バンドリ!〜輝く星と白い球〜 (VOSE)
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設定集、その他の注意事項など

どうも、VVVFです。
この回はバンドリ!〜輝く星と白い球〜のオリジナル設定集と、読む際における注意事項などです
この作品では1話通りに時系列が進んでいないところがありますので、設定集と共にこれを見て本編をわかってもらえればありがたいです。


※注意事項

ここではストーリーの時系列等について書かれておりますので、読む際にはこれを参考に見ておいてください。

〜時系列〜

1章1話〜13話

1章14話〜18話・野球編2話〜(同時並行)

1章19話

野球編1話・?話〜

1章20話・21話

世界大会編1話〜

1章22話・2章1話〜

 

Roselia編・Afterglow編・番外編に関しては、この時系列に沿わない形で進めておりますので、感想などにて『これはいつの話ですか?』などの質問はご遠慮いただきますよう、よろしくお願いします。

 

※設定集

〜江戸川橋高校〜

 

〜流星世代〜

 

秋山流星

この話の主人公。5月24日生まれ。

黒髪のショートヘアーで、野球をやっているわりにガッチリとした体格ではなく、すらりとした体型。

性格は真面目で常識人。だけど、ふざけることもしばしば。

小学校から野球をやってきて、その頃からキャッチャー一筋で頑張ってきた。そのおかげか、人の特徴や性格、内面にある心の中を読むことができる。

また、『俊足スピードスター』と呼ばれるほど足が速く、盗塁成功率もかなり高い。

また、小学生の頃、流星がある時バンドやってみたいと、仲の良かった4人、川端尚之、天野良太、赤星裕二、三上海斗を誘ってバンド『LINE DRIVE』を結成。最初はライブハウスの人に頼み込んで、バンドライブの合間の時間を使ってライブを行うなどをしていたが、小学生ながら卓越したギター技術と歌の上手さが相まって、瞬く間に人気のバンドになった。

流星自身、ギターはその時以外は全くの素人だったが、独学で勉強していった。

『LINE DRIVE』自体は2年間活動したが、小学校卒業の時に流星以外の4人が転勤の為に、ライブハウス『SPACE』でのライブを最後に解散した。

その後は香澄達と出会うまでは野球一筋で頑張っていった。

香澄達と会った後は野球の練習と同時並行で、ポピパのバックアップなどをするようになり、時に意見の違いで喧嘩もするが、仲はかなり良好である。

クリスマスの時にポピパとの関係を解消するべきではと悩み、それを香澄たちに打ち明けたが、香澄にずっといてほしいとせがまれて関係続行を決意した。

それと同時にポピパ全員から告白されて、それを了承したことでポピパ全員と恋人同士になる。

2年生になると、辻上からキャプテンの指名を受け、断る理由もないということでキャプテンに就任した。

野球の能力は本人の自覚はないものの、かなりずば抜けており、ホームランバッターではないものの、前述通り機動力を使った攻撃でチームを支えており、守備面では『キャッチャーはどんな投手、どんな球でも受け止めるのが務め』という父の教えのもと、捕逸をほとんどしたことがなく、献身的な守備で投手を支えている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:捕

フォーム:スタンダード

弾道:2

ミート:C 63

パワー:D 55

走力:B 70

肩力:B 79

守備力:A 81

捕球:A 83

特殊能力:球界の頭脳 司令塔 バズーカ ミラクルボイス 読心術 盗塁◯ アベレージヒッター 固め打ち ヘッドスライディング

 

川端尚之

流星の親友の1人。9月24日生まれ。

明るくムードメーカー的存在。

味覚は流星曰く、完全崩壊してるというほど、ストライクゾーンがかなり幅広い。(流星曰く、間違って食べた泥団子を美味しく食べたという逸話がある)

センターを守る強肩の持ち主で、力強いバッテイングが信条の選手。

持ち前の明るさで周りを明るくしてくれるだけでなく、ヒットを打つことでその後の選手が盛り上がっていくので、3年生がいた頃は1番を主に務めていた。

3年生引退後は4番に定着し、頭角をあらわす。

小学生の頃、流星とともに野球をする傍ら、『LINE DRIVE』でドラムを担当していたが、両親の転勤によって流星と別れた。

その後、転勤先の北海道でしばらく野球を続け、高校生になった今、両親への説得が功を奏して東京に再び戻ってきた。

戻って来た理由は様々だが、1番は慣れ親しんだ場所にもう一度戻りたいからだとか。

また、中学生の時に入っていたシニアチームの監督の助言により、パワーヒッターとして覚醒。シニアチームで4番を務めたことがある。

料理未経験者である真波の料理をおいしく食べたことで、真波とは昼食を共にする間柄になる。

〜野球能力〜

左投両打

ポジション:外(主にセンター)

フォーム:スタンダード

弾道:3

ミート:C 60

パワー:B 75

走力:C 60

肩力:A 89

守備力:C 62

捕球:D 56

特殊能力:精神的支柱 パワーヒッター 流し打ち 内野安打◯ 広角打法 アウトコース◯

 

坂口雄介

流星の友達の1人。3月6日生まれ。

Roselia編の主人公。

腰が低く、同級生か下級生で仲のいい人以外は丁寧口調。

野球は中学1年からという若干遅咲きの選手だが、センスはピカイチ。

ノビがあるストレートに、重い球が持ち味のピッチャーで、鋭く落ちるフォークと変化量があまりなくともバッターを手こずらせるスロースライダーも魅力の一つ。

ただ、抑えがかなり苦手らしく、抑えを頼まれたのは中学1年の頃の最初の試合だけだという。

また、チーム唯一のサウスポー投手でもある。

『CiRCLE』でRoseliaのライブを見て以来、友希那のファンになったが、友希那の歌のことで手助けをしたことでRoseliaの練習に参加することになった。

その後、雄介自身も音楽の勉強をして手伝っており、そのことから友希那のみならず、Roseliaのメンバー全員から重宝されている。

そのひたむきな姿が功を奏して、新学期が始まる前に友希那に告白してOKをもらい、恋人同士となる。

2年生では苦手である抑えを自ら志願してやるようになり、次第に克服しつつある。

また、新しくドロップカーブを取得し、良太のカーブを参考にしてドロップカーブを速度を変えることで2種取得した。その時遅いドロップカーブを『スロードロップ』と命名した。

さらに球速、コントロール、スタミナも上がっていき、チームの顔になりつつある。

〜野球能力〜

左投左打

ポジション:投

フォーム:スリークォーター

適正:先中抑(抑は2年次から)

球速:131km/h(1年次)→140km/h(2年次)

コントロール:E 48(1年次)→C 60(2年次)

スタミナ:D 50(1年次)→C 60 (2年次)

変化球:スロースライダー 2

フォーク 5

ドロップカーブ 4(2年次取得)

スロードロップ 5(2年次取得)

特殊能力:重い球 リリース○ 奪三振

特殊能力(2年次から):ノビ◎ 打たれ強さ◯ 対ピンチ◯

 

日下蓮二

流星のチームメイト。6月3日生まれ。

Pastel*Pallet編の主人公。

見た目も中身も真面目なサード。

堅実な守備で三塁を守り、打撃においても渋いバッティングを見せるいぶし銀。

走りにおいても普通であるため、流星達からは『ミスター・普通』と呼ばれている。

父はある新聞社で働いており、界隈では『鬼の編集長』と呼ばれ恐れられている。

蓮二もそんな父の背中を見ていたせいか、新聞や雑誌等の構成には厳しい目で見ており、パスパレの雑誌の編集会議ではその力をいかんなく発揮し、その場にいた編集者と千聖さんを驚かせた。

また、努力家である彩さんに通ずるものがあるからなのか、彩さんとよく一緒にいることがなにかと多いが、実は彩さんよりも検閲等でよく同行してる千聖さんと共にすることがほとんどである。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:三一二遊

フォーム:オープンスタンス

弾道:2

ミート:C 60

パワー:C 60

走力:C 60

肩力:C 60

守備力:C 65

捕球:D 58

特殊能力:いぶし銀 粘り打ち 流し打ち

 

阿山亮一

流星のチームメイト。12月31日生まれ。

Afterglow編の主人公。

かなりチャラい男みたいな感じだが、こう見えて成績上位に入る文武両道マン。

パンチのある打球と俊足でチャンスを作るリードオフマンで、尚之や後述する島川と同様にチームのムードメーカー的存在になる。

後述する同じ名前の杉浦の良き理解者である。

実は父が警察官の厳しい家庭の長男で、厳格な父の影響で花道や茶道などを常日頃にやっていて、チャラそうな格好にしたのは反抗の意を示しているのだが、未だに茶道などをやっていたりする。

夏休みにAfterglowと出会い、ひまりの宿題の面倒や、夜中の学校に付き合うなどで仲良くなり、特に蘭とは同じ家庭の境遇から意気投合した。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:外一

フォーム:クラウチング

弾道:2

ミート:C 69

パワー:E 40

走力:B 71

肩力:D 53

守備力:E 48

捕球:D 55

特殊能力:固め打ち 走塁○ 盗塁○ チャンスメーカー ムード○

 

山内一彦

流星のチームメイト。2月2日生まれ。

これといって特徴のない男子だが、マウンドに上がると気迫のある投球を見せる情熱派ピッチャー。

闘志溢れるピッチングで打者を打ち取るのを得意とする。

135キロの直球は打者に幻覚を見せるほど伸びていき、キレのあるスプリットで打者を詰まらせることができる。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:投

フォーム:オーバースロー

適正:先中抑

球速:135キロ

コントロール:D 52

スタミナ:C 61

変化球:カットボール 3

スプリット 6

シンカー 2

特殊能力:闘志 ノビ◎ キレ○ リリース○ 逃げ球

 

杉浦良一

流星のチームメイト。4月29日生まれ。

気の弱い少年で、友達でもおどおどとしている。

前述の阿山とは、名前が同じであることで仲良くなり、阿山から『すぎりょー』と呼ばれている。

打席に立ってもおどおどした様子は変わらないが、意外性のある打球を見せ、守備でも好プレーを連発するため、流星からは『隠れた主軸』なんて呼ばれている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:遊

フォーム:スタンダード

弾道:3

ミート:E 43

パワー:E 46

走力:D 50

肩力:E 43

守備力:C 69

捕球:E 40

特殊能力:意外性 守備職人 チャンス○

 

倉本真波

流星達のチームメイトでマネージャー。9月5日生まれ。

ハキハキとした女の子で、『LINE DRIVE』のファンの1人。

流星達のわがままをよく聞いてくれて、実行してくれる子だが、やってくれるのは出来る範囲以内で、度を越すわがままは流石にやらない。

料理は全くしないため、補食のおにぎりは塩がかなり多くて、流星達を泣かせたが、味覚音痴の尚之は美味しく食べてくれたため、尚之のために料理を作ることになる。

 

〜先輩世代〜

 

辻上康介

流星達の1つ上の先輩。9月18日生まれ。

後輩たちの面倒をよく見てくれる、頼れるキャプテン。

140キロという直球と100キロにも満たないスローカーブで打者を翻弄する、ドクターKの投手。

プロ注目の選手なのだが、唯一の弱点はスタミナのなさ。

先発投手で4回までパーフェクトピッチングなのにスタミナ切れで交代してしまうほど。(バッターのファウルがない状態でも)

お陰で勝ち星は未だゼロという、どこか頼りないキャプテンでもある。

実はもともと体が弱く、体力がないのもこれが原因。

持ち球であるスローカーブは、実は流星の幼馴染、天野良太に影響を受けて習得したもの。

スラーブ気味という特徴的なスローカーブだが、本人曰く、良太に及ばないとのこと。

後述する中谷ゆいと付き合っている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:投

フォーム:オーバースロー

適正:先中抑

球速:140km/h

コントロール:B 76

スタミナ:F 20

変化球:ツーシーム

スライダー 3

スローカーブ 6

Vスライダー 4

特殊能力:ドクターK 打たれ強さ○ 対ピンチ○ 球持ち○

 

須磨拓也

流星達の1つ上の先輩。6月3日生まれ。

オネエと化している先輩。学校外では『須磨麻里弥』として動いている。

学校でも『須磨麻里弥』として扱ってほしいため、先生達にも話しておいているのだが、たまに本名で呼んでしまうことがあるため、江戸川橋高校生徒は全員本名を知っているという謎現象(須磨曰く)が起こっている。

野球に関しては守備がかなり達者で、試合で何度かピッチャーのピンチを救ったことがある。この時思わず男の面が出てくるとか…

バットコントロールも上手く、難しい球を簡単に打てるが、 中軸を担っていることもあって、パワーヒッターみたいに豪快なスイングを振ることもある。その時はボールは高々と打ち上げてしまうため、他のメンバーからやめるように言われている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:遊二

フォーム:神主

弾道:3

ミート:A 80

パワー:E 48

走力:C 65

肩力:B 70

守備力:S 99

捕球:A 89

特殊能力:魔術師 アベレージヒッター 固め打ち 流し打ち バント○ 内野安打○ 走塁○

 

島川茂重(ありしげ)

流星達の1つ上の先輩。5月8日生まれ。

かなりのお調子者で、練習をサボることもしばしば。

それでもチームを盛り上げる力は群を抜いて1番。

守備職人で、ホームラン性の打球を幾度となく取ったファインプレー製造機。

また、満塁での勝負強さや肩の強さはチーム1である。

〜野球能力〜

左投左打

ポジション:外

フォーム:オープンスタンス

弾道:2

ミート:C 62

パワー:E 46

走力:C 69

肩力:A 89

守備力:A 85

捕球:B 79

特殊能力:守備職人 ムード○ 満塁男 レーザービーム

 

河内柳哉(りゅうや)

流星達の1つ上の先輩。10月10日生まれ。

坊主頭で昔ながらの野球少年みたいな感じ。

足が速く、盗塁成功率がチーム1番。

バントも上手く、お陰で内野安打やセーフティバントを決めることに繋げられている。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:遊二

フォーム:クラウチング

弾道:1

ミート:B 75

パワー:E 47

走力:S 98

肩力:D 58

守備力:D 56

捕球:E 46

特殊能力:走塁◎ 盗塁◎ バント職人 内野安打○

 

東俊彦

流星達の1つ上の先輩。8月17日生まれ。

チームの中でもオシャレ番長として君臨している、野球部のアイドル。

下位打線でも異彩を放って女子達を虜にしている。

野球の能力もそこそこ高く、オシャレ番長ながら泥でもスライディングキャッチを試みて成功させるほど、守備範囲が広い。

3年生の先輩からはいいアイドル選手になるとまで言われている。

〜野球能力〜

右投両打

ポジション:外

フォーム:スタンダード

弾道:2

ミート:D 56

パワー: D 50

走力:C 68

肩力:A 89

守備力:A 89

捕球:B 70

特殊能力:魔術師 レーザービーム 走塁○ 流し打ち

 

中谷ゆい

流星達の1つ上の先輩。11月3日生まれ。

真波が入るまでは部を1人でサポートしていた苦労人。

そのおかげで動くことが多いため、体のラインは抜群。

また、1人で部全員をサポートしていたため、3年生の先輩からも信頼が厚い。

容姿端麗で江戸川橋高校のみならず他校のファンが出来たり、1年最後の時に辻上から告白を受けて、それを快諾したことで、一時期学校内で「ゆいロス」なるものが発生するほど。

性格もとても優しく面倒見もいいが、前述のサポートのおかげでついてしまった怪力が玉に瑕である。

前述のように、同級生の辻上とは付き合っている。

 

山本健介

流星達の2つ上の先輩。8月15日生まれ。

かなりの自信家で高飛車なところがある、ガタイのいい選手。

自分がキャッチャーでリード力に優れていると思っているが、実際はファーストからのコンバートでキャッチャーをやらされたいわば『急造捕手』。

入った当時、キャッチャーがいなかったため、練習時に強い肩を見込んだ上島監督からのコンバート宣言で無理矢理キャッチャーにされた。

当初は断っていたが、自分しかいないという謎の期待感を感じてしまったため、高飛車な性格と相まって急造捕手ながら正捕手となった。

リード力はかなり劣るところがあるが、打線の中核としては機能しており、1年の頃からクリーンアップを任されている。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:捕一

フォーム:スタンダード

弾道:4

ミート:B 79

パワー:A 89

走力:D 54

肩力:B 75

守備力:E 44

捕球:E 42

特殊能力:チャンス◎ アーチスト プルヒッター 悪球打ち キャッチャー×

 

八木淳

流星達の2つ上の先輩。7月3日。

かなりガラの悪い男のように見えるが、人情のある男で、男子にも女子にも人気があり、ファンクラブが出来るほど。

プロも注目するチャンスでの強さを武器に得点を挙げるポイントゲッターで、3番を主に任せられている。

唯一の弱点は送球がよく乱れること。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:三

フォーム:オープンスタンス

ミート:B 79

パワー:C 65

走力:D 51

肩力:D 50

守備力:C 60

捕球:D 50

特殊能力:勝負師 プルヒッター 悪球打ち 逆境○ 送球×

 

桐生大樹

流星達の2つ上の先輩。11月6日生まれ。

どんなことにも満面の笑みで答える好青年。

その裏表ない性格で、山本でさえも慕う。

打撃に関しても一流で、広角に打ち分けるパワーヒッターである。

ただ、若干パワー不足のため、たまにフェンスを越えない時がある。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:一外

フォーム:振り子

弾道:3

ミート:C 63

パワー:C 61

走力:E 45

肩力:D 50

守備力:E 44

捕球:F 39

特殊能力:広角打法 パワーヒッター チャンス○

 

荻野裕也

流星達の2つ上の先輩。8月5日生まれ。

見た目が地味だが、俊足とパンチ力のある打撃でチームを引っ張るリードオフマン。

盗塁もよく決めるため、1番に抜擢される。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:外

弾道:2

ミート:C 65

パワー:C 60

走力:A 89

肩力:B 70

守備力:D 50

捕球:E 48

特殊能力:盗塁○ 走塁○ チャンスメーカー

 

~後輩世代~

 

木村匠

流星の1つ下の後輩。7月8日生まれ。

がっちりとした体格でにっかりと笑う明るい性格の熱血漢。

その様子はピッチングにも表れており、闘志あふれる投球が特徴である。

実はU-15世界大会にも選ばれている実力者。

鋭いスプリットにカミソリシュートともいわれている切れのいいシュート、さらには『スライサー』ともいわれているほどの高速スライダーで三振を量産する。

高校は深く考えておらず、適当に選んだのが江戸川橋高校だったという。

~野球能力~

右投右打

ポジション:投

フォーム:オーバースロー

適正:先中抑

球速:149キロ

コントロール:B 79

スタミナ:A 89

変化球:高速スライダー 5

     スプリット 5

シュート 5

特殊能力:闘志 奪三振 キレ◎

 

中村悠誠

流星の1つ下の後輩。7月4日生まれ。

外見も中身も普通のガリ勉男。

スポーツはそこまで得意ではないが、野球は小学生からやっていた。

小学生の頃に頭の良さを生かしてキャッチャーを志望したが、過酷なポジションであることを知らされて、一度は断念するも、他の子がやっているのを見て再びやりたいと決意し、リトルに所属してからは野球一筋で頑張ってきた。

