故ならばそれは全くの大当たりだからだ。
蓮子はファイト中であっても此処に来るまでに感じた疑念………何故四六時中一緒に居たメリーが会った事も聞いた事もない幻想郷の住人の情報を知っていたのかと言う蓮子にとっては頭の隅に追いやろうとしても出来なかった疑念。
其処から自分の胸の奥に沸き立つ何かの予感………鈴仙に嫌なものと言われてから初めて気付く『嫌な予感』が自身を縛り、それを振り払おうとする気持ちを持ちながらファイトに臨んでいたのだ。
そして蓮子は、自覚した『嫌な予感』で息が荒くなり、汗が噴き出し始めていた。
「………図星みたいね。
でも、貴女がどんな気持ちでファイトに臨んでいようが変わらない、このまま『師匠の命令通り』全力で倒すわ。
ドロー、ライド、『
ベヌエルはヴァンガード後列に移動して、アタック!
ドライブチェック……クリティカルトリガーゲットよ!「なっ⁉︎」
アラバキVSシロン:7000+5000VS6000=ヒット
ドライブチェック『クリティカルヒット・エンジェル』『☆』
アラバキ:P12000+5000=17000、C1→2
ダメージチェック『ブラスター・ブレード・
鈴仙:手札:6
蓮子:ダメージ:2
「い、いきなりダメージ2枚………⁉︎」
「貴女は今日は2って数字に嫌われてるわね。
………で、このままあっさり負けて牢屋戻り?」
蓮子は鈴仙に挑発を受け、身体が震え出す。
このまま負けて魔理沙達ごと牢屋戻りではないか、と。
すると後ろから見ていた魔理沙が蓮子を見かねて声を掛ける。
「れ、蓮子………気を逸らすな………今はファイトにだけ集中するんだ………!」
「ま、魔理沙……そ、そうだね、私とした事がペース乱してたわ…。
ドロー!
来た!
立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』‼︎
スキル発動!
更に、『爛漫の
ブラスター・ブレードでアタック‼︎「ノーガードよ」
ドライブチェック、ヒールトリガー‼︎」
ブラスター・ブレード:P9000、C1
爛漫の
ブラスター・ブレードVSアラバキ:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『
セルディック:P9000+5000=14000
蓮子:ダメージ:2→1
ダメージチェック『
セルディックVSアラバキ:14000VS9000=ヒット
ダメージチェック『
蓮子:ダメージ:0/1 手札:4
鈴仙:ダメージ:2
蓮子は魔理沙の言葉で再びファイトに集中し出し、上手くヒールトリガーを引き当ててダメージ差を無くす。
しかし鈴仙はとあるカードがダメージに落ちた時点で目を細めながら笑い、蓮子の抵抗をまるで無駄な足掻きと言わんばかりの表情で見ていた。
それを不気味に思った蓮子はつい鈴仙に話し掛けてしまう。
「……何で、そんな風に笑っていられるの?」
「だって………『貴女が抵抗をする度に事態が悪化して行ってる』のよ?
それを哀れんだらこんな表情にもなるわよ」
「何それ……!」
そして自分が鈴仙を見て思った事がそのまま返って来た為、蓮子は『シャドウ』とファイトをした時並の怒りが沸き立ち鈴仙を睨む。
すると鈴仙は横に首を振りながら話し始める。
「まあ怒るのは無理ないけど、これは事実なのよ。
だってダメージに落ちたカードは私が思い描いた理想図通り、これには笑いが止まらないわよ。
それに…………これが貴女の実力と言うなら、私に勝てない事も決定したのよ。
嫌なものから目を背けて逃げて、踠いて苦しむ貴女じゃあね………」
「っ………」
更に最後の辺りで鈴仙は睨む様な真剣な眼差しで蓮子を見つめ、威圧する。
その言葉と眼差しにより再び蓮子は言葉を詰まらせ、反論を加えられなくなる。
確かに今のメリーから感じる『嫌な予感』から目を背けてファイトをしている自分にこの言葉は返せない、何も言えないと無意識的に蓮子は思ってしまっていたのだ。
それを確かめようとしても今はファイト中、最早確認するにはどちらにせよファイトを終わらせなければならない事態になっていた為、この疑念と『嫌な予感』は蓮子を強く縛り付け、思考を絡め取り、そして言葉に詰まるの悪循環が完成していた。
「………そして何も言い返せないのね。
なら………貴女はさっさと牢屋に戻すわ………!」
そして鈴仙はその紅い瞳を輝かせ、目を見開いて蓮子を睨みながら牢屋に戻すと宣言し、殺気立ちながらファイトを再開します。
これに対し蓮子は一瞬だけ足が後退ってしまい、完全に気負いし始めてしまっていた。
この状態に陥った時点で側から見れば蓮子の敗色は濃厚であり、覆しようが無くなっていた。
果たして蓮子はこのファイトを如何に切り抜け、どの様な結末を迎えてしまうのか、まだ誰にも分からない………そう、今ファイトに臨んでいる蓮子自身にも…………。
さて、精神攻撃+動揺でかなり危ない状態に陥りつつあります蓮子。
これを如何に打開するか、このまま負けてしまうのか………その答えは次回に。
次回もよろしくお願いします。
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第46話「勇気を胸に抱いて」
いつもよりも話が長くなってしまってますが、どうか最後までお付き合い下さいm(_ _)m
では、本編へどうぞ。
「ライド、『
更に『
ラグエルでセルディックにアタック、スキルでパワー+3000!「くっ、ラヴィング・ヒーラーでガード!」
ダネルでアタック!
ドライブチェック………クリティカルトリガーゲット!」
ラグエルVSセルディック:9000+3000VS9000+10000=ガード成功
ダネルVSブラスター・ブレード:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『
ダネル:P14000+5000=19000、C1→2
ダメージチェック『聖棍の
蓮子:ダメージ:2/3 手札:3
鈴仙:手札:6
鈴仙がグレード2にライドし、蓮子の手札に後続が全く無い事をGアシストで知っていた為、現在唯一のアタッカーであるセルディックが狙われてしまいそれをガードするも、ヴァンガードのアタックで再びクリティカルトリガーを引かれてしまい再びダメージレースを逆転されてしまう。
しかも残り手札はたった3枚、しかもグレード0が2枚、グレード3が1枚と言う崖っ淵に立たされてしまっていた。
「ま、またクリティカル………⁉︎(ヤバイ……勝つ手段が見出せない‼︎)」
「さて、また逆転………どうするの?
さっさと諦めて牢屋に戻る?
それとも無駄に足掻いて首を更に締める?」
「くっ………!」
倍の手札、逆転しても返されるダメージレース、カードを引いても見えない勝利への活路。
たった4ターンしか進んでない中で起きた圧倒的不利な状況と自身の中で未だ膨らみ続ける不安などの感情により蓮子の心は折れ掛けており、既に目の焦点がブレたりなどが起き、更に鈴仙の煽りもあり最早蓮子の心が折れ切るのも時間に問題となっていた。
「れ、蓮子……気をしっかり持て……!」
「………魔理沙、この様子だと蓮子には………」
「おいィ……鈴仙、なんでこんなにも相手を煽るんですかねぇ?
煽りプレイは止めろよ名誉既存の犯罪だぞ。
煽りプレイは関係悪化を招きジャッジからキルを受けてそのままファイトを無効にされて裏世界でひっそりと幕を閉じる事になる悪質な手段だぞこのままジャッジキルを受けたくなければ止めるべきそうすべき!
そももも煽りプレイをやるとかおもえらしくもないんですわ、お?
何故こんなにも親の仇みたいにムキになっているんだ?」
魔理沙が蓮子に声を掛けても先程と違い反応が無く、既に耳に言葉が入らない程に追い詰められ切っていた。
するとブロントさんは鈴仙に話し掛け、何故この様な事、しかもブロントさんや魔理沙達が知る鈴仙では調子に乗っても先ずやらない煽りプレイをやるのかと聞き出そうとする。
「……知らないわよ、今のこの子を見てると何か煽りたくもなるしムカついたりするのよ」
それに対し鈴仙は何故かそうしたくなると言い、以降ブロントさん達の言葉を右から左へと受け流して目の前のファイトに意識を向ける。
するとその間に蓮子は自ターンになってた為ドローし、新しく来たカードを見て考え出し、こうすれば行けるかもしれないと何とか考えを纏めていた。
「勇気を剣に、希望を盾に進め!
ライド、『光源の
前列にコール、『誠実の
更にアルフレッドのスキル、『
私は『聖棍の
オクタウィウスのスキル、前列に『
光源の
誠実の
聖棍の
蓮子:ダメージ:0/3 ソウル:0 手札:3 ドロップゾーン:4
布陣
セルディック アルフレッド・エクシヴ シンリック
オクタウィウス ファイル R
蓮子はソウルやダメージなどを全てコストに活用し、実質手札消費1枚で布陣を敷き、更に手札1枚をこのファイト初の非公開にするなど序盤の遅れを徐々に取り戻しつつあった。
それらを見ていた鈴仙は少しは関心した様子を見せ、手札に手を掛け初めていた。
「シンリック、ラグエルにアタック、スキルでパワー+3000!「『クリティカルヒット・エンジェル』でガード」
次、ファイルのブースト、アルフレッド・エクシヴでアタック‼︎「ノーガード」
ツイン………ドライブ‼︎」
シンリックVSラグエル:7000+3000VS9000+10000=ガード成功
アルフレッド・エクシヴVSダネル:11000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『
アルフレッド・エクシヴ:C1→2
セルディック:P9000+10000=19000
蓮子:ダメージ:0/3→0/2
ダメージチェック『
ダネル:P9000+5000=14000、C1→2
イメージ世界にて、蓮子がライドしたアルフレッド・エクシヴの指示によりシンリックがラグエルに攻撃し、一瞬取ったかと思いきやクリティカルヒット・エンジェルが割って入り、治療器具で光の矢を防ぐ。
続くアルフレッド・エクシヴがダネルを切り捨て、更にトリガーユニットの恩恵が入りダメージが和らぎ、一撃が重い物となった。
「よし、後2ダメージ……!
セルディック、オクタウィウス‼︎」
『了解、はぁぁ‼︎「シェミハザ、ラムエル‼︎」
ぐっ⁉︎』
セルディックVSダネル:19000+7000+3000VS14000+20000=ガード成功
蓮子:手札:5
鈴仙:ダメージ:4 手札:3
そしてセルディックがオクタウィウスの支援を受けダネルに斬り掛かるも、トリガーユニットに阻まれてしまい攻撃が通らなかった。
リアル視点でもトリガー、クリティカルと温存されたヒールによりガードされ切っていた。
「ふん、少しはやるみたいね。
ダブルトリガーを引き当てて私とのダメージレースをまた広げて来るとはね………けど、まだ想定内。
ドロー!
虚無の快楽で痛みを癒せ!
ライド、『
そして
舞い降りよ、聖なる天使!
全ての苦痛から解放せんが為に!
ストライド・ジェネレーション、『
だが返しのターン、鈴仙は‘‘
それを見た蓮子は、Gユニット故に強力なスキルを持っていると予想し、警戒をする。
「ふふ、警戒しても無駄よ。
このターンで差を広げてやるわ………先ずはベヌエルのスキル発動!
このユニットをソウルに置き、ダメージゾーンから『
更に、デッキの上から1枚を裏向きでダメージゾーンに置く!
ナレルのスキル、手札の『
私はレミエルをダメージゾーンに置き、ベヌエルのスキルで置かれた裏向きのダメージを手札に!
更にミカエルのスキル!
私はもう1体のナレルをコール‼︎
更にナレルのスキル、手札から『
更にミカエルのスキルで置かれたダネルのスキル!
『
そしてデッキの上から1枚をダメージゾーンに‼︎」
ナレル(B):P7000+5000=12000
鈴仙:手札:2
布陣
ラグエル ミカエル ダネル
ナレル R ナレル
「くっ、手札を交換しつつ盤面をしっかり整えた……‼︎」
「これが〈エンジェルフェザー〉よ、勉強になったかしら!」
鈴仙は手札を次のターンでガードし易い様に入れ替えると同時に盤面を一気に整え蓮子に猛攻を掛けようとしていた。
対して蓮子は非公開の手札1枚とトリガー4枚、上手く防がなくてはならない状況下に追い込まれている。
そう、常に崖っ淵状態だった物がいよいよ後が無くなり出したのだ。
「先ずはセルディックをアタックする、ラグエル!「っ、ガード‼︎」
次、ミカエルでアタック!「うっ、ノーガード………‼︎」
トリプルドライブ!」
ラグエルVSセルディック:9000+3000+7000VS9000+10000×2=ガード成功
ミカエルでVSアルフレッド・エクシヴ:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『
ダネル:P9000+5000=14000
鈴仙:手札:5→6
ダメージチェック『爛漫の
蓮子はアタッカーのセルディックを守るも、次のミカエルのアタックは防がず受け、そのまま3枚目のダメージを受け、更にダネルが後から続き、それも受けてしまう。
ダネルVSアルフレッド・エクシヴ:14000+12000VS11000=ヒット
ダメージチェック『必殺の
蓮子:ダメージ:4
「ターンエンド!
さあ、次は貴女の番よ、何をするかはじっくり考えなさい!」
「くっ、ドロー!
………シークメイト‼︎
ドロップゾーンの4枚、シロン、ラヴィング・ヒーラー2枚、そしてハロウドブレス・ドラゴンをデッキに戻す‼︎
そしてデッキから『ブラスター・ブレード・
勇気を力に変え、共に突き進め、私の分身‼︎
『ブラスター・ブレード・
更にファイルのスキル、
まだまだ、アルフレッドのスキル、
そしてアルフレッド・エクシヴの
場に居る私のアルフレッド以外の『
ブラスター・ブレード・
正道の
アルフレッド・エクシヴ:P11000+6000+9000=26000、C1→2、
だが蓮子も負けじと
これによりセンターラインは合計パワー33000となり、完全ガード以外で防ぎ切るには手札を最低3枚は削らねばならなくなり、またクリティカルも2となっている為今の鈴仙ではスルーは出来ない物となっていた。
「へぇ………単純なパワー増強、でもシンプル故にポテンシャルも高いと来る訳ね………」
「その余裕、今崩すわ!
アルフレッドとブラスター・ブレードで
そして未だ余裕を見せる鈴仙に
しかし………それは出来なかった。
何故ならば鈴仙は既に手札に加えていたからだ、防御手段を。
「完全ガード、残念だったわね」
「なっ、完全ガード⁉︎
そんな、いつ確保を………待って、その完全ガード、まさかベヌエルでコールされたナレルの………⁉︎「そう、その時手札に加えた裏向きのダメージだった物よ、分かったでしょ、私には勝てないって」
ま、まだ………ツインドライブ‼︎
…………嘘……⁉︎」
それでも蓮子はツインドライブに賭けてクリティカルトリガーを引こうとする。
だが、これすら蓮子を見放してしまっていた。
そう、今蓮子がトリガーチェックで引いたカードとは。
アルフレッド・エクシヴVSレミエル ‘‘
ツインドライブ『光源の
セイクリッド・ういんがるとアルフレッド・エクシヴ、よりにもよってガードには使えないグレード3ばかりだった。
「グレード3が2枚、遂にデッキにまで見放されたわね………ほんと、足掻けば足掻く程失う物が大きいわね。
私が言った通りに」
「くっ……セルディック‼︎
ブラスター・ブレード・
う…………く………ターン、エンド……‼︎」
セルディックVSレミエル ‘‘
ダメージチェック『
ブラブレ探VSレミエル ‘‘
最後の足掻きでブラスター・ブレード・
それを鈴仙は冷淡な瞳で笑い、そして一瞬で険しい表情になりドローをし、
「レミエル ‘‘
………いい加減理解出来たでしょ、貴女じゃ私には勝てないって………なのにまだ諦めないの?」
「わ、私は………!」
「………中途半端に足掻くから苦しむのよ………!
ストライド・ジェネレーション、ミカエル‼︎
ミカエルのスキル、
さあ、これで終わりよ、ミカエル‼︎「か、完全ガード、コストはアルフレッド・エクシブ‼︎」
………トリプルドライブ‼︎」
ミカエルVSアルフレッド・エクシヴ:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『
ラグエル:P9000+5000=14000、C1→2
レミエル:P16000+5000=21000、C1→2
蓮子は諦めずに完全ガードを繰り出すも、ダブルクリティカルを捲られ左右にパワーとクリティカルが割り振られてしまい目の前が真っ暗になり始める。
そして手札を改めて見れば其処にあるのはグレード0が2枚、そしてグレード3が『2枚』である。
そう……未公開手札の内1枚はグレード3、しかも3枚目(正確には2枚目)のアルフレッド・エクシヴであり、蓮子はこのファイトにおいて本当に2と言う数字に嫌われていたのだ。
「……レミエルでアタック‼︎「ガ、ガード………」
ならラグエルでヴァンガードをアタック、残り手札は2枚、内1枚はセイクリッド・ういんがるよ。
これを守るにはインターセプト2枚と手札1枚を使う必要がある………ガードは?「………………」
……そう、ならヒットよ、ダメージチェックをして6枚目のダメージをさっさと置いて地下に戻りなさい!
直ぐにマエリベリー・ハーンも地下に送り返してやるわ」
蓮子はガードし切れずにアタックヒットが確定し、このままダメージチェックを行い6枚目のダメージが置かれてしまえばメリーを一人にしてしまう事が決定する。
今の、嫌な予感が消えない中で一人にする。
この瞬間、ふと蓮子は幻想郷に来る前のとある記憶が呼び起こされる。
それは『シャドウ』に出会ったあの日の朝、蓮子の記憶に焼き付き離れないあの夢の内容…………真っ黒塗りになったメリーに幾ら手を伸ばし、追い掛け、叫んでも届かず、追い付かず、最後には消えてしまうあの悪夢が。
何故今になりこれが呼び起こされるのかは蓮子の頭は理解出来ていない。
しかし本能的には理解する、『もしも自分が負けて今のメリーをこの場に一人にすれば悪夢の内容に直結するかも知れない』と。
そう感じた蓮子は急に青ざめ始め、身体が震え出しそれを押さえる為に両手を肩に掛けるが、震えは徐々に増し汗も過剰に流れ出し、呼吸も荒くなり出してしまう。
「お、おい蓮子‼︎
しっかりすろ、一体どうしたんだ、気をしっかり持つべきそうすべき死にたくないならそうすべき‼︎
おい蓮子‼︎」
「蓮子、蓮子‼︎
お前どうしたんだよ⁉︎」
「……ダメ、あの様子じゃこっちの声が全く聞こえてない‼︎」
「れ、蓮子………⁉︎」
魔理沙やブロントさん達が様子がおかしくなった蓮子に話しかけるも、その声は全く届かず更に悪化し出す。
その様子を見ていた鈴仙は何かを感じたのか、または薬師であり医者の永琳の弟子としての癖からなのか、蓮子の波長を見始める。
「(………波長が乱れ過ぎてるわね、精神的にボロボロになってる………………か)」
そして蓮子の思考も完全に乱れ、正常な思考も出来ずただ考えが浮かんでは消え浮かんでは消えの繰り返しとなり蓮子自身を更に追い込み、思考の泥沼へと沈ませて行き、苦しませる。
「(そんな、なんであの夢が今浮かぶのよ!
今メリーを一人にしたらああなる?
私が負けたらそれでメリーは私から離れて行く?
このままメリーとはお別れ?
2度とメリーとは会えなくなる?
嘘よ、そんなのあり得ない‼︎
メリーが私から離れるなんてあり得ない、目の前から居なくなるなんて考えられない‼︎
……でも、なら何でこの嫌な予感は消えないのよ?
何であの悪夢の内容が連想されるのよ?
まさか本当に………嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!
絶対にそんな事はさせたくない、メリーと離れ離れなんて絶対に嫌だ!!!!!
ならどうする?
これを逆転する?
無理よ、ダメージが確定している‼︎
ならヒールトリガーに期待?
そんなの無理、
だったらアンティを無視する?
それも無理、アンティを無視したらこっちが死ぬ‼︎
でもそれならどうしたら良いのよ⁉︎
分からない、分からない‼︎
これがどうにかなる奇策なんて無い‼︎
わ、私は、どうしたら…………嫌だ、このままじゃ…………メリーが…………)」
蓮子の頭の中に考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返して行く内に蓮子は意識が朦朧とし出し、足がおぼつかなくなる。
そう、精神的にボロボロとなった為に過呼吸が起き、その為に意識が保てなくなり出し今にも倒れそうな状態となっていたのだ。
そんな蓮子に魔理沙達は大声で叫ぶが蓮子の耳には届かず、そのまま倒れそうになる。
「………宇佐見蓮子、聞きなさい」
すると鈴仙が急に蓮子に声を掛け、何かを話そうとし始める。
しかも蓮子の目をその狂気の瞳で見て能力を発動させながらだ。
すると蓮子は急に身体に震えが止まり、先程までブレていた視界をはっきりと鈴仙の方に向け、話を聞き始める。
「……宇佐見蓮子、中途半端に足掻いて自滅する位なら今直ぐサレンダーしなさい、あんたのファイトは見るに堪えないわ」
「………えっ?」
「……………」
鈴仙は何故か蓮子に対してサレンダーをする様に促し、以降黙ってしまう。
それを聞いた蓮子は再び考えを纏めようとする。
しかも今度は鈴仙が感情の波長を操っている為、非常に落ち着いた中で思考の泥沼………否、海に入り込みその中で自分の答えを、このファイトの正解を導こうとする。
「(………何でだろう、さっきよりも落ち着いて考えられる……………私がこのファイトですべき事は………私が勝つ事。
メリーを一人にさせない事、それがこのファイトでの目的。
確かに魔理沙やブロントさん達を牢屋送りにしたくないけど、それとメリーを一人にしないは勝つ事でイコールとなるから今はメリー優先。
その障害となるのは目の前の兎耳の人……確か鈴仙、この人から与えられた2ダメージを切り抜ける以外に無い。
なら……………なんだ、答えは初めから1個しか無いじゃん。
なのにうじうじ悩んでたのか、私は……)」
すると蓮子は1つの答えを出し、それを実行すべくデッキに手を掛ける。
しかもそれはサレンダーの合図では無く、トリガーを引こうとする指つきの手だ。
「あんた、まだ……!」
「うん、抵抗する。
だって、此処で負けたら魔理沙達は牢屋行き、メリーも此処で一人にしちゃうし………なら勝つしかないでしょ、普通!」
「………」
蓮子は鈴仙に睨まれてもなお取り戻した落ち着きを崩さず、更にいつの間にか鈴仙の能力は切れ、蓮子はファイト時と同じ状況になりながらも感情を乱さず、ただカードを引こうとしていた。
それはもう鈴仙の言う中途半端な足掻きでは無く、しっかりとした意志による抵抗であった。
「ダメージチェック……ノートリガー」
ダメージチェック『スターライト・ヴァイオリニスト』
そして1枚目を引き外すも、全然感情は乱れずそのままトリガーを引く事のみに全神経が集中し、蓮子の意志を更に強靭な物に変え必ずヒールトリガーを引くと意気込み出す。
そしてそれは魔理沙やブロントさん達、更には目の前の鈴仙にすら伝わり、その鈴仙ですら先程まであった余裕が消え去り、本当にヒールトリガーを引くのでは無いかと緊張を持ち始めてしまっていた。
そう、今の蓮子は先程までの蓮子とは別人。
今の蓮子は、ほんのささやかな、しかし確かな勇気を胸に相棒兼親友と共に怪異に踏み込み、それを暴こうと前へ進む普段の蓮子に戻っているのだ。
自らが抱いた嫌な予感の正体を知る為に、メリーと共に居る為に。
「(引く、必ず引く!
そしてメリーを一人にさせるもんか‼︎
絶対に……『マイ・ヴァンガード、我々も貴方と共に……!』えっ、ブラスター………ブレード………私と、一緒に?)」
すると、その蓮子の横にうっすらとブラスター・ブレードが、否、蓮子のデッキに入っているユニット達が並び立ち、そしていつの間にか蓮子はアルフレッド・エクシヴにライドしており、クレイの大地で膝を付きながら〈エンジェルフェザー〉の部隊を、特に鈴仙が憑依するGユニット、ミカエルを見据えていた。
だが、そんな不思議な光景を蓮子は不思議とは思わず、まるでそれが当たり前で、普通な事と感じながら立とうとし、足に力を込め始めていた。
「……そうね、貴方達は私と一緒にファイトして、戦ってくれてたね。
多分これからも………なら、改めて言うわ。
こんな頼りない私でも一緒に戦ってくれるって言うなら力を貸して!
私の友達を、1番の親友をこの手で支える為にも、私がメリーと一緒に居る為に‼︎」
『イエス、マイ・ヴァンガード‼︎』
「ああぁぁぁぁぁ、セカンドチェック‼︎」
そして、蓮子はユニット達に声を掛け、改めて力を貸す様に言うと全員が、ライドされているアルフレッド・エクシヴも含めた蓮子のデッキ内のユニット全てが応え、そしてクレイの大地で蓮子は力強く立ち上がった。
それとシンクロして、永遠亭でファイトをしている蓮子もデッキトップを力強く捲り、鈴仙に対してそのカードを突き出しながら見せる。
そして、そのカードは…………。
『
蓮子:ダメージ:5→4
アルフレッド・エクシヴ:P11000+5000=16000
蓮子:ダメージ(最終結果):5 手札:2
ラヴィング・ヒーラー、ヒールトリガーであった。
これにより蓮子は最後の首の皮一枚が繋がり、ファイトが続行される事となった。
それを見ていた魔理沙達は動けていたのならガッツポーズなどをし、表情だけでなく身体も使って大喜びしていたであろう。
しかし、その魔理沙達は知らず、メリーとファイト中の永琳は此方に鈴仙が何故か2軍デッキを使った事以外に興味が無く、目を向けない為気付かず、対峙している鈴仙しか気付いて居ないであろう。
今の蓮子の瞳には、メリーが月の大会会場VIPルームで見たあの輝きが……空を思わせる蒼と、その周りを虹色の輝きが渦を巻くあの幻想的な輝きが、あの時よりも更に力強く光り、また蓮子の纏う気配などを一回り大きくしている。
そう、この時蓮子は覚醒したのだ、オリオンやサグメが使えたあの力、『先導者の力』と呼称される惑星クレイと地球をシンクロさせる力、『PSYクオリア』が。
「……PSYクオリア、あんた、先導者の力を持っていたの……⁉︎」
「PSYクオリア………そっか、先導者の力ってそんな名前なんだ……でも、今はそれよりもファイトの方が優先よ。
そしてこれが私のファイナルターン、此処であんたを、鈴仙って一人のファイターに勝てなきゃメリーを支えられない‼︎
だからこのターンで終わらせる、ドロー‼︎
そして
それから蓮子は自身の最終ターンを悟り、此処で決めると宣言して力強くドローをし、手札にあったアルフレッド・エクシヴをドロップし、
そして蓮子が呼び出すのは最初のGアシストで除外した2枚と同名カードであり、今の自分が最も使い易いと感じ、また自分が使うならばこれと月から戻り、デッキ改造した際に投入した新たな切り札である。
「天翔ける聖なる竜よ、その神秘なる力で正しき道を照らせ!
ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 レリジャス・ソウルセイバー』‼︎
スキル発動‼︎
このユニットがヴァンガードサークルに登場した時ハーツに『ブラスター』の名を含むカードがあるなら、
シンリック、セルディック、ブラスター・ブレード・
神聖竜 レリジャス・ソウルセイバー:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『光源の
セルディック:P9000+5000=14000
シンリック:P7000+5000=12000
ブラスター・ブレード・
「……流石『ソウルセイバー・ドラゴン』がGユニット化しただけはあるわ、3体のユニットを強化したわね……!」
鈴仙は手札を見てレリジャス・ソウルセイバーは防げても次のアタックは全く防げないと計算し、頬に汗を伝せ焦りが生まれていた。
今まで散々追い詰めて来た相手が突如として勢い付き、反撃したのだから無理もなかった。
しかし、これは鈴仙が蓮子の精神を安定させた事が原因で起きた事であり、もしも鈴仙の戦略が精神的に揺さぶり勝利を得るであるならば大きなミスであろう。
だが………鈴仙はそんな事はしない
「(………そう、これは私のミス。
もしも精神的に揺さぶる戦略が私の戦い方だったら。
でも、私の戦略はそんな物じゃない………宇佐見蓮子の精神を安定させたのは私が八意永琳、師匠の弟子としてあの状態の人を放って置けなかったから。
『あのバカ』に宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンをしっかり試す事と頼まれたから。
そして、私が宇佐見蓮子の精神を安定させる前まであんなにキツイ態度を取った理由は…………)」
鈴仙は心の中でそんな自問自答をし、自分が蓮子の反撃を許す事をしたのが二つの理由があったからと結論付け、次に何故蓮子に対しキツく当たったのかと考え始める。
そんな中、蓮子はレリジャス・ソウルセイバーでアタックをし、それを見た鈴仙は首を横に振りノーガードと言う意思を見せ、攻撃を受け切るつもりでいた。
そして、蓮子はそれを見てトリプルドライブに入る。
「私は諦めないし絶対に勝つ!
この嫌な予感が何なのか確かめる為に‼︎
メリーと一緒に居る為に!!!」
レリジャス・ソウルセイバーVSレミエル ‘‘
トリプルドライブ『必殺の
レリジャス・ソウルセイバー:P33000+15000=48000、C1→4
蓮子はトリガーを引きながら吠え、全てのトリガー効果をヴァンガードに付与し鈴仙に一気に4ダメージを与える事に成功する。
対する鈴仙は自問自答の最後の答えをその最中に出しながら、トリガーチェックを行なっていた。
「(……私かあんな風に当たった理由は、さっきまでの宇佐見蓮子がまるで昔の私みたいだったから。
弱い癖に見栄張って、嫌な物から目を背けて、でも中途半端に足掻いて、終いには逃げて………最後は姫様達に拾われた私みたいに………)」
ダメージチェック『
レミエル ‘‘
鈴仙:ダメージ:6 LOSE
蓮子:WIN
そしてファイトは、蓮子の反撃とトリプルクリティカルと言う大逆転劇により決着がつく。
それを受けて、鈴仙は魔理沙やブロントさん達を元に戻し、自由にする。
「あ、身体が!」
「うむ、今までとてとて動けない状態だったがどうやら蓮子のお陰で身体の自由が戻った感‼︎」
「はぁ、はぁ、勝った…………メリーは………⁉︎」
蓮子は身体の自由を取り戻した魔理沙達を息を切らしながら見て安心し、その直ぐ後にメリーの方が気になり様子を見る。
するとその瞳に、信じ難い光景が広がり蓮子は目を見開いてしまう。
「嘘、そんな………駄目!!!!」
蓮子はデッキを仕舞うのも忘れて直ぐ様メリーの方へと駆け出して行ってしまう。
果たして蓮子の瞳に映った物の正体とは?
それの全貌を知るには、メリーと永琳がファイトを始めた時まで少し遡る……。
最後まで閲覧して頂きありがとうございました。
今回は詰め込み過ぎたと言いましたが、実はこの話を半分に分けようかとも考えたのですが、切るべき場所が見つからず結局1話に詰め込んでしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。
さて、次回は遂にメリーVS永琳です。
そして、永遠亭でのお話も終盤となって来ました。
この永遠亭でのお話がどんな風に終わるのかお付き合い頂ければ幸いです。
次回もよろしくお願いします。
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第47話「新たなる疑念と敵意」
今回で分かる事、また『えっ?』となる展開がありますが、その辺はどうかご容赦下さい。
では、本編へどうぞ。
時は遡り、永琳とメリーのファイトが始まる直前。
メリーは手札を見て、何を入れ替えるのかを決めようとし、既に入れ替えた永琳はそれを見ていた。
「……うん、全入れ替えしようかしら?」
するとメリーは何を思ったのか全ての手札を入れ替えると言う滅多に見ない行為をやらかし、そして5枚を改めて引くと首を縦に振り、納得した様子を見せていた。
「(手札を全て入れ替えての理想型の手札を引き当てる………これはやはり………)」
メリーを見て永琳は何かを思い、表情には出していないがメリーを警戒しているようであった。
当のメリーは永琳が何を考えているのかは分からないが、兎も角勝つ為の戦略を立て、また永琳が何故自分達を捕らえたのかの真意を問おうと考えていた。
「じゃあ行くわよ、スタンドアップ・ヴァンガード!」
「ええ、スタンドアップ・ヴァンガード!」
そうしてファイトが始まり、メリーはクレイの大地をイメージし、降り立つ。
其処は満月が照らすユナイテッド・サンクチュアリとドラゴンエンパイアの国境境にある荒地であった。
「『神鷹 一拍子』」
「『真鍮の羽のギアホーク』!」
永琳がライドしたのは神鷹 一拍子、〈オラクルシンクタンク〉と言う魔理沙からの情報によれば手札を他のデッキよりも多く確保したり、山札を操作してデッキトップをトリガーにしたりなどを行うテクニカルなクランだと言う。
対してメリーのFVはガンナーギアでは無く、別の物となっていた。
無論これは、魔理沙の家のポストにかなり多くのカードが送られて来て、その中から何を使おうか悩み、考え抜いた末に決まったFV交代とデッキ内容の変更であった。
そしてリアル視点では、永琳が先攻を確保し、そのままファイトが進み出す。
「さて、私の先攻、ドロー。
神鷹 一拍子のスキル、山札の上から5枚を見て、『三日月の女神 ツクヨミ』があればスペリオルライドする。
………スペリオルライド、三日月の女神 ツクヨミ。
そして残ったカードは山札の下に好きな順番で置くわ、
それから、このスキルでライドした後はノーマルライドが出来ないのでターン終了」
神鷹 一拍子:P5000、C1
三日月の女神 ツクヨミ:P7000、C1
永琳:手札:6 山札:4/42
「手札を使わずにライド、そして山札の下には仕込み済みの4枚………ドロー!
『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
ギアホークは左後列に移動してコール、『頂に立つギアウルフ』!
ギアウルフでアタック!「ガード、『オラクルガーディアン ニケ』
メーザーギアでアタック、ドライブチェック………トリガー無し」
メーザーギア・ドラゴン:P8000.C1
頂に立つギアウルフ:P7000、C1
ギアウルフVSツクヨミ:7000+4000VS7000+10000=ガード成功
メーザーギアVSツクヨミ:8000VS7000=ヒット
ドライブチェック『スチームブレス・ドラゴン』
ダメージチェック『神剣 アメノムラクモ』
メリーは手札消費0のライドなどを見て驚くも、矢張り自身のファイトをするだけなのでメーザーギアにライドし、更にツクヨミのパワーが7000である事を考慮して速攻を仕掛ける。
これらに対し永琳は冷静に対処しており、メリーは中々精神的にも強いと感じていた。
「ドロー、三日月の女神のスキル発動。
山札の上から5枚を見て、『半月の女神 ツクヨミ』を1枚探してスペリオルライドする。
……半月の女神にライド。
残り4枚は山札の下に好きな順番で置き、半月の女神のスキル、ヴァンガードとして登場時、ソウルに神鷹 一拍子と三日月の女神があるなら
メインフェイズ、『サイキック・バード』をコールしてスキル発動、ソウルに移動して1枚ドロー。
更にサイキック・バードをコールして同じスキル発動、1枚ドロー。
そして『神凪 クロイカズチ』をコール」
半月の女神 ツクヨミ:P9000、C1
サイキック・バード:P4000、C1、『☆』
神凪 クロイカズチ:P9000、C1
永琳:手札5 ソウル:6 山札:8/35
永琳は返しのターンに再びスペリオルライドを成功させ、更にサイキック・バードもコールしてスキルを使う事で手札消費実質1枚でデッキを掘り進め、これらを見ていたメリーは魔理沙のコレクションにあった〈オラクルシンクタンク〉のスキルを思い出して行き、永琳の狙いがデッキを1周させ、好きなタイミングでトリガーを引ける様に調整する事だと勘付く。
「あら、その様子だと私の狙いに気が付いたのかしら?
流石は『境界を視る者』、そして………今この幻想郷に不必要なイレギュラーね」
「えっ、境界を視る………まさか、貴女私の眼の力を知っているの⁉︎」
「ええ知ってるわ。
だって、私は貴女達を人里で見掛けた時からずっとマークしていたもの………そう、貴女達が初クエストで寺子屋の子供の無くなったカードを探していたあの時からね」
するとそんな永琳の口からメリーの能力を知ってる、更に初クエスト時からマークされていた事を告げられ、何故自分らが狙われ、捕らえられた上に個人の情報を握っているのか時期的な辻褄が合わさる。
だが、矢張り何故自分らが危険因子で、幻想郷には要らないイレギュラーと呼ばれるのか分からずに居る為当初の予定通りに全てを聞き出そうとする。
「バトルフェイズ、クロイカズチでギアウルフにアタック「スチームブレスでガード!」
次、半月でアタック……クリティカルゲット」
クロイカズチVSギアウルフ:9000VS7000+5000=ガード成功
ツクヨミVSメーザーギア:9000VS8000=ヒット
ドライブチェック『バトルシスター じんじゃー』『☆』
ダメージチェック『ラッキーポット・ドラコキッド』『引』『グリマーブレス・ドラゴン』
メリー:手札:5 ダメージ:2
永琳:手札:6 山札:8/34
ギアウルフを失なう訳には行かない為、メリーは今ギアウルフへのアタックをガードするも、続くヴァンガードのアタックはクリティカルトリガー入りで2ダメージを受けてしまう。
しかしこれは計算の内であり、寧ろこれからが勝負時である。
「スタンド&ドロー!
ライド、『スモークギア・ドラゴン』!
更にコール、『ドキドキ・ワーカー』!」
スモークギア・ドラゴン:P10000、C1
ドキドキ・ワーカー:P4000、C1、『☆』
メリー:手札:4
布陣
ギアウルフ スモークギア R
ギアホーク ドキドキ・ワーカー R
メリーは相手のパワー9000の単発アタックを防ぐべく、スモークギア・ドラゴンへとライドし、更にその後列には何故かドキドキ・ワーカー、パワーが4000のクリティカルトリガーをコールするが、永琳のヴァンガードはパワーが9000の為10000+4000でしっかりとラインが組めていた。
そんな布陣を展開したメリーは少し息を吸い、吐くと永琳に対しアタックをかけながら話し掛ける。
「………八意永琳、貴女に話があります。
何で私や蓮子が幻想郷に危険を齎して、貴女の守りたい人に害を及ぼすのか「……ギアウルフのアタックをじんじゃーでガード」何でそんな計算に至ったのか!
幻想郷の住人で随一の頭脳を持っている貴女は愚かな選択は絶対にしない、だからちゃんと答えて理由を説明して下さい‼︎」
ギアウルフVSクロイカズチ:7000+4000VS9000+10000=ガード成功
スモークギアVSツクヨミ:10000+4000VS9000=ヒット
ドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』
スモークギア:C1→2
ダメージチェック『ロゼンジ・メイガス』『治』『覇天戦神 スサノオ』
永琳:ダメージ3 手札:5 山札:32
メリー:手札:5
永琳に対し何故こんな事をするに至ったのかの理由の説明を求める為に叫ぶメリー。
それを聞いて永琳は少し顎に指を掛け、考える仕草を見せると少し何かを呟いたかと思うとメリーに対し視線を向け、相変わらずの余裕の笑みを浮かべながら口を開く
「ええ、良いわよ。
答えてあげなくもないから良く聞きなさい。
そう、あれは私が貴女達二人を目撃した、貴女達の初クエストまでに遡るわ」
永琳はメリーの問いにYESを出し、初クエストの際に見掛けた際とまで言い、記憶を辿りながらメリーに聞かせ始め、メリー自身もそれをじっくりと聞こうとするのであった。
時は遡り1ヶ月程前、まだ蓮子達が初クエストで寺子屋に居た頃、永琳は里の中を定期回診で回り、歳を召して永遠亭まで来られない老人達を診ていた。
「はい、これで回診は終わりよ。
今日も健康状態に問題なし、長生きするわねおばあちゃん」
「んにゃ永琳先生には敵いませんよ、あっはっはっは」
永琳は老婆の回診を終え、軽く話しかけながら家を後にして外に出て、次の回診の家へと向かう。
すると、その視線の先に寺子屋の教師である慧音や、寺子屋の生徒が1本の木の前に立ち上を見上げていた。
「あら、慧音に生徒……何故あんな変哲のない木の下に立っているのかしら?
上に何か………」
それを見て考え事をしようとした永琳の視界にふと、慧音の横に立ち同じく気を見上げている少女が目に映る。
その少女は永琳の記憶上に人里で見掛けた覚えが無く、更に身形からして外来人であると判断し、更に直後に木の上から同じく身形が人里の人間の物とは違う少女が飛び降り、寺子屋の生徒にカードを渡していた。
「あの二人は………外来人?
博麗の巫女が居ない上に『彼女』も居ない時期にやって来てしまうなんて不運ね…………?」
永琳は少女達を見た後にそのままその場から去り次の回診に行こうとするが、ふと永琳は何かが頭に引っかかり、一歩前に踏み出した直後に立ち止まり再び慧音達、否、正確には少女達の方を見る。
その少女達は、確かに永琳は初めて見る人物であり見覚えなど皆無であった。
否、その筈であった。
しかし、その少女達の片方………紫の服を着て、白い帽子を被る金髪の少女だけは、何故か永琳は見覚えがある様に感じ、記憶を辿るととある人物に良く似ていた事が分かってしまう。
しかもその人物は妖怪であり、人間の少女、しかも外来人が似ている事などまずあり得ない事象であった。
「………あり得ない。
あの妖怪とあの外来人が似ているなんて………おかしい、何か関連性があるとしか思えない。
けど、確信は…………?」
そんな考察をしていた永琳の視界にチルノ達が入り、何やら少女達と話していて、その直後にファイカからデッキを取り出しヴァンガードファイトを始める。
少女達が気になった永琳は影が少女達に掛からず、またファイトが見える位置に飛びファイトテーブルを見やる。
「………黒い帽子の子は『
そして………『ブラスター・ブレード』、伝説のレアカードを………さて、白い帽子の子は…………⁉︎
あ、あれは………………⁉︎」
永琳は二人のデッキを見てそれぞれ幻想郷では珍しいカードを使っている事が分かるが、永琳にとって白い帽子の少女のデッキは彼女に衝撃を齎した。
何故なら白い帽子を被っている少女のデッキ、否、クランは幻想郷には一切存在せず、また、彼女が知る限りでは少女に似た妖怪が管理し、己が目的の為に利用しようとした。
そして、その妖怪が消えたと同時に消え姿形すら無くなったクランだったのだ。
そのクランの名は。
「………〈ギアクロニクル〉………何故、何故あのクランが……あれは、『八雲紫』と『博麗霊夢』が消えたのとほぼ同時に消えた筈……⁉︎」
〈ギアクロニクル〉、時空を超越し、クレイと地球を繋げる門を形成する事が理論上可能なカードを有するクランである。
「………私が………その『八雲紫』って妖怪に似ている?
〈ギアクロニクル〉は危険?」
メリーは永琳の話を聞き、語られる話に徐々に疑念などが浮かび、また自分の持つデッキが危険と言われ戸惑い出していた。
しかし、それを意に介さず永琳は話を続ける。
「ええ。
そして貴女の持つ力を知ったのはその後、貴女がファイトハウスへ行った時よ。
貴女はあの時、クレイのユニット……『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』を呼び出していたのよ。
余りにも不完全で、実体はほぼ無いに等しく、イメージ力が高い者や子供達にはしっかりとその目で捉えられる程度ではあったけどね。
其処から私は貴女自身も危険と判断したわ。
何故なら貴女の持つ力は、『八雲紫』が持つ力とほぼ同じだからよ………ユニットを召喚する力がね。
おまけにその〈ギアクロニクル〉、そのクランのカードの中に12枚だけ特殊なカードが存在するわ。
そのカードが有する力は恐るべき物で、この世の理すら変えかねないわ。
カードの力を引き出すには貴女や『八雲紫』が持つ力が必要になる、逆に言えば貴女はそのカードが持つ力を利用する事が出来るのよ……限りなき可能性と危険性を秘めたカードをね。
更に貴女の眼も境界を捉える事に長けている事も調べ上げされて貰ったわ。
そして、『八雲紫』は境界を操る程度の能力を持つ幻想郷の管理者だった。
余りにも貴女は『八雲紫』と似過ぎている……何らかの関連性があると考えるのは然るべき、無かったとしてもその力は幻想郷や姫様に危険を齎す。
だからこそ私は決断した………危険な芽は速やかに排除すると」
「………えっ?
排……除?」
そして永琳はメリーに対し話を進める事に敵意を徐々に向け始め、そして最後の方になると余裕の笑みを崩し、はっきりとした敵意を示す鋭い目をし、表情は無表情となりメリーを睨み付け、更に排除と言う言葉を使用していた。
それを聞いた瞬間メリーの頭の中から戸惑いや疑念や一気に吹き飛び、排除……つまりは命を奪おうとする永琳に対しての恐怖心と敵対心が8:2の割合で生まれていた。
「そうよ、排除。
つまりは貴女達をこの幻想郷から消し去るわ………貴女は今、力を使いこなせていない。
何らかのトリガー、恐らく宇佐見蓮子が関連して強く力を引き出せる筈。
ならば、私のやるべき事は一つ………ユニットを召喚する力を完全に身に付ける前に、貴女が『あの12枚のカード』に到達する前に、貴女達を始末する!
それの邪魔もさせなければ、貴女達をこの永遠亭から逃す訳には行かない……必ず再び捕らえる!
その為なら私は非情に、冷酷に、効率的にやるわ……ドロー!
半月の女神のスキル!
山札の上から5枚を見て『満月の女神 ツクヨミ』を1枚探し、あればスペリオルライドする!
……スペリオルライド!
そして残ったカードは山札の下に好きな順で置く!」
満月の女神 ツクヨミ:P11000、C1
永琳:手札:6 山札:12/30
永琳は再びスペリオルライドを成功させ、山札が現在残った枚数の半分に近い数が操作され、後18枚で永琳の思うように引けてしまう様になる。
これに対しメリーは何としても勝たねば自分や蓮子の命が危ないと理解し、勝つ為に何をするべきか考え、また蓮子を守ろうと躍起になり始める。
果たしてこのファイトの行方は……?
迷いの竹林の出口付近、ブライトは永琳とのファイトを中断した直後から其処まで歩き、そして到着すると何かを考えているのか目を瞑りながら立っていた。
「…………「ブライト、私だ」………貴女か。
態々直接連絡して来るとは心配性ですな、現普及協会会長殿」
「そう言うな、ブライト。
それで、行方不明者は見つかったか?
それとも見つけていないか、どちらだ?」
するとブライトの所持するクリスタルから映像が浮かび上がり、現普及協会会長が連絡を掛けて来る。
どうやらブライトに対し行方不明者の発見か否かの確認をする為に連絡を入れたらしく、報告を促していた。
「発見しました。
八意永琳が『保護していた』らしく、また侵入者と同時期に保護し、また行方不明者が不審な輩に狙われていたらしく迂闊に外に出せられない状況下にあり、また、不審人物に永遠亭に行方不明者が『保護』されているの悟られるのを防止する為に1週間『特殊な環境で生活』させていたとの事」
「……そうか、無事なのだな。
ならば良し、このまま従来通りに人里などを巡回する様に」
するとブライトは何を考えたのか、行方不明者達が永琳に監禁されていた事とは真逆に『保護されていた』と虚偽の報告をし、また居る筈の無い不審人物をでっち上げ、現会長にそれらしい事を言っていた。
それを聞いた現会長はそれを信じたのか否かは映像越しではブライトには分からないが、彼に従来通りの職務に戻る様に告げブライトはそれにYESを示す。
「了解、では通信はこれで終了とします………現会長、『八雲藍』殿」
「ああ、分かった」
「………ふう、残された時間は後………それまでに俺の想定通りに成長しろよ、宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン……」
ブライトはヴァンガード普及協会現会長にして幻想郷の管理者代行『八雲藍』との通信を終え、また何かを思い耽りながら空を見上げて独り言を呟くと従来通りの職務である人里や普及協会指定の施設や支部周辺の巡回に入っていった。
その瞳にどんな感情を秘め、また何を考えているのかはブライト自身にしかまだ分からない………。
はい、今回で分かった事はまさかのゆかりさんじゅうnマジメニヤレ○(`・ω・)=○)Д´∵. グハッ!!
メリーと紫様が似て、また同じ力を持つ事。
紫様の不在と代行として藍しゃまが上に立っている事でした。
一つこの場で言える事は、『紫様は死んでいない』事です。
次回もよろしくお願いします。
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第48話「激動の天馬」
メリーVS永琳後編開幕します。
今回もかなり詰め込み過ぎましたが、果たして受け入れられるのか…………では、本編へどうぞ。
「先ずは満月の女神のスキル、
更にクロイカヅチの後列にサイキック・バードをコールしてスキル、ソウルに置き1枚ドロー、そして『ダーク・キャット』をコールしてスキルを発動、全てのプレイヤー、この場合は私と貴女は1枚ドローしても良いわ。
私は当然ドロー「………私もドロー」さて、いよいよバトルフェイズよ。
ツクヨミでアタック「……ノーガード!」ツインドライブ」
ツクヨミVSスモークギア:11000VS10000=ヒット
ツインドライブ『バトルシスター じんじゃー』『☆』『ロゼンジ・メイガス』『治』
ツクヨミ:C1→2
永琳:ダメージ1/3→1/2
クロイカヅチ:P9000+10000=19000
ダメージチェック『メーザーギア・ドラゴン』『次元放逐の
メリー:ダメージ:4
「一気にダメージ4………!「追撃よ、アタック!」
パワー26000………ノーガード、ダメージチェック…………ヒールトリガー!」
クロイカヅチVSスモークギア:19000+7000VS10000=ヒット
ダメージチェック『スチームメイデン ウルル』『治』
メリー:ダメージ:4→3 最終ダメージ:4 手札:6
永琳:手札:9 山札:12/24 ソウル:9 ドロップゾーン:3
メリーはダメージ4枚で踏み止まるも、永琳が遂にデッキの半分をドロー、
この状況に汗を掻き、また自分達を排除すると言う永琳に対しメリーは幽々子の時以上の負けられないと言うプレッシャーが生まれ、息が荒くなり始め、また明確な敵意も生み出されていた。
「くっ……もうあんなにも手札やデッキの掘り進めを………流石は八意永琳…………でも負けてられない!
私が負けたら魔理沙やブロントさん達まで捕まるし、何より蓮子の身が危ないわ‼︎
このファイト、絶対に勝つ!
スタンド&ドロー‼︎
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
「そして、
(何時もの様に新しく届けられたカード達、蓮子や牢屋の中に居た妖夢達以外に使うのは初めてだけど、上手く使い熟してみせる!)ストライド・ジェネレーション、未来を切り開け、運命の操縦者!
『時空竜 フェイトライダー・ドラゴン』!
クロノジェットの
ギアホークとギアウルフの
更にラッキーポットをコールしてフェイトライダーのスキル、私のリアガードをデッキの下に送り、デッキの中からそのユニットのグレードを+1したカードをリアガードとしてスペリオルコールする!
ラッキーポットを送り、ギアウルフをコール!
更に『グリマーブレス・ドラゴン』をコールして
ヴァンガードは今はGユニットのフェイトライダーだけど、ハーツはクロノジェット・ドラゴン、よってクロノジェットのパワーと名を継いで居る為スキルは有効!
ダーク・キャットを送り、ギアウルフ2体とギアホークのスキル発動‼︎」
時空竜 フェイトライダー・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『クロノジェット・ドラゴン』
グリマーブレス・ドラゴン:P9000+2000=11000、C1
ギアホーク:P4000+10000=14000
ギアウルフ(A):P7000+6000=13000
ギアウルフ(B):P7000+3000=10000
永琳:山札:12+2/26
メリーは自分のターンが回った瞬間、自らのフェイバリットであるクロノジェット・ドラゴンにライド、更に新たなるGユニットに
「ふむ………リアガードを山札の下に送る事で私の戦術の妨害と自陣のパワーを底上げね………セオリー通りの展開ね」
「その余裕を崩す………フェイトライダーでアタック!
更にドキドキ・ワーカーのスキル、ヴァンガードのクロノジェットがアタックする時にソウルに送る事で、クロノジェットのパワーを+5000して1枚ドロー出来る!
フェイトライダーのパワー+5000、よってパワーは31000‼︎「あら、良いスキルね………けど残念、完全ガード」
トリプルドライブ‼︎」
フェイトライダーVSツクヨミ:26000+5000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『スチームメイデン アルリム』『頂に立つギアウルフ』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
グリマーブレス・ドラゴン:P11000+5000=16000、C1→2
「グリマーブレスでアタック!「ノーガード」
ギアウルフでアタック!「これもノーガード」
ターンエンド………減らせた手札は結局2枚、しかも完全ガード、でもダメージは5…………後、一息……!」
メリー:手札:7
メリーは思う様に手札を削れなかった事に若干苦虫を噛んだ様な表情を見せるも、5ダメージを与えたのを良しとして気を引き締め直す。
しかし、対して永琳は余裕の表情であり、メリーの攻撃やデッキ一周の妨害など全く気にしていないと言った様子であった。
「あら、私が余裕なのが気に入らないのかしら?
まあ、余裕のあるのは仕方無い事よ。
何故なら、私の勝利の方程式は貴女が妨害を始める前にやった12枚の操作で確定していたのよ。
だから今から妨害を行おうと無駄な事なのよ、決定された物は覆らないわ」
「何ですって……?」
「さて、無駄話は終えてさっさと決めようかしら………ドロー」
永琳は勝利宣言とも言うべき台詞をメリーに告げ、幾ら山札操作を妨害しようが決まった12枚がある為無駄と口にする。
更にドローしたカード、『覇天戦神 スサノオ』をドロー直後のライドフェイズ中にメリーに公開し、ドロップゾーンへと送る。
メリーはこれは
「
来たれ満ち欠けする夜の鐘、未来を読み解け!
ストライド・ジェネレーション、『夜を統べる月神 ツクヨミ』!」
「‼︎
ツクヨミのGユニット……⁉︎」
夜を統べる月神 ツクヨミ:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『満月の女神 ツクヨミ』
永琳:ダメージ:4/5 手札:7 山札:12+2/22 ソウル:9 ドロップゾーン:6
イメージ世界にてツクヨミが強い月光に包まれ、その瞬間輝きが増したかと思うと弾け飛び、光の中から神々しさが更に増した永琳が憑依したツクヨミが現れ、クロノジェット・ドラゴンを見下ろしていた。
リアル視点でもツクヨミのGユニットのイラストはグレード3の時よりも武器や装備がゴツゴツとし、如何にも力が増したとイラストだけでも分かる様になっていた。
「ツクヨミのスキル、ハーツが『ツクヨミ』を含むなら
更にクロイカヅチ、『覇天戦神 スサノオ』をコール」
永琳:山札:12+5/18 手札:6ソウル:10 ドロップゾーン:6
布陣
スサノオ ツクヨミ クロイカヅチ
ダーク・キャット R ダーク・キャット
「ダーク・キャットのブースト、クロイカヅチでアタック、
そして山札は1周、さあ、どうするかしら?「くっ、ノーガード……トリガー無し」
ツクヨミでアタック!「完全ガード!‼︎」
トリプルドライブ、確認するまでも無くクリティカルトリガー2枚と完全ガードよ、全てスサノオに付与してアタック!「ガード、インターセプト‼︎」
ターン終了………さあ、無駄な足掻きをしてさっさと捕まりなさい、それが貴女の運命よ」
クロイカヅチVSクロノジェット・ドラゴン:9000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『スモークギア・ドラゴン』
ツクヨミVSクロノジェット・ドラゴン:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『オラクルガーディアン ニケ』『☆』『サイキック・バード』『☆』『調停者 アメノサギリ』
スサノオ:P11000+10000=21000、C1→3
スサノオVSクロノジェット・ドラゴン::21000+7000VS11000+10000+5000+5000=ガード
メリー:ダメージ:5 手札:5
永琳:手札:10 山札:9+5/14 ソウル:10 ドロップゾーン:6 ダメージ:3/5
遂に永琳の山札は1周を果たし、残りは永琳が初めの内に操作したカードとメリーが山札に送った2枚、更に3枚の操作した計14枚のみしか無く、ソウルと手札が破格の10枚になり盤面のユニットもツクヨミの後ろ以外は見事に揃えられ、ダメージ5枚でありながらメリーはこれを突破出来るか不安になって………否、突破出来そうに無いとすら感じ最早戦意が喪失しかけていた。
「こ、こんなの………どうやって勝てば………私のユニット、それに攻略法は………」
「どうする、サレンダーするのかしら?
そしたらもう絶望的な状況を終わらせて、後は排除されるのを待つだけよ……心配は無用よ、貴女達を恐怖させず、楽に逝かせる方法は幾らでもあるのだから…」
「っ⁉︎
ふ、ふざけないで‼︎
こんな所で私は負けてられないわ、まだあいつ……『シャドウ』を見返してやれてないし、それに………私は蓮子を守る、その為にも負けてられないのよ‼︎
ドロー、
今こそ示せ、我が真に望む世界を‼︎
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』‼︎
3体目のギアウルフをコール、グリマーブレスをもう1度来なさい、グリマーブレス‼︎
スキル発動、コストを払ってクロイカヅチをデッキの下に送ってパワー+2000‼︎
元々居たギアウルフ、ギアホークをそれぞれパワー+3000と50002回ずつ、さっきコールしたギアウルフはパワー+3000を1回発動‼︎」
時空竜 ラグナクロック:ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『クロノジェット・ドラゴン』
グリマーブレス・ドラゴン:P9000+2000=11000、C1
ギアウルフ(A&B):P7000+3000×2=13000
ギアホーク:P4000+5000×2=14000
ギアウルフ(C):P7000+3000=10000
メリー:ダメージ:1/5
メリーは永琳の挑発に対して声を荒らげ、不安などを頭の隅に追いやり
更にグリマーブレスやクロノジェットのスキルを駆使して両ラインのパワーを最低手札2枚以上削れる様にし、何とかこのターンで決めようとしていた。
だが永琳はそれをやれやれと言った感じに見やり、手札に手を掛けそれを防ぐ気が満々であった。
「決める………絶対に決めてみせる‼︎
ギアウルフのブースト、ラグナクロック・ドラゴンでアタック‼︎
スキル発動
八意永琳、これで貴女はグレード0でこのアタックを防げない‼︎「成る程……完全ガード」
これは予測済み、トリプルドライブ………ヒール&クリティカルトリガー、クリティカルトリガーの効果はギアホーク、ヒールトリガーの効果はグリマーブレス、そしてダメージ回復‼︎」
ラグナクロックVSツクヨミ:26000+10000+グレード0ガード不可VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『鉄の牙のギアハウンド』『スチームバトラー ダダシグ』『☆』『スチームメイデン ウルル』『治』
ギアホーク:P14000+5000=19000、C1→2
グリマーブレス・ドラゴン:P11000+5000=16000
メリー:ダメージ:5→4
ラグナクロックが防がれるのは想定内だったメリーはリアガードのアタックにかける為トリガーに賭け、見事クリティカルとヒールの2枚を引き当てて左右のパワーラインを引き上げる事に成功する。
そして手に掛け、アタックを宣言する。
「グリマーブレスでアタック‼︎「クリティカル2枚でガード」
ならギアホークでアタック、合計パワーは32000‼︎
いっけぇぇ‼︎「残念、完全ガード」
なっ………完全ガード………ターン、エンド………」
グリマーブレスVSツクヨミ:P16000+13000VS11000+10000×2=ガード成功
ギアホークVSツクヨミ:P19000+13000VS11000+0=完全ガード
永琳:手札:4 山札:9+7=16
メリー:ダメージ:0/4 手札:6
しかし、結局メリーは完全ガードなどに阻まれてしまい決め切れずそのまま永琳にターンを渡してしまった。
しかも、今度は永琳の望む様に手札が引ける最悪な状況下で。
メリーは其処で完全に折れてしまい、負けて再び地下牢に戻され、今度は排除されるのをただただ待つしか無くなると言う恐ろしい未来への恐怖に支配され、カタカタと震え始めていた。
「あらあら………折れてしまったのね。
言ったでしょう、無駄な足掻きって。
さて、これ以上ファイトを長引かせる訳には行かない、此処で終わらせるわ。
ドロー、ツクヨミのスキル、
更に満月の女神、半月の女神をコール。
ヴァンガードの満月の女神でアタック「……トリガー2枚で、ガード……」ツインドライブ、勿論クリティカル2枚。
効果はそれぞれ左右に振り分け。
満月の女神でアタック「完全………ガード……」半月の女神でアタック「……完全……ガード……」あらあら。
防がれたわね……ターン終了よ。
さて、予め言うわ。
私の手札、これは残りのクリティカル4枚と更に完全ガード1枚とコスト、更に山札の上はヒールトリガー2枚よ……諦めなさい、手札が0、クロノジェットもグリマーブレス、ラグナクロックのコストも無い貴女にもう勝つ確率は無いわ。
大人しく牢に戻りなさい、そしたら………譲歩してデッキを取り上げてこの幻想郷から追い出すに止めるわ。
………サレンダーなさい、自分や宇佐見蓮子の命が惜しいなら、ね」
そうして、メリーは全ての手札を使い切る事で永琳のアタックを防ぐ事に成功するが、永琳の言う通りクロノジェットやグリマーブレス、更にラグナクロックのコストが全く無く、更に完全ガードを1枚に加え山札の上はヒールトリガー2枚と言われ、クリティカルトリガー1枚を引く程度では勝てず、またラグナクロックを使えようが防がれる、左右のリアガードをパワーラインを引き上げても1回や2回では全く足りないと言う八方塞がりとなっていた。
メリーはそんな状況で声が出ず、ただただ静かに無言で涙を流す以外に何も出来ず、更にその原因たる永琳が譲歩をして命は助けて幻想郷から追い出し、またデッキを取り上げる程度で終わらせると言って再びサレンダーを要求して来る。
それを耳にしたメリーは頭の中でほんの少しだけ動く思考が回り始める。
「(………此処でサレンダーをすれば私や……蓮子は助かる。
デッキを取り上げられるだけで済んで、オマケに私達の世界……外の世界に帰れる………でも、このデッキや蓮子のデッキ……クロノジェットや〈ギアクロニクル〉、『ブラスター・ブレード』や〈ロイヤルパラディン〉のユニット達や魔理沙、咲夜、アリス、麟、ブロントさん達と離れ離れになったり、『シャドウ』を見返せないまま離れるなんて嫌………まだ、幻想郷の中で行ってない場所が沢山ある、まだ、ファイトをしていないファイターやクランが沢山居る、まだ………蓮子との冒険を終わらせたくない。
だって………あんな経緯や危険が一杯だけど、蓮子との幻想郷での生活は外の世界のそれよりも充実してた、ヴァンガードが楽しいと感じられた、このデッキと出会えたのは運命だって思えた………幻想郷が、美しいって思えたから。
だから…この生活を終わりにするなんて、嫌『なら、カードを引きなさい』…………)」
数々の思考の中で、メリーは皆と離れ離れになる事やデッキを取り上げられ、楽しいと感じたヴァンガードが出来なくなる、更に未だ見ぬファイターやクランとの対決、運命の出会いだと思えたデッキを失くす、蓮子との美しい幻想郷の世界での冒険を終わらせるのは嫌だと思った瞬間、メリーの頭の中で声が響く。
その声をメリーははっきりと覚えていた、幽々子とのファイトで今みたいな絶望の淵に追いやられた時に聞いた、何処か聞きたくないと思うあの声であった。
『カードを引きなさい。
この状況を打破する解は既に貴女は有している。
ならばその解をあの月の賢者に見せ付けてやりなさい………その程度では到底貴女には敵わない、ヴァンガードを奪う事は出来ない、宇佐見蓮子との冒険譚を阻めないと。
さあ……貴女や大切な宇佐見蓮子の命を狙う者に裁きの鉄槌を下すのよ……』
そして、メリーは再びその声を最後まで聞くと、幽々子の時の様に生魚不能なドス黒い感情が思考を支配し、殺意と憎悪に塗れた言葉がメリーの口から流れ始める。
「…八意永琳、この程度でこの私を終わらせたと?
蓮子や私の命を奪えると?
ヴァンガードを取り上げ、全てを受け入れるこの世で最も美しく、残酷な幻想郷での蓮子と私の冒険に終焉を齎せるとでも?
ふふふ………月の賢者が呆れる程愚かで、また想定不足であるわね……」
「何?
マエリベリー・ハーン、貴女は何を……いえ、サレンダーをする気は無いとでも言うの?」
「当たり前よ。
何故なら一見して打破不可能な状況下であるこの盤面、実はたった一手、たった一手であっさり崩す事が可能なのよ。
それはまるで、小さな水面に一石を投じる事で水面全体に波紋を広げるが如く簡単に………」
不敵な笑みに加え、一言一言がまるで高圧的で且つ普段とはかけ離れた言葉の数々を口にするメリー。
その一言一言を聞いて永琳は、一瞬この小娘は何を言っているのかと思うが、それを鼻で笑い遇らおうとした瞬間、永琳の頭の中に一人の人物が浮かび上がった。
その人物は、自分がメリーに対して口にした彼女と良く似た存在………幻想郷の管理者にして、境界を操る妖怪、『八雲紫』であった。
その瞬間、様々な計算が頭の中を駆け巡り、そして今目の前に居るメリーの豹変により、当初自分が思っていた解答は実は見当違いをしていた事に気付き青ざめ始めていた。
「ま、まさかそんな、貴女は………そして、今その豹変は……⁉︎」
「今更気付こうがもう遅い。
さあ、蓮子に手を出した事、私達の冒険譚とヴァンガードを奪おうとした事を悔い、その尽き果てぬ命の一つで贖い、永遠に怯えていなさい、月の賢者八意永琳。
ドロー………
超越せよ!
『時空獣 アップヒーバル・ペガサス』!」
時空獣 アップヒーバル・ペガサス:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『クロノジェット・ドラゴン』
メリーは長い口上を言い終えると同時に
それは、ポストに入れられ自分に贈られて来たカードの1枚であり、やや使い所が難しく中々使えなかった1枚。
口上の中にある激動の名を冠する天馬、アップヒーバル・ペガサスである。
「時空獣……アップヒーバル・ペガサス?」
「アップヒーバル・ペガサスのスキル、このユニットがヴァンガードに登場した時、相手は自分のリアガードを好きな順番で山札の下に置く」
永琳がアップヒーバル・ペガサスに目を向けてる間にメリーは単体とスキルを説明し、永琳にリアガードを全て山札の下に置かせ始める。
これによりギアウルフ、ギアホークは4回分スキルが発動する事が確定となり、永琳は中々のスキルと関心を、しかしまだ足りないとも思っていた。
「出ただけでリアガード全てを山札の下に送るとは、中々のユニットね。
けれど、それではまだ「更に」?」
そんな考えを口にしようとした永琳に対してメリーは、普段では考えられない様な妖艶で美しく、また何処か冷たくもあり無邪気な様にも見える笑みを浮かべながら何かを口にしようとする。
そしてその何かとは……今の状況を打破し、永琳を負かすと言う現実である。
「このスキルで山札の下に送られたカード1枚につき、相手は山札の上から1枚を見て『好きな、ユニットの居ないリアガードサークルにそのカードを置く』」
「………えっ……⁉︎」
その瞬間、永琳の山札の上から合計4枚………ヒールトリガー2枚に加え、最初にメリーが戻したクロイカヅチとダーク・キャットがコールされ、永琳の盤面が再び4体のリアガードでヴァンガードの後ろ以外が埋まる………但し、永琳の策の要の一つにして最大の一手である残りのヒールトリガーを含めた、最悪にして最低の布陣で。
「な………なっ…………⁉︎」
「ふふふ、前に一度貴女は学んだ筈よ?
幾ら月の賢者とは言えど裏をかく事など容易いと。
それとも、マエリベリー・ハーンと言う齢十数年程度しか生きてない小娘如きと侮った結果かしら?
どちらにせよ………貴様の負けだ、八意永琳。
ギアウルフ3体のスキル、相手のリアガードが山札の中に送られた時、その度にパワー+3000!
更にギアホークのスキル、こちらも同様の条件でパワー+5000!」
ギアウルフ×3:P7000+3000×4=19000
ギアホーク:P4000+5000×4=24000
そしてギアウルフとギアホークが破格のパワーアップを遂げ、グリマーブレスのラインでも合計パワーは28000、アップヒーバルとギアホークのラインに至ってはそれぞれ45000、43000と最早永琳の手札では防ぎ切れず、また頼みの綱のヒールトリガーも最早リアガードサークルにある為負けが確定していた。
「さあ、死ぬ事の許されぬ永遠の咎人よ。
その身を恐怖で染め上げ、私や蓮子に対する愚行を悔い改めよ………アップヒーバル・ペガサスでアタック‼︎「っ、ガード、インターセプト‼︎」
悪足掻きを、トリプルドライブ‼︎」
アップヒーバルVSツクヨミ:P26000+19000VS11000+10000×3+5000=ガード成功
トリプルドライブ『スチームブレス・ドラゴン』『次元放逐の
アップヒーバル・ペガサス:P45000+5000=50000、C1→2、ガード突破、ダメージ確定
イメージ世界にて永琳の憑依したツクヨミを守ろうとユニット達がガーディアンとしてアップヒーバル・ペガサスの前に出るも、アップヒーバル・ペガサスが放つ雷撃によりユニット達は倒れ、ツクヨミまでの道が出来、阻む物が一切無い状態になった。
リアル視点でもトリガーによりガードを突破、ダメージが確定し永琳は青ざめた表情でメリーを、『八雲紫』に『良く似た』少女に目を向け、恐怖心を抱いてしまう。
そして、メリーの背後でイメージ世界のアップヒーバル・ペガサスの翼が放つ雷撃と同じ雷が瞬き、今にも永琳を穿とうと光を放っていた。
「さあ、八意永琳……この雷でその身を焦せ‼︎
双翼動ら「メリー、ダメぇ‼︎」『ガバッ!』………蓮……子……?」
「メリー駄目、その力に溺れちゃ、ドス黒い感情に身を任せないで‼︎
嫌な予感の正体が分かった、何だかメリーがメリーで無くなって行くみたいな、そんな感じが今のメリーからするの‼︎
だから………お願い、一度心を落ち着けて正気に戻って‼︎
私は平気だから、ちゃんと勝ったから‼︎」
メリーが攻撃を宣言し、雷撃が永琳を穿たんとした瞬間、メリーの後ろからたった今ファイトを終えた蓮子が介入し、今のメリーの動きを制止する為に抱き着き、メリーを宥める様に叫ぶ。
実は蓮子の瞳にはメリーの周りに何か異質な気配が漂い、更に身体から黒い靄の様な何かが噴出しているのが映り、それが蓮子にはメリーが別の何かに変わって行く様にも見え、メリーと離れ離れになる悪夢とダブった為にしがみ付いたのだ。
メリーをこの手から離さない様に、絶対に何があっても近くに居る為に。
それに反応してか、メリーの身体から出ていた黒い靄の様な物と異様な気配は消えて行き、普段のメリーに戻りつつあった。
「……蓮子………私…………あ……『フラァ…』」
「っ、メリー?!」
するとメリーは突然気絶し、倒れそうになるも蓮子が頭を打たない様にそれをしっかりと抱き止めて腰を下ろす。
そんな光景を見ていた永琳は冷や汗を掻きながらダメージチェック(敗北確定)を行い、ゲームエンドとなった瞬間地面に腰を落とし呼吸運動をし、心を落ち付けようとしていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、………すぅ、はぁ………どうやら私は、とんでもない見当違いと呼び起こしてはならない物を呼び起こし、『12枚のカード』への扉を一つ開けてしまったのか………「ほう、『12枚のカード』とな?
詳しく聞かせろよ月の賢者、何故こんな真似をしたのかも今節丁寧に、なぁ………」……レミリア・スカーレット、お早いお着きで……」
するとその永琳の背後から紅い槍を首筋に突き立てているレミリアが現れ、月の賢者に対して説明要求をしていた。
実は魔理沙はこの部屋に入り、鈴仙に感覚を狂わされる直前に懐にしまっていたクリスタルを砕き、レミリア達に突入要請をしていたのだ。
それにより、迷いの竹林の近場で待機していた潜入組待機班+レミリア&パチュリーは正面から永遠亭へと突入し、今に至るのだ。
更に、その道中でもう一人と合流しその者にも事情を簡潔に説明してレミリアともう一人が部屋の中に突入していたのだ。
そのもう一人とは。
「………永琳、説明なさい。
私に黙って何をしていたか、何を行おうとしたか、隠し立てせずに話しなさい。
これは私、『蓬莱山輝夜』の命である」
「……姫様………御意」
永琳達の主人にして竹取物語のかぐや姫本人である永遠と須臾の罪人、『蓬莱山輝夜』その人であった。
さて、今回で永琳戦が終了致しました。
………はい、ちょっとした伏線の回収とまたしてもです。
メリーの身に何が起きているのか?
あの豹変の正体は?
それらの答えはまだ先に………。
次回はまた事情説明回、そして小話があります。
いよいよ永遠亭編最終盤………次回もまたよろしくお願いします。
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第49話「二人の約束」
今回ファイト回では無く会話回となっています。
なのでちょっとした気分で見て頂ければ幸いです。
では、本編へどうぞ。
メリーと永琳のファイト終了後、気絶したメリーは病室に運ばれ、蓮子が付き切りとなりそれ以外の者達……潜入した魔理沙達や最後辺りに来たレミリア達と輝夜、レミリアに付いて来て妖夢の安否確認をしに来た幽々子、更に地下で閉じ込められていた妹紅達も合流し、妹紅と輝夜は出会い頭に殴り合いになったがいつもの事とスルーされ、殴り合いが終わって直ぐに永琳への聞き取りが行われた。
「さあ永琳、話しなさい。
何故この様な事態が起き、また貴女が起こしたか。
隠し立てすれば、相応の罰があると思え」
「はっ…………では先ず、今回の騒動の経緯、及び何故私がそれを起こしたかを話すわ」
永琳は非常に落ち着いた様子で蓮子とメリー、更に妖夢や妹紅達の行方不明から始まった今回の騒動を話し始め、更にファイト中にメリーに語った事も全て話し、それを聞いた魔理沙やブロントさん、更にレミリア達はメリーの力が『八雲紫』と同じ力である事を知り、メリーが紫に余りに似過ぎている事を再認識させられ、更にメリーがファイト中に豹変し、メリーの『力』が再び人に向けられた事に衝撃を受けていた。
「………八雲紫と同じ力?
いえ、メリーがあのスキマ妖怪に似ている?
更に豹変しただと⁉︎
………この私がメリーの方に何かないか、起きないかの確認と予測を怠るとは………‼︎」
「………魔理沙、貴女はメリーが紫に似てるって気付いてたの?」
「……様子で分かっちまうよな。
ああ、蓮子が白玉楼に行く時に秘封倶楽部の活動説明をした時に、メリーの眼で境界を見るって言われた時点でな」
「やっぱりあの時にね……」
レミリアが自身のミスに怒り心頭の中、アリスが魔理沙に質問を投げ掛け、その答えを聞くとアリス自身もやっぱりと言い、更にブロントさん、麟、咲夜もアリスの言葉を分かっており、彼らも魔理沙程鋭く勘付いてた訳ではないが、薄々とメリーが紫と似ていると感じていたのだ。
「……でも、それって根本的な理由を話してませんよね?
永琳さん、話して下さい。
何でこんな事をしたのかって理由とメリーさん達を狙うに至った理由、貴女がまだ語っていない事を全て。
俺達にはその権利がある筈です……」
「そうね………言いなさい永琳、まだ貴女が口にしていない事を。
例えばそう、何故メリーの力が八雲紫と同じだと気付いたのか。
いえ、何故八雲紫の持っていた力を知っているのか」
「それと、『12枚のカード』とやらもな」
しかし、それでも何故永琳がこんな事態を引き起こした根本的な理由や疑問点、更にレミリアが口にした『12枚のカード』と言う物を聞き出して核心に迫ろうとしていた。
それらの事に永琳は口を閉ざす事無く話し始める。
「………何故私が八雲紫とマエリベリー・ハーンの力が全く同じ物だと知っていたか、ね。
そんなの、理由は簡単よ。
私が八雲紫に一時的に協力したからよ」
「何?」
「…………」
永琳は八雲紫とメリーが同じ力を持つ理由を、自分が八雲紫に協力していたからだと話す。
それに反応したレミリア達は輝夜が更に話を進める様に目で促し、輝夜は頷き更に問い詰める。
「スキマ妖怪に協力?
何を協力していたの?」
「………姫様が安全に、何も憂う事の無い未来を創る、その為に私は、彼女の提示した計画に………しかしそれは幻想に過ぎ無かったと私は気付かされた………だから私は途中で協力を取り止めはしたけど、その後に八雲紫と『博麗霊夢』は同時期に…」
すると永琳は話しながらも所々話し辛い内容なのか口籠もり、しかしそれでも何とか話せる部分を口にし、八雲紫が何やら良からぬ事を計画し永琳はそれに付いて行けず離れた事を察した。
更に彼女は、話を続ける。
「そして……私がマエリベリー・ハーンや宇佐見蓮子を狙ったのも八雲紫と同じ力をマエリベリーが持っていたから……彼女の力の危険性は十全に理解していたから…危険な芽は摘むに限る………だからこそ私は排除を考えた。
彼女が八雲紫の計画に必要であった『12枚のカード』に到達する前に」
「12枚のカード………それは一体?」
輝夜が永琳の口から次々と出る言葉を頭に入れる中、漸く『12枚のカード』という単語を聞きそれを問う。
すると永琳は深呼吸をし、話し出す。
「『12枚のカード』とは、私達が持つヴァンガードのカードと違い初めは白紙の状態。
でも、覚醒させる事で我々のカードと同じ状態になり、また、たった1枚だけでも恐ろしい力を有し、12枚揃えば……この世の理を変える程の力を発揮する。
そして、それらのカードは八雲紫とマエリベリー・ハーンの持つ力で契約と覚醒を遂げる………名は、『ディペンドカード』。
八雲紫曰く、クレイのユニットと契約を交わす為のカード」
「ディペンドカード………クレイのユニットと、契約………」
「………成る程、あんたはメリーがそのディペンドカードを入手しない様にする為に、メリーの力が完全な物になる前に排除を考えたと?
………勝手な理屈を………!」
永琳の口から12枚のカード、ディペンドカードの事を聞き出したレミリアと魔理沙達は勝手な理屈からメリーと蓮子の排除を考えた彼女に憤慨するも、咲夜やブロントさん達が間に入り揉め事を起こさない様にしていた。
また、それらを聞いた幽々子は何か思い詰めた表情を一瞬浮かべ、直ぐに普段通りの表情に戻り口元を扇子で隠すも、魔理沙と内藤はそれを見逃していなかった。
が、今は情報を得る事が最優先である為、意識を永琳に戻す。
「うむ、永琳がメリーと蓮子を排除しようとした理由はこるである程度分かった感。
つまりは八雲紫と同じヤバイダークパワーっぽいのを持つメリーが更にヤバイディペンドカードを得るのを危惧して今回の騒動を起こし、力を発揮仕切れないメリーをトリガーでもある蓮子と一緒に排除……こんな経緯があったと言う意見。
駄菓子菓子、これは俺の意見なんだがメリーをそもももディペンドカードに近付けず、また力を使わせなければよろしいのではないかと「無駄よ」………おいィ?
何いきなり意見否定してるわけ?」
「無駄よ、私とファイト中に豹変した事を忘れたのかしら?
確かにあの時は宇佐見蓮子の身にも危害を及ぼすと言う力が発揮されるトリガーを踏み抜いていたわ。
けど、それでもあの豹変は可笑しいわよ。
まるで、ファイトをしている人物が『マエリベリー・ハーンでは無く八雲紫を相手していた』様になるなんて、ね……。
はっきり言うわ、マエリベリー・ハーンはただの外来人じゃない、八雲紫と間違い無く何らかの関わりがあり、また、彼女の意識が力を発揮する度に八雲紫のそれと同調し、力を発揮しなくとも時間で徐々に同調すると考えるわ。
そして、自ずとディペンドカードに引き寄せられて………」
「……はぁ?
永琳、あんた何を言って………」
最後にブロントさんが話を要約し、メリーに力を発揮させずディペンドカードに近付けなければ良いと言おうとしたが永琳はそれを無駄と断じ、メリーが豹変した際に感じた事…………『メリーがまるで八雲紫の様になり、八雲紫そのものを相手しているかの様な感覚に陥った』と言うニュアンスの発言をし、更にはあのファイト後にそれらの経緯と自身が調べ上げた事を纏めて計算をし、メリーが紫と深い関わりがあり、また力を発揮しなくとも徐々に豹変した時と同じ状態になって行き、ディペンドカードに引き寄せられると口にする。
それを魔理沙や他の者達は首を振って否定しようとするが、永琳は更に口を開く。
「……これは私の計算よ。
まだピースが足りないから核心には至らない、けど彼女がこれから陥る事態は予測出来るわ。
貴女達に聞くわ、マエリベリー・ハーンは一度力を発揮した以降は力を発揮する事無く過ごしていたわね?
………そう、やはりね。
にも関わらず、彼女は一度しか発揮していない力をまるで今まで使っていたかの様に振るっていたわ。
そして、八雲紫の様な振る舞いや言動を………この事から、彼女の力は発揮されずとも彼女を侵食し、また、八雲紫の意識と同調して行くと見たわ………簡単に言えば、八雲紫が彼女に干渉し、第2の八雲紫を作ろうとしているのでしょうね、一度は頓挫した計画を実現して為に。
結論を言うならば、いずれ彼女は自身の自我を失い、八雲紫の様に」
「デタラメを言うな‼︎「魔理沙、待て‼︎『ガバッ‼︎』
そんな事を言って自分のやった事を正当化なんか「魔理沙落ち着いて‼︎
頭を冷やして‼︎」うぐっ……………」
魔理沙は永琳の言動を聞き堪忍袋の尾が切れ、彼女に掴み掛かろうとするも周りに押さえ付けられ、落ち着く様に促される。
そんな中永琳は、もう一度口を開き自身の予測を話す。
「出鱈目なんかでは無いわ。
私は敗者、勝者の要求に応え、また勝者の不利益にならない情報を開示するしか出来ないわ。
……もう一度だけ言うわ、マエリベリー・ハーンは力を発揮されずとも自我を徐々に失って行くわ。
そして最後には八雲紫と同調する……………これを止めたいのなら彼女を殺めるか、それが嫌ならば悪い事は言わないわ。
今直ぐ彼女から〈ギアクロニクル〉のデッキに取り上げ、幻想郷から出して元の世界に戻しなさい。
恐らく、あのデッキが触媒となり侵食を更に深めているわ。
何故なら、八雲紫も〈ギアクロニクル〉のデッキを持っていたのだから」
『………………』
そして、永琳は敗者の権利である勝者に対して有益な情報を淡々と開示し、後は口を閉ざしこれ以上の有益な情報は無いと意思掲示をする。
そして魔理沙達は、メリーの今の状態が自分らの考えた事よりもずっと深刻であり、また何もしなくともメリーの自我が失われると言う永琳の計算………恐らく九割九分当たっているこの計算に言葉を失いつつあった………。
その頃のとある病室。
ベッドの上で眠るメリーに付きっ切りの蓮子はそんな会話が行われているとは知らずただただメリーの身を案じ、手を掴みながら目を覚ますのを待っていた。
「…………メリー………」
蓮子はメリーがファイト中に見せたあの異様な雰囲気等から何かが起きたと察しており、またそれが自らが見た悪夢に直結するのだとも直感で理解し、このままメリーが居なくってしまうのでは無いかとも思い、手を握っているのである。
「メリーのあの異様な雰囲気とか……もしあの悪夢が実現してしまうなら………イヤだよ。
私、メリーと離れ離れになるなんて考えたくないよ………もっと一緒に色々な場所に行って、何時もみたいに私がバカやってメリーがそれをあしらって、でもずっと仲良しな。
魔理沙達とも楽しく語り合ったりとか、ヴァンガードをやったりとか、そんな日常が失くなるなんて、イヤだよ……「う、うぅ………蓮子……?」っ、メリー⁉︎
良かった、目を覚ましたのね………あぁ、良かった…………」
蓮子が不安を口にし、自身とメリーによる他愛の無い日常が失くなる事に対し涙が流れそうになる中メリーが目を覚まし、蓮子と視線を合わせる。
するとメリーが目を覚まし、更に何時ものメリーであると確認出来た為か蓮子は堪えていた涙が流れ出し、しかしメリーの手を強く握っていて、メリーも同様に手を握り返していた。
「……此処は…?」
「永遠亭の中の病室よ………メリー、貴女ファイトが終わった直後に倒れたんだよ……?」
「…………そう、なのね………」
メリーがこの場所を聞いて来たのを蓮子は返すと、メリーは納得したかの様に呟き、しかし直ぐに横を向き蓮子に顔を見せない様にして震え始めていた。
それが気になった蓮子は親友に問い掛ける。
「メリー?
どうしたの…?」
「蓮子…………私、怖い………」
「怖い?」
するとメリーは突然怖いと言い出した為、蓮子は困惑し彼女に聞き返す。
それをメリーは震えながら自身の今考えている事を吐露し始める。
「私………ファイト中に変な声が……幽々子さんとのファイトでも聞こえた声が頭の中に響いて………聞きたくない声なのに最後まで聞こえて………それから記憶が曖昧だけど、私、変な風に話して、永琳………さんに、必要以上の敵意とかを持ち出して、それで…………『私が私で無くなる』みたいな事になって…………ファイト前にだって、私、知らない筈の事を当たり前の様に口にして、ずっと前から知っているみたいに話して………私、自分が自分で無くなって行くみたいで……………幻想郷に来る前に見た怖い夢………蓮子と離れ離れになる夢が実際に起きるみたいに感じて………怖い…グス………怖いよ蓮子……………」
「……メリー……」
メリーは蓮子に涙を見せない様に啜り泣き、しかし自分が自分で無くなると言う恐怖心を、更に今までずっと隠していた、蓮子が見たのと良く似た悪夢を口にし、蓮子に助けを求めるかの様に手を握り、その手から震えが伝わり蓮子も強く握り、それらを聞いて思った事を口にする。
「メリー…………私ね、私もね、メリーと同じ様な夢を見たんだ……メリーと私が離れ離れになっちゃう夢を。
だから私ね、「そんなの起きてたまるか!」って感じに我武者羅に突っ走ってたんだ、今の今まで」
「………」
蓮子はメリーに自身のみた悪夢の事を話し、今まで我武者羅にやって来た事を告げる。
それを聞いたメリーは蓮子の方に向き返り、涙を流して悲しい表情になっている自身の今の顔を見せる。
無論それは蓮子も同じで、しかし悲しいながらも笑顔を見せてメリーを落ち着かせようとしていたのが見て取れ、メリーはそれにより震えが少しずつ鎮まって行った。
「…ねぇメリー。
私ね、ファイト中に可笑しくなった時にヤバイって思ったんだ。
あの悪夢が実現しちゃうんじゃないかって。
だから、そんな事させない様に私はメリーに抱き付いて、離すもんかって感じに強く抱き締めたのよ。
そしたら、今に至るんだ」
「蓮子……」
「だからね、もしもメリーが今後もあんな風になるって言うなら、私は何度だって、何時だってメリーを離さない。
メリーから離れない、絶対に何時ものメリーに戻すから。
絶対に何があってもこの手は離さないし、メリーを………絶対に独りにしないから……」
「れん……こ…………ぐす…………うあぁぁぁぁ……………‼︎」
蓮子はメリーに自らの不安を吐き出し、それを実現させぬ様に豹変していたあの場面で抱き付いていたと話す。
そして、メリーにあの様な事が起きても必ず連れ戻す、必ず離さないと誓いながらメリーを見つめる。
その言葉を聞き、蓮子の表情を見て再び涙が溢れ出し、蓮子に抱き付いて泣き、蓮子もメリーを抱き締めて一緒に泣き、二人は共に大粒の涙を流し、絶対に離れたくないと言う意思を示すのであった。
「ねぇ、蓮子……約束して?」
「なに、メリー?」
それから数十分後、泣き疲れるまで泣いた二人は肩を寄せ合いベッドに腰を掛けており、そんな中でメリーが口を開き蓮子もそれを聞き始めようとする。
するとメリーは右手の小指を出し、指切りをしようと言う行動を示し、それに合わせて蓮子も右手の小指を出し指と指を絡ませる。
「もし、もしね、また私が可笑しくなったら……その時は、『私』をどんな事をしてでも、手遅れになる前に連れ戻してね?
お願いよ、私の………最高の相棒で、秘封倶楽部の部長、そして私の掛け替えの無い大親友の蓮子………」
「勿論よ、約束する。
私の最高の相棒で秘封倶楽部の副部長、そして私の掛け替えの無い大親友のメリー………」
二人は互いにメリーが可笑しくなったら止める様に約束し合う為に指切りを交わし、それを聞き交わし終えて、互いに漸く安堵の笑みを浮かべて肩を寄せ合い二人きりの時間を過ごす。
そして二人は心の中で何があろうと離れない、互いの手を離さないと誓っていたのであった。
それから数時間後、蓮子達は妹紅の先導により永遠亭を後に迷いの竹林の外に出ていた。
それを輝夜が見送りに来ており、全員が竹林の外に出た所で輝夜が口を開く。
「それじゃあ皆、今回は永琳が迷惑を、いえ、騒動を起こして申し訳無かったわ。
まだ永琳の口から出ていない事を私から聞き出すから、何か情報を聞き出せたら提供するわ」
「ああ、そうしてくれ」
輝夜は全員に謝罪をして永琳が意図的に語らなかった部分、自身が八雲紫と協力関係にあったが離れたの部分などの詳細を聞き出す事を誓って竹林の中へと戻って行った。
そして、永琳の話を聞きメリーの身に起きている事を話す事を話すか否かを決め、多数決で二人を保護している魔理沙に一任する事となり魔理沙は気まずくなりながら二人に声を掛ける。
「あ、あのな蓮子、メリー。
実は…………メリーの身に起きてる事は「私が」……?」
「私が、メリーが可笑しくなったらどんな手段を使ってでも連れ戻すし、この手は絶対に離さない。
だから魔理沙、皆。
次何かあったら皆の力も借りるからそのつもりでいてよ?」
しかし、魔理沙が話そうとした所で蓮子が満面の笑みを浮かべながらメリーの左手を握る右手にほんのりと力を込め、また魔理沙達にいきなり力を借りる宣言をして魔理沙の言葉を遮った。
そして、それを聞いた魔理沙はと言えば……。
「………そっか、分かったよ。
次何かあったら、今度は私らも力をちゃんと貸すよ。
だから安心しなよ、蓮子、メリー」
結局メリーの身に何が起きてるかは話さない事にし、代わりにメリーがまた豹変する様であれば力を貸すと約束し、全員も魔理沙に一任していた為それで納得し帰路に立った。
現在の時刻は20:45、月の光が皆を、蓮子とメリーの歩む道を優しく照らし出し暗い闇を晴らすのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回で永遠亭編は終了です。
色々と物語が進んだり、伏線がまた出たりとありますが伏線は回収して行きます。
さて、次回からは蓮子とメリー以外のキャラにも焦点を当てた話を投稿して行く予定です。
誰にスポットライトが当たるかはお楽しみに。
次回もよろしくお願いします。
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幕間「日常(?)編」
第50話「チルノ、悩む」
今回は告知通りメリー達以外のキャラに焦点が当たるお話です。
第1回目はサブタイにある様にあの子となっています。
では、本編へどうぞ。
とある日の人里、其処で小さな大会が開催され里の大人から子供、人間から妖怪、更に妖精など種族や年齢を問わずファイター達が集まっていた。
その中には蓮子とメリーが初クエスト直後にファイトをしたチルノ達『バカルテット』も参加しており、チルノは今1回戦で人里などで師範と呼ばれ慕われている(チルノも慕ってる)『不破刃』とファイトをしている。
「行くぞ、『士官候補生 アンドレイ』のブースト、『天鱗水将 タイダルボアー・ドラゴン』で『バッドエンド・ドラッガー』にアタック‼︎「完全ガードだぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
ちぃ、トリプルドライブ………クリティカルゲット‼︎
全部『タイダル・アサルト』にプラス‼︎
アタック‼︎「インターセプトだぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
パワー-5000してスタンド、ブーストを入れてアタック‼︎「流影陣‼︎」
あうぅ………ターンエンド!」
しかし、状況は芳しく無くチルノは既にダメージ5、更に手札も残り6枚で次の不破の攻撃をとても防げる状態では無かった。
何故なら、バッドエンド・ドラッガーはブレイクライドユニット内でも一度発動すれば対処のしようが無い勝つか負けるかの二択を究極的に詰め込んだユニットなので、手札が10枚あろうが一気に消し飛ばしたり、突破して来るのだ。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅん‼︎
ブレイクライド、『魔王 ダッドリー・エンペラー』‼︎
バッドエンド・ドラッガーのスキルでヴァンガードにパワー+10000と、リアガードがアタックした時パワー+10000とアタック終了後山札の下に戻るスキルを付与‼︎
では、参る!!
『ジャガーノート・マキシマム』で単独アタック、
ジャガーノートはこのアタック後山札に戻り、更にシャッフル!
次、『ハイスピード・ブラッキー』で単独アタック、此方もジャガーノートと同じスキルを使用し、ブレイクライドのスキルと合わせて単独パワー24000‼︎「完全ガード‼︎」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
ダッドリー・エンペラーで『嵐を超える者 サヴァス』にアタック‼︎
更にアタック時に
再び参れ、ジャガーノート・マキシマム‼︎「ふ、防げない……ノーガード‼︎」
ツインドライブ………クリティカルゲット‼︎
パワーは左のジャガーノート、クリティカルはヴァンガードに付与だぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
そうしてチルノは不破の攻撃を防ぎ切れず、クリティカルトリガー入りのアタックを受けてダメージが6枚となり敗北する。
その時のチルノの表情は正にそんなバカなといわんばかりに固まっていた………。
「………ってな事があってさー」
それから数時間後、時刻は既に18時になり辺りは暗くなりだしている中でチルノ、大妖精、ルーミア、リグル、ミスティアはとある人物の住まいに上がり込み、今日の大会での出来事を話していた。
因みに大会の優勝者は結局不破となり、バカルテットは全員入賞すら出来ず敗退していた。
「いや〜、やっぱり師範は強かったのだ〜(×∀×)」
「私達は師範には当たらなかったんだけどね〜」
「妹紅さんに当たって……ねぇ」
「………………」
その人物はチルノ達の言葉を聞いて若干呆れた表情を浮かべ、更に溜め息を吐き特にチルノの方に視線を向け、じっと彼女の方を見ていた。
すると、応援に回り大会には出ていないが全ての試合を見ていた大妖精がその人物に対しチルノ達へのフォローを話し始める。
「あ、あの、皆凄く頑張ってて師範や妹紅さんに健闘したんです。
だから、あの、その」
「大丈夫よ大妖精、貴女の言い分もちゃんと分かってるから。
………でもね、だからと言って甘やかすのは私のスタンスじゃないのも分かるわよね?
特にチルノ、私と同じく〈アクアフォース〉を使い、更に直接私から指導を受けているなら尚更……」
「うっ………わ、分かってるわよ、『レティ』」
その人物……冬に真価を発揮する冬に纏わる妖怪『レティ・ホワイトロック』は大妖精のフォローを踏まえた上で口を開き、それぞれに対して苦言を呈し始め、全員正座をしてそれを聞き始める。
「格上相手に負ける、ええ、こればかりは実力を付けなければ勝てないのは当たり前、格上なのだから。
しかし、格上以外………実力が拮抗してる身内、更には格下の子に油断して負けるのは頂けないわ」
『うっ……』
「ルーミア、貴女はこの中で今の所戦績は1番良いし本来ならこの調子で頑張りなさいと言いたいけど、周りの戦績向上にあまり繋がってないのはチームとしてどうかと思うわ、リグル達と一緒に戦略とかを立てなさい。「はいなのだ〜…」
次にリグル、〈メガコロニー〉の深みを今の所活かし切ろうとしてるのは分かるけど、終盤に手札枯渇したり焦る癖を直す事を努力なさい、そしたら今よりも勝てるわ。「はい…」
次にミスティア、〈バミューダ
デッキを見直したり相手に合わせたりしてどんな風にファイトをセッティングするか考えるのよ。「分かった〜…」
そしてチルノ、〈アクアフォース〉の頂点に立つ『クランマスター』として言うわ。
今の貴女は〈アクアフォース〉を扱い切れていると言えばそうでは無いわ。
ただユニットを並べてアタックしたり、『タイダル・アサルト』等のスキルに振り回されたり、デッキ構築は目先のパワーとかに目を向けがちよ。
もう少しアタック回数を重ねられるユニットに比重を置きなさい「うっ……」」
レティはそれぞれに鋭いながらもアドバイスを加えて行き、特にチルノに対しては同じクランを使い、更にそのクランの頂点である称号『クランマスター』として苦言とアドバイスを飛ばし、更にデッキ構築の見直しを行わせようとする。
それに対しチルノは面白くない為反論を言う。
「で、でも今の所マジで負けてるのは師範達に対してだし、寺子屋の皆には大体勝ててるし、何よりあたいは最強だから何の問題は」
「大体は、でしょう。
貴女、相手をダメージ5枚まで追い詰めておいて油断してノーガード宣言したらクリティカル貰って負けたり、何より最近はマエリベリー・ハーンに負けて以来黒星が目に見えて増えたわ。
そのマエリベリーもファイカの記録を見れば、デッキは正に触りたての初心者の構築だったわね。
貴女、最強を名乗ってるのに初心者に負けて悔しくないのかしら?」
「ぐぬぬ…………」
「………兎に角、貴女には特別プログラムを組む必要があるわ。
デッキを見直したらまたいらっしゃい」
そうしてレティはチルノに対してデッキの見直しを要求し、また見直しを終えた後にまたこのレティの住まいに来る様に指示され、特別プログラムなる物を受けさせる様であった。
それを聞いたチルノ達は素直に外へと出てそれぞれの住処などに戻ろうとしていた。
「いやぁ、ボロクソに言われちゃったね〜」
「レティさん、ヴァンガードで妥協は許さず、しかし的確に短所を言って補わせる指導者として優秀な方だからね。
そして私達のお姉さん役だし、ホントお世話になりっぱなしだよね〜」
「だね。
さて、改善点はそれぞれにある訳だし、皆でそれを改善してレティさんを脅かしてみようか!」
ルーミア、ミスティア、リグルはレティの的確な言葉に自分の欠点を理解し、改善点を直すべく早歩きとなって道を歩いていた。
それに対し、チルノはと言えば。
「………」
「チ、チルノちゃん。
あのね、レティさんはああ言ってたけどチルノちゃんは其処まで〈アクアフォース〉を活かし切れてないと思わないよ?
たまたま最近調子が悪いだけだから気にしないでよ、ね?」
レティに言われた事を気にしていたのか他の三人よりも歩くスピードが遅く、地面に視線を向けていた。
それを見かねた大妖精がフォローを入れる。
するとチルノは大妖精の言葉に反応し、顔を上げ笑顔を見せる。
「ふ、ふはははは!
大ちゃんったら心配無用だよ!
何てったってあたいは天才にして最強!
ちょっとやそっとの敗北やレティの小言や説教なんかじゃへこたれないさ!
じゃあ大ちゃんに皆、今日はもう此処でお別れだね。
また明日〜!」
「あ、チルノちゃん………」
チルノは全員に何時もの明るく、何も考えてない様な笑顔を見せてそれぞれの帰路の途中にある分かれ道に着いた時に早々と自分の住処に戻って行き、四人はそんなチルノの後ろ姿を見送っていた。
しかし………。
「…………バーカ、無理してるのバレバレだっての」
「チルノ、大丈夫かなぁ〜?」
「うーん…………」
「チルノちゃん……」
しかし、四人にはチルノが無理に明るく振る舞っていた事が見て取れ、その後ろ姿が見えなくなった時には見送っていた際の笑顔は無く、チルノと言う一人の友人を心配する表情となっていた。
中でも大妖精はチルノが放って置けず、四人の中で直ぐ様チルノの後を追い掛けていた。
「……………」
ルーミアや大妖精達と別れた後、チルノは後ろを振り返らずに走り、自分の住処の霧の湖の一角、チルノにとっては思い出深い場所まで来て其処で一旦立ち止まり、息を整えてから腰を下ろし、懐からデッキを取り出し、自らのフェイバリットであり分身の『嵐を超える者 サヴァス』を抜き出していた。
「………はぁ、サヴァス。
あんた、負けっぱなしのあたいを見てどう思う?
幻滅した?
それとも励ます?
……答えられるわけないよね、カードなんだし。
………はぁ、レティをがっかりさせっぱなしだなぁ。
何が最強なんだか……」
チルノは物言わぬサヴァスに問い掛けるが当然の事ながら応えなど返って来なく、それならチルノはレティを失望させてると呟き、自分が最強であると言う考えがブレ始め、溜め息が出るばかりであった。
「……そう言えば、あたいが〈アクアフォース〉を使い始めたのは此処であんたを拾ったからだったよね、サヴァス…」
すると不意にチルノは、この思い出深き場所で何があったのかを思い出し、サヴァスを見やりながらその時の事を振り返り出す。
そう、自分がサヴァスを拾い、ヴァンガードを本格的に楽しみ、そして本当の最強を目指し始めた日を。
それは1年前、大妖精やルーミア達と鬼ごっこをする事となり、ルーミアから逃げていた時の事。
チルノはルーミアから上手く逃げ、彼女を巻いて余裕を持って悠々と歩いていた。
「なっはっは〜!
ルーミア、鬼ごっこの逃げる役で負けナシのあたいになんざ100万年早いわよ!
さーて、後はルーミアが来るまでゆっくりと逃げてよ〜と♪
♪♪〜♪〜」
チルノは余裕を見せながら鼻歌を歌いながら、しかし足元や周りを見る事を忘れずに歩きルーミアの接近にいつでも反応出来る様にしていた。
しかし、だからであろう。
足元を見ていたが故に鬼ごっこをしている中でカードの1枚すら見逃さなかったのは。
「♪〜……うん?
これ…………ヴァンガードのカード?
………もしかして誰かが捨てた奴?
どんなカードにだって価値はあるのに、バカな事をする奴も居るんだね〜……って、これはレティの使ってるクランと同じ奴じゃん!
しかもこれ……最近流行りだした……
兎も角、それに関連したスキル持ってるみたいなのに………仕方無い、あたいが拾って使ってやるわよ。
んでもって捨てた奴を見返してやろうじゃん!」
そう言ってチルノは拾い上げたカードを見つめて懐に仕舞い、鬼ごっこを終えた後に(チルノは逃げ切った)レティの家に住まいに直ぐ様向かい、拾ったカードを見せに行きデッキ構築を手伝って貰おうと考えていた。
そんなこんなでチルノはレティの家の玄関を叩き、中に入れて貰い話を始める。
「それで、私に何の用なの?
今は夏だから余り外に出たくないし、煩わしいのは嫌なのだけど?」
「まあまあレティ、そう言わないでこれ見てよ!
じゃん、〈アクアフォース〉のカードを鬼ごっこ中に拾ったよ!」
「あら、拾った?
ふーん、〈アクアフォース〉のクランマスターとしてカードを捨てた奴には是非お話をしたいものだけど、今はカードの方を見ましょうか。
………『嵐を超える者 サヴァス』、ストライダーユニット、Gユニットが
新規ユーザー向けに配布されつつあるカードなのだけどね………それでチルノ、貴女はこれを私に見せに来ただけじゃないでしょう?
大方このカードを軸にデッキを組みたいのでしょう?
良いわ、カードを拾ってくれたお礼にサービスしてあげるわよ」
「よっしゃ!」
チルノはレティにカードを見せた事でそのカード、サヴァスを中心に動くデッキをレクチャーを受けながら組み、更に〈アクアフォース〉のユニット自体を余り持ってなかった為サービスとしてかなりの種類を紹介され、其処から一般向けに販売されている〈アクアフォース〉のトライアルデッキ二つ分を合わせた物と全く同じ内容のデッキを組み上げ、それを手にしたチルノはご満悦と言った表情を浮かべていた。
「ぬふふふ〜、お金足りないからストレージの余りを香霖堂の霖之助から借りて組み上げた余り物デッキじゃない、私だけのデッキが遂に手に入った……!
もうこれでルーミア達にも負けないぞ!」
「はいはい、嬉しそうで何よりよ。
それより、早速だけど私とテストファイトをしてみない?
無論テストファイトだから手加減してあげるし、貴女とデッキの相性を確かめてみたいのよ」
「えっ、テストファイトもしてくれるの⁉︎
ありがとレティ!
じゃあ早速ファイトを始めようよ‼︎」
更にレティがテストファイトを提案し、それを聞いたチルノは更に明るくなり早速ファイト準備をし、FVと手札(交換済み)を用意していた。
レティもそんなチルノを見て和み、そのまま準備をしてテストファイトを開始する。
すると此処で、レティにとって予想外な事が起きる。
それは、手加減しているとは言え自分が〈アクアフォース〉のデッキを握りたてのチルノにあっさり負け、更にチルノ自身もデッキとの相性が異常なまでに良過ぎたのである。
「よっし、あたいってば初めて使うデッキの初ファイトでも勝てるなんてやっぱり最強ね!」
「……(この私があっさり負けるとはね………もしかしたらチルノは、このデッキと出会うべくして出会ったのかもしれないわね。
言うなれば運命。
でなければ此処までの相性の良さは発揮しない………ならば、私のやるべき事は一つ、チルノの中に眠る才能を埋もれさせない様にする事………)」
レティはチルノとサヴァスデッキが出会った事、相性の良さを運命と称しこの才能を開花させる為に導いてみよう、否、導くと決めてチルノの専属コーチになろうと考え、チルノをジッと見ていた。
チルノはそれに気付き首を傾げ、頭に?を3つ浮かべていた。
その後、レティから自分の専属コーチになる事を告げられチルノは大はしゃぎし、更に其処から大妖精、ルーミア、リグル、ミスティアとレティからヴァンガードを教わっているライバル兼友人が増えて行き、ミスティアが加入してから数日後にはチームを結成し、名前も『チームストームファイター』とし、幻想郷の公式、非公式大会に名乗りを上げたのだ。
「(レティにあたいはこのデッキを使いこなせば強くなれるって言われた……なら、どこまでも強くなろうじゃん!
そしていつかレティに本気を出させて、本気のレティに勝って、トップファイター達にも勝って、本当の最強に……!)」
そうして、大きな目標を決めたチルノは日々ファイトを重ねて行き、徐々にではあるが幻想郷のトップファイター達を狙い撃ち出来る実力を身に付けて行き、一歩一歩前へ踏み出して行ったのだ。
そう、マエリベリー・ハーンと言う未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使う彼女に敗北し、其処から調子が狂うまでは……。
そして現在、それらを思い出している中で敗戦を重ねる自身に不甲斐無さを感じたチルノは溜め息を更に吐き、サヴァスのカードを哀愁漂う目で見ていた。
「………はぁ、あたいってば……カッコ悪い………「はぁ、はぁ、チルノちゃん…」…大ちゃん…」
そんな意気消沈しているチルノの後ろに息を切らせた大妖精が立ち、更にその後ろからルーミア、リグル、ミスティアといつものメンバーが走って来ており、全員その様子からチルノが走り去った後に追い掛けて来ていた事が見てとれていた。
「大ちゃん、皆、なんで」
「なんでって、ぜぇ、ぜぇ、あの時チルノは明らかに無理してたでしょうが」
「私達はチルノの友達で、チームなんだから……ふぅ〜」
「心配するのは、当たり前なのだ〜♪
……ゲホッ、ゲホッ、走り過ぎて息が(×∀×)」
「皆、チルノちゃんが心配だったから追い掛けて来たんだよ、だからね……一人で抱え込まないで、皆で一緒に悩んで、皆で一緒に満足出来る様にしようよ。
だって皆、チルノちゃんの仲間で、友達で、チームだからね…」
チルノは一人一人の言葉を聞き、皆が自分を心配し追い掛けて来た事、レティに厳しく言われて落ち込んでいた事を察していた事に驚き、また嬉しく思い目尻が熱くなりそうになっていたが、其処をグッと堪えて先程の別れ際に見せた作り笑いでは無い本当の笑顔を見せ、何時もの調子に戻り始める。
「……皆、ありがと!」
「良いって良いって〜♪」
「じゃ、早速チルノの家に行ってレティさんに言われたデッキ構築の変更をしようか。
私達も手伝うよ」
「わは〜♪」
「良かった、チルノちゃんが何時もの調子に戻って……あ、私も手伝うね」
そうしてチルノ達は、チルノの家へと行き全員で知恵を絞りながらデッキを改良して行き、更にテストファイトをしてまた改良を加えての繰り返しをして行き、それが夜通し続けられた上に日を跨ぎ、気付けば3日もデッキ改良へと費やし、しかし充実した時間を過ごしつつ着実に改良は進んで行った………。
チルノがレティからデッキ改良を求められてから4日目、遂にチルノが納得の行く改良が完了した為、いよいよレティの家に向かい特別プログラムを受けに行く。
するとレティは家の外に出てチルノ達が来るのを待っていて、その姿を確認すると無言でこちらへ来る様にチルノ達を促していた。
それに従い、チルノ達は緊張感を持ちながらレティの前に立ち、チルノが一歩前へ出る。
「来たわね。
早速だけれどチルノ、しっかりとデッキを見直したか確認させて貰うわ。
見せなさい」
「オ、オッケー!
はい、皆と一緒に考えたあたいの改良したデッキだよ!」
チルノはレティにデッキを渡し、全員で考え抜いた物だとしっかりと言い、レティも全員を見て成る程と言った表情を少し浮かべた後、直ぐ様チルノのデッキを1枚1枚丁寧に見やる。
するとそのデッキは、確かに『タイダル・アサルト』などのユニットが入っているのは変わらないが採用枚数自体が変わってたり、そもそもチルノが使わなかったカードが採用されていたりなどちゃんと考え抜き、またパワー一辺倒では無く〈アクアフォース〉の特性を活かし切ろうとする趣旨がしっかりと見えており、前のデッキと大分違った構築となっている。
それを確認したレティはデッキを一つの束に戻し、チルノに返して感想を述べ始める。
「ふむ……そうね、先ず
良いわ、特に言うべき点は無い。
早速特別プログラムを受けに行くわよ、付いて来なさい」
「よっし‼︎」
「先ずは第一関門突破、後はチルノが特別プログラムをこなすだけ……!」
「頑張って、チルノちゃん…!」
チルノ達はレティからOKを貰った事で安堵し、早速特別プログラムを受けるべく場所を移動する。
大妖精達が付いて行く中でチルノは心の中で闘志を燃やし、特別プログラムを突破するのに集中を始めていた。
そして、チルノ達はレティの案内により特別プログラムを受ける場所………何処で受けるかはチルノ達は知らされておらず、付いて行くしかなかったが方角などからして察し、『無縁塚』へと足を運ぶのであった。
次回、チルノがファイトをします。
しかもがっつり………(←自らハードルを上げてくスタイル)
誰とファイトをし、どうなるかはお楽しみに。
次回もよろしくお願いします。
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第51話「特別プログラムファイト、開始!」
今回は第⑨話と違い、チルノのファイトは省略されません。
そしてチルノの対戦相手は誰かもお楽しみに。
では、本編へどうぞ。
追記:秘封先導鉄のUAの総数が気付けば2000を突破してました。
閲覧してくれている皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m
チルノ達チームストームファイターは通信用クリスタルに魔力を込め、誰かを呼び出しているレティに連れられ、無縁塚へと到着する。
チルノ以外は特別プログラム前にチルノにデッキを改造する様に要求した為、誰かとファイトをするのだろうと考え、チルノはレティから〈アクアフォース〉に関する事を学び、また現状の〈アクアフォース〉使いで誰が試験管的な立場にあるかも聞いていた為誰が相手になるかは予想が出来ており、ファイト前に気合を入れる事が出来ていた。
「………さて、呼び出しをしてるからあちらは直ぐに来るとは思うけど……心配は要らなかったわね」
そうして無縁塚と三途の川の間の地点まで辿り着き、其処には先客が居た。
その人物の内、チルノは片方の………赤髪の少女に心当たりがあり、また予想通りの人物だった。
その人物は死神であり、普段はサボマイスターと呼ばれ、何時も上司に叱られては正座してと情けない部分が多々ある。
が、ヴァンガードファイトになると上位ファイターとしての実力を見せ、更にはレティが唯一とある〈アクアフォース〉のユニットを使用許可を出す人物で、〈アクアフォース〉のユニットを使う為の試験における試験官としての役割を頼み承諾した者、『小野塚小町』である。
そしてその隣に居るのはその小町の上司であり、幻想郷担当の閻魔『四季映姫・ヤマザナドゥ』である。
「お久し振りですね、クランマスターレティ」
「本来なら貴女がその座に就く筈だったのだけどね。
兎も角久し振り、私の要請に応えて小町を借りさせてくれてありがとうね」
レティと映姫は互いに挨拶と握手を交わし、互いの部下や教え子を見やりこれから始まる特別プログラムに各々の考えを持って見守ろうと言う姿勢が見てとれた。
そしてリグル達も小町の事は知っていた為、チルノが勝てるかどうか心配し始めていた。
何故なら小町も妹紅や不破と同レベル、且つ〈アクアフォース〉の扱いは間違い無くチルノを超えている為である。
「チ、チルノちゃん……」
「……大丈夫、皆で考えたこのデッキなら勝てる、絶対!」
大妖精の呟きに対してチルノはガッツポーズを見せ、小町の前に立つ。
すると小町は…………持ち前の楽観的かつ怠惰な姿勢を崩さず欠伸をしながらチルノにフレンドリーに話しかけ始めていた。
「ふあぁ〜……あ、チルノかい。
こんにちはだね〜」
「こら小町‼︎
これからレティの要望で始まる特別プログラムファイトの前に何ですかその態度は!」
そんな小町に映姫は叱り始め、小町の態度を改めようとしていた。
が……小町は自発的に態度を改め、チルノを見やりだしていた。
その瞳、雰囲気は正に、強敵が来るのを待っていた不完全燃焼の戦士のようであった。
それを見た瞬間チルノは一瞬身構え、小町の雰囲気に呑まれない様にしていた。
「……コホン、ではこれよりレティの要請により特別プログラムファイトを執り行います。
これはチルノ、貴女の今の実力を見る為の物。
お互いに油断せず、躊躇わず、全力を尽くしてファイトをして下さい。
もしそれが出来ないならば小町、チルノ、貴女達は〈アクアフォース〉のデッキを置いて行きなさい。
幸いヴァンガードには多種多様なデッキがあります。
何も〈アクアフォース〉で最強を目指さなくとも良いのです………自分に会う合うデッキを時間を掛けて見つけ、上を目指しなさい」
すると映姫は小町の様子を見て咳払いをし、特別プログラムファイトの目的を口にする。
また、レティから特別プログラムを聞いていたが、大妖精達は何が目的なのかははっきりとは分からずにいたが、映姫が口にした事によりこれが実力診断の様な物だと分かり、もしチルノが負ければ〈アクアフォース〉のデッキ、特に1年前に出会いチルノと共に成長したサヴァスデッキを手放されてしまう事を知り、チルノの側で常に見守り、サヴァスデッキにどんな想いを込め、また共に歩んで来たかを知る大妖精や共に切磋琢磨して来たルーミア達はオロオロしたり、固唾を呑んだりとそれぞれチルノを心配していた。
「分かってますよ映姫様。
私はこう見えてやると決めた事は真面目にやる質なんですよ…………ふふ、私の〈アクアフォース〉にそっちの〈アクアフォース〉が何処まで付いて来られるか、楽しみだよ…スタンドアップ・ヴァンガード!」
「……やっぱり、負けたらサヴァス達と離れ離れにされちゃうか………付いて来れるか?
ふふん、何を勘違いしてるのさ!
付いて行くんじゃない、超えるのよ!
スタンドアップ・ヴァンガード‼︎」
チルノは映姫の言う事を予測していた事を呟き、小町の挑発的な言葉に応えて超えると宣言しながらFVをスタンドアップさせる。
チルノと小町、二人は共にクレイの中で同じ場所をイメージし、其処に霊体として降り立ちユニットに憑依する。
その場所とは、クレイの『大地』では無く『海』、それも深海の中にある崩れた海底神殿前であった。
「『士官候補生 アンドレイ』!」
「『蒼嵐候補生 マリオス』!」
チルノがライドしたユニットはアンドレイ、
対して小町のライドしたFVはマリオス、そのターン中通算3回目以降のアタックのブーストを行い、それがヒットすればデッキの上から5枚を見てとある名を含んだユニットを1枚手札に加えられるスキルを持っている。
そして、マリオスがFVであると言う事はどんな軸のデッキかそのユニットを知っていれば露見するのである。
「やっぱりマリオス………となると、あのデッキは」
「うん、『蒼嵐竜 メイルストローム』や『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』、『蒼嵐業竜 メイルストローム ‘‘
あのユニット達のスキルの厄介さは言わずもがなだけど、それ以外にも『蒼嵐』の名称も持つからチルノの
リグル、ミスティアが小町のデッキを分析し、油断ならないデッキだと解説をし、ルーミアや大妖精は言葉を発さずジッとチルノを見つめ、ファイトの行方を見守っていた。
そしてそれは、特別プログラムを組んだレティもである。
「じゃあ、私の先攻だね。
ドロー。
『蒼嵐戦姫 クリスタ・エリザベス』にライド!
マリオスはヴァンガードの後ろへ移動し、ターンエンド」
蒼嵐候補生 マリオス:P5000、C1
蒼嵐戦姫 クリスタ・エリザベス:P7000、C1
「あたいのターン!
『ケルピーライダー ニッキー』にライド!
アンドレイはヴァンガードの後ろへ移動して、このままアタック!
ドライブチェック……ノートリガー」
士官候補生 アンドレイ:P5000、C1
ケルピーライダー ニッキー:P7000、C1
ニッキーVSクリスタ・エリザベス:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『
ダメージチェック『蒼嵐水将 スピロス』
チルノはデッキの構築を変えたのもあり、先ずは様子見を兼ねてヴァンガードのみでアタックを仕掛ける。
無論これは相手に出方を伺う為に物であり、油断などでは無い事は誰もが知ってる為、ツッコミは入れない。
「私のターン、ドロー。
うーん、手札が芳しく無いねぇ……取り敢えずライド、『蒼嵐水将 スピロス』!
更にコール、『蒼嵐水将 ヘルメス』、『蒼嵐兵 ラスカル・スイーパー』!!」
蒼嵐水将 スピロス:P9000、C1
蒼嵐水将 ヘルメス:P7000、C1
蒼嵐兵 ラスカル・スイーパー:P9000、C1
小町:手札:3
布陣
ラスカル スピロス ヘルメス
R マリオス R
「って、それの何処が芳しく無いの⁉︎
めっちゃ展開してるじゃん‼︎」
「芳しく無いものは芳しく無いのさ。
さて、アタックフェイズに移行しますかねぇ」
手札が芳しく無いと言いつつ順当にライドし、ユニットを展開する小町に対しミスティアがツッコミを入れるが、小町はこれをそよ風に吹かれているが如き表情で受け流し、そのままアタックフェイズに入ろうとしていたが、対してチルノは小町の言葉とライド、及び展開されたユニットを見て考え始めていた。
「(ライドしたのはスピロス、展開したのはラスカル・スイーパーとヘルメス?)「ヘルメスでアタック、スキルでパワー+3000「…ガード、『
(ヘルメスはケイ互換、特定名称のヴァンガードが居ればアタック時にパワーパンプするけどそれは無視。
問題はスピロスとラスカル・スイーパーだ)」
ヘルメスVSニッキー:7000+3000VS7000+5000=ガード成功
チルノは最初のヘルメスのアタックを防ぎ、その後も何故スピロスとラスカル・スイーパーのライド、コール順を逆にしたかを考え、ラスカルとスピロスの役割をアタックフェイズの中で考え出す。
「ラスカル・スイーパーでアタック。「ノーガード、ダメージはノートリガー(ラスカル・スイーパーは『メイルストローム』がヴァンガードに居ればパワーパンプと1回目のアタックを終えたら後ろのリアガードと前後の交代をする、対してスピロスはコストが掛かって条件がメンド臭くなったタイダルみたいなユニット。
これの布陣と手札が芳しく無いって言葉の意味は……)」
次、マリオスのブーストを入れてスピロスでアタック。「……ノーガード」
ドライブチェック……出たのは『蒼嵐戦姫 ドリア』、ドロートリガーだよ。
パワーはアタック出来るユニットが居ないから省略してドロー………。
更にマリオスのスキルでデッキの上から5枚を見るよ………ふふ、『蒼嵐竜 メイルストローム』手札に加えてシャッフル、ターンエンドだよ」
ラスカル・スイーパーVSニッキー:9000VS7000=ヒット
ダメージチェック『海域の守り手 プラトン』
スピロスVSニッキー:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『蒼嵐戦姫 ドリア』『引』
小町:手札:3→4
ダメージチェック『
小町:最終手札:6
チルノ:手札:5、ダメージ:2
チルノはこのターンでダメージが2枚になり、更に対する小町は手札が6枚で次のターンは間違い無くデッキの主軸である『蒼嵐竜 メイルストローム』にライドする事が確定しており、一見すればチルノの方がアドバンテージの差で序盤から押されている。
しかし、チルノの中では小町がドロートリガーでカードを引いたり、マリオスでメイルストロームを引いた瞬間の表情も加味してある考えが浮かび上がり始め、もしこれが当たっているならば自分の引き次第では今後のターン展開を覆す事が出来ると思い、且つその方が面白いと考えると同時右手に力が入り始めていた。
「スタンド&ドロー!
『マグナム・アサルト』にライド!
一気に行く、『タイダル・アサルト』、『
マグナム・アサルト:P9000、C1
タイダル・アサルト:P9000、C1
チルノ:手札:2
布陣
カリスタ マグナム タイダル
R アンドレイ オルティア
「ってチルノ〜⁉︎
何いきなり序盤から展開してるわけ⁉︎
手札が、手札が2枚しか無いし内1枚は最初のドライブチェックで引いたスタシアでしょ⁉︎
次のターンガード仕切れなくなるよ‼︎」
するとチルノは自らの考えが正しいかどうかを確かめるべくユニットを展開するが、展開したリアガードは何と3体。
ライド分の消費を合わせれば手札を4枚も使っているのだ。
これを見れば当然ツッコミが入り、リグルがその役となる。
ミスティアやルーミア、大妖精も何も言わないがリグルと同じ考えを持っておりあたふたしていた。
何故ならチームストームファイターの面々はチルノが使っている為〈アクアフォース〉の特性は熟知しており、手札を序盤から使ってしまうと返しのターンで連撃によるしっぺ返しを受けると散々身に染みているのだ。
当然使用者のチルノがこれを知らない訳が無く、リグル達の考えや言いたい事は理解していたが、今後の展開の為にも此処は自らの予測が正しいかを確かめるのを敢えて優先したのである。
これらを見て小町は一瞬スッと目を細め、映姫とレティはチルノの考えを見抜き、動向を見守る。
「先ずはマグナムでヴァンガードにアタック!「うーん、ノーガードだね」
ドライブチェック、よっしゃドロートリガー‼︎
パワーはタイダルにプラス‼︎」
マグナム・アサルトVSスピロス:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『
タイダル・アサルト:P9000+5000=14000
チルノ:手札:2→3
ダメージチェック『蒼嵐業竜 メイルストローム ‘‘
チルノはドロートリガーを引き当て、タイダルのパワーを引き上げる。
そして、予測が正しいかの賭けに入る準備が整ったチルノはそれを実行に移した。
「さて、先ずはタイダル・アサルトで………ラスカルをアタックかな‼︎
勿論ブースト付きで‼︎「っ、ドリアと『蒼嵐兵 ミサイル・トルーパー』でガード!」
次はカリスタでラスカルアタック‼︎「また………仕方無い、『蒼嵐戦姫 エレクトラ』で完全ガード、コストはさっき引いたメイルストローム!」
……答え合わせ完了だね!」
チルノは答え合わせと言う言葉を発しながら笑顔を見せ、小町はしてやられたと言った感じにチルノを見ていた。
一方大妖精達は何が何だか分からずに頭に疑問符を浮かべていた。
「えっ、えっ?
チルノちゃん何を……?」
「しかも今の、タイダルでヴァンガードにアタックしてからラスカルをアタック、その後カリスタでアタックすれば良かった筈なのに……「答え合わせをしてあげるわ」あ、レティさん!」
そんな大妖精達の疑問に答えるべく、映姫の近くに居たレティが大妖精達の側にやってきて説明を丁寧に始める。
チルノが何を思って先程のターンの行動をしたのかを。
「先ずリグル、確かに貴女の言った通りの行動が本来なら正しいわ。
相手のガードを削りつつダメージを与えられるからね。
でもチルノは敢えてそうしなかった。
理由は小町の手札を予測して後のターンを有利に働かせる為よ」
「えっ?
て言うと?」
「先ずチルノが予測した手札はこうよ、エレクトラ、マリオスで引いたメイルストローム、グレード3、ドリア、ドロートリガーで引いた連撃には一切関与しないカード、恐らくガード札。
そしてグレード3よ。
チルノは小町の言葉、表情から手札がグレード3に偏っていると考えた上で、ラスカル・スイーパーさえ退却させられれば後続など来ない上に戦術を崩せて、退却させられなくとも過剰にガードしてくれると思ってやったのよ。
全く、これが違っていたならあの子はどうする気だったのかしらね」
レティはチルノが考えていた事を説明した上で呆れた、しかし何処か楽しそうな笑みを浮かべていた。
が、これに対し大妖精達はチルノのやったプレイングが悪手にしか考えられない上でもっと別のプレイングがあったのではと考えそれを口にする。
「……でも、ならチルノちゃんはやっぱりリグルちゃんが言った通りの展開やもっと別のプレイングをするべきだったんじゃないんですか?」
「例えば手札消費を抑えて展開とか」
「そうね、チルノのやったのは結果論、小町の引きが良くてブラフだったら唯の悪手。
でも、それでもあの子は自分の予測を信じて突き進んだ……ふふ、あの子は本当に楽しませてくれるわ、色んな意味で。
それとミスティア、貴女の言う手もありだけど下手したらメイルストロームの
メイルストロームを相手取る時は気を付けなさい」
レティは大妖精やミスティアの言う事を聞き、その上で応えたりアドバイスをしたりなどして指導者としてしっかりと対応をする。
それを聞いて大妖精達は頷き、再びチルノと小町の方を見始める。
そんな中、レティは思う所があったのかチルノを見ながら心の中で呟き出す。
「(……妖精とは頭が単純に出来ている。
だからこそ楽しいか否かで物事を考え、日常を過ごす。
慧音には悪いけど、あの子は勉強が嫌いで楽しくないからこそ授業内容を覚えようとせず、成績も悪いわ。
でもヴァンガードは、あの子の中でヴァンガードは自分も他の者も楽しめる物となっているからこそ幾らでも突き詰めるし、頭も働くわ。
そして、だからこそさっきみたいなプレイングも………本当、貴女は私を惹き付けるわチルノ。
……その調子で頑張りなさい、私の1番の教え子……)」
レティは嬉しそうに、しかし一切表情には出さずにチルノをジッと見つめてファイトを見守り、それに対しチルノは少しだけレティの方を見て、ファイトをずっと見られている=期待されていると脳内変換し、また自分を見守ってくれている大妖精達チームの全員の方も見て頷いて自分は大丈夫、サヴァスデッキとは別れないと言う意思を見せて再び小町の方を見た。
「成る程ねぇ……お師匠、いや、先導者かな?
兎も角、マスターレティの期待に応え、心配してくれてるチームの皆の為に、か。
うんうん、中々良い事だね〜。
まぁ………特別プログラムでは余り関係ないね〜。
さて、油断や慢心、気を取られるなんて真似は止しなよ。
でなきゃ………早々に終わるよ?」
「…!」
すると小町はファイトをする際に見せた目付きや雰囲気を再び見せ、明らかにチルノを本気で倒す気でいるのが見え見えだった。
そんな気配を感じたチルノは先程の様に身構え、手札に指を掛けていた。
「さぁ、さっきの強気のプレイングに応じて私もしっかりと受け応えてやろうじゃないか……ドロー!
激しき潮の流れよ、蒼き風を纏いて嵐となれ!
ライド、『蒼嵐竜 メイルストローム』‼︎」
蒼嵐竜 メイルストローム:P11000、C1
「来た……蒼嵐竜 メイルストローム!」
そして小町はチルノの前にデッキの主軸ユニットであり、〈アクアフォース〉のエースカードの1枚、メイルストロームを見せる。
チルノはそれに対しより一層身構え、しかしその表情は彼女らしくこの重要なファイトを楽しんでいると表裏の無い笑顔を見せていた。
そうして特別プログラムファイトは、中盤へと突入して行く………。
本編の閲覧ありがとうございました。
チルノVS小町、〈アクアフォース〉VS〈アクアフォース〉、完全な物ではありませんがミラーマッチと相成りました。
何方の連撃がファイトを制するのか……その答えは次回へと続きます。
次回もよろしくお願いします。
よろしければ、感想等もお願いします。
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第52話「嵐を超えて」
更新していない期間の間にお気に入り件数が増えていてビックリしましたが、改めてお気に入り登録をしてくれたユーザーさん、更に待ってくれていた読者の皆様、本当にありがとうございます!
では、早速本編へどうぞ。
チルノはメイルストロームと遂に対峙し、今まで以上の警戒心と高揚感を見せ、強敵と相対しているにも関わらず笑顔を見せていた。
小町もそれに反応してか、不敵な笑みを浮かべて手札に手を掛けている。
「コール、『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』、『蒼嵐艦隊のアオザメ兵』!」
「アオザメ兵って確か、
「しかもラスカル・スイーパーの後列にもリアガードが!
メイルストロームの
小町がリアガードをコールした時、リグルとミスティアがアオザメ兵に反応し、そのユニットが持つスキルによりメイルストロームが持つ
しかしチルノの方はより一層楽しくなって来た様で、笑顔を崩してはいなかった。
「ふふ、ラスカル・スイーパーでアタック。
スキル発動、『メイルストローム』の名を持つヴァンガードが居るならパワー+2000。「ダメージチェック、ヒールトリガー!
パワーはタイダルに、そしてダメージ回復!」へぇ……」
ラスカル・スイーパーVSマグナム・アサルト:9000+2000VS9000=ヒット
ダメージチェック『
タイダル・アサルト:P9000+5000=14000
チルノ:最終ダメージ:2→2
小町の初撃を受け、ダメージチェックをした所でヒールトリガーが出たチルノは、前のターンに小町にダメージを与えなかった事でダメージ回復が出来、結果的に前のターンの行動がますます正しかったと言えるものだった。
それに関心した小町は更なる追撃を始める。
「グローリー・メイルストロームで、ヴァンガードをアタック。「マリカでガード!」
さて、次はヘルメス、アオザメ兵のブーストでアタック。
スキルでパワー+3000。「ドロートリガーで引いた『バブルバズーカ・ドラコキッド』でガード!」
へぇ、これも防ぐのか。
なら、マリオスのブースト、メイルストロームでヴァンガードにアタック!
アオザメ兵のスキル、ダメージ3枚以下でも
さあ吹き荒れるよ、正義を宿した激しい嵐が!
ま、その2枚の内1枚はスタシア、もう1枚は恐らく『嵐を超える者 サヴァス』、防ぎようがないか」
グローリー・メイルストロームVSマグナム・アサルト:11000VS9000+5000=ガード成功
ヘルメスVSマグナム・アサルト:7000+3000+7000VS9000+10000=ガード成功
メイルストロームVSマグナム・アサルト:11000+5000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『蒼嵐水将 スピロス』『蒼嵐兵 テンペスト・ブレーダー』
ダメージチェック『タイダル・アサルト』
チルノ:手札:2、ダメージ:3
「メイルストロームの付与されたスキル!
