いや、関わる気ないから (シロ)
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お主は何がしたい? ――特に何も――

暇つぶしに書いてみただけなので、気軽に読んでください
誤字、脱字、に関しては申し訳ありません


お主は何がしたい?

 

――特に何も――

 

 

お主は何が見たい?

 

――あ゛~、別に無いな――

 

 

夢は? 希望は? 何か一つぐらいあるだろう?

 

――いや?――

 

 

……少し起きろ

ん? なんだ? ここどこ?? 「ここは、挟間だ」

 

挟間?

 

「わかりやすく言うと、天国か地獄かを決める場所だ。つまり、お前は死んだ」

 

へー、で?

 

「何とも思わんのか? なぜ死んだのかや、お前が殺したのか! とか、とっとと特典をよこせだの、転生キタ━(゚∀゚)━!  と奇声を上げたり」

 

なんか、苦労してんだなお前。それに本当にお前に殺されてたとしても別になんとも思わん。だって前? でいいのか、そこで俺だって虫をただ子供の好奇心でかなりの数殺してるし、大人になってからだって歩いてるだけで踏み潰したやつだっでいるだろう。

もしそいつらが枕元にたってなぜ殺した! とか言われても「知るかっ」てなもんだ。よくそういう小説は見たがどんだけ傲慢なんだ、高々人間が一人死んだ程度で運命だの世界のバランスが! とかあるわけねえっつーの

 

「わかるか!! 嫌になったから、それからは無意識に直接語りかける形にしたのだが」

 

あれ? 俺は

 

「お主は尋ねても、まともな応えが返ってこないからこうして会話してるんだ」

 

すんません

 

「まあいい。とりあえず説明をするか。命というものは生前の行いで、ここで六道に分けられる。

簡単な例で畜生道なら牛馬など、お前から見て異世界と呼ばれる場所なら、スライム等のいわゆる人型以外の弱いモンスターが妥当だろう。修羅道なら人型モンスターや人間だが中世レベルの文明で戦争、飢餓、差別などが盛りだくさんな剣と魔法のファンタジーな世界へ御招待だ」

 

……俺はどうなんだ

 

「お主は、修羅道辺りなんじゃが、助けた人間がどうも、ほんの少し歴史に影響を及ぼす者なので一応、人間道にいけるぞ」

 

まあ、嬉しいんだが一応ってなんだ? すげー気になる

 

「区切られた世界、お主の世界から生まれた世界の人間。つまり物語の新しい登場人物として記憶を引き継いで生まれるんだ」

  

ん? 憶えてられるのか?

 

「うむ。本来は修羅道が妥当。しかし、努力や実力、そして徳といった魂の質により人間道に趣くのではないので、そこでお主らは堕ちるか昇るかもう一度試されるんだ」

 

はぁ、運も実力のうちとかは、人間側のエゴっていうことか。ていうかお主らってなに? あとこっちの方が六道輪廻に趣くよりいいんじゃないか?

 

 

「文字通りだ。なにも運のいい人間はお主だけでは無いということよ。あとこの世界でどれだけ聖人君子として振る舞っても人間界までしか行けんし、そのくせ徳を堕とすような振る舞いは即座に修羅、畜生、餓鬼、地獄といった風に反映される。それでどの世界がいい?本来はこのことを知らずに無意識の願いからその世界に送るのだが、まあお主だけの特典だと思え」

 

ん~~(とりあえず現代は確定だろ。次に日本。水が気軽に飲めないとかムリだし、コンビニも欲しいし、努力に徳ねぇ)

 

 

 

よし、決めた!

 

 

 




六道の意味が違いますが許して下さい


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それぞれの行動

「利秋、気を付けていくのよー」

「わかってるー、いってきまーす」

 

ふう、子供ってのは不便だねえ。あ、どうも今は6歳、ピカピカの小学校1年生で前田利秋って名前でやらしてもらってます。

 

とりあえずは図書館に向かってます。ん? ここはどこの世界の中だって? 原作表示みろよ。まじ恋だよ、いやービバ科学! 俺が小学校の頃なんか、ゲームボーイしか買ってもらえなかったのに入学のお祝いに64だぜ、まじありえない。だが、それがいい!

 

まあそれも株で儲けさしてもらってるからだけど。うんヤホー様様、そのために神童とはいかないまでも、かなりいろいろやらしてもらったからな。

 

この世界ってかなり元の世界に類似してるんだよな。まあパロディ全開だし、だからこそここを選んだんだし。

 

「おい、そっちボールいったぞ! カズ!」

そう言ってバンダナをした少年が赤い髪の男の子にパスをだした。

「うりゃー!」「くっそー、俺様の筋肉でも止められなかった」「岳人、しっかりー」「さすがカズね。あそこから決めるなんて」

楽しそうにサッカーをしている友達同士。そう、まるでなんの違和感もない普通の光景。

 

よくやる、俺ならあの年の子供に混じって遊ぶなんて苦痛以外でしかない

 

そう、風間ファミリーに軍師はいない。俺と同じようにここに来た転生者がそこに収まっている。どうもこいつはワン子が狙いのようだ。

 

 

俺には関係ないし、まあ今は図書館、図書館

 

 

