リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー (kaenn)
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プロローグ
リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー登場人物設定


注意!コレには後の展開のネタバレも含まれていますのでまだ出てきていない人物やオリキャラも載っています。

それでも良ければご覧ください。


リインのアトリエ

ーアインクラッドの錬金術師ー

 

登場人物

 

リインフォース・アーランド

(キャラネーム:リイン)

 

転生したリインフォース・アインスで現アーランド家長女

 

前世の記憶と経験が殆ど完全な状態で残っており、チートと言うよりもバグ…しかし本人に自覚無し。

 

SAOでは槍をメインウェポンとして使用しており”白銀の槍”などと呼ばれていた事もある、しかしそれ以外にも”銀の聖女”や”風林火山の母”など、クラインと付き合い始めてからは”クラインの嫁”という渾名も追加された。

ユニークスキル”錬金術”を手に入れ、アトリエというアイテムや装備を扱う店と飲食店を経営しており、ラフコフのジョニー・ブラックには異常なほどの怨みを持っている。

ドイツで暮らす三つ星シェフのヘイゼルクリフ・アーランドと鈴音・アーランド夫妻の長女として産まれてきた。

産まれ持った超人的なスペックの高さでたびたび新聞やテレビに現れている為、ちょっとした有名人でもあるが自覚がない為騒がれていても動じない、頼まれると断れない性格のおかげ?もあって各分野の専門家が舌をまく程の功績を残している。

SAO開始時は東京都内の大学の情報学部に留学して来ていた。

家庭教師をしており教え子の明日奈とショッピングモールに買い物に行った際、くじ引きでナーブギアとSAOのセットが当たった事によりSAO事件に巻き込まれる。

SAOが始まって直ぐにクラインら風林火山のメンバーと出会い、第一層のボス攻略戦からアスナと再会する。

クラインと恋人同士で、キッカケは”とある事件”が起こった時に助けてくれたから、ではあるがもともと気にはなっていた。

現実では三姉妹の長女で下に双子のすずか・アーランドとアリサ・アーランドという妹がいて、それとSAOの中で出会った??????という娘達がいる。

GGO編では大学の友人に頼まれ、傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター”の隊長を務めているがSAOアカウントはALOのみで使用している為此方は別アカウントを作成している。

メインウェポンは特殊コラボ武器のブラスターで名前が”レイジングハート”という光剣一体型で一点モノの激レア装備を友人から譲られて使用、後にリズと合作でALOでも作成して使用するようになる。(ブラスター機構はオミット)

GGO編以降はシノンにも勉強を教える事になる

ALO編序盤で過去の自分の欠片を発見、集めた結果………。

 

壷井遼太郎

(キャラネーム:クライン)

 

言わずと知れたギャグキャラ兼兄貴的存在

本作ではリインと幸せになってもらいますが、綺麗または可愛い女性には目を奪われるのは変わらず時折リインに発見されては何処かへ連れていかれてしまいます………。

本作では実家が料理店という事になっていてクライン自らも料理は得意です。

 

 

桐ヶ谷和人

(キャラネーム:キリト)

 

原作とほぼ同じだが??????がいる事によりユイ絡みでクラインやリインとはよく会っているようだ。

 

 

結城明日奈

(キャラネーム:アスナ)

 

此方は第一層ボス攻略戦より相談出来る相手が居た為、原作よりかなり前から優しい面が出ている。

………しかし、無自覚のヤンデレ要素はそのまま……むしろリイン先生との共同作業により更に過激に?例えば、

 

「キリト君のスマホのGPSを高性能な物に変えてみました!これでキリト君に何かあったら直ぐに駆けつけられます。」

 

「アスナ…それだけじゃ不安じゃないか?……そうだ!心拍数が急に上がったら分かるように常時起動型のアプリを作って入れようか、私のクラインにも入れてあげよう!」

 

「良いですね♪…でもアプリだとバレませんかね、キリト君結構鋭いから………えっ?…作る?」

 

「スマートフォンには表示されないように作れば良いだけなら簡単だよ?」

 

的な?、怖い、怖すぎる………

 

 

リズベット

 

鍛治職人でマスターメイサーな女の子

本作ではリインと合作を繰り返しエンチャントウェポンを多数作り出す。

 

 

シリカ

 

幼竜ピナを使役するビーストテイマー

リイン達に連れられて原作よりレベルが高い

 

 

以下はオリキャラ

 

星空蒼華

(キャラネーム:ステラ)

 

リアルでは旧家の1人娘で箱入り娘。

居合いと合気柔術を使う攻略組の1人。

SAOではメインウェポンとして刀を使用しており常にメイド服を着用、縁があってリインのアトリエで働く事になる。

I.Qが高く探偵の真似事もしばしば、色々とハイスペックな少女

現実世界では高校生でアスナとは顔見知り(ただし当時は殆ど話したことが無かった。)

GGO編では菊岡と父親の依頼でBOBに参戦する

使用武器は期間限定で行われた新人歓迎レアガチャの景品で一点モノの超レア狙撃砲MK57中隊支援砲をメインウェポンとして使用し、サブはSIGP226MK25を使用。

傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター”の1人

容姿イメージは女装した早乙女さんの所の長男

 

 

アルトメイア・リヒタィンツィーレン

(キャラネーム:メイル)

 

ドイツ軍総司令の孫娘で双子の姉の方、17歳にして特殊部隊の隊員。

ナイフ術が得意だが射撃の腕も悪く無い

性格は楽天家に見せかけた計算高い腹黒で毒舌家クラインに気があるが憧れのリィンフォースから奪うことができない為思案中

妹と一緒にSAOを祖父に強請って手に入れてもらい事件に巻き込まれる。

SAOではメインウェポンとして短剣に属するナイフなどを使用………実は秘密がある。

渾名は”白の暗殺者”や”黒い(腹黒)姫様”などと呼ばれる。

GGO編ではステラ同様トッププレイヤーの1人として登場し使用しているメインウェポンはSOCOMMK13スナイパーライフルだが、実はサブウェポンであるSIGP226MK25を使った戦闘の方が得意。

傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター”の1人

容姿イメージはテスタロッサさん家の次女の左だけポニーテールにしたサイドテール

 

 

アルトマイア・リヒタィンツィーレン

(キャラネーム:マイル)

 

ドイツ軍総司令の孫娘で双子の妹の方、17歳にして特殊部隊の隊員。

アサルトライフルなどを使った強襲が得意で剣士としても優秀な少女

性格は理想の騎士とでも言うべき真面目さで、姉とは正反対。

姉に唆されてSAOを祖父に強請って手に入れてもらい事件に巻き込まれる。

SAO編では大剣に属する騎士剣を使用”白の騎士”や”白い姫様”という渾名がある

GGO編ではステラ同様トッププレイヤーの1人として登場し、メイン銃はHK416Dディフェンシブカスタムを使用、サブはSIGP226MK25を使用

傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター”の1人

容姿イメージはテスタロッサさん家の次女の右だけポニーテールにしたサイドテール




こんな感じで続けていければな?と思って纏めてみました。

GGO編はオルタナティブ準拠で行こうと思いますのでコミック出たら徐々に更新って形になりそうですかね?

小説版読んじゃうと時間がヤバイのですよ。

ではまた次回


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第0話 始まりの物語

未だクラインの要素出てきておりませんが一応クラインとリインフォースさんがキリトとアスナに負けないぐらいになる予定の本作です。
ドイツから日本に留学したリインフォースは持ち前のハイスペックな能力で凄く有名になっているが本人にあまり自覚はありません。


 

 

私の意識が深く深く潜っていく………

此処は私の終わりの記憶……長年共に歩んだ騎士達と優しい主との別れの記憶……

 

もうこの光景を見るのも数え切れないほどであり見るたび涙が溢れる様だ……

 

最後の時だ……私が空に還っていく………。

 

目が覚めた、今は共に歩んだ騎士達も優しい主も優しく強い子供達も居ないが、頼り甲斐のある父親と危なっかしくて目を離せない母親、それと可愛い妹がいる。

 

 

ドイツのハンブルグという所で私は三ツ星シェフと有名なパティシエの娘に生まれた………そう”産まれた”のだ、本来融合機である私が人の子として母親から産まれたその事実に驚いたが、この新しい人生は神様からの贈り物としてありがたく生きている。

 

話が逸れた、兎に角今の私は”普通の”女子大生として青春を謳歌している。

 

「リインさん、申し訳ないんだけど今度の陸上の大会に団体戦出る予定なんだけど怪我しちゃった娘がいて1人足りないの!如何にかして出られないかな?」

 

「待て!陸上部!!リインちゃんはウチのソフトボール部に助っ人に来てもらうんだからあぁぁぁ!!!」

 

「いやいや、フェンシング部のエースが負けたんだからリインさんが今のフェンシング部エースだよ?だからフェンシング部の試合に出てもらうに決まってるじゃないか?これだから脳筋どもは。」

 

「いえ、是非弓道部に!!あんな見事な射は見た事ないです!教えて下さい!お願いします!!」

 

この光景もいつもの事だ、どうやら私は俗に言うチート?持ちであるらしい。

何せ夜天の書の知識に加え守護騎士達の動きもトレースできた事で身体能力の高さも跳ね上がった様だ。

なので、走ればとあるマラソン大会では上位入賞Level、ソフトボールの試合に出ては完全試合の全打席安打、フェンシング部のエースをひょんな事から負かしてしまいいつの間にかエース扱い、弓道は将とベルカ時代に競っていた為に的の真ん中に当てるだけなら造作も無いし何より形が綺麗なのだと言う。

といった感じで大学のほぼ全てのサークルから助っ人を頼まれる。

しかし今日は、

 

「みんな、誘ってくれている所に申し訳ないが今日は家庭教師先の家の娘さんと買い物に行く約束をしていてね?悪いがもう帰らせてもらうよ?」

 

私は心苦しく思いながら今日の予定を伝えるとみんな渋々諦めて活動場所に返って行った。

 

 

2時間後

 

「…どうかな?リインさん似合うと思う?」

 

「うーん”明日奈”にはもっと明るい色が似合いそうな気がするが……………これはどうだい?」

 

「ありがとうございます、じゃあコレ合わせてきますね?」

 

そう言って明日奈は私が選んだ服を試着室に持っていき着替え始めた。

 

私が選んだパステルブルーでタートルネックのセーターと落ち着いた濃い青色のフレアスカートが気に入った様だったので、それを購入してプレゼントする事にした。

 

「良いんですか?!」

 

と喜ぶ明日奈に全教科90点越えのご褒美だよ、

と言って受け取り先に店を出ていてもらう。

実は明日奈の父親である彰三から驚くほどボーナスが出たので頑張った明日奈にも少し還元したくなったのだった。

 

 

明日奈を店の外に出して会計をする。

 

「……万五千円になります、お支払い方法は如何なさいますか?」

 

「あっ、それじゃあコレでお願いします。」

 

店員さんにちょうどの現金を渡し支払いを済ます。

すると、

 

「此方がレシートと本日までの福引券です、本当は1万円で1枚なんですが本日で最後ですのでどうぞ♪」

 

と、ウインクしながら小声で福引券を4枚渡してくれた店員さんにお礼を言って店を後にする。

 

店の外に待たせていた明日奈に服を渡すと

 

「わぁ…ありがとうございます!……でも、本当に良かったんですか?」

 

嬉しそうに受け取った後伺う様に上目遣いで申し訳なさそうに聞いてくる明日奈に私は、

 

「私もこれで明日奈の成績が上がれば家庭教師を続けられるし、何より明日奈に教えるのはスポンジが水を吸う様で楽しいからね。」

 

笑顔でそう言うと明日奈はもう一度お礼を言って顔を上げると、

 

「じゃあ今日はデザート代は私が出します!異論は認めません。」

 

と、言い私の手を引いて歩き出した。

 

 

 

「…じゃあリインさんの大学の学食が美味しいのはリインさんのおかげなんですね。」

 

ケーキ屋に入るとなんとなく私の大学の話になり、私が両親の影響からか、料理が趣味という事で、人気がなかった学食のメニュー監修を当時の教授に頼まれて行った話になったのだ。

そうしてその数日後には近くのファミレスより安くて美味しいと評判になり今では地方から学食目当てで来校する人が出るくらいだ。

 

「私も偶に厨房に入って作っていることもあるし、私は大学院に進むつもりだから明日奈が入ったとしてもまだ居るかもね?」

 

志望校の1つとして考えていると言うので学部やサークルから教授の性格まで色々話した。

 

ープルルルル………プルルッ、ガチャッー

 

「ハイ!もしもし?あっ!分かりました、今すぐ行きます!…………ごめんなさいリインさん、この後ピアノの稽古が入ってしまったみたいで……」

 

申し訳なさそうに言う明日奈に、

 

「今の電話京子さんでしょう?私は良いから早く行った方がいいよ。」

 

と言って送り出そうとすると、

 

「じゃあ会計済ませておきますのでごゆっくりどうぞ、じゃあまた来週お願いします。」

 

と言い、伝票を持って走っていった。

 

「明日奈も大変だな………?如何したんだい明日奈?忘れ物でもあったかな?」

 

少しすると明日奈が戻って来て私に何かを手渡した。

 

「福引券です、今日までだからって店員さんがサービスでくれたんですけど私は出来ないのでリインさん使ってください。」

 

と言い、受け取ると同じ方向に走り去っていった。

 

「そう言えばさっき貰ったのも含めて5枚か……まぁティファー○のセットが当たると嬉しいかな?」

 

福引の商品一覧を見ながら有名メーカーの調理器具セットが当たればいいなぁと思いながらモール三階の福引会場に向かうため、店を出た。

 

「わぁ……混んでるな…さすが最終日。」

 

何処にこんなに人がいたんだ?と思うくらいの人集りで帰ろうかな?と考えていると、

 

「お姉さん最後尾はこちらですのでこちらに並んでください!」

 

福引券を持っているのを見られたのか係の男性に最後尾に並ばされてしまった。

 

「さぁさぁ!特等のナーブギアとSAOのセットはまだ1組残っておりますので並んでいる方全員にチャンスが有りますよーーー!」

 

くじ引きの機械の前の男の人が大声で宣伝する。

確かSAOって大学の友人や明日奈の兄である浩一郎さんがベータテストをしていたゲームだったはず……

フルダイブ型のロールプレイングゲームだったか?などと考えていると、

 

「おおっと?ここでテ○ファールのセットは終了致しましたーー!ですがまだナーブギアセットは出ていない!他にも………や………など……」

 

あぁ、終わってしまったか……さすがにそう上手くはいかないか……残りのボーナスで買って帰るか?

と考えていると、いつのまにか私の番が来た。

 

福引券を係の人に渡すと大きなコインを貰った、如何やらこのコインをくじ引きの機械に入れて回す形式みたいだ。

 

ボックスティッシュ3箱と食用油が当たり明日奈から貰った最後の一枚分のコインを機械に入れて回す。

 

ーガチャガガチャガチャッ………コロンー

 

「おおっ!大当たり〜〜〜!!!特等のナーブギアセットは此方のお姉さんがGETだぁーー!」

 

カラカラカラーーン、と鐘を鳴らしながら係の人が大きな声で叫ぶ。

如何やら当たった様だ、そう言えば妹も手に入ればやってみたいと言っていたのを思い出したので今度日本に来る時にでも渡そうか?と思いながら福引会場の裏手で手続きをする。

正式サービス開始日の午前中配達されるそうだ。

偶々その日は予定が何もない為、せっかくだから1度プレイしてみよう。

 

2022年11月6日

配達されてきたナーブギアの説明書を読んで装着する、キャラクターメイキングというのがよくわからない為、デフォルトでほぼ自分のままの姿でやってみることにした。

 

「おっ?そろそろ時間か?ギルバートさんやリリアナ達と逢えればいいな。」

 

時間が迫って来ると、SAOをやると言っていた行きつけのカフェのマスターや友人達を思い浮かべながら私もそろそろとベッドに横たわり始まりの言葉を口にする。

 

「リンク、スタート」

 

これが世界を揺るがす、SAOと言う名のデスゲームの始まりだと知らずに……




更新は遅いと思いますが、続けていく気は有りますのでどうぞよろしく。
誤字やこの表現違うんじゃないか?と言うご指摘があればお願いします。
確認次第直していきますので。

では、また次回に


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番外編
UA通算10000突破記念 番外編 SAO開発者達の打ち上げ


突破記念小説で完全にSAOのキャラがそっちのけの番外編です。

みなさんご期待のあの方も出て来ますが、今回は直ぐに消えてしまいます。

またSAO編が終わったら出て来そうですが………

では、本編をどうぞ。


 

私はとあるゲームの開発者の1人だ、1人と言っても背景のグラフィックなどを調整したりするだけの仕事で基幹プログラムなどには携わっていないのだが………。

 

ー「……であるからナーブギアは利便性と快適さを追求した仮想現実の世界に入るための扉を開く鍵だと………」ー

 

βテスト後の最終のデバッグ作業も終わり、後は4日後の正式サービス開始を待つのみとなった私達開発者チームは集まれる人だけで慰労会の様なものを執り行うことになった。

 

人より協調性と社交性が高かった私は幹事を任され会場となる都内の某居酒屋に前のりしていた。

 

「お疲れ様〜〜、って私が一番乗り?」

 

茅場博士とナーブギアのメインシステムを構築した1人の倉橋さんが笑顔で入って来ると私に挨拶をしてくれた。

 

それから時間が経つにつれてだんだんと人が集まり、ほとんど全員が来たんじゃないかと思った時……

 

「やぁ、みんなご無沙汰していますね?」

 

と言いながら茅場博士が姿を現した。

 

一同起立して迎えようとすると茅場博士はそれを手で制して座る様に促す。

 

そして、

 

「皆さんのおかげで漸く3日後にSAO正式サービス開始に漕ぎ着ける事が出来ました!皆さん本当にありがとう。ナーブギアを手に入れた人も、手に入らなかった人も何らかの形で浮遊城アインクラッドを見ることになるでしょう……とにかくお疲れ様でした!では、乾杯!!」

 

茅場博士が乾杯の音頭をとるとそこら彼処でグラスを重ねる音が聞こえる。

 

私は取り敢えず中程の席に腰を落ち着け飲み始める。

 

「おい、今日は飲み放題と聞いたが本当か?」

 

チビチビと中ジョッキビールを飲んでいるとSAOプロジェクトでも特に謎の人物となっていた女性

”アストリード”女史が質問してくる。

 

「はい、今日は貸切で食べ物飲み物全メニュー頼み放題で閉店まで大丈夫ですよ?」

 

聞かれた事に素直に答えると「そうか…よし!」と言い歩いて行ってしまった。

ほとんど話などした事は無いが綺麗な人だなぁ〜と思った………口調は怖いが……

 

飲み放題の2時間というのは人が酔っ払うのに必要な時間という事を聞いた事がある気がする……

あと3時間程あるのだが最早素面の人はいないのでは無いか?横の人を除けば…………

 

「おぉ!!このジンジャーガフと言うのはなかなか良いじゃないか、……ん?なんだ貴様?飲まんのか?しょうがない私が飲んでやろう!……ん、おかわり!」

 

「師匠〜〜飲み過ぎですよ〜〜アレ?師匠が3人いるぅ〜〜〜♪あははー♪」

 

女史の右隣に私が座っているが左隣に座っているのは女史の弟子だという”ローナ”という成人してるかもわからない外見を持つ女性が座っている。

”.ローナちゃん”と開発チームでは呼ばれて親しまれていた彼女は、パソコンのパの字も知らなかったが女史の教育や色々な人の手ほどきを受けるといつの間にか開発チームの中心メンバーになっていた。

 

「世の中に天才っているんだなぁ……」

 

「ン?おい、貴様?今天才がどうとか言っただろ?」

 

私の呟きが聞こえていたのか女史が睨みつける様に私を見る。

 

「フン!馬鹿め!本当の天才って奴は何も教えなくても勝手に学んで育つ奴のことだ!私やロロナは自ら学ばなくてはできる様にならんから秀才という奴だ!」

 

機嫌が悪そうだが少し嬉しそうという不思議な表情で言葉を吐き捨てる女史に、

 

「という事はアストリードさんは本当の天才に会ったことがあるんですか?」

 

私が気軽に聞いた質問は如何やら禁句だった様で女史の隣のローナちゃんが顔を青ざめさせて全力で首を横に振っていた。

 

「ああ!あぁあるとも!教えてもいないのに私が長年掛けて作り上げたものを一瞬で創り上げる悪魔の様な巫山戯た奴だ!全くもって腹がたつ!!だいたい無限書庫のリーディング能力とか巫山戯た能力とか、他にも…………………」

 

その後、閉店時間が過ぎても私が解放される事はなく…アストリード女史の家に連行され、ローナちゃんと共にリィンフォースと言う女性の愚痴を延々と聞かされる事になった………解放されたのはローナちゃんの弟子だというトトリちゃんが帰って来てアストリード女史の首筋に手刀を叩き込み気絶させた後だった。

 

 

ー3時間後 自宅ー

 

ーガチャッ…バタンー

 

「なぁーに…アンタ、朝帰りなんて嫁入り前の女があんまりするんじゃないよ?」

 

母の小言に曖昧に相槌をうちリビングのソファーに倒れ込む。

 

ー「……は、次のニュースで………」ー

 

朝の定番のニュース番組がかかっていて昨日のフェンシングの大会の様子を放送している。

 

ー「………こで、リィンフォース選手が仕掛けるのですが相手は反応すらできなかった様ですね、何せスピードカメラで見ているのにスローにしかならないんですからその最高速度が………」

 

リィンフォース…って名前は……天才が………多いんだなぁ…………(( _ _ ))..zzzZZ

と思いながら寝て、起きた時にはリィンフォースと言う名前をスッカリ忘れていた。

 

 

 

 

 

 

ーその頃 ”アストリッド”宅ー

 

「茅場の若造共め!とうとう私の作った錬金術スキルに気付かず正式サービス開始にふみきったか!ハッハッハー!!ザマアミロ〜♪」

 

「もう!師匠ってば!人の話を聞がないんだから………もういいや、トトリちゃん行こうか?」

 

「でも……良いんですか先生?アストリッドさんに言っとかないとまたステルクさんとジーノ君が被害を受けちゃう気がするんですけど?…………でも…行っちゃいますか!」

 

2日後にSAO正式サービス開始というニュースを見た”アストリッド”はまた酒を煽りながら高笑いを続ける。

その横で”ロロナ”とトトリが必死に呼び掛けるが聞いておらず、ロロナは行っちゃおうか?とトトリに相談する。

 

相談されたトトリは早く両親や姉のツェツィ、夫のジーノ、娘のエリーに逢いたくなった為、迷いながらも同意してしまった。

 

じゃあ書き置きだけ残しておこう!と言うロロナの意見に賛成して

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ステルクさんとリリーに会う為、実家に帰ってまーす! ロロナ

 

すいませんアストリッドさん、ジーノ君だけじゃエリーのお世話できないと思うので1度戻って来ますね? トトリ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と書き置きを残した。

 

 

ー「ハーッハッハッハー………」ー

 

尚も笑い続けるアストリッドを他所に転移の為の特別なトラベルゲートを取り出すとロロナは呪文を唱え始める。

 

「「転移!アーランド!」」

 

その言葉と共にトラベルゲートが虹色に輝くと2人はまるで転移結晶を使ったプレイヤーの様にアーランド共和国に転移して行った。

 

 

 

「ふぅ…、まぁ錬金術スキルは80層のボスが持っているLAbonusのアーランド語翻訳辞典が無ければ習得出来んしな、まぁ当分習得する事は不可能だろうし……ん?……ロロナ?トトリ?どこへ行っ……………」

 

優越感に浸った後我に返ったアストリッドはロロナとトトリの書き置きを見つけるとすぐさまトラベルゲートを取り出し追いかけに行った。

 

 

……………そう、稀代の大魔女でも予想外の出来事だったのだ……第1層の図書館に置いた古ぼけたアーランド語の本を読める人物がいる事など……………そして大魔女が唯一心の底から”格上”と認める魔道書が生まれ変わっていることなど………。

 




転移のプログラムは全てアストリッドとロロナが作ったと言うオリジナル設定に変更しております。

魔法的要素は実際に使える人の方がリアリティが出るんじゃないか?というのと、アトリエのゲーム中に、「アレ?コレSAOの転移に似てる?」という私の考えから派生した意見ですので異論は認めます。

アストリッドさん達はALO編辺りからまた出現しそうな気が……

ではまた次回。

ー追記ー

アーランド王国→アーランド共和国

御指摘あり修正しました。
他にも誤り見つけたら御指摘お願いします。


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番外編 ステラのGGO *

うちのリインさんチートですがステラちゃんも普通の人間枠からは若干外れます。

能力が高く感じないのはアスナやキリトを基準に考えていたからで、SAO時代からずっとハイスペックのままです。

オリキャラのステラ視点ガンゲイルオンライン編です、ネタの1つとして突っ込んでみました。


ードーーン……ドガーン!ー

 

草原フィールドの数少ないストラクチャーに隠れてMK-57突撃支援砲を敵プレイヤーに発射する。

 

「ぐわっ!……」

 

命中したようだ、プレイヤーの周りの地形ごと吹っ飛んで行った。

 

【挿絵表示】

 

「あっ!大変、移動しなきゃ……よいしょっと…」

 

私の持っている銃?は威力に見合った大きさと轟音の為一発撃つと必ず居場所がバレてしまうので必ず移動しなければならないのだ。

それにこの突撃支援砲は重い、どのくらい重いかと言うと10キロの米袋を3つ纏めて持っているような感覚だ、店長はそれくらい軽く持ってみせてくれるが私は”普通の”女の子だ、実家の影響で少し鍛えているがあくまで”普通の”人間の範疇に収まるぐらいの力しか無い。

よってこのGGOのルーキーレアガチャで当たったコレを使うしかない現状は良くはないが、チュートリアル終了ガチャのSレアバズーカよりはましな為に使い続けている。

 

「菊岡のおじ様もどうして私なんかに依頼してこられたのでしょう?もっと他に適任な方が居るでしょうに。」

 

3日前お父様に呼ばれて書斎に行くと、お父様と菊岡のおじ様が居てお父様が私に、

 

「来たか蒼華、座りなさい。」

 

と言い、私は何故菊岡のおじ様も一緒に?と思いながらも椅子に座る。

 

「久しぶりだね蒼華ちゃん?最後に会ってから何年たったか分からないがキレイになったね、外であったらわからないよ。」

 

「いやですわ、おじ様こそ何時もピシッと決まってカッコいいですわ。」

 

おじ様が褒めてくれるのを嬉しく感じ、おそらくは私の初恋の相手であったであろうおじ様はカッコ良く見えるが、今はもっと好きな人が出来たので前より冷静に会話することができた。

 

「それでお父様?私に御用事があるとお母様からお伺いして来たのですがどんな御用でしょうか?」

 

微笑ましそうに私とおじ様を眺めていたお父様が私の質問に答えるため真面目な顔になり佇まいを直して話を切り出した。

 

「うむ、今日はお前の父親としてでは無く警視庁サイバー事件対策部副本部長として話をさせてもらう。」

 

家では道場でしか見たことの無い表情に私も気を引き締めてお父様のお話を伺う。

 

「菊岡の持って来た案件なのだが……最近RMT推奨のオンラインゲームが有るのは知っているか?」

 

「えぇ、ガンゲイルオンラインですね?警察でも射撃訓練の一環としてやっているようでなかなか良くできたゲームと聞いていますわ。」

 

お父様の質問に答えるとお父様は苦笑しながら、

 

「そう言えば、あのゲームの上位ランカーにメイド服を着た砲撃手がいるらしいな?何やらすごい命中率で一度狙われたら逃げられないと有名になっているそうだが……確か名前がステラ…と言ったかな?」

 

うわぁ〜…バレてる………確かに最近やり過ぎて上位ランカーに仲間入りしてしまったが、まさかお父様にバレるなんて……と頭を抱えていると、

 

「いや、蒼華ちゃん今回に限っては好都合なんだよ、なにせ私が依頼したい案件はそのガンゲイルオンラインについてだからね?」

 

おじ様は可笑しそうに口に手を当てて私に依頼内容を伝えてくる。

 

「ガンゲイルオンラインで依頼……まさか”デス・ガン”ですか?」

 

最近プレイヤー間で噂になっている事件を思い出し、個人的に調べている事を伝えるとお父様とおじ様は、

 

「「相変わらずだな(ね)。」」

 

と声を揃えて言った。

 

「美少女探偵は健在だね、まさかもうここまで調べているとは…この資料を見る限り警察でも掴んでいないネタまで……蒼華ちゃん?この資料貰っても?」

 

「えぇ、其方はコピーですのでお持ち頂いても大丈夫ですわ。」

 

おじ様に資料のコピーを提供するとお父様が口を開く。

 

「うむ、蒼華、警視庁サイバー事件対策部副本部長として依頼だ!デス・ガン事件の捜査協力要請を申し込む、どうだ?受けてくれるか?」

 

 

お父様の依頼を受けて本格的にデス・ガンの捜査を始めると、同じ様な不審死事件が発生しており犯人がいるのであればどうやって犯行を続けているのか?という壁にぶちあたり、そのモヤモヤを晴らすためにプレイヤーを倒す為ランキングがドンドン上がる。

気が付けば私はトップ20に仲間入りしており次の大会の優勝候補の一角として数えられてしまった。

 

「SAOの人が居ればすぐバレそうですね、何故高性能な装備がSAOと同じメイド服なのでしょう?不思議ですわ。」

 

如何やらBOBに参戦しなければならなくなりそうですし、最近ALOにログインしてないからストレスが溜まりますわ〜〜店長やアスナ達は元気でしょうか?などと考えながら引き金を引く。

 

ードン…ドン………ドドーーンー

2発とも着弾し障害物ごと相手チームのプレイヤーを倒す。

 

「おーい、すーちゃんよー!俺たちの獲物も取っといてくれよ?」

 

「美少女メイドのキツイ攻めで逝けるなんてなんで羨ましい……くっ、何故同じチームなんだ!!」

 

「おーい運営さーんコッチコッチ、こいつが犯人ですよー。」

 

チーム戦のメンバーからヤジ?が飛ぶ、私はそれを聞いて、

 

「皆様?早くしないと私が全て倒してしまいますわよ?」

 

不敵な笑みを浮かべながらそう言うと2人程障害物から出て敵プレイヤーの排除に向かう。

 

ー………パーーン……パーーンー

 

むっ?やられた?スナイプで連続ヘッドショットとは凄い………あの髪の色…シノンか?

 

突撃支援砲のスコープを覗き込むと微かにライバルの姿が見えた気がした。

 

「あの方もいらっしゃるとは思いませんでしたが……楽しくなりそうですわ!」

 

久しく無かった歯ごたえのある相手との勝負に心躍らせながら引き金を引く指に徐々に力を入れて…………引く。

 

私が放った砲弾は轟音と共にライバルが隠れているであろう建物ごと吹き飛ばした。

 

 

「………あいたたた、あの娘相変わらず物騒な物を撃ってくるわね!」

 

シノンが悪態を吐いた所で終了のブザーが鳴り響く。

 

リザルトを見ると個人成績は微妙に勝ってはいるがチームとしては完全敗北もいいところという結果でシノンは密かにリベンジを誓うのだった。

 

 




オリキャラ設定

ステラ=星空蒼華

誕生日2008年7月7日の15歳

旧武家である星空家の一人娘。

居合い剣術の免許中伝でありSAO時代は刀を使い居合い系の技をメインで使用していた。

GGOではルーキー記念ガチャで当たったMK-57突撃支援砲を使い”冥土なメイド”と言う不思議な渾名をつけられる。

因みにステラの由来は苗字の星空を英語読みしただけという安直さ、まぁ明日奈のアスナよりはマシな方。


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番外編 ステラのGGO 第2話 傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター*”

本編進めようと思ったらいつの間にかできた……アレ?