アタックヒット時に
私が選ぶはタイダル・アサルト!
更にマリオスのスキル、デッキの上から5枚を見て『メイルストローム』を1枚手札に加える!
……私が加えるのは蒼嵐竜の方だよ」
小町:手札:4
小町のアタックを受け、チルノは最終ダメージが3枚となり、折角パワーを上げたタイダル・アサルトが退却されてしまう。
しかし、実はチルノは其処が狙いであり、パワーを上げてタイダルを残す事でメイルストロームの退却スキルの避雷針にさせる事が出来、カリスタやアンドレイを守ったのだ。(オルティアは
それを小町はタイダルにトリガーのパワーを乗せた時点で気付いており、またレティも大胆な手だと感じ、渋った表情で目を閉じながら人差し指を額に当てていた。
「さあ行くよ、あたいのターン!
嵐を超えて、あたいを勝利に導け!
ライド、『嵐を超える者 サヴァス』‼︎」
嵐を超える者 サヴァス:P11000、C1
「………嵐を超える者ねぇ。
私のヴァンガードは蒼嵐竜 メイルストローム、丁度嵐を冠するユニットだねぇ……そうかいそうかい、そんなに私を超えたいわけかい…………」
そしてチルノはサヴァスにライドし一気に攻勢に出ようとするも、それを見た小町はより一層不敵な笑みを浮かべたかと思えば、好戦的な笑みに直ぐに変えてチルノがどう来るのかを伺っている。
それに対しチルノは一切臆さずに手札に手を掛け、Gユニットへの
「
さてさて、早速………?」
すると、チルノは
すると………デッキを組んだ際には見かけなかったGユニットが1種類、しかも4枚加えられており、チルノのデッキに4枚しかなかったGユニットが制限枚数一杯となっていた。
一体何故4枚もGユニットが増えたのか少し考えると、視線をレティの方に向けるも肝心のレティはただ黙ってチルノを見ているだけであった。
「………このカード、やっぱりレティが………?「どうしたんだい、早くファイトを進めて欲しいんだけど?」
あ、ごめんごめん………だとしても、今はまだ使う時じゃない、なら…………進め、あたいが切り開く勝利への道!
ストライド・ジェネレーション、『天鱗水将 タイダルボアー・ドラゴン』‼︎
サヴァスの
そしてオルティアの前に『
まだまだ、アンドレイの
天鱗水将 タイダルボアー・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
チルノは増えたGユニットのスキルを良く見て、使うべき時を見定めて当初の予定通りタイダルボアーに
「先ずはスタシアのスキル、このユニットは後列からでもアタックが出来る!
スタシアでヘルメスをアタック、更にアタック時にスキル発動!
アタック時にこのユニットが後列に居るなら、パワー+3000!「……ガードしても無駄か、仕方ないね、退却!」
次、オルティアでヴァンガードにアタック、パワーは7000だからヒットしないよ!」
スタシアVSヘルメス:6000+3000VS7000=ヒット
オルティアVSメイルストローム:7000VS11000=ガード成功
「よし、チルノは上手くアタック回数を稼いだ!」
「次は大本命、ヴァンガードが動く番だね!」
リグル、ルーミアは一見無意味なアタックをチルノを褒め、本命であるヴァンガードが動くと言う。
実はこの動きは〈アクアフォース〉には良くある動きであり、本命のユニットがスキルを発揮させる様に敢えて空撃ちアタック、全くヒットしないアタックを行うのである。
そして、それらの動きは正にさざ波から大波、その大波から更に大きな嵐へと変わる海の流れそのものである。
「これが本命だよ!
タイダルボアー・ドラゴンでアタック‼︎「……ガード値が足りないか、ノーガード」
トリプルドライブ、ファーストチェック『斬波刀の水将 マックス』セカンドチェック『ケルピーライダー ニッキー』サードチェック!『
ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーはまだアタックしてないカリスタに!「ダメージチェック……おっとクリティカルトリガー、パワーはヴァンガードに」
うぐ、此処でトリガーが………いや、関係ない!
タイダルボアー・ドラゴンのスキル発動!
このターンで合計3回目以降のアタックがヴァンガードにヒットしたなら1枚ドローして、手札からリアガードをコール!
早速ドローして、今ドローしたもう1体のオルティアをコール‼︎」
タイダルボアー・ドラゴンVSメイルストローム:26000VS16000=ヒット
トリプルドライブ『斬波刀の水将 マックス』『ケルピーライダー ニッキー』『
チルノ:ダメージ:3→2
カリスタ:P9000+5000=14000
ダメージチェック『蒼嵐水将 デスピナ』『☆』
メイルストローム:P11000+5000=16000
小町:ダメージ:4
しかし、意図せずしてダメージトリガーが出てしまい、メイルストロームのパワーが上がってしまうが、チルノは一度構築した連撃ルートを崩す気など無くそのままターンを進める。
「今コールしたオルティアのブースト、カリスタでヴァンガードにアタック!
更にサヴァスの
あたいの合計4回目のアタックが行われた時、対象がヴァンガードなら相手はあたいが選んだ3体の中から1体リアガードを選んで退却させる!
あたいが選ぶはグローリー・メイルストローム、ラスカル・スイーパー、マリオスだよ!「まあ、順当にアタッカーを選ぶか……マリオスを退却し、ノーガード!『蒼嵐兵 ミサイル・トルーパー』『☆』」
またダメージトリガー⁉︎
くっ、カリスタに付与されたアンドレイのスキル!
ブーストを受け、ヴァンガードへのアタックを終えた時にパワー+2000してスタンド!
スタンドしたカリスタでもう一度アタック!「ガード!」
ちょっと予定が狂った…ターンエンド!」
カリスタVSメイルストローム:14000+7000VS16000=ヒット
ダメージチェック『蒼嵐兵 ミサイル・トルーパー』『☆』
グローリー・メイルストローム:P11000+5000=16000
カリスタ:P14000+2000=16000、スタンド
カリスタVSメイルストローム:16000VS16000+5000=ガード成功
チルノ:手札:3
小町:手札:3
しかし予想外のトリガーの助けもあった為か、上手く小町のアタッカーを削れずダメージも余り与える事が出来ずにターンを終えてしまう。
しかしヘルメスを退却させた事で左ラインがアタックが通らず、またマリオスも退却した事で以降、
「ドンマイドンマイチルノ!
確実に追い詰め始めてるよ〜!」
「焦らないでね、チルノちゃん!」
「っと、そうだ焦らない焦らない…………分かってるよ皆!」
ファイトやチルノの様子を見ていた大妖精達は、チルノが先程のアタックに失敗したのを察知し、焦らない様に声を掛ける。
それに気付いた当のチルノは応援組にサムズアップをし、やや落ち着きを取り戻していた。
「いや〜、信頼出来る友達は最高だね〜。
居るだけで心強いもんだよね〜…………さて、ファイトに集中しなよ?
でないと……負けるよ?」
すると小町が茶化しながらチルノにファイトに集中する様に声を掛け、ドロー後に手札に手を掛けてメイルストロームをドロップゾーンに捨てていた。
そう、小町は
「
全てを飲み込む猛き風、蒼き竜と共に爆流となれ!
ストライド・ジェネレーション、『蒼嵐帥竜 アドミラル・メイルストローム』‼︎
そしてラスカル・スイーパーとアオザメ兵を前列に移動、グローリー・メイルストロームを後列へ!」
「来た、メイルストロームのGユニット!」
イメージ世界にて、サヴァスにライドしたチルノの眼前に現れたメイルストロームの未来の可能性の姿。
元帥となり、〈アクアフォース〉全部隊を指揮するにまで至った全盛期とも呼べる姿、アドミラル・メイルストロームが咆哮を上げながらチルノの〈アクアフォース〉を見ていた。
「さぁて、攻撃始めますか。
ラスカル・スイーパーでヴァンガードにアタック!
パワー+2000!「ノーガード、ダメージは……マリカ、ドロートリガーだからパワーはオルティアに!」
あらら、私のダメージトリガーへの意趣返しかな?
次、グローリー・メイルストロームでカリスタをアタック!「ガード!」
3回、アオザメ兵で空撃ちアタック」
ラスカル・スイーパーVSサヴァス:9000+2000VS11000=ヒット
ダメージチェック『
オルティア:P7000+5000=12000
チルノ:手札:4
グローリー・メイルストロームVSカリスタ:11000VS9000+5000=ガード成功
アオザメ兵VSサヴァス:7000VS11000=ガード成功
「さあ、4度目のアタックだよ。
チルノ、ちょっと気張って受けなよ?
何故なら4度目は、大嵐だからさ!
アドミラル・メイルストロームでアタック‼︎「うぐ、手札不足……ノーガード‼︎」
ふっ、トリプルドライブ『蒼嵐兵 キッチン・セイラー』『治』『蒼嵐水将 デスピナ』『☆』『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』ヒール&クリティカル、効果は全てアドミラル・メイルストロームに。
そしてアドミラル・メイルストロームのスキル、アタックヒット時に
私はこの時裏向きのアドミラルを表にし、更に私は相手のリアガードを3体まで選び、相手は
オルティアは選べない、よってカリスタとスタシアを選ぶ‼︎「うぐ…………ここは、カリスタ‼︎」
ふっ、ターンエンド」
アドミラル・メイルストロームVSサヴァス:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『蒼嵐兵 キッチン・セイラー』『治』『蒼嵐水将 デスピナ』『☆』『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』
小町:ダメージ:4→2/3 手札:7
ダメージチェック『斬波刀の水将 マックス』『
チルノ:ダメージ:5 手札:3
小町の攻勢を防ぐべくチルノは敢えてリアガードにパワーを振り、3回目のアタックを空撃ちにさせてリアガードの被害を最小限にするも、ダメージが5枚になり危険領域と化し最早危険域に達していた。
更に、ダメージ5枚は連撃を行うクランには絶好の的であり、防御側はもうアタックをヒットさせられない為圧力が増すのである。
「あわわわわわ、チルノのダメージが〜⁉︎」
「まだ、まだチルノは負けてないよ!
なら応援するだけでしょ皆!
フレー、フレー、チールーノ!」
「ファイトなのだ〜‼︎」
崖っぷちに立たされたチルノを励まそうと応援をし、大妖精も祈る様にチルノを見ていた。
それに対してチルノは…………笑っていた。
ただ、このファイトを楽しんでいた。
チルノの頭の中にはこれが特別プログラムである事はしっかりと入っていたが、それを上回る楽しさを感じておりそれが表情となって表れていたのだ。
そう、自分のデッキと別れるかもしれないにも関わらず、否、それ故に最大限楽しみながら勝とうとしているのだ。
「えへへ、やっぱりヴァンガードって楽しいや…………『斬波刀の水将 マックス』をコストにストライド・ジェネレーション、『天羅水将 ソクラテス』‼︎
更にコール、マグナム・アサルト‼︎」
天羅水将 ソクラテス:P15000+11000=26000、C1
「行くぞ、先ずはスタシアでヴァンガードにアタック、スキルでパワー+3000されるけど空撃ち!
更にオルティアでアオザメ兵をアタック!「退却だねぇ」
次、ソクラテスでヴァンガード にアタック‼︎
更にソクラテスのスキル、あたいのユニットがヴァンガード にアタックした時、
トリプルドライブ‼︎『タイダル・アサルト』『海域の守り手 プラトン』『スーパーソニック・セイラー』『☆』
クリティカルトリガー、パワーとクリティカルはマグナム・アサルトに‼︎」
スタシアVSメイルストローム:6000+3000VS11000=ガード成功
オルティアVSアオザメ兵:7000VS7000=ヒット
ソクラテスVSメイルストローム:26000+5000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『タイダル・アサルト』『海域の守り手 プラトン』『スーパーソニック・セイラー』『☆』
マグナム・アサルト:P9000+5000=14000、C1→2
チルノはトリプルドライブでクリティカルトリガーを引き当て、このターンで決める気で居た。
その為か自然と口が開き出し、自らの想いを呟き出す。
「オルティアのブースト、マグナム・アサルトでアタック‼︎
ソクラテスのスキルでパワー+5000、更にサヴァスのスキルで4回目のヴァンガードへのアタック時に相手のリアガードを3体選び、相手はその中から1体を退却‼︎
今選べるのはグローリー・メイルストロームとラスカル・スイーパーだよ‼︎「ラスカルは無理だから……グローリー・メイルストロームを退却!」
……うん、やっぱりヴァンガードは楽しい!
でもさ、こんなに楽しいのはやっぱり大ちゃんが居て、ルーミアが居て、みすちーが居て、リグルが居て、レティがあたい達を見守ってくれて、何よりこのサヴァスがあたいと一緒に居るから‼︎
だからこそ勝って、これからもあたいはサヴァスや〈アクアフォース〉と、大ちゃん達と一緒のチームで上に行くんだ‼︎「ダメージチェック『蒼嵐水将 スピロス』『蒼嵐兵 ミサイル・トルーパー』『☆』」
マグナム・アサルトの
マグナムでもう一度アタック、いっけえぇぇぇぇぇ‼︎『キッチン・セイラーでガード‼︎」
うっ、防がれた……ターンエンド!」
小町:ダメージ:5 手札:4
チルノ:手札:5
しかし、チルノの想いを乗せたアタックは防がれてしまい、次には小町のターンに回ってしまう。
しかも1番警戒しなくてはならないコンボをダメージ5枚で迎えてしまい、ヒールトリガーが落ちなければ詰みであった。
「ふう……あんたの想いは十分伝わったよ。
まあ、特別プログラム自体は私から見れば合格かな?
次私とファイトをする時はもっと熱く激しいファイトをしようじゃないか……ファイナルターン‼︎
風を横糸、海を縦糸に紡ぎし竜よ、更なる嵐を纏い覇を齎せ!
クロスライド、『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』‼︎
更にスピロスと『蒼嵐水将 デスピナ』をコール‼︎」
蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム(V):P11000+2000=13000、C1
小町:布陣
ラスカル グローリー スピロス
R デスピナ R
そうして小町はファイナルターン宣言をし、そのまま連撃に必要なユニットとコンボに必要なユニット、デスピナをコールして詰めに入り始める。
それを見ていたルーミア達も口を開く。
「デスピナにグローリー・メイルストローム……ダメージ5枚であのコンボが……‼︎」
「ゲームエンド濃厚……そして仮に耐えられてもクロスライド……特定のグレード3のユニットの上にライドする事で常にパワー+2000される所為でアタックが……‼︎」
「チルノちゃん…………‼︎」
チームメイト全員が心配し、ただただ見つめる。
無論小町の言葉は聞こえてはいたが、チルノがこれでは満足せずまた一つ抱え込んでしまうのが分かっていたからだ。
そしてチルノ自身もまだ諦めていない、何故ならまだ全てを出し切ってはいないからだ。
「ラスカル・スイーパーでアタック!「インターセプト!」
スピロスでアタック!
更に
スピロスでオルティアをアタック‼︎「くっ……ガード‼︎」
ふむ、守るか……なら、デスピナのブースト、グローリー・メイルストロームでアタック‼︎
デスピナのスキル、このユニットがヴァンガード の『メイルストローム』をブーストし、それが4回目以降のアタックなら相手はグレード0でガード出来ない‼︎
更にグローリー・メイルストロームはダメージ5枚で限界を超えた更なる先、究極をも突破する‼︎
よってこのアタックはガード不可なのでツインドライブにそのまま入るよ『蒼嵐兵 ラスカル・スイーパー』『カップルダガー・セイラー』トリガー無し……さて、ダメージチェックしなよ」
小町はそのまま淡々とアタックを重ね、グローリー・メイルストロームとデスピナによるガード不可能のアタックをチルノに叩き込みダメージチェックを促す。
そしてチルノはデッキトップに指を掛け、ダメージチェックに入り始める。
無論残り2枚のヒールトリガーを引き当て、レティがこっそり入れてくれたGユニットを使い逆転勝利を掴む為に。
「ダメージチェック…………っ‼︎『
…………き、来た‼︎
ダメージ回復、パワーはサヴァスに‼︎」
「な、ダメージ5枚でこれを凌ぐ⁉︎
なんて引きの強い……‼︎」
チルノの引きに小町は驚きを隠せず呟く。
何故なら今のアタックで確実にゲームエンドに持って行ったと確信を持っていたからだ。
しかし、対してレティは小町の考えとは逆に此処でゲームエンドにはならないと考えていた為至って冷静にファイトを見ていた。
何故なら、チルノを良く見ていた為逆境の中でも意外性と引きの強さを発揮して驚かせる事を良く知っていたからだ。
「よし……次はあたいの番‼︎
ドロー、そしてニッキーをコストに
進め、嵐を超え大いなる世界へ‼︎
ストライド・ジェネレーション、『天羅水将 ランブロス』‼︎
そしてタイダル・アサルトをコール‼︎」
天羅水将 ランブロス:P15000+11000=26000、C1
此処でチルノはレティがこっそり仕込んだ……否、プレゼントしたGユニット、〈アクアフォース〉のGユニットの中で特に強力なスキルを持つ切り札級の1枚、ランブロスを使い小町を言葉に出来ない程驚かせる。
そしてレティはそれを見て、誰にも悟られる事無く笑みを浮かべながらチルノを満足気に見ていた。
「タイダルでスピロスをアタック!
更にオルティア、スタシアの順でラスカル・スイーパーをアタック‼︎
そしてランブロスでアタック‼︎
更にランブロスのスキル、通算4回目以降のアタック時に
更にこの時
これでどうだぁ‼︎「……ガード仕切れないか、ノーガード」」
そしてランブロスのアタックはそのままグローリー・メイルストロームにヒットし、最後のダメージチェックが入り小町は敗北する。
チルノはこの瞬間、特別プログラムを合格すると同時に格上の小町を倒すと言う快挙を達成したのである。
「……勝った…………よっしゃ勝ったぁぁぁぁぁ‼︎」
「凄い、チルノが勝った‼︎」
「ああ、良かった、チルノちゃん……!」
その瞬間チルノ、並びに大妖精達は大喜びしながら互いに駆け寄り、抱き着き合ったり肩を組み合ったりしてはしゃぐ。
そんなチルノ達を見てレティは少し頭を抱えるが今は良しとして特に何も言わなかった。
「良いんですか?
特別プログラムはチルノの勝利が条件で無く実力を示すだけで合格、小町が認めた段階で終了していたと彼女に伝えないで。
それからこっそりランブロスをプレゼントした事を。
あの様子ではあの子達、それぞれ気付いてないですよ?」
「良いわ、折角の勝利ムードに水を差す真似はしたくないわ。
今は存分に喜びを分かち合わせるわ…………それが指導者としての役割の一つよ」
「そうですか……」
そんな中で映姫とレティがその様な会話をしていた事を知らず、チルノ達は無邪気に笑い合いはしゃいでいた。
そして、その場を邪魔する物などなく五人は笑い合ったのであった。
この特別プログラムでの、チルノが自分らが考え抜いたデッキで勝利した事を。
「〈アクアフォース〉クランマスター、レティ・ホワイトロック」
「……貴方は……」
「話がある」
そう、チルノ達が喜び合っている事自体は邪魔されない。
しかし、レティの方に誰も声を掛けて来ない訳では無いのだ。
そして、声を掛けて来た人物は…………現在ヴァンガードファイト普及協会本部に所属する〈リンクジョーカー〉の使い手、『シャドウ』の偽名で蓮子達に接触しているブライトその人であった。
ここまでの閲覧ありがとうございました。
はい、長くなりました(色んな意味で)
これにてチルノ主役回は終わり、次回からはまた別の人が主役になります。
因みに蓮子達も出る予定です。
では、次回もよろしくお願いします。
よろしければ、感想などを書いて頂けたら幸いです。
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第53話「影の騎士団」
徐々にお気に入りが増え、閲覧数も2000を突破し作者として嬉しい限りです。
この作品を見て下さった皆様、お気に入り登録をしてくれた皆様、本当にありがとうございます。
これからも皆様に見て頂ける様に日々精進して参ります。
では、本編へどうぞ。
とある日の紅魔館、レミリアとフラン達がファイトスペースで蓮子と麟、メリーとブロントさんのファイトを観戦し、特に蓮子とメリーの成長を見ようとしていた。
「ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 レリジャス・ソウルセイバー』!
レリジャスのスキル発動、
レリジャスでアタック‼︎「完全ガードです‼︎」
トリプルドライブ……クリティカルトリガー、効果はブラスター・ブレードに!
ブラスター・ブレードでアタック‼︎「もう一度完全ガード‼︎」
うへぇ、完全ガード2枚⁈
セ、セルディックでリアガードをアタック!」
「『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』でアタック!
スキル発動、Gペルソナと
くぅ…………速攻で手札を削られて…………ターンエンド!」
しかし、今回はアタックを防がれてしまいフィニッシュの瞬間を逃してしまっていた。
そしてその直後、返しのターンで蓮子は『立春の花乙姫 プリマヴェーラ』、メリーは『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』のアタックを受けてしまいそのままゲームエンドを迎えてしまう。
「また負けた…………麟もブロントさんもつよ〜い」
「いえいえ、蓮子達も強いですし、私も蓮子やメリー達とファイトをする時が1番成長を実感出来ますし、私自身も強くなれますよ」
「うみゅ、さすがにナイト派閥は格が違ったと言うか鬼なる最初の頃と比べるとレベルが違うぞ。
やはり蓮子達も一級の廃のファイターになる素質があるな全力で誇って良いぞ」
蓮子とメリーは二人に負けた後に一息吐き麟とブロントさんに強いと話し掛け、その二人も蓮子達は強くなり、更にファイトをし合うと自分達の成長するとも言い、互いに影響し合う良い関係を築き上げていた。
すると、徐々に成長して行く蓮子達に更に興味を持ったのかレミリアが彼女前まで近付き、声を掛け始める。
「ふむ、その成長振り見事な物だな
私もファイトを見ていてついファイターとしての私が疼いてしまったよ…………それでだ、蓮子かメリーのどちらか私とファイトをしてみないか?
何、ちょっとしたファイトだから気負う事は無い」
「えっ……!
確かレミリアさんは支部長でしょ?
となると実力は…………」
「う、うーん……」
蓮子達はいきなりレミリアにファイトをしないかと言う提案に戸惑い、互いに顔を見合す。
更に魔理沙達の方を見れば彼女らも微妙な表情を浮かべており、其処からレミリアはかなりの実力者であると予測が付き、どうしようかと益々迷ってしまう。
すると、オリオンがレミリアの横に立ち一礼をしてから口を開き出す。
「僭越ながらお嬢様、どうやら二人はお嬢様の実力を測りかねている為YESと言えない様です。
ですので此処はこのオリオンとファイトをし、お嬢様の実力を存分に見せてからファイトを申し込むのが如何かと思われます」
「ふむ…………ふっ、と言いつつ貴方が私とファイトをしたいのだろう?
最近、いや、月から帰ってからも全くファイトをしていないからな、正直に言ってみせよ」
「それもあります、と付け加えます(チラッ)」
『(…………あぁ、成る程)』
オリオンがレミリアにファイトの実力を蓮子達に見せつけてからファイトを申し込む事を進言すると、レミリアは彼が自分と久々にファイトをしたいのが主だと悟り、笑みを浮かべながらファイトテーブルに移動していた。
その間にオリオンは蓮子とメリーをチラ見し、レミリアとファイトをするかはこのファイトを見て判断せよと言う意図を察し、二人はファイトテーブルの横に移動しファイトの観戦を始める。
「ふふふ、思えばお前とは月に行く以前からファイトはしていなかったな……手加減などして幻滅させてくれるなよ?」
「ええ、無論です。
お嬢様も手心を加えて頂けないのであるならば感謝の極みです」
二人はFVを抜き出してからデッキをシャッフルしながら笑顔で会話を交わし、しかし何処か棘がある様な言葉を互いに言い何やら緊迫した空気が流れ始め、蓮子とメリーは何がどうなってるのか分からず魔理沙の方を見る。
「……あ〜、レミリアとオリオンにファイトをするといつもこうなるんだよ。
二人は主人と従者の関係である事は揺らぎないんだけどな、それ以前にヴァンガードファイターとしてはトップをひた走ってて度々ファイトをしたりするんだ。
で、いざファイトが始まるとどちらが強いか白黒つける為にな……」
魔理沙が話している間にレミリアとオリオンはシャッフルを終え、手札交換も済ませて既にFVに手を掛けていた…………ファイト前の笑顔を全く崩さないまま。
これは側から見れば不気味に見えるかもしれないが、これには訳がある。
それは、互いにファイトが始まる瞬間まで気迫などを溜め込んでいるのだ……相手の、特に身内で且つ最も厄介極まり無いファイターに気圧されない為に。
「あ、皆此処に居たんだ!
って、お姉様とオリオンが」
『スタンドアップ・THE・ヴァンガード‼︎』
「『煉獄竜 ペタルフレア・ドラコキッド』‼︎」
「『フルバウ・ブレイブ』‼︎」
そんな不穏な空気が流れ始めている中にフランが不意にファイトスペースに入って来た瞬間、レミリアとオリオンは笑顔を崩し殺気に似た闘気を互いに噴出させながらFVをスタンドアップ、ファイトを始める。
そうして蓮子はレミリアのクランを見る。
自分やブロントさん、咲夜の〈ロイヤルパラディン〉の対極に位置し、〈ロイヤルパラディン〉が仲間を呼び出し強化するスキルに長けているなら、レミリアのクランは仲間を犠牲にし、己が力に変える者達……影の騎士団〈シャドウパラディン〉を。
「〈シャドウパラディン〉……確か蓮子達の〈ロイヤルパラディン〉とは逆の性質を持つ……」
「うん…………で、一ついいかな?
あれ、もしかして魔理沙が言ってた?」
「そ、二人がファイトを始めるとああなるんだよ」
メリーが〈シャドウパラディン〉に触れると蓮子もそれに頷くが、それよりもレミリア達がいきなり闘気を剥き出しにした事に気を取られ、〈シャドウパラディン〉の事を魔理沙から聞いた知識でメリーに説明するのを忘れており、魔理沙も苦笑いを浮かべながらいつもああなると言っていた。
するとフランの後にパチュリーと小悪魔もやって来てファイトに釘付けとなった。
「あら、フリーで二人が本気のファイトをするなんて珍しいわね。
こあ、これは成長したオリオンと今のレミィをじっくりと間近で観察するチャンスよ、二人の今の戦い方を見るわよ」
「はい、パチュリー様」
「いっけぇオリオン、お姉様なんかフルボッコにしちゃえ〜!」
どうやら二人がフリーファイトで本気を出すのは珍しいと知った蓮子とメリーはこの二人の雰囲気に気圧されながらも予定通りじっくりとファイトを見る事にし、ジッと手札と盤面、息遣いなどを見ていた。
「ふっ、先攻はオリオン、お前にやろう。
存分にその力、見せてみろ」
「(コクッ)俺のターン、ドロー。
ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンモンク ゴジョー』!
ペタルフレアは後列に移動し、ゴジョーのスキルで手札の『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』をドロップし、1枚ドロー。
ターンエンド!」
煉獄竜 ペタルフレア・ドラコキッド:P5000、C1
ドラゴンモンク ゴジョー:P7000、C1
先攻はオリオンから始まり、手札のジ・エンドをドロップし手札交換をすると同時に、月の大会で見せた『ドラゴニック・バーンアウト』への布石を打つ。
無論今は使うタイミングでは無いが、後々退却を優先するユニットが出た際に使う為である事はファイトを重ねた蓮子達にも当然分かっていた。
「ふむふむ成る程な、ドロー。
ライド、『ダークハート・トランペッター』!
フルバウ・ブレイブは
フルバウ・ブレイブ:P5000、C1
ダークハート・トランペッター:P7000、C1
レミリア:布陣
R ダークハート R
フルバウ R R
ダークハートVSゴジョー:7000VS7000=ヒット
ドライブチェック『ファントム・ブラスター・ドラゴン(BR)』
ダメージチェック『ラーヴァフロウ・ドラゴン』
オリオン:ダメージ:1
レミリア:手札:6
対してレミリアは何故かFVを左後列に移動させそのままアタックをする。
本来は後列にブースト用リアガードを置き、パワーを引き上げるのが一般なのだが、それをせずに前列にリアガードが居ない場所を埋める。
メリーはこれを見て、似た事を『シャドウ』にやられた事を思い出し何かあるなと感じていた。
「スタンド&ドロー。
ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴンナイト ネハーレン』!
ペタルフレアのブースト、ネハーレンでアタック!『ドラゴニック・バーンアウト』
ターンエンド!」
ドラゴンナイト ネハーレン:P10000、C1
ネハーレンVSダークハート:10000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『ドラゴニック・バーンアウト』
レミリア:ダメージ:1
オリオン:手札:6
序盤は剥き出しの闘気の割には静かな立ち上がりに蓮子とメリーは、いつこれが爆発し激しい戦いが起きるのかとハラハラしながらファイトを観戦しており、他も動向を伺っていた。
……但し、この場に居る紅魔館勢はトトカルチョをしており、どちらが勝つか今日のデザート賭けていた。
「はいはい咲夜、私はオリオンが勝つに賭けるね〜」
「咲夜、私はレミィに賭けるわ」
「あ、私もパチュリー様と同じです」
「はいはい。
さて、後は美鈴を呼んで来ましょうか」
賭けの集計をしていた咲夜は美鈴を呼びに行き、その場から去る。
そんな光景を見ていた蓮子とメリーはこれが紅魔館の日常なのかと感じ苦笑していた。
するとその間にまたファイトが動き始める。
「ドロー、ライド、『闇夜の乙女 マーハ』!
更に『真黒の賢者 カロン』と『ハウルオウル』をコール!
ハウルオウルのブースト、マーハでアタック!「『槍の化身 ター』でガード!
ドライブチェック『ハウルオウル』『引』ドロートリガー、パワーはカロンに与えドロー。
カロンでアタック!「ノーガード『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
ターンエンド!」
闇夜の乙女 マーハ:P9000、C1
真黒の賢者 カロン:P7000、C1
ハウルオウル:P4000、C1、『引』
マーハVSネハーレン:9000+4000VS10000+10000=ガード成功
ドライブチェック『ハウルオウル』『引』
レミリア:手札:4→5
カロン:P7000+5000=12000
カロンVSネハーレン:12000+5000VS10000=ヒット
ダメージチェック『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
レミリア:最終手札:6
オリオン:ダメージ:2 手札:5
レミリアは攻める態勢に入る準備期間の様な展開をしつつしっかりとオリオンにダメージを与え、手札もそれなりに潤っていた。
但し、〈かげろう〉は退却を専門とし、更にその中でも『ドラゴニック・オーバーロード』関連はアタックがヒットすればヴァンガード がスタンドする軸である為、リアガードを出す=的を増やすと同義になりかねない為一見すると悪手に捉えかねない展開である。
「うーん、此処から互いにどう動くか見物ね……」
「ま、此処からが本番だから見てなよ」
蓮子がそう呟いた所で魔理沙が此処から本番だと言いファイトの方を注視する様に促すと、既にオリオンはドローを終え闘気が満ち満ちていた。
そう、本命のユニットであり自らのフェイバリット、『ドラゴニック・オーバーロード』にライドする気なのだ。
「ライド・THE・ヴァンガード !
この世の全てを焼き尽くす黙示録の炎、『ドラゴニック・オーバーロード』ッ‼︎」
「来たか、オーバーロード…………お前…………
ドラゴニック・オーバーロード(BR):P11000、C1
遂にオリオンの分身、ドラゴニック・オーバーロードが場に登場し、ファイトが本格的に中盤に差し掛かった事をその姿で示す。
それを見たレミリアは戦意剥き出しの笑みを浮かべ、オリオンにもっと期待させろと言わんばかりに闘気を更に滲ませる。
このフリースペースの空気がピリピリ、否、震えていると錯覚しかねない程に。
「コール、『バーニングホーン・ドラゴン』、『ドラゴニック・バーンアウト』!
バーンアウトのスキル、ドロップゾーンの『オーバーロード』を1枚山札の下に戻し、
バトルフェイズ、バーンアウトでヴァンガード にアタック!「ノーガード『血戦の騎士 ドリン』」
ドラゴニック・オーバーロードでアタック、ツインドライブ!『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
パワーはバーニングホーンにプラス!『虚空の騎士 マスカレード』『フラトバウ』『治』
アタック!「ハウルオウルでガード、ヒールトリガーでダメージ回復とパワー増加のお陰で5000ガードだ」」
バーニングホーン・ドラゴン:P9000、C1
ドラゴニック・バーンアウト:P9000、C1
バーンアウトVSマーハ:9000VS9000=ヒット
ダメージチェック『血戦の騎士 ドリン』
ドラゴニック・オーバーロードVSマーハ:11000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
ドラゴニック・オーバーロード:C1→2
バーニングホーン・ドラゴン:P9000+5000=14000
ダメージチェック『虚空の騎士 マスカレード』『フラトバウ』『治』
レミリア:ダメージ:3→2
マーハ:P9000+5000=14000
バーニングホーンVSマーハ:14000+3000VS14000+5000=ガード成功
オリオン:手札:5
レミリア:最終ダメージ:3 手札:5
そうしてオリオンは闘気を滲ませるレミリアに応える様に闘気を強め、リアガードの退却とダメージを与えダメージレースでリードを取る。
対するレミリアはヒールトリガーで余計なダメージを防いだついでに最後のアタックも最低値のガードで切り抜ける。
しかもこれらの行程は普段蓮子達がファイトをするスピードよりも更に早く処理されていた為、蓮子とメリーは一瞬処理落ちしたかの様にこのファイトの流れを理解するのに1テンポ遅れてしまっていた。
「は、早い……バーンアウトのスキル発動から後のアタック、この流れが私達がやるファイトでの処理やら行動とか全部早かった……!」
「しかも、これ全部二人は正確に、無駄無く対処してる…………これが、魔理沙が言っていた本番……!」
蓮子とメリーは月の大会ですら見なかった余りの高速ファイトに息を呑み、驚きながらファイトに釘付けとなり二人の闘いの行方を見守っていた。
一方、魔理沙やブロントさん達はレミリアにターンが回った事で遂に彼女が本格的に動き出す事を察し、身構えもしていた。
「ふふふ、月で揉まれただけあって随分と成長したなぁ……ドロー!
ならば、私も持てる力を出し切り応えねばならんな、成長した貴様の強さその物に!
闇より出でよ、幽幻の竜!
ライド、『ファントム・ブラスター・ドラゴン』‼︎」
ファントム・ブラスター・ドラゴン(BR):P11000、C1
レミリアはグレード3にライドし、奈落竜とも呼ばれる〈シャドウパラディン〉の創始者にしてかつて聖域連合に反旗を翻し、〈シャドウパラディン〉の内乱を引き起こした呪われし竜を顕現させる。
黙示録の竜とも死闘を演じ、聖域連合最強の剣士と称される『ブラスター・ブレード』に討たれた後、歴史の裏でその名を刻み、ある時はエルフの騎士の姿で影の騎士団と共に贖罪をし、またある時は竜の姿となり分かたれた悪意と決着をつけるべく血戦に赴き、そのまま歴史から消えし者……『ファントム・ブラスター・ドラゴン』、レミリアが使っていた切り札の1枚がオーバーロードを扱うオリオンと相対した。
それも、先程までのレミリアと打って変わり、闘いを愉しむ
「来やがったな、ファントム・ブラスター」
「うみゅ、しかすあれは俺達が知るファントム・ブラスターとはまた違うファントム・ブラスター英語で言うとリメイクカード。
恐らくはドラゴニック・オーバーロードと同じくブレイクライド版、果たすてどんなスキルを持っているのか……」
「その答えはこのファイトにあります。
なので静かに見ましょう、支部長となった後に滅多にファイトをしなくなり、ファイトをしても何処か力を隠していたレミリアさんの今現在の本気のファイトを……」
魔理沙達はレミリアのユニットを冷静に分析し、更に現在の実力も今まで分からなかった分測るべくファイトの行方を見る。
その間にファントム・ブラスター・ドラゴンにライドしたレミリアとドラゴニック・オーバーロードにライドしたオリオン。
二人の闘気はより一層強まり両者共に己の力を出し切り相手を倒そうとファイトの流れを頭の中で構築し、実行に移そうとする。
このトップレベルのファイター同士のファイトは、まだなお熾烈を極める事は蓮子とメリーの目から見ても明らかであった……。
此処までの閲覧ありがとうございます。
レミリアのデッキは第7話の最後付近で示された通り〈シャドウパラディン〉、その中でも『ブラスター・ダーク』や『ファントム・ブラスター・ドラゴン』と言うこのクランが出た初期の頃に出たユニット達に縁があったり、それらが成長したりIFの姿だったりなどのユニットで固めた構築となります。
此処で〈シャドウパラディン〉と〈ロイヤルパラディン〉の違いについてちょっと話します。
蓮子達が使うロイパラは仲間を呼び、仲間と共にパワーを上げたりするのに対しシャドパラは仲間を呼び、それらを犠牲(ドロップ)して強力なスキルを発揮する対極なクランです。
また、ロイパラはグレード2リアガードを主に呼ぶのに対し、シャドパラは主にグレード1リアガードを主に呼ぶなど、スペコにも違いが現れてます。
長々となりましたが、違いの説明を終わります。
次回もよろしくお願いします。
よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第54話「漆黒の剣VS黙示録の炎」
前回のレミリアVSオリオンの対決の続きとなりますが、1話に収めた為かなり長くなってしまいました。
読み辛くはありますがどうかご了承下さいませ。
では、本編へどうぞ。
「さて……ファントム・ブラスターのスキル発動!
このユニットがヴァンガード として登場した時、私のリアガードを1体退却させる事でデッキから『ブラスター』の名を持つカードを1枚手札に加える!
私はハウルオウルを退却させ、デッキからファントム・ブラスター・ドラゴンを手札に加える!」
「えっ、ライドして場の味方リアガードを退却してデッキからグレード3を確保⁉︎」
「あのユニットはブレイクライドユニット、ブレイクライドが謳歌していた頃なら次のブレイクライド先を確保したと言う事になっただろうな。
でも今は
「つまり、あるは
そして、レミリアのデッキに隠された力が神秘のヴェールに隠されてきたがついにそのカーテンが開かれる事になる‼︎」
レミリアがファントム・ブラスターにライドした直後に発動したスキルでデッキからグレード3を確保すると、蓮子達が驚くに対して魔理沙達は冷静に分析し
オリオンも冷静にレミリアを見据えながら手札を使う用意をする。
そして、魔理沙達の予想は当たりデッキから加えられたファントム・ブラスターは
「ストライド・ジェネレーション、『暗黒騎士 グリム・リクルーター』!
更にヴァンガード の後ろに『ジャッジバウ・
そしてフルバウ・ブレイブを前列に移動!」
暗黒騎士 グリム・リクルーター:P26000、C1
ジャッジバウ・
レミリアは俗に言うガ・ブレード互換、アタックがヴァンガードにヒットした瞬間にスキルを発動するGユニットに
「バトルフェイズ、ジャッジバウのブースト、グリム・リクルーターよ、オーバーロードを斬り裂け‼︎「……ボードアドは取られるが、ダメージと手札を見るに防ぐべきでは無いか……ノーガード!」
トリプルドライブ『ファントム・ブラスター・オーバーロード』『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』『デスフェザー・イーグル』『☆』クリティカルトリガーゲット!
パワーはフルバウ 、クリティカルはヴァンガードに!」
グリム・リクルーターVSドラゴニック・オーバーロード:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ファントム・ブラスター・オーバーロード』『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』『デスフェザー・イーグル』『☆』
フルバウ ・ブレイブ:P5000+5000=10000
グリム・リクルーター:C1→2
ダメージチェック『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』『ドラゴンモンク ゴジョー』
レミリアが憑依したグリム・リクルーターの鋭い鎌とドラゴニック・オーバーロードの黙示録の剣が交差し、何度も打ち合う中でグリム・リクルーターがオーバーロードの巨体を吹き飛ばし大ダメージを与える。
リアル視点でもオリオンに2ダメージが入り彼の表情が少し険しくなる。
それを見ていた蓮子達は矢張りハラハラし、魔理沙達は〈シャドウパラディン〉の黒きトランペッター、軍師カロン、(何故か幼女化した)魔女ネヴァンや2種類のファントム・ブラスターを見てレミリアが初期に使っていたかつての〈シャドウパラディン〉が連想され感慨深くなっていた。
「ふっ、アタックヒット時にグリム・リクルーターのスキル発動!
デッキからグレード1以下のユニットを1体スペリオルコールする!
現れよ、戦歌を響かせし黒き天使ダークハート・トランペッター!
更にダークハートのスキル、
次は貴様だ、黒き剣士に付き従いし兄弟の片割『力戦の騎士 クローダス』!
そしてジャッジバウのスキル、『ファントム』のユニットをブーストしたアタックがヴァンガードにヒットした時、
来たれ、敵の武具を毀す黒き天使『黒翼のソードブレイカー』!
今コールした2体のソードブレイカーのスキル、デッキからコールされた時
更にクローダスの
力戦の騎士 クローダス:P7000+2000=9000、C1
黒翼のソードブレイカー×2:P6000、C1
レミリア:手札:9 ダメージ:1/3 ソウル:0
布陣
フルバウ グリム・リクルーター ダークハート
【←】:レスト状態
更にレミリアは2体がレスト状態(行動不可)で後列とは言え、全てのリアガードサークルを埋め尽くし、前列のフルバウはリアガードに、ダークハートはきっちりとヴァンガード にアタックが可能となっており抜かりがない動きに加え、手札を9枚まで増やし次のターンで必ず動くであろうオリオンの攻撃にすら対応していた。
「凄い、あれだけの動きを1ターンで見せ付けるなんて……!」
「レミリアさんはやっぱり、トップファイターって言われるだけはあるわね……」
蓮子とメリーはこれらをあっさりと成し遂げたレミリアにただただ感心し、自分達よりも更に高みに居るファイターである事を改めて認識し尊敬の眼差しを向けていた。
但し、ジャッジバウやグリム・リクルーターのアタックはオリオンは防ごうと思えば防げていたが、敢えてスルーしていたと言う部分とレミリアがそうするだろうと確信してアタックしていたと言う心理的な部分はまだまだ理解出来ておらず、この部分まで理解出来ていたのは普段から二人を知る咲夜やフラン達、更に魔理沙達だけであった。
無論そうした理由も察していたりする。
「さて、次は貴様が私に全力を尽くしてくれる番だろう?
フルバウでバーニングホーンをアタック!「インターセプト!」
ダークハートでアタック!「ブルーレイでガード!」
ターンエンド…………さあ、貴様の全力を私にぶつけて来るが良い。
そして私はそれを超え、今現在での紅魔の主たる我が力をこの場の者達に示してくれよう‼︎」
そしてレミリアのテンションは最高潮に達し、オリオンが次に仕掛けて来る事も既に予測し切り、それすら凌駕し自身の力を示すと豪語する。
それを聞いたオリオンも不敵な笑みを浮かべ、レミリアをこのターンで倒す気満々である事を案に示す。
すると、フリースペースに漸く美鈴もやって来てトトカルチョに参加していた。
「あ、美鈴やっと来たね!
美鈴はどっちに賭けたの?」
「はい妹様、やっと来れましたよ。
そうですね、私はオリオンが勝つ方に賭けましたよ」
「わぁい、私と一緒だ〜!」
フランと美鈴が会話をする最中、それを合図にオリオンは不敵な笑みをスッと消し、直ぐに険しい表情となりドローをする。
そして彼が纏う闘気…………最早覇気と呼ぶに相応しきそれはそのカード1枚で爆発し、全てを焼き焦がす紅蓮の炎にも見える様になり、このファイトスペース全体の空間を支配し、見る者全てを圧倒する。
「再誕に再誕を重ね、更なる力を求めし修羅の道。
その探求の果てに、終焉と交わりて激しく燃え上がれ‼︎
ブレイクライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
ブレイクライドスキルでパワー+10000、スキルを獲得!
そしてシーク・THE・メイト‼︎
ドロップゾーンのゴジョー、ター、バーンアウト、ブルーレイをデッキの上に戻し、デッキの中から『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』探し
全てを焼き尽くす業火よ、禁忌の交差を経て更なる力を得よ、
更に
ペタルフレアのスキル、
そして今ドローした‘‘
ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド:P11000+2000=13000、C1、
カラミティタワー・ワイバーン:P5000、C1
オリオン:手札:3 ソウル:0
布陣
バーニングホーン ‘‘
R R カラミティタワー
そしてその覇気の答えたる‘‘
しかもペタルフレアのスキルが発動した為アタックがヒットすればリアガードも吹き飛び、またヴァンガードがスタンドすると言う悪夢が繰り広げられる事が確定していた。
レミリアはこれをヴァンガード のアタックを防がねば此処で負ける可能性すら出て来ていた……にも関わらず。
「…………」
『(わ、笑ってる……)』
ただただ笑っていた。
オリオンの振るう全力をその身で受けるのが楽しみと言わんばかりに。
蓮子とメリーは本来なら焦る場面で笑うレミリアに対し何故これで笑えるのかと疑問に思っていた……が、答えなら既に彼女の口から出ていた。
そう、超える気なのだ、オリオンが見せる全力を。
故に笑い、彼のそれにすら負けぬ覇気を出すのである。
「ふっ、それでこそお嬢様……いや、紅魔の盟主、レミリア・スカーレットだ…………ならば、俺は此処で決める‼︎
2体のオーバーロードでフルバウをアタック‼︎「ノーガード‼︎」
ツインドライブ‼︎『槍の化身 ター』『☆』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』
クリティカルはヴァンガード、パワーはそれぞれリアガードに‼︎
ブレイクライドスキルでコストを払いスタンド、更にペタルフレアのスキルでクローダスを退却し、今度はダークハートをアタック‼︎「ノーガード‼︎」
ツインドライブ‼︎『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
パワーはリアガードのオーバーロード、1枚ドローしヴァンガードのジ・エンドのスキルによりスタンド、更に黒翼のソードブレイカーを退却‼︎」
‘‘
ツインドライブ『槍の化身 ター』『☆』『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』
‘‘
‘‘
バーニングホーン・ドラゴン:P9000+5000=14000
‘‘
ツインドライブ『ドラゴニック・オーバーロード‘‘
‘‘
オリオン:手札:6
オリオンの2体のオーバーロードの攻撃によりリアガードはソードブレイカー1体を残して壊滅させられ、トリガーも3枚乗りリアガードのパワーとヴァンガードのクリティカルが上がり、手札が増量しダメージも回復されてしまう。
蓮子とメリーはこうなっては自分達なら勝つのは絶望的、防ぎ切ったとしても反撃用の手札まで削られてしまい攻撃のリソースが尽きてしまう。
そんな状態でもレミリアは表情を崩さず、寧ろ覇気を更に増大させこのファイトを楽しんですらいるのだ。
これは常人からすれば狂気的であろう……が、紅魔館では至って平常、日常的な光景なのだ。
そう、蓮子達にはまだ分からない紅魔の深淵と言うべき部分が今、目の前に広がっているのである。
「行くぞ、2体のオーバーロードで、ファントム・ブラスター・ドラゴンをアタック‼︎「おっと、『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』で完全ガード‼︎」
ツインドライブ‼︎『槍の化身 ター』『☆』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
それぞれリアガードのオーバーロードとバーニングホーンにパワーとクリティカルをプラス‼︎
バーニングホーンでヴァンガードにアタック‼︎「ノーガード‼︎『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』『ファントム・ブラスター・オーバーロード』
リアガードのオーバーロードでアタック、合計パワーは26000だ‼︎「『フラトバウ』と『デスフェザー・イーグル』でガード、合計シールドは31000でガード完了だ‼︎」
……ターンエンド!」
‘‘
ツインドライブ『槍の化身 ター』『☆』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
‘‘
バーニングホーン・ドラゴン:P19000+5000=24000、C1→2
バーニングホーンVSファントム・ブラスター・ドラゴン(BR):24000+5000+3000VS11000=ヒット
ダメージチェック『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』『ファントム・ブラスター・オーバーロード』
‘‘
そうして
「凄い、あれだけトリガーが乗ったアタックを凌いだ!」
「しかもきっちりと首の皮1枚だけじゃなく、途中でヒールトリガーが出て回復されない様にダメージ5枚に調整してる……!」
「これがレミリアの実力だぜ。
誰が相手だろうがそのファイトセンスで圧倒し、ファイトそのものの流れを物にする…………過去、数多くのファイターがレミリアに挑んでは敗北し、レミリア自身も幻想郷中にその実力を知らしめた。
だからこそ今や幻想郷でアイツに勝てるファイターは数える程度しか居ないんだ…………さてお二人さん、何だかウズウズしてるみたいだけどそろそろファイトの決着がつく筈だぜ、見逃さない様に集中しときなよ」
蓮子とメリーはオリオンとレミリア、凄まじい攻防を繰り広げる両者の実力とファイトに畏怖し魅かれていた。
この二人の状態はレミリア達の本気のファイトを見た誰もが陥る状態であり、大抵はこの次に勝てないと諦め、彼女達に挑もうとするのをやる前から止めてしまう。
しかし、対して蓮子とメリーは魔理沙の指摘通りウズウズし、早くレミリア達に挑みたいと高揚しているのだ。
幻想郷に来て二人は数多くのファイトを経験して行き、その中でヴァンガードファイターとしての心構え、もっと言ってしまえば誇りやら矜持が芽生え、育っていたのだ。
故に二人は強いファイター、しかも格上に挑もうとするしそれに喜びを感じているのである。
そして、そんな二人に魔理沙はファイトに決着がつく事を指摘して蓮子とメリーの視線をファイトに釘付けにする。
それと同時にレミリアは静かな笑い声を上げ、オリオンのファイトに満足気な様子を見せる。
「ふ、ふふふふ……まさか、ここまでの実力だとは予想以上だったぞ。
ああ、正直此処で決めねば私の敗北が決する。
本当、貴様は我が従者であり最強の強敵だよ……故に、最高の一撃で以ってこのファイトに終止符を打とう。
心して受けよ…………スタンド&ドロー‼︎
……ふっ、貴様が来る事は分かっていた。
共に征こうか、我が道を…………覚悟と言う名の漆黒の剣を手に殲滅せよ、我が分身!
ライド、『ブラスター・ダーク ‘‘
ブラスター・ダーク ‘‘
レミリアはファイトに終止符を打つと宣言し、そのままドローをしその引いたユニットに再ライドする。
その姿は蓮子の『ブラスター・ブレード』に良く似ており、しかしその鎧は〈シャドウパラディン〉、影の騎士団に相応しき漆黒の鎧であり、手にしている得物も長剣では無く漆黒の大剣。
更にレミリアがライドした事によりこのユニットが元から持つ歴戦を切り抜けて来た戦士の覇気に彼女の覇気が合わさり強大な覇気がイメージ世界を、リアル世界を支配する。
このユニットこそが、レミリアの分身であり幾多ものファイトを駆け抜け、勝利を共に手にして来た彼女が愛用するユニット。
ブラスター・ブレードが光ならばこちらは影、ドラゴニック・オーバーロードも含めヴァンガード界でその名を知らぬ者は居ないとされる伝説のユニット……影の騎士、『ブラスター・ダーク』である。
「あれは、ブラスター・ダーク!」
「あれが私のブラスター・ブレードの対の……」
「駄菓子菓子、俺達の知るブラスター・ダークはあくまでグレード2だったと言う意見。
だがあれはファントム・ブラスターと同じくグレード3……つまりは俺達の知らない全く新規のブラスター・ダーク、レミリアの分身の新たなる姿だ!」
しかし、魔理沙やブロントさん達もこのブラスター・ダーク ‘‘
しかし、まだ終わらないのだ。
新たな姿を得たのは何もブラスター・ダークだけで無いのだ。
「ふ、まだ慌てるな。
これからが本番さ……
コストは『ファントム・ブラスター・オーバーロード』!
凶悪なる力を手に、漆黒の闇より深き闇より出でよ!
ストライド・ジェネレーション、『暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘
暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘
そう、カロンやトランペッター、ブラスター・ダークが新たな姿と力を得たのなら当然、ファントム・ブラスターも新たな力を手にするのは必然であるのだ。
このファントム・ブラスターを見た瞬間、ブロントさん達は勿論の事今まで月に居た為レミリアの力を把握していなかったオリオンもまた驚愕し、その瞳を見開いていた。
「なっ、ファントム・ブラスターのGユニット……⁉︎」
「これが、今のレミリアの真の力……‼︎」
「ふっ……ブラスター・ダークの
我が前より消え失せよ、カラミティタワー・ワイバーン‼︎
そしてファントム・ブラスターのスキル、
そしてカロンと『血戦の騎士 ドリン』をコール!
ドリンの
暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘
血戦の騎士 ドリン:P9000+2000=11000、C1
レミリア:布陣
R ファントム・ブラスター ドリン
ソードブレイカー R カロン
そうしてレミリアはオリオンに勝利をすべく今出来る布陣を組み、オリオンへのアタックを開始しようとする。
対してオリオンも手札の完全ガードやトリガーカードなど、あらゆるガード手段を以ってこの攻撃を凌ぎ切ろうとしていた。
しかし……レミリアは一同が予想した動きとは異なる動きを見せた。
「カロンのブースト、ドリンでバーニングホーンをアタック!「何、バーニングホーンを…………ノーガード!」」
「ふふ、何故リアガードを狙ったのか面食らったな。
理由は……これだ!
ファントム・ブラスター ‘‘
此処でファントム・ブラスターのスキル発動、ヴァンガードへのアタック時に私は3体のリアガードを退却し、相手は自身のリアガードを2体退却しなければこのアタックに対し手札からガーディアンをコール出来ない‼︎
更にカロンのスキル、私のヴァンガードのスキルコストで退却する時、ヴァンガードに『ブラスター』が居るなら退却コストを2体分にする‼︎
よって私は2体分のコストとなったカロンとソードブレイカーを退却だ‼︎」
「な、何⁉︎
リアガードを2体……しまった、先程退却されたバーニングホーンとリアガードの‘‘
ファントム・ブラスター ‘‘
レミリアがバーニングホーンをアタックした事に一瞬何が狙いか分からず様子見をしたオリオンだったが、これが仇となりクリティカルが増加したファントム・ブラスターのアタックをノーガードしなければならなくなってしまった。
これにはテンションは上ったりはするが、常に平常心を保っていたオリオンも表情を初めて崩し、焦りを見せた。
当然である。
オリオンのダメージは3枚、対してファントム・ブラスターのクリティカルは2でレミリアのダメージは5枚、もしもクリティカルトリガーを引かれれば6枚目のダメージを受ける時にしかヒールトリガーの効力が発揮されないからだ。
つまりオリオンはクリティカルを捲られれば、ほぼ確実にゲームエンドなのだ。
そして相手はレミリア、必ずクリティカルを引いて来る相手。
よって、この時点でチェックメイトであった。
「オリオン、よくぞ此処まで私を追い詰めた、褒めてつかわすぞ。『デスフェザー・イーグル』『☆』『
褒美に最高の一撃でファイトを締めよう、効果は全てヴァンガードに‼︎
我が一撃で滅せよ‼︎」
ファントム・ブラスター ‘‘
トリプルドライブ『デスフェザー・イーグル』『☆』『
ファントム・ブラスター ‘‘
ダメージチェック『プロテクトオーブ・ドラゴン』『エターナルブリンガー・グリフォン』『ドラゴンナイト ネハーレン』
レミリア:WIN オリオン:LOSE
レミリアのアタックかヒットし、トリプルクリティカルと言うオーバーキルを以ってファイトに勝利する。
これにより、オリオンが提案したレミリアの実力を蓮子達に示す(と言う体の主目的がレミリアとのファイト)が終了し、ファイトスペースを覆っていた覇気全てが消え去り平穏な光景が戻った。
「ふう…………で、どうだ2人共、私の実力はこれで分かっただろう?」
「はい、レミリアさんもオリオンもすっごいファイトだった!」
「ええ、2人みたいな実力者とファイトが出来れば光栄だなって思ったわ」
そして蓮子とメリーは一般ファイターならビクビクする所を興奮気味に話し、レミリアやオリオンとファイトがしたいと言う想いで胸が一杯になっていた。
これにはオリオンも少しは臆するかもしれないと予測していたが良い意味で外れ、寧ろ想定以上に2人がヴァンガードファイターとして大成しつつある事を知り、これを提案したオリオン自身も2人とファイトをしても良いと言う気分になっていた。
それを側から見ていた魔理沙達は笑みを浮かべ、蓮子達の成長をはっきりと感じる事が出来ていた。
「ふふふ、そうかそうか……なら良いだろう、ファイトしてやろう。
今現在出し切れる全力を尽くし私に挑んで来い!」
「お嬢様、此処は俺もファイトをします。
改めて思えば、宇佐見達とはファイトをした事が無いからな。
……さあ、来い!」
「上等!
行くわよメリー‼︎」
「ええ、良いわよ蓮子‼︎」
そして蓮子とメリーは、レミリアとオリオンと言う二大巨頭とファイトをする事となり2人で意気揚々とファイトテーブルに立ちファイトを開始した。
結果は勿論2人揃ってそれなりに食い下がるがやはりフルボッコにされたのは言うまでもなかった。
しかし、このファイトで蓮子とメリーは自身の実力の再確認とこの敗戦もまた自分達の糧となって行くのを肌で感じ、そしてヴァンガードが好きと言う気持ちも合わさりまた一歩、魔理沙やブロントさん、麟達と共に着実に成長して行くのであった……。
此処までの閲覧ありがとうございました!
これにてレミリア回は終了となります。
しかし、幕間編はまだ続きます。
どうかもう少しお付き合い下さいませ。
次回もよろしくお願いします。
よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第55話「汚い忍者」
今回はファイトは前後編では無く珍しく1話完結となります。
……今まで1話完結のファイト回は前後編物のファイト回よりも少ないので本当に珍しいです。
でも本編内容は余り長さが(ry
それでは、本編へどうぞ。
幻想郷、人間や妖怪が共存する世界。
其処に異世界からの人々や技術が流れ込んでから数年、それらの技術は幻想郷に受け入れられ、更にヴァンガードファイトに用いられ惑星クレイの風景を立体的に再現するなどが行われてた。
しかし、幻想郷でヴァンガードが流行ると同時に不正にカードを対戦相手から巻き上げるカードハンターなども後を絶たず、それらを取り締まる為のファイター達が普及協会に作られるなどの措置が取られていた。
そして、この幻想郷の地底……『旧都』でもそのカードハンターと普及協会所属ファイター達の戦いは行われていた。
それも、地上とは比較にならない程日常的に。
「よう、今日の収穫はどうだった?」
「ああ、バッチリさ。
見ろ、
「おお〜!
こりゃ売り捌けばかなりの大金になるぜ‼︎」
此処はカードハンターの中でも少数でありながら実力はそこそこあり、普及協会のファイター達から逃れ続けている5人のチームのアジト、其処で彼らは自分らの戦利品……他人から奪ったレアカードを見て売り捌いた際の大金に目が眩み下品な笑い声を上げていた。
しかし、普及協会所属ファイターから捕縛対象とされる彼らには当然いつかは報いを受ける時が来る。
「よし、さっさと売り捌きに『ヒュンッ‼︎」ってうわ⁉︎
何だこれ、手裏剣⁈
……ハッ、誰だ⁉︎」
……そして、それは今であった。
カードハンター達の中の一人に当たるか当たらないかスレスレで手裏剣が投げられ壁に刺さり、カードハンター達は一斉に手裏剣が投げられた方向を見やる。
するといつの間にかカードハンター達のアジトのドアが開け放たれており、其処に逆光により良く見えないが5名の人物がおり、更に真ん中に立つ者は明らかな忍び装束を着ており、この人物が手裏剣を投げて来たと予想が出来た。
「お、お前らか手裏剣を投げて来やがったのは!
名前を名乗りやがれ‼︎」
「へっへっへっへ、名前を名乗れだぁ?
はっ、普及協会のルールを無視しやがるカードハンター共に名乗る名なんかねぇよ。
だが、敢えて言うなら…………貴様らを捕縛しに来た普及協会の影、〈むらくも〉の使い手、『汚い忍者』だぁ‼︎」
そしてカードハンター達の声に受け答えた後、真ん中に立っていた男……忍び装束を纏い、何故か目には黒い目線をしている者は数歩前に出ると、自らを『汚い忍者』と名乗りカードハンター達を威嚇する。
それに続き残りの4名も前に出て来る。
それぞれカードハンター達に顔が知れてる者達だった為カードハンター達は狼狽する。
まず金髪と少し尖った耳、緑の瞳とペルシアンドレスに似た服装が特徴的な少女『水橋パルスィ』と、緑色の長髪を胸元で纏め、頭に赤いリボンと赤いワンピース状の服が特徴の少女『鍵山雛』、更に金髪に赤い蝶結びのリボン、黒と赤が基調の服に赤いロングスカートが特徴の少女『メディスン・メランコリー』に地上でデッキ改造前のチルノと対戦し勝利を収めた漢、不破刃であった。
この者達は、汚い忍者が率いるチーム、かつてブロントさんが率いた幻想郷切ってのチームのライバルチームであり幾多の激闘を繰り広げた者達『汚忍LS』であった。
彼らは普及協会のカードハンター捕縛チームとしても活動しており、カードハンター達からは自分達に対する死神の様な存在であり、恐怖の対象であった。
「な、な、な、お、汚忍LS⁉︎
ば、バカな、何故このアジトがバレた⁉︎」
「いや〜付けてて良かった発信機www
お前……そう、手裏剣投げられたお前。
お前が今日カードを巻き上げた一人がお前に諦めずにしがみ付いただろ?
そん時にてめぇの背中に発信機を付けてたのさ…………そう、アイツは実は俺が提案して囮捜査に協力させて貰ったファイターでした〜www
いや〜、見事に獲物が引っ掛かって俺もそん時は笑っちまったぜwwwww」
「なっ…………⁉︎」
一人が何故アジトの位置がバレたのかと叫ぶと忍者は煽り言葉てわ説明し、腹を抱えて笑っていた。
普通なら気付くレベルの物を気付かずアジトまで道案内し、そしてそのまま拿捕の流れが忍者のツボに入ったのである。
それを聞いたカードハンター達はワナワナと肩を震わせ、忍者が笑った時点で頭の血管が切れ、此処で無抵抗で捕縛されるよりも実力で突破する道を選ぶのであった。
「上等だお前ら、舐めた真似をしてくれた事を後悔させてやる、ファイトだ‼︎
勝ったら俺らを見逃しやがれ‼︎」
「おっ、アンティファイトか。
まあするよな、そんな風に誘導したんだからな。
良いぜ、俺らが勝ったら大人しくとっ捕まってカード全てを手放しな。
さて、行くぜお前ら!」
「はいはい、何時も通りのお仕事熱心な事妬ましい事この上ないわね」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
そうして忍者の誘導によりファイトが始まり、その場に居た全員が一斉にファイトを開始する。
忍者のFVは『鎖鎌の忍鬼 オニフンドウ』、〈かげろう〉や〈なるかみ〉等と同じく『ドラゴンエンパイア』に所属する忍者部隊の一つ、分身の術や口寄せなどの忍術を得意とし、速攻と手札を余り消費しない戦いを得意とするクラン〈むらくも〉であった。
対して忍者の相手であるカードハンターの一人、実はこの男こそがこのカードハンターチームのリーダーであり、1番の実力者である。
そんな者が使うFVは『グリーピングダーク・ゴート』、〈シャドウパラディン〉である。
「ふん、シャドパラか。
上手く使い熟してるのか見物だな」
「このやろっ……ドロー!
『ナイトスカイ・イーグル』にライド!
グリーピングダークは移動‼︎」
グリーピングダーク・ゴート:P4000、C1
ナイトスカイ・イーグル:P7000、C1
布陣
R ナイトスカイ R
グリーピングダーク R R
カードハンターチームのリーダーはパワー7000に4000をブーストした所でパワーラインは組めないと判断してか、グリーピングダークを左後列に移動させてターンを終える。
忍者はこれを見て「ふーん」と声を出した後ターンを進める。
「俺のターン、ドロー。
『忍妖 レイクダイバー』にライド!
オニフンドウは右前列に移動し、その後ろに『忍妖 チャコール・フォックス』をコール!」
鎖鎌の忍鬼 オニフンドウ:P5000、C1
忍妖 レイクダイバー:P7000、C1
忍獣 チャコール・フォックス:P7000、C1
布陣
R レイクダイバー オニフンドウ
R R チャコール
対して忍者はパワー5000のオニフンドウと7000のチャコール・フォックスを右ラインに立たせ速攻の構えを見せる。
しかもヴァンガード も相手のと同じパワー7000の為きっちりとヒット圏内だっだ。
「バトル、レイクダイバーでアタック!「ノーガード!」
お、良いのか?
ドライブチェック『忍獣 キャットデビル』『☆』クリティカルトリガーゲットでござる^^
いや〜態々ノーガードしてくれたので上手くダメージレースで差を付けられたでござるなぁ〜^^、クリティカルはヴァンガードでパワーはオニフンドウに。「げっ、ダメージ2…………クソ、ノートリガー!」
オニフンドウでアタック!「こっちもノーガード……『デスフェザー・イーグル』『☆』今更クリティカルかよ!」
おお無駄トリガー、俺はこれにてターンエンドでござるよ^^」
「こ、この…………‼︎」
レイクダイバーVSナイトスカイ:7000VS7000=ヒット
ドライブチェック『忍獣 キャットデビル』『☆』
レイクダイバー:C1→2
オニフンドウ:P5000+5000=10000
ダメージチェック『黒翼のソードブレイカー 』『漆黒の乙女 マーハ』
オニフンドウVSナイトスカイ:10000+7000VS7000=ヒット
ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』
汚い忍者:手札:5
カードハンター:ダメージ:3 手札:5
更にバトルフェイズに於いても忍者は相手がノーガードし、余計なダメージを受け過ぎた事を煽り相手の冷静さを欠かせに掛かる。
その為カードハンターのリーダーは顔を赤くし、忍者に対する怒りが溢れていた。
しかし、この場合ならばカードハンターのリーダーはヴァンガードのアタックだけでもガードし、余計なダメージを減らすべきであった。
事実カードハンターの手札にはヴァンガードのアタックだけなら防げていたので、この男は相手がクリティカルを引く可能性を一切考慮せず手札消費を渋った結果、手痛いダメージを貰ったのである。
当然これは結果論ではあるが、忍者のライバル…………今はもう滅多にファイトで当たる事が無くなったブロントさんならば、同じ様な手札であるならばガードをしていた。
そして忍者は頭の片隅でそんな事を考えていた(相手の手札はまだ分からない)
「クソ、ドロー!
『闘気の騎士 ドルドナ』にライド!
更に『漆黒の乙女 マーハ』をコールし
『黒翼のソードブレイカー』をコールし更にスキル発動し
オマケだ、『荘厳の騎士 バルベリト』をコール!
グリーピングのブースト、バルベリトでオニフンドウをアタック!「ノーガードだ、オニフンドウ退却」
ヴァンガード でアタック‼︎「ならキャットデビルでガードだな」
ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』
クリティカルトリガー、効果は全てマーハに‼︎
マーハでアタック‼︎「ダメージチェック『天竺の忍鬼 トクベエ』『隠密魔竜 ヒャッキボーグ ‘‘
これでターンエンド!」
闘気の騎士 ドルドナ:P10000、C1
漆黒の乙女 マーハ:P8000、C1
黒翼のソードブレイカー:P6000、C1
荘厳の騎士 バルベリト:P9000、C1
カードハンター:ダメージ:1/3 手札(メインフェイズ終了時点):4
布陣
バルベリト ドルドナ マーハ
グリーピングダーク R ソードブレイカー
バルベリトVSオニフンドウ:9000+3000VS5000=ヒット、退却
ドルドナVSレイクダイバー:10000VS7000+10000=ガード成功
ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』
マーハ:P8000+5000=13000、C1→2
マーハVSレイクダイバー:13000+6000VS7000=ヒット
ダメージチェック『天竺の忍鬼 トクベエ』『隠密魔竜 ヒャッキボーグ ‘‘
カードハンター:手札:5
汚い忍者:手札:4 ダメージ:2
カードハンターのリーダーは手札を2枚使い盤面を埋め、ソードブレイカーで1枚手札を補給しながらアタックを仕掛け、忍者にダメージ2枚を負わせるも、忍者は矢張り油断無くヴァンガードのアタックを止め、相手がやらかしたミスを犯さずダメージレースのリードを守る。
しかし、ドルドナはパワーが10000あり、忍者の手札にはヴァンガードのパワーラインを確保するユニットが居なくヴァンガードのアタックのみ空撃ちになる可能性が高かった。
「成る程、防御面を補って来たか……スタンド&ドロー。
『天竺の忍鬼 トクベエ』にライド!
更に『忍竜 ルーンスター』をコール!
このままバトルフェイズ、トクベエでアタック!「マーハでインターセプト!」
まあ守るよな、ドライブチェック『忍獣 ホワイトヘロン』ノートリガー、ルーンスターでアタック!「ガード‼︎」
ターンエンドだ」
天竺の忍鬼 トクベエ:P9000、C1
忍竜 ルーンスター:P9000、C1
トクベエVSドルドナ:9000VS10000+5000=ガード成功
ドライブチェック『忍獣 ホワイトヘロン』
ルーンスターVSドルドナ:9000+7000VS10000+10000=ガード成功
汚い忍者:手札:4
カードハンター:手札:4
そしてそのターンの忍者の攻撃は全て防がれ、カードハンターにダメージを与えられなかったが、忍者はドルドナを見た時点でこの結果が目に見えていた為大して気にせず、次のターン……否、カードハンターの攻撃が終わった後に来る自分の攻撃でカードハンターの運次第ではこのファイトが早々に終わる、そう忍者は考えその工程を『既に作っていた』。
だが、カードハンターのリーダーはそれに気付かずファイトを進める。
「スタンド&ドロー!
『暴慢の騎士 ギルヴァエース』にライド‼︎
グリーピングダークのスキル、
手札に加えるのはギルヴァエース、そしてシャッフル!
更に『魔界城 トートヴェヒター』をコール!
バルベリトでルーンスターをアタック!「ノーガード」
ギルヴァエースでアタック‼︎「ガード!」
ツインドライブ‼︎『黒翼のソードブレイカー 』『哀慕の騎士 ブランウェン』
トートヴェヒターでアタック‼︎「ダメージチェック『忍獣 ホワイトヘロン』
ターンエンド‼︎」
暴慢の騎士 ギルヴァエース:P11000、C1
魔界城 トートヴェヒター:P11000、C1
バルベリトVSルーンスター:9000VS9000=ヒット、退却
ギルヴァエースVSトクベエ:11000VS9000+10000=ガード成功
ツインドライブ『黒翼のソードブレイカー』『哀慕の騎士 ブランウェン』
トートヴェヒターVSトクベエ:11000+6000VS9000=ヒット
ダメージチェック『忍獣 ホワイトヘロン』
カードハンター:手札:6
汚い忍者:ダメージ:3 手札:3
そして忍者が思った以上にカードハンターのリーダーは引きが悪かったのか、トリガーが一切乗らずダメージレースに追い付いただけであった。
しかしカードハンターのリーダーはこれで良しとし、次の自身のターンでファイトを終わらせると考え焦る表情を見せる所か余裕すら見せていた。
「よし、次のターンで決められ「俺だったら」?」
「俺だったらグリーピングダークをヴァンガード後列に、次にお前がやったコールをバルベリトラインは後列無しにし、次にヴァンガードはトートヴェヒターにライドしてグレード1を、て感じにしたな」
「……何が言いたいんだよ」
「はぁ、まだ分からないか?
つまりお前は初手から選択ミスをしてたんだよ。
そして今、そのツケを払わせてやるぜ!」
そんなカードハンターのリーダーに忍者は選択ミスをしたとし、それらに対してのツケを払わせると豪語しながらドローする。
汚い忍者、彼はブロントさんのライバルである。
そしてそれは何を意味するのかと言えば、それに見合った実力や戦績、しかもジャイアントキリングを何度も何度も経験している。
故に、このカードハンターの様なヴァンガードファイターの風上に置けない者で自身よりも明らかな格下に負ける道理など存在しないのだ。
「ドロー!
見せてしんぜよう、忍びし者の生き様!
ライド、『看破の忍鬼 ヤスイエ』!
更に『関門の忍鬼 アタカ』をコストに
忍び舞え、悪鬼を討ち払わんが為に!
ストライド・ジェネレーション、『伏魔忍鬼 カガミジシ』‼︎
ヤスイエの
チャコール・フォックスの
更にカガミジシのスキル、俺のユニットがリアガードとして登場時、そのユニットと同名ユニットが2体以上居ればパワー+2000と後列からアタック出来るスキルを得る‼︎
そして手札からヤスイエをコールし、右のチャコール・フォックスを前列へ‼︎」
「な、後列からアタックだとぉ⁉︎」
看破の忍鬼 ヤスイエ:P11000、C1
伏魔忍鬼 カガミジシ:P15000+11000=26000、C1
チャコール・フォックス(A):P7000+4000=11000
チャコール・フォックス(B&C):P7000+6000=13000、スキル付与【後列からアタック】
忍者:手札:2
布陣
ヤスイエ カガミジシ チャコール(A)
チャコール(B) チャコール(C) R
忍者は
更に最低5回と言うのはスタンドトリガーが無ければである。
忍者のデッキにはスタンドトリガーは当然入っている為、6回はアタックが来ると考えねばならないのだが、カードハンターのリーダーは忍者のデッキの中身は知らない為、そんな事は分からないのであった。
「さて、大人しくお縄につきな!
チャコール・フォックス(A)でヴァンガードにアタック!「イ、インターセプト!」
ヤスイエでヴァンガード にアタック!「ソードブレイカーでガード!」
チャコール・フォックス(B)で後列からアタック!「ブランウェンでガード」
チャコール・フォックス(C)で後列からアタック!「グリム・リーパーでガード」
カガミジシでヴァンガード にアタック‼︎「完全ガード‼︎」
っは、手札は残り1枚だ‼︎
さあ、此処からはてめぇの運と俺の引きの勝負!
此処で負けるか首の皮一枚繋がるかは天のみぞ知る事だぜ!
トリプルドライブ‼︎『忍竜 ヒデンスクロール』『醒』
スタンドトリガーゲット、チャコール・フォックス(C)をスタンドしてパワープラスだ!!『忍妖 ダートスパイダー』『醒』
スタンドトリガーゲット、ヤスイエをスタンドしパワープラスだ!『忍獣 ムーンエッジ』『☆』
クリティカルトリガーゲット、ヤスイエに全てプラスだ‼︎
チャコール・フォックス(C)、ヤスイエの順でアタック、てめぇの手札は1枚、しかもそれは
よってガードは出来ねぇ‼︎「そ、そんなバカなぁぁぁぁぁぁ‼︎」」
チャコール・フォックス(A)VSギルヴァエース:11000VS11000+5000=ガード成功
ヤスイエVSギルヴァエース:11000VS11000+5000=ガード成功
チャコール・フォックス(B)VSギルヴァエース:13000VS11000+5000=ガード成功
チャコール・フォックス(C)VSギルヴァエース:13000VS11000+10000=ガード成功
カガミジシVSギルヴァエース:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『忍竜 ヒデンスクロール』『醒』『忍妖 ダートスパイダー』『醒』『忍獣 ムーンエッジ』『☆』
ヤスイエ:P11000+10000=21000、C1→2、スタンド
チャコール・フォックス(C):P13000+5000=18000、スタンド
チャコール・フォックス(C)VSギルヴァエース:18000VS11000=ヒット
ダメージチェック『漆黒の乙女 マーハ』
ヤスイエVSギルヴァエース:21000VS11000=ヒット
ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』『アビス・フリーザー』『引』
汚い忍者:WIN カードハンター:LOSE
忍者はこのターン中に7回ものアタックを仕掛け、ダメージ3点を与えこのファイトで勝利を収めた。
そしてカードハンターのリーダーの手札はと言えば予測通りの『哀慕の騎士 ブランウェン』、忍者が使ったアタカやブロントさんが使うシシルスと同じく〈シャドウパラディン〉の
本来ならこれをグリム・リーパーをガードに使った時点で使えば、グリム・リーパーをスタンドしたチャコール・フォックス(C)に回せてダメージ5でギリギリ6枚目のダメージは受けずに済んではいた計算となる。
しかし、ダメージに落ちたカードを見る限り例えダメージ5で凌げてもその先は戦い抜けない為、結局は忍者の圧倒的勝利でありカードハンターのリーダーのミスプレイによる敗北であった。
「……ま、こんなもんか。
おいお前ら、そっちはどうだ?」
「今終わったわよ。
全く、弱くて妬ましくならないわ」
「私も終わりましたよ」
「拙もたった今終えた」
「こっちも終わったよノブオ〜「だから本名で呼ぶんじゃねぇよメメ子‼︎」」
更に忍者が他のメンバーの状況を確認すると、どうやら全員ほぼ同時にファイトを終えたらしく、それぞれが倒した相手を縄で縛り、動けない様にしていた。
当選忍者も縄を縛りながら確認していた為カードハンターのリーダーが逃げる事など出来ないでいた。
「……兎も角任務は終了だ、このままこいつらとカードを地霊殿支部に送るぞ。
後の事は古明地に任せて次の任務があれば受けるぞ」
『うん!/はい/ええ/うむ』
そうして忍者達はカードハンター達と彼らが奪ったカードを提げ、古明地さとりが治める地霊殿へと向かう。
任務終了の報告とカードやハンター達の引き渡しの為に。
この様にして忍者達の日常は流れ、これからも大体はこのままである。
…………余程大きな任務が来ない限り…………。
場所は変わり地霊殿の執務室、其処に古明地さとりが座りとある書類を確認し、頭を抱えていた。
そして、その書類を持って来たのは…………さとりが協力関係にある人物、ブライトだった。
「……はぁ、この情報は本当なんですか?」
「ああ、普及協会の情報網を駆使して漸く見つけ出せた信憑性が高い情報だ。
後は少し人員を借りて確保するだけだ」
「そうですか…………」
ブライトの目と『心』を見て、彼が嘘を言っていない事を改めて確認すると、さとりは再び書類に目を向け内容を確認する。
そして、その内容とは…………。
「分かりました、では普及協会本部からの最重要事項として受理しましょう。
この………………。
『
『
えー、汚い忍者について説明を少し。
汚い忍者はブロントさんのライバルで、実力もブロントさんと同格です。
また、パルスィ達と馬が合いチームを組み、大会で良くファイトをしていたと言う設定です。
今はブロントさんと余り……滅多にファイトをしていない為少しだけ燻ってたりします。
さて、本編最後にまだ忍者が活躍しそうなフラグが出ましたが……はい、します。
次回もよろしくお願いします、宜しければ感想、指摘をお願い致します。
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第56話「カオスブレイカー回収指令」
今回はファイト回では無い為早めに投稿出来ました。
そして今回のお話……自分が書いていた中でも随一にギスギスなふいんき(何故か変換出来ない)かも知れません……(汗)
では、本編へどうぞ。
忍者達がカードハンター達を捕縛してから1時間後、忍者ら5名はカードハンター、及び奪われていたカードを地霊殿支部に引き渡し、報告の為にさとりが居る執務室に来ていた。
「……以上が報告だ。
カードハンター捕縛任務はこれで完了で良いか?」
「ええ、ご報告ありがとうございます。
彼らは少数で行動し、こちらが用意した捕縛チームの目を盗んではカードの奪取を行なっていた方々でした。
昨今の状況を垣間見て強化されつつある普及協会所属ファイターによる巡回もありますので、これで少しはカードハンター被害が減ると思われます。
皆さん、ご尽力に感謝します」
さとりは忍者の報告を聞き終えた後、それぞれの目を見ながら礼を言い頭を下げ、忍者達を労う。
それに忍者、不破は表情を変えず、パルスィは恥ずかしいのかそっぽを向き、雛とメディスンは笑みを浮かべていた。
すると忍者は咳払いをし、他に任務が無いかの確認を取り始める。
「ゴホン、でだ古明地支部長、他に任務が無いわけじゃあないだろ?
次の任務、あるよな?」
「はい、しかも早急に片付けて欲しい物が1件」
「ええ〜また任務〜⁉︎
今日は疲れたよ〜」
忍者の問いにさとりは笑みを浮かべていた表情を消し、瞳を閉じながら次の任務、しかも早急に解決するべき案件があると呟き、メディスンはそれにゲンナリして文句と面倒くさいと言う事を思わせる表情を浮かべる。
だが忍者や不破、更に日常的にさとりに世話になっていたパルスィはさとりから笑みが消えた事にこれは何か重要な案件ではと思い、パルスィの方はメディスンを宥め、忍者はその先を促そうとする。
「……古明地、俺も馬鹿じゃねぇから分かる、何か重要案件が回って来たんだろ?
ならさっさと通達してくれ、その任務を遂行してやる」
「まあ待って下さい、これは私から直接では無く普及協会本部から回された最重要事項なんですよ。
なので、此処は一度これを運んで来た方にご説明頂きましょう。
さて、では来て下さい」
忍者に促されたさとりは片手を少し上げて慌てないようにと言うニュアンスで言葉を発し、またこれが普及協会本部から回って来た物と言いそれの説明を回して来た人物にさせるべく入室する様にと忍者達の背後にある入室用のドアに向け声を上げる。
そしてそれを待っていたと言わんばかりの丁度良いタイミングでドアが開き、その人物…………普及協会本部所属であり、ブロントさん達の元仲間であったブライトが入室する。
「あ、あぁ〜、アンタ‼︎」
「…………フン、ブロントさん達の元お仲間で、チーム崩壊の原因の一つのアンタが普及協会本部所属なんてね、能力が高くて妬ましいわね」
「……お久し振りですね……」
「…………」
ブライトを見た途端メディスン、パルスィ、雛が明らかな嫌悪感を剥き出しにした表情を見せ、忍者と不破は表情一つ変えず黙って見ている中、ブライトは女性陣のそれを無視し、さとりの横に立ち口を開き始めた。
「……互いに知らない顔では無いので自己紹介は省こう。
さて、俺は普及協会本部よりとある最重要案件を此処、地霊殿支部に運んで来た。
それの説明を行うのでしっかり聞いて欲しい」
「ええ〜、なんでアンタみたいな奴の話を聞かなきゃいけないのよ!」
「言っておくがコレは俺からの進言では無い、この件に関しては普及協会会長たる八雲藍殿直々の通達で、全支部に俺の様な普及協会本部所属の者を寄越し早急に対応する様にとの指令を受けている。
汚忍LSは地霊殿支部、ひいては地底所か現在の幻想郷に於ける最高戦力の一つ、話を聞かないと言う選択肢は無いと考えてた方が良い」
そのブライトにメディスンが不満を漏らし、話を聞く気がまるで無かったがブライトはそれを一蹴、更に八雲藍会長の名も出し話を聞かないと言う選択を無くして何が何でも話を進める気であった。
そんな様子や一言一言に注視していた忍者は顎に手を当て考え、何か途轍も無い案件が回って来たとしてその先を早く話す様に無言で促す。
それを察知しブライトも話を再び進め出す。
「……八雲藍殿から送られた指令、それは『
「何、カオスブレイカーだと!」
「その指令、確かな物か?」
「詳細はこちらの資料に記載されてる。
それぞれしっかりと目を通して欲しい」
ブライトの口からカオスブレイカー・ドラゴンのオリジナルカードの回収と言う言葉が出た瞬間、忍者や不破も驚き表情が崩れ、女性陣も目を見開いたり驚いたりなど様々な反応を見せる。
何故なら、幻想郷の住人……特に、〈リンクジョーカー〉や‘‘
「……っ‼︎」
「はっ、パ、パルスィ⁉︎
だ、大丈夫⁉︎」
「だ、大丈夫…………大丈夫……少し、昔の事を思い出しただけだから……」
「……」
その時パルスィの脳裏に数年前の光景…………自分の友人達が、知人達が、そして果ては自分自身が‘‘
忍者はそんなパルスィの状態を見てブライトにさっさと要件を話してこの話を終われと無言の圧力を掛けながら資料を確認し、ブライトもパルスィの状態を知ってる為早々と話を切り上げるべく話を進める。
「……資料に書いてある通りカオスブレイカーのオリジナルカードは、今まで見つからず終いだったが、普及協会本部の情報部が調査を続けた結果、所有者の発見へと至った。
この情報は信憑性が高い事から、八雲藍会長殿は侵略の力を失ったとは言え、万一の場合……かつての『反転異変』級の事態に備え、また発生前に防ぐべく全支部の動ける所属ファイターに回収指令を下した。
そしてその所有者は…………資料に書かれてる通り、かつて〈リンクジョーカー〉の器にされ、カオスブレイカーのみならず‘‘
「はぁ、鬼人正邪⁈
あいつ、あんなに痛い目に遭わされてるのにまだカオスブレイカーを持ってるの⁉︎」
そしてメディスン達も改めて資料に目を向け、一言一句一行字を間違えずに読んで行き、其処でブライトの口からも出た名前……天邪鬼にして〈リンクジョーカー〉達が引き起こした最大級の異変、『反転異変』の被害者であり加害者でもある妖怪『鬼人正邪』の名が其処にあった。
「おいおいマジかよ、あの天邪鬼何でンなもん持ってやがるんだよ……」
「理由は不明だが、推測になるが彼女は『反転異変』以前から『強者と弱者の立場を逆転させる』と言う思想を抱いていた。
恐らく彼女はほぼ危険性が消えたが、そのユニットパワーが圧倒的であるカオスブレイカーを利用し、現体制に対して反逆を起こそうとしていると考えられる。
八雲藍会長殿はその可能性も視野に入れてカオスブレイカーのオリジナルカード回収指令を下したのだ。
して、汚忍LSに問う、この指令を受けカオスブレイカーの回収任務を遂行するか?
一個人の事情などがあれば参加しなくても良い、俺が潰した選択肢は話を聞かないと言う物だけだ」
汚い忍者もオリジナルカードの所有者がまさかの正邪であった事に呆れたと言う表情や仕草をし、ブライトも若干呆れ顔をしながら推測を立て、彼女が何かを企む、それも現体制に対しての反逆とし八雲藍もこの可能性があるが故に回収指令を下したとまで言い切っていた。
そして本題である回収指令を聞き入れ、カオスブレイカーのオリジナルカード回収任務を遂行するか否かを問い質す。
すると忍者は溜息を吐きながらブライトやさとりを見て明らかに二人が『受けてくれ』と言う雰囲気を出している事も察知していた。
よって出る応えは明白であった。
「はぁ、お前ら二人が受けろって雰囲気出してるのに気付かないアホじゃねえっての。
良いだろう、受けてやる。
俺もカオスブレイカーのオリジナルカードなんて目に見えて爆弾な奴を放って置くなんて将来的に非効率になる物は放って置けねえしな」
「では汚忍LSも引き受けるで良いな。
任務開始時刻は今より5時間後、地上での合流地点にて他支部より来た者達と合流してからとする。
それまでは各々準備は怠らない様に「但しだ」……」
汚い忍者の言葉を聞きブライトは任務開始時刻と場所を淡々と話し、それまでに準備を万全にと言おうとした瞬間汚い忍者が口を挟み、ドアに向かって歩いていた所をブライトに向かって振り返り、そして…………殺意に似た威圧感を放ちながらブライトに言を飛ばす。
「てめぇもこの任務に参加して、俺らと一緒に行動するなら最大限利用し尽くしてやる。
だがな…………俺はお前を許さねえ。
ブロント達のチーム崩壊の原因、その一つがてめぇにあるんだからな…………」
「……ふん……」
「べぇ〜!」
汚い忍者はブライトに対し許さないと公言し、パルスィも振り向きざまに敵意ある言葉を出し、メディスンに至っては子供の容姿らしく舌を出して嫌味を隠さずに退出して行った。
また温厚な性格の雛も怒りの表情を向けたまま執務室から去り、不破は何も言わないながらも忍者みたく任務では私情を挟まず遂行するが、許す気は無いと言う雰囲気を出しながら退出。
そして部屋にはさとりとブライト……宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンに対しての盟約を交わした二人だけとなった。
「……物凄い嫌われ振りですね」
「当然だ、チームDRAK…………騎士ブロントや霧雨魔理沙達のチームを崩壊させたんだ。
他でも無いチームメンバーだった俺がな。
それで恨まれ憎まれ嫌われるのは当然の事だ、今更謝罪をした所で赦される訳が無い。
ならば言い訳する気も無ければ、目的の為に止まる気も無い」
「……本当、貴方は『
私みたいな者で無ければその真意を掴む事も出来ない、本当に頑固ですよ」
さとりは皮肉る様にブライトに話し掛け、ブライトも自論を出し自らの目的に向けて足を進めるのみと、他人を一歩踏み込んだ部分に寄せ付けようとはしない考えを示す。
それをさとりは自らの能力で心を読みながらブライトの考えの奥深くまで触れ、頑固者と言い何処か含みを持たせてた笑みを浮かべるのであった……。
それから5時間後、地上での合流地点……人里の外れにてブライトと地霊殿支部より汚忍LSは代表の汚い忍者と不破(女性陣はブライトと行動を共にするのが不可として待機)が参加し先に到着し、其処で他の支部からの者達が到着するのを待っていた所、永遠亭支部より鈴仙・優曇華院・イナバと八意永琳が、人里支部より妖怪寺であり多くの入信者が居る『命蓮寺』より『聖白蓮』と『寅丸星』が、そして………紅魔館支部からはレミリアと咲夜が、更にヴァンガードファイト連盟の締結により同盟となった月からは何と綿月依姫が普及協会本部所属ファイターと共に現れる。
「……おいおい、三つの支部からは支部長が、更に月からも最高レベルのファイターが来るなんざ聞いてねぇぞ」
「それだけ事は大きい、それだけだ。
しかし、月のみならず不参加だと予測した紅魔館支部からも来るとはな」
「フン、我々も貴様が居ると知っていれば参加しなかったわ。
だがこうして顔を合わせたのだ、我が盟友を貶めた罪、我が支部所属ファイターにちょっかいを掛けるその蛮行、それら全ての罪、今この場で贖わせても良いぞ……?」
そしてレミリアとブライトが鉢合わせた瞬間レミリアの方が殺気を出し、咲夜も合わせてブライトに対し殺気を向けナイフと懐中時計を取り出し一触即発の状況となってしまう。
しかし、それを聖が手を叩きながら割って入りその場を諌めようとする。
「はい、貴女達今この場で争いの火種を生むのは止めなさい。
今我々がこの場に集まったのは他でも無い、カオスブレイカーの回収と言う一つの目的の為である筈。
ならばこそ、此処で足並みを揃えられない様になる事は控えなさい!
どうしても個人の事情、しがらみを解消したいと言うならばこの任務が終わってからになさい!」
「レミリア・スカーレット、私も今回聖白蓮に同意よ。
私も貴女達に、宇佐見蓮子達にしでかした事を考えればこんな事を言う筋合いは無いわ。
けど、それらを無視する程に〈リンクジョーカー〉、カオスブレイカーのオリジナルカードの抱えるあらゆる可能性、危険性をが大きい事は分かる筈よ」
「…………フン、命拾いをしたな、この場は。
それと八意永琳、貴様からもまだ聞き出せてない情報は間違い無く存在する。
それを話すまで、此奴程で無いにしろそれらを水に流す事は無いと知れ」
聖、永琳の言葉によりレミリアと咲夜はブライトに対しての殺気を収め、一触即発の事態は取り敢えずは収まる。
しかし、ギスギスと棘の様な雰囲気や空気は消えたとは言えず痼りを残したままである事に変わり無かった。
事の経緯を知る鈴仙や、永遠亭での騒動を聞いた依姫は溜息を吐き、寅丸や他の普及協会本部所属ファイターに至ってはオドオドしながら様子を見ており団結が取れない状態であった。
「(……ブライトの野郎、レミリア達との間でも問題を起こしてやがったか。
だが紅魔館と永遠亭の間でも何かあったらしいな。
俺らが地上での活動が少なくなった間に、頭上ではかなり複雑な状況になってた様だな……。
さて、これが任務に如何なる影響を及ぼすのか……)」
その間汚い忍者は集まった者達の状況を頭の中で簡潔に纏め、任務遂行への影響も計算しながら自分が如何なる行動を取れば効率的か考え始める。
時刻は午後18:45、日が沈み星が輝き始め出すこの時に様々な関係がある人物達が一堂に会するのであった。
ただ一つの目的を、普及協会より下された指令を遂行する為に。
「してブライト殿、対象、所有者、それらの所在を確認を含め改めて説明を」
「ああ。
対象は『
そうして聖は改めて情報確認をし、ブライトもそれに応え資料の情報を言い、それらを確認しあった。
目指す場所は『輝針城』、かつて正邪が活動拠点とした場所であり、恐らくは誰もがもう其処には当人は近寄ったり潜伏はしないだろうと逆に盲点となっていた場所である。
此処までの閲覧ありがとうございました。
次回からは再びファイト回になる(予定)の為、投稿が遅れるかも知れませんが気長にお待ち下さい。
そして、連続物なので書き切りますが、書き切った後は今回みたいなふいんき(何故かry)の話を今後作るか未定です。
ギスギスな関係が上手く書けない上、読者の皆様が気持ち良く見れるとは思えないので……(←なら書くなと小一時間ry)
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第57話「潜入、そして突入」
第57話目を更新致します。
しかし、状況的には少ししか動いてません……かも?
では、本編へどうぞ。
人里の外れで汚い忍者達が合流してから2時間後、集まった者達は『輝針城』が見える位置まで移動し様子を伺いながら作戦を練っていた。
……一部のメンバーは険悪な雰囲気を隠さずに、だが。
「では、改めて作戦を説明する。
先ずは先行部隊が突入し鬼人正邪を誘導、ファイトに持ち込んで倒しカオスブレイカーを確保する。
先行部隊は十六夜咲夜、鈴仙・優曇華院・イナバ、汚い忍者を筆頭にし三方向から突入、誘導。
本命部隊の者達は誘導した箇所に待ち伏せし挟み撃ち、合流。
以上になるが異論がある者は?」
「あいつがそう簡単に作戦に掛かる奴とは思えないんだが?
チートアイテムは没収されてるにしても、こっちの考えを読めない間抜けじゃない筈だぞ」
「その心配は要らないだろう。
何せ汚い忍者が、搦め手を心得ている者此方側に居るのだからな。
先行部隊の作戦は汚い忍者に任せる、如何なる搦め手も制限はしない。
使える手は使い尽くして貰う」
ブライトの作戦説明にレミリアが噛み付くが、それを汚い忍者が居るとしてスルーし、あらゆる手段を講じても良いとする指示を出しながら忍者を見やる。
すると忍者は、あらゆる手段を使っても良いと聞き少し考えた後に顎に手を当て始め、頭の中で搦め手を考え始めていた。
「……ふむ、汚い忍者の搦め手か。
確かにあの男の絡む手は我々吸血鬼などの力のある妖怪すら陥れる。
それを遺憾無く発揮すれば天邪鬼如き捕らえるなと容易かろうな」
「(お嬢様、それはフラグですよ……)」
レミリアがその説明を聞き、太鼓判を押すと心の中で咲夜はフラグだと指摘し、表情に出ていたら苦笑をしているだろうと言う反応を示す。
そしてこの咲夜の予想が正しいと言う事が分かるのはこの後直ぐの出来事である事を、現在この場に居る全員が知る由も無かった。
それから数分後、咲夜、鈴仙、汚い忍者はそれぞれの配置につき、潜入準備を整える。
それに合わせてブライトが通信用のクリスタルに魔力を注ぎ始め、三人に通信をし指示を出し始める。
「準備は万端だな?
では、作戦を開始する。
鬼人正邪の事だ、カオスブレイカーのオリジナルカードを持っていながら自分の縄張りに何も仕掛けてない事はありえん。
三人それぞれ迅速に行動し、解除可能なトラップを解除し本隊突入をスムーズにするのも忘れるな。
では潜入せよ。
尚俺以外の普及協会本部所属の者は作戦失敗時のバックアップとして待機、また潜入組は定期的通信として傍受されないこの特製クリスタルで15分毎に通信せよ、以上」
ブライトが遂に作戦開始の指示を出し、咲夜、鈴仙、汚い忍者は三方向から瞬時に潜入し、レミリアやブライト達本隊もいつでも突入出来る様に準備をしその時を待った。
それから13分後、最初の定期通信まで残り2分となりブライトはクリスタルを取り出し、通信を待った。
「……14分経過……」
「咲夜達の事だ、今頃最奥にまで到達し目標を捕捉しているだろうな」
「それはこの最初の定期通信で分かる事よ」
そして15分が経過し、最初の定期通信が…………行われる事は無かった。
30秒過ぎても連絡は無く、時間には煩い汚い忍者や咲夜や鈴仙と言った規律を重んじる者からも定期通信が来ない事に皆妙な気配を感じざるを得なかった。
「可笑しいですね、あの御三方からの連絡が無いのは……」
「まさか、何かトラブルが?」
「慌てるな、拙達が慌てれば作戦に余計な支障をきたす。
此処は状況確認が先決だろう」
「……汚い忍者、定期通信の時間だ、現状を報告せよ…………汚い忍者、応答せよ…………十六夜咲夜、通信は聞こえるか?
…………鈴仙・優曇華院・イナバ状況を報告せよ………………応答無し、か……」
聖や寅丸が疑念を口にした直後に不破が余計な動揺を拡げぬ様にブライトに状況確認を促し、当の本人も同じ事を思ったのか潜入した三人に対し通信を行うが、クリスタルから出て来た映像は古いテレビの砂嵐の様な状態で誰からも応答は返って来ず、其処で何かがあったと確信し立ち上がり輝針城を見やっていた。
「やはり何かあったと見るべきですね……」
「さて、この場はどうするか指示を出して貰おうかな、普及協会の本部職員殿?」
依姫がブライトの横に立ち、レミリアが皮肉交じりの言葉をかけブライトが如何なる指示をを出すのかと問い質す。
するとブライトは少し目を閉じた後、再び全員を見やりながら新たな指示を出す。
「そうだな……囮と本隊の二つが不測の事態により形作られてしまったな。
なら、囮を使い本隊がカオスブレイカーのオリジナルカードを回収する、異論は無いな?」
「やはり、そうなるわね」
ブライトは妥当な判断を下し、囮を使い本隊がカオスブレイカーを回収する作戦に即座に切り替え、その旨をその場の全員に伝える。
全員そうなるなと言った反応を示し即座に突入しようとする。
しかし、此処でブライトは本来なら出さないであろう策とは呼べない賭けの手段を直ぐ様口にする。
その賭けの手段とは……。
「但し、俺達全員が囮だ」
『…………はっ?』
自分達全員を囮にすると言うものである。
少し時を戻し三人が潜入から12分が経過した頃、汚い忍者は道中にあったトラップを解除しながら掻い潜り、鬼人正邪が居るであろう最奥と潜入地点の中間付近まで来ていた。
しかし、この潜入速度であっても汚い忍者からすれば遅い方で、本来なら咲夜や鈴仙らと共に最奥にまで到達していてもおかしくなく、それ程までにトラップが厚く、何重にも張り巡らせているのだ。
「これでトラップの解除数は…………ちっ、50を越した辺りから数えるのが面倒になったな……むっ」
一旦立ち止まり頭を掻いていた汚い忍者はそうぼやいた直後に、向かい側の通路から何者かの気配を感じた為少し身を隠し、その気配が通路と通路の合流点に差し掛かった瞬間に苦無を構え身を乗り出すと、其処には自分同様に人差し指で銃の形を作り自分に向けて来る鈴仙と、ナイフを構えていた咲夜が居た。
「……大体予定だった合流点でまた会ったな。
その様子からしてそっちも大分トラップ解除に苦戦したみたいだな」
「そうね、咲夜と合流してからもかなりの数を解除しながら来たけど、どれもこれも厄介な物ばかりだったわ」
「即効性の麻痺毒を塗った吹き矢、落とし穴、警報装置、更に警備用の魔導機械達……搔い潜ったり解除したりシャットダウンさせたりと大忙しだったわ。
これならオリオンやアリス辺りを一緒に連れて来たらもっと効率良く進めたかもって感じね」
「だな、マーガトロイドやオリオン辺りならトラップ解除の心得があったからな……ま、今居ない奴の事を考えても時間の無駄だしこれからこの先を三人で突破して行く事を考えるのが余程効率的だ」
三人はそれぞれ何処か余裕を持たせた会話をしながらこの先を行く事を考えつつ合流し、先に歩を進める。
すると咲夜が何かを思い出したかの様に懐中時計を取り出し時間を見始める。
「咲夜?」
「14分経過、そろそろ定期連絡の時間よ」
「もうそんな時間か、なら万事順調だって連絡しとくか」
それから他の二人も定期通信の事を思い出し、汚い忍者がクリスタルを取り出しきっちりと時間通りに連絡を行おうとした。
しかしクリスタルに魔力を込め、連絡を行おうとしてもクリスタルから出て来る映像は砂嵐状態で、外のブライトとは一切連絡が取れない状態だった。
「これは……!」
「…………成る程、輝針城と外の魔力の流れが分断されてるな。
結界技術の応用だろうがこれじゃ内部間の通信ならまだしも、外との連絡は全く出来ないな。
……ま、俺らは孤立無援状態になった訳だ」
汚い忍者は自分達が置かれた状況、更に輝針城に魔力分断の結界が張られていると看破しながら何処か面白くなって来た、と言う表情を浮かべながら奥へと進み始める。
咲夜達もそれに続き歩を進め出す。
そうして少し進んだ辺りで汚い忍者が立ち止まり物陰に隠れ、咲夜達も合わせて隠れて陰から先を覗いてみると、警備用の魔導機械がこれでもかと言う程の数が巡回し、今まで以上の厳重な警備が敷かれていた。
これにより、鬼人正邪とカオスブレイカーのオリジナルカードはこの奥だと三人は確信する。
しかし、厳重過ぎる警備の為咲夜が時間停止して警備用の魔導機械を排除しようにも咲夜に負担が掛かり手詰まりとなってしまう。
「ちっ、この先に目標があるのは間違いねえが…………十六夜一人に任せれば先に進めても効率が悪くなるだけだ。
ちっとばっか手札が足りなかったか……」
「……何とか警備の穴を見つけて其処から強行突破、これが一番の手ね」
「では、じっくりと観察して穴を見つけましょうか……」
そうして三人は警備の穴を見つけようと物陰に留まり、息を潜めながら観察し始める。
しかし1分、2分と待っても警備に穴は開かずただ無駄に時間が過ぎて行く。
汚い忍者は最終手段として自分を囮にして他の二人を奥へと行かせようかと考え始め、足に力を込め始めた……その瞬間。
『カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ‼︎』
『⁈』
鳴子の様な音が輝針城内に響き渡り、それと同時に魔導機械が3体を残して他全てが汚い忍者達が先程まで歩いていた通路へと駆け出し、そのまま奥へと消えてしまう。
「な、何が起きて……」
「……まさか、スカーレット達が中に突入して来たのか?
しかし何故『そのままで良いから聞け』!」
輝針城内のその様子から汚い忍者はレミリア達が輝針城内に突入して来たと予測したが理由が不明瞭だと言おうとした所で、ブライトからの通信が入り三人はクリスタルを取り出し話を聞き始める。
『我々が囮になる、お前達は目標へ行け、以上』
「……はぁ?
いや、突然過ぎて反応に困るんだが…………」
どうやらブライト達が囮になる様だが、突然の通信内容から三人は少々困惑していた。
そう、それはこの場だけでなく正面から堂々と突入して来たブライト達も。
「……さて、汚い忍者達への通信は終わった。
後は派手に暴れ回るぞ」
「ふん、まさか貴様がこの様な策を持ち出すとは思わなんだ。
だが…………まあ、嫌いでないぞ、こう言う物は」
ブライトが指示を出すと、レミリアが少しにやけながら周りを見やる。
すると其処には既に突入した彼女らだけでなく、魔導機械が幾つか倒れてはまた補充されて四方八方を取り囲んでいた。
「それで、やる事は?」
「まあ単純でしょう、周りの魔導機械を先程みたくファイトで倒し、そして彼らが負けた瞬間に機能停止するのでそれを繰り返しながら正面突破でしょう。
この戦力ならさして問題は無いでしょう」
「その様で。
では、行きましょう!」
永琳、聖がこれからやる事を改めて確認し、正面突破が全く問題ない戦力であるとも確認した瞬間依姫が掛け声を上げ、正面の魔導機械に全員が突っ込みファイトを開始する。
それぞれが実力を発揮し、次々と魔導機械を倒して行く。
「『夜を統べる月神 ツクヨミ』でアタック‼︎」
「シークメイト!
正しき志、それは不変不屈の剣となる!
『
「シークメイト、青き炎よ、絆の力で激しく燃え上がれ!
『青き炎の
「うおぉぉぉぉぉぉぉ‼︎
『バッドエンド・ドラッガー』でアタック‼︎」
先ずは永琳、聖、寅丸、不破が先陣を切り次々と魔導機械を打ち倒して行く、が、魔導機械が出て来るのが止まらず再び取り囲まれる。
「『サンクチュアリガード・ドラゴン』でアタック‼︎」
「ふっ、『ブラスター・ダーク ‘‘
次に依姫とレミリアが魔導機械を倒し道を開く。
するとまた魔導機械が道を阻む様に出て来るが。
「時間は余り掛けられんのでな、さっさと倒す……『
それをブライトが『
そして今度は道がちゃんと開けており、全員はそのまま奥へと走り……この一連の行動を繰り返していた。
場所を戻し汚い忍者達は物陰に留まり続け、残り三体となった魔導機械を見て作戦を決めていた。
「……んじゃ、俺が囮になってあいつらを倒す。
そしてお前らはその間に奥へ行く、良いな?」
「それで良いわ、あんたも直ぐに追い付きなさいよ?」
「ふん、誰に物を言ってやがる」
その作戦会議にて、汚い忍者が提案した自らが殿となり魔導機械を押さえ、その隙に咲夜と鈴仙が奥へ行く事となり、鈴仙は少し笑みを浮かべながら汚い忍者に皮肉混じりで追い付けと言うが、別に汚い忍者の事を過小評価している訳では無く寧ろ実力を信用しているからこそ軽口を言い合ってるだけである。
「さて、軽口は此処までにしといてさっさとやりますか」
「その前に汚い忍者、貴方に話があるわ、とても重要な話がね……」
そんな会話を終え汚い忍者は早速行動に移ろうとした所で咲夜が何かを言い始め汚い忍者は最初は早く話終われと思いながら聞いていたが、それを聞く内に表情が変わって行き、最後には口が釣り上がり側から見ても先程までとは逆のハイテンションになろうとしている所であった。
そして…………汚い忍者はセンサーに誤作動を与える煙玉を炊き、高笑いを上げながら魔導機械一体を蹴り飛ばし、魔導機械のタゲ取りをしていた。
「はははは…………クハハハハ、ひゃーっはっはっはっは‼︎
そうかそうか、アイツが武者修行から戻って来やがったか‼︎
ならさっさとこの任務を終わらせてアイツの所に行かなきゃな、俺の方が強い事を証明する為にもな‼︎
首を長くして待ってやがれよぉ、ブロントォ〜!!!!!」
そう、咲夜から自らの最大の宿敵にして最強のライバルであった人物の帰還を聞かされ、今までややローテーションだった汚い忍者の中のスイッチが入り、彼の中にある闘志が激しく燃え上がり手が付けられなくなってしまっていた。
その間に予定通り咲夜と鈴仙はこっそりと煙に紛れながら奥へと抜けていた。
「良いの?
アイツ今気分がハイになり過ぎてやり過ぎた上で私達が此処まで来てるってバレるわよ?」
「うーん、もう少し大人しめに行動するかなとは思っていたのだけれど……予想外だったわ。
でも、あの様子なら負けないわ。
何せ、ブロントさんの最大のライバルに火が付いてしまったからね」
「……ま、後はなる様にって事ね」
咲夜は汚い忍者があそこまでハイテンションになるとは思わず、微妙にやらかしたと思いつつも走り、鈴仙もなる様になると割り切って後から続く。
そしてその背後ではハイテンションとなった汚い忍者が大きな声でライド、コール、ストライド・ジェネレーションと叫び自分が如何にライバルを求めて燻っていたか、如何に再び燃え滾っているのかを示しているのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回ひじりんや星のデッキを紹介します。
ひじりんのデッキは〈ディメンジョンポリス〉、クランコンセプトは『兎に角ヴァンガード強化』でヴァンガードに中々派手なスキルが備わってます。
そして星は内藤と同じ〈ゴールドパラディン〉ですが内藤のと比べるとやや違う『
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第58話「激突」
そして難題のタッグファイトの開幕まで持って行きました_:(´ཀ`」 ∠):
グダるかも知れませんがその時はすみません……(´・ω・`)
では、本編へどうぞ!
汚い忍者が殿となり咲夜達を奥へと向かわせてから少し経過し、当の汚い忍者は魔導機械を既に二体打ち倒し、今や最後の一体にも王手を掛けようとしていた。
「さあ、こいつで終わらせてやるぜ。
いざ行かん、無情なりし忍びの世界へ!
ストライド・ジェネレーション、『伏魔忍竜 ホムラレイダー』‼︎
更にホムラレイダーのスキル、
汚い忍者は勝負を決めるべく〈むらくも〉のGユニットであるホムラレイダーを使い、更にスキルまで発動させ準備を終える。
「さて機械、まさか三体目が〈ぬばたま〉を使うとは思わなかったが使い方が少しお粗末だったな。
次はもっと良い使い方をプログラミングされるんだな!
トクベエで『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』をアタック!『インターセプト』
左のトクベエでアタック!『ガード』
ホムラレイダーでアタック‼︎『完全ガード』
ツインドライブ‼︎『忍獣 ホワイトヘロン』『忍獣 キャットデビル』『☆』
クリティカルトリガー、全てホムラレイダーにプラス!
そして獲得したスキル発動‼︎
ヴァンガードへのアタック終了時にリアガードを一体選び、それと同名カードをデッキに戻しこのユニットをスタンドしデッキをシャッフル‼︎」
汚い忍者は順当にアタックをして行きホムラレイダーの獲得したVスタンドスキルも発動させる。
これが相手が人間なら狼狽していたが今は魔導機械、狼狽もしなければ喜ばないただの機械である為ファイトをしていても味気が無い物になっていたが、今の汚い忍者はテンションがハイになっている為全く気にせずそのまま熱くなりながら再びヴァンガードに手を掛けていた。
「さあこれで終いだ、ホムラレイダーでアタックだぁ‼︎『30000でガード』
ッハ、トリガー2枚貫通か……この俺相手にその選択は甘いんだよ‼︎
ツインドライブ‼︎『匕首の忍鬼 ヤイバー』『☆』『忍獣 キャットデビル』『☆』
ダブルクリティカル、これで貫通と4ダメージだぁ‼︎
オラ、そのままやられちまいな‼︎」
イメージ世界にてクジキリコンゴウを守ろうと部下の忍達が盾になるも、ホムラレイダーはそれごとクジキリコンゴウを真っ二つにしファイトに終止符を打った。
リアル視点でも4ダメージのオーバーキルによりヒールトリガーも追い付かずそのままゲームエンドとなり、負けた魔導機械はそのまま機能を停止させ動かなくなる。
「……ふう、久々に熱くなったぜ……まぁ、この任務の後にとっておきの楽しみが出来たからなぁ…………良し、デッキ確認も終えた事だしさっさと十六夜と優曇華院を追うか」
そうして汚い忍者は少しだけ落ち着きつつデッキを片付けながら枚数確認を終えると後々の事を楽しみにしつつ任務を優先しそのまま咲夜と鈴仙を追った。
そしてこの場にはただ動かなくなった魔導機械三体が物悲しく残るのみであった。
所変わり正面突破をして来たレミリア達はその圧倒的な実力により物量差を跳ね退けつつ徐々に奥へと進んで行き、中間地点まで後少しとなっていた。
「ふむ、中間地点まではもう目と鼻の先ね
しかもこの戦力…………ブライト、この中から二人を選出して先に行ったうどんげ達を追わせたら?
見た限りこの魔導機械はこの場に居るファイター四人のみであっても押さえ切れる、ならば目標確保に力を注ぐべきと考えるわ」
「……押さえ切れる自信はあるのならそれも念には念を入れ承認する」
「ふん、自信無き者などこの場に居るのか?」
永琳はこの状況からこの場に四人留まれば魔導機械全てを押さえ切れると判断し、二人を奥へ行かせ汚い忍者達と合流させようと言う提案を出す。
ブライトは頭の中で確かにそれは可能だと判断し、一応この提案に自信が無い者は居ないかの確認をし、結果そんな者は居なかった為取り急ぎ合流される二名を考え、そして選出した。
「そうだな、先ず目標の回収に本部職員である俺が先に行くのは決定として、残りは寅丸星だな「えっ、私ですか?」
実は1枚刺しだが『
そして此処に残るは幻想郷有数のトップファイターばかり、これを突破出来るとすれば同じく幻想郷有数のトップファイターのみだ、よってこの選出と相成ったが異論は…………無いな、ならば行くぞ」
ブライトは自らを本部職員故にカオスブレイカーを回収する責任があるとして、次に〈リンクジョーカー〉に対しメタスキルがあるユニットを有する寅丸を選び他の者達にもそれで異論は無いかの確認をし、それも無い為先に走り始めた。
「……彼、明らかにこの作戦とは別の事を考えてますね」
「フン、咲夜が負ける筈も無いから私がまるで子供が心配な過保護な親みたいな真似をすれば面目が立たないのも知ってる癖に、敢えて選ぶか…………気に入らん奴よ、今の奴はな……」
「(永遠亭も私の独断で紅魔館に色々と迷惑を掛けた、故にこの場から私が離れる事は許されない。
命蓮寺にしても確かに寅丸星が今持つモナークサンクチュアリは有効打とは言え、彼女はあのユニットを上手く使いこなしてるとは言い難い。
ならば実力もハッキリしている聖白蓮か汚い忍者の仲間である不破を連れて行くべきなのに。
つまりこれは我々トップ陣をこの場に縛りつける算段…………彼は何を考えているか予測する為にこの案を出したけど、決定的な部分を見せないからまだまだ計りかねるわね……)」
「……」
そのブライトと寅丸を見送った四人は、本部職員である青年にこの作戦以外の二心があるとし、更に人選をしている様に思わせ各勢力のトップ陣と不破をこの場に残す様に仕向けたのだとも。
しかし、それを考えても今は咲夜達の為にも魔導機械を押さえ切らなければならず、どちらにせよこの場に留まらざるを得ずレミリア達は再び魔導機械と戦い始めていた…。
所変わり先に向かった咲夜と鈴仙は、遂に輝針城の最奥地付近に辿り着き、目標が居るとされる最奥の広間を覗ける場所が無いか探している所であった。
すると其処に汚い忍者も合流し鈴仙と咲夜は拳を突き出し、汚い忍者は無言で自分の拳を二人の拳に合わせる。
「予定よりも早く追い付いたわね。
やっぱりブロントさんと早く戦いたいからなのかしら?」
「へっ、俺とブロントの関係を知ってるなら分かるだろうが。
それで、状況は?」
「中を覗ける場所を探してるわ。
この辺は見たから後は此処よりも先と此処と反対側よ」
汚い忍者は二人に状況を確認し、広間を覗ける場所を探している途中と把握する。
確かにこの先に罠が無いとも限らない上、中の状況を確認し目標もあるか否かも重要な為汚い忍者は二人の行動を納得する。
「そうか、なら探すぞ。
だが覗き穴が一ヶ所しか無いなら覗かないぞ、明らかに張られてるからな」
「ええ、勿論よ。
じゃあ、探しましょう「待て、俺達も探そう」…………」
汚い忍者達が覗き穴を探そうとしていた所でブライトと寅丸も来る。
咲夜からの表情からは何故この場に居るのか、と言う冷ややかな物が見て取れ、汚い忍者は一応念の為に確認を取る。
「……一応確認だが、何故お前と寅丸が居る?
他の連中や不破はどうした?」
「八意永琳の提案で二人だけ先に向かい、残りは魔導機械を押さえる役になった。
カオスブレイカーの回収は本部職員である俺の前できっちりとやるべきなので俺は確定とし、残りは〈リンクジョーカー〉メタが可能な寅丸に来て貰った」
「私で役に立つかは分かりませんが、何とかします」
汚い忍者の問いに対しブライトはそう答えるも、この発言に咲夜と事情は知らないが紅魔組と一悶着があったと察した汚い忍者はこの人選に作為的な物があると感じ、鈴仙は冷ややか瞳を向け、純粋にブライトの言った理由を信じているのは寅丸だけであった。
しかし、此処でそれを指摘しても話が拗れるだけだと分かり切っていた汚い忍者はそれ以上何かを言わなかった。
「……そうか、なら俺達と一緒に覗き穴を探せよ。
何事も効率的に作戦を進めるのが優先だからな」
「分かった、では探そうか」
そうしてブライト、寅丸も探索に加わり早めに覗き穴を三ヶ所見つける。
その内の二ヶ所に汚い忍者は咲夜、鈴仙、寅丸と自身、ブライトで振り分け覗く。
すると咲夜達の方から状況が分かり、それを汚い忍者達に伝え二人もしゃがみながら咲夜達の方へ向かう。
そして、中の声も聞こえ出して来ていた。
「ねぇ正邪、侵入して来た連中を迎撃しないの?」
「草の根妖怪達が力を貸してくれたらそれも考えましたよ〜?
でも姫様、私らだけで紅魔や永遠亭、寺の住職とかを相手出来ます?
無理でしょ、だから魔導機械に任せて私らはとんずらするんですよ」
「私ら…………まぁ、私も正邪の提案に乗っちゃったから共犯か〜」
すると中には鬼人正邪以外にももう一人居たらしく、その声や会話から察して一緒に居るのはかつて正邪と共に行動したこの逆さ城の本来の主『少名針妙丸』だと分かる。
そして、彼女らは此処から去ろうとしている事も判明し急ぎ取り押さえる必要が出て来ていた。
「………………あーでも、もう逃げられないかもしれないな。
だって侵入者、もうこの近くまで来てるんだから」
「あー……」
「げっ、バレてら…………」
しかし、正邪と針妙丸は汚い忍者達を感知したのか汚い忍者達が居る覗き穴の方を見ながら侵入者は直ぐ其処まで来ていると言う。
これには汚い忍者や咲夜も驚き、隠れても無駄と察し五人は大人しく広間に入り正邪達と相対した。
「で、此処まで来たのが永遠亭の兎に紅魔館のメイド、寺の住職の弟子にナイトのライバルの忍者に……目付きは変わったし数年経過で成長してるが間違いない、〈リンクジョーカー〉を打ち倒した英雄様の一人だ、こりゃマジで逃げられないな……」
「うわぁ〜超豪華…………それからブライト、久しぶり。
霊夢が居なくなって以来だね……」
「…………」
「(…………そう言えばコイツ、博麗や霧雨と良く一緒に居たな、そして少名は博麗神社に居候してた時期もある、顔見知り以上なのは当たり前か)」
正邪、針妙丸はその豪華メンバーに溜息やら唖然などの反応をしつつ、針妙丸は特にブライトの方が気になり声を掛けるが当の本人は無言のまま二人を見続け、汚い忍者は針妙丸とブライトの関係性を改めて認識し、博麗霊夢と親交が深かった咲夜は一瞬ではあるが悲しい表情を見せ、博麗霊夢が消えてからの時の流れを浮き彫りにしていた。
そして、そんな空気を切り裂いたのもまたブライトであった。
「俺達が此処に来た理由、貴様らも分かる筈だ。
今直ぐカオスブレイカーのオリジナルカードを渡せ、アレは侵略の力を失ったとは目に見えて爆弾だと言う事に変わりない。
我々普及協会が回収し、厳重に封印する!」
「ま、そうだよな。
こんな豪華メンバーで来るなら理由はコイツにしか無いよな」
ブライトが目的であるカオスブレイカーのオリジナルカードを渡す様に要求すると、正邪は懐から『
更に、そのカードが放つ気配は他の同クランの力を失ったオリジナルカードや幻想郷が全土に配布しているコピーカードと違い、明らかな禍々しい気配を感じさせる。
これこそがカオスブレイカーのオリジナルカードである、‘‘
「で、あんたらはコイツが欲しいんだろ?
でもさ、私は目的があって……そう、昔から変わらず幻想郷に下剋上がしたい訳。
それにはコイツをボロ雑巾みたいに使い回すのが手っ取り早くてな……後は分かるだろ?」
「因みに私はこのオリジナルカードを一緒に見張っててくれって言われてまーす」
「……成る程な、予想はしてたがやはり交渉の余地は無しだな」
更に正邪の発言から交渉の余地が無い事を察した全員はデッキを構え、正邪にファイトを挑もうとする。
しかし、その正邪は左手を前に出し待ったの構えを示しながら言葉を更に発する。
「待った待った、私がアンタらと1対1のサシでやり合ったら間違い無く負ける、明らかな実力差があるからフェアじゃない。
そんな連中が私を下した所でこのカードを渡す訳が無い、取り敢えず1対1ではアンティファイトは絶対やらないよ」
「ハッ、何がアンフェアだ。
ファイトにフェアもクソもねぇ、ただ闘って闘って闘い抜いて勝利を収めるモンだ。
それに納得出来ないからファイトしないだぁ?
何言ってやがんだか」
「ファイトはしないとは言ってない、ただ1対1ではやらないって言ってるだけだよ〜」
正邪の言葉に汚い忍者が反論し、そのまま論破まで持ち込もうとするも正邪はあくまで1対1のサシではファイトをしないと言い、何か含みを持たせた言い分であった。
これにこの場に居たファイターは察し、正邪が何を要求しているのかハッキリとする。
「1対1ではやらない…………つまり、タッグファイトをやれと?」
「そうそう、私と姫様「えぇ〜、ただオリジナルカードの見張りってしか言われてないんだけど」そう言わないで下さいよ、後で何か奢りますから。
兎も角、私と姫様のコンビにアンタら五人の中から代表二人を選んでタッグファイトで闘う、それなら私はこのカードを渡すよ」
そう、正邪の要求はタッグファイト、2対2によるヴァンガードファイトである。
タッグファイトは様々な部分が1対1と違う為チームワークが要求される特殊なルールであり、取り入れている公式、非公式大会も1対1と比べれば少ないのだ。
しかもこの場に居る五人は皆タッグファイトで組んだ者は居ない……つまりは即興チームなのだ。
それで勝たない限りカオスブレイカーは渡さないと正邪は言い、汚い忍者達の方がやや不利だったりするが、全員カオスブレイカーのオリジナルカードを得る為には要求を呑まざるを得なかった。
「…………良いだろう、受けて立つ。
特別アンティとして我々の代表二人が勝てばカオスブレイカーのオリジナルカードは渡して貰おうか!」
「良いよ、んじゃ私らが勝ったらさっさと此処に来た全員出て行ってコイツの回収は諦めな!」
ブライトが正邪の要求に応え、それからアンティ内容を決めそれが成立する。
そして正邪は予定通り針妙丸と組み、汚い忍者は誰を選ぶか決めようとしていた。
「さて、此処からが問題だ。
先ずあの天邪鬼の正面に誰を立たせるかだ……」
「奴は十中八九〈リンクジョーカー〉、針妙丸は神社に居候してた時とデッキが変わらないなら〈ロイヤルパラディン〉の『サンクチュアリガード』軸、
鬼人正邪の前に立たせるなら汚い忍者、寅丸星、そして俺だ。
汚い忍者は盤面を空け易く、寅丸星と俺は〈リンクジョーカー〉に対するメタを持つ」
「え、貴方もですか?」
すると汚い忍者が悩んでいた所でブライトが針妙丸の当時から変わらない前提でデッキを明かし、正邪の相手は汚い忍者、寅丸、そして自身がやるべきと進言する。
この時咲夜、汚い忍者、寅丸は『ブライトが〈リンクジョーカー〉メタを持っている』と言う内容に反応し、寅丸は『
汚い忍者はそれを吟味し、更に博麗霊夢が居た頃のこの青年の実力しか知らないゆえ本来ならばブライトを選ぶだろう。
しかし、汚い忍者の選択は……
「……そうか、だがお前が前に立つのをどうも許さない御人が此処に居る。
非効率だがこれだけは無理だ。
……ブロントや自分のチームを崩壊させた奴がこれ以上出しゃばるな、お前は信頼も信用も出来ない。
それに潜入班の実質リーダーはこの俺だ、てめぇが潜入班に加わるなら言う事を聞け。
…………さて、改めて誰を当てるかだが、十六夜が天邪鬼、優曇華院が小人だ。
寅丸も腕は立つが、それでも上手く〈リンクジョーカー〉メタを張れるか不安が残る、だからこそ堅実に行くぞ、異論は無いな?」
『無いわ/です/よ』
ブライトを信用出来ない汚い忍者はこの場に居る面々のモチベ等などを考えた上で、彼の挙げた戦略的メタを捨て堅実性の戦略を選ぶ。
それらに咲夜達は異論は無く、ブライトも無言の肯定をし、咲夜と鈴仙が前に立った。
「意外だな、アンタらが相手か。
てっきり汚い忍者とかが来るかと思ったが……まあ良いか。
んじゃ、始めるとしますか!
先攻は十六夜咲夜、アンタに譲るよ!」
「では、プレイヤー順は私、針妙丸、鈴仙、正邪の順となりますね。
ええ、始めましょうか」
そして先攻と後攻の順番も決まりそれぞれFVを置き、タッグファイトが遂に始まろうとしていた。
その様子を見ていたブライトは次に汚い忍者に視線を当て、不敵な笑みを浮かべていた。
「(……十六夜咲夜は紅魔館の実質No.2で、鈴仙・優曇華院・イナバは十六夜の手を知り尽くす程度に親交が深く、またかつて同じチームで闘った経験もあり即興タッグの中では一番相性が良い、か…………流石だよ、汚い忍者。
もしも此処でアンタが俺にファイトをさせよう物なら…………俺はアンタに計画を教える気は無かった)」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『ジャッジバウ・
「『
「『始まりの伝説 アンブロシウス』!」
「『錯綜の
ブライトは汚い忍者の考え方やファイターの選びに太鼓判を押し、彼の中で汚い忍者にも自らの計画を教える図式が立ち彼の中でその計画が更に盤石な物へとなっていた。
しかし、此処でブライト、否、潜入班と合流組は一つ、たった一つ見落とし難い物を見る。
それは鬼人正邪のFV…………確かに〈リンクジョーカー〉のグレード0ではあるが、今まで見た事も聞いた事も無いカードが其処にあった。
『錯綜の
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回正邪が何やら怪しいユニットを使っていましたが…………多分ヴァンガード経験者なら分かる筈です、そう、正邪のデッキにはアレらが入ってますよ…………。
次回はタッグファイトが本格的に始まります。
何とかして頑張ります…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第59話「VS正邪&針妙丸、タッグファイト開始!」
いや〜…………少し大変です_:(´ཀ`」 ∠):
ですがちゃんと書き切りますのでよろしくお願いします!
では、本編へどうぞ!
咲夜が正邪を、鈴仙が針妙丸を相手にする形でタッグファイトが始まり、互いに手札5枚を確認する中、咲夜と鈴仙は正邪のFV『錯綜の
『
「どうした、先攻はさっさと始なさんな」
「言われずとも、ドロー。
『
ジャッジバウ・
「それにしても十六夜が『
汚い忍者は咲夜のデッキを見てそれがレミリアの前のデッキだと察し、咲夜はそれを自分の手に馴染む様に改造しており、共に闘っている鈴仙も頼もしいと思っていた。
「先攻2番、ドロー!
『小さな賢者 マロン』にライド!
アンブロシウスは先駆で移動して早速スキル発動!
ソウルインして1枚ドロー、手札を1枚捨ててターンエンド!」
始まりの伝説 アンブロシウス:P4000、C1
小さな賢者 マロン:P8000、C1
先攻2番目の針妙丸はマロンにライドした後に直ぐにアンブロシウスのスキルを起動し、手札にあった『希望の剣 リシャール』をドロップしドローしていた。
この序盤で使った事に鈴仙は手札が芳しくないか、単に手札に来て邪魔になったリシャールを落としたいかのどちらかと判断していた。
「じゃあ後攻1番、ドロー。
『サウザンドレイ・ペガサス』にライド、アズライールはヴァンガード後ろへ移動」
「うわ、ダメージにカードが行くとパワーアップする奴だ……」
サウザンドレイ・ペガサス:P7000、C1
針妙丸の次から後攻に入り、鈴仙がサウザンドレイにライドすると針妙丸は嫌な顔を見せる。
実はこのサウザンドレイはダメージゾーンにカードが置かれる度にパワーが+2000される〈エンジェルフェザー〉の火力兼ブースト担当であり、このスキルはヴァンガードに立っても発動する為防御力は8000のユニットよりも上なのだ。
よって一部からはリアガードで見たら焼けとすら言われてるのである。
「そして鈴仙さんも〈エンジェルフェザー〉ですが、私達が知る彼女のデッキは『
彼女も新しいデッキを使っているみたいですね」
更に寅丸は鈴仙のデッキが変わってる事を指摘し、汚い忍者も確かにと思っていた。
咲夜も鈴仙に対しお手並み拝見と思いながらもその新しいデッキの力を頼りにしていた。
「さて後攻2番、此処から漸くアタックが認可されるよ。
ドロー、えーとそうだな…………『混迷の
カーボンは左後ろに移動し、ジンクでアタック!
ドライブチェック『伴星の
ターンエンド」
錯綜の
混迷の
ジンクVSダークボンド・トランペッター:7000VS6000=ヒット
ダメージチェック『ブラスター・ダーク・
咲夜:ダメージ:1 チーム合計ダメージ:1
「また新しい『
しかも手札に入ったのはフォトン……」
「結構金が掛かるデッキの様だが果たして……」
そして後攻2番、此処からアタックが可能となった為正邪は早速1ダメージを咲夜に与える。
その過程でまた見慣れないユニットであるジンクが登場し、警戒色を強めた後にドライブチェックではフォトン…………現
「……ドロー。
お嬢様、力をお借り致します……『ブラスター・ダーク・
更に『虚空の
トリガーチェック『
マスカレードでアタック‼︎「一応言うけどタッグガードはしないよ」「んじゃノーガード『
これにてターンエンドです」
ブラスター・ダーク・
虚空の
ブラダ撃AVSジンク:9000+5000 VS7000=ヒット
ドライブチェック『
撃退マスカレード:9000+5000=14000
ダメージチェック『
撃退マスカレードVSジンク:14000+3000 VS7000=ヒット
ダメージチェック『
咲夜:手札:5 ダメージ:0 チーム合計ダメージ:0
正邪:ダメージ:2 チーム合計ダメージ:2
対して咲夜は
「この引き、流石は紅魔って所ね……ドロー!
『聖域の射手』にライド!
次、『スターライト・ヴァイオリニスト』をコールしてスキル発動!
