バカ達の恋愛模様とそれを守る者(凍結中) (フルセイバー上手くなりたい)
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第1話

ISが行き詰ったので、他の書き溜めがあるのを持ってきました。こちらもよろしくお願いします。


「遅刻だぁぁぁぁ‼︎」

今、こうして朝から全力ダッシュをしている青年、吉井明久。今日は高校2年のクラス発表だ。まあ、クラスは分かりきっているのだが…

「(雄二に頼まれて男子陣はテスト手抜いたしね)」

ちなみに無記名提出である。雄二は“それなり”の点数を取っているはずだが…

 

「遅刻だぞ吉井!」

「すみません!鉄じ…28号先生‼︎」

「言い直して無いからな‼︎そしてお前は何歳なんだ⁉︎」

「すみませんスネーク」

「誰が伝説の傭兵だ!」

「傭兵は一樹達ですよ‼︎」

「お前がボケたんだろうが‼︎」

この人はここ、文月学園の生徒指導担当の鉄じ…西村宗一だ。趣味がトライアスロンと、馬鹿げた体力を持っているのでこの渾名(鉄人)がついた。

「ほれ、クラス表だ」

「あ、ども」

「吉井…木下弟や土屋や坂本、櫻井達にも言ったが、お前らなら余裕でAクラスに入れたんじゃないのか?」

「まさか…僕は本番に弱いタイプなんでお腹が痛くなったんですよ」

他のみんなもそれなりの言い訳をしてるだろう。

「…何か考えがある様だな」

な、なぜ分かったんだ⁉︎

「お前は顔に出る」

しまった!

「…まあ良い。1年間、楽しんでこい‼︎」

「はい!ありがとうございます‼︎」

明久は自らの教室へ向かう。封筒も見ずに…ちなみに中の紙にはこう書かれていた。

吉井明久 Fクラス

 

 

「…何コレ?教育機関?」

明久は軽く現実逃避的なセリフを言うが仕方ないだろう…なぜなら、Aクラスの教室はそこんじょそこらの高級ホテル顔負けの設備だからだ。

「あ、明久♪おはよう!」

軽く現実逃避してると、明久の前に恋人の木下優子が現れた。

「あ、優子。おはよう」

「うん♪明久ももちろんAクラスだよね?」

まるで疑いの無い、無邪気な顔で言う優子。そんな優子に軽い罪悪感が浮かぶ。

「ごめん…僕Fクラスなんだ…」

「…え?」

「実は、雄二に頼まれてさ。多分いつものメンツは皆Fクラスだと思う」

まあ、直ぐにAクラスに来ることになると思うけど。僕の顔を見てその意を察したのだろう、優子は頬を膨らませながらも見送ってくれた。

 

所変わってFクラス

「何コレ?教育機関?」

先ほどとは真逆の意味で呟く明久。そこに…

「早く座れ!このウジ虫野郎‼︎」

悪友にして『心友』の坂本雄二が教卓に立っていた。

「さて、今の発言の仕返しを霧島さんに頼むかな」

「俺が悪かった。だからそれは止めてくれ。俺の食事が無くなる」

地味だが効果的な攻撃だ。by作者

「そこのアホ2人、うるせえぞ?」

明久と雄二に発言する男子。櫻井一樹もそこにいた。

「…良く舞さん達が許したね」

「アイツらは基本俺のやることに文句はつけないからな」

代わりに昼飯の約束を取り付けられたがな。

と一樹は付け足す。

「まあ、俺らとしては一樹がちゃんと食事を取ってくれるから良いけどな」

一樹のすぐ横でそう言うのは櫻井グループのナンバー2、櫻井宗介だ。

「スーパーの見切り品だけってことが無くなるからな」

さらに倉野和哉も続ける。

「それな」

星野一馬も続く。

「はいはい、少しはまともなもの食うよ」

一樹も普段の食生活は悪いと自覚しているため、すんなり受け入れる。

「まあ、そんなことより明久。早く教室に入れ」

「あ、うん」

明久が教室に入ると同時に担任教師が入って来た。

「えー、Fクラス担任の…福原です。1年間よろしくお願いします」

「(雄二、今の間は何?)」

「(さっき見たとき、チョークが粉しか無かった)」

いやチョークくらい用意してよ…

「じゃあ自己紹介を、窓際の人からお願いします」

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。1年間、よろしく頼むぞ。あと、ワシは男じゃ」

「「「「な、何だって⁉︎」」」」

「待つんだ皆!秀吉は今『男じゃ』と言って『女じゃない』とは言ってない、つまり第3の性別『秀吉』なんだ‼︎」

「「「「お前天才か⁉︎」」」」

「だからワシは男なのじゃあ‼︎」

その時、いつメンはこう思った。

「「「「秀吉、ドンマイ…」」」」

「では次の人、お願いします」

「……土屋康太だ。趣味は盗s、何も無い。特技は盗c、特にない」

いや、アウトだろ…

そして色々あって…思ったことは1つ。女子がいない。

「(まあ、僕には優子が、雄二には霧島さんが、康太には愛子がいるし関係無いけど)」

「…です。日本語は読み書きが苦手です」

お、女子がいるな、誰だ?

「趣味は吉井明久を殴ることです♪」

「(なんて物騒な趣味だ!)」

「ハロハロ〜吉井。今年もよろしく」

今自己紹介をした女子が何か言ってるが、どこか遠くに行っている明久は聞いてなかった。

「ちょ、吉井のクセに生意気よ!」

変な自己紹介をした女子、島田美波が明久に掴みかかろうとするが…

「…島田、戻れ。邪魔」

一樹が殺気を(しかしかなりセーブしてる)放ちながら島田に話す。あまりの殺気に島田は素直に従うしかなかった。そこへー

「す、すみません。遅れました…」

1人の女生徒が教室に入って来た。

「丁度いいですね。今自己紹介してるのであなたもお願いします」

担任の言葉に女生徒が自己紹介を始める。

「は、はい。姫路瑞希です。よろしくお願いします」

「あ、あの〜」

「は、はい。何ですか?」

「何で“ココ”にいるんですか?」

聞き様によっては失礼だが、この場合仕方ない。なぜなら____姫路瑞希は学年次席争いの1人だからだ。

「え、えーと、振り分け試験の時に風邪を引いてしまって…」

彼女のひと言にクラスは…

「そうか…俺も熱(の問題)が出たからFクラスだったのか…」

「俺もだ!あの日熱(の問題)が出たからFクラスだったんだ‼︎」

「俺は弟が事故に遭ったと聞いて心配で心配で…」

「黙れ末っ子」

「前の晩に彼女が寝かせてくれなくて」

「「「「今年1番の大嘘をありがとう‼︎」」」」

…さっきの秀吉の時も思ったが…『大』馬鹿ばっかだ…雄二はこんなクラスでもやるのか?

一樹が疑問に思い、雄二の方を見ると…《ちょっと計算が違った》という顔をしていた。

「次の方、お願いします」

にしても担任よ。全く動じないのはかなりすごいぞ?

「…櫻井一樹だ。好きなものは美味いメシ。嫌いなものは誰かを傷つけるものだ。以上」

「櫻井宗介、一樹の従兄弟だ。特技は近接格闘、趣味はバイクだ。以上」

「倉野和哉です。特技はケーキ作り。趣味は鍛錬です。よろしく」

「星野一馬だ。趣味は射撃、特技は早撃ちだ。よろしく頼むな」

櫻井グループの発表も終わって次は明久だ。

「吉井明久です。趣味も特技も料理です。よろしく」

そして最後に雄二だ。

「坂本君は代表なので、前に出て来てください」

「うぃーっす、代表の坂本だ。代表とでも坂本とでも好きに呼んでくれ。さて皆に聞きたい。Aクラスは個人エアコンにノートパソコンに冷蔵庫がついて食べ飲み放題らしいが…」

そういって雄二は周りをゆっくり見回す。

「…不満は無いか?」

「「「「大有りじゃあぁぁぁぁ‼︎」」」」

ここから、物語は始まる。




ISを優先してたので、こっちの設定はガバガバですが、よろしくお願いします。


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第2話

中々展開がすすみませんが、よろしくお願いします。


「そうだろうそうだろう。俺もこの状況におおいに不満だ。そこでだ。我らFクラスはAクラスに『試験召喚戦争』、略して試召戦争を起こそうと思う」

不満って…お前が望んだんだろ?

「なんだ一樹。言いたいことがあるなら聞くが?」

「…本当に聞く気あんのか?」

「無いな」

「……」ジャコ(ガスガンを取り出す一樹)

「待ってくれ。言いたいことは分かるから抑えてくれ(汗)」

渋々ガスガンをしまう一樹。

「一樹はともかく、皆の意見は?」

雄二の質問にクラスの人間はと言うとー

「勝てる訳無い」

「これ以上設備が下がったたら大変だ」

「姫路さんさえいれば何もいらない」

うーん、否定的だな。とりあえず最後のは無視するか。

「大丈夫だ。俺は勝ち目の無い戦いはしない。勝てる要素を紹介する」

学力以外にしてくれよ、マジで。

「おい康太、いつまで姫路のスカートの中見てんだ?」

「……ッ⁉︎(ブンブン‼︎)」

「は、はわっ!」

「(今更気付いても遅いと思うよ…)」

姫路の反応に呆れる明久。

「コイツの名前はあまり有名じゃ無いが、あだ名を知ってるのは多いはずだ。なぜならこいつは寡黙な性格職者(ムッツリーニ)と呼ばれてるからな」

「……(ブンブン‼︎)」

「マジか⁉︎アイツがムッツリーニなのか⁉︎」

「見ろ!明らかな証拠を今だ隠そうとしてるぞ‼︎」

「ああ、むっつりの名に恥じない行為だ」

『いや人として恥だろ』

「(ここの人間バカだからそれが分からないんだよ)」

「それに木下秀吉もいる」

「ワシもか?」

「ああ、声真似などを生かしてもらう。期待してるぞ」

「(正直、秀吉の演劇のレベルは下手な役者さんより凄いから反則だと思うんだ)」

「それに姫路もいる」

「「「「ウオオオオオオオオ‼︎」」」」

「(野太い声だから余計に…耳が痛い)」

「学年次席レベルを使わない手は無い。ウチの主戦力だ。期待してるぞ」

「そうだ!俺らには彼女がいるんだ‼︎」

「彼女ならAクラスにも引けを取らない」

「ああ、彼女さえいれば何もいらないよな‼︎」

「(最後のは今後のために潰しとこうかな?)」

「当然、俺も全力を(作戦を考えるのに)尽くす」

「坂本って確か『神童』って言われてたんだよな⁉︎」

「おいおい、振り分け試験は体調不良だったのか⁉︎」

「(いや、手を抜いてただけだよ)」

「ウチにはAクラスレベルが2人いるのか⁉︎」

「これは勝てるぞ‼︎」

「(相変わらず凄いなぁ…頭の回りかたが違うのかな?)」

「それに櫻井グループに吉井明久もいる」

シーン…

「なあ明久。一緒に目の前のバカ潰さないか?」

「よし、その案乗った!」

「「「待て待て待て‼︎」」」

宗介、和哉、一馬が慌てて止めに入る。

「「チッ!」」

それはまあ不本意そうに2人は座り直した。

「まあ、理由を聞こう。なぜ俺らを呼んだ?」

明久達がとりあえず座ったのを確認すると、代表して宗介が雄二に聞く。

「あ、ああ。明久は『観察処分者』だろ?召喚獣の扱いは恐らく学園一だ。そして一樹達は万能だからな。だから呼んだ」

それぞれ呼ぶのに理由があったらしい。しかし__________

「おいおい、観察処分者ってバカの代名詞じゃないのか?」

____観察処分者にはこういう誤解がある。

「《処分者》とは言ってるが、それ=バカって訳じゃない。この場合の《処分》には主に教師の雑用をこなす…まあ、片付けの様な意味がある」

雄二が説明するとクラスの人間も納得した様だ。

「これだけ勝てる要素があるのに挑まない訳があるか⁉︎いや無い‼︎いざ、ペンを取れ‼︎野郎ども!勝つぞ‼︎」

「「「「おぉー‼︎」」」」

「お、おー」

姫路も一応ノルが…やっぱりこのノリには合ってないようだ。

「まずは肩慣らしにDクラスを攻めるぞ!死者は島田!逝ってこい‼︎」

ニュアンスが違った。

「嫌よ!下位クラスの使者って酷い目に遭うって噂じゃない‼︎」

「あー、男子ならあるが女子は無いだろ。だから逝ってこい」

「うーん、それもそうね。開戦は何時から?」

あっさりと納得した島田。流石はFクラス。

「14時にしとこう。頼むぞ」

「ん。了解」

島田はそう言って教室を出て行く。

数分後…

「坂本!騙したわね‼︎」

「え?どした?」

演技ではなく、本当に何が起こってるのか分からないようだ。

「Dクラスには美春がいたじゃない!色々危なかったのよ‼︎」

「…あー、すまん。アレがいることは知らなかった。以後、気をつける」

「そ、そうなの?なら仕方ないわね」

知らなかったものは仕方ない。

「開戦時刻は?」

「希望通り、14時よ」

「よし、お前ら昼食っとけ!」

その後、いつメンは屋上へ向かおうとする。そこへー

「あ、あのー私も一緒に行って良いですか?」

姫路が話しかけたことをきっかけに

「ウチも良い?」

島田も来た。

「ん?俺は構わんが?」

「今日は止めとけ。色々と用事がある」

雄二が忘れつつあるので止める。それで雄二も察したらしく。

「すまん、今日は勘弁してくれ」

「「…分かった(分かりました)」」

 

Aクラス教室前に着いたいつメン。そしてドアを開けると

「雄二‼︎」

「明久‼︎」

それぞれの彼女が待ち構えていた。

「(舞、実は結構やばかった?)」

「(はい、彼女達は自分達からこんなに恋人が離れた時が無いから凄く寂しかったのでしょう)」

「(納得)」

一樹が義妹である高橋舞から事情を聞いてるうちに、昼食の準備が完了していた。

「義兄さんは何飲みます?」

「え?それ有りなの?」

ドリンクバーを示しながら聞いてくる舞。Aクラス生徒ならともかく、他クラスの者が使ったら問題だと思うが…

「大丈夫です。一旦水筒に入れて仕舞えば問題ありません」

屁理屈を言いながら水筒を取り出す舞。一樹はその量にツッコミをいれる。

「ちょっと待てコラ。なんでそんな数持ってこれた」

「倉野君に手伝ってもらいました」

「……本当?」

「いえ、嘘です」

「いくら俺でも怒るぞ?」

とまあ、平和に昼休みを過ごした。




では、また次回。


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第3話

では、どうぞ!


14時を過ぎて、今は試召戦争中だ。一樹、宗介、一馬、は補充試験を受けていた。振り分け試験で無記入提出で0点のためだ。後、ここでも本気を出すなと雄二の指示だ。

「…こんなもんで良いな。先生、採点お願いします」

「何⁉︎もう良いのか⁉︎」

教師が驚くのも無理は無い。なにせ1時間かけて受ける試験を一樹達は10分で終わらせたからだ。

「…これ以上やっても分からないので、時間の無駄かと…」

「…うむ、分かった。少し待ってくれ」

全科目の採点が終わった後、姫路を残してそれぞれの仕事場へ向かう。

 

ー明久sideー

僕は元々試験を最初の5分だけやってのFクラスなので、最初から戦場へ向かっていた。ちなみに切り込み隊の隊長だったりする。

「怯むな!相手は所詮最下位クラスだ‼︎個別で挑めば勝てる‼︎」

あちらの隊長の言うことももっともだ。ただ、“総合科目”なら…の話だが

「…みんな!なるべく高橋先生のフィールドに入らずに、自分の得意な科目の先生のとこへ行くんだ‼︎」

『了解!』

Fクラスにはただ、自分の得意な科目とそれ以外の差が激しいだけだ。だから…

 

古典

Fクラス 須川 亮 250点

VS

Dクラス 高橋 守 108点

 

 

化学

Fクラス 近藤 勇 388点

VS

Dクラス 大野 淳 125点

 

こんな感じで戦えたりする。まあ、他は60点とかだったりするが。

「な、お前ら本当にFクラスか⁉︎」

「なんて点数なんだ⁉︎」

Fクラスってだけで油断するからだ。

「驚いてる暇は無いぞ‼︎」

「あ、しまっ…」

Fクラス 須川 亮 140点

VS

Dクラス 高橋 守 0点

 

「戦死者は補習だ‼︎」

試召戦争において点数を失うことは戦死と同じだ。戦死者は戦争が終わるまで、鉄z…西村先生の恐怖の補習を戦争が終わるまで続くのだ。

「い、嫌だ!あんな地獄へは行きたくない‼︎」

「あれは立派な教育だ…この戦争が終わる頃には趣味は勉強、尊敬する偉人は二宮金次郎という生徒にしてやる!」

「「「「それは洗脳ではないか⁉︎」」」」

FクラスとDクラスの心が1つになった瞬間だった。しかし、絶叫も虚しく、戦死者は補習室へと連れて行かれてしまった。

「くっ…こうなったら一旦科目を全部変えるんだ!あいつらは1点集中型。なら弱点は山程ある‼︎」

チッ!もう気付いたか…もう少し兵の数を減らしときたかったんだが…

「吉井!Dクラスが船越先生を呼んだらしい!」

船越先生か…どうやらDクラスは短期決戦を狙ってるらしいな。こうなったら…

「須川君、頼みがあるんだ」

「ん?なんだ?」

「偽の情報を流してほしい」

「偽の情報?確かに効果的だろうが、あっちの前線隊長は声が大きい。すぐにバレるぞ?」

須川君の言うことは正しい…でも、問題無い。

「それは大丈夫。流すのは教師陣だから」

「…なるほど。そういうことか。偽情報の内容は任せてくれ」

「うん。お願いね。さて、残りの皆は出来れば多対1、最低でも2対1にして持ち堪えて‼︎」

『了解!』

兵士達に指示を出して、なんとか持ち堪えようとした瞬間。

ピンポンパンポーン

『船越先生、船越先生』

お、無事に放送室に行けたみたいだね。

『2ーFの吉井明久君が体育館裏で待っています。なんでも、生徒と教師の垣根を越えた話があるそうです』

ピシッ

「………ハァァァァァァ⁉︎」

何言ってんの⁉︎“あの”船越先生”だよ⁉︎婚期を逃して単位を盾に生徒に交際を求めてるあの船越先生だよ⁉︎確かに僕が行くまで何時間でも待っててくれるだろうけど、このままじゃ僕の貞操が、いや優子に殺される‼︎

『繰り返します。船越先生、ふな…って櫻井!待て!落ち着け!これはクラスのためのささやかな犠せ…ゴハァッ‼︎』

ドゴンッ!!!!!!!!

文月学園に地震が起こったあと…

『ただいまの放送を訂正します。ここに船越先生を求める男子生徒を拘束しておきますので、回収をお願いします』

ありがとう!一樹‼︎今度ご飯奢るから‼︎

 

ピンポンパンポーン

「お、須川は無事に放送室に着いた様だな」

「なあ雄二。途轍もなく嫌な予感するんだが?」

一樹の言葉に雄二は

「まさか、いくらあいつらでも仲間を捨てる様なことはしないだろうよ」

「だと良いがな」

『船越先生、船越先生』

よし、無事に着いたな。後は適当なことを言ってと…

『2ーFの吉井明久君が体育館裏で待っています。なんでも、生徒と教師の垣根を越えた話があるそうです』

ダッ!

あ、一樹が物凄い速さで教室を出たような?

『繰り返します。船越先生、ふな…って櫻井!待て!これはクラスのためのささやかな犠せ…ゴハァッ‼︎』

ドゴンッ!!!!!!!!

なんか…放送室が壊れてないか心配になるほどの物音がするが…気にしないでおこう…

『ただいまの放送を訂正します。船越先生、ここに船越先生を求める男子生徒を拘束しておきますので、回収をお願いします』

物音が止んだと思ったら一樹が放送の訂正をしてくれた。助かったぜ。“心友”をあの行き遅れの餌食にしたくないからな。今度アイツにはメシでも奢ろう。

 

アタシは教室で自習をしていた。そこにいきなり…

ピンポンパンポーン

『船越先生、船越先生』

放送が鳴り始めた。

「何だろう?」

「…多分、雄二の作戦」

へえ。坂本君の作戦か…教師を動かすのに放送とは…考えたわね。

『2ーFの吉井明久君が体育館裏で待っています。なんでも、生徒と教師の垣根を越えた話があるそうです』

…え?

嘘…あの明久が?何で…

「…優子落ち着いて。雄二が出した指示ならこんなことはしない。多分、この生徒の独断」

そんな、でも船越先生だよ?明久が大変‼︎

「優子さん、気にしなくて大丈夫ですよ。だって…」

『繰り返します。船越先生、ふな…って櫻井!待て!これはクラスのためのささやかな犠せ…ゴハァッ‼︎』

ドゴンッ!!!!!!!!

「義兄さんが片付けてくれますから♪」

良い笑顔で告げる舞ちゃん。いや、今は攻撃された生徒の方が心配だよ?振動ここまで来たよ?

『ただいまの放送を訂正します。船越先生、ここに船越先生を求める男子生徒を拘束しておきますので、回収をお願いします』

ま、まあ…明久があの行き遅れに捕まらなかったことを喜びましょう。

「…心臓に悪かったわ」

二重の意味で。

「…優子、お疲れ」

代表も同じ気持ちの様で、少し顔色が悪い。

「…雄二に、櫻井君を怒らせないよう伝えとかなきゃ」

それは急いでやった方が良いわね!うん!