もちろん、頭がとてもいいので、木下の勉強の先生代わりを買って出ている。

リードは卓越しているが、走攻に関しては期待されないほど弱い。

さらには肩もそこまで強くないので、絶賛筋トレ中であったりする。

〜野球能力〜

右打右投

ポジション:捕

弾道:1

ミート:F 25

パワー:G 19

走力:E 40

肩力:E 41

守備力:D 50

捕球:D 50

特殊能力:キャッチャー◎ 併殺 三振 走塁× 盗塁×

 

大島耕太

流星の1つ下の後輩。5月25日生まれ。

外見は至って普通だが、熱い心を持っている男。

学校に入った理由は流星の活躍を見て習いたいという気持ちからだが、キャッチャーとしての腕前は一流。

バッティングも良く、打てるキャッチャーとして期待しているが、送球が逸れやすい事と、捕逸が他より目立つ所から、守備力の強化が急務である。また、一時期外野としても活躍していたため、悠誠との併用では外野を守ることがある。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:捕外

弾道:3

ミート:C 60

パワー:C 65

走力:D 55

肩力:B 70

守備力:C 60

捕球:F 39

特殊能力:キャッチャー◯ アベレージヒッター 走塁◯ 送球×

 

大島朗

流星の1つ下の後輩。3月4日生まれ。

イカしている雰囲気を醸し出している男の子。(どんな感じかはご想像にお任せ)

元々は陸上部の短距離走で活躍していた異色の経歴を持つ男で、父が好きな野球を今になってやりたいと思い高校から参戦した。

陸上部の走りを武器に、走塁のスペシャリストとして活躍が期待され、すでに走りのスペシャリストとして君臨している河内柳哉の後釜として教えを受けている。

大島耕太とは苗字はおなじという理由で仲良くしている。

野球能力

右投右打

ポジション:外

弾道:1

ミート:E 40

パワー:F 24

走力:A 86

守備力:D 50

捕球:E 40

特殊能力:走塁◯

 

田島浩樹

流星の1つ下の後輩。9月8日生まれ。

シニアから野球をやっていた、遅咲きの野球一筋の男。

シニア時代は1番を務め、リードオフマンとして活躍。

その役目は高校でも役に立ち、世代交代後のチームの1番を務めてもらうことに期待している。

実は『Poppin'party』の大ファンで、流星とポピパ全員で付き合っていることを知ると驚きを隠せなかったが、流星を敵対することはなく、受け入れて応援している。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:二遊

弾道:3

ミート:B 70

パワー:C 69

走力:B 71

肩力:C 65

守備力:C 63

捕球:C 67

特殊能力:アベレージヒッター チャンスメーカー 盗塁◯ 守備職人

 

大竹道紀(みちのり)

流星の1つ下の後輩。8月10日生まれ。

ぽっちゃり目の体型に見合う、大振りのスイングでホームランを量産するスラッガー。

シニア時代からその破壊力を轟かせており、当てる技術もあるのでクリーンアップに抜擢される。

ちなみに足は体型に見合わないほど速く、チーム内では5番目の足の速さを持つ。

〜野球能力〜

左投左打

ポジション:一外

弾道:4

ミート:C 69

パワー:A 81

走力:B 70

肩力:D 50

守備力:D 51

捕球:E 45

特殊能力:パワーヒッター プルヒッター 三振

 

大竹幸長(ゆきなが)

流星の1つ下の後輩。8月10日生まれ。

前述の道紀の双子の弟。兄とは違って痩せており、野球に関しても道紀とは違ってアベレージヒッタータイプのプレイヤー。

チャンスにめっぽう強く、シニア時代の得点圏打率は9割を超える。

兄とは意見の相違があったりするが、仲がかなり良く、何も言わなくても考えていることが互いに分かる。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:三二遊

弾道:3

ミート:B 75

パワー:D 56

走力:B 71

肩力:C 69

守備力:C 65

捕球:D 59

特殊能力:勝負師 アベレージヒッター 走塁◯ 送球×

 

三嶋連斗

流星の1つ下の後輩。7月1日生まれ。

守備が光る、高校生ながらいぶし銀のプレイヤー。

極度の緊張症ではあるが、隠しながらプレーしている。

ただ、緊張が抜けずにエラーを起こすこともしばしば。

メンタルや守備を鍛えるために、同じポジションの須藤先輩に弟子入りしたが、オネエの須藤先輩に感化されかけている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:遊一二外

ミート:D 50

パワー:E 42

走力:C 63

肩力:C 67

守備力:A 80

捕球:E 43

特殊能力:守備職人 盗塁◯ エラー

 

佐々木本信(もとのぶ)

流星の1つ下の後輩。2月14日生まれ。

強肩の外野手として江戸川橋に入ったプレイヤー。

リトルとシニア合わせて20回の外野ゴロを成功させた逸話を持つ男だが、それ以外は普通レベルの外野手。

流星や悠誠、耕太までもが出払ってキャッチャーがいなくなった時、代理でキャッチャーも出ることがあり、その時のキャッチングから『磨けば光る石』と流星も唸らせたが、本人は外野手として出したいと願っており、チーム事情でキャッチャー不足はないと見ているので外野手1本で任せている。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:外捕

弾道:2

ミート:C 61

パワー:C 60

走力:C 62

肩力:S 91

守備力:C 61

捕球:C 61

特殊能力:レーザービーム キャッチャー◯

 

〜流星との関係者〜

 

天野良太

流星の幼馴染の1人。1月1日生まれ。

物事をいつも冷静に見ているクールな性格で、かつて流星達といたチームでは『参謀』と呼ばれていた。

ただ、一歩野球から離れてしまうと、人が変わったように明るくなる。

流星とはチームでバッテリーを組んでいた。

かなりのゲーマーで、腕前は全国トップクラスの実力を持つ。

ノーワインドアップから腕を高々と上げてサイドスローに持っていく、変則フォームの持ち主で、キレのある高速スライダー、『魔球』と呼ばれるスローカーブが特徴的。

実は、流星の先輩、辻上康介とは顔見知りで、彼を先発の軸から引きずり下ろした張本人。

辻上のスローカーブ習得に大きく貢献した。

『CiRCLE』でのライブの後、燐子とゲーム話で盛り上がり、以降通話しながらゲームをする仲になり、あこが手が空かないときは燐子と二人でゲームを進めているほど。

さらに新学期前には燐子さんとお付き合いすることになり、最初は仮が付いていたものの、次第に互いに本気で(ゲーム内で)デートをするくらいまで発展した。

〜野球能力〜

右投右打

ポジション:投

フォーム:サイドスロー

適正:先中抑

球速:138km/h

コントロール:C 60

スタミナ:C 63

変化球:高速スライダー 3

スローカーブ 7

チェンジアップ 2

特殊能力:ポーカーフェイス キレ○

 

赤星裕二

流星の幼馴染の1人。7月7日生まれ。

情熱家の熱血漢。思い立ったら即行動の元気印で、有り余っている力がありすぎて素振りを深夜2時までやることも…

主にセカンドを守っており、後述する三上海斗とは真反対な性格ながらも、華麗な二遊間を見せ、流星達が入っていたチームを全国優勝に導くことに貢献した。

走攻守すべて揃っており、流星達がいたチームでは4番を任せられていた。

特に走りに至っては、熱血漢とは思えないほどの綺麗な盗塁を何回も決めている。ただ、やはり熱血漢であるため、牽制アウトは流星達がいたチームでトップでもある。

〜野球能力〜

右投左打

ポジション:二三遊

フォーム:スタンダード

弾道:3

ミート:C 68

パワー:B 70

走力:B 70

肩力:C 65

守備力:B 73

捕球:D 54

特殊能力:盗塁◎ 走塁◎ パワーヒッター 守備職人 固め打ち ハイボールヒッター

 

三上海斗

流星の幼馴染の1人。8月28日生まれ。

理論派で赤星裕二とは真反対な性格。

頭の中にデータを入れてから試合に臨むデータマン。

データを超えるものはないと考えているが、裕二と共に守備につくとそうでもないと思ってしまうこともしばしば…

主にショートを守っており、裕二と共に綺麗かつ鉄壁の二遊間を組む。

元々インドアな為、能力は高くないが、裏付けされたデータを武器に無駄のない動きを見せる。

〜野球能力〜

右投右打

適正:遊ニ

フォーム:スタンダード

弾道:1

ミート:D 50

パワー:E 45

走力:D 52

肩力:C 65

守備力:A 80

捕球:C 65

特殊能力:守備職人 いぶし銀 流し打ち バント○

 

 




18/4/7追記 流星の能力の変更をいたしました。

5/7追記 複数の選手の紹介文等追加しました。

5/21追記 情報追加、及び修正しました

5/30追記 情報修正しました。

7/29追記 情報追加、及び修正しました。

19/2/22 情報追加、および修正しました。

9/11 情報追加しました


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第1期
プロローグ〜解散〜


どうも、VVVFです。
やはり、書いてしまいました…w
というわけで、最初のプロローグはバンドリのキャラは…出ませんw
まぁ、気ままに書いていくので、ごゆっくり見ていってくださいw


…僕らは舞台袖に何度来た事か…

 

…それなのに、いつもより緊張していた…

 

???「…なぁ…本当にいいのか?」

???「俺らがこんな事やってもさ…」

???「でも、オーナーからのオファーだぜ?」

???「いつも少しだけしか出ていない俺らがこんなに有名になったんだ…」

???「こんなにファンがいたとはな…」

 

…僕らは野球仲間同士でバンドを組み、他のバンドさんのライブの後くらいに、一種の乱入みたいな感じでライブをやっていた…

最初は乱入されたライブハウスの人からはあまりいい声が出なかったものの…僕らは努力し続けた…

野球でも頑張って、チームを地区大会優勝まで導き、僕等の絆は固くなった矢先の今日だった…

 

観客「ラインドライブ!ラインドライブ!」

 

…そんな観客の声が聞こえた…

自分らは楽しくやってきただけだったので、こうやってファンの人にバンド名を呼ばれる事は決してないだろうと思っていた…

だが、いざ蓋を開ければ、プロの世界でも僕等のファンと公言する人が多くいて驚きだった…

それ故に、何回もプロのバンドにならないかと来たのだが…僕らは自由にやりたいが為に、それを拒否し続け、今日までに至っている…

 

???「…今日で最後なんだ…俺らがこうして一緒にいるのは…」

???「あぁ…」

???「最後は…笑顔で終えようぜ!」

???「当たり前だ!」

???「んじゃ…行くぞ!」

全員「おぉー!」

 

…そして…僕らは…最後になるであろう…ライブに飛び込んだのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから4年後…

 

???「…流星!朝よ!」

???「…んぁ…もう…朝か…」

 

僕はふと目が覚めた…

 

???「あぁー…よく寝た…」

 

いつも朝が弱い僕は、重い体を起こして、野球道具がたくさん並んでいる自分の部屋からリビングへ行った。

と、朝が弱いと言いつつも、起きる時間はいつも早い…

 

流星「…おはよう…母ちゃん…」

流星母「おはよう、流星。ご飯出来てるから、先に食べてて」

流星「んー…」

流星母「そういえば、今日確か高校の入学式でしょ?」

流星「あぁ…」

 

僕はこの度、江戸川橋高校と呼ばれる高校に行く事になった。

江戸川橋高校は比較的新しい学校で、僕は偏差値的にそこが1番合っていたので、そこへ行く事にしたのだ。

僕はご飯を食べた後、学校へ行く準備をした。

そして玄関へ…

 

流星「…さてと…行くとしますか…」

流星母「いってらっしゃい」

流星「いってきまーす」

 

僕は玄関のドアを開けて、家を飛び出した…




いかがでしたでしょうか。
設定集は後々に出していきたいと思いますので、乞うご期待!
また、ラブライブの小説も並行してやって行くので、ラブライブの小説も含めた感想等、よろしくお願いします!
では、次回お会いしましょう!


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第1話〜キラキラを探す少女〜

どうも、VVVFです。
1週間程間が空いてしまい、申し訳ありませんでした!
自分自身、アニメなどを見ないと再現出来ない(と、いってもイメージでこんな話だろうという想像はついていますが…)のですが、旅に行っていたので、パソコン使ってアニメ見ながら、スマホで書く事が出来ませんでした!
なので、久々の小説更新!
バンドリ!の第1話となります!
では、本編どうぞ!


…僕の家から江戸川橋高校までは都電で行くことになった。

少々遠いのはネックだが、僕自身はこう見えて鉄道オタクなので全然平気だった。

また、僕自身は音楽が好きなのでリラックスして通学できる。

あ、まだ自己紹介がまだだった…

僕の名前は秋山流星、今日からピッカピカの高校1年生です。

小さい頃に野球をやっていて、今度の高校でも野球部に入ろうかなと思っている。

また、小学校の時に野球仲間とバンドをやっていた事があり、楽器も自由自在に操れる。

と、自己紹介はこんなものでいいだろう…

都電に乗った僕はスマホを取り出し、イヤホンをつけ、動画サイトから音楽の動画をしらみつぶしに探し、音楽を聴いていた時だった。

ふと隣を見ると、僕が動画探ししているのを見ていた女の子がいた。

焦げ茶色の猫のような髪で、紫色の目をしている、制服を着た女の子だった。

女の子は僕と目が合うと、手を振ってきた。

僕も思わず手を振ってしまった。

僕はふと、イヤホンを外した。

 

???「こんにちは!何してるの?」

流星「ん?俺か?俺は…音楽聞いてるだけなんだが…」

???「へぇ〜…あ、私、戸山香澄!よろしくね!」

流星「そこで名前言う!?制服が違うから、学校違うと思うけど!?」

香澄「あ、本当だ。あはは…」

流星「全く…まぁ、俺も名前言っとくか…秋山流星だ。よろしくな」

香澄「よろしくね!で、流星君はどこの高校に?」

流星「江戸川橋高校ってとこなんだ。香澄ちゃんは?」

香澄「花咲川女子学園という学校なんだ!花咲川女子学園は中等部と高等部があるんだけど、私は今日、高等部に入学するんだ!」

流星「花咲川女子学園か…うちの高校にめっちゃ近いじゃん」

香澄「そうなんだ!これからこの列車に乗るかもしれないし、学校の近くで会うかも!その時はよろしくね!」

流星「あぁ」

 

僕は不思議な子だなと思って、香澄ちゃんと友達になったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

入学式前…

僕は掲示された教室に行くと…懐かしい顔の奴が1人いた。

 

流星「…あれ?お前…尚之じゃねぇか?」

尚之「ん?…あ!流星じゃん!お前、ここなのかよ!」

流星「お前こそ!久々じゃねぇか!」

 

川端尚之(なおゆき)…僕の幼馴染で、野球仲間で、バンドも組んでいた男だ。中学の時に親の事情で引っ越してしまい、離れ離れになったのだが…

 

尚之「つーか、なんでお前ここに?」

流星「比較的新しい高校だから、入りやすいだろうと思って…」

尚之「あー、俺と同じやな…」

流星「マジか、あはは…」

 

僕と尚之は互いの再会を喜んだ後、長い入学式に出てヘトヘトになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

今日はたまたま部活がなかったので、せっかくだからと、近くの商店街を歩くことにした。

 

流星「…やっぱ良い街並みだな…」

 

と、ぶらぶらしていると…とあるパン屋で誰かと話している香澄ちゃんがいた。

 

流星「…あれ?」

 

僕はそのパン屋の中に入った。

 

???「あ!いらっしゃいませ!」

流星「こんにちはー」

香澄「あ!流星君!」

 

僕が中に入ると、香澄ちゃんと話していた子が声出しをし、それに反応した香澄ちゃんが振り向いて僕を見た途端に、大声で言った。

香澄ちゃんと話していた子は、淡い栗色のポニーテールで、青い目をしていた。

 

???「香澄…知り合い?」

香澄「うん!都電で知り合ったんだ!」

流星「秋山流星です。よろしく」

???「山吹沙綾です。よろしくお願いします」

香澄「もう、何2人とも固くなってるの!流星君も沙綾も高校1年生なんだから!」

流星「あ、そうなの?」

沙綾「そうなんだ。よろしくね、流星君」

流星「こちらこそ」

 

沙綾ちゃんの実家は『山吹ベーカリー』というパン屋を営んでいるらしく、香澄ちゃんがたまたまそこで沙綾ちゃんが店番しているのを見かけて来たらしい。

また、沙綾ちゃんも花咲川女子学園の生徒で、香澄ちゃんとは同じクラスで、入学式で友達認定したらしい。

その後、沙綾ちゃんから香澄ちゃんが部活を色々探している話を聞き、香澄ちゃんがキラキラしたものをやってみたいと言ったのを聞いて、僕は思わず吹いた。

 

香澄「ちょっと!なんで笑うの!?」

流星「悪りぃ悪りぃ…いや、いいなぁって思ってね…キラキラしたものか…」

沙綾「でも結局、何も見つからないんだよね…」

香澄「うん…」

沙綾「…見つかるといいね」

 

その後、山吹ベーカリーを出た僕らは、駅へと向かった。

 

流星「…香澄ちゃん、大丈夫?」

香澄「うん…」

流星「…キラキラしたものか…そうそう見つかることはないよ…」

香澄「だよね…」

流星「でも、それが見つかった時は、どれだけワクワクさせてくれるんだろうな…」

香澄「…」

流星「…手伝ってやるよ!キラキラしたもの探し!」

香澄「本当!?」

流星「あぁ!一緒に探そうぜ!」

香澄「うん!」

 

僕らがそう意気込んだその時、香澄ちゃんが何かを見つけた。

 

香澄「…ん?」

流星「?どうした?」

香澄「…これ…」

 

ふと、電柱の下に落ちていたものを拾い上げると…星の形をしたシールだった。

さっきの話で、香澄ちゃんは星の鼓動を聞き、それからキラキラしたものを探しているらしいので、これは運命か?と思ってしまった。

ふと、あたりを見ると…星のシールが道沿いに貼ってあり、僕らはそれを辿っていった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

シールを辿って歩いて行くと、『質屋流星堂』なる店に着いた。

 

香澄「流星堂…?」

流星「…質屋?」

 

すると香澄ちゃんはは、壁沿いにずらりと貼られている星のシールを見て、そのシールの貼られている道の先へ行ったのだ。

道は流星堂の中に続いていた。

 

流星「ちょ、香澄ちゃん!」

 

僕は香澄ちゃんの後を追っていった。

香澄ちゃんは道を歩いて行った先にある蔵を勝手に開けていた。

 

香澄「…ごめんくださーい…」

流星「バッ!…香澄ちゃん、今俺らいけなーい行為をしているようなんだけど…」

 

と、僕の言葉を聞いていないかのように、香澄ちゃんは何かに釘付けだった。

僕も、香澄ちゃんが見ている方を見ると…星がマークされているギターケースがあった。

 

流星「…ギター?なんでここに…」

 

と、その時だ。

 

???「…両手を上げろ!」

香澄「はいぃっ!?」

流星「うわっ!?」

 

後ろから声が聞こえ、香澄ちゃんは潔く手を大きく上げ、僕は両手を小さく上げた。

振り返ると、金髪のツインテールの女の子がいた。

 

???「簡単に見つかるとはとんだ素人だな!初犯!?」

流星「いや、何か勘違いしてね!?」

???「うるさい!お前ら、名前を言え!」

香澄「戸山香澄です!」

流星「秋山流星です!」

???「…それ、本名?偽名なら…止めるよ」

流星「いや、どこぞの暗殺者!?」

 

