酉物語 (終焉のプーさん)
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常裏バード 1

あらすじにも書きましたが、初投稿で駄文で低クオリティーでぇす。
覚悟はオーケー? ならば、行け!


 僕は、飛んでいる人間ーー極楽常裏(ごくらく じょうり)をその日、初めて見た。神原駿河とは違う。圧倒的脚力と、その身軽さで跳んでいるのではなく、それは文字通り飛んでいる、飛翔をしている。

 

 それは確かに、いつも通り休日の出来事であり、やはり怪異なのだが、僕には初めてのケースであった。いや、正確には2回目なのであるが、それは自分の事なので含めるかどうかは微妙なラインである。

 

 つまるところ、極楽常裏は男だったのである。しかも、俗に言う男の娘と呼ばれるものであり、俺様キャラでもある。

 ーーそして、彼の行動は常に望みの反対の事を叶えてしまう。

 歩く事を望めば走り出す。眠る事を望めば活動が活発になる。

 ……地を踏みしめる事を望めば、その身体は飛び上がる。

 

 多重人格者、多重反射保持者。いや、二重人格、二重反射保持者といった方が正しいのだろう。いや、それとも違う。二重、ではなく対。対立。裏腹。

 その対立人格保持者の性格はその名の表す通り、常に裏。条件反射で起こす行動もまた、裏なのである。

 

 望むことが、たちまちのうちに反対の形で叶ってしまう。

 

 

 

 時系列なんて、二次創作に求めるというのも何だけど、あえて言うのならば、鬼、猫、蟹、蝸牛、猿(正確には悪魔だったのだけれども)、蛇。全ての怪異と関わった後というのがやはり、登場させるキャラの都合的にも良いというものだろう。

 

 あれは、そうだな。細かい日付なんて覚えてないけれど、というか、そこまで練られた作品でも無いというのが本音なのであるが、夏の日の出来事だと思ってくれると、僕的にも作者的にも話しやすいし、書きやすいと言うものだ。

 

 その日、僕の彼女である、難攻不落……付き合っているから難攻ではあっても、不落ではないのかもしれないがその彼女、戦場ヶ原ひたぎとの約束も取り付けられず、かと言って共通の後輩である神原駿河を呼び出す気もなく、夏休みだというのに、いつもの如く、いつもの時間に起こされ、家に居るのも退屈しそうだったので外出した僕だけれでも、やはり、休日には外に出るものではないという事を、退屈程平和な事は無いと痛感した日。

 

「全く。夏休みだってのにいつも通りに起こしやがって。たまには早起きしてあいつ等を同じ目にあわせてやろうか」

 

 そうは思ったけれど、それはそれで早起きしてるという事は奴らの思い通りになるという事だ。それに、火憐の奴より早く起きれる気がしない。

 諦めよう。僕に早起きは無理なんだ。決して早起きするのが嫌という訳ではないけれど、動機が無いのに早く起きる理由もあるまい。

 

 特に目的もなくぶらついていると、ツインテールの小学生の姿が見えた。

 

「あ、おはようございます。阿レル木さん」

 

「人をアレルゲンへの肉体反能みたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」

 

「失礼。噛みました」

 

「違う、わざとだ」

 

「噛みました!」

 

「わざとじゃない?! ん? おい、いつもの流れじゃないぞ、どういう事だ」

 

「いえ、せっかくの二次創作なのでいつもの流れもどうかと思いまして」

 

「そうか。できればメタ発言もどうかと思ってくれ。既に3回くらいそのネタは入っているんだ」

 

「神原さんでも戦場ヶ原さんでも無い私にも地の文を読めというのですか?!」

 

「だからそういう台詞をやめろと言っているんだ!」

 

 いつも通り、楽しいやりとり。こんなくだらないかけあいで楽しいと思う僕はやはり、羽川や戦場ヶ原と比べるまでもなく馬鹿なのだろう。相対評価的に馬鹿なのでなく、絶対評価的に馬鹿なのだ。

 

「阿良々木さんは夏休み真っ盛りなのでは? いつもですが冴えない顔でどこに行こうというのです?」

 

「目が覚めてないだけだ。いつもじゃない。

 別に、特に目的地なんかないよ。人生と同じさ」

 

「つまり、阿良々木さんの人生に目的はないという事ですね」

 

