Fate/Zexal Order (鳳凰白蓮)
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予告&注意書き

従姉妹にすすめられてFGOを始めたら面白くてその日の夜にアイデアが浮かんで書き始めました(笑)
もし皆さんが思ったこと、ご指摘やアイデアがあったらどんどん言ってください。


『Fate/Zexal Order』

 

世界の命運をかけた戦いが終わり、蘇った仲間たちと共に平和な時を過ごしていた九十九遊馬。

 

ある日遊馬が目覚めた場所、そこはハートランドではなく人類史の観測と保持を使命とする『人理継続保証機関』のカルデアだった。

 

そこで遊馬は一人の少女と運命の出会いを果たす。

 

「俺は九十九遊馬!よろしくな!」

 

「私はマシュ・キリエライトです。よろしくお願いします、先輩……じゃなくて、遊馬君!」

 

遊馬は訳が分からずに突如として異なる世界の全人類を守るため、人類史に立ち向かう運命との戦いに巻き込まれる。

 

「かっとビングだ!俺はレベル4のモンスター2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

異世界での戦いの中、遊馬は新たな力を生み出す。

 

「現れよ!FNo.(フェイトナンバーズ)0!人理の守り人 マシュ!」

 

「行こう、遊馬君!」

 

それは遊馬の作り出す新たなナンバーズ。

 

英霊と絆を結び、運命を切り開く希望の力、『FNo.(フェイトナンバーズ)』。

 

「勝つぞ、遊馬!」

 

「おう!行くぜ、アストラル!」

 

遊馬の危機に駆けつける異世界に降臨した最高の相棒。

 

アストラル世界の使者、最強のデュエリスト・アストラル。

 

遊馬とアストラル、二人が揃う時、世界の未来を守る希望の皇が降臨する。

 

「「現れよ、No.(ナンバーズ)39!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!光の使者、希望皇ホープ!!」」

 

そして、人類と世界が終焉に向かい、闇に覆われる時、希望の光が未来を照らす。

 

「俺は俺自身と!!」

 

「私で!!」

 

「「オーバーレイ!!!」」

 

「俺たち二人でオーバーレイネットワークを構築!」

 

「遠き二つの魂が交わる時、語り継がれし力が現れる!」

 

絆を紡ぎ、奇跡をその手に掴む希望の英雄。

 

「「エクシーズチェンジ!ZEXAL(ゼアル)!!」」

 

人理と世界の未来を守るために遊馬とアストラルとマシュは異なる歴史を英霊と共に駆け抜ける。

 

 

 

 

※この話は以下のいくつかの内容が含まれます。

 

・作者はまだFateの知識が乏しく勉強中ですので至らない部分があります、何か言いたいことがあればご指摘やアドバイスなどお願いします。

・オリジナル設定を加えますので御都合主義はご了承ください。

・色々問題の多い(?)英霊たちに我らが遊馬先生のカウンセリングが向けられます(笑)。

・アストラルが若干遊馬への愛が強い時があります。

・年齢上仕方ないのでマシュが遊馬を弟のように可愛がります(遊馬は十三歳、マシュは十六歳ですので)。

・ゲームは始めたばかりで勉強中ですので更新は遅めです。

 

 

 

.




第1話は今月中に投稿するようにしますのでよろしくお願いします。


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設定『フェイトナンバーズ』(2019/03/24 更新)

以前から要望があったフェイトナンバーズの一覧を載せます。

また、フェイトナンバーズのみならずフェイトナンバーズ専用カードや関連カードも載せています。

ネタバレになるのでまだ本編を見たことない方は先に本編から見ることをオススメします。

一覧に書かれているフェイトナンバーズは最新話時点でカルデアに召喚されているサーヴァントのみを掲載させていただきます。

大半のフェイトナンバーズは効果をまだ考えてないので名前だけになってしまいますがご了承ください。

一応フェイトナンバーズは元のナンバーズの設定などを元に数字とかを考えていますが、もしも掲載されているのより適しているナンバーズの数字があれば遠慮なくご指摘ください。



『フェイトナンバーズ』

 

異世界からの来訪者で三つの世界を救ったデュエリスト『九十九遊馬』と英霊の絆を結んだ事で現れる契約と力の証。

 

更に遊馬の相棒にしてアストラル世界からの使者『アストラル』が再び遊馬と絆を結んだ事でアストラルの持つ膨大なエネルギーとアストラルの記憶の欠片である『ナンバーズ』のエネルギーがフェイトナンバーズを伝わって契約した英霊・サーヴァントに流れ込む。

 

サーヴァントに流れ込まれたナンバーズのエネルギーはサーヴァントの存在や力の源である魔力の代用となる。

 

フェイトナンバーズは遊馬と英霊・サーヴァントが握手を交わす事で誕生する。

 

また、ナンバーズかフェイトナンバーズか契約し、ナンバーズのエネルギーを得ているサーヴァントが敵サーヴァントを攻撃して倒す事でも誕生する。

 

契約したサーヴァントと遊馬の間に時空を超えた不可視の絆が結ばれ、フェイトナンバーズを触媒にカルデアの英霊召喚システム・フェイトで高確率で召喚する事が出来る。

 

契約をしたサーヴァントを粒子化させてフェイトナンバーズに取り込むことで遊馬がデュエルディスクを使用して召喚する事ができる。

 

ただし、契約を交わしてもフェイトナンバーズが覚醒をしなければ召喚することは出来ない。

 

覚醒する条件は遊馬との間に強い絆が結ばれた、遊馬との性格の相性がとてもいいなど様々ある。

 

フェイトナンバーズとして召喚された場合は自由に宝具やスキルを使用することは出来ないが、遊馬とアストラルのデュエルモンスターズのカードの力とのコンボを最大限に生かせる。

 

フェイトナンバーズの効果はサーヴァントのスキルや宝具、そして刻まれた刻印の数字と対応したナンバーズの効果を元に作られる。

 

緊急時の撤退・避難する為にマスターである遊馬もしくはアストラルの呼び声で半強制的にサーヴァントをフェイトナンバーズに入れる事ができる。

 

遊馬とサーヴァントの絆が強く深まったり、サーヴァントの心が成長することでフェイトナンバーズの専用カードが生まれることもある。

 

そして、フェイトナンバーズ同士でオーバーレイを行い、エクシーズ召喚する事で誕生する『クロスフェイトナンバーズ』が存在する。

 

 

『FNo.0 人理の守り人 マシュ』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻1500/守3000

レベル4モンスター×2

自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

そのモンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

その後、自分のデッキから魔法カードを1枚選び、デッキの一番上に置く。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/戦士族/攻2500/守2000

魔法使い族レベル4モンスター×1+戦士族レベル4モンスター×1

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキ・手札・墓地からフィールド魔法を1枚選択し、自分フィールドに発動することが出来る。

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。このカードが相手モンスターを攻撃したダメージ計算後に発動する。その相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

 

『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

光属性レベル4×3

このカードは手札のカードを1枚除外し、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』の上に重ねてエクシーズ召喚する事が出来る。

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキ・手札・墓地からフィールド魔法を1枚選択し、自分フィールドに発動することが出来る。

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。相手モンスターを1体選択し、そのモンスターの元々の攻撃力分の数値分、ライフポイントを回復する。

 

 

『FNo.0 未来へ歩む者 ジャック・ザ・リッパー』

 

 

『FNo.6 建国神祖 ロムルス』

 

 

『FNo.7 光の魔槍術士 クー・フーリン』

『FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン』

ランク7/光属性/魔法使い族/攻2300/守2000

レベル7モンスター×2

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドのモンスターを1体破壊する。

この効果で対象のモンスターを破壊出来なかった場合、そのモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に攻撃力が0になる。

 

 

『FNo.7 光の魔槍術士 クー・フーリン』

『FNo.7 光の御子 クー・フーリン』

ランク7/光属性/戦士族/攻2700/守2400

レベル7モンスター×3

このカードは自分フィールドの「FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン」の上に重ねてX召喚する事もできる。

このカードが特殊召喚に成功した時、サイコロを3回振る。

このカードの攻撃力と守備力は出た目の合計×100ポイントアップする。

1ターンに1度、エクシーズ素材と一つ取り除き、相手モンスター1体の効果を無効にして破壊する。

また、この効果で破壊したモンスターは除外する事ができる。

この効果は無効にする事ができず、このカードの発動に対して相手はモンスター・魔法・罠のカード効果を発動出来ない。

 

 

『FNo.8 堅琴の聖王 ダビデ』

 

 

『FNo.9 金星の女神 イシュタル』

 

 

『FNo.10 白百合の騎士 シュヴァリエ・デオン』

 

 

『FNo.11 神代の魔女 メディア』

 

 

『FNo.15 舞台の怪人 ファントム・オブ・ジ・オペラ』

 

 

『FNo.16 絶世の巫女狐 玉藻の前』

 

 

『FNo.20 戦象闘王 ダレイオス三世』

 

 

『FNo.20 輝く貌 ディルムッド』

 

 

『FNo.21 白百合の王妃 マリー・アントワネット』

 

 

『FNo.22 無垢なる花嫁 フランケンシュタイン』

 

 

『FNo.23 黒鎧の少女騎士 サクラ』

 

 

『FNo.24 竜血王鬼 ウラド三世』

 

 

『FNo.29 狂愛の守護獣 タマモキャット』

 

 

『FNo.30 神狂の大英雄 ヘラクレス』

 

 

『FNo.31 鮮血魔嬢 カーミラ』

 

 

『FNo.32 黄金の嵐 フランシス・ドレイク』

 

 

『FNo.33 元素の魔術師 パラケルスス』

 

 

『FNo.37 比翼連理の女海賊 アン&メアリー』

 

 

『FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

レベル4モンスター×2

このカードのX素材を2つ取り除き、手札を3枚除外して発動できる。

ターン終了時までこのカードの攻撃力を2倍にし、相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃できる。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

『FNo.39 漆黒の騎士王 アルトリア・オルタ』

 

 

『FNo.39 桜花の天狼 沖田総司』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守500

戦士族レベル4モンスター×2

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。このターン、このカードは相手に直接攻撃することができる。

このカードが相手プレイヤーに直接攻撃が成功した時、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊することが出来る。

このカードがエクシーズ素材の無い状態で攻撃対象に選択された場合に発動する。このカードの攻撃力は0となり、攻撃が出来なくなる。

 

 

『FNo.39 天元百花 宮本武蔵』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

レベル4モンスター×3体以上

このカードの属性は「地」「水」「炎」「風」としても扱う。

このモンスターはエクシーズ素材の数+1回、相手モンスターに攻撃出来る。

1ターンに1度、エクシーズ素材を取り除き、デッキ・手札からモンスターを墓地に送る。墓地に送ったモンスターの属性によって以下の効果を発動する。この効果は相手ターンでも使用することが出来る。

・『地』このカードを守備表示に変更し、ターン終了時まで戦闘で破壊されなくなる。

・『水』自分の墓地の魔法カードを1枚選択し、手札に加える。

・『炎』このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

・『風』フィールド上の魔法・罠カードを1枚選択し、手札に戻す。

・『光』ターン終了時までこのカードの攻撃力は元々の2倍となる。この効果を使用したターン、相手の全てのダメージは半分となる。

 

 

 

『FNo.40 魔曲の奏者 アマデウス』

 

 

『FNo.41 不還の暗殺者 荊軻』

 

 

『FNo.41 鬼の頭領 酒呑童子』

 

 

『FNo.44 天馬の女神 メドゥーサ』

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/闇属性/戦士族/攻1900/守1700

レベル3モンスター×2

1ターンに1度、エクシーズ素材を一つ取り除き、以下の①②の効果を一度ずつ発動できる。

①相手フィールドのモンスターを全て裏守備表示にする。相手は表示形式を変更出来ない。

②このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。更に破壊したモンスターの元々の守備力分のダメージを相手に与える。

 

 

『FNo.44 微笑の女神 ステンノ』

 

 

『FNo.44 魅惑の女神 エウリュアレ』

 

 

『FNo.48 百貌のハサン』

 

 

『FNo.49 癒しの魔女 メディア・リリィ』

 

 

『FNo.49 天の杯 アイリスフィール』

 

 

『FNo.50 黒髭 エドワード・ティーチ』

 

 

『FNo.51 雷光の迷宮 アステリオス』

 

 

『FNo.52 不毀の知将 ヘクトール』

 

 

『FNo.54 反乱の剣闘士 スパルタクス』

 

 

『FNo.56 金色の皇帝 カエサル』

 

 

『FNo.56 黄金武士 坂田金時』

 

 

『FNo.57 清廉炎蛇 清姫』

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/炎属性/爬虫類族/攻1800/守1500

レベル3モンスター×2

エクシーズ素材を2つ使い、相手フィールド全てのモンスターに白蛇カウンターを乗せる。

白蛇カウンターが乗るモンスターの攻撃力が1000ポイントダウンする。

更にこのカードがフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ時に白蛇カウンターが乗ったモンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

このカードの効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される。

 

 

『FNo.58 炎門の守護者 レオニダス一世』

 

 

『FNo.58 業火の鬼 茨木童子』

 

 

『FNo.59 無限の剣 エミヤ』

 

 

『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2500

レベル4モンスター×2

エクシーズ素材を1つ取り除いて①②の効果を1ターンにそれぞれ1回ずつ発動する事が出来る。

①次の相手ターンのエンドフェイズ時まで自分フィールドのモンスターは相手のカードの効果を受けず、自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は元々の数値となる。

②このカードの攻撃力をこのターンのエンドフェイズ時までこのカード以外の自分フィールドのモンスターの数×500ポイントアップする。

 

 

『FNo.62 竜皇の魔女 ジャンヌ・オルタ』

『FNo.62 竜皇の巫女 レティシア』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/戦士族/攻2000/守2500

レベル4モンスター×2

このカード名はルール上「FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク」としても扱う。

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを3枚選んでランダムに1枚選択し、このカードの装備カードにする。

このカードの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップし、エンドフェイズ時までこのカードは装備したモンスターの効果を得る。

 

 

『FNo.63 第六天魔王 織田信長』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/戦士族/攻2100/守1800

戦士族レベル4モンスター×2

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、エクシーズ素材を2つ取り除き、ライフを半分払って発動出来る。

デッキ・手札から『ノブ』もしくは『ノッブ』と名のついたモンスターを可能な限り自分フィールドに特殊召喚する事が出来る。

この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンに効果を発動することが出来ず、攻撃することが出来ない。

この効果はデュエル中に1度しか発動することが出来ない。

 

 

『FNo.65 断罪処刑者 シャルル』

 

 

『FNo.65 正義の暗殺者 キリツグ』

 

 

『FNo.68 冥界の女主人 エレシュキガル』

 

 

『FNo.69 軍神王 アルテラ』

 

 

『FNo.70 聖なる怪物 ジル・ド・レェ』

 

 

『FNo.72 疾風繚乱 佐々木小次郎』

 

 

『FNo.74 守護聖人 ゲオルギウス』

 

 

『FNo.77 巌窟王 エドモン・ダンテス』

 

 

『FNo.78 陣形軍師 諸葛孔明』

 

 

『FNo.78 童話創作者 アンデルセン』

 

 

『FNo.78 偉大なる文豪 シェイクスピア』

 

 

『FNo.78 誰かの為の物語 ナーサリー・ライム』

 

 

『FNo.78 文と詞の想い人 紫式部』

 

 

『FNo.79 聖拳竜破 マルタ』

 

 

『FNo.80 暴星武神 呂布』

 

 

『FNo.80 血斧王 エイリーク』

 

 

『FNo.81 蒸気王 チャールズ・バベッジ』

 

 

『FNo.82 理性蒸発の騎士 アストルフォ』

 

 

『FNo.83 勝利と愛の女王 ブーディカ』

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/光属性/戦士族/攻2700/守2400

レベル5モンスター×2

このカードがエクシーズ召喚に成功した場合に発動出来る。デッキから1枚ドローし、それが魔法カードなら手札に加え、それ以外ならデッキトップに戻す。

このカードがフィールドに存在する限り、自分フィールドのモンスターは守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドのモンスター全てにチャリオットカウンターを一つ乗せる。チャリオットカウンターが乗ったモンスターは守備表示となり、表示形式を変更出来ない。チャリオットカウンターは効果を発動したターンのエンドフェイズ時に一つ取り除かれる。この効果は相手ターンでも使用出来る。

 

 

『FNo.85 堕落の悪魔 メフィストフェレス』

 

 

『FNo.86 漆黒の聖槍 ランサー・アルトリア・オルタ』

 

 

『FNo.87 月狂の皇帝 カリギュラ』

 

 

『FNo.87 月女神の射手 アルテミス&オリオン』

 

 

『FNo.89 少年覇王 アレキサンダー』

 

 

『FNo.89 征服王 イスカンダル』

 

 

『FNo.90 奇跡の聖者 天草四郎』

 

 

『FNo.91 雷竜魔嬢 エリザベート』

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守1500

レベル3モンスター×2

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。

次の自分のスタンバイフェイズ時まで、相手フィールド上の全てのモンスターは効果を発動出来ず、攻撃することが出来ない。

この効果の発動に対して相手はカード効果を発動出来ない。

 

 

『FNo.92 魔竜剣士 ジークフリート』

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/戦士族/攻2900/守2500

ドラゴン族レベル8モンスター×1+戦士族レベル8モンスター×1

このカードの攻撃力・守備力は相手のフィールド・墓地のドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターの数×500ポイントアップする。

エクシーズ素材を1つ取り除いて①②の効果を1ターンに1回ずつ発動出来る。

①このターン、相手フィールド上のドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターの効果を無効にし、そのモンスター全てに攻撃することができる。

②このターンのエンドフェイズ時まで、このカード以外の効果を受けず、戦闘で破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

『FNo.94 恋と愛の女神 パールヴァティー』

 

 

『FNo.95 邪竜と聖女 ジーク&ルーラー』

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/戦士族/攻4000/守4000

闇属性レベル8モンスター×1+光属性レベル8モンスター×1

このカードはルール上、属性は『闇』、種族を『ドラゴン族』としても扱う。

①1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。デッキからモンスターを5枚まで選んで墓地に送る。このターン、墓地に送ったカードの枚数分だけ、相手フィールドのモンスターに可能な限り攻撃する事が出来る。

②1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドのカード効果を無効にして破壊する。この効果に対して相手はカード効果を発動出来ず、無効に出来ない。この効果は相手ターンにも使用する事ができる。この効果を使用した後、このモンスターの攻撃力と守備力は0となり、エンドフェイズ時にこのカードを破壊する。

 

 

『FNo.96 この世全ての悪 アンリマユ』

 

 

『FNo.98 叛逆の赤雷騎士 モードレッド』

 

 

『FNo.100 空の境界 両儀式』

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/戦士族/攻0/守0

レベル1×5

このカードは手札の「RDM」魔法カード1枚を捨て、自分フィールドの「FNo.103 直死の魔眼 両儀式」の上に重ねてX召喚する事もできる。

このカードは相手のカード効果を受けず、リリースすることは出来ない。

このモンスターの攻撃力・守備力はX素材となっているモンスターエクシーズのランクの合計×500ポイントアップする。

このカードの①②③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用出来ない。

①X素材を2つ取り除いて発動出来る。自分のフィールド・墓地・除外のXモンスターを1枚選択し、このカードのX素材にする。

②X素材を1つ取り除いて発動出来る。自分の墓地、もしくは除外されている魔法・罠カードを1枚選んで自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはこのターンに発動出来る。この効果は相手ターンでも使用出来る。

③X素材を1つ取り除いて発動出来る。このカードは相手フィールドのモンスター全てに1回ずつ攻撃出来る。このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスター・魔法・罠の効果は無効化され、カード効果を発動できない。

 

『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000

光属性レベル4モンスター×2

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、このカードはこのターンに相手モンスター全てに攻撃する事が出来る。

また、破壊されたモンスターはエンドフェイズ時まで効果を発動する事ができない。

この効果を使用したターン、相手が受ける戦闘ダメージは0となる。

 

 

『FNo.102 神罰の魔人 アタランテ・オルタ』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/戦士族/攻2500/守2000

闇属性レベル4モンスター×3

このカードは手札の闇属性モンスターを1枚を墓地に送り、 自分フィールドの『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』をエクシーズ素材として、エクシーズ召喚することが出来る。

このカードが特殊召喚に成功した場合、墓地の闇属性モンスター1枚を選択し、このカードのエクシーズ素材にすることが出来る。

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、相手モンスターを全てを裏側守備表示に変更する。

この効果を使用したターン、このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

 

 

『FNo.103 直死の魔眼 両儀式』

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/戦士族/攻2300/守1800

光属性レベル4モンスター×1+闇属性レベル4モンスター×1

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。相手フィールド上のモンスター1体を選択し、裏側表示で除外する。この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃できない。

 

 

『FNo.104 二重存在者 ジキル&ハイド』

 

 

『XFNo.0 運命の終焉者 魔神セイバー』

エクシーズ・効果モンスター

ランク0/光属性/戦士族/攻?/守?

同じランクの「沖田総司」Xモンスター×1+「織田信長」Xモンスター×1

このカードは上記のモンスターを素材にしたエクシーズ召喚でしかエクストラデッキから特殊召喚することが出来ず、デュエル中に1度しか特殊召喚することが出来ない。

ルール上、このカードはランク1として扱う。

このカードがフィールド・墓地に存在する限り、このカードの属性は『闇』としても扱う。

1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。種族を1つ宣言し、このカードの攻撃力・守備力は宣言した種族のモンスターが相手フィールドに存在する限り、その種族の相手モンスターの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+1000の数値になる。この効果は相手ターンでも発動出来る。この効果を発動したターン、このカードは他のカード効果を受けない。

このカードがフィールドから離れた場合に発動出来る。墓地から「沖田総司」Xモンスターと「織田信長」Xモンスターを1体ずつ特殊召喚する。

 

 

『招き蕩う黄金劇場』

アエストゥス・ドムス・アウレア

フィールド魔法

このカードは自分フィールドに『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がいる時に発動出来る。

自分フィールドに『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』がモンスターゾーンに存在する限り、 相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 薔薇の皇帝 ネロ・クラウディウス』を対象に発動出来る。手札のカード1枚を除外する度に対象モンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。この効果は相手ターンでも使用できる。

 

 

『招き蕩う結婚式場』

ヌプティアエ・ドムス・アウレア

フィールド魔法

このカードは自分フィールドに『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』がいる時に発動出来る。

自分フィールドに『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』がモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターは相手の効果の対象にならず、相手モンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

1ターンに1度、自分フィールドの『FNo.0 白薔薇の花嫁 ネロ・ブライド』を対象に発動出来る。自分のライフポイントを好きな数値だけ支払い、支払った分の数値分を対象モンスターの攻撃力をエンドフェイズ時までアップする。この効果は相手ターンでも使用できる。

 

 

『宝具 - 約束された勝利の剣 -』

通常魔法

自分フィールドに『アルトリア』Xモンスターがいる時に発動可能。

このターン、自分フィールドの全ての『アルトリア』Xモンスターはエンドフェイズ時まで攻撃力と守備力が二倍となり、エクシーズ素材を取り除いて使用する効果を発動条件を全て無視してそれぞれ一度ずつ発動することが出来る。

このカードはデュエル中、一度しか使用出来ない。

 

 

『女神アンドラスタの祝福』

通常魔法

自分フィールドに『FNo.』モンスターがいる時に発動可能。

自分フィールド上のモンスター全ての攻撃力と守備力を次のターンのエンドフェイズまで1000ポイントアップし、自分フィールドのモンスターの数×500のライフポイントを回復する。

また自分フィールドに『ブーディカ』Xモンスターがいる場合、以下の効果も適用する。

エクストラデッキから『CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』をエクシーズ召喚扱いで特殊召喚することが出来る。

 

 

『ちびノブ』

通常モンスター

レベル4/地属性/戦士族/攻2000/守1800

帝都聖杯を爆弾にしようとした織田信長が落ちてしまい、その際に誕生した正体不明のナマモノ。

可愛い見た目に反して戦闘力が非常に高い。

 

 

『銀ノブ』

通常モンスター

レベル5/光属性/戦士族/攻2500/守2000

ちびノブが進化して銀色に輝いた姿。

銀色になった以外見た目に変化はない。

 

 

『金ノブ』

通常モンスター

レベル6/光属性/戦士族/攻2600/守2100

銀よりも更にレアな進化を遂げ、眩い金色に輝いたちびノブ。

しかし、やはりその見た目には金色になった以外変化はない。

 

 

『でかノブ』

レベル7/地属性/戦士族/攻2490/守2050

ちびノブが巨大化した姿。

可愛い見た目はそのままだが声が野太くなっている。

巨大化したことにより、ちびノブよりもかなり強くなったが、古代の黒き魔術師には一歩及ばない。

 

 

『金銀でかノブ』

レベル8/光属性/戦士族/攻2990/守2450

金ノブと銀ノブが巨大化した姿。

二体が共に戦うことで圧倒的な力を発揮するが、伝説の白き龍には一歩及ばない。

 

 

 




こうして見るとカルデアのフェイトナンバーズはかなりの数になりましたね。

フェイトナンバーズがあればそのサーヴァントをカルデアに高確率で召喚出来るので羨ましいですね。

特異点を超える度にフェイトナンバーズが増えるので考えるのも大変ですが、頑張って書いていきます。


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特異点F 炎上汚染都市 冬木 ナンバーズ1 少年と少女、運命の出会い!

お待たせしました!
ありそうでなかったFGOとZEXALのクロスです。
私はまだFGOを始めたばかりなので至らない部分がありますが、よろしくお願いします。


暗い闇の中、光が少しずつ差し込んで行く。

 

すると、顔にちろちろと何か不思議な感触が伝わる。

 

「ん……?何だよ……?」

 

ちろちろと、まるで犬か猫に舐められているみたいだった。

 

そんな感触に、目を開け、ぼやける視界の中で、少女の姿を視界が捉えた。

 

どうやら何処かで寝ているらしく、冷たい床の感触が返ってくる。

 

「……あの。朝でも夜でもありませんから、起きてください」

 

眼鏡をかけたその少女と視線が合い、可愛らしく首を傾げている。

 

「うわぁ!?」

 

少年は思わず反射的に飛び上がってからバク転をして下がり、少女も驚いた。

 

「あ、あんた、誰だよ?」

 

少年は名前を尋ねると少女は顎に手をやり、それからぼそりと呟いた。

 

「名乗る程の者ではありません」

 

「はぁ?」

 

「いえ、名前はあるのですが、あまり名乗る機会がなかった為にこう、印象的な自己紹介ができないと言うか……」

 

少女は再び首を傾げると少年の頭に頭痛が走った。

 

「痛っ……ここは、一体……?って、おわっ!?」

 

すると突然小さな犬とも、リスとも言えない可愛らしいがとても不思議な白い生き物が少年の頭に飛び乗った。

 

「何だこれ!?こんな生き物、見たことないぞ!?」

 

「こちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩する特権動物です。私はフォウさんにここまで誘導され、お休み中のあなたを発見したんです」

 

少女の言葉に応じる様に、「フォウ」という鳴き声が上がり、少年の頭から降りてそのまま何処かへ行ってしまう。

 

「またどこに行ってしまいました。あの様に、特に法則性もなく散歩しています」

 

「自由だな……」

 

「私以外にはあまり近寄らないんですが、あなたは気に入られたようです。おめでとうございます。カルデアで二人目のフォウさんのお世話係の誕生です」

 

「へぇー……って、気に入られた?お世話係って何!?」

 

よく分からない得体の知れない生き物に気に入られ、更にはお世話係に任命され訳が分からなくなる少年だった

 

しかしそれよりも少年は気になることがあった。

 

「ここは、何処なんだ?」

 

窓の外には大雪が吹雪いており、しかも見たことない建物の中にいる少年は周囲をキョロキョロしながら尋ねた。

 

「ここは人理継続保障機関『カルデア』です」

 

「カルデア?ハートランドじゃないのか?」

 

「ハート、ランド?聞いたことないですね、どこかの国の名前ですか?それにあなたはマスター適性者ではないのですか?」

 

「マスター……?ごめん、何の事だかさっぱり分からないんだけど」

 

「あなたは一体……?」

 

少女の問いに、少年は元気よく名乗る。

 

「俺は九十九遊馬だ!あんたの名前は?早く教えてくれよ!」

 

その少年の名は九十九遊馬。

 

そして、遊馬に急かされて少女も名乗る。

 

「私はマシュ……マシュ・キリエライトです」

 

少女の名はマシュ・キリエライト。

 

遊馬とマシュ、これが二人の運命の出会いだった。

 

そこに一人の男性が近づく。

 

「マシュ、マシュ・キリエライト。そこにいたのか」

 

それは緑のスーツを着た男性で穏やかな表情を浮かべていた。

 

「レフ教授」

 

「そろそろ、マスター適性者のブリーフィングが始まる。急いで中央管制室に……おや、君は?」

 

「俺は九十九遊馬。なあ、おっちゃん。ここは一体どこなんだよ?」

 

「お、おっちゃん?そんな風に言われたのは初めてだよ。マシュ、この子は?」

 

おっちゃんと呼ばれてレフは苦笑を浮かべるが、遊馬を不思議に思い、マシュに尋ねた。

 

「私も分かりません。カルデアの事を知らないみたいで……マスター候補生じゃないみたいです」

 

「マスター候補生じゃない?ふむ……」

 

「なぁ、俺一つ思いついたことがあるんだけど……」

 

「何かね?」

 

「俺、もしかしたらこことは違う異世界から来たのかもしれない」

 

「えっ?」

 

「何……?」

 

突然の遊馬の言葉にマシュとレフは動揺の表情を浮かべる。

 

「俺の故郷、ハートランドは世界的に有名な都市なんだ。それをさっきマシュに聞いたら知らないって言ったんだ。それに俺もカルデアとか知らないし、だから異世界に来ちまったんだと思うんだ」

 

「……あまりにも突飛過ぎる話だが、それにしては随分君は落ち着いているな」

 

「俺、ちょっと前に異世界をあちこち移動していたからな」

 

三つの世界を巻き込んだ世界滅亡の危機に立ち向かったとは流石に言えず、苦笑いを浮かべる遊馬。

 

遊馬は異世界から来た証拠に遊馬の世界で広く普及している携帯端末であるD・パッドとD・ゲイザーをレフに見せた。

 

技師であるレフは初めて見るD・パッドとD・ゲイザーに興味を持ち、更には見た事ない技術で作られているとすぐに分かり、遊馬が異世界から来たと信じざるを得なかった。

 

レフは何も知らない遊馬にこのカルデアの必要最低限の事を教えた。

 

人理継続保障機関・カルデア。

 

それは魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない『世界』を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために設立された特務機関。

 

ある日、何の前触れもなく、カルデアで観測を継続していた未来領域が消失し、人類は2017年で絶滅することが証明されてしまった。

 

カルデアは時空の特異点を探し出し、解明あるいは破壊し、人類滅亡を阻止するために動き出していた。

 

カルデアは守護英霊召喚システム「フェイト」を使い、英霊と呼ばれる強力な力を持った過去の英雄たちをサーヴァントとして召喚して契約を結び、共に戦う。

 

その英霊を召喚し、契約を結ぶために48人のマスター候補生が集められ、マシュもその一人である。

 

人類滅亡とそれに立ち向かう戦いが始まるというとんでもない話に遊馬は首にかけた遊馬の胸に掛けている『皇』の形をした不思議な金色のペンダント、『皇の鍵』を握りながら顔を少し青くする。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ!大丈夫だ!」

 

「しかし、本当に何も知らないようだ……それに、なぜ君がここで倒れていたのかも不明だ。さて、どうするか……」

 

突然カルデアに現れた遊馬をどうするかレフは悩んでいると遊馬はある提案をする。

 

「なあ、おっちゃ……じゃなくて、レフさん!俺も、そのレイシフトに参加してもいいか?」

 

「何だって……?」

 

「何で俺がここにいるのか分からないけど、ここでマシュと出会ったことに何か意味があると思うんだ。それに、異世界とは言え人類滅亡なんて話を黙って見ていられないんだ。だから、頼むよ!」

 

「まだ十三歳なのに随分と逞しい心を持っているね。一応、適性のあるマスターは四八人と決められているがあくまでもそれは適性があると認められた人々で、上限はない。もしも君にマスターとしての適性があるならば、レイシフトに参加できるかもしれない」

 

「本当か!?」

 

「ああ、私からも話を通してみるよ。ただ……もうすぐブリーフィングが始まる。遅れたら大変だ。ウチの所長は、結構根に持つタイプだからね」

 

「え!?遅れただけで根に持つの!?」

 

ハートランド学園の中学校で遅刻常習犯である遊馬にとってはある意味相性最悪と思われるその所長に顔を真っ青にする遊馬だった。

 

そんな遊馬にマシュは手を握って急かすように走り出す。

 

「遊馬君、こっちです。急ぎましょう」

 

「え?あ、ああ!」

 

「ほぅ、マシュが自分から人が関わるとはね。マシュ、彼の何処に興味を惹かれたんだい?」

 

「遊馬君は今まで出会った人達とは違うんです」

 

「違う?」

 

「とても純粋で心優しく、でもとても強い……そんな感じがするです」

 

「え?いやー、その、照れるなぁ〜」

 

遊馬はマシュに褒められて歳相応に照れるとカルデアの中央管制室に到着した。

 

「よっしゃあ!行くぜ!」

 

遊馬は異世界の人類救済の第一歩を踏み出すべく、中央管制室のドアを開いた。

 

ところが……。

 

「どわあっ!?」

 

遊馬は思い切り突き飛ばされ、廊下に転がり出された。

 

「ここは子供の来るところじゃありません!」

 

「ええっ!?ちょっとぉ!?」

 

厳しい女性の声が響くと既に中央管制室の扉は閉じられ、完全に自分が閉め出された事を悟り、愕然とする遊馬だった。

 

「何でだよ……」

 

「遊馬君は、ファーストミッションから外されてしまったみたいです」

 

「え!?」

 

「個室に案内します」

 

あまり感情を表に出さないマシュも、少しばかり遊馬に同情している様子だった。

 

数分前に遊馬は意気揚々と中央管制室に入ったのはいいが、幼さが抜けない……悪く言えばガキっぽい十三歳の子供が来たことに所長のオルガマリーは気に入らず、問答無用に叩き出されてしまったのだ。

 

「……俺、あの所長に嫌われたかな?」

 

「はい。所長から目の敵にされると思います」

 

マシュは遊馬に残酷な事実が突きつけ、遊馬は思わず大きな溜め息をついてしまう。

 

これでは遊馬の今後のミッション参加は絶望的かもしれない。

 

「魔術の世界は実力は勿論の事、家柄がものを言います。所長は魔術の名門の出で、血筋に強いこだわりを持っているんです。試験段階のレイシフトを成功させる為には多くのマスター適性者が必要です。しかし、その候補者も一握りしかおらず……」

 

「じゃあ、俺は最初から出来ないかもしれなかったのか?」

 

「はい、そういう事になります」

 

「そっか……見ず知らずの俺じゃダメなのか……でも、これぐらいのことじゃ諦めないぜ!落ち着いたら所長の所に行って認めてもらうしかないぜ!かっとビングだ!」

 

諦めることをしない遊馬の元気な姿にマシュは微笑みながら遊馬の部屋を案内する。

 

「ここが遊馬君の部屋です。レフ教授が急いで空き部屋を探してくれました」

 

「おお!ここが俺の部屋!マシュ、レフさんにありがとうって伝えてくれないか?」

 

「構いませんよ」

 

「サンキュー!マシュはこれからミッションか?」

 

「ええ。この後すぐにです」

 

「そっか。頑張れよな……うわっ!?」

 

マシュに激励をしようとした遊馬だがまだ体が本調子ではなく、眩暈がしてそのまま尻餅をついてしまった。

 

尻餅をした際に腰に取り付けられている赤いデッキケースが開いてしまい、中に入っている大量のカードが床に散らばってしまった。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「いって……まだ体が本調子じゃねえな。あっ、やべっ!カードが!?」

 

「大変です、一緒に拾います」

 

「サンキュー、マシュ!」

 

遊馬とマシュは二人で床に散らばったカードを集める。

 

「見たことないカードですね……遊馬君、これは?」

 

「これはデュエルモンスターズ!カードに描かれたモンスターと一緒に戦うカードゲームなんだ!」

 

「カードゲーム、これが……!」

 

マシュは初めて見るカードに目を瞬かせながら見ていると、不思議なカードを見つけた。

 

「FNo.0……未来皇、ホープ……?」

 

それは黒い枠のカードに二つの剣と翼を持った戦士のような姿をしたモンスターが描かれていた。

 

そして、そのカードはとても不思議で尚且つ魅力的で描かれていたモンスターはどことなく遊馬に似ていた。

 

「マシュ、それで最後だな……どうかしたのか?」

 

「いえ、このカードが遊馬君に似ているなって思って……」

 

未来皇ホープが遊馬に似ていると言われ、遊馬は得意げに笑みを浮かべる。

 

「へへっ、かっこいいだろ!こいつは俺にとって特別なカードだからな!」

 

「ええ。とてもかっこいいです」

 

マシュは残りのカードと未来王ホープのカードを遊馬に渡し、これでばら撒いてしまったカードを全て回収できた。

 

「よし!これで全部だ、サンキューな、マシュ!」

 

カードをデッキケースにしまい、遊馬はマシュにお礼を言う。

 

「いいえ、大したことはしてません。では行ってきます」

 

「ああ!頑張れよ!」

 

「はい」

 

マシュは中央管制室へ向かおうとしたその時、遊馬はそうだ!とある事を思いついてデッキケースから一枚のカードを取り出す。

 

「マシュ!」

 

「えっ?」

 

遊馬に呼ばれてマシュは振り向くと遊馬から何かが投げ渡され、慌てて受け取ったマシュの手には一枚のカードがあった。

 

「このカードは……!?」

 

それは先ほどマシュが手にした遊馬にとって特別なカード、『FNo.0 未来皇ホープ』だった。

 

「ラッキーカード、お守りとして持ってくれ!」

 

「でもこれは遊馬君の大切な……」

 

「レイシフトが終わって帰ってきたら返してくれ!マシュ、約束だからな!」

 

遊馬はレイシフトに向かうマシュとまた会うために未来皇ホープのカードを渡して再び会う約束をした。

 

マシュは遊馬の優しさに触れて心が温かくなり、未来皇ホープのカードを優しく握りながら笑みを浮かべた。

 

「はい!必ず、終わったら返します!」

 

未来皇ホープのカードを上着の内ポケットに仕舞い、管制室に向かって走り出した。

 

「さぁて、とりあえず俺は一眠りするか。色々考えるのは後だ!」

 

まずは本調子じゃない体を整えるために一眠りしようと部屋のドアを開いた、次の瞬間呆気に取られてしまった。

 

誰もいないはずの自分の部屋のベッドには、白衣を着た青年が鎮座し、美味しそうにケーキを頬張っているのだ。

 

「誰だよあんた……?」

 

「ふぁーい、入ってまーす……って!?誰だね君は!」

 

「いや、それは俺のセリフだから」

 

青年がフォークを遊馬に突きつけるが、遊馬は冷静にツッコミを入れる。

 

「ここは僕専用のサボり場だよ?誰の許可を得て入ってきたんだね!」

 

「サボり場って……えっと、マシュにこの部屋が俺のだって聞いたんだけど」

 

「え!?マシュに!?だって、マスターは48人なんじゃあ!?ここに来て、一人追加!?」

 

「よくわかんねえけど、多分そういう事になってる。それで、あんたは?」

 

「ん?ああ、紹介が遅れたね。僕は、ロマニ・アーキマン。医療部門のトップで、カルデアの皆からはドクターロマンって呼ばれてるよ」

 

「ドクター?ってことは、お医者さんなのか?」

 

「そうだよ。でも、もうすぐレイシフトが始まるのに、どうして君はここに?カルデアに来たという事は、マスターなんだろう?」

 

遊馬は所長とのいざこざを説明すると、ロマニは苦笑いをしてケーキを頬張る。

 

「成程、幼いが故に所長の逆鱗に触れ、ファーストミッションから外された、と。僕と一緒だね」

 

「え?一緒?」

 

「所長に、『ロマニがいると現場の雰囲気が緩む』と言われて、追い出されてね。だからここで拗ねてたって訳さ」

 

「そっか。でも、俺は先生みたいな明るい人は大好きだぜ!堅苦しい人ばっか集まったら心が沈んじまうからな!」

 

「おお!僕のことを理解してくれる人がいるとは、僕は遊馬君の様な人間を待っていたんだ!所在ない者同士、仲良くしようじゃないか!」

 

ロマニは遊馬を気に入り、遊馬の頭を優しく撫でた。

 

「よろしくな、ロマン先生!あ、そうだ。色々聞きたいことがあるんだけど、いいかな?俺、ここのこと、全然知らなくて」

 

「ああ、良いだろう。ではまず最初にカルデアとは……」

 

ロマニが遊馬へカルデアに関する講義を始めるために口を開こうとしたその時、ロマニの手首に巻き付いている腕輪が音を鳴らした。

 

聞こえてきたのはレフの声で通話機能が備わっていた。

 

「うん?レフ、どうしたんだい?」

 

『もうすぐレイシフトが始まるんだが、Aチームは良好、しかしBチームの何名かに微かな変調が見られる。来てくれるか?』

 

「分かった、麻酔をかけに行こう。すぐに向かう」

 

『そこからなら二分で到着するはずだ。頼むぞ』

 

「OK」

 

通話を切ったロマニに遊馬はあることに気づく。

 

「あれ?ここは医務室じゃないよな?」

 

「……まぁ、言い訳は考えるさ。今の彼は……」

 

「レフさん、だったよな?確か、技師の一人って言ってたぞ」

 

「控えめに言ったなぁ。レフはね、『カルデアス』の大事な部分を設計した魔術師なんだよ?」

 

「へぇ……あの人が……」

 

「それじゃあ、僕はこれで行くね。楽しかったよ、遊馬君。もし暇だったら医務室に来てくれ。美味しいケーキでも……」

 

その時、ロマニの言葉を謎の爆発音が遮った。

 

直後に不気味な音が続いて響き、部屋の天井の照明が切れた。

 

「えっ?停電?」

 

「まさか。カルデアで停電なんて……」

 

『緊急事態発生、緊急事態発生』

 

緊急のアナウンスが流れ、カルデア内の発電所から火災が起きている事が知らされる。

 

「火災だって……!?」

 

突然訪れた緊急事態に遊馬は現状がとても危険な状態にある事を知る。

 

そして、脳裏に先ほど別れたマシュの姿が浮かんだ。

 

「はっ!?マシュ!!」

 

遊馬はマシュの身を案じ、部屋を飛び出した。

 

「あっ!待ちなさい、遊馬君!」

 

ロマンの制止を振り切り、マシュの無事を確認する為に中央管制室へ向かった。

 

 

 

.




早速遊馬君がマシュちゃんにフラグを立ててます(笑)
流石は遊戯王主人公です。
ここではマシュちゃんは遊馬君を弟のように可愛がります。
次回から遊馬の戦いが始まります。


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ナンバーズ2 長き旅と戦いの幕開け!

遊戯王ARC-V最終回記念に速攻書き上げて投稿しました。
遊戯王ZEXAL最終回を思い出しますね、未来皇ホープとホープドラグーンの戦い、胸熱なのを今でも思い出します。



遊馬はマシュを探してカルデアの廊下を走り続けていた。

 

先程まで同じ部屋にいたロマンは発電所に向かっており、遊馬に避難するよう大声で叫んだが、マシュを探すためにそれを無視した。

 

マシュを含めたマスター適性者たちが集まっている場所は地下の管制室で遊馬は災害時のエレベーターは危険だと思い、乗らずに非常階段で一気に下まで降りた。

 

しかし途中で道が分からなくなり、迷いそうになったが遊馬は目を閉じてある気配を探した。

 

「……こっちか!!」

 

それはマシュに渡した『FNo.0 未来皇ホープ』のカードの気配だ。

 

そのカードは遊馬自身が作り出したものなので、その気配を察知することができる。

 

遊馬は全力で廊下を駆け抜け、遂にレイシフトをする管制室に到着した。

 

「マシュ!!」

 

遊馬は扉を開けて部屋の中に入った瞬間、言葉を失った。

 

部屋は見るも無残に破壊され、瓦礫の山と火の海が広がる人がいられないような地獄と化していた。

 

「……くっそぉっ!!マシュ!何処だ!何処にいるんだ!!」

 

早くマシュを見つけないといけないと遊馬は自分を奮い立たせて大声で叫んだ。

 

「フォウ!フォウー!」

 

「っ!?この声はフォウか!?」

 

それは少し前に出会った不思議な生物、フォウの鳴き声だった。

 

ただ、最初に聞いた鳴き声とは違って、泣いている様な声だった。

 

遊馬はマシュを気に入っているフォウがいる場所にきっとマシュもいるはずだ、と考えてフォウを探して走り出す。

 

「何処にいるんだ、フォウ!」

 

フォウの鳴き声と未来皇ホープのカードの気配を頼りにマシュを探す。

 

そして、灼熱の火の海を潜り抜けて、遂にマシュを見つけた。

 

「マシュ!!フォウ!!」

 

「フォウ、フォーウ!」

 

マシュは倒壊した瓦礫に下半身を下敷きにされており、フォウはマシュの顔を舐めたりして意識を呼び起こそうとしていた。

 

マシュは辛うじて意識はあるのか、その瞼が薄く開かれていた。

 

「マシュ!」

 

「遊馬君……!?」

 

どうしてここにいるのかと困惑しているマシュに遊馬は急いで駆け寄った。

 

「待ってろ、今、コイツをどかしてやる!」

 

「遊馬君、私の事は、構わないで……すぐに待避してください……私は、助かりません」

 

息も絶え絶えに、マシュは自分の下半身に目をやる。

 

瓦礫に押し潰されているのか、おびただしい量の血が溢れていた。

 

これでは下半身が潰れてもおかしくなく、この状態で生きているのは単に運がいいだけではなかった。

 

マシュに渡した未来皇ホープのカード……そのカードが持つ理解不能なエネルギーがマシュの命を繋ぎとめていたのだ。

 

「遊馬君……フォウさんを連れて、逃げてください……せめてあなただけでも……」

 

マシュは出会ったばかりとはいえ弟のように思っている遊馬と仲の良いフォウと共に逃げて生き延びて欲しいのだ。

 

しかしそれを聞いて素直に頷く遊馬ではなかった。

 

「諦めるんじゃねえ!!!」

 

遊馬は瓦礫を持ち上げようと、瓦礫に手を潜り込ませる。

 

しかし、火災で人が触れられないほどの強い熱を持っている瓦礫に触れただけで、遊馬の手から焼けるような音が鳴る。

 

「ぐあっ!?」

 

「や、やめてください!!私の事は構わないでと言ったじゃないですか!?」

 

「絶対に嫌だ!俺はもう、目の前で大切な仲間が死ぬのをただ黙って見ているなんて出来ねえ!!」

 

「仲間……?私が、ですか?」

 

遊馬がマシュを仲間と呼び、目を丸くして呆然とした。

 

「そうだ!マシュ、お前は俺の大切な仲間だ!俺は絶対に仲間を見捨てない!必ず助ける!!」

 

「遊馬君と私は会ったばかりなのに……」

 

「時間なんて関係ない!マシュは俺の大切な仲間だ!だから、絶対に諦めない!見捨てない!それが俺の、かっとビングだぁっ!!」

 

それは父から教えてもらった遊馬の信条にして格言、そして精神……絶対に諦めない心……かっとビングが遊馬に力を与え、僅かに瓦礫が浮き上がる。

 

「かっと、ビング……?」

 

その時、マシュの胸ポケットに仕舞われていた一枚のカードが光り輝き、勝手に動き出して遊馬の前に出てきた。

 

「未来皇ホープ……!?」

 

それは遊馬がマシュに渡した未来皇ホープのカード、遊馬はその名を叫んだ。

 

「頼む、力を貸してくれ!現れよ、FNo.0!未来皇ホープ!!」

 

遊馬の背後の空間が歪み、そこからカードに描かれたモンスター……遊馬に似た姿をした翼を持つ戦士が現れる。

 

それは無限の可能性を持つ遊馬が作り出したモンスター、未来皇ホープだった。

 

「カードに描かれた未来皇ホープが具現化した……!?」

 

魔術を使わずにカードに描かれたモンスター……魔物を召喚した遊馬にマシュは目を疑った。

 

「ホープ……頼む、マシュの上の瓦礫を斬ってくれ!」

 

『ホォープ!!』

 

遊馬の指示に従い、未来皇ホープは腰に取り付けられた二振りの剣を構える。

 

「ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!!!」

 

未来皇ホープは二振りの剣でマシュの上にある瓦礫を一瞬で細切れに斬り裂き、遊馬は一気にマシュを引き上げる。

 

「マシュ!!」

 

マシュの下半身は血塗れだったが遊馬は目を瞑って反らし、とにかく一刻も早く助けるために部屋から脱出しようとする。

 

「遊馬君……」

 

「マシュ!すぐに先生の元に連れてってやる!もう少し頑張れ!」

 

遊馬はマシュをロマンの元へ連れて行こうとしたがマシュは何かを悟ったかのような安らかな表情を浮かべて遊馬の頰に手を添えた。

 

「遊馬君、あなたに会えてよかった……」

 

「ば、馬鹿野郎!こんな時にそんな事を言うんじゃねえ!!」

 

「最後にお願いがあります……手を、握ってくれませんか?」

 

「マシュ……くっ……あ、ああ……」

 

遊馬は最後のマシュの願いに応え、自分の頰とに添えられたマシュの右手を自分の右手で強く握りしめた。

 

すると、遊馬が入室してから聞こえていたが無視していたアナウンスが終わると周囲に無数の光の粒子が溢れた。

 

そして、未来皇ホープは遊馬とマシュを守るように翼を広げて優しく抱きしめた。

 

まばゆい、全てを包み込もうとする光に遊馬が瞼を閉じた時……機械的な音声が響く。

 

『レイシフト開始まで、3、2、1、0。全行程完了。ファーストオーダー、実証を開始します』

 

光に包まれた遊馬とマシュはカルデアから姿を消してしまった……。

 

 

また生暖かい何かが頬を舐めている。

 

遊馬はそれがフォウの舌である事に気付き、瞼を開いた。

 

まるで初めて会った時の様にマシュが自分を見つめていた。

 

「遊馬君!しっかりしてください、遊馬君!」

 

「えっ……マシュ!?」

 

遊馬はすぐに起き上がってマシュの全身を眺める。

 

服装は最初に出会った時とは打って変わり、眼鏡を外し、黒いライダースーツの様なモノを身に着けていた。

 

「マシュ、お前、体は……!?」

 

瀕死の重傷だった体がまるで生まれ変わったかのように怪我がなく綺麗だった。

 

「大丈夫です、ちゃんと生きてますよ」

 

「あっ、あぁ……マシュ!」

 

「きゃっ!?」

 

遊馬は喜びのあまり、涙を流しながらマシュへと抱きついた。

 

「ゆ、遊馬君……?」

 

「良かった、本当に本当に良かった……!」

 

自分の為に本当に心配し、涙を流して喜んでいる遊馬にマシュは微笑みながら自分も涙を浮かべる。

 

「遊馬君、ありがとう……」

 

マシュは遊馬を優しく抱きしめ、まるで姉か母のように頭を優しく撫でた。

 

少しして泣き止んだ遊馬は状況を整理する為に一つずつマシュに質問する。

 

「なあ、マシュ。その大きな盾とその服装は何だ?」

 

マシュの手には普通の人が持つ事は出来なさそうな大きな十字の形をした盾を軽々と片手で持っている。

 

しかも見たことない服装を着て、何より怪我が治っていることが遊馬には不思議で仕方なかった。

 

「……それについては後ほど説明します。その前に、今は周りをご覧ください」

 

「え?」

 

遊馬が振り向くとそこには骨で作られた人型の形をした骸骨のモンスターが何十体も蠢いていた。

 

「あれはモンスターか!?」

 

「言語による意思の疎通は不可能、敵性生物と判断します。任せてください、私が戦います」

 

「マシュ、戦えるのか!?」

 

「はい。今この身には英霊の力が宿っていますから」

 

「英霊……?」

 

盾を構えるマシュに遊馬も何かできないのかと焦りだす。

 

「くっ!どうしたら……」

 

遊馬の焦る気持ちに応えるかのように胸元と腰から金色の光が溢れる。

 

「これは!?」

 

「遊馬君のペンダントとデッキケースが光ってる……?」

 

それは遊馬の胸元に煌めく皇の鍵とデッキが収められたデッキケースから強い光を放っていた。

 

「まさか……よぉし、かっとビングだ!俺!」

 

遊馬は今までの経験からこの場を乗り切る遊馬だけの戦いの力を顕現させる。

 

ポケットからD・パッドとD・ゲイザーを取り出して自分の頭上に向けて投げ飛ばす。

 

「行くぜ、デュエルディスク、セット!D・ゲイザー、セット!」

 

D・パッドが変形し、小型のデュエルディスクへと変形して左手首に装着され、D・ゲイザーはバイザーとイヤホンマイクが合体したような形に変形し、遊馬の左目に装着する。

 

「遊馬君、何を……!?」

 

マシュが呆然と見守る中、遊馬はデッキをデュエルディスクにセットしてから5枚のカードをドローして手札にするとその中から1枚のモンスターを選んだ。

 

「見てなって!俺はガガガマジシャンを召喚!」

 

遊馬の前の空間が歪み、中から目つきが悪く、まるで不良の格好をした魔法使いが現れた。

 

それは遊馬が幼少期よりデュエルを始めてから一番長く使っているフェイバリットモンスター、自身のレベルという名の星を操る魔法使い・ガガガマジシャン。

 

「モンスターが実体化した!?それに、この魔力は……!?」

 

カード自体はただの紙で作られ、何の力も感じられなかったがデュエルディスクに置いた瞬間から魔力が発生し、ガガガマジシャンが実体化していた。

 

「行っけぇ!ガガガマジシャン!ガガガマジック!」

 

『ガガガッ!!』

 

ガガガマジシャンは拳に魔力を込めて放出し、骸骨を粉砕した。

 

「よし!ここは異世界だからデュエルモンスターズの力で戦える!」

 

「凄い……これなら行けます。遊馬君、一気に行きましょう」

 

「ああ!このまま突っ切るぜ!」

 

遊馬は愛するモンスターの力、マシュはその身に宿した英霊の力で異変が起きている地……『冬木』を駆ける。

 

遊馬とマシュ……二人の運命の戦いが始まった。

 

数多の世界の歴史を巡り、そこに現れる英霊と出会い、戦いながら異変を解決する長い旅の幕開けだった。

 

 

 

.




さあ、始まりました!
遊馬とマシュのファーストオーダー!
本格的なバトルは次回からです。

ちなみに、遊馬がマシュに抱きついたときにマシュの胸がもちろん当たっていますが・・・・・・もちろん遊馬にはやましい気持ちはありません(笑)
過去にも明理姉ちゃんにぶつかったときや生け贄になりかけた璃緒を助けたときにも胸が当たってましたからね。
おのれハーレム系ラッキースケベ主人公め・・・・・・(爆)
遊馬は遊戯王主人公の中で一番女性に囲まれている主人公だと思います。


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ナンバーズ3 闇の眷属との戦い

昨日新しいナンバーズ1、No.41泥睡魔獣バグースカが判明しましたがまさかのスキドレ内蔵で笑いました。
ナンバーズコレクターとして新しいナンバーズが来るのは幸福の極みで他にも収録を期待してます。
コンプリートまで残り17枚……期待してますよ、KONAMIさん。


遊馬とマシュは骸骨の敵と交戦し、何とか全滅させてその場を乗り切れた。

 

遊馬はガガガマジシャンに続き、遊馬のデッキの特攻隊長でもあるゴゴゴゴーレムを召喚してその強靭な腕で粉砕した。

 

マシュも不慣れながら盾を振り回して骸骨を倒し、戦闘が終了するとマシュは遊馬に無事を確かめる。

 

「遊馬君、大丈夫ですか?」

 

「ああ!それにしてもあのモンスターは何なんだ?」

 

「わかりません、あれが特異点の原因……のようなもの、と言っても差し違えはないような、あるような」

 

「情報がないからなぁ……」

 

情報が足りなすぎて困ったその時、遊馬のポケットから電子音が鳴った。

 

「何だこれ?」

 

それは見たことない機械の腕輪で遊馬はとりあえず腕輪の光っているボタンを押すと光が放たれて宙にホログラムが映った。

 

『ああ、やっと繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室だ、聞こえるかい?』

 

ホログラムに映ったのはロマニだった。

 

その腕輪は通信機で部屋でロマニと話していた時にもしもの時のためにと貰っていたものを遊馬はすっかり忘れていた。

 

「ロマニ先生!」

 

「ドクター!」

 

『マシュ、マシュなのかい?それに、遊馬君!?僕は待避しろと言ったじゃないか!』

 

「こちらAチーム、マシュ・キリエライトです。特異点『F』にシフト完了しました。同伴者は九十九遊馬君一名で心身共に問題ありません」

 

『遊馬君が!?それと、マシュ……君、その姿はどういうコトなんだい!?ハレンチすぎる!ボクはそんな子に育てた覚えはないぞ!?』

 

ロマンの反応にお父さんか!?と思わずツッコミたくなった遊馬だがそこはグッとこらえて飲み込んだ。

 

「違います。遊馬君を守るために私は『デミ・サーヴァント』として変身したんです」

 

「デミ・サーヴァント?」

 

「今回の特異点Fの調査と解決のためにカルデアで事前にサーヴァントを用意していました。そのサーヴァントも先ほどの爆破でマスターを失い、消滅する運命にありましたが、彼は私に契約を持ちかけて英霊としての能力と宝具を譲り渡す代わりにこの特異点の原因を排除して欲しいと……」

 

『英霊と人間の融合……デミ・サーヴァント。カルデアの六つ目の実験だ……』

 

「英霊と人間の融合……?」

 

遊馬はマシュとロマンの話を聞いて皇の鍵を握りながら脳裏に一人の精霊の姿と二つの力が一つとなった金色の英雄の姿が思い浮かんだ。

 

マシュは英霊の力を託されたものの、英霊の名を知らないので能力や宝具の力も分からずじまいだった。

 

するとカルデア側の電力が安定がまだなのか通信が乱れてしまい、 2キロ先の霊脈と呼ばれる場所へ向かうようにとロマンの指示を受けたその直後に通信が途絶してしまった。

 

「れいみゃ……何だ?」

 

「霊脈の事です。そこへ行けば、今よりは通信がしやすくなるでしょう。とにかく今は、ドクターとの連絡手段を確保するのが第一かと」

 

「分かった、行こう。今はとにかく情報が必要だな」

 

「はい」

 

「キュー!フォウー!」

 

「うわっ!?」

 

今さっきまで隠れていたフォウが再び遊馬の頭に飛び乗って自分もいると主張するように鳴く。

 

「どうやらフォウさんも一緒にレイシフトしてしまったようですね」

 

「見たいだな。フォウ、危ないから俺のフードの中に入ってな」

 

「キャーウ!」

 

フォウは遊馬の言う通り上着のフードの中に入り、遊馬はデュエルディスクを構えてマシュと向き合う。

 

「よし!それじゃあ、その霊脈に向けて行こうぜ!」

 

「はい、遊馬君」

 

「ガガガマジシャン、ゴゴゴゴーレム、護衛頼むぜ!」

 

『ガガガッ!』

 

『ゴゴコーッ!』

 

遊馬とマシュは霊脈のある場所に向かって走り出した。

 

 

「何なの、何なのコイツら!? なんだって私ばっかりこんな目に逢わなくちゃいけないの!?もうイヤ、来て、助けてよレフ! いつだって貴方だけが助けてくれたじゃない!」

 

カルデアの所長……オルガマリーは叫び、今にも泣きそうな勢いで骸骨の群れから逃げ回っていた。

 

突然この世界に巻き込まれて訳がわからないまま逃げ、助けを呼んでも誰も助けてはくれない。

 

そして、骸骨の剣は無情にもオルガマリーへと降りかかる。

 

その時だった。

 

「行っけー!ガガガマジシャン!」

 

『ガガガッ!』

 

骸骨の体が魔力弾を受けてバラバラに吹き飛んだ。

 

そしてオルガマリーの前に現れたのは小さな背中とそれに仕える二つの影だった。

 

「あ……」

 

「所長、無事みたいだな!」

 

それは突然現れた小さな子供、幼過ぎて自ら追い出した子供……九十九遊馬だった。

 

「貴方どうして…… ?」

 

「話は後だ!まずはこいつらを片付ける!頼むぜ、ガガガマジシャン!ゴゴゴゴーレム!」

 

遊馬は側にいる不良風の魔術師と丸みを帯びたゴーレムに指示を出して骸骨を攻撃させる。

 

二体のモンスターに続いてオルガマリーの頭上を飛び越え、骸骨たちの前に降り立った一人の見慣れた少女。

 

「マシュ……!?」

 

「オルガマリー所長、ご無事で何よりです」

 

マシュは盾を武器に骸骨たちを次々に蹴散らしていった。

 

それはオルガマリーの知る彼女の姿ではなく、勇猛に戦う一人の戦士だった。

 

遊馬のモンスターたちとマシュによって骸骨たちは反撃をすることもなく全て消滅させられてしまった。

 

突然の事態にオルガマリーは目を点とさせている。

 

「……どういう事?」

 

「所長。信じがたい事だと思いますが、私はサーヴァントとの融合、デミ・サーヴァントになってしまいました」

 

「あ…… わ、わかってるわよ、そんなこと! サーヴァントとの融合、デミ・サーヴァント。見れば直ぐにわかるわ!」

 

「いや、忘れていた感じに聞こえてるけど?」

 

「うるさいわね!それより、何であなたがいるのよ!何故この子が貴方のマスターに!?サーヴァントと契約できるのは一流の魔術師だけ!まさか、あなたマシュを無理矢理……」

 

「え?マスター?マシュを無理矢理って何のことだ?」

 

オルガマリーは訝しげな目で遊馬を強く睨んだが何のことかわからず遊馬は頭に疑問符を浮かべる。

 

「所長……遊馬君がそんなことをするわけありません。まだ十三歳の男の子です、邪推しすぎです。経緯を説明します……」

 

マシュはオルガマリーに現時点の状況を説明した。

 

その際に、マシュはデミ・サーヴァントになった際、一緒に巻き込まれた遊馬をマスターとして選び、契約を結んだことを話した。

 

「よくわかんねえけど、マスターって何の話だよ?」

 

「……その手の甲に刻まれた令呪がサーヴァントと契約した何よりの証拠よ!全く、なんであなたみたいな子供が……」

 

「令呪……?って、何だよこの刺青は!?やっべー!こんなの姉ちゃんとばあちゃんに見られたら怒られるー!!?」

 

オルガマリーに言われ右手の甲を見てみると赤い謎の刻印が刻まれていた。

 

遊馬は刺青と勘違いしてこんなのを家族に見られたら雷どころか大噴火並みのお叱りを受けると混乱してしまう。

 

「落ち着いて、遊馬君。それは刺青じゃなく、三回使えば消えます」

 

「え?消えるの?」

 

令呪は契約したサーヴァントへの絶対命令権で三回まで使用できる。

 

ある程度の命令やサーヴァントに魔法に近い奇跡の力を使ったり、サーヴァントの力を高めるブーストスキルなどにも使用できる。

 

「そうなんだ!じゃあこれは大切に使わないとな!」

 

「それにしても、遊馬君の令呪は不思議な形をしてますね。そのペンダントの形をしてますし」

 

遊馬の右手の甲に刻まれた令呪は大きな『X』に似た紋章に皇の鍵が重なった形となっており、いかにも遊馬らしい令呪だった。

 

一通り話が終わるとオルガマリーは霊脈のある場所でベースキャンプを作ることを指示し、マシュの盾を触媒にして召喚サークルを設置した。

 

すると、周囲の空間がカルデアにあった召喚実験場と同じ電脳空間に似たものへと変化した。

 

『シーキュー、シーキュー。もしもーし!よし、通信が戻ったぞ!』

 

腕輪を使い、先ほどよりも安定してロマニと連絡を取ることができた。

 

「はあ!?何であなたが仕切っているの、ロマニ!レフは!?レフはどこ!?レフを出しなさい!」

 

『うひゃああっ!? しょ、所長、生きていらしたんですか!?あの爆発の中で!?しかも無傷!?どんだけ!?』

 

「どういう意味ですかっ!いいからレフはどこ!? 医療セクションのトップがなぜその席にいるの!?」

 

オルガマリーはロマニが映っていることに腹を立ててレフを出すように言ったが、ロマニは現在生き残ったカルデアの正規スタッフは二十人にも満たないことや作戦指揮を任されているのは人間がロマニしかいないことを告げた。

 

そして、レフも死亡していることにオルガマリーを更に絶望に追いやる。

 

オルガマリーは顔を青白くさせ、ロマニに詰め寄る。

 

「ちょっと待ちなさい! 二十人にも満たないって…… それじゃあマスター適正者たちはどうなったのよ!」

 

『…… 47人、全員が危篤状態です。医療器具も足りません。何名かは助ける事ができても、全員は……』

 

「ふざけないで!すぐに凍結保存に移行しなさい!蘇生方法は後回し、死なせないのが最優先よ!」

 

『ああ!そうか、コフィンにはその機能がありました!至急手配します!」

 

ロマニは慌てて生き残っている数少ないスタッフたちに所長の命令を伝え、マスターたちの冷凍保存を始める。

 

「……驚きました。凍結保存を本人の許可なく行う事は犯罪行為に当たりますが」

 

「死んでさえいなければ後でいくらでも弁明できる!47人の命を私一人で背負いきれるわけないじゃない……!」

 

オルガマリーの声は微かに震えていた。どれだけ威厳を保とうとしていても彼女はまだ人の上にたてるほどの器を持ち合わせていない。

 

その後、オルガマリーとロマニな今後の対応策を話し合い、オルガマリーは遊馬とマシュと共に特異点の調査を行うこととした。

 

遊馬は何故この地が特異点になったのか疑問に思うとオルガマリーはこの冬木の地ではかつて『聖杯戦争』と呼ばれる戦いが行われていたことを話した。

 

聖杯とは所有者の願いを叶える万能の力、あらゆる魔術の根底にあるとされる魔法の釜、その起動のために七騎の英霊を召喚した。

 

そして、七人のマスターがサーヴァントと共に殺し合い、最後に残った者が聖杯を手にするという戦いだ。

 

カルデアの英霊召喚システム・フェイトはそれを元に作られたのだ。

 

「聖杯……英霊……英霊の座……聖杯戦争か……」

 

「遊馬君?」

 

遊馬はこの世界の重要なキーワードを聞いて妙な親近感を抱き、呟いていた。

 

「似ているな……ヌメロン・コードとアストラル世界とバリアン世界、それにバリアン七皇との戦いに……」

 

「ヌメロン、コード……?何ですかそれは?」

 

マシュにとって意味が分からない単語にきょとんとし、遊馬は慌てて話をそらした。

 

「い、いや!何でもない何でもない!あはははは!」

 

「???」

 

マシュは疑問符を浮かべて可愛らしく首を傾げる。

 

遊馬が口にした『ヌメロン・コード』……それは願望器である聖杯以上の力を秘めたとんでもないカードと言うことを今のマシュたちが知る由もなかったのだ。

 

「なあ、所長。俺も話すことがあるんだけど……」

 

遊馬はオルガマリーとロマニにマシュに話したように自分が異世界から来たと説明した。

 

最初はもちろん信じてもらえなかったが、遊馬は展開しているデュエルディスクとそれによって出現しているモンスターを見てロマニは別世界の技術によって作られたものだと納得してくれたが、オルガマリーだけはまだ納得出来ていないところがあった。

 

「あなたが異世界から来たのは認めます……信じたくないけど。でも、どうして平然としていられるのですか!?」

 

「え?」

 

「この状況です!こんな事になって何故そんな風に平然といられるのですか!?私だって、不安でいっぱいなのに……あなたはまだ十三歳でしょ!?」

 

十三歳にしては落ち着きがありすぎる遊馬にオルガマリーが睨みつけるように聞くと、遊馬は暗い表情を浮かべながら口を開く。

 

「俺……少し前に世界滅亡の危機に立ち向かったからな」

 

「えっ……?」

 

「はっ……!?」

 

『なっ……!?』

 

世界滅亡の危機……それはカルデアと同じように遊馬が人類滅亡の危機に立ち向かったことにマシュたちは驚愕した。

 

「信じられないかもしれないけど、俺は相棒と幼馴染、そして頼れるたくさんの仲間と一緒に世界を滅ぼそうとした邪悪な神と運命を捻じ曲げられて操られた七人の皇と戦ったんだ。いっぱい戦って、傷ついて、そして失って来たからさ……」

 

遊馬は仲間たちから世界と未来を救うための最後の希望として想いを託され、心が折れそうになりながらも、今は遠く離れた相棒と共に何度も立ち上がって戦い続けた。

 

「所長、何かを背負う重圧は俺にも分かるよ。俺はカルデアの人間じゃないから、一緒には背負えないけど……俺が必ず守るからさ、頑張ろうぜ!」

 

遊馬の無垢な優しい笑顔にオルガマリーは目を見開いた。

 

この絶望的な状況で恐怖もなくそんな台詞を言えるのはそれ相応の経験をして来たことを意味する。

 

こんな小さな子供が頑張っているのに大人である自分が頼りない姿をこれ以上見せるわけにはいかないとオルガマリーも自分を奮い立たせた。

 

「まさか……子供に励まされるとはね。分かったわよ、やってやろうじゃない!このまま黙ってるなんてできないわ!」

 

「その意気だぜ、所長!かっとビングだ!」

 

遊馬のお陰で所長も元気を取り戻し、早速調査に乗り出そうとしたその時だった。

 

「はっ!?来る!」

 

「これは……サーヴァントの気配です!」

 

遊馬とマシュは邪悪な力……サーヴァントの気配に気づいてすぐに戦闘態勢に入った。

 

オルガマリーはすぐに物陰に隠れると、遊馬とマシュの前に一つの影が現れた。

 

それはスレンダーな体型の髪の長く、両目を布で覆った女性で手には短剣と鎖が繋がれた武器を持っていた。

 

「まだ生き残りがいましたか……今すぐに眠らせてあげましょう、永遠に」

 

「遊馬君に手出しはさせません!」

 

マシュは盾を構えてサーヴァントに攻撃を仕掛ける。

 

「今までの敵とは違う、それなら俺はレベル4のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって絡み合いながら地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「何だ……!?」

 

サーヴァントは何が起きているのか驚くと、光の爆発から同じレベルのモンスターを重ねる事で誕生する異次元の力を持つモンスターが現れる。

 

「二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4、ガガガガンマン!」

 

光の爆発から現れたのは西部劇を思わせる格好をしたガンマンでその体を回るかのように茶色の球体が二つ浮いていた。

 

その球体はエクシーズ召喚する際に素材となったガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムの魂そのものでモンスターエクシーズであるガガガガンマンの力の源でもある。

 

見たことない異次元の召喚法に驚愕するライダー。

 

「何だ、この召喚獣は……?」

 

「これが俺の力だ!マシュ、交代だ!」

 

「は、はい!」

 

「ガガガガンマンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、ガガガガンマンが攻撃する時に攻撃力を1000ポイントアップして相手の攻撃力を500ポイントダウンさせる!」

 

ガガガガンマンのオーバーレイ・ユニットを一つ自分の体に取り込み、ホルスターに納められた二丁拳銃を構えて連射する。

 

サーヴァントはとっさに回避するが、弾丸が体に掠ると力が僅かに抜けて行く。

 

「力が……抜ける……!?」

 

「今だ!ガガガガンマン!」

 

『ガガガーッ!』

 

「くっ、舐めるな!!」

 

サーヴァントは目を覆っていた布を外して不気味な赤い光を放つとガガガガンマンの体がピタリと止まり、一瞬で石になってしまった。

 

「ガガガガンマンが石に!?」

 

「石化の魔眼……まさか!マズイです、遊馬君!そのサーヴァントはギリシャ神話のメドゥーサです!」

 

「メドゥーサだと!?」

 

それはギリシャ神話の有名な怪物で神の呪いで化け物となってしまった女神である。

 

「そのままお前達も石になれ!!」

 

メドゥーサは遊馬とマシュも石にしようとして石化の魔眼を輝かせ、まともに魔眼を見てしまった遊馬とマシュは石化を覚悟したが……。

 

「くっ!?あ、あれ!?」

 

「石に……なってない……?」

 

何故か遊馬とマシュは石になっておらず、体に変化が起きていなかった。

 

「馬鹿な……私の魔眼が効かないだと!?」

 

強力な石化の魔眼が二人に効かないことに驚きを隠せないメドゥーサだった。

 

石化の魔眼は魔力の耐性があれば石にならずにすむが、それは魔力の耐性の能力が高くなければならない。

 

つまり、遊馬とマシュは石化の魔眼が効かないほどの高度な対魔力の能力を持っている事となる。

 

マシュは融合した謎の英霊の力で対魔力の能力が備わっていたが、遊馬は英霊の力も無ければ魔術を使えない。

 

しかし、遊馬のその身に宿る大いなる前世の魂と数々の戦いによって築き上げてきた希望の光が対魔力に近い能力を発現していた。

 

もはや石化の魔眼が効かないとメドゥーサは悟ると次の標的を初めに石化したガガガガンマンに定めて短剣を振り下ろして破壊した。

 

「しまった、ガガガガンマン!?ぐあっ!?」

 

ガガガガンマンが破壊され、その衝撃が遊馬にも与えられてその場から吹き飛ばされてしまう。

 

どうやら召喚したモンスターが相手に破壊されると遊馬に大きなダメージが受けるというシステムになっているようで痛みが体全身に走る。

 

「遊馬君!」

 

「魔眼は効きませんが、未熟なマスターを潰すことは簡単、終わりです……諦めなさい」

 

「諦めるかよ……」

 

遊馬は駆け寄ったマシュの肩を借りて起き上がり、闘志を宿した瞳でメデューサを見つめる。

 

「こんなところで、諦めるかよ……」

 

マシュから離れ、デッキトップに指を添える。

 

「俺はマシュを、所長を……みんなを守る。だから、倒れてたまるかよ!かっとビングだ、俺!!ドロー!!」

 

ドローしたカードを見てニヤリと笑みを浮かべるとそのままデュエルディスクに置いて召喚する。

 

「俺はゴゴゴジャイアントを召喚!効果で墓地からゴゴゴゴーレムを復活!」

 

岩から作られた巨人、ゴゴゴジャイアントは墓地に眠るゴゴゴゴーレムを復活させて共に守りの態勢に入る。

 

「そして、レベル4のゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!来い、ガガガザムライ!!」

 

二体のゴゴゴモンスターがエクシーズ召喚され、現れたのは二振りの刀を持つ侍の姿をしたガガガガンマンに続く二体目のモンスターエクシーズだ。

 

「また新しい召喚獣……その程度の力で私を倒せると思いますか?」

 

「まだだ!俺は装備魔法、ガガガリベンジを発動!墓地のガガガモンスターを復活させる、甦れ!ガガガガンマン!!」

 

紫色の魔法陣が地面に浮かび、中から先ほど破壊されたガガガガンマンが出てきて復活した。

 

「破壊した召喚獣が蘇った?数で押し切るつもりですが無駄ですよ」

 

「違うぜ。見せてやるぜ、メドゥーサ!俺の力を!」

 

遊馬の体から眩い金色の光が輝き出した。

 

それは闇を照らす希望の光……未来をその手に掴む遊馬の輝きだった。

 

遊馬の手には一枚のカードが指で挟まれており、そのカードに反応するかのようにマシュの右手の甲が疼いた。

 

「な、何……?」

 

まるで共鳴するかのようにマシュの右手の甲に数字の『00』に似た形の翡翠色に輝く刻印が現れた。

 

「この刻印は……?」

 

マシュはその刻印を左手で抑えながら遊馬を見つめた。

 

そして、遊馬は指に挟んだそのカードを召喚するために二体のガガガのモンスターエクシーズの力を借りる。

 

「力を借りるぜ、ガガガガンマン、ガガガザムライ!俺は二体のモンスターエクシーズでオーバーレイ!!」

 

『『ガガガッ!!』』

 

二体のガガガモンスターエクシーズは黒と茶の光となって地面に現れた黒い穴に吸い込まれ、強烈な光が爆発した。

 

「今こそ現れろ、FNo.0!」

 

遊馬は指に挟んだカードをデュエルディスクに置き、右腕を天高く掲げた。

 

「天馬、今ここに解き放たれ、縦横無尽に未来へ走る。これが俺の、天地開闢!俺の未来!かっとビングだ!俺!」

 

遥かなる次元の果てから美しい双翼を羽ばたかせ、未来を切り開く二振りの剣を携え、遊馬の前に降臨した。

 

「『未来皇ホープ』!!!」

 

『ホォープッ!!!』

 

無限の可能性、無限の未来を象徴する遊馬が作り出したモンスターエクシーズ。

 

その名は未来皇ホープ。

 

「未来皇ホープ……」

 

「な、何よこれ……?」

 

未来皇ホープの出現に見惚れるマシュだが、隠れて見ていたオルガマリーは困惑していた。

 

何故なら未来皇ホープには今まで遊馬が召喚してきたモンスターとは大きく異なり、魔力とは異なる不可思議な力が宿っていると感じられたからだ。

 

「天馬、ですって……?」

 

天馬という単語にメドゥーサは耳を疑った。

 

ギリシャ神話の女神であるメドゥーサは天馬……ペガサスと強い繋がりがあるのだがそれはさて置き、メドゥーサは遊馬が召喚した未来皇ホープに身震いをする。

 

今まで多くの神々や怪物、そして英雄と対峙してきたが、未来皇ホープはそれらとは異なる大きな力を秘めているのを感じた。

 

あれは危険だ、そう直感したメドゥーサはすぐさま破壊するために鎖を投げて攻撃する。

 

「迎え撃て!ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!!」

 

未来皇ホープは腰に携えた二振りの剣を構えてメドゥーサの鎖をかわしてそのまま剣でメドゥーサの体を斬り裂く……とマシュとオルガマリーは思ったが、剣で斬ったはずのメドゥーサの体には傷一つついてなかった。

 

すると次の瞬間、メドゥーサが膝をつきその身に宿っていた闇が薄れていった。

 

「くっ……私は、一体何を……?」

 

「遊馬君、何をしたんですか?」

 

「未来皇ホープは攻撃力が0。つまり、相手にダメージは与えられない。その代わり、バトルした相手を一時的に俺のコントロールに置くことが出来るんだ」

 

「そ、それって洗脳ってこと!?」

 

「微妙に違うけどな……メドゥーサ、話せるか?」

 

正気を取り戻したメドゥーサは遊馬に急いで話した。

 

「少年……時間がないから要点だけ話します。セイバーを倒しなさい」

 

「セイバー?」

 

「セイバーを倒せば全てが終わる……ぐぁあああっ!?」

 

再びメドゥーサに闇が襲いかかり、意識がおかしくなっていく。

 

「メドゥーサ!?」

 

「少年……私を倒しなさい、早く!!」

 

「メドゥーサ……」

 

遊馬はメドゥーサが操られている、本当はこんなことをしたくないと感じた。

 

助けられないことに拳を強く握りしめて唇を噛み締めるとオルガマリーとマシュから喝が入る。

 

「何をしているのよ!そいつを倒さないとみんな守れないのよ!?」

 

「遊馬君!メドゥーサを解放するには倒すしかありません!」

 

オルガマリーとマシュの言葉を受け、遊馬は拳を強く握りしめて覚悟を決めた。

 

未来皇ホープには攻撃力はゼロで単体ではメドゥーサを倒すことはできない。

 

しかし、メドゥーサを倒すための勝利の方程式は既に完成されており、その鍵は遊馬の手札に存在していた。

 

「俺はカードを一枚伏せる……」

 

遊馬は静かに手札にあるカードを一枚伏せた。

 

そして再び闇を纏って暴走し、メドゥーサは未来皇ホープに攻撃を仕掛けてきた。

 

遊馬はメドゥーサの囚われた闇を打ち砕くためにそれに相応しいカードを発動した。

 

「罠カード、『聖なる鎧 -ミラーメール-』!発動!!」

 

オープンされた赤い枠のカード・罠カードから現れたのは鏡で作られた光り輝く美しい鎧だった。

 

その鎧を光となって未来皇ホープの体に取り込まれた。

 

未来皇ホープの姿が銀色に輝き、その身に纏う鎧が鏡のように変化してメドゥーサの姿を映し出した。

 

「っ!?鏡の鎧!!?」

 

「ミラーメールの効果で、未来皇ホープの攻撃力は攻撃してきたメドゥーサと同じとなる」

 

本来なら攻撃力が0の未来皇ホープに鏡に映ったメドゥーサと同じと攻撃力を得る。

 

剣を構えた未来皇ホープは空高く飛翔してから急降下してメドゥーサに斬りかかる。

 

「ホープ剣・ミラー・スラッシュ!!」

 

未来皇ホープの斬撃がメドゥーサの鎖ごと斬り裂き、メドゥーサはあまりの衝撃に吹き飛ばされて地面に転げ落ちた。

 

奇しくも神話の時代に神の呪いで怪物となり、鏡の盾を使って退治した勇者ペルセウスと同じようにメドゥーサは鏡の鎧を使った遊馬に倒されたのだった。

 

「メデューサ!」

 

遊馬は倒れたメドゥーサの元へ駆け寄った。

 

「遊馬君!危ないです!」

 

マシュも慌てて後を追い、いつでもメドゥーサに攻撃できるように盾を構える。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

遊馬は倒れているメドゥーサを起こした。

 

メドゥーサの闇は完全に祓われ、正気を取り戻すと遊馬に厳しい言葉を送る。

 

「まさか敵だった私に情けをかけるなんて……甘いですよ、少年」

 

「そんなことはどうでもいい!メドゥーサ、あんたは本当はこんなことしたくないんだよな!そうだよな!?」

 

「……ええ、そうよ。私はセイバーに倒されてから謎の力に操られて暴れていた。でも、これで消えることが出来る……」

 

するとメドゥーサの体が光の粒子となって消滅していく。

 

「お、おい!?メドゥーサ!」

 

「少年……あなたの名前は?」

 

「遊馬、九十九遊馬だ!!」

 

「ユウマ……よく聞きなさい、あなたの戦いは始まったばかり。これから想像を超える災難や恐怖が降りかかる。それでもあなたは戦えますか?」

 

「ああ……戦うさ」

 

幼いながらも決意の篭った目でそう宣言する遊馬にメドゥーサはまるで自分の息子を見守る母のように微笑んだ。

 

「そうですか……もし、また会うことになったらその時はゆっくり話をしましょう、ユウマ」

 

メドゥーサは満足そうな表情を浮かべ、遊馬とマシュに見守られながら光の粒子となって消滅した。

 

そして、メドゥーサが消滅した跡に一つのものが残っていた。

 

「これは……モンスターエクシーズのカード……?」

 

それはメドゥーサが残したモンスターエクシーズのカード。

 

しかしそのカードにはモンスターの絵が無く真っ白で、名前も効果も書かれていない……正体不明の白紙のカードだった。

 

どうしてメドゥーサが消滅した後にこのカードが残ったのか?

 

理由が不明なまま遊馬はそのカードをデッキケースにしまい、メドゥーサの言葉を胸に刻みながら顔を上げた。

 

「行こうぜ、マシュ、所長」

 

「はい……」

 

「ええ……」

 

遊馬たちはひとまず安全な場所に向かおうとしたその時だった。

 

「はっはっは!サーヴァント相手に見た事ねぇ魔物と魔術を使って果敢に攻めるたぁ、見応えのあるマスターじゃねえか!」

 

「っ!?誰だ!?」

 

遊馬たちが振り向き、未来皇ホープが剣を構えた先には青いローブを身に纏い、長い杖を持った魔法使いの姿をした男性がいた。

 

ただの人間ではない、サーヴァントだとすぐに察した遊馬とマシュは戦闘態勢に入ろうとしたが、この直後に驚くべき言葉を口にする。

 

「気に入ったぜ、坊主。俺はキャスターだ。お前、俺のマスターになってくれよ」

 

「えっ!?」

 

それは奇跡的にメドゥーサのように操られておらずにこの冬木で影から暗躍していたサーヴァントだった。

 

そして、突然のキャスターの申し出に困惑する遊馬だった。

 

 

 

.

 




メドゥーサとの戦いで未来皇ホープを出そうと思ったのはやはり遊馬と未来皇ホープには天馬の要素があるので是非とも戦わせたいなと思いました。
ミラーメールはメドゥーサとの戦いで丁度いいトラップだったので採用しました。
メドゥーサが残したカードは後にその意味が判明しますのでお楽しみに。
次回はキャスターとの契約とアーチャーとバトルを書ければいいなと思います。


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ナンバーズ4 希望皇、降臨!

お待たせしました、ついに遊馬の力が全盛期状態のフルパワーとなります!
やっぱり遊馬君は彼がいないとですね!


遊馬達の前に姿を現したサーヴァント、長身の魔法使いの姿をした男……キャスター。

 

本来ならメドゥーサと対峙した遊馬たちに加勢するはずだったが、遊馬の使う見たことない魔術の力を見て見たいという理由で傍観していた。

 

そして、見事に遊馬の未来皇ホープがライダーを打ち倒し、こうして姿を現したのだ。

 

キャスターはデミ・サーヴァントであるマシュに興味を持ち、体をジロジロみながら早速とんでも無いことをしてきた。

 

「ひゃん……!?」

 

キャスターは突然マシュの体をペタペタと触るセクハラを行い、マシュは顔を真っ赤にしながら慌ててキャスターから離れた。

 

「おう、いい体してるじゃねえか!役得役得っと……」

 

ヒュン!グサッ!!