その後、てんやわんやで知れた事は、先ほど現れた子は香澄ちゃんと同じ、花咲川女子学園の生徒だったという事、そして、僕らが入った蔵はゴミ入れ用の場所だったのだ。

 

香澄「ねぇ…あれもゴミ?」

???「はぁ?」

香澄「ほら、あの星の…」

???「質流れかなんかのギターなんかでしょ?」

香澄「見ていい?」

???「はぁ?」

流星「香澄ちゃん…やめとけって…」

香澄「見たいー!」

 

香澄ちゃんがギターを見たいと騒ぎ出し、金髪の女の子の服を引っ張ったので、僕が止める騒ぎに…

結局、触らせてもらうことに成功した。

その代わり、触ったら出て行くという話になったが…

香澄ちゃんは、ギターケースを手に取り開けると…そこには、赤いボディに至るところに金色の星が付いているギターだった。

それを見た香澄ちゃんは、ギターを手に取り、そして、弦を鳴らした。

すると、香澄ちゃんはとびっきりの笑顔を見せ、

 

香澄「すごい!聞こえた!?」

 

と、大はしゃぎを見せていた。

 

???「…ちっさ…」

流星「右に同じ」

 

僕と金髪の女の子は呆れた様子で香澄ちゃんを見た。

それでも香澄ちゃんは子供っぽくギターを弾いた。

 

???「…はい、終わりー」

香澄「え、待って!もうちょっと!」

???「終わりって言ったろ!」

香澄「もうちょっとー!」

流星「全く…駄々っ子じゃねぇんだから…」

???「そんなに弾きたいなら、楽器屋さんとか、ライブハウスに行けよ!」

香澄「ライブハウス!?どこにあるの!?」

???「知らねえよ!」

流星「おーい、香澄ちゃーん」

香澄「わかった!探してくる!」

???「あ、おい!ちょっと!…あ!ドロボー!」

流星「…全く…忘れられてるな…これ…」

 

僕は肩の荷がまた重くなったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕と香澄ちゃん、金髪の女の子で、近くのライブハウスへ向かっていた。

と言っても、金髪の女の子が検索かけているのだが…

金髪の女の子が香澄ちゃんの服の袖を抑えていて、香澄ちゃんはギターを抱えていた。

香澄ちゃんがまた暴れないようにするためだ。

 

香澄「…どこ?」

???「うるさい、ググってるから」

香澄「え?」

???「私がいなかったら本当に泥棒だよ?わかってる?」

香澄「うん!」

流星「いや、わかってないな!?はぁ…」

???「はぁ…なんで私が…」

 

僕と金髪の女の子は呆れた顔でため息を吐いた。

そして、目的のライブハウスに着いた。

そこは…『LIVE HOUSE SPACE』…

 

流星「!?」

 

僕にとっては思い出のある場所だった。

入り口には行列が出来ており、僕らはそれに並んだ。

そして、チケット売り場に来た時に…

 

香澄「ギター弾きたいんですけど…」

 

と、チケット売り場の人に言ったのだ。

 

流星「おーい!ここじゃねぇよ!」

香澄「え?どういう事?」

流星「ライブハウスとはいえ、練習するスタジオがなければ意味ないって…」

???「その通りだよ」

受付「あ、オーナー」

 

僕の言葉に続いて言ってきたのは、白髪のオシャレなおばあさんだった。

オーナーは僕を見ると、少し微笑み、香澄ちゃんたちを見て話を続けた。

 

オーナー「ステージに上がれるのは、オーディションに合格した人だけだ」

香澄「そう…ですか…」

???「ほら、ダメだって。帰ろうよ」

オーナー「…見ていくかい?ライブ」

???「危ないって、頭なんか振ったり…」

流星「見るだけならいいだろ?」

???「はぁ!?お前、何言って…」

流星「俺はここを知ってるからな…だろ?オーナー」

オーナー「あぁ、そうだよ。高校生なら600円だよ」

 

そんなわけで、僕らはライブを見ることにした。

中は満員で、金髪の女の子はもちろん、僕も驚いていた。

 

流星「…最初のバンドは…『Glitter*Green』…最近話題になっているんだっけ…」

 

僕はあまり情報は知らないが、『Glitter*Green』やいくつかのバンドの名前は知っている。

僕はふと、香澄ちゃんを見ると、目を輝かせていた。

それを見た僕は…手助けしようと決意した。

 

 




どうでしたでしょうか?
今やっているラブライブと交互に出すつもりでしたが…今回はバンドリ!を先にやらせていきました。
次回はラブライブの方を書いていきたいと思います!
感想よろしくお願いします!
では次回、お会いしましょう!


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第2話〜ランダムスター〜

どうも、VVVFです。
ええっとまぁ…話す事ないので、本編どうぞ!


…バンドのライブを見た次の日…

僕と香澄ちゃんは流星堂に来ていた。

時刻はというと…朝6時30分くらいだ…

わざわざ都電に乗ってまで来たのだ。

 

流星「…なんで俺まで…」

香澄「まぁ、いいからいいから!」

流星「良かねえ!はぁ…」

 

僕はため息をつきながら香澄ちゃんの隣を歩いていた。

昨日のライブで、あの金髪の女の子が香澄ちゃんの学校、花咲川女子学園の生徒だった事がわかったのと、名前が市ヶ谷有咲だとわかった。

僕と香澄ちゃんは流星堂に着くと、そこの店主らしきおばあちゃんが出て来た。

 

???「あら、有咲の友達?」

香澄「はい!」

流星「いや、まだ友達なわけないだろ!」

???「そうなの?」

流星「あ、いや…友達です…それより、あなたは?」

???「私は市ヶ谷万実と言います」

香澄「おばあちゃんと呼んでいい!?」

流星「呼ぶか!」

万実「えぇ、いいですよ」

流星「いいんかい!」

 

その後、僕らはご飯を食べさせてもらった。

 

流星「…いいんですか?僕らにこんなもの用意してもらって…」

万実「えぇ、有咲の友達ですもの」

香澄「いっただっきまーす!」

万実「そういえば、あなた達の名前を聞いていませんでしたね」

香澄「戸山香澄と言いまーす!よろしくね、おばあちゃん!」

万実「よろしくね、戸山さん」

流星「あ、俺、秋山流星と申します」

万実「よろしくね。秋山さん。あ、そろそろ有咲を起こしに行かないと…」

香澄「あ、私が行きます!」

万実「それじゃあ、よろしくね」

 

と、香澄ちゃんが有咲ちゃんを起こしに行った時、絶叫が聞こえたのは言うまでもない…

その後、僕と香澄ちゃん、有咲ちゃんで歩いて登校する事に…

 

有咲「…つーか、なんでお前がいんの!?」

流星「悪りぃ…俺も連れてこられた…」

有咲「あー被害者側だな…」

流星「実際そうでもないがな…」

 

と、僕と香澄ちゃんと有咲ちゃんで歩いて行くと…急に有咲ちゃんが走って行ってしまった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の学校にて…

僕は尚之に香澄ちゃんの話をした。

バンドのライブを見た事で、バンドをやりたいという香澄ちゃんに僕が手助けをしたいと尚之に言ったところ…

 

尚之「おぉーマジか」

 

と、意外そうに驚いた。

 

流星「そんなに驚く事か?」

尚之「だって、もう3年も経つんだぜ?あの日からさ」

流星「まぁな。でも、まだ腕は鈍ってまいから大丈夫だと思うんだけど…」

尚之「不安だったら俺も手伝うぜ」

流星「お前大丈夫かよ?」

尚之「大丈夫、鈍ってねえから」

 

僕と尚之は互いに笑ってみせた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の放課後…

僕と香澄ちゃんでまた流星堂に来て、そこの蔵にあったギター…香澄ちゃん曰く、ランダムスターと呼ばれるギターをもらいたく、蔵の掃除をしている有咲ちゃんの手伝いをすることに…

 

有咲「全く…お前は飽きないな…」

香澄「だって、見てたら手伝いたくなったから…」

有咲「どうせ、ギター目的だと思うけど」

流星「右に同じ」

 

僕と有咲ちゃんは互いに顔を見てはぁとため息をついた。

 

有咲「…お前も大変な奴に付き合わされることになったな…」

流星「全くだけど…俺はこの先が見たくなってね…」

有咲「この先…?」

流星「…何でもねぇよ」

 

僕は荷物を運んでいる香澄ちゃんを見ていた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

僕と香澄ちゃん、有咲ちゃんで頑張って蔵を掃除し終えた。

そのおかげか、ランダムスターを見せてもらう事になった。

香澄ちゃんと有咲ちゃんは掃除中に何回も見たらしいが、僕は初めて会った時以外見ていなかった。

ちなみに、蔵の中はかなりピカピカになっていて、結構広く感じた。

 

香澄「見ていいの!?やったー!」

有咲「全く…世話の焼ける奴だぜ…」

流星「まぁ、それが香澄ちゃんのいいとこかもね…」

 

と、香澄ちゃんがギターケースの取手を持ったその時だ。

取手が外れ、ギターケースが真っ逆さまに落ちていった。

僕は体がすぐに反応したが間に合わず、ケースは地面に落ちて壊れ、ギターが勢いよく飛び出てしまった。

 

有咲「怪我は!?」

流星「香澄ちゃん!」

香澄「う…うわーん!どうしよう!ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

僕と有咲ちゃんは香澄ちゃんの怪我を心配したが、香澄ちゃんはランダムスターを落とした事に精一杯謝った。

 

流星「有咲ちゃん!この近くに楽器屋さんあるからそこへ行こう!」

有咲「わかった!香澄!」

香澄「う…う…」

 

香澄ちゃんはまだ落ち込んでいた。

僕はそれを見て、すっとそばに寄って声をかけた。

 

流星「…香澄ちゃん…まだ間に合うよ…」

香澄「…え?」

流星「今回壊れたのはギターケースだけで、ギター自体は多少傷ついているけど、楽器屋に行けば何とかなる。だから、そこで泣かず、今すぐにでも行こう」

香澄「…うん…ありがとう」

 

そして、僕と香澄ちゃん、有咲ちゃんで夕立の中近くの楽器屋さんへ行き、直してもらった。

 

有咲「全く…心配させんなって…」

香澄「えへへ…ごめんごめん…」

 

香澄ちゃんはもう立ち直ってた。

そして…

 

有咲「…ランダムスター…540円で売ってやる…300万円おまけだからな!」

香澄「いいの!?ありがとう!」

流星「でも金は取るんだな…」

有咲「うっせぇ!」

 

そして、蔵に戻ると、万実さんが中で立っていたのだ。

万実さんは、有咲ちゃんにとある鍵を渡すと、蔵の隅にあった地下室への入り口を開けたのだ。

 

流星「…蔵に…こんなとこあったのか…」

有咲「まぁな」

 

僕は心を開けてくれた有咲ちゃんに少し嬉しさを感じた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は尚之と電話をしていた。

 

尚之「…香澄ちゃんが大きいバンドになるって?」

流星「何となくな…」

 

僕は香澄ちゃんを中心としたバンドが成功すると睨んでいた。

 

尚之「根拠は?」

流星「…まぁ…オーラか?」

尚之「答えになってねぇよ…」

流星「…なぁ…尚之…」

尚之「ん?」

流星「…『LINE DRIVE』復活させね?」

尚之「…え?」

 

僕の言葉に、尚之は素っ頓狂な声を出したのだった。

 




どうでしたでしょうか?
是非、感想等あればお書きください。
次回はラブライブの方でお会いしましょう!


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第3話〜キラキラ星〜

どうも、VVVFです。
これとラブライブ!の小説含めてUA7000くらい…見てくださっているみなさん、本当にありがとうございます!
趣味程度で書いているのに、まさかこんなに読んでくださっているとは…感謝感激です!
ということで…無理やりですけど、本編どうぞ!w


…ある日の事…

僕と香澄ちゃん、有咲ちゃんで学校に登校していた時のこと…

 

流星「…香澄ちゃん…」

香澄「何?」

流星「…手に持っているもの何?」

香澄「…カバン」

有咲「じゃねぇよ!なんでギター持ってんの!?」

 

僕と香澄ちゃんと有咲ちゃんで歩いて登校していたはずなのだが…香澄ちゃんはギターを弾きながら歩いていた…

 

流星「はぁ…どんだけバンドやりてえんだよ…」

香澄「だって、キラキラしてドキドキして…」

有咲「それ関係ねぇだろ!」

 

僕と有咲ちゃんは互いに顔を見合った後、はぁとため息を吐いた。

香澄ちゃんたちの学校の校門に着いた時、案の定ギターを没収されたのだが…

 

生徒会長「放課後、生徒会室に来て」

香澄「あはぁ…」

流星「案の定…だな…」

有咲「全くだぜ…」

 

と、そこへ…

 

???「…香澄ちゃん!」

 

と、声がした。

ふと、声の方を見ると、黒髪の女の子がいた。

気のせいか、昨日の『Gritter*Green』に出ていた人の1人に似ていた。

 

香澄「りみりーん!」

 

香澄ちゃんはその女の子の方へと走っていった。

 

流星「…あの子は?」

有咲「牛込りみ…香澄と同じクラスの子…」

流星「へぇ…」

 

と、その時だ。

 

香澄「そうだ!練習、有咲の家でやろ!」

 

と、香澄ちゃんが誘って来たのだ。

 

有咲「勝手に呼ぶな!」

香澄「えぇー…」

流星「えぇじゃねぇだろ!つーか…なんか顔が暗いぜ?りみちゃん?」

りみ「え?なんで私の名前を?」

流星「有咲ちゃんに聞いた。てか、初めましてだよな…俺は秋山流星っつうんだ。よろしく」

りみ「う、牛込りみです…よろしくお願いします」

流星「それより…何か言いたかっただろ?」

りみ「え、あ、うん…香澄ちゃん、ごめんなさい!」

 

りみちゃんは香澄ちゃんに向かって、謝ったのだ。

 

りみ「私…バンド、出来ない」

香澄「え?」

 

りみちゃんはそう言った後、校舎の方へと走って行ってしまった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の昼…

僕と尚之は屋上で昼ごはんを食べていた。

 

尚之「…しかし、本当に『LINE DRIVE』復活させんの?」

流星「あぁ、ただ他の仲間がどうしているかはわからんけど…」

 

僕と尚之はかつて結成していたバンドの復活をするべく、作戦会議をしていた。

僕らのバンド『LINE DRIVE』は、5人で結成していたのだが、僕と尚之以外のメンバーはわからなかった。

というか、僕自身夏休み等の帰省時に旅や合宿で都外によく行ってたのであまり関わってなかったのだ。

 

尚之「俺は夏休みに帰って来ていたけど…みんなとはよう会ってたぜ?」

流星「マジか…」

 

僕は思わず後悔した…

 

尚之「まぁ、お前は鉄道好きなんだから、旅行ってても大丈夫だろと仲間内で話してたがな、ははは…」

流星「でも、一言ぐらいかけてくれれば俺だって空けたぜ!?」

尚之「それはお前の性格を重視したからだ」

流星「全く…」

尚之「それで…他の奴らに聞いたぜ。みんなオーケーだってさ」

流星「マジで!?」

尚之「あぁ、夏休み中ならいつでも帰って来れるからその時にやろうだってさ」

流星「よかった…」

 

その後、時間が迫っていた僕らは急いで飯を口の中に入れたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

僕と尚之は野球談義をするべく一緒に登校していた。

そこへ…

 

香澄「…あ!流星くん!」

 

と、香澄ちゃんと有咲ちゃんが来た。

 

流星「ん?あ、香澄ちゃん、有咲ちゃん」

有咲「おはよー」

尚之「ん?この子達が流星の言ってた子達か?」

流星「あぁ、そうだよ」

香澄「ええっと…そこにいる人は…」

尚之「川端尚之だ。流星とは幼馴染で、同じ学校だ」

香澄「そうなんですか!私、戸山香澄といいます!」

有咲「市ヶ谷有咲と言います。よろしく」

尚之「よろしくな」

 

その後僕と尚之、香澄ちゃん、有咲ちゃんで商店街に来た。

『やまぶきベーカリー』の前に来た所で…

 

香澄「確保ー!ばっちこーい!」

 

と、香澄ちゃんが叫んだ。

香澄ちゃんが見ている先には、りみちゃんが立っていた。

 

流星「つーか、なんでばっちこいなんだ!?逆だろ!」

尚之「…」

 

僕はすかさず突っ込み、尚之はそれをポカンと眺めていた。

香澄ちゃんはりみちゃんに抱きつくと、手に持っていた箱を落とした。

それを有咲ちゃんが拾い上げ、りみちゃんに手渡すと同時に

 

有咲「はい、作戦終了」

 

と、一言言った。

そして、有咲ちゃんが一言。

 

有咲「帰る」

尚之「いや、学校あるだろ!?」

 

尚之がすかさず突っ込んだ。

香澄ちゃんが今日の作戦を実行した理由は、りみちゃんがバンド出来ない理由を聞きたかったからだ。

なので、香澄ちゃんはすかさず…

 

香澄「ごめん…やっぱりちゃんと聞きたくって…」

 

香澄ちゃんはバンドに無理やり加入させてしまった事についても謝り、りみちゃんがバンド出来ない理由を聞いた。

しかし…

 

りみ「…ごめんなさい…私…」

 

りみちゃんはそう言って涙を流した。

香澄ちゃんはすかさず謝りに入ったが…そこは僕が止めた。

 

流星「…香澄ちゃん…」

香澄「流星くん…」

 

僕は静かに首を横に振った。

これ以上の詮索をしてもダメだとわかったからだ。

その後、りみちゃんは謝りながら学校へと走って行ってしまった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夕方…

僕は1人で歩いて帰っていたところ、香澄ちゃんとりみちゃんが外国人と一緒にいたのを見かけた。

 

流星「…何してんだ?」

りみ「あ、流星くん…」

香澄「流星くん!ちょっといいかな…」

 

どうやらりみちゃんに道を教えて欲しいと頼まれたらしく、そこへ香澄ちゃんがわけのわからない英語で返したという。

僕は香澄ちゃんに呆れた後、外国人夫婦に英語で道を教え、事なきを得た。

そして、僕と香澄ちゃん、りみちゃんで近くの公園で話す事にした。

 

りみ「…流星くん、ありがとー…」

流星「いいってもんよ」

香澄「ほんと、流星くん、英語ペラペラだねー」

流星「香澄ちゃんの下手な英語よりかはマシだろ」

香澄「あはは…」

りみ「いいなぁ…ふたりとも…私なんて、さっきの香澄ちゃんや流星くんみたいに、急に対応できないし…かっこ悪いなって…」

香澄「りみりんは可愛いよ!」

流星「いや、それは違うよ…香澄ちゃん…」

 

そして、りみちゃんは心の内で思った事を話した。

 

りみ「…すごいね、香澄ちゃん…自己紹介の時も、バンドの時も一生懸命で…楽しそうで…」

香澄「…」

流星「…」

りみ「…香澄ちゃんがバンドに誘ってくれて…嬉しかった…ステージに上がるの怖くて…みんなに見られると頭が真っ白になって…」

流星「…なるほど…極度のあがり症だな」

りみ「うん…それに…お姉ちゃんみたいに上手くないし…」

流星「…お姉ちゃん?」

香澄「りみりんのお姉さん、『グリグリ』のギターとボーカルやってるんだ!」

流星「あー…だから…」

 