「いや、それは違う! なんかこう、僕だって、何か、やりたい……こと、が……」

 

「落ち着いてください、阿良々木さん。たとえ何も見つからないと分かっていても私は待っていますから」

 

「見つからない事を前提にしてんじゃねぇ! もういいよ! そうだよ、僕には人生の目的なんてないさ! 悪いか?!」

 

 逆ギレ。

 

「サキイカ?」

 

「僕の人生はつまみだと言いたいのか?!」

 

「愛した」

 

「つまみのような人生を?!」

 

 やはり八九寺には光るものがあるな。これで、作者のネタの方ももう一段階クオリティがあがれば文句のつけようが無いのだけれど。

 

「そういえば私は鳥アレルギーなのですよ」

 

 脈絡の無さにも程があるだろう。唐突にそんな事を言い出す八九寺に困惑しながらも話を続ける。

 

「なんだよ藪から棒に。ただ、アレルギーというならば、さっきの僕のアレルゲンは完全に八九寺だったぞ」

 

「酷いですね、私はアレルゲンでも無ければ人間でもありませんよ」

 

「なぜ地味に自虐をしているのかは分からないが、知ってるとだけ言っておこうか」

 

 幽霊だからな。

 

「話を戻しますが、アレルギさん」

 

「戻しすぎだ!」

 

「冗談です。酉アレルギーである私ですが、それはもう反応が無くなるくらいの過剰反応をしてしまいますので、先に誤っておきます」

 

「何を間違えるのか分からないが、鳥アレルギーの漢字は確実に酉ではない事は確かだ」

 

 

 

 ……ん? 反応が返ってこない。話はこれで終わりという事なのだろうか?

 先程まで僕の左を歩いていた小学生の浮遊霊の方を向くとそこには既に八九寺真宵の姿は無かった。

 

「ったく。いつもより随分早い帰宅……帰宅、ではないのか」

 

 八九寺に帰る場所、帰れる場所は既に無い。いや、八九寺真宵は既に帰宅しているのだ。綱手家の家に。

 蝸牛。迷い牛。それは、帰り道を惑わす怪異。こんないい加減な設定の話とは違って5月14日という母の日にであった怪異である。

 極楽の話をしているというのわざわざ説明をいれるのもどうかと思うので、各自、アニメか化物語・上の2話まよいまいまいを確認してくれ。

 

 消えた八九寺に思いを馳せながら鳥アレルギーと言った最後の言葉を思い出しなんとなしに空を見上げた。

 理由なんて、特になかったのだけれども、なんとなく、目に見える範囲で鳥が飛んでいるかを確認しようと思ったのだと思う。

 

 そして、それが間違いだったのかもしれない。もしそこで、八九寺の言葉をただの話を打ち切る為の口実だと思っていれば、僕はこの話に絡む事は無かったのだろう。

 いや、今回は八九寺と話したことなんてこの結果に関わっていない。原因を探すとするならば、冴えない顔で朝っぱらから家から出たのが悪かったのだ。

 そして、極楽だって僕と会わなかった所で、関わらなかった所で忍野の言葉を借りるのならば自分で勝手に助かった筈だ。

 それこそ、手助けなんか無しで。

 

 ただ、見てしまった。関わってしまったらもう、どうしようもない。甚だ不本意……違うか、言われて別段不快になる事は無いのだから。ならば、何だろうか? 心外だろうか? それも、何か違う気がする。ただ、まぁ、純然たる事実として、僕が関わった人間大抵に言われることがある。

 

 僕は、阿良々木暦は、良い人なのだ。

 

「うわ?!」

 

 空から降ってきたのは、鳥ではなく人間。

 とんでもないスピードで落ちて来るのを受け止めた。それが極楽常裏との出会いである。

 

 受け止めた腕に衝撃はやって来なかった。戦場ヶ原の時と、似通ってはいるが、あの時のケースとは違う。重みは確かに伝わってくるのだが、落下のエネルギーというものは、しかし、僕の腕にやってくることは無かった。それは、人間の体を受け止めたにしては、という意味での無かったという表現だ。正確には、確かに腕への衝撃自体はやってきていたのであるが、数十キロはあるであろう物を受け止めて、骨の1本も逝っていないというのはやはり、無いに等しいのだろうと思う。

