BLEACH〜ソードアート・オンライン〜 (銀河 流星)
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アインクラッド編
第1話「壊れたゲームバランス」
アスナ可愛いですよね?
自分は、アスナ大好きですよ〜www
今回は、そんなソードアート・オンラインと自分が昔から大好きだったアニメBLEACHをコラボさせたいと思います。
一体どんな話になるのか……お楽しみください。
深夜、誰もが眠りについている中空座町の街を駆け巡る一人の少年と1匹の
「そこまでだ!!喰らえ、月牙天衝ッ!!!」
そう叫びながら一人の少年は青白く光る大きな刀身の刀を振り下ろした。その刀身から放たれた青白い斬撃は、この世界に存在する
これが、17歳の死神代行
彼は、二年前死神であった
「黒崎。」
「石田?珍しいな、こんな時間帯に何のようだ??」
屋根の上にいる一護を呼び止めたのは、
「何のようだって、君が虚と戦ってるから心配してきたんじゃないか!奴らの所へ向かう準備は出来てるのか?」
「俺は、いつだって行けるぜ!後は、
数日前、一護のクラスメイトで特殊な能力を持つ
「そう言えばチャドは準備出来てるのか?」
「あぁ、後は朽木さんたちを待つだけだ。」
屋根から飛び降りた一護は、雨竜にそう質問すると、彼も今の仲間の現状について一護に言う。
その時だった……!?
『……
一護の脳に直接響き渡る声……。聞いたこともない声だが、何処か絶望の淵に立たされ悲しく切ない声だった。
「石田、何か聞こえなかったか?」
「いや、何も……。」
慌てた一護は、雨竜に質問するがどうやら一護しか聞こえていないらしい。
疲れてると悟った一護は、雨竜に詫びを入れてから家に戻り目の前にある自らの
「何だったんだ…さっきの声……。」
そう呟いてから再び自らの肉体と同化して眠りについた。
一方、一護の世界とはまた別の世界では大事件が発生していた。
2022年、科学技術の進歩により人々が手にしたのは、仮想空間に入れると言う最新型ゲーム《ナーヴギア》が全国で流行していた。そのナーヴギア専用の1本のゲームソフト「ソードアート・オンライン(略してSAO)」をプレイ開始した1万人がログアウト不可能になるという非常事態に陥った。クリア条件は、ゲームクリアのみ……。
そんなある日……。
攻略組と呼ばれるSAOの攻略専門組が先に27層のボス部屋へついた頃だった。
「ねぇ、何か嫌な予感しない?」
「奇遇だなアスナ。実は俺もなんだ。」
ボス部屋の門を前にして先頭に立つ黒装束の男性剣士キリトと閃光のアスナと言う異名も持つ女性剣士アスナは、話していた。
しかし、攻略しないと元の世界に帰れない彼らにとって一刻の猶予も残されていなかった。キリトとアスナは、ゆっくり門の扉を開けるとそこから勢いよく走り出した黒い袴を来た人間だった。
「え!?人???」
「アスナ、どうやらこの層のボスらしい。みんな!気を付けろ!!」
迫り来る袴の集団に立ち向かう攻略組。しかし、一人、一人、また一人と攻略組のメンバーが倒されていく……。
「クライン、アスナ、エギル、無事か?」
「あぁ、何のこれしき!!」
「こっちは問題ない。そっちは?」
「俺も、問題ない!アスナ?アスナ!!」
少し離れた場所で戦闘している赤髪のクラインと巨体のつるつる頭のエギルは、心配するキリトに向かってそう言う。しかし、先程まで横にいたアスナから返事がない。斬りかかろうとする数人の敵を斬り倒してアスナを探すと赤い後ろを縛っている髪の人の攻撃を受けて吹き飛ばされていた。
「これで終わりにしてやるぜ!」
「くっ……。」
地面に倒れたアスナのHPが半分を切った。その男は、他の人と少し変わった剣を持っていた。普通の日本刀から幅広の片刃剣で、分割された刃節をワイヤーで繋いだいわゆる蛇腹剣に変わっていた。
「俺の蛇尾丸に大人しく喰われろ!」
そう言って蛇尾丸を振り上げた男の前にキリトが現れるが構わず伸びた蛇尾丸は、キリトの左肩を食い込んで切り刻んだ。
「ぐわぁっ!!」
「キリト君!!」
後ろへ倒れたキリトにアスナが近づく。それを見た男はまた攻撃をしようとしたが攻略組の1人がアスナやキリトを庇って男の前に立って蛇尾丸を止めたが、刀身が折れて真っ二つに斬られて死んでいった。
「アスナ!キリト!こっちだ!!」
エギルは、キリトを持ち上げると慌てて門の方へ行きボス部屋を後にした。
外に出たアスナ達は、転移結晶を使い安全な場所へ避難した。しかし、キリトのHPは既に底を尽きていた。
「キリト……死ぬなよ!お前さんが死んだら誰がこのデスゲームを攻略すんだよ!」
クラインは、意識が薄れるキリトに向かってそう伝える。しかし、既にHPが0になっているキリトの身体は、光りだして消滅への準備をしていた。
「嫌だ!死なないで!!キリト…君……」
キリトは、結晶のように砕けて消えた。それを見たアスナは、ショックで泣き崩れた。SAOの世界では蘇生方法などはない。ましては、さっきの集団を倒さない限り元の世界には戻れない。
「……
泣きじゃくりながらアスナは、そう呟いた。今じゃあ、攻略組のメンバーはほぼ全滅……。ましては、あの特殊な剣を使いこなす敵には、勝てない……。
「誰か……助けてよ……。」
そう言うアスナをエギルやクラインは、見てられなくて視線を逸らした。
《次回予告》
キリトは死んだ……。
あの日以降、アスナ達は剣を握ることは無かった。
残された数千人の命は!?
また、時代と世界が違うBLEACHの世界では尸魂界の技術開発局から浦原喜助へあるメッセージと荷物が届いていた。その中身と内容とは!?
第2話「SAOの世界へ!!」
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第2話「SAOの世界へ!!」
死神代行黒崎一護は、藍染惣右介によって連れ去られた仲間である井上織姫を助けるために虚圏へ向かおうとしていた。
一方、SAOの世界では剣を武器とした黒装束の集団に襲われて壊滅的な被害を受けた攻略組。その中にビーターである黒い剣士キリトも重症な被害を負い死んでいった。
キリトが死んでから数日……。
これまで攻略組が攻略してきた階層にもあの集団が迫り来るようになりクエストを攻略しようとするプレイヤーを次々と殺されていった。
「なぁ、エギル。キリトの奴が死んでから次々と上の層にいた人が殺されたっていう情報しか聞かなくなったな……。」
「あぁ、それに……アスナも部屋から出てこないみたいだしな……。」
エギルの武具店に来たクラインは、カウンターでエギルと二人っきり話していた。あれから変わったのは自分の命を大切にする人が増えてエギルの収入が減った事だ。カウンターの片隅には、キリトが愛用していたアニールブレードが形見として飾られていた。
アスナは、自分のミスで一人の少年を殺してしまったことに少しの後悔と心奥底にある絶望が彼女を戦闘から遠ざけていた。
「まぁ、こうして俺達も剣を握ることをしなくなったしな。」
「あぁ、キリトの死はある意味この世界の人々の生き方を大きく変えたからな。」
そう言ってから二人は、アニールブレードを見つめた。キリトが死ななければこんな事にはならなかった……。
クラインもエギルもそう思ったからだ。
場面は180度変わり、夕方の空座町。
町外れとまではいかないが、人気のないところにある小さな店浦原商店に一護達は、集結していた。
「で、浦原さん。話ってなんだ?」
「実は、大変なことになっていてですね……。」
浦原商店の居間にいるのは、一護、雨竜、茶渡と浦原喜助だった。浦原喜助は、いつもより真面目な眼差しで話し始めた。
「少し前、技術開発局からあるメッセージと荷物が届いたんですよ。」
「荷物?」
「で、内容はどんなのなんですか?」
荷物という言葉に疑問を持つ一護だが、それよりそのメッセージの中身が気になる雨竜は浦原に質問した。
「読みますから少し待ってください石田さん。えぇっと……。
技術開発局から死神代行へ。