 

「……あだぁあああっ!?な、何だ!?手にカードが刺さった!?」

 

キャスターの左手の甲にグサリとカードが突き刺さり、激痛が走って大慌てをする。

 

「マシュ、大丈夫か?」

 

それは遊馬のカードでデッキトップからドローする勢いと手首のスナップを効かせた空を切り裂くようなスピードでカードがキャスターの左手の甲に突き刺さったのだ。

 

「は、はい。ありがとうございます、遊馬君。凄いですね、カードを投げ飛ばすなんて」

 

「へへっ、デュエリストなら当然だぜ」

 

「何が当然だ!?カードを暗器のように投げるたぁ、どんな技術だ!?」

 

「あんたさぁ……女の子の嫌がることすんじゃねえよ。それでも大人かよ」

 

「うぐっ!?」

 

ジト目で睨みつけている遊馬に正論を言われキャスターの心にグサリと刺さる。

 

「英霊とはいえ立派な大人なんだからさ、そういう事は恋人か奥さんにしろよ」

 

「う、うるせぇ!お前だってあのお嬢ちゃんのいい体を見たら触りたくと思わないのか!?」

 

「はぁ?触って何になるんだよ。今度マシュが嫌がる事をしたら今度は頭に投げるぜ」

 

再びデッキトップに手を添える遊馬にキャスターの悲痛な声が響く。

 

「やめろぉ!なんかそれ地味に痛いんだよ!?本当にそれはただのカードか!?」

 

「ただのカードだよ。そんじゃ、止めることだな」

 

「あだっ!?」

 

遊馬はキャスターの手に刺さったカードを引き抜いてデッキに戻す。

 

するとマシュは遊馬のカードの投擲術に感動して目を輝かせた。

 

「遊馬君、是非ともそのカードの投擲術を教えてください!」

 

「ああ、良いぜ!後で詳しく教えるけど、カードを投げる時は手首のスナップがポイントだぜ!」

 

「なるほど、手首のスナップで勢いをつけるのですね!」

 

「そうそう!」

 

楽しそうに話し出す遊馬とマシュにオルガマリーは年長者として咳払いをしてこの場をまとめる。

 

「あの、そろそろ良いかしら?キャスター、あなたの話を聞かせてちょうだい」

 

「お、おう……」

 

キャスターはオルガマリーと通信機で話すロマニとの情報交換を行う。

 

キャスター曰く、突然この冬木の街が一夜にして炎に覆われ、人がいなくなって残ったのがサーヴァントだけだった。

 

するとセイバーが暴れ出してキャスター以外の全てのサーヴァントが倒されてしまったが、先ほどのメドゥーサのように闇に侵食されて暴走していた。

 

生き残ったサーヴァントはセイバーとキャスターのみでセイバーを倒せばこの聖杯戦争が終わるとキャスターは睨んでいた。

 

しかし、キャスターだけではセイバーに勝つことは出来ないので遊馬達と協力関係を結ぶことにした。

 

遊馬はマシュと契約を結んでいるのでキャスターはオルガマリーと契約しようと思ったが、オルガマリーにはマスターの適性が無く、キャスターと契約することが出来ない。

 

オルガマリーはマスターの適性が無いことにかなりの劣等感を抱いていたが……。

 

「私はカルデアの所長です!マシュと遊馬、二人を指示し、導くのは私の役目です!!上に立つ人間としてやる事を全力でやるだけよ!!」

 

「おお!燃えてるな、所長!かっとビングだぜ!」

 

「こんな所長、初めて見ました……」

 

遊馬の諦めない心、かっとビングに触発され、劣等感を捨て去って心を奮い立たせていた。

 

キャスターは早速遊馬と契約を結ぼうとしたが、その前にマシュが気になるものを見せた。

 

「遊馬君……あの、私の右手の甲を見てください」

 

「えっ?お、おい!これって、ナンバーズの刻印じゃないか!?」

 

遊馬はマシュの右手の甲に刻まれた独特な形をした『00』の刻印に目を疑った。

 

「しかもこれって未来皇ホープの……何で……?」

 

すると今度は遊馬の右手が金色に輝き、令呪も強い真紅の輝きを放った。

 

「令呪が……遊馬君、私の手を握ってください」

 

マシュは遊馬に右手を差し出す。

 

「手を……?」

 

遊馬は恐る恐るマシュと手を握ると『00』の刻印が翡翠色から鮮やかな蒼色に変わり、次の瞬間……マシュの体が光に包まれるとモンスターエクシーズのカードになってしまった。

 

「……えぇええええっ!?マシュがカードになったぁ!?」

 

「ちょ、ちょっと!?どういう事よ!?マシュが何でカードになるのよ!?」

 

『マシュ!大丈夫なのかい、マシュ!!』

 

マシュがカードになってしまい、困惑して大騒ぎをする遊馬達。

 

すると、カードが勝手に動き出して遊馬の手に収まると白紙のカードに絵柄が浮かび上がった。

 

それはマシュが左手で盾を構え、右手を差し出している姿のかっこよく、なおかつ可愛くて綺麗な絵だった。

 

すると、カードから光の粒子が現れるとマシュが姿を現した。

 

「マ、マシュ!大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫です、心身共に問題ありません。どうやらそのカードが私と……サーヴァントとマスターである遊馬君との契約を交わした結晶のようなものです」

 

「このカードが俺とマシュの契約の結晶?」

 

「私も詳しくはまだ分かりませんが、そのカードは遊馬君のデュエルモンスターズと言う戦いの力と、私のサーヴァントとしての力が合わさって生み出されたと思います。先ほどのメドゥーサのカードも何か意味があると思います」

 

カードになったことで遊馬自身の力とサーヴァントの力が合わさったものだと推測するマシュ。

 

それを見たキャスターが面白いと思いながら自分の右手を開いた。

 

「ふーん……なるほどな。おい、小僧。俺と手を握れ」

 

「えっ?あ、おい!」

 

キャスターは無理やり遊馬の手を握ると、右手の甲に『07』の赤い刻印が刻まれてマシュと同じようにカードになった。

 

カードにはキャスターが左手には杖、そして右手には見た事ない赤い槍を持った姿が描かれており、マシュの時と同じく名前と効果は書かれていなかった。

 

カードからキャスターが出てきて体を伸ばしながら納得したように頷いた。

 

「これで俺と小僧……マスターとの契約は完了だな。どうやら、このマスターとの契約は長ったるい詠唱とかいらねぇみたいだな。まあ、そのカードが真の力を発揮する条件は分かんねえけどな」

 

本来ならサーヴァントと契約する為には専用の詠唱をマスターが唱えなければならないが、何故か遊馬との契約にはそれが必要が無いらしく、更には謎の力を秘めたモンスターエクシーズのカードが現れる。

 

これには魔術やサーヴァントなどの専門の知識を持つオルガマリーとロマニも頭を悩ませる予想外の事態となり、ひとまずそのカードの解析はこの特異点の調査が終了し、カルデアに戻った後に行われることとなった。

 

遊馬が色々試した結果、謎のカードには契約したサーヴァントの緊急避難みたいな効果が付与されていた。

 

それは遊馬が来いと念ずるとそのサーヴァントが光の粒子となって一瞬で肉体と魂がそのままカードに入り込むもので、撤退などもしもの時に使える効果だった。

 

その後、遊馬達はセイバーがいる大聖杯と呼ばれるものがある場所、柳洞寺へ向かった。

 

山奥の寺にある大きな洞窟、遊馬達は警戒しながら進んだ。

 

そして、セイバーを守る門番のように赤い外套を纏ったサーヴァント、アーチャーが佇んでいた。

 

「ふむ……未熟だな、歳は十五には達して無いながこれほど幼いマスターは初めてだ。そして、キャスター……今までこそこそ逃げていたお前がやってくるとはな」

 

「永遠に終わらないゲームなんざ退屈だろう?この面白え小僧と一緒にお前らを倒しに来た」

 

「本気か……それにしても、そのマスターは幼いながら覚悟を秘めた目をしているな」

 

「当たり前だろ、あんた達を倒して世界の未来を守るんだ!ゴゴゴゴーレムを召喚!攻撃だ!」

 

遊馬は先手必勝とばかりにゴゴゴゴーレムを呼び出し、背中のブースターを放出しながら攻撃する。

 

「これが未知の召喚法か……面白い。だが!」

 

アーチャーは持っていた黒弓を捨てて白と黒の二色の夫婦剣、干将・莫耶を出現させた。

 

干将・莫耶を振るい、ゴゴゴゴーレムを細切れにして破壊した。

 

ゴゴゴゴーレムが破壊され、衝撃波を受けてダメージを受けた遊馬は目を見開いた。

 

「ぐあっ!?ア、アーチャーが剣を!?」

 

「弓兵でも剣を使うぞ!」

 

「お嬢ちゃん、行くぜ!」

 

「は、はい!」

 

「させん!」

 

アーチャーは大量の剣をどこからともなく出現し、矢のように一斉発射してマシュとキャスターの動きを封じた。

 

「マシュ!キャスター!ぐあっ!」

 

アーチャーは遊馬の懐に入って拳を叩きつけて壁に激突させる。

 

「遊馬君!!」

 

「ちっ!マスター!」

 

マシュとキャスターは剣を退けようとするがアーチャーは更に剣を出現させて発射し、二人の動きを封じる。

 

そして体に痛みが走り、すぐに動くことができない遊馬に対し、アーチャーは何かを試すように静かに問う。

 

「少年よ、何故戦う?」

 

「決まってるだろ!この世界の未来を守るためだ!!」

 

アーチャーは目を細めて更に問う。

 

「……貴様は正義の味方にでもなったつもりか?全ての人間を救うつもりか?」

 

「正義の味方とか、そんなつもりはない!全ての人間を救うことは俺一人では出来ないし、それは不可能なことかもしれない……だけど!俺は目の前で起きていることから逃げたくないだけだ!その為に仲間を守る!この世界の人類の未来を守る!!」

 

アーチャーの問いに対し、遊馬の純粋で揺らぐことのない真っ直ぐな思い。

 

しかしその思いがアーチャーの癇に障った。

 

「まるで私に対する当てつけのような言葉だな……だが少年、力無き想いは無力と知れ!理想を抱いて、溺死しろ!」

 

アーチャーの干将・莫耶が振り下ろされ、遊馬の命が絶たれようとした……その時だった。

 

ガギィン!!

 

「何!?」

 

振り下ろされたアーチャーの干将・莫耶を遊馬がデュエルディスクを盾にして受け止めていた。

 

遊馬は諦めを知らぬかのような強い意志を秘めた瞳でアーチャーを睨みつけていた。

 

「死ねるかよ……こんな事で死んだらあいつに、みんなに顔向け出来ないだろ!!」

 

遊馬の諦めない想い……希望を信じる心が奇跡を起こす。

 

皇の鍵から煌めく金色の光が放たれ、謎の衝撃波によってアーチャーを吹き飛ばした。

 

「くっ!何だこの光は!?」

 

「遊馬君の皇の鍵が、光ってる……!?」

 

「おいおい、何が起きるんだ?」

 

サーヴァントたちが驚いて見ていると、皇の鍵の先端から光線のようなものが天井に向けて放たれると空間に歪みが発生して大きな穴が開き、そこから異世界への扉を開いた。

 

空間の穴から青白い光の塊が現れて飛来し、遊馬の前に激突して美しい光の粒子が溢れ出す。

 

そして、遊馬の前に現れたのは青白く光り輝く体を持ち、体中に不思議な文様が刻んでいる少年の姿をした謎の生命体だった。

 

何だ、あれは……?

 

敵味方関係なくこの場にいた誰もがそう思った。

 

見たことのない謎の生命体……精霊のようにも見える謎の存在に呆然としている中、遊馬は顔を歪めていた。

 

「お前……何で……?」

 

今にも泣きそうな顔でくしゃくしゃになっている遊馬を謎の生命体は優しく微笑んだ。

 

「君の危機に、私が駆けつけない訳がないだろう?君と私は一心同体の存在だ……遊馬」

 

「アストラル!!!」

 

遊馬は謎の生命体……アストラルに抱きついた。

 

アストラル、それは運命に導かれて遊馬の元にやって来た異世界のデュエリスト。

 

ぶつかり合いながらも絆を深め、共に多くの敵と戦い続けた遊馬の最高の相棒である。

 

一方、まるで離れ離れになった恋人同士が再会したような光景に敵であるアーチャーすら軽く思考停止をしていた。

 

「遊馬……私も再会を喜びたいが、今は目の前の敵を倒そう」

 

「あっ、そ、そうだな!悪い、アストラル!」

 

遊馬は慌ててアストラルから離れてデュエルディスクを構える。

 

「敵はあの男か?どうやらこれはデュエリスト同士の戦いでは無いな。しかも、あれは普通の人間ではない……」

 

「詳しいことは後で話す。だけど、今の俺のモンスターじゃアーチャーには敵わない」

 

「そうか。だが、『我々のモンスター』なら話は別だな。勝つぞ、遊馬!!!」

 

アストラルが手を伸ばすと遊馬のデッキケースが輝き、エクストラデッキに新たなカードが宿る。

 

「久しぶりにやろうぜ、アストラル!」

 

「ああ!行け、遊馬!」

 

「おう!俺のターン、ドロー!!」

 

遊馬は戦いの最中だが、アストラルと共に戦えることを心の中で喜びながらドローをする。

 

「来た!俺は魔法カード、『ガガガ学園の緊急連絡網』を発動!効果でデッキからガガガモンスターを特殊召喚出来る!来い、『ガガガマジシャン』!」

 

『ガガガッ!』

 

ガガガモンスター達を象徴する校章でもある『我』と大きく描かれた魔法カードの効果により、デッキからガガガマジシャンが特殊召喚され、続いて手札のモンスターを呼ぶ。

 

「更に、『ガンバラナイト』を通常召喚!」

 

『ガンバァ!』

 

両手に大きな盾を持った攻撃力を持たない守りの戦士を呼び出し、これで全ての条件は揃った。

 

「かっとビングだ、俺!レベル4のガガガマジシャンとガンバラナイトでオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガンバラナイトが光となって地面に吸い込まれ、遊馬とアストラルの始まりのモンスターエクシーズを呼び出す。

 

「「現れよ、No.39!」」

 

空中に独特な形をした『39』の赤い数字が一瞬だけ描かれる。

 

そして、今までのモンスターエクシーズとは大きく異なり、地面から中心に青い円の水晶のようなものが見える白い塔が、二つの金色のオーバーレイ・ユニットを纏いながら出現した。

 

「「我が戦いはここより始まる!」」

 

白い塔がまるでロボットのように人型に変形していく。

 

「「白き翼に望みを託せ!」」

 

白の双翼に黄と白の鎧、左肩のプロテクターには先ほど空中に浮かんだ『39』の赤い数字が刻まれ、胸には遊馬の皇の鍵に似た翡翠色の球体が埋め込まれている。

 

腰には二振りの剣が携えられ、凛々しくも逞しい顔が現れると遊馬と同じ赤い瞳を輝かせている。

 

そして、全ての変形が完了すると遊馬とアストラルの希望の戦士が現れた。

 

「「光の使者、『希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

希望の名を持つ遊馬とアストラルの絆の象徴であり、未来を守るために共に数々の敵と戦い続けて来た歴戦のエースモンスター、希望皇ホープ。

 

今までとは大きく異なるオーラを放つ希望皇ホープにこの場にいる誰もが驚愕する。

 

「な、何よあれ……どうしてあの子がこれほどの力を……!?」

 

『す、凄いエネルギー値だ!英霊に匹敵するパワーを秘めているぞ!?』

 

オルガマリーは遊馬が希望皇ホープを何の障害もなく召喚していることに信じられないと言わんばかりに驚き、ロマニは希望皇ホープから放たれるエネルギー値に目を疑うほどに驚愕している。

 

「はははっ!なんか知んねえけどやるじゃねえか、マスター!」

 

キャスターは遊馬とアストラルの二人で召喚した希望皇ホープを見て戦いたいと体をうずうずさせていた。

 

「綺麗……希望皇ホープ。それに、未来皇ホープに似ている……」

 

マシュは希望皇ホープと未来皇ホープが似ていると思ったがそれもそのはず。

 

未来皇ホープは希望皇ホープの未来の姿であり、希望皇ホープは幾つものの進化を秘めたモンスターエクシーズで始まりの姿でもあるのだ。

 

「何だこれは……!?」

 

そして、希望皇ホープと対峙しているアーチャーはその美しい輝きに目を奪われ、敵だということを思わず忘れるほどに魅了されてしまった。

 

まるで世界を救う為に現れた『英雄(ヒーロー)』に対峙したような気分だった。

 

「マシュ!キャスター!後は俺たちに任せてくれ!」

 

「遊馬君……」

 

「今までと違って強気になりやがって。良いぜ、お前達の力を見せてもらうぜ」

 

マシュとキャスターは遊馬の強気で自信満々の思いを信じていつでも対応できるように警戒しながら下がった。

 

遊馬とアストラルは二人同時にアーチャーを指差しながら希望皇ホープに攻撃の指示を出す。

 

「「行け、希望皇ホープ!アーチャーに攻撃!!」」

 

希望皇ホープは左腰に携えられた剣の柄を持ち、アーチャーに向けてブーメランのように勢いよく投げ飛ばす。

 

「くっ!熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

アーチャーは光で出来た七枚の花弁の盾を投影し、投げ飛ばした剣を受け止めて花弁の一枚を破壊した。

 

剣は盾に弾き飛ばされて宙に舞うが希望皇ホープは剣をキャッチしながら勢いよく振り下ろす。

 

「「ホープ剣・スラッシュ!!!」」

 

投擲からの剣撃への連続攻撃にアーチャーの盾に大きな衝撃を与えて七枚あった花弁が次々と破壊されて三枚までとなってしまった。

 

「ふっ、残念だったな。貴様らの希望の剣は私には届かないぞ!!」

 

アーチャーは攻撃が終わった希望皇ホープを倒すために武器を投影しようとしたが、遊馬とアストラルは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「「それはどうかな?」」

 

「何!?」

 

「「手札から速攻魔法!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!」」

 

遊馬は手札から大量のコインを放出しているスロットマシンが描かれた魔法カードを発動した。

 

それは遊馬とアストラルが数々のデュエルで繰り出してきた希望皇ホープの必殺のカードといっても過言でもないものだった。

 

「ダブルアップ、チャンス!?」

 

「「モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を二倍にして、もう一度攻撃が出来る!!!」」

 

希望皇ホープの攻撃がアーチャーの盾で防がれた事で攻撃を無効になったとして扱われ、ダブル・アップ・チャンスの発動条件を満たしたのだ。

 

希望皇ホープは右腰に携えられたもう一つの剣を左手で抜いて構え、ダブル・アップ・チャンスの効果を受けて二つの剣の刃が眩い金色の光を放つ。

 

「攻撃力を二倍だと!?」

 

デュエルモンスターズでは数あるモンスターの中でも元々の攻撃力で最大の数値は5000である。

 

希望皇ホープの攻撃力は2500、つまりダブル・アップ・チャンスで攻撃力は2500の二倍の5000まで上昇しているのだ。

 

「「希望の光よ、闇を斬り裂け!!」」

 

ただでさえ強力な攻撃を放つ希望皇ホープの攻撃力が二倍になることは凄まじいもので希望皇ホープの体から闇を照らすような金色の光を放っていた。

 

「「希望皇ホープ!!ホープ剣・ダブル・スラッシュ!!!」」

 

希望皇ホープは二つの剣をばつ印を描くように全力で振り下ろし、熾天覆う七つの円環の全ての花弁を破壊した。

 

アーチャーは再び干将・莫耶を出現させて希望皇ホープの双剣を真正面から受け止めた。

 

しかし、攻撃力が二倍となった希望の剣の前に干将・莫耶が耐えきれなくなって砕け散り、希望皇ホープはそのままアーチャーを叩き斬った。

 

アーチャーは胸に大きな十字傷を受け、そのまま吹き飛ばされながら壁に大きく激突した。

 

遊馬とアストラルの思いが込められた希望皇ホープの全力の攻撃を受けて無事でいられるわけがなく、アーチャーの体が光の粒子となっていく。

 

「見事だ、少年……」

 

アーチャーは立ち上がり、遊馬とアストラルを見つめて二人の力を認めて称賛した。

 

「貴様の信じる道を歩む為の力、それはその精霊と二人で一つの力のようだな……ふっ、私の完敗だ」

 

「アーチャー……」

 

「少年、そして精霊よ……二人の名を問おう」

 

「俺は九十九遊馬だ!」

 

「我が名はアストラル!」

 

遊馬とアストラルは堂々と名乗り、その二つの名を心に刻んだアーチャーは微笑みながら静かに目を閉じた。

 

「遊馬、アストラル……幼いながらも強く、優しいその希望の光は私には眩しく見える。その心の輝きを失わないでくれ……」

 

アーチャーは光の粒子となって完全に消滅した。

 

そして、メドゥーサと同じように白紙のモンスターエクシーズのカードが残され、遊馬は静かにカードを拾った。

 

「遊馬、そのカードは……?」

 

「分からない。ただ今みたいにサーヴァントを倒したらモンスターエクシーズのカードが残るんだ。それから俺と契約したサーヴァントからも同じカードが……」

 

「サーヴァント……?どうやら君は新たな戦いの運命に巻き込まれたようだな。遊馬、今君が知っていることを全て教えてくれ、情報を整理しよう」

 

「ああ。だけど、その前に一言だけ言わせてくれ」

 

「何だ?」

 

遊馬は右手を差し出してとびっきりの笑顔を向けた。

 

「おかえり、アストラル」

 

「……ただいま、遊馬」

 

アストラルはその言葉に嬉しさが込み上げて遊馬の手を握り、同じように笑顔を向けた。

 

遥か昔に別れた二つの魂が出会いと別れを繰り返した。

 

そして、再び果てしない戦いの運命に飛び込む為、世界を越えて再会を果たした。

 

「あの、遊馬君……そちらの精霊さんはどちら様ですか?」

 

「マシュ、アストラルが見えるのか?それならちょうどいいぜ!アストラル、紹介するぜ、俺の新しい仲間のマシュだ!」

 

「え?あ、は、はい!初めまして!マシュ・キリエライトです!」

 

「マシュ・キリエライト……記憶した、私はアストラル。遊馬の相棒だ」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「よろしく頼む」

 

遊馬はマシュにアストラルを紹介し、互いに自己紹介をする。

 

ここから、全てが始まる。

 

異世界の希望と未来を司る二人で一人の絆の英雄と運命に導かれた少女。

 

三人の出会いが人類の未来を救い、英霊と絆を結ぶ、長き旅の物語が幕を開ける。

 

 

 

.

 




満足したぜ……。
やっぱり希望皇ホープはかっこいいですな、私の使っているデッキもホープデッキなので。
次回は騎士王様との対決ですがやっぱり騎士王様なので、あの聖剣の名を持つモンスターエクシーズの活躍も見せたいなと思います。


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ナンバーズ5 激突!希望皇VS騎士王!!

希望皇ホープとアルトリアの夢の対決が書けました。
もっともちょっと違う展開になってしまいましたが。
そして今回からマシュの新たな力が発現します。


アーチャーを倒した遊馬達は最後の敵であるセイバーとの戦いに向けて休息を取っていた。

 

異世界からの来訪者……遊馬の相棒であるアストラルはオルガマリーとロマニからカルデアや英霊に関すること、そしてこれまでの現状を全て聞き、記憶していく。

 

「なるほど、そして異世界からやって来てしまった遊馬がカルデアの最後のマスターとして戦うことになったと……」

 

「ええ、情けないことにね……」

 

『遊馬君とマシュ、二人にこの世界の未来がかかっているんだ』

 

「ならばその世界の未来、私も背負わせてもらおう」

 

「なっ!?あなた何を言って……」

 

「遊馬は私の一番大切な人だ。その遊馬がこの世界の未来を救うために戦うというなら、私も共に戦おう」

 

アストラルの迷いのない決意に遊馬は少し不安そうに尋ねた。

 

「アストラル、良いのかよ……?」

 

「本音を言うなら、君を今すぐに連れ戻して小鳥達の元へ送り届けたい。だが、君はここにいるマシュ達のために最後まで戦おうとするだろう。それなら、私も力を共にして戦おう。私は君の相棒なのだから」

 

「アストラル……サンキュー!お前がいれば百人力、いや、千人力だぜ!!」

 

遊馬はアストラルがまた共にいてくれること、そしてまた共に戦えることを心の底から喜んだ。

 

するとマシュは自分の手の甲に刻まれた『00』の刻印を見つめながらアストラルに質問した。

 

「あの、アストラルさん。一つよろしいですか?」

 

「何だ?マシュ」

 

「ナンバーズって、一体何なんですか?未来皇ホープや希望皇ホープ、凄い力を秘めていますが……」

 

「そうそう、俺もそれを聞きたかったんだ。お前さん達の宝具……いや、切り札と言ったほうがいいか?あれは俺も見たことない力だぜ?」

 

マシュとキャスターは遊馬の未来皇ホープ、そしてアストラルの希望皇ホープ……未知なる力を秘めたモンスターを疑問に思った。

 

それをアストラルは手から真っ白に輝くカードを出しながら静かに語り出した。

 

「ナンバーズ……それは私の記憶の欠片から作り出された100枚の特別なモンスターエクシーズだ」

 

「アストラルさんの、記憶!?」

 

「ナンバーズは私以外の人間が持つ場合、持ち主に大きな力を与えるが、心の闇が増幅されて暴走することもある危険なカードでもある。だが、私と遊馬はナンバーズに取り憑かれずに自由自在に操ることができる」

 

「かつてアストラルの記憶がナンバーズとなって世界中に飛び散って、俺たちはナンバーズを集めるために戦っていたんだ」

 

ただでさえ強大な力を持つ希望皇ホープ以外にも能力やパワー、姿形が異なるナンバーズがあと99枚も存在することにオルガマリーは頭痛を覚える。

 

「はぁ……ちょっと聞いただけでも頭が痛くなる。そのナンバーズってカード、とんでもない代物よ……」

 

『ええ。この事は絶対に外部に漏れないようにしないとですね』

 

オルガマリーとロマニは遊馬とアストラルを守るためにもナンバーズの秘密を守っていこうと心に誓った。

 

下手をすれば未来を守った後に頭の狂った魔術師達に捕らえられる可能性があるからだ。

 

「さて、情報交換はそれぐらいにして次の戦いの作戦会議といきましょう。私達の最後の敵、セイバーを倒せばこの異変は解決されるでしょう」

 

「セイバーの正体なら俺は知ってるぜ」

 

キャスターは何度もセイバーと戦っているのでその正体や宝具を知っていた。

 

聖杯戦争で召喚される英霊はクラス名で呼ばれる。

 

何故なら真名を敵に知られれば弱点や宝具を知るアドバンテージになるからだ。

 

「他のサーヴァントたちがやられたのはセイバーの宝具が強力だったからだ」

 

そして、キャスターの口からセイバーの驚くべき正体を口にした。

 

「王を選定する岩の剣のふた振り目。お前さんたちの時代においてもっとも有名な聖剣、その名は……『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』。騎士の王と誉れ高い、アーサー王の持つ剣だ」

 

世界的にも有名な騎士と聖剣……約束された勝利の剣とアーサー王の名に遊馬とアストラルは耳を疑った。

 

「はぁ!?エクスカリバーだと!!?」

 

「円卓の騎士王、アーサー・ペンドラゴン。だが彼は伝説……物語の登場人物のはずだが、まさか本当に実在するとはな」

 

「確かにセイバーの約束された勝利の剣は強力だが、嬢ちゃんの盾が役に立つ。ドンと構えてろよ?」

 

「は、はい!」

 

最後の敵、セイバーがアーサー王と知り遊馬とアストラルはデッキとエクストラデッキを地面に広げて二人で独自の作戦会議を始める。

 

「英霊の攻撃を防ぐならやっぱり希望皇ホープが適任だな。後はアーサー王のエクスカリバーに対抗するパワー勝負か……」

 

「遊馬、ここに来る前に君の家から交換用のカードを持ってきた。これでデッキ調整をしよう」

 

「おっ、流石はアストラル!早速デッキの再構築だ!」

 

アストラルは人間界の九十九家の遊馬の部屋からカードを持ってきており、二人で対セイバー用のデッキ調整を始める。

 

マシュは隣で興味津々に遊馬のデッキを見る。

 

遊馬のデッキはアストラルと出会い、希望皇ホープをエースモンスターにしてから基本的に希望皇ホープを出しやすいデッキに構築している。

 

後はいかに早く希望皇ホープを始めとするモンスターエクシーズを出しやするモンスターや英霊対策に攻撃力重視や防御関係の魔法と罠を組み込んでいく。

 

そして、デッキ調整がほぼ終わるとアストラルは手から数枚の特別なカードを出現させ、遊馬に贈った。

 

「遊馬、これを受け取ってくれ」

 

「これって……?」

 

「このカードは君と私、そしてアストラル世界を繋ぐカードだ。アストラル世界に新たな未来を示した君にエリファスとエナからの贈り物だ」

 

アストラル世界を統べる代表者兼守護神であるエリファスとアストラル世界の住人達をまとめる中心人物であるエナ。

 

そのエリファスとエナが異世界で新たな戦いに挑む遊馬に新たなカードを授けた。

 

「サンキュー、エリファス、エナ。二人の思いを受け取ったぜ!」

 

遊馬はそのカード達をデッキに入れて嬉しそうに掲げる。

 

そのカード達は遊馬のデッキを格段に強くするものなので新しいカードが入ることはデュエリストとして嬉しいことである。

 

新しく構築したデッキをデュエルディスクにセットし、D・ゲイザーを左目に装着し、身なりを整えて気合いを入れる。

 

「ふぅ……よしっ!いつでも準備オッケーだぜ!!」

 

「はい、私も準備完了です」

 

「フォウフォウ!」

 

「そんじゃ、行くか」

 

「私が戦うわけじゃないけど緊張するわね……」

 

『みんな、気をつけて……』

 

洞窟内を進み、静かに最奥地には『大聖杯』と呼ばれる超抜級の魔術炉心があった。

 

オルガマリーとロマニは大聖杯の存在に驚愕し、魔術の知識がない遊馬とアストラルでさえ危険なものだと察知した。

 

そして、その近くに漆黒の剣を構え、鎧を身に纏った闇のオーラを纏った少女が立っていた。

 

「あれがアーサー王……?」

 

「どうやら女性のようだな……」

 

アストラルは一目でセイバー……アーサー王が男性ではなく女性だと見抜いた。

 

「え!?アーサー王は男のはずじゃ……」

 

「大昔の王位継承権は男性のみ与えられている。女性だと都合が悪いから男装したのではないか?」

 

「そう言うことか!でも騎士王ということはやっぱり強いよな!!」

 

「そうだ、気を抜くなよマスター!」

 

「遊馬君、行きましょう!」

 

マシュとキャスターは戦闘態勢に入り、フォウは遊馬のフードから出てオルガマリーと共に下がった。

 

「ああ!一緒に行くぜ、マシュ!キャスター!俺のターン、ドロー!『ゴブリンドバーグ』を召喚!」

 

赤い飛行機に乗ったゴブリンが召喚され、その背後に小さな飛行機が三機現れるとそこに吊るしたコンテナが現れる。

 

「効果で手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚出来る!来い、『ゴゴゴゴーレム』!」

 

コンテナが落下すると中からゴゴゴゴーレムが出現する。

 

「レベル4のゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

ゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムが光となって地面に現れた黒い穴に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

最初から遊馬とアストラルの全力全開を見せるため、エースモンスターが登場する。

 

地面から現れた白い塔が変形し、希望の名を持つ戦士が姿を現わす。

 

「「現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!」」

 

『ホォオオオオオープ!!』

 

「希望皇、ホープ……?」

 

闇に囚われし騎士王と光を導く希望皇が遂に対峙した。

 

「カードを一枚セットする!」

 

下手に攻撃すればセイバーのカウンターが来る恐れがあるのでまずは出方を待つ。

 

「来ないのか?それなら見せてやる、我が聖剣を……」

 

セイバーの手にある漆黒に染まった剣……それこそが世界に名を馳せる聖剣、『約束された勝利の剣』だった。

 

「卑王鉄槌……極光は反転する。光を呑め……!『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

聖剣から放たれた黒く染まった極光が遊馬たちに襲いかかる。

 

しかし、遊馬とアストラルには数々の強敵の攻撃を防いで来た最強の盾がある。

 

「「希望皇ホープの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃を無効にする!ムーンバリア!!」」

 

オーバーレイ・ユニットが希望皇ホープの胸の翡翠の宝玉に取り込まれると、左翼が大きく開いて半月を描くように変形してセイバーの強力な闇の極光を防いだ。

 

「何!?」

 

「す、凄い……あの聖剣の攻撃を防ぎきった!?」

 

「はははっ!すげえ、やるじゃねえか!希望皇ホープよぉっ!!」

 

多くのサーヴァントを葬った約束された勝利の剣の極光を防ぎ切り、マシュとキャスターは思わずテンションが上がる。

 

「ならば、何度でも攻撃するだけだ!『約束された勝利の剣』!!」

 

再び聖剣から闇の極光が放たれて遊馬たちに襲いかかり、もう一度ホープの効果を使う。

 

「「更にオーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃を無効にする!ムーンバリア!!」」

 

二度目の光を防ぎ切り、ならばとセイバーは自身の剣技でホープを倒そうとしたが、次の瞬間驚くべき事態となった。

 

突然、ホープの体にヒビが入って粉々に砕けて破壊されてしまった。

 

「ホープ!?」

 

「何故ホープが……はっ!?遊馬、ホープのテキストを見ろ!」

 

「えっ!?こ、これは!?」

 

今まで気付かなかったが、希望皇ホープのカードのテキストが変化していた。

 

それは『このカードは「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない』が削除され、『このカードがX素材の無い状態で攻撃対象に選択された場合に発動する。このカードを破壊する』が追加されていた。

 

遊馬とアストラルの最後のデュエルまで希望皇ホープは他のナンバーズでしか戦闘破壊出来ず、攻撃対象になったら自壊する効果など無かった。

 

「まさか我々が異世界に来たことでナンバーズの効果が変化したということか!?」

 

「よくわかんねえけど、今は目の前に集中するしかないぜ!」

 

予想外の出来事にアストラルは冷静さを失うが、遊馬は焦らずにセイバーを見つめる。

 

「何が起きたか知らないが、まあ良いだろう……先に数を減らすか」

 

セイバーは狙いをキャスターに定めて攻撃を仕掛ける。

 

「しまった!キャスター逃げろ!」

 

「逃げられるわけねえだろ!?」

 

キャスターはすぐに発動出来るルーン魔術を使ってセイバーに攻撃するが軽々と回避してキャスターの間合いに入り、腹を蹴飛ばして壁に叩きつけた。

 

「チッ、ゲイ・ボルグさえあれば……」

 

完全に倒せはされなかったが、キャスターはしばらく動けなくなってしまった。

 

「これでキャスターは虫の息……後で倒せば問題はない。次は何かされる前に面倒なマスターを消すだけだ!!約束された勝利の剣!!」

 

セイバーは今度こそ遊馬を倒すために闇の極光を放った。

 

遊馬達には希望皇ホープはいない、この極光を防げるものはいないとセイバーは思ったがそれは違った。

 

「させません!!!」

 

遊馬の前にマシュが立ち、盾を構えて正面から闇の極光に立ち向かった。

 

「マシュ!?」

 

「ぐぅうううっ!?」

 

マシュは全身の力を振り絞って盾を構えて極光を受け止める。

 

(遊馬君だけは、遊馬君だけはなんとしてでも守る……私の命をーー)

 

マシュが自分の命を捨てででも遊馬だけは必ず守ると誓おうとしたその時、ふわりと温かい手が重なった。

 

「負けるんじゃねえぞ、マシュ!」

 

「遊馬、君!?」

 

遊馬はマシュの隣に立って、一緒に盾を握って闇の極光を受け止める。

 

「心配するな、マシュ!俺が側にいる!」

 

「ふっ、私も忘れてもらっては困るな」

 

アストラルも遊馬と一緒に手を重ねてマシュと一緒に闇の極光を受け止める。

 

遊馬は盾を支えながら右手の甲に刻まれた令呪を見てその使い方を思い出し、今こそ使う時だと大声で叫んだ。

 

「令呪によって命ずる!マシュ、絶対に負けるな!かっとビングだぁっ!!」

 

遊馬が側に居てくれる、共に戦ってくれる……大きな勇気をくれたマシュは遊馬と同じように笑みを浮かべて叫んだ。

 

「遊馬君……はい、かっとビングです!!!私ぃっ!!!」

 

マスターとサーヴァント、遊馬とマシュの二人の強い絆が大きな力を与える。

 

三画ある令呪の一つが消滅し、マシュに膨大な魔力が与えられ、十字架の盾が光り輝く。

 

その時、マシュの盾から光の壁が形成され、それが巨大な城壁の形となって現れた。

 

その壁はどんなものでも防ぐと言わんばかりに闇の極光を防ぎきった。

 

「防いだ……!!」

 

「やったな、マシュ!」

 

「これがマシュの力……むっ!?遊馬、マシュのカードが!」

 

デッキケースが勝手に開き、中からマシュのカードが飛び出して遊馬の前で止まると、マシュの絵しか描かれていなかったカードにカード名と効果が刻まれた。

 

「えっ!?あっ、マシュのカードに名前と効果が!」

 

今まで名前と効果が現れなかったマシュのカード……しかし、それが遊馬と強い絆で結ばれたことで真の力が目覚めたのだ。

 

「これが遊馬とマシュの絆のカード……遊馬、今こそ新たなナンバーズを召喚するんだ!」

 

「よぉし!来い、マシュ!!」

 

「はい!」

 

マシュが光の粒子となってカードの中に入り、遊馬はデッキからカードをドローする。

 

「俺のターン、ドロー!よし、ゴゴゴジャイアントを召喚!効果で墓地のゴゴゴゴーレムを復活!」

 

二体の同レベルのゴーレムが並び、新たなナンバーズを召喚する条件が揃った。

 

「かっとビングだ!俺はレベル4のゴゴゴモンスター2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

二体のモンスターが地面に吸い込まれ、光の爆発と共に新たに誕生したナンバーズがその姿を現わす。

 

「心優しき乙女よ、神秘の盾をその手に未来を守る最後の希望となれ!」

 

マシュが黒のライダースーツに似た衣装をそのままに両腕両足に赤いプロテクターが装着され、胸元には翡翠の宝玉が輝き、十字架の盾に大きな『00』の刻印が刻まれている。

 

「『FNo.(フェイトナンバーズ)0 人理の守り人 マシュ』!!!」

 

それはマシュが遊馬自身のナンバーズである未来皇ホープに似たプロテクターを装着した姿だった。

 

マシュは新たな存在……英霊とナンバーズの力が一つとなって誕生した『FNo.』として召喚され、身体中に迸る魔力にマシュは振り返って遊馬に笑みを浮かべる。

 

「行こう、遊馬君!」

 

「おう!いっけー、マシュ!」

 

「ならば……我が剣でお前から先に倒す!」

 

セイバーは剣技を使って先にマシュを倒そうと地を駆け、高く飛んでから約束された勝利の剣を振り下ろすが遊馬はマシュの効果を発動する。

 

「マシュの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手の攻撃を無効にする!フルムーン・バリア!!」

 

オーバーレイ・ユニットが盾に取り込まれると先ほどの城壁のような守護城壁とは異なり、満月のような金色の円形を描いた守護障壁を作り出した。

 

「何!?くっ!?」

 

攻撃をしようとしたセイバーだがマシュの守護障壁によって攻撃を防がれ、更にはその場から大きく吹き飛ばされて後退させられる。

 

「そして、この効果の後にバトルを強制終了させる。凄まじい効果だ……」

 

「更に、追加効果で遊馬君のデッキから魔法カードを一枚選んでデッキトップに置きます!遊馬君!受け取ってください!」

 

マシュの盾から光の玉が現れて遊馬のデッキに光が宿り、遊馬が望んだ魔法カードをデッキトップに置く。

 

「サンキュー、マシュ!」

 

「遊馬!このターンで決着をつけるぞ!」

 

「おう!俺のターン、ドロー!」

 

マシュの効果によってデッキトップに置かれたカード、それは遊馬がアストラル世界から贈られた新たなカードである。

 

「来たぜ!俺はフィールド魔法、『希望郷(きぼうきょう) − オノマトピア –』を発動!!」

 

次の瞬間、遊馬を中心に洞窟内が一瞬で空に無数の星々が輝き、細長い塔のようなたくさんの建物が天を貫くようにそびえ立つ幻想的な不思議な空間へと姿を変えた。

 

「これは……!?」

 

「な、何よこれ、まさか、固有結界なの!?」

 

セイバーとオルガマリーは遊馬が発動したフィールド魔法を魔術の到達点の一つと言われている術者の心象風景を具現化させる『固有結界』と勘違いしてしまう。

 

このフィールド魔法はエリファスとエナから譲り受けたカードの一枚で、ある意味遊馬とアストラルの二人にとっての固有結界と言っても遜色無いものである。

 

何故ならアストラル世界はアストラル、そして遊馬の『魂』の故郷でもあり、新たな未来を歩み、希望に満ち溢れた世界となったからだ。

 

「綺麗……」

 

マシュは幻想的なアストラル世界に思わず見惚れてしまった。

 

そして、このフィールド魔法は遊馬とアストラルのエースモンスターとデッキに眠る仲間達を繋ぐ事が出来る力を持つ。

 

「遊馬、罠カードだ!」

 

「罠カード発動!『エクシーズ・リボーン』!」

 

最初に伏せていたカードをオープンすると地面に光の魔法陣が浮かび上がる。

 

「エクシーズ・リボーンは墓地のモンスターエクシーズを特殊召喚し、このカードをそのモンスターのオーバーレイ・ユニットにする!」

 

「蘇れ、希望皇ホープ!」

 

魔法陣の中から希望皇ホープが復活し、エクシーズ・リボーンのカードがホープの新たなオーバーレイ・ユニットとなる。

 

「この瞬間、希望郷 − オノマトピア –の効果発動!」

 

「希望皇ホープが特殊召喚される度にこのカードに『かっとビングカウンター』を一つ置く!そして、かっとビングカウンターの数かける、自分のモンスターの攻撃力は200アップする!」

 

希望皇ホープから光の玉が空高く打ち上がり、それが太陽のように照らし出し、希望皇ホープとマシュの攻撃力が200アップする。

 

しかしこれではまだセイバーを倒すための方程式が完成していない。

 

「再び現れたか、希望皇。だが私に敗れたことを忘れたのか?」

 

「まだだ!ホープの力はこんなもんじゃねえ!」

 

「大切な仲間を守るために生まれたホープの進化した姿を見せてやろう!」

 

幾つにも存在する一番最初に誕生した希望皇ホープの進化形態が姿を現わす。

 

「「希望皇ホープ、カオス・エクシーズ・チェンジ!!」」

 

希望皇ホープが戦士から元の塔の形へと変形して地面に吸い込まれ、光の爆発と共に新たな姿へ進化する。

 

「「現れよ、CNo.(カオスナンバーズ)39!」」

 

空中に赤黒い『39』の刻印が浮かび上がる。

 

「「希望の力、混沌を光に変える使者!」」

 

そして、地中から現れたのは白い塔ではなく、漆黒の巨大な大剣を模したもので二つのオーバーレイ・ユニットを纏いながら出現した。

 

そこから希望皇ホープと同じように人型に変形していき、黒と灰の鎧に黒と金の翼、両腰には双剣、背中には巨大な大剣が備えられている戦士が現れた。

 

左肩のプロテクターには赤黒い『39』の刻印が刻まれ、守りに特化した希望皇ホープとは異なり、攻めに特化した存在へと進化した。

 

「「『希望皇ホープレイ』!!!」」

 

それはアストラルが遊馬を信じ、仲間達を救いたいと言う思いが芽生えた事で誕生した『カオス』の力である。

 

「カオス……!?何だ、この力は……!?」

 

セイバーは希望皇ホープとは全く異なる姿と異なる力に生まれ変わった希望皇ホープレイに目を疑った。

 

更に光と闇の力が混ざり合ったかのような力がホープレイの中から感じ取っていた。

 

「希望皇ホープレイ……」

 

「この瞬間、オノマトピアの効果により、かっとビングカウンターがもう一つ乗る!」

 

オノマトピアに二つ目のかっとビングカウンターが乗り、空に二つ目の光が登る。

 

「そして、オノマトピアのもう一つの効果発動!かっとビングカウンターを二つ取り除き、デッキから『ズババ』、『ガガガ』、『ゴゴゴ』、『ドドド』の名を持つモンスターを一体、特殊召喚する!来い、『ガガガマジシャン』!!」

 

遊馬のデッキはガガガマジシャンを始めとする洒落な名前を持つカテゴリーモンスターを多く使用しており、オノマトピア はその四種類のカテゴリーモンスターをデッキから呼び出す力を持つ。

 

「ガガガマジシャンに装備魔法、『ワンダー・ワンド』を装備!装備した魔法使い族の攻撃力を500アップする!」

 

呼び出したガガガマジシャンに大きな翡翠の水晶が埋め込まれた髑髏の杖を持たせる。

 

「更に、ワンダー・ワンドを装備したモンスターをリリースする事でデッキからカードを二枚ドローする!」

 

「ガガガマジシャン、お前の力を借りるぜ!」

 

ガガガマジシャンは頷くとワンダー・ワンドと共に光となってデッキトップの二枚に光を灯す。

 

「行くぜ……ドロォーッ!!」

 

ドローした二枚のカード、それにより遊馬とアストラルの勝利の方程式が全て完成した。

 

「遊馬、勝利の方程式が揃ったぞ!」

 

「ああ、アストラル!俺は『ガガガカイザー』を召喚!更に自分フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガクラーク』を特殊召喚出来る!」

 

ガガガマジシャンによって導かれ、杖を持った派手な貴族のような青年の姿をしたモンスターと書記のような振る舞いの可愛らしい少女の二人の仲間が立ち並ぶ。

 

「ガガガカイザーの効果発動!自分フィールドにガガガモンスターがいる時、墓地のモンスターを除外して自分フィールドのガガガモンスターをそのモンスターのレベルと同じにする!墓地のガガガマジシャンを除外し、ガガガカイザーとガガガクラークのレベルを4にする!」

 

ガガガカイザーの杖が輝き、墓地のガガガマジシャンの持つレベルの力を得て自身とガガガクラークのレベルが4に変化する。

 

「行くぜ、戦士族レベル4のガガガカイザーとガガガクラークでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

二体のガガガモンスターが地面に吸い込まれて光の爆発の後に黒雲が浮かび上がる。

 

黒雲の中から現れたのは真紅の鎧に白銀に輝く大剣を携えて現れた戦士だった。

 

「光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!!『H – C エクスカリバー』!!!」

 

奇しくもそれはセイバーの持つ聖剣と同じ名を持つモンスターだった。

 

「何!?馬鹿な、約束された勝利の剣と同じ名を持つ戦士だと!?」

 

「こいつは俺の仲間から譲り受けた大切なモンスターだ!俺はエクスカリバーの効果発動!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、エクスカリバーの攻撃力を二倍にする!」

 

二つのオーバーレイ・ユニットがエクスカリバーの体内に取り込まれると、剣が光り輝き、背後にエクスカリバーの巨大なオーラが現れる。

 

「魔力が上がった!?」

 

「更に魔法カード、『オーバーレイ・リジェネレート』を発動!このカードは自分のモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットにする!対象は希望皇ホープレイ!」

 

オーバーレイ・リジェネレート自身がオーバーレイ・ユニットとなり、これでホープレイのオーバーレイ・ユニットが三つとなり、ホープレイの能力をフルパワーで使用することが出来る。

 

「「希望皇ホープレイの効果発動!オーバーレイ・ユニットを使い、ホープレイの攻撃力を500ポイントアップする!」」

 

ホープレイの両肩のプロテクターが開くと中から第三と第四の機械の腕が現れ、背中の大剣を引き抜いて天に向かって構える。

 

「「三つ全てのオーバーレイ・ユニットを使い、ホープレイの攻撃力を1500ポイントアップする!オーバーレイ・チャージ!!!」」

 

大剣に三つのオーバーレイ・ユニットが取り込まれ、ホープレイと大剣が大きな力を得て鎧と大剣が漆黒から純白へと光り輝いた。

 

「「そして、使用したオーバーレイ・ユニット一つにつき、相手の攻撃力を1000ポイントダウンする!」」

 

ホープレイの能力により突然セイバーの力が一気に下がり、膝をついてしまう。

 

「ば、馬鹿な……私の力が抜ける!?」

 

「まずはエクスカリバーだ!セイバーに攻撃!一刀両断!必殺神剣!!」

 

エクスカリバーは剣を構えてセイバーに向かって駆け抜ける。

 

「ふざけるな、そのような紛い物が聖剣の名を口にするな!約束された勝利の剣!!!」

 

力が落ちたとはいえ、闇の極光は強力でエクスカリバーは剣を振り下ろしながら真正面から受け止める。

 

しかし、純粋な剣技を放つエクスカリバーの剣では膨大な闇の光を受け止めきれずに押し戻されてしまう。

 

「紛い物なんかじゃねえ!!たくさんの子供達の想いと希望を背負うゴーシュから譲り受けたエクスカリバーが負けるはずがねぇっ!!!」

 

遊馬の熱い想いに応えるかのようにエクスカリバーの青い瞳が輝き、約束された勝利の剣の闇の極光を切り分ける。

 

「何だと!?」

 

エクスカリバーは自身の体が壊れながらも闇の極光を切り分け、遂にセイバーの間合いに入った。

 

「いっけぇ!エクスカリバァアアアッ!!必殺神剣!!!」

 

そして、最後の剣撃で約束された勝利の剣を絡め取ってセイバーの手から無理やり剥がし取った。

 

希望の光が宿った聖剣が闇に染まった聖剣に打ち勝ったのだ。

 

「しまった!?」

 

約束された勝利の剣はセイバーから遠く離れて地面に突き刺さり、エクスカリバーは闇の極光を受け続けて耐えきれなくなって破壊された。

 

「サンキュー、エクスカリバー……」

 

エクスカリバーの全身全霊の攻撃に今まで魔力を温存していた一つの影が飛び出した。

 

「最高のタイミングだぜ!」

 

「キャスター!」

 

「焼き尽くせ木々の巨人、『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

 

それは遊馬達の活躍に立ち上がったキャスターの宝具、無数の細木の枝で構成された巨人が炎を纏いながら出現し、セイバーの足止めをする。

 

「マスター!トドメだ!」

 

「遊馬君!アストラルさん!今です!」

 

キャスターがとっておきのルーン魔術でセイバーの動きを封じ、マシュは地面に突き刺さった約束された勝利の剣の前に立ってセイバーが使えないようにした。

 

「遊馬、今だ!」

 

「おう!」

 

「行け、希望皇ホープレイ!」

 

「セイバーをぶった切れ!!」

 

ホープレイは両腰に添えられた双剣の鞘が弾け飛び、腰から引き抜いた。

 

大剣と双剣の三刀流という凄まじい姿となり、翼を広げて滑空しながらセイバーに向かう。

 

キャスターはウィッカーマンを消し、動揺するセイバーの瞳には大剣と双剣を持った純白に輝く戦士の姿が映った。

 

「「ホープ剣・カオス・スラッシュ!!!」」

 

双剣で十字に切った後に振り上げた大剣を振り下ろし、セイバーの鎧を破壊しながらぶっ飛ばした。

 

特異点の最後の敵、セイバーを倒すことに成功した遊馬は腕を高く上げて勝利を喜んだ。

 

「やった……勝ったぜ!勝ったビングだ!!」

 

マシュたちも喜びを分かち合おうと遊馬に駆け寄る。

 

しかし、その喜びを打ち砕くかのように邪悪なる眷属が近づいていることを遊馬たちはまだ気づいていなかった。

 

 

 

.




ホープよりエクスカリバーの方が目立っちゃいましたね(笑)
そして遊馬とマシュの新たな力、FNo.がついに発現しました。
一応マシュがカード化した場合の効果やステータスを考えました。

FNo.0 人理の守り人 マシュ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻1500/守3000
レベル4モンスター×2
自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
その後、自分のデッキから魔法カードを1枚選び、デッキの一番上に置く。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

攻撃を無効にした後にバトルフェイズを終了にしますが、遊馬お得意のダブル・アップ・チャンスコンボが使えないのが難点です。
シールダーで守りに特化しているので攻撃力は低めですが、守備力は高いです。
強みはバトルフェイズの強制終了と魔法カードをデッキトップに置くところですね。
仲間を守り、マスターである遊馬に有利な一手を導くマシュらしいFNo.です。
いかがでしょうか?


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ナンバーズ6 終わりの始まり、果てしない旅へ

セイバー戦の後のもう一波乱です。
さあ、皆さんお待ちかねの遊馬先生の救済入ります!
え?誰にですって?
もちろん決まってます、彼女にです!
彼?知りませんね〜(笑)


騎士王・アーサー王に勝利した遊馬とアストラル、マシュとキャスター。

 

そして、騎士王に最後の一撃を与えたホープレイは大剣と双剣をしまい、腕を組んで威風堂々と立っていた。

 

すると、オルガマリーは目の前の激闘を見て興奮気味になりながら遊馬達に駆け寄る。

 

「マシュ、遊馬!大丈夫!?」

 

「はい、所長」

 

「へへっ!問題ないぜ!」

 

「良かった。それより、マシュが出したあの盾とその姿は一体……」

 

「あの盾はお嬢ちゃんの宝具だぜ」

 

「そして、この力は遊馬君と私の絆の力です」

 

フェイトナンバーズ、英霊に遊馬とアストラルの力が混じって誕生した新たな存在。

 

そして、令呪の力でその力の一端を解き放つことができた十字架の盾。

 

「新たなサーヴァントの力って事ね……マシュ、盾の宝具の名前、分かる?」

 

「残念ながら、力及ばず……私に力を託してくれた英雄の事は分からなくて」

 

「そう、宝具の名前も真名も分からないとなると……よし、それじゃあ私が名前をつけてあげるわ!貴女にとって意味があるカルデアの名前を取って、『仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』よ!」

 

「ロード・カルデアス……!」

 

「おおっ!すっげぇかっこいいじゃん!所長、ネーミングセンスバッチリじゃん!」

 

「少なくとも遊馬よりは断然あるな」

 

「なっ!?う、うるせぇよアストラル!俺だってネーミングセンスぐらい……」

 

「私が知る限り、君のネーミングセンスはかなり絶望的だと思うが?何なら今までの酷いものを一つずつ……」

 

「お、お前っ!?」

 

常に遊馬と行動していたアストラルだからそこ知る遊馬のネーミングセンスの酷さを暴露しようとし、周りが面白くて笑みを浮かべているとキャスターはキョロキョロと周りを見渡す。

 

「さて、と。無事にセイバーを倒したのはいいとして、お前さん方の言う特異点ってのはどれだい?」

 

キャスターが注意深く見渡すが、ここにあるのは不気味な大聖杯だけで、特異点と思われるモノは見当たらない。

 

「見事だ……少年」

 

その声に遊馬達は一点に目を向ける。

 

そこには立ち上がったセイバーの姿があった。

 

「私と同じ王の聖剣の名を持つ戦士に、希望の名を持つ皇……なるほど、どうやら少年も人の上に立つ『王』のようだな……」

 

ホープレイの攻撃を受けて鎧はおろか、体はボロボロになっており、するとセイバーの体は少しずつ金色の光となって消えつつある。

 

「あっ、あれ見て!」

 

オルガマリーがセイバーの傍らを指差す。

 

セイバーのすぐ近くに輝きを放つ金色の水晶体が落ちている。

 

「もしかしたら、特異点かも……!」

 

セイバーは暗い大空洞の天井を見つめ続けながら遊馬たちに向けて言葉を紡ぐ。

 

「少年たちよ……これはまだ始まりにしか過ぎない」

 

「始まり……?」

 

「人理修正、『冠位指定(グランドオーダー)』は始まったばかりだ」

 

「グランド、オーダー……!?」

 

その言葉を最後にし、セイバーは足元から金色の粒子となり、消滅するとまたしてもモンスターエクシーズのカードが残った。

 

アストラルが手を伸ばすと、そのモンスターエクシーズのカードが宙に浮かび上がらせ、そのまま遊馬の元に引寄せてキャッチさせる。

 

相変わらず白紙のカードを遊馬はデッキケースにしまうとキャスターの体が光となり始める。

 

「キャスター!?」

 

「チィッ!ここで強制送還かよ、マスター!次一緒に戦う時はランサーで呼び出してくれよ?」

 

「また、会えるか?」

 

「おうよ、お前さんの運が良ければな。じゃあな!!」

 

「ああ!また一緒に戦おうぜ!!」

 

キャスターは拳を突き出し、遊馬は頷いて再会を誓い合うと自分も拳を突き出して拳同士をぶつけ、楽しそうに笑みを浮かべたキャスターも消滅する。

 

「キャスター……」

 

キャスターの消滅を見届ける余韻に浸る間も無く、突然大空洞に拍手の音が響く。

 

ゆっくりと、あざ笑うかの様な調子のその音は大聖杯から聞こえた。

 

「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。偶然迷い込んだ子供だと思って放っておいた私の失態だよ。まさか君みたいな小さな子供が謎の召喚獣を操り、セイバーを討つとは」

 

大聖杯に立ち、その男は微笑んでいた。

 

人間とは思えない不気味な嘲笑を浮かべたその男の顔を、遊馬は見た事がある。

 

カルデアに訪れ、そしてマシュと話していたところに現れ、技師の一人だと名乗っていた紳士のような男……。

 

「レフ、さん?」

 

レフ・ライノールだった。

 

『レフ!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのかい!?』

 

腕輪からロマニの声が響くと、レフはその声を聞いて不気味な笑みを更に深めた。

 

「うん?その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室に来てくれと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね、まったく。どいつもこいつも統率の取れてないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

 

とても初めて会った時のレフとは思えないほどその口調は冷たく、まるで遊馬達を人とも認めていないかの様だ。

 

困惑する遊馬たちだが、一人だけレフの出現に歓喜の表情を浮かべる人間がいた。

 

「レフ……ああ、レフ、生きていたのね、レフ!」

 

「やあ、オルガ。元気そうで何よりだよ」

 

「ああ、ああ!レフー!」

 

レフへと駆け寄ろうとしていくオルガマリー。

 

彼女だけがレフの変貌に気付いていない様だった。

 

「ダメだ所長、そいつに近づくな!」

 

遊馬はオルガマリーの手を握ってそのまま後ろに下がらせる。

 

「ゆ、遊馬!?何を……」

 

「遊馬の言う通りだ、オルガマリー!その男は人間ではない!邪悪なる存在だ!」

 

遊馬とアストラルはレフから感じる邪悪な気配に目を鋭くする。

 

「ほう、私の気配に気づくとは。しかし、変だね……オルガよ、爆弾は君の足元に設置して君は木っ端微塵になる予定だったのに。どうして生きているのかな?」

 

本当に分からない、どうしてだろう、とレフは考え込む人の様に軽々と恐るべき事実を言い放った。

 

レフ以外のその場にいた全員が絶句した。

 

「何だと……!?」

 

「な、何、言ってるのレフ?あの、それ、どういう意味?」

 

「いや。生きているとは違うな。君はもう死んでいる。肉体はとっくにね。肉体という枷に縛られ、マスターとしての適性がなかった君は残留思念だけとなってようやくレイシフト出来たという事か」

 

「な、え……?」

 

「君は死んだことで初めて、あれほど切望した適性を手に入れたんだ。だからカルデアにも戻れない、だってカルデアに戻った時点で、君のその意識は消滅するんだから」

 

「そんな……」

 

キャスターもオルガマリーにはマスター適性がないと言っており、本来ならレイシフトも出来ないはずなのだ。

 

抗えない現実にオルガマリーは言葉を失う。

 

「レフ……てめえがカルデアを爆破した元凶なのか!!」

 

遊馬は強い怒りを抱いてレフを睨みつけた。

 

「その通りだ、最後にカルデアの状況を見せてやろう」

 

全員が動揺している隙を突き、レフが水晶体を魔術を用いたのか引き寄せて手中に収めた。

 

そして、 空間を歪めて空中に赤く輝く球体……カルデアスを出現させた。

 

「な、何よあれ。カルデアスが、真っ赤になってる!?」

 

「本物だよ、聖杯があれば時空を繋げることができる。そしてこれこそ人理が焼却した証だ!」

 

『焼却だって!?』

 

ロマニの驚愕の声に頷いたレフ。

 

微かに恍惚の表情が浮かぶその顔は、既に初めて会った時の原型を留めてはおらず、もはや歪な怪物そのものだった。

 

「カルデアが無事なのはカルデアスの磁場で守られていたからだが、カルデアの外はこの冬木と同じ末路になっているだろう」

 

『外部と通信がとれないのは故障ではなく、受け取る相手が既に存在していないからか……!』

 

「ふん、やはり貴様は賢しいな。オルガよりも君を優先して殺すべきだったよ。まぁ、まずは死に損ないから」

 

レフが指をオルガマリーへと向けた途端、その体がふわりと宙に浮いた。

 

「どうせカルデアに戻ったら君は消滅するんだ。それなら、君の宝物に触れさせてあげようじゃないか」

 

「や、やめてよ!だって、カルデアスよ!?」

 

「そうだとも。ブラックホール、いや太陽かな。何にせよ、触れるモノは全て分子レベルで分解される。君もそうなるって訳さ」

 

オルガマリーはカルデアスに取り込まれてしまい、その精神が崩壊しかける。

 

大切だと思っていた人に殺され、そしてカルデアスに取り込まれて消滅する。

 

絶望に叩き落とされるオルガマリーに一筋の光が差し込んだ。

 

「かっとビングだ!俺ぇっ!!」

「遊馬!?」

 

「遊馬君!?」

 

遊馬はカルデアスに取り込まれたオルガマリーを救うために自らもカルデアスの中に飛び込んでその手を掴んだ。

 

「うくっ、遊馬……!?」

 

「ぐああああぁっ!?くっ、しっかりしろ、所長!!」

 

カルデアスの内部は灼熱の炎の如く熱が帯びており、遊馬とオルガマリーは体に激痛が走る。

 

「あ、あなた、何をしてるの!?」

 

「決まってるだろ!あんたを助ける!」

 

「ほう、カルデアスの中に勇敢……いや、無謀にも飛び込むとは……しかし、いつまで続けるんだい?そのままだと君もオルガと共にカルデアスに呑み込まれてしまうぞ?ふふふ……」

 

レフの嘲笑を受けながらも、遊馬は決してオルガマリーの手を離そうとはしなかった。

 

余りにも愚かな行為を面白おかしく見ていたレフだが背後に忍び寄る影に気づいていなかった。

 

「よそ見をするとは油断大敵だぞ。やれ、ホープレイ!」

 

「何!?」

 

嘲笑していたレフの背後に冷静なアストラルの指示でホープレイがアサシンの如く気配を消して忍び寄り、双剣と大剣を振りかざしていた。

 

「ホープ剣・カオス・スラッシュ!!」

 

「くっ!?」

 

レフはとっさに右手を前に突き出して魔術で障壁を作り出すが、ホープレイの強烈な三連続の剣撃の前にあっさりと障壁は破壊され、そのまま右腕を容赦なくぶった切られた。

 

「ぐぎゃあああああああっ!?」

 

右腕が細切れとなって吹き飛び、肩から大量の血が流れて思わぬ激痛に顔が歪み、絶叫するレフ。

 

その際に左手に持っていた結晶を手放してしまい、ホープレイはその結晶を手にしてアストラルの元に戻る。

 

「ぐっ!しまった!」

 

「貴様の目的のモノはこれのようだな。これは私が回収させてもらう」

 

アストラルはホープレイから結晶を回収すると宙に浮いてカルデアスに向かって飛んだ。

 

遊馬はオルガマリーの手を強く握り、カルデアスに取り込まれないようにしていた。

 

「諦めるな!俺はまだ所長と一緒にいたいんだ!俺には、俺たちには所長が必要なんだ!」

 

「私なんかに構わないで!遊馬、あなたはカルデアの最後のマスター、人類の最後の希望なのよ!私なんかの為に、命を捨てないで!!」

 

オルガマリーは最後の希望である遊馬を何としてでもカルデアスから脱出させようと魔力を放出しようとしたが……。

 

「オルガマリー!!」

 

「っ!?」

 

遊馬はオルガマリーを抱き寄せて名を呼び、真剣な眼差しで約束した。

 

「俺が必ず守る!」

 

十三歳とは思えない決意の篭った目で見つめられ、オルガマリーは呆気にとられてしまう。

 

すると、アストラルもカルデアスの中に飛び込み、激痛に耐えながら遊馬に向けて手を伸ばす。

 

「くっ……遊馬!行くぞ!」

 

「アストラル!おうっ!!」

 

「私と!」

 

「俺で!」

 

「「オーバーレイ!!」」

 

遊馬とアストラルが手を重ねた瞬間、二人の体が赤と青の光となって一つに合体した。

 

「な、何……!?」

 

オルガマリーは目の前で何が起きているのか理解できず、遊馬とアストラルが一つになった存在は金色に輝いてその姿を目視することができなかった。

 

「オルガマリー、今助ける!」

 

「私たちには君が必要だ。私たちの奇跡で君を助ける!」

 

二人はデッキからカードをドローし、ドローしたカードをすぐさま発動させる。

 

「「魔法カード!『死者蘇生』!!」」

 

それは墓地に眠るモンスターを復活させる、あらゆるデッキにも入る万能の魔法カード。

 

その力をオルガマリーに付与させる為にカルデアスの膨大なエネルギーと遊馬とアストラルが持つ奇跡の力を使う。

 

「「うぉおおおおおおおっ!!!かっとビングだぁっ!!!」」

 

二人の金色の光が更に輝きを増すとカルデアスから赤と青の二つの光が弾け飛び、赤い光は遊馬で青い光はアストラルでマシュの側で転がる。

 

「遊馬君!アストラルさん!」

 

マシュが遊馬とアストラルに駆け寄ると、遊馬の胸の中にはオルガマリーが眠っていた。

 

「オルガマリー所長は……?」

 

不安そうなマシュの言葉に遊馬は起き上がると、ニッと笑みを浮かべてグッドサインをする。

 

「心配するな!所長は無事だ!生き返ったぜ!」

 

「ええっ!?」

 

「私たちの力とカルデアスと大聖杯の膨大なエネルギーを利用してオルガマリーの肉体を再生させ、魂を定着させた。これでもう彼女は大丈夫だ」

 

それは遊馬とアストラルの二つの絆の力によって起こした奇跡の力である。

 

「所長……!!」

 

マシュは遊馬からオルガマリーを受け取り、生き返ったことに喜んでぎゅっと抱き締めた。

 

遊馬達はオルガマリーが復活した事を喜ぶが、それに対して激怒する者が一人いた。

 

「ふざけるな!!!」

 

「レフ……」

 

「よくも、よくも私の理想を打ち砕いてくれたな!!」

 

ホープレイに右腕を斬られ、目的の結晶を奪われ、更には消滅させようとしたが遊馬とアストラルの力で肉体を再生させたオルガマリー……ことごとく邪魔をされ、思惑を打ち破られ、その顔はもはや人間とは思えないほどに怒りで歪んでいた。

 

「レフ!所長の想いを踏みにじり、カルデアの人達のたくさんの命を奪ったてめえを絶対に許さねえ!!てめえの身勝手な野望は俺たちが必ず打ち砕いてやる!!」

 

「私と遊馬がいる限り、貴様のような邪悪な存在の思い通りには絶対にさせない!覚悟しておけ!!」

 

威風堂々とした態度でレフを指差す遊馬とアストラル。

 

レフは今すぐにでも遊馬とアストラルを殺そうとしたが、ホープレイが剣を構えた臨戦状態だったので下手に手が出せなかった。

 

すると、大空洞が音を立て始め、地響きに続いて、天井から破片が降り注ぎ始めた。

 

『まずい、空間が不安定に崩壊し始めている!すぐにレイシフトを開始する!』

 

「ドクター、急いでください!」

 

「チッ!次会うときは必ず貴様らをこの手で殺す!!首を洗って待っていろ、九十九遊馬!アストラル!!」

 

指を鳴らす音に続いて、レフは恨みの言葉を残しながらカルデアスと共に光に包まれ、姿を消した。

 

大空洞が今にも崩壊しかねない不吉な音を鳴らし続ける。

 

「遊馬!オルガマリーを皇の鍵の中に避難させる!」

 

「頼んだぜ!アストラルも早く皇の鍵に入れ!」

 

「遊馬、君は!?」

 

「俺は大丈夫だ、ここに来た時と同じ方法で帰るから!」

 

「わかった!」

 

もしもの時に備えて眠っているオルガマリーをアストラルの力で量子化させて皇の鍵の中に避難させる。

 

皇の鍵の中には巨大な異空間が広がり、アストラルは一人になる時などに使用している。

 

アストラルはホープレイも戻し、自らも皇の鍵の中へと入った。

 

「キュウ!」

 

「フォウさん!さあ、私のところへ!」

 

今まで避難していたフォウはマシュに抱きついた。

 

『よし、準備出来た!レイシフトを開始する!』

 

「遊馬君、手を!」

 

「ああ!」

 

最後に遊馬とマシュは離れないように手を握り、洞窟が崩壊する中、レイシフトの光に包まれて二人は目を閉じた。

 

 

遊馬が目覚めると、そこにはカルデアの白い天井が広がっていた。

 

「ここは……?」

 

「ここはカルデアの君の部屋だよ、九十九遊馬君」

 

遊馬の顔を覗き込んだのは派手な装飾を身に纏った黒髪の綺麗な女性だった。

 

「あんたは……?」

 

「私は希代の天才発明家にして芸術家!レオナルド・ダ・ヴィンチ!気軽に、ダヴィンチちゃんと呼んでくれても良いのよ?」

 

「ダ・ヴィンチ……?って、あのレオナルド・ダ・ヴィンチ!?え?でもダ・ヴィンチって男じゃ……あれ!?」

 

勉強な苦手な遊馬でも知っているレオナルド・ダ・ヴィンチだが、遊馬が知る限りダ・ヴィンチは男のはずである。

 

その疑問の答えを出すのは遊馬の隣にずっといたアストラルだった。

 

「遊馬。彼……いや、彼女と言うべきか。名画『モナ・リザ』の美しさに心酔してわざわざその姿でカルデアに現界したようだ」

 

「アストラル!って、ダ・ヴィンチさん、そんなのありかよ……」

 

歴史に名を馳せる天才発明家のはっちゃけた現界の理由に遊馬は軽く頭痛を覚えた。

 

「もう!ダ・ヴィンチさんなんて言わないで、私の事はダ・ヴィンチちゃんと呼ぶように!いいね?」

 

「は、はい……」

 

ダ・ヴィンチの有無を言わせない笑みと迫力に遊馬は素直に頷くしかなかった。

 

「フォーウ!」

 

「あ、フォウ。元気そうだな」

 

遊馬のベッドに潜り込んでいたフォウは遊馬が目覚めると体をよじ登って肩に乗る。

 

「遊馬……そのリスみたいな生物は何だ?」

 

「わかんねぇ。どうやらこの世界の特別な生き物っぽいぞ、名前はフォウだ」

 

「フォウ!」

 

「異世界には私の知らない生物がたくさんいるようだな……」

 

「さて、遊馬君が起きたのならまずはロマニに診せないとね」

 

ダ・ヴィンチは通信機ですぐにロマニを呼んで遊馬の身体検査をさせる。

 

無謀にも生身でカルデアスの中に飛び込んだのだ、何か異常があってからでは遅いのでロマニは時間をかけて遊馬の体をチェックする。

 

「よし……検査終了。どこも異常無しの健康体だ。しかし、マリーを助けるためとはいえ、カルデアスに飛び込むなんて無茶なことを……」

 

「あの時は所長を助けなくちゃと思って無我夢中で……」

 

「君、本当に十三歳かい?でもあまり無茶のし過ぎは禁物だよ、君が大怪我したら悲しむ者がいるからね。例えば……」

 

「遊馬君、目が覚めたんですね!」

 

「彼女とかね」

 

部屋に勢いよく入ってきたのは初めて会った時と同じ眼鏡とパーカー姿をしたマシュだった。

 

「マシュ!元気そうだな!」

 

「ええ。問題ありません。それより、お腹空きましたよね?軽食にサンドイッチを持ってきたので食べてください」

 

「おおっ!サンキュー、マシュ!ちょうど腹減っていたんだ!」

 

遊馬はマシュが持ってきたサンドイッチとジュースを食べて空腹を満たし、着替えなどの支度が終わるとマシュ達と一緒にレイシフトの管制室に向かった。

 

管制室は爆発と火災の爪痕がかなり残っており、その中ではカルデアの生き残った職員が慌ただしく働いていた。

 

その中でキビキビと指示を出している女性の声が響いた。

 

「まず瓦礫を早急に退かしなさい!それが終わったら全てのコフィンの点検とレイシフトの為のデータ復旧と修復を急ぎなさい!」

 

それは遊馬とアストラルの奇跡によって肉体が蘇ったオルガマリーだった。

 

「所長!」

 

「遊馬!目が覚めたのね」

 

「おう!所長、体は大丈夫か?」

 

一度体が爆弾で木っ端微塵となり、遊馬とアストラルの力で肉体を再生させたので不調がないか心配する。

 

「ええ。あなた達が蘇らせてくれたからね……寧ろ死ぬ前よりも調子がいいわよ。酷かった肩凝りとか無いからね」

 

オルガマリーは苦笑を浮かべながら膝を折って遊馬とアストラルに視線を合わせた。

 

気が張った表情ではなく少し穏やかな笑みを浮かべて遊馬の頭を撫でる。

 

「遊馬、アストラル。まずはお礼を言わせてもらうわ。ありがとう……私にもう一度生きるチャンスを与えてくれて」

 

「えへへ。所長を無事に助けられてよかったぜ」

 

「あの時は運と条件、そして魂がしっかり残っていたから君を助けることが出来た」

 

「そうね……本当に運が良かったわ。だからこそ、あなた達にもらったこの命……人類の未来を守るために、そしてあなた達に捧げるわ」

 

「所長……?」

 

オルガマリーの真剣な表情をしてカルデア所長としての今の思いを打ち明ける。

 

「遊馬……今この世界はここにいる人間以外は全て滅んでしまった。英霊……サーヴァントと契約できるマスターはあなたしかいない。本当ならあなたのような小さな子供にこんなことを頼みたくない」

 

すると作業をしていたカルデアの職員達の手が止まり、その視線が遊馬とアストラルに集まっていた。

 

「だけど、この世界の未来を守るためにはあなた達に頼むしかない。遊馬、アストラル、私たちカルデアの職員は全力であなた達をバックアップする。だから、お願い……世界の未来を守るために戦って欲しい……」

 

初めて会った時とは違うまるで生まれ変わったかのような雰囲気だった。

 

それは色々なことが重なり、精神が追い込まれていたことから解き放たれたオルガマリーの言葉だった。

 

遊馬とアストラルは互いに視線を合わせ、二人は最高の相棒として何も語らずとも一瞬でアイコンタクトを取り、頷いて改めて決意を固めた。

 

「ああ……戦うさ。もうこの世界とは無関係の人間じゃないからな。マシュを、所長を、先生を、みんなを守るために俺は戦う!」

 

「この世界の人理を焼却した者、恐らくはレフの背後にいる巨大な力を持つ黒幕がいるはずだ。もしそれらを放っておけば私たちの世界にも危害を加える可能性がある。遊馬と大切な人たちを守るために共に戦おう!」

 

遊馬とアストラルの決意にオルガマリーは微笑んで頷き、カルデアの職員達は二人の勇気と決意に賞賛して拍手を送った。

 

「遊馬君、アストラルさん、最後まで共に戦います。一緒に未来を守りましょう!」

 

マシュは遊馬とアストラルの言葉に勇気をもらい、一緒に戦うことを改めて誓った。

 

「ああ!俺たちは絶対に負けない!必ず未来を救うんだ!」

 

「かっとビングだ、遊馬!」

 

「おう!かっとビングだぜ、俺!」

 

「では、これより全カルデア職員に通達します。ここに、カルデアの最後にして原初の任務、人理守護指定『グランドオーダー』を発令します!!魔術世界における最高位の任務を以て、我々は人類と未来を救済します!!」

 

オルガマリーの発令に遊馬達とカルデア職員達は一斉に声を揃えて『はい!』と返事をした。

 

ここから遊馬とアストラルとマシュ、そして共に戦う英霊達と世界中の様々な時代の様々な場所にある、七つの特異点を巡る旅が始まるのだった。

 

 

 

.




これにてファーストオーダー完結です!
オルガマリーは遊馬とアストラルの力で肉体を蘇生させました。
やっぱり救えなくちゃ遊馬じゃないなと思ったので。
そしてレフはザマァと言わんばかりにホープレイでぶった切りました。
次は第1章、第一特異点が始まります。
ジャンヌちゃん大好きなので書くのが楽しみです。
ジャンヌちゃんと黒ジャンヌちゃん……二人とも遊馬のヒロイン候補にしようと考えています。


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第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン ナンバーズ7 第一特異点へ!グランドオーダー開始!

今回は特異点向かう前の準備回みたいなものです。
フランスへのレイシフトは次回になります。


遊馬とアストラルがカルデアに来てから数日が経過した。

 

すぐにでも特異点に突入しようと思ったが、爆破と火災で機能が大幅にダウンしたカルデアの復旧が最優先に行われ、カルデアの職員達が寝る間も惜しんで復旧を急いでいる。

 

遊馬も復旧を率先して手伝い、ガガガマジシャンを始めとするモンスター達を召喚して一緒に瓦礫撤去や荷物運びを行っていた。

 

復旧がある程度完了するとダ・ヴィンチが遊馬達を集めて英霊を召喚するための部屋に向かった。

 

ダ・ヴィンチは遊馬から預かった5枚のカードを返した。

 

そのカードは特異点『F』で手に入れたサーヴァントのモンスターエクシーズのカード。

 

契約して真の能力が覚醒したマシュ、契約したが真名と能力が不明なキャスター、戦闘したサーヴァントを倒した後に現れたメドゥーサ、アーチャー、そして、アーサー王のカード。

 

このカード……『フェイトナンバーズ』を解析して、遊馬達の話を聞いて色々なことが分かった。

 

・遊馬が出会ったサーヴァントと握手を交わすことで契約が結ばれ、フェイトナンバーズのカードが誕生する。

 

・契約したカードの真名と能力が判明する条件は様々だが、一番有効なのはマスターである遊馬とサーヴァントの間に絆が結ばれた時に覚醒する。

 

・契約したサーヴァントの右手の甲に現れる刻印の数字はアストラルが持つオリジナルのナンバーズと相性が良いか、何らかの関係性を持つものである。

 

・敵サーヴァントはナンバーズ、もしくはフェイトナンバーズで傷を与え、倒すことで消滅後にその欠片から白紙のフェイトナンバーズカードが誕生する。

 

・フェイトナンバーズは英霊召喚の触媒の代用として活用でき、守護英霊召喚システム・フェイトを使えば触媒元となった英霊を高確率で召喚できる可能性が高い。

 

・フェイトナンバーズの効果は英霊の能力や宝具、そして番号に対応したオリジナルのナンバーズの効果を元に強力な効果が反映される。

 

・フェイトナンバーズはサーヴァント時の強力な能力や宝具を自由に使用できないが、その代わり遊馬の繰り出す他のモンスターの効果付与、魔法と罠の効果を受けることが出来る。

 

「という訳だから、遊馬君。早速マシュ以外のフェイトナンバーズの英霊をこの聖晶石を使って呼び出して!」

 

聖晶石とは英霊を召喚するのに必要な特別な星の形をした石でそれをダ・ヴィンチから受け取った遊馬はとりあえず召喚サークルに4枚のフェイトナンバーズのカードを置いた。

 

「えっと……この石を砕けば良いのか?」

 

「ええ。力を込めれば砕けますので」

 

「よし、それじゃあやるか!」

 

聖晶石を手の中で砕き、ばら撒くようにフェイトナンバーズの上に振りかける。

 

すると、召喚が始まり、爆発的な魔力が集束して、英霊召喚システムとカルデアの電力が唸りを上げてまばゆい光を放った。

 

遊馬達がまばゆい光に目を閉じてゆっくり開くと四つの声が静かに響いた。

 

「問おう、あなたが私のマスターか?」

 

「まさかこんなにも早く君に呼ばれるとはね」

 

「早速約束を果たせそうですね、ユウマ」

 

「よぅ、早速呼んでくれて嬉しいぜ、マスター」

 

それは闇から解き放たれたアーサー王、アーチャー、メドゥーサ、そして共に戦ったキャスターだった。

 

「アーサー王、アーチャー、メドゥーサ、キャスター……!」

 

「おう、マスター!今度はちゃんとランサー枠で呼び出してくれて嬉しいぜ!」

 

キャスター……否、ランサーの手には赤い槍があり、嬉しそうに遊馬の髪をくしゃくしゃにした。

 

「へへっ、キャスターは槍があればって嘆いてたからな」

 

「……キャスター、一ついいか?」

 

アストラルはランサーの隣に立ち、召喚サークルの近くを指差しながら尋ねた。

 

「あ?何だよ?」

 

「あれは君の杖じゃないか?」

 

「はぁ?何言ってんだ?ここにゲイ・ボルグがあるのに杖なんか……」

 

ランサーがチラッと自分が召喚された場所を見るとそこには特異点『F』で使っていた杖が転がっていた。

 

「……何でだぁあああああっ!!?何でゲイ・ボルグがあるのにここに杖があるんだよぉっ!!?」

 

愛槍と共に召喚されてテンションが上がったランサーだが、何故か杖も一緒に召喚されて頭を抱えて絶叫した。

 

「おーい、キャスター?」

 

「あの男は放っておけ、少年」

 

「アーチャー!」

 

嘆いているランサーを無視し、アーチャーとメドゥーサとアーサー王は遊馬の前に立つ。

 

「さて、私とセイバーとライダーは一度は君の敵として立ち塞がったが、こうして君の召喚に応えた」

 

「色々思うところはあると思いますが、私達はあなたの味方です」

 

「私達はあなたと共に戦います、未来を守るために」

 

三人は遊馬と共に戦うことを約束し、遊馬は嬉しそうに笑顔を見せた。

 

「おう!一緒に戦ってくれ!俺たちは仲間だぜ!」

 

「では早速、遊馬と握手をするんだ。それで契約が完了する」

 

「「「握手?」」」

 

三人はアストラルの言葉に疑問符を浮かべたが、ダ・ヴィンチが詳しく説明をするとすぐに納得し、遊馬と握手をする。

 

すると、三人はすぐに体が光となって白紙のカードに入り込み、キャスターも杖を担ぎながらついでに自分もカードに入り込んだ。

 

そして、四人がカードから出ると右手の甲に刻印が刻まれ、早くも四枚のカードが覚醒した。

 

アーサー王のフェイトナンバーズは特異点の時とは異なる金色に光り輝くエクスカリバーを天に掲げた姿が描かれていた。

 

真名は『FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア』。

 

アルトリアとはアーサー王の幼名にして本当の名前で遊馬は綺麗な名前だなと言うとアルトリアはありがとうと返事した。

 

アーチャーのフェイトナンバーズは干将・莫耶を持ち、背景には巨大な歯車と夕焼けの荒野に突き刺さる無数の剣が描かれていた。

 

真名は『FNo.59 無限の剣 エミヤ』。

 

エミヤはアーチャーの真名で遊馬は日本人みたいな苗字だなと呟くとエミヤはビクッと体が震えた。

 

ランサーは特異点の時に契約した時とは絵と同じで、槍と杖を構え、青タイツのような衣装と魔法使いのフードを合わせたような姿が描かれていた。

 

真名は『FNo.7 光の魔槍術士 クー・フーリン』。

 

クー・フーリンとは遊馬にはあまり馴染みがないがアイルランドの有名な英雄で魔槍の使い手である。

 

メドゥーサのフェイトナンバーズは短剣と鎖を持ち、綺麗なペガサスに跨って天を駆ける姿が描かれていた。

 

真名は『FNo.44 天馬の女神 メドゥーサ』。

 

天馬……ペガサスはメドゥーサが死後に流れた血から産まれたのでメドゥーサにとっては天馬は自分の子供同然の存在である。

 

意外にも四枚のフェイトナンバーズはすぐに覚醒して真名と効果が判明した。

 

これは特異点『F』の戦いで遊馬の未来と仲間を守るために戦うと言う強い思いが四人のサーヴァントが共に戦いたいと強く願ったのだ。

 

有名な伝説や神話の登場人物であるアーサー王とクー・フーリンとメドゥーサが一気に来たことでカルデアにも活気が出て来た。

 

ちなみに自称、無銘の英雄であるエミヤだが彼はカルデアで人気者だった。

 

何故なら……。

 

「もぐもぐもぐ!うんめぇ!エミヤ、おかわり!!」

 

「シロウ!こちらもおかわりです!」

 

「はいはい、分かったから落ち着いて食べるんだぞ」

 

エミヤの作る料理がとても美味しいからである。

 

英霊の召喚後に空腹から遊馬の腹の虫が鳴り、食堂で食事をしようとして料理を作ると名乗り出たのがエミヤだった。

 

エミヤは見事な手際で次々と料理を作っていき、その料理は家庭的だがとても美味しかった。

 

直ぐに食堂の料理長に抜擢され、カルデアのオカンみたいな感じが早くも定着している。

 

ちなみに今一番食べているのは成長期である遊馬と意外にもアルトリアだった。

 

アルトリアは食いしん坊で、その当時の料理が美味しくないと言う事もあって美味しそうに食べている。

 

そして、エミヤを何故か『シロウ』と親しく呼ぶアルトリアはどうやら以前から繋がりがあるようだが遊馬とアストラルは個人的な事なのでまだ聞かないことにした。

 

遊馬とアストラルは自室で休みも兼ねて新たに手に入れた四枚のフェイトナンバーズを元に次の特異点に向けてデッキ構築を始める。

 

デュエリストは常に自分にとっての最強のデッキを作るためにデッキ構築を怠らない。

 

特にこれからの特異点は冬木の時より激しい戦いになることは必至、そこでアストラルは新たなカードを取り出した。

 

「遊馬、君にこれを」

 

しかも数枚ではなく大量のカードの山だった。

 

「これって……えっ!?このカード達は!?」

 

そのカードの山は遊馬のカードではなかった。

 

一枚一枚見ていくと種族や属性やカテゴリー、多種様々なモンスターと魔法と罠のカードだった。

 

そしてそのカード達を遊馬はよく知っていた。

 

「そう……シャークやカイト、君のたくさんの仲間達から預かったものだ。君の力になれるように」

 

それは元の世界にいる遊馬と絆を結んだたくさんの仲間達から預かったカードだった。

 

中にはその仲間達の持つ強力なエースモンスターも入っており、カードを触れるたびに遊馬はその想いが伝わってくる。

 

「みんな、ありがとう……よっしゃあ!アストラル、早速これで最強のデッキを作るぜ!」

 

「ああ!」

 

遊馬とアストラルは今後戦うであろう歴史に名を残す多くの英霊、そして人理焼却を企てたレフとその背後にいる黒幕と戦うために仲間達の力を結集させた最強デッキを構築する。

 

そして、数日後……遂に第一特異点に向かう日となった。

 

管制室には既にマシュ達が準備を終えており、支度が少し遅れた遊馬とアストラルは最後に到着となった。

 

するとダ・ヴィンチは遊馬にあるものを渡した。

 

「はい、遊馬君。ダ・ヴィンチちゃんの特別改造完了したよ♪」

 

「おっ!来た来た!サンキュー、ダ・ヴィンチちゃん!」

 

それは遊馬のD・パッドとD・ゲイザーで特異点に向かうための改造をダ・ヴィンチが行なっていた。

 

異世界の技術に興奮したダ・ヴィンチはD・パッドとD・ゲイザーのシステムをそのままに改造するのが色々楽しくなっていき、最終的にはダ・ヴィンチの持つ天才的な技術をふんだんにこれでもかと言わんばかりに詰め込んでしまい、以前よりも格段にグレードアップしてしまった。

 

D・パッドにはデュエルディスク状態で遊馬がアーチャーの剣を受け止めたことを知り、更に頑丈になるよう、マシュの盾に近い強度の特殊なコーティングを施した。

 

更に特異点で役に立つ世界中の歴史や文化、そして数多の英霊に関する神話や伝承などの膨大なデータベースがダウンロードされている。

 

D・ゲイザーには特異点先とカルデアを繋ぐ通信機能、敵サーヴァントとの戦いや今後の作戦のための超高画質な録画機能、遠くを拡大して見ることができる赤外線望遠鏡機能など……どうやって加えたのか不明だがかなりの機能が追加された。

 

「マシュにも遊馬君と同じ形のD・ゲイザーだよ!」

 

「はい!ありがとうございます、ダ・ヴィンチちゃん!」

 

ダ・ヴィンチはD・ゲイザーを複製して遊馬のと同じ機能を加えたものをマシュに与えた。

 

形は遊馬のと同じで色は女の子で可愛らしくピンク色に塗られていた。

 

マシュはD・ゲイザーを展開して左目にセットする。

 

「遊馬君、どうですか?」

 

「似合ってるぜ。じゃあ俺もセットだ!」

 

遊馬もD・ゲイザーを左目にセットし、すぐに戦闘が始まる事も考えてD・パッドをデュエルディスクに展開して左手首に装着する。

 

今回レイシフトで向かうのは遊馬とアストラルとマシュ、そして同行するサーヴァントはアルトリアとエミヤである。

 

アルトリアとエミヤは対英霊戦の強力な戦力とマスターである遊馬の護衛として同行する。

 

何故クー・フーリンとメドゥーサが同行しないのかと言うと、カルデアの守護の為に残したからだ。

 

カルデアは人類の未来を守る最後の砦であり、最後の希望でもある。

 

カルデア崩壊の危機を起こした犯人であるレフが再び現れて更なる大打撃を与え、オルガマリーを今度こそ抹殺しようとする可能性がある。

 

そこでクー・フーリンとメドゥーサの二人を残して侵入者撃退することをアストラルが提案し、オルガマリーはそれを了承して二人に頼んだ。

 

クー・フーリンはせっかくゲイ・ボルグで暴れようと思っていたので少々不機嫌になり、対するメドゥーサはすぐに頷いて了承してくれた。

 

「よっしゃあ!これで準備オッケーだぜ!」

 

「いよいよ過去の世界を巡るのか……その時代にいる英霊との嘗てない激しい戦いが始まるな……」

 

「何があろうともこの盾にかけて遊馬君を守ります」

 

「未来を守るためとはいえ、聖杯を探す旅に出るとは少し不思議な感じです」

 

「もっとも、私達の時のように闇に囚われたサーヴァントと戦うことになるだろう。楽な旅ではないがな」

 

遊馬達の準備が整い、いよいよ第一特異点へのレイシフトを開始する。

 

遊馬はマシュとアルトリアとエミヤの二人をナンバーズカードの中に入れてデッキケースに収め、アストラルを皇の鍵の中に入れて遊馬一人でコフィンの中に入る。

 

遊馬が目を閉じるとコフィンの中で体が分解されていく感覚が走る。

 

普通なら慣れなくて嫌な気分になるが、遊馬は似たような経験を何度もしたことがあるので特にそう言ったものはなかった。

 

遊馬の体が光に包まれるとコフィンの中から消えて第一特異点へとレイシフトした。

 

人類救済の戦い……遊馬とアストラルとマシュのグランドオーダーが始まるのだった。

 

そしてそこで、炎に焼かれ、再臨した聖女と復讐の炎を宿す魔女と出会うことになるのだった。

 

 

 

.