正邪、
後で一杯入るのに…………デッキから『ナイト・オブ・ツインソード』をスペリオルコール!」
聖域の射手:P9000、C1
スターライト・ヴァイオリニスト:P8000、C1
ナイト・オブ・ツインソード:P9000、C1
正邪:ダメージ:1/2 チーム合計ダメージ:1/2
針妙丸:ソウル:1 チーム合計ソウル:2
「やっぱ針妙丸がソウルを使うか」
「今の段階では正邪のダメージしか
なら、ヴァイオリニストのスキルコストを半々で担当するのもまたありです」
正邪達の動きを見て汚い忍者と寅丸がやはりかと言う事を呟きながらファイトの流れを見ている。
この様に
しかし、完全ガードは自分を参照する為相方を守る事は出来ず、また相方のリアガードをインターセプトに回せない、相方に手札を見せてはならないなどの制約がある為、慣れないとチームワークを乱す事にもなるのだ。
そしてこの部分が大きい為、根強い人気があってもタッグファイトルールは余り公式、非公式問わず大会で見かけないのである。
「ヴァイオリニストでアタック!「ノーガード『ナース・オブ・ブロークンハート』ついでにサウザンドレイのスキル発動、パワー+2000」
……聖域の射手でアタック、ドライブチェック『サンクチュアリガード・ドラゴン』「ダメージチェック『
ヴァイオリニストVSサウザンドレイ:8000VS7000=ヒット
ダメージチェック『ナース・オブ・ブロークンハート』
サウザンドレイ:P7000+2000=9000
聖域の守り手VSサウザンドレイ:9000VS9000=ヒット
ドライブチェック『サンクチュアリガード・ドラゴン』
ダメージチェック『
サウザンドレイ:P9000+2000=11000
針妙丸:手札:5
鈴仙:ダメージ:2 チーム合計ダメージ:2
「じゃあ私のターン、ドロー。
『ミリオンレイ・ペガサス』にライド。
更に『
私は『不死鳥 カラミティフレイム』を置いて『
そしてミリオンレイのスキル、サウザンドレイと同じくダメージゾーンにカードが置かれる度にパワー+2000!」
ミリオンレイ・ペガサス:P9000、C1
ミリオンレイ:P9000+2000=11000
鈴仙:手札:4 布陣
ノキエル ミリオンレイ R
R アズライール R
針妙丸のアタックは2回で終わり、次の鈴仙のターンではサウザンドレイと同じスキルを持つミリオンレイがヴァンガードになり、更にノキエルのスキルを使いミリオンレイのパワーを上げるだけで無く恐らく鈴仙の主軸ユニット……G3のユニットであるガヴリールを同じくG3のカラミティフレイムと交換する形で回収し、そのままアタックフェイズに移行する。
「ノキエルでヴァイオリニストをアタック「ノーガード」次ね、ミリオンレイでヴァンガードにアタック「……ノーガード」ドライブチェック『ナース・オブ・スイートハート』『治』ヒールトリガー、チーム合計ダメージが同じなので1枚回復するわ」
ノキエルVSヴァイオリニスト:8000VS8000=ヒット、退却
ミリオンレイVS聖域の射手:11000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『ナース・オブ・スイートハート』『治』
鈴仙:ダメージ:2→1 チェック合計ダメージ:2→1
ダメージチェック『バトルソング・エンジェル』
鈴仙:手札:5
針妙丸:ダメージ:1 チーム合計ダメージ:3
鈴仙は更にヒールトリガーを引き、咲夜のターンまでのダメージレースに再び戻しながら正邪へとターンに回す。
これには正邪は心の内でイメージ力や運命力が自分達よりも遥かに高い為、引きに差が出てると考え、何とか食い下がりながら機会を待つしかないと考えた。
そう、このデッキには機会さえあれば相手を狩れる力を持つのだから。
「ふう、ドロー。
『伴星の
伴星の
「んでこのままアタック「ノーガード」ドライブチェック『回想の
フォトンVSプラダ撃A :9000VS9000=ヒット
ドライブチェック『回想の
正邪 :ダメージ :2→1 チーム合計ダメージ :2
ダメージチェック『
咲夜 :ダメージ :1 チーム合計ダメージ :2 手札:5→6
正邪は更にヒールトリガー、咲夜もダメージトリガーでドロートリガーを引きファイトは未だ膠着状態を保ちつつも、次の咲夜のターンからG3となる為此処からいよいよファイトが激化し始めるのだ。
「スタンド&ドロー。
聖域に潜みし影よ、私に力を!
ライド、『ファントム・ブラスター・ドラゴン』‼︎」
ファントム・ブラスター・ドラゴン(BR):P11000、C1
咲夜は『
汚い忍者は何が狙いなのかを何となく予想し、1対1で決まれば恐ろしいコンボになる為紅魔に連なる者は皆豪快だと改めて痛感していた。
「ファントム・ブラスター・ドラゴン、ジャッジバウのブーストでアタック!「そのアタックはタッグガード、『幸運の運び手 エポナ』!」「ナイス姫様、何か胸を強調して儚げなカワイコちゃんテルルでガード!
これでダブルトリガーでも貫通は不可!」
流石に通してはくれないわね……ツインドライブ『暗黒の
マスカレードでアタック!「こっちはノーガード、これでチームダメージ4だからこっちは
ターンエンド」
ファントム・ブラスター・ドラゴンVSフォトン:11000+5000VS9000+ 10000×2=ガード成功
ツインドライブ『暗黒の
撃退マスカレード:P9000+5000=14000、C1→2
撃退マスカレードVSフォトン:14000VS9000=ヒット
ダメージチェック『
正邪:ダメージ:3 チーム合計ダメージ:4 手札:6
針妙丸:手札:4
咲夜:手札:8
正邪にクリティカル2のアタックがヒットし、正邪チームの合計ダメージは4となる。
タッグファイトではダメージ数はチームで共有され、またチーム合計ダメージが9枚になると敗北になる為通常ファイトよりもやや長くファイト出来る。
その為
「ドロー、小さき者達の力を束ね、煌めけ!
ライド、『サンクチュアリガード・ドラゴン』!
サンクチュアリガード・ドラゴンのスキル、ヴァンガードとして登場時に手札を1枚ドロップして、グレード1以下の〈ロイヤルパラディン〉をデッキからスペリオルコール!
『希望の剣 リシャール』をツインソードの後ろにコールしスキル発動、デッキからコール時に
そしてヴァンガードの後ろに『ばーくがる』をコールして、レスト!
右後列に『ふろうがる』をコールしてサンクチュアリガードの
サンクチュアリガード・ドラゴン:P11000、C1
希望の剣 リシャール:P6000、C1
ばーくがる:P4000、C1
ふろうがる:P5000、C1、『醒』
針妙丸:ソウル:1 手札:3 布陣
R サンクチュアリガード ツインソード
ふろうがる
→:レスト状態
「『ばーくがる』か……『サンクチュアリガード』軸なら今は『神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア』があるから延々と戦力補充が可能か」
針妙丸のデッキに『ばーくがる』がある事を汚い忍者は戦力補充の為の布石であると理解し、良いデッキではあると思っていたが、やはり使い熟していなければ意味が無い為それらを見極めようともしていた。
が、この中でブライトは知っていた、針妙丸はこのデッキで霊夢や魔理沙にオフのフリーファイトではあったが勝利した事のある猛者だと。
「サンクチュアリガードでアタック、パワー20000‼︎「ノーガード!」
ツインドライブ‼︎『幸運の運び手 エポナ』『☆』『未来の騎士 リュー』『☆』
クリティカルトリガーダブル、クリティカルはサンクチュアリガード、パワーはツインソードに!「なっ、ダブルトリガー…⁉︎『
スタンドトリガー、パワーはミリオンレイにプラスしミリオンレイのスキルも発動、合計パワー+11000‼︎」
これだからあの馬は……ツインソードでアタック、リシャールのブーストも入って25000‼︎「ならタッグガード、『
むむむ……ターンエンド!」
サンクチュアリガードVSミリオンレイ:20000VS9000=ヒット
ツインドライブ『幸運の運び手 エポナ』『☆』『未来の騎士 リュー』『☆』
サンクチュアリガード・ドラゴン:C1→3
ナイト・オブ・ツインソード:P9000+ 10000=19000
ダメージチェック『
ミリオンレイ・ペガサス:P9000+2000×3+5000=20000
ツインソードVSミリオンレイ:19000+5000VS 20000+10000=ガード成功
針妙丸:手札:5
鈴仙:ダメージ:4 チーム合計ダメージ:5
咲夜:手札:7
針妙丸がダブルクリティカルを引き当て鈴仙のダメージが一気に増えるも、ミリオンレイのスキルによりガード値が上がった為咲夜の手札1枚で追撃を捌き切りそれ以上のダメージを許さなかった。
しかし、ダブルクリティカルをあの場面で引き当ててしまう針妙丸の実力は本物であり、咲夜や鈴仙も油断は出来ないとして改めて気を引き締めて出した。
汚い忍者もこれには納得の実力であると思い引き締まった表情になり寅丸もまた雰囲気から察し気を引き締めていた。
「ふう、アンタは強いみたいね。
なら、私も本気で行かないとね……スタンド&ドロー!
遍く痛みに鉄槌を!
ライド、『
そしてタッグファイトに於いて
クレイに宿りし雪精よ、我に力を!
ストライド・ジェネレーション、『スノーエレメント ブリーザー』‼︎」
スノーエレメント ブリーザー:P15000+11000=26000、C1
針妙丸がG3にライドしたのを見て鈴仙は直さまライドと
本来デッキは一つのクランで纏めるのが主流で、混成クランはデッキに入れる枚数制限やクラン統一等の制限無しのルール下やフリーでしか出来ない……が、〈クレイエレメンタル〉は例外で、このクランに属するユニットは全てスキルに永続効果で全ての国家とクランに属するとある為、どのデッキにも本当の意味で入れても問題無いのである。
「ガヴリールの
私は咲夜のダメージ1枚をコストの肩代わりとして3枚見るわ…… サウザンドレイ・ペガサスを置き、残りは下に。
そして『ナース・オブ・ブロークンハート』を選びコール‼︎
更に私はノキエルを張り替えて手札からもう一体のブロークンハートをコール‼︎
これでバトルよ、手札からコールしたブロークンハートでツインソードにアタック!「エポナでガード‼︎」
ブリーザーでアタック、そしてスキル発動、
トリプルドライブ!『
ヒールトリガー、ダメージ1枚回復してパワーをダメージからコールしたブロークンハートに‼︎
そのブロークンハートでツインソードをアタック‼︎「リューでガード‼︎」
ターンエンド、さぁ、此処からが私のガヴリールの本領発揮よ……!」
ナース・オブ・ブロークンハート:P9000、C1
鈴仙:手札:3 布陣
ブロークンハートB ブリーザー ブロークンハートA
R R R
咲夜:ダメージ:0/1
ブロークンハートBVSツインソード:9000VS9000+10000=ガード成功
ブリーザーVSサンクチュアリガード:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『
ブロークンハートA:11000+5000=16000
ダメージチェック『サンクチュアリガード・ギャランティ』
ブロークンハートAVSツインソード:16000VS9000+10000=ガード成功
鈴仙:手札:6 GB:2
針妙丸:手札:3
鈴仙のアタックの仕方、特にフィニッシャーにもなるブリーザーのスキルを初回超越でいきなり使用した事に一瞬疑問を持つが、鈴仙のGゾーンと
そして針妙丸が気付いた事は当然他の面々も気付き、鈴仙の狙いがGB2を有効化させる事にあると察した。
「(成る程、GB2を達成させたか。
つまりガヴリールのGB2は相手ターンでも有効になるスキルか。
そして〈エンジェルフェザー〉はダメージに関連したスキルが多いとなれば……)」
「(鈴仙さんの防御力は今までの比じゃ無くなる。
更に相手の少名針妙丸さんの『サンクチュアリガード』は現〈ロイヤルパラディン〉の最強に近い矛…………このタッグファイトの組み合わせは正に矛と盾の闘いと言う訳ですか……!)」
汚い忍者と寅丸は鈴仙と針妙丸の闘いを矛と盾の激突と捉え、次の針妙丸のターンが回ればその闘いの全容が見れると考えていた。
…………しかし、それよりももっと重要な事がこの後に控えていた。
そう、次の正邪のターンで正邪もG3になるのだ。
そして、実はこのファイトが始まってからだが正邪の初期手札に禍々しい気配が漂っており、それがライドを繰り返す度に強くなっていた事を観戦している三人やファイトをしている二人は感じていた。
「……さて、お前ら。
あの天邪鬼の手札、感じるか?」
「ええ、分かります。
彼女がファイト前に見せたカードの気配、これはやはり…………!」
「あるな…………」
その気配は正邪のターンに回った瞬間に極大になりこのファイトをしている広間……否、輝針城全てを包み、中に居る者達全てにその邪悪なる気質を感じさせていた。
「さてさて、私のターンだな、ドロー…………いや〜姫様ありがとう、此処までやってくれて。
お陰で、真打が出る絶好の空気になったよ。
さぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、コレがアンタラが求めてやって来た奴だよ…………!
世界を絶望に染め上げ、狂気の声を上げな‼︎
ライド、『
そして、それは遂に姿を現した。
かつての幻想郷を混乱に陥れ、世界を絶望に染め上げ滅亡の淵へと追いやり掛けた〈リンクジョーカー〉、それらの象徴であり相手に偽りの希望を与えてはそれを砕き、全てを嘲笑って来た道化にして災厄の竜。
「出やがったな…………カオスブレイカー・ドラゴン…………‼︎」
カオスブレイカー・ドラゴン、そのオリジナルカードが今、正邪のヴァンガードとしてたった。
それを見た咲夜と鈴仙は、かつての悪夢が今再びこの場に顕現したのだと確信するのであった。
だが、ただ一人…………この場に居る一人だけは恐怖や警戒などを見せず、ただただそれを見据えていた……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
久々に字がヤバイ量に達しました。
……1対1でも書く量が多いのにタッグファイトは余計に……ゲフンゲフン。
さて、今回正邪が使っているカードですが、一部鈴仙の使うガヴリールが収録されているブースターパックの次弾のカードがあります。
そしてそれらが猛威を振るうのは…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第60話「混沌ノ楽園」
遂にこの小説も60話目……しかしながらまだまだ先が長いです…………。
それからサブタイですが……分かる方は分かります、よね……。
では、本編へどうぞ。
正邪がカオスブレイカー・ドラゴンにライドし、その場の空気が一気に負の方向へと傾き、咲夜達により一層肩に力を入れさせていた。
「まぁまぁ、まだ慌てなさんなって。
本番はこれからなんだからさ…………コストはカオスブレイカーでストライド・ジェネレーション、『創世竜 ジャッジメント・メサイア』!
そして『
創世竜 ジャッジメント・メサイア:P11000、C1
「ジャッジメント…………メサイア?
何だ、あのGユニットは?
〈リンクジョーカー〉のGユニットは星雲竜とかそんなんだった筈……」
「あれは最近配布されたばかりのガ・ブレード互換だ、知らないのも無理はない。
スキルはアタックヒット時に相手の後列のリアを1体
だが正邪が見慣れないGユニットを使うと汚い忍者も疑問を浮かべ、記憶の中からカードリストを引っ張り出そうとした所でブライトが最近配布された〈リンクジョーカー〉のガ・ブレード互換であるとしスキルも説明する。
それに汚い忍者は最初は大した事の無いスキルだと思っていた…………が、スキルの一文でガラリと印象が変わる。
「(ふん、アタックヒット時に相手の後列リアを
今、コイツスキルでなんて言った?
バカな、〈リンクジョーカー〉が自身の特性をメタる行為をやりやがるのか⁉︎
何だ、あの非効率的なユニットは………確かに1枚までなら0枚選んでしない選択が出来るが、それでも……それに、『メサイア』……だと……!)」
そう、
この部分が汚い忍者は引っ掛かりジャッジメント・メサイアの存在に疑問を持ち、また『メサイア』の名にも引っ掛かり頭の中に
汚い忍者は新しい『
そして、そのスキル解説を聞き……敵意は無いが鋭い視線を一瞬向けた者が一人居た。
そう、ジャッジメント・メサイアを使う正邪自身である。
「…………ふん、ボルトラインのブースト、ジャッジメント・メサイアでアタック。「……咲夜?」「…………ノーガード」
トリプルドライブ『デスティニー・ディーラー』『
でもってさっき其処の英雄さんが説明した様にアタックヒット時に相手の後列リアを
そして1枚まで選びだから0枚選んで省略し、ボルトラインのスキルで今のブーストしたアタックがヒットしたから
ジャッジメント・メサイアVSファントム・ブラスター:26000+7000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『デスティニー・ディーラー』『
正邪:手札:8 GB:1
咲夜:ダメージ:ダメージ:1/2 チーム合計ダメージ:6 布陣
撃退マスカレード ファントム・ブラスター R
R
【Ω】:
ジャッジメント・メサイアとボルトラインのスキルを順番に発動させ咲夜のジャッジバウを
汚い忍者はこの二体のスキルにはこんな相乗効果が発生するのかと少しは感心し頭に入れる。
しかしこれをやられた咲夜はどうせジャッジバウのブーストを含めたアタックは止められてしまう為、寧ろ無くても平気として考えていた。
「さて、私のターンですね。
ドローして…………そうですね、ブレイクライドは出来ませんが『
信念の輝きを放ちし誇り高き竜よ、影より来たれ!
ストライド・ジェネレーション、『
……ふう、デッキ相性が悪いと戦略が崩れますが……この程度は立て直しが可能です。
『
克己の
ラキア:P7000+3000=10000
ドラグルーラー・レブナント:P26000+3000=29000
咲夜はジャッジバウのブーストを防がれた辺りからこの展開が読めていた為、直ぐ様リカバリーが取れる戦術を取り左ラインを完成させる。
咲夜のデッキは一見すると不安定で扱い辛い物だが、一つのデッキで幾つもの戦術を取る事が可能な『扱えれば相手を余り選ばない』代物なのだ。
そう、扱えれば…………このデッキを扱える人物は咲夜と同レベルの引きと実力を伴わねばならない実質咲夜専用デッキで、他に使えるとすればレミリア位しか居なかった。
「ドラグルーラーでカオスブレイカーをアタック!「うーむ、ノーガードかな」
トリプルドライブ『
ならマスカレードで追撃、パワーはスキルも合わせて27000‼︎「ネビュラキャプターとなんか引き当てたパラダイムシフトでガード‼︎」
ふむ、ターンエンド」
ドラグルーラーVSカオスブレイカー:29000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『
ドラグルーラー:C1→2
撃退マスカレード:P9000+5000=14000
ダメージチェック『
カオスブレイカー:P11000+5000=16000
撃退マスカレードVSカオスブレイカー:14000+3000+10000VS16000+5000+10000=ガード成功
咲夜:手札:8
正邪:手札:7 ダメージ:5 チーム合計ダメージ:7
咲夜は着実にダメージを与え正邪チームの合計ダメージが7となり、後2枚のダメージでゲームエンドとなろうとしていた。
「後2枚、まぁ射程圏内に入ったな。
(後は何事もなけりゃあ良いが…………)」
「お二人の堅実なファイトで流れはこちらに傾きつつあります、このまま行けば任務は終わりますね」
汚い忍者と寅丸は咲夜と鈴仙のファイトを見てこれなら後は大丈夫だろうと踏み、寅丸の方はカオスブレイカーの回収を考え出していた。
しかし、汚い忍者は心の底では未だ警戒は解いておらず、正邪が引いたりダメージに落ちたりする新しい
そしてブライトもまた汚い忍者と同じ事を考え、また正邪が自分に向けた視線の理由……そちらは大体は察しが付いていたが、一応確認しようと頭の片隅に留めていた。
「ドロー、
小さき力は今、偉大なる竜の下大いなる力とならん‼︎
ストライド・ジェネレーション、『神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア』‼︎
レガリアのスキル、グレード1以下のユニットの数だけ前列のパワー+3000‼︎
ばーくがるのスキルで『未来の騎士 リュー』をコール‼︎」
神聖竜 サンクチュアリガード・レガリア:P15000+11000=26000
未来の騎士 リュー:P4000、C1、『☆』
サンクチュアリガード・レガリア:P26000+12000=38000
リュー:P4000+12000=16000
ツインソード:P9000+12000=21000
針妙丸:手札:2 布陣
リュー レガリア ツインソード
ふろうがる
→:レスト状態
次の針妙丸のターン、大方の予想通りサンクチュアリガード・レガリアが登場し、ばーくがるのスキルでリューが現れパワー強化+アタック回数を増やしていた。
しかし、これに対し鈴仙は全く余裕のある表情を浮かべており、これで決め切れるならばやって見せなさいと言う考えを無言ながら示しており、針妙丸もそれが分かってはいるがやはり愚直に突っ込むしか無い為意を決して突撃を始める。
「リューで単独アタック!「じゃあノーガード『不死鳥 カラミティフレイム』そしてガヴリールのGB2、ダメージゾーンにカードが置かれる度に前列のユニット全てにパワー+2000し、ブロークンハートのGB1、こちらもダメージゾーンにカードが置かれる度に自身とヴァンガードにパワー+2000を与える、これでガヴリールはパワー17000、ブロークンハートは両者13000よ!」
うっ、やっぱりそれ系スキルだったんだ……リシャールのブースト、ツインソードでヴァンガードにアタックしてGB1、
か、硬い…………レガリア‼︎「『恋の
…………リアガードに!「タッグガード」
くっ、ターンエンド……‼︎」
リューVSガヴリール:16000VS11000=ヒット
ダメージチェック『不死鳥 カラミティフレイム』
ガヴリール:P11000+2000×3=17000
ブロークンハートA&B:P9000+2000×2=13000
ツインソードVSガヴリール:24000VS17000=ヒット
ダメージチェック『ナース・オブ・デンジャーハート』『☆』
ガヴリール:P17000+5000+2000×3=28000
ブロークンハートA&B:P13000+2000×2=17000
サンクチュアリガード・レガリアVSガヴリール:38000VS(28000+5000+2000×3+10000)=38000VS49000=ガード成功
トリプルドライブ『バトルソング・エンジェル』『ホーリーナイト・ガーディアン』『世界樹の巫女 エレイン』『治』
聖域の射手:P18000+5000=23000
聖域の射手VSブロークンハートA :23000+5000VS21000+10000=ガード成功
鈴仙 :手札:6 ダメージ :6 チーム合計ダメージ :8
咲夜:手札:7
「い、今の攻防見ましたか⁈」
「……ああ、レガリアが上げるパワーを上回るパワー上昇をガヴリールとブロークンハートで達成し、ガード値をガン上げしやがったな。
予想通り矛と盾の闘いだったな」
そうして針妙丸のアタックが始まるが、それを鈴仙はただダメージが増えるだけでガード値を底上げし、ダメージトリガーやタッグガードもありチーム合計ダメージを8で抑える……否、調整して針妙丸のダメージが回復しない様にしていた。
更に、これこそが鈴仙の狙いであり此処からが彼女の本領発揮である。
「ドロー、ガヴリールをコストに
ストライド・ジェネレーション、『
ガヴリールの
更に手札からサウザンドレイをコールしてラファエルのGB2、Gゾーンのラファエルを1枚表向きにしてダメージ1枚回復‼︎「なっ、ダメージが……これが〈エンジェルフェザー〉のGユニットの力……!」
更にアズライールのGB1、
そうよ、そしてこれが今の私の本気中の本気、永遠亭では少し訳あって出せなかった分此処で出し切るわよ‼︎」
ラファエル:P26000+2000×8=42000
ブロークンハートA&B:P9000+2000×4=17000
サウザンドレイ(A):P7000+2000×4=15000
サウザンドレイ(B)P7000+2000×3=13000
鈴仙:手札:6 ダメージ:5 チーム合計ダメージ:7 布陣
ブロークンハート(B) ラファエル ブロークンハート(A)
サウザンドレイ(A) R サウザンドレイ(B)
鈴仙は
「…………前言撤回だ、ありゃただの盾じゃねぇ。
物凄え鋭い剣が盾と一体化してやがるわ」
「行くわよ、デッキ側のブロークンハートでアタック‼︎「くっ、ノーガード……『世界樹の巫女 エレイン』『治』ヒールトリガー、チーム合計ダメージが相手以上の為、ダメージ回復してパワーはサンクチュアリガードに‼︎」
ラファエルでアタック‼︎「完全ガード‼︎」
トリプルドライブ『
ダメージ側のブロークンハートでアタック、合計パワーは37000‼︎「タッグガード、20000!」「10000でガード‼︎」
まぁ決まらないわよね、ターンエンド!」
ブロークンハート(A)VSサンクチュアリガード:29000VS11000=ヒット
ダメージチェック『世界樹の巫女 エレイン』『治』
サンクチュアリガード・ドラゴン:P11000+5000=16000
ラファエルVSサンクチュアリガード:42000VS16000+0=完全ガード
トリプルドライブ『
ブロークンハート(B):P17000+5000=22000
ブロークンハート(B)VSサンクチュアリガード:22000+15000VS16000+10000×3=ガード成功
針妙丸:手札:2 ダメージ:2 チーム合計ダメージ:7
正邪:手札:5
汚い忍者は鈴仙のこのデッキとプレイングを単なる防御寄りでは無く同等以上の攻撃性能まで兼ね備えた物とし、その例えとして鋭い剣と盾が一体化していると言い寅丸も納得し、ブライトはまるで分かっていた、否、分かっていた為特には言及しなかった。
そして咲夜も咲夜の方でこれを知らなかった筈なのに鈴仙の手札を余り使わせない様にしつつ、自分も持ち前の引きなどでダメージを抑えるなど冴えたるチームワークを発揮しているのだ。
これには針妙丸と正邪はやはり自分達より格上だと言う認識をし、特に針妙丸は次に同じ事をされたら防ぎ切るのは不可能だと悟り、後は正邪次第だとも考えていた。
そして、それは鬼人正邪も理解していた。
「あーあ、後は私次第って……弱小妖怪の天邪鬼に何逃れられないプレシャーを背負わせてんだか…………まっ、姫が此処まで耐えてくれたのは想定通り。
これで十六夜咲夜は封殺完了だ」
「…………?
何故いきなり封殺出来ると宣言するのかしら?
私の前列リアガードサークルは一つ開き、左ラインを封じても全然平気なのだけど」
正邪は突然今までの何処か無気力な雰囲気を崩し、天邪鬼らしい歪んだ笑みを浮かべ出しながら封殺宣言をし、咲夜は疑問を抱き、何故封殺が出来るのかと思いながら右ラインが空いてる事を指摘する。
すると…………正邪は何が可笑しいのか笑い始める。
「く…………ひひひひ…………そうだよな、右前列が空いてるから普通は封殺なんか出来ないよなぁ〜。
そう、普通は…………ひ、くひひ…………だからさぁ〜、今の私の全部見せてやるよ、物凄く愉快で笑いが止まらなくなるさ‼︎
私のターン、ドロー!
デスティニー・ディーラーをコストに
混沌の楽園で嘲笑い、偽りの希望を砕け!
ストライド・ジェネレーション、『
『っ⁉︎』
「……!」
「な、何だ⁉︎
何なんだ、あのGユニットは……⁉︎」
観戦している三人とファイトしている二人は正邪の出したGユニットの名とカードに描かれたイラスト、そしてカオスブレイカーのオリジナルカードが放っていた禍々しい気と同等以上の邪悪な気質を見て感じ取り驚愕する。
カードに描かれたその手に持つ紅き剣はカオスブレイカーのそれと雰囲気が似ており、またその名も『
此処からこのGユニットがカオスブレイカーと何らかの関係があるのは想像に難くは無かった。
そして、その想像通りこのサイバーゴーレムはとある未来でとある指揮官が作り、過去に送り出した玩具なのだ。
カオスユニバース……混沌の楽園と名付けられたそれはイメージ世界にて、禍々しい気を放ちながら空間を裂き、奈落竜と黒衣の天使を静かに見据えながら対峙していた……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
サブタイのGユニットですが、この話ではまだ顔見せ程度でした。
しかし、此処で顔見せなら後は…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第61話「激闘閉幕」
やっと少し落ち着いて話が書けます…………。
では、本編へどうぞ。
正邪がカオスユニバースに
「フン、所詮はくだらん機械如き相手にもならんわ」
「増援が来ないのを見るとあらかた全て倒し切ったみたいですね」
「その様ね。
さて、うどんげ達の所に行かな……っ!」
レミリア達四人が最奥に向かおうとした正にその瞬間、四人は奥から先程輝針城全てを包んだカオスブレイカーの気配だけで無く、また別の邪悪な気配を察知し全員表情が強張る。
「この悪鬼羅刹すら怯える様な気配は……⁉︎」
「カオスブレイカー……いや違う、何だ、これは……!」
「最奥から此処まで感じ取れるこの邪悪な気……汚い忍者達は確かに鬼人正邪と戦ってはいるだろう。
しかし、彼奴はカオスブレイカーのみならず何らかの別のカードも使用しておると見た」
「……急いで向かう必要が出て来た様ね……」
四人はこの邪悪な気配を重く受け止め、直ぐ様走り出し咲夜達との合流を急ぎ始める。
不測の事態が起き、咲夜達に何らかの害が及ぶ前に……。
「カオス……ユニバース……⁈」
「何なのよ、それ……!」
正邪と針妙丸にファイトを挑んでいる咲夜と鈴仙は特に近くに居た為、カオスユニバースの放つ気配を誰よりも強く感知してしまい嫌な汗が頬を伝り、先程までの余裕がある表情が一気に崩れ焦りを滲ませていた。
対する正邪は先程と変わらず歪んだ笑みを浮かべながら声を上げていた。
「ひっはははは…………おいおい、まだコイツを出しただけなのに良い反応するじゃんか。
じゃあさ、スキルを発動したらどんな反応をするかな…………くくっ。
メインフェイズ、カオスユニバースのスキル発動!
そうだな、右前列を選ぶわ」
「サークルを選ぶ?
(『
カオスユニバースのスキルが発動し、咲夜の右前列のサークルを選ばれた事に咲夜自身は『
しかし、このユニットのスキルは確かに空いたサークルに
「そして、相手は自分の『手札1枚』を選んで私が選んだ場所に
さぁ、手札1枚を置きな‼︎」
『………………はぁ⁉︎』
そう、このユニットが指定するのは相手の手札なのだ。
ヴァンガードと言うゲームの性質上、相手ターンのハンデスは相手の防御札を削るだけで無く次の攻撃札をも削る凶悪な物で、しかもこのスキルには其処に
「手札1枚を…………くっ、私はこの1枚を
「更に、私のGゾーンに表向きのカードが2枚以上あれば、私は相手のリアガードを1体
マスカレードを
カーボンのスキル、相手に
ジンクをコールしそのままスキル発動、相手に
更に更に『
正邪:手札:3 ダメージ:4/5 ソウル:2→6 布陣
アイアン カオスユニバース コロニーメイカー
R ボルトライン ジンク
咲夜:手札:7→6 布陣
【●】:
そして気付いてみれば咲夜の右後列以外の全てが
この為、正邪は咲夜のターン終了時に咲夜のリアガードを焼き払い、4枚ドローが確定しているのだ。
これらのスキルを見た咲夜は絶句し、汚い忍
者達も驚きを隠せずにいた。
「な、何だと……手札1枚を
「何なんですか、この破格のスキルは⁉︎
今までの〈リンクジョーカー〉、いえ、カオスブレイカーデッキの比ではない…………‼︎」
「(…………成る程、これが…………)」
その反応を見て正邪はドッキリ大成功と思いつつ、このまま咲夜を封殺して針妙丸が鈴仙にラストダメージを与えゲームエンドを狙うと考え、横でそのえげつない動きに呆れている針妙丸も同じ考えを持ち鈴仙を見ていた。
「さーてと、バトルフェイズに移行して……アイアンでヴァンガードにアタック!
スキル発動、『カオス』の名を持つヴァンガードが居るならアタック時パワー+2000‼︎「あく……ノーガード‼︎『真黒の賢者 カロン』
カオスユニバース、ボルトラインのブーストを受けアタック‼︎「完全ガード‼︎」
トリプルドライブ『障壁の
コロニーメイカーでヴァンガードにアタック‼︎「ガード…………‼︎」
ターンエンド…………さぁ、アンタのターンだよ?」
アイアンVSファントムAbyss:9000+2000VS11000=ヒット
ダメージチェック『真黒の賢者 カロン』
カオスユニバースVSファントムAbyss:26000+7000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『障壁の
コロニーメイカー:P9000+5000=14000、C1→2
コロニーメイカーVSファントムAbyss:14000+7000VS11000+10000+5000=ガード成功
正邪:手札:6
咲夜:手札:2 ダメージ:2/3 チーム合計ダメージ:8
正邪の攻撃を咲夜はギリギリの所で防ぐも、両ラインが塞がれヴァンガードしかアタック出来ず、実質封殺された今の咲夜に出来る事は何とかガード札を握り、鈴仙のターンに繋げる以外に無く、また鈴仙も自分が針妙丸にラストダメージを入れる事がこのファイトの唯一の勝ち筋である事を理解しており、しかし何故か慌てず不思議と落ち着きを取り戻しつつあった。
そして、それは咲夜も同じであった。
「…………そうね、今の私に出来る事は…………ドロー!
今ドローしたファントム・ブラスター ・ドラゴンをコストに
お嬢様、今再び力をお貸し下さいませ……ストライド・ジェネレーション、『暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’』!
ファントム・ブラスターのスキル発動、
はい、リアガード3体分のコストは用意出来ません、故にこのままアタック!「完全ガード!」
トリプルドライブ『
クリティカルトリガートリプル、全てヴァンガードに付与」
暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’:P15000+11000=26000、C1
ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’:P26000+10000=36000、C1→2、スキル付与
ファントム・ブラスターVSカオスブレイカー:36000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『
ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’:36000+15000=51000、C2→5
咲夜はレミリアの切り札の1枚たるファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’も使い、スキルは十全に発揮出来ず完全ガードで防がれるもトリプルクリティカルを引き当てて針妙丸のアタックに対するガード札を確保する。
そして、咲夜はこの後起きる事を自らの記憶にあるカオスブレイカー・ドラゴンの敗戦の記憶内にある光景から思い浮かべ、しかしあの時と違いまだタッグファイトで、且つ成長もした為意を決してターン終了宣言へと移る。
「……私はこれでエンドフェイズに移行し、
ターンエンド……!」
咲夜:手札:5
咲夜の予想通り正邪はカオスブレイカーのスキルを4回発動し、リアガード4体が退却しヴァンガード以外は立っていない焼け野原状態になり、更に手札も4枚だった物が8枚になり鈴仙のアタックを防ぐ札を握っていた。
そして、肝心な部分である針妙丸のターンが回り、これで防ぎ切れなければ終わる崖っぷちに咲夜と鈴仙は立たされていた。
「私のターン、ドロー!
もう一度ストライド・ジェネレーション、サンクチュアリガード・レガリア‼︎
スキルで前列全てパワー+9000‼︎」
サンクチュアリガード・レガリア:P26000+9000=35000
ツインソード:P9000+9000=18000
聖域の射手:P9000+9000=18000
「これを凌がなきゃそもそもゲームエンド…………さっきのターンで優曇華院の防御力は見たが今度は果たして……」
汚い忍者や寅丸は固唾を飲みながら咲夜と鈴仙を見守り、正邪も此処で決めて欲しいと針妙丸にアイコンタクトをし針妙丸も頷く。
両者の間に緊張が走り、それは1秒が1分、30秒が1時間にも感じられる程であった。
『………………』
「『スタンッ‼︎』星、皆様、大丈夫ですか⁉︎」
その時、汚い忍者達の背後の襖が勢い良く開かれ、奥から聖、不破、レミリア、永琳の順で足止め組四人が広間に入り込んで来る。
そしてそれを合図に、針妙丸がユニットに手を掛け、咲夜と鈴仙は手札に手を掛ける。
「聖域の射手でブロークンハートにアタック、サンクチュアリガードがヴァンガードなのでパワー+2000、合計パワー20000‼︎「
ツインソードでヴァンガードにアタック、スキルでグレード2のブレードゥをデッキからスペリオルコールして合計パワー24000‼︎「もう一度ノキエルでガードし、手札1枚とダメージ1枚交換してスキルが発動し、合計28000のガード値よ‼︎」
レガリアでアタック、ばーくがるのブーストで39000よ‼︎「イスラフィールで完全ガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『ホーリーナイト・ガーディアン』『未来の騎士 リュー』『☆』『幸運の運び手 エポナ』『☆』
ダブルクリティカル、全てブレードゥに与えてアタック、GB1でパワー+3000して36000‼︎「タッグガード2枚‼︎」
くぅ、ノキエルを2枚確保してたなんて…………ターンエンド‼︎」
聖域の射手VSブロークンハート(A):18000+2000VS9000+5000+2000×2+10000=ガード成功
ブロークンハート(A&B):P9000+2000×2=13000
ガヴリール:P11000+2000×3=17000
ツインソードVSガヴリール:18000+6000VS17000+5000+2000×3=28000
ブロークンハート:P13000+2000×2=17000
ガヴリール:P17000+2000×3=23000
レガリアVSガヴリール:35000+4000VS23000+0=完全ガード
トリプルドライブ『ホーリーナイト・ガーディアン』『未来の騎士 リュー』『☆』『幸運の運び手 エポナ』『☆』
流転の騎士 ブレードゥ:P9000+9000+10000=28000
ブレードゥVSガヴリール:28000+5000+3000VS23000+10000×2=ガード成功
針妙丸:手札:5
鈴仙:手札:5
咲夜:手札:2
針妙丸は今出来る全身全霊を込めたアタックをするも、鈴仙と咲夜は協力して守り切り、1ダメージを負う事無く凌ぎ切る。
更に鈴仙はノキエルの手札交換で手札のトリガーをダメージに置きつつ、リフロスのスキルでダメージに落ちたリフロスを手札に回収し、次のターンで再びリフロスのスキルを使う用意が出来ていた。
そして鈴仙は、この自分のターンこそがゲームエンドに持ち込むラストチャンスとし、今出せる最高の攻撃力を叩き込むと心の中で決める。
「…………どうやら、我々の心配は不要であったみたいだな」
「よ、足止めご苦労さん」
それを見たレミリア達は慌てて合流する必要が無かったのだと安心し、じっくりと鈴仙のターンを見る為に汚い忍者達の側に寄り、汚い忍者はニヤケながら合流したレミリア達に労いの言葉を掛けていた。
「ドロー!
行くわよ、ナキールをコストにして、ストライド・ジェネレーション、『
先ずはガヴリールの
…………!
3枚の中からリフロスを置き、リフロスをコールし、更にラジエルのスキル!
これにより私は5枚のダメージが入れ替わり、2体のサウザンドレイとブロークンハートのスキルが発動‼︎
此処までで6枚ダメージゾーンにカードが置かれたのでそれぞれパワー+12000、2体のブロークンハートのスキルを受けたラジエルはパワー+24000‼︎」
「は、はぁ⁈
何だそのインチキ臭いパンプ値は⁉︎」
ブロークンハート:P9000+2000×6=21000
サウザンドレイ:P7000+2000×6=19000
リフロス:P4000+2000=6000
ラジエル:P26000+2000×6×2=50000
そして鈴仙は自身のデッキで最高の攻撃力を叩き出せるラジエルを使い、2体のブロークンハートとサウザンドレイをヴァンガードごと劇的にパワーアップさせ、両側ラインは合計パワー40000となりヴァンガードは単体で50000と咲夜が先程スキル+トリプルトリガーで漸く出したパワーを達成する。
これには味方である汚い忍者も絶句し、寅丸は目が丸くなってしまう。
しかし、鈴仙の場にはまだリフロスが居り、更に手札にもリフロスが1枚ある。
つまり此処から最低4回のパワー+2000の連鎖が起きる事が確定しており、針妙丸は正邪を見るがその正邪も汗がダラダラと流れ、明らかにこれ以上パワーアップすれば防ぎ切りようが無いと言う考えが見て取れた。
「さて、此処からが本題。
ブロークンハートのラインだけでも防ぎ切りようが無いパワーを実現しないと勝てない…………リフロスのスキル発動、
そしてデッキの上から2枚をダメージゾーンに置き、1枚ドロー‼︎
ブロークンハートとサウザンドレイのスキルも2回発動してパワー+2000が2回、ラジエルは4回分入る‼︎
更にリフロスをコールしてスキル発動、さっきと同じ事をしブロークンハートとサウザンドレイのスキルも発動‼︎
そして、今のドローで引いたリフロスをコールしてスキル発動‼︎
もう一度同じ事をしてドロー‼︎
…………更にリフロスをコールしてスキル発動‼︎」
「なっ、リフロスを引き当ててはまたリフロスを使って…………‼︎」
ブロークンハート:P21000+2000×8=37000
サウザンドレイ:P19000+2000×8=35000
ラジエル:P50000+2000×8×2=82000
鈴仙はこのターン中にリフロスのスキルを4回も発動し、サウザンドレイとブロークンハートが更に16000もパワーが上がり、ラジエルは単体で82000にまで膨れ上がりレミリアも中々と呟き、鈴仙の引きを褒めていた。
「ドロー‼︎
…………今引いたカードはリフロスで無く、ダメージに落ちたわ……「ほっ……」でも、引いたのは
ノキエルをリフロスに張り替えて、スキル発動‼︎
ダメージ2枚をデッキに戻し、上から2枚を置きドロー‼︎
更にリフロスをコール‼︎「もうやめて、防ぎ切れないから、マジで、ガチで、閻魔に誓って‼︎」
ドロー、リフロスをコールしてスキル発動‼︎
ドロー…………今度こそ、これで打ち止めよ。
でも、ブロークンハートとサウザンドレイは更に7回スキルを発動したわ‼︎
これでブロークンハート2体のパワーは51000、サウザンドレイは49000、ラジエルは110000よ‼︎」
ブロークンハート:P37000+2000×7=51000
サウザンドレイ:P35000+2000×7=49000
ラジエル:P82000+2000×7×2=110000
そうして漸くリフロスが打ち止めとなり、パワー上昇が止まるもイメージ世界にて、其処に居た天使や天馬達は最早可憐な物では無く、両手に電気ショックを持つ天使のそれは最早プラズマの領域に近い電圧を出し、天馬は後光が差し、熾天使はオーラが4倍以上に膨れ上がっていた。
そしてリアル視点の正邪と針妙丸はどんな反応を示しているかと言えば……。
「/(^o^)\」
「」←真っ白になっている
正邪は手札を置きながら何とも言えない表情で頭を抱え、針妙丸は真っ白に燃え尽きていた。
幾らタッグファイトと言えど、此処までのパワーを叩き出されてしまえば最早防ぎようが無いからだ。
そしてそれを見ていた汚い忍者は敵ながら正邪と針妙丸に同情し、自分がやられたら先ずサレンダーはしないとは言え二人の様な反応になると思っていた。
「行くわよ、右のブロークンハートでアタック、勿論ブースト付き、合計パワー10万‼︎「…………ノーガード『ふろうがる』『醒』
次は左のブロークンハートでアタック、合計パワー10万‼︎「…………『スターライト・ヴァイオリニスト』」
…………ゲームエンド、これで任務終了よ…………」
ブロークンハート(A)VSサンクチュアリガード:51000+49000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ふろうがる』『醒』
サンクチュアリガード・ドラゴン:P11000+5000=16000
ブロークンハート(B)VSサンクチュアリガード:51000+49000VS16000=ヒット
ダメージチェック『スターライト・ヴァイオリニスト』
針妙丸:ダメージ:4 チーム合計ダメージ:9
正邪&針妙丸:LOSE
咲夜&鈴仙:WIN
ブロークンハートのパワー10万のアタックが2回飛び、針妙丸にダメージが入り漸くこのタッグファイトが咲夜と鈴仙の勝利に終わる。
咲夜は仮に鈴仙がラジエルを持たず、またリフロスのスキルをあそこまで発動出来ていなければ針妙丸と正邪に防がれてしまい、再びカオスユニバースを使われてそのまま逆の結果となっていたと踏み、鈴仙に深く感謝していた。
そうして、レミリアと永琳が咲夜と鈴仙を労い、聖が汚い忍者やブライト達と状況の最終確認をするなど一息入れた所でいよいよアンティの執行が成されようとしていた…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
鈴仙のやったリフロスの使い回しですが、リフロスが4枚フルで入ってドロップに1枚も落ちなければ実際に可能です(ガン回り前提ですが)
ただ、コレをやられたら防ぐ手段が皆無の為途中からサレンダーしたくなります……。
カオスユニバースのスキルもエグいです、マジで。
そして…………次回は予定ではありますが完全会話回になりそうです…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第62話「回収完了、そして一悶着」
今回は完全会話回、『そこまで長くなる筈が無いじぇAーHAHAHAHA→長くなった、どう言う事だってばよ⁈』になりorz中です。
徐々にフラグ回収と新しい伏線を張り話を加速させてます(この話から想定していた第1部インターバル〜後半戦)。
さて、今回何が起きるかは本編へどうぞ。
ファイトを終え一息付き、正邪と針妙丸を座りながらブライトが近付き、いよいよ普及協会が課した任務が果たされようとしていた。
「では、カオスブレイカーのオリジナルカードをこちらに渡して貰おうか。
ついでに、新しい
他の既存カードは好きにしろ」
「ちぇ、負けたから仕方ないな。
私だってアンティに逆らえばヤバイのは知ってるし……ほら、カオスブレイカーのオリジナルカードだ。
ついでにこれが私の見つけた新しい奴全部、こっちはアンティに含まれてなかったけどどうせ此処で回収出来なかったらまた後でドカドカ来るだろうし、ほらよ!」
正邪はアンティ通りにカオスブレイカーのオリジナルカードを先程まで自分が使っていた新カードを含めて束にしてブライトにあっさりと投げ渡し、それを受け取ったブライトはそちらを1枚1枚目を通し始め、それを汚い忍者や聖達も横から見ていた。
「ほう、これが咲夜の言っていた新たなる
成る程、聞いた通りただ
「そして、使用しなかったのはこの『
スキルはカオスブレイカーのサポート特化みたいですね」
それらを見て聖やレミリアはそれぞれ言葉を発し、汚い忍者も改めてスキルを見ればどれもこれも
そしてブライトがそれらを見終わり、再び一つの束に戻し右ポケットに仕舞い込み、それから改めて正邪と針妙丸を見る。
「確認完了だ。
鬼人正邪、及び少名針妙丸、この新しい
良し、では我々は輝針城から去ろう。
それから、もし新カードのコピーが作られればそちらを補填として回す事を約束しよう。
では任務完了、このまま輝針城から去り解散とする」
ブライトは事務的な文言で正邪達に後日聞き取り調査の許可を得た上で補填の約束も交わし、そのまま輝針城を出た後に解散すると宣言してからレミリア達の方を向き、そのまま襖の方へと歩き出し汚い忍者達も付いて行こうと広間から出ようとしていた。
「…………待って」
「…………何だ」
すると針妙丸がブライトを呼び止め、何の用なのかと振り返りながらその先を促す。
「……私、強くなったでしょ?」
「そうだな、最後に会った時と比べればレベルその物が上がったな、鬼人正邪共々」
「じゃあさ………霊夢が見てくれてたら、強くなったって言ってくれたと思う?」
「……………………ああ、言ってただろうな」
針妙丸の問いに対しブライトは答えて行き、最後の方で霊夢の名が出て、レミリアと咲夜と鈴仙、更に汚い忍者は針妙丸の方を振り向き、しかしブライトは全く振り向かずにそのまま答え再び歩き出そうとしていた。
「…………救世主にでもなるつもりかい、英雄さん?」
すると今度は正邪が口を開き、しかし誰に言っているのか分からない問いを投げかけた為全員が立ち止まって今度は正邪を見る。
しかしただ一人、ブライトだけは針妙丸の時と変わらず一切振り向かずその問いに言葉を返す。
「俺は救世主には興味は無い、俺の目的は一つ、その為だけに行動する、ただそれだけだ…………」
ブライトはそう言いながら広間から去り、そのまま輝針城から出ようと入り口まで向かい始める。
レミリア達も後を追って直ぐ後ろに着く。
「(救世主……一体何の事だ?
何を救うんだ?)」
「(たった一つの目的、その為に蓮子やメリーを利用している……?)」
「(何れにせよ、くだらん目的の為に我が傘下に手を出したのであるならば報いは受けて貰うぞ、小僧…………)」
正邪やブライトの発言を聞いた汚い忍者や咲夜はそれぞれ疑問を持ち、特に咲夜の頭には蓮子とメリーが浮かび発言内のただ一つの目的の為に、彼女らを利用していると考え、そしてレミリアは報いを受けさせるとしながらその背中を睨み付けていた。
そうこうしている内に入り口に辿り着き、それぞれの思惑を胸に秘めたまま全員輝針城から外へ出たのであった。
「……正邪の持ってたカード、取られちゃったね」
「……ま、オリジナルはね」
汚い忍者達が輝針城から去った後、針妙丸がポツリと呟くと正邪も頭を掻きながら懐に手を入れ、そしてある物を取り出す。
それは、正邪がアンティで渡したカオスブレイカーや新たなる
「それにしても考えたね、普及協会が刷る前にこっちで予めコピーを作ろう、なんて」
「まっ、そうしなきゃ私のカードがいつ戻って来るか分からないしぃ〜?
取られちまうなら取られちまうなりに先手打ってカード製作所の生産ラインに細工して必要な分のコピーをちょろまかせちまえって奴。
そしてこいつらは製作所で刷られたカードだから海賊版かの検査にも引っかからない、いやぁ〜、これで私もファイトが堂々と出来ますわ〜www」
そう、正邪はブライト達が輝針城に来る前にカード製作所の一つに忍び込み、正邪が入手していたカオスブレイカー、並びに新しい
しかもカード製作所で生産されてしまったコピー故、海賊版探知にも引っかからずメリーの〈ギアクロニクル〉のカードみたく『誰も見た事無い珍しいカード』扱いで堂々と大会にも出場出来てしまうのだ。
そんな思惑があった為、新カードのオリジナルもカオスブレイカーのオリジナルごとあっさり渡したのである。
「でも、改めて良いの?
カオスブレイカーはまだしも、新しい奴はオリジナルカードは全部まだ『未浄化』だよ?
オリジナルはさっき渡して、これはコピーでもオリジナルが未浄化のままだとコピーにも〈リンクジョーカー〉の力が浸透して、危険性は……まぁ、クラン自体が侵略の力をほぼ失って微々たる物だけど、一般の人とファイトしたら‘‘
そしたら正邪、また追われちゃうよ?
今度は、トップが八雲藍だから前みたいなお遊びじゃ無い、本気で正邪を……」
すると針妙丸は正邪の心配をし、更に渡したカオスユニバース等のオリジナルカードが『未浄化』……現在の〈リンクジョーカー〉は覚醒した『ハーモニクス・メサイア』の力を受けそれまでにあった全てのカードが浄化され、一般のカードと全く変わらない物になっていたのだが、渡したカードはまだそれを受けていない状態の為、弱体化したとは言え侵略の力が残ってしまっているのだ。
その為、コピーカードも影響を受け邪悪な力がカードに宿っている。
そして、それを使い一般ファイターとファイトをすればかつての事件の再来が起きてしまい、大規模かつ幻想郷所か世界全てが滅亡する異変が発生しかねない。
そうなれば今の幻想郷のトップである八雲藍が動き、正邪をカードごと葬り去りかねなくなる。
針妙丸はそれが気掛かりで、正邪を輝針城に匿い、また正邪もそうなれば面倒な為城から外に出なかったのだ。
しかし、それに対して正邪は今けろっとしていた。
「まっ、其処はもう大丈夫だと思うよ姫様」
「ちょっと正邪、私がどれだけ心配してるか」
「分かってますしマジで大丈夫ですって。
何せ、あのカード達はどうせこの後直ぐに浄化を受けますよ」
正邪は針妙丸の真剣な話を少々茶化しながら理解していると言い、更にオリジナルカードが浄化を受け無害になると言いながら寝っ転がり畳の一部をトントンと叩き、其処からスイッチが出るとそれを押し、すると先程まで何もなかった広間の床が回転し、その裏から全く同じ畳、しかし今度は正邪の目の前に卓袱台やテレビ、YESNO枕が乗ったベッド、更に正邪の手元にリモコン等がが現れ広間に一気に生活臭が漂い出す。
そして正邪はリモコンでテレビを点け、煎餅を食べながら放送されてる物を見ていた。
針妙丸は正邪の隣に座りお茶を飲みながら彼女が何故そんなに安心出来るか疑問を投げかける。
「何でそんな事が分かるの?
あれを浄化するには霊夢並の霊力で、クレイの……と言うより、『メサイア』の力を受けられる場所で数ヶ月間清めなきゃ無理って〈リンクジョーカー〉を持ってた正邪が言ってたよね?
なのに何で直ぐ浄化されるって分かるの?」
「まっ、これは〈リンクジョーカー〉に身体を乗っ取られて色々やっちまった私だから感覚で分かるんすよ、あの英雄さんがカードを浄化するって。
じっくり見て気配を感じたから、ね」
「?????」
すると正邪は〈リンクジョーカー〉により異変を引き起こし、最後はブライトや霊夢達を中心にしたチームに倒され、解放された者としてのある種の感覚を話し、更にブライトがカードを浄化すると言い、針妙丸は困惑する。
ブライトには霊夢の様な霊力が無く、一応PSYクオリアを使え、クレイの先導者としては特別な存在だがカードの浄化には一切関わりが無い筈の為意味が分からなかった。
そして、正邪は更に口を開く。
自分が先程のファイト中にブライトの言動、更にマジマジと見て感じた察知した気配の事を。
「あーつまりですね、あの英雄さんはね……。
『メサイアの先導者』だから、メサイアの浄化の力をこっちの世界で振るい放題なんですよ」
ブライトがメサイアの力を振るえる唯一の存在、『メサイアの先導者』と言うクレイや幻想郷、否、地球を見てもただ一人しか居ない者であると、そう感じ取ったと正邪は話した。
輝針城の任務から1時間、ブライトは途中でまた別の囮となり魔導機械の半分を引き受けた依姫や作戦に参加した各支部トップと地霊殿支部長の代理として汚い忍者を伴いながら普及協会本部へと足を運び出していた。
「フン、我々を本部に誘いなんのつもりだ?」
「会長への任務終了の報告と、会長から作戦に参加した支部長に直接話があるとの事だ。
まあ、この会長の話は後日書面で各支部長へと伝わるが作戦に参加した者に限りは直接話を通したいそうだ」
「藍会長が?」
レミリアの棘のある問いにブライトはあっさり答え、すると聖が八雲藍会長からの話と聞き少し驚いた表情を見せ、レミリアや永琳も何があるのかと疑念を感じ、依姫や汚い忍者も黙りながらも何かあると感じ動向を見守っていた。
そして会長室の前に辿り着き、ブライトがIDとなるクリスタルをドア横のセンサー機に嵌め込むと、IDナンバーが表示されドアロックが外れ、其処からノックし、中から「入って良いですよ〜」と言う声を確認してから入室する。
「失礼します、本部所属ブライト、及び命蓮寺支部、永遠亭支部、紅魔館支部各支部長、地霊殿支部長代理汚い忍者、並びに綿月依姫、任務遂行の報告に参りました」
「うむ、ご苦労であった。
そして紅魔館支部レミリア・スカーレット支部長、永遠亭支部八意永琳支部長、命蓮寺支部聖白蓮支部長、そして汚い忍者と綿月依姫殿、此度の任務への協力感謝する」
そして中に入ると其処には会長室の椅子から立ち、話し合いを行うテーブルの前に立つヴァンガード普及協会現会長、八雲藍とその補佐の
そして橙がブライト達を全員ソファーへと座らせ、藍も対面へと座り橙がお茶を汲み全に和菓子と共に出す。
「さて、早速ではあるがブライト、回収したカオスブレイカーのオリジナルカード、並びに貴様が告げられ存在を感知したと言う新たなる
「了解、こちらがカオスブレイカー、そして鬼人正邪が発見し、保有していた新たな
藍はブライトに回収した物を出す様に命令すると、ブライトは了解しポケットにしまっていた回収したカードを藍の前に出す。そして藍はそれを見てこれがカオスブレイカーのオリジナルカードであると滲み出る邪悪な気配から察し、更に新たなカードも微々たる物ではあるが虚無の力を有していると確信し、橙はそれらを見て感じ、固唾を飲む。
「うむ、間違い無くこれは我々が封印する為に探していたカオスブレイカーのオリジナルカード、そしてクレイの神たる『メサイア』の浄化を受けず幻想郷に紛れ込んだ〈リンクジョーカー〉のカードであるな。
浄化してないこれらはこの場で直ぐ浄化に移り、カオスブレイカーは私が誰にも触れられぬ場所へと責任をもって封印する」
「(告げられた……?
一体何の事だ?
それに浄化されてない物をこの場で浄化するだと?
この場には東風谷の様な強い霊力を持つ奴は居ないし、クレイの力を受けられる霊地じゃねえぞ?)」
藍がそれらを見てからの発言に汚い忍者やレミリア達はカオスブレイカーの封印には納得が行くが、それ以外には様々な疑問が浮かび、少し理解が出来ていない中でブライトがカオスユニバース等のカード束に手をかざし、集中を始めるとブライトの手から光が溢れ、それがカード束を包みその光の中で虚無の力が霧散されて行き、最終的には光が消え、虚無の力があったカードはその辺にあるカードと何ら変わり無い状態となり無害な物に変化していた。
「な、今のは……⁉︎」
「うむ、皆を呼んだのは今まで秘匿していたこれらを説明する為でもある。
先ずブライトの今放った力だが、これは見て感じた通りクレイの神たる『メサイア』の力だ。
何故これを振るえるか、それはブライトが数年前…………丁度ゆか…………八雲紫前会長と博麗霊夢が失踪してから直ぐ、ブライトが『メサイアの先導者』に選ばれその力をこちらで行使出来る様になった為だ。
そして、今回のカオスブレイカーのオリジナルカード回収ついでに彼が夢の中でメサイアに告げられた未浄化のカードも回収させたのだ、やり方は現場に任せたがな」
「メサイアの…………先導者…………?
何なんだ、それは?」
藍がブライトの放った力を説明し始め、『メサイアの先導者』と言う単語も出し、レミリア達がそれを聞いてくる様に促し、更に説明を続ける。
「『メサイアの先導者』とは、二つの世界に大きな影響を及ぼす事象を解決するこちら側でメサイアの力を振る者、端的に言えば博麗の巫女に似た様な物だ。
そして、その先導者は唯一『メサイア』のカードを使える資格者でもある。
我々普及協会、と言うより私はこの力が何者かに悪用されかねんと思いそれらを秘匿し、また〈リンクジョーカー〉達の引き起した異変の二の舞が起きぬ様に前会長時代のアンティルールを更に厳罰化し、幻想郷に多大なる影響を及ぼす大規模異変には首謀者の討伐をするとし、悪用する者が現れ得ぬ環境作りをこの二つの理由から行ったのだ、
その一環として、ブライトには過去の関係を清算し、今後は今まで接した者達とは距離を置いて貰った。
霧雨魔理沙が反発し、厳罰化された直後のアンティを無視しようとしたのは想定外ではあったがな」
「(成る程、鬼人が言ってた救世主になるってそう言う。
そして、ブロントのチームが崩壊した原因の一つは)『ドォォンッ!!!!』うおわっ、スカーレット何やって……‼︎」
そして藍はブライトの今の立場やメサイアの先導者の事を話し、またこれらや〈リンクジョーカー〉達の事件があった故に今の様なアンティルールの厳罰化などが発生し、そして霧雨魔理沙が生死の境を彷徨った原因の命を下したと話す。
汚い忍者は正邪の言葉を理解し、納得した次の瞬間、レミリアは友人の魔理沙が死に掛けたのは藍の責任でもあると理解し、内に秘めた覇気や殺気が肥大化し、右手に紅の槍を作り……自分の背後の壁に投げ込んだ。
そしてその壁はあっさりと崩れ、更にその衝撃で警報が鳴り響くが藍がそれを誤報として止め、レミリアを見やる。
「(うわぁ……やっぱり怖いなぁ……)」
「……レミリア・スカーレット、貴殿の心情は理解出来る。
霧雨魔理沙は博麗霊夢が失踪した直後もあり精神的に不安定だった。
其処に共に闘って来た者の絶縁、そして件が起きた…………しかし、私はそれらが間違っていたとは思わん。
何故なら、あの場で『メサイアの先導者』の話をすれば間違い無く要らぬ衝突が生まれていただろう。
幻想郷が一つに纏まり、輝ける未来に生きようとしているのに陰りを与えてはならなかった。
更に現体制を整える為には秘匿すべき物であった。
そして今、幻想郷は食料供給、エネルギー、ヴァナから来た者達との確執などの様々な問題を前会長から私が引き継いだ上で着実に解消し、多大なる影響を齎す異変は起きず、起こそうとすれば討伐隊を編成出来る様になり、漸くそれらが実を結び月とも連盟を結ぶに至った。
これらは全て現体制が作られ、そして幻想郷に生きる人妖全てが一つの世界に生きる者として纏まった結果なのだ。
よって、この情報を支部長のみに公開すると言う判断に至ったのだ。
納得せよとは言わん、だが理解し今後とも現体制の意地を心掛けて欲しい」
レミリアの殺気に藍は臆さず話し続け、現在の幻想郷の体制を淡々と話し、更に月との連盟も引き合いに出し、そして今に至るまでに人間と妖怪が纏まったとし、レミリアはそれを否定する要素はまるで無く確かに幻想郷に生きる人間や妖怪は今を納得し、またそれぞれ生を謳歌していると思い、肩を震わせながらもソファーに再び座り藍を見据える。
但し、納得はしていない為怒りの表情となっているが。
なお橙は一連のやりとりを汗を少し流し、怖いと思いながら見ていた。
そしてもう一人納得出来ていない人物がいる。
それは…………ブロントさんのチームが崩壊し、ブロントさんが大会に参加せず武者修行の旅に出てしまった為に燻ってしまった汚い忍者である。
チーム崩壊の原因の一端を知り不機嫌となっているのだ。
「…………フン、この男がメサイアの先導者とやらで、 霊夢の様な立場に何故かなったと言うのは理解した。
しかし、魔理沙の件は絶対に許さんし、コイツは現在我が支部所属のファイターと揉め事を起こしている。
しかも聞く所によれば、コイツが原因で外の世界から幻想郷に来てしまったと。
それに関してはどう弁解するのだ、会長殿……!」
「何…………!」
更にレミリアは藍に名前は出さないが蓮子とメリーの件を出し問い質す。
汚い忍者や聖はそれを聞いてブライトを見て、依姫と永琳は誰の事を話しているか即座に理解し藍の回答を待つ。
「その件についてか。
報告には上がっているし、ブライトから話は聞いている。
そして、私はその件は一任してある」
「何だと、貴様……「無論」!」
「無論それは、彼が察知したと言う近い将来に起きる物を阻止する為の一環である。
今は私の口からはそれしか言えん、その件はブライト本人から聞いて欲しい」
藍は蓮子とメリーの件を知っていると話し、更にそれは今後起きる何らかの物……恐らく先程藍が話した大規模な異変を阻止する為だと言い、そして残りの話はブライトから聞く様にと言う。
それを聞いたレミリアは怒りの表情か続いていたが、ふと無表情になり口を開く。
「……そうか、ならば此奴から話は聞いてやろう。
但し、つまらん話であるならば首を刎ねて貰うがな」
「それは困るな。
うむ……ならばファイトせよ、レミリア支部長が勝てば好きにして良い、だがブライトが勝てば黙って話を聞く、その特別アンティでなら許可する」
「俺も異論はありません、そろそろ紅魔館、永遠亭、命蓮寺にも話を通す必要があります故」
「ほう…………思い切った事をしてくれるな…………!」
レミリアは話を聞くが、それがレミリアからしてつまらない事であるなら今までの負債として首を刎ねてしまうと言い聖を驚かせ、橙が頭を抱えてる。
汚い忍者は自分ならボコボコにブン殴るで終わらせると考えたが口にせず、藍も流石にそれは無理として特別アンティを許可し、ブライトもそれで構わないと話した。
そしてレミリアはニィっと悪魔的な笑みを浮かべ、ファイトに勝てば自分が正統的に好きにする権利が与えられた事を大いに楽しんでいた。
そうしてアンティが成立し、藍がテーブルを指で二回叩くとスイッチが現れ、それを押すと床が開き、テーブルが沈んで行き代わりにファイトテーブルが現れる。
こうして、レミリアとブライトのファイトが今この瞬間に始まろうとしていた……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
正邪がただカードを渡す訳無く予め製作所に侵入→コピー作ったった→だからもうオリジナル渡すよん(渡された側はコピーの存在知らず)な展開になりました。
そして藍しゃま…………ついに本格的に会話に参加させましたが、自分の中で想定外な事が起き、話を一部修正しました(なお見通し)。
さて、次回はレミリアVSムカつくアイツ戦。
果たして勝利はどちらに……?
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第63話「逆鱗」
今回はファイト回前半、うーむこれは……と言った感じがするかも?
では、本編へどうぞ。
レミリアとブライトはデッキ……それも黒いデッキケースでは無く、白いデッキケースから取り出したデッキをシャッフルし、ファイトの準備を進める。
レミリアはこのデッキこそが魔理沙がファイトしたデッキであり、藍の言う『メサイア』のカードがあるデッキであると悟り、戦略は魔理沙から聞いた通りの自軍
それを知らない汚い忍者、聖、依姫はどんなファイトになるのか結果がどうあれ見ようとしていた。
そしてシャッフルを終え、初期手札を引き直しFVを構え準備が完了するとブライトが口を開く。
「…………一つ言い忘れていた、どんな結果になったにしろ俺から聞いた話、此処での出来事は絶対に宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンには言うな、でなければファイトは受けられない」
「何、何故あの二人に言わない必要があるのだ?
そんな事は私の勝手「未来の可能性全てが失われてもか?」…………何だと?」
「…………」
ブライトは何故か蓮子とメリーに此処での出来事や話した事は言わない様に要求し、更に話せば全ての未来の可能性が失われると言い、レミリアを含めたこの会長室に来た全員が驚き、表情を険しくする。
「……それは、あの二人を手に掛けると言う意味か?」
「手に掛けない。
が、あの二人のみならず俺を含めたこの場にいる全員や幻想郷、月、外の世界も全ての可能性が失われる。
そう、お前の従者や友人のみならず、妹のフランドール・スカーレットの可能性も全て。
それを避けたいならば二人には絶対に言うな……」
レミリアはブライトの言葉を蓮子とメリーを手に掛けると解釈し話すも、ブライトはそれを否定した上で規模は幻想郷のみならず、月や外の世界にまで及ぶと話し二人への口外をさせようとしない。
しかもその目は何処か確信に満ち、またそれが真実であるとも語っていた。
そしてそれは、魔理沙に語った蓮子とメリーには話すなな、二人に厄災が降り掛かると同義であるとも。
レミリアは藍や橙の反応を見るが、二人はそれに反論せず黙っており、否定も肯定もせずあくまで傍観していた。
その反応から、この青年の言葉は否定する材料も逆も見当たらず、全てはレミリアの判断に委ねられる。
「…………二人に話せば、フランの未来の可能性まで消える。
その言葉に嘘偽り無いか?」
「悪魔の契約書にサインしても良い」
「……………………良いだろう、嘘と発覚した場合その首を貰い受ける」
レミリアは考えた末に蓮子とメリーに口外しない選択を取り、ブライトから情報を絞り出そうと決め込む。
当のブライトもその返答に納得しFVに手を掛ける。
『スタンドアップ・THE・ヴァンガード!』
「『フルバウ・ブレイブ』!」
「『ネオンメサイア』!」
そしてスタンドアップ宣言をし、FVを表返す。
レミリアはフルバウ・ブレイブ、そしてブライトは輝針城で見せた使用クランである〈リンクジョーカー〉、そして『メサイア』の名を持つユニットだった。
「〈リンクジョーカー〉か…………にしても、『メサイア』か。
八雲会長の言う通りメサイアの先導者とやらになってやがるみたいだな」
「その様ですね」
「それにしても…………あのユニット、〈リンクジョーカー〉としては考えられない美しさですね……」
汚い忍者、依姫は藍の言葉が事実であったと確認し、ネオンメサイアをマジマジ見た聖は他の〈リンクジョーカー〉とは違う白く、また美しい姿に少し見とれ、永琳は一度永遠亭でファイトした際に見ていた為やはりこのユニットかと思っていた。
「先攻は俺、ドロー。
『アスリープ・メサイア』にライド!
ネオンメサイアは先駆でヴァンガード後列に移動!」
ネオンメサイア:P5000、C1
アスリープ・メサイア:P8000、C1
「グレード1もメサイアか……ドロー。
『力戦の騎士 クローダス』にライド、フルバウは先駆でヴァンガード後列に移動し、アタック!『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』「ダメージチェック『サクリファイス・メサイア』」
(むっ、サクリファイス・メサイア?
魔理沙の話によればあの様なユニットは居なかった筈……デッキを少し組み替えたか?)」
フルバウ・ブレイブ:P5000、C1
力戦の騎士 クローダス:P7000、C1
クローダスVSアスリープ・メサイア:7000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』
ダメージチェック『サクリファイス・メサイア』
レミリア:手札:6
ブライト:ダメージ:1
レミリア、ブライト共に静かな滑り出しをしアタックも1回のみで第2ターンが終わるが、レミリアはダメージチェックに出たユニットが魔理沙の話には出なかったユニットだった為、あれから少しデッキを組み変えたのだと察知し、聞き慣れないユニットには警戒心を抱く。
「ドロー、『アローザル・メサイア』にライド、アタック「ノーガード」ドライブチェック『重力井戸のレディバトラー』「ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』」」
アローザル・メサイア:P9000、C1
アローザル・メサイアVSクローダス:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『重力井戸のレディバトラー』
ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』
ブライト:手札:6
レミリア:ダメージ:1
「静かな展開だな」
「ええ、互いに動く機会を伺いつつ消極的ながら攻防。
しかし、次のターン辺りから動き始めるとは思います」
汚い忍者はこの展開に嵐の前の静けさを感じ呟き、依姫も同じ様な事を言いながら次のレミリアのターンから展開が動くとし、永琳や聖も黙りながらも同じ意見を抱いており、次のレミリアの一手を見ようとしていた。
「ドロー、ライド、『血戦の騎士 ドリン』!
コール、『闇夜の乙女 マーハ』!
マーハでアタック!「ガード」
ドリンでアタック、ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』クリティカルトリガー、全てヴァンガードに付与!「ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』ダメージ回復」
ターンエンド」
血戦の騎士 ドリン:P9000、C1
闇夜の乙女 マーハ:P9000、C1
マーハVSアローザル・メサイア:9000VS9000+5000=ガード成功
ドリンVSアローザル・メサイア:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』
ドリン:P14000+5000=19000、C1→2
ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ブライト:手札:5 最終ダメージ:2
レミリア:手札:6
第3ターン、レミリアは早速ブライトに3枚目のダメージを与えようとするも、ヒールトリガーに阻まれ結局1ダメージを更に蓄積させるのみになった。
しかし、レミリアの引きから汚い忍者達は今回のファイトは熾烈を極める予感が頭を過る。
「ドロー。
あるべき未来の為に羽ばたけ、我が運命の翼!
ライド、『オルターエゴ・メサイア』‼︎」
オルターエゴ・メサイア:P11000、C1
「これがグレード3のメサイアか」
「やはり〈リンクジョーカー〉としては異質な美しさがありますね……」
「ほう、そのユニットが今の貴様の分身であり貴様を形作る者か…………フッ、しかし、我が眼前で運命を語るなど笑止!
運命とはこの紅魔の主、レミリア・スカーレットの手の内にあり!
貴様如き矮小なる者が運命を口にするなど1000年早いわ!」
「……コール、『重力井戸のレディバトラー』、『ブリンクメサイア』!」
重力井戸のレディバトラー:P9000、C1
ブリンクメサイア:P4000、C1、『☆』
ブライトは次に魔理沙にも見せた今の自らの分身、オルターエゴ・メサイアをレミリアや汚い忍者達に見せ、
しかし、レミリアはライド時の口上が琴線に触れたのか運命を語るなと言い放つ。
ブライトはこれをスルーし、リアガードを展開し先程のレミリアへのお返しを始める。
「重力井戸でマーハをアタック!「『ハウルオウル』でガード!」
ネオンメサイアのブースト、オルターエゴ・メサイアでアタック!
ブリンクメサイアのスキル、グレード3のメサイアのヴァンガードがアタックした時ソウルインし、パワー+5000を与え1枚ドローする!
合計パワーは21000だ!「張り切ってるな、そんなに私に負けるのが嫌か、怖いか?」
……ツインドライブ『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガー、1枚ドロー!「……ふん『ハウルオウル』『引』ドロートリガー、こちらもドローだ」」
重力井戸VSドリン:9000+4000VS9000+5000=ガード成功
オルターエゴ・メサイアVSドリン:11000+5000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』
ブライト:手札:5→6
ダメージチェック『ハウルオウル』『引』
レミリア:手札:5→6 ダメージ:2
ブライト:最終手札:7
「ドロートリガーの応酬…………!
しかも何方もキッチリガード分、リアガードコール分の手札を補う形で!」
「マジかよ、俺とブロントがやり合った並の引きの良さかよ」
聖は双方がドロートリガーを引き合い、使った分の手札を補い実質ハンド消費0でこのターンを終えた事に驚き、汚い忍者はこの引き合いを自らとブロントさんがファイトした際の引きと例え、少し呆れてすらいた。
だが、レミリアの中ではこれはまだ準備運動、本番では無いのだ。
「さて、そろそろ身体が温まって来たな、ドロー。
此処からが我が力の全てを発揮する事となる……が、その前に貴様に一つ問いておかねばなるまい。
貴様、八雲藍会長の話では過去の関係の清算を命令されたそうだな?
故に疑問が生まれた…………貴様、数年前のあの日、魔理沙が生死の境を彷徨う事となり、霊夢が消え、貴様も居なくなった事でチーム博麗と、騎士ブロントのチームDRAK、活動拠点を同じく博麗神社とし切磋琢磨し合っていた二つのチーム、それが崩壊したあの日、貴様は命令故にファイトをしたのか、それとも、自らの意思を以ってその結果になると考えファイトをしたのか、或いは何も考えず思考放棄してファイトしたか…………答えろ、貴様には答える義務がある」
するとレミリアは本番になる前にブライトに一つの事を問い質す。
それはこのファイトの後汚い忍者も聞こうとしていたある種の爆弾、魔理沙が厳罰化された直後にアンティを無視し、生死の境を彷徨ってしまい、更に霊夢とブライトが居なくなった事でリーダーを含めたメンバー半分が消え、チーム博麗が実質消滅し、魔理沙も傷付いた事でそれらを守る事も止める事も何もかもが遅れたブロントさんは責任を感じ、チームDRAKを解散して武者修行の旅に出てしまったその日に、原因の一つである青年はその日に何を思い、考え、又は思考を停止させたか、或いは無理矢理従わされたのかを問う。
ブライトはその事をそろそろ聞かれると思い、いつ聞かれようともただ一つの答えを口にする用意は出来ていた為それに応える。
「……あの日、確かに俺は会長から命令を受け、全ての関係を清算すべく魔理沙に絶縁を持ち掛け、アンティファイトで負かせた。
だがそれを命令だったから仕方ない、その後に二つのチームが崩壊するなど考えなかったなどとは言わない、俺はそうなると分かっていた上で、自らの意思を以って行動をした。
そして考えた通りの結果が起きた、会長は予測は出来なかった魔理沙のアンティ無視も、魔理沙が死ぬ事は無いのも全てだ。
……敢えて、もう一度だけ言う。
俺はあの日、そうなると分かっていた上で自らの意思を以って行動した、それが答えだ」
ブライトは自らの口で、自らの意思で行動を起こし、そして今に至ると応えた。
それを聞き汚い忍者は身勝手な発言と行動により自分の唯一の楽しみであったブロントさんとの戦いを奪われ、数年間も燻る事になったと、そして全て分かってた上での事でのチーム崩壊をさせたしてブロントさんのライバルとして、一つのチームを預かる者として憤りを感じ、奥歯を強く噛み締めていた。
「ほうほう、そうかそうか、全ては貴様の意思、貴様自身の他者の命などの干渉は無い行動であるか、そうか………………ならば、余計に温情を掛ける道理など無いと言う訳だな‼︎」
それを聞いたレミリアはほんの少し笑みを浮かべた後、直ぐ様怒りに満ちた表情を見せ、吸血鬼としての殺気を全開にし場の空気を支配する。
その瞬間依姫や聖、汚い忍者は身構え、藍と橙は表情を険しくし様子を見る。
「会長の命を嫌々受けたならまだ会長に吸血鬼流の文句を言い魔理沙らに土下座させて許した、だが貴様自身の意思であるなら話は違う!!!
貴様は自らの手で、自らの意思で魔理沙や騎士ブロント達の想いや誇り、矜持を砕き踏み躙ったのだ!!!
それが如何なる結果を生むか知りながらだ!!!
であるなら、貴様を赦す訳には行かん、此処でそれら全ての罪をその身を以って贖わせる!!!
この紅魔が主、レミリア・スカーレットの名に懸けて…………貴様を斃す!!!
殲滅せよ、我が分身!!
ライド、『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』ッ!!!」
ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’:P11000、C1
「あれは、新しいブラスター ・ダーク!
レミリアさんの新たな力……!」
誇りや契約、矜持を重んじる紅魔館、特にその主であるレミリアはブライトの発言が汚い忍者以上に逆鱗に触れ、結果レミリアはその身に宿る妖怪としての、吸血鬼としての殺気を全開にさせたのだ。
そうして自らの分身たるブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’にライドし、イメージ世界ではその手に持つ大剣をオルターエゴ・メサイアに、リアル視点では右手の人差し指と中指でGユニットのカードを挟みながらブライトに向け、更にその瞳にはPSYクオリアの輝きを宿しながら睨み付けていた。
「さあ、救世主を騙る咎人よ。
我が力の全てを受け、惨たらしく地に這い蹲るが良い。
そして……自らの罪に赦しを乞い、精々私にその首を刎ねられない様に神に祈るが良い!!!」
「……………………」
レミリアは全力でブライトに命を奪うかもしれないと宣言し、全力で屠りに掛かり出す。
それに対しブライトは無言のままレミリアを見据え、更に吸血鬼の殺気に呑まれずその瞳にレミリア同様PSYクオリアの輝きを宿しながら相対し、レミリアの攻撃全てを受け切ろうとしていた。
汚い忍者達はこのファイトは間違い無く熾烈を極める、第3ターンで過ぎった予感が現実になろうとしているのを肌で感じながらファイトを再び見守っていた。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回は短めに切りました。
そして、この対戦カードが無事平穏に終わる筈も無く…………。
次回はもっとヒートアップする…………かも?
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第64話「信念と誇り」
切りの良い所で切るって、大変です(今更)
前回のあらすじ、レミリアガチギレ。
さて、そんなレミリアとムカつくアイツの闘いは如何に進むか……。
その答えは、本編へどうぞ。
過去、ブライトの脳裏にはっきりと焼き付いた過去。
魔理沙に絶縁を言い、アンティファイトをけしかけた日。
ブライトはラストアタックをする準備に入り、それを魔理沙は防ぐ手札も無くただただアタックをしないでくれと言う考えが分かる悲痛な表情で見ている。
「(……このアタックで僕は勝ち、アンティが成立して去る僕を追えなくなる。
けど魔理沙の事だ、アンティを無視して…………けど、それでも僕はやらなきゃならないんだ、僕のやるべき事を、数年後に起きる出来事を………………その為にも……!)
さよなら魔理沙、これでもう今までみたいに笑い合える日は来ない………………『
「…………っ‼︎
ちく……しょう…………‼︎」
そしてアタックがヒットし、6枚目のダメージが落ちアンティが完全に成立し、ブライトは何も言わずそのまま走ってその場から去り、雨が降り出して来た魔法の森を駆け抜けた。
その背後で魔理沙の呼び止めようとする声、アンティを無視しようとした結果魔理沙を傷付ける光が収束する音、それを見たであろうアリスの声が響き渡り、それでも少年は振り返ろうとする自分にダメだと言い聞かせ、そのまま走り続けて行った。
そして現在、その記憶を思い返した青年は目の前の吸血鬼、レミリア・スカーレットの圧倒的な殺気に充てられながらもそれに呑まれず、PSYクオリアを発現させながら対抗するべく手札に手を掛けていた。
「ストライド・ジェネレーション、『暗黒騎士 グリム・リクルーター』‼︎
フルバウ・ブレイブのスキル、
トリプルドライブ『ハウルオウル』『引』ドロートリガー、1枚ドローしドリンにパワーを『デスフェザー・イーグル』『☆』クリティカルトリガー、パワーはマーハ、クリティカルはグリム・リクルーターに『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』さあ、存分にダメージを受けるが良い‼︎「ダメージチェック『超弦理論の愛し子』『引』パワーはオルターエゴ、ドローしセカンドチェック『アステロイドウルフ』『☆』パワーはオルターエゴに」
ほう、中々やるでは無いか。
だがグリム・リクルーターのスキルは発動する‼︎
デッキからグレード1以下のカードをスペリオルコール、『ダークハート・トランペッター』をコール、更にダークハートのスキル、
まだ攻撃は終わらん、ダークハートのブーストを含めたマーハでアタックし、
クローダスのブースト、ドリンでアタックしそれぞれスキル発動‼︎
ドリンはクローダスのブーストを受ければ裏向きのダメージを1枚表向きにし、クローダスはドリンをブーストすればドリンのパワーを+2000する‼︎「『アステロイドウルフ』でガード!」
これでターンエンド、さあ次は貴様の番だ、精々頑張って足掻け!」
暗黒騎士 グリム・リクルーター:P15000+11000=26000、C1
グリム・リクルーターVSオルターエゴ・メサイア:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ハウルオウル』『引』『デスフェザー・イーグル』『☆』『髑髏の魔女っ娘 ネヴァン』
グリム・リクルーター:C1→2
マーハ:P9000+5000=14000
ドリン:P9000+2000+5000=16000
ダメージチェック『超弦理論の愛し子』『引』『アステロイドウルフ』『☆』
オルターエゴ・メサイア:P11000+5000×2=21000
マーハVSオルターエゴ・メサイア:14000+7000VS21000+5000=ガード成功
ドリンVSオルターエゴ・メサイア:16000+9000+2000VS21000+10000=ガード成功
レミリア:手札:10 ダメージ:1/2 布陣
ドリン プラダD マーハ
クローダス ソードブレイカー ダークハート
ブライト:ダメージ:4 手札:7
「こ、これは……‼︎」
「何と凄まじいトリガーと攻防……!」
「…………成る程な」
たった1ターン中、しかも初回超越後の攻防にも関わらずそのやり取りは正に最終ターンの攻防にも匹敵する熾烈さを表現し、レミリアの手札は10枚、対するブライトも再びドロートリガーがあり実質このターンは手札消費が0のまま終え、聖や依姫達、更に藍でさえもこのファイトは自分達の想像を遥かに超えるものとなり、冷や汗を流していた。
汚い忍者も自分とブロントさんが本気で闘えばこんな事も可能だが、実現は難しいとし、橙は開いた口が塞がらずにいた。
「ドロー、
ストライド・ジェネレーション、『スノーエレメント ブリーザー』!!
そしてコール、『白色矮星のレディバトラー』、『中性子星のレディガンナー』!
レディガンナーのスキル、白色矮星を
『アレスター・メサイア』をコールしスキル発動、リアガード登場時に『メサイア』のヴァンガードが居るならパワー+2000、そして『サクリファイス・メサイア』をコール‼︎」
スノーエレメント ブリーザー:P15000+11000=26000、C1
ブリーザー:P26000+5000=31000
白色矮星のレディバトラー:P7000、C1
中性子星のレディガンナー:P11000、C1
アレスター・メサイア:P9000+2000=11000、C1
サクリファイス・メサイア:P7000、C1
ブライト:ダメージ:3/4 手札:3 布陣
アレスター ブリーザー 中性子星
サクリファイス
レミリア:布陣
クローダス ソードブレイカー ダークハート
【●】:
「あのGユニットは〈クレイエレメンタル〉の……成る程、GB2を有効化する気ね」
ブライトは鈴仙も使ったGユニットであるブリーザーを使い、GB2を有効化させようとし、更に手札を消費しリアガードをフル展開しつつ自軍
レミリアはオルターエゴ・メサイアのGB2は余程戦略性が高いのかと判断し、しかし吸血鬼らしく高圧的に、傲慢に構えていた。
「ブリーザーでアタックし、スキル発動!
トリプルドライブ!『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ヒールトリガーゲット、ダメージを回復しパワーは中性子星に!『アステロイドウルフ』『☆』
クリティカルトリガーゲット、クリティカルはブリーザー、パワーは中性子星に!『ブリンクメサイア』『☆』
クリティカルトリガーゲット、クリティカルはブリーザー、パワーはアレスターに‼︎」
「わっ、トリプルトリガー⁉︎」
「そう来なくては狩り甲斐が無いと言うものよ、ダメージチェック‼︎『ファントム・ブラスター ・オーバーロード』『ジャッジバウ・
ヒールトリガー、ダメージを回復しパワーはブラスター ・ダークに‼︎「こっちも有効ヒール⁉︎」
八雲藍の式よ、この程度の引きなどで驚いていては我々には一生勝てんぞ?
そう、この程度出来て当然と考えねばな!!!」
ブリーザーVSブラダD:31000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『綻びた世界のレディヒーラー』『治』『アステロイドウルフ』『☆』『ブリンクメサイア』『☆』
ブリーザー:C1→3
アレスター・メサイア:P11000+5000=16000
中性子星のレディガンナー:P11000+5000×2=21000
ブライト:ダメージ:2/4→2/3
ダメージチェック『ファントム・ブラスター ・オーバーロード』『ジャッジバウ・
レミリア:ダメージ:5→4
ブライトのトリプルトリガー、レミリアの有効ヒールトリガーを見て橙はこんなのは普通じゃないと思い驚くも、それをレミリアはこの程度と片付け出来て当然であるとした態度を取り唖然とさせる。
聖や永琳、依姫に汚い忍者は考えは理解出来るが、実践出来るかは別とし、二人の引きが本当の意味で稀に見る恐るべき運命力の賜物だと感じその目にファイトを焼き付けていた。
「中性子星でアタック!「デスフェザーでガードだ!」
サクリファイスのブースト、アレスターでアタック!「グリム・リーパーでガード!」
アレスターのスキル、アタック終了時に自身を
そしてエンドフェイズ時に俺の
中性子星VSブラダD:21000VS16000+10000=ガード成功
アレスターVSブラダD:16000+7000VS16000+10000=ガード成功
ブライト:手札:11 ダメージ:3
レミリア:手札:8 ダメージ:4
「あのオルターエゴとか言う奴、除去能力が無い代わりに相手ターンだろうが自ターンだろうが
「そしてGB2を有効化する為に表向きにしたあのアムネスティ・メサイア、あれは場に
「自他リアガードを一時的に封じる
ブライトのターンが終わり、オルターエゴ・メサイアのスキルを見てカオスブレイカーに似た、しかし差異を明確にしつつ分析し出す汚い忍者に永琳はアムネスティ・メサイアのスキルを説明し、『メサイア』の戦略が
「フン、だからどうした?
所詮はユニットでありカードである、それの使い手次第で化けもすれば腐りもする。
そして今は此奴が使っているだけ。
そう、私から見れば信念も誇りも捨て、ただ我欲の為に他者との繋がりを捨て、そして今更現れた卑怯者がただ『使っているだけ』だ。
故にカードは輝いていない、燻んで見えるわ。
もっと別の者が使えば真の輝きを見せてはくれるだろうに…………そうだ、良い事を思い付いたぞ、貴様、私が勝てばそのデッキを私に寄越せ、そのカードを真に輝かせる者にそのデッキを渡してやろう!」
「スカーレット、それは「良いだろう、ならば俺もアンティを変更して黙って話を聞くだけで無くそのまま従ってもらう」ブライト、貴様万が一の事を考え………………はぁ、良かろう、アンティの変更を許可する」
だがレミリアはブライトを信念も誇りを捨てた者と見ており、青年が使うカードが燻んだ物にも見えており苛立ちにも取れる態度を見せる。
更に其処からいきなりアンティの追加をし、藍がそれを咎めようとするとブライトもアンティを追文しまるで両者共に自らが敗北するリスクなど考えていない、否、勝つと言う結果しか考えておらず藍はそれを見て二人は絶対それを撤回せず勝とうとするしか無いと察した上で、双方アンティの追加をししかも本人が負けたらやる精神を黙って見せた為変更を許可した。
汚い忍者達はこの無茶苦茶なやり取りを見て何を考えているんだと内心で思っていた。
「さて、アンティの追加をした所でスピードアップしようか、ドロー!
凶悪なる力を手に、漆黒の闇より深き闇より出でよ
ストライド・ジェネレーション、『暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’』ッ‼︎
ブラスター ・ダークの
そしてファントム・ブラスター のスキル、Gペルソナブラストと
更に手札から『真黒の賢者 カロン』をダークハートと上書きしアタック、そしてスキル発動‼︎
カロンとクローダスを退却しカロンのスキルで2体分の退却コストとなり、3体分を退却させた事で貴様は自らのリアガードを2体犠牲にしなければガード出来ない‼︎
信念も誇りも捨てた貴様なら味方を捨て去るのもあっさりとやるとは思うがな‼︎「中性子星とアレスターを退却し、『真空に咲く花 コスモリース』で完全ガードッ‼︎」
ふっ、やはり確保してたか‼︎『グリム・リーパー』『☆』『グリム・リーパー』『☆』
『デスフェザー・イーグル』『☆』」
暗黒竜 ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’:P15000+11000+11000=36000、C1→2
ファンブラDVSオルターエゴ:36000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『グリム・リーパー』『☆』『グリム・リーパー』『☆』『デスフェザー・イーグル』『☆』
ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’:36000+5000×3=51000、C2→5
レミリア:手札:10 ダメージ:3/4
ブライト:手札:9
レミリアはブライトを挑発しながらファントム・ブラスターのスキルを発動しつつトリプルクリティカルを引き当てるも、それをリアガードを退却させながら完全ガードを切り、クリティカル5にまで膨れ上がったアタックを去なす。
イメージ世界ではユナイテッド・サンクチュアリの渓谷がファントム・ブラスターが現れた事で空は暗雲に包まれ、そのまま一撃を放ち、コスモリースが弾くもファントム・ブラスターの攻撃の余波で渓谷が吹き飛び、辺り一帯を更地に変えてしまう。
そして汚い忍者達はこの高いイメージ力と運命力にいつの間にか必要以上に身構えていた。
「信念も誇りも捨てた、か。
レミリア・スカーレット、貴女達の目から見れば間違い無くそう映るだろう」
「当然だ、貴様はフラン、我が妹の恩人の一人たる魔理沙を下賤な我欲で傷付ける事を分かっていながら傷付け、二つのチームを崩壊させ数多くの者に悪影響を与えた。
それにも関わらずノコノコと顔を見せ今度は宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンを狙う、堕ちる所まで堕ちたと確信したよ。
今の貴様に信念も誇りも「だが!」…………だが、何だ?」
信念も誇りも無い者、レミリアにはそう映る青年の問い掛けにハッキリとそれを告げようとした所でブライトは噛み付き、何かを話すのをレミリアは逆に問う。
そして、ブライトはハッキリとした…………信念と誇り、PSYクオリアの輝きだけで無い、それを宿す強い瞳をレミリアに向けていた。
「だが、信念も誇りもまだ俺にはある、俺のただ一つの目的、それを達成する為の物が、それが未来に繋がると信じている!
例え誰に何を思われ、誹りを受けたとしてもだ!「では騎士ブロント達との関係の崩壊や誇りや矜持を踏み躙り、魔理沙を傷付けた事が何故貴様が信ずるものへと繋がるか!」
魔理沙を傷付けた事、騎士ブロント達との関係などを崩壊させた…………それも必要な事だった、俺の目的が『ある者達』と、恐らく幻想郷内に居るであろうその者達の協力者に知られ、先手を打たれるのを阻止する為に、会長の命令はそれが出来る最短ルートだった為渡りに船だった……それらの罪は永遠に消える事は無いがな。
だが、それでも俺はこの道を進むと決めた‼︎
そしてそれを阻む者あらば、この罪と咎に塗れ、しかし確かに残っている我が信念と誇りを以って全力で打ち倒す‼︎」
「………………ク、ハハハハハハハハハハ!!!
面白い、吠えたな小僧!!!
ならば見せてみよ、この紅魔の主にして夜を統べる悪魔、吸血鬼レミリア・スカーレットに貴様の小さな身にある誇りと信念とやらを、この場でそれを輝かせ証明してみせよ!!!!」
ブライトはレミリアの言葉に反論し罪と咎に塗れはいるが信念と誇りは未だあると言い放ち、目的を阻む者は全力で打ち倒すと宣言をする。
それを聞いたレミリアは……高笑いを上げ、信念と誇りを輝かせ証明せよと言い放った直後に吸血鬼としての覇気を全て解放し、本気中の本気で潰しに掛かろうとする。
汚い忍者達はこの覇気を受け頭を臨戦態勢に変え、覇気を受け止める。
ブライトもまたなおこれに呑まれず、自らの持てる力を振るい勝つと心の中で誓っていた。
「ドロー!
見せてやる、俺の信念と誇りの全て、そして俺の真の切り札を‼︎」
「真の切り札?
『創世竜 アムネスティ・メサイア』が貴方の切り札では無いの?」
「アムネスティも切り札、しかしあくまでもこれに繋ぐ為の中間切り札と言った物だ!
そしてこっちこそが、この俺の全身全霊を込め相手を倒すと誓い、アムネスティを1枚どんな形であれ表向きにしたファイトで使うGユニットだ‼︎
混沌を切り裂き、白き翼で描け未来‼︎
ストライド・ジェネレーション、『創世竜 エクセリクス・メサイア』ッ!!!」
創世竜 エクセリクス・メサイア:P15000+11000=26000
ブライトは真の切り札見せると言い、永琳は自分とのファイトで使い、このファイトでも1枚表向きになった『創世竜 アムネスティ・メサイア』が切り札では無いのかと疑問を受け言葉にすると、アムネスティも切り札、しかしこちらこそが正真正銘の真の切り札とし、
そしてイメージ世界にて、アムネスティ・メサイアとはまた違った純白の身体と聖なる輝きを纏いながら暗雲を切り裂き、青き空が辺り一面に広がりレミリアのライドしたブラスター・ダークがそれを見る。
『創世竜 エクセリクス・メサイア』、ブライトが真の切り札と称した『メサイア』のGユニットがクレイの大地に降臨し、リアル視点のレミリアの瞳からも、このGユニットは確かにこの青年の全てと言うべき存在感が見て取れていた。
「……ふっ、それが貴様の切り札か。
面白い、切り札を見せたからには倒してみせろよ、他でも無いこの私を!!!」
「無論だ、全身全霊を込め…………倒す‼︎」
レミリアとブライトは互いに火花を散らし、互いに己が全てをこのファイトに注ぎ相手を倒すとし、二人が放つ覇気と闘気が衝突し会長室の空気を完全に荒々しい物に変える。
そして今、ファイトは最終局面に突入しようとしていた……。
ここまでの閲覧、ありがとうございました。
ムカつくアイツがちょっと先のカードを3種も使ってるんだから勝つの当然だろ常識的に(ryと思われますが、実はこうしないとレミリアと対等に渡り合えない…………と言うか、下手に
流石に紅魔の主は格が違った!
次回、いよいよファイト決着&日常(?)編は終了となります。
よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第65話「血戦の終わり、そして……」
今回で日常(?)編は終わり、次回から新章に入ります。
そして今回のラストに…………。
では、本編をどうぞ。
エクセリクス・メサイアを繰り出し、ブライトとレミリアはPSYクオリアの力もフルに使い自らが目指すべき『勝利のイメージの先』を手繰り寄せようとしていた。
更に観戦している汚い忍者達は此処から最終局面に突入すると確信し緊張が走っていた。
「先ずはオルターエゴの
『超弦理論の愛し子』、中性子星をコールし中性子星のスキル発動、超弦理論の愛し子を
更にアレスター・メサイアをコールしパワー+2000し、ブリンクメサイアをコール!」
ブライト:手札:5 ダメージ:2/3 布陣
アレスター エクセリクス 中性子星
ブリンクメサイア
【●】:
ブライトは再びレミリアの前列リアガードを2体を
そして、ブライトはアタックに移り出す。
「ブリンクメサイアのブースト、アレスターでヴァンガードにアタック!「ハウルオウルでガード!」
アレスターのスキル、自身を
エクセリクスでアタック、その瞬間スキル発動!
Gゾーンに表向きのアムネスティ・メサイアが1枚でもあれば、俺は他の裏向きのアムネスティを1枚選び表向きにし、
俺は超弦理論以外の全てを選び
「‼︎
これが『メサイア』のGユニットの力、
「アレではインターセプトを許してしまいますし、ソードブレイカーは次のレミリアさんのターンでブーストが……」
「(矢張り相手の
さて、その後は……?)」
ブライトはエクセリクスのスキルを使い超弦理論の落とし子以外の
「更にエクセリクスのスキルは続く、相手の
よってマーハ、ドリン、ソードブレイカーは退却しアレスター、白色矮星はパワー+3000‼︎
更にこのスキルで
ブリンクメサイアのスキルでソウルインし、エクセリクスのパワー+5000と1枚ドロー‼︎
これこそが、混沌の中より生まれし浄化の光、ジ・アポカリプス‼︎」
「自軍強化に相手のリアガードを焼き払うだと⁉︎」
「成る程、アムネスティは自身のパワーを上げ、エクセリクスは味方のパワーを上げる、使い方が明確に分かれるわね」
「(そしてこちらのリアガードを焼き払ったのは改めてアタッカーを張らせ、手札消費を余分に促す為か……中々考えるではないか!)」
そしてエクセリクスのスキルの全容を把握した永琳はアムネスティとエクセリクスの違いも頭の中で整理し、レミリアはリアガードを焼き払ったのも自分の手札を使わせる目的だと察し、笑みを浮かべながら手札に指を掛けていた。
「完全ガードだ!」
「トリプルドライブ!『中性子星のレディガンナー』『重力井戸のレディバトラー』『サクリファイス・メサイア』
ノートリガー、アレスターでアタック、エクセリクスのスキルでパワーアップしているのでパワーは12000!「グリム・リーパーでガード!
そして
…………その処理で間違っていない、白色矮星のブースト、中性子星でアタック、白色矮星もパワーアップしているので合計パワー21000!「ネヴァンで完全ガード、コストはデスフェザーでドロップゾーンにネヴァンが居る為1枚ドローし、手札1枚ドロップ」
……超弦理論を
エクセリクスVSブラダD:31000+5000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『中性子星のレディガンナー』『重力井戸のレディバトラー』『サクリファイス・メサイア』
アレスターVSブラダD:12000VS11000+10000=ガード成功
中性子星VSブラダD:11000+10000VS11000+0=完全ガード
ブライト:ダメージ:1/3 手札:9
レミリア:手札:5
エクセリクスのアタック、エクセリクスのスキルでパワーアップし
「此処でその引きか。
いよいよもって首を刎ねられる覚悟を決める必要があるな」
「はい、幾ら手札が9枚と言えどレミリアさんのユニットならあっさり突破可能な上にあの中身はドライブチェックで引いたカードが半分程です。
当然レミリアさんも把握してますので最早後が無いです。
御仏に仕える身としては目の前で殺生が行われるのは止めたいですが…………全てレミリアさんの気持ち次第とアンティで決まってます、邪魔をするなら彼女にファイトを挑まねばなりません……」
汚い忍者はこの状況を見てブライトが次のアタックを防げるか怪しく見え、聖も手札内容を把握している為悲痛な面立ちになりながらも見守るしか無くそのままファイトを見守っていた。
「フッ、遂にトリガーに見放されたか。
ドロー!
ブラスター・ダーク ‘‘Diablo’’のGB2、『ブラスター』の名を持つGユニットに
これにより私はグレード0のグリム・リーパー1枚でも
再び顕れよ、ファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’ッ!!!
そして
レミリア:手札:2 ダメージ:2/4 布陣
ファントム ファンブラD マーハ
R ダークハート カロン
そしてレミリアは再びファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’を繰り出し、ブライトを着実に仕留める気でいた。
そしてブライトは手札を見てこの後は如何に攻撃を捌くか考えていた。
そう、次の自分のターンに行く為に。
「さあどうした、貴様の信念と誇りを見せるのでは無いのか‼︎
マーハでアタック、スキルを使いクローダスをコール‼︎「…………レディヒーラーでガード!」
そしてファントム・ブラスター ‘‘Diablo’’でアタックし当然スキルを使用する!!!
クローダスとカロンを退却し、貴様はリアガードを2体犠牲にせねばこのアタックは防ぐ事は不可能‼︎
さあリアガードを失わせるか、自らの身を斬るか!!!!」
レミリアは再びスキルを使い、ブライトは目を閉じ考える。
汚い忍者は此処はリアガードを切るべきでは無いと考え、レミリアがトリガーを引かないのに賭けるのが次のターンのアタックに繋げられると考えていたが、レミリアがトリガーを引かないなど極端に可能性が低い為ブライトの手札、判断次第でこのターンでゲームエンド、生き延びてもまともなアタックは出来ずに終わる可能性が高いと踏んでいた。
「ブライト…………君、どうするのかな……?」
橙がポツリとそんな事を呟き、それを合図にしたかの様にブライトは瞳を開き宣言をする。
「……リアガードを退却せずこのアタックを通す‼︎」
「…………そうか、それが貴様の選択か。
そして……」
レミリアはブライトの選択を聞きながらドライブチェックに入り、全員が固唾を飲みながら捲られるカードに注目する。
そして…………レミリアは引く前から何を引くかイメージし切っており、そして絶対それを引くと自信があった為か…………途中から落胆した表情を見せる。
「貴様の信念と誇りはそんな程度だったのか『ファントム・ブラスター・オーバーロード』『デスフェザー・イーグル』『☆』『アビス・ヒーラー』『治』パワーはファントム・ブラスター・ドラゴンに与え、クリティカルはヴァンガード、そしてダメージ回復だ」
レミリアは最後のクリティカルトリガーを引き当て、ブライトに致命的ダメージを確定させ全員を唖然とさせる。
ブライトはこうなるのが分かっていたのかただ何も言わずダメージチェックに移ろうとしていた。
そしてレミリアもダメージ6を確認するまでジッとし、捲られるカードが何かと見ていた。
「藍様…………どうしますか?
『メサイアの先導者』を此処で失えばクレイのメサイアの方にも影響がありますし、それに…………」
「…………橙、ダメージチェックを終えるまでは黙って見るのだ。
まだ、ファイトは終わってはいない」
橙はこの後の事が心配になり藍に話し掛けるが、それを藍はファイトが終わるまでは黙って見てる様にと命令し、ファイトの行方を見ていた。
レミリアもPSYクオリアの得たイメージではブライトがこの選択をした場合は此処までしか見えておらず、ブライトの方も同じく此処までしか見えて無かった。
そう、PSYクオリアを持つファイター同士、又はPSYクオリアのイメージに匹敵するイメージ力を持つファイターがPSYクオリアを発動させながらファイトをすれば勝利のイメージはどちらも勝利のイメージの最後の方は途切れてしまい、行方が分からないのだ。
最後の方、その途切れてしまう部分を乗り越えない限り両者共に真の勝利は見えず訪れない。
故にレミリアも最後まで気を抜かず、しかし吸血鬼の高圧的な態度は崩さず動向を見ているのだ。
「…………俺の信念と誇りはこの程度、か。『ダークメタル・カメレオン』
貴女の目から見れば恐らくそうかもしれない『アスリープ・メサイア』
だが、そうであったとしても…………」
2枚までダメージチェックを済ませ、その間にブライトはポツリと呟き、レミリア、否、ブライトの中ではレミリアだけでなくこの場に居る全員やその他の強豪ファイター、そして魔理沙や蓮子とメリーからすればちっぽけな信念と誇りであると自ら思っているのだ。
普段何も語らず、ただファイトでのみしか語らない、そんな青年からは考えられない言葉が出てレミリアも少し眉を潜める…………が、次に捲るカードに力が入り始めた為直ぐにそちらに目を向ける。
そして…………。
「……それでも、俺はこの道を行き、そして俺の信念と誇りを貫く‼︎『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ダメージを回復し、パワーはオルターエゴに‼︎「っ、ファントム・ブラスターでアタックだ‼︎」
インターセプト、そしてアステロイドウルフでガード‼︎」
マーハVSオルターエゴ:9000+7000VS11000+10000=ガード成功
ファンブラDVSオルターエゴ:36000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ファントム・ブラスター・オーバーロード』『デスフェザー・イーグル』『☆』『アビス・ヒーラー』『治』
ファントム・ブラスター
‘‘Diablo’’:C2→3
ファントム・ブラスター・ドラゴン:P11000+5000×2=21000
ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『アスリープ・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
オルターエゴ・メサイア:P11000+5000=16000
ファンブラVSオルターエゴ:21000+7000VS16000+5000+10000=ガード成功
藍以外のファイトを見ていた全員が驚きを隠せなかった。
此処でヒールトリガーを引き当て、ブライトはファイトを続行させたのだ。
そしてレミリアは慢心したつもりは無かったが、ブラスター・ダークのスキルでアレスターを退却させなかった事でインターセプトを許し手札を余分に削らせられずターンを終える結果になってしまう。
「ドロー!
中性子星をコストに
混沌を切り裂き、白き翼で描け未来‼︎
創世竜 エクセリクス・メサイア‼︎
重力井戸をコールし超弦理論のスキル、ソウルインし重力井戸にパワー+3000、アローザルとサクリファイスをコールし重力井戸のスキル、アローザルを
創世竜 エクセリクス・メサイア:P26000+5000=31000
重力井戸のレディバトラー:P9000+3000+4000+3000=19000
ブライト: 布陣
重力井戸 エクセリクス
R
ブライトはエクセリクスを再び使い、更に自身の
更にレミリアの手札は5枚、どうあがいても全てのアタックを受け切る事は不可能となっており、レミリアは目を一度閉じた後再び開きブライトを見ていた。
「重力井戸でアタック‼︎「ノーガード……‼︎『血戦の騎士 ドリン』
エクセリクスでアタックし、スキル発動‼︎
俺の
そしてアローザルのスキル、
「…………貴様の口癖は確か『ファイトはその人間の全てを表す』、か。
私は人間では無いが、これを人妖も問わない一ファイターに置き換えれば、私の闘い方は傲慢で高圧的な妖怪その物であったな。
ふっ、中々的確な言葉だな。
ではお前は何だ?
お前のファイトは何を表しているのだろうな?」
レミリアは一旦重力井戸のアタックをスルーするが、エクセリクスのスキルで
「…………スカーレットが負けた、のか…………」
「……その様ですね。
彼女も月に霊夢と共に来た頃よりもずっとレベルが上がっていましたが…………この結果は、流石に……」
そしてファイトの結果に汚い忍者や聖、永琳や依姫すら頭が追い付かずただ状況を飲み込むだけで手一杯となり、橙も小声で凄いと呟くしか出来ていなかった。
「さて、ファイトはブライトの勝利だ。
よってアンティである黙って話を聞き従うが成立する。
レミリア・スカーレット支部長はこのままブライトが話す事を聞いて従って貰うぞ」
「分かった」
そして藍がアンティの完全成立を見届け、再び普通のテーブルとソファーが会長室に戻った所で全員座り、それぞれがブライトを見た所で本人が口を開く。
「さて、先ずはレミリア支部長が知りたがっている物から話そうか、それが俺の目的への話にも繋がるからな。
宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンを外の世界からこちら側に来させた理由は二人が俺の目的、そしてそれを達成する為のプランに必要だから。
無論、二人が一人前のヴァンガードファイターになる前提ではあるが」
「そうか、じゃあ目的とプランってのは何だ?
幻想郷から外の世界へ行けるのは驚きだが、そうまでするに至る理由が分からないからな、さっさと話せよ」
ブライトはレミリアが聞きたがっていた話をし、アンティで黙ってしまうレミリアの代わりに汚い忍者が目的とプランを聞き、蓮子が気になっていた依姫とメリーの存在に何かあるとした永琳は特にそれが気になりブライトを見やる。
「ああ、話す。
俺の目的とプランを…………」
そしてブライトは自分の目的やプランを話し始め、それを聞いた支部長達や依姫、汚い忍者は驚愕し、青年の話を更に詳しく掘り下げて行き、そうして行く度に出て来る言葉に全員信じられず、しかもプランと呼ぶには余りにも賭けに近い条件があるなどもあり非難の言葉も出るが当の本人はこれしかないと言う表情を向けるのであった…………。
ブライト達の話が終わり数日が過ぎ、人里の中では年に一度行われるヴァンガード普及協会主催の最大級のイベントがいつ行われるか決定し、その日が一日、また一日と迫り人々や人里に来る妖怪や妖精達は大変な賑わいをいた。
そんな中で、メガネを掛けマントを羽織り、『蓮子の黒帽子とデザインが同じ黒帽子』を被った少女が最近人里でクエストを受け、次々とクリアしていた二人組の少女、それも口々に『秘封倶楽部』の名を出していたと言う二人に興味を持ち、それがいつも誰と一緒に居るかを人々から聞きながら里の真ん中で立っていた。
「ふふふふ、この私を差し置いて『秘封倶楽部』を名乗るとはいい度胸してるじゃないの。
そしていつも魔理沙さんとかと一緒にいるか…………良いわ、会いに行ってやろうじゃないの!」
そう言いながらマントを翻し、誰とも話を掛けている訳では無く独り言を呟きながら帽子を一押し上げ、何処か嬉しそうな表情を浮かべながら足に力を込め始める。
「そう、この私!
『秘封倶楽部』の初代会長、『宇佐見菫子』がね‼︎」
少女…………蓮子と同じ宇佐見の姓を持ち、『秘封倶楽部 初代会長』の肩書きを持つ『宇佐見菫子』は走り出し、この幻想郷内に魔理沙とほぼ一緒に居るであろう蓮子とメリーに向かって走り出した。
まるでそれが惹かれ合うのが当然の様に、蓮子とメリーの下に寸分狂い無く一直線に。
そしてこの後、菫子と蓮子達の邂逅が確定したこの瞬間から、二人の運命は更に加速し始める事を、この幻想郷内に居る二人を知る者達や蓮子達自身も菫子も知る由は無かった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
そして、日常(?)編は終わり、また次の章に何がスタートに入るかが確定しました。
次回を書くのが自分でも楽しみではありますが、彼女のキャラがちゃんと確立出来るか不安でもあります(´ω`;)
何はともあれ、書いてみる事だと思うので次回もゆっくりお待ち下さいませ。
重ねて言いますが此処までの閲覧ありがとうございました、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第5章「運命流転編」
第66話「二人の宇佐見、そしてチーム結成……?」
そして今回から新章です。
此処から蓮子、メリー、麟、ブロントさんが遂に本格的な活躍をして行く予定です!
そして、此処に+αも…………?
では、本編へどうぞ!
幻想郷のいつもの昼下がり、蓮子とメリーは魔理沙と共に人里の一角に来ており其処で人々や人里に来た妖怪達、ブロントさんの同郷の人達がいつも以上に賑わいを見せている事に驚いていた。
「え、何、何?
何で皆こんなに活気付いているの?」
「何か大きなイベントがあるのかしらね?」
そんな二人を見て魔理沙は不敵に笑みを浮かべ、何故こんなに賑わっているのか理由を口にし始める。
「へへ、何でこんなに皆活気付いてるか気になるよな?
実はな、この幻想郷で年に一度行われるヴァンガードの大型大会の開催が遂に近日に迫ったからなんだよ」
『ヴァンガードの大型大会⁉︎』
「そう、その名も『ヴァンガードファイト・ファンタズムカップ』‼︎
参加条件は3人から5人までのチームで全員最低グレード3以上のファイカランクになってる事!
今までクエストを受けてた連中はこの大会に参加する資格を得る為に頑張って来てたんだぜ!
そして、この大会には幻想郷中から数多くのファイター、それこそ人間や妖怪だけで無くヴァナの人々も集まり、これに優勝したチームは漏れなくその年の幻想郷No.1チームとなり、普及協会から優勝記念としてトロフィーやブースターパック2カートン贈呈は勿論、1年間普及協会本部所属ファイターが専属コーチに入ったりとか色々な意味で美味しい権利が与えられるんだぜ!
まあ私は『レジェンドファイター』に入っているから、この大会には参加出来ないんだけどな」
魔理沙はこの賑わいが幻想郷のヴァンガードファイトの大型大会、『ヴァンガードファイト・ファンタズムカップ』なるものが近日中に始まる為とし、この大会に幻想郷中からファイター達が集まって来ると言い、更に優勝賞品が余りにも豪華な上に普及協会本部所属ファイターが専属コーチになると聞き、ヴァンガードにこれまで以上に力を入れる環境が与えられると分かり二人は目を輝かせていた。
「ブースターパック2カートン、欲しかったあれやこれやが…………‼︎」
「専属コーチ…………と言う事は、かなり強いファイターの方が指導してくれるのね。
蓮子、今私達のグレードは丁度3以上、後は言う事は?」
「勿論バッチリOKよメリー!(グッ!)
他に誰かを誘ってこの大会に参加して優勝目指すわよ‼︎
魔理沙が参加出来ないのが残念だけどね〜」
「まっ、仕方ないさ。
私は普及協会から特別な恩恵をとっくに受けてるから文句は言えないさ」
蓮子とメリーは魔理沙がレジェンドファイター…………大型大会に参加出来ない代わりに優先的にパックを配送、更に一般ファイターの教導権や普及協会の施設の自由使用などの恩恵を受けられる、幻想郷内に居る超トップファイター(レミリアなどもレジェンドファイター)になっている為一緒に大会に出れない事を残念がるが、気を取り直し二人は誰を誘おうかを決めるべく人里内をお団子や中華まんなどを食べ歩きながらゆっくりと回り始める。
「うーん、それで誰を誘う?
咲夜や美鈴は紅魔館の切り盛りや支部所属ファイターとのフリーファイトで忙しそうだし……」
「聞いた話によるとアリスはもうチームが決まってるみたいだぜ。
残るはやっぱり麟と、レジェンドファイター制度が始まる前に幻想郷中を武者修行の旅に出て候補だったけど結局ならなかったブロントさん位だと思うぞ?
後多分内藤とミスト『あの二人は却下』だよな〜」
そして誰を誘おうにも知り合いで且つフリーだと思われる人物は結局少なく、絞らずともブロントさんと麟しか誘えないと言う結論に至り、蓮子とメリーはアイコンタクトをしどちらを誘うか、又は両方誘うのかを決め始め……。
「見つけたわよ、『秘封倶楽部』を名乗るお二人さん!」
『えっ?』
「……あっ、お前は…………そうだ!
そうだった、秘封倶楽部の名前になんか引っかかった思ったら!
今までそれを思い出す所じゃなかったからすっかり忘れてた!」
ようとした所で後ろから蓮子とメリーに対し秘封倶楽部を名乗る二人として話し掛ける少女が一人現れ、また魔理沙はその少女をみて白玉楼に行く際に引っかかった物が漸く抜け、その人物を見ていた。
その少女は、茶色い髪に眼鏡を掛け、更にマントを羽織る蓮子とメリーより少し年下、又は同年代に見え、そして最大の特徴として『蓮子が被っている黒帽子とデザインが同じ黒帽子を被っている』と言う点で、蓮子はその少女を見てあんぐりとし、メリーは何処か蓮子に似た少女に頭を傾げていた。
そして、少女はそのまま口を開く。
「ふふふ、この私を差し置いて『秘封倶楽部』を名乗るなんて笑止千万!
真の『秘封倶楽部』はこの私!
秘封倶楽部初代会長、『宇佐見菫子』が結成した物に於いて他にないわ‼︎」
「………………」
「……えっ?
初代会長?
それに……宇佐見?
しかも蓮子と何処と無く似て…………あれ、蓮子、どうかしたの?」
少女は目を輝かせ、背景に『バァァ〜ンッ‼︎』と擬音が出る勢いで自らの、『宇佐見菫子』と言う名を自らの肩書きと共に名乗り、蓮子とメリーに指を指す。
メリーは宇佐見の姓、秘封倶楽部の初代会長、蓮子に似ているなどに戸惑いながら蓮子の方を見ると当の蓮子は固まっており、しかも口をパクパクさせながら少しずつ震え始めているのが見え、何事かと心配し始める。
「…………うん?
ちょっと其処の私の帽子と同じデザインのを被った人、一体どうしたの?「す…………」
す?」
「す…………す………………菫子伯母さんッッッ!!?!??!」
『…………はい?』
そして、蓮子が菫子の事を伯母さんと呼び、かなり動揺していた。
それを聞き菫子を含めた三人はこの蓮子の突然の発言に付いて行けず頭に?を浮かべるのであった。
それから30分、蓮子達は菫子を連れて人里の食事処に入り、それぞれメニューを注文しながら話を進めていた。
「…………えーとつまり、菫子は蓮子のお母さんの姉ちゃんで、伯母に当たる人物で秘封倶楽部を蓮子が名乗るきっかけの人物だと?」
「え、ええ……この帽子も菫子伯母さんからお古だけどって貰ったんだ…………あー私のバカ!
幻想郷って外の世界と隔離されてるから、しかも『今この時代が私達が生きる現代』であるなんて思い込んだばかりに…………‼︎」
「ま、まさか、今になって私達にとってとんでもない事実が判明するなんてね…………此処が『私達の時代よりも過去の世界』、しかも私達が生まれる前の世界だったなんて…………」
状況を整理しあう中で蓮子は菫子の事を魔理沙にありのまま伝え、そして蓮子とメリーは自分達にとって最大級の勘違いと事実…………この時代が自分達が生まれ、大学生として京都で活動していた時代では無く、菫子が学生であり、まだ自分達が生まれていない過去の世界に来ていたと言う事をしり幻想郷に来た時以上の愕然を味わっていた。
「ふむふむ、どうやら未来では月旅行(無論生身じゃない)が超高額で行われてたりとかしてるのか…………それにしても、あの超一般人な妹からこんな将来有望な可愛い姪っ子が生まれるなんてね〜♪
しかもこんな美人且つ超可愛い相棒と秘封倶楽部の活動をするなんて!
いや〜秘封倶楽部初代会長としても宇佐見家長女としてもこれ程嬉しい事は無いよ〜♪」
対して菫子は蓮子達の素性などを聞きかなり嬉しさで舞い上がっており、二人を可愛いと言いながら頬をスリスリと擦り付け、かなり懐いていた。
「にしてもあのバカ、蓮子とメリーをこの幻想郷に、しかも二人からすれば過去の世界に落とし込むとはな…………よし、ぶん殴る内容がまた増えた!」
「……い、一応大学を退学処分されるのは元の時代に戻りさえすれば回避が可能な可能性が出たから良いとして…………『シャドウ』……ムカつくアイツは何で私達を過去の世界に?
幻想郷に連れて来る時点で意味不明なのに益々意味不明になったわ」
「ふむ〜…………ムカつくアイツって特徴を聞く限りだと彼…………魔理沙さんと今は居ない霊夢さんの幼馴染ですよね?
何でこの可愛い美少女二人を此処に落としたのかね〜?
見た感じ●●同●展開が嫌いそうなのに……」
そして魔理沙は『シャドウ(ブライト)』をぶん殴る理由がもっと増え、次にまた会ったら殴ると決め込み、頭を抱えている蓮子の代わりにメリーが何故ムカつくアイツ(ブライト)が過去の世界に自分らを連れ込んだのか意味不明とし、菫子も数える程度には会った事がある為●●同●展開が嫌いそうな人物として印象があると言い、何故そんな事をしたのかと考えていた。
「ほう、魔理沙に蓮子とメリーがちょうど偶然にも入った食事処に居たと言うか鬼なる。
しかもメガネ女子の菫子も一緒になっているので「ほう・・・」と気になり始めたんだが?
とりあえず【こんにちは】」
「あ、ブロントさん!
しかも麟も一緒に居るじゃないか!」
「こんにちは魔理沙、蓮子、メリー。
それから菫子さんも。
それで、一体この集まりは何の集まりでしょうか?」
すると其処に蓮子とメリーが大会に誘おうと思っていたブロントさんと麟が共に現れ、二人によると偶然道端で出会い、近くのこの食事処で昼食を摂りそれから蓮子達と会いに行こうとしていたらしく会いに行く手間が省けた展開だった。
そして魔理沙達はブロントさん達とも相席になり、何の集まりで何を話していたか、またヴァンガードファイト・ファンタズムカップに誘おうとしていた事も話し、するとブロントさん達も真剣な面持ちになる。
「………つまり菫子は蓮子の伯母さんだが此処は実は蓮子達が生きた時代では無く実は過去になると言う今明かされる衝撃の真実を知り蓮子達は頭にメガトンパンチを受けた不具合になっていたがこれは一歩間違えなくても致命的な致命傷なので頭がおかしくなってテンションが死ぬ。
更についげきのアイツ(ブライト)が何故過去世界に二人を落とす英語で言うと強制タイムリープをやらかしたのかも分からず思わずネガが顔に出て汚い目線が作られかけてるわけだな」
「それは…………確かに彼が何故そんな事をしたのか全く分かりませんね…………謎が謎を生み、まるで蜘蛛の巣に絡まれる様に思考が止まってしまいますね……」
ブロントさんと麟もその話を聞き何故ムカつくアイツ(ブライト)がそうしたのかわからず、矢張り手っ取り早い方法としては全てを洗いざらい吐かせるしか無いと言う結論に至る。
「……まぁ、こっちは分からない事だから今は置いておくとして、蓮子、メリー」
「……うん、そうね。
えーとそれで、ブロントさんと麟も私達と一緒にヴァンガードファイト・ファンタズムカップに出てくれないかな?
私達、初めての大型大会参加だけどそれでも優勝を目指したいから「うむ、別によろしいんだが?」「はい、良いですよ」封印がとけられた……じゃなくて、えっ、即答?」
「良いの、麟、ブロントさん?」
ムカつくアイツ(ブライト)の話題は脇に置き蓮子達はブロントさん達にファンタズムカップの同じチームでの参加をお願いすると、二人は何と即答でOKを出し、それに驚き蓮子達はブロントさん達に良いのかと聞くと二人は笑顔で答える。
「おう、俺達と実は同じ理由で二人に会おうとしていたんだがああやはりフレはフレを呼ぶのだなと思った(確信)
ナイトは皆のお手本で人気者なんだがやはりここはフレである蓮子とメリーと麟で今年は出場したいと思いとんずらを使ってきょうきょと参戦しようとしたんだが偶然に常に俺は蓮子とメリーの近くを通りかかったのだよ。
なのでこれからは同じPTメンとして【よろしくお願いします】」
「はい、だからこの食事処に入って皆さんに会い、そして同じ話題を持っていたので本当に丁度良かったのですよ。
蓮子、メリー、ブロントさん、改めましてよろしくお願いします」
『…………ええ、よろしく!』
どうやらブロントさんと麟も蓮子達と同じくチームを組みファンタズムカップに出ようと思っていたらしく、本当に丁度良くこの場で出会い同じ話題を持っていた為即答と相成った訳であった。
そしてブロントさん、麟が蓮子達に同じチームとしての挨拶をすると蓮子達も挨拶を返し、此処にファンタズムカップに出場するチームが一つ。
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁ‼︎」
「うむ?
なにかようかな>>菫子」
「そのチーム、この私も加えて欲しいわ!」
『…………えっ⁉︎』
誕生しようとした所で菫子が割って入り、何と自分もチームに加える様に頼み込んで来た為、蓮子達は思わず驚きの声を上げる。
「えっ、菫子伯母さん、何で?」
「だって、こんな可愛い姪っ子と相棒が秘封倶楽部を名乗ってクエスト受けてて、そして大会に参加しようとしてるのよ?
なら初代会長である私も参加する権利が‼︎
…………てのは8割冗談として、私も二人の事がヴァンガードファイターとしても気になってたのよ。
それでね、同じチームになってどれ位強いのか、どれだけ高みに登れるのか見届けてみたいって思ってね。
勿論チームに参加するからには足手纏いにはならないし、お互い切磋琢磨し合うわよ。
それで、4人の意見はどんな感じかな?」
どうやら菫子はヴァンガードファイターとして蓮子とメリーの事も気になり始めたらしく、同じチームに参加して見届けて、また切磋琢磨し合いたいと言い、足手纏いにもならないと言い蓮子、メリー、ブロントさん、麟に対し参加して良いか尋ねる。
「……メリー、どうする?
私は反対意見は無いんだけど」
「私も無いわ。
それに、最大5人チームで参加出来るのなら、ね」
「ふむ、見事なまでに反対意見が無いなと確信が鬼なるがどこもおかしくないな。
寧ろ下手にINT⑨な所を見せてネガ意見でPT申請をキックするとか言う絆ブレイクをするのは薄汚いひきょうな忍者だけでいいと言う意見」
「私も反対する理由が無いです。
なので、反対意見0なので菫子さん、よろしくお願いしますね」
すると蓮子達は反対意見が無い為チーム参加がOKとなり、突然の事ではあったが菫子の参加が決定した。
「よっし!
これからよろしくね皆!
それから蓮子、確かに私は貴女の伯母に当たる人物だし伯母さんと呼ぶのは当たり前なんだけどね、私はまだ10代後半だからオバさんって呼ばれるのにはかなり抵抗があるわ。
だから、これからは私の事は菫子『お姉ちゃん』、または菫子ちゃんと呼びなさい!」
「あ、そう言えば確かにオバさんって年齢じゃないよね今。
ごめんね菫子おb…………いやいや違う違う、頭切り替えろよ蓮子…………よし、分かったわ、菫子姉さん!」
そして菫子は蓮子に呼び方の訂正を命令し、蓮子も理由に納得して呼び方を姉さんに変え、遂に蓮子達のチームがメンバーが揃ったのである。
「よしよし、無事チームの出来上がりだな。
じゃあ次はチーム名だな!
どんな名前にするんだ?」
「それは勿論…………」
『チームKnight/花鳥風月/秘封倶楽部と愉快な仲間達/ファンタズマ‼︎
………………えっ?』
しかし、無事チームメンバーが揃いはしたが次にチーム名を決めようとした所、蓮子とメリー以外はチーム名をバラバラに言い互いに何故この名前じゃないのかと言う表情を浮かべていた。
それを見た魔理沙はやれやれだぜと苦笑し、手を挙げながら言い、先が思いやられるなと思っていたのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
菫子おb(←サクッ‼︎)お姉さんが蓮子とメリーと出会い、更になんか流れで合流しました!
しかし、ファイトの実力はまだ分からないので…………(つまり次回は(ry))
そして蓮子とメリー、まさかの過去に来てました………。
何故蓮子がそれに気付けなかったかは単に彼女達が少しその可能性を考えなかった為だったり…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第67話「チーム名決定」
今回も会話回+最後にファイト突入となってます。
そしてタイトルからも分かる通り……。
では、本編へどうぞ!
蓮子達がチーム結成の話をした同時刻の紅魔館、レミリアの執務室に咲夜、パチュリー、小悪魔、美鈴が集められ、普及協会本部にてブライトから告げられた事、及び八雲藍がひた隠しにしていたブライトの現在の立場を蓮子とメリー以外の、信頼の置ける者に話して良いと本部での話し合いの最後に言われ咲夜達に話していた所であった。
「……成る程ね、もう一つの〈リンクジョーカー〉のデッキの正体は惑星クレイの神、『メサイア』から授かった物+惑星クレイに新生した者達で構成されていたのね。
魔理沙が言っていた『メサイア』のカード、それがそうであるなら納得ね、誰も見た事が無い訳よ」
「そして、彼の計画…………いえ、『賭け』と呼ぶべきでしょうか?
それには蓮子とメリーが絶対不可欠な存在であり、彼女達が『成長』するのを望んでいる…………しかし、身勝手に未来から彼女達を連れて来るだけで無く、かなり面倒な事を…………」
「奴の話ではメリーの身に降りかかる事は未来でも起き、そちらでは覆しようの無い定めにあるが、幻想郷に連れて来た事でその発生するものも本来よりも前倒しに起き、同時に蓮子とメリーを『成長』させる事によりそれを覆す可能性を生ませるとの事だ……」
レミリアは普及協会本部でブライトから蓮子とメリーの情報を洗いざらい(汚い忍者がアンティで黙らされたレミリアの代わりに)吐かせた事で魔理沙が聞かされた情報よりも更に深い部分の物を聞き出せ、そして、二人の身に降りかかる『とある出来事』と言う物も聞かされ、これを二人の手で覆したその時こそが真に自分の計画がスタートするとも言っていたのだ。
「全く、魔理沙が聞けば間違い無くマスパの刑になるわね。
私も思わずロイヤルフレアを撃って彼を消し炭にしてやろうかと思ったもの、ね」
「……それでお嬢様、この話はお二人…………蓮子さんとメリーさんに話されるのでしょうか?」
パチュリーが冷たい笑みを浮かべながら話すと次に美鈴が蓮子とメリーにこの事実を話すかと言うが、レミリアはそれを首を横に振り、否定する。
「……もしもこれを二人に話せば、二人が乗り越えるべき出来事……『………………………………』が乗り越えられず、そして全ての未来の可能性が失われ、二人に最大の厄災が降りかかり、何もかもが終わると言っていた。
それを信じる訳では無いが…………もしもメリーが豹変したら、それが前兆であると言われ、最初の頃は豹変も直ぐに戻るが3回目…………3回目の豹変、これが起きればターニングポイントだと言う。
これを乗り切り、真の『成長』が成されるには何も知らせず、見守ってて欲しいと言われた。
…………アンティファイトで負けた故、黙って従うしか出来んがな」
レミリアはアンティにより従う他ないとしながらも、ブライトがメリーの豹変を口にした事、3回目がターニングポイントとも言った事なども踏まえ、見守る事を選び蓮子達には敢えてこれを言わないとした。
「3回目…………蓮子が言っていた白玉楼での西行寺幽々子とのファイトの時、そして私やブロントさん達の前で起きた八意永琳とのファイト、その2回でそれぞれ豹変してます…………つまりは後1回、その豹変こそが……」
「うむ、二人が乗り越えるべき事象だ。
ブライトの奴もこれにはある程度は介入するが、あくまで二人が乗り越えるべき物だと言ってた。
3回目は2回目が起きてから少し経過した時に突然起きるとも。
そして、既に2回起きているならもうそろそろ3回目が起きるとも、それに気が付けるのは蓮子のみと、な……」
咲夜がメリーの豹変について振り返り、既に2回起きていた事を改めて確認し、レミリアはブライトから齎された情報により3回目が近々、しかも突然発生し蓮子しか分からないと告げながら窓の外を見て、今は外に出て日常を過ごしている蓮子とメリーに自分は何も出来ない歯痒さなどを感じながら、二人が無事に3回目の豹変、それを乗り越えられると信じていたのであった。
同時刻、蓮子とメリー以外が名前をバラバラに言った為改めてチーム名を決めるべく注文した物を突きながら話し込んでいた。
「えーと、先ずチーム名は4つ候補が出たんだけど、皆それぞれ何でそのチーム名にしようとしたか話して。
それ聞いて改めて決めるわ」
「うむ、チームKnightはナイトがリーダーでナイトの精神を持つPTメンがナイトとして正正堂堂と相手と戦い勝ちナイトは圧倒的にさすがだと喜び褒められるためにつけようと思った由緒正しいチーム名だぞ」
「でも騎士はブロントさんで、騎士クランを使うのは私とブロントさんだけだし騎士道精神云々の前に正々堂々ファイトするのは当たり前だからね?」
「……むむむ」
先ずブロントさんがチーム名の由来を話すも蓮子にダメ出しを受け、意見を引っ込めるもまだチームKnightを諦め切れないのかむむむと唸り、頭を必死に回転させ反論を絞り出そうとしていた。
「えーと、次は麟の花鳥風月ね。
何でこの名前なの?」
「はい、私達の自然体やファイトの姿、それらを全て余す事無くファイトを見に来てくれた皆さんに楽しんで貰い、そして様々な物を互いに表現し合いたいと願掛けを込めてこの名前にしました」
「おぉ、ブロントさんの9倍位考えられてる名前だ「何やら魔理沙がナイトをdisり始めたんだが麟の花鳥風月と言う名前の由来におれは必死に頭を回転させたが何も出なかった」」
次に麟の花鳥風月はどんな意味を持つのかと聞くとかなり考えられた名前であると皆納得し、花鳥風月は第1候補として残ると、麟は少し照れながらありがとうございますと頭を下げていた。
「で、菫子姉さんの秘封倶楽部と愉快な仲間達なんだけど……」
「そんなの言わずともわかるでしょ、私と蓮子とメリーとその愉快な仲間達って意味だ「ごめん、ふざけてる蓮子の原型が見えた気がしたわ」「あー、うー…………すんませんメリーさん」「えーと……」「麟、ちゃんと言ってやらないと逆に気の毒だぜ」「まるでネーミングセンスのカケラが無いなと思わず呆れが鬼なったネーミングセンス⑨だろこれならまだチームKnightが900倍マシだと思った感」おいコラ、特に其処のアルパカナイト上等だよ表でやがれこの野郎!」
「おいィ、誰が白い首長アルパカだよ!