 僕の何割かは吸血鬼であるが、それは既に2ヶ月程前の時点では運動能力の増加という点では終わっているし、新陳代謝という面では確かに常軌を逸しているのであるが、今回のケースでいえば、腕が折れてから直ったのではなく、単純に、純粋に、折れなかったのである。

 蜂が花に留まる時に花弁を散らす事は無いように。鳥が木の枝に留まる時に、その木の枝は折れることは無いように。

 極楽常裏の、僕の腕への着地(?)は、僕の腕を折ることは無かった。

 

 異常。そしてこれは、いつも通りの事。いつも通りの、いつも通りではないもの。

 

「おい、大丈夫か?」

 

 そう、声をかけるのが正解だろう。何故なら、少なくとも僕が上を向いた時にはおおよそ、高度10メートルには居たのだから。

 数字にすればなんてことの無い高さだが、実際建物で例えるとするならばマンションの3階から4階分の高さはある。

 

「……」

 

 返答は、無い。気を失っている訳では無いのは、目を開けていることから分かっているのだが、茫然自失と言った様子。

 

「おい、聞こえているか? 何か返事をしてくれ」

 

 尚も声をかける。

 

「…………! お、おろして、下さい……」

 

 すると、ようやくこの状況に気づいたのか、頬を軽く染め懇願するように返事を返した。

 

「あ、あぁ」

 

 その言葉に僕はゆっくりと、彼を地面に降ろしてやった。

 

「で、一体お前はどうして落ちてきたんだ?」

 

「え? えっと……その……」

 

 ……歯切れが悪い。ってそりゃそうか。見ず知らずの人間に、急に自分の一番の悩みを話せと言われているようなものだろう。いや、怪異(もしかしたら、違うかもしれないが)だと気づいてるのは僕の方だから、普通に答えに困窮しているだけか。

 まぁ、これが、あの時の戦場ヶ原だったのなら、既にカッターナイフが僕の首に突きつけられているところだろう。

 

「あぁ、言い難いよな。安心してくれ、僕は自分の目で見たものは信じるタイプの人間なんだ。

 上から目線みたいで偉そうだが、突拍子もない事だって、大体は信じてやれると思うぞ。それに、力になれるであろう人物を知っている。それが僕でないのが申し訳ないのだけれど……」

 

 こと、怪異に関しては。名前だけは萌キャラなアロハが居る。怪異だったらの話だが。

 

「え、ええと……。はい。えっと……僕、極楽常裏って言うんですけど……」

 

「はぁ、じょうりなんてまた、珍しい名前だな。僕は、阿良々木暦だ。よろしくな」

 

「はい……よろしくお願いします……」

 

 ……先に僕が極楽と同じような体験をしたことを話した方がいいのだろうか? いや、それは話を聞いてからでいいだろう。ほんとに、何かの事故で空から降ってきたとういのは、可能性として圧倒的に低いが無い訳でも、無い、か?

 

「……あー……。初対面で見ず知らずの僕だが、出来る事があると思う。是非話を聞かせてくれないか?」

 

「…………えっと、はい。阿良々木さん、でしたか? 貴方の仰ったとおり、突拍子もない話ですが……」

 

 まさか、ここまで簡単に話をしてくれるとは思わなかったが、話してくれるならばと、その話に耳を傾けた。




一応、三部構成位で考えてはいるのですが、まぁ、5話くらいになるかもしれないです。


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2話

 極楽常裏を表すなら陳腐な表現になってしまうが、普通の高校生であったという他ないだろう。普通であった、という意味では確かに僕とも通じるところがあるが、残念ながら僕は吸血鬼になる前も、吸血鬼もどきになる前も落ちこぼれである。普通の落ちこぼれ、といえば確かに通じるところがあるような気がするが、極楽常裏は普通の普通である。それは、学力的な意味でも、体力的な意味でも。全国平均の高校生の統計に影響を与えないくらいには。

 普通。僕が今、最も憧憬する言葉。憧れるだけ。ただ、それは普通の人間から見たら得も言えない、苛立ちと取れるような感情を想起させる可能性がある言葉だろう。特殊な人間が普通に憧れるように、普通の人間は特殊に憧れる。隣の芝生は青く見えるものだ。