また次回お会いしましょう!


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第4話

ではどうぞ!


「ふう…とりあえず雄二のとこへ戻るか…」

一樹は明久を陥れようとした生徒を問答無用で“人生の墓場”へと送った。

「…Dクラスならあっさり落とせると思ったんだけどな。やっぱり火力が低いからか」

つぶやきながらも、壁を走ったり、階段を飛び降りたりする一樹。とんでもない運動神経だ。

「…着いたっと、おーい雄二〜。次は何すれば良い?」

Fクラスに到着し、代表の指示を仰ぐ。

「お、帰って来たな。ナイスタイミングだ。宗介、一馬、和哉と一緒に前線部隊の援護に行ってくれ。」

「…良いのか?俺らが抜けると雑魚しかいないぜ?」

「ああ、その点は大丈夫だ。こいつらの人海戦術で行くから。」

確かに雄二の護衛役はDクラスの2倍はいる。少しは時間を稼げるだろう。

「…了解した。これより行動する。お前ら、来い。」

「「「了解‼︎」」」

一樹の指令に()()()()()()で敬礼する宗介達。

「康太、前線部隊の場所は?」

「…ちょうど互いの教室の間だ。」

「把握した…行くぞ!」

康太から前線部隊の場所を聞くと、目にも止まらぬ速さで廊下を駆け抜けて行った。

 

明久side

「隊長!五十嵐先生側が俺しかいない!」

「横山、総合が残り40点だ!」

「佐藤が戻って来ない!やられたのか⁉︎」

前衛部隊も大分減ったな…そろそろ出ることを考えておくか…

「五十嵐先生側は残っている総合科目の人と交代、横山君は諦めよう。」

「「「くっ!了解‼︎」」」

さて、僕は最後の砦みたいな感じに待機するか…ん?

「お姉さま〜」

「来ないで美春!ウチは普通に男が好きなの!」

「嘘です!お姉さまは美春のことをら愛してくれているはずです‼︎」

「この分からずや‼︎」

…聞かなかったことにしよう…みんなあの戦場を綺麗に避けてるし。FクラスもDクラスもだ…ある意味すごい団結力だな。

「吉井!見てないでフォローしなさいよ!ウチがこのまま補習室に行っても良いの⁉︎」

なんだろう…罪悪感が湧かないな…

ちなみに点数は?

 

化学

2ーF 島田美波 2点

VS

2ーD 清水美春 15点

 

「…清水さん。」

「なんですか!お姉さまとの行為を邪魔しようと言うのなら「さっき保健室誰もいなかったよ」ありがとうございます‼︎行きましょうお姉さま‼︎」

「吉井〜‼︎なんでよ⁉︎」

え?だって…

()()()は嫌なんでしょ?」

だから別の場所に送ってあげるよ。

「裏切り者‼︎」

よし、これで清水さんという厄介な人はいなくなった。けど…

「…大分疲弊してるね。そろそろ増援を…」

その時、僕の後ろから強風が吹いたと思ったら…

「よ!お待たせ‼︎」

「ちょいと遅れたな」

「まあ、全滅してないから問題無いな」

「こっから挽回するぜ!」

一樹達が居た…足音全くしなかったんだけど?

 

「さて、待たせたな!Fクラスメンバー‼︎無双タイムだ‼︎」

「「「うおおおおお‼︎」」」

一樹達が来たことにより、前衛部隊の士気がうなぎ登りだ。

「ほんじゃ行きますか。科目は…化学ね。試獣召喚(サモン)‼︎」

化学

2ーF 櫻井一樹 205点

VS

2ーD 田中良太 85点

 

「んー、やっぱり10分だとこれくらいか」

「はあ⁉︎10分解いただけでこの点数なのかよ⁉︎」

モブキャラがうるさいが無視。一樹は一瞬で召喚獣?(見た目ガンダムエクシア)を走らせ、相手をGNソードで両断した。

2ーD 田中良太 0点

「戦死者は補習だ‼︎」

「ギャァァァァ‼︎」

哀れだ…

 

櫻井宗介

化学 130点

「おらおら!死神様のお通りだ‼︎」

宗介も自らの召喚獣?(見た目ガンダムデスサイズ)の鎌を振り回し、周りのDクラスを次々斬っていく。

「「「「お、お助けーー‼︎‼︎」」」」

 

倉野和哉

化学 168点

和哉は召喚獣?(見た目アカツキのオオワシ装備型)のスラスターユニットを全開し、進みながら敵を次々斬っていく。

「そらそらそらッ‼︎」

「「「「Noーー!ビビデバビデブー‼︎‼︎」」」」

 

星野一馬

化学 142点

「あぁあぁやだやだ。こういう弱い者イジメみたいなの」

一馬はあまりの雑魚ぶりにやる気を削がれたのか、召喚獣?(見た目ガンダムデュナメス)のビームピストルで次々撃ち抜いていく。

「狙い撃つぜぇ…」

決め台詞のはずなのにローテンション…しかしDクラスにはたまったもんではなく

「「「「ちょ、やめ、やめてください!ってか死ぬ!死んでしまうゥゥゥゥ‼︎‼︎」」」」

 

「宗介達も終わった様だな。康太‼︎」

シュパッ

「…何の用だ」

「俺たちが引き付けるから“実行”しろと雄二に伝えてくれ」

「…了解」

シュッ

一瞬で消えた康太。まるで忍者だ…

「宗介、一馬、和哉。まだまだ暴れられるよな?」

「「「モチのロン」」」

「ほんじゃ、行くぜ‼︎」

しばらくお待ちください…

「後はお前だけだ。前線隊長」

「クッ…」

一樹達は無傷で前線部隊を壊滅させていた。

「まあ、相手すんのは俺らじゃない」

「…何?」

「俺ら以外にもFクラスはいるぜ?お前ら‼︎コイツをうちとったらムッツリ商会が商品を2割引してくれるらしいぜ‼︎」

「「「「ウォォォォォォ‼︎」」」」

よし、康太からあらかじめ許可を貰っといて良かったぜ。おかげでFクラスの召喚獣の動きがとんでもなく速い。テストの点数だけじゃなくて召喚者の気合も影響を受けるのだろうか?

数分後…

「前線隊長、討ち取ったり‼︎」

戦○無双の武将か⁉︎

「…敵将じゃないだけマシだよ…」

「そこは正直なんだな」

「あはは…」

ちなみに宗介達には恋人がいるのでムッツリ商会の割引セールはあまり関係ない。

「明久、次はどうする?」

「…もちろん、暴れるよ‼︎」

明久が気合を入れた瞬間

ピンポンパンポーン

「「「「「ッ!?」」」」」

『この試召戦争、2ーFの勝利です‼︎』

初の試召戦争はFクラスの勝利に終わった。だが、明久は碌に暴れてないので不満気だ。

「…まあ明久、次がある」

「…そうだね」

そして2ーD教室に移動。

「さて、戦後対談と行こうか。Dクラス代表さん」

「あぁ…ルール通り設備を交換しよう。ただ今日はもう遅いから明日で良いか?」

とてもショックを受けた顔をしてる。まあ、格下のクラスに負けたらそうもなるだろう。しかも自分にトドメを刺したのは学年次席レベルだ。

「(学年が変わってすぐだからこそ出来た荒技だよな)」

一樹が状況を把握している間、雄二はDクラス代表の平賀源二と戦後対談していた。

「いや、設備は交換しなくて大丈夫だ。もちろん条件付だがな」

「…どんな条件なんだ?」

平賀の目には覚悟があった。自分だけが背負えるものなら何でもしようという。

「安心しな、Dクラス代表。雄二は恨みや怒りが無い相手にムチャなことはさせねえよ。構える必要は無い。だろ?雄二」

一樹の言葉に雄二は____

「流石一樹だ。そのとおり、構える必要は無いさ。むしろ平賀、お前には尊敬してるくらいだ。だからそんなに構えなくて良い」

雄二の言葉に心から安堵した様子の平賀。

「さて、条件とは俺が指示した時に

『あるもの』を壊してほしい」

「『あるもの』?」

平賀の言葉に雄二は窓を指す。いや、正確には『窓の外』をだ。

「Bクラスの室外機…か?」

「ああ、次のBクラス戦に必要なんでね。設備を壊したら教師達から白い目で見られるだろうが、悪い取引じゃないだろう?」

「ああ、それくらいはやらせてもらおう。君達の目標はAクラスだろ?」

「…良く分かったな…」

「何せ一応は上位クラスを落としたんだ。なのに設備交換はしない。だからといって中途半端なBクラスを狙うとは考えにくい。おそらくBクラスも肩慣らしなんだろ?」

なかなか鋭いな…コイツこそ本当にDクラスレベルなのか?Bクラスくらいの判断力がある様なんだが…

「ああ、俺たちの最終目標はAクラスだ」

「そうか…なら君達が目標を達成出来ることを祈ろうか」

「はは、お世辞でも嬉しいぜ。じゃこれにて対談は終わりだ」




また次回お会いしましょう。


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第5話

やっと変身するぜ…


「よし、明日は補充試験を受け、Bクラスに宣戦布告だ。各自、それなりには勉強しとけよ」

「「「うぃーっす」」」

雄二の指示でそれぞれ帰る用意をするFクラス。

 

キィィィィ…

 

「「ッ!?」」

帰り支度をしていた明久と雄二の脳に響く金切り音。それは一樹と一馬にも聞こえていた…

「…誰が行く?」

主語を言って無いが、一樹の言葉は全員に通じた様だ。

「今回は僕に行かしてよ。“相棒”も暴れたいみたいだから」

明久の言葉に皆が頷く。それを確認した明久は懐から黒い物体を取り出し、近くの鏡に掲げた。すると鏡からベルトが出てきて、明久の腰に自動的に装着される。

「変身ッ‼︎」

明久は持っていた物体、“カードデッキ”をベルト“Vバックルにセットした。すると複数の影が明久にくっつき、彼を“仮面ライダー龍騎”に変身させた。

「っしゃぁ!」

そして、躊躇い無く鏡に突っ込んで行き、“ミラーワールド”と呼ばれる世界に入った。

一樹side

「行ったな…雄二は“まだ”大丈夫なのか?」

明久が行った後、一樹は雄二に何か確認していた。

「ああ、つい昨日“食わせた”からな。っていうか、最近人化能力を得たらしく、家で翔子の飯食ってるだけでも契約更新出来るってさ」

「そうか…意外に数が多そうだからどうかと思ったんだがな」

「は?マジで?」

「マジで。なら一馬、俺は行くが来るか?」

「もち。行かせてもらうぜ」

一樹と一馬は懐から明久とは違う道具を取り出し、しかもその中に一樹は♠︎A、一馬は♦︎Aを入れ、腰に触れさせる。自動的にベルトに変形し…

「「変身ッ‼︎」」

『『Turn up』』

一樹は仮面ライダーブレイド、一馬は仮面ライダーギャレンに変身し、ミラーワールドに突っ込んで行く。

 

明久side

「お待たせ、ドラグレッダー。久しぶりに大漁だよ」

『全く、ここ最近雑魚ばっかだったからな。少しは美味いのに当たると良いが』

龍騎は自らの契約モンスター、“ドラグレッダー”と会話していた。普通、ミラーモンスターが人語を話すことは無いが、ドラグレッダーと雄二の契約モンスターのみ、話すことが確認されている。

「まあ、もし不味くても、家でちゃんとしたもの作るからさ」

『ほう、期待しとこう』

ドラグレッダーも人化能力を有しており、あまりミラーモンスターが現れない時は、明久の手料理を食べて契約更新している。

「さて、まずはこれかな?」

カードデッキから1枚のカードを取り出し、左腕の召喚機、“ドラグバイザー”に装填する。

『Sword vent』

効果音と共に、空中から剣が落ちて来て、それを掴む龍騎。

「さて、試召戦争では暴れられなかったから、ストレス発散と行きますか」

『俺の飯だと言うのを忘れるなよ』

「分かってるよ」

ドラグレッダーに答えながらも目の前のミラーモンスター、“ギガゼール”

の群れに向かって行く龍騎。

「ハァッセイッオラァ!」

明久の元々の運動神経もあって、次々と攻撃が決まる。そこにー

「よ!明久‼︎」

「俺らも暴れさせてくれ」

「あ、一樹に一馬』

龍騎は話しながらもカードを装填する。

『Strike vent』

龍騎の右手にドラグレッダーの頭部を模した武器が現れると、龍騎はそれをモンスターに向けて突き出す。タイミング良くドラグレッダーも火球を吐き、モンスターを倒していく。

「暴れるって言っても、もうほとんど残ってないよ?」

「…の様だな」

「まあ、トドメには参加するよ」

ブレイド、ギャレンはそれぞれのラウザーからカードを取り出す。

『Kick』

ブレイドは♠︎5をラウザーにスキャンした。ギャレンも

『Drop』

♦︎5をラウザーにスキャンした。そして龍騎も1枚のカードをドラグバイザーにセットした。

『Final vent』

「「「ハァァァァァァ…」」」

3人が同時に必殺技を放ち、ミラーモンスターを全滅させて、出た生命エネルギーをドラグレッダーが食べていった。

「よし!終わり‼︎」

「フィー」

「早く帰ろう」

 

「ただいま〜」

「行く必要無かったわ」

「雑魚ばっかりだったし」

明久、一樹、一馬の順だ。

「そうか。なら帰るか」

「「「「だな」」」」

 

明久side

「ただいま〜」

と言っても1人暮しだから返事が来るわけ「お帰りなさ〜い」ないはずなのに聞こえるよ⁉︎

「あれ?優子どうしたの?」

「どうしたの?じゃないわよ!秀吉経由で『先に帰ってて』って!理由くらい言ってくれても良かったじゃない‼︎」

ちなみに明久はミラーライダーに変身出来ることを優子に言っていない。ドラグレッダーの人化状態も“古い幼馴染み”で通している。(ちなみに人化状態での名前は“リュウ”だ)

だからミラーワールドのことなどが絡んでいる今回の件はどうしても曖昧になってしまうのだ。

「あー…雄二達とAクラス戦の作戦の話をしてて、だから先に帰っててもらったんだ。秀吉経由なのはそのまま部活に行くから伝言を頼んだって訳」

「むぅぅ…そういうことにしといてあげる」

その後、優子のご機嫌取りに2時間掛かった明久であった。

 

雄二side

雄二が翔子と帰宅中、金切音が頭の中に響いて来た。

「…翔子、悪い。少し行ってくる。すぐ終わらすから待っててくれ」

「…分かった」

雄二は翔子に一言言うと近くの鏡の前で明久のと似たカードデッキを(絵柄は龍ではなく、コウモリだ)かざした。すると明久と同じように鏡からベルト“Vバックル”が現れ、雄二の腰に装着される。

「変身ッ‼︎」

Vバックルにカードデッキをセットすると、雄二に複数の影が重なり、雄二を“仮面ライダーナイト”に変身させた。

「さて、行くか!」

左腰にある召喚機“ダークバイザー”を構え、ミラーワールドに入って行く。

『来たか、相棒』

ミラーワールドの中ではナイトの契約モンスター“ダークウイング”が待っていた。

「おう、早速で悪いが“飛ばせて”くれないか?」

『おう、任せろ』

ダークウイングはそう言うと、ナイトの背中にくっ付き、マント“ウイングウォール”に変化する。

「さて、行くかな」

ナイトはダークウイングがマントになったのを確認するとジャンプ、するとマントはコウモリ状の翼になり、空中を飛んでモンスターの方へ向かう。

「今回は蜘蛛か…」

ナイトの前には蜘蛛を模した大型モンスターが今にも外の親子を狙っていた。

「人を食わせやしねぇよ‼︎」

『Sword vent』

ダークバイザーにカードを装填し、ウイングランサーを呼び、空中から蜘蛛のモンスターを攻撃する。

「オラァ!」

ヒット&アウェイで確実にダメージを与えていく。蜘蛛のモンスターもナイトを攻撃しようとするが、ナイトの動きの速さについていけない様だ。

「この動きについて来れんのは俺のダチだけだ。そろそろ終わりにしてやんよ…」

そう言って、カードデッキと同じ紋様が描かれたカードをバイザーに装填する。

『Final vent』

空中に舞い上がり、ウイングウォールで自身の体をドリル状に包み、急降下して敵を貫くナイトの必殺技“飛翔斬”をもろに受けたモンスターは爆発。生命エネルギーを分離したダークウイングが食べるのを確認すると、ナイトは近くの鏡から出て、雄二の姿に戻った。

「ふぅ…翔子のとこに戻るか…」

その後、翔子と合流。(雄二は翔子にミラーワールドの件などは説明済み)家に帰るのだった。

 

一樹side

一樹はバイク“オートバジン”の後ろに舞を乗せて孤児院“アサガオ”に帰っていた。

「…義兄さん」

「ん?なんだ舞」

信号を待っている時、後ろの舞が話しかけて来た。

「…“ここ”では、何種類になれるのですか?」

「…分かんね…少なくとも2種類は確定だな。今コイツに乗ってるし、さっき“トランプ”使えたしな…だから…」

「はい、分かってます。良介にも言っておきます」

「ん。頼むな」

信号が変わり、再び走り出す。数分走った先に…

「うわ!危な‼︎」

いきなりバイクが目の前に来て、ぶつかりそうになる。一樹はすぐにブレーキをかけ、オートバジンを停車させた。

「危ないだろうが!なんて運転しやがる‼︎」

一樹が抗議するが、目の前の男は…

「ベルトを…よこせ」

スティングフィッシュオルフェノクに(以降スティング)に変化した。

「あーもう!いきなりかよ‼︎」

「義兄さん!これ‼︎」

舞が後ろからベルトを渡し、それを受け取り、腰に巻く一樹。ブレザーのポケットからケータイを取り出し、コードナンバーを入力する。

〈〈5・5・5〉〉

『Standing by』

右手を高く上げ…

「変身ッ‼︎」

ベルトにケータイを装填した。するとー

『Complete』

そんな機械音声が流れ、一樹の体を赤い光線が走り…

「…ファイズ…」

一樹を“仮面ライダーファイズ”に変身させた。

「さあ、行くぜ」

右手のスナップを効かせ、スティングと対峙するファイズ。

「フゥゥ…」

スティングの下半身が魚の尾のようになり、空中を飛び回る。

「おわ、危な‼︎」

そのまま空中からファイズに襲いかかるが、ファイズは簡単に避ける。

「あーもう!魚が飛ぶな‼︎」

再度突進してきたスティングに、サッカーのオーバーヘッドの要領で蹴りを入れるファイズ。

「グゥゥゥ…」

カウンターのように入ったので、下半身の変化が元の人間型に戻るスティング。

「さて、ここからが本番だ」

右手をスナップさせ、スティングに近づくファイズ。スティングは激昂して、ファイズに攻撃して来るが、大振りなので、あっさり避けられ、逆に空いてる胴を殴られるスティング。怯んでいるスティングを見て、右腰の“ファイズポインター”を取り出し、ミッションメモリーを装填するファイズ。

『Ready』

右脚に取り付け、ケータイのエンターキーを押す。

『Exceed charge』

腰を落とし、ベルトから赤いラインをエネルギーが走っていき、ファイズポインターにエネルギーがチャージされていく。チャージが終わったことを確認すると、飛び上がり、空中で前方へ一回転、ポインターをスティングに向けたかと思えば、ポインターから赤い光線が出て、スティングの前で円錐形に変化し…

「な、なんだ!動けん⁉︎」

スティングを拘束、ファイズは右脚を突き出し…

「ハァァァァ‼︎」

必殺技“クリムゾンスマッシュ”を決めた。スティングは…

「グァァァ‼︎」

体に赤いφの紋様が浮かび、青白い炎を出して灰となった。

「ふぅ…」

スティングが灰となったのを確認すると、ベルトからケータイを取り出し、通話終了ボタンを押して変身を解除した。

「…義兄さん…」

「…お待たせ。帰るぞ」

「…はい」

再びオートバジンに乗り、“アサガオ”に向かう一樹と舞だった…




纏めて変身じゃ!


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第6話

では、どうぞ!