番外編なのに続きです。

おそらくSAOのアニメマラソンがいけない、ちょうどGGO編だったし…

と言う言い訳をしながら本編です。


【ヴォルケンリッターside】

 

廃墟の建ち並ぶ荒廃した都市部で3人の少女が建物の影に隠れて敵チームの様子を探っている。

 

「フム……、やはり主が居ない内に奇襲を仕掛けて来たか……さて、ステラ…参謀としては如何する?私個人的には我比戦力が3倍では撤退を愚考するが?」

 

金髪に白を基調とした装備の少女が右隣で顎に手を当てて考え込む蒼髪の少女”ステラ”に質問すると、

 

「………確かにマイルの言う通り…戦力差を数だけで捉えるなら3倍ですが、地形と私達3人の戦力を鑑みれば戦力差など無いも同然です。此処は徹底抗戦を提案致しますわ…メイルは如何でしょう?」

 

金髪の少女”マイル”にステラと呼ばれた少女は対面に座って拳銃を弄んでいるマイルと殆ど同じ顔の”メイル”に確認を取る。

 

「ンーー?私はマイルちゃんとステラちゃんがヤるなら付き合うだけだよ〜〜、だって私マイルちゃんの奴隷だもの?」

 

ステラの問い掛けにンーー、と伸びをすると首を傾げながら人差し指を顎に当てて可愛く返事を言う。

 

「メイル!あの時の約束はもう無効だろう!いつ迄も蒸し返すんじゃ無い!」

 

「ちょっとマイル!撃たれますわよ!」

 

ーチュイン……ー

 

顔を真っ赤にしたマイルが現状を忘れて立ち上がった為、ステラが急いで頭を下げさせるとマイルの頭部があった場所に狙撃銃の銃弾が撃ち込まれる。

それを光景を見たメイルは一瞬目を見開くと、

 

「………へぇ……マイルちゃんを殺そうと……ステラ?…作戦は?」

 

何時もの戯けた感じの喋り方ではなく平坦で温度を感じさせない冷たい口調で冷めた目をしながら作戦を話すように促す。

 

「え?……ええ、マイルもよろしい?」

 

態度を豹変させたメイルを不審に思いながらあまり乗り気でなさそうなマイルに如何します?と最終確認をしようと横を見ると諦めた顔をしながら、

 

「はぁー〜………しょうがない、ステラ宜しく頼む。」

 

溜息と共にそう呟いた。

 

「先ずは先手を取って参りましょう、メイルとマイルは先行してA3地点の建物の影に隠れて合図を待って下さい。敵が射程内に入ったら無線で合図を送ります…そして敵を引きつけている間に私が敵主力をD1地点のビルから狙い撃ちます。」

 

話し合いの最中に考えた作戦を2人に伝えると、

 

「フム、A3地点か……A1地点では駄目なのか?その方が射角も取れるし何より近いだろう?相手が差し迫っている現状ではそちらからの方が効率が良い気がするのだが?」

 

マイルがもっと素早く準備出来る地点に変更しないのか聞いてきたので答えようとすると横からメイルが、

 

「駄目だよーマイルちゃん♪マイルちゃんが考えつくってことは相手も予想してるだろうし予想していれば対策も練っているだろうし。」

 

「ねっ?」と清々しい笑顔でステラを見ながら答える。

 

「そうですね…それなりに考えているひとがいるのでしたら私がA1地点にいると考えてC2地点からの長距離狙撃で倒そうとして来るはずですわ、それにあそこからなら下にいるとメンバーに指示が出しやすそうな場所でもありますしね。」

 

ステラの説明に頭に疑問マークを浮かべたマイルが地図を再度確認する。

 

「…………………うん?…ああっ!そうか!A3地点ならばC2地点に敵が居ても見つからないし広場を見渡す事が出来るのだな?」

 

地図と格闘する事数秒でマイルは理解したようだ。

満足そうなマイルを微笑ましく見守るメイルは

 

「理解出来たところで行きましょうかマイルちゃん?ほらほら…」

 

「待て!まだ装備が…おいメイル、引っ張るな……」

 

と、言いながら引きずっていく。

 

いつもながらの光景を眺めていると、

 

「いけない!私も急がなきゃ!」

 

と言いながら愛銃であるMK57突撃支援砲を担いで出て行く。

 

【襲撃者side】

 

「おい、ギンロウ?ここが本当に”あの”傭兵スコードロン”ヴォルケンリッター”のアジトなんだろうな?」

 

テンガロンハットに胡散臭い髭を生やした男”ダイン”が横に居るギンロウに話し掛ける。

 

「確実ですよ〜ダインさん、だってあの大手ギルドが賞金掛けてまで探し出した相手っすよ?」

 

「高かったんですよ?この情報。」と言いながら信憑性を疑うダインに文句を言う。

 

「まぁ良い、何かいるのは確実のようだしな……シノンは配置に着いたのか?………おい、シノン聴こえるか?」

 

 

「こちらシノン…C2地点に到着…現在敵勢力に動き無し。」

 

ダインが通信を入れるとシノンと呼ばれた女性は身の丈に合わない大きなアンチマテリアルライフルを敵が居るであろう地点に向けてスコープを覗いていた。

 

「頼むぜシノン、今日はヴォルケンのリインは大学のテニスの大会に出ているからログイン出来ねぇ筈だからな、他のやつを仕留めて賞金を頂くっていうのが俺たちの作戦だからな?」

 

ダインの消極的な考えを鬱陶しく思いながらも敵に動きが無いか見続けているとA3地点のビルの影から白い物体が2つ飛び出してきた。

 

「ダイン来た!ホワイトデビルだ!2人とも居る!装備迄は分からないけど其方に向かってる!」

 

 

ーA1【ヴォルケンリッターside】

 

「………ステラちゃんからだ………C2.S1……A4.?15だとさ?マイルちゃん、どうしようか?私が突っ込んで撹乱する?それとも2人で壊滅させちゃう?」

 

まるで今日のおやつ何にする?と言うように気軽な感じで物騒なことを言う姉に、

 

「メイル?作戦はあくまで陽動だぞ?私達2人で壊滅させる必要は無いんだが………」

 

戸惑いながら諭すと、

 

「だってあの人達……ゲームとはいえ私の大事な……大事なマイルちゃんを撃ち殺そうとしたんだよ?…許せるわけ…ないじゃない……特に…スナイパーは生きてるのを後悔するぐらいまで痛めつけてやるんだから……」

 

「フフッ、フフフ…」と暗い笑いをする双子の姉にマイルは、

 

「ていっ!!」

 

ードカッー

 

と言いながら手刀を打ち込む。

 

「痛ったーーーい!!………何するのマイルちゃん!圏外だからダメージ入っちゃったよ。」

 

手刀を頭に打ち込まれたメイルは打たれた所をさすりながら涙目でマイルを睨み文句を言う。

 

 

「メイルが悪い……おっと合図だ、行くぞメイル!」

 

「ちょっと待ってよ〜、マイルちゃ〜〜ん……」

 

そして2人は敵の待ち構える広場跡へと走って行く。

 

ーD1地点ビル最上階ー

 

「風向きは北東に1mかな?まぁこの子にはあんまり関係ないんだけどね。」

 

合図を送ったステラは突撃支援砲を敵の中心部に合わせるとメイルとマイルの出方を待った。

 

「…………………!動いた!メイル!マイル!聞こえまして?貴方方の前に居る一団が動きましたわよ!」

 

通話を送ると一呼吸遅れて2人が飛び出す。

 

するとその瞬間

 

ーチュイン……チューン……ー

 

2人が狙撃を受けて被弾し、すぐさま物陰に隠れる。

弾道から狙撃地点を割り出したステラは突撃支援砲をその方向に構えると此方からは丸見えな敵のスナイパーへ対人ではoverkillになること請け合いの砲弾を発射する。

放たれた砲弾は敵のスナイパーへ一直線に進んでいき着弾、するとC2地点にあったビルの上階部分が爆音をあげながら崩れ落ちる。

 

「終わりましたわ、では私も参りましょうか。」

 

着弾を確認するとステラは突撃支援砲を担いで下に降りていった。

 

 

【シノンside】

 

「もうっ!何なのよアレ!」

 

ステラの放った砲弾により崩壊したビルの壁にしがみついたシノンはあまりに突然の出来事に憤慨していた。

 

「撃ってる奴は分からなかったけどあの銃は大型アンチマテリアルライフルクラスの超重量級の筈……どんな化け物が居るのよ……ホントに…」

 

この場所から戦線復帰は無理そうだなぁなどと考えながら、眼下に見える戦闘を見物する事にしたシノンは、せめて白い奴の正体だけでも見ようと双眼鏡を取り出す。

 

「どれどれ?ダイン達が彼処だから………居た!………えっ?」

 

シノンの眼下で繰り広げられているのは戦闘ではなく”蹂躙”であった。

3倍どころか5倍もあった戦力差は意味を成さず、金髪を右側だけサイドテールに結った少女がHK416Dのカスタムで牽制するなかを、前後左右縦横無尽に飛び跳ねる左サイドテールの少女が2丁拳銃でダイン達スコードロンメンバーを文字通り蹂躙する光景だった。

 

少しすると弾が切れたのか少女達が後退する。

生き残ったダイン達6人が追撃の為追い掛けるのが見える。

通信機が生きていれば私はこう叫んだだろう…「罠だ!行ってはいけない!」と……

 

【挿絵表示】

 

ードウッッ………ドカーーーッンー

 

多分私を砲撃したスナイパー?が戻ってきたのだろう…バズーカを構えた人物が煉瓦の隙間から見えた、良く見えないがアレは女性ではないか?…………あの人達を”シノン”が倒せば”私”も強くなれる気がした。

 

「傭兵”ヴォルケンリッター”憶えておくわ……」

 

目を細くして睨むように見て呟く。

 

……そしてその後、シノンとステラというスナイパーがGGOで一躍有名になり”ある事件”を経て親友とも言える仲になる事は、まだ本人達ですら知らない。

 

 

 

 

戦闘後、

 

「ねぇ?ステラちゃん…マイルちゃんを撃とうとした奴はちゃんと仕留めたんだよね?」

 

メイルが不思議そうにステラに確認する。

 

「えぇ…私のケルちゃんが直撃した筈ですが?如何してでしょうか?」

 

ステラがそう答えるとメイルは、

 

「でもさ?今回の戦闘のリザルトで相手側が1人戦線離脱になってるの。で…時間的にステラが最初に撃った時殺しているのならFirstkillbonusはステラのものになる筈なのにbonusは私に付いてるの……と、言うことは?」

 

ステラはメイルが言葉を言いきる前に逃亡を始めていた、それに気がついたメイルが全速力で追いかけて行く。

さらにその後方からマイルが溜息を吐きながらトボトボと追い掛ける。

ステラとメイルの壮絶な鬼ごっこは、リアルでテニス大会の助っ人が終わったリインが来るまで続けられたそうだ。




作中でメイルが使っている銃はSIGP226MK25という対テロ特殊部隊が使用する拳銃です。

マイルが使っているのも同じ特殊部隊が使用する銃です。

何故かって?それは………友人に貰ったガチャガチャの景品だからさ……って聞いてないか?

ではまた次回


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アインクラッド番外編 姉妹ゲンカ ー暗殺者対姫騎士ー*

オリジナルキャラクターを出すための番外編です。

バトルシーンの練習用に書いてみた話でしたが予想以上に気に入ってしまい設定まで作ってしまいました。

これからも何度か登場するかと思いますが、御容赦を。

では本編です、どうぞ。


ーキン……キッ…キン………ガキッ…ンー

 

白いマントを羽織り短剣を左手に持つ少女と左手に大剣を持つ白いドレスのような装備を着た少女が剣戟を数十合打ち合うと同時に離れる。

 

「フゥ……さすがマイルちゃん、やるねぇ……。」

 

マントの少女が息を整えながら大剣の少女”マイル”を褒め称える。

 

「いいえ…メイルこそ……やりますね……短剣1つで大剣とやりあうとは……はぁ……」

 

殆ど同じ顔をしたマイルは白マントの少女”メイル”を此方も褒め称える。

 

「マイルちゃんの言い分も分かるけどさ、アイツらは放っておけばどんどん殺すよ………私達とフレンドになったギルドの皆んなはどうなった?私達が離れた隙に全員殺されたよね?………私達が”あの時”中途半端な撃退したせいで皆んなが巻き添えを食らったんだよ?……なら……生き残った私達が…いや、私が!仇を取らなきゃ!死んでいったあの人達に申し訳が立たないじゃない!!」

 

無表情から薄ら笑いを浮かべながら静かに語るメイルは最後の方で感情が高ぶったのか、大声で涙を浮かべながら独白する。

 

「いいえ……それは私達が2人で背負うべき罪で有り全員を殺す必要は無い……そしてメイル1人で背負うべきものでも無い、姉妹ならば…”あの時”一緒に行動していた私達ならば……一緒に償うべき罪だろう!1人で全て片付けようとするなんて!それこそ私に対する侮辱だぞ!!メイル!!」

 

離した距離を一気に詰めて大剣を振り下ろすマイル

 

「違う!!”あの時”私が彼等から離れて狩りをしなかったら!!マイルちゃんも巻き込んで行かなかったら!!死んだのは私だけで済んだかも知れない!!そして彼らはまだ生きていたかも知れないじゃない!!」

 

メイルは自分に迫る大剣を短剣で左側に受け流し火花を散らせながら声を張り上げ、その瞬間に逆手に持ち替えた短剣でマイルを斬ろうとするが躱される。

 

「それこそ違う!!悪いのはラフィンコフィンであって彼らでも…私でも…ましてやっ!…メイルでは決してっ!無い!!」

 

受け流された大剣でメイルの追撃を防御しながら再度右側から剣を振るうと、短剣で防御されるがノックバックが発生してメイルは川の向こうに吹き飛ばされる。

 

【挿絵表示】

 

「………なあ?メイル、そろそろこのくだらない姉妹ゲンカを終いにしたいのだが?」

 

マイルはメイルと川を挟んで正対すると対岸のメイルに聴こえるように大きな声で言う。

それに対してメイルは、

 

「姉妹と終いを掛けたの?やるじゃない…お姉ちゃん感激だよ?マイルちゃんが冗談を言ってくれるなんてね。」

 

おちゃらけた調子に戻り双子の妹を揶揄する。

 

「いつまで仮面を被ってるつもりだ!さっきのが本音だろう!もう顔が繕えてないぞ!いい加減にしろ!デュエルで決着をつけるぞ!!私が勝ったら私に従え!!」

 

そう、メイルは口調こそ元に戻っていたが、泣いてるのか怒っているのか絶望しているのかよく分からない顔をしながら喋っていたのだ。

それを見たマイルは双子の姉の何かに取り憑かれた様にも見える表情を指摘する。

 

「………じゃあ止めてみなよ…そのデュエルを受けてあげるよ……そのかわり…私が勝ったら2度と私の前に現れないで……その条件を呑めるなら受けてあげるよ?」

 

指摘を受け無表情に戻ったメイルがそう提案してきた為、マイルは「望むところだ!」と言いながら近づいていくとデュエルの申し込みをメイルに送った。

 

無表情のまま目を赤く腫らしたメイルがデュエルを受託すると2人はほぼ同時に構えをとった。

 

ー3……2………1………STARTー

 

カウントがゼロになった瞬間に2人は交錯する、マイルは短剣の一撃を凌ぐと隙を見つける為一度距離を取る。

メイルはそうはさせじと速度を上げて短剣のソードスキル”ラピットバイト”を叩き込む、マイルは直撃ではなかったが攻撃を受けて距離を取る事に失敗してしまい目の前にさらなるソードスキルの光を宿したメイルが居た為に大剣を盾がわりにして踏ん張る。

 

もう少しで決着がつく所で”ファッドエッジ”の連撃が終わりメイルは驚愕の表情でソードスキル発動後の硬直時間に入る。

その隙を見逃すマイルでは無かった。

 

「いくぞ!いままで心配させた分コレで無しにしてやろう!!」

 

マイルは受け切った瞬間を見計らって大剣を上段に構えており、其処からソードスキルの輝きが増していく。

光が最高潮に達すると少し開いた距離を詰めながら上段に構えたマイルがメイル目掛けて突っ込んで行き、大剣の射程に入るとソードスキル”アバランシュ”が発動する。

 

「くっ、……ガッッ…ハっ…ァ!」

 

直撃では無かったがアバランシュの一撃で地面に叩きつけられてメイルは大ダメージを負って、一撃で敗北してしまった。

 

「はぁ…はぁ…、私の勝ちだなメイル、約束は守ってもらうぞ?」

 

マイルも精神的に疲れたのか、地面に俯せで横たわるメイルの隣に座り込みながら告げる。

動かないメイルに死んでないか確認しようとすると、

 

「………ヒクッ……ヒグッ…だっで…だって…黄昏の玉座の皆んなは…わだじのぜいでじんだんだよ…。」

 

地面に顔をつけたままボロボロと涙を流すメイル

それをみたマイルは、

 

「お父さんみたいに叱ってくれたゼクスさんも、姉妹ゲンカを止めてくれたエルさんも、冴えなかったハイルさんも優しかったカーネリアさんも皆んな……私達に復讐なんて望んでないと思うんだ…殺してしまっては奴らと同じ事の繰り返しになってしまう……忘れろとは言えないが怒りと悲しみを堪えて過去じゃなく、明日に向かって生きよう…、私はそう考えている。」

 

そう告げるとメイルは大声で泣きながら座ったまま私に抱きついてきた。

私はそっとメイルの背中に手を回して抱き返すと、私もラフィンコフィンに壊滅させられたギルド”黄昏の玉座”の皆を思い出し静かに涙する。

 

一頻り泣いた後、いつの間にか寝ていたのか気がつくと姉さんが居ない。

まさか何処かに行ってしまったのか!と思い焦って探そうとすると木の上から声がする。

 

「あっ?起きた?………よっ…と!おはようマイルちゃん♪」

 

木の上に居た姉は軽い”何時もの感じ”で私に挨拶してくる。

 

「姉さん!また何処か行ってしまったのかと思って心配したんだぞ!」

 

私が怒りながら言うと、

 

「ゴメンゴメン、心配ついでにさ…行きたいところが在るんだけど…着いてきてくれない?その後だったらなんでも言う事聞くからさ……」

 

何時もの胡散臭い笑い顔を一転させて真面目な表情になると行きたいところが在ると告げてくるメイル

 

「まぁ…ちゃんと言ってくれればいいよ、……で何処に行きたいんだ?」

 

「着いてきて?」と言われ着いて行くと”あの時”以来私でさえ来ていない場所に足を向ける姉。

心配になった私が声をかけようとすると、手で私の口を制してくる。

そのまま無言で進んで行くと”黄昏の玉座”が壊滅した場所にラフィンコフィンのメンバーに奪われた筈の彼らの装備していた武器が墓標の様に突き刺さっていた。

 

「っ!メイル、コレはいったい?」

 

息を呑んだ私がメイルに質問すると、

 

「……マイルちゃんの御察しの通り…私はもう……ヒト殺しなんだよ…ラフコフの…私達が撃退した3人組が持ってたんだ……。」

 

辛そうに呟くメイルを見て慰めようと近づいているとギルドの皆んなの武器が輝き出し、

 

ー…………………………ニコッ………ー

 

今でも思う…アレは幻だったのだろうか?それとも人の魂が起こした奇跡だったのか………

それはたぶん誰にも分からない…………

ただ確かなのはあの時に見たギルドのみんなの笑顔が私達の救いになった事だけだ………。

 

 

 

それから数日後

とある階層フロアボス戦

 

「ハァーーーッ!クライン!スイッチ!」

 

「応よ!…行っくぜぇーー!!」

 

リィンがソードスキルをフロアボスに叩き込みスイッチをしてクラインが追撃をかけると、更に後ろから白い同型の軽鎧を装備した殆ど同じ顔の少女が2人ソードスキルの輝きを放ち残り少なくなっていたボスのHPを消滅させる。

 

ハイタッチをしてお互いを讃え合う美少女に目を奪われていたクラインはエギルやキリトが青ざめた顔で自分の背後を指差すのを見て”ん?”と思って後ろを振り返ると其処には、

 

「………クライン?…………チョットオハナシガアルカラアッチへイコウカ?」

 

顔色を消して光を映さない目をした最終兵器が立っていた。

 

「あっ……あのー、リインさん?こ…こ、ここ圏外ですしね?あっ、あの?聞いていらっしゃいますか?……あのー、リインさん?」

 

無言でクラインの両肩を掴むと後ろ向きのまま引き摺って行くリイン、クラインはもはや意味のない言葉の羅列しか発せていない。

 

「クラインも懲りないな……そういやアイツHPイエローゾーンまでいってたが本当に大丈夫か?」

 

エギルが心配そうに呟くと、

 

「大丈夫よエギルさん、アレは全面的にクラインさんが悪いんだから、それに彼女が居るのに他の女の子に色目を使うなんて以ての外ですよ、ね?キリト君?」

 

綺麗な…心が震える程綺麗な笑顔でアスナはキリトに声をかける。

 

「そっ!そうだよなアスナ?そうだ!全部クラインが悪い!」

 

とばっちりを受けてキリトは盛大に冷や汗をかいていた。

その背後でメイルとマイルの2人はラストアタックボーナスの大剣と短剣を見せ合ってはしゃいでいた。




まぁ…気軽に読んでください。

思いついたものを書いているだけなので気軽に感想などいただければ励みになりますので、何か気づいた事とか誤字脱字等も報告よろしくお願いします。

ではまた次回に。


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番外編 ”紫の剣聖”

私の誕生日と友人の趣味でウチに来たキーポッシュ?
を見て考えついた短編です。

本編楽しみにしている方が居たら申し訳ないので少しでも投稿して見ました。
因みに本編でのツヴァイの登場はほぼ無くなりました。
データが消えの時に修正して居て齟齬が出てしまったので…

一応世界は同じですのでどうぞ。


プロローグ

 

”紫の剣聖”

 

「やぁ、アーちゃん!最近キー坊とは上手くやって……痛い、痛い!……悪かったヨ。」

 

「って、今日はアーちゃんとキー坊に聞きたい事があってナ?

今さっきリインとクラさんには聞いて来るけど、

このアインクラッドには二つ名が付いているプレイヤーが居る事は知ってるよナ?」

 

「そうそう、オレっちの”鼠のアルゴ”だったりアーちゃんだったら”閃光のアスナ”、キー坊だったら”黒の剣士”、リインは”銀の聖女”、クラさんは”侍大将のクライン”だロ?

まぁ、他にも話題になる様ナ人物は聞いて情報を集めてたんだガ…どうやっても殆ど情報を集められなかったプレイヤーが居てナ?

もし知ってたら教えて欲しいんだガ……2人は”紫に剣聖” っテ知ってるカ?」

 

 

リンダースのリズベット鍛冶店内のプレイヤーホームで黒っぽい服装のキリト

若奥様風の服装をしたアスナ

鍛治装備の リズベット

は、目の前に座るアルゴにそう質問されると各々の心当たりを話した。

 

「俺は月夜の黒猫団って言うギルドに入っているんだが、このギルドメンバーと27階層でモンスタートラップに引っかかって死にかけた時に助けられたのが最初かな?

それからちょくちょく見かけるがあんまり話した事はないな…凄い綺麗な人だったのは覚える。」

 

キリトの”死にかけた”と、”綺麗な人”発言に横に座るアスナが、

「何それ?!初耳なんだけど!」

とお怒りモードに突入すると、必死に弁明するキリト共々ほっぽって、アルゴは空気と化しているリズベットに心当たりを聞く。

 

リズベットはこのタイミングで話を振られるとは思わなかった様で飲んでいた紅茶モドキを噴き出し、口元を拭うと思い出しながら話しだした。

 

「私が初めて会ったのは……何階層か忘れたけど鍛冶屋を開く前に露店で武器の修理屋やってた時かな?

……なんか幾つも剣を持っていて修理が追いつかないから専門の鍛治職人を探してる、って言ってた。」

 

リズベットの発言に関心を寄せて続きを促すアルゴ

 

「其れからは毎回剣の修理は私の所でやってくれてるんだけど、毎回差し入れとしてリインの所と変わらないぐらい美味しいお菓子とか料理を差し入れてくれるの!

ほんっとに美味しいんだから!」

 

途中からリズベットの口端に涎が見えた気がしたが、気の所為という事にして質問を続けようとしていると、夫婦喧嘩が終わったのかアスナが何かを言いたげにこちらを見ていた。

 

「アーちゃんどうしタ?オレっちの顔に何かついてるカ?」

 

アルゴを凝視するアスナにアルゴが何か?と疑問顔で聞くとアスナは「違うけど…」と言ってから話しだした。

 

「たぶん…アヤメさんだと思うけど、アルゴさんが探してるのって紫色の髪のメイドさんでしょ?リイン先生と一緒に居た時に初めて会ったんだけど最初は失礼な人だと思ったわ。」

 

アスナの発言に今までの情報との齟齬を感じて

 

「どういう事?……それに最初ハ?」

 

とアルゴが質問すると、アスナは思い出す様に目を閉じて

 

「ん〜〜…初めて会ったのは第1階層攻略して少ししてからだから………第2階層のボス部屋が見つかる前だと思うけどね?最初はリイン先生の本名を大声で叫んだと思ったらよく分からない事をずっと捲し立てていたのが印象的だったわ。」

 

最初は印象が悪かったの、と言うアスナに”よく分からない事”?を質問すると

 

「うん、まだその時はメイド装備じゃなかったんだけど……なんだったかな?…確か…転生…魔法…管理…ベルカ?後はなんだったかな?

最初はリイン先生も驚いてたけど途中から全く話が噛み合わなくなってアヤメさんが怒りだして去って行ったの。

それから当分会ってなくて、次に会った時にはもうメイドさんになってて

「以前はとんだ失礼を致しました。」

って凄く丁寧に謝られたんだ。」

 

アスナの発言に、今まで無かった情報が多くアルゴは身を乗り出して続きを促す。

 

「その後はリイン先生とは交流があるみたい、この間回復結晶買いに行った時もリイン先生と話してたしね?」

 

”銀の聖女”と”紫の剣聖”は仲が良いっ、と………ん?それじゃリインはなんでオレっちに

「…偶に買い物に来るけどあまり知らないなぁ…」

って言ったんダ?

…そう言えばリインが言い淀むのは珍しい、頭の回転が速いのか打てば響く鐘の様に答えが返って来るリインが言い淀むのは今回が初めての様な気がする。

ふむ…本人が嫌がらなければ探るのもありか?

 

と、考えていると

 

ーチリ〜ンー

 

とリズベット武具店のショップ側にお客さんが入ってきた様だ。

そこに居たのは、

 

「ご免下さい、リズベット?いらっしゃいますか?」

 

どこからどう見てもメイド…圧倒的にメイド、丁寧な口調、物腰も穏やかで腰に剣を携えた右肩のサーコートが印象的な美人が居た。

 

アルゴは思った…コイツだ!、と。

 

【挿絵表示】

 




本編楽しみにしている方がもし居たら、

年末に1話だけでも上げたいですね…

最悪でも年明けには一つ時事ネタを入れて…

それではまた。


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第1話 クラインのプロポーズ?

初のクラインxリインフォース回を書いてみました。
原作キャラのイメージが壊れる!!という方はご遠慮ください。
それでも良いよっていう方はどうぞ

では本編です。


ーピンポーン……ドタドタドタドタ……ガチャッー

 

私の暮らす大学の寮から然程遠くない歩いて30分程の所にある遼太郎の部屋に到着してインターホンを鳴らすと中からおそらく遼太郎だろう人の走る音が聞こえ扉が開く

 

「悪りぃ、待たせたか?取り敢えず中に入れよ。」

 

「あぁ、ではお言葉に甘えてあがらせてもらうよ。」

 

SAO帰還後から何度か訪れている勝手知ったる彼氏の家だが今日は何故か遼太郎が緊張している様だ、緊張をほぐす為にこの間電話で話した和人君の事を話題に上げる。

 

これは和人君が菊岡さんに依頼をされた事を知らない頃の話なので、和人君がGGOにコンバートした事を聞いた遼太郎が私に愚痴をこぼす。

 

「聞いてくれよリインちゃん!キリトの奴がガンゲイルオンラインってゲームにアバターコンバートしやがったんだよ!俺たちにもなんか一言あっても良いと思わねぇか?」

 

和人君がSAOで1番の友と言っていた遼太郎は明らかに不満そうだ、ガンゲイルオンラインと言えば大学院に進んでいる友人が上位ランカーで賞金を貰って研究費に充てていると言っていたのを思い出し相槌を打つ。

 

「私の友人もやっているよ、何だかライフルとかハンドガンとかの射撃メインのゲームらしいが和人君は賞金でも狙っているのかな?ユイちゃんの為のAR機器作る為にだいぶ掛かっているみたいだしね。」

 

ユイちゃんの為、というのが効いたのか「でもよ〜〜」とか「相談くらい……」という感じに落ち着いた。

 

「それより何か大事な話があるとギルバートさんから言われて来たんだけど?話って何?。」

 

何故かギルバートさんから遼太郎が大事な話があるから部屋に来てくれって言っていた。

と伝言を貰った、それを聞いて元々部屋に行くつもりだった私は早めにダイシー・カフェを出て遼太郎の部屋に来たのだ。

 

「いや、こう…その…なんだ、こうやって改まって言うのもなんだけどよぉ。」

 

「何か言いたいことがあるんだろう?もしかして他に好きな人が出来たとか?」

 

また緊張したのかいつもと違い歯切れの悪い遼太郎に少し冗談を混ぜつつ話を促す。

 

「いやいや!!俺にリインちゃん以上に好きな奴が出来るわけないだろ?!もしかしてリインちゃんの方が俺と別れたいとか?」

 

冗談を冗談ととれなかったようだ、本気で落ち込んでいる様子の遼太郎に苦笑しながら声をかける。

 

「ふふっ、駄目だよ?遼太郎としてもクラインとしても私の初めてを奪ったんだから責任は取ってもらうからね?もしも別れたくなっても逃さないからね?」

 

この間大学の友人に教えて貰った、目のハイライトを消して静かに訴えかける様に言うと彼氏に対して効果抜群!!という謳い文句の決め台詞を言い、反応を見ると、

 

「……おっ、おう…。」

 

アレ?なんか引いてる?顔が真っ青でクォーターポイントのボスを見る様な目になっている?何故?

