人形岬無希の学園生活 (やる気電力)
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-1話

その少女は暗い部屋にいた。

 

「ふふふふふふふふふン!」

 

一人不気味に笑いながら。

その部屋はかなり荒れていた。服は散らばり、家具は壊され、廃墟と言われても納得するレベルで荒れていた。しかし、それだけならまだ良かったのかもしれない。

何故なら、その少女の足元にはあってはいけない、あってはおかしいものが二つあった。

それは………死体、その少女の親の死体

殺したのはその少女、

そして、それがその少女、ーーーーの最初で最後の殺人であった。

 

 

 

 

〈現在〉

 

今、箱庭学園の理事長である不知火袴はある少女、人形岬無希と対面してた。人形岬は肩まで伸びた白い髪に中性的な顔立ち、そして黒く黒く澱んだ目をしていた。

その人形岬無希とは不知火袴が安心院なじみに「彼女だけは絶対にここへは招かないように」と強く念を押されていた存在であった。

 

「ねえ、ねえ、ねえ、理事長君。ねえ、ねえ、ねえ、君を殺してもいい? ねえ、ねえ、ねえ、ノーマル殺してもいい? ねえ、ねえ、ねえ、アブノーマル殺してもいい? ねえ、ねえ、ねえ、マイナス殺してもいい? ねえ、ねえ、ねえ、全校生殺してもいい? ねえ、ねえ、ねえ、勿論いいよねー、ねえ、ねえ、ねえ」

 

「ひ、ひとまず落ち着いてください人形峠さん」

 

「ああ、すいません。僕としたことが、つい興奮してしまいました」

 

「ええ……、大丈夫ですよ。」

 

不知火袴はたとえ人形岬無希が暴走してしまったとしても最悪、箱庭学園のアブノーマルやマイナス全員ならば止められると考えていたがそれは楽観的過ぎであったのではと人形岬無希を実際に見て考えていた。

 

「人形峠さん、一応言っておきますが、ここに転入する上で守って欲しい事があります」

 

「ん、何でしょうか? 理事長君?」

 

「簡単なことですよ。この学園の生徒を絶対に殺さない事。そ、それだけです」

 

「えー、ダメなんですかー。しょうがないなー、理事長君は。分かりましたよ。善所しますよ。はー」

 

「はい。そうして下さい」

 

「じゃあそろそろ失礼しちゃってもいいですか?」

 

「はい、いいですよ」

 

「よいしょっと。しっつれいしーましたー」

 

人形岬無希はあまりにも危険過ぎるが、そのリスクがあるだけにフラスコ計画をかなり進めることが出来そうだと不知火袴は考えながらあの人、否あの人外から彼女について説明された時に渡された書類を見た。

 

名前:人形峠無希

血液型:AB型

能力:思い出日記(リライトメモリー)

能力内容:ーーーーーーーー。

家族関係:父 精神病院に入院中

母 精神病院に入院中

 

「両親はどちらも精神病院に入院中ですか……」

 

 




感想お待ちしております。
*もし誤字脱字があったら報告お願いします。


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-2話

廊下で人形峠無希は鼻歌交じりで歩いていた。

 

「ふっふっふっーん。んっ、あっ、センパーイ!!」

 

そこで彼女は自分と同類のマイナスであり、先輩である球磨川禊を見つけた。

 

『ん?ああ、無希ちゃん久しぶりだね』

 

「はいっ!球磨川先輩君こそ、おっひさー!です」

 

『無希ちゃんは相変わらずだね。だけど、どうしてここにいるの?』

 

「はは、分かっているクセに僕に言わせるんですかー。まあ、言いますけど。球磨川先輩君と同じ理由ですよ」

 

『うん。だろうね』

 

「ほらやっぱり分かってたー。ところで話がだいぶ変わりますが、球磨川先輩君これから何するんですか?」

 

『んーそうだなー。めだかちゃん達にはもう挨拶しちゃったからな。他の-13組の人達に挨拶でもしてこようかな?無希ちゃんも一緒に挨拶しにいく?』

 

「はいっ!と言いたい所ですがかなり面倒くさそうなので遠慮しておきます」

 

『残念。んじゃまた明日とか!』

 

「はい、まったあーしたです!」

 

そして彼女は球磨川と別れた。別れ際に球磨川にどこからともなく取り出した鉛筆を何本も何十本も刺して。

 

『ちょっと。痛いよ無希ちゃん』

 

「ああ、すいません。ついつい刺したくなってしまって」

 

『うん。まあ、僕には大嘘憑き(オールフィクション)という欠点があるからね。全然大丈夫だけど』

 

「ふーん。そうなんですか」

 

『じゃあ今度こそまた明日とか!』

 

「はい、さいならです。」

 

今度こそ彼女は球磨川と別れた。

 

「んー?これからどうしようかな?あっ、そうだ!さっき球磨川先輩君が言っていためだかちゃん君達に挨拶しに行こうかな?-13組に挨拶をしに行くよりは面倒くさくなさそうだしなー。よっし、じゃあさっそく挨拶しに行くか」

 

そして彼女はめだかちゃん達に挨拶しに行った。しかし、彼女は忘れてしまっていた。自分がこの箱庭学園にきてまだ半日も立っていないことを。めだかちゃんとは誰かを知らないということを。この箱庭学園がとてつもなく広いということを……

 

 

そしてそのことを忘れたりしていなければこんなことにはならなかったとその後夜遅くに一人箱庭学園のどこかで後悔しながらさまよっている人形峠無希であった。

 

「あれ?ここどこ?」

 

「えーと、たしかあっちが校門だったはず」

 

「あれ?ない?」

 

「えっ、誰かいませんかー」

 

その後、無事校門を見つけ家に帰ったそうだ。

なお、この話を聞いた不知火袴は人形峠無希を箱庭学園に招いたことを別に後悔しなくても良かったのではと考えていたのはまた別の話である。

 

 

 




会話シーンが長過ぎる。
文字数がかなりギリギリ。
頑張らなければ!