翌日、一樹は“アサガオ”に舞を迎えに来ていた。

「お早うございます!義兄さん‼︎」

「…おはよ。朝からテンション高いな…」

「だって義兄さんが迎えに来てくれるんですよ!高くもなります‼︎」

「…ソウデスカ」

舞のテンションに少し引き気味の一樹。そして真剣な顔で後ろにいる人物に話しかける。

「おはよ、良介」

「うん、おはよ、義兄さん」

「“トランプ”は常に持っとけよ。」

「…了解。じゃ部活行ってきます」

良介は野球道具を持って自分の学校へ向かった。

「ほい、舞。俺らも行くぞ」

「はい‼︎」

数十分後…

「ありがとうございます、義兄さん」

「おう。じゃあ俺はバイク置いていくからここまでだ。じゃあな」

「はい!」

一樹はオートバジンを駐輪場に置いて、Fクラスの教室に向かった。

「おーす、おは…」

「「「「異端者には死を」」」」

ヒュッ←FFF団がカッターを投げる音

パシッ←一樹が全部キャッチする音

ヒュッ←一樹が投げる音

グサッ←FFF団にカッターが刺さる音(急所は外れています)

「「「「グァァァ‼︎」」」」

「ようお前ら…人に刃物投げるんだからそれなりの覚悟はあるんだろうな…」

人間にはあまり向けない濃度の殺気を出しながら、FFF団に近づく一樹。

「一応理由を聞こうか…なんで俺にカッターを投げた?」

ドスッ

言いながらFFF団の全員を殴っていく。

「「「「グハッ」」」」

「早く答えろよ」

一樹に殺気に怯えながらも、黒覆面達は話す。

「今朝、貴様がAクラスの高橋舞さんと一緒にいることが確認された」

「ああ、一緒に来たな。んで?」

「それが理由だ」

チャキッ←一樹が逆刃刀を構える音

ガシッ←明久と雄二が一樹を抑えようとする音

「…離せよ」

「いや無理でしょ!」

「離したらどうするつもりだ⁉︎」

「コイツらを西木野病院に送る」

「「ボコボコにすんじゃねえか‼︎」」

明久と雄二が必死で一樹を抑えてる中、空気を読まないFFF団は…

「今だ!異端者を消せ‼︎」

「「「「おう!」」」」

「「「させる訳ねえだろ‼︎」」」

FFF団が再び一樹に襲いかかろうとするが、宗介、一馬、和哉がFFF団を片付ける。

「「「「ギャァァァァ‼︎」」」」

哀れFFF団…

数時間後…

「さて、補充試験も終わったことだ。今日はBクラスに仕掛けるぞ」

「「「「うおっしゃー‼︎」」」」

単純すぎんだろこのクラス…

「使者は一樹。頼んだぞ」

「ん?別に良いが、“どれくらい”まではやって良い?」

「…気絶が限界だ」

「へいへい。なら宗介、お前も来い」

「あいよ」

さて、行きますかね。

 

「…宗介、頼んで良いか?正直面倒くさい…」

「…あいよ。こっちとしても一樹を止めるのは大変だから助かる」

「頼むわ…後ろから誰が代表とかは見ておくから」

「了解っと」

宗介と話していると、Bクラス前に着いた。

「じゃ、行ってくる」

宗介はそう言うと、Bクラスに入る。

「失礼、Fクラスの櫻井宗介だ。代表は誰かな?」

「…俺だ」

宗介が声の方を向くと…

「…根本、お前か…要件はひとつ。俺たちFクラスはBクラスに宣戦布告する」

「チッ…拒否権はないからな…宣戦布告、確かに受けた」

「んじゃ、昼休み終わりからな。それじゃ…」

宗介は伝えたいことを全て伝えると、さっさと帰ろうとする。しかし…

「テメェ、下位クラスの癖に生意気なんだよ…」

「マジ調子乗んなよ?」

と、宗介から見たら全く怖くない殺気を出しながら、Bクラスの生徒が立ち塞がる。

「ハァ…どうしてこの学園のやつは実力差が分かんないのかな…」

宗介はため息をつきながら、軽く殺気を出す。しかし、興奮してる生徒はそれに気付かずに宗介に向かっていく。が…

「…遅えよ」

ドサッ

宗介は生徒が動きだす前に生徒2人を気絶させていた。

「…根本、もう“演技”しなくて良い」

「あ、本当?ふぅ…」

宗介の言葉に根本はほっとした様だ。

「いつまでもあんた達にケンカ腰ってのは怖いもんなんだぜ?」

「しゃあない、それが代表ってもんだからな。諦めろ」

「ああ…しかし、試召戦争では負けんぞ」

「それで良い。じゃあな」

宣戦布告を終え、一樹の元へ戻る宗介。

「…終わったな。戻るぞ」

「うーす」

 

「「ただいまー」」

一樹、宗介がFクラスに戻って来た時、Fクラスでは…

カリカリカリ…

…勉強会が行われていた。

「…宗介、俺は教室を間違えたのか?」

「一樹、現実だ。受け入れるしかない」

一樹の現実逃避的な発言にツッコミを入れる宗介。そこにー

「お、戻って来たな」

代表の雄二がいた。

「…雄二、何があった?」

「ん?ああ、この状況ね。なに、『Aクラスに勝ったらもう一度“振り分け試験”を受けれる様に頼むつもりだ』と言ったらこうなった」

「…よく承認したな…」

振り分け試験=Fクラスだろうに…

「こいつらは基本バカだからな。『男だらけのこのクラスのままAクラス設備より、女子と同じクラスになりたいだろ?』で…」

「やる気になったと…」

アホばっかりだ…

「それより、Bクラスへの件、昼休み終わりからだ」

「おう、ありがとな」

雄二は宗介の報告に礼を言う。しかしー

「…雄二、気をつけろ」

一樹が忠告した。

「ん?何がだ?」

「Bクラスには…須藤がいる」




須藤とは一体…


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第7話

お待たせしました。


「須藤だと⁉︎」

一樹の言葉に驚く雄二。

「ああ、宣戦布告を宗介に任せて俺は気配を消しながらBクラスを観察してたんだが…」

「そこに須藤がいたと…」

「今一応康太にBクラスの名簿を取りに行って貰ってる」

「分かった。頭に入れておく」

そして昼休み…

「おーい、昼飯食いに行こうぜ」

雄二の言葉にいつメンは頷く。

「今日は屋上か?」

「そうだな」

そして屋上へ移動。

「よ、待たせたな翔子」

「…大丈夫、こちらの授業が少し早く終わっただけ」

「なら良かったぜ」

相変わらず夫婦のような会話する雄二に霧島である。

「はい明久のお弁当」

ゴトッ⇦重箱

「そしてこれが秀吉のお弁当」

コトッ⇦幼稚園生サイズのお弁当。

「姉上のワシの扱いが日に日に悪くなっておるのじゃ…」

「大丈夫だ秀吉。別世界のお前は何かあるたびに優子に関節外されてるから」

「その世界の姉上は本当に人間なのか!?」

「私はそこまで力無いわよ!!」

「さらに学校では超優等生だが、家では超だらしないらしい」

「姉上、姉上は変わらないで欲しいのじゃ…」

「うん、これからはもう少し優しくするね…」

別世界の自分たちを一樹に聞いた木下姉弟は、お互い思いやることを思い出したそうな。

 

「よし、Bクラス戦の作戦を説明するぞ」

「その前に明久。優子の膝枕で寝てるな。ブルーシートが狭くなるだろうが」

「「「ツッコミどころそこ⁉︎」」」

上から雄二、一樹、その他である。

「…さて、雄二。作戦を説明してくれ」

「ああ…作戦は…」

かくかくしかじか

「って訳だ」

「何にも説明してないが分かった」

「一樹の察しの良さに頼りすぎだよ雄二」

優子に膝枕されながら呆れる明久だった…

 

そして、試召戦争開戦の5分前…

「良いか?この戦争では、渡り廊下を占領するのが一番大事なことだ。よって、前線部隊長を姫路に頼むことにした」

『ウォォォォォォ‼︎』

前線部隊長が姫路だと聞いて、Fクラス前線部隊の士気が大幅に上がる。

「よし、野郎ども逝ってこい‼︎」

「おい!漢字が違うぞ‼︎」

須川がそれに反論するが…

「これはあくまで噂なんだけどな。最近女子には『俺が突破口を作る系男子』がとぉってもモテるらしいな」

「「「「よし逝くぞ!!いざ出陣!!エイ!エイ!オー!!!」」」」

一樹にあっさりノせられたFクラス男子たち…

「(思った以上に単純だったぜ…)」

キーンコーンカーンコーン

「よし!逝ってこい‼︎」

「「「「ウォォォォォォ‼︎」」」」

「ま、待って下さーい!」

先程も言った通り、今回は渡り廊下を占領するのが一番大事だ。よって、1人の為に、部隊全員が待ってられる訳が無い。

「…康太はまだ来ないのか…」

一樹が呟く。もし()()須藤がBクラスだったら、よく考えないと危ないことになる。

「一樹、考え事してる中悪いが前線に行ってくれ」

「おう、分かった」シュッ

一樹はまるで瞬間移動したかのように、その場から消えた。

「え、もう行ったのか?」

頼んだ雄二ですら、一樹の動きを見ることは出来なかった。

 

渡り廊下side

「いたぞ!Fクラスだ‼︎」

「最下位クラスのクセに生意気だ。さっさと潰す‼︎」

渡り廊下では両クラスの前線部隊が激しく戦っていた。

「(Bクラスは文系が多いっていう情報から理系科目を中心に強化したけれど…)」

 

総合科目

2ーF 須川 亮 758点

VS

2ーB 佐藤 圭太 1237点

 

数学

2ーF 横田 颯 58点

VS

2ーB 伊坂 翔 185点

 

「苦手科目でもFクラスを超えてるのか…」

明久がぼやいていると…

「お、お待たせしました…」

「来たぞ!姫路さんだ‼︎」

「うおっしゃー‼︎」

姫路が来た途端、単純なFクラスの士気はうなぎ登りだ。

「…単純すぎる」

「あのー、Bクラスの方々?戦死してますよ?」

戦術

2ーF 櫻井 一樹 1385点

VS

2ーBモブ×8 0点

 

 

卒業後、かなりの人数が自衛隊になる文月学園は、『戦術』の教科を取り入れている。だが、一樹たちの点数は正直おかしい。そのため…

「戦死者は補習‼︎」

「「「「いつの間に⁉︎」」」」

「「「「ギャァァァァ‼︎」」」」

姫路の登場に気を取られてる間に、Bクラスの前線部隊のほとんどを倒していた。

「あ、Fクラスの姫路瑞希です。残りのお二方に数学で挑みます。サモンです」

2ーF 姫路 瑞希 412点

VS

2ーBモブ×2 135点 158点

 

「「勝てる訳が無い‼︎」」

「腕輪発動!『熱線』です‼︎」

一樹、姫路の無双で、渡り廊下は制圧した。

「…一樹はいるか?」シュタッ

「康太?一樹なら…」

「呼んだか?」

「ああ、頼まれてた件だが、やはりアイツはBクラスだった」

「そうか…秀吉、明久。お前ら教室戻るぞ」

「「何で?(なぜじゃ?)」」

「どうやら、Bクラスには『須藤』がいるらしいからな」

「須藤って()()須藤?」

須藤雅史、テストにカンニング、ケンカにナイフは当たり前と卑怯なことで有名だ。

「そ。だから戻るぞ」

「「了解(じゃ)‼︎」」

 

「やっぱりな…」

「これは…」

「とても上位クラスのやることとは思えん…」

Fクラスの教室に戻ってみると、卓袱台は折られ、シャーペンも真ん中から折られているなど、地味な破壊工作がされていた。

「にしても、なぜ宗介達がいないのじゃ?」

「ああ、雄二の指示であっちこっちに行ってBクラスと戦ってるよ」

「…戦死してるとは考えないのじゃな」

「逆に聞こう。俺らがBクラス如きにやられると思うか?」

「「ないね(のじゃ)」」

3人で話してると、雄二が教室に入って来た。

「あぁあぁ、派手にやられてんなぁ…」

「よお雄二。なんで今までいなかったんだ?」

3人を代表して一樹が聞く。

「実はBクラスから停戦条約の申し込みが来てな。それの調印に行ってたんだ」

調印の内容は本日16時をもって、試召戦争に関する全ての行動を禁止するという内容だった。

「ってあと数分で16時じゃねえか⁉︎」

「ああ、だから今日はそろそろ「伝令‼︎」…なんだ?」

「島田が単独行動中にBクラスに拘束された模様‼︎」

「…単独行動?」

確か作戦では島田が1つの部隊を指揮していたはず…そこまで一樹が思い出し、雄二の顔を見る。

「はぁ…勝手なことすんなよ…」

雄二の呟きが聞こえた。どうやら敵を惑わすためではなく、本当に単独行動をとったらしい。

「はぁ…その場所を教えろ。俺が()()()をする」

 

Fクラスの教室を出て、報告を受けた場所へ向かう。

「よ、吉井!助け…「全員突撃準備しろ」なんでよ⁉︎」

「さ、櫻井?冗談だよな?」

「すまん、言葉が足りなかった」

「だ、だよな」

Fクラス勢がホッとひと息ついているが…

「あそこにいるFクラスの荷物と一緒にBクラスの2人を倒すんだ」

「「「「冗談じゃなかった⁉︎」」」」

「何でよ⁉︎」

荷物がガタガタうるさい。代表して明久が島田に質問する。

「島田さん、そもそもなんで単独行動したのかな?」

その質問は島田ではなく、島田を拘束してるBクラスの人から答えが来た。

「こいつはな、吉井が怪我したという嘘情報にまんまと騙されたんだよ!」

「…島田さん」

「な、何よ?」

「怪我してる僕にトドメを刺しに来るなんて君は鬼か⁉︎」

「何でそうなるのよ!ウチは『吉井が瑞希のパンツ見て鼻血出した』って聞いて心配したんだから‼︎」

「…その嘘に騙されるのも問題だが…本音は?」

一樹の質問に島田は…

「保健室へ行ってオシオキしようと…あ」

語るに落ちるとはまさにこういう事なんだな。

「…お前ら、やれ」

「「「「くぅ、了解!」」」」

「ま、待て!コイツがどうなっても良いのか⁉︎」

「「知ったことか‼︎」」

Fクラス大多数の攻撃に、Bクラスの2人+島田の点数は無くなり…

「戦死者は補習!」

鉄人に連れて行かれた。そこで…

キーンコーンカーンコーン

「…16時か…」

「あぁ、今日の試召戦争は終了だ。みんな、教室に戻るぞ!」

「「「「おう!」」」」

そして、Fクラス教室に戻る。教室に着いた途端、一樹は康太にある調査を頼んだを

「…何かあったのか?」

それを見ていた宗介が一樹に声をかける。

「ああ、さっきCクラスに感じる気配の量が多くてな。多分…」

「Cクラスがほぼ全員残ってると?」

「そういうこった」

宗介に説明した後、一樹は雄二に報告する。

「Cクラスか…どうしたもんかな」

「Cクラス代表の小山は根元と付き合ってるからな。裏で繋がっててもおかしくないだろ」

「…伝令」

一樹が雄二と話していると、Cクラスの様子を見に行ってた康太が戻ってきた。

「どうだった?」

「…まだ、HR中だった。調べるのには少し時間がかかりそうだ」

「ふむ…あまり下手に動くとBクラスとの条約に引っかかるかもしれねえからな…」

雄二が悩んでいると…

「あ、これならどうだ?」

 

ガラガラッ

「失礼します。小山さんはこのクラスですか?」

「あら、高橋さん。どうしたの?」

「いえ、以前お借りしていた小説がやっと読み終わったので、返しに来ました」

私は義兄さんに頼まれて、Cクラスの様子を見に来ている。まあ、確かに小山さんに用があったからあちらも違和感は無い様だ。

「(ん?そこにいるグループは確か…土屋君から貰った名簿に載ってた人達ですよね?)」

それも1人では無く、数人いる。Cクラスの人と話すのでは無く、こちらの様子を伺っている様だが…

「(隠してるつもりだと思いますけど、それじゃ視線で丸わかりですよ?私がどれだけアサガオの子達のイタズラを防いで来たと思ってるんですか)」

一樹や舞のいる『アサガオ』のイタズラっ子達見つけるのに、舞は気配を読める様にならざるを得なかったのだ。

…普段一樹に隠れて分からないが、舞も中々チートじみている。

「それで、どうだった?」

「すごく面白かったです。続編等があったらまた貸してくれませんか?」

「お安い御用よ。またね」

「はい、お邪魔しました」

ガラガラッ

「…悪りぃな舞、面倒ごと頼んで」

Cクラスから出て、少し離れた所の壁に、一樹は寄りかかっていた。

「いえいえ、義兄さんが私に頼るなんて珍しいですから嬉しかったですよ」

「そう言ってもらえると助かる。んで?いた?」

「はい、いました」

「サンキュー、なら和哉、行くとするか」

「おう」

「(小山さん、あなたは敵に回してはいけない人達を敵に回しました。頑張って下さいね)」




では、また次回お会いしましょう!


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第8話

中々筆が進まねえ…

お待たせしました。


「邪魔するぜ。Cクラスの代表は誰だ?」

Cクラスに入った和哉が辺りを見回す。

「私が代表だけど、何の用?」

和哉の呼びかけに、Cクラス代表である小山友香が前に出てきた。

「ああ、そこに根元だけじゃなくて、Bクラスのエース数人がいる理由が聞きたくてな」

一樹の言葉に、Cクラスの生徒がざわつき始めた。

「な、何のことかしら?」

「おいおい、俺たち相手に隠し通せると思うなよ。それにBクラスはFクラスと『試召戦争休戦の間はそれに関する全ての行動を禁止する』という協定を結んでてな。なのにCクラスにBクラスのエース数人がいるのはおかしいだろ?他のクラスの人間もいれば放課後遊びに誘ってるとかも考えたけど、CクラスとBクラスしかいないのは何か狙ってるとしか思えないんでな…」

言い逃れが出来ないと悟ったのか、小山は後ろを振り返る。案の定、少し呆れ顔の根元と、非常に焦った顔の須藤がいた。

「し、試召戦争は今休戦中です。私達がどこにいようと、勝手でしょう⁉︎」

須藤が苦し紛れに言うが、それは一樹達には通じない。

「根元だけだったらな。だが、お前の友人(そもそもいるのか?)がCクラスにいないことは調べがついてる。しかも、ご丁寧に高橋教諭までいるしな。高橋先生、なぜCクラスへ?」

「私は『Fクラスは先程結んだ協定を違反するからここにいてくれ』と言われたのですが…これを見るにBクラスが違反しているようですね」

よし、高橋先生の言葉もあるし…

「「なら、試召戦争は()()だな」」

「く、くそー!」

「と、言いたいところだが…」

「「「「へ?」」」」

「今は両クラスの大半が下校している。だから、根元は見逃してやる。だけどな…」

「他は(特に須藤)覚悟しやがれ‼︎」

「「試獣召喚(サモン)‼︎」」

「「「くっ!試獣召喚(サモン)‼︎」」」

戦術

2ーF 櫻井一樹 5085点

倉野和哉 4623点

VS

2ーB 須藤雅史 708点

モブ×2 平均388点

 

「「「高ぁぁぁ‼︎」」」

「この教科を選んでたのは須藤、お前だろ?卑怯な手でもそんぐらいの点数は取れんだな。だけど…」

「俺たちを…」

「「舐めるな‼︎‼︎」」

一樹の召喚機?エクシアは、須藤に向かって突進、和哉のアカツキはモブ×2へ突進、まさに、『あっという間』に終わった。

2ーB 須藤雅史 0点

モブ×2 0点

 

「戦死者は補習だ‼︎」

「「「うぎゃあああ‼︎」」」

鉄人がその後、Bクラスの3人を連れて行った。

「さて、明日はお前が指揮を取れるぜ?感謝しろよ恭二」

3人が連れさられたのを確認してから一樹は根元に話しかける。

「ああ、正直助かった。明日からは正々堂々、戦うぞ‼︎」

根元のある種の宣戦布告に一樹は不敵な笑みを浮かべ…

「上等だ。かかって来い。」

根元の宣戦布告を受けたのだった。

 

翌日…

「ふわぁぁぁ…」

一樹がFクラスの教室で大あくびをしていた。

「…一樹、昨日の睡眠時間は?」

明久がふと、一樹に質問する。帰ってきた答えは…

「15分」

「「「「死ぬぞそれ‼︎」」」」

一樹以外のいつメンが思わずツッコミを入れた。

「しょうがねえだろ。昨日はS.M.S全員の免許更新してたんだから」

「「「ちょっと待て、聞いてないぞそれは‼︎」」」

一樹の発言にやはりいつメン(今度はS.M.Sのみ)がツッコミを入れる。

「そうだっけ?まあ良いや。ほれ、お前らの新免許。これに今日から変えろよ」

「「「納得いかないけど了解」」」

とまあ、こんな感じで朝を過ごしていた。

「なあ雄二。Bクラスとの開戦は何時だ?」

「15:30からだな。授業が終わってからが良いらしい」

「ならちょいとばかしAクラスに行ってくる。舞から飯貰わないと…」

「「「「異端者には死を」」」」

ヒュッ←FFF団がナイフを投げた音

キンッ←一樹が逆刃刀で跳ね返した音

ザクザクッ←FFF団にモロに刺さった音

「「「「うぎゃあああ‼︎」」」」

「あー、一樹?そろそろ高橋さんと一樹の関係教えてあげなよ。流石にFFF団がかわいそうに思えた…」

明久は憐れみのこもった目でFFF団を見ていた。

「…しゃあねえな。俺と舞はな。同じ孤児院で育った兄妹だ。義理だけどな。」

「「「「え?ご家族だったんですか⁉︎それは大変失礼を‼︎」」」」

…どうやら一樹と舞を恋人同士と見ていた様だ。その頃…

「むっ!義兄さんが余計な事をした感じがします!」

Aクラスでは舞の勘が非常に的確に当てていた。

「あー、たまにあるわよねそういうこと」

「…私はいつもある」

「「いつも⁉︎」」

AクラスはAクラスで平和です。

ガラガラッ

「舞はいるか〜?」

「はい!義兄さん‼︎」ニッコリ

「「変わり身が早すぎる‼︎」」

舞の一樹を見た瞬間の満面の笑みに優子、愛子は驚いていた。

「あー、今日の弁当貰いに来たんだけど…」

「はい、分かりました。ちょっと待って下さいね。え〜と、この辺にあった筈なんだけど…」

「あれ?今の舞の言葉がフラグにしか聞こえないのは俺だけかな?」

「「「「安心して。Aクラス全員が思ってるから」」」」

一樹が遠い目をしてると、Aクラス全員が一樹に言った。そして…

「…ごめんなさい、義兄さん。義兄さんのお弁当を、忘れちゃいました…」

フラグは回収された。目の前には泣きそうな舞がいる。

「あー、気にするな。元々数ヶ月食べずに生きていけるんだ。1日くらいどうってことないさ」

一樹は舞を慰めようと、普段の生活を言ったが、それは…

「「「「櫻井君は化け物か⁉︎」」」」

Aクラス全員が一樹に驚きの声をあげる結果になってしまった。

「まあ、気にすんな。宗介や他の奴からパンでも奢ってもらうさ。じゃあな、授業頑張れ」

そして昼休み…

「宗介か和哉か一馬に頼みがあるんだが…」

「「「何だ?」」」

「飯奢って」

「お前ら急いで購買行くぞ!」

「くそ!飯物は残ってるか⁉︎」

「食べ物片っ端から買い占めに行ってやるから待ってろ一樹‼︎」

ダダダダダダッ‼︎

宗介、和哉、一馬が購買に向かって全力ダッシュ(つまり常人には見えない。音を気にしてる余裕は無いので試召戦争の時より速い)でFクラスの教室から出て行った…

「…今、何であの3人は全力ダッシュで行ったの?」

明久はもはや速さに関してはスルーして、一樹に聞いた。

「えーと、普段俺が『何か奢って』って言わないのは知ってるよな?」

「うん」

「だから普段は飯を食べずにすうか…」

「ごめん日数に関しては聞きたく無い。聞いたらいけない気がする」

明久は凄まじい勘で、一樹の絶食期間を聞くのを阻止した。

「…とまあそんな訳だから宗介達が『奢ってやるから飯食ってくれ!いや食べて下さいお願いします‼︎』と普段から言ってるんだ。だから偶に頼むと全力ダッシュしてくれる」

「…なんで普段()()()()食べないのかな?」

『そんなに』を強調しながら明久が聞いてくる。

「…S.M.Sの稼ぎの9割9分9厘を『アサガオ』に送って「死ぬよねそれ‼︎」…せめて最後まで言わせろ」

 