到ー着、まずは「若、探してた本ってこれか?」「はい、それですね。有難うございます準」

「いや俺が見つけたわけじゃ」

「見つけたのはハゲじゃなくて、ぼくと晃だよー冬馬」

「おう。ハゲがまさか人の手柄を取るなんて」

「説明させなかったのはおまえらだろ!? あと俺はべつにはげてないからな!?」

「いやー将来そうなる気がする。ならなくても俺とユキがそうする」

「なんだその理不尽は!?」

 

うん、もうスルーで。オレはナニも見なかった。早く目当ての本を借りて「京、このあとおじさんに稽古つけてもらえるように頼んでもらえるかな」

「うん。誠人の頼みならお父さんも許可してくれると思う、あと大好き。」

「はは、ありがとう。僕も好きだよ」

 

もう勘弁してくれよ。今日は久々についてないな原作&転生者ばっかに会うとか。

本は・・・あった、とっとと帰ろう。

 

 

「おい、前田」

「ん? あー直江か、なんだ用事か?」

「あっちでかくれんぼしてて、そしたらお前が丁度通りかかったから声掛けただけだ。あとその本はなんだ?」

「あ?これは児童心理学に関する本だが」

「ほう、なるほど。それを読み今以上にクラスの者たちをコントロールするわけか。さすがは我が盟友。読み終わったら次俺に貸してくれ」

「ああ、わかった(コントロールって、まあ間違ってないけど。しかも盟友って)」

 

 

知ってはいたけどこうして目の前で中二病全開で喋られるのはきついな。ちょっと九鬼っぽいし

 

小1なんてのはまるで檻に入れた猿の群れみたいなところで、仕方がないからまとめ役をやったら、なんかちょこちょこ口を出してきたのがコイツだ。まあ他のやつよりかは話しが通じるので使ってたら、なんかいつの間にか盟友になっていた。

できれば原作組には関わりたくないのが本音なんだが、こいつなにかと使えるんだよ、やっぱ教育の賜物なのかね。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

転生者その1

里見和樹 前世では、とにかくお調子者。しかしまったく空気が読めない&行き過ぎてしまう性格のため最初は人気者なのだが後々はぶられるタイプ(そのため職場でも浮き、最後は左遷&リストラコンボ)。ハーレム願望の持ち主。直江大和の位置を奪い風間ファミリーの女子全員とウハウハを目指す(まったく前世での出来事を懲りていない)。だがすでに…

 

転生者その2

阿久津晃 前世では、計画は建てるが途中でめんどくさくなって投げてしまう性格のため、死ぬまでフリーター。今回こそはと原作に関わるにあたって、風間ファミリーよりS組メンバーの方が将来的になにかと都合がいいという理由で小雪に接触

 

転生者その3

名倉誠人 前世では虐められている友達を助けた代わりに自分が虐められ、さらにその友達にも裏切られているため、京なら助けた後に裏切らないだろう、さらに椎名流弓術を教えてもらえたら強くなれるという打算もあって関わることに。結局椎名流弓術は教えてもらうことは出来なかったが、ある程度は稽古をつけてもらえることに

 




基本チートは転生者は持ってません。しかし、リミッターはないので、頑張れば恩恵が受けられます


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いや、関わる気ないから 上

原作なら4、5年生の時リュウゼツラン・椎名いじめというイベントが起きるのだが、椎名いじめは転生者、誠人君の説得(武力による)により消滅。まあ元々椎名の性格も大分明るく改善されてたのもあるが。リュウゼツランもなぜか空地には咲かなかった

 

そのせいなのか、なんか一人だけものすごい荒れてたバカがいたが、まあ気にする必要はないだろ

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

おかしいだろ! なんでリュウゼツランが咲かないんだよ!

親が昔咲いてたからここにも咲くはずだってみんなにいったのに、咲かなかったせいでファミリーのみんなの態度もなんか最近おかしくなってきてるし

※単にワン子に向ける視線が怪しいから

他にも京の事もだ、なんだあいつは! 俺が助けて惚れさせるはずが調子に乗りやがって! 誠人とか言ったな、俺以外にも転生者がいるなんて聞いてねえぞ! ふぜけんな!

……しかも俺より強そうだし、なんだよあれチートだろ。百代を仲間にしようと近づいたらすげー目で睨まれるし。そのあと空地の件で原作通りに大和を弟分にしてるし。俺のハーレムがorz。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん? なんかへんな電波ひろった気がするけど気のせいか。

「おーい、帰ってこーい慶次」

「慶次どうした変な顔して。あ、それよりこの問題なんだが」

「慶次って呼ぶんじゃねえよ。なんども言わせんな、俺は利秋だ利益じゃねえ」

「いいじゃないか別に、たいして変わらないだろう」

「そうだ。おれが直江でおまえが前田なんだから兼続と慶次でふさわしいじゃないか」

「めっちゃ変わるし。全然ふさわしくねえし。意味わかんねえし。なんで俺がお前に仕える立場なんだよ、逆だろ。ていうかおれ武闘派じゃねえし、戦闘は百さんいれば十分だし」

「まあ確かに、私がいれば」

「それとその問題は……」

「最後まで言わせろ!」

「絞まってる、ほんとに絞まってるから…」

 

俺は原作に関わる気はこれっぽっちもないのになんでこんな目に。

はあ……あそこで面倒臭がらずにもう少しきちんと対応してれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空地の所有権?」