 

 

「……まぁ初めての彼氏で、他の人は分からないけど私が遼太郎を嫌いになるわけないけどね。」

 

「おう!俺もリインちゃん以外の奴と付き合う気なんか更々ねぇ、加えて言うなら俺以上にリインちゃんを幸せに出来る奴がいるとは思えないしな!」

 

ヤンデレ疑惑の誤解を解いて、いつもと同じ遣り取りを再開した私達は、いつも通りデートに向かった。

 

 

今日は遊園地に行った。

10才の時両親に連れられて行って以来行っていなかったがジェットコースターとはあんなに複雑な動きをする物だったか?上下左右反転回転何でもありで少し気分が悪くなってしまった。

 

「大丈夫か?少しここのベンチで休んどけ、いま飲みモン買って来るから此処で大人しくしてろよ?」

 

私が調子が良くない事に気づいた遼太郎が座ってろと言い、飲み物を買いに売店まで歩いて行った。

 

「ふふっ、何時もモテないモテないって言っているけど私の友人が狙っているのを知らないのかな?結構気がきくし、髪型変えただけでも褒めてくれるし、それに可愛いとか綺麗って言われると言葉では素っ気なくても内心嬉しいものなのだけどね……。」

 

朴念仁系男?の遼太郎は私の友人や後輩からは相当人気があり、私が付き合っていなければ付き合いたかった、と言う意見をよく聞く、理由はさっき呟いたが……

 

「本当に…もうリアルとSAOの時付き合ってる期間を考えたら3年近くつきあっているんだな…」

 

明日奈と買い物に行ったショッピングモールで偶々当たったSAOでラフコフのメンバーに殺されそうになった所を、偶々近くのクエストを終えたクライン達のギルド”風林火山”のメンバーが助けてくれたのだ。

 

それから深い関係になり、私が35層の主街区ミーシェに店を構えてからはほぼ毎日のように通いつめて来ていた事を思い出す。

 

 

「あっ!リインさんこんにちは、奇遇ですね?今日はクラインさんと?」

 

「…どうも、お久しぶりです、リアルで会うのはコレで3回目ぐらいでしたっけ?」

 

思いにふけっていると見知ったカップルが声をかけてきた。

キリトこと桐ヶ谷和人君とアスナこと結城明日奈の2人だ。

 

「リインさん♪私も居ますよー。」

 

おっと、2人の娘さんのユイちゃんも居た様だ。

 

「あぁ今日は遊園地でデートだよ。しかしそこのジェットコースターに乗ったら気分が悪くなってね、クラインが飲み物を買って来るから休んでていいよと言ってくれたので待っている所だ。」

 

視線を3人から頭上のジェットコースター乗り場に向けながら事情を話すと、

 

「…クラインのクセに気がきくだと?バカな……」

 

驚愕の表情を見せる和人君に明日奈が、

 

「キリト君失礼だよ!すいません、リインさん。」

 

と言って注意するが私は、

 

「いや良いんだ明日奈、だけどね桐ヶ谷君?遼太郎が本当に気が利かない人間だったらSAOでギルドのリーダーなんて出来たかな?それに君も”キリト”としてはクラインを信頼しているように見えるけど?私の気のせいだったかな?」

 

その言葉を聞いた桐ヶ谷君は鳩が豆鉄砲を食ったような顔できょとんとして固まってしまった。

 

少しすると顔が赤くなってきて、

 

「……ちょっとユイにマスコットキャラを見せに行ってくる…」

 

と言って走って行ってしまった。

 

「ふふふ、和人君凄く照れてましたよ?リインさんも意地悪ですね。」

 

軽く笑う明日奈がこちらをチラチラ見ながら遠ざかる桐ヶ谷君とユイちゃんに手を振ると桐ヶ谷君が答える様に軽く手を上げた。

 

「悪いね、人の彼氏を悪く言うから少しだけ意地悪させてもらったよ。」

 

私も悪戯が成功した子供の様に笑い明日奈もそそくさと歩いて行く和人君を見て笑みを深める。

 

「待たせたな、ちょっとレジが混んでて……ってアスナちゃんじゃねぇか!キリの字は元気か?あいつ最近ALOにログインしてねぇみたいだから気になってな?」

 

心配そうにアスナに聞く遼太郎を見て、

 

「なっ?気がきくだろ?」

 

と笑顔で明日奈に言うと、明日奈も笑顔で、

 

「ええ、和人君もこれぐらいしてくれればなぁ…まぁたまにしてくれる時もあるし…。」

 

と言い、少しだけ近況報告をした後、私とクラインの邪魔をしては悪いからと言い離れて行った。

 

「にしてもキリトの奴!俺に挨拶くらいしてもいいだろうに、ALOで会ったらとっちめてやる。」

 

明日奈と別れた後、和人君が先ほどまでいた事を知った遼太郎は息巻いていたので、

 

「和人君にも何か事情があるんだろう、話せる時が来たら自分から話して来るさ。」

 

そう言いながらなだめていた。

 

結局その後は明日奈達に遭わずに陽が落ち始めていたので私達は帰る事にした。

 

夕陽が照らすその帰り道の河原で、遼太郎が急に真剣な顔になってちょっと下に降りようぜ?と言って来たので腰を下ろして空を眺めながら話し始める。

 

「あのよ、リインちゃん?オレ達付き合ってから3年ぐらい経ったよな?」

 

「あぁ、そうだね大体3年は経ったと思うけど急にどうしたんだ?」

 

何故そんな事を確認してきたのか判らず聞き返す。

 

「いや、あのな?………うーーーん…えぇい!まどろっこしい!」

 

遼太郎が自分の頭を掻き乱しながら大声を出す。

驚いた私は、

 

「!?今日は何なんだ?今朝会った時といい少しおかしいよ?体調でも悪かったのか?」

 

ビックリしながら今日は調子が良くなかったのではないか心配すると、遼太郎が自分の上着の内ポケットから小さな箱を出して、

 

「リインフォースさん、この世で1番貴方を愛しています。必ず幸せにしてみせるので……俺と結婚してもらえませんか?」

 

箱を開け私に差し出してきた、俯いて片膝をついて私に差し出した箱の中にはシンプルだが綺麗な指輪が入っており、理解するのに数秒掛かった私は意味を理解すると、手に持っていた遊園地のお土産を取り落とし両手を手に当て涙がポロポロ零れ落ちるのを感じた。

 

お土産の袋が落ちる音を聞いて私が無言でいるので不安になったのか遼太郎が顔を上げて私を見る、号泣に近い状態の私を見た遼太郎は、

 

「!?いや、あのよ?嫌なら断ってくれ、えーと、えーと……っん……」

 

私が断るとでも思ったのか慌てている遼太郎の唇を私が抱きつき押し倒して塞ぐ、遼太郎は目を白黒させて居たが、ようやく落ち着いた様で私からくちびを離すと、

 

「えーと……今のはOKって事で良いのか?」

 

不安そうに私に聞いて来る。

その顔を見た私はまた無言で唇を合わせた。

 

 

 

「ふふふ、馬鹿だな?遼太郎のプロポーズを私が断るとでも思ったのかい、それは私に対する冒涜だよ?」

 

「でもよぉ〜、プロポーズしてから返事なくて泣いてるんだぜ?俺断られたと思って頭が真っ白になったぜ……。」

 

嬉し泣き、というものを知らないのか?などという会話を交えながら先ほどまでの調子を取り戻した私達は完全に夕陽が墜ちた河原から遼太郎のマンションの部屋まで歩いて来た。

 

「そう言えば、リインちゃんの寮って夜間外出禁止じゃなかったっけ?」

 

「今更何を言ってるんだ?……今日は泊まっていくに決まってるだろう、もう寮長には電話して許可はもらっているよ。」

 

と、言いながら2人で部屋に入っていった。

 

夕食は簡単なグラタンを作った、ホワイトソースは作らず野菜をたっぷり煮たコンソメベースのミルクスープを作りそこに水溶き片栗粉と茹でたマカロニを加えて耐熱皿に盛る、そしてチーズを載せたら、私が遼太郎の部屋に来た時に買って来たオーブンレンジに入れて焦げ目をつけ完成。

 

食べ終え皿洗いをしようとすると、

 

「皿洗いくらい俺がやるからリインちゃんはテレビでも見てなよ。」

 

と言って座らされてしまった。

 

それから何気ない会話やじゃれ合いを続けるといい時間になった、何となく”そんな”雰囲気を感じた私は、

 

「………じゃあそろそろ先にシャワーを浴びようかな?」

 

此方から誘っている様で顔が熱くなっていくのがわかるが、遼太郎も明日は仕事があるし私も3限目からだが大学に行かなくてはいけない、なので仕方なく私から切り出すと、

 

「ぉう……」

 

私よりもっと赤い顔でガチガチに緊張して居た、もう何回もしているのだからいい加減慣れてくれないかな?と思いながらもそれが遼太郎の良いところなのだと自己完結してシャワーを浴びに行く。

 

 

 

 

 

 

「…………ん?まだ4時か……ふふっ、寝顔は少年みたいだね……」

 

ふと起きて横を見ると遼太郎の寝顔が見える何故か可愛く見え笑みがこぼれる。

 

私は彼を起こさない様にゆっくりと布団から出て上着を羽織るとタンスの上に置いた指輪の箱見てから自分の指にはめられた指輪を見る。

 

「父さん、母さん、すずか、アリサ、私プロポーズされちゃった。……主、シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラ………私は元気に…幸せになっているよ?私のもう1人の妹は元気に育っているのかな……」

 

そんな事を考えていると朝日が昇っているのかキッチンに陽射しが差し込む、今日は愛妻弁当を作って持って行かせよう!と考えたが”愛妻”の部分の意味に気がつくと顔から火が出るような恥ずかしさを感じ、いやいや大丈夫なにせプロポーズされたんだからと思い直し準備を始めた。

 

 

 

その日、遼太郎が会社で弁当箱を開けると桜でんぶと魚肉ソーセージで作られた大きなLOVEの文字で同僚から盛大にお祝いと言う名の制裁をくらう事になるがその事をリインフォースが知るのは当分先のことだった。




この描写ならR15くらいで良いのかな?

オーディナル・スケールと言うかガンゲイルオンラインですがこの後の話なのでまぁいいか?

4月6日リインのこの世界での妹を2人に設定
リリカルな人は知っていると思う2人に。


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第2話 一足早く…… *

オーディナル・スケール編的なものですが…
短いですよー


新生アインクラッド第35層ミーシェ主街区

 

早朝の朝露がかわかないぐらいの時間に、とある雑貨屋で人の話し声がした。

 

「わーー…リインさん綺麗です……」

 

「リインさん素敵ね、ハァ〜……私もいつかキリト君と………」

 

【挿絵表示】

 

私の着物姿にステラとアスナが称賛してくれる…まぁ明日菜のは惚気も混じっていたが……

現実世界での結婚式はクラインの実家の事情でまだ出来ないが、一足早くALOで仲間を中心にやってしまう事にした。

今日がその日なのだ、昨日からログインして居た彼女達は就寝の為一度ログアウトしたが、今朝も直ぐログインして来てくれた。

リズやシリカは家の用事があるそうで今は居ないが、結婚式には間に合わせるからと言われたので席は準備している。

料理はもちろん私やアスナが作ってもう会場に準備済み………

後は何だろうと考えに耽っていると、

 

「ママのお料理も美味しいですがリインさんのも凄く美味しいですよ♪このパフェも甘くて美味しかったです♪」

ナビゲーションピクシーという事になっているキリト君とアスナの娘のユイちゃんが身体の3倍ほどのパフェを平らげるとそんな感想を私に伝えて来た。

 

「ふふっ、其れは良かった…では此方のかき氷も如何かな?」

 

微笑ましく頬に生クリームが付いているユイちゃんにアイテムストレージからイチゴシロップのかかったかき氷を取り出して見せると、

 

「わぁ〜!それはパパとママが夏に遊園地に連れて行ってくれた時のやつです♪食べて見たかったんです、ありがとうございますですリインさん♪♪」

 

と、目をキラキラさせて受け取るとスプーンを手に取り食べ始めた。

 

「あっ…ユイちゃんそんな急に食べたら……」

 

アスナが心配そうにユイちゃんに声をかけるが少し遅かったようだ、何故なら

 

「あーーー…何か頭が痛いです⤵︎ステータスにペナルティーは付いてないのに何ででしょう?うぅ……」

 

私もさすがに全て食べきるとは思わなかったので言わなかったが、かき氷が完成した時クラインに食べてもらって確認したのだ、まさかアイスクリーム頭痛まで再現されているとは思わずそれが判明した時研究者魂が燃え上がり何度も何度もクラインで実験してアイスクリーム頭痛がでる条件を調べたのだ。

因みにその条件とは、

①かき氷を全て食べる

②3分以内に完食する

③安全圏である

の3つだったそれが判明するまでクラインのALO内での食事の7割がかき氷になり、家でもフィールドでも涙目でかき氷を食べるクラインが目撃された。

 

アスナの右肩に落ち着いたユイちゃんに謝り視線を鏡に向ける。

 

「わざわざ義母さまの着物にそっくりな物を作らせるとは……いったいいくらしたんだか…ふふふ。」

 

鏡に写るのは現実世界で遼太郎の実家に挨拶に行った時結婚式に着てくれと義母さまに譲られた着物にそっくりな着物を着た私の姿

こんなに幸せで良いんだろうか?

そう思いながらも笑顔が溢れてしまう。

 

「そう言えばリインさんも今日の夜にSAOBOSSとの戦いにいくんですか?」

 

「ん?確かオーグマーだったか?残念だが私の寮は夜間外出禁止でね、もし昼間や夕方に出るようだったら参加するさ。」

 

ふとアスナからオーディナル・スケールのイベントに参加するのか?と聞かれると不参加を伝える。

 

 

 

 

………私は知らなかったのだ、ずっと続くと思っていたこの幸せが壊れる事件が起きる事など………

 

 




続きを書く気は有りますが映画見て書きたくなった、後悔はしていない。3月16日挿絵?追加


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第3話 ダイシーカフェinリインフォース

オーディナルスケール編と銘打った日常編です。

オーディナルスケール編はコミックスの方が発売されてから書こうと思っておりますのでこういった話かアインクラッド編の投稿がメインになります。

では、本編をどうぞ


 

「いらっしゃいませ、何名様ですか?……ではこちらの席にどうぞ……ご注文が決まりましたらそちらのベルでお呼びください。」

 

ペコッとお辞儀をして接客に戻る、

 

今日はエギルことギルバートさんの店を手伝っている。

なぜかと言えば………

 

「「「「子供ーー!!?」」」」

 

私と明日奈と蒼華それと珪子ちゃんがエギルさんの店で新作スイーツを食べていると不意に

 

「お前らの中でバイトしたい奴居ないか?」

 

とエギルさんが聞いて来たので何で?と聞き返すと何と奥さんがおめでたなのだそうだ。

 

「最近はどこかの”風林火山の母親”のおかげで特にランチタイムが大繁盛でな?急にバイト募集しても対応できなそうだし、その点お前らならウチのやつも顔見知りで文字通り命を預け合った仲だからな動きも悪くないしどうだ?」

 

”風林火山の母親”とは私の事だろう……そう言えばアインクラッドで私は攻略組の中でも有名だったらしくいくつかの渾名を付けられていたようだ。その中の一つがこれだった。

 

「そういう事でしたら私は協力させて頂きますわ!高校側が禁止を謳っていませんし…もし、お父様が反対しても論破してみせますわ!」

 

私が思いにふけっていると蒼華がカウンターに身を乗り出して”ふんっ”と興奮気味に参加表明した。

 

「私もやります!里香さんもこの間バイトでもしようかな?って言ってたので聞いておきますね?」

 

「私は時間の都合がつけばになるかもしれないけど…」

 

珪子もカウンターに乗り出してやりたい!と意思表示する中明日奈は出来ればやりたいな……と呟く様に言う。

 

「私のおかげで、と言うなら私が参加しないでどうするんだ?調理なら任せておけ。」

 

 

と、言っていたはずなんだが………

 

 

「あっ!店員さーん!」

 

「はいっ、ただいま伺いますので少々お待ちください。」

 

私が手伝っている時にエギルさんが電話を取ると血相を変えて

 

「悪いリイン!後はまかした!!」

 

と、叫んで飛び出して行って2時間……

私1人で店を切り盛りしているがお客さんが途切れない………

何でだろう前にもこんなことがあった様な……

そしてその時は確か……

 

「何だよ!美人店員がいる店ってエギルんとこかよ!期待してそ……えっ?リインさん?何でメイド服???………」

 

あれ?なんかデジャブ……

店に入って来たクラインこと壷井遼太郎も同じ事を思っているのかキョトンとして私を見ている。

メイド服?………ハッ!、そう言えば私今…蒼華が

 

「喫茶店ならばメイド服ですわ!コレ皆さんの分ですの!」

 

と嬉しそうに渡してきた、流石にこれは……と思って断ろうとするとエギルさんが、

 

「私服のままだと衛生的に問題あるしちょうどいいじゃないか、まぁ一時的なものだしバイト中は着てもらうとするかな?」

 

蒼華の話に乗ってしまい結果として私達が働く時はメイド服が制服になってしまった。

 

 

そうだ…私は今……メイド服……遼太郎に見られてる……

カァーーと顔が赤くなるのが自覚できる……

 

そんな時に、

 

「おう!悪かったなリイン!いやぁ〜仲間から去年出た限定版が中古で売ってるって聞いて……って、何だこりゃ……。」

 

遼太郎に続いてこの店の店主であるエギルが帰って着た。

 

「2人とも!とにかく手伝って!」

 

私の剣幕に推されたのか

 

「「ハッ、ハイ!!」」

 

とエギルと遼太郎は速やかに動き出した。

 

 

 

 

「全く、私だったから良かったものの…これが明日奈や蒼華や里香や珪子ちゃんだったら………あぁ…明日奈と蒼華は出来そうだな…」

 

”ハァー”と溜息をつきながらエギルに話しているとあの2人は難無くこなせそうだなぁと思う。

 

「いや!本当に悪かった!SAO事件の所為でドタバタしてて買えなかったんだが、友人が近くで見つけて今持ってるんだが?って電話して来ていてもたってもいられなくてな?………いや!ホント悪かった!クラインもすまん!」

 

色黒の巨漢が私と遼太郎にひたすら謝る。

そこに私はトドメを刺すべくある言葉を贈る。

 

「いや、いいんだよエギル…この事はしっかりと奥さんに伝えておくからね♪」

 

その答えが色黒の巨漢エギルにトドメを刺した様で膝から崩れ落ちる。

 

「まぁ自業自得と思って奥様からしっかりとお説教してもらうんだね?………よいしょっ…っと、さぁ…遼太郎とエギルさん、賄いだよ。」

 

ガックリと崩れ落ちているエギルさんと椅子に座ってくつろぐ遼太郎の前に熱々の丼を置く。

 

「今日はハワイで流行ったロコモコだよ、ランチで余ったハンバーグとほぼ同じ材料しか使ってないから経費もかからないしね?さぁ!暖かいうちに食べようか。」

 

遼太郎は目の前に置かれたロコモコを見てロコモコ?っといった顔でみている。

私がハンバーグ丼みたいなものだよ、と言うと

 

「まぁいいや、リインちゃんが作ったものなら何でも美味いからな!熱っ!半熟玉子のとろけ具合と熱々のハンバーグでメシが進む!!」

 

と、言ってがっつき始めた。

 

「お代わりもあるしそんなに急いで食べると喉を詰まらせるよ?それと…飲み物も飲み放題…だよね?エギルさん?」

 

私の言葉を聞いたエギルさんは俯きながら、どうにでもしてくれ…とばかりに片手を上げた。

 

少ししてエギルさんも食べ始めると

 

「コレは良いな!ランチタイムの皿洗いも減るし何よりスプーン1つで食べられるって言うのがイイ!」

 

と、ロコモコを絶賛した。

ダイシーカフェのメニューがまた1つ”リイン印のメニュー”に変わった瞬間だった。

 

食べ終わり皿洗いも終わった頃、そう言えば何故遼太郎はここに来たのだろう?と思い、エギルさんに用事でもあったのか?と聞いてみると遼太郎はバツの悪そうに、

 

「いやぁ………そのな?……カルーの奴がよ?美人店員の居る店特集ってぇのを見つけて付いてったらここだったんだよな〜、ホント世の中は広い様で狭いのな?ハハハ。」

 

皿洗いをしながら遼太郎の言葉を聞いてピクッとしてから固まった私を”見てしまった”エギルは見えていないであろう遼太郎に無言で合掌する。

 

「……な?……何で俺を拝んでんだエギル?………おっ!どうやらようやく俺の有り難さが身にしみたってことか?ははは、よせやい照れるじゃねえか………ん?」

 

何を勘違いしているのか笑い出す遼太郎の背後に忍び寄り”ポンッ”と私が肩に手を置くとやっと状況を悟ったのか”ギギギ”と擬音が鳴りそうな動きでゆっくりと振り返る。

 

「へえ?美人店員?そのハナシ…クワシクオシエテクレナイカ?…………エギルサン?オクノヘヤカリルヨ?」

 

無言で頷くエギルさんに礼を言うと遼太郎の首根っこを掴み連行する。

 

「待って!リインさん!あれはカルーの奴が!!……エギル!男はそういうもんだよな?!」

 

遼太郎はエギルさんに助けを求めるが、

 

「クライン…諦めろ、惚れた弱みだ。」

 

エギルさんが遼太郎にそう声を掛けると、

 

「うおぉ〜〜裏切り者ー〜!!いや、待ってリインさん!目のハイライト消えてるから!首絞まってるから〜〜〜………」

 

と、私に引きずられながら叫んでいたが奥の部屋に入ると静かになった。

その後30分程してから出て来たリインの顔は清々しい笑顔だったとエギルは語った。

 




今回の料理はロコモコ

巷ではロコモコ丼と銘打った物が多い様ですが”丼”を付けなくてもいいそうです。

野菜も載っていて混ぜながら食べても美味しいですよ。日本人は混ぜない人多いそうですが。

ではまた次回


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第4話 妹来たる前編 *

ナノハのキャラが出て来ます原作のイメージが壊れるかもしれませんので嫌な方は回れ右で。

では本編をどうぞ


ー……キーーン……ー

 

「国際線JRN692便にご搭乗のお客様に御案内致し………。」

 

航空機のジェットエンジン音が響くドイツの空港でアナウンスが流れている。

 

「ほら、すずか!早くしないと乗り遅れちゃうわよ!692便って私達が乗る予定の飛行機じゃない!」

 

【挿絵表示】

 

ピンク色のスーツケースを引いて早足で歩く金髪の少女が少し後ろにいる紫髪の少女を急かす。

 

「………待ってよ…アリサちゃん…私が…朝に弱い……の知ってるでしょ……。」

 

急かされた紫髪のすずかと呼ばれた少女は体調が良くないようで顔色があまり良くない、息も絶え絶えでどう見ても倒れそうな感じがする。

 

「いつもの事じゃない!それに日本よ?姉さんに逢えるのも嬉しいけど……やっと……やっと日本の観光も出来るのよ?一刻も早く着きたいじゃない!」

 

アリサと呼ばれた金髪の少女はすずかの顔を覗き込む様に見ながら人差し指を立て上を向け”なってないわね”とでも言う様な顔でまくし立てる。

 

「………フゥ…でもねアリサちゃん?今のアナウンスは私達が乗る予定の飛行機が遅れてるから少し搭乗時間が遅くなるって言ってたんだよ?私だってお姉ちゃんに早く会いたいし、日本観光して見たいもん。」

 

すずかは息を整えるとアリサに先程のアナウンスの内容と自分もアリサと同じ気持ちだと若干困った様に伝える。

 

「えっ?……まぁいいわ…それより!すずか…私達にはパパとママから頼まれた大切な用事が有るの忘れてないわよね!」

 

空港のアナウンスが搭乗時間が来た事を知らせるものだと勘違いしていたアリサはばつが悪そうな顔をして、話題を変えようと少し強めの口調で父と母からの頼まれ事をすずかに確認する。

 

「勿論だよアリサちゃん、将来私達の義兄さんになるかも知れない”ツボイリョウタロウ”さんと会って話をすることだよね?」

 

すずかはアリサの話を聞いて父と母から言われた

「リインが選んだ人なら間違いないと思うんだがな……恋は盲目とも言うし……お前達?前回日本に行った時は碌に観光も出来なかったしお父さんとお母さんは仕事で手が離せないから2人で会いに行ってくるかい?」

 

と言う父の言葉を思い出しながらアリサに確認する。

 

「ちょっとすずか?まだ義兄さんなんて呼び方早いわよ。

私達にはその”ツボイリョウタロウ”って男が姉さんに相応しいかを確認しに行くのが1番の目的なんだから!」

 

義兄さんなんてまだ早い!とプンスカと怒りながらすずかに注意するアリサにすずかは苦笑しながら、

 

「そうかなぁ?お姉ちゃんが選んだ人なら間違いないと思うんだけどなぁ……お母さんだって、

「お父さんは心配しすぎなのよ、だってお母さんリョウタロウさんと会ってお話ししたもの、良い人よ?リインも私と一緒であまり表情に出ない方だったけどリョウタロウさんと一緒に居ると表情が柔らかいもの。」って言ってたしね、それに…アリサちゃんも私と同じでお姉ちゃん達とゲームして見たいんでしょ?二卵性とはいえ双子だからお見通しだよ。」

 

そう返事を返すと、フンッ!とでも言いそうな顔をして横を向く。

確かにゲームや観光も楽しみで昨日は碌に眠れなかったのだ……ハイテンションは睡眠不足の影響もあったのだろう。

 

「……それにしてもすずかのケース、本当に重いわね?唯の色違いだった筈なのに…一体何が入ってるのかしら?」

 

空港に着いてから気紛れで交換したキャリーケースの重さについて質問するとすずかは少し顔を俯かせると、

 

「…………アリサちゃんは知らない方がイイよ……ふふ…ふふふ………」

 

と、暗い顔で呟いたが良く聞こえなかったアリサはすずかに、「何か言った?」と聞くが、

 

「……うん?何でもないよ、さぁ!まだ時間もある様だし少し早いけどお昼食べちゃおうか?」

 

と、言いながらアリサの手を引いて歩き出す。

 

「ち、ちょっとすずか!危ない!そんなに引っ張ったら危ないわよ〜〜………。」

 

 

 

 

「まったく!すずかは強引なんだから!ママもそうだけど、双子のはずなのに何でこんなに違うのかしら?姉さんも強引な方だったけどすずかとママはその遥か上を行ってるわ。」

 

私怒ってます、と顔に出しながら食後のコーヒーを飲んで言うとすずかは笑顔で、

 

「じゃあ私はお母さんに似たって事なのかな?嬉しいけどアリサちゃんだってお父さんにそっくりだよ?髪色が、じゃなくて喋り方とか雰囲気なんかが似てる時があって羨ましいよ?」

 

と返す。

すずかが座る席には空になったお皿が山の様にそびえ立ち、すずかのような美少女の前にある光景としては異常に感じるがアリサにとってはいつもの事なので会話を続ける。

 

「さっきのウェイターさん目が点になってたわよ?まぁ…すずかを見ても何処にこれだけ入るのかわからないわよね?」

 

本気で怒っているわけでもなかったので「ハァーーー……。」と深い溜息をついて呆れた様に疑問を口にする。

 

「アリサちゃんも知ってるでしょ私が燃費すごく悪いの……恥ずかしいけど外でお腹が鳴る方が恥ずかしいから食べなさい。ってお母さんから言われてるし………」

 

頬をほんのりと赤く染めながら恥ずかしそうにするすずかを見たアリサは、

 

「それにしても相変わらずそんなに食べてよく太らないわよね?羨ましいと言うか妬ましいと言うか……納得いかないんだけど……」

 

ジト目ですずかと皿の山を交互に見てからまた溜息を吐くアリサ、

 

「国際線JRN692便にご搭乗のお客様に御案内致します……遅れておりました準備が終了致しましたのでご搭乗の手続きを開始致します…ご搭乗予定のお客様は………。」

 

そんな時自分達が乗る飛行機の準備が終わったとアナウンスが聞こえたアリサは席を立つと、

 

「行くわよすずか!いざ!日本へ!」

 

だがアリサは忘れていた様だ………此処がオープンカフェの様な場所ですずかのおかげで注目を集めていた所だった事に、そこに大声を出したアリサはそのフロアの人の視線を一身に受けて顔を真っ赤にして固まった。

 

近くに座っていた人がのちに言っていたが、

 

「凄い可愛い娘が2人で大食いしてたんだよ!それに金髪の娘からは赤面する時”ボフュ!!”って成って蹲って動かなくなって凄い可愛いかったんだぜ!」

 

完全に機能停止したアリサを会計を終えたすずかは脇に抱えると軽快に走り去って行った。

 

それからドイツのとある空港には”大食い少女”と”怪力少女”という2つの怪奇現象が目撃される様になったとか………。

 

 

その頃、とあるマンションの一室

 

「そう言えば妹さん達が来るの今日の午前中じゃなかったっけか?」

 

遼太郎がリインフォースに質問すると、

 

「飛行機が遅れて今日の昼過ぎになりそうだと連絡があってね?もうそろそろ迎えに行こうかと思っているんだが……。」

 

リインフォースはそう返事をする。

 

言外に遼太郎は如何する?と聞かれている様に聞こえた遼太郎はリインフォースに笑顔で、

 

「モチ!リインちゃんの妹さんなら将来俺の妹になるんだろ?一緒に行くぜ!……そうだ!車で迎えに行ってそのまま東京観光しようぜ?この間来た時はゆっくりできなかったんだろ?」

 

遼太郎の言葉の意味を理解した私は”ボフュ”と赤面して動かなくなった……奇跡的にそれはアリサが空港で赤面した時間とまったく同じ時刻だったという事実は誰も知らない。




前後編に分ける気は無かったんですがね…

ではまた次回


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第5話 妹来たる後編

お待たせ致しました。(待ってないか?)

オーディナルスケール編と題した日常編第5話です。

遂に彼女を出してしまいました、アインクラッド編を大幅に修正しなければ……

では、本編をどうぞ。


飛行機内日本近海上空

 

「……それにしてもアタシはいつ搭乗手続きしたのかしら?まったく覚えてないんだけど?」

 

アリサが不思議そうにすずかに尋ねる。

 

「私もそうだったけど昨日興奮して眠れなかったでしょ?ウトウトしてたみたいだからしょうがないよ、私もそうだったもん。」

 

すずかは晴れやかな笑顔でアリサに返事を返すと徐に窓の外を見る。

 

「………わぁ!!アリサちゃん!見て見て!見えたよ!」

 

ボンヤリと外の景色を眺めていたすずかが興奮気味にアリサに外を見る様に言うので、アリサは子供じゃあるまいし……と思って断ろうとしたが、断ればこの双子の姉は力尽くで事を成そうとするのが予想できる……仕方なく外を覗くと、

 

「わぁ………ビルがみんな大きい……ニューヨークみたい……………はっ!…違うのよ!違うんだからね?!」

 

アリサの反応に満足したすずかはもうそろそろ着くよ?と声を掛ける。

 

「ちょっとすずか?!聞いてるの?今のは不意打ちだからノーカンだからね?!ホントになんでもないんだからーーー!!」

 

顔を真っ赤に染めたアリサを見たすずかはホクホクとした笑顔で「そうだね?そうだよね。」と言いながら恥ずかしがるアリサを堪能した。

 

新羽田空港発着ロビーで銀色の髪を靡かせた美人がそわそわしながら待っている。

 

「ねぇ、お姉さん誰か待ってんの?ならその人来るまでお茶しない?」

 

チャラチャラした男がその女性に声を掛けるのは必然だった様だ。

 

「えっ?私ですか?…悪いがもうそろそろ来るはずなので遠慮しておくよ。」

 

声を掛けられたリインフォースはそう遇らうがチャラ男は諦められないのかなおも食い下がる。

 

「おい…にいちゃん?俺の連れになんか…用かい?」

 

サングラスを掛けた遼太郎がリインフォースに声を掛けていた男に近づくと声は静かだが凄い剣幕で睨みつけていた。

 

「遼太郎遅かったじゃないか?おかげで知らない人にナンパ?されたよ。」

 

リインフォースからは遼太郎の後ろ姿しか見えていなかったので男が怯える様に逃げて行ったのを不思議そうに眺めながら遼太郎に抗議する。

 

「おう!悪りぃな、駐車場が奥の方しか空いてなくてな?何だか今日は有名人が来るみたいだな、来る途中に何度か話を聞いたぜ。」

 

軽い謝罪をした遼太郎はリインフォースに道すがら聞いた話をしていると、大きなスーツケースをガラガラと引いた少女が走って来る。

 

走って来る人物の気配を感じたリインフォースは振り向くと紫色が飛び込んで来たので受け止める。

 

「久しぶりだねお姉ちゃん!……えっと…貴方がリョウタロウさん?ですよね。初めまして、私はリインフォースの妹ですずか・アーランドといいますよろしくお願いします!」

 

紫色が顔を上げるとそれは双子の姉の方のすずかで私の胸に顔を埋めてから遼太郎に向き直り挨拶をした。

 

「あぁ…久し振り、アリサはどうしたんだ?」

 

一緒に居るはずのもう1人の妹の姿が見えない為すずかに聞いていると、

 

「もう!すずか!急に走ったら危ないじゃない!…ってリイン姉さん?もう!すずかったら、姉さん見えたなら教えてくれればいいのに!」

 

人混みの中から人を掻き分けアリサが出て来る。

私に抱かれているすずかに「抜けがけ禁止!」と怒った様子のアリサを

 

「やぁ!アリサも久し振りだな!……元気にしていたかい?」

 

と、言い微笑みかけながら抱き締める。

 

「…………うん……元気……。」

 

アリサは抱き締められると蕩けた顔で私の胸に埋まって返事をした。

 

そんな私とアリサの横では遼太郎とすずかが羨ましそうに指をくわえて見ていた。

ちょっと?!すずかは可愛いけど遼太郎は何で?感染ったの?すずかの動きが感染ったのか?