遊馬のデッキがどんどん魔改造されていきます。
特にカイトとシャークのカードを入れたらもう……前に個人的に銀河眼とシャークカードを入れた三勇士デッキを作ったことがあるので思いつきました。
意外に動けるんですよね(笑)
一応設定としてはセイバーたちはSNの時の記憶ありです。
セイバーはアーチャー(士郎)が大好きでもはや嫁ですな(笑)
基本この二人はセットとなります。
そして次回は大人気キャラのジャンヌちゃんの登場です。


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ナンバーズ8 聖処女との出会い

みなさんの沢山の感想に勇気をもらい、頑張って続きを書きました!

書いていてふと思った事……なーんか遊馬と女性サーヴァントは必然的におねショタ風になるなーと思いました。

まあ英霊のほとんどが遊馬より年上がほとんどなので仕方ないですが(笑)


レイシフトが完了し、遊馬が目を開くとそこには青空と野原が広がっていた。

 

皇の鍵からアストラルが現れ、デッキケースが開いて三枚のフェイトナンバーズが宙に浮くとマシュ、アルトリア、エミヤの三人が現れる。

 

「レイシフト、完了ですね。ここは1431年のフランスです」

 

「フランスか……」

 

「フィーウ!フォーウ、フォーウ!」

 

可愛らしい声が響くと遊馬の上着のポケットからフォウが出て来た。

 

「えっ!?フォウ!?何故ここに!?」

 

「どうやら遊馬くんと一緒にコフィンの中に入ってレイシフトしたみたいですね……遊馬君に固定されているのですから、私たちが帰れば自動的に帰還出来ます」

 

「全くお前は……まあ、付いて来ちまったもんは仕方ないな。戦いの時は大人しく隠れていろよ?」

 

「フォ、キュー!」

 

フォウは遊馬の言葉を理解したのか頷いてそのままフードの中に入った。

 

「さて……その年代だとフランスの百年戦争、当時の有名な英雄だとジャンヌ・ダルクがいた時代だな」

 

人間界の歴史の知識を持つアストラルの言葉に遊馬でも知っている英雄の名前にテンションが上がった。

 

「ジャンヌ・ダルク!?あのフランスの聖女か!小鳥が前に言っていたな、勇敢に戦った少女で憧れているって!会ってみたいな〜!」

 

特に遊馬の『大切な幼馴染』が話していた英雄がこの時代にいることに会ってみたいと年相応な反応を見せた。

 

「遊馬、君の興奮を打ち砕いて悪いが、その年代だとジャンヌ・ダルクは既に火刑で処刑されている可能性が高い」

 

「マジで!?あ、そうか……最後は異端の烙印を押されたんだっけ?ひでぇよな、フランスを救うために戦ったのによ……」

 

実際にその当時の世界に来る事でジャンヌにした仕打ちに心を痛める遊馬にアーチャーは優しく諭した。

 

「マスター、君はまだ幼いからあまり強くは言わんが覚えておくといい。戦争は必ず憎しみを生む。そして、最後まで戦い続けてきた英雄たちは、悲劇的な最期を迎える事が多い。それを踏まえた上でこれから出会うであろう英霊たちと向き合うことだ」

 

エミヤの言葉に遊馬はハッと気がつき、脳裏には最大の敵であった七人の前世を思い出した。

 

どれも元凶である邪悪な神によって運命を捻じ曲げられ、悲劇的な最期を迎えていた。

 

その事を思い出し、胸に強く刻んだ遊馬は強く頷いた。

 

「……そうだよな。ありがとう、エミヤ」

 

「うむ。頑張るのだぞ、我らの小さなマスターよ」

 

「みんな、話はその辺にしてください。何やら不穏な気配を感じます。戦の風とも違う、邪悪な気配を遠くで感じます。それに……上を見上げてください」

 

セイバーが周囲を警戒しながら険しい表情で上を見上げていた。

 

「上……って何じゃありゃあ!?」

 

「空が……ドクター!あれは!?」

 

マシュがD・ゲイザーの通信機能で早速カルデアのロマニと繋ぐ。

 

空には青空と雲が広がっているわけでなく、巨大な光の輪が浮かんでいた。

 

『これは……衛星軌道上に展開した何らかの魔術式か!?何にせよとんでもない大きさだ。下手すると北米大陸と同じサイズか!?』

 

『みんな、あれはこちらで調べるからあなた達は現地の調査をお願い。何か分かったら連絡をお願いね』

 

「わかりました、ドクター、所長。ではこれより特異点の調査に入ります」

 

一旦カルデアと通信を切り、まずはどこを調査するか相談しようとした時、エミヤが少し目を細めて話す。

 

「マスター、この先に小さな砦がある。しかもかなりのボロボロだ、何かあったと思われる」

 

「エミヤ、目がいいのか?」

 

「私には鷹の目と呼ばれる視覚能力のスキルがある。大したものではないがそこそこ遠くを見渡せる」

 

「すっげー!それじゃあ早速その砦に行って話を聞こうぜ。現地の人に聞いた方が早いからな」

 

遊馬の提案に賛同し、早速その砦に向かったがそこはかなり悲惨な状態となっていた。

 

砦はかなりボロボロで負傷兵が多く、本来ならこの年代は百年戦争の途中とはいえ今は休戦条約を結んでおり、戦は起きてないはずだった。

 

話を聞くためにエミヤが代表して近くにいた兵士に話しかけた。

 

兵士は最初は警戒したが旅のものだと言うとすぐに信じ、それほどまでに萎えきっている様子だった。

 

すると兵士の口からとんでもない事実を聞かされた。

 

「王なら死んだよ。魔女の炎に焼かれた」

 

「魔女?誰のことだ?」

 

「『ジャンヌ・ダルク』だ。あの方は『竜の魔女』となって蘇ったんだ」

 

その言葉に遊馬達のみならず話をしていたエミヤも驚愕した。

 

「何だと……!?馬鹿な、ジャンヌ・ダルクは処刑されたはずでは!?」

 

「だから竜の魔女になって蘇ったんだ!!そして……ッ!来た!奴らが来たぞ!」

 

兵士達が騒ぎ出し、アルトリアはキリッと目を鋭くして約束された勝利の剣を構える。

 

「魔力反応です!マスター、戦闘準備を!」

 

「分かった!エミヤ!」

 

「うむ!」

 

「目視しました!あれはまさか!?」

 

空から近づいた魔力反応……その正体は数多の竜、ワイバーンだった。

 

竜の亜種体と呼ばれる幻獣で間違っても十五世紀のフランスに存在していい生物ではなかった。

 

「ワイバーンかよ!?」

 

「どうやらこれも異変によるものだな……」

 

遊馬は急いでデッキからカードを五枚ドローするとそこに一つの影が近づいて声をかけた。

 

「そこの方々、武器を取ってください!私と共に!続いて下さい!」

 

遊馬達が振り返り、そこにいたのは何と、アルトリアと顔立ちが似ており、長い金髪を三つ編みに纏め、その身には軽装の鎧を装着し、大きな旗を持った可憐な乙女だった。

 

「まさか……」

 

その少女に心当たりがあるアルトリアはそう呟いていた。

 

少女は兵士を引き連れてワイバーンに立ち向かおうとし、アストラルは急いで自分たちも行動に移そうと遊馬に指示を出す。

 

「遊馬!ただの人間にワイバーンを倒すのは困難だ!我々で対処するぞ!」

 

「ああ、みんな!行くぜ!!」

 

「アルトリアは前衛、エミヤは弓矢で後方支援、マシュは遊馬の護衛を頼む」

 

カルデアで戦術や戦略を学んでおいたアストラルが瞬時にアルトリアたちに指示を出す。

 

「お任せ下さい」

 

「承知した」

 

「はいっ!」

 

「遊馬、ホープだ!」

 

「おう!俺のターン、ドロー!『ガガガマジシャン』を召喚!更にレベル4のモンスターが召喚に成功した時、手札から『カゲトカゲ』を特殊召喚!レベル4のガガガマジシャンとカゲトカゲでオーバーレイ!」

 

ガガガマジシャンを召喚した後に影から生まれた黒いトカゲが続いて現れ、共に光となって地面に吸い込まれる。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!」

 

光の爆発と共にオーバーレイ・ユニットを纏った白い塔が現れ、瞬時に変形して希望皇ホープとなる。

 

「アルトリア、ホープに乗れ!空を飛んでワイバーンを倒すんだ!」

 

「わかりました。ホープ、お願いします!」

 

アルトリアは希望皇ホープの肩に乗り、白い翼を広げて空を飛ぶ。

 

ワイバーンと同じ高さまで飛ぶとアルトリアはホープを足場にしてジャンプし、約束された勝利の剣でワイバーンを斬り倒し、斬り倒したワイバーンを足場にして次のワイバーンに向かってジャンプする。

 

アルトリアはまるで蝶のように空を舞い、蜂のようにワイバーンを仕留めていく。

 

希望皇ホープもアルトリアに続いて双剣でワイバーンを切り裂いていき、黒弓と矢を投影したエミヤがアーチャーのクラス名に相応しい弓の腕で正確にワイバーンを打ち落としていく。

 

「凄い……」

 

一度は敵として対峙していたアルトリアとエミヤと共に見事な連携でワイバーンを倒していき、頼れる英霊の仲間と共に戦える事をマシュは感動していた。

 

更に謎の少女の指揮で動かしていた兵士達の援護もあり、僅か数分で襲いかかってきたワイバーンを全て倒し遊馬とマシュは勝利を喜んだ。

 

するとアルトリアは倒したワイバーンの山を凝視してエミヤに尋ねた。

 

「シロウ……」

 

「何だね?」

 

「ワイバーンの肉は焼いて塩をかければ美味しいのでしょうか?」

 

「勘弁してくれ……」

 

じゅるりとヨダレを垂らすアルトリアにエミヤは頭痛を覚え、カルデアに帰ったら好きなものを作る事を条件にワイバーンの調理を諦めさせた。

 

遊馬は兵士を指揮していた謎の少女にお礼を言いに行った。

 

「おーい、誰だか知らないけどありがとな!」

 

「いいえ、とんでもありません。それよりあなたはーー」

 

「逃げろ!魔女が、魔女が出たぞ!!」

 

突然、兵士が少女を魔女呼ばわりして騒ぎ出した。

 

「えっ?」

 

「魔女だと……?」

 

魔女と呼ばれ悲しそうな表情を浮かべる少女。

 

兵士達が動揺と恐怖の表情を浮かべており、これ以上ここにいたら危険だと察した遊馬は少女の手を取る。

 

「こっちに来い!」

 

「えっ!?」

 

「みんな、ここから離れるぞ!!」

 

マシュ達も遊馬の考えを察して頷き、急いでその場から退散する。

 

まだ現状を把握できていないがあのままだと少女が兵士達に襲われる可能性もあったため、砦から遠く離れた森の中へ逃げ込んだ。

 

落ち着ける場所で座ると少女はまず自分の名前を名乗った。

 

「ルーラー。私のサーヴァントクラスはルーラーです。真名を『ジャンヌ・ダルク』と申します」

 

「ええっ!?ジャンヌ・ダルク!?」

 

遊馬は会いたいと思っていたジャンヌといきなり出会えて驚いていた。

 

「それで、あなた達は?見た所マスターとサーヴァントのようですが」

 

「俺は九十九遊馬!一応マスターをやってる!」

 

「私の名はアストラル。私はサーヴァントではない、言うなれば遊馬と共に戦う精霊と思ってくれ」

 

「私はマシュ・キリエライト、デミ・サーヴァントです」

 

「私はアルトリアと申します、サーヴァントクラスはセイバーです」

 

「私はエミヤ。クラスはアーチャーだ」

 

互いの自己紹介が終わると早速遊馬達とジャンヌの間で情報交換をする。

 

遊馬達はカルデアの事とこの世界の異変を調査と解決しに来たことを話した。

 

そしてジャンヌはルーラーとして召喚されたが本来与えられるべき聖杯戦争の知識がほとんどなく、ステータスもランクダウンしていた。

 

数時間前に現界したばかりで情報が少ないが、一つ確かなことがあった。

 

「どうやら、こちらの世界にはもう一人、ジャンヌ・ダルクがいるようです。あのフランス王シャルル七世を殺し、オルレアンにて大虐殺を行ったというジャンヌが……」

 

「同時代に同じサーヴァントが二体召喚された、ということでしょうか……?」

 

つまりここにいるジャンヌとは別の、残虐なジャンヌが暴れているということだ。

 

そして、竜の召喚は最上級の魔術であり、この時代の魔術でも困難なレベル。つまりこの異変を起こしているもう一人のジャンヌが、特異点である聖杯を持っている可能性があるということだ。

 

「私はオルレアンに向かい、都市を奪還する。そのための障害であるジャンヌ・ダルクを排除する」

 

フランスを救うため再臨したジャンヌの想いに感動した遊馬は、立ち上がってマスターとしての自分の思いを話す。

 

「ジャンヌ!俺も協力するぜ!俺たちの目的は聖杯だけど、目指すものは同じだ!!この世界と生きる人たちを守る。その為に力を合わせよう!」

 

「はい!こちらこそ、お願いします。どれほど感謝しても足りないほどです。ありがとう!」

 

こうして遊馬達はジャンヌと協力することになり、早速マスターである遊馬とサーヴァントのジャンヌで契約を結んだ。

 

握手を交わし、ジャンヌのフェイトナンバーズのカードが誕生する。しかし、ランクダウンの影響もあってか真名と効果は判明せず、廃墟を背後に風に靡く巨大な旗を構える凛々しいジャンヌの姿が描かれるのみにとどまった。

 

今日は森の中で野宿をすることになり、その夜はアルトリアとエミヤとジャンヌが周囲の警戒をし、人間である遊馬とマシュは明日に備えて休んでいた。

 

マシュはフォウと一緒にスヤスヤと眠っており、ジャンヌはアルトリアとエミヤの計らいで休むことになり、焚き火の元へ行くと遊馬がまだ起きていてD・パッドを操作していた。

 

「遊馬君……何をしているのですか……?」

 

「えっ!?あっ、その……」

 

ジャンヌが遊馬の隣に座り、D・パッドを覗いた。

 

遊馬がD・パッドで見ていた画像……それはこの時代のこと、百年戦争、そして……ジャンヌ・ダルクの文献だった。

 

「これは……もしかして、私のことですか?」

 

「そ、そうだ……悪いな、盗み見る感じで……」

 

「いいえ、大丈夫です。それにしても凄いですね、これが未来の道具ですか?」

 

遊馬はジャンヌにD・パッドを渡して一緒に操作する。

 

「未来というか、ここは別の俺たちの世界のものだけどな」

 

「マシュさんから話は聞きました。遊馬君がこことは違う世界で全ての人類と世界の未来を守るために戦っていたと……」

 

「俺はジャンヌやアルトリア達とは違ってそんな大した存在じゃないよ。俺はただの中学生だし、勉強が特に苦手でこの時代のことをほとんど知らないからさ、百年戦争も、ジャンヌのことも……だからこれで調べていたんだ」

 

学校で習っても教科書程度のことしか分からないが、ダ・ヴィンチがダウンロードしたデータを見て今の時代のことを勉強している。

 

「なぁ、ジャンヌ。ジャンヌはフランスの為に戦って最後はあんなことになったけど、辛くはなかったのか?」

 

「そうですね、でも今まで自分に起きた事に憎しみを抱いていません」

 

「強いんだな……」

 

「いいえ、ただ神への信心が強いだけなので。それだけを信じて進んでいたので」

 

「そっか……」

 

「そういう遊馬君こそ、辛くはないんですか?僅か十三歳で国どころか、全人類と世界の未来の為に戦うなんて……」

 

ジャンヌが戦い始めたのは十七歳、対する遊馬は十三歳。

 

まだ幼さが残る少年が戦いの渦に飛び込むことをジャンヌは心配に思った。

 

遊馬は腕を組んで少し唸って考えながらその時のことを思い出した。

 

「うーん……俺はジャンヌみたいに辛くない、って言えないな。元の世界にいた時、俺を守る為に、俺に希望を託す為に、沢山の友達や仲間が戦って消えてしまったんだ。最後には全部取り戻すことが出来たけど、その時は数え切れないほどに悲しんで、嘆いて、涙を流したから……もうあんな思いはしたくないぜ」

 

「そうでしたか……」

 

暗く、不安そうな表情をする遊馬の頭をジャンヌは優しく撫で、まるで姉のようにその小さな体をそっと抱き寄せた。

 

「この小さな背中に世界の命運と沢山の人達の願いを背負っていたんですね」

 

「俺にはアストラルと小鳥が最後までいてくれたから戦えたんだ。もし俺一人だったら、心が壊れていたかもしれないな……」

 

「だったら、あなたの心が壊れないように私が……サーヴァントとして、共に戦うマスターを守ります」

 

「ありがとう。なら俺もジャンヌを守るよ、それにもう一人のジャンヌを必ず止める。約束だ」

 

遊馬は拳を作ってジャンヌに見せるとジャンヌは微笑みながら自分も拳を作った。

 

「はい、約束です」

 

「ああ!」

 

二人は拳を軽くぶつけながら約束を交わすと年上として遊馬に寝るよう促した。

 

「ふふっ。さて、もう遅いですから遊馬君は寝てください。マスターであるとはいえ、まだまだ子供なんだから」

 

「わかった、じゃあそろそろ寝るか。ふわぁ〜……」

 

「あ、良かったら膝を貸しましょうか?そのまま寝るよりはいいですよ」

 

ジャンヌは自分の膝をポンポンと手を置いて膝を貸すこと……膝枕を提案した。

 

「えっ?いいの?」

 

「ええ、どうぞ」

 

「えっと、それじゃあ失礼します……」

 

遊馬はジャンヌの膝を借りて膝枕をしてもらい、そのまま瞼を閉じると疲れたのかすぐに眠ってしまった。

 

「お休みなさい、良い夢を」

 

ジャンヌは遊馬の顔を撫でながら自分も静かに目を閉じた。

 

まるで仲睦まじい姉弟みたいなその微笑ましい光景を高いところからフランスを眺めていたアストラルは微笑んで見守っていた。

 

翌朝、カルデアから送られて来た食料物資を元にエミヤが料理を作り、遊馬達は一時の英気を養って森を出てオルレアンへ向かうこととなった。

 

まずはオルレアン周辺の街や砦で情報収集をして次の目的を決めるためだ。

 

早朝に遊馬を起こそうと目を覚ましたマシュが、ジャンヌに膝枕されている遊馬を目の当たりにしてから少し不機嫌になっていた。

 

「ジャンヌさん……」

 

「はい?」

 

「あなたは味方ですが……ズルいです」

 

「何がですか!?」

 

頬を膨らませた不機嫌なマシュのよく分からない発言に混乱するジャンヌだった。

 

「マシュ、何で機嫌が悪いんだ?」

 

その理由が不明な遊馬は首を傾げるとアルトリアは軽く苦笑いを浮かべた。

 

「マスター……一応言っておきますが、シロウのようにならないでください。女性関係で大変な事になります」

 

「待ちたまえ、アルトリア。君は何のことを言っているんだ?」

 

するとアルトリアはジロリとエミヤを睨みつけ、いつもの甘えるような態度から一転して鋭い言葉を放った。

 

「無自覚なところがまた酷い。この女誑しのハーレム系主人公め」

 

「だから何の話だ!?」

 

まるで夫婦の痴話喧嘩が始まり、遊馬はその場から少し離れて歩き隣にいるアストラルに話しかける。

 

「アストラル、何か感じるのか?」

 

「人々の負の感情が広がってる……これはワイバーンに襲われる恐怖から来ているのは間違いないだろう」

 

「そうだよな。早くなんとかしないとな」

 

「もう一人のジャンヌ……竜の魔女はワイバーンを大量に召喚出来る。下手をしたらそれよりもランクの高い竜を召喚出来るはずだ」

 

「竜の魔女が操るランクの高い竜か……でも俺たちには仲間達から預かったカードがある。それに、このデッキには『最強のドラゴン』がいるだろ?」

 

遊馬が得意げにデュエルディスクをアストラルに見せると一瞬だけ青白く輝くドラゴンの幻影が現れた。

 

アストラルはフッと笑みを浮かべると遊馬に即発されて得意げになる。

 

「そうだな……我々には共に戦う仲間の想いがある。敢えて言うなら負ける要素が1パーセントも無いな」

 

「ああ!俺たちは負けないぜ!」

 

遊馬とアストラルは改めて竜の魔女と戦う決意を固めてハイタッチをする。

 

未だに痴話喧嘩をしていたアルトリアとエミヤだが、何かに気付いた様にふとエミヤが遠くを見渡すと、目を見開いて声を荒げた。

 

「あれは……火事、街が燃えているぞ!」

 

今度はD・ゲイザーから通信が入るとサーヴァントの探知をしていたロマニからだった。

 

『みんな!そこの近くにサーヴァントが探知された!だけどそこからどんどん離れていって……あ、ロストした!』

 

どうやらサーヴァントが街を襲撃し、また何処かへ行ってしまったようだった。

 

「急ぎましょう!」

 

ジャンヌは焦るように走り出し、遊馬達もその後をついていった。

 

情報収集の為の目的地であるラ・シャリテは既に破壊され、そこに住んでいた全ての人間がワイバーンに食い殺されていた。

 

遊馬は無残な光景に顔が真っ青になり怯え、アルトリアとエミヤはそんな遊馬をアストラルとマシュとジャンヌに任せて二人でワイバーンの駆除を始めた。

 

「やはり……マスターとはいえ、まだ幼いですね……」

 

「これを十三歳の少年に慣れろと言うのが酷だ。汚れ仕事は私達の役目だ」

 

「そうですね……」

 

幼いマスターを守る為にアルトリアとエミヤは見事な連携でワイバーンを全て倒した。

 

遊馬達の所に戻ると、アストラル達のお陰か遊馬は何とか立ち上がり、皇の鍵を握り締めながら必死に耐えていた。

 

「何でこんなことを……」

 

「恐らく、これをやったのはもう一人の私なのでしょうね……」

 

ジャンヌは遊馬以上に心を痛めて暗い表情を浮かべていたが、それと同時にわからないことがあった。

 

「どれほど人を憎めば、このような所業を行えるのでしょう……」

 

同じジャンヌであるが全く別の存在……竜の魔女は一体何者なのか?

 

その疑問に対する答えが見つからないまま事態が悪化する事となる。

 

遂に竜の魔女と対峙する時がやってきたのだ。

 

 

 

.




次回遂に黒ジャンヌちゃん登場です。
遊馬とのファーストコンタクトがどうなるか見ものです。

そして早くもジャンヌと急接近の遊馬君!
聖処女の膝枕とか羨ましすぎるぜ……。


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ナンバーズ9 竜の魔女、ジャンヌ・オルタ

ジャンヌ・オルタちゃん登場!
遊馬先生、あのツンデレをはよ攻略を(笑)
今回からホープ以外の色々なナンバーズを呼び出す予定です。


竜の魔女が近づく気配を感じ、遊馬達はここで迎え撃つ事にした。

 

敵サーヴァントの数は五体でこちらはランクダウンしているジャンヌを含めて四体だが、遊馬とアストラルのナンバーズがあるので戦力差を埋めることが出来る。

 

「遊馬君!今のうちに私をフェイトナンバーズで召喚してください!」

 

マシュはシールダーでアルトリアとエミヤに比べるまでもなく戦闘力は低いがフェイトナンバーズになれば遊馬のサポートにもなれる。

 

「あ、ああ!わかった!マシュ、来い!」

 

「はい!」

 

マシュの体が光の粒子となってフェイトナンバーズのカードに入り込み、遊馬が五枚の手札を見て頷いた。

 

「この手札なら行ける!鉄男、行くぜ『ブリキンギョ』を召喚!」

 

遊馬がまず呼び出したのは金魚の形をしたブリキのおもちゃみたいなモンスター。

 

それは遊馬のカードではなく、小学校からの友人である武田鉄男のカードである。

 

「このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4のモンスターを特殊召喚できる。効果で『ガガガマジシャン』を特殊召喚!

 

ブリキンギョの効果でガガガマジシャンが特殊召喚される。

 

「レベル4のブリキンギョとガガガマジシャンでオーバーレイ!エクシーズ召喚!『FNo.0 人理の守り人 マシュ』!!」

 

未来皇ホープのプロテクターを装着したマシュがオーバーレイ・ユニットを纏いながら召喚され、いつでも遊馬を完璧に守れる状態となった。

 

「これがサーヴァントの新しい力……フェイトナンバーズ……」

 

フェイトナンバーズの召喚を間近に見たジャンヌはルーラーとして英霊の力とは異なる『異質』な力の波動を感じ、目を見開いて驚く。

 

迎え撃つ準備が完了すると大量のワイバーンが襲来。そのワイバーンの上には五体のサーヴァントが乗っていた。

 

五体のサーヴァントはワイバーンから降りて遊馬達と対峙する。

 

そして、何よりも目につくのがこの特異点の元凶と思われる存在……もう一人のジャンヌ・ダルクだった。

 

アルトリアが冬木の時の黒い姿のようにジャンヌが金髪が白髪になり、鎧が黒く染まったもう一人のジャンヌ・ダルク……ジャンヌ・オルタが四人のサーヴァントを引き連れてやって来た。

 

ジャンヌ・オルタはジャンヌを見て嘲笑うかのように一人で語り出した。

 

「あんな哀れな小娘にすがるしか無かった国とかネズミの国にも劣っていたのね」

 

「貴女は……貴女は、誰ですか!?」

 

「私はジャンヌ・ダルク。蘇った救国の聖女ですよ、もう一人の私」

 

「おい!黒ジャンヌ!!」

 

耐えきれなくなった遊馬はジャンヌ・オルタを黒ジャンヌと呼んだ。

 

「黒、ジャンヌ……!?子供……口の聞き方に注意しなさい。楽に殺してあげませんよ?」

 

「うるせぇ、お前なんて怒った姉ちゃんに比べたら全然怖くねぇよ!そんな事より、どうしてこんな事をした!ジャンヌはフランスを救うために戦っていたのに!」

 

「そんなものは明白じゃないですか。この国に救う価値なんてない、だから全部壊すんですよ」

 

「それは……裏切られて処刑されたからか?」

 

「あんな愚者を救ったところで未来はありません。もう騙されない、裏切りを許さない……そもそも主の声も聞こえない。主の声が聞こえないということは、主はこの国に愛想をつかした、という事です」

 

「騙されることや裏切られる痛みや苦しみは俺にも分かる。でも、神様の声が聞こえないからといって、国を滅ぼす理由にはならない。神様関係無しに最後は自分の心で決めることだ」

 

「子供がわかったようなことを言わないでください」

 

「分かるさ。俺とここにいるアストラルや異世界にいる大勢の仲間達と一緒に人類と世界の未来を守るために戦った。だけど、守る為に、救う為に戦う決断をしたのは俺たち自身の心で選んだことだ!!」

 

「そんな嘘を……どちらにしても、人類種が存続する限りこの憎悪は収まらない。このフランスを沈黙する死者の国に作り変える。それが私、それが死を迎えて成長し、新しい私になったジャンヌ・ダルクの救国方法です」

 

「それで……?」

 

「何?」

 

「救国と言いながら、全部滅ぼしたらどうするんだ?周りには誰もいない、あんたがかつて守ろうとした人々の声も心も何もない、あるのは血と屍しか残らない光のない世界でお前は幸せになれるのか?」

 

「私の幸せだと?そんなものは必要ない!私はこのフランスに復讐さえできればーー」

 

「そんなことをしても失うだけだ。復讐は憎しみしか生まない。復讐の先に本当の未来はないんだ!」

 

遊馬の思いがこもった言葉の数々ににマシュたちは驚いた。

 

とても十三歳とは思えない少し大人びた表情と落ち着いた雰囲気……一体この少年はどれほどのものを見てきたのかと言葉を失う。

 

サーヴァントでもないただの十三歳の少年に諭され調子が狂うジャンヌ・オルタは、苛立ちを覚えながら声を荒げていく。

 

「うるさい……うるさいうるさい!何も知らないくせに、どれだけ私が苦しんだか知らないくせに勝手なことを言うな!!」

 

「ああそうさ、俺はジャンヌがどんな思いを過ごして戦い、最後を迎え、そして再び現れて今のあんたみたいな復讐者になったのかを知らない。だから、お前の本当の思いを聞きたいんだ。その上で、俺は俺自身の答えを出す」

 

「答え、だと?そんなものは必要ない!お前達はそこの聖女と共にここで消える運命だ!やりなさい、バーサーク・ランサー!バーサーク・アサシン!」

 

「その程度の運命は何度も乗り越えてきた!行くぜ、アストラル!」

 

「ああ!行くぞ、遊馬!」

 

「俺のターン、ドロー!『トイナイト』を召喚!効果で手札から『トイナイト』を特殊召喚!」

 

召喚されたのはオモチャの兵隊みたいなモンスターでそれが自身の効果で同名モンスターをであるトイナイトをもう一体呼び出す。

 

「俺はレベル4のトイナイト二体でオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

二体のトイナイトが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「「現れよ、No.39!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!光の使者、『希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

光の爆発と共に既に変形が完了した希望皇ホープが現れ、気合の雄叫びをあげる。

 

数多の闇を斬り裂いてきた光の使者の異名を持つ希望皇ホープにジャンヌ・オルタだけでなく、他の四人のサーヴァントも本能的に恐れた。

 

「な、何よこれ……!?希望皇ホープ……!?気に入らない……希望の光なんて打ち砕いてやる、サーヴァント!!」

 

「よろしい。では私は血を戴こう」

 

「私はそこの女騎士と盾の女、そして聖女の肉と血を戴きたいわ」

 

ジャンヌ・オルタの前に出てきたのは貴族風の姿をした男性、バーサーク・ランサーと多くの拷問器具を持った不気味な女性、バーサーク・アサシンだった。

 

「私たちも行きますよ、シロウ!」

 

「ああ、行こう」

 

アルトリアは約束された勝利の剣、エミヤは干将・莫耶を構えてバーサーク・ランサーとバーサーク・アサシンと対峙する。

 

「あのホープとかいう下らないものは私がやる……行きなさい、ワイバーン!」

 

ジャンヌ・オルタはワイバーンを操り、一斉に希望皇ホープに襲いかかる。

 

希望皇ホープは双剣を構えてワイバーンを斬り倒していくが、あまりにも大量のワイバーンに対処できなくなる。

 

遂には囲まれて纏わり付かれてその強靭な牙で喰らわれていく。

 

「ホープ!」

 

「ははははっ!光の使者かなんか知らないけど、数で押し切って喰らってやるわ!!」

 

希望皇ホープはワイバーンに包まれ、物理的に身動きが取れなくなっている。

 

このままでは希望皇ホープがワイバーンに喰い殺されるが、ナンバーズは希望皇ホープだけではない。

 

「ナンバーズはホープだけじゃない!俺のターン、ドロー!『ズババナイト』を召喚!更に『影無茶ナイト』を特殊召喚!レベル3のズババナイトと影無茶ナイトでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

二刀流の騎士の隣に同じ姿をした影の騎士が現れ、光となって地面に吸い込まれる。

 

光の爆発が起きると『17』の数字が空中に浮かぶと地面から霧を漂わせながら不気味な髑髏が姿を現した。

 

「現れよ、『No.17 リバイス・ドラゴン』!」

 

髑髏から変形すると、青と藍色の体を持ち、六つの翼を携え、六つある角の一つに『17』の刻印が刻まれた翼竜が現れた。

 

リバイス・ドラゴン、それは遊馬とアストラルのナンバーズをかけた戦いの幕開けを告げ、希望皇ホープが初めて戦ったナンバーズでもある。

 

「翼竜だと!?貴様も竜使いなのか!?」

 

ジャンヌ・オルタが操るワイバーンよりも比べ物にならないほどの力を持つリバイス・ドラゴン。

 

ワイバーン達は格上のリバイス・ドラゴンに恐れて本能的に下がっていた。

 

「リバイス・ドラゴンのモンスター効果!一ターンに一度、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、リバイス・ドラゴンの攻撃力を500ポイントアップする!アクア・オービタル・ゲイン!」

 

リバイス・ドラゴンがオーバーレイ・ユニットを一つ喰らうと攻撃力が上昇し、希望皇ホープと同等となる。

 

「リバイス・ドラゴンの攻撃!バイス・ストリーム!!」

 

リバイス・ドラゴンの口から旋風が放たれ、希望皇ホープにまとわりついていたワイバーンを全て吹き飛ばした。

 

初めて見るドラゴンであるリバイス・ドラゴンの力を目の当たりにしたジャンヌ・オルタはまるでおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせると、ジャンヌの持つ白い旗と異なる黒い竜の刻印が描かれた旗を掲げた。

 

「素晴らしい……その力、竜の魔女である私に相応しい!蒼き水の竜、リバイス・ドラゴンよ、私に従いなさい!!」

 

『ギュオッ!?……ギュオオオオオオオーッ!!』

 

リバイス・ドラゴンの赤い瞳が紫色に不気味に輝くと遊馬のコントロールを離れてジャンヌ・オルタのコントロール下に入った。

 

「リバイス・ドラゴンが操られた!?」

 

「まさか……あのジャンヌは竜を……ドラゴンをコントロールする力があるのか!?」

 

強力な竜を召喚するだけでなく他の竜を操ることが出来るジャンヌ・オルタのスキルに戦慄する。

 

「ふははははっ!力が、力が溢れてくる!!」

 

不気味な笑みを浮かべるジャンヌ・オルタの右手の甲に『17』の刻印が刻まれ、その身から邪悪な闇のオーラを纏っていた。

 

ナンバーズは一枚でも遊馬とアストラルや特別な力を持つ人間以外が持つと心の闇が増幅して快楽に似た快感を得る。

 

特に復讐の心しかないジャンヌ・オルタにナンバーズの心の闇の増幅は彼女の復讐心を簡単に高めている。

 

「まずい……リバイス・ドラゴンが彼女に取り憑いたことで心の闇が増幅されている」

 

「やれ!リバイス・ドラゴン!攻撃だ!」

 

ジャンヌ・オルタは意気揚々と笑みを浮かべながらリバイス・ドラゴンに指示を出し、口から旋風を放つ。

 

「くっ、マシュ!」

 

「はい!フルムーンバリア!」

 

マシュがオーバーレイ・ユニットを使い、盾を展開して金色のバリアを張る。

 

満月のようなバリアがリバイス・ドラゴンの攻撃を防ぎ、バトルを強制終了させて遊馬のデッキトップに好きな魔法カードを置かせる。

 

「遊馬君!」

 

「助かったぜ、マシュ!俺のターン、ドロー!魔法カード、『所有者の刻印』を発動!全てのモンスターのコントロールを元に戻す!戻って来い、リバイス・ドラゴン!!」

 

マシュの力でデッキトップに置いた魔法カードは洗脳されたモンスターのコントロールを取り戻す効果がある。

 

遊馬は数々のデュエルで自分のモンスターやナンバーズのコントロールを相手に奪われることが多々あった。

 

そのためのコントロール奪取の魔法カードを入れてあるのだ。

 

リバイス・ドラゴンのコントロールが遊馬の元に戻り、ジャンヌ・オルタの手に刻まれた刻印が消えると脱力感からか軽く体がふらついた。

 

「ぐっ!おのれ……私のドラゴンを……」

 

「リバイスはお前のじゃない!魔法カード、『エクシーズ・ギフト』を発動!自分フィールド上にエクシーズモンスターが2体以上存在する場合、オーバーレイ・ユニットを2つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

希望皇ホープとリバイス・ドラゴンのオーバーレイ・ユニットを一つずつ墓地に送り、デッキから二枚カードをドローする。

 

「来たぜ、リバイス・ドラゴンをリリースし、アドバンス召喚!『ドドドウォリアー』!」

 

これ以上リバイス・ドラゴンを洗脳されないようにその魂を生贄に捧げ、高レベルのモンスターを召喚し、現れたのはヴァイキングの姿をした戦士。

 

「更に魔法カード、『死者蘇生』!蘇れ、ガガガマジシャン!ガガガマジシャンの効果!一ターンに一度、自身のレベルを1から8に変更できる!ガガガマジシャンのレベルを6にする!」

 

墓地から復活したガガガマジシャンの腰につけたバックルの星が4から6に輝き、レベルが4から6へと変化した。

 

「III……ミハエル!力を借りるぜ、レベル6のガガガマジシャンとドドドウォリアーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとドドドウォリアーが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

希望皇ホープ、リバイス・ドラゴンに続き次はどんなモンスターが現れるのかマシュとジャンヌは密かに期待する。

 

アルトリアとエミヤは何かやばいものが来ると直感し、戦闘を中断して遊馬の元へ戻った。

 

その直後に大地が揺れてまともに立てなくなるほどの巨大な地震が発生し、とんでもないモンスターが現れる。

 

「現れよ!『No.6 先史遺産(オーパーツ)アトランタル』!!」

 

空中に『06』の数字が浮かび上がり、地震の後に遊馬の前に地割れが起きて中から現れたのは上半身には大地と火山、下半身にはマグマで構成されたまるで古の大陸が巨人の姿となったような巨大なモンスターだった。

 

それはかつて遊馬の敵だったが、家族の絆を取り戻した遊馬に深い感謝の気持ちを抱き、遊馬の為に命を懸けて戦う剣と盾になることを誓った少年、III……ミハエル・アークライトのエースモンスター。

 

「お、大きい……」

 

「まさかナンバーズにはこれほど巨大なものがいるとは……」

 

「もはやモンスターと言うより古代兵器だな……」

 

「すみません、私夢でも見ているのでしょうか……?」

 

希望皇ホープやリバイス・ドラゴンとはまた違う巨大なモンスターにマシュ達は驚愕で開いた口が閉じなかった。

 

「なっ、何よこれ……?」

 

「馬鹿な、これほどの力をあの少年が!?」

 

「ありえない……あんな未熟な子供が!?」

 

「これは……!?」

 

「どうやらただの少年ではないようですね……」

 

ジャンヌ・オルタ達はアトランタルのあまりの巨大さとその身に秘めた膨大な力とそれを自由自在に操る遊馬に驚いて目を疑った。

 

「アトランタルの効果!エクシーズ召喚に成功した時、墓地のナンバーズをアトランタルに装備してその攻撃力の半分を得る!墓地に眠るリバイス・ドラゴンをアトランタルに装備!」

 

墓地からリバイス・ドラゴンが現れ、ベルトみたいにアトランタルの腰に巻きついてその力を高める。

 

「アトランタル!ワイバーンに攻撃だ!ディヴァイン・パニッシュメント!」

 

「続け、希望皇ホープ!ホープ剣・スラッシュ!」

 

アトランタルの左肩の火山が噴火し、天に昇ると神の怒りが地上に落ちるかの如く、竜巻と雷が降り注いで大量のワイバーンを一気に粉砕する。

 

そして、希望皇ホープも続いて双剣でワイバーンを斬り裂いていく。

 

一気にワイバーンを倒され、ジャンヌは唇を噛み締めながら追加でワイバーンを召喚していく。

 

「遊馬、アトランタルの効果であのジャンヌを追い詰めるんだ」

 

「分かった、俺のターン、ドロー!アトランタルのもう一つの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、装備したナンバーズを墓地に送り、相手のライフを半分にする!オリハルコン・ゲート!!」

 

オーバーレイ・ユニットと装備したリバイス・ドラゴンを墓地に送り、アトランタルが灼熱の炎を宿した右腕を高く振り上げると金色の波動が降り注ぎ、その効果がジャンヌ・オルタにのみ与えられる。

 

「な、何!?私の、魔力が……!?」

 

ジャンヌ・オルタは膝をつき、謎の脱力感と苦痛に襲われて胸を強く抑える。

 

アトランタルの強力な効果、オリハルコン・ゲートは相手のライフポイントを半分にする……それがサーヴァントに適応されると力の源である魔力を半分にすることとなる。

 

魔力はそう簡単に回復できるものではない。ジャンヌ・オルタは旗を杖代わりにして無理やり立ち上がることしかできなかった。

 

「ジャンヌ……アトランタルの効果であんたのライフを半分にした。これで全力を出せない、諦めて降伏しろ!」

 

「ふざけるな……誰が降伏なんか……!くっ、竜召喚と竜操作が……」

 

度重なる魔力の消費とオリハルコン・ゲートの魔力半減によりまともに動けなくなり、ジャンヌ・オルタはこの場にいる誰よりも弱い存在になってしまった。

 

それに加え、魔力がかなり減った事で竜の魔女としての竜召喚と竜操作のスキルがまともに使えなくなっている。

 

「このままではいけない……撤退しましょう」

 

「あなたがそんな状態じゃ私達の勝ち目がなくなりますわ」

 

「チッ……仕方ない、戻ってジルに魔力を回復してもらわないと……ワイバーン!」

 

ジャンヌ・オルタはワイバーンを呼び、自身の魔力を回復させる為に急いでオルレアンに撤退することを決めた。

 

「子供……貴様、ユウマと言いましたね?覚えておきなさい、そこの聖女の前に必ず貴様を亡き者してやるわ」

 

「俺は絶対に死なない。いつでもかかって来い。全力で相手をしてやるぜ!」

 

「減らず口を……感じるぞ、リバイス・ドラゴン以外にまだ強力なドラゴンを隠し持っていることを!必ず貴様の全てのドラゴンを頂いて誰も倒すことのできない最強の竜の魔女として君臨するわ!!」

 

竜の魔女として遊馬のデッキとエクストラデッキに眠る数々のドラゴンの気配を感じ、全て奪うと宣言するが遊馬は鋭い眼差しで反論する。

 

「絶対に渡さない。このデッキに眠るドラゴン達は俺とアストラル、そして大切な仲間達との絆の結晶だからな!」

 

「ふん……良い気になるのも今のうちです」

 

そして、ジャンヌ・オルタ達はワイバーンに乗り、その場から離脱した。

 

深追いは禁物だとアルトリアとエミヤも下手に手を出さずに剣を納めた。

 

ジャンヌ・オルタの標的の最優先がジャンヌから遊馬へと変更され、ジャンヌは心配そうに遊馬を見つめる。それに気付いた遊馬は笑みを浮かべた。

 

「心配するなって!みんなはマスターである俺を守るために戦ってくれるんだろ?だったら俺はみんなを守るために全力で戦う!へへっ、単純明快で分かりやすいだろ?」

 

ポジティブと言うか単純と言うか、単なる馬鹿なのか分からないが遊馬らしい言葉にジャンヌは苦笑を浮かべる。

 

「全く君という子は……」

 

「それが遊馬という人間だ、ジャンヌ。ところで……そこに隠れている二人、出てきたらどうだ?」

 

アストラルが目を鋭くして破壊された街の物陰を睨み付けると二つの影が動いた。

 

「あらー、見つかっちゃったわね」

 

「まあ仕方ないさ。どのみち出て行くタイミングを逃したからちょうど良いさ」

 

物陰から現れたのは二人の男女だった。

 

一人はマシュやアルトリアやジャンヌとは違うタイプの天真爛漫なアイドルみたいな可愛さを持つ少女でもう一人は派手な装飾に身を包んだ青年だった。

 

気配を隠していたが、二人ともサーヴァントでジャンヌ・オルタが従えているサーヴァントでは無かった。

 

「お待ちになって!私たちはあなた達の味方よ!」

 

「え?」

 

遊馬達はひとまずその街から離れて近くの森へ向かった。

 

話を聞くと二人は騒ぎを聞きつけてこの街にやってきて遊馬達の援護をしようと思っていたが、アトランタルの凄まじさに驚いてタイミングを完全に逃してしまった。

 

「って事は、二人は俺たちに協力してくれるのか?」

 

「ええそうよ!初めまして、私はマリー・アントワネット。クラスはライダーよ!」

 

マリー・アントワネット。

 

フランス革命期に消えた王妃、ヴェルサイユの華と謳われた少女である。

 

「マリー・アントワネット……ってええっ!?」

 

アイドルのような美少女がマリー・アントワネットと知り、遊馬は目を見開いて驚愕した。

 

「あら?私をご存知で?」

 

「知ってるも何も前に小鳥と一緒に『マリー・アントワネット展』という展示会に付き合わされたことがあって……俺たちの世界であんたはけっこう女性に人気があるから……」

 

「あら?そうなの!?それは嬉しいわね!しかも私の展示会が行われるなんて素敵だわ!」

 

「流石はマリーだ。では次は僕だ。僕はアマデウス、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだ」

 

「……何ぃいいいっ!?マリーの次は天才音楽家のモーツァルト!!?」

 

世界的に有名な天才音楽家のモーツァルトこと、アマデウスに遊馬は学校で習ったことのある英霊と次々と会えて興奮が上がっていく。

 

「おやおや、そこまで興奮するとはどうしたんだい?僕は芸術家の一人に過ぎないのだが……」

 

するとエミヤが自分も知っているようにアマデウスに興奮している理由を話す。

 

「モーツァルト……いや、アマデウス。君の作曲した音楽は遠い未来の世界で世界中に普及していて人気は衰えていない」

 

「そうなのかい?それは名誉なことだね」

 

「すごーい!流石は天才音楽家のアマデウスね!ところで、あなたはここにいるサーヴァントのマスターかしら?」

 

「ああ!俺は九十九遊馬!マスターをやっている、よろしくな、マリー!アマデウス!」

 

「私はアストラル、遊馬の相棒の精霊だ」

 

「私はマシュ・キリエライトです」

 

「セイバーのサーヴァント、アルトリアです」

 

「アーチャーのサーヴァント、エミヤだ」

 

「私はルーラー……ジャンヌ・ダルクです」

 

互いに自己紹介が終わり、ジャンヌ・オルタ達を打倒するためにマリー・アントワネットとアマデウスは遊馬達と共に戦うことを約束し、行動を共にすることとなった。

 

そして、その矢先に竜に跨る『もう一人の聖女』が遊馬達に近づいていた。

 

 

 

.




次回はあの鉄拳聖女様とバトルしたり、サーヴァント探しをします。

今回の黒ジャンヌちゃんと遊馬先生の対話はどうでしたでしょうか?

やっぱりカウンセラーの遊馬先生の言葉を再現するのは難しいですが、頑張って考えて行きます。


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ナンバーズ10 竜殺しを探せ!

日間ランキングで29位に入っていてビックリしました。
これも皆さんのお陰です、ありがとうございます!
これを励みに頑張りますのでよろしくお願いします!


新たなサーヴァント、マリーとアマデウスが仲間になり、遊馬達は森の中で休んでいた。

 

マリーとアマデウスも遊馬と契約を交わし、フェイトナンバーズのカードを作り出した。

 

マリーの絵はアイドルみたいに可愛らしく背後に優美な宮殿とガラスの馬が描かれており、アマデウスの絵は指揮棒を構えて背後に音符が描かれている。

 

マリーは生前にジャンヌを尊敬しており、こうして会えたことを心から喜んでいてマシュと一緒に楽しそうなガールズトークをしていた。

 

遊馬はフランスの聖女と王妃の夢の対話?を少し興味深そうに聞いていると静かな影が近づき、気配を察したアルトリアとエミヤが武器を構えた。

 

座っていた遊馬達も立ち上がって近づく影に対して構えた。

 

そして、現れたのは儚い雰囲気を出していた綺麗な女性だった。

 

「こんにちは、皆さま。寂しい夜ね」

 

遊馬達の前に現れたのはジャンヌ・オルタの後ろに控えていたサーヴァントの一人、バーサーク・ライダーだった。

 

「それを言うならこんばんはじゃないか?」

 

「遊馬君、突っ込むところはそこですか……?」

 

「……君はあの時もう一人のジャンヌと一緒にいたサーヴァントだな?何しに来た?」

 

遊馬とマシュが軽い漫才を始めそうだったのでアストラルが代わりにバーサーク・ライダーに質問をする。

 

「私は壊れた聖女……彼女のせいで理性が消し飛んで凶暴化してるのよ。今も衝動を抑えるのも必死。監視が役割だったけど、最後に残った理性が、貴方たちを試すべきだと囁いている」

 

「俺たちを、試す?」

 

「貴方たちの前に立ちはだかるのは竜の魔女。『究極の竜種』に騎乗する、災厄の結晶。私ごときを乗り越えられなければ、彼女を打ち倒せるはずがない」

 

究極の竜種と聞き、遊馬とアストラルはピクッと反応した。

 

バーサーク・ライダーは遊馬達の味方になることは出来ないが、越えるべき大きな壁として立ちはだかる。

 

「だから、私を倒しなさい。我が真名はマルタ。さあ出番よ、大手甲竜タラスク!」

 

マルタ、悪竜タラスクを鎮めた一世紀の聖女である。

 

そんなマルタの隣にはかつて彼女が退治したリヴァイアサンの子である大きな亀のような姿をした竜が召喚される。

 

タラスクは高速回転しながらいきなり襲いかかってくるが瞬時に遊馬が対処する。

 

「させるか!!手札の『虹クリボー』の効果!攻撃してきたモンスターに虹クリボーを装備する!装備されたモンスターは攻撃できない!!」

 

手札から七色に輝くボールみたいな可愛いモンスターが現れ、タラスクの体に纏うと体が固まって動けなくなる。

 

虹クリボーは遊馬の父が持っていたカードで数々の強敵のモンスターの動きを封じ、遊馬を守る盾となり、遊馬の危機を何度も救って来たモンスターである。

 

「タラスク!?」

 

「みんな、早く下がれ!」

 

「は、はい!」

 

「こうも簡単にタラスクを封じるとは。仕方ありません。さあ、来なさい……あなた達の力を見せなさい!」

 

タラスクが動かないと知るとマルタは主力武器かと思われた十字の槍を木に立てかけ、手甲を装着した両手で拳を作ってファイティングポーズを取った。

 

『聖女が武器でなく拳で戦うのか……?』

 

「拳で戦う聖女か……熱い、熱いじゃねえか!みんな、俺にやらせてくれ!この聖女さんの相手に相応しいとっておきの奴がいるぜ!」

 

ジャンヌとは異なり、聖女マルタの武器が拳なことに困惑するアストラルだが、基本的に熱血漢の部類に入る遊馬は逆に心が燃え上がり、マルタの相手に相応しいモンスターを呼ぶ。

 

「俺のターン、ドロー!『ガガガマジシャン』を召喚!ガガガマジシャンの効果でレベルを1にする!更に魔法カード、『ワン・フォー・ワン』!手札のモンスターを墓地に送り、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する!来い、『クリボルト』!」

 

『クリー!』

 

ガガガマジシャンの後にデッキから虹クリボーに似た電気を発生させる黒いボールみたいな可愛らしいモンスターが現れる。

 

「更にもう一丁!魔法カード、『死者蘇生』!さっきワン・フォー・ワンで墓地に送った『ダークロン』を墓地から特殊召喚!」

 

墓地から毛むくじゃらの小さな妖怪みたいなモンスターが現れ、これでレベル1のモンスターが三体揃った。

 

「かっとビングだ!レベル1のガガガマジシャン、クリボルト、ダークロンの三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

光の爆発と共に『54』の数字が空中に浮かび上がり、地面から現れたのは上部に血管がついた鼓動を弾ませる心臓のような物体が現れた。

 

心臓が変形すると屈強な肉体を持ち、獅子のような仮面と左胸に『54』の刻印が刻まれた赤い鎧を身につけた戦士が降臨する。

 

「現れろ、No.54!熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!『反骨の闘士ライオンハート』!!」

 

それは大昔に熱き拳を持ち、人々に希望を与えていた伝説の剣闘士が所有していた魂のナンバーズ。

 

「なるほど、拳で戦う聖女マルタに相応しい剣闘士みたいなナンバーズですね」

 

「それとマスターの虹クリボーは凄いですね、あの竜種を完全に動きを止めるとは」

 

「可愛らしい見た目に反して素晴らしい力を持っているな」

 

「それにしても、遊馬君って意外に熱いんですね……」

 

「マスター!頑張ってー!」

 

「聖なる拳を振るう聖女と熱き拳を振るう獅子の剣闘士か……よし、良い曲が浮かんだ」

 

「行け、ライオンハート!マルタに攻撃だ!」

 

ライオンハートは目を輝かせて拳を作り、マルタに向かって攻撃する。

 

「面白い……その勝負、受けて立ちます!!」

 

「あれ?ま、待ってください!あのナンバーズ、希望皇ホープと違って攻撃力は極端にありません!」

 

「「「えっ!?」」」

 

マシュはフェイトナンバーズの恩恵で何となくだがナンバーズの大体の攻撃力の数値を知ることが出来るが、ライオンハートのその勇ましい姿に反して攻撃力が低い事に驚いた。

 

モンスター・エクシーズはランクによって攻撃力の幅があり、ランクが高ければ高いほどそれに比例して攻撃力や能力も高くなる。

 

逆にランクが低いとそれに比例して攻撃力も低くなってしまい、ライオンハートの攻撃力は僅か100しかない。

 

剣闘士のナンバーズと一世紀の聖女……ライオンハートとマルタは拳と蹴りでストリートファイトのような激しい攻防をする。

 

マルタは一旦離れて右拳に聖なる光を込め、足に力を込めてライオンハートに近づいて全力で振るう。

 

「鉄拳聖裁!!!」

 

ライオンハートは希望皇ホープやリバイス・ドラゴンと違ってその召喚の難しさに見合った強力な効果を有している。

 

「ライオンハートの効果!戦闘では破壊されない!オーバーレイ・ユニットを使い、この戦闘のダメージは代わりに相手が受ける、バーニング・クロスカウンター!!」

 

ライオンハートはオーバーレイ・ユニットをその身に取り込むと左拳に炎を纏い、真正面からマルタと打ち合う。

 

マルタの拳とライオンハートの拳が交差し、互いの頬を強く殴り合った。

 

しかし、僅かにマルタの拳は届かず、ライオンハートの拳がマルタの頰に届いた。

 

本来マルタがライオンハートにぶつけるはずだった聖なる拳のダメージがライオンハートの効果によってそのまま自分に跳ね返った。

 

「ぐあっ!!?」

 

マルタは後ろに大きく吹き飛ばされ、木が何本も薙ぎ倒されるほどの衝撃を受けた。

 

それほどまでにマルタの本気の攻撃が凄まじいことを物語っていた。

 

ライオンハートの攻撃力はデュエルモンスターズの中でも最低ランクだが、カウンターを得意とした前の所有者である剣闘士の影響もあってか相手の攻撃力分のダメージをほぼそのまま跳ね返すカウンター攻撃の能力を持つ。

 

実質自分が放った攻撃力分のダメージをまともに喰らい、マルタの体が光の粒子となって消滅していく。

 

同時にマルタと一緒に動けなかったタラスクも消滅して行く。

 

「見事な攻撃、いや……いい拳だったわ。久々にいいのを貰ったわ」

 

聖女というよりもまるでヤンキーみたいに一瞬だけ笑みを浮かべながら殴られた頰を軽く摩ると、立てかけた十字の槍を持つ。

 

「……最後に一つだけ教えてあげる。竜の魔女が操る竜に、貴方達は絶対勝てない」

 

「……黒ジャンヌの『究極の竜種』ってことは、ようするに『地上最強のドラゴン』だよな?」

 

「そうよ。だから……」

 

「でも、俺が『宇宙最強のドラゴン』を操っているなら話は別だろ?」

 

「え?」

 

遊馬の発言に唖然とするマルタに遊馬はデッキからドローした光り輝くカードを掲げると背後に青白く輝く巨大な竜の幻影が現れる。

 

勇ましい咆哮を轟かせるその竜の幻影にマルタだけでなく後ろにいたマシュ達も驚愕していた。

 

その竜の幻影の全貌を見ることはできなかったが、光り輝く二つの瞳には無数の星々のような煌めく輝きが宿っていた。

 

「な、何ですかその竜は……?あなたは、一体……?」

 

タラスクよりも格上の強大なドラゴンを操る遊馬にマルタは動揺を隠せなかった。

 

「このドラゴンは自分の命よりも大切な弟を助けるために己を犠牲にしてまで戦った俺のライバルで、憧れの人から託された魂のドラゴンだ。俺たちは負けない、必ず黒ジャンヌのドラゴンを打ち破ってみせる」

 

「確かに……その竜なら可能性はありますね。でも、確実に超えるためにリヨンに行きなさい」

 

「リヨン?」

 

「そこに竜を倒す存在、『竜殺し(ドラゴンスレイヤー)』がいるわ」

 

「ドラゴンスレイヤーか……なるほど、戦力になるなら仲間に引き入れた方がこちらとしてもメリットが大きいな」

 

「タラスク、ごめん。次は真っ当に召喚されたいものね」

 

ジャンヌ・オルタに無理矢理狂化属性を与えられ、戦わされていたマルタは悲しそうな表情を浮かべるが遊馬が近づいて元気付けた。

 

「心配するな、次は俺が召喚してやるよ!」

 

「えっ……?」

 

「その代わり、人類の未来を守るための戦いに協力してほしい!頼む、マルタ!タラスク!」

 

無垢な笑みを浮かべ、先ほどまでは敵だったのに既に仲間として扱うような遊馬の言葉にマルタの心が安らいだ。

 

「……あなた、名前は?もう一度聞かせて」

 

「遊馬!九十九遊馬だ!」

 

「分かったわ、ユウマ……もしあなたが今度私を召喚出来たら、あなたのためにこの拳を振るうわ」

 

「ああ、待ってろ。必ず召喚するぜ!」

 

遊馬が拳を前に突き出して笑みを浮かべる。

 

「待ってるわ、私の未来のマスター」

 

マルタも自分の拳を突き出して遊馬の拳とぶつけると最後にウインクをして笑みを浮かべながらタラスクと共に消滅した。

 

最後に残ったマルタのフェイトナンバーズのカードを回収すると、マルタの助言を頼りにドラゴンスレイヤーがいるリヨンの街へ向かうことにした。

 

 

翌朝の早朝に遊馬達はリヨンに向けて出発し、その道中にあった街でエミヤとマリーの二人で街の人から色々な情報を聞き出した。

 

リヨンには大剣を持った騎士がワイバーンや骸骨兵を蹴散らして守り神として守っていたが、複数のサーヴァントが襲撃して行方不明となっていた。

 

遊馬達は急いでリヨンに向かい、竜殺しの騎士を探そうとしたが……街には生きる屍、リビングデッドがうろついているだげだった。

 

恐らくその街に住んでいた住人でもはや救うことができないだろう。

 

「何だよ、何だよこれ……?」

 

死体の次は生きる屍……遊馬はまたしても恐怖で体が震えてしまった。

 

マシュは遊馬を抱き寄せて目隠しをさせ、エミヤは干将・莫耶を構えて前に出る。

 

「……マスター、少しだけ目を閉じていろ。すぐに終わらせる」

 

エミヤは一刻も早く楽にさせるために干将・莫耶を振るい、リビングデッド達を切り倒していく。

 

全てのリビングデッドを倒し、ジャンヌが祈りを捧げる。

 

するとそこに一つの不気味な影が現れた。

 

それは顔の右側を髑髏の仮面で隠し、皮を剥いだように不気味な両手に鋭い爪を付けた男だった。

 

「人は私をオペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)と呼ぶ。竜の魔女の命により、この街は私の絶対的支配下に」

 

それは十九世紀を舞台とした小説、オペラ座の怪人に登場した怪人のモデルとなった男だった。

 

ファントムは敵である遊馬達を死者にするために宝具を展開する。

 

「唄え、唄え、我が天使……『地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)』」

 

ファントムの背後に無数の死骸で作成されたパイプオルガンが現れた。

 

そしてファントムの口から発された異様な歌声が、不可視の魔力放射をしてアルトリア達にダメージを与える。

 

ファントムの攻撃に対抗するために前に出たのはアマデウスだった。

 

「私に任せたまえ。聴くがいい!魔の響きを!『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』!」

 

それはアマデウスが生前に死神に葬送曲の作成を依頼されたという伝説の魔曲であった。その魔曲はファントムのステータスを下げた。

 

「外道が……」

 

「奴を許す訳にはいかない……」

 

アマデウスのお陰でパイプオルガンの魔力ダメージを抑え、アルトリアは約束された勝利の剣を構え、エミヤは弓矢と無数の剣を投影して一気に決めようとした。しかし背後からいきなり発せられた怒気に思わず振り向いた。

 

それは先ほどまで動けなかった遊馬だった。

 

遊馬はこれほどまでに外道な行いをしたファントムに強い怒りを覚え、アストラルと共に静かな怒りを発していた。

 

「許さない……こんな酷いことをしたてめぇを絶対に許さない」

 

「死者を弄ぶ貴様を私達は決して許さない……」

 

「俺のターン、ドロー。『ガガガマジシャン』を召喚。ガガガマジシャンの効果でレベルを5にする。自分フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガキッド』を特殊召喚し、その効果でガガガマジシャンと同じレベルとなる」

 

ガガガマジシャンの隣に弟分である少年が現れ、アイスを食べてアイス棒に描かれた五つの星と同じく自身のレベルが5となる。

 

「レベル5のガガガマジシャンとガガガキッドでオーバーレイ、エクシーズ召喚……」

 

ガガガマジシャンとガガガキッドは光となって地面に吸い込み、光の爆発が起きる。

 

「「現れよ、『No.61 ヴォルカザウルス』」」

 

地面から『61』の数字が浮かぶと大きな溶岩の突起を持つ球体の火山岩が出現し、高熱の炎を放出しながら変形し、灼熱の炎を纏う恐竜へと変形した。

 

ヴォルカザウルスから漂う炎の気は周囲にいる死体を静かに焼き尽くし、二度と外道の魔の手に触れないように灰にしていく。

 

「アルトリア、エミヤ。あのオルガンは俺がぶっ壊す。そしたら一気にファントムを倒せ」

 

「了解しました」

 

「頼むぞ、マスター」

 

「ヴォルカザウルスの効果、オーバーレイ・ユニットを使い、相手フィールドのモンスターを破壊する……パイプオルガンを焼き尽くせ、マグマックス」

 

ヴォルカザウルスがオーバーレイ・ユニットを喰らい、両肩の突起部分のカバーが開くと高熱の火炎が発射されてファントムのパイプオルガンを焼き尽くした。

 

ファントムはオルガンを無残に焼失され、更に破壊されたダメージをくらい、絶望に打ちひしがれる。

 

「あぁ……私の、クリスティーヌがぁ……」

 

「今だ、アルトリア、エミヤ」

 

アルトリアの約束された勝利の剣は既に刃に金色の輝きを湛え、エミヤは黒弓を構えて周囲に投影した剣の切っ先を全てファントムに向ける。

 

「あなたに慈悲は与えません」

 

「貴様は心優しいマスターを怒らせた、何も言わずに消えろ」

 

矢を放つと同時に剣が一斉に発射され、ファントムの体に突き刺さった。

 

そして、アルトリアの約束された勝利の剣の放った極光でファントムは断末魔の叫びもあげずに一瞬で消滅した。

 

消滅したファントムのフェイトナンバーズのカードがあり、回収しながら遊馬はヴォルカザウルスに命令した。

 

「ヴォルカザウルス、お前の炎でここにいる人たちを弔ってくれ」

 

ヴォルカザウルスは遊馬の命令に頷き、口から静かに炎を出して死者を灰にして弔う。

 

全ての死者の弔いを終えると、ロマニが街の奥の城から微弱なサーヴァントの気配をキャッチし、すぐに城に入った。

 

城の奥に光が見え、そこには焚き火の側で休んでいる騎士がいた。

 

「……いた!おーい、あんたは竜殺しの騎士か?」

 

「くっ……子供?それにサーヴァント……?」

 

騎士は酷い怪我を負っており、遊馬達はすぐに駆け寄った。

 

「ひでぇ怪我だ……大丈夫だ、俺たちは味方だ!」

 

「君は……?」

 

「遊馬だ!しっかりしろ!」

 

「これは……遊馬、『No.49』を使うんだ」

 

アストラルの助言を聞き、一瞬ぽかんとした遊馬だったがそのナンバーズの効果を思い出して頷いた。

 

「『No.49』……?あ、そうか!わかったぜ!『ズババナイト』を召喚!更に『影無茶ナイト』を特殊召喚!レベル3のモンスター二体でオーバーレイレイ、エクシーズ召喚!」

 

ズババナイトと影無茶ナイトを急いで呼び、オーバーレイして地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「来い、『No.49 秘鳥フォーチュンチュン』!」

 

地面から現れたのは『49』の飾りがある棒を口に咥えた小さな青い鳥のモンスターである。

 

「鳥……?」

 

フォーチュンチュンは小さな羽を羽ばたかせながら騎士の腕にちょこんと乗ると体からエメラルドグリーンの光を放って騎士の傷を癒していく。

 

「傷が治っていく……遊馬くん、これは癒しのモンスターですか?」

 

「ああ。フォーチュンチュンは僅かだけど自分のターン毎にライフを回復してくれる優しい力を持つナンバーズなんだ」

 

癒しのナンバーズ、フォーチュンチュンのお陰で騎士の傷を癒すことが出来たが、どうしても治らない傷があった。

 

それは呪いの傷で、その傷によって騎士はまともに動くことが出来ずにいた。

 

呪いを解くことができるのは『洗礼詠唱』が出来るジャンヌのような聖女か聖人のサーヴァントだけだった。

 

ジャンヌはランクダウンの影響で力が足りず、もう一人の聖人がいないと無理だった。

 

どうすればいいかと悩んでいるとロマニから連絡が入った。

 

聖杯を持っているのが竜の魔女、ジャンヌ・オルタならその反動で抑止力として聖人が召喚されている可能性がある。

 

サーヴァントの情報が無いのなら急いで探すしかない、今までと同様に街で情報を得るしかない。

 

手分けして探そうと意見が出たが、下手に戦力を分断するとジャンヌ・オルタたちの差し向けたサーヴァントに倒される可能性がある。

 

それを回避する方法をアストラルは瞬時に思いついた。

 

「遊馬、提案がある」

 

「何だ?アストラル」

 

「急ぐのならば皇の鍵に眠っている『アレ』を使うといい」

 

「アレ……?あっ!もしかしてまた使えるのか!?」

 

「当たり前だ。起動に必要な『No.66』がここにあるから問題なく使える」

 

「よっしゃあ!それがあれば快適だぜ!」

 

アストラルは皇の鍵の中に入ると遊馬は皇の鍵を首から外した。

 

「みんな!城の外に出てくれ!」

 

遊馬とアストラルが何か画期的な方法を思いついたのか、ひとまずマシュ達は騎士と一緒に城の外に出た。

 

遊馬は皇の鍵を空に向かって掲げた。

 

「行くぜ、『かっとび遊馬号』!起動!」

 

「「「かっとび遊馬号???」」」

 

マシュ達は何それ?と言わんばかりに首を大きく傾げると、皇の鍵が光り輝いて先端から金色の光線が空に向かって放たれた。

 

すると、光線を放った上空の空間が歪み出し、黒雲が広がった。

 

そして、歪んだ空間の中から現れたのは……巨大な飛行船だった。

 

しかし、普通の飛行船とはかなり異なり、船体が無数の大きな歯車が重なって作られ、そこからワイヤーのようなものでゴンドラが吊るされていた。

 

一体どんな物質で作られてどんな原理で動いているのか全く理解不能な飛行船だった。

 

「ゆ、遊馬君……あれは一体……?」

 

マシュが顔を引きつらせながら代表して尋ねると遊馬は得意げに答える。

 

「あれか?あれは皇の鍵に眠っている飛行船だ!」

 

それはアストラル世界で遊馬の父、九十九一馬が遊馬とアストラルの世界の命運をかけた戦いのために造った代物で異世界を渡ることができる。

 

思わぬ移動用の巨大船に遊馬はもしかしてサーヴァントなのか?とマシュ達は思わず思い込んでしまうのだった。

 

 

 

.




マルタさんは姐さんみたいなキャラなので再登場させようと思います。
ファントムは……うん、遊馬先生が慈悲を与える相手だと思わなかったので瞬殺しました。

そして、かっとび遊馬号こと皇の鍵の飛行船登場です。
これでマリーの死亡フラグが折れました。


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ナンバーズ11 決戦の地、オルレアンへ!

コレクターズパックでNo.29 マネキンキャット収録!
これでコレクターズパックでナンバーズ五枚収録で嬉しいです!
あと数年で全部揃ってくれれば幸いです。

※10話のライオンハートの効果を勘違いしたので訂正しました、大変申し訳ありませんでした。


遊馬とアストラルが呼び出した皇の鍵の飛行船こと、『かっとび遊馬号』。

 

元々は回収したナンバーズをアストラルが納める謎の建造物であったが、『No.66』が鍵となり、皇の鍵内の異空間から現実世界に召喚させて動かすことができる。

 

飛行船として空を航空することはもちろん、異次元ゲートを使って異世界に渡ることが出来る。

 

「シロウ……昔冬木で見た飛行船とはあんなものでしたっけ?」

 

「アルトリア、あれはもはや人智を超えたよくわからない代物だ。あまり深く考えないほうがいい……」

 

飛行船というものを一応知っているアルトリアとエミヤは頭が痛くなった。

 

「遊馬君……あなたには本当に驚かされますね……」

 

「キャー!マスター素敵!こんなすごい宝具を持っているなんて!」

 

「素晴らしい……こんな美しいものは初めて見たぞ!」

 

ジャンヌは遊馬の凄さに呆然とし、マリーとアマデウスは興奮していた。

 

「何者なのだ……?」

 

ただの子供ではない遊馬に出会ったばかりの竜殺しの騎士は困惑していた。

 

「みんな、飛行船に!乗り込むぜ!」

 

飛行船のゴンドラから円形の光が発射され、遊馬達を包むと一瞬で船内にワープされる。

 

船内のブリッジはまるで戦艦のようなハイテクな機材が並んでおり、中央には飛行船を操作する舵が設置されている。

 

「ようこそ、皇の鍵の飛行船へ」

 

舵の前にアストラルが立っており、飛行船の起動準備をしていた。

 

「す、凄い……カルデアの最新設備並みの機材です……」

 

カルデアの機材に触れていたマシュは飛行船の設備に驚いているとD・ゲイザーからダ・ヴィンチが連絡を入れてきた。

 

『ちょっとちょっと!遊馬君何だいこれは!?こんな凄いものがあるなんて聞いてないよ!』

 

未知なる科学技術で作られた飛行船に興奮気味のダ・ヴィンチに遊馬は苦笑いを浮かべた。

 

「悪い悪い、使えると思ってなかったから忘れていたんだよ」

 

『カルデアに戻ったら絶対に調べさせて、約束だから!!』

 

「はいはい、わかったよ。よし……」

 

ダ・ヴィンチと通信を切り、遊馬は舵に手を添えて出発準備をする。

 

「これからフランスの街へ移動して聖人のサーヴァントを探し出すぜ!」

 

「遊馬、出発だ!」

 

「おう!かっとび遊馬号、発進!」

 

かっとび遊馬号が発進し、フランスの街へ向かった。

 

数分後……。

 

「よし、到着!」

 

「「「早っ!!?」」」

 

最初の目的地であるティエールという街に到着した。

 

ロマニに確認してもらったところ、ティエールには二騎のサーヴァントの気配があり、遊馬とアストラルとマシュが飛行船から降りた。

 

その時、街から空に向けて炎が登り、遊馬達は一瞬思考が停止した。

 

「……今、炎が上がらなかった?」

 

「上がったな……」

 

「急ぎましょう!」

 

遊馬達は急いで街の中に入るとそこに二人の少女の姿をしたサーヴァントがいた。

 

一人は淡い緑色の髪に着物を着た少女でもう一人はゴスロリ風の衣装を着たマイクを持つ少女で何故か言い争って激しい攻撃をする。

 

「このっ!この、この、このっ!ナマイキ!なのよ!極東のド田舎リスが!」

 

「うふふふふ。生意気なのはさて、どちらでしょう。出来損ないが真の竜であるこの私に勝てるとお思いで。エリザベートさん?」

 

「うーーっ!ムカつくったらありゃしないわ!カーミラの前にまずはアンタを血祭りにしてあげる!この泥沼ストーカー!」

 

「ストーカーではありません。『隠密的にすら見える献身的な後方警備』です。この清姫、愛に生きる女です故」

 

「アンタの愛は人権侵害なのよ!」

 

「血液拷問フェチのド変態に言われたくありませんね」

 

ヒートアップしていく二人に遊馬は慌ててデッキからカードを引き、喧嘩を止めるためのカードを発動する。

 

「やめろって!魔法カード、『光の護封剣』!!」

 

天空から聖なる光の剣が降臨して二人の周りに突き刺さり、聖なる力で動けなくした。

 

「う、動けない……!?」

 

「な、何よこの剣は……!?」

 

「お前ら……こんなところで喧嘩はやめろ」

 

「な、何ですかあなたは……?」

 

「魔術師なの……?」

 

「九十九遊馬、こっちは相棒のアストラル。そしてデミ・サーヴァントのマシュ。お前らはサーヴァントだよな?」

 

遊馬は呆れ顔で自己紹介するがそんなことよりも二人は喧嘩を優先して光の護封剣で封じられながらも口喧嘩をする。

 

アストラルとマシュも喧嘩する二人に呆れていると遊馬は両手を握りしめて軽く息をかけた。

 

「ゆ、遊馬君……?」

 

「いい加減に……しろ!!!」

 

ガキィン!!