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-3話

少しでも読んでくれる人がいて幸せです。
では、-3話どうぞ。


つい昨日、箱庭学園で真夜中まで迷っていた人形峠無希は本日も絶賛迷子中だった。

 

「えーと、ここどこだっけ?なんで、さっきからずっと歩いているのに人にあわないんだよー!」

 

その後しばらく人形峠無希は迷っていた。

 

「あっ!そうだ!こんな困った時こそ先輩君を頼ればいいんだ!先輩君に電話しーよ。………あれ?そういえば僕、先輩君の電話番号知らない。先輩君に頼れないし。人には会わないし。どうすればいいの?マジで」

 

その時、プルルプルルプルルと人形峠無希の携帯が鳴った。

 

「うー。はい、誰ですか?」

 

『僕だよ。無希ちゃん。というより、なんか元気が無いけど大丈夫?』

 

電話の主は今頼ろうと考えていた球磨川禊だった。

 

「球磨川先輩君!なんで僕の電話番号知ってるのかは分かりませんけど、それより助けてくださいよ!」

 

『ん。どうしたの?』

 

「今、迷子になっているんですよ!」

 

『んーと、じゃあ今から弐ノ13で-13組の合同ホームルームをするから来てみる?というよりもともとは、ホームルームのために電話したんだけどね』

 

「はいっ!はいっ!行きます!行きます!」

 

『じゃあ。無希ちゃんが今どこら辺にいらかとか近くにあるものを教えてくれる?』

 

「はいっ!えーと。場所は分かりませんが、近くに壱ノ13ていう札?みたいなのがついた教室?があります。」

 

『ああ、じゃあ結構近くにいるね!僕のいる弐ノ13は今無希ちゃんがいる所のちょうど真上だよ』

 

「そうなんですか!じゃあすぐ行きますね!」

 

『うん。待っているよ。あっ、だけど携帯はまだ切らないでね。これからホームルームするから』

 

「はいっ!わっかりまーした」

 

『よし。えー、それではこれより、-13組の………』

 

人形峠無希は球磨川が議長を務める-13組の合同ホームルームを聞きながら元気に鼻歌交じりで弐ノ13へ向かっていった。

 

「ふっふっふっーん」

 

なんか途中でとてつもなくデカイ人とすれちがった様な気がしたけど多分気のせいだろう。

そして弐ノ13にたどり着いた人形峠無希が扉を開けると、

 

「拳々破アッ!」

 

教室の天井にまで頭が届きそうな位デカイ人が球磨川禊を殴っていた。

 

「んっ。お前は?」

 

「えーと。ははは、失礼しましたー」

 

『えっ。ちょっと無希ちゃん僕を置いてかないでよ』

 

「えー、面倒くさいですよ。それにその人、スゲー強そうじゃないですか」

 

「お前も-13組生か?」

 

「ああ。はい、そうですね。ぬるい友情・無駄な努力・むなしい勝利がモットーの-13組生です。ちなみに、-13組生はあと2人そこにいますよ。おーい、もう出てきたら?」

 

人形岬無希がそう言うと、教室の入り口から男女が現われた。

 

「おいおい。バラすんじゃねーよなお前」

 

「まあ、バラしてしまったことはしょうがないですよ。志布志さん」

 

「えっ、バラしちゃダメだったの?」

 

「ああ、ダメに決まっているだろ。大将がボコボコにされた所で助けに行く予定だったのによー」

 

『えっ。ちょっと志布志ちゃん。何言ってるの?』

 

「球磨川先輩、別にそんな事は今はどうでもいいじゃないですか」

 

『まあそうだけどさ蛾々丸ちゃん。さてと日之影くん、四対一になったけど続ける?』

 

「えっ、僕も戦力にはいっt、うぎゃっ」

 

喋っている途中に外へ投げ出されてしまい、最後まで言えなかった人形峠無希であった。

 

なお、外へ投げ出された人形峠無希は無事球磨川に回収されたそう。

 




んー。やっぱり会話が長くなってしまう。


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-4話

つい先程外へ投げ出された人形峠無希は球磨川の大嘘憑き(オールフィクション)で傷をなかったことにしてもらい、ホームルームの続きの幹部会用の準備をしていた。

 

『無希ちゃん、準備ご苦労様。よし、じゃあ、幹部会を始めるか!』

 

「てか、球磨川さん。あたし達、そいつ誰か知らないんだけど」

 

「確かにそうですね球磨川先輩」

 

『うん。そういえばそうだったね。じゃあ無希ちゃん自己紹介よろしく』

 

「はいっ!わっかりまーした球磨川先輩。えーと、僕は壱ノ-13、人形峠無希でーす。よろしくおn、うぎゃっ」

 

志布志に蹴られて最後まで喋ることが出来なかった。

 

「痛ってて、何するんだよー」

 

「そうですよ!志布志さん!」

 

「いや、だってなんかそいつの自己紹介を聞いてムカついたから……。ごめんなさい、もう二度としません、許してください」

 

「うん!いいよ許s、うぎゃっ」

 

今度は起き上がろうとした所を蛾々丸に蹴られて最後まで喋ることが出来なかった。

 

「もー!蹴るにしても最後まで喋ってからにしてよー」

 

「ああ、つい偉そうだったのでやってしまいました」

 

『もー2人共それぐらいにして。そろそろ幹部会をはじめるよ』

 

「えっ!ちょっと球磨川先輩君、僕のことは?」

 

「そうですね球磨川先輩。そういえばやはり生徒会は………」

 

そして、完全に人形峠無希は完全に空気にされて、幹部会は始まった。

 

 

完全に空気にされた人形峠無希本人はというと、

「うわー、三人共僕を空気にしてー。いいもん。僕はお菓子ジュース飲んでるから」

と言い、どこからともなくミキサーを出して机にあるお菓子を手当たり次第ミキサーにかけて飲んでいった。

 

 

しばらくすると、後からやって来た不知火半袖か志布志と蛾々丸に潰されていた。

 

「誰に何をされてもしょうがないですよね」

 

「うん!そうだよねー。だから僕もやってもいいよねー」

 

と言いながら人形峠無希は不知火にどこからともなく取り出した鉛筆を数十本刺して、不知火を蹴り上げた。

 

『ちょっと、三人共その辺にして。それに無希ちゃんは完全にさっきのウザ晴らしだよね』

 

「そうですがナニか?」

 

『うん。別に良いけど。それより不知火ちゃん。いい手ってどんな手なの?』

「生徒会と13組生を同時に片付けるウルトラCですよ」

「えっ。何?何?」

 

「箱庭学園学校則第45条第三項を使い、副会長の不在を理由にお嬢さまをリコールすれば第十三項で転入したばかりの球磨川先輩でも生徒会長になれるし、第七項で他の役員も解任されますから、生徒会はこれで片付きます」

 

『-13組生は?』

 

「生徒会則第17条の生徒総会の強制招集権で登校義務の無い13組生も登校させられますから」

「なるほど!その時に全員ボコれば13組の討伐ができるね!」

 

『なるほど、確かにいい手だ。いや、酷い手だ。これならもうすぐにできるね」

 

「うん。えげつないねー、不知火ちゃん」

 

「同感ですね。あなた本当は悪魔かなんかじゃないですか?」

 

「だけど本当にいーのかよ。生徒会に友達いるんじゃなかったのか?」

 

「えーだからこそですよ。あいつがいつまで友達でいれるか試したいから」

 

『じゃあ、無希ちゃん。リコールの為の署名のことを理事長にお願いしてきて』

 

「はいっ!わっかりまーした。今すぐお願いして来まーす」

 

そして、人形峠無希は球磨川に地図を渡されて、走って理事長室へ向かった。

 




誤字脱字無いかな?大丈夫だよね?