と、私は普段と違う遼太郎を見て動揺していた。

 

 

車に乗る時アリサが頑なに助手席に座ると言って譲った。

遼太郎は車が発車してから一時間程質問責めに合っていた、最初は不機嫌そうにしていたアリサだったが遼太郎と話しが合う様で、もう打ち解けたようだ、今はゲームの話で盛り上がっているようだ。

すずかが私の横で俯いたまま静かな事が気になり声を掛けようとすると良く聞こえないが何か呟いている。

 

「………お姉ちゃんだけじゃ無くアリサちゃんまで取る気なの?………ふふ、ふふふふ……そういう事なら容赦は………。」

 

私は良く聞こえなかったので、

 

「すずか?大丈夫か?」

 

と声を掛ける。

するとすずかは顔を上げて笑顔で、

 

「大丈夫だよお姉ちゃん!でもすこし疲れちゃったから今日はお姉ちゃんの部屋に行きたいな?」

 

と言った。

その時の笑顔があまりに綺麗で私は恐怖を覚える程だった。

 

そして私の部屋に着くと遼太郎の電話が鳴る。

 

ー♪〜〜♪〜ガチャッー

「…はい、もしもし?……何だ母ちゃんか?何か用か?……………うん?………マジ!……ハァーーー、分かったよ…行くよ、じゃあな。」

 

義母様からだったのだろう遼太郎は溜息を吐いて電話を切る。

 

「悪りぃなリインちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん、俺の実家からでな?人手が足りないみたいだから手伝って来るわ……ゴメンなせっかく観光日和だったのに……。」

 

申し訳なさそうな遼太郎を気遣うようにアリサが、

 

「大丈夫よ!私達は私達でやってるからリョウ兄は早く行って上げなさいよ!」

 

と声を掛けると、

 

「お?おう、明日はちゃーんと案内すっからな?期待してろよ!」

 

と返事を返すと、

 

「ホント悪りぃなリイン…じゃ、行ってくんぜっ…………ぷはっ…おい、妹達見てるぞ?」

 

私と妹達を交互に見てなかなか出発しない遼太郎の唇を塞ぐ。

妹達はあっけにとられたようで顔を手で隠している……まぁ指の隙間から見ているのだろうが……。

 

オドオドする遼太郎に、

 

「ほら、義母様達が待っているんだろう?早く行ってくるといい。」

 

何食わぬ顔でそう返すと、

 

「あぁ………行ってくる。じゃ…戸締まりちゃんとしとけよ?」

 

”ぼけー”とした顔で女3人なんだから気を付けろよ、と注意して出て行く。

 

「わーー、お姉ちゃん(姉さん)大胆〜〜♪」

 

後ろを振り返るとやはり2人とも見ていたようでからかってくる。

 

そんな時、私のスマートフォンにテレビ電話が来る。

もうそんな時間か?と思いながら、

 

「そう言えば2人に紹介したい人が居るんだけど良いかな?」

 

と、2人に聞くと(・・?)といった顔で私を見ている。

 

無言を肯定と受け取った私はおもむろに通話ボタンを押して相手と接続する。

 

「ユイ?まだ繋がらんのか?………キリト殿!アスナ殿、コレで合ってる………」

 

「…お父様、お母様、2人とも見えていますか?……王よ?まだうまく見えていない様ですが……」

 

「パパーー!!ママーー!!ボク達見えてるぅ〜?」

 

ナビゲーションピクシー姿のディアーチェとシュテルがプログラムを弄りながら調整していると、

レヴィが私に気づき嬉しそうに手を振るが遼太郎が居ないので、キョロキョロと周りを見回すが結局見つからず、私の背後に知らない人物を見つけキョトンとした顔でこちらを見ていた。

 

それを見たアリサとすずかはプルプル震えると、

 

「「可愛い〜〜♪」」

 

私からスマートフォンを奪った2人は質問責めにする。

 

「ねぇ、ねぇ?ママってリイン姉の事?ならアタシは?リイン姉の妹だから姉さんって呼んでくれない?」

 

「わぁー可愛い〜、今いくつ?何でお姉ちゃんの事ママって呼んでるの?…………おとーさんの名前ってクラインさんだったりしないかな?かな?かな?」

 

 

ひとしきり質問したがレヴィはえっ?え…とパニック状態で殆ど受け答えができていなかった、そこにディアーチェが助け船を出す。

 

「お初にお目にかかります、我はディアーチェと申します。そこにいる水色がレヴィで我の横に居るのがシュテルと言います、以後お見知り置きを。」

 

最近はキリト君とアスナのお願いでユイちゃんの手伝いを行なっていた3人が私達に会いたい、と言ったようで折角なのでアリサとすずかにも会わせようと思い企画したのだ……遼太郎は行ってしまったが………ちなみに遼太郎と私の家族で3人の事を知っているのは義母様とウチの母のみで父親達は存在すら知らない。

 

「……じゃあ2人とも3人に会いに行こうか?………はい、コレ。」

 

話に夢中になっている2人に向けて背中に隠していたアミュスフィアを差し出すと、

 

「え?(・・?)……やって良いの?やってみたかったけど………「ありがとうお姉ちゃん!」……。」

 

アリサが受け取ろうか迷っていると、すずかは我関せずとアミュスフィアを装着して初期設定を行う。

 

「大丈夫だよアリサ、母さんには許可もらっているからね。」

 

と言うとそそくさと受け取り初期設定を始めた。

 

ふたりの準備が終わると私もナーブギアを被ってベッドに横になり、

 

「「「リンク・スタート!」」」

 

そしてALO内

 

「わー…凄い!!凄いよすずか!外にいるみたい!」

 

「アリサちゃん!川もちゃんと冷たい…これがVRMMOの世界……」

 

2人とも初めての経験に興奮気味のようだ。

 

「ママーー♪」

 

2人を追いかけているとレヴィが私の顔の前に飛んできて頬に抱き着きキスをしてくる。

 

「やぁレヴィ、元気だったか?クラインも寂しがってたぞ。」

 

「うん♪元気溌剌!全力全開!!」

 

人差し指でレヴィの頭を撫でながら会話していると、そこにディアーチェがシュテルを伴って飛んできた。

 

「こらレヴィ、母上が来るからと言って我とシュテルを置いて行くでない、何かあったらどうするのだ。お前の攻撃力と速度は高い故要らぬ世話が掛かるであろう?」

 

「…とレヴィを嗜めながらも、私!しっかりやってますアピール。流石王、あざとい。」

 

アリサとすずかが3人に気がついたようで文字通り飛んで来る。

 

レヴィが私の肩に隠れて2人の様子を伺う。

そこで私が、

 

「じゃあ…先ずはディアーチェ?私の妹のアリサとすずかだ宜しくな。」

 

「では、改めて、ディアーチェ・アーランド故あって母上と父上の世話になって居ります。お二人共仲良くして頂けると幸いです。」

 

と、丁寧な挨拶をして、続いてシュテルが

 

「と、丁寧な挨拶をしている王がレヴィより甘えん坊だとは誰が思うでしょうか……あっ、私はシュテルと申します。プレイヤーとしては焔と火力、後防御力を主体とした槍使いをしています。」

 

シュテルの発言に顔を真っ赤にして追いかけっこを初めたディアーチェとシュテルを尻目に

 

「じゃあ、最後にレヴィ?」

 

とリインが言うとレヴィは嬉しそうに、

 

「アリサ姉とすずか姉だね?僕はレヴィ!ママとパパの娘でナビゲーションピクシーやってます!プレイヤーとしては攻撃力と速度特化の疾風迅雷!をモットーとしてるんだ♪」

 

 

 

その後、キリト君達が来るまで3人はすずかとアリサにもみくちゃにされて目を回していたがまんざらでもなかったのか嬉しそうにしており、時々私の頭の上や肩を離れてはアリサやすずかの肩に飛んで行って談笑していた。




ツヴァイからのマテリアルズでした。

一応今までは寝ていたり、ユイの手伝いに行っていたという設定

苦しいか?

ではまた次回。


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アインクラッド編
第1話 リインのアトリエ *


マヴラブ途中ですが気晴らしに見たSAOに触発されて書いてみました。
気まぐれ更新になりますのでほぼ時系列無視になると思います。


第1話

リインのアトリエ

 

【挿絵表示】

 

…がとうございましたー」。

この世界に閉じ込められてからどれくらい経ったのだろう?

前世?の経験を活かして店を開いたが思いの外繁盛している。

先程のお客さんを送り出してから少し暇になった、そういえば今日は30層辺りでイベントボスが出るクエストが有ったっけ?などと考えながら仕事を続けている。

ふとリズから委託されたインゴットの精製をしていなかったな、と思い店のドアを開けてドアノブに外出中の札を掛け戸締りを確認すると調合室に入っていった

釜に火を入れる、グツグツと煮え滾る釜の中に鉱石と結晶を入れる

もうこの作業も何回目だろう?

”錬金術”というユニークスキルを手に入れてから店にいる時は必ずやっている気がするなぁ…

インゴットはゆっくりとぐるぐる混ぜ合わせる、失敗しない様ゆっくりと………………ゆっくりとぐるぐる混ぜ合わせる。

そろそろか?と思い、手を止めると錬金術成功時に出る青いライトエフェクトが立ち昇る。

コレで完成したのだ、過去には失敗時の煙が立ち昇るエフェクトばかりだったが今では殆ど失敗する事はない、成長したものだ。

早速出来上がったインゴットを取り出す

リズの依頼で中層プレイヤーが持っていてもPKされにくい”安く見えるが性能の良いインゴット”の完成だ。

見た目は銅の様だが実は黒鉄クラスの硬度を持つ謎金属で”錬金術”でしか創れない

そしてリズに完成報告を送る

リズからの返事は早かった、何せ送った5秒後には返事が返ってきたのだから

今から来るとの事なので昼食の準備する事にした私はアトリエのキッチンに向かう。

リズも食べるだろうからパスタでも作るとするか確かソースは作っていたはずとアイテムストレージを見る

料理スキルを取ってよかった…私は料理を食べる時必ず思う。

汁気の無い汁物…パサパサのパン…臭みも無いが味も無い肉料理…

この世界で20年程生きてきたがあれ程苦悩したのは初めてだった。

父はレストランのオーナー、母もパティシエールという家庭で育った私にはこの世界で一番最初に困った事だったのだ…美味しくない食べ物というものは……。

バジル擬きの良い香りのパスタが出来上がった頃裏口のドアに来客を知らせるベルが鳴った。

リズ?いや、さすがに早過ぎるだろうと思いながら覗き窓から外を窺うと水色っぽい幼竜のドアップが写った。

一瞬驚いたが誰が来たか分かった為に返事もそこそこにドアを開ける。

来客は少し前に知り合ったビーストテイマーのシリカだった。

「リインさんこんにちは、ピナの羽が生えかわったので持ってきました。」

フェザーリドラの羽は錬金術で転移結晶を作る材料の一つなのだ野生からも取れるのだがシリカと知り合ってからは生え変わった時に貰うようにした。

「シリカ今料理中で手が離せないんだ、悪いけど中で少し待っててくれるかな」

とシリカに言った所でふと気づく、

「そういえば昼食は食べたのかな?今から友人も来るのだけれど良かったら一緒にどうだい?」

すると、

「え?良いんですか!やったぁ!リインさんの料理美味しいですよね!…あの…ピナの分も良いですか?」

嬉しそうに飛び跳ねた後、申し訳なさそうに聞いて来るシリカに、

「あぁもちろんだ、ピナにもお世話になっているから骨つき肉でも焼こうか?」

顔をシリカからピナに移しどうする?と確認すると

「キュクー♪♪」

と、嬉しそうに私の周りを飛び回る

「ではピナにはこの階層特産品の牛肉を焼いてあげるよ」

アイテムストレージに手を入れて主街区外周部で買える骨つき肉を取り出すとピナが目の前で滞空して眼を輝かせる。

微笑ましい姿にクスッとした。

シリカも椅子に座りその肩にピナが落ち着いた頃、裏口のドアをノックする音が聞こえた。

覗き窓に近づくと、

「リイン〜、リズだけど”アレ”出来たって聞いてすっ飛んできたんだけど〜開けて〜」

確認する必要が無くなったのでドアを開けた。

「相変わらず良い匂いね〜〜、まぁ取り敢えず食べましょ。」

ドアを開けると其処にはリズの姿をした腹ペコ少女が居た。

 

「いや〜♪美味しかった〜♪またよろしくねリイン♪」

案の定、昼食を食べていなかったリズは私とシリカとピナと共に食べると満足そうに言う。

意外だったのはシリカとリズがもう知り合いだったと言う事だろうか?

リズはピナとじゃれ合いながら皿洗いをしてくれている間に、私とシリカはピナの羽の金額を支払をしている

「さて、これくらいで良いかな?此方としてはもっと払っても良い位なんだけどね。」

もっと払おうかシリカに確認してみると

「いえいえ、前は全て捨ててた物ですのでこれでも貰いすぎなぐらいなので気にしないで下さい。」

焦った様に増額を断るシリカに

「いつも悪いねわざわざ持って来てもらって、今度は私から取りに行こうか?」

何時も店まで持って来てもらうのも申し訳ないと思い提案すると

「いいえ!そんな事ありません!!」

すごい気迫で言われたので少し引きながら、

「あぁ…いや、持って来てくれるなら此方は助かるんだけど…」

「なら大丈夫です!ちょうど買出しと重なってるので!えぇ、大丈夫」

言い終わると”フンッ”と無駄に気合の入ったシリカに驚きながらも返事を返せた私はよくやったと思う

「リインーシリカーそっち終わったー?」

皿洗いが終わっていたのかリズがソファーにどかっと座って此方に質問してきた

支払が終わっていた為私は

「あぁ、こっちは今終わったよ。リズはインゴットだったね、ちょっとこっちに来てもらっても良いかな確認をおねがいしたいんだが?」

「えぇいきましょ」

2人で裏に行く前にシリカに声を掛ける。

「シリカ、悪いけどちょっと待っててくれるかなリズの用事が終わったらデザートを出すから、今日はダージリン風シフォンケーキを作ってみたんだ。」

デザートと聞いた2人は

「待ちます!何時間でも何日でも!」

「ちょっと待って!あたしの分もあるの?」

相変わらずデザートとなると2人とも目の色が変わるな…懐かしい、初めて食べた時は2人とも泣いていたっけ……いまやデザートと言うと私、と言うぐらいこのSAO内でも有名になってしまい要望が多くアトリエでも販売する様になったのは記憶に新しい。

気がつくともう目当ての部屋の前に着いていたようだ

ーガチャー

錬金室に入りテーブル上のインゴットを見たリズは即座に駆け寄り手に取って観察する

「何コレ?依頼したのはあたしだけどさ、ホントにこんな物出来るとは思わなかった…さすがユニークスキル…」

驚愕の表情を浮かべながら此方を見るリズ

「まぁ出来たんだから良いじゃないか…それともそれくらいじゃまだ満足出来ないのかな?」

駄目だったか?と思いリズに確認すると

「いやいやいや、逆逆、凄すぎるのよコレ、最前線の攻略メンバーの装備にだって使えるわよ?」

「えっ?……そうなのか?確かに黒鉄ぐらいの性能はあると思うが?」

疑問に思ってリズに聞いてみると

「だってコレcriticalbonusとattackbonusが付いてるのよ?そんなインゴット見た事ないわよ。」

もっと上の物が作れるが黙っとこう、そうしないと私はリズに物理的に殺されそうだ。

だって今目の前に居るリズの眼が新しい玩具を見つけた子供のようだったから……

 

 

第2話

リインの日常探索編へ




クライン×リインになると思います、その片鱗すら有りませんが…
基本はガールズ・オプス?みたいな感じですかね?


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第2話リインの日常(探索編) *

何故だろう此方の方が筆が進む?
短いですが書けたので第2話です。


第2話

リインの日常(探索編)

 

店を始めてから稀にあるお客さんの来ない日

カウンターで3時間程座っていたが2人しかお客さんが来なかった。

「うーーん、お客さん来ないなー……そうだ!今日はもう閉店してしまおう」

そう決めるやいなや扉の外に【店主外出の為臨時休業】の札を掛ける

店の入り口に鍵を掛けた後速やかに準備をして部屋に戻った私は追加ストレージ機能付のバックを持ち戦闘用装備(外観は全く同じ)に着替えてドアを開け店の外に出た

 

【挿絵表示】

 

扉を閉めると外は少し雲があるが良い天気の様だ、私は攻略組にも属している為店を持ってからはこうして暇な時に不定期に素材収集を兼ねたレベリングを行うのが習慣になっている

忘れ物が無いか?鍵を閉め忘れてないかを確認して私は転移門でいま開かれている最上層の主街区迄転移した。

この層は私が拠点にしている35層のフィールドに似ているが出てくるモンスターのレベルが高く”普通の”プレイヤーでは安全マージンを取っていても危険の伴うエリアになっている。

今日のフィールドワークでは動物系の素材採取とこのフィールドにしか出現しないレアモンスターの素材を集めるのが目的だ

「後はアレの大牙が一本だけ何だがなかなか出ないなぁ…はっ!もしやこれがキリト君が言っていた物欲センサーって奴なのか?」

アスナやリズの知り合いでウチの常連さんでも有る黒の剣士の言葉を思い出していた。

 

 

その頃リインのアトリエ

リインが出掛けて1時間ほど後

「あーあぁ、今日は残念だったな?」

「まぁしゃーねよ」

「あんだけ倒してレアドロ無しとかありえねぇよ普通……」

赤を基調とした侍風の男達が今日の成果を悔やみながら歩いていく

「まぁ良いじゃねぇか?それより早く行ってリインちゃんの優しい笑顔と美味しい料理に癒やされようぜ!」

その集団の先頭に野武士ヅラ、良く言えばワイルド?な男が仲間を励ましながら歩いている。

目当ての店が見えたのか駆け出すと大声を出しドアに掛けてあるものを見て止まる。

「おーい、リインちゃーん!……ん?なになに…げっ、今日は暇だったのか!しくった〜もっと早く来れば一緒に行けたかもしれねぇのに………帰るか……ハァ〜〜」

野武士ヅラの男は残念そうに肩を落としながらアトリエを後にして

「えっ?リーダー!どこ行くんすか!飯食うんじゃなかったんですか!」

良く言えばぽっちゃり系のギルメンが声を掛けると

「ばぁーか!リインちゃんの飯以外ならどこで食っても一緒だよ!俺はもうホームに帰って寝る!今日は解散だ、解散!」

リーダーと呼ばれた男は投げ遣りな返事をするとアトリエを後にした。

 

フィールドワークを続けるリインはやっと目当てのレアMOBを見つけたのでリズ特製のメイス”グランディス”を装備して戦闘態勢に入った

「さぁ暁の大狼よ、今度こそ大牙を戴くよ!」

自分を目掛けて駆けてくる狼に対しソードスキルの予備モーションをとった。

狼が私に飛びかかろうとした瞬間を見極め、”両手槌”のSSストライク・ハートを現在進行形で近づく暁の大狼の脳天に叩き込む

 

【挿絵表示】

 

最早30回目となれば慣れたものでcriticalの表示が出て更にはスタン状態になった

トドメを刺すとやっと目当ての大牙が1本出た。

「フゥ……やっとか……もうこの1本だけの為に6体もたおしたんだが…疲れた。」

私は前世?の影響なのか戦闘相手のモーションを盗むのがかなり上手い、具体的に言えば階層BOSSクラスより下の存在に関しては3体くらい倒せばほぼ完璧に動きを読む事が出来る。

なのでこの暁の大狼討伐も最早作業に成り下がっていたが、ドロップアイテムは運次第なので仕方ない。

「ともあれコレで素材は揃ったしリズの所で造ってもらうとするか♪ふふっ♪」

集めた素材で造った刀を”あの人”にプレゼントする光景を想い描くと自然な笑みが溢れる。

リインはモンスターの出ない安全圏で一時間程その光景を想像し想いふけっていた。

 

「…………ぇ……っと……ねぇ、ちょっと!リイン!聴こえてる!?」

耳元で大きな声で呼ばれると

「わぁ!……なんだリズ?急に大声出して、驚くじゃないか。」

驚いて抗議すると呆れた顔のリズに

「ねぇ?リインさん?こんな時間に訪ねてきてさ、さっきからずっと出来たよ!って言ってるのに「ふふっ♪」とか「クライン…ダメっ…」とか自分の世界に浸るのも良いけどここ!私の工房!後!口に出すのもはばかられる様な言葉を妄想全開で垂れ流すの禁止!!!」

と怒られた。

…というか私はそんな事を口走っていたのか…そう思うと顔が熱くなっていくのが感じられる、恐らくは今鏡を見たら真っ赤なリンゴより赤い自分の顔が映るだろう。

「すっ、……すまない、あっ、とコレで良かったよね?……あー、ありがとう!それじゃまた!」

恥ずかしさを堪え、出来上がった刀を受け取り代金を支払い御礼を言い、私は脱兎の如くリズの工房から飛び出した。

 

 

その日のリンダースでは局所的な突風が発生したとかしないとか………。




作中のモンスターの暁の大狼はオリジナルのレアMOBです
ミニチュアハウス的なものも面白いですよね?
アウトドア系の趣味とインドア系の趣味の両方を兼ね備える
残念な大人になった作者ですが良ければまた見てくださいな。


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第3話 刀剣類販売始めました *

此方のほうが進む進む、リインが勝手に動くのでサクサク書けます
まぁ短いんですがね。


暁の大狼のレア素材から出来た刀をリズに作ってもらった2日後、リズから呼び出しがあり工房へ向かうと

「ねぇ、リインの所って武器とか扱う予定無い?」

と、聞かれたので

「考えてもみなかった、確かに雑貨と転移結晶だけじゃなくて他にもいろんな商品を扱ったほうが良いのかな?」

と、聞き返す。

そして現在の商品棚を考えてみる

私は特殊な方法で転移結晶を作ることが出来る、かと言って大量に作って販売してしまっては何かと危険だと言われたので今の商品棚は雑貨と特殊なインゴットのみになっている、悩んだ末に私が出した結論は、

「じゃあ先ずは包丁とかナイフの取扱いでも始めようかな?」

私の呟きに反応したリズが

「じゃあ短剣って処でいいでしょ…あっ、後は刀扱ってくれない?ウチに来るお客さんだと刀使う人少なくて、その点リインの店はよくクラインとか風林火山のメンバー来るだろうから売れるんじゃないかと思ってるんだけど?」

リズが出した”クライン”という名前を聞いた途端に頭が真っ白になってしまった私はぼーっとしてしまい何を言っているのか分からなかったが、

「…あぁ…そうだな…」

と、相槌を打ってしまいこの通り刀剣類販売する事になった。

リズの巧みな話術?に踊らされて販売を開始した刀剣類だが私の予想を遙かに超える売り上げを記録していた。

というのもリズの打った刀剣類は私がエンチャントを施したインゴット製の為、レアドロップと遜色ない性能の刀剣類になっていて、クラインら前線メンバー行きつけの店という事もあって猫の手でも借りたいくらい忙しかったのだった。

それからしばらくしてクラインの勧めもあって今日の刀として最高品質二歩手前、魔剣クラスの刀を展示していると朝からじーっと刀を見つめるメイド服の少女が居る

もう昼だと言うのにオープンから彼此4時間程だろうか?時折溜息を吐きながらまだ熱心に見つめている。

時々来るこの少女は武器を見て手に取っては置くだけ、お客さんも少なくなりそろそろ昼休憩にしようかと思ったが少女がまだ刀の前に残っている事に気づく、何時もは昼前にはっ!とした様子で店から出て行くのだが今日は全く動く気配が無い声を掛けようと近づくも反応が無い、凄い集中力だ。

仕方なく肩を叩こうと更に近づくと小声で呟く様な声で

「…いなぁ〜、父様の刀より綺麗だし欲しいなぁ〜…………でもいったいいくらで売ってるんでしょう?少しは蓄えがあるとは言え宿にも泊まれなくなったらどうしようもなくなってしまいますし…うーん…でも…いなぁ〜…」

どうやら無限ループに陥っている準常連さんの少女に声を掛けると驚いたのか跳び上がった

「ひゃぁっっ!!」

少女は跳び上がると可愛い悲鳴をあげ少し涙目で此方に振り向いた

「今から昼食にするけど良かったら貴女もどうだい?」

声をかけ、目を白黒させていた少女は、私だと気づきホッとしたのかフゥと息を吐くと

「え!?もうお昼ですか?そんな…」

と驚愕していた。

何でも今日は彼女の所属ギルドが下層階のダンジョンの財宝のありかが描かれた地図を発見した為そのダンジョンへ宝探しに行く予定だったそうだ、時間までに来なければ不参加とみなし集まったメンバーだけで出発、となっていたのだと

ガックリという表現がピッタリくる表情の少女にもう少し早く声を掛けてあげれば良かったかな?

少女はギルドメンバーにメッセージを送ると此方に向き直り

「い…いいえ!ご迷惑お掛けしました!失れ《グゥーー》……御相伴に与っても宜しいでしょうか?」

と、聞いてきたので快く引き受け、中のリビングに入り2人で昼食を摂った

「そう言えば、あの刀が気に入ったのかい?随分熱心に見ていた様だけど?」

「いえっ…あの、私の実家にも日本刀が有りまして…実家の物より綺麗で思わず見入ってしまった様なのです…」

消え入るような声で俯き恥ずかしそうに喋る少女が凄い可愛い

「そう言えば君の名前は?」

「申し遅れました、私は星空蒼華と申します」

「いや、それリアルネームじゃ?」

私が驚いて確認すると

「ああっ…えっと、ステラと申します重ね重ね無礼を失礼致しました、宜しくお願い致します」

慌ててHNを自己紹介してくれた

「私はリイン、此方こそよろしく…っと私も本名を教えようか?」

そう質問したがステラはもう頭に血が上り過ぎたのか

「うぅ………………きゅう。」

そのまま気絶して朝まで起きなかった。




オリキャラのステラちゃん登場しました!
設定とかは後日改めてという事で


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第4話 雇ってくれませんか? *

オリキャラ?のステラまたもや登場です。
まぁ挿絵の画像はは風景が想像できればいいかな程度なのであまり突っ込まないでくださいねな。


翌日からもステラは刀を見に来ていた、

そして声を掛けて昼食を一緒に摂るのが半ば日課になって来た頃ステラから相談があると言われ時間をとった

俯きながらもじもじしていたステラは顔を上げ、

 

「あの…急なお願いで申し訳有りませんが…私を雇って下さいませんか?」

 

「確かにこのごろ忙しいから人手が欲しいとは思っていたがどうして急に?」

 

何故急に働きたいのか分からないので確認すると

「はい、お給料であの刀を買いたいのですがアレは相当なお値段だと思いますし、私も料理スキルを持っていますので何かお役に立てないかなと思いまして、その……あの刀が買えるまで働かせて頂きたいのですが駄目でしょうか?」

 

少し涙目のステラが上目遣いで見つめてくる

 

「いや、アレは売り物じゃ無いんだけど……うーん、………良し!それなら働いてくれるならあの刀はお祝いとしてステラに贈るよ。」

 

「いいえ!あくまでお金を稼いで買わせていただきますので売らないでくれればそれでいいですから!」

 

私の提案にステラは全力で首を振る。

 

「そうか……じゃあ刀はステラに売るから毎月給料を渡すからそこから月々天引きっていうのはどうだい?」

 

少し考えてから私はステラに提案する。

 

「それでリインさんが宜しければ……」

 

恐縮そうにしながらもステラがうなづく

 

「助かるよじゃあこれからよろしく」

 

 

 

 

「3番テーブルのお客様からおかわりの御注文頂きましたー」

 

ステラが働く事になってから4日目の食事処営業日早くも看板娘として人気が出ている

売り上げも伸びているしプレイヤーの情報交換の場としても使われる様になった

しかし、

 

【挿絵表示】

 

「お嬢さん、悪いが此方にもご飯のおかわりを頂けるかな?」

 

おい!暇なのかヒースクリフ!貴方カフェ営業日には必ず来てるじゃないか!良いのか血盟騎士団!

そう、視界に映るのは何処からか和食の存在を聞きつけたヒースクリフが店の奥3番テーブルを午前中占拠している光景だ、別に予約席ではないのだが皆遠慮してしまう為、ヒースクリフが来なくても午前中は誰も座らない言わば特等席の様になってしまった。

午後になれば他の人も座るのだが……

 

【挿絵表示】

 

「ステラちゃーんお願ーい!」

 

「あっ、はい!今伺います!」

 

そんなことを考えている間もステラが声を掛けられて注文を取りに行く。

お客さんにも慣れて来たのかキビキビ働くステラ。

私は調理に専念できるし、アトリエでも調合に専念できるから大助かりだ

 

「ボソッ…美人店長に看板娘そして美味しい料理とマジ完璧だなこの店」

 

「だなぁ…そしてステラちゃんはメイド服ときたもんだ!この店に来なきゃSAOやる価値がネェよ。」

 

「ちげぇねぇ!」

 

最早常連となったお客さんが周りの迷惑にならない程度に騒ぐのもいつもの光景だ…しかし看板娘は分かるが美人店長とは……私はステラに比べて可愛くはないんだがな……。

 

「リインさん1番テーブルから鰻丼1つご注文頂きました!」

 

気がつくとステラが注文を受けて伝えて来る。

私は手早く準備をしてステラに渡す。

 

「はい、鰻丼1つお願いね?」

 

「はい………お待たせしました、鰻丼です熱いので気を付けてお召し上がりください。」

 

受け取った鰻丼を丁寧に運ぶとそのテーブルのお客さんが蕩けた顔でステラを見ていた………クライン?後でOHANASIダヨ?