つい数日前、藍染惣右介率いる破面の集団が虚圏から消えたという情報を確認。彼らの霊圧は確認出来ない状態だと言うことだです。調査を進めると、藍染一派が時空を超えてその世界の仮想空間へ入り、崩玉を使い悪さをしようとしてるみたいですね。」
「仮想空間!?何だそれ???」
「言わいるこの世界ではない世界。アニメの世界や二次元とかなら分かるかい?」
「あぁ……何となく……。」
技術開発局から送られたメッセージの中にあった仮想世界に疑問を感じた一護は、すかさず質問すると雨竜が簡単に例えを交えながら説明した。
「藍染惣右介が関わってる以上放っておくわけには行きません。黒崎さん、今から別世界の仮想世界に行ってもらえますか?」
突然の浦原の言葉にみんなが驚いた。仮想空間に行くことだっていくら技術開発局のサポートがあったとしても成功するか分からない。さらに別世界へ行くのだから不安もあった……。片道切符でこっちに帰ってこれないかもしれないそんな事が一護の頭を過ぎった。しかし、
「藍染がそっちで悪さをしようとしてるなら俺は、それを止める!」
「分かりました。黒崎さんの肉体、精神、全てをデータ化して仮想空間に送り込みます。では、時空移動用穿界門を開きます。向こうについたら、黒崎さんはこれを被って仮想空間に向かってください。」
「待ってください!」
まとまって終わろうとしていた話を雨竜が止めた。机を叩くと同時に雨竜は、浦原の顔を見つめていた。
「それじゃあ、黒崎はどうなるんですか?」
「と言いますと?」
「何で井上さんを助ける前に黒崎だけ危ない所に向かわせるんですか?それに、時空を超えることが上手くいったとしてその後、黒崎がここに帰ってこれる保証はあるんですか?」
「まず、どうして黒崎さんだけって意見ですが……それは、彼がこの中で一番強いからです。次に帰ってこれる保証ですが……時空移動用穿界門を開ける人がいない限りなく0に近いと考えてもらって構いませんよ。」
「でも!」
「石田、もう良いよ。さっきも言ったけど俺は、藍染を止める。例えこっちに戻れなくても……。」
「それで良いんですね?黒崎さん。」
浦原の質問に一護は無言でうんと頷くとみんな地下にある特訓場へ移動した。思えば、ルキアを救う為に一護が初めて尸魂界に向かったのもここが始まりだった……。その地下では、鉄裁を中心に既に穿界門の準備が進められていた。
「では、黒崎さん。これを持っていってください。」
そう言って荷物と称された段ボールの中からヘルメットみたいのとルキアが愛用してた記換神機と似てるものだった。
「時空を超えたらどこに着くか分かりません。最悪、他に人にバレたらこの記換神機を使ってください。」
「分かった。」
「それから……必ず藍染の野望を打ち砕いでください。」
そう言われた一護は、うんと頷くと同時に穿界門の枠の中が青白く光出した。
「石田、チャド、井上を……頼んだぜ!」
「あぁ!」
「任せろ、黒崎。」
二人の言葉を聞いた一護は、世界を超える覚悟を新たに決めて
「じゃあな!」
と言ったから穿界門の中へと向かって行った。
穿界門をくぐり抜けた先には、近未来の日本の首都東京だった。
「……ここが、別世界!?」
一護がついた場所は、よく分からないビルの屋上だった。夜の都会であることから街灯やビルの窓から光るライトの光などが眩しかった。
「……久しぶりだね、黒崎君。」
すると、綺麗な夜空が口を開くのかのようにゲートが開くとその中から藍染惣右介が高みの見物をしてる態度で立っていた。藍染が現れた瞬間、一護は眉間にシワを寄せながら睨みつけた。
「藍染……。」
「そう睨まないでくれたまえ。こうして、君とは世界という軸を超えてまで出会えたのだから。」
「テメェ、この世界で何をする気だ!?」
「私がしようとしてるのはね……この世界と我々がいた世界を支配することにあるのだよ。この世界には、虚も死神も居ない。更にこの世界で起きているデスゲームによって出た魂魄を使い虚あるいは、破面を作り世界を征服する。これが私の狙いだよ。」
「そんな事……させてたまるか!!」
一護は、すかさず制服の後ろポケットに入れていた代行証を取り出して自分の胸に当てて自分の身体と魂を分離させて死神の姿となると背中にある斬月の柄を右手で握った。
「おっと、まだ君とはやり合わないよ。私は、死んだ人の魂魄を回収しに来たのだ。」
「なん…だと!?」
「それでも対決したいというのなら……。」
一護は、突然襲ってきた絶望により思わず右手を斬月の柄から離してしまった。
何故なら、藍染の隣りには……
「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠す者よ!真理と節制、罪知らぬ夢の壁に僅かに爪をたてよ!!破道の三十三!蒼火墜!!!」
懐かしい声と共に青白い稲妻が一護の横をすれ違った。後ろでは物にあたり爆発が起こると一護は、眼の前の人物をしっかり見た。
「ル…ルキア!?」
驚く一護とは真逆にルキアは、斬魄刀の柄に手を伸ばすと鞘から抜いて一護へ向かって振り下ろしてきた。
《次回予告》
SAOの現実世界にやって来た黒崎一護の前に現れた藍染惣右介と朽木ルキアだった!?
一護は、戸惑いながらもこの世界で初めて斬月に手をかける。
第3話「兄の敵!?直葉の想い」
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第3話「兄の敵!?直葉の想い」
世界を超える片道切符の旅に出た黒崎一護を待っていたのは、藍染惣右介だった。
死神も虚も居ないSAOの世界で藍染は、人の魂魄から破面や虚を作り出して大軍を作ろうとしていた。
それを阻止しようとする一護の前に現れたのは……一護に死神の力を与えた朽木ルキアだった!?
斬魄刀をしっかり握って振り下ろすルキアの行動に驚く一護だが、斬月を手に取り何とかその一撃を防いだ。
「何でルキアがここに!?」
「貴様に答える義務などない!!」
ルキアは、そう言うと力で押し潰そうとするが、一護はそれを振り払いルキアと距離を取った。
「……クッ!戦うしかないのか!?」
ルキアの目を見た一護は、彼女が本気で殺しに来てると感じたので斬月を両手で握って正面で構えた。
「舞え……、
ルキアが唱えた始解と共に彼女の斬魄刀の刀身も鍔も柄も全て純白になると柄頭に先の長い帯が付いた形状になった。
「ルキア、目を覚ましてくれ!!俺だ!一護だ!!」
「そんな名など、聞いたことない!」
ルキアはそう言って一護へ向かってまた斬り倒そうと袖白雪を振るが、それを一護は躱して空中へ移動した。
「いつまで逃げているのだ!?」
「言われなくたって……月牙!天衝ッ!!」
挑発された一護は、斬月を振り霊圧の斬撃、月牙天衝を放つが軽々と躱されると次はルキアが両手を前に突き出す。
「破道の六十三、双蓮蒼火墜!!」
そう叫ぶと同時にルキアは、蒼火墜の上位技である双蓮蒼火墜を一護に向けて放つが一護はそれを斬月で斬りギリギリ躱した。
このままでは、殺られると思った一護はルキアと更に距離を置いた。
「もう終わりかい?」
開きっぱなしのゲートの前にいる藍染がそう一護に聞いてきた。高みの見物をしている藍染の顔を睨んだ一護は、舌打ちをした後ルキアを再び睨んだ。
「まだまだだッ!ウオォォォォォォォォォォォッ!!!」
そう叫ぶ一護の霊圧は急上昇すると、右手に持っていた斬月を前に突き出すと左手は右腕を握る構えをしていた。
「卍・解ッ!!!」
一護を凄まじい霊圧の渦が包み込むと、一護本人は黒いロングコートに似た独特の死覇装を身に纏っていた。
「天鎖斬月!」
一護の右手に持っていた斬月は、卍型の鍔、柄頭に途切れた鎖がついている全てが漆黒に染まった長めの日本刀に変化した天鎖斬月となっていた。
「久しぶりに君の卍解を見たよ。あの頃より進化してるところを少しは見せて欲しい。」
「うるせぇぇぇぇぇッ!!!」
一護の卍解を見た藍染が懐かしさに浸る中、一護は天鎖斬月に霊圧を込めると、ルキアに向かって振り上げた。
「月牙…天衝ッ!!」
赤黒い月牙天衝がルキアの方へ飛んでいくが瞬歩で躱したルキアは、一護の背後を取ると袖白雪で一護の背中を斬ると背中から激しい痛みを一護は感じた。