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-5話

現在、箱庭学園の体育館には一学期の終業式のため登校が免除されている生徒を除くと、ほとんどの生徒が集まっており、それぞれクラスや学年ごとに指定された場所に整列していた。その中にはついこの間できたばかりの-13組生の整列する場所もあったが、

そこには誰もいなかった。しかし、-13組生は確かにこの体育館にいた。正確には-13組生の球磨川禊、江迎怒江、蝶ヶ崎蛾々丸、志布志飛沫、不知火半袖そして、人形峠無希の6人の-13組生は体育館の壇上の脇にある控え室にいた。

 

『よーし!じゃあ、最後のリハーサルをするよ。まず僕が壇上に上がって、めだかちゃん達生徒会にリコールを宣言する。そして、どのくらいかは分からないけど色々めだかちゃん達と喋って、『僕達が新生徒会だよ』て言ったら出てきてね』

「ええ。それは分かりましたが、球磨川先輩。一つ質問しても良いでしょうか?」

『うん、良いよ蛾々丸ちゃん。何かな?』

「はい。生徒会の役員は5人までのはずですが、私達は6人います。そして、6人並んでる所で私達が新生徒会を名乗ると、まだ役員の選定を終えてない事になってしまいますが。それはどうしましょう?」

『あっ、そうか。うーん、どうしようか?不知火ちゃんなんかいい案はない?』

「うん、そうですね。じゃあ、私達でじゃんけんをして、負けた人は端っこにいるっていうのはどうでしょう。」

『うん。それが良いね。あっ、僕はもう行くから、呼ぶまでに決めておいてね。』

と言い残して球磨川は控え室から出て言った。

「じゃあ、じゃんけんするか。」

「ええ、そうですね。」

「絶対負けないぞー。」

「では、いきますよ。」

最初はグー、じゃんけんポン

決着は一発目から決まった。人形峠無希の一人負けで………

 

 

『僕達が新生徒会だよ』

その掛け声と共に脇から江迎怒江、蝶ヶ崎蛾々丸、志布志飛沫の3人が出てき、球磨川の後ろに並んだ。そして、遅れて人形峠無希

が脇から出てきて、端の方に立った。

そして、球磨川が新生徒会長としてのマニフェストを発表したり、現生徒会の人達が球磨川の狙いに気づいたり、生徒会長が昔の塾則を持ち出して新生徒会と現生徒会の決闘か宣言された中、人形峠無希は一人寂しくさっきのじゃんけんでグーを出してればと後悔してた。そして、そんな彼女を人吉瞳は見ていた。

 

 

「うー、球磨川先輩君なぐさめてよー。」

『うん。後でね。それにしてもやっぱり無希ちゃんの一人負けだったんだね。』

「えっ、分かってたんですか?」

『うん。だって不知火ちゃんがさっき他のみんなと打ち合わせしてたからね。』

「ちょっと、球磨川先輩!」

「へー、不知火ちゃん君。そんな事してたんだ。へー。」

「あひゃひや。じゃあさよなら〜。」

「待てや、コラ!」

 

その後、不知火半袖と人形峠無希の追いかけっこが始まったが、すぐに不知火には逃げられたらしい。

 

 

 

 

 



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-6話

今回は生徒会側の話からです。


球磨川のリコール宣言後、無事に一学期の終業式が終えた黒神めだかを含めた現生徒会メンバー、日之影空洞、名瀬夭華、古賀いたみ、人吉瞳は生徒会戦挙に向けて、今後どうするかなどを生徒会室で話し合っていた。

 

「黒箱塾時代の塾則に基づいた生徒会戦挙か。はー、やっちまったな黒神。今の箱庭学園は文武両道で通ってるが、黒箱塾時代は冗談みたいな武芸重視だったんだ。そんな時代のルールで-13組と戦うなんて自殺するのと一緒だぞ。断言しても良い。このままだと箱庭学園は完全にお終いだ」

 

と日之影空洞はため息混じりで話した。

 

「そっ…、そんな風に言わないでよ日之影先輩!あの時はああするしかなかったし!黒神さんがいなかったら本当に終わってた!」

 

「よい、喜界島会計。日之影前会長の言う通りだよ。もともとは、球磨川に先手を取られた時点で私のミスだ」

 

そして少しの間沈黙の時間が生まれたが、それを壊す様に古賀いたみが口を開いた。

 

「…で、その生徒会戦挙てどんな風にやるの?」

 

「簡単に言うと五対五の団体戦で先に三勝した方の勝ち。役職ごとに戦いの形式や舞台は違うけど、基本強度を競う真剣勝負だよ。それとこれは舞台設定に時間がかかるから週一のペースで。つまり、合計で五週間だから夏休み丸々使うね」

 

「だがそんな事よりも副会長をどうするかだな」

 

「ケッ、しょーがねーから俺が副会長になってやるよ」

 

これを聞いた阿久根高貴と喜界島もがなは名瀬の事ををやっぱり良い子じゃない?と思ってた。

 

「まあ、それは置いておいて。日之影前会長、例の凶化合宿の準備を急いでもらえますか?」

 

「ああ、そうなんだがどうしても課程修了までに二週間はかかってしまうから最初の庶務戦には間に合わない」

 

「間に合わないじゃ済まないかもね。不慮の事故(エンカウンター)蝶ヶ崎蛾々丸、致死武器(スカーデット)志布志飛沫の二人マイナスがいる事。そして何より、人形峠無希がいる事が一番の問題よ」

 

「最初の二人は球磨川くんの後ろにいた生徒で、最後の人は端にいた生徒のことですよね。あの二人は球磨川くんとなんとなく同じ様な感じがしましたがその人形峠無希という子はあまり何も感じませんでしたよ。その子も人吉先生の患者だったのですか?」

 

「ええ、そうよ。あの子は普段はそこまでマイナスぽくない感じだけど、一度スイッチが入るとかなり危険よ。彼女が入院してた時もかなりの数の人が精神病院送りにされたからね。そして何より彼女はそれに対して何も感じて無い」

 

「んっ?それはマイナスなら普通のことなのでは?」

 

「いえ、どんなマイナスでもやった事に対して楽しいや気持ち良い、スッキリしたなど少しは感じているの。だけど彼女は本当に何も感じて無いのよ。ただなんとなくやった、それだけなのよ。間違いなく-13組が揃う前に仕掛けてきたのは彼女の存在が大きいと思う」

 

「あの二人を差し置いてですか?」

 

「ええ、そうだと思うよ。元心療外科医のあたしに言わせるとめだかちゃん、正直かなりキツイよこの戦い」

 

「………」

そしてふたたび沈黙が生まれた。

 

〈-13組側〉

-13組の不知火半袖を除いた5人のメンバーは弐ノ13の教室に集まっていた。

 