 

「「フニャア!!?」」

 

「「あ……」」

 

遊馬の怒りの鉄拳が二人の頭に直撃し、猫みたいな奇声を放った。

 

魔力も込められてないただの拳だが二人には何故か脳裏に響くようなダメージが与えられ、涙目になりながら遊馬を睨みつける。

 

「い、痛い……です」

 

「何するのよもう!」

 

「さっきから聞いていればガミガミとやかましいんだよ。お前らサーヴァントだろ?そんな子供みたいな喧嘩をして恥ずかしくないのかよ?それに喧嘩するなら街中じゃなくて外でやってろよ、街の人に迷惑じゃねえか」

 

まるで親に叱られている子供のようになった二人だった。

 

「し、しかし……この女が……」

 

「だ、だってこいつが……」

 

「まだ言う?俺の世界では……喧嘩両成敗と言う言葉があるけど、もう一度拳骨喰らいたい?」

 

「「ひうっ!?ご、ごめんなさい……」」

 

遊馬の拳骨に既に恐怖を抱いた二人は大人しく引き下がった。

 

謝ったので遊馬は光の護封剣を解除し、二人に質問する。

 

「わかったならいいんだよ。それで二人に聞きたいことがあるんだ。俺たちの仲間が呪いで苦しんでいて、呪いを解くために聖人のサーヴァントを探してるんだ。知らないか?」

 

「聖人?この国に広く根付いた教えの聖人ならば、一人心当たりがありますが」

 

「本当か!?」

 

「ええ。彼の真名はゲオルギウス、西側に向かいました」

 

「西か……ありがとう!えっと……あ、悪い。二人の名前を教えてくれ」

 

「私の名は清姫と申します」

 

「私はエリザベートよ、それにしてもアンタ、変な力を感じるわね」

 

清姫は安珍清姫伝説という和歌山県に伝わる伝説の童女で、エリザベートは血の伯爵夫人と言われたエキセントリックな少女である。

 

「そうか?それよりも一つ提案があるんだけど、これからフランスを黒ジャンヌから解放するために戦っているんだけど、一緒に来ないか?」

 

遊馬は清姫とエリザベートに共に戦う仲間にならないかと誘うと……。

 

「わかりました、喜んで力をお貸しします」

 

清姫は先程とは全く違う反応で、遊馬の顔を見て頰を少し赤く染めて、即答した。

 

「決断早っ!?」

 

「ふん、そういう事なら手伝ってもいいわよ」

 

エリザベートもなんだかんだで了承し、二人は遊馬と早速契約を結んだ。

 

清姫との契約は何故か指切りで嘘をついたら針千本を呑ませるというよくわからない約束をされた。

 

エリザベートとはいつも通り握手を交わして契約し、二人のフェイトナンバーズのカードが作成された。

 

清姫の絵は扇子を広げて舞うような姿に背後に白い大蛇が描かれており、エリザベートはマイクを片手に持ち、背後にはアイドルのライブみたいな巨大アンプが描かれていた。

 

「まあ、素敵なカード。ありがとうございます、『旦那様(ますたぁ)』♪」

 

「……アンタいま、とんでもない変換しなかった……?気をつけなさいよ、マスター。こいつとんでもないストーカーだから」

 

「え?ストーカー?」

 

どういう事?と首を傾げる遊馬だったが、ひとまず清姫が会った聖人に会いに飛行船に再び乗って今度は西へ向かった。

 

今度は飛行船から全員降りて街を捜索するとひときわ目を惹く鎧を纏った長い髪の男性がいた。

 

「あんた、ゲオルギウスか!?」

 

「君は?それに……サーヴァント!?これほど沢山!?」

 

ゲオルギウス。

 

聖ジョージとも呼ばれ、聖剣アスカロンを手にドラゴンを退治した伝説の聖人である。

 

遊馬と一緒にいる大勢のサーヴァントに警戒するが、警戒を解く為に遊馬はすぐに用件を言う。

 

「俺たちは敵じゃない!仲間が呪いにかけられて聖人であるあんたの力が必要なんだ!頼む、力を貸してくれ!!」

 

頭を深く下げて頼む遊馬の姿にゲオルギウスと竜殺しの騎士は驚いた。

 

他人の為に、仲間の為に迷うことなく頭を下げて頼み込むその姿にゲオルギウスは腰を下ろして遊馬の視線に合わせて肩に手を置いた。

 

「分かった。私の力でよければ君に貸そう」

 

「本当か!?」

 

「だが、この街の人間を避難させないといけない。それが終わってからで良いか?」

 

「もちろんだ!それなら俺たちも手伝うぜ!」

 

遊馬達も街の人の避難を手伝おうとした……その時だった。

 

「はっ!?この気配……遊馬君!ワイバーンが来ます!」

 

「何ぃっ!?」

 

ジャンヌがワイバーンが来る気配を察知し、空を見上げると小さな黒い無数の点が近づくのが見えた。

 

それらは全部ワイバーンであまりの数に街の人たちは混乱して行く。

 

「ったく、黒ジャンヌも懲りないな……」

 

「遊馬、人々を守るために一気に決めるぞ!『No.91』だ!」

 

「ああ!俺のターン、ドロー!自分フィールドにモンスターがいない時、『ドドドバスター』を特殊召喚出来る!この時、ドドドバスターのレベルが6から4になる!」

 

ドドドウォリアーに似たモーニングスターを持つヴァイキング風の戦士が降り立ち、レベルが6から4となる。

 

「更に『ゴブリンドバーグ』を通常召喚!効果で手札から『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚する!」

 

ゴブリンドバーグが召喚され、その効果でコンテナからゴゴゴゴーレムが特殊召喚され、レベル4のモンスターが三体揃った。

 

「レベル4のドドドバスター、ゴブリンドバーグ、ゴゴゴゴーレムの三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

三体のモンスターが地面に吸い込まれ、光の爆発が起きると青白い光が天に昇った。

 

「現れよ、『No.91 サンダー・スパーク・ドラゴン』!!!」

 

空に『91』の数字が浮かぶと雷雲が空いっぱいに広がり、雷電の中から青白い蛇の姿をした巨大な雷の竜が現れた。

 

「まさか、旦那様が竜使いだったなんて……」

 

「な、な、何よあれ!?私よりも格上のあんな竜を操るなんて……マスターは一体何者よ!?」

 

清姫は竜種に転身することができ、エリザベートは竜種であり、二人よりもランクの高いサンダー・スパーク・ドラゴンを召喚した遊馬に驚いている。

 

「みんな、巻き込まれたくなかったら手を出すなよ。俺の後ろに下がっててくれ!」

 

サンダー・スパーク・ドラゴンは強力な効果を有して降り、下手をすれば味方をも巻き込みかねないほどのものであるため、遊馬はマシュ達を後ろに下がらせた。

 

「行くぜ……サンダー・スパーク・ドラゴンの効果!オーバーレイ・ユニットを三つ使い、サンダー・スパーク・ドラゴン以外の全てのモンスターを破壊する!!」

 

サンダー・スパーク・ドラゴンは全てのオーバーレイ・ユニットを喰らい、体から膨大な電気を放出する。

 

空に浮かぶ雷雲が共鳴し、ワイバーンは人を襲うどころではなく混乱するが時は既に遅かった。

 

「行け、サンダー・スパーク・ドラゴン!ワイバーンを全てぶっ飛ばせ!!サンダー・スパーク・ボルトォォォッ!!!」

 

『ギュオオオオオオオーッ!!!』

 

サンダー・スパーク・ドラゴンの赤い目が輝き、その身に宿る全ての電気を放出し、雷雲からも数多の落雷が降り注いでワイバーンを全て撃ち落とす。

 

降り注いだ雷電は遊馬の味方のサーヴァントや避難していた街の人間には一切落ちず、ワイバーンのみ撃ち落とした。

 

ワイバーンは雷に打たれて丸焦げになり、地面にボトボトと地面に落ちていく。

 

まるでワイバーンから人々を守るために天から舞い降りた守り神が現れたかのように人々は震え上がって歓声を送った。

 

「へへっ……これで街は、守れたぜ……」

 

遊馬は街と人々を守れたことを嬉しく思いながら拳を高く掲げたが、その直後に意識が朦朧して体が崩れ落ちる。

 

「遊馬!?」

 

「「遊馬君!?」」

 

「旦那様!?」

 

「「「マスター!?」」」

 

遊馬が突然倒れたことにアストラルとマシュ達は驚いてすぐに駆け寄った。

 

その後、ゲオルギウスが街の市長に頼んで空き家を借り、そこで遊馬を休ませてもらった。

 

街をワイバーンから救い、守ってくれた遊馬を街の人たちは勇者と崇め、心の底から感謝して遊馬の為に栄養がつくよう大量の食料を贈った。

 

ベッドで眠っている遊馬を映像越しでロマニがチェックしたところ、度重なるサーヴァント達との戦いの疲れと死体やリビングデッドを見たことによるストレスが重なったことによる疲労困憊だった。

 

特に遊馬はまだ十三歳で自ら率先してモンスターを召喚して戦っていたので精神的にも肉体的にも限界が来てしまったのだ。

 

マシュ達はサーヴァントは遊馬に頼り過ぎてしまったのではないかと自責の念を抱いて深く反省し、今それぞれに自分ができることをする。

 

街の警護やジャンヌ・オルタ達の情報収集を行い、マシュは遊馬の看病に専念した。

 

清姫も遊馬の看病をしたかったが、任せると何かやばい予感がしたのでアルトリアとエリザベートが無理やり連れ出した。

 

マシュはスヤスヤと眠る遊馬を見守りながら悲しそうな表情を浮かべていた。

 

「私……遊馬君のサーヴァント失格です……」

 

マシュは誰よりも遊馬に近いサーヴァントなのに遊馬に大きな負担をかけてしまったことに誰よりも責任を感じていた。

 

そんなマシュを励ますかのように皇の鍵の中で休んでいたアストラルが現れた。

 

「マシュ、君が責任を感じる事はない」

 

「アストラルさん……でも……」

 

「……遊馬と私には師匠のある教えがあるんだ」

 

「師匠……?」

 

「名は三沢六十郎。遊馬のデュエルの師匠で、私達が道に迷った時、壁にぶち当たった時に大切なことを教えてくれた大切な恩師だ」

 

「それって、どんな事ですか……?」

 

マシュが尋ねるとアストラルはフッと笑みを浮かべて窓から夜空を見上げ、その時のことを思い出す。

 

「仲間を守り、共に戦う事だ」

 

それは遊馬とアストラルが初めて強大な相手と対峙し、敗北の恐怖で道に迷った時にその教えを説いた。

 

自分達は一人ではない、共に戦う大切な仲間がいればどんな強大な敵にも立ち向かうことができる。

 

それはこの世界で共に戦うマシュ達サーヴァントも同じである。

 

「遊馬はこれからも君達を守り、そして共に戦う為に自分の身を犠牲にするだろう。しかし、それをマシュ達が背負う事はない。それが遊馬が信じ、進む道だから……」

 

遊馬の事を誰よりも理解しているアストラルの言葉にマシュは頷き、新たな覚悟を決めた。

 

壁に立てかけた盾を手に取り、片手で胸に手を置いて自身に宿る英霊の魂に今の自分の覚悟を話す。

 

「この盾に掛けて、遊馬君を守り抜き、共に戦います!遊馬君が無茶を貫き通すなら、私が支えます!!」

 

遊馬のデミ・サーヴァントとして、シールダーとして守るだけじゃない、支える存在になると誓った。

 

マシュの中にいる英霊はその誓いを聞き入れ、頑張れと応援するかのように十字架の盾が淡く光った。

 

マシュの誓いを聞いたアストラルは優しい笑みを浮かべて頷いた。

 

翌朝、遊馬は無事に目を覚まし、エミヤが街の住人から貰った食材を元に作った豪華な料理を食べて英気を養った。

 

竜殺しの騎士は昨夜のうちにジャンヌとゲオルギウスの力で無事に呪いは解け、本来の力を取り戻すことが出来た。

 

竜殺しの騎士はジャンヌとゲオルギウスに感謝すると同時に自分の為に精一杯動いてくれた遊馬に深い感謝の念を抱き、無事に回復した遊馬の前で跪いた。

 

「我が真名はジークフリート。あなたには感謝しきれないほどの恩を受けた。この剣と命……マスターであるあなたに捧げることをここに誓う」

 

ジークフリート。

 

真竜ファブニールを倒した竜殺しの大英雄である。

 

すると遊馬は笑みを浮かべて手を差し伸べた。

 

「そんな堅苦しいのは良いって。俺たちはもう仲間だろ?だから、一緒に戦ってくれ!ジークフリート!」

 

「はっ……!」

 

ジークフリートはマスターである遊馬と握手をしてサーヴァントの契約を交わし、フェイトナンバーズのカードが現れる。

 

そしてもう一人、遊馬と契約を望むサーヴァントがいた。

 

「少年……君の事は皆から話を聞きました。勇敢なるあなたを守る為に、私も共に戦います」

 

「ゲオルギウス……ありがとう!一緒にフランスを守ろうぜ!」

 

「はい!」

 

ゲオルギウスも遊馬とサーヴァントの契約を交わし、もう一枚のフェイトナンバーズのカードが現れる。

 

ジークフリートの絵は鎧姿で大剣を担いだ騎士らしい姿が描かれて降り、ゲオルギウスは白馬に跨り剣を掲げた姿が描かれている。

 

無事にドラゴンに対して最強と言っても過言ではないジークフリートが回復し、ここでジャンヌは遊馬に提案する。

 

「遊馬君。いえ、マスター。私達の陣営の戦力は最大限まで揃ったはずです。今こそ、オルレアンへ向かいましょう」

 

「へへっ、俺もちょうどそう思っていたところだぜ。仲間も集まった、俺も全快だ。黒ジャンヌと決着をつけようぜ!!」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

フランスにレイシフトしてから早数日、七人のサーヴァントが仲間となり……。

 

遊馬とアストラル。

 

マシュとジャンヌ。

 

アルトリアとエミヤ。

 

マリーとアマデウス。

 

清姫とエリザベート。

 

ジークフリートとゲオルギウス。

 

合計で十二人のパーティーとなり、かなりの大所帯となったがジャンヌ・オルタの陣営の戦力がまだ不明な点があるので味方が多いに越した事はない。

 

アルトリアとエミヤの二人を中心に作戦を考えるが遊馬は手を上げて意見を言う。

 

「みんな、黒ジャンヌは俺に任せてくれないか?」

 

「任せるとは、どう言う事ですか?」

 

ジャンヌが眉を寄せて尋ねると遊馬は手を握りしめて真剣な眼差しをする。

 

「あいつと真正面でぶつかりたいんだ。 俺とアストラルの持てる力の全てをぶつけてあいつの憎しみと悲しみを曝け出す」

 

「憎しみと悲しみ、ですか?」

 

「ああ。黒ジャンヌをただ倒すだけじゃダメな気がして……」

 

遊馬は初めて会った時からジャンヌ・オルタの事を気になっていた。

 

どうしてジャンヌ・オルタはあそこまで歪んでしまったのか?

 

その事をずっと考えていてジャンヌから生まれた負の感情の存在がジャンヌ・オルタであるならば全てを曝け出してぶつかりたいと遊馬は強く望んだ。

 

これは戦いである為、遊馬の考えは甘いと思われるがそれが遊馬の持つ強みだと理解しているアルトリア達は反論せずにそれに従った。

 

「遊馬君、よろしければ私も彼女との戦いに同行してもよろしいですか?彼女にはどうしても聞かなければならないことがあるので……」

 

ジャンヌも遊馬と同じようにジャンヌ・オルタの事をずっと考えていて遊馬と同行して確かめたいことがあった。

 

「ああ。良いぜ、ジャンヌ。一緒に黒ジャンヌのところへ行こうぜ!」

 

「はいっ!」

 

遊馬達の考えがまとまり、いよいよジャンヌ・オルタ達との決戦の時が近づく。

 

希望の未来を信じる者と絶望の未来を望む者……二人の想いが遂に激突する。

 

 

 

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次回はいよいよ黒ジャンヌとの対決です。
まずは黒ジャンヌ以外のサーヴァントたちとバトルです。

原作ならここでマリー様がジャンヌ達を守るために消滅してしまいましたが、全員揃っていたので死亡フラグを回避しました。
ちなみに黒ジャンヌはアトランタルで魔力がかなり無くなっていたので回復に専念していました。


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ナンバーズ12 騎士王出陣!

今回は騎士王こと、アルトリアがメインです。
相手があの男ですからね……黒ジャンヌは次回に持ち越しです。


第一特異点で遊馬は味方となる全てのサーヴァントを集め、遂にジャンヌ・オルタたちと決着を付けるためにオルレアンへ向かう。

 

案の定、ワイバーンが空をうようよ飛んでおり、ここまで大量にいるとどこから召喚しているのか疑問に思うほどだった。

 

そして、先兵として二人のサーヴァントが襲来してきた。

 

「……フォウフォウ!」

 

「早速来たか!」

 

「フォウ、隠れてろよ!」

 

「フォキュー!」

 

「一人はアーチャー、もう一人はセイバー……いや、バーサーカーみたいだな」

 

一人は猫のような耳と尻尾が生えた獣人のような弓矢を待つ少女でジャンヌ・オルタによって凶化されたバーサーク・アーチャー。

 

もう一人は漆黒の鎧に赤黒い剣を持った騎士で他のバーサーク・サーヴァントとは違い、最初から狂化属性を与えられて召喚されたバーサーカーだった。

 

バーサーカーはアルトリアを見つめると文字通り狂ったかのように襲いかかる。

 

「Aurrrrrrr!!!」

 

「バーサーカーの相手は私が!!」

 

「アルトリア!?」

 

アルトリアはバーサーカーを引き連れて遊馬達から離れる。

 

「エミヤ、アルトリアの元へ行け!」

 

「マスター。しかし……」

 

「嫁を助けるのは旦那の役目だろ?」

 

「なっ!?わ、私はアルトリアの旦那ではない!!」

 

「あ、もしかして逆?アルトリアはアーサー王として男装していたし、エミヤはカルデアのオカンだから」

 

「ええい!どうしてそうなる!?」

 

「ああ、もう!いいから早く行け!令呪で命令するぞ!!」

 

「くっ……承知した!」

 

エミヤは顔を少し赤くしながらアルトリアの元へ向かった。

 

一方、バーサーク・アーチャーはマルタとは違って狂って頭が可笑しくなったかのように言葉を重ねている。

 

「……殺してやる……殺してやるぞ!誰も、彼も、この矢の前で散るがいい!」

 

バーサーク・アーチャーが構えた弓から二本の矢が空に放たれると空から大量の矢が雨のように降り注いで遊馬達を攻撃して来る。

 

遊馬は急いで希望皇ホープを召喚しようとしたが、それよりも早くゲオルギウスが剣を構えた。

 

「させません!『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!!」

 

ゲオルギウスを中心にバリアのようなものが張られ、矢の雨が全て弾かれた。

 

それはゲオルギウスの剣、アスカロンの能力。

 

あらゆる害意と悪意から持ち主を遠ざける無敵の剣であり、敵を倒す意味の無敵でなく如何なる敵からも守る意味での無敵を意味している。

 

「さあ、マスター!」

 

「サンキュー、ゲオルギウス!俺のターン、ドロー!魔法カード、『ガガガ学園の緊急連絡網』を発動!デッキから『ガガガマジシャン』を特殊召喚!更に、ガガガマジシャンの効果でレベルを5にする!」

 

デッキからガガガマジシャンが呼び出され、腰のバックルの星が5に変化する。

 

「『ゴゴゴゴーレム』を通常召喚!そして速攻魔法、『スター・チェンジャー』を発動!フィールドのモンスターを選択し、レベルを一つ上下させる。ゴゴゴゴーレムのレベルを5にする!」

 

ゴゴゴゴーレムのレベルが5になり、レベル5のモンスターが二体揃った。

 

「俺はレベル5のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「昏き王よ、疾く現れよ!『No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー』!!!」

 

空中に『12』の文字が浮かび上がると、地面から回転する大きな赤い手裏剣が現れ、変形すると忍者刀を逆手に持ち、左胸に『12』の刻印が刻まれた真紅の鎧を纏った忍者が見参した。

 

それは遊馬の兄弟子で忍者デッキの使い手である闇川がかつて所持していたナンバーズである。

 

「クリムゾン・シャドー、攻撃だ!」

 

クリムゾン・シャドーはアサシンのように素早い走りでバーサーク・アーチャーに一気に近付いて忍者刀を構える。

 

バーサーク・アーチャーは再び弓を構えて矢を連射してクリムゾン・シャドーを狙うが、遊馬が何の策も無くモンスターを特攻させる訳がなかった。

 

「クリムゾン・シャドーの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このターン自分フィールドの忍者モンスターは戦闘と効果で破壊されない!!」

 

クリムゾン・シャドーがオーバーレイ・ユニットを体内に取り込んだその直後にバーサーク・アーチャーが放った矢が体に突き刺さった。

 

しかし、クリムゾン・シャドーは一切怯まず、しかも足の速度を緩めず一直線にバーサーク・アーチャーの元へ向かう。

 

「な、何で止まらない!?」

 

アーチャーのクラスに恥じない凄まじい矢の連射を繰り返すバーサーク・アーチャーだが、どれだけ矢が体に突き刺さろうともクリムゾン・シャドーは決して倒れない。

 

「クリムゾン・シャドー自体が忍者モンスター。つまり、どれだけその身に矢に打たれようとも破壊されない!」

 

自身と仲間である忍者モンスターに無敵の肉体を与える、それがクリムゾン・シャドーの能力である。

 

「行けぇっ!クリムゾン・シャドー!月影紅斬り!!」

 

矢の雨を掻い潜り、遂にバーサーク・アーチャーを補足したクリムゾン・シャドーの忍者刀の一閃が煌めいた。

 

忍者刀がバーサーク・アーチャーの体を斬りつけ、体から血が流れると、ようやくと言った様子で穏やかな表情をする。

 

「……これでいい、これでいい。まったく、厄介でどうしようもなく損な役回りだった。それにしてもあなた、面白い力を使うマスターね……頑張りなさい」

 

「おい、あんたの名前は!?」

 

「私の名はーーーー」

 

バーサーク・アーチャーは遊馬に名を告げる前に消滅してしまい、フェイトナンバーズだけが残ってしまう。

 

遊馬はバーサーク・アーチャーの名前を聞けなかったことを後悔しながらフェイトナンバーズのカードを回収し、急いでアルトリアの元へ急いだ。

 

一方、アルトリアとバーサーカーの戦いは嵐のような剣戟を繰り広げていた。

 

エミヤも弓矢を投影して援護に回っていたが、バーサーカーの剣技は凄まじく二人相手でも互角に渡り合っていた。

 

遊馬達が駆けつけ、アルトリアは目の前で戦っているバーサーカーに哀れみの表情を浮かべながら呟いた。

 

「……ランスロット、あなたはまだ……」

 

ランスロット。

 

それはアルトリアの配下で円卓の騎士の一人。

 

湖の騎士にして裏切りの騎士である。

 

その名前が耳に届いた遊馬達はまさかバーサーカーがランスロットとは夢にも思わず目を見開いて驚いた。

 

「おいおい!まさかの円卓の騎士の身内かよ!?」

 

「ランス、ロット……?」

 

マシュはランスロットを見つめると何故だが胸がざわついて胸元で強く手を握りしめた。

 

遊馬はアルトリアの動きがいつもと違い、ランスロットの事で迷いがあるのではないかと気付いた。

 

「アルトリア!詳しくは知らないけど、ランスロットをどうしたいんだ!?」

 

「マスター、私は……」

 

「お前にとって大切な仲間だったんだろ!?辛いことがあっただろうけど、今のお前は昔のアーサー王とは違うはずだ!自分の今の気持ちを正直になるんだ!!」

 

「今の気持ち……」

 

アルトリアは一度バーサーカーとなったランスロットと対峙した事がある。

 

あの時は答えを見つけられず倒す事しか出来なかったが、今は違う。

 

大切な人との出会いが自分を変えた。

 

だからこそ、ランスロットと向き合って答えを出す。

 

「ランスロット、私はあなたを許します」

 

それが今のアルトリアの出した答えでこれ以上苦しませないように一刻も早く倒す事を決意する。

 

「マスター!私をフェイトナンバーズで召喚してください!ランスロットとここにいる全てのワイバーンを倒します!」

 

「おう!行くぜ、アルトリア!俺のターン、ドロー!トイナイトを通常召喚!相手フィールドに敵が存在し、自分フィールドにレベル4のモンスターのみ存在する時、手札からトラブル・ダイバーを特殊召喚!」

 

トイナイトが現れ、その隣にダイバーの格好をした小さな虎のようなモンスターが現れる。

 

「来い、アルトリア!」

 

「はい!」

 

アルトリアは遊馬の元へ戻ろうとするが、アルトリアに執着するランスロットの前にエミヤが立ち向かう。

 

「Aurrrrrthrrrrr!!」

 

「アルトリアの邪魔はさせない。しばらく付き合ってもらおう!」

 

「エミヤよ!」

 

「私達も助太刀します!」

 

ジークフリートとゲオルギウスも助太刀をし、三人がかりでランスロットを止める。

 

その間に遊馬がデッキケースからアルトリアのフェイトナンバーズを取り出し、アルトリアは光の粒子となってカードの中に入る。

 

「レベル4のトイナイトとトラブル・ダイバーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

トイナイトとトラブル・ダイバーが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「誇り高き騎士の王よ、聖なる星の輝きを秘めた剣で常闇の未来を切り開け!!」

 

光の爆発と共に金色の光が天に昇り、アルトリアの新たな姿が顕現する。

 

「現れよ!『FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア』!!」

 

金色の光が弾け、アルトリアが戦闘時に装着している鎧に加え、両肩には希望皇ホープと同じ白のプロテクターに空を自由に飛ぶことができる双翼が装着されていた。

 

アルトリアの右手には約束された勝利の剣、そして左手には驚くべきことにもう一つの聖剣が握られていた。

 

「あの剣は、まさか……!?」

 

その剣の事を知っていたエミヤはアルトリアの手にそれがある事を信じられなかった。

 

何故ならその剣は『失われて』、アルトリアが二度と手にすることが出来ないからだ。

 

アルトリアも左手にある聖剣に目を疑ってその名を呟いた。

 

「『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』……?」

 

それはアルトリアが王になるために石から引き抜いた選定の剣で、過去に失われた聖剣だった。

 

サーヴァントとして召喚されながらも宝具として使うことが出来なかった勝利すべき黄金の剣がアルトリアの手にある理由……それはフェイトナンバーズの力によるものだ。

 

ナンバーズは人の希望を写す鏡、それは想いや欲望や願い……触れた人の心が写される。

 

そして、フェイトナンバーズは遊馬と英霊たちの力が合わさった結晶……契約した英霊の心に映された力を具現化する事ができる。

 

アルトリアにとって勝利すべき黄金の剣は馴染みのある大切な剣で二度と触れることが出来ないと思っていたので思わず一瞬だけ笑みを浮かべ、すぐにキリッと真剣な表情となる。

 

「マスター!いきます!」

 

「ああ!かっとビングだ、アルトリア!アルトリアの効果発動!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、俺の手札を三枚除外する!」

 

アルトリアの周りにあるオーバーレイ・ユニットが一つずつ約束された勝利の剣と勝利すべき黄金の剣に取り込まれ、刀身に美しい黄金の輝きを宿す。

 

そして、遊馬の手札が三枚除外されて使えなくなるが、その代わりアルトリアの持つ強力な効果を発動出来る。

 

「アルトリアの攻撃力を二倍にし、敵全てに攻撃することができる!!!」

 

双つの聖剣……約束された勝利の剣と勝利すべき黄金の剣の黄金の輝きが増していき、その光は夜空に輝く星の如き閃光を放っていた。

 

ランスロットはエミヤ達を退けて高く飛び上がり、ワイバーンを足場代わりにしてアルトリアに近づいて漆黒の剣を振り下ろした。

 

アルトリアは強い意志が込められた瞳で見開き、聖剣を持つ両腕を大きく振り上げた。

 

「未来を切り開く、双つの輝ける星の剣!!」

 

そして、双つの聖剣を十字に交差させるように振り下ろした。

 

「『双星煌めく勝利と黄金の剣(ダブル・エクス・カリバー)』!!!」

 

交差させるように振り下ろした聖剣の輝き。

 

それはアルトリアの目の前から半径数百メートルにも渡る巨大な極光となり、ランスロットを含む全てのワイバーンを一瞬にして光の濁流に呑み込まれた。

 

ランスロットの身を包んだ漆黒の鎧が砕け散り、消滅しながらアルトリアに向けて手を伸ばした。

 

「王、よ……私、は……」

 

消滅していくランスロットにアルトリアは微笑みながら言葉を送る。

 

「ランスロット、もう良いのです。あなたは十分苦しんだ……あなたの罪を、許します」

 

その言葉にランスロットは一筋の涙を流し、静かに消滅した。

 

光の濁流が消えると、ワイバーンの残骸は一切無く、最後に残ったのはランスロットのフェイトナンバーズのカードだけだった。

 

アルトリアはそのカードを静かに抱き寄せながら遊馬たちの元へと降りる。

 

「マスター、ありがとうございます」

 

ランスロットのフェイトナンバーズのカードを遊馬に渡す。

 

「アルトリア、少しは吹っ切れたか?」

 

「そうですね……もし、次彼に会った時はちゃんと面と面で向かって話し合い……いえ、殴り合います!」

 

爽やかな笑顔で拳を作るアルトリアに遊馬達は耳を疑って目を見開いた。

 

「な、殴り合うの!?」

 

「ええ、きっと殴り合ったほうがお互いスッキリするので!」

 

「君がそれで良いならいいが……」

 

「全く本当に君は変わったなぁ……」

 

アストラルとエミヤは苦笑いを浮かべ、マシュ達も思わず笑いがこぼれた。

 

二人のサーヴァントを倒し、その直後にオルレアンから複数の生体反応を感知し、遊馬達は身構える。

 

そして、遊馬達の前に現れたのはジャンヌ・オルタと四人のサーヴァントである。

 

そして、四人のサーヴァントの正体はエミヤ達の情報収集や事前にその存在を知っていた清姫とエリザベートによって判明していた。

 

可憐な騎士の姿をしたバーサーク・セイバーはマリーのフランス王家に仕えていた文武両道の剣士、シュヴァリエ・デオン。

 

ダンディな貴族風の男性のバーサーク・ランサーは吸血鬼ドラキュラのモデルと言われているヴラド三世。

 

青年のアサシンはパリの死刑執行を務める家の当主でかつてマリーを処刑した張本人であるサンソン。

 

そして、バーサーク・アサシンは驚くべきことにエリザベートの未来の存在であり、暗黒面を司る存在のカーミラ。

 

ちなみにカーミラがエリザベートの未来の存在と聞いて遊馬は「お前に何があったんだ!?」と本気で心配し、余計なお世話だとエリザベートに殴られた。

 

そして、遊馬陣営のサーヴァントとジャンヌ・オルタ陣営のサーヴァントがそれぞれの相手をする。

 

アルトリアとエミヤはシュヴァリエ。

 

マリーとアマデウスはサンソン。

 

清姫とエリザベートはカーミラ。

 

ジークフリートとゲオルギウスはウラド三世。

 

因縁や相性などでお互いの相手を決め、最後に残ったのはジャンヌ・オルタの相手は……。

 

「決着をつけようぜ、黒ジャンヌ」

 

「君が望む絶望の未来を打ち砕く!」

 

「これ以上、誰かを死なせたりしません」

 

「あなたをここで止めます!」

 

遊馬とアストラル、マシュとジャンヌの四人である。

 

「来なさい……今度こそ、全てに決着をつけますわ」

 

竜の魔女……ジャンヌ・オルタとの最後の戦いが始まる。

 

ジャンヌ・オルタが召喚する災厄の結晶である究極の竜種。

 

それに対抗するのは遊馬のデッキに眠る銀河の輝きを秘めた宇宙最強の竜。

 

今、フランスの地で究極の竜対決が繰り広げられようとしていた。

 

 

 

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次回、いよいよ黒ジャンヌちゃんと全面対決です!
皆さんお待ちかねの最強のドラゴン対決です!
今更ですが私のやりたい放題で行きます!(笑)


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ナンバーズ13 頂上決戦!銀河究極龍VS邪竜!!

ふぃー!
お待たせしました、皆さんお待ちかねの最強のドラゴン対決です!

いよいよスタートした遊戯王VRAINS、デュエルは来週ですが掴みは良かったと思います。
謎が多いので無事に回収してくれればと思います。
主人公の遊作がクールでカッコよく、個人的に好きなキャラです。
遊馬みたいな弟キャラもいいですが、遊星と同じクールキャラも良いですよね。
興味ないと言いながら葵ちゃんことブルーエンジェルを助けたことは好感を持てました。
次回に期待です。


ジャンヌ・オルタとの最後の戦い。

 

遊馬とアストラル、ジャンヌとマシュの四人が対峙する。

 

「こんにちは、私の残り滓。そして……ユウマ、今日こそあなたのドラゴンを全ていただくわ」

 

「俺たちのドラゴンは渡さねえよ、黒ジャンヌ!」

 

「いいえ、私は残骸でもないし、そもそも貴女でもありませんよ、竜の魔女」

 

ジャンヌはジャンヌ・オルタに対して哀れみを持った表情で見つめていた。

 

「貴女は私でしょう?何を言っているのです?」

 

「これまでの貴女の行いを見てずっと不思議に思っていました。そして、貴女に一つだけ伺いたいことがあります……」

 

ジャンヌは真実を問いただすために極めて簡単な質問をする。

 

「貴女は、自分の家族を覚えていますか?」

 

「…………え?」

 

あまりにも単純な質問、記憶喪失にでもならない限りすぐにでも答えられる質問である。

 

しかし、ジャンヌ・オルタは答えることが出来ずに言葉を失っていた。

 

「ジャンヌ、さん……?」

 

「ジャンヌ、何だよそんな質問……?」

 

ジャンヌ・オルタへの意味不明な質問に疑問を抱くマシュと遊馬。

 

そして、顎に手を添えて考えていたアストラルはその質問に全ての答えが判明した。

 

「なるほど、これで全てのピースが揃った……もう一人のジャンヌよ、私は君の正体を突き止めた」

 

「正体?何を言い出すの?私は本物のジャンヌ・ダルクよ」

 

「……私は君に会った時から一つの仮説を立てた」

 

「仮説?」

 

「そう、この世界はジャンヌ・ダルクが処刑されてからまだ僅かな時しか経過していない。それなのに、何故ジャンヌが二人も存在するのか?」

 

同じく後の時代のフランスで処刑されたマリーの話やアストラル自身にも起きた『心の闇』……それが原因ではないかと最初に仮定を考えた。

 

「最初は処刑された経験があるマリーが考えたように聖女のようなジャンヌにも僅かながら憎しみの心があったからもう一人のジャンヌが生まれたのかと考えた。しかし、それは違う……何故ならジャンヌ自身が処刑されて死ぬまで『恨んでいない』と証言したからだ」

 

信仰心の強いジャンヌは鋼の心といっても過言ではなく、拷問を受け、火刑で処刑されてもその事を一度も恨んではいない。

 

「アストラル、何が言いたいんだよ?」

 

「……私はジャンヌの先ほどの質問で確信した。仮に本当に彼女がジャンヌの心の闇から生まれたのなら、生前の同じ記憶があるのは当然の事だ」

 

「記憶……?」

 

「しかし、彼女は『大切な家族との記憶が一切ない』。これは明らかな矛盾だ」

 

アストラルは仮説を元に推理していき、ジャンヌの心やジャンヌ・オルタの矛盾点、そして全ての元凶である聖杯の存在から一つの答えを導いた。

 

アストラルはジャンヌ・オルタをビシッと指差し、その正体を突き止めた。

 

「君はジャンヌから生まれたもう一人の存在ではない……君の正体は『聖杯によって生み出され、憎しみの心を植え付けられたジャンヌ・ダルクと言う名の虚像な存在』だ!」

 

ジャンヌ・オルタ……それはもう一人のジャンヌ・ダルクではなく聖杯によって生み出された存在。

 

つまり、ジャンヌの名を持つ偽物である。

 

その真実を告げられ、ジャンヌ・オルタは旗を地面に落として自分の手を見つめる。

 

「私が、虚像……?う、嘘だ……私が偽物のはずがない、偽物はそっちだ!私が、私が本物のジャンヌ・ダルクよ!!」

 

動揺して体が震えているジャンヌ・オルタ。

 

「だったら、あなたが本物なら家族の名前を言ってください!私のお父さんとお母さんの名前を!!例え戦場の記憶が強烈であろうとただの田舎娘としての記憶の方が遥かに多いのです!!忘れるわけがない、あの牧歌的な生活を!!」

 

ジャンヌが両親の名前を改めて問うがジャンヌ・オルタは幾ら思い出そうとしても思い出せない。

 

否、思い出せるわけがなかった。

 

何故ならジャンヌ・オルタには戦争で戦い、処刑された以前の記憶が存在しないからだ。

 

「あっ、あぁ……何で?何でわからないの?私は、私は……うわぁああああああっ!!!」

 

ジャンヌ・オルタは頭を抱えて心が壊れるように絶叫した。

 

自分が偽物だった、フランスに復讐するために作られた存在だった。

 

絶望を与える存在である自分が絶望に打ちひしがれたその時。

 

「別に偽物でもいいんじゃねえの?」

 

遊馬が臆することなくいつの間にかジャンヌ・オルタに近づいていた。

 

「な、何……!?何をしに来たんですか!?」

 

「いや、ちょっと触りに」

 

遊馬はポンポンとジャンヌ・オルタの頭に触れて感触を確かめる。

 

「きゃっ!?は、離れろ!!」

 

ジャンヌ・オルタは地面に落ちた旗を拾って振り払い、遊馬はその場でバク転をして回避する。

 

「よっと!何だ、偽物でもちゃんと触れるし体温があるじゃん。それに、心があるじゃん」

 

「だからどうした!?私は……」

 

「ジャンヌじゃなかったからって別に悲観する必要ないだろ?」

 

「何……?」

 

「せっかく肉体と魂がこうしてちゃんとあるんだから、もう一人のジャンヌ・ダルクじゃなくて、別の新しい自分になればいいじゃん」

 

「新しい、自分……?」

 

それは遊馬がジャンヌ・オルタをジャンヌの偽物ではなく、一人の少女として見ていた。

 

遊馬は優しい笑みを浮かべて手を差し伸べる。

 

「なあ、フランスの復讐をやめて俺たちと一緒に未来を守るために戦おうぜ」

 

敵に手を差し伸べる遊馬にジャンヌ・オルタは困惑する。

 

「て、敵だった私がお前の仲間になれと言うのか!?」

 

「うん」

 

「あっさり言うな!」

 

「お前さ、復讐以外何も知らないだろ?だからそんなに歪んでいるんだよな。あ、そうだ!黒ジャンヌ、俺とデュエルしようぜ!!」

 

「デュエル……だと!?」

 

遊馬は思いついたようにデュエルディスクからデッキを外してジャンヌに見せる。

 

「ああ!俺のカードを貸してやるからさ、一緒にデュエルをしようぜ!デュエルをすれば誰とでも仲良くなって仲間になれる!!」

 

デュエルをすれば誰とでも仲間になれる。

 

それは遊馬の信じる道で実現してきた答えだった。

 

「ふざけるな!そんなことで私に宿る憎しみの炎が消えると思うのか!?」

 

「だったら、俺が受け止めるよ」

 

遊馬はデュエルディスクにデッキをセットし直すと、拳で自分の胸を軽く叩いて掛かってこいと主張する。

 

「お前の憎しみや悲しみ、負の感情を全て俺にぶつけてこい。俺が全部受け止めてやる」

 

憎しみや悲しみを受け止める……そんな事を言われたのは先ほど言った仲間になろうと同じく初めてだった。

 

この子供が本当に自分の負の感情を本当に受け止められるのか、ジャンヌ・オルタは地面に落ちた旗を取って立ち上がる。

 

「やってみなさい……受け止めるものなら受け止めてみなさい!!!私の全てを!!!」

 

その答えは戦いの果てに分かる。

 

ジャンヌ・オルタの体から邪悪なオーラが吹き荒れ、竜の紋章が描かれた旗を広げる。

 

背後に旗と同じ竜の紋章が描かれた巨大な魔法陣が展開され、ジャンヌ・オルタは自身が信じる最強の竜の名を呼んだ。

 

「現れよ、我が最強の竜!!邪竜・ファヴニール!!!」

 

『グォオオオオオオオオオッ!!!』

 

魔法陣から現れたのはこの世界において最強の存在、破壊の象徴である竜種。

 

これまで召喚して来たワイバーンとは比べ物にならないほどの巨体に睨みつけるだけで敵を殺せそうな恐ろしい相貌に獲物を一瞬で喰いちぎる鋭い牙。

 

ファヴニール……元々は人間であったが、北欧神話の神、オーディン・トール・ロキを捕えた際に彼らから莫大な黄金をせしめるものの、黄金を独り占めした父を兄弟で謀殺した後、弟を追放して財宝を手に納め、誰にも渡さないように竜に返じて巣籠りしたとされている。

 

神話の邪竜が目の前で召喚され、マシュとジャンヌはその恐ろしさに体が震えていたが、遊馬とアストラルは平然としていた。

 

「あれがジャンヌの憎しみのドラゴンか……」

 

「しかも北欧神話の宝を守る邪竜、ファヴニール……高名なドラゴンだな」

 

むしろドラゴンに対する敗北の恐怖を何度も味わっているので慣れてしまっていた。

 

簡単に言えば慣れてしまえば怖いもの無しである。

 

「遊馬、こちらも全力で行くぞ!!」

 

「ああ!ドラゴン対決と行こうぜ!俺のターン、ドロー!魔法カード、『フォトン・サンクチュアリ』を発動!自分フィールドに攻撃力2000、守備力0のフォトントークン二体を守備表示で特殊召喚する!」

 

遊馬の前にふわふわと宙に浮く光の球体みたいな生き物が二体召喚される。

 

高い攻撃力だがデメリットで攻撃できない制約を持つが、それは遊馬の新たな力を召喚する為の布石である。

 

「そして、攻撃力2000以上のモンスター二体をリリースし、手札から特殊召喚!」

 

二体のフォトントークンが生贄に捧げられると中央に宝石が埋め込まれた赤い十字架を形取った物体が出現し、遊馬はそれを手にする。

 

「カイト、力を借りるぜ!闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!」

 

十字架を空に向かって投げ飛ばし、回転しながら中央の宝石に銀河の星々の輝きが収束される。

 

「光の化身、ここに降臨!!」

 

回転する十字架から光が漏れ出し、それが両手両足、胴体と翼と尻尾、そして頭部が形成される。

 

遊馬達の前に現れたのは白く輝く体に藍色の装甲を身につけた光の竜。

 

「現れろ、『銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)』!!!」

 

『グォアアアアアアアッ!!!』

 

体は光の粒子で構成され、敵を睨みつける二つの眼には無数の星々が集う銀河の輝きが宿っている。

 

それは遊馬のライバルにして仲間である天城カイトのエースモンスター。

 

「綺麗……」

 

「これが遊馬くんのドラゴン……」

 

マシュとジャンヌは銀河眼の光子竜の美しさに見惚れて言葉が全く出ないほどだった。

 

そして、ジャンヌ・オルタはリバイス・ドラゴンやファヴニールとは異なる姿と力を宿す銀河眼の光子竜に目を見開き、呆然としていた。

 

「美しい……こんな竜が存在するなんて……」

 

そもそも銀河眼の光子竜はジャンヌ・オルタたちから見ても異質なドラゴンである。

 

ドラゴンは西洋では恐怖や力の象徴であり、邪悪な存在で闇や炎などの属性を持つのがほとんどである。

 

しかし、銀河眼の光子竜は地球から遠く離れた宇宙に輝く銀河の煌めきをその目に秘め、異世界の力によって誕生した正に異次元のドラゴンである。

 

ファヴニールは最強のドラゴンは自分だけだと言わんばかりに翼を広げて低空で飛び、銀河眼の光子竜に襲い掛かる。

 

銀河眼の光子竜は光り輝く翼を広げて空へと飛翔し、ファヴニールはその後を追いかける。

 

いち早く空に飛び上がった銀河眼の光子竜は太陽を背にしてファヴニールの視界を一瞬だけ遮り、口を大きく開ける。

 

「行け!銀河眼の光子竜の攻撃!破滅のフォトン・ストリーム!!」

 

口に光の粒子を溜め、一気に放出して光の竜の咆哮を放つ。

 

光の竜の咆哮がファヴニールの腹部に直撃し、強烈な咆哮のダメージを受けて地面にそのまま撃墜される。

 

ファヴニールが動けない隙に遊馬は勝利への布石を整える。

 

「魔法カード、『銀河遠征(ギャラクシー・エクスペディション)』!自分フィールドにフォトン、もしくはギャラクシーと名のついたモンスターがいる時、デッキからレベル5以上のフォトン、もしくはギャラクシーと名のついたモンスターを守備表示で特殊召喚する!来い、『銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)』!!」

 

デッキからサーフボードに似た乗り物に乗った騎士が銀河から飛来し、銀河眼の光子竜の隣に立つ。

 

「そして、カードを二枚伏せてターンエンドだ!」

 

「ふふふっ……私の憎しみを受け止めるために竜を繰り出したけど、私の力を忘れていたようね!!」

 

ジャンヌ・オルタの異名である竜の魔女と同じ名のスキル、『竜の魔女』は竜を召喚し、操る力を持つ。

 

このままでは銀河眼の光子竜はジャンヌ・オルタに洗脳されてしまう。

 

遊馬は伏せていた二枚のカードに突破口があった。

 

「罠カード!『ワンダー・エクシーズ』!自分フィールドのモンスターを素材にエクシーズ召喚する!俺はレベル8の銀河眼の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ!」

 

「銀河眼の光子竜でエクシーズ!?」

 

銀河眼の光子竜と銀河騎士が光となって地面ではなく、天に昇る。

 

「二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

今まで遊馬が行ってきたエクシーズ召喚とは異なり、モンスターエクシーズがすぐに召喚されるのではなかった。

 

遊馬の目の前に突如として青白い宝玉が埋め込まれ、不思議な赤い文字が刻まれた十字の剣が現れた。

 

遊馬が剣の柄を握ると、遊馬の体が青く輝く。

 

「カイト、もう一度行くぜ!うぉおおおおおおおおおっ!かっとビングだ、俺!!」

 

バク転から高く跳び上がり、剣を思いっきり投げ飛ばして地面に突き刺した。

 

「現れろ!銀河究極龍、No.62!!」

 

空中に『62』の数字が浮かび、地面に突き刺した剣が周囲に向けて閃光を放つ。

 

「宇宙にさまよう光と闇。その狭間に眠りし、哀しきドラゴンたちよ……」

 

異次元に向かった銀河眼の光子竜の体がひび割れて弾け飛び、宇宙に眠る数多のドラゴンの輝きが一斉に集まる。

 

「その力を集わせ、真実の扉を開け!!」

 

そして、新たな装甲と翼を得て銀河眼の光子竜が究極の姿へと進化する。

 

「『銀 河 眼 の(ギャラクシーアイズ・)光子竜皇(プライム・フォトン・ドラゴン)』!!!」

 

それは銀河眼の光子竜がアストラル世界の力によって究極の竜として生まれ変わった姿。

 

人類の未来を救う最後の希望を守るために顕現させたカイトの最強のドラゴンである。

 

「美しい……」

 

ジャンヌ・オルタは今までのドラゴンとはかけ離れたこの世のものとは思えないほどの美しさに見惚れてしまう。

 

「これが宇宙最強のドラゴンの真の姿……」

 

「かっこいい……」

 

銀河眼の光子竜が更なる進化を遂げて勇ましさと美しさが高まり、まるで救世の神が降臨したかのような錯覚が見られるほどだった。

 

銀河眼の光子竜皇の降臨に四方に散った敵味方関係なしに全てのサーヴァント達は目を疑い、驚愕した。

 

「シロウ、あれを!」

 

「おぉ……まさかこれほどまでに美しいドラゴンを……ははっ、全くうちのマスターには驚かされるよ!」

 

「そんな……竜の魔女が繰り出すファブニールよりも……一体あの子供は何者なんですか!?」

 

「私達の自慢のマスターですよ!」

 

「そうさ。マスターには無限の可能性がある!」

 

アルトリアとエミヤはまだ見ぬ力を宿した遊馬とアストラルに無限の可能性を抱き、

 

「見て見てアマデウス!マスターが凄いドラゴンを呼び出したわ!」

 

「見ているよ、マリー。銀河の竜か……よし、マスターに敬意を評して再び召喚された時に曲を作ろう!」

 

「二人で仲睦まじく話し合うな!!」

 

「全くうるさい奴だ、早く倒してもっとあの竜の姿をこの目に焼き付けよう!」

 

「ええ!行きますわよ、アマデウス!」

 

マリーとアマデウスは神々しい輝きに感動し、

 

「旦那様……素敵です、やはり私の目に狂いはありませんでした」

 

「全く、ただの子供じゃないと思っていたけどあんな竜を召喚出来るなんて規格外過ぎるわよ!?」

 

「何よあれ……あんなの反則じゃない……」

 

清姫とエリザベートは全く逆の反応をしながらその美しさにうっとりし、

 

「ははは……この戦、竜の魔女がいる限り負けることはないと思っていたが、そうでもないらしいな」

 

「ファブニールをも超える力を持つ竜か……底が知れないな、我々のマスターは」

 

「早く片付けましょう、私たちのマスターの戦いを見届けましょう!」

 

ジークフリートとゲオルギウスは共に戦えることを喜んだ。

 

「欲しい……これほどまでにドラゴンを望み、欲したことはないわ!!」

 

竜の魔女の名にかけて銀河眼の光子竜皇を手に入れようとしたが、遊馬が更なる手を打つ。

 

「させるか!罠カード、『エクシーズ・ヴェール』!」

 

伏せていた二枚目の罠カード、それはリバイス・ドラゴンが描かれたカードで銀河眼の光子竜皇に光の膜が張られる。

 

「無駄だ!その星の如き美しい竜は私のものだ!さあ、銀河眼の光子竜皇……私に従いなさい!!私のものになりなさい!!」

 

『……グォアアアアアアアッ!!!』

 

ジャンヌ・オルタは手を伸ばして銀河眼の光子竜皇を自分の元に引きよせようとしたが、

銀河眼の光子竜皇は咆哮を上げて威嚇する。

 

「な、何で……何で竜の魔女のスキルが効かないの!?リバイス・ドラゴンには効いたのに!?」

 

銀河眼の光子竜皇が操れないことにジャンヌ・オルタは困惑するが、その理由は遊馬が発動した二枚目の罠カードに秘密がある。

 

「エクシーズ・ヴェールがフィールドに存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する、オーバーレイ・ユニットを持ったモンスターエクシーズは効果の対象にならない!」

 

「つまり、これで黒ジャンヌが俺たちのドラゴンを洗脳する能力を封じたってことだ!」

 

「そんな事が……くっ、それなら力付くで奪うまで!やりなさい、ファブニール!」

 

ようやく起き上がったファヴニールは口に炎を蓄え、炎の竜の咆哮を放った。

 

特大の火炎放射のような竜の咆哮に銀河眼の光子竜皇は呑み込まれようとしていた。

 

「迎え撃て!エタニティ・フォトン・ストリーム!!」

 

先ほどの光の竜の咆哮とは異なり、まるで闇を貫くレーザービームのような竜の咆哮が煌めいた。

 

炎の竜の咆哮を真正面から撃ち貫いてファヴニールを逆に呑み込んだ。

 

「ファヴニール!?」

 

光の竜の咆哮に呑み込まれたファヴニールの体はたった一撃で体全身がボロボロになってしまう。

 

鱗は焼け焦げ、翼は折れ、もはや立つのもやっとだった。

 

「そんな、ファヴニールがこうも簡単に……?」

 

一方的にファヴニールを痛めつけるほどの力を持つ銀河眼の光子竜皇にジャンヌは恐怖よりも興奮の方が強く感じた。

 

銀河眼の光子竜皇がファヴニールよりも遥かに強い理由はその起源や誕生理由にあった。

 

銀河眼の光子竜皇は遊馬とアストラルのいた世界……宇宙の創造主である一匹のドラゴンの三つに分かれたうちの一匹であり、月で誕生した特別なドラゴンなのである。

 

そして、遊馬はジャンヌ・オルタとの決着をつけるために銀河眼の光子竜皇に最後の攻撃命令を下す。

 

「これで決める……俺のターン、ドロー!行くぜ、銀河眼の光子竜皇でファブニールに攻撃!!!」

 

『グォアアアアアアアッ!!!』

 

銀河眼の光子竜皇の銀河の眼が輝きを増し、咆哮を轟かせる。

 

「この瞬間、銀河眼の光子竜皇の効果発動!戦闘を行うダメージ計算時にオーバーレイ・ユニットを一つ使い、銀河眼の光子竜皇の攻撃力をフィールドのモンスターエクシーズのランクの合計×200ポイントアップする!」

 

銀河眼の光子竜皇はオーバーレイ・ユニットを一つ喰らい、自身の体から強烈な光を放っていく。

 

銀河眼の光子竜皇の攻撃力は4000、ランクは8。

 

効果により8×200ポイント……銀河眼の光子竜皇の攻撃力が1600ポイントアップし、合計攻撃力が驚異の5600となる。

 

「行け!銀河眼の光子竜皇!」

 

「ジャンヌの憎しみを打ち砕け!!」

 

遊馬とアストラルは拳を握りしめ、二人で一緒に攻撃を命令する。

 

「「エタニティ・フォトン・ストリーム!!!」」

 

全力全開の竜の咆哮を轟かせ、膨大な光の濁流が放たれる。

 

過去を打ち破り、未来を切り開く希望の光。

 

ファヴニールは炎の竜の咆哮を放つが、咆哮ごと光に全てを呑み込まれた。

 

光に呑み込まれたファヴニールは命を絶たれ、ジャンヌ・オルタの前で倒れる。

 

フランスの地で起きたドラゴン対決……憎しみの邪竜を打ち砕き、希望を宿す光の竜皇に軍配が上がった。

 

「ファヴニール……」

 

ジャンヌ・オルタは目の前で倒れているファヴニールの姿を見て呆然としながら手を差し伸べた。

 

指が触れた瞬間、ファヴニールの体は光の粒子となってジャンヌ・オルタの前から消滅した。

 

「まさか……竜殺しでもないのに、ファヴニール以上の竜を出されて倒すなんて……」

 

自分の憎しみの象徴でもあるファヴニール。

 

それが完膚なきまで倒され、ジャンヌ・オルタは憎しみや悲しみの負の感情が静かに消えていく。

 

それは燃え盛る炎が雨に打たれて消えゆくように……。

 

「ジャンヌ」

 

自分の名を呼ばれてハッと見上げるとそこには遊馬がいた。

 

「ユウマ……」

 

「来いよ、俺たちのところへ」

 

もう一度近づいた遊馬は改めて手を差し伸べた。

 

ジャンヌ・オルタはこの世界に神は存在しないと思っていた。

 

だけど、今だけは少しだけ違っていた。

 

自分よりも年下の少年が差し伸べたその手は一瞬だけ救いの神が差し伸べた手に見えた。

 

戦いの武器である旗を手放し、震える手で遊馬の手を取ろうとした。

 

ジャンヌ・オルタの敗退と和解……邪竜百年戦争に終わりが近付こうとしていた。

 

しかし、遊馬達にはまだ戦うべき最後の敵が残っているのだった。

 

 

 

.




次回、第1章最終回です。
ジャンヌ・オルタを遊馬が救うことができるのか楽しみに待っていてください。

前回登場したアルトリアのFNo.の効果詳細を載せます。

FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
このカードのX素材を2つ取り除き、手札を3枚除外して発動できる。
ターン終了時までこのカードの攻撃力を2倍にし、相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃できる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

どうですか?
大人気セイバーでコストが重い感じを出して見ました。
強いですが罠にもちろん弱いです(笑)


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ナンバーズ14 竜の魔女を救え!希望と絆の英雄、降臨!!

先週発売したコレパで何とか新規ナンバーズを揃えました。
マネキンキャット当たらなすぎてヤバかったですが友人に譲ってもらえて幸いでした。
ヴレインズ第2話、デコード・トーカーがカッコよくて震えました。
無事にスターターを買えて良かったです。
まだ遊作は謎の生命体を人質だから信頼感ゼロですね。
そのうち遊馬とアストラルみたいな関係になってくれればいいですね。
今回はゼアルの色々な要素が盛りだくさんです。



ジャンヌ・オルタの憎しみの象徴であるファヴニールを銀河眼の光子皇竜で打ち倒した遊馬は座り込むジャンヌ・オルタに対して手を差し伸べた。

 

仲間になろうと差し伸べたその手はジャンヌ・オルタにとって救いの神が現れたのだと錯覚し、震えながら手を伸ばした。

 

その時、ジャンヌ・オルタの背後に闇が現れた。

 

「私の聖女に触れるな!!」

 

不気味な声と共に闇の中から魔力弾が放たれ、とっさに両腕でガードした遊馬を吹き飛ばした。

 

「ぐっ!?」

 

「遊馬!」

 

「遊馬君、大丈夫ですか!?」

 

「この声は……まさか!?」

 

ジャンヌはその声に聞き覚えがあり、闇から一つの影が現れた。

 

それは幾重にも重ねたローブと貴金属に身を包み、眼を広く剝いた異相をした長身の男性だった。

 

「ジル……」

 

ジャンヌ・オルタは長身の男性の名を呟いた。

 

「ジル……?ジャンヌと共にオルレアン奪還を果たした『ジル・ド・レェ』か!?」

 

ジル・ド・レェ。

 

フランスの貴族軍人でジャンヌと共にオルレアン奪回を果たした英雄だが、ジャンヌの処刑により絶望し、自分の領地に住む近隣の少年を拉致して殺害した殺人鬼である。

 

「まさか、聖杯で黒ジャンヌさんを作り出したのは……!?」

 

「ジル、あなたどうして……?」

 

「まさかファヴニールを倒すとは……しかし、ジャンヌに触れさせませぬぞ!」

 

「ジル、待って。私は……」

 

「さあ、行きましょう。今は逃げるべきです」

 

「ま、待って!!」

 

ジャンヌ・オルタの制止を聞かず、ジルは再び闇を纏ってジャンヌ・オルタと共に何処かへ消えてしまった。

 

「消えた!?」

 

「いえ、恐らく二人はオルレアンの城へ向かったはずです!すぐに追いかけましょう!」

 

ジャンヌ・オルタはオルレアンを支配してからフランスの各地を攻撃し始めたので、そこが拠点なのは間違いがない。

 

「嫌な予感がする……すぐに行くぞ!」

 

「でもアルトリアさん達は……」

 

アルトリア達を置いて先に向かうわけにはいかないと思ったが、それは杞憂に終わる。

 

「問題ありませんよ、マシュ。全て片が付きました」

 

アルトリア達、八人のサーヴァントは無事に四人の敵サーヴァントを倒しており、その手には四枚のフェイトナンバーズのカードが握られていた。

 

四枚のフェイトナンバーズを遊馬は受け取り、すぐに城へ向かう準備をする。

 

「流石だぜ、みんな!」

 

「遊馬、飛行船ですぐにオルレアンへ向かおう!」

 

「おう!来い、かっとび遊馬号!プライム・フォトンは一緒についてきてくれ!」

 

皇の鍵から飛行船を呼び出して全員を乗せ、急いでオルレアンへ向かい、銀河眼の光子竜皇は後を追う。

 

 

ジルはジャンヌ・オルタを連れて拠点であるオルレアンの城に到着した。

 

すぐにでも敵である遊馬達を迎え撃つためにジャンヌ・オルタに提案する。

 

「ファヴニールは滅び、ワイバーンも数が少ない、そして召喚したサーヴァントは全滅……ジャンヌよ、新たなサーヴァントを召喚するのです!」

 

「ジル……私はもう戦えません」

 

すっかり戦意を失ったジャンヌ・オルタの姿にジルは嘆くように驚いた。

 

「なんと……!?そうですか……分かりました、後は私一人で戦います」

 

「無理よ……ジルも見たでしょう?ファヴニールを倒すことができるドラゴンを操るマスターに大勢のサーヴァント、勝ち目はないわ」

 

「ご心配なく、私にはこれがあります……!」

 

ジルが懐から取り出したのは金色に輝く杯だった。

 

それこそがこの特異点の元凶であり、ジャンヌ・オルタを生み出したものである願望器……聖杯である。

 

そして、ジルの宝具である不気味な魔本……『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』を開いて不気味な魔力を漂わせる。

 

「ジ、ジル?何をするの……?」

 

「大丈夫です、ジャンヌ。私にお任せください。私がずっとお守りします……」

 

魔力が漂うと床中に無数の不気味なモンスターが召喚され、それがジャンヌ・オルタに近づいていく。

 

ジャンヌ・オルタは動けずモンスターが近づいていく。

 

「や、やめて……嫌ぁあああああっ!!」

 

希望の光が照らされかけていたジャンヌ・オルタに絶望の闇が襲いかかった。

 

 

飛行船でジャンヌ・オルタとジルを追い、当初の目的地であるオルレアンに向かう。

 

オルレアンには人の影が一つもなく、まるで廃墟みたいだった。

 

そして、そびえ立つ城の中にジャンヌ・オルタとジルがいるはすだが、このままでは銀河眼の光子竜皇は中に入ることはできない。

 

「あの城、多少ぶっ壊しても構わないよな!?」

 

「え、ええ……特異点で聖杯を回収すれば歴史が修正されて大丈夫なので……」

 

「よし!プライム・フォトン!お前が入れる程度に城の一部を壊せ!」

 

緊急事態なので仕方ないことと、城にはジャンヌ・オルタとジル以外は『既に始末された』のでそこは目を瞑り、銀河眼の光子竜皇は尻尾で城の一部を破壊して大きな穴を開ける。

 

飛行船から降りた遊馬達は続々と破壊した城の穴に突入していく。

 

しかし、城に入った瞬間……遊馬達は言葉を失った。

 

何故なら見るも気色の悪すぎる現状に鉢合わせてしまったからだ。

 

「何……これ……?」

 

マシュは目を見開いて目の前の現状に頭が真っ白になった。

 

それは巨大な蛸と海星を組み合わせたような不気味な生物……海魔は無数の触手を出現させてジャンヌ・オルタの体を縛り、取り込もうとしていたからだ。

 

「ジャンヌ!!!」

 

遊馬はとっさに体が動き、触手を回避しながらジャンヌ・オルタを助け出そうとした。

 

「ジャンヌに近づくな、小僧!!!」

 

「ぐはっ!?」

 

触手で近づく遊馬を弾き返し、ジルの声が聞こえたのでどこにいるのか周りを見渡すが何処にもいなかった。

 

そして、更に驚くべき光景が遊馬達の目に映る。

 

一番大きな海魔の体から植物が生えるように現れたのは……ジルの上半身だった。

 

遊馬とアストラルは瞬時にそれが何を意味するのか理解した。

 

「自分の体をモンスターと合体させたのか!?」

 

「なんて男だ……正気の沙汰ではないとなると、かなりの精神が狂っているな……」

 

「私は聖杯戦争でキャスターと戦いましたが、彼には海魔と合体する力は持ち合わせていません。となるとやはり……」

 

アルトリアは人理が消滅する過去の世界の聖杯戦争でジルと戦ったことがある。

 

戦ったことでジルの宝具を詳しく知っていたが、今ほど強力なものではなく、明らかに変化していた。

 

そこから導き出される答えは一つ。

 

「聖杯の力か……」

 

一人の人物を作り出せるほどの力を持つ聖杯なら宝具に甚大な力を与えるのは簡単なことである。

 

遊馬はジャンヌ・オルタを触手で縛って捕らえていることに怒りを覚え、ジルに向かって怒号を放つ。

 

「てめぇ……ジル!ジャンヌを離せぇっ!!」

 

「ジャンヌは私のものだぁ!貴様らに渡さぬぞぉおおおおお!!」

 

ジルは闇に堕ちてから他人の言う事をまともに聞かなくなっている。

 

更にバーサーク・キャスターとして狂化属性が付与されて自分勝手な行動に拝借がかかっている。

 

ジャンヌ・オルタを取り戻すには力付くしかなかった。

 

「サーヴァントたちに指示を出す!マシュとジャンヌと清姫とエリザベートとゲオルギウスは遊馬の守れ!エミヤは弓矢、マリーとアマデウスは宝具で後方支援!アルトリアとジークフリートは剣で海魔を斬れ!」

 

アストラルの指示でマシュたちサーヴァントはすぐに陣形を作り、マシュとジャンヌと清姫とエリザベートとゲオルギウスの五人体制で近づく大量の海魔から遊馬を守る。

 

前衛はセイバーであるアルトリアとジークフリートが剣を振るって海魔を次々と切り、後衛でエミヤが黒弓や複数の剣を投影して正確に海魔を狙い撃つ。

 

「聴くがいい!魔の響きを!『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』!」

 

「さんざめく花のように、陽のように!咲き誇るのよ、踊り続けるの!『百合の王冠に栄光あれ(ギロチンブレイカー)』」

 

そして、マリーとアマデウスは同時に大軍宝具を発動する。

 

マリーの宝具は栄光のフランス王権を象徴した宝具でフランス王家の紋章が入ったガラスで構成させている美しき馬。

 

馬からきらきらと輝く光の粒子を撒きながら戦場を駆け抜け、海魔にダメージを与えて同時に味方の体力や魔力を回復させる。

 

そして、マリーの動作に合わせてアマデウスは『死神のための埋葬曲』でレクイエムの演奏を奏でていき、海魔のランクをダウンさせていく。

 

銀河眼の光子竜皇では威力が強すぎて城が崩壊しかねないので、遊馬は新たなナンバーズを召喚する。

 

「俺たちの全力を尽くしてジャンヌを取り戻す!俺のターン、ドロー!魔法カード、『銀河の施し』を発動!自分フィールドにギャラクシーと名のついたモンスターエクシーズがいる時、手札を一枚墓地に送り、デッキから二枚ドローする!」

 

銀河眼の光子竜皇が存在するので条件が満たされ、遊馬は手札を一枚墓地に送ってデッキから二枚ドローする。

 

「よし!行くぜ!魔法カード、『オノマト連携(ペア)』発動!手札を一枚墓地に送り、デッキから『ズババ』、『ガガガ』、『ゴゴゴ』、『ドドド』と名のついたモンスターを一体ずつ合計二枚を手札に加える!!」

 

それは希望郷と同じくアストラル世界からの贈り物のカードの一枚で遊馬のモンスター達を繋ぐカード。

 

「手札を一枚墓地に送り、デッキから『ゴゴゴジャイアント』と『ドドドウィッチ』を手札に加える!!そして、ゴゴゴジャイアントを通常召喚!」

 

ゴゴゴジャイアントが通常召喚され、墓地の仲間を復活させる効果が発動する。

 

「ゴゴゴジャイアントの効果で墓地からゴゴゴモンスターを特殊召喚出来る!甦れ、『ゴゴゴゴースト』!更に、ゴゴゴゴーストの効果で墓地からゴゴゴゴーレムを特殊召喚出来る!来い、『ゴゴゴゴーレム』!!」

 

ゴゴゴジャイアントの効果で墓地に送った鎧を纏った幽霊のようなモンスターが現れ、更にゴゴゴゴーレムが特殊召喚され、一気にレベル4のモンスターが三体揃った。

 

「シャーク、お前の力を貸してくれ!レベル4のモンスター三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

空中に『32』の数字が浮かび、地面から巨大な魚の尾びれを象ったものが現れた。

 

「最強最大の力を持つ深海の帝王!その牙で全てのものを噛み砕け!!」

 

魚の尾びれが変形し、赤紫色の二枚のヒレのような翼に二枚の五本の鋭い指爪を持つ二枚のヒレが現れ、 左胸に32の数字が刻まれ、額には赤い水晶が埋め込まれた鮫のような顔をした竜が現れる。

 

「『No.32 海咬龍(かいこうりゅう)シャーク・ドレイク』!!!」

 

宇宙最強の銀河眼の光子竜と対を成す無限に広がる深海を支配する鮫の姿をした龍王。

 

それは遊馬のもう一人のライバルにして仲間、神代凌牙がかつて使用していたエースモンスターである。

 

「宇宙の竜だけでなく深海の竜まで……」

 

「行け、シャーク・ドレイク!デプス・バイト!!」

 

シャーク・ドレイクが口を開くと鮫のオーラが放たれ、海魔を次々次々と食い殺していくが、海魔は聖杯の魔力によって無限に増殖されていく。

 

アルトリアの約束された勝利の剣や銀河眼の光子皇竜の攻撃なら海魔を一掃することは簡単かもしれない。

 

しかし、ジャンヌ・オルタを狙わずに海魔だけを一斉に倒すのは困難を極めるが、遊馬は決して諦めたりはしない。

 

海魔の数を減らし続けていけばまだジャンヌ・オルタを助けられる可能性があると信じている。

 

「まだだ!俺のターン、ドロー!シャーク、もう一度行くぜ!海咬龍シャーク・ドレイクをエクシーズ素材とし、カオス・エクシーズ・チェンジ!!」

 

「シャーク・ドレイクがカオスに!?」

 

マシュは同じくカオス化するホープを間近で見ていたのでシャーク・ドレイクもカオス化する事に驚いていた。

 

シャーク・ドレイクは変形前の鮫の尾びれに戻り、地面に吸い込まれて光の爆発が起きると新たな姿へと進化する。

 

「現れよ、CNo.32!暗黒の淵より目覚めし最強の牙!!」

 

空中に赤黒く輝く『32』の数字が浮かび、地面から紫色の宝石に七枚の白いヒレがついた物質が現れる。

 

変形していくと漆黒のホープレイと対比するような純白の装甲、両腕には刃物のような鋭い爪を持つ深海の竜王が降臨する。

 

「『海咬龍シャーク・ドレイク・バイス』!!!」

 

シャーク・ドレイクの真の姿にして、かつて凌牙が自分の命以上に大切な妹の仇と対峙した時に発現したカオスの力である。

 

「海魔の数は多い!遊馬、今のうちにホープを呼ぶんだ!」

 

「おう!『ドドドウィッチ』を召喚!その効果で手札からドドドモンスターを特殊召喚する!来い、『ドドドドライバー』!!」

 

ヴァイキングの格好をした魔女とその隣にリアカーを引きずる戦士が並び立つ。

 

「レベル4のドドドウィッチとドドドドライバーでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

二体のモンスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発と共に光の使者が駆けつける。

 

「「現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!」」

 

遊馬とアストラルのエースモンスターである希望皇ホープが呼び出され、そこからカオスの力を解き放つ。

 

「「希望皇ホープ!カオス・エクシーズ・チェンジ!」」

 

希望皇ホープが変形前の白い塔の姿に戻り、地面に吸い込まれ、爆発を起こして希望皇ホープの真の姿となる。

 

「「混沌を光に変える使者!『CNo.39 希望皇ホープレイ』!!」」

 

純白から漆黒の戦士……守りから攻めに特化した姿へと姿を変わる。

 

希望皇ホープレイ、シャーク・ドレイク・バイス、銀河眼の光子竜皇……遊馬とアストラル、凌牙、カイト……四人の代表するエースモンスターが揃い踏みとなった。

 

「シャーク!カイト!俺たちの力でジャンヌを助けるぜ!」

 

そして、マシュ達の瞳には一瞬、遊馬とアストラルの隣に二人の男性の幻影の姿が映った。

 

一人は鋭い青い瞳を持ち、尖った藍色の髪をした少年で遊馬が持つデュエルディスクとD・ゲイザーと同じタイプの青いデュエルディスクと赤いD・ゲイザーを付けている。

 

もう一人は右目は青く、左目が赤く、左目の周りを覆うような青い刺青のようなものが刻まれ、白を基調とした服を着た青年で三日月の形をしたデュエルディスクを付けている。

 

それは世界を救うために集った三人の勇者……『三勇士』の力がこの場に揃うのだった。

 

「シャーク・ドレイク・バイスで攻撃!デプス・カオス・バイト!!!」

 

シャーク・ドレイク・バイスの口から先ほどの鮫のオーラとは異なり、レーザービームのような無数のエネルギーが放たれ、海魔を狙い撃ちにして一気に粉砕する。

 

「銀河眼の光子竜皇!エタニティ・フォトン・ストリーム!!」

 

光の竜の咆哮が放たれ、城を崩壊させないように海魔を薙ぎ払う。

 

「よっしゃあ!一気に減ったぜ!」

 

「続け、ホープレイ!!」

 

ホープレイは両肩のプロテクターから第三と第四の機械の腕が現れ、背中の大剣を掲げ、両手で腰の双剣を抜いて海魔に一気に近づく。

 

「「ホープ剣・カオス・スラッシュ!!」」

 

双剣と大剣の三刀流で海魔を斬り払い、海魔に取り込まれたジャンヌ・オルタの姿が露わになる。

 

「ジャンヌ!!」

 

「ユウ、マ……?」

 

「ジャンヌ、すぐに助ける!待ってろ!」

 

ホープレイが手を伸ばしてジャンヌ・オルタを引き上げようとしたが、すぐさま増殖した海魔によって押し戻されてしまった。

 

「……いい。このまま私ごと全てを消して」

 

ジャンヌ・オルタは全てを諦めた表情を浮かべていた。

 

それは自分の死期……運命を悟ったからである。

 

「なっ!?お前、何を言ってるんだ!?」

 

「私は、聖杯で生み出されたジャンヌ・ダルクの偽物……だから、ジルが倒されれば当然私も消える……」

 

元々サーヴァントは死んだ英雄が英霊の座と呼ばれる場所から聖杯の力で仮初めの肉体を得て召喚されるが、ジャンヌ・オルタはジルが聖杯の力で生み出したサーヴァントとは全く別の存在である。

 

「私は正規の英霊じゃないから、英霊の座に向かうことができない……それなら、いっそのこと消えて無くなりたい……そうだ、せめて銀河眼の光子竜皇の光で……」

 

竜の魔女である自分が美しいと惚れ込んだ銀河眼の光子竜皇の竜の咆哮で消えるなら本望だと遊馬にそう願おうとしたが……。

 

「ジャンヌ、お前の本当の願いを言え!」

 

遊馬がそれに応えるわけがなかった。

 

「本当の願い……?」

 

「お前は作られた存在でもちゃんと肉体と魂がある!心があるんだ!俺が必ずお前を消させはしない!!だから、希望を持て!」

 

何が何でもジャンヌ・オルタを救おうとする遊馬の強い想い。

 

ここまで自分の事を想ってくれる人は聖杯で生み出されてから初めてのことだった。

 

「ユウマ……おねがい……」

 

ジャンヌ・オルタは願った。

 

本来のジャンヌ・ダルクは神の声を聞き、処刑されるその時までそれまでのことは『罰と救済』だと全て受け入れていた。

 

しかし、このジャンヌ・オルタはジャンヌであってジャンヌではない。

 

だからこそ、彼女自身は違う思いを抱き、その心を言葉で紡ぐ。

 

「たす、けて……」

 

ジャンヌ・オルタの言葉と共に瞳から流れた光……それは植え付けられた憎しみではなく、遊馬と出会ったことで生まれつつある『心』から流した涙だった。

 

「ジャンヌ……!ああ、必ず助ける!!もう少しだけ待ってろ!!」

 

「うん……!」

 

そして、ジャンヌ・オルタは再び海魔の中に取り込まれ、遊馬はギロリと怒りを込めた眼差しでジルを睨みつけた。

 

「聞こえたか、ジル……ジャンヌは今、助けてって言ったぞ。それなのにまだこんな事を続けるのか!?」

 

「ジャンヌを助ける方法は一つ!貴様らを殺し、フランスを死の世界に変える事だ!!」

 

「ふざけるな!ジャンヌはもうそんな事を望んでない!ジャンヌはてめぇの操り人形じゃねえ!!てめぇの身勝手な思いで、二人のジャンヌを苦しめるんじゃねぇ!!!」

 

「貴様ァアアアアッ!!私のジャンヌへの想いを愚弄するつもりかぁ!!?」

 

「てめぇ自身の復讐に誰かを巻き込むな!大切な誰かを失う悲しみは俺にだって分かる!だけど、だからと言って憎しみに支配されて復讐するのは間違ってる!戦うなら、その人の想いを背負って、生きて正しい道を進むべきなんだ!!」

 

遊馬は一度、アストラルを失ってナンバーズを託された。

 

失ったアストラルの影を追いながらも、自分にできることを精一杯行い、必死に仲間を守るために戦った。

 

だからこそ、ジルの間違った考えや思いが許せなかった。

 

「そんな間違った思いなんか打ち砕いてやる!そして、ジャンヌを必ず助ける!!」

 

「無駄だぁ!私には聖杯がある!聖杯がある限り私は無敵なのだぁ!!」

 

「ジル・ド・レェよ、奇跡を起こせるのは貴様だけではない!」

 

「アストラル……!」

 

「遊馬、あそこで囚われているジャンヌは憎しみを植え付けられて多くの人を殺めた。しかし、君と出会った事でその憎しみの心は変わりつつある……彼女はまだやり直せる!」

 

アストラルもかつては使命のために合理的に動く機械のような存在に過ぎなかった。

 

しかし、遊馬と出会えたことで今のジャンヌ・オルタのように心が生まれ、感情が芽生えた。

 

だからこそアストラルも遊馬によって変わりつつあるジャンヌ・オルタを助けたいと強く思った。

 

「……力を貸してくれ、アストラル。俺はあいつを……ジャンヌを助けたい!」

 

「行こう、遊馬。『私たちの仲間』を救おう!!」

 

「ああ!!」

 

遊馬がジャンヌ・オルタを救おうと前に出ようとした瞬間、ジャンヌが遊馬の手を握った。

 

「……遊馬君」

 

「ジャンヌ?」

 

「あの、実は私、妹が欲しかったんです」

 

「……は?」

 

突然のジャンヌの言葉に遊馬は唖然として思わず言葉を漏らしてしまう。

 

慌ててジャンヌは分かりやすいようにその言葉の意味を伝える。

 

「そ、それでですね、竜の魔女が私の闇ではないと知って、もし出来れば仲良くなりたいと思っているんです。血とかは繋がってないけど、あの子を私の妹として、大切にしたいんです。だから……」

 

今のジャンヌには囚われたジャンヌ・オルタを救う力はない。

 

遊馬に託してしまう形で大変申し訳ない気持ちでジャンヌは頭を深く下げてお願いした。

 

「お願いします……あの子を、助けてください」

 

「おう!任された!あいつを助けたら強く抱きしめてやってくれよ!」

 

「後は私達に任せろ」

 

遊馬とアストラルはジャンヌ・オルタを救うために静かに前に出る。

 

決意を固めた二人の雰囲気がガラリと変わり、マシュたちは今まで何度も遊馬とアストラルに驚かされてきたので、何をするのかと密かに期待してしまう。

 

新たなナンバーズを召喚するのか?と思うが、その予想は大きく裏切られることとなる。

 

遊馬は右手を、アストラルは左手を伸ばして高く掲げる。

 

「かっとビングだ!俺は俺自身と!!」

 

「私で!!」

 

「「オーバーレイ!!!」」

 

遊馬が赤い光、アストラルが青い光となって宙を飛ぶ。

 

予想外すぎる行動にマシュ達は目を疑う。

 

「うぉおおおおおっ!!」

 

「はぁあああああっ!!」

 

二つの光が近づき、離れるように飛び、やがて螺旋状に絡み合う軌道を描いていく。

 

「俺たち二人でオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

絡み合っていた二つの光が一つに重なり、金色の光となりながら地面に降り立つ。

 

「遠き二つの魂が交わる時、語り継がれし力が現れる!」

 

金色の光の中で遊馬の肉体がアストラルと合体したことで再構築され、その姿が大きく変化する。

 

白いタイツスーツのような肉体に両手両足、胸と両肩を覆う赤いプロテクター、腰には白いベルトが装着されている。

 

左腕には赤い盾のような形をしたデュエルディスクが装着され、ホープレイとシャーク・ドレイク・バイスと銀河眼の光子皇竜の三枚のカードが置いてある。

 

「「強き絆が光を導く!!」」

 

遊馬の独特な髪が金色と赤色に変色し、両頬に緑色の刺青のようなマーカーが刻まれ、右目が金色、左目が赤色のオッドアイとなり、左目に顔の上部を覆うような緑色のDゲイザーが装着され、全ての変身が完了する。

 

「「エクシーズ・チェンジ!『ZEXAL(ゼアル)』!!」」

 

それは絆を紡ぎ、奇跡をその手に掴む希望の英雄。

 

遊馬とアストラルが合体した姿にして、二人の真の姿……ZEXAL。

 

数々の強敵を打ち倒し、世界を救った究極にして奇跡の力である。

 

「どういう……事だ……!?」

 

狂っているジルでさえ遊馬とアストラルが合体したことに度肝を抜かれて驚愕しており、間近にいるマシュ達も同様だった。

 

「この光……まさか、カルデアス内でオルガマリー所長を助けた時の……!?」

 

「遊馬君、アストラルさん……あなた達は一体……!?」

 

「シロウ……どうやら私たちは魔術師を遥かに凌駕した方がマスターになったみたいですね」

 

「そうだな。どうやらマスターは私たちと同じかそれ以上の過酷な運命を背負って戦ってきたようだな……」

 

「とっても綺麗な光……これは人々を救う希望の光なのね……」

 

「人と精霊の融合か……本当に面白いな!マスター!」

 

「旦那様がアストラルさんと合体……?妬ましいですが、何と美しいお姿……!」

 

「も、もう驚くのが疲れてきたわよ……竜を操って精霊と合体するなんて本当に人間なの!?」

 

「既に人間を超える存在であるな……しかもまだ力を隠している」

 

「ここには聖人や王など多くの英霊がいるが、まさかマスターも聖人……否、英霊になりうる存在とは……」

 

一方、マシュのD・ゲイザーで目の前の光景を映像で見ていたカルデアに残っている者たちも驚愕していた。

 

「私を助けたのはあなた達……ううん、あなただったのね」

 

一度肉体が滅んだオルガマリーをカルデアスの中で救ったのがZEXALであるとようやく気付いた。

 

「な、何だこれは!?今の遊馬君はサーヴァントに匹敵するエネルギーを叩き出しているぞ!?って、何なんだこの魔力値!?凄すぎるぞ!!本当に人間なのかい!?」

 

「遊馬君とアストラル君には驚かされてばかりだったけど、まさか合体するとは……しかもこれはマシュの英霊と融合したデミ・サーヴァントとはまた違う……」

 

マシュのように人間にサーヴァントを憑依させるデミ・サーヴァントとは異なり、遊馬とアストラルの肉体と精神と魂が一つに合体していることにダ・ヴィンチは推測する。

 

「はははっ!面白ぇ、本当に面白ぇマスターじゃねえか!まさかあの精霊と合体するとは驚きだぜ!!」

 

「流石は私達が見込んだマスターですね……」

 

クー・フーリンとメドゥーサは遊馬が優秀で無限の可能性があるマスターであることに喜びを感じた。

 

ZEXALは静かに右手を挙げ、遊馬とアストラルの二人が重なった声が響く。

 

「「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!!」」

 

カードを創造すると発言したZEXALにマシュ達は今度は耳を疑った。

 

デュエルディスクにセットされているデッキは既に予め構築されており、戦いの間に新たにカードを追加することはできない。

 

そこから新たなカードを創造することはとんでもない事である。

 

「行くぜ、アストラル!」

 

「このドローに全てを賭ける!」

 

ZEXALの右手が光り輝き、頭上に右手を掲げる。

 

「「全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の光を照らせ!」」

 

右手に光の粒子が集い、デッキトップに手を置くとカードが奇跡の光を宿す。

 

「「シャイニング・ドロー!!」」

 

勢いよくドローしたカードはZEXALの力によって『デッキに存在しなかったカード』が『創造』され、そのカードは遊馬とアストラルが最も信頼するモンスター……希望皇ホープに新たな力を授ける。

 

すぐさま創造した奇跡のカードをデュエルディスクに挿入し、右手から光を天に向かって放ち、光と共にその姿を現わす。

 

「「現れよ!『ZW(ゼアルウェポン) - 一角獣皇槍(ユニコーン・キング・スピア)』!!」」

 

それは光る角に金色の双翼、そして黄金と白銀の装甲を持つ一角獣だった。

 

「あれは……ユニコーン!?」

 

「ば、馬鹿な!?聖処女にしか懐かないと言われる一角獣が何故あんな小僧が!!?」

 

聖処女を象徴する存在でもある一角獣を呼び出したことにジルは信じられないと言った様子で目が飛び出そうになる。

 

一角獣皇槍が宙を駆けながらホープレイに近づき、ZEXALは不敵の笑みを浮かべる。

 

「ユニコーン・キングはホープレイの装備カードとなり、攻撃力を1900アップさせる!」

 

ホープレイは大剣を掲げて大振りで振り回し、一角獣皇槍に向かって投げ飛ばす。

 

「「チェンジ!ユニコーン・スピア!!」」

 

一角獣皇槍と大剣が激突しながら合体し、双翼が先端となり、脚が持ち手となった巨大な一角獣の槍へと姿を変えた。

 

ホープレイは大剣を持つ第三と第四の腕で槍を担ぐように持ち、一角獣皇槍の聖なる力をその身に宿す。

 

ZWはZEXALの力で創造された聖獣などをモチーフにしたモンスターで希望皇ホープの専用の装備カードとなり、サーヴァント達の宝具に匹敵する強力な武器へと変形する。

 

「頼むぜ、ホープレイ!」

 

ZEXALはジャンプして槍に変形した一角獣皇槍の上に乗る。

 

そして、一角獣皇槍で確実に終わらせるためにホープレイの左右にいるシャーク・ドレイク・バイスと銀河眼の光子竜皇に最後の攻撃命令を下す。

 

「「海魔を薙ぎ払え!シャーク・ドレイク・バイス!銀河眼の光子竜皇!!」」

 

シャーク・ドレイク・バイスの無数のレーザービームと銀河眼の光子竜皇の光の竜の咆哮が轟き、海魔を一気に薙ぎ払い、勝利への道標を作る。

 

「「行け、ホープレイ!!ユニコーン・スラッシュ!!!」」

 

ホープレイの全力の槍投げで一角獣皇槍を投げ飛ばした。

 

一角獣皇槍の上に乗ったZEXALは余りの勢いに投げ出されそうになったが必死に踏ん張った。

 

「無駄だぁ!聖杯に敵う力などーー」

 

ジルは聖杯の力で障壁を作り出して一角獣皇槍を止めようとしたが、それは無駄である。

 

「「ユニコーン・キングを装備したホープレイの効果で、お前の効果は無効となっている!!」」

 

障壁は呆気なく破壊され、その槍の速度が止まることない。

 

「何ぃっ!?馬鹿な、馬鹿なぁあああああっ!?」

 

「「これで終わりだ!ジル!!」」

 

一角獣皇槍はジルごと海魔に突き刺さり、槍に込められた聖なる力が一気に解き放たれ、光の大爆発を起こす。

 

海魔は一瞬にして全て消滅し、眩い光が辺りを覆い尽くす。

 

すると、眩い光の中から一筋の金色の光が飛び出した。

 

それは爆発の瞬間に大剣と合体を解除して元の一角獣の姿に戻った一角獣皇槍でその背中にはZEXALが乗っていた。

 

そして……その胸の中には海魔の中から救い出したジャンヌ・オルタが静かに眠っていた。

 

この特異点の戦い、その全ての元凶であるジルを打ち倒し、邪竜百年戦争は終わりを告げた。

 

しかし遊馬とアストラルにはまだやるべきことが残っていた。

 

目の前の眠っている少女を消滅させないため、ZEXALは再び奇跡を起こす。

 

 

 

.




今回の話で自分の全てを出し切った気がします。
満足したぜ……。
やっぱりZEXALはいいですね。
サーヴァントの皆さん、驚くのはまだ早いですよ。
ZEXALにはまだ二段階進化を残していますかね(笑)
次回はエピローグで第1章は完結です。
ジャンヌ・オルタの運命はZEXALの手に掛かってます。


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ナンバーズ15 第一特異点終結!魔女に新たな未来を!

今回で第一特異点終結です!
ジャンヌ・オルタがどうなるか……遊馬とアストラルの奇跡に期待です!


奇跡の力、ZEXALでジャンヌ・オルタを救い、ユニコーンである一角獣皇槍に跨ってマシュ達の元へ戻る。

 

ZEXALは一角獣皇槍から降り、真っ先に駆け寄ったジャンヌにジャンヌ・オルタを託した。

 

「ほら、お姉さん。妹さんだよ」

 

「遊馬君、ありがとうございます!」

 

ジャンヌ・オルタは竜の魔女とは思えないまるで生まれたばかりの赤子のような穏やかな表情をしていた。

 

「エンジェルスマイルですね」

 

「エンジェルスマイル?天使の……微笑み?」

 

マシュが呟いた言葉に遊馬が首を傾げるとアストラルが説明する。

 

「生まれたばかりの赤子の笑顔が天使のように可愛らしいからそう呼ばれるらしい。このジャンヌは聖杯によって生み出された。まだ生まれて間もない存在だから間違ってないな」

 

「そっか……大人だけど生まれたばっかの赤ちゃんみたいなもんか」

 

「無事で良かったです……」

 

ジャンヌはジャンヌ・オルタに姉が妹を愛しむような優しい笑みを浮かべてギュッと抱きしめる。

 

敵であったがこうして助けられたことを喜ぶ一同。

 

すると、周囲の声にジャンヌ・オルタは気がついて目を覚ます。

 

「んっ……あなた、どうして……?」

 

「お姉ちゃんが妹を心配しちゃダメですか?」

 

「……はぁ!?な、何であなたがお姉ちゃんなのですか!?」

 

ジャンヌのお姉ちゃん発言にジャンヌ・オルタは一気に意識が覚醒してジャンヌから勢いよく離れた。

 

「私はずっと妹が欲しかったんです!だからあなたは私の妹です!」

 

「ふ、ふざけんじゃないわよ!?嫌よ、あんたが私の姉なんか!」

 

「良いじゃねえか、ジャンヌ。家族は良いもんだぜ」

 

「そう言われても憎んでいた相手を姉なんて……って、誰ですか!?」

 

馴れ馴れしく話しかける謎の少年……ZEXALにジャンヌ・オルタは驚愕した。

 

突然見たこともない異様な姿をした不思議な少年に話しかけたら誰でも驚くだろう。

 

「あ、そっか。この姿じゃ分からないか。俺だよ、遊馬だ。アストラルと合体してこの姿になったんだ」

 

「……どうして精霊と合体したらそんな姿になるんですか!?魔術師でもそんなこと出来ませんよ!!?」

 

「いやー、何で出来るのかも俺にも分からないな。何か変な扉に飛び込んだら合体出来るようになった」

 

「訳がわからないですよ!?人間が精霊と合体してそんな姿になるって事がありえませんから!!」

 

(((よくぞ言ってくれた……!!)))