そして、りみちゃんは間違えたら迷惑かけたりするのが嫌だと言った。

 

香澄「…そっか…」

流星「…なるほどな…」

 

そして、僕はりみちゃんにこう話した。

 

流星「…俺も一時期バンドやってた事あったんだ」

りみ「え?」

香澄「そうなの!?何やってたの!?」

流星「ギターだよ。しかもボーカル」

りみ「そうなんだ…」

流星「…俺も間違えることあるよ。ライブ中にね…」

りみ「…」

流星「でも…俺には仲間がいた。間違えても慰めあえる仲間がな。だから怖くなかったし、俺も誰かが間違えたら慰める…」

りみ「…仲間…」

流星「りみちゃんにとって、その仲間が…香澄ちゃんだと思うぜ」

香澄「えへへ…照れるなー」

流星「全く…」

 

僕らは香澄ちゃんの一言で思わず笑ってしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

あいにくの雨だが、僕と尚之は香澄ちゃんに誘われて、ライブハウス『SPACE』に来た。

 

流星「…つーか、16時集合で14時に来いってどういう事!?」

有咲「香澄に聞け!」

尚之「香澄ちゃん?これは一体どういうことかな?」

香澄「えへへ…いてもたってもいられなくて…」

流星・尚之・有咲「はぁ…」

 

そして、ライブが始まり、僕と尚之、香澄ちゃん、有咲ちゃんで見ていた。

 

流星「…次は本命の『グリグリ』か…」

香澄「尚之くんは知ってる?『グリグリ』」

尚之「ちょっと勉強して来たよ。確かに人気出るのもわかるな…」

有咲「つーか、香澄は少し落ち着け」

香澄「まぁ、いいじゃないのー」

有咲「よくねぇ!」

 

と、その時だ。

次に出て来たバンドが…『Gritter*Green』じゃなかった…

 

流星「…あれ?」

尚之「どういう事だ?」

 

僕と尚之、香澄ちゃん、有咲ちゃんでバンドの控え室へ行くと…

 

香澄「りみりん!」

りみ「香澄ちゃん!」

 

りみちゃんが入り口で立っていた。

僕らがりみちゃんの前に着くと、りみちゃんは状況説明をしてくれた。

 

りみ「お姉ちゃん達、まだ来ていなくて…」

香澄「え!?」

流星「…まさか!尚之!」

尚之「…もう、とっくに調べたわ」

有咲「早っ!?」

尚之「りみちゃんが前に、お姉ちゃんが修学旅行で最終日の今日に来るって言ってたよな」

りみ「うん…」

尚之「…空港付近の鉄道全線に、悪天候による遅れが出ている」

香澄「え!?そんな!?」

尚之「今、ここに向かっているとすると…間に合うかどうかでさえ危ういところだ…」

香澄「伸ばす事は!?」

オーナー「ダメ!」

流星・尚之・香澄・有咲・りみ「!?」

 

僕らが話しているところに、オーナーが入って来た。

 

オーナー「お客さんを待たす事は何があってもダメなんだ」

りみ「…そんな…」

 

他のバンドがどうにか時間を伸ばすようにすると言ってくれたのだが…

残酷にも時間が過ぎていった…

そして…最後のバンドが終わってしまった…

りみちゃんはもちろん、香澄ちゃん、有咲ちゃんはがっくりとうなだれた…

それを見た僕と尚之は…

 

流星「…尚之…今回は特別にやるぞ」

尚之「全く…了解した」

 

互いにそう言った後、オーナーに直談判し、終了してしまった後のステージに立った。

 

香澄「流星くん!?」

有咲「何してんの!?」

りみ「…」

観客1「…あれ?なんで男子がここに?」

観客2「ここ…ガールズバンドの聖地だよね?」

 

僕と尚之は、それぞれのポジションに立ち、ふうっと息を吐いた。

そして…尚之のドラムが鳴った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

挿入曲・シュガーソングとビターステップ

Vo.秋山流星(声主はご自由に)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕らが歌い終わった後、ふと見てみると…『グリグリ』のメンバーはまだ来ていなかった。

 

流星「…まだ来ない…か…」

 

僕と尚之は大きな拍手に見守られながら撤退し、3人の元へ行こうとした…その時だ。

香澄ちゃんが僕らと入れ替わりに入ったのだ。

 

流星「!?」

尚之「香澄ちゃん!?」

 

香澄ちゃんは舞台に出ると…キラキラ星を歌い始めたのだ…

 

流星「…はぁ…」

尚之「マジかよ…」

 

そして、有咲を巻き込んで行き、その場はどうにかなったのだが…

 

有咲「その後はどうすんだよ…」

香澄「あはは…どうしよう…」

 

と、そこへ…りみちゃんがベースギターを持ってステージに立った。

 

流星「…りみちゃん?」

尚之「…ベース持って…」

 

僕と尚之は顔を見合った後、もう一度ステージに立った。

 

りみ「流星くん!?尚之くん!?」

流星「やるんだったら、俺らもやるぜ」

尚之「お前1人じゃかわいそうだろ?」

りみ「…ありがとう!」

 

そして、キラキラ星をベース、ギター、ドラム交えて歌った僕らは、ほんのちょっと盛り上がり、ふと見てみると…『グリグリ』メンバーが来ていた。

この事をきっかけで、りみちゃんはバンドに加入することになったのだった。




最後グダリましたが…これで3話目終了ー
特に話す事ないので…w
是非感想等よろしくお願いします!
ではまた次回お会いしましょう!


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第4話〜天然のギター娘〜

どうも、VVVFです。
ポピパ、どうにかスペースのオーディションに合格してよかった…
こっちはまだまだ頑張ってその話まで行きます!
あと、予告ですが、多分この話のすぐあとにラブライブ!の小説出ると思います。
多分この後ラブライブの小説が続くと思いますが…よろしくお願いしますm(_ _)m
では本編どうぞ!


…『Live House SPACE』でのプチライブから数日後…

僕らは流星堂の蔵の中で練習をしていた。

あのプチライブの後、僕と尚之が楽器演奏が出来るとわかった香澄ちゃん達が僕らにコーチして欲しいと頼んだのだ。

なんでも、文化祭でライブをするらしい。

香澄ちゃん達のいる花咲川女子学園は結構早い段階で文化祭をやるらしい。

 

香澄「…それにしても、流星くんって今でもギター弾けるんだねー」

流星「まぁ、小さい頃にやってたから体が覚えてるからな…」

有咲「へぇ〜、だから歌も歌えたんだ」

りみ「かっこいい…」

流星「と、いっても3年のブランクはあるけどね」

 

僕らは文化祭に流す曲を決めた後、そのまま解散したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日の放課後…

僕は花咲川女子学園の校門前で香澄ちゃんを待っていた。

そこへ、りみちゃんと有咲ちゃんが来た。

 

有咲「…あ、流星君」

流星「よぉ。香澄ちゃんは?」

りみ「今日裁縫の授業があって、その居残りだって」

流星「なるほど…」

有咲「というわけで、行くぞー」

流星「あ、俺は待っとくわ。香澄ちゃんが来たら連絡する」

りみ「わかった」

 

というわけで、僕は香澄ちゃんが来るのを待つべく校門でずっと待っていた…が…

来たのはかなり遅くになってからだった。

 

香澄「あ…流星君…」

流星「おっせーぞー…」

香澄「ごめんごめん…」

???「…知り合い?」

 

香澄ちゃんの隣にはロングヘアーの女の子が立っていた。

 

香澄「あ、紹介するね!秋山流星くん!」

流星「秋山流星です。江戸川橋高校です」

???「そうなんだ」

香澄「そして、花園たえ!」

たえ「花園たえです。よろしく」

流星「よろしくな。んで…香澄ちゃん?」

香澄「はい!」

流星「…今日の練習なし」

香澄「えぇー!」

流星「えぇじゃねぇわ!もう時間だ」

 

香澄ちゃんの居残りがあまりにも長くなり、有咲から練習中止の命令が下ったのだ。

そんなわけで、僕ら3人は仕方なく帰ることにした。

話を聞くと、たえちゃんは小学校からギターを弾き始めたらしく、腕前はかなりのものらしい。

だからなのか、香澄ちゃんだけでなくたえちゃんもギターケースを持っていた。

また、バンドにも入っていないらしい。

 

香澄「後ね、流星くんもギター弾けるんだ!」

 

香澄ちゃんは僕がギターが弾けることを言った。

 

たえ「流星くんも?」

流星「まぁな。俺も小学生の時にやってたからな」

たえ「へぇ…じゃあ、付き合う?」

流星「はぁ!?」

たえ「冗談」

流星「何の冗談!?」

 

たえちゃんは結構…キャラが濃かった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

 

流星「…おぉー…これが有咲ちゃんのシンセサイザー」

有咲「へへん、かっこいいだろ」

 

僕は有咲ちゃんに誘われて、蔵の練習施設に来た。

そこには新型のシンセサイザーがあった。

 

流星「つーか、シンセサイザーでよかったのか?」

有咲「私が出来るのはこのくらいだし」

流星「なるほどな…てか、今日も香澄ちゃん来ないのか…」

有咲「まーた居残りだってよ。多分、おたえって子と一緒にいるだろ」

流星「お、おたえ?」

有咲「花園たえ。知らない?」

流星「あいつか…っておたえっていうか!?」

有咲「香澄命名」

流星「ネーミングセンスなさすぎ!」

 

この日は有咲ちゃんとの雑談で終えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

香澄ちゃんはたえちゃんに教わったギターコードのことを興奮しながら話していた。

しかし…

 

りみ「香澄ちゃん、家庭科は?」

香澄「…まだ…」

 

肝心のものはまだ出来ていないらしい…

 

有咲「だろうと思った…」

流星「…いつ練習くんだ?」

香澄「うーん…終わったら!」

流星「終わらねえ!ぜってえ終わらねえ!」

香澄「えぇー?出来るよー」

流星「…信じれるかよ…」

有咲「右に同じ…」

 

その日は案の定、練習に来なかった…

僕はもちろん、有咲ちゃんもイライラを募らせていた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

有咲ちゃんちの蔵にて…

 

流星「…全く…今日も香澄ちゃん居残りかよ…」

有咲「本当だぜ…まあ、香澄らしいっちゃ香澄らしいけど…」

 

僕と有咲ちゃんで話していた。りみちゃんは1人ベースの練習をしていた。

 

流星「…切れてんのか?」

有咲「んなわけねえだろ!」

流星「…顔に書いてるぜ。こう見えて、野球やってたから、顔さえ見りゃ何考えているかわかる」

有咲「うっ…まぁ…」

流星「…俺もさすがにね…でも、香澄ちゃんは俺らを放っておく奴じゃねぇさ」

有咲「…あぁ…」

流星「多分、すぐ来るぜ」

 

と、その時だった。

 

香澄「…有咲!有咲!」

 

と、香澄ちゃんが蔵の入り口の扉をドンドンと叩いているのがわかった。

 

有咲「…香澄…」

流星「…だろ?」

 

有咲ちゃんは上へと上がっていき、僕はそれについて行った。

 

香澄「私!戸山香澄!」

 

香澄ちゃんは必死に呼びかけていた。

有咲ちゃんははぁとため息ひとつつきながら、扉の隙間から香澄を見て言った。

 

有咲「…近所迷惑なんですけど」

香澄「ごめん!有咲!私、何かした?」

有咲「…別に…」

 

有咲ちゃんは扉の隙間を閉めようとした。

香澄ちゃんはそれを止めようとした。

 

香澄「待って!」

有咲「…契約違反」

香澄「…え?」

有咲「一緒にお昼ご飯食べに行くって言ったのにどっかへ行く」

香澄「…」

 

香澄ちゃんは黙ってしまった。

そして、香澄ちゃんは一言…

 

香澄「…ごめん…」

 

有咲ちゃんはそれを聞いて、扉から離れた。

そして、僕が出た。

 

香澄「流星くん!」

流星「全く…お前が今来なかったら俺も少し切れそうだったぜ?」

香澄「え?」

流星「…お前から始めたこのバンドを、お前が来なかったら誰がやるんだ?」

香澄「…」

流星「…自分の好きなことで、熱くなるのはわかるけど…少しは周り見ようぜ」

香澄「…うん…」

流星「…はい、有咲」

有咲「…」

 

有咲ちゃんは、また僕と入れ替わるように扉の前に行くと、扉を開けた。

 

香澄「有咲ー!」

有咲「うわっ!」

流星「…全く…」

 

香澄ちゃんは、扉が開いた後すぐに有咲ちゃんに抱きついた。

それを見た僕は、思わず笑ってしまったのだった…

その後、夜に僕も含めてご飯を頂くことになったのだが…

何故かたえちゃんがいたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、僕と香澄ちゃん、たえちゃんは都電で自分達の家に帰ることにした。

そこで、文化祭でライブをすることをたえちゃんにも言った。

 

たえ「スリーピースだね」

香澄「スリーピース?」

流星「3人組のバンドだってこと」

香澄「へぇ〜」

 

そして、たえちゃんに『Live House SPACE』でライブをしたいことを言うと…

 

たえ「…無理だよ。ライブ」

 

と言ったのだった。




どうでしたでしょうか?
多分、今日中にもラブライブ!の小説を出すと思いますので、期待してください!
では次回、お会いしましょう!


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第5話〜蔵ライブ〜

どうも、VVVFです。
いやー…バンドリ終わりましたね〜
二期やるのかなー…と、内心ワクワクしている僕でありますw
では、本編どうぞ!


 

…たえちゃんからキツイ一言を言われた香澄ちゃんは、たえちゃんに連れられてもう一度『Live House SPACE』に来た。

僕もそれについて行くことにした。

『Live House SPACE』に着き、中のライブスタジオに足を入れた。

 

たえ「…ここはね、ガールズバンドの聖地と言われている場所なの…オーナーが許した人じゃないと立てないところ…」

 

たえちゃんはギターの勉強をすべく、『Live House SPACE』でバンドをすることにしたという。

ステージに立っているバンドのみんなが、幸せそうにやっているのを見て、自分も楽しくなっていく一方、落ちていく人達を見ていってそのステージが届かない場所にあるとわかったのだ。

 

流星「…」

たえ「…みんなここに立ちたいけど、立てない場所なの…」

香澄「練習する!」

たえ「ギター弾けるまでにどれくらいかかると思う?」

香澄「っ…わからないけど…頑張る!頑張って、オーディション受かって、みんなでキラキラドキドキする!」

たえ「じゃあやって」

香澄「え?」

たえ「私を震えさせて、昨日の…流星君みたいに…」

流星「ん?俺?」

たえ「流星君の歌…初めて聞いたんだけど…凄く震えた…流星君が女の子だったら、ここに必ず受かってた」

流星「は、はぁ…」

 

僕は少し困惑しながら返事した。

というか、僕は小学生の時にここ、『Live House SPACE』でお世話になったことがある。

小学生の時にバンドをやっていた僕は、仲間と最後のライブをするために話し合いをしていると、たまたま通りかかった『Live House SPACE』で僕らを見ていたオーナーが声をかけてくれた。

そう…ここが僕らの思い出の場所だった…

だから、この前の乱入ライブの時も、あの時のような気持ちで歌ったのだ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

僕は尚之にたえちゃんの事を話した。

 

尚之「へぇ…ギターをやってる女の子か…」

流星「それでもってあのライブハウスでバイトしてんだ」

尚之「ふーん…んで、香澄ちゃん、そのたえちゃんって子を震わせればいいんだろ?」

流星「しかも、条件付きでな…」

 

実は昨日、震えさせる為の唯一の条件があった。

僕の介入をなしにするという事だ。

 

尚之「まぁ…あの時のライブ見たら、香澄ちゃんもお前にお願いするに決まってるからな…」

流星「そりゃな…まぁ、香澄ちゃんがどこまでいけるか楽しみだけどね」

 

僕はそう言いながらジュースを飲み干した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の放課後…

僕は尚之と練習すべく、馴染みのバッティングセンターに来た。

 

???「お?流星君と…尚之君じゃないか!」

尚之「島津さん、お久しぶりです」

 

バッティングセンターのオーナー、島津さんとは僕らが小さい頃からの仲で、僕はキャッチャーのポジションにいた為、たまにピッチングマシンでキャッチャーの練習をしていた時には、普通のバッティングセンターだったら止められるところを、いつも見逃してくれている。

 

島津「尚之君、大きくなったなー。高校からまた流星と一緒か?」

尚之「えぇ。ていうか…まだあいつキャッチャー練習してるんすか?」

島津「相変わらずだよ。機械相手によく頑張っているからね、ははは…」

尚之「全く…」

 

僕はいつものようにキャッチャーのマスクをかぶり、キャッチャーミットを左手に付けた。

僕は機械にお金を入れ、ポジションについた。

ビュッ!バン!ビュッ!バン!

ピッチングマシンが投げる音とピッチングマシンが投げたボールを取る音がした。

10球それを受けた後、僕は島津さんにピッチングマシンの裏側からボールを入れてもらうという係をやってもらうように頼んだ。

その時に球種も変えるようにも頼んだ。

島津さんはかつて野球児だった為、僕のサインは一発でわかる。

そして、尚之が打席に立とうとした…次の瞬間

 

香澄「きゃあっ!」

有咲「お、おい!お前、何してんだよ!」

たえ「ごめん」

りみ「痛いよー…おたえちゃーん…」

 

という声と同時に、香澄ちゃん、有咲ちゃん、りみちゃん、たえちゃんが姿を現した。

 

流星「みんな!?」

尚之「なんでここに!?」

香澄「えへへ…たまたま見かけたから来たんだ…」

有咲「つーか、なんでお前がここにいんだ!?」

たえ「たまたま見かけたから」

有咲「答えになってねえー!」

 

その後、初対面のたえちゃんと尚之は互いに挨拶した。

香澄ちゃんたちは僕の今の姿を見て少し首を傾げていた。

 

香澄「流星君のその姿って何?」

流星「あぁ…俺は野球やってて、キャッチャーをやってるんだ。その時に付ける防具」

有咲「へぇ…ていうか、ここバッティングセンターだろ!?」

尚之「ここのオーナーとは付き合いが長いんだ。だから、別にこいつがキャッチャーの格好してても構わないんだ」

りみ「そうなんだ…」

 

そして、僕らの練習を見た香澄ちゃんたちは、感嘆の声を上げた後、香澄ちゃんと有咲ちゃんとりみちゃんは蔵へ、たえちゃんと僕と尚之はそれぞれ家に帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後日、僕と尚之で蔵を訪れると、香澄ちゃんたちが練習に励んでいた。

 

流星「おいっす!」

尚之「お土産!持って来たぜ!」

香澄「あ!流星君!尚之君!」

有咲「つーか、なんで尚之君がここに入って来てんだ?」

尚之「まぁ、俺も一応みんなの事知ってるわけだし、何より荷物が多かったからな」

有咲「なるほどな。お疲れ」

りみ「ありがとー」

 

と、僕は持っていたビニール袋を置いてふと見ると、『私の心はチョココロネ』というタイトルがついた五線譜紙があった。

 

流星「…これは?」

りみ「あ!それは!」

香澄「りみりんのお姉さんが書いてくれたんだよ!」

尚之「あの『グリグリ』のボーカルのか…で、なんでチョココロネ?」

りみ「そ、それは…その…」

有咲「りみの好物」

流星「え?」

尚之「さすが、チョココロネ愛…」

 

尚之曰く、りみちゃんはよく『山吹ベーカリー』のチョココロネを買っているらしい。

なぜ尚之がそれを知っているかというと、尚之自身『山吹ベーカリー』でよくパンを買っているらしく、りみちゃんとはよく会っているだそうだ。

そして、練習が再開するやいなや、香澄ちゃんの凄まじいギターの技術の低さにより、りみちゃんの特別公演でどうにか頑張ろうとしているが、結局どうすることもできなかったので…

 

香澄「おたえ〜!助けてー!」

 

…たえちゃんを呼んだのだ。

 

流星「なんでたえちゃん呼んだ!?」

有咲「他に出来るのあいつしかいないから」

尚之「だな…」

 

その後、たえちゃんがギターを弾き、それを僕らが聞いた。

技術は確かなものだったし、僕も少しおぉと唸った。

 

香澄「おたえ、最高!」

りみ「す、すごい!」

有咲「かっけー!香澄のかわりにギターやらね?」

流星「有咲ちゃん!?何言ってんの!?」

尚之「わからなくはないけど、一応香澄ちゃん頑張ってんだからね!?」

 

その後の僕らの練習は時間を忘れるまで夕方までいったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それからかなり時間が経った…

練習をたくさんした僕らは、ついにライブ本番になった。

今日のライブには、沙綾ちゃんとりみちゃんのお姉さん、ゆりさんと香澄ちゃんの妹、明日香ちゃんが来た。

僕と尚之はゆりさんと明日香ちゃんに、尚之は沙綾ちゃんを追加してそれぞれ自己紹介をした。

その時、ゆりさんが僕らの顔をまじまじと見つめていた。

そして、ライブは定刻通り始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

挿入歌:私の心はチョココロネ

Vo:戸山香澄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…僕らは盛大な拍手で香澄ちゃん達に送った。

それを見た香澄ちゃん達は互いの顔を見て喜びを分かち合い、たえちゃんは思わず香澄ちゃん達3人に抱きついた。

こうして、たった一曲だけのライブは、成功に収めたのだった。




いかがでしたでしょうか?
特に話す事ないので…
また次回お会いしましょう!