「ああ、そうだ。頼む! どうも俺だけじゃ上手く丸めこめなかった」

「「「頼むよ! 利秋君!!」」」

 

話を聞いてみると、どうも一つの空地で遊ぶグループが多数存在し、今まではたまたまカチ合わずにすんでたのと、揉めないよう先にいたら諦めて別の場所で遊ぶなどしてたらしいが、ついに上級生グループとうちの学年のひとつがぶつかったらしい。そのせいで、ほかの連中も巻き込んで所有権を主張し合う流れができてしまったと。

 

これは原作のあれだよな。あー今はユーロがやっと一斉流通が始まって流れに乗っておきたいから余計なことに労力は使いたくないんだがなー。どうするか、諦めは……しないだろうから、ここは原作通りに大和を生贄に特殊召喚するか

 

「生憎だが今回俺の出番はない」

「え!? なんで」

「落ち着けったく、話は少しだが聞いてる。初めにぶつかったグループは隣の風間のグループって聞いたがあってるな?」

「ああ、その通りだ」

 

「たしかあそこは島津っていう力自慢がいたはずだ。簡単には負けないはず。それでも収まらなかったんなら今回上級生はそれなりに数がいる。そして、大和が話で何とかしようとしても無理だった。多分そいつらに勝ったから調子にのってるんだろ」

「ああ、まるで聞いてくれなかった」

「なら俺が出てもたいした違いはない。今回は情報戦じゃなく武力戦だ」

「「「「…………」」」」

 

「おいおい、なんだよそのしけた面は」

「でも……」

「武力が無いなら用意すればいい。一つ上に川神院の娘がいるって聞いたことないか?」

「あ、俺知ってる。めっちゃ強くてだれも怖がって近づかないって」「俺も姉ちゃんに聞いたことある」「おれも」

「つまりその人を説得して仲間にしろと?」

 

「ああ、その通りだ。そういうのは俺よりお前の方が得意だろう、軍師。だからこそ今回は俺の出番はない。それとも俺がいなくちゃそいつを仲間にできないか?」

「……まあ、やるだけやってみるか!」

 

 

 

 

 

うん、なんとか上手くまとまったようだな。まあ調整と呼べるようなものじゃないが、それでも不平不満がそこまで大きくなることはないようにローテは組めたと思う。

「おい、おまえが慶次か?」

「ドチラさまでしょうか?(え!? なぜに百代)」

 




関わるのかよ!
と、つっこまれても運命には逆らえんとです
それでも必死にめんどくさいから。いや、関わる気ないから。と、言い続けるのが今作の主人公です


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いや、関わる気ないから 下

「おい、おまえが慶次か?」

「ドチラさまでしょうか?(え!?なぜに百代)」

 

「私は、川神百代だ。で、おまえが慶次であってるんだよな」

「ア~、イチオウ。本名は前田利秋でそれはあだ名です」

 

「ふーん、まあいいや。それで弟におまえがリーダーだと聞いたんだが」

「リーダーというよりはまとめ役ですね。みんなの意見が揃わなかったり、揉め事が起きた時等の」

 

「そうか、なら私も仲間に入れろ! 今まで私を怖がって誰も近づくことがなかったんだが、弟にどうすればいいか聞いたら慶次ならそんなこと気にしないはず、姉さんを仲間にするように案を出したのは慶次だ。と」

 

クソ大和、おぼえてろ

 

「基本、グループっていうか大和と俺の二人+αだし、仲間になるなら喋り方も年上だろうがタメ口だけどかまわないのか? 百さん(頼む、諦めろ)」

 

「百さん? それは私の事か? まあ別に構わんし喋り方も気にせん。よろしくな慶次」

「ああ、よろしく百さん(終わった…)」

 

        *'``・* 。

        |     `*。

       ,。∩      *    もうどうにでもな~れ

      + (´・ω・`) *。+゚

      `*。 ヽ、  つ *゚*

       `・+。*・' ゚⊃ +゚

       ☆   ∪~ 。*゚

        `・+。*・ ゚

 

 

 

 

 

 

 

こうなったら自棄だ。

 

 

「というわけで、祝! 百さん加入記念!リュウゼツランを川神院に移そうパーティを始めたいと思います!!」

「なあ弟、慶次のやつどうしたんだ?」

「さあ?なんか異様にテンション高いんだよね。(あー俺だけじゃ姉さんは制御できる気がしなかったから巻き込んだが、まさかこうなるとは)で、リュウゼツランてなんだ慶次」

 

 

「俺の名前は利秋! 慶次じゃねえ。あとリュウゼツランとは花が咲くまで数十年かかる、いわゆるセンチュリープラントといわれる植物だ。なんでも50年前にここに咲いていたらしい。なので咲く前にそれをより多くの人が見れるように移そうという計画だ」

「なるほど、ここにセンチュリープラントがあったとは、さすが慶次」

「うん? よくわからんがそのセンチュリーなんとかを植え替えればいいんだな。で、どれがそのなんとかなんだ」

 

「センチュリープラントね。その辺も抜かりはない、ちゃんと図書館でリュウゼツランの写真が有る図鑑を借りてきた。さあこれを頼りに手分けして探すぞ」

「よし! そういうのは俺に任せろ」

「いや、こういう足で探すのは私の方が得意に決まってるだろ弟!」

 

 

 

たぶんあの大和の代わりに入ったあいつはリュウゼツランのイベントも起こそうとするはず。ならばその前にリュウゼツランを移してしまえばそれもオジャン。まだこの段階じゃ見つけるのはかなり困難だろう。だからあいつも大きくなって区別がし易くなってから動き出そうとするはずだ、バカそうだし。ふふふ、おれだけが苦労するなんてのはナッシング! 恨みはないが巻き添えだ。

 

そんなことしたら徳や魂が堕ちるんじゃないかって?