その頃、購買では…

「どけ!雑魚共!」

「邪魔だ!」

「うぉらぁ!」

「「「「ギャァァァァ‼︎」」」」

…宗介達による無双状態になっていた。

 

「おーい、昼飯食いに屋上行こうと思うんだが、どうだ?」

「「賛成」」

一樹は宗介達にメールを送り、屋上へ向かう。作戦会議も兼ねているので、主戦力である姫路と島田も一緒だ。

「さて、飯にするかな」

「あの…少しお弁当を作り過ぎてしまったので食べてくれませんか?」

姫路がそう言って差し出したのは、女の子らしい可愛い感じのするお弁当だった。

「良いよ、じゃあこれを「食べるな明久!」ってなんでさ一樹」

明久が卵焼きをひとつ取って口に入れようとすると、一樹が止めに入る。そのタイミングで…

「一樹〜買ってきたぞ〜」

「焼きそばパンもあるし」

「何故か安売りしてたプリンもあるぞ」

S.M.S勢が帰ってきた。

「な、なんで止めるんですか櫻井君‼︎」

姫路が泣きそうな顔で一樹に突っかかるが、どこ吹く風と、一樹は明久に答える。

「明久、その卵焼きの匂い嗅いでみろよ」

「う、うん。クンクン…あれ?理科室の匂いがするけど…姫路さん、隠し味に何入れた?」

「はい、味を整える為に塩酸をたくさん」

「一樹!!!!」

「言われなくても‼︎」

ガシッ←一樹が姫路の重箱を掴む音

「うおりゃぁぁぁぁぁ!!!!」

ブンッ←屋上のゴミ箱に投げる音

ボスッ←見事に入った音

「「「「ふぅ…」」」」

「ど、どうして捨てるんですか⁉︎」

姫路が涙目で一樹を睨む。しかし、一樹は涼しい顔で…

「ん、ああ悪い悪い。今度弁当箱弁償するから」

…まったく違う事を謝っていた。

「そうよ、なんで捨てたのよ?冗談に決まってるでしょ」

よく理解してない島田が呆れているが…

「え?冗談なんかじゃ「嘘だと思うなら明久の持ってる卵焼き食ってみろよ」…」

姫路が何か言う前に一樹が阻止した。

「良いわよ!冗談に決まってるのになんてこと言うのよ…」

パクッ←島田が卵焼きを食べた

ゴンッ←背中から直角に倒れた(屋上にクレーターが出来た)

ガタガタッ←痙攣なんてレベルじゃないほど体が揺れている。

「「「「……」」」」

「あれ?美波ちゃん?どうしたんですか?」

姫路が呑気にそんな事を言っているが、一樹は無言で明久の首にチョーカーをつけてスイッチを入れる。明久の目の色が変わって島田の腕に触れる。

「…ッ!!?」

すぐに起き上がった島田は一樹が渡したビニール袋に急いで異物を吐いた。

「…ごめん櫻井。あんた達が正しかった」

「な?ほらお茶飲め。お茶には殺菌効果もあるらしいしな」

「うん、もらう…」

作戦会議の間、島田は震え続けていたのだった。




バカテス名物、『暗殺兵器。姫路クッキング』はいかがでしょうか?


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第9話

…大変すみません。

お待たせしました。


「やれ!Bクラスを潰せ!」

「させるか!Bクラスの力を見せてやるんだ‼︎」

本日の授業が終わり、試召戦争は再開された。ちなみに今はFクラスがBクラスを教室に押し込んでいる所だ。しかし、明久は違和感を覚えていた。

「(なんでだろ?姫路さんが参加してない…)」

前線にいるにはいるのだが、戦いを挑まれないようにじわりじわりと離れていっている。どうやら一樹もそれを感じていたらしく…

「…根元と少し話す必要があるな」

「え?根元君がこれの原因なの?」

「いや、代表だから何か知ってるかもしれねえってことだ」

なるほど。今朝、わざわざ使者をよこして『本日は正々堂々戦わせてもらう』と言ったくらいだ。だから姫路に何かする訳無いと言うことか…

「…どうやら根元も戸惑っているらしいな…なぜ姫路が出ないのかと」

作戦ならどういうのかと頭をフル回転させてるに違いない。

「(…明久、俺は姫路に話を聞こうと思う)」

ひそひそ声で明久に話す一樹。おそらく盗聴を気にしてるのだろう。

「(姫路と俺は一旦教室に戻る。頼んで良いか?)」

「(OK、よろしく)」

当然明久も小声で話す。

「(サンキュー…)姫路、一旦教室に戻るぞ」

「あ、はい!」

すごくホッとした様子で一樹についていく姫路。やはり何かあったのだろう…

 

Fクラス教室

ガラッ

「康太はいるか?」

「…呼んだか?」

相変わらず、音もなく現れるな…

「この教室にお前以外の盗聴器はあるか?」

「…いや、無い」

康太に確認した一樹は、姫路の方を向く。

「姫路、Bクラスの誰かに脅されてないか?」

「ッ‼︎」

一樹の言葉に激しく動揺する姫路。どうやら図星の様だ…

「…ここは盗聴される心配は無い。話してくれないか?」

「…分かりました…」

姫路は少しずつ話す。昨日教室を荒らされた時に自分のとある物が盗られたこと。それによって須藤に脅されていることなど…

「…なるほどな。一馬‼︎」

「あいよ!」

呼ばれた一馬は鏡の近くに立っている姫路を突き飛ばす。

「な、何するんですか⁉︎」

「ごめん、手荒にしちゃったけど、ギリギリのタイミングだったんだ」

姫路が話している間、一樹、一馬、雄二には例の金切り音が聞こえていた。一馬が姫路を突き飛ばしたのは、鏡から姫路を襲おうとしていた蟹のモンスターから遠ざけたかったためだ。

「…変身ッ」

『Turn up』

ギャレンに変身、ミラーワールドに入って行った。

「(俺は行かなくて良いのかよ?)」

雄二がアイコンタクトで一樹に聞いてくる。

「(ああ…あまり人に知られるのはマズイからな。自分に近い人以外はやめといた方が良い。それに見ろ、凄く好奇心に満ちた顔をしてるぜ?)」

雄二が姫路を見るとなるほど。説明してくださいオーラが半端ない。

「(…説明するか?)」

「(しないに決まってんだろ)」

会議終了。

 

一馬side

俺はミラーワールドに入って、さっき見たオレンジ色の蟹モンスターを探していた。

「くそ、見つからねえ…なら」

俺は“ギャレンラウザー”からダイヤの8を取り出し、スキャンした。

『Scope』

視界を広げるカードを使い、モンスターを探すが…

「くそ、完全に逃げられた…一樹に報告すっか…」

 

「ただいま…悪い、逃げられた…」

ミラーワールドから出てきた一馬。しかし報告はあまり良い物では無かった。

「そうか…しょうがないさ。『契約者』は分かってるから、まあ大丈夫だろ」

一樹はそう言って一馬を慰める。しかし、事情を知らない姫路は…

「さっきのこと教えて下さい!」

当然こうなる。しかし、説明する気もない一樹達は…

「一馬、昼のプリン残ってたら一つもらえないか?」

「おう、ガンガン食って良いぞ」

完全無視していた。

「無視しないで下さい!」

「うるせえ!知ったら何になるんだよ⁉︎」

雄二が我慢出来なかったらしく、姫路に怒鳴る。しかし、姫路は雄二を睨んでいる。一触即発の空気の中、一樹が姫路の耳元で指を鳴らした。すると…

ドサッ

姫路が倒れた。

「…もう一樹の能力は大抵知ってるつもりでいたが、今は何をしたんだ?」

雄二の質問に一樹はこう答える。

「うるさいから眠らせたのと、少しばかり記憶を消した。コイツの中では、須藤に脅されているという説明が終わった後に気絶したことになってるから合わせろ」

「了解だ。助かった」

「おう…さて、そろそろ戦争を終わらせるか…良いな雄二?」

「おう…一応作戦は考えてたんだが早く終わるに越したことは無いからな…頼んだ。あとは前線でお前が指示してくれ」

「了解だ。さてと…」

一樹は指笛を吹く。すると…

「呼んだか一樹」

「何をすれば良い?」

その場にいなかった筈の宗介と和哉が教室に来た。

「…ツッコンじゃいけない。ツッコンだらいけない…」

雄二はもう壊れかけていた…

「…Bクラスを、潰すぞ。ついてこいよ、お前ら」

【普段の櫻井一樹】ではなく、【S.M.S社長の櫻井一樹】の命令に3人は…

「「「了解!」」」

付いていくのだった。

 

「(雄二の作戦では____だから)明久、近衛部隊以外を潰せるか?」

「了解、任せて!試獣召喚(サモン)‼︎」

英語

2ーF 吉井明久 65点

 

「Bクラス!覚悟‼︎」

「「「「その程度の点数に負けるか!潰されるのはそっちだ‼︎」」」」

明久の点数(かなりセーブしてる)を見て、バカにした態度のBクラス。しかし、根元は違った。

「お前ら!点数が下だからって驕るな!操作回数は向こうが上回ってるのを忘れるな‼︎」

流石代表、的確な指示だ。

「(お前ら、俺らも暴れて近衛部隊を根元から離すぞ)」

アイコンタクトで3人に指示を出す一樹。3人は理解した様子で頷いた。

「「「試獣召喚(サモン)‼︎」」」

戦術

2ーF 櫻井宗介 4932点

倉野和哉 4873点

星野一馬 4870点

「くそ!和哉に負けた‼︎」

「あぶねー、今回はギリ勝った」

「「「「なんだよあの点数⁉︎」」」」

「く…代表逃げて下さい!」

近衛部隊が宗介達と対峙する。ちなみにその他は明久が見事な動きで躱した後に…

戦術

2ーF 櫻井一樹 5071点

の餌食になっていた…

「くそ…粘れ!あと少しで援軍が来るはずだ!」

根元は指示を出しながら頭を冷やすためか窓際によっていた。しかし、それが命取りとなった。

「…Fクラス、土屋康太」

窓からは体育教師の大島先生を連れた康太が降りてきていた。

「Bクラス根元恭二に保険体育勝負を挑む」

「な、ムッツリーニだと⁉︎」

保険体育

2ーF 土屋康太 441点

VS

2ーB 根元恭二 203点

康太の召喚獣が小刀で根元の召喚獣を斬り倒し、試召戦争は終わった…




ネタが浮かばない…


暴走気味のしか…


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第10話

なんとか書けた…

のんびりのんびりやっていきます。


「さて、戦後対談といこうか。根元よぉ…」

戦争が終わったと報告を受けた雄二がBクラスで根元と対談している。

「あぁ…完敗だよ。流石だぜ」

負けたにも関わらず、Bクラスの生徒達は根元を責めていなかった。正々堂々戦って負けた清々しさかもしれない。

「…設備の交換は明日で良いか?」

「いや、それには及ばない。ただ条件がある」

「は?なんだよ。ここにはDクラスみたいにAクラスの何かがある訳じゃねえぞ?」

「いや、何かを壊してくれって頼みじゃない。ただAクラスに試召戦争の準備があると言ってきてくれ。ただ宣戦布告はするなよ?」

「…了解した。早速明日行ってく「いや、根元が行く必要は無いぞ」…どういう意味だ一樹」

ついさっきまで、Dクラスが壊したBクラスの室外機を修理してた一樹達がBクラス教室に現れた。

「だから、代表が行ったら面倒なことになるだろ?だから…使者をこっちが指名したい」

「…誰なんだ?あんま無茶させるなら…」

「安心しろ。恐らく本人以外満場一致で決まるから。宗介、中に放り投げろ」

「そいやっさ!」

一樹の指示を受け、宗介は縄で縛られたある男子生徒を教室に放り投げた。

「ぐっ…」

「使者をやらせるのは須藤だ。なら問題無いだろ?」

「ふざけないで下さい!なぜ私が『Bクラス全員でやらせよう!』なぜですか⁉︎」

…普段須藤は一体何をしてきたんだ?

「雄二、後は任した」

「おう…と言っても条件はそれだけだ。良いよな?」

「それだけで設備が守れるならやらせる!なあ皆‼︎」

『もちろん‼︎全員でやらせよう‼︎』

うん、Bクラスは須藤以外の仲は良いみたいだね。

 

その後のAクラス…

「わ、我々Bクラスは試召戦争の用意があります!覚悟していてくださいよ!Aクラス‼︎」

「…それは良いんだけど…」

「…うん、それは良いんだけどね…」

「「「「なんで縛られてんの⁉︎」」」」

須藤は宗介達に縛られた状態のままAクラスに行っていたのだ…ちなみに縄はドアの外に続いていた。

「こ、これは「おりゃぁぁ‼︎」ぐべらしゃ‼︎」

須藤が何か話そうとしたが、縄をすごい勢いで引っ張られ、Aクラスからいなくなった。

「「「「……」」」」

その場の全員が無言になるのも無理無い話だった。

 

その頃…

「さて、少し皆付いて来てくれ。学園長に例の件の許可を貰いに行く」

雄二の指示で明久、一樹、康太が学園長室に向かった。ちなみに秀吉はもし優子達が来た時の伝言係だ。

コンコン

『入りな』

ガチャ

「うーす」

「なんだい、一樹かい。何の用さね?まだ飯時じゃないよ」

最初に一樹が入ったら、学園長が一樹と気楽に話していた。

「…康太、そこにひとつ…他も探してくれ」

しかし一樹は学園長に答えずに、康太に指示を出していた。学園長に黙るように目で合図してから…

「おーっと足が滑ったー‼︎」

バキッ‼︎

学園長室にある観葉植物の鉢を思いっきり蹴り、何かを破壊した。

「…手が滑った‼︎」バキッ‼︎

康太も至る所で破壊しまくっていた。

「な、何をするさね⁉︎」

学園長は当然怒る。が、一樹が持ってる物を見て表情が変わった。

「…これを壊すためにひと芝居うっただけだ」

それは盗聴機だった。

「…助かったさね。んで、何の用さね?」

「用があるのは俺じゃない、Fクラスの代表だ」

一樹が言い終わると同時に雄二が入ってきた。

「どうも、学園長。自分はFクラス代表を務めている坂本雄二と言う者です」

「頼みたい事?なんさね」

「なに、単純な事だ。俺たちFクラスがAクラスに勝ったら再度振り分け試験を受けさせてくれってことだ」

「…そんな事で良いのかい?つまり勝ってもFクラスってことだよ?」

確かに、()()()やっても無駄だけどさ…

「元々下克上がやってみたくてFクラスに入ったからな。テストが受けれるなら良し。駄目なら駄目でまた楽しめば良し。けど、何人が暴動を起こすかな…?」

「脅しかい…分かったさね。Aクラスに勝ったら、再度振り分け試験を受けさせてやるよ。しかし、今週中に終わらせな」

「「「「無論‼︎」」」」

学園長との交渉を終わらせ、Fクラスに戻る。

 

「野郎共!学園長に振り分け試験の許可を貰ったぞ‼︎」

「「「「うおっしゃー‼︎」」」」

「これからAクラス戦の作戦を発表する。対戦方式は一騎打ちにしようと思う」

「「「「誰と誰なんだ?」」」」

「当然、代表である俺と翔子だ!」

雄二の言葉に須川が

「バカな坂本が霧島さんに勝てる訳が無いだろ」

と言うと…

ヒュッ←雄二がカッターを須川に向けて投げた音

パシッ←一樹が須川の眼前でカッターを掴む音

「危ねえ⁉︎」

「次は耳だ」

「次は助けねえ」

2人の殺気が本物だ。

「まあ、須川の言う通り、翔子は強い。だが、俺は勝ち目の無い戦いはしない主義だ。一騎打ちには科目を100点の上限ありの『小学生レベルの日本史』にしようと思っている」

「日本史?霧島さんのミスを狙ってるの?」

明久の質問は当然である。暗記科目である日本史を、しかも小学生レベルの問題で現学年主席が雄二に負けるとは思えないからだ。

「そうだ。覚えてるか?中学時代、ほぼ全てのテストで満点を取った翔子が1回だけ97点だった問題を」

雄二の言葉に、中学時代から一緒のいつメンが考える。

「…あ、なるほどね」

「そういうことじゃったのか」

「…日本史なのも頷ける」

そう、霧島は“1度”覚えたことを忘れない。だから…

「ってか、さっきから霧島さんの事を名前で呼んでるけど、坂本と霧島さんはどんな関係なんだよ?」

Fクラス男子の誰かの質問に雄二は答える。

「ああ、アイツは俺の幼馴染で、俺の彼女だ」

「アイツは処刑だぁぁぁ‼︎」

「「「「ウォォォォォォ‼︎」」」」

雄二の一言にバカなFクラス(いつメン以外の)男子が凶器(カッター)を持って立ち上がる。

「な⁉︎なぜ須川の号令で構える⁉︎」

「「「「黙れ男の敵‼︎Aクラスの前に貴様を倒す‼︎」」」」

「俺が何をしたと⁉︎」

「…遺言はそれだけか?待つんだ近藤。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込む物だ」

「了解です!隊長‼︎」

 

「ハァ…バカばっかりだね」

明久は目の前で起きようとしている惨劇(雄二か一樹達がFクラスを片付ける構図)を見ながらため息をついていると…

「明久君は霧島さんが好みなんですか?」

姫路が明久に聞いて来た。

「え?まぁ…美人だとは思うけど…(僕は優子がいるし)ってなんで姫路さんは僕に戦闘体制を取るの?それと島田さん!君はなんで教卓なんて危ない物を投げようとしてるのかな⁉︎(やばい!()()しなきゃいけないかな⁉︎)」

しかしその必要はなかった

パチンッ!←一樹が右腕を挙げ、指を鳴らした音

ドサドサッ‼︎←いつメン以外の全員が倒れた音

「「「「……」」」」

「何驚いてんだ?早くAクラスに行こうぜ?」

「あ、ああ」

 

「一騎打ち?何が目的なの?」

そして現在Aクラス。雄二が話しているのは吉井優子(誤字に非ず)「まだ【木下】優子よ‼︎」…久々だなこれ。

「当然、俺達Fクラスの勝利だ」

「無理ね。わざわざリスクをおかす必要も無いし。こちらにメリットは無いしね」

「そちらにはメリットはあるがデメリットは無いぞ。例を挙げるならFクラスと戦っておけばBクラス、Dクラスとの戦争が回避出来る。それと俺達は仮に勝っても設備交換はしないしな」