 

サーヴァント達の言葉を代弁してくれたジャンヌ・オルタに心の中から感謝した。

 

人間と精霊が何の儀式もなく肉体と魂が合体し、新たなカード……モンスターを創造する能力を持つ存在は滅多にいないだろう。

 

「まあ、その話は取りあえず後にしてくれ。今のうちにお前が消えないようにするからさ」

 

「どうやって……?私は聖杯で作り出されたジャンヌの偽物なのよ……?」

 

「奇跡を起こすだけさ。ジャンヌ、俺の手を握ってくれ」

 

「……わかったわ」

 

ジャンヌ・オルタは半信半疑でZEXALの手を握った。

 

するとジャンヌ・オルタの体が光の粒子となってフェイトナンバーズのカードとなり、黒い旗を構えるジャンヌ・オルタの絵が浮かんだ。

 

カードからジャンヌ・オルタが現れ、カード化する不思議な感覚に自分の体をペタペタと触る。

 

「これで何とかなるの……?」

 

「これからだ!ZEXALと令呪の力でお前を助ける!!」

 

ZEXALは遊馬の右手に刻まれている令呪を輝かせ、ジャンヌ・オルタのフェイトナンバーズのカードを右手の指に挟んで掲げる。

 

「「令呪によって命ずる!もう一人のジャンヌよ、消滅するな!!その虚ろな存在を確立しろ!!!」」

 

「んっ……!?」

 

ジャンヌ・オルタの体に白い光に覆われ、体中に魔力が駆け巡って迸る。

 

それに伴い、フェイトナンバーズのカードに名前と効果が刻まれていく。

 

そして、ZEXALの体から金色の輝きが放たれ、今度はジャンヌ・オルタの絵に変化が起き始める。

 

「「かっとビングだ!!俺/私!!!」」

 

フェイトナンバーズから金色の輝きを放ち、新たなカードへと姿を変えた。

 

先ほどのジャンヌ・オルタが旗を構える絵ではなく、銀河眼の光子皇竜を召喚する際に現れる赤い宝玉が埋め込まれた青い十字の剣を構えた絵となった。

 

その名は『FNo.62 竜皇の魔女 ジャンヌ・オルタ』。

 

光が収まったジャンヌ・オルタの右手の甲に『62』の数字が刻まれ、その体に違和感があった。

 

「これって……?」

 

「もしかして、ドクター!」

 

マシュはD・ゲイザーでロマニに連絡し、すぐにジャンヌ・オルタの体をサーチしてもらう。

 

『こ、これは!?こんなことがあり得るのか!?そのジャンヌの体が受肉しているぞ!』

 

受肉。

 

サーヴァントはマスターがいなければ存在を保つことができないが、何らかの方法で人間の肉体を得ることができ、現世に留まることができる。

 

本来ならサーヴァントの受肉は聖杯の力で可能になるが、令呪とZEXALの奇跡の力でジャンヌ・オルタの存在を確立させ、同時に受肉させたのだ。


 

「私が受肉するなんて……これで消えることは無いですね……」

 

「へへっ、良かったな!ジャンヌ!」

 

ZEXALの合体が解除され、遊馬とアストラルの二人に分離される。

 

「……ありがとう、ユウマ。それに、アストラル」

 

ジャンヌ・オルタは目線を逸らしながら遊馬とアストラルにお礼を言う。

 

「おう!」

 

「これで君が消える心配はなくなった。後は……」

 

アストラルが目を細めて振り向くとそこには海魔を失って今にも消滅しかけているジルが倒れていた。

 

ジルの側には目的の品である聖杯が転がっており、遊馬はそれを静かに拾うとマシュに投げ渡す。

 

「マシュ、頼んだ」

 

「は、はい!」

 

マシュの盾は回収した聖杯を入れるように改造しており、聖杯を盾の中に入れる。

 

遊馬はジルを見下ろし、その場で膝を折るとジルは最後の力を振り絞って遊馬に話しかける。

 

「何故だ、小僧……何故、そこまで命をかけてジャンヌを助けた……?」

 

「助けたかったからだけど?」

 

「そんな訳ない!そこまでして二人の聖女が欲しかったのか!?その手で聖女を穢したかったのか!?」

 

「欲しいとか、穢したいとか訳分かんねぇよ。俺は大切な仲間を守りたい、目の前で助けを求める人に手を伸ばしたい。別に損得でやってる訳じゃないし、自分の心に正直に動いているだけだ」

 

「そんな事で……!?何と無責任な!受肉して助けたジャンヌは一人になるのだぞ!?」

 

「ジャンヌは正式なサーヴァントじゃないからな……なぁ、ジャンヌ」

 

「な、何?」

 

「確か、英霊の座だっけ?そこに帰れないなら……俺んちでもに来るか?」

 

突然の遊馬の発言にジャンヌ・オルタだけでなく、マシュ達も耳を疑った。

 

「俺んちって、まさか……遊馬の家に!?」

 

「おう。といってもこことは違う異世界のハートランドってところだから、すぐには行けねえけどな」

 

「い、異世界……?」

 

「遊馬、仮に連れて行くとしても大丈夫なのか?」

 

アストラルはジャンヌ・オルタをハートランドに連れて行くことを心配する。

 

普通に考えて見知らぬ人を突然自宅に連れて行くのは混乱の元になるだろうが遊馬は大丈夫だろうと楽天的だった。

 

「何とかなるんじゃね?まあ、家族のみんなには俺が土下座して頼めば……服とかはスタイル的に姉ちゃんの借りれば良さそうだし、戸籍とか住民票は……カイト達に頼んで偽造してもらうか」

 

「まあそれくらいなら彼らにとって朝飯前だろう……」

 

カイトの父、Dr.フェイカーは実質ハートランドの支配者であるので一人の人間の戸籍と住民票を偽造するのは簡単なことである。

 

「オボミがオービタルのところに嫁に行ってから姉ちゃんと婆ちゃんが少し寂しがってたからちょうどいいや」

 

オボミとはハートランドシティに無数に配置されているお掃除ロボット『オボット』の一体であるが、 とある強盗団によって犯罪に使用されていたが、ひょんなことから九十九家に転がり込み、家族同然として一緒に暮らしていた。

 


ところが、カイトが作成したオービタル7という人工知能搭載型ロボットと結婚して二児(二機?)の母となり、そのまま嫁に行ってしまった。

 

「ま、待ちなさい!何を勝手にどんどん決めているのですか!?」

 

「いやだって、助けたし……ねぇ?」

 

「ねぇ、じゃありません!復讐に生きていた私に未来なんて……」

 

「なぁ、ジャンヌ。お前はまだ生まれたばかりだ。赤ちゃん……ってな訳じゃないけど、お前は生きてる。未来が決まってない、無限の可能性があるんだ。だから、もう一人のジャンヌ・ダルクじゃなくて、一人の女の子として生きてみろよ?」

 

「一人の女の子として……?」

 

「どんな未来を歩むかお前次第だけど、もう復讐なんかさせねえよ?もし道を外れそうになったら無理矢理でも連れ戻すからな?」

 

「……全く、お節介な少年ですね。よっぽど人気者なのでしょうね」

 

「人気者?全然、俺なんかより仲間達の方が人気だぜ」

 

「どうだか……」

 

ジャンヌ・オルタが若干ジト目で睨んでいるがその予想は大いに当たっている。

 

遊馬は鈍感ゆえに気づいてないが、男女関係無く多くの仲間達から好意を寄せられているのだった。

 

「旦那様……でしたら私も是非……」

 

「あんたは黙ってなさい!」

 

清姫が遊馬に滲み寄ろうとしていたが空気を読んでエリザベートを筆頭にサーヴァント達で一斉に清姫を捕えてしばらく動けなくした。

 

そんなことを知らない遊馬は苦笑を浮かべながらジャンヌ・オルタにどうするか聞く。

 

「ま、とにかく……もし行くところないなら俺んちに来いよ。嫌なら無理には言わないけどな」

 

「……行くわ」

 

意外にもジャンヌ・オルタは即答した。

 

「本当か!?」

 

「か、勘違いしないでくださいね!私はあなたの世界でえっと……デュ、デュエルを学ぶためです!」

 

「デュエルを?」

 

「そうです!あなたがもつ銀河眼の光子竜皇を手に入れるために!」

 

ファヴニールよりも既に銀河眼の光子竜皇に心移りしてしまったが、それをジャンヌ・オルタに渡せるわけがなかった。

 

「いや、やらねえよ?これはアストラルの記憶の欠片でもあるから」

 

「き、記憶の欠片!?くっ!?じゃあ銀河眼の光子竜を!」

 

「これは俺の仲間のカイトから託されたものだから絶対にダメ」

 

「じゃあ他の竜を!!」

 

「ダーメ。でも俺の世界に来れば見たことないドラゴンは沢山いるぜ。だからさ、ジャンヌだけのドラゴンを見つければいいんじゃねえか?」

 

「自分だけのドラゴン……わかったわ!必ず自分だけの最高のドラゴンを見つけるわ!」

 

フランスの復讐ではなく、一人の少女として新たな道を見つけることができた。

 

一先ずジャンヌ・オルタの進路が決まり、ジルに報告する。

 

「という訳だから、ジャンヌはうちで預かるぜ」

 

「何と豪胆な少年だ……まさか聖女に新たな未来を与えるとは……」

 

遊馬には勝てない、戦う力もそうだが敵を含め、全てを包み込む聖人の如き心の広さにジルは敗北を感じた。

 

「少年よ、最後に言っておくことがある……」

 

「何だ?」

 

「ジャンヌを……ジャンヌを絶対に裏切るな!!」

 

「裏切る……?」

 

「ジャンヌはフランスに裏切られた……もしも貴様がジャンヌを裏切ったら、私が貴様を嬲り殺してやる!!!」

 

ジルが憎しみを込めた瞳で遊馬を脅すように睨みつけるが、遊馬は一切臆せずに真剣な表情を浮かべ、ジルに約束する。

 

「俺は仲間を、大切な人たちを何があっても裏切らない。全力で守る」

 

「ジルよ、遊馬の言葉は本当だ。かつて遊馬は親友になるふりをして嘲笑うように裏切った敵が危機に陥った時、道連れにされる覚悟で助けたことがあるからな」

 

アストラルの言う事は本当で、ある男は何度も遊馬を裏切り、葬るためにあらゆる手を使って追い詰めようとした。

 

しかし、それでも遊馬はその男を信じて己の命をかけ、一緒に地獄に落ちても構わない、必ず守る……それほどの思いで助けた。

 

そんな遊馬が助けたジャンヌ・オルタを裏切るわけがない。

 

「それからこんなことを言ったら後ろにいるジャンヌに怒られちまうかもしれねえけど、もしジャンヌが生きていることを神が許さないと言って裁こうとするなら……俺の全てを賭けてでもその神をぶっ飛ばしてやるよ」

 

それを聞いたジルはありえないと声を張り上げようとしたが、遊馬の背後にいる三つのモンスター達の威風堂々とした姿を目の当たりにし、遊馬なら本当に神をも退けるのでは?と感じ取った。

 

「もう二度と、ジャンヌ……いや、『ジャンヌ達』に地獄の業火をその身に浴びさせたりはしない!!例え二人を裁こうとする何かが来ても俺が全て薙ぎ払い、守ってみせる!」

 

例えどんな敵を相手でも必ずジャンヌとジャンヌ・オルタを守り抜くと誓う遊馬の決意。

 

その決意を受け取ったジルはまるで狂気が解かれたかのように安らかな表情を浮かべる。

 

「少年よ……ユウマと言いましたね?もしも、もしもあなたがあの戦争の時にジャンヌの側に居てくれたら……」

 

ジルは涙を流し、もしも遊馬が百年戦争の時にジャンヌと一緒だったら、ジャンヌは処刑されることなく幸せになれたのだろうかと強く思った。

 

「ジャンヌを、頼みます……」

 

ジルは遊馬にジャンヌを託して消滅した。

 

そして、消滅したジルの後にフェイトナンバーズのカードが置かれ、遊馬は静かに拾う。

 

「任せてくれ、ジル」

 

ジルのカードをデッキケースにしまい、振り向くとジャンヌが怒ったような表情で睨んでいた。

 

「ジャ、ジャンヌさん……?どうしたんですか……?」

 

「遊馬君……幾ら何でも私たちが信じる神をぶっ飛ばすとか言ってはいけませんよ?」

 

信仰者であるジャンヌにとって先ほどの遊馬の発言を聞き流すことはできなかった。

 

「いや、あの、言葉の綾といいますか……」

 

「全く、これはお説教が必要ですかね?」

 

「嫌だ!お説教は絶対に嫌だー!」

 

お説教から逃れるために遊馬は脱兎の如くジャンヌの前から逃げる。

 

「あ、待ちなさーい!」

 

ジャンヌは追いかけようと手を伸ばしたが、突然ジャンヌの体が透けて来た。

 

「えっ……?」

 

立ち止まって自分の手を見つめると体から光の粒子となって静かに消滅していく。

 

ジャンヌだけでなくマリー達も消滅し始めた。

 

消滅してないのはマシュとアルトリアとエミヤ、そしてジャンヌ・オルタの四人である。

 

倒されてないのにサーヴァント達が消滅し始めるということは、この特異点となった世界の修正が始まったのだ。

 

「……お別れの時が来ちまったみたいだ」

 

「そうですか……もう行ってしまうのですね?」

 

「心配するな!必ずみんなをカルデアで召喚するぜ!みんなとの絆の結晶……フェイトナンバーズがある限り、俺たちの絆は消えないからな!」

 

「絆……それが遊馬君の力でしたね。必ず、私たちを召喚してくださいね。私たちのマスター」

 

「おう!」

 

「それから……」

 

ジャンヌはジャンヌ・オルタに顔を向けて最後に愛しい家族を見つめる優しい笑みを浮かべて遊馬に託す。

 

「彼女を……妹をお願いします」

 

「ああ、任せておけ」

 

「ありがとう……」

 

ジャンヌ達は一斉に消滅し、遊馬達だけが残った。

 

「フォーウ!」

 

そこに今まで戦いを見守っていたフォウがやって来てマシュの体をよじ登って頬ずりする。

 

「フォウさん、帰りますから遊馬君のフードの中に入ってください」

 

「フォウフォウ!」

 

フォウはマシュから遊馬の体に移動してフードの中に入る。

 

聖杯を回収し、歴史が修正されていき、遊馬達のこの時代の役目が終わった。

 

「みんな!カードの中に!カルデアへ帰ろう!」

 

「はい!」

 

「まず一つ……まだ道は長いですね」

 

「だが、私たちは何も失うことなく戦いに勝利した。まずはそれを誇ろう」

 

マシュ、アルトリア、エミヤの三人は光の粒子となってフェイトナンバーズのカードの中に入る。

 

そして、呆然としているジャンヌ・オルタに対し、遊馬は手を差し伸べた。

 

「来いよ、ジャンヌ。俺たちと」

 

再び差し伸べられた手をジャンヌ・オルタは今度こそ握りしめた。

 

「……うん」

 

ジャンヌ・オルタの体が光の粒子となり、新たなフェイトナンバーズの『FNo.62 竜皇の魔女 ジャンヌ・オルタ』の中に入り、四枚のフェイトナンバーズをデッキケースにしまう。

 

「よくやった、遊馬。君はフランスを救ったんだ」

 

「お前とみんながいてくれたからさ」

 

「まだ私たちが人類の未来を救う旅は始まったばかりだが私たちならやり遂げられる」

 

「当たり前だぜ!俺とアストラルがいれば無敵だからな!」

 

「フッ。そうだな、さて……我々も戻ろうか」

 

「そうだな。ロマン先生、頼むぜ!」

 

アストラルは皇の鍵の中に入り、その際にホープレイ達も姿が消えて皇の鍵の中に入り込み、カルデアのロマニに連絡をする。

 

『ああ!遊馬君、お疲れ様!すぐにレイシフトをするよ!』

 

カルデアからレイシフトが開始され、遊馬の体に光が覆い、フランスでの戦いを思い出しながら瞼を閉じた。

 

「じゃあな……フランス」

 

そして、遊馬達はフランスの地から消えてカルデアへ戻った。

 

コフィンが開く音が鳴り、遊馬が瞼を開けて目を開くとそこにはオルガマリーとロマニとダ・ヴィンチ、そしてクー・フーリンとメドゥーサが出迎えた。

 

「ただいま!」

 

コフィンから勢いよく飛び出し、デッキケースを開けてカードからマシュ達を出した。

 

そして、ジャンヌ・オルタがカードから出るとカルデアの近未来的な施設の内装に戸惑いを隠せず、不安そうにキョロキョロしてしまう。

 

緊張を少しでもほぐすためにオルガマリー達は自己紹介をするが……。

 

「え、えっと……ジャンヌよ、よろしく……?」

 

強気な性格のジャンヌ・オルタも弱々しく自己紹介をした。

 

短い時間の間に色々ありすぎて心の整理がつかないのだ。

 

そんなジャンヌ・オルタに遊馬は笑みを浮かべて手を繋ぐ。

 

「ジャンヌ、来いよ!」

 

「えっ!?あっ、ちょっ!?」

 

「ゆ、遊馬君!?」

 

「ロマン先生!サーヴァントの召喚の準備をしてくれ!フランスで出会ったみんなを呼び出す!!」

 

「ええっ!?ゆ、遊馬君!?でも連戦で疲れているはずじゃ……」

 

「こんな疲れなんて勉強に比べれば何ともないぜ!早く早く!!」

 

「ああもう、君と言う子は!!」

 

「やれやれ、小さなカルデア最後のマスターのために行こうではないか」

 

遊馬のワガママを聞き、ロマニとダ・ヴィンチはすぐに英霊召喚の準備を行う。

 

「それからエミヤ!これからたくさん仲間を呼ぶ予定だから、食堂で歓迎会の準備をしてくれ!」

 

「シロウ!歓迎会なら美味しいご馳走は必要です!是非ともお願いします!」

 

「アルトリア……君はただ料理を食べたいだけだろう?仕方ない、オルガマリー所長……いいだろうか?」

 

「……まあ、良いわ。無事に特異点を解決した祝勝会も兼ねてやりましょう」

 

「彼一人では大変ですね、クー・フーリン。手伝いましょう」

 

「はぁ?俺もかよ、仕方ねぇな」

 

ピョコピョコとアホ毛を動かして期待するアルトリアにエミヤとオルガマリーは苦笑を浮かべ、メドゥーサとクー・フーリンも一緒に食堂へ向かって歓迎会と祝勝会の準備を行う。

 

遊馬はジャンヌ・オルタとマシュを連れ、英霊を召喚する部屋に向かうのだった。

 

召喚サークルにフランスで手に入れた計十六枚のフェイトナンバーズのカードを置く。

 

「……聖杯の力で八騎のサーヴァントを召喚した私が言うのもなんだけど、これで一気に呼び出せるの?しかも敵味方関係なしに」

 

「呼べるんですよ、遊馬君が作り出したフェイトナンバーズなら……」

 

遊馬だけが使える英霊召喚の媒体……特異点『F』の四枚から実に四倍のカードが並び、遊馬は少し多めに持った聖晶石を手の中で砕く。

 

「よっしゃあ!かっとビングだぜ、俺!!英霊召喚!!!」

 

聖晶石を砕いて振りまくと召喚が始まり、二度目となる爆発的な魔力が集束する。

 

そして、英霊召喚システムとカルデアの電力が唸りを上げて眩い光を放ち、光の中から一人の少女が飛び出した。

 

「また会えましたね、遊馬君。アストラルさん、マシュ。そして……私の妹さん♪」

 

最初に先ほど別れたばかりのジャンヌの笑顔が迎えた。

 

そして、ジャンヌに続いて次々と英霊が召喚され、カルデアが賑やかになるのだった。

 

 

 

.




ジャンヌ・オルタちゃんを受肉させて遊馬君の家に居候することになりました(笑)
漫画版のコロンちゃんを見て思いつきました。
次回から数話はカルデアの話でジャンヌ・オルタの話や遊馬の過去とかの話を書くつもりです。


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ナンバーズ16 宇宙創造のカード

今回は遊馬とアストラルの戦いの過去をみんなに話します。
何故遊馬達が世界の命運をかけた戦いを繰り広げたのか……。

それからお知らせで皆さんにお願いがあります。
ZEXALのヒロイン、観月小鳥ちゃんを作品に登場させようかなと密かに考え、この度アンケートをとって決めようと思います。
活動報告に投票をお願いします。
登場期間は第二特異点の始まる直前か、終了後を予定しており、その点を踏まえてよろしくお願いします。
アンケートの期限は2017年6月10日までです、よろしくお願いします。
それからZEXALを見返したらやっぱり遊馬の応援&精神安定剤として小鳥ちゃんの存在は欠かせないと思いました。
もし仮にカルデアに来たら聖杯戦争ならぬ修羅場確定の正妻戦争勃発ですね(笑)


第一特異点を解決し、早速遊馬の思いに応えてサーヴァントが召喚され、出てきたのはジャンヌだった。

 

「また会えましたね、遊馬君。アストラルさん、マシュ。そして……私の妹さん♪」

 

ジャンヌのフェイトナンバーズは旗を広げている姿が描かれている。

 

真名は『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』。

 

驚くことにジャンヌ・オルタと同じナンバーズの番号で何故銀河眼の光子竜皇に選ばれたのかどうか不明だった。

 

「はぁい♪マスター、ごきげんよう」

 

次に召喚されたのはマリー・アントワネットだった。

 

マリーのフェイトナンバーズは水晶の馬に跨り、背後には豪華な宮殿が描かれており、真名は『FNo.21 白百合の王妃 マリー・アントワネット』。

 

「ほぅ、ここがカルデアか。なかなか面白そうな場所だな」

 

マリーの次はアマデウスでフェイトナンバーズは指揮棒を持って無数の楽譜と音符が描かれており、真名は『FNo.40 魔曲の奏者 アマデウス』。

 

「旦那様、清姫が参りましたわ♪」

 

アマデウスの次は清姫でフェイトナンバーズは扇子を持って舞うような姿に炎を纏う白い蛇を纏っており、真名は『FNo.57 清廉炎蛇 清姫』。

 

「またこいつと一緒に召喚されちゃったわね……マスターの運どんだけよ」

 

清姫の次はエリザベートでフェイトナンバーズはマイクを手にアイドルのライブ会場で楽しそうに歌っている姿で、真名は『FNo.91 雷竜魔嬢 エリザベート』。

 

「マスター、あなたとまた共に戦えることを光栄に思う」

 

エリザベートの次はジークフリートでフェイトナンバーズは剣を構えた騎士の姿で背後にはファヴニールの影が浮かんでおり、真名は『FNo.92 魔竜剣士 ジークフリート』。

 

「マスター、マシュと共にあなたを守る盾となりましょう」

 

ジークフリートの次はゲオルギウスでフェイトナンバーズは白馬に跨る騎士の姿が描かれており、真名は『FNo.74 守護聖人 ゲオルギウス』。

 

「約束……守ってくれてありがとう、ユウマ」

 

ゲオルギウスの次はマルタでタラスクと一緒に召喚され、フェイトナンバーズはタラスクと共にファイティングポーズを決めている姿で、真名は『FNo.79 聖拳竜破 マルタ』。

 

「ユウマ……ジャンヌと共に私を召喚してくれるとは……感謝します」

 

マルタの次はジルでフェイトナンバーズは魔本を手に無数の海魔を従えており、真名は『FNo.70 聖なる怪物 ジル・ド・レェ』。

 

「全く……まさか昔の私と一緒に召喚されるなんてね……」

 

ジルの次はカーミラでフェイトナンバーズはエリザベートとは真逆の不気味な城をバックに血を纏ってアイアンメイデンを持っており、真名は『FNo.31 鮮血魔嬢 カーミラ』。

 

「ほぅ、まさかこれほど小さな少年がたくさんのサーヴァントを呼び出すとは驚きだ」

 

カーミラの次はウラド三世でフェイトナンバーズは無数の蝙蝠血の杭を持ち、真名は『FNo.24 竜血王鬼 ウラド三世』。

 

「……敵だった僕が召喚されるなんて複雑な気分だよ」

 

ウラド三世の次はシャルルでフェイトナンバーズはギロチンをバッグに処刑者としての姿が描かれ、真名は『FNo.65 断罪処刑者 シャルル』。

 

「今一度、マリー王妃にお仕え出来る事に感謝します」

 

シャルルの次はデオンでフェイトナンバーズは剣を構えたデオンがフランス王権を象徴する無数の白百合に囲まれており、真名は『FNo.10 白百合の騎士 シュヴァリエ・デオン』。

 

味方陣営からはジャンヌ、マリー、アマデウス、清姫、エリザベート、ジークフリート、ゲオルギウスの七人。

 

敵陣営からはジル、マルタ、カーミラ、ウラド三世、シャルル、デオンの六人。

 

計十三人の英霊がサーヴァントとしてカルデアに召喚されたが、召喚に応じなかったのはランスロット、ファントム、そしてバーサーク・アーチャーの三人である。

 

ファントムは協力する意思は低そうだが、ランスロットとバーサーク・アーチャーに関しては遊馬はその内に会える気がすると直感した。

 

遊馬とアストラルは契約したサーヴァントを連れて食堂へ向かった。

 

テーブルには既にエミヤ達が作った古今東西の色々な料理が並び、とても美味しそうだった。

 

カルデアの所長はオルガマリーだが、マスターとして遊馬が代表して乾杯の音頭を取る。

 

「みんな!ついさっきまでフランスで敵同士だったけど、そんなことは関係ない!ここに集まったからには俺と一緒に人類の未来を守るために戦ってくれ!」

 

遊馬の人類の未来を守るという願いによって召喚されているので、基本的に共に戦うことに協力してくれる。

 

しかし、英霊といっても元は人間でそれぞれの性格は異なるし、相性もある。

 

そこでマスターとして遊馬からの注意点を話す。

 

「みんなにはマスターとして言わせてもらうけど、ここにいる英霊のみんなが生きていた時代や国が違うし、性格や価値観の違いはもちろんあるから、喧嘩するのは構わない。だけどな、殺し合いは絶対にダメだ!俺たちは仲間だから、そんな事をしたらフェイトナンバーズのカードの中に封印して謹慎させるからな」

 

フェイトナンバーズはサーヴァント達を有無を言わせずにカードの中に閉じ込めることができるという契約したサーヴァント達からしたら恐ろしい能力である。

 

更に追い詰めるかのようにアストラルが補足説明する。

 

「封印して皇の鍵の中に閉じ込めれば出ることは不可能だ。もし戦うならトレーニングルームで模擬戦でも行ってストレスを発散すればいい」

 

「俺はさ、せっかくこうして時空を超えて出会えたんだから、みんなとちゃんと絆を結んで仲良くなりたいんだ!だからみんな、これからよろしくな!!」

 

遊馬は満面の笑みを浮かべ、サーヴァントたちも思わず笑みがこぼれた。

 

幾ら英霊と同じような歴戦の戦いを繰り広げた者だとしても遊馬はまだ幼い少年。

 

その幼いマスターの意志を尊重し、サーヴァント達は出来るだけ争わないようにし、せいぜい喧嘩程度に収める心に決めるのだった。

 

「とまあ、色々言ったけど、とにかく今は騒ごうぜ!かんぱーい!」

 

「「「乾杯!」」」

 

遊馬たちはグラスを掲げて乾杯し、祝勝会兼歓迎会が始まった。

 

エミヤが作った色々な料理はとても絶品で遊馬たちは舌鼓を打ち、新たに召喚されたサーヴァントたちはすぐに気に入った。

 

それぞれが話をする中、モキュモキュと料理を沢山食べているのは遊馬とアルトリア、そして……ジャンヌだった。

 

「あぁ……美味しいです、こんな美味しい料理は生まれて初めてです〜」

 

ジャンヌはアルトリアに負けず劣らずの大食いで三人は次々とエミヤの料理を攻略していく。

 

アストラルは目を閉じ、羨ましいと思いながら料理を見ないようにして遊馬の背中に寄りかかる。

 

すると、酒を飲んでいい気分になっていたクー・フーリンが遊馬に話しかける。

 

「よぉ、マスター!楽しくやってるか?」

 

「おう!こんなに楽しいパーティーは久々だぜ!」

 

「そいつは良かったな。ところでよ、マスター。なんか願いはないのか?」

 

「願い?」

 

「特異点で聖杯を手に入れたんだからよ、何か願いとかねえのかよ?もしかしたら叶えられるかもしれねぇぞ?」

 

聖杯は願望器としての力があるが遊馬は真顔で即答した。

 

「そんなもんねぇよ」

 

「答え早いな!?にしても無いのかよ、ガキにしちゃ珍しいじゃねえか」

 

「願いは自分で叶えるもんだと思うからな。それに、俺の願いは叶っちゃったからな」

 

「叶った?へぇー、マスターの願いってなんだったんだ?」

 

「俺の願いはデュエルチャンピオンになる事だったんだ!」

 

「デュエルチャンピオン?何だそれ?」

 

「……チャンピオンってどういう事よ?」

 

そこにジャンヌ・オルタがグラスを持って遊馬の隣に座る。

 

「チャンピオンって事は何かの大会で優勝したの?街とかの?」

 

流石にそこまで大きな大会で優勝出来ないだろうと思っていたが遊馬はニッと笑みを浮かべる。

 

「いいや、世界クラスだぜ!」

 

「……はぁ!?せ、世界クラス!?」

 

ジャンヌ・オルタの驚きの声に周囲にいたみんなの視線が集中する。

 

「せ、世界クラスってどういう事よ!?」

 

「WDC、ワールドデュエルカーニバル!ハートランドに世界中から強豪デュエリストたちが集まって競うんだ!一般からプロまで関係無しにデュエルで優勝を目指すんだ!」

 

「さ、参加人数は……?」

 

「参加人数?詳しくは覚えてないけど、デュエリストなら誰でも手軽に参加できるらしいから、数千人……いや、数万人はいたんじゃないか?」

 

「す、数万人……?え?え?まさか遊馬はその大会で……?」

 

「おう!アストラルと一緒だけど優勝したぜ!!」

 

「凄いじゃない……」

 

ジャンヌ・オルタの呟きはマシュ達も同様の思いだった。

 

デュエルがどんなものか詳しくは知らないが、世界中のデュエリストが一同に集まる世界大会で優勝したことは名誉なことである。

 

「まあ、色々大会の裏で陰謀や野望があったからかなり大変だったけどな……」

 

元々WDCは主催者達が世界中に散らばったナンバーズを集めるために開催したものだった為、様々な陰謀や野望が渦巻いていた。

 

遊馬とアストラルが優勝し、数ある問題を無事に全てを解決したので大団円で迎えることが出来た。

 

「ま、そんな訳だから俺の願いは無いな。強いて言うなら、『何も失わず』にみんなと一緒に残り全ての特異点を解決して、人理消失を企てた黒幕をぶっ飛ばして未来を救う……それだけだ」

 

未来を救う事は今の遊馬を含めるカルデアの目標でもあるが、『何も失わず』……それが遊馬の強い願いだとマシュや数人のサーヴァントはすぐに気づいた。

 

戦いで何も失わずに勝利を得ることはほぼ不可能なことかもしれない。

 

しかし、ホープをはじめとする数多のナンバーズにオルレアンで見せた遊馬とアストラルの奇跡の力、ZEXAL。

 

それを見せられては本当に何も失わずに勝ち抜けられるのではないかとマシュ達は淡い期待を抱いた。

 

その後、遊馬達は遅くまで騒いでサーヴァントにも与えられた自室でそれぞれ眠りについた。

 

その夜……サーヴァント達は一斉に夢を見た。

 

サーヴァントは夢を見ることはないが、契約しているマスターの記憶を夢で見ることがある。

 

そして、マスターである遊馬の記憶の断片がサーヴァント達の脳裏に映し出される。

 

遊馬は何処にでもいる元気な男の子だった。

 

しかし、遊馬の両親は謎の失踪により行方不明となっていた。

 

それでも遊馬は大好きな父と母から受けた勇気と愛を胸に毎日を全力で過ごしていた。

 

そんなある日、遊馬の前に謎の扉が現れ、皇の鍵で扉を開けると異世界からアストラルが出現した。

 

世界に散った強大な力を秘めたアストラルの記憶の欠片……ナンバーズと己の命を賭けた戦いへと巻き込まれていく。

 

その戦いの中で遊馬とアストラルは様々な人たちと出会い、戦っていく。

 

それぞれの思いを受け止め、遊馬はその絆を繋ぐために守り、救う事を誓った。

 

そして、遊馬とアストラルは二人の力を重ね、ZEXALとなって数々の強敵を倒して戦って来た者達を守り、救うことが出来た。

 

しかし遊馬とアストラルは新たな戦いに巻き込まれる事となった。

 

それは強大な力を持つモンスターを従える異世界の襲来者。

 

遂に現れたアストラルの真の敵である七人の皇。

 

七人の皇を影で操る強大な闇……それは世界を滅ぼそうとする邪悪な神。

 

そして、暗闇の中に青く輝く一枚のカードのような形をし、複雑なパズルのように分解と構築を繰り返して静かに浮いていた。

 

そこでサーヴァント達の夢は途切れた。

 

その瞬間、サーヴァント達は一斉に目を覚まして直感した。

 

夢の最後に現れたパズルのようなカード……あれは『聖杯と同等かそれ以上に危険なモノ』……だと。

 

サーヴァントそれぞれが持つ宝具や目にしたことのある様々な神秘の道具とは比べものにならないほどの力を秘めたカード。

 

あれは何だ?

 

サーヴァント達はそう疑問に思うのだった。

 

遊馬とアストラルは何を求めるために戦っていたのか……それを聞くために遊馬が目を覚ますのを待った。

 

翌朝、遊馬はマシュに起こされてから食堂でエミヤのご飯を美味しそうに食べ、満足しているとマシュから話を持ちかける。

 

「あの……遊馬君、一つお聞きしたい事があります」

 

「何だ?」

 

「宙に浮かぶパズルみたいな青いカード……ご存知ですか?」

 

それを聞いた瞬間、遊馬とアストラルの表情が固まり、目を見開きながら尋ねる。

 

「……どうしてそれを?」

 

「あ、その……ごめんなさい。実はマスターとサーヴァントは夢で記憶を共有する事があるんです」

 

「記憶の共有?もしかしてそれで俺の記憶を?」

 

「はい……ごめんなさい。恐らくは他の皆さんも……」

 

遊馬とアストラルは周りを見渡すと気まずそうな顔をするサーヴァントが何人かいた。

 

「そっか……もしかしたらいつかバレるんじゃないかなと思ってたんだよな。アストラル、良いよな?」

 

「そうだな。マシュ、会議室にサーヴァント全員とオルガマリー所長たちを集めてくれ。話す事がある」

 

「は、はい!すぐに召集します!」

 

マシュは急いでカルデアにいる全サーヴァントとオルガマリーとロマニを連れて来て会議室に集めた。

 

「さて……まずは私たちの世界について説明しよう」

 

アストラルは手の中から白く輝くカードを取り出すと、会議室の風景が一変し宇宙空間が広がった。

 

アストラルによる記憶やイメージを映し出す幻だがとても高度なものでサーヴァント達は感心した。

 

「私たちの世界は三つの世界で構成されていた。一つ目は遊馬たちが住む人間界と呼ばれる地球……」

 

それはこの世界と同じ青い星とも呼ばれる地球でそれは異世界でも変わらない美しさだった。

 

次に地球よりも更に青い世界で空に無数の星々が輝き、細長い塔のような建物が連なる幻想的な世界だった。

 

「これは、遊馬君がアルトリアさんと戦った時の希望郷……?」

 

マシュは特異点『F』の大聖杯でアルトリアと戦った時に遊馬が発動した『希望郷 − オノマトピア –』を思い出した。

 

「二つ目は私の故郷……アストラル世界。実体の存在しない、エネルギー世界でランクアップした魂だけが行き着ける場所だ」

 

「ランクアップした魂?」

 

「ランクアップした魂は例えるなら歴史で名を残した者たちや誇り高き者たち……つまり、ここにいる英霊のような存在だ。アストラル世界はこの世界の英霊の座に似たようなものだと思ってくれれば良い」

 

アストラルの説明にサーヴァント達は目を見開きながら驚愕した。

 

まさかこれほどまでに幻想的で美しい世界がランクアップした魂の行き着く先だとは思いもよらず、もしも自分達が異世界で生きていたら死後にアストラル世界に流れ着いたかもしれないと思いながら、その光景を目に焼き付けていく。

 

そして、アストラル世界の次は青い世界とは正反対の夕焼けや血を連想させるような赤い世界が広がる。

 

アストラル世界とは違った美しさを感じるがそれとは別に不気味さを感じる世界だった。

 

「バリアン世界……アストラル世界と同じ実体のないエネルギー世界だが、ここにはかつて一人の神がいた……」

 

バリアン世界から現れたのは灰色の体に金髪の長髪、青と赤のオッドアイ、胸には赤い宝石を中心に六つの宝石が埋め込まれた紋章……一見するとアストラルに似てなくもない姿をしているがそのオーラは人でも精霊でもない邪悪な存在だった。

 

サーヴァント達はそれぞれ異なる道を過ごしていたが、あれほどまでに強大過ぎる邪悪な存在を見た事がなく、本能的に戦闘態勢を取って宝具を構えてしまった。

 

「その名は『ドン・サウザンド』。バリアン世界の創造神で全ての世界を滅亡させようとしていた」

 

アストラルが映し出した幻であるが、それすらも忘れるほどの威圧感だった。

 

「……何故私たちがドン・サウザンドと戦うことになったのか……それはあるモノを手に入れるための争奪戦だ」

 

「あるモノ……?」

 

そして、それはサーヴァントたちが夢で見たパズルのような青く輝くカード……遊馬とアストラルは謎のカードの名前を静かに語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ヌメロン・コード」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞きなれない不思議な名前のカード……しかし、それはあまりにも強大な力を持つカードだった。

 

「それは世界の全てを記したカード。このカードの中には世界がどうやって出来たのか、そして何処へ向かうのかその過去と未来が全て記されている」

 

「過去と未来……!?」

 

「そして、このカードは世界の運命を全て決める力がある……それが神のカード、ヌメロン・コード」

 

「俺たちはヌメロン・コードを手に入れて世界を滅亡させようとするドン・サウザンドと戦ったんだ」

 

遊馬とアストラルがドン・サウザンドから世界を守るために何を求めて戦ったのか……ヌメロン・コードの持つ力の恐ろしさにマシュ達は血の気が引いた。

 

すると自身が願望器である聖杯から生まれた存在であるジャンヌ・オルタがヌメロン・コードについて異議を申し立てた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そのヌメロン・コードがとんでもないものだと分かったけど、一体誰が作ったのよ!?そんな過去と未来を自由自在に決めるとんでもアイテムなんてありえないわよ!」

 

聖杯とは元々キリストがワインを振る舞った杯から始まり、それを後世の魔術師達が作ったものだが、ヌメロン・コードが誰が作ったのか想像できない。

 

「ヌメロン・コードは世界が誕生した時に同時に生まれたんだ」

 

「世界が誕生したと同時に……!?」

 

「みんなは世界がどうして誕生したか知っているか?」

 

遊馬にそう言われ、サーヴァント達は固まってしまう。

 

この世界はどうやって誕生したのか……様々な説が言われているが、その真実は分からない。

 

しかし、遊馬達の世界では世界誕生の真実が明らかとなっている。

 

「世界は神が創造した、ビックバンや隕石の衝突で誕生したなど色々な説があるが、私たちの世界では違う……世界は一匹のドラゴンが創造した」

 

「…………はぁ!!??」

 

ジャンヌ・オルタは数秒間思考が停止した後に驚愕の声を上げた。

 

マシュ達も本日数度目となる目を見開きながら驚愕した。

 

「世界を作ったというドラゴンは、元々一匹だけでどこかの時空に存在した」

 

アストラルは金色のカードを取り出すと、そこから一匹のドラゴンが現れた。

 

それは金色に輝く体に両眼が美しい青色を持つ巨大なドラゴンだった。

 

「ドラゴンは自身以外の他のものが存在しない孤独から全ての力を使い、世界を創造した」

 

それはビックバンのような計り知れない膨大な爆発で宇宙とそれを彩る数多の銀河と星々が誕生した。

 

「しかし、それによってドラゴンは力を使い果たし、命を終えようとしていた……」

 

「ドラゴンは、自らが創造した世界を見守れないことを憂えて、最後の力を振り絞って一粒の涙を流した……」

 

ドラゴンが瞼を閉じると青い瞳から一粒の涙が零れ落ちた。

 

「ドラゴンの思いと真実を宿したその涙は長い間、果てしない宇宙を彷徨った末に、遥か昔の地球へと衝突した」

 

「その衝撃によって地球は青の星となり、同時に月が生まれた」

 

まだ地球が一つの生命も生きてない灼熱の星にドラゴンの涙が衝突し、全ての生命を生み出した根源とも言える海が誕生し、それと同時に地球に大きな影響を与える月が誕生した。

 

「そして、この時にヌメロン・コードは地球の何処かへと封印され……その鍵は月へ置いた」

 

「将来ヌメロン・コードが悪用されることを見越し、ドラゴンはナンバーズに自らを秘めた……」

 

「ナンバーズに!?じゃあ……!」

 

既に竜の魔女と言うよりもドラゴン大好き少女へと変貌したジャンヌ・オルタにアストラルは苦笑を浮かべながら金色に輝くカードの光を消した。

 

それが世界を創造したドラゴンがナンバーズに転生した姿でヌメロン・コードの鍵……『No.100 ヌメロン・ドラゴン』。

 

ジャンヌ・オルタはつい手を伸ばしてヌメロン・ドラゴンを手に取ろうとしたが、その前にアストラルが自分の中に仕舞ってしまったので軽くいじけてしまった。

 

慌ててジャンヌとジルがジャンヌ・オルタを慰める中、オルガマリーは体を震わせながらアストラルに尋ねた。

 

「ね、ねぇ……アストラル。こんな事、頼むべきじゃないと分かっているけど、そのヌメロン・コードを使えば……」

 

ヌメロン・コードを使えばこの世界の人理焼失を食い止めることができる。

 

この場にいる誰もが考えたことだが、アストラルは首を左右に振る。

 

「残念だがオルガマリー、ヌメロン・コードを使うのは得策ではない」

 

「ど、どうしてよ!?」

 

「理由は三つある。一つ、ヌメロン・コードは二度と悪用されないようにアストラル世界で厳重に封印されているため使用することは許されない。二つ、ヌメロン・コードの力がこの世界に通用するかどうか分からない。三つ、仮にヌメロン・コードが通用するとしても、使用した際に人理焼却の黒幕に奪われるリスクがある。もしも黒幕にヌメロン・コードを奪われたら……」

 

その先をアストラルが言わなくても直ぐに理解できた。

 

人理焼却の黒幕がヌメロン・コードを手に入れたら人理焼却どころの話じゃない。

 

もはや誰にも手を出せないほどの強大な力を持つ最悪な存在になることは間違いなく、世界滅亡は免れないだろう。

 

オルガマリーの気持ちも理解できるがあまりにもリスクが大き過ぎる。

 

「ごめんなさい……軽はずみな発言をして。忘れてちょうだい……」

 

「いや、君の気持ちは理解できる。だが、周りを見るんだ」

 

「周り……?」

 

オルガマリーが周りを見渡すとそこには遊馬が絆を結んで召喚されたサーヴァント達の姿が目に映る。

 

「このカルデアには未来を救うためにこれだけの英霊が召喚に応じてくれた」

 

「心配するな、所長!俺たちで黒幕たちをぶっ飛ばして未来を救うからさ!!」

 

アストラルと遊馬の励ましにオルガマリーは私もまだまだね……と思いながら苦笑を浮かべる。

 

「そうね。こんなにも頼もしいマスターとサーヴァントがいるのだから心配はいらないわね。さて、話が終わったところで仕事に戻るわよ!ロマニ、次のレイシフトの為にやることをちゃっちゃとやるわよ!!」

 

「え?でも僕はもう少し二人の話を……」

 

「そんな事は後にしなさい!行くわよ!」

 

「あ〜れ〜!!?」

 

やる気満々なオルガマリーはロマニの首根っこを掴んで会議室を飛び出して行き、次のレイシフトの為の仕事に入った。

 

「じゃあ私も次のレイシフトで役に立つ発明をしようか。その為に……遊馬君!約束通り、飛行船を見せてくれ!」

 

ダ・ヴィンチはノートとペンを取り出し、目を輝かせながら遊馬に詰め寄る。

 

「え?かっとび遊馬号を?あー、そう言えば約束していたな。とりあえずカルデアの上に出現させればいいか?」

 

「もちろんだとも!さあ早く!異世界の未知なる技術を私に見せてくれ!!」

 

「分かった。じゃあ、今回の話はここでお開きにするぜ」

 

「何か私たちに質問があったら時間が空いている時に来てくれ」

 

遊馬たちの世界にドン・サウザンド、そしてヌメロン・コード……あまりにも凄まじいとんでも世界にサーヴァント達はこれ以上聞くと頭がパンクしかけるので、一旦解散して遊馬とアストラルの話を整理していく。

 

その夜……皆が寝静まった頃、ジャンヌ・オルタは自室から出て廊下の窓に寄りかかっていた。

 

窓から見える景色は暗闇に染まった雪景色でカルデアが雪山の上に建てられたことを思い出させる。

 

「ふぅ……」

 

ジャンヌ・オルタは大きくため息をついていると一つの小さな影が近づく。

 

「あれ?ジャンヌ、何やってんだ?」

 

「遊馬……?」

 

それは真夜中に夜更かしをして起きていた遊馬だった。

 

遊馬は相向かいに座り、遊馬とジャンヌ・オルタの真夜中の対話が始まる。

 

 

 

.




次回は遊馬とジャンヌ・オルタちゃんのお話です。
ジャンヌ・オルタちゃんが本格的に遊馬に攻略されちゃうかもしれません(笑)


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ナンバーズ17 竜皇の巫女

今回はジャンヌ・オルタちゃん回です。

ヌメロン・コードやバリアン七皇の話も含めています。

先週からお願いした小鳥ちゃん登場のアンケートですが、現在の投票結果は賛成12票、反対5票です。

小鳥ちゃん達の正妻戦争を見たい反面、マシュ達ヒロインが影になりやすいと思う意見もあったので賛否両論がありました。

6月10日までなので残り4日、よろしくお願いします。


廊下で外の雪景色を眺めているジャンヌ・オルタに遊馬が通りがかって一緒に外の風景を見る。

 

「遊馬、何をしているのよ。子供はもう寝る時間よ?」

 

「仕方ねえじゃねえか。ダ・ヴィンチちゃんに夜遅くまでかっとび遊馬号の調査に付き合わされたんだからよ……」

 

げっそりとした様子で遊馬は大きなため息をついた。

 

「あの天才に付き合わされたらめんどくさそうね……アストラルは?」

 

「アストラルは皇の鍵の中で休んでる。ダ・ヴィンチちゃんに遊馬号についてかなり質問攻めを受けて疲れていたからな」

 

ダ・ヴィンチにとって皇の鍵の飛行船……かっとび遊馬号は人間界とアストラル世界の叡智の結晶とも言える、異世界の未知なる技術で作られた飛行船。

 

天才発明家でもあるダ・ヴィンチが遊馬達に役に立つであろう新たな発明を思いつくために、そして自分の探究心のために遊馬とアストラルを巻き込んだ。

 

「二人ともお疲れ様……」

 

「おう、サンキュー……あ、そうだ。ジャンヌ、これ飲むか?」

 

遊馬は両手に持っていた円柱の形をしたアルミ製の物……ジャンヌ・オルタからしたら未来の物である缶ジュースを見せる。

 

「何それ……?」

 

「さっき、ロマン先生から貰った差し入れの缶コーラ。ジャンヌにとって未知なる飲み物だけどな」

 

「コーラ……良いわ、飲んでみようじゃない。って、どうやって開けるのよ?」

 

「待ってろ、すぐに開けてやるから」

 

缶コーラのプルタブを開け、炭酸が溢れる音が鳴り、ジャンヌ・オルタに渡して遊馬も自分の缶コーラを開けた。

 

「はい、乾杯」

 

「乾杯」

 

缶コーラを軽くぶつけ、二人同時に口をつけて喉に流す。

 

しかし、炭酸飲料を初めて飲むジャンヌ・オルタは驚いてコーラを吹き出しそうになった。

 

「ぶはっ!?な、何これ!?口の中が痺れる!?」

 

「はははっ!これが炭酸飲料って奴だ。飲み慣れれば癖になるだろ?」

 

「炭酸ね……ゴクッ!んっ、確かにこれは癖になりそうね……」

 

「コーラは未来で結構人気だからな、すんげぇ美味いんだ!」

 

「そう……良いわね、雪を見ながらこうして飲むなんて」

 

「そうだな。でも雪が晴れていれば山の上だから綺麗な星が見えていただろうな……そしたらもっと美味いだろうな」

 

「綺麗な星を見ながらね……中々のロマンチストね」

 

「そうか?そうだ、俺んちの家の屋根の上から見る景色も結構良いんだぜ。俺の部屋が屋根裏部屋だから安全に行けるし」

 

「へぇー。あなたの家、屋根の上に乗れるのね。楽しみにしているわ」

 

「おう!」

 

少し前までは敵同士だった二人だが、まるで姉弟のような楽しい話をする。

 

ジャンヌ・オルタはコーラを飲み干し、空き缶を置いて息を吐くと話を切り替えた。

 

「……ねえ、遊馬」

 

「ん?」

 

「あなた……過去を変えたいと思わないの?」

 

「……えっ?」

 

唐突なジャンヌ・オルタの問いに遊馬は目を見開く。

 

ジャンヌ・オルタはヌメロン・コードの話を聞いてからずっとその事を考えており、遊馬の答えを聞く前に更に問い続けた。

 

「だって、あなたの両親が行方不明になったり、普通に生きていたのに突然命を賭けた戦いの中に巻き込まれて……いっぱい傷ついて涙を流して……本当なら暖かい家族と幸せな生活を送っていたんじゃないの?」

 

遊馬は普通の少年だったが、両親が行方不明となりアストラルと出会ったことで壮絶なる戦いに巻き込まれた。

 

「ドン・サウザンドを倒した後にヌメロン・コードを使って遊馬の人生をやり直せば……」

 

「俺は過去を変えるつもりはない」

 

遊馬はキッパリと答えた。

 

遊馬ならそう言うと思っていたがあまりにも早い即答だったのでジャンヌ・オルタは目を丸くした。

 

「人には誰だって辛い過去を持っている。例え持ってなくてもいつかは辛い現実にぶち当たり、それが過去になる……過去があるから現在があり、未来へ繋がる」

 

「辛かったんじゃないの……?」

 

「確かに戦いは辛かったけど、俺はアストラルと出会って本当に幸せなんだ。アストラルと言う最高の相棒ができて、希望皇ホープと言う最高の切り札ができて、シャークにカイト……沢山の最高の仲間達を作ることができた。あの戦いがあったからこそ俺は掛け替えのない沢山の宝物ができたんだ」

 

「……それはあなたにとって価値のあるものをたくさん得られた戦いだったからじゃないの?私やジャンヌにはそんなもの……」

 

「確かにジャンヌは聖杯で作り出されて、姉ちゃんは火炙りで処刑されて……本当に辛かったと思う。だけどさ、これだけは言える」

 

「何……?」

 

「俺たちに出会えたじゃないか」

 

遊馬の言葉にジャンヌは目をパチクリさせる。

 

まさか遊馬がそんな言葉を言うとは思いもよらなかった。

 

確かにジャンヌ・オルタは遊馬と出会えたことでその運命が大きく変わっている。

 

「遊馬……」

 

「別にジャンヌが処刑されて良かったとは絶対に言わないけど、あの時の戦いがあったから俺たちは出会えて仲間になれた。違うか?」

 

「そうね……」

 

ジャンヌ・オルタは遊馬とアストラルによって受肉と言う新たな命を授かり、一人の少女として歩くきっかけをくれた。

 

そして……カルデアのサーヴァントの一人、遊馬達の仲間となった。

 

すると遊馬はドン・サウザンドと同じく敵だった七人の男女について話し始めた。

 

「実はドン・サウザンドに運命を狂わされた七人の皇……バリアン七皇がいたんだ」

 

「バリアン七皇?」

 

遊馬はD・パッドを取り出して操作し、そこに一枚の写真を見せた。

 

それは六人の男性と一人の女性が並ぶ写真で服装や顔つきもかなり異なっている。

 

「ドン・サウザンドがバリアン世界の為に戦う七人の皇を選んで人生を狂わせて、この七人の前世は異なる時代の英雄だったんだ」

 

「英雄……?もしかして英霊なの?」

 

「みたいなものかな?まず一人目、俺の仲間でライバル、神代凌牙ことシャーク……ナッシュ。前世はとある国の王様でバリアン七皇のリーダーだった」

 

「……仲間だったけど敵だったの?」

 

「まぁな。大切な仲間だったけど最初からアストラルと敵対する運命だったんだ」

 

「そう……どんだけ邪悪なのよ、そのドン・サウザンドは……」

 

復讐していた頃は自分は邪悪な存在だと思っていたが、ドン・サウザンドという邪神に自分の復讐がどれだけ小さかったかと思い、ため息をついてしまう。

 

「それで、二人目はシャークの妹でいもシャ……」

 

『その名で呼ぶな!!』

 

「はうっ!?は、はいっ!!?」」

 

遊馬は凛とした鋭い声が耳に響き、冷や汗をかいて周りを見渡すがこの場には遊馬とジャンヌ・オルタにしかいない。

 

「どうしたの?」

 

「い、今、恐ろしい幻聴が……え、えっと……名前は神代璃緒ことメラグ。シャークの双子の妹で前世は国王だったシャークの国の巫女をしていたんだ」

 

「へぇー、双子の兄妹なのね。兄妹にしてはかなりベタベタしている……あら?この二人、同じ指輪をしているわね……怪しいわね」

 

璃緒は凌牙の腕に抱きついており、更に二人の指には同じ指輪がはめており、ジャンヌ・オルタから見て兄妹には見えないほど仲が良かった。

 

「そうか?シャークと璃緒は両親がいないから仲が良いんだよ。三人目はドルベ。前世はペガサスに跨る騎士でシャークと仲が良くて、真面目だけどちょっと天然なんだ」

 

「ペガサスの騎士ね……メドゥーサに話したら?きっと食いつくわよ」

 

「メドゥーサもペガサスに跨るし、そうだな……後でメドゥーサには話すよ。四人目はギラグ。前世は日本で伝説の武将だったんだ」

 

「伝説の武将ね……鍛え抜いた肉体にかなり奇抜な髪型……面白そうな男ね」

 

「でもとってもいい奴だぜ。それで、ギラグの親友で五人目はアリト。カウンターが得意な熱いデュエルをして、前世は最高の剣闘士だったんだ」

 

「剣闘士か……本当にこの世界だったら英霊の座に呼ばれて、下手したらサーヴァントで召喚出来そうね」

 

「そうだな……六人目はミザエル。こいつはジャンヌと気が合うかもしれないぜ。銀河眼の光子竜と異なる銀河眼使いで、前世は竜と心を通わす少年だったんだ」

 

「え?もう一人の銀河眼使い!?しかも竜と心を通わしていた!?それは是非とも会って見たいわ!」

 

「ミザエルは根っからのドラゴン好きだからな。そして、七人目は真月零……ベクター。前世はとある国の王子で、いい奴だったけど残虐な父親に母親を殺されて、心が壊れちまって狂気の王子になっちまったんだ」

 

「……ジルと同じね。大切な人を殺されて狂っちゃったのね」

 

ジルもジャンヌが処刑されてからおかしくなり、真月に対して妙な親近感を抱いた。

 

「ああ。特にベクターから敵として酷いことを沢山されてきたけど、あいつとは親友として一緒にいた時期があったからな。裏切られても俺はあいつを信じ続けた」

 

ベクター……真月は何度も遊馬を陥れようとしたが、遊馬は真月に宿る優しい心を信じ続けた。

 

「信じるか……敵だった私ですら助けたんだもの。このベクターも救われたでしょうね……それで、バリアン七皇は遊馬達と敵として戦って……その後はどうなったの?」

 

「バリアン七皇は戦いの後に全員消滅しちまったんだ。だけど、アストラルがヌメロン・コードを使って人間として転生させたんだ」

 

「ヌメロン・コードで人間として転生させた……?凄い、消滅した存在を人間として転生させるなんて」

 

ヌメロン・コードで消滅した存在を人間として転生させる力がある事に驚き、D・パッドには遊馬とシャーク達の楽しそうな日常風景の写真が次々と映される。

 

「ヌメロン・コードを使えばドン・サウザンドに狂わされた七皇の過去の運命を正すことは出来たかもしれないけど、アストラルは過去を変えずに七皇……シャーク達に新しい未来を与えたんだ。そして、今度こそ俺たちの仲間として過ごし、今は一緒に同じ学校にいるんだ」

 

「アストラルはヌメロン・コードで下手に過去を変えずに、戦いで失った全てを取り戻したのね。そして、二度と悪用されないように封印か……きっと遊馬がいたからこそ、そう決断したのね」

 

過去を変えてしまったら今まで積み上げてきたモノが全て消えてしまう。

 

だからこそ共に生きる未来をアストラルは与えたのだ。

 

バリアン七皇の話がひと段落すると、遊馬は前々から思ったことを聞く。

 

「なぁ、ジャンヌ。いつまでも姉ちゃんと同じ名前だと不便だよな?いっそのこと、新しい名前でもつけるか?」

 

ジャンヌもジャンヌ・オルタも同じ名前で今のままだと呼ぶ時とかに不便で仕方ないので遊馬が新しい名前をつけようと提案した。

 

「私はあいつが姉とは認めてないけど……大丈夫?あなた、名付けが下手みたいじゃない。変な名前なら却下よ」

 

「だ、大丈夫だって!そうだな……えっと……」

 

遊馬が腕を組んでジャンヌ・オルタの名前を考えようと唸る。

 

その時、遊馬の脳裏に不思議な光景が広がる。

 

綺麗な青空と草原の風景にジャンヌに良く似た女子高生風の格好した少女が口を開いて何かを呟く。

 

そして、遊馬はその少女の呟きをそのまま口にした。

 

「……『レティシア』」

 

「え?」

 

「いや、頭にジャンヌに似た女の子の姿が思い浮かんで、その名前が……」

 

何故遊馬にその少女と名前が浮かんだのか分からないが、その綺麗な名前をジャンヌ・オルタは呟く。

 

「レティシア。レティシアね……うん、良い名前じゃない。気に入ったわ」

 

「本当か!?」

 

ジャンヌ・オルタは立ち上がり、黒い旗を取り出して広げ、改めて自己紹介をする。

 

「今から私の名前はレティシアよ。よろしくね、マスター」

 

「ああ!よろしくな、レティシア!」

 

ジャンヌ・オルタ……聖杯から生まれたジャンヌの偽物ではない一人の少女として付けられた新たな名前……レティシア。

 

遊馬とレティシアがハイタッチを交わすとデッキケースから光が漏れる。

 

「え?こいつは……」

 

デッキケースを開けてカードを取り出すと『FNo.62 竜皇の魔女 ジャンヌ・オルタ』の真名が変化していた。

 

「見ろよ、ジャンヌ・オルタのカード名が……」

 

「これって、名前が変わった?」

 

それは遊馬がジャンヌ・オルタに新たな名前を与え、レティシアが遊馬との間で強い絆で結ばれたことによりフェイトナンバーズに変化が起きた。

 

「『FNo.62 竜皇の巫女 レティシア』……?」

 

竜皇の魔女 ジャンヌ・オルタから竜皇の巫女 レティシアに真名が変化し、効果も一部追加されており、遊馬とレティシアは困惑する。

 

フェイトナンバーズにはまだ未知なる力が秘められている事を物語っていた。

 

「魔女から巫女に変わった……?どう言うことよ?」

 

「分かんねえ。でも、ジャンヌ……レティシアが新しい道を歩き出した証じゃねえか?」

 

復讐の魔女という鎖から解き放たれ、竜皇に仕える巫女として生まれ変わった瞬間だった。

 

「竜皇の巫女ね……本当に遊馬は面白いわ。こんなに面白いマスターは何処にもいないんじゃないかしら?」

 

「そうか?過去にも聖杯戦争があってたくさんのマスターがいたらしいけどな」

 

「イレギュラーがあったとしても、あなたみたいにサーヴァントをカード化させて新たな力を与えたり、私やジルみたいに敵を救ったりしないわよ」

 

「あはは……サーヴァントのカード化は俺も驚いたよ。もしかしたら俺自身に何かあるかもしれないな……」

 

遊馬は自分の右手を見つめると一瞬だけ金色に輝く。

 

戦いを重ねる毎に薄々自分が『普通の人間』ではないと勘付いていたが、自分が何者だろうと関係ない。

 

「ま、だとしても俺は俺だ。九十九遊馬という一人の人間には変わりないんだ。かっとビングだぜ!」

 

「それは良いんだけど……かっとビングって何よ?今まで特に気にしてなかったけど変な言葉よね?」

 

「かっとビングは父ちゃんから教わったんだ!」

 

「遊馬のお父さんから?」

 

「そう!かっとビング、それは勇気をもって一歩踏み出すこと!かっとビング、それはどんなピンチでも決して諦めないこと!かっとビング、それはあらゆる困難にチャレンジすること!」

 

かっとビングと言う遊馬の不屈の精神があったからこそ、遊馬はどんなに辛い戦いでも最後まで戦い抜くことが出来たと言っても過言ではない。

 

かっとビングこそが遊馬の根源だと理解したレティシアは納得したように頷く。

 

「勇気、諦めない、挑戦……なるほど、人間の正の心ってことね。確かに言いやすいし、力が湧きそうね」

 

「だろだろ!?レティシアも是非言ってくれ!」

 

「……考えておくわ。叫ぶのはちょっと恥ずかしいから」

 

かっとビングは確かに叫ぶのは少し恥ずかしいが、徐々に周りに浸透していく不思議な魅力があるのをレティシアは知らない。

 

実際に遊馬の仲間達はかっとビングを心に秘めて生きているのだ。

 

そして、マシュを始めとするカルデアのサーヴァント達にも徐々にかっとビングが浸透していってる。

 

「さて……そろそろ寝るかしらね」

 

「そうだな……ふわぁ……おやすみ、レティシア」

 

「ええ、おやすみ。遊馬」

 

遊馬とレティシアはその場で別れ、それぞれの自室へ戻る。

 

翌朝、レティシアが遊馬に名付けてもらったと自慢そうにみんなに話すとそれに嫉妬した清姫が喧嘩を売り、トレーニングルームで激しいバトルを繰り広げるのだった……。

 

 

 

.




ジャンヌ・オルタちゃんがレティシアに改名されました!

最初はオリジナルの名前を考えようと思いましたが、やはりジャンヌのもう一つの名前はレティシアしかないなと思ってそちらにしました。

次回は遊馬のカルデアでの1日みたいな話を書いていきます。

遊馬がカルデアでどんな1日を過ごすのかサーヴァントたちとどんな触れ合いをするのか楽しんでもらえたら幸いです。

第2章はもう少々お待ちください、私も早くネロちゃんに会いたいので(><)


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ナンバーズ18 カルデアの一日

今回は遊馬とアストラルのカルデアで過ごす一日の話です。

さて、先日募集したアンケートですが小鳥ちゃんがFate/Zexal Orderに参加することとなりました!

賛成は16票、反対は6票でした!

投票してくれた皆さん、ありがとうございます!

遊馬×小鳥前提ですが、やはりFate伝統?の正妻戦争や修羅場を書いていきたいと思います。



これは遊馬とアストラルのカルデアの一日である。

 

午前7時・起床。

 

遊馬はマイルームのベッドでイビキをかきながら豪快に寝ており、またアストラルは遊馬の上でフワフワと浮いて腕を組みながら寝ていた。

 

そこに毎朝遊馬とアストラルを起こしに来ているのがマシュだった。

 

マシュは可愛い寝顔をする遊馬を微笑んで見ながら起こす。

 

「遊馬君、朝ですよ、起きてください」

 

「んぁ?……ふわぁ、おはよう。マシュ……」

 

「おはようございます。ところで……またみたいですね」

 

マシュはベッドの近くの床を見ながら苦笑を浮かべ、遊馬も苦笑を浮かべる。

 

「ああ……またみたいだな。アストラル、解放してやってくれ」

 

「……分かった」

 

アストラルは目を覚まし、ジト目で床で転がっている人を睨みつけた。

 

「むー!むーっ!?」

 

「……清姫、君はいい加減にしたらどうだ?」

 

それは先日遊馬に召喚された清姫で口や体に鎖で巻かれて動きを完全に動けなくなっていた。

 

それはアストラルが発動した罠カードだった。

 

「相変わらずよく効くな……『デモンズ・チェーン』」

 

それは対象モンスターの効果を無効化し、攻撃を封じる強力なモンスター封じの罠カード、デモンズ・チェーンだった。

 

何故デモンズ・チェーンで清姫を封じているのかと言うと、それは遊馬の貞操を守るためだった。

 

清姫は遊馬に心底惚れており、夜這いをかけようとしていた。

 

その前にエリザベートに清姫は危ないから気をつけろとアストラルに忠告していた。

 

その忠告通り、清姫は深夜に遊馬の部屋に忍び込んで夜這いをかけようとしたがアストラルはセットしておいたデモンズ・チェーンを発動して清姫を動けなくして遊馬の貞操を守った。

 

それが数日連続で続き、アストラルも呆れ果てていた。

 

「うぅ……アストラルさん、どうして邪魔するんですか?」

 

「当たり前だ。寧ろ邪魔しない方がありえない」

 

清姫とアストラルは互いを強く睨みつけて火花を散らせる。

 

一方は遊馬と添い遂げたい、もう一方は遊馬の貞操を頑固として守る……遊馬を想う相反する二人が反発しているのだった。

 

「あはは……清姫、朝飯食いに行こうぜ?」

 

「はい!是非っ!」

 

清姫はすぐに元気になり、遊馬の腕に抱きついて一緒に食堂へ向かう。

 

「いつもお疲れ様です、アストラルさん」

 

「ふっ、遊馬を清姫に渡すつもりはないからな」

 

「まるで娘のお付き合いを許可しないお父さんみたいですね……」

 

マシュとアストラルは遊馬と清姫の後を追い、食堂へ向かう。

 

 

午前7時15分・朝食。

 

カルデアの食事はエミヤが担当しており、エミヤの作った料理を遊馬たちはいつも美味しそうに食べている。

 

ちなみにいつも大量の食事を食べているアルトリアはカルデアの食糧確保の為に何故か釣りが好きなクー・フーリンを連れて共にフランスにレイシフトを行い、ダ・ヴィンチ特製の収納袋を手に作物や野生動物や魚などの食糧を大量に確保している。

 

「うぉおおおっ!シロウのご飯のために!」

 

「よっしゃあ!釣りまくるぜ!魚ぁっ!!」

 

これでなんとかカルデアの食糧危機を回避しているのだった。

 

 

午前8時・勉強会。

 

食事の後に一休みをした遊馬は勉強会を受けていた。

 

教師はマシュとオルガマリーの二人で遊馬の中学生レベルの基本的な教養、そして魔術やサーヴァントの基礎知識を教える。

 

そして、この勉強会では遊馬は珍しく真剣に勉強をしていた。

 

勉強が苦手な遊馬はハートランド学園でいつも授業で寝ており、最初の勉強会で睡魔に襲われて寝かけたら……。

 

「この私自ら勉強を教えているのに寝るとはいい度胸ね……?遊馬ぁっ!!」

 

「は、はいっ!!??」

 

オルガマリーの激昂が轟き、姉・九十九明里を彷彿とさせる恐ろしさに遊馬に強いトラウマを与えて真面目に勉強するようになった。

 

オルガマリーは遊馬に教えるのに苦労すると思われたが、意外にも遊馬は理解力があり、次々と知識を蓄えていった。

 

それもそのはず、遊馬の父・九十九一馬は冒険家であると同時に大学の教授をしており、更には百年に一人の天才と言われるDr.フェイカーも唸らせるほどの知識と発想力を持つ学者でもあり、その息子である遊馬にもなんだかんだで素質があるのだった。

 

つまりやる気さえあればできる子だった。

 

そんな遊馬に休憩を挟みながらみっちり勉強を教え、午前中が終わる。

 

 

午後0時・昼食。

 

約4時間の濃厚な勉強会を終えた遊馬は口から魂が抜けかけながら食堂へ向かい、エミヤ特製の昼食を頂く。

 

軽く死にかけていたが美味しそうな昼食を見た瞬間元気になり、モリモリと食べていく。

 

 

午後1時・鍛錬。

 

午後からは体力などを鍛えるトレーニングを行うのだが、遊馬にはあまり必要がなかった。

 

遊馬は幼い頃から冒険家の父に世界中の色々な場所に連れられ、時には断崖絶壁の山を小学生で一緒に崖登りをした事もあり、体育の時間では無理難題なチャレンジを繰り返して来たので身体能力は中学生レベルを大幅に超えていた。

 

あまり下手に鍛えると成長期の遊馬の体が壊れる可能性があるので遊馬の自主トレに任せた。

 

ある日、遊馬はトレーニングルームで激しい攻防をしているサーヴァント達の光景を目の当たりにした。

 

サーヴァント……英霊は歴史に名を残した英雄や偉人であるが、時代が古ければ古いほどその英霊は武人であることが多い。

 

その代表格が騎士王のアルトリアやケルトのクー・フーリンなどが挙げられ、時代を超えた奇跡の出会いという事もあって武人のサーヴァント達は己の武を磨き、伝説の英雄と手合わせをする為にと互いに武器である宝具を振るって模擬戦をする。

 

男の子である遊馬はサーヴァント同士の激しい模擬戦に目を輝かせた。

 

「すっげー!俺もみんなみたいにビュンって宝具を出して戦えたらーー」

 

そう思ってパッと両手を広げた次の瞬間、遊馬の手に二振りの剣が現れた。

 

「……え?」

 

「何……?」

 

二振りの剣は遊馬が柄を握ってないのでそのまま床に落ち、刃が床に突き刺さった。

 

片刃で唾がない代わりに刀身に円形の穴が空いているシンプルだが少し不思議な形をした双剣……それは遊馬にとって見慣れたものでもあった。

 

「未来皇ホープの双剣……?」

 

それは遊馬が生み出した未来皇ホープが両手に持つ双剣そのものであり、サーヴァント達は遊馬が双剣を出現させたことに目を見開くほど驚いた。

 

遊馬は恐る恐るその双剣を持ち上げるとまるでずっと前から持っていたかのように手に吸い付き、とても軽く感じられた。

 

「まさか……遊馬が英霊と契約を結んだことで遊馬自身に何か影響を……?」

 

アストラルは遊馬が英霊と契約を結び、不可視な強い絆で結ばれたことで遊馬自身に大きな影響を与えているのではないかと推測した。

 

するとそこに赤い影が遊馬に近づく。

 

「ほぅ……流石は無限の可能性を持つマスターだ」

 

「エミヤ!」

 

「マスター、良かったら私が双剣の使い方を教えてやろう。英霊の中で双剣……二刀流を操れるのは私だけだからな」

 

エミヤは干将・莫耶を投影して両手に構える。

 

確かにカルデアにいるサーヴァントで双剣……二刀流を扱えるのはエミヤしかいない。

 

これからの戦い、遊馬がモンスターを召喚する前に真っ先に敵に狙われる可能性が十分にある。

 

護身術として学ぶ為にエミヤに師事を請う。

 

「よっし!頼むぜ、エミヤ!」

 

「手加減はせぬぞ。来たまえ、マスター!」

 

遊馬はエミヤから二刀流の使い方を学び、他には徒手空拳をマルタから学び、その後はアルトリア達が手合わせをして護身術としての技術がグングン上がっていく。

 

伝説の英雄から武術の師事を得て遊馬はデュエリストだけでなくリアルバトルを行うリアリストとしての道も開けたのだった。

 

 

午後4時・手伝い。

 

鍛錬の後、遊馬とアストラルはダ・ヴィンチの工房に向かった。

 

ダ・ヴィンチは新しい発明を日夜行い、特に皇の鍵の飛行船を調べてからインスピレーションを得て色々な発明をしていく。

 

その発明は主に遊馬が特異点で使う為に利用するので遊馬は進んでダ・ヴィンチの手伝いを行い、試作品の試運転と調整をする。

 

 

午後6時・夕食。

 

勉強会と鍛錬と手伝いを終え、ヘトヘトになった遊馬はアルトリアとジャンヌと共にモキュモキュとエミヤ特製の夕食を食べる。

 

しかし、成長期と大食い二人にやはりカルデアの食糧がジワジワと減っているのでアルトリアは再びレイシフトをして食糧確保に向かうことになるのだった。

 

 

午後7時・自由時間。

 

一日の遊馬のやるべきことが終わり、後は忙しい遊馬の心を穏やかにするための自由時間となる。

 

「よし!レティシア、デュエルだ!」

 

「ええ!今日こそは勝つわよ!」

 

夕食を終えたその後にそのまま食堂でデュエルをする。

 

遊馬の世界で発展しているデュエルモンスターズを知ろうとサーヴァントだけでなくカルデアの職人も共に見ている。

 

デュエリストを目指すレティシアがルールなどを覚えるために遊馬とアストラルが持つカードを使い、デッキを半分にしたハーフデッキで簡易的なデュエルをする。

 

ただのカードゲームと思ったら侮るなかれと言わんばかりにデュエルモンスターズのルールは単純そうで実は複雑……一朝一夕で覚えるものではないので一緒にやりながら遊馬とアストラルが教えていく。

 

デュエルだけでなくデッキ構築やカードの組み合わせやコンボを考えるだけでも時間はあっという間に過ぎていく。

 

 

午後9時・トークタイム。

 

自由時間を終えると遊馬はサーヴァント達と話をする。

 

サーヴァント達と絆を深めるためのトークタイムだ。

 

カルデアに召喚されたサーヴァント達の大半は遊馬をマスターとして、遊馬よりも年上のサーヴァントからは可愛い弟分として、そして……一部の女性サーヴァントからは想い人として慕われている。

 

しかし、特異点の戦いで敵であった者や生前に起きた事柄から遊馬に心を開いていないサーヴァントも少なからずいる。

 

現状で遊馬にまだ心を開いてないのはカーミラとシャルルだった。

 

遊馬はカーミラとシャルルの生前の出来事を調べ、それを全て受け入れながら二人それぞれと話し合う。

 

「カーミラ、歳を取るって別に悪いことじゃないと思うぜ?まあ、俺は男だから女の辛さはよく分からないけど……でも、俺の婆ちゃんは言ってた。人生を長く生きて歳を取って失ったものは沢山あるけど、同時に掛け替えのない大切なものが沢山できたから後悔は無いってさ。生きることは何かを得て失うことの繰り返しなんだよ。カーミラもさ、せっかくこうして召喚されたんだから自分にとって大切なものを見つけてみろよ、そうしたら考えが変わるかもしれないぜ」

 

カーミラには自分にとって大切なものを見つけて新しい価値観を見つけることを勧めた。

 

「シャルル。大切な人をその手にかけてしまったのは辛いよ。俺もさ、似たようなことを経験したからさ……でも、いつまでも俯いたままじゃダメだと思う。マリーは今カルデアにいるんだ。もう誰かに罰せられることはないけど、これからの戦いで何かが起こるか分からない。マリーはもうお前の事をとっくに許しているんだから、今度は裁くんじゃなくてマリーを守るためにその力を使えば良いじゃないか」

 

一方、シャルルには処刑人ではなく、マリーを守る一人の男として戦えばいいと諭した。

 

まだ二人は仲間として絆が芽生えてないが、遊馬の話を聞いて僅かに心が動いたのだった。

 

 

午後11時・就寝。

 

トークタイムが終わり、シャワーを浴びて体を綺麗にし、ジャージを着る。

 

そのままベッドに横になるがやはりなかなか寝付けない。

 

家ではベッドや布団ではなくハンモックで寝ていたので近々ダ・ヴィンチに頼んでハンモックを作ってもらい、遊馬のマイルームに設置する予定だ。

 

遊馬は寝付けなくても勉強や鍛錬で疲れており、だんだん睡魔に襲われて眠りについた。

 

眠りについた遊馬を見たアストラルはまた清姫が侵入する事を想定してデモンズ・チェーンや色々な捕縛用の罠カードを取り出してマイルーム中に設置する。

 

アストラルも腕を組んで遊馬の上で浮きながら眠りにつき、遊馬とアストラルの一日が終わりを告げる。

 

そして、数時間後には相変わらずと言うか懲りない清姫がマイルームに侵入して遊馬に夜這いをかけようとするが、また罠に引っかかるのだった……。

 

 

遊馬とアストラル、そしてサーヴァント達は穏やかな日々が続いていく。

 

しかしそんな日々も続かず、新たな特異点が発見される。

 

第二特異点……遊馬とアストラルとマシュの新たな戦いが始まる。

 

舞台は古代ローマ。

 

平和だったローマの地で過去のローマ皇帝達が敵として立ち塞がり、人類史焼却の黒幕が姿を現わす。

 

そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遊馬」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデアに遊馬とアストラルに続く、もう一人の異世界の来訪者が現れるのだった。

 

 

 

.




次回から第二章、第二特異点・永続狂気帝国セプテムです!
大人気、赤セイバーことネロ皇帝の登場です!
そして……遊戯王ヒロインで破格の扱いを受けていた彼女が参戦です!