人の身体的特徴を貶すとかマジぶっころしよ前歯へし折られたいか!
自慢じゃないがナイトは剣を振るうが実はリアルではモンクタイプなので喧嘩も強いので謝るべき、男女平等パンチを受けたくないなら謝るべき!!」
菫子のチーム名に思わず全員がそっぽ向いたりダメ出しをしたりし、当然却下となるが此処で菫子とブロントさんが喧嘩一歩前の状態となり売り言葉買い言葉をし、互いに火花を散らして険悪な雰囲気になる…………が、食事処の店員(何処ぞの吸血鬼と戦う超強面な某神父風の見た目)に無言で睨まれ、二人は黙って座り出されたメニューを再び突いて険悪な雰囲気を霧散させる。
「…………えーと、じゃあ蓮子とメリー、チームファンタズマってどんな意味があるんだ?」
「えっと、チームファンタズマって言うのは先ず、ファンタズマは『幻想』って意味があるでしょ?
で、此処は幻想郷、そう踏まえてこのチーム名を和名にすると『幻想郷』になってね」
「それからね、『私達は幻想郷で出会い、幻想郷でチームを組み、幻想郷で大会に出て、幻想郷で友情を育んで行く』と、『私達は幻想郷から元の世界にいつかは帰るけど、この幻想郷であった全ての出来事や出会った人達は忘れない』、そして、『私達の記録をこの名に込めて、幻想郷に刻み込もう』って意味と想いを全部込めたら自然とこの名前が二人で浮かんじゃったのよ。
それが、チームファンタズマの由来」
魔理沙が最後に蓮子とメリーにチームファンタズマと言う名前を聞くと、二人はそれぞれ和名にした際のチーム名と其処に込めた物を口にすると、魔理沙も麟も菫子もブロントさんも目を丸くした後、物凄く納得の行く名前に関心を持ち、またこれを二人が考えた所で浮かんだ物と聞き不思議と笑みが零れていた。
「……そっか。
二人共すげえネーミングセンスだと思ったよ」
「はい、様々な意味がそれぞれ納得の行く物でとても素晴らしいです」
「素晴らしいチーム名だすばらしい。
これには思わずナイトも一本取られたなと思いチーム名をチームファンタズマで全力で認可しようとするだろうな」
「おお〜流石私の未来の姪っ子と相棒、本気で考えたら凄く洒落てたり真剣な想いを込められる様にする…………流石は未来の秘封倶楽部‼︎
うん、私このチームファンタズマって名前凄く気に入ったよ!」
魔理沙達は皆それを聞き納得し、また洒落が効いた名前でもある為麟は紙に書いた花鳥風月に横線を引き、チームファンタズマの名前の横に◯を書き蓮子とメリー以外の全員はそれでOKと言う形で首を縦に振る。
「え、麟良いの?」
「はい、お二人の真剣な想いを聞いたらこの名よりもチームファンタズマの方が余程らしいと思いました。
ですから、チーム名はこれで大丈夫ですよ。
幸いにしてこれに反対意見はありません」
『異論なし!』
「皆…………」
そうして、チーム名を話し合った結果蓮子とメリーが考えたチーム名、チームファンタズマに決定され、これ以降この5人の集まりはチームファンタズマとして集まる事もまた決まり、魔理沙はそれの見届け人となったのであった。
「んじゃ、チームファンタズマで決定だな。
なら早速紅魔館のクエストボードの前に行ってファンタズムカップへ参加するって申請を出しに行こうぜ!」
『賛成!』
そして蓮子達チームファンタズマは早速会計を済ませ、紅魔館へと向かいヴァンガードファイト・ファンタズムカップへの参加を申請しに行く。
その後ろ姿は正しく喜びに満ちた、蓮子とメリーを中心にしたチームであると示していたのであった。
それから数十分が経過し、クエストボードの前にて蓮子とメリーが操作し、大会に参加するからファンタズムカップを選びチーム名を入力し、5人がファイカをスキャンしてチームファンタズマがファンタズムカップに参加するがクエストボードに表示され、予選開催日時と会場も画面に映る。
「ふむふむ、今から1週間後の妖怪の山、其処が私達の予選会場になるわけね」
「1週間後に妖怪の山…………うん、メモ出来たよ」
チームファンタズマが参加する予選会場は妖怪の山、蓮子とメリーが聞いた話によれば天狗達や河童達の縄張りでもあるが、ヴァンガードの大会の会場になると普段は入れない場所も解放され、人里の人間や妖怪の山以外に居る妖怪も集まり、皆ファイトを楽しむのである。
「さて、チームファンタズマは予選に出る事が決まったがこれからやるべき事は沢山あるぜ。
互いのデッキの把握、改良、どの試合でどんな状況で誰が出たりするのかを決める、何よりチーム戦だからチームワークを育む、これらを1週間の間に全部やるんだ、結構大変だぜお二人さん」
「だね。
じゃあ最初はデッキ確認も兼ねて5人でファイトをしよう。
私とメリー、麟とブロントさんはファイトを良くしてるからデッキや実力は分かるけど、菫子姉さんはどんなデッキで実力も不明、だから先ずは菫子姉さんと私達がファイトをする、初めはこんな所ね」
魔理沙が1週間の間にやる事を大体挙げると、蓮子が秘封倶楽部部長の経験を活かして最初にやるべき事、更に確認する事を示し菫子のデッキや実力を把握しようとファイトを挑もうとする。
すると菫子は笑いながらメガネをクイっと上げながら蓮子がたまに見せるウザ可愛い笑みを浮かべる。
「ふっふっふ〜、そうよねそうだよね〜、私の実力とか知りたいよね〜。
ならば我が姪っ子よ、そのファイト受けてしんぜよう!
そして見ると良いわ、この秘封倶楽部初代会長の実力を!」
「!
ほほう、ならば存分に堪能させて貰いましょうか、菫子姉さんのファイト力を!
そしてこの成績優秀スポーツ万能、道行く男は皆振り返る超コワモテ不良サークルの美少女部長蓮子ちゃんの実力も味わいなさいな‼︎」
それに対し蓮子もウザ可愛い笑みと妙にキレがあるポーズを決め、菫子の言葉を返し両者共に闘志を燃やし、それを見ていた麟達は置いてけぼりを喰らい、メリーはふざけが入った蓮子が二人に増えた様な光景を目の当たりにして頭を少し抱え、そして久々に聞いたこのふざけてはいるがこの状況を楽しんでいる蓮子の姿に笑みを浮かべ、幻想郷に居ようが元の世界に戻ろうがこれだけは変わらないと思い何処か安心感に似た感覚を覚えていた。
「シャッフル完了、初期手札や手札交換も完了、FVもセットしたし準備万端!」
「じゃあメリー、ファイト宣言をお願い!」
蓮子と菫子はファイト準備を終え、FVに手を掛けいつでもスタンドアップが出来る状態にしつつ、蓮子はメリーにファイトの開始宣言をする様に頼みメリーはいきなりの事で驚く。
「え、ええ⁉︎
いきなり話振られても何話したら」
「まぁまぁそんな固くならず、ただ『ファイト開始ィ〜‼︎』だけでも良いわよ」
すると菫子がファイト開始をただ言うだけでも良いと言い、メリーの肩を解そうとする。
しかしメリーはいきなりとは言え、チームの初活動の為此処はきっちりと何かを言うべきだと考え、頭の中で何を言うのかを纏めて口を開く。
「…………よし。
じゃあこれからチームファンタズマの初活動を行うわ。
このファイトはチーム間の交流や実力把握を兼ねた物だけど、だからと言って気を抜かず全力でファイトをして欲しいわ。
OK?『OK!』
それでは……ファイト開始ッ‼︎」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『自若の
「『祈りの神器 プレイ・エンジェル』!」
メリーのちょっとした話を聞き、気を引き締める蓮子と菫子を見たメリーはファイト開始の宣言をし、それを合図に二人はFVをスタンドアップさせる。
そして今、チームファンタズマの第一歩が踏み出され、これより1週間の間着々とファンタズムカップへの準備が進められる事が今約束されたのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
レミリアの会話の中で意図的に隠す物があり、その表現の為に『………………』を使用させて頂きました。
これの回収は…………もしかしたら意外と早いかも…………?
そしてチーム名が決まりました。
このチーム名は実は物語中の蓮子達の想いを込めてみようかなと思ったらこうなったら経緯があったりなかったり…………。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第68話「菫子の実力」
今回は話を詰めてしまい長くなってしまいました……(´ω`;)
ちょっと長めですが、本編をどうぞ
イメージ世界にて、蓮子と菫子はユナイテッド・サンクチュアリの超高層ビルの屋上に降り立ち、FVにライドする。
菫子がライドしたFVはプレイ・エンジェル、ユナイテッド・サンクチュアリ所属クランで〈オラクルシンクタンク〉と同じく災厄の天啓や対策を練る為に作られた複合企業〈ジェネシス〉であった。
「〈ジェネシス〉……確かユナサンクランの中で最もソウルを使うクランで、
「そのとーり!
ソウルを貯めて貯めて使う、そして使えば強力なスキルを発揮する正に超能力に相応しいわ!
そして、デッキトップ操作も最近になって出来る様になって益々超能力気質が出て私超うれC〜ってね!
さて、そんなだから早くスキル使いたいんだけど先攻は蓮子、貴女からよ」
蓮子が〈ジェネシス〉の特徴を話すと菫子は言動も態度もかなり嬉しそうにし、早くスキルを使いたいとウズウズしていたがジャンケンで蓮子が勝った為後攻である為、途中で素のテンションに戻り蓮子にターンを進める様に促す。
「よし、私の実力メッチャ見せる!
ドロー!
『
ルキウスは左後列に移動させてターンエンド!」
自若の
蓮子:布陣
R せぶるみー R
ルキウス R R
蓮子は早速次のグレードにライドし、速攻を行う為にルキウスを左後列に移動させ菫子もシンリックとルキウスを見てそれが狙いだと判断し、ニヤリと笑いながらターンに移る。
「ふっ、私のターン、ドロー!
ぬっふっふっふっふ、ふっふっふっふっふ、私は‼︎
此処で『Gアシストステップ』を宣言するわ‼︎」
「ジ、Gアシストステップ……⁉︎」
菫子はドローの直後に『Gアシストステップ』と言う、メリーが普段聞き慣れない単語を使った為メリーは警戒する…………が、ブロントさんや魔理沙、麟は「あー……」と言って何とも言えない表情を浮かべており、メリーはそれが気になりGアシストステップの事を聞こうとする。
「えっと、皆、Gアシストステップって、何?」
「Gアシストステップ、それは『ヴァンガードのグレードが2以下で、手札に次のグレードのカードが『
「そすて手札全公開は本来全く把握出来ない手札を見せるから記憶力がいいファイターを相手にするとGゾーンのカードと手札2枚を損失してからの手札全把握で地獄の宴となる(汗)
だがライド出来なきゃ話にならない為多少のリスク覚悟でやるのだよ……」
魔理沙がGアシストステップを説明し、ブロントさんもそれに対する損失やリスクを話しながらやらないとファイトにならないとも言い、目を逸らしながらやる意味は一応あると遠回しに言い、蓮子とメリーはそれを自信満々に言った菫子に何故か悲しい目を向けていた。
「はい其処悲しい視線を送らないで、心がグッサリ来るから!
んじゃはい、手札公開よ!「えーと、グレード0が2枚にグレード3が3枚、グレード2が1枚……」
ね、グレード1が無いでしょ?
と言う訳でデッキの上から5枚を見て…………はい、『神界獣 ハティ』が居たからこれ加えて、この手札2枚とGゾーンのこの2枚を除外してライド!
プレイ・エンジェルはヴァンガード後ろに移動させてアタック!『凍気の神器 スヴェル』」
祈りの神器 プレイ・エンジェル:P5000、C1
神界獣 ハティ:P7000、C1
ハティVSせぶるみー:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『凍気の神器 スヴェル』
ダメージチェック『
菫子:手札:5 Gゾーン:6 除外カード:4
蓮子:ダメージ:1
菫子はGアシストステップをしっかりと決め、グレード1のカードを引き当て手札ディスアドを負いつつもライド、そしてきっちりアタックをして損失を補おうとしていた。
しかし、手札は除外したカードはG0とG3が1枚ずつだと蓮子は把握し切っており、次のターンで速攻を始められれば蓮子は勝てると踏んでいた。
幸いにして、速攻が始められそうな手札には既になっており、後は後列を用意するだけである。
「ドロー。
あ、良いの来た。「おりょ?」
ともあれ先ずは……立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』!」
「(ブラスター・ブレード……ヴァンガード初期のカードにして、現ファイト環境で型落ちはしてるとは言え幻想郷では入手超困難なカード、それが蓮子の分身か……」
ブラスター・ブレード:P9000、C1
菫子はブラスター・ブレードを型落ちした古いカードと見つつも、レアリティ自体は変わらない為希少価値は高いとも評価し、それが聞いた噂通りに蓮子の分身のカードとして場に出た事、更にブラスター・ブレードにライドしてからの蓮子が楽しそうにファイトしているのを見て少し笑みを浮かべていた。
「コール、『スターライト・ヴァイオリニスト』!
スキルで
スターライト・ヴァイオリニスト:P8000、C1
忠義の騎士 ベディヴィア:P9000、C1
まぁるがる:P4000、C1、『引』
誠実の
蓮子:手札:2 布陣
スターライト ブラブレ ベディヴィア
ルキウス まぁるがる シンリック
蓮子は先程のドローでシンリックを引き当てた為このターンでフル展開し、更に次のターンでインターセプトも出来る様に前列も固め、Gアシストで手札を損失し、あまりガード出来ない菫子に畳み掛けようとしていた。
「先ずはルキウスのブースト、スターライトでアタック!「まともに防げるのはこのアタックだけね、ガード!」
ブラスター・ブレードでアタック、ドライブチェック!『爛漫の
次、ベディヴィアでアタック、『ブラスター』の名を持つヴァンガードが居るのでパワー+3000!「こっちもノーガード『真昼の神器 ヘメラ』
ターンエンド!」
ヴァイオリニストVSハティ:8000+5000VS7000+10000=ガード成功
ブラブレVSハティ:9000+4000VS7000=ヒット
ドライブチェック『爛漫の
ダメージチェック『神界獣 フェンリル』
ベディヴィアVSハティ:9000+3000+7000VS7000=ヒット
ダメージチェック『真昼の神器 ヘメラ』
菫子:ダメージ:2 手札:4
蓮子:手札:3
蓮子は順当にダメージを2枚与え、次のターンにはセルディックもコール予定になっている為アタックは毎ターン欠かす事無く実現出来る様になっている。
しかし、ファイトはまだ序盤の為油断せず菫子の動きを注視していた。
「ドロー、『戦巫女 サホヒメ』にライド!
更にサホヒメをコール!」
戦巫女 サホヒメ:P9000、C1
「お、あのユニットは」
「何か知ってるの、魔理沙?」
「まあ黙って見ていれば神秘のベールに隠されていたスキルのカーテンが開かれて披露宴を迎えるのでそのまま見てると良いぞ?」
第4ターン、菫子はサホヒメにライドし、リアガードにもコールすると魔理沙が少し反応する。
それを見てメリーが気になり聞いてみるとブロントさんが代わりに答え、そのまま見てると分かると言う。
蓮子は何かあるなとは思いつつ様子見をする事にする。
「リアガードのサホヒメで単発アタック!「ならベディヴィアでインターセプト!」
そんじゃ、ヴァンガードのサホヒメでブラスター・ブレードにアタック!「うーん、ノーガード!」
ドライブチェック『叡智の神器 アンジェリカ』トリガー無しっと。「ダメージチェック『
さーて此処から〈ジェネシス〉の特徴その1を披露するよ、サホヒメのスキル発動!
ヴァンガードへのアタックヒット時、
そのとーり、さて3枚ソウルへ…………(カモミールとメリッサが入ったか)うん、ターンエンド!」
サホヒメ(B)VSブラブレ:9000VS9000+5000=ガード成功
サホヒメ(A)VSブラブレ:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『叡智の神器 アンジェリカ』
ダメージチェック『
菫子:手札:4 ダメージ:1/2 ソウル:4
蓮子:ダメージ:2
サホヒメのアタックがヒットし、ヴァンガードのソウルが一気に4枚に増えた事に蓮子は驚き、まるで〈ダークイレギュラーズ〉みたいだと思うが、直ぐに蓮子とメリーは特徴を思い返し、あちらはひたすらソウルを貯めるのに対し、こちらは貯めた後に吐き出すと明確な違いがあり、これは謂わば大きなスキルの前準備であると判断する。
「さて、このままソウル貯めて一気に切り崩す準備を進めて……」
「ソウルを貯める……でも行き着く先はそれをリソースに強力なスキルを発動させる事、それが〈ジェネシス〉なら、ソウルが貯め切られる前に倒すのもまた一つの答えってね!
ドロー!
勇気を剣に、希望を盾に進め!
ライド、『光源の
『爛漫の
『
光源の
爛漫の
蓮子:手札:2 ダメージ:0/2 布陣
セルディック アルフレッド セルディック
ルキウス まぁるがる シンリック
蓮子はセルディックを両側にコールし、全てのラインを19000以上に仕上げてこのまま得意なビートダウンを狙っていこうとする。
しかし、ドロップゾーンはまだ2枚しか無い為
「まぁるがるのブースト、アルフレッドでアタック!「ノーガード……しかないよね〜」
ツインドライブ『必殺の
シンリックのブースト、右のセルディックでアタック!「こっちを『戦巫女 ククリヒメ』でガード!
なら左のセルディックでアタック、ブーストしたルキウスのスキル、前列に『
よしよし後1枚、ターンエンド!」
アルフレッド・エクシヴVSサホヒメ(A):11000+4000VS9000=ヒット
ツインドライブ『必殺の
アルフレッド・エクシヴ:C1→2
セルディック(B):9000+5000=14000
ダメージチェック『蛙の魔女 メリッサ』『ドリーミング・ドラゴン』『醒』
サホヒメ(A):P9000+5000=14000
セルディック(A)VSサホヒメ(A):9000+3000+7000VS14000+10000=ガード成功
セルディック(B)VSサホヒメ(A):14000+3000+5000+3000VS14000=ヒット
ダメージチェック『祓いの神器 シャイニー・エンジェル』
蓮子:手札:4
菫子:ダメージ:5 手札:3
蓮子は順当にダメージを与え、ゲームエンドまで後1枚まで追い込み、更に菫子の手札は完全ガードとG3のカード2枚(除外ゾーンのカードはG3が2枚)であり、このままなら最早勝ちも当然……だが、次は菫子がG3になり、更に
「な、何とか耐えた〜。
ドロー、叡智を以って世界の真理を暴け!
ライド、『叡智の神器 アンジェリカ』!
そして
ストライド・ジェネレーション、全てを照らす聖火!
『聖火の究極神器 デメテール』!
『祓いの神器 シャイニー・エンジェル』をコールして、これでバトル!
先ずはプレイ・エンジェルのブースト、デメテールでアタックし、スキル発動‼︎
ハーツカードが『神器』の名を持つなら
トリプルドライブ!『慈悲の神器 エイル』『治』『慈悲の神器 エイル』『治』『戦巫女 サホヒメ』
ヒールトリガーダブル、パワーはサホヒメに与えてダメージ2枚回復‼︎
サホヒメでアタック!「ダメージチェック『
よし、まだやれる、ターンエンド!」
叡智の神器 アンジェリカ:P11000、C1
聖火の究極神器 デメテール:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『叡智の神器 アンジェリカ』
祓いの神器 シャイニー・エンジェル:P7000、C1
デメテールVSアルフレッド・エクシヴ:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『慈悲の神器 エイル』『治』『慈悲の神器 エイル』『治』『戦巫女 サホヒメ』
菫子:ダメージ:5→3 ソウル:8
サホヒメ:P9000+5000×2=19000
ダメージチェック『光源の|探索者《アルフレッド・エクシヴ』
サホヒメVSアルフレッド・エクシヴ:19000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『
菫子:手札:4 ダメージ:3 ソウル:8 GB:1
蓮子:ダメージ:2/3
菫子はデメテールを使いソウルを増やし、更にヒールトリガー2枚を引きダメージを2枚も回復してまだ闘える状態にまで戻し、蓮子も同ダメージによる有効ヒールを引き当ててダメージを1枚に抑え、更にヒールを引き当てた事でドロップゾーンが4枚になり
「ドロップゾーンが4枚……蓮子の本領発揮ね!」
「よし、スタンド&ドロー!
そしてシークメイト!
ドロップゾーンのせぶるみー、スターライト、ベディヴィア、ヒールで落としたハロウドブレスをデッキに戻し、『ブラスター・ブレード・
並び立て、私の分身、
アルフレッドの
アルフレッド・エクシヴ:P11000+9000+5000=25000、C1→2、レギオンメイト『ブラスター・ブレード・
メリーがグッと手を握ると同時に蓮子はアルフレッドとブラスター・ブレードを
「スターライトをセルディックに上書きしたのはこの為ですね」
「そしてアルフレッドのスキルの封印がとけられたので全力を出せる様になり破壊力バツ牛ンとなった!」
「てな訳で
ツインドライブ『護法の
左のセルディックでアタック!「エイルでガード‼︎」
右のセルディックでアタック!「ぬぐう、ダメージチェック!『衰微の女神 ヘル』『真昼の神器 ヘメラ』」
もう一丁ダメージ5枚……ターンエンド!」
アルフレッド・エクシヴVSアンジェリカ:25000+4000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『護法の
セルディック(A):P9000+5000=14000、C1→2
セルディック(B)VSアンジェリカ:9000+3000+5000+3000VS11000+10000=ガード成功
セルディック(A)VSアンジェリカ:14000+3000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『衰微の女神 ヘル』『真昼の神器 ヘメラ』
蓮子:手札:7
菫子:ダメージ:5 手札:1
「やった、蓮子がまたダメージ5枚にしたわ!
そして菫子の手札はサホヒメ1枚、これは勝ったわね!」
蓮子が再び菫子のダメージを5枚にし、更に手札はサホヒメ1枚となり
メリーはこれなら勝ったと言い後のファイトは安心して見れるとしてゆったりしていた。
しかし……他の三人は除外ゾーンのとある1枚、菫子の手札から除外されたとあるG31枚を見て、もし菫子がそれを引けばまだわからない、否、蓮子の手札からすると逆転勝利する可能性があり、まだ安心出来なかった。
そして蓮子もまた、先程みたいな逆転劇があると『何となく理解して』いた。
「首の皮1枚繋がった…………後はあのカードさえ引ければ…………ラストドロー‼︎」
そして、菫子が引いたカードは…………正に今引きたかったカードであった。
「キター‼︎
全てを見通し、宇宙の神秘すら見破る力を見よ‼︎
ブレイクライド、『宇宙の神器 CEOユグドラシル』‼︎
ブレイクライドスキル、
そしてシークメイト、ソウルから吐き出したククリヒメ、更にヒールトリガー2枚にドリーミング・ドラゴンをデッキに戻し、『運命の神器 ノルン』を1枚探して
宇宙の神器 CEOユグドラシル:P11000+10000+9000=30000、C1、レギオンメイト『運命の神器 ノルン』
菫子:手札:3 ソウル:6
菫子はこの場面でブレイクライドと
しかし、魔理沙達はユグドラシルを引かれた事で「あちゃー」と言いながら額を押さえ、メリーはあのユニットが何かあるのかと思いながらも完全ガードが2枚ある蓮子なら防げると思っていた。
しかし、対する蓮子は『何となく』このユニットのアタックは防げず、ヒールトリガーを引かないと負けると分かり少し汗を掻いていた。
「おっしゃ、一気に決める‼︎
プレイ・エンジェルのブースト、ユグドラシルとノルンで
そしてユグドラシルの
驚いてくれてサンキューメリーさん、そしてユグドラシルのスキル、アタック時中央に他のユニットが居たらパワー+3000、更にソウルからドロップされたノルン2枚に『蛙の魔女メリッサ』、『烏の魔女 カモミール』のスキルがそれぞれ発動‼︎
メリッサとカモミールは
(やっぱり……?)取り敢えずツインドライブ『戦巫女 ククリヒメ』『☆』『遠見の神器 クリア・エンジェル』『☆』やったねダブルクリティカル、全部ヴァンガードにプラスね〜♪」
ユグドラシルVSアルフレッド・エクシヴ:30000+3000+5000+5000×2、ガード制限『G1以上』VS11000=ヒット
ツインドライブ『戦巫女 ククリヒメ』『☆』『遠見の神器 クリア・エンジェル』『☆』
ユグドラシル:P48000+5000×2=58000、C2→4
ダメージチェック『まぁるがる』『引』『スターライト・ヴァイオリニスト』『ブラスター・ブレード・
菫子:WIN
蓮子:LOSE
菫子はユグドラシルのスキルを駆使した上でクリティカルトリガーを2枚引き当て、クリティカル4にし、更にガード制限で完全ガードを使用不能にし蓮子にオーバーキル級の一撃を与え、蓮子の『やっぱり』と言う言葉に引っ掛かりながらも勝利を収めた事を素直に喜んでいた。
「ふふふ、流石私の姪っ子、物凄く追い詰められたけど勝ったわ‼︎」
「うん、負けました……あー悔しい!
あそこまで追い詰めたのに〜‼︎」
そして蓮子は悔しがり、腕をブンブンと振っているとメリーが蓮子の頭を撫でて宥め、悔しさの余り蓮子はメリーに抱きついていた。
「ナイスファイト、菫子の実力も分かったぜ。
確かに足を引っ張らずに活躍出来そうだな…………よっし、じゃあ次は他の全員とファイトして、自分の欠点とかを見極めて行こうな〜」
「当然なんだが?
ナイトは常にヴァージョンアップを繰り返して最強から思考となり実力も鯉のぼりだぞ」
「はい、じゃあ菫子さん、早速私とファイトしましょう!」
すると魔理沙らも集まり、菫子の実力が分かった上で更にファイトを重ねて欠点を見つめ直す事もして行く様にと魔理沙が声掛けをし、麟が次に菫子とファイトしブロントさんはメリーとファイトをし、今度は蓮子が観戦する事となり、そして日が暮れるまでこのファイトは続いて行き、途中で咲夜達も見に来た為チーム結成やそれに伴う交流ファイトをしている事を伝え、その日は思った以上に盛り上がりこれからのチーム活動に大きな期待を持ち始めたのであった。
何処とも知れぬ空間、かつては妖怪の賢者であった八雲紫が結界を調整する為に訪れていた空間。
其処に一人の女性が結界に力を込め、そして今調整が終了したのであった。
「先代巫女よ、そちらの調整は終わったか?」
「おやおや八雲藍会長、普及協会会長の職と妖怪の賢者代理の兼任ご苦労様。
ええ、夜中に叩き起こされて2ヶ月間メサイアの坊やが一時的に開けた結界の穴を塞いで、且つ異常が無いかの点検と調整はたった今終わりましたよ〜」
すると其処に藍が現れ、先代巫女と呼ばれる赤い巫女装束を着た茶混じりの黒い長髪ストレートを靡かせながら振り向き、自分の仕事は終わった事を飄々と伝える。
「そうか、ならもう良い、博麗神社に戻り巫女の任を続けてくれ。
…………すまないな、現代の巫女たる霊夢が紫様と共に居なくなり、半ば隠居状態であった貴女を再び代理ではあるが博麗の巫女に就かせてしまった、何と詫びれば良いか」
「それは言いっこ無しって言ったでしょ〜藍ちゃん〜?
確かに私は妹みたいに可愛がった霊夢に自分が教えられる全てを教えて巫女の座を譲ったけど、先代巫女はこんな時の為に出っ張るんでしょうが。
まぁしょっちゅう夜中に叩き起こされるわ結界調整しろと言われるわでかなり美容に悪いんだけどね〜。
まだうら若き20代なのにカサカサ肌にはなりたく無いわ〜」
藍が博麗神社に戻る様に言い、その後に少し詫びの言葉を出すと先代巫女は軽口を叩きながら詫びは要らないとし、藍の口を塞ぐ。
それを聞いて藍は苦笑し、それから境界を開け博麗神社へと繋がる路を作る。
「そうだな……では先代巫女、これを通り戻るのだ」
「はいよ〜。
さ〜て、魔理沙ちゃんや麟ちゃん神社を掃除してくれたかな〜?
あー後ブロント君を弄るネタを考えなきゃ」
藍が作った路を通りながら先代巫女は神社の掃除具合やブロントさんを弄るネタなどを呟き、それが最後まで藍の耳に届く事無く境界が閉じ、その後藍は別の境界を開けてその中に入って行き、その空間から誰も居なくなり後は静寂のみが其処を支配したのであった…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
色々と近々回収予定のフラグ詰め込んだり、次回の話への流れ導入だったりを詰めて長くなりました(汗)
そして菫子さん、Gアシストを使っても勝ちました。
彼女のGアシスト無しの実力も近々書きますので楽しみにして下さい。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します
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第69話「博麗霊華」
因みにこの作品の博麗関連の設定は二次創作です、公式設定では無いです(←当たり前だ)
では、本編へどうぞ。
蓮子達がチームファンタズマを結成してから次の日、魔理沙の家にて蓮子はいつもの朝食を作りテーブルに並べ、三人で一緒に食べていた。
すると魔理沙はカレンダーの赤丸を付けた日が今日だと改めて思い、再びカレンダーを見て確認していた。
「魔理沙、カレンダーを見てどうかしたの?」
「いや、今日が巫女さんが帰って来る日だなって思ってな。
あ、巫女さんって言っても先代の博麗の巫女な」
「……そう言えばあの神社、麟が良く掃除してたけど、マジで麟が管理を任されて後はもぬけの殻だったような……」
蓮子とメリーは初めて幻想郷に来た日からずっと博麗神社が無人である事、麟が管理を任されていた事を改めて思い返し、誰も住んでいないのに掃除をキチンと済ませていた麟を律儀だなとも思っていたが、先代の巫女が居るなら話は別、その巫女も事情で一時居なくなるなら誰かに管理を任せてそれを済ましに行くと思っていた。
「あれから2ヶ月、蓮子達が来たのも2ヶ月、いや〜もうそんなに経つのか…………良し、ご飯食べ終わったら早速神社に行かなくちゃ‼︎
ハムハムハム、ゴクゴクゴク……」
「あーコラ魔理沙、そんなに慌てて食べると喉に詰まるからゆっくり食べなさいって!
まだ朝だから時間はたっぷりあるんだから!」
魔理沙が急いで朝食を食べ終えようと食べるスピードを上げたのを蓮子が咎めながら、二人は自分らがやって来て既に2ヶ月になっていた事を改めて認識し、まだ幻想郷はその時寒さが少しある夏に入る前であったが、既に夏のシーズンに入り二人は衣替えの為に店を回り、漸く見つけた洋服店でどれを選ぶか迷うながら決めた服の一つを着て、今日も1日頑張ると意気込みながら取り敢えず魔理沙の目的に着いて行こうと決めたのであった。
それから1時間後、急ぎ足で博麗神社に向かい到着すると、其処に麟とブロントさん、更にこの時間には珍しく菫子まで博麗神社に集まっていた。
「ようブロントさん、麟!
菫子はこの時間に来るとは珍しいな」
「へっへっへー、今日から私の学校は夏休みだから1日中寝てられる=幻想郷へ遊び放題なのだよ!
で、偶然麟に会ってこっちに来たのよ」
「そうなんだ……(話には聞いたけどやっぱり夢を見る形で幻想郷に入り込んでるんだ。
肉体の方は大丈夫かなぁ〜……?)」
菫子はどうやら夏休みに入ったらしく、寝る事で幻想郷に来る彼女は一日中寝ていられる様になったらしいが、蓮子はこれを大丈夫なのかと思いながらも少し口を閉じ、それから3分程待っていると背後、鳥居の方から足音が聞こえ、後ろを振り向くと…………其処には誰も居なかった。
「あれ、今確かに足音が……」
「聞こえた……わよねぇ?」
蓮子とメリーは確かに聞こえた足音に不審なものを覚え、一体何が居たのか気になっていた。
それは魔理沙達も同様で、他の四人も鳥居の方を向き、何かと思っていた。
「一体、誰が「ほうほう、今日の魔理沙ちゃんの下着は青の水玉模様がある可愛いパンツで、麟ちゃんは真っ白でリボンがある奴か〜」うぇ…………ッッッッッッ!!?!?」
そんな魔理沙達の後ろから魔理沙と麟の下着の柄を堂々と口にする声が聞こえ、二人は顔を真っ赤にしながらへたり込み声の主が居る方向を見た。
「えっ、ちょ、魔理沙に麟大丈夫⁉︎
誰よ、女の子の下着を堂々と口にする輩は⁉︎」
「はい、同じ女性だよ外来人さん!
いや〜にしても外来人三人のパンツも中々可愛いね〜!
多分外の世界だとモテモテなんだろうね〜♪」
『えっ…………ひ、ひゃあ⁉︎』
蓮子達は魔理沙達に駆け寄り、魔理沙達が見てる方を見ると其処には赤い巫女装束を着た茶混じりの黒い長髪の女性がドンと構えながら立っており、更に柄までは言わなかったが蓮子、メリー、菫子の下着まで見たと公言した為三人もへたり込み、ブロントさんが巫女装束の女性に駆け寄る。
「お、おいィ‼︎
他人の下着を覗くとか同性でも直接的にセクハラで犯罪だぞ分かってんのか⁉︎
犯罪は天狗ポリスに捕まって汚い牢屋に入れられて不味い飯を食べさせらるるハメになるので今すぐやめるべき、社会的に命ロストしたくなかったらやめるべき‼︎」
「おー流石はナイト、手厳しいねぇ〜。
で、誰の下着の柄を明確に聞きたい?
今なら特別に耳打ちで教えてあげるよ?」
「お、おおお俺が一体誰の下着に興味あるか変な捏造はやめろよミコ‼︎
汚いなさすが先代巫女きたない、これで俺は先代巫女が「えー、嫌いになっちゃやーよ?」とりあえず一回黙るべきそうすべき‼︎
そすて蓮子達に謝って、hai、今女性陣が恥ずかしさから怒りが有頂天になって怖いです‼︎
此処で俺が巻き添えで経験値ロストしたら巫女のせいだからね早く謝ッテ‼︎」
ブロントさんが必死の抗議を女性に向けるも、女性はそれすらブロントさんを弄るネタにし、彼の言動一つ一つに茶々を入れまるっきり悪びれた様子も無く、蓮子とメリーはこの女性は見た目は正に女性だが、中身はスケべなオッサンと余り大差が無いと思い、この女性は何なのだと困惑していた。
「ぐぅ〜、『霊華』さん‼︎
だから会う度に下着覗くのはダメだって言ってるだろ〜‼︎」
「いや〜はっはっは、2ヶ月振りに会ったらスイッチが入っちゃってね〜♪
いや〜ごめんごめん、お詫びに今日は裏の温泉使わせるからそれで許して♪
それからブロント君もごめんね〜、後で私の下着の色位なら「知りたくないのでこの話は以下レスひ不要です‼︎」あははは、やっぱり君はしっかりした男の子だよ、お姉さん君みたいな子本当に好きだよ、男友達として♪」
魔理沙から『霊華』と呼ばれた女性はやっと魔理沙達に(豪胆に笑いながら)謝り、ブロントさんにも揶揄い半分で謝り皆を神社の敷地内にある家屋に招く。
蓮子とメリーは改めて思う、この女性は色々と規格外であると。
「はい、お茶。
さて、菫子ちゃん以外の外来人の二人は私に会うのは初めてだったね。
おほん、私は『博麗霊華』、一応博麗の本家筋にして今代の一つ前の博麗の巫女、つまり先代巫女に当たるわ、よろしくね♪」
「はぁ、よろしく……お願いします……」
幻想郷に来て麟に一度案内された家屋内の居間に通され、お茶を汲み皆に出す女性……博麗霊華は自分を今代の前の巫女と、博麗の本家筋であると名乗り、蓮子とメリーは博麗の巫女は聞いた事はあるが、本家筋と言うのは全く聞かされていない為、頭の中に疑問符が浮かんでいた。
「あーそうか、説明して無かったな。
博麗の本家筋ってのは、文字通り博麗って家系の本家で、多少の例外はあるが大体はこっちが代々巫女としての任を受け継いでいってるんだ」
「で、例外ってのは博麗の血を絶やさない為にある分家筋の方に今代の本家筋の人よりも巫女としての才覚や霊力が高いとそっちの子が巫女となり、この幻想郷を覆う大結界の管理や妖怪退治を担う訳。
そしてこれは私よりも前の代達や今代が例としてあるから別に珍しい事じゃ無いわけ」
「はぁ…………話を聞くと今代が……分家筋?
になるのかな…………?」
蓮子とメリーは魔理沙と霊華の話を聞き、頷きながら頭の中で情報を整理し、取り敢えずこの女性が博麗本家筋で、現在行方不明になっている今代の巫女で、会った事の無い博麗霊夢が暫定で分家筋になるとした。
「さて、博麗の血筋の話は此処までにしといて、次は君らの名前が聞きたいわ。
外来人のお二人さん♪」
「おっとそうだった、こっちの二人は私の家に住まわせている蓮子とメリーって言うんだ。
ほら、二人も挨拶」
「あ、そうでした。
初めまして、私はマエリベリー・ハーン、皆からメリーって呼ばれてます」
「私は宇佐見蓮子、蓮子って呼んで下さい」
そうして霊華が二人に名前を名乗る様に話を振ると、蓮子とメリーはそれぞれフルネームを名乗りメリーの方は愛称も教え、霊華に頭を下げた。
「…………宇佐見…………蓮子?」
「?
はい、宇佐見蓮子ですけど、どうかしましたか?」
すると霊華は蓮子の名前に少し他と違った反応を示し、蓮子は何かと思い聞くが、霊華は直ぐに豪胆な態度に戻り、平常通りに会話を返す。
「…いや、菫子ちゃんと苗字が一緒だな〜って思ってね。
帽子も同じだし、もしかして姉妹なのかな〜?」
「いや、未来の姪っ子です」
「はい、未来で伯母さんになります」
「へー、つまり時間飛び越して幻想入りか。
これはまた偶然だね〜」
霊華は菫子と蓮子の苗字が同じ事を指摘し、姉妹なのかと聞くと二人は未来の姪と伯母の関係であると答え、それを聞いて偶然この時代でこんな出会いをしたのかと霊華は言うが、此処で魔理沙や蓮子達は掻い摘んで事情を話し、蓮子とメリーがこの時代に意図的に連れて来られた事や魔理沙の幼馴染で、今は『シャドウ』を名乗る青年が犯人だと言い霊華はそれを聞いて少しだけ驚いた表情をしていた。
「へー、あの子がね〜。
昔は霊華お姉ちゃん霊華お姉ちゃんって霊夢と一緒に甘えてきた可愛い弟みたいな子だったのにね〜。
そして、成る程、私が2ヶ月間結界に一時的に空いた穴を修復と結界の調整をする事になったのは君達を幻想郷に連れて来たからなのか。
全く、夜中に叩き起こされて魔理沙ちゃん達に2ヶ月も会えなくなったのはね〜、後で肌や髪の手入れ代や魔理沙ちゃん達に会えず欲求不満になったとして賠償金でも請求してやろうかしら」
「…………へー、アイツにも可愛い少年時代があったんだ…………」
「意外、よねぇ…………」
霊華は『シャドウ』にも自分にお姉ちゃんと甘えてきた時代もあった事を暴露しながら髪や肌の手入れ代、賠償金を請求するかと呟きながら外を見やり、蓮子とメリーは今の印象からは想像し難い少年時代があった事に意外さを感じ、やはり『シャドウ』もしっかりと嫌味だけじゃない、そんな部分もあるちゃんとした感性の人間で、今は何故か自分らを付け狙う者になったと、魔理沙達からすればそう見えるのだと改めて理解するが、矢張り自分達から見ればただの『ムカつくアイツ』でしか無いのであった。
「さて、二人は話を聞けばヴァンガードファイターらしいね〜。
まだ昼食までには時間があるし、一丁私とファイトしないかい?
私も一応ヴァンガードファイターだし、二人とファイトしたいのさ」
「えっ、ファイトですか?
……確かに時間はまだあるし、分かりました、やりましょう。
良いでしょう、蓮子?」
「バッチリOKよメリー‼︎」
すると霊華は蓮子とメリーに対し昼の食事までの時間潰しとしてヴァンガードファイトをしないかと提案し、二人は時計を見てまだ時間がある事を確認すると了承し、他の面々も蓮子とメリーが霊華とファイトをすると聞いた瞬間目の色が変わり、二人と霊華のファイトに興味津々であった。
「じゃあメリー、どっちが先にファイトする?」
「そうね〜……」
「あ、いやいや、私はさっきこう言っただろう?
『二人と』ファイトしたいって」
『………………えっ⁉︎』
蓮子とメリーは早速どちらが先にファイトするかを決めようと相談していた所で、霊華が突如それに割って入り、補足を入れつつ『蓮子とメリーの二人と同時に』ファイトしたいと伝え、全員驚く。
何と霊華は2対1のファイトをしたいと言っていたのだ。
「えっ、えっ、2対1でファイトしたいんです……か⁈」
「その通り!
二人の実力が一辺に知りたいからね〜。
だからついでに2対1で、ね」
「いやいやいやいや霊華さん、2対1ってかなり変則的ですし正式なルールは無いですよ⁉︎
それにどう考えても一人側の方が不利に「まーその辺はルールを今決めて、それで後はファイトすれば良いでしょ?」
いやだからそう言う意味じゃなくて」
メリーが改めて霊華に2対1のファイトをやるのかと聞くと、豪胆さと無邪気さが合わさった笑顔でYESと答え、更に周囲をタジタジにさせる。
これには魔理沙が普通のファイトとまるで違う事を霊華に伝え、しっかり1対1でファイトをさせようとするが、霊華は能天気なのかそれとも自信満々なだけなのか分からない反応を示し、他の者達も説得しようとしたが結局は押し切られ、そのまま2対1でファイトをする事になってしまう。
『(どうしてこうなったの⁉︎)』
「さて、2対1でのファイトのバッと思いついたルールを説明するよ。
このファイトはタッグファイトと同じく互いにダメージ9枚以上与えられたら敗北で、ヒールトリガーは互いのチームのダメージを比べて同値以上だったら回復、二人側は基本的にタッグファイト時と変わらない『ダメージとソウルを共有し、タッグガードが出来、一人側がG3になった時点で
で、一人側はちょっと特殊で二人側のAがライドし、一人側のBがライドし、Cがライドした後再びBのターンになるけど、この時『Bは前の自分ターンでライドする権利を使った為ノーマルライドが出来ず、ライドフェイズでは
因みにAの次のBのターンでライドせずスキップしたら一応はCの後のBのターンでライド出来るが、『最初のアタック解禁はCのターンから』になる為余計なダメージを負うだけになる。
次に一人側のアタックや退却等の相手を参照するスキルは『前のターンをプレイしたプレイヤー側を対象にする』んだ。
要はBの前にAがターンを進めてたらAを、前のターンがCだった場合はCを対象にしてアタック、退却スキル、
また一人側は『前のターンのプレイヤーのヴァンガードがG3以上の時に
例えばAがG3で、CがG2で前のターンはCだった場合は目の前のCがG2の為、AがG3でも
そして、一人側は山札切れが発生し易い為特別に『山札切れが起きた場合ドロップゾーンのカードを全てデッキとして戻し、シャッフルした後にデッキの上から1枚を裏向きでダメージゾーンに置く』リフレッシュルールを設けるよ。
こうしないと一人側は早々とライブラリーアウトが起きて負けになるから此処は見逃して。
で、此処までで分からない部分はあったかな?」
困惑する二人を他所に霊華は少し長めの2対1のローカルルールファイトの説明(霊華がその場で決めた)を説明し、基本はタッグファイトルールと同じらしいが細部は違うらしく、また蓮子とメリーは今の説明を自分らに置き換え、蓮子→霊華→メリー→霊華の順でファイトを進め、蓮子の次の霊華のターンで霊華がライド権を使えばメリーの次のターンでライド出来ず、霊華のアタックやスキルの対象選択は直前までターンを進めてた蓮子orメリーとなり、また直前までターンを進めたどちらかがG2以下の場合は相方がG3、霊華がG3でも
「えーとじゃあ質問、リフレッシュで追加されたダメージが裏向きだけどトリガーだった場合は発動しますか?」
「しない、リフレッシュで発生した物はダメージトリガーでは無くあくまで1枚裏向きで『置く』の為、トリガーチェックを介していないわ。
よってその裏向きのカードがヒールトリガーでもパワー+5000とダメージ回復は起きない、分かったかな?」
そしてリフレッシュで発生したダメージ1枚はトリガーチェックを介さず置く為トリガーも発動せず、また
「大丈夫かなぁ?
霊華さん私らよりずっと強いけど……」
「それに蓮子達も、余り気持ち良くファイトが出来ないかもしれませんね……」
そう魔理沙と麟が呟き、菫子やブロントさんも黙って見守るが内心は魔理沙達と同じ為こちらも心配していた。
「じゃあ始めるよ、先攻はそっちに譲るよ〜」
「は、はぁ…………メリー、行けるよね?」
「ええ…………」
『スタンドアップ・ヴァンガード』
そしてファイトが始まり誰もが蓮子とメリーが勝つだろうと一人側の不利や蓮子達の成長し、実力を付けて来ている事を加味しながら予想していた…………。
だが、結果は違った。
「…………9枚目ダメージ……」
「ふう、想定より多くダメージを受けちゃうか。
君ら凄い将来有望株だよ!
いや〜魔理沙ちゃん達は見た目も中身も良くてファイターとしての才能タップリの良い子を見つけたね〜!」
『………………うそん』
何と霊華がダメージ7枚を受けながらも蓮子とメリーに的確にタッグガードを貫通したり、トリガーを的確に引き当てて勝利してしまう。
圧倒的では無いがそれでも不利な条件下であったにも関わらず霊華自身焦りなどを全く見せずに勝ったのだ。
これには実力を知ってはいた魔理沙やブロントさん達も驚きを隠せずあんぐりと口を開けたり、目を見開いたりしていた。
「あれだけ不利な条件下で私達もファイトをするからには一切手を抜かずに進めていたのに…………この人…………」
「だよねメリー、この人…………」
ファイトを終え、互いに見合った蓮子とメリーは同じ意見を持ったらしく、互いに口を揃えながらこう呟いてしまう。
『………………この人、規格外過ぎる…………』
「あっはっは、いや〜そんなに褒めなくても良いわよ〜!」
規格外、人間性もそうではあったがファイト力や運命力も全てが規格外である。
そして、今のままでは何百回何千回と挑もうが絶対に勝てない。
先代の博麗の巫女、博麗霊華はそんな人物であると二人の頭の中ににこの瞬間刻み込まれたのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回ファイト回と思わせておいての単なるイベント回でした。
なお、この日のイベントを分割致しました、よって次回はこの神社での更なるイベント確定です。
因みにこの2対1ルールは某動画サイトで架空ファイト動画を投稿していたお方の2対1ルールを少し変えてこの作品に出しました。
そして、このルールを出したからには必ずこのルールでファイトする回が来ます。
今回はそれの為の…………ルール見せ回です。
そして先代巫女さんとかの実力を少々。
この巫女さんには蓮子とメリーはもう少し成長しないと勝てないです。
これはレミリア等に挑む際も一緒です。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第70話「準備進行、そして陰に潜む者」
前回の続きからとなっていますので前回を見ていない方は前回と合わせて見て下さいませ。
では、本編へどうぞ。
蓮子とメリーと霊華の変則ファイトが終わってから1時間後、霊華が昼食前にさっぱりさせる様に裏の温泉を開き、其処で蓮子達も一緒に入らせ、残った男性であるブロントさんは台所に立ち冷蔵庫などを開け、何が作れるかの確認をして料理に取り掛かっていた。
「うむ、野菜や豚肉やその他諸々ある上に霊華は俺たちが来る前に買出しをしていたのは野菜などの鮮度を見れば火を煮るより明らかだった。
流石に巫女の配慮は格が違った。
そしてこれらの具材を見てリア♀の長風呂の時間を考慮すればカレーだろうが作れるのが一般論だがナイトは料理スキルも青字なので此処は豚汁と混ぜご飯(ナイトのお手製)を作るだろうな。
確かにカレーはお手頃な料理なのでオススメなのだが捻りが無いのはミエミエなのでこんな見た目のヤツが作りそうに無い豚汁や混ぜご飯を作る事で俺の料理スキルが認可され皆の料理のお手本になる。
さて、そんな訳で豚汁と混ぜご飯をカカッと作ってやろう」
ブロントさんはカレーに使える具材を見てから豚汁と混ぜご飯を作る事にし、包丁を洗い野菜を切り始めたり混ぜご飯を作り始める。
その手付きは主夫然とした物で、料理を初めて作る者の動きでは無く何度も場数をこなして熟練の域にまで達したものが見て取れていた。
ブロントさんのこの姿を蓮子やメリーが見れば、自分達よりも料理を作るのが上手だと1発で分かり、少し女子のプライドが傷付いたであろう。
一方その頃、蓮子達女性陣は皆裏手の方の温泉に来ており、脱衣所で服を脱いだ後に身体や頭を良く洗ってから湯船に浸かっていた。
「あぁ〜、この温泉の湯気持ちいい〜」
「ホント、良い湯加減ね〜」
蓮子とメリーは丁度良い湯加減に惚けており、肩までしっかり入り、蓮子の方はデロ〜ンと言う擬音が出る様な気の抜けた表情を浮かべていた。
「あっはっは、気に入ってくれたなら幸いだよ。
いや〜私も2ヶ月振りにこの温泉に入ったけど、やっぱりこの湯は良いなぁ〜と我ながら思うよ」
霊華は蓮子達の反応を見て笑い声を上げ、その直ぐ後に背伸びをしながら湯を堪能し、石に背を掛けながらお酒を飲んでいた。
そして、麟や菫子、魔理沙も勿論温泉に入ってはいるが、魔理沙のみ何故か不機嫌そうな表情を浮かべながらメリーや麟、霊華に視線を向けていた。
「あれ、魔理沙どうかしたの?
もしかしてもう少し熱い湯が良かったの?」
「……そうじゃないって。
私が今思ってるのは羨ましいって事」
「えっ、羨ましい……?」
麟が視線に気付き、魔理沙の不機嫌そうな表情をどうかしたのかと聞くと当の魔理沙は羨ましいと答え、麟やメリー達は何が羨ましいのか分からず頭を傾げていた。
が、蓮子はその言葉を察し、メリーにそこはかとなく近付きながら口を開く。
「あ〜成る程、分かるよ魔理沙。
私も分かるよ」
「えっ、蓮子は分かったの?」
「ええ勿論よ。
そう、魔理沙が羨ましいって言った理由はね…………この温泉の湯にプカプカと浮いてるこの『メロン』が羨ましいって事なのよ〜!『モミッ』」
「ひゃぁぁぁぁぁ、れ、蓮子〜⁉︎」
すると蓮子はいきなりメリーの湯に浮かぶ豊満な胸を下からすくい上げる様に持ち、メリーはそれに対し顔を真っ赤に染めながらその手を直ぐ払い、両手で胸を隠していた。
「だよな蓮子、何で同じ女なのにこうも戦闘力に差が生まれちまうんだって私はいつも嘆いてるよ!
てか私の周りは麟もアリスもパチュリーも咲夜も皆大きいからこう言う場に来ると涙が流れちまうよ‼︎」
「分かるよ魔理沙、私もメリーとはすっごい差があってそれだけはメリーを羨ましいってずっと思って枕を涙で濡らしてるわ‼︎
確かに世の中には貧乳はステータスって言葉はあるけど、それでもね、もっと大きな胸が欲しかったのよぉ〜‼︎」
「ど、同志よ〜!」
そして蓮子と魔理沙は肩に手を掛け合いながら涙を流し、自分らの周りには巨乳が居て自分達は貧乳と言う現実に貧乳同盟を組み、女同士の固い友情を結び合っていた。
それを見ていた麟は苦笑し、メリーは胸を隠しながら話に付いて行けず、菫子は自分の胸と麟達の胸を見比べグッと羨ましさから拳を作ってしまっていた。
「胸が大きくて羨ましい?
あのねぇ魔理沙ちゃ〜ん?
胸なんて所詮脂肪の塊だしデカさが価値じゃない、授乳機能がしっかり備わってればそれで十分なんだよ?」
「……霊華さん、この面子の中で1番胸が大きいのにその言葉は説得力無いよ……」
「えっ、そう?」
すると霊華は魔理沙達に胸はどんな風になっていれば良いのかを説くが、この女性陣の中で1番サイズが大きな彼女が言っても説得力は無く、寧ろ魔理沙と蓮子は余計に悔し涙を流し密かに胸を大きさを気にしてしまっていた。
「…………私からしたら、蓮子のお腹周りやすらっとした足が羨ましいわよ…………」
「……えっ⁉︎」
するとメリーは蓮子に対し細いお腹周りや綺麗に伸びた足が羨ましいと言い、それに蓮子が驚きメリーの方をバッと見る。
するとメリーの視線は蓮子のお腹周りなどに向いており、蓮子はいきなりの返しに頭がフリーズしていた。
「…………えーと、女性には様々な悩みがあるって事でこの話は終わりましょう。
これ以上は多分堂々巡りになりますので…………」
『…………うん』
そして魔理沙達の間で微妙な空気が流れる中麟が話を終わらせようと提案し、霊華以外の面々はそれに同意し、その後は別のガールズトークをし先程までの空気を完全に彼方へと追いやらせて普段通りの状態に戻るのであった。
そして蓮子達が温泉から出て、ブロントさんが作った昼食を食べ終え(その際蓮子達は何故か女のプライドが少し傷付いたが)、丁度帰るまでにまだ時間がある為蓮子達は卓袱台にデッキをバラしながら並べ、魔理沙達のコレクションなども持って来てカードと睨めっこをしていた。
また、ブロントさんは(効果があるか不明だが)ドローやライドの練習をしていた(ギプスを付けながら)
「ドロー、ライド!
ドロー、ライド!!
ドロー、ライドォ!!!」
「…………えーと、ブロントさんは何か特訓中だから邪魔しない様にして、うーん……私はどんなカードを入れたら良いのか…………」
「私もあれから〈ギアクロニクル〉のカードが送られて来てるからまたデッキを改造しようかなって思ったけれど……」
ブロントさんの行なっている特訓に戸惑いながらも蓮子とメリー、特に蓮子の方はどのカードを抜き、どのカードを入れようかと迷い唸っていた。
しかも蓮子のデッキは『
「うーむ…………蓮子にPSYクオリアを使わせて最適なデッキを組ませるって手も一応あるんだけど……」
「私、その手は使いたくないのよ。
試しに鈴仙とのファイト後に一応自由に使える様になったPSYクオリアの力で組んだデッキを使ったけど、肌に合わなくてメリーにボロ負けしたんだから」
魔理沙が蓮子にPSYクオリアを使ってそのイメージで浮かんだデッキを使わせる手を一応挙げるが、蓮子はこれを一度試して失敗している為無理として拒否し、再びカードと睨めっこを始める。
因みにそのPSYクオリアのイメージで組んだデッキにはシングセイバーも入っていたが、そもそもこのユニットは肌に合わないとして抜いたのに再び入ると言う本末転倒の事態が発生していたりもするのだ。
メリーもそれが分かっている為黙って蓮子のカードの睨めっこを手伝っていたりする。
「てか、蓮子ってあの力を使えたんだ」
「あーうん、私が『シャドウ』に狙われてるのはこの力を持っているからってのが私達が浮かんだ見解なの。
……にしても、何入れようかしら…………」
菫子は蓮子がPSYクオリアを使える事を聞いていなかった為、それを改めて聞いてみると蓮子はPSYクオリアの輝きを瞳に宿し、菫子にその力がある事を伝えながらカードを1枚1枚手に取りながら頭の中でデッキを組むも、納得の行くデッキにならず悩んでいた。
「はーい、悩める紳士淑女諸君注目〜!」
「?
どうかしたの霊華さん?」
すると霊華が居間に入って来て注目する様に声掛けをして来た為、全員霊華の方を向くと霊華は一つの風呂敷を下げており、それを霊華が開けると中には様々なカード、しかも販売されたばかりの最新ブースターのカードまで入っており、皆驚いていた。
「えっ、これ最近発売したばっかのパックに収録されてるカードばかりだ⁉︎
霊華さん、これどうしたの⁉︎」
「いや〜普及協会が私の方に最新ブースターを幾つか送って来てさ、私が使わないカードばかりでどうしようか迷ってたんだよね〜。
ほら、例えばこの〈ロイヤルパラディン〉のカード達とかさ、ブロント君のデッキに入るかちょっと怪しいけど蓮子ちゃんの方なら入れられるんじゃないかと思ってね〜♪」
霊華は普及協会から回されて来た物だが自分は使わないと言い、扱いに困っていたと言った雰囲気を出しながら蓮子にカードを見せると蓮子は目を見開き、瞬間コレだと何かを感じ取っていた。
「こ、これよ‼︎
『王佐の騎士 ガルハール』、私のアルフレッド・エクシブを中心にしたデッキに入るカード‼︎
霊華さん、他にもカードを見せてもらえますか⁉︎」
「勿論、好きなだけ見て好きなだけ持って行って良いよ♪
どうせ私も使わないし、近々ファンタズムカップの予選があって、温泉に浸かりながら貴女達は出るって聞いたし丁度良かっただろうしね♪」
霊華は気前良く蓮子に他のカードも見せた上で好きなだけ持って行っても良いと答え、蓮子は初めて出る大会前の意外なプレゼントに心を躍り、目が輝いていた。
それを見てメリー達も笑みを浮かべ、蓮子がカードを見つけデッキ改造を始めたと同時にメリーも送られて来た〈ギアクロニクル〉のカードを見て、何を入れて抜くかを決め始めていた。
「ふむ、俺も蓮子の見ているカードを見ていたんだがどうも俺のデッキに入りそうなカードが余りにも少なすぐるという不具合。
同じ〈ロイヤルパラディン〉でも『
そろそろ俺もカードが少し欲しいんですがねぇ…………」
するとブロントさんも蓮子が見ているカードを見るが、どれも自身のデッキとは違うタイプの名称参照の為入らず、少し悩んだ表情を見せながら新しいカードが欲しいと言い蓮子は他人事では無い為少し同情していた。
そしてそれから数十分が経過した頃。
「……よっし、デッキ改造出来たー!」
「私も出来たわ。
Gユニットの配分も変えたりユニットを変えたりしてみたから少し慣れが必要ね…………じゃあ蓮子、早速テストよ!」
「OKメリー、テストファイトやるわよ!」
デッキ改造を終えた蓮子とメリーは早速テストファイトを始め、自分の手に新しいデッキを馴染ませて行く。
しかも蓮子は漸く思い描いた動きが出来る為か、デッキの回転率が恐ろしい程跳ね上がり、メリーも驚く程の速攻を見せていた。
「おっ、蓮子の速攻が更に早くなってる!」
「ほう、それだけ新カード英語で言うとNew faceを入れた事で懐古主義を破って新たな力を得たのかと関心が鬼なる。
よし、メリーの後は俺とのファイトを【よろしくお願いします】」
「あ、ブロントさんズルいですよ!
私も蓮子とファイトしたいです!」
そんな蓮子の新デッキに興味が湧いたのかいつの間にか特訓を終えたブロントさんが早速次のファイトを申し入れ、それに対し麟もファイトしたいと言い、どうにも互いに譲る気は無いらしく静かな火花が散っていた。
「…………」
「…………」
『よろしい、ならファイトなんだが!/良いでしょう、ならファイトです!』
そして麟とブロントさんと言う珍しい組み合わせの、蓮子との次のファイト相手になる順番を賭けたファイトが始まり魔理沙は遠目に二人を見ていた。
「あはは、皆仲が良いねぇ!」
「そ、そうっすね〜………………頑張れよ皆、私も応援してるからな!」
霊華がこれらの光景を見て笑う隣で魔理沙は全員に応援の言葉を掛け、全員がそれを聞いて魔理沙の方を向き頷き、6日後の予選への意気込みをファイトで示し、更なる気合を入れ始める。
「よっし皆、6日後の予選を通過して本選へ行くわよ‼︎」
『お〜!/はい!/勿論よ蓮子!/当然なんだが!』
全員蓮子の掛け声に返事をそれぞれ返し、6日後の予選に向けて着実に歩を進めて行くのであった。
本選進出、ひいてはその先にある優勝と言う大きな目標を皆で勝ち取る為に。
特に蓮子とメリーは、ヴァンガードを通じて出会えたこのチームメンバーや、幻想郷で世話になった皆に優勝出来るまで強くなれたと礼を贈る為に、そして……月で再会して以来姿を見せない『シャドウ』の鼻を明かす為に…………。
「へっへっへっへ…………はははは、ひゃーはっはっはっは‼︎
見つけたぜぇ、ブロントォ〜…………‼︎」
そして、そんな蓮子達……否、ブロントさんを陰に隠れながら見つめる人物が一人居り、ブロントさんはその視線に気付きその人物が隠れている方に一瞬だけ目を向け、気付いているぞと隠れている人物にしか分からないアイコンタクトをしその人物は口をつり上げ、ブロントさんが自分に気付いた事を確認した直後にその場を去り、互いに言葉を交わさないまま、しかし明確な因縁が二人の間に出来るのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回は短めにし、次回以降への布石のイベントを最後に挟みました。
最後にブロントさんを見ていた人物……イッタイダレナンダー。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します
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第71話「邂逅と参戦」
今回も短めですが次回からは長くなる予定です。
それからお気に入り登録ユーザーが20人に、UAが4000突破致しました。
この数字はひとえに閲覧して下さる皆様、この小説を気に入って頂けた皆様のお陰です。
改めまして、ありがとうございます‼︎
これからも頑張ります!
では、本編へどうぞ。
博麗神社で霊華に出会い、彼女からカードを渡されたり交流を深めてから5日が経過し、その間にチームファンタズマは実力向上やチーム戦に於ける各々の役割(例えば麟が切り込み役、ブロントさんが中堅役など)などを決めて行き、予選を前日に控えた女子達は女子会として魔理沙の家に泊まり、ガールズトークをしていた。
「……でさ、私が咲夜にこう言ってやったんだ、『おまっ、サバ読みのサバと鯖味噌のサバ間違えてるよ!』てな!」
「あはは、咲夜って抜けてる部分があったのね〜」
「…………」
魔理沙が咲夜の少し天然な部分を話し、メリーや菫子、麟が笑みを浮かべている中、蓮子は少し気になる事があるのか魔理沙の話を全部聞かず、何かを考えている様子を見せメリーはそれが気になり蓮子に問い掛け始める。
「蓮子、どうかしたの?
何か会話に参加していないけど……」
「ああ、ごめんごめん。
いやね、今日のブロントさんが少し気になってね」
「えっ、ブロントさん?」
すると蓮子はブロントさんが少し気になると答え、他の女子達は一瞬恋バナかと思ったが、どうもそれとは違う意味で気になっている事を察し、それを深く聞き始める。
「今日のって、何かあったの?」
「何かって明確じゃないんだけど、ブロントさん今日は何かたまに周りをチラ見したりしてちょっと警戒度が普段以上、それこそ誰かに見られるって感じだったから気になってね」
蓮子は今日の昼間に共に女子会以外での予選前最後のチーム交流をしていたブロントさんが時折何処かに視線を送ったり、誰かに見られている様な、しかし良く観察しなければ分からない程度に隠した何時も以上の警戒的な様子が気になったとメリー達に話す。
「ブロントさんが今日そんな様子だったの?
…言われてみれば、そうかも…」
「ブロントさんが誰かに見られて警戒する……魔理沙、これは……」
「ああ、間違い無くアイツだな」
メリーが改めて思い返すと確かにその様な様子をブロントさんが見せていたと肯定し、すると麟と魔理沙が何か分かった様子とアイツと言う言葉を使い、菫子もああと言いながら頷いた為蓮子とメリーは『シャドウ』の事かと思い魔理沙達に詳細を聞き始める。
「ねぇ、そのアイツって『シャドウ』?」
「まさかアイツ、私達をまた?」
「いやいや、アイツじゃないよ。
もしもアイツだったらブロントさんにも分からない様に見てるし、仮にブロントさんが見つけてたら普通に〆るよ」
魔理沙はそれを聞いて首を横に振り、『シャドウ』ならばブロントさんにも分からない様に蓮子達を見ると言い、今までの『シャドウ』の行動などを蓮子とメリーは振り返ると確かにそんな気がすると思い、しかしそれなら誰が見ていたのかと思い魔理沙を見やる。
「ふ〜ふっふ、蓮子とメリーよ、世の中の男は皆譲れない物がある、コイツにだけは絶対負けたくない、絶対負かせてやるって言う相手が必ず一人は居るものなのよ。
つまり、ブロントさんを見ていたのはその負けたくない奴、ブロントさんが気にする程の相手……要はライバルなのよ!」
「ブロントさんの……」
「ライバル?」
すると菫子が眼鏡をくいっと一押ししながらブロントさんを見ていたのは誰かを結論付けながら話し、更にそれをライバルと言う言葉を使い分かり易くし、蓮子とメリーはブロントさんにもそんな相手が居る事を初めて知り興味を持ち出す。
「まぁそんなとこだよ。
でだ、このライバルってのはどんな奴かと言うとな……」
そして魔理沙もまた菫子の言葉に続き蓮子とメリーにそのブロントさんのライバルの事を話し始め、蓮子とメリーはこう言った話も好きなのか耳を傾けて興味津々に聞き始めた。
一方その頃、ブロントさんは夜に人里の中を出歩き、目を閉じながらゆっくりと人里を回り、そしてとある大通り……但し、夜中の為誰も居ない、静かな場所で立ち止まり、其処で口を開け始める。
「もう分かっているぞ、一々汚い粘着な視線を送らないで出てこいよ。
今の時間なら貧弱一般人も寝静まって誰も邪魔に入らない効率的な時間だぞ」
ブロントさんは誰かに話し掛ける様に言葉を紡ぎ、返事が返って来ない夜の風景に独り言を余裕のある態度で話し、昼間から自分に視線を向けていた者……ブロントさんの中でたった一人しか該当しない気配と視線の主に対し自分の前に出て来る様に言う。
しかし、夏の夜更けに月明かりが綺麗な人里の中に、その言葉は搔き消え涼しい風だけが流れ、時間が1秒、また1秒と過ぎ去って行った。
「……どうした、ビビって出て来れない不具合があるのか?
ならやはり小汚くて効率厨な「ッハ‼︎『ガァァァンッ‼︎』…………やはりお前だったなと言う明白な結論だった、汚い忍者!」
すると突然ブロントさんが話している途中で、ブロントさんの長い首に向けて裏手に持った苦無を向け斬り付けて来る影が迫り、ブロントさんは瞬間的に反応し左手に盾を召喚しそれを受け止め、空かさず反撃としてブロントさんは右手に刀身が刺々しく、更に魔力を纏っていそう……否、秘めている片手剣『グラットンソード』を右手に装備し、斬り付け返すとその相手は更にもう一本の苦無を装備し受け止め、両者互いに押し返し距離が開きその影の人物も月明かりに照らされ姿がはっきりする。
しかしブロントさんは最初から分かっていた為驚きもせずただただその相手…………ブロントさんの往年のライバル、汚い忍者を見ていた。
「へっへっへっへ…………久し振りだなぁブロントォ〜!
どうやらこっちの腕も鈍ってないみたいで嬉しいぜ!
会いたかったぜ、てめぇが武者修行の旅に出てからずっとなぁ!」
「俺は別に会いたくもなかったしお前の顔を見なくて清正していたんだが帰って来てああやはりかと気分が悪くなったんだが?
博麗神社じゃただ見ただけで帰ったが今日は3回連続で見つめてきただけでなくひたすら陰から粘着してきて普段は笑顔な俺も思わず腕に血管が血走って手が出そうになった不具合になったいい加減にしろよお前。
いくらナイトがみんなのお手本で人気者でもお前みたいな汚い効率厨な奴は【呼んでいません、帰れ】」
「はっ、相変わらず訳分からない言語と
馬鹿みたいに自信過剰な態度、だがその実全く隙を見せず不意打ちを今みたいにわざと不意打ちを誘い迎撃する、やっぱてめぇは他の奴とは一味も二味も違う!
お前だけだ、お前だけが俺を熱くさせる。
俺の全神経と本能が常に超えるべき壁と認識してやがる……ああそうだ、てめぇはいつ何時も変わらねぇ、俺が倒すべき最強の宿敵だ……!!」
ブロントさんは汚い忍者の博麗神社での視線の件を引き出し、其処から今日の昼間でのストーキング行為や挑発と取れる視線も詳細に言い、汚い忍者から頻繁に行われる粘着行為に怒りの表情を見せ、また信条そのものも水と油の為そもそも会いたくないと言った上で帰る様に要求する。
しかし汚い忍者はそれを無視してブロントさんこそが自分を最高峰に燃え上がらせる宿敵と言い、今再会したこの瞬間を喜び、そしてブロントさんと今この場で闘ってしまいたいと昂り、そんな自身を来るべき時まで押さえようともしていた。
「だが、この場でやり合うのも良いがちょいと味気ねぇ。
そう、多くのギャラリーが集まる中でてめぇを倒し、俺がブロントと言う相手を明確に超えたと証明しなきゃならねぇ。
でなきゃ俺は真にブロントを超えた事にならねぇ…………どうせ出るんだろ、新しく出来たチームでファンタズムカップに」
汚い忍者はブロントさんにファンタズムカップに新しい仲間……恐らく蓮子、メリー、菫子と言う一度も共闘した事の無い者達を指し、博麗神社での光景を見てそう判断したのだろうとブロントさんは直感的に察し、しかしブロントさんも汚い忍者に一歩も譲らない様に食い下がる。
「はっ?
なんでお前みたいな汚い目線つけてみにくい表情が見えるお前にそんな事を教えなきゃならないのかと呆れが鬼なる。
そもももお前みたいに人に粘着する事しか能がない奴に個人情報を晒しても得があるのが0か100なら0なので教える気なんか無いと言う意見。
ならば俺はお前に言う事は何もないので話をする気は無いだろうなと言う事なので完 全 論 破 !」
「あっ、そう。
じゃあこっちは勝手に言うが俺らは地底の予選に出て本選を目指す。
精々俺以外の奴に膝をつく無様な姿を晒すんじゃねぇぞ。
それからウチの妹がてめぇの妹の世話になってる訳だから今後はこんな闇討ち紛いな真似はしないとだけ言っておくぜ」
ブロントさんはファンタズムカップに出る事を一切言わず話す気も無いと言い、話をそのまま切ると汚い忍者は地底の方の予選に出ると勝手に告げ、更に妹同士が仲が良い為か今後はこの夜様な事はしないと言って背中を見せる。
しかし、その後姿は全くと言って良い程隙は無く、不意打ちを仕掛ければ返り討ちに遭うと言うのが分かる為ブロントさんはそのまま汚い忍者を見送ろうとする。
だが……。
「……ああそうそう、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンって奴、俺が大会で会ったら全力でぶっ倒す様に言われてるからそのつもりでいやがれよ」
「なっ、忍者お前何で蓮子とメリーの名を会って話した事も無いのに知ってるわけ⁉︎」
「うっはははは‼︎
それを知りたきゃ俺のチームに本選で勝つんだな‼︎
あばよ、ブロントォ〜‼︎」
汚い忍者は蓮子とメリーの名を口にし、更には全力で倒すと宣言した為ブロントさんはこの場で初めて驚いた表情を見せ、それに満足した汚い忍者は高笑いを上げながらその場を去る。
「…………まさか、汚い忍者もブライトの派閥に居るのか…………?」
ブロントさんがその場に残され、頭の中に生まれた一つの疑念を口にした後冷たい風が吹き、その短い髪を揺らす。
そしてブロントさんは、今考えても答えは出ない為そのまま帰宅し、明日の予選の為の睡眠をし集中しようと考えるのであった。
翌日の朝9時、蓮子達は早速妖怪の山の麓に赴き、其処で蓮子とメリーは同じ予選に参加する多くの人間や妖怪が集まっている事に目を輝かせていた。
「お、おぉ〜!
何か結構人や妖怪が一杯居る!」
「これ皆参加者なの?
だとするとファンタズムカップは本当に人気の大会なのね」
「はい、何せ年に1回しか無い幻想郷全土を巻き込んだ超大型大会であり、幻想郷最強を決める大会ですので皆我こそはと参加して大会に名を残そうとするんですよ」
蓮子とメリーに麟はそう言い周りの人や妖怪は皆この大会で自らの名を幻想郷中に轟かせようとする者達であると言い、蓮子達はそれを聞き集まっている者達の目を見ると、確かにそうであると思わせる闘志を目に宿し、蓮子とメリーはこの場に居る者は皆予選が始まれば一斉にライバルになると悟り息を飲む。
そんな蓮子とメリーに対し、菫子はブロントさんの姿が無い事から昔からの遅刻癖がまた起きたと思い始めていた。
「それにしても、ブロントさんやっぱ居ないや。
あの人遅刻癖が抜けてないのね〜「俺がいつまでも常に遅刻しているというその浅はかさは愚かしい、ナイトは常にヴァージョンアップしているので遅刻もたまにしか無くなっている実績があるのだよ」ってうわっ⁉︎
ブロントさんいつの間に後ろに居たの⁉︎」
「あ、ブロントさん!
今日は珍しく大事な約束の時間に来ましたね♪」
「お、おいィ……なんか自然に毒を吐かれた気がしたんだが>>麟。
俺も大会は楽しみなので遅れない様に開場の9分前に来てたがその後に蓮子達を見つけたので近付いたと言った訳なのだが……」
その菫子の後ろからブロントさんが菫子に話し掛け、いきなり声を掛けられた菫子はビックリし飛び退いてしまう。
それに気付いた麟は特に裏も何も無い言葉を掛けるが自然な毒舌となりブロントさんの目を一瞬点にさせる。
そしてブロントさんは自分が来た時間を言い合流した所でチームファンタズマはいつでも予選に参戦出来る様になる。
『皆様大変お待たせしました、今から10分後にヴァンガードファイトファンタズムカップ予選の開会式が行われる。
参加される皆様はメイン会場となる広場へ集まって下さい』
「あ、アナウンス。
いよいよ始まるわね……!」
「みたいね……!」
そしてチームファンタズマが全員集合した直後にアナウンスが流れ、後10分で開会式が始まると言われ全員引き締めた表情を浮かべながら広場へと向かう。
これより先が蓮子とメリーの、チームファンタズマ最初の挑戦となる…………それに対する気合が十分入った蓮子達は幻想郷最強を決める大会に、この先如何なる強敵が待ち受けるのかと言う一定の緊張感を持って本格的に参戦するのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
途中おい、ヴァンガードファイトしろよな場面がありましたがヴァンガードファイターならリアルファイトも出来なきゃ、ですよね?(思考停止)
さて、次回から予選が始まりますがそれ故にファイト回が多くなります。
なので、投稿も少し遅くなるかもしれませんが気長にお待ち頂けたら幸いです。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第72話「予選、開始!」
ファイトを入れるか否か迷っていたら更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした……。
今回も短めですが、次回は予め言いますがやや長くなります、その点はご了承下さい。
では、本編へどうぞ!
追記:この72話時点で本作掲載開始から約1年が過ぎていました。
ここまで続けていられるのも読者の皆様のお陰です。
本作を閲覧して下さってくれた皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m
遂にファンタズムカップ予選が始まる時が迫り、蓮子達は主催者側と思しき者達三人と犬耳や烏の翼を生やした者達、白狼天狗や烏天狗達の目の前に行き、それと同時に紫がかった青髪の女性が前に出てマイクを持って話し始める。
「お集り頂いた諸君、恐らく知らない者は居ないだろうが私の名を敢えて言おう。
私はヴァンガードファイト普及協会『妖怪の山』支部の企画実行取締役『八坂神奈子』だ。
これよりヴァンガードファイトファンタズムカップ、妖怪の山予選の開会式を執り行う!」
『わぁぁぁぁぁぁ!』
企画実行取締役の八坂神奈子と言う人物が予選の開会式を宣言すると同時に集まった殆どの妖怪、人間が歓声を上げこの時を待っていたと言わんばかりの熱気が蓮子とメリーに伝わる。
ヴァンガードファイターとして日が浅い蓮子達でもこの場に集まったファイター達の思いを一瞬で理解して気を引き締めだし、真っ直ぐ神奈子の方を見る。
「さて、早速だがこの妖怪の山予選の説明を行う。
今から説明が終わってから1時間の間にこの『守矢コイン』を持って一般開放された妖怪の山全土に好きな様に散って貰う。
それからこちらから花火を打ち上げるのでそれが予選開始の合図とし、諸君らは制限時間3時間半以内にこの妖怪の山各所にに隠されたコイン、他のチームを探しコインをファイトで1枚でも多く奪い合って貰う。
ファイトでコインを賭ける際は全賭けか1チーム2回まで半賭けを選べ、その場で両チームが合意し、代表2人がファイトをし勝った方にコインが渡る。
全ての守矢コインを失ったチームはその場で脱落となる!
そして、予選終了時間に到達し再び花火が上がった際にコインをより1番多く集めたチームがファンタズムカップ本戦に出場する権利が与えられ、其処から頂点を決める闘いへと駒を進めれる様になるのだ‼︎」
「つまり、この場に集まった全チームによるサバイバル&バトルロワイヤル形式……‼︎」
神奈子の説明を聞きこの場に集まったファイター全員が固唾を飲み、周りを見て目を光らせる。
蓮子達も周りを見ていよいよ臨戦態勢に入り始めたと肌で感じていた。
そして神奈子は咳払いをし、再びファイター達の注目を集める。
「そして、我々主催者側は腕章を付けスペシャルファイター、又はお助け人としてこの予選に参加し、各チームはスペシャルファイターに一人につき1回挑む権利が与えられる。
挑戦者が敗北してもコインは失う事は無いが、諸君が我らに勝てば大量の守矢コイン、具体的には300枚を贈呈しよう!
お助け人は一人につき1回クイズを出題し、正しい答えを出せば最大50枚コインを与えてよう!
だが、我々も負ける気は一切無いしクイズを簡単に答える気は無いので気を引き締めて予選に臨む事を期待する。
なお空を飛んで相手を探すのは無しだ、監視の天狗が見つけ次第コインを没収して失格とする、以上‼︎」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
そして神奈子は腕章を付けながら更なる説明を行い、腕章を付けた者は主催者側でありスペシャルファイターとして参加した者だとし、勝てばコイン300枚を得るチャンスがあると話し全ファイターを沸かせる。
それを聞いて蓮子達はスペシャルファイターに対しては如何にするかを考え出す。
「皆、スペシャルファイターを倒せば300枚コインが貰えるらしいけどどうする?」
「うむ、確かに一見すれば予選参加者側には一切デメリット無く挑めると思わず食い付きたくなるが実はこれには落とし穴がありスペシャルファイターは1りにつき1回しか挑めない不具合がある。
そしてこちらは何人スペシャルファイターが居るか、スペシャルファイターとお助け人の見分けもつかないのでコレガワカラナイと疑問が鬼なるだけで無く1回分ファイト時間をロストするデメリットがあり、更に制限時間はこの広い妖怪の山全土で3時間半、隠されたコインや他のチームからコインをGETしなければならないので意外と時間が無いのは明白に明らか。
なのでこちらが選ぶべきは主催者側は3回見つめてきても基本無視するべきそうすべき、下手なタイムロスしたくないならそうすべき」
「そうですね、時間制限がある以上迅速に行動する必要があります。
なら、スペシャルファイター達は残り時間が少なくなった瞬間に狙うしかありません」
「それが一番ね」
「下手なタイムロスは痛いからね」
蓮子が皆に話を聞くとブロントさんがタイムロス等のデメリットを話し、全員同じ意見としてスペシャルファイターの方は残り時間が少なくなった時を狙うとした。
「はいはーい、集まった皆の衆、このケロちゃんこと守矢の二柱が一人『洩矢諏訪子』のトコに集まれ〜。
今から守矢コインを配布するから早く来るんだよ〜!
コインを持ったらさっさと山の中に行くんだよ〜!
それから、チームメンバーと逸れた場合は各所にある鳴子を鳴らして監視役の天狗を呼んでチームメンバーの下に案内して貰いなよ〜!」
すると諏訪子と言うカエル目が付いた帽子を被った少女が集まったファイター達に声を掛け、守矢コインを配布し始める。
それを聞いて蓮子達も諏訪子の下に行きコインを受け取りだす。
「はいよ〜、守矢コイン1枚。
んじゃ頑張ってよ〜………おっ、ブロントさん達じゃないか!
いや〜君らがまさかこの予選に参加する……いや、ブロントさんはまたチームを組んでファンタズムカップに出るとはね〜。
いやはや、実に数年振りだね〜」
「おう諏訪子、今年は俺も新たなPTメンと共に至高の存在にヴァージョンアップする為にやって来たぞ。
ほれ、早く【コインをください】」
「あいよ!」
すると諏訪子とブロントさんは顔見知りだったらしくフレンドリーな雰囲気の中でコインを受け取り、ブロントさんは先頭に立って山の中へと行き始め、その後ろに麟、菫子、蓮子とメリーと続きどんどん進み出す。
「…………頑張りなよ、新しい『ブラスター・ブレード』の先導者と〈ギアクロニクル〉のファイターちゃん」
『っ⁉︎
えっ⁉︎』
「はいはい押さない押さない、コインはしっかりと配布してあげるからね〜」
だが、蓮子とメリーがすれ違う際に自己紹介もデッキも教えていない筈の諏訪子が蓮子のブラスター・ブレードとメリーの〈ギアクロニクル〉を言い当て、それに驚き諏訪子の方を見る二人だが諏訪子は次々と来るチームにコインを配布しとてもでは無いが何故自分らを知っているかを聞けない状態だった。
「蓮子……」
「そうね。
でも、少なくとも頑張れって労った辺りもしかしたら私達に余り……」
蓮子とメリーは諏訪子の方に後ろ髪を引かれながらも菫子やブロントさん達の方へ走って行き、そうしながら諏訪子の事を予想し、恐らくではあるが『シャドウ』の関係者の可能性が出て来るが、少なくとも彼と違い有無を言わさぬ敵意を向けず労いの言葉を掛けて来た為、其処から憶測ではあるが諏訪子は自分らには敵意は無いと判断し、この事は妖怪の山の中で一先ずスタート地点を決めてから話そうとし、ブロントさん達に追い付いたのであった。
「あやややや、まさか1チームとして参加した私達の前にブロントさんや麟さん、更には外来人と言う異色チームが現れるとは……」
「武者修行から帰って来たと聞いていましたが……ふふふふ、これは燃えて来ましたよ‼︎
あのブロントさんが相手なら私達も全力で向かうべきですよ‼︎」
そんなブロントさんや蓮子達を見る守矢コインを配布されたカメラを持った黒髪の少女と腋が出ている白と青の巫女服を着た緑の長髪の少女らが中心のチームが対抗心をその二人が燃やし出し、それに感化され他のメンバーもニッコリと笑いブロントさん達……チームファンタズマと闘う事を楽しみにしている様子を伺わせながら同じく妖怪の山へ入って行った。
その事を蓮子達はまだ知らずにいた……。
それから50分以上が経過し、蓮子達は適当な場所をスタート位置と決め、其処で花火が上がるのを待ちながら諏訪子の事をブロントさん達に伝えていた。
「成る程、諏訪子さん、つまり守矢も彼から二人の情報を得てるけど二人に特に敵意無しと判断したのね。
なら無視無視、大会に集中して勝つわよ!」
「だな。
もしも後ろから不意だまして来たらナイトの圧倒的な防御力で受け止めて「こんなにも才能の差がある敵を作りたくないので僕はあやまりますごめんなさい」と諦めが鬼させれば良い意見。
なのでお前ら安心して大会を楽しんで良いぞ(この辺の気配りが人気の秘訣かも)」
「そうね、敵意見せたら取り敢えずって感じでOKだし大会に集中するわ」
それを聞いた菫子とブロントさんは敵意を見せない諏訪子は無視して大会の方に意識を向ける様に言い、それに蓮子とメリーは同意し頷く。
そして菫子が腕時計を見ながら1時間経過まで後2分と呟き、全員それぞれ頭をファイト前の段階に持って行く。
そして。
「……3、2、1、『ドン、ボン、ボン、ボボォォン‼︎』時間よ。
予定通り花火が上がったからこれで予選スタート、早速行動開始よ!」
「OK、じゃあ先ずこの辺を探してコイン集めを「対戦相手みっけ‼︎」……はい?」
花火が上がり予選が始まる。
それから蓮子達はコインを集めようとした瞬間林の中から声がし、直後に人が3人現れ蓮子達は身構える。
そう、この予選に参加した他のチームの一つが偶然にも蓮子達の近くで予選スタートを迎え、声が聞こえた為こちらへやって来たのだ。
「なっ、こっちから声がしたから相手が居ただろ?」
「だな……さあファイトだ!
こちらのコインは1枚、そっちも1枚だろう。
負ければ半分も無い即脱落、恐れがないなら来い!」
そしてそのうち二人がデッキを構え前に出て来る。
蓮子達は遭遇した以上ファイトするしかない為、見合って誰が出るか決めようとしていた。
「うーん、誰が出る?」
「なら私!
新しいこのデッキの力を試したいわ!」
「ほむ、蓮子は決定として残り一人なんだが此処は麟に任せようと思った感。
元々麟がトーナメント戦の先鋒と決まっていたのでこの組み合わせが正しいか証明するべきだろうと俺は考えた、まぁ編成論でね」
「……分かりました、では私が行きます」
「OK、頑張んなさいよ麟、蓮子!」
すると蓮子が新デッキを試すと言い、ブロントさんが麟が先鋒に置いて正しいかとトーナメント戦の編成を見極める意見を出し麟も了承し、二人がファイトをすることとなりファイカからデッキを取り出し、ファイトテーブルを展開した。
「へぇ、あんたらが相手か。
まぁ俺らはさっさとコインを集めて予選突破してやるんだ、悪く思うなよ!」
「そっちこそ、新デッキの力を今発揮する時が来たから手加減無しよ!
モタモタしてたら置いてかれるから気を抜かないように!」
蓮子とその対戦相手は初めから闘う気を剥き出しにし、最初からフルスロットルでファイトをしようとする姿勢が見てとれ、麟とその相手は静かながらも本気モードであるとして闘気が放たれていた為、どちらも最初から最後まで気を抜かないファイトになると容易にイメージが出来てしまっていた。
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
そして各々がFVをスタンドアップさせ、ファンタズムカップ予選最初のファイトが遂に始まる。
ブロントさん、菫子、メリーは蓮子と麟の勝利を信じて見守り、当の二人はスタンドアップした瞬間にイメージを広げ始めたのであった。
場所は妖怪の山に似た一つの山、その中の森内部にて蓮子達は戦い始める。
「『道標の賢者 エルロン』!」
「『メカ・トレーナー』!」
「『春待ちの乙女 オズ』!」
「『ペンシル・コアラ』!」
蓮子は新たなFVをスタンドアップして〈スパイクブラザーズ〉のFVと対峙し、麟は〈グレートネイチャー〉のFVと対峙した。
二人はそれぞれの相手に全力でぶつかるべく手札を見て、頭の中で戦略を組み立てて行っていた。
そして…………それを遠くからブロントさん達にも分からない様に見ていた人物が居た。
「さて、あの子と麟さんがしっかりと勝ち私達と当たるか見させて貰いますかな」
その人物とチームメイトの正体、そして何故ブロントさん達とファイトをしたがるのか。
これが判明する時、それは最短でもこの大会中ではあるがそれは蓮子達が勝たなければ先ず無理である。
しかし、その人物達は敗北の可能性など皆無の様に、また自分らとファイトを必ずする事を確信して蓮子達を見ていた。
そう、まるでそれが当たり前かの様に…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
次回はファイト描写を入れますが、蓮子から先に描写して行きます。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第73話「蓮子の速攻」
今回は蓮子のファイト回です。
話が変わりますが、ヴァンガードGシリーズが遂に終わり、新シリーズとして漫画版ベースの新作が始まる様で楽しみです。
カードも変わりますが…………果たしてこちらはいつ其処まで行くんでしょうね〜(汗)
では、本編へどうぞ。
「ライド、『
エルロンは先駆でせぶるみーの後ろに移動!」
「ライド、『レックレス・エクスプレス』!
メカ・トレーナーはエクスプレスの後ろへ移動し、ヴァンガードにアタック!『ダッドリー・メイソン』」
道標の賢者 エルロン:P5000、C1
メカ・トレーナー:P5000、C1
レックレス・エクスプレス:P7000、C1
レックレスVSせぶるみー:7000VS7000=ヒット
ドライブチェック『ダッドリー・メイソン』
ダメージチェック『爛漫の
モブA:手札:6
蓮子:ダメージ:1
第1、第2ターンはどちらも順当にライド、立ち上がりは静かである。
しかし蓮子、更に対戦相手はどちらもグレード2から行動が可能な構築であり、GB持ちなら速攻ビートダウンを狙える物であり、蓮子は〈スパイクブラザーズ〉のクラン特性から間違い無くそうだろうと判断し、どちらが先に相手を沈めるかの勝負になると察し、次のターンから行動を起こすと決める。
「ドロー、立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』!」
ブラスター・ブレード:P9000、C1
「あやや、あれはブラスター・ブレード!
今では型落ちとは言え、あの超レアカードを保有しているとは…………中々興味が湧きますな」
「げっ、ブラスター・ブレード⁉︎
滅多に手に入らないレアカード⁉︎
あんた、そのデッキに幾ら注ぎ込んだんだよ、本気度がなんか違う気がするぜ……!」
観戦者と対戦相手は蓮子のブラスター・ブレードを見た瞬間それぞれ反応を示し、観戦者の方は型落ちのユニットではあるが、滅多に手に入らず普及協会から保有者リストに登録されるレアカードを持つ蓮子に興味が湧き、また対戦相手はそのレアカードを入れたデッキに相当な資金を注ぎ込んだと想像し、目つきが少しだけ変わっていた。
が、蓮子のブラスター・ブレードやデッキのカードは魔理沙のコレクションから貰った物、霊華から譲って貰った物もあり、実はデッキに掛かった費用はそこまで無かったりするのだ。
しかし相手や観戦者はそんな事は知らない為そのままファイトが進む。
「コール、私のデッキの新顔、『救国の賢者 ベノン』!
ベノンのスキル発動、
更に『誠実の
「ベノンにミロン、確か最新エクストラブースターに入ってるカード!
手札消費実質1枚でもうこんなに展開するか!
となれば、そっちもビートダウンデッキだな!」
対戦相手は蓮子のデッキが自分と同じビートダウンと予測しそれを口にする。
すると蓮子は笑みを浮かべてファイトのスピードを上げ始める。
「シンリック、アタック!「ガード!」
ブラスター・ブレード、ヴァンガードにアタック!
ドライブチェック!『必殺の
クリティカルトリガー、パワーはベノン、クリティカルはブラスター・ブレードに!
ベノンでアタック!「うぐっ、ノーガード……『ジャガーノート・マキシマム』」
ターンエンド!」
救国の賢者 ベノン:P8000、C1
秘められし賢者 ミロン:P6000、C1
誠実の
蓮子:ダメージ:0/1 手札:4 ソウル:0
布陣
ベノン ブラブレ シンリック
ミロン エルロン R
シンリックVSレックレス:7000VS7000+5000=ガード成功
ブラブレVSレックレス:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『必殺の
ブラブレ:C1→2
ベノン:P8000+5000=13000
ダメージチェック『ハイスピード・ブラッキー』『チアガール マリリン』
ベノンVSレックレス:13000+6000VS7000=ヒット
ダメージチェック『ジャガーノート・マキシマム』
蓮子は初手クリティカルを駆使し、対戦相手にダメージを3枚与え、序盤からリードを広げる。
更にこの差はかなり大きく、相手は蓮子の攻撃を防ぐ為にも手札を余り削らずに攻撃態勢を整える必要があり、ボードとハンドへの圧力が自然と掛かってしまうのだ。
「くぅ、やるじゃねぇか!
流石は超レアカードを持ってるだけあって気合の度合いとか色々違うぜ!
スタンド&ドロー!
『ダッドリー・メイソン』にライド!
先ずはメカ・トレーナーのスキル発動、
そしてデッキからグレード1以下のカードを手札に加える、俺は『チアガール マリリン』を加えてデッキシャッフル!
更にレックレスを左にコール!」
ダッドリー・メイソン:P9000、C1
モブA:ダメージ:2/3 手札5
布陣
レックレス メイソン R
R R R
「うむ、相手はメカ・トレーナーで完全ガードを加えて防御を固めて次の蓮子のアタックを防ぐ気満々だがリアガードを張りアタック態勢は維持しているらしく思わず「ほう・・・」と関心が鬼なるがどこもおかしくないな。
更にダッドリー・メイソンのスキルもあるので引き次第ではまだファイトは続くだろうな(予知)」
「そうね。
しかしそれでも我が未来の姪っ子、しっかりと勝ってくれると信じてるわ!
勿論麟もね♪」
「ええ、だって私達のチームメイトなんだから」
ブロントさんは相手の堅実な動きに関心し、引き次第ではまだまだファイトは長くなると予想を立てるも、菫子とメリー、更に予想を立てたブロントさんも蓮子と麟が勝つと信じジッと二人を見つめていた。
無論それは対戦相手のチームメイトも変わらなかった。
「レックレスでヴァンガードにアタック!
スキル発動、
レックレスはスキル発動後のアタック終了時、デッキに戻りシャッフル。
ダッドリー・メイソンでアタック!「ノーガード!」
トリガーチェック!『陽気なリンクス』『引』
おっしドロートリガー、パワーはヴァンガードに付与、1枚ドロー!
そしてダッドリー・メイソンのスキル発動!
ヴァンガードへのアタックヒット時、
来な、『ジャガーノート・マキシマム』‼︎
ジャガーノートでアタック、ジャガーノートはレックレスと同じスキルを持つので発動、コストを払いパワー+5000‼︎「これが〈スパイクブラザーズ〉の連続攻撃か……ノーガード!『救国の賢者 ベノン』」
アタック終了時、ジャガーノートをデッキに戻してシャッフルしてターンエンド!
さぁ、まだまだファイトは続くぜ!」
レックレスVSブラブレ:7000+5000VS9000+10000=ガード成功
メイソンVSブラブレ:9000VS9000=ヒット
ドライブチェック『陽気なリンクス』『引』
モブA:手札:5→6
ダメージチェック『ブラスター・ブレード・
ジャガーノート・マキシマム:P11000、C1
ジャガーノートVSブラブレ:11000+5000VS9000=ヒット
ダメージチェック『救国の賢者 ベノン』
蓮子:ダメージ:2/3 手札:4
対戦相手はそれに対し〈スパイクブラザーズ〉らしい動きを見せ、着々とダメージを与える。
しかし蓮子はこれを予測し手札を余り使わず温存+この後に必要なコスト確保の為にダメージを受け、そしてまだまだ余裕のある笑みを浮かべていた。
「スタンド&ドロー!
立て、仕えし王の為!
ライド、『王佐の騎士 ガルハール』!
ガルハールのスキル発動、ライド時に
勇気を剣に、希望を盾に進め‼︎
ライド、『光源の
そしてガルハールはソウルからスペリオルコール、シンリックの後ろに、更にガルハールとシンリックを前後移動!」
王佐の騎士 ガルハール:P11000、C1
光源の
蓮子:ダメージ:0/3
布陣
ベノン エクシヴ ガルハール
ミロン エルロン シンリック
蓮子はライド用の手札を1枚しか使わずに一つ空いていたリアガードサークルも埋め、完全なアタック態勢へと入り相手の目を見開かせる。
更にこの布陣は蓮子の中でもこの後の二つある戦略を完成させるものであり、理想形の配置である為自信に満ち溢れた表情を浮かべていた。
「エルロンのブースト、アルフレッドでアタック!「そいつは受けられない、マリリンで完全ガード‼︎」
ツインドライブ『護法の
ガルハールでヴァンガードにアタック!「うぐ、ノーガード‼︎『ジャガーノート・マキシマム』『チアガール アダレード』『治』
ヒールトリガー、ダメージを回復しパワーをヴァンガードに‼︎」
ガルハールのスキル発動、ヴァンガードへのアタックがヒットした時、
ミロンのブースト、ベノンでヴァンガードにアタック!「ガード!」
ターンエンド……よし、テスト通りの感触だ。
これなら行ける!」
アルフレッド・エクシヴVSメイソン:11000+5000VS9000+0=完全ガード
ツインドライブ『護法の
ガルハール:P11000+5000=16000、C1→2
ガルハールVSメイソン:16000+7000VS9000=ヒット
ダメージチェック『ジャガーノート・マキシマム』『チアガール アダレード』『治』
メイソン:P9000+5000=14000
モブA;ダメージ:4→3→4
ベノンVSメイソン:8000+6000VS14000+5000=ガード成功
モブA:ダメージ:4 手札:3
蓮子:手札:6
そして蓮子は一気に攻勢を掛け、ハンドアドからボードアド、更にはダメージアドなどを取りファイトを有利に進め対戦相手にプレッシャーを掛け、蓮子自身もこのデッキの感触を改めて確かめ、このデッキならばもっと上へ行けると確信を持ち始めていた。
「あやや、彼女中々やりますなぁ。
ふむ、ブロントさんや麟さん、ダークホースの菫子さん以外にもあんなファイターが居るとは。
私もうかうか出来ませんねぇ……そして、大会後の予定も一気に出来ましたな」
そのファイトを遠くから見つめる黒髪の少女はメモを取りながら蓮子の実力に驚き、ノーマークだったファイターが意外な強さを秘めていた事にファイターとしての面と、この少女の中にある記者としての血が騒ぎ、ファイターとして蓮子に挑みつつ記者として取材もしたいとうずうずしていた。
しかしそんな中でも気配を悟らせない様にしており、ファイトが終わるまではその場を離れようとして居なかった。
「うむ、それにしても何故なんだと疑問がむくむくと沸いてくるな……」
「えっ、ブロントさん何か気になる事が?」
「おう、一つだけ疑問が浮かび思わず疑問が鬼なっていたんだがな」
「⁉︎」
するとブロントさんが突然口を開き、疑問があるとして菫子達に話し始め、それに気付いた黒髪の少女は身を潜め気付かれたのかと思い警戒を始める。
「ブロントさん、一体何が気になったのかしら?」
「うむ、それはだな……」
そしてブロントさんが口にした事とは……。
「…………何故ヒールトリガーが『チアガール ティアラ』と言う一般的に使われるユニットでなく強烈な外見とその姿ならクリティカルトリガーだろ……と思わず頭がおかしくなるチアガール アダレードなんだと言う疑問なんだが?」
『…………えっ、そっち⁉︎
ファイト内容じゃなくてそっち⁉︎』
「(なんだ、私の存在がバレたのかと思えば…………)」
菫子とメリーが驚き、黒髪の少女が呆れる内容……ヒールトリガーが何故かアダレートと言うネタヒールトリガーユニットであるかと言う事であった。
しかし、そんな事に関係無くファイトは進む。
「ドロー、ライド、『魔王 ダッドリー・エンペラー』‼︎
ちっ、ダメージとかで一気に状況が劣勢になっちまった。
これじゃあダメージヒールも焼け石に水だ……だがな、まだ諦めねぇぞ!
ダッドリー・エンペラーをコストにストライド・ジェネレーション、『神速 フラッシュ・ブルース』‼︎
そしてこのままアタック‼︎「うーん……よし、完全ガード!」
まぁ使うよな、トリプルドライブ‼︎『ソニック・ブレイカー』『☆』『サイレンス・ジョーカー』『☆』『チアガール アダレート』『治』
ダブルクリティカル&ヒールトリガー、ダメージを回復して全てヴァンガードに付与!
これで3対3、まだファイトの行方は分からないぜ‼︎」
魔王 ダッドリー・エンペラー:P10000、C1
神速 フラッシュ・ブルース:P15000+10000=25000、C1、ハーツ:魔王 ダッドリー・エンペラー
フラッシュ・ブルースVSエクシヴ:25000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『ソニック・ブレイカー』『☆』『サイレンス・ジョーカー』『☆』『チアガール アダレート』『治』
フラッシュ・ブルース:P25000+5000×3=40000、C1→3
モブA:ダメージ:4→3 手札:5
対戦相手のアタックを受けるか考えた蓮子は、クリティカルが2枚出て来ると踏み完全ガードを使いガードをする。
すると対戦相手はトリプルトリガー、しかもクリティカル2枚にヒールトリガーを引きまだ耐え抜こうとすれば耐え切れる目があった。
だが、蓮子はこの展開を予測し、またここまでのファイトは全て蓮子の計算内であり、この後に勝負を懸けると9割強の確率でファイトに勝つとも計算しており、その為の動きが今の手札でも可能であり、蓮子の勝利への布石は盤石なものであった。
そして蓮子は、そのままチェックメイトを掛け始めた。
「スタンド&ドロー!
手札のアルフレッド・エクシヴをコストに
光よ示せ、輝ける未来への軌跡!
ストライド・ジェネレーション、『転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン』‼︎」
転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
「なぬ、
しかもホーリースクワイヤ……アレも最新ブースターに収録されてる奴だ!」
「さぁ行くわよ!
ホーリースクワイヤのスキル発動!
Gゾーンの裏向きのホーリースクワイヤを1枚表向きにするGペルソナを払い、私の全てのリアガードにパワー+2000を与えるわ!
尚この時に
ベノン:P8000+2000=10000
ミロン:P6000+2000=8000
エルロン:P5000+2000=7000
ガルハール:P11000+2000=13000
シンリック:7000+2000=9000
蓮子は
これには対戦相手は一瞬安堵しそうになるが、ライン合計のパワーを見た途端青ざめだす。
何故なら、1番低いベノンのラインがしっかりと10000のガード要求値を出し、ガルハールのラインは15000のガード値と、明らかに何処かは通さねばならない状況下に入り、更にダブルクリティカルが出た時点でアウトとなっており、側から見ても蓮子の方が圧倒的に優位であった。
そうして蓮子はマウントを取り、このターンで決めてしまおう言う気でアタックに移る。
「エルロンのブースト、ホーリースクワイヤでヴァンガードにアタック‼︎「ぐっ…………引かない事に賭ける、ノーガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『必殺の
ゲット、クリティカルトリガー!
クリティカルはホーリースクワイヤ、パワーはガルハールに!『
クリティカルトリガー、クリティカルはホーリースクワイヤ、パワーはベノンに!
サードチェック‼︎『未来の騎士 リュー』『☆』
ゲット、クリティカルトリガー‼︎
パワーはベノンに、クリティカルはホーリースクワイヤに‼︎」
「んな⁉︎
トリプルトリガー、しかもトリプルクリティカルで、最後のクリティカルは非名称のリュー⁉︎
嘘だろ、このデッキは非名称が少なくとも8枚以上はあってクリティカル12枚積みなのかよ⁉︎
速攻なんて甘いもんじゃねぇ、これ超速攻デッキじゃねぇか…………う、うおぉぉぉぉぉぉっ!!?『魔王 ダッドリー・エンペラー』『ハイスピード・ブラッキー』『レックレス・エクスプレス』
ホーリースクワイヤVSダッドリー・エンペラー:26000+7000VS10000=ヒット
トリプルドライブ『必殺の
ホーリースクワイヤ:C1→4
ガルハール:P13000+5000=18000
ベノン:P10000+5000×2=20000
ダメージチェック『魔王 ダッドリー・エンペラー』『ハイスピード・ブラッキー』『レックレス・エクスプレス』
蓮子:WIN モブA:LOSE
蓮子はヴァンガードからアタックし、見事にトリプルクリティカルを引き当てて勝利を収め、片手にグッと拳を作り勝った事を喜び、ブロントさん達もナイスファイトと蓮子の初大型大会での勝利を喜んでいた。
一方その頃、麟は…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
蓮子が使ったデッキですが、実はこれ、自分が3DSのゲームで使ってたデッキとほぼ同じ内容です。
なので1番書いていてしっくり来るデッキだったりします。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第74話「麟の奮闘」
今回は文字数が過去最大になってしまいました(主に相手のスキル処理)。
ただでさえ長いのに区切る部分が思い浮かばず1話に収めましたので、閲覧する際は休み休みお読み下さいませ。
では、本編へどうぞ。
時を少し戻し蓮子のファイトが始まった同時刻、隣の麟もファイトを進め始めていた。
「ドローします。
『萌芽の乙女 ディアン』にライドします!」
『春待ちの乙女 オズ』は先駆スキルで左の後列へ移動させます!」
春待ちの乙女 オズ:P5000、C1
萌芽の乙女 ディアン:P8000、C1
「俺のターン、ドロー。
『ぐるぐるダックビル』にライド!
『ペンシル・コアラ』はヴァンガードの後列に移動し、アタック。
ドライブチェック『ルーラー・カメレオン』『☆』クリティカルトリガー、効果は全てヴァンガードへ「初手クリティカル……ダメージチェック!『メイデン・オブ・グラジオラス』『開花の乙女 ケラ』」
ターンエンド」
ペンシル・コアラ:P5000、C1
ぐるぐるダックビル:P7000、C1
ダックビルVSディアン:7000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『ルーラー・カメレオン』『☆』
ダックビル:12000+5000=17000、C1→2
ダメージチェック『メイデン・オブ・グラジオラス』『開花の乙女 ケラ』
麟:ダメージ:2
麟は初回アタックからクリティカルトリガーを食らってしまい、いきなり2ダメージを受けたがまだ始まったばかりだと割り切り別段慌てずに次のターンに移り出す。
それを見ていたメリーも一瞬麟を心配したが、その様子を見て大丈夫だと思いまた蓮子のファイトと同時進行で見守り出していた。
「私のターン、ドローします!
(……手札にケラが2枚、『メイデン・オブ・フラワースクリーン』が1枚、パドミニ1枚、『メイデン・オブ・フリルロッド』1枚、そしてスタンドトリガーの『メイデン・オブ・デイブレイク』、手札がグレード2過多でアーシャが無い。
なら此処は……)『開花の乙女 ケラ』にライドします!
更に『開墾の戦乙女 パドミニ』をコールしてスキル発動、手札のグレード3のカードを公開して、私はデッキから『ラナンキュラス』の名を持つグレード3、『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』を手札に加えて手札を1枚ドロップします!
メイデン・オブ・フラワースクリーンをドロップして、更にケラをコール!」
開花の乙女 ケラ:P10000、C1
開墾の戦乙女 パドミニ:P7000、C1
麟:手札:3 ドロップ:ノーマルユニット(以下NU)1
布陣
ケラ(B) ケラ(A) R
オズ パドミニ R
「あら、麟がパドミニをコールしたわ。
もしかして、手札にアーシャが無かったのかしら?」
「或いは手札にグレード2が来過ぎてこれではプリマヴェーラのスキルが使えない!使えにくい!と困りが鬼なってしまいドロップゾーンにユニットを仕込んだか初回プリマヴェーラの不意だまを入れる為の布石かその両方だと言う意見。
まぁこれは麟がドロップしたユニットを見た一般論からなんだが、これを相手が気付くかスルーかでファイトの行方が変わる神の賜物か地獄の宴になるだろうな(予測)」
メリーは麟が滅多にコールしないパドミニを場に出し、アーシャをデッキから確保したのを見て手札にアーシャが居なかったのかと予想し、更にブロントさんは麟がパドミニのスキルでドロップしたユニットがグレード2、更にリアガードにもケラをコールしたのを見てグレード2が来過ぎてプリマヴェーラが使えなくなる危惧をし、そのリカバリーの為の動きか初回プリマヴェーラ狙いかその両方かと読む。
そしてそのブロントさん、メリーの読みは当たっており、麟の手札にはアーシャが存在せず、グレード2が来過ぎてプリマヴェーラのスキルを上手く使えなくなる危険性を避けるべくパドミニをコールし、アーシャを確保し、フラワースクリーンをドロップしたのだ。
無論対戦相手もその可能性に気付いており、しかし一定の警戒は捨てずに次のターンで突っつこうと考えていた。
「オズのブースト、リアガードのケラでアタックします!「ガード!」
ではヴァンガードのケラでアタックします!
ドライブチェック『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』スタンドトリガー、リアガードのケラをスタンドしてパワーも与えます!
もう一度アタックします!「ダメージチェック!『名物博士 ビッグベリー』」
ターンエンドです!」
ケラ(B)VSダックビル:10000+5000VS7000+10000=ガード成功
ケラ(A)VSダックビル:10000+7000VS7000=ヒット
ドライブチェック『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』
ダメージチェック『クレヨン・タイガー』
ケラ(B):再スタンド P10000+5000=15000
ケラ(B)VSダックビル:15000VS7000=ヒット
ダメージチェック『名物博士 ビッグベリー』
モブB:手札:5 ダメージ:2
麟:手札:4
麟の攻撃は着実に実を結び、スタンドトリガーを交えながら相手に2枚のダメージを与えダメージレースの差を縮める。
更にアーシャを手にした+防御力が高いグレート2バニラを並べた為、相手は本来なら後列を並べなければアタックが通らない為安心してファイトを進められる……しかし、メリーは〈グレートネイチャー〉の特性を知らない為この後相手が何をするか分からずにいた。
麟はそもそも特性を理解している為警戒心は高かった。
「ドロー。
ライド、『バイナキュラス・タイガー』!
更に『ルーラー・カメレオン』とダックビルをコールし、ダックビルのスキル発動、エンドフェイズ時に退却した時、1枚ドローするスキルを付与!」
バイナキュラス・タイガー:P9000、C1
ルーラー・カメレオン:P3000、C1、『☆』
「えっ、クリティカルトリガーを前列にコール⁈
しかもエンドフェイズ時に退却したら発動するスキルを……」
「いや、〈グレートネイチャー〉ならばこれが最大の防御で攻撃であると言う攻防一体の構えだと言う結論。
メリーも見とくと良いぞ、これが〈グレートネイチャー〉の動きだぞ」
メリーは一見して訳が分からないスキルを付与したり、パワーの低い、しかもクリティカルトリガーを場に出すのを見て疑問符を浮かべたが、ブロントさんはこれこそが良い動きだと言い、メリーに〈グレートネイチャー〉の特性をしっかり見る様に言う。
そして、対戦相手は動き出す。
「ペンシル・コアラのブースト、バイナキュラスでアタック!
バイナキュラスのスキル発動、このユニットがヴァンガードにアタックした時、他の〈グレートネイチャー〉のリアガードを選びパワー+4000し、そのユニットはエンドフェイズ時に退却する!
ルーラー・カメレオンのパワーを上げる!「デイブレイクでガード、これでトリガーが出ても通りません!」
成る程、ではドライブチェック『カスタネット・ドンキー』『引』ドロートリガー、ルーラー・カメレオンのパワー+5000、1枚ドロー。
ルーラー・カメレオンでアタック「ノーガード、ダメージチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』ヒールトリガー!
同値ダメージなので回復、パワーはリアガードのケラに!」
ふむ、ではエンドフェイズ、ルーラー・カメレオンは退却し1枚ドロー、更にルーラー・カメレオンのスキル、エンドフェイズ中にドロップゾーンに置かれた時、、
そしてシャッフルしてターンエンド」
バイナキュラスVSケラ:9000+5000VS10000+10000=ガード成功
ドライブチェック『カスタネット・ドンキー』『引』
モブB:手札:3→4
カメレオン:P3000+4000+5000=12000
カメレオンVSケラ:12000+7000VS10000=ヒット
ダメージチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
麟:ダメージ:同値回復
モブB:手札:7 ダメージ:1/2
麟:手札:3 ダメージ:2 ドロップ:NU2、トリガーユニット(以下TU)1
対戦相手は〈グレートネイチャー〉のスキルを活かし、手札をこの時点で初期以上に増やし、先程まで手札3枚だったのが4枚も増えた事にメリーは驚いていた。
「そう、これが〈グレートネイチャー〉の特性よ。
ドーピングで一時的な強化をし、終われば退却してそれが連鎖して手札増強、コスト回復とかをやるのよ」
「そしてその手札の増量度は上手く行けば〈オラクルシンクタンク〉を超える場合があるので実は防御力はかなり強い。
更に手札やコストリソースがある限りアタックも止まらないから玄人向けクランで面白い動きを見せると言う意見」
菫子、ブロントさんは〈グレートネイチャー〉の特性を教え、手札増強などをテクニカルな動きで行うとメリーは理解し〈オラクルシンクタンク〉とはまた違った強みなどを持っているのだと感じていた。
そして今はまだグレード2、本番たるグレード3でないのにも関わらずこの手札増強を見せられた為、本領発揮した際は何枚手札が増えるのか皆目見当が付かないでいた。
「スタンド&ドローします!
煌めく蕾よ、今こそ美しく花開け!
ライド、『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』!
このままバトルします、アーシャでヴァンガードにアタックします!「ノーガード」
ツインドライブです『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
クリティカルトリガー、パワーはケラに与え、クリティカルはアーシャに与えます!『メイデン・オブ・パッションフラワー』「ダメージチェック『矛盾教官 シェル・マスター』『ブロードキャスト・ラビット』『治』ヒールトリガー、ダメージを回復」
ケラでアタックします!「ルーラー・カメレオンでガード」
ターンエンドです」
ラナンキュラスの花乙女 アーシャ:P11000、C1
アーシャVSバイナキュラス:11000+7000VS9000=ヒット
ツインドライブ『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』『メイデン・オブ・パッションフラワー』
アーシャ:C1→2
ケラ:P 10000+5000=15000
ダメージチェック『矛盾教官 シェル・マスター』『ブロードキャスト・ラビット』『治』
モブB:ダメージ:2→3
バイナキュラス:P9000+5000=14000
ケラVSバイナキュラス:15000+5000VS14000+10000=ガード成功
麟:手札:5
モブB:ダメージ:3 手札:6
麟のアタックによりダメージレースは麟がリードするも、対戦相手は有効ヒールトリガーを引き当ててダメージ4になる所を3で抑え、更に増えた手札も削れず相手ターンへと運ばれてしまう。
しかも次はグレード3同士となり、
「ドロー。
筆は知恵に、知恵は理論に、理論は力と為す!
ライド、『名物博士 ビッグベリー』!
そして、『ひたむき助手 ミニベリー』をコストにストライド・ジェネレーション、『全知竜 ウィズダムテラー・ドラゴン』!
ビッグベリーの
更に『カスタネット・ドンキー』をコールし、ダッグビルと『セットスクエア・ペンギン』をコールしそれぞれスキルを発動、いずれもカスタネット・ドンキーに付与!
準備完了、セットスクエアでアタック!「ガードします!」
次、ペンシル・コアラのブースト、ウィズダムテラーでアタック!「……まだ使えない、ノーガードです!」
トリプルドライブ『名物博士 ビッグベリー』『クレヨン・タイガー』『矛盾教官 シェル・マスター』トリガー無しか「ダメージチェック!『萌芽の乙女 ディアン』」
ウィズダムテラーとペンシル・コアラのスキル、更にビッグベリーが付与したスキル発動!
先ずはビッグベリーのスキル、同じ縦列のユニットのアタックがヴァンガードにヒットした時、パワーが20000以上だったら1枚ドロー!
更にウィズダムテラーのスキル、このユニットのアタックがヴァンガードにヒットした時、俺のリアガードを選びパワー+4000とヴァンガードにアタック時にパワーが20000以上なら1枚ドローするスキルを付与!
更にペンシル・コアラのスキル、このユニットのブーストしたアタックがヴァンガードにヒットした時、俺のリアガードをパワー+4000し、ターン終了時に1枚ドローとそのユニットを退却させるスキルを付与!「……っ!」
そしてカスタネット・ドンキーでアタック、ウィズダムテラーに付与されたスキルはブーストされた時のパワーも含める為、ビッグベリーのスキルでパワーアップしたダッグビルのパワー11000とカスタネットの今のパワー12000を合計して23000、よって1枚ドロー、さあこれはどうする?「…………ノーガード、ダメージチェック!『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
ヒールトリガー、ダメージが同値なのでダメージゾーンのグラジオラスを回復でドロップします!」
ふむ、ならビッグベリーのスキルで1枚ドロー、そしてエンドフェイズでペンシル・コアラのスキルで1枚ドロー、更にカスタネットは退却、カスタネットに付与されたパワーアップしてないダッグビルのスキルとセットスクエアのスキルが此処で発動、セットスクエアの方はエンドフェイズ時にリアガードサークルからドロップされれば1枚ドロー、更にダメージゾーンのカードを1枚表向きにし、更にダッグビルのスキルで1枚ドロー、ターンエンド」
名物博士 ビッグベリー:P11000、C1
全知竜 ウィズダムテラー・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード『名物博士 ビッグベリー』
カスタネット・ドンキー:P4000、C1、『引』
セットスクエア・ペンギン:P9000、C1
モブB:手札:2 ダメージ:2/3
ペンシル・コアラ:P5000+4000=9000
ぐるぐる・ダッグビル(A):P7000+4000=11000
布陣
カスタネット ウィズダムテラー セットスクエア
ダッグビル(A) ペンシル ダッグビル(B)
セットスクエアVSケラ:9000+7000VS10000+10000=ガード成功
ウィズダムテラーVSケラ:26000+9000VS10000=ヒット
トリプルドライブ『名物博士 ビッグベリー』『クレヨン・タイガー』『矛盾教官 シェル・マスター』
ダメージチェック『萌芽の乙女 ディアン』
カスタネット・ドンキー:P4000+4000+4000=12000
カスタネットVSケラ:12000+11000VS10000=ヒット
ダメージチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
麟:ダメージ:同値回復
モブB:手札:11
麟:ダメージ:3 手札:4
対戦相手の長いターン中のスキル処理を終え、漸くターン終了となりメリーは少し頭でこのターンに起きた事を処理し始める。
先ずパワー4000だったユニットが4重スキルを付与され、パワーも12000まで上がり、更に元々居たダッグビルも11000、コアラも9000となった上でドロースキルが合計5回発生し、トリプルドライブもあって手札が6枚だった筈の相手は何と手札14枚にまで増え、ターン直前の手札を余裕で上回るだけで無くグレード2の時にあった手札増強を更に超える手札増強にただただ驚く以外に無かった。
しかし、メリーは同時に完全ガードがある為セットスクエアを通し、ウィズダムテラーを止めれば手札増強を完全に防げたと思い疑問に思っていた。
「麟はどうしてあんなアタックの止め方をしたの?
セットスクエアを通してウィズダムテラーを止めればビッグベリーのスキルもレフト、センターどちらも不発になって、更にダッグビルとセットスクエアのエンドフェイズ時のスキルも不発になったりしたのに……」
「恐らく次のターンで麟は相手を倒せないと判断して最小の手札消費で凌ぎたかったのだと言う意見(予測)
確かに手札が増えればガード、アタックの札が増えるデメリットがあるが更に先を見据えて次の次に繋ぐにはこれしかないだろうと思ったのだろう。
具体的には手札にガードに使えないグレード3を増やさせまくる。
だがこれは一見それも良い手だとは思われるが失敗すると致命的な致命傷を負うカウンターを決められる危険性がある非常に分の悪い賭けと言う側面もあるので普段はやらないようにするべきだが麟はやった。
つまり自分の手札も考慮して危ない綱渡りをしてでも勝とうと言う意気込みが前面に出た結果なのだよ」
「普段は堅実なファイトをする麟がそんな賭けを……」
麟のプレイングの意味を見抜いていたブロントさんはメリーにその意味を説き、次の次…………つまり次々回の自ターンで決着をつけると言う賭けに出ているとし、メリーや菫子はそれを聞きそれに納得し、蓮子のファイトを見ながらも麟の方を心配していた。
一方麟はブロントさんの指摘通りであり、この次のターンでは手札的にも決めきれないと判断しており、何とか次の次で決めるべく防御札を残したのである。
「……(防御札は残りました。
後はあのカードが来てくれれば初回プリマヴェーラに繋がります……)スタンド&ドローします!
…………来ました、メイデン・オブ・フリルロッドをコストに
春は訪れ、蕾は花開く!
ストライド・ジェネレーション、『立春の花乙姫 プリマヴェーラ』‼︎
アーシャの
立春の花乙姫 プリマヴェーラ:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』
コーラルベリー・スクワイア:P7000、C1
麟はプリマヴェーラのスキルを発動させるコストであるドロップゾーンのノーマルユニット5枚をアーシャのスキルを使わず……否、正確には使えない(現在ダメージ3の為プリマヴェーラのCBコストに全て回さねばならない)為自力で上書きコールをしなければならず、グレード1でまだ引いていないカード……コーラルベリー・スクワイアを引くか残り3枚のパドミニを引く以外にプリマヴェーラが使えなかったが、麟は見事にコーラルベリーを引き当て、これによりヒールトリガー2回、パドミニのスキル、
「麟凄い、欲しいカードを引き当てた!」
「兎に角これでプリマヴェーラは動ける、そのままガンガン行っちゃえ!」
「行きます、コーラルベリーのブースト、ケラでヴァンガードにアタック!「ふむ…………ダメージチェック『矛盾教官 タスク・マスター』」
次、プリマヴェーラでヴァンガードにアタックします!
此処でプリマヴェーラのスキル発動します!
そして、私のリアガードを2体選びデッキからそれぞれ2枚ずつスペリオルコールします‼︎
新たに芽吹き花開きなさい、ケラ、コーラルベリー‼︎「むっ、既にアタックしたラインも上書きコールと言う形で擬似スタンドを…………こちらのダメージがこれなら、『矛盾教官 シェル・マスター』で完全ガード!」
さあ、その手札を嫌という程減らして貰いますよ!
トリプルドライブ‼︎『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
クリティカルトリガー、右のケラに全て付与します‼︎『ダンガン・マロン』『☆』
クリティカルトリガー、今度は左のケラに全て付与します‼︎『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』
……!「スタンドトリガー、クリティカルまでないならまだ……」
(違う、これで次のターンに……!)パワーは左のケラに付与、スタンド効果は意味無いですがオズをスタンド、左のケラでアタックします‼︎「完全ガード!」
右のケラでアタックします‼︎「ガード、インターセプト‼︎」
手札は5枚減らせました…………ターンエンドです‼︎」
ケラVSビッグベリー:10000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『矛盾教官 タスク・マスター』
プリマヴェーラVSビッグベリー:26000+5000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』『ダンガン・マロン』『☆』『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』
ケラ(A):P10000+5000=15000、C1→2
ケラ(B):P10000+10000=20000、C1→2
布陣
ケラ プリマヴェーラ R
コーラルベリー パドミニ R
↓
ケラ(A)プリマヴェーラ ケラ(B)
コーラルベリー(B) パドミニ コーラルベリー(A)
ケラ(B)VSビッグベリー:15000+7000VS11000+10000+5000=ガード成功
ケラ(A)VSビッグベリー:20000+7000VS11000+0=完全ガード
麟:手札:6 ダメージ:0/3
モブB:ダメージ:4 手札:6
麟はプリマヴェーラのスキルを発動させ、更にクリティカル2枚も引き当て対戦相手の手札を減らさせる事を強要させ、手札を削る。
しかし対戦相手の方はトリプルトリガーではない事である種の余裕の笑みを浮かべ、対して麟は引きたかった物…………この次の相手のターンで凌ぐ為のカードを引き、且つ更に気を引き締め直し相手の方を見据えていた。
「スタンド&ドロー。
ビッグベリーをコストにストライド・ジェネレーション、『全智竜 マーナガルム』!
ビッグベリーの
更に手札から『矛盾教官 タスク・マスター』と『クレヨン・タイガー』をコールし、マーナガルムのスキル!
全智竜 マーナガルム:P15000、C1、ハーツカード『名物博士 ビッグベリー』
矛盾教官 タスク・マスター:P11000+4000=15000、C1
クレヨン・タイガー:P9000+4000=13000、C1
ダッグビル(A&B):P7000+4000=11000
対戦相手はマーナガルムと言うGユニットに
更にクレヨン・タイガーやタスク・マスターもコールし強化したその瞬間ブロントさんと菫子は目を見開き麟がピンチになっているとメリーに直感させる。
「ブロントさん、菫子、あのGユニット達はそんなに危険なの?」
「うむ!
あのGユニットはリアガードにパゥワー20000以上でアタッコした時に完全ガードを封じてしまう恐ろしいPスキルを持った現〈グレートネイチャー〉の思考の剣の地位にいるユニットで、この20000以上はブースト込みでもあるので簡単に発動する為あっさりスキルを使われて思わず相手に「お前、絶対忍者だろ・・・」と言わしてる。
更にクレヨン・タイガーは〈グレートネイチャー〉のツインソード互換でブーストを受けたアタックをヴぁーんガドに向けると既にレストして過ぎ去ったユニットをパワー+4000、更にエンドフェイズで退却すると同時に1枚ドローするスキルを与えてスタンドさせる名アタッカーなのだよ。
そしてタスク・マスターはクレヨン・タイガーのスキルから1枚ドローを抜き、しかしブースト抜きでもユニットスタンドとパワー+4000を与えられる第二の名アタッカーと言う地位にある。
つまり今奴のアタックは最低でも5回は必ず飛んで来るので麟はマジでヤバイと言う状況だ!」
メリーがそれを聞くとブロントさんがそれぞれのスキルを説明し、麟がとんでも無くギリギリの切羽詰まった状況だと確信させ、固唾を飲みながらファイトを見守る。
すると蓮子の方はファイトが終わり、麟の状況を見て余り芳しくないと知りながら麟のファイトが終わるまでその場で見守っていようとしていた。
「これで決める、先ずはクレヨン・タイガーの単独アタック!「ケラでインターセプトです!」
タスク・マスターの単独アタック、此処でGB1発動!
クレヨン・タイガーをスタンド、更にパワー+4000!「此方もインターセプト、パワーが15000なのでシールド合計16000には届きません!」
なら次だ、ブースト込みでクレヨン・タイガーのアタックだ、スキル発動しタスク・マスターをパワー+4000しスタンド!「完全ガード、ドローはさせません!」
ほう……なら再びタスク・マスターでアタック、しかも今度はブースト込みだ!「完全ガード‼︎」
む、まさか……ヴァンガードでアタック!「ノーガードです!」
……そう言う事ですか」
クレヨン・タイガーVSアーシャ:13000VS11000+5000=ガード成功
タスク・マスターVSアーシャ:15000VS11000+5000=ガード成功
クレヨン・タイガーVSアーシャ:13000+4000+11000VS11000+0=完全ガード
タスク・マスターVSアーシャ:15000+4000+11000VS11000+0=完全ガード
何と麟は左右のアタックをインターセプトと完全ガードを用いて防ぎ、代わりにヴァンガードは素通しする戦法を取る。
メリーはこの賭け戦略に驚くが、ブロントさんはこれが最もこのターンを凌ぎ、また相手のドローを余り誘発させない最善手でもあると瞬時に理解し、後は相手がクリティカルトリガー+スタンドトリガー、又はスタンドトリガーを引かなければOKだと考えていた。
何故ならクリティカル+スタンドならその時点でゲームエンド、スタンドトリガーでどちらかがスタンドすればもう1枚ドローされ、防御を固められてしまう可能性があるからだ。
「トリプルドライブ『ルーラー・カメレオン』『☆』クリティカルトリガー、パワーはタスク・マスター、クリティカルはヴァンガード。
セカンド『名物博士 ビッグベリー』無し、サード『ひたむき助手 ミニベリー』むっ……トリガー無し。
しかしペンシル・コアラのスキルでタスク・マスターをパワー+4000。
エンドフェイズにタスク・マスターは退却、クレヨン・タイガーのスキルと合わせて2枚ドローし、ターンエンド」
マーナガルムVSアーシャ:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ルーラー・カメレオン』『☆』『名物博士 ビッグベリー』『ひたむき助手 ミニベリー』
ダメージチェック『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』『メイデン・オブ・フラワースクリーン』
タスク・マスター:19000+4000=23000
モブB:手札:9ダメージ:0/4
麟:ダメージ:2/5 手札:1
麟は賭けに勝ち、ドロースキルの誘発を2回に抑えた上で自分はダメージ5、相手が1回ダメージを受けようと有効ヒールにならない様に調整しながら踏み止まる。
だが此処からが問題である。
麟は次のドローで
そうならない様にするべく、麟は気合を入れ直しラストターンに全てを懸けた。
「…………ふぅ、スタンド&ドロー!(
今ドローしたパドミニをコストに、
今こそ紡ぎ出せ、私が望む世界を!
ストライド・ジェネレーション、『聖樹竜 ジングルフラワー・ドラゴン』!
アーシャの
更にオズのGB1、
そしてジングルフラワー・ドラゴンのスキル、Gゾーンの裏向きの同名カードを1枚表にし、更にGゾーンの表向きのカードが2枚以上なら私のユニット1体を選択、そしてそのユニットに『このユニットと同名ユニット1枚につき、私のユニット全てにパワー+2000する』を与えます‼︎
私はコーラルベリー1体を選択、コーラルベリーは4体なので全ユニットのパワー+6000‼︎
更に手札の『メイデン・オブ・デイブレイク』をコールしてスキル発動!
このユニットをデッキの上に置いて、コーラルベリーを選択して、それと同名のユニットを2体まで選んでパワー+5000‼︎」
聖樹竜 ジングルフラワー・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』
コーラルベリー(C&D):P7000+6000+5000=18000
コーラルベリー(A&B):7000+6000=13000
ジングルフラワー・ドラゴン:26000+6000=32000
麟:ダメージ:0/5 手札:0
そして目的のカードを引き当てジングルフラワー・ドラゴンを選択して
それを見た途端対戦相手が一瞬眉を動かし動揺する。
何故なら、確かに手札にはトリガーユニットはそれなりにあるが実は完全ガードが無く、またシステムカードばかりを引いていた為対戦相手は攻め手はあるが防御手が余りないのだ。
その為に一瞬動揺し、麟はそれを見過ごさずヴァンガードから手を掛ける。
「(動揺した、なら今が好機‼︎)ジングルフラワー・ドラゴンでアタックします‼︎「くっ……(システムカードばかりで守り切れない、ならデッキを3回シャッフルしたのを加味して…………)仕方ない、ノーガード!」
トリプルドライブ、ファーストチェック『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』スタンドトリガー、パワーを右のコーラルベリーへ、セカンドチェック『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』ノートリガー」
「行けるのか……」
「麟…………(麟なら引ける、引いてくれる、私達と一緒にデッキを弄ってファイトを重ねた、切磋琢磨し合った麟なら……!)」
対戦相手は麟が3回シャッフルしていた事でクリティカルトリガーを引く確率が低いと踏みノーガードを選択。
そして1枚、2枚とドライブチェックを確認して行く中蓮子とメリー達は麟がクリティカルを引くと信じ見守る。
そして…………。
「サードチェック…………‼︎『ダンガン・マロン』『☆』
来ました、クリティカルトリガー!