赤黒い血が斬ったルキア本人の方へ飛び散って顔とかにかかる。一護は、瞬歩で逃げて元いた場所へ戻ってきた。
「ねぇ!起きてよ!!ねぇってば!!どうしよう……」
後ろから女の子の声が聞こえた。慌てて振り向いた一護は、自分の体を揺らしながら反応しないはずの身体に声をかけている女の子が居た。
「目障りだな。」
そう呟いたルキアは、遂に袖白雪を構えて能力を解放しようとした。
「舞え、袖白雪……次の舞・白漣!!」
「ヤベェ!!」
そう言うと一護は、自分の身体と隣に居る女の子を守るために迫り来る雪崩のような凍気の前に立ち塞がると、左手を額に持ってくると、彼の霊圧がそこへ集まると当時に顔を撫でるように左手を下げた。すると、顔にはなかったはず虚の仮面が出現していた。
「ほう……彼は、遂に死神と虚を超越した存在になったのか。」
その姿を見た藍染がそう呟く。一護の中には、虚が眠っておりその力を制御する特訓を今までしてきたのだ。
(今は、退くしかないか……。後ろの娘のためにも……。)
「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!」
一護は、自らの考えをまとめると再び雄叫びをあげて天鎖斬月を両手で握り振り上げた。赤黒い一護の霊圧が刀身から溢れ出ていた。霊圧も前放った月牙天衝の時より遥かに上だった。
「月牙…天衝ッ!!!!」
これまでに無い凄まじい霊圧のこもった月牙天衝が次の舞・白漣とぶつかり合って爆発した。
「ルキア君ご苦労様です。さぁ、帰りますよ。」
「はい、藍染様。」
そう言って藍染とルキアは、ゲートの中に向かっていた。それを確認した一護は、安心した様子でため息を吐いた。
「ちょっと!いつまで私の口を塞げば気が済むの?」
「あぁ、ワリィ。」
安心した一護の隣りには、中学生ぐらい女の子が座っていた。あの爆発の時、瞬歩して身体に戻った一護は、その娘を連れて物陰に隠れていたのだ。
「もう、死んでるのかと思ったら急に生き返るんだからビックリしたじゃない!!」
「だから、ワリィって。それより何でここに?」
一護は、女の子一人で来ないような所に何故いるのか気になったが、それを聞かれた彼女は、急に元気をなくした。
「それは……えっと、SAOをやって意識がないお兄ちゃんのお見舞いに……。」
「お前、兄貴居るのか?」
更に質問した一護に対して無言で頷いた。その姿を一護は、自分の妹である優杏や夏琳に重ねていた。
「なぁ、お前の兄貴の意識が戻らない理由を教えてくれないか?」
「え!?もしかしてSAO事件知らないの?」
どうして意識がないか気になった一護は、すかさず質問すると今度は、その娘が驚いた表情で質問して来たのを今度は一護が頷いた。
「今の時代、SAO事件を知らないって珍しいね。じゃあ、教えたあげる!今から、半年前……。ナーヴギアって言う仮想空間で遊べるゲーム機が開発されてその一つとしてソードアート・オンライン。略してSAOが発売されたんだけど……ログインした人達が現実世界に帰ってこないって言う緊急事態に陥ったの。今も帰ってこない人たちは、山のようにいるわ。」
仮想空間……
浦原さんが言ってたのと同じだと一護が理解するとこの世界に持ってきた段ボール箱をここで開封し始めた。
「それって……ナーヴギア!?何で?SAO事件で全て回収されたはずなのに……。」
「あぁ、これは知り合いからもらったんだ。それより、SAOのソフトはあるか?」
「それも今回の件で全部回収されちゃって今は、友達から譲ってもらったのしか……。」
「じゃあ、それを貸してくれ!」
「え!?そんなのダメに決まってるじゃない!!」
ナーヴギアもある、最後のSAOのソフトもある、これで藍染の待つ仮想空間に行けるはずだったが、そのソフトを持ってる彼女が認めてくれなかった。
「あんた分かってるの!?このゲームの中に入るってことは、生きて帰ってこれるかわからないんだよ!現にお兄ちゃんだって帰ってこないし……。そんな事をさせる訳ないじゃない!!だから、私がこれを使ってゲームの中に入る!!」
「確かに、大好きな兄貴が目の前から居なくなったらそれは不安になるよな。俺の妹達もそんな想いしてるのかも知れねぇ……。でも、そんな危ないゲームにやって来て仮に兄貴に会えたとしてお前の兄貴は、それを喜ぶか?」
女の子がそれを使って大好きなお兄ちゃんを助けると明言すると一護は、そのお兄ちゃんが喜ぶか質問した。すると、女の子はだまって俯いてしまったが、そんな彼女の肩を一護がポンと手を置いた。
「そんな事されたって俺は嫌だと思うぜ。大切な妹が戦場に立ってんだからな、お前の兄貴だってそうだ。大切な妹だと思ってるから待ってて欲しいと思うんだ。それに必ず俺が救い出してやる!だから、安心しろ。」
そう言い終えた一護は、肩に置いた手を頭へ動かして女の子の頭を撫でた。その温もりが意識のない兄と似てるのか、彼女はしばらく泣き出してしまった。その後、泣き止んだ女の子と共にその娘の兄の病室へやって来た。
「
「はい、私はお兄ちゃんの妹の
「そうか。俺の名は、黒崎一護。よろしくな、直葉。」
「はい!宜しくお願いします。一護さん!!」
出会ってから数分たっての自己紹介を済ませた一護は、たまたま空いていた隣りのベットに横になりナーヴギアを被った。
「じゃあ、行きますよ?今からSAOのソフトセットしますから
「あぁ、宜しく頼む。」
そう言うと直葉はSAOのソフトを入れて設定を全て終えた。一護は、楽な姿勢をとりゆっくり瞳を閉じてから言われた通りに言った。
「
《次回予告》
遂にアインクラッドへやって来た一護の前に現れたのは浅打と呼ばれる斬魄刀を持った下級死神達だった。
死神の力を封じられた一護は、背中にある初期装備の剣を取り出し戦闘を開始した。
第4話「始まりの地」
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第4話「始まりの地」
死神代行黒崎一護は、SAOの現実世界にやって来るとそこで待っていたのは藍染惣右介と朽木ルキアだった。動揺する一護に構わず攻撃するルキアだが、何とか追い払うことに成功した。
そして、この世界の住人である桐々谷直葉と出会う。兄想いな妹直葉の想いを受け継いで一護は、仮想空間へと向かう!!
しばらくして一護は、ゆっくり目を覚ますと自分の視界に映り込む手や身体を触りながら確認していた。一護の装備は全て初期の装備で今、彼がいる場所はアインクラッドの第一層。半年前、全ての始まりはここから始まったと言っても過言ではない始まりの地だった。
「ここが……仮想空間か。」
そう呟いた一護は、次に辺りを見渡して話しかけやすい人を探していた。何もかも初めてな一護にとってそれが不安を解消する唯一の方法だった。
「おい!」
一護は、振り向くと何者かがいきなり剣を振り不意討ちをしてきた。それを躱した一護は宙返りして体勢を整えた。
「何者だ!?」
「悪いが、愛染様の為に貴様にはここで死んでもらう!」
良く見ると、黒い死覇装を着た死神が10人ほど立っていた。彼らのカーソルは赤……。ボスモンスターや人を殺した事のあるレッドプレイヤーなどにつく色だ。一護は、代行証を使い死神になろうとしたがその代行証すらない事を知った代わりに背中にさやに仕舞われている大刀がある事に気づいた。
「……死神の力もどうやら
一護は、彼らの表情や視線でそれを判断して背中に装備していた剣に手を伸ばしてゆっくり抜き構える。その剣は、大刀。それも一護がルキアから初めて死神の力を受けた時に発生したあの無銘の剣だった。
「さて…行くぜ!」
そう言って大刀を肩に乗せた一護は、死神達に睨みを効かせると何人かビクついたが先頭にいる人以外は、鞘から剣を抜き取り構えた。
「「「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!!」」」
そう叫びながら一護へ向かって突き進む死神集団の剣を全て躱して一護は、大刀を振り回して死神集団にダメージを与える。すると、死神達のHPが一護の与えた一撃により相当減って赤になった。
(どうやら、格闘ゲームと同じ要領みたいだな……。次の一撃で終わらしてやる!!)
