大洗女子学園って戦車道やらなくてもなんとかなるんじゃね? (ボッチボール)
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大洗女子学園って戦車道やらなくてもなんとかなるんじゃね?

役人「今年度をもって大洗女子学園は廃校となります」

角谷「なんで?」

大洗女子学園の生徒達って基本的にチート揃い、多少話は拡張してますが廃校にするのは勿体なくね?
そんな感じで書きました。


「廃校ッ!?」

 

「学園艦は維持費も運営費もかかりますので、全体数を見直し、統廃合する事に決定しました」

 

私の名前は『辻 廉太』、文科省学園艦教育局の役人にして『文部科学省学園艦教育局長』です。

 

近年、増えすぎた学園艦による維持費や運営費は国の税金ではとても賄えるものではなくなり、文科省は学園艦の統廃合という政策を決定しました。

 

近年目立った実績の無かったり生徒数が年々減って来ている学園艦がその対象であり、ここ、県立大洗女子学園もその対象です。

 

どうやら昔は戦車道が盛んだったらしいですがそれも20年も前の話、今はもう特に目立った物も無い、見るべき所の無い普通の学園艦がこの大洗女子学園だと調査は済んでいます。

 

「特に成果の無い学校から廃止していきます」

 

「それって…私達の学校が無くなるって事ですか?」

 

「納得出来るか!!」

 

「今納得していただなくても、今年度中に納得して貰えれば結構です」

 

私が今居るのはその大洗女子学園の生徒会室、目の前にはその生徒会メンバーの三人です。

 

…やれやれ、やはり想像通りですね、どの学園艦の生徒達もそうやって駄々をこねるものだ。

 

今まで廃校を告げて来たどの学園艦でも同じように、子供には大人の事情がまるでわかっていませんね。

 

「じゃあ来年度には…」

 

「はい」

 

「急すぎる!!」

 

すいませんね、上層部がいろいろとうるさくて、ですがこれもスケジュールなんですよ。

 

「大洗女子学園は近年、生徒数も減少してますし、目立った活動もありません、昔は戦車道が盛んだったようですが…」

 

「…目立った活動?」

 

そんな私の話に彼女達大洗女子学園の生徒会、その会長が答えます、見た目にはとても高校生とは思えませんが。

 

「…まさか戦車道やって全国大会を優勝する、なんて言い出さないでしょうね?」

 

やはり見た目通り、高校生とは思えないくらい知恵が浅いですね、そんな絵空事は不可能に決まってますよ。

 

「ん?んな訳無いじゃん、戦車も無いし、素人ばっかだし、それでどうやって優勝すんの?」

 

…おや?

 

「うちの水産科、あんこうの養殖に成功してるんだけど?」

 

「え?はい?あんこう?」

 

あんこうってあの高級食材の?

 

「知らないの?あんこうの養殖ってズワイガニ養殖以上に不可能って言われてたんだよ、あんこうの生息地って深海でしょ?そのあんこうの養殖する空間作ったり、育成に手間と技術のかかるあんこうの種苗の生産にも成功してるんだから」

 

…あれ?あれれ?今の水産技術ではあんこうの養殖到底不可能のはず。

 

あんこうの養殖に成功という事はあん肝やあんこう鍋等の美味ですが大変高値な料理も今より市場に回せる…。

 

「…ごほん、ですが部活動ではどうですか?なにやらバレー部なんて廃部になったと聞きますが」

 

「あぁ、部員四人だし仕方ないね、でもその四人とこの二人で全国大会優勝したチームと練習試合して勝ったよ」

 

「それは…この二人がすごかったのでは?」

 

特に片眼鏡…、私と眼鏡キャラがかぶりますが、広報さんの方は出来る女性の気配がします。

 

「むしろ桃ちゃん、すごい足引っ張ってたよね」

 

「う、うるさいッ!ちゃんと言われた通り後半は何もせずただ立っていただろ!!」

 

「…それでどうやって勝ったのですか?」

 

「んー…、根性?」

 

なんですかそれ?馬鹿にしてます?

 

「しかし公式試合に残らない結果では意味がありませんね…」

 

「あぁ、なら自動車部とかどう?」

 

「自動車部…ですか?あまり聞きませんが」

 

「自動車ってか…走る物にはなんでも強いね、文科省の役人さんならティーガーⅠは知ってるよね?」

 

「…当然です」

 

「そのティーガーⅠの弱点の足回りを強化して高級セダン並の乗り心地とスポーツカーレベルのドライビングを両立させたんだよねぇ、まぁレギュレーション違反になるから頼まれてた黒森峰からは怒られたみたいだけど」

 

「…は?」

 

え?なにそれ聞いてない、黒森峰といえば全国大会9連覇もした戦車道の名門校ですよね?