 勿論、そう思わない普通の人だっているだろうし、特殊な人間にしたってそうだ。ただ、人はオンリーワンに憧れるものだろう。僕の人間関係だって高1、高2の時点ではオンリーワンであったし。……それは違うか。

 何はともあれ、少なくとも極楽常裏はオンリーワンに憧れる普通だった。おそらく、それが今回の怪異を呼び寄せた、現れさせた原因の1つだろう。

 ただ、この怪異の引き起こす現象を1言で言い表す事は僕にはできない。それは、極楽もどう言えばいいかわからない様子だったが、1言。

 

「僕は……したくない事をしてしまい、したい事ができません」

 

 それだけであった。正直、僕にはその言葉を理解する事はできなかったし、怪異を理解しようというのも、土台、意味のないことなのだ。

 

「……そうか。やはり、僕が手助け出来る事はあいつを紹介するくらいだな。ちょっと、ついてきてくれないか?」

 

「あ……はい」

 

 向かうのは、もはやお馴染みである学習塾の廃墟である。

 やはり、予想に反し極楽は僕についてきた。

 

 

 

「おや? 阿良々木君。今日もまた違う女の子を連れてきたのかい?」

 

「極楽は男だ」

 

 学習塾廃墟、4階の教室の1つにその男は居た。

 忍野メメ、僕の事を始めこの町の怪異を解決している張本人。その本人曰く、僕らは自分で勝手に助かってるらしいが。

 

「はっはー。そりゃまた、珍しい事もあるもんだね。で、今日はなんの用だい? 阿良々木君」

 

「お前俺をなんだと思ってやがる……。まぁいい。実はこいつ、極楽常裏っていうんだけど……極めるに楽しいの楽。常に裏って書いて極楽常裏な。さっきこいつが空から降ってきてさ」

 

「空から? なんだい、ツンデレちゃんと随分似通った登場じゃあないか。それに、極楽常裏、ね。ほほう。まぁ、阿良々木君のことだから、この関係以外で話が来るわけもないか。いいよ、続けて」

 

 相変わらず、飄々とした態度で話す忍野は、ポケットから煙草を1つ取り出し、火をつけることなく口に含んだ。

 

「あ、あぁ。そんで、さっきこいつから話を聞いたんだけど……」

 

 

 

「共命鳥。多分そいつは共命鳥だ。いや、共命鳥に近い何か、なのかな

 」

 

 僕が極楽から聞いた話をそのまま忍野に伝えると、忍野はそう言った。

 

「ぐみょうちょう? 愚かに、明るい。それと鳥で愚明鳥?」

 

「はっはー。なんだいそれは? 愚かでパッとしない鳥頭の阿良々木君を暗喩しているのかい? だとしたら、なんて完成度の高い造語なんだ。僕は評価するよ。ただ、度が過ぎる自虐ってのは良くないとも思うよ?」

 

「いつから僕はそんな自虐に走る人間になった! それに僕は愚かでパッとしないだろうけど、鳥頭ではない!」

 

「ごめんごめん。そんなに怒らないでくれよ。共命鳥は共有の共に、命、それと鳥頭の鳥で共命鳥だよ。しっかし、あんなに怪異に関わっておいて、鳥の妖怪の検索で1番上に出てくるレベルのポピュラーなものを知らないなんて。君は本当に阿良々木君かい?」

 

「自称機械音痴が何を言っているんだ。それと、僕は正真正銘、愚かでパッとしない阿良々木暦だ」

 

「そうかい。そりゃ良かった。で、共命鳥について説明いるかい?」

 

「い、いえ、大丈夫……です」

 

 そこで、発言をしたのは黙り込んでいた極楽であった。共命鳥の話を知っているのだろう。

 

「あら? やっと喋ってくれたね。でも、そこの愚かでパッとしない男が聞きたそうにしているから、少し待っていてくれるかな?」

 

「いや、でも……」

 

「なんだよ、煮えきらないなぁ。なにか良いことでもあったのかい? ま、いいか。勝手に話させてもらうよ。共命鳥というのは簡単に言ってしまえば神様みたいなものだよ」

 

「神様? 戦場ヶ原の時と同じような神様ってことか?」

 

「いや、それ違う。神様みたいなものだけど神様ではない。重し蟹の時例に出した別名で思いし神、ってのもあったりしたけど共命鳥の別名は精々命命鳥、それと命之鳥なんてのもあったかな?」