「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!」
そう叫びながら一護は、大刀を両手で持ち思いっきり振り上げた。すると、大刀の刀身が青白く光り出した。
(な、何だ?これ。月牙天衝?……じゃないみたいだな。)
突然の事に驚きを隠せない一護だが、迫り来る死神集団に向かって思いっきり振り下ろした。
すると、物凄い圧力によって吹き飛ばされた死神集団に今度は一護が近寄り次々と斬り倒して行った。
斬られた死神集団は、HPがゼロになりその場で消滅した。大刀を背中にある鞘に仕舞いこむと、一護の目の前に敵を倒した報酬みたいなのが映し出されていた。そこで一護は、ある異変に気づく。
「な、何だこれ?Lv.90?」
今、始めたばかりなのに一護のレベルは90になっていた。まるで、今までの戦闘データもそこに組み込まれてるかのように……。
「君、ちょっとイイかな?」
一護は、少し身構えながら振り向くとそこには、凛とした男性プレイヤーが立っていた。
「そう身構えなくていい。私は、
「初めまして。俺は、黒崎一護だ。」
一護がそう言うとヒースクリフは、クスクスと笑い出したが、一護には何故笑ってるのか意味が分からなかった。
「何がおかしい?」
「いや、失礼。まさか、リアルの名前を言うとは思ってなかったからね。」
「俺、実は今日始めたばかりでこの世界のこと全くわかってないんだ。それに、リアルだろうがゲームだろうが俺が名乗る名前に変わりはねぇし。」
「分かった。今後、黒崎君と呼んでもいいかな?」
「あぁ、問題ないぜ。」
「では、立ち話も何だし何処か移動しようか。」
そう言うとヒースクリフは、一護を連れて近くのレストランへと入り込むと一番奥の席へと座り込んだ。テーブルに置かれたお冷を口にしたヒースクリフは、少し間を挟んでから一護に質問した。
「単刀直入に言おう。我ギルド、血盟騎士団に入ってほしい。それで、攻略組を再び復活させこのデスゲームを終わらしたいと考えている。君の剣術を見て頼んでいるのだが……どうかな?」
「別に俺は構わねぇけどよ、この世界について情報が知りたいんだ。その血盟なんちゃらに入る代わりに幾つか教えてくれないか?」
一護が出した条件にヒースクリフは、快く了解して彼の質問に全て答えた。
「なるほど……。藍染のせいでこの世界のゲームバランスが崩れたのか……。」
そう呟いた一護は、腕を組んで考えるが、ある言葉が彼の頭の中をよぎった。
それは、桐々谷和人の妹桐々谷直葉の事だった。彼女は、自分の兄を助けたいと言う強い想いがあった。
「なぁ、もしこの世界で死んだらどうなんだ?」
「もしHPがゼロになったら今君が装着しているナーヴギアから特殊な脳波により脳を焼き尽くすと茅場晶彦は言っていた。最初の頃、説明と同時に茅場がリアルのニュースを見せてたぐらいだから本当だろう。」
「そうか……。分かった、サンキューな!」
そう言うと一護はレストランを出ようとしたが、ヒースクリフは少し待たせた。
「我、血盟騎士団はまだ人数が少ない。君も血盟騎士団副団長として戦力になりそうな人たちを集めてほしい。」
「分かった。それじゃあ、明日な!」
そう言って一護はレストランを後にすると鍛冶屋か何処かで装備品である服を手にしたいと想い街を歩いていた。
「そこにお兄さん。何か買ってかねぇーか?安くするぜ!」
街を歩いている一護に声をかけたのは、エギルだった。一護は、エギルの店の中に行き売り場に並んでいる装備品を一つ一つ確認していた。
「なぁ、服ってあるか?」
「あぁ、これなんてどうだ?」
エギルは、そう言って黒と白のコートみたいなのを一護に見せた。
「じゃあ、これにしようかな。」
「まいど!」
こうして、服を購入した一護は装備メニューからそれを選択して装備した。
「そう言えば、一ついいか?」
「ん?何だ??」
「ここら辺に閃光のアスナが居るらしいんだけど……知ってるか?」
「あ、あぁ。知ってるけど……何でだ?」
「ギルドってのに誘いたいと思って…この辺りじゃあスゲー強いって聞いたから。」
「おい、ちょっと待てよ!!」
店内に入ってきた男性プレイヤーが一護の胸元を掴んできた。その男の正体は、クラインだった。
「おい、落ち着け!クライン。」
「これが落ち着いてられるか!ソロだったけど……キリトだって立派な俺達の仲間だ!仲間が死んでショックのアスナさんをまた戦場へ連れ出そうって言うなら俺が許さねぇー!!」
「じゃあ、テメェは現実に帰りたくねぇのか?」
クラインは、エギルの忠告を聞かず一護に訴えた。仲間が死んでショックなのは一護にも伝わる。しかし、一護はそんなクラインに一つの質問をしながらクラインを細い目で睨みつけた。
「帰りてぇーさ!けどよ、俺達が再び剣を握ることはもう……。」
「何畏れてんだよ……恐怖を捨て、前を…現実を見ろよ!!キリトって奴もだってそう思ってるはずだ!自分の敵を仲間が必ずしてくれるって信じてな……。」
一護もクラインの胸ぐらを掴んでそう言った。確かに人は誰しも悲しい時もあれば絶望だってする。でも、一護はその試練を誰よりも多く経験してきたから言える強い言葉だった。
「お前、口だけは達者みたいだな。それだけ言うってことは実力はあるんだろうな?なら、俺と
「デュエル?」
デュエルを申し込んだクラインは一護から手を離して外へ出るように合図するとクラインの後に続いて一護は、エギルの店の外へと出てきた。すると、クラインはデュエル申請を一護へ送り許可を待った。それに対して一護は、丸ボタンを押して初撃決着モードにした。それを見たクラインは、ゆっくり鞘から日本刀っぽい剣を抜き出して構えると、一護も背中にある鞘から大刀を突き出して構える。刻々と秒数だけ減っていった。その様子をエギルの店の2階の窓からじっくり見てる人が居た。その人物は何故か、一護が亡くなったはずの大切な仲間に見えた。
遂に、カウントダウンが終わりデュエルスタートになった。
「行くぜ!ハァァァァァァァァァッ!!!」
クラインは、一護に近寄り剣を振って彼の大刀と剣を交えた。
《次回予告》
クラインとのデュエル……。
男と男の真剣勝負に果たして、一護は勝てるのか!?