そんなもんここで少人数に見るため、咲かすために台風の中、子供が夜出歩くよりここで移し替えて川神院でキチッと管理して、より大勢の人に楽しんでもらう方がいいに決まってるだろ?

なにより百代がいないんだからそんなことしたら大怪我をするやつが出るに決まってる

 

 

 

「「あったー!!」」

 

 

お、見つかったか。まあこんな草むらからあの笹の葉の集合体みたいな、なんの特徴もないものを見つけるのはもっと苦労すると思ったんだが、まあ早いにこしたことはない

 

 

 

ふう、見つけたのはいいがさすがセンチュリープラントってところか。根がとにかくしっかりしてるから一日じゃ終わらなかった。数日かけてなんとか移し終わったのがついさっき。もう日が暮れそうだ

 

「フォフォフォ、よくここまで運んできたもんじゃ」

「じじい、どーだ! 私たちが持ってきたんだ!」

「地味じゃの」

「うるさい!! これから大きく立派になるんだ! このブルマフェチ」「だれがブルマフェチじゃ!」

 

「ごめんネ、うるさくて。でも本当にいいのかい? 一般公開する時に君たちの名前を出さなくて。きっとたくさんの人たちから喜ばれるヨ?」

「別に目立ちたいからやったわけじゃないんで(そんなことしたら俺のことがバレる)構いません」

「俺はちょっと惜しいなと思いますが、慶次がこう言ってるのでそれでいいです」

【悪いな】【帰りにアイスおごりな】【おk】

 

 

 

約束通りアイスをおごった後、河川敷で人影を見つけた。あれはワン子か?なにしてんだあんなとこで?

まあ関係ないか「あれ? 隣のクラスの、たしか前田君」

 

 

まあ家が同じ区域だからワン子とは意図的に関わらないとしても、おばあさんの方はご近所づきあいで結構よく話す。地域の清掃活動とかボランティアとか。まあさすがに名前はわかるか

 

「こんばんわ、もう日も暮れてきてるけど一人で何してるんだ」

「うん……」

 

おいなんだよこの空気。あれ、そういやおばあさんが死ぬのって今年だっけ……いや確か来年、全部憶えてるうちに出来る限りは年表にしたから間違いない、はず

 

「あまり遅くなると、おばあさん心配するぞ?」

 

「……ヒック、エグ」

「ちょ! どうした!?」

やめろよ!俺が泣かしたみたいだろ。勘弁してくれ、関わ気ないってのに

 

「ごめんなざい、ただおばあちゃん今病院なの」

 

「……どこか悪いのか?」

 

記憶違い?それとも俺たち転生者のせいでタイムパラドックスでも起きたっていうのか

 

「ううん。そうじゃなくて、ただ転んで手をついたら骨が折れちゃたみたいで、そのまま入院。家にいても何をしてたらいいのか、わからなくて」

 

「飯はもう食べたのか?」「…まだ。このお金で食べなさいってもらったけど」

 

「そうか……」

 

このまま見捨てたら、そもそもこの世界に来た意味が無くなっちまう。はぁーなんでこんな目に。こいつはあのバカの担当だろ。いや別に区分けがあるわけじゃねえけど。関わりたくねえなー原作キャラじゃなきゃよかったんだが

 

「もしよかったら家に来るか? 家も近いし、おばあさん帰ってきたらすぐに帰れるし」

 

「いいの、迷惑なんじゃ?」

 

「もし迷惑なら言わないよ(迷惑ですよー)。それに 岡本さんのおばあさんにはいろいろ助けてもらったりしてるから親も納得するだろうし」

 

ていうか次は女の子が欲しいとか家族計画を息子の前で喋ってるしな

 

「どうする? とりあえず来てうちの親と話だけでもしない?」

 

「ありがとう、前田君。じゃあ行ってもいいかな?」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュウゼツラン公開日

「すっげー! みろよあの高さ!」

「ほんとね! わたしもいつかあんなふうに大きくなるんだから」

「ははは、ワン子があんなになったら怖いけどねー」

「たしかにすげーな、俺様の筋肉といい勝負してるぜ!」

(なんで川神院にこいつがあるんだよ! ふざけろよ!! こんなことできるのは直江大和、おまえしかいない! 憶えてやがれクソヤロー!!!!)

 

 

「本当にすごい。植物ってあんなに大きくなるんだね誠人」

「うん、地味だけどそこにあるだけで感動するよ」

(多分やったのは直江大和、川神百代、そして裏のリーダー利秋。違うクラスのことだからよくわからないけどよく直江とつるんでるっていうのは聞いてたけど最近は川神百代も入ったらしいし、やっぱり里見和樹や僕と同じようにこいつも転生者?)