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第6話〜いざ文化祭へ!〜

どうも、VVVFです。
最近鉄道乗ってないなー…通学で使っているやつでも満たされん…w
まぁ、とりあえず頑張りますw
では本編どうぞ!


…たえちゃんがバンドに加わることになってから数日後…

花咲川女子学園では早い段階での文化祭をするらしく、香澄ちゃんがその文化祭の実行委員をすることになったらしい。

あ、ちなみにたえちゃんがバンドに加わった時に…

 

香澄「ねぇ!流星君!最近、私たち仲いいでしょ?」

流星「ん?まぁ…確かにここまで関わったんだからな…」

香澄「だったらさ!呼び捨てで呼んでよ!」

有咲「はぁ!?なんでだよ!」

りみ「仲を深めるために」

たえ「私の事はおたえでいいよ」

有咲「マジ意味わかんねー…」

流星「まぁ…別にいいけど?」

 

という事で、今後は僕と尚之は香澄達を呼び捨てで呼ぶことになった。

沙綾ちゃんも呼び捨てでオーケーと言ってくれた。

と、話を戻して…

文化祭の実行委員は、香澄ともう1人、沙綾がやることになった。

まぁ…香澄ちゃんを止められるのは沙綾しかいないからな…

そんなわけで、今日から文化祭関係の書類等を書くためにしばらく香澄ちゃんは練習に来れなかった。

僕はというと…

 

たえ「流星君、ここ、わからない」

流星「あー…これはね…ここをこう抑えてからこうした方が…」

 

と、ギターのおたえに未だにわからないギターの音の出し方や、次に抑える弦をどうやって抑えるかを教えていた。

やはりおたえはギターやっているせいか、僕のあのライブの時のギターを聞いただけで上級者だとわかったと思う。

だから僕に聞いているのだ。

 

流星「…そういや、文化祭何やんの?りみ」

 

僕は思わず気になって、香澄と同じクラスのりみに聞いた。

 

りみ「なんか…キラキラして…シュッてしてて…」

流星「ごめん…それ、香澄語録だよな…さっぱりわからん…」

りみ「大丈夫。私もわかってないから」

流星「わかってねえのか!?」

有咲「仕方ねぇよ…香澄だもん…」

たえ「私は…わかるかな?」

有咲「わかるのかよ!」

 

その日は各々の練習をして終了した…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

僕は香澄にLINEで文化祭何やるのかを聞いてみたら…

 

香澄『キラキラしてて、シュッてしてて、かわいいカフェをやるんだ!』

 

と、返ってきた。

 

流星「…カフェ以外わかるか!」

 

僕は思わず叫んでしまった。

尚之にも香澄語録のメッセージを見せたら…

 

尚之「…なんとなくわかる」

流星「なんでわかんの!?」

 

沙綾のLINEも持っていたので、沙綾に聞いてみたら、キラキラは字の通り、シュッはスタイリッシュ、かわいいは字の通りらしい。

また、カフェに出す品物は沙綾の実家の『山吹ベーカリー』のパンを使うという。

 

流星『文化祭実行委員やれてるのか?香澄』

 

と、僕は沙綾に聞いてみると

 

沙綾『意外とやれている。香澄が主体だもん(笑)』

 

と、返ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後…

僕は花咲川女子学園に行き、受付の人に事情を言って中に入った。

今花咲川女子学園は文化祭準備の真っ最中で、放課後はほぼ全員総出で準備に当たっていた。

僕はちょっとしたお土産を買い、香澄のクラスのみんなに差し入れしにきた。

 

流星「…確か…ここだったような気が…」

 

と、その時、

 

香澄「あ!流星君!」

 

と、香澄がクラスからひょっこりと現れ、僕のところに来るや否や、すぐに抱きついてきた。

 

流星「ばっ!香澄!お前何してんだ!?」

香澄「えへへ…会えて嬉しいもん!」

流星「だからって抱きつくことねぇだろ!」

 

僕はふと周りをみると…周りの女子達が小声でコソコソと話していた。

 

沙綾「あ、流星君」

流星「沙綾…香澄を下ろしてくれ…」

沙綾「はいよ。香澄、まだ仕事あるんだから」

香澄「あぁ!沙綾やめてよ!」

沙綾「全く…香澄は世話がやけるんだから…あ、クラスのみんなには流星君の事は言っておいたよ。差し入れはテーブルのどこかに置いておけば大丈夫だから」

流星「サンキュー」

 

僕はクラスのみんなに挨拶をし、クラスの女子達にイケメンなりかっこいいなり言われた後、ちょこっと手伝いをした。

唯一の男手としてかなりのお手伝いをしたが、僕は全く苦とはしなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、今日の準備は終了し、僕と香澄とおたえ、りみ、有咲でいつもの蔵へと来た。

蔵の前には尚之が先に着いていた。

僕らはまたいつもの練習を始めようと各自準備していたところ…

 

りみ「あの!」

 

と、りみが話して来た。

 

りみ「これ、昨日作った譜面なんだけど…」

 

と、りみがスマホで出してきた写真には手書きの楽譜があった。

 

流星「おぉー…なかなかいい曲じゃない?」

尚之「香澄達に合っているな…」

香澄「りみりん!ありがとー!」

りみ「全然平気だよ」

 

その後、僕と尚之でデモンストレーションでりみが書いてきた楽譜の曲を弾き、その曲に沿った練習をしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

カフェに出すパンを試食しに僕と尚之、香澄、おたえ、有咲、りみで『山吹ベーカリー』に来た。

 

流星「こんにちは〜」

???「あれ?知らない人〜」

 

沙綾の隣にいた小学生くらいの男の子が言った

 

沙綾「こら!純!失礼でしょ!」

???「だって…」

流星「あ、いいよ、俺は気にしてないから」

 

沙綾は下に男の子の純君、女の子の紗南ちゃんの3人兄弟の長女らしく、いつも世話を焼いているらしい。

僕と尚之は純君に挨拶した後、沙綾の作ったパンを試食した。

 

流星「…うん、美味い」

尚之「やっぱいつものパンだ。美味しい」

沙綾「ありがと。他の4人は?」

香澄「うー…美味い!さすが沙綾!」

りみ「はわわ…チョココロネ美味しい」

有咲「まぁ、美味しいぜ」

たえ「美味しい」

沙綾「ふふ、みんなありがと」

 

この日はついでに沙綾のお母さんが作ったご飯を食べ、僕らはそれぞれ帰った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

僕はまた出張のお手伝いをしていた。

 

流星「…ふうっ…休憩休憩」

 

僕は肩を回しながら歩いていると、階段の踊り場で沙綾と有咲が話しているのが見えた。

 

流星「…沙綾、有咲」

有咲「あ、流星君」

沙綾「流星君、またお手伝い?」

流星「ここは女子校だぜ?男子は一種の貴重材料になったんだから」

沙綾「あはは…」

流星「それで…何してんだ?」

沙綾「有咲がバンド名を考えている最中」

有咲「ばっ!山吹さん!」

沙綾「えぇ?いいじゃん」

有咲「よかなえ!恥ずかしいじゃん!」

流星「いやいや、別にいい事じゃん。どれどれ?」

 

僕は有咲が書いているノートを見て、有咲と沙綾と一緒にバンド名を考えた。

ふと有咲の隣を見ると、おたえが普通に立っていており、そこに買い出しに行っていた香澄とりみが合流して、いつものメンバーが勢揃いした。

まぁ、香澄が買い出しで買ったものを落とし、みんなが拾ったのは言うまでもない…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

僕は昔の仲間と話をしていた。

入学式後、尚之からその仲間のLINEを教えてもらい、そいつと久々話せることができ、今は週一で電話するくらいになっている。

そいつにようやくだけど、今香澄達がやっているバンドの事話した。

別に前々に言っていても良かったけれど、話はいつも野球の話で盛り上がってしまうからなかなか話せなかったのだ。

 

???「…バンドか…懐かしいな…」

流星「だろ?もしさ…もう一度5人でやれたらさ…」

???「だな…まぁ、多分、集まるのは夏になるだろ…そん時に連絡するからさ」

流星「そうだな、ははは…」

???「そういや…今協力してるバンド、名前なんて言うんだ?」

流星「あぁ…ついさっきそのことについて話が来てね…バンド名は…」

 

僕は有咲からのメールを確認し、仲間に力強い言葉で言った。

 

流星「…『poppin′party』さ」




いかがでしたでしょうか?
次のラブライブ野球編…どうしよう…と考えていますw
まぁ、すぐに出ると思うので、内容はあまり期待せずに…w
では次回お会いしましょう!


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第7話〜出来ない理由〜

どうも、VVVFです。
本当に色んな方々が見てくださって、本当にありがとうございます!
UAも順調にうなぎのぼり…かどうかはわかりませんが、これからも頑張っていくのでよろしくお願いします!
では本編どうぞ!


…花咲川女子学園にまた手伝いに来た僕は、今度は同級生と一緒に連れて来た。

僕だけだとかなりきついところがあったので、同級生に事情を言うと、僕だけいい思いしやがってとぶつくさ文句言いながら引き受けてくれた。

そんなわけで、僕はいつものように花咲川女子学園に来ると、1つのポスターがあった。

香澄達のバンド『poppin′party』のライブのお知らせだった。

ポスターには香澄達の名前も載っていたのだが、そこにはバンドに加わっていない沙綾の名前があった。

 

流星「…あれ?沙綾…やってたっけ?」

 

僕は少し気になったので、香澄の同級生の情報で体育館に来た。

ステージには大はしゃぎしている香澄と、ステージの下で香澄を見ている有咲、たえ、りみがいた。

 

香澄「あ!流星君!」

有咲「今日も来てたのか」

りみ「お疲れ〜」

たえ「お疲れ様」

流星「まぁ…今日は俺の同級生を勢揃い揃えて来たからさ…それより、香澄…ポスターの件なんだけどさ」

香澄「見た見た!?りみりんすっごく上手いんだよ!」

流星「あ、あれりみが書いたんだ」

りみ「わ、私は…香澄ちゃんにお願いされて…」

流星「へえ…結構上手かったよ」

りみ「ありがと〜」

流星「…じゃなくて!なんでバンドのメンバーに沙綾を入れてんだ!?」

香澄「あ、それ、私が入れたんだ!沙綾がやってくれるって!」

流星「俺は聞いてねえぞ!」

香澄「あはは…ごめんごめん…」

流星「とりあえず…沙綾本人に聞いて来るよ…お前らはそこで練習やってんだろ?」

有咲「そのつもりなんだがな…」

流星「んじゃ、俺は失礼するよ」

 

僕は香澄達と別れた後、沙綾の元へと行った。

 

流星「…あ、いたいた…沙綾!」

沙綾「あ、流星!ありがとうね、応援呼んでくれて。本当に助かったよ」

流星「いいって。それより…沙綾って、香澄のバンドに入ることになったのか?」

沙綾「え!?ええっと…」

 

沙綾は僕のその質問に不自然な挙動を見せた。

何か隠してあるような素ぶりをしていた。

 

流星「…沙綾?」

沙綾「あ、ご、ごめん…私は入らないよ?」

流星「え?でも香澄が一緒にやるって…」

沙綾「まだ先の事だよ。今回のライブは、私は出ない」

流星「はい出た〜香澄のトンチンカン…」

沙綾「あはは…でも一緒にやるのは本当だよ…いつになるかわからないけど…」

流星「…」

 

僕は沙綾を見て何か違和感を感じながらも、その日はスルーすることにした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の放課後…

僕は手伝っていた仕事が終わり、帰ろうとしてた時だった。

 

???「…あの!」

 

1人の女子生徒が来た。

淡い栗色でセミショートヘアのその女子生徒は、僕が帰るのを見計らって来たらしい。

 

流星「…君は?」

???「海野夏希と言います…沙綾について話がしたくて…」

流星「…沙綾について?」

 

僕は夏希ちゃんに沙綾の事についての話を聞いた。

沙綾は元々夏希ちゃん達のバンドのメンバーで、ドラムをやっていたという。

1年前までは順調にバンド活動をしていたのだが…

ある日、とあるお祭りで夏希ちゃん達のバンドはライブをする事になったのだ。

ライブ直前でみんな緊張している中、沙綾は観客の方を見ると、家族が来ていないのがわかったのだ。

沙綾は心配になって母親に連絡すると…泣きじゃくる純と紗南の声がしたのだ。

沙綾の母親は元より体が弱くよく貧血を起こすのだが、いつも無茶しているのだ。

その無茶がたたって体を崩し、倒れたのだ。

沙綾はすぐに家に帰り、イベントのライブは残った夏希ちゃん達でやったのだ。

夏希ちゃん達はライブ後すぐに沙綾の元へ行きライブの話をし、今度もう一回やろうと約束したのだが、沙綾は冬、夏希ちゃん達に何も言わずにバンドをやめたのだった…

 

流星「…そんな事が…でも、なんでそれを俺に?」

夏希「…あなたなら…沙綾をもう1度…笑顔でバンドやらさせてもらえると思って…」

流星「うーん…正直…俺もその話は…手が出せない…」

夏希「え?」

流星「…これは…沙綾の気持ちの問題だよ…」

 

僕は先ほどの沙綾の素ぶりを見て何となくそう思ったのと、自分も似たような記憶があったからだ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

文化祭が明後日に迫っている中、僕がまた募集をかけたところ、男子のみならずクラス全員が手伝ってくれる事になったのだ。

それを見ていた他クラスも、手伝ってくれる事になったし、さらには先生達も何と花咲川女子学園の先生にわざわざ連絡を取ってくれる始末になり、僕から始まった文化祭準備がたった数日で学校規模に膨らんでしまった。

 

流星「…すげー…江戸川橋高校…」

 

と、僕は思わず唸ってしまった。

おかげで文化祭の準備はかなり進んでいった。

そんな中、僕はずっと沙綾を見ていた。

何か考え事をしていて、掃除もあまりはかどっていない。

 

江戸川橋高校生徒「…流星!これあっちに持ってくよ!」

流星「あ、あぁ!伝えておく!」

 

おかげで僕も昨日の話が頭から離れず、上の空だった。

その日の放課後の事だった…

僕は香澄達とアイスを食べるべく、コンビニに寄っていた。

みんなは普通のアイスを頼んでいる中…

 

香澄「…流星君のアイス…何?」

有咲「…なんか…」

 

と、みんながドン引きするほどのアイスを僕は食べていた。

僕が食べていたのは『おでんアイス』なるもので、アイスの形大根、こんにゃく、ちくわの三兄弟に串が刺さったおでんそのものだった。

味もおでんの味に再現しており、僕は意外とこれにハマっている。

 

流星「これ、意外と美味いよ。食べる?」

たえ「食べようかな」

有咲「いや、食わねえよ!?」

香澄「興味あるけど…」

りみ「私はいいかな…」

 

と、みんなでワイワイ騒いでいると、香澄が…

 

香澄「ねぇ!ちょっと寄り道していい?」

 

と言ってきた。

香澄が向かった先は、江戸川楽器店。

ここら界隈ではそこそこ有名な楽器店で、香澄のランダムスターのケースを直してもらったのもここだったりする。

香澄が急に走ってその楽器店に行ったので、僕らも追いかける事になった。

僕は野球ではキャッチャーをやっているが、足には自信があり、いつの間にか競争になっていた香澄とおたえを普通に抜かしていった。

着いた順番は僕、おたえ、香澄、りみ、有咲といった感じだ。

僕らは江戸川楽器店に着き、しばらく話していると…

 

夏希「…市ヶ谷さん?」

 

夏希ちゃんがいた。

夏希ちゃんを見た有咲はすぐに香澄の後ろに隠れ、しばらくして顔を出すや否や…

 

有咲「…ごきげんよう」

流星「って、キャラ変わってんじゃねぇか!」

 

突然のキャラ変に僕は思わず突っ込んでしまった。

そして、夏希ちゃんの後ろに、1人誰かがいた。

ピンク色の髪の女子生徒だった。

僕はその人を見て一瞬でわかった。

 

流星「…あれ?彼女って『グリグリ』のメンバーの…」

りみ「二十騎(にじっき)ひなこ先輩だよ〜」

 

そのひなこ先輩は、僕らに近づくや否や…

 

ひなこ「集え少女よ!大志を抱け!フォー!」

流星「って、あんたもキャラ変かーい!」

 

また僕は思わず突っ込んでしまった。

 

りみ「あのね…ひなちゃんは、いつもあんな性格なんだ…」

流星「え!?ついていけねぇ…」

 

その後、ひなこ先輩に乗っかった香澄とひなこ先輩で店内がかなりゴチャゴチャしたのは言うまでもなかった…

 

そしてひなこ先輩は、ポピパメンバーにあだ名を付けていった。

ちなみに、バンド名の『poppin′party』をそのまま言うのが正直めんどくさいので、僕らは今後『ポピパ』と略称で言う事になった。

ひなこ先輩が付けたあだ名はこうだ。

香澄は『きらきら星の香澄ちゃん』

たえは『花園ミステリアスたえちゃん』

有咲は『蔵弁慶の有咲ちゃん』

りみはお姉さんのゆりさんと関わっているため『マイシスターりみちゃん』

僕の場合は特にないそうだ。逆に良かったけれど…

その後もひなこ先輩が荒らしていく中…

 

