とある鎮守府のドイツ艦は決闘者 (叢雲 狛)
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上 決闘者
「・・・ラール」
「おいアドミラール」
「あぁすまないグラーフ。集中してて気づかなかったよ」
「さっきから何を見ているのだ?見たところアルバムのようだが・・・写真でも見てるのか?」
「いや写真ではなくてこれは遊戯王カードだよ」
「遊戯王?」
「遊戯王ってのは1999年ごろに販売されたトレーディングカードゲームでジャンプで掲載されてた≪遊戯王≫って漫画を基にされていて、今でも販売されてて確か2011年に一番販売数が多いカードゲームということでギネスに登録されたんだ」
「ギネス認定されてるとはすごいな」
「確か初めて出会ったのが俺が中学の時だったかな。たまたまアニメを見たのがきっかけでよく親の手伝いをして貯めた小銭を持って買いに行ったなぁ。レアカードってのがあってそれを狙って一喜一憂したもんだよ」
「レアカードというと・・・この青い人物がそうか?見たところ他のカードと違って絵がキラキラしているし」
グラーフは一枚のカードをアルバムから抜き取る。
「おお!これは『オベリスクの巨神兵』!」
「オベリスクの巨神兵?」
「中学の時の誕生日に友達がくれたんだ。たしかこれが初めてのレアカードだったんだよ」
「懐かしいなぁ~昔はこいつを召喚できれば勝ちみたいなもんだったからなぁ~」
「提督にとってとても思い出のあるカードなのだな」
「そうだな。今でも持ち続けているデッキもあるし子供のころの思い出だしね。捨てたりするわけにはいかないよ」
「なら大切に保管せねばな」
そういってグラーフはオベリスクの巨神兵をアルバムにしまう。
「それにしても、この遊戯王カードは・・・私の使う艦載機のカードに似ているな」
「そういえばグラーフは弓ではなくカードをセットして艦載機を使うんだったな」
「もしかしたら・・・艦載機のように使えるんじゃないか?」
「いやいや、それはできないでしょ」
「アドミラール、また一枚借りてもいいか?」
「構わないけど・・・折り曲げたりしないようにな・・・」
「よし、カードセット!来い!」
ピカァァァとグラーフの艤装が光ったのと同時にそいつは現れた。
カオス・ソルジャー『ハァッ!』
「はあ!?カオスソルジャーが実体化した!?」
「で、できてしまった・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「THE トリッキーを召喚!あの的に向かって攻撃だ!」
的はトリッキーの攻撃によって木端微塵になった。
「おおお・・・すげえ・・・」
「すごいですね・・・。提督に呼ばれて飛んできましたがどうやら召喚だけではなく魔法カードや罠カード、エクストラカードも使えるみたいですし」
俺は万が一の為、明石を呼んで演習場に来ている。
「素晴らしいなこれは・・・。私のFW‐190よりも火力があるし何よりこのモンスター達からすさまじいパワーを感じる・・・」
「ふむ・・・。グラーフ、このカードをお前に託す。このモンスターたちで深海棲艦と戦ってみないか?」
「だが・・・これは提督の大切な思い出だろう・・・?」
「そうだとしてもこうして戦えることをモンスターたちも望んでるはずだ」
「ア、アカシはどう思う?」
「私も悪くない考えだと思いますよ。モンスターもグラーフさんの指示に従ってるみたいですし、カードを海水で濡らさない限り問題はないはずです」
「・・・分かった!このグラーフ・ツェッペリン。必ず戦果を挙げて見せる!」
・・・・・・・・二か月後・・・・・・・・
「シズメ!シズメェェ!」
「くっ、戦艦棲姫未だに無傷・・・このままじゃ・・・」
「下がれユウバリ!ここは私が引き受ける!」
「グラーフさん!」
「行くぞ!真紅眼の黒竜とグローアップ・バルブをチューニング!集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン!」
スターダスト・ドラゴン『グオオオオオッッッ!!!』
「スターダスト・ドラゴン!?」
「ナンダコイツ!」
「アドミラールから授かったこのカードの力を見よ!シューティング・ソニック!」
スターダスト・ドラゴン『グルアアアアアアッッッ!!!』
「す、凄い・・・あの戦艦棲姫を一発で・・・」
「また戦果を挙げることができたな・・・では鎮守府に帰ろう」
グラーフの戦闘方法は鎮守府内で話題となり、いまや練度はグラーフの右に出る者はいない。さらにグラーフの戦ってる姿に憧れてなのか、今鎮守府では遊戯王がブームとなっている。
「すごいじゃないかグラーフ!君のおかげで新海域が解放されたぞ」
「すごいのは私ではないさ。戦ってくれるモンスター達と他の艦娘、提督の指揮によってできたことだと思うぞ」
「そうだな・・・。では次の出撃は新しく解放された北方海域だ。しっかりと頼むぞ!」
「ああ分かった!航空母艦Graf Zeppelin、出撃する!Lichten des Ankers!」
久しぶりに遊戯王カードを触って、グラーフの発艦方法がカードということを思い出し、この話を思いつきました。
軽い設定として提督はシンクロ召喚の少し前からエクシーズ召喚までの時期をプレイしてた設定です。あとこれは正式なデュエルではないため、OCGのようなルールでは戦いません。★8のモンスターを生贄なしで召喚したり、一度に何度も召喚します。(エクストラモンスターはOCGのルールと同じルールを適用します。融合も使いますし、チューナーも使います。)
艦これ×遊戯王はありきたりな話かと思いますがここまで読んでいただきありがとうございました。
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中 快進撃
・・・・・アルフォンシーノ方面・・・・・
「この戦いが終わったらボスだ!慢心せず行くぞ皆!」
『了解!』
「索敵成功、敵艦を発見しました。敵は・・・戦艦ル級flagship、戦艦ル級flagship、重巡リ級elite、重巡リ級elite、駆逐ハ級flagship、駆逐ハ級elite!」
神通が出した索敵によって敵艦を発見する。報告にあった通りのボス前の敵編成だ。ここを超えてボスを倒せばまた戦果を挙げることができる・・・アドミラールに託されたこのカード達であの時活躍できなかった私が今、活躍することができる・・・!