クリティカルはヴァンガード、パワーは左のコーラルベリーへ‼︎「なっ、引き当てた⁉︎
ダメージチェック‼︎『ブロードキャスト・ラビット』『治』
ぐっ、ヒールトリガー……こちらのダメージは少ないので回復せず、セカンドチェック!『矛盾教官 シェル・マスター』
ノートリガー……しかも…………負けました……」
…………ふぅ、ありがとうございました!」
ジングルフラワー・ドラゴンVSビッグベリー:32000+11000=ヒット
トリプルドライブ『メイデン・オブ・デイブレイク』『醒』『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』『ダンガン・マロン』『☆』
ジングルフラワー・ドラゴン:C1→2
コーラルベリー(C&D):18000+5000=23000
ダメージチェック『ブロードキャスト・ラビット』『治』『矛盾教官 シェル・マスター』
モブB:ダメージ:6(ダメージ回復せず)
麟:WIN モブB:LOSE
麟は3回のデッキシャッフル+スタンドトリガーのデッキ戻りがありながらも見事クリティカルを引き、ダメージを綺麗に6枚目を与えて勝利を収めた。
その表情には安堵感と達成感、更に相手への敬意が表れており、頭を下げながら麟は笑顔を浮かべ、礼を述べるのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
さて、文字数が多くなった原因ですが前書きにある様に対戦相手のデッキのスキル処理(スキルを与えるスキル、要所要所のパワー+4000のパンプ、エンドフェイズで退却及びキャントリップ、バトル中のスタンド効果等)があった為です。
更に話の構成上1話で区切らなければならず泣く泣く長文化してしまいました(そしてスキル処理自体かなり苦労しました)
次から〈グレートネイチャー〉のデッキを出す際は何か考えないとなりません……。
長々とお付き合い頂きありがとうございました、よろしければ感想、指摘をお願い致します
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第75話「収集、変貌、発見」
タイトルが手抜きかと思われますが……何がこうなってこんなタイトルかは本編を見れば分かるかと思われます。
では、本編へどうぞ。
ファイトが終わった麟は一息深呼吸を入れ、礼を言い頭を下げると皆の下に戻り、蓮子もそれに合わせて礼を言い戻る。
その麟と蓮子は両手でタッチし、ブロントさんが片手を上げると二人はその片手にハイタッチをし、メリーや菫子ともタッチをした。
「お疲れ様、蓮子、麟」
「バッチリ勝ったわ♪」
「はい、勝ちました」
互いに勝利の喜びを噛み締め合いながら話していると、対戦相手のチーム代表が蓮子達に近付き、皆に声を掛ける。
「いやぁ敗けた敗けた。
君ら強いね!」
「いやぁ、それ程でも」
「いやいや強いって。
さて、大会規定通り守矢コインを上げるよ。
敗けた俺達の分まで頑張ってくれよ。
じゃ!」
対戦相手の代表は蓮子達を強いと褒めながら守矢コインを渡し、そのまま振り向きながら蓮子達に手を振りながらその場を去って行った。
それを見送った蓮子とメリーは自分達が改めて対戦相手達にチームで勝ったのだと実感し、大型大会初参加の初陣を勝利で飾ると同時に勝った者は負けた者達の目標や大会への想いを背負う事になると言うある種の重圧を薄々ながら感じ取り、肩に力が入り出していた。
「蓮子、メリー、肩の力を抜くべきそうすべき。
別に誇りや命を懸けた戦いなのではないので真剣は真剣でもあくまでスポーツマンシップ的な気持ちで良いぞ。
変な力が入って全力を出せない、出しにくい!なんて事になっても相手に失礼だし何より自分が楽しめないと言う意見。
ならば此処は全力で楽しむ事で充実したファイト生活が認可される。
これが一級ファイターの心持ちでもあるぞ。
一級ファイターの気持ちを持つ→相手も自分も全力で楽しめる→ファイトを通して心が豊かになる→ライバルが増える
一級ファイターの気持ちを持たない→自分だけが楽しみ相手を思いやらない→ファイトをしても醜い心が表情に現れるだけ→ファイト相手がいなくなる
ほれこんなもん」
「…………そうね、確かに私達が経験した何かを賭けたりするファイトじゃないわね。
リラックスして楽しまなきゃ、あの人達やこれから私達がファイトする人に失礼ね。
ありがとうブロントさん、お陰で少しだけ肩の力が抜けたわ」
蓮子とメリーはブロントさんから肩の力を抜く様にとアドバイスを貰い、更にその口から全力を尽くながら大会を楽しむ事こそが自分達に負け、大会から去ったファイター達への最大の敬意であり、楽しまずに進む事は寧ろ非礼に当たると聞き二人は頷き大会を楽しむ事に力を入れる様にしようと思い始める。
それを見て麟や菫子も頷き二人に笑顔を向けていた。
「……ふむふむ、中々やりますなブロントさん達のチーム。
やはりあの人達とやり合うのは最後の方が良いみたいですね……となれば、これをチームメイト達に報告してブロントさん達は見掛けても無視する方針にしますか」
そしてファイトを見ていた人物は力量その物を見極め、蓮子達を避ける様にポイントを集めて行こうと頭の中で決め、別地点で待機しているチームメイト達の下に行き作戦を説明するべくその場から気配を悟らせずそのまま素早くその場を去る。
だが、そんな行動を初めからお見通しだったのかブロントさんは丁度蓮子達がその人物と一直線に並ぶ様に立ち、そしてその場を去った事を視線で確認した後別段蓮子達に言う必要も無い為そのまま行動を始めるのであった。
「えーと、守矢コインは多分この辺に……あ、あったわ!」
その後、蓮子達は妖怪の山の中を歩き1時間が経過し、蓮子とメリー、菫子と麟、ブロントさんの3組で周囲の木の上や石の下などを探し1〜4枚単位で守矢コインを発見し入手する。
更に途中ファイターを見つけては倒し、今の所は全勝で守矢コインを獲得していた。
「ふぅ、中々順調に集まって来ましたね」
「そうね、もしかしたらお助け人もスペシャルファイターとのファイトも必要無くこのまま予選突破出来るかもね」
「いあ、油断するのはまだ早すぐると言う意見。
恐らくだがファイトに勝ちまくってコインを荒稼ぎしてる奴も九分九厘居る訳だしそんな奴らと俺達ファンタズマのコイン収集率を比べたら間違い無くこっちは負けるのは明白に明らか。
ならば何処かのタイミングでお助け人やスペシャルファイターを利用する手を考えないとならないだろうな。
肩の力を抜きつつ、しかし油断せず着実に現実に、だが時に大胆に。
この最初の方針は変えずこのまま行くべきそうすべき(提言)」
麟と菫子が会話し、蓮子も同調しようと口を開く直前にブロントさんが割って入り、予測ではあるが守矢コインを荒稼ぎしているチームが居るとし、それ相手では自分達の収集スピードでは追い付こうにも限界がある為当初の予定通りお助け人を利用したり、スペシャルファイターを倒したりをしなければならないとした。
「そうね、勝って兜の緒を締めよって言葉もあるから油断せずに行った方が良いわね。
予定通り時期を観てお助け人やスペシャルファイターに挑みましょうか」
「……ええ、メリーとブロントさんの言う通りね。
油断してたら勝てるものも勝てなくなるのは世の常、このまま気を引き締めて大会を楽しまなきゃね!」
メリーの言葉を聞き蓮子は当初の予定を変えずこのままコインを収集し、お助け人やスペシャルファイターを利用する事を心掛ける。
菫子と麟も二人の言葉から油断せず行こうとなり更に先へ行き収集を再開する。
すると、妖怪の山の景色にそぐわないとある物を見かけてしまう。
「あら、これは?」
「紫色……いや、ピンク、ワインカラー?
の……テント?
何でこんな物が妖怪の山に?」
そこにあったのはあからさまに中へ入ってくれと言わんばかりの雰囲気を醸し出すテントだった。
しかも入り口付近には『困った時のお助け魔女っ娘テント』と言う思考が少し追い付かない立て看板があり、更にそれには普及協会のマークまでご丁寧にあり、明らかに大会運営関係者のものだと分かってしまった。
「……もしかして、お助け人ってこんな感じのに居たりするのかも?」
「うむ、皆の人気者で親しみやすい謙虚な普及協会のロゴマークがあるのでそれは確定的に明らかだなと言うか鬼なった。
だが余りにも露骨に中へ来いと促し過ぎてるな……」
「しかも微妙にコリブリカラーに近い……いやらしい……」
チームファンタズマの面々はこのテントに微妙な評価を下し、少し引き気味になる。
しかし、普及協会のロゴがあったり中に入ってくれと言う雰囲気があり、ほぼ間違い無く守矢コインをボーナスでくれるお助け人がこの中に居ると分かってしまい蓮子達は少し意を決して中へと入るのであった。
「……守矢コインの為…………お、お邪魔しまーす……」
「うふ、うふふふふふふふ…。
よく来たわね貴女達。
あたいはこの予選で配置されたお助け人気の一人、人呼んで美少女魔女っ娘魔梨ちゃんよ。
さぁ、守矢コインの為にこの4枚の紙から1枚選んで、其処に書かれたクイズに答えて貰うわよ……うふっうふふふふふふ……」
そして其処に居たのは自らを美少女魔女っ娘魔梨ちゃんと呼ぶ謎の人物…………では無く、蓮子達が良く見知る少女霧雨魔理沙であった。
普段との口調の違い、更には雰囲気そのものも違ったりと何が何だか分からない状況になっていたが、蓮子達の脳裏にはある一つの事しか思い浮かばなかった。
『(…………うわぁ…………何この…………何…………?)』
「ちょ、ちょっと、魔理沙一体どうしちゃったのよ、なんか悪いきのこでも食べちゃったの⁈(ヒソヒソ)」
「俺に聞いても何が何だか分からないと言う解答なのは0か100なら100なので俺に聞くなと言う意見!
てか、マジで何なんだこの劇的ビフォーアフター(悲劇)は⁉︎
絶対放送事故物だろこれは…………(ヒソヒソ)」
魔理沙の変貌ぶりに驚きを隠せずヒソヒソと耳打ちしながら話し、彼女に何があったのか心配し始めるチームファンタズマの面々。
しかし、そんな五人を他所に魔理沙は手に持った4枚のお題カードを目の前に突き付け、早く中の一枚を引かせようとする。
「さあさあ早く選ぶんだよ。
恋も決断もスパッと決める事が大事だって『魅魔様』が言ってたんだから早くしてよ、うふふふ」
「う、うーむ…………メリー、引いてくれ。
取り敢えず早く終わらせて此処からとんずらするべきそうすべき、頭がおかしくなって経験値ロストしたくないならそうすべき」
「そ、そうよね…………えい!」
ブロントさんがメリーに早く引かせ、此処から去ろうと提案したのをメリーは了承し、4枚のお題カードの内右から二番目を引く。
するとお題カードにはグレード4と書かれていた。
「うふふふ、最高難易度のグレード4を引いたわね。
じゃあお題を出すわ、『ドラゴンエンパイアの各クランから1体ずつ元々のパワーの合計が55000、名前が合計60字を超える様に
制限時間は2分、引いた人が答えてチームメイトは答えになる事を言わず見守る様に、はいスタート!」
「うぇ⁉︎
ドラエンのLB4で名前60字を超える⁉︎
難易度高っ‼︎」
そして出されたお題はLB4(ブレイクライド抜き)で且つドラエンの各クランから1体ずつ合計パワーが55000になり、更に名前が合計60字を超える様にフルネームで答えると言うヴァンガードを始めて1ヶ月半を過ぎたとは言え、蓮子やメリ
ーにとってかなり辛い内容のお題であった。
しかもチームメイトはただ見守るだけ……メリーは自力で頭の中にあるカードを的確に引き抜きながら答えるしかなく、汗を掻きながら記憶の中で見たカードを振り返っていた。
「さあさあ、後1分。
別に答えられなくてもコインは取られないからまぁまぁ気楽に行きましょうよ♪」
「メリー……!」
そして蓮子達が見守る中、メリーは魔理沙のカードコレクションに行き着き、その中にあるカードでLB4を持ち、元々のパワーが11000のユニットを選出して行き、残り20秒で目を開き答え始める。
「……『炎獄封竜 ブロケード・インフェルノ』、『古代竜 ティラノレジェンド』、『隠密魔竜 ヒャッキボーグ ‘‘
全てLB4を持ち合計パワーは55000、名前の合計は英文字などを入れて60字を超えたわ!」
「えっと、えっと…………本当だ、ドラエンで各クラン、しかも名前もパワーもきっちりお題通りよ!」
「…………うふふ、伸ばし文字を抜かしてもきっちり60字を超えてピッタリ55000、貴女中々やるわね〜。
大金星、大正解、おめでとうだわ!
はい、グレード4のお題を答えられたので守矢コインを最大枚数の50枚あげるわ。
頑張ってね〜♪」
メリーは何とか残り3秒で答え切り、魔理沙から貰える守矢コインを最大枚数貰い嬉しそうに袋を抱えながら身体を震わせる。
そしてテントから出て蓮子がメリーに抱き付き労いの言葉を掛け始める。
「お疲れ様メリー、良く頑張ったわね!
本当に凄いわ、お題の条件をきっちりこなしてたし何より2分以内でそれを達成……流石私の最高の相棒よ!」
「ありがとう蓮子!
はぁ、いつも魔理沙のカードコレクションを眺めてて良かったわぁ……お陰で答えられたからね。
魔理沙にも後で感謝しなきゃ」
「そうね!
…………にしても、魔理沙のあの変貌っぷりは一体…………」
チームファンタズマの面々は魔理沙の変貌について気になっていたが、予選通過の為に頭の隅にそれを追いやり、テントから離れて再び守矢コインやファイターを探し始めるのであった。
この予選を勝ち抜く為に……。
そしてそれから更に時間が過ぎ、残り時間が1時間になった所で花火が上がり、残り時間が少なくなって来ているのを大会運営側が伝え始める。
蓮子達は一旦手を止め、この後どうするかを考え始める。
「残り1時間位、皆これからどうする?
多分隠された守矢コインは粗方私達を含めた参加者達に取られてるだろうしそろそろスペシャルファイターを探して挑戦してみる?」
「そうね、多分私らが予選通過するにはそれが1番だし今が最高のタイミングだと思う。
私は蓮子の意見に賛成よ」
「私も賛成します。
恐らく此処を逃せば予選突破が危ぶまれます」
「うむ、俺も反対意見はないのでよろしいぞ、全力を出してスペシャルファイターを探してハイスラ(クリ4)でボコるわ」
菫子、麟、ブロントさんから反対意見は出ずメリーも蓮子の意見に頷き賛成の意を示し、その案で行く事が固まり蓮子は改めて号令を掛ける。
「……OK、じゃあ今からスペシャルファイターを探し出して倒すわよ!
皆、行きましょう‼︎」
『ええ/はい/OK/おう!』
五人はスペシャルファイターを探し出す為妖怪の山を駆け出す。
視界の端に動く物は無いか、人の気配は無いかと細心の注意を払いながら草の根を分けて探しながら時間が1分、また1分と過ぎて行った。
そして…………。
「……見つけた、大会主催者側の腕章を付けた人。
貴女がスペシャルファイターね!」
「ふっ、いかにも……改めて自己紹介をしよう。
我が名は八坂神奈子、守矢神社に祀られし神の一柱にしてこの予選主催者及びスペシャルファイターだ!」
蓮子達は遂にスペシャルファイター、八坂神奈子を発見するのであった。
ここまでの閲覧ありがとうございました。
今回の話のタイトルはズバリチームファンタズマの行動や大きく感じた事が主となってます。
変貌……つまりはうふふ魔r(skmdy‼︎
そして次回はスペシャルファイター戦、誰が神奈子に挑むかはお楽しみに。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第76話「●●で負けぬ者と軍神と闘志と…」
第76話目の更新です。
サブタイトルの●●は本編中にありますが、余り重要では無いです(確信)
そしてファイト回前編です。
誰と守矢の軍神とがファイトするか、本編をどうぞ!
追記:UAが5000を突破していました!
見て下さってる皆様、本当にありがとうございます‼︎
遂にスペシャルファイター、八坂神奈子と遭遇したチームファンタズマ。
そして彼女は懐からデッキを取り出し、蓮子達を余裕ある表情で見つめてるいた。
「さあ挑戦者達よ、この私にチームから1人代表を選びファイトをするが良い。
もし私に勝てば、この守矢コイン300枚を諸君に与えよう!」
「よし……此処は誰が行くべきかな?」
すると蓮子達はスペシャルファイターを見つけたは良いが、いざ誰がファイトするか決めていなかった事に今気付きハッとなり考え始めていた。
1分1秒が惜しい為早め早めに誰が行くかを決めようとするが全員上手く誰が行くか決まらず、悩みに悩んでいた。
するとメリーが手を挙げ、全員に声を掛ける。
「ねぇ皆、そんなに誰が行くか悩むならいっそジャンケンで決めたら?
そしたら早々と決まるかも」
「……確かに、今はくじも無いしジャンケンが1番かもね。
じゃあ皆集まって!」
メリーからの提案によりチームファンタズマは神奈子の相手をジャンケンで決める事となり手を構えていつでも3手の内の1つを出す用意をする。
その表情は真剣なもので、誰が勝とうが恨みっこなしではあるが対戦権を譲る気は無い事が窺い知れていた。
「じゃあ恨みっこなしだからね、行くわよ!」
「俺、ジャンケンで負けた事無いし」
「ぬっふっふっふ、宇佐見家で大体ジャンケンに勝つ私を相手にするとは不運ね!
じゃあ…………勝っても負けても恨みっこなしジャンケン『ポン』‼︎
…………⁉︎」
菫子の合図で一斉に手を出し、全員ジャンケンの結果を見やる。
すると…………驚くべき事に、5人でやっていた筈なのに1人勝ちが発生してしまっていたのだ。
そう…………ジャンケンで負けた事が無いと言うブロントさんの。
「う、うっそぉ⁉︎
なんで5人居る中で1人勝ちが起きたの⁉︎」
「俺、ジャンケンなら無慈悲にクラエアを布教する姉の脅威にすら勝っちまうし一度もジャンケンで負けた事が無いし先攻は譲る事があってもジャンケンだけは負けてないと言う不動の不敗神話が打ち立てられている系の話があるぞ」
「ブ、ブロントさんってメチャクチャジャンケン運が強い……?」
「意外……」
「ほう……」
ブロントさんのジャンケン不敗神話を聞き蓮子達は意外だと思いつつもそのジャンケンの強さはある意味羨ましく、自分もそうだったらあの場面で連れに奢る事は無かったのにと思ってしまっていた。
そんな中でブロントさんと神奈子はファイトテーブルを展開し、デッキをシャッフルしFVを置き、手札も入れ替え準備は残りジャンケンによる先攻後攻の決定だけだった。
『ジャンケン、ポン』
「ふむ、ブロントさんの勝ちか。
ではそちらが先攻で良いか?」
「うむ、今回先攻は有難く使わせて貰うがどこもおかしくない。
じゃあ行くぜ、『スタンドアップ・』THE・『ヴァンガード‼︎』」
そして再びブロントさんがジャンケンを制し先攻を取り、そのままファイトが開始される。
ブロントさんのFVは『閃きの騎士 ミーリウス』、神奈子のFVは『レッドパルス・ドラコキッド』である。
神奈子の軸はまだこの時点では分からず、何にライドするかにより軸が決まる。
「ドロー!
ライド、『繊月の騎士 フェレックス』!
ミーリウスはヴァンガードの後ろに移動させ、俺はこれでターンエンドで良いんだが?」
「私のターン、ライド、『ヌーベルロマン・ドラゴン』!
レッドパルスはヴァンガード後ろに移動してヌーベルロマンのスキル、ヴァンガードかリアガード登場時にコストとして手札の『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』を見せてデッキの上に置く。
それからデッキからグレード3の《かげろう》を1枚見せてから手札に加える!
私が加えるのは『クルーエル・ドラゴン』!
そしてシャッフルし、アタック!
ドライブチェック『封竜 アートピケ』『引』ドロートリガー、1枚ドローだ。
ターンエンド!」
閃きの騎士 ミーリウス:P5000、C1
繊月の騎士 フェレックス:P8000、C1
レッドパルス・ドラコキッド:P4000、C1
ヌーベルロマン・ドラゴン:P7000、C1
ヌーベルロマンVSフェリックス:7000+4000VS8000=ヒット
ドライブチェック『封竜 アートピケ』『引』
神奈子:手札:5→6
ダメージチェック『月桂の騎士 シシルス』
神奈子:手札:7
ブロントさん:ダメージ:1
ブロントさんは安定のフェレックスにライドし様子を見ると、神奈子はグレード1から自らの手の内を明かす。
ヴァンガードに立ったのは『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』を軸としたデッキのサポートカードであるヌーベルロマン、更にヌーベルロマンで加えたカードは手札からスペリオルライドスキルを持つ『クルーエル・ドラゴン』、つまりは最速でヌーベルバーグとなり相手に圧力を与えようとするデッキであると判明した。
蓮子とメリーは、神奈子の使うカードを魔理沙のコレクションから見ていた為どんな動きをするかは理解しており、ブロントさんは中々曲者のデッキに当たったなと考えていた。
「ほむ、やはり守矢の軍神は相変わらずヌーベルバーグだったと言う顔になった。
懐古主義の殻を破り新しい一歩を踏み出す事も大事だが、自らのフェイバリットを限界まで極める事もまた一級の廃になる道の一つだと言う事があるので神奈子も後者なのだろうな(確信)。
ならば油断は一切出来ないだろう……ドロー!
『絶剣の騎士 リヴァーロ』にライド!
そして『ナイト・オブ・フラグメント』をコールするんだが!」
絶剣の騎士 リヴァーロ:P10000、C1
ナイト・オブ・フラグメント:P9000、C1
ブロントさんは神奈子のカードを見てかつてファイトした時とメインデッキは変わらずと言う事を確認し、1を極め10とするものを神奈子もしていると判断し、尚且つ〈かげろう〉を相手する場合の堅実策……リアガードを余り焼かせない様にコールを控え、仕掛けるタイミングを伺うを実行する。
それを見た神奈子な一瞬眉が動くが、直ぐにファイトに集中する。
「フラグメントでアタック!「ノーガード『ヌーベルロマン・ドラゴン』」
次だ、リヴァーロでアタックだ!
ドライブチェック!『青天の騎士 アルトマイル』「ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』ドロートリガー、1枚ドロー」
ターンエンド!」
フラグメントVSヌーベルロマン:9000VS7000=ヒット
ダメージチェック『ヌーベルロマン・ドラゴン』
リヴァーロVSヌーベルロマン:10000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『青天の騎士 アルトマイル』
ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』
神奈子:手札:7→8 ダメージ:2
ブロントさん:手札:5
ブロントさんは堅実に2ダメージを与え、ダメージレースではリードするも、神奈子は直前のドライブチェックと今のダメージチェックでドロートリガーを引き当て、手札を既に8枚まで増やし手札の差ではブロントさんを勝り、その点においてはブロントさん以上に次のターンの手が増えていた。
「これでダメージ2、だけどスペシャルファイターの八坂神奈子さんは次のターンで手札が9枚になるわ」
「成る程ね、ノーマルユニットのグレード4であるヌーベルバーグは採用するだけでも手札事故を誘発し易い。
だからこそそのケアをする為にヌーベルロマン・ドラゴンを採用するだけで無くドロートリガーも2種類にしてる訳ね……これは、思った以上に苦しいファイトになるかもしれないわね」
蓮子とメリーは神奈子のデッキを現状場に出たカード情報から読み取り、考察し彼女のデッキは良く考えられた物であると見抜き、更にその引きの強さも加味し幾らブロントさんであろうと苦戦は必至だと考え、固唾を飲みそのファイトの行方を見守る。
「私のターン、ドロー。
ふむ、ブロントさんが堅実策を取るか…………時間と共にファイトスタイルを昔の物から変えたらしいな…………では、どれだけ強くなったか見せて貰おうか!
ライド、『臥竜 ストライケン』!
このユニットはヴァンガード時に拘束スキルがありアタック出来ない。
代わりに次のライドしたユニットにパワー+5000とクリティカル+1を与える……だから私はこのカード達を使う!
コール、『ヌーベルクリティック・ドラゴン』!
ヌーベルクリティックのスキル、
これで相手のリアガードを1体焼き払う、フラグメントを退却!
更に手札の『クルーエル・ドラゴン』のスキル発動!
私のヴァンガードがグレード2以上でこのカードが手札にあり、相手リアガードが私のメインフェイズ中に退却した時、このカードを公開しスタンド状態でスペリオルライドが出来る‼︎
スペリオルライド、クルーエル・ドラゴン‼︎
そしてこのユニットのパワーはこのターン中-3000の修正を受ける!」
臥竜 ストライケン:P10000、C1、拘束状態(アタック不可)
ヌーベルクリティック・ドラゴン:P9000、C1
クルーエル・ドラゴン:P11000+5000-3000=13000、C1→2
神奈子は早速クルーエル・ドラゴンのスキルを有効化し、更にそのクルーエルがプレッシャーを発揮出来る様にする動きを見せさせ蓮子達はこれが神奈子が先攻だった場合対戦者がグレード1の段階でグレード3になる為逆転が更に難しくなっていただろうと言う事が容易にイメージ出来ていた。
「更に『封竜 アートピケ』をコールし、これでバトルに入る!
アートピケのブースト、ヌーベルクリティックでアタック!「残念ながらそちらのアタックは止められるので『まぁるがる』でガードするんだが!」
こちらを止めるか……ならレッドパルスのブースト、クルーエル・ドラゴンでアタック!
合計パワー17000、1枚貫通にはなるがトリガー1枚をガードに出せば止められるかもしれないが……「…………(この手札から考えれば…………)うむ、ノーガードだ‼︎」ほう……ツインドライブ『ラーヴァフロウ・ドラゴン』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』クリティカルトリガー、全てクルーエルに付与!「ダメんジチェック‼︎『風雅の騎士 ベニゼール』『ヒーリング・ペガサス』『治』ヒールトリガー、現時点で同ダメージなので回復する‼︎『ナイト・オブ・シンセリティ』」
結果は2ダメージと5000の手札1枚損失、堅実に進めるな……ターンエンドだ」
ヌーベルクリティックVSリヴァーロ:9000+4000VS10000+5000=ガード成功
クルーエル・ドラゴンVSリヴァーロ:13000+4000VS10000=ヒット
ツインドライブ『ラーヴァフロウ・ドラゴン』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
クルーエル・ドラゴン:P17000+5000=22000、C1→2
ダメージチェック『風雅の騎士 ベニゼール』『ヒーリング・ペガサス』『治』『ナイト・オブ・シンセリティ』
ブロントさん:ダメージ:3 手札:4
神奈子:手札:7
ブロントさんは持ち前のセンスと引きで有効ヒールを引き当て、ダメージ2枚と手札1枚の損失のみでこの場を凌ぎ次のターンに移る事に成功する。
「ふう、ブロントさん上手くダメージ4枚になるのを避けたわね。
しかしまぁ、相手の手札は7枚……」
「しかもブロントさんは手札4、次で5、上手く手札を整えないとこの先がキツくなる……けどブロントさんは次はグレード3、そして
そう、次のターンでブロントさんはグレード3となり、神奈子がスペリオルライドで1ターン早くグレード3に到達した為本来先攻のブロントさんから
一度
「うむ、ではスタンド&ドロォー!(イケボ)
我が騎士の誇りは汝と共にあり!
ライド、『青天の騎士 アルトマイル』‼︎
そしてGゾーン解放、コストは『ナイト・オブ・シンセリティ』!
……(さて、此処で出すべきはジーロンか、サムイルか……コスト全てを使い切る気ならサムイルだが次に残すなら…………うむ、なら)過去より来たれ、偉大なる大賢者よ!
ストライド・ジェネレーション、『撞着の大賢者 ジーロン』‼︎
ジーロンのスキル、手札から『風雅の騎士 ベニゼール』をコールし、ベニゼールにパワー+5000のパワーを奢る!
更にベニゼールのスキル、ヴァンガードが『アルトマイル』を含むなら
そしてアルトマイルの
最後に『夢の運び手 ベレヌス』をベニゼールの後ろにコールするんだが‼︎」
青天の騎士 アルトマイル:P11000、C1
撞着の大賢者 ジーロン:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード:青天の騎士 アルトマイル
風雅の騎士 ベニゼール:P9000、C1
夢の運び手 ベレヌス:P4000、C1、『☆』
ベニゼール:P9000+5000+2000+5000=21000
フラグメント:P9000+2000+2000+5000=18000
ブロントさんはジーロンかサムイルかで少し考えたが、此処はジーロンで行きリアガードを上手く展開し攻撃体制を整える。
神奈子はそれを「ふむふむ」と感心を寄せる声を出しながら見た後にブロントさんを見て笑う。
ブロントさんも釣られて笑いファイトをそれぞれ楽しんでいた。
「ではベレヌスのブースト、ベニゼールでアタック!「『ドラゴンモンク ゲンジョウ』と『ブルーレイ・ドラコキッド』でガード!」
ではミーリウスのブースト、ジーロンでアタックしベレヌスのスキル、『アルトマイル』のヴァンガードが居るならベレヌスをソウルへ移動させヴァンガードにパワー+5000と1枚ドロー!「此処はノーガードだね」
トリプルドライブ‼︎『ホーリーナイト・ガーディアン』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』『ヒーリング・ペガサス』『治』
クリティカル&ヒールトリガーゲット、パワーはフラグメント、クリティカルはヴァンガード、そしてダメージ回復!「ダメージチェック!『クルーエル・ドラゴン』『クルーエル・ドラゴン』」
そしてフラグメントでアタックだ‼︎「ふむ……ノーガード、ダメージチェック『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』ヒールトリガー、有効ヒールなのでダメージ回復」
フラグメントのGB1、ヴァンガードへのアタックヒット時にダメージ1枚を表向きにし
ベニゼールVSクルーエル・ドラゴン:21000+4000VS11000+10000×2=ガード成功
ジーロンVSクルーエル・ドラゴン:26000+5000×2VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ホーリーナイト・ガーディアン』『ナイト・オブ・フラッシュ』『☆』『ヒーリング・ペガサス』『治』
ジーロン:C1→2
フラグメント:P18000+5000×2=28000
ダメージチェック『クルーエル・ドラゴン』『クルーエル・ドラゴン』
フラグメントVSクルーエル・ドラゴン:28000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ドラゴンモンク ゲンジョウ』『治』
神奈子:ダメージ:5→4 手札:5
ブロントさん:ダメージ:3→2 手札:5
ブロントさんは神奈子にアタックをヒットさせダメージレースで再び有利になり、手札も同数となる。
麟やメリー達、更にファイト相手の神奈子はこの堅実なファイト運びに中々の感心を持ち、また蓮子とメリーはブロントさんが自分達よりまだ実力が上なのだと言う事を改めて理解し、いつか超えたい身近な人筆頭としてウズウズとしていた。
これに対し神奈子は次どう動くべきかを、そしてそろそろ本格的に動こうと考えていた。
「スタンド&ドロー。
さてブロントさん、私はそろそろ本格的に動こうと思う。
君は何処まで付いて来られるか見せて貰おうか!」
「付いて行くとか付いて行かないとか言ってる時点で勝負は決まっていた。
付いて来られるかじゃねえ、てめえの方こそ付いて来やがれと言う霊的な名台詞もあるのだが実はこれも正しくはないと言う意見。
俺ならこう答えるだろうな、その分お前を追い越してやるってな!
だから神奈子も付いて来させる気では無く置いて行く気で来いよ、そうじゃないならあっさり追い越すぞ。
おれ、ファイト力で100とか普通に出すし‼︎」
「……ふっ、そうだな、では言い改めよう。
そちらが追い越す気で来なければ私は地平の彼方へ置き去りにするかの如くファイトを展開しようと‼︎」
神奈子とブロントさんは言葉でも闘志を剥き出しにし、互いに追い付くでは無く追い抜く気で相手を追い込もうとしていた。
このファイト姿勢は己のファイトに絶対の自信がある者か決して折れぬ闘志を持つ者が持ち得る闘志そのものであり、蓮子やメリーはまだ持つに至れていない物である。
そして、この闘志が出た時こそファイトが更に加速して行く合図でもあった…。
此処までの閲覧ありがとうございました。
神奈子のデッキは先攻を取ると下手すれば相手がG1の段階からG3になり、更にG4のヌーベルバーグ(ヴァンガード時自ターン中ダメージトリガー無効、G0ガード制限)になり、更にこの時の相手はG2と言う泣きたくなる展開になってしまいます(超越あっても差が開き過ぎる可能性あり)。
しかし今回は後攻の為ブロントさんの超越が早まる結果になりました。
そして次回もファイト回、今までのファイト展開がどんな結果を齎すのかお楽しみに。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第77話「決着、騎士VS軍神」
投稿から約1日で更新出来た理由は、元々どんな展開になるか決めてそれを半分に分けて投稿した為です。
決して無茶して更新はしてませんのでご安心下さい。
では、ファイト後半をどうぞ。
追記:ファイト内容に一部ミスが見つかりましたが、結果は変わらないのでご容赦下さいませm(_ _;m)
ブロントさんのターンが終わり神奈子のターン、此処で本来は神奈子がグレード3になり
しかしこの程度は誤差、此処からが本番である。
「ドロー!
ライド、全てを超えし凡ゆる竜達の始祖!
『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』‼︎
そして『ラーヴァフロウ・ドラゴン』をコストにストライド・ジェネレーション、『神龍騎士 ムスタファー』‼︎
『ドラゴンナイト アシュガル』とヌーベルバーグをコールしムスタファーのスキル発動、
超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ:P13000、C1
神龍騎士 ムスタファー:P15000+13000=28000、C1、ハーツカード:『超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ』
ドラゴンナイト アシュガル:P7000、C1
超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグ(B):P13000-1000=12000
そうして神奈子は当初の予定通りドラゴニック・ヌーベルバーグにライドし、更に其処からムスタファーに
しかもヌーベルバーグは素のパワーからアルトマイルよりも2000高い13000、アタック時もガード時も普段なら10000ガードを出す場面も5000で済ませる事が出来る様になる為攻め方も考えざるを得なくなっていた(リアガードのヌーベルバーグが12000になってるのはリアガード時の永続スキルによるデバフである)。
「バトルに入ろうか、アートピケのブースト、ヌーベルクリティックでベニゼールをアタック!「(ちいぃ、やはり〈かげろう〉らしくリアガードを削りに来やがった、めんどくせぇ‼︎)ノーガードでベニゼールは退却なんだが‼︎」
次、ムスタファーでヴァンガードにアタック、合計パワーは32000だ!「【むむむ】…………此処はちょっとばかり危ない気がするがノーガードだ‼︎」
ではトリプルドライブ!『臥竜 ストライケン』『ラーヴァフロウ・ドラゴン』『槍の化身 ター』『☆』
クリティカルトリガー、パワーはリアガードのヌーベルバーグ、クリティカルはムスタファーに振る、そしてダメージ1枚を表向き確定だ「……っ、ダメージチェック‼︎『ナイト・オブ・ツインソード』『まぁるがる』『引』
ドロートリガー、今はヌーベルバーグがヴァンガードに立ってないので1枚ドローとアルトマイルにパワー+5000が認可さるる……今のがヌーベルバーグでなくて良かった、ハーツじゃないヌーベルバーグだったらダメージトリガー無効だった……!」
ほう、ヌーベルバーグがヴァンガードに立ってないこの場で有効ダメージドローを引き当てるか……アシュガルのブースト、ヌーベルバーグでアタックだ!「ノーガードだ‼︎」
ふむ、ターンエンドだ……さあブロントさん、君は次はどう動く?」
ヌーベルクリティックVSベニゼール:9000+4000VS9000=ヒット、退却
ムスタファーVSアルトマイル:28000+4000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『臥竜 ストライケン』『ラーヴァフロウ・ドラゴン』『槍の化身 ター』『☆』
ムスタファー:C1→2
ヌーベルバーグ:P12000+5000=17000
ダメージチェック『ナイト・オブ・ツインソード』『まぁるがる』『引』
アルトマイル:P11000+5000=16000
ブロントさん:手札:5→6
ヌーベルバーグ(B)VSアルトマイル:17000+7000+3000VS16000+ヒット
ダメージチェック『青天の騎士 アルトマイル』
神奈子:手札:5
ブロントさん:ダメージ:5 手札:6
神奈子のアタックによりブロントさんはダメージ5となり、リアガードもミーリウスを除き焼き払われ此処が踏ん張り所と言う事になっていた。
だがブロントさんは、別段焦る事無く現在の状況を把握し、次にどう動き、どう攻めるか考えていた。
「(さて、どうするかと疑問が鬼なる。
此処で決めるべきならセイントブローで突撃だが、神奈子が完全ガードを持ってたら防がれ引勝負、堅実ならサムイルで行きスキルでダメージバーンで追い込み倒すだがダメージトリガーが捲れたら最悪だが………………うむ…………此処は…………)スタンド&ドロー、今引いた『ナイト・オブ・シンセリティ』をコストにGゾーン解放‼︎
聖騎士よ、我に力と誇りを与え給え‼︎
ストライド・ジェネレーション、『閃火の聖騎士 サムイル』‼︎
アルトマイルの
ベニゼールのスキルでコストを払い、フラグメントをコールしパワー+2000を与える‼︎
更に『ナイト・オブ・フラッシュ』をベニゼールの後ろにコールする‼︎」
閃火の聖騎士 サムイル:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード:『青天の騎士 アルトマイル』
ベニゼール:P9000+5000+2000=16000
フラグメント:P9000+2000×2=13000
フェレックス:P8000+5000=13000
ナイト・オブ・フラッシュ:P5000、C1、『☆』
ブロントさんはダメージバーンのサムイルか、クリティカルのセイントブローかのどちらかで行くかを考え(どちらにせよこのターンで決める気)、そしてその結果サムイルを選択、ヌーベルバーグがアタックすればどちらにせよガード出来ない為トリガーをもリアガードとして出し、場を完全展開してスキルを有効化した。
それを見た神奈子は「ほーう……」と余裕を含めた笑みを浮かべ、いつでも掛かって来いと言う雰囲気を出していた。
「行くぜ、サムイルでアタックしスキル発動‼︎
リアガードが5体いる時に
……っ‼︎
トリプルドライブなんだが‼︎『まぁるがる』『引』『ヒーリング・ペガサス』『治』『絶剣の騎士 リヴァーロ』
ドロー&ヒールトリガー、パワーは左右に振り1枚ドローとダメージ回復‼︎
ナイト・オブ・フラッシュのブースト、ベニゼールでアタック、合計パワーは26000‼︎「ラーヴァフロウでガード、インターセプト!」
ならこっちだ、フェレックスのブーストを入れたフラグメントでアタック、パワーは31000だ‼︎「ター、ストライケンでガード、合計シールド値は33000だ」
うぐ……ターンエンドなんだが‼︎」
サムイルVSヌーベルバーグ(A):26000+5000(+ダメージバーン1)VS13000+5000+0=完全ガード
トリプルドライブ『まぁるがる』『引』『ヒーリング・ペガサス』『治』『絶剣の騎士 リヴァーロ』
ベニゼール:P16000+5000=21000
フラグメント:P13000+5000=18000
ベニゼールVSヌーベルバーグ(A):21000+5000VS18000+5000×2=ガード成功
フラグメントVSヌーベルバーグ:18000+13000VS18000+10000+5000=ガード成功
神奈子:手札:1 ダメージ:5
ブロントさん:手札:5
しかし、ブロントさんがサムイルで与えたダメージバーンがまさかのドロートリガーを誘発し、更に引いたカードが完全ガードだったと言う最悪のパターンに当たり、このターンで決め切る筈が耐え切られてしまった。
「嘘⁉︎
ブロントさんが今のを決め切れなかった⁈」
「ヌーベルバーグの元々のパワーが13000あってダメージドローも入っちゃったから、あの手札の数でも十分耐え切れてしまったのね……!」
「しかも今のでブロントさんはトリガーを手札に3枚も引きました。
グレード0のガード制限と22000ラインのリアガードが一箇所、インターセプト完全ガードが1枚あってもヌーベルバーグがいやらしく配置されてますから油断なりません……!」
「うへぇ、ガードミスがなきゃ良いけど……」
ファイトの様子を見ていた蓮子達チームファンタズマの面々は手に汗握り、ヌーベルバーグの配置やガード値計算などを間違えた瞬間負ける可能性のある為、いつも以上にプレッシャーを感じていた。
そしてそれはブロントさんも同じであり、神奈子の残り手札次第でも勝敗を分けてしまいかねないからであった。
「さて、ドロー……ふむふむ、これは…………アートピケのラインは捨てるか。
私はライドフェイズをスキップしメインフェイズへ移行する。
そしてダメージが4枚以上の時、限界の壁は突き破られる!
超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグの
「うぐ、インターセプトが潰された……‼︎」
ブロントさん
布陣
R アルトマイル R
R R R
神奈子はそんなブロントさんの希望を打ち砕くべくヌーベルバーグのLB4でリアガード全てを焼き払い、インターセプトを潰すだけで無く次のブロントさんのアタックすら潰す攻勢防御を展開。
代わりにアートピケの前にユニットが居ない為アタック回数は2回だが、最早そんな事は瑣末な事。
此処でブロントさんの手札は全て使い切る、それを成し反撃手を失わせ更に次のターンで仕留めると神奈子は考えていた。
「さあブロントさん、その手札にある完全ガードとトリガー3枚を使い切って貰おう!
ヴァンガードのヌーベルバーグでアタック!「完全ガード‼︎」
そう、その残った手札はトリガーだ『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』『槍の化身 ター』『☆』それを私がダブルトリガーを引き全て削り切るまでが算段だ、全てリアガードのヌーベルバーグに付与しアシュガルのブーストでアタック‼︎「ガードッ‼︎」
これで私はターンエンド、次のブロントさんのターンで逆転の手を引かなければ私の勝ちだ」
ヌーベルバーグ(A)VSアルトマイル:13000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』『槍の化身 ター』『☆』
ヌーベルバーグ(B):P12000+5000×2=22000、C1→3
ヌーベルバーグ(B)VSアルトマイル:22000+7000+3000VS11000+10000×2+5000=ガード成功
ブロントさん:手札:0
神奈子:手札:3
ブロントさんは完全に追い詰められ、手札を全て使い切られてしまいブーストもままならず、また此処でグレード2を引きアルトマイルのGB2……アタック時に前列のユニット全てにパワー+5000を与えようが防がれてしまう手札を神奈子が持っている。
此処でブロントさんは2枚目のジーロンに
よってブロントさんは次に引くカードはグレード3かシシルスでなければならなかった。
「うおぉ……ブロントさん引き当てて……‼︎」
「……(ゴクリッ)」
蓮子達も祈りながらブロントさんを見つめ、ブロントさん自身もシシルスかグレード3を引かなければならないのを理解してる為深呼吸をしてリラックスし、目的のカードのどちらかを引き当てるのをイメージしながらアルトマイルに指を掛ける。
「……すぅ…………はぁ…………スタンド&ドロー!」
そしてブロントさんが引いたカードは……。
「…………ストライド・ジェネレーション、撞着の大賢者 ジーロン‼︎
『月桂の騎士 シシルス』、
そして逆転のチャンスを掴んだブロントさんはラストアタックを神奈子に向け放つ。
「36000になったジーロンで超越龍 ドラゴニック・ヌーベルバーグをアタック‼︎「ふむ、逆転のチャンスを得たか……なら、ブルーレイ・ドラコキッド、ター、ヌーベルロマンでガード‼︎
38000のガード値、トリガー1枚さえあれば突破可能、さあ此処が我らの闘いの終着地、汝が力が此処で果てるか、この先へ行くか見せよ‼︎」
トリプルドライブ‼︎『ナイト・オブ・ツインソード』
セカンドチェック‼︎『天駆ける塔のアーチャー』
コイツが泣いても笑ってもラスト、サードチェックだ‼︎『夢の運び手 ベレヌス』『☆』
クリティカルトリガー、効果は全てジーロンに与えパワー41000とクリティカル2になった‼︎
よってガードは突破だ‼︎」
ジーロンVSヌーベルバーグ(A):36000VS13000+10000×2+5000=ガード成功
トリプルドライブ『ナイト・オブ・ツインソード』『天駆ける塔のアーチャー』『夢の運び手 ベレヌス』『☆』
ジーロン:P36000+5000=41000、C1→2、ガード突破
ダメージチェック『プロテクトオーブ・ドラゴン』
ブロントさん:WIN
神奈子:LOSE
ブロントさんはトリプルドライブの3枚目でベレヌスを引き当て、合計シールド38000のガード値を合計パワー41000で突破しダメージ6枚目を与えゲームエンドに持ち込む事に成功した。
最後のダメージをチェックした神奈子は静かに瞳を閉じて置き、ブロントさんが勝ったと言う事を無言ながらも伝え、蓮子達はそれを見て喜んだ。
「や、やったぁ‼︎
ブロントさんが勝った‼︎
スペシャルファイターに勝った‼︎」
「よっしブロントさんナイスファイト&グッドウィン‼︎
スペシャルファイターに勝ったから守矢コインも300枚入るわ‼︎
これで予定通りゴールに向かえば高確率で予選突破よ‼︎」
「流石です、ブロントさん!」
「うむ、ナイトにかかればこれくらいチョロい事は初めから決まっていた。
一級の廃のナイトは……」
ブロントさんも蓮子達に駆け寄り神奈子に勝利した事を喜び合い、全員から眩しい笑顔が溢れていた。
そして神奈子に勝った、これによりスペシャルファイターを倒した時に貰える守矢コイン300枚が手に入りこのままゴールへ向かえばブロントさんが予測したコインを荒稼ぎしているチームも追い抜く確率も増えた為、チームファンタズマの面々はこのままスタート地点兼ゴールへ向かう事に気持ちが向いていた。
一方それを見ていたデッキを片付けてる神奈子は……。
「(ふむ、守矢コイン300枚を与える事は確定として…………ブロントさんには少し忠告せねばならんな…………)」
守矢コインを与えると同時にブロントさんには何か忠告をすると言う事を考えながら片付けていたのだ。
何故神奈子はこのファイト間でブロントさんに忠告を聞かせる考えを出してしまったのか、その理由とは…………。
「…………どうやらブロントさんが八坂神奈子殿に勝った様です」
「ありがとうございます『椛』さん。
矢張り予定通りブロントさんのチームが勝ちゴールへ向かってきますか……」
「なら我々は先回りしブロントさん達を待ち構えるべきですな。
私達の予選突破、それはブロントさんを目撃してから決まった事…………ブロントさんのチームをこの手で倒さない限りなされない…………よってこの『チーム神風』は貴方達の前に立ちはだからせて貰いますよ……」
そして、その様子を『千里先まで見通す程度の能力』を持つ『犬走椛』がスタート地点でブロントさんに狙いを付けた白と青の巫女服を着た緑髪の少女と蓮子達のファイトを覗き見し、同じくスタート地点から狙いを付けた黒髪の少女と茶髪のツインテールが特徴の少女に伝え、彼女達はチームファンタズマよりも先回りしゴール地点付近に向かい出した。
ブロントさんが居るチームファンタズマを倒し、名実共に予選突破し本戦へと駒を進める為に…………。
此処までの閲覧ありがとうございます。
遂に予選が終わりに近付きつつありますが、この運命流転編自体はまだ続きますのでお付き合い下さいませ。
さて、神奈子がブロントさんにどんな忠告を入れるのか、また何故忠告を入れる事になった理由とは……答えは次回に。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第78話「幻想と神風」
今回は文自体がやや短めの為早く上げられました。
会話オンリー回なのでスラっと読めると思います。
では、本編ヘどうぞ。
ブロントさんが神奈子に勝利し、チームファンタズマが喜び合う中神奈子は蓮子達に守矢コイン300枚が入った小袋を手に持ちながら近付き話し始めた。
「コホン、よくぞスペシャルファイターであるこの私に勝利を収めたな。
褒美にこの守矢コイン300枚を君達に差し出そう!
さあ、受け取りたまえ」
「はい!
……うん、きっちり300枚ある。
じゃあ皆、今からゴールに向かうわよ、このまま予選突破して行くわよ‼︎」
『おう/はい/ええ/勿論よ!』
蓮子は守矢コイン300枚を確認した後、全員に最後の気合入れの掛け声を掛け、他の四人はそれぞれの反応で声を出し、気合は十分だと言う事を蓮子に示しそのまま走り出そうとした。
「おっとブロントさん、君には少しだけ話があるからちょっと残って欲しい。
何、ほんの2、3分程度だから心配は要らんから他の皆はゴールに向かうなら真っ直ぐ向かって欲しい、話が終われば直ぐに追い付かせるよ」
「えっ、ブロントさんに……?
ブロントさん、大丈夫?」
「ああ、俺は2、3分程度ならとんずらを使ってきょうきょとして参戦してやる事が出来る一級の廃のナイトだからよ先にゴールへ行っても大丈夫だと心の広い余裕が表情になって現れるからよ、全員先に行っても構わないぞ?
話を終えたら直ぐ追い付く所か追い越してしまうぞ」
すると神奈子はブロントさんに話があるとしてブロントさんを引き止め、蓮子達は大丈夫なのかと心配するが本人は直ぐ追い付くとして余裕のある表情で話し、全員を先に行かせようとしていた。
それを聞いて蓮子達は分かったと一言言ってゴールに向かって、しかしブロントさんが直ぐに追い付き且つ時間内にゴールに着く程度の速さで走り出しその場を後にした。
そして二人しか居なくなった所でブロントさんから口を開く。
「さて、今は俺とお前の二人だけになったしこれでその少しの話が認可される事になったんだが話って何か用があるんですかねぇ?
内容がムクムクと気になりだしたので早く話すべきそうすべき、蓮子達に追い付きたいからそうすべき」
「うむ、では話そう…………ブロントさん、君は先のファイトでサムイルを使い私にダメージを与えた場面、あそこで君はセイントブロー・ドラゴンを使い私にクリティカル2のアタックをやる選択肢もあった筈だが何故サムイルを選んだのか答えて貰いたい」
ブロントさんが口を開かせ、神奈子から出て来た言葉はサムイルを使った場面でセイントブローを使う選択肢もあった筈なのに何故サムイルを使ったのか理由を話して欲しいと言う物だった。
ブロントさんは首を傾げ、何故そんな事をと思いながら話し始める。
「……何故お前がそんな事を鬼の首の様に粘着してるのか分からないんだが答えられない事ではないので答えようと思った感。
あの時確かにサムイルを使った場面でセイントブローを使う選択肢もあったんだが、あそこでセイントブローを使えば完全ガードで防がれてしまいダメージ1枚で終わってしまうかもしれないと超頭脳を持ったナイトは重い、なら確実に手札を使い切らせてダメージも取れたサムイルでやればあのターンで決められると考えたんだが?
まぁ、堅実論でね。
結果的に防ぎ切られて神奈子にリアガードを全滅させられたんだが、これまた結果的に勝てたので良かったと思わず一息をついたがな」
「ふむ…….……矢張りそう言う事か…………」
それをブロントさんが受け答えると、神奈子は矢張りと言ってその回答を予測していた様に振る舞い、顎に手を当てながら少し悩ましい雰囲気を出していた。
「それでそれが一体何が問題あるわけ?」
「……ブロントさん、一つだけ忠告をしよう。
君の今のファイトスタイルは堅実的で確実性を求めた物であると思う。
まるで二度と失敗はしない、過ちは繰り返さない、そんな雰囲気をその内に秘めたファイトスタイルだ。
無論問題は無いし寧ろ成長の為のものだとは思う。
そしてそれは実を結び君は今の実力を獲得するに至った。
だが…………はっきり言おう、今の君は堅実、確実を求める余り一歩の冒険をしていない。
その為先のファイトみたく決着が1ターン遅れたりなどの弊害も出たりしてるし…………何より、昔の君……チーム博麗が存在し、君がチームDRAKを率いていた頃と比べると『弱くなった感じ』がする。
実力は昔の君と比較すれば間違い無く今の君の方が優っているだろう…………が、『体感的に感じる君のファイト力は弱くなっている』気がするのだ。
無論これは誰彼が気付く訳で無く君を詳しく知る者や私の様に他者の実力を見抜く事に長けた者にしか気付けぬ些細な物だが……。
もしかしたら近い将来、それが原因で大事なファイトを落とすかもしれない、気を付けた方が良いぞ。
それで君は重い物を背負い込む可能性のあるのだからな」
「……おいィ?
お前ら今の言葉聞こえたか?
「聞こえない」「何か言ったの?」「俺のログには何もないな」。
俺は昔の俺と比べたら確かに堅実なファイトをする様になったが昔の一皮剥けてない貧弱ナイトの俺と比べたら明らかに強くなってるしぜぇんえzん問題ないので下手なネガスレ立てるは止めろよ奥歯ガタガタにさせられたいのか?
俺は強いし神奈子にも勝った、だから何も問題なかったのは既に証明されていた、見ろ、見事なカウンターで返した!
なので下手な心配はひ不要なので【安心してください】、俺はこれからも負けないぞ」
神奈子は堅実なファイトをする様になったブロントさんに対して忠告をし始めるも、ブロントさんはそれを聞かず寧ろ大丈夫だと言って聞く様子が無かった。
それを見た神奈子は溜め息を付きながらブロントさんを見据え、分かったと一言言って話を終わらせそのままブロントさんをチームファンタズマの下に向かわせる。
「(…………大丈夫、君はそう言うがブロントさん、私には大丈夫とは思えないよ。
寧ろ、本当に近い将来に……)」
その背中を見ながら神奈子は心の中で独白し、心配しているのであった。
そう、ブロントさんが近い将来に大事なファイトを落とし躍起になるかも知れない、そんな不安な未来を神奈子はイメージしてしまい先行きが真っ暗な道をブロントさんは歩んでしまっていると思い始めていた。
その近くにチームメイト達が居ても尚、その道は晴れる事が無いと………………。
その後、ブロントさんはとんずらで9秒で追い付きそのままゴールへと向かい、途中で見つけた落ちてる守矢コインを拾いつつ迅速に行動していた。
そうして手早く移動優先で動いた結果、予選終了時間25分前にゴールが見える距離まで来る事が出来ていた。
「見えた!
このまま一気にゴールまで突っ走るわよ!」
「うむ、とんずらを使ってきょうきょとしてゴールに向かった事により余裕の表情を出しながら来てしまったのでこれにてこの予選ははやくも終了ですね!「それはどうでしょうかね、ブロントさん達?」
……ほう」
蓮子達はそのままゴールまで走り抜けようとした所、ゴール目前で蓮子達を呼び止め、更に進行を阻む様に横の草むらから目の前に現れた四人の少女が居た。
そしてブロントさん、麟、菫子はその顔を知っていた。
四人はブロントさん達の知り合い……ライバルであり、仲間であった人物達であった。
「……ブロントさん、この人達は?」
「うむ、あの黒髪のリア♀は『射命丸文』、よく家に来てはマルサの家の窓拭きや焚き火の可燃材料に使われる新聞の一つ、文々。新聞を作ってる新聞記者にして幻想郷最速の種族鴉天狗の一人。
茶髪ツインテは文と同じく花果子念報と言う新聞を書く新聞記者で鴉天狗の『姫海棠はたて』、勿論窓拭きや焚き火に使われる。
白髪の犬耳が生えた奴は妖怪の山を警備する天狗ポリスのナイトと呼ばれる白狼天狗の一人『犬走椛』。
そすて緑髪の巫女服着てるのは博麗神社の最大のライバルにして里の人々の信仰がNMクラスの守矢神社、其処の巫女で現人神『東風谷早苗』だ。
全員俺達のライバルであり仲間であった奴だよ……一人は少し違うがな」
蓮子の問いにブロントさんは目の前の四人の名をそれぞれ言い、それを聞き蓮子とメリーは魔理沙の家に来る新聞……文々。新聞と花果子念報の二つを書く新聞(ブロントさんの言われた通りの使われ方をしてる)を書いてる新聞記者であり、更に博麗神社のライバルと聞いていた守矢神社の巫女と妖怪の山を守る者の一人がチームを組んでいると頭で理解し、四人がチームファンタズマの前に立ちはだかったのはこの場でファイトをする気なのだとも理解していた。
「あややややや……魔理沙さん私達の新聞をそんな風に使ってるとは……(汗)
しかしそれはそれこれはこれ、これからのファイトには関係ありませんな……コホン。
我々チーム神風はブロントさん達を予選開始前に目撃した時からこんな目標を立ててました。
貴方方を倒して予選突破をすると。
我々もスペシャルファイター、つまり八坂神奈子さんを予選開始から少し後に倒し、更に守矢コインを荒稼ぎしたのですよ。
ですが、ヴァンガードファイターとしてトップクラスであるブロントさんとその仲間達、貴方達を倒さねば真に予選突破は出来ず勝ち逃げの形になる。
そう予選開始前に思い、貴方方のファイトを観察する事で確信に至りましたよ。
故に我々はそんな情けない勝利は要らない、完全な形で予選突破をすべく貴方方を最後のターゲットとしたのです!」
「……成る程、私らを倒せばこの予選を制した事になるって訳ね。
でも逆を言えば私らが勝てば予選突破は貴女達のコイン全部加えれば確実、ファイトしない理由なんか全くないわね!
良いわよ、私達チームファンタズマは全守矢コインを賭けてチーム神風に挑むわ!」
射命丸はほんの少し新聞が変な使われ方をしてるのが胸に刺さるもそれはそれとして脇に置き、チーム神風が何故チームファンタズマにこのタイミングで戦うかを独白し、それを聞いた蓮子が前に出て帽子に手を掛けながら啖呵を切る形でファイトを受ける。
それを聞いた両チームの面々はゴール手前で互いに火花を散らし合い、いつでもファイト出来る態勢となった。
そして残るはチーム内で2人出るかを決める場面になった。
「良し、これがこの予選最後のファイトよ!
必ず勝って本選へ行くわ!
出るメンバーは菫子姉さんとブロントさん、2人に出て貰うわ!
ブロントさん、連戦で悪いんだけど平気?」
「任せておくべきナイトは防御も高いが実は体力も盾としての仕事を果たすべくかなり高いという話もあるので問題ないぞ」
「私もOKよ蓮子!
さぁてブロントさん、いっちょ暴れますか‼︎」
「おう‼︎」
蓮子はチーム神風とファイトする2人を菫子とブロントさんに決め、2人に予選突破の是非を託した。
一方チーム神風は早苗とはたてを選出し2人と相対させた。
組み合わせとしては菫子VS早苗、ブロントさんVSはたてである。
「うわぁブロントさんが相手か…………いずれ戦うかも知れなかったから覚悟してたとは言え貧乏籤を引いたわね…………けど、やるからには全力を尽くしてやるわよ!」
「おう、ほたてもやる気がむくむくと湧いてるらしくこれなら全力で楽しめそうだとワクワクが表情に現れてしまうな!
いいぜ、全力で来い‼︎」
「私の相手は菫子さんでしたか、成る程成る程……時に貴女守矢神社には来ないで良く博麗神社に顔出してましたよね?
つまり博麗神社の信者と言う訳になりますね?
ならば!
私がファイトに勝った暁には守矢神社に鞍替えして頂きましょうか‼︎
大丈夫、守矢神社はれっきとしたホワイトな環境が整った神社です、なのでさっさと鞍替えする事をオススメしますよ〜‼︎」
「早苗私に会う度に何かと理由付けて守矢神社の信徒になれって言って来るわよね⁈
だから別に私は博麗神社の信徒でも無いし守矢神社を信仰してる訳でも無い自由気ままなJKって言ってるでしょ‼︎
そんなに言うんだったらこのファイトで私が勝ったら今後暫く、具体的には博麗神社に霊夢が帰って来るまで禁止‼︎」
それぞれが互いに対し火花を散らし、準備を進めてながらファイト開始直前に入った。
尚菫子と早苗はまるでアンティファイトの様に条件を出し合いながらファイトをしようとしてはいるが、これはアンティファイトが発生しない大会のファイトの為必ず守るアンティでは無くこの2人特有のジャレ合いである為別段意味の無い物である。
そして菫子達はそれぞれのFVをスタンドアップさせ、ファイトを始めるのであった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
物語としてはブロントさんの堅実なファイトに対し神奈子が忠告しました。
敢えて書くとすればブロントさんのファイトもある種正解です。
ファイトスタイルは人それぞれですので正解もまた千差万別です。
にも関わず神奈子は忠告致しました。
これが余計なお節介となるか、又は的中するかは今後をお楽しみに。
そして次回からまたファイト回となります。
その結果とは……?
次回もまたよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第79話「番狂わせ」
第79話目の更新です。
タイトルからネタバレになりそうでなんなのか分かり辛いですが、本編を見て頂くと判明します。
それにしてもVシリーズのリメイクユニット達……色々と調整されてるなぁと思う今日この頃です。
では、本編へどうぞ。
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
「『祈りの神器 プレイ・エンジェル』!」
「出でよ、クレイの平和を守りし正義の使者!
『次元ロボ ゴーユーシャ』‼︎」
菫子はイメージ内でプレイ・エンジェルにライドすると、その目の前で早苗の霊体は四方から集まった眩い光に包まれ、それが途切れた瞬間早苗はヴァンガードを極大強化し、其処から得られるスキルによるド派手な一撃必殺を得意とするクレイを守る正義のヒーロー〈ディメンションポリス〉のFV、ゴーユーシャにライドしていた。
「早苗は相変わらず『次元ロボ』軸。
となれば『超次元ロボ ダイカイザー』とかも入ってる筈、警戒しなきゃね……ライド、『蛙の魔女 メリッサ』にライド!
プレイ・エンジェルは後列に移動してターンエンド!」
祈りの神器 プレイ・エンジェル:P5000、C1
蛙の魔女 メリッサ:P7000:C1
菫子はメリッサにライドしながら早苗のデッキにあるであろう超次元ロボ ダイカイザー……ブレイクライドでパンプのみならずクリティカルも上昇し、更にドライブチェックでグレード3が出れば相手のガーディアンを退却し、完全ガード等のヒットしないスキルすら無力化するスキルを付与する厄介なグレード3を警戒していた。
「私のターン、ドロー!
ライド、『次元ロボ ダイマリナー』!
ヴァンガードにアタック!「ノーガード」
ドライブチェック!『次元ロボ ダイライオン』」
次元ロボ ゴーユーシャ:P5000、C1
次元ロボ ダイマリナー:P7000、C1
ダイマリナーVSメリッサ:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『次元ロボ ダイライオン』
ダメージチェック『神界獣 フェンリル』
菫子:ダメージ:1 手札:5
早苗:手札:6
序盤はまだ派手な動きは無く、通常通りヴァンガード同士の殴り合いのみで終わりトリガーも無く、菫子はダメージ1のみを受けた。
此処までは菫子も早苗も予測した範囲内、次から如何にファイトを運ぶかが勝負の行方を左右する様になる。
「私のターン、ドロー!
『運命の神器 ノルン』にライド!
そしてコール、『戦巫女 サホヒメ』!
ノルン、アタック!「これはお祈りガード、『次元ロボ ダイウルフ』!
ドライブチェック『凍気の神器 スヴェル』当たらないか……次にサホヒメでアタック!「こちらはノーガード『次元ロボ ダイクレーン』『引』ドロートリガー、1枚ドローですよ!」
サホヒメのスキル、ヴァンガードにアタックがヒットした時
(ソウルにはカモミールとクリア・エンジェルとアンジェリカが入ったわね)ターンエンド!」
運命の神器 ノルン:P9000、C1
戦巫女 サホヒメ:P9000、C1
ノルンVSダイマリナー:9000+5000v7000+10000=ガード成功
ドライブチェック『凍気の神器 スヴェル』
サホヒメVSダイマリナー:9000VS7000=ヒット
ダメージチェック『次元ロボ ダイクレーン』『引』
早苗:手札:5→6 ダメージ:1
菫子:手札:5
次の菫子のターンも比較的静かに進み、全て両者がイメージした通りに進み次は早苗のターンへと移る。
通常なら此処でライドとコールをし、そのままアタックをするのが定石である……が、『次元ロボ』軸、特にゴーユーシャやその他のユニットにはこの定石を覆すロマン砲の様な手があり、また早苗も普段から『この幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!』と言うある種の境地(側から見れば変な思考)へと至り、破天荒な行動すら平然と行い、更にそれはファイトスタイルにも表れている。
故に早苗には普段のファイトの定石など全くと言って良い程通用しないのだ。
「ドロー!
『次元ロボ カイザード』にライド!
メインフェイズ、『次元ロボ カイザーグレーダー』をコール!」
次元ロボ カイザード:P9000、C1
次元ロボ カイザーグレーダー:P7000 C1
「さて、展開して来たわね」
「私達は守矢の巫女さんの事は知らないから此処から如何するのか……」
蓮子とメリーは早苗が定石通りの展開をしたと思い、此処から如何に動くのかを考えながら見ていた。
しかし、早苗はそれを聞きニヤリと笑いながら瞳を閉じた。
それを菫子と麟は知っていた……この表情を浮かべた時は派手に動いて来ると。
「ノンノンお二人さん。
幻想入りして間もないから知らないのも無理はないとは思いますが私がこれだけで終わるとは考えないで下さい。『⁇』
何故なら、この幻想郷では常識に囚われてはいけないのです‼︎
定石?
セオリー?
そんな物はこの東風谷早苗の辞書には有らず‼︎
よって私はファイトに勝つ為に……派手に動いてやりますとも!
カイザーグレーダーのスキル発動‼︎
私のヴァンガードがカイザードで相手のヴァンガードがグレード2以上なら
正義の心は永久不滅ッ‼︎
悪を討ち、惑星クレイの平和を守る為に出でよ、皇帝の名を冠せし勇者‼︎
超次元合体、超次元ロボッ!
ダイ・カイ・ザー!!!」
『…………(ポカーン)』
超次元ロボ ダイカイザー:P11000+5000=16000、C1
早苗は確かにグレード2にライドしたがそれだけでなく神奈子がブロントさんに見せたメインフェイズでのスペリオルライドをやってのけ、その上で高らかと正義の味方風の口上を言うが、蓮子とメリーはそのノリに少し付いて行けなかったのか思考が停止し、ただただその光景を見ているしかなかった。
しかもその内容が頭に入っているかは別として。
「へぇ〜、今回はゴーユーシャ経由でもダイハート経由でも無くカイザー系列なんだ」
「はい。
ダイハートはダイランダーごと引けずダイバトルスが手札に無かったのでこちらを使いました。
まぁそのお陰か今回はリアガードを残せますがね!
カイザードのスキル、《ディメンジョンポリス》がライドした時、パワー+5000!
更に『次元ロボ ダイジェット』と『次元ロボ ダイライオン』をコール!
ゴーユーシャのブースト、ダイカイザーでアタックしスキル発動、パワー+2000!「ノーガードノーガード!
この序盤から21000オーバーはガードしたくないわ!」
ふふふ、ノーガードで良いのですね?
ならば見せましょう、守矢の現人神が起こす奇跡を!
ツインドライブ‼︎『次元ロボ ダイバトルス』『☆』『次元ロボ ダイウルフ』『☆』
ゲット、クリティカルトリガーダブル‼︎
クリティカルは無論ダイカイザーへ、パワーはダイジェットに‼︎「ウソォ⁉︎
ダメージチェック⁉︎『衰微の女神 ヘル』『鏡の神器 アクリス』『醒』
スタンドトリガー、パワーはヴァンガードに、サードチェック……『慈悲の神器 エイル』『治』やったヒールトリガー!
ダメージ回復とパワーはヴァンガードに!」
おや、運が良いですね。
ですが攻撃は緩めないです、ダイジェットでノルンをアタック!「させないわよ、『遠見の神器 クリア・エンジェル』でガード!」
これで私はターンエンド、菫子さんのターンですよ」
次元ロボ ダイジェット:P9000、C1
次元ロボ ダイライオン:P7000、テ C1
ダイカイザーVSノルン:16000+5000VS9000=ヒット
ツインドライブ『次元ロボ ダイバトルス』『☆』『次元ロボ ダイウルフ』『☆』
ダイカイザー:C1→3
ダイジェット:P9000+5000×2=19000
ダメージチェック『衰微の女神 ヘル』『鏡の神器 アクリス』『醒』『慈悲の神器 エイル』『治』
ノルン:P9000+5000×2=19000
菫子:ダメージ:4→3
ダイジェットVSノルン:19000+7000VS19000+10000=ガード成功
早苗:手札:4
菫子:手札:4
ダイカイザーへとライドし、更にリアガードを展開した早苗はダブルクリティカルを引き当て一気に詰めようとするも、菫子もダメージトリガーで有効ヒールを含めた2枚のトリガーを引き当てダメージ3枚でギリギリ踏み止まる。
しかし早苗のグレード3は必ずクリティカル2以上で殴るタイプの為最早デッドラインに足を踏み入れてしまってる事を菫子は理解している為冷や汗が出始め、次のターンで再び巻き返さなければならなかった。
「すぅ、はぁ……よし!
スタンド&ドロー!
叡智を以って世界の真理を暴け!
ライド、『叡智の神器 アンジェリカ』‼︎
更にストライド・ジェネレーション、全てを照らす聖火!
『聖火の究極神器 デメテール』!
『神界獣 ハティ』をコールし、バトル!
デメテールでヴァンガードにアタック、スキル発動!
……(今の
「ふーむ、今のでアクリス2枚とノルンが入りましたから次の
私の奇跡の頭脳と勘が囁いてます、このターンでは負けないと!
ならノーガード!」
「トリプルドライブ!『凍気の神器 スヴェル』『戦巫女 サホヒメ』『戦巫女 ククリヒメ』『☆』
クリティカルトリガーゲット、クリティカルはヴァンガード、パワーはサホヒメに!「ダメージチェック!『次元ロボ ダイシールド』『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』」
サホヒメでアタック!「ダイウルフとダイバトルスでガード‼︎」
ターンエンド…………勝負は此処からね……!」
叡智の神器 アンジェリカ:P11000、C1
聖火の究極神器 デメテール:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード『叡智の神器 アンジェリカ』
神界獣 ハティ:P7000、C1
デメテールVSダイカイザー:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『凍気の神器 スヴェル』『戦巫女 サホヒメ』『戦巫女 ククリヒメ』『☆』
デメテール:C1→2
サホヒメ:P9000+5000=14000
サホヒメVSダイカイザー:14000+7000VS11000+10000×2=ガード成功
菫子:手札:6 ソウル:8
早苗:ダメージ:4/5 手札:2 ドロップ:3
菫子はアンジェリカにライド後、デメテールに
そしてこの次のターン、早苗の番になった瞬間こそが正念場であり、耐え抜けば勝ち目が出ると考え全力で守ろうとしていた。
「菫子姉さん気合が入ってる。
となると次が」
「ええ、早苗さんの必殺の一撃が来ます!」
その雰囲気を蓮子とメリーは感じ取り、更に麟が早苗の詰めの一撃が来ると発言して観戦中の3人にも緊張が走る。
因みにブロントさんも同時にファイトしているが、こちらもはたてのターンになりそちらはそちらで進んでいた。
「ふっふっふ、遂に私のターンが来ました‼︎
さあさあ此処が大詰め、泣いても笑ってもファイナルターンです、ドロー‼︎
正義の皇帝よ、秘められし真の力で暗雲を薙ぎ払え‼︎
真・究極次元合体‼︎
『真・究極次元ロボ グレート、ダイ・カイ・ザー』!!!!!『真・究極次元ロボ グレートダイカイザー‼︎』」
真・究極次元ロボ グレートダイカイザー:P11000+10000=21000、C1→2
早苗のファイナルターン宣言に応える様に風が吹き荒れ、更にイメージ世界でダイカイザーがアンジェリカ達の頭上の空に高々と飛ぶと、戦いが起きている地点の遥か先の空から『超次元ロボ シャドウカイザー』が現れダイカイザーと手を取り合うと、二体の次元ロボは合体を果たし真・究極次元ロボ グレートダイカイザーになる。
そしてブレイクライドのスキルでグレートダイカイザーはパワーとクリティカル、更にスキルを獲得し着実と重い一撃を加えようとしていた。
「ブレイクライドスキルで
まだまだこれからですよ、ダイマリナーのスキルを発動、このカードをソウルからドロップする事でヴァンガードにパワー+3000!
そしてドロップゾーンに4枚のカードが置かれた今、鋼の皇帝は鋼の勇者と手を取り合う!
シークメイト、ドロップゾーンの4枚を戻してレギオンメイト『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』を呼びます‼︎
燃え上がれ正義の魂‼︎
クレイの平和を守る為に‼︎
「なっ、『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘
「まだまだですよぉ‼︎
ダイカイザーと『次元ロボ ダイランダー』をコールして、ダイランダーのスキル、
究極次元ロボ グレートダイユーシャ:P11000+2000=13000、C1→2
次元ロボ ダイランナー:P6000、C1
グレートダイカイザー:P21000+3000+4000=28000
早苗:手札:0
布陣
ダイジェット Gダイユーシャ/真・Gダイカイザー ダイカイザー
ダイライオン ゴーユーシャ ダイランダー
更に早苗はダイマリナーのスキルを使い条件を満たして
蓮子とメリーはグレートダイカイザーの
しかし、オリオンでも手札をいきなり使い切る事は滅多に無い為矢張り似ているだけで何処か違うのである。
「くぅ、ダイカイザーとそっちのグレートダイカイザーが合わさったかぁ〜‼︎」
「ふっふっふ、さて菫子さぁ〜ん?
貴女はその手札でどれだけこの攻撃を凌げますかぁ〜?
では、行きます!
ダイカイザーでサホヒメをアタックです!「やっぱりインターセプトを潰して来たか…!」
グレートダイカイザーとグレートダイユーシャで、
因みに今のグレートダイユーシャはソウルの『次元ロボ』が3枚以上なので
『凍気の神器 スヴェル』2枚で先ずガード、それぞれスキル発動、
クインテットウォールダブル‼︎
……合計シールド51000、まだ足りない‼︎
ククリヒメメリッサでガード‼︎
お願いこれで止まって‼︎」
成る程そう来ましたか……なら引いて吹き飛ばしますとも、ツインドライブ‼︎」
ダイカイザーVSサホヒメ:11000+6000VS9000=ヒット、退却
Gダイカイザー/GダイユーシャVSアンジェリカ:41000+5000VS11000+5000×3+10000×4+0×5=ガード成功
早苗のインターセプト潰しは無視し、センターラインのアタックをクインテットウォール……デッキの上から5枚をガーディアンとしてコールする完全ガードと対を成すもう一つの
蓮子とメリーはこの動きに早苗のグレートダイカイザーには何かあると思い、麟にそれを聞く。
「ねえ麟、菫子姉さんがあんなに過剰なガードをするって、グレートダイカイザーには何かあるの?」
「はい、更にブレイクライドで得たスキルも。
先ずはダイカイザーのブレイクライドで付与されたスキルは、ドライブチェックでグレード3が出た瞬間相手のガーディアンを退却させ、完全ガードのスキルも無効化します。『えっ⁉︎』
更に真・究極次元ロボはレギオンメイトがクリティカル2以上の時に同じくグレード3が捲れたら、
だからこそ菫子さんは、グレード3が1枚捲れてたらガード仕切れないですが、引かない事に賭けてガードしつつ、後続のアタックを防げる様にしたのです!」
麟の説明を聞き蓮子とメリーはこの攻防にそれだけの情報が詰まっていたのと、早苗のユニットのド派手なスキルに驚きの声を上げる。
これにより菫子と同じ様にこのガードで止まる様に三人は祈る。
「先ずは1枚目‼︎『真・究極次元ロボ グレートダイカイザー』
グレード3、よって
さあさあさあさあテンション爆上げの2枚目、早苗いっきまーす!!!!!『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』
来ました、グレード3‼︎
なので適当に2枚退却させ、これでヒットです‼︎」
「うがぁ、クリティカル3が入った……⁉︎
ま、まだ、ダメージチェックが残ってるわよ‼︎
幸い飛んだのはクリティカルとスタンドだけ、ヒールはまだ3枚…………ダメージチェック、1枚目‼︎『烏の魔女 カモミール』
2枚目……『祓いの神器 シャイニー・エンジェル』うぅ、さ、3枚…………目ッ‼︎『慈悲の神器 エイル』『治』
あ……ヒ、ヒールトリガー…………パワーは、アンジェリカに……た、耐えたぁぁぁぁぁぁ!!!!!「なっ、ダイジェット ‼︎」
ガード‼︎」
ツインドライブ『真・究極次元ロボ グレートダイカイザー』『究極次元ロボ グレートダイユーシャ』、ガーディアン4枚(合計35000)退却、ヒット
ダメージチェック『烏の魔女 カモミール』『祓いの神器 シャイニー・エンジェル』『慈悲の神器 エイル』『治』
アンジェリカ:P11000+5000=16000
菫子:ダメージ:6→5
ダイジェットVSアンジェリカ:9000+7000VS16000+5000=ガード成功
早苗:ダメージ:0/5 手札:2(グレード3のみ)
菫子:手札:1
早苗のドライブチェックで2枚グレード3が捲れた為、菫子はまともにクリティカル3のアタックを受けてしまい6点ヒールに賭けてダメージチェックをし、見事に引き当ててこのターンを凌ぎ切る。
更に早苗の手札は現在グレード3のみ、よってガードはインターセプト1枚のみである為アタックし放題となっていた。
「ドロー‼︎
ブレイクライド、『宇宙の神器 CEOユグドラシル』‼︎
そしてシークメイト、ノルンを探して
ハティのスキル、ソウルからドロップゾーンにカードが置かれた時パワー+1000を3回発動し、『ドリーミング・ドラゴン』をコールしてハティと前後移動‼︎
行くわよ、ユグドラシルとノルンでアタック‼︎
勿論スキル発動していて
更にメリッサとカモミールのスキルを発動しスペリオルコール‼︎
もう早苗にターンは渡さないわ‼︎」
「……ですよね〜『次元ロボ ダイハート』」
最後に菫子はユグドラシルにブレイクライド+
それを見た射命丸と椛はガックリとし、ブロントさんとはたてのファイトに目を移した。
「やったぁ、菫子姉さんが勝った‼︎」
「はい、これで後はブロントさんが勝てば私達の勝ちですね!」
「ええ!
さあブロントさん、この勢いに乗って勝つ……わ………………え…………?」
蓮子達は菫子の勝利に喜び、この勢いをブロントさんに伝えるべく視線をブロントさんに移して言葉を掛ける……否、掛けようとした。
しかし、その言葉は紡がれる事は無かった。
何故なら……。
「………………」
「………えっ……?
私…………勝っちゃった……の?」
何故なら、はたてがブロントさんにダメージ6枚を与えてしまい、勝利していたのだから。
此処までの閲覧ありがとうございました。
この回のタイトルである番狂わせ……それはブロントさんの敗北、しかも描写無しの、ゲームで言う強制イベント的なものでの。
そしてまさかの代表2名のファイトでの対戦結果が1対1、こうなると次回は……皆様の予測通りとなります。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第80話「予選最終戦、開幕‼︎」
忙しかったのと中々文が進まないと言う二重苦がありました……(汗)
さて、今回もファイト回です。
予選はタイトル通り最終戦、しかし第5章はちょっと続く予定です。
では、本編へどうぞ!
ーー夢ーーそう、これは夢。
1人暗闇の中に居るのも、ただ1人の親友が隣に居ないのも、そう夢の主は自らに分からせ続ける。
『けどこれは現になる、貴女が受け入れるか否か……大体は受け入れて
この声も夢、私が今闇に溶け始めてるのも夢、私が私で無くなるのも夢、そう夢の主は言い聞かせ続ける、何度も。
『けどそれもまた現となる、故に貴女は一つしか選べない。
受け入れれば楽になる…………この美しき
最早覆しようが無いわ、幾ら抗い賽を振ろうとも出る目は常に一、それは凡ゆる
私は
『けど刻は近付きつつある、逃れられぬその運命の刻が。
もしも貴女がまだその刻に受け入れられない様なら……その時は、全てが無駄であると理解するでしょう。
そう、貴女の劇は
その声を最後に夢の主は夢から覚め、現実へと戻る。
親友と仲間達との何時も通りの日常と、楽しみに待っていたイベントに参加する為に、この夢で聞いた物、語り掛けられた物を一切全て忘却しながら…………。
菫子と早苗のファイトが終わる直前、ブロントさんとはたてのファイトははたての初回超越となり、ダメージ3枚でヴァンガードのアタックまで進行していた。
「さあブロントさん、ガードするの⁉︎」
「【むむむ】……(今の手札を考えるならガード出来るが、次の俺のターンに支障を出さない様にするならこれをスルーして次のアタックをたまに危ない攻撃もほう……と受け流せばいいだろうな。
ダブルトリガーが出るだろうが恐らく致命的な致命傷を負うものじゃないのでそれが一番無難だと言う戦術)ふぅん、俺はこのままノーガードでも良いんだが?」
「ならトリプルドライブ!『花笠の忍鬼 フジノ』『狐使い イヅナ』『☆』
クリティカルトリガー、クリティカルはヴァンガード、パワーは『夢幻の風花 シラユキ』に!」
ブロントさんは次のターンで動く為に手札消費を抑えようとし、ヴァンガードのアタックをスルーする。
そして1枚クリティカルを引かれたが此処までは計算通りで、全て順調に進んでいた。
そう、順調に進んでいたのだ、此処までは。
「サードチェック、クリティカル捲れろー‼︎『忍獣 ムーンエッジ』『☆』
…………や、やったぁ、クリティカルトリガー‼︎」
「むぅ、ダメージチェック!(ちぃ、はたての引き運ならダブルクリティカルを引かず別のトリガーを引くと思ったんだが、懐古主義に囚われ過ぎたか!
此処で負けてたら多分延長戦になるが、綺麗に決める為にもヒールを引き当てる!)
ファーストチェック『青天の騎士 アルトマイル』セカンドチェック!『青天の騎士 アルトマイル』
サードチェックなんだが‼︎『青天の騎士 アルトマイル』
…………おいィ…………アルトマイル…………」
そう、はたてのダブルトリガーを計算に入れたまでは良かったが予想外のダブルクリティカルを引かれてしまい、クリティカル3をまともに受け負けたのだ。
しかもアルトマイル……今のブロントさんの分身とも言えるデッキの要が手札にある1枚を除いて全て落ち、まるでアルトマイルがブロントさんから離れてしまったかの様な形で負けてしまったのだ。
これが菫子達のファイトが終わった直後、ほんの少しだけ目を離した間に起きたはたての勝利の詳細であった。
「私、初めてブロントさんに勝てちゃった……」
「ま、まぁ何はともあれナイスよはたて。
お陰でチームの首の皮は1枚繋がったわよ!(……しかし、この結果に満足所か失望すらする人も居る訳で……)」
初めてブロントさんに勝った事を上手く飲み込めないはたてに射命丸は労いの言葉を掛けて早苗の方にも行き同じ様な言葉を掛けようとしていた。
そのほんの少しの間に自分と同じ様に観戦してた者……椛に視線を送ると、彼女は険しい表情のまま瞳を閉じ、呆れた様な雰囲気すら醸し出していた。
一方ブロントさんは蓮子達の前に戻り、頭を下げていた。
「すまにぃ!
負けちまった……」
「良いわよブロントさん、謝らなくても!
私がファイトしてても多分ガードしなかったと思うし、次勝てば予定通り本戦に行けるんだから大丈夫よ!
それよりも気分を切り替えて、延長戦行くわよ!」
「そうね。
じゃあ、次の延長戦に出るのは……」
ブロントさんの謝罪に蓮子は手を振りながら大丈夫と言い、また自分も同じ状況でガードは多分しなかったと言いブロントさんの気分を切り替えようとし、ブロントさんも少し気にしていた様子はあったものも気分を切り替え延長戦に出るメンバーの応援に集中しようとしていた。
更にメリーが声を出し、次の延長戦に出る者を決めようとジャンケンをし、先程のファイトを観戦していた麟、蓮子、メリーの中でメリーが勝ち、前に出る。
対してチーム神風の方は射命丸が前に出てメリーと相対した。
「ふむ、私の相手は貴女ですか。
ではファイトする前に自己紹介を。
私はチーム神風の一員にして文々。新聞の記者、射命丸文です、以後お見知り置きを」
「はい、私はマエリベリー・ハーン、呼び難いと思いますのでメリーって呼んで下さい」
「はい、よろしくお願いしますメリーさん(…………それにしてもこの娘、似ている……)」
メリーと射命丸は互いに自己紹介を軽く済ませ、デッキをシャッフルしいよいよこの両チームの予選最後のファイトを始めようとする。
そんな中で射命丸はふとメリーの容姿を見て、永琳が感じた事……八雲紫と似ている事を感じ取り、ファイトには関係無いとしても何処か頭に引っかかり、しかし目の前のファイトに集中する為に頭の片隅に追いやるのであった。
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
「『真鍮の羽のギアホーク』!」
「『忍竜 マガツウインド』!」
メリーはギアホーク、相手リアガードをコスト一杯までデッキ送りにする軸にしてた為このユニットはライン作りの意味でも重宝されてる為妥当なユニットである。
対して射命丸は〈むらくも〉のマガツウインド、所謂連携ライドの中でもリヴィエール型と呼ばれるタイプの物で、ツクヨミ型とは違い手札事故になり易いがライド仕切ればかなりのリターンがある軸である。
「マガツウインド、リヴィエール型連携ライドか……」
「そして貴女のそのクラン、噂通りの未知のクラン〈ギアクロニクル〉ですね。
どうやらこのファイト、内容次第では良い記事になりそうですな…………先攻は私、ドロー!
『忍竜 マガツブレス』にライド!
マガツブレスのスキル、ソウルにマガツウインドがあれば永続的にパワー+1000!
更にマガツウインドはマガツブレスがライドした時、デッキの上から7枚を見て『忍竜 マガツゲイル』か『隠密魔竜 マガツストーム』を1枚まで見せて手札に加える!
私はマガツゲイルを加えてターンエンド!」
忍竜 マガツウインド:P4000、C1
忍竜 マガツブレス:P7000+1000=8000、C1
射命丸はこのファイトを内容次第で新聞に掲載出来そうだと感じ目を少し輝かせながらマガツブレスにライドし、連携ライドを見事成功させる。
更にその際のスキルで次のグレードを手札に加え、手札消費0でターンを終える。
メリーはこの流れや雰囲気からこのファイトは一筋縄では行かない事を予感していた。
「ツクヨミ軸とはまた違った動きだけど、実質手札消費0か……(ファイトの佇まいや雰囲気から分かるけど、この人は強い。
一筋縄には行かないわね……)私のターン、ドロー!
『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
ギアホークの先駆スキルで左後ろに移動させて、アタック!
ドライブチェック!『クロノジェット・ドラゴン』」
真鍮の羽のギアホーク:P4000、C1
メーザーギア・ドラゴン:P8000、C1
メーザーギアVSマガツブレス:8000VS8000=ヒット
ドライブチェック『クロノジェット ・ドラゴン』
ダメージチェック『忍竜 マガツブレス』
「あの射命丸って天狗さんがマガツブレスにライドしたのに対して、メリーはメーザーギアにライド。
パワー8000にしてグレード1のアタックを受けない様にしたけど、先攻取られたのはちょっと痛かったかも……」
メリーと射命丸のグレード1ライドを見て蓮子は確かにパワー面でヴァンガード同士は互角、他のパワー7000までのグレード1のアタックを通さない様にしたのは良いが、先攻を取られたのが痛いと指摘し、麟や菫子、ブロントさんも頷く。
無論これにはマガツ系列のユニットが持つスキルが主な原因である。
「ドロー。
『忍竜 マガツゲイル』にライド!
マガツブレスがソウルにあるのでマガツゲイルのパワーは常時+1000!
更にマガブレスのスキル、マガツゲイルがライドした時ソウルにマガツウインドがあれば、デッキからマガツゲイルを2枚選びスペリオルコール!
なおこのスキルでコールされたユニットはターン終了時にデッキの下に置かれる!」
忍竜 マガツゲイル(V):P9000+1000=10000、C1
忍竜 マガツゲイル(R):P9000、C1
マガツゲイルがヴァンガードとして現れた瞬間、イメージ世界でのマガツゲイルがメーザーギアを取り囲む様に分身し、憑依しているメリーを困惑させる。
リアル視点でも分身によりリアガードが発生しており、これがライドによる手札消費1枚のみで起きた為ボード、ハンドアドバンテージが大きかった。
「バトルフェイズ、先ずは右のマガツゲイルでメーザーギアをアタック!「『ラッキーポッド・ドラコキッド』でガード!」
では左のマガツゲイルでアタック!「手札を余り使いたくない、ノーガード!『頂に立つギアウルフ』」
さて本命、ヴァンガードでアタック!『忍獣 ホワイトヘロン』
エンドフェイズ、マガツゲイルの分身はデッキの下に送られる、ターンエンド!」
マガツゲイル(A)VSメーザーギア:9000VS8000+5000=ガード成功
マガツゲイル(B)VSメーザーギア:9000VS8000=ヒット
ダメージチェック『頂に立つギアウルフ』
マガツゲイル(V)VSメーザーギア:10000VS8000=ヒット
ドライブチェック『忍獣 ホワイトヘロン』
ダメージチェック『鉄の牙のギアハウンド』
マガツゲイル3体の攻撃を繰り出されたメリーは1体だけ防ぎ後はダメージトリガーに賭けるも、そう上手くトリガーは乗らず2体の攻撃をまともに受けながら自ターンを迎える。
更に分身のマガツゲイルは既にデッキの下に消えた為アタック対象はヴァンガード、しかもソウルにマガツブレスがある為パワー10000となったマガツゲイルのみである。
スモークギアとグレード3以外はブースト無しではヒットしない為、そう言った意味でもメリーは先攻が欲しかったと心の中で考えていた。
「ドロー!
『スモークギア・ドラゴン』にライド!
(今マガツゲイルはスキルでパワー10000になってる、私のユニットでダメージを与えるなら……)よし、『鉄の牙のギアハウンド』を左前列にコール!
スモークギアでアタック!「『忍獣 キャットデビル』でガード!」
ドライブチェック!『ドキドキ・ワーカー』『☆』
ゲット、クリティカルトリガー!
ギアハウンドに全て付与して、アタック!「こちらはノーガード『忍竜 ロワイアルノヴァ』『天竺の忍鬼 トクベエ』」
うん順調、ターンエンド!」
スモークギア・ドラゴン:P10000、C1
鉄の牙のギアハウンド:P8000、C1
スモークギアVSマガツゲイル:10000VS10000+10000=ガード成功
ドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』
ギアハウンド:P8000+5000=13000、C1→2
ギアハウンドVSマガツゲイル:13000+4000VS10000=ヒット
ダメージチェック『忍竜 ロワイアルノヴァ』『天竺の忍鬼 トクベエ』
メリー:手札:5 ダメージ:2
射命丸:手札:6 ダメージ:2
スモークギアにライドし、ギアハウンドもコールしてメリーは2ダメージを与えるも、1枚しか手札が削れず温存され次のターンから射命丸が仕掛けて来る事を予測して警戒を強める。
一方射命丸はその警戒通り仕掛ける算段を整え、ターンを始める。
「さて、そろそろ行きましょうか。
スタンド&ドロー!
『隠密魔竜 マガツストーム』にライド!
マガツゲイルのスキル、マガツストームがライドした時ソウルにマガツブレスがあるなら、デッキからマガツストームを2枚まで探して別々のリアガードサークルにコールする!
分身せよマガツストーム‼︎
更にヴァンガードのマガツストームはマガツゲイルがソウルにあればパワーは常に11000!
そしてコール、マガツブレス、『忍妖 コナユキ』!」
隠密魔竜 マガツストーム(V):P 10000+1000=11000、C1
隠密魔竜 マガツストーム(R):P10000、C1
忍妖 コナユキ:P7000、C1
射命丸:手札:4
布陣
マガツストーム(B) マガツストーム(V) マガツストーム(A)
マガツブレス コナユキ R
射命丸はマガツストームにライドし連携ライドを完成させ、次に
「バトルフェイズ、右のマガツストームでギアハウンドをアタック!「ノーガード!」
次、ヴァンガードのマガツストームでスモークギアをアタック‼︎「……ノーガード!」
ガード札がよろしくないのですかな、ツインドライブ!『忍獣 ムーンエッジ』『☆』
クリティカルトリガー、パワーは左のマガツストーム、クリティカルはヴァンガードに!
『忍竜 マガツゲイル』「ダメージチェック!『次元放逐の
では残ったマガツストームでアタック、マガツブレスのブーストも入れてパワーは22000‼︎「(……これ以上ダメージは受けない様にするのが1番安全だけど此処は……)ノーガード、ダメージチェック‼︎『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
やった、ドロートリガー‼︎」
むっ、ダメージを嫌がる場面で敢えて受けてダメージドローを呼び込むとは…………いやはや、中々良い読みと運ですね。
どうやら実力は私の想定よりも上みたいですね〜……エンドフェイズにマガツストームの分身はデッキの下に置かれ、ターンエンド!」
マガツストーム(A)VSギアハウンド:10000VS8000=ヒット、退却
マガツストーム(V)VSスモークギア:11000+7000VS10000=ヒット
ツインドライブ『忍獣 ムーンエッジ』『☆』『忍竜 マガツゲイル』
マガツストーム(V):C1→2
マガツストーム(B):P10000+5000=15000
ダメージチェック『次元放逐の
スモークギア:P10000+5000=15000
メリー:ダメージ:4→3
マガツストーム(B)VSスモークギア:15000+7000VS15000=ヒット
ダメージチェック『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
射命丸:手札:6
メリー:ダメージ:4 手札:6
「うわぁ、ヒヤッとする……でもメリー、上手い具合にトリガーを引けて射命丸さんの手札と同じ枚数になった、これなら」
「んにゃ蓮子、そう簡単には行かないよ。
何せダメージレース自体はメリーが不利、更に文さんは知ってか知らずか〈ギアクロニクル〉の戦略であるリアガードのデッキ送還をマガツ軸でほぼ封じてる」
「うむ、あれではギアホークやギアウルフ、ギアハウンドのパワーアップスキルやアンバーやクロノジェットのデッキ送りスキルが発揮出来ない!発揮出来にくい!と言った具合になるだけでなくたまに来る危ない攻撃もダメージの少なさからほう……と受け流すだろうな。
手札を使わずにダメージを蓄積させるのは汚いな流石忍者きたない、これで文はメリーに有利にファイト出来るだろうなあまりにもアド差が開き始め過ぎでしょう!」
蓮子はメリーの良い引きを見てヒヤヒヤしながらも上手く戦えると予想するが、菫子とブロントさんはボードやスキル相性などから射命丸とメリーのアド差が広がり始めている事を指摘し、このファイトは射命丸に流れを持って行かれそうになっている事を示唆する。
その事はファイトしているメリーが1番良く理解しており、何とかこちらに流れを向けさせようと考えていた。
「(うーん、これはどうするべきかな?
最初に
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎
……行くわ!
『スチームブレス・ドラゴン』をコストにGゾーン解放‼︎
今こそ示せ、我が真に臨む世界を!
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』‼︎」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
メリーはこの状況を打開すべく、このデッキに入っていた最初のGユニット…………ミステリーフレア・ドラゴンに
このユニットは今まで使ってはいたがスキルを使った事は無い為、メリー以外はスキルを理解していなかった。
それ故に、何故メリーはこのGユニットを使ったのか分からなかった。
「これが私の打開の一手!
このファイトに勝つ為の!
行くわよクロノジェット、ミステリーフレア、〈ギアクロニクル〉のユニット達、本戦へ行く為に勝つわ!」
「ほうほう、これが〈ギアクロニクル〉のGユニット。
ならその力を見せて貰いましょう、勿論その上で勝ちますがね!」
メリーと射命丸がそれぞれファイトに対する意欲や勝利への渇望を言葉で示し、ピリピリした空気が周りを覆い出す。
その瞬間からファイトは激化して行く事が誰からも分かり、チームファンタズマとチーム神風のメンバー達はそれぞれメリーと射命丸を見つめ、ファイトの勝利を掴んで欲しいと祈っていた。
そして、メリーのアタックが始まり、そしてファイトは終幕へと近付き始めた。
そう、
此処までの閲覧ありがとうございました。
射命丸のデッキは〈むらくも〉のマガツ軸(〈ぬばたま〉じゃないの?
ハハッ、ナンノコトダカサッパリダー)、上手くやられると〈ギアクロニクル〉の現時点でのコンセプトでは相性が悪く、力を発揮し辛くなるタイプです。
そんな相手にメリーは最初のGユニットを使い如何に戦うか……次回で分かります。
そして冒頭の意味も……
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第81話「終幕の刻」
いよいよ射命丸VSメリーの決着です。
忙しいですが頑張ります。
では、本編へどうぞ!
追記:新年明けましておめでとうございます‼︎
「更に、『頂きに立つギアウルフ』、メーザーギアとギアハウンドをもう一度コール!
そしてバトル!
メスヘデのブースト、ミステリーフレアでヴァンガードにアタック!「ノーガード!」
トリプルドライブ!『次元放逐の
トリガー無し「ではダメージチェック『忍妖 コナユキ』こちらもトリガー無し」ならミステリーフレア・ドラゴンのスキル発動!!
アタックヒット時、デッキの上から4枚を公開!
公開したカードのグレードが4種類以上なら、私は
そしてカードを公開したらデッキをシャッフルする、さあ行くわよ!
1枚目『スチームブレス・ドラゴン』、グレード1!
2枚目『クロノジェット・ドラゴン』、グレード3!
3枚目『スチームメイデン ウルル』、ヒールトリガーのグレード0‼︎」
頂きに立つギアウルフ:P7000、C1
スチームファイター メスヘデ:P7000、C1
「うぇ⁉︎
あのユニットそんなスキルがあったの⁉︎
てかあと1枚、グレード2が捲れたら追加ターン確定よ‼︎」
「だが、あのスキルはどうにもギャンブル性が高すぐる不具合がある!
次の1枚が既に捲れたらグレードだった場合は不発になる‼︎
そしてメリーのデッキはまだまだ残ってる、グレード2をピンポイントで捲る確率は……‼︎」
メリーは先ずミステリーフレアからアタックし、射命丸はそれをスルーし、ダメージを受けた。
その瞬間メリーはミステリーフレアの隠して来た……否、今まで使う機会が無かったスキルを発動し、その余りにも高いスキル難易度から得られる絶対的なアドバンテージ、追加ターン又はエクストラターンを得ると言う言葉を聞き、射命丸のみならず両チームメンバー、更にゴール前の為観戦していた他のファイター達すら驚きを隠せず、その上でメリーは既に異なるグレードのカードを3枚捲り残り1枚で追加ターンか否かが決まる。
蓮子やスキル難易度を話したブロントさんや菫子、麟、更に早苗達やファイトする二人にも緊張が走り、息を呑む。
「……すぅぅぅ…………4枚目‼︎」
そしてメリーは最後の1枚を勢い良く捲る。
その捲れたカードは……。
「…………」
「……!」
「……4枚目、『スチームファイター アンバー』、グレード2よ‼︎
よってコストを払い追加ターンを得るわ‼︎」
『引いたー‼︎』
捲られたカードはグレード2であり、全てのカードのグレードが異なる為メリーはコストを支払い追加ターンを得る事となった。
これには観戦していた他チームの選手達も驚きの余り歓声が上がり、周りを湧かせた。
「(追加ターン……成る程、これは『隠密魔竜 マガツタイフーン』にライドして
「行くわよ、ギアホークのブースト、ギアハウンドでアタック!「……ノーガード、ダメージチェック!『狐使い イヅナ』『☆』
クリティカルトリガー、パワーをヴァンガードに!」
これでアタックはヒットしないか……ならターンエンドして追加ターン、ドロー!
次元放逐の
スキル発動、相手のリアガードをデッキの下に送るわ‼︎
そして相手はデッキトップからリアガードを戻した数と同じ枚数分コール‼︎
更にギアウルフ、ギアホーク、ギアハウンドのGB1発動‼︎
それぞれ相手のリアガードが私のユニットのスキルでデッキに送られる度に、ギアウルフは+3000、ギアハウンドとギアホークは+5000を得るわ‼︎」
「成る程、これが彼女のフィニッシュ……コナユキ、マガツブレスをそれぞれ下に送り、デッキトップからコール、『忍竜 ロワイアルノヴァ』と『天竺の忍鬼 トクベエ』!」
ミステリーフレアVSマガツストーム:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『次元放逐の
ダメージチェック『忍妖 コナユキ』
ミステリーフレアスキル発動『スチームブレス・ドラゴン』『クロノジェット・ドラゴン』『スチームメイデン ウルル』『スチームファイター アンバー』同グレード無し、EXターン確定
ギアハウンドVSマガツストーム:8000+4000VS11000=ヒット
ダメージチェック『狐使い イヅナ』『☆』
マガツストーム:P11000+5000=16000
メリー:ダメージ:0/4 手札:6
射命丸:ダメージ:4 手札:5
時空獣 アップヒーバル・ペガサス:P15000+11000=26000、C1
ギアウルフ:P7000+6000=13000
ギアハウンド:P8000+10000=18000
ギアホーク:P4000+10000=14000
次にメリーは一気に決めるべくアップヒーバル・ペガサスを使いリアガードのパワーも上げそのままフィニッシュに持って行こうとしていた。
これがメリーの必勝パターンであり、リアガードを1体でも出していればハマるのだ。
そして蓮子達もこれは決まったと思いながらメリーを見ていた。
そう、メリーの勝ちだと。
「アップヒーバル・ペガサスでアタック!「完全ガード!」
トリプルドライブ!『頂きに立つギアウルフ』『スチームファイター アンバー』『スチームファイター メスヘデ』
トリガー無し……ならギアウルフでアタック!「ガード、トクベエインターセプト‼︎」
なら、ギアハウンドでアタック‼︎「ノーガード!『忍妖 ユキヒメ』『治』
ヒールトリガー、ダメージ回復‼︎」
ダメージを詰められなかったか……でもこっちもあり得ると踏んだからこそのミステリーフレア、大丈夫、流れはこっちにある!」
アップヒーバル・ペガサスVSマガツストーム:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『頂きに立つギアウルフ』『スチームファイター アンバー』『スチームファイター メスヘデ』
ギアウルフVSマガツストーム:13000+8000VS11000+5000+10000=ガード成功
ギアハウンドVSマガツストーム:18000+14000VS11000=ヒット
ダメージチェック『忍妖 ユキヒメ』『治』
メリー:手札:8
射命丸:ダメージ:4 手札:2
しかし蓋を開ければダメージを詰め切れず、追加ターン前と同じダメージで凌がれてしまう。
しかし、射命丸の手札は減らせた為このまま押し切れば行けると判断し、またこうなるとも予想はあった為メリーは気を緩めずに居た。
一方で射命丸は何とか
「私のターン、ドロー!
『隠密魔竜 マガツタイフーン』をコストにストライドジェネレーション、『伏魔忍鬼 カガミジシ』‼︎
そして私はマガツゲイル、更に『忍竜 ヒデンスクロール』をコールしヒデンスクロールのGB1‼︎
このユニットをデッキの上に置き、ヒデンスクロール以外の私のリアガードを選び、そのユニットと同名カードを2枚まで探し別々のリアガードサークルにコール‼︎
なお、このスキルで呼ばれたユニットはターン終了時にデッキの下に送られる‼︎
私はロワイアルノヴァを選択してコールし、カガミジシのスキル発動‼︎
リアガードがコールされた時、そのユニットと同名のユニットが2枚以上場に居るならコールされたユニットのパワーを+2000し、更に『このユニットは後列からアタック出来る』スキルを与える‼︎」
「後列からアタック……そう言う事か。
インターセプトに使えないなら工夫して全ユニットでアタック出来るように……」
伏魔忍鬼 カガミジシ:P15000+10000=25000、C1
忍竜 ロワイアルノヴァ:P10000、C1
ロワイアルノヴァ(B&C):P10000+2000=12000、後列アタック可能
射命丸:手札:1
布陣
ロワイヤルノヴァ(A) カガミジシ マガツゲイル
ロワイアルノヴァ(B) R ロワイアルノヴァ(C)
射命丸は手札1枚になりながらもロワイアルノヴァを2体後列アタックを可能とさせ、更に射命丸はとある思惑の下でこうしており、チーム神風の面々もそれを察し、後は射命丸のなす事を見守るだけであった。
「射命丸さん、何か狙ってるわね。
メリーは気付いているかしら?」
「多分気付いてるが、何が狙いか見定めてる途中だろうな(予想)」
射命丸が何かを狙っている事は蓮子達も予想していた。
メリーもそれに気付いているか蓮子は心配になるが、ブロントさんは気付いていると予想しメリーを信じていた。
「バトルに移行!
カガミジシでクロノジェット・ドラゴンをアタック‼︎「(射命丸さんは何かを狙っている……何が狙いか分からないけど、今はダメージ4、これをヒットさせるのは怖い!)『スチームメイデン アルリム』で完全ガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『忍妖 ユキヒメ』『治』
ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーを右後列のロワイアルノヴァへ‼︎『狐使い イヅナ』『☆』
クリティカルトリガー、全て後列のロワイアルノヴァへ‼︎
サードチェック‼︎『忍獣 キャットデビル』『☆』
クリティカルトリガー、左後列のロワイアルノヴァに全て付与‼︎
そして左前列のロワイアルノヴァでギアウルフをアタック‼︎「リアガードに……ノーガード‼︎」
マガツゲイルでギアハウンドをアタック‼︎「……ノーガード‼︎」
次、右後列のロワイアルノヴァでアタック‼︎「『スチームファイター ダダシグ』でガード‼︎」
そして左後列のロワイアルノヴァでアタック‼︎「ギアウルフとアンバー、メスヘデでガード‼︎」
ターンエンド‼︎(さて、後はどうなるかは彼女次第……!)」
カガミジシVSクロノジェット・ドラゴン:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『忍妖 ユキヒメ』『治』『狐使い イヅナ』『☆』『忍獣 キャットデビル』『☆』
ロワイアルノヴァ(B):12000+10000=22000、C1→2
ロワイアルノヴァ(C):12000+5000=17000、C1→2
ロワイアルノヴァ(A)VSギアウルフ:10000+2000VS7000=ヒット、退却
マガツゲイルVSギアハウンド:9000VS8000=ヒット、退却
ロワイアルノヴァ(C)VSクロノジェット:17000+2000VS11000+10000=ガード成功
ロワイアルノヴァ(B)VSクロノジェット:22000+2000VS11000+5000×3=ガード成功
射命丸:手札:4 ダメージ:3
メリー:手札:3
射命丸はトリプルトリガーを引きつつ、リアガードを排しながらメリーの手札を削り次に繋ごうとし、攻防は更に激しさを増し始める。
メリーも射命丸が何かを狙っている事は察したがやはりダメージ4だった為ガードし、ダメージ6を上手く受けずに済む。
それによりメリーのターンが回り、まだ戦えう事が出来ていた。
だが……。
「私のターン、ドロー!(相手は手札が少ない、ダメージ3だけど上手く行けばフィニッシュ出来る!
それにグレード0が3枚ならラグナクロックで決め…………ラグナクロック………………
まさか、射命丸さんの狙いはコレ⁉︎)」
此処でメリーは気付いてしまった、自身のCBコストを払う為の表向きのダメージが一切与えられていない事に。
そう、射命丸は次の自ターンに繋ぐ為に一切のダメージコストを与えずにアタックしていたのだ。
しかしトリガー、しかもクリティカルトリガーを引かなければそんな博打は成功しない為これにはメリーも驚きを隠せずにいた。
そしてCBコストが無い為クロノジェットのスキル、ラグナクロックのスキルコストを払えない為一気に決め手が無くなりつつあった。
「くっ、私はクロノジェットをコストにストライド・ジェネレーション、『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』‼︎
スモークギアをメーザーギアの前にコールして、クロノスコマンドでアタック‼︎「此処はノーガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『スチームメイデン アルリム』『スチームファイター メスヘデ』『ドキドキ・ワーカー』『☆』
クリティカルトリガー、クリティカルはクロノスコマンド、パワーはスモークギアに付与‼︎「ダメージチェック‼︎『忍竜 マガツゲイル』『隠密魔竜 マガツストーム』」
スモークギアでアタック‼︎「ユキヒメ、イヅナでガード‼︎」
やっぱり攻撃が一手足りない……ターンエンド!!」
時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
スモークギア・ドラゴンコール
クロノスコマンドVSマガツストーム:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『スチームメイデン アルリム』『スチームファイター メスヘデ』『ドキドキ・ワーカー』『☆』
クロノスコマンド・ドラゴン:C1→2
スモークギア・ドラゴン:P10000+5000=15000
スモークギアVSマガツストーム:15000+8000VS11000+10000×2=ガード成功
メリー:手札:5
射命丸:ダメージ:5 手札:2
メリーは何とか今射命丸を倒そうとするも、攻撃が一手足りない為決め切れず射命丸にターンを渡してしまう。
対する射命丸も残り手札は
「(凌げた、後はヒデンスクロールさえ引けばカガミジシ、『隠密魔竜 ホムラレイダー』のどちらでも使える!
後はどちらを使うか…………先ずはドローから!)スタンド&ドロー!(よし、此処は!)
Gゾーンを解放し、再びカガミジシにストライド・ジェネレーション‼︎
更にヒデンスクロールをもう一度コールし、スキルを使いロワイアルノヴァを2枚再びコール‼︎
此処でカガミジシのスキル発動、後列アタックとパワー+2000を付与‼︎」
射命丸はトドメを刺すべくカガミジシに
「これが私の出せる全て、行きます‼︎
カガミジシでアタック‼︎「アルリムで完全ガード、スキルで裏向きのダメージを1枚表向きに‼︎」
トリプルドライブ‼︎」
「このトリガー次第ではメリーは防ぎ切れずダメージを負っちゃう……頼みますからクリティカルトリガー3枚は……‼︎」
カガミジシのアタックをメリーは完全ガードで防ぎ、ヴァンガードの攻撃は防ぐ。
しかし、残りのリアガード全てにクリティカルトリガーが付与されてしまうとメリーの手札では防ぎ切れずに突破され、更にダメージ6を受けてしまう。
そうなれば自分達は本選へ行けず予選敗退が確定する。
そうならない様チームファンタズマは祈り、チーム神風は引く様に願い互いに固唾を呑む。
「ファーストチェック!『忍獣 キャットデビル』『☆』
全て左後列のロワイアルノヴァへ‼︎
セカンドチェック‼︎『忍獣 キャットデビル』
右後列のロワイアルノヴァに付与‼︎「……っ‼︎」
すぅ…………サードチェックです‼︎」
そして、捲られた3枚目は…………。
「…………『忍竜 ヒデンスクロール』『醒』ヒデンスクロール、スタンドトリガー……パワーは左後列のロワイアルノヴァへ‼︎
左前列のロワイアルノヴァでスモークギアをアタック‼︎
左後列のロワイアルノヴァでアタック‼︎「ドキドキ・ワーカー、メスヘデでガード‼︎」
右後列のロワイアルノヴァでラストアタック‼︎「ギアウルフ、メスヘデでガード‼︎」
決め切れず……か。
ターンエンド、ロワイアルノヴァの分身はデッキの下へ!」
カガミジシVSクロノジェット:25000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『忍獣 キャットデビル』『☆』『忍獣 キャットデビル』『☆』『忍竜 ヒデンスクロール』『醒』
ロワイアルノヴァ(B):P12000+10000=22000、C1→2
ロワイアルノヴァ(C):P12000+5000=17000、C1→2
ロワイアルノヴァ(A)VSスモークギア:10000+2000VS10000=ヒット、退却
ロワイアルノヴァ(B)VSクロノジェット:22000+2000VS11000+10000+5000=ガード成功
ロワイアルノヴァ(C)VSクロノジェット:17000+2000VS11000+5000×2=ガード成功
メリー:ダメージ:1/4 手札:1
射命丸:手札:4
「ふ、防ぎ切った‼︎
あの〈ギアクロニクル〉の子すげぇ‼︎
射命丸さんの猛攻を全部防いだ‼︎」
「これは……もしかすると、大金星の予感が!」
ゴール付近でファイトを見ていたファイター達は、メリーが射命丸の攻撃を防ぎ切った事に驚き、更にもしかすればメリーが勝つかもと予想し熱気が更に熱さを増し、蓮子達も防ぎ切った事を喜んだ。
「ふぅ、何とか防げた。
後はスチームブレスとかを引いてGゾーンを解放すれば私の勝ちね…………。
蓮子達とファンタズムカップ本選へ行く為に、絶対引くわ‼︎
私の‼︎『そう、貴女は引くわ。
だからもう此処まで、貴女がこの地に来た今まで全ての
そう、
メリーがユニットをスタンドさせようとした瞬間、度々メリーの頭の中に突如として聞こえて来たあの声が響き渡る。
その一言一言が紡がれる度にメリーの意識が黒塗りになって行き、最後の一言が聞こえた瞬間メリーはその意識を手放してしまった。
メリーの意識が無くなった身体はピタっと動きを止め、その瞳の光が一瞬失せてしまっていた。
「…………?
あの、大丈夫ですか?
具合でも悪いのですか……?」
射命丸はそんな事が起きているとも知らず声を掛け、メリーに気分が悪いのか否かを聞く。
するとメリーの手が動き、ユニットをスタンドさせドローしていた。
「……ええ、大丈夫ですよ。
ほんの少し目眩がしただけです、心配要らないですよ。
ファイトを続けましょう、私は今引いたスチームブレスでGゾーン解放!
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』‼︎
このままアタックし、ラグナクロックのスキル発動‼︎
トリプルドライブ『スチームファイター アンバー』『クロノジェット・ドラゴン』『スチームブレス・ドラゴン』トリガー無し……そちらはトリガーは?「『忍獣 ムーンエッジ』『☆』さっきのアタックで欲しいカードでした……お手合わせ、ありがとうございます」
こちらこそ、ありがとうございました」
時空竜 ラグナクロック・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
ラグナクロックVSマガツストーム:26000、G0ガード制限、C1→2VS11000=ヒット
トリプルドライブ『スチームファイター アンバー』『クロノジェット・ドラゴン』『スチームブレス・ドラゴン』
ダメージチェック『忍獣 ムーンエッジ』『☆』
射命丸:ダメージ6 LOSE
????:WIN
ラグナクロックのスキル発動によりガード制限を受けた射命丸はそのままクリティカル2のアタックを素通しせざるを得なくなり、ダメージチェックでヒールトリガーに賭けるも引いたのはクリティカルトリガーであった。
そしてファイトはチームファンタズマの白星2でチーム神風が集めた守矢メダルを全て獲得、そのままゴールと相成った。
「あややや、負けてしまいました……」
「まあ仕方ありませんよ、文さんと早苗さんには一切ミスは無くはたてさんは勝利を捥ぎ取り延長に持ち込んだんですから。
次からは負けない様に特訓、ですね」
「ですね、次こそは幻想郷1を目指して頑張りましょう‼︎」
チーム神風はゴールへ行き、射命丸が自分達の下に戻った時点で反省会を始め、次のファンタズムカップで優勝する様に特訓をしようと取り決めながら表彰台の方を見やっていた。
「やったわよメリー‼︎
今コイン合計を集計したら私達が1位よ‼︎
もしチーム神風分のコインが無かったら2位だったから超ファインプレーよ‼︎」
「うむ、一時はナイトが負けてしまい諦めが鬼なっていたが見事なチームの結束とファイトによりチームでの勝利を収めて予選1位になった。
これで妖怪の山予選をトップ通過したので反省点もあるが今は喜びを分かち合うべきだろうな>>メリー感謝」
「そうだったんだ。
良かった……次は本選ね、このまま頑張って優勝を目指すわよ‼︎」
チームファンタズマの方はメリーが戻ると喜び合いながら本選を勝ち抜き優勝を目指すとしながら代表としてメリーが表彰台に上がり、表彰式が始まるのを待った。
しかし、このメリーが自分達が知るメリーだと気が付かず、またメリーの雰囲気が微妙に……勘の良い人でも分かり辛い位微妙に変わっている事に気が付かず、そのまま予選が終わろうとしていた。
「メリー、貴女……」
ただ1人、蓮子だけはその変化に気が付き険しい表情をメリーに対し浮かべていた。
「……運命の時だな。
後は宇佐見蓮子が対応し切れるかだが…………少しだけ時間を稼ぐ様にするか」
更にその場面を隠れながら遠目で『シャドウ』……否、ブライトは見ていた。
そして、蓮子達のターニングポイント……運命の時は目の前に迫っていた。
此処までの閲覧ありがとうございました。
さて、いよいよ蓮子とメリーのターニングポイントが差し迫って来ました。
失速して失踪しない様に頑張ります(ミスしないとは言ってない)。
それから、インフルエンザなどの病気が流行ってますので読者の皆様も体調にはお気を付けて下さい。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第82話「運命」
次回いつ更新出来るか分からなくなった為この話を出来るだけ早めに出しました。
「ではこれより、ファンタズムカップ妖怪の山予選の表彰、及び閉会式を執り行う!
この台に立てなかったチームはそれぞれ良く頑張った!
諸君らのファイトはしかとこの目に刻んだ、来年もまた本選への意欲、良質なファイトを我々に見せて欲しい‼︎
では表彰、第3位、チームアンタッチャブル!
3位入賞おめでとう、そして今年は残念だったな。
2位、チーム山陽!
入賞おめでとう、そして惜しかったな。
チームアンタッチャブル、チーム山陽はこれにめげず来年もまた挑戦して欲しい。
そして第1位、チームファンタズマ‼︎
予選突破おめでとう、その力を本選でも遺憾無く発揮し、この場に居る者達の想いを背負い悔い無くファイトして欲しい‼︎」
『パチパチパチパチパチパチパチパチ!』
ファンタズムカップ妖怪の山予選が閉幕し、表彰式と閉会式が執り行われ3位と2位までのチーム、そして表彰台に上がれずともこの予選で数多くのファイトを見せた全チームに労いの言葉が掛けられ、そして第1位のチームファンタズマには予選通過を祝福する言葉と、この場に居る全ファイターの想いを背負い本選を戦い抜く様にと労いと誓いの言葉が贈られ、温かい拍手が上がる中で閉会式も滞りなく進み、予選は完全に閉会となった。
「改めて皆、予選突破お疲れ〜‼︎
いや〜最後ブロントさんが負けるってハプニングがあったけど、無事に終わったわね!」
「うむ、終わり良ければそれで良しと言う霊的な名台詞があるから今回はそれで良いだろうな。
そして予選でこんなハプニングがあったとなれば本選は更なる大波乱があると学者で無くとも分かる予測が立ったのでチームはより一層気を引き締めてファイトをすると言う教訓が生きるな」
「はい!
皆さん、油断せずに本選も頑張りましょう!」
閉会式直後、菫子の号令により全員にあった緊張が解けそれぞれ労いの言葉を掛け合い、更にブロントさんが負けたと言う事実も受け止めて本選でもより一層油断せず、全力を尽くしてファイトをする様にと3人の心の中で決意が生まれたのであった。
そしてその敗北したブロントさん本人は、何故敗北したのかを見直し、何が悪かったのかを振り返りもう2度同じ事が起きない様にと心掛けたのだった。
「…………あれ、そう言えば蓮子とメリーは?
メリー本人は私に表彰状を渡して何処か行ったみたいだけど?」
「そう言えば居ませんね…………探しますか?」
「うむ、一応探して2人だけの話しかけ辛いふいんき(何故か変換出来ない)を醸し出してたらそっと見守るべきだろうが、そうでないなら喜びを分かち合うべきだろうな。
なのでとんずらを使ってきょうきょと探すべきそうすべき!
とんずらぁ‼︎」
菫子はふと蓮子とメリーが居ない事に気が付き、2人がどこに行ったのか気になったのか鱗も探すか提案し、ブロントさんも2人に労いの言葉を掛けるべくとんずらを使い手早く探し始める。
しかし2人だけの会話をする雰囲気だった場合は見守るとして周りを探し始めたのだった。
時刻は夕暮れ時、所代わりメリー……否、メリー本人の意識が無くなり、しかし何故か自我を感じさせ動き話すメリーの身体は鼻唄を歌いながら妖怪の山の一角……地平線に沈む夕日を一望出来る場所に立ち、瞳を閉じながらじっとしていた。
「〜〜〜〜♪〜〜♪
〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪
〜〜〜♪
〜〜〜♪〜〜〜〜♪」
「…………メリー」
丁度鼻唄を歌うメリーの身体……メリーらしき者の後ろに蓮子が現れ、話しかける。
その声はやや悲しげな、しかしはっきりとした強い意志を感じさせる物で、その声を聞いたメリーらしき者は鼻唄を止め、蓮子の方を向く。
「あら蓮子、早かったわね。
皆と祝勝会とかあるんじゃないのかしら?」
「メリーこそ、こんなトコに来て鼻唄を歌ってどうしたのよ?
此処、周りは木とかしか無いわよ?
それにもう時間がはっきり見える時になるわ。
そろそろ魔理沙の家に戻らないと、皆心配するわよ?」
蓮子とメリーらしき者は短く会話を交わし、メリーらしき者は何時ものメリーと同じ仕草、同じ表情を浮かべながら蓮子を見るも、対する蓮子は皆が心配するとしながらもその表情はやや険しく、メリーと話をする態度とはまるで違っていた。
その様子を見てメリーらしき者は、『自分がマエリベリー・バーンでは無い』事に気付かれていると察した。
「……いつから、マエリベリー・ハーンの意識が無く『私』になったと気付いた?」
「あの一瞬よ、射命丸さんとのファイトでのラストターン。
あの時メリーの雰囲気が微妙に、私位メリーと接して来て一緒に色んな場所へ行って、この幻想郷でも変わらずにいた私だったから気が付けた。
メリーは永遠亭でずっと一緒って約束をしたし、私は可笑しくなったら止めるって誓った。
それが今この時なのよ……」
メリーらしき者は蓮子に何時気付いたと疑問を投げかけると、蓮子はあのメリーの手が一瞬止まったあの時から気が付いて居たと話し、可笑しくなったら止める誓いの事も話しながらメリーらしき者を静かに見やる。
それから何秒、或いは何分かの沈黙の後蓮子が口を開く。
「……私、考えていたんだ、メリーが何故可笑しくなるのか。
トリガーは間違い無く私やメリー自身の身に危険が生じる、或いは2人の間が引き裂かれそうな事になる、幽々子さんや永琳とのやり取りでこれだと確信してる。
なら次、原因がはっきりしてるなら何故そんな事がそもそも発生するのか。
私はそれを考えて考えて、それで一つの仮説に行き着いたわ」
「へぇ、どんな仮説なのか聞かせて」
蓮子はメリーらしき者にメリーが可笑しくなるきっかけの出来事を突き付けつつ何故そんな事が起きるのか仮説と前置きしながら話し始め、メリーらしき者はそのトリガー事象を否定せず仮説を聴き始める。
するとそんな時にブロントさん達が蓮子達を見つける。
「あ、蓮子とメリーこんな所に居た!
2人で話してたの?
……んん、蓮子、メリー?」
「どうしたのですが、こんな険しい雰囲気を……」
「…………まさか⁉︎
おいィメリー?
お前まさか永琳とファイトした時みたく頭がおかしくなって別人みたいになってるんですかねぇ‼︎」
話の途中でやって来た麟とブロントさんは一触即発な険しい雰囲気でメリーが永遠亭で見せたあの状態になっているのだと察し、菫子も2人からそんな事が起きていた事を聞いていた為警戒し始める。
そんな3人を見てメリーらしき者は何時もの表情を浮かべるも、あくまで社交辞令的なものの為直ぐに表情を崩し少し冷たい笑みを浮かべた。
そんな中蓮子は仮説を話し始める。
「先ず皆、メリーを見て気付く特徴が一律にあった。
メリーは八雲紫って行方不明の幻想郷の管理者に瓜二つが如く似ていると。
私は最初、そんなの他人の空似程度の物。
似ていようがメリーはメリー、八雲紫は八雲紫としていた。
でもメリーは、八雲紫と同じくヴァンガードのユニットを実体化させる力を持ち、メリーと八雲紫が使える能力も結界や境界を暴き、見る眼と境界を操る程度の能力とかなり似通った物だった。
更に永遠亭で見せたあの話し方に今みたいに変わった雰囲気、それらを見て感じて私はただ似ているだけでは説明がつかない、2人の間には何かしらメリー本人すら知らない繋がりがあるんじゃないかと感じ始めた」
「それで?」
「それで私は考えた、何故似ているか、何故メリーが八雲紫の方に寄った雰囲気などをトリガー事象の中で見せるか。
……答えはまだ出ない、でも仮説は立った。
メリーは会った事の無い八雲紫に何かしら影響を与えられている。
それは幻想郷に来てから加速度的に発生し、恐らくだけど外の世界、私達が居た世界に居ても同じ事が、私が可笑しいと思わない程度の速度で起きていたと思う。
そしてメリーがこの事象が発生した際は記憶が、意識が欠落していた。
……なら今、私が話している貴女は一体誰なのか?
メリーでは無い、メリーの身体の操作、行動権がそのまま使える誰か?
この仮説の中でメリー以外にウェイトを占める誰か?
……はっきり言わせて貰うわ、メリーの身体を操ってる別の意識、貴女はもしかして幻想郷の賢者、八雲紫その人じゃないの!」
『なっ⁉︎』
蓮子は仮説を次々と並べ立て、似通っている点や同じ力を持つ事からメリーと八雲紫には何か途轍も無い繋がりがあるのかと仮定し、更にこのメリーに今起きている事象は蓮子達の世界でも起きてた可能性を告げた上でメリーの意識と記憶の欠落なども話し、其処から仮説の答えに入って行き蓮子は今、この場でメリーの身体を通して話す意識……これを八雲紫では無いのかとし、ブロントさん達はそれを聞き驚きメリーの顔を見る。
それを聞いたメリーらしき者は瞳を閉じながら笑みを浮かべ、次の言が紡がれるのを待っていた。
「正直この仮説は穴だらけで確証も無いし正しいとは思って無い。
でもそう考えたら全て辻褄が合ってしまうのよ。
そしてそうなるとメリーと八雲紫が何故似て、影響を与えるのかの仮説も立ってしまうわ!
そう、メリーは……『メリーは八雲紫に至る女の子』、だからこそ影響を強く受けてしまうのよ……!
メリーは今、どんどん八雲紫になりつつあって、メリーでなくなりかけて来ている。
それが今までの豹変とかに繋がる‼︎
そして八雲紫、貴女はメリーを自分に至らせる為に影響を与え続け今に至った、これが私の考えたもの全てよ‼︎
さあ聞くわ、私のこの仮説は正しいのか、違うのか‼︎」
「………………う、ふふふ、ふふふふ……」
蓮子は仮説を正しいと思って無いとしながらも辻褄が合い、また2つの可能性……八雲紫がメリーを別の場所から操っているのか、八雲紫としての自我がメリーの中に芽生えてしまったのかの違いも少し話し、だが確信として今話している者はメリーでは無いと力強く言い、メリーらしき者の言を待つ。
するとメリーらしき者がメリーの口と声を使って笑い始め、その瞳を蓮子達に向け言葉を紡ぎ出す。
「ふふ、正直驚いたわ。
今までそれらしいものがあったけど、でも大体のものを言い当てるとは……流石宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーンのただ1人の、代わりのない掛け替えのない憧れ、親友。
ほんの少し貴女を過小評価していた事を謝罪し、評価を訂正するわ。
ええ、マエリベリー・ハーンが八雲紫になりつつあるのは正解、貴女達の世界に居たとしても発生し、貴女でさえ気付く事が無かったのも、幻想郷に来てしまうと言うイレギュラーから加速度的に起きていたのも、私がマエリベリー・ハーンでは無いのも正解。
おめでとう、貴女の仮説は殆ど正解へ至っていたわ。
ただ一つ、この私の正体を除いて」
「……一つ」
蓮子の仮説から正解がちらほら出た事にこのメリーの身体を通して話す別人は静かに笑い、蓮子の事を少々過小評価していたとしながら信じられないメリーの現状、メリーが八雲紫になると言う衝撃的な情報、幻想郷に来てからそれが加速度的に起きこれらがイレギュラーである事などを話し、聞いていた菫子やブロントさん達を驚かせる。
そして、たった一つ、このメリーとは別人の意識の正体が間違っているとして指を立て、改めてその間違えている部分を話し始める。
「私の正体、それは八雲紫では無い。
正確にはマエリベリー・ハーンの中に生まれ、八雲紫が誕生した瞬間からその運命の流れを本来無意識下で働き、それを発生させる舞台装置…………謂わば運命の流れそのもの、修正力とでも言うべきものよ」
「運命の、修正力……!」
「そう、こんなイレギュラーな事態が起きなければ私はマエリベリー・ハーンと重なったままとなり、彼女が幻想郷を管理する賢者にして境界を操る妖怪になる様に無意識下で働き掛け、そしてそのまま運命の流れのままだったわ。
しかし今は、時期早計のまま彼女の意識のみならず肉体その物すら宇佐見蓮子と共に現在の幻想郷に来てしまった。
その為マエリベリー・ハーンは新たな未知の運命を歩む事となり、元々彼女に刻まれていた私と言う元々刻まれた運命との乖離が発生し、こうやって私が八雲紫の知識と記憶を取り込み、別の自我と言う形で表に出て彼女の至るべき運命を修正しようとする事態になった。
それが今までの彼女の豹変及び私の表層化、これが私の正体。
惜しかったわね、八雲紫は私とは寧ろ逆の立ち位置にいるわ」
メリーの身体を通して話すこの別人は運命の修正力を自称し、八雲紫の知識や記憶を持ちメリーを八雲紫へと導く為に存在しているとして淡々と情報を開示して行く。
恐らくは蓮子の仮説がほぼ的を射ていたからなのか、このイレギュラーな事態を早く修正しようとする為なのか、或いは両方の思惑があるのかは本人のみぞ知る事である。
「メリーが……紫様に⁉︎」
「マジかよ…………(メリーと八雲紫、2人があまりにも似すぐる理由は親子とか姉妹とか先祖とかそんな物では無く、いつか至る未来の自分自身だったと言う事‼︎
何故未来人のマエリベリー・ハーンが過去世界の大妖怪と同一人物なのかは時間の壁はあのスキマ妖怪には関係無いと言う事実‼︎
恐らくは俺達が知らない原初の過去の未来、マエリベリー・ハーンは八雲紫と成り過去へ渡り幻想郷を作り上げた。
この時から過去に八雲紫、未来にマエリベリー・ハーンが同時存在し、いずれ至る運命へと事象が固定化されたのかもしれにい‼︎
しかもレミリアにバレなかったのは恐らく、この修正力が何かしら干渉をしてレミリアに気付かせなかったのだろうな!
運命そのものと言うならそれ位は可能だ‼︎
ヤバイぞ、これは想像以上に厄介な事態だ……‼︎)」
運命の修正力から告げられた言葉に麟、菫子、ブロントさんは驚き、更にブロントさんはこれは根深く、解決しようにもどんな事をすれば良いのか分からずじっとメリーを、メリーの身体を操る運命の修正力を見るしか出来なかった。
「……疑問として、何故私の命に関わる事態や私とメリーの間が引き裂かれそうになれば貴女が出て来るか、これは分からなかった、これは何故?」
「簡単よ、マエリベリー・ハーンが八雲紫へと至る結末にはある時……そう、今みたいに私、運命の修正力が完全な干渉を果たし、マエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子のどんな形であれ別れさせるアクションを起こす、これによりマエリベリー・ハーンと言う1人の少女は消え、八雲紫と言う妖怪が誕生する。
貴女とこの子の離別は最終段階として定められていると言う事よ。
これよりも前に宇佐見蓮子と何かしらの形で別れたりしたら八雲紫が誕生する事象に狂いが発生し、それを修正するのが面倒になる。
だからこそ貴女も助けていた、ただそれだけよ」
「……そう、つまり今までのアンタの言う事も加味して逆を言えば、今貴女を止められればメリーは八雲紫にならず、私と離別する事はない、って訳ね……!」
此処で蓮子は一つあった疑問、何故修正力は蓮子も助けていたのかを確認すると、告げられた言葉はメリーが八雲紫になるには今の様に修正力が完全干渉している場面で蓮子との離別を引き起こせばそれが最終段階とされていて、それ以前に蓮子の身に何かしらの事が起きると運命の流れに狂いが生じ、修正が厄介になると言った。
すると蓮子は不敵な笑みを浮かべ、逆説として今の段階で止められればメリー、自分の親友が消え境界を操る妖怪になる事は無いと断言する。
その言葉を聞いた途端メリーの笑みが消え無表情となり、じっと蓮子を見つめて口を開いた。
「…………確かに今私を止められればこのが今八雲紫になる事は一旦止められるわ。
しかしそれには貴女だけで無くこの子の、運命の流れすら跳ね除ける程の強い意志を、最終段階で示さねばならない。
でなければ私の干渉を妨げられないから、ね。
この子にそんな期待は「出来る、だってメリーは私のたった1人の、替えようが無い親友なんだから‼︎」……そう、良かったわねマエリベリー、貴女はこんなにも親友から信頼されているのだから……でも、私を止める手段はあるのかしら?