香澄「先輩、ドラムやってください!」

 

と、香澄が謎のスカウトをしたのだ。

 

流星「香澄!?先輩今『グリグリ』メンバーだよ!?」

ひなこ「いいよ!」

流星・有咲「即決!?」

 

ひなこ先輩はまさかのオーケーサインを出したのだが…

 

ひなこ「うーん…でも、近くにもっと最適な人いるよー」

 

と、言ったのだ。

その一言で僕はたった1人、ある人物を思い浮かんだ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は尚之と話をしていた…沙綾についての事で…

 

尚之「…難しいな…それ…」

流星「…時間が解決する…というのも正直癪なんだけどね…」

尚之「…すまんな…今回は俺らではどうしようも出来ない…」

流星「…今日、ポピパのメンバー全員沙綾についての話を聞いたんだ。多分、明日には…沙綾のところに行く…」

尚之「どうすんの?お前は」

流星「付き合うさ…あいつらが納得するまでな…」

 

僕はベランダで星空を見上げながら考えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

江戸川橋高校総動員で花咲川女子学園の文化祭の手伝いをしたおかげか、見事に入り口の門が完成。

他のクラスもほぼ終わりだった。

もちろん、香澄達のクラスも終わりみんなでお疲れのハイタッチをした。

みんながみんなでワイワイ騒いでいる中、1人だけ先に帰る人がいた。

…沙綾だった。

その様子を見ていた僕と香澄は、互いに顔を見合わせ、うんとうなづいた。

その日の放課後…

僕と香澄は家の前にいた純と紗南と遊んでいた。

すると…

 

沙綾「…どうしたの?」

 

沙綾が出てきた。

僕らは中に入れさせてもらい、中で話をする事にした。

まぁ、1番ギリギリな質問を商店街の道路で、しかも弟達がいる前では話せないからな…

 

沙綾「…そっか…なつと話したんだ…」

香澄「…ごめんね…」

 

僕もそこにいたのだが、空気はまず重たかった。

とてもじゃないほどギクシャクしていた。

その中で、香澄がどうにか振り絞って話を続けた。

 

香澄「…バンド…やってたんだね…」

沙綾「…聞かれなかったから…」

流星「…聞かれなかったから…か…」

香澄「…なっちゃん…心配してくれてたよ…何も言わないで行っちゃって…今のままじゃ…嫌だなって…」

 

香澄がそう言うのを、沙綾は静かに聞いていた。

 

香澄「…私、沙綾がドラム叩いているところが見たい!」

沙綾「…っ…」

香澄「やろ?…沙綾!」

沙綾「…他の人探してよ…」

香澄「沙綾がいい!新しい曲だって沙綾が…」

沙綾「無理だよ…練習してないし…みんなに迷惑かける…」

香澄「いいよ!」

沙綾「やだよ…もう、バンドやるつもりないから」

香澄「…何で…」

 

香澄は懸命の説得をし続けていたが、沙綾はそれに応じなかった。

僕はそこから割って入った。

 

流星「…これ以上…迷惑かけたくないからだろ?」

沙綾「…」

流星「俺もな…正直なところ…沙綾に似た境遇を味わっていてね…」

沙綾「え?」

香澄「流星君?」

流星「…俺の父ちゃん、結構体を使う仕事をしててね…一時期体を壊して家にいた事があってね…その時なんか、部活や趣味なんてもってのほかだった…友達と遊ぶなんて出来なかった…なんかその時の境遇に似てるんだよ…」

沙綾「…それじゃあ…流星君も今は…」

流星「いや…今はそう言うことは考えてないんだ…父ちゃんは今でも仕事をしているんだけど…俺は父ちゃんにある事を言われてね…」

沙綾「どういうこと言われたの?」

流星「今は言えないな…沙綾の母ちゃんも同じ事を考えているはずだし…」

 

僕はそう言って、沙綾に笑顔を見せた。

しかし…

 

沙綾「…それでも…私は…無理だよ…」

 

沙綾は静かにそう言った。

 

香澄「どうして…バンド…嫌いになったの…」

 

香澄のその発言に、ついに沙綾は堪忍袋の緒が切れた。

 

沙綾「そんなわけないじゃない!」

 

沙綾はこう言った。

あの時のライブをメチャクチャにした挙句、みんなは自分を心配してそれで楽しいのか。

純や紗南といった小さい弟、妹がいて、体の弱い母親が苦労しているのに自分だけ楽しんでいいのか。

やらなければならない事がたくさんあるのに足手まといになって、それで楽しいのか…と…

沙綾は我を忘れて泣きながら怒っていた。

僕はそれを見て、はぁとため息を1つ吐いた。

 

流星「…沙綾…お前の気持ちはわかった…全てはみんなのためなんだろ?」

沙綾「そうよ!何が悪いの!?」

流星「別に悪いってわけじゃねえ…でも…何か履き違えてないか?」

沙綾「どういうことよ!」

流星「確かに、夏希ちゃん達はバンドが楽しかった。でも…ただ単にバンドを楽しむんだったら、他の奴らだっている。その気になりゃ、メンバーを切り捨ててまで、自分が目指すところまでやる奴らだっている…何で夏希ちゃん達はお前を最後まで見捨てなかった?」

沙綾「…」

流星「香澄にはもうバレている事だけど…俺は野球をやっていて、キャッチャーをやっている。野球はチームでやるスポーツで、その時に絆が必要になる。絆がなきゃ、野球なんて出来るわけがない。誰かがミスすれば、みんなが助ける。誰かが落ち込んでいる時は、みんなで励ます…俺だって、ミスしてみんなと顔を合わせる事すら出来なかった時だってある…それでもみんなは気にすることなどない。誰にだって億劫になる事がたくさんある。それを支え合えるのが、仲間や友達…さらに仲間や友達を支え合えるのが、絆だってな…」

沙綾「…絆…」

流星「沙綾が気後れする気持ちはわかる。だけど、それだからこその仲間だっている事を分かってほしい…もう、ここにいんだから…」

 

僕は香澄を見て、もう一回、沙綾を見た。

 

流星「…俺は沙綾の気持ちなんて動かす事は出来ない…それは沙綾が決める事…俺の話は1つの気持ちの持ちようの話だ…こっから先は、俺はもちろん、香澄も決めない。いいな、香澄」

香澄「…流星君…」

流星「…沙綾がどう答えるなんて結構。それが本当に正しいかどうかは…沙綾が決める事だ。正直、そんな事で泣き叫ぶくらいだったら、ダチに相談して、みんなで気持ちを共有して、どうするかを決めた方がいいけどな…」

 

僕は静かに沙綾に言った。

その後、有咲、たえ、りみにその話が筒抜けで聞こえていたらしく、3人に冷やかされた。

香澄は最後、ステージで待っていると伝え、沙綾の家から出た…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

かつての仲間の一人とまた連絡が取れて、そいつと話をしていた。

 

???「…友達を思って離れたのか…お前とは真逆だな」

流星「うっせえ」

???「ははは…変わらんな」

流星「お前もだろ。はぁ…結局…どうしたらいいものか…」

???「まぁ、考え方の1つだろうよ…俺は…家族がキーになるだろうと考えるね」

流星「なるほどな…それより、夏休みどう?」

???「あいつから聞いてるぜ。もちろん、やるわ」

流星「サンキュー」

 

僕は電話越しにその友達と笑いあったのだった。




いかがでしたでしょうか?
今回のこの作品…実は、今のところ出している小説の中で一番文字数が多くなった…と思う作品です。
意外と長い…と思いながら書きましたw
とりあえず、今日はここまで!
では次回お会いしましょう!


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第8話〜ついに5人に〜

どうも、VVVFです。
最後の方に少しお知らせがあるので、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…沙綾と話をした次の日、待ちに待った文化祭が始まった。

僕ら江戸川橋高校は特別整理券を花咲川女子学園からもらったので、来ている人のほぼ半分は江戸川橋高校のメンツらだ。

僕は無論遊びに来ている。

香澄達は有咲の家で泊まってから来ていた。

やはり文化祭のステージでやる曲の打ち合わせや最終確認をしていたのだろう。

一方の沙綾は、お母さんを病院に連れていくために学校に来てなかった。

 

流星「…沙綾…来てねぇか…」

香澄「うん…」

りみ「大丈夫かな?」

たえ「私達も行く?病院」

流星「いや、お前らライブあるだろ」

尚之「それが先だからな…」

 

と、僕と尚之はちょうど休憩タイムの香澄、りみ、おたえと歩きながら話していた。

昨日の沙綾の件を尚之にも言ってあるので、尚之も事情は理解している。

と、僕らは花咲川女子学園の中等科に来ると…

 

香澄「おぉ!」

明日香「何でお姉ちゃんに会うのかな…」

 

…香澄の妹、明日香ちゃんがメイド姿で回っていたのだ。

どうやら明日香ちゃんのクラスはメイド喫茶をやっているらしい。

僕らは明日香ちゃん達と話をした後、有咲のいるクラスに行った。

そこには…『参加型舞台 金のガチョウ』という看板があった。

中に入ると、有咲が…お姫様役で出ているのが見えた。

香澄達は目を輝かせて可愛いと言い、僕と尚之は思わずクラスの外で笑いを殺していた。

そして、有咲と合流した僕らはしばらく有咲の愚痴を聞くことに…

また、その後に江戸川楽器店でバイトをしていたリィさんと、生徒会長のお化け姿を見た有咲が、ひどく怯えた様子で僕に捕まったのは、ここだけの話にしておこう…

とにかく、僕らは文化祭を思いっきり満喫した。

僕と尚之はストラックアウトに挑戦し、たまたまそこにいた江戸川橋高校野球部のメンツと一緒にやった。

本来のやり方とは違う方法だが、今回は特別で野球部のメンツの1人に投げさせてもらい、僕はそれを取った後すぐにボールを投げるという形にしてもらった。

感じとしては、盗塁阻止をする格好でやる。

ボールは軟式の野球ボールだった。

 

流星「…あの…名前は?」

雄介「坂口雄介です。1年生です」

流星「1年!?なら良かった…俺も1年だからよろしく!」

雄介「あ、1年?俺も良かったわ…」

 

投げてくれるのはピッチャーで活躍している坂口雄介だ。

 

香澄「おぉ!流星君の本気、見れる!」

有咲「せいぜい壊すなよ〜」

明日香「え?何々?」

りみ「流星君のポーズ、見るの久しぶりだね」

たえ「キャッチャースタイル…流星君っぽい」

 

雄介は9球投げ、僕がストラックアウトの的を落とした枚数は9枚中9枚と、パーフェクトを取った。

 

雄介「…すげえ…正確なんてレベルじゃねぇ…」

流星「どうよ?」

雄介「いや、すげえよ!それに、お前とだと投げやすかったぜ!」

流星「そうか。あ、景品は雄介にやるわ。俺は投げるだけでええから」

雄介「お!あざーす!」

 

それから僕と雄介はライン交換した後、別れた。

しばらくぶらぶらしていると…香澄が真剣な顔をして窓から外を眺めていた。

 

流星「…香澄!」

香澄「え!?あ、流星君…」

流星「何ぼーってしてんだ?」

香澄「うん…沙綾…大丈夫かな…」

流星「まぁ…沙綾のお母さんが体調崩したからな…」

香澄「…」

流星「…正直、俺は沙綾と一緒にバンドやれると思うぜ?」

香澄「え?」

流星「…何となくだけどな…勘は勘だけど…長らくキャッチャーやってたから、勘がよく当たるんだよ…」

香澄「…でも…」

流星「…大丈夫だ。俺が保証する」

香澄「…流星君…」

 

僕は香澄に笑顔を見せた。

その後、僕は香澄と共にクラスに戻ると…端の方でフードを被った有咲がコーヒーを飲んでいて、一方ではりみのお姉さん、ゆりさんと変人、ひなこさんが遊びに来ていた。

と、そこへ…

 

女子生徒「あの!ウェイトレス、やってくれませんか?」

流星「…え?…俺?」

 

と、僕は香澄のクラスの女子生徒に声をかけられ、仕方なくカフェのウェイトレスになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕はウェイトレスの仕事を終えた後、舞台設置をした。

もちろん、尚之と一緒に。

そこへ…

 

ゆり「…流星君と…尚之君だっけ?」

流星「ん?あ、ゆりさん」

 

ゆりさんが様子を見に来たのだ。

いや、話があるらしくて僕と尚之の元へ来たらしい。

 

ゆり「こんにちは」

流星「…なんか用ですか?」

ゆり「ふふっ、あなたわかってるでしょ?私が話したいこと」

尚之「…」

ゆり「…あなた達…『LINE DRIVE』のメンバーでしょ?」

流星「…全く…」

尚之「バレてましたか…やっぱり」

ゆり「ふふっ。あ、この事、香澄ちゃん達には聞かれてないから安心して」

流星「それより…いつからわかったんです?」

ゆり「私達が交通の乱れでライブに遅れた日あったでしょ?」

尚之「あぁ…あったな」

ゆり「その時、たまたまあなた達の歌声聞こえたの…懐かしくて…大好きな声がね…」

流星「え?」

ゆり「実はね…私がバンド始めた理由が『LINE DRIVE』の歌声とギターを聞いてからなの」

尚之「えぇ!?」

ゆり「…元々…『LINE DRIVE』が好きで…いつもゲリラライブだったから…あなた達目当てにいくつものライブハウスを回ったの…もちろん、最初で最後の告知ファイナルライブもね」

流星「…」

ゆり「…いつか、あんなに楽しくバンドが出来たら…いつか『LINE DRIVE』と共演出来たら…そう思って、バンド始めたの。最初はあなた達と一緒に歌いたいと思ってたけど、あなた達のポリシーでもある『仲間と楽しく!』を重視したら、それがいつの間にか私達のバンドの軸になってたのよ…本当にありがとう」

流星「いえ!僕らは全然…」

尚之「俺らはただ楽しくバンドをやってただけですから…」

ゆり「ふふっ。それで2人が揃っているって事は…もしかして、復活するの?」

流星「…まぁ…みんなが集まったらですけどね」

尚之「その時にはゆりさん達呼びますよ」

ゆり「ありがとう」

 

まさかの告白に驚いた僕と尚之、少し照れくさかったけど、嬉しい気持ちでいっぱいだった。

その後、ライブが始まり、いくつかやった後、香澄達『poppin′party』の番になった。

最初の曲はまさかの『私の心はチョココロネ』という迷曲から入り、観客は盛り上がった。

その次の曲に入ろうとしたちょうどその時だった…

入り口が開く音がし、そこには…沙綾がいたのだ。

沙綾は舞台に上がるや否や、香澄達と笑顔で会話をした後に、ドラムの調整をした。

 

尚之「…うへぇ…すげえ上手いや…」

 

尚之が思わず唸った。

そして、沙綾含めた5人が初めて、1つの曲を歌った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

挿入曲:STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜

Vo:戸山香澄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ライブは無事成功し、ついに『poppin′party』は5人になり、香澄達は笑顔で抱きしめ合ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕はその日の夜…

バンドのメンバー最後の1人と話をした。

そいつは香澄達『poppin′party』の事は前に話した奴から聞いていた。

 

???「…へぇ…『poppin′party』成功したんだ」

流星「あぁ」

???「俺らも最初は学校の文化祭じゃなかったっけ…」

流星「そう言われてみればな…」

???「懐かしいな…てか、早くお前らと会いてえわ」

流星「俺もだよ…そうしたら『LINE DRIVE』復活出来るかな?」

???「そうなりゃ、俺も万々歳だよ」

 

僕とそいつは、互いに昔のように笑いながら話していき、夜が更けていった。




いかがでしたでしょうか?
さて、ここで告知です。
このバンドリの小説ですが…次回からオリジナルストーリー(一部ゲームシナリオあり)で行きたいと思います!
所々時系列おかしくなったりしますが…極力頑張って書いていきたいと思います!
では次回、お会いしましょう!


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第9話〜ライブハウスのイベント〜

どうも、VVVFです。
さて、今回から一部ゲームのストーリー入りですが…オリジナルストーリーを展開させていただきます!
あと、今回はラブライブの小説より先にこれを書かせてもらいます。よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…文化祭から数日後…

僕は練習を兼ねてランニングをしていた。

朝のいつもの日課としてやっているが、今回は少し別のルートを走っていた。

川沿いをひたすら走っていると、とあるカフェテリアの前に来た。

そのカフェテリアと併設している形で、あるライブハウスがあった。

『LIVEHOUSE CiRCLE』と書かれたライブハウスに貼ってあったポスターを僕はたまたま目にした。

どうやらそのライブハウスでイベントをやるらしく、参加者を募っているらしい。

 

流星「…へぇ…」

 

僕はただそれを流しながら見ていたのだが、後々そのライブが最高なものになるとは思ってもみなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の放課後…

 

香澄「沙綾!早く行こ!」

沙綾「ちょっと待ってよ、香澄…まだ準備してないんだから」

 

ポピパのメンバーに沙綾が加わったことで、またさらに賑やかになった香澄達は、りみの情報で新しく出来たライブハウスに行くことになった。

それに僕もついて行くことにした。

 

有咲「全く…香澄はバンドやライブハウスになると熱くなるんだよな…」

流星「だな…」

りみ「でもそれが香澄ちゃんのいいところだと思うよ」

たえ「私も思う」

 

そんなこんなで、僕らは新しく出来たというライブハウスに来ると…そこはなんと、僕が朝ランニングで通った『LIVEHOUSE CiRCLE』だったのだ。

 

流星「ここか…」

有咲「流星、知ってんのか?」

流星「日課のランニングでたまたま通ってね…ほれ、あそこにポスターあるだろ?」

りみ「本当だ」

香澄「何々?何書いてるの?」

沙綾「…ガールズバンドライブ…参加バンド募集中…」

たえ「面白そう」

有咲「へぇ…参加バンド募集中か…いいんじゃねえか?」

流星「話については中に入ってから聞いてみようぜ」

 

僕とポピパメンバー5人は、ライブハウスの中に入った。

中は意外と広く、いろんなバンドのポスターがあった。

 

???「いらっしゃいませ!」

香澄「あの…ポスター見て来たんですけど…」

???「あ、もしかしてライブに参加したいの?」

香澄「はい!」

有咲「ちょっ、香澄早すぎ!」

流星「全く…あのー…ライブの参加資格って…」

???「うーんと…やる気があれば十分!」

流星「テキトー!?」

???「まぁ…そういうことにしないと、バンド来ないし…」

流星「そうなんすか…」

???「そういえば申し遅れましたね。私は月島まりなと言います。よろしくね」

流星「あ、こちらこそ…」

まりな「それで…そこにいる5人がガールズバンドやってるの?」

香澄「はい!私、戸山香澄です!ギターをやってます!」

沙綾「あはは…というか、バンド名言ってないじゃん…」

有咲「全く…少しは落ち着けよ…」

沙綾「とりあえず、私から改めて言いますね。私達、『poppin′party』というバンドをやってます。私は山吹沙綾と言います。担当はドラムです。

有咲「市ヶ谷有咲です。担当はキーボードです」

たえ「花園たえです。担当はリードギターです」

りみ「牛込りみです。た、担当はベースです…」

流星「俺は秋山流星です。まぁ…世話役です」

 