クライン逃げてーーー

がやりたかっただけですのであしからず。


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第5話 リインの日常(カフェ編) *

久しぶりの投稿です。
最近なんか肩が重かったのですが書いてるうちに軽くなってきた気が……
5話目です。
短いですが良かったら見て暇つぶしてくださいな。


とあるランチタイム終了後

 

「リインさんこのショートソードおいくらですか?」

 

新作ランチメニューの味見を兼ねてホームのカフェゾーンにシリカとリズを呼び感想を聞いた後、私のホームの雑貨屋ゾーンでシリカの新しい装備を選んでいる

 

「シリカ!アンタはあたしの店で買わないくせにリインのトコでは買うの!?その差はなに?」

 

その横で頬っぺたにショートケーキのクリームをつけた鍛治職人がシリカに詰め寄るが、

 

「あぁそれなら9000コルだね」

 

気にせず、値段を告げるとシリカは考え込む様に顎に手をあてて

 

「うーん…9000コル……すいませんリインさん、このショートソード取って置いてもらうことってできますか?」

 

申し訳なさそうに言うシリカに私は

 

「まぁ取置きに関しては私はかまわないよ、もし手持ちが足りないならツケかローンにしても良いがどうする?。」

 

と提案してみる。

 

「……ツケかぁ〜…………なんか大人っぽいですね、うーん……じゃあリインさん!ツケでお願いします!………でもリインさん?”ツケ”ってどういう払いかた何ですか?」

 

私の横でウンウン唸りながら思案した結果如何やらツケ払いにする事にしたシリカは小首を傾げる仕草とともに”ツケ”って何?と聞いてくる。

 

私の考える”ツケ”って事で

・半額だけ取り敢えず払って残りは準備出来次第

・一部だけ払う残りは準備出来次第

・最初は金銭を支払わずに準備出来次第まとめて払う

の3つの支払い方法を提案するとシリカは、

 

「半額払って残りは準備出来次第っていうのでも良いですか?」

 

「分かった、じゃあ支払い期限は来年の今日まででお願いするよ?」

 

私が承諾すると今まで店の天井付近を飛び回っていたピナが私に急降下して私の顔をペロっと舐める

 

【挿絵表示】

 

「ピナ、驚くから急に人の顔を舐めたら駄目だと言っただろう?」

 

私がピナに少し怒りながら注意する、するとシリカが

 

「ごっ、ご迷惑お掛けしました!駄目だよピナ?前にも注意されたでしょう?」

 

私の前に滞空するピナを自身の胸に抱き寄せ全力で謝罪をしてからメッ!とばかりにピナを叱る。

 

怒られてしょんぼりするピナを見て、

 

「いや、怒ったわけではないが知らない人が見たらモンスターに襲われてるって思われてピナが倒されてしまうかもしれないからね、気をつけるんだよ?」

 

フォローされ困惑した様に固まる微笑ましい1人と1匹に苦笑しながら頭を撫でる

 

「ねぇ?2人ともあたしを無視しないでよ〜怒鳴ったことは謝るから〜」

 

微笑ましい空気をぶち壊す様に守銭…おっと、リスベットが声をかけてきた

 

私はもちろん冗談だがシリカは本当に存在を忘れていた様で少し驚いている。

 

「いや、マジで忘れられてたんなら泣くわよ?」

 

若干目を潤ませたリズを見た私は少し罪悪感を感じて、

 

「そうだよリズ、まさか忘れるはず無いだろう?目の前にいるのに」

 

と軽く謝りそれに続いてシリカは急いで

 

「やだなぁリズさんそんな訳無いじゃないですか……ハハハ…。」

 

本当にリズの存在を忘れていた様で目が泳いでいてあからさまな誤魔化しをしていた。

 

おかしな空気になったので流れを変える為、新作のデザートを振舞う事にした私は2人に、

 

「そうだ!良ければ新作のデザートも食べていかないか?」

 

私がそう提案するとシリカもリズも、

 

「「新作!!今度は何を再現したの(んですか)?!!」」

 

目をこれでもか!!と見開きながらカウンター越しに詰め寄ってくる、今から仕上げるからと、ちょっと待ってもらいキッチンに引っ込む。

キッチンにはもう材料が準備してあるので、まず

器にストロベリー風果実を甘味料と煮込んで作ったジャムを引き、次に錬金術で作ったコーンフレーク、アイスクリーム、生クリーム、を順番に載せていく、ストロベリー風の果実と、更にストロベリー風ジャムを載せて完成だ。

 

「さぁ出来たよ、苺パフェだ。」

 

私が2人が座るテーブルにパフェを置くと先にリズベットがスプーンを取って食べ始める。

 

【挿絵表示】

 

「ん〜〜〜〜〜っ美味しい!!」

 

食べるやいなや満面の笑みというか顔がとろけている様にも見える顔で感想を言うリズベット

 

「あ〜〜ずっ、ずるいですよリズさん〜〜じゃあリインさん、私も頂きまーす………本当に美味しいです!苺パフェの味がします!!……ガツガツガツ……リインさん!!!おかわりありますか?」

 

2人とも瞬く間に食べ終わると、同じ様に器を差し出しておかわりを要求してくる。

 

「悪いが今回はそれだけでね、感想を聞いてから量産しようかと思って作ったんだが……感想を聞くまでも無い様だね?」

 

おかわりが無いとわかった2人は「もっと味わえば……」やら「久しぶりのパフェ………パフェ……」

などと呟きながら空になった器を恨めしそうに眺めていた。

 

 

 

後日

 

ーカラカラーンー

カフェの営業時間終了間際、そろそろ休憩中の札を掛けようと表に出ると騎士団服のままのアスナが走ってきたのか息を切らせながら店の前に立っていた。

 

「如何したアスナ?そんなに料理が食べたいなら作ってあげるから入りなよ。」

 

「……うん……リインさんありがとう。」

 

一呼吸置くとアスナは礼を言うと私に促されてカフェ内に入った。

 

 

取り敢えず奥の席に座らせて注文を聞く。

 

「久しぶりだね?今日は何にしようか?」

 

私は何か思いつめた様な様子のアスナに敢えていつも通りの対応をとる。

 

「…………ェ…が……たいです。」

 

するとアスナはうつむいたまま絞り出す様に私に何かを言った。

聞こえなかった私は何度かアスナに聞くが要領を得ない、如何しようか顎に手を添えて考えているとアスナが今までの蚊の鳴くような声とは違う確かな言葉を発した。

 

「リインさんお願いします!私にも苺パフェ作ってください!」

 

赤い顔で目を潤ませながらパフェが食べたい、と言ってきた。

納得した私は

 

「ふふっ……リズから聞いたのかい?大丈夫、そんなに恥ずかしがらなくてもちゃんとアスナの分もとってあるよ。」

 

何時もの凜としたKOB副団長とは思えない程に女の子らしいアスナに苦笑が漏れる、そして来るだろうと思って1個だけ確保して置いた苺パフェをアイテムストレージから取り出してアスナの前に置く。

 

「…わぁぁ〜〜……ホントだ……………」

 

【挿絵表示】

 

目の前に出された苺パフェを嬉しそうに眺めるアスナにスプーンを渡すとリズベットやシリカとは比べ物にならない程の速度で食べきった。

食べ終えたアスナの顔は満足そうで年相応の少女に見えた。

 

 

 

 

 

更に後日

 

「ありがとうございましたー。」

 

今日もランチタイムの終了時間になったので休憩中の札を外に掛ける、そして店内には私とステラと”もう1人”だけになったので奥の席に座る様に声を掛ける。

 

「ふぅ、今日はお客さん多かったですねー!”アスナさん”どうぞこちらへ。」

 

ステラが裏から案内してきたのはアスナで、席に座らせて少し遅めのランチタイムにした。

 

「はい、ステラがハンバーグでアスナがサンドウィッチだね?」

 

奥の席に座る2人に予め決めてもらったメニューを置く、私の前にもサンドウィッチを置くと三人同時に

 

「「「いただきます。」」」

 

と言い食べ始めた。

 

 

「ごちそうさまでした、リインさんありがとうございます我儘を聞いてもらって。」

 

食べ終えたアスナがペコリとおじぎして感謝を述べてくる。

 

「いや、此方こそ皿洗いとか調理を手伝ってくれて助かってるからね、こんなのは我儘とは言わないよ。」

 

あの日パフェを完食したアスナから持ちかけられた”我儘”とは落ち着いて食事をしたいので一般客が捌けた後に食事をさせてもらえないか?というものだった、理由を聞くとなんでも”周りから注目されて落ち着かない”らしいので私が快く引き受けると

 

「ありがとうございます!あっそうだ、じゃあ私皿洗いとか手伝いますね!」

 

と言う具合に落ち着いて最近は3人で食べる事があるのだ、来るのは週に3日ほどでその時は2時間くらい前から来て裏で皿洗いや調理の手伝いをしてくれている。

 

おや?2人とも食べ終わった様だ。

では、

 

「じゃあデザートはコレでいいかな?」

 

と言って2人の前にパフェを置くと、キラキラした目で目の前のパフェを見ていた。




カフェ回と言うかパフェ回
アスナの反応はウチの姪っ子の反応を見て書いてみた。
異論は認める。


ではまた次回


3月29日ご指摘によりツケ払いの期限を追記

お気に入りが50を突破!!ありがとうございます^_^

励みになるので増えてくれる事を期待して完結目指して書き続けたいと思います。
引き続き誤字や脱字、おや?と思った表現があれば教えてください。
気付き次第修正いたしますのでお願いします。


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第6話 最初の出会い前編

出会いの季節という事で書いてみました。
相変わらず短いですが本編へどうぞ。


 

私には変わったスキルがある……”錬金術”というスキルだ。

 

アレは茅場博士からSAOがデス・ゲームとなったと聞かされたあの日、私は知識を集める為に始まりの街の図書館に向かい、自らのシステム外スキルの速読を使ってこの世界の基礎知識を学んだ。

 

その時ふと、目についたのが”始まりの魔法使い”という題名の古ぼけた本で目が離せなくなった。

その本は魔法という概念が結晶系アイテムぐらいしかないSAOでは違和感ある物だと気が付いたのはそれから少し経ってからのことだったのだがその時はゲームの中だから魔法もあるんだ?ぐらいしか思わなかったが……

本の内容は何故かベルカ時代に確立された錬金術に酷似しており、私は直ぐに理解して本を閉じると、

 

ーピカッー

 

本が輝きだし次の瞬間には砂の様になって消えてしまった。

幸いだったのはベルカ時代とほぼ同じだったので記憶を遡り同じ様な材料を探すという手間が掛かるだけな事だ。

もしこのアドバンテージが無ければ多分私は錬金術に手を出しはしなかっただろう……スキル習得欄に錬金術が追加されているのに気が付いたのはだいぶ後だったが……

 

一通り本に目を通し、図書館の外に出ると本に書いてあった通りに武器屋に武器を買いに向かった。

ベルカ時代では将達と共に戦場を駆ける機会も多々あったのである程度の武器は使えるが私は槍を選んだ。

理由は何故か判らないが槍でなければいけない気がしたのだ。

初期装備の武器を売りアイアンスピアを購入し店の外に出る。

 

「ちょっといいかな?僕はディアベルっていうんだけど……もしかして君もβテスターかい?もし良ければ僕等と一緒に行かないか?」

 

店を出て直ぐに長髪の男性に声を掛けられた。

 

「?私のことかい?残念ながら私は初心者でね、図書館に行ったら初期装備を売ってあの店で2ランク上の装備に買い直せると書いてあったので実行したまでだが?」

 

オンラインゲーム?を初めてやった私は初心者だろう……戦闘と戦争の経験はだいぶ多くあるが……

 

「へぇ…そんな本が………その知識を今後広めても構わないかな?その情報が出回れば死の危機に陥る人が減ると思うんだけど……。」

 

「危険に曝される人が減るなら構わないよ、って何でそんなに驚いてるんだ?」

 

私が了承すると目の前のディアベルと名乗った男はキョトンとした様子で「本当に良いのかい?」などと聞いてくる。

もう一度構わないよ?と此方も疑問形で返事をすると、

 

「じゃあ情報料は1000コルで良いかい?あいにくスタートしたばかりで持ち合わせがなくてね。」

 

と言いながら金銭トレードを申し込んできた。

 

「!?何でそんなに?最初の所持金と変わらないじゃないか、図書館にある誰でも閲覧可能な情報だよ?」

 

驚きながらディアベルに聞くと、

 

「あぁ、そう言えばビギナーだっけ?大体こういったゲームの情報って金銭での遣り取りをする事があって、今回の情報だと”始まりの街”で2ランク上の装備っていうかなりのアドバンテージを得られる情報だから本来ならもっと高い情報料を出さなければいけない様なものなんだけどね、残念ながらチュートリアル前に稼いだ額じゃこの金額が限界なんだ……それを聞いても1000コルで良いかい?」

 

と、申し訳なさそうに確認するディアベルに、

 

「あぁ…私としても本当か嘘か分からないがクリアしないと出られないというなら、死ぬ人間が減るなら歓迎すべき事だしお願いするよ。」

 

と微笑みながら承諾してディアベルからのトレードを受ける。

 

「すまない…此方からも良い情報が有れば連絡したいからもし良ければフレンド登録をしないかい?」

 

フレンド登録?何だそれは?と考えているとディアベルは考え込む私の様子に納得して、

 

「そうか初心者だったね?フレンド登録というのは登録した人の場所が分かったりいつでもメッセージが送れる様になるスマートフォンの電話帳の拡張版みたいなものだよ、ちなみに場所とかは非公開にする事も出来るから安心だし直ぐに解除も出来るから良ければそのやり方も説明しようか?」

 

「いやその辺りの本は明日読みに行くから問題無いよ、悪いが登録の仕方だけ教えてもらっても?」

 

その後うっかりディアベルが私に触ってハラスメントコードの存在も知る事になった。

 

 

 

翌日

 

ディアベルからオマケ情報として女性しか泊まれない宿屋の場所を教えてもらったのでそこに500コル先払いをして15日間宿泊する事にした。

 

それから毎日通うと7日程で全ての本を読み終わりNPC司書に他に本がないか話し掛けるとボーナスとして看破スキルと鑑定スキルを習得した。

スキル欄に確かに追加されていて本が無いのならこれ以上此処に通う必要はないと判断した私は外に出て経験値を稼ぐ事にした。

 

外に出ると幾人ものパーティーが猪の様なモンスター”フレンジーボア”を必死に狩っている。

 

邪魔をしては悪いか?と思い少し先に進むと野武士の様な顔をした男と数人のパーティーが1人で歩いている私が気になったらしく近付いて来た。

 

「おいおい姉ちゃん、この先はフレンジーボア以外のちぃと強いMOBが出る事もあるからこっから先に行くならパーティー組んだ方が良いぜ?何なら俺らギルド”風林火山”がついていっても良いけどよ?」

 

野武士の様な男は純粋な目で私に忠告をして来た。

特にこの先に行きたいわけではなかったが折角なので申し出を受ける事にした私は、

 

「ではお願いしようかな?私はリインという、ビギナーで”SAO”での戦闘経験は無いんだが教えてもらっても良いかな?」

 

申し出を受けるとは思っていなかったのか、固まる男達に自己紹介すると、

 

「お?!おぅ……俺はクラインってんだえっと…リインさんでよかったか?」

 

「リイン、と呼んでくれれば良いよ?」

 

私が微笑むと狼狽しながら返事をするクラインが可愛いと思った。

これが後のパートナーとの初めての出会いだがこんな感じであった。

 

早速先に行くとフレンジーボアの色違いのレアMOBが出てきたので最初は見ていてくれと言われ後ろに下がる、風林火山のメンバーは何度か狩っているのか危なげない様子でブルーフレンジーボアのHPを減らしていく。

 

「スイッチ!いくぜぇ!!」

気合いとともにクラインがソードスキル”スラント”でトドメを刺す。

その後ろで私は5匹のフレンジーボアを瀕死に追いやっていてその光景を見た時の風林火山の

「えっ?!?(・_・;?」としか言えない表情は脳裏から離れない。

 




錬金術
ディアベル
クライン
風林火山
との出会いという事で、
また加筆するかもしれませんが……

ではまた次回


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第7話 最初の出会い後編

前話の続きになります。

相変わらず短いですが読んでもいいよって奇特な方はどうぞ。

後書きに錬金術レシピを追加してみました。


唖然とした表情で固まる風林火山の面々

そこに平然とアイアンスピアを地面について、フゥ…。と息を吐く私

クラインが1番早く現実に戻ってきて、

 

「いや、どう見てもβテスターじゃねーか!!」

 

くわっ!!という表現が似合う表情で一声、それに対して私は、

 

「いや悪いが本当にVRMMOゲーム自体が初めてなんだが………やった事あるのは妹達とやったキャラクターの叩き合いゲームと髭と鼻が特徴的な人が出てくるレースゲームくらいだよ?」

 

真顔でそう返すと風林火山のメンバーは、

 

「えっ?この人マジデイッテンノ?(・・?)」的な顔になって更に数分動かなくなった。

 

 

全員が再起動してから私も十分戦力になると判断したクラインが「このまま簡易パーティー組んでレベリングしようぜ!」と言ってきたので何故か断る気がしなかった私は快く承諾、レアMOB含むモンスターを薙ぎ倒していき、早くもレベルが上がった。

 

近くの村で休憩する事になり、NPCの店員に料理を注文して待っていると

 

「リインさん!………いや、姐さん!どうか俺を弟子にして下さい!」

アクトと名乗った男が急に私に土下座をして来た。

 

えっと、どうしようか?と悩んでいると

 

「あっ!狡ぃぞ!俺が先にお願いしようとしてたのにぃ……」

 

気がつくと私を師匠と呼ぶ権利を賭けてオプトラとアクトが取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。

 

「おいっ!お前らみっともねぇから止めろ!すまねぇなリインちゃん、こいつらリインちゃんと会うちょっと前までソードスキルの練習してようやったと1人でフレンジーボア倒せるようになったレベル何だよ、俺はもうソードスキル出すのぐらい余裕なんだがな?」

 

クラインが2人を宥めながら自分はできることを自慢するが私には子供が、どうだ!凄いだろ!と言っているように見えて可愛く感じた。

 

「そういえば何で草とか石?のアイテム採ってたんだ?あんなのストレージ埋めちまうだけのゴミアイテムじゃねーのか?」

 

道中採取できるアイテムを拾っていた私にクラインが質問してくる。

 

「うーん…私も分からないんだが何故か拾わなきゃいけない気がしてね?まぁ捨てるのが簡単だからいいんじゃないかな?」

 

私の答えにクラインは「そんなもんか?」と相槌をうつとそこまで気になっていたわけでは無かったのかカルーと次の狩場の話を始めた。

 

食事を終えて始まりの街に戻ろうとするとクラインが私にフレンド登録しないか?と言って来たので風林火山のメンバー全員登録した。

 

「じゃあまた明日な!」

 

と言って手を振るクラインに此方も軽く手を振る。

また明日に始まりの街正面門前で集合して狩りに行く約束をして別れた。

 

宿に入って寛いでいる時に、そういえばスキルスロットが解放されたと表示されてたな?と思い出して習得可能スキル欄を眺めていると1番下の項目に”錬金術”スキルを見つけた。

 

「あれ?こんなの前は無かった気がするけど……図書館の消えた本を読むのが習得条件なのか?」

 

不思議に思いながらも気になり錬金術スキルを習得するとインフォメーションが流れ出す。

 

ー錬金術スキル習得を確認しましたー

ーマイホーム又はマイショップを購入した際に錬金部屋が追加されますー

 

ん?…マイショップかマイホーム買わないといけないの?と考えていると、

 

ーボンッー

 

宿の部屋の壁が煙に包まれ中から扉が出てきた。

 

「は?(・・?)」

 

ー錬金部屋が解放されましたー

ー今後錬金術スキル習得者が宿泊する施設では錬金術の施行が可能になりましたー

 

固まっているとちょうどインフォメーションが補足説明を告げる。

恐る恐る扉を開けるとそこには

大きな釜と作業台の様な物、本棚、大きなアイテムコンテナがあった。

 

「はは…凄いな…魔女殿の部屋にソックリだ…」

 

ベルカ時代に友好関係にあった魔女の部屋に瓜二つの小綺麗な部屋に驚きしかなかった。

 

「あの時気紛れでロロナと一緒に教わった知識と経験が役に立つとは思わなかったよ………ん!そうだ!せっかくだし回復ポーションでも作ってみようかな?」

 

アストリッド殿が「初歩の初歩だ、出来なきゃ教えん!」と言っていたが、私が見様見真似で作ると「チッ、これだから自覚の無いチートは嫌いだ!」と文句を言いながらも錬金術を教えてくれたのを思い出し、この世界で該当する物を探そうとすると目の前のウィンドウに

 

ーポーンー

 

という音と共に材料が表示される。

 

「何々?……治草と普通の水と……フレンジーボアの脂?こんな物でできるのか?……今日手に入れた物ばかりだし駄目元で作って見るか…」

 

不思議に思いながらも大釜に材料を入れて、ロロナ曰く”ぐるぐるっ”と回して反応を見る。

 

そうして数分混ぜていると青い稲妻のエフェクトが発生して中を覗くと回復ポーションが3つ出来ていた。

 

【挿絵表示】

 

「はは…本当に出来た…」

 

出来た回復ポーションは街のNPCが売っている物より回復スピードが5%早い、とのコメントも付いている。

 

ゲーム内での死が現実の死と直結するこの世界では回復スピードが早いのは大きなアドバンテージだと思われる。

しかし、この”錬金術”というスキルはどうやら他の人には習得できない様だ。

何故そんな事を知っているかと言えば先日知り合ったアルゴと呼ばれる情報屋に聞いたのだ。

 

 

 

ディアベルに会った翌日の事だった

 

「図書館の有益な情報を売ってくれないカ?」

 

と、急に言われて

 

「何故私が図書館の情報を知っているのを知っているんだ?」

 

と、聞き返す。

 

「いヤ、君ガ2ランク上の武器を手に入れる方法ヲ見つけタと聞いてネ?それを広めテもいいとモ聞いていル。」

 

ディアベルの情報から辿り着いたのか?

だとしたら私の事は広まっていると考えるべきか?…と考えているとアルゴが、

 

「ちょっといいかイ?オレっちはアルゴっていうプレイヤーでネ?βテストで友好関係にあったディー坊からリーちゃんにオンラインゲームのイロハを教えてくレって頼まれてネ、女性同士じゃないとわからない事ヤ不便な事があると思ってネ?」

 

その言葉と目を見ると嘘は言っていないと分かったので素直に話を聴く。

 

「いヤー、助かったヨ!クエストによってハ特定のアイテムが必要な事があってネ!おかげデいくつカの攻略法が解ったヨ!」

 

解けなかった問題が解けたのか嬉しそうに私の肩を叩きながら声を掛けて来るアルゴに、

 

「そう言えばアルゴに聞きたい事が有るんだが良いかな?」

 

それを聞いたアルゴは

 

「ンー?何だイ聞きたいことっテ?今なラ機嫌もいいシ情報の対価としテ何でも答えるヨ。」

 

嬉しそうに抱きついているアルゴに、

 

「錬金術っていうスキルの詳細を確認したいんだが…一体どういうスキル何だ?」

 

と、聞くと、嬉しそうに抱きついていたアルゴが急に真剣な顔になって

 

「……リインさんその話詳しく教えてくれない?」

 

と言った。

その時私が思ったのは………口調は演技だったのか?だった。

 

ともかくそこで錬金術スキルに関して情報交換した結果、どうやっても”あの本”に出会えた人がいない為ゲーム内でたった1人しか習得出来ない”ユニークスキル”だろうとの結論に至った。

口外しない様にキツくアルゴに言われたのでアルゴ以外に知っている者はいない。

 

まぁアイテムが作れるなら生産職として支援に回っても良いだろうし、などと考えながら錬金術を続けているといつの間にか自分の周りには回復ポーションの山が…

 

「はは…どうしようコレ……」

 

再起動した私は取り敢えず出来たポーションをそそくさとコンテナに詰め込むのであった。




リインの錬金術レシピ

アイテム名
回復ポーション

材料
治草+普通の水+フレンジーボアの脂

説明
言わずと知れたSAOの回復アイテムただし錬金術で作られた物で通常の物より回復スピードが5%早い




アルゴを出してみましたが口調が難しいですねーー。

相変わらずクライン要素は薄いですが一応クライン×リインフォースです。


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第8話 開店?リインのアトリエ *

最初に言っておきますがアトリエ要素ほぼ皆無ですので

読む方はこんなもんか?程度の認識でお願いします。

では本編をどうぞ。


11月25日アインクラッド第1層始まりの街

 

今日は少し肌寒く感じる…外に居る人の吐く息が白い、実際に寒い様だ。

ここ数日は毎日の様にクライン達のギルド風林火山と行動を共にしているが少し休みたくなった私は”1人”で休養の為、トールバーナに泊まっていた。

 

「そろそろ起きようか?アルゴ…一体何をやってるんだい?」

 

そう、私は1人で戻ってきたのだがいつの間にか横に金髪ショートヘアーで顔にヒゲのペイントを描いた友人が幸せそうな顔で寝ていたのだ。

疑問に思いながらアルゴの肩を揺らして起きる様に催促する。

 

「んー…………ママ……後5分だけ……」

 

完全に素の状態のアルゴを見た私はあまりに可愛く見えた為に写真を撮る。

 

ーパシャー

 

スクリーンショットの音がするとアルゴがモゾモゾと動き出した。

 

「ん?……リインさん……!?おっ!…オゥ、リーちゃんおはよウ。」

 

完全に起きた様だ。

 

「はい、おはよう………で?何で私の横で寝ていたのかな?」

 

少しだけ”私怒ってます”オーラを出してアルゴに質問すると、

 

「いヤ…あのナ?リーちゃんの部屋ガシステム的ニフレンド入室自由になってたかラ警告でモしようかと思って入ったんだガ…余りにモ気持ち良さそうだったかラオレっちモと思ってナ。」

 

てへっ♪と舌を出して悪怯れる事なくいけしゃあしゃあと言うアルゴに呆れながら入室自由?今までは必ず許可申請が来ていた様だが………

 

「ん?何ダこの部屋ヲ買っテホームにしたんじゃないのカ?ホームだったラそういう設定しないと危なイから教えようと思ったんだガ?」

 

不思議そうに質問するアルゴに私は、

 

「いや?そんな事して無いが…ちょっと待てアルゴ、ホーム?ってどういう事だ?私は普段通りに宿にコルを払って泊まっただけだよ?」

 

何故そんな事になっている?普段と違うのは……………あっ!錬金術スキル!

私に思い当たることが有りその反応に気が付いたアルゴが、

 

「リーちゃん?何カ思い当たることがあるナ、良かったらおネーさんに教えてくれないカ?」

 

イイ笑顔で言った。

 

 

 

 

 

「ふーン…錬金術スキルを取ったラ?そう言えバあのスキルハユニークスキルみたいだしナ、そういった特殊効果があってモ不思議じゃなイ。」

 

「あぁそうだ…コレが出来たポーション何だが効果の欄を見てみるといい。」

 

興味深そうなアルゴに出来たポーションを渡す。

ふーん、なんて言いながらアイテムを受け取ったアルゴは効果を確認したのか急に真剣な顔で、

 

「リインさん!コレ凄い!何コレ?!5%も…………。」

 

興奮しているのか口調が戻っているアルゴ

思わずスクリーンショットを撮る。

………そう言えばスクリーンショットの中にはアルゴやクライン達風林火山の写真が多かったな…それだけ一緒にいるって事かな。

 

「そうだリーちゃん?店をやって見たいっていってたよナ?」

 

正気に戻ったアルゴが不意にそんな事を聞いて来た。

 

「えっ?確かに言ったが急にどうしたんだ?」

 

「逆襲の雌牛ってクエスト何だガ料理スキルを持っていルプレイヤーが合計100頭狩ると一部NPCの店をレンタル出来るようになるっテ隠しbonusがあるんだヨ、ちょうど良いじゃないカ一緒にこのポーションも売ると良いヨ。」

 

 

 

「……いらっしゃいどうぞ好きな所に座って待ってて下さい。」

 

【挿絵表示】

 

おかしいな……私は何故只管ステーキを焼いているのだろう?

逆襲の雌牛で大量にドロップした牛肉を使ってステーキでも焼こう、などと考えた私が馬鹿だった……最初はちょっとカフェでもやろうかと思っただけだったんだが………。

そう思っている間にまたお客さんが入ってくる。

 

「リインちゃん!店開いたって言うから食べに……来た……ぜ?」

 

クラインを先頭に風林火山のメンバーが店に入ってきたが余りの混み具合に固まっている。

 

「すまないクライン!手伝ってくれないか?手が足りなくて…後でご馳走するから!」

 

「お?おう、任せろリインちゃん!実家で鍛えた接客スキルをみせてやるぜ!」

 

オープン1日目は大繁盛だったが余りにも来客数が多かった為、翌日から営業時間が12時から3時までの時間限定営業に切り替わった。

 

尚、クラインをはじめとした風林火山のメンバーは閉店後の夕方によく店の裏口から入るのを見掛けるようだ。




短いですが一応最新話です。

この当時のプレイヤー達からリインの店の認識はアイテムも売っているステーキハウスです。

リインはあくまでカフェと言い張りますが注文の8割強がステーキ系でお土産としてポーションなどが売れる

ぐらい。

因みに夕方以降に来る頻度はクラインだけが7割残り3割が全員です。


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第9話 ビーター

いやはや戦闘描写は難しいですねー。

書いてみて情景が浮かぶようなものが書きたいんですがね?

まぁ何時もよりは長いんで……

では本編をどうぞ。


今日はボス部屋がようやく見つかったと言う事でディアベルから誘いがあり行くことにした。

クラインらギルド風林火山はまだレベリングが不十分との事で参加を見送る事になったそうだ…私は行かないとクライン達には言ったが、誘われた手前行かないと言う選択肢は無くクライン達には採取に出掛けるとだけ言って参加した。

 

会場には20から30人くらいの人が集まっていて壇上にディアベルの姿を確認するとこちらに気づいたディアベルが軽く手を上げて来たので此方も軽く手を振って応えた。

 

「………あの?ちょっと良いですか?失礼かもしれませんがその姿はアバター?ってやつですか?」

 

邪魔にならない様に人が疎らな場所に腰を下ろした私にフードを目深に被った人物が話しかけて来た。

声から10代から20代の女性と判断した私は、

 

「一応現実と同じ姿なんだがどこかおかしかったかい?」

 

と軽く答えると、フードの少女は焦った様に

 

「い…いいえ!あの?リアルの事を聞くのはマナー違反だって聞いたんですが貴女は現実で大学生で家庭教師とかしていませんか?」

 

「え?……どうしてその事を知っ……「では集まった様なので始めさせてもらう。」んだい?」

 

質問の答えを聞く前に「始まるのでこれで」、と言い席を離れてしまうフードの少女。

私も席を立とうとするがディアベルが話を始めてしまったので諦めて座る。

 

「………職業は気持ち的にナイトやってます」

 

ディアベルが話をしているが視線はフードの少女に釘付けだ。

 

パーティーを作る事になった様だが生憎とクライン達風林火山は居ないので溢れてしまう。

そんな時15〜18くらいの少年が私に話しかけて来る。

 

「すいません、もしかして貴女もまだパーティー組んでいないんじゃないんですか?良かったら俺とこいつとパーティー組んでくれませんか?」

 

フードの少女の手を引いた男の子が私にパーティー申請を出してくる。

考えるまでもないと思いパーティー申請を承諾してフードの少女と男の子のキャラネームを確認する。

男の子はキリト、そしてフードの少女は”アスナ”だった。

ハッ、となった私にキリト君が大丈夫ですか?と心配そうに聞いてくるが私は”アスナ”に気づかれない様大丈夫と返す。

 

そのまま明日まで解散になったので私は”アスナ”に声を掛けることにした、だが”アスナ”は此方に気づくとキリト君の手を引いて駆け出して行ってしまった。

 

「明日奈?明日奈なんだろう?如何してこんなところに居るんだ?……」

 

私の疑問は風に消えていった。

 

 

日をまたぐと第一層攻略の為に昨日集まった人数そのまま集まっていてディアベルが激励すると固まって動き出した。

 

私はキリト君とアスナと行動を共にしているが今日はアスナに会うなり

 

「……ボス攻略に集中したいから話は後で良いですか……」

 

と言われてしまったので私達のパーティーはほぼ無言だった。

 

ボス部屋に入るとここに来るまでに見たコボルドを凶悪に大きくした様なモノが中央に立っていた。

 

ソレは私達の姿を確認すると叫び声をあげて周りにコボルドセンチネルを召喚する。

 

ディアベルが掛け声をかけながら順調にボスの体力を減らしていく。

 

私達はというと、

 

「アスナ!スイッチ!」

 

キリト君が上手く指示を出してくれるおかげでノーダメージでほぼ全てのセンチネルを相手にしていた。

 

私は危ないと思った時だけ手を出す様にしているがキリト君は回避が上手いしアスナに当たるであろう攻撃はキリト君が弾いてしまうので余りやる事がない。

 

と、

 

キリト君の背後に召喚されたセンチネルを手に持ったアイアンスピアで一突きしてトドメを刺す。

 

「サンキュー!リインッ!」

 

キリト君は私がサポートした事に気がついて礼を言いながら自分の前のセンチネルにソードスキルを叩き込む、すると私達の周りからセンチネルが居なくなり3人ともボスの様子を見る。

 

HPゲージが残り一本になりボスが今まで使っていた剣と盾を投げ捨て腰に下げた剣を引き抜く………!?情報ではタルワールじゃなかったか?!ディアベルがどうしてか前に出るのが見える、今はまだ周りを囲んで迎撃するべきじゃないのか?!と考えているとキリトが叫ぶ。

 

「駄目だ!!全力で後ろに飛べ!!」

 

やはり何か不味いのか!と思い私は槍を構え直してある構えをする……久しぶりだが今やらなければディアベルが確実に死んでしまう………いくぞ!