 

「他にもプラウダからKV-2、聖グロリアーナからはチャーチルの走行スピードも上げてくれって依頼が来てるんだよねぇ」

 

「し、しかし、戦車を自動車部の活躍と認める訳には…」

 

「なら自動車部としての腕前だね、うちの自動車部は母港に帰港したら整備工場の手伝いしてるみたいだけど、なんでも通常の5倍は仕事がさばけるって評判いいよ、あっ、これその整備工場の連絡先ね」

 

…多い、どれだけプロの方々に頼られているんですか?大洗の自動車部は。

 

「せ、整備だけを自動車部の活躍と認める訳には…」

 

「運転の方もすごいよ、ドリフトとかコーナリングとかさぁ、フェラーリ相手に勝っちゃうし、学園艦GPとかやっちゃう?」

 

「ぶ、部活動の方はわかりました…、ですがほら、その、あっ!ほら、学生の本分は学業ですから!勉強が疎かではいけません!!」

 

「なんなら全国模試でもやってみる?私もうちの副会長も今からでもいいよ」

 

…広報さんは?なぜか顔を青ざめてますけど。

 

「なんなら2年に冷泉ちゃんって子が居るんだけど、その子呼んで来ようか?大学クラスの問題出してもいいよ?」

 

…この会長さんの妙な自信にはなにやらとても嫌な予感がするので止めておいたほうが良さそうですね。

 

「せ、選択授業の方はどうですか!仙道や忍道等、変わった物が多いですが成果が出ているとはとても…」

 

「去年から華道選択してる五十鈴 華って子、知らないの?華道の家元、五十鈴流の娘であちこちの展示会で賞取ってるんだけど、ちゃんと調べた?」

 

「…すいません、大至急調べさせます」

 

「おかげでうちの華道はなかなかのもんだよ、んで、他には?まだなんかある?」

 

「…いえ、その、すいません」

 

…なんですか、この大洗女子学園という学園艦は、生徒がどれも化け物揃いじゃありませんか。

 

「…大洗女子学園の廃校は改めて検討して見直します」

 

「会長…」

 

「やりましたね!会長!!」

 

「あっはは!まいったか!こやまー、かーしま、お客さんのお帰りだぞー!!」

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…はぁ」

 

なんという事ですか、学園艦の廃校を告げる為に来た私がそのまま帰る事になるとは。

 

…しかし大洗女子学園は現にしっかりと成果を上げている、難癖をつけようにもあの会長はそれをことごとくかわすでしょう。

 

これでは大洗女子学園を廃校にするのは無理ですね。

 

「あ、あの!この学校の先生ですか?」

 

「…おや?いえ、私は違いますが」

 

上層部にどう説明したものか、考えながらとぼとぼ歩いていると一人の生徒に声をかけられました。

 

「え?…えっと、すいません、私、今日転校して来たばかりなので」

 

声をかけてきたのは…、はて、なにやらどこかで見た事があるような?

 

「あぁ、職員室なら向こうの地図を見ればわかると思いますよ」

 

おそらく気のせいでしょう、それよりも今は上層部への説明に頭がいっぱいなのです。

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

それに、見た所いかにも普通の女子生徒ですしね、しかし、今日転校したばかりですか…。

 

もしこの学校が廃校になっていれば、彼女は転校したばかりでまた別の学校に行く事になっていたんですね、偶然とは恐ろしいものです。

 

「あぁ、君」

 

「…はい?」

 

「卒業まで、楽しい学園生活を送れれば良いですね」

 

再度検討して見直しても、大洗女子学園を廃校にするのは難しいでしょう、話を聞くと大洗の生徒は化け物揃いですし。

 

なのできっと、見た目も普通な彼女はこれから、普通に友達を作って、普通に学校生活を満喫する事でしょう。

 

「…はい!ありがとうございます!!」

 

今まで廃校を告げて涙ぐむ生徒ばかり見て来ましたから、こうやって笑顔でそう言われるのはなんだか変な感じですね。

 

…まぁ、たまにはこんな結果も良いでしょう、たまには。




……会長が強すぎた。


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