そして、遂にアスナがレイピアを持ち一護の前に現れる。
第5話「一護VSアスナ!」
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第5話「一護VSアスナ!」
SAOの仮想空間にやって来た黒崎一護は、そこでヒースクリフと出会いギルド「血盟騎士団」に入団した。
その後、エギルの店に立ち寄った一護は服を購入後アスナをギルドに誘おうと彼女の情報を集めていた所にクラインが止めに入った。しかし、いつまでも後ろを見てるわけにいかないと言う一護に対してクラインはデュエル申請をした。
かくして、一護はクラインとデュエルをする事になった。
「ハァァァァァァァァァッ!!!」
カウントダウンが終わりデュエルスタートとなると、クラインは勢い良く一護に近寄り剣を振って彼の大刀と剣を交えると、クラインの刀身が光り始めた。
「これが、テメェのソードスキルか?」
「その台詞……おめぇ初心者か?」
「かもな!!」
クラインは、力で押し切ろうとするが一護も大刀の刀身も光らせてクラインの剣を振り払うと、大刀を大きく振りかぶると真っ直ぐクラインに向けて振り下ろした。それを受け止めようとしたクラインは、剣を横にして受け止める。剣と剣の間では、激しい火花が散った。
しばらく剣を交えていた二人だが、先に一護が動いた。力で押し切り、クラインをフラつかせると勢い良くジャンプした。
「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
一護は、気合を入れると刀身を青白く光らせながらクラインの前に着地すると同時にクラインの肩に剣道の面をするかのように刀身をぶつけた。
すると、クラインのHPが半分を切りその時点でデュエル終了。一護の勝ちだ。
「クッソー、おめぇ強ぇな!」
「それはどうも。クラインも中々だったぜ。」
勝負後、二人は握手を交わした。スポーツマンシップに乗っ取ったという感じだろうか。
「クライン!どうだった?」
「強過ぎたよ。俺達じゃ到底追いつけないレベルだった。まさか、肩に刀身が当たる程度でHPが半分も削られるなんてな。」
隣で見ていたエギルがクラインに感想を聞いて来た。それに対してクラインは感じた通りの感想をエギルに伝えた。
「……。」
2階から見ていた謎の人物は、近くに置いてあったレイピアを持ち部屋を後にした。
「見たか?あの黒服の人、一撃で相手のHPを半分にしたぞ!」
「あぁ、アイツもビーターじゃないのか?」
周りで見ていた観客達は、ガヤガヤ騒ぎ始めた。一撃で相当な量のHPを削った一護をビーターと勘違いする人だっていた。だが、一護本人には何言ってるのか全く理解出来なかった。
「そこの君!」
一護は、後方で呼ばれた感覚がしたので後ろを振り向いた。そこには、レイピアを持ったアスナがエギルの店から出てきた。
「俺か?」
「えぇ、私を探してるみたいだけど……どうして?」
「あぁ、ギルドの『血盟騎士団』に入ってほしいんだ。」
一護は、真っ直ぐな視線でアスナに要件を伝えた。アスナは、少し戸惑いを覚えたそんな時彼女の脳裏にある言葉が浮かんできた。第一層のボスを攻略した後にキリトに言われた言葉だった。
《君はもっと強くなれる。もし、仮に誰かにギルドに誘われたらその時は断るなよ。ソロプレイには限界があるから。》
すると、アスナは鞘からレイピアを抜き出して剣先を一護に向けて指した。
「私がギルドに入るには条件があるわ。私とデュエルしなさい!」
「デュエル?……あぁ、良いぜ!」
一護は、そう答えるとアスナは一護にデュエルの申し込みをした。それに対して一護は、丸ボタンを押してデュエル開始までのカウントダウンが始まった。
「貴方、名前は?」
「黒崎一護。聞いて分かる通り、リアルネームだ。」
「そう、私はアスナ。よろしくね!」
一護は、再び背中にある鞘から大刀を抜き出して構えた。アスナもゆっくり戦闘態勢に入るとその可愛さとは無縁の睨みを効かせていた。
無言の時間が過ぎて、カウントダウンがゼロになり遂に一護とアスナのデュエルが始まった。
先に動いたのはアスナだった。彼女は、レイピアを素早く動かして何度も一護の胸部ら周辺を突くが、それを大刀で受け止める一護……。
しかし、アスナの素早い突きが何度か一護の身体に命中した。
先に減り始めたのは一護のHPだった。レベルとは関係なしにアスナの強さは、本物だ。
彼女は、一護に怯まず攻撃を続けた。
「グッ!」
一護の口から言葉が漏れた。何度も刺されて、HPの色が緑から黄色に差し掛かる頃、一護は大刀を思いっ切り横に振り剣圧でアスナの動きを止めると一旦距離を置いた。
「あら、もう限界かしら?」
今回のデュエルは、半減決着モード。先にHPを半分以下にした方の勝利だが……。
周りの人達は、みんなアスナが有利と見ていた。その理由はHPを見てすぐわかった。アスナの連撃技が何度か命中してたので一護のHPが三分一を切っていたからだ。
「まだまだ!!」
一護は、そう言うとしっかり二本の足で立ち再び構えると気合を入れ始めた。刀身が光り出してソードスキルが発動した。それを見たアスナも念を込める形でソードスキルを発動させると、一護に向かって接近し再び彼の身体を突こうとした。
しかし、それを一護は大刀を横にして受け止めた。
「そんな!?私のレイピアが!!」
「もらったァァァッ!!」
アスナの背後へ周り込んだ一護は、そう叫びながら振り上げた大刀をそのまま振り下ろした。
やはり、今回も肩にチョンと当てるだけだったがアスナのHPが半分以下となりそのままデュエルは終了。
またも一護の勝ちとなった。
「つーか、何で俺が買い物に付き合わなきゃいけねぇんだよ??」
「しょうがないでしょ、貴方が私のレイピアを武器破壊したんだから。弁償よ!弁償!!」
あのデュエルは、武器を壊した時点で一護の勝ちだった。しかし、初心者である一護にはそんな事知らずにしなくても良かったアスナのHPを半分にしたのだった。
そんな二人は、第1層からだいぶ上の階層の第48層に来ていた。
アスナは、数ヶ月でここまで来たのは速すぎると疑問に思ったが、武具屋を始めた知り合いがいると一護に言って案内してた。
「ねぇ、一護君はどうして私をギルドに?」
「あぁ、あの街に住む人たちがお前なら力になってくれるって紹介してくれたからさ。」
「そう……。」
そう話してるうちに二人は、アスナの知り合いが営む武具屋へ着いた。名前は、「リズベット武具店」。
「リズ〜?」
「あぁ!アスナじゃん。久し振り〜。で、その人は?」
「一護君紹介するね、こちらはこのリズベット武具店の店主リズベット。」
「初めまして、リズベットです。リズって読んでね!」
リズは、元気な笑顔で一護に挨拶をした。そして、すかさずにアスナに一護との関係を迫られ冷やかされていた。
「一護君とは今日会ったの!!もう、冷やかさないでよ!」
「ごめんごめん。」
「リズ、こっちがギルド血盟騎士団の副団長の黒崎一護君。実は、この人に私のレイピア武器破壊されて……リズに作ってもらおうと思って来たの。ウーンっと強いのを作ってくれる?」
「そういう事ね、OK!任して。」
そう言ってリズは早速店の奥へ行きレイピアを作る作業へと取り掛かった。その間、一護とアスナは近くの広場で休んでいた。
「それにしても、仮想空間なのに良く出来てるよな。この天気とか。」
芝生に寝転がった一護は、ひなたごっこしながら寛いでいた。そんな彼にアスナは質問してきた。
「そう言えば、一護君って今来たんだっけ?向こうの世界では、デスゲームって知ってるのに何で?」
「それは……、知り合いの妹から兄貴を救い出して欲しいって頼まれて……。それでここに来た。」
「え!?それだけ?」
アスナは、一護がこの世界に来た理由を知って正直凄いと思っていた。自分と関係ない人の為に命を張ることが自分には出来ないからだ。だからこそ、それが彼の強さ何だとアスナは感じていた。
「見つけたぞ!一護!!!」
その声を聞いた一護は、隣に置いてあった鞘を手に取って大刀を抜いたと同時に敵と剣を交えた。
その敵の正体は、スキンヘッドで三白眼の強面の男で、目元に赤い化粧を入れている、戦い大好きな11番隊第三席
「一角、お前もなのか!?」
「俺は、ゲームだとか現実だとかそんな事どうでも良い!一護、お前もやり合えればな!!」
一護は、一角の凄い霊圧を肌身で感じていた。そんな中、アスナの周りを4、5人の下級死神が囲んでいた。
「一護君!!」
「アスナ!!」
今のアスナには、武器がない。それに比べて下級死神達は、腰に納めていた刀を抜き構えるとアスナを今にも斬ろうとしていた。
「止めろォォォォォォォッ!!!」
一護は、そう言うと大刀で一角の斬魄刀をなぎ払い二度斬ってから下級死神達を大刀で斬り退かしてアスナを助け出した。
「大丈夫か?」
「うん…、ありがとう……。」
「一護、本気でやり合おうぜ!延びろ、鬼灯丸!!」
しかし、一角は一撃と戦う為に斬魄刀と鞘を縦に繋げ始解すると槍状へと変形して鬼灯丸となった。
「アスナ、コイツらは俺が何とかする。お前はその隙にリズベット武具店に逃げろ!」
「そんなの……そんなの出来るはずがないでしょ!」
「良いから!」
次の瞬間、一護は鬼灯丸を突き刺そうとするが大刀を横にして防いでいた。大刀と鬼灯丸の間では激しい火花が互いの刀身を交える事に発生していた。
《次回予告》
48層に現れた斑目一角と下級死神達。
一護は、武器のないアスナを庇いながら一角との激しい戦闘に挑む!!