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ナンバーズ19 戦いの運命に巻き込まれた少女

遊戯王シリーズで優遇されたヒロインの登場です!
遊馬にはやっぱり彼女が必要だと思うので登場させました。


新たな特異点が見つかり、遊馬とマシュはそれぞれの部屋で準備をする。

 

デュエルディスクとD・ゲイザーをセットし、腰にデッキケースを装着するが、それは遊馬がいつも使っている赤いデッキケースではなかった。

 

赤いデッキケースには変わりなかったが妙に豪華な装飾が施されており、遊馬の令呪と同じ模様が描かれていた。

 

そのデッキケースはダ・ヴィンチの新しい発明で名前は『ディメンション・デッキケース』。

 

遊馬がサーヴァントと契約することで誕生するフェイトナンバーズ。

 

しかしフェイトナンバーズはカードにサーヴァントが宿ってないと使用できないデメリットがある。

 

そこで特異点で戦っている遊馬とアストラルからその戦闘で必要なフェイトナンバーズをD・ゲイザーを使ってカルデアに連絡し、フェイトナンバーズにサーヴァントを宿してすぐにカルデアからディメンション・デッキケースに転送するというシステムである。

 

「なぁ、アストラル。次の特異点でどんな英霊と会えるかな?」

 

「そうだな……フランスはもう無いだろうから別の場所だろう。国が一つ違うだけでも多くの英霊がいるからな。不謹慎だが私自身も楽しみだ」

 

「へへっ、俺もだぜ」

 

遊馬とアストラルは密かに特異点で新しい英霊と出会えることを楽しみにしていた。

 

英霊と出会えることは新しい仲間が集う可能性が高まるので不謹慎であるが楽しみであった。

 

「遊馬君、アストラルさん、おはようございます」

 

そこにデミ・サーヴァントとしての戦闘服に着替えて盾を持つマシュが入室して遊馬とアストラルを迎えに来た。

 

「おはよう、マシュ!」

 

「おはよう。フォウはいないみたいだが、どうしたんだ?」

 

「フォウさんはいませんが多分そのうち出て来るはず……」

 

「フォウフォーウ!」

 

「あ、フォウ。どうしたんだ?」

 

フォウは突然出て来ると遊馬のズボンの裾を軽く噛んで引っ張り、そのまま遊馬のマイルームを出て行った。

 

「ついて来てと言ってるみたいですね……」

 

「とりあえず行ってみるか!」

 

遊馬とマシュは急いでフォウの後を追う。

 

カルデアの廊下を走り、マシュは前にも似たようなことがあった事を思い出す。

 

「そう言えば初めて遊馬君を見つけた時もこんな風にフォウさんについて来てと言ってましたね……」

 

いつも気ままで自由なフォウが呼び出すとは何かあったに違いないと遊馬とマシュは歩く足を早くする。

 

丁度そこは遊馬がいつのまにかカルデアに迷い込んで倒れていた場所のすぐ側だった。

 

「あっ!誰かが倒れています!」

 

「あれは……まさか!?」

 

「馬鹿な、どうして君がここに……!?」

 

遊馬とアストラルは廊下で倒れている人物を見て目を疑った。

 

それは緑色の髪に赤いリボンを付け、可愛らしい服装をした遊馬と同じくらいの年齢の少女だった。

 

その少女は遊馬とアストラルにとって大切な人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「小鳥!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊馬は倒れている少女を抱き上げ、アストラルは心配そうに見つめる。

 

少女の名は観月小鳥。

 

遊馬の幼馴染で遊馬とアストラルのナンバーズを賭けたデュエルから世界の命運を賭けたデュエルまで、数多くのデュエルを最後まで見届けてきた少女である。

 

そして小鳥は特に外傷はなく、ちゃんと呼吸はしていたが意識を失っていた。

 

「小鳥……さん?遊馬君、お知り合いですか?」

 

「俺の大切な幼馴染だ!マシュ、医務室に運ぶからロマン先生を呼んでくれ!!」

 

「は、はい!了解しました!」

 

遊馬は小鳥を抱き上げたまま急いで医務室へ向かい、アストラルも共に向かう。

 

「でも、遊馬君の幼馴染さんがどうしてカルデアに……?」

 

「キュー?」

 

マシュはその事に疑問を抱きながらD・ゲイザーを取り出してロマニと連絡を取る。

 

 

カルデアではとある異常事態で話が持ちきりだった。

 

第二特異点が発見されたのもつかの間、何と遊馬と同じ異世界から来た少女……しかも可愛い幼馴染が来たという事でサーヴァント達はこぞって廊下から医務室の様子を伺っている。

 

医務室には遊馬とアストラル、ベッドの上には寝ている小鳥と診察しているロマニだった。

 

「先生、小鳥は……?」

 

「心配ないよ、意識を失っているだけだからすぐに目を覚ますだろう」

 

「よかったぁ……」

 

「でもどうして遊馬君の幼馴染が?もしかしてこの子にも君のような特別な力が?」

 

「いや、小鳥はそんな力を持ってないぜ。せいぜい普通の人間には見えないアストラルが見えるぐらいで……」

 

小鳥は一応デュエリストではあるが、あくまで初心者レベルで特別な能力やカードを有していない。

 

遊馬とアストラルは何故ここにいるのか不思議で仕方がなかった。

 

遊馬は小鳥を心配して手に触れた瞬間、ナンバーズの49の刻印が空中に浮かぶ。

 

小鳥の体に淡い緑色の光が纏うとピクッと体が動いた。

 

「んっ……ん……?」

 

「小鳥……?小鳥!」

 

小鳥は意識を取り戻し、ゆっくり瞼を開いて虚ろな目で遊馬を見つめる。

 

「……遊馬……?」

 

「小鳥!よかった……目を覚ましたんだな!」

 

「小鳥、無事で何よりだ」

 

「アストラル……良かった、遊馬に会えたのね……」

 

「ああ。だが、どうして君がここに……?」

 

「それは……」

 

「その話は私にも聞かせてもらえないかしら?」

 

医務室の扉が開くとオルガマリーが入室して小鳥に視線を向ける。

 

「初めまして。人理継続保障機関・カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアです」

 

「人理継続……?カルデア……?」

 

「少々複雑な話になるけど、落ち着いて聞きなさい。その後にあなたの話を聞かせてもらうわ。何せあなたは遊馬と同じ異世界からの来訪者なんだから」

 

「は、はい!」

 

オルガマリーは人理継続保障機関・カルデアの役目とこの世界に起きた人理焼却、そして遊馬とアストラルとサーヴァント達がこの世界の未来を守る為に過去の世界の特異点を巡り、解決する使命を伝えた。

 

遊馬とアストラルが再び危険な戦いに飛び込んでいる事に驚愕と同時に呆れ果てて大きなため息をついた。

 

「遊馬……」

 

「何だ?」

 

「あなたね……どれだけ人を心配させれば気が済むのよ!!!」

 

そして、遊馬を睨みつけながら大声で怒鳴りつけた。

 

「はひっ!?」

 

「一緒に出かけようとした途端に急に目の前から消えて心配したんだからね!!アストラルが行ってくれたけど、無事なら無事で連絡をしなさいよ!!」

 

「出かける……?あ、そうか……あの日、小鳥と買い物を行くときに俺は……」

 

遊馬はどうしてカルデアに来たのか記憶の混乱で思い出せなかったが、小鳥の言葉でようやく思い出した。

 

ある日遊馬と小鳥は買い物で街に出かけようとしていたが、突然起きた空間の歪みの中に吸い込まれてしまい、気が付いた時にはカルデアの廊下に倒れていたのだ。

 

「本当にもう、遊馬はいつもいつも心配ばっかりかけて……」

 

小鳥は遊馬と再会できた喜びと遊馬がいなくなってしまった不安が一度に溢れ出して大粒の涙を流した。

 

突然の涙に遊馬達は驚き、慌てて遊馬が小鳥をあやす。

 

「わ、悪かったって小鳥。ああ、もう泣くなって……」

 

「うるさいうるさい!遊馬のバカバカバーカ!!」

 

「逆ギレ!?」

 

遊馬と小鳥の微笑ましい光景にアストラルとロマニとオルガマリーはその場からそっと離れる。

 

「意外ね、遊馬にあんな可愛いガールフレンドがいたなんて」

 

「しかも小さい頃からの幼馴染……うん、羨ましいの一言に限るね!」

 

「ふっ……小鳥はほぼ遊馬と毎日一緒にいるからな」

 

心なしか小鳥がそばにいる事で遊馬の表情に安らぎが現れていた。

 

「そ、それよりも、小鳥はどうやってカルデアに!?」

 

「カイト達のお陰よ!遊馬が消えたところを解析して、大急ぎで異次元ゲートを作って私を送ってもらったのよ!」

 

「異次元ゲート!?流石はカイト達だぜ!って!何でそんな危ないことをするんだ!?おばさんが心配するし、俺に会えなかったらどうするんだよ!?」

 

「お母さんにはちゃんと説明して行ってらっしゃいと背中を押してもらったわ!それに……私の居場所は遊馬のいる場所だから絶対に会えるって信じてた!」

 

「何だよその自信……」

 

小鳥も遊馬の影響か無茶苦茶な行動が少々目立って来た。

 

呆れ顔をする遊馬だったが、心の中では小鳥が側にいてとても嬉しかった。

 

遊馬にとってアストラルと小鳥がヌメロン・コードを賭けた激しく、厳しい戦いの中で唯一の心の支えだったから余計に嬉しかった。

 

二人の仲が少しずつ縮まろうとしたその時だった。

 

突然ドアが開き、一気に部屋の温度が上がり悍ましい声が響く。

 

「もう我慢出来ません……旦那様とそんなに熱々なんて……」

 

それは遊馬のことを病むほど愛してやまないサーヴァント……清姫だった。

 

廊下にいたサーヴァント達は清姫の病んでいるヤバイ精神状態に無理無理!と首を激しく左右に振っていて止められないと訴えていた。

 

「き、清姫!?」

 

「ちょっと遊馬……旦那様ってどういう事よ?」

 

遊馬を旦那様呼ばわりする清姫に小鳥は冷たい目で睨みつけ、遊馬の耳を引っ張った。

 

「いててててっ!?いや、その、俺もよくわかんねえんだよ!?清姫の昔の恋人の生まれ変わりが俺とか言ってて……」

 

「はぁ?何よそれ……清姫、さん?その話は本当ですか?」

 

「ええ、本当ですよ。旦那様……遊馬様は安珍様の生まれ変わりです」

 

「遊馬は心当たりがなくて、全く知らないみたいですけど?」

 

「そんな事は関係ありませんよ?それよりも突然来て図々しくありませんか?」

 

「図々しい?私は遊馬と赤ちゃんの頃からの付き合いですよ?遊馬とはほぼ毎日一緒にいるんですから、今更図々しいとかありえませんから」

 

遊馬の祖母と小鳥の祖母が学校の同級生で仲良しと言うこともあって、九十九家と観月家の間で交流があり、遊馬と小鳥は幼馴染の関係となった。

 

バチバチと火花を散らせる小鳥と清姫……小鳥の背後には天使、清姫の背後には大きな白蛇の幻影が見えるほどの威圧的な態度を取る。

 

そんな二人を見て物陰から覗いているエリザベートはボソッと呟いた。

 

「凄いわね、あの子……魔術師でも何でもないのに病んでる清姫と面と向かって言い合えるなんて……」

 

誰よりも清姫の心の病みを知っているエリザベートは小鳥の精神……心の強さに驚いた。

 

そんな修羅場となった医務室に対し臆する事なく一人の少女が入り、小鳥と清姫の間に旗を割り込ませた。

 

「やめなさい、ヤンデレ蛇姫。相手は普通の女の子よ?」

 

それはレティシアで、今さっき医務室に到着したばかりだった。

 

「レティシアさん……邪魔しないでください」

 

「はぁ……アストラル、このままだとカルデアが血の海になりかねないから、あれをやりなさい」

 

「そうだな……清姫、しばらく頭を冷やしてもらう!」

 

アストラルは清姫のフェイトナンバーズを取り出すと強制的に粒子化させる。

 

「え!?ちょっと、待ってくださ……きゃあああああっ!?」

 

粒子化された清姫はフェイトナンバーズの中に封印され、そのまま皇の鍵の中に入って飛行船にあるナンバーズを収める場所に一時的に収納する。

 

「これでよし……あなたが遊馬の幼馴染の小鳥ね。ふーん、なかなか可愛いわね……でもあまり無茶したらダメよ。サーヴァントにはマトモな奴もいれば逆に危ないのもいるから」

 

「あなたは……?」

 

「私はレティシア。遊馬からあなたのことはよく聞いているわ。そう言えば……ちょっと、ジャンヌとマリー、出て来なさい」

 

レティシアは物陰に隠れていたジャンヌとマリーを呼んだ。

 

ジャンヌとマリーの名前に小鳥は目を見開いて驚く。

 

「ジャンヌ?マリー?えっ?えっ?」

 

「ジャンヌ・ダルクとマリー・アントワネット。遊馬から聞いてたけど、確か二人のファンだったわね?」

 

遊馬は以前第一特異点で小鳥がジャンヌとマリーに憧れていることを話しており、レティシアは先日遊馬からそのことを聞いていた。

 

ジャンヌとマリーはニッコリと笑みを浮かべながら小鳥に自己紹介する。

 

「初めまして、ジャンヌ・ダルクです。マスターの幼馴染に会えて嬉しいです」

 

「ごきげんよう、フランス王妃のマリー・アントワネットですわ。よろしく、小鳥さん」

 

憧れのジャンヌとマリーに会えてまるで大好きなアイドルに会えたような気持ちになり興奮する小鳥だった。

 

「キャー!本物のジャンヌさんとマリー王妃!まさか会えるなんて感激です!ってあれ!?ジャンヌさんとレティシアさん……似ている……?」

 

「あー、そのことはちょっと面倒だから後で話すわ。とりあえず、遊馬。せっかくだからサーヴァント達を紹介したら?」

 

「そ、そうだな!サンキュー、レティシア!行こうぜ、小鳥!」

 

「うん!あ、ちょっと待って!その前に荷物を持ってこないと!」

 

「荷物?」

 

「うん。大きなリュックサックなんだけど……」

 

「それなら持って来たわよ。廊下にあるわ」

 

レティシアがそう言うと遊馬と小鳥は急いで医務室から廊下に出た。

 

廊下には大きい……と言うかデカすぎるリュックサックがあり、それを担いでいたマシュが軽く息切れをしていた。

 

それは遊馬が師匠、六十郎の決闘庵に向かう時に野菜などの食材を詰める時に使うリュックサックだった。

 

「こ、小鳥さんの近くにありましたので、レティシアさんと一緒に持って来ました……」

 

「あれは重かったわよ。ってかデカすぎるわよ。一体何が入ってるのよ?」

 

「遊馬の祖母、春おばあちゃんから貰った大量の食材と遊馬と私の服の着替えやその他生活に必要な雑貨です。後は……」

 

小鳥はガサゴソとリュックサックの中を漁ると目的のものを遊馬に渡す。

 

「はいこれ」

 

「これは、デッキケース?妙に厳重に閉じられているな」

 

それは鋼鉄製のデッキケースで結構な重量があり、簡単に開けられないように厳重なロックが掛かっていた。

 

「カイト達が作った特別製で遊馬の指紋認証が無いと開けられないの。そうじゃないと中のカオスの力が他人に影響を与えるから」

 

「カオスの力だって!?」

 

「まさかこのデッキケースの中には……」

 

デッキケースの中央のカバーを開くと指紋認証のスキャナがあり、遊馬の人差し指を添えると指紋を確認してデッキケースがゆっくり開いた。

 

次の瞬間、デッキケース内から真紅の光が漏れ出して十数枚の紅いカードが飛び出した。

 

「うわっ!?こ、これは!?」

 

「カオスの光……これはバリアンの力!?」

 

それは蒼き世界と対をなす紅き世界……バリアン世界の力だった。

 

バリアン世界の力を宿したカードは遊馬の周りを踊るかのように舞い、遊馬が恐る恐る右手を差し出す。

 

すると、カード達が遊馬の右手に次々と乗っていき、紅い光が収まった。

 

バリアン……カオスの力は人の欲望を増幅させて心を暴走させてしまうが、遊馬には何の変化がなかった。

 

バリアンのカードを見ていくと遊馬とアストラルは目を見開くほど驚いた。

 

何故ならそれは驚異的な力を秘めたバリアンのカードだからである。

 

「これは……シャーク達の『オーバーハンドレッド・ナンバーズ』に『カオス・オーバーハンドレッド・ナンバーズ』!?」

 

「それにバリアン世界の『ランクアップマジック』!?」

 

「カイトのもう一枚の銀河眼があるぜ!?」

 

「しかもトロン一家のカオスナンバーズにランクアップマジックまで!?」

 

「ん?これって……真月に前に貰った失われたバリアンカード!?おいおいこれはどう言うことだよ小鳥!」

 

「カイト達が遊馬の為に急いで作ったのよ。シャーク達の中にある残り少ないバリアンの力とカイト達の異世界研究の全てを結集させて、かつての戦いのカオスのカードを復元と複製を成功させたのよ」

 

今、遊馬の手にある力は異次元の力と科学の力が結集して誕生したハイブリッドのカードである。

 

「シャークとカイト達、それにトロン一家の力の結晶……?」

 

遊馬はカードを額にあてるとカードに込められた声が聞こえた。

 

『とっとと敵をぶっ潰してカタをつけて帰って来い、バカ』

 

『俺たちの力を託したんだ、負けたら絶対に許さないぞ』

 

「シャーク、カイト……」

 

『遊馬、あなたの身と小鳥さんを必ず守り抜きなさい!』

 

『我ら七皇の力、遊馬とアストラルに託すぞ!』

 

『遊馬!俺とお前の熱い拳でどんな敵もぶっ飛ばしてやれ!』

 

『絶対に負けんじゃねえぞ、遊馬!』

 

『我が銀河眼の力で敵を粉砕せよ!』

 

「璃緒、ドルベ、アリト、ギラグ、ミザエル……」

 

『君が留守の間、この世界は僕達で守るから安心して戦ってくれ』

 

『遊馬!僕は君の無事を祈って、帰りを待っているからね!』

 

『どんな敵が相手か知らねえが、俺達のカードでお前のファンサービスを喰らわせてやれ!』

 

『私達の作り出した力で君が求める道を進みたまえ』

 

「トロン、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ……」

 

『遊馬……君にとっては嫌な思い出だろうけど、今度こそ俺様との友情の証として使ってくれ』

 

「真月……ああ、もちろんだぜ」

 

仲間達の強い想いを受け取り、一筋の涙を流す遊馬。

 

その後、遊馬とアストラルは小鳥にカルデアのサーヴァント達を紹介した。

 

小鳥はオルガマリーのご好意でカルデアで働くことになり、主に遊馬のサポートや雑用、後は食堂でのエミヤの料理の手伝いをすることとなった。

 

そして、小鳥のカルデア来訪から一夜明け、気を取り直して新たな特異点にレイシフトする事となった。

 

「そんじゃ、行ってくるぜ!小鳥!」

 

「頑張って、気をつけて帰ってきてね」

 

「おう!」

 

「アストラルも遊馬みたいに無茶しないでね」

 

「ああ」

 

「それから、元気の源よ」

 

小鳥は遊馬に布に包まれた小さなプラスチックケースを渡す。

 

確かな重みと一番大好きな香りに遊馬の目がキラキラと輝く。

 

「おおっ!?これってもしかして!?」

 

「そうよ、デュエル飯。お腹が空いたら食べてね」

 

デュエル飯とは遊馬の祖母の春が作る丸型のおにぎりで遊馬の大好物である。

 

ナンバーズを賭けた戦いが始まってからは小鳥も作るようになり、アストラルも実はデュエル飯が大好物で密かに目をキラキラと輝かせた。

 

「サンキュー!小鳥!これで元気マックスだぜ!」

 

遊馬はデュエル飯の入ったケースを上着の内ポケットに入れて意気揚々と管制室に向かい、アストラルも一緒に行く。

 

「もう……本当にいつも全力で走っていくんだから……」

 

相変わらずどんなことでも全力で向かう遊馬の姿に苦笑を浮かべていると後ろから話しかけられる。

 

「小鳥さん、おはようございます」

 

「マシュさん!おはようございます!」

 

「フォウ!」

 

「フォウ君もおはよう」

 

戦闘服に着替えて盾を持つマシュとフォウは小鳥に挨拶をする。

 

一緒に遊馬とアストラルの後を追うように管制室に向かいながら話をする。

 

「小鳥さんもデュエルをするのですか?」

 

「一応ですが、最近はデュエルがとっても上手い璃緒さんに教えてもらっていたのでメキメキ上達しています!」

 

「良かったら時間がある時にでも教えてくれませんか?私もデュエルに興味があるので」

 

「私で良ければいつでも大丈夫です!」

 

「ありがとうございます、小鳥さん」

 

同性で歳も近いこともあってか楽しそうに話をする小鳥とマシュ。

 

今までマシュはこうして歳の近い同性と楽しい雑談をしたことが無かったので本当に嬉しいのだ。

 

「マシュさん。遊馬の事、よろしくお願いしますね。遊馬は無茶ばかりするから」

 

「小鳥さん……はい、お任せください。私は遊馬君のサーヴァントでもう一人の相棒ですから!」

 

遊馬を大切に想う者同士でとても気が合うのだった。

 

そして、いよいよ第二特異点に向けてレイシフトをする。

 

今回は遊馬とアストラルとマシュだけでレイシフトを行い、アストラルは皇の鍵の中に、マシュはフェイトナンバーズの中に入って遊馬だけでコフィンの中に入る。

 

遊馬は目を閉じる前に小鳥にグッドサインを見せる。

 

「行って来るぜ!」

 

「行ってらっしゃい」

 

小鳥は笑顔で遊馬を見送り、レイシフトが始まる。

 

コフィンの中で目を閉じた遊馬の体が粒子となり、第二特異点へレイシフトする。

 

そこで薔薇の皇帝と呼ばれる少女と出会い、ローマの命運をかけた戦争に巻き込まれるのだった。

 

 

 

.




ようやく次回から第二章開幕です。
ネロ皇帝やブーディカ姉さんの登場は楽しみです。
個人的にブーディカ姉さんの復讐の気持ちを遊馬が諭す話を書くつもりです。


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第二特異点 永続狂気帝国 セプテム ナンバーズ20 第二特異点へ!薔薇の皇帝との出会い!

お待たせしました、第二特異点・永続狂気帝国セプテムの始まりです!

エクストラはやってないですが、ネロ皇帝は可愛いですね。

可愛いので遊馬の新たな嫁候補にしようかな(笑)

でもそれだとエクストラの奏者との関係もあるし難しいですね。

もっとも第二特異点のネロ皇帝はサーヴァント前の存在ですが、そこはおいおい考えていきます。



小鳥がカルデアに来訪し、ドタバタから一夜明け遊馬とアストラルとマシュ、そしてちゃっかり付いてきたフォウと共に第二特異点へレイシフトを行う。

 

舞台は1世紀のヨーロッパ、古代ローマ。

 

遊馬のレイシフトが完了し、目を開けるとそこには綺麗な青空と白い雲、そして草原が広がっていた。

 

皇の鍵からアストラル、フェイトナンバーズからマシュが出てくると目の前に広がる風景に声を漏らす。

 

「爽やかな風を感じるな……」

 

「風の感触、土の匂い、どこまでも広くて青い空。不思議です、映像で何度も見たものなのに、こうして大地に立っているだけで鮮明度が違うなんて」

 

「ん……?マシュは外に出たことがないのか?」

 

「いえ、その……そうですね、あまり昔の記憶がないといいますか……」

 

遊馬の問いに曖昧な答えを出すマシュであったが、出会った当初から記憶を失った相棒がいるので特に気にしなかった。

 

「じゃあさ、戦いが終わったらマシュもハートランドに来いよ!」

 

「ハートランド……遊馬君の故郷にですか?」

 

「ああ!楽しい記憶とかあまり無いならこれから作っていけばいいからさ。ハートランド以外にも世界中の色んなところにも連れてってやるよ!かっとび遊馬号を使えばあっという間だからさ!」

 

「ありがとうございます。あれ?でもそれは不法入国になるのでは……?」

 

「「フホウ、ニュウコク……?」」

 

マシュにそう指摘され石のように固まる遊馬とアストラル。

 

かつて遊馬とアストラル、更には小鳥と凌牙と璃緒の五人で世界各地にある七つの遺跡にある七枚の特別なナンバーズを回収する為に起動したばかりの皇の鍵の飛行船で世界各地に向かった。

 

よくよく考えると他国に勝手に入国したことになり、不法入国になるので歴とした犯罪である。

 

「…………アハハ、キニシナイキニシナイ。バレテナイシ、ナンバーズサガシタダケダカラ……」

 

遊馬は汗を大量にかいて片言のように話し、特に提案者であるアストラルは目線を大きくそらして空を見上げていた。

 

「え、えっと……ところで、この時代の空にも『あれ』が見えていますね」

 

マシュは苦笑を浮かべながら話題を変える為に空の上を指差した。

 

それは第一特異点のフランスの空にも見えていた謎の大きな光の輪が浮かんでいた。

 

相変わらず不明な謎の光の輪に若干の不安を抱きながらD・ゲイザーでカルデアと連絡を取る。

 

気になる現象だが現状ではまだ不明なので引き続き調査を続けていく。

 

すると、ロマニは遊馬達が首都ローマではなく丘陵地にいることに疑問を抱いた。

 

首都ローマに転送するはずだったが、ローマ郊外に来てしまったようだった。

 

繁栄を築いたローマで周囲を見渡して耳を澄ませると……この時代ではありえない異常を検知した。

 

「沢山の声……まさか戦闘か!?」

 

この歴史で戦争が行われているはずがない。

 

つまりこの時代に異常が起きていることを意味し、遊馬達は急いで向かうと片方は大部隊でもう片方はきわめて少数の舞台で戦っていた。

 

そして、少数の部隊を率いているのは若い少女で一人で大部隊の敵と戦っており、サーヴァントかと思われたがその気配は感じられない。

 

目を凝らしてよくみるとその少女に驚くべき特徴があった。

 

「あれ!?あいつ、アルトリアに似てね!?」

 

「確かに……顔つきや髪が似ています!」

 

「アルトリアの血縁……じゃ無さそうだが、ただのそっくりな人間ということか」

 

その少女は遠くから見てもカルデアにいるアルトリアによく似ており、血縁関係があると思うほどだったがただのそっくりさんなだけのようである。

 

「状況は分からないけど、とりあえずあのアルトリア似の女の子を助けよう!」

 

「はい!」

 

遊馬とマシュはアルトリアに良く似た少女を助ける為に走り出し、遊馬はデッキからカードをドローしてモンスターを召喚する。

 

「『ガガガマジシャン』を召喚!一緒に行くぜ!」

 

『ガガガッ!』

 

ガガガマジシャンを召喚し、更に両手にホープ剣を呼び出して構えてマシュと一緒に戦場に飛び込む。

 

遊馬はエミヤを筆頭とする英霊から鍛えられた剣技でホープ剣を振るい、マシュは最近になって慣れてきた十字の盾を振るい、ガガガマジシャンは魔力の拳と鎖を振り回していく。

 

あくまで少女を助ける為なので殺生はせずに気絶させる程度で兵士を倒し、少女と合流して大部隊を退けた。

 

「剣を納めよ、勝負あった!そして貴公たち、もしや首都からの援軍か?すっかり首都は封鎖されていると思ったが……まあ良い、褒めてつかわすぞ」

 

「俺たちはただの通りすがりだよ」

 

「通りすがりだと?通りすがりにしては妙な力を使うな……もしや魔術師か!?」

 

「まあそんなところだな」

 

デュエルモンスターズの起源は様々な説が唱えられているが、『魔術の札』とも呼ばれているのであながち遊馬が魔術師と言われても間違いではない。

 

「ともあれ、この勝利は余とお前たちのもの。たっぷりと褒美を与えよう!あ、いや、すまぬ。つい勢いで約束してしまった……報奨はしばし待つがよい。今はこの通り剣しか持っておらぬ故な」

 

「別にいいよ、俺たちはそんな事のために戦っているわけじゃないし」

 

「ならぬ!それでは余の気が済まぬ!全ては首都ローマへ戻ってからのこと!では、遠慮なく付いてくるがいい!」

 

謎の少女に仕切られながらも一緒についていくことになり、首都ローマに向かうことになった。

 

「……にしても本当にアルトリアに似ているな」

 

もっとも身に纏っている衣装が赤を基調にしてとても派手なもので清楚な感じのアルトリアには似ても似つかないものであるが。

 

「アルトリア?無礼な!余はアルトリアなどではないぞ!」

 

「あ、悪い悪い。あんたによく似た仲間がいるからさ」

 

「余に似ている?ほう、そこまで似ているのか?」

 

「そりゃあもう、双子といっても違和感ないぐらいに。あ、これ見てくれよ」

 

遊馬はアルトリアのフェイトナンバーズを見せ、描かれたアルトリアの姿と少女が似ていることを証明する。

 

「おお!確かに余とよく似ておるの!顔の形や髪や目の形など特に!目の色は違うが確かに見間違えても無理はないの!」

 

他にも決定的に違う点があるのだが、幸いにも遊馬はそれには一切気付いておらず、仮にその事を口にしたら誰であろうとアルトリア怒りの約束された勝利の剣の極光が襲いかかるだろう。

 

余談だが後にカルデアでその事をうっかり口にしたクー・フーリンがアルトリアの約束された勝利の剣による制裁を受けることになるのだった。

 

少女は遊馬たちがどこから来たのか尋ね、正直に未来からと答えると、信じられない様子で階段から転げ落ちたか?と心配されてしまい、遊馬のデュエルディスクなど未知の道具を見せてとりあえず納得させる。

 

すると敵の第二波が来て遊馬たちは戦闘態勢をとって迎え撃ち、少女が先陣を切って戦っていた。

 

少女の剣技はもとより、炎とのような形をした真紅の剣は素晴らしいものだった。

 

「『ゴゴゴゴーレム』を召喚!」

 

遊馬も負けじとゴゴゴゴーレムを召喚してガガガマジシャンと共に戦場を駆け抜ける。

 

未知なる召喚術を使う遊馬に敵も恐れて逃げ出していき、戦局は一気に有利となる。

 

しかし、それはあくまで普通の人間が相手ならそうなるが、別の存在なら話が違う。

 

「遊馬くん!サーヴァントです!」

 

「遂に来やがったか!」

 

そして、現れたのは両目が黒く染まった屈強な男でそれを見た少女は驚いたように目を見開いた。

 

「我が、愛しき、妹の子、よ」

 

「伯父上……!?」

 

「伯父上って、あいつが!?」

 

驚くことにそのサーヴァントと少女が血縁関係であり、その直後に少女が言ったサーヴァントの名にマシュは驚いた。

 

「いや、いいや、今は敢えてこう呼ぼう。如何なる理由かさ迷い出でて、連合に与する愚か者!カリギュラ!!」

 

「カリギュラ!?そんなまさか!?」

 

「カリギュラ……あれ?どこかで聞いたような……」

 

遊馬はカリギュラという名に覚えがあったが思い出せずにいる。

 

「遊馬!とにかく今は目の前の戦いに集中だ!」

 

「お、おう!あんたは下がってろ、ここは俺がやる!」

 

遊馬は少女を下がらせてデュエルディスクを構える。

 

「待て!お主のような子供が伯父上に敵うはずが……」

 

「誰か分からねえけど、あいつがあんたの伯父さんなんだろ?姪っ子が伯父さんを倒すなんて、そんな悲しい事をさせねえよ。行くぜ、アストラル!」

 

「ああ!」

 

事情は不明だが家族同士で戦うという悲しいことをさせないために遊馬とアストラルが代わりに戦う。

 

「俺はレベル4のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「「現れよ、No.39!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!光の使者、『希望皇ホープ』!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

異次元から希望の名を持つ光の巨人が姿を現し、少女は目を疑う。

 

「な、何なのだこれは!?魔術師の使い魔にしては何て強力な力なのだ!?」

 

「ホープは使い魔じゃねえよ、俺とアストラルの希望の戦士だ!」

 

「行くぞ、遊馬!」

 

遊馬とアストラルはカリギュラを指差して攻撃宣言をする。

 

「「希望皇ホープで攻撃!ホープ剣・スラッシュ!!」」

 

「ぐぅうううっ!?うぉおおおっ!!」

 

上段から勢いよく剣を振り下ろした希望皇ホープだが、カリギュラはホープの剣をギリギリで受け止めてそのまま弾き返した。

 

「弾き返した!?」

 

「だがそう長くは持たないはずだ、一気に決めるぞ!」

 

「おうっ!」

 

遊馬は希望皇ホープで一気に攻めようとしたが、突然空が暗くなり、綺麗な月が浮かんだ。

 

「女神よ、おお……女神が見える!『我が心を喰らえ、月の光(フルクティクルス・ディアーナ)』!!」

 

「何だ!?月が!?」

 

月の光がカリギュラに降り注ぐとその体が邪悪なオーラが一気に広範囲に散布されていく。

 

「まさか、広範囲型の宝具か!?」

 

「何っ!?やべえ、みんなが!」

 

その邪悪なオーラの正体はカリギュラの狂気でその狂気に触れた希望皇ホープの体がひび割れていき、更にマシュや少女や仲間の兵士たちが強い苦しみを抱いていく。

 

それに乗じてカリギュラが攻撃して来るが、すぐさま遊馬は希望皇ホープの効果を使う。

 

「くっ、ホープの効果!ムーンバリア!攻撃を無効にする!」

 

希望皇ホープのオーバーレイ・ユニットを使い、カリギュラの攻撃を防ぐが希望皇ホープの攻撃力が低下して行き、膝をつく。

 

「遊馬、ジャンヌを呼ぶんだ!彼女の力なら守れる!」

 

「そ、そうか!カルデア管制室!今すぐジャンヌを頼む!」

 

D・ゲイザーでカルデア管制室に連絡し、ロマニがすぐに出て対応する。

 

『了解!ジャンヌなら側にいるからすぐに送るよ!』

 

ディメンション・デッキケースが光り輝き、パカっとケースが開くとジャンヌのフェイトナンバーズが飛び出て遊馬の手の中に収まる。

 

『遊馬くん!みんなを守りましょう!』

 

「ああ!頼むぜ、ジャンヌ!俺のターン、ドロー!『ゴゴゴジャイアント』を召喚!効果で墓地のゴゴゴゴーレムを特殊召喚!そしてレベル4のゴゴゴゴーレムとゴゴゴジャイアントでオーバーレイ!!」

 

ゴゴゴゴーレムとゴゴゴジャイアントが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「全てを慈しむ聖女よ、革命の旗の元に仲間を守る光となれ!エクシーズ召喚!!」

 

爆発の後に燃え盛る炎の中から現れたのはフランス百年戦争の革命の証とも言える兵士を鼓舞した旗だった。

 

「現れよ、『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』!!!」

 

炎を旗で蹴散らしながら現れた聖女、ジャンヌ・ダルク……その身には軽装の鎧に加えて銀河眼の光子竜皇を模した装甲を装着させていた。

 

「行くぜ、ジャンヌ!」

 

「はい!」

 

「ジャンヌの効果!1ターンに一度、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、次の相手ターンのエンドフェイズ時まで自分フィールドのモンスターは相手のカードの効果を受けず、自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は元々の数値となる!!」

 

「我が旗よ、我が仲間を守りたまえ!『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

 

ジャンヌが旗を広げて見事で華麗な旗振りをすると希望皇ホープやマシュ達に天から祝福を与えるかのような金色の光が降り注いでカリギュラが振りまいた狂気の力を打ち消した。

 

そして、攻撃力が大幅にダウンしていた希望皇ホープの攻撃力が元に戻り、キラリと赤い瞳が輝いて立ち上がる。

 

「更にジャンヌのもう一つの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、ジャンヌの攻撃力をこのカード以外の自分フィールドのモンスター数×500ポイントアップする!」

 

ジャンヌは旗を地面に突き刺すと生前使わなかったという聖カトリーヌの剣……ではなく、銀河眼の光子竜皇を召喚する際に現れる十字の剣を呼び出す。

 

フェイトナンバーズの恩恵でジャンヌは銀河眼の光子竜皇の力の一部を受け継ぎ、戦う事が出来る。

 

「希望皇ホープ……私と共に!!」

 

『ホォープ!!』

 

希望皇ホープの雄叫びが響くとジャンヌの体に金色のオーラを纏い、背後に銀河眼の光子竜皇の幻影が現れながらジャンヌの攻撃力が上昇する。

 

「行け、希望皇ホープ!ホープ剣・スラッシュ!」

 

「ジャンヌ!エタニティ・フォトン・スラッシュ!!」

 

希望皇ホープは宙を駆け、ジャンヌは地を駆け、カリギュラに向けて同時に剣を振り下ろす。

 

しかし、希望皇ホープとジャンヌの攻撃が当たる直前でカリギュラが消えてしまった。

 

「なっ!?」

 

「消えた!?」

 

カリギュラは霊体化して逃げたのか不明だが、ジャンヌは目を閉じてサーヴァントの気配を辿るが、カリギュラの気配が完全に消えた。

 

敵勢力の部隊も引き上げていき、この地から戦う相手がいなくなるのを確認するとジャンヌはフェイトナンバーズの力を解いていつもの鎧姿となる。

 

「ジャンヌ、サンキュー!助かったぜ!」

 

「いえ、皆さんを守れてよかったです」

 

遊馬とジャンヌは勝利のハイタッチを交わす。

 

すると、少女がジャンヌに駆け寄って嬉しそうに感謝の言葉を述べた。

 

「助かったぞ、麗しき乙女よ!」

 

「え?あ、どうも……」

 

「希望の皇帝を操るそなたもよくやった!見事な働きであった。褒めてつかわす!!氏素性を訪ねる前に、まずは、余からだ。余こそ真のローマを守護する者。まさしくローマそのものである者。必ずや帝国を再建してみせる。そう、神々・神祖・自身、そして民に誓った者!」

 

遂に少女の名前が明らかになるが、その名前を聞いた瞬間、遊馬とアストラルとマシュは驚くことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「余こそ、ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスであるーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えぇえええええーーっ!!?」

 

「彼女がネロ皇帝、だと……!?」

 

「……皇帝、ネロ……」

 

ネロ・クラウディウス。

 

暴君ネロとも呼ばれた歴史上で最悪な皇帝の一人と呼ばれている。

 

ネロが女の子でとても可愛く、しかも暴君には見えない事にD・ゲイザーの中継で見ていたカルデアも衝撃が走っていた。

 

「……マシュ」

 

「はい」

 

「俺の記憶が正しければ歴史の勉強で習ったネロ皇帝は男のはずだよな?」

 

「そのはずです」

 

「暴君のはずだけど、結構いい子に見えるのは気のせい?」

 

「気のせいじゃないと思われます」

 

歴史の事実とはまるで違い過ぎるネロの姿や性格などに遊馬はガクッと項垂れる。

 

「歴史って何……?史実って何だ……?真実ってなんなんだぁあああっ!?」

 

バンバンと地面を叩き、違い過ぎる歴史にむしゃくしゃした怒りをぶつける。

 

アーサー王こと、アルトリアが実は少女だったが、王位継承問題で男装していたのでそれに関してはまだ許せる。

 

しかし、目の前にいるネロが男ではなくアルトリア似の可愛い女の子であることを踏まえて、あまりにも歴史の本やテレビで見たことある歴史番組の内容とはあまりにも違いすぎていた。

 

「ゆ、遊馬君!?気をしっかり持ってください!!」

 

「ああっ!カルデアでの勉強が遊馬君に精神的な痛手を!?」

 

「ふむ……せっかく勉強したが、事実が違っていたことに嘆いているようだな……」

 

遊馬がカルデアで勉強をして知識を増やしていった矢先に歴史の本が間違っていることに嘆くのだった。

 

『遊馬がそこまで勉強に興味を持ってくれるなんて……これは帰ったら右京先生に報告しなくちゃね』

 

カルデアにいる小鳥は遊馬が勉強に興味を持ってくれたことに驚きよりも嬉しさがこみ上げてそっと涙をハンカチで拭いていた。

 

ちなみに右京先生とは遊馬と小鳥が通うハートランド学園での担任の先生であり、もしも遊馬が勉強に興味を持ってハートランド学園でも真剣に勉強を続ければ小鳥のように嬉しくて涙を流すこと間違いないだろう。

 

「えっと……よく分からぬが、これは余が悪いのか……?」

 

遊馬達のよく分からない光景を見てそう思うネロだった。

 

 

 

.

 




マシュ、アルトリアに続く三人目のフェイトナンバーズ、ジャンヌが活躍しました。
ジャンヌの効果はこんな感じです。

FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2500
レベル4モンスター×2
エクシーズ素材を一つ取り除いて以下の効果を1ターンに1回ずつ発動する事が出来る。
①次の相手ターンのエンドフェイズ時まで自分フィールドのモンスターは相手のカードの効果を受けず、自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は元々の数値となる。
②このカードの攻撃力をこのターンのエンドフェイズ時までこのカード以外の自分フィールドのモンスターの数×500ポイントアップする。

強すぎますかね(笑)
効果はジャンヌの旗を参考にして、攻撃力アップは仲間の力を合わせるイメージで考えました。

次回は……多分ブーディカ姉さんを出せると思います。
復讐者であるブーディカと復讐者を見てきてその心を変えてきた遊馬との対話をかけたらいいなと思います。



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ナンバーズ21 勝利の女王、母の温もり

今回はカルデアのママことブーディカ姉さんの登場です。
エミヤとブーディカが揃えばカルデア食堂は安泰ですね。


サーヴァント・カリギュラを退け、アルトリア似の少女の正体がローマのネロ皇帝と知り、驚愕する遊馬たち。

 

遊馬たちはネロの案内で永遠の都……ローマに案内された。

 

「見るがよい、しかして感動に打ち震えるのだっ!これが余の都、童女でさえ讃える華の帝政である!」

 

「ここがローマか……!」

 

ローマの街の賑わいに心を弾ませながら遊馬はデッキケースから反骨の闘士ライオンハートと青い拳闘士の姿をしたナンバーズを取り出した。

 

「前世のアリトはこんな世界で過ごしていたのかな……」

 

アリトの前世は最高の剣闘士として戦っており、特に古代ローマでは剣闘士は特に有名だった。

 

「可能性は十分にあるな。この世界と私たちの世界の歴史に差はあるが、歴史の流れはほぼ同じだろう」

 

「だよな……アリトにこの風景を見せてやりたかったな」

 

「何をボソボソと言っておる。ほれ、それを食うのだ」

 

物思いに耽っていた遊馬に対しネロは果物を売っている店から貰った林檎を投げ渡した。

 

「ローマ時代の林檎か……ネロ皇帝、おっちゃん、いただくぜ!ムシャムシャ……美味え!最高だぜ!」

 

「甘くて美味しいです〜!」

 

遊馬は林檎を皮ごとかぶりつき、ジャンヌも同じ様に林檎を頬張るように食べていた。

 

「おお、なかなか見事な食べっぷり。うむ。改めて、余はその方らが気に入った。実のところ、言ってることはよくわからぬが……お主も少女達も正直者である事はわかるのだ」

 

「ま、確かにあまりにもおかしすぎて理解は難しいよな」

 

「私達は未来から来た魔術師で、この世界に起きている異常を解決するためにネロ皇帝の手助けをする……それだけ分かれば問題ない」

 

「ひとまずは理解出来たが……それにしてもまさかこの眼で精霊を目の当たりにするとは思わなかったぞ……」

 

ネロはアストラルをまじまじと興味深く見つめる。

 

サーヴァントではない人間が普通にアストラルを見られるという事は魂がランクアップしている証拠であり、それは歴史に名を残すネロ皇帝なら英霊としてサーヴァントになりゆる存在とも言える。

 

ちなみにカルデアではサーヴァント召喚に使用する特別な機械や環境などがあるのでアストラルを目視することができる。

 

「よし、まずは共に来るが良い。我が館にて、ゆっくり話すとしよう」

 

ネロは遊馬達を宮殿に案内して現状を整理していく。

 

平和なローマに突如、ネロ以外の複数の『皇帝』が現れた連合軍……『連合ローマ帝国』がこのローマ帝国の半分を奪った。

 

特に先ほど現れたカリギュラはネロの伯父……サーヴァントであるということは既に死んでいる人間である。

 

フランスでの特異点のように誰かが聖杯を手にして皇帝をサーヴァントとして召喚している可能性が高い。

 

しかし、連合軍を防ごうにもネロの今ある軍を総動員しても抑えきれていない。

 

「口惜しいが……思い知らされた。最早、余一人の力では事態を打破することは出来ない。故に、だ。貴公たちに命じる、いや、頼むっ!余の客将となるがよい!ならば聖杯とやらを入手するその目的、余とローマは後援しよう!」

 

「客将……?」

 

「客将とは一国の軍で客として待遇されている将軍のことだ。この場合は私たちの力をネロ皇帝に貸し、連合軍と戦う将になる代わりに私たちの聖杯探索を手伝ってくれるということだ」

 

ネロの古風な話し方と少々難しい言葉に首をかしげる遊馬にアストラルが分かりやすく説明する。

 

「そういうことか!サンキュー、アストラル。良いぜ、俺たちの力をネロ皇帝に貸してやるぜ!」

 

「おお、そうかそうか!快諾とはな!貴公たちのうち一名に総督の位を与えるぞ。それと、先ほどの働きへの報奨もな。今夜はゆっくり休むがよい。それぞれに、総督に相応しい私室を用意させよう」

 

「悪いな、ネロ皇帝。あ、そうだ……一つ聞きたい事があるんだけど、レフ・ライノールって言うもじゃもじゃした髪をしたおっさんを知らないか?」

 

遊馬はこの戦いの元凶と思われる男……カルデアを裏切り、多くの人を殺したレフ・ライノールについて聞いた。

 

「……れふ?いや、とんと聞かぬ。何者だ?」

 

「私たちの時代の魔術師です。カルデアと、人類の全てを彼は裏切りました。この時代にもいる可能性もあります。もっとも、姿を見せて活動しているかはわかりません」

 

「だが、レフが魔術師……人間ではない可能性も充分にある」

 

「アストラルさん、それはどういう事ですか!?」

 

「レフ・ライノールと初めて対峙した時から彼からは人間のエネルギーを全く感じられなかった。文字通り人の皮を被った化け物……そんな気がしてならなかったんだ」

 

異世界人であるアストラルはレフが少なくとも人間ではない別の存在だとすぐに気付いた。

 

そもそも人理焼失を企む存在が魔術師とはいえ、ただの人間ではないことは確かだが。

 

「……連合には巨大な魔術を操る輩がいると聞いた。兵たちの噂ではあるが、最前線で姿を見かけたとか」

 

「もしそれがレフなら俺たちで必ずぶっ飛ばす。再起不能になるまでぶっ飛ばして自分のやったことを懺悔させてやる」

 

「……はい。レフ・ライノールは私たちの敵です」

 

レフはカルデアを崩壊直前まで追い込み、オルガマリーを爆死させ、マスター候補生を仮死状態に追い込み、大勢のカルデアの職員の命を奪った。

 

その大きすぎる罪を償わせなければならないと遊馬とマシュはレフを倒すことに密かな闘志を燃やす。

 

その後遊馬達は首都に攻めてくる連合軍の残党を倒し、休息を取りながら時間が経過するとネロがガリアへ向かうことになり、遊馬達も同行することとなった。

 

ガリアはこの戦争の重要な最前線であるので敵サーヴァントがいる可能性が充分に考えられ、必然的に遊馬達の力が必要となる。

 

遊馬達は改めて気合を入れてガリアへ向かう。

 

 

首都から馬を使ってガリアの遠征地に到着した遊馬達。

 

ネロは皇帝として兵士たちに言葉を送って鼓舞し、兵士たちの士気を高める。

 

皇帝ネロのカリスマに驚きながら初めて見る野営地を眺めているとアストラルは近づいてくる気配に察知して遊馬に警告する。

 

「遊馬!サーヴァントだ!」

 

「何!?」

 

遊馬は瞬時にデッキからカードをドローして身構えると、近づいてきた二人のサーヴァントを目視する。

 

一人は赤い髪をした綺麗な女性のサーヴァントで、もう一人は灰色の屈強で大きな肉体を持つ男性のサーヴァントだった。

 

「君は……その令呪、君がマスターでその後ろにいる二人の女の子がサーヴァントだね。大丈夫、あたしたちは味方だよ。あたしはブーディカ。ガリア遠征軍の将軍を努めてる」

 

「ブーディカ?」

 

女性のサーヴァント、ブーディカの名前を聞いてマシュは目を見開いて驚いた。

 

「そう。ブーディカ、ブリタニアの元女王ってヤツ。で、こっちのでっかい男が……」

 

「戦場に招かれた闘士がまたひとり。喜ぶがいい、此処は無数の圧殺者に見ちた戦いの園だ。あまねく強者、圧制者が集う巨大な悪逆が迫っている。反逆の時だ。さあ共に戦おう。比類なき圧政に抗う者よ」

 

よくわからない古風な言葉を並べる男性サーヴァントに遊馬たちは頭に疑問符をたくさん浮かべるほど理解ができなかった。

 

「色々省略するが、彼は共に戦うことを喜んでいるようだ」

 

アストラルが通訳し、ブーディカはアストラルの姿を見て驚いた。

 

「うわぁ、本当に精霊だ……こんなに綺麗な人は初めて見たよ。おっと、彼はスパルタクスだよ」

 

「スパルタクス……すげぇ筋肉だな……どうやったらあんなになれるんだ?」

 

スパルタクスの屈強で大きな肉体……見事な筋肉に感心していると、自己紹介するのを忘れてすぐに遊馬たちは名乗る。

 

「俺は九十九遊馬だ!遊馬って呼んでくれ」

 

「私の名はアストラル」

 

「マシュ・キリエライトです」

 

「私はジャンヌ・ダルクと申します」

 

自己紹介が終わり、遊馬たちはブーディカとスパルタクスにカルデアと聖杯について話した。

 

ブーディカは協力してくれるが、スパルタクスはバーサーカークラス故に反応がよくわからなかった。

 

協力してくれることになり、ホッとする遊馬たちだが、ブーディカはまだ遊馬たちの力を知らないので力試しで勝負することになった。

 

遊馬は敵サーヴァントと対峙するような気持ちで一気にマシュとジャンヌをフェイトナンバーズで呼び出す。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『FNo.0 人理の守り人 マシュ』!『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』!!」

 

遊馬はフェイトナンバーズとなったマシュとジャンヌをサポートするために魔法と罠を駆使してブーディカとスパルタクスの二人と攻防を繰り広げるのだった。

 

そして、充分な力試しとなり、ブーディカとスパルタクスは遊馬たちの実力に満足した。

 

特にブーディカはマシュを気に入り、満足そうに笑みを浮かべながらマシュをジッと見ると何かに気付いた。

 

「よく見たら、何だそうか。そーいうことか。あんた、それならそうって言ってくれればいいのに!」

 

「はい??」

 

「色々複雑なコトになってるんだねぇ。こっちだって……あ、それによく見たらめんこいねえ!」

 

「え?」

 

「こっちおいで、ほら。よしよし」

 

ブーディカは満面の笑み浮かべながらマシュを抱き寄せてまるで自分の子供をあやすように頭を撫でていく。

 

「あっーーな、なんでしょうかブーディカ、その、わぷっ……どうしてこういった……」

 

「あたしにはあんたは妹みたいなもんだ。『あんたたち』は、かな。よしよし」

 

ブーディカはマシュにある『何か』の正体に気付いて愛おしそうに抱きしめており、マシュはブーディカの温もりに力が抜けてそのまま甘えるようにギュッと抱きしめる。

 

「まるで親戚の姉ちゃんだな」

 

「それか子煩悩な母親だな」

 

「あはは……マシュの顔が真っ赤ですね」

 

マシュとブーディカの光景に微笑ましく思う遊馬たちだったが、ブーディカの魔の手が更に伸びることになる。

 

「ほら、ジャンヌもおいで〜」

 

「はいっ!?」

 

「いいからいいから」

 

「わぷっ!?」

 

ブーディカによってジャンヌも抱きしめられてマシュと一緒に頭を撫でられ、いいこいいこされる。

 

久しく人の温もりに触れていなかったジャンヌもマシュと同様にブーディカの温もりに陥落していくのだった。

 

(これはまずい……)

 

そう直感した遊馬はそろりと抜き足でその場から立ち去ろうとしたが、それは無駄なことだった。

 

マシュとジャンヌを目一杯甘やかしたブーディカの次の標的は言うまでもなく遊馬で逃げようとした遊馬の背後に一瞬で回り込んだ。

 

「うおっ、速っ!??」

 

「逃げることないじゃないか、ほーら。よしよーし」

 

「や、やめ……うぷっ!?」

 

哀れ、遊馬もブーディカに抱きしめられて頭を撫でられてしまう。

 

ブーディカはとても綺麗でスタイル抜群、普通の男ならこれはあまりにも嬉しい事だが、十三歳の思春期の男子には辛い。

 

遊馬は顔を真っ赤にしてジタバタと暴れようとするがブーディカの温もりやあふれんばかりの母性にマシュやジャンヌと同じように陥没しかけたその時だった。

 

「っ!?」

 

遊馬の脳裏に一人の女性の姿が思い浮かんだ。

 

その女性は遊馬にとって、ある意味小鳥よりも近い存在でその女性との記憶が次々と蘇ると遊馬の中で込み上げるものがあった。

 

そして……。

 

ポタン……!

 

何かが落ちる音が鳴り、その音を耳にしたブーディカは遊馬をゆっくり離すと目を見開いて驚いた。

 

「えっ?えっ?ユウマ、どうしたの!?」

 

ブーディカが驚くのも無理は無かった。

 

何故なら遊馬の両眼の瞳から大粒の涙が溢れていたからだ。

 

「あ、あれ……?俺……?」

 

遊馬は何故自分が涙を流しているのか分からず困惑してしまい、思わずブーディカを突き放した。

 

「ユウマ……?」

 

「ご、ごめん!」

 

「あっ!」

 

遊馬はブーディカから逃げるようにその場から立ち去り、ブーディカは突然なことに追いかけることは出来なかった。

 

マシュ達も遊馬が突然涙を流して立ち去ったことに驚いてその場で立ち止まってしまい、どうすることも出来なかった。

 

「私……何かユウマにいけないことをしたかな……?」

 

「いや、ブーディカ。君の責任ではない」

 

「アストラル……」

 

アストラルがブーディカの前に降り、遊馬が何故逃げ出したのか代わりに説明する。

 

「遊馬は君に母……九十九未来さんの面影を重ねたのだろう……」

 

「私にユウマの母を……?」

 

「遊馬の家庭環境は少々特殊だ……何があったのか話そう」

 

アストラルは遊馬の家族、九十九家に起きた過去の出来事について語り始めた。

 

 

ブーディカから逃げた遊馬は野営地から少し離れた丘で寝転んでいた。

 

首にかけていた皇の鍵を手に持ち、見つめながら呟いた。

 

「慣れたと思ったけどなぁ……」

 

D・パッドを取り出して電源を入れ、軽く操作して一枚の写真を映す。

 

それは何処かの遺跡を背後に探検の時に着用するサファリジャケットを着た遊馬に顔つきがよく似た男性と遊馬の優しい風貌と同じ赤い眼を持つ優しそうな女性が映っており、女性の手には遊馬が持っている皇の鍵が握られていた。

 

「ホームシックってやつか……はぁ、まだまだ子供だな……」

 

自分はもう子供じゃないと何度も言い聞かせてきたが、自分はまだまだ子供だと思い知らされる。

 

「父ちゃん……母ちゃん……」

 

それは遊馬の両親で九十九一馬と九十九未来である。

 

皇の鍵を握りしめてそのまま眠りにつこうと目を閉じると、一つの影が遊馬に重なった。

 

「こんなところで寝ているという風邪ひいちゃうよ?」

 

「んぁ……?うわぁあああっ!?ブ、ブーディカ!?」

 

遊馬の顔を覗くように現れたのはブーディカだった。

 

「あ、ごめん。驚かせちゃった?」

 

「い、いや、大丈夫だ……」

 

「隣、いい?」

 

「あ、ああ……」

 

ブーディカは遊馬の隣に座り、遊馬は驚いた事と妙な緊張感で心臓がドキドキしていた。

 

数秒間の沈黙の後、話を切り出したのはブーディカだった。

 

「聞いたよ、君の家族のこと……」

 

「……そっか、アストラルが話したんだな。自分で話すより気が楽で良かったよ……」

 

「辛かったよね、大好きなお父さんとお母さんが急にいなくなって……」

 

「そうだな、俺には姉ちゃんと婆ちゃんがいたけど、やっぱり寂しかったな……」

 

「……ねえ、ユウマ。アストラルが言ってたけど、お父さんを儀式の生贄にした相手……そいつを許したんだって?」

 

遊馬は父・一馬が行方不明になった犯人……異世界の扉を開くために一馬を騙して生贄にしたDr.フェイカーを復讐せずに許したのだ。

 

「ああ……Dr.フェイカーは自分の息子、ハルトって言うんだけど、重い病気で生死をさまよっていたハルトを救う為に異世界の力が必要だった。そして、異世界の扉を開くために父ちゃんを……」

 

「そして、そのお父さんを探しに行ったお母さんも異世界に……憎くはなかったの?そいつに復讐したいとは思わなかったの?」

 

「確かに憎かったさ、Dr.フェイカーが儀式をしなかったら俺や姉ちゃんや婆ちゃんは悲しい思いをしないで家族みんなで仲良く暮らしていたかもしれなかった……でも、復讐する気にはなれなかった」

 

「……どうして?」

 

「Dr.フェイカーはハルトを一生懸命生かそうとしていた……悪魔に自分の魂を捧げても、自分がどうなっても構わない覚悟で必死に戦っていた。それに、きっと父ちゃんなら仕方ないって笑うと思うからさ……そう思ったら憎しみの心は消えちまったよ」

 

遊馬はDr.フェイカーを許した時と同じように笑みを浮かべる。

 

「ユウマ……ああ、もう!どうしてこんなに良い子なんだい!!」

 

ブーディカは遊馬の復讐の相手すら深く思うその優しい心に心を打たれ、耐えきれなくなって再び抱き寄せてぎゅっと抱きしめた。

 

「ちょっ!?ブーディカ!?や、やめろって!?」

 

「照れない照れない。良い子だね、よしよーし」

 

ブーディカは抱きしめながら頭を優しく撫でて遊馬の羞恥心の抵抗力を一気に削ぎ落としていく。

 

「母、ちゃん……」

 

まるで幼い頃に母に抱きしめられた記憶を呼び起こされた気持ちとなり、遊馬はギュッとブーディカに抱きつく。

 

しばらく遊馬を抱きしめていたブーディカは静かに自分の過去を話し出す。

 

「私もさ、娘が二人いたんだけどローマに酷い目にあわされて死んじゃったんだ……」

 

「娘さんを……ローマに……?」

 

「そして、怒りや憎しみで我を忘れて、大勢のローマ人を殺しつくしたんだ……」

 

「それほどまでにブーディカの憎悪が強かったんだな……」

 

遊馬はブーディカの言葉からどれほど辛く苦しかったのか、そしてどれほど強い怨みがあったのか感じられた。

 

ブーディカが憎悪を宿して戦い、それを踏まえて遊馬は自分が経験してきた出来事から答えを出す。

 

「……ブーディカ、俺は元いた世界で色々な復讐者を見て来たんだ。たった一人の妹を意識不明の重体に追い込まれた兄、親友に裏切られた男、変わり果てた父親の為に戦う三兄弟……そいつらと出会い、戦った。俺も父ちゃん達の事とは別に親友を殺されたと思わされて敵に復讐しようとした……だけど、気付いたんだ。復讐は新しい憎しみしか生まない、周りの誰かを不幸にしてしまう。復讐の連鎖を断ち切らない限り、憎しみの連鎖は永遠に続いていくんだ……」

 

遊馬は復讐に取り憑かれて危うく大切な仲間の命と大切な相棒との絆を失いかけた。

 

ブーディカも大勢のローマ人を殺し、復讐してからその事にやっと気付いた。

 

「……そう、だね。憎しみは憎しみしか生まないからね」

 

「だから、ブーディカ!もしも、もしもまたあんたに誰かを憎む復讐の心が芽生えた時、誰かを手にかけようとしたら俺が必ず止める!」

 

ブーディカはとても優しい心を持つ女性だと心と肌で感じた遊馬は仲間として守ることを誓う。

 

「ユウマ……」

 

「俺が……ブーディカの憎しみを全て受け止めるからな、約束だ!」

 

まさか自分の娘ぐらいの年齢の子供からそんなことを言われるとは予想外で呆然とするが、すぐに笑みを浮かべてもう一度遊馬の頭を撫でる。

 

「そうね……その時はお願いしちゃおうかな。よろしくね、小さな勇者君」

 

「おう!」

 

マスターとサーヴァントではなく、一人の少年と女性として約束を交わす遊馬とブーディカ。

 

すると……。

 

ぐぅ〜っ!

 

「あっ、やべぇ……腹減ったぁ……」

 

遊馬が空腹で腹の虫が豪快に鳴り、力が抜けてしまう。

 

「ぷっ、あはははは!豪快な腹の虫だね。いいよいいよ、野営地に戻ってご飯にしようか」

 

「おう!美味い飯を頼むぜ!」

 

「うん、任せて!」

 

遊馬とブーディカは一緒に野営地まで歩いて帰る。

 

元気よく歩いていく遊馬の後ろ姿を見てブーディカは呟いた。

 

「敵わないなぁ……」

 

遊馬の幼いながら、とても大きく見える背中にそう思った。

 

ブーディカはアストラルから遊馬とDr.フェイカーの顛末を聞いていた。

 

遊馬はDr.フェイカーとの対決の後、復讐せずに許すことにした。

 

しかもそれだけでなく遊馬はある望みを宣言した。

 

それはWDCの優勝者の特典であり、主催者がどんな望みも叶えるものだったが、主催者は行方不明になってそれは不可能となった。

 

しかし、遊馬の叶えたい望みは自分の私利私欲ではなかった。

 

『俺の望みはカイト達親子が仲良く暮らすことだ!』

 

遊馬は何と自分の憎かった相手の家族の幸せを望んだのだった。

 

憎しみを止めるだけでなく幸せを望む……遊馬とブーディカとは憎しみの方向は異なるがそれでも充分凄いことだった。

 

「全く、まだ子供だけど、もう少し大人だったら惚れちゃいそうだよ……ああ、でも娘達のお婿さんになって義理の息子も捨て難いなぁ……」

 

マシュ達やカルデアにいる小鳥や清姫達が聞いたら発狂しそうな言葉を呟くのだった……。

 

「あ、そうだ!ブーディカって確か、『勝利の女王』って呼ばれているんだよな?」

 

「ええ、そうだよ。それがどうかしたの?」

 

「実はさ、俺とアストラルには『勝利』の名を持つモンスターがいるんだぜ!」

 

ブーディカは『勝利』の英名の由来とも言われている。

 

希望皇ホープには希望皇ホープレイ以外にも多くの進化形態があり、その中で勝利の名を持つ希望皇ホープの進化形態がある。

 

「勝利の名を持つモンスターか……じゃあ、いつか強敵が現れた時に見せてね」

 

「おう!そいつはすっげえかっこいいから期待しててくれ!」

 

「うん♪楽しみにしているよ、ユウマ」

 

まるで息子と母の親子のような雰囲気を漂わせながら楽しそうな会話をする遊馬とブーディカ。

 

そして、その夜にブーディカは遊馬とサーヴァントの契約を結び、ブーディカのフェイトナンバーズを誕生させた。

 

意外にもブーディカと相性がよほど良かったのか、すぐにイラストと真名が判明した。

 

綺麗な赤い髪が腰まで伸びてその手にはアルトリアの持つ約束された勝利の剣に似た剣を持ち、馬二頭が引く戦車に乗る姿が描かれており、真名は『FNo.83 勝利と愛の女王 ブーディカ』。

 

またここに一つ遊馬の新たなサーヴァントとの絆が紡がれたのだった。

 

 

 

.




ブーディカ姉さんのあふれんばかりの母性はもはや狂気レベルですね(笑)
早くも遊馬先生がフラグを立てました(笑)
次回はカエサルとの戦いになると思います。


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ナンバーズ22 ガリア奪還!竜皇の巫女、初陣!!

遂にレティシアのフェイトナンバーズが登場します。
色々考えてそれらしい能力にしました。



ブーディカと絆を深めて新たなフェイトナンバーズを誕生させた遊馬はスパルタクスとも契約を交わした。

 

相変わらず古風な言葉で何を言っているのか不明だったがとりあえず契約を了承してくれたので良しとした。

 

それから数日後、ローマ軍は占領されたガリアを取り戻すために連合軍と戦を開始した。

 

連合軍からマシュとジャンヌはサーヴァントの気配を察知し、連合軍の兵士はローマ軍の兵士に任せ、遊馬達はサーヴァントの相手をするために戦場を駆け抜ける。

 

遊馬とアストラルは下手に人を傷つけないように少々卑怯な禁じ手であるがモンスターで脅して連合軍の兵士達が撤退するよう促す。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『No.17 リバイス・ドラゴン』!!」

 

遊馬とアストラルの戦いを告げる始まりの水竜、リバイス・ドラゴンを召喚して咆哮を轟かせ、その恐ろしい姿に怯えて連合軍の兵士が逃げ出していく。

 

命を奪わずに戦わずして勝つのならそれに越したことはない。

 

途中、連合軍のサーヴァントか魔術師が繰り出してきた魔物などが現れたがオーバーレイ・ユニットを二つ喰らって攻撃力を最大値まで上昇しているリバイス・ドラゴンの敵でない。

 

ブーディカとスパルタクスが露払いをしてくれているお陰でカードを伏せ、ドローで手札を補充しながら戦力を温存し、無事に目的のサーヴァントの元へ辿り着いた。

 

そして、そのサーヴァントの姿を見た瞬間、遊馬達は目を疑った。

 

何故なら色んな意味で驚愕な姿をしていたからだ。

 

(人を見た目で判断するのはよくないけど、肥り過ぎじゃないか!?)

 

ローマ皇帝のサーヴァントは男性で装飾や服装はネロに近いものではあったが……一番の特徴はその体が肥っていたのだ。

 

いわゆる肥満体質なサーヴァントであるが、煌びやかな十字の剣を構えているのでおそらくサーヴァントクラスはセイバーだろう。

 

しかし、そのサーヴァントからはネロと同じく皇帝として人の上に立つ人間としてのカリスマが溢れていた。

 

「待ちくたびれたぞ。一体、いつまで待たせるつもりか。しかし、だ。どうやら私が退屈をするだけの価値はあったぞ。その美しさ、美しいな。美しい。実に美しい、その美しさは世界の至宝でありローマに相応しい。我らの愛しきローマを継ぐ者よ。名前は何と言ったかな?」

 

「ーーーーっ」

 

ネロはそのサーヴァントの前で緊張していた。

 

誰かは不明だが歴代のローマ皇帝に位置する人物なので、ネロにとって先祖と対峙するので緊張するのは当然だった。

 

「沈黙するな。戦場であっても雄弁であれ。それとも、貴様は名乗りもせずに私と刃を交えるか。それが当代のローマ皇帝の在りようか?さあ、語れ。貴様は誰だ。この私に剣を執らせる、貴様の名は」

 

敵であるがネロにローマ皇帝としての誇りや心構えを教えていた。

 

ネロはその言葉を胸に覚悟を決めて堂々と名乗りをあげる。

 

「ーーネロ。余は、ローマ帝国第五大皇帝。ネロ・クラウディウスこそが余の名である。貴様を討つ者だ!」

 

「良い、名乗りだ。そうでなくては面白くもない。そこの客将よ。遠い異国からよく参った。貴様達も名乗るがいい」

 

サーヴァントの視線がネロから遊馬達に向けられ、名乗りをあげることになった遊馬はいつものように名乗るのはつまらないと思い、少し趣向を変えて名乗ることにした。

 

「俺の名は遊馬、九十九遊馬。またの名を……無限の未来を切り開く者、『未来皇ホープ』だ!!」

 

遊馬は未来皇ホープのカードを掲げて背後にその幻影を見せながら堂々と名乗りを上げた。

 

いつもと違う遊馬の名乗りにマシュとジャンヌは驚いたが、瞬時にその趣向を理解したアストラルは小さく笑みを浮かべて遊馬の隣に立ち、同様に一枚のカードを掲げる。

 

「我が名はアストラル!またの名を、絶望の闇を切り裂く数多の希望を宿す者、『希望皇ホープ』!!」

 

アストラルはカードを掲げると、希望皇ホープの幻影が現れて未来皇ホープと並び立つ。

 

遊馬は未来皇ホープ、アストラルは希望皇ホープを生み出しているので……遊馬が未来皇ホープ、アストラルが希望皇ホープと名乗っても間違いではない。

 

未来と希望、二つの皇が威風堂々と立ち並び、マシュとジャンヌは緊張しながら自分たちも遊馬とアストラルに恥じない名乗りをあげる。

 

「マシュ・キリエライト!未来皇ホープの力を宿す、マスター・遊馬のサーヴァントです!」

 

「同じく、ジャンヌ・ダルク!銀河眼の光子竜皇の力を宿す、マスター・遊馬のサーヴァント!」

 

二人の右手に刻まれた『00』と『62』のナンバーズの刻印を見せながら堂々と名乗る。

 

予想外な名乗りに敵サーヴァントは満足そうに笑いをこぼす。

 

「ふははははっ!未来皇と希望皇か!これは驚いた、まさかそんな皇帝が存在するとはな!」

 

「あんた、連合軍のサーヴァントなら知っているよな?聖杯について教えてもらおうか!」

 

「聖杯……それについては私を倒せたら教えてやろう。だがその前に、ここまで来られた褒美だ。我が黄金剣、黄の死(クロケア・モース)を味わえ!」

 

敵サーヴァントの十字の黄金剣が輝き、勢いよく振り降ろすと黄金の斬撃がリバイス・ドラゴンに向けられた。

 

「迎え撃て!バイス・ストリーム!」

 

リバイス・ドラゴンは水の竜巻を模した竜の咆哮を放つが、黄金の斬撃が竜巻を切り裂き、リバイス・ドラゴンを真っ二つにして破壊した。

 

「リバイス・ドラゴン!?」

 

「くっ、遊馬!罠カードだ!」

 

「分かってる!罠カード、『ガード・ブロック』!戦闘ダメージをゼロにしてデッキからカードを一枚ドローする!」

 

あらかじめセットしておいた罠カードのお陰でダメージはゼロになったが、最大パワーを上げていたリバイス・ドラゴンが破壊された。

 

それほどまでに黄金剣の威力が高いということだ。

 

「見た目で判断するのは危険みたいだな……」

 

「遊馬君!ここは私の守護の力で!」

 

「私も行きます!」

 

「頼むぜ、マシュ!俺のターン、ドロー!自分フィールドにモンスターがいないとき、『ドドドバスター』をレベル4で特殊召喚!『ゴゴゴゴースト』を通常召喚!レベル4のモンスターの召喚に成功した時、手札から『カゲトカゲ』を特殊召喚!そして、自分フィールドにレベル4モンスターのみの場合、手札から『トラブル・ダイバー』を特殊召喚!」

 

一気に手札から四体のモンスターを召喚し、これで条件が揃った。

 

「レベル4のドドドバスターとゴゴゴゴーストでオーバーレイ!」

 

「更にレベル4のカゲトカゲとトラブル・ダイバーでオーバーレイ!」

 

遊馬とアストラルは四体のモンスターを二体ずつオーバーレイを行い、マシュとジャンヌをフェイトナンバーズのカードに入れてエクシーズ召喚をする。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『FNo.0 人理の守り人 マシュ』!『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』!!」

 

未来皇ホープと銀河眼の光子竜皇の力を宿したマシュとジャンヌがエクシーズ召喚され、サーヴァントの新たな可能性の力に敵サーヴァントは興味深く見つめる。

 

「ほぅ!これがマスターとサーヴァントの……いいや、それとは別の力。なるほど、未来皇と希望皇の二人の力ということか!ならばもう一度喰らえ、黄の死!!!」

 

「させません!遊馬君!」

 

「マシュの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃を無効にしてバトルを終了させる!」

 

「フルムーンバリア!!!」

 

再び振り下ろされた黄金の斬撃だが、マシュのフェイトナンバーズの効果で無効にし、更に遊馬のデッキトップに好きな魔法カードを置かせる。

 

「やべぇ、強いな……」

 

「貴様らの美しさと勇気に応えて我が名を言おう。私はカエサル。ガイウス・ユリウス・カエサル、それが私だ!」

 

敵サーヴァントの真名が判明し、遊馬たちは驚いた。

 

カエサル、それは初代皇帝以前のローマの支配者の名前であり、古代ローマ最大の英雄の一人である。

 

ネロは目の前にいる男がカエサルと知って困惑するが、叔父であるカリギュラと既に出会っているので信じるしか無かった。

 

「しっかりしろ!ネロ!ローマを救うにはまずはあいつを倒さなきゃならないんだからな」

 

「ほう、子供と少し侮っていたがどうやらかなりの場を超えているようだな。美しい少女たちを従えているお前の勇気と強さに感嘆したぞ」

 

「マシュとジャンヌは従えてねぇよ。二人は俺の大切な仲間だ!!」

 

「仲間か。よかろう、褒美に一つ教えてやろう。聖杯なるものは、我が連合帝国首都の城にある。正確には宮廷魔術師を務める男が所有しているな」

 

「宮廷魔術師?誰だそいつは!?」

 

「できんな、貴様への褒美は終わりだ。これ以上くれてやる道理はない」

 

「けっ、ケチな支配者様だな。だったらぶっ倒して聞き出す!」

 

「その意気だ。さてと。では、次は本気だ!」

 

カエサルは魔力を……抑えていた力を解き放った。

 

今まで本気では無かったとはいえ、リバイス・ドラゴンを倒した……ますます油断できなくなる。

 

「調子に乗る前に早いとこ倒さなきゃな!」

 

「私は来た。私は見た。ならば、次は勝つだけだ……!」

 

カエサルは一気に終わらせようと黄金剣を振り上げた……その時だった。

 

「それはどうかしらね?」

 

遊馬のデッキケースが開き、中から黒い影が飛び出すとカエサルを蹴り飛ばし、高く飛び上がってから静かに降り立った。

 

「全く、揃いも揃ってだらし無いわね。あんな奴に手間取っていたらこの先が思いやられるわね」

 

それは聖杯によって生み出され、新たな道を歩み始めた少女……ジャンヌ・オルタことレティシアだった。

 

「レティシア!」

 

「レティシアさん!」

 

「レティシア、どうして……?」

 

「どうしてって、あなた達が不甲斐なくて見てられないから来ただけよ。さて……マスター、早速だけど私を召喚してもらえるかしら?」

 

「レティシア……」

 

「私の初陣、派手にやらしてもらえる?」

 

「……いいぜ、行こうぜ!レティシア!」

 

「ええ!それから、ついでに名乗っておきましょうか?私はレティシア!銀河眼の光子竜皇の力を宿す、マスター・遊馬のサーヴァントよ!」

 

レティシアは光の粒子となってフェイトナンバーズの中に入り込み、遊馬はこのターンで決める気持ちでドローする。

 

「俺のターン、ドロー!手札から『ゴゴゴジャイアント』を召喚!効果で墓地のゴゴゴゴーストを特殊召喚!行くぜ、レティシア!俺はゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーストでオーバーレイ!」

 

ゴゴゴジャイアントが召喚され、先ほどマシュの効果で墓地に送られたオーバーレイ・ユニットだったゴゴゴゴーストを蘇生させ、ゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーストが光となって地面に吸い込まれて爆発すると、漆黒の炎が吹き荒れる。

 

「新たな生を受けし黒き炎を纏いし乙女よ、数多の竜の加護をその身に受け、未知なる未来を突き進め!」

 

それは偽物として生まれた存在が新たな未来を進み、少年との絆が一人の少女として新たな存在となって確立した。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『FNo.62 竜皇の巫女 レティシア』!!」

 

漆黒の炎を蹴散らす無数の竜の幻影と共に光と闇の狭間からジャンヌと同じ趣向の銀河眼の光子竜皇を模した鎧を装着したレティシアが現れる。

 

レティシアは旗を広げるとそこにはかつてファブニールを模した竜の紋章が描かれていたが、竜の魔女ではなくなったレティシアの新たな旗には遊馬を象徴する皇の鍵が大きく描かれていた。

 

「レティシアの効果!エクシーズ召喚に成功した時、エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを3枚選択する!」

 

遊馬のエクストラデッキから三枚のカードが飛び出してレティシアの前で踊るようにクルクルと舞う。

 

「レティシア!」

 

「さあ、来なさい。私を勝利に導く選ばれし竜の輝きよ!!」

 

レティシアは自分の直感で三枚の中から一枚を選んでキャッチし、そのカードを掲げた。

 

そして……選ばれたそのカードはレティシアの憎しみの象徴を打ち砕き、最も惚れ込んでいるドラゴン……銀河眼の光子竜皇だった。

 

「流石は私ね♪」

 

「ランダムに1枚選択したカードをレティシアの装備カードにする!銀河眼の光子竜皇、レティシアの力となれ!」

 

銀河眼の光子竜皇は咆哮を上げながら光の粒子となってレティシアの体に纏うと鎧が一瞬で大きく変化した。

 

それはまるで銀河眼の光子竜皇自体が鎧に変化したかのようにレティシアの全身を覆い、その力を高めた。

 

さながら竜人のような姿となったレティシアは不敵な笑みを浮かべる。

 

「レティシアの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップし、エンドフェイズ時まで装備したモンスター……つまり、レティシアは銀河眼の光子竜皇の効果を得る!」

 

「力が、溢れてくる!さあ、派手にぶちかましましょうか!!」

 

「慌てんなって!その前にマシュとジャンヌのパワーを高めるぜ。装備魔法『最強の盾』をマシュに装備!攻撃表示の時、守備力の数値分攻撃力をアップさせる!」

 

歪んだ形をした赤い盾が現れ、マシュの十字の盾に取り込まれた。

 

「凄い……私の高い守護の力が攻撃力に加算されている……!?」

 

十字の盾は鈍色から真紅に輝き、マシュの力が高まる。

 

マシュの守備力は3000、低い攻撃力である1500に加算され……合計攻撃力は4500となる。

 

「更にジャンヌの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、自分以外のモンスター×500ポイントの攻撃力をアップする!」

 

「レティシア、マシュ……あなた達と共に!」

 

ジャンヌは旗を地面に突き刺し、銀河眼の光子竜皇の十字剣を呼び出してオーバーレイ・ユニットを取り込んで攻撃力を1000ポイントアップさせる。

 

これでマシュ、ジャンヌ、レティシアの三人の強化が完了した。

 

「バトル!マシュの攻撃!」

 

「はいっ!」

 

マシュは盾を手放すと静かに宙に浮く。

 

盾はフェイトナンバーズとなったマシュの意思で自由自在に動くようになり、風車のように高速回転させ、風が吹く。

 

「ロード・カルデアス・ストライク!!」

 

高速回転した盾を地面に思いっきり叩きつけ、地面から強力な衝撃波がカエサルに向けて放たれた。

 

地面を抉るような衝撃波は一気にカエサルの足元まで及び、カエサルを宙に投げ出す。

 

「ぐおっ!?なんて力だ!」

 

「まだだ、ジャンヌ!!」

 

ジャンヌは抉られた地面を足場にして蝶のように軽やかに飛び、カエサルの間合いに入る。

 

「エタニティ・フォトン・スラッシュ!!」

 

振り下ろされた十字剣がカエサルの黄金剣と交差した瞬間、十字剣から無数の光の波動が放たれ、あまりの衝撃にカエサルは地面に叩きつけられる。

 

「ぐごぉっ!!?」

 

「レティシア!!」

 

「これで決めるわ!!」

 

レティシアはジャンヌと同じ銀河眼の光子竜皇の十字剣を呼び出す。

 

ジャンヌの十字剣が青い宝玉に対し、レティシアの十字剣は赤い宝玉が埋め込まれていた。

 

「銀河眼の光子竜皇を装備したレティシアの効果!戦闘を行うダメージ計算時にオーバーレイ・ユニットを一つ使い、レティシアの攻撃力をフィールドのモンスターエクシーズのランクの合計×200ポイントアップする!」

 

レティシアがオーバーレイ・ユニットを十字剣に取り込ませると、自身とマシュとジャンヌのランクの合計、4×3×200で攻撃力が2400ポイントアップする。

 

十字剣の刃が純白に輝き、レティシアは切っ先をカエサルに向ける。

 

「エタニティ・フォトン・ブレイカー!!」

 

十字剣に込められた魔力を一気に解放し、銀河眼の光子竜皇と同じ膨大なエネルギーを解き放った。

 

カエサルは解放した魔力を黄金剣に込め、盾にして防ごうとしたがあまりにも膨大なエネルギーに防ぎれるわけがなく、濁流に飲み込まれるように吹き飛ばされてしまう。

 

「こ、これが……お前たちの力なのか!?」

 

あれだけの連続攻撃を受けてもまだ消滅しなかったが、一つの赤い影が間合いに入っていた。

 

「お、お前は!?」

 

それは真紅の剣、『原初の火(アエストゥス・エストゥス)』を構えたネロだった。

 

ネロは自身で決着をつけるためにずっとその時を待っていたのだ。

 

「余は、ローマを守る!!」

 

ローマを守るために仇なす皇帝を倒すために原初の火を振り払う。

 

原初の火の真紅の一閃が煌めき、カエサルを斬る。

 

「見事だ……それでこそ、ローマ皇帝だ!」

 

トドメの一撃を受け、カエサルは満足そうに頷いた。

 

「美しい女たちに負けるのも悪くない。そも、俺が一卒兵の真似事をするのは無理がある。まったく、あの御方には困ったものだ」

 

「あの御方?」

 

「そうだ。当代の正しき皇帝よ。連合首都であの御方は貴様の訪れを待っているだろう。正確には皇帝ではない私だが、まあ、死した歴代皇帝さえも逆らえん御方だ。その名と姿を目にした時、貴様はどんな顔をするだろうか。楽しみだ」

 

カエサルが言う『あの御方』はネロにとって深い関わりのある人物らしい。

 

それが敵にいることにネロは不安な表情を浮かべるが、ネロを守るように遊馬が前に立つ。

 

「例え敵にどんな奴がいたとしても、ネロは俺が必ず守る。そして、そいつらをぶっ飛ばして、聖杯を取り戻してこの世界の未来を守る!!」

 

「ユウマ……」

 

「ふははははっ!勇ましい、なんと勇ましい男よ!貴様が何処まで戦えるのか楽しみにしておるぞ!」

 

そして、カエサルは多くの謎を残しながら消滅し、白紙のフェイトナンバーズのカードを残した。

 

「消えた……」

 

「この前話したよな?倒されたサーヴァントは英霊の座に帰る。カエサルは元いた場所に場所に帰ったんだ」

 

「そうか……」

 

「……ネロ、これを持っててくれ」

 

遊馬は拾ったカエサルのフェイトナンバーズのカードをネロに手渡す。

 

「これは……?」

 

「カエサルの欠片から生まれたカード。カエサルはネロにとって血の繋がった先祖なんだろ?カエサルは敵として戦ったけど、憎み合ってないし、少なくともネロの事を大切に思っているはずだ。余程のことがなければ子孫を嫌いになるわけないからな」

 

「そうだな……ではこれはユウマたちが戦いを終えるまで私が持っておくことで良いか?」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

「ありがとう……」

 

ネロはカエサルのフェイトナンバーズを大切に持つ。

 

こうしてガリアは解放され、大きな戦いが一つ終わるのだった。

 

一方、そこから少し離れた地で美しい少女の姿をした謎の存在が遊馬が持つ小さな力に気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この気配……メドゥーサ?あなた……この世界にいるの……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはメドゥーサに深い関わりがあり、最も苦手とする存在であり、遊馬たちに新たな試練を与えるのだった。

 

 

 

.




レティシアのフェイトナンバーズが登場しました!
能力はこんな感じです。

FNo.62 竜皇の巫女 レティシア
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/戦士族/攻2000/守2500
レベル4モンスター×2
このカード名はルール上「FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク」としても扱う。
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを3枚選んでランダムに1枚選択し、このカードの装備カードにする。
このカードの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップし、エンドフェイズ時までこのカードは装備したモンスターの効果を得る。

ギャンブル性がありますが、超銀河眼の時空龍とかを装備できればかなり強いと思います。
次回はメドゥーサのお姉ちゃん、ステンノの登場です。
メドゥーサを出してギャグを展開しようと思います。
ごめんね、メドゥーサ(笑)


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ナンバーズ23 古き神の試練

今回は古き神の登場です。

そしてまた遊馬のフラグ被害者が増えます(笑)


カエサルを倒してガリアを解放した遊馬たちは凱旋するために首都に戻ろうとしたが、気になることを耳にした。

 

「古き神が現れた、か。本当であろうか?」

 

「古き神ねぇ、俺が出会った神は最悪な奴だったけどな……」

 

「一応、エリファスもアストラル世界の守護神だが……彼は頑固なだけで、私達に未来を託してくれたからな」

 

遊馬はドン・サウザンド、アストラルはアストラル世界の代表にして守護神のエリファスを思い出しながら呟く。

 

古き神……どうやらそれはただの嘘ではなさそうでここ数日で何人も言っており、地中海のある島で現れたらしい。

 

「なあ、ネロ。気になるし、ちょっと行ってみるか?」

 

「しかし、ローマの帰還途中だというのに……」

 

「大丈夫だって、俺の船を使えばすぐに着くからさ。ちょっと行ったらすぐに戻れば良いからさ」

 

「ユウマの船?何処にあるのだ?」

 

「ここにあるぜ。かっとび遊馬号、起動!」

 

遊馬は皇の鍵を掲げると、上空の空間が歪み、皇の鍵の飛行船こと、かっとび遊馬号が姿を現わす。

 

「ぬぉおおおおっ!?な、何なのだあれは!?」

 

「簡単に言えば空飛ぶ船だ!あれがあれば島なんてすぐに到着するぜ!」

 

「なるほど、空飛ぶ船か!これは見事!!分かった、兵はブーディカ達に任せて行こうではないか!!」

 

「おう!」

 

妙にブーディカとは違った意味で相性が良いのか、遊馬とネロはテンションを上げながら古き神がいる島に向かう準備をし、アストラルとマシュ達は幼き姉弟を見守る気持ちで苦笑を浮かべていた。

 

その後、兵をブーディカに任せてかっとび遊馬号に遊馬、アストラル、マシュ、ジャンヌ、レティシア、そしてネロを乗せて地中海に向かった。

 

ネロとついでにレティシアは人生初の飛行船に興奮しながら僅かな時間の船旅を楽しんだ。

 

あっという間に島に到着した遊馬達は砂浜に降り立つと、海から吹く気持ちの良い潮風に心地よい気持ちになったのもつかの間……目的の古き神が近づいて来た。

 

念のため戦闘準備をすぐに整えると、そこにいたのはどこかで見た面影のある顔立ちに紫色の髪のツインテールをした遊馬と同い年か少し年下の風貌の可愛らしい少女だった。

 

「ご機嫌よう、勇者のみなさま。当代に於ける私のささやかな仮住まい、形ある島へ」

 

「あんたがみんなが言ってた古き神か?」

 

「ふふ、あら、あら。どんなに立派な勇者の到来かと思ったのだけれど、まだ子供じゃない。しかもサーヴァントが混ざっているなんて」

 

「うるせえ!子供でも場数は潜ってるんだよ!」

 

「遊馬、挑発するな。感じる、相手は紛れもない神……女神だ!」

 

アストラルはキリッと目を鋭くして遊馬を諌め、場の緊張感を高める。

 

遊馬のD・ゲイザー越しにカルデアの管制室でその女神を調べたが、何と驚くことにサーヴァントでしかも本物の神であったのだ。

 

「精霊……?見たことない姿に、とても強い力を感じますね。その少年に取り憑いていると言うことは……なるほど、場数を潜っているのは本当らしいですね。ところで……」

 

穏やかな表情を浮かべていた女神は遊馬のデッキケースの方を見つめると目を細めて睨みつける。

 

「一つ聞きたいことがありますが……どうしてあなたから……メドゥーサの気配を感じるの?」

 

「メドゥーサ?あんたメドゥーサを知ってるのか?」

 

メドゥーサを親しそうに話す女神にその容姿からアストラルは考えられる関係者を思いつく。

 

「……もしかしてあなたは、ゴルゴン三姉妹……メドゥーサの姉君のステンノ、もしくはエウリュアレでは?」

 

「正解よ、私は女神。名は、ステンノ。ゴルゴンの三姉妹が一柱よ」

 

目の前にいる女神のサーヴァントがメドゥーサの姉である事に驚きながら遊馬は興味深そうに見つめる。

 

「あんた、メドゥーサの姉ちゃんだったのか。よく見れば確かに似ているな。あっ、そうそう、あんたが感じた力の正体はこれだよ」

 

遊馬はデッキケースからメドゥーサのフェイトナンバーズをステンノに見せる。

 

「何それ……?」

 

「メドゥーサとの契約の証だ。メドゥーサはここにはいねえよ」

 

「メドゥーサと契約ね……でも、あなたはそこにいる三人のサーヴァントと契約しているのでは?」

 

「そうだけど、まあ色々あるんだよ。メドゥーサをここに呼び出そうか?」

 

「え?メドゥーサを呼び出せるの……?」

 

メドゥーサをここに呼び出せるとステンノは聞いて目を丸くした。

 

「ああ。ちょっと待ってて。あーあー、もしもし?カルデア管制室、今すぐメドゥーサを呼んできてくれ。姉ちゃんのステンノがいるって」

 

D・ゲイザーでカルデアの管制室に連絡すると小鳥が出た。

 

『もしもし遊馬。分かったわ。少し待ってて、今すぐメドゥーサさんを呼んでくるわ』

 

「おう小鳥!サンキュー!」

 

『あ、メドゥーサさん!ちょうどよかった。実はあなたのお姉さんが……って、何で全力疾走で逃げるんですか!?』

 

小鳥はメドゥーサを見つけたのもつかの間、姉がいることを知るなり全力疾走で廊下を走り出す。

 

『す、すみません、ちょっと用事を思い出しまして……』

 

『あ、クー・フーリンさん!メドゥーサさんを捕まえてください!お姉さんがいるのに会おうとしないんです!』

 

『あー?メドゥーサの姉ちゃんだと?そういえばあいつ……はっ、良いだろう。最速のランサーの名にかけて捕まえてやるぜ!おい、カルデアのサーヴァント共!手の空いている奴は今すぐメドゥーサを捕まえろ!いつもクールぶっているメドゥーサの化けの皮を剥がそうぜ!!』

 

『ちょっ!?クー・フーリン!?くっ、後で覚えておきなさーーイヤァアアアアアッ!?どうして皆さん一斉に追いかけてくるんですか!?』

 

『まあ君が姉君と会ってどんな反応するか見てみたいからな』

 

『過去と向き合いなさい、メドゥーサ。私も頑張って向き合っているのですから!』

 

『助けてください!!サクラァアアアアアッ!!!』

 

何やら色々と騒がしい音声が聞こえ、数分後には無事にメドゥーサを捕獲して準備ができ、遊馬はデッキケースにメドゥーサのフェイトナンバーズを仕舞う。

 

そして、数秒後にデッキケーキから紫色の光が飛び出て、若干衣類や髪がボロボロになったメドゥーサが現れた。

 

「う、上姉様……お久しぶりでございます……」

 

「うふふ……駄メドゥーサ……会いたかったわ……」

 

ステンノはまるで自分のおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべてメドゥーサに近づこうとした。

 

メドゥーサは眼帯で顔の半分近くを隠しているが、体が震えており明らかに怯えていた。

 

バッ!