「え?本当なの?明久」

どうやら雄二の話が信じられないから恋人に話を聞いたのだろう。

「うん、本当だよ」

「でも、それじゃ戦争やる意味無いじゃない」

「いや、あるよ。僕達は勝ったら再度振り分け試験を受けれるんだ」

明久の説明を聞いて納得顏の優子。そこに雄二が恐ろしいことを言う。

「普通に戦争しても良いが、一樹のグループが本気を出したら…」

「「「「勝てる訳ねぇ‼︎」」」」

一樹達は昨年からテストを全力を出していないのはAクラス皆知っているのだ。

「…坂本君は酷いですね。義兄さん達が本気で【戦術】を受けたらこの学園全員で挑んでも勝てませんよ?」

「それが狙いだからな」

「ちょっと待てコラ。お前ら俺達をなんだと思ってる?」

「「戦いのプロ」」

「なんだろ…間違えてないのに、間違えてるとツッコミを入れたいこのもどかしさは?」

というか、舞までそう言うんだ…

「…受けても良い」

「だ、代表⁉︎普通に戦争受けるの⁉︎」

「…そっちじゃない。一騎打ちの方」

「「「「よ、良かった〜」」」」

待てAクラス。なんで全員がホッとしてるんだ⁉︎

「…ただしひとつ条件」

「ん?なんだ?」

「…そんな難しい話じゃない。ただ『負けた人が勝った人の言うことをひとつ聞く』ってつけるだけ」

「…分かった。場所はここで頼むぜ」

「ちょっと待って!少しは見栄を張らせて。7対7の選抜戦を望みます‼︎」

「へ?なぜに7対7なんだ?」

「こっちにもS.M.Sは2人いるからね」

「「「「何⁉︎」」」」

「ああいるぜ…ってお前ら、なんで俺達を睨む?」

「そんな話聞いて無いぞ‼︎」

「本当だよ!なんでさ⁉︎」

「ワシらに説明してくれても良かった筈じゃ‼︎」

「…納得出来ない‼︎」

雄二、明久、秀吉、康太の順に不満を言う。

「…いや、だってさ。FクラスにいるS.M.S組の人数見れば分かるだろうと思ってたんだよ。それに、全員がFクラスにいたら、万が一という時お前らの恋人助けるのは誰だよ?」

「「「「ウグッ」」」」

「…ハァ…祐人に智希、出てこい」

「よぉ!久しぶりだな4人とも」

「なんだかんだ言って、振り分け試験以来じゃないか?」

教室の奥の方から2人のイケメン青年が現れた。

1人は【六連 祐人(むつら ゆうと)】。爽やか系イケメンで、近接格闘を得意としている。反対に、射撃は文月学園にいるS.M.Sメンバーの中では一番下手だ。それでも下手な軍人よりは上手いが。

もう1人は【長峰 智希(ながみね ともき)】。クール系イケメン。S.M.Sメンバーのなかでも、トップクラスの射撃能力を有している。

「まあ、7対7なら少しは(2人のおかげで)いい勝負になると思うから」

「…まぁ良い。科目選択権はこっちが4、そちらが3で良いか?」

「…そうね。良いわ」

「…雄二、負けない」

「ああ、俺もだ」

宣戦布告も終わったところで昼休みのチャイムがなる。

「…舞、弁当くれ」

「はい!義兄さん!でも今日はこれしか作れなかったです…ごめんなさい。朝バタバタしてて」

「食えるだけありがたいさ…でもそれじゃ舞が食べれないから舞がこっちを食べなさい。俺は購買に行くから」

「…義兄さん、お金は?」

「150円財布に「お前ら購買に急ぐぞ‼︎」って宗介!今日は良いから‼︎」

「「「「遠慮するな!」」」」

「よし!行くぞお前ら‼︎」

「今日は完全制覇と行こうぜ‼︎」

「祐人と智希もいるから楽勝だ‼︎」

「注意するはラグビー部とアメフト部等、後は格闘技系の部活か‼︎」

「さっさと行くぞ!めぼしい物がなくなっちまう‼︎」

宗介、和哉、一馬、祐人、智希が全力ダッシュで(やはり常人には見えない)購買に走っていった…

「今日の購買は血を見そうね…」

優子の言葉にその場の全員が頷くのだった…そこに

「あ、ここにいました」

「みんな探したわよ」

姫路、島田が現れた。

「「「「げっ!」」」」

「げっ!とはなんですかげっ!とは‼︎」

そう言うのも無理はない。なぜなら、一樹達の視線の先には、姫路の持っている重箱があるのだから…

「(また重箱弁償しなきゃいけないのか…)」

と一樹が悩んでいると

「ただいま〜」

「今日は豊作だぜ」

「またもや安売りしてたプリンに」

「なぜか安売りしてた焼きそばパンに」

「自販機で飲み物も買ってきた」

S.M.S組が帰って来た。

「おう…お帰り。なんでそんな大量買い出来る?」

一樹に疑問に宗介が答える。

「なんか俺達が入った瞬間に、購買のおばちゃんが30%引きしてくれた」

要するに、S.M.S組のイケメンオーラにおばちゃんは負けたのでした。

「あ、皆さん!今度はちゃんと作ったので食べて下さい‼︎」

「「「ッ⁉︎」」」

前回を知っている宗介、和哉、一馬の顔が引きつる。

「(か、一樹!一体前何が起きたんだよ⁉︎宗介達がこんなに動揺するってかなりのもんだぞ⁉︎)」

祐人がアイコンタクトで一樹に聞く。

「(…結論だけで良いか?)」

「「(それで良いから教えて‼︎)」」

「(…姫路の料理の中に塩酸が入ってた)」

「「(殺す気か⁉︎)」」

以上、アイコンタクト終了。この間僅か2秒。

パカッ

「どうですか?今回は綺麗に出来た筈です!」

姫路は自身満々に重箱を開ける。確かに見た目は良い。見た目は…

「そう、なら私が「お前死に行く気か⁉︎」な、何よ一樹?」

「ちょっと何を入れたか聞くから待ってろ」

一樹の指示に素直に従う優子。そして、すぐに姫路に何を入れたか聞く。

「…姫路、何を入れた?」

「はい!味付けにシアン化カリウムをたくさん入れました‼︎」

「義兄さん‼︎」

「分かってるよ‼︎」

《1・0・3》

『Shingle mode』

バシュッ←一樹がフォンブラスターで姫路の重箱を飛ばした音

バンッ←祐人が姫路から重箱の蓋を奪って閉めた音

ガサガサッ←智樹が持って来たビニール袋で重箱を完全密閉した音

ダダダッ←宗介がゴミ箱の方へ走った音

ダダダッ←和哉が智樹からビニール袋を受け取り、宗介に続いた音

バンッ←一馬がエアガンで宗介より速くゴミ箱の蓋を開けた音

ボスッ←和哉がビニール袋をゴミ箱に突っ込んだ音

バンッ‼︎←宗介がゴミ箱の蓋を閉めた音

グルグルッ‼︎←一樹がどこからともなく、ビニールテープを持って来てゴミ箱を縛る音

ガラガラッ←舞が教室の窓を全部開けた音

「「「「ふぅ…」」」」

S.M.Sがひと仕事終えた様にひと息つく。

「あ、あのー」

聞きにくそうに優子が手を挙げる。

「ん?どうした優子」

「シアン化カリウムが化学薬品なのは分かるけど…どんなやつ?」

優子の質問は優子だけでなく、明久、雄二&翔子、康太&愛子もの様だ。

「ん、まあ、もう一つの名前の方が有名だからな」

「そんなことより!どうしてそこまでするんですか⁉︎」

「宗介。ヒント出せばコイツら分かるかな?」

「有名だからな。大丈夫だろ。仮に名前が分からなくても意味は分かるべ」

途中、姫路からの抗議の声があったが、完全スルーである。

「ヒント1、さっきも言ったが、別名は有名。主に工業に使用される」

一樹の第1のヒントでは今ひとつ分からないらしい。

「ヒント2、割とサスペンスとかで聞くことが多い」

宗介のヒントで皆が分かった様だ。

「「「「青酸カリ‼︎」」」」

「当たり」

シアン化カリウム、別名を青酸カリや青酸ソーダ。劇物指定令で『シアン化合物』として登録されている。人体に有害な毒物で経口致死量は成人の場合、150〜300mg/人と推定されている。

「…そんな物質を()()()()使った弁当を人が食べたら…どうなると思う?」

「「「「⁉︎」」」」

間違いなく死ぬ。

「一樹の言う通り。まずそんなのが手に入るのが法律的におかしい。人には有毒物質でも、工業的にはかなり役立つ物質だ。けど、先に言った通り、人には有毒物質だから保管は厳重にされているはずなんだ」

宗介の説明中、姫路は震えていた。

「…どうやって手に入れた?」

祐人は怒りのあまり、素人相手に向けてるとは思えない殺気を姫路に向けていた。

「ふ、普通に買えました」

「そんな訳無いでしょう⁉︎」

流石の島田も、冷や汗が止まらない。彼女もそこそこ料理が出来るので、そんな危ない物資を入れるとは、どういう事か分かっているのだ。

「塩と砂糖を間違えたとかだったら納得できる。けど、普通手に入る筈の無い物質を持ってたんだ。だからどこで手に入れたのか聞きたい」

智希がゆっくり、悟すように姫路に問う。

「…いました」

「ん?」

「この学園の…生徒から貰いました」

姫路は白状した。青酸カリはある生徒に貰ったと…そこへ

「あーあ。気付かれちゃったか」

文月学園の制服を纏った、異様な雰囲気の青年が現れた。

「誰か1人でも殺せれば良いと思ってたけど、面倒だなぁもう」

男はエレファントオルフェノクに変化した。しかし、忘れてはならない。ここには専門家がいることを…

「やっぱりな。いくら何でも買える訳がねえと思ってたんだ。出処はお前か」

《5・5・5》

『Standing by』

「変身ッ‼︎」

『Complete』

一樹がファイズに変身し、先程開けた窓からエレファントを投げ落とす。

「さーて、ちょっと遊んでもらおうか」




あれ?

いつもより文字数が多い…?


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第11話

戦闘描写が難しい…


「ファイズゥゥゥゥ‼︎」

4階から落とされたエレファントは激昂してファイズに殴りかかる。

「よっと」

しかし、冷静さを欠いた攻撃などファイズに当たる訳も無く、簡単に避けられる。

「クソォォォ‼︎」

「行くぜ」

右手をスナップさせ、エレファントと対峙するファイズ。

「クソがぁぁぁぁぁ‼︎」

その巨体をファイズにぶつけようと突進するエレファント。ファイズはそれを馬跳びの要領で避けると、ガラ空きの背中に蹴りを入れる。エレファントはバランスを崩し、地面に転がる。

「どうよ?」

「っざけんな!」

大振りのパンチを連続で放つエレファント。ファイズはそれをギリギリまで引きつけて躱すと、カウンターを入れていく。

「よっ!」

「ガッ⁉︎」

見事に腹部に決まったようだ。うずくまるエレファントに、ファイズは容赦無く殴る!殴る!殴る!!

「おら!おら!おらぁ!!」

「ゴッ⁉︎ガッ⁉︎グフッ!?」

更にエレファントの頭部にハイキック。

「せぇりゃぁぁ!!」

「オゴッ!!?」

エレファントと距離が開く。ファイズは右手のスナップを効かせると、力を貯める様に腰を落とす…

「ハッ!」

呼吸を整えて走り出すと、エレファントに勢いを乗せたストレートキックを放った。

「どりゃぁぁぁぁ!!」

「ガッ⁉︎」

ストレートキックを喰らったエレファントは吹っ飛び、植木の中に消えた。

「…灰になったか?」

ゆっくりと植木に近づくファイズ____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は…“オリジナル”だぁぁぁ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

“突進体”に変化したエレファントは、ファイズを突き飛ばした。

「ガァッ⁉︎」

 

 

「「「「ハァァァァ⁉︎」」」」

怪人が形態を変化させたのを見て、教室に残っていた人達(S.M.S+舞を除く)は驚愕の声をあげる。

「なんだよ!あのデッカい象は⁉︎いくら一樹でも勝てねえだろ⁉︎」

雄二の言葉に皆も言葉にこそしないが、同意見の様だ。しかし、宗介がそれを否定する。

「アホ。あの程度なら時間をかければ余裕だ」

それは信頼から来る言葉だった。

 

 

エレファントの形態変化に、不意を突かれたファイズはエレファントの突進をモロに喰らってしまう。

「ガハッ⁉︎イッテェな…」

何度も何度も突進をしてくるエレファント。ファイズは必然的に防戦気味になってしまう。

「どうしたどうした⁉︎負け認めんのか⁉︎」

エレファントにはもうファイズは驚異ではないとばかりに叫ぶ。しかし、ファイズもただ防戦一方になっていた訳では無い。

「…よし、お前の行動パターンは見切った‼︎」

右腰にあるツール、“ファイズポインター”にミッションメモリーを装填する。

『Ready』

右脚に装着すると、フォンのエンターキーを押す。

『Exceed charge』

腰を落とし、右足に重心を乗せてチャージ完了まで待機した後、ジャンプして前方一回転し、空中で右足のポインターをエレファントに向け、ロックオン。つまり____

「これで終わりだァァァァ‼︎」

____クリムゾンスマッシュをまともに受けたエレファントは

「そんな…この俺がァァァァ‼︎」

赤いφの字が浮かび、灰化した。

 

 

「「「「いやったー‼︎」」」」

学園全員が喜んでいる中、翔子だけは違った。

「(あのベルト…もしかして⁉︎)」




のんびりとやっていきます。


気長にお待ちください…


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第12話

難産でした…


戦闘描写難しい…


Aクラスへの宣戦布告を終えた帰り道。雄二は翔子と帰っていた。

「…雄二」

「ん?どした?」

この2人、いつもならここまで静かではなく、世間話をしながら帰る方が多い。しかし、今日は翔子の雰囲気が違った為、雄二は翔子から話すのを待っていた。

「…一樹のベルト。似たようなものが私の家にある」

「何⁉︎」

「…だから、今度の日曜にみんなで私の家に来て」

「…分かった。他のFクラスの奴らには俺から言っとく」

雄二と翔子がここまで会話すると…

「見つけましたよ!Fクラス代表‼︎」

須藤が目の前に現れた。

「…須藤か…何の用だ?」

「言うまでもない…貴様のせいで!貴様のせいで私は‼︎貴様と吉井だけは…殺さなくては気がすまない‼︎」

須藤から漏れ出る殺気…あまり素人って訳でも無いらしい。

「ケンカって訳か…上等だ。来いやコラ」

鞄を翔子に預け、戦闘体制に入る雄二。しかし、須藤は…

「フン、生身でなんて野蛮な。私達でしか出来ない戦いがあるでしょ?」

須藤はそう言ってある物を雄二に見せた。

「そ、それは…カードデッキ⁉︎」

中に蟹の紋様が彫られた黒いカードデッキだった。

「さあ、始めましょうか。ライダーバトルを…負けたら死の恐怖を味わい、生還出来たとしてもライダー関連の記憶はなくなりますがね…」

これは、ライダー達全員が認識しているミラーワールドの掟だ。ライダーバトルで負けた者は、1度死ぬ。そしてミラーワールド関連の記憶が無くなり、いつの間にか戻ってきているのだ。

「…受けて立つぜ」

須藤は近くの鏡を指す。雄二もポッケからカードデッキを取り出し…

「翔子…俺が言ったら直ぐに明久を呼べ。良いな?」

「…え?吉井?」

翔子の疑問には答えず、須藤と雄二は鏡にカードデッキを掲げ、Vバックルを呼び寄せた。

須藤は右手を独特の構えで前に出し、雄二は拳を握って曲げた右腕を内側に向けて振りかぶった。

「「変身ッ‼︎」」

同時にVバックルにカードデッキを装填し、2人は変身した。須藤が変身したライダーはシザース。蟹型モンスターと契約してるからか、とても装甲が硬そうだ。

「さて、行きますか?」

「ここまで来たら逃げねえよ。相手してやるぜ‼︎」

そう言って2人は同時にミラーワールドに入って行った。

「…そうだ、吉井に連絡とらないといけないんだった」

翔子は雄二に言われた通り、明久に電話する。

プルルルル…ガチャッ

『もしもし?どうしたの代表』

しかし出たのは優子だった。

「…なんで吉井の携帯に優子が出るの?」

至極もっともな疑問である。

『明久の携帯に女の人が出た場合、まず私に渡してくれるの』

よっぽど優子に惚れてるんだな、明久…

「…ごめん、今回はおふざけ無しの話だから吉井に代わって」

翔子の声音から、真剣度が普段と違うことを察したのだろう。優子はすぐに明久に代わった。

『もしもし?どうしたの霧島さん』

「…吉井、【ミラーワールド】って知ってる?」

『ッ⁉︎何故霧島さんがそれを⁉︎』

「…雄二が話してくれた」

『そう、雄二が…で、それが?』

「須藤も…ライダーだったから」

『どこ⁉︎すぐに優子と行く‼︎』

須藤がライダーだと聞いて緊急事態だと理解した明久は場所を聞いて、すぐに向かうと約束した。

 

 

 

ナイト、シザースはミラーワールドに入った瞬間、それぞれの召喚機にカードを装填した。

『Sword vent』

『Strike vent』

ナイトは槍状の武器、ウイングランサーを構え、シザースは蟹のはさみ状の武器、シザースピンチを構える。

「オラァッ‼︎」

「フンッ‼︎」

同時に前に出て、お互いの武器がぶつかる。だが…

「く、硬えな‼︎」

ウイングランサーが弾かれた。ナイトの腕が衝撃によって痺れる。

「私の武器はもちろん、私自身もかなりの硬度を持っています。そこんじょそこらの武器にやられる訳がありませんよ」

シザースが小馬鹿にした態度で接近してくる。確かに、ナイトの武器は素早さを重視した武器ばかりだ。ナイトにとって、シザースは相性が悪すぎる相手だ。

「(チクショウが…)」

「まあ、ライダー歴10年の私に勝てと言う方が酷ですね」

ただでさえ相性が悪いと言うのに、須藤はかなりの長期間、ライダーだったらしい。経験の差もあると言う事だ。

「…それがどうした!」

ウイングランサーを構え、シザースに飛びこむナイト。シザースはシザースピンチでウイングランサーを受け止める…

「オラッ!」

「グッ⁉︎」

ウイングランサーでシザースの視界を奪ったナイトの前蹴りが決まる。装甲の隙間に入ったために、シザースは蹲る。

「(装甲は全身を覆ってる訳じゃないようだな!)」

攻撃が通用する部分を見つけたナイトは、ひたすらそこを狙う。

「ハッ!」

「おのれ…!」

経験で勝っている筈のシザースが、ナイトに追い詰められている。それが、シザースの冷静さを奪っていた。

「この、程度で⁉︎」

力任せにシザースピンチを振るうがナイトはギリギリで避ける。こうなったらケンカ慣れしているナイトが有利…しかし、シザースにウイングランサーを掴まれ、シザースピンチで殴り飛ばされた。

「フンッ!」

「ガッ⁉︎」

ナイトの体から火花が散る。僅か一撃で、シザースの優勢へと変わってしまった…

「さっきまでの勢いは、どうしました!?」

「オゴッ⁉︎」

ダメージの大きさに、ナイトの動きが鈍る。そこに、シザースの容赦ない攻撃が続く。

「悪鬼羅刹も、大したことないですね‼︎」

シザースピンチを振り上げて、ナイトを吹っ飛ばした。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

吹き飛ばされながらも、ナイトはなんとかウイングランサーを奪い返す。そして、ダークバイザーにカードを装填する。

『Final vent』

起死回生を狙って必殺技、“飛翔斬”を出すナイト。それを見てシザースもまた紋様が描かれたカードをバイザーに装填する。

『Final vent』

すると、シザースの背後に鏡が現れ、彼の契約モンスター、ボルキャンサーが中から出てきた。

シザースはボルキャンサーのアシストでジャンプ。高速で空中回転しながら体当たりして来た。

「喰らえェェェェ‼︎」

「行っきますよォォォォ‼︎」

2人の必殺技が激突。果たして、勝つのは…




では、また次回お会いしましょう


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第13話

あれ?

主人公が出てない…だと?


「がぁぁぁぁぁぁ!!?」

必殺技同士の戦いに敗れたのはなんとナイトだった。

「ガハッ…」

『相棒!』

「これでライダーが1人減りましたね」

シザースピンチを構え、ゆっくり近づいてくるシザース。ナイトはもう早くは動けそうに無い。

「それでは、さよならです‼︎」

「ただでやられるかァァァァ‼︎」

突っ込んでくるシザースにタイミングを合わせて、ダークバイザーを突き出すナイト。シザースは咄嗟のことなので回避出来ずに、カードデッキに直撃した。

 

バキンッ‼︎

 

「し、しまった!カードデッキが‼︎」

ナイトの攻撃でシザースのカードデッキが割れた。すると…

ギシャァァァ!