第6話「新たな冒険の決意!」
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第6話「新たな冒険の決意!」
色々あって執筆作業の時間が無く長引いてしまいました
「一護、本気でやり合おうぜ!延びろ、鬼灯丸!!」
しかし、一角は一撃と戦う為に斬魄刀と鞘を縦に繋げ始解すると槍状へと変形して鬼灯丸となった。
「アスナ、コイツらは俺が何とかする。お前はその隙にリズベット武具店に逃げろ!」
「そんなの……そんなの出来るはずがないでしょ!」
「良いから!」
次の瞬間、一護は鬼灯丸を突き刺そうとするが大刀を横にして防いでいた。大刀と鬼灯丸の間では激しい火花が互いの刀身を交える事に発生していた。
『クッ……ここは、退くしかない!!』
そう考えた一護は鬼灯丸を振り払うと、アスナの手をしっかり握っていた。
「……ちょッ!!」
「ここは逃げるぞ!!」
動揺するアスナを無理矢理引っ張りながら一護は、一角から離れた。
「逃げたか……おい!お前ら、一護を探せ!!」
一角は、そう下級死神達に支持して捜索を開始させた。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
しばらくして、安全圏内である街に入った一護とアスナはほぼ同時に足を止めた。だいぶ走ったらしく、彼らの息は切れていた。
「ここまで逃げれば大丈夫だろ。」
「う、うん……。」
そう話す二人は、ゆっくり歩きながら呼吸を整えているとアスナは、視線を右下に下げる。そこには、今も一護と手を繋いでいる自分の手があった。それを見た瞬間、アスナは顔を赤くして目線を逸らした。
「どうした?」
「え!?あ、あの……その……手……。」
「手!?」
そう言われて一護は、目線を下げるとガッチリアスナと繋いでいた手を見た。すると、慌てて離そうとする一護の手をアスナはしっかり握っていた。
「……このままでいて!」
「え!?」
「お願い……このままで……。」
恥ずかしながらもそう言うアスナの顔は熱が出たかのように真っ赤になっていた。すると、一護はゆっくりアスナの手を引っ張り大木の木陰へと移動して腰を下ろした。
「……ありがとう。」
「別に気にするような事じゃねぇよ。」
しばらく無言の時が流れていた。
アスナの心臓は激しい音を立てていた。
緊張からなのか、それとも……恋なのか今のアスナには到底分からない物だった。
そのまま数分の時が過ぎると一護は、ある事に気づいた。
「ッチ、囲まれた。」
「え!?」
そう言って立ち上がった一護は、背中にある大刀の柄を握った。すると、草などの影から仮面を被った獣・虚が複数出現した。その奥には鬼灯丸を始解して構えてる一角の姿も……。
「もう逃げんなよ、一護!!」
「……ッち、もう戦うしてねぇのか!」
「どうする?一護君。」
「アスナは逃げろ!」
「どうして!?私も……!!」
戦闘に参加しようとしたアスナだが、一護は隣りにいる彼女の両肩をガッチリ掴んで自分の方を向かせた。
「アスナ、武器は?」
「……ッ!!」
「このゲームで死んだら現実世界でも死ぬんだろ?俺は、誰かを死なせるような真似は死んでもしねぇ!だから、ここは言う事を聞いてくれ!」
一護は、そう言うとアスナは、ようやく意味がわかりそれに頷くと一護は、鞘から大刀を抜き出してリズベット武具店方面の虚を先に斬った。
「早く!!」
アスナは、リズベット武具店を目指して走り出すとそれを防ごうと次々と虚が彼女を追いかけようとするがその先に一護が移動して剣を構えた。
「ここから先は一歩も行かせねぇっ!!」
青白く刀身を光らせてたソードスキルを使い次々と虚の仮面を真っ二つに割る一護だった。
攻略がされて人が住むようになってから少ししか経ってないので第48層には人気が少なくい場所に激しい音が響き渡った。
それを聞いたリズは、少し警戒をして注文されたアスナのレイピアを造ろうとしてた。
「リズ!!」
「ちょっ、アスナ!?アイツはどうしたのよ??」
「そんなことより私の武器は?」
「今、材料を仕入れた所よ。もうちょっと待ってて……。もしかして、例の死神達!?」
リズの質問にアスナはうんと頷いた。すると、リズは今まで以上にスピードをあげて製作に取り掛かった。
『待っててね、一護君!!』
そう思いながらアスナは、一護の生存をひたすら祈っていた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
青年の叫び声とともに硬い金属同士がぶつかる音と少しの火花が散った。一護は、一角の持つ斬魄刀鬼灯丸に苦戦しながらも互いのHPを減らしていた。
一護を囲んでいた虚は全滅した後、一角との一対一となっていた。
「一護、お前は何故死神にならない?」
「何!?」
「お前から霊圧を感じねぇ。」
一角は、そう言うと構えていた鬼灯丸を下ろすとその場から帰ろうとした。
「待て、一角!!」
「アン?何だよ。」
「お前達は何者何だ?」
「コピーじゃねぇのか……。」
逆に質問してきた一角に対して一護は、うんと頷いた。それを聞いた一角は、鬼灯丸を普通の刀に戻して鞘にしまった。
「俺たちは、愛染様に作られたコピーだ。これからはお前を見た瞬間、すぐに斬りに行くから覚悟して過ごすんだな!!」
そう言って一角は、その場から消えた。
『やっぱり……、死神の力をこの世界でも使えるようにしないと駄目か……。』
今の状態でも一角に苦戦していた一護にとってみれば一刻も早く本来の力を覚醒させたいところだが、代行証が無ければ何も出来ない。
どれも一護にとってみれば辛い現実だった。
「居たぞ!殺せ!!」
その場に立ち呆然としている一護に対して仲間が殺された事を知った下級死神が5人ほど束になって斬りかかってきた。
それを一護は、呆然としてただ受けるだけだった。HPが次第に減り始めると緑から黄色へ変わった。
『死神じゃない俺だと誰も相手をしてくれないのか!?』
一護は、周りの敵など眼中になく一角の言葉だけを考えていた。
「何してるの!HPが!!」
すると、後方から新しいレイピアを持って一護の方へ向かうアスナの姿があった。すると、目を覚ましたかのように一護は自分のHPを見て少し慌てた一護は、全身から凄まじい威圧感を放ち下級死神達と少し距離を置いた。
「もう、何やってるの!!後少しで死ぬ所だったじゃない!」
後から隣りにきたアスナがそう言うと一護は、苦笑いで返すと大刀を鞘から再び抜いて構えた。それを見たアスナも少し安心してランベントライトを構えた。
「悪ぃなアスナ。でも、もう大丈夫だ!ここからは、本気で行くぜ!」
「うん!」
並んで立った二人は、それぞれの武器を前に構えると下級死神達は、息を合わせて一護達へ勢い良く飛びかかってきた。それを一護やアスナは次々と躱しながら互いに剣を振った。
『……ッ!!』
そんな戦いの中、一護の脳裏に謎の声がうっすらと聞こえたが、一護は戦いに集中しておりその声が誰の声なのか分かる余地はなかった。
「報告します!藍染様。下の階層で数体の虚や下級死神集団が一般プレイヤーに倒されました。」
「分かった、もうイイよ。」
一護達とは、到底離れた上の階層では藍染が高みの見物を楽しんでいた。
「さてウルキオラ、グリムジョー、こっちに残された意味をわかってるかね?」
「はい、藍染様。私達は、ここに侵入した黒崎一護の抹殺とこの世界を征服する事です。」
「では、早速任務へ向かってもらう。良いね?」
「はい。」
利口に返事するウルキオラとは違いグリムジョーは、腕を組みながら偉そうに聞くと早速その場を後にして作戦へと向かった。
「さて、準備は揃ったな。」
彼らが居なくなった後、藍染はそう呟いてから指をパチンと鳴らした。すると、上から十字架に張り付けにされた一人の少年の姿があった。いや、正確には死んだはずの身体を洗脳用ポットどこかのアニメで宇宙人キャラが回復する時に使うポットみたいに中には全身を覆う液体と酸素マスクがあった。それに少年は入っていて、絶賛洗脳中だったのだ。
「君にもこれから戦場に出てもらう。
藍染は、そう告げると一護達の映っているモニターを見て笑をこぼした。それに意味があるのかはまだ誰も知らなかった。
「今日は助かったよ、サンキューな。」
帰り道、一護はアスナにお礼を述べていた。助けに来てくれたこと、一緒に戦ってくれたこと……今、一護の心は珍しく喜びと言うのに浸っていた。
「別にお礼を言われるようなことはしてないわ。ただ、もう私の前では誰も死んで欲しくないだけ……。」
「そう言えば、前一緒に攻略してた人って何者何だ?」
「名前は、キリト。ビーターと呼ばれる凄腕のプレイヤーだったの。でも……そんな彼でも死神集団の前には敵わなかった……。」
「悪ぃ、聞くべきじゃなかった……。」
「うんうん、私が悪いの。私が……」
そう思い込んだアスナは、初めて涙を一護に見せた。彼女がこれまでどういう戦いをして来たのかは未だに分からない一護だが、これだけは分かる……。
「アスナ……」
そう呟いた一護は、泣いてるアスナに近づき頭を撫でながら自分の方へ寄せた。そして、誰よりも優しく抱きしめた。
「辛かったんだな……。でも、俺は死なねぇ……約束する。だから、今日はいっぱい泣け。辛かった事、苦しかった事、そして……悲しかった事……全部、俺が受け止めてやるから……。」
しばらくアスナは、泣き続けた。その涙はまるで悲しみという名の海から溢れ出した彼女の純粋な想いだった……。
翌日、二人は宿舎に寝泊まりして朝を迎えた。先に起きたのは、アスナだった。窓から差し込む日差しで目を覚ました彼女は、身体を伸ばしたあと隣りのベットで寝ている一護を見た。
『そう言えば私……昨日一護君に抱きしめられたんだった……。』
そう思った瞬間、彼女は顔を赤くしながらも一護の肩を揺すった。
「一護君、朝だよ?」
「ん?アスナか……おはよう。」
「おはよう。」
そう言って起きた一護は、頭を掻きながらベットから起き上がるとストレージにしまった大刀を取り出すと顔を洗いに向かった。
そう、今日は血盟騎士団として初のボス戦なのだから……。
《次回予告》
遂に始まる第50層ボス攻略……。
そこから、藍染惣右介の野望が始まろうとしていた。
一護達、血盟騎士団はこの危機をどう立ち向かうのか!?