「攻撃隊、出撃!Vorwärts!そして
E・HERO ネオス 『オォォッッ!!』
「キタナ・・・カンムスドモ!ココヲトオスワケニハイカナイ!ココデシズメ!」
ル級が砲を構えてネオスに砲撃した。ネオスに砲弾が直撃し、ダメージを追う。
「ネオスッ!・・・ジンツウ、シマカゼはあいつの随伴艦に魚雷を頼む!あいつは私が・・・ネオスが沈める!」
「「了解しました!」」
二人が魚雷を装填し、随伴艦に向けて発射する中、私は一枚の魔法カードと一枚のモンスターカードをスロットにセットした。
「E・HERO エアーマンを召喚!さらに魔法カード、融合を発動!」
「二人の戦士を融合し、新たな戦士よ・・・ここに現れよ!E・HERO ネオス・ナイト!」
「アノモンスターガヘンケイシタダト!?」
「行け!ネオス・ナイト!」
E・HERO ネオス・ナイト『オォォォッッ!!』
「ダガソノテイドノコウゲキ・・・アタラナイ!」
「ネオス・ナイトの効果発動!このモンスターは相手に二回攻撃できる!」
「ナンダト!?」
「沈め!私たちはこの先にいくんだ!!」
「グアアアアアアアアッッッ!!!」
ル級は肩から腰まで斜めに切り裂かれ、海に沈んでいく。随伴艦も神通たちの魚雷や龍驤たちの艦載機にやられ、すでに海上にはいない。
「これでボスまでの敵は沈めることはできた・・・。残りはボスのみ・・・行くぞ!!」
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「グラーフ!敵艦見つけたで!空母ヲ級elite、空母ヲ級elite、戦艦ル級flagship、軽巡ヘ級flagship、駆逐ニ級elite、駆逐ニ級eliteや!」
「了解した!行け!
青眼の白龍『グアアアアアアッッッ!!!』
「コイツガ・・・モンスターヲクシシテタタカウカンムス・・・」
「ダガ・・・ココデマケルワケニハイカナイ!!アレガカンセイスルマデハ・・・!」
ヲ級が艦載機を飛ばし青眼の白龍を迎撃する。
「ソラヲトンデイルトイウコトハカンサイキトオナジニツバサヲコウゲキスレバオチルハズダ!!」
「フハハハハハ!!甘いなヲ級!罠カード発動!聖なるバリア‐ミラーフォース‐!」
青眼の白龍の周りに透明な壁が生まれ、艦載機を全て撃ち落とす。
「とどめだ!青眼の白龍、滅びの
「ウオオオオオッ・・・!」
ヲ級は攻撃を受け大破、他の深海棲艦も随伴艦の攻撃によって撃沈している。
「フン、今にも沈みそうなやつを全員で攻撃する必要もない。青眼の白龍の攻撃を受けてまだ生きてるのを見たのは初めてだ。直してまた挑んで来い」
「・・・・・」
ヲ級は何も言わず、深海に沈んでいった。
こうしてアルフォンシーノ方面海域の攻略は終わった。
「皆ご苦労だった。アルフォンシーノ方面もこれで攻略完了した。今日はゆっくり休んで次に備えるように。あっグラーフだけは残ってくれ」
アドミラールにアルフォンシーノ方面のボスを倒したこと、新たな海域が解放されたことを報告し、今はアドミラールに言われた通り執務室に残っている。
「それでどうした?アドミラール」
「ああ、まずはこれを見てくれ」
アドミラールは私に一枚の写真を渡す。
「ふむ・・・。これは海の上の写真か・・・。これがどうした?」
「左端をよく見てくれ。なにか移っていないか?」
「見たところ長い蛇のようだが・・・」
「最近北方海域全域でこの生き物が見かけられるらしい。まだ被害などはないが一応次の海域で遭遇するかもしれないから一応頭の隅にでも入れといてくれ」
「・・・分かった。では失礼する」
「ああ、次の海域も頼んだぞ」
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・・・・・・・北方海域全域・・・・・・・
「お前は・・・それにこいつはあの写真でみた長い蛇・・・!」
「ワタシハガンサクダ・・・ニセモノダ・・・オマエノナ。オマエニナサケヲカケラレタヲキュウニヨッテカンセイスルコトガデキタ・・・。ククク、カンシャスルゾ!」
「私の偽物か・・・。あの時情けなどかけるものではなかったな・・・。だが偽物などに負ける私ではない!行け!スターダスト・ドラゴン!」
「スターダスト・ドラゴンカ・・・。ソノテイドノモンスターでこのワタシニカテルトデモ?」
「なんだと!?」
「イケ・・・!コイツラヲジュウリンセヨ!『オシリスノテンクウリュウ』!」
北方海域全域・・・ここでグラーフ・ツェッペリンはデュエリストとして初めて敗北をした・・・・・。
お願い、やられないでグラーフ!あんたが今ここで倒れたら、提督との約束はどうなっちゃうの? スロットの枠はまだ残ってる。ここを耐えれば、コピーに勝てるんだから!
次回「カードとの絆」。デュエルスタンバイ!
次で最終話となります。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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