『じゃーあ。そーゆー訳で、生徒会戦挙の初戦の庶務戦は、僕が出るね』

 

「……、それは構わないのですが」

 

「あんた、生徒会長になりたかったんじゃねーのか?」

 

「うん、そうだよ球磨川先輩君」

 

『別に。誰がなっても一緒だし。それにわざわざ強そーなのを相手しなくも良いんだよ。先に三勝すればいいだけなんだから』

 

「そういえばそうか!じゃあ球磨川先輩君、悲惨な試合をよっろしくー」

 

『うん。任せておいてよ。そういえば無希ちゃん。一つ頼み事をしても良いかな?』

 

「なんですか?」

 

と言いながら無希は球磨川の口に自分の耳を近づけた。

 

『えーとね、ゴニョゴニョゴニョ』

 

「ほうほう。何それ!スッゲー楽しそー!わっかりまーした。やっておきますね!!」

 

『うん。頼んだよ』

 

そして、-13組のメンバーは解散した。

 

各自生徒会戦挙に向けて準備する中着々と最初の庶務戦は近づいていった。

 



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-7話

注意:今回は無希ちゃんは出ません。


各自生徒会戦挙に向けて準備する中とうとう最初の庶務戦当日となった。

 

〈時計台地下五階駐車場〉

ここでは阿久根高貴と喜界島もがなの二人は黒神真黒と日之影空洞に師事してもらい凶化合宿を今日も行うために集まっていた。

 

「よし!それじゃあ、そろそろ始めるぞ!」

 

日之影空洞は準備運動をしていた阿久根高貴と喜界島もがなの二人に向かってそう言った。

 

「日之影先輩。俺達は本当に人吉の応援に行かなくてもいいんですか?」

 

「本当は行きたい所だが、今はこの凶化合宿を進める事が大事だ。だから今は人吉の事を心の中で信じてろ!」

 

「分かりました」

 

「じゃあまずは、昨日の続きからやるよ」

 

「はいっ!よろしくお願いします!」

 

この時、地下五階で止まっていたはずのエレベーターが昇っている事に気づいた者は誰もいない。

 

〈生徒会戦挙受付会場〉

ここには今球磨川禊と蝶ヶ崎蛾ヶ丸、志布志飛沫、江迎怒江の四人がいた。

 

『やっぱりネガ倉くんは毎週面白いね』

 

ピコピコ

 

「そうなの球磨川さん?私にも見せてください」

 

ピコピコピコ

 

『うん、いいよ。あっ、だけど怒江ちゃんが持つと腐っちゃうから僕が持ってあげるよ』

 

ピコピコピコピコピコ

 

「あ…、ありがとうございます球磨川さん」

 

ピコピコピコピコピコピコ

 

『ちょっと蛾ヶ丸ちゃんピコピコうるさいよ』

 

「ああ、すいません球磨川先輩。ついゲームに夢中になってしまいました」

 

「そういえばあたしがお前に初めて会ったときもそれやってたよなー」

 

「そうでしたっけ?」

 

そして、しばらくすると黒神めだかを含めた生徒会のメンバーがやってきた。

 

『あっ、おはようめだかちゃん。ほら、みんなそろそろ始まるよ』

「はいっ!」「分かりました」「はーい」

 

「…、不知火と人形峠同級生の二人が見当たらないが?」

 

『あー。不知火ちゃんはバイキング。無希ちゃんはゲームのクエストやるからで来れないだって』

 

「そ…、そうなのか。では、庶務戦に出馬するのは江迎同級生で良いのだな?」

 

『えっ、どうしてそうなるの?出馬するのは僕だよ。僕は昔から庶務になってみたいなと思ってたんだから』

 

球磨川が言い切った瞬間、黒神めだかは球磨川に掴みかった。

 

「貴様はどうしてそうなのだ球磨川!今回の事だけでなく13組生やエリートの抹殺!どうしてそんな事ばかり考えるのだ!エリートであろうとアブノーマルであろうと一人の人間に変わりないのだぞ!どうしてそんな事もわからないのだ!私には貴様の考える事が分からない!貴様の事が分からない!」

 

『人に自分の価値観を押し付けるのは良く無いと思うよ、めだかちゃん。だけど確かにそうだね。どうして僕はこんなんだろうね?うーん。例えばの話、「人生山あり谷あり」ーってよく言うでしょ。どんな奴でも成功したり失敗したして人生には色々な局面がある。だけどそんな事を言う奴は成功し、幸せな思いをした事があるから幸・不幸を感じたりするプラスな奴なんだよ。でも少なくとも僕達マイナスは成功なんかした事無いし、幸せな思いをした事も無い。ずっとマイナスな局面なんだよ。僕達はそんな事をプラスな人達に知ってほしいのかもね』

 

「…、どうせそれも貴様の嘘なのだろう!球磨川!」

 

そう言いながら黒神めだかは球磨川を突き離した。そして、蛾ヶ丸や志布志、怒江は倒れた球磨川を支えるように集まった。

 

『だろうね、めだかちゃん』

 

その後、定刻になり戦挙管理委員会副委員長の長者原融道がやって来て庶務戦がついに始まった。

 

 

 

 




次回は無希ちゃんがちゃんと出ます。


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-8話

始まった庶務戦は意外に早く球磨川が降参した事によりあまり長引かず、現生徒会の勝利で幕を閉じた。しかし、試合終了後、球磨川の攻撃により傷つき、大嘘憑き(オールフィクション)で視力をなかった事にされた善吉は心を折られそうになるもなんとか持ちこたえリングを震脚の衝撃を使い底にまで落とし球磨川と共にハブの毒で心中し球磨川を倒した。そして……

 

 

「早く血清を持ってこい!時間がないからここで処置する!保健委員会への連絡を忘れるな!B班は球磨川さまを!A班は人吉さまの解毒に全力を注げ!そして残りの班は全員で彼女を抑えろ!!」

 

そう言いながら融道は選挙管理委員によって抑えられてる乱神モードになった黒神めだかを見た。

 

「ぜっ、善吉いぃぃぃぃぃぃっ!」

 

「絶対に手を緩めるなよ、緩めた瞬間俺たち全員どうなるか分からないぞ。」

 

融道は冷や汗を掻きながらそう言い、善吉の解毒を進めた。

しかし、一向に善吉の意識は戻らずとうとう心肺停止状態となってしまった。そしてその時、同じく心肺停止状態だった球磨川が急に蘇生した。

 

『あーあ、本当死ぬのだけは勘弁してほしいよ。大嘘憑き(オールフィクション)があるとはいえ、嫌な奴と会わないといけないんだから。』

 

球磨川は自分の制服に付いた砂をはたき落としながらそう言った。そして、黒神めだかを見つけると、

 

『懐かしいなめだかちゃん。確か乱神モードだったよね?僕は中学の時にそれに負けたんだよね。』

 

「きっ、貴様!よくも、よくも善吉を!」

 