 

「じゃあなんで神様なんて言い方をしたんだよ?」

 

「ほら、人は死んだら仏さんって言うでしょ? ましてや、共命鳥は極楽に住むと言われる鳥だからね、ある意味神様とも言えるかなって思って言っただけさ」

 

「あの……もうそろそろ話を切り上げて頂けますか?」

 

「そうそう、共命鳥の話だね」

 

 極楽の言葉に、しかし、忍野は耳を貸さなかった。

 

「おい、何で極楽の事を無視するんだ。話はそりゃ確かに聞きたいが、本人を蔑ろにするってんなら別に僕に説明する必要はないぞ。お前の言う通り鳥の妖怪とでも共命鳥とでも調べるからさ」

 

「はっはー。蔑ろにしている? 心外だなぁ。言ってるでしょ、こうゆうのは信頼関係が大事だって」

 

 耐えきれず口を挟む僕を笑顔で一瞥すると、忍野は意味の分からない事を抜かす。

 

「おい、シカトなんてしたら信頼関係もなにもないだろ」

 

「まったくもう。今日もやけに突っかかてくるねぇ、阿良々木君。なにか良いことでもあったのかい? ともかく、共命鳥の話だ。とにかく聞けよ。っても、そんな長い話じゃない、文句はそれからにしてもらえる?」

 

「……わかったよ」

 

 納得はいかないがこいつが意味のないことをする訳では無いことも(甚だ不本意だが)長い付き合いだ、知っている。

 

「共命鳥ってのは、仏教の法話に出てくる鳥でね、一つの体に二つの頭を持っている鳥なんだけど、いかんせんこいつらは仲が悪い。1つの頭が何かを提案すると、もう1つの頭は真っ向から反対。右に行きたいと1つが言うと、もう1つは左に行きたいと宣うわけだ。

 そんである時、1つの頭がもう1つの頭を殺す為に毒の果実を口にする。当然、体は繋がっている訳だから2つの頭とも死んじまうんだが、1つの頭が死ぬ瞬間に所謂悟りを開くんだ。

 あぁ、自分達はもとより1つで、こいつが居たから自分は生きていたんだ……てね。で、悟りを開いたことにより極楽に行くことになったっていう話だ。さっき極楽に住んでるって言ったけど、悟りを開いて死んだ事により極楽に移住したって言った方が近かったかな? まぁ、なんでもいいや。それに、毒の果実じゃなくて、1つの頭が、もう1つの頭を噛み殺したって言う話もあるね。今回のケースだと、1つの体に相反する意志があるっていうのが重要だから細かい話の違いなんて関係ないしね」

 

「「へぇ……」」

 

 ……?

 

「おい、極楽」

 

「な、なんですか?」

 

「お前、共命鳥の話を知ってたんじゃなかったのか?」

 

「え? いえ、全く知りませんでしたが……」

 

「え? だってさっき、話さなくていいって……」

 

 あれは、自分が知っているからさっさと話を進めてくれって意味じゃなかったのか? なら、何故?

 

「はっはー。だから言ったろ? こうゆうのは信頼関係が大事だって。まして今回は共命鳥だ、額面通りの言葉を信じるなんて以ての外だ」

 

「だから、勝手に話を進めたって信頼関係なんて、できっこ……ない?」

 

 いや、信頼関係? そもそも、シカトをする時点でそんな物が築ける訳が無い。それなのに忍野は信頼関係が重要と言う。そして、額面通りの言葉? 極楽の言った言葉は、どちらも忍野の話を止めようとする言葉だった筈だ。そして、忍野は話を続けた。何故? 極楽の本心はそれを聞きたいって事に忍野は気づき無理やりにでも話を続けた。

 

「できっこ、何だって? 阿良々木君」

 

「……額面通りの言葉って、つまり神原の時みたいなものなのか?」

 

「いやいや、それは違うよ、阿良々木君。百合っ子ちゃんの時と同じ言葉を使ったけど、そりゃ、大きな間違いだ。百合っ子ちゃんの時は一応、表に出てきた言葉も本心だったからね。ただ、そこの極楽君、だったっけ? その子の場合、その子の意志が反映されないっていう言うのかなぁ……。それともどっちの意志か分からないって言うべきかな? どちらにせよ、意味分かる? ってそりゃ愚問か」