 

 

「冬馬、準、晃はやくー、すごいよー!」

「コラ! 女の子がスカートでそんなにジャンプしちゃいけません!」

「ユキはどこでも元気ですね」

「ああ、まあそこがいいんだが」

(どういうことだ? なんでここにリュウゼツランがある? もしかして風間ファミリーになにかあったか? 調べてみる価値あり……か)

 



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なんで俺が

さて俺たちもついに最上級生6年になった。

といっても特に代わり映えしない。大和が前でクラスの指揮をとり、俺が後ろでコソコソといろいろやるっていうお決まりのパターンだ。

 

あ! そういえば最近は、やたらと風間ファミリーの面々がなにかとちょっかいをかけてくる。まあ決まってあのバカなんだが

 

ていうかあのバカはワン子の親権問題についてちゃんと考えてんのか?

百さんこっち側だし、付き合いもほとんどないから(おばあさんが骨折で入院してる間、預かってた時にうちに来て遊んだ程度のはず)このままじゃアル中の餌食だぞ

 

はあ、なーんか面倒なことになりそう

 

 

prrrr ガチャ

「もしもし……え!~~はい、~~はいわかりました」

「…岡本さんがついさっきお亡くなりになったそうです」

「……もう大分お歳でだったからな」

 

ついにきたか

 

 

 

 

「慶次、ワン子はこのあとどうなるんだ?」

「普通は親類縁者が引き取るかどうかなんだが、元々ワン子は孤児らしいし。おばあさんも子供がいないから引き取ったらしいから、施設に行くことになりそうだ……」

 

「なあ慶次、何とかならないか?慶次の家にワン子が泊まってた時に遊んで、そのあとも時々遊んだんだが、とてもいい子だ。そんなのあんまりだ」

 

へーあの後も交流あったんだ

 

「んー絶対に無理ってわけじゃないけど」

「「どんな策だ」」

「落ちつけよ、とりあえず三つ。一つは通夜に遠縁の男が一人いた。そのひとが引き取る」

「なんだ親戚がいたのか」「いいことじゃないか」

 

「……少し見ただけだが、相当ヤバそうなやつだった。手なんかずっと震えてたし」

「それって」「クスリか?」

「いや、多分アル中だ」「どっちにしろ駄目だな」

 

「二つ目は百さんのところで引き取ってもらう。これに対するリスクはまず川神院は武の総本山だということ。入ったら修行三昧で遊ぶ時間なんてないだろ」

 

「私はいつも修行してから遊んでるぞ?」

「……普通の人はまず無理だから。まあこっちはワン子が納得すれば別に構わないんだが。厄介なのは総代、つまり鉄心さんと面識がないこと」

 

「……確かにいきなりこの子を家においてくれと言われても即答は無理だな」

 

「くそっ、こんなことなら一度ぐらい家に連れて行けばよかった。ワン子ならすぐに気に入ってもられるのに」

 

 

「………」

「どうした?」

「いや、あー三つ目は(言いたくねえなー)おれんちで引き取ることだ

「「平気なのか!? というかどうして黙ってた!」」

「あーほら、な?」

 

「なにが、な? だ。このやろう」「やきもきさせやがって!」

 

「とりあえず落ち着け。まあ家の親がおばあさんの骨折が自宅療養になるまでの一週間でなんかすげー気に入っちゃったみたいで、今回のことも通夜でその遠縁の男を見てから絶対に渡してなるもんか! てな具合に動いてるからまあ何の問題もないだろ」

 

いや、俺としては問題しかねえんだけど。何よりワン子に掛かる金、全部俺持ちだし。いやないって! ほんっとにないって! どんな親だよ!? たしかに親父なんて目じゃないくらい稼いでるけど、どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

「というわけで今日からは君の名前は岡本一子ではなく、前田一子となった」

「これからはわたしのことはお母さんってよんでね、一子ちゃん」

「うぅ……うわーん!ありがどうございまず!!」

 

とりあえず一段落した後

「あの、利秋君のことはなんて呼べばいいかな?お母さんとお父さんがおにいちゃんって呼んだら喜ぶって教わったんだけど?」

 

「何吹き込んでんだあの人達は……同い年なんだからそんな呼び方したら学校でどうすんだよ」

 

「あっ!! そっか、じゃあどうすればいいかしら?」

 

「ふつうに利秋かあとあだ名の慶次のどっちかでいいよ」

 

「じゃあ慶次君で」

「君はいらないよ。めんどくさいし、これからずっとそれで呼ぶんだから」

「そっか! あらためてよろしく慶次!」

 

 

 

 

 

「はあ……」

 

これからだよな、一番面倒くさいことになるのは。鬱だ

 




ワン子は風間ファミリーに心配をかけたくなかったので、おばあさんの入院は話していません

親が主人公にお金を払わせたのには訳があります・・・・・・今は書かないけど、ちゃんと考えてアルンダヨ、ウソジャナイヨ?