第7話「初陣」
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第7話「初陣」
ギルド本部へ来た一護とアスナは、ヒースクリフが座っている幹部の部屋へとやってきた。
「やぁ、一護君。来てくれたか。」
「あぁ、早速、攻略会議を開いてくれ。」
一護は、険しい顔でそう言うとヒースクリフは、「分かった」と言って動きだした。
しばらくして、ヒースクリフ団長から連絡の来たギルドメンバーが集結していた。その数、ざっと数十人……。
「全員、集まったようだな……。では、攻略会議を始めよう。今回のボスは、巨大な仮面の被った怪物だ。しかも、謎の破壊光線を放つらしい。」
ヒースクリフは、部下から受け取ったボスの情報を頼りにみんなに説明をしていた。説明を聞いた一護は、そのフロアボスに心当たりがあった。
『
「どうした?一護君、心当たりがあるのか!?」
「あ、いや……気のせいだ、続けてくれ。」
質問してきたヒースクリフに対してそう答えると一護は、話を最後まで聞いた。その後、血盟騎士団は迷宮区に入るとホップするモンスターを倒すと遂に迷宮区最奥部にあるボス部屋の前までやってきた。
「良いか、我々の目的は一日も早くこのデスゲームを終わらせることだ。」
「「「おぉーーー!!!」」」
各自の気合を確認したヒースクリフは、ゆっくりと扉を開けた。すると、3体の
「やっぱりか……。」
そう呟いた一護は、柄に手を伸ばして大刀を鞘から引き抜いた。すると、メノスは何かを発射しようとする。
「
一護は、そう言って他の仲間に伝えるが既に遅かった。虚閃は、一護とアスナ、そしてヒースクリフ以外の攻略組のメンバーに直撃した。
「嘘、一撃でHPがゼロに……。」
アスナは、虚閃の威力を見てそう呟いた。そこには、絶望という文字がピッタリだろう……。
しかし、一護は違った。虚閃を放ち終えた一体のメノスへ向かって思いっきりジャンプした。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
「一護君!!」
そんな一護を止めようとするアスナだが、一護は、振り被った大刀を思いっきり振り下ろしてメノスの仮面を真っ二つに斬り倒した。
仲間が倒されたことで残り2体のメノスは怒り、再びフィールドへ虚閃を放とうとした。
『やっぱり、こっちの世界に来てる虚やメノスは本来のように仮面を割れば消滅するのか。』
一体を倒した一護は、メノスや虚が通常通り仮面を割れば倒せることを確認してから周囲を見渡した。すると、まだHPのゲージが緑色のアスナの姿があった。
「一護君、前ッ!!」
「何!?」
一護は、そう言って前を向くと一体のメノスが虚閃を放ってきた。迫り来る虚閃を前に一護は、叫びながら両腕に力を込めると大刀の刀身が青白く輝いた。
『頼む、耐えてくれッ!!』
そう思いを込めながら向かってきた虚閃をソードスキルを発動させた状態の刀身で受け止めようとした。
「うぅッ!!」
虚閃の威力が強すぎたのか、あるいは斬魄刀ではないからなのか一護が押されてると誰もが見て分かった。大刀にほんの少しだけ小さな亀裂が入り始めたのを一護は、確認した。
『どうする?瞬歩で逃げたいけど……今の俺に死神の力はない。それに、後ろに居る仲間を見殺しにする事なんて俺には、出来ねぇ!!だから頼む!俺に……俺に力を!!……みんなを護る力を!!』
虚閃を受け止めながら一護はそう祈っていた。すると、急に青白い光が彼の剣の刀身を包み込んで激しく光り始めた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
叫びながら一護は、思いっきり振り下ろすと虚閃を防ぐことに成功した。
「す、スゲー……。」
「あいつ、あの光線を防いだぞ!!」
それを見ていた他のプレイヤーは、驚いていた。一撃でHPを根こそぎ奪っていく光線を大刀のみで防いだのだから。
「……さて」
そう呟きながら一護は、右手で握った大刀を肩に乗せて堂々と立っていた。
「終わりにしようぜ……。」
そう言うと一護は、思いっきりジャンプして先ほど虚閃を放ったメノスに近づくと振り上げた大刀を鋭く振り下ろして仮面を真っ二つに割った。
「す、凄い……。」
「アスナ、そっちに向かったぞ!」
「え、えぇ。了解!!」
そう言うとアスナは、レイピアを素早く動かしてメノスの足者にソードスキルを決めた。
「スイッチ!」
アスナの叫び声と共に一護は、後ろからメノスの顔面まで勢いよくジャンプし、大刀を振り下ろした。仮面の崩壊とともにメノスは、姿を消した。その代わりに《Congratulations》と言う文字が彼の前に出ていた。
「これで……終わりか……?」
息を切らしながら戦闘を終えた一護はそう呟くと大刀を背中にある鞘へと戻した。
「やったね!一護君!!」
「あぁ、次の階層へ行こうぜ。」
そう言うと攻略組は、次の階層へ目指してまた一歩、歩み始めた。
『メノスもデータ化されたのか……。』
宿に戻った一護は、一人部屋で考えていた。他の攻略組メンバーは、「ようやく半分だ」と喜んでいたが一護だけは違った。
『メノスより強い隊長格や破面も普通にいる……そいつらと今の力で対等にやり合えるのか!?』
「何怖い顔してるの???」
そんな考え事をしてる一護に対して部屋に入ってきたアスナは、優しく声をかけた。
「アスナ……いや、何でもない。」
「そう?私には分かるよ。一護君、今凄く怖い顔してる。それに、あのバケモノの放つ光線も知ってたし……。教えて、一護君は一体何者なの!?」
少し寂しそうな顔でアスナは、一護に質問した。彼女も薄々感じていたのかもしれない。一護がこの世界からではなく別の世界から来た人間なのだと……。
「ここまで来ればもう隠す必要もねぇーだろ。」
「え?」
「アスナの感じてる通り……俺は過去からこの世界に侵入してこのゲームのバランスを崩壊させた元凶、を倒す為に……。だから、今回戦ったメノスだって知ってるし今後出てくる死神たちや虚、破面も知ってる。」
「そ、そんな……」
「隠しててごめんな……それと、誘ってて悪いけど……、俺はギルドを抜ける。藍染との戦いにアスナ達を巻き込みたくない。だから……ごめんな……。」
そう言って一護は部屋から出て行った。彼は、この《ソードアートオンライン》と言うデスゲームの中で藍染惣右介の野望と一人戦う事を選んだ。
一護が、アスナと別れたほぼ同時刻……。
アインクラッドの100層にあるボスの部屋で椅子に偉そうな態度を取りながら腰かけている一人の男性がいた。
彼の名は、藍染惣右介。
この仮想世界を侵略しようとする者だ。
「やぁ、目覚めたかい?」
「……はい。」
その藍染の正面に黒いロングコートを身にまとった仮面の剣士が立っていた。剣士は、まるで機械のような口調で藍染の質問に返答した。
「君が今回倒す敵はこの人だ」
そう言って藍染は、指を鳴らしてモニターを動かすとそこに一人の男の映像が流れた。
その強さは、コピーした隊長格と同等と言っても過言ではない。大刀を振り回して次々と敵を斬っていく……。そう、その男は紛れもなく黒崎一護の姿だった。
「この男ですか?」
「そうだ。それに、彼は今ソロの状態だ。何度か奇襲をかければ殺すことも容易いだろう。そこで、君にこの男を倒してもらいたい。良いかね?」
「承知しました。」
そう言い残して剣士は、藍染のいる部屋を後にした。
《次回予告》
ソロで活動することにした一護は、一人ながらも次々と他の階層を攻略して行った。
そんな中、第62層のフィールドで命の危機に瀕している少女と出会う。
第8話「蘇れ、ピナ!~シリカの願い~」
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第8話「蘇れ、ピナ!~シリカの願い~」
自分は、部活やバイトなどで充実してます笑
さて、あのアイドル並みの可愛さで人気のあのキャラの登場です!!