「け、契約が解けただと⁉︎」

ボルキャンサーは契約破棄とみなした様で、変身が解けた須藤へ襲いかかる。

「ば、馬鹿な!私はこんな所でェェェ‼︎」

須藤の断末魔の叫び。あまりに残酷な光景にナイトは思わず目をそらしてしまう。ボルキャンサーは須藤を喰い終わると、今度はナイトに狙いを定めた様だ。ナイトは逃げようにも体に力が入らない。ボルキャンサーの攻撃を次々と受けてしまう。

「(すまん、翔子…俺もここまでみたいだ)」

ボルキャンサーのハサミが振り下ろされるのを、ナイトは他人事の様に見ていた。だが…

 

「諦めてんなよこの馬鹿野郎‼︎」

『Guard vent』

 

ガギンッ‼︎

 

赤い影がナイトとボルキャンサーの間に入り、ボルキャンサーの攻撃を受け止めた。

「あ、明久⁉︎」

「確かにちょいと遅れたけどさ!その程度で諦めるなんて雄二らしくないよ‼︎」

ナイトをかばったのは龍騎だった。

「お前…木下姉はどうした⁉︎」

「すぐ(そこ)にいるよ!ってか話は後だ。早くミラーワールドから出て‼︎ツバサ!ここは引き受けるから雄二を頼んだ‼︎」

『おう!』

ダークウイングはナイトの背中で翼になり、雄二を近くの鏡に運んで行った。

「さて、お前とお前の元契約者には親友(ダチ)が世話になったね…たっぷり礼は返してやるから覚悟しやがれ!」

『Sword vent』

ドラグセイバーを呼び、ボルキャンサーに向けて構える。

 

 

少し時は遡る…

「霧島さん!大丈夫⁉︎」

明久は優子の手を取りながら翔子のいる所に着いた。

「吉井!雄二が…雄二が‼︎」

普段大声を出さない翔子が声を張るなんて尋常ではない。明久はすぐに鏡を見る。するとあと少しでシザースに負けそうなナイトが写っていた。

「(雄二!男ならその程度で諦めんな‼︎)」

明久の心の声が聞こえた訳ではないだろうが、ナイトはレイピア状の召喚機をシザースの腹部に刺していた。

「変身が解けた⁉︎やばい‼︎」

「…なんで?」

「今雄二が壊したのはモンスターとの契約の証なんだ!それが壊されたってことは…雄二が危ない‼︎」

明久が説明してる間に須藤はボルキャンサーに喰われていた。翔子と優子は明久の方を向いていたので、その残酷な場面を見ないで済んだ。

「(須藤を喰い終わった…その後は…やっぱり雄二が狙いか⁉︎)」

しかもシザース戦でかなり消耗してるらしく、回避も出来ない程弱っているらしい。今、ナイトを救うためには…

「…優子、話は後でゆっくりしようね」

「…え?」

明久は優しい顔で優子の頭を撫でると気を引き締めて鏡の前に立つ。

「吉井!今鏡の前に立ったら危ない‼︎」

翔子が止めるが、明久は言葉では無く、行動で応える。

「…え?」

龍の紋様が描かれたカードデッキを鏡に掲げ、Vバックルを装備する。その後、右手を左斜め上に伸ばし…

「変身ッ‼︎」

カードデッキをVバックルに装填する。すると複数の影が彼にくっ付き、彼を【仮面ライダー龍騎】に変身させた。

「明久が…変身した?」

優子は今ひとつ状況が理解出来ない様だが、今は構ってられない。

「っしゃぁ‼︎」

右手を顔の前で軽く振り、気合を入れてミラーワールドに入り、急ぎカードをドラグバイザーに装填する。

「諦めてんなよこの馬鹿野郎‼︎」

『Guard vent』

龍騎はドラグシールドでナイトをかばい、選手交代となったのだった…

 

 

龍騎はドラグセイバーを構えたまま、ボルキャンサーと睨み合っていた。

「(AP(アタックポイント)は大したこと無さそうだけど…装甲は硬いな。完全な防御型か…)」

龍騎も実はかなり年季がいってるライダーだ。モンスターから出るオーラでおおよその強さを察することが出来る。

「(やるしかないか…)行くよ‼︎」

ドラグセイバーを構えて走り出すとボルキャンサーも龍騎に向かって走り出す。ドラグセイバーとボルキャンサーの巨大なハサミがぶつかると…

 

バギャアンッ!

 

「ぐっ…」

火花が散り、ドラグセイバーが弾かれた。

「やっぱり硬いな…なら!」

『Strike vent』

ドラグクローを呼び、同時に現れたドラグレッダーと共に火球を出す。しかし…

 

《ギシャァァ‼︎》

 

「へ?効いてない?リュウの炎が?マジで?」

ドラグレッダーはモンスターの中でもかなりの攻撃力があるモンスターだ。その火球を受けてもダメージを負ってる様に見えないボルキャンサー。

「リュウ…あのモンスターの装甲剥がせると思う?」

『分からん。しかし、やるしか無いだろ?』

「うん、そうだね!」

再び走り出し、ドラグセイバーでボルキャンサーを何度も攻撃する。そして、ボルキャンサーが一瞬怯んだ瞬間、

「うおりゃぁぁぁぁ!」

持てる力を全て使ってボルキャンサーを遠くへ投げ飛ばす。結果、ボルキャンサーは10m以上飛んでいき、固いコンクリートに叩きつけられた。

 

ドォン!

 

《ギシャァァ…》

「よし!上手く行った!」

『ゲームのノリが通用するとわ…』

落下+コンクリートへの衝撃でボルキャンサーの装甲にヒビが入った。しかも衝撃はボルキャンサーの内部にもいってるのか、先ほどより動きが鈍い。

「さて、それなら長居する理由も無いし、そろそろ終わらせますかね」

カードデッキから龍の紋様が描かれた赤いカードを取り出し、ドラグバイザーに装填した。

『Final vent』

腰を低く落とし、力を貯めてジャンプ、ドラグレッダーと共に空中に舞い上がり、ドラグレッダーが放つドラグブレスを受けながら跳び蹴り“ドラゴンライダーキック”を叩き込むと…

《ギシャァァ‼︎》

ボルキャンサーは奇声をあげ、爆散した。

「ふぅ…なんとか倒せた」




龍騎は本当に戦闘描写が難しい!


…龍騎に限った話じゃないや


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第14話

ネタが浮かんでも、文字に出来なくて辛い


「ただいま…」

明久が現実世界へ戻ると、翔子が雄二の傷の手当をしていて、優子はずっと鏡を_つまり明久を_見ていた。

『………』

全員が無言、気まずい空気が流れていた。

「……んで」

「…え?」

その空気を破ったのは優子だ。

「何で言ってくれなかったの?」

目に涙を浮かべながら明久に問う優子。辛そうに目を背ける明久。

「あなただって、一樹達と同じくらい危ないことしてるじゃない!なんで相談してくれなかったの⁉︎」

無理も無い…自分の恋人が命懸けで戦っていたのだから…自分に黙って。

『それくらいにしてやれ優子』

『明久にも事情があったんだよ』

そこでその場の4人以外の声が聞こえた。1人目の声は明久に、2人目の声は雄二に馴染みがある声だ…

「…いつの間にいたのよ。リュウ」

「…ツバサ、あなたも」

逞しい感じのイケメンに優子が、爽やかな感じのイケメンに翔子が、それぞれ問いかける。

『明久と同時だが?』

『俺はリュウよりワンテンポ遅れてだな』

「…どこから?」

優子の声音はもう予測しているのを確認するための声音だ。

『…【ミラーワールド】からだ』

『右に同じく』

「…そう」

優子はもう驚かない。なにせ今まで明久の家に遊びに行った時、リュウが先にいたかと思えば、音もなくいつの間にか帰っていたからだ。

「あなたも…ってことね」

『ああ、そうだ』

「…明久」

「…何かな?」

「…もう、隠し事はないわよね?」

「…うん」

 

 

「…優子に気付かれちまったか」

明久達より数十メートル離れた先の壁に一樹は腕を組んで寄りかかっていた。

「…流石に優子じゃ記憶を消せないだろ?」

一樹に質問するのは一馬だ。実は2人、須藤を倒そうと、学校終わりから探していたのだ。しかし、間に合わずに雄二が、明久が戦うことになってしまった…

「…ああ。それに…そろそろ話さなきゃいけなかったんだよな、きっと…」

「…そうだな。でも…」

「そう…間に合わなかった俺達の言い訳にしかならない。分かってるさ、それくらい。俺達は、それを忘れちゃいけない。いや“俺は”だな。俺個人の問題に、舞達『アサガオ』、一馬や宗介達『S.M.S』。巻き込んじまった“俺は”忘れちゃいけないんだ…」

一樹が自嘲気味に話しているのをいつもなら否定する一馬も、今回ばかりは黙って聞くしかなかった…そして2人は優子に説明すべく、明久達の方へバイクを走らせた。

 

 

明久の胸で泣いてる優子。そしてそれを見て、悔しそうにしてる雄二の手を翔子が握っていた時、どこからかバイクのエンジン音が聞こえた。しかもかなり馬力のあるタイプの…こんなバイクを扱える人物が何人か頭に浮かんだ明久と雄二が音のする方を向くと青いバイクとその後ろの赤いバイクを見つけた。その2台は明久達の前で止まり、フルフェイスのメットを取った。

「…よう、大丈夫か?」

「遅くなって悪かった」

青いバイクには一樹が、赤いバイクには一馬が、それぞれ乗っていた。

「…一樹に一馬か…」

雄二はまだケガが痛むのか翔子に膝枕されてる状態だった。

「雄二も明久もお疲れ、雄二なんか特にな。自分より経験値が高い相手に勝つなんて流石は元【悪鬼羅刹】だな」

「やめてくれ…」

雄二は傷だらけの状態で顔を背けている。耳元が赤いのは少し照れてるのだろう。

「明久、自分の攻撃が通じなさそうな相手に自分の知識を総動員させた冷静さは流石だ」

『(ただゲームの知識を使っただけなんだが…)』

リュウがそう考えていると

「リュウ、たとえゲームの知識でも、応用すれば割とこの世界には通じるぞ?」

一樹がリュウの表情を読んで、明久のフォローをする。

『表情だけでなぜ細かい内容まで分かるんだ…』

「明久の普段の生活」

『納得だ』

「ねえリュウに一樹。それはなかなか失礼な話だと思うんだけど…」

「『お前の日頃の行いだ』」

「ハモるな‼︎」

 

そして明久はミラーワールドについて、自分の知っている事を話した。

ミラーワールドには人を襲うミラーモンスターがいる事、ミラーモンスターと戦う為にはミラーモンスターと契約して戦うという事、さっき“変身”したのはその契約後の姿だと言う事などだ…

「ミラーモンスターを倒す為にミラーモンスターと契約する…矛盾してない?」

明久の説明を聞いた優子の第一声がそれだった。

「そうなんだけどね…まあ、中には一樹と一馬の様に、契約しないでミラーワールドに入れるライダーもいるみたいだけど」

「…え?一樹達のは違うの?」

優子の質問に今度は一馬が答える。

「ああ、違うよ。はっきし言えるのはカードの違いかな。明久、カードを1枚出してくれ」

「ほい」

明久は一馬の指示通りにカード(ファイナルベント)を1枚出す。

「明久達は道具を呼んだり、必殺技を決める時にカードを1枚使うのに対し、俺達は変身にもカードを使うんだ。しかもカードの柄が…」

そう言って一馬は1枚のカードを取り出す。その中心にはクワガタムシの様な模様があり、左上と右下には…

「…トランプそっくりなんだ」

ダイヤのAと描かれていた。

「一馬がダイヤ?なら一樹は?」

「俺はスペードを使ってる」

一樹がスペードのAを取り出し、優子に見せる。

「…まあ、話せるのはこれくらいだな。後はS.M.Sの機密事項だ。とりあえず俺達のと明久達のシステムが違うことだけ理解してくれれば良い」

「…分かったわ」

「さて、優子」

一通り説明し終えたところで、一樹が切り出す。

「一通りの説明はした。俺からはひとつだけ質問する」

「…何かしら?」

「一通りを知った上で…明久を支えるのを選ぶか、怖いから記憶を消すのを選ぶかだ」

瞬間、一樹の纏う空気が変わる。優子の答えによっては…

「…愚問よ、一樹。私は明久を支えるって答えるに決まってるじゃない」

「ッ⁉︎」

優子の言葉に過剰に反応したのは明久だった。

 

『愚問だよ一樹君。私は明久を支えると決めるんだから』

 

「…そうか。って明久、どうした⁉︎すごい汗だぞ⁉︎」

「だ、大丈夫だよ一樹。なんか変な感じがしただけだから」

「…そうか」

一瞬、一樹と一馬はとても辛そうな顔をしたが、4人には分からなかった。

「まあとにかく、優子の決意も聞いたし、俺と一馬は本部に行く。じゃあまた明日」

『また明日』

雄二に仙豆を食べさせた後、一樹と一馬はそれぞれバイクに乗って帰って行った。

「じゃあ、俺らも帰るか。明久、木下姉、また明日な」

「…また明日」

「うん。雄二、霧島さん、明日ね」

「代表、坂本君、また明日」




ちゃっかり仙豆が出てる件…


便利だよね仙豆って。


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第15話

Aクラス戦、始まります!


「さて…そろそろ始めるか?翔子」

「…うん。いつでも良い」

今はAクラスの教室にいる。そう…Aクラスとの選抜試合が始まるのだ…

「では、第1回戦の代表者は前に」

高橋先生の指示でFクラス陣からは秀吉が前に出る。

「佐藤、行ってくれる?」

「はい、代表」

Aクラスからは佐藤夏帆が出て来る。

「では、科目を選択してください」

「そっちが選んで良いぞい」

「そうですか?なら…物理でお願いします、先生」

高橋先生がパソコンで科目を入力した。

「物理に設定しました。召喚して下さい」

「「試獣召喚(サモン)‼︎」」

 

物理

2ーA 佐藤夏帆 421点

VS

2ーF 木下秀吉 398点

 

「「「「…は?」」」」

「むぅ…400点行かなかったのじゃ」

「苦手教科でそれだけ取れれば充分じゃないか?」

「とは言うがの…お主らは苦手教科でも400点超えるじゃろ?」

「「「「いや、流石に無理」」」」

「「「「いやちょっと待て‼︎」」」」

両クラスとも驚いている(いつメンは除く)のは恐らく秀吉の点数だろう…

「なんで秀吉の点数がAクラス並みなんだ⁉︎」

「なぜって…これがワシの本来の点数じゃからのう…」

「「「「なんでFクラスに⁉︎」」」」

「楽しそうだったからじゃ♪」

雄二が下剋上をやりたがっていたから秀吉はFクラスに行ったのだ。

「さて、始めるぞい!」

「あ、はい。負けません!」

2人は点数にあまり差は無い。だからコツコツ点数を削るべきだ。

秀吉の召喚獣が、薙刀を構えて走り出す。対する佐藤は、武器である鉄球を使って短期決着を望む。

「うぬっ!」

飛んでくる鉄球を、横に飛び込んで回避する秀吉。

「(やはり、細かい動作はまだ無理じゃの…)」

一樹達S.M.Sや明久なら、今の攻撃程度、最小の動きで避けたことだろう。とはいうものの、秀吉の操作も決して下手ではない。前述した者達が異常なのだ。

「今のが避けられましたか…結構自信あったんですけど…」

「これでも試召戦争を2度経験しておるのでな」

再度召喚獣を走らせ、佐藤の召喚獣に薙刀を振るう。佐藤は召喚獣を飛び上がらせ、それを回避。

「ここです!」

そして、空中から投擲+重力の威力を加えた鉄球を投げる。

「むっ!」

秀吉は薙刀の石突で地面を叩き、その反動で横に飛ぶことで鉄球を避ける。

「鉄球の威力で地に戻ってくるとは、考えたの…」

「これでもダメでしたか…なら」

佐藤は鎖を短く持ち、鉄球を回転させる。

「これであなたの攻撃に対応できます。細かい動作が出来るならともかく、避けるのに大きく動かなければいけない以上、私の負けはありません」

「…(確かに、アレを避けながら攻撃を加えるのは難しいのじゃ。どうすれば良い…)」

秀吉の脳が高速でシュミレーションしていく。しかし、自分の操作技術では、攻撃を当てる場面が想像できない…

 

「…秀吉、ひとついいことを教えてやる。召喚獣の操作は、()()()()()()()で上手くいく人もいるが、()()()()()()でやってる人も多いんだぜ?」

 

後ろから、一樹の声が聞こえる。決して大きくはない声なのに、その場の全員に聞こえた。

「(つまり、ワシにはマニュアル通りのやり方では合わないと言うことかの?ならば、どうやって動かせれば上手くいくのじゃ?これが演劇ならその者の気持ちになれば良いのじゃが…()()?)」

瞬間、秀吉にある考えが浮かんだ。

「…そういうことなのかの?一樹」

「さあ?どう思ったのか知らないが、お前がそう思ったのなら、そうなんじゃないのか?」

秀吉は、自分の考えを信じて、召喚獣を突っ込ませる。

「行くのじゃ!」

佐藤は回転させている鉄球を横薙ぎに振るってきた。それを秀吉は…

「なっ⁉︎」

()()()()()()()

「そこなのじゃ!」

佐藤が動揺してる隙に、薙刀を振り下ろす。佐藤は咄嗟に後ろに飛ぶが、切っ先が腕に掠った。

 

2ーA 佐藤夏帆 408点

 

本当に掠っただけなので、大したダメージにはならなかった。だがら秀吉の攻撃が当たったのは事実…

「やっぱりなのじゃ!」

秀吉はコツを掴んだのか、果敢に攻めて行く。攻守が、変わった瞬間だった。

 

「お?コツを掴んできたみたいだな」

助言が役に立ったようで、ホッとする一樹。

「秀吉は独特のやり方が合ってるタイプみたいだね。一樹達と同じで」

隣の明久も、秀吉が答えを見つけたようでホッとしていた。

「あー…納得してるところすまんが、俺たちにも分かるように説明してくれないか?」

Fクラスの面々が、説明を求めてくる。

「説明と言われてもな…さっき俺が言ったことまんまだよ」

「秀吉は、秀吉の操作方法を見つけたってこと」

「強引に説明するなら…ス○ブラでさ、w○iコントローラーが得意な人もいれば、ゲームキ○ーブのコントローラーがやりやすいって人がいるのと同じ…で、なんとなくは分かるか?」

「「「「なんとなくは」」」」

ゲームで例えを出したため、Fクラスの人間にも大雑把には伝わったようだ。

 

2ーA 佐藤夏帆 36点

VS

2ーF 木下秀吉 125点

 

一樹がFクラスに説明してる間に、戦闘は大きく動いていた。

「…流石Aクラスじゃ。ワシが理解してから数秒で操作方法を会得するとはのう」

「…しかし、たった数秒でここまで追い詰められるとは思ってませんでした。あなたは、強いですね」

「ワシが強かったら、あやつらはどうなってしまうんじゃ…」

後ろにいる人物達を思い浮かべ、秀吉は苦笑する。

「…まあそうですね。こちらにも2人S.M.Sはいますが、2人とも飛び抜けてますからね…」

佐藤も苦笑を返す。言われたS.M.Sメンバー達は心外そうな顔をしてたのは、見なかったことにした。

「さて、後もつかえておる。そろそろ終わりにするのじゃ!」

決着をつけるために、秀吉は召喚獣を走らせる。薙刀の切っ先が佐藤の召喚獣に当たる瞬間…

「腕輪発動です!」

佐藤の召喚獣の腕輪が光った。その瞬間…

 

2ーA 佐藤夏帆 0点

VS

2〜F 木下秀吉 0点

 

両者の点数が、無くなった。

「両者、戦闘不能!よってこの勝負、引き分け‼︎」

高橋教諭の声が、嫌に響いた。

「な、何故なのじゃ?」

100近い点差があったのだ。佐藤の点数を考えるに、一撃は耐えるはずだ。

「私の召喚獣の腕輪の能力は【同調】。対象の点数を、自分の点数と同じにする能力です。基本は後ろから点数の減った味方に使う能力なのですが…同じやられるなら、一か八か消えるまでのラグを利用して道連れに出来るかやってみました。結果がコレです」

「な、納得なのじゃ。またやろうぞい」

「ええ、またお願いしますね」

一回戦、引き分け。




主人公達にとって、幸先いいのか悪いのか、分からないスタートになってしまった…


また次回をお楽しみに!


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第16話

……どうも、お久しぶりです。


覚えてる方いるかな?いないよな〜…


とりあえず一言。


遅れてすんませんっした!!!!