この子の意識を覚醒させる手段は?
貴女の声をこの子に届ける方法は?
それが無いなら、今日の真夜中……2時を迎え14分経過した瞬間、決別の時が来たるわ。
……その時間、2時に博麗神社……幻想郷と外の世界の境界線、楔たる場所で待ちましょう。
止められるものなら、止めてみなさいな『ギュオン‼︎』」
「メリー‼︎」
「くっ⁉︎」
蓮子の逆説を否定せず、それが出来れば確かに止められると肯定しながらもそれがどんな方法を用いるのかを問い、それが無ければ2時から14分経過した瞬間に運命の刻が来て蓮子とメリーは離別してしまうとされた。
そう、蓮子が見た悪夢の一幕……アレが起きると言う事だった。
それを止められるのか試すのか、或いは無駄だとしているのか真夜中2時に博麗神社で待つと言い、その瞬間メリーの背後に中に数多くの目が蠢き、こちらを見ている空間の裂け目が発生し、メリーはその中に入って行った。
蓮子達は手を伸ばして止めようとするも、タッチ差で間に合わず空間の裂け目は閉じメリーはその場から去ってしまったのだった。
「間に合わなかった……いや!
まだ猶予はある‼︎
時間までにメリーの意識を目覚めさせる方法やあの修正力がのらりくらり出来ない様に出来れば……‼︎」
「しかし……時間を迎えさせないとか運命とかは心当たりがあるが、眠ったメリーの意識に声を届ける方法が思いつかにぃ!」
「時間とかは誤魔化せても、どうすれば……」
「無理難題とは、よく言った物です……!」
ワンタッチで捕まえられなかった蓮子だったが、まだ時間的猶予がある為メリーの意識を目覚めさせ、メリーに修正力を跳ね除ける意志を示させる方法を考えようとする。
ブロントさん達も共に考え始め、『運命』や『タイムリミット』に関しては誤魔化しやらが効く心当たりがあるも、肝心なメリーに声を届け目覚めさせ強い意志を示させるが思い付かず難色を示す。
そうこうしている内に陽は沈み、夜の帳が降り始め辺りは真っ暗になり始める。
辺りの暗さはブロントさんがフラッシュを使い明るくするも、考えは一向に纏まらずにいた。
「……思い付かない‼︎
心を読む妖怪が居るのは分かるけど、意識を繋いだりする妖怪や人なんて私分からない‼︎
でも方法はきっとある、だから諦めるわけには‼︎『ガサガサ』
っ、誰⁉︎
…………アンタは…………‼︎」
蓮子は頭を悩まさせ、方法が思い付かないまま1分、1秒と時間が過ぎて行きもどかしさを感じるも尚諦めず、何としても方法を見つけ出そうと頭を必死に回転させ記憶を辿りそれらしいものを見つけ出そうとする。
その矢先、蓮子達の背後の茂みから物音が聞こえ、蓮子が真っ先に振り返る。
すると、其処に居たのは…………。
「…………アンタに今構っている暇は無いのよ、今直ぐ消えて……『シャドウ』‼︎」
蓮子とメリー、2人を幻想郷に来る要因を作り、今の事態が発生した元凶ともなった青年、『シャドウ』……ブライトその人だった。
「お前……一体何の様だ!
まさか蓮子の邪魔をしに来たのか⁉︎」
「…………その逆、と言えばどうする?
白夜の騎士殿、花の魔法使い、初代秘封倶楽部会長、そして、マエリベリー・ハーンの親友」
「何ですって……⁈
アンタ、何の「マエリベリー・ハーンに手っ取り早く声を届けさせる方法がある、それを提示し、またその時間を稼ぐ算段も持って来た」⁉︎」
「これを受けるか受けないかは好きにすると良い、方法だけなら協力するしないに関わらず提示する事は約束しよう」
何と、青年の口からこの事態に対して協力すると言う言葉が飛び、更に蓮子達が思い付かなかった手段、及びそれを確実にする為の時間稼ぎの算段も持って来たと告げる。
この言葉に蓮子のみならず、ブロントさん達も驚愕し、じっと青年を、但し睨む様に見ていた。
「……時間が無い、協力するかしないか早く決めて貰おう。
2時まで後数時間しか無い、どうするか早くして貰おうか、宇佐見蓮子……」
「…………」
青年は睨まれながらも、自身の協力を受けるか否かを蓮子に答えを迫る。
その蓮子の答えは……。
「……ファイトしなさい、アンタは言ってたわね?
ヴァンガードファイトにはその者の全てが表れるって。
ならアンタが本気で私達に協力する気があるか、それを見極めてやる‼︎
アンタを利用するかしないかはその後決める‼︎」
「…良いだろう、ならばファイトだ!」
何とヴァンガードファイトをし、『シャドウ』が本気か否かを見極めるとしてデッキを取り出し構える。
それに応える様に『シャドウ』も白いデッキケースからカードを取り出し、ファイトテーブルを展開した。
月が登り始め、月光とブロントさんのフラッシュで辺りが照らされる中、蓮子と偽りの名を名乗る青年、2人のファイトが再び為されようとしていた。
此処までの閲覧ありがとうございます。
かなりごちゃごちゃしてましたが簡単に書くと、メリーの中には紫に至る運命が刻まれ、その運命がそのままに発生する様にメリーに働き掛けてた訳です。
しかしイレギュラーにより未知の運命の流れが発生し、それを修正する為にそれはメリーの別の自我として修正を働かせ、そして今に至るのです。
かなり複雑で矛盾が色々あると思われますが、これがこれ作品のメリーと紫の関係、そしてそうなる流れへの設定となります。
次回は蓮子VS『シャドウ』回(3回目)、出来るだけ早く更新致しますのでお待ちを……。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第83話「激突、そして困惑?」
今回は前編で、長めの話になってます。
では、本編へどうぞ。
蓮子と『シャドウ』、2人は無言のままデッキをシャッフルし、そのまま手札を入れ替残るはスタンドアップだけになる。
「ねぇねぇブロントさん、麟?
これ良いのやらせて?
彼が何か手立てあるならこう物理的に締めて吐き出させるとか」
「無駄だろうな、アイツは恐らくこうやって揉め事になるのがミエミエなのに顔を出した、つまりは蓮子と一戦交える事も織り込み済みである事は明白に明瞭の事実。
もしも何もなく手段を口にさせるのであれば、それこそさっき蓮子がOK出す以外に無かっただろうな(確信)
だから今から何をやろうと口を割らないな」
「そしてファイトになる今、互いに手を抜くなどあり得ないでしょう。
そう、お互いの全てをぶつけ合う……其処に一切の手抜きを加える余地は無いのです」
しかし菫子は、今までの経緯を聞いていても今はそれ所では無く猫の手だろうが何だろうが借りたい時の為、締め上げてでもその場で手立てを口にさせられないか他の2人に聞くと、何もなく穏便に済ませられる瞬間は蓮子が真っ先にOKを出す以外に無かったとし、またファイトになった今は蓮子と『シャドウ』は手を抜くなどあり得ないとまで予想し、このファイトを見守るしか出来なかった。
「…………」
「(確かにメリーを手早く助けたいならコイツとファイトしている余裕なんて無い。
ファイトせずにコイツの手を借りるのが1番無難な道だって分かる。
でも、それでも私はコイツの手を借りるのに蟠りを持っちゃう!
そんな蟠りを持ったままメリーを救う自信は無い……なら、1番良い方法はこうやってぶつかり合って今手を組む蟠りを消すだけ‼︎)
……さぁ、行くわよ‼︎」
『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード‼︎」
そうして蓮子と『シャドウ』はFVをスタンドアップさせ、ファイトを開始。
蓮子は『シャドウ』が取り出したデッキケースが黒では無く白かった事から、月で戦った時のデッキとはまた別の、恐らくサグメが言っていたクレイの生物として生まれ変わった新生〈リンクジョーカー〉を中心にした物と考えていた。
その考えは的中し、『シャドウ』のFVは『
「『ネオンメサイア』!」
「それがアンタのもう一つの……『道標の賢者 エルロン』!」
ネオンメサイア:P5000、C1
道標の賢者 エルロン:P5000、C1
『シャドウ』のFV、ネオンメサイアを見た瞬間その名と姿に反応する者が観戦者の中に居た。
それはかつて、
「メサイア……⁉︎
あのユニット、まさかハーモニクス・メサイアに連なるユニットなのでは⁉︎」
「ハーモニクス・メサイアって何?」
「惑星クレイの調和と秩序の神、クレイを支えクレイの危機に目覚め力を振るう救世の神様だ!
アイツ、何故そのメサイアと同じ名を持つユニットを……?」
菫子はその現場に居合わせなかった為メサイアの名を聞いてもピンと来なかったが、ブロントさんの説明で何となく存在は理解し、そんな神と同じ名を持つユニットを使う『シャドウ』……偽りの名を名乗る青年に少し疑問が生まれ、このファイトを静かに見ようと考え始めていた。
そうこうしている内に2人のファイトはスピーディに進み、蓮子は『ブラスター・ブレード』にライドし、『シャドウ』はグレード3のユニット、『オルターエゴ・メサイア』にライドし攻撃をしていた。
「ツインドライブ!『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』
ドロートリガーゲット、パワーは『重力井戸のレディバトラー』に与え1枚ドロー!「ダメージチェック!『
ダメージ回復、パワーはブラスター・ブレードに‼︎」
『サクリファイス・メサイア』のブースト、重力井戸でアタック!「ガード‼︎」
ターンエンド!」
『シャドウ』:ダメージ:2 手札:6
布陣
重力井戸 オルターエゴ R
サクリファイス ネオンメサイア R
蓮子:ダメージ:2 手札:6 ソウル:0
布陣
ベノン ブラブレ R
ミロン エルロン R
以前はこの後に速攻を決められ、蓮子の惨敗で終わったがあの時と違いデッキが違ったり、蓮子の引きの良さもアップしており取り敢えずはこの段階で『シャドウ』が黒のデッキを使っても負けない様にはなっており、また白のデッキはどんな戦略を取るか不明だがその分慎重且つ攻める時は攻めてる為今は静かながら互角の勝負になっていた。
「私のターン!
勇気を剣に、希望を盾に進め!
ライド、『光源の
エルロンのスキル、
ミロンのスキル、
更に『救国の賢者 ベノン』をコールして
もう一度ミロンをコールして更にコストを払い1枚ドロー‼︎
そして今、ドロップゾーンのカードは4枚以上となったのでシークメイト発動‼︎
『せぶるみー・
アルフレッド・エクシヴは
光源の
救国の賢者 ベノン:P8000、C1
護国の賢者 ミロン:P6000、C1
蓮子:手札:7 ソウル:0 ダメージ:0/2
蓮子はアルフレッド・エクシヴにライドし、手札をミロンのスキルを使い実質消費0にしつつ
「コール、『爛漫の
バトルに移行、ミロンのブースト、ベノンで重力井戸をアタック!「ノーガード」
アルフレッド・エクシヴとブラスター・ブレード・
ツインドライブ‼︎『未来の騎士 リュー』『☆』『
クリティカルトリガーダブル、全てセルディックにプラスするわ‼︎
セルディック、アタック‼︎「ノーガード、ダメージチェック!『ダークメタル・カメレオン』『サクリファイス・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ヒールトリガー、ダメージ回復‼︎」
ターンエンド‼︎」
爛漫の
ベノンVS重力井戸:8000+6000VS9000=ヒット、退却
アルフレッド・エクシヴVSオルターエゴ:22000+6000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『未来の騎士 リュー』『☆』『
セルディック:P9000+10000=19000、C1→3
セルディックVSオルターエゴ:19000+6000+3000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『サクリファイス・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
シャドウ:ダメージ:5→4 手札:4
蓮子:手札:8
蓮子は『シャドウ』のリアガードを減らしつつダメージもダブルクリティカル込みで3枚与えて一気に畳み掛けるも、対する『シャドウ』はダブルクリティカルでヒットしていたら更に痛手を被るアルフレッド・エクシヴのアタックのみを防ぎ、ダメージもヒールトリガーを引き当てる事で押さえ蓮子にファイトの流れを持って行かせる気は全く無く、寧ろ完全ガードでドロップする手札も計算して次から反撃に入る準備すら整えている程だった。
「ファイトにはその者の全てが表れる……成る程、こちらの予想を更に上回るのみならず予想の斜め上にすら行きこちらを追い立てるか……確かにこれならばマエリベリー・ハーンを救う可能性があるな……だが、実力はあっても其処に注ぐ想い、覚悟は如何なるものかな!
スタンド&ドロー、Gゾーン解放、コストは『デスティニー・ディーラー』‼︎
『スノーエレメント・ブリーザー』、ストライド・ジェネレーション‼︎
オルターエゴの
更にコール、『ダークメタル・カメレオン』、『中性子星のレディガンナー』‼︎
レディガンナーのGB1、ダークメタルを
『アレスター・メサイア』をコールしGB1、『メサイア』のヴァンガードが居るならコール時にパワー+2000とスキルを与える‼︎」
スノーエレメント・ブリーザー:P15000+11000+5000=31000、C1
ダークメタル・カメレオン:P7000、C1、
中性子星のレディガンナー:P11000、C1
アレスター・メサイア:P9000+2000=11000、C1
『シャドウ』:ダメージ:3/4 手札:1
布陣
アレスター ブリーザー 中性子星
サクリファイス
【●】:
蓮子:
布陣
ミロン ミロン ミロン
「自分のリアガードを
わざわざこっちに
『シャドウ』は蓮子のファイトを見て自分の予想を超える実力が身に付き自分を負かそうとしているとし、しかし精神面の成長は如何なる物かと測るべく
その動きに際したユニット達のスキルを見た蓮子、麟達は味方リアガードを使用不能状態にする
「([‘‘
〈リンクジョーカー〉とか『エイゼル』、『
さて、蓮子は気が付くか?)」
ブロントさんは『シャドウ』のユニット達を考察し、その動きから次に何をするかを予想……否、確信しながら蓮子がそれに気付き何かするかを見る為注目する。
そうした中でバトルフェイズが始まる。
「中性子星、ヴァンガードをアタック!「『誠実の
ブリーザーでアタックしスキル発動、Gゾーンのカードを1枚表にしてパワー+5000!「36000……ノーガード!」
トリプルドライブ!『アローザル・メサイア』『超弦理論の愛し子』『引』
ドロートリガーゲット、1枚ドローしパワーはアレスターへ!『ブリンクメサイア』『☆』
クリティカルトリガーゲット、クリティカルはヴァンガード、パワーはアレスターへ!「ダメージチェック!『ブラスター・ブレード・
サクリファイスのブースト、アレスターでアタック!「ダメージチェック!『
ヒールトリガー、ダメージ回復‼︎」
流石に5ダメージまで行かないか……アレスターの追加スキル、アタック終了後に自身を
更にサクリファイスのGB1スキル、リアガードが
そしてエンドフェイズ時に俺の
中性子星VSアルフレッド・エクシヴ:11000VS11000+5000=ガード成功
ブリーザーVSアルフレッド・エクシヴ:31000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『アローザル・メサイア』『超弦理論の愛し子』『引』『ブリンクメサイア』『☆』
『シャドウ』:手札:4→5 ダメージ:2/4→3/4
ブリーザー:C1→2
アレスター:P11000+10000=21000
ダメージチェック『ブラスター・ブレード・
アレスターVSアルフレッド・エクシヴ:21000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『
『シャドウ』:手札(エンドフェイズ時):6 ダメージ(エンドフェイズ時):3/4→4/4
蓮子:ダメージ:3/5→3/4 手札:7
布陣:ベノン、セルディック、ヴァンガード後列ミロン
『シャドウ』は攻撃の為に手札を一気に使い蓮子を追い立て、その上でドロートリガーもあったとは言え使った手札を回復し切るだけでなく終わってみればターン開始よりも手札が1枚多く増え、更にCBコストも2枚分使っていたがこれもブロントさんや蓮子の予想通りあった
この事はファイトを見ている全員も肌で感じ、ジッと『シャドウ』を見つめるのであった。
「スタンド&ドロー‼︎(今ので分かった、コイツの本当の実力が……でも‼︎)
今度はこっちの番よ‼︎
アルフレッドをコストにGゾーン解放!
ストライド・ジェネレーション、『転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン』‼︎
ホーリースクワイヤのスキル、Gゾーンの同名カードを1枚表にしてこのターン中リアガードにパワー+2000するスキルと……『
呪縛から解放されよ、ブレイク・オブ・ジョーカー‼︎」
転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
蓮子:全リアガード:P+2000、
「おお、あのGユニット
これなら後1回分だけだけど
「ホーリースクワイヤの神秘のベールに包まれていたスキルが遂にカーテンコールして披露宴を迎えた事でアワレにも〈リンクジョーカー〉はその特性をガンメタされてしまい「強すぐる……」「こんなんじゃ勝てるわけがない」と諦めが鬼なりアイツも余裕の表情が崩れ醜い顔になって「今、
ホーリースクワイヤのスキルにより蓮子の
そして
「……やったわよ、それがどうした訳?」
「いや、オルターエゴのスキル発動条件がしっかり成されたかを確認しただけだ…………オルターエゴ・メサイアのGB2スキル発動‼︎
自分、又は相手のリアガードが
このスキルは自ターン、相手ターン問わず発動する、よってコストを2回分払い2枚ドロー‼︎」
シャドウ:ソウル:3→1 手札:6→8
何と蓮子が発動させた
このスキルの存在は蓮子達には想定外だったらしく、『シャドウ』のガード力は手札2枚分増えた為強固となり、全員驚愕し汗が滲み出てしまっていた。
「そ、そんな……
「それ、まるで『
と言うか、ターンもどっちのリアガードも関係無く発動させられるならなんで……」
「(や、やられた……アイツ、さっきのエンドフェイズ時にもブリーザーのスキルによってGB2になり、発動条件が揃っていたのに態々蓮子のターン、しかもホーリースクワイヤ・ドラゴンと言う蓮子の新たな切り札のスキルを逆用してGB2スキルを発動させやがった……!
お前、このファイトに今のお前の本気を、本当の本気を出して来たのか…‼︎)」
ブロントさんは何とか頭を冷静にさせ先程の『シャドウ』……ブライトのやり口を分析し、こちらの反撃ムードを全て一掃し一気に劣勢の雰囲気を醸し出させる様に仕向ける心理戦まで仕掛けて来たとし、ブロントさん……否、ファイトをしてる蓮子自身や麟、菫子すら肌で感じたこの目の前の青年がこのファイトに全身全霊を、今まで自分達には見せなかった物まで使った本当の意味での本気で臨んでいると察してしまった。
そしてそんな青年が本気を出す意味もこのファイトをした理由と合わせて察してしまう……が、蓮子は最後までファイトを続けると頭を切り替え、キッと目の前の青年に鋭い視線を向けユニットに手を掛け始めた。
「手札が増えるのがなんだ、
ミロンのブースト、ベノンでアタック‼︎
私のリアガードは全員パワー+2000されてるので合計18000よ‼︎「ノーガード、ダメージチェック‼︎『重力井戸のレディバトラー』」
ホーリースクワイヤ・ドラゴンで、オルターエゴ・メサイアをアタック‼︎
私は、私はメリーを助けたいのよ‼︎
だからこんなとこで足踏みする訳には行かない、アンタを必ず踏み越えてやる‼︎
いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
イメージ世界にてベノンの魔法がオルターエゴ・メサイアに直撃し、残り1ダメージで勝てる様になり、ホーリースクワイヤ・ドラゴンに憑依した蓮子はオルターエゴに叫びながら突っ込んで行き、その拳を叩き込もうとした…………その時、蓮子は突如ユニットへの憑依が剥がれ、真っ白な何も無い空間に出てしまい拳が空振りしよろけてしまう。
「っとと!
……えっと、此処は?
イメージの中、の筈なんだけど……一体何なのよこれ?
真っ白で何も無いし、ファイト中だったのに……PSYクオリアを発動させても無いのにこんな…………あっ!」
事態が全く掴めず困惑する蓮子は周りを見渡しながら落ち着こうと考え始め、こうなる前にPSYクオリアを発動させていたか否かも思い出しつつ視線を泳がせる。
すると蓮子の視界に誰かの後ろ姿が映り込み、誰なのか確認すべく近付いて行った。
その後ろ姿の主は、何とさっきまでファイトをしていた『シャドウ』その人だった。
蓮子はまたこの青年が何かしたのかと思い詰め寄り始める。
「ちょっと、一体何なのこれ!
またアンタが何かやったんでしょ、私を元の場所、イメージに戻しなさいよ‼︎」
「……そうか、これが…………悪いが宇佐見蓮子、これは俺の仕業じゃない。
寧ろ俺が巻き込まれた側だ」
「……はい?」
『シャドウ』に詰め寄り胸倉を掴みながら元に戻せと要求すると、胸倉を掴んだ手を払いながらその口から出た言葉は、自分の方が巻き込まれた側と言う自分が当事者では無いと言うものだった。
これには蓮子も呆気に取られ、更に事態が飲み込めなくなってしまう。
「えっ、えっ?
じゃあこれ誰がやったのよ?」
「……はぁ、俺がやらないでお前がこの場に居て、お前がやった以外に誰がやるんだ?」
「え、私?
いやいやPSYクオリアを使ってないしこんな力知らないわよ」
そんな中で『シャドウ』はこれを蓮子がやったのだと話し始め、当の本人はその説を否定し、引き起こす要因の一つだと思われるPSYクオリアも使っていないとし、更にそれ以外でこんな事を引き起こす力も知らないと手を振りながら話す。
すると『シャドウ』はじっと蓮子を見つめながら口を更に開く。
「ああ、お前はまだ知らないだろうな。
お前の力は外の世界では星と月を見て時と位置が解る眼であるが、この幻想郷の中では全く別の力を発揮する事を……そう、マエリベリー・ハーンの境界を視る眼が紫様の境界を操る程度の能力に変わるようになる事を」
「…………えっ?
アンタ、何を言って「それを今から説明する、幸いこの空間には時間の概念が無い。
よって幾ら話していてもこの空間が消えない限り本来の時間はお前がホーリースクワイヤ・ドラゴンのアタックをした所のままだからな」…………」
『シャドウ』は蓮子の自身の知らない事を、蓮子の持つ眼とは別の力を彼女が持ち、メリーの力が八雲紫の能力に変わった様に幻想郷でそれは発揮されると言い始め、蓮子は訳が分からずに居たが、それをお構い無く目の前の青年は話を続けようとする。
この空間に時間の概念が無い為幾ら話しても大丈夫と、矢張りこの空間などを色々知る素振りや言動を見せながら。
それらを聞いた蓮子は『シャドウ』の事は信用ならないが、何か情報を握っているならそれを話させるべきだと思い彼の話を聞く事に対し無言の肯定をするのであった。
此処までの閲覧ありがとうございます。
前編の最後は少し分からない様な終わり方をしましたが、メリーの話を消化したので次は蓮子の話にも予想がつく様にする為にこうなりました。
『シャドウ』……ブライト……偽りの名を名乗り、蓮子達に近付いた青年は何を話すのか、お楽しみに。
時間もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第84話「心を繋ぐ幻想」
ファイト回の筈がほぼほぼ会話回になりました。
しかし予定通りなのが何とも……。
では、本編へどうぞ!
蓮子は『シャドウ』の話を聞く為に彼の目を見据えながら目の前に立ち、その口が開くのを待つ。
その無言の肯定を見て『シャドウ』は瞬きを1回した後この状況、蓮子の力……幻想郷にて発揮される力を口にし出した。
「先ず宇佐見蓮子、お前の力はその眼だったがこの幻想郷では違う。
まぁこれはとある人達から聞いた話なんだが…………マエリベリー・ハーンが境界を操る程度の能力に変わった様に、お前も違う力を持つ事になる。
そう、この空間…………人妖問わず他者同士、又は自らと他者の心を繋ぎ、互いに理解し合う
それがこの空間、その力の最終形にして完成したもの、お前は無意識の内にそれを使ってしまい俺とお前の心が繋がり今に至る」
「他者と心が繋がる程度の能力……それが私の……あれ、でもPSYクオリアで十分じゃ「確かにアレは惑星クレイとリンクし、強いイメージを他者と共有する事もあるがあくまでイメージ、更にPSYクオリアを持つ者同士で無ければより明確にリンクし得ない。
その本質たる心を理解するに至るには押しが一つ弱い、よってこの力は他者との相互理解に於いては心を視たり欲を聞いたりイメージを共有するよりもワンランク上、この幻想郷の本質たる全てを受け入れるを体現した能力だ」……ふーん、そうなの…………私が前に冗談で言ったアレが当たらずも遠からずなんて、世の中分かんないわー…………」
先ず『シャドウ』は蓮子が持つ力の名、『他者と心が繋がる程度の能力』と言う曰く幻想郷の本質であると言う『幻想郷は全てを受け入れる』を体現した能力だと話し、蓮子はその力を無意識の内に使いこの空間に自身と『シャドウ』を招いてしまったのだと話した。
更に似た様なものがある幻想郷に於いてはこの力はそれらの更にワンランク上だとも言い聞かせる。
蓮子はそれらを聞いて以前オリオンとPSYクオリアでリンクした例も出したりしたがそれは該当する同じ力を持つ者同士で成り得た事としてバッサリと切り、更に冗談で言った物が当たらずも遠からずだったのだと思い頷く。
但し『シャドウ』の警戒心は解かず全てを鵜呑みにせずあくまで聞く程度にを貫いている。
「じゃあ次、私が無意識の内にそれ使ってアンタを招いたって言ったけど此処は何?
アンタが話した能力から察すると、多分私の心の中なんだろうけど」
「そうだな、この空間はお前の心の中でもあり俺の心の中でもある、2つの心が繋がり出来た空間に意識が入ったと言った感じだ。
解くには宇佐見蓮子、お前の方が解かなきゃならん。
……この力が使えるか否かを見定める為にファイトを挑んでみたが、まさか最終形の技まで無意識の内に使ってしまうとはな。
矢張り予想を上回る成長をした様だな」
蓮子は次にこの空間の正体を話す様に聞くと、この空間は蓮子と『シャドウ』の2人の心が繋がり出来た空間であると話し、その上でこの空間を形成する、それが蓮子の内に芽生えたこの力の最終形であり、この力を使えるかを見定める為に挑んだファイトで無意識とは言え使われた事に驚きを隠せずにいる『シャドウ』。
それを聞いて蓮子はまた何かに利用されるのかと思い拳を構えるが青年は首を振りその意図は無い様に振る舞う。
そうして、恐らく『メリーを救う為にこの力を使わせようとしていた』のだと、蓮子は口にされていないにも関わらず分かってしまう。
「……アンタの考え、なんか口にされてないのに分かった気がする」
「それが心を繋ぎ、他者と理解し合える力だからだろうな。
最低限の言葉や表現する挙動は必要みたいだがな。
…………だが、確かにこの力があれば幻想郷が今の形……全てを受け入れる様にはなるだろうな。
毒だろうが益だろうが分かってしまえばな………………次はこちらから質問だ、お前は最近、幻想郷に来てから最近妙に勘が良くなったりしていないか?」
少し話をしている中で今度は『シャドウ』の方から質問がされ、それは勘が良くなっていないかと言うものだった。
蓮子はそれの何が関係あるのかと思いつつ振り返ると、確かに幻想郷に来てから勘が良くなって来て、何となく分かるものが増えてきたりもしていたなと思った。
「……確かに勘が良くなった気はするわね。
まぁこれは負けるなぁとか、何かあるなとか、トリガー来るとかね。
まぁヴァンガードの事は多分PSYクオリアだろうけど」
「それもあるが多分違う、PSYクオリアは惑星クレイとリンクし、クレイでの戦いがファイトとして見えてトリガーが来たりとかが分かったりするが確実じゃない。
お前のそれは最早予知に半歩踏み入った勘なんだ……そして矢張り勘の方も目覚めてたか。
これなら恐らく結界を張ったり解くのも、魔を退ける霊の力も目覚める……いや、気付いていないだけで目覚めているかもな」
「?
あの、他人と理解し合う力とはまた相反するものが聞こえた気が「誰彼と理解し合おうとも、中には誰彼滅ぼして悦を得る輩などもいる。
それらから自分も自分が守るべき者を守る為に必要な力……まぁ言ってしまえば小山のボス猿をしばいて迷惑を掛けなくさせる力だ」……あー、確かにそれは……あ、だから毒も理解するんだ」
『シャドウ』の問いに対し答え、それはPSYクオリアの影響と話すがそれを確実では無く、また予知に近い勘だと言い別種のものであれとし、更に『シャドウ』は幻想郷に入る毒を理解し、それを退ける力も既に目覚めているのではと推察し、物騒な事が聞こえて何なんだと思い蓮子は否定形で話すが、それを肯定的な面で話し、守りたいものを守る力、小山のボス猿をしばく力だと言い納得させる。
流石に蓮子も誰もと理解し合おうとも互いに食い違う意見や思想、そして元から他者に害を為さんとする者には受け入れた上で倒したりもする必要があると考え、それらを分けるのにもこの力は最適であり、退ける力と合わせる事で守りたい人を確実に守れるなと思った。
しかし此処でふと『シャドウ』が話した中で少し引っかかるものが出来てしまう。
それはほんの些細な、しかし聞かねばならないと勘が囁く感じがしてならないものだった。
そして改めてこの勘が『シャドウ』の聞いたものだと理解した。
「ちょい待ち、アンタの言いたい事は分かったし色々納得するのもあるけどちょっと『アレ?』って思う事があるわ。
その『アレ?』はアンタの話と現在の前提が食い違うのよ……そう、『私の力があって幻想郷は全てを受け入れる様になる』って言ったアンタの一言、まるで私の力があれば幻想郷が今の様になるって話、これは可笑しいわ。
だって幻想郷は昔に作られて、結界で外界と遮断された楽園の筈。
だけど私は今生きてる、そうなると矛盾が生まれるわ……アンタ、何が言いたいのよ!」
「……この段階、マエリベリー・ハーンが八雲紫様になるその時、この時になるまでは何も言えなかった。
言えばマエリベリー・ハーンの内にある運命の流れ、修正力が働き時期尚早のままそれが前倒しとなり、全てが終わりかねなかった。
だから今なら言える、この段階へ至った今なら…………宇佐見蓮子、お前のその力、それは紫様が幻想郷を形作る際に必要なもの、その時になってあの方の前に現れるものだ」
「……えっ?」
『シャドウ』、青年が口にしていた中で引っ掛かって仕方無かった部分、『この力があってからこそ幻想郷は今の形へとなった』と言う部分、これでは幻想郷は今の様になるには蓮子の力が必要不可欠であり、今此処に蓮子が居るとそれらの話が矛盾し、話が可笑しくなる。
蓮子はそれを指摘し、何を言いたいのか青年に問い質す。
すると青年は、この段階に至る前に話せば全てが終わりかねなかったとした上で口にする……蓮子の内にある力は、幻想郷を形作る際に必要なもの、その時に八雲紫の前に現れ、幻想郷を作るに至ると。
そしてそれは、蓮子がその時に行ってしまう……過去へと跳び幻想郷が作られたと言う内容だった。
「な、何を言ってんのアンタ、訳が「動揺するなとは言わない、だが心を強く持ちこの空間を保つ様にしてくれ。
でなければ今お前に言いたい事が話すタイミングを逃してしまう」っ…………私が、過去へ行って幻想郷を作るの?
それって、今メリーを逃してもまた会えるって事……?」
「いや、会えない。
何故ならそこに居るのは『八雲紫』、『マエリベリー・ハーン』では無い…………例え姿形、記憶があろうとも存在が違う……僅かに繋がりがある程度、別人だ。
だから今を逃せばお前の親友は消えて無くなる、これは絶対だ。
そしてお前の疑問、何故過去へかは…………八雲紫様に微かに残った繋がりを辿りお前が其処へ行き、八雲紫様が幻想郷を作る際に現れるんだ。
必ず、運命の修正力が前倒しにして事を起こしそうなろうが必ず、絶対だ……。
そして俺はこうも聞かされた、『宇佐見蓮子が八雲紫の前に現れた時は必ずボロボロになってた、恐らく親友にもう一度逢う為にかなりの無茶をしたのだろう。
その時にはまた必ず、宇佐見蓮子は記憶が消えてしまっていたから確かめようが無かったけどそれでも分かる』と……」
「っ‼︎
…………」
更に青年は自分が話すべき事として自分が聞いたとする八雲紫の前に蓮子は現れ、幻想郷を作るに至る際の状況、必ず八雲紫の前にボロボロの姿で現れ、記憶を失っていたと言う。
そしてメリーが八雲紫になればそれはメリーでは無く別人であり今を逃せば二度と逢えないとも言い、蓮子に今しか無いと言う切羽詰まっていると言う認識を植え付ける。
更にこれは心が繋がってしまった為なのか、嘘偽りが無く事実を話されているのだとどうしても理解してしまった。
「……今しか、無いのね、私がメリーと離れずにいるには……」
「そうだ、お前がこの力を使いマエリベリー・ハーンと心を繋げ、眠ってしまった彼女を目覚めさせれば、運命の修正力の言う流れはマエリベリー・ハーンの意思により覆す事が出来る様になる……その後は彼女次第にはなるが…………これがお前がやるべき事だ、俺はその為の時間稼ぎしか出来ん。
本命はお前だ、奴を逃がさない様にし、彼女の心と繋がれ、それが希望を繋ぐ唯一の手段だ」
『シャドウ』は蓮子にこの力を使いメリーの心と繋がり、彼女を目覚めさせ彼女の意思を以って運命を覆す様にするのだと蓮子が取るべき行動と、それしかチャンスは無いと言う
のを改めて話した。
蓮子はそれらの話を一気に聞いた為、少し涙が滲みそうになるがチャンスがまだあるのだと理解し、滲みかけたものを拭き取り、ジッと青年を見つめた。
「……そう、それが私のやれる事ね……けどそうしてアンタに何の益があるの?
其処が一切分からないわ」
「無論俺がやるべき事の為、それにはマエリベリー・ハーンの力が必要不可欠だからだ。
八雲紫様では無く、マエリベリー・ハーンの、ユニットを実体化させてしまう彼女の力が。
そう…………」
蓮子はメリーを消させない為の行動が何故『シャドウ』の益になるかを聞き、それを目的の為だと言い目を伏せながら言う。
そんな中、『シャドウ』の背後に光が溢れ出し、蓮子と『シャドウ』は何かと思い視線を移す。
するとその光の中には…………博麗神社が映っていた。
しかし、その風景は霊華が来るまでの様な殺風景になってしまった神社では無く、妖精や妖怪、それこそチルノやレミリア達が集まり、その中心に紅と白の巫女服を着た赤い大きなリボンが特徴の黒髪の少女と、魔理沙とブロントさん達、更にその近くにはメリーに似た女性……八雲紫や霊華、永琳達や幽々子達、今よりも少し幼い『シャドウ』が無邪気な笑顔で其処に居て、笑い声が聞こえて来ていた。
そんな光景を見つつふと蓮子は今の『シャドウ』の表情を見ると、何処か悲しげな表情を浮かべ、今にも泣き出そうにも思える程何時もの仏頂面からは想像も付かない弱気な感情が前面に出てしまっていた。
蓮子は恐らくこれは無意識の内に出てしまった彼の本心であり、この光景こそが彼が求めて止まない物なんだと何となく思ってしまった。
「…………心を繋げるとは、その者の本質も、求める物も見えてしまうものなんだな…………これが宇佐見蓮子の本質。
そしてこの力は、ある者は『魔を封じる守りの力』となり、ある者は『全てを打ち抜く鬼すら震える滅殺の拳』となり、またある者は『空を飛び何者にも縛られない自由の力』
となり、その者、その時のそれぞれの本質を表す力として脈々と受け継がれて行くのか…………」
ふと『シャドウ』が何かを口にし、蓮子はそれに耳を傾けると自分の本質の力がこれと、また誰かの力に受け継がれて行くのだとも呟き、1人で何かを納得していた。
すると光が更に増し、自分達を包み込みこの空間から2人が離れてしまう感じがする。
そんな蓮子の口が不思議と動き、何かの言葉を呟こうとした瞬間光に完全に包まれた……。
「夢…………想、天……生?」
「…………おいィ、蓮子、お前なんでそれを知ってるわけ?」
蓮子がその言葉を口に出した瞬間、先程までの空間は消え周りはファイトをしていたあの妖怪の山の一角の森、目の前には完全ガードを取り出してガードしている『シャドウ』、そして自分はダブルクリティカルを引き当てこのトリガーがセルディックに割り振られていた場面で止まり、周りにはその言葉を聞いて何かあったのかと思い寄って来たブロントさん達が集まっていた。
「…………アンタの、私にやらせようとする事は分かった、何が目的なのかも何となく分かったわ……でもそれがメリーを苦しめる事に繋がるなら、私は絶対に許さないわよ‼︎「セルディックのアタック、パワーアップして合計32000……ならばレディヒーラー、『ブリンクメサイア』でガード、インターセプト‼︎
……覚えておく」
…………私はこれでターンエンド、ブロントさん、麟、菫子姉さん、大丈夫よ。
アイツのやらせたい事とかが分かっただけだから『スッ、トントン』」
「大丈夫、なのですね?
それなら良いのですが……何か気分が悪いなら直ぐに言って下さいね、私達は同じチームで、大切な仲間なんですから……」
「そ、そう?
PSYクオリアのイメージ内で言われたのかな?
便利だなぁ〜。
と言うか、アレ?
何デッキ仕舞って……ってあっちも!
アレ〜もうファイト終わりなの?
途中切りなの?」
「……おう、何か分かって互いにやる事はやり切ったならファイトしてた当事者の判断で終わらせても良いと思った感。
なので俺は特に何も言わないぞ?(…………いや、アレはPSYクオリアの共鳴は起きてはいなかった。
ふいんき(何故かry)で分かる、そして蓮子が不意だまでいきなり呟いた博麗の巫女の使う霊術最終奥義、『夢想天生』を口にした…………まさかメリーがそうだった様に、蓮子もそうなのか…………?)」
ベノンVSオルターエゴ:10000+8000VS11000=ヒット
ダメージチェック『真空に咲く花 コスモリース』
ホーリースクワイヤVSオルターエゴ:26000+8000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『護法の
セルディック:P11000+10000=21000、C1→3
セルディックVSオルターエゴ:21000+3000+8000VS11000+10000×2+5000=ガード成功
『シャドウ』:ダメージ:5 手札:4
蓮子:手札:10
ファイト中断、勝者無し
蓮子は最後にセルディックでアタックし、『シャドウ』はそれをPSYクオリアを発動させながら防ぐ間にも短く言葉を交わし、ターンを終えると同時に2人は共にデッキを仕舞い始めファイトを途中ながらに終えるのだった。
麟は純粋に心配し、菫子はこのファイト中断に困惑し、ブロントさんはファイト中断には特に何も言わず、しかし蓮子が不意に呟いた言葉を聞いて何か頭にパズルのピースが組み合わさり何か考えが浮かんだのか思考するも口にせず見守り、そんな中で蓮子はファイトをして感じた事、『シャドウ』が自分に何をさせようとするかを3人に話し始めていた。
無論其処から少し離れて『シャドウ』も会話に参加していた。
但し先程あった長いやり取りは特に2人は口にしないでいた。
互いに今話すのは違うと理解している為である。
「……成る程ね、彼は蓮子にメリーを止める様にしてメリー自身を目覚めさせ、彼自身はそうさせる為の足止めをすると、ね」
「それは分かりました、ですが蓮子が今のメリー……いえ、修正力に何かをするにしてもその手段は?」
「大丈夫、メリーの目を覚まさせる事に関しては私は理解出来たしやり方もさっきのファイトの中で掴めたわ。
其処は任せて」
「じゃあ奴の足を止めたりさせるには「宇佐見蓮子にアンティファイトを仕掛けて貰う、内容は『勝てばお前はこれから私がOK出すまで動かず何もするな』、これならタイムリミットまでの時間に何かするにしても時間を稼げる」
……ほむ、じゃあアイツにそうさせる理由作りとお前の時間稼ぎの方法は?」
「まず奴を結界内に閉じ込め、スキマから逃げようとしたらそのスキマを必ず押さえ、またファイトでタイムリミットを迎えない様にしたりし、そして事を運ばず。
これら全ての準備は整っている……」
蓮子がやるべき事、更に足止め方法などの詳細を確認し、蓮子がアンティルールありのヴァンガードファイトで『蓮子がOKを出すまで動かず何もしない』と言う条件を出し、その上で勝利し蓮子が先程の『シャドウ』と心が繋がったあの空間をまた作り出しメリーを目覚めさせると自身で理解し、それのやり方も理解した為ブロントさん達に大丈夫と言う。
次に『シャドウ』の時間稼ぎ方法はやたらと複雑で無理難題、『シャドウ』自身に出来ない事が大多数あり、それでも準備は出来ているとしながら懐からクリスタルを取り出してそれを割る。
「おいィ、お前それ本気で「成る程、メリーちゃん、いや、運命の修正力とやらを止める為に私が結界を張り」「永琳のやらかした事への詫びとして私が時間を夜中の2時から14分を経過させずにして」「私が運命を操る程度の能力で蓮子と修正力が戦う運命を捩じ込むか……フン、あのファイトの後の話で何も言わず呼んだら協力しろと言うのはな……」「で、私は蓮子のケア役兼立会人ね……そっちから顔を出したと思ったらかなりヤバイ事になってるな」…………前言撤回、お前敵をかなり作り上げてた筈なのいつの間にか全部やれるえごい山脈を作り上げてやがったのかよ…………」
そうしてそれを合図に現れたのは、先代博麗の巫女であり、結界術のプロ中のプロである博麗霊華、永琳のやらかした揉め事の中で謝罪していた永遠と須臾を操る月人蓬莱山輝夜、紅魔館の者を束ね蓮子達と関わりが深い幻想郷の住人である運命を操る吸血鬼レミリア・スカーレット、そして蓮子とメリーにこの中でもチームファンタズマ並に関わり合いが深く、蓮子とメリーの身元引受け人である霧雨魔理沙であった。
それぞれが蓮子達に悟られない様に関係を持ち、そのどれもが蓮子達と関わり、蓮子とメリーの危機には動く理由が出来ている者達であった。
この妖怪の山の一角に、メリーを救うべく動き出すメンバーが集ったのだった。
此処までの閲覧ありがとうございます。
ファイトを途中中断しましたが、実はこのファイトは初めから全てをやる気は互いに無く、確認……蓮子は『シャドウ』の思惑を、『シャドウ』は蓮子の成長を確認する為に本気でぶつかり合い、理解出来た辺りでメリーを何とかする準備をする為に途中切りしようと言う考えがあり、それが一致してああなりました。
多分蓮子がファイトで白黒着けるのは多分まだ先になります。
そして蓮子に『シャドウ』……ブライトが何故関わるのか答え合わせをちょっとブロントさん達に内緒のままですが出しました。
これを打ち明けてしまうのもまたほんの少しだけ先になります。
それがいつになるかお楽しみに。
それから蓮子の背景設定等は全て二次創作です(改めて)
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第85話「運命のファイト、開幕」
今回は短い会話回、次回からいよいよ蓮子の一世一代の戦いです。
後少しでこの章も終わりになります、もう暫くお付き合い下さい。
では、本編へどうぞ!
真夜中1時頃、蓮子達は約束の時間の前に博麗神社へと集まり母屋にてこの1時頃になるまで軽く睡眠を取り、そして目覚めて明かりを点けて霊華が淹れたお茶を飲みながらその時が来るのを待っていた。
「……待っててメリー、貴女は必ず……「肩に力が入り過ぎてるわ、少し力を抜いて深呼吸なさい」あ、霊華さん」
蓮子は肩に力が入り、表情が重くなって行くと霊華が話し掛けて来て深呼吸をし、肩の力を抜く様に言って来る。
するとブロントさん達やレミリア達も蓮子を見ながら任せなさいと自信に満ちた表情を見せ、蓮子の気を楽にさせようとしていた。
「……そう、ね。
今此処には私の仲間が、メリーを助けてくれる為に集まった皆が居る……皆さん、思いっきり頼らせて貰いますよ!」
「任せて貰おうか、私に操れぬ運命など存在しないのだからな」
「これで貴女達へのお詫びとなるなら、私は永遠亭を預かる者として幾らでも力を貸すわ。
安心なさい、きっと上手く行くわ、今と言う時を生きる宇佐見蓮子さん「蓮子で良いですって」……分かったわ、蓮子」
「私は結界術は不慣れな方だけど、それでも博麗流結界術、霊術は全て会得しているわ。
結界の方も任せなさい」
「俺達も蓮子の仲間、だからお前の心をずっと支えてやるさ、最後までな」
「だから安心して下さい」
「メリーはしっかりと救えるわよ、これだけの人に思って貰えてるし、力を貸して貰えてるしね!」
「そしてその手でしっかりと親友の手を掴むだ
決して離さない、離れない様にしっかりと強くな!」
ブロントさん達や魔理沙達はそれぞれ蓮子に言葉を掛け、蓮子に今回の事は必ず上手く行くと安心や自信を持たせるのに十分な程にその想いを伝える。
蓮子はそれが嬉しくて泣きそうになりながらも、しかしメリーがちゃんと隣に立つその時まで涙を堪え皆に笑顔を見せる。
「……ありがとう、皆!」
「………………さて、そろそろ1時50分になる。
そろそろ最終確認をする、外に出て欲しい」
すると『シャドウ』は空気を読みながら蓮子が感謝の気持ちを口にした後に最終確認をする為に全員に外へ出る様に言い、蓮子達は外に出て準備は万端なのかを確認しその時が来るのをじっと待ち始めた。
そんな中で蓮子は霊華と『シャドウ』を見て、あの心が繋がった空間での最後の方を思い出し準備確認を終えた直後にそれらの事を聞き始める。
時刻は1時53分。
「あの霊華さん、少し聞きたい事が」
「何、蓮子ちゃん?」
「あの、霊華さんは『全てを打ち抜く鬼すら震える滅殺の拳』や『魔を封じる守りの力』、それと『空を飛び何者にも縛られない自由の力』、後…………『他者と心を繋ぎ、互いに理解し全てを受け入れる力』、これらを知ってますか?」
「……蓮子、お前それをどこで知ったんだ……⁉︎
まさか『シャドウ』、アイツに教えられたのか?」
蓮子は『シャドウ』が最後に口にした三つの力に加えて、未だ誰にも言っていない蓮子自身の力である『他者と心が繋がる程度の能力』をそれら三つの力の言い回しにしながら言い、 それを聞いた魔理沙が驚きながら蓮子に誰から聞いたか聞き、『シャドウ』は溜め息をしつつ何処かやらかしてしまったなと自身に言い聞かせる様な態度をしながら蓮子達に近付き口を開いた。
「ああ、ついボロっと言ってしまったんだ。
PSYクオリアの繋がったイメージの中でな。
それに関してはすまない、こちらのミスだ」
「……いや、ミスって程じゃないでしょうね。
それに君がつい口にしてしまったのは多分必要な、蓮子ちゃんが知るべき事であったからでしょうね。
だから魔理沙ちゃんはそこまで噛み付こうとしないで今は少しだけ押さえてね。
……さて、それらの四つの力を知っているかと言えばYESだし、そもそも一つは私の能力であり最終奥義よ、その鬼も震える必滅の拳がね」
『シャドウ』は自分のミスであると言い、更に蓮子が『他者と心が繋がる程度の能力』、その最終形を使った事をPSYクオリア同士の共鳴で繋がったと偽りの情報を上乗せしつつ事実を言い、魔理沙はそれを聞いて『シャドウ』の足を何度か蹴ったり踏みながら何やっているんだと口にしながら怒り、霊華がそれを押さえつつ四つの内必滅の拳が自分の物であると答え、蓮子はそれに何故か納得がいってしまいやや苦笑していた。
「で、魔を封じる守りの力、これは先々代……私のお母さんの『魔を封じる程度の能力』ね。
だからお母さんは封印に関しては歴代の中でも指折り、下手したらそれに関しては現博麗の巫女である霊夢や『初代博麗の巫女』様……この幻想郷の時に残酷で時に温かい本質である全てを受け入れるを体現し形作った偉大なお方、『他者と心が繋がる程度の能力』を持ったご先祖様よりも上かもと言われたわね。
そして最後の空を飛び、何者にも縛られない自由の力は現博麗の巫女であり、初代様の先祖帰りと言われその潜在能力は正に初代様
と比肩し得る霊夢の『空を飛ぶ程度の能力』ね。
あの子は本当に自由奔放で修行嫌いで我が強かったりしたけど、巫女としての力は間違い無く出来の悪い方の私なんかよりずっと上ね〜、経験や磨いた技術は私の方が上だけど」
「……だな〜、霊夢はマジで自由だったな。
私も偶に引く様なガメツさや面倒くさがり、かと言えば巫女の仕事をきっちりやったりと振り回されたもんだよな〜」
「…………ああ、それの尻拭いを魔理沙や俺、ブロントさんなどがやってたな……」
「だな(しみじみ)」
更に霊華は先々代の巫女が魔を封じる守りの力を持ち、霊夢が『何者にも縛られない自由の力』を持ち自由奔放過ぎて魔理沙達に該当するエピソードを思い出させ、その尻拭いをしたりと呟きながらスルッとズレた肩の服や鎧を戻しながら苦笑していた。
その中で蓮子は聞き逃さなかった、『他者と心が繋がる程度の能力』を持っていた者が歴代博麗の巫女の中に居た事を。
それも初代博麗の巫女……現在の幻想郷の本質を形作った偉大な巫女だと語られている事を。
そして、『シャドウ』の言葉が正しいならそれと全く同じ力を持つ自分は一体なんなのかを改めて理解し、そしてメリーを止める気持ちがより一層強くなり、手に不思議と力が込められるのだった。
「まぁ、それをボロっと口に出そうが今は蓮子には関係ない話なのは明白に明瞭、今大事なのはメリーをしっかりと抱き止めてやって手を離さない様にする事だな。
そしてそれが出来るのは蓮子だ」
「そうだな、1番メリーって言う女の子を理解してるのは親友の蓮子だ。
バックアップは任せろ、存分にやって来い」
「……はい!(そう、今は私が何なのか、この力の意味なんて関係無い。
今はこの力で、メリーを救うんだ!)」
しかしブロントさんが今は何が大事かを説き、魔理沙がケアをしながらバックアップは任せてくれと言い、それと同時にレミリア達が頷き、『シャドウ』は目を伏せながらもその雰囲気から失敗はしない、させないと言う意志を示し、蓮子は頭を切り替えて強い意志を灯した瞳で前を見据えた。
すると『シャドウ』が懐から1枚のカードを蓮子に渡す。
「……?
これって」
「餞別だ、使うか否かは今決めて置くと良い。
もし使うなら良く考えて入れて置くべきだ、何を抜き、それを入れるか、な」
『シャドウ』はその1枚を餞別とし、使うか否かは今短い時間で決める様に、そして使うなら何を抜き使うか考える様にも言う。
蓮子はその1枚を見て、確かに自分のデッキに使うなら何を抜いて入れるか迷いそうになる……が、蓮子は自然と1枚を抜いてそのカードを入れた。
ブロントさん達はそれに対して特に何も言わず、蓮子が決めたならそれに賭ける気でいた。
そうこうしている内に蓮子の瞳に空間が裂け、中から自分が良く知る少女の姿が出て来る光景が映った。
時刻はジャスト2時だった。
「……結界術に不慣れとは言え、その道のプロたる先代博麗の巫女、運命を操る紅魔の吸血鬼、永遠と須臾を操る月人にして罪人が雁首を揃えてこの場に集まるとは……成る程、狙いは何なのか理解したわ。
ただそれが出来るかはまた別の「させると思うか?『ギュウン‼︎』っ⁉︎
これは
まさかこちらがスキマを開いた瞬間にそれを封じて機能そのもの封殺するとは…………しかしこれは何処か……それに貴方はこんな力は持っていなかった、ネタあかしをするべきでは?」
「ほうほう、これが『メサイアの先導者』の力の一端か。
私達3人の周囲に現れたスキマに
そして今はそれを行使出来る場面であったと、成る程な」
「うん、どう見ても〈リンクジョーカー〉を宿した人の力にしか見えないわ、何か禍々しい感じが減ってるけどね」
メリーの身体を乗っ取る運命の修正力はこの面子の役割をそれぞれ理解した上で、それが出来るのかとレミリア達の足元や背後などにスキマを生成した瞬間に『シャドウ』が手を振り、そのスキマに〈リンクジョーカー〉の力たる
そして修正力はそれらを聞きその為の面子、その為の『シャドウ』と言う一見して完全に場違いな者が適任だと理解していた。
「尤も八雲紫様に同じ事をやろうが止められなかっただろうがな。
だが今目の前に居るのは大成もしていないマエリベリー・ハーン、だからこそこんな邪魔をやれたがな」
「……メサイアの先導者……成る程、そう言う事か。
確かにこの身体はマエリベリー・ハーン、境界を操る妖怪たる八雲紫になる前、同じ力を行使出来たとしてそれは不完全、この様な邪魔を許すのも必然か。
ええ良いでしょう、貴女達が考えた策に乗りましょう。
それを真正面から喰らい尽くした上でこの運命の流れを実現しましょう」
『シャドウ』は目の前に居る修正力はあくまでもメリーの身体を使ってる為能力も何もかもが大成してない為妨害出来たとし、修正力もそれらを聞きこの面子を何処かへ跳ばして時間稼ぎしようと言う考えを捨て、敢えて策に乗りそれを全て破り自らの目的を成すと宣言した。
その瞬間霊華が博麗流の結界を張り、輝夜が能力を発動したのか身体が微かに光り始めた。
そして蓮子は前に出てデッキを構えた。
「ヴァンガードファイト……アンティルールか」
「その通りよ、私が勝てば『アンタは私がOKとするまで何もするな』、これが私のアンティよ‼︎」
「成る程、では私が勝てば『このまま運命の流れに従え』としましょうか。
これなら貴女にとっては釣り合いが取れてる筈……」
両者アンティを課し、デッキを構えファイトテーブルを生成する。
いよいよ蓮子とメリー、2人の未来が決まるファイトが始まろうとし、ブロントさん達は異変解決時の特有の緊張感を持って蓮子を見守る。
すると蓮子はふと振り返り、ブロントさん達に笑顔を見せる。
「あ、蓮子……」
「心配しないで、絶対に勝って来るから」
魔理沙が声を掛けようとした瞬間、蓮子は勝つと言いながら目を閉じ、そのまま修正力、メリーの身体の方に向き直り鋭い表情となりながらFVに手を掛ける。
「(メリー、少しだけ待ってて。
直ぐに行くわ…‼︎)スタンドアップ‼︎」
「スタンドアップ」
『ヴァンガード(‼︎)』
「『道標の賢者 エルロン』‼︎」
「『真鍮の羽のギアホーク』」
FVがスタンドアップし、遂にアンティが課されたヴァンガードファイトが始まった。
勝てば蓮子は希望を繋げられ、負ければ全てが断たれてしまうこの運命の1戦。
蓮子の絶対に負けてはならない壮絶な戦いの火蓋が、此処に切って落とされたのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回は前回一緒にしようと思いましたが、長さ的に分ける事になった話でした。
そして蓮子が修正力が現れる前に行った行動、これが吉と出るか凶となるか……そして蓮子とメリーの運命は如何に?
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します
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第86話「友の為に」
今回早めに更新致しました、次の回も早めに更新出来ると思われます。
さて、今回からファイト回……それも蓮子にとっては絶対に負けてはならない一戦です。
このファイトが如何なる流れで進むか、本編へどうぞ。
ファイト開始と同時にイメージ世界が形成され、蓮子はユナイテッド・サンクチュアリの高層ビルの屋上に降り立ち其処でエルロンに
しかし、空を見上げるとその眼に映るのは雲が渦を巻き、その中心に月が輝き辺り一面の闇を照らす唯一の光となっていた。
正に運命の一戦の雰囲気を醸し出す異様な風景にメリー……では無く、紫色の光の塊が現れ、それが一瞬メリーの形になった後にギアホークに憑依するとこれまた普通のイメージでは無い物がこのイメージ世界に表れていた。
視点を現実のブロントさん達に戻し、修正力のデッキはメリーのデッキのままなのかギアホークがFVだった為、ブロントさん達ファンタズマは蓮子が戦い易いと思い始めていた。
「ギアホーク、予選終わりまでのFVですね」
「と言う事はデッキは変わってない?」
「ならば恐らく大丈夫だろうな。
何故ならば蓮子はあのデッキと散々ファイトしたし変更点が無いならどう戦うかも分かるし勝率はムクムクと湧くな(確信)」
「(……果たして、同じかどうかな?)」
しかしブロントさん達がこの考えを口にした中、『シャドウ』はあのデッキが直前までのメリーのデッキと同じかと言う疑問を持ち、何かしらの予想外が起きても可笑しく無いと考えていた。
これらの考えはどちらが正しいかはファイトの進行により判明するだろうが、蓮子は目の前に居るのはメリーでは無い為そもそもデッキも違うと考えながら後攻のファイトを進めていた。
「ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』にライド、ギアホークは左後ろに移動、ターンエンド」
「ドロー!(メリー……貴女を救う、絶対に。
その為に力を貸して、〈ロイヤルパラディン〉の仲間達‼︎)
『
『誠実の
ダメージドローか、せぶるみー‼︎「『スチームバトラー ダダシグ』でガード」
ドライブチェック『未来の騎士 リュー』『☆』効果は全てヴァンガードに付与してターンエンド!」
真鍮の羽のギアホーク:P4000、C1
メーザーギア・ドラゴン:P8000、C1
道標の賢者 エルロン:P5000、C1
誠実の
シンリックVSメーザーギア:7000+3000VS8000=ヒット
ダメージチェック『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
修正力:手札:5→6
メーザーギア:P8000+5000=13000
せぶるみーVSメーザーギア:7000+5000VS13000+10000=ガード成功
ドライブチェック『未来の騎士 リュー』『☆』
せぶるみー:P12000+5000=17000、C1→2、ガード突破失敗
蓮子:手札:5
修正力:ダメージ:1 手札:5
シンリックのアタックが直撃した後トリガーによりせぶるみーのアタックをトリガー込みでも完全に防げる様にガードし、蓮子のクリティカルトリガーを上手く去なしてダメージ1で修正力は凌ぎ切ってしまった。
「惜しい、ヴァンガードからアタックしたら多分クリティカル2で持って行けたかも!」
「まぁまだ2ターン目だ、焦る必要は無い。
ダメージなどこれから与えれば良いのだからな」
菫子がそれを見て悔しがるとレミリアがまだ2ターン目と言いこれからであるとし、蓮子も少し肩に力が入ってた自覚が今のプレイングであった為深呼吸し、気持ちを切り替えてファイトに目を向ける。
すると修正力は第3ターンを既に始め、ドローを終えていた。
「ライド、『スモークギア・ドラゴン』。
……さて、其処のエルロン、残して置くと少々厄介ね。
なら、早速消し去りましょうか。
コール『スチームナイト カリブム』!」
スモークギア・ドラゴン:P10000、C1
スチームナイト カリブム:P8000、C1
「何、カリブムだと⁉︎」
「な、メリーのデッキに入ってなかった見た事無い〈ギアクロニクル〉……って」
「お、おいおい何だよお前、ブロントさん達がいの一番に驚くなら分かるけど何でお前が」
修正力がエルロンを見ながら手札から蓮子やブロントさん達が知らないユニット、カリブムを出した瞬間『シャドウ』がいの一番に反応し、菫子と魔理沙、更にブロントさん達はどうしたと言った感じで『シャドウ』に視線を送り、蓮子もエルロンを消し去ると言う言葉の後のコール、更にこの反応を見て嫌な予感が強くなり始めていた。
「……スチームナイト カリブム、パワー8000、昨今のユニットでは珍しくGBも
「此処からは私がするわ、カリブムのスキル発動、リアガード登場時に相手のリアガードを1体選びデッキに戻し、その後相手はグレードを-1したユニットをデッキから選びコールしてシャッフルする。
私はエルロンを選択、さあそれを戻してグレードを-1したユニットをコールなさい」
「エルロン……戻したわ、此処からグレード-1……って待ちなさいよ!
グレード0の-1ってヴァンガードのカードには存在しないわよ⁉︎「ああそうでした、ならコール出来ない場合はそのままデッキをシャッフルして下さいな」
ぐっ、何て白々しい態度……!」
『シャドウ』がカリブムのスキルを説明していた所で修正力がスキルを実践し、エルロンがデッキ内に送られ場から除去され、そのエルロンのグレードから-1したユニットのコールの権利が与えられるが、ヴァンガードにはグレード-系のユニットは存在しない為完全に場からリアガードが1枚消え、デッキをそのままシャッフルせざるを得なくされ、更に親友のその声と笑顔でやられる白々しい態度に蓮子はに腹が立ち、手札を握っていない手に力が入り怒りの表情を向ける。
「そう、アレが場に出てグレード0のリアガードを選ばれてしまうと除去され、場には本来出る代わりのユニットすら出せなくなる。
〈ギアクロニクル〉内での『ガトリングクロー・ドラゴン』的な立ち位置に居るんだ、あのユニットは」
「マジかよ……しかもアイツ、露骨にグレード0を選び白々しい態度でユニットを出しても良いぞとか言うとか……いやらしい以前にかなり対蓮子の煽りレベルが高いぞ……!」
「くっ、蓮子落ち着け!
今怒りで我を忘れたらソイツの「大丈夫、腹は立つけどファイトはまだ冷静に考えて進められるわ、心配ありがとう魔理沙!」……なら、良いんだが……チッ、あの今のアイツの態度、状況が状況だけに其処のバカ幼馴染以上に腹立つな……!」
『シャドウ』のカリブムの立ち位置を聞いたブロントさん達はどんなFVでも後攻最初のターンは動き様が無い為、厄介極まりないユニットだと思うと同時に修正力が取った態度は蓮子に対してかなりの煽り態度である為、明らかに蓮子の冷静さを欠かしてファイトミスを誘発させ自分が楽して勝とうとする魂胆が透けて見えていた。
これにはブロントさん達や当人自身は余り関わって無い輝夜でさえ怒り、魔理沙は蓮子に落ち着くようアドバイスした所で蓮子は右手でサムズアップしながら大丈夫と言い、手札に手を掛けた。
「バトル、スモークギアでシンリックをアタック「これ以上は潰させない、リューでガード!」ではドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』クリティカル、カリブムに全て付与。
カリブムでヴァンガードにアタック「ノーガード‼︎『王佐の騎士 ガルバール』『
良かったわねダメージコストが増えて。
これがトリガーでなければ私はカリブムでまたシンリックをアタックし、次のターン貴女に
スモークギアVSシンリック:10000+7000+10000=ガード成功
ドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』
カリブム:P8000+5000=13000、C1→2
カリブムVSせぶるみー:13000+4000VS7000=ヒット
ダメージチェック『王佐の騎士 ガルハール』『
修正力:手札:5
蓮子:ダメージ:2 手札:4
修正力はヴァンガードでリアガードを狙い、場を一掃しようと動くが蓮子はそれをガード。
そしてクリティカルトリガー込みのカリブムのアタックを受メージコストを確保に成功する。
しかし修正力はヴァンガードにダメージを与える気は元から無いと言わんばかりにクリティカルが出なければシンリックをアタックしていたと手の内を明かし、更に蓮子がダメージコストを確保出来た事に祝いの言葉を文脈から皮肉の様に言い、白々しい態度と合わせて蓮子の冷静さを着々と削りに来ていた。
しかし蓮子は心に誓った親友を救うと言う決意をしっかりと思い返し、この程度の煽りに動じずファイト動作を冷静に、しかし親友の顔と声、身体を使いこんな事をする修正力には怒りを抱きこのファイトは絶対に制すると更に強く思っていた。
「ドロー‼︎
立ち上がれ、私の分身‼︎
ライド、『ブラスター・ブレード』‼︎
コール、『救国の賢者 ベノン』!
ミロンのスキル、
……ふっ、折角新しいユニットを使って除去したのに残念だったわね、今引いた道標の賢者 エルロンをシンリックの後ろにコール‼︎」
ブラスター・ブレード:P9000、C1
救国の賢者 ベノン:P8000、C1
秘められし賢者 ミロン:P6000、C1
エルロン:再コール
蓮子:手札:3 ダメージ:1/2
蓮子は自らの分身にライドし、ベノンミロンコンボで場を埋めると同時に引いたカードを見て、不敵に笑ったかと思うと修正力の先程の行動が無駄骨に終わった様に言いながらFVであったエルロンを再びコールした。
この意趣返しに修正力は先程まで浮かべていた蓮子に向けた笑顔をピタッと止め、手札で口を隠しながら目だけの作り笑みを浮かべて始める。
「ふむ、見事な意趣返しだと関心はするがどこもおかしくないな。
わざわざ新ユニットを見せびらかして大々的にユニットを除去してご満悦だった修正力だったが蓮子のファイト力によって再びきょうきょとして参戦したエルロンによりそれら全てが台無しになりアワレにも作り笑いを浮かべて悔しがっていた。
お前調子ぶっこき過ぎた結果だよ?wwww」
「……ふふふ、まさか直ぐにまたエルロンを引いて呼ぶとは予想外でしたわね。
流石は宇佐見蓮子、ブラスター・ブレードの先導者として申し分無い引きの強さ、しかとこの目に焼き付けられてしまいましたわ。
……そうですね、少々遊びながら倒そうとした非礼は謝りますわ。
此処からはこの私の本気で、貴女を倒し運命の流れを完遂させますわ」
どうやら蓮子の引きの強さが予想外且つ不服だったのか、修正力は余裕はあるものの本気で行かねばやられかねないと判断し、更にブロントさんの持ち前の挑発スキルにより益々本気で行くと考え、蓮子よりも若干頭に血が上りそうになっていた。
本来ならこの様な存在が感情を持ち、怒ったり笑ったりはしないのだが今の状況は修正力からすればイレギュラーであり、本来の流れに戻すべく人格を形成し、メリーの身体を直で操っている為この様な意趣返しにも怒りを抱く様になっていた。
それを見ていた『シャドウ』は予測通り人格を形成した弊害が発生し、付け入る隙が出来ていると心の中で考えていた。
「先ずはブラスター・ブレードでカリブムをアタック‼︎「インターセプト潰しですか……ノーガード」
ドライブチェック‼︎『
ヒールトリガー、ダメージ回復はコストで裏向きにしたダメージのガルハール、パワーはベノンに!
ベノンでアタック‼︎「……どちらを防ごうと変わりないならこのアタックをダダシグでガード」
シンリック、エルロンのブーストでスモークギアにアタック‼︎「ノーガード、ダメージチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』ふむ、矢張り初めてマトモなファイトを一からやるとこうなるか」
よし、ターンエンド!」
ブラスター・ブレードVSカリブム:9000VS8000=ヒット
ドライブチェック『
蓮子:ダメージ:1/2→1
ベノン:P8000+5000=13000
ベノンVSスモークギア:13000+6000VS10000+10000=ガード成功
シンリックVSスモークギア:7000+3000+5000VS10000=ヒット
ダメージチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』
修正力:ダメージ:2 手札:4
蓮子:手札:4
蓮子はヒールトリガーを引き当て、コストで使った非
しかし修正力はまだ余裕の態度を崩さず、まともなファイトをした事が無い為読み違えている様なニュアンスの言葉を発しても蓮子にはまるで何も変わらない為別段気にしていない様に聞こえていた。
そうして蓮子のターンが終わり、次は修正力のターン、グレード3へとライドする番である。
「スタンド&ドロー。
運命とはかくあるままに、ただ決定されし結果に流れ行くのみ。
其処に可能性と言うまやかしの流れなど無し…………まやかしの未来を閉ざせ、十二の獣、時を司りし竜。
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
修正力は長い口上からクロノジェット・ドラゴンへライドし、イメージ世界にクロノジェット・ドラゴンが現れブラスター・ブレードと対峙する。
しかし、クロノジェットのその瞳は輝きを失い、修正力の光が中に入ってもその瞳は暗いまま、ただ眼前の騎士達を虚ろに映すであった。
蓮子はそのイメージを見て、クロノジェットは今のメリーの状態そのものだと感じ、他の騎士や賢者と共に悲痛な面持ちでその姿を捉えていた。
「クロノジェット…………メリー…………」
「コール、『アップストリーム・ドラゴン』。
アップストリームでアタック「……ラヴィング・ヒーラーでガード!」
クロノジェット、アタック……ツインドライブ『スチームファイター バリフ』『ドキドキ・ワーカー』『☆』クリティカルトリガー、全てクロノジェットへ「くっ、ダメージチェック‼︎『爛漫の
さあ、次は貴女の手番よ。
精々無駄な足掻きを見せ、無様に敗北なさい。
その敗北がより一層マエリベリー・ハーンとの繋がりを断ち、更に強き八雲紫をこの世に生み出す
アップストリーム・ドラゴン:P9000、C1
修正力:手札:3
アップストリームVSブラスター・ブレード:9000VS9000+10000=ガード成功
クロノジェット・ドラゴンVSブラスター・ブレード:P11000VS9000=ヒット
ツインドライブ『スチームファイター バリフ』『ドキドキ・ワーカー』『☆』
クロノジェット:P11000+5000=16000、C1→2
ダメージチェック『爛漫の
蓮子:ダメージ:3 手札:3
修正力:手札:5
修正力が操るユニット達の攻撃がブラスター・ブレードにライドした蓮子に襲い掛かり、カリブム同様メリーのデッキには入っていなかったアップストリーム・ドラゴンの攻撃を去なし、しかしクロノジェットのアタックがクリーンヒットし、クリティカルトリガーも交えて蓮子のダメージを増やし、ファイトの流れが一気に向こう側へと傾こうとしていた。
それら一連の流れの中で修正力はこのファイトを無駄な足掻きとし、これに敗北すればメリーとの繋がりが通常よりも更に深々と断たれ、より強い八雲紫が生まれ出ると口にした。
蓮子はそれらを直接聞き歯軋りをし、このファイトに注がれている闘気が更に強く燃え上がり、修正力が思い描く様な事態にはさせないと思考していた。
「スタンド&ドロー‼︎
勇気を剣に、希望を盾に進め‼︎
ライド、『光源の
エルロンのスキル、
更にミロンのスキル、
アルフレッド・エクシヴのスキル、『
そしてシークメイトでドロップゾーンの4枚を戻して、『ブラスター・ブレード・
光源の
アルフレッド・エクシヴ:P11000+9000+3000=23000、C1→2、
蓮子:ダメージ:0/3 手札:4
蓮子はアルフレッド・エクシヴへとライドし、エルロンで呼んだミロンのスキルも使いソウルのエルロンをドロップ、
更にこのイメージの中で蓮子のユニット達は更に輝き、夜を照らし出す月にも勝る強き光となり修正力が操る事で自意識を失っているクロノジェット・ドラゴンを優しく、しかし強く照らしていた。
この強きイメージはブロントさん達やレミリア達、更に『シャドウ』にも伝わり、蓮子なら必ずやり遂げる、そう思わせる様なイメージであった。
『蓮子……!』
「メリー、貴女の事は必ず救ってみせるわ。
この手は絶対に離さない、離させない!
またいつもみたいに一緒に笑って一緒だから泣いて一緒にバカやって、これからもそんな他愛も無い、だけど私にとって、私達にとってかけがえの無い時間を過ごして行くんだ‼︎
こんな修正力とか訳の分からない奴なんかに、邪魔させるもんかぁぁ!!!」
「……ふふ、来なさい……」
アルフレッド・エクシヴはブラスター・ブレードと共に剣を強く握り締め、そのアルフレッドにライドした蓮子は修正力に、そしてメリーに自分の想いを叫び、光に包まれながらクロノジェット・ドラゴンへと斬り掛かりに行く。
修正力はそのイメージと言葉に嘲る様に笑い迎え撃とうとする。
ファイトターンは6ターン目、此処から更にファイトは熾烈さを増し、最後の瞬間へと流れていくのであった。
夢、夢の中。
1人の少女は暗いモノクロームの森の中をあても無く歩き、歩き、歩き続けていた。
一体どれだけ歩いたのか、どれ程の時が経ったのか、少女の目の前に少し開けた場所が現れる。
其処には、少女に似た女性が立ち、その目の前には髪が手入れしていなかったのか無造作に伸び、服も手も顔もボロボロの状態で倒れ、女性に抱えられた別の少女が居た。
女性はその少女を抱えながら嘆き、涙を流しながら己を呪い、ボロボロとなった少女に懺悔していた。
その女性に抱えられた少女は何故女性が泣いているか、自分が誰なのか、この女性が誰なのか分からず、虚ろな瞳はただただ女性を見つめ、その嘆き叫ぶ様をじっと見ていた。
そして、森を歩いていた少女はそれらを見てこれがどんな光景なのか理解し、不意に涙が溢れ、親友の名を口にした。
「…………蓮子……………」
森を歩く少女……マエリベリー・ハーンはこの夢と、更に別の夢を見続ける。
この自身が知らない、しかし『
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の話は内容が内容だけに2、3話に分ける事となりました。
修正力のデッキはメリーのデッキから内容が変わってますが、その理由は次の章で説明が入ります。
そして、最後の方に描写されたものもまた……。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します
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第87話「
最近発覚しまくる誤字脱字の数々……何とか減らしたいのに減らない現実…………自分そろそろミス無くせよと思う今日この頃です。
では、本編へどうぞ。
「アルフレッド・エクシヴとブラスター・ブレード・
ツインドライブ‼︎『爛漫の
クリティカルトリガー、全てシンリックに付与‼︎
ベノンでアップストリーム・ドラゴンにアタック‼︎「……ガード、ドキドキ・ワーカー」
ならシンリック、ヴァンガードをアタック‼︎「ダメージチェック『スチームファイター アンバー』『スチームファイター ウルニギン』」
よし……行ける、これなら勝てる!
ターンエンド‼︎」
エクシヴVSクロノジェット:23000+7000VS11000+0=完全ガード
ツインドライブ『爛漫
シンリック:P7000+5000=12000、C1→2
ベノンVSアップストリーム:8000+6000VS9000+10000=ガード成功
シンリックVSクロノジェット:12000+3000+6000VS11000=ヒット
ダメージチェック『スチームファイター アンバー』『スチームファイター ウルニギン』
蓮子:手札:6
修正力:ダメージ:4 手札:2
バトルフェイズで
蓮子はこの手札、ダメージ差にこのまま行けば勝てると確信めいたものを感じ取り、右手に籠る力に温かみが増えただ一つの希望への道が見え始めていた。
「……スタンド&ドロー。
束の間の希望など直ぐに絶望へと塗り替わる、その証明を今此処に。
『スチームブレス・ドラゴン』をコストにGゾーン解放。
運命は流れ行くままに、超越せよ、『時空竜 フェイトライダー・ドラゴン』!
クロノジェットの
更にギアホークのスキル、相手のリアガードがデッキに送られる度にパワー+5000。
手札から『ラッキーポッド・ドラコキッド』をコールし、フェイトライダーのスキル発動。
ラッキーポッドをデッキに送り、デッキ内から送ったユニットのグレード+1のユニットを1枚コール、『頂きに立つギアウルフ』をコール」
時空竜 フェイトライダー・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード『クロノジェット・ドラゴン』
ラッキーポッド・ドラコキッド:P4000、C1、『引』
頂きに立つギアウルフ:P7000、C1
ギアホーク:P4000+5000=9000
修正力:手札:1 ダメージ:3/4
布陣
ギアウルフ フェイトライダー アップストリーム
ギアホーク R R
しかし修正力はそれが束の間の希望だと言い、自ターンで
そのスキルや
「フェイトライダー……運命の乗り手、操手とも言う名前だけど、運命の修正力が使うと何て皮肉に聞こえる名なんだろう」
「まぁそれより奴は手札1枚にしながら陣を整えてるが、手札1枚なのであわよくば蓮子がそのままダメージ6まで持って行けるかもしれにいので見守っておこうと思った。
勿論これは忍者と違って性格も良くて皆の人気者のナイトだから出来た至高の思考であり忍者なら間違い無く煽ってたりしてたな(確信)」
「(さっきカリブムでデッキに送ったエルロンが戻って来た時に思いっ切り煽っていた様な……いえ、止しましょう。
私の勝手な憶測で皆を混乱させたくありません……)」
「(いや、間違ってないよ麟さん?)」
魔理沙はフェイトライダーを修正力が使った事への皮肉を嫌と言う方感じ、少し嫌な目を向けるがブロントさんはかなり忍者をディスりながら蓮子がもしかしたら早々とダメージ6まで持って行く目も出たと言いそれを見守ろうと言う流れになった。
但し、ブロントさんにブーメランが飛び、麟が霧に巻かれてしまったのは言うまでも無かった。
「霧が出て来ましたので早く決着をつけましょうか、フェイトライダーでヴァンガード にアタック。「……ノーガード!」
トリプルドライブ『スチームファイター バリフ』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』ドロートリガー、1枚ドローしてパワーはギアウルフに。
サードチェック『スチームメイデン ウルル』『治』ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーはアップストリームに。「ダメージチェック!『ブラスター・ブレード・
アップストリーム、ヴァンガードへアタック、スキルでパワー+4000「モドロンでガード‼︎」ではこのアタック終了時、アップストリームはデッキ内に戻り、代わりにグレード1のユニットがデッキよりコールされます、来なさい、『スチームスカラー ジジ』、ジジの
ギアウルフ、ギアホークのブーストでアタック「……ノーガード‼︎『護法の
ターンエンド……蓬莱山輝夜の力で目的の時間に未だ到達せしめぬこの時、されどこの身は感ずる、運命の刻が刻一刻と迫りつつあると。
そしてこのファイトにて、宇佐見蓮子が敗北し地に伏す姿も……」
フェイトライダーVSエクシヴ:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『スチームファイター バリフ』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』『スチームメイデン ウルル』『治』
修正力:手札:4→5 ダメージ:3/4→3
アップストリーム:P9000+5000=14000
ギアウルフ:P7000+5000=12000
ダメージチェック『ブラスター・ブレード・
アップストリームVSエクシヴ:14000+4000VS11000+10000=ガード成功
アップストリーム→スチームスカラー ジジ
スチームスカラー ジジ:P5000、C1
ギアウルフVSエクシヴ:12000+9000VS11000=ヒット
ダメージチェック『護法の
修正力:手札:6 ダメージ:3 ソウル:0
蓮子:ダメージ:2/5 手札:5
修正力はフェイトライダー等による猛攻を仕掛け、蓮子はダメージ5になりながらもその瞳に闘う気力は宿ったままであり、諦める気は毛頭存在しなかった。
しかし、そんな抵抗もこの修正力には無駄な物に見えるのか輝夜の能力で未だ時間が到達しないが、着実に運命の刻が迫っていると口にし、同時に蓮子が敗北し地に伏せる姿も見えると言い軽い挑発を仕掛ける。
それを蓮子は深呼吸しながら静かに答え始めた。
「すぅ……はぁ…………アンタには全部無駄に見えるかも知れない、私が敗北するのがアンタの知る運命へ繋がるんだろうね……けど!
どんなに追い詰められようが、どんなに私とメリーの繋がりを断とうとしようが関係無いわ‼︎
私は最後まで諦めない、アンタの
スタンド&ドロー‼︎
『王佐の騎士 ガルハール』をコストにGゾーン解放‼︎
掴め、私が……私達が望む希望の未来を‼︎
ストライド・ジェネレーション、『転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン』‼︎
更に『爛漫の
Gゾーンの同名カードを表向きにして、私の全リアガードにパワー+2000‼︎」
転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
爛漫の
蓮子:手札:4 全リアガード:P+2000
蓮子は強い決意を告げ、
これによりコールしたセルディックのラインは21000を超え、攻撃態勢を整える。
そしてそのままバトルフェイズへと移り出す。
「ホーリースクワイヤ、アタック‼︎「ふむ……ノーガードかしらね」
トリプルドライブ‼︎『護法の
ヒールトリガー、ダメージを回復してパワーはセルディックに‼︎
セルディック、ミロンのブーストでギアウルフをアタック‼︎「ちっ、ウルル、更にダダジグとラッキーポッドでガード!」
シンリックでアタック、合計パワー20000‼︎「余計なダメージは負いたくないのですが……仕方ないか『アップストリーム・ドラゴン』」
後1枚……ターンエンド‼︎」
ホーリースクワイヤVSクロノジェット:26000+9000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『護法の
蓮子:ダメージ:2/5→2/4
シンリック:P9000+5000=14000
セルディックVSギアウルフ:16000+3000+8000VS7000+10000×2+5000=ガード成功
シンリックVSクロノジェット:9000+3000+8000VS11000=ヒット
ダメージチェック『アップストリーム・ドラゴン』
蓮子:手札:7(非公開手札4)
修正力:手札:3(非公開手札2)
「上手いな、このターンでは先ず決め切れないので宇佐見蓮子はセルディックのパワーを上げ、それで奴のアタッカーを狙い、こちらも分からなかった動きの無い手札を動かさせた。
これで奴は次のターン、手札4枚の内1枚は
攻撃面もガード面も着実に削り始めた。
それらをスルーしなかったと考えれば、あの手札にアタッカーが少ないと見た」
「だが、そうなってでもギアウルフを守ろうとした奴の今の動き…………次に来るGユニットはソウルが無く、蓮子の手札に完全ガードが見えてるので間違い無く『時空獣 アップヒーバル・ペガサス』を使い、蓮子の布陣をズタボロにして来るだろうな。
そしてギアホーク、ギアウルフのパワーを上げて殴って来る」
「幸いなのは、ギアウルフが2体も居なかった事ですね、居れば恐らく……」
『シャドウ』は先程の蓮子の動きを見て、修正力にトドメを刺せない為アタッカーを削り、手札そのものも削りに行こうとしていたと解説し、更にアタッカーも恐らく少ないと判断する。
しかしレミリアは、今のでギアウルフを退却出来なかったのが痛手だとし、アップヒーバル・ペガサスを使い蓮子の布陣を崩しギアウルフ達のパワーを上げて殴って来ると考えていた。
確かにその動きは間違い無くやって来る、全員その確信があった、ファイトをしている蓮子でさえも。
麟はその状況下でギアウルフが2体居ない事が幸いだとし、蓮子もその言葉には同意せざるを得なかった。
仮に居れば、防ぎ切れずやられる可能性が高過ぎたのである。
そして、この会話が終わると同時に修正力が動き出した。
「ドロー、確かに私は次にアップヒーバルを使います。
果たして防げますか、貴女に?「防ぎ切るわ!」
では、狂言で無い事を祈って置きましょう。
『スチームファイター バリフ』をコストに超越せよ、『時空獣 アップヒーバル・ペガサス』!
アップヒーバルのスキルで貴女のリアガードは全てデッキボトムへ、そして送った枚数分デッキトップよりコールを「……1枚目、『
先程の総合火力とまるで変わらない……不愉快ですね、クロノジェットのスキルでベノンを送り、ギアウルフとギアホークは6回パワー+3000とパワー+5000が発生し、手札から『スチームファイター アンバー』をコールします」
時空獣 アップヒーバル・ペガサス:P15000+11000=26000
蓮子:全リアガード:デッキボトム送り、同枚数デッキトップコール
布陣
ガルハール ブラブレ探/エクシブ ベノン
シンリック ハロウドブレス せぶるみー
ベノン:デッキボトム送り
ギアウルフ:P7000+3000×6=25000
ギアホーク:P4000+5000×6=34000
スチームファイター アンバー:P9000、C1
修正力は意気揚々とアップヒーバル・ペガサスを使い、蓮子の布陣を崩し始める……が、何と蓮子の布陣は先程の布陣と余り変わりない総合火力を誇る物に仕上がり、これには修正力も不愉快その物だったらしくインターセプト要因のベノンをクロノジェットの
その光景を目にした菫子達、特にレミリアとブロントさんは思いっ切り笑い飛ばしていた。
「ふぁーwwwwwwwwww意気揚々とアップヒーバル使ったら布陣が普通過ぎる所かあまりにも変わり無さ過ぎるとかwwwwwwwwwwwwwこれには思わずナイトも大爆笑の嵐だったと言う意見wwwwwwwwwwwwwwwww」
「くっはっはっはっは‼︎
なぁ修正力とやら、貴様今どんな気持ちだ?
自信満々堂々と使ったユニットのスキルが逆効果を齎した事に今どんな気持ちで居るんだ?
なぁ教えてくれないか?」
「(この2人は…………)でも、ギアウルフとギアホークのラインが合計パワー59000もある、トリガーやアンバーのスキルを使うならなおパワーが乗り不味い、果たして蓮子は如何に防ぐのか……」
しかし輝夜はブロントさんとレミリアにドン引きしながらもギアホーク、ギアウルフの両ユニットのパワーが跳ね上がり過ぎており、更にはトリガーやアンバーのスキルまで使われてしまうと更にパワーが上がると指摘し、蓮子の防ぐやり方次第ではこのアタックで決まりかねない物となっており、固唾を飲み始めていた。
なお、ブロントさんとレミリアは余程ツボにハマったらしくまだ笑っていた。
「外野が五月蝿い事この上無いですがこの際無視を、アップヒーバルでアタック「…………確かにこのアタックは防げる、でも……ノーガード‼︎」ほう……トリプルドライブ『クロノジェット・ドラゴン』『頂きに立つギアウルフ』『スチームメイデン アルリム』む、トリガー無し……「よし、ダメージチェック‼︎『
クリティカルトリガー、パワーをアルフレッド・エクシヴへ‼︎」……ちっ、無駄な足掻きを……ジジのブースト、アンバーでヴァンガードにアタック、GB1スキルでハロウドブレスをデッキボトムへ「けどヒットしない‼︎」分かっていますよ……ギアウルフ、アタック「完全ガード、コストは3枚目のミロン‼︎」……ターンエンド」
アップヒーバルVSエクシヴ:26000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『クロノジェット・ドラゴン』『頂きに立つギアウルフ』『スチームメイデン アルリム』
ダメージチェック『
アルフレッド・エクシヴ:P11000+5000=16000
アンバーVSエクシヴ:9000+5000VS16000=ガード成功
ハロウドブレス:デッキボトム送り
ギアウルフ:P25000+3000=28000
ギアホーク:P34000+5000=39000
ギアウルフVSエクシヴ:28000+39000VS16000+0=完全ガード
修正力:手札:5(非公開手札2)
蓮子:ダメージ:3/5 手札:5(非公開手札3)
蓮子は何とクリティカルトリガーが出る可能性があるヴァンガードのアタックをスルーし、ノートリガーだった為上手く切り抜けた上にダメージトリガーも引き当てアンバーのアタックをノーガードで切り抜け、更に問題だったギアウルフは完全ガードで去なす事に成功する。
このターンの流れに麟、菫子は勝てる、蓮子に流れが傾き始めている、そう感じ取り希望が見えたと思っていた。
しかし、今の修正力の動きに違和感を感じた者が居た。
それは、ブロントさん、魔理沙、レミリア、輝夜、霊華、『シャドウ』、そしてファイトをしていた蓮子本人であった。
『(可笑しい……)』
「(奴は何故ハロウドブレス・ドラゴンをワザワザデッキ送りにしたんだ?
焦りから生まれたミスプレイなのかと困惑が鬼なる)」
「(私ならアンバーはガルハールを狙ってた、又はアンバーでシンリックやせぶるみーをデッキボトムに送ってた、その方が手札も削れてあっちにターンが渡る時になお有利になるわ)」
「(このプレイングの意味は……)「貴女のターンよ」あ、ええ、スタンド&ドロー(……引けたのはもう1枚のアルフレッド・エクシヴ、さっきのプレイングの事は忘れて此処はこれをコストに
…………このままもう1枚のエクシヴを使ってストライド・ジェネレーション、転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン!
手札からセルディックをコールして、ホーリースクワイヤのスキルを使い全リアガードパワー+2000、更にGB3でリアガードの数だけパワー+3000!」
蓮子:手札:3(非公開手札2) 全リアガード:P+2000
ホーリースクワイヤ:P26000+3000×4=38000
ブロントさん達や蓮子は修正力が行ったプレイングが気になり考察に入るが、焦ってプレイングミスをやらかしたとしか思えない様な初歩的なミスだった為、何が狙いか、それとも純粋に焦り出しているのか全く理解出来ず訳が分からなくなっていた。
そんな中でターンを進める様に促され蓮子はドロー、もう1枚のアルフレッド・エクシヴを引き当てそれを
しかしブロントさん達は、『シャドウ』でさえこの動きには必ず意味があり、何かに繋がると信じ見守っていた。
その間にも先程のプレイングが気になった魔理沙と『シャドウ』は修正力のプレイングの意味を考えていた。
「バトルフェイズ、ホーリースクワイヤでアタック‼︎「完全ガード、コストはギアウルフ」
トリプル……ドライブ‼︎『王佐の騎士 ガルハール』『必殺の
クリティカルトリガー、全てガルハールに‼︎
サードチェック‼︎『必殺の
クリティカルトリガー、今度はセルディックに全て付与‼︎
セルディック、アタック‼︎「……最後のアルリムで完全ガード、コストはこのアンバー」
(完全ガードを切った、残りはクロノジェット1枚、これなら……当たる‼︎)ガルハールでアタック‼︎
行っけぇぇぇぇ‼︎「……おめでとうございます、貴女のアタックはヒットしましたよ」
……っ‼︎」
ホーリースクワイヤVSクロノジェット:38000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『王佐の騎士 ガルハール』『必殺の
セルディック:P11000+5000=16000、C1→2
ガルハール:P13000+5000=18000
セルディックVSクロノジェット:16000+3000+9000VS11000+0=完全ガード
ガルハールVSクロノジェット:18000+9000VS11000=ヒット
蓮子は力を振り絞り、全力のアタックを繰り返して行く。
その結果修正力の手札にあった完全ガードを全て使い切らせ、遂にガルハールのアタックがヒットし、その右手を強く握り締めた。
そして修正力もその蓮子の奮闘を称えてか、おめでとうと言う言葉を口にし完全に敗北を認めたと思っていた。
そう、先程のプレイングを考え続け、今のプレイングも見た魔理沙と『シャドウ』以外は。
「(さっきのプレイング、絶対にあり得ないミスプレイだった。
修正力のファイト力は十分高い、それは今のファイトを見ても明らかだ。
なのにさっきのプレイング……)」
「(そして今のプレイング、完全ガードを切ってはいたが最後に残したカードはクロノジェット・ドラゴンだった。
普通それを真っ先に切る筈、このターンを確実に凌ぐ自信が無きゃ…………凌ぐ……自信?
い、いやいやいやいやまさか……まさかアイツ⁉︎)」
そして2人は、考察を深めて行く内に一つ、ただ一つだけある可能性、だがそれは現実的に見てもあり得ない、極端に可能性が低過ぎて狙ってやれる物では無いある可能性に行き着いてしまう。
あり得ない、そう考えるが……今の今までのファイトを振り返り、今に至るとこれを狙っていたとしか思えない、そんなあり得ない状況であると考えてしまった。
そう、その可能性とは。
「ええ、本当に…………貴女の無駄な足掻きが『スチームメイデン ウルル』『治』この最低で貴女を絶望の淵に追い遣る状況を作り出したのですから!『スチームメイデン ウルル』『治』
ゲット、ヒールトリガーダブル!
これで私のターン、貴女を倒す手番と相成る!」
「………………え?」
ダメージチェック『スチームメイデン ウルル』『治』『スチームメイデン ウルル』『治』
修正力:ダメージ:6→5
それは、この場面でヒールトリガーを2枚引き当てて、次のターンで終わらせると言う最悪の、そして狙ってやるには永琳がやった様にデッキを一周させてカードを固めない限り不可能な、蓮子のこれまでの奮闘を全て台無しにさせる可能性であった。
それを修正力は、やってしまった。
瞬間、イメージ世界の暗雲が空を完全に覆い尽くして行き……月の光は飲み込まれ、闇が広がり始めた。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の話はタイトル通りの展開……勝ったと思わせて落とし穴へと落とす回でした。
修正力はメリーのデッキを使ってます、つまり次来るGユニットは…………この後、蓮子は如何なるか、それは次回……ファイト回の後編にて。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
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第88話「折れない心、堕ちぬ希望」
この話を作ってる時にヴァンガード公式がまさかのだった為リアタイで驚いたのは此処だけの話です。
さて、今回で蓮子と修正力のファイト回は終わりです。
ファイトの行方は如何に……本編へどうぞ。
蓮子は完全に訳が分からず、乾いた声が喉から出てしまっていた。
一体何故?
何が起きた?
目の前の相手は何をした?
そんな考えが頭の中をグルグルと回り、蓮子の思考を停滞させていた。
その間にも修正力は意気揚々と手札のカードを手の上で何度も回し、、笑っていた。
「ふふふ、本当に無駄な足掻きでしたね……息巻いて私を追い立てていたと思わされていたその実、私の掌の上で踊っていたに過ぎないのです。
そう、貴女はただの道化、誰も見ていない舞台で1人寂しく虚しく踊り、倒れ行くだけの道化……如何に足掻いたとて何も変わらない、何も変えられない哀れで悲しき存在です。
さて、この喜劇にも幕を下ろしましょうか。
私の勝利と言う定められた結末で……ファイナルターン!
Gゾーン解放、終焉の時来たれり、出でよ、この劇に幕を下ろせし竜。
超越せよ、『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』!
クロノジェットのスキルで、ガルハールをデッキボトムへ。
ギアウルフとギアホークはパワー+3000と+5000。
『スチームファイター ウルニギン』をコール」
蓮子:ダメージ:4/5(ガルハールのスキルで
手札:6(非公開手札2)
時空竜 ラグナクロック・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
ギアウルフ:P7000+3000=10000
ギアホーク:P4000+5000=9000
スチームファイター ウルニギン:P7000、C1
修正力は蓮子に対して道化、無駄な足掻き、
何も変わらない、何も変えられないと言う言葉を投げ付け、この状況が何なのかと理解させて行きこのファイト自体が茶番劇、自分の抵抗が無駄であるとその心に刻む。
そして、ラグナクロック・ドラゴンを繰り出し確実にそのアタックは通すと言う意思を掲示し、蓮子の足はカタカタと震え始め、だがまだ立っていた。
まるで未だ、否、こんな状況になっても諦めていない、諦め切れないと、心が折れ掛けてもまだ抵抗する気でいたのだ。
それを見た修正力は乾いた笑みを浮かべ、ラグナクロックに手を掛けた。
「諦めなさい、このアタックは貴女には防げない。
ラグナクロックでアルフレッド・エクシヴをアタック。
スキル発動、
念の為聞きますが、防ぎますか?「…………
そうですよね、トリプルドライブ『メーザーギア・ドラゴン』『スモークギア・ドラゴン』『スチームブレス・ドラゴン』ええ呆気無い、最期は矢張り呆気無さ過ぎる…………本当に、つまらない喜劇でしたね」
ラグナクロックVSエクシヴ:26000+7000、グレード0ガード不可VS11000=ヒット
トリプルドライブ『メーザーギア・ドラゴン』『スモークギア・ドラゴン』『スチームブレス・ドラゴン』
しかし、ラグナクロックのクリティカル2のアタックは無情にもヒットし、闇に飲まれたイメージ世界で友を探し求めた騎士王に憑依した少女は終焉の時を刻む竜の放ったブレスを受け、爆発に飲まれてしまった。
現実視点でも蓮子は膝をつき、その瞳の光は失われ、涙が零れ落ちながら崩れた。
その悲痛な光景を目の当たりにした麟は目を閉ざし、他の面々も絶句し、声が全く出て来なかった。
……ただ1人だけ、手を強く握り締め歯切りをしていたが。
「さあ、ダメージチェックして終わらせなさい。
これで漸く運命の流れは平常に戻り在るべき姿へとなる……私の役目も終わる。
今回は想定外の事態の連続でしたが、結局はただの回り道でしか無かった。
貴女も、貴方も、無駄な努力をして来ましたね、お疲れ様です」
「……(終わるの……何もかもが……たった1人の親友を救えず、ただ終わるだけ…………ああ、このダメージチェックを引いたら、全てが終わる……………………まぁ、いいか………………全部、無駄だったんだから…………)ダメージ…………チェック…………」
修正力は蓮子と、『シャドウ』に無駄な努力
を労い、ただ空を見上げ最早全てが終わったと確信していた。
蓮子もただ1人の親友、マエリベリー・ハーンを救えずただ終わるだけのこのファイトに、完全に心が折れ切り始め、諦念のままフラフラと立ち、ダメージチェックに入り始めた。
その瞳に光は映らなく、ただただ全てが終わり行くだけであった…………。
「本当にそれで良いのか、宇佐見蓮子!」
「……えっ?」
しかし、そんな蓮子にこんな状況になっても未だ問い掛けて来る者が居た。
それは、蓮子の中でぶっ飛ばしたいランキング未だ1位であり、自分や親友を幻想郷へと連れて行き、数々のトラブルの元凶でもあり、そして……何故か、完全に憎み切る事が出来ずに居た人物、『シャドウ』その人だった。
「お、おもえ……」
「お前は本当にそれで良いのか?
このファイトは一体何の為にやっていた、誰の為に諦めず此処までやって来た!」
「何の……誰の、為……」
「貴方、この状況を見て分かりませんか?
もう全て終わったので「貴様には聞いていない、黙ってろ‼︎」っ…………」
魔理沙やブロントさん達が、この状況下で1番初めにこの『シャドウ』、蓮子とメリーの敵である筈の者が声を掛けて来た事に驚き、修正力も全て終わったと呆れ顔で言おうとしたがそれを黙らせ、蓮子の答えを待つ。
1分、10分、或いは1時間か、体感的にそれ程長い時が流れたのかと錯覚さえする静寂の時、風が吹き、霊華の結界内にもその音がただ辺りを支配し、全てが静寂に呑まれていた……そんな中で、蓮子は微かな声で答えを出す。
「…………メリーの、為よ……」
「ならお前は、その親友を諦め全てが終わったと投げ出すのか?
此処までやった意味を全て露と消えさせ、このまま自分の殻に閉じ籠り親友を、お前達2人の繋がりを、これが運命だったと言い訳して諦めるのか⁉︎
答えろ宇佐見蓮子、お前は本当にこのまま諦めてしまうのか‼︎」
蓮子の答えを聞いた『シャドウ』は必死な態度で蓮子の心に問い掛ける、このまま諦めてしまうのか、運命と言い訳するのか、2人の繋がりを断たれてしまう、それで本当に良いのかと。
この『シャドウ』の問いは本来なら御門違い、誰の所為で蓮子がこうなっているのか、そう考えるとマッチポンプにしか見えなかった。
だが、誰もそれを指摘せず黙って聞いていた。
この青年がこんなにも必死になり、誰かに問い掛けるなど……今までの見せて来た態度からは考えられない姿であり、魔理沙やブロントさんはそれを見せる時はどんな時なのか知っていた。
故に修正力以外誰一人としてその声を止めようとはしなかった。
そんな『シャドウ』の問いに蓮子は涙が溢れ出し、ファイトテーブルを濡らしながらその瞳の光が再び戻り始めていた。
自分が何の為に戦っていたか、何をどうしたいのか、改めて思い出し心の火が再び灯ったのだ。
「……諦められる訳無いじゃない……メリーは私のたった1人の親友なのよ!
魔理沙でも、ブロントさんでも、麟でも、誰もその代わりにはなり得ない、たった1人の、私の大切な親友なのよ……‼︎」
「なら諦めるな!
最後まで戦い続けろ、其処に答えはある!
お前の親友をその手で掴むか離してしまうのか、そのカードに答えが!
なら掴め、お前は、お前達は、たった2人の親友で、秘封倶楽部の宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンだろう‼︎
その手で、2人の未来を掴め‼︎」
「……っ‼︎
ダメージ、チェック!!!『
ヒールトリガー、ダメージ回復……‼︎」
ダメージチェック『
蓮子:ダメージ:6→5
アルフレッド・エクシヴ:P11000+5000=16000
『シャドウ』の必死な言葉に蓮子は動かされたのか、強い瞳を再び取り戻し涙を拭き、ダメージチェックに入る。
すると捲れたのはラヴィング・ヒーラー、ヒールトリガーであった。
これでまだファイトは分からなくなった……が、未だダメージチェックが1回残っている、この1回が全てを決する、そんなダメージチェックが。
「まだ諦めないとは……」
「……アンタなんかに諭されるなんて、この超絶美少女で、成績優秀でスポーツ万能、才色兼備で完璧過ぎる宇佐見蓮子様の一生の不覚よ!
あーイライラする、何で私は弱気になってたのよ、まだ全部終わってないのに‼︎」
すると蓮子は何時もの調子を取り戻したのか饒舌になり、『シャドウ』なんかに諭された事が一生の不覚、恥として頭を掻き毟り唸っていた。
それを見たブロントさんや麟、魔理沙達は不思議と笑みが零れ、静寂の空間に笑い声が響き始めていた。
「クッ、ハハハ、そうだな、お前はそんな調子が何時も通りで違和感無いなと関心が鬼なったぞ蓮子!」
「はい……うふふ、本当に貴女は不思議な人ですよね」
「全くだ、お前みたいな変わりもんは余り見ないぜ!」
「いや〜我が姪っ子がこんなにも素晴らしい後継者となるとは…………あ、不思議と涙出て来た」
「貴様らブーメランと言う言葉を知らんのか!」
「お前が言うな、モケーレ・ムベンベ!「な、蓬莱山貴様……うー!」」
「な、何が……何故さっきまで全てが終わっていたのに、こんな空気に⁉︎」
そんな不思議でありふれた光景を目の当たりにした修正力は何が何なのか理解出来ず困惑していた。
そう、理解出来ないのだ。
所詮この修正力はメリーの中にあるモノ、それがイレギュラーな事態に対応すべく人格を形成した『だけ』の仮初めの存在でしか無いのだから。
「アンタには分からないでしょうね、私の抵抗を、親友を取り戻そうとする戦いを茶番だの喜劇だの無駄な足掻きだの能書き垂れるアンタにはね!
私達の……たった1人の親友を失いたく無いって気持ちが、ただ一緒に居たいって他愛の無い想いが、分かる訳、無いわよ‼︎『
ヒールトリガーゲット、人間舐めんなよ運命‼︎」
『
蓮子:ダメージ:6→5
アルフレッド・エクシヴ:P16000+5000=21000
人間の事を理解し切れない修正力に対し蓮子は強い口調でお前には理解出来ないと言い切りながらダメージを捲り、2枚目の……デッキにある4枚中3枚目のヒールトリガーを引き当てた。
それによりイメージ世界の暗雲が切れ、その隙間から月の光が漏れ出しアルフレッド達を照らした。
希望は繋がりファイト続行が決定され、このファイトの行方が再び分からなくなってしまっていた。
これには修正力も狼狽し、あり得ない事態に対応し切れていなかった。
「そ、そんな、バカな……此処で2枚のヒールトリガーを引き当てるなど、運命の流れには……‼︎」
「……そうか、貴様は運命の流れ、その修正力、故に運命の流れを見てこのファイトの結末が分かった気でいた訳か……ふっ、だとしたら貴様は運命の修正力と名乗るにはお粗末極まりないな、何故なら運命などほんの些細な事象で流れが変わる。
そして、最後までその運命を見たか、途中で見るのを止めて無いか?」
「レミリア・スカーレット……!「さあ、アンタのアタックは⁉︎」
ちっ、ジジのブースト、アンバーでアタック、スキルでセルディックをデッキボトムへ‼︎
ウルニギンのスキルで『クロノジェット』がヴァンガードに居るので
そしてギアウルフでアタック、パワーは27000‼︎「モドロンでガード‼︎」
ターン、エンド……こんな事はあり得ない、こんな事は、絶対……‼︎」
アンバーVSエクシヴ:9000+5000VS21000=ガード成功
セルディック:デッキ送り
ギアウルフ:P10000+3000=13000
ギアホーク:P9000+5000=14000
ギアウルフVSエクシヴ:13000+14000VS21000+10000=ガード成功
修正力:ダメージ:4/5 手札:3(非公開手札0)
蓮子:手札:5(非公開手札2)
狼狽する修正力にレミリアは運命を操る吸血鬼として運命に触れて来た者の言葉を挑発として投げ掛け、修正力を名乗っているにも関わらずこの様と目を閉じ笑い、これには修正力も頭に来たらしく睨んで来る。
しかしまだターンは終わっておらず、アンバーとギアウルフでアタックするも結局蓮子はトリガーで引いたクリティカル1枚だけ使い凌ぎ切り、終わってみれば修正力のガード値は最大で20000、蓮子が
「さあ蓮子、ナイトのPTメンとして力を発揮しても良い時だぞ!」
「ガツンと決めて下さい!」
「そいつに反撃するチャンスは与えないで!」
「お前なら、さっきのを凌いだお前ならメリーを救えるさ、行け蓮子‼︎」
「皆……ええ、勿論よ、スタンド&ドロー‼︎
…………このカードは」
ブロントさん、麟、菫子、魔理沙が最後の声援を掛け、蓮子の気合をMAXまで入れさせる。
蓮子はこの声援を、チームメイトや魔理沙、見守ってくれてる者の無言の応援を受け、そして……癪には触ったが、自分の心を持ち直してくれた『シャドウ』、その言葉を支えにカードをドローした。
すると、手札に加わった1枚は……『シャドウ』が贈った1枚、自分の今のボロボロの布陣を再び万全な態勢にする1枚だった。
しかもアルフレッド・エクシヴへの再ライドが活き、コストが高いスキルも全部支払える様になっていた。
それを引いた蓮子は改めて『シャドウ』を見る。
そしてそれを察した『シャドウ』は仏頂面ではあるが、強い意志を目を宿しながら頷き、迷わず行く様に促していた。
「……本当にアンタは癪に触る奴だからまだぶっ飛ばしたいけど……今は1発分チャラにしてあげるわよ。
さあ、このカードで幕を引くわよ‼︎
彼方より出でよ、神秘なる守護神竜‼︎
ライド、グレード4、『アークセイバー・ドラゴン』‼︎」
アークセイバー・ドラゴン:P13000、C1
蓮子はこの贈られたカードで決着を付けるとし、その1枚にライドした。
それは、『ソウルセイバー・ドラゴン』や『
現れた瞬間全ての暗雲が消え去り星空と月が空一面に現れる、そんな神秘を体現せし超越生命体の一種、アークセイバー・ドラゴン……ブロントさん達でさえ見た事が無いカードだった。
それを見た修正力は驚き、目を見開いていた。
「な、アークセイバー・ドラゴン……何故そのカードが此処に⁉︎
そのカードは、この幻想郷にはあの1枚しか無いカードの筈、何故貴女がそれを⁉︎」
「へぇ〜そんなレアカードなんだ、サンキュ『シャドウ』、有り難く大切に使ってやるわよ」
「そうしてくれ、でなければ持ち出し許可を出して頂いた藍様や
アークセイバーはどうやら幻想郷にはたった1枚しか無い特殊なカードであり、『シャドウ』の言からすれば八雲家が管理し世に放たなかったらしい。
その為魔理沙やブロントさんや麟やレミリア、輝夜や霊華でさえ見た事が無かったのだ。
因みに菫子は外の世界でも余り見ない珍しいカードの一種であり、スキルは派手ではあるがグレードやスキルコスト関係で使い辛い、コレクション用カードだと認識していた。
するとアークセイバーにライドし、その姿がイメージ世界に完全に現れた直後に観戦者全員がそのイメージ世界に強制的に入り、自身のエースユニットにライドしその戦いを見守れる隣のビルに立っていた。
「ぬお、これは⁉︎」
「うわ、イメージ拉致!
しかも私ら全員自分のエースにライドしちゃってる⁉︎」
「どうやら、蓮子の強きイメージとアークセイバー・ドラゴンが共鳴し、我々をイメージ世界へと誘ったらしいな」
それぞれ青天の騎士 アルトマイル、ラナンキュラスの花乙女アーシャ、宇宙の神器 CEOユグドラシル、
すると目に光が無いクロノジェットが狼狽し、アークセイバーがそれを見下ろす構図となっていた。
「くっ、八雲藍……橙……そしてブライト、貴様……‼︎」
「ブライト?
…………あー、アイツの本名ね、了解了解……アークセイバー、スキル発動‼︎
メインフェイズ開始時、
ダメージゾーンよりシンリック、デッキからセルディックを‼︎
そしてソウルから…………立ち上がれ、私の、私達の分身‼︎
ブラスター・ブレード‼︎」
蓮子は修正力が八雲藍や橙、そして『シャドウ』……ブライトに対して完全に怒り心頭であり、今にも睨んで殺す様な剣幕を張りそうになりながら、しかし何とか冷静さを保とうとするのこの状況をチャンスだとし、更にブライトが本名だと理解して頷きながらコストを支払う。
すると、ダメージ、デッキ、ソウルからそれぞれユニットが現れアークセイバーの下に集い己が武器を天高く掲げた。
そしてその中には蓮子の分身、そして……ブライトの分身だったブラスター・ブレードがより一層強き光を受け立っていた。
「ブラスター・ブレードのスキル、
退却せよアンバー、バースト・バスタァァァ‼︎」
「アグッ⁉︎
アンバーが……⁉︎」
「これで奴のシールド値は合計でも15000である事は確定的に明らか‼︎」
「宇佐見蓮子、行け‼︎
お前の想いを、運命などと言うくだらぬ楔に負けぬ強き意志を奴に叩き付けろ‼︎」
『蓮子/蓮子ちゃん‼︎』
アンバーが退却した事で残りのガードはトリプルドライブで引いたカードのみとなりブロントさん達は蓮子に修正力へのトドメの一撃を刺す様に声を張り上げた。
アークセイバーにライドしていた蓮子はいつの間にか皆同じイメージ内に居た事に驚きながらも、直ぐ様クロノジェット・ドラゴンに視線を向き直しアークセイバーによる攻撃を敢行する。
「シンリックのブースト、アークセイバー・ドラゴンでアタック‼︎「メーザーギア、スモークギアでガード‼︎
まだよ、まだ私は‼︎」
いや、アンタの負けよ‼︎
ツインドライブ‼︎『未来の騎士 リュー』『☆』『未来の騎士 リュー』『☆』
ゲット、クリティカルトリガーダブル、私の本命はこっち‼︎
私達の分身、ブラスター・ブレードに全て付与‼︎
これで合計は26000、クリティカル3、もう一度言うわ、アンタの負けよ‼︎
ブラスター・ブレード、アタック‼︎「な、な、な、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……‼︎『クロノジェット・ドラゴン』」
アークセイバーVSクロノジェット:13000+7000VS11000+5000×2=ガード成功
ツインドライブ『未来の騎士 リュー』『☆』『未来の騎士 リュー』『☆』
ブラスター・ブレード:P9000+10000=19000、C1→3
ブラスター・ブレードVSクロノジェット・ドラゴン:19000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『クロノジェット・ドラゴン』
修正力:手札:1 ダメージ:6(8) LOSE
蓮子:手札:7(非公開手札2) ソウル:0 ダメージ:0/5 WIN
蓮子はアークセイバーのアタックは防がれてしまうと考え、トリガーは元からブラスター・ブレードに振る気だった。
修正力はが如何にヴァンガードのアタックを防ごうが自らの分身のアタックを確実にヒットさせる様にし、更に引いたのはクリティカルトリガー2枚。
これにより修正力の敗北は確定的となり、そしてヒールトリガーも残り1枚しか無いにも関わらずクリティカル3となったブラスター・ブレード……2枚の未来の騎士 リュー、蓮子とメリー、2人の未来を掴むと言う暗示を示したトリガーが乗った光の騎士のアタックを受け、修正力はダメージが合計8枚、どう転ぼうとも蓮子の勝ちとなった。
全てのコストリソースを使い切り、遂に蓮子はこのファイトを制し、未来への希望を繋ぐ確かな道を作り上げたのであった。
「……メリー……今から……!」
そう呟きながら全員イメージ世界から現実へと引き戻され、修正力が地に伏せながら敗北が認められないと言った表情を見せながら地面をじっと見ていたのだった。
夢、再び夢の中。
女性は幻想達が生きる楽園を作り上げ、寿命で亡くなった初代巫女の墓を訪れ花の妖怪から頂いた花々を添えていた。
少女はその風景を見ながら、女性が境界の中に視線を送り何か調べている事に気付く。
その境界の先ににあった風景は、自分と親友が生きた世界、それと全く同じ風景が幾つも並び、そのどれにも自分と親友が居た。
しかし、その風景の最期はいつも決まって少女が女性となり、あの嘆きの一時に繋がってしまうものだった。
女性は理解した、自分が興味本意でこの力を安易に使い、妖怪としての自分が世に生まれ、人間としての自分が消えたあの時より最期はそうなる、そんな運命の流れが決定付けられてしまったと。
女性はまた嘆いた、いつか生まれる未来の過去の自分自身、そしてその親友に懺悔し涙を流した。
涙が枯れ果て、妖怪としての面が強くなっても彼女は懺悔した。
少女は理解した、目の前のこの人物は1番初めの『
その後悔の念はどの世界の
「……蓮子……ごめんなさい、私の所為で貴女を……ごめんなさい……‼︎」
少女はそれらを理解し、親友に懺悔をするのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
ファイトの結果は、蓮子の勝利となりました。
『シャドウ』が渡したアークセイバーはこれからも蓮子が使います。
ファイト内容は実は当初、アークセイバーは使わない予定で話を作っていました。
が、アークセイバーを使い始める場面は此処位が妥当なラインだなと思い、予定を少し変えてアークセイバー使用の流れにしました。
最後に少女が見た嘆きの夢……それらを知り少女は後悔していますが、蓮子はそれを知り如何するかは次回に……。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第89話「『
そしてこの章最後のお話になります。
長かった今回の章も漸く終わりを迎えます。
では、本編へどうぞ。
ファイトが終わり、アンティルールが発動し修正力は一切の行動が不可能となり、ただただ立っているしか出来なかった。
蓮子達はそれでも何かをやらかそうと言う気満々の修正力に警戒を解かず、輝夜や霊華もまだ能力と結界を解除しなかった。
「さあ、アンティルール通り私は何もしないし出来ないわ。
この後は何とする?
マエリベリー・ハーンを目覚めさせるには如何する?
目覚めさせるにしても、彼女が運命を覆す強き意志を以ってしなければ目覚める事は無い……結局は無駄足である訳よ」
「無駄なのか如何かは宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンが決める事、貴様が決定付ける理由など皆無だ。
それに既に方法なら宇佐見蓮子が確立している、残念だったな」
「おいィ、そう言えば俺達はその部分だけ聞いていない不具合があるんだが?
早くその方法を教えるべきそうすべき、死にたくないならそうすべき!
早く、早く、早くぅ〜!」
修正力は手段が云々と言うが、ブライトは冷めた目で方法は確立されていると話し自信満々に答えていた。
なおまだブロントさん達に明確な手段を伝えていない為何を如何するか聞かれるも、それも少し無視して蓮子に頷きあのファイトで掴んだ『他者と心が繋がる程度の能力』、博麗の巫女の最終奥義を使う様に促し、蓮子もそれに頷くとメリーの身体、修正力の前に立ち、そして………抱き付き始めた。
「ん????
キマシタワー⁇」
「違うから黙って見ている事だ」
輝夜はその光景に百合の花が咲き、キマシタワーが建設されたのかと思い口にするとブライトが違うとキッパリ否定し、事の顛末を見る様にと言う。
「……宇佐見蓮子、何をして」
「メリー、今……そっちに行くから『キィィィィン』」
すると耳鳴りに似た音が聞こえ、その直後蓮子の身体が光り始める。
その様相は正に博麗の巫女、それがそれぞれ最終奥義を使う際に現れる兆候であり、身体の光が更に強まり始めた。
「なっ、あれは⁉︎」
「……‼︎(やっぱり、蓮子は……‼︎)」
「バ、バカな⁉︎
宇佐見蓮子、何故お前がその力に目覚めている⁉︎
順序が逆だ、八雲紫が誕生してからしかその力は目覚めない筈⁉︎
……ま、まさか幻想郷で過ごしたこのイレギュラーの結果に、貴女もイレギュラーを発生させたと言うのか⁉︎
や、やめろ、今『此方』に来るな、運命の流れが消えてしまう、全く未知の、イレギュラー塗れの狂った未来が訪れてしまうぞ『バチィ‼︎』ぐっ⁉︎」
魔理沙、ブロントさんはこの蓮子の力の正体にいち早く気が付き、これから何が起きるのか大体が予想出来つつあった。
そして修正力もファイトで負ける時以上の狼狽を見せ、イレギュラー塗れの未来と言う何か途轍も無く修正力にとって不利益な物が訪れてしまうと叫び、蓮子に止める様に説得を始める。
しかし、これも何もするなのアンティに引っ掛かる為か強い電撃がメリーの身体を走り、その修正力の行為を止めさせる様に働く。
その間にも蓮子の光が遂に臨界に達し、最終奥義を使う寸前の状態になっていた。
「メリー……待ってて…………『夢想天生』!」
「や、止めろぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」
蓮子がその名、夢想天生を口にした瞬間光が2人を包み、蓮子の心が眠れるメリーの心と繋がり蓮子の意識自体が繋がった心の空間にダイブする。
そして実空間には、メリーの身体に抱き着きながらその光を放つ蓮子の身体と、瞳が虚となりうんともすんとも言わなくなったメリーの身体が残った。
繋がった心の空間にダイブし、漸く足場らしき場所に着き足をつける蓮子。
しかしその空間は、『シャドウ』……ブライトの心と繋がった時と違い光が一切無い暗闇の空間と化していた。
まるでメリーの心が闇に沈んでしまったかの様な錯覚を覚えた蓮子は辺りを見渡し、メリー自身を探し始めた。
「メリー……!
ブライトの時と同じなら、この空間の中にメリーの意識はある筈!
急いで見つけ出さないと‼︎
メリー‼︎」
この闇の空間を当ても無く走り出し、右へ左へ、上へ下へとメリーの名を叫び続けながら走り回る。
だが、何処へ行けども行けども周りは闇、闇、闇。
何も無くメリーの意識体すら居なく本当に此処にメリーが居るか不安になり始めて来ていた。
「い、居ない……如何言う事?
メリーの意識は眠ってしまっているから此処には来れなかったの?
……いや、それならアイツがこの方法を提示する訳が無い、多分探し方が間違っているんだ……少し考えてみよう、此処は現実空間から時間が経過しないから余裕があるわ……」
蓮子は探し方が間違っているのだと思い、少し考え始める。
この力は心と心が繋がる、つまり相手の心を感じ取る事が可能なのだ。
故にブライトの目的やあの悲しげな心を感じ取れたのだ。
ならばメリーの心を感じ取り、その場所に向かい事が出来る筈とも考え蓮子はメリーの心を感じ取ろうと目を閉じ、自らの心の雑音を排除し集中する。
「…………「れん、こ……」っ、メリー!
今、確かに感じた、聞こえた……‼︎
確か……こっち、私の勘がこっちだって告げてる!
よし、待っててメリー‼︎」
するとメリーの心を感じ取り、蓮子は自らの勘が告げた方向へと力一杯走り始めた。
すると、微かな光が見え始め確かに此方にメリーは居る、そう確信した。
蓮子は更に足に力を込め、その場所へと歩を進めた。
現実空間、ブロントさん達は蓮子達の周りに立ち、何が起きたのかブライトの口から説明を聞いていた。
そして魔理沙、ブロントさんは予想通り蓮子が博麗の巫女としての、しかも初代巫女としての力を持つ女の子だと改めて知り、菫子達(霊華以外)は愕然として居た。
「まさか……蓮子が……」
「矢張りそうだったのか……メリーが八雲紫になるなら、 蓮子は博麗の巫女へと……」
「……で、改めて確認するがこれは蓮子の夢想天生を使った状態で、蓮子はメリーの心と繋がりその空間へとダイブしているのだな?」
するとレミリアは冷静にブライトに問い掛け、そのブライトは無言のまま頷き肯定する。
そう、蓮子は夢想天生を使いメリーの心と繋がった状態なのであった。
しかしブライトはメリーの身体、修正力の方を見て何か考え始めていた。
「如何したんだいブライトの坊や、蓮子ちゃんは夢想天生を使ったんでしょ?
なら後は私らに出来るのは」
「確かに、だが…………うむ、矢張りか」
「やっぱり?」
「修正力は人格を形成した、つまりは意識があったんだ。
だが今はうんともすんとも言わない所か意識その物を感じられない。
これはつまり……修正力も心が繋がっているあの空間へとダイブしていると言う事他ならないな」
『…………はぁ⁈』
するとブライトは待つだけしか出来ない今の状態で修正力の意識すらその空間……心空間へと入り込んでいると告げ、ブロントさん達は一瞬の沈黙の後に驚きを隠せずにいた。
「ど、どう言う事だよ⁉︎
アイツはアンティルールで何も出来ない様になってる筈だろ⁉︎
なのに何でさも当たり前にダイブしてるんだよ⁉︎」
「これは藍様や四季映姫様から聞いたのだが、確かに実空間でのヴァンガードファイトのアンティルールは実空間に於いては必ず執行させる拘束力があるんだ。
だがな、精神世界とか夢の中とかではそれはまた別、そこで改めてファイトしなきゃならない可能性がある、ファイトアンティの抜け穴かもしれないと……。
これを見る限り矢張りその懸念は正しかった様だ」
「マジかよ……拙いぞ、修正力は改めてファイトする気なんか絶対ないぞ!
何故ならば先程のファイトで蓮子には勝てないと悟ったからだ!
ならば如何するかと言えば卑怯で忍者もドン引きする汚さで蓮子を無理矢理その空間から叩き出そうとするのは確定的に明らかなんだが⁉︎」
ブライトから話された藍と映姫の懸念、それが現実であり夢や精神世界では改めてファイトをしなければアンティが執行されず、更にブロントさんは修正力はもうファイトする気など無く蓮子を実力行使で叩き出す気であると予測し、しかし自分達は何も出来ない今の状況に歯痒さを感じていた。
するとブライトは……一回瞬きをした後ブロントさん達を見やった。
「お前達、今の状況を打開したいのだな?」
「当たり前だろ、私らだって蓮子とメリーの友人だ、そう思って当然だろ‼︎」
「ならちょっと付き合え、打開するぞ」
『……はい?』
ブライトは今の状況を打開する策があるのか、魔理沙やブロントさん達に打開するぞと告げ何をするのか皆目検討が付かなかった。
「はっ、はっ、はっ、はっ‼︎」
一方その頃蓮子は、微かな光に向かって走り続けついにその光の中に入る。
すると其処には大きな鳥籠があり、その中にメリーが居た。
「見つけた……メリー‼︎「行かせる……ものか‼︎」
えっ『ガバァッ‼︎』きゃあ⁉︎」
蓮子がその鳥籠に向かおうとした瞬間、メリーの形をした真っ黒なナニカが飛び掛かり、蓮子を取り押さえ始めていた。
それも、蓮子の首を絞めながらだ。
「ぁぐ……アンタ……‼︎」
「まさか初代巫女の力が目覚めているとは想定外だった、このままマエリベリー・ハーンと接触させる訳には行かない、此処で貴様の意識を奪えば実空間でも意識を失う‼︎
さあ早く意識を遮断しろ、そして運命の流れに逆らうな‼︎」
ドス黒いそれ、修正力の形成された意識体とも言うべきそれは蓮子の意識を奪い取ろうとし首に掛けた手の力が更に強くなって行く。
蓮子は必死に抵抗するも振り解けず、踠いていたが徐々にその力が失われて行き意識も真っ黒に染まり始めていた。
「(こんな所でダメなの……嫌だ、其処にメリーが居るのに、私は……‼︎)」
「さあ、後少しでぇ……「俺のフレにきたぬぇ手で触れてんじゃねぇよ、メガトンパンチ‼︎」ゴハッ⁉︎」
すると其処に突然ブロントさんがとんずらで現れ、全力のメガトンパンチを繰り出し修正力にクリーンヒットさせその手を物理的に振り解かせてた。
蓮子は首を手で押さえながら息を吸い、意識を戻し始めた。
「ゲホッ、ゲホッ‼︎
はぁ……ブロント、さん⁉︎
何で此処に⁉︎」
「フレの危機に偶然にも通りかかって救うのはああ矢張り常に偶然にヒーローはやって来るものだなと確信した。
大丈夫か蓮子、大丈夫なら此処は俺達に任せてメリーのとこに行くべきそうすべき!」
「え、俺達?「やいやいやい、てめぇ女の子に何やってんだこのクロコみたいな真っ黒黒助‼︎」
え、魔理沙、皆⁈」
すると修正力に馬乗りになり魔理沙や麟達、見守っていた全員がその場に居て修正力を押さえ付けて居た。
蓮子は突然の自体に頭が追い付かず頭がこんがらがり始めるが、ブライトが蓮子の手を取り立たせ、その背中を鳥籠の方へと押し出した。
「え、アンタまで」
「行け、早く!
此処は俺やブロントさん達に任せろ!」
ブライトははっきりとした口調で蓮子に行く様に促し、対して蓮子は戸惑いながらも頷き鳥籠に向かおうとした。
「行かせるかぁ‼︎
運命の流れを狂わさせてなるものかぁ‼︎」
「それはこちらのセリフだ‼︎
運命の修正力、貴様は此処で消え去れ‼︎」
魔理沙達の拘束を振り解こうと修正力は物凄い鬼に匹敵する力を発揮し無理矢理蓮子を止めようとしたが、ブロントさんが背中に回り両脇に手を入れて固め、ブライトがその頭に手をやりアイアンクローの容量で押さえ付け止め始める。
するとブライトの背中の辺りに何か白い靄の様なものが現れ、それも修正力を押さえた。
その靄の正体が見えている修正力は驚き、動きが止まってしまう。
その間に蓮子は鳥籠の側に着き、中に手を伸ばしていた。
「メリー、迎えに来たよ‼︎
目を覚まして、一緒に帰るわよ、メリー‼︎」
「……蓮子…………」
蓮子の声を聞いたメリーは意識が戻ったのか視線を蓮子にやり見ていた。
しかし、その瞳は涙が流れ泣き過ぎたのか目元などが赤くなっていた。
「メリー……どうして泣いてるの?
アイツに何かされたの?
でも大丈夫だよ、もう迎えに来たんだから‼︎」
「違うの、私……見ちゃったの。
多分、1番初めの……八雲紫の嘆きの記憶を…………」
「えっ……?」
するとメリーの口から八雲紫の名が、しかも1番初めの八雲紫、蓮子はそれを聞き恐らくは1番最初にこの世に誕生した八雲紫の事だと思い、それの嘆きの記憶と言う物から何か嫌な感じがし聞き始めた。
「…どんな記憶だったの?」
「最初はただの好奇心だったの、私は好奇心からこの眼の力を強めていって、最後には八雲紫になったの…………初めは蓮子と離れ離れになって悲しかったけど、でも好奇心や優越感に浸ってた
そしてある時、妖怪と人間が共存する楽園を作ろうと画策して、手頃な場所を探して居たの……そしたら、居たのよ。
本来なら其処に居ない筈の、貴女が、ボロボロで記憶も全て失って自分が誰なのか、
「っ……」
蓮子は絶句した、それは正にブライトが話した最悪の状況。
蓮子とメリー、2人の未来が完全に閉ざされ、片や全てを失い巫女の力だけが残り、片や境界の妖怪として人間の少女としての自分が消え去ったと言うあの話だった。
メリーはそれを記憶として直に見てしまい、同じ様に嘆いていたのだと確信した。
「もう一つは、貴女が巫女としてその命を全うした後。
だから見たのよ、その世界の私達の近未来を、他の隣り合って触れられない極めて近く限りなく遠い世界を……そしたら、其処には嘆きしか無かったの。
そう、最期には何時も何時も何時も何時も何時もマエリベリー・ハーンは消えて、八雲紫が生まれ、貴女は……‼︎
メリーは紫も
その様子は正にか弱い女の子で、その記憶は確かに存在していた物だとし、更に涙で鳥籠の中を濡らし、顔を伏せ泣き崩れていた。
だが、それを聞いても蓮子は手に力を込めるのを止めず、手を伸ばしながら声を掛け出した。
「メリー、外を見てよ。
ブロントさん達や魔理沙達、それと『シャドウ』……ぶっ飛ばしたいアイツが直ぐ其処に居るよ」
「……え……?」
メリーは顔を上げ外を見ると其処には黒いナニカの足に噛み付く魔理沙や腕で固めるブロントさん、更にはレミリアや麟、菫子、霊華、輝夜、更にはブライト……『シャドウ』までその黒いナニカが此方に来ない様に取り押さえている姿があった。
「皆…………」
「魔理沙達はメリーが居なくなるって聞いてすっ飛んで来たのよ。
しかも情報元はアイツよ。
アイツったら貴女が消えたら自分の目的が果たせなくなるからって理由で私にこの心が繋がる空間、心空間を作り出す術を回りくどく教えたり色々やってたみたいなのよ。
全部この時の為に私達に関わってたっぽいよ、自分の目的を果たす為に。
そして皆はメリーに消えて欲しくない一心でこの場に居るのよ、心空間だから嫌でも伝わるでしょ?」
「……でも、私は、私の所為で……」
「それとアイツが一丁前に全て諦めて投げ出すのか、これが運命だったと言い訳して諦めるのかって言って来たのよ。
勿論私は運命だったなんて言って諦めたくなかった、だからあの黒い塊……運命の修正力とのファイトで最後まで諦めず勝って、この場を作り、此処へ来たのよ!」
蓮子は此処へ来た経緯、この空間の事、皆の想い、『シャドウ』が語った激励などをメリーに言い、それを聞いたメリーは初めはまだ自分の所為と言おうとしたが、皆の行動やこの空間の作用で感じるその心、想いに触れ先程とは別の涙が出始めていた。
「……ねえメリー?
私から貴女に聞きたいわ。
貴女はこのまま諦めるの?
運命だったなんて言って諦めて、また後悔し続けるの?
メリーは如何したいの、何がしたいの、答えて、私のたった1人の親友、マエリベリー・ハーン!」
「わ、私は……わた、しは…………嫌だよ、まだ蓮子と離れ離れになりたく無いわよ、あんな風に、後悔なんかしたく無いわよ……‼︎」
蓮子はブライトの問い掛けを自分なりに行い、メリーの口から何がしたいのか、このまま諦めてしまうのかを聞き出す。
それを聞いた蓮子は優しく笑みを浮かべながら手を伸ばし、その手を掴もうとする。
「なら、頑張ろうよ。
私も頑張って諦めずに此処まで来たんだから、メリーだって出来るわよ!
それにもしも1人で無理ならブロントさんや麟、魔理沙達、何より1番の親友の私が居るわよ!