僕らはまりなさんにそれぞれ名前を言った後、まりなさんは『LIVEHOUSE CiRCLE』の中を説明してくれた。

ライブのステージはもちろん、練習用のスタジオも完備している充実ぶりに、ポピパのみならず僕も思わず唸ってしまった。

そして僕は思わずこんな質問をした。

 

流星「それでまりなさん…今のイベント、僕らの他に何組のバンド来ます?」

 

すると、まりなさんは少し笑顔を引きつらせてこう言った。

 

まりな「…君たちだけなの…」

流星「はぁ!?」

 

僕は思わず叫んでしまった。

香澄達は全員スタジオで練習するといって言ってしまったので、今その場にいたのは僕とまりなさんだけだった。

 

流星「どうするんですか!?」

まりな「うーん…本当にどうしよう…」

流星「…それなら、僕とポピパのみんなで参加するバンドを探しますよ」

まりな「え!?いいの!?」

流星「なんかかわいそうなんで…」

 

ということで、僕は香澄達の元へと行き、事情を話してバンドのスカウトをすることにした。

 

有咲「はぁ!?なんでそんな事を!?」

流星「悪りぃ…なんかかわいそうに思えて…」

香澄「でもいいじゃん!探しに行こう!」

 

僕らはまりなさんの元へ行き、まりなさんが注目しているバンドを教えてくれた。

幼馴染で結成され、パワフルな歌声でファンを魅了する最近注目しているバンド『Afterglow』

全員が芸能事務所に入っていて、楽器もしっかり演奏できるアイドルバンド『Pastel*Palettes』

『世界を笑顔に!』をモットーに、チビッコ達の間では人気のある異色バンド『ハロー、ハッピーワールド!』

そして、プロが注目する確かな技術と人々を虜にさせる歌声で話題沸騰中のバンド『Roselia』

 

流星「へぇ…」

まりな「さっき出て来たほとんどのバンドの人はある男子バンドを聞いて、自分も楽しくやってみたいと思ったそうよ」

香澄「男子バンド?」

まりな「ここらだと少し話題になったくらい有名なバンドだったらしいわ。たしか…『LINE DRIVE』だったかしら?」

流星「!?」

 

僕はまりなさんの言葉を聞いて思わず体をビクッと震わせた。

 

有咲「『LINE DRIVE』?知らねえな…」

香澄「私も…ってあれ?沙綾?りみりん?おたえ?」

 

有咲と香澄の一言を聞いた沙綾、りみ、たえの3人は、有咲と香澄を笑顔で睨んでいた。

 

沙綾「…香澄?まさか、『LINE DRIVE』知らないの?」

りみ「ここだと有名なバンドだよ?プロの人にも注目されたくらいなんだから…」

たえ「私がギター始めたのは、ギターの音を聞いて震えた事だけれど、もっと本格的に始めようと思ったの、その『LINE DRIVE』の曲を聞いてからなんだよ?」

沙綾「つまり、『LINE DRIVE』は…私たちにとって、体の一部といっても過言じゃないの…」

有咲「お、おう…悪かったな…」

香澄「ご、ごめん…」

 

と、沙綾、りみ、たえの3人熱く語ってる一方で、まりなさんが僕に話しかけた。

 

まりな「そういえば…さっき『Roselia』のボーカルの湊さんがいたの。申し訳ないけれど、スカウトしに行ってくれる?」

流星「あー…わかりました」

 

僕はポピパのみんなを呼んで、急いで外へと出た。

 

流星「そういや…『Roselia』って、つい先日に『グリグリ』とジョイントセッションをやったんだっけ…」

りみ「そうだよ〜。それより…流星君」

流星「ん?」

りみ「流星君って…『LINE DRIVE』のメンバーだった?」

流星「えっ!?どうしてそんな事を!?」

りみ「香澄ちゃんが『SPACE』で歌を歌う前に、流星君歌ったでしょ?」

流星「あ、あぁ…」

りみ「あの時、懐かしい感じがしたんだ…私が憧れていた声に…」

流星「あ、そ、そうなの?」

りみ「…流星君…『LINE DRIVE』のメンバーだったの?」

流星「いや…それは…その…」

 

と、その時だ。

 

香澄「あ!『Roselia』の人たちだ!」

 

と、香澄が走ってライブハウスに併設しているカフェテリアのカウンターへと向かって行った。

 

流星「わ、悪りぃ、りみ。香澄を追いかけないと…」

りみ「う、うん…」

 

僕は香澄を追いかけるという名目で、その話を切り上げた。

どうして僕はその事をりみに、さらにいうならポピパのみんなに知らせないのかというと、今日の昼に『LIVEHOUSE CiRCLE』のライブの日にちを尚之含むかつてのメンバーに伝えると、なんと偶然にもその日を中心とした1週間に全員集合出来るのだ。

そこで僕らは、かつてのライブスタイル、ゲリラライブをやるべく、『LINE DRIVE』の情報は言わないでおきたいのだ。

もちろん、僕らの正体を知ったゆりさんもりみに伝えるような事はしないようにしてもらっている…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕とりみは香澄達に追いつくと、そこにいた薄い紫色の髪の女の子と、緑色の髪の女性がいた。

 

???「戸山さん、花園さん、何しているの?」

香澄「ひ、氷川先輩!せせせ、先日はどうも!」

流星「落ち着け…香澄…」

???「あら?あなたは?」

流星「秋山流星と言います。香澄達とは一緒にバンドの練習をしている仲です」

???「そうなの…」

 

と、そこへ

 

???「あ、その子達花女生なのね。そこにいる子は別として…」

 

と、茶髪の女性が現れた。

 

???「えぇ、1年後輩の戸山香澄さんと花園たえさんよ」

たえ「どうもー」

流星「どこぞの漫才師か!」

???「へぇ、私はリサ、ベースをやってるんだ。それで、そこにいる子は友希那、あっちがドラムのあこ、そこの大人しめの子が燐子。よろしくね」

 

リサさんの話だけではあまりわからないと思うので、自己紹介でわかった事を要約すると…

『Roselia』のメンバーは、実力主義者の高校2年生、ボーカルでリーダーの湊友希那さん。

同じく実力主義者で高校2年生、ギター担当の氷川紗夜さん。

友希那さんの幼馴染で高校2年生、ベース担当の今井リサさん。

かっこいい事が大好きでたまに中二病化するドラム担当の宇田川あこ。

あこの親友で引っ込み思案のキーボード担当の白金燐子。

この5人が『Roselia』を組んでいた。

僕らはその『Roselia』のリーダー、友希那さんに参加願いを出したところ…

 

友希那「私達が目指しているのは、はるか高いところなの。だからそんなのに出てる暇なんてないわ」

 

と、さすがの実力主義者の言葉を言った。

それならばと、香澄は…

 

香澄「だったら私達の音楽聞いてください!」

 

と言ったのだ。

『Roselia』のメンバーは、一度『poppin′party』の音楽を聞いてから出るか否か、結論を出すだそうだ。

やっぱり一筋縄ではいかないな…このスカウトは…

僕はそう思いながら、『poppin′party』のみんなといっしょに次のバンドの元へと向かった…

 




いかがでしたでしょうか?
意外とバンドリ!の小説、ないんですよね…最近出始めたばかりですから仕方ないと思いますけど…
少ない中で、僕はしっかりと小説書かねば…と思ったこの頃である←趣味程度で書いている奴が何言ってるw
では次回お会いしましょう!


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第10話〜スカウトは順調?〜

どうも、VVVFです!
最近、曲のリクエストが来てくれて本当にありがたいです!
もし、歌って欲しい曲があれば是非書いていってください!
では本編どうぞ!


…『Roselia』との交渉を終えた僕らは、一度まりなさんに報告し、次のバンド、『Afterglow』の出演依頼をしに行った。

『Afterglow』がよく使っているというスタジオに来た僕らは、メンバーを探しながら中を散策した。

 

香澄「…どこかな?アフターグロウ…」

流星「中が結構広いしな…探すの大変だぞ…」

 

と、その時だ。

 

沙綾「…あれ?あそこにいるの…」

 

と、沙綾が誰かを見つけたらしい。

沙綾の視線の先には、赤い髪の女性がいた。

雰囲気的には僕らの年上といった感じだ。

僕らがじっとその人を見ていると、相手の人もこっちに気がついた。

 

???「あれ?沙綾?」

沙綾「やっぱり!巴じゃん!」

 

どうやら赤い髪の女の人と沙綾は知り合いのようだ。

 

香澄「沙綾、知り合い?」

沙綾「うん、同じ商店街に住んでいる宇田川巴さん。私達と同じ高校1年生だよ」

流星「高校1年生!?全然見えねえ…てか、宇田川?もしかして、さっきの『Roselia』のあこちゃんのお姉さん?」

巴「おぉー、あこに会ってきたのか。そうだよ。私は宇田川あこの姉の巴だ。よろしくな。あぁ、呼び捨てでいいよ」

香澄「戸山香澄です!沙綾とは一緒にバンド組んでます!」

流星「秋山流星だ。香澄と沙綾とはまぁ…仲良くしているし、ギター弾けるからたまに教えたりしている」

 

と、僕と香澄と巴で挨拶をした後、巴の入っているバンドのメンバーを紹介してくれた。

黒髪のショートヘアーの子がしっかり者のギターとボーカルをやっている美竹蘭。

銀髪のショートヘアーの子でどことなくふわふわしているギターの青葉モカ。

ピンク色の髪のセミロング、ツインテールにしている子でリーダーの元気印、ベースの上原ひまり。

茶髪のショートヘアーの子で頑張り屋、キーボードの羽沢つぐみ。

それに巴を含んだ5人でバンドをやっているらしい。

ちなみに、後々わかったことだがモカが『山吹ベーカリー』の大ファンで、よくパンを買っているそうだ。

と、ここで沙綾が巴にこう質問した。

 

沙綾「ところでさ…巴が組んでいるバンドって『Afterglow』って名前?」

 

僕はここでふとライブハウスで見た写真の中に、巴が写っていたことに気がついた。

巴は沙綾の質問に淡々と答えてくれた。

 

巴「あぁ、そうだけど…それがどうしたんだ?」

流星「あぁ…ええっとね…」

香澄「ねぇねぇ!ライブイベントに出てみない!?」

流星「香澄!早すぎ!」

蘭「ライブイベント?その話、聞かせてくれない?」

 

香澄のいつもの突撃にいつものように振り回されながら、『Afterglow』のメンバーに、今度のライブハウスでやるイベントの概要を言った。

すると…

 

巴「へぇ、面白そうだな。みんなどうする?」

ひまり「いいねいいね!面白そう!出てみたいなぁ」

つぐみ「私も出たい!」

 

と、好感触だった。

その後、『Afterglow』の曲を聞いた僕と香澄、沙綾はイベントに出てもらうよう改めて説得し、『Afterglow』全員一致で出てもらうことになった。

 

流星「ふうっ…それじゃあ、今度出演バンドが決まったら連絡するんで、よろしくお願いします」

蘭「わかった…それより、流星君だっけ?」

流星「ん?」

蘭「ギター弾けるんだよね…1回聞いてみたい」

流星「はぁ!?」

モカ「いいねー、聞いてみたーい」

ひまり「確かに…ギター教えているくらいだからね…」

つぐみ「1回弾いてもらってもいいですか?」

巴「本当に少しだけ!お願いします!」

流星「わ、わかったよ…」

 

『Afterglow』のメンバーに押され、スタジオに置いてあったギターを軽く弾いた。

すると…

 

蘭「すごい…」

つぐみ「かっこいい…」

巴「思わず聞き入ってしまったよ…」

モカ「体に響くね」

ひまり「…なんてギターさばきなの…」

 

と、大絶賛してくれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次に訪れたのは、とある芸能事務所だった。

 

流星「…ここが『Pastel*Palettes』がいる事務所ねぇ…」

香澄「すごい…私達、すごいところに来てるよ!有咲!」

有咲「香澄うるさい!静かにしろ!」

 

僕と香澄、沙綾に変わって有咲の3人で芸能事務所の中を散策すると…

 

???「あの…あなた達は?ここの事務所に用でしたら、アポを取っていただかないと…」

 

と、金髪の女の子が話しかけて来た。

 

流星「あぁ、すみません。ちょっと用事が…って、白鷺千聖!?」

 

僕は思わず大声を出してしまった。

なぜなら…テレビで多数の番組に出演している白鷺千聖さんがいたからだ。

 

香澄「わぁっ!白鷺千聖ちゃんだー!私テレビで見た事あるよ!」

有咲「流星!香澄!声デケェよ!」

流星「悪りぃ…つい…」

千聖「あの…ファンの方ですか?」

流星「あ、違うんです。実は…」

 

と、そこへ、

 

???「チサトさん、もうすぐリハが…あ!カスミさん!」

香澄「やっほー!イヴちゃん!」

 

銀髪の女の子が現れた。

この子も有名人で、若宮イヴ。モデルをしており、香澄のクラスメイトである。

ちなみに、僕から見たイヴちゃんは『武士道』なるものに憧れている少女だが、何か履き違えている感じがした。

 

イヴ「どうしたんですか?こんなところで…もしかして、みなさんもアイドルに…」

流星「俺はならねぇからな。話があって来ただけだ」

 

と、そこへまたまた誰かが来た。

 

???「あれ?あなた達、もしかして『poppin'party』?」

 

ピンク色の髪の女の子が来たのだ。

 

香澄「え!?私達の事知ってるんですか?」

流星「…つーか…どこかで見たような…」

???「知ってるも何も…みんな花女でしょ?学校じゃみんな有名だよ?」

流星「あー…あなた、花咲川女子学園の人ですか…」

???「うん、そうだよ。私は2年の丸山彩。あそこにいる千聖ちゃんと同じ学校なんだよ」

有咲「そういえば、ウチの学校にいるって噂聞いた事あるような…」

流星「いや、さっき香澄が言ってたからな」

有咲「それよりも前の話だからな?」

彩「それより、あなた達は何しに来たの?」

 

僕はライブハウスでのイベントの概要と、『Pastel*Palettes』を探している事を話すと…

 

彩「あ、『Pastel*Palettes』は私達のバンドです」

流星「えぇ!?」

 

と、いつの間にか『Pastel*Palettes』に会っていたのだ…

そして、僕が概要を話していると…

 

???「何々、どうしたの?」

 

と、緑の髪の女の子と茶髪のベレー帽を被った女の子が来た。

 

彩「日菜ちゃん!麻弥ちゃん!」

???「リハの時間過ぎているのにみなさん来ないので、心配していたんです」

流星「あー悪りぃ、俺の説明が長かっただけだ。ちーともう一回話させて」

 

僕は2度目のライブハウスのイベントの話をした。

それと同時に、改めて自己紹介をした。

ピンク色の髪の女の子で努力家のリーダー、ボーカルの丸山彩さん。

金髪の女の子で子役として人気を誇っていた、ベースの白鷺千聖さん。

緑の髪の女の子で練習などをしなくても感覚でなんでも出来てしまう天才、ギターの氷川日菜さん。

銀髪の女の子で『ブシドー』に憧れているハーフ、キーボードの若宮イヴちゃん。

茶髪の女の子で機械オタク、ドラムの大和麻弥さん。

以上の5人で『Pastel*Palettes』を組んでいた。

僕からの説明を受けた『Pastel*Palettes』のメンバーは、興味深々で乗ってきてくれたが…

 

千聖「私達、芸能事務所に所属しているバンドなので、すぐに出演を決められないんです…」

 

と、千聖さんからアイドルバンドの縛りを言った。

 

流星「すぐとは言いません。もしよかったらという話ですので、決まり次第『LIVEHOUSE CiCRLE』の月島まりなさんという人に電話してください」

千聖「わかりました」

 

『Pastel*Palettes』のみなさんは、出来る限り事務所の方に説得するという約束をし、最後はやる予定のリハーサルの様子を見てみることにした。

 

流星「…すげえ…アイドルバンドというだけはある…」

彩「ありがとうね、流星君」

 

僕らは興奮冷めやまぬまま、最後のバンドの元へと向かった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最後は『ハロー、ハッピーワールド!』というバンドの元へと向かった。

僕と香澄、有咲に変わってりみの3人で、駅前の広場に着いた。

僕らが駅前の広場を見渡すと…何やら人だかりが出来ていた。

 

りみ「あれ?あの人だかりなんだろう…」

流星「ちょいと行ってみるか…」

 

僕と香澄、りみが人だかりの中心の方を見ると…

 

???「世界を笑顔に!ほらほら、あなたも笑顔!私も笑顔!」

???「君の笑顔…儚く美しいね」

 

と、金髪のロングヘアーの子と紫の髪の女の人がが意味不明な言葉を言っていた。

その周りには他に3人がいたが、1人だけ着ぐるみを着ているのは気のせい…のはず…

 

流星「…ええっと…これは…」

香澄「同じ学校の弦巻こころちゃんだよね?なんか楽しそうな事をしてる!」

流星「いや、楽しかねえだろ!?あれ、ただの変人だよ!?てか、弦巻こころ!?変人中の変人じゃねぇか!」

 

僕は思わず叫んでしまった。

先ほど言った弦巻こころという子は、金髪のロングヘアーの子で、僕の学校でもかなり有名人である。

まず、変人の中の変人と言われるくらい発想が独特過ぎて有名。

次に、超大豪邸に住む超お嬢様という事で有名。

僕の学校の中でもあまり関わりたくない人ランキング(学校内なんでもランキング部調査)にて、僕の学校の中で関わりたくないと言われている人を堂々と抑えて1位を獲得している。

そんな変人の元へと行こうものなら、僕は必ず避けたいところなのだが…

ふと気がつくと、香澄とりみがあの変人の元へと向かっていたのだ。

 

流星「あ、ちょっ…はぁ…」

 

僕はため息をついて、2人を追いかけた。

僕はりみを追い越して香澄と合流した。

と、そこへ、

 

???「あれ?香澄ちゃん?」

 

と、オレンジのショートヘアーの子が香澄に話しかけた。

 

香澄「やっほー!はぐだ!ハグハグ!」

流星「はぐ?」

りみ「北沢はぐみちゃんだよ。『北沢精肉店』の娘さんなんだ」

流星「あーそういや…いつも『北沢精肉店』で買いに行っている時に見かけてたな…」

 

と僕が納得している時に、香澄は何をしているのかと聞いたのだ。

その返事が…

 

はぐみ「ライブだよ!ちょうど今終わったとこ!はぐみ達はね、世界を笑顔にするためのバンドをやってるの!」

 

…というものだった。

 

香澄「はぐもバンドやってたんだね!それじゃあ、このクマの着ぐるみもバンドメンバーなの?」

はぐみ「着ぐるみじゃなくてミッシェルだよ!ミッシェルはDJなんだ!」

流星「いや、着ぐるみだろ!?お前ら何歳児!?てか、バンドにDJなんて聞いた事ねぇぞ!?」

はぐみ「ちょっと、失礼だよ!はぐみは16歳だよ!」

流星「あ、はい…すみません…」

 

とそこへ、息を切らせてりみが僕と香澄の元に着いた。

 

???「そんなに息を切らせてかけてくるなんて…なんて愛らしいんだ。君も私に会いにきてくれたのかな?」

りみ「っ!?」

流星「いや、違うと思うけど…」

 

りみが顔を赤くする中、僕は紫の髪の女の人に思わず突っ込むと…

 

観客「ちょっと!薫様に何言ってるのよ!」

 

と、観客の野次が来たのだ。

 

流星「うおっ!?」

???「やれやれ…いつもかわいい子羊達は、ボクの美しさに見とれてしまって…」

流星「つーか、あんた達誰!?」

 

僕は紫の髪の女の人に言うと…

 

???「見ててわからない?バンドをやってるのよ!」

 

と、金髪の女の子が返事してきたのだ…

これではらちがあかないので、とりあえず自己紹介をした。

金髪のロングヘアーの子は、先ほど言ったように変人中の変人のお嬢様で高校1年生、ボーカルの弦巻こころ。

紫のロングヘアーの女の人は、女子に超大人気、まるで男の人のような雰囲気の演劇派、高校2年生、ギターの瀬田薫。

オレンジの髪の女の子は、近くのソフトボールのチームのエースでキャプテンというスポーツ万能の高校1年生、ベースの北沢はぐみ。

水色の髪の女の子で、常識人で気の弱い高校2年生、ドラムの松原花音。

黒髪のロングヘアーの女の子で、商店街のマスコット『ミッシェル』の中に入っている常識人の高校1年生、DJの奥沢美咲。

この5人で組んでいるバンドが、僕たちが探していたバンド『ハロー、ハッピーワールド!』だった。

僕は仕方なく、『ハロー、ハッピーワールド!』のメンバーにライブイベントの話をすると…

 

こころ「いいわね!参加するわ!」

 

と、快く承諾してくれた。

まぁ、『世界を笑顔に!』をモットーにしてるんだからね…と思いながら、僕は少し安堵のため息を吐き、ライブハウスに戻った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

 

流星「…え!?明日来る!?」

???「あぁ、他の2人はまだだけど、俺は明日行けそうだから行くわ」

流星「マジあざーす!」

???「たまたま空いたからね。まぁ、明日明後日あたりに他の2人も来るだそうだからね」

 

明日、仲間が来る事を知った僕は、少しドキドキしながら星空を眺めたのだった。

 




いかがでしたでしょうか?
こちらに来てくれた感想の中に、『LINE DRIVE』全員が見たいという感想が来てくれたのですが…やっと次回で1人メンバーが来ます!
他のメンバーも後々しっかり来るので、期待していってください!
では次回、お会いしましょう!