 

遊馬はとっさにメドゥーサの前に立ってステンノを近づこうとするステンノを遮る。

 

「あら?何をするのかしら?せっかくの姉妹の感動の再会に水を差すのですか?」

 

「……普通の姉妹なら良いけど、あんたから恐ろしい気配を感じてな。俺も姉ちゃんいるし……」

 

過去に姉の明里から受けた恐ろしい経験を何度も受けた嫌な経験感が働き、遊馬はステンノのドSな性格に気づいたのだ。

 

こいつ本当に女神かよ?と思いながら遊馬はステンノと睨み合いを続ける。

 

「はぁ……まあいいわ。駄メドゥーサとは後でじっくり話しますわ」

 

遊馬の根気に負けたステンノは一旦メドゥーサと話をするのを止め、話題を変える。

 

「さて……話が変わりますけど、あなたに一つ質問があります」

 

「質問……?」

 

女神が何の質問をするのか緊張する遊馬だったが、ステンノの質問な驚くべき内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたはメドゥーサを化け物だと知ってて契約してるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりの予想外の質問に遊馬達は一瞬言葉を失った。

 

「っ!?てめぇ……妹に向かってなんてことを言ってるんだ!!」

 

メドゥーサを化け物呼ばわりするステンノに遊馬は一瞬で頭に血が上って激昂し、思わず殴りかかろうとした。

 

「いいんです、ユウマ!」

 

メドゥーサは遊馬の肩を掴んで止め、悲しそうな表情を浮かべて首を左右に振る。

 

「メドゥーサ……」

 

「今はこの姿でも、私は昔、醜い化け物となって……その結果、姉様たちを喰い殺してしまいましたから……私は所詮、反英雄……倒されるべき怪物ですから」

 

ギリシャ神話ではステンノともう一人の姉、エウリュアレは逃げたと記されているが真実は違う。

 

英雄殺しの魔獣『ゴルゴーン』となってしまい、理性を失って喰い殺してしまったのだ。

 

メドゥーサは死後に英霊の座に着いた時からずっとその事がトラウマとなっているのだ。

 

遊馬はメドゥーサの悲しそうな表情を見ると覚悟の紅い瞳でステンノを見つめ、自分の思いを話す。

 

「ステンノ。この際だからはっきり言わせてもらう……メドゥーサが化け物だろうが何だろうがそんなのは関係ない!!」

 

「ユウマ……?」

 

「関係ない……ですって?」

 

メドゥーサは呆然とし、ステンノは目を見開いて驚いた。

 

「メドゥーサがどんな存在だったのか、どんな生き方をしていたのか、それはカルデアで見たギリシャ神話の本でしか見たことないし、メドゥーサの口から聞いたことないからそれが真実かどうか分からねえよ。だけど、これだけは言える……メドゥーサは俺の大切な仲間だ!!」

 

メドゥーサとの絆の証である『FNo.44 天馬の女神 メドゥーサ』を見せながら強く宣言する。

 

「本性が化け物だろうが何だろうが構わない!メドゥーサが俺をマスターとして、仲間として認めてくれて、俺と一緒に戦ってくれるなら俺は最後までメドゥーサを信じる!そして、必ず守る!!それが俺の覚悟だ!!」

 

マスターとして、仲間としてメドゥーサを信じ、そして必ず守る覚悟。

 

本来なら倒すべき存在であるメドゥーサを仲間にするだけでなく守ると宣言した勇者……そんな人間を見るのは女神であるステンノ自身も初めてだった。

 

しかも勇者と呼ぶにはまだ幼い子供……そんな遊馬を見て興味が出てきた。

 

「面白いじゃない……そこまで言うなら一つ、あなたを試してあげるわ」

 

「試す?」

 

「この島の洞窟に勇者を出迎えるための催しを作ったのよ。そこには私が用意した魔獣がいるわ。それをあなたとメドゥーサで攻略しなさい」

 

「魔獣?」

 

「魔獣を倒した後に宝箱があるわ。それをどうするかあなた達次第だけど……」

 

「ふーん……女神が用意した試練ってことか」

 

「しかし、女神ステンノよ。それを遊馬とメドゥーサが攻略したとして、我々に何のメリットがある?」

 

アストラルの言うことももっともであり、わざわざ女神が用意した恐らくかなり危険な場所に踏み込む理由などはない。

 

「そうね……それなら、私をあげるわ」

 

「上姉様!!?」

 

「私はサーヴァントとしてはメドゥーサに比べたら弱いけど、この身全てをあなたに捧げるわ」

 

「つまり、仲間になるってことか?分かった!約束は守れよ?」

 

洞窟の試練をクリアすればステンノが仲間になると聞いて遊馬はやる気を出した。

 

「ユ、ユウマ!洞窟に何があるのかわからないのに……」

 

「でも、クリアすればステンノのフェイトナンバーズを手に入れればカルデアで召喚しやすくなる!そうしたら、カルデアの中限定だけど、また姉妹で一緒に暮らせるだろ?」

 

「えっ!?まさか、それが理由で……!?」

 

「うん、そうだけど?」

 

あっけらかんに答える遊馬にメドゥーサはぽかーんと口を開けて唖然とする。

 

対してアストラルは相変わらずだなと嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

マシュ達は驚きの後に先日アストラルが語った遊馬の過去を思い出して遊馬らしい考えだとアストラルと同様に笑みを浮かべた。

 

ネロは遊馬の他人のために全力を尽くして戦えることに感動して称賛した。

 

「変な子ね……いいえ、だからこそメドゥーサや複数のサーヴァントと契約出来ている……何か他人を惹きつける力を持っているのかしらね」

 

そして、ステンノはそんな遊馬を見て呟いた。

 

「よっしゃあ!早速行こうぜ、メドゥーサ!」

 

「わかりました。ユウマ、行きましょう!」

 

遊馬とメドゥーサはステンノが用意した試練である洞窟へと向かう。

 

アストラルは遊馬とは離れられないのでステンノが特例で認めてそのまま洞窟へ向かう。

 

 

入った洞窟はジメジメとしてとても暗く、心地の良い場所ではなかった。

 

入った矢先に先兵と思われる骸骨兵がいたが、そこはカルデアの英霊達に鍛えられている遊馬とかつて多くの英雄と戦ったメドゥーサの敵ではなくあっさりと片がついた。

 

問題はそれではなく洞窟の奥にいる敵……簡単に言えばダンジョンのボスである。

 

『グオオオオオオオ!!!』

 

現れたのは古代ギリシャに伝わる怪物、キメラ。

 

複数の動物のパーツが組み合わさっている存在で魔術による合成生物ではなく、正真正銘の伝説の幻獣である。

 

「ははっ、宝箱を守る番犬と言ったところか!」

 

「ワイバーン、ファヴニールに続いてキメラか……英霊だけでなくこれほど有名な伝説のモンスターと戦うことになるとはな」

 

遊馬はホープ剣を消すとデッキからカードを引き、手札を見てどう動かすか一瞬で考える。

 

「時間はないから一気に決めるぞ。この手札なら……メドゥーサ、出番だぜ!」

 

「わかりました。行きますよ、ユウマ……マスター!」

 

「おう!かっとビングだ、俺!俺のターン、ドロー!魔法カード『おろかな埋葬』を発動!デッキからモンスターカードを墓地に送る!俺はデッキから『ズババナイト』を墓地に送る!更に『クレーンクレーン』を召喚!効果で墓地のレベル3モンスターを一体特殊召喚出来る!来い、ズババナイト!!」

 

鳩の形をしたクレーンのモンスターが墓地に送られたズババナイトを引っ張りあげて特殊召喚する。

 

クレーンクレーンとズババナイトのレベルは共に3、これで条件は成立した。

 

「派手にぶちかまそうぜ、メドゥーサ!」

 

「ええ!」

 

「俺はレベル3のズババナイトとクレーンクレーンでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

ズババナイトとクレーンクレーンが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「儚く美しき女神よ!魔眼と天馬の力で仇なす敵を討て!」

 

それは遊馬にとって初めて対峙した英霊の敵……そして、サーヴァントとの絆の象徴フェイトナンバーズの始まりのカードである。

 

「現れよ、『FNo.44 天馬の女神 メドゥーサ』!!」

 

光の中から天馬……ペガサスが現れ、その背には白い軽装の鎧を纏うメドゥーサが乗っている。

 

そして、驚くことにそのペガサスはメドゥーサが召喚する純白のペガサスではなく、『No.44 白天馬スカイ・ペガサス』だった。

 

スカイ・ペガサスがメドゥーサと共に現れたことに驚きながら遊馬は早速効果を発動する。

 

「メドゥーサの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスターを裏守備表示にする!更に、相手はこの表示形式を変更出来ない!!」

 

「キュベレイ!!」

 

メドゥーサはオーバーレイ・ユニットを一つ手で握りしめ、両眼の魔眼を封印している眼帯を外し、真紅の両眼が怪しく輝くとキメラの体が一瞬で動かなくなる。

 

石化の魔眼によってキメラが動けなくなったのだ。

 

「おっしゃあ!これでキメラの動きを封じたぜ!」

 

「ユウマ、トドメです!」

 

「おうっ!メドゥーサのもう一つの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する!」

 

スカイ・ペガサスはもう一つのオーバーレイ・ユニットを喰らい、メドゥーサのもう一つの効果を発動する。

 

メドゥーサは自身の宝具であり、ライダーのクラスに相応しい騎乗できるものなら幻想種すらも制御し、更にその能力を向上させる黄金の鞭と手綱……『騎英の手綱』を呼び出してスカイ・ペガサスに手綱を掛ける。

 

「優しく蹴散らしてあげましょう!『騎英の手綱(ベルレフォーン)』!!」

 

スカイ・ペガサスの目が力を宿したように鋭く輝き、洞窟の天井の目一杯まで高く飛び、一気に急降下する。

 

そして、スカイ・ペガサスは自身とメドゥーサを包み込むように白銀の光を纏い、暗い洞窟の中ということもあってそれは夜空に輝く流星のように美しい光だった。

 

「いっけー!ペガサス・シューティング・ブレイク!!」

 

「これで終わりです!!」

 

流星と化したメドゥーサとスカイ・ペガサスの一撃は動けないキメラの体を貫いた。

 

強力な一撃を喰らったキメラは声を上げずに倒れ、死体が残ることなく消滅した。

 

遊馬とメドゥーサはハイタッチを交わし、勝利を喜ぶ。

 

「やったな、メドゥーサ!」

 

「ええ。それにしても、この子は良い子ですね。ありがとうございました」

 

メドゥーサはスカイ・ペガサスの頭を優しく撫でた。

 

役目を終えたスカイ・ペガサスはメドゥーサの白い装甲と共に静かに消えた。

 

「さてと、これでステンノの試練は終わったな」

 

「後は宝箱だけか……」

 

洞窟の奥にある宝箱を見つけ、早速開けようと思ったその時だった。

 

「ん?おわっ!?」

 

デッキケースが開き、中から翡翠色の光が飛び出すと突然清姫が現れた。

 

「旦那様、ご機嫌よう」

 

「清姫!?どうしたんだよ!?」

 

「実は……エリザベートさんがいないのです」

 

「エリザベートがいない?部屋にも食堂にもか?」

 

「はい。ちょっと暇なのでちょっかい……ではなく、お話をしようと思ったんですが……どうやら皆さんも見てないらしくて」

 

ちょっかい……と言う言葉は置いておいて、エリザベートが行方不明になったことを遊馬は心配する。

 

「マジかよ……でも急にいなくなるなんてエリザベートらしくないな。どこ行きやがったんだ……?」

 

「……遊馬、気のせいではないと思いたいが、あの宝箱の中からサーヴァントの気配がする」

 

「「「えっ???」」」

 

アストラルの指摘で一斉に宝箱を見つめる。

 

よくよく見て冷静に考えると不自然な点があった。

 

「あの宝箱、結構でかいな。それも人が余裕に入れるぐらいに……」

 

「あれは上姉様が用意した宝箱ですから、もしかして……」

 

「うーん……微かですが、エリザベートさんの気配を感じますね。まさか……」

 

遊馬達は一つの可能性に辿り着き、どうするか迷った。

 

キメラを洞窟に仕掛けるステンノが素直に宝箱に宝物を入れるわけがない。

 

ドッキリで宝物に何か罠を仕掛けている可能性も十分にある。

 

それこそ、例えば宝箱に潜むモンスターの代名詞であるミミックのように生き物が入っているとか……。

 

「旦那様、私の炎で燃やしますか?」

 

「それだともし本当に中にエリザベートがいたら火傷して傷つくし、そうだな……」

 

遊馬はどうするか悩んでいると、アストラルは手札に握られていたカードを見て思いついた。

 

「遊馬、ちょっとしたイタズラでこれを使って見たらどうだ?」

 

「え?このカードを?でもこれ使ったら危ないんじゃないか?」

 

「いいや、あくまでちょっと脅かすだけだ。本当に使うわけじゃないから安心するんだ」

 

「そっか、じゃあいっちょやるか!」

 

遊馬は残る手札でモンスターを召喚し、エクシーズ召喚をする。

 

「エクシーズ召喚!現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!」

 

希望皇ホープがエクシーズ召喚され、遊馬達の前に現れる。

 

すると遊馬はD・ゲイザーとデュエルディスクのボタンを押して色々操作するとD・ゲイザーのイヤホンマイクに手を添える。

 

「あーあー!マイクのテスト中、マイクのテスト中!」

 

遊馬はD・ゲイザーのマイクで話すと、デュエルディスクのスピーカーから音量が倍増された音声が出ていることを確認する。

 

ダ・ヴィンチの改造でデュエルディスクに小型スピーカーが内蔵され、拡声器の機能が入っている。

 

D・ゲイザーと連動してスピーカーから遊馬の音声が大きくなった音が洞窟内に響く。

 

「えー、宝箱の中にいるエリザベートに告ぐ!ミミックみたいな悪ふざけなんかやめて今すぐ出て来い!出てこないと『ホープ・バスター』を発動して宝箱を破壊するぞ!」

 

ホープ・バスターは希望皇ホープがいる時に相手フィールド上の攻撃力が一番低いモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える……と言うモンスター破壊とバーンを兼ね備えた魔法カードであり、希望皇ホープがロケットランチャーを発射するイラストが描かれている。

 

つまり、このまま発動してしまうと希望皇ホープがロケットランチャーを装備し、容赦なく宝箱が爆破されてしまう。

 

「……いないようだな。でももしかしたら罠の可能性もあるし、一応破壊しておこう」

 

「そうだな。よーし、カウントダウンだ。3、2、1……」

 

遊馬がホープ・バスターをデュエルディスクにセットして発動しようとしたその時。

 

「ちょっと待ちなさぁあああああいっ!?」

 

「あはははははは!!」

 

宝箱から勢いよく飛び出してきたのは……どうしてここにいるのか疑問で仕方ないエリザベート。

 

「ちょっと!あんた達、私を殺す気!??」

 

「あはははははは!!」

 

さらにもう一人、猫耳と猫の手と猫の尻尾を体に付け、そしてメイド服を着て、何故か手にはオムライスが乗った皿を持つ女性で、もはや何の英霊かさっぱり分からない謎のサーヴァントだった。

 

焦る二人を見た遊馬達はジト目で睨みつけ、無言で踵を返した。

 

「アストラル、メドゥーサ、清姫。帰るか」

 

「帰ろう」

 

「帰りますか」

 

「帰りましょう」

 

スタスタスタとその場から洞窟の出口に向けて歩き出す。

 

自分たちは何の関わりもない赤の他人と言わんばかりの態度であるが、仕方ないことである。

 

「ま、待ちなさいって!コラッ!無視しないでよ!!」

 

「あはははははは!」

 

遊馬達の後を慌ててエリザベートとメイド?のサーヴァントが追いかけるのだった。

 

 

 

.




メドゥーサが遊馬に対する好感度が一気に上昇しました(笑)

遊馬ならメドゥーサでもちゃんと全て受け入れられると思うので。

今回登場したメドゥーサのフェイトナンバーズはこんな感じです。

FNo.44 天馬の女神 メドゥーサ
ランク3/闇属性/戦士族/攻1900/守1700
レベル3モンスター×2
1ターンに1度ずつ、エクシーズ素材を一つ取り除き、以下の①②の効果を発動できる。
①相手フィールドのモンスターを全て裏守備表示にする。相手は表示形式を変更出来ない。
②このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。更に破壊したモンスターの元々の守備力分のダメージを相手に与える。

メドゥーサの魔眼と天馬をイメージした効果で、相手モンスター突破型にしてみました。

初のランク3フェイトナンバーズです。

そろそろ他のランクも出さないとやばいと思ったので(−_−;)


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ナンバーズ24 遊馬とデュエット!?エリザベート、ステージオン!!

今回はエリザベート回です。

同時並行でぐだぐた本能寺の構想を練っていますが、とんでもない展開や新しいオリカとか考えたので書くのが楽しみです(笑)


ステンノの試練で洞窟にいるキメラをメドゥーサと共に倒したのは良いのだが……。

 

「ところで、何でエリザベートがここにいるんだよ?」

 

「知らないわよ、カルデアの私の部屋で新しい歌の歌詞を考えていて、気がついたらこの島にいたのよ。そしたら、女神様に手伝わされたのよ」

 

カルデアにいたはずのエリザベートだが、いつの間にかこの島で召喚されてステンノの手伝いをされたようだった。

 

「あははははは!」

 

「それで、このメイド服を着た猫耳の女の子は誰なんだ?」

 

「あははははは!では自己紹介とあいなろう!我はタマモナインのひとつ、タマモキャット!語尾はワン。趣味は喫茶店経営。好きなものはニンジンときた。うむ。我ながらブレブレなのだな。だ、ワン」

 

「タマモナイン……?他にもいるのか?」

 

「ってか、キャラ定まってないじゃん……」

 

タマモナインのよく分からないキャラに呆然とする遊馬達。

 

どうやらステンノと同じ敵サーヴァントでは無いが、どうするか悩んでいるとステンノが話しかける。

 

「お見事です、勇者よ。無事に私の試練を潜り抜けたようね」

 

「とりあえずこれで約束通り俺たちの仲間になってくれよ?」

 

「分かったわ。役にはあまり立てないけど、妹共々使ってちょうだい」

 

「サンキュー。あ、タマモキャットはどうするか?一緒に来るか?」

 

「報酬はニンジンをいただこう!」

 

「別に構わないそうよ」

 

ステンノは何故かタマモキャットの言葉が分かるそうで遊馬は苦笑を浮かべる。

 

「そ、そうか……サンキューな。じゃあ俺と握手してくれ、そうすれば契約が完了するから」

 

遊馬はステンノとタマモキャットと握手を交わして二人のフェイトナンバーズを誕生させて契約を完了した。

 

しかし、現代に近いメイド喫茶のメイド服を着ていて尚且つキャラが定まらないタマモキャットは一体何の英霊だ?……と言うか何者だ?と大きく首を傾げた。

 

エミヤのような謎の英霊もいるが、それでも武器を操り、まだマトモ?な英霊なのでまだ納得出来る。

 

たが、それでも共に戦ってくれる仲間になってくれたので下手な詮索はしないことにした。

 

「我はタマモナインの一つ、タマモキャット!ネコ言葉でイイカ?」

 

「え?あの……」

 

「そうか。イヌ言葉でイイカ?」

 

「……アストラル先生!!通訳、通訳をお願いします!!」

 

タマモキャットの訳がわからない言葉に遂に耐えきれなくなった遊馬はアストラルに泣きつくように最後の望みを託す。

 

しかし、アストラルは珍しく困惑した様子で首を左右に振って大きなため息を吐いた。

 

「…………無理だ、スパルタクスの時と違って話している意味が一つも理解できない」

 

スパルタクスは古風な話し方で何とか通訳出来たが、タマモキャットは言っていることが無茶苦茶で意味不明である。

 

何故ステンノに意味が分かるのか不明である。

 

「ちくしょう!せめてキャットちゃんかドッグちゃんがいてくれたら!!」

 

「あの、誰ですか?そのキャットちゃんとドッグちゃんとは?」

 

「キャットちゃんは俺のクラスメイトで大切な仲間なんだ。ネコとお喋りができるんだぜ。それで、ドッグちゃんは何と、犬とお喋りができるんだ」

 

「……その二人、魔術師じゃないですよね?」

 

「え?普通の中学生と小学生の女の子だけど?」

 

「普通の中学生と小学生の女の子が動物とお話はできないと思います……」

 

魔術師でも無いのに規格外な人間が多すぎる遊馬の世界の人間はどうなっているんだと本気で考えてしまいそうになったマシュだった。

 

一方、エリザベートはネロをマジマジと見つめていた。

 

「ん?魔力感じない……え、人間?アンタが?」

 

「何を驚いている。無礼かつ無粋なヤツめ。その姿が美少女ベースでなければ叩き斬っているぞ?余は当代の皇帝ネロ・クラウディウスである!……むう、何故そう親しみのある視線を向けるのだ?」

 

「うっそ、生ネロ!?」

 

「何が生か!?」

 

エリザベートは何故かネロに対して親しみを込めた視線をしながら驚いていた。

 

対するネロはエリザベートの言ってることが何のことがわからずに困惑していた。

 

「生……?どういうことだ?」

 

「……遊馬、ちょっといいか?」

 

「アストラル?ああ、分かった」

 

アストラルは遊馬を呼んで少し離れた場所で話す。

 

「エリザベートだが、もしかしたらネロ皇帝と顔なじみの可能性がある」

 

「え?でもネロはエリザベートを知らないみたいだぜ?それに二人の生きている時代と場所がかなり違うし……」

 

「あくまでも可能性だが、ネロ皇帝とエリザベートは後の世の聖杯戦争で会っていたのではないか?」

 

「あ、そっか!その可能性があったか!」

 

ここにいるネロはこの時代に生きている生者でエリザベートはサーヴァント。

 

つまりネロは死後に英霊の座に呼ばれ、後の時代の聖杯戦争でサーヴァントとして召喚され、エリザベートと出会った。

 

エリザベートの反応からしてその可能性がとても高い。

 

「エリザベートは喜怒哀楽がはっきりしている。あの様子だと、ネロ皇帝と気が合っていたのではないか?」

 

「なるほどな。あれ?そう言えば、エリザベートはカルデアにいたのに何でこの世界に召喚されたんだ?」

 

「……これはあくまで仮説だが、もしかしたら聖杯は特異点の中心人物の関係者や近い存在を召喚するのかもしれないな。そして、選ばれた英霊は英霊の座以外の場所でも強制的に召喚されるかもしれない」

 

「中心人物の関係者や近い存在?」

 

「まずはフランスのジャンヌを例にあげよう。彼女は聖女……神の祝福などを受けた聖女と聖人のサーヴァント、マルタやゲオルギウスが呼ばれている」

 

「なるほど……そうなると、もう一人の中心人物とも言える竜の魔女だったレティシア関連だったら、竜種になれる清姫とエリザベート、後はファヴニールを倒した竜殺しのジークフリートも呼ばれているな。あ、マルタも竜種のタラスクを呼べるし、こうして考えると共通点多いな」

 

「特異点の聖杯が呼び出すサーヴァントはその土地に関連する人物を呼び出すこともある。事実、後のフランス王妃のマリーと天才音楽家のアマデウスもそうだからな」

 

「つまり、特異点の聖杯は召喚する土地の過去や未来の英霊、それに中心人物の関係者や近い存在を呼び出しやすい……って事か?」

 

「そうだな。そして、英霊召喚は触媒が無いとランダムでサーヴァントを召喚されるらしいから、本来なら確率があまりにも低い神霊のステンノが偶然この島に召喚されたのだろう」

 

「うーん、こうして考えると聖杯ってある意味ヌメロン・コードよりもよく分かんねえな……カルデアにいるサーヴァントすら強制的に召喚できるとか、サーヴァント召喚の基準が意味不明だぜ」

 

「同感だ……」

 

どこの誰が作り始めたのか不明だが聖杯の意味不明な力を持つ代物に頭を悩ます二人だった。

 

すると、アストラルは目線を海に向けると目を細めて声を鋭くする。

 

「どうやら、その聖杯が呼び出した敵が現れたそうだ」

 

「何!?」

 

海から飛沫をあげながら飛び出して来たのはこの時代で初めて戦闘した敵サーヴァント、ネロの伯父のカリギュラだった。

 

「ネロォオオオオオッ!!」

 

「お、伯父上……!?」

 

「うぉいっ!?ネロ大好きおっちゃんのカリギュラかよ!?」

 

遊馬は急いでデッキからカードをドローしていつでもデュエル出来るよう準備を整えた。

 

「え、誰?ネロの伯父さん?」

 

「まあ、随分と絡め取られているようね。サーヴァントの扱いとは、そういうものでしょうけれどーーけれど、趣味のよろしくないこと」

 

「伯父上……今度こそ、討ち取る!!」

 

既に覚悟を決めているネロは自らカリギュラを討ち取る為に前に出る。

 

すると、前に出たネロの隣にエリザベートが並んだ。

 

「手伝うわよ、ネロ」

 

「待て、これは余の戦いだ!余が……」

 

「そんなの知らないわよ、私があんたを助けたいから戦うだけよ」

 

エリザベートは誰かの為に戦うことに珍しくやる気を出していた。

 

「エリザベート……ふっ、勝手にせい!」

 

「勝手にするわよ。マスター!初の野外ライブよ、とっとと私をフェイトナンバーズで召喚しなさい!」

 

エリザベートは遊馬にフェイトナンバーズで召喚するよう促す。

 

「オッケー、任せろ!俺のターン、ドロー!魔法カード、『増援』!デッキからレベル4以下の戦士族を手札に加える!デッキから『影無茶ナイト』を手札に加え、『スターフィッシュ』を召喚!更にレベル3モンスターが召喚された時、影無茶ナイトを特殊召喚!」

 

海から赤いヒトデが飛び出し、その影から影無茶ナイトが現れる。

 

「かっとビングだ!俺はレベル3のスターフィッシュと影無茶ナイトでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

スターフィッシュと影無茶ナイトが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「轟け、雷鳴!響け、歌声!魅惑の音色で暗き世界を明るく照らせ!」

 

空から落雷が降り注ぎ、砂浜に巨大なアンプがいくつもある少々不気味な城が現れ、その中心から真紅の光が飛び出す。

 

「現れよ、『FNo.91 雷竜魔嬢 エリザベート』!!!」

 

ステージから派手に飛び出したエリザベートはいつも以上に派手なゴスロリ衣装を身に纏い、その手には『No.91 サンダー・スパーク・ドラゴン』の姿形を模したエレキギターが握られていた。

 

「イェイ!さあ、盛り上げていきましょうか!!」

 

ノリノリで召喚されたエリザベートだが……それはマシュたちにとっては悪夢の始まりだった。

 

「た、退避ぃっ〜!!」

 

「フォウ〜ッ!?」

 

マシュはフォウを連れて大量の汗をかきながらその場から全力疾走をし、

 

「は、早くしないと耳が……耳が……」

 

「悪夢が、悪夢が蘇る……」

 

ジャンヌとレティシアは顔を真っ青にし、

 

「まずい、上姉様!早く行きましょう!」

 

「あら?どうして?これから面白くなりそうなのに」

 

メドゥーサはステンノを抱き上げて走り、

 

「あぁ……このままだとエリザベートさんの歌で死人が出そうですね……」

 

「あははははははっ!面白そうなことが起きそうだ!」

 

清姫は口元を開いた扇子で隠し、気分が悪くなりながら呑気なタマモキャットを引っ張った。

 

何故マシュたちが恐怖を抱いているのかというと……それはエリザベートの歌に秘密があった。

 

エリザベートは何故かアイドルを志しており、たまにカルデアでも歌うのだが……その歌があまりにも酷すぎる。

 

音痴とかそんな次元を遥かに超え、聞いた者の耳を破壊するかの如きの超絶音痴。

 

エリザベートの超絶音痴を聞いた者……それは人間を超えた存在であるサーヴァントですら耐えきれずに悶絶するほどである。

 

ロマン達カルデア管制室はすぐに全ての通信の音声を切り、ホッと一安心した。

 

しかし遊馬はそれを気にせずに寧ろエリザベートの舞台に上がった。

 

「エリザベート、一緒に歌わないか?」

 

遊馬は何故かエリザベートの歌を気に入っており、ノリノリでステージに置いてあるマイクを取る。

 

「マスターが?何を言っているのよ、ここは私のステージよ!」

 

「チッチッチ、甘いな。今時は男女のデュエットが流行ってんだぜ?」

 

「デュエット!?なるほど、盲点だったわ……じゃあ、マスター!一緒に歌いましょうか!」

 

意外に少し騙されやすいエリザベートは遊馬の言葉で一緒に歌うことを了承した。

 

「おう!行くぜ、エリザベート!エリザベートの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、次の自分のスタンバイフェイズ時まで、相手フィールド上の全てのモンスターは効果を発動出来ず、攻撃することが出来ない!」

 

エリザベートはオーバーレイ・ユニットを一つ食べ、口から電気がビリビリと少しずつ溢れていく。

 

竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)……さあ、魅惑的な私の声の準備万端よ!」

 

「行くぜ!曲は『マスターピース』!!」

 

アンプから軽快な音楽が流れ、エリザベートはエレキギターをピックで弾き始める。

 

エリザベートはスタンドマイクで遊馬はマイクで歌い始めた。

 

デュエットだが、メインはエリザベートが歌い、サビなどは遊馬も一緒に歌う。

 

そして、驚くことに二人の歌はとてつもなく上手だった。

 

とても早口な歌詞などもあり、少々歌い辛い歌ではあったが、見事なハーモニーを奏でていた。

 

しかし、一つだけ問題があるとするなら……。

 

「う、歌は驚くほど上手ですが……お、音が……」

 

「フ、フォウ……」

 

「こんなにも離れているのに頭に直接響いて痛いです……」

 

「歌が上手いから余計に苛立つわ……」

 

「くっ……上姉様、大丈夫ですか……?」

 

「どうしてこんな酷い音を出せるのか理解に苦しむわ……」

 

「エリザベートさん、旦那様と一緒に歌うなんて……あぁ、妬ましい……でも頭が痛い……」

 

「あははは……わぅん……頭が……」

 

歌自体が強力な不快音となり、遠くに退避していたマシュたちにもダメージを与えていた。

 

そして、ステージに最も近くにいるネロとカリギュラは……。

 

「うむ!良き歌だ!!」

 

「グガァアアアアアッ!??」

 

ネロには心地よく聞こえており、その歌に思わずうっとりしてしまったが、カリギュラには大ダメージを与えており、耳を塞いで絶叫している。

 

バーサーカークラスで理性が大幅に失われても不快音の音楽が効いている事はそれほど恐ろしいものだということを物語っていた。

 

「ネロ!!ネロォオオオオオ!!」

 

「伯父上……」

 

「ネロ!早くやりなさい!」

 

「エリザベート……」

 

「事情は知らないけど、その伯父さんはアンタを大切に思ってるんでしょ!?だったら早くこんな戦いを終わらせなさい!」

 

「……分かっておる!伯父上、覚悟!!」

 

ネロは真紅の剣、原初の火を手にカリギュラに近づき、華麗な剣技で斬りつけた。

 

「ネロ……ネロ……」

 

しかし、まだカリギュラは倒れず、血を流しながらネロに近づく。

 

「くっ、まだ息が……」

 

カリギュラにトドメを刺そうと原初の火を再び構えるが、そんなネロの前にステージから降りたエリザベートが前に出た。

 

「もういいわ、後は私がやる」

 

「エリザベート!?」

 

「さっきはちょっと今のアンタの覚悟を知りたかっただけよ。トドメは私がやる……マスター!」

 

「エリザベート……分かった!エリザベートで攻撃!更に速攻魔法『虚栄巨影』を発動!モンスターの攻撃宣言時に、フィールドのモンスター一体の攻撃力をバトル終了まで1000ポイントアップする!」

 

「これで終わりよ……静かに眠りなさい」

 

エリザベートの口の中が電撃で一杯となり、背後にサンダー・スパーク・ドラゴンの幻影が現れる。

 

「サンダー・スパーク・ボイス!!」

 

サンダー・スパーク・ドラゴンの幻影と共にエリザベートは口から雷の竜の咆哮を放つ。

 

竜の血が混ざっているエリザベートだからこそ可能な攻撃で、特大の雷撃をカリギュラは呑み込まれ、ネロに手を伸ばしながら消滅した。

 

電撃が飛び散り、消滅したカリギュラからフェイトナンバーズが砂浜に落ち、エリザベートはそれを拾うと遊馬とアイコンタクトを交わす。

 

微笑んで遊馬が頷くとエリザベートはカリギュラのフェイトナンバーズをネロに差し出す。

 

「ほら、持ってなさいよ」

 

「えっ……?」

 

「マスターは持ってていいって。伯父さんは狂化しててもアンタを大切に想っていたんだから……ね?」

 

「……感謝する」

 

エリザベートからカリギュラのフェイトナンバーズを大事そうに受け取り、そっと抱きしめる。

 

「……ねえ、暗いままなんてネロらしくないわよ?あ、そうだ!これからローマ軍の前で凱旋ライブをしない?私とネロの二人で!」

 

「凱旋ライブ……うむ。良い響きだ!余とエリザベートで歌うのだな?」

 

「そうよ!私達の歌で盛り上げるわよ!!」

 

エリザベートとネロの(悪夢)のコラボが始まろうとしたが、それを止めるためにマシュたちが乱入する。

 

「待って!?そんな事をしたらローマ軍が戦わずして崩壊します!!?」

 

「フォウフォーウ!!?」

 

「あぁ、神よ……これはあまりにも過酷な試練です……」

 

「やめなさい、このド派手コンビ!!あんた達の歌で味方に全滅させる気!?」

 

「くっ、こうなったら私の威力を弱めたキュベレイで止めるしかないのですか!?」

 

「なら、私の炎で焼き尽くしましょう……エリザベートさんだけ」

 

「聞こえているわよ、このヤンデレストーカー女!焼き尽くされる前に私の雷でビリビリにしてやるわ!!」

 

エリザベートは未だにフェイトナンバーズが解除されてない状態で清姫に宣戦布告をする。

 

「ふふふ、いい気にならないでくださいね……旦那様とデュエットした怨みを晴らします」

 

「そんな怨みを晴らされる為に燃やされるなんて嫌よ!?返り討ちにしてやるわ!」

 

「お、おい!清姫もエリザベートもやめろって!」

 

「やれやれ……」

 

遊馬とアストラルは今にもフランスの時のように殺し合いを始めようとする清姫とエリザベートを慌てて止めに入る。

 

慌ただしく、騒がしい光景にステンノは笑みをこぼして口元を手で抑える。

 

「ふふふっ……」

 

「ん?どうしたぁ?」

 

キョトンとしているタマモキャットにステンノは優しく頭を撫でながら言う。

 

「何だかこれから楽しくなりそうな気がしてね……退屈はしなくて済みそうね」

 

ステンノはこれから巻き起こる戦い、そして遊馬と英霊達が繰り広げる愉快な騒動に傍観者として見守る事を楽しみにするのだった。

 

ステンノとタマモキャット、二人の新たな仲間を得て遊馬達はかっとび遊馬号で島から出てブーディカ達のいるローマ軍と合流した。

 

 

 

.

 




遊戯王のボーカルベストで遊馬がマイクを持っている画像を見てエリザベートとデュエットさせてみました。
声優の畠中祐さんも歌がとても上手いのでちょうどイイかなと思いまして。
カルデアでカラオケ大会とかやったら面白そうですね。
エミヤが酷いことになりそうですが(笑)

それから、皆さんが疑問に思っていると思いますが、エリザベートは遊馬の事をマスターと呼ぶ理由は子イヌとは呼べないほどに大きな力を持っているので敬いと好意と畏れを込めてマスターと呼んでいます。

そして、今回のエリザベートのフェイトナンバーズの効果はこちらです。

FNo.91 雷竜魔嬢 エリザベート
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守1500
レベル3モンスター×2
1ターンに1度、エクシーズ素材を一つ取り除いて発動出来る。
次の自分のスタンバイフェイズ時まで、相手フィールド上の全てのモンスターは効果を発動出来ず、攻撃することが出来ない。
この効果の発動に対して相手はカード効果を発動出来ない。

エリザベートの絶体音痴の恐ろしさを表してみました。
相手モンスターはエリザベートの歌に魅了されて動けなくなります(笑)
最初は魔法使い族にしようと思いましたが、エリザベートは竜種なのでドラゴン族にしました。
ドラゴン族のニューアイドル登場ですね。


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ナンバーズ25 灼熱の炎と呪いの朱槍

FGOのアーケード情報が来ましたね。
グラフィックが綺麗なので期待ですね。
まだまだ可能性が広がりますね〜。


神の島でステンノとタマモキャットを仲間に加え、カリギュラを倒した遊馬達はローマ軍と合流し、戦の勝利の凱旋のために首都ローマへ戻る。

 

「もうすぐですね。首都ローマには間も無く到着します」

 

「おお、やっとか……それにしても馬に乗るのは大変だぜ」

 

遊馬の高い運動神経でなんとか馬に乗れているが、流石に馬の長距離移動は疲れるものだった。

 

「現代人は馬に乗る機会はほとんどありませんからね」

 

「マシュは融合している英霊が騎乗スキルを持ってたから難なく乗れるんだよな」

 

「はい。馬に乗れるってなんかかっこよくて良いですね」

 

「もしかしたらマシュと融合している英霊って騎士かもしれないな」

 

「ええ。でも、私の中にいる方がまだ誰なのか分かりませんが……」

 

「わからなくても、マシュの命を繋いで力になってくれたんだ。きっと良い奴に決まってるぜ!」

 

「そうですね。もし話が出来たら沢山お礼を言って、話がしたいです」

 

謎が多いがマシュと一つになり、その力を貸した英霊。

 

いつか話せる時が来ることを願う二人……そんな矢先だった。

 

「……遊馬、サーヴァントの気配だ」

 

「うおっ!?マジか!すぐに戦闘態勢だ!」

 

アストラルが新たなサーヴァントの気配を察知し、すぐに遊馬はネロとサーヴァント達と一緒に向かった。

 

すると、不思議な事態が起こっていた。

 

向かってきた兵士たちは今まで戦ってきた人間ではなくサーヴァントのような気配を感じられた。

 

それが数百も存在し、何が起きているのか困惑し始めるとアストラルはあることを思い出した。

 

「そう言えば以前アルトリアが言っていたな。サーヴァントの宝具には部下や仲間を召喚して共に戦う人海戦術に特化したものがあると」

 

「つまりこれはサーヴァントが展開した宝具による戦士ってことか!?」

 

「その可能性が高い」

 

「……旦那様、ここは私の出番ですね」

 

この状況を打破する役を買って出たのは清姫だった。

 

「私のフェイトナンバーズなら全ての敵を焼き尽くせます。さあ、旦那様!」

 

「清姫……よっしゃあ!頼むぜ!」

 

「はい!」

 

清姫は光の粒子となってデッキケースから取り出したフェイトナンバーズの中に入り、遊馬はデュエルディスクにセットしたデッキからドローし、瞬時に展開する。

 

「行くぜ、魔法カード『ガガガ学園の緊急連絡網』!デッキからガガガモンスターを特殊召喚する。『ガガガマジシャン』を特殊召喚!更に『ズババナイト』を通常召喚!」

 

ガガガマジシャンとズババナイトが並ぶがこのままではエクシーズ召喚は出来ないが、ガガガマジシャンの効果がある。

 

「ガガガマジシャンの効果!レベルを4から3にする!俺はレベル3のガガガマジシャンとズババナイトでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

ガガガマジシャンとズババナイトが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「嘘つきには針千本、大嘘つきには灼熱の炎を浴びせましょう!」

 

灼熱の炎が燃え上がり、その中から巨大な白蛇が現れてその顔が女性の姿へと変化する。

 

「現れよ、『FNo.57 清廉白蛇 清姫』!!」

 

炎が舞い散ると中から現れたのは下半身が巨大な白蛇となった清姫だった。

 

それはギリシャ神話の怪物で上半身が女性で下半身が蛇のラミアそのものだった。

 

清姫の伝説は知っていたが、まさかの姿に遊馬は口をあんぐりと開けて驚いてしまった。

 

「あの、旦那様……醜いですか?私の姿……」

 

清姫は自分の姿を晒して遊馬に醜いと思われたのかと暗い表情を浮かべる。

 

しかし、遊馬は口を閉じて首を左右に振る。

 

「いいや、ちょっと驚いたけど……なーんだ、綺麗じゃないか」

 

「き、綺麗!?」

 

「いやー、もっと怖いものを想像してたけど、なんか神秘的で綺麗だと思うぜ」

 

お世辞でも何でもない遊馬の本音に清姫は『57』の数字が書かれた扇子を開いて顔を隠した。

 

清姫は他人が嘘をついているかどうか瞬時にわかるため、遊馬は一切の嘘をつかずに清姫を綺麗と言った。

 

その事があまりにも嬉しくて顔を真っ赤にしてとても遊馬に見せられなかったからだ。

 

その光景にエリザベートは信じられないと言った表情で呟いた。

 

「うわぁ、あのストーカー……恋する乙女みたいに顔が真っ赤じゃない。うちのマスターは相変わらずの天然ジゴロね……」

 

エリザベートのその言葉にマシュ達は心の中で何度も頷いた。

 

「清姫の効果!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、相手フィールド全てのモンスターに白蛇カウンターを乗せる!」

 

清姫は扇子にオーバーレイ・ユニットを取り込ませて舞うように振るうとサーヴァントの気配がする全ての敵兵士に白蛇の姿を模した刻印を刻ませた。

 

「白蛇カウンターが乗ったモンスターの攻撃力は1000ポイントダウンする!更に清姫がフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ時に白蛇カウンターが乗ったモンスターは更に攻撃力を500ポイントダウンさせる!」

 

白蛇の刻印が敵兵士の力を下げ、糸が切れた人形のように次々と膝をついて行く。

 

しかし、清姫の効果はこれだけではなくここからが真骨頂である。

 

「清姫のもう一つの効果!このカードの効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される!!」

 

清姫の体から青白い炎が燃え上がり、敵兵士に刻まれた数多の白蛇の刻印と共鳴して更に炎の威力が増していく。

 

「旦那様の為、私の炎で燃やし尽くしましょう。転身火生三昧!!!」

 

振り下ろして風を起こす扇子に乗って炎が広範囲に一気に広がり、白蛇の刻印が刻まれた敵兵士を全て焼き尽くした。

 

そして……焼け野原に一人、炎を振り払いながら一人の男が近づいてきた。

 

それは顔を兜で隠し、鍛え抜かれた肉体を晒し、その上から赤いマントを羽織っていた。

 

堂々たるその振る舞いはまさに武人で右手には槍、左手に円形の盾を装備しており、どうやらランサークラスのサーヴァントだった。

 

「我が兵士達を一瞬で焼き払うとは見事……だが、我は倒れぬぞ!覚悟、蛇女!!」

 

敵サーヴァントは敵討ちと言わんばかりに鍛え抜かれた肉体で一気に駆け抜け、清姫に襲いかかる。

 

「させるか!相手モンスターの攻撃宣言時、手札から『ジェントルーパー』を特殊召喚!ジェントルーパーがいる限り、相手は他のモンスターを攻撃できない!」

 

空から紳士服を着たウーパールーパーのモンスタが傘を落下傘のように使用して上空から出現し、敵サーヴァントの攻撃を引き受けた。

 

ジェントルーパーは自前のティーカップにミルクティーを注ぎ、一杯を嗜みつつ敵サーヴァントの槍の一撃を受けて粉砕され、清姫を守った。

 

「旦那様……私を守るために……」

 

「清姫を……俺の大切な仲間をやらせるわけにはいかないからな!!」

 

「旦那様……!!」

 

清姫は自分を守ってくれた遊馬にときめいて更に惚れるのだった。

 

「仲間を守るか!その心意気は見事!だが、我とてこのままやれるわけにはいかぬぞ!」

 

「望むところだ!!」

 

その時、デッキケーキから青い光が飛び出し、遊馬と清姫の前に一つの影が現れた。

 

「ははははっ!やっとまともなランサークラスのサーヴァントが出てきたじゃねえか!」

 

笑い声と共に現れたのは赤い槍を携えたクー・フーリンだった。

 

「クー・フーリン!」

 

「おう、マスター!こいつは俺にやらせろ。ずっとカルデアで退屈してたからな!」

 

クー・フーリンはフランスで暴れられなかった分、ようやくこの世界でランサークラスの敵サーヴァントが出てきたことに歓喜して現れたのだ。

 

「よっし、任せたぜ!」

 

「おうよ、任された!」

 

クー・フーリンは敵サーヴァントと対峙し、戦いの前の会話を交わす。

 

「我はサーヴァント、ランサー。真名をレオニダス!スパルタの王にして、炎門の守護者!!」

 

レオニダス。

 

スパルタ教育の語源となった国、スパルタの王で十万人のペルシャ軍をわずか三百人で立ち向かった英雄たちを束ねた王である。

 

「スパルタの王、レオニダスか!相手にとって不足はねえ!それなら、俺も名乗ろうか!クランの猛犬、赤枝の騎士、クー・フーリン!!」

 

互いに槍を構えてい名乗りを上げ、遊馬はクー・フーリンのフェイトナンバーズをデッキケースから取り出すと不思議な事が起きた。

 

カードが光り輝くと、一枚から二枚に増えてそれぞれが新たなカードとなった。

 

「これは……!?」

 

「なるほど、これが遊馬とクー・フーリンの新たな力だ!」

 

「そういう事か!行くぜ、クー・フーリン!俺のターン、ドロー!魔法カード『おろかな副葬』!デッキから魔法・罠カードを墓地に送る!俺は『シャッフル・リボーン』を墓地に送り、墓地のこのカードの効果発動!墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのカード1枚をデッキに戻して一枚ドローする。清姫、戻れ!」

 

「はい。クー・フーリンさん、後は任せます」

 

「任せな、嬢ちゃん」

 

清姫はエクストラデッキに戻り、フェイトナンバーズが解除されて遊馬の隣に現れる。

 

「行くぜ、ドロー!よし!俺は新しい仲間を呼び出すぜ!『ガガガシスター』を召喚!」

 

鍵の形をした杖を持ち、フリルがついた魔法使いのローブを着た可愛らしい幼女が現れる。

 

『えへへ、ガガガッ♪』

 

それはガガガの未来を繋ぐ希望の光。

 

アストラル世界の住人のまとめ役、エナが遊馬のために生み出したカードの一枚である。

 

「ガガガシスターの効果!召喚に成功した時、デッキからガガガの名をついた魔法・罠を手札に加える。デッキから『ガガガリベンジ』を手札に加え、発動!墓地からガガガマジシャンを特殊召喚してこのカードを装備する!」

 

ガガガシスターが鍵の杖を振るうと遊馬のデッキに宿るガガガモンスターのサポートカードを遊馬の手札に加えさせる。

 

「ガガガマジシャンの効果、ガガガマジシャンのレベルを5にする!」

 

ガガガマジシャンのレベルが4から5にし、ガガガシスターのもう一つの効果を発動する。

 

「そして、ガガガシスターのもう一つの効果!ガガガモンスター1体を選択し、そのモンスターとガガガシスターのレベルはエンドフェイズ時までそれぞれのレベルを合計したレベルになる!ガガガマジシャンはレベル5、ガガガシスターは2、二体のガガガモンスターのレベルは7となる!」

 

レベルを操り、様々なランクのエクシーズ召喚を行うガガガの力を100パーセント以上の力を発揮させることができる。

 

ガガガマジシャンと組み合わせればレベル2から10まで操る事ができ、ランク2から10までのモンスターエクシーズを召喚する事ができる、それがガガガシスターである。

 

遊馬はクー・フーリンをフェイトナンバーズの中に取り込ませ、すぐさまエクシーズ召喚を行う。

 

「レベル7のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガガガシスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「神秘の魔術を操りし戦士よ、戦況を切り開く一手を決めろ!」

 

地面から幾つもののルーン文字が現れ、その中心にフードを被った魔法使いが姿を現わす。

 

「現れよ、『FNo.7 神秘の魔術師(ルーン・マジシャン) クー・フーリン』!!」

 

本来なら戦士であるが、古代のルーン魔術を扱えるために魔術に特化した存在となり、『07』の飾りが施された杖を持つクー・フーリンが現れる。

 

「ルーン魔術の真髄を見せてやるぜ!」

 

「クー・フーリンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスターを破壊する!!」

 

焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!」

 

杖を振るい、無数のルーン文字が現れて宙を舞うと特異点Fで使った炎を纏う枝の巨人が現れ、レオニダスを清姫に負けない炎で一気に燃やす。

 

「ぐぉおおおおっ!まだまだぁああああっ!!」

 

しかし、レオニダスはウィッカーマンの炎をその身に受けても見事に耐えきった。

 

「おいおい、マシュの嬢ちゃん並みの耐久力だな!あいつ、ランサーだけじゃなくてシールダーとしてもやれるな!」

 

「だが俺たちにはもう一枚のカードがある!」

 

遊馬が掲げたカード、それはクー・フーリンの真の力を解放させるフェイトナンバーズ。

 

「このカードはクー・フーリンをエクシーズ素材としてエクシーズ召喚する事ができる!!」

 

遊馬は『FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン』の上に光り輝くフェイトナンバーズを上に重ねる。

 

「おっしゃあ!来たぜ来たぜ来たぜぇっ!!」

 

気合で燃え上がるクー・フーリンが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「クラス・コンバート・エクシーズ・チェンジ!!」

 

それはクー・フーリンのように複数のクラスの適性を持つ英霊の力を変化させる遊馬と英霊の新たな力。

 

ルーン魔術を操る魔術師(キャスター)から魔槍を操る槍兵(ランサー)へとその力と姿を変える。

 

「信念と義の武人よ、戦地を駆け抜け、朱槍を煌めかせろ!!」

 

光の爆発と共に青い影が飛び出し、朱色に輝く槍を携えた槍兵が姿を現わす。

 

「現れよ、『FNo.7 光の御子 クー・フーリン』!!!」

 

アルスター伝説の大英雄、半神半人の騎士が見参した。

 

基本的にランサーとしてのクー・フーリンの姿そのものだったが、左胸には『07』の刻印が刻まれ、左手には三つのダイスが握られていた。

 

「マスター!」

 

クー・フーリンは遊馬に3つのダイスを投げ渡す。

 

ダイスを受け取った遊馬はフェイトナンバーズとなったクー・フーリンの効果を発動する。

 

「クー・フーリンの効果!このカードが特殊召喚に成功した時、3つのダイスを振る!そして、出た目の合計×100ポイント、攻撃力と守備力を上げる!」

 

遊馬は願いを込めるように3つのダイスを握った手を額に軽く持って行くと、ダイスを思いっきり高く投げた。

 

そして、宙からコロンと地面に落ちて転がった3つダイスが出した目は全て『6』だった。

 

「出た目は3つとも6!よってクー・フーリンの攻撃力と守備力は3×6×100で1800ポイント上げる!!」

 

クー・フーリンの周りに激しい魔力が風となって吹き荒れ、その力を高める。

 

「ははっ、いいねぇ。流石はマスター。俺には無い、いい運だぜ!!」

 

「よし!クー・フーリンでレオニダスに攻撃!!」

 

「行くぜ、スパルタの王!!」

 

「来いぃぃいっ!クランの猛犬よ!!」

 

全く異なる槍と戦法を使う二人の戦いはほぼ互角だった。

 

突き、そして薙ぎ払う……激しい槍の攻防。

 

英霊二人は敵同士と言うことを一時だけ忘れ、槍兵としての戦いを楽しんでいた。

 

「へへっ、あんたとはもっと戦いたいが、そろそろ潮時だ。さぁ……呪いの朱槍をご所望かい?」

 

クー・フーリンは高く飛び上がって後ろに下がり、魔槍を構えなおした。

 

「クー・フーリンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、相手モンスターの効果を無効にして破壊する!」

 

クー・フーリンの宝具にしてランサーの名に相応しい魔槍ゲイ・ボルクにオーバーレイ・ユニットを取り込ませると、禍々しい真紅の輝きを放つ。

 

「その心臓、貰い受ける!」

 

クー・フーリンは高く飛び上がり、ゲイ・ボルグを槍投げの構えをする。

 

それはクー・フーリンが生み出した放てば必ず相手の心臓に命中する刺突技。

 

「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)』!!!」

 

槍の持つ因果逆転の呪いにより、「心臓に槍が命中した」という結果をつくってから「槍を放つ」事で必殺必中の一撃を放つ。

 

放たれたゲイ・ボルグは一瞬にしてレオニダスの胸に突き刺さり、その瞬間に敗北が決定した。

 

「グゴォッ!?み、見事……!もしまたどこかで会えたら手合わせをお願いしよう……!」

 

「おう。少ししたらうちのマスターが必ず呼んでくれるさ。そしたら手合わせしようぜ」

 

レオニダスは心臓を貫かれながらも武人として堂々たる振る舞いで倒れずに立ち続けながら消滅した。

 

地面に落ちたゲイ・ボルグの隣にレオニダスのフェイトナンバーズがあり、クー・フーリンはゲイ・ボルグとフェイトナンバーズを拾った。

 

「ほれ、マスター」

 

クー・フーリンは遊馬にフェイトナンバーズを渡す。

 

「ああ。お疲れ、クー・フーリン」

 

「おう!久々に暴れられてスッキリしたぜ!」

 

「それは良かった。さて、この戦いも終わりみたいだな……」

 

レオニダスを倒した事でこの戦いの敵将を打ち倒した事になるので、自然と戦況がローマ軍の流れとなる。

 

そして、あまり黙視したくないが遠くで敵味方関係なく人が倒れている。

 

これは戦争……人と人が争い、殺しあう戦いである。

 

遊馬は手を強く握りしめ、爪を食い込ませながらその現実を受け止めながら耐える。

 

「……あまり無理すんじゃねえよ」

 

クー・フーリンは大きな手で遊馬の顔を隠す。

 

「クー・フーリン……」

 

「マスター。お前さんは輝き続けろ」

 

「輝き……?」

 

「この前言ってたろ?お前さんとアストラルは未来皇と希望皇だ。人類と未来と希望は二人の手に託されてるんだ。だからこそ、絶望が続く闇夜を照らす綺麗な光のように輝き続けなければならねえ」

 

クー・フーリン……否、カルデアにいるサーヴァント達は知っている。

 

遊馬はヌメロン・コードを賭けた世界の命運を賭けた壮大な戦いを経験している。

 

それこそ人生経験が豊富な英霊達も驚くような壮絶な戦いである。

 

普通なら人として何か大きなものを失い、または大きく心が成長してしまうことが殆どだ。

 

しかし遊馬は誰かを照らす光のような純粋で幼い心を失わずにいる。

 

それこそが遊馬の大切な力の源……かっとビングがあったからこそ、こうして特異点を巡る戦いで多くの英霊達と絆を結んで戦って来ている。

 

「俺たちは沢山嫌なものを見て来たし、経験して来たから、汚れ役は俺たちが全部引き受ける。だからよ、マスターとアストラルは迷わずに進み続けろ。自分が信じる道を、自分の為すべきことをさ」

 

遊馬が遊馬自身であるために、そして未来を救う最後の希望となるために絆を結んだ英霊達は喜んで遊馬とアストラルを守り抜くと決めたのだ。

 

クー・フーリンの想いを受け取った遊馬は自分の顔に重なった手をゆっくり外して、にっと笑みを浮かべる。

 

「サンキュー、クー・フーリン。俺頑張るぜ!」

 

「おう、その意気だぜ!」

 

まるで弟の成長を見守る兄のようにクー・フーリンは遊馬の頭を撫でる。

 

遊馬が成長したことにアストラルは満足そうに頷き、周囲を見渡す。

 

戦いは終わりを迎え、ローマ軍の勝利となる。

 

すると少し下がっていた清姫は遊馬に近づいて話しかける。

 

「あの、旦那様……」

 

「ん?あ、清姫!お疲れ様。怪我とかはしてないか?」

 

「私は大丈夫です。あの……旦那様にお願いが……」

 

「お願い?」

 

「私、頑張ったから何か旦那様からご褒美を頂きたいのですが……」

 

「ご褒美?ご褒美って言ってもな……あ。じゃあ、この後に首都に戻るから街で買い物するか?ネロから報酬でお金貰ってるし、好きなものを買ってやるよ」

 

遊馬は意識してないが、要するにこれはデートである。

 

思いがけずデートをすることになった清姫は嬉しくて頰が緩んでしまい、慌てて扇子で口元を隠した。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「おう!」

 

ローマの街でデートの約束をする遊馬と清姫だが、それを良しとしない影が近づいていた。

 

「なーに、遊馬を独占しようとしているのよこの蛇女が……」

 

それはレティシアで二人がデートをすると聞いて黒い炎を纏って憤怒しながらゆっくり近づく。

 

「あら?何をおっしゃっているのですか?これは私のご褒美なのですから、レティシアさんは大人しく黙っていてくださいな」

 

「たまたま役に立っただけでご褒美なんて甘いわ。だったら私達もご褒美をもらう権利ぐらいあるわ!」

 

レティシアの言葉に同意するかのようにマシュとジャンヌがダッシュで一気に近づいた。

 

「そ、そうです!清姫さんだけズルいです!」

 

「私達もその……何かご褒美が欲しいです!」

 

バチバチと火花が散り、一触即発の雰囲気だが遊馬はその事に気付かずにある提案をする。

 

「じゃあ、みんなで一緒に行こうぜ!」

 

「「「「え?」」」」

 

「みんなで買い物すれば楽しいと思うからさ。な?良いだろ?」

 

恋愛に関して鈍感過ぎる遊馬に四人は呆れてしまう。

 

しかし、まだ幼く恋愛について理解してないので仕方ないといえば仕方ないことである。

 

いつもの笑みを浮かべている遊馬の顔を見て四人は了承するしかなかった。

 

「むぅ……旦那様ったら……」

 

「はぁ……全くうちの鈍感マスターは……」

 

「仕方ないですね……」

 

「まぁ、みんなで仲良くしましょう……」

 

こうして遊馬は四人と一緒にローマの街をデートする事になるのだった。

 

ちなみに面白そうだとネロも参戦したりともはや名物となりつつある遊馬を中心としたドタバタ劇が繰り広げられるのであった。

 

一方、その遊馬とマシュ達のハーレムな光景を見守っていたクー・フーリンは大笑いをしていた。

 

「がははははっ!いやー、マスターはなかなかの女ったらしだな!こりゃあ、アルトリアの嬢ちゃんが言ってた意味がわかるぜ。無自覚に女をたらすところはあの弓兵そっくりじゃねえか!」

 

クー・フーリンは複数の女性を無自覚でたらしこんでいるエミヤと遊馬を重ねて大笑いをする。

 

そんなクー・フーリンに対し、遊馬から離れていたアストラルは目を細めてジト目で見つめながら話す。

 

「……生前に多くの女性と関係を持ち、そして一人の女性の所為で破滅に追い込まれた君が言っても説得力が無いぞ?」

 

「ぐごはっ!?くっ、流石は冷静沈着なアストラル……鋭いツッコミだぜ……」

 

アストラルの鋭いツッコミでクー・フーリンに精神的ダメージを与えるのだった。

 

事実クー・フーリンは惚れたと言って多くの女性と関係を持ち、更には一人の女性の因縁の所為で破滅に追い込まれたのだ。

 

余談だが、その女性の歪んでいるようで純粋な思いが後に新たな特異点を生むことになるとは誰も知る由がなかった。

 

「全く……私は恋愛についてあまり詳しくは無いが、妻を持ちながら師にも手を出すとはどれだけ君は見境がないのだ?」

 

「うごおっ!?正論が更に胸に突き刺さる!仕方ねえだろ、『スカサハ』も俺好みのいい女なんだからさ!!」

 

スカサハ。

 

影の国の女王でクー・フーリンの師匠。

 

彼女から武術と魔術を学び、ゲイ・ボルグを授けたのだ。

 

「スカサハ……影の国の女王か。少し会ってみたいな」

 

「あー、それは無理だな。あいつは神殺しで不老不死になっちまったからな。死なねえから英霊の座に行ってないだろうからな……」

 

「不老不死か……私も少し似たようなものだからな。ますます会って話がしてみたい」

 

「話すのはいいが、マスターに会わせるのだけはやめとけ」

 

「遊馬に?何故だ?」

 

「あの人は根っからの教師気質だからよ、武人の素質があるマスターを見つけた日には徹底的に鍛え上げようとするからさ……下手したらデュエリストじゃなくて俺と同じケルト戦士にされちまうぞ」

 

遊馬には未来皇ホープの影響や高い身体能力もあってか武術の才能があるらしく、エミヤの指導のもと双剣の使い方がメキメキと上達している。

 

もし遊馬にスカサハが師匠になった日には……遊馬のケルト戦士育成ロードまっしぐらである。

 

あの純粋な遊馬がケルト戦士になった日には恐ろしい未来が待っているとクー・フーリンは本能的に恐れているのだ。

 

それを聞いたアストラルも青白い体の顔が更に真っ青になり、遊馬にスカサハを会わせてはいけないと察した。

 

「そ、それは確かに困るな……遊馬は遊馬のままでいてほしいからな……」

 

「だろ?俺もマスターには純粋なままでいて欲しいぜ……」

 

アストラルとクー・フーリンはおそらく出会うことは無いだろうが、遊馬とスカサハを絶対に会わせてはいけないと心に誓うのだった。

 

しかし、そんな二人の想いも虚しく……後に発生する特異点で遊馬とスカサハが出会うことになる。

 

そして、遊馬とスカサハはマスターとサーヴァントとして、師弟として強い絆で結ばれることを今のアストラルとクー・フーリンが知る由もなかった。

 

 

 

.




今回で一気に三枚のフェイトナンバーズを出しました。

クー・フーリンはやっと出せたので満足しました。

FNo.57 清廉白蛇 清姫
ランク3/炎属性/爬虫類族/攻1800/守1500
レベル3モンスター×2
エクシーズ素材を二つ使い、相手フィールド全てのモンスターに白蛇カウンターを乗せる。
白蛇カウンターが乗るモンスターの攻撃力が1000ポイントダウンする。
更にこのカードがフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ時に白蛇カウンターが乗ったモンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
このカードの効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される。

きよひーは焼き尽くすイメージでオシリスみたいな効果になってしまいましたね。

やっぱり蛇ということもあるので珍しく爬虫類族のエクシーズにしました。

FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン
ランク7/光属性/魔法使い族/攻2300/守2000
レベル7モンスター×2
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドのモンスターを1体破壊する。
この効果でモンスターを破壊出来なかった場合、そのモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に攻撃力が0になる。

FNo.7 光の御子 クー・フーリン
ランク7/光属性/戦士族/攻2700/守2400
レベル7モンスター×3
このカードは自分フィールドの「FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン」の上に重ねてX召喚する事もできる。
このカードが特殊召喚に成功した時、サイコロを3回振る。
このカードの攻撃力と守備力は出た目の合計×100ポイントアップする。
1ターンに1度、エクシーズ素材と一つ取り除き、相手モンスター1体の効果を無効にして破壊する。
また、この効果で破壊したモンスターは除外する事ができる。
この効果は無効にする事ができず、このカードの発動に対して相手はモンスター・魔法・罠のカード効果を発動出来ない。

キャスニキとランサー兄貴はホープシリーズみたいに重ねてエクシーズ召喚する感じで出しました。

他のクラスが異なるサーヴァント、特にアルトリアにも同様に出していくと思います。

流石にクー・フーリンには自害効果をつけるわけにはいけませんでした(笑)


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ナンバーズ26 変わり行く戦況

活動報告に書きましたが、今後イベントの話も書いていこうと思うのですが何を書けばいいのかぶっちゃけ迷っています。


一応予定で書きたいのはぐだぐだ本能寺、Zero、プリヤ、鬼ヶ島などです。

これはイベントキャラとか出したいので書きたいと思ってます。

例えば、アサシンのエミヤ、アイリママ、イリヤ、クロエを揃えてエミヤ一家を出したい気持ちなどあります。

ぐだぐだ本能寺はノッブと沖田さんが好きなのと、ちびノブが面白そうなので書きたいです。

そして、鬼ヶ島は頼光さんや金時なども出るので是非書きたいです。

後は今年は書けそうにありませんが、水着イベントの話やクリスマスは書きたいですね。

アルトリアの水着アーチャーやサンタのレティシアリリィも出したいので。


皆さんから見てFGOでこれは外せないイベントのストーリーを是非とも教えてください。

あと、どの章の間に入れるべきか教えていただければ幸いです。

現在の第2章が終了したらぐだぐだ本能寺を書く予定ですので、皆さんよろしくお願いします。




スパルタの王、レオニダスと激闘を繰り広げた遊馬たちはネロと共にローマを凱旋して大勢のローマ市民から歓声を受けた。

 

悪い気はしなかったが妙に疲れてしまい、休もうとした矢先だった。

 

ネロが雇った二人の客将が連合軍の大攻勢にあって足止めを受けていると連絡があった。

 

遊馬たちは皇の鍵の飛行船を使ってすぐに助けに向かうと大勢の敵兵が二人の男女……おそらくサーヴァントを囲んでいた。

 

一人は白い着物を着た女性でもう一人は屈強な肉体に鎧を着た武将の男性でアジア系のサーヴァントだった。

 

遊馬は敵兵の中に敵サーヴァントがいないので敵兵だけを追い払うためにナンバーズを呼び出す。

 

「現れよ、『No.61 ヴォルカザウルス』!」

 

ヴォルカザウルス……灼熱の恐竜を呼び出し、人から見ればぱっと見は恐ろしい化け物が登場して敵兵たちは恐れてその場から逃げ出した。

 

「君たちは……」

 

「俺たちはネロの仲間だ!援軍に来たぜ!こいつがいるから敵兵も逃げていくはずだ!」

 

「ありがとう。預かり物の兵たちを失わずに済んだようだ。私はアサシン、荊軻。君たちと同じくネロ・クラウディウスの客将をしている。それにしても話には聞いていたがまさか本当に魔物を呼び出すとは……」

 

荊軻。

 

中国始皇帝を暗殺を企むが、あと一歩のところで果たせなかった刺客である。

 

そしてもう一人は……。

 

「って、おおいっ!?あんた何処に行くんだ!?」

 

武将のサーヴァントは敵を追ったのか何処かへと走り去ってしまった。

 

「彼は呂布、まあそのうち戻って来るだろう」

 

呂布。

 

中国の三国志に名高く、最強の武将とも言われている。

 

「へぇ、あいつ呂布って……呂布!!?あの三国志の呂布ぅっ!!?」

 

日本では三国志の物語は人気があり、あまり内容を知らなくてもその名前は知っているぐらい有名なので遊馬は呂布が召喚されてることに驚愕した。

 

そして、遊馬とアストラルとマシュは荊軻に自分たちの目的を話すと意外にもすんなりと受け入れた。

 

「なるほど、君たちは異なる時代からの来訪者か。そちらの事情は概ね把握した。さりとて、こちらのやることは特に変わらない。群がる「皇帝」どもを屠るだけだ。私も、呂布も。既に、サーヴァントの「皇帝」を三体は殺している。君たちとは競争だな」

 

「競争だと……?」

 

「そうだ、競争だ。敵将たる「皇帝」の首の数。私たちと君たちのどちらがより多く手にするか。ああ、少し、楽しみができた」

 

荊軻は生前始皇帝を暗殺できなかったことから、この時代でサーヴァントとして現れた皇帝を殺すことを楽しんでいた。

 

しかし、その言葉が遊馬の逆鱗に触れることになる。

 

「ふざけるな!!」

 

遊馬は激怒して荊軻の胸ぐらを掴んだ。

 

「な、何を……!?」

 

突然の事態に荊軻は呆然とし、マシュたちは遊馬の豹変に驚いた。

 

唯一アストラルは驚かなかったが、それは遊馬の性格をこの場にいる誰よりも理解しているからだ。

 

「あんたが生前どんな人生を送ったか知らないけどよ、人を殺すことを競争とか言って楽しむのはやめろ!!」

 

遊馬は荊軻の皇帝を殺す競争をする考えを許せなかった。

 

「人を殺したことのないような子供が甘いね……」

 

荊軻は遊馬が人を殺したことのない子供で戦いはみんなモンスターやサーヴァント任せだと思ってそう言った。

 

しかし、遊馬は苦い戦いの記憶が頭の中に過ぎり、辛い表情を浮かべてそれを言葉にする。

 

「……武器で直接やったことは無いけど、人を殺したことはあるさ」

 

「何……!?」

 

「お前に分かるか……?大切な仲間達が俺たちを生かすために自ら犠牲となって戦い、消滅したり、死んでいく姿を遠くから見守ることしか出来ないその時の悲しみを……道を違えた仲間との最後の戦いで一緒に生きる道を探そうとしても消滅してしまったその時の悲しみを……」

 

バリアン七皇との戦いで多くの仲間が遊馬とアストラルを守るために戦い、消滅していった。

 

そして……仲間であり兄貴分だった神代凌牙……ナッシュとの戦いで遊馬は犠牲にならない未来を見つけるまで戦い続けると誓った。

 

しかし、その戦いでは遊馬の思いに反して結果的にナッシュを失ってしまった。

 

遊馬は戦いの辛さや虚しさ……そして、失う怖さをよく知っている。

 

「この戦いでは大勢の人の命が消えているんだ……それぞれの事情があるからあまりとやかく言うつもりはないし、俺たちにもやらなきゃならない事がある。戦いで死んだ人たちの死を背負えとは言わない……だけど、二度とそんなことを言うんじゃねえよ」

 

命の重さと大切さを深く知っている遊馬の言葉は荊軻の胸に深く突き刺さり、先ほどまでの考えを改めた。

 

「すまない……不謹慎だったね。先ほどの言葉は訂正するよ」

 

「ああ……俺も乱暴なことをして悪かったよ……」

 

遊馬は荊軻を離し、互いに謝罪をした。

 

その後遊馬は仲直りをした荊軻と戻って来た呂布と契約を交わした。

 

何かあった時の手数があった方がいいので二人と契約を交わし、二人のフェイトナンバーズを誕生させた。

 

新たな仲間が出来、遊馬達はネロと共に連合軍の首都へと進軍した。

 

 

一方……連合軍にも大きな動きが出ていた。

 

それは新たに召喚された二人のサーヴァント。

 

一人は赤い髪をした遊馬と歳の近い少年でもう一人はサーヴァントとしては不可解な点が多いスーツ姿の長い黒髪をした男性だった。

 

その二人は生まれた時代は異なるが妙な繋がりのあるサーヴァント同士だった。

 

そして、黒髪の男性のサーヴァントは奇しくもカルデアにいるアルトリアとエミヤにも繋がりのある存在だった……。

 

 

連合帝国に向けて進軍し、早速遊馬達は連合軍の兵士達と戦闘を繰り広げるが士気はとても高く、次々と襲い掛かってくる。

 

そして、妙なことに兵士達はサーヴァントではなく……遊馬を狙っていた。

 

連合軍側はローマ軍の戦いの要が遊馬だということに気づき、集中攻撃をし始めた。

 

「ちっ!数が多すぎる!!」

 

「敵は遊馬を狙いに来たか……サーヴァントたちよ、遊馬を頼む!」

 

「言われなくても、遊馬くんは必ず守ります!!」

 

シールダーとしてマシュは自らを鼓舞させて遊馬に近づく敵兵を倒して守っていき、他のサーヴァントたちも同様に遊馬を守っていく。

 

すると……。

 

「◾️◾️◾️◾️ーーッ!!」

 

獣のような咆哮が轟き、現れたのは三只眼に全身を禍々しい刺青と黄金で彩った漆黒の巨人のサーヴァントだった。

 

「何だあの真っ黒黒助なでっけぇおっさんは!?」

 

「あれは……ウジャトの眼……?エジプト関係のサーヴァントか?」

 

その敵サーヴァントの刺青は古代エジプトで見られるホルスの眼とも言われる独特な形をした眼の紋章が刻まれていた。

 

アストラルは敵サーヴァント……恐らくバーサーカーがエジプト関係のサーヴァントだと推測する。

 

しかしその矢先にバーサーカーが再び咆哮を轟かせると動く死体や歩く骸骨と化した大量の兵が出現した。

 

それはレオニダスが使った同じ人海戦術系の宝具だった。

 

「今度はアンデッドの軍団か!」

 

「旦那様!再び私をフェイトナンバーズで!」

 

レオニダスの宝具を突破した清姫は遊馬に降りかかる敵を排除するために前に立つ。

 

「清姫、頼んだぜ!!」

 

「はい!!」

 

清姫をフェイトナンバーズのカードに入れ、遊馬はすぐさまフィールドを整えたエクシーズ召喚する。

 

「現れよ、『FNo.57 清廉白蛇 清姫』!!」

 

「滅びゆく屍たち……私の炎で燃やし尽くします!」

 

「清姫の効果!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、相手フィールド全てのモンスターに白蛇カウンターを乗せ、白蛇カウンターが乗ったモンスターの攻撃力は1000ポイントダウン!更に清姫がフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ時に白蛇カウンターが乗ったモンスターは更に攻撃力を500ポイントダウンさせる!」

 

清姫は扇子にオーバーレイ・ユニットを取り込ませて舞うように振るい、屍の兵全てに白蛇の姿を模した刻印を刻ませ、その力を奪った。

 

「更に、このカードの効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される!!」

 

「転身火生三昧!!!」

 

清姫の体から燃え上がる青白い炎で全ての屍の兵に炎を喰らわせて一気に焼き尽くした……はずだった。

 

「そ、そんな……!?私の炎が効かない!?」

 

清姫が放った炎で全ての屍の兵を焼き尽くせるはずが、何と全く焼けていなかった。

 

力が下がっていてまともに動けてはいないが、それでも少しずつ歩いていた。

 

するとクー・フーリンは屍の兵のあることに気づいて声を荒げた。

 

「おい!マスター、嬢ちゃん!あの屍軍団、どうやら不死の属性を持っているみたいだぞ!」

 

「不死の属性!?つまり破壊されないということか!?」

 

「それで私の炎が効かないのですね……」

 

「だが、清姫の効果であの大元のサーヴァントの攻撃力は十分に下がった。遊馬、ホープで一気に決めるぞ!!」

 

「おう!行くぜ、アストラル!俺のターン、ドロー!魔法カード『オノマト連携』を発動!手札を一枚墓地に送り、デッキから『ガガガマジシャン』と『ゴゴゴゴーレム』を手札に!更に魔法カード『二重召喚』!このターン、通常召喚を二回行える!ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムを通常召喚!!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが立ち並び、遊馬とアストラルは腕を上げて高々と叫ぶ。

 

「「レベル4のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!現れよ、No.39!!」」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって地中で光の爆発が起きると空中に独特な形をした『39』の赤い数字が一瞬だけ描かれ、オーバーレイ・ユニットを纏いながら白い塔が姿を現わす。

 

「「我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!!光の使者、『希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

白い塔から戦士の姿へと変形し、遊馬とアストラルののエースモンスター、希望皇ホープがエクシーズ召喚される。

 

「「行け、希望皇ホープで攻撃!!」」

 

希望皇ホープは左腰に携えられた剣の柄を持ち、勢いよく引き抜いて敵サーヴァントに向かって飛翔する。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーッ!!」

 

バーサーカーは二本の戦斧を両手に持ち、希望皇ホープを破壊するために高く飛び上がって戦斧を振り下ろした。

 

「「希望皇ホープの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、モンスターの攻撃を無効にする!!ムーン・バリア!!!」」

 

希望皇ホープはオーバーレイ・ユニットを胸の水晶の中に取り込むと左翼を半月のように展開させて自身の攻撃を無効にし、同時にバーサーカーの攻撃を無効にした。

 

「これは、まさか!」

 

マシュは希望皇ホープの使用した効果に遊馬とアストラルの狙いをすぐに察した。

 

それは、遊馬とアストラル……希望皇ホープの必殺技を放つためだ。

 

「「手札から速攻魔法!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を二倍にして、もう一度攻撃が出来る!!!」」

 

ダブル・アップ・チャンスは本来なら敵が攻撃を防いだ時に発動することが前提の魔法カードだが、自らの攻撃を無効に出来る希望皇ホープと相性は抜群で希望皇ホープは右腰に携えられたもう一つの剣を左手で抜いて構え、その力を二倍に高める。

 

「「希望皇ホープ!!ホープ剣・ダブル・スラッシュ!!!」」

 

双剣の刃が金色に輝き、 希望皇ホープはばつ印を描くように全力で振り下ろし、バーサーカーを戦斧ごと斬り裂いた。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーッ!!!」

 

バーサーカーは断末魔の絶叫を上げながら消滅し、同時に大量の屍の兵も消滅した。

 

バーサーカーと屍の兵が消滅したことで連合軍の兵士達も撤退し、ひとまず危機が去って遊馬は緊張の糸が解けてその場に座り込んだ。

 

「やべぇ、あのおっさん超怖かったぜ……絶対あいつバーサーカークラスだよな!?今まで出会ったバーサーカーで一番怖かったんだけど!!?」

 

「確かにそれは否定しない……しかし、無事に戦闘が終わって何よりだ」

 

アストラルはバーサーカーの消滅した後に残ったフェイトナンバーズを回収して遊馬に渡す。

 

「ユウマ!大変だぞ!」

 

「ネロ?どうしたんだ?」

 

大慌てをしてやって来たネロの口からとんでもない事が発覚した。

 

「今さっき兵から連絡があって連合が部隊を複数動かしていたようで、その際にブーディカが連合軍に囚われてしまった!」

 

「ブーディカが捕まった……?」

 

遊馬は目を見開き、体が震えると脳裏にある光景が浮かんだ。

 

それはかつて親友が敵に捕まり、連れ去られて死んだと思わされた最悪な光景だった。

 

あの戦いで遊馬は自分を見失い、大切なものを一度にたくさん失いかけた……その事が頭の中に過ぎり、恐怖で体が震えそうになった。

 

すると、遊馬の目の前に青白い光が広がり、気がつくとアストラルがそっと遊馬を抱きしめていた。

 

「遊馬、まずは冷静になるんだ」

 

「アストラル……」

 

そんな遊馬の恐怖を落ち着かせたのはアストラルだった。

 

実際には触れられないが、アストラルの優しさが遊馬の心を癒す。

 

「ブーディカは無事だ。彼女は強い人だからな……。遊馬、君が恐怖を抱くのは分かる。だが、まずは落ち着いて行動する事が大事だ。大切なもの、全てを守る……それが私たちの誓いだろ?」

 

「……サンキュー、アストラル。お陰で頭が冷えたぜ。みんな!ブーディカを助けるぞ!!」

 

囚われたブーディカを助けるために早速行動を移そうとする遊馬達だった。

 

すると、突然デッキケースが輝くと二つの光が飛び出した。

 

「マスター!ブーディカ女王を救出しに向かいましょう!!」

 

現れたのは何とアルトリアだった。

 

「え!?アルトリア!?」

 

「なっ!?余そっくりの騎士だと!?」

 

ネロは自分と顔がそっくりなアルトリアの登場に驚愕した。

 

「むっ……あ、本当に私とそっくりですね……」

 

アルトリアもネロが自分と本当にそっくりで驚いたが、それよりも大切な事があるので急いで遊馬の元へ駆け寄る。

 

「マスター!ブーディカ女王をすぐに救出しましょう!!さあ、今すぐに!!!」

 

「落ち着け、アルトリア。マスターが困っているだろう」

 

アルトリアと一緒にカルデアから来たのはエミヤだった。

 

「エミヤまで!?」

 

いつもより俄然やる気なアルトリアにため息を吐くエミヤだった。

 

「さあ今すぐ行きましょう!マスター、飛行船をお願いします!」

 

アルトリアは遊馬の肩を掴んでブンブンと体を揺らして皇の鍵の飛行船を出すように急かした。

 

そんなアルトリアにエミヤはハリセンを取り出して頭を思いっきり叩いた。

 

「痛ぁっ!?何をするのですかシロウ!?」

 

「だから落ち着け!そんなことではブーディカ女王を救えないぞ!」

 

「ううっ……」

 

まるでお母さんに怒られた子供のようにアルトリアは涙目になっている。

 

「アルトリア、どうしてブーディカをそんなに心配するんだ?何か関係者なのか?」

 

「決まっています!ブーディカ女王は私にとっては偉大な王、簡単に言えば大先輩です!」

 

「だ、大先輩!?」

 

ブーディカは一世紀の古代ブリタニアの女王……そして、同じ国で後の時代にアルトリアはブリテンの騎士王・アーサー王として君臨していた。

 

ブーディカはブリテンで『勝利の女神』の伝説となっており、アルトリアは大先輩の女王として敬っているのだ。

 

「最初はブーディカ女王がいると聞いてすぐに会いたいと思いましたが、運命のいたずらか、因果かどうかは知りませんがそこにいるローマ皇帝と何故か同じ顔をしているので、下手に混乱させないように自重してしましたが……ブーディカ女王が囚われたと聞いて、我慢出来なくなって出てきました」

 

「私はアルトリアのブレーキ役としてオルガマリー所長から直々に命を受けて来たのだ……」

 

「エミヤ、お疲れさん……」

 

オルガマリー、と言うかカルデア内ではもはやアルトリアとエミヤは既に離れられないセットになってしまっているので今後アルトリアが戦場に出陣際にはもれなくエミヤも出陣することになることはほぼ確定となるのだった。

 

「さて、アルトリアよ。君が大先輩を助けたい気持ちは察するが、わざわざ敵の策に乗る必要も無かろう。ここは一つ、マスターの力で何とかできるだろう」

 

「え?俺?」

 

エミヤは打開策を見出しており、それは遊馬が握っていた。

 

「マスター、君はブーディカ女王と契約を結んでいたな?しかもフェイトナンバーズも開花しているとか」

 

「あ、ああ。相性がいいのかすぐに真名やテキストが出て来たぜ」

 

遊馬はデッキケースからブーディカとの絆と契約の証である『FNo.83 勝利と愛の女王 ブーディカ』を取り出した。

 

「よし。マスターとブーディカ女王との間に強い絆が結ばれているならば話は早い。今こそ令呪を使う時だ」

 

「令呪を?」

 

右手の甲に刻まれている皇の鍵と大きなXが重なった赤い刻印・令呪を見て遊馬は首を傾げる。

 

「令呪を使えば契約したサーヴァントをある程度距離が離れた場所からでも空間を超えて自分の元に呼び出す事ができる。そうすればブーディカ女王をリスクを犯す事なく助ける事ができる」

 

令呪のサーヴァントへの命令権やブーストなどに使う事しか知らなかった遊馬は意外な使用方法に驚きながらすぐに実行する。

 

「そうか!それなら早速行くぜ!」

 

遊馬は右手の人差し指と中指にブーディカのフェイトナンバーズを挟みながら天に向かって高く上げ、令呪の一画を輝かせる。

 

「令呪をもって命ずる!!」

 

目を閉じて心の中から溢れんばかりの思いを込め、強く、強く願った。

 

大切な仲間で忘れかけていた母の温もりを与えてくれたブーディカを遊馬は三画の令呪を全て使ってでも取り戻す気持ちで叫んだ。

 

「ブーディカ!敵に囚われし縛の鎖を解き放ち、空間を飛び越えて……俺の、俺たちの元に戻って来い!!!」

 

遊馬の強い願いに令呪の一画が消えると目の前に金色の光が現れて中から人影が見えた。

 

そして、光の中から出てきたのは唖然とした表情を浮かべたブーディカだった。

 

「……えっ?って、うわぁあああああっ!?」

 

ブーディカはバランスを崩してその場から思いっきり前屈みに転びそうになった。

 

「あっ、危ねえっ!!」

 

遊馬はとっさにブーディカの前に滑り込んで受け止めようとしたが、ブーディカはモデル体型と言わんばかりの高身長なので支えきれずにそのまま一緒に倒れこんでしまった。

 

「イタタタ……あれ?私は……」

 

「むぐっ、むぐぅっ!?」

 

「え?あ、ごめん!ユウマ、大丈夫!?」

 

ブーディカの豊満な胸の間に偶然にも遊馬の顔が埋まってしまい、息ができなくなったので急いで起き上がって遊馬を解放する。

 

ちなみに男であるエミヤとクー・フーリンは羨ましいと思ったが、そんなことを考えればこの場にいる女性陣の鋭い視線や痛い言葉をかけられ、下手をすればアルトリアの約束された勝利の剣が飛んでくることは必至なので一瞬でその考えを消し去った。

 

「お、おう……ブーディカ、怪我してないか?」

 

「私は大丈夫だよ。でも何でここに?私は捕まったはず……」

 

「マスターが令呪であなたをここへ呼び出したのですよ」

 

アルトリアが微笑みながら話しかけるとブーディカは目を見開いて驚いた。

 

「えっ!?ネ、ネロが二人いる!?まさか双子の姉妹!?」

 

アルトリアとネロがあまりにも顔が似ているので思わず双子だと勘違いしてしまう。

 

アルトリアは首を振って否定するとブーディカに敬意を込めながら名乗る。

 

「違います。私の名はアルトリア・ペンドラゴン。この時代から後の時代のブリテンの王……またの名を、騎士王・アーサー王と申します」

 

「アルトリア……ブリテンの王……?」

 

「はい、あなたの後輩の王ですよ」

 

ブーディカは自分と同じ国で生まれ、活躍した英霊かどうか察知することができ、アルトリアが後の時代の王と理解すると満面の笑みで抱き寄せた。

 

「ブ、ブーディカ女王!?」

 

「あぁ……こんなにも頼れる後輩が来てくれたなんて、嬉しくて涙が出て来そうだよ」

 

「ありがとうございます。私も尊敬する先輩のあなたと出会えてとても光栄です」

 

「ユウマもありがとう!私なんかの為に令呪を使って助けてくれて!」

 

ブーディカは遊馬を抱き寄せてアルトリアと一緒に抱きしめる。

 

抱きしめられて遊馬は恥ずかしかったが、逃げられないのは分かっているので大人しくブーディカに可愛がられることにした。

 

「大切な仲間を助ける為なら何でもやるぜ!」

 

「本当にありがとう……あなたがマスターで私は幸せよ……」

 

ブーディカは自分を大切に想ってくれる存在がいてくれることに心から感動し、涙を流した。

 

ブーディカを助けたところですぐに反撃のための作戦会議を開く。

 

「よし……囚われたブーディカは無事に助けた事だし、今度はこっちから攻める番だ!!」

 

遊馬の提案にみんなは頷き、どう連合軍に仕掛けるか意見を出し合う。

 

連合軍が今までとは異なる戦術を変えたことから新たな敵サーヴァントの仕業が高い。

 

真っ先に遊馬を狙うところからその敵サーヴァントはかなり頭が冴える、軍師のように頭脳明晰のは明白。

 

遊馬はアストラルからナンバーズを見せてもらいながら何かいい手がないか考える。

 

すると、一枚のナンバーズが目に留まり、目をパチクリとさせながら凝視する。

 

それは遊馬の仲間である一人の少女が使うデッキのカテゴリーのナンバーズだった。

 

何でこのナンバーズがあるのか不明だが、そのナンバーズを見て遊馬はナイスなアイデアを思いついた。

 

「アストラル!こいつを使ったらどうだ?」

 

「このナンバーズを……?なるほど、これを使えば……遊馬!」

 

アストラルは遊馬にそのナンバーズを渡し、遊馬はデッキからカードをドローする。

 

「おう!行くぜ!俺のターン、ドロー!来たぜ……『ガガガシスター』を召喚!ガガガシスターの効果!召喚に成功した時、デッキからガガガの名をついた魔法・罠を手札に加える。デッキから『ガガガウィンド』を手札に加え、発動!手札からガガガモンスターを特殊召喚してそのモンスターのレベルを4にする。手札からガガガマジシャンを特殊召喚!」

 

ガガガシスターが鍵の杖を振るうと遊馬のデッキに宿るガガガのサポートカードを遊馬の手札に加え、発動するとガガガマジシャンが現れる。

 

ガガガウィンドは特殊召喚したガガガモンスターをレベル4にする効果があるが、ガガガマジシャンは元々レベル4で自身の効果でレベルを変更できる。

 

「ガガガマジシャンの効果、ガガガマジシャンのレベルを8にする!」

 

ガガガマジシャンのレベルが4から変更できる最高レベルの8にし、ガガガシスターのもう一つの効果を発動する。

 

「そして、ガガガシスターのもう一つの効果!ガガガモンスター1体を選択し、そのモンスターとガガガシスターのレベルはエンドフェイズ時までそれぞれのレベルを合計したレベルになる!ガガガマジシャンはレベル8、ガガガシスターは2、2体のガガガモンスターのレベルは10となる!」

 

ガガガマジシャンとガガガシスターの効果を最大限に使用し、本来なら出しづらいランク10をエクシーズ召喚する。

 

「レベル10のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガガガシスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「現れよ!『No.81 超弩級砲塔列車(ちょうどきゅうほうとうれっしゃ)スペリオル・ドーラ』!!」

 

光の爆発と『81』の刻印と共に現れたのは四つの列車が連なり、その上に巨大な大砲を持つロボットが合体しているモンスターが現れた。

 

銀河眼の光子竜皇よりも大きなモンスター……というかとんでもない移動式の巨大マシンにマシュたちは口を大きく開けてあんぐりとして驚愕していた。

 

そして、列車という存在を知っているアルトリア、エミヤ、クー・フーリン、メドゥーサは汗を流しながら困惑していた。

 

「シ、シロウ……私が見た列車、いや電車で したっけ?あれとは比べ物にならないほど大きいのですが……」

 

「いや待て、あれはもはや列車と言えるものではない。列車とは人や物を運ぶためのものだ……決して大砲は積んではいないぞ!?」

 

「すげぇな、コレ。もはや未来の軍隊が使うような近代兵器じゃねえか……」

 

「これがモンスター……?私が言うのもなんですが……魔物や怪物の定義がおかしくなりそうですね」

 

デュエルモンスターズの主役とも言えるモンスター……魔物の定義が意味不明で思わず頭痛を覚えるのだった。

 

何故遊馬がこのナンバーズを召喚したのか、それは戦場でも使える『圧倒的な兵器』だからである。

 

遊馬はカルデアで歴史の勉強をしていくうちに人類の長い歴史は数え切れない戦争によって積み上がっていることを改めて学んだ。

 

そして、戦争の歴史を変えていったのは様々な要因がある。

 

例えば軍師による軍隊を動かすための戦術、アルトリアたちのような一騎当千の英雄たち、そして……最も効果的とも言えるのが戦況を一気に覆す事ができる強力な兵器である。

 

スペリオル・ドーラは偶然かどうか不明だが、遊馬の仲間の一人である少女、神月アンナが持つ『列車』モンスターと同じカテゴリーのモンスターである。

 

列車モンスターは高レベルのド派手な戦法が特徴でスペリオル・ドーラも例に漏れず強力なモンスターである。

 

そして、このモンスターは一応列車なので遊馬たちはスペリオル・ドーラに乗り込みと遊馬はメドゥーサにあることを頼んだ。

 

「あ、メドゥーサ。これ操縦してくれるか?」

 

「は!?私がですか!?」

 

「うん。メドゥーサはライダークラスだし、なんでも操縦できる金の紐があったろ?それで頼むぜ!」

 

「騎英の手綱ですか……?確かに乗り物にも対応してますが……いけますかね……?」

 

「大丈夫じゃね?これモンスターだし」

 

「だからユウマのモンスターの定義がおかしいですから……まあ一応やってみますが」

 

メドゥーサの宝具、騎英の手綱。

 

あらゆる乗り物を御する黄金の鞭と手綱で『高い騎乗スキル』と『強力な乗り物』があることで真価を発揮する。

 

また、乗ったものの全ての能力を1ランク向上させる効果も持つ。

 

メドゥーサ自身がライダークラスの為に騎乗スキルがA+、そしてスペリオル・ドーラ自身が巨大で屈強……条件が見事に合致しているのだ。

 

メドゥーサは黄金の鞭と手綱を取り出して運転席からスペリオル・ドーラ上部のロボットへジャンプして登る。

 

「さて、やってみますか……」

 

そして、半信半疑でロボットの首に手綱をかけて鞭を振るった。

 

次の瞬間。

 

ゴォオオオオオオオ!!!