『逆恨みはよしてよめだかちゃん。僕だって善吉ちゃんに殺されかけたんだぜ?だから僕は被害者だ。」

 

黒神めだかは鬼の形相で球磨川を睨み、より一層力を加えて暴れ自分を抑えてる選挙管理委員を振り払った。そして球磨川に襲いかかろうとした。しかし黒神めだかが球磨川を襲う事は無かった。

 

「え…、あれ?ここは?」

 

人吉善吉が球磨川と同じ様に突然蘇生し、それを見た黒神めだかが善吉に抱きついたからだ。だけど、黒神めだかが乱神モードの状態のままで抱きついたため人吉善吉の全身の骨がベキベキベキと悲鳴を上げ、口も悲鳴を上げていた。

 

「ギャアアアアアッ!」

「善吉…」

 

「めだかちゃん…、あれ?俺、目が見える。てか、生きてる?」

 

「そうだよ、生きてるよ、善吉…」

 

そんな光景を現生徒会メンバーや選挙管理委員は静かに見守っていた。しかし一人だけ先程の黒神めだかと同じような鬼の形相で見ていた者がいた。球磨川禊である。それを見た現生徒会メンバーや選挙管理委員は球磨川が感情を露わにしたのに驚いた。特に人吉瞳は球磨川に感情があった事を知り驚いた。

 

『生きてた事には驚かない。死んだら死んだで生き返らせるつもりだったし。だけどなんで大嘘憑き(オールフィクション)でなかった事にした視力が戻ってるんだ?そんなの僕にもできないのに。なら彼女の仕業か?なるほど。』

 

そう言い終わると球磨川は左手で自分の顔を隠すと元のいつもの顔に戻った。

 

そして人吉善吉に近づいた。

 

『善吉ちゃん、庶務戦勝利おめでとう。分かってた事とはいえ、やっぱりルールのある戦いだと僕達は君達には勝てないね。このままだと残りも全部負けちゃうから高貴ちゃんと喜界島さんには棄権してもらおう。時計台地下五階駐車場で修業中なんだよね?凶化合宿だっけ?だけど現実て結構シビアだから悲しい事故が起きてない事を祈るよ。』

 

それを聞いた黒神めだかはここにいる-13組生を確認し、人数が最初と変わってない事を確認すると今回の事は時間稼ぎでは無いと考えた。

 

『じゃあね、めだかちゃん。みんな行くよ。』

 

「「「はい」」」

 

志布志飛沫と、蝶ヶ崎蛾々丸、江迎怒江は球磨川の後ろに続きながらそう返事し、帰っていった。

そんな様子を見てた黒神めだかに人吉善吉は、

 

「だけどめだかちゃん。阿久根先輩や喜界島達大丈夫なのか?」

 

「恐らく大丈夫だろう。今登校している-13組生は今日はずっとここにいたからな。」

 

「そうか?なら大丈夫か。」

 

そんな会話をしていると人吉瞳は突然大声を出した。

 

「あっ」

 

「どうしたんだよ母さん?突然大声を出して。」

 

「今日、ここに無希ちゃんいなかったわよね?」

 

「確かにいませんでしたが、彼女はゲームのクエストをやっていると球磨川は言っていたので大丈夫でしょう。」

 

「いや!めだかちゃんなんでそれ信じてるの!あれは恐らく球磨川くんの嘘よ!急いで合宿をしてる人達と連絡とって!」

 

「えっ!分かりました!」

 

返事をしながら黒神めだかは黒神真黒や阿久根高貴、喜界島もがな、日之影空洞に急いで電話をかけたが、誰一人電話が繋がることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈箱庭学園内のとある道〉

「いやー。やっぱりゲームは楽しいな。こんど球磨川先輩君に頼んでまたやらせてもーらお。」

 

スキップしながら人形岬無希は笑顔でそう呟いた。

 

 

 

 

 

………血だらけの制服を着て、血だらけの大きな鉛筆を手で回しながら。

 

 

 

 

 

 




無希ちゃんが最後しか出ていない?だって思ったより庶務戦書くの難しかったんだから。えっ、最初の方しか庶務戦は書いてない?そこは言っちゃダメ。
※誤字脱字を見つけたら報告よろしくお願いします。きっと無いはずだけど。それと感想待っています。


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-9話

注意:無希ちゃんは今回も出番が少ないです。


その空間は血が飛び散り、壁や床はあちこち割れたり、壊れてたりしてた。そして床の上には人が三人、体の至る所に怪我を負い倒れており、人が二人立っていた。片方男で、倒れている三人の様に体の至る所に怪我を負い、いつ倒れてもおかしく無い状態で。もう片方は女で、怪我を負っているものの、どれも軽い怪我だ。男は自分が守るべき三人を傷つけてしまった事を後悔し、そして目の前の女に怒りを抱きながら絶望した様な表情を浮かべ。女の方は傷つき倒れた三人と絶望した様な表情をした男を見て楽しみ、歪んだ笑顔を浮かべ。

 

「ふふふふふふふふふ」

 

「に、人形岬いぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「ふふふふふふン!!」

 

そして二人は再び衝突した。

 

 

* * * * *

 

 

庶務戦終了から2日経ったある日、黒神めだかや人吉善吉、二人は箱庭学園近くの病院を訪れていた。病院を訪れた理由は2日前に全身に大怪我を負った状態で時計台地下五階駐車場で発見され、未だに目を覚まさない黒神真黒や阿久根高貴、喜界島もがなの三人の見舞いと今朝目を覚ました日之影空洞から2日前地下駐車場で何があったのかを聞くためだ。

 

 

「それにしてもめだかちゃん、あの三人本当に大丈夫なのか?」

 

黒神真黒と阿久根高貴、喜界島もがなの三人の見舞いをし、日之影空洞のいる病室に駆け足で向かっている途中に人吉善吉は黒神めだかにそう言った。

 

「ああ。今の所は命に別状は無いと医師が言っていたし、あの三人の事だから恐らく大丈夫だろう…」

「ああ…、それもそうだよな」

 

そして二人の間て日之影空洞のいる病室に着くまでの間、沈黙が生まれた。

 

 

トントン、

「日之影前会長、失礼いたします」

「失礼します」

「ああ、どうぞ」

 

黒神めだかと人吉善吉が扉の前で挨拶をすると中からすぐに返事が帰って来た。そして二人は病室の中に入った。病室の中には体中を包帯で巻かれたり、ギプスを付けたりしてベットに寝ている状態の日之影空洞がいた。

 

「そこ、座って良いぞ」

 

日之影空洞はベットの側に置かれている二つの丸椅子を指差しながら病室に入って来た黒神めだかと人吉善吉にそう言うと、二人はそこに座った。

 