 

「……いざ!ブリッツシュトゥース!!!!」

 

ソードスキルではないが古代ベルカ時代に身につけた技の一つで紫電を纏いながら槍を突き出し高速で駆け抜ける技を放ち、イルファングコボルド・ロードの追撃を受け流す。

するとディアベルがその場に倒れるとHPはレッドまで減っているがそれ以上減りはしていない。

私は槍を構えてコボルド・ロードに相対すると

 

「さぁ……次は私達が相手だ、行くよ!キリト!アスナ!」

 

追いついたキリトとアスナと3人でコボルド・ロードに向けて走り出した。

 

「ハァーーー!!!」

 

キリトが一閃すると

 

「いっけーー!!」

 

アスナの追撃がコボルド・ロードに直撃するがコボルド・ロードは態勢を無理矢理変えてキリトに攻撃しようとする、

 

「させるか!」

 

そこを私が槍で攻撃を弾くと、

 

「アスナ!!最後は一緒に!」

 

呼吸を合わせたキリトとアスナが見事な連撃を叩き込みトドメにキリトがソードスキルを決めるとイルファングコボルド・ロードは空中でポリゴン片になって消えた。

 

ボスが倒されて安心したのか参加者達が歓声をあげる。

 

キリト君も落ち着いたのか座り込み報酬を確認していると1人の男が騒ぎ出した。

 

「何故や!ナンでディアベルはんを見殺しにしようとした!!あの男ボスの使う技知っとったのに言わんかったし、大体あの銀髪の姉ちゃんのソードスキルは何や!!あんなん見た事ないわ!あいつらβテスターやろ!!」

 

キバオウといったか?髪がウニみたいな男が騒ぎ出す。

 

徐々にざわざわとし始めて私とキリト君に注目が集まり始めると、

 

「ハハハハハ、アッハハハハハ…」

 

キリト君が急に笑い出し注目がキリト君のみに集まった。

キリト君は自ら悪役を演じ、

 

「……それにそこの女が使ったスキルは上層階じゃ普通に習得出来るスキルだしボスの攻撃が分かったのも俺がβテスト時代に誰も到達できなかった階層まで上がって、そこで刀を使った敵と戦った事があったからだ…」

 

キリト君が言葉を続ける。

駄目だ…それでは君だけが悪者になってしまう

 

「…それではビーターだ…ベーターのチート野郎って事だろ?」

 

誰かがビーターという単語を創り出すとキリトは

 

「ビーター?良いな、そうだ俺はビーターだVRMMOもロクにわからないβテスター共と一緒にするんじゃない。」

 

と云い捨てると転移門のアクティベートの為先に進む。

 

その背後をアスナが追いかけるのが見えたので私もその後に続く。

 

「キリト君!」

 

追いついた私が声を掛けるとキリトはキョトンとしてアスナは振り返る。

 

「ごめんリイン、そこの女なんて言って…今度どこかで会えたらお詫びするよ。」

 

キリトは私に謝ると先に進もうとする。

 

「何で君だけが悪者に成らなければいけなかったんだ?私を庇って自分だけに敵意が向くように仕向けただろ?」

 

私が理由を聞くと、

 

「βテストに参加していた奴等が全員悪者になるより俺が1人で泥を被った方が良いと思ったんだ、そのほうが攻略も進むだろうしね。」

 

と言ってアクティベートして次の階層に消えて行った。

 

 

 

「……あの…リインさん?ごめんなさい今まで変な態度取って……」

 

泣きそうな顔でアスナが謝ってくる。

 

「やはり明日奈か!何でこのゲームをしているんだ?」

 

「…それは……兄さんが出来ないからって……1日だけ借りて気晴らしになると思って……でもこんな事になって…どうすればいいか分からなくなって…うぅ………」

 

段々と泣きそうな顔になるアスナを抱き寄せて、

 

「良いんだアスナ、泣きたい時は泣いていいんだよ…今まで大変だったろう?」

 

そう声を掛けるとアスナは私の胸に顔を埋めて泣き出した。

 

 

 

「……御免なさいリインさん、もう大丈夫です。」

 

まだ少し赤いが幾分かスッキリした顔をみせたアスナは私から離れてそう呟くように言う

 

「アスナはこれからどうするんだい?私はなるべく攻略に参加する予定だがもし良ければ私と一緒に攻略するか?」

 

私は一緒に行くか聞くとアスナは首を横に振り、

 

「ありがとうございます…でも御免なさい私は私なりのやり方を探してみます、さっきキリト君にも言われたんです…信頼出来る人から誘われたらギルドに入れって…リインさんと一緒に行ったら私は安心できるだろうと思う…けどそれじゃダメな気がするんです。」

 

アスナからそう断られた私は、

 

「そうか………だが何かあったらいつでも相談してくれ、一応私は君の家庭教師だからね?」

 

軽くウインクしながら言うとアスナはクスッと笑い返事を返す。

 

「ふふ…じゃあ困ったら相談しますねリイン先生?」

 

「あぁ、……そうだ!アスナ、私とフレンド登録をしておこうそうすればいつでもメッセージが送れるしそれで呼んでくれれば直ぐに会えるだろうしね。」

 

その後、街に戻り一緒に食事をしてアスナと別れた。

借りていた店に戻るとアルゴが待ち構えていた。

 

「いヤー、さすがリーちゃんだナ…攻略終わったんだロ?話を聞かせてもらうヨ。」

 

と、イイ笑顔でメモ帳を構えていた。

 

 

ーポーンー

 

アルゴに根掘り葉掘り聞かれてぐったりしていると来客を告げる音がなる。

 

誰だろう?さっき帰ったアルゴが忘れ物でもしたのかな?と思いドアから外を確認すると、

 

「リインちゃん!居ねぇのか!俺だクラインだ!居たら返事してくれぇ!!」

 

しまった、忘れてた…そう言えばクライン達には採取に行くとだけ行って出て行ったからもう丸2日経ってるんだった。

他のギルドメンバーもクラインの背後に見えるので取り敢えずドアを開ける。

 

「大丈夫か?怪我ないか?気分は?悪くねぇか?」

 

オロオロしながら私の身体に触り心配しているクラインに私は少し顔を赤く染めながら、

 

「ごめん……心配掛けて悪かった…でも…あの………だけどね……ちょっと……触りすぎかな……。」

 

と声をかける、私の前にはハラスメントコードを示すウィンドウが無数に展開されていて少しでも間違った場所に手を出せば目の前のクラインが牢獄にまっしぐらになってしまう様な状態だった。

 

「!?!?すっ、すまねぇ!」

 

青ざめた顔を一転真っ赤に染めて離れるクライン

そして離れたのを確認してゆっくりと無数のウィンドウを閉じていく私、その周りにどうすればいいのか分からず固まる風林火山のメンバー達

 

「わざとでないのは分かったけどね?あれだけ触られると私だって恥ずかしいんだが?」

 

私の前で見事な土下座を披露するクラインに声をかけると

 

「悪りぃ、ホンッット悪かった!!許してくれとは言えねぇ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!!」

 

全力で謝罪してくる。

その周りでは、

 

「リーダーなんて昨日から生命の碑見に行ったり情報収集したりしてたからな?俺らは姐さんなら心配無いって言ってんのに聞きやしねぇの。」

 

「ちげぇねぇ!「まさか!!」とか言って駆け出した時はどうしたんだ?とか思ったけどな?」

 

豪快に笑いながら私が作った料理を頬張っていた。

 

「そう言えば姐さん?これってもしかして?」

 

と言いながらアクトが料理を箸で持ち上げるとそこにはこんがり揚がったフライの様なものが見える。

 

「あぁそれは牛肉のカツだよ、上にかかっている物は未完成だがウスターソースだよ。」

 

と返事をすると

 

「やっぱりか!懐かしいと思ったんだ!まだ1ヶ月くらいしか経ってないのになぁ〜………ハァーーーハンバーガーやピザが恋しいぜ……何で茅場の野郎はNPCの店にもっと美味いもの用意しなかったんだ……。」

 

と残念そうに語った。

 

そしてクラインは我慢しきれなかったのかスクッと立ち上がりメンバー達の前に置かれた牛カツの皿を奪い取りムシャムシャと食べ始める。

 

「「「「あーーーー!!!」」」」

 

その行為に叫ぶメンバー達

それを見て私はまるで手の掛かる子供だな、と思いながら苦笑した。

 




飯テロ第3弾今回は牛カツ

主に関西方面で食べられていた牛カツ、今は関西方面でもトンカツが多いと聞いたがそこの所はどうなのだろうか?関西方面の人か詳しい人がいたら聞いてみたいな…

とか思いながら書きましたもし知ってる人居たら教えてくださいな!

ではまた次回。


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第10話 ”傷だらけの守り人”前編 *

リインのアトリエ感を出すためのオリジナル回的なものを書いてみました。

ユニークスキルが獲得されないと出現しないクエストっていうのもあっても良いかな?と思いまして…

特に生産系の隠しスキルならキーアイテムの生産が条件のクエストがある。

という設定を模造してみました。

では本編をどうぞ。


攻略も40層まで進んだ頃、私は遂に35層ミーシェの主街区にレンタルでは無い自分の店を買った。

 

店は、錬金術やその他スキルで作った装備やアイテムを売るアトリエスペースとその裏手に料理スキルを活かしたカフェスペースを併設した複合施設に挑戦しており、

営業日を月・水・金・日曜日はアトリエスペースの営業日、

その他の火・木・土曜日はカフェスペースの営業日としてどちらも売るものが無くなるか私の用事が入ったら店仕舞いというフリーな営業形態に設定した。

その頃には錬金術スキルも現在作れる物はほぼコンプリートしており後は50層以上に上がらないと作れない物を残すのみとなった。

 

その頃の私の用事とは……

 

「ふむ……後はシエルの葉かな?」

 

【挿絵表示】

 

アルゴの情報提供により発見された特殊クエストのキーアイテムの生成作業だ。

何故私がこの作業を行っているのかと言えば………

 

「はぁー、………リーちゃん…知らないとハ思うけド”アシナラの霊薬”なんてアイテムは知らないよナ?」

 

カフェスペースの営業日の閉店後にアルゴが来たので自家製コーヒーを淹れてやると椅子にもたれかかりグッタリとしながら溜息を吐いた。

 

「”アシナラの霊薬”?何でそのアイテムを知ってるんだ?昨日出来たばかりで誰にも教えてないはずだぞ?」

 

錬金術スキル行使中に偶然出来たアイテム名をアルゴが口にしたので驚いて聞き返す。

 

「?!なっ…なっ……なっ……。」

 

目を点にしたアルゴが”な”を連発するので

 

「な?どうしたアルゴ?」

 

不思議に思ってアルゴの顔の前で手を振ってみたり頬を突いて見たりするが反応が薄い。

 

「何で言ってくれないの!!私そのアイテムの情報探すために15万コルも使ったのにぃ〜〜〜〜!!」

 

椅子からスクッと立ち上がり顔を上げたアルゴは普段の口調も忘れ、私に捲し立て首元を掴んで前後に揺する。

 

「…………………てい!」

 

ちょっと”ムカッ”とした私は暴走するアルゴに手刀をお見舞いして機能を一時停止させる。

 

 

 

「…………………ん?……あレ?オレっちはいつリーちゃんの店に来たんダ?」

 

気絶から復帰したアルゴは良い感じに記憶が飛んでいる様だったので、

 

「さっき入って来たと思ったら椅子に座った瞬間寝息を立てて寝てしまったよ?風邪を引くかは分からないが一応毛布だけはかけておいたよ。」

 

ありがとう。と礼を言うアルゴとの先程のやり取りは無かったことにして会話を続ける。

 

「そう言えばさっきからずっと”アシナラの霊薬”という言葉を言い続けていたがそのアイテムがどうしたんだ?」

 

また暴走されても困るので今度は知らない程でアルゴに質問すると、

 

「そうなんだヨ、今までは居なかったNPCが各地に急に増えてきテそのNPCから受けられるクエストのキーアイテムが見た事も聞いた事も無いもノで困ってるのサ……一体どんなものなのカ……。」

 

アルゴからそのアイテムを欲する理由を聞いた私は、

 

「……全くの偶然だがそのアイテム名に聞き覚えがある、確か錬金術スキルで作れるアイテムにそんな名前のアイテムがあったはずだな……せっかくだし作ろうかと思っていたんだけど幾つ欲しいんだ?」

 

「!?本当カ!助かるヨ。新しく見つかった”傷だらけの守り人”っていうクエストのキーアイテムらしいんだガ情報が見つからなくテ困ってたんだヨ……取り敢えず2つ程頼めないカ?」

 

まさか私が作れるとは思わなかったらしく珍しくおずおずと頼んでくるアルゴに、

 

「ああ、今日の夜閉店後に作ろうかと思っていたんだがそれでも良いかい?直ぐにというなら今から作るが?」

 

と、聞くとアルゴは嬉しそうに私の手を握りながら飛び跳ねる。

代金は20000コルくらいでいいか?と聞いて来たので材料費込みで半分で良いよ?と返すと、

 

「じゃあ明日ノ朝イチで受け取りにくるからナ!頼んだゾ、リーちゃん!」

 

と言ってコーヒーの代金を置いて帰って行った。

 

ここで冒頭のシーンに戻る。

 

錬金術スキルを使用して釜に入れた材料をカッシの木でできた棒で、ぐるぐるしてピタッ!ぐるぐるしてからまたぐるぐると回す。

こういう表現はロロナは天才的だったな?アストリッド殿は理論派だったのでロロナのこういった表現は理解出来なかった様だが私には何故かピッタリ嵌ってアストリッド殿にこう言われたのを思い出す。

 

「チッッ!……チートな上に天才か……さすがベルカの最終兵器の1つだな……おいっ!ジャマル!!貴様は触るな!私のアトリエを破壊する気か!!」

 

「私はシャマルです〜、そんな…私だって錬金術やってみたいんですからお願いしま〜す!」

 

「馬鹿か貴様?普通の料理すら作れんくせに錬金術など500年早い!!少なくともまともに食べられる料理を作って出直してこい!!」

 

おっと、余計な記憶まで出てきた様だ……そう言えばアストリッド殿…シャマルの料理は500年ではまともにならなかった様です…稀代の天才で万能な貴方でも予測のつかない事があったんですね?

 

【挿絵表示】

 

などと考えていると釜から青い稲妻のライトエフェクトが出て成功した。

取り出してみると薬瓶に入ったエメラルドグリーンの液体が見えた。

 

「コレが”アシナラの霊薬”か?どれどれ?効果は……。」

 

アイテムの説明欄と効果欄に目を向けると、

 

ー錬金術専用アイテムー

アイテム名

アシナラの霊薬

 

材料

治癒草+オーガの血+ユニコーンの角+シエルの葉

 

効果

回復速度が回復ポーションの2倍で状態異常の全てを癒す

 

説明

回復ポーションの2倍の効果があるエルフの霊薬で状態異常も全てを癒す魔法の薬

*クエストキーアイテム

 

「おおっ……これはまた……凄いな。」

 

できあがった薬の効果を見て驚いた。

 

そして翌日の朝、

 

「おーイ、リーちゃん!来たゾ!」

 

アルゴが本当に朝イチで受け取りに来た、まだ日が昇る前に………

 

「オー、コレが”アシナラの霊薬”カ?綺麗な色だナー…………で?この効果で本当に10000コルで良いのカ?」

 

興奮気味に話すアルゴ

その反面、寝起きでまだ完全に目が覚めていない私はぼや〜っとしながら相槌をうつ。

 

「じゃあコレは仮にしとくゼ!ありがとうナ、リーちゃん!スーちゃんにもよろしくナ!」

 

と、言って無駄にテンションの高い鼠は去って行った。

 

「さて……目も覚めてしまった事だし、今日はアトリエのアイテムでも作るとするか。」

 

そしてアイテムを作り始めた私はその後寝坊したステラに、

 

「店長!大変です!!お客様が外にいっぱいならんでます!!」

 

と、言われるまで錬金術をしていた。

その後開店したアトリエは昼過ぎまで大混雑だった。




リインのアトリエ
錬金術スキル専用アイテム設定
ー錬金術専用アイテムー
アイテム名
アシナラの霊薬

材料
治癒草+オーガの血+ユニコーンの角+シエルの葉

効果
回復速度が回復ポーションの2倍で状態異常の全てを癒す

説明
回復ポーションの2倍の効果があるエルフの霊薬で状態異常も全てを癒す魔法の薬
*クエストキーアイテム



というのを考えてみました。

後半はスローター系クエストを予定しておりますがストックが切れた為、更新が遅くなる可能性があるのでご容赦を……

ではまた次回。


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第11話 ”傷だらけの守り人”後編*

こんな深夜にテンション上がって書いた………

おやすみなさい 

本……ぺ……ん……で……



アルゴに霊薬を渡した数日後、

 

「ふむ…ステラ、今日は店を閉めてダンジョンに潜ろうか?」

 

「そうですね、そろそろ次の階層のボス部屋が見つかりそうですし……あっ!いらっしゃいま…せ?………どうなさっなのですか?アルゴさん?」

 

カフェ営業日だったがお客さんも珍しく疎らで早めに閉めてダンジョンでレベル上げしようかとステラと相談していると、ふらふらと先日の状態を巻戻して再生した様な動きでアルゴが椅子に座りぐったりとする。

 

「いらっしゃい、問題が解決したってゆうのに元気が無いな?……ステラーーちょうど良いから看板を中に入れてcloseしちゃって良いよ!」

 

アルゴの席にお冷を置きステラに閉店作業をお願いする。

 

それを聞いたステラは手早く外に出ている看板を中に入れて、扉にcloseの札を貼る。

そして店の奥に向かう途中私とアルゴのところに近づくと、

 

「じゃあ店長、私は裏を片付けてますので…ではアルゴさんごゆっくり………あっ!何かご要望があればお申し付け下さいね?」

 

と、行って来たので、

 

「あぁ…頼むよ。………で?何があったんだ?あのクエスト絡みか?」

 

ステラに片付けをお願いして見送って少し間を空けてからアルゴに問いただす。

 

するとアルゴは俯いていた顔を上げ、

 

「その通りダ……実はあの”傷だらけの守り人”ってクエストにハ続きがあってナ……ディー坊達のギルド”軍団”ニ依頼して調査してもらったんだガ…どうやらあのクエストはNPCエルフに薬を渡して終わりじゃなくテその原因となったモンスターのスローター系クエストだったみたいなんダ……。」

 

アルゴの話に違和感を感じ、

 

「スローター系?討伐系じゃなくて?」

 

と、質問する。

その質問にアルゴは、

 

「その通りだヨ……そこに出現するレアモンスターのエルフイーターっテ名前のモンスターでそいつが1体でも結構強いんだガ時間でリポップするからどーやってモでい坊達じゃ倒し切れないみたいでナ?何匹倒さなきゃいけないのかも分からなイ………幸いなのはエルフイーターってモンスターがプレイヤーを積極的に攻撃して来ないってとこだけだナ、逃げるのは簡単なんダ。」

 

それを聞いた私と皿洗いなどの片付けが終わってテーブルに座っていたステラが顔を見合わせる。

 

「……アルゴ?そのエルフイーターってモンスターが出るのって第20層ひだまりの森の隠しエリアじゃないか?」

 

「……そうだヨ〜〜…………?ん?オレっちクエストの情報リーちゃんとスーちゃんに教えたっけか?」

 

私がフィールドの場所を言うと、アレ?教えたっけか?と不思議そうに聞き返すアルゴにステラが、

 

「いいえアルゴさん、アルゴさんから教わってはおりませんが先日店長の錬金術素材採取の時にそのエルフイーターと戦いましたのでそのせいかと……」

 

説明した。

 

「本当カ!……結果は?結果はどうなっタ?」

 

その答えに、目を見開いて立ち上がり目の前のステラの両肩をガシッと掴み興奮気味に前後に振る。

あまりに急に揺さぶられた為ステラは、

 

「キュ〜〜〜…………」

 

と声にならない声をあげながら目を回している。

 

見かねた私が止めるとアルゴは視線をこちらに向けて、

 

「で?どうだったんだ?勝てたのカ?」

 

興奮覚めやらぬ様子で私に聞く。

 

「あぁ……勝ちはしたが殺してはいない、殺す理由が無かったからな…お前達エルフイーター達と話はしたのか?」

 

私の答えを聞いたアルゴは「は?何を言っているんだコイツ」とでも良いそうな顔でこちらを見てから

 

「話?何言ってんダ、リーちゃんあんなどう見てもモンスターな外見の奴らが話なんか出来んのカ?」

 

と、言うと

 

「モンスター?どう見ても小動物のヒト型がいいところのような気がしたが?」

 

「そうですわね…アレは昔絵本などで見た覚えがあります…どう見たってそんな恐ろしいものには見えませんわ。」

 

と、言い返しステラも同意する。

双方とも(・・?)といった表現が似合う顔で見つめあった。

 

 

 

「つまりはリーちゃんとスーちゃんガ会ったエルフイーターは大きめの二本足で歩くウサギだったト?オレっちやディー坊の見たエルフイーターは幽霊みたいな外見でよく剣がすりぬけたりするモンスターだったって事だナ?」

 

3人の話を纏めたアルゴが不思議そうにしながらもこう結論づけるとその横でずっと考え込んでいたステラがおもむろに顔を上げて呟いた。

 

「ふむ……………そうゆう事ですか……店長、アルゴさん、今から行きましょうか。」

 

私とアルゴは何時もと違った雰囲気を纏うステラに驚きながら何処へ?と聞くと、

 

「決まってますわ?ひだまりの森の”傷だらけの守り人”さんに会いに参りましょう。」

 

さも当然の様にそう言い放つと「装備を取ってきます。」と言って2階に上がって行った。

 

私も取り敢えずレベル上げになるか?と考えて装備を取りに2階に上がった。

 

 

 

第20層ひだまりの森に着いた私達3人はまずアルゴの知るクエストNPCのエルフにクエスト内容を聞くため会いに行った。

 

「確かこの辺りニ………アレ?居ない?誰かがクエストクリアしたのかナ?……それとも場所を間違えたカ?」

 

アルゴが場所を間違えたか疑問に思っているとステラが、

 

「店長のハイディングスキル再現アイテムのおかげでそのクエストNPCに気付かれなかったからでしょうね……では、このままエルフイーターの里まで行きましょうか。」

 

と言って先行して行く。

私とアルゴは顔を見合わせて、この人誰?と思っていた。

 

 

 

そしてエルフイーターの里に着いた私達を待っていたのはどう見てもピーター○ビットの様な生き物がエルフの様な男性?に捕まえられている光景だった。

 

フードを目深に被り黒いマントを纏った私達に気付いたエルフイーター達が騒ぎ出す。

 

「わぁーアイツの仲間だー」

 

「駄目だー皆んな食べられるー」

 

「怖いよぅ…怖いよぅ…」

 

その騒ぎに驚いたのはエルフイーターだけじゃなく、

 

「仲間だと?!そんな馬鹿な!俺にそんなのは居ねぇし、近くにプレイヤーの反応は無かったはずだぞ!!」

 

と、私達が思うエルフ像をした男性?が驚きの声を上げる。

そこにステラがマントとフードを脱ぎ捨てて姿を現わしその姿を見たエルフイーター達が声を上げる。

 

「ステラー」

 

「ホントだーステラー」

 

「助けてステラー」

 

「リインもいるのー?」

 

「リイン助けてー」

 

エルフイーター達の姿を見たアルゴは固まっていて、時々「えっ?オレっちはもしかしてあんな小動物みたいのニ怯えてたのカ?」などと呟いている。

 

らちがあかないので私もマントとフードを脱いでステラの横に立つ。

 

「貴女方はプレイヤーですか?私はエルフのアシュタロンと言いまして……私達を苦しめるエルフイーターどもの住処を見つけて処分しに来たのです、宜しければ手伝って頂けませ…ん!何をするのです!」

 

アシュタロンと名乗った男性はバツの悪そうな顔で私達に依頼してくるアイコンが出ている様だが何かおかしい、そう思いながら話を聞いているとステラがいつの間にかエルフイーターを掴むアシュタロンの右手を居合い一閃で斬り落とした。

激昂しながら狼狽えるアシュタロンにステラは、

 

「残念ながらアシュタロン様?貴方の正体は私全てお見通しですわ!まずは本性を暴いて差し上げます!」

 

と言い放ちおそらく鑑定系のスキルを使ったのかと思われるがアシュタロンの姿がみるみる変化して行き人狼になってしまった。

驚く私を尻目に更にステラが続ける。

 

「貴方が本当はモンスターだと言うことは分かっていましたの、加えて幻術の様な技を使う事も想定して来ましたので貴方の力は脅威になり得ないですわ!!」

 

それを聞いたアシュタロンのネームがボヤけて行く………そして私の視界にはmiragetheAstarothというネームに変わった人狼が写る。

人狼は、バレたか!と大声を出すと醜悪な顔で、

 

「まぁ……ここで全員殺してしまえば関係ないしな?…貴様ら!生きて帰れると思うなョォ!!」

 

と叫ぶとネームの横にHPゲージが4本現れる、そして右手の大爪をステラに叩きつける。

 

「ふんっ!大きいだけの人狼なんて相手になりませんわ!」

 

ステラは居合い斬りで大爪を相殺すると距離を取り”パチン”と刀を鞘に収める。

 

私もガンランスを装備してアシュタロンに向け突きを放つ、ステラに夢中で気がつかなかったのかアシュタロンの右肩に直撃してたじろぐ。

 

「貴様ぁーー!!よくも!!ヤりやがったなぁ!!」

 

激昂したアシュタロンは攻撃が単調になってきている、大振りの攻撃をいなしながら右肘の関節に追撃を加える。

 

私とステラの狩りのコンビネーションの1つでステラが敵の周りをクルクルと舞う様に斬りつけながらヘイトを稼ぎ、私が要所で大技を叩き込む。

このコンビネーションでフィールドボスの素材を荒稼ぎした事もあった。

本来は幻術を使われて苦戦するのだろうがステラの対策のおかげで全く幻術の様な攻撃が来ない。

 

「クソッ!!……クソッォ!!ゴミの分際でこの人狼族最強のオレを馬鹿にしやがってえぇ!!!」

 

最早HPゲージが1本でレッドゾーンに突入しているアシュタロンは私達に悪態を投げつけるが私もステラも容赦無く攻撃を叩き込む。

 

「ステラ!…スイッチ!」

 

【挿絵表示】

 

ステラが居合いのソードスキルを発動して最後の一撃をお見舞いすると、ついにアシュタロンのHPが無くなる。

 

大きな人狼は怨嗟の声を上げ、ポリゴン片になって消えていく。

 

「ステラがアイツ倒したー」

 

「リインもいるのー」

 

「アイツは居ないー」

 

「もう食べられないー」

 

「黄色はやくたたずー」

 

私達3人の周りをぴょんぴょんするエルフイーター達

 

「役立たずは酷いナ……君ら助けたのはオレっちの情報なんだゼ?」

 

「黄色は恩人ー?」

 

「黄色ー名前はー?」

 

「リインもいるのー?」

 

と騒ぎ出したので私は

 

「黄色の名前はアルゴと言うんだよ」

 

と名前を教えると、

 

「アルゴー」

 

「アルゴーありがとー」

 

「リインもいるのー?」

 

「お礼ーー」

 

髭の生えたエルフイーターがアイテムBOXを差し出してきたので受け取るとエルフイーター達の姿が消えて行く。

 

 

その後アルゴや私やステラが何度か検証の為このクエストをやろうと試みたが一度も遭遇することは出来なかった。

 

因みに報酬は各個人の得意武器と………ミートパイだった、ミートパイを見たアルゴと私は、

 

「食べづらいゼ(よ)!!!」

 

と声を揃えて言った。

ステラはΣ(・□・;?)と言う顔で固まっていた。




分かる人にはミートパイを見たアルゴとリインの反応が分かるはずです

分からなくても誰かに聞いちゃダメだ!!………悲しくなるからね。

ではまた次回

ー追記ー

いつの間にかお気に入りが100を超えた?


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第12話 死の恐怖…そして……

ジョニー・ブラック?……あぁあの悪い奴……

書いてて凶悪になった気がしますがこんな感じでしょうかね?

では本編をどうぞ。




これは私が店を開いた直後の出来事だ。

 

第??階層 還らずの森

 

濃い霧が立罩める森に私は居た、視界も悪ければ足場も悪いこんな所頼まれても2度と来ないぞと、思いながら目的のアイテムを探す。

 

「ふむ……確かこの辺りだと言っていたよね?どうやら霧のせいで感知系スキルが発動しないようなんだ、貴方の記憶だけが頼りだからね。」

 

一緒に来ているプレイヤーに頼まれて高位の解毒アイテムを作るためのクエストに参加したが何時もと違うフィールドに加えて目の前以外殆ど見えない霧が視覚情報にデバフでも掛けているのかスキルも殆ど使えずにいた。

だからなのだろう……このプレイヤーがあまりにも焦っていたのを友人が”毒”で死にそうになっているからだろうと思って疑わなかったのを……

 

「そろそろです……武器を出したままだとモンスターに襲われるので、1度しまって頂けますか?」

 

言われるがままに愛槍をアイテムストレージに格納して進むと霧が晴れてきた。

 

「やっと出口か?……早くしよう、こうしている間にも君の友人は苦しんでいるのだろう?」

 

と、声を掛けると横に居たプレイヤーが、

 

「………………ごめんなさい…こうするしかなかったんです……、本当にすいません!!」

 

と、急に謝り走って行った。

 

ここまで来て漸く何かがおかしい事に気づき引き返そうかとした所で霧が完全に晴れた。

 

「おお!良くやったな?本当に”銀の聖女”連れて来るとはな!」

 

「さすがヘッドの計画、抜かりがない!最っ高にクールだぜ!!」

 

其処には全員が黒いローブに身を包み同じギルドマークが表示されているプレイヤーの集団が居た。

 

集団から無数のナイフを投げつけられたので咄嗟に槍をオブジェクト化して撃退した。

 

「君達が犯罪者ギルドのラフィンコフィンか……私に何の用だ?」

 

周囲の警戒を怠らないようにしながら聞いていると、”感知している筈の”背後からプレイヤーが飛び出して来て私に投げナイフを刺した。

 

「くっ、…何故後ろから……?!麻痺か…?」

 

何故感知スキルが働かなかったのか疑問に思っているとラフィンコフィンの1人が、

 

「ハァーーーッ!ハァー!…よお!銀の聖女様!お前は今までどこに居た?……何処から此処に来たんだ?ん?」

 

たしかジョニー・ブラックと呼ばれていたプレイヤーが私の髪を掴んで顔を覗き込むようにして目線を合わせる。

私の落ち度だった…そうだ…確かに私が通って来た霧の中は感知無効エリアのようだったのだから……。

 

「おーい!もう出て来てもいいぞーー!」

 

ブラックが大声で呼ぶと霧の中から私に依頼を出して来たプレイヤーが恐る恐る出て来る。

 

「貴女には本当にすまない事をしたと思っている……おい!約束通り彼女を此処まで連れて来たんだ!俺の友達を返してくれ!」

 

私に謝ると彼はブラックに叫ぶ、話を聞くところどうやら人質を取られていたようだ。

 

「あぁ……そうだったな?約束通り”会わせて”やるよ……おい!連れて来い!」

 

ブラックが近くのギルメンに声をかけると別方向の霧の奥から首輪を付けられた女性が引きずられて来る。

 

「止めろ!彼女を放してくれ!約束は果たしただろう!!」

 

叫ぶ男を見たブラックはニヤリと笑うと、

 

「あぁ、確かに銀の聖女を誘き出したらお前の大事な大事な彼女に”会わせてやる”と言ったんだ、開放するとは一言も言ってねぇぜ!」

 

ブラックが言い切った直後周囲から嘲るような笑い声がこだまする。

 

あんまりだ、私を騙した事で罪悪感を感じていたのだろう男性プレイヤーは膝から崩れ落ちた。

 

そんな時、

 

「おっ?俺様いい事思いついた!お前とこの女でデュエルして勝った方を生かしてやる……拒否ったら2人とも殺してやるよ!」

 

蹲る女と後悔で涙する男が絶望的な顔で見つめ合う、その後ろで「さすがブラックさん!!最高にクールだ!!」とラフィンコフィンのメンバーが囃し立てる。

 

「ほら!早くやれよ!それとも2人ともじわじわと拷問しながら殺してやろうか?」

 

ブラックは掴んでいた私の髪を乱暴に離すと2人の髪を掴んで立たせて向き合わせた。

 

「全損決着モード…っとよーし!始めろ!手加減なんかしやがったらその場で両方殺してやるからな!」

 

ブラックは2人の手を勝手に操作してデュエルモードに移行させて離れる。

 

「おっと、静か過ぎて忘れてたわ。」

 

と言いながら私に追加の麻痺ナイフを突き刺し、また顔を強制的に正面に向けられる。

私は”くっ”と歯噛みしながら目の前の文字通り死闘を観戦させられる。

 

「本気で来るんだ!」「いくよ!!」

と多分恋人同士なのだろう男女が激しい剣戟を繰り返す。

 

何十合打ち合ったか、男が急に力を抜いてしまい女の子の剣が男の心臓部分を貫いてしまった。

 

男のHPゲージがイエローからレッドへ……そして

 

「……君は……生き……。」

 

ーパリーーーンー

 

ゲージが無くなると青っぽいポリゴン片になって消えてしまった。

 

何度か見た光景ではあるが未だに慣れない、コレで解放されるのか?と考えた私の目には驚くべき光景を見せられた。

 

「ハァーハァッハァーーー!いや〜面白かったぜ!まぁお前も寂しいだろ?オンナジトコロニオクッテヤルヨ。」

 

と言いながら生き残った女性の前まで私を引きずっていくと、私の目の前で女性の脳天を串刺しにして心底から楽しそうに笑っているブラックの姿が映った。

男性プレイヤーとのデュエルでイエローゾーンまで減っていた女性のHPはみるみる減っていく。

もはや抵抗する気力さえないのだろう…身動ぎひとつせず、声すら聞こえない。

 

ーパリーーーンー

 

数秒後には彼女もポリゴン片になって消えて行った。

 

「あ〜〜〜面白かった♪………さぁーてと♪次はメインイベントォォーーーーーウ!攻略組の”銀の聖女”様の公開処刑の始まりだーーー!!」

 

ブラックが大声を張り上げると私の周囲が異様な熱気に包まれる。

………マテ?コイツハイマナンテイッタ?……

 

「そうそう♪俺様お前のその絶望に染まった顔を見たかったんだよね〜〜♪命乞いでもしてみれば?満足できれば生かしてやってもいいぜ……ただし俺様達の欲望処理道具としてだがな?……ハァッハァッハァーーー!!」

 

麻痺で動かない私の手を勝手に操作して装備を一つずつ脱がしていく。

その行為の最中もナイフのようなものを少しずつ刺してHPゲージを減らしていく。

HPゲージがレッドゾーンに入ると死が現実味を帯びて来て身体が震えだす。

 

「おっ?ついに命乞いか?銀の聖女様が堕ちるか?ん?」

 

下卑た笑顔という表現が最適な顔でわたしを見下すブラックを見ると悔しさで涙が滲む

 

「オイオイ?早くしないと死んじまうぞ♪」

 

ブラックが私の身体をナイフの先でザクザクと刺してゲージがどんどん無くなっていき視界が紅く染まっていく……せっかく神様から貰った新しい人生はこんな奴に殺されて終わるのか、と考えていると前世も含めた記憶が蘇っていく…これが走馬灯か?と他人事のように眺めていると懐かしい最後の主人や将達ヴォルケンリッター……現世の父と母、妹達……クライン!!