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それぞれの結末

「「「「はあ!? もう大丈夫!? どういうことだ!?」」」」

 

「うん! こっちの前田利秋君のお家に引き取ってもらえることになったのよ! だから学校もこのままでみんなと離れる心配もないわ!」

「まじか!」「よかったね。ワン子」「おう! 本当にめでたいぜ」「……」

 

「あー紹介された前田利秋だ。あだ名は慶次、まあよろしく。後こっちの二人は」「俺は直江大和。あだ名は軍師だ」「私は川神百代だ。一応一つ上だが堅苦しいのはいらない、よろしく! あと大和は私の舎弟だ」「別に今言わなくても」「いや、こういうのは第一印象が大事なんだ」「むしろ印象悪くなるでしょ」

「まあ、そゆこと」

 

「おう! 俺は風間翔一ってんだ。あだ名はキャップだ! この風間ファミリーのリーダーだ! お前ら前から思ってたけど面白そうだな! これからよろしくな!」

「次は俺様だぜ、俺様は島津岳人だ。長所はこの筋肉よ! 後そっちのひょろいのが師岡卓也、あだ名は、モロだ」

「せめて自分で言わせてよ! まあよろしく」

 

「……お前はいったいなんなんだ! まさか直江大和これもお前が仕組んだことなのか!」

 

 

「「「「「「……はあ?」」」」」」

 

ああこいつバカだバカだとは思ってたけどここまでか。しかもおれじゃなくて大和なんだ?

 

「お前突然何を言い出すんだ? 俺が仕組んだってどういうことだ?」

「お前が俺から風間ファミリーの場所を奪い返すためにやったことなんなんだろ!? 絶対にワン子は渡さねえぞ! お前には百代がいるだろ。ワン子は俺んだ!!」

 

「こいつ何いってんだ? おい風間どういうことかわかるか?」

「……こいつ前からワン子を見る目がおかしいって思ってたけど」

「ああ、ついに本性を出しやがったな。この変態野郎」

「うん。妙にワン子にベタベタ触りに行くんだよね。その辺あんまりワン子は気にしてなかったから僕達がさりげなくフォローしてたけど……途中からはワン子も気持ち悪がって近寄らなかったし」

「さあこっちに来い」「お姉様……うぅ」

「いいからワン子を返せよ!!」

「私の妹分に気安く近づくな! このクズが!!」

 

 

 

 

 

後はもう語るべきことは特にない。この件が学年中にすぐに広まった。

お調子者で誰とでもすぐに仲良くなるが、京の件でも空気を読まずに肩を持ったり、そのくせ普通に自分たちに話しかけてきたりと少しずつ少しずつ溜まっていた不満が一気に今回の件で溢れ出したようだ。特に女子からはそれは烈火のごとく非難が集中した。

 

 

里見和樹とそれ以外という完全に別れた状況。一週間もしないうちに学校に来なくなり、一ヶ月後には転校していった。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

はあ、前世の自分のことを思い出してしまった。

たしかに話を聞くと里見和樹の自業自得だが、こうなるように裏でヤツが動いたはずだ。このままでは、僕もいつかはターゲットにされるんじゃないか? 京を助けるために動いているから、あちらは僕のことは転生者だということも含めて全部わかってるだろうし。

 

こうなったら多少手荒だが京を助けた時と同じように話し合いをするしかないか、前田利秋。

 

 

僕は帰りの会が終わると同時に彼の教室に急いで向かった。まだ彼は残っていたようなので

 

「君が前田利秋君だよね? このあとちょっといいかな?」

「ん? あー少し待っててよ、大和! 今日してた遊ぶ約束キャンセルで、他のやつらにも伝えといて! よし行こうか」

「え? うん」

「おい、返事ぐらい聞いてけよ!?」

「いいのあれ?」

「別に構わない、それぐらい重要だろう? 今からする話し合いはさ?」

「!?……ああそうだな」

 

駄目だ、完全に主導権を握られた。……いや構わない、今からするのは脅迫(話し合い)なんだから

 

 

 

「ここなら他に人も来ないだろうし、内緒話にはうってつけだ」

 

「そうか……一つ聞きたい。今回の里見和樹、いや転生者の排除はすべてお前が仕組んだことだな?」

 

「……はぁ違う、といっても聞く耳をもってくれなさそうなんだが?」

 

「ならどうしてワン子に手を出した。彼に任せておけばよかっただろう」

 

「任せておけるなら、ぜひそうしたかったよ。質問だがもしお前があいつの立ち位置にいたらどう行動した?」

 

「それは原作通りに」

「あいつは大和の位置に自分が収まっちまったから、百代が加入せず川神院との繋がりがないんだぜ? もし、ただ風間ファミリーに入るのならその方法で上手くいったんだろうがな?」

「……ならなぜ川神百代を風間ファミリーに入れなかった」

 

「おいふざけろよ。そんなことできるならとっくにやってるよ! あのバカの視線が気持ち悪いってのでまるで近づかなかったんだよ!

自分だって何もせず、都合のいいように京にだけ関わって、後は知らぬ存ぜぬだったくせして。なに偉そうに上からもの喋ってんだよ。それに協力してもなんの徳にもならないだろ」

 

「たしかになんの得にもならないが(本当にはめようとしたわけじゃないのか?)」

 

「じゃあも帰ってもいいよな? 話は終わりだろ?」

 

「!?(いや、そこまで信用はできない、ここは最初の計画通りに)まて!!」

 

その声に振り向いた彼にボディーブローを

 

「はー。まあ分かってたことだけどやっぱり随分えげつない事するなおまえ」

 

したがあっさりと捌かれてしまった

 

「……君も何か武術を習っているのかな? 調べたけど特に習いごとはしてないみたいだけど」

 

「前世では自衛官だったんで少しだけな。それにお前のクラスメートみたいにボコボコにされるのは勘弁だな」

 

「あれは彼らが悪いんだろ? 京に対して大勢であんなことをしたんだ。やられて当然だろ」

 

「で、今は? 俺は殴りかかられる様なことはしてないって説明したろ。お前はただその力を使いたいだけじゃないのか? 人を殴るのはそんなに気持ちよかったか?