「日之影前会長、早速で悪いかも知れませんが単刀直入に聞きます。5日前、時計台地下駐車場で一体何があったのですか?」

「ちょっとめだかちゃんいきなり過ぎだろ!日之影先輩は今朝目が覚めたばかりなんだから!」

「いや、大丈夫だ人吉。それにこの事をお前らに話せるのは今は俺だけなんだからな。俺が話さなきゃなんないんだ」

 

その時二人は、日之影空洞が少しだけ暗い表情をしてそう言った様に見えた。

 

「だけど黒神。少し長くなってしまうかもしれないが、時間とかは大丈夫か?」

「はい、時間なら大丈夫です」

「分かった。なら始めるぞ」

 

日之影空洞はそう言いながら5日前の時計台地下駐車場で起きた出来事を頭の中で思い浮かべ、そして語り出した。まるで、犯罪を犯してしまった人が自分の罪を告白するかの様な暗い口調、そして表情で……

 

 

 

 




いやー、結構オリジナルシーンを書くのって難しい。他の人達てどんな風に考えて書いているんだろう。
それと感想待っています。誤字脱字は多分無い筈…


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-10話

投稿が遅れてすいません。
今回は主に人吉くん視点です。注意:今回はちゃんと無希ちゃん出ます。


日之影空洞は暗い口調、表情のまま5日前に起きた出来事俺とめだかちゃんに話し始めた。

 

「5日前、俺達が特訓中の休憩をしていた時、突然エレベーターが開いて奴が現れた。人形岬が現れた。奴は現れたかと思ったら俺達に突然襲いかかって来たから俺達は身を守る為に奴の攻撃を少しだけかすったりもしたが奴に反撃を加えたりして奴を倒し、奴を拘束しようとした瞬間………、俺達は何故か重症を負って地面に倒れていた。そして逆に奴の傷はほとんど治っていた。そこからは一方的に奴に攻撃され俺達は倒れていった。これが5日前に起きた出来事の全てだ」

 

「「………」」

 

「俺は彼奴らを守らなきゃいけないのに、守らなかった。先輩失格だな」

 

「「………」」

 

俺とめだかちゃんは日之影先輩が何故話しを始める時に罪を告白する様な雰囲気をしてたのかを話しを聞き終えて理解した。

 

* * * * *

 

帰り道、俺とめだかちゃんの間で沈黙が生まれていた。きっと、めだかちゃんもあの話しを聞いた後にどんな話しをしたらいいのかが分からないんだろう。んっ、向こうから誰か来るな。あれ、あいつはまさか!

 

「あれれ?めだかちゃん君と人吉くん君じゃない。こんな所で何してるの?」

 

「なっ、貴様は人形岬同級生!」「人形岬!」

 

「そうだよ。みんな大好き人形岬だよー」

 

「何でお前が此処に居るんだ!」

 

「何でって。そりゃ、()()()()()()()()()()()()()()()。怪我して入院してるって聞いたから」

今こいつなんて言った?日之影先輩達のお見舞いだと?自分で日之影先輩や真黒さん、阿久根先輩、喜界島を病院送りにしておいてこいつは何を言ってやがるんだ?俺は頭の中で何かが切れ………、

 

「うにゃ!」

 

「待つんだ善吉!!」

 

めだかちゃんが急に俺の腕を掴んでいた。人形岬を殴ろうとして顔の目の前まできてた腕を。

 

「なんで止めるんだよ、めだかちゃん!!こいつは日之影先輩達をあんな風に!!」

 

「そうだよ、めだかちゃん君。別に止めなくても良かったのに」

 

「人形岬同級生、貴様は少し黙っていろ!善吉、確かに気持ちはわかるが、感情的になっては駄目だ!日之影前生徒会長の様に正体不明な能力で反撃を食ってしまうかもしれん!ましてやルールの無い喧嘩では過負荷(マイナス)の方が有利だ!」

 

そうだった。こいつは母さんが過負荷(マイナス)の中で特に危険だと言っていた奴だ。それによく考えてみると日之影先輩達相手に勝つほどの戦闘能力があるんだ。確かにめだかちゃんの言うとうりだ。

 

「分かったよ、めだかちゃん」

 

「うむ、分かればいいのだ。それで何故貴様は此処に居るのだ?」

 

「だーかーらー!日之影先輩君達のお見舞いだって言ったじゃん。あっ、だけど何か人吉くん君に恐い思いさせられたから止めて帰るよ」

 

「そうか」

 

「あっ、そういえば人吉くん君」

 

「なんだよ、人形岬」

 

「えーとね、あんな程度の事でそんなに怒っていたら将来ハゲちゃうよー」

 

「なっ、テメーあんな程度の事てどうゆう事だ!」

 

「あんな程度の事は、あんな程度の事だよー。じゃあねー、お二人君」

 

そう言って人形岬はさっき来た道を引き返して行った。そんなあいつを見ながら俺はあいつを倒してやると深く決意し、

 

「めだかちゃん、戦挙絶対に勝とう!」

 

「ああ、もちろんだ善吉」

 

生徒会戦挙を絶対に勝ってやると決意した。

 

* * * * *

 

「いやー、人吉くん君もめだかちゃん君も球磨川先輩君が言っていたとうり面白そうだなー。本当面白そう過ぎて遊ぼう(壊そう)としかけちゃったよ。球磨川先輩君と安心院さん君に止められてるだから気をつけなきゃなー」

 

人形岬はそう言いながら路地裏を進んで行った。何人ものボロボロな男達が倒れた路地裏を。

 

「あぐぁ…」

 

「あがぁ…」

 

「うぐぅ…」

 

「ふふふふふふ、楽しみだなー遊べる(壊せる)時が。君達もそう思うよねー」

 

その言葉に返事を返せる者はもうその路地裏には居なかった。

 

 




次は出来るだけ早く投稿出来る様にしないと。
感想お待ちしてます。誤字脱字は無いと信じてる。


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-11話

今回は結構無希ちゃん出ます!