 

「うおおおおおおおおぉぉぉーーー!!!!」

 

私のHPゲージが無くなる寸前で赤い鎧を着て刀を持った人物が濃い霧の中から飛び出してきて私に馬乗りになっていたブラックを吹き飛ばす。

 

その直後周囲からざわめきが聞こえ始めて紅く染まった私の視界には焦った顔の女の子が見える。

 

「ヒール!!」

 

女の子が叫ぶと私のHPゲージが全快まで回復して視界に色が戻り、ようやく目の前の女の子がアスナだと気がついた。

 

「リイン先生!!クラインさん!大丈夫!リイン先生無事だよ!」

 

アスナが目から涙をポロポロと零しながらクラインに呼び掛けるがクラインはブラックをはじめとしたラフィンコフィンのメンバーに追撃を仕掛けている。

 

その横にステラとキリト君の姿も見える。

そこまできてやっと私は助かったんだと気がついた。

 

殆ど下着姿の私にアスナがマントを掛けてくれていた、私は震える手でウィンドウを操作してなんとか最低限の服を装備してまたへたり込む。

 

いつ死んでもいいと思っていた…だから走馬灯を見た直後は残念だ…としか思わなかったが…クラインの顔が浮かんできた瞬間、死にたくないと強く願った。

 

ラフィンコフィンを殆ど追い払ったのか攻略組の仲間達がぞろぞろと霧から出てきて私の無事を喜ぶ。

 

「第1層のボスから命を救ってくれた恩返しがようやくできた気がするよ…本当に無事で良かった。」

 

とディアベルを筆頭に何人ものプレイヤーが私に声を掛けては転移していく。

 

残ったのは、

 

「リインさん!無事なのよね?生きてるよね?」

 

と少し混乱気味なアスナとそれを宥めるキリト

 

そして、

 

「じゃあリーダー!俺たちは先にホームに帰ってるからな!リインさん、クラインをよろしくな?」

 

そう言うと風林火山のメンバーはクラインを残してギルドホームに転移してしまった。

 

そして残った4人は顔を見合わせるとアスナがキリトの手を引いて、

 

「じゃあ私達も失礼します。……行くよ!キリト君!」

 

と言って頭を下げると転移結晶を取り出し転移してしまい、遂には私とクラインの2人だけになった。

 

「「……………」」

 

無言の空間が続く…

沈黙を破ったのはクラインの方だった。

 

「…………じゃあオレ達も帰ろうか?送ってくぜリインちゃん。」

 

腰が抜けてしまっているのか何度か立とうとするが全く効果がない……クラインが差し出してきた手をゆっくりと受け取ると、よっ!と引き起こされて抱き締められる。

クラインの背中側にハラスメントコードが表示されるが私はそっとウィンドウを操作して消すとクラインの身体を抱き締め返す。

 

「…すまないがどうやら腰が抜けてしまったようでまだ1人で歩けないんだけっ…ど……」

 

私の言葉を聞いていたクラインはしゃがみこむと私を背中に乗せて立ち上がった。

 

「ちょっと……クライン?」

 

私が焦って声をかけると、

 

「黙って背負われてろ……じゃ、行くぞ?」

 

と言いながら転移結晶を取りだす、私もストレージから取り出して同時に、

 

「「転移!ミーシェ!」」

 

そして霧深い森は再び静寂に包まれた。

 

 

 

「着いたぜ?………おーーいリインちゃん?寝ちまったのか?まぁいいか………」

 

すでにステラとアスナ、アルゴとクラインにはホームの解錠許可を登録してある為、返事をしない私を背中に背負ったままクラインはアトリエに入る。

 

ショップスペースからホームスペースに移動すると私のプライベートルームに入れないと思ったのかクラインが来た時によく使う来客用の部屋に入ってベッドに私をゆっくりと降ろす。

月明かりに照らされた部屋の中クラインは、

 

「じゃあ……また来るぜ……って、ん?!……」

 

と、声を掛けて静かに私から離れようとする。そんなクラインの袖を掴んで引き寄せる、そして重なる私とクラインの影

 

………その後のことは良く覚えていない。

私の記憶がハッキリとしたのは翌朝、私の横で無邪気な顔で眠る野武士ヅラの男の顔と鏡に映った一糸纏わぬ私の姿を見た時だった。

 




題名通り?なのかな?

まぁ必死に表現考えた結果ですので許してくださいm(_ _)m

まぁちょっとシリアス?な雰囲気出せたかなと思いつつアトリエ営業の話を続けようかと考えている今日この頃です。

ではまた次回。


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第13話 リインの日常(アトリエ編)*

前回若干ブラックが暴れすぎたので軽〜い感じので

アトリエsideですかね?

では本編をどうぞ。


最近錬金術をし過ぎてアイテムが溜まってしまった。

それと言うのもシリカが使役するフェザーリドラのピナの羽から転移結晶が作れる事か解ってから他にも結晶系のアイテムが作れないか?と実験を重ねていくうちに回復アイテムや使い捨ての簡易エンチャントアイテムが大量に出来てしまったのだ……

 

「どうしよう?……さすがにこんなに売れないだろうし……捨てるのも勿体無いよな………。」

 

私が考えていると店内の陳列作業をしてくれていたステラが近づき、

 

「店長?どうなさったのですか?珍しく難しい顔をなさって………まさか!最近クラインさんに会ってないので禁断症状が?!、大変ですわ!急いで連絡を!!」

 

私を心配して下から顔を覗き込むように話し掛けると何を勘違いしたのか大慌てでクラインにメッセージを送ろうとする。

 

「いや!待てステラ!違うんだ!頼むからちょっと待って…………」

 

ステラよりもっと慌てた私は必死にステラを止める………何故ならステラは知らないが、先月のラフコフの事件の後、私を心配したクラインは殆ど毎日夜に訪ねて来てはベッドを共にしている。

私が悩んでいると知ればどんな所からでも即座に駆け付けてくれるだろうが、今回は全く別の問題なのだから。

 

「あぁ…そういう事でしたの?……うーん……そうですわ!店長?SALEというものをやってみませんか?」

 

事情を話すと一緒に考えてくれていたステラが、閃いた!と、手を叩き「安売りをしませんか?」と言ってきた。

 

「フム…SALEか…だが周知する方法がね………」

 

私もいい考えだと思ったが肝心の安売りをやっているという情報をどうやってプレイヤーに知らせるか?という事を考える。

ステラも同じ事を考えているのか顎に手を当てて真剣な表情で考えていると、

 

ーカラーン…カラカランー

 

「ヤー、リーちゃん、スーちゃん開店まえに悪いナ、この前二依頼してたアイテムを受け取りにきた……ゼ?」

 

店の扉が開いてアルゴが入ってくると、ステラと私は同時に固まりアルゴをじーーっと見る。

視線を感じたアルゴが言葉に詰まっていると、

 

「………これだ(ですわ)!!!」

 

私とステラはアルゴを指差しながら同時に言った。

 

「成る程ナ…そうゆう事ならオレっちが一肌脱ごうじゃないカ!……よーシ!先ずエギルの店に行くかラそこでその情報を拡散しよウ、あの店は中層プレイヤーが多いから安くいいアイテムが手に入るならこぞって来るだろウ。」

 

アルゴは話を聞くとかなり乗り気のようで色々な方法で情報を広めてくれる事を約束してくれた。

 

全て話終わり、来週のアトリエ営業日は全て売り切り終いで大売り出しを行う事に決まった。

さすがアルゴ頼りになるな、と思いながら店を出ようとするアルゴを見送るため私は一緒に店を出ると振り返ったアルゴは、

 

「じゃあ情報の拡散はオレっちに任せナ!………それで……報酬は売り上げの10%ッテところかナ?」

 

と、笑顔で言った。

……さすがアルゴ……ブレないな、と思い直しながらその条件を承諾するとアルゴは嬉しそうに「よろしくナ〜〜♪」と言いながら去って行った。

 

次のアトリエ営業日

 

「ステラ?昨日アルゴが持って来たのぼり出した?」

 

「えぇ…しかしあの様な物一体どこで手に入れたのでしょうか?」

 

「そうか、ステラは鑑定を取ってなかったな?コレは”あの”アシュレイさんの作品みたいだよ。」

 

昨日の夜に急に現れたアルゴが、

 

「SALEと言えばコレが無いとナ!」

 

と、言って置いていった”大売り出し”と描かれたのぼり。

あんな物このSAOに囚われてから見たことが無かったが………まさかプレイヤーメイドして来るとは、しかもアシュレイ製……

取り敢えずステラに頼んで店の軒先に出してもらったが効果はあるのだろうか?

 

 

ーざわざわ…ザワザワー

 

【挿絵表示】

 

「?何だか外が騒がしいような気が……」

 

「そうですわね?まだ開店まで1時間程あるのですが……」

 

と、話しながら外を伺うとそこには………

 

「転移結晶とかも売ってるってホントかな?」

 

「……バフ効果あるアイテムあるってよ!」

 

「マジで?ヤベェ買っとかねぇと!」

 

「お弁当とかも売ってるって〜〜♪」

 

「友達に聞いたんだけど、甘いものも……ジュルリ………」

 

「ハルカ!涎!涎が……」etc

 

覗き穴から見えた人集りに私とステラは顔を見合わせて同じ事を思ったのだろう…表情が物語っていた。

”ヤバイ”と………。

 

 

「おねーさん!コレの在庫無いの?」

 

「ハイ!ただいま参ります!」

 

「すいませ〜ん!コレがもう一つ欲しいんですが〜〜。」

 

「ハイ!ただいま参ります!」

 

「このアクセサリーって色違いありますかー?」

 

「ハイ!ただいま参り…ます。」

 

「この短剣のバフ効果別の物ってあるんですか?」

 

「ハ…イ…ただ…いま…参り…ま……す。」

 

ステラは店の中を縦横無尽に駆け回っており段々と元気が無くなっていく…私も手伝いたいのだが…

 

「会計が2500コルです………ありがとうございました…………合計23000コルになります……ありがとうございます…………………………合計800000コルです……って?エギルさん?」

 

これだけ混むということは会計も混んでいるということで、殆ど最低限のやりとりをしている中やたらと買い込む人だな?と考えながら久しぶりに顔を上げると其処には攻略組の1人で雑貨屋を営むエギルさんが私が過去に作って売った追加アイテムストレージ機能の付いたバッグを持って立っていた。

 

「おう!繁盛してるじゃないか………って大丈夫か?目が死んでるぞ?」

 

心配してくれるエギルさんに、

 

「取り敢えず今日の販売分はもう少しだからなんとかするよ……でも明日からの販売方法は少し考えないといけないね、エギルさんもし良かったら後で相談に乗ってもらえないだろうか?」

 

と言うと、「イイぜ!じゃあ店の前で待ってるから声掛けてくれ。」と言って会計を済ませて出て行く。

そして目の前の光景は変わらない………

 

「すいません、合計14000コルです……ありがとうございます……………合計3690コルですね…………ありがとうございます………合計………」

 

その後も商品が棚から無くなるまでま私とステラは動き続けた。

 

やっと最後のお客さんが出て行くのと入れ違いにエギルさんが入って来て、

 

「………大丈夫か?…って駄目みたいだな。」

 

エギルが見たのは疲れ果てて床に座り込むステラとカウンターに俯せで顔だけ自分に向けるリインの姿だった。

 

 

「いやー…凄かったですね店長…私フロアボス倒しに行った方が楽だと思います…………」

 

アトリエスペースの反対側にあるカフェスペースでお茶を飲みながらステラが呟く。

 

「ははっ!そりゃあ攻略組の”銀の聖女”と”蒼の剣聖”がやってる店のSALEだしな、攻略組や中層プレイヤーは勿論この際だからと下層のプレイヤーも来ていたみたいだしな?多分次はもっと混むぞ?」

 

恐ろしい事を言うエギルにステラは、

 

「嫌ですわ〜〜……もうあんな人混みは御容赦願いますわ〜〜……」

 

と、言いながらスカートがヒラヒラするのも気にせず床を転がり駄々をこねる。

 

「ステラ…スカートの中エギルさんに見えてるぞ?エギルさんも気がついたら教えて上げてもらえないかかな……それともクラインみたいにデレデレとハナノシタヲノバシテイタノカナ?カナ?カナ?」

 

ステラとエギルさんに注意していると、先日ステラがリアルの知り合いとクエストに出た際クラインとデートしていたのだがその時クラインが噴水広場の前に座っている女性プレイヤーのスカートの中を見てデレデレとしていたので制裁を加えた事を思い出した。

 

「いや、違う!俺は見てないし後で注意しようとしたんだ!だから……」

 

必死に弁明するエギルさんが若干怪しいがまぁ許そう。

 

「マァ……イイよ、取り敢えず食べよう…エギルさんも食べるだろう?」

 

と、テーブルにスパゲティを置く。

 

「おっ?コレはまさか?」

 

エギルさんが懐かしい…と言いながら匂いを嗅ぐ

ステラはステラで、

 

「バジルの香り?でも色が赤いですわ?」

 

不思議そうに見ながらフォークを掴む

 

「ハイブラッドの葉とアークの木の樹液から出来たジェノベーゼパスタ擬きだ耐久値が低いから早く食べてしまおう。」

 

お腹が空いていた私達はただひたすら無言でパスタを啜る。

エギルさんも空気を読んで静かに食べていると、

 

「そういや今日はてんてこ舞いだったみたいだが何か次の対策は練ってるのか?」

 

と聞いて来たので、私は素直に、

 

「いや、今日はそんな事考えてる暇がなくてね?明後日の営業日どうしようかを相談しようかと思って呼び止めたんだ。」

 

と話す。

 

あまりに静かなので横を見るとステラが軽く寝息を立てて寝ている。

私は起こさないようにそっと席を立ち奥から毛布を持ってくると風邪をひかないようにステラに掛ける。

エギルさんを奥に招いてそちらで相談することにした。

 

「それで早速なんだが…入場制限とかはどうだ?どうせ店の外は広いし、このフィールドは比較的過ごしやすい気候だから長時間待ったとしてもそこまで酷い状態にはならないだろう………それよりあんな数売って在庫は大丈夫か?売り出し期間はあと3日はあるんだろ?」

 

提案と在庫の心配をしてくれるエギルさんに、

 

「在庫は大丈夫だよ……なんせ今日あれだけ売ってやっと1割くらい減ったからあと7倍は売れるよ………」

 

その言葉を聞いたエギルは唖然として固まる。

そしてその後、

 

「………一体どれぐらい作ったんだ?」

 

と聞いてきた。

 

「見ます?」と聞いてエギルさんは「いや、やめておこう……なんか怖い。」と言って立ち去った。

 

ちなみにステラは翌日の朝までぐっすり寝てしまい、自分のお腹が空いた音で目が醒めると顔を真っ赤にして声にならない声を上げていた。




飯テロ第2弾?ジェノベーゼパスタ

市販のソースでも良いけど自分で作っても美味しいですよ

ではまた次回


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第14話 大魔女の影

今回はアトリエの雰囲気少しだけありますがファンの方には物足りないかもしれません。

錬金術っぽく後書きにレシピ記載してみました。


 

1週間のアトリエの在庫処分SALEが終わり客足が落ち着いてきてステラも用事が有り不在な昼過ぎ、

 

ーカラーン…カラカランー

 

「リイン!いや……リインさん………いやいやリイン様!」

 

そろそろ閉めようかと考えてカウンターから立ち上がろうとした瞬間アトリエの扉を開けてリズベットが凄い勢いで入って来る。

 

「何だリズ?気味の悪い……何か頼み事かな?」

 

何時も”良い意味で”親しみ易い態度をしているリズから様付けで呼ばれる時は、何時も何か頼み事がある時なのでジト目で質問する。

 

「え?……エヘヘ〜、実はね?」

 

何でわかった?と言わんばかりに大袈裟に驚いたリズは徐に背中に隠した物を私に差し出して来る。

 

「……ん?コレは…本?……この本は一体なんなんだ、リズ?」

 

リズから差し出された物が本で、お願いの内容は本に関係しているのだろうと考えて詳しく話すように促す。

 

「実はね?………リインは知ってるから言っちゃうんだけど、あたしキリトに失恋したじゃない?アスナとキリトのラブラブぶりを見てたら「あぁ…駄目だ…勝てない」って思ったもん。……だけどね?一昨日さ?来たのよ!」

 

1人で興奮しているリズに何が来たの?と聞くとリズは嬉しそうに、

 

「アスナとかリインみたいな運命のヒト!……に決まってんでしょうが!」

 

私の横に来て肩をバシバシ叩きながらそんな事を宣う。

 

「………ハァ~……で?それとその本と何の関係があるんだ?」

 

埒があかないので溜息を吐きながらもう一度詳しく確認すると、リズはやっと話す気になったのか咳払いをしてから態勢を整える。

 

「オホン………実はですね?……昨日の夕方だったんだけど…」

 

 

ー昨日夕方 リズベット武具店ー

 

日も沈みかけた夕暮れ時、リズベットが炉の火を落とそうとした時、ふと来客を告げるベルが鳴った。

 

「何よ……こんな遅くに…しょうがない、応対するかぁ〜〜〜。」

 

もはややる気など無くなっていたところに、客の相手などめんどくさいと思いながら仕方なく肩を落とし接客をしに店内へと向かう。

 

「いらっしゃいませ〜⤵︎リズベット武具店にようこ…そ?」

 

ヤル気のない態度を隠しもせず来客者を迎えると、最近失恋したばかりのリズベットの心を揺さぶるような、どストライクな男が立っていた。

 

「こんな夜遅くにすいません、私は中層準攻略組の1人でナガトと言います。」

 

と、謝る男に、

 

「いえいえいえ!良いんですよ?私は武器を作るのが生き甲斐みたいなものですから!」

 

大袈裟に謙遜してみせる。

 

「………で、今日はどのような武器をお探しでしょうか?」

 

リズベットは動揺を悟られないように慎重に質問する。

 

「実はこんな物を手に入れましてね?クエストNPCが言うには生産系アイテムだそうなので攻略の手助けになるかと思ってお持ちしたのですが……」

 

ナガトと名乗ったプレイヤーが一冊の本を取り出して渡して来た。

 

 

ー現在 リインのアトリエー

 

「………それがこの本だと?」

 

リズベットから渡された本を見ると題名は”細工師の一生”と記されている。

 

「鍛治職人仲間にも色んな生産系ギルドに見せても駄目だったの……でも!リインなら何かわかると思って!」

 

期待の眼差しで私を見るリズを他所に私はこの本を見た瞬間に思った……”この本を見た事がある”……前世の記憶がほぼ完全に残っているから言える事だがこの本はアーランドに居た時にロロナの弟子のトトリが読んでいた本にソックリだったからだ。

 

「じゃあ、失礼して読ませてもらうよ?………………………!?」

 

ページを開くと明らかにこちらの世界の言葉では無い文字が羅列されているのだが私には読める………何故ならこの本の言語は全て古代ベルカのアーランドで使われていた公用語で書かれていたからだ。

 

速読で1分もせずに読み終わると、本が光を放ち消えてしまった。

 

「あーーーっ!!ナガトの本が!!」

 

眼を見開いて驚いているリズを尻目に私はウィンドウの調合リストを開く。

 

「………やはりか……魔女殿……もしや貴女もこの世界に居るのだろうか?」

 

予想通り、未だアイテム名も素材も不明だった項目の一部が解放されて調合リストに新しいアイテムが表示される。

リインは錬金術に始まり、古代ベルカの文字で書かれた本を目の当たりにした時に1人の年齢不詳の大魔女を思い浮かべたが、まさかな?と自分の考えを頭を振り吹き飛ばした。

吹き飛ばして思考を止めたリインが現実に戻ると、リズベットが床に手をついて「はは、ははは…」と乾いた笑いを繰り返している姿があった。

 

「なあリズ?おかげで新しいインゴットが作れそうなんだが…どぅっ「インゴット!!新しいインゴットって言った!!作るわよ!!早く!速く!疾くゥーーーー!!」……」

 

ナガトの為にぃ〜〜!!と気合いを入れて拳を握りしめたリズは私をアトリエの錬金術部屋に押し込むと眼を血走らせて鼻息も荒くして、

 

「で?どんなインゴット?bonusは?どんな武器作れるの?」

 

まくし立てるように早口なリズに若干引きながら、

 

「いや、まだ分からないが作ってみるよ、だから少し落ち着いてくれ。」

 

と言うと、リズは”フン!”と言いながら椅子に座った。

 

穴が空くんじゃ無いか?と思える程の直視を受けながら私は調合リストに載っている材料を用意する。

 

「鉱石は……この間倒したゴーレムの核がいいな、……陽晶石は……あった、燃料か……確かロロナは………うーん……シエルの木でいいかな?」

 

用意した材料を錬金釜に順番通りに入れて混ぜていく………ぐるぐるぐ、ぐるぐる………。

 

20分程経っただろうか、そろそろか?と手を止めると成功を祝福する様な青いエフェクトが出てくる。

 

「わぁ〜〜すごい…綺麗……。」

 

寝ていたリズはエフェクトの光で起きたのだろう、錬金釜から出てきた銀色のインゴットを見て感嘆の息を漏らす。

 

「コレは”シルヴァタイト”、銀系上位金属のインゴットで、今回のbonusは自然回復5%上昇と防御力28%上昇だ、かなり有効なインゴットだと思うよ?」

 

と言いながら出来たてのシルヴァタイトをリズに手渡す。

 

「え?貰っていいの?せっかく作ったのに?」

 

せっかく作ったのにくれるの?と聞くリズに私は、笑顔で、どうぞ?と渡すとリズは満面の笑みで受け取り、ナガトに連絡しなきゃ!!と言いながら走って行った。

 

 

 

それにしても………錬金術…アーランド語…参考書の本……偶然なのか?




今回の錬成アイテム

アイテム名
シルヴァタイト

品質
89

種類
インゴット

効果
*自然回復5%上昇
*防御力28%上昇

素材アイテム
シルバーゴーレムの核(鉱石類)

陽晶石

シエルの木(燃料)
*の効果は素材アイテムが要因

となっております。

ではまた次回。


ー追記ー
システム外スキルについて御指摘があった為表記を削除しました。


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第15話 影から生み出されたもの

何で茅場にバンされないの?的なご意見があったのでオリジナル設定前倒しで書きましたので短いです。

この後もちょくちょく修正入れますので更新は少し遅くなりそうですが、続けていきますのでよろしくお願いします。

では本編です。


 

 

ーリインのアトリエ 錬金部屋ー

 

「……っと、ちょっとやり過ぎたかな?」

 

リインは錬金釜をかき混ぜ過ぎたか?と思い急いで手を止める、錬金釜を見ると成功のエフェクトが出た為、”ホッ”としてアイテムを取り出す。

 

「…うーーん!今日は店を閉めてレベリングでもしに行こうかな?」

 

片付け始めて少ししてから伸びをすると、久し振りにダンジョンでレベル上げをしに行こうか考える。

 

一応攻略組に属するリインは、時折店を休業して攻略組に置いていかれないようにレベルを上げていたのだ、普段は暇な時や事前に予告をした時だけだったのだが今日は出来たアイテムの効果を試したかったので、フィールドかダンジョンに行こうかと考えた。

 

「ステラ?今日は店を休みにしてにレベリングに行くがステラは如何する?」

 

同じ部屋で片付けを手伝っていたステラに一緒に行くか?と声を掛けると、

 

「一緒に行きます!この間、刀のエクストラスキルで”居合い”というものを手に入れましたの!熟練度上げですわ!」

 

現実でも居合いの免許をもらっているから嬉しいですわ!と言ってはしゃぐステラは刀をオブジェクト化して構えを取る。

 

「では手早く片付けて行くとしようか?」

 

はしゃぐステラを宥めると、了解ですわ!と、元気に返事を返し、一緒に片付けを再開する。

 

「…そう言えばどちらへ行くんですの?」

 

「リズの依頼でインゴットが大量に必要でね?第28層の狼ヶ原に鉱石を調達に行こうかな?」

 

岩石が乱立するフィールドだが鉱石も結構取れるし最前線からも離れていない為、ちょうど良いだろう?と提案すると、

 

「速い相手のほうが良い練習になります!」と言ってステラは拳を握りしめ気合を入れていた。

 

「ところで店長、さっき作ってたアイテムってどんなアイテムですの?」

 

気合いの入った状態から思い出したように何を作ったのか質問してくるステラに

 

「メルクリウスの瞳っていうアクセサリーだよ、……えぇと、コレだね。」

 

と、言って渡すと

 

「?メガネ?ですの?」

 

と、微妙な反応が返ってきた。

 

……………その後、メルクリウスの瞳を試したステラはその高い効果に魅了され、ボス戦や未知のクエストなどで頻繁に使用する事になる。

 

「メガネ…………くっ!しかしこの効果は………」

 

メガネが嫌いなのかステラはメルクリウスの瞳を掛けるたびになにかと闘っていた。

 

ーその頃、血盟騎士団本部 ヒースクリフ私室ー

 

メッセージに新着情報が来るとヒースクリフは周りを見て誰もいない事を確認すると特殊なコンソールを開く。

 

「ん?………………また”錬金術”か………全く、アストリード女史も厄介なものを……まぁ、そこまで逸脱したアイテムなどが少ないのが幸いか……むっ?この効果はいただけないな、数値を15%から5%へ下方修整して…っと。」

 

リインが錬金術スキルを使用するたび出来るアイテムが表示されるウィンドウを確認して効果を修正する作業は手慣れたもので、アイテムが完成する前の僅かな間でゲームバランスを壊さない程度に調整を行うヒースクリフ

 

「ふむ、………いっそ転移システムごと削除すべきか?…………いや、今更だな………もし女史がトラップを仕込んでいたら私の身が危ういかもしれんしな……」

 

転移システムと錬金術スキルはヒースクリフにも解らない高度な技術で作られており、錬金術スキルそのものを消そうとすると転移システムにまで影響が出てしまい最悪の場合そこでゲームが強制終了してしまう可能性も捨て切れない、そこでヒースクリフは仕方なく錬金術スキルを放置していた。

しかも厄介な事に錬金術スキルそのものにどうやってもアクセス出来ずどんなアイテムが有るのかGMのヒースクリフにも全貌が掴めず、新しいアイテムが出来るたびにウィンドウでパラメータを操作するしか無かった。

 

「本当に厄介だな……リイン君には私も勝てそうにないしな……いっその事バラしてしまうか?……いやいや、制裁を受ける光景しか思い浮かばん………本当に何故この時代に生まれたのだろう?戦国時代だったら確実に歴史に名が残るレベルじゃないか………正にあの親にしてこの子あり、だな。」

 

そう呟くヒースクリフの手元には現実世界のリインフォースの記事が集められており、【超人?神様?天使の生まれ変わり?】と、でかでかと書かれた新聞記事が表示されていた。

 

 

 

 

 




元々考えていたアストリッド様万能説

リインフォースが本気を出したら、システムコンソールからゲーム改竄されそうなのでリインはシステムコンソールの周囲100mまでしか近寄れないという設定
を作ってたので今回を機に公開してみました。


今回の錬金アイテム

アイテム名
メルクリウスの瞳

品質
79

種類
アクセサリー

効果
命中率上昇:極小(品質により変化)
クリティカル率上昇:極小(品質により変化)

素材
ノーブルクリスタルのカケラ

シルヴァタイト

泉の主の涙


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第16話 Whitetwin’sその1

書く時間があまり取れなかったため短く切って投稿します。

その2は半分くらい完成してますので時間ができれば………

では本編をどうぞ


 

 

ー第48層 リンダース:主街区外れの森ー

 

「ふむ……確かにおかしい、リズ?このエリアには大型MOBはポップしないんだったな?」

 

食い荒らされたようなモンスターの残骸が消滅せずに残っている光景を目の当たりにした私は横に居るリズに確認を取る。

 

「そうね〜〜……私が知る限り大型は居ないし…だいたいねー、この場所は主街区から5分と離れてないし…そんな場所で危険なモンスターが頻繁に出現してたら命がいくつあっても足りないわよ!」

 

「そんなトコにプレイヤーホーム買わないわよ!」とぷりぷり怒りながら返事をするリズ

 

確かにおかしいのだ……モンスター同士の戦闘でも死んでしまえば例外無くポリゴン片になって消えてしまうこの世界で損壊した死体がimmortalobject化するのは不可解であるのだから………しかしこの光景どこかで見たことがある様な………。

 

ーガサガサ……ー

 

考え込んで居ると、少し離れた草むらから音がして私とリズは警戒を強めて武器を構えた。

 

「……と、あそこでマイルちゃんがトドメを刺せてればなーー。」

 

「しょうがないだろう!だって……目の前に……クモが……」

 

警戒する私とリズの前に現れたのは白を基調とした装備に身を包む2人の少女だった。

少女達は喧嘩しているようで言い合いに夢中で此方には気づいていないようだった。

 

「何でモンスターは狩れるのに〜〜クモごときに……ん!誰!?」

 

瓜二つな少女達の左側の髪をサイドテールにした方が私達に気づいて短剣を構えると、

 

「!?敵か!」

 

もう1人の右サイドテールの娘もほぼ同時に大剣を構えた。

 

私とリズは少女達の切り替えの早さに驚いていたが、

 

「私達に敵意は無い!この辺りで起きている異変がクエストなのかそれとも異常なのか調べに来ただけだ!」

 

と、私が言うと少女達は警戒しながらも武器を下ろしたので私とリズも武器を下ろす。

武器をアイテムストレージにしまうと相手も安心したのか武器を仕舞ってくれた。

 

「わたしはメイルって言います♪それで〜〜、貴女達は何でこんなトコに居るのかな〜?………確かアルルんに頼んで他のプレイヤーは近づかないように警告出してもらったはずだけど?」

 

メイルと名乗った右サイドテール少女はヘラヘラと胡散臭い笑顔を一転させ、眼を細めながら此方を疑うような視線で質問してくる。

 

「アルルん?それはもしかしてアルゴのことかい?私はアルゴに依頼されて来たんだ、因みにこっちの娘はこの層で武具店をやっているリズベットだ、よろしく。」

 

私がアルゴの紹介だとわかると、もう1人の左サイドテールの少女が前に出て、

 

「アルゴ殿の紹介だったか!それは飛んだ失礼を……私はマイルと言います、以後お見知り置きを。」

 

軍式の敬礼と丁寧な挨拶でリズは面喰らったようだった。

 

「それよりアンタ達何でこんな事になってるか知ってるの?リンダースじゃラフコフが出たとかスロータークエストの前触れだとか言ってるんだけど?」

 

リズベットは事情を知っていそうな2人に今何が起きているのか問い詰める。

 

その時、

 

ー………クエエエエェェーーー…ー

 

私達4人の居る林の奥から何か大型生物の様な鳴き声が微かに聞こえた。

するとメイルとマイルと名乗った少女達は即座に反応して武器を構えて林の奥に走って行った。

 

「何なのよ!さっきからそんなに驚かせて楽しいの!!」

 

リズには先程の鳴き声が聞こえていなかった様で2人に文句を言っている。

 

「いや、リズ?さっき何かの鳴き声が聞こえたから2人はそれを倒しに言ったに違いない…アルゴが言うにはかなり強力なモンスターらしいからリズは急いでリンダースに戻るんだ、私が戻るまで決して街の外に出てはいけないよ?いいね?」

 

私が真剣な顔をして言い含めると懐かしいおもちゃの様に首を縦に振り「気をつけるのよ?」と言って走って行った。

 

………では、私はアルゴの依頼を完遂するとしますか………

 

心の中でそう呟くと愛槍を手にした私は2人を追って林の奥に向かった。




オーディナルスケールもう一回観に行こう!!