 

お前、前世じゃ虐められてたんじゃないか?」

 

「うるさい! 黙れ!」

 

体力的にはこちらが上、しかし技術的にはあちらが上らしく、攻撃を全て弾くか捌くかでいなされる

  

「くそ! なんでだ! 僕だって稽古をしてるんだぞ!」

 

「当たり前だろ。いくらいい先生に教わろうと、たかだか数年。この先追い越されるとしても、まだ俺の方が上だ!」

 

素早い連打が打たれるが、腰がはいってないのかパンチもキックも軽く大したことは無い

 

「さっきから鬱陶しい! ペチペチ、ペチペチ。効かないんだよ!」

 

「ああ、今はな」

 

 

お互いに有効打を入れられずに、気付くともう夕暮れだった

 

「はぁー。なあ、もういい加減に止めにしないか。こっちはお前に関わる気はないんだ。お前が気にしてる里見和樹は説明した通り自爆だって」

 

「……わかった。ただし全部を信じた訳じゃない。覚えておけ、僕はあんな風にはならないぞ」

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

結局、風間ファミリーには直江大和、川神百代、椎名京は加入せずに里見和樹という名前の男が加入。しかももう学校を転校済み、か

 

多分里見和樹っていうやつが転生者だったんだろうが何が起きた?他にも椎名京は

名倉誠人というやつに助けられているし。こいつも間違いなく転生者だろう

 

つまりは転生者は複数人いるってことだ。どうすればいい?前世ではずっとつまらない生き方をしちまったから今度こそはと勉強も運動も親に心配かけないように頑張ってきた

 

関わるべきか関わらないべきか……アー!悩んでも仕方ない無視ダ無視!

俺は今度こそ前世とは違ってまっとうに生きるんだ。そのために、小雪だって助けたし。冬馬にハゲのことだって九鬼に頼んで、拝み倒して協力してもらったし。このまま人生勝ち組路線のSクラス入りして幸せになるんだー!

 

「アキラー、ご飯できたわよー」

「ハーイ!」

 

俺は今とても幸せだ

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

転生者その4

前田利秋 前世では家が貧しかったので中学卒業後、自衛隊に。結婚もすることなく特にこれといった趣味もなく、そのままフェードアウト。

彼が助けたほんの少し歴史に影響を及ぼす者とは、妹。

小さいころに鍋をひっくり返し熱湯が顔にかかり、本来ならそれを苦にして冴えない未来を行くはずが彼が庇い、かわりに腰の辺りにやけどを負った。(水着等を着ても大半が隠れるので本人はさして気にしていない)そのことを切っ掛けに看護婦という道へ。

そこに入院したある実業家の男性と出会い結ばれることに。男性はそのおかげで退院後、精力的に事業を拡大。その一事業が画期的なソフトウェアの開発に成功。

 

彼女と結ばれなくともこの画期的なソフトウェアは数年後には作られる。だからこそほんの少し歴史に影響を及ぼした程度なのだ

 

 




里見和樹アウトー、デデーン

というわけで噛ませ犬は一発退場です。

主人公はワン子を引き取った時点でかなり、投げ遣りになってます


里見和樹は、原作の学校ならこうなるんじゃないかな?と思い書きました
椎名というターゲットがいなくなったので新しい獲物を探している所に……
といか京は異常だろ。あんな目にあって耐えられるんだから

名倉誠人については、性格はいい、わるいではなく嫌な奴で思い込みが強いです。基本他人は見下していて、前世でも彼は庇わなければ自分が虐められることはなかったんだと思っていますがそんなことはなく、いじめの順番的には次にくる予定でした。そこに、まるで自分たちに逆らうかのように行動したのでいっそう激しくなりました。彼は助けた相手を友達と思っていましたが、相手からは……

基本戦闘シーンなどはありません。というかできません

あと、椎名の学校は原作の静岡にしました。サイトなどには山梨と載っていたりするのですがゲーム中では静岡に引っ越しとあるので。たぶんそのあとに山梨に親が行くというのが正しいのかな?