その教室(空間)に好んで入ろうとする、近付こうとする人間はいないだろう。何故なら、その教室には過負荷(マイナス)が5人も集まっているのだから。もしそんな人間がいるとすれば、それはまともな人間ではないだろう。

 

教室の中央には何種類かのお菓子が並べられた机が置かれ、その周りに椅子に座ったり、立ったりして5人は集まっていた。

 

「球磨川先輩君、球磨川先輩君」

 

『なに、無希ちゃん?』

 

「この前のゲーム面白かったのでまたやっても良いですか?良いですよねー。ダメな訳がありませんよねー」

 

『んー、やっても良いけど、あんまりやり過ぎないようにね。僕らはまだ健全な未成年なんだからね』

 

「はーい(棒)」

 

「てか、球磨川さん、今日は何の用なんだよ」

 

志布志飛沫がポッ◯ーを食べつつ、つまらなそうな顔をしながら球磨川禊に尋ねた。

 

『えーとね、今回は次の書記戦に向けてちょっと言っておきたい事があったから集まってもらったよ』

 

「言っておきたい事とは何ですか?球磨川先輩?」

 

『ずばり、スカウトする事についてだよ。気まぐれな不知火ちゃんは多分戦ってくれないと思うからね。』

 

「球磨川先輩君、誰をスカウトするんですか?」

 

『どう考えても過負荷(こちら)側な人間。名瀬夭歌だよ』

 

* * * * *

 

「おめーは確か人形岬だったけ。邪魔だからどけよ。古賀ちゃんがまちくたびれちまってると思うし」

 

「えー、やだよ、めんどくさいし」

 

名瀬夭歌を過負荷側に引き入れる為に球磨川先輩君が交渉したけど失敗しちゃったなー。言うのが早そうだけど面白そうだからもうあの事言っちゃおう。

 

「それにさ、君を待ってる古賀ちゃん君は今みんなと遊んでると思うから」

 

「どういう事だ?」

 

『もー、断られた腹いせに古賀ちゃんを襲わせて死体になった古賀ちゃんを見せて名瀬さんを驚かせたかったのに。ばらさないでよねー、無希ちゃん』

 

「やめろ!古賀ちゃんは関係ねーだろ」

 

『関係無いとは酷いね。君の友達だろ』

 

やっぱり此処で言って正解だった。名瀬先輩君の焦ってる顔、面白すぎる。やばい、吹きそう。

 

『みんなー?もうやっちゃって良いよー、………分かった、代るね。名瀬さんと話したいってさ』

 

「もしもし、………」

 

「球磨川先輩君、どうしたの?」

 

『いやー、みんなめだかちゃん達にやられちゃったみたい。名瀬さーん、めだかちゃんにみんなを虐めないように言っといてくれない?』

 

「…人の心配してる場合じゃ無いぜ先輩。生まれて初めてだぜ、誰かを手ずからぶちのめしたいと思ったのは」

 

『じゃあ、此処で僕とやる?』

 

「あんたを倒すのは妹の仕事だからよー、俺はそいつで我慢してやる」

 

球磨川先輩君の代わりにぶちのめさせられる人大変だなー。誰がやられるんだろ。ん、あれ、あの手、僕の方に向いてない?いや、いや、まさかそんな訳は無いよねー。きっと他のみんなだよ。

 

「人形岬でよ」

 

やっぱり僕でした。分かってましたよ。まあだけど、また名瀬先輩君の面白い顔が見れるかもしれないし、まあいっか。めんどくさいけど。

 

「いいよ、名瀬先輩君。じゃあさ、次の書記戦に出てね。そこで戦って(壊して)あげるからさ」

 

「いいぜ。ぶっ潰してやるからよー!」

 

 

 

ふふふふふふふふふふふン!どうやって名瀬先輩君を壊して壊して壊して壊して壊して壊し尽くそうかな?

 

 




誤字脱字があったら報告お願いします。感想も待っています。


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-12話

いつのまにか前の投稿から3ヶ月ぐらい経ってしまってた。本当すいません。


生徒会戦挙書記戦 当日

 

「それでは、これより生徒会選挙書記戦を始めさせていただきたく存じます。まず始めに黒神さま、球磨川さまは少々前に来てもらってよろしいでしょうか」

 

黒神めだかと球磨川禊は疑問に思いつつ前に出た。そして、前に出た二人の腕を長者原融通が三つの手錠で繋いだ。

 

「…これは一体何の冗談だ?」

 

「いえ、あなた方は試合後も暴れるなど戦挙に支障を来たしかねないので、互いに互いを拘束していただく措置でございます」

 

『もー、長者原くん。そんな事しなくても僕は暴れないのに。それに、僕なんかと繋がれためだかちゃんが可愛そうだよ』

 

「…私は構わん」

 

「次に名瀬さま。あなた様は今回阿久根さまの代理でエントリーされましたが、あくまでも代理ですので、現生徒会側が勝利しても書記職に就くのは阿久根さまということをご了承ください」

 

「ああ、別にいーよ。俺は元々あの人形ナンチャラを倒せれば文句はねーからな」

 

「人形ナンチャラじゃなくて人形岬だよー。忘れないでよねー、名瀬先輩君!」

 

「ではこれより書記戦の試合形式を決めていただきたいと思います。人形岬さま、13枚のカードから一枚お選びください」

 

「んーと、じゃあ…それ!」

 

人形岬無希は台に置かれた13枚のカードの中から酉のカードを指差し、長者原融通は酉のカードをめくった。

 

「書記戦の形式は『燕の越冬』に決定いたしました」

 

「燕の越冬? 今度は燕を使うってことか?」

 

「いいえ、人吉さま。本物の燕を使うわけでは無く、燕は今回はあくまでモチーフでございます。書記戦の勝利条件は相手より長く建物内にいること。つまり我慢比べにございます」

 

「我慢比べ?」

 

〈箱庭学園内の校庭〉

「こちらの建物が今回の書記戦の舞台となります」

 

長者原融通の指差す先。そこには夏休み前までは無かった二階建ての正方形型の建物があった。

 

「それでは、これより書記戦のルールを説明するため、まずはこちらの建物について説明させていただきます。この建物は見ての通り二階建てになっております。二階は零下50度の極寒空間、一階は床に100度以上に熱してある鉄板が敷き詰められた灼熱空間となっております。また、この建物の一階と二階の移動は、四隅に設置された階段と中央の螺旋階段です」

 

「なっ、こんなとこで我慢比べをすんのかよ……」

 

「黒箱塾時代は氷室と火を放った家の二つを使って試合を執り行ったそうです。今回の試合は我慢する事が越冬の見立でございます。そして立候補者こそが燕であり、この試合は厳しい環境に耐える燕ということにございます」

 

長者原融通の言葉を聞いた現生徒会側のほとんどは絶句し、思考が停止してしまっていた。

 

「それではルール説明に入ります。①スタート位置は別々②建物から出たら負け③十秒以上意識を失った場合は負け④建物の破壊を目的とした行動をした場合は負け⑤降参は可⑥物の持ち込みは必要最低限の物以外は五種類まで、以上が主なルールとなっております」

 

長者原融通がルールの説明を終えると名瀬夭歌の手が静かに挙がった。

 

「なあ、長者原くん。服とかは持ち物に含まれるのか?」

 

「服は必要最低限の物となりますので、持ち物には含まれません。ですが、ジャンバーや帽子といった無くても問題ないような物は持ち物に含まれますので、名瀬さまの着けている包帯とナイフは持ち物に含まれますのでご注意下さい」

 

「そうか、ならこれは外しておくか」

 

名瀬夭歌は着けている包帯とナイフを外した。

ほとんどの人が思考停止する中、名瀬夭歌は既に試合に勝つ為に頭を回していた。

一方、もう一人の立候補者の人形岬無希も頭を回してはいた。だがそれは試合に勝つ為ではなく名瀬夭歌をめちゃくちゃにして壊す為だったことは誰も気づいていなかった。

 

