喋りたいけど喋れない魔法使い (ななしの何か)
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プロローグ

初めまして、ななしの何かと言います。
この作品は私にとっては処女作となりますが、これから頑張りながら仕上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


 

 

俺にとって今日という日は、素晴らしくも暇な1日を過ごすはずだった。

 いや、そうなるはずだった今日という日は、俺の人生が大きく変わる日であった。

 何故「だった」のかと言うと、そんないつも通りの日常は一瞬で崩れ去ってしまったからだ。

 どういう事かと一言で言うならば、俺は死んでしまったらしい。どうしてそんなことが言えるのかというと、俺は今、自分の体を上から眺めるというちょっとシュールな光景になってるからだ。

 ...正直言うならまだ死んでいる気がしないが、俺が自身の体を上から見下ろしているということはやはり...

「死んでいらっしゃいますよ。」

「あぁ、やっぱり?」

  後ろから声が掛かる。

「あまり、驚かないのですね。」

「えぇ。なんかもう自分が死んだということだけで、もう一杯一杯ですから。」

  俺はそう答えながら、後ろを見る。

 するとそこには、金色の髪で真っ白な翼が生えた美少女がいた。

「...天使?」

 俺が条件反射的に呟いたことばに、彼女は少し微笑みながら、答えた。

「えぇ、そうですね。世間一般的には、私のことを天使と呼ぶ方もいますね。ですが私は天使ではなく、神様の代理でございます。」

 それを聞いた俺は、

「はは、神様って本当にいたのですか。」

 と言った。

  「えぇ、まぁ最近は神様を信じる人が少なくなりましたから仕方がないのですがね。」

 「あ、すいません。」

 「いえ、大丈夫ですよ。私達は特に気にしてないことですから。」

  少しだけ重い空気が流れる。

「ところで、神様の代理っていったいなんですか?」

 話題を変えるため、疑問に思っていたことを、聞いてみる。

「はい、神の代理とは、あなたのような迷える魂を別の命としてもう一度新た生を役目を担っている者です。」

 それを聞いた俺は、次のワードが一番に思いついた。

「それは、転生ということでしょうか?」

 そう、それは、俺がお気に入りの小説やゲームなどでよく聞く言葉である【神様転生】といものだ。

「まぁ、大方そのようなことだと考えて貰ってよろしいです。」

 彼女は、俺が思っていることを肯定して本題に入っていく。

「私は今回、あなたを新た命として生まれ変えさせるために来ました。そこで貴方に幾つかの質問下あとに、あなたに転生をする意志が有るかどうか確かめさせてもらいます。よろしいですか?」

 その質問に対して俺は、

「はい、喜んで!」

 ついバイト先の挨拶のように答えてしまった。

「分かりました。では早速、質問に移らせてもらわせてもらうので場所を変えましょう。」

そう彼女が言ったあと、彼女が「パンッ!」と手を叩くと、

一瞬で俺と彼女は、純和風の部屋に移動した。

「…すげぇ。」

俺が驚きのあまりその場に立っていたが、

彼女は、そんな俺を気にしないで、

「お掛けください」

と座ることを促した後、すぐに質問に入っていった。

「では、まず最初の質問です。」

俺は、少し緊張しながら、彼女からどのような質問が来ても良いように、思考を広げる。

「あなたは果物では何が好きですか?」

「…え?」

 俺は、彼女の質問が自分が考えていた質問とは、まったく関係のないものだったため思考が一瞬止まりかける。

「...?どうかなされましたか?」

 彼女からの呼びかけにより、止まりかけた思考は再び動きだす。

「あぁ!いえ、なんでもありません!えっと、自分が好きな果物は、イチゴです。」

 彼女は、少しだけ挙動不審の俺を見て首を傾げるも、せっせと次の質問に移っていく。

「分かりました。では次の質問です。あなたが好きなスポーツはなんでしょうか?」

「……。」

 そしてここから、まるで学校での自己紹介のような質問が延々と続いたため、俺は深く考えるのを止めた。

 

 

「はい。分かりました。第6458問目終了です。」

 結局、質問は10時間近くも続き、俺は少しだけぐったりとなって、気が抜けて思考が虚ろになっていた。

 だから、俺を今までの質問の中でも今後を左右するほどのものをあんな風に答えてしまったのかもしれない。

「では、次の質問です。あなたは来世ではどのように過ごしたいですか?」

「自分は、()()()生きていたいです。」

 そう、この一言が今後の俺の人生を左右するなんて夢にも思わなかった。

「分かりました。では最後の質問です。」

 次の言葉で俺は虚ろだった思考が一気に覚醒した。

「あなたは次の人生では一つだけ何かをもっていくとしたら何がよろしいですか?」

 (キタアアアァー!!)

俺は心の中で叫びをあげる。

「それは、なんでもよろしいのですか?」

「はい、なんでもよろしいですよ。」

 やっと神様転生で定番ともいえる、何か特別な力を貰える機会がきて俺は、テンションが一気にlowからhighになる。

 そして、俺はこの時のために考えに考えぬいた答えを言う。

「自分は、次の人生では、多くの技術を扱える才能がほしいです。」

 俺はいままで我慢して質問に延々と答え続けていた努力が結ばれた感じがした。

「はい、分かりました。これで全ての質問は終わりです。ご協力有難うございました。その上で、改めてお聞きします、あなたは転生をする意志は有りますでしょうか?」

 今の俺にとっては迷うことのないこの質問に、俺は即答で答えた。

「はい!自分を転生させてください!」

「了解いたしました。それでは早速準備をさせていただきます。」

 彼女はそういうと、何か聞き取れない言語を呟やいた後、俺の足元に魔方陣のようなものが浮かび上がる。

「それでは説明させていただきます。あなたはこれからは、新た生命として生きてもらいます。その場合、別世界に行ってもらうためこちらとは干渉する事ができなくなりますがよろしいですか?」

「はい、大丈夫です!それと疑問なのですが自分が転生した場合は自分の記憶はどうなるのですか?」

「基本は、こちらのあなた自身の情報つまり名前などを失うだけで、その他の情報や記憶は失うことはありません。」

 なるほど、俺個人の記憶はなくなるが、知識は失わないようだな。

「分かりました。それともう一つ言いたいことが...」

「なんでしょうか?」

「ありがとううございました。」

 俺がそういうと彼女は、輝くような笑顔で

「いえ、これが私の仕事ですから。」

 と元気よくいった。

「それでは、次の人生をお楽しみ下さい。」

 そして彼女がそういうと、

 俺の意識はなくなっていった。

 

20××年○月△日とある世界から一人の男の存在が消えた。



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