と友人に誘われましたが行けるか?時間的にギリギリなんですが………



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第17話 Whitetwin’sその2*

お久しぶりですが第17話です。

短いですが書き溜めた物が無くなったのと内容改定しながらなのでだいぶ遅くなっていますが続けて行くのでこれからもよろしくお願いします。

では本編です。


 

 

ードゴーーン!!ー

 

2人を追って林の奥に走っていると大きな武器を叩きつけた様な音がする。

 

急いで走っていると視界が開けてきて其処には……

 

ーグエエエエエエェェーーー!!ー

 

其処まで大きくはないが翼竜がいた。

先程の2人はもう交戦を開始しており短剣を持ったメイルが避けながら斬撃を打ち込んでヘイトを稼ぎ、大剣を持ったマイルが隙をみては一撃を打ち込んでいた。

 

「すごい連携だな……まるで将とヴィータのようだ……………ん?そういえばあの竜は何処かで…………まぁいいか、取り敢えず邪魔にならないように参戦するか。」

 

あまりに見事な連携に少し見惚れていたようだ、気を取り直すと槍を構えて近づいて行く。

 

「む?…先程の方か!アルゴ殿の紹介ならば大丈夫だろうが気をつけられよ!此奴強いぞ!」

 

気配でも感じ取ったのかマイルは視線を翼竜から逸らさず私に背を向けたまま声を掛ける。

 

「了解した!では、行かせてもらう!!」

 

2人が離れたのを確認するとソードスキルを発動させる為のモーションをとる。

 

「ハァーーーーーーッ!!」

 

槍に光が集まりソードスキル”フェイタル・スラストが発動すると一気に距離を詰めて翼竜に槍が突き刺さる。

すると、槍が突き刺さった場所から何かが剥がれ落ちた。

翼竜は驚いたのかこちらを警戒するように飛び上がると少し高い丘に登ってジッとこちらを見ている。

 

「………まさかの一撃……私達は苦労してやっと剥がした装甲をたったの一撃………」

 

「ムム……あのソードスキルはなんだ?動きはフェイタル・スラストに似ていたが威力が違いすぎる……奥義か?……」

 

メイルとマイルが私の放ったソードスキルに驚愕しているのを尻目に翼竜への注意は継続させたまま剥がれ落ちた物を確認してみる。

 

「……ん?……この材質はまさか!」

 

剥がれ落ちた物を鑑定してみると”魔導兵器の装甲”というアイテム名で表示された…瞬間的に古い記憶が蘇り、目の前のモンスターの事を思い出す。

 

「コレは魔女殿と初めて会った時の魔導兵器じゃないか?…………やはり魔女殿が何処かで関わっているのか?……しかしいくらあの人でも此処まで死者が出るのを見過ごすか?……………やりそうだな………。」

 

初めて会った時は敵として出会いこの魔女殿作の翼竜を二体嗾けられ戦ったのだ。

不意に浮かんだ魔女殿の顔が愉悦により歪む光景を幻想し妙に納得してしまう。

 

「其処の方!なんとお呼びすればよいか!」

 

私の横に来て大剣を構えるマイル

 

「いやーー、メイルちゃんビックリだよ〜〜、でお姉さんお名前は?」

 

白いマントを羽織ったメイルが短剣を構えながら反対側の横に立つ

 

「私はリイン、しがない料理屋兼道具屋の店主だよ。取り敢えず話はコレを倒してからにしようか?」

 

自己紹介をすると私も槍を構え直して翼竜に対峙する。

 

「いやいや!しがない店主はあんな強力な攻撃できないよ?!」

 

メイルが「ありえないでしょ?!」と言いながらこちらを見ており、その横で

 

「しがない店主でこの威力………やはりまだまだ修行不足ということか………」

 

と、力不足を痛感するマイルが居た。

 

ーグエエエエエーーッー

 

【挿絵表示】

 

俺を忘れるな!と、ばかりに大きな声で吼える翼竜に哀愁を感じた。

 




規格外の戦闘能力により初期のソードスキルで攻略組もビックリの威力を発揮させるリインさん

あまりに強力な為、マイルが奥義と勘違いする事案が発生。


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第18話 Whitetwin’sその3*

てんでアトリエ要素がない状態の話ですが……

今後はもっとアトリエ感が出せる様にしていこうかな?

では本編です。


ーキン…キキン……ガキンッ………ー

 

「ふむ…やはり動きもベルカ時代とほぼ同じか……魔女殿は何処へ行ったというのだ?もしこの光景を観ているなら手出しをして来そうな気がするのだが……勿論妨害の方で……」

 

攻撃を槍で受け流しながら、魔導兵器の背後に視える友人でもある愉快犯でデタラメな魔女の事を考えていると横から「スイッチ!」と言われ交代したメイルが短剣を翼竜の眼に突き立てた。

 

「お姉さん、リインさんだっけ?こいつの動きが分かるみたいだけど考え事しながらだと危ないよ〜〜?」

 

眼に相当するレンズを叩き割られた翼竜から目を逸らさずにメイルは私に注意する。

完全にヘイトが私達2人に向いた時、翼竜の背後からマイルが大剣を上段に構えてソードスキル”アバランシュ”を発動させて打ち込む。

 

ソードスキルを受けた翼竜は右手側の翼が砕けて大きな悲鳴のようにも聞こえる咆哮を上げながら私達3人を睨みつけてくる。

すると、その時

 

ーバサァッ…バサバサバサァ……ー

 

翼竜の背後の森から轟音が響き、目の前の翼竜よりも一回り大きい翼竜がリンダース方面へと飛び上がって行った。

 

「2匹目!?聞いてないよ!そんな……こいつだってこんなに強いのに……」

 

メイルが眼を見開いて驚いている。

 

「………………すまないがちょっといいかい?こいつは手負いだが飛んで行った方はまだ完全な状態だ……私が飛んで行った方を足止めしているからこいつを倒したら君達が合流するっていうのが効率的な気がするのだが……勿論こいつを3人で倒してからでも間に合うかもしれない……だが、その場合死者が出る可能性が高まる。」

 

私がそう提案するとメイルの顔に一瞬迷いが生まれる。

 

「行け!リイン殿!私には判る!貴女なら飛び去ったアレを止められる!行ってくれ!」

 

メイルを横目に見たマイルが私に叫ぶ、それを聞いたメイルは溜息を吐くと

 

「マイルちゃんがそう言ったらテコでも動かないもんね?………良いよ!お姉さんは行っちゃって!さっきの見る限り大丈夫だと思うけど気をつけてね!」

 

吹っ切れたようにメイルは私に”行っていいよ”という意思表示をした

 

「すまない……終わったらすぐ助けに来るから!」

 

それを聞いた私はリンダースに向けて全力で走り出した。

 

 

「………行っちゃったね?如何するのマイルちゃん?あのお姉さんもう戻ってこないかもよ?」

 

不安そうにメイルがマイルに問い掛けると

 

「いや、リイン殿は必ず戻って来る!私達2人に出来るのはこいつを出来る限り早く倒す事だ!」

 

 

と、叫んでリインというプレイヤーを追いかけようとする翼竜に大剣の一撃を打ち込む。

 

「なんでそんなに信じられるのさ!……もしかしたら怖気づいて逃げちゃったかもしれないじゃな……い!!」

 

ヘイトが向いたマイルへの鉤爪をメイルは手にした短剣で弾きながら文句を言っているとマイルは誇らしげに胸を張って

 

「メイルはあの人の眼を見てはいないだろう?あんなに澄んだ瞳は見たことが無い!きっとあの人は聖人君子の類だ!……メイル!!危ない!………ガハッ……」

 

言い切ると、メイルに迫った翼竜の一撃を防ぐ為大剣を盾にして嘴の一撃を受けるがあまりにも強い力に吹っ飛ばされ崖に叩きつけられて倒れた。

 

「マイル!!」

 

吹っ飛ばされたマイルを見るとHPゲージがイエローまで減り止まる。

その事にホッとした瞬間、翼竜がマイルに向けて走り出す。

 

【挿絵表示】

 

「速い!?…………クッ…………ーガキンッー…マイル!!逃げて!」

 

メイルは翼竜に追いつくと短剣を前に突き出し奇跡的に攻撃を防ぐ事に成功するが、メイルの必死の呼び掛けも虚しく気絶状態でピクリとも動かないマイル

 

「グググ……マイ…ル……くっぅぅぅ…………。」

 

必死に双子の妹に迫る凶刃を遠ざけようとするメイルだったが翼竜のパワーが徐々に上昇しているようで次第に推されてくる。

少しづつ嘴や爪が中りマイルのHPゲージがイエローからレッドに差し掛かったその時、

 

ーピロリン♪ー

 

場違いな音がしてウィンドウが勝手に開いたと思い確認すると二刀流という文字が表示されている。

 

何故かスローモーションの様に感じる中、迷わず二刀流を習得し左手にソードブレイカーをオブジェクト化して装備した次の瞬間

 

ーザシュッザザザザシュッー

 

【挿絵表示】

 

今にも2人を切り裂こうとしていた翼竜の鉤爪と嘴を斬り裂き残心を取るメイル

斬られた翼竜は固まったかと思うとポリゴン片になって消えていった。

 

「やったの?………もういっぽもうごけないよ……………。」

 

そう呟く様に言うとパタリと倒れた。

 

 

 

 

ーリンダース リズベット武具店ー

 

ー……カーン…カン、カン、カーン……カーン…ー

 

「ん?………生きてる?………マイル!っ痛っ!」

 

武器を鍛える為の鉱石を打つ音が響く中、ベッドに寝かされていたメイルが目を覚まし起き上がろうとすると何かにぶつかり再びベッドに横になる。

 

「!痛っいわね〜〜、まぁそれだけ元気ならもう大丈夫よね?…………一応言っとくわ……ありがとう。」

 

ぶつかったのはリズベットで頭を手でさすりながら心配と感謝を言って「ちょっと待ってて。」と言い、退出して行った。

 

「あの娘は確かリインさんと一緒に居た………ハッ!マイルは?!」

 

ぼーっとしているとマイルが如何なったのか聞いていないことを思い出して起き上がる。

 

ーガチャー

 

リズベットが出て行ったドアから自分によく似た少女が入ってきた。

 

「大丈夫かメイル?……っと!」

 

入ってきた人物がマイルだと分かるとメイルはベッドから飛び上がって抱き着く

 

「…………うん大丈夫そうだね?驚いたよ、2人とも倒れていて翼竜は居ないから如何したのかと思ったよ。」

 

マイルを抱き締めているとマイルの背後から澄んだ声が聴こえる。

顔をそちらに向けるともう1匹の翼竜を追って行ったリインだと名乗ったプレイヤーとアルゴが苦笑しながら立っていた。

 

「いや〜〜、メーちゃんのそんな姿が拝めるとはナ〜〜いやいやお見舞いに来た甲斐があったってもんだナ?」

 

苦笑から完全にネタにする気まんまんのイイ笑顔に切り替わったアルゴが何やらメモを取りながら話し掛けてくる。

 

「わ、私をネタにするつもり?アルルんと私の仲じゃない?ね?ね?」

 

懇願するメイルにアルゴは「いくらで買う?」などと言いながら戯れている。

 

 

ーその後 35層ミーシェ リインのアトリエー

 

「ステラ殿、此方は3番テーブルで宜しいですか?」

 

「マイルさんそちらは4番テーブルになりますわ……メイルさん8番テーブルの片付けは終わりましたか?」

 

「モチのロンだよ〜〜ついでにKOB団長様から追加オーダーももらって来たよ〜〜、店長〜〜今日のランチプレート1つ追加で〜〜す♪」

 

アトリエのカフェスペースでステラと新しい2人の従業員が連携を取り合って注文や配膳を行なっている。

 

【挿絵表示】

 

「了解メイル、しかしヒースクリフは暇なのか?殆ど毎日食べに来ているじゃないか……」

 

私はメイルの受けて来た注文の品を作りながらヒースクリフの方へ目を向けると此方に片手を上げて微笑んでいるのが見える。

 

「まぁ……攻略自体は進んでいるんだし良いか?」

 

と呟きながら料理を作っていると久しぶりに店の中で迷惑な客が騒ぎを起こし始めた。

 

「俺は攻略組の1人だぞ〜〜!!そんな俺からコルを取ろうってえのか?!あぁん!!」

 

慣れてないお客様が慌てているが、常連のお客様方は懐かしいものを見る様な目で男を眺めている。

常連のお客様はこの後に起きる光景に期待しているのか皆ジッと私を見てくる。

 

「……ハァーーー……仕方ない…期待されている様だしね………。」

 

トボトボと騒ぎを起こした男の元へ向かおうとするとマイルが私を手で制して止めるとツカツカと歩いて行く。

 

「……たくよー!そんなサービスも出来ないんなら攻略辞めちまおうかなーー…あっ!そうだここの店員は美人揃いって聞いたから倫理コード解除してサービスしてくれれば……ん?何だねえちゃん?サービスしてくれる気になったのか?」

 

俯いたままのマイルが望むサービスを提供しに来たのかと思ったのだろう…男は下卑た笑顔を浮かべながらマイルの頭から足下までを舐める様に見る。

 

ーガシッー

 

「貴様……攻略組…と言ったか?生憎と私もこの店の従業員も皆攻略組だが貴様の様な輩は見たことがないのだが?」

 

俯いたままだったマイルが男の頭を鷲掴みにすると絞り出す様に呟く。

 

「まっ!待て!知らないかもしれねぇが俺はあの”黒の剣士”をデュエルで倒した男だぞ?こんな手荒に扱いやがったら本気で潰しに掛かってやるぞ!」

 

とっさの出来事に慌てた男は自分の実力は黒の剣士を倒せるレベルだ!と宣う。

 

「………ほぅ?……だそうだ、”黒の剣士”殿?心当たりはおありかな?」

 

マイルが男の頭を自分の背後が見える様に掲げると、男の目に困った様な顔をして真っ黒な装備に身を包んだ剣士が視界に映る。

 

「えっと……俺アンタとデュエルした事あったっけ?………大体俺デュエルで負けた事まだ無いんだけど?」

 

頬を指で掻き周囲の視線に居心地悪そうにしながら質問するキリト

それを見た常連以外の客も安心したのか落ち着きを取り戻して経過を観察している。

 

「……あ…あぁ……」

 

男が呆然とする中メイルがマイルの背後から顔だけ出していい笑顔で

 

「因みに〜〜♪奥の席に座ってるのがKOB団長様で〜〜♪うちの店長は”銀の聖女”で〜〜♪今この店の中には攻略組のプレイヤーが8人いるんですよぉ〜♪しかもトップクラスばっかり!そんでそんで!私とマイルちゃんも攻略組の1人だぞ〜〜♪」

 

と追い討ちをかける。

その後ろには拳を握る大男やレイピアを鞘から抜き放つ美少女、赤い装備主体の集団が憤怒の表情で立って居た。

 

その後、男は黒鉄宮に送られた。

捕まってから牢屋に入るまでに男が語ったのは

 

「……もう2度と悪い事はしません……」

 

という言葉だけだったという。




アトリエがあまりに人気の為従業員も増えました。

攻略組の4人が働き、客も攻略組多数のこの店に防犯対策は必要なのか?

次回は日常生活編を書きたいと思ってますのでよろしくお願いします。

ではまた次回。


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第19話 決戦のグリームアイズ

戦闘描写難しい、そして短いですがアトリエ最新話です。


 

 

キン…キン!……ザシュッ!!

 

迷宮区の1区画でギルド”風林火山”のメンバーと銀髪の女性がマッピングをしながらモンスターを切り捨てていく。

 

「……ふむ、みんな!そろそろ休憩にしようか?安全な場所まで戻って弁当を食べよう。」

 

銀髪の女性リインが赤い鎧の集団にそう提案すると男達は笑顔で同意して皆武器をしまい、来た道をもどって行く。

 

「それにしても姐さんの槍捌きはいつ見ても凄いですね!もしかしてリアルでも武術とかやってるんですか?」

 

安全な場所で私の作った弁当を食べ終わり座って談笑しているとあるメンバーがこう聞いてきた。

 

「馬〜鹿、リアルの事は詮索御法度だろ?だいたい俺、姐さんなら何が出来ても不思議に思えないんだよなぁ。」

 

「あぁ、俺も分かる”姐さんだから”、で納得出来る気がする。」

 

それを聞いていたクラインは、

 

「あったりまえだろう!リインちゃんだぞ銀の聖女でアインクラッド唯一の錬金術師だぞ!」

 

とまだ食べ途中のご飯粒を飛ばしながら興奮気味に喋る。

 

「クライン、行儀が悪いよ。」

 

其れを見かねた私がクラインを注意すると、クラインは申し訳無さそうに「すいません。」と謝って食べる事を再開した。

 

「それにしても良かったんですかい?今日はアトリエの営業日だった筈ですが…俺らとしちゃ助かるし嬉しいんですが、アトリエ休みでアイテムが買えないと後で恨み言言われそうなんすよね。」

 

アトリエを休んで良かったのか?という質問をしてきたので、

 

「最近はステラだけじゃなくてメイルとマイルも居るし、あの3人なら安心して任せられる………メイルがマイルとステラをからかい過ぎないか心配な位かな?。」

 

安心して任せられる、と言った直後の脳内に小悪魔的な笑みをしたメイルが浮かび上がり少し訂正すると、その場に居た全員が同時に納得した。

 

そんな会話を続けて居ると私達がマッピングしていた方とは別側の区画から見慣れた黒尽くめと美少女が現れた。

 

「だからね?キリト君は突っ込み過ぎるんだよ…ってリイン先生?」

 

美少女ことアスナは、こちらに気がつくとキョトンとした顔で驚いている。

 

「やあアスナ、アスナとキリト君も休憩かい?良かったら一緒に休んで行かないか?」

 

キリト君とアスナは同意すると私達の横に座りアスナの作った(昨日一緒に作った)お弁当を食べ始めた。

 

「そう言えばアスナ達はそっち側の迷宮区を探索して来たんだろう?良かったら私達のマッピングデータと合わせないか?今までのデータと合わせると私達の方が外れだったからボス部屋はそっちの方だったと思うのだけど。」

 

食後のデザートを出してお茶にしている時、ふと気になった事を聞くと、2人は微妙な顔をして居たので、どうしたのか聞くとボスを見てきたと言う。

 

そんな無茶をした2人にお説教をしているとガチャガチャと騒々しい音を立てながら集団が安全なエリアに入ってきた。

 

「…ん?貴様ら何処かで?……攻略組の面々か、このような所でティータイムとはいいご身分だな。」

 

先頭で入ってきた鎧姿の男が威圧的に言い放つとクラインが立ち上がり、

 

「テメェ喧嘩売ってんのか、やるならやってやるぞ?」

 

あ?と、言いながら挑発すると鎧姿男がコーバッツと名乗りマッピングデータを寄こせと言ってくる。

特に断る理由もないので渡してやると風林火山のメンバーから不満が出るがなんとかとりなす。

 

「あなた達は先に進む様だが、疲れていないのか?後ろの方は肩で息をしている様だが?」

 

明らかに疲れが見えている兵士達を見て声を掛けるもコーバッツは「軟弱な!」と言うばかりで取り合わない。

 

「……仕方ない、えぇと…あった、ヒール!」

 

あまりにも可哀想に見えたので作っておいた広範囲回復結晶を使うと武器で杖をついていた男達がスクッと立ち上がる。

 

「……銀の聖女か……回復とマッピングデータ感謝する、しかし我等はこの先に進まねば行かん!行くぞ貴様ら!」

 

兵士達の何人かがこちらに礼を言って、来た時と同じ様にガチャガチャと音を立てて行進していく。

 

「…大丈夫かしらあの人達…まさかあの状態でボス部屋に挑んだりしないわよね?」

 

アスナが心配そうに呟くと、

 

「駄目だったら転移結晶で転移するだろ?そんなに心配なら行くだけ行ってみるか?」

 

と、キリト君が言いそれに賛同した私達は全員でボス部屋まで向かうことにした。

 

 

扉が開いてる?まさかと思いながらボス部屋を覗くと其処には、

 

「助けてくれ!」

 

「ぎゃァ〜〜!!」

 

「ガハッ…」

 

ーパリーンー

 

と死亡時のエフェクトが大量に発生する地獄があった。

 

アスナやキリト君が転移しろ!と叫ぶが結晶無効化空間の様で転移が出来ないと中の兵士が言う。

 

ヤギ頭の悪魔は逃げ惑う兵士をあざ笑うかの様にひとりひとり確実に殺して回っている。

中に入って助けようとする私の視界には、既に駆け出したアスナが見える。

 

走りながら回復結晶を準備し中心で使用すると、ヘイトがこちらに向いたのかヤギ頭=グリームアイズは一直線に私に向かって駆け出した。

すぐさま槍をストレージから取り出すとグリームアイズの攻撃を受け流す、予想より威力が高かったのか受け流しきれずスタンが発生してしまう。

 

「まずい!」

 

私に迫るグリームアイズの攻撃をスローモーションの様な感覚で見ていると赤い鎧が割り込んで来た。

 

「させるかよ!!」

 

クラインは二本の刀でグリームアイズの攻撃を受け止めると風林火山のメンバーに指示を出し連携して攻撃と防御を開始した。

 

「認めん!!認めんぞぉ!!!こんな所でこの!!コーバッツ中佐が死ぬなどあり得るはずがない!!!」

 

その最中、大声でコーバッツが叫ぶとヘイトがそちらに向かったのかグリームアイズが駆け出してコーバッツに向かう。

 

コーバッツは真正面から立ち向かうがグリームアイズのソードスキルで吹き飛ばされる。

キリト君とアスナの近くに落ちると一言二言言った後に死亡してしまった。

 

「頼む!時間を稼いでくれ!少しでいい!」

 

キリト君が何かを決意した様に顔を上げて私達にお願いをしてきた。

 

皆で了承すると、スイッチをしながら少しづつグリームアイズのHPを削っていく。

 

みんな離れてくれ!、キリト君の準備が整ったのか両手に剣を構えながら走ってくる。………両手?

 

「うぉぉー!!!」

 

と、叫びながら両手の剣を使いソードスキルでグリームアイズを斬りまくる。

グリームアイズも負けず劣らずに攻撃をするがキリト君の連撃は止まらない、キリト君のHPがレッドゾーンに入った頃にようやくグリームアイズはポリゴンとなって消えていった。

 

その後はアスナはキリトを怒り、クライン達はキリトを質問責めにし、私はアルゴにいくらで売れるだろう?と打算的な考えをしていた。




長々と時間が空いた割に短いですが投稿しました。

また時間が出来次第続きを書きます。


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オーディナル・スケール編
次回予告?


オーディナル・スケール編予告

 

プロローグ

 

「リインちゃんもやろうぜ!コレ!」

 

そう言いながら遼太郎が料理中の私に見せてくるのは最近流行りの”オーグマー”で行うゲームでタイトルはオーディナル・スケールと書いてある。

 

「ふふっ、遼太郎も好きだな……そういえば明日菜もやっているんだったっけ…じゃあ…やってみようかな?」

 

 

 

第1章

 

「SAOBOSS?なんで今更?」

 

私は疑問を浮かべる、すると遼太郎をはじめとしたギルド”風林火山”のメンバーは、

 

「いやいや、姉さん噂なんですがね?なんかこの間の夜に有ったオーディナル・スケールのイベント戦闘にイルファング・ザ・コボルドロードが出たんですって!!」

 

「それにですよ姉御!オレらはSAOで戦ってる分有利じゃないっすか!」

 

 

第2章

 

「リインさん!スイッチ!!」

 

遼太郎や和人君と共にユナの歌を聴きながらのイベント戦闘で明日菜が攻撃を弾き、私にスイッチすると、

 

「はっ!やっ!ハァァァーーーーッ!!」

 

ードガーーーン!!!ー

 

「……おい…あの姉ちゃんヤバくねえか?」

 

「あんな動き出来るなんて…どっかの流派の伝承者かなんかか?」

 

「……………ねぇ、あの人”リインフォース”さんじゃない?……ほら!ウチの大学の伝説っていう……。」

 

 

第3章

 

「リインさん!!トドメを!!!」

 

「分かった!ハァァァーーーー!!!!」

 

アスナと私の連携でグリフォンを討伐すると周りから称賛を受ける。

 

そしてふと、気がつく………アレ?遼太郎達は間に合わなかったのかな?連絡しても出ない………何故だろう?やな予感がする………

 

 

第4章

 

「…ン?ヨォ!えっと……リインちゃん!悪りぃな心配掛けちまってヨォ。」

 

遼太郎が病院のベッドから固定されていない方の腕を上げて歓迎してくれた。

何があったのかよく覚えていないそうだが腕の骨が折れており全身打撲で入院していた。

 

「全く階段から転げ落ちたと聞いたが式までには治してね?」

 

「式?………あぁ!式ね勿論だとも!男、壷井遼太郎!二言はねぇ!!」

 

「ふふっ、それだけ元気なら大丈夫かな?……ちょっと花の水を変えてくるよ。…………おっと…やあ桐ヶ谷君、いらっしゃいわざわざ来てもらって悪いね?ちょっと離れるから遼太郎の面倒を見て置いてくれるかな?」

 

 

…………………………………SAOの記憶が曖昧?どういうことだ?クライン?」

 

花瓶を持って病室の前まで来ると桐ヶ谷くんがそんな事を言っているのが聞こえる。

………………SAOの記憶が曖昧?だれの?…………。

 

「SAOクリア後の事は鮮明に覚えてるんだがよぉ?SAOプレイ中の記憶が全部靄が掛かったみてぇに思い出せないんだよなぁ……リィンフォースさんがいるだろ?SAOプレイしてる時に付き合い始めたんだろ?だけどよぉ〜その辺の記憶も含めてなーーんも思い出せねぇんだよ、今はクリア後の記憶を頼りに何とか帳尻を合わせてる感じだ。」

 

……………クラインの記憶が?………SAOの記憶が?…………。

 

 

 

第5章

 

「あ………アレが……銀の死神。」

 

レヴィが算出したSAOBOSS出現地点を桐ヶ谷くんと被らないように倒す。

その際、邪魔なプレイヤーをモンスターと共に薙ぎ払う。

 

「母上!落ち着いてください!!無関係な方を巻き込んでおります!」

 

「お母様が…これはまさか暴走?……。」

 

「すっご〜い!ママってこんな強かったのか〜〜、今度勝負してもらおっと!」

 

とある事件で生まれた子供達を引き連れて…

 

「ふふ…ふフふ、待ってイなさいオ前達……遼太郎ノ……クラインの記憶はワタシガカナラズ……」

 

 

最終章

 

「SAOBOSSのクイーンを倒せば………?って……」

 

「フフフ…フフ、ハハハハハ!!貴様ラニコノ私、闇ノ書ノ管制人格ガ倒セルノカ?愚カナ虫ケラ共メ!………沈メ!………デアボリックエミッション!!!」

 

そこに駆けつける仲間達の中に遂にあの人物の姿が⁈

 

「フン!私のライバルともあろうものがこんな粗末なプログラムにヤられるとはな……フゥ、拍子抜けだ……」

 

「ししょ〜、リインちゃんなんか怒ってますよ〜?今度は何をしたんですか〜〜!」

 

「ロロナ先生?アストリッドさんが迷惑をかけるのはいつも通りですが今回は明らかに何かおかしいようですが?」

 

「神聖剣は無くしたが、生まれ変わった私の力を見せてあげよう!出でよっ!魔竜の剣!!!」

 

次回

リインのアトリエ

オーディナル・スケール編

 

Coming Soon!

 



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オーディナルスケール編

期待してくれていた方が居たらお久しぶりです。

初めての方は、何だ?こんなの書いてる奴がいるのか?

などと思って気軽に読んでみて下さい。

時間が少しだけ出来たのでプロローグを書いてみました。

では本編をどうぞ。


 

プロローグ

 

 

 

……カチャカチャ……トントン……グツグツ……

とある事情から、大学の寮を出て近くのアパートに引っ越した私は夕飯の支度をしていた。

 

「♪〜〜〜〜♪〜〜……『カンカンカン……カチャッ!』…ん?帰ってきたかな?」

 

鼻歌を歌いながらビーフシチューの仕上げをしていると慌ただしく階段を登ってくる音が聴こえる。

私は一度火を止めて出迎えるべくタオルで手を拭きながら玄関へと向かうと、勢いよく扉が開いた。

 

「リィンちゃん!ただいま!!」

 

そこには、何かの電気屋の買い物袋を持った遼太郎が満面の笑みで立っていた。

 

「ふふっ…あぁおかえり、もう少しで夕飯が出来るが先に食べるか?それとも風呂か?」

 

 

「リインちゃんもやろうぜ!コレ!」

 

そう言いながら遼太郎が電気屋の袋をゴソゴソと漁りながら一枚のチラシを料理中の私に見せてくる、其処には最近流行りの”オーグマー”で行うゲームでタイトルはオーディナル・スケールと書いてある。

 

「ふふっ、遼太郎も好きだな……そういえば明日菜もやっているんだったっけ…じゃあ…やってみようかな?」

 

ALOはどうするんだい?と私が聞いたら、遼太郎は

 

「もち、続けるけどせっかくの新作やらなきゃ損だろ?」

 

と言って料理を続ける私の横でオーディナル・スケールの魅力を力説していた。

 

 

 

 

「「ごちそうさま(でした)。」」

 

夜ご飯を食べ終わると遼太郎が「よっと!」と言って立ち上がり、テーブルを片付けて皿洗いを始めてくれた。

 

「そういやリィンちゃん!今日早速この近くでイベント戦あるみたいなんだけど行ってみねぇか?」

 

皿を洗いながら器用に首だけを此方に傾けた遼太郎が話しかけてくる。

 

「ん?構わないよ、じゃあ今のうちにインストールしておくとしよう。」

 

と、返事を返すとリビングの角の化粧台に置かれたオーグマーを手に取り装着する。

 

「ん………コレだな、…………【ービリッッー】っ!?…何だ?」

 

オーディナル・スケールをインストールしていると終了直前に全身に電気が走ったような感じがして思わず声がでた。

エラーでもあったのかと思い視界に映るアイコンなどを確認するが特に異常はないようだった。

 

「どうしたんだ?なんかあったのか?」

 

急に動きを止めた私を心配してか遼太郎が私の横に座り気遣ってくれる。

 

「いや、何でもない……この近くでイベントがあるんだろう、風林火山の皆んなには声をかけたのかい?」

 

と、私が聞くと遼太郎は満面の笑みで

 

「いやぁ、彼奴らが久しぶりにリィンちゃんに会いたいって言ってたのもあってな?もしリィンちゃんがオーディナル・スケールやらないとしても連れてく事になってたんだ。」

 

と、言った。

 

 

 

1時間後、都内某所複合商業施設前広場

 

「姐御!お久しぶりっす!!」

 

「姐さん、学食の日替わりで食べたオムライスがもう一度食べたいんですが、次はいつ行けば食べられますか?」

 

「悪いねリィンフォースさん、この間のALOのイベント参加できなくて…クラインの奴は参加したみたいだが…………」

 

遼太郎に連れられてイベント戦の開始場所に到着すると既にギルド”風林火山”のメンバーが揃っていた。

顔を見た瞬間に全員が駆け寄って来て話しかけて来たので対応していると、

 

ーボーーン、ボーーンー

 

急にオーグマーから音が響いて来て辺りの景色が少しずつ変わっていく。

 

「おっ!もう始まるか?よっしゃっ!リィンちゃん準備準備!」

 

バックからリモコンを取り出して構えを取り、

 

「「オーディナル・スケール起動!」」

 

と言うと、私は紫を基調とした軽鎧姿になり、手にハルバードを持った姿になった。

クラインはSAO時代とさほど変わらない姿に刀を装備した姿に変わった。

周りを見てみると風林火山のメンバーも赤で統一された見慣れた光景が広がっていた。

 

「どんなモンスターが出るのかな?…………」

 

周囲から期待を孕んだこえが聞こえる。

そうしていると広場中央部にホログラムが出現し始めてモンスターが出現し始める。

 

「おおっ!……?!おい、アレ見た事ねぇか?」

 

出現したモンスターを見たクラインが私達に問いかける。

 

「ああ、見えている…アレは……」

 

「まさかぁ?偶然の一致だろ?だってファンタジーの王道じゃねぇか”リザードマン”なんて……」

 

出現したモンスターはSAO時代に何度も戦ったリザードマン達だった。

カルー達は偶然の一致と言うがアレはそのものだと思える、何故って?感覚でしかないが、アレはSAOと同じ姿、同じロジックで動くモノだと本能が訴えかけているような気がしたからだ。

 

 

 

 

 

 

無限にpopするかと思われたリザードマン達が出現しなくなると生き残っていたプレイヤーにボーナスポイントが加算されていく。

 

「いやぁ!かせいだ稼いだ!俺様一気に50位も上がったぜ!」

 

クラインが喜ぶ少し後ろで私もリザルトを確認していると胸にチクっと痛みがはしる。

何だろう?急に動いたからかな?と、思っているとクラインが振り向いて、「帰るか!」と、言ってきたので、

 

「あぁ、帰ろうか…それじゃあ皆んなおやすみ。」

 

と風林火山のメンバーに声を掛けて家に帰った。

 

 

 

 

私は幸せすぎて聴こえなかったのだ………………

 

オーディナル・スケールをインストールした時に私の中で”あの本”が起動する音が………………

 

そして、私が寝静まった頃………………

 

私の中に残っていたあの本が開く音を………………

 

ー…………”Anfang”…ー

 

 




リィンフォースさんの装備イメージはSAOゲームのレイブンベストで武器はハルバード。

その他のSAOキャラは原作準拠です。


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