一護が、アスナと離れてから既に数日が経過した。その間に攻略組は、12層を連続でクリアしたという噂が各層で流れていた。その中心的存在がまさに黒崎一護本人なのだ。その奇跡のような活躍と唐突的な彼の登場から周りから《希望の剣士》というあだ名が付いていた。
「さて、次の攻略に出発するか」
そう呟いて一護は、身体を起こすと夜にも関わらずフィールドへ向かった。彼が向かった先は、第62層森林のフィールド……。
時は同じ頃、森林のフィールドに居た小さなパティーが存在していた。そのメンバーの一人除いてみんな実力派プレイヤーで高レベルの人達ばかりだ。
そんな中に、シリカと言う小さなドラゴンを操る少女がいた。彼女達は、ついさっきまで中が良かった……。
そう、ほんのついさっきまで……。
「私、このパティー辞めます!!」
「そんな、シリカちゃーん!!」
パティーリーダーの男性が止めようとするも聞く耳を持たずにシリカは、1人で森の中へと消えていってしまった。理由は、モンスターからドロップした回復結晶の分配についてだった。その後、1人で歩いていたシリカに対して3体の虚が出現した。
「う、嘘!?」
慌てるシリカだったが、その隙に虚は、彼女の周りを囲み動けなくした後、彼女へ攻撃を開始した。
次第に削られるHP……。それをドラゴンのピナが回復させるがピナのHPも減りつつあった。
「に、逃げなきゃ……。」
既に逃げ腰であるシリカは、虚の攻撃によって持っていたナイフ型の短剣を地面に落としてしまった。
「しまった!」
そう言って再び短剣を拾おうとした所へ一体の虚の攻撃が迫る……。怖くなり目をつぶったシリカの耳には、骨が砕ける音が聞こえた。そっと瞼を開くとそこには、HPゲージが赤のピナの姿があった。
「ピナ!!」
慌ててシリカは、ポーチから結晶を取り出そうとしたが、既に切らしており中は、空っぽだった。
「そんな……。」
次の瞬間、虚はピナを攻撃してHPをゼロにしてしまった。ピナは、割れた結晶のように破片を残しながら消えていった。
「そんな……ピナ……」
目から溢れる涙……。シリカは、膝をつけながら絶望を味わっていた。そんな彼女へ虚達が迫り来る。
「誰か……誰か、助けて……」
戦う気力をなくしたシリカは、そう呟いたその時、虚の頭を通り越してシリカの前に現れた一人の少年の姿があった。
「大丈夫か?」
そう、フィールドへ攻略に出ていた黒崎一護だった。シリカはうんと頷いて返事するとそれを見た一護は、ゆっくりと大刀を鞘から抜いて構えた。
「待っててくれ、すぐ終わらせる。」
そうシリカに言った一護は、地面を強く蹴り飛ばすと大きくジャンプして虚の仮面を真っ二つとした。
「す、凄い……」
後ろで見ていたシリカは、そうボソリを呟いた。そして、一護が参戦して30秒もせずに出現した虚は全滅した。
「大丈夫か?」
「あ、はい……でも……ピナが……」
そう言うとシリカは、子供のように泣き始めた。彼女の泣く姿を見た一護は、何となく自身の妹である
「それは?」
「えっと……ピナの心……って書いてあります。」
シリカは、そう言ってピナが心を抱きしめて何度も亡くなったピナに謝っていた。そんな彼女を黙って見ていた一護は、ヘルプ画面を開いて「使い魔蘇生方法」を探していた。
「……あった。そのアイテムを一旦ストレージにしまって街に戻ろうぜ。そのピナって奴を蘇生する方法を見つけたんだ。」
「本当ですか!」
「あぁ。俺、一護。君は?」
「私、シリカって言います!一護さん、ありがとうございます!!」
ピナが生き返る事ができると知ったシリカは、元気になり一旦街へ戻った。
翌日、一護とシリカは46層にある「思い出の丘」と呼ばれる場所へ向かっていた。その近くには、デートスポットとなっており周りにはカップルらしき男女ペアのプレイヤー達が沢山いた。それを見たシリカは、少し焦り気味になりながら髪を整えた。
「じゃあ、行くぜ?」
「あ、はい!」
そう言って彼らは歩み始めた。
歩き始めてからしばらく経つと、思い出の丘に着いた。そこで蘇生アイテムをゲットした二人は、丘を降り始めた頃、歩み出していた一護の足がピタリと止まった。
「底に居るのは分かってんだ、出てこいよ。」
そう言われて木陰から出てきたのは、先日シリカと仲違いした女性プレイヤーのロザリアだった。
「貴方、結構な索敵スキルの持ち主ね。」
「スキルなんて持ってねぇよ、大体の感覚で分かる。そもそも、俺はテメェに用があったんだ。オレンジギルドのリーダー、ロザリア!」
一護は、悪人を睨む目つきでロザリアを睨んだ。話についていけないシリカは、テンパりながら状況の把握に務めていた。そんな中、ロザリアはストレージからアイテムを具現化した。そのアイテムは、サッカーボール並の大きさをした球体だった。
「私を見つけた記念にいい物を見せてア・ゲ・ル。お前達、出番よ!!」
そう言ってロザリアは、球体を天に掲げると赤色に光り始めた。球体は、そのまま展開しながらロザリアの周りに数体の人間の形をした何かが形成された。
「テメェらは、一体何者なんだ?」
「コイツらは、少し特殊でね。プレイヤーの思考を殺人と忠誠心しか考えないようにを改造したのよ。」
「そんな事が出来るのかよ!?」
「出来るのよ、ある男のおかげでね。さぁ、あの男を殺しなさい!!」
そうロザリアが言うと出現した5人のプレイヤーは、それぞれ所持していた武器を握りしめて一護との間を詰めると思いっきりその身体を斬った。
「あいつら……殺る気なのか!?」
そう呟いた一護は、そいつらと距離を置いた。そこで、鞘にしまってある大刀の柄を握り鞘から取り出すと剣道のように構えた。
「一護さん!!」
「シリカ、お前は転移結晶を持って待っててくれ。」
「でも……」
一護は、戦闘へ参加しようとしたシリカに待機の指示を出した。すると、5人のプレイヤー達は一護との間を詰めた。
「行くぜッ!」
その合図と共に一護は、大きくジャンプして彼らの後ろへ回ると、物凄いスピードで彼らの武器を破壊して行った。
「す、凄い……。」
目の前の光景を見たシリカは、唖然とした。凶暴そうな人たちを一撃で戦闘不可能へと追い込んだ一護の剣技が凄まじく綺麗だったのだ。
「ほら、残りはアンタだけだ!」
「くっ……、私を傷つければアンタだってオレンジプレイヤーの仲間入りよ!」
そう言うロザリアに向かって一護は、瞬間移動……いや、瞬歩を使って目の前まで移動すると大刀をロザリアの喉付近へ近づけた。
「オレンジだろうが、レッドだろうが俺には関係ねぇ!俺はただ、死んでいった仲間のために懸命になるあの男との約束を守る為にならオレンジにだってやる!!」
一護は、そう言うとロザリアは地に膝をつけた。その後、一護はその男からもらった牢屋行きの回路結晶を使ってロザリア一行を牢屋へぶち込むと昨夜居た宿舎へ戻った。
「悪ぃ、シリカ……。ロザリアを誘き出すために使わしてもらった形になって……。」
「いえ、イイんです。でも、凄いじゃないですか!あの強さ攻略組にも中々居ませんよ。」
「そうか……、俺は攻略組だ。」
「え!?一護さん攻略組だったんですか?」
「あぁ、俺は必ず100層攻略してみんなを解放する!それまで……」
一護は、そう言ってシリカの両肩をしっかりと掴んだ。すると、真剣な眼差しで彼女の綺麗な瞳を見続けると、最後に彼女にこう告げた。
「それまで、ピナと2人で生き抜け!!」
こうして、一護とシリカの小さな冒険に幕を閉じた。二人はそれぞれ自分の道へと歩み始めたのであった。
《次回予告》
数日ぶりに顔を合わせた一護とアスナ。
そんな二人の前に立ちはだかる敵とは!?
そんな敵の狙いは……!?
第9話「狙われたアスナ」
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