 

スペリオル・ドーラの目がキラリと輝き、ボディ全体から轟音が鳴り響くと、列車を走らせるための線路が地面に現れ、メドゥーサの思い通りに動き始めた。

 

「わぁ……すごいですね……」

 

まさか本当に操作できるとは思いもよらなかったので感嘆の声が漏れだす。

 

遊馬はスペリオル・ドーラ内に何故かあった車掌マイクを手に取りノリノリでアナウンスをする。

 

「ローマ特別運行、超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ、これより発車致します!目的地は敵拠点砦!!」

 

「了解、マスター!」

 

メドゥーサは騎英の手綱の鞭を振るい、スペリオル・ドーラを発進させ、先程のお返しにと今度はこちらから連合軍に仕掛けるのだった。

 

 

 

.




荊軻姉さんとの会話は遊馬ならこういうだろうなと思って真っ向から競争を否定しました。
あくまでもこれは戦争、殺し合いなので……。
特に遊馬は目の前で仲間が消滅したり、カイトに関してはガチで死んだ光景を見て来たのでトラウマになってるはずなので。

今回はアルトリアが少しぶっちゃけた感じになりました。
アポカリファのモーくんの回想を見て、こうして変化したアルトリアを見ると士郎との出会いは大きかったなと思います。

ほとんど語られていないブーディカとアルトリアの関係はこんな感じかなと思って書きました。
王としては先輩後輩の関係で、ブーディカはイギリスのサーヴァントはみんな弟や妹のように思っているので。

ラストのスペリオル・ドーラは完全にネタに走っちゃいました(笑)
展開をどうしょうかなと思ってナンバーズを眺めていたら目に留まりました。
メドゥーサもまさかこんなものを運転するとは夢にも思わなかったでしょうね。

次回は彼らとのバトルです。
特に長髪の彼はアルトリア達と面識があるので書くのが楽しみです。

それから前書きにも書きましたが、もしよろしければ活動報告に特異点のイベントで重要なのをよろしくお願いします。
m(._.)m



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ナンバーズ27 因縁の再会と出会い

なんか今回もやりすぎた感がハンパないです。
いつものことだと突っ込まれそうですが(笑)

とりあえず遊馬くんを下手に刺激させないでくださいと言いたい(笑)

最近ちびちゅきと衛宮さんちの今日のごはんにハマってます。
平和やギャグの話は好物なのでカルデア内での日常の話はそれを目指したいです。



遊馬は連合軍の砦に向かうために『No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ』を召喚し、メドゥーサに騎乗してもらい英騎の手綱でランクを上げて運転している。

 

連合軍の兵士たちはスペリオル・ドーラという超巨大移動兵器に恐れて次々と逃げ出し、勇気を持つ者は弓などの遠距離武器で攻撃をするが、スペリオル・ドーラの装甲には傷一つ付かなかった。

 

それもそのはず、スペリオル・ドーラの守備力は驚異の4000でそのモンスター効果から鉄壁の守りが売りのナンバーズだからである。

 

「案外悪くないですね……」

 

メドゥーサはライダーとして天馬や自転車などを運転したことがあるが、まさかこれほど巨大な乗り物を乗ったことがないので新鮮な気持ちだった。

 

そして、あっという間に砦に到着し、メドゥーサはスペリオル・ドーラを停止させて大砲を向けるが遊馬が止めた。

 

「メドゥーサ、待ってくれ。砦の中にいるサーヴァントを誘き出す」

 

「構いませんが、このまま砲撃したほうがいいのでは?」

 

「砦の中にも兵士はいるはずだ。下手に死人を増やしたくないからな」

 

「相変わらずお優しい……それで、どうやって誘き出すのですか?」

 

「考えがある。まあ、見てなって」

 

遊馬は車掌マイクを手に乗り、コホンと咳払いをして大きく息を吸った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハ!レフに召喚された哀れな連合軍のサーヴァントよ、この列車に驚いたか?驚いたでしょうねぇ〜?さあ、このモンスターの大砲で砲撃して砦を破壊してあげましょう。砲撃して欲しくなかったら今すぐ出て来なさい。ご心配なく、正々堂々とサーヴァント同士で勝負しましょう。おっと、人質を使おうとは思わないでくださいね?あなたたちが捕らえた仲間はとっくに救出しましたからね!悔しいでしょうねぇ〜?フハハハハハッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりの予想外すぎる聞いた敵側がイラっとするであろうムカつく言葉を発する遊馬に驚愕するマシュたちだった。

 

すると遊馬は車掌マイクの電源を切ると緊張の糸が解けたようにため息を吐いた。

 

「ふぃ〜、緊張したぜぇ〜。これで出て来てくればいいけど……」

 

「遊馬、その言葉はまさか……」

 

「ああ。ちょっと前にⅣ……トーマスから教えてもらったんだ。外道な敵がいた時、挑発に使えって」

 

Ⅳことトーマス・アークライトは遊馬の仲間でⅢ……ミハエルの兄で家族のために外道や汚れ役を背負う優しい男なのだが……ぶっちゃけかなりドSな性格なのである。

 

「二度とⅣのその言葉を使うな……禁止令だ」

 

「そうだよ、ユウマ。君みたいに優しい子がそんな汚い言葉を使っちゃダメ」

 

アストラルとブーディカは保護者のように注意をし、遊馬は素直に頷いた。

 

「うん、俺も言ってかなり疲れた。二度と言わないぜ」

 

試しに言ってみたが遊馬の優しい性格上、合わないのは明白で二度と言わない事を誓った。

 

「ユウマよ……見事な挑発だったがそれだけで出てくるわけが……」

 

ネロは流石に出てこないだろうと思ったが……。

 

「貴様らぁっ!!上等だ、今すぐ出てこい!!俺が直々に相手をしてやる!!!」

 

砦の門から勢いよく敵サーヴァントが出て来た。

 

「って、見事に挑発に乗って来たぞ!?」

 

「お、おう、意外と敵の沸点低いな……」

 

予想以上に挑発の効果があり、言った本人の遊馬が一番驚いた。

 

砦から出てきたサーヴァントは今まで出会ったサーヴァントとはかなり異なり、現代風のスーツ姿をして煙草を咥えていた男性だった。

 

「彼はまさか……すいません、マスター。私が行きます」

 

アルトリアは出て来たスーツ姿のサーヴァントに心当たりがあるのか一足先にスペリオル・ドーラから出る。

 

「アルトリア?よし、エミヤも行くぞ!」

 

「やれやれ。だが、私も少し気になることがある……行こうか」

 

遊馬はアルトリアとエミヤと共にアルトリアの後を追う。

 

「待て!余も行くぞ!」

 

「ま、待ってください!」

 

ネロとマシュも後を追い、他のサーヴァントたちはすぐに動けるように準備をしている。

 

そして、アルトリアと敵サーヴァントが対峙すると、敵サーヴァントは目を見開いたように驚いた。

 

「貴様は……セイバー!?」

 

「やはり……まさかと思いましたが、ずいぶん成長しましたね。ウェイバー……」

 

「今はロード・エルメロイII世だ!」

 

そのサーヴァント、名はロード・エルメロイII世……アルトリアの知り合いだった。

 

「エルメロイ?それはランサーの……?」

 

「貴様には関係ないことだ!それより貴様、聖杯が欲しくて召喚されたのか!?」

 

「聖杯?そんなものは必要ありません。私が欲しいのはシロウです」

 

「シロウ……?」

 

「アルトリア!」

 

「エミヤ、あのサーヴァントはセイバーを知ってるみたいだな!」

 

エルメロイII世はその名前に聞き覚えがあり、その直後に遊馬とアストラルとエミヤが降り立つ。

 

そして、エミヤの姿を見てエルメロイII世は目を見開いて声を荒げた。

 

「シロウ……エミヤ……?まさか、お前は衛宮士郎(エミヤシロウ)なのか!?」

 

「……久しぶりだな。エルメロイII世……時計塔で話して以来だな」

 

エミヤ……衛宮士郎は仕方ないと言った表情でエルメロイII世と話すと、思わぬところで真名を知った遊馬とアストラルは目を丸くした。

 

「衛宮士郎……?それがエミヤの本当の名前か?」

 

「つまり君は日本人ということか……」

 

「そういう事だ。マスター、アストラル。出来れば過去はあまり聞かないで欲しいが」

 

「別にいいぜ、人には言いたくない過去の一つや二つはあるし」

 

「エミヤ、君が我々に話しても良いと決心した時にでも話して欲しい……」

 

「……分かった、感謝するよ。マスター、アストラル」

 

エミヤは遊馬の頭をポンポンと叩き、遊馬の前に出て干将・莫耶を投影して構える。

 

「その子供がマスターだと!?しかも隣には精霊!?一体どんな魔術師なんだ!?」

 

「ウェイバーよ、マスターは魔術師ではありません。しかも、あなたが聖杯戦争を参加した時よりも幼い十三歳ですよ」

 

「十三歳!?しかも魔術師じゃないだと!!?」

 

エルメロイII世は遊馬が魔術師ではない事と十三歳という事実に驚愕する。

 

「ところでアルトリア、そいつと知り合いなのか?」

 

「彼はウェイバー。私が経験した聖杯戦争のライダーのマスターでした。もっとも、私が知っている彼は少々頼りない見習いの魔術師の少年でしたが……」

 

「黙れ!!それ以上言うんじゃない!!!」

 

「驚きましたよ。ライダーに引っ張られていた少年がこれほどまでに逞ましく堂々とした風格を出すとは……」

 

「アルトリアよ、一応付け加えておくが彼は時計塔で『プロフェッサー・カリスマ』、『マスター・V』、『グレートビッグベン☆ロンドンスター』、『女生徒が選ぶ時計塔で一番抱かれたい男』……と言う数々の異名を持つ名物講師だぞ」

 

「言うなっ!それ以上言うなぁあああああっ!!」

 

「何と!?それは素晴らしいですね……良かったですね、ライダーもきっと喜んでますよ」

 

「貴様らは俺の親戚の兄姉か!?と言うか、アーサー王!貴様は本当にあの時のアーサー王か!?性格変わりすぎだろ!?」

 

「あの戦い以来、色々ありましたからね……ぶっちゃけ言うと王ではなく女に目覚めました」

 

「聖杯問答の時の話はどうなった!?貴様はあの時……」

 

「確かにあの時は聖杯を使って過去を変えようと思いましたが、シロウや多くの人との出会いでその考えは変わりました。私はもう過去を変えるつもりはありません。そして、今の私の願いはシロウを私の嫁にする事とシロウのご飯をいつまでも食べることです」

 

「嫁だと!?婿ではなく!?ってか飯だと!?何故に飯!??」

 

昔のアルトリアはどんな性格なのか分からないが、カルデアでの普段のアルトリアを見ている遊馬たちはもっともな願いだと感じた。

 

しかし、アルトリアの願いはそれだけではなかった。

 

「シロウは私の嫁です。それから……円卓の騎士のみんなと仲直り……とまではいかないと思いますが、ちゃんと話し合いたいです」

 

「アルトリア……」

 

アーサー王物語で円卓の騎士は様々な人と人との繋がりの亀裂で内部分裂が起きてしまい、それが国の崩壊へと繋がった。

 

アルトリアは絆を誰よりも大切にする今のマスターである遊馬の姿を見て、円卓の騎士の騎士ともう一度絆を繋ぎたいと思った。

 

しかし、大きく壊れた絆を直すことは不可能かもしれない……だがせめて円卓の騎士のみんなともう一度しっかり話し合って分かりあいたい……そう願うようになった。

 

「彼らに許してもらえないかもしれない、拒絶されるかもしれない……。それでも、私は逃げずに過去と向き合います」

 

過去と向き合うこと……それが今のアルトリアが見つけた答えだった。

 

その願いを聞いたエルメロイII世は小さく笑みを浮かべて納得したように頷いた。

 

「過去と向き合うか……確かにあの時とは違う答えだ。まるで別人のようだ……今の貴様なら『王』も喜んでいるだろうな……」

 

「そうですね。ところで、最初から気になってましたが、どうしてここに?それから、あなたからサーヴァントの気配がするのですが……」

 

「私は縁のゆかりもない英霊の依り代にされて過去に飛ばされた……」

 

「英霊の依り代?」

 

「諸葛孔明……それが私に宿る英霊の名だ。今の私は『擬似サーヴァント』と言ったところだな……」

 

「諸葛孔明って、呂布と同じ三国志で出て来る天才軍師じゃねえか!?」

 

「人間の肉体を依り代として英霊の魂を宿らせる……マシュのデミ・サーヴァントと同じと言うことか……?」

 

エルメロイII世には呂布と並ぶ三国志の天才軍師、諸葛孔明がマシュのデミ・サーヴァントのようにその英霊の魂が宿っていた。

 

何故エルメロイII世が選ばれたのか、どうしてこの世界に召喚されたのか本人も分からずに不明である。

 

「私と、同じ……?」

 

マシュは胸に手を置き、自分に似た存在に妙な親近感を抱いていた。

 

「それはさて置き、私はある人の軍師としてここにいる……そろそろ出てきたらどうだ?」

 

「ごめんごめん、あの大きなものに見惚れていたよ」

 

エルメロイII世に呼ばれて砦から出てきたのは遊馬と歳が近そうな赤い髪をした少年だった。

 

その少年を見た瞬間、セイバーは再び驚いたように目を見開いた。

 

「彼はまさか!?ウェイバー……これは数奇な運命ですね……まさか『征服王』の幼き姿とは……」

 

「そうだな……私も驚いているよ」

 

エルメロイII世とその少年には深い関わりがあるのか複雑な心境をした表情を浮かべていた。

 

「僕はアレキサンダー。正確にはアレキサンダー三世だ」

 

アレキサンダー。

 

紀元前4世紀のマケドニア王国の若き王子であり、後に様々な名で呼ばれる多くの可能性を持つ者である。

 

美少年と言っても過言ではないアレキサンダーの姿を見てアルトリアは額に手を当てて大きなため息を吐いた。

 

「どうしてこんな美少年があんなムキムキマッチョな大男になるのでしょうか……」

 

そしてアルトリアはアレキサンダーについて何かを知っている様子でそう呟くのだった。

 

アレキサンダーはネロを見つめ、嬉しそうに話し出す。

 

「ようやく会えたね。待っていたんだ、君が来るのを」

 

「余の……ことを?待っていた?」

 

「うん。ちょっと、興味が湧いたからね。あれこれとちょっかいをかけたのは、そのためだ。話がしたかったんだ。君とね」

 

アレキサンダーの目的に遊馬は疑問を抱き、声を荒げながら問うた。

 

「おい、待てよ。ネロと話がしたかったんならどうして兵を使ったんだ?話をするのに兵を使って、それで両軍のたくさんの兵が死んだんだぞ!?」

 

「そうだね。僕もそれが本意じゃないんだけど、仕方なくね……」

 

「まさか、ブーディカを捕らえようとして兵を送り出したことは全て、あんたがネロと話をするためだけにか!?」

 

「そうだよ。色々あったけど、君たちの方から来てくれたから良かったけど」

 

アレキサンダーの回りくどいやり方にネロと遊馬は激怒する。

 

「それを、ただの話一つが目的というのか!」

 

「ふざけるな!だったらてめぇ一人で最初から来いよ!」

 

「うん。人間の命は尊いものだと思うよ。それは、僕だってそう思う。でもね、そうするのが一番だと思ったんだ。君の、いや……君たちのことが気にかかったから。ローマ皇帝第五代皇帝、ネロ・グラウディウス。そして、未来皇ホープ、ツクモ・ユウマ」

 

アレキサンダーの目的はネロだけでなく遊馬も含まれていた。

 

そして、アレキサンダーはゆっくりと二人に問う。

 

それは皇帝としての意味、戦いの意味を問うていた。

 

「さて、ネロ。君は何故、何故、戦うんだい?なぜ、連合帝国に恭順せずに。そうやって、いいや、こうやって戦い続ける?連なる『皇帝』の一人として在ることを選べば、無用の争いを生むことなどないだろうに」

 

「無用……無用といったのか、この戦いを。貴様は……」

 

「言ったよ。なら、どうする?」

 

ネロはこれまでの戦いを否定されたことに激怒し、ローマ皇帝としての、己の考える『皇帝の道』を宣言した。

 

「許さぬ……死から蘇った血縁であろうと、過去の名君であろうと、古代の猛将であろうと、伝説に名高き、大王その人であろうとも……今!この時に皇帝として立つ者は、ネロ・グラウディウスただ一人である!民に愛され、民を愛することを許され、望まれ、そう在るのはただ独り!ただ一つの王聖だ!ただ一つだからこそ輝く星!ただ一人だからこそ、全てを背負う傲慢が赦される!たとえローマの神々全てが降臨せしめて連合へ降れと言葉を告げようとも、決して退かぬ!退くものか……!そう信じて踏破するよが我が人生!我が運命!退かず、君臨し、華々しく栄えてみせよう!余こそが!紛うことなきこの世界である!」

 

「はははっ!すげぇや、ネロ。今の言葉、かっこよかったぜ!」

 

ネロの宣言に遊馬は感銘を受けてグッドサインを向けた。

 

アレキサンダーはネロの次に遊馬に質問をする。

 

「次は未来皇、君だ。君はどうしてネロに付き添い、共に戦うんだい?君はこの戦いをどう思う?」

 

アレキサンダーの問いに遊馬は目を閉じて数秒間考えて頭を整理しながら静かにそれを言葉にする。

 

「……確かにあんたの言う通り、ネロが連合帝国で皇帝の一人になれば無用な戦いは避けられる。だけどな……仮にネロがその決断を下せば真っ先に消され、ローマの民も……いや、この世界の全ての人間が消されるかもしれない!それはつまり、この時代とこれから先に生きる人たちの全ての未来が奪われるんだ!お前の言い分も正しいし、ネロの皇帝としての心は堂々としてかっこいいと思う。だから、次は俺の答えだ!」

 

遊馬は右手にホープ剣を一本作り出してネロを守るように前に出て、剣の切っ先をアレキサンダーに向ける。

 

「俺は、俺たちはこの世界の未来を守るためにここにいるんだ!ネロは俺の大切な仲間だ!ネロは俺が必ず守る!そして、人類を滅ぼそうと言う大馬鹿な災厄の元凶をぶっ倒して、ネロも、この世界も守る!!」

 

遊馬はネロを皇帝ではなく仲間として、守ることを誓う。

 

「ユウマ……」

 

ネロは自分を守ると誓う遊馬の小さくも大きな背中に心臓の鼓動が高まっていく。

 

「ネロだけでなく、世界も守る……でも君は知っているかい?世界は広くて巨大だ。世界を守ると言うことは全ての人を守ると言うことにも繋がるよ?それほど大きなものを君は背負えるのかい?」

 

「生憎だが、俺は背負うことには慣れっこなんだよ。俺が戦う時はいつも何かを背負ってるからな。それに……一度俺たちの世界の滅亡の危機をアストラルや仲間たちと一緒に救ったんだ。今更臆することはない!!それが俺の、かっとビングだ!!!」

 

遊馬の戦いはいつも何かを背負って戦ってきた。

 

その全てを守るために遊馬とアストラルは何度挫けそうになってもその度に立ち上がり、戦い続けてきたのだ。

 

ネロが目指す『皇帝の道』と遊馬が目指す『かっとビングの道』……二人の答えを聞いてアレキサンダーは拍手をして称賛した。

 

「素晴らしい!君たちは間違いなく皇帝だ!いや、ユウマは勇者と言うべきかな?そして、ネロ!君は『魔王』にだってなれるよ!」

 

「アレキサンダー、貴様はこの手で倒す!」

 

「付き合うぜ、ネロ。アレキサンダー!あんたが避けられない敵として立ち向かうのなら、俺たちはあんたを越えるぜ!」

 

「その意気だ、さあ来るんだ!ローマ皇帝、そして未来皇!!『始まりの蹂躙制覇(ブケファラス)』!!!」

 

アレキサンダーは自身の宝具であり、愛馬である黒毛の屈強な馬、ブケファラスを呼び出して騎乗し、スパタと呼ばれる片手剣を持つ。

 

「あちらはマスターとマシュとネロが相手をしますか。さて、ウェイバー。あなたはどうしますか?」

 

「……私の目的は彼をネロに会わせることだ。私自身は戦うつもりはない」

 

エルメロイII世は特に戦う理由はないのでその場で煙草を吸い、一応警戒のためにアルトリアとエミヤが見張る。

 

「アストラル!頼む!」

 

遊馬はアレキサンダーが出したあの黒い馬はヤバイと察すると、デッキケースから一枚のカードを取り出してアストラルに投げ渡す。

 

「分かった。少々出しずらいが、私がなんとかしよう!!」

 

アストラルが左手を掲げると左手首に藍色のデュエルディスクが現れ、デッキがセットされる。

 

アストラルもデュエルをすることが出来、アストラル自身のデッキがあるのだが、遊馬のデュエルディスクにセットされたデッキをそのまま反映させて構築して使用する。

 

「私のターン、ドロー!『セイバー・シャーク』を召喚!更に、自分フィールドに水属性モンスターがいる時、『サイレント・アングラー』を特殊召喚!私は水属性レベル4のモンスター2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!力を借りるぞ、シャーク!」

 

アストラルは凌牙の持つ額に刃を持つ鮫と提灯あんこうのようなモンスターを召喚し、二体が光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「吠えろ未知なる轟き!深淵の闇より姿を現わせ!エクシーズ召喚!現れよ、『バハムート・シャーク』!!」

 

現れたのは凌牙から受け取った鮫のような姿をしたドラゴンに似たモンスターエクシーズでその効果はとても強力なもので仲間の水属性モンスターエクシーズを呼び出せる。

 

「バハムート・シャークの効果!ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、水属性・ランク3以下のモンスターエクシーズをエクストラデッキから特殊召喚する!ゴッド・ソウル!!」

 

『グォオオオオオオッ!!』

 

バハムート・シャークがオーバーレイ・ユニットを一つ喰らい、咆哮を轟かせると目の前に大きな水の渦が現れる。

 

「現れよ、『牙鮫帝シャーク・カイゼル』!」

 

そして、水の渦の中から堂々とした風格を持つ巨大な鮫の皇帝が姿を現わすが、正規のエクシーズ召喚ではないのでシャーク・カイゼルにはオーバーレイ・ユニットが存在しない。

 

しかし、アストラルには更なる一手が握られていた。

 

「そして、このカードはランク3の水属性モンスターエクシーズを素材としてエクシーズ召喚することが出来る!私はシャーク・カイゼルをエクシーズ素材にし、フルアーマード・エクシーズ・チェンジ!」

 

それは希望皇ホープレイと同じく、モンスターエクシーズを素材として重ねてエクシーズ召喚できるモンスターエクシーズであり、シャーク・カイゼルがエクシーズ素材となり、新たなモンスターエクシーズを呼び出す。

 

「現れよ!『FA(フルアーマード)-ブラック・レイ・ランサー』!!」

 

それはシャークのエースモンスターである漆黒の槍を持つ海の戦士、『ブラック・レイ・ランサー』が仲間の力を得て新たな装備を身につけた姿である。

 

バハムート・シャークとFA-ブラック・レイ・ランサー、この2体だけでも十分戦えるのだがアストラルの目的は遊馬が戦えるようにお膳立てをすることである。

 

「行くぞ、遊馬!私はランク4のバハムート・シャークとブラック・レイ・ランサーでオーバーレイ!!」

 

バハムート・シャークとブラック・レイ・ランサーが光に吸い込まれ、強烈な光が爆発した。

 

二体のエクシーズモンスターを素材にして呼び出す特殊なエクシーズモンスター……それは遊馬だけが持つ無限の可能性を秘めたナンバーズである。

 

「現れろ、FNo.0!天馬、解き放たれ、縦横無尽に未来へ走る!これが我が『半身』の天地開闢!無限の未来!!かっとビングだ、遊馬!『未来皇ホープ』!!」


 

遥かなる次元の果てから美しい双翼を羽ばたかせ、未来を切り開く二振りの剣を携え、遊馬の化身とも言える未来皇ホープが召喚された。

 

『ホォープッ!!!』

 

未来皇ホープの登場にアレキサンダーは年相応の表情と目を輝かせた。

 

「凄い!これが君の本当の力……未来皇ホープなんだね!」

 

「よっしゃあ!流石はアストラル!来い!未来皇ホープ!」

 

遊馬はアレキサンダーから離れ、双剣を消してバク転をして大きく下がると同時に未来皇ホープが金色の光となる。

 

そして、光となった未来皇ホープはなんとそのまま遊馬に激突して一体化するのだった。

 

「遊馬君と未来皇ホープが一体化した!?」

 

マシュたちが驚くのも無理はなく、遊馬は未来皇ホープの中に入り、文字通り一体化した。

 

未来皇ホープの胸にある0の紋章が大きな皇の鍵へ変化し、遊馬の意思で動くことになる。

 

「更に私は装備魔法『月鏡の盾』を未来皇ホープに装備する!バトルする時、装備モンスターの攻守は相手の攻守の高い数値+100ポイントとなる!」

 

アストラルは大きな満月が映し出された鏡を呼び出し、未来皇ホープの中に取り込ませてアレキサンダーと戦えるようにする。

 

「サンキュー、アストラル!行くぜ、ネロ!マシュ!」

 

「うむ!行くぞ、ユウマよ!」

 

「はい!!」

 

遊馬とネロとマシュはアレキサンダーと戦闘を開始するが、アレキサンダーが操るブケファラスは雄叫びを上げ、雷撃を撒き散らしながら突撃してきた。

 

遊馬は未来皇ホープの翼を広げて空を翔けながらアレキサンダーに攻撃する。

 

「ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!」

 

「ふっ!やるね!!」

 

アレキサンダーはスパタで遊馬のホープ剣を受け止め、激しい剣戟をしていくとネロが別の方向から駆け抜けて原初の火を振り下ろす。

 

ネロの攻撃に気づいたブケファラスはその身から雷撃を撒き散らしてネロの攻撃を中断させた。

 

「くっ!?」

 

「行け、ブケファラス!!」

 

「ネロさん!させません!!」

 

ブケファラスの凄まじい走りを止めるためにマシュがネロの前に出て盾で受け止める。

 

「マ、マシュ!?」

 

「くっ!!?」

 

その恐るべき猛烈な突撃と雷撃にマシュは負けそうになる。

 

しかし、シールダーの名にかけて、自分に戦う力をくれた名を知らぬ英霊のために、大切な人達を守ると誓ったマシュは自分を奮い立てて強く叫ぶ。

 

「私は、負け、ません!!はぁあああああっ!!!」

 

ネロは魔力を解放して全身の力を込め、その想いに反応して十字の盾が強く輝きを放つ。

 

「はあっ!!!」

 

そして、盾で押し返して屈強なブケファラスのバランスを崩し、予想外の事態にアレキサンダーは驚いた。

 

「おおっ!?」

 

「今です!遊馬君!ネロさん!!」

 

「おうっ!」

 

「感謝するぞ、マシュ!!」

 

マシュが作ってくれたアレキサンダーの大きな隙に遊馬とネロは一気に攻め立てる。

 

遊馬は未来皇ホープの双剣を構えて刃を金色に輝かせ、ネロは原初の火に真紅のオーラを纏わせて振り上げる。

 

「ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!!」

 

「これで終わりだ!!!」

 

三つの刃が煌めき、同時にアレキサンダーに斬りつけた。

 

それが致命傷となり、アレキサンダーとブケファラスは消滅していく。

 

「もう一つ、言葉を残しておくよ。可愛い皇帝さん。その誇り高さ……咲き誇る花の如き輝きは尊いものだろう。けれど、きっと危険なものでもあるはずだ。どうか……」

 

それはアレキサンダーからネロへの忠告であった。

 

ネロの美しくも危険が宿っているその心を危険視していたのだ。

 

その言葉を残しながらアレキサンダーは静かに消滅した。

 

「余は、間違ってなどいない。何一つ……余は、ただ一人の……皇帝だ……」

 

「……ネロ、何が本当に正しいのかどうかは分からない。一つの選択でいい意味でも悪い意味でも未来は大きく変わるからさ。だけど、ネロがローマを守るために戦うのは決して間違いじゃないはずだ。ネロが戦ってくれたから、この世界の未来は守られているんだ」

 

「ユウマ……ありがとう……」

 

アレキサンダーの問いに迷いが出ていたネロだったが遊馬の言葉に救われた。

 

ネロはローマ皇帝として戦い続けること……そして、連合軍の魔の手から守るために遊馬達と共に戦うと改めて誓うのだった。

 

一方、アレキサンダーとの戦いを見守ったアルトリアはエルメロイII世にどうするか尋ねた。

 

「さて、向こうの戦いが終わりましたが、ウェイバーはどうなさいますか?」

 

「好きにしろ。私では勝てぬ。たとえ貴様らを退けたとしてもまだ後ろに控えている大量のサーヴァントにやられるのがオチだ。元々私ははぐれサーヴァントで戦う意味もない……やるならさっさとやれ」

 

「では……捕虜として私たちについてきてください。ご心配なく、マスターはとても優しいお方ですから悪いようにはしません」

 

「ちっ……甘い奴か。子供なら当然か……」

 

エルメロイII世は一応遊馬たちの捕虜となり、一緒について行くことになった。

 

周囲の意見もあり、念の為にエルメロイII世と契約を交わしてフェイトナンバーズを誕生させて何かあった時に令呪で命令を下せるようにする。

 

その後砦はローマ軍が無事に占拠し、次こそはいよいよ連合軍の本部がある連合帝国首都に向かうことになった。

 

このままライダーが騎乗したスペリオル・ドーラで向かうのもありだが、何かもう一つ手が無いか考えていると遊馬は再びニヤリと笑みを浮かべた。

 

「遊馬……何を考えている?」

 

何か嫌な予感がしたアストラルは恐る恐る遊馬に尋ねる。

 

「いやー、俺はさ、今まで……というかこれからも特異点を巡る度に驚かされると思うんだよね。だから……敵をもっと驚かせてやるんだよ……」

 

(((いや、こっちも十分驚かされているのですが……)))

 

摩訶不思議なモンスターを召喚、サーヴァントも驚くような無茶な行動、中学生が実は世界を救った英雄、そしてトドメは精霊のアストラルと合体してサーヴァントに匹敵する存在に変身……マシュたちも今まで何度も遊馬とアストラルに驚かされたのか数え切れないほどだった。

 

遊馬は考えたことを実行するためにデュエルディスクを構えてカードをドローする。

 

「行くぜ、俺のターン、ドロー!ふふふ……流石は俺たちのデッキ、ちゃんと思いに応えてくれるぜ。魔法カード『おろかな埋葬』。デッキからモンスターを墓地に送る。俺はデッキから『銀河眼の光子竜』を墓地に送る。装備魔法『銀河零式(ギャラクシー・ゼロ)』を発動。墓地のフォトン、またはギャラクシーモンスターを蘇生させてこのカードを装備する。蘇れ、銀河眼の光子竜!」

 

遊馬は不気味な笑みを浮かべて銀河眼の光子竜を呼び出した。

 

しかし、銀河眼の光子竜は銀河零式のデメリット効果で攻撃は出来なくなり、効果も発動出来ない。

 

「そして、『フォトン・サテライト』を召喚。フォトン・サテライトの効果、自分のフォトンモンスターを一体選択し、選択したモンスターとこのカードのレベルは合計したレベルとなる。フォトン・サテライトはレベル1、銀河眼の光子竜はレベル8、よって2体のレベルはそれぞれ9となる!」

 

小さな人工衛星が現れ、銀河眼の光子竜に光を当てて二体のレベルを合わせる。

 

「銀河眼の光子竜皇じゃない?遊馬、何を召喚する気……?」

 

レティシアは銀河眼の光子竜を出したのならば、銀河究極龍の銀河眼の光子竜皇を出すのかと思ったが、遊馬の目的は全くの別だった。

 

「行くぜ、アストラル!」

 

「やれやれ……分かった、君の好きにすればいい」

 

アストラルは遊馬の目的を察すると自身からカードを取り出すと遊馬に渡し、そのカードを掲げる。

 

「俺はレベル9となった銀河眼の光子竜とフォトン・サテライトでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

銀河眼の光子竜とフォトン・サテライトが光となって地面ではなく天に登っていき、光の爆発が起きる。

 

「星雲の王者にして機構の覇者よ、日輪を覆え!」

 

空に『09』の刻印が浮かび、遊馬は堂々とその名を叫んだ。

 

「現れよ、『No.9 天蓋星(てんがいせい)ダイソン・スフィア』!!」

 

マシュたちは新たなナンバーズに何が来るのかと期待するが、周りを見渡してもそれらしいモンスターがいなかった。

 

すると。

 

ゴォオオオオオオオ……!!!

 

まだ日が明るいうちなのに地上が暗くなり、不思議な轟音が鳴り響いて雷雲が出てきたのかとマシュ達が空を見上げると……そこには目を疑うものがあった。

 

「「「な、何あれ!!??」」」

 

「「「何だあれは!!??」」」

 

ネロを含むサーヴァントたちは空に現れた謎の物体に驚愕し、マシュは首を大きく傾げて呟いた。

 

「宇宙ステーション……?」

 

それはまるで空や太陽を覆い尽くすように巨大な建造物……花びらのような形をした宇宙ステーションのようなものだった。

 

以前マシュが興味本位で宇宙関連の本を読んだときに見た、まだ仮説の域である恒星のエネルギーを効率よく利用するための宇宙空間建造物……ようするにとんでもなく巨大な宇宙ステーション、『ダイソン球』を思い出した。

 

そして、その宇宙ステーションにはナンバーズの証である『09』の刻印がしっかりと刻まれており、それがナンバーズだとマシュたちは思い知らされた。

 

そのナンバーズの登場に遊馬は大きな笑い声を上げながら説明した。

 

「ふははは!これこそデュエルモンスターズ史上最大の大きさを誇るモンスター……星よりも大きい、超巨大宇宙衛星兵器!!ダイソン・スフィアだ!!!」

 

「「「大きすぎる!!??」」」

 

もはやこれがモンスターと呼んでいいのだろうかと思うほどの巨大過ぎる存在にマシュたちは頭を悩ませるのだった。

 

「よっしゃあ!地上のスペリオル・ドーラに天空のダイソン・スフィアで連合軍本部に乗り込むぜ!!」

 

「「「お、おー……」」」

 

ハイテンションな遊馬に引っ張られてマシュたちは再びスペリオル・ドーラに乗り込み、連合帝国首都へ向かう。

 

この時、マシュ達は遊馬は基本的に常識人だが下手に刺激させると他人の想像を超えるとんでも無いことをやらかすと悟ったのだった。

 

「な、なんだこの子供は……?これほどの大きな力を操るマスターなんて聞いたこともないぞ……それにあの精霊も……なんて危うい存在なんだ……」

 

エルメロイII世は遊馬とアストラルが聖杯戦争において余りにも異例すぎる存在であることに戦慄した。

 

子供の年相応の幼さに反し、戦いに堂々と向かう度胸、大切な何かを守る不屈の精神……世界を救ったと言っていたが、一体どれほどのものをその目に映して来たのだろうか。

 

エルメロイII世にとって最も大切な存在が真っ先に気に入りそうなその少年が進む道の行く末をこの目で見て見たくなり、サーヴァントになって悪くないなと思いながら煙草を咥える。

 

 

 

.




ウェイバー君ことエルメロイII世が捕虜となりました。
セイバーことアルトリアのぶっちゃけた姿にはそりゃあ驚くことでしょう。
滅んだ国を救いたい、過去を変えたい→シロウを嫁に!美味しいご飯を毎日モグモグ!
うん、これは酷い(笑)

そして……ラストには皆さんお待ちかねのデュエルモンスターズ最大のビッグモンスター、ダイソン・スフィア登場(爆)

ついやりたくなっちゃいました♪

天空のダイソン・スフィアに地上のスペリオル・ドーラが手を組めば二大巨大兵器、夢の最強の布陣です!

そろそろ第2章もクライマックスに入ります。

次回も大暴れします!!


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ナンバーズ28 人間の欲望の力、三大カオス・エクシーズ集結!

今回はお盆休みでじっくり書くことが出来ました。

いよいよレフとの決戦が始まります。

そして、遊馬に新たなチート技が使えるようになります。

それから、活動報告を見た方もいると思いますが、驚くことにこの小説を一時期内容をパクられて投稿されていました。

単なるコピペをした後に加筆したものでしたが、すぐに運営に通報して今は既に削除されています。

とあるユーザーさんから教えてもらいましたがまさか私ごときの小説をパクられるとは思いもよらず、複雑な気分でした。


スペリオル・ドーラのみならず超巨大衛星兵器、ダイソン・スフィアを召喚した遊馬達は連合帝国に向かった。

 

当然と言うか予想通りと言うか、連合帝国は大混乱に陥っていた。

 

この時代から遥か未来の巨大兵器に連合軍の兵士たちはまともに軍を動かせずにいた。

 

スペリオル・ドーラを連合帝国首都から約10キロほど離れた場所に停止させ、車両から上に登ったエミヤは遠くを見つめる。

 

「エミヤ、どうだ?見えるかー?」

 

エミヤはスキルの鷹の目でスペリオル・ドーラから連合帝国首都の城を見ている。

 

「何とかな。今城を覗いているがやはり中までは……あ」

 

「何か見つけたのか!?」

 

「城から男が慌てて出てきてる。間違いない……カルデアで見た写真と同じ、レフ・ライノールだ!!」

 

遊馬もD・ゲイザーの望遠鏡モードで城を見るとそこには深緑色のスーツと帽子をかぶった紳士風の男……カルデアの裏切り者、レフ・ライノールだった。

 

「ようやく見つけたぜ、レフ……」

 

遊馬はレフが行ってきた悪行を思い出し、沸沸と静かに怒りを燃やしていた。

 

そこにカルデアから連絡があり、通信してきたのは……。

 

『遊馬、レフを見つけたのね』

 

「所長……ああ、見つけたぜ」

 

それは誰よりもレフを信頼して好意を寄せていたが、一度無残に爆弾で殺されたが遊馬とアストラルのゼアルの力で肉体を取り戻して復活したオルガマリーだった。

 

『遊馬、判断はあなたに任せる。だけど彼は……あの男はカルデアを裏切り、多くの人たちの命を奪った。それだけは分かってるわね?』

 

「分かってるさ。あいつを完膚なきまでに倒して、みんなの前に突き出して懺悔させるさ」

 

『その意気よ……それから、どんな事を言われても冷静でね』

 

「サンキュー、所長。それから、戦いが終わったらまたサーヴァントを呼び出すからさ。祝勝会と歓迎会の準備を頼むぜ」

 

『はいはい、分かったわ。頑張ってね』

 

「ああ!」

 

カルデアとの通信を切り、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

そして、キリッと目を開いた遊馬たちはネロとマシュたちを見つめる。

 

「みんな、行くぜ。おそらくこれが長かった連合軍との最後の戦いだ。気合を入れて行くぞ!!」

 

「「「はいっ!」」」

 

「「「ええっ!」」」

 

「「「おうっ!」」」

 

遊馬たちは気合を入れ、連合軍との最後の戦いに挑む。

 

そして、事前に決めた作戦に従いそれぞれが行動に移す。

 

 

連合帝国首都の城にいた宮廷魔術師こと、カルデアの裏切り者……レフ・ライノールは予想外の事態に冷静さを失いつつあった。

 

「な、何なのだあれは!?カルデアやサーヴァントであんなものは……まさか、あの子供が出したというのか!?」

 

二体の巨大ナンバーズ、スペリオル・ドーラとダイソン・スフィアを遊馬が出現させた事に驚きを隠せなかった。

 

「ありえない……あんな子供が……何かの間違いだ。そうか、きっとあれは幻の類……」

 

あまりの状況に幻と信じたくなったのも束の間だった。

 

ドォン!!

 

「な、何だ!?」

 

ドガァアアアアアン!!!

 

爆音が響くと館に巨大な砲弾が直撃し、館が一気に半壊した。

 

それはスペリオル・ドーラに搭載している巨大砲の砲弾だった。

 

「ま、まさか、あの距離から撃ってきたのか!?」

 

ドォン!ドォン!!ドォン!!!

 

次々と巨大砲から砲弾が発射され、館だけでなく近くにいるレフを狙うように飛んできた。

 

「くっ、狙いは私か!?」

 

スペリオル・ドーラは自動狙撃でピンポイントでレフを狙っていた。

 

「おのれ、舐めた真似を!!」

 

レフは降り注ぐような砲弾の雨を魔術の障壁で防ごうとするが、今までの悪行を捌くかのような天空からの鉄槌が振り下ろされる。

 

ビュオオオオオオオオ……!

 

天から轟音が鳴り響き、レフは恐る恐る見上げた。

 

「ま、まさか……」

 

それはダイソン・スフィアの攻撃の予備動作であり、その機械のボディ全体に魔術師の持つ魔術回路のような無数の光が伸びる。

 

そして、中央の球体から無数の青白い光線が発射され、豪雨のようにレフに降り注いだ。

 

「ぐぉおおおおおおおっ!!??おのれぇええええええええっ!!!」

 

レフはこの世界の特異点……聖杯を取り出してスペリオル・ドーラとダイソン・スフィアの猛攻を防ぐための障壁を作り出す。

 

ただの砲弾と光線なら十分防げたかもしれないが、スペリオル・ドーラとダイソン・スフィアは世界を滅ぼすほどの力を秘めたナンバーズの一角、その攻撃は聖杯を使っているレフにすら大きな衝撃を与えている。

 

そこにゆっくりと歩きながら一団がレフに近づいた。

 

「どうだ、レフ?砲弾とレーザーの雨のお味は?」

 

それはレフにとって目障りな存在……遊馬たちだった。

 

「き、貴様らぁ……」

 

「連合軍の兵はここには来ないぜ。兵はスパルタクスと呂布が引きつけてくれている。お陰で侵入しやすかったぜ」

 

ダイソン・スフィアとスペリオル・ドーラがレフを攻撃している間にスパルタクスと呂布が城門近くで暴れて連合軍の兵を引きつけ、その隙に予め侵入経路を確保していた荊軻の案内で難なくここまで来たのだ。

 

城まで少し距離があったが、2体の大型モンスターに目が向いている隙にネロとサーヴァントたちを連れてかっとび遊馬号で一気に近づいたのだ。

 

「ようやく会えたな、レフ……」

 

「ふっ、ご丁寧にネロまで連れてきたか。都合がいい……ネロに絶望を与えるサーヴァントで消し去ってやる!!」

 

レフは聖杯を取り出して輝かせると、奥から一つの影が歩いてきた。

 

ゆっくりと歩みながら現れたのは煌びやかな装飾に身を包んだ赤い瞳が怪しく輝く巨躯の男性のサーヴァントだった。

 

その手には朱色の槍が握られており、恐らくランサークラスだった。

 

「勇ましき者よ。実に、勇ましい。それでこそ、当代のローマを統べる者である」

 

「なっ……!??」

 

その巨躯のサーヴァントはネロに向かって親しげに話しかけ、ネロは目を見開いて言葉を失っていた。

 

「お前がネロか。何と愛らしく、何と美しく、何と絢爛たることか。その細腕でローマを支えてみせたのも大いに頷ける。私はお前を愛しておるぞ」

 

「ま、ま、まさか……あなたは、始祖ロムルス!?」

 

「お、おい!始祖ロムルスって言えば、確かローマ帝国を作った王様じゃねえか!?」

 

ローマ帝国の父、ロムルス。

 

ネロの御先祖であり、ローマ建国の王である。

 

カエサルが言っていた『あの方』とはロムルスの事だったのだ。

 

ネロが……否、歴代ローマ皇帝が最も敬愛する存在であるロムルスが敵であることにショックを受けていた。

 

しかし、ネロは既に覚悟を決めており、心を奮い立たせながら原初の火を構える。

 

「例え、ローマ建国の王、始祖ロムルスが余の敵だろうと関係ない。余こそが、ローマ帝国第五代皇帝に他ならぬ!ローマを守るために、あなた様を倒す!!余の……大切な仲間と共に!!!」

 

ネロのローマ皇帝としての威風堂々とした様に続き、遊馬やマシュ達も戦闘態勢を取る。

 

「さあ、行け!ロムルス!奴らを……」

 

レフは聖杯を輝かせてロムルスに命令を下そうとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はローマだ。そして、彼らもローマだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロムルスは一瞬で振り返り、その手にある朱色の槍でレフを薙ぎ払った。

 

「ウゴァッ!?」

 

油断していたレフはまともにロムルスの一撃で薙ぎ払われ、城の残骸に激突した。

 

「「「えっ!!??」」」

 

「「「なっ!!??」」」

 

突然の事態に遊馬たちは目を疑った。

 

レフに召喚され、本来なら遊馬達の敵であるはずのロムルスがマスターであるレフを攻撃したのだ。

 

ロムルスは追撃でレフに近づいて攻撃しようとした。

 

「おのれ、やはり裏切ったか!!ならば消えろ!!!」

 

レフの右手から無数の触手が現れ、その触手の先端が刃物のように鋭くなり、一斉にロムルスの体を貫いた。

 

「うぐっ!?」

 

「始祖ロムルス!!?」

 

「やめろぉおおおおおっ!!!」

 

遊馬はホープ剣を呼び出して投げ飛ばし、ブーメランの要領で触手を切り裂いた。

 

倒れるロムルスを遊馬は受け止め、マシュは盾で警戒しながら前に出て、ネロは涙を浮かべながらロムルスに駆け寄る。

 

「始祖ロムルス、どうして……!?」

 

「我が愛しき子、ネロよ……最初はお前に立ち塞がる壁として戦うつもりだったが、その必要は無くなった……」

 

「えっ……?」

 

ロムルスはネロの涙をその逞しい指で拭い、優しく頭を撫でた。

 

「ネロ、お前は多くの友と共に試練を越えてきた……そして、見事私の想像を越えた立派なローマ皇帝となった」

 

ロムルスは最初からネロを立派なローマ皇帝として鍛えるためにわざと敵のふりをしていたのだ。

 

まるで娘の成長を促し、見守る父親のように……。

 

「行け、ネロ。お前の友と共にローマを救うのだ!忘れるな、ローマは永遠だ!」

 

「はいっ……!!」

 

「少年よ……ネロを頼む……」

 

「ああ、任せろ!」

 

遊馬はロムルスと強く手を握って約束を交わした。

 

遊馬はそのまま契約を交わしてロムルスを助けようとするが既に手遅れでロムルスは消滅してしまった。

 

ロムルスのフェイトナンバーズが辛うじて残り、遊馬はそれを静かに拾うとネロに渡した。

 

「始祖ロムルス……」

 

ネロはロムルスのフェイトナンバーズを抱きしめながら涙を流した。

 

「かっこいいじゃねえか、ネロのご先祖様……」

 

ロムルスの想いを受け取った遊馬はネロを立ち上がらせてサーヴァントたちに指示を出す。

 

「マシュ、みんな。ネロを頼む。あいつは……俺が倒す」

 

遊馬はダイソン・スフィアとスペリオル・ドーラを戻して一度リセットし、全てのカードをデッキとエクストラデッキに戻す。

 

そして、デュエルディスクの機能でデッキを自動でシャッフルし、新たにデッキトップから5枚を手札にする。

 

「レフ、お前は俺たちの力で倒す!」

 

「今度は腕一本では済まないと思え!」

 

遊馬とアストラルはキリッと視線を鋭くし、デュエルディスクを構えてデュエリストとしての戦闘態勢を取る。

 

レフは立ち上がり、スーツに着いた砂埃を手で払う。

 

「ちっ……やはり所詮はサーヴァント。使えぬ存在だな」

 

「人の心はそう簡単に曲げられねぇんだよ」

 

「言うじゃないか、小僧……そう言えばフランスでは大活躍だったみたいじゃないか。まったく、おかげで私は大目玉さ!」

 

「大目玉……つまり、貴様の背後にいる黒幕に怒られたと言うことだな?」

 

アストラルはレフの話から背後に黒幕が存在することを確かめた。

 

「そうさ。本来ならとっくに神殿に帰還していると言うのにら子供の使いさえできないのかと追い返された!結果、こんな時代で後始末だ。聖杯を相応しい愚者に与え、その顛末を見物にする愉しみも台無しだよ」

 

「そう言うことか。その時代に関係する人物に聖杯を与えれば時代が勝手に狂うと言うわけか……フランスではジルが滅亡を望んでいた。しかし……」

 

「ロムルスは違っていたみたいだな。だからてめえが介入するしかなかったんだな」

 

「ほざけカス共。人間なんぞ初めから期待していない。君もだよ、九十九遊馬君。凡百のサーヴァントを掻き集めた程度で、このレフ・ライノールを阻めるとでも?」

 

「……スペリオル・ドーラとダイソン・スフィアの攻撃に追い詰められて焦っていたのはどこのどいつだっけ?カッコ悪かったぜ、さっきのてめえの姿。このD・ゲイザーで録画してあるから後でカルデアで見直すぜ」

 

遊馬らしからぬ口の悪い発言にアストラルは脳裏に結構普段から口が悪い凌牙とカイトを思い出した。

 

しかし、遊馬が口の悪い発言をしたのは大切な仲間であるマシュ達サーヴァントのみんなを馬鹿にしたことを許せなかったからである。

 

オルガマリーに冷静で言われたが流石の遊馬も堪忍袋の尾は既に引き千切られていた。

 

頭は冷静だったが、その心は静かな怒りの炎で燃えていた。

 

「黙れ!今さっきのは油断していただけだ!貴様もいつまでこんな無駄なことを続けるつもりだ?」

 

「どう言う意味だよ?」

 

「お前達は思い違いをしている。聖杯を回収し、特異点を修復し、人類を、人理を守るぅ?バカめ、貴様達は既にどうにもならない。抵抗しても何の意味もない。終末は確定している。貴様たちは無意味、無能!」

 

「馬鹿なのはてめえだ、レフ」

 

レフの言葉に遊馬は真っ向から否定する。

 

「何だと?」

 

「未来は無限の可能性があるんだ。例えてめえらが未来を消し去っても、絶望の中には必ず、一筋の希望の光がある。その希望を掴み、未来を守る為に俺たちはここにいる!」

 

遊馬はどれほどレフに未来を否定されようが絶対に諦めない。

 

この程度の絶望は既に経験しているからである。

 

そして、絶望から希望を掴む為のすべを遊馬は誰よりも知っている。

 

「俺が一人だったら未来を守れないかもしれない。だけど、俺は一人じゃない!相棒、友、仲間……大切な人たちがいる!この絆がある限り、俺たちは決して負けない!それを証明してやるぜ!!」

 

「ならば、哀れにも消えゆく貴様たちに!今!私が!我らが王の寵愛を見せてやろう!!」

 

そして、レフが光に包まれるとそこに現れたのは信じられないものだった。

 

もはや人ではない、無数の不気味な目が集まり、巨大な肉の柱のような形をした出来たモンスターだった。

 

レフの正体が不気味なモンスターという衝撃的な真実にマシュ達は目を疑った。

 

D・ゲイザーで見ていたカルデアでもこれは衝撃的過ぎで急いでデータを取って情報収集をしていた。

 

「改めて、自己紹介をしよう。私はレフ・ライノール・フラウロス。七十二柱の魔神が一柱!魔神フラウロス!これが、王の寵愛そのもの!」

 

レフの真名、フラウロスにアストラルは耳を疑って顎に手を添える。

 

「フラウロス……七十二柱……まさか、彼の言う王とは……」

 

アストラルが持つ知識を総動員させて仮説を立てていくが、まだあまりにも敵側の知識が足りない。

 

一旦考えるのを止めてレフに視線を向ける。

 

「アストラルの言ってた通りだな……本物のモンスター、化け物だったわけだな!」

 

「……これほど醜いモンスターとは。まるで貴様の心をそのまま表しているな、レフ!!」

 

「敵が人間じゃなくてモンスターなら、容赦は一切いらないな!!」

 

レフが人間ではなく本物の悪魔だと知り、遊馬とアストラルは一切の迷いなく倒すことができる。

 

するとレフは自分の体の一部を切り落とすと、聖杯の影響か肉片が分裂して無数に増える人型のゴーレムみたいなモンスターを大量に作り出してネロに向かって襲わせる。

 

「みんな、ネロを守れ!!」

 

「私と遊馬でレフを倒す!!」

 

「遊馬君、頑張ってください!」

 

「ユウマ、頼むぞ!」

 

「おう!任せろ!!」

 

マシュとネロの声援を受け、遊馬はガッツポーズを見せてレフと対峙する。

 

マシュ達サーヴァントはネロを守るためにそれぞれのクラスに適した陣形を取ってゴーレムと戦闘を開始した。

 

遊馬がレフと戦う前にアストラルはどうしても言っておきたいことがあった。

 

「レフよ、始めに言っておく。人間は確かに愚かな存在かもしれない……だが、貴様は見落としている。人間には無限の可能性を秘めているということを!!」

 

「アストラル……」

 

「そして、人間の持つ欲望の力……『カオス』は私たちの想像を超える力を秘めている!」

 

カオス、それは生命の持つ欲望の力。

 

生きる力であり、生きとし生けるもの全てに必要なものであるが同時に破滅を招く力になりうるものである。

 

遊馬とアストラルはヌメロン・コードを賭けた戦いの中でカオスは決して悪いものではない、生きるために必要な力だと学んだ。

 

「遊馬、あの男に見せてやれ!そのデッキに眠る、君と仲間たちのカオスの力を!君たちが自分の意思で歩いてきた欲望と言う名の強い心の力を!!」

 

「おう!!行くぜ、俺のターン!!」

 

遊馬がシャッフルし直したデッキのトップに右手が触れようとしたその時、遊馬の右手が真紅に輝いた。

 

「これは……!?」

 

「この紅い光……感じるぜ、みんなの熱い想いが!」

 

それは人間の生きるための欲望の力……カオスの力。

 

かつて遊馬とアストラルの敵として対峙した七人の皇、バリアン七皇の強大なカオスの力である。

 

「行くぜ!ナッシュ!メラグ!ドルベ!ベクター!アリト!ギラグ!ミザエル!バリアン七皇の力をあいつに見せてやろうぜ!!!」

 

遊馬の左右に七人……否、七人の人を超えた存在の幻影が現れた。

 

それはかつてバリアン世界を守護するためにドン・サウザンドが選び、呪いをかけた七人の皇である。

 

そして、ドローをする遊馬と七つの幻影が重なり、声を揃えて叫んだ。

 

「バリアンズ・カオス・ドロー!!!」

 

それはバリアン七皇のリーダー、ナッシュが他の七皇に与えた力。

 

バリアンの強大な力を秘めたカードやその他のデッキのカードをデッキトップに置く事ができ、シャイニング・ドローと対を成す力である。

 

「来たぜ、みんな!俺はドローしたこのカード、『RUM(ランクアップマジック) - 七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)』を発動!!」

 

「ランクアップ、マジック!?」

 

それは北斗七星を模した七つの星にバリアンの紋章が描かれた魔法カードで遊馬が今まで使った魔法カードとは異なる力を持っている。

 

ランクアップマジックとはモンスターエクシーズをランクアップさせ、更なる力を持つ上級のモンスターエクシーズを特殊召喚する特別な魔法カードである。

 

「このカードは通常ドローをした時に発動する事が出来る!エクストラデッキ、または墓地から『オーバーハンドレッド・ナンバーズ』を特殊召喚して、そのモンスターをカオス化させる!」

 

「はぁ!?ノーコストで正規召喚をすっ飛ばしてモンスターエクシーズを召喚ですって!!?」

 

絶賛デュエルモンスターズを勉強中のレティシアは七皇の剣の驚異的な能力に驚愕していた。

 

本来ならモンスターエクシーズは指定のレベルや種族のモンスターを素材にしてエクシーズ召喚を行うが、七皇の剣はそれを無視して一気にバリアン七皇の強力な切札である『オーバーハンドレッド・カオスナンバーズ』を特殊召喚できる。

 

「行くぜ、シャーク!現れろ、No.101!」

 

空中に水色の『101』の刻印が浮かび、フィールドが一時的に海となってそこから巨大な何かが浮上する。

 

「満たされぬ魂を乗せた方舟よ、光届かぬ深淵より浮上せよ!『S・H・Ark Knight(サイレント・オナーズ・アーク・ナイト)』!!」

 

現れたのは白を基調とした巨大な戦艦の姿をしたモンスター。

 

それはバリアン世界を守るため、そしてバリアン世界に行き着いた魂を宿す巨大な箱舟である。

 

そして、S・H・Ark Knightの中心部に封印されている漆黒の守護者が目を覚ます。

 

「そして、S・H・Ark Knightでオーバーレイ・ネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!!」

 

S・H・Ark Knightが光となって地面に吸い込まれ、真の力を解き放つ。

 

「現れろ、CNo.101!」

 

異次元にてS・H・Ark Knightの中心部に眠る漆黒の守護者の封印が解かれ、戦場へ赴くために発射され、遊馬の前に召喚される。

 

「満たされぬ魂の守護者よ、暗黒の騎士となって光を砕け!!『S・H・Dark Knight(サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト)』!!!」

 

漆黒の装甲に身を包み、混沌の深淵をその身に宿し、仇なす敵を滅ぼす三俣の槍を操る槍術士である。

 

「おいおい、まじかよ……これはスカサハ並みの強ぇオーラを持ってるじゃねえか……!!」

 

同じ槍兵であるS・H・Dark Knightを目の当たりにしたクー・フーリンはその身から沸き起こる強者のオーラに師であるスカサハを連想させる。

 

「な、何だそれは!?その身から溢れる魔力は何だ!?」

 

レフはS・H・Dark Knightから溢れるカオスの力に本能的に恐れた。

 

「このモンスターはな、一つの世界を背負って戦った俺の仲間の真のエースモンスターだ!」

 

オーバーハンドレッド・ナンバーズ。

 

それは本来アストラルの記憶で1から100までしかないナンバーズを越えた101から107の7つの数字を持つドン・サウザンドが作り上げたバリアン七皇を操る呪いのナンバーズ。

 

しかし、人間として転生して新たな生を受けたバリアン七皇が遊馬の為に新たに作り上げた正しき力を持つオーバーハンドレッド・ナンバーズである。

 

「カードを1枚セットして、S・H・Dark Knightの効果!1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターをこのモンスターのカオス・オーバーレイ・ユニットにする!ダーク・ソウル・ローバー!!」

 

S・H・Dark Knightは槍をレフに向けて光線を放つと悪魔の肉体の一部を取り込み、赤い菱形の結晶体であるカオス・オーバーレイ・ユニットへと変化した。

 

「ば、馬鹿な!?私の体の一部を消し去っただと!?」

 

「ちっ!取り込めたのは体の一部だけかよ!」

 

「全て取り込めればよかったのだが、そう簡単に行かないようだ。だが、レフの力の一部を奪えたことには変わりない。行け、遊馬!」

 

「おう!S・H・Dark Knightで攻撃!!ダーク・ナイト・スピア!!!」

 

S・H・Dark Knightは槍を振り回し、見事な槍投げをしてレフの体に突き刺さり、爆発が起きる。

 

投げた槍はS・H・Dark Knightの手元に戻り、レフは激怒しながら触手を伸ばす。

 

「よくも……!やってくれたなぁっ!消えろぉっ!!」

 

触手がS・H・Dark Knightの体を貫き、爆発を起こして破壊された。

 

「ダーク・ナイトが!?」

 

「心配するな、マシュ!この瞬間、S・H・Dark Knightの効果発動!リターン・フロム・リンボ!!」

 

目の前の空間がヒビ割れ、中から破壊されたS・H・Dark Knightが現れて復活した。

 

「な、何だと!?」

 

「カオス・オーバーレイ・ユニットを持っているS・H・Dark Knightが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地にS・H・Ark Knightが存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚できる!更に、自分はこのカードの元々の攻撃力分のライフを回復する!」

 

S・H・Dark Knightが槍を掲げると癒しの光が遊馬に降り注ぎ、元々の攻撃力分のライフ……2800ポイントも回復する。

 

「朽ちる事を知らず、何度でも立ち上がる不死身の槍術士……それがS・H・Dark Knightだ!!!」

 

「流石はシャークの真のエースモンスター。敵にすると恐ろしいが、味方だとこれほど頼もしいことはない!」

 

かつては敵として対峙していたS・H・Dark Knightだが、今は遊馬とアストラルと共に戦う仲間としてその力を振るう。

 

「やべぇ……不死身とか本当に師匠みたいじゃねえか」

 

クー・フーリンはS・H・Dark Knightが益々スカサハに似ていることに戦慄するのだった。

 

「俺のターン、ドロー!S・H・Dark Knightの効果!ダーク・ソウル・ローバー!!」

 

「ぐぉおおおっ!?」

 

S・H・Dark Knightは再びレフの体の一部を吸収してカオス・オーバーレイ・ユニットに変換する。

 

「まだまだ行くぜ!魔法カード『フォトン・サンクチュアリ』を発動!フィールドにフォトントークン2体を生成し、リリースして『フォトン・カイザー』をアドバンス召喚!フォトン・カイザーの効果でデッキからもう1体のフォトン・カイザーを特殊召喚!」

 

2体のフォトントークンをリリースして召喚されたのは剣と盾を持つ騎士の姿をしたモンスターで、その効果で同名モンスターをもう一体呼び出す。

 

「更に魔法カード『銀河遠征』でデッキから『銀河眼の光子竜』を守備表示で特殊召喚!これで条件は整った。レティシア!」

 

「な、何!?」

 

突然呼ばれてビクッと震えたレティシアに遊馬はニッと笑みを浮かべた。

 

「今から見せてやるよ、銀河眼の光子竜のもう一つの進化形態を!!」

 

「え!?本当に!?」

 

レティシアは銀河眼の光子竜皇以外の銀河眼の光子竜のもう一つの進化形態が見られると聞いて戦いの最中だということを忘れて目を輝かせてしまう。

 

遊馬がそのカードを持った瞬間、先ほどの右手と同じ真紅に輝くカオスの光が体を覆うように纏った。

 

「行くぜ!俺はレベル8の銀河眼の光子竜とフォトン・カイザー2体でオーバーレイ!!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

銀河眼の光子竜とフォトン・カイザーが光となって天に昇り、大きな光の爆発を放つと、遊馬の手に藍色の大きな槍の形をした物が現れる。

 

「カイト、ハルト、行くぜ!逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりて、その姿を現すがいい!」

 

遊馬はその槍をクー・フーリンを思い出しながら天に向けて投げ飛ばす。

 

天に投げ飛ばされた槍は超新星の如き巨大な光の爆発を生む。

 

「降臨せよ、強き絆で結ばれし兄弟の魂!」

 

それはモンスターエクシーズキラーである銀河眼の光子竜の力を更に高めたカイトの切り札。

 

「『超銀河眼の(ネオ・ギャラクシーアイズ・)光子龍(フォトン・ドラゴン)』!!!」

 

『ギュオアアアアアアアアッ!!!』

 

それは銀河眼の光子竜よりも一回り大きく、その体は今の遊馬と同じく真紅に輝き、藍色の装甲に身を包み、両肩には第二と第三の顔がある三つ首の龍が降臨した。

 

超銀河眼の光子龍は兄のカイトと弟のハルト、二人の互いを強く想いやる兄弟の絆で誕生した奇跡のモンスターである。

 

「綺麗……」

 

レティシアは銀河眼の光子竜皇とはまた違う、美しさと勇ましさを持つ超銀河眼の光子龍に目を奪われてしまった。

 

「超銀河眼の光子龍の効果!フォトン・ハウリング!!」

 

『グォオオオオオン!!!』

 

超銀河眼の光子龍の三つの首から咆哮が轟き、S・H・Dark Knightが少し項垂れてしまい、更にそれはレフにも影響を与える。

 

「うがぁっ!?な、何だ!?私の、悪魔の力が、消える!?」

 

悪魔となったレフはその強大な力が消えてしまった。

 

それは超銀河眼の光子龍の持つ強力な効果に秘密がある。

 

「超銀河眼の光子龍は『銀河眼の光子竜』を素材にしてエクシーズ召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の表側表示で存在する効果を全て無効にする!!」

 

銀河眼の光子竜を使った正規のエクシーズ召喚をすることで表側カードの効果を無効にする。

 

本来ならオーバーレイ・ユニットを使って相手フィールドのモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットを全て墓地送り、その数×500ポイント攻撃力が上昇し、更にその数だけ攻撃できるのだがそれは使えない。

 

しかし、レフの効果を無効にしただけでも十分である。

 

「レフ!てめえがどんな悪魔か知らねえけど、その力が消えたら弱体化するよな!」

 

「おのれ、よくもぉおおおおおっ!!」

 

「行け、遊馬!」

 

「おうっ!超銀河眼の光子龍の攻撃!!アルティメット・フォトン・ストリーム!!!」

 

超銀河眼の光子龍の三つ首の口に真紅の光を溜め、一気に解き放ち、悪しき力を破壊する竜の咆哮を轟かせた。

 

三つの竜の咆哮はレフの体を一気に破壊した。

 

「ぐぁああああああっ!!?」

 

「続け、S・H・Dark Knight!ダーク・ナイト・スピア!!」

 

S・H・Dark Knightは槍を投げてレフの体を貫き、爆発させて手元に戻る。

 

「おのれ、ならばせめてその槍兵だけでも破壊してやる!」

 

実は超銀河眼の光子龍の効果でS・H・Dark Knightの効果が無効になっており、今のうちに破壊しようとレフは光線を放つが遊馬は既に最初から対策をしていた。

 

「罠発動!『亜空間物質転送装置』!自分フィールドのモンスターをエンドフェイズまで除外する!S・H・Dark Knightを亜空間に転送する!」

 

S・H・Dark Knightが光線に貫かれる直前に亜空間に転送し、レフの攻撃を回避した。

 

「くっ!?」

 

「超銀河眼の光子龍には攻撃出来ないよな、今のてめえじゃ返り討ちにあうからな!エンドフェイズ時にS・H・Dark Knightが亜空間から帰還!亜空間に転送されて戻ったことでその効果は復活したぜ!」

 

超銀河眼の光子龍の効果で無効になっていたS・H・Dark Knightは再びその効果を使用することができる。

 

「俺のターン、ドロー!っ!?こいつは……」

 

遊馬はドローしたそのカードに目を見開いた。

 

「彼のカードか……この布陣なら適しているな」

 

「ああ……行くぜ!魔法カード、『エクシーズ・ギフト』を発動!モンスターエクシーズが2体以上いる時、オーバーレイ・ユニットを2つ取り除いてデッキから2枚ドローする。俺は超銀河眼の光子龍のオーバーレイ・ユニットを取り除いて2枚ドロー!!」

 

超銀河眼の光子龍の3つあるオーバーレイ・ユニットを2つ取り除き、デッキから2枚ドローしてそこから一気にエースモンスターを呼び出す。

 

「『ゴゴゴゴーレム』を召喚!更に手札から『カゲトカゲ』を特殊召喚!俺はレベル4のゴゴゴゴーレムとカゲトカゲでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!!」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

遊馬とアストラルのエースモンスター、希望皇ホープがエクシーズ召喚され、二人の前に降臨する。

 

そして遊馬は願いを込めるようにドローしたカードを額に持っていき、そのカードを掲げて発動する。

 

「行くぜ、真月!俺は『RUM - リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動!!」

 

「2枚目のランクアップマジック!?」

 

それは最初に使用した七皇の剣に描かれたバリアンの紋章の周囲に装飾がされている魔法カードで遊馬が使用出来るように本来の力を制限されたバリアンのRUMである。

 

「このカードは自分フィールド上のランク4のモンスターエクシーズを1体選択して発動!選択したモンスターよりランクが1つ高い『CNo.』を選択したモンスターの上に重ねて、エクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する!俺はランク4の希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築!!カオス・エクシーズ・チェンジ!!!」

 

希望皇ホープが赤い光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「現れよ、CNo.39!」

 

空中に赤黒い『39』の刻印が浮かび、周囲の空間が薄暗くなる。

 

「混沌を統べる赤き覇王!悠久の戒め解き放ち、赫焉となりて闇を打ち払え!!」

 

地面から現れたのはホープレイの時とはまた違うシャープした形の漆黒の剣を模したものだった。

 

そこから人型へと変形し今までのホープとはまるで異なる姿と力を有した破壊の戦士が現れる。

 

「降臨せよ!『希望皇ホープレイV』!!」

 

漆黒の鎧に真紅のラインが体中に伝い、3つのカオス・オーバーレイ・ユニットを携えた闇の希望皇が降臨した。

 

それは同じCNo.39である希望皇ホープレイとは異なり、光の力ではなく純粋な闇の力を持つ存在だった。

 

「希望皇ホープが……なんて禍々しい……」

 

希望皇ホープを何度も間近で見ていたマシュは今の希望皇ホープはとても禍々しく見えていた。

 

何故遊馬が敵であったバリアンの力を使えるのか?

 

それは遊馬が歩み、培ってきた長い戦いがそれを可能にしたのだ。

 

まず遊馬は人間であることから、欲望であるカオスの力を少なからず秘めている。

 

次に遊馬はかつてIIIとのデュエルで消滅したアストラルを救うために『紋章』と呼ばれるバリアン世界由来の力をその身に取り込み、激痛に蝕まれながらもそれに耐えて掌握する事ができた。

 

そして、友……真月から譲り受けた眠るバリアンの力を制限させたランクアップマジックとサポートモンスター……それを見事に使いこなせた遊馬にはバリアンの力を使うための耐性が出来ているのだ。

 

「希望皇ホープレイVの効果!カオス・オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスターを破壊してその攻撃力分のダメージを与える!Vブレードシュート!!」

 

カオス・オーバーレイ・ユニットを1つ取り込んだ希望皇ホープレイVはシャープに変化した双剣のホープ剣を柄同士で接続させ、投げ飛ばすと回転しながら飛び、レフの体に直撃すると大爆発を起こす。

 

「続け、S・H・Dark Knight!ダーク・ソウル・ローバー!!」

 

無効になっていたが亜空間に飛んだことでその効果が復活したS・H・Dark Knightはレフの体の一部を取り込んで新たなカオス・オーバーレイ・ユニットを作り出す。

 

爆撃と吸収の連続攻撃で大打撃を受けたレフは既に肉体の半分近くが失われ、肉片が飛び散って大量の血が流れていた。

 

「馬鹿な、私が……この私が何故……!?」

 

レフは何故自分がここまで追い込まれているのか理解できなかった。

 

その答えを知っているアストラルは堂々と説明した。

 

「見たかレフ。ここには三人のカオスの力を集結させたモンスターエクシーズが揃っている!」

 

「三人の、カオスだと……!?」

 

希望皇ホープレイV、S・H・Dark Knight、超銀河眼の光子龍はそれぞれの所有者たちのカオスの力が込められている。

 

「一人目は歪められた自分の運命を呪いながらも皇として世界の為、愛する民の為、共に戦う仲間の為、儚き光を掴もうと戦い続けてきた『冀望(きぼう)』!」

 

S・H・Dark Knightの前にシャークこと神代凌牙……バリアン世界を守護するバリアン七皇のリーダー、ナッシュの幻影が現れる。

 

「二人目は愛する者を救う為に己の全てを捧げ、例え世界の全てを敵に回しても、自分がどれだけ傷ついても、愛する者を必ず救おうと戦い続けてきた儚き『願い』!」

 

超銀河眼の光子龍の前に紅い光を纏う天城カイトの幻影が現れる。

 

「三人目……それは多くの人の冀望と願い、そして想いを背負い、どんなに辛く険しい道でもその全てを救い、守る為に自分の信じるたった一つの道を歩き続け、それを見事に成し遂げた揺るぎなき『信念』!」

 

そして、遊馬が静かに歩いて希望皇ホープレイVの前に立つ。

 

遊馬、ナッシュ、カイト……三勇士が持つ欲望……カオスの力が勢揃いした。

 

ナッシュとカイトの幻影が静かに消えると遊馬はレフを指差して叫んだ。

 

「レフ……てめえは人間を舐めすぎだ。ここにいる三体のモンスターは俺とシャークとカイト、三人のそれぞれの強い欲望の力……カオスが秘められているんだ!人間を見下しているてめえなんかに負けたりしない!!」

 

冀望、願い、信念。

 

純粋でありながらも大きな欲望。

 

欲望が大きな力となって悪魔となったレフをも遥かに凌駕する。

 

(何故だ!?何故こんな子供とあの精霊がこれほどまでに強大な力を!?これではまるで、王と並び立っているではないか!?)

 

レフは遊馬とアストラルが持つ強大な力に戦慄した。

 

「俺たちのカオスの力で、てめえをぶっ飛ばす!!レフ、カルデアのみんなへの懺悔の用意は出来ているか!!」

 

『ホォオオオオープッ!!』

 

『ウォオオオオオオッ!!』

 

『ギュオアアアアアッ!!』

 

遊馬の強い思いに応え、希望皇ホープレイVとS・H・Dark Knightと超銀河眼の光子龍が咆哮を轟かせる。

 

遊馬とレフ、因縁の対決が遂に終幕を迎える。

 

 

 

.




ホープレイV、S・H・Dark Knight、超銀河眼の光子龍、バリアン世界の力が集結しました。
バリアンズカオスドローも出来る遊馬の進化が止まりませんね。
まあこれはナッシュ達、バリアン七皇の力添えもありますが、
そして次回はレフ終了のお知らせです。
この布陣に勝てるわけないですなぁ。

今後執筆予定の話を一覧でまとめました。
☆第二特異点
★ぐだぐだ本能寺
☆第三特異点
★Zero
☆第四特異点
★空の境界
★監獄塔
☆第五特異点
★プリズマイリヤ
★サマーメモリー
★羅生門
★鬼ヶ島
☆第六特異点
★セイバーウォーズ
☆第七特異点

こんな感じで書こうと思います。
先が長すぎる……(^_^;)


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ナンバーズ29 二つの予想外な英霊召喚

早めに書けたので投稿します。

ようやく第2章も終わりが近づいてきました。

多分次回で第2章が終わると思います。

そしたらぐだぐだ本能寺を早速執筆します。


遊馬と凌牙とカイト……三勇士のカオス・エクシーズを呼び出した遊馬はレフとの決着に臨んだ。

 

「行くぜ!カードを二枚伏せ、希望皇ホープレイVで攻撃!ホープ剣・Vの字斬り!」

 

希望皇ホープレイVは双剣を構えて飛翔し、急降下しながら『V』を描くように双剣を振い、レフを切り裂く。

 

「続け、S・H・Dark Knight!超銀河眼の光子龍!!」

 

「ダーク・ナイト・スピア!アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

 

黒槍の槍投げと三首龍の咆哮がレフの体を更に破壊した。

 

肉体の九割近くを失い、もはや虫の息だったがレフはまだ諦めていなかった。

 

「まだだ、まだ私には聖杯の力がある!!聖杯よ、私に力ぉおおおおおっ!!」

 

レフが持っていた聖杯は今悪魔となった体内に隠されており、最後の手段として願望器である聖杯の力を使う。

 

聖杯の力で失った肉体を再生され、その力を何倍にも上昇させた。

 

「聖杯の力で強化したのか!?」

 

「遊馬、来るぞ!」

 

「消えろぉおおおおおおおおっ!!」

 

レフは全身から触手と光線を放ち、三体を破壊……もしくは吸収するために聖杯の力を使った最も強力な攻撃を放つ。

 

三体のモンスター……否、遊馬とアストラルだけはここでなんとしてでも倒す、ここで倒さなければ後々面倒なことになる……レフはその気持ちで攻撃を放った。

 

しかし、遊馬とアストラルのデュエルは強力なモンスターで攻撃するだけが取り柄ではない、徹底した防御策も設置済みであった。

 

「永続罠カード、発動!『ナンバーズ・ウォール』!!更にチェーンして超銀河眼の光子龍を対象に永続罠カード『安全地帯』!!」

 

空中に『39』と『101』の刻印が浮かび上がり、更に眩い閃光が放たれた。

 

触手と光線が希望皇ホープレイVとS・H・Dark Knightと超銀河眼の光子龍に直撃するが三体とも破壊されなかった。

 

「破壊できない……!?何故だ、何故だぁああああっ!!??」

 

レフは三体のモンスターを破壊できなかった事に目の前の現実を疑った。

 

その理由は今発動した二枚の罠カードに大きな秘密がある。

 

「ナンバーズ・ウォールは自分フィールド上に『No.』と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、『No.』と名のついたモンスターは効果では破壊されず、更に『No.』と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない!」

 

「これにより、ナンバーズであるホープレイVとS・H・Dark Knightは破壊されない!」

 

元々ナンバーズはアストラルの記憶の欠片であり、その亜種でもあるオーバーハンドレッド・ナンバーズは全て遊馬とアストラルの元にある。

 

つまり、ナンバーズ・ウォールが発動している限りフィールドに召喚されたナンバーズはかつてレティシアがリバイス・ドラゴンを洗脳して奪った時のように攻撃しない限り、ほぼ無敵の存在になったということだ。

 

「更に、超銀河眼の光子龍を対象にして発動した安全地帯。これは選択したモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない!!」

 

超銀河眼の光子龍はその罠カードの名前の通り、敵の攻撃を受けない場所にいるかのように守られている。

 

「つまり、これで私たちのフィールドの三体のモンスターは貴様に破壊されることはない!」

 

ただし、攻撃力が超過されていたのでその分のダメージを遊馬は受けたが、S・H・Dark Knightの復活効果でライフが回復していたので大した問題ではない。

 

尽くレフの出していく手を潰していき、確実に追い詰めていく。

 

「何故だ、何故私がこんな小僧に!?何故人間如きに私が追い詰められているんだ!!?」

 

目の前で起きている信じ難い現実にレフの表情はわからないが、人間の姿だったら明らかに動揺した表情を浮かべていると簡単に予測できるほどだった。

 

そんなレフに遊馬は静かに語りかけた。

 

「……レフ、お前は今まで何も思わなかったのか?」

 

「何をだ!?」

 

遊馬はずっと考えていた。

 

特異点『F』で最後に会った時からずっとレフが何を思ってカルデアにいたのかを。

 

最初から悪魔としてカルデアを裏切るつもりだったにしてもいくつか腑に落ちない点が多かった。

 

「少なくともお前はカルデアで長く過ごして、色々な人間と触れ合ってきたはずだ。カルデアの重要な装置のシバを開発して、オルガマリー所長はあんたを信頼していたし、ロマン先生は事件が起こる前には親しそうにお前の事を話していた。それに……」

 

遊馬はチラッとすぐ近くで遊馬とネロを守るために必死に盾を振るうマシュに視線を向けた。

 

「お前はマシュに親身になって魔術指導をしていたらしいじゃないか。それなのに、お前は本当に人間に対して何も思わなかったのか……?」

 

レフがカルデアにいた時、マシュに魔術指導をしていた。

 

それこそオルガマリーが嫉妬するくらい親身になって教えていた。

 

その事から口ではレフは敵だと言っていたマシュだが、心の底からは憎み切れてはいなかった。

 

遊馬の言葉に逆撫でされたのか、悪魔の姿となってしまったためにその表情は全く分からないがレフは苛立つように声を荒げた。

 

「黙れ……黙れ黙れ黙れぇっ!私はレフ・ライノール・フラウロス!!七十二柱の魔神が一柱、魔神フラウロスだ!!人間の命をゴミ屑同然だ!人類の未来はもう終わっているんだ!!!」

 

レフは遊馬に本音を言う事なく悪魔だと言い張り、人類の未来を否定した。

 

遊馬はこれ以上何を言ってもレフは何も語らないと悟り、デッキに指を添える。

 

「終わってねえよ。俺たちがいる限り、人類の未来は必ず取り戻す。俺のターン、ドロー!!」

 

そのドローはレフとの因縁を終わらせるカードとなり、遊馬は勝利の方程式が導き出す答えを出す。

 

「来たぜ、アストラル……勝利の方程式は全て揃ったぜ!!」

 

「遊馬、このターンで決めるんだ!」

 

「おうっ!レフ、悪魔のお前を地獄の業火で焼き尽くしてやる!俺は『Vサラマンダー』を召喚!」

 

遊馬のフィールドに四つの首を持つ炎のモンスターが姿を現わす。

 

それは真月から遊馬に託されたモンスターで希望皇ホープレイVに強力な力を与える。

 

「Vサラマンダーは希望皇ホープレイVに装備できる!サラマンダー・クロス!!」

 

Vサラマンダーは赤い炎となって希望皇ホープレイVの双翼と合体した。

 

Vサラマンダーの四つの首が大きな銃口となり、希望皇ホープレイVが背中に巨大な銃器を背負った姿となった。

 

「Vサラマンダーを装備したホープレイVは1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、ホープレイVの効果を無効にする代わりに相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、その数×1000ポイントダメージを相手に与える!!」

 

「な、何だと!??」

 

ホープレイVはオーバーレイ・ユニットを一つ取り込むとVサラマンダーの持つ地獄の炎の力が燃え上がり、そのまま四つの銃口に地獄の炎が宿る。

 

あの炎はまずい、そう思ったレフだがもう既に遅かった。

 

「レフ、これで終わりだ。悪しき力の全てを焼き尽くせ……Vサラマンダー・インフェルノ!!!」

 

四つの銃口から地獄の炎が解き放たれ、火炎放射となってレフの体を焼き尽くす。

 

「グギャアアアアアアッ!??」

 

「これで終わりだ……三体でトドメだ!!」

 

希望皇ホープレイV、S・H・Dark Knight、超銀河眼の光子龍は同時に攻撃し、地獄の炎で焼かれて苦しんでいるレフにトドメを刺した。

 

レフの体から光が漏れ出して爆発を起こした。

 

爆発と煙が止むと、そこにいたのはスーツがボロボロだがまだ生きているレフがフラフラになりながら立っていた。

 

「あれだけの攻撃