「ねーねー、長者原くん君。五種類まで持ち込み可ってことはー、五種類までなら何個でも持ち込んでいいのー?」

 

「はい、問題ございません」

 

「良かったー」

 

「皆さま、他にはありませんでしょうか? では、試合は今から三十分後に開始いたします。名瀬さまと人形岬さまは持ち込みたいものを開始までの間に選挙管理委員まで申請しておいてください」

 

「はーい」「おう」

 

* * * * *

 

「では時間となりましたので両者建物に入ってください」

 

「わーい、僕が一番のり!」

 

人形岬無希は元気よく扉を開け手からて名瀬夭歌をめちゃくちゃにして壊す為に舞台(地獄)へ入っていった。

 

「さてと、行くか」

 

名瀬夭歌は静かに扉を開けて人形岬無希を倒して勝つ為に舞台(地獄)へ入っていった。

 




〈名瀬夭歌 持ち込み品〉
・注射
・メス
・クーパー
・ノーマライズ・リキッド
・GW1516

〈人形岬無希 持ち込み品〉
・鉛筆
・デジタルカメラ
・ボイスレコーダー
・睡眠薬
・自白剤


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-13話

〈建物紹介〉
一階
・2つの扉は対面になるように設置
・四隅に二階へ続く階段が設置
・床には熱せられてる鉄板を敷き詰めている
二階
・四隅に一階へ続く階段が設置
・天井に冷凍装置を設置


建物に入った人形岬無希は扉の前で走り回っていた。

 

「熱い、熱い、熱ーい。ナニコレ?熱すぎるでしょ」

 

一方、同じく建物に入った名瀬夭歌は()()()()()()()

 

「流石のマイナスでもこれはキツイのか?」

 

「いやいやいやいや。僕はマイナスだけど一応人間なんだよー。マイナスとか関係なしでこんな所はキツイよ!」

 

「そうか。じゃあ建物から出たらどうだ?」

 

「そうだねーって出ないよ! 出たら負けじゃん! 絶対出ないからね名瀬先輩君」

 

「良かったぜ。それなら心置き無くお前をぶっ潰せるからよー!」

 

名瀬夭歌は()()()()()()()()を人間岬無希に5本投げた。

 

「えっ、ちょっ、待って。うぎゃっ」

 

人形岬無希は避ける事が出来ず、体に注射器が刺さってしまった。

 

「いってー。もう、熱いし、痛いし……、これでもくらえー」

 

さっきのお返しとばかりに人形岬無希は名瀬夭歌に鉛筆を何本も投げた。だがそれが体を傷つけることはなかった。名瀬の着ているアンダーウェアにぶつかりそのまま刺さらずに落ちてしまったからだ。

 

「アレ?何で……」

 

人形岬無希が疑問で頭がいっぱいになり立ち尽くしてる中、建物に備え付けてあるスピーカーから音が鳴った。

 

【名瀬さま、選挙管理委員会として説明を求めます。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「漠然とした聞き方だねえ、長者原くん。なぁーに、これが只のアンダーウェアじゃねえって話さ。どんな環境、大抵の攻撃に耐えられる全方位型実験服、黒鬼(ブラックオウガ)!! こいつを着ているお陰でこの熱さや人形岬の野郎の攻撃も問題ねえってわけさ」

 

「なっ、何だよそれー。何でそんなの今着てるんだよー!」

 

「そりゃ勿論今回の書記戦用に色々文献を読み漁ったりして、対策を練って挑んでるからだよ。まさか、反則とは言わねーだろわな長者原くん」

 

【ええ、最低限の物である服の種類指定などはされておりませんので】

 

「だってよ、人形岬」

 

名瀬夭歌に呼ばれた人形岬無希はいつもの元気さはほとんど無くなりとてつもなく熱い空間の筈なのに震えてしまっていた。

 

「えっ、えーと、えっと、えっと、えっと、えっと……、あっ! だっ、だけど名瀬先輩君、それでも僕のスキルの正体はわわかんないよねー。からさっきから近づいてこないんでしょ」

 

「ああ、確かにお前のスキルは一週間色々調べたりしたが結局わかんなかったぜ」

 

その言葉に先程まで元気がなくなってた人間岬無希は一気に元気になった。

 

「そうだよねー。わかんないよねー。だ、だから怖いよねー」

 

「いや、怖くないさ。だってお前のスキルはノーマライズ・リキッドで封じたからな」

 

「封じた? えっ? 封じた?」

 

「ああ、そうさ、封じたんだ。さっきお前に投げ刺した注射の中に入れといたのさ。さてと、あとはお前の倒す(意識を奪う)だけだ。それとも降参するか?」

 

そして、名瀬夭歌は完全に元気が無くなってしまった人形岬無希に近づいていった。

 

「えっ、えっ、えっ、えっ。……おりゃー!!」

 

人形岬無希は近づいてきた名瀬夭歌に向かって鉛筆を我武者羅に投げながら近くの階段へ走り、上っていった。

鉛筆は見当違いの所に飛んでいったり、体に当たるも黒鬼(ブラックオウガ)に阻まれ落ちていった。一本だけ包帯を少し破り頬に当たったものの()()()()()にしかならなかった。

 

「ハーァ。こうなると弱いものいじめみたいで気分が悪いぜ」

 

そう一言言うと人形岬無希を追い二階(極寒空間)へ続く階段を上っていった。

二階に上がりながら名瀬夭歌は顔に巻いてた包帯を外し、注射の中に入ってたノーマライズ・リキッドを水がわりにして染み込ませた。包帯は二階に着くと部屋の寒さで凍り鈍器となった。

 

部屋の中央に人形岬無希は立っており、名瀬夭歌は少し不審に思い注意して走りだし鈍器を振った。

 

「はあ!!」

 

「うぎゃっ」

 

鈍器は腹部にめり込みながら人形岬無希の体を壁まで吹っ飛ばした。

人形岬は飛ばされながらも鉛筆を投げたが名瀬夭歌を傷つけることはできなかった。

人形岬無希は壁にぶつかり倒れたまま荒い呼吸で動かなかった。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ」

 

「人形岬、お前の負けだ。さっさと降参しろ」

 

「はあ、はあ、はあ、はあ……こ、こう、さん? ふ、ふ、ふ、ふふふふふふふ」

 

「何がおかしいんだ」

 

「お、おかしいよ。だって、だってね……」

 

人形岬が言い淀んだ次の瞬間、突然名瀬夭歌の()()()()()()()()()、そこから大量の血が吹き出した。

 

「なっ……」

 

そして、人形岬無希は()()()()()()()()()()()何もなかったかのように満面の笑みを浮かべ立ち上がった。

 

「僕はまだ負けて無いからねー」

 

 




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