一緒に貴女の苦しみを分かち合って、一緒に乗り越えてあげるわよ!」
「私に、出来るかな……好奇心に負けてこんな運命を作り上げちゃった私に、それが出来るかな……!」
「出来るわよ、だって貴女は私の親友で、秘封倶楽部のメンバーで、私のかけがえの無い大切な人なんだから‼︎」
メリーの不安に蓮子は出来る限り答え、自分の意志で立ち上がり、この鳥籠……恐らくは運命の牢を崩す様に促し、手を伸ばし続けた。
するとメリーの意志に反応してか鳥籠が軋み始め、辺りにヒビが入り壊れ掛けそうになっていた。
「うん……うん、私なら、私達なら出来るよね……‼︎
だって私達は、秘封倶楽部で親友で、ずっと一緒に居る大事な人なんだから……‼︎」
「そうだよ、メリーにだって出来るわよ‼︎
だからこの手を取って、この鳥籠を壊して帰りましょうよ……ねぇ、メリー‼︎」
「ええ……私は、貴女と一緒に居たい、離れたく無い、貴女や、友達が待つ場所に帰りたいわ……蓮子ぉ‼︎」
『バギィン‼︎』
蓮子の説得がメリーを奮い立たせ、そのメリーの意志が遂に運命の牢を崩す程の強きものとなった瞬間なのか、その瞳から後悔や懺悔が消え、未来を馳せる希望の意志が見え、そして……秘封倶楽部の2人が手を取り合った瞬間、光が一面に溢れ出し、全てを包み込んで行く。
「……まさか、今まで成し得なかった事象が発生するとは……良いでしょう、今は諦めます。
しかし次こそは運命の流れを修正させます、その時また覆せるか見物ですね……」
修正力はそんな光景を見て今までに無い事象に今は諦めると、しかし次こそはと言う呪詛に近い言葉を残し消え去った。
そうして光が消え去り、全員が実空間に戻ると、月明かりが神社を照らしてる中その手で互いを抱き寄せ、涙を流しながら笑い合う2人組の親友の姿が其処にあった。
「おかえり、メリー」
「ただいま、蓮子……」
2人は短く言葉を交わし、互いに互いの前から消え去る事の無かった今この時を大切にしたいと思いながら笑顔で泣き合うのであった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の話、人によってはうーんと思うかもと思いましたが、自分の考えた話なので書きました。
そして長い章だったので少し疲れました(汗)
さて、次回から新しい章……では無く、ちょっとした次の章への準備期間となります。
要は〜.5話になります。
その話は2、3話続く予定ですが、直ぐに次の章に入るので少々お付き合い下さい。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
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幕間「動き出すモノ」
第90話「気絶、欠勤、お話開始」
今回から前回の後書きに書いた通り幕間の話になります。
そして2、3話の予定が早速崩れそうです(土下座)
今回のタイトルの意味は……本編へどうぞ。
蓮子とメリーは、互いに抱き寄せ合っていた実空間への帰還から時間が少し経過してから漸く落ち着き、皆の方へと行き話し始めていた。
「ごめんなさい、今回私がかなり迷惑を」
「んにゃ、別に迷惑とか感じてないしフレのピンチに盾が駆け付けるのは当然の事なのでメリーは気にしなくても良いぞ。
それに俺達は仲間であり友だ、お前が消えちまうのは俺達も深い悲しみに襲われる」
「今回みたいなのがあればまた私らも助けに行くさ。
だからさ、ごめんじゃなくてありがとうって言ってくれたら私らも嬉しいぜ」
「そうですね」
「うんうん」
メリーはファンタズマの面々、そして魔理沙に真っ先に謝るが、それぞれ友人であり仲間であるから今回の件の様な事態には駆け付け必ず助けに入ると応え、メリーの心は温まり迷惑を掛けてしまったという悲観の表情は自然と消え、メリーらしい笑みが浮かびまた皆を見る。
「……うん、皆ありがとう……!」
「良かったわねメリー、皆良い友達で」
「うん、うん!」
そしてメリーは心からの礼を口にし、彼女の笑顔がブロントさん達にも影響して同じく笑みを浮かべ、メリーは本当にこの幻想郷で良い友人に恵まれたと思いつつ、蓮子と共にこの友人達との日常を大事にしたいと更に思う様になった。
それを少し離れて見ていたレミリア、輝夜、霊華も笑みが溢れていた。
「ふっ、私も足を運んだ甲斐があったな」
「そうね、私も永琳が掛けた分の迷惑への贖罪以上のが見れて気分が良いわ。
……友達、か……今居るその友人を大切になさい、今を生き、生を謳歌する少女達」
「輝夜ちゃんそんな事言うとオバちゃんっぽいわよ、もっと楽になさいな「悪かったわね、私は貴女よりもずっと年上だからオバちゃんっぽいわ」あ、おこ、おこなの?
ごめんして♪」
三人の救援組は三者三様の反応(霊華は輝夜にちょっかいを掛ける)をし、その心温まる光景を目に焼き付け、心の中では共通の考え……この光景を守る事への貢献が出来て満足であると思っていた。
その一方でブライト……『シャドウ』は既に鳥居の前に立ち、蓮子とメリー達が笑い合う光景を見届け、その場から去ろうとしていた。
それに気付いた蓮子とメリーは『シャドウ』の下へ走り呼び止める。
「待ちなさいよ」
「……何だ、殴りに来たのか?」
「今は違うわよ……」
2人はムスッとした表情で『シャドウ』を見て、対する『シャドウ』は流す様に2人を見ていた……汗が異様に吹き出ていながら。
「……アンタの事はムカつくし今でもぶっ飛ばしたランキングNo.1、これには変わりないわ。
でも……」
「でも貴方は、今回蓮子に私を助ける方法を教えた様ね。
自分の目的の為って理由はあるけど。
でも……理由はどうあれ助けて貰った事には変わりないから…………」
『一応、ありがとう』
蓮子とメリーは『シャドウ』を未だにムカつく相手とし、更に自分らを助けた理由も自分の目的の為であるがそれでも助けて貰った事実は変わらない為、一応と前置きをしながら2人同時に礼を言う。
『シャドウ』はそれを聞き何を思ったのかは心空間では無い為本人にしか分からない……が、瞳を少し閉じ再び開き2人を見るその視線は何故か何時もの仏頂面に似合ったキツイ物では無く、その仏頂面には似合わない優しめの物に変わっていた。
「……そうか。
なら、こちらも受け取って置こう…………そうだ、マエリベリー・ハーン、お前にこれを渡しておく」
『シャドウ』は礼を受け取った後、何か思い出したかの様に懐から銀枠のヴァンガードのカード……Gユニットを裏面のまま4枚メリーに手渡す。
蓮子はそれは『アークセイバー・ドラゴン』みたく、メリーのデッキ強化に繋がる物と思い感心していたと同時に(蓮子的に)良い事思い付いたと言った表情を浮かべていた。
「へぇ〜Gユニット4枚、私の時より多めにカード渡すんだ〜。
へぇ〜、ふぅ〜ん?」
「アークセイバーは幻想郷に1枚しか無いんだ、仕方無いだろう。
それに餞別がまだ欲しいならマエリベリー・ハーン同様渡すぞ…………あの修正力を『あの場だけ』でも退けたんだからな」
「いやいやアンタ、私を卑しんぼみたいに言わないでよやっぱムカつく…………は?
あの場だけでも?」
メリーにカードを渡した枚数が多いを少しちょっかいネタに使えると思った蓮子は早速使ってみるが、逆に自分を卑しんぼ扱いしながらカードが欲しいならやると嫌味全開で言い、蓮子は矢張りコイツは殴らねばならないと思い右手に力を込める……が、此処で気になる一言が嫌味混じりで出た為それを聞く。
すると魔理沙達もその会話を聞いており、同じ一言が気になった為『シャドウ』に近寄って来る。
……この間にも『シャドウ』の汗は更に出て頬を流れ、徐々に息が荒くなって来ていたが。
「おい、あの場だけでもってどう言う意味だよ⁉︎
アレでもう修正力は消えて終わりなんだろ⁉︎」
「はぁ、そうじゃない、修正力は一旦消えたに過ぎない。
時間が経てばまたマエリベリー・ハーンに介入し今回の様な事態を引き起こそうとするだろう。
それを今度はマエリベリー・ハーンが自らの意思のみで跳ね除けなければ完全に解決したとは言わない、今回やったのは運命の刻への対処としてマエリベリー・ハーンの目覚めだ……」
「……そうか、だからアンタは後はメリー次第、修正力も今は諦める、次こそは、なんだ……(となるともう今回の手段は使えなくなるわね、本当にメリーの意思でアレを……運命の修正力を名乗るだけあって形成された人格の意思、直接ファイトして心空間でああやられたから分かる、アレは『ドス黒くて強い』。
それをメリーだけでか……私に後出来るのはメリー信じる事だけか)」
『シャドウ』の口からまだ修正力の介入は完全には解決していないと聞き、蓮子はもう今回の手段は対策されてしまう可能性が高く使えない、メリーを信じる事だけと考え始め、当のメリーはゾッとするが蓮子達のお陰で自分は目覚め、更に今度は自分の強い意思で跳ね除けると言う具体的な解決策……自分の意思次第でどうにかなると聞き、もうあんな事にならない様に、蓮子達にもう心配掛けさせない様に今度介入されたら絶対に跳ね除けると心に固く誓いながら『シャドウ』を見ていた。
すると蓮子達や魔理沙達は『シャドウ』の様子が今立っているのすらやっとな状態の様に見えてしまい、何が突然如何したのかと思い始めていた。
「っておもえ、、何かすっごい量の汗が出て何やらふいんき(何故かry)が可笑しい不具合があるんだが?」
「しかも息も荒いしアンタ、大丈夫なのか?」
「何でも、無い。
兎も角、後はマエリベリー・ハーン次第だ。
そしてマエリベリー・ハーン、そのGユニット……うぐっ『ドサッ!』」
『シャドウ』の明らかに可笑しな様子にブロントさんと魔理沙が大丈夫かと聞くが、それを大丈夫と言い張りメリーに更に話を付け加えようとした……が、『シャドウ』の視界は急に真っ暗となり、足から力が抜けその場に倒れて気絶してしまう。
「…………おいィィィィィィィィィィィィィィィ!!!?」
突然気絶し倒れた『シャドウ』に対し、全員一瞬沈黙し、直後にブロントさんがいの一番に驚きの余り奇声を上げ、その真夜中の博麗神社にブロントさんの叫び声が木霊した。
「ちょ、ちょっとアンタしっかりなさいよ⁉︎
…………返事がない、意識完全にプッツンしてますわこれは……」
「ちっ、面倒な……今永遠亭は閉じてしまってるから仕方無い、此奴を紅魔館へと連れて行く。
蓬莱山、貴様は八意永琳を紅魔館へと連れて来い!」
「分かったわ、永琳を叩き起こして来るから門は開けておきなさいよ!」
蓮子が『シャドウ』の頬を叩き意識の有無を確認するが、矢張り意識は無く今の時間では永遠亭は閉じて居る為永琳を外に連れ出して診察させなければならず、レミリアが直ぐ様紅魔館に運ぶ判断を下し、輝夜も永琳を起こし、紅魔館へと向かうと言いながら永遠亭に戻る。
残った蓮子達は、先ずブロントさんが『シャドウ』を運び、他が道中付いて行く形になった。
なお、蓮子達はまだ話が聞き終わっていなかった為続きを聞く為に紅魔館に泊まる事になったのは言うまでも無かった。
それから数時間後の午前9時、霊華は藍に『シャドウ』……ブライトが倒れた為今日のブライトのヴァンガード普及協会職員としての仕事は休みにする様連絡を取り、それが受理された後霊華は蓮子達チームファンタズマと魔理沙が居るブライトが眠る一室へと行きその旨を伝える。
「グッモーニン、藍にブラ…………『シャドウ』の坊やが倒れて仕事になんないから休みって伝えて来たわよ〜。
これで今日1日は貴女達が坊やに根掘り葉掘り話が聞けるわよ〜♪」
「霊華さんありがとうございます。
……にしても本当、私らにちょっかい掛けて来た奴と同一人物って思えない位寝顔が綺麗よね〜。
あの仏頂面からは想像出来ないわ」
蓮子達はそれを聞き色々聞いてやろうと思いつつ、蓮子達の前に現れる際の仏頂面からは想像し難い綺麗な寝顔を見て蓮子とメリーは恐らくこの穏やかな表情が素であり、仏頂面は作っている物なのだろうと思いながらその頬を蓮子は指で突いていた。
それを見て魔理沙も逆の頬を突きながら口を開く。
「このバカ幼馴染、倒れた原因は急激な疲労困憊による意識混濁って診断されたな。
その疲労困憊の要因は……」
「多分だけど、どんな方法を使ったのか知らないけど私が作り出した心空間、あの中にコイツやブロントさん達を連れて来た事でしょうね。
そう、私の能力……『他者と心が繋がる程度の能力』でしか入れない筈のあの空間にね」
魔理沙の『シャドウ』が倒れた原因を口にし、蓮子がそうなった要因を……『シャドウ』が倒れ、紅魔館へと運ばれて少し寝て起きた後、この部屋に来る前に皆に自分が初代博麗の巫女となる筈の者、その力を持っている事を話しその力を実際目の当たりにした者も咲夜達見ていない人達も受け止め、蓮子の力をしっかりと知った後に『シャドウ』がやった行動を口にし、本来は蓮子の力でしか入れない心空間に如何なる手段を以ってブロントさん達ごと侵入したのか不明だが、それこそが要因だと予想していた。
魔理沙達もそれを聞き、恐らくはそうであると考えていた。
こうなる前に『シャドウ』がやったのはそれしか無いのだから。
「それにしても我が姪がまさか博麗の巫女、しかも初代になるなんてね……世の中分からない事だらけってよく言いますなぁ〜」
「最も蓮子がそうなるのは『シャドウ』も言ってたらしいがメリーが紫になった後らしいからな、人間の親友2りの不幸の末にそうなるならぶっちゃけて言えば今の所そうならないで良かったな(確信)」
「そう、ですね。
メリーが消えてしまうのもそうですが、蓮子も全ての記憶を失って巫女の力しか残らないなんて悲し過ぎます……」
菫子は少し話題を振り、蓮子が初代博麗の巫女になる人間だったのを純粋に不思議がり、しかしブロントさんや麟、魔理沙と同じ気持ち……不幸な運命の末にそうなる、蓮子は記憶を失いメリーが消える、それが現実にならずに済み心の底から良かったと思っていた。
『シャドウ』の言が正しければ今はこの時の一時的だけとは言えども。
それの真偽や疑問や目的などを問い質すべく青年の目覚めを少女達は待っていた。
するとそれから直ぐ後に『シャドウ』の口から声が漏れ、意識が覚醒し始めた。
「う……んん……此処は……?」
「やっとお目覚めだよこのバカ幼馴染、此処は紅魔館の空き部屋の1つ、アンタは何でもないって言い張った後にぶっ倒れたんだよ」
『シャドウ』はゆっくりと目を開き、周りを確認して赤い天井を見てこの場所の確認をしようした所で魔理沙が声を掛け、場所と倒れた状況を簡素に伝える。
すると紅魔館と魔理沙の声を聞いた瞬間ベッドから勢い良く起き上がり、周りを見て蓮子達や霊華がベッド周りを囲んでいる事を確認し、直ぐあの仏頂面になりながら手で顔を押さえていた。
恐らく今この場から離れる事が出来ず、根掘り葉掘り言う様に要求されると察したのだろうと蓮子達は思った。
「はぁ……倒れて今この場に居るのに藍様や橙の連絡が無いとなると、急病による欠勤扱いになったか…………今日の分の書類確認が後日に回されると思うと気が滅入るな……」
「…………えっ、アンタ私らに根掘り葉掘り言うの拙いな〜とか今の状況から離れなれないしくった〜とかでその仕草してんじゃないの?」
「そっちは倒れてこの場に居る時点でそうなると分かっているから別に如何でも良い、だが書類整理は溜まるし見回りの担当分を他の人に任せねばならんし俺が休むと橙が仕事増えたと愚痴る、それを聞いたり処理するのが面倒なんだよ」
しかし、この青年が何か面倒だと言う仕草はこの状況に対する物では無く、普段の生活である普及協会での書類仕事が溜まり他の人の見回り範囲を増やし、更に橙が『シャドウ』が休むと仕事が増え、それを後日当の本人に愚痴るらしくそれらを処理するのが面倒な為こんな仕草をしたのだと言う。
それを逆に言えば、この状況は倒れた時点で既に察していて色々言う様に要求される覚悟はあると『シャドウ』は口にしているのだ。
「ほうほう、ならこの蓮子ちゃんと大親友のメリーがレミリアさん達が来た瞬間、アンタの口から何の気兼ねも無くあーんな事やこーんな事を聞き出してやろうじゃないの〜。
覚悟は良いかしら、『シャドウ』さん?」
「ああ、答えられるものは答えよう」
蓮子はメリーと共に良い笑顔で『シャドウ』ににじり寄り、手をワキワキと動かしながら遠慮も気遣いも無く聞き出そうとし、対して『シャドウ』は答えられるものならと言い、つまりは質問によってははぐらかせられたりする場合がある事を示唆させ、その場にレミリアや咲夜達が来るのを待つ。
するとレミリアやパチュリー、フラン達は咲夜の一報で目覚めたのを知ったのか直ぐに来た。
「よし、集まったな。
では蓮子、メリー、此奴を問い質すのだ。
貴様も下手に隠し立てはせず洗いざらい吐くのだな」
「答えられるものなら答える」
「答えられるなら、ねぇ……アンタに隠し事する権利なんか本来無いんだけど、まぁメリーを助けてくれるのに一役買った訳だから許すわよ、不本意だけどね!
……じゃあ先ず、気絶直前に言った修正力の介在、まだあるのは本当?」
「間違い無い」
蓮子は早速気絶直前の修正力の話についての真偽を『シャドウ』に聞くと、それをはっきりと、蓮子とメリーの目を見ながら間違い無いと答えそれが事実だと2人に確信させる。
レミリアやブロントさん達もこの様子からまだメリーの件は終わり切っては無いと理解し、矢張り気絶直前に言っていたメリー次第になると思いながらジッと『シャドウ』を見ていた。
そうする中、質問はどんどん行われていく。
此処までの閲覧ありがとうございます。
メリーの件、まだ完全に終わってない事が判明しました。
しかし、サッカーで例えるなら延長PK戦程度の物と思って下さい(負けた代償が大きい大問題)
なお輝夜は永琳と共に帰りました。
そして倒れで欠勤し、2日分の書類仕事が確定し橙からの愚痴を聞く事になった彼とのお話は次回も続きます。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第91話「偽りの名が消える時」
今回はいつもよりも短め、ですが少し情報開示がある為其処までは内容が薄くなってない筈です。
そしてタイトルからして……。
では、本編へどうぞ。
蓮子は次の質問としてメリーに目配せをして懐からGユニット4枚、『シャドウ』が渡した物を出させて『シャドウ』に突きつける。
そのカードは、何故かイラストは真っ白く名前が空欄になり、スキルテキストも一文しか書かれてなくGユニットとしてのグレード、スキルアイコンなどの固有情報しか分からない物だった。
「じゃあ次、アンタがメリーに渡したカードなんだけど……何これ?
イラストも真っ白、各アイコンとギアクロのクラン名でギアドラゴン、『クロノジェット・ドラゴン』の名がある以外テキストも真っ白って明らかにファイトには使えない変なカード、こんなの渡すって嫌がらせ?」
「違う、それは今は使えないがいつか使える時が来る。
それが使える様になったら間違い無くマエリベリー・ハーンの力となる、だからそれを最低でも2枚、Gゾーンに入れてファイトしてくれ。
何故そうする必要があるかは……そのカードが使える様になったら明かす、必ず」
蓮子はこの事故カードの様な物を渡したのを嫌がらせか何かかと思いながら聞くが、『シャドウ』は違うと否定し、メリーにそれを最低でも2枚入れてファイトする様に言いGユニット2枚分を使えない枠にしろと言う。
それをする理由も今は言わず、使える様になったら明かすと言いメリーも蓮子も気分は良くならず寧ろ疑問やこの青年に今までと同じく苛立ちを覚える……が、今回の一件で『シャドウ』は自身の目的の為に意味も無い事はしない、何らかの結果に後々繋がる事をやっている、それが自分らにも益になる事と同一である場合があると知った蓮子とメリーは、取り敢えずこのカードを今後Gゾーンに入れてファイトをすると決め、それをアイコンタクトで伝え合う。
そのアイコンタクト後蓮子達は再び『シャドウ』を見やり質問を再開する。
「じゃあ次、アンタは何で私やメリーの……私達が知らなかった私達の運命って奴を知ってたの?
運命の修正力がメリーの中にあるのも、私が初代博麗の巫女である事も、メリーが八雲紫になる事も…………アンタはどうやって知ったのよ?」
「私らも疑問に思ってた。
アンタは幻想郷の住民で私の幼馴染、だけどそれだけでそんな事を知る機会も無かった筈。
けどアンタはあれこれ知り過ぎてる、私らの前から消えて何を知ったんだ、どうやって情報を得たんだよ」
蓮子達は自分達が知り得なかった自分達の未来……メリーは嘆きの記憶から知り、蓮子は『シャドウ』の口から知った現段階では回避した運命、それを何故『シャドウ』は知っていたのか?
魔理沙やブロントさんも『シャドウ』……ブライトは魔理沙や霊夢の幼馴染、ただそれだけで後は普通の一幻想郷人と変わらない筈なのにそれを知り、レミリアも自身の能力でも見れなかった2人の運命……修正力が介在し隠してたとレミリアが思うそれを何故知ったのか、核心部分を問い質す。
だが……。
「……親切なお姉さんがそれらを教えてくれて、それを阻止して欲しいと頼まれた、とだけ言おう。
それ以外は教えられない、その人との内緒話だと約束したからな」
親切なお姉さんに教えられたとだけ言い、それ以外は頑なに口を開こうとはしなかった。
それにより誰がブライトにそれを教えたのか、またどんな人物なのか具体的に知れずまた一つ新たな疑問が生まれてしまった。
が、これ以上この質問をしても意味が無いと蓮子達は思い、他の事を問い質し出す。
「分かったわ、じゃあ次、これは絶対に答えなさい。
アンタの目的、アンタは何がしたいのか、これは洗いざらい全部吐いて貰うわ。
何せ私とメリーがアンタに幻想郷に無理矢理連れて来られたのはアンタの目的の所為なんだからね!」
「……ああ、答えようか、俺の目的を」
蓮子はもう一つの核心部分、ブライトの目的を問い質し始める。
レミリア達も具体的に何かとは聞いていなかった為その具体的な部分が遂に明かされると身構える。
そして重たい空気の中青年は口を開く。
「俺の目的は二つ、一つはメサイアの先導者としての使命……この世界と惑星クレイ、両者に降り掛かる災いを払う事だ。
今この幻想郷である者達の大きな計画が密かに進められている。
それはこの幻想郷……いや、この世界とクレイに大きな影響を齎してしまう物だ。
はっきり言って〈リンクジョーカー〉が起こした異変と同規模かそれ以上の影響が出る異変の計画だ。
俺はそれを阻止する為に今まで密かに行動して来た。
宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンはそれをなす為に必要な戦力、切り札となる為幻想郷へと連れて来た。
最も、切り札となるのはその身にある運命を完全に切り抜けた後だがな」
「……分かってた事だけど、アンタは最初から私らを戦力にしたい、利用したいから私らに近付いた訳か。
うん、やっぱりぶっ飛ばす」
その口から語られた事はメサイアの先導者としての使命と、この幻想郷で何者かが大きな異変となる計画を企ていると言う物だった。
ブライトはその計画を阻止する為に蓮子とメリーを幻想郷へと連れて来た事、そしてメリーの運命を乗り越えさせる為に力を貸したのもその為だと言う物だった。
蓮子は以前心空間で自身の目的の為と聞いていた為驚く事も別に無く、だが改めて聞くと矢張り苛立ちが最高潮に達する為、前は状況が状況だった為押さえたが、今はもう感情を押さえる必要も無い為胸倉を掴んだ。
メリーも鋭い視線で居抜き、魔理沙も指を鳴らしてジリジリと躙り寄る……が、ブライトはそれらに抵抗するそぶりも見せず話を続ける。
「無論本来なら無関係の人間を巻き込むのはこちらとしても避けたかった。
だが、それが使命を果たし、この幻想郷に降り掛かる物を払える事に繋がり、残りの……個人的な目的も果たせるなら俺はそうすると決めた。
話を続ける、此処からは個人的な目的だがそれはメサイアの先導者としての使命を果たす事にも繋がる。
その個人的な目的とは、そのある者達、その中心人物達を止めたい、止めなければならないと思ったんだ」
「ふーん御大層な目的ね〜。
じゃあ聞くけどその中心人物って誰よ、そいつらの目的って何よ?
アンタが私らを巻き込んだ加害者で、その原因がそれならそいつらにも憂さ晴らししないと気が済まないわ。
早く言いなよぶっ飛ばされない内にね」
ブライトは個人的にその計画を進める者達の中心人物達を止めたいと話し、蓮子は更にそれが誰なのか、何をしようとしているのかを聞き出そうと右手に握り拳を作りながら問い質す。
最も蓮子としては自分やメリーを本来無関係な事に巻き込んだ目の前の人物への怒りが強く、そんな事はどうでも良くブライトやその者達を殴り倒そうとしか考えていなかった。
メリーはそんな蓮子に少し抑える様にどうどうと身振りする。
そんな中でまたブライトは口を開く。
「……その者達が具体的にどんな事をするかはまだ調査中だ。
だが、それがこの世界やクレイに災いを齎し、大きな影響を与えてしまうのは確定している。
クレイの調和の神メサイアが俺にそう伝え、それを止める為に俺に使命を与え、親切なお姉さんに会わせたのだからな。
そしてその中心人物は2人、はっきり言って俺は最初は信じられなかった、あの2人がと。
あの2人が異変になる計画を何故と。
…………だが、今はその2人が誰なのかは言えない。
マエリベリー・ハーンが俺の渡したGユニットが使える様になったら話す」
「またそれ…………アンタマジでぶっ飛ばしてやるわよ‼︎」
ブライトはその計画が具体的にどんな物かは知らないらしく調査中だと話し、しかしそれが二つの世界に大きな影響を与えてしまう事をメサイアから告げられ使命を与えられたと、更には親切なお姉さんなる人物に会わされたと話す。
またその2人が何故そんな事をするのか信じられないとも。
だが、肝心な2人の正体を話そうとせず、メリーが使えないGユニットが使える様になったら話すとまた言い蓮子は胸倉を掴む手の力が強まり、今にも殴り掛かろうとした。
メリーもまた蓮子と同じ様に肝心な事を口にしないブライトに怒りをの目を向け睨みつける様に見ていた……が、ブライトはそれでも口を閉ざさず、また真剣に蓮子とメリーの2人を見つめる。
「この場で言うべき事なのは分かる。
が、お前達がもっと力を付けてからで無いと話せないんだ。
何故ならば、それを知ったらその2人に同調している者達に狙われる可能性もあるからだ。
その2人は計画を露呈させない為に直接襲い掛かったり接触はして来ないだろうが、部下や同志にあたる者達はそうではない可能性が高い。
その計画を止める為に、そして何より自身の身を守る為にも力を付け、そのGユニットを使える様になって欲しい。
……そうすれば必ず話す、必ず」
ブライトはそれを知ればその2人の部下や同志に襲われる可能性のあるとし、それらから身を守る為に、またブライトが計画を止める為にも力を付け、メリーの渡されたGユニットが使える様になる様に口にする。
そしてそれを成せば話すべき事を必ず話すと言う。
長い沈黙と重たい空気が場を包み始め、数分間何も会話が成されなかった3人とそれを見守る者達。
そしてその重たい空気を先に崩したのは……蓮子とメリーの方だった。
「……はぁ、分かったわよ。
メリーを助けるのを手伝った分の礼としてそれを聞いてやるわよ」
「私も、このGユニットを2枚入れながらファイトをするわ。
けれど私達にそうさせるんだからアンタも約束して、私がこれを使える様になったらこの場で言わなかった事を話すって」
「約束しよう」
蓮子とメリーは自分達を助けるのを手伝った礼として此処で肝心な事を話さない事を許し、ブライトの要求を聞くとし、またブライトにほぼ白紙のGユニットをメリーが使える様になれば伏せた物を話す事を約束させ、その場を収めた。
ブロントさん達も蓮子とメリーがそうするなら本人達の意思を尊重するとして何も言わずに見守った。
すると次はメリーが口を開き、ある事を口にする。
「あ、それとアンタの本名。
蓮子は修正力から聞いてたけれど私は全く知らないし実際蓮子もアンタの口から聞いてないわ。
だからアンタの本名を今この場で教えなさい、アンタが私達の名前知ってるのに私達がちゃんと知らないなんてフェアじゃないし可笑しいわ。
これも黙る様なら今度こそ蓮子に殴らせるわよ、私を助けた分はもうさっきのでチャラになったんだから」
「あー確かにね〜。
で、アンタ私らに『シャドウ』って偽名で隠した本名を言うの、言わないの?」
メリーはどうやらブライト……『シャドウ』と名乗った青年の本名をしっかりとその口から聞き出したい考えらしく、蓮子もそれに同調して右手をポキポキと鳴らしながら本名を言うのか言わないのか迫る。
するとブライトは、蓮子が自分の名を意図せず知りもう名前を隠す偽名も意味を成さず、また修正力をあの場だけでも退けたその実力を考え、少し考える素振りをした後再び2人に視線を向ける。
「ブライト、それが俺の本名だ。
もう少し『シャドウ』の方で通したかったが、もう隠す意味が無いらしいからな」
「……そう。
宇佐見蓮子よ」
「マエリベリー・ハーン。
改めてよろしくね、ブライト」
ブライトは蓮子とメリーに自らの名を名乗り、2人は遂にムカつくアイツの本名を知り、少しシレッとした笑みを浮かべながらよろしくと言い、互いに微妙な雰囲気を醸し出す。
レミリア達やファンタズマの面々は、この3人は名前を知ろうが、ブライトの方から話すべき事を話さない限り出会う度にこの雰囲気になるだろうと思い、何か進展した様で何も変わらない事にやれやれと手を上げるのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
遂にブライト、名前言っちゃいました(理由は偽名が意味を成さなくなった為)。
これはヴァンガードGの彼と色々違うって意味も込めてそうしました(色々な要因の所為でもある)
更に目的……ザックリと表面を話して中身はまだまだ語りませんでした。
が、それを語る日はもう近くになってます……。
そしてこの話を投稿した時点で2、3話の予定が完全に延びました(´・ω・`)
延びたと言っても今の所は1、2話程度なのでもう少しだけ幕間に付き合って下さい。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第92話「動き出す者、蠢く者」
今回も会話回、しかもある意味重要な回となっています。
そしてこれを投稿した後暫くはまた更新が空きますが、皆様どうか失踪したとか思わないで下さい。
では、本編へどうぞ。
蓮子がブライトから本名や目的の一部などを聞き出してから2時間程後の11時40分、昼食の支度が終わった為咲夜達に食堂へ来る様に言われた為蓮子達は食堂へと向かう。
因みにブライトもレミリアの好意(と言う名の威圧)でブロントさんに連れられまだフラつきながら食堂へと向かっている。
「……アンタ、本当に大丈夫なの?」
「まだフラついてるみたいだけど、またいきなり倒れたりしないわよね?」
「身体を動かせる程度には休んだ、明日になれば完全回復するだろう。
心配……いや、詮索は不要だ」
「このバカ幼馴染、いきなりぶっ倒れた後の病み上がりのくせに強がって……」
蓮子はブライトが未だ体調が優れない様子に本当に大丈夫なのかとメリーと共に気になってしまっていたが、当の本人は詮索は不要だと強がり少しフラつきながらも何時もの仏頂面で蓮子達に視線を返していた。
魔理沙はそんな状態のブライトにボソッと嫌味を零し、矢張りと言うべきか全員ギクシャクとした雰囲気を話し合いの後でも払拭し切れていなかった。
麟は菫子とブロントさんに視線を送るも、2人もお手上げとしてこの状態をどうにかする手段も話題も無かった。
そして食堂へと辿り着き、咲夜がドアを開けると既にレミリアとフラン達が席へ着いており、更に視線をテーブルの左へと向けると何と霊華やアリスまで其処に居た。
「あれ、アリスもお呼ばれしたの?」
「ええ、事情とかは魔理沙やパチュリーから聞いたわ。
蓮子、メリー、ごめんなさい、肝心な時に一緒に居なくて」
「ううん、アリスにも心配掛けたみたいだから寧ろ私の方こそごめんなさい。
それとありがとう、アリスも私の事心配する位想ってくれて」
「当然よ、友人なんだから。
それと…………ブライト、私は貴方の事は許さないし今後も許す気は無いわ。
けど蓮子とメリーの事で今回尽力したとも聞いたわ…………一応、2人の友人として礼は言うわ」
蓮子とメリーはアリスと言葉を交わし、アリスもまた今回の件を聞き2人を心配し、また無事に凌いだと聞き胸を撫で下ろしていたらしくメリーは謝罪と礼を言い、アリスもまた肝心な時……真夜中の2時の一件で一緒に居なかった事を謝罪した。
そしてブライトに睨み付け、敵意を見せ許す気は無いとした上で今回の件での行動に礼を言い、ブライトも無言で頭を少し下げ、また許される気も無いと言う雰囲気を醸し出していた。
そして全員テーブルに着き、一先ず食事の為微妙な雰囲気を押さえながら昼食を摂り始める。
尚、ブライトは自主的にテーブルの一番端へと行き其処で1人料理に手を付けている。
「……咲夜」
「はい『キィン』」
するとレミリアが咲夜に一言入れると、メイド長は時を止めて何とブライトを魔理沙の目の前の席に移動させてしまう。
「……何の真似か?」
「私達が優雅に食事をしているのに1人が隅っこで細々と食事をするなど鬱陶しくて敵わん、よって貴様も我らの近くで食事をせよ。
貴様も形式上は紅魔館の客人なのだからなぁ、少なくとも今は」
レミリアは良い笑みを浮かべながら1人で食事をするブライトを鬱陶しいと言い、表向きは客人として、その真意は明らかに蓮子達にやって来た事への仕返しとして一緒に食事をせよと命じ、ブライトは一つ溜め息を吐きながら食事を再開する。
「…………そう言えば、聞きそびれたけどアンタ私達の世界に来て私らをこの幻想郷に突き落としたわよね?
結界で隔離されて且つ時間軸が違うのにどうやって来たのよ実際の所?
なんか結界に穴を開けたとかなんとか話があったみたいだけど」
すると蓮子が話題作りの為にどうやって自分達が居た未来の世界に来たのかとブライトに問い質す。
メリーもそう言えばといった感じに左手の人差し指でブライトを指しながら見る。
するとブライトはああと言いながら口を開く。
「そう言えば聞かれなかったので言わなかったな。
結界ならメサイアの力で無理矢理こじ開け、その上で外の世界への通り道に細工を施しお前達が居る時間軸の外の世界に無理やり繋げたんだ。
お陰で先代巫女の霊華殿から不眠不休の結界の修復、調整や細工を施した道の修正等で美容悪化やストレス等への賠償金を支払えと迫られ払ったがな……そう、霊華殿が結界の調整場から幻想郷に戻り、俺が会いに行った瞬間にな」
「当たり前でしょうよ、あんな歪な穴を作った上に道まで滅茶苦茶にしたんだから変な影響が無い様にする為に修復、修正したのに苦労したんだから。
坊やには私のお肌とかのケア代やら何やらを支払う義務があるわよ全く。
しかもそれをしれっと夜中私に言って安眠妨害や不眠不休の作業をさせたのだから、この拳で奥歯をガタガタにされないだけマシと思いなさいよこの大馬鹿坊や!」
どうやらブライトはメサイアの先導者としての力で結界を無理矢理こじ開け、更に未来の外の世界、蓮子達が居た世界へ行く為に色々細工をし、霊華が結界の修復や施した細工の修正などをさせられたらしく、魔理沙やアリスは霊華に迷惑を掛けるとはバカな真似をと思いつつ、良く殴られずに済んだものだと運が良いとも考えていた。
そんな迷惑者のブライトはまだ口を開く。
「だがそのお陰で俺は俺の使命を果たし、目的も果たせられる者達に出会った、故に反省も何も無い。
後は運命の修正力に邪魔を入れられない内に幻想郷へと誘い、そして強き意志と力を付けて貰う、これが今に至る俺の考えであり最短且つ最善の道だと思った。
そしてあの時点……俺が宇佐見蓮子やマエリベリー・ハーンに出会った時点で、異変を企てる者達とは別に、2人に接触して自らの勢力下に取り込もうとする輩が居た事も確認出来たと意図しない収穫もあった」
ブライトは蓮子とメリーと言う自らの使命や目的を果たす為の戦力2人に出会えた事を現在までの事を省みても反省も無いとし、そしてそれらが最短、最善の道だとし完全に自身の考えに間違いは無いと蓮子達の反感を買う考えであると話し、蓮子とメリー達、魔理沙やアリス、レミリア達もジッとブライトを見て矢張り許す気は無いしブライト自身も許される気は無いと感じその考えに同調は現時点で不可能だと思っていた。
が、ブライトは更に自身が蓮子達に出会った時点で自身や異変を企てる者たちとは別に蓮子達と接触しようとする勢力が居たと話し、蓮子とメリー、魔理沙達は驚いていた。
「はぁ!?
2人が外の世界、しかも未来に居る内に2人に接触しようとした連中が居たのか⁉︎」
「ああ、しかもご丁寧に幻想郷から外へ出た形跡を残さない様にしながらな。
宇佐見蓮子達の世界にファイカを持って行かなかった為、ファイトをした記録も残らないからそいつらを何が目的だと事情聴取しようにも証拠も無いから泳がさざるを得ないと言うこちらの不手際もあったが、あの時点で撃退しなければ今頃宇佐見蓮子達はその勢力下に居て、今の様な自由な事は出来てない筈だ」
「ほう……」
どうやらその勢力は幻想郷内に居て、外の世界へと出て蓮子とメリーに接触しようとしてブライトに撃退され幻想郷に追い返したと当本人は話す。
その時ファイカを持ち出して居なかった為外の世界でファイトをした記録も無く今もその勢力は泳がせざるを得ないと言う不手際もあったと話し、逆を言えば今もその勢力は何のお咎めも無く悠々と過ごしていると言う事になっていた。
「その勢力って一体どこな訳だブライト?
これは俺の考えなんだが、蓮子とメリーを勢力下に取り込もうと動いた連中は何のペナルティを受けてないなら今もそれを止めない、蓮子達がこちらに居ると知ればまた接触しようとするだろうと言うのは確定的に明らか。
俺達もそれを警戒しないとならないから早くそれを教えるべきそうすべき、先代巫女のメガトンパンチを受けたくないならそうすべき(戦慄)「ほうほうブロント君は私の事を筋肉バカって思ってた訳か、へぇー、ふぅーん」おいィィィィィィ⁉︎
何でそうなる訳誰だって俺が話し中に右手をポキポキしていたらそう思うだろうと言う第三者の中立的な視点から話しただけで俺は霊華をそんな風には思ってないと言う意見‼︎」
ブロントさんはその勢力が蓮子達が幻想郷に居ると知ればまた接触しようとするだろうと考え、それが何処なのかと霊華に余計な火の粉を飛ばしてとばっちりを受けつつブライトへと聞く。
魔理沙や麟が霊華を押さえる中ブライト自身口を開く。
「そうだな、此処を離れる際に言おうと思ったが今話しても変わらないな。
その勢力は…………人の欲を聞き、道教を人々へと教え説く聖徳太子、『豊聡耳神子』が率い、現在ではヴァンガードファイトの鍛錬、精神鍛錬、肉体鍛錬などを日常的に執り行い一流ファイターを輩出する紅魔館、地霊殿などと並ぶ巨大支部と化したあの『神霊廟』だ」
ブライトは紅魔館や地霊殿と並び、聖徳太子と外の世界で謳われた者が率いる勢力……神霊廟が蓮子とメリーに接触しようとした者達だと話し、紅魔館の面々や魔理沙、ブロントさん達を驚かせた。
「神霊廟……豊聡耳神子が蓮子達を……」
「ねえ、神霊廟って?」
「アイツも言った様に幻想郷に道教を広めて、更にヴァンガードファイト普及協会の支部としても紅魔館や地霊殿と並ぶ巨大勢力になってる連中だよ。
そして、今年のファンタズムカップ本選の主催支部でもあるんだ」
『……ええ⁉︎』
メリーが神霊廟とは何かと聞き、蓮子も魔理沙に視線を合わせてそれが何なのかと思い、魔理沙は2人に神霊廟とは何かを話し始める。
更に2人にも関係があるヴァンガードファイトファンタズムカップ本選の主催支部でもあると話し、2人を驚かせた。
一方その頃、同時刻の神霊廟。
現在では道教の修行のみならずヴァンガードファイトの設備まで置かれ、肉体的鍛錬や精神的鍛錬と共にヴァンガードの鍛錬を積み、一流のファイターとなるべく日々修行の掛け声が絶えない強大な普及協会支部の一つとなっていた。
その客間の一角、支部長であり神霊廟を治める、外の世界ではその昔聖徳太子として名を馳せた『豊聡耳神子』は、深々とローブを纏い、顔を見せない客人を持て成していた所であった。
「ははは、まさか彼女の右手たる君が直接此処へ来るとは思わなんだよ。
どうやら君達は余程『アレ』にご執心の様だ」
「分かっているなら話が早いわ、あんた達が確保した例の物、私達に渡しなさい。
アレはあんた達の手に余る物、ましてやあんたではアレを覚醒させるには至れない。
至ったとしても命を削り、その身を滅ぼす。
アレを何のデメリットも無く覚醒させられるのはこの世界であの人だけ……あんたもそれは分かってる筈よ。
ならば……」
どうやらローブを纏う者は神子が持つ物を渡す様に要求しに来たらしく、またこのローブを纏う者とその上に居る者こそが、幻想郷で秘密裏に進められている計画を企てた者らしく、神子が持つ物がその計画に必要だと話す。
「くどいよ、君達の計画にはアレが必要不可欠なのも分かるが、こちらとしては君達の計画は気に食わないし我が覇道を成す為にもアレは必要不可欠だ。
よって君達にはアレは渡さない、実力で奪ってみせよ。
それと、私の身を滅ぼすと言ったな?
侮るな、確かに彼女と比べればアレを覚醒させるに必要な時空を超越するイメージ……『ストライドフォース』は劣り、この身もアレを覚醒させる為の器と成してない。
だがそれでも我が覇道を成すその時まで私は死なん、必ずやアレを全て我が手にし、覚醒させ我が覇道を成そう!」
しかし神子との交渉は平行線を辿り、また神子も何らかの目的があるらしく、神霊廟と異変の計画を企てる物達は協力下には無く、寧ろ敵対的な雰囲気を醸し出していた。
神子の強き意志を口にしてから少しの間沈黙が流れ、それをローブを纏う者が席を立つ事で破る。
「……あんたの意思は変わらないって訳ね。
まあ良いわ、今はファンタズムカップの時期、せめてそれが終わるまではあの人も猶予を与える気だから待ってあげるわ。
それまでにその頑固な意志を変えてあの人の計画に協力する様になさい。
そしたらあんたの覇道とやらもあの人の悲願達成って形で叶えてやるわ。
でなければあんた達を叩き潰してやるわ」
「それこそ愚問だな、我が覇道は自らの手で達成してからこそ意味がある、君達の計画に懇ろとなって叶えても意味は無い!
故にファンタズムカップが終わろうともアレ……『ディペンドカード』は渡さんよ。
もう一度言おう、ディペンドカードを欲するなら実力で我が手より奪ってみせよ‼︎
この様な茶番を興じるよりも余程そなたらしいぞ。
そして、そなたらの計画の成就は我らがさせん、彼女の右腕たる少女よ!!」
ローブを纏う者は自らの上に居る者……神子が言うには女性がファンタズムカップが終わるまでは待つと言い、自分もそれまでは待ってやると言い去ろうとするが、神子は間髪入れず自分の意思を変える気は無いとし、この目の前の者達に自分達が持つ物……『ディペンドカード』と言う物は渡さない、計画成就を阻止すると高らかに宣言し、また実力で奪う様にも叫ぶ。
それを聞きローブを纏う者は何を思ったのか表情が見えない為分からないが、明らかに心良い物では無いのだとその背中から醸し出す殺気が示していた。
そして客間からローブを纏う者は去り、それとすれ違いながら神子の部下である『物部布都』と『蘇我屠自古』が客間へと入って来る。
「太子様、今の奴は」
「彼女の右手たるあの子だよ。
全く、ディペンドカードを欲するなら実力で奪えば良い物を、あの子の慣れぬ交渉で得ようとするとはな」
「それだけ彼奴らも計画が露呈するのは避けたいのでしょうな。
……あ、太子様、たった今神霊廟支部で開かれていたファンタズムカップ予選が我や屠自古のチームの優勝により終了致しました!
残るは地底、ヴァナ地域の予選のみとなりました!」
布都と屠自古は神子に今すれ違った者を念の為聞くと、2人の予想通り異変の首謀者の右手である子だった。
実力行使せず交渉と言うやや臆病とした行動も計画露呈を避ける為と考察しつつ、布都は自分のチームが予選優勝し、残るはヴァナ地域と地底の予選のみと報告する。
それを聞き神子は当然だと思いつつ頷き、その次に屠自古の報告を聞く。
「次にディペンドカードの覚醒状況ですが、矢張り予選でのファイトで集まった我々や一般ファイター達のストライドフォースを注いでもうんともすんとも言わないと研究チームが嘆いておりました。
無論弱音を吐いた者には精神鍛錬と肉体鍛錬を課しました」
「うむ……矢張りただファイトしただけで集まったストライドフォースではダメか。
となれば予定通りファンタズムカップ本選でファイター達が死力を尽くし、純度を高めたストライドフォースを注ぎ込み、それから直接私のストライドフォースを注ぎ覚醒させるのが一番か」
「はい、恐らくは……『準特異点』である太子様が御身に負担をなるべく掛けずにディペンドカードを覚醒させるならそれが最善かと」
屠自古の報告でディペンドカードは覚醒する気配が無いと聞いた神子は研究チームとの見解で示した純度を高めたストライドフォースを注ぎ込み、そこに自らのストライドフォースも込めて覚醒させるのがベストだと判断し、屠自古も同じ意見だとして報告書のページを捲る。
すると布都が申し訳無さそうに口を開き始める。
「申し訳ありません太子様、我が独断先行で『特異点候補』を確保しようと未来の外の世界へ先走ったばかりに候補者を確保出来ず、あまつさえ最近になり八雲藍会長代行からの辞令により判明した彼奴……我を撃退したメサイアの先導者なる者となりしブライトに、我らの動向を知られる事と」
「その件は既に罰を与え、貴女は罰を全うした。
もう気にしてはいないわ。
それに、メサイアの先導者なるものとなった彼は、彼の口から出た通り彼女の手の者では無かった。
が、第3の勢力として我々の邪魔をするなら正面から叩き潰すのみよ。
布都、貴女は変わらずファンタズムカップで死力を尽くし、ディペンドカードを覚醒に足るストライドフォース生成に勤しみなさい。
それが貴女の使命よ「……ははっ‼︎」さて屠自古、報告を続けなさい」
布都はどうやら外の世界へ、しかも未来の外の世界へ独断先行し、それをブライトに撃退されてしまい『特異点候補』なる者を確保出来なかったらしく、それを謝罪するも神子は既に気にしていなくブライトが邪魔者なら叩き潰し、布都には使命を全うせよと命じ布都もその恩赦に報いるべく頭を下げる。
その話が終わり屠自古は報告を続ける。
「次に諜報チームのブライトの監視、及び情報入手ですが、相変わらず彼の詳細なデータは普及協会会長ですら閲覧不可になる
つまりこちらは依然変わりなくです。
それから追加で諜報チームが各予選の優勝、本選へと駒を進めたチームのメンバー、使用クラン等のプロフィールを入手しましたが……こちらに気になる名がありました」
「ほう?」
次の報告は諜報チームからでブライトの監視、各予選優勝チームのプロフィールの情報であり、屠自古はその優勝チームのプロフィールの中に気になる名があったとし、布都も頭を縦に振りながら重要な情報だと言う雰囲気を神子に感じさせる。
「その気になる名は妖怪の山予選優勝チーム、チームファンタズマと言うチームにありました。
このチームはあの英雄の1人であるブロントさんと冴月麟、更に問題児の宇佐見菫子が参加しており個人的にも気になるチームとなっています」
「ほう、あのブロント殿達が。
ファンタズムカップ本選は良き試合を生みそうだな……それで気になる名とは?
まさかブロント殿ではあるまい?」
屠自古はチームファンタズマが妖怪の山予選を優勝し、其処にブロントさん達が参加している為個人的にも気になるチームであると話し、神子も本選が良き物になると思っていた。
それと同時に気になる名……本題を話す様に促し、静かにそれを聞こうとした。
「はっ、その気になる名は2名…………宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンです」
「……何?」
「我もその名を見て驚きました‼︎
未来で確保出来なかった『特異点候補』が現代の幻想郷に居る訳が無いと!
しかし……プリントアウトした両名の容姿は正にそのまま、本当に『特異点候補』の2名でした‼︎」
屠自古の口から蓮子とメリーの名を聞き、神子も驚いた様子を見せ、布都も最初は信じられなかったとしながらも容姿がその2人であった為驚いたと話す。
そして屠自古が報告書を手渡し、其処にプリントアウトされてる蓮子とメリーの画像を見て神子はこの自分達が求めた者達と同じ名を持つ少女達がターゲット……ディペンドカードを覚醒させる力を持つ候補者、『特異点候補』の2人だと確信する。
そして未来の外の世界にブライトが現れたのも2人を誰よりも先に確保する為だったとも神子は頭の中で確信する。
「……ふ、ふふふ、これは天啓か。
一度は布都の独断先行とブライトの妨害で失敗した『特異点候補』の確保、そのチャンスがまた巡って来るとは」
「しかし彼女達は紅魔館支部所属……レミリア・スカーレットの勢力下にあります。
改めて確保するとなれば紅魔を敵に回しかねませんが?」
「障害の一つや二つは世の常、それに両名の確保する手段など強硬策を含め幾らでもある。
ならば此処は彼女らの力を見極めるとしようでは無いか。
彼女達の何方か、或いは両方が真の『特異点』であるか否か、な」
屠自古の懸念を他所に神子は策は幾らでもあるとし、現段階では蓮子とメリーの力を見極めると言い不敵な笑みを浮かべる。
ディペンドカード……世界の理を変え得る力を秘めた特別なカード、それらを覚醒させ、またヴァンガードのユニットをこの世界に実体化させる力を持つ者、『特異点』であるかを。
世界は動き出していた、蓮子とメリーの知らぬ場所でゆっくり、しかし確実に。
そして其れにより生じる波は、近い将来必ず彼女達を巻き込み渦を巻いて行く事になると、か弱い少女達は未だ知らなかった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の話の重要なポイントは神霊廟と異変を計画する者は敵対(?)している、太子様達は蓮子達の確保を目的としていたが失敗、神霊廟自体も何か企てるなどです。
そしてファンタズムカップ本選主催と言う事は、蓮子達とぶつかり合う可能性が高いです。
それから蓮子とメリーが神霊廟の持つ物などを詳細に知るのは少しだけ先になります……。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
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第93話「頑なな者と挑む者」
今回はファイト回前の会話回です。
そしてこの回を投稿した現時点で幕間の終着点が見えました。
なのでもう少しだけお付き合い下さいませ。
では、本編へどうぞ。
夜22時、ブライトは大事をとって(と言う名のレミリアの威圧)により紅魔館で1夜を過ごし、其処から普及協会本部へと出勤する様になった為夕食まで蓮子達と食し、チームファンタズマはアリスや魔理沙、霊華も加えて紅魔館でお泊まり会となっていた。
それまでの間に魔理沙が一度家に戻りポストを見ると、また〈ギアクロニクル〉のカード、しかも修正力が使っていたカードが届けられており、修正力はメリーのデッキを使いそれらのカードを加えていたと思った蓮子やメリー本人はもうそのカードは必要無いと思いデッキを確認すると、修正力が使ってたカリブムなどが消え、代わりにメリーが乗っ取られる前の状態のままだったりと少々訳の分からない事態があったり、ブライトとオリオンがファイトをして異様な激戦になるなど様々な事が1日で起きた。
そして今蓮子達は寝る前に何故修正力が使ってたカードがメリーのデッキから消え、ポストに投函されていたのかをブライトに聞きに行くべく廊下を歩いていた。
「にしてもアイツとオリオン、凄まじいファイトだったわね〜」
「オリオンの初手クリティカルからのダメージドロー&ヒール、更に返しでアイツがクリティカルを出してそれをダメージヒール……もうそんな事の繰り返しで真似出来ないわって思ったわ」
「うむ、あの2りはコインの表と裏でかち合えば互いにトリガーの応酬をしつつムチャクチャやりまくるからな真似しなくて良いぞ(お願い)
蓮子達があの2りみたくムチャクチャやらかしたらおれは完全に2りの導き方を間違えだと確信してブロントは深い悲しみに包まれて裏世界でひっそりと咽び泣いちぇまうとなるな」
蓮子とメリーはブライトとオリオンのファイトを振り返り、メサイアとオーバーロードがしのぎを削ったり盤面でもトリガーの応酬を繰り返したりとやりたい放題だった2人に引き気味になり、ブロントさんも真似はしなくて良いと言って2人の会話に混ざってた。
因みに聞きに行くメンバーはファンタズマの全員とカードを持って来た魔理沙である。
アリスは現在パチュリーと何かを話し合っているらしく付いて来てはいない。
そんな会話をしてるとブライトが居る部屋の前まで付き、蓮子達はドアに近付く。
「と、着いたわね。
じゃあ早速「私が気付かないとでも思った?」……あれ、霊華さん?」
すると部屋の中から霊華の声が聞こえて来る。
どうやらブライトと霊華が何かを話しているらしく、しかし霊華の声からしてブライトが何か隠し事をしていたのがバレた様な感じであった。
「流石博麗の巫女、真っ先に気付きますか」
「兎に角、もう昨夜みたいな無茶な真似は止しなさい。
でないと君、肉体と魂へのダメージで本当に死ぬわよ?」
「(……えっ、死……⁉︎)」
すると霊華が突然ブライトに物騒な一言を告げ、それを聞いた蓮子達は驚き、特に魔理沙は絶句していた。
だが、部屋の中のブライトは平然と口を開く。
「肉体と魂への負担ならメサイアの加護で極限まで減らされている。
だから昨夜の様な事をしても死にはしないさ。
それに俺は死ぬ訳には行かない、未だ俺の目的を果たしていないからな……しかし無茶は止せと言うなら、それが必要な時になった以外ではしないと約束しますよ」
「……つまり無茶自体は絶対やらないって訳じゃないね。
全く、君はいつからそんな風に大人の言う事を聞かない聞かん坊になったんやら。
これじゃ魔理沙ちゃん達が夜寝れなくなるじゃないさ」
ブライトは負担は減ってるとして、無茶が必要になった以外ではしないと約束するもその無茶自体は止めないと宣言し、霊華にこれ以上話しても無駄だと呆れさせ、霊華は最後に魔理沙達への心配をしつつ、その彼女達にも迷惑を掛けてると遠回しに言って部屋から出る。
するとドア前に蓮子達が居た為霊華は驚き、ブライトは溜め息を吐き面倒なと言う態度を見せる。
「あ、あの〜……」
「あ、坊やに何か用なんでしょ?
なら入って、私はもう出るから(皆、ちょっと任せたわよ)」
メリーが何か言おうと口を開くと霊華は部屋から出て、去り際に皆に任せたと小声で話し掛け、そのままその場から去ってしまう。
そして残された蓮子達は頭が整理出来ていないが、ドアが開けっぱなしだった為ブライトが居る部屋へと入り、ドアを閉めその前に立ち尽くす。
「……チームで来るとは、何の用だ?」
「あー、メリーのデッキでちょっと。
修正力が使ってたカードの事を」
「成る程な、何故かカードが消え、改めてカードがポストに投函されてたか知りたいのか。
良いだろう、俺はデッキ調整しながら話す」
ブライトが何の用かと聞いて来た為、蓮子は当初の予定通りメリーのデッキの件を話し、ブライトはそれで内容を察したらしく黒いデッキケースを取り出し、中から『
「えっと、何であんたが私のデッキやカードの入手経路を知ってるのかはこの際置いておいて、どうして修正力が使ってたカードが私のデッキに入って、また彼……いや彼女?
兎に角修正力が消えた途端それも消えて乗っ取られる前のデッキに戻ってそのカード達はまたポストの中にあったの?
あんた、何か知ってるのよね?」
「ああ、推測だがな。
恐らく奴はマエリベリー・ハーンのデッキをそのまま使ってたが、カリブム等はそのデッキ内のカード、グリマーブレスやギアハウンド等にそれらの絵柄やテキストと言った実体テクスチャを被せてファイトしていたんだろう。
実と虚の境界を弄ってな。
つまり修正力が使ってたアレらはイミテーション、虚像だ」
「……えっ、それってズルくない?
デッキに入れてないカードを入れてる様にしたんでしょ?
うわぁ〜、あのファイトそんな不正があったんだ……」
どうやらブライトの話によればメリーのデッキを修正力が使い、その中の一部のカードにカリブム等のカードの虚像を被せ、それを虚と実の境界を操り実体にして使うと言う本来ならジャッジキル物の不正を働いていたと推測され、それを聞いた蓮子はズルいと思いかなり複雑な感情を抱き、麟やメリー達はそんな不正がある中で勝った蓮子は本当に成長したのだと実感し、またメリーはこのポストに投函されていたカードこそが実物、本物だと思いこれは大切に使おうとそんな事があった為尚更思う様になっていた。
「……えーと、そのデッキは……」
「以前宇佐見蓮子を倒した時に使った『
アレから弄る機会が中々取れなかったから今デッキをこの新しい浄化済みのカード達で組み直している所だ」
「…………ふん、ちょっと癪だけど……私らにもそのカードとか色々見せなさいよ」
次に麟が今弄っているデッキは何かと聞き、それは月で蓮子とファイトした時に使った『
ブライトはそんな義理も何もないが、何処かで蓮子達が『
「ふーん、これが『
イラストとかゆっくり眺めてる時間や余裕が無かったから改めて見ると、髑髏を模した怪物だらけで気持ち悪いわね〜……んん、
アンタ、これ何?」
「新しい
この
最も、ヱヰゴヲグのデリートはGB2が付いてる為現段階では『
「ふーん」
蓮子はカードの中の1枚、『
しかし軸ユニット達の基本戦術であるデリートをして速攻と噛み合ってないらしく余り使い辛いとやや評価が低めであった。
ブロントさんや蓮子達は他に
「おいィ、ターン1だがスペコしたらバニッシュ+
「デリート下でブーストしたらデッキに帰ってバニッシュするクリティカル……やたら優秀なユニットね……」
「ライドしたら2枚バニッシュのコイツ、『
それらのスキルを見てブロントさんやメリー、魔理沙は三者三様の感想を言いながらブライトがどんな風に新しいデッキを組むか見て、すると当本人は魔理沙が持ったカードやメリー達の持ったカードを取り、それらを中心にデッキを組んで行き、アレよアレよと言う間に新しい『
但しブライトは完成したデッキを見てやや気に入らないのかジッとデッキを目を細めながら見ていた。
そして……此処で今まで黙っていた菫子が動き出す。
「だぁーもう、皆肝心な事聞きに行かないでどうすんのよ!
ほらアンタ、さっき霊華さんに言われた死ぬってどう言う事なのよ!」
「……別に、どうと言う訳でもないさ」
菫子は皆が肝心な事、霊華の死ぬと言う発言を聞かない為焦れったいと思い問い詰めるも、ブライトは何食わぬ顔でどうでも無いとはぐらかそうとする。
その態度を見て魔理沙が菫子に追従し問い詰め出す。
「……答えろよ、どうでも無いとかはぐらかさずに。
アンタは絶縁状態で色々やらかしてるバカだけど私からしたら幼馴染だ、そいつが死ぬなんて事聞けば何事かと思っちまうだろ!
良いから答えろよこのバカ!」
「…親切なお姉さんとの約束の一つで今の俺の状態は出来るだけ明かせない、悟られない様にしている、としか言えないな」
しかし、それでもブライトは親切なお姉さんとの約束と言って深くは答えずに居た為魔理沙は歯軋りし、胸倉を思わず掴みそうになったが、その手をもう片方の手で押さえながらブライトを鋭い視線で射抜くのみに留める。
蓮子とメリーはブライトの態度にまた怒りが込み上げて来た為、2人はアイコンタクトをして一回物申す事を決める。
「アンタ、魔理沙が真剣に聞いてんのよ!
それにちゃんと答えないとか何考えてんのよ!」
「答えたくとも答えられない物は世の中にある、魔理沙が聞いた事もその一つだ。
最も、例え答えられたとしても絶対に言わないと思うがな」
「じゃあこれは?
親切なお姉さんってのがそんな約束を取り付けた、ならアンタのその死ぬってのはその親切なお姉さんがそうしたって言う「それは違う、この状態になったのは親切なお姉さんも不本意で、俺の方から今の状態になる事も聞き出した上に提案し、それらの内容を口外しない様にしたんだ。
俺の目的である異変の計画と、それを企てる2人を止める為にな」…………アンタの方から、ね……」
蓮子の物申しにはブライトは何時もの様な仏頂面且つ何食わぬ態度で答え、更に答えられたとしても答えないと付け加え蓮子のみならず、ブロントさんも頭に血が上り始める。
その次のメリーの物申し……親切なお姉さんが約束や『無茶な事』をすれば死ぬかもしれない状態にしたのかと口にした瞬間ブライトはメリーの顔を仏頂面のまま、しかし何処か真剣に見ながら答え、情報や約束、今の状態になったのはブライトの方から聞き出し、そうする様にしたのだと間髪入れずに答える。
その突然の返答に頭に血が上り始めていた面々のボルテージがほんの少し下がり、またメリーはその答えを噛み締め、親切なお姉さんはブライトがこうなるのは不本意で、もしかしたら口外しない約束も望んでいなかった事が判明する。
なら何故この青年はそんな事をしたのか、それらの意味を考え始める……そしてそれはあっさり出る。
異変の計画と、首謀者2名を止める、その為にそれらが必要な事だとこの青年は思っているとメリー、更に蓮子と一言一句聞き逃さなかった魔理沙達は理解する。
また、ブライトの『悟られない様に』と言う部分は恐らく首謀者2名やその同志に悟られたくないと言っているのだとも何となく会話のパズルを組み合わせて理解する。
が、理解は出来ても納得出来た訳では無かった為蓮子達とブライトの間にピリピリした空気が流れたままとなっていた。
「……話はそれだけだと言うならもう寝た方が良い、お前達が今やるべきはファンタズムカップ本選まで英気を養う事の筈。
俺も明日の出勤に差し支えない様にしたい」
「……詳しく話す気は「無い」バッサリね…………なら、ちょっと私とファイトして」
「あれ、メリー?」
険悪な雰囲気の中でブライトは蓮子達にもう寝る様に促し、更に互いに早めに寝る理由があると話した上でメリーの一言もバッサリと切り『
もうこれ以上会話が続かないと誰もが思った中、突如メリーがファイカからデッキを取り出し、ファイトをする様に要求する。
「……宇佐見蓮子ともファイトし、そろそろそちらの成長具合を直に体験しようとは思ってはいたが、何故今だ?」
「アンタの事、皆納得出来てないしこのままだと絶対次会ったら変な風に拗れるわ。
だったら今アンタとファイトをして、アンタの決意だとかそう言った目に見えない物を示した方がまだスッキリするし、皆もそこまで強い意志を持ってるなら仕方無いってなると思ったから。
アンタは言ってたわよね、ヴァンガードファイトにはその者の全てが表れるって……だから今、ファイトして!」
「メリー……(メリーが此処まで自分からグイグイ行くなんて珍しい……コイツに言われた修正力を退ける強い意志を持つ様に心掛けたから?
だとしたら……まぁ、少しはプラスになってるかしら?)」
ブライトはメリーの要求に何故今かと問い、それをメリーは自身の考えや蓮子や魔理沙達皆の気持ちを代弁した上でブライトの意志を示し皆を納得させる為にと答え、デッキを構えてファイトをするか否か返事を待つ。
蓮子はメリーのこの少し押しを強め、且つ自分からグイグイと動く姿を見て自分が手を引きながら歩いていたメリーが強く、また動く歩調が大きくなったと思い嬉しさ8割と自分が手を引く様に歩く事が少なくなりそうな事に寂しさ2割の気持ちを抱いていた。
そしてブライトは締まった黒のデッキケースでは無く、白のデッキケースからデッキを取り出し口を開く。
「……良いだろう、1回ファイトをしよう。
それ以上は互いの睡眠に支障を来す上、俺や騎士ブロントは兎も角、女子は肌が荒れるだろうからな」
ファイトをすると返事したブライトは部屋から出て、ファイトルームに向かい始める。
それを見てメリー達もファイトルームへと移動し始め、するとファイトルームのドア前に咲夜が居り、部屋に鍵を掛けようとしていたがデッキを持つブライトとメリー、更に観戦の蓮子達を見た為鍵を仕舞いドアを開ける。
「あ、咲夜。
ごめん、今鍵掛ける所だった?」
「いえ、良いわ。
まだ使う人が居るなら使い終わるまで鍵は閉めないわ。
それに、ファイトをする理由がある2人の邪魔をしてはお嬢様達に叱られてしまうから」
蓮子達は咲夜に軽く謝ろうとしたが、咲夜は特に気にしてない様子で、しかもメリー達の様子を見てファイトをしなければならない雰囲気を放ってるのを察し、レミリアにそれを止めたら叱られるとだけで他は特に何も言わずにファイトルームに通す。
蓮子やブロントさん達は改めて咲夜を出来た完璧メイドだなと思いながら2人がファイトテーブルの前に立つのを見守るのであった。
此処までの閲覧ありがとうございます。
今回の話に出た不穏な話は元から考えていた物です。
安易に出しちゃいけない物ですが、それでも出してしまいました……その話にもこの物語が終わるまでには決着が付きますのでご容赦下さいませ。
なお、この回にチラッと出たファイトの話は没話となった物です。
と言うのも、それを没にしないと幕間が更に長くなる不具合がありましたので没にしたのです。
しかし、そのまま無くすのは勿体無いのでチラッと話程度に出したと言った感じです。
そして次の回はファイト回です。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第94話「再戦、VSブライト」
今回は前回の続きでファイト回となってます。
なお恒例通り前後編となってます。
では、本編へどうぞ。
蓮子達と咲夜が見守る中、ファイトテーブルにシャッフルしたデッキを互いに置き、手札を入れ替えFVを置きメリーとブライトは2度目のファイトの準備を終え相対する。
「(白いケースから出したデッキ、アレは蓮子達から聞いた『メサイア』が主軸の〈リンクジョーカー〉。
自陣
経験も技術も何もかもが私の方が下回ってる。
でも、それでもコイツに必死に食らい付いてコイツの全部をこのファイトで示す‼︎
その為にも私は今の全部を出し切る‼︎)行くわよ!」
「来い」
『スタンドアップ・「THE・!』ヴァンガード‼︎』
メリーは自分の今の実力を熟知してる為かブライトに勝つ確率は低いとし、しかしそれでもこのファイトにブライトの本気、決意を引き出させると誓いながらFVをスタンドアップさせ、イメージ世界を構築する。
場所はクレイの秘境、クレイの生物として新生した〈リンクジョーカー〉と、それを見守る〈メサイア〉達が住まう土地。
其処に2人は霊体として降り立ちながらユニットに
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
「『ネオンメサイア』!」
するとメリーが立ち上げたFVは何とガンナーギア・ドラコキッド、1番最初のFVであり、ギアホークでは無かった。
「メリー、ガンナーギアに戻したんだ」
「うん、
でも、デッキの中身は前と、更にその前から変わってるわよ!」
「ならその構築を変えたデッキ、どれ程使い熟せるか見せて貰うぞ。
先攻は俺、ドロー!
ライド、『アスリープ・メサイア』!
ネオンメサイアはヴァンガード後列へ!」
ネオンメサイア:P5000、C1
アスリープ・メサイア:P8000、C1
蓮子がメリーにガンナーギアに戻したのを聞くと当のメリーは戻した理由、及びデッキの中身は違うと答えブライトも少し興味を持ち、その実力を見るべく先攻で何時ものグレード1にライド。
メリーはアスリープ・メサイアのパワーを見て蓮子ならシンリック等で攻めると考えつつ自分の手札を見て如何に攻めるか考える。
「ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』にライド!
ガンナーギアはヴァンガード後列に移動させて、アスリープ・メサイアにアタック!
ドライブチェック!『アップストリーム・ドラゴン』」
ガンナーギア・ドラコキッド:P5000、C1
メーザーギア・ドラゴン:P8000、C1
メーザーギアVSアスリープ:8000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『アップストリーム・ドラゴン』
ダメージチェック『アローザル・メサイア』
メリー:手札:6
ブライト:ダメージ:1
「アップストリーム……確かに変更されてるな、しかも宇佐見蓮子と修正力のファイトと違い実物のカードに。
ドロー、『アローザル・メサイア』にライド、『ダークメタル・カメレオン』をコールし、アローザルでアタック「前列をコールせずに後列だけ……ノーガード!」
ドライブチェック『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガーゲット、パワーは省略し1枚ドロー「ダメージチェック『スチームファイター アンバー』ターンエンド」
アローザル・メサイア:P9000、C1
ダークメタル・カメレオン:P7000、C1
アローザルVSメーザーギア:9000+5000VS8000=ヒット
ドライブチェック『超弦理論の愛し子』『引』
ブライト:手札:4→5
ダメージチェック『スチームファイター アンバー』
ブライト:手札(ターン終了時):6
メリー:ダメージ:1
ブライトは『アップストリーム・ドラゴン』がドライブチェックで露見した事から少しは以前よりも楽しめ、また期待出来るかもしれないと考え、更に修正力を引き合いに出して確かに変わってるとしながらアローザルでアタックする……が、此処で何故か前列を出さないで後列のみを増やすと言う行動を取った為、メリーに不思議がられる。
すると蓮子はこの行動を察し口にする。
「成る程、あの動きはメリーのデッキに『スチームナイト カリブム』があるかもしれない、ネオンメサイアをデッキ送りにされて自陣
「ほむ、修正力とのファイトでギアクロにはFV殺しが居る事が明白に明らかになったからな、ブライトの奴はそれを元から知ってるからこその先程のコールだろうな(予測)」
「成る程……前列を出してもアタックで消されるから後列、ねぇ……」
蓮子、ブロントさん、菫子がメリーの疑問に答える様にブライトの行動を解説し、メリーもそれを聞き成る程と思い納得が行くカリブム対策だと感心している。
更にメリーはカリブム対策を取られた事から、このデッキにはカリブムが居ると警戒されていると判断し、その警戒は間違っていない為矢張りファイターとしての経験や技術、知識は向こうが上だとこの3ターン目だけでも改めて思い知らされる。
「ドロー、『スモークギア・ドラゴン』にライド!
そして、アンタの警戒通りよ……『スチームナイト カリブム』をコール‼︎「出やがった、ギアクロのガトクロ枠!」
……良く分かったわね、カリブムを入れてるって」
「お前は前の構築でFVをギアホーク、更にギアハウンドまで入れていた為相手リアガードをデッキに送りパワーを増加等をする戦術が得意だと判断した。
よって少し戦術を変えればGBの制約も無いカリブムを入れるだろうと思った、それだけだ。
それからもう一つ、ダークメタル・カメレオンは永続で
それにより相手のリアガードを対象とするスキルは一切受け付けず、コイツを如何にかしたいならリアガード全ての退却等やリアガードサークルを選択するスキル、1ライン全てに影響させるスキルを使わなければならない。
……なのでネオンメサイアをデッキボトムに置き、デッキをシャッフルする」
スモークギア・ドラゴン:P10000、C1
スチームナイト カリブム:P8000、C1
ネオンメサイア:デッキ送り
メリーはブライトに何故カリブムを採用しているのが分かったのか問うと、前のデッキ構築の特徴を言われ、それを主体とする戦術が得意だと判断していたと答えられ、事実メリーはその通りだと思っていた。
更にブライトはダークメタルの永続スキルを説明し、それの抜け穴も説明すると同時にネオンメサイアをせっせとデッキに送りシャッフルしていた。
魔理沙はダークメタルを見て『ウゲェ』と前にファイトした時を思い出し、蓮子やブロントさん、咲夜も『ブラスター・ブレード』や『ブラスター・ダーク・
「そう、ならそれをデッキ送りに出来るのはクロノスコマンドかアップヒーバルだけって訳か……けど、それの対策は今は置いておいて、今はカリブムのラインを強めないとね!
『スチームファイター ウルニギン』をコールして、スモークギアでアタック!
ドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』クリティカルトリガー!
クリティカルはスモークギア、パワーはカリブムに!「ダメージチェック『真空に咲く花 コスモリース』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』ヒールトリガーゲット、パワーはアローザルに、ダメージ回復でコスモリースをドロップ」
完全ガードGをドロップゾーンに置いて
ターンエンド!」
スチームファイター ウルニギン:P7000、C1
スモークギアVSアローザル:10000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『ドキドキ・ワーカー』『☆』
スモークギア:C1→2
カリブム:P8000+5000=13000
ダメージチェック『真空に咲く花 コスモリース』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ブライト:ダメージ:3→2(コスモリースドロップ)
アローザル:P9000+5000=14000
カリブムVSアローザル:13000+7000VS14000+10000=ガード成功
メリー:手札:4
ブライト:手札:5
メリーはスモークギア、カリブムでアタックを仕掛けダメージを与えに行くが、ブライトはヒールトリガーをダメージチェックで出した事もありダメージは1枚しか増えず、更にメリーの『スチームメイデン アルリム』等の通称完全ガードGをドロップした為、次ブライトが完全ガードを使えばCBコストを回復する事が出来る様になり、引きの強さもあちらが上だとメリーは感じるが臆せずターンを終える。
「彼我の差を理解しつつも臆せず果敢に挑むか……修正力の介在に負けぬ強き意志を持て、と言う俺のアドバイスは今の所守ろうとしてるみたいだな「勿論アンタの為じゃない、蓮子や皆にもう迷惑を掛けたくないから……後ついでにアンタに助けられたなんて事も嫌だからよ!」
ふん、言ってくれるな……なら、しっかりとその心を強く持つんだな!
スタンド&ドロー、あるべき未来へと羽ばたけ、我が運命の翼!
ライド、『オルターエゴ・メサイア』‼︎
コール、『重力井戸のレディバトラー』!」
オルターエゴ・メサイア:P11000、C1
重力井戸のレディバトラー:P9000、C1
ブライトはメリーの心情をファイトで表されてる部分から読み解き、強き意志を持とうと心掛けていると理解するも、メリーは皆の、蓮子の為とし(ついでにブライトに助けられたくない)、それを聞いたブライトは不敵に笑いつつ自らの分身であるオルターエゴ・メサイアにライドする。
イメージ世界にてその巨大且つ神々しい姿にメリーはつい見惚れ、直ぐに頭を振りファイトに集中する。
なお蓮子達は今メリーがオルターエゴに見惚れた事を理解し、内心その気持ちは分かると同調していた。
「オルターエゴでヴァンガードにアタック!「ノーガード!」
ツインドライブ!『デスティニー・ディーラー』『ブリンクメサイア』『☆』
クリティカルトリガーゲット、クリティカルはオルターエゴ、パワーは重力井戸に付与!「くっ、ダメージチェック!『スチームファイター バリフ』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
ドロートリガー、パワーをスモークギアに!」
次、重力井戸でアタック、ダークメタルのブーストを含め合計21000だ!「『スチームファイター ダダシグ』でガード!」
カリブムを残したか、ターンエンド(さて、マエリベリー・ハーンの手札は残り4、内2枚はドキドキ・ワーカーとアップストリームで確定、残りは果たして……)」
オルターエゴVSスモークギア:11000VS10000=ヒット
ツインドライブ『デスティニー・ディーラー』『ブリンクメサイア』『☆』
オルターエゴ:C1→2
重力井戸:P9000+5000=14000
ダメージチェック『スチームファイター バリフ』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
メリー:手札:4→5
スモークギア:P10000+5000=15000
重力井戸VSスモークギア:14000+7000VS15000+10000=ガード成功
ブライト:手札:6
メリー:ダメージ:3 手札:4
ブライトは早速クリティカルトリガーを引きながらメリーを攻め立て、メリーもドロートリガーで何とか手札消費を押さえつつガードする。
このターン終了時にブライトはメリーの残り手札の中身をドライブチェックで見えた2枚+非公開2枚である為、それが何かを考え始め、次のターンでメリーが動くパターンを幾つか頭に浮かべて行く。
一方メリーはこのターンも何とかダメージを押さえられたと思いつつ、次の
「(次のターン、どのGユニットを使って巻き返そうかな?
ギアウルフがあるなら直ぐ様クロノスコマンドかアップヒーバルを使うんだけど、ウルニギンだからね。
しかもダークメタルを如何するか決めないとならないから…………よし、此処は!)スタンド&ドロー!
導け未来、切り開け世界!
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎
更に『スチームブレス・ドラゴン』をコストに
今こそ示せ、我が真に望む世界を!
ストライド・ジェネレーション、『時空獣 アップヒーバル・ペガサス』‼︎」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
時空獣 アップヒーバル・ペガサス:P15000+11000=26000、C1、ハーツカード:クロノジェット・ドラゴン
メリーは自身、ブライトの盤面を見てどのGユニットを最初に使うか少し長く考え、そしてそれが決まり自分のヴァンガードの相棒であるクロノジェット・ドラゴンへとライド、更にアップヒーバル・ペガサスに
「さあ、反撃開始よ!」
メリーは高らかにブライトへ反撃開始と宣言し、イメージ世界にアップヒーバル・ペガサスが現れオルターエゴ・メサイアと相対する。
このターンから動きが更に激しさを増すだろう、そう蓮子達やメリー、ブライトはそれぞれ考えブライトとメリーはファイトに注ぐ闘気を更に高めて行くのであった。
(後書き忘れてました)
追記
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回はアップヒーバルを使った所で終わりです。
次回はこの続きから始まりますのでよろしくお願い致します。
よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
…………まさか後書きを描き忘れるとは、すみませんでしたm(_ _)m
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第95話「芸人、決着、ちょっぴり情報」
令和になってからの初投稿になりましたが、第95話目更新です。
新元号になっても本作はまだまだ続きますのでよろしくお願い致します!
今回はファイト決着回ですが……少しそんな回にそぐわないタイトルなのは本編を見れば少し分かると思われます。
では、本編をどうぞ!
「アップヒーバル・ペガサスのスキル発動、相手の全リアガードをデッキボトムへ置き、デッキトップから戻した枚数分コールさせるわ!「ふむ…………『綻びた世界のレディヒーラー』をヴァンガード裏に、アローザルをコール」
よし、クロノジェットの超越スキル発動!
そして此処まで待機していたウルニギンのGB1スキル発動、『クロノジェット』がヴァンガード時、1ターンに1回相手のリアガードがデッキに送られた時にコストで裏向きにしたダメージを表向きにする
更にガンナーギアのGB1スキル、
そして『アップストリーム・ドラゴン』と『ドキドキ・ワーカー』をコール‼︎」
アップストリーム・ドラゴン:P9000、C1
ドキドキ・ワーカー:P4000、C1、『☆』
メリー:手札:2 ダメージ:2/3
布陣
カリブム アップヒーバル アップストリーム
ウルニギン R ドキドキ
綻びた世界のレディヒーラー:P5000、C1、『治』
ブライト:全リアガード入れ替わり、1体消失
布陣
R オルターエゴ R
R レディヒーラー R
メリーはアップヒーバルのスキルとクロノジェット、更にガンナーギアやウルニギンのスキルを巧みに使いブライトのヒールトリガーを1枚デッキ外へ出させ、インターセプトも潰しつつリアガードを展開する。
更にこのリアガード配置には意味があり、その意味に対戦者であるブライトは直ぐに読み解き、蓮子もそれに続いて理解する。
「さあバトルよ、ドキドキ・ワーカーのブースト、アップストリームでヴァンガードにアタックし、GB1スキルが発動しパワー+4000しスキル獲得!「ふむ……ノーガード『アレスター・メサイア』」
アップストリームの追加スキル、このユニットをデッキへ送り、更にデッキからグレード1のユニットをレスト状態でスペリオルコールしデッキをシャッフルする!
『スチームスカラー ジジ』をヴァンガードの後ろにコールしてスキル発動、
アップヒーバルでアタック、ドキドキ・ワーカーはスキルでソウルに移動してヴァンガードにパワー+5000と1枚ドロー‼︎「ノーガード」
トリプルドライブ‼︎『スチームファイター アンバー』『スチームナイト カリブム』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
ドロートリガー、パワーはカリブムに付与して更にドロー‼︎「ダメージチェック『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガーゲット、1枚ドローしパワーはオルターエゴへ」
……ウルニギンのブースト、カリブムでアタック!!「手札の超弦理論でガード」
ターンエンド‼︎(よし、ライトラインが空いて
アップストリームVSオルターエゴ:P9000+4000+4000VS11000=ヒット
ダメージチェック『アレスター・メサイア』
アップストリーム:デッキ送り
スチームスカラー ジジ:P5000、C1
メリー:手札:2→3 ソウル:1
アップヒーバルVSオルターエゴ:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『スチームファイター アンバー』『スチームナイト カリブム』『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
メリー:6→7
カリブム:P8000+5000=13000
ダメージチェック『超弦理論の愛し子』『引』
ブライト:手札:6→7
オルターエゴ:P11000+5000=16000
カリブムVSオルターエゴ:13000+7000VS16000+5000=ガード成功
メリー:手札(ターン終了時):7
ブライト:ダメージ:4 手札(ターン終了時):6
メリーは更に攻撃を加え、ブライトのダメージを4にしつつライトラインを空ける事で
これによりメリーは改めてライトラインにリアガードを配置する事も出来、堅実でありながらも大胆な戦略を蓮子達やブライトに見せる。
「成る程、
あれならブライトが返しのターンでデッキトップを
「メリーやるじゃん!
今のターンだけでも前よりもずっと動きも良いし、これってもしかしたりするかも!」
ずっと静かに見守っていた咲夜が漸く口を開き、それに合わせて菫子も指をパチンと鳴らしながらメリーのファイトを、更にブライトを倒す可能性がある事も仄めかしメリーの変わったデッキとそれを使い熟すファイターとしての技術力の向上を褒めていた。
蓮子もまたメリーの成長を喜んでいる為、グッと手に力が入り握り拳を作りながらガッツポーズをやり掛けてしまうが、それはメリーがブライトに勝った時にやろうと思い笑顔でメリーに頷く程度に止める。
「ファイトにはその者の全てが表れる…………お前もまた、宇佐見蓮子同様成長している様だな。
このファイトで全てを出し切ると考えいるとも感じる。
なら、次はどう受ける?
スタンド&ドロー!
デスティニー・ディーラーをコストに
混沌を切り裂き、白き翼で描け未来!
ストライド・ジェネレーション、『創世竜 アムネスティ・メサイア』‼︎
オルターエゴの
更に『アレスター・メサイア』をコールしスキル発動、パワー+2000と追加スキル獲得‼︎
まだだ、『サクリファイス・メサイア』をコール‼︎」
創世竜 アムネスティ・メサイア:P15000+11000+5000=31000、C1
アレスター・メサイア:P9000+2000=11000、C1
サクリファイス・メサイア:P7000、C1
ブライト:ダメージ:3/4 手札:4
布陣
R アムネスティ アレスター
R
【●】:
ブライトは持論であるファイトにはその者の全てが表れるを口ずさみ、メリーの成長をファイトを通じて感じ更にメリーの実力を見たいとは直接口にはせず、如何対処するかと問い掛けながら蓮子や魔理沙とのファイトでは初手で使わなかったGユニット、アムネスティ・メサイアを使用しメリーに攻撃を仕掛けようとしていた。
「アムネスティ・メサイア……確か、私のファイトではブリーザーを使って、そのスキルで表向きにしてた……」
「(メサイアのGユニット……オリオンとガチファイトした時に使ってた『創世竜 エクセリクス・メサイア』のスキル要件になってたりしたが、アレみたいに自陣
そしてサクリファイスやアレスターも使って来たとなれば……)」
蓮子、ブロントさんがアムネスティを見てそれぞれ思い返し、特にブロントさんはオリオンとブライトのファイトで使われた創世竜 エクセリクス・メサイアからそのスキルを予想していた。
そうこうしている間にブライトはユニットに手を掛けていた。
「サクリファイスのブースト、アレスターでヴァンガードにアタック!「ノーガード!『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
ドロートリガー、パワーをクロノジェットに付与してドロー‼︎」
ふむ、アップストリームやジジ、ドキドキ・ワーカーのデッキシャッフルとドローが呼び込んだか。
アレスターの獲得したスキルにより自身を
更にサクリファイスのスキルで自身を
そして、アムネスティ・メサイアでヴァンガードにアタックしスキル発動、
赦しから生まれし白き誇り。
構築せよ、理想の世界!
ホワイト・ライトニング・アンデュレイト‼︎
アムネスティは合計パワーは43000、クリティカル2だ‼︎」
アレスターVSクロノジェット:11000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ラッキーポッド・ドラコキッド』『引』
クロノジェット・ドラゴン:P11000+5000=16000
メリー:手札:7→8
アレスター、サクリファイス、ウルニギン:
アムネスティ・メサイア:31000+3000=34000
アムネスティVSクロノジェット:34000+3000×3VS11000
アレスター、サクリファイス、レディヒーラー:
アレスターサクリファイスによる
メリーはそれらを見て思わず固唾を飲んでしまう。
「やっぱりあのメサイアのGユニットも
「しかもあのアムネスティは自身のパワーを引き上げ、Gゾーンでその神秘のベールに未だ包まれてカーテンコールを待つエクセリクスは自分のリア強化と相手のリア退却で役割がまた違うので状況で使い分けも出来る妙な謙虚さを持っていた!
しかも
これで俺は〈リンクジョーカー〉が更に嫌いになったなあまりにも卑怯すぎるでしょう‼︎」
「でもエクセリクス・メサイアは確かアムネスティが1枚でも表向きになってないと使えず、更にアムネスティを表向きにするコストもある切り札中の切り札だから中盤ではいきなり……あ、だからアイツブリーザーで何時もアムネスティを表向きにしてたんだ‼︎
GB2を達成するのと並行させて‼︎」
魔理沙、ブロントさん、蓮子がそれぞれ口を開きアムネスティを見た感想(ブロントさんのは完全なdisり)を言い、蓮子はブライトが〈クレイエレメンタル〉の『スノーエレメント ブリーザー』を採用していた理由を完全に理解し、麟、菫子、咲夜、更にファイトしているメリーは蓮子達の言葉に理に適った理想的な採用理由や戦術に関心し、ブライトは仏頂面ではあるが内心では蓮子の言うブリーザーの採用理由を正解だと思いつつメリーの出方を持っていた。
そしてメリーは手札に手を掛け、ガーディアンをコールする。
「『スチームメイデン アルリム』、完全ガード‼︎
コストは『スチームファイター バリフ』よ‼︎」
「ジジで引いたカードか……トリプルドライブ‼︎『綻びた世界のレディヒーラー』『治』
ヒールトリガーゲット、ダメージ回復‼︎『超弦理論の愛し子』『引』
ドロートリガーゲット、1枚ドローし、トリガー2枚のパワーはアレスターに付与‼︎
サードチェック‼︎『真空に咲く花 コスモリース』
ノートリガー、アレスターでアタック‼︎「ノーガード……‼︎『スチームメイデン アルリム』」
ターンエンド……上手くこのターンは切り抜けたが……次は無いと思え」
アムネスティVSクロノジェット:43000VS16000+0=完全ガード
トリプルドライブ『綻びた世界のレディヒーラー』『治』『超弦理論の愛し子』『引』『真空に咲く花 コスモリース』
アレスター:P9000+10000=19000
ブライト:手札:7→8 ダメージ:3/4→3
アレスターVSクロノジェット:19000+7000VS16000=ヒット
ダメージチェック『スチームメイデン アルリム』
メリー:ダメージ:5 手札:6
メリーはギリギリの所で踏み止まり、ダメージ5で凌ぐもブライトは明らかに次のターンで決め切る気で居る為、実質メリーはこの後のターンしかチャンスが無く、メリー自身もそれを理解して緊張が走る。
蓮子達も固唾を飲みながらメリーのファイト、最終攻撃ターンを見守る。
「スタンド&ドロー‼︎
(リアガードを吹き飛ばしたいけどクロノスコマンドは完全ガードで止められる、アップヒーバルも効果が薄い……なら、カリブムやこれを使って…………うん、最後までやれる事をやり切る‼︎)今引いたクロノジェットをコストにGゾーン解放‼︎
ストライド・ジェネレーション、『時空竜 ラグナクロック・ドラゴン』‼︎
クロノジェットの
更に『頂きに立つギアウルフ』、カリブムをコールして、カリブムのスキルでサクリファイスをデッキボトムに‼︎「ではデッキからネオンメサイアをコール、シャッフル!」
そして『スチームファイター アンバー』をコール‼︎」
時空竜 ラグナクロック・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1
アレスター:デッキボトム
頂きに立つギアウルフ:P7000、C1
サクリファイス:デッキ送り→ネオンメサイアコール
ギアウルフ:P7000+3000=10000
スチームファイター アンバー:P9000、C1
メリーはやれる事を考えた結果、ラグナクロックを使いつつ開けていたライトラインを埋め、更にカリブムをヴァンガード裏にコールしサクリファイスをデッキに送りギアウルフのパワーを引き上げ、攻撃態勢を整える。
対するブライトは確かにこの状態ではこれが最善だと考え、それらを止める気でいた。
「ラグナクロックでアタック、スキルで
トリプルドライブ‼︎『スチームバトラー ダダシグ』『☆』
クリティカルトリガー、全てアンバーに付与‼︎『スチームファイター バリフ』
ノートリガー‼︎
サード……チェック‼︎」
メリーはラグナクロックでアタックし、ブライトは完全ガードを使う。
此処までは誰もが見えている結果であった。
残りはメリーのトリガー次第で全てが決まる、ブライトの対応も何もかもが。
メリーは気合を入れてトリプルドライブを引いて行きクリティカルトリガーを1枚引き、次の1枚が最後のドライブチェックとなる。
そして、捲られたそのカードは……。
「…………『スチームファイター バリフ』、ダメージゾーンとドロップゾーンに1枚ずつ、よってそれは4枚目だな…………」
「……ノートリガー‼︎
あーもうバリフー!!!!!
何でアンタはぁぁぁぁぁぁ…………「おい、バリフに文句を言うのは後にしてターンを進めてくれ」あっ…………コホン、アンバーでアタックし、ブーストされてるのでGB1スキル発動‼︎
ターンエンド……此処までか……」
ラグナクロックVSオルターエゴ:26000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『スチームバトラー ダダシグ』『☆』『スチームファイター バリフ』『スチームファイター バリフ』
アンバー:P9000+5000=14000、C1→2
アンバーVSオルターエゴ:14000+10000+3000VS11000=ヒット
ダメージチェック『サクリファイス・メサイア』『デスティニー・ディーラー』
ブライト:ダメージ:5 手札:6
メリー:手札:6 ダメージ:3/5
4枚目のバリフであり、トリガーでは無かった。
その為ブライトはリアガードのアタックを完全にスルーし、ダメージ5になるもそれで終わりだった。
メリーのターンが終わりカリブム、ウルニギンの
更に手札には荷物となるグレード3が2枚も見えてしまった為、最早メリーには次の連続アタックを凌ぎ切る手段が無かった。
だが口ではバリフ4枚目が捲れ、此処までと言いつつも、メリーの目は諦めてはおらず、ファイトを投げ出さないでいた。
ブライトはそれを見てふと少し笑みを浮かべ、直ぐに仏頂面に戻る。
「スタンド&ドロー……マエリベリー・ハーン、餞別としてお前が今後関わる情報を少し出す」
『……?』
するとブライトはメリーに何か情報を出すらしく、メリーや蓮子達は頭に?を浮かべ、何が何だと思いつつそれを聞こうとした。
「お前は、お前達は今後あるカードの争奪戦に巻き込まれて行くだろう。
何故ならそのあるカードは、異変を企てる者達が必要とする物だからな……たった今引いたオルターエゴ・メサイアをコストにGゾーン解放‼︎
混沌を切り裂き、白き翼で描け未来!
ストライド・ジェネレーション、『創世竜 エクセリクス・メサイア』‼︎
『ブリンクメサイア』と『中性子星のレディガンナー』をコールし、中性子星のスキルでブリンクメサイアを
更に『超弦理論の愛し子』をコールし、ソウルに移動させレディガンナーのパワー+3000‼︎』
創世竜 エクセリクス・メサイア:P15000+11000+5000=31000、C1
ブリンクメサイア:P4000、C1、『☆』
中性子星のレディガンナー:P11000、C1
超弦理論の愛し子:P4000、C1、『引』
中性子星:P11000+3000=14000
レディヒーラー、ブリンクメサイア、カリブム(A)、アンバー:
ブライトはメリー達が異変を企てる者達が求めるカードの争奪戦に巻き込まれると口にしながら、何とアムネスティでも勝てる状況にも関わらずエクセリクス・メサイアを使用し、メリーに完全にトドメを刺す態勢を作り上げてしまう。
「あるカード……あるカードって、何なのよ⁉︎」
「恐らくだが、騎士ブロント達はそれを既に知っている筈だ。
永遠亭での騒動の折にな……エクセリクスでヴァンガードにアタックしスキル発動、Gゾーンのアムネスティを1枚表向きにし、好きな数の
此処で全ての
その際こちらの
更にアムネスティと同条件でクリティカル+1‼︎
これこそが混沌より出でし創世の光、ジ・アポカリプスだ‼︎
さあガードは!「……ノーガード‼︎」
トリプルドライブ‼︎『ブリンクメサイア』『☆』『重力井戸のレディバトラー』『アステロイド・ウルフ』『☆』
クリティカルはヴァンガード、パワーは中性子星に‼︎
…………そのカード争奪戦を制する為にも強くなれ。
俺を倒して一泡吹かせたり、運命の修正力の余計な介在を拒みたいなら尚更な……」
エクセリクスVSクロノジェット:31000VS11000=ヒット
全
カリブム(A)、アンバー:退却
エクセリクス:C1→2
ブリンクメサイア:P4000+3000=7000
レディヒーラー:P5000+3000=8000
トリプルドライブ『ブリンクメサイア』『☆』『重力井戸のレディバトラー』『アステロイド・ウルフ』『☆』
エクセリクス:C2→4
中性子星:P14000+10000=24000
ダメージチェック『スチームメイデン ウルル』『治』『スチームブレス・ドラゴン』
メリー:ダメージ:6(8) LOSE
ブライト:WIN
ブライトはダブルクリティカルを引き当て、クリティカル4でトドメを刺し、ファイトはブライトの勝利で終わる。
その間にもブライトはメリーに再度強くなる様に言いながら、デッキを仕舞い始めていた。
ブロントさん達はブライトが言うあるカードと言う情報を思考し、永琳の口から出たと言うヒントも加味した結果、該当する物が浮かび、恐らくその事を言っているのだろうと思い至る。
「……ファイトにはその者の全てが表れる……アンタの意志が全く揺るぎ無い、容赦も妥協もしないってのはファイトのやり方、息遣いとかで伝わったわ。
でもエクセリクス・メサイアをわざわざ使ったのは何でかしら?
アムネスティ・メサイアで勝てる状況だったのに……最初の頃から比べて成長したから?」
「……負けるとトリプルドライブの時点で察して居たにも関わらず、追い詰められても弱気にならず、諦める素ぶりすら見せずファイトを続けようとしたから、もある」
対してメリーはブライトのファイトから容赦も妥協も一切せず、目標を達成しようとする姿勢が見え、この青年は余程の事が無い限り決めた事は一切変えないと感じ、それらを聞き、ファイトを見ていた蓮子達もそう感じ、言わない事は話すまで待つしか無いと納得する。
しかしメリーは何故アムネスティでも十分だったラストターンにエクセリクスを使って来たのか理由が分からず、予想を入れながらブライトにそれを聞くと返って来た答えはそれも含めて諦める素ぶりを見せずファイトを続けた為だと答え、ブライトはメリーの現段階での実力を少しは認めているのだと遠回しに言っていた。
それを聞いたメリー達の反応はと言えば。
『(……素直に強くなったなって言えないのか……?)』
素直じゃない態度に少し呆れ顔を見せると言った物だった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
メリーさん、バリフ芸人の片鱗を見せるの巻(バリフ芸人とは例えばトリプルドライブで3枚バリフが来たり、バリフを蔑ろにするとファイト結果が頗る悪くなったりすると言う狙って出来ない芸であります)
メリーが真のバリフ芸人になる日も近いかも……?
それは兎も角として、ブライトは少しずつ蓮子のみならずメリーも認めて来ている事も分かる回となりました。
その結果少しだけ情報を出し忠告をしました。
いつかブライトが2人を全面的に信頼する時、物語は更に加速する事でしょうがそれはまだ先の話です…………。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第96話「ブライト、お仕事Now」
令和元年になっても頑張ります。
今回は会話回、ファイト描写は一切無いです。
そしていよいよ100話目に近付いて来ました……が、スペシャル回みたいなのは予定してないですw
では、本編へどうぞ。
メリーとブライトのファイトが終わり、皆がファイトにより示されたブライトの頑なな態度にある程度納得した後、メリー達はそれぞれの客室へと行き其処で一夜を過ごした。
ブライトもまた部屋へと戻り、一夜……と言うより数時間仮眠をとり、まだ夜が明けない内に(霊華によって自室から運ばれた)荷物は全て収納クリスタルに入れ部屋を出で玄関口より庭へと出る。
「…………一宿二飯の恩義、感謝する」
ブライトは去る前に振り返り紅魔館の中に居る者達全てに対して感謝の言葉を一言静かに述べると門に手を掛け、開いて外へと出る。
すると門の横には美鈴が寝て……否、目を閉じながらブライトが外へ出るのを察知しているも止めず、それに気付いたブライトは頭を下げて無言の礼をし前を見る。
すると其処に魔理沙とオリオンが立っていて、ジッとブライトを見ていた。
「なんだ、起きてたか」
「皆が寝てる内に黙って行くなんざ、マジで失礼な奴だよなお前」
「一言声を掛けてもバチは当たらんと思うが?」
魔理沙とオリオンは黙って出て行こうとしたブライトに呆れつつ近付き、遠回しに一言掛けて行けと言いブライトの反応を待つ。
するとブライトは2人にも頭を下げて無言の礼をし、そのまま2人の間を抜けてその場を去ろうとした。
「次は何時会えるんだ?」
すると魔理沙は何時会えるのかと振り向かずにブライトに話し掛け、ブライトは次の情報を与えに来る時は何時なのかと解釈し、少し考えながら振り返らずに答え出す。
「そうだな……マエリベリー・ハーンがあのGユニットを使える様になった時だな。
そしたら必ず情報を言いに来る」
「それって何時だよ?」
「さあな?
だが、恐らく近々である事は違いないだろう。
マエリベリー・ハーンも宇佐見蓮子も俺の予想を上回って成長しているからな…………では、また会おう」
ブライトはメリーに渡したほぼ白紙のGユニットが使える様になったらと曖昧に答え、しかしそれが予想で近々だと付け加えながらその場を去る。
この会話の中でブライトは、間違い無く蓮子とメリーの実力を認めつつ、自身の予想を上回る……つまりはかなりの期待を寄せていると話し、それを本人達にファイトをした時に分析の様に言っているパターンのみしか言っていない。
その為魔理沙とオリオンはそれ以上は何も言わなかったものも素直じゃない不器用な奴だと思い、その小さくなって行く背中をやっと振り返って見送り出し、そして見えなくなるまでその場に留まった。
「……バーカ」
魔理沙は様々な感情を込めて、既に見えなくなったブライトに対してバカと一言言い、そのまま紅魔館の中へと入って行く。
すると玄関口の前にアリスと、出不精でこんな場所にすら滅多に来ないパチュリーも居り魔理沙を地下の図書館へと無言で招き始める。
魔理沙(とついでにオリオン)は何事かと思いその後を付いて行くのであった。
それから数時間後の朝7:00、ブライトは収納した荷物を寮の自室に元通りに置いたり洗濯機に入れたりなどした後、普及協会本部の自分の仕事部屋へと向かいドアを開ける。
すると其処には山の様に積まれた書類に、仕事机の前で素敵な笑顔で立つ橙が居た。
「おはようブライト君、病欠明けの出勤ご苦労様〜♪」
「あー、昨日は済まなかった。
溜まった分は見回りの時間までには終わらせる」
「そうして欲しいよ〜。
ついでに私の昨日回された君の仕事分の愚痴を全て聞いて貰うからね〜♪」
橙はブライトに対して節々に棘を感じさせる言葉を投げかけると言葉が刺さった当の本人は冷や汗を掻きながら昨日の病欠を謝り見回り時間が始まる10:30までに終わらせようと机に向かい、棚から判子を取り出して山の様に積まれた書類と格闘を始める。
その間に橙はブライトに昨日回された余計な仕事で溜まったストレスを愚痴としてブライトにぶつけ始め、更に絶対に聞けと言うオーラを出しながら隣の椅子に座り共に書類確認をして行く。
ブライトはこれも全部自分が巻いた種、自業自得だと自分に言い聞かせて橙の愚痴を聞き、且つ溜まった書類を片付けるべく心を無にして作業を進め始めて行った。
「…………それで私は君が本来やるべき仕事をやらされて尻尾や爪、髪の手入れをやる時間が無かった上に藍様には君に回す筈の追加の仕事まで回されて本当に辛くて辛くて大変だったのよ〜。
それもこれも全部君が休んだ所為なんだから責任取って見回りの時間に私に何か奢りなさいよ〜?
じゃないとアンタをこの爪でズタズタに引き裂いてやるからね〜、分かったかなこのおバカ‼︎」
「承認承認承認承認否認承認保留承認否認否認否認否認承認承認承認否認!
終わった〜…………分かった、見回りの時に一緒に回るぞ。
そしたらマタタビでも団子でもレアカードでも奢るよ」
橙のストレス発散を兼ねた怒りの感情を込めに込められた愚痴を延々と聞かされながら3時間、ブライトは山の様に積まれた書類を確認し判子を押し終えたり連絡書類にサインをしたりなどを奢る約束をしながら終える(なお橙は愚痴りながら書類の山をブライト以上のスピードで処理している)。
「…………にしても今日は溜まってたとは言え一段と否認する書類が多かったな。
特に最後のこれは何だ?
『普及協会会長代行として尽力された藍様を讃える為に藍様の銅像や藍様の資料集、更には藍様の写真館や藍様のドキュメンタリーやちょっとセクシーなグラビア特集を作ろう』とか舐めてんのか?」
しかし普段よりも何やら予算関係や人員関係などで否認の判を押す企画書類が異様に多く、更に最後に至っては藍のプライバシーなど度外視な変な企画書類があり、それを見てブライトはヴァンガード普及協会の職務を遂行しているとは言い難く侮蔑の感情を込めて吐き捨てる。
「へぇ〜それじっくり聞かせて〜、私ソイツにお礼参りする仕事が増えたから(#^ω^)」
橙もそれをブライトから聞きつつ誰が企画したか書類を確認し、見回りの時間までにその企画者に
その後普及協会本部に1人の人物の悲鳴が木霊し、後日その人物は引っ掻き傷だらけの上『私は普及協会本部職員としての職務を怠慢しました』と書かれたプラカードを首から下げ、泣きながら仕事をするのはまた別の話である。
「ではブライト、及び橙はこれより見回りを行なって来ます」
それから30分後、ブライトと橙は勤務ボードの自身の欄を出勤から見回りに変え普及協会本部から外に出て、見回りルートである人間の里へと転移し赴く。
それから少し歩くとブライトを見た子供達が集まって来てワイワイと話し掛け出す。
「ブライトお兄ちゃん、もう病気は治ったの!」
「お兄ちゃん元気で良かった〜。
またデッキを見てよ、何処か悪いか一緒に考えよ!」
「あ、橙お姉ちゃんも一緒だ〜。
お兄ちゃん達デートなの〜?」
「もしかして休んでたのは昨夜はお楽しみって奴なの?
ヒューヒュー!」
「はっはっは、こんにちは。
そうだね〜、デートと言えばデートだけど、昨日休んでお姉ちゃんに迷惑を掛けちゃったからそのお詫びのデートだよ。
それから、お兄ちゃん達はそんな関係じゃないからね〜」
ブライトは少年の1人に渡されたデッキを見つつ橙とデートなのかなどをやんわりと答え、子供達に一切の邪念や含みの無い笑みを向けながら親身に話をし、手に持ったデッキをじっくり見た後どのカードを抜いた方が回しやすいかを考えた後に少年に言い、デッキを返された少年も「やっぱりか〜」と口にしながら一緒のイメージを持っていたブライトに礼を言いながら談笑する。
それを横目に見ながら他の子供を相手にしていた橙は相変わらず子供に人気だなと少し苦笑をし、2人は漸く子供達から解放されて近くのお団子屋でブライトは粒餡、橙はみたらし団子を数本頼み(支払いはブライトのポケットマネー)食べ歩きをしながら見回りを再開した。
「ふう、やっぱり君子供ウケが良いよね〜。
そう言うトコは昔から……君が自分を僕って言ってた頃から変わらないね〜」
「子供は素直だし、真っ直ぐ育って欲しいからな。
その分俺も親身になってあの子達をはじめとした子達に接するのさ。
そしたら子供達から好感を得てまた接してと繰り返して、その結果こうなったってだけだよ。
大体俺なんかよりも上白沢女史や藤原の方が人気さ」
ブライトと橙は何か異常が無いかをチラ見しつつ子供ウケが良かった事をネタに話し、それを昔……霊夢が居て、紫が居て魔理沙と絶縁のファイトをする前の頃を思い出しながら比べて変わらないと言い、ブライトも慧音と妹紅の方が人気だとしながら子供達への接する態度や想いを話していた。
『…………6時の方向、巻く』
『おk』
その間ブライト、及び橙は気付いていた…………自分達が監視されている事に。
2人は無言のまま悟られない様にアイコンタクトと監視を想定した手信号(藍考案)をして互いに監視を巻く事を同意し、歩いて少し先の曲がり角でほんの少し監視が外れた瞬間ダッシュで駆け抜け、互いに人混みに紛れてながらも軽やかに、そして誰ともぶつからずに走り抜ける。
更に裏路地などを使い自分達が何処へ行ったのか痕跡を消すと、少し後に神霊廟の門下生らしき道士服を着た者達が周りをうろつき、「見失った!」「探せ!」などの叫び声を上げながら監視者達は去って行く。
ブライトと橙は裏路地で見えない位置に居つつ、橙が尻尾に鏡を包み表通りが見える様に、しかし反射した光が向こうから見えない様に映していた。
ブライトはその鏡を見て監視者達が完全に去ったのを確認し終えた後橙にアイコンタクトをし、2人は裏路地から離れて見回りに戻る。
「はぁ〜巻いた。
あれが報告にあった神霊廟の監視して来る連中なの?」
「ああ、そしてその報告通り監視してるのがモロバレな上、こんな風に直ぐに巻ける程度の腕しかないザルな監視さ。
全く、あれで真面目に監視しているのだとしたら最初から監視の心得や訓練をやり直して来いと命じたくなるよ毎度」
橙はブライトから報告にあった神霊廟の監視者かと確認すると、ブライトは監視の仕方等に酷評しながら肯定して呆れた雰囲気を醸し出していた。
橙は自分なら幾らブライトや魔理沙達、更に主人の藍並の実力者やであろうがそう簡単に監視してる事を気付かせない様にすると思い、ブライトと同様監視者達の初心者がやりがちなやり方などを酷評しながら欠伸を欠き余裕を見せていた。
この為2人は何ら脅威にならないとして普段通りに、しかし監視者達に見つからない様に歩くのであった。
「(さて、見回り前半はあと少しで終わる。
そしたら直ぐ様昨日やる筈だった報告をしなければな。
早くしなければ……ん?)あれは……」
ブライトは見回りが終わった後の事を考え始め、自身が次にやるべき最優先事項を頭の中でと問え始める……そんなブライトと橙の前に道士服を着て、身分が先程の門下生達より上の帽子を被った少女が前から歩いて来ていた。
3人は何食わぬ顔で互いにすれ違い、しかし直ぐに立ち止まって互いに振り返る。
「まさか監視達が居るのにお前の方から接触して来るとは意外だと思ったぞ、物部布都?」
「ふっ、我はお主に借りがあるのだ。
それの礼を自らせぬのは神霊廟の、太子様の右腕の名が廃るのでな。
それに、お主や八雲藍殿の式相手では練度の低い監視など幾らでも片手間ついでに巻いてしまえる、そうであろう?
故に我自らがお主とついでに今日何故か共に居る橙殿の前に現れたのだ!」
その少女、物部布都が監視者達が張り付き、更に未来の外の世界での一件で目の前に来る可能性が低いと予想していたブライトは意外と口にし、その布都はドヤ顔でその一件の借りを返す為に現れたと口にする。
ブライトは懐にある2つのデッキの内、黒のデッキを手に取り何時でも出せる様にし、橙は爪を立てて余り感情を見せない様に布都を見やる。
「(うわぁ、メンド臭いタイプの相手が来たなぁ〜。
さっさと片付けようかな?)」
橙は内心で布都の様な直情タイプを面倒臭がり早々と片付けようと考えて足に力を込め始め、何時でもヴァンガードファイト、リアルファイト何方でも対処出来る様に両者は準備を整える。
対する布都は大きな袖で隠れてる右手を突如突き出し待ったの合図を出し、そのまま2人に近付いて行く。
「まぁ待つが良い。
我も借りは返すとは言ったものも今事を荒立てるのは本意ではない。
お主らもこの往来の場で喧嘩事など普及協会本部職員としては法度であろう?
ならば、此処は穏便に済まてしまうのが双方の益になる筈。
だがそちらが事を荒立てるのが望みなら我もファンタズムカップ本選出場選手の身ではあるが、そちらの要求を呑む事としようではないか」
「(……成る程。
布都の方から出て来たのは、あくまで自分は不本意に事を荒立ててしまい、こちらから仕掛けて来た様に仕向ける為の算段であるか。
しかも今はファンタズムカップ、特に今年のは大事な時期。
そんな中で本選出場者のその発言はいつにも増して虚偽であろうが通り兼ねない……。
こいつ、それら全てを考え本気で俺達を嵌める気だな)」
「(で、それに乗っかりたくないなら穏便に話し合った方が互い、と言うか私達の立場を悪くしないって脅かしてる訳か。
へぇ、豊聡耳神子支部長の右腕を自称するだけあって、直情と思わせてかなり狡猾な人だね〜。
面倒ね、本当に面倒……)」
布都は穏便に済ませようと口にしながら荒事は本意では無くブライト達から仕掛けて来た様に仕向けると脅かし、橙は目の前の人物は敵に回せばかなり面倒で強かな奴と認識し、先程まで抱いていた直情タイプのバカと言う第一印象を廃棄して警戒レベルを組織の幹部クラスまで引き上げる。
更にブライトは今年のこの時期での本選出場者の発言力なども考え、その笑顔の裏に潜む策士としての顔を垣間見てその頬に冷たい汗が流れていた
そうしてブライト、橙は何事も無く終わる予定だった見回りに予想外の姦計が紛れ、それに従わざるを得ない事態となり少し頭を悩ませるのであった。
此処までの閲覧ありがとうございます。
橙と彼の関係は友人以上ですが結局歳の離れてない兄妹(姉弟)と言った関係です、決してカプでは無いです(断言)
そもそも彼にカプ相手を用意してるかと言えば…………。
さて、次は布都ちゃんとのお話(強制)回です。
どんな風に着地するのかはまた次回に…………。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第97話「2人の意地」
皆様、自分は失踪してませんよ!
前回に引き続き会話回となります。
この位の長さなら前と繋げても……と思いましたが、会話だけで1万字を超す為前後編に分けました。
もっと短めに出来ないのかと言うジレンマががが()
それから投稿期間が空いたのは書き足したり書き直したりを繰り返してた所為です……。
では、本編へどうぞ!
あ、後今回でこの幕間は終わりです(唐突)
ブライトと橙は布都の穏便に済ませようと言う提案(と言う名の脅かし)に乗り、見回りを布都を交えて行う。
2人はこの時布都はこの見回り中に何か聞き出して来ると考え、はぐらかせる内容ならはぐらかし、対して此方も情報を抜き取ろうと考え、それが一致しているアイコンタクトをして布都の様子を伺う。
「まぁまぁそう硬くなるな、我とて騒ぎを起こす気など毛頭無いし単に話が出来ればそれで良いのだからな!
先ずは世間体の話でもしようか。
お主、数年間我や霧雨魔理沙達の下に現れなかったが息災であったか?」
「……まぁな、昨日仕事の疲れからか黒塗r……じゃなくてパタンと倒れたがな」
布都は強かに平時の様子でブライトに話し掛け、最初は世間話からと元気だったかと問う。
対するブライトは黒塗りの高級車にぶつかってと言うネタを話し掛けてしまうが仕事疲れと言う形で倒れたと話す(無論ネタはそう思わせる為の仕込み)。
橙は此処に青いツナギを着た妖精さんが居なくて良かったと思いつつ上手く事実にブラフを仕込めてると考え、それに合わせる気でいた。
「だね〜、お陰様で私の方にこのおバカさんがやる筈だった仕事を回されて今度は私の方が倒れそうだけど〜。「だからこうやって何か奢っている上に悪かったと言ってるだろう」
AHAHA、全然まだまだ足りないからもっと埋め合わせよろしく+口答えすんなこの大バカ♪」
「お、おう、お主らも何だか大変なのだな……普及協会本部の仕事はアレか?
ぶらっく企業(?)の様に苛酷なのか……?
まぁ兎も角、今は元気そうなのだな、ふむ」
橙の話合わせにブライトも乗っかり、軽く問答を交えて事実にブラフを仕込む互いの感覚を掴みこれなら布都に余計な情報を出さないで済むと考え出す。
そんな2人の問答を聞いた布都はヴァンガード普及協会本部の仕事にあらぬ誤解を抱いてしまっていたのだが直ぐに思考を戻しブライトが元気そうだと判断する。
「次にデッキが変わった様なのだが、もう『ブラスター・ブレード』等は使う気は無いのか?
特にあの光の騎士はお主の分身だった筈だが……」
「もう使う気は無い……いや、使う資格が無い、そして俺は今メサイアの先導者、もうメサイアのデッキと……偶に『根絶者』しか使わんよ」
布都はブライトにブラスター・ブレードを使わないのかと問い、聞かれた本人はメサイアの先導者としてと言いつつも資格が無いとも口にし、橙はそれを聞いて瞳を閉じ、布都の方はやや複雑な事情を抱えていると思いその話を切ろうと考えていた。
「そうか…………では次だが、これは幻想郷の今後に関わる事柄故隠し通しなどは抜きにして話してくれ。
ブライトには外の世界で聞いたが改めて、そして今から八雲藍会長代行の式橙殿に問いたい。
お主達や会長代行殿は、今幻想郷の裏で粛々と進められている異変の計画、それらを認知し、対策は進めておるか?」
次に布都は異変計画を知っていて対策を練っているか否かを聞き出す。
ブライトと橙は先程までの世間話がジャブだとするならこれこそが本題、ストレートパンチの一つだと察知し今度はブライトは答えられる部分のみを話すと考え、橙も同じ考えだと自然な瞬きで合図を送る。
それを確認したブライトは改めて口を開く。
「ああ、知っている。
それの対策は主に俺が中心となり考えている。
無論異変の全容解明も同時並行して進めている」
「ふむ……ならば異変を止める手立ては彼奴らが本格的に動き出す前、近い内には煮詰まると言った具合であろうな」
「次にこちらからだ。
お前達神霊廟はあの人達の同志か、否か?」
ブライトは答えられる部分のみを話した後、ある事を確認する為布都に神霊廟は異変計画を共謀しているのかと問う。
すると布都は見るからに不機嫌な表情を浮かべ、ブライトに切り返し始める。
「太子様が彼奴らの軍門に下る訳があるまい!
つい先日我らの下に彼奴等の方から接触し軍門に下る様要求していたが太子様はそれを蹴り飛ばしたわ。
故に我ら神霊廟は異変計画を企てし者共と明確な対立をしておるわ!」
「そうか、それを聞いて少しは安心したよ。
あの人達の戦力はそう多くないと確信に近付きつつあるからな」
布都はブライトに対して怒り、自らがこの世で最も慕う豊聡耳神子が異変を企てる者達と手を組み悪事を成さんとしているか聞かれた事をきっぱりと否定で返す。
対してブライトは懸念材料であった異変を企てる者達の戦力に豊聡耳神子達が加わっているか否かの判断が取れ、自身が思い描いていた異変を企てた2人とその同志の戦力が少ないと言う予想が確信になりつつあった。
その為思考の奥で立てていたプランに変更は必要無いとも判断が取れ、残りは蓮子とメリーが順当に強くなればそのプランを実行出来るとも考えていた。
そんな思考をしていたブライトだが、次に布都に聞く質問は決めておりそれに思考を回し始める。
「では次に聞きたいが…………お前達はディペンドカード、アレを何に使おうとしている?」
「……はぇ?」
ブライトの口からディペンドカードの名が出た事、更に神霊廟がそれを何かに使おうとしていると聞いてしまった橙は驚いて少々腑抜けた声が出てしまう。
対して布都は表情一つ崩さずに一言一句聞きながら口を開く。
「はて、ディペンドカード?
その様な物は知らんな。
それは如何様な物なのじゃ?」
「惚けても無駄だ、お前達が普及協会本部が発見、監視しているディペンドカードを奪取し、更にそれがバレぬ様にダミーにすり替えていた事は調べが付いている。
もう一度聞く、お前達神霊廟は、豊聡耳神子はディペンドカードを何に使う気だ?」
布都の何も知らぬ雰囲気の応答に対してブライトは自身が調査した結果から得た情報を口にし、布都にその問いの答えを改めて聞き出そうとする。
橙は驚き思考が少し混乱したが、直ぐに思考を正常に戻し懐から通信用クリスタルを取り出し普及協会本部へと通信を行い始める。
「緊急連絡、無縁塚近辺で発見、監視下にあったディペンドカードがダミーにすり替わった可能性が浮上‼︎
大至急監視対象の下へ赴き真偽を確認せよ‼︎
……ブライト、何故そんな大事な、しかもかなりヤバめな情報を黙って「俺もこれを知ったのはつい3日前だった。
2日前はお前と藍様は月側との協議があり水を差す訳には行かなかった。
昨日出勤出来ていればそれを定時会議で報告する予定だった。
そして布都に会わなければ見回り前半が終わった時点で報告していた」…………はぁ、あの書類の山を整理しながらは流石に無理だからタイミングを計ってた訳か……あー、面倒臭い……」
橙は何故早く報告しなかったと通信を終えた直後にブライトへ問い質すが、どうやら昨日出勤出来ていれば報告していたらしく、さっきまでは書類整理(通常の倍以上)で報告する事も出来ず、2日前は藍達の邪魔になる為無理とも言い更に見回り中は第三者に聞かれる可能性のあると橙自身もブライトの言い分を聞き理解し、顔を手で押さえながら愚痴り火急の調査報告を待った。
それからほんの1分でクリスタルに連絡が入る。
『報告、橙様の情報通りディペンドカードがダミーにすり替わってました‼︎
申し訳ありません、我々の監視が甘かったばかりに監視対象が……‼︎』
「謝らないで良いよ、まさかこちらも探知結界等を擦り抜けて回収されるのは想定外だったから。
各自持ち場に戻り、私達の見回り終了後に緊急会議を私の権限で開くからそれ用書類を作成して。
後、早い報告ありがとうね。
……さて、裏付けは取れたみたいだから答えてくれないかな物部布都被疑者さん?
君達神霊廟はあんな危険物を何に使うのかな?
幻想郷をぶっ壊す程の異変でもやる気?」
報告を受けた後橙はにっこりと布都に目を閉じながら笑いかけ、穏やかな口調に棘を突き入れながらディペンドカード……普及協会本部が監視対象に定めた危険物を奪ったとする神霊廟の幹部に問い質す。
その雰囲気は見た目からは想像し難い威圧感を帯びており、八雲紫が居た当時の橙では出せない八雲の式としての雰囲気を醸し出している。
紫が消えてから八雲の式に恥じぬ様数年の間で一組織の幹部としての風格を身に付けた橙に対し布都は何ら気圧されず、寧ろそれを涼しい顔で流しながら不敵な笑みを浮かべながら応え始める。
「ふふ、流石は普及協会本部職員達、我らも悟られぬ様上手く事を運んだつもりだったのだがな……。
何に使うかと聞いたな?
心配せぬとも良い、別に幻想郷を壊そうなどとは我々神霊廟は、太子様は考えておらぬよ。
ただ、この幻想郷に居る弱き者達にちょっとした洗礼を与えるだけの事よ」
「洗礼……?」
「詳しくはファンタズムカップ本選終了後に太子様から報告が行く予定となっておる。
それまでは互いにただ睨み合う程度で済まそうではないか……今年の大会を潰さぬ為に」
普及協会本部職員達の手早い報告、更に自分らの行動を看破したブライトに驚嘆した布都はそれらを流石と褒めながら、神霊廟……神子がディペンドカードを何に使うかは言わず、象徴的なものを口にするに留めていた。
ブライト達は幾つか出たキーワードを頭に入れながら、神子達がファンタズムカップ本選終了後に本部へと報告する予定だとも聞き、本来ならそんなのを待たず神霊廟を押さえる所であった……が、今回はそれが出来ない訳が存在していた。
その訳とは、今年のファンタズムカップは月との連盟締結後、初の共同で開催された物だと言うものだった。
つまり、政に大いに関わってしまうと言う複雑な事情である。
「(こちら側の不手際で今年の大会を途中閉幕すれば月との連盟が崩壊しかねない為下手に動きが取れない、そして藍様の政策がパァになる、か。
予想はしてたが面倒だな……)」
「(そう言うのを分かっててやったなら豊聡耳神子さんは相当なやり手だねぇ〜……さっきのこの人のハメ手と言い神霊廟の動向と言い面倒臭過ぎて胃に穴が開きそうだよ畜生)」
ブライトと橙は神子達の行動がファンタズムカップ開催に合わせたのは月の連盟締結後、幻想郷側の不手際を晒せばその連盟が崩壊し、八雲藍が行なって来た行動の一つ……幻想郷の外敵に成り得る月との連盟により月の中の勢力、更にはそれ以外の者達が幻想郷を下手に手出し出来ぬ様にすると言う政や、紫が不在の幻想郷を他の賢者達が紫のやり方は甘かった為今こそ我が幻想郷を新たに導く(但し幻想郷の益を最優先)と言った考えを持っていた為藍が率先してトップに立って政を仕切っていたがそれら全てが台無しになり兼ねずなかった。
ブライト達の身動きはそれで封じ込めると言う考えに至り、2人は動く前からしてやられたと思い、ブライトはいざそうなると面倒だと感じ、橙は胃がキリキリと痛み出していた。
「ふふふ、お主達はこうやって一から全部説明せずとも理解してくれるから話がすんなり通るのう」
「それにしてもあっさりと話したな、何故「太子様が本部が我らの動向をある程度把握してたらその通りだと伝えてくれと仰られたからじゃ。
無論理由はお主らが既に考える通りこの時期にどうこうしようが無いのを暗に示す為じゃよ」……矢張りこの時期に動いたのは意図的か」
「ではこちらから後少し質問をしようか。
ブライト、お主は紅魔館支部の所属ファイター……今はブロント殿達とチームファンタズマ、と言うチームを組んでおる2名……宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、その2人を幻想郷に招き入れたのであろう?
その理由は何か聞きたいが、答えられるか?」
ブライトが布都がやけにあっさり答えた事を敢えて聞くと、布都はブライトと橙が脳裏で考えた通りの思惑であったと神子がそれを条件を満たせば伝える事、更には思考通りだと理由も余裕を見せながら言う。
布都……神霊廟にリードを奪われる中、次にブライトが蓮子とメリーを幻想郷に連れて来た理由を問い、ブライトはそれも本題の一つかと1人理解し、少し考えながら言葉を発する。
「……異変の計画を止める為。
何故あの2人なのかはお前達は分かる筈だ……宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンを求めていたお前達なら」
「……成る程、あの2人は我らの見立てでは『特異点候補』、どちらかは間違い無く『特異点』、その力を使おうと考えたか。
そしてあの2人には今は実力を付けて貰い、後々協力を仰ごうと考えている、そうであろう?」
ブライトは深くは語らず、しかし目的は明確に示し、布都は其処からブライトの考えを分析し2人のいずれかが持つ力……『特異点』としての力を使おうとしていると断言する。
ブライトはこの布都の発言からまだどちらが『特異点』の力を持つか見極め切れてないと一瞬で読み解き、メリーがそれを持っていると最低でも悟らせなければこの腹の探り合いは勝ちになると考え次の会話が分かれ目と腹をくくり始める。
「ご想像にお任せする」
「そうか。
さて、次で最後の質問なのだが…………これは個人的に事故肩の力を抜いて置くと良いぞ。
ブライト、お主の瞳に映る物は昔と変わらぬか?」
「……あら????」
布都が次が最後とした質問は先程までのものと打って変わり何かブライト個人の事を聞くと言ったもので、橙はそれを聞いた途端変な声が漏れてしまい、頭に疑問符が幾つも浮かんでしまっていた。
ブライトはその質問を聞き、何の意図があるのかを考え…………昔と変わらないのか、と言う部分を重点的に絞り思考を張り巡らせる。
すると直ぐにその意図が分かりこれは別に答えても問題なさ過ぎると思い、口を開く。
「変わらない、変わる訳が無い。
これで満足か?」
「……ふむ、我個人の知りたかった事、神霊廟の一員として知りたかった事は大体分かったから満足であったぞ。
腹の探り合いで時間を取らせてすまんかったのう。
次に会う際は太子様共々キチンとした挨拶をさせて貰おうぞ。
ではさらばじゃ!」
ブライトが変わらないと質問を答え、それを聞いた布都はその瞳を少しだけ見つめた後、満足気にその場から去って行く。
その後ろ姿は本当に何処か満足感に満ち溢れた感じが見受けられ、橙は最後のは何なのかと思いつつも今は普及協会本部へ足早に帰るのが先決と考え直ぐに行動へと移し始めていた。
「ブライト、急いで本部へ帰還するよ。
このまま舐められたままだと私達普及協会本部……何より私、幻想郷最高峰の妖怪たる八雲紫様と式八雲藍様、その式としての沽券に関わり、如何様によっては八雲の名に泥を塗る事になる。
そうならない様会議で何とか私達に出来る神霊廟への対応を練るわよ……」
「ああ、分かってる。(……そうさ、変わる筈が無い。
俺がこの瞳に映すのは……)」
橙は表情を明らかに険しくし、余程先程の腹の探り合いが癪に触ったのかその足も力が入り走りに近い歩き方となっている。
更にその口から神霊廟に普及協会本部職員の肩書きに加え、八雲の名を汚させぬ為と言う妖怪としてのプライドが言葉として発せられながらブライトを引き連れ本部へと向かい始める。
ブライトも普及協会本部職員として一支部の暴走寸前の事態を見逃す訳には行かずその後を追う。
それと同時に布都の最後の質問が脳裏を過ぎるとブライトは布都への返答を繰り返し心で呟き、その心の奥にとある風景が広がり、自身の目的への覚悟と決意を再確認し力強く走るのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
この回で判明した事は以下。
1:ディペンドカードは元々普及協会本部が発見、誰も持ち出さない様にその場に管理、監視していた。
2:神霊廟がそのディペンドカードをこっそりとダミーにすり替え、覚醒させようとしている。
3:神霊廟はまだ蓮子とメリーの何方が、或いは両者が自分達の欲する力を持つ者か見定め切れてない。
4:ブライトと橙は神霊廟への対応を検討中。
これらが蓮子達の物語と如何に絡むかは次回からの新章に……。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
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ファンタズムカップ本選編
第98話「いざ本選へ……」
第98話、更新致します。
また、少しお知らせがありますので後書きにてそれをご報告します。
では、本編へどうぞ。
ブライトが普及協会本部へ戻り、蓮子達もレミリア達に重ねて礼を述べて紅魔館を後にしてから4日後の夜、全ての予選が2日前に終わり、それと同時に本選への参加証と開催日時の告知書がファイカにメールとして届き、それには現在の時刻から半日経った朝に開会式が神霊廟に作られた本選会場にて執り行われると書かれており、蓮子達チームファンタズマの面々は開会式までデッキ調整などの自由時間を設け、現地に改めて集合と言う予定を立てていた。
その最後の数時間、メリーは魔理沙の家で机に向かい、暗い部屋をランタン1個の明かりで灯しデッキを取り出し、崩して弄り調整しての睨めっこを繰り返していた。
「うーん、アイツに負けたの悔しいなぁ……。
バリフを3枚にして、でもそうすると…………悩ましいわね……」
ブライトとのファイトに負けてしまったのが相当悔しかったのか、メリーは4枚入れていた『スチームファイター バリフ』を三枚にし、其処からグレードバランスを整えようとしていた。
しかしそのイメージが中々浮かばず睨めっこ状態になってのエンドレスループに陥っていた。
「……でも、強くならなきゃ。
そうじゃないと私は蓮子や皆と一緒に居られない、ヴァンガードを皆と楽しめない、そんなの……「う、ふふふ、ふふふふ……」えっ、誰⁉︎」
メリーはブライトに言われた事を脳裏に浮かばせ、強くならなければと思い始めたその時、今自分以外誰も居ない筈の屋内に不気味な笑い声が響きメリーは驚きながら周りを見渡す。
が、周りには魔理沙が床に散らかしている魔導書、魔法の実験の素材、レポート、それ以外には何もない。
ただ淡いランタンの灯り暗い部屋を照らすだけで笑い声の主など居なかった。
メリーは疲れているのかと思い始め、机に視線を戻す。
「……はぁ、ダメダメ、疲れてるのね。
一旦休まないと……「そう、永遠にお休み」……えっ⁉︎」
メリーは休もうとデッキに手を伸ばした瞬間、耳元で先程の笑い声と同じ声が囁かれ、しかもそれははっきりと聞こえた上にメリーはこの声を知っていた。
そう、その声は自身の声……そしてトーンそのものは修正力のそれであると。
それに気付いた瞬間メリーの身体は真っ黒な闇の中に沈み始め、その姿をあの心空間で見た真っ黒なメリーの形をした何かが見つめていた。
「(い、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ‼︎
私は、私はまだ蓮子達と離れたくない、一緒に居たい‼︎
嫌だ、嫌だ…….いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)「……リー、メリー、起きてよメリー!」
えっ、あ…………」
闇に呑まれかけ、必死に踠いて叫んでいたメリーだったが遂に完全に呑まれた……と思い目を閉じた瞬間蓮子の声が耳に届き、ハッと目を開けると其処は先程の魔理沙の家、デッキを弄っていた机、そして周りには魔理沙や麟、アリスと蓮子が居り、自身は机に身体を預け寝そべっていた状態だった。
「あ……あれ、私……」
「大丈夫?
貴女汗びっしょりよ?」
「それに何だか魘されてました。
悪い夢を見てしまったのですか……?」
メリーはアリスと麟に言われて初めて自分が汗に濡れている事に気が付き、自分はさっきまで寝ていて先程のは悪夢だったのだと漸く頭で理解する。
しかしよりにもよって修正力の夢など見てしまったメリーは、矢張り疲れていると言う気持ちと未だに修正力に悩まされているのだと再確認させられてしまっていた。
「……結局私は、まだ運命の修正力に悩まされて、怖がってるのね」
「メリー、もしかしてあの修正力が夢に出たの?
…………大丈夫、メリーは幻想郷に来た頃よりも確かに強くなってきてるから。
もし本当に修正力がまた干渉して来たら、今度はメリーが勝てるって!