「すまん、勝てなかったのじゃ…」

「負けてないだけ上等だ。ゆっくり休んでてくれ」

Fクラス陣に戻ってきた秀吉はしゅんとした顔だった。そんな秀吉を労う雄二。

「…で、次は木下姉か」

Aクラス陣からは、既に優子が出てきていた。

「…どうすんの雄二」

「一応、次の奴は決めてる」

「誰?」

「島田」

「「「「は?」」」」

「ウチぃ!?」

当の本人もビックリの采配に、Fクラスの顔がポカンとなる。

「そうだ。科目を選択しても良いぞ」

「で、でもウチの点数じゃ木下の姉さんには…」

「かと言って、明久じゃ木下姉が戦うのを放棄しかねないからな…フィードバックが原因で」

それが本当なら甘すぎる話だが…

無論それだけで雄二が島田を選んだわけではない。

「それに…若干点数が低くても、お前には2度試召戦争をした経験がある。Bクラス戦での独断行動を帳消しにしてやるから行け」

「うっ、分かったわよ…負けても恨まないでね」

「大丈夫だ。そうなった場合はこのチート人外にどうにかしてもらう」

一樹達を指しながら言う雄二。

指された当人達は心外そうな顔をしているが、雄二は華麗にスルーした。

 

 

「よろしくね、島田さん」

「ええ、よろしく。木下の姉さん」

それぞれのクラスの前に立つ2人。

科目は島田が数学を選択した。

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

数学

2ーF 島田美波 265点

VS

2ーA 木下優子 399点

 

「うっ、やっぱり高いわね…けど、腕輪が無いのがせめてもの救いかしら…」

「1点…1点の壁が高い…」

自分の点数を見てショボンとする優子。いつもの癖で慰めに行こうとする明久は秀吉と和哉に止められた。

「ふががもが(離してよ2人とも)!」

「明久、姉上の所に行きたいのじゃろうが、今はダメじゃ」

「今は試召戦争中だからな。ちょっと我慢しろ」

「…ふぁい」

明久達がふざけている間に、対戦が開始された。

「行くわよ!」

まずは島田が突出。サーベルを構えて優子に斬りかかる。

「来なさい!」

対する優子は、ランスを構えて待ち構える。

「えいっ!」

そこで島田の召喚獣は飛び上がり、空気の壁を蹴って急降下。

「当たれッ!」

「ッ!」

ランスを使って迎撃しようとする優子だが、島田の方が速かった。

 

2ーA 木下優子 321点

 

「まだ行くわよ!」

着地してすぐに踏み込む島田。

ランスを構え、優子も突撃する…

 

 

「…島田があの技をやるなんてな。偶然ってのは怖いぜ」

一樹の隣で、宗介がそんな事を言う。

「…あれは技なんかじゃない。ただ空気の壁を蹴っただけだ」

淡々と告げる一樹に、宗介は苦笑いを見せる。

「そりゃな。お前のあの技を直感でされたら、俺たちの面目丸潰れだぜ…」

一樹に宗介の言う技…それは本来、一樹にしか使えない筈の力。

島田が行った攻撃方法は、それとは似て非なるものだが…常人には不可能な大技を使えるのは、低い点数でも人間より高い身体能力を持つ召喚獣らしいと言えるだろう。

 

 

2ーF 島田美波 56点

VS

2ーA 木下優子 85点

 

気付けばもう戦いも終わりが近付いていた。

最初こそ島田が押していたが、優子はこの短時間で操作に慣れ、互角以上の戦いを見せた。

今や優子の操作技術は、Fクラスの平均を若干上回ってるのではないか。

「次で終わり、ね」

「ええそうね。結構疲れたし」

両者同時に召喚獣の腰を深く落とし、飛び込む準備をする…

「「はぁっ!!」」

駆け出し、ぶつかり合う…

 

2ーF 島田美波 0点

VS

2ーA 木下優子 15点

 

「そこまで!この戦い、Aクラスの勝利です!」

結果、僅差で優子の勝利となった。




…こんだけ待たせておきながら、これだけですみません本当に。

次も遅くなると思います…
気楽に気長にお待ちいただければ…


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第17話

超絶短いながらも書けたので、投稿します。


「ごめん…勝てなかった」

申し訳なさそうに戻ってきた島田を、Fクラスの人間が暖かく迎える。

「負けはしたけど、熱い試合だったぜ?おかげで普通に観戦者として楽しんでたよ」

一樹が朗らかな笑顔で島田に言う。

「そうそう!あの点差からあそこまで削れたんだから、島田さんは誇って良いよ!コレでFクラスが多少点差が広くても戦える証明になったし!」

明久も少年の様な笑みを浮かべて島田を褒める。

「吉井に櫻井…ありがと」

少し照れくさいのか、そっぽを向きながら礼を言う島田。

…Aクラス側で、優子と舞が羨ましげに見ていたのに一樹が気付き、明久に耳打ちする。

 

ナ イ ス フ ァ イ ト

 

声に出さず、口をゆっくりと動かして優子を褒める明久。

それだけで優子の気分は晴れ、太陽な笑みを見せる。

…ちなみに舞には一樹が

【今日は帰るから、帰りに買い物行こうな】

とのメールを送っており、それで舞も笑顔になっていた。

「それでは第3試合です。代表者を出して下さい」

Fクラスからは康太が前に出た。それを見たAクラス陣からは

「あはは、康太が出たならボクが行かないとね♪」

康太の彼女、工藤愛子が出てきた。

「…そろそろ決着をつけるぞ。愛子」

「望むところだよ。今まで議論だけだったからね…」

「…ああ。高橋先生、保健体育でお願いします」

「保健体育に設定しました。召喚をお願いします」

「「試獣召喚‼︎」」

 

保健体育

2ーA 工藤愛子 412点

 

両者同時に召喚する。愛子の方はセーラー服を着て、巨大な斧を持っているうえに、腕輪も装備していた。対する康太はFクラスにとっては見慣れた忍び装束で小刀2本、同じく腕輪を装備という状況だ。

「へえ…腕輪は持ってるんだ。でも、実践派と理論派、どっちが強いか教えてあげるよ‼︎」

愛子は斧を持ち上げジャンプ。康太の召喚獣に向かって振り下ろそうとする。

「「「「ムッツリィィィィ二ィィィィィィィィ‼︎」」」」

Fクラスの男達が叫ぶ。

が、康太は冷静に…

「…加速」

腕輪を発動、一瞬で愛子の召喚獣を切り裂いた。

「…加速終了」

 

2ーF 土屋康太 685点

 

「「「「ハァァァァ⁉︎」」」」

遅れて表示される康太の点数に、全員が驚愕する。

「さ、流石保健体育の帝王。 …すげえ点数だな…最早教師のレベルじゃねえかこれ?」

一樹すら康太の点数を見て、驚きの声をあげる。それに対し康太は…

「…何を言っている。お前達の戦術の点数の方がバケモノだ」

…そりゃそうだ。

思わず当人達も納得してしまった。

「…さて、愛子。俺の勝ちだ」

「負けちゃったか…で、何にするの?」

「…今週の食事当番は全部愛子」

「げ。まあ負けちゃったし、それで良いよ」

「「「「…は?」」」」

今の2人の会話が納得出来ない生徒達。代表して雄二が聞く。

「ああ…お取込み中悪いが、2人は一緒に暮らしてるのか?」

「…ああ。住居も一樹達が紹介してくれた上に、生活費も稼がせて貰ってる」

「「何(なんじゃと)⁉︎」」

康太の驚き発言に、一樹の方を向く雄二たち。

「本当か?」

「まぁ、な。康太にはウチの情報収集部隊にいて貰ってる。まあ…色々な都合上、あまりこちらの情報は渡してないがな」

「…流石の俺もS.M.Sの情報を取るのは無理だ。1回やろうとしたが一樹に見つかってな…この世の地獄を見た」

実際ガタガタ震えているので、よっぽど怖かったのが伺える。そこでフリーズしていたFクラスの男子達が復活し…

「異端審問会!開廷!」

「「「「ヒャッハー!!」」」」

黒装束を纏ってFFF団となり、康太に遅いかかろうとする…

が、一馬と智樹がどこからともなく取り出したサブマシンガンでゴム弾を連射、気絶させた。

「「そんなんだから、いつまでも恋人が出来ねえんだよ」」




では、また次回お会いしましょう!


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第18話

…Aクラス戦、これで半分終わりです。

まだ先は長い…


Fクラスのゾンビ達をとりあえず端に退け、すぐに次の対戦の準備をする。

「次は誰なんだ?」

「ん?姫路に頼もうと思ってるが?」

「わ、私ですか!?」

姫路が驚いた声をあげる。

「そろそろ折り返しだからな。戦力の出し惜しみはナシだ」

「って事で、頼んだぜ姫路」

「は、はい!」

雄二に指名された姫路が前に出る。

「姫路さんが相手なら、僕が出るよ」

そして、Aクラスから出てきたのは…

「…やっぱり出たか。学年次席」

現2学年2位、久保利光だった。

「確か…久保と姫路の実力差は20点も無かったよな?」

一樹は去年の2人の点数を思い出しながら、雄二に問う。

「ああ。だからこれがひとつの勝負所なんだが…」

姫路に聞こえないよう小声で呟く雄二。

余計なプレッシャーを与えないためだろうか。

「まあ、負けても()()()らがいるから…」

宗介達を指差す一樹。

「それも接戦になると思うがな…」

Aクラス側にいる祐人と智希を見ながら、雄二はため息を吐く。

「お前が早くに言ってくれねえから、計算が狂った」

「あ?テメエが何も考えてねえからだろ?」

一瞬で剣呑な雰囲気になる2人…

「「表出ろやゴラ!」」

同時に胸倉を掴み、教室から出ようとする…

「「「「ストォォップ!!!!」」」」

慌てて明久と宗介達が止めに入った。

「…命拾いしたな」

「お前がな」

 

 

「科目はどうされますか?」

「総合科目でお願いします」

久保が総合科目を選択、召喚獣を呼び出す。

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

総合科目

2ーF 姫路瑞希 4409点

VS

2ーA 久保利光 3998点

 

「くっ…ここまで点差が出来るとは」

「単純な点数では勝てましたけど…油断はしません!」

 

 

「凄いよ姫路さん!霧島さんに匹敵するんじゃないかな!」

子供の様にはしゃぐ明久に、宗介も同意する。

「だな。まさかFクラスにいてここまで点数を上げるなんて…」

「クラスなんて関係無く、点数は伸ばせるという事じゃな」

「…努力は自分を裏切らない」

それぞれ姫路を賞賛するが、一樹だけは表情を厳しくしていた。

「確かに、点差は結構空いてるけど…総合科目の戦いじゃ、あの程度すぐに変わっちまうぜ?」

 

 

ジリジリ、と2人は踏み込むタイミングを図っている。

点数の高い姫路は、久保が焦って飛び込んでくると踏んでいたのだろう。

しかし、久保はAクラスの中でも上位の人物だ。既に点数の事から切り替え、いかにして姫路を倒そうかを考えていた。

一樹をして、『この戦いは先に動いた方が負ける』と言わせるモノだ…

そして、先に動いたのは…姫路だった。

「腕輪発動です!!」

腕輪【熱線】を放つが、久保はそれを右に飛び込んで回避。

「ッ!?もう一度です!!」

避けられた事に驚きながら、熱戦を連発する姫路。

当然だが、腕輪の使用は点数を消費する。

後先考えずに連発すれば、最初の優位性等すぐに無くなる。

不幸な事に、姫路は今までの試召戦争で自分より格上の相手と戦った事がない。対等な相手と戦った事も無い。なので操作技術に関しては、他のクラスと大差無いのだ…

 

2ーF 姫路瑞希 3804点

 

あっという間に点数が追い抜かれ、ようやく自分の失策を知った姫路。だが、遅い______

「ハアァァァァァァ!!」

______ひたすら姫路の動きを見極めていた久保が、それを見逃すはずが無い。その高い点数を活かして急接近。姫路も慌てて大剣を構えるが、遅すぎた…

 

総合科目

2ーF 姫路瑞希 0点

VS

2ーA 久保利光 3998点

 

「そこまで!第4回戦、勝者Aクラスです!!」

高橋教諭の声が妙に響いた…

 

 

「…やっぱりな」

最初に熱戦を避けられた時点で、一樹は姫路に勝利は無いと思っていた。先に言った通り、姫路は自分より格上…いや、対等の相手とも戦っていないのだ。

力勝負が出来ない時点で、この戦いに勝つ事は難しかっただろう。

「さあて…今の戦績はこっちの1勝2敗1引き分けか」

「結構やばいね…」

明久の額から、冷や汗が出る。それは雄二も同じだ。

「俺らは、もう負けれない。となると…」

雄二の目が、ある人物と重なる。

その人物とは…

「…一馬、行ってくれるか?」

Fクラスの最強戦力が1人、星野一馬だ。

「おう、狙い撃つぜ!」

某狙撃手の口癖を言いながら、一馬が前に出る。

今度は、Aクラス陣が悩む番だ。

「…S.M.Sの人に勝てる可能性があるのは、同じS.M.Sの人…だけど、どちらを出せば…」

悩む霧島の隣に、自ら立候補する者が…

「俺が行くよ代表。一馬が相手なら、タイプ的に祐人より俺の方がまだマシだ」

「だな。俺はどちらかと言えば格闘方で、一馬とお前は同じ射撃方だもんな」

本人達がそう言うので、霧島は智希に任せる事にした。

「…じゃあ、お願い」

「おう…一馬!悪いが勝たせてもらうぜ!」

「はっ!それはこっちのセリフだ!」

S.M.S同士の戦いが、今始まる!




はてさて、どうなるのかな?


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第19話

すいません、今回遊んでます。


「S.M.S対決か…とんでもない戦いになるな…」

雄二の呟きにその場の全員が同意した。

「さて…どう転がるかな」

S.M.Sトップの一樹としてもこのカードはとても興味深い対決だ。

「…科目はどうしますか?」

「…一馬、そっちが決めて良いぜ」

「じゃあありがたく?戦術で!」

高橋先生が科目を設定している間、一樹がS.M.Sに話しかける。

「そうそう…お前らの点数…学園長が全員同じにしたみたいだから」

「「「「はぁ⁉︎」」」」

 

戦術

2ーF 星野一馬 4000点

VS

2ーA 長峰智希 4000点

 

「本当に同じだ…」

「マジかよ…」

一馬、智希が文句を言うが、一樹の次の言葉に戦意を上げる。

「まあ、こう考えてみないか?同じ点数の方が、お前ら2人のガチバトルが出来るって」

「「それもそうだな!」」

気合を入れる2人に、宗介、祐人がイスを渡した。

「座った方が…やりやすいだろ?」

「その召喚獣なら特にな」

2人の召喚獣はもう“獣”ではなく、彼らがS.M.Sで扱う“機体”をそのまま小さくしたものだ。名を…

「星野一馬、“ケルディムカスタム”!狙い撃つぜ‼︎」

「長峰智希、“セラヴィー”行くぞ‼︎」

2人はイスに座る。その瞬間、2人の前に空間投影ディスプレイが現れ、まるでコクピットの様になった。

「な、なんだアレは⁉︎」

Fクラスの誰かがディスプレイを見て、驚きの声をあげる。一樹が説明する。

「こういうタイマンが確定してる時の俺ら専用システムだ。俺達は思念で操作より、こっちの方が断然早いからな。デモンストレーションも兼ねてる」

一樹が話し終わると雄二が質問する。

「あー、一樹?俺達がコレを使うことは?」

「無理だな。お前達は思念で操作した方が早いし、コクピットのやり方覚えれる奴がどれくらいいる?」

「「「「ごめんなさい‼︎」」」」

「…そろそろ試合を始めてよろしいですか?」

「「「「どうぞどうぞ!」」」」

「では、試合開始‼︎」

「先手必勝!」

一馬はイスの上で操縦桿を凄まじい速さで動かし、ビームピストルをセラヴィーに向かって連続で撃つ。

「甘い!“GNフィールド”‼︎」

しかし智希もセラヴィーに緑色のバリアを張り、ビームピストルの攻撃を受け止めた。

「今度はこっちだ!」

セラヴィーの両手にあるビームバズーカを撃つ。極太のビームがケルディムを襲う。

「危ねえ‼︎」

ケルディムのスラスターを全開にしてなんとか極太のビームを回避。しかし、それは予測されていた。

「とった!」

セラヴィーのビームサーベルが一馬の眼前にせまる。

「ケルディムを…舐めるな‼︎」

ケルディムのビームピストル下部にある対ビーム用コーティング部分でセラヴィーのビームサーベルを受け止める。

「「チィ!」」

両者同時に離れ、ケルディムはピストル、セラヴィーは両肩にあるビームキャノンを撃つ。

ケルディムは避け、セラヴィーはバリアで受け止める。

「一樹!“ハロ”は⁉︎」

「ちゃんと再現してるだろうが」

『コッチダ、コッチダ』

「本当だ…ハロ!シールドビット展開‼︎」

『マカセロ、マカセロ』

ケルディムの特殊装備、シールドビットを放出し、エリア外へ行こうとするセラヴィーのビームを反射させた。

「やべ!」

さすがのセラヴィーのバリアも、極太ビームは受け止められない様で、スラスター全開で回避した。しかし、一馬はそれを狙っていた。左腰のビームサーベルを抜刀し、セラヴィーに迫る。智希もそれを察し、ビームサーベルを抜刀。2人のサーベルがぶつかり、激しいスパークが上がる。

「クゥ…」

「ングッ…」

両者同時に離れ、再び撃ち合う。

「なんでなんだ?」

しかし、2人の激戦を見て、雄二が疑問を持つ。

「なんで2人の点数が減らないんだ?」

「簡単な話だ。“獣”じゃなく“機体”だからだよ」

「へ?」

「つまり、生き物だったら体力の消費とか考えなきゃいけないけど、機械は体力とか考えなくて良いってことだ。ああいう状態の俺達の点数を減らしたければ腕を斬るとかしないと無理だ」

一樹達の召喚したものは確実に損傷させなければ点数が減らない…あまりの恐ろしさに冷や汗が止まらない雄二。そこで、状況が変わる。

「「トランザム‼︎」」

 

 

「「トランザム‼︎」」

一馬と智希の機体が赤く光ると、ただでさえ目で追うのが難しかったのが、雄二達には残像しか見えなくなった。しかし、S.M.Sは目視しており、ケルディムのシールドビットが4機ずつ合体した攻撃形態“アサルトモード”になってセラビィーを四方から攻撃。セラビィーはトランザムで上がった機動力を生かしてビームの間を抜ける。しかし、それは一馬の予想していたコースだった。

「狙い撃つぜェェェ‼︎」

GNスナイパーライフルでセラビィーを撃つ。智希に冷や汗が流れるが、パレルロールでなんとか回避した。

「げ!避けられた⁉︎」

長距離射撃状態の一馬の射撃能力はS.M.Sでもトップクラスだ。それを避けるのはあの一樹や宗介ぐらいしかいなかったのだが…

「あ、危ねえ…死ぬかと思った」

実は智希が避けれたのは偶然だったりする。しかし、実戦では運も味方につけた者が勝つ。それが一樹と共に長年戦い続けたS.M.Sの考えだった。

「隙あり!GNバズーカ、ハイパーバーストモード‼︎」

連結させたGNバズーカⅡから巨大なビーム玉をケルディムに向かって撃つ。とんでもない速さでケルディムに迫り、ケルディムの左腕を破壊した。

「クソッ!」

 

星野一馬 2500点

 

MSは基本、両腕で戦闘する。なので片腕でも消費する点数はでかいのだ。しかし、一馬もただやられた訳では無い。

「お前こそ動きが止まってるぜ智希ィィィィ‼︎」

「んなッ⁉︎」

ハイパーバーストモードは制御が難しい…なのでかなり智希は制御に集中していた。一馬はそこを狙い、シールドビットのアサルトモードでセラビィーを攻撃、セラビィーの両腕を破壊した。

 

長峰智希 3174点

 

両腕を破壊されたにも関わらず、セラビィーの点数はケルディムより動かなかった。そして両者は同時にトランザムが解除された。

「クソ…ハロ!トランザム再起動のチャージを優先。けど45%はこっちにくれ!」

『リョウカイ、リョウカイ』

これはかなり無茶な話である。55%はトランザム再起動チャージに回すということは、攻撃と回避を45%比率の状態でしなければならない。しかし、火力差がある以上、無茶な動きにせざるを得ない。というのが一馬の選択だった。

「いつまで避けきれるかな!」

両肩、両膝のGNキャノンを連射し、一馬を追い詰める智希。一馬は回避に専念、時々避けきれないものはシールドビットで受け止める。しかし、一馬も限界が近くなった。

「ハロ!トランザムは⁉︎」

『1セコンドカノウ、1セコンドカノウ』

「上等‼︎」

セラビィーはGNキャノンに負担をかけ過ぎたらしく、隠し腕の4本にビームサーベルを持たせ、接近して来た。

「貰ったぜ!一馬ァァァァ‼︎」

「……」

一馬は全神経を使ってタイミングを計る…そして!

「こ こ だ ァ ァ ァ ァ ‼︎」

僅か1秒しか使えないトランザムを使用、3倍になった機動性でセラビィーの攻撃を避け、背後に回る。が、若干タイミングが遅かった様で、右手の人差し指、中指、薬指が切られた。しかし、それでも一馬は諦めず、右腰に装着していたGNピストルを親指で抑え、小指でトリガーを引く。

しかし智希も反射的に隠し腕の1本を背後に回し、ビームサーベルでケルディムを攻撃する。

「「ウオォォォォ‼︎」」

結果…

 

戦術

星野一馬 0点

VS

長峰智希 0点

 

S.M.S同士の第5回戦は、引き分けに終わった…




ケルディムはビームサーベル使わねえよ!!

という方、ごめんなさい。
フリーダムみたいに装備出来ると思ったんです。

反省はしてますけど、後悔はしてません。
やりたかったからね!


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第20話

まだAクラス戦は終わらない!!