 

「……1つの体に、相反する意志……」

 

「そ、阿良々木君。大正解だ。レ○トンで言ったらヒントはもう全て開いていたようなものだけどね。今回は共命鳥、2つの体に相反する意志。多重人格、2重人格みたいなもんだね」

 

「どちらかといえば神原より羽川の時の方が近いのか」

 

「いやいや、それも違うよ。ていうか、自分で言ってたじゃないか、2つの体に相反する意志〜って。委員長ちゃんの時も、百合っ子ちゃんの時も一応は自分の為にやっていたけども、極楽君だと自分の為なのは確かだけど、それはもう1つの方から見た自分なんだよ。自分の為にやっているけど、それはもう1つの自分からみたら、自分の為とは言えない」

 

「お、おい……ワケが分からなくなってきたぞ……」

 

「ま、2重人格と同じだよ。で、そいつらの考え方の剃りが全くあっていないってことさ」

 

「……なるほどな。ただ、その表現じゃ少しおかしいんじゃないか?」

 

「ん? どうしてだい?」

 

「いやだって、極楽とは来る前に少ないが会話を交わしたし、今も喋ったけれど、様子が豹変したみたいな様子は確認していないんだよ」

 

「あぁ、なるほど、そうかい。そういうことかい。初めに言ったはずだぜ? 共命鳥、みたいなものって。細かい所は気にしないが吉だよ、阿良々木君。そんなんじゃ将来禿げるぜ? 禿チビって流石に哀れだから忠告しとくよ」

 

「禿げない! まぁ、お前がそういうんならそうなんだろ。……で、結局のところ極楽が助かるには何をすればいいんだ」

 

 チビを否定しない僕の言葉を聞いた忍野は、火のついてない煙草を再びポケットに戻した。

 

「……そうだね、特に何も」

 

「え?」

 

「特に何もしなくても平気っていったんだよ。要は多重人格の亜種みたいなものなんだよ、こいつは。それに思春期特有の所謂多感な時期ってのが原因なんだ。それに怪異が少し関わっちまっただけ、元はただの精神病さ。そっちの専門な訳ではないけれど、見たところそっちも重症って訳でもない、精神が成熟すりゃ勝手に収まる。保証するよ」

 

「マジか……」

 

「マジマジ、大マジ。でもま、すぐに解決したいってんなら手が無いわけでもないさ、なんてったっても、行動が思ったとおりにとれないなんて不便だろしねぇ」

 

「別に、助けてもらわなくても、平気です……」

 

 極楽は、思い口を開きそう告げる。

 要は、助けてくれという事なのだろう。今までの話を総合して考えるなら。

 だとしたら、その答えは決まりきっている。

 

「そうだよ、別に助けはしないさ」

 

「そうだぞ。極楽」

 

「「君(お前)が勝手に助かるだけなんだから」」

 




「はーい。どうも、忍野メメで〜す。今回は、自分で読み直しても訳の分からない部分が多い誰かさんの作品に補足説明を入れるよう頼まれちゃったんだよねぇ。
とりあえず、極楽君の症状(?)って言い方もおかしいと思うけど、まぁ、その辺のこと。
1言で表すなら、ツンデレならぬツンはデレ君だね。若しくはデレはツン。
今回の話で例を上げていくと
ついていきたくないのに、ついていっちゃう。
続きを聞きたいのに、話を止めようとする。
といったように、考えと逆の行動をとるってのが今回の症状な訳だ。
え? なに? 話を止めようとする=話をする、と考えるとなると極楽君が喋るのはおかしい? はっはー。そんな細かい事気にしてたら禿げちまうぜ?
因みにだけど、極楽君が空から降ってきた理由は知らないけど、空を飛ぶなんておかしいじゃないか? という疑問に関して先回って答えておくと、別におかしい事じゃない。怪異だしね。そのへんの話は置いておこうぜ?
それと、もう1つ。多重人格とは違うんじゃないか? ということに関してだけど、こりゃ一方的に作者が悪いだけなんで、まぁ、全部妖怪のせいにしちまおうって方針だ。
Watch! 今何時?! なんて聞かれたら腕時計なんて持ってないんだけれどもね。
そんじゃま、次回をお楽しみに」


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