それに、貴女は1人じゃない。
私や魔理沙やアリス、チームの皆が居る……だから怖くなんかないって!」
「蓮子……」
不安がるメリーに蓮子は励ましを幻想郷に来た頃よりも強くなったと言う言葉と共に贈り、自身の手をメリーの手に重ね優しい表情で親友を見ていた。
メリーは蓮子を、更に魔理沙達の方も見て確かに自分は1人じゃない、秘封倶楽部の活動を共にした親友が、今の幻想郷に来て出来た新たな友が居る。
そう思った途端に不安な気持ちが和らぎ、自然と笑みが溢れていた。
「……ええ、そうね。
私は1人じゃない、蓮子や魔理沙、麟、アリス、それに菫子やブロントさん、紅魔館の皆や色んな人達が一緒にいる…………ありがとう蓮子、おかげで少し楽になって来たわ」
「そうそうその調子!
いつも通りの笑顔で超安心ってね!」
「さて、そろそろ寝ようぜ。
蓮子達は明日、神霊廟支部で開かれる本選に出なきゃならないしな」
蓮子とメリーが笑顔を見せ合い、それを見てアリス達も笑みを浮かべる中魔理沙は明日の予定を切り出し、全員に寝る様に促す。
ふと蓮子が時計を見ると既に時刻は深夜2時を回り、そろそろ寝なければ明日の本選開会式までに起きられなくなってしまいかねない時間となっていた。
「うわ、本当に寝ないとヤバイわねこれ。
じゃあ寝ましょっか、メリーはどうするの?
見た感じデッキを弄ってたみたいだけど」
「えっと…………『スッスッスッスッ』あー、デッキ調整が終わってから寝てたみたいね。
うん大丈夫、また寝れるわ」
「あ、じゃあ一緒に寝ようよ。
お互い寝過ごさない為に。
で…………」
メリーはデッキ調整が終わってたらしく、そのまま蓮子と一緒にベッドに入り再び眠りについて行った。
その際蓮子と共に寝ていた為か、不思議な事に先程の様な悪夢は見ず何処か暖かな夢を見るのであった。
その内容は、ファンタズムカップ本選を最後まで勝ち抜き蓮子やブロントさん達と共に優勝を喜び、観客や対戦していた者達から拍手が贈られると言ったものであった……。
それから7時間後の午前9時、既に初夏の陽気が続き衣替えをする時期になっていて、蓮子とメリーは魔理沙の紹介の下で霖之助に夏服を作って貰い、それを着こなしながら転移魔法陣で神霊廟支部…………正確には神霊廟支部の敷地内に新たに建造されたファンタズムカップ本選会場へと魔理沙やブロントさん達ファンタズマメンバーと共に足を踏み入れていた。
「此処が会場……此処でファンタズムカップ本選が……」
「ああ、例年なら本来16チームによるトーナメント戦だったんだが、月との連盟による調整とかなんやらで今年は半分の8チームしか出場出来なかったって話だ。
けどその分選りすぐりのチームが勝ち残って此処まで来た訳だ、油断はしちゃならないぜ」
先ず開会式の為に観客席に一旦出場チームも集まる様に受付で言われ、そこへ向かう中で蓮子がボソッと呟くと、魔理沙が今年のファンタズムカップ本選の事情などを話し、それを聞いた蓮子とメリーは成る程と思いつつ選りすぐりのチームと聞き油断は出来ないと感じながら歩を進め、観客席へと辿り着く。
しかし会場内部の構造は少し変わっており、観客席の目の前には巨大なモニターがあり、何故か会場中心にあるであろう選手達のファイトフィールドが見えなくなっていた。
これらを見た2人は少し不思議がり、ブロントさんや魔理沙達を見てどんな反応をしてるか確認するとそちらも何やら不思議がっており、全員で頭に疑問符が浮かんでいた。
「あ、魔理沙に蓮子達だ、おーい!」
「ん?
ほう、フランに小悪魔!
もしかしてお前らも本選出場出来たわけ?」
「はい、メイド、執事妖精代表2人と一緒に勝ち抜いて来ましたよ」
そんな蓮子達にフランが駆け寄り、その後ろから小悪魔、更にメイド妖精と……何やら異様に巨体で執事服がその隆々な筋肉によりピチピチになり今にも破けそうな、しかし何故か破けてない世紀末に生きていそうな執事妖精が付いて来て、ファンタズムカップ本選に出ると伝えていた。
「へ、へぇ、フラン達もか……。
これは本当に油断出来ないね〜」
「そうみたいね(それにしてもこの執事妖精、世紀末覇者っぽい人(?)ね……)『あー、あー、テステステス』あ、モニターが付いたわね」
蓮子達は隣人はライバルと言うありきたりな展開が起き、更に油断ならないと思う中モニターが起動し、其処には妖怪の山で戦った射命丸文と姫海棠はたて、更に何故か月に居る筈の綿月豊姫が映っていた。
『さーて皆様長らくお待たせ致しました、間もなくファンタズムカップ本選開会式が始まります!
実況は私射命丸文、解説は妖怪の山予選で惜しくも敗退した姫海棠はたて『ちょっと文、アンタも私と同じチームだったから敗退してるでしょうが、何私だけ負けたみたいに言ってんのよ‼︎』アーアーアーキコエマセーン。
そして今年は連盟を結んだ月よりお越し頂いたゲスト、綿月豊姫さんが補足等をさせて頂きます‼︎』
『地上人の皆様、よろしくお願いしますね』
どうやら文達は実況解説、そしてゲストとして来ているらしく豊姫は礼儀正しく礼をし、その雰囲気に流され観客の殆どが礼を返していた。
『さて出場チームや観客の皆さん、何故この会場が観客席はモニター、実況席や選手達のファイト舞台と分かれているのか気になった事でしょう。
その答えは開会式の今年の本選内容の説明にて出します。
…………時間になりましたね、ではこれより開会式を始めます‼︎』
『ワァァァァァァァァァ!!!!!』
文の説明、そして時間となり開会宣言がその口から出た瞬間会場は歓声に包まれ、ボルテージが一気に上がる。
皆が待ち望んだファンタズムカップ本選がいよいよ始まる、それらから生じた盛り上がりに蓮子とメリー、更にブロントさん達やフラン達は心を躍らせていた。
「では初めに開会の言葉を神霊廟支部長、豊聡耳神子さんにお願い致します!」
文の開会式に最初に行う主催の言葉と誰がやるのかが口から出た為心躍らせていた蓮子とメリーはいきなり緊張感が溢れ出し、文の言葉を待っていたかの如くモニターの先にある選手入場口から豊聡耳神子が現れ、一直線に文の方へと向かっていた。
蓮子達は神子が一体どんな風に開会の言葉を発するのかを考えつつ、自分達を狙っていた者達の長たる人物に対し警戒心をモニター越しにではあるが抱くのであった。
今回は短めの話になりました。
次回は今回よりも早く更新が出来ますのでお楽しみに。
さてお知らせです。
実は自分、明日から少々忙しくなり小説活動所かネット、ゲームにINが非常に遅くなってしまいます。
なので誤字脱字等の修正が出来なくなります(そもそも範囲が広過ぎた為修正ががががが……)
ですが小説更新は無理せずやりますのでどうかお待ち下さいませ。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、ご指摘をお願い致します。
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第99話「2人の嫌な予感」
さて、新年1発目の話は……9が2つ並びタイトルも不穏な気配を醸し出してるかと思われますが完全な偶然です。
では、本編へどうぞ!
ファンタズムカップ本選の開会式と同時刻の永遠亭の病室、其処には人里にある寺『命蓮寺』の住職であり、ヴァンガード普及協会人里支部の支部長『聖白蓮』が、とある患者の見舞いに来て病室にあるテレビ(見た目は完全にアナログテレビ)を点け、ファンタズムカップ本選を映していた。
「あれからもう数年、貴女が眠り続けてからまたファンタズムカップ……貴女が優勝してやるんだって言っていた大会の本選がまた始まりましたよ。
さあ今年も一緒に観ましょうか、今回はどんなファイターが出てるか楽しみですね」
白蓮は眠っている患者に対し声を掛け、決して返事が返って来る事の無い会話をし、テレビに耳を傾け視線を患者とテレビの両方に向ける。
何故返事が返って来ないのか、それは患者が眠り続けているからだ…………数年間も。
とある異変でこの患者は眠り続ける事になり、関係者であった白蓮は普及協会の仕事の傍で見舞いや今回のファンタズムカップ本選をテレビに映したりなどを続け、ずっと目を覚ます時を待ち続けているのだ。
そんな白蓮の見ているテレビに豊聡耳神子が映り、マイクを渡され少し息を吸う仕草をしていた。
「……あら、音を下げましょうか」
それを見た白蓮は直様テレビの音量を下げ始め、直後に神子の口から大声が上がりテレビが少々音割れするのであった。
ファンタズムカップ本選会場、神子はマイクを持ち少し息を吸う。
会場に来ていた神霊廟以外の観戦者、出場者は何を言うのかをジッと見ていた。
そして目をキリッと鋭くしてーーーーー。
『かぁぁぁぁぁぁぁつッ!!!!』
マイクが音割れする程の大声を上げ、耳を傾けていた者達全員漏れなく酷い耳鳴りに襲われ、一部の者は思わず目から涙が滲み出てしまっていた。
「み、耳が…………」
「マイクであんな大声はアカンって……」
当然蓮子とメリー、チームファンタズマ全員やフラン達も耳に大ダメージを受けフランに至っては人間より耳が良い分更にダメージが大きくなり気絶しないながらも倒れてしまっていた。
この大声の所為で誰一人として声を上げられそうに無くなった所で神子は普通の声量で話し始める。(なお隣に居たマイクを渡した文や近場の豊姫達も耳に大ダメージを負っている)
『弱さは罪である。
過去、幻想郷は二度に渡り異世界より来りし災厄に見舞われ、滅びの危機に瀕してしまった。
その原因はひとえに弱さにある。
ファイターとしての実力も、精神も、肉体も、果ては運も、それら全てが弱き者達がこの幻想郷に数多く居た為に我々は虚無の闇へ誘われ掛けたのだ!
あれから数年、各支部はそれぞれの方針の下であの様な事態をこれ以上引き起こさぬ様にとファイター達を育成し、そしてこの大会でその成果を披露する形となる!
故にファンタズムカップ本選出場者達よ、諸君は此処まで残った選りすぐりの精鋭なのだ!
それは所属支部の代表でもある事を意味し、諸君らの如何様によっては支部の名誉に泥を塗るか栄えある名誉を掴むか、この大会はそれらが決まる二者択一の場である‼︎
故にッ‼︎
その実力を最大限にまで引き出し、真に強き者として誇りと力を以ってこの大会を勝て‼︎
そして弱き己を超克せよ、以上ッ‼︎』
神子は過去の異変……蓮子とメリーの知らない、しかし幻想郷に生きる者達に刻まれた負の記憶、それらを弱さは罪と口にしながら話し、全員の視線を集める。
そして最後に弱き己を超えろと締め、文にマイクを渡しその場を去って行った。
『え、えー……豊聡耳神子支部長、開会の言葉ありがとうございます。
続きまして〜……』
文は耳を押さえながら次へと進行し始め、蓮子とメリーはふとブロントさん達が気になり視線を移すと魔理沙、ブロントさん、麟は複雑そうな表情をし、菫子もそれに気付きブロントさん達を見ていた。
「魔理沙達、どうしたの?」
「ん、いや……何でもないよ。
気にしなくても大丈夫」
「それよりも対戦カードを気にするべきそうすべき、ちゃんとファイトしたいならそうすべき。
何故なら本選出場ファイターはぜいいんがミミズク太子の言った精鋭でもあり絶対に勝つと闘志と覚悟を燃やす奴ばかり。
心持ちが出来てないで戦う事になれば本選出場ファイター達に遅れを取るのは確定的に明らかだ。
心持ちが出来てない→ファイトで全力を出し切れない→本選出場ファイターにボコられる→初戦敗退→そのままいくえ不明。
心持ちが出来てる→ファイトで全力を尽くせる→本選出場ファイターにも十分勝てる→優勝→彼女が出来る。
ほらこんなもん」
「そうですね、どんなチームが本選に出場したのか私達はまだフランさん達以外は知りません。
が、トーナメント表が発表され、本選でのファイトが始まればどのチームも勝ち残って来た猛者としての雰囲気に変わります。
私達も気をしっかり引き締めねば勝ち残れはしないでしょうから、ブロントさんの言う通り心持ちをしっかりと致しましょう!」
魔理沙達は蓮子達に何でもないと告げた後に大会へ集中する様に促し、特にブロントさんが気を抜けばやられると言う風に全員に言い、続いて麟もブロントさんと同じ様な事を言いながら握り拳を作り軽くガッツポーズの様な仕草をする。
蓮子とメリーは予選でも文達にチーム全体で苦戦した光景を思い出し、あの時以上の激しいファイトを繰り広げる事になると不思議と本選の試合が始まる前でも予感し、両者共に1人のヴァンガードファイターとしての闘志を燃やし始め、そのままブロントさん達を見やりながら口を開く。
「つまりチーム神風以上に闘志を燃やした連中がフラン達以外に6チームも居るんでしょ?
そしてそのチーム達に勝てば幻想郷No.1チームの座に輝けるって事ね。
1ヴァンガードファイターとして燃えてくるシチュエーションじゃない!」
「そうね、私達も此処まで勝ち抜いたんだから遅れを取る理由も無い。
なら正面からぶつかって勝ち抜きましょう!(そして夢の中で見た優勝の瞬間を皆で、蓮子と一緒に迎えさせるんだ!
その為にも…………私の中の運命なんかに負けない為にも何処までも諦めずに行くんだ!)」
「お二人さん良い調子じゃん。
ブロントさんや麟もやる気MAXみたいだし、私も秘封倶楽部初代会長として負けてられないわ‼︎」
蓮子とメリー、2人の決意に当てられ菫子もまたやる気が湧き始め、チームファンタズマは全体的に本選への闘志等が十分以上となり、周りの観客達もそんな様子の蓮子達を見聞きしてこの5人が本選出場チームだと理解し、どんなファイトをするのかと期待を寄せていた。
そしてそんな闘志に当てられた者達が他にも居た……そう、直ぐ傍に居るフラン達は当然として、他にもこの近くにもう1チーム居たのだ。
「ほほーう、アンタらファンタズムカップ本選に出場したんだ!
じゃああたい達もあの時の借りを返すと同時にアンタらの手から優勝の喜びってのをもぎ取ってやろうじゃん!」
「あれ、この声は確か…………チルノ!」
その声を聞きチームファンタズマやフラン達、特に蓮子とメリーは自分達よりも上段の観客席を見ると其処には、かつて蓮子達が初クエストの際に遭遇し成り行きでファイトをした者達…………チルノ達バカルテットと呼ばれる4人と大妖精の5人、チームストームファイターが立っていた。
「おお〜、ブロントさん達も居るのか〜( ´∀`)。
宇佐見蓮子達とチームを組んだって噂は本当だったんだね〜♪」
「よう、ルーミア達」
「あれ、アンタ達は霧の湖を根城にしてるバカルテットじゃないの。
ファンタズムカップ本選を見に来たの?」
「ちっがうわ私達も出場してるんだよ吸血鬼!
後バカルテット言うな、私達のチーム名はストームファイターだ!
二度と間違ないで!」
「あ、そうなんだごめんね〜。
じゃあ今年はサクッと優勝出来るかもね、バカルテットが出場する位だし〜」
ルーミアとブロントさんが仲の良い様子を少し見せる中、フランはチルノ達を見て色々と言い、更にリグルの反論はスルーしてチルノ達が出るなら優勝は簡単だと口にする。
しかしそれを口にした瞬間世紀末な見た目の執事妖精がフランに対して口を開く。
「フランドールお嬢様、油断してはならぬ。
彼奴らは確かにか弱き妖精一行だと見えるやもしれぬが、その実身に纏いし闘気は正に死線を潜りしファイターそのもの也。
一瞬たりとも気を抜けば我ら紅魔の首を刎ねる難敵である。
故にその様な愚なる思考は即刻捨て去るべきと進言する」
どうやら執事妖精は人を見る目が備わっているらしく、チルノ達5人の強さを判別しフランの言う様なあっさり勝てる雑魚では無く、寧ろこちらを喰いかねない敵だと進言していた。
実際フランは冗談でそんな事を言いチルノ達の反応を見るつもりだったが、そのチームストームファイターは、特にチルノはその言葉には反応せず、それどころかその言葉だけはこちらを測るブラフだと気付いていると言わんばかりにチルノに闘気を纏われ、それに続きリグル達も闘気を纏い周りの空気がピリピリとし始める。
フランもこれは難敵だと言われるまでも無く察知していた。
無論それはそのやり取りを見ていた蓮子達も気付いており、最初に会った頃とは比べ物にならない強さを得ていると蓮子とメリーは固唾を飲みながら気を張るのだった。
「……まっ、今は挨拶だけだからそう気を張らなくたって良いよ。
でも試合で当たったら容赦無くファイトするから。
特に宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、二人には少し借りがあるしそれを返さないとさいきょーのあたいの名が廃るからな!
アンタ達二人のチームとは早めに当たりたいよ、んじゃまた後で〜」
ファンタズムカップ天界予選を通過した自分達の気に呑まれない蓮子達の様子を見てチルノは満足気にその場を去り始め、ルーミア達もそれに続いて行った。
蓮子達はチルノ達と当たれば間違い無く激戦になるとファイターとしての雰囲気などから確信し、しかし強いファイターと当たる事に高揚感を感じ腕に力が自然と入っていた。
「思わぬ強敵登場って奴だったな。
蓮子達やフラン達もあいつらに負けない様に頑張るんだぞ。
勿論お互いが戦う事になっても本気でやってくれな」
「勿論よ魔理沙!
私はファンタズムカップで優勝してお姉様達を見返してやるって野望もあるんだから蓮子達が相手でも容赦無しだよ!」
「良く分かってるじゃないフラン、それでこそヴァンガードファイターよ。『さて、最後に本選トーナメントの発表を行います!』
あ、皆トーナメントが発表されるみたいよ!
画面注目‼︎」
魔理沙は蓮子達とフラン達を労い、互いに誰と当たろうと全力を尽くすと意気込んでいた時、画面の文がトーナメント発表をすると宣言した為全員画面に注目し、どのチームと当たるのか見守り始める。
すると画面が文達の映像からトーナメント表の映像に切り替わり、一番左とその隣の名前の枠が8つの名前が認識し辛い早さで切り替わって行きそれが徐々にスピードを落として行く。
そして一番左の名枠がストップし、その隣の名枠も埋まりその二つのチーム名がズームで映された。
『第1回戦は、チームスカーレットデビルズとチーム尸解仙の対決に決まりました!
さあさあ、この調子で第2回戦の方も見て行きましょう!』
「あ、私達が1回戦だ!
相手は……多分神霊廟のチームかな?
ぬっふっふっふっふ、あいつらが何企んでるか勝って聞いてやろっと♪」
第1回戦はフランと小悪魔達のチームがファイトする事が決まり、幸いにしてチームファンタズマとは当たらなかった。
が、神霊廟のチームと思しき者達とファイトする事となり、フランは自信満々な様子でチーム尸解仙に臨もうとしていたが…………その組み合わせを見た瞬間、蓮子とメリーの脳裏に嫌な予感が過っていた。
「(何だろう……フラン達の試合が決まった瞬間嫌な予感が……)」
「(フランや小悪魔達は大丈夫かしら?
相手は神霊廟の人達みたいだし…………蓮子じゃないけど、嫌な予感がするわ……)」
蓮子達がフラン達の心配をする中、第2回戦の両名枠、左の3番目と4番目も埋まり先程と同じ演出で発表される。
『第2回戦はチームブルーゲイルと、チーム蓬莱傘に決まりました‼︎
いや〜ブルーゲイルと聞きますと矢張りあの方を連想しますね〜。
蓬莱傘は恐らく蓬莱の姫様でしょうかね〜?
では次に第3回戦を発表します!』
文が何やら誰かを脳裏に浮かべた発言をした所、会場の皆が頷き同意しており蓮子とメリーは何の事か分からず首を傾げていた。
そんな中でも試合の組み分けは進み、残り4つのチーム名がランダムに表示されて行き……遂に蓮子達が待っていたその時が訪れた。
『第3回戦、組み合わせはチームストームファイター対チームファンタズマに決まりました‼︎
チームストームファイターはファンタズムカップ前までは敗戦続きで予選は通過不可と言われてましたが、その前評価を覆し見事全勝による予選通過を果たしたダークホースです!
対するチームファンタズマは予選で私やはたてのチームを破った方々なので贔屓目に見てこの大会の注目株、期待の超新星ですよ‼︎
……コホン。
さて、第4試合は残った2つのチーム、チーム汚忍LSとチーム玉兎に自動で決まりました‼︎
以上がファンタズムカップ本選の組み合わせとなります、いや〜どの試合も目を離せそうにない素晴らしい物になりそうで司会の私も現段階で興奮が止みません!
此処でゲストの豊姫さんに……』
「決まったわね。
私達は第3回戦、チルノ達のチームと当たるわ」
「最初のクエスト中にファイトした子達と本選最初の試合で当たる……私達はあの子達と不思議な感じと縁があるのかもしれないわね」
「そして準決勝に進出すれば多分ブロントさんの因縁の対決に、上手く行けばフラン達と決勝。
うん、最高にイケイケなトーナメント表じゃん!」
「だね〜!
今から私達も楽しみだよ〜!」
蓮子達チームファンタズマは第3回戦にてチルノ達のチームと対戦する事が決まり、更にトーナメントの組み合わせにより理想的に進めばブロントさんの因縁対決の準決勝、紅魔館支部所属ファイター同士による優勝争いに
なる可能性が浮上し、菫子とフランは意気揚々にハイタッチする。
だが蓮子とメリーはそんなに上手く事が運ぶのかと感じ、改めて第1回戦の組み合わせを見ていた。
『以上により、本選開会式は終了します!
なお第1回戦はこの後30分後に行われますのでチームスカーレットデビルズは東側、チーム尸解仙は西側の選手控え室で待機して下さい!』
「あ、じゃあ控え室に行かなきゃ!
行こう小悪魔、皆!」
「はい、妹様」
「って、フランちょっと待って!」
そんな蓮子とメリーを余所に第1回戦のチームはそれぞれの控え室に待機する様にアナウンスされ、フラン達がそのまま行こうとしたが蓮子がそれにストップを掛けて振り向かせる。
「?
どうしたの蓮子?
それにメリーも何かトーナメント表が発表されてから表情硬いよ?」
「2人共、どうしたんですか?」
「えっと、何か上手く言えないんだけど、第1回戦の組み合わせを見た瞬間に何か嫌な予感がしてね〜……」
「だから、フランと小悪魔、それから妖精達も気を付けてねって…」
2人はそれぞれ嫌な予感がした事をフラン達に告げ、4人に気を付ける様にと言うとフランは笑顔を見せ、ピースサインを徐にしながら口を開く。
「2人共心配ありがと♪
確かに相手は何か企んでる連中の一員だからね、不安になるのも分かるよ。
けど大丈夫、私達は全力全開でファイトして倒してそんな不安なんか吹き飛ばすから!
だから蓮子とメリーは安心して自分の試合に集中してね〜!『トトトトッ!』」
『フラン……』
蓮子とメリーに気を遣いながらフランは笑顔で心配せず自身の試合に集中する様にと言い、そのまま走り去って行く。
その後に続いて小悪魔達も去って行き、ブロントさんと魔理沙達はその後ろ姿を見送りながら蓮子とメリーに声を掛ける。
「2り共安心するべきそうすべき。
フランも腕の立つファイターだし小悪魔はああ見えて一級の廃だ、神霊廟のTHE子供何かに遅れをとるはずがないので心配せずに見てると良いぞ。
その方がフラン達も嬉しい筈だからな」
「……うん、そうね。
紅魔館のファイトルームで良く見てたから分かるけど、フラン達が簡単に負ける訳が無い位強いからね。
じっくり観戦しましょうか!」
「でないとフラン達に怒られちゃうわね」
「へへっ、その意気だぜお二人さん!」
ブロントさんの励ましにより蓮子とメリーは直ぐに何時もの意気を取り戻し、魔理沙達も安堵した表情を見せる。
試合が始まる後20分程、それまでの間に雑談や会場の直ぐ外にある売店に行き、たこ焼き等を買って観客席に戻り間食などをしてそれぞれが思い思いの余暇時間を満喫するのであった。
だがこの時点で誰も知らない、蓮子とメリーの感じた不安感が第1試合で現実になる事など………………。
最後の最後で次回以降の展開が分かる描写をしましたが、勝負は…………なんです。
そしてそれがどんな形でお披露目になるかは次回以降のお楽しみに……。
さて、今後も投稿を続けて行きますがまだまだ不定期的なので何卒次話をお待ち下さいませ。
それでは、次回もよろしくお願い致します。
よろしければ感想、指摘などをお願い致します。
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第100話「フランドールの戦い」
いや〜……此処まで長かったですが物語はまだ節目に入ってないと言う……更新速度は遅れ気味ですがまだまだ頑張って行きます。
では、本編へどうぞ。
ファンタズムカップ本選前日の夜、フランは紅魔館のベランダで月を見上げていた。
明日はファンタズムカップ本選、今まで表立った試合に出場する機会を得られなかった自分が、少々長い話し合いの末漸くレミリアから大会に出て良いと許可を出して貰い、その実力を幻想郷中に知らしめる絶好の舞台。
それが間近に迫り高揚感が抑えられず、少し興奮して眠れなくなっていた。
「(明日、明日は私の大舞台のデビュー戦。
私が凄く強いんだってのを皆に見せつけてやれる舞台…………お姉様にもそれを見せて私はかなり強くなったって知らしめられる。
ついでに神霊廟の連中が出場して当たったらそれも倒して鼻を明かす機会でもある。
そう、明日私の目標の一つが…………)「妹様、そろそろ寝ないと明日早く起きれませんよ?」
あ、ごめん咲夜!
今寝るよ〜…………そう、明日がお姉様や他の人達に私が強くなったと認めて貰う、その目標が叶う日なんだ……絶対に試合で負けてやるもんか!」
フランは自身の目標の一つ……レミリアに認めて貰うと言う、今まで機会が無く出来なかった物。
それが叶う日が来た事を噛み締め、興奮が更に増し吸血鬼特有の血の様に紅い瞳が更に紅く輝きを増していた。
そんなフランに咲夜が話し掛け寝る様に促し、フランはそれに従い腕に力を込めながら自室に戻って行った。
そんな妹の姿を陰からこっそりと見ていた姉の存在に気付かぬままフランドール・スカーレットはファンタズムカップ本選に込める想いを胸の中に詰め、デッキにも込めながら眠りに着くのであった。
そして現在、東側の選手入場口をチームスカーレットデビルズが、昨晩の興奮を更に増しながら意気込むフランが何時もと同じ様に歩き、そして入場口から試合会場へとその足が歩を刻む。
その光景は観客席のモニターにも映され観客達が、蓮子達がフラン達を見守っていた。
そしてフラン達の視線の先、西側の入場口から位がそれなりに道士服を着てそれなりに位の高い帽子を被る少女、物部布都を中心にキョンシーと亡霊、更にその道では有名な邪仙と身長の高い金髪の男……風貌から察するにヴァナ人らしき者の計5名が横一列に並びながら試合会場へと入って来る。
その5名こそがチーム尸解仙であり、ヴァナ人らしき男をブロントさんがモニター越しに見た瞬間、驚いた表情を見せながら声を上げた。
「アイツは…………『カムラナート』⁉︎」
「あれ、ブロントさんの知り合いなの?」
「あ、あぁ。
俺の居た世界、ヴァナでちょっとした有名人だった奴だ。
アイツの兄弟共々少しナメた真似をしたので俺やヴァナの冒険者一同がシメたんだが、ヴァナが幻想の淵に消え掛かった末に幻想郷とヴァナの一部が融合した際に何故かアイツも復活英語で言うとリザレクションしてその後はこの幻想郷でヴァンガードファイターになってそれなりに有名になっていたんだが、俺が修行しに行った辺りでアイツの活動がパタリと途絶えて行方知れずに「あの〜まだ長くなりそう?」おおっとこれは失礼した感。
総評として奴は誰かとチームを組んだり従うなんて真似はしない偏屈な奴だと言うのは確定的に明らか。
もっとナイトジョブならば俺の様に礼儀正しくて皆のお手本になる様に努めるべきだな」
ブロントさんはチーム尸解仙の男がかつてヴァナ・ディールにて起きた一つの騒動、その中心人物の1人であるカムラナートだと認識し、少々長く少々ブーメラン気味な説明を蓮子達にし、蓮子達もカムラナートと言う男の事を何となくではあるが理解し、更にブロントさんの言であるチームを組みたがらないのに何故チーム尸解仙として出場したのかを不思議がりながらモニターを見ていた。
そのモニター内、試合会場でフラン達と布都達が相対しながら整列し、司会達の説明を待つ。
「はい、両チーム全員集まりましたね。
ではこれより第1試合を始めますがその前に対戦形式とルールを説明しましょう。
先ず本選の全試合はチーム全員による一斉ファイト制になります!
両チームが5名同士の場合は全員で対戦し、勝ち星を多く獲得したチームが次の試合に駒を進める事となります!
また総当たり戦にあたりファイトの組み合わせはファンタズムカップ運営がランダムに選出し、手持ちのファイカにメールとして即時送信されますのでファイカはしっかりONにして下さい!
更にこの第1試合の様に片方のチームが人数が少ない場合は人数が多いチームが片方に合わせて、この場合はチーム尸解仙がチームスカーレットデビルズに合わせて代表4名で試合を行います!
そして、この時チーム人数が4名で2:2と2人が勝利した場合はこの2人の内どちらかが代表となり延長戦を行い、勝った方が次の試合へ進みます!
なおこの延長戦で人数が多いチームは控えに回ったメンバーを試合に出す事は出来ません、あくまで試合をして勝った人の中から延長戦代表を選出します!
なので誰が出るのか良く考えてから試合に臨んで下さい‼︎」
そして司会の文から試合形式やルールの説明が行われ、試合参加者全員がそれを聞き控えに回す人によっては延長戦で勝てる確率が相性によって高くなる事も低くなる事も一律に増えると察し、観客や尸解仙以外の参加者達がチーム尸解仙が今回5名の中から誰が控えになるかと注目し始め、そのチーム尸解仙の5名は少し話し合った結果布都、カムラナート、亡霊の蘇我屠自古、キョンシーの『宮古芳香』が代表4名になり控えに邪仙『霍青娥』が回る事となった。
そしてフラン達のファイカにメールが届き、メイド妖精が芳香と、世紀末執事妖精がカムラナートと、小悪魔が屠自古と、フランが布都と言う組み合わせとなりそれぞれがそれぞれの対戦相手と相対する様に並び替える。
すると試合会場の床に突然切れ目が入り、それぞれのメンバーが一定間隔で離れる様に床が動き、更にフラン達試合参加者の目の前にとある装置…………メリーは見覚えがある物がモニターに映る。
「あれは……ギアース!?」
メリーは驚きの余り声を上げてしまい、観客達も会場が変形した事やギアースのデッキ登録台が現れた事に驚きザワつき始める。
そう、この試合会場は可変式の巨大なギアースを用いた会場であり、その為観客席と試合会場が別々になっていたのだ。
「ありゃま、大きな試合会場が更に広くなっちゃった。
てか明らかに建物の外観と内部構造のサイズやからが一致しないんだけど……「ふふふ、これが我ら神霊廟と月と河童が協力して作り上げた本選試合会場だ!
紅魔館の当主の妹君よ、今お主はその顔からしてこの神霊廟が用意した会場のえんため性に度肝を抜かされてしまっている、そうであろう!」
いや全然、ああ成る程河童が関わってるならこの変に凝った機能も納得だよ」
フランが変形した会場に視線を泳がせていると対面側の布都がその様子から驚きを隠せてないだろうと話し掛けて来る。
が、別にフランは驚いてなく寧ろ外観と構造が一致しない事を疑問に感じ思考を巡らせていただけであり、布都の口から河童達(と月)の協力でこうなったと聞き納得するに至る。
そうこうしている間に全員がデッキ登録台に自らのデッキを置き、それが内部に取り込まれ読み込みが終了したと同時にファイトディスプレイが表れFVを裏向きで置く様に操作し、ホログラムのデッキも自動シャッフルされ初期手札が目の前に浮かび、それを入れ替えたり入れ替えなかったりして準備を終え全員FVに手を掛け司会の文の合図を待つ。
「(いよいよ始まる、私の怒涛のデビュー!
絶対に勝ってやるんだ‼︎)」
「では、第1回戦始めて下さい‼︎」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『魁の
「出でよ、『ドラゴンナイト サーデク』‼︎」
「我が拳に応えよ、『
「『革の戒め レージング』」
「『テレスコープ・ラビット』‼︎」
「『
「『アモンの眷属 バーメイド・グレイス』!」
「来な、『ハーブリンガー・ドラコキッド』!」
全員が一斉にスタンドアップし妖精達やチーム尸解仙4人のクランが判明する。
執事妖精はその筋肉隆々な見た目に違わず〈スパイクブラザーズ〉、メイド妖精は〈グレートネイチャー〉である。
対して布都は〈かげろう〉、屠自古は〈なるかみ〉、カムラナートは〈ジェネシス〉、そして芳香は〈リンクジョーカー〉と観戦モニターにそれぞれが4等分に映り、蓮子達に馴染み深い(因縁深いとも言う)クランばかりが其処にあった。
「チーム尸解仙、何ともまぁ因縁深いクランばかりな事で……」
「(さて、連中がどんなファイトを仕掛けて来るかフラン達のファイトと一緒に見させて貰うぞ…………蓮子達を狙うなんて舐めた真似を止めさせる為にもな)」
魔理沙がチーム尸解仙の使用クランに言及する中ブロントさんはファイトスタイルを見極めるべく見に集中する。
その様子を見て蓮子達も試合観戦に集中し、フラン達の応援を始める。
「いよいよ始まりました本選第1試合!
注目はフランドール選手VS物部選手‼︎
チームリーダー同士の対戦ですので激闘必至ですよ‼︎」
「フランドール選手は〈シャドウパラディン〉、展開しつつ味方を退却しヴァンガードを強化するクラン。
対して物部選手は〈かげろう〉、相手のリアガード退却が得意なクラン。
互いに噛み合うクラン同士、どちらが先に息切れを起こしてしまうかで結果が変わるファイトになりそうですね」
「先攻は私、ドロー!
『無常の
クローダスはヴァンガードの後ろに移動!」
フラン:手札:5
布陣
R 無常マスカ R
R クローダス R
「ふむ、『
我の手番、ドロー!
我は『英気の炎 アエトニキ』にライド!
サーデクはヴァンガード後列へ移動させ、そのままバトルフェイズへ移行しマスカレードにアタックする!
ドライブチェック!『バーサーク・ドラゴン』「え、あれ、『バーサーク・ドラゴン』⁉︎
そのカードを使う人今は滅多に見かけないのに……ダメージチェック!『幽幻の
ふん、どんなカードも使い様ぞ。
例えそれが最初期のカードだろうと上手く使えば銀の弾丸となろう。
我はこれにて手番終了!」
布都:手札:5
布陣
R アエトニキ R
R サーデク R
アエトニキVSマスカレード:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『バーサーク・ドラゴン』
ダメージチェック『幽幻の
布都:手札:6
フラン:ダメージ:1
実況解説がそれぞれ盛り上がる中でフランは手札にある妥当なユニットにライドし、布都がどんなユニットにライドしドライブチェックで何が捲れるかを見ていたが、意外な事にその捲れた物は『バーサーク・ドラゴン』……ヴァンガード最初期のカードであり、『ブラスター・ブレード』のスキルと対になるグレード2『以下』のユニットを
「ほう、バーサーク・ドラゴン……あのユニットを使うとはあの太子の部下は中々面白い古参主義なようだな」
「皆、バーサーク・ドラゴンって何なの?」
「ヴァンガード最初期のカードで私のコレクションの『ドラゴニック・デスサイズ』……メリーなら確か、『レリックマスター・ドラゴン』ってユニットが居ただろ?
それらと同じコストで相手のグレード2以下のリアガードを退却させるスキルを持ってる奴さ。
まぁ矢鱈滅多に見ないカードの1枚って思えば良いさ。
しかしアレを採用するとなれば、あのアエトニキ……相手ユニット退却時にソウルへ行き、ダメージ2枚を表向きにするだけじゃまだコストを補えない。
〈かげろう〉は
ブロントさんも何やらファイターとしての目を輝かせていた為か蓮子はバーサーク・ドラゴンがどんなユニットかと聞き、魔理沙がコレクションの中のカードやメリーが所持し、結局コストの関係から採用しなかった『レリックマスター・ドラゴン』の名を挙げ、それらと同じコストの退却スキルを持つと答え、更にコスト補充手段が布都のデッキには幾つかあるとまで口にし注文する。
そんな中でメリーは布都のFVであるサーデクを見て少し思い返し……ブライトとの苦い初ファイト時にもあのユニットが使われていたと思い出し、メリーは布都のデッキ構築に少し予測が出来た為、彼女が次に何をするかを見る為蓮子やブロントさん達みたくファイトに集中し始める。
「私のターン!
ドローしてそのままライド、『ブラスター・ダーク・
ブラスター・ダーク・
「あら、あれって咲夜が持ってる『ブラスター・ダーク・
「うむ、
そしてフランが今ライドした奴こそが
メリーはフランがライドしたブラスター・ダークを見て咲夜の持つブラスター・ダークと似ている事を指摘すると、ブロントさんはあちらはレギオンメイトとして後から出た別ユニット、フランの使うブラスター・ダーク・
そう言えばとメリーはレミリアの‘‘Diablo’’等も居ると思い出し、蓮子の『ブラスター・ブレード』みたく様々な種類が居るのだと思うに至っていた。
「更に更に、前列に『督戦の
バトルフェイズ、ドリンでアタック!「ふむ、ノーガード『リザードソルジャー グローム』」
グローム……確か
ドライブチェック!『
やったクリティカルトリガー‼︎
全てブラスター・ダークに付与‼︎」
「ふむ、ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』『ドラゴニック・バーンアウト』まぁこんな物かのう」
督戦の
ドリンVSアエトニキ:7000VS7000=ヒット
ダメージチェック『リザードソルジャー グローム』
ブラダ撃VSアエトニキ:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『
ブラスター・ダーク・
ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』
布都:手札:6→7 ダメージ:3
フラン:手札:5
「フランドール選手、物部選手を追い立てる‼︎
流石注目選手の1人、中々素晴らしい試合運びをしております‼︎」
「特にプレイミスも見当たりません、上手くファイトの流れを掴みつつありますね。
しかしファイトはまだ序盤ですので物部選手の動きによってはまだまだ先が分かりませんでしょう」
司会の文が白熱した実況をし、豊姫が的確な評価を下す中でフランはクリティカルトリガーを引き当て、
布都にダメージ3を与え一気に追い上げ出す。
しかし今のアタックをブロントさん等は布都がわざとダメージを受け、CBコストを確保したと感じており次から動き出すと考えていた。
「ドロー。
『ベリコウスティドラゴン』にライドじゃ。
更に『ガトリングクロー・ドラゴン』、『バーサーク・ドラゴン』をコールし、
ガトリングクローのスキルで
これでバトルフェイズじゃ、サーデクの支援、ベリコウスティでヴァンガードにアタック!
ドライブチェック『ドラゴンダンサー バルバラ』『治』ふむ、ヒールトリガーじゃ。
パワーはバーサークに与えダメージを回復。「ダメージチェック!『ブラスター・ダーク・
ベリコウスティのスキル、ヴァンガードにアタックヒット時、ダメージを1枚表向きにする。
バーサークでアタック、14000じゃ!「
ふむ、手番は終了じゃ」
ベリコウスティドラゴン:P9000、C1
ガトリングクロー・ドラゴン:P4000、C1、『引』
バーサーク・ドラゴン:P9000、C1
ドリン、クローダス:退却
ベリコウスティVSブラダ撃:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『ドラゴンダンサー バルバラ』『治』
布都:ダメージ:0/3→1/2
バーサーク・ドラゴン:P9000+5000=14000
ダメージチェック『ブラスター・ダーク・
バーサークVSブラダ撃:14000VS9000+10000=ガード成功
布都:ダメージ:1/2 手札:6
フラン:ダメージ:2 手札:4
布都のユニットのスキルによりフランのリアガードが全滅し、ヒールトリガーとベリコウスティドラゴンのスキルで実質ダメージコストが2回復し幾ら同じダメージ数でもフランが劣勢になっていた。
更にドリンが退却された事でブラスター・ダーク・
「クローダスが退却されたから次のフランのターンはブラスター・ダーク・
更にリアガードが居ないから結構展開もキツイ。
あの物部布都ってファイター、的確にフランの首を絞めてるわね、油断ならないわ……」
「成る程……システムユニットが居なくなって身動きが出来ないって訳なのね。
私のデッキで言えばギアウルフやウルニギン、持っているカードも含めたらギアホークとかも…………でもまだ序盤。
此処からがファイトが激しく動き始めるわ」
蓮子は状況をザックリとメリーに伝え、更に布都が油断出来ないレベルのファイターである事も告げ未来の秘封倶楽部の2人、そして魔理沙達も固唾を飲み始める。
メリーもクローダスやドリンを自身の有するカードに例えてフランが如何に動き辛いか理解し、しかしまだ序盤だとも口にしてファイトを見守る。
そう、今はまだまだ4ターン目が終了したばかり、この次の5ターン目から大体ファイトが激しくなり始めるのだ。
「私のターン、スタンド&ドロー!
『幽幻の
さあ来て、『黒衣の
タルトゥのスキル、
もう一度来て、ドリン‼︎
更に反対の前列に無常の
まだまだ、ファイトは此処からだよ‼︎」
幽幻の
黒衣の
フラン:手札:2 ダメージ:0/2
布陣
タルトゥ モルドレッド 無常マスカレード
ドリン R R
フランは気合を入れ直しブレイクライドスキルを持つモルドレッドにライド、更にタルトゥとマスカレード、タルトゥのスキルで再度ドリンをコールし、若干欠けているが3回アタックの態勢を整えてファイトは此処からと高々に叫ぶ。
他のチームメンバーも皆似たり寄ったり(強いて言えば小悪魔が優勢程度の違い)の状況で、フランの声を聞き気合を再度入れてファイトに臨み始める。
それらを見てチーム尸解仙はそれぞれの反応を見せながらそれを迎え撃つ態勢になる。
第1回戦はいよいよ本格的に激闘の様相を見せ始め、ファンタズムカップの本選らしい雰囲気になりつつあった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
最近忙しくなったりメンタル面が不安定になったりで筆が進まないのが辛たんです……。
さて、次回は決着回になりますが果たしてどちらが勝つかはお楽しみに。
次回もよろしくお願い致します。
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第101話「『紅魔の吸血鬼の妹』」
今回は後編の関係上かなり短めなファイト回になっています。
そして前編からのフランのファイトの行方は……。
では、本編へどうぞ。
「行くよ、マスカレードでヴァンガードにアタック!
スキル発動、パワー+3000!「そちらから?
……ノーガード、ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』ドロートリガーじゃな、1枚ドローしパワーはベリコウスティに」
ならモルドレッドでバーサーク・ドラゴンをアタック!
ツインドライブ‼︎『
クリティカルトリガー、効果は全てタルトゥに!「バーサークは退却じゃ」
タルトゥ、ドリンのブーストでアタック!「バルバラでガードじゃ、これでヒットはせん」
うーん、1ダメージだけかぁ〜、ターンエンド!」
無常マスカレードVSベリコウスティ:7000+3000VS9000=ヒット
ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』
ベリコウスティドラゴン:P9000+5000=14000
布都:手札:7 ダメージ:3
モルドレッドVSバーサーク:11000VS9000=ヒット
ツインドライブ『
タルトゥ:P9000+5000=14000、C1
タルトゥVSベリコウスティ:14000+7000VS14000+10000=ガード成功
フラン:手札:4
布都:手札:6
フランは布都に攻撃を仕掛けたが、対する布都はドロートリガーによるガード値の引き上げが入り結果的にフランのアタック順を間違えてしまいダメージレースは余り差が開かずにこのターンを終えてしまう。
しかしフランはまだまだダメージが2の為余り焦らずに次に備えようと思い布都を見据える…………が。
その布都はフランのターンが終了した途端に溜め息を吐き何やら残念がっていた。
「あれ?
何で溜め息を吐いてるの?」
「溜め息の理由を知りたいかのう?
お主、今のアタックはモルドレッドからやるべき場面だったのにマスカレードからアタックし、その結果本来なら2ダメージを与えられた筈の場面を1ダメージで我に凌がれたのだぞ?
にも関わずお主は少し楽観視し過ぎておる……この舞台が今までの予選と同じだと思うておるのか?
そうであるならお主はまだまだこの本選を勝ち抜く事は先ず不可能、出直して来る事を推奨するぞ」
更に布都は先程のプレイングからフランが実力不足だと告げ、ファンタズムカップ本選で勝てないと、出直して来る事を告げる。
フランはそれを聞きムッと表情を険しくし反論しようとすると布都はカードをドローし返しのターンを開始する。
「何故お主が実力不足だと判断したか、それはこのターンと返しのターンで証明しよう。
我は『ドラゴニック・ブレードマスター』にライド、そして手札の『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Яe-birth’’』でGゾーン解放、超越せよ!
『神龍騎士 ムスタファー』‼︎
ムスタファーのスキル、Gゾーンの裏向きカードを1枚表にし
更にムスタファーにスキル付与し、ドラゴニック・バーンアウトをコール!
ドロップゾーンの『オーバーロード』を1枚戻し
更にアエトニキをバーンアウトの後列にコールしバトル‼︎
サーデクのブースト、ムスタファーでアタック‼︎「くっ、ノーガード‼︎」
トリプルドライブじゃ‼︎『ドラゴンナイト ジャンナット』『☆』『ドラゴンナイト ジャンナット』『☆』『リザードソルジャー ベローグ』
クリティカルトリガーダブル、クリティカルは当然ムスタファー、パワーはバーンアウトじゃ‼︎「うっぐ、ダメージチェック‼︎『
ドロートリガー、1枚ドロー‼︎『
ううぅ……」
ムスタファーのスキルでダメージ1枚表に……これでお主はダメージ5、バーンアウトの攻撃を受ければ敗北するが、防げるか!「完全ガード‼︎」
ほう……まぁ予選を通過したのじゃ、防いで当然じゃな」
ドラゴニック・ブレードマスター:P11000、C1
神龍騎士 ムスタファー:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『ドラゴニック・ブレードマスター』
ドラゴニック・バーンアウト:P9000、C1
布都:手札:3 ダメージ:1/3 ソウル:3→2
ムスタファーVSモルドレッド:26000+5000VS11000=ヒット
トリプルドライブ『ドラゴンナイト ジャンナット』『☆』『ドラゴンナイト ジャンナット』『☆』『リザードソルジャー ベローグ』
ムスタファー:C1→3
バーンアウト:P9000+10000=19000
ダメージチェック『
モルドレッド:P11000+5000=16000
フラン:手札:4→5
バーンアウトVSモルドレッド:19000+7000VS16000+0=完全ガード
布都:ダメージ:2/3 手札:6
フラン:ダメージ:5 手札:3
フランは布都の猛攻によりダメージ5まで詰められてしまい、手札も少なく次のターンで何とかしなければ敗北必至な状況に追い込まれてしまう。
なお先程の会話は観客席にも届いており、魔理沙や蓮子達はフランが何とか勝つ様に祈ってはいるが雲行きが怪しく、蓮子とメリーは自身等が感じた不安はこの事だったのだと悟り嫌な汗が流れ始めていた。
「先程のターン、物部選手がダブルクリティカルにより大逆転‼︎
フランドール選手はこの不利な状況を切り抜けられるか⁉︎」
「アタッカーを退却された事で単純に攻撃回数が減ったのは痛いけれど、モルドレッドは幸いにもブレイクライドによるスペリオルコールスキルがあるからある程度は立て直せる筈だと思われますね〜」
「フランドール選手、物部選手の両手札に如何なるユニットがあるかによってはこのファイト、逆転に次ぐ逆転を起こす場合もあるでしょう。
フランドール選手には頑張って貰いたい所ですね」
「まだ、諦めない‼︎
まだ私は戦える……此処で立ち止まってたまるもんか、ドロー‼︎
ブレイクライド、『
タルトゥのスキルも発動して無常の
フラン:ダメージ:0/5 手札:1
布陣
タルトゥ(B) レイジング タルトゥ(A)
ドリン ダークボンド 無常マスカレード
実況解説達が今の状況を説明する中、フランはレイジングフォーム・ドラゴンにブレイクライドし、ダメージコストを全て払い切り手札も残り1枚を残して攻撃態勢を完全な物にする。
このターンでフランが巻き返せればまだ勝負の行方は分からない、フラン自身がそれを何より理解しており、また布都の挑発……失望に近い挑発を覆す為、自身が表舞台に大きく名乗り上げる為、全てを賭けてファイトに臨み出す。
蓮子達もそんなフランを見て固唾を飲みながらモニター越しに見守る。
正に此処が正念場、ファイトの流れを左右する場面であった。
「行くよ、ドリンのブースト、タルトゥでアタック‼︎「ふむ、確かに此処こそがお主の勝負を掛ける場面であっただろう……が、言ったであろう?
実力不足だと先のターン、そしてこのターンで証明すると……『リザードソルジャー ベローグ』2枚でガード‼︎
スキル発動、このアタックがガード成功した時、お主のレストしているリアガードを退却するスキルを2回分付与‼︎
そしてパワー16000に対しシールド21000、よってガードは成功しレストしておるタルトゥとドリンは退却、更にこの退却に反応しサーデクのスキルを今発動させる‼︎
ソウルインし、お主はリアガードを1体退却せねばならない‼︎」
……えっ……あ……」
タルトゥ(B)VSブレードマスター:9000+7000VS11000+5000×2=ガード成功
タルトゥ、ドリン、ダークボンド:退却
フラン
布陣
R レイジング タルトゥ
R R 無常マスカレード
しかし、布陣はこの場面すら予測していたのかベローグ2枚、更にサーデクを使いフランのリアガードを3体も退却させる。
フランはたった今何が起きたのか理解出来ず只々盤面を見つめるだけしか出来ず、その目は焦点が徐々に合わなくなるだけでなくボヤけ始めてしまう。
それ等を見て盛り上がり掛けた会場全体が絶句し、暗い空気が流れ始めていた。
「……サーデクを、相手ターン中に使うなんて……」
「それだけじゃないよメリー。
レイジングフォーム・ドラゴンはリミットブレイクで
でもたった今、フランは3体のリアガードを焼き払われてもう2体しかリアガードが残ってないわ……‼︎」
「……反撃すら許さないって訳だよ、あの太子の腰巾着、中々強か過ぎやしないかおい…‼︎」
「物部布都……どうやら一級の廃のファイターであり、その実力は紅魔組の名だたる廃のファイターにも劣らない強者なんだろうな。
『ドラゴニック・オーバーロード』の
そして、どうやら神霊廟組は早苗達以上に油断ならない奴だけだと証明されてしまった感……‼︎」
そしてチームファンタズマ一同、特にメリーが驚く中で、蓮子と魔理沙がそれぞれ状況説明と布都の意図を話し、ブロントさんは更にそれぞれ映っているファイトの状況を観て神霊廟組が明らかに有利過ぎる、予選最後にファイトしたチーム神風以上の実力を持つ事を明言し、それを聞いたメリーは悲痛な瞳でフランを見つめるも、ファイトは最後まで見守ると決めていた為その結末を見届けてようとしていた。
例えこの先の展開が読めていたとしても友として、ヴァンガードファイターとして目を離すべきではないのだ。
「お主のターンは終わってはいない。
さあ、残りのアタックもしてくるのじゃ」
「……レイジングフォーム、アタック……‼︎「ジャンナット2枚でガード」
ツイン、ドライブ……『
ターン……エンド……」
レイジングフォームVSブレードマスター:21000VS11000+10000×2=ガード成功
ツインドライブ『
タルトゥ:P14000+5000=19000、C1→2
タルトゥVSブレードマスター:19000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『バーサーク・ドラゴン』『ドラゴニック・ブレードマスター』
フラン:手札:3
布都:手札:2 ダメージ:4/5
布都に促されたフランは残ったユニットでアタックを仕掛け、クリティカルトリガーを引くも決め切れず、しかもドライブチェックで引けたのはレイジングフォーム・ドラゴン。
それは即ち、布都にリアガードを3体退却されていなければレイジングフォームの
つまり、フランはあの宣告を受けたターンでほぼ詰み、布都が2枚目のベローグを引き当てた時点で完全に詰んでいたのである。
会場内はそんな展開が目の前で起きた為益々暗い雰囲気が支配し始める。
「お嬢様、申し訳……ぬわぁーん‼︎」
「ぐぅ、無念也……‼︎」
更にフランのチームメイトの妖精2人がたった今敗北し、後はフランか小悪魔のどちらかが負ければその時点でチーム尸解仙の勝利が確定してしまう。
そんな状況に陥りながらもフランはまだ諦めようとせず布都を見据える。
が、布都はそれに意を介さずドローし、手札から
しかもそのGユニットは『覇天皇竜 ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Ace’’』、フランが良く知るGユニットでありVスタンドを有するGユニットだった。
「……‘‘The Ace’’……これじゃ、防ぎ切れない……」
「そう言う事じゃ。
お主は彼我の実力差も見切り切れておらず、1つのミスが敗北へと直結するやも知れぬと言う判断も未だ付いておらぬ。
それで勝てるとすれば余程運が良く才覚に溢れた真に天才と呼ぶ人種のみじゃ。
さて、そろそろこのファイトも終いにしようぞ。
‘‘The Ace’’、スキルを発動しバトルに移行、そのままアタックじゃ「……ノー……ガード……」ツインドライブ『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Яe-birth’’』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』全てヴァンガード に付与。
これでVスタンドも確定、後はお主次第じゃが……「ダメージ…………『
ヒールトリガー1枚を引いた根性は認めよう……が、矢張り実力不足じゃ。
もっと精進してからこの舞台へ来ると良いだろう。
幸いお主は『紅魔の吸血鬼の妹』と言う肩書以上に実力はあるのじゃ、見た所才覚にも恵まれておるしそう難しくなかろう。
そして次に見えた際はお主の成長した姿を見せて欲しいぞ」
「(……お姉様の、妹……やっぱり皆、私の事なんか……見ているのはお姉様ばかり…………‼︎)」
覇天皇竜 ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Ace’’:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『ドラゴニック・ブレードマスター』
‘‘The Ace’’VSレイジングフォーム:26000VS11000=ヒット
ツインドライブ『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Яe-birth’’』『ブルーレイ・ドラコキッド』『☆』
‘‘The Ace’’:P26000+5000=31000、C1→2
ダメージチェック『
フラン:ダメージ:1/6 LOSE
布都:ダメージ:2/5 WIN
布都のラストアタックを受けたフランはヒール1枚は引くがそれまでで、このファイトは布都の勝利が決定する。
それによりチーム尸解仙は準決勝に進出が確定、フラン達の敗退が決まる。
そんな事になり意気消沈し始めていたフランに対し布都は実力はある為次に実力を付けて来れば勝てると労いそのままデッキの回収を始める。
しかし、その時『紅魔の吸血鬼の妹』と言う言葉を付けてしまいフランはそちらの方が耳に残り、自身のコンプレックス……レミリアが表立ち、自身が幾ら頑張ろうとも結局レミリアばかりを皆は見て、フランドールと言う吸血鬼はその妹、付属品程度にしか見られない。
495年以上地下に居た為にこうなってしまったが、いざ口にされれば傷付く言葉を多々投げかけられた為フランは姉の存在が今の自身のイメージでは越えられぬ壁であり超えるべき目標ではあるが、それがかえって自身にコンプレックスを植え付ける形となり、それがたった今何気無い言葉で刺激され深く傷ついてしまっていた。
「さて、チームスカーレットデビルズの内3人が敗戦。
我等が準決勝進出は確定し残りは屠自古のみじゃがもうそちらも…………なぬ?」
何気無く言った為フランの様子に気が付かない布都は屠自古のファイトを残すのみとなった為そちらに視界を移すと、自身の目を疑う光景が映り込む。
何と屠自古はダメージを6受けてしまい小悪魔に敗北し、結果チーム尸解仙は全体で3勝1敗で準決勝に進出する結果が確定する。
屠自古はこのチーム内でも実力は3本指の中に入る程高かった為布都は勝つと考えていたが、まさかの敗北に少し驚きを隠せずにいた。
「……ちっ、私の負けだ‼︎」
「(これで私が1勝、取り敢えず紅魔館全体のレベルが落ちたなんて悪評が立つのは私が齎したこの1勝で防げる筈ですが…………妹様、この敗退が大きな精神ダメージになってなければ良いのですが……)」
小悪魔は紅魔館の評価が下がる失態をこれ以上起こさぬ様に完封敗北のみは避け、逆に神霊廟側に完封勝利を逃すと言う屈辱を与えていた。
が、それ以上にフランの心配をしており妖怪にとって致命的となる精神的ダメージを大きく負ってしまわないかと懸念しながらフランの下に駆け寄り、フランを連れて試合会場入り口へと妖精達と共に戻って行った。
そのフランは表情が暗く、試合前に見せていた明るさがすっかり消え顔も俯き、完全に精神的ダメージが入った様な様子を見せながら小悪魔に連れられ歩いて行った。
この試合結果に蓮子達は悲痛な面持ちになり、会場の空気に合わせ重い雰囲気が自身達の間を流れるのであった…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の紅魔組、と言うよりフランの敗北は必要な事であり、また布都にはフランを傷付ける意図は全く無かったと言っておきます。
さて、影の実力者である小悪魔のお陰で完封負けは避けられました……が、1回戦敗退は確定しておりあくまでも紅魔の誇りに泥を塗らない様にする為の勝利でした。
そしてフランは今後どうなって行くかは……これ以降のお話でヒントが出せれば良いなと考えております。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第102話「嘆き、暗雲、驚愕」
サブタイの意味は本編をご覧になれば何となくわかると思います。
では、本編へどうぞ。
東側選手控え室に戻って来たフラン達は重い空気のまま少しの荷物を片付け始め、観客席に戻ろうとしていた。
特にフランは小悪魔達の顔をずっと見ずに背中を向け特に暗く淀んだ空気を纏ってしまっていた。
「妹様…………」
「うぬぅ……我らでは言葉を掛け辛い。
小悪魔殿、何とかフランお嬢様に」
「分かってますよ……えっと、妹様?」
執事、メイド妖精達は小悪魔に頼みフランに声を掛けさせ、そして小悪魔もフランを思い声を掛け始める。
するとフランは少し辛そうだが笑みを受け、小悪魔達に振り向き口を開く。
「あはは、負けちゃったね〜。
でも良い線行ってたから、来年こそは必ず優勝しようよ!」
「(かなり無理をされてる。
肩や手が震えて……)
妖精達は先に行って下さい『は、はい/うむ』『ガチャッ、ドタン』……妹様、ご無理をなさらずに。
貴女様の手や肩は震えが止まってません、恐らくかなりの精神ダメージを負われた筈です……私も妖怪の端くれ、耳は人間よりも良いと自負していますので何を言われたのかも全て把握してます。
なのでどうか無理をなさらず、吐き出す物は吐いて下さい……幸い此処には私と貴女様しかおりませんのですから」
健気に大丈夫そうに振る舞うフランに対し小悪魔は妖精達を退出させマンツーマン状態にしてからフランが無理している事を指摘し、何を聞いたかも把握してるとして真剣な表情で手を前に出しフランが何時飛び込んで来ても良い様にする。
そんな小悪魔の自身を気遣う優しさに対し、フランドール・スカーレットは次第に表情が崩れ始め、直ぐに小悪魔の胸に飛び込み顔を埋めて泣き噦り始める。
「ひっぐ、ひっぐ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
かぢだがっだ、ぢゃんどわだじをみでほじがっだ‼︎
なのに、なのに……あぁぁぁぁぁぁぁ……‼︎」
「フランお嬢様…………(フランお嬢様は八雲藍が表立ち、様々なルール改定等をしヴァンガードファイトの普及を今まで以上に行ってから、表立って実力を、その存在感を示すレミリアお嬢様に対して強烈なコンプレックスを抱く様になってしまわれた。
今まで表舞台に出る事が無かったフランお嬢様がこの幻想郷の少々の変化により表に出ざるを得なくなった為に、様々なファイターから『紅魔の吸血鬼の妹』、『レミリアの妹だから強いのは当然』、『レミリア・スカーレットの妹なのに拍子抜けだ』等の残酷な言葉を掛けられてしまった為に……。
それ故に自分はレミリアお嬢様の妹と言う肩書き以上の吸血鬼だと証明したい、そんな他愛のない、しかしそれを成すには余りにも険しい試練を自らに課してしまわれた……。
お嬢様はフランの問題故自身で解決させる以外方法が無いとして私達に深く介入を許さないと我々に告げられましたが……フランお嬢様はレミリアお嬢様と同じくまだ幼き吸血鬼、今回みたく物部布都にその様な意図が無くとも、自身の全てを否定されてしまい誰かに泣き縋りたい時に手を差し伸べる程度は許して下さい……)」
フランが自身の胸の内で泣く中小悪魔は紅魔館全体が理解しているフランのコンプレックスを思い返し、しかしレミリアは自身を超える吸血鬼にしようと言う厳しくも姉としての愛情によりフランの問題は自身に解決させる事、必要以上に介入してはならないとされ咲夜や美鈴、小悪魔やパチュリー達でさえ少々の力添え程度しか行えず益々フランがコンプレックスを強める結果になった。
その為咲夜、美鈴、小悪魔等は影でレミリアの命令に背かない、しかし極力の協力と言うギリギリのラインでフランを支えていたが、それでも今回みたく失敗が多々あったのだ。
そして今も小悪魔は、フランの悲しみを受け止めつつフランがまた立ち上がれる様に優しく抱きとめるのであった。
一方西側控え室にて、布都達は準決勝に進出はしたが試合結果に満足しておらず特に敗戦した屠自古は苦虫を噛み潰していた。
「くそっ、油断もミスも無かった‼︎
ファイト運びも何時も以上に調子が良かった方だった、なのにあんな名無し妖怪に負けるなんて……‼︎」
「ふむ、フランドール・スカーレットやメイド妖精達の実力から紅魔の吸血鬼とその側近従者以外は大した事の無い妖怪達のみかと思いきや名無し妖怪である小悪魔が相当に厄介な実力者だった様だな。
私達が相手したメイド、執事妖精達や紅魔の妹が全体の物差しにならないとは…………どうやら紅魔に対する認識は変える必要がある様だ」
屠自古が拳に電撃を纏いながらロッカーに八つ当たりし荒れる中、客員であるカムラナートは冷静に紅魔館の戦力の全体図の見直しを口にし、直属の妖精やフランが全体の戦力を図るラインにはなり得ないとし改めて紅魔館の脅威をチーム尸解仙……否、神霊廟は実感していた。
「けれど屠自古は負けたから次の試合はペナルティで出られないんだよな、青娥〜?」
「そうですわね、芳香の言う通り屠自古殿には申し訳ありませんが敗北した以上、次の試合から控えに回って貰うしかありません。
否が応でも5人で出る機会となるまでじっくり頭を冷やし、大会終了後に鍛錬を積んで貰いましょう」
「……ああ、それが私らのルールだ。
甘んじて受けるさ」
すると芳香がいきなり口を挟みチーム尸解仙内にあるルールを話し、続いて青娥もそれに同意し布都、カムラナートも同じく同意し頷きながら屠自古を見やる。
その屠自古本人もルールだと言ってこのチーム尸解仙、と言うより神霊廟のファイター全体に定められた罰則である敗者は大会終了まで必要な場面になるまで控えに回し、終了後に厳しい鍛錬を積ませると言う物を受ける。
屠自古は小悪魔に負けた為5人フルで出る5VS5までは控えとなり、4人までのチーム戦の場合においては絶対に試合に出さない、それがこの神霊廟に定められた掟……『弱さは罪』の1つであった。
敗者には大会終了後に強制的な鍛錬が課せられ、それらの厳しいペナルティは神霊廟の幹部はおろか長の豊聡耳神子にも執行される程の強制力がある神霊廟独自のルールで、今正に屠自古にそれが課せられたのだ。
「ふむ……今回の大会は矢張り精鋭揃いである事に偽り無く油断すれば足元を掬われると言う事じゃな……それならば純度の高いストライドフォースが集まりディペンドカードを覚醒させるであろう。
さすればやがて太子様の悲願は………」
布都がそれらの会話が終わった後に独り言を呟き、チームリーダーとして控え室を先に出て次の試合観戦へと赴き始める。
その呟きを聞いた屠自古や青娥達は改めてファンタズムカップに集まったファイター達の実力を実感しつつも負ける道理無しと考え独自に気を引き締めて布都の後を追うのであった。
そして第1試合後の観戦席、メリー達はフラン達の小悪魔以外完封で敗北した事に気を重くしていた。
「まさかフラン達が負けちゃうなんて…………フラン達の実力は紅魔館のファイトルームで何度も手合わせしたから分かるけど、かなり強かったのに……」
「うむ、勝負は時の運とも言われているがフランのファイトを注目してみるとフランの些細なプレイングミスを鋭く突かれてしまい戦略も崩れていたと思ったが更についげきの実力差を披露宴されてそのまま巻き返せず裏世界でひっそりと幕を閉じている事が分かる。
神霊廟の太子の右腕物部布都……中々に手強い奴なのは何度でも言うが確定的に明らかだ」
蓮子はフランと同じくユナサンのクラン、〈シャドウパラディン〉と対極にある〈ロイヤルパラディン〉を使いフランとファイトした為その実力を十全に理解してた為先の様にあっさり負けた事を信じられず言葉を口から絞り出すと同クランを使い、過去に〈ゴールドパラディン〉を使っていたブロントさんがフランのファイト運びに口を出し、些細なミスが隙となり其処から一気に実力でねじ伏せられたと分析していた。
麟も、否、メリー達フラン等を応援した者達全員がそれを理解しており、全員一様にフラン達の敗北は実力差やファイト運びの差で必然だったと改めて実感し布都達チーム尸解仙は恐らくこの大会最大の壁であると理解し、彼女達がメリー達を狙っている事を含めて警戒心を露わにするのだった。
「『コツコツ』紅魔館のチーム、あっさりやられちゃったな」
「あーあ、折角小悪魔と決着がつけられると楽しみにしてたのに、機会が棒に振られて私も消沈中なのだ〜」
「あ、チルノにルーミア」
そんなメリー達の近くにチルノとルーミアが歩いてルーミアの方は愚痴に近い言葉を漏らしながら座席に座り、モニターに映る試合のダイジェスト映像に目を向けていた。
その中でもチルノはフランと布都のファイトの一場面、『虚空の
「流石小悪魔だね、前ファイトした時よりもずっとずっと強くなって完封負けを防ぎつつチーム尸解仙の完封勝ち逃しって屈辱を与えてる。
更にチームの質も悪くない、寧ろ良質な力強くイメージ力が高かったチームだったよ、スカーレット・デビルズは。
私とは決勝戦で当たる組み合わせだっただけに、私の落胆は最高潮なのだ〜……」
『…………⁇⁇』
「(あー、ルーミアと小悪魔は同じクランの〈ダークイレギュラーズ〉を使う宿敵同士みたいなもんなんだよ。
だから2人がファイトするとオリオンとブライトみたいなファイトを展開しながら互いに互いを叩き潰すのを楽しむんだよ)」
ルーミアの言葉に蓮子とメリーは分かる部分、完封負けを防ぎつつ〜からは頭で理解出来ていたが落胆は最高潮と言う言葉の意味が分からず頭に?を浮かべるが、魔理沙はその意味をオリオンとブライトのファイトや宿敵と言う言葉で耳打ちし、2人は苦笑いしつつ宿敵と戦えなかった事がテンションダウンに繋がってると漸く理解する。
するとチルノが「コホン」と咳払いし、全員の視線を集めさせ自身の視点から見たフランのファイトについて話し始める。
「あんた達も見てたでしょ?
あのマスカレードのアタックする場面、今のアタイだったらヴァンガードからアタックしてマスカレードのアタックに移るよ。
マスカレードからアタックするにしてもリアガードを狙う所だった。
アレが無かったら負ける事は変わらなかったけど、実力を出し切れず蹂躙されるなんて無かったかもしれないな……結局ファイトの成り行きでしか無いけどね」
先の第一試合の内容でのアタックタイミングについて自身の考えを口にし、チルノは結果は変わらないとしつつも良い内容にはなったと語る。
それを聞いた魔理沙はチルノが頭を使っている事にギョッとし驚いた様子を見せていた。
「チルノ、お前がそんなプレイングを語るなんて成長したなぁ!
前まではただ考え無しにアタックアタックアタックって言ってたのに」
「アタイだって宇佐見蓮子達へのリベンジって目的の為ならどこまでだって頭使うし強くなるさ!
で、話を戻すとあの布都って奴、と言うよりチーム尸解仙は今年のファンタズムカップの最大の優勝候補みたいだよ。
さっき大ちゃん達と一緒に調べたけど、小悪魔が蘇我屠自古って奴に勝つまでは公式、非公式問わず無敗、だだの一度も黒星を出さずストレート勝ちしてたみたい。
もしもアタイが布都と当たってあのコンボを潰すとしたら『
だからアンタ達が仮にアタイ達に勝ってアイツらとファイトする事になったら気を付けなよ。
まあアタイ達はアンタ達に負ける気なんか無いけどね!」
チルノは自信満々に強くなった理由を語りつつチーム尸解仙の調べ上げた大会記録に基づく実力をと自身、そして蓮子達にも通じる対策を言い、警戒する様に促す。
そしてそれと同時に負ける気は無いと普段のチルノやルーミアと余り変わらない、しかし何処か裏打ちされた実力から出る自信を感じ取り蓮子、メリーは矢張りチルノ、と言うよりチームストームファイターは以前とは比べ物にならない程に成長していると悟っていた。
『皆様お待たせしました、これより第2回戦、チームブルーゲイル対チーム蓬莱傘の試合がまもなく開始いたします。
チームブルーゲイルは東側控え室より、チーム蓬莱傘は西側控え室から試合会場へと移動して下さい。
観客席の皆様はこのままお待ち下さい』
「おっ、第2回戦が始まるみたいだな。
チームブルーゲイルって言うとやっぱリューサンがリーダーだよなブロントさん?」
「うむ、そしてリューサンがPTのリーダーならばメンバーは99%衣玖さんとルナサだと言う事は確定的に明らか。
本当ならミスティアもあそこに居る可能性もあるんだがどうやらチルノが先にPTメンに誘ってたようなのでミスティアはチームINしていないがまぁリューサン達なら上手くやるのは0か100なら100だった。
次に気になるのは蓬莱傘。
蓬莱と聞けば輝夜が思い付くが傘は何なのかコレガワカラナイと言う不具合」
蓮子達が話を進める中時刻は第2回戦開始間際になりそちらの方に話題が移る。
蓮子とメリーはブロントさんが言うリューサンなる人物は噂程度には耳にした事があり、〈かげろう〉使いとしてはオリオンと同レベルだと噂され、その実力に引き寄せられたのか『ドラゴニック・オーバーロード 』の名を持つユニットを何枚も所持し使用していると言われている。
更に人柄が良い為異性に人気があったりするが彼の傍らにはリューサンに惚れている人物が居りそれ以上変な虫が近寄るのを防いでいる等の妙な噂まであり、ブロントさん達が口にした女性の名前が恐らくその件の惚れている人物達だと蓮子とメリーは察する。
そして一方のチーム蓬莱傘、蓮子達も蓬莱と言われて輝夜や同じ蓬莱人の妹紅等が浮かんだが、矢張り傘については思い当たる人物が居ない為気になっていた。
そしてそうこうしている内に試合開始時刻目前になり、モニターに映るそれぞれの選手入場口が開き試合会場にそれぞれのチームが入り始めた。
東側の入り口からチームの先頭に立つ竜を模した甲冑を身に纏う男性、蓮子とメリーはこの男性こそがリューサンであると認識し、ブロントさん達が一目置く実力を拝見しようと考える。
一方西側からは蓬莱山輝夜を先頭にその後ろに鈴仙、そして紫色で一つ目と舌が付いたからかさお化け風の傘を持つ少女……蓮子とメリーは人里に行く回数はそれなりにあった為チラ見と周囲の人が話す名前などを聞く機会がありその人物を一応知っていた。
なので輝夜と鈴仙とは縁もゆかりもないのに何故かチームになってる事にその姿を見た瞬間驚いていた。
「って、チーム蓬莱傘の1番後ろ!
あれって確か……『多々良小傘』さん、人里でベビーシッターとか色々やって居た唐傘お化けの妖怪よ⁉︎
何で輝夜や鈴仙とチームを組んでるの⁉︎」
「わ、分からない。
分からないんだが、あのベビーシッター兼鍛治師兼ヴァンガードファイターがチームメイトか…………意外性に溢れたチームだな、ありゃ」
モニターに映った多々良小傘の姿に誰彼もが驚き、観客席がざわつき始めていた。
小傘は人里で良くベビーシッターや鍛冶屋、ヴァンガードファイターとして良く見掛けられており、人里の人間達(特に子供達)の間で人気者であり、夜中には妙蓮寺の墓場に肝試しに来た人を驚かせようとしても滅多に驚かれず、またただ驚かすだけなので人里では危険度皆無な妖怪の為大人も里の出入りを黙認(所か赤ん坊の世話を任せたりしてる)して人間達と近い距離に居る。
そんな小傘が大会で、しかも一番大きなファンタズムカップ本選に居て輝夜達と共に出場した事がかえって話題性を生んだのである。
特に観戦中の子供達は小傘を見て『スゲー!』や『頑張れ小傘姉ちゃん‼︎』と応援し、注目が一気に集まっていた。
「(チーム蓬莱傘、私が実力をある程度知っているのは直接ファイトした鈴仙だけ。
だけどその鈴仙も今にして思えば手加減されていた節がある……どどの詰まる所実力は全体的に未知数。
チームブルーゲイルと合わせてしっかりと見ないとね……)」
蓮子は蓬莱傘のファイトが始まる直前、鈴仙の真の実力や輝夜と小傘のファイトスタイルを知らない事を考察し、リューサン達チームブルーゲイルの方と同様に注目するとしてモニターに釘付けとなり周りの音が入らなくなる。
それはメリーやブロントさん達も同じであり、チームファンタズマは先の第一試合の様な楽観を捨て全神経をファイト一つ一つに向け始める。
それらを隣で見ていた魔理沙は、フラン達の敗北が意外な所に表れている事を蓮子達を見て察しつつ、同じく試合の方へ目を向ける。
そして時刻は試合開始時間、モニター先ではファイター達がFVをスタンドアップさせ始めていた……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
嘆きとはフランの嘆き、暗雲とはフラン達を破ったチーム尸解仙の実力によるファンタズマに掛かりかけた暗雲(一応チルノ達が清涼飲料水的な役割になりました)。
そして驚愕とは蓬莱傘のメンバーです。
何故小傘が輝夜達とチームを組んでいるかは次回以降に持ち越しとなります。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第103話「チーム蓬莱傘の実力と固き意思、そして出陣へ…」
前置きが長くなりましたが第103話目です。
前回チラッと出たリューサン達や輝夜達のファイト回になります…が、1人1人を細かくファイト描写を描くと主役である蓮子達のファイト回がズルズルと長引く為マキマキになります。
リューサン達や輝夜達のファイトを期待していた皆様、誠に申し訳ありませんでした……では、本編へどうぞ。
蓮子達が観客席モニターで選手一同の一挙一足を観ている一歩、ファイト場西側入り口から入場したチーム蓬莱傘の3人……輝夜、鈴仙、小傘はいよいよ始まる自身らのファンタズムカップ本選に心を躍らせていた。
「ふふふ、何時もは妹紅と戯れあったりで全く公の舞台に立つ事がなかった私がこうして本選に出て観客の注目を集める……何とも清々しく晴れやかな気分になる事かしら。
こんな事なら永琳に言って早くから公式デビューすれば良かったわね」
「師匠は姫様の事になると過保護ですからね……。
ただ、先日の事もあって師匠はある程度姫様の自由にさせようと考えましたし、此処までくればもうそんな事は隅に追い遣ってファイトに集中しなきゃいけませんがね (アイツのプラン、宇佐見蓮子達の実力を確かめる事は組み合わせ上最後の方まで無くなった、なら目の前のファイトに集中出来る…手加減抜きでやってやるわ!)」
「いよいよ試合が始めまるわね。
この時をどんなに待ちわびたか……よーし、『あの子』の為にも、私のお腹を満たす為にも私のファイトで皆を驚かせてやるわよ〜!」
3人はそれぞれの意気込みを口にし、対戦相手であるチームブルーゲイルの面々に視線を向けいつでもやる気と言わんばかりに闘志を滾らせていた。
「ふっ、彼女達もどうやらやる気は充分のようだ。
衣玖さん、ルナサ、いつでも行けるかい?」
「勿論ですよリューサン。
こんな大舞台、しかもミスティアさんも出場している大会でぐだぐだしていては彼女にも、そして総領娘様やルナサさんの妹さん達に笑われてしまいますから」
「うん。
だから、一試合一試合全て全力全開。
相手がやる気ならこっちもその気」
対するリューサン達チームブルーゲイルも合わせて闘志を滾らせ、その場は既に熱気に包まれいつでも滾らせ続けているモノが爆発してもおかしくなかった。
その光景をモニター越しで観ている観客席の蓮子達もまたそれが伝わり固唾を飲み始めていた。
「さて姫様、相手は3人此方も3人。
さっきの試合だとチームリーダー同士が試合会場に居ると戦う事が高くなる様な感じでしたけど、私達は何方とやる事になるんでしょうか?」
「さあ?
其処は運営の気紛れよ。
で、決まるまでの間に確認として衣玖は間違いなく〈なるかみ〉を使うわ、うどんげも小傘も苦手なクランだから当たったら良く考えてファイトする事。
ルナサは〈バミューダ△〉、手札が増え易い上に連撃も可能な堅牢なクランよ、手札が増やされ切る前に決めなきゃジリ貧よ。
注意点はこんな所で私達が目指すべき目標は『全員白星!』分かってれば良いわ『ピピッ』あ、ファイカに相手が誰かのメールが来たわね、じゃあ並び直すわよ!」
輝夜達はチームブルーゲイルのリーダーであるリューサン以外の2人が使うクランと注意点を確認し合い、この大会中に立てた目標である『一試合全員白星を目指す』を口にし、
気合は足りている事をお互いに頷きながら察し合う。
その直後にファイカにメールが入り、対戦相手が誰かを確認し輝夜達は並び替えを始める。
左から鈴仙、輝夜、小傘の順に並びその目の前、つまりチームブルーゲイルも対戦相手は衣玖、リューサン、ルナサの順で並んでおり、よって鈴仙は衣玖、小傘はルナサとファイトをする事になった。
そして足場が動き出しギアースのファイト台が現れ6人はそれぞれのデッキを台にセットしファイト準備を整えた。
『それでは、第2試合始め‼︎』
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『バトルシスター わっふる』!」
「『リザードソルジャー ファーゴ』!」
「『
「『リザードソルジャー サイシン』!」
「『
『
それぞれのFVがスタンドアップしファイトが始まる。
蓮子とメリーはその中で輝夜とリューサン、ブロントさんは小傘とルナサ、麟と菫子は鈴仙と衣玖のファイトに注目し、それぞれの戦い方を頭に叩き込み始める。
「最初は私のターン、ドロー。
『バトルシスター たふぃー』にライド、わっふるは先駆スキルでヴァンガード後ろに移動してターン終了よ」
バトルシスター たふぃー:P7000、C1
「『バトルシスター』……確か〈オラクルシンクタンク〉だけど永琳の『ツクヨミ』軸と違ってデッキ一周はしないけど手札が増え易い上にどちらかと言えば速攻系で
「従者の永琳は防御寄りで輝夜は攻撃寄り……」
蓮子は『バトルシスター』軸の事をざっくりとしたコンセプトを同じファイトを見ているメリーに告げ、それを聞いたメリーは永琳のファイトを思い出しつつアレとはまた違うファイト展開が起きる事を予感していた。
「私のターン、ドロー。
『エターナルブリンカー・グリフォン』にライド!
ファーゴはヴァンガード後ろに移動、更に『バイオレンスホーン・ドラゴン』をコール!
悪いけど、君の手札も盤面も増やさせしないよ、バイオレンスホーンでアタック!「『バトルシスター じんじゃー』、私を守りなさい」
次、ヴァンガードでアタック!『ドラゴニック・バーンアウト』「ダメージチェック『バトルシスター じゅれ』」
エターナルブリンガー・グリフォン:P7000、C1
バイオレンスホーン・ドラゴン:P7000、C1
バイオレンスホーンVSたふぃーー:7000VS7000+10000=ガード成功
エターナルブリンガーVSたふぃー:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『ドラゴニック・バーンアウト』
ダメージチェック『バトルシスター じゅれ』
リューサン:手札:5
輝夜:手札:4 ダメージ:1
後攻であるリューサンは輝夜に盤面や手札を増やさせないと宣言しつつリアガードとヴァンガードの合計2回のアタックを後攻1ターン目から始め、輝夜にダメージを与えつつ防御札を減らさせる。
輝夜や観客席の蓮子とメリーもこうする事は予想出来ていた為、観客席側からはこの後の返しを如何にするかを観ようと、輝夜自身は何をどうするか決めていた。
「なら私はこうする、ライド、『バトルシスター ここっと』にライド!
更に『バトルシスター ぷでぃんぐ』と『バトルシスター まかろん』をコール!」
バトルシスター ここっと:P9000、C1
バトルシスター ぷてぃんぐ:P9000、C1
バトルシスター まかろん:P9000、C1
輝夜:手札:2
『此処で輝夜選手、前列にユニットを配置させたぁ!
解説の皆さんどうぞ!』
『先ず輝夜ちゃんはヴァンガードをリアでもアタックヒット時にスキル発動出来るここっとにライドし確実に手札を確保しようと言う動きが見られるわね』
『更にぷてぃんぐはリアガード時にヴァンガードへのアタックがヒットしたらダメージを1枚表にして他のバトルシスターにパワー+3000を与え、まかろんも『バトルシスター』がヴァンガードならアタック時にパワー+3000が入るから速攻としては理想的ね。
そしてリューサン選手のFVのファーゴは『オーバーロード』のヴァンガードが居なければ効力を発揮しないしバイオレンスホーンも『オーバーロード』版G1名称指定でパワー+3000が入る互換ユニット、〈かげろう〉の『オーバーロード』は『ドラゴニック・オーバーロード』系列しかない為G3になるまでは動かないと判断したから輝夜選手はユニットを展開したんでしょう』
「輝夜のデッキは確かに永琳さんと違って攻撃寄り、〈かげろう〉相手に臆せず展開したからにはこの後の展開が読めてるからこそ今動いた訳か。
それも後半から力を発揮するならいっそ速攻やって圧力を逆にかけちゃえって感じに」
「成る程ね……輝夜……蓬莱山輝夜、永琳さんとも違う強みがある強豪ファイターね……」
実況、解説、そして輝夜のファイトの動きからリューサンを的確に攻める姿勢を見た蓮子とメリーは脳裏に浮かんでいた永琳のデッキ一周軸と違う強かさと状況分析力、そして守りでは無く攻めの姿勢に強豪ファイターの1人であると認識し、そのモニターを食い入る様に見ていた。
一方ブロンドさんは真剣な眼差しで小傘とルナサ……否、多々良小傘を見ていた。
「(……小傘のあの決意の目とファイトから伝わる熱気、相当な想いを胸に激らせて此処まで来た事は火を煮るより明らか。
小傘、やっぱりお前は俺達が救えなかった『アイツ』を想い続けているんだな。
『アイツ』が目標にしていたファンタズムカップ優勝、それを遂げる為に……)」
「くっ、私が、こんなに早く押され始めてる…⁉︎
多々良小傘の気迫は、私のそれを超えてるって言うの…⁉︎」
「さあさあ、この多々良小傘のビックリマジックショーに驚け〜!!
『
後はファンタズムカップ優勝を果たせば、貴女に報いる事が出来る…………『
ブロンドさんは小傘の想いを察してそのファイトだけは絶対に見届けなければならないと思い目を離さずにいた。
その小傘も過去に幻想郷を襲った『根絶者《デリーター》』を前に恐怖しファイトすら出来ず怯えていた所を囮を勝って出て、自身と『村紗水蜜』を逃し、その全て……デッキも、イメージ力も、何もかもをデリートされてしまい、今も目を覚まさず永遠亭で眠り続けている救えなかった少女……『封獣ぬえ』に想いを馳せながらファイトに全身全霊を注ぎ込み、対戦相手であるルナサを気押していた。
そしてその様子を会場外、永遠亭の病室にあるテレビから白蓮はベッドで眠り続けるぬえに語りかけながらそのファイトを観ていた。
「ぬえ、貴女が全てを賭して逃した小傘が今、貴女の目標でしたファンタズムカップ優勝へ躍進してますよ。
その姿はあの外敵に怯えていた彼女から脱却し正に銅頭鉄額に値します。
村紗も今、大事な仕事を普及協会本部から任されたいとの話がありそちらと話し合いをしてそれぞれの道を歩んでますよ。
……貴女の繋いだ彼女達の道は、決して無駄なものなんかではありませんでしたよ。
私も貴女が目を覚ますその時まで普及協会の仕事をしながら看病しますわ。
だから、いつでも戻って来て下さいね、ぬえ…………」
白蓮はぬえに彼女が全てを賭した行動全てが無駄ではなく、2人の少女の未来は今それぞれの形で輝き始めていると語り掛け、目を覚まさず反応を示さないぬえの手を握り小傘のファイトの姿に涙を流しながら戻って来る様に祈りつつモニターから穏やかな表情で眠り続ける少女を見つめ、その身を今も、これからも案じていた。
その言葉一つ一つがぬえに届いているかは誰にもわからないが、これからも聖白蓮や多々良小傘を始めとしたぬえの関係者は彼女が目を覚ますまで何時迄も待ち続けるだろう。
例え何十年、何百年掛かろうとも。
それが、彼女達の決して揺らがぬ決意なのだから……。
そしてファイトが終盤に差し掛かり、麟と菫子が注目していた衣玖対鈴仙のファイトも衣玖の終盤ターンを迎える。
「
さぁお見せしますよ、〈なるかみ〉が誇るGユニットを‼︎
招来せよ、遍く敵を撃ち抜く迅雷よ、ストライド・ジェネレーション、『征天覇竜 コンクエスト・ドラゴン』‼︎
(しかし、鈴仙さんは『ボルテージホーン・ドラゴン』や『魔竜戦鬼 チャトゥラ』、『ドラゴニック・ヴァンキッシャー』の
そして左右前列とヴァンガード後列には『ナース・オブ・ブロークンハート』が……コレはもうこのターンで倒さなければ敗北は必至ですね!)ヴァンキッシャーのスキル、カウンターブラスト(1)を支払い、右のブロークンハートを退却し表向きでバインドします!
更に『ワイバーンストライク ピグルマ』を前列に移動させ、コンクエスト・ドラゴンのスキルを発動‼︎
コストとしてGゾーンの裏向きの同名カードを表向きにするGペルソナブラストを払い、Gゾーンに表向きのカードが2枚以上なら相手の前列のユニットを退却し、カードの無い前列のリアガードサークル1枚に付き私の前列ユニットにパワー+5000を与えます‼︎
左のブロークンハートを退却し、ピグルマ、コンクエスト・ドラゴン、そしてボルテージホーンにパワー+10000を与えます‼︎」
征天覇竜 コンクエスト・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1、ハーツ『ドラゴニック・ヴァンキッシャー』
ワイバーンストライク ピグルマ:P7000、C1
ボルテージホーン・ドラゴン:P9000、C1
コンクエスト・ドラゴン、ピグルマ、ボルテージホーン、P+10000
『おおっと出たぁ、〈なるかみ〉の汎用Gユニットの中でも折り紙付きの性能を誇るコンクエスト・ドラゴンのフルパワー‼︎
ブロークンハート2体を退却指せられた鈴仙選手も最早これまでかぁ⁉︎』
『しかし、そのブロークンハートはまだ後列に1体残ってしまってます。
更に『
よってダメージを受ければパワー+4000が確約され、此れをどうにかするにはコンクエスト・ドラゴンからアタックし、クリティカルトリガーを2枚引き当てる以外に他ありません。
両者共に危ない橋を渡る選択しか無いと言えるでしょう』
『(どうしよう、言いたかった事全部豊姫さんに全部言われちゃったよ…)』
衣玖はコンクエスト・ドラゴンを繰り出し、このターンで決め切る…コンクエスト・ドラゴンからアタックし、ダブルクリティカルトリガーを狙うと言う博打に近い選択を取る事になる。
と言うのも、衣玖のダメージゾーン、ドロップゾーン、そしてドライブチェックによる公開の手札に既にクリティカルトリガーが4枚露出しており、更に4枚採用しているスタンドトリガーが未だデッキに眠ったままである為ダブルクリティカルを狙うにはやや確率が低くなってしまっているのだ。
鈴仙もそれが分かっている為、コンクエスト・ドラゴンのアタックを防ぐのは既定路線とし、その後のトリガー次第で敗北も有り得る状況となりやや冷や汗が出ていた。
それを観ていた菫子、麟は互いのダメージコントロールを含めた高度なファイトに脱帽していた。
「ひゃあ〜…サイシンでFVが潰れた鈴仙がどう立て直すか観てたら衣玖さんにカウンターコストを1枚ずつしか与えない戦い方をしてギリギリのラインを保って今に至るなんてやるじゃん以外の感想が出ないわこれ…」
「はい、互いにトリガーの読み合いやその他を含めた全てにおいて高レベルのファイトを展開していました。
矢張り私達も気を引き締めなければ敗北する事が先ず間違い無く言える精鋭揃いであるとはっきりと言えるでしょう…!」
菫子も麟も先の布都達のファイトも併せて自分達以上のファイターがこのファンタズムカップ本選へ集まり鎬を削り合っていると改めて認識し、次の自分達の試合で油断などすればあっさりと敗北するイメージが出来上がり、試合を観つつ自分達もまたこれまで以上のファイトをしなければならないと言うプレッシャーを感じていた。
そして、麟の言葉が出切った直後に衣玖が動き出した。
「コンクエスト・ドラゴンでガヴリールにアタックです‼︎「『
ならばトリプルドライブ‼︎『ドラゴニック・デスサイズ』
セカンドチェック‼︎『毒心のジン』『☆』
クリティカルトリガーゲット、全てボルテージホーンにプラスします‼︎
サードチェック‼︎『ドラゴンダンサー ヴィアンネ』『醒』」
っ、スタンドトリガー……パワーはボルテージホーンへ‼︎
ピグルマのブースト、ボルテージホーンでアタックします、パワーは36000です‼︎「もう一度イスラフィールで完全ガード‼︎
今度は同名カードがドロップゾーンにあるから
……ターンエンド、ダメージが手札でもある〈エンジェルフェザー〉相手に迂闊にダメージを増やさせる程私は甘くありませんよ」
コンクエスト・ドラゴンVSガヴリール:36000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『ドラゴニック・デスサイズ』『毒心のジン』『☆』『ドラゴンダンサー ヴィアンネ』『醒』
ボルテージホーン:P+10000、C+1、スタンドユニット無し
ボルテージホーンVSガヴリール:29000+7000VS 11000+0=完全ガード
鈴仙:ダメージ:2/4→3/4 手札:2
衣玖:手札6 ダメージ:0/4
衣玖は確かにダブルトリガーを引き当てたが肝心の2枚目がヴィアンネ、スタンドトリガーであった為前列に移動したピグルマにクリティカルを付与出来ずそのままターンを終える選択をした。
〈エンジェルフェザー〉相手にダメージ5でターンを渡す=出来る事が増やしてしまうと言う事を熟知している為の選択であり、自分が次のターンに何としても繋ぐ為には仕方の無い選択であった。
そして鈴仙はギリギリ生き延びた事に一つ溜息を入れて安堵し、次は此方が衣玖を倒す為に詰める番であると気を入れ直し衣玖を見据えた。
「行くわよ、これが私のラストターンよ‼︎
ドロー‼︎
ガヴリールをコストにGゾーン解放‼︎
舞い降りよ、聖なる天使!
全ての苦痛から解放せんが為に!
ストライド・ジェネレーション、『
ガヴリールの
私は今置いた4枚目のブロークンハートを右前列へコール、更にラジエルのスキル発動‼︎
4枚を戻して置き、先ずは左後列の『サウザンドレイ・ペガサス』のスキル5回分発動、ダメージゾーンにカードが置かれる度にパワー+2000‼︎
更に右前列のブロークンハートのGB1スキルを4回分、ヴァンガード後列のブロークンハートのスキルを5回分発動‼︎
それぞれ自身とヴァンガードにパワー+2000を与える‼︎
此れによりヴァンガードのパワーは+18000、更に右前列のブロークンハートのパワーは+10000‼︎
更に『ドクトロイド・リフロス』をコールしてGB(1)発動‼︎
左前列に『
そしてリフロスをコールしてもう一度スキル発動‼︎
2枚ダメージをデッキに戻し、更にデッキトップから2枚ダメージゾーンに置き1枚ドロー‼︎
更に今引いたリフロスをコールしてまたスキル発動‼︎「なっ、リフロスがまた⁉︎」
以下省略で1枚ドロー、そして右後列に『
そして今までのスキルでダメージゾーンに置かれたカードは7枚、よってブロークンハート、サウザンドレイはパワー+14000、ラジエルはパワー+28000を更に得るわ‼︎
最後にサウザンドレイを前列に、ノキエルを後列に移動‼︎」
ナース・オブ・ブロークンハート:P9000、C1
サウザンドレイ・ペガサス:P7000、C1
ラジエル:P26000+18000+28000=72000
ブロークンハート(B):P9000+2000+8000÷14000=33000
サウザンドレイ:P7000+10000+14000=31000
鈴仙は全ての手札を使い切り、最低パワーはサウザンドレイのパワー31000、ヴァンガードに至っては72000と言うやや可笑しなパワーアップを果たし、更にサウザンドレイを敢えて前列に移動させた理由はスタンドトリガーであるリフロスを引き当ててサウザンドレイをスタンドさせて再度アタックさせる際にパワーライン31000以上を維持させる為の選択であり、先程の衣玖同様このターンで決め切るつもりでいる事は明白であった。
衣玖の手札には完全ガードは1枚あったが、このパワーの前には最早ヴァンガードのアタックを防ぐ事にしか意味の無い盾にしかならず、他は素通ししてヒールトリガーを引く賭けに出なければ生き延びる事が不可能だと悟っていた。
そして鈴仙の一連の動きを見ていた実況や解説を含めた全員は開いた口が塞がらず、特に豊姫は鈴仙の成長振りに驚きを隠せずにいた。
更に蓮子は一度戦った鈴仙の事が気になりチラッと見ていたが、その実力は明らかに自分がファイトした時以上であり、あの時は手加減されていた事を本能的に悟り、何故鈴仙がファンタズムカップ本選に出場出来る実力を持ちながら敢えて手加減してファイトしたのかその意味を考え出し、其処に博麗の巫女特有の勘が働き鈴仙の背後にブライトが居た、そんな確信めいた直感が蓮子の中で生まれていた。
「(…そう、アンタは鈴仙にまで協力者として私達にぶつけてた訳ね。
永琳さんは完全にあの時は敵だとして、それとは別に……私の実力を引き出させる為に……だったらアンタの思惑全部乗り越えてやるわよ、私達は!)」
蓮子の勘がブライトの影を捉え、その思惑を超えると考えた瞬間、鈴仙も動き出し衣玖にアタックを仕掛け始める。
「サウザンドレイでヴァンガードにアタック‼︎「ダメージチェック‼︎『ドラゴンダンサー アナスタシア』(完全ガードが…‼︎)」
ラジエル、ヴァンガード にアタック‼︎「アナスタシアで完全ガード‼︎」
もうその盾に意味は無いわ、トリプルドライブ‼︎『ドクトロイド・リフロス』『醒』
スタンドトリガー、サウザンドレイをスタンドしてパワー+5000‼︎
セカンドチェック‼︎『ミリオンレイ・ペガサス』
サードチェック‼︎『ナース・オブ・デンジャーハート』『☆』
クリティカルトリガー、全てサウザンドレイにプラス‼︎
もう一度サウザンドレイでアタック‼︎「……これまでですね、ですが、毒心のジン、ヴィアンネ、ドラゴニック・デスサイズ、マイティボルトでガード、インターセプト‼︎」
ブロークンハートでアタック‼︎「ノーガード‼︎『ジャギーショット・ドラグーン』
…負けました」
ええ、私の勝ちよ」
サウザンドレイVSヴァンキッシャー:31000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ドラゴンダンサー アナスタシア』
ラジエルVSヴァンキッシャー:72000VS11000+0=完全ガード
トリプルドライブ『ドクトロイド・リフロス』『醒』『ミリオンレイ・ペガサス』『ナース・オブ・デンジャーハート』『☆』
サウザンドレイ:P31000+10000=41000、C1→2、スタンド
サウザンドレイVSヴァンキッシャー:41000VS11000+10000×2+5000×3=ガード成功
ブロークンハート(B)VSヴァンキッシャー:33000+7000VS11000=ヒット
ダメージチェック『ジャギーショット・ドラグーン』
鈴仙:WIN
衣玖:LOSE
サウザンドレイの2度のアタックを一度受けダメージ5、更にラジエルは完全ガード、スタンドしたサウザンドレイのアタックは手札を全て使い切った上でインターセプトまで入れて漸く防ぎ切れたが最後のブロークンハートは如何足掻こうと防ぎ切れず衣玖の敗北が決定し、鈴仙がファイトに勝利する。
一方小傘はチーム内で1番早く勝利を収め、ルナサをグレード3にする前に決着を付けていた。
「いぇーい、皆驚いたかな!」
「……まさかグレード3にライドする前にやられるなんて……衣玖も負けたから私達のチームは敗退決定ね……」
ルナサ、衣玖の2人が敗北した為チームブルーゲイルは此処で敗退が決まり、残るリューサンが勝てば完敗は防げると言うチームスカーレットデビルズと同じ状況を作れる事になった。
そしてファイトはリューサンのターン、『煉獄皇竜 ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート』の
「行くぞ、ザ・グレートでバトルシスター まかろんをアタック‼︎「ファーゴのスキルが付与されたオーバーロードのアタックなんか食いたく無いわ、『バトルシスター しょこら』で完全ガード‼︎」
ツインドライブ‼︎『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』『槍の化身 ター』『☆』
クリティカルトリガーダブル、ヴァンガードとリアガードにそれぞれ付与‼︎
更にザ・グレートの
俺は先程引いたクリティカルトリガー2枚をコストとしてドロップし、ヴァンガードをスタンドさせる‼︎
今度は『バトルシスター じゅれ』に
しかしダメージに3枚目がある、今度はもう防がせないさ!
ツインドライブ‼︎『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』
再びクリティカルトリガーダブル、今度はメナスレーザーに全て付与‼︎
我が竜達の一閃、その身で受けよ、バイオレンスホーンのブースト、メナスレーザーでラストアタック‼︎「受けるかぁ、完全ガード‼︎」
なっ、手札に4枚目を既に確保していたのか…⁉︎
ターンエンド…‼︎」
煉獄皇竜 ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート:P11000+9000=20000、C1、レギオンメイト:『煉獄竜 ドラゴニック・ネオフレイム』
煉獄竜 メナスレーザー・ドラゴン:P9000、C1
バトルシスター じゅれ:P11000+9000=20000、C1、レギオンメイト:バトルシスター ぷてぃんぐ
オーバーロード・ザ・グレートVSまかろん:20000VS9000+0=完全ガード
ツインドライブ『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』『槍の化身 ター』『☆』
オーバーロード・ザ・グレート:20000+5000=25000、C1→2
メナスレーザー:P9000+5000=14000、C1→2
オーバーロード・ザ・グレート:スタンド
オーバーロード・ザ・グレートVSじゅれ:25000+7000VS 11000+0=完全ガード
ツインドライブ『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』『煉獄竜騎士 トゥーヴァー』『☆』
メナスレーザー:P14000+10000=24000、C2→4
メナスレーザーVSじゅれ:24000+7000VS11000+0=完全ガード
リューサン:手札:4 ダメージ:1/4
輝夜:手札:1 ダメージ:1/4
リューサンのザ・グレートのアタック2回、クリティカルトリガーダブル2回を含めた全てのアタックを完全ガードで防ぎ切り、会場に居た全ての者達を沸かせる。
対峙していたリューサンも輝夜が完全ガードを3枚握っていた事に驚愕し、次は自分が何としても攻撃を防がねばならないと感じ取り表情に焦りが生まれていた。
「さあ行くわよ、私のターン、ドロー‼︎
リライド、バトルシスター じゅれ‼︎
更にシークメイト、クリティカルトリガー4枚をデッキに戻し、最後のぷてぃんぐと
更に『バトルシスター れもねーど』をコールして
これにより3ドローして引いたたふぃーを捨て、更に今コールしたれもねーどの前列にまかろんをもう1体コール‼︎「くっ、防ぎ切れない…クリティカルを引かれたら終わりか!」
お察しの通りよ、これで決める‼︎
中央のれもねーどのブースト、じゅれとぷてぃんぐで
これがトドメの一撃、ツインドライブ‼︎『バトルシスター じんじゃー』『☆』『サイキック・バード』『☆』
クリティカルトリガーダブル、これでダメージ3は確定、パワーは左右のまかろんに振るわ‼︎」「くっ、ダメージチェック‼︎『ドラゴニック・バーンアウト』『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Яe-birth’’』
……完封か、無念だけど準決勝進出おめでとう、チーム蓬莱傘の皆」
じゅれVSオーバーロード・ザ・グレート:20000+5000+3000VS11000=ヒット
ツインドライブ『バトルシスター じんじゃー』『サイキック・バード』『☆』
ダメージチェック『ドラゴニック・バーンアウト』『ドラゴニック・オーバーロード ‘‘The Яe-birth’’』
輝夜:WIN
リューサン:LOSE
リューサンはトリガーが出ない事に賭けたが輝夜はお返しと言わんばかりに再ライドしシークメイトで4枚のクリティカルトリガーをデッキに戻し、そのままクリティカルトリガーダブルを引きダメージ6にし勝利を収めた。
チーム尸解仙の面々はこのファイトを見て1回戦よりかは退屈しないファイトになると予感し不敵な笑みを浮かべていた。
こうしてチーム蓬莱傘は完全勝利となり、準決勝へと駒を進める事になった。
それらを見ていた蓮子やチルノ達は輝夜達もまた強敵であり、もし決勝まで進めば彼女達か布都達チーム尸解仙と戦う事になると思い気を引き締めていた。
そして同時に、このファイトが終わった事によりチームファンタズマとチームストームファイターの試合が始まる事を意味し、それを互いに認識し合い近場に座っていた両者は火花を散らし合っていた。
「…うむ、どうやら輝夜達のファイトが終わればああいよいよ進化した神秘のベールに包まれていた俺達のカーテンコールのファイトが始まるのだなと言う事がチルノ達にも分かっていたなと言うか鬼なった。
なら、やる事は一つだなという事も確定的に明らか!」
「そうだね〜、小悪魔とファイト出来ないのは残念だったけどブロントさんや蓮子達がどれ位強くなったのか興味があったからこれはこれで楽しみだな〜と思ってたよ。
……やるからには、簡単に負けてくれないでよ、チームファンタズマの人達?」
「ええ、私達は簡単には負けてやらない、寧ろ勝ってやるわ‼︎」
「面白いじゃん、ならその言葉、そっくりそのまま返してやろーじゃん‼︎」
「(……大丈夫、蓮子達は強くなれた。
私も運命になんか負けないって誓った、だから此処で止まってなんかやらないわ。
絶対チルノ達にも、他のチームにも勝って、アイツの鼻っ柱をへし折って私の中の運命の修正力にも勝つんだ‼︎)」
全員がやる気に満ちた表情で負けないと言う感情をモロに出し合っている事を両方のみならず、周りにいた観客にまで伝わりもういつこの熱気が爆発するか分からなかった。
その中でメリーは蓮子と同じ思いを持ちつつもう一つの決意を強く胸に秘め、より一層の闘志を燃やしていた。
そして互いに互いの闘志を確認し合った後互いの控え室へと向かい始めた。
勝利の女神はどちらに微笑み掛けるか、それはまだ誰にも分からない。
そう、ファイトをする本人達にも…。
此処までの閲覧ありがとうございました。
前書きにも書いた様に蓮子達のファイトを早く書く為に今回は巻き巻きなファイトになってしまいました、本当に申し訳ありませんでした。
いずれ彼女達(特に小傘と輝夜、ブルーゲイル全員)のファイトはしっかりと描きたい思いはこちらもありますのでその時まで彼女達のしっかりとした活躍を待っていて下さいませ…。
次回からはチームファンタズマVSチームストームファイター、つまり蓮子達のターンが回ってきます。
此処で蓮子、メリー達が如何にファイトし、勝利を飾るのは何方か楽しみに待っていて下さいませ。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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第104話「VSストームファイター①:ルーミアの本気、麟の敗北」
遂にヴァンガードはVシリーズからDシリーズになり、更に10周年を迎えてしまいました…思えばかなり思い出が染み付いた物です。
自分は筆談スピードが亀なのでこのままだと完結にかなり時間を要する事になりそうですがそれでも完結まで何とか頑張って行く所存でございます。
なのでこれからも自分の作品を見て下さって頂けるなら幸いです。
では、長い前書きは此処までにして本編へどうぞ。
控え室に来る途中、蓮子達はチームブルーゲイルとすれ違うように対面し、その際ブロントさんとリューサンは互いに拳の底を無言でコツンと合わせ、菫子と麟はこれは2人なりの挨拶であり、全力を尽くして騎士の誇りを見せようと言うある種の誓いの儀でもあると説明し、菫子達はルナサ達と短く会話し、知らない仲では無い為2人の分まで頑張ると言って菫子はガッツポーズを、麟は力強い笑顔を見せるのであった。
対して蓮子達は初対面の為頭を下げて挨拶をするとリューサンが前に出て2人に言葉を交わし始める。
「君達が菫子さんと同じ秘封倶楽部の名を掲げる2人組、宇佐見蓮子さんとマエリベリー・ハーンさんだね。
私の名はリューサン、君達の事は彼、ブライトからある程度聞かされてるよ「あ、リューサンその話は」良いんだ衣玖さん、どうせ後で私達も彼の話に絡んでいる事は分かるんだ、なら此処で話した方が礼儀だと言う物だよ」
「またアイツの……」
「一体どれだけの人に…「まぁ、私はそれを抜きにして君達と全力でファイトをしたかったが、巡り合わせが無かったとしか言えないな。
ただ、何れは君達と全力でファイトをしたい、だから君達はこのまま突き進んで欲しい。
彼の思惑では無い、君達の道をね」……成る程、リューサンは紳士的な人なんですね。
ええ、私達は私達の道を走ります、その過程でリューサン達にぶつかれば全力でファイトをしますから覚悟して下さいね!」
リューサンは自身達がブライトと関わり合いがあった事をいの1番に話し、だがそれに関係無しに一ヴァンガードファイターとしてファイトしたいと言う紳士的な態度に蓮子とメリーはブライト関係にある警戒心を解き、自分達も全力で戦いたいと告げ、それに満足して頷いたリューサン達は最後に「良いファイトを」と言いその場を去って行った。
そして控え室に着くと5人はそれぞれデッキ確認をし、メリーはつい昨日見た悪夢をふと思い出しそれを振り払う様に首を振り、次にブライトから言われた『今は使えないGユニット』を2枚だけ入れて少々肩に力が抜けない様な集中をしていた。
すると蓮子が肩を叩きメリーに声を掛ける。
「大丈夫よメリー、メリーなら絶対今度は乗り越えられる。
相棒の私が保証だってするわ」
「蓮子…」
蓮子の力強い言葉にメリーは自然と肩の力が抜け、その周りを見ればプロントさんが、麟が、菫子が同じ様にメリーを見つめ、今ならば頼もしい仲間達の信頼が力となってくれると不思議と思う様になり、もう一つ見た夢であるファンタズムカップ優勝を果たす事が夢で無くなる予感を感じ取った。
それからメリーは一度瞳を閉じて深呼吸をして皆に向き直りながら蓮子と同じ様に力強い表情を浮かべ直していた。
「…ええ、そうね。
今なら私も大丈夫だって思えるわ…皆余計な心配掛けたわね。
ファンタズムカップ本選、絶対勝ってブライトのバカの鼻を明かしてやるわよ!」
『その調子よメリー!/勿論!/はい!/確定的に明らかなんだが!』
メリーの言葉にに全員頷きながら返事をし、控え室の空きスペースで全員円陣を組み右手を重ね合わせ、誰が初めに手を上げる仕草をしたかは定かでは無いが全員が同じタイミングで手を上げ全員の心は一つだと言う証明を示した。
そしてそのまま控え室を出てファイト会場へ向かうのであった。
同時刻、チルノ達チームストームファイターもまた蓮子達のリベンジマッチと、ファンタズムカップ優勝と言う目標に闘志を燃やし、誰も言葉は発しないが、それはもう無駄な言葉は不用、ただ蓮子達に勝つと言う目の前の目標に全力を注ぐだけと言う事を理解し合うが故の物である。
そしてチルノを先頭に控え室の扉を開け、蓮子達との決戦場へ赴くのであった。
そして両者がファイト会場に着き、観客席では無く一ヴァンガードファイターとして相対し、互いに互いの闘志を肌で感じこれから起きるファイトに様々な想いを馳せていた。
「さあいよいよ第3回戦、チームストームファイター対チームファンタズマのファイトになります‼︎
先に申し上げた様にチームストームファイターは前評価を覆し本選出場し、チームファンタズマは初出場でありながら予選を通過したダークホース同士のファイトとなります‼︎
何方が勝つか全く予想出来ないこの試合が、たった今より始まります‼︎」
射命丸の大袈裟とも取れるチーム解説に観客席は熱を持ち、特に有名なファイターであるブロントさんがその場に居た為皆そちらの方に注目をしていた。
無論それはただの観客のみならず本選出場チーム全員がブロントさんのみならず蓮子達にも注目していた。
そしてその中でも一際強い視線を向けていたのはチーム尸解仙の全員とチーム汚忍LSの汚い忍者、更にチーム蓬莱傘の鈴仙であった。
「(宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、果たして何方が『特異点』か……この試合で両者のストライドフォースを計測すればそれも大体は結論が出る。
だが如何に『特異点』であろうとも弱ければ意味など無い、故に見せて貰おうぞ、未来世界の秘封倶楽部の実力とやらを…!」
「(さあブロント、俺に見せやがれ。
俺を滾らせ、冷めた熱を再び燃やすお前のファイトをな‼︎
ついでにだが、ブライトの野朗の思惑通りになるのは癪に触るが奴が幻想郷の未来を担うと言った2人の実力も見せて貰うぜ)」
「(蓮子、メリー、貴女達が永遠亭での死線を潜り抜けた後にどれだけ成長したか見せて貰うわ。
ブライトの思惑…『あのプラン』の中核を担うに相応しくなったか、そしてそれを抜きにしても私が本気で戦いたいと思えるかをね…!)」
三者三様の思考をしながら蓮子、メリー達を見やる。
そしてその期待等を混ぜ合わせた思惑が交錯する中遂に両チームの対戦カードが決まり、それぞれルーミア対麟、ミスティア対ブロントさん、リグル対菫子、大妖精対蓮子、そしてチルノ対メリーとなり、チルノにとってはメリーへのリベンジマッチであり、メリーにとっても幻想郷に来た当初以上に成長したチルノと言う強敵とのファイトとなった。
そしてそれぞれが相手と対面する様に並び替えた瞬間全員の足元からギアースのデッキ登録台が現れ、全員デッキを置きデジタルテーブルとデジタル化された手札が目の前に浮かんでいた。
そしてそれぞれ手札交換をし、登録されたFVに手を掛け、実態は無いがカードは其処にあると言うギアースの感触を確かめながら試合開始の合図を全員目の前の相手に勝つ事のみを考えながら待っていた。
「では準備も終わりましたので〜、第3回戦、開始ぃぃぃ‼︎」
『スタンドアップ・「THE!」ヴァンガード‼︎』
「『春待ちの乙女 オズ』!」
「『グリーディ・ハンド』!」
「『閃きの騎士 ミーリウス』!」
「『
「『マシニング・リトルビー』!」
「『祈りの神器 プレイ・エンジェル』!」
「『テレスコープ・ラビット』!」
「『道標の賢者 エルロン!』」
「『士官候補生 アンドレイ 』!」
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
全員がFVをスタンドアップさせ、第3回戦の火蓋が切って落とされた。
この試合で先ずは麟とルーミアが先鋒の如く動き始める。
「私のターン、ドロー!
『ディメンジョン・クリーパー』にライド!
グリーディ・ハンドはヴァンガードの後ろに移動!」
グリーディ・ハンド:P5000、C1
ディメンジョン・クリーパー:P7000、C1
「(ディメンジョン・クリーパー、ソウルにあのカードがある時、ソウルからディメンション・クリーパーをドロップすれば
なら長期戦を仕掛ければ勝てませんね!)私のターン、ドロー!
『萌芽の乙女 ディアン』にライド!
オズは中央後列に移動させ、アタックします!「ノーガード」
ドライブチェック!『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
ヒールトリガー……パワー付与を省略してターンエンドします!」
春待ちの乙女 オズ:P5000、C1
萌芽の乙女 ディアン:P8000、C1
ディアンVSディメンジョン・クリーパー:8000+5000VS 7000=ヒット
ドライブチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
ダメージチェック『ヒステリック・シャーリー』『引』
ディアン:P13000+5000=18000、ダメージ回復無し
ディメンジョン・クリーパー:P7000+5000=12000、1枚ドロー
麟:手札:6
ルーミア:ダメージ:1 手札:6
麟の攻撃はダメージが回復しない状況でヒールトリガーを引き当てる所謂『無駄ヒール』と言うデッキ内のヒールトリガーを減らすだけの物になったが、麟自身はシールドを増やせたと割り切りターンを終える。
一方ルーミアはダメージトリガーでドロートリガーを引いた為次のターンに自身の理想的な盤面にする準備が整いつつあった。
残りはキーカードとなるG2のユニットを引き当てるだけ、しかしルーミアは引き当てられない軟弱な考えを初めから捨てている。
何故なら、彼女は引くと決めたら意地でも引き当てる折れない意志を持っているからだ。
非公式の大会、フリーファイトなら無論そんな意地は通さない、全力で楽しむ方へとシフトさせる(相手が小悪魔以外なら)。
だが此処は公式大会、それもファンタズムカップ本選、幻想郷で1番のファイター、チームを決める大会だ。
ならばチームの勝利の為、ファンタズムカップ優勝と言う目標の為に、ルーミアは全力を引き出して勝利をもぎ取るのだ。
「私のターン、ドロー!
行くよ麟、私の本気のギアに全力で付いて来るんだよ、じゃなきゃ……あっさり落とすよ?
『退廃のサキュバス』にライド‼︎「退廃のサキュバス⁉︎
そのカードは…!」
そう、今麟が考えた通りだよ、私のデッキコンセプトは。
だからさ、それを如何やって崩すか考えるのだ〜…ってね。
先ずはグリーディ・ハンドのスキル、
更に『ドリーン・ザ・スラスター』をコールし退廃のサキュバスのスキル、私の他の〈ダークイレギュラーズ〉のユニットがコールされたら
そして…もう2体のドリーンをコール、そして
今のソウルに入ったユニットはそれぞれ『フライング・ライブラリアン』が1枚、更にディメンジョン・クリーパーが2枚…これで計4枚のディメンジョン・クリーパー全部がソウルに来た事になるわ。
でもまだまだ、此処から私は更にコールする‼︎「こんな序盤で⁉︎
しかもこれ以上はトリガーを吸う可能性すら」
関係無い、トリガーが入ったら入ったで仕方無し、それが私の『真剣勝負』モードだから。
『媚態のサキュバス』を2体コールして退廃のサキュバスのスキルを2回発動、更に媚態のサキュバスのスキルでコールした時に
そして最後に『キリング・ドールマスター』をコールして退廃のサキュバスのスキル発動、
ドリーン3体は当然パワー+3000‼︎「手札もこんな序盤から使い切るなんて、この戦略は〈ダークイレギュラーズ〉の定石から逸脱して…返しのターンが怖くないんですか、ルーミアさん⁉︎」
怖い?
怖がってばかりじゃファイトで勝ちを捥ぎ取るなんて出来やしない、そして本気の私にはそんなリスクなんか関係無い、そんな石橋を叩いて渡る慎重なファイトは小悪魔の『アモン』軸の超パワーや序盤からガンガン押し込んでくるデッキになんか通じない……ならばこそそれを上回る様に私が序盤から押し潰すだけなのだ〜ってね‼︎」
退廃のサキュバス:P9000、C1
ドリーン・ザ・スラスター:P6000、C1
媚態のサキュバス:P9000、C1
キリング・ドールマスター:P7000、C1
ドリーン(A):P6000+3000×6=24000
ドリーン(B):P6000+3000×5=21000
ドリーン(3):P6000+3000×4=18000
ルーミア:ダメージ:0/1 手札:1 ソウル:9(ディメンジョン・クリーパー×4、『フライング・ライブラリアン』、グリーディ・ハンド、『ブリッツ・ハンター』『☆』、退廃のサキュバス、『仮面の王 ダンタリアン』
布陣
キリング 退廃 媚態
ドリーン(B) ドリーン(C) ドリーン(A)
「おおっとルーミア選手、第3ターンから手札が1枚になる事を厭わずフル展開とドリーン・ザ・スラスターのパワーを爆上げして来たぁ‼︎
解説のはたて、これはどう見ますか⁉︎」
「どう見るも何も序盤からパワーを上げて下手なガードをさせない様にして相手にダメージを蓄積させて自分は飄々とするとしか見えないわよ!
こんな戦い方、『アモン』軸でも手札周りが良く無いと余りやらないしそもそも第4ターンのヴァンガードのアタックでクリティカルトリガーが捲れたら一気に逆転を許す博打も良いとこな何も考えない突貫戦略よこんなの‼︎」
「しかしソウルに4枚ものディメンジョン・クリーパーが入ってしまい何時でもあのカードのスキルで
…何やら嫌な予感しかしない布陣ですね、これは」
実況、解説の文とはたてもルーミアの戦略に混乱し何故こんな捨て身の戦法を取ったのか理解出来ずにいたが、豊姫は冷静にソウルや盤面を見てドリーンの強化を限界まで行うこの戦略に背筋が凍りそうな何かがあると感じ冷や汗をかいてしまっていた。
「さあ行くよ、先ずは1番最初にコールしたドリーンのブースト、媚態のサキュバスでヴァンガードにアタック‼︎「(この手札では守り切れません…なら)ノーガード、ダメージチェック‼︎『メイデン・オブ・グラジオラス』」
次退廃のサキュバスでヴァンガードにアタック‼︎「ノーガード‼︎」
まぁ序盤から完全ガードとか切りたく無いよね、ドライブチェック‼︎『悪夢の国のダークナイト』『☆』
クリティカルトリガー、クリティカルはヴァンガード、パワーは勿論キリング・ドールマスターに‼︎「クリティカル⁉︎
ダ、ダメージチェック‼︎『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ 』『メイデン・オブ・フラワースクリーン』
ノートリガー…これではガードが…!」
さあさあ休む暇は無いよ、キリング・ドールマスター、2番目にコールしたドリーンのブーストを受けてアタック‼︎「っ、ノーガード‼︎『ウーント・タナップ』『引』
ドロートリガー、1枚ドローします…‼︎」
さあダメージ4、追い込んだよ、ターンエンド‼︎」
ディアンVS媚態のサキュバス:P8000VS9000+24000=ヒット
ダメージチェック『メイデン・オブ・グラジオラス』
ディアンVS退廃のサキュバス:P8000VS9000+18000=ヒット
ドライブチェック『悪夢の国のダークナイト』『☆』
退廃のサキュバス:C1→2
キリング・ドールマスター:P7000+5000=12000
ダメージチェック『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』 『メイデン・オブ・フラワースクリーン』
ディアンVSキリング・ドールマスター:P8000VS12000+21000=ヒット
ダメージチェック『ウーント・タナップ』『引』
麟:ダメージ:4 手札:6→7
ルーミアの全ラインパワー底上げによるアタック+クリティカルトリガーと言う猛攻によりダメージ4となった麟はドロートリガーで手札が増えても焼け石に水程度にしかならない手札内容により次のターンで何をすべきか、何が正解なのかを選ばなければならない状況に迫られ本気のルーミアの実力を改めて思い知らされる事になった。
そしてこの場面で不正解を当ててしまえば最早詰み、次のドローで何を引くかどうかでも返しのターンで詰み、そんなプレッシャーが伸し掛かる状況下に入り頭の中で展開を考えつつデッキトップをドローしようとしていた。
「私のターン、スタンド&ドローします‼︎(…引いたのは『メイデン・オブ・パッションフラワー』、完全ガード…これなら1回はアタックを防げます…後は……)
『開花の乙女 ケラ』にライドします‼︎
次に『メイデン・オブ・フラワースクリーン』をコールします‼︎
…私はこれでバトルフェイズに入ります、メイデン・オブ・フラワースクリーンでキリング・ドールマスターにアタックします‼︎「ふむふむ……ならノーガード」
(通った、これでドリーンが11回パワーアップする事が無くなった、後は…』オズのブースト、ケラでヴァンガードにアタックします‼︎「ノーガード」
ドライブチェックします‼︎『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
クリティカルトリガー、パワーとクリティカルはケラに与えます‼︎「ダメージチェック『ブレイドウイング・レジー』『悪夢の国のアリス』『治』ヒールトリガーだけどダメージ回復無しだね」
ターンエンドします‼︎(これでガード値も一応確保出来ました…後はルーミアさんのカード次第ですが…)」
開花の乙女 ケラ:P10000、C1
メイデン・オブ・フラワースクリーン:P9000、C1
フラワースクリーンVSキリング・ドールマスター:P9000VS7000=ヒット、退却
ケラVS退廃のサキュバス:P10000+5000VS 9000=ヒット
ドライブチェック『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
ダメージチェック『ブレイドウイング・レジー』『悪夢の国のアリス』『治』
麟:手札:7
ルーミア:ダメージ:3
麟は前列リアガードのみをコールし、本来なら展開出来たG1もガードに回してルーミアが次に如何来るかを考察しつつ残りは自身の引き次第とも考え、返しのターンに備える。
しかし……ルーミアはそれに対して不敵な笑みを浮かべ、麟はそれを見て訝しんでいた。
何故ルーミアは此処まで余裕な笑みを浮かべているのか理解出来ずにいた。
するとそんな麟の心情を察してかルーミアは口を開き始めた。
「何故笑っていられるかちょっと分からないって感じだよね麟?
その理由、単純に説明するなら今の所思った通りにファイトが進んでるから、だよ」
「思った、通りに…?」
「そう、この状況になれば麟はガード値を高める為に後列にリアガードを出さない事、キリング・ドールマスターをアタックする事、そして私のダメージに媚態のサキュバスが落ちなかった事……これらが上手く噛み合った事、そして麟の今のトリガーの出方も先ず良かった事。
ヒールトリガーを出されたら次のターンで決められる確率が大幅に下がるから出るなって考えてたけど、もうその心配もしなくて良いやってなったから「次のターンで決める、つまりファイナルターンと?」そうなのだ〜ってね。
……正直な所、麟の引きには少し満足出来ない点が幾分かあってね、だからもう幕引きにしたかったんだ、このファイトそのものにね…ファイナルターン‼︎」
ルーミアは此処まで自身の予想通りにファイトが進んでいた事で遠回しに勝利を確信したと捉えられる言葉を発し、そしてファイナルターンを直ぐ様宣告、実況達も驚かせ、麟もその気迫に手に緊張が走り、何が来るのか…否、ルーミアの切り札は既に知っている。
ならそれが来ると確信し何としても防がねばならないと考えていた。
「ドロー‼︎
その刃翼をはためかせ、凡ゆる夢、欲望、全てのを切り裂き取り込め‼︎
ライド、『ブレイドウイング・レジー』‼︎
レジーのライド時スキル、〈ダークイレギュラーズ〉のリアガードを1体選び、デッキから同名カードを3枚まで選びソウルに置く‼︎
私は媚態のサキュバスを2枚選んでソウルに‼︎
そしてメインフェイズ、ソウルのディメンジョン・クリーパー4枚のスキル発動、このカードをソウルからドロップして
更にメインフェイズ中にソウルが増えたのでドリーン3体はパワー+3000を8回発動する‼︎
さあ上からブレイドウイング・レジー、キリング・ドールマスター、退廃のサキュバス、『フラグ・ブレイカー』、『仮面の王 ダンタリアン』、『フライング・ライブラリアン』、更にダンタリアン、そしてキリング・ドールマスターがソウルに入ったわ‼︎「っ、全てノーマルユニット⁉︎」
更に『悪魔の国のダークナイト』をコールしてスキル発動、ソウルに移動させ1番目にコールしたドリーンにパワー+3000、そして更にソウルが増えたから全てのドリーンはパワー+3000が9回分発動し、1体目のドリーンは実質10回分のスキルが発動した事になり、そして最後に『フライング・ライブラリアン』をコール‼
仕上げにレジーのスキル、ソウルが15枚以上あるので私のターン中クリティカル+2を得る‼︎」
ブレイドウイング・レジー:P10000、C1→3
フライング・ライブラリアン:P8000、C1
ドリーン・ザ・スラスター(A):P6000+3000×10=36000
ドリーン・ザ・スラスター(B&C):P6000×9=33000
ルーミア:手札:0 ソウル:19
「ル、ルーミア選手全ラインのパワーを41000以上にまで引き上げました‼︎
更にブレイドウイング・レジーはクリティカルが3になり、このアタックには絶対に完全ガードを使わざるを得なくなってしまいましたぁ‼︎」
「オマケにソウルに入ったユニットは手札からコールしたダークナイト以外全てノーマルユニット、あのデッキにはまだ12枚もトリガーが眠ってる事になります!
ルーミア選手の引き次第では本当にこのターンで勝敗が決まってしまう恐れがあります‼︎」
「麟選手のデッキタイプは
何時の時代も相手に実力を発揮させる前に倒すのは定石とされますが、此処まで上手く事を進めてしまうその引きの強さ、更にファイト展開のコントロール…ルーミア選手もまた超一流のファイターと言える実力者である事は最早此処までのファイトを見れば窺い知れてしまいますね…」
麟の予想通りにルーミアの切り札、レジーが現れ、更にディメンジョン・クリーパーのスキルで入ったカードは直ぐノーマルユニットだった為まだデッキの残り25枚中12枚はトリガーであり、最悪クリティカルトリガーが2枚出てしまう可能性すら高く、麟は手札確認をするが矢張りクリティカルトリガーが2枚出てしまえばガードをし切れない為そんな状況にならないで欲しいと言う不安などの感情が表情に表れていた。
それを見てルーミアは不敵な笑みを浮かべたまま再び口を開き始めた。
「…『ファイトにはその人間の全てが表れる』「その言葉は…⁉︎」私のファイトで麟から見える物は、それは間違い無く理不尽な蹂躙だよね、だからこそ最悪の展開に恐れが表れてしまう。
でね、私から麟のファイトを見るとね…お手本、基本的な事を堅実に守りつつ勝利への道を開く、そして防御を捨てるとすれば堅実に勝てる場面に入った時、そしてある程度ファイトが進んでそうした方が良いかもしれないと判断した場合だけ、なんだよ。
私はチームファンタズマの、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンとその近くに居たファイトを全てチェックして来た、だからこそ麟のファイトがそんな風だって言えるんだ……つまりは私のファイトと麟のファイトは相性が最悪、何が何でも速攻で全てを決める私と基本的に堅実麟ではこうやって第5、6ターンまでにはファイトの結果が見えるんだ。
もしも麟がさっきのターンでヒールトリガーを引けてたらまた違う結果になったかもだけど……たらればを語ったらキリがないから、結論から言ってしまえば私と当たった時点で麟は勝ち目が余り無かった、ただそれだけなんだよ」
「ファンタズマの、私達の全ファイトをチェック…まさか貴女は…「その先の答えを知りたかったら私に勝つ事、最もこの時点でもう私の価値はほぼ確定したから意味無いけどね」っ、まだです、まだ私は…‼︎」
「レジーでアタック、合計パワーは43000、クリティカルは3、さあどんな風にガードする‼︎「っ、完全ガード、コストはディアン…‼︎」
そう、レジーのアタックを確実に防ぎ、そしてダブルクリティカルが来ない事に賭ければそのガードが堅実。
だけど、此処からはもう私の独壇場、麟には勝ち目は無いわ‼︎『ブリッツ・ハンター』『☆』『悪夢の国のダークナイト』『☆』
クリティカルトリガーダブル、それぞれフライング・ライブラリアン、媚態のサキュバスに振り分ける‼︎「なっ……そん、な…⁉︎」
これが答え、もう麟はヒールトリガーに賭けるしか無い。
けど出るかは別、フライング・ライブラリアンでアタック‼︎「…ノー、ガード‼︎
ダメージチェック…『開墾の戦乙女 パドミニ』『ダンガン・マロン』『☆』
クリティカル、トリガー…」
ねっ、出るかは別でしょ?
恐らくだけどその手札にあるトリガーユニットはフェアリーライト・ドラゴンが2枚は確実、だから最初のトリガーチェックでフェアリーライト・ドラゴンが出た時出て欲しくなかったなんて表情を浮かべちゃったんだ。
まぁ、それが無くても私はこの手札の時点で序盤からガードなんか捨てて蹂躙する方針にしてたから関係無いけどね。
……取り敢えず1勝はこっちの物、悪く思わないで欲しいのだ〜ってね」
ケラVSレジー:10000+0VS10000+33000=完全ガード
ツインドライブ『ブリッツ・ハンター』『☆』『悪夢の国のダークナイト』『☆』
フライング・ライブラリアン:P8000+5000=13000、C1→2
媚態のサキュバス:P9000+5000=14000、C1→2
ケラVSフライング・ライブラリアン:P10000VS13000+33000=ヒット
ダメージチェック『開墾の戦乙女 パドミニ』『ダンガン・マロン』『☆』
麟:ダメージ:6 LOSE
ルーミア:WIN
たらればの可能性を排除しつつ麟のファイトを淡々と語るルーミアの言葉一つ一つに全て当て嵌り、その頬に汗が伝いルーミアの言葉に返す言葉が見当たらずにいた。
が、蓮子とメリー、その近くにいた者のファイトを全てチェックしていたと言う言葉、更に『ファイトにはその人間の全てが表れる』と言う現在蓮子とメリーと因縁深き人物、ブライトの言葉を使った事でルーミアはブライトと裏で繋がっており、『自分達を陰から見ていたのでは?』と言う疑念が生まれ、それを確かめざるを得なくなるも結局自身が想定した最悪な状況、クリティカルトリガーを2枚引かれてしまう事が現実となりそのままルーミアに敗北、チームストームファイターに1勝を許してしまう。
更にルーミアはフェアリーライト・ドラゴンが2枚と言う手札具合を淡々と言い、それすらも当たっておりルーミアの言葉通り自身のファイトとルーミアのファイトは相性が最悪であり、更にファイトの展開も初めからルーミアに傾いたままの物だったと認めざるを得なかった。
こうしてチームファンタズマは黒星を一つ抱えてしまい、残りの4人に後を託すしか準決勝に進めなくなってしまう。
麟はそんな自身に不甲斐無さを感じ、苦い敗北感が突き刺さったまま目を伏せるしか無かった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
麟はスタンドトリガーを2枚抜きドロートリガーを2枚投入して色々工夫していたのですが、ルーミアの本気モード(何時もののほほんとした態度から一転して文字通り真剣になり、相手を徹底蹂躙する理不尽状態になる)となり序盤から攻め立てられてしまい敗北となりました。
麟はこの敗北に如何なる様に成長するか、またチームファンタズマの他の試合がどうなっているかお待ち下さいませ。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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