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気の使い方

「利秋、おはよう! 本当に来ないの? 今日の商店街のど自慢コンテスト」

 

「はよー。うん悪いけど日曜は老人ホームのボランティアに行くって決めてるから土曜ならよかったんだが」

 

「そっかー、あ! そろそろ行かなきゃ。あと近藤のおじいちゃんに、この間の飴美味しかったですって伝えておいてくれる?」

「わかった。ほら、待ち合わせの時間に遅れるぞ」

「うん、じゃあ行ってきまーす」

 

ふー何とか行ってくれた。この間からキャップや百さんがしつこくて困ってたんだ。

それに予定があるのは本当だし。俺もそろそろ行くかな

 

「こんにちはー」

「利秋君いらっしゃい。みんな待ってるわよー」

 

「うげ、早すぎですよ。せめて準備ぐらいさせて下さいよー」

「みんな利秋君のマッサージ楽しみにしてるから。本当によく効くって、斎藤のおばあちゃんすごく褒めてたわ」

 

褒めてもらえるのは嬉しいけど

 

「お! 来よったか、待っとったぞ」「利秋君にしてもらうと本当に楽になるのよねー」

 

「おはようございます。準備しちゃうんでちょっと待ってて下さいねー。あと近藤のおじいちゃんワン子に飴ありがとうございます」

 

 

俺は日曜はこうして老人ホームでマッサージをすることにしている。

徳を稼ぐことだけが目的じゃなく、ちゃんとそれ以外のメリットも存在してる

 

「じゃあ佐々木のおばあちゃーん、どうぞー。今日はどこを中心にしますか?」

「よろしくねー利秋君。今日は左の膝の調子が悪くてねー」

「わかりました。じゃあ始めますね」

 

俺はベットにうつ伏せになってもらった佐々木さんの背中から足を擦りながらゆっくりと気を通していく

そうするとだんだんと気の淀みの様なものが輪郭を見せ始める

俺はマッサージしながら揉みほぐすように自分の気を混ぜて行き、三十分程時間をかけて元の流れに乗るように淀んでいた物を押し出していく

 

 

 

「はーい、終わりましたよ佐々木さん」

「あぁー、本当にありがとうね。やっぱりやってもらうと全然違うわね」

 

「次の人ー」

 

 

この世界には気と呼ばれるものがある

 

調べると、この不思議エネルギーはどれだけ鍛えても人によって容量が決まっているようで

大体の人が十~二十

武道家等が五十~百

さらに気が三百~五百位になると気に性質を付けたり形の変化させる事が出来る

(例 人間爆弾の爆発、星殺しの気の圧縮)

越えた者になるともう計測不能だ

 

まあ原作のワン子を見りゃわかるが才能のない者にとって、どれだけ鍛えても限界があるから才能のある者には追い付けない。筈だった

 

俺はどうも才能という者自体無いらしい

 

物を作るにしても他の人より早く上手くなる事は無いが、やり続ければそれだけ上手くなる

ただそれだけじゃ、そういうゆっくりと開花する才能なのかと思ったがはっきりとわかったのは気を覚えた方法でだ

 

 

気についても最初は全く駄目だった。気がある事はわかってたので幼稚園のころから自宅で瞑想したり部屋で出来る鍛え方等をしていたのだが判らず惰性で小学校に入ってからも続けていたらなんとなくわかるようになった

 

まあ外に出ると川神院の化物に見つかったり、他にもイベントが起こると面倒だったからなのだが

 

それでも続けていると、どうも気の量自体増えているわけでは無いらしく、気の変化が使えるようになっているようだった

この普通じゃあり得ない気のおかげ? でやっと自分には一般の才能とは違う在り方が適用されてるんだと理解した

 

そして知識にある辰子という存在のおかげで俺は自分のスタイルを決めた

 

身体を鍛えると、それこそすぐに化物が嗅ぎつけるので却下。技にしても同様であまりやり過ぎると歩く重心運びなどでばれていたし

なら残された気を上げ、いざという時のために鍛えることにした

普段使わなきゃばれないみたいだし

 

鍛えることしたんだが、気の量を上げるためには消費しなくちゃいけなく、するにしても一人で使っても大した量を使えなくて効率が激しく悪い

 

そうして俺が考えついたのが今の老人ホームでのボランティアだ

 

徳と気を効率よく美味しく稼げる最高の環境だ

 

延々と無駄話したり、同じ話をエンドレスで喋られるのは本当にキツイが、さすが年の功と言うべきか為になる話もたくさん聞けたりする

前世じゃ自分の事で結構、精一杯だったからな。こういうのも悪くない

 

 

 

「それじゃ失礼します」

「また来週もよろしくね」

 

んーっ疲れた、大分整体術の方は形になってきたな。問題は崩体術か。この間、名倉に使ったけど殆んど通らなかったな。

 

自分の気を相手の身体に通して内から崩す。イメージは出来てるし、整体で気を通す練習はしてるけどやっぱり打撃みたいな接触時間が少ないと一気に量を出さなきゃいけないから今は無理。

一応あれだけ時間をかけて通し続けたからか、次の日は休んだけどすぐに復活したし

 

まあ元々百さんの瞬間回復を潰すために開発してる技だから簡単に出来るわきゃ無いけどさ

 

瞬間回復はたぶん莫大な気で体内を活性化させる技だと睨んでる。そうじゃなきゃ、あんな便利な技、他にも使い手がいなきゃおかしい。

精密に気を使う方法なら百さんにはそもそも無理だし。多分手元でバカみたいに気を圧縮して打ち出す星殺しとかが得意な人間に精密とか求める方がどうかしてる

 

ならその莫大な気を通すためのパイプラインを止めてやれば何とかなるんじゃね?

 

まあ瞬間回復が使えない所で元のスペックが化物だからあんまり意味ないけども。

 

 

 

 

それでも切り札はしっかりと用意しておくに越したことは無い

 

 

 

 

 



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