「ご、5回戦引き分け!」

高橋先生の声にようやく現実に戻ってきた雄二達。これで1勝2敗2引き分け。もう後が無い。

「…六連、行って」

「あいよ!」

しかもAクラスからは再びS.M.Sの人間を出して来た。引き分けでも負けるこの戦い。確実に勝ちたい…とくれば…

「一樹…頼めるか?」

「悪い無理」

「「「「ハァァァァァ⁉︎」」」」

即答である。

「な、なんでだ!?」

「今回、俺は学園長に出場を止められてるんだよコレが」

「「「「あのクソババア‼︎」」」」

一樹が出ては一瞬で決着がつく可能性が高い。なので学園長は一樹が今回の戦争に参加するのを禁止した。

「まあ、落ち着け。こっちはまだS.M.Sが2人いるんだ。宗介と和哉、2人でジャンケンして勝った方が祐人と戦え」

「確実に勝てるとは言えねえが…そうだな、ジャンケンで決めてくれ。その方が時間もかからないで済む」

「だろ?さて、2人でジャンケンだ」

「「最初はグー、ジャンケンポン!」」

宗介、チョキ

和哉、パー

「勝ったァァァァ‼︎」

「チクショォォォ‼︎」

「ほい、宗介行ってらっさい」

Fクラスからは宗介が出る。

「お待たせ、祐人」

「気にしてねえよ。さて、いい加減始めるか」

「おう…と言いたいが、お互い科目決定権があと一回なんだ。どうする?」

「あー…」

Fクラスである宗介としては、最後の雄二に決定権を残したい。だが、それはAクラスの祐人も同じ事だ。

「…クラス代表同士でジャンケンとかどうだ?」

「俺たちの試合なのに?」

「「うーん…」」

悩む2人。

一樹はため息をつきながら、隣の雄二に話しかける。

「雄二、500円玉あったら貸してくれ」

「…何か買うのか?」

「この状況でそれはねえよ…コイントスで決めようかと思ったんだよ」

「あ、なるほど。ちょっと待ってくれ…すまん無い」

「霧島ぁ!」

役立たず(雄二)から有能お金持ち(霧島)へと視線を移す一樹。

「おい一樹。人の名前を変なルビにしなかったかコラ」

「気のせいだ」

「…はい、一樹」

霧島から500円玉を渡された一樹。

「外した方が教科を選択する…で、良いよな雄二に霧島」

「ああ、良いぜ」

「…大丈夫」

2人の同意が得られた所で、一樹は構える。

「じゃ…やるぜ?」

「「おう」」

ピィンっと弾かれた500円玉。それは一樹の手の甲でキャッチされた。

「どっち?」

「表」←宗介

「裏」←祐人

「結果は…表だ。今回は祐人が選択しろ」

「あいよ。高橋先生、科目は総合科目で」

「分かりました…設定しました。召喚をお願いします」

「「はい!試獣召喚(サモン)‼︎」」

 

総合科目

2ーF 櫻井宗介 4000点

VS

2ーA 六連祐人 4000点

 

そして2人も召喚獣ではなく、召喚機だった。宗介はインフィニットジャスティス、祐人はデスティニーだ。

 

 

「第6回戦…始め!」

「先手必勝!」

祐人のデスティニーがインパルス砲をジャスティスに向かって撃つ。宗介は機体をひねることで極太ビームを回避した。

「やるねえ祐人」

「あっさり避けておきながら何を言いやがる!」

アロンダイトを抜刀、高機動モードへの変化として、背中の翼状のユニットから光が溢れ、残像を残しながらジャスティスに迫る。ジャスティスもビームサーベルを2本繋げて抜刀。アンカーを射出してデスティニーを捕らえようとするが、祐人はデスティニーをパレルロールさせて回避。大きく円を描いてジャスティスにアロンダイトの横から振り回す様に当てる。ジャスティスはそれをビームシールドで受け止める。

「今日は俺が勝たせてもらうぜ‼︎」

「そう簡単にやられるかよ‼︎」

斬り合っては離れ、ぶつかっては離れる。しばらくそれを繰り返していると…

「オラァァ‼︎」

デスティニーが両肩のビームブーメランを投げる。ジャスティスは急上昇してそれを避けると、自らもシールドに付いているビームブーメランを投げた。割と近距離で投げられたため、祐人と言えど回避は間に合いそうになく、左手のビームシールドで受け止めようとするが、回転の強さに腕が引っ張られ、振り抜いた状態になってしまったところをジャスティスがシールドで突き飛ばす。

「チィ!なんでこんな!」

「Gまでちゃんと再現してるから動きが良いぜ‼︎」

しばらく両者はにらみ合い…

「…ここだ‼︎」

「そこ‼︎」

同時に加速。2人は一瞬すれ違い、止まった…結果は

2ーF 櫻井宗介 600点

VS

2ーA 六連祐人 0点

「第6回戦、Fクラスの勝利です!」

ジャスティスのビームブレードがデスティニーのコクピット部分を斬っていたのに対し、デスティニーのアロンダイトは右腕を斬るとこで終わっていた為、宗介の勝利となった。




次回、最終戦ですが、ちゃちゃっと終わります。

Open your eyes the next φ’s
『偶然だな…お前がファイズか』

「何やってるんですか義兄さんのバカ!!」

「変身ッ!!」









敵、セリフでバレるなこりゃ…


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第21話

…忘れた頃に更新する。

いやほんとすんません。


「最終戦です。各代表は前へ」

雄二と霧島がそれぞれ前に出る。

「…Fクラスは教科を選択して下さい」

「あの激戦の後だと申し訳ないが…教科は日本史、内容と方式は小学生レベルで100点満点の上限ありで」

「「「「……」」」」

教室が、白けた…

「わ、悪かったな!こうでもしないと俺は翔子に勝てねえんだよ!」

開き直る雄二。

「…それではテストを作って来ますので、しばらくお待ちください」

高橋教諭が教室から出ると…

「数箱使ったジェンガやらね?」

暇になった一樹の発言に、男子勢がノリノリでやり始めた。

結果、高橋教諭が戻る頃にはかなりの高さになっていたのであった…

 

「それでは、テストを始めて下さい」

結果は…

 

2ーF 坂本雄二 100点

VS

2ーA 霧島翔子 97点

 

「この戦争、Fクラスの勝利です」

淡々と告げる高橋教諭。開校以来、ここまでローテンションな決着があっただろうか?

「まあ、勝ちは勝ちだし…」

「納得はしないけど…」

「理解はしとくよ…」

勝ったはずの一樹達も、どこか釈然としていない様子。

…一応作戦として聞いていたのに、だ。

S.M.S同士の戦闘が激しかったのもあるだろう。

「とにかく、振り分け試験は受けれるぞ〜」

「「「「それだ!!!!」」」」

テンションを上げれるものを見つけ、Fクラス勢は教室を飛び出して行った。

ポカーンとするAクラスの面々と軽く話をしてから、一樹達も振り分け試験を受けに行った。

 

 

そして、クラス発表の日…

「義兄さんは当然Aクラスに来ますよね?」

「分かんねえぞ?若干の差で行けないかもよ?」

「そんなぁ…」

いつものように、オートバジンで登校する一樹と舞。

テストを受けた本人より、その義妹の方が結果が気になるようだ…

「おはよう、櫻井に高橋」

「ちわっす」

「おはようございます、西村先生」

義兄妹(きょうだい)で対照的だな…まあ良い。これが結果だ」

封筒を渡される一樹。

「義兄さん早く開けて下さい!早く早く早く早く!」

「…何で当人より緊張しているのだ?」

「まあ…舞ですし」

「それで納得するのもどうかと思うのだが…」

西村の言葉をスルーして、一樹は封筒を開ける。

 

櫻井一樹 Aクラス(実力は代表並み。しかし()()の都合上、一般生徒の扱いとする)

 

そんな事が書かれていた。

「…ほい、舞。とりあえずAクラスになったぞ。また飯頼むわ」

「は、はい!義兄さん!」

一樹がAクラスに入ったと分かった途端、舞は嬉しすぎて一樹に抱きついて来た。

「異端審問会!開廷!!」

「「「「ヒャッハー!!」」」」

それを見ていたFクラス勢が黒装束を纏い、各々武器(主に釘バット)を構える。

「はあ…舞、少し離れてろ」

「は、はい…」

恐る恐る一樹から離れる舞。

どこからか逆刃刀を取り出し、腰に挿す。

「…来るなら来い。相手してやる」

「「「「ヒャッハー!!」」」」

FFF団と一樹が戦闘を開始。

舞はそれをおろおろしながら見ていたが、数分後…

「終わりか?」

「「「「ぐぅ……」」」」

FFF団の屍?の上で、鞘に納めた逆刃刀を抱えて座る一樹の姿があった。

「お前らさ、女子と付き合いたいんだろ?」

「「「「当然!!」」」」

「…なら聞くけど。こんな事してて、女子から好かれると思うか?」

「「「「……」」」」

「他人を妬む暇があるなら、少しは違う方向に頭を使えよ。そうすれば…」

「「「「そうすれば?」」」」

「いつか…お前達を好いてくれる女子が現れるよ」

そう言うと、一樹は舞を連れて教室へ向かった。

FFF団はその後、ボランティア活動に精を出す様になったそうだ。

 

 

一樹達(宗介達も当然の様に入っていた)がAクラスに来てから早数日。一樹と舞は霧島宅にお邪魔していた。

今は軽く軽食を買いに出ている。

「義兄さん、そこのカフェは良い珈琲豆を使ってるそうですよ?行って見ませんか?」

舞が指差す方向には趣ある、良い雰囲気の店があった。

「…そうだな。もしかしたら豆も売ってるかもしれないし、寄っていくか」

オートバジンをその店に向けて走らせる。入ろうとすると、店の中が騒がしい。

「ん?どうしたんだ?」

一樹が少し戸を開けてみると…

「ぎ、ギャァァァァ⁉︎バケモノ⁉︎」

「「ッ⁉︎」」

中から悲鳴が聞こえた。急いで中に入ってみると、イカを模したオルフェノク、スクイッドオルフェノクが店内で暴れていた。

「ッ⁉︎やめろ‼︎」

一樹が叫ぶとスクイッドは一樹の方を向く。

『偶然だな…お前がファイズか』

「チッ⁉︎逃げるぞ舞‼︎」

一樹がファイズだと知ってるスクイッドは、狙いを一樹に合わせた。一樹は舞の手を握り、その店から逃げ出す。

「ちょ、義兄さん!ベルトはどうしたんですか⁉︎」

「霧島の家だ‼︎」

「何やってるんですか義兄さんの馬鹿‼︎」

「わ、分かったから走りながら叩くな!今電話してるから‼︎」

「早くして下さい‼︎」

 

 

その頃霧島家では、雄二と霧島がのんびりとお茶を飲んでいた。

「一樹達、遅いな…」

「…そうだね」

その時、雄二の携帯が鳴る。

「ん?一樹からだ。もしもし?」

『もしもし雄二⁉︎』

「ど、どうしたそんなに慌てて」

『今すぐベルト持ってこい‼︎○○公園で合流だ‼︎』

「ッ⁉︎分かった!すぐに行く‼︎」

通話を切ると、雄二はベルトを抱え、外に飛び出し、自分のバイクに飛び乗ると、一樹の指定した公園に向かって急ぐ。

 

 

「ハア、ハア、ハア…私、もう走れません…」

合流場所の公園まで走ると、舞が息切れしていた。全力で1km以上走り続けたのだから無理も無い。一樹は舞を近くの木陰に座らせた。

「…よし、近づいてはいないな」

スクイッドが近くにいない事を確認する一樹。舞も少し回復した。

「…舞、大丈夫か?」

「え、ええ…なんとか」

「あまり無理に話さなくて良い。もう少し呼吸を整えてくれ」

しかし、一樹はそれを言った瞬間に舞を抱えて走り出す。その途端、一樹達が隠れていた木が折れ、スクイッドが現れていた。

『チッ!勘のいい奴だ』

一樹は走り続ける中、バイクのエンジン音が聞こえた為、その音の方へ走る。雄二も走って階段を駆け上がっていた。

「一樹‼︎」

「「遅い(です)‼︎」」

雄二が一樹に向かってベルトを投げる。一樹はそれを受け取り、腰に装着する。そこに、ゆっくりとスクイッドが現れた。

「か、一樹」

少し身構えながら一樹にファイズフォンを投げる雄二。一樹はそれをキャッチし、急ぎコードナンバーを入力した。

《5・5・5》

『Standing by』

「変身‼︎」

『Complete』

ファイズに変身した一樹。手首のスナップを確認すると、スクイッドに向かって走る。

「ハッ!オラァァァァ‼︎」

「グッ!」

スクイッドの左腕に関節技を極めながら走る。そのまま植物園のガラスに激突。両者は転がる。スクイッドはファイズに向かって大振りのパンチを連続で放つが、ファイズはそれを全て躱し、隙が出来た所へニーキックを叩き込む。スクイッドがダメージに動きが止まる中、手首のスナップを効かせ、余裕のファイズ。スクイッドはそんなファイズに突進。ファイズを動かすが、ファイズはスクイッドの空いた胴へ再度ニーキック。体制の崩れたスクイッドの後頭部に更に拳を振り下ろす。ファイズとスクイッドの立ち位置が変わる。ファイズはそこに連続で細かいパンチを放った後に強烈な大振りパンチを繰り出す。

「ハッ!ハッ!ハッ!ウリャァァァ‼︎」

「グゥッ!」

最後の大振りパンチが効いたのか、植物園のガラスを突き破って外に吹っ飛ばされるスクイッド。ファイズは再度スナップを効かせると、自らも外に出る。そこにスクイッドの不意打ちが決まひ、ファイズは地面に転がる。そのファイズに蹴りを入れようとするスクイッドだが、ファイズは両腕でそれを受け止める。

「んなッ⁉︎」

「残念でしたっと‼︎」

そのスクイッドの脚を放り投げ、空中でクルクル回ってるスクイッドを容赦なく蹴り飛ばすファイズ。スクイッドは何とか立ち上がるものの、もうフラフラだ。それを見て、ミッションメモリーをファイズポインターにセットするファイズ。

『Ready』

更にファイズフォンのエンターキーを押す。

『Exceed charge』

スクイッドに向けてクリムゾンスマッシュを放つファイズ。

「ハアァァァァ‼︎」

スクイッドは逃げる事が出来ず、クリムゾンスマッシュを喰らい、灰になった。

「グッ!グァァァァァ!?」

完全に消えた事を確認すると、フォンをベルトから外し、変身を解く一樹。

「ふぅ…終わった終わった」

その後舞達と合流、改めて霧島家に向かうのだった。

 




最後だけ、ほんのちょっとだけいじりました。

さあ次の話書こ。


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第22話

温度変化の激しさについていけない作者です。


みなさまも、体調管理にお気をつけて…


霧島家で談笑していると、雄二が急に真剣な顔になり、一樹に話しかけてきた。

「一樹…」

「ん?どした?」

あまりに急に雰囲気が変わった雄二に、一樹はキョトンとしている。

その状態のまま、雄二はカードデッキを一樹に見せる。

それを見た一樹の顔が、険しくなる…カードデッキを見せる、それが意味する事は…

「俺と戦え」

「……お前と戦う理由が無い」

「お前には無くても、俺にはある。お前と戦う事で、俺は強くなれるからな」

雄二の顔を見て、説得する事は出来ないと判断した一樹。バックから♠︎Aと、ブレイバックルを取り出し、♠︎Aをブレイバックルに装填した。

「…どうやら言っても聞かねえみたいだな。しょうがねえから相手してやる」

ブレイバックルを腰に当て、変身準備を整えた。

「義兄さん⁉︎」

黙って2人の会話を聞いていた舞だが、まさか一樹が了承するとは思ってなかった舞。

「舞、霧島、安心しろ。適度に加減してやるから」

「随分舐められてるな…」

「お前とは経験した修羅場の数も質も違うからな。当たり前だ」

そう言うと、一樹はターンテーブルを引いた。

「…変身」

『Turn up』

ブレイドに変身、近くにあった鏡からミラーワールドに入って行った。それを見た雄二も鏡の前でカードデッキをかざし、Vバックルを装着すると…

「変身ッ‼︎」

ナイトに変身した。

「雄二…」

心配気に見る霧島を一瞬だけ見ると、ミラーワールドに突入した。

 

ライドシューターとブルースペイダーでミラーワールドを移動。周りに被害が行かない所で対峙するブレイドとナイト。ナイトは早速カードを1枚ダークバイザーに装填した。

『Sword vent』

ウイングランサーを喚ぶと、ブレイドに向かって突進して行った。

「ウオォォォォ‼︎」

ブレイドはギリギリまで動かなかったが、ナイトが間合いに入った瞬間、ブレイラウザーを腰から抜き、ウイングランサーの攻撃を弾く。

 

キィンッ!

 

「チッ!やっぱ簡単には攻撃を受けてはくれないか⁉︎」

「…当たり前だ」

ナイトは一旦ウイングランサーを引かせると、更に横に薙ぎはらう。ブレイドはそれを屈んで避けると、ブレイラウザーで斬りつける。

「しゅっ!」

「グァッ⁉︎」

背中を斬りつけられるも、ナイトはすぐに体制を立て直し、再度ウイングランサーを突き出す。ブレイドは腕でウイングランサーの進行方向を変えると、空いているナイトの胴へニーキックを当てる。

「ハッ!」

「ガハッ⁉︎」

怯んだナイトに更にブレイラウザーを振り下ろし、斬る。ナイトの装甲から火花が散る。ブレイドは更にブレイラウザーを振り下ろし、ナイトの装甲を傷つける。

最後にブレイラウザーを突き出し、ナイトを吹き飛ばした。壁に体を強打し、地面に転がるナイト。

「がっ…」

「…そんなもんか?お前の根性は」

倒れているナイトにブレイラウザーを突きつけるブレイド。

ウイングランサーを杖代わりに、何とか立ち上がったナイト。

「まだだ…まだ終わらねえェェェ‼︎」

『Trick vent』

ダークバイザーにカードを装填。すると、ブレイドを囲む様に8人のナイトが現れた。

「ふうん、分身のカードか…」

8人のナイトがブレイドに向かって走り出す。

次々とブレイドに斬りかかるが、ブレイドはそれを見事に捌き、♠︎2をブレイラウザーにラウズ。

『Slash』

「ハァッ‼︎」

ブレイラウザーを構えて1回転。分身ナイト達はその一振りで消えて行った。

「くっ!」

ナイトは再度ウイングランサーを構え、ブレイドに振り下ろす。ブレイドはその斬撃をブレイラウザーで受け止めた。

「ウォラアァァァ‼︎」

ナイトはウイングランサーをとにかく振り回す。だが、全てブレイラウザーに受け止められる。

「…今のお前の斬撃じゃ、俺には届かねえよ」

振り下ろされたウイングランサーをブレイラウザーで受け止め、前蹴りを放つ。

「がっ!?」

ナイト()()ではブレイドに手も足も出ない。ならば…

「これならどうだ!」

一旦ブレイドから距離を取り、ダークバイザーにカードを装填する。

『Nasty vent』

カードの効果でダークウイング召喚される。その両翼から超音波が放たれ、ブレイドの耳を攻撃する。ブレイドは変身して聴力が強化されているので、これは相当キツイ。

「ッ…コイツは…」

「どうだ!これは俺の様なコウモリ型モンスターと契約した奴じゃないと堪えるぜぇ!!」

超音波に苦しむブレイドに、ウイングランサーの攻撃が入る。

「おらぁッ!」

「うっ!?」

漸くナイトの攻撃が入り、ブレイドが怯む。

攻撃を受け流そうにも、超音波の攻撃で体に力が入らない。

連続で攻撃を喰らい、文字通り突き飛ばされるブレイド。

「まだまだ行くぜ!!」

距離が離れたブレイド目掛け、ウイングランサーを構えて走り出すナイト。

「調子に…乗るな!!!!」

ノイズに耐えながら、ブレイドは♠︎6をラウズ。

『Thunder』

ブレイラウザーから稲妻が走り、空中のダークウイングに命中。

《キィィ!!!?》

「ツバサ⁉︎」

ダークウイングのナスティベントを妨害され、ナイトに動揺が走る。

「余所見たあ余裕だな」

「ッ⁉︎」

いつの間にかナイトの背後に回っていたブレイドは、ガラ空きのナイトの背中を斬りつけた。

「はっ!」

「がっ!?」

再びブレイドが優勢となり、ナイトは斬り飛ばされる。

そして、ブレイドは♠︎5をラウズ。

『Kick』

その電子音声を聞いたナイトは焦る。

「ヤバイ…!」

「ハアァァァァ…」

ブレイドはブレイラウザーを高く上げて力を溜めると、高く飛び上がる。

「間に合え…!」

ナイトも急ぎカードを装填する。

『Guard vent』

カードの効果で、ナイトの背中にマントが現れる。

「ウェェェェイッ!」

「ッ!」

ブレイドのローカストキックをマントで受け止めるナイト。

だが…

「ぐあぁぁぁぁッ!!!?」

威力を完全には殺せず、ミラーワールドから弾き出された。

 

 

一樹がミラーワールドから戻ると、雄二は霧島に包帯を巻かれていた。

「…で?少しは強くなれたのか?」

「……」

視線を逸らす雄二。

そんな雄二から少し離れたソファーに座る一樹。

「質問を変えるぜ、急に【強さ】を求めたのは何故だ?」

「…俺はあの時、動けなかった」

「はぁ?どの時だよ」

「さっき、お前が戦ってた時だ…」

「ああ…そりゃあそうだろ。あの時お前は変身出来なかったんだか「それは理由にならねえんだよ!」…そうか?俺だってお前が来てくれるまでは逃げまくってたんだけど?」

「違う…違うんだ!」

荒々しく部屋を出る雄二と、それを追う霧島。

「…帰るぞ、舞」

「は、はい…」

 

 

「雄二…雄二!」

飛び出した雄二を探す霧島。

そんな時、庭の片隅で声が聞こえた

霧島がそこに近づくと…

「しょう…ちくしょう…」

悔しそうに泣く雄二の姿があった。

流石の霧島も、そんな雄二にかける言葉が無かった…

 

 

「義兄さん…」

「ん?」

帰り道、舞が重い口を開いた。

「坂本君は、立ち直れるのでしょうか?」

「俺は立ち直れると思うぜ?ただ…」

「ただ?」

「立ち直れるまでに、何度か俺達に挑んでくるかもな」

 

 




「俺はアイツを超える!」

「今のお前では、アイツらと同じ土俵に立つなど無理な話だ」

「ふざけるな!」

「一馬、僕と戦え!」

「…無駄な戦いはしたくねえよ」


「「変身」」
『Turn up』
『Change』


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