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第11話〜集いし5人〜

どうも、VVVFです。
ようやく…主人公が入っているバンド、全員揃いました!
待っていた読者の皆さん、お待たせいたしましたw
後、今回でリクエスト等は一旦打ち切らせていただきます。
次回(予定)でリクエストの曲を『LINE DRIVE』のメンバーが歌いますので、乞うご期待!
では、本編どうぞ!


…この日、僕は『poppin'party』のみんなとは別で駅に来ていた。

ついに、僕のバンド仲間の1人が来るのだ。

 

流星「…そろそろだな…」

 

と、僕が時計を見たその時だ。

 

???「…お、いたいた!」

流星「ん?あ、良太!久々だな!」

 

僕が会いたかった仲間の1人が来たのだ。

茶髪の顔が整っているその青年は、僕を見て一瞬でわかったらしい。

彼の名前は天野良太。

今は名古屋の高校で頑張っている奴で、僕と尚之の幼馴染。

というか、バンドメンバー全員幼馴染だけどね。

それでもって、今でも野球をガッツリやっている。

ポジションはピッチャー、ノーワインドアップからの腕を高々と上げ、そこからサイドスローという変則的なピッチングが特徴だ。

良太のいる学校は甲子園大会に出場経験がある強豪校で、元々は良太の父の転勤で仕方なくそこに入ったのだが、元々身体能力が高いのでプロが今注目している1人に入っている。

 

良太「あれ?尚之は?」

流星「今日は『poppin'party』のみんなと一緒にいる。僕の代わりって感じだ」

良太「なるほど…んで、その『poppin'party』 の曲聞いたんだけど…」

 

良太はおもむろにズボンのポケットから音楽プレーヤーを取り出した。

 

良太「…なかなかよかったぜ。やっぱ、流星は野球より音楽向いてんじゃねぇか?」

流星「冗談はよせよ…俺はお前らと戦うって約束したんだぜ?」

良太「にしては、野球部にまともに顔を出していないし、そもそも野球部が弱いって話だから叶いそうにもないがな」

流星「うっせえよ…」

 

かつてのように色々話をした後、僕と良太は僕の家にきた。

そこで尚之と合流し、ライブハウスのイベントで出す曲について話し合った。

ちなみに、尚之の話によると、今回のイベントには『poppin'party』、『Roselia』、『Afterglow』、『Pastel*Palettes』、『ハロー、ハッピーワールド!』の5組が出る事になったのだ。

 

流星「マジ!?それはすげえな…」

良太「なんか聞いたことないバンドもあるんだが…」

尚之「あぁ、良太や明日来る2人は知らないんよな…明日の2人が来たら一緒に説明するからその時な」

良太「了解」

 

僕と尚之と良太は、昔のように色々話をしながらイベントに使う曲を選抜し、その選抜曲を残りの2人に送った。

いよいよ楽しみになってきたな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

この日は僕が『poppin'party』のみんなと一緒にライブハウスに来ていた。

この日はどうやら『Pastel*Palettes』との合同練習をするらしい。

 

流星「つーか…なんで合同練習?」

香澄「親睦を深める為だよ!」

流星「へぇ…香澄にしてはまともに考えたな」

香澄「えっへん!」

 

と、僕とポピパのみんなで話していると…

 

彩「こんにちは!『Pastel*Palettes』です!」

沙綾「あ、彩先輩!今回はよろしくお願いします!」

 

『Pastel*Palettes』の皆さんが来たのだ。

 

彩「こちらこそよろしくね!それで…合同練習って、何から始めようか…」

香澄「ええっと…自己紹介はもうしちゃったので…お菓子パーティから始めます?」

流星「なんでやねん!」

有咲「そもそもお前から提案しただろうが!あ、あはは…もう香澄ったら、冗談ばっかりー」

流星「有咲はキャラ変すんな!」

 

と、いつものドタバタ劇を繰り広げた僕らは、その後、あまり同級生の子のバンドの練習を見た事がない『Pastel*Palettes』のメンバーのために練習をする事にした。

練習はものの数分ぐらいで終わったが、『Pastel*Palettes』の皆さんは喜んでくれた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は普通に家に帰ると…

 

???「おいっす!久し振りだな!流星!」

???「4年振りか…久々だな!」

流星「海斗!裕二!久し振り!」

 

良太と尚之の隣に、赤い髪の青年と青い髪の青年がいた。

赤い髪の青年は、赤星裕二。青い髪の青年は、三上海斗。

2人とも今でもバリバリの野球児で、話によると奇跡的に高校は同じ学校だという。

2人の学校は、関西にある高校で最近甲子園に出場して来ている成長校だという。

ちなみに、裕二はセカンドを守っており、海斗は内野全般出来るユーティリティプレーヤーである。

 

流星「これで…全員揃ったな!」

 

僕は座りながらそう言った。

そう…これで『LINE DRIVE』全員が揃ったのだ。

 

良太「しかし、裕二も海斗もこのタイミングで来るとは…偶然にも程があるだろ」

裕二「知るかよ…たまたま休みが取れたんだからさ…」

海斗「ほんと、偶然だったよ…」

尚之「ははは…こんなこともあるっつうことだな」

流星「今回は本当に偶然だ。またお前らとバンドやれるんだからな!」

 

いつも物事を冷静に見ている、キーボードの天野良太。

情熱的で思い立ったら即行動、ギターの赤星裕二。

理論派で考えてから行動を移す、ベースの三上海斗。

いつも明るくムードメーカー、ドラムの川端尚之。

そして、そんな奴らをうまくまとめている、ギターでボーカルの僕、秋山流星。

この5人が『LINE DRIVE』のメンバーだ。

『LINE DRIVE』は僕が地元の野球チームのチームメイトだった4人に声をかけて結成したグループで、名前の由来はもちろん野球用語『ラインドライブ』である。

僕がいろんな音楽を聴いているうちに、自分でもやってみたいと、近くに住んでいたギター好きの人からイロハを教えてくれた。

そして、その時たまたま一緒に練習していた裕二と海斗、ドラムを独学で学んでいた尚之、ピッチャーで指先を鍛えるためにピアノを習っていた良太を誘って組んだのだ。

最初のライブは、10件ライブハウスを周り、ようやくライブの許可が得られたライブハウスでやった。

そこから評判を上げていき、ついにはガールズバンドの聖地がある、僕が今住んでいるこの地域でガールズバンドを凌ぐ人気を誇ったのだ。

しかし、そのたった1年後には…裕二が関西に、海斗は広島に、尚之は北海道に、良太は名古屋にそれぞれ親の都合で引っ越すことになり、今香澄達がライブしたいという場所『LIVE HOUSE SPACE』でファイナルライブをしたのだ。

ファイナルライブは『LIVEHOUSE SPACE』の歴代来客数1位を記録して、僕らは解散した。

そして今…僕らは復活ライブをしようとしていた。

 

裕二「なぁなぁ!ここの演出でみんなそれぞれに光当たるのはどうだ!?」

海斗「裕二にしてはいい案だな。それで行くか」

尚之「それだったら、他のバンドと歌う曲どうすんの?」

流星「それはまりなさんに頼んでみる。後は…」

良太「ここの演出だな…やっぱり、みんなで楽しむ方がいいからさ…」

 

僕らは夜が更けるまで、ずっとライブについて話し合ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

僕は尚之、良太、海斗、裕二を連れて『LIVEHOUSE CiCRLE』に出向いた。

 

まりな「あ、流星君!尚之君!と…」

流星「まりなさん…お願いがあって来たんです」

まりな「ん?何々?」

流星「…僕らを…ライブに出させてください」

 

僕ら5人は真剣な眼差しで、まりなさんを見たのだった。




いかがでしたでしょうか?
次回はライブの前日と当日、両方一気にやりたいなと思っています!
曲をリクエストしてくれた方々、本当にありがとうございます!
次のリクエストの機会があったら是非よろしくお願いいたします!
では次回お会いしましょう!


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第12話〜LINE DRIVE〜

どうも、VVVFです。
今回はついに、イベントの回でございます!
リクエストしてくれた読者の方々のおかげで何とか書けましたw
では、本編どうぞ!


…イベント前日…

僕は『LIVEHOUSE CiRCLE』でイベントの最終打ち合わせに出る事にした。

これといってということではないが、香澄の事だし…と思いながら来てみたのだ。

ふと、ライブハウスの入り口のポスターを見ると、イベントの出演バンドの一覧に、『復活!あの伝説的バンド『LINE DRIVE』が帰って来た!』と端っこながら、かなり謳っていた。

僕らがまりなさんに頼み込んだ時、オーナーが現れ、僕らが『LINE DRIVE』というバンドだと知ると、イベント参加を快く承諾してくれたのだ。

オーナー曰く、数多くのガールズバンドが憧れ、目指す目標になっているバンドが出てくるとなると、観客の人達はもちろん、出演バンドのみんなも盛り上がるだろうというらしい。

また、演出についても僕らはオーナーさんに頼み込むと、出来ることがあるなら協力するということだそうだ。

 

流星「…いよいよ明日だな…」

 

と、僕はボソッとつぶやきながら中に入り、スタジオの中に入ると…

 

沙綾「おたえ!りみ!やるよ!」

たえ「わかった!」

りみ「一生懸命やるよ!」

 

と、沙綾、たえ、りみが何やら…燃えていた。

この3人だけではない。

他のバンドを見てみると…

 

友希那「みんな、行くわよ」

紗夜「えぇ…『LINE DRIVE』が見に来るんですから、いつもより多く練習をやりましょう」

彩「千聖ちゃん!今日はたくさん練習するよ!」

千聖「え、えぇ…わかったわ…」

 

と…全てのバンドでかなり熱く練習していた。

 

流星「…今日はみんな頑張ってるな…本番前だからか?」

美咲「それは違うと思うよ」

流星「あ、ええっと…美咲ちゃんだっけ?どういう事?」

美咲「さっき、紗夜さんが言ってたんだけど…『LINE DRIVE』というバンドが来るっていうことで、みんな張り切ってるんですよ…私は分からなかったですけどね…」

 

美咲ちゃん情報によると、今いるバンドメンバーで『LINE DRIVE』を知らない人は、香澄、有咲、あこちゃん、燐子さん、日菜さん、千聖さん、イヴちゃん、麻弥さん、こころちゃん、薫さん、はぐみちゃん、美咲ちゃんの計12人。

半数が『LINE DRIVE』を知っていて、半数が知らないという状況だった。

さらに話を聞くと、知っている人のほとんどは、『LINE DRIVE』を目標にしている、または憧れているバンドということで、前日という関係もあるけれど、いつもより熱くなっているという。

そのおかげで…

 

香澄「流星〜!沙綾が厳しい!」

有咲「辛え…マジで辛え…」

 

と、香澄が悲鳴を上げていたのは言うまでもない…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕ら『LINE DRIVE』はライブハウスに来ていた。

ポピパらガールズバンドのみんなは全員帰宅していた。

 

良太「全く…こんなんで予告しちゃゲリラライブじゃないだろ…」

尚之「あはは…まぁ、いいじゃねぇか。これで盛り上がるし」

裕二「そうだな」

海斗「んじゃ、早速中に入りますか」

 

僕らは中に入り、スタジオで最後の練習をした。

 

流星「…さぁ…いよいよ本番だ」

 

僕はみんなに明日への意気込みを言った。

 

流星「…明日が俺ら『LINE DRIVE』の復活ライブ。全力で楽しもうぜ!」

尚之「よっしゃ!」

良太「当たり前のこと言うなし」

裕二「やるぞ!」

海斗「久々だな…頑張って行くか」

 

僕らは笑顔で互いの顔を見合い、一緒に帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イベント当日…

ポピパや他のバンドのみんなは、最後のリハーサルを行い、それぞれ自分達の出番を待っていた。

僕はポピパのみんなに観客席で見ていると言って別れ、尚之達と合流した。

 

香澄「…流星君…見に来るよね?」

有咲「当たり前だろ?来なかったら速攻しばくからな」

りみ「有咲ちゃん、落ち着いて」

沙綾「私達は私達なりに頑張ろうよ」

たえ「流星君もちゃんと見てくれてるから」

 

と、ポピパのみんなが緊張している中、僕らは別室でライブスペースの中継を見ていた。

 

尚之「…いよいよだな…」

流星「あぁ…」

 

最初のバンドは『Afterglow』から始まり、『ハロー、ハッピーワールド!』、『Roselia』、『Pastel*Palettes』、『poppin'party』と続いた。

ポピパのライブが終わったのを見計らった僕らは、静かに行動した。

出演したバンドは、今は全員観客の後ろの方で立っていた。

これも僕らが考えた演出…というか、サプライズへ持って行くためのシナリオの1つだ。

 

香澄「みんな、お疲れ!」

友希那「お疲れ様です」

蘭「終わったのはいいけれど…なんでここに集まらなければ…」

彩「何か演出あるのかな?」

こころ「すっごく楽しみ!」

 

と、その時だ。

会場の電気が一気に消え、ステージの上の方だけ、スポットライトが当てられ、まりなさんが出てきた。

 

まりな「ご来場の皆様、本日はお越しいただきありがとうございます。本日のイベントは、5組のガールズバンドで行われる予定でございましたが、皆様ご存知の通りかもしれませんが、かつてこの町で有名になり、今回出ていただいたバンドのメンバーの半数が目標にしているというバンドが、今回復活ライブとして、この『LIVEHOUSE CiCRLE』でライブをする事が決まりました!」

 

まりなさんがそう説明してくれているうちに、僕らは裏でコソコソと調整をしていた。

 

まりな「そのバンドの名前、知っている方は大声を上げて言ってみてください!せーの!」

観客「『LINE DRIVE』!」

 

やはり、見に来てくれている観客のほぼ全員が知っていた。

僕はまりなさんに準備完了のサインを送った。

 

まりな「えー…今『LINE DRIVE』のボーカルの人からオーケーサインが出ました!では、4年ぶりの登場『LINE DRIVE』です!どうぞ!」

 

まりなさんはそう言って舞台袖へと帰っていった。

 

香澄「どんなバンドだろう…キラキラしてるかな…」

沙綾「どうなんだろうね…」

 

そして、僕らのライブがスタートした。

 

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一曲目:シュガーソングとビターステップ

Vo.秋山流星

(前奏にて、ドラマの音に合わせて裕二→海斗→良太→尚之→流星の順にライトが照らされる)

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〜曲中〜

 

香澄「…え!?あれ、流星君!?」

りみ(やっぱり…流星君…)

沙綾「嘘…流星君が…」

有咲「マジかよ…」

たえ「流星君が…『LINE DRIVE』のボーカル…」

 

ポピパのみならず、他のバンドのみんなもかなり驚いていた。

 

香澄「…流星君…キラキラしている…」

 

香澄は小さく、そう呟いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一曲目終了後、僕はマイクを取り喋った。

 

流星「えぇ…みなさん、お久しぶりです!」

観客『ワァーッ!』

流星「うぉっ!?こんなに盛り上がるもんか?」

尚之「そりゃ盛り上がるだろうよ…」

良太「観客全員が知ったんだからさ」

流星「そりゃそうか、ははは…では、改めて自己紹介をしようと思います!まずは、ドラムの川端尚之!」

 

尚之は華麗なドラムさばきを披露して挨拶した。

 

流星「次に、キーボードの天野良太!」

 

良太は軽く一曲弾いて見せた。

 

流星「次に、ベースの三上海斗!」

 

海斗はほんのすこし弦を弾いた。

 

流星「次に、ギターの赤星裕二!」

 

裕二は華麗なギターテクニックを見せた。

 

流星「最後に、俺、ギターとボーカルをやっている秋山流星!以上5人で『LINE DRIVE』を結成しています!今回、4年ぶりのライブですが、よろしくお願いします!」

 

観客全員がかなり熱狂しており、ふと香澄達の方を見ると、手を振るなりして楽しんでいた。

 

流星「早速、次の曲!と行きたいところですが、大半の人達は、なんでこのイベントに俺らが参加したのか、気になっているでしょ?」

裕二「あー、それ大事よ」

海斗「そこから説明しないとな」

流星「だな」

 

僕は今回のライブに出演する経緯を、会場のみなさんや香澄達に説明した。

 

流星「…今回、このライブに参加することになったのは、たまたまこのメンバーが集まった事も関係しているんですが、今回出た『poppin'party』のみんなと、少しばかり関わりがありまして、その『poppin'party』のみんなと一緒に歌いたいと思いまして、5人がちょうど集まるこの機会を使ってやることにしました」

香澄「…流星君…」

たえ「かっこいい…」

 

僕とポピパの関係をみんなに話し、僕は最後、『poppin'party』をよろしくお願いするという事を言った後、いつもの掛け声をやった。

 

流星「それじゃあ、俺らの始まりの掛け声、行きますよ!せーの!」

観客『プレイボール!』

 

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二曲目:アスタリスク

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

友希那「…すごい歌声…」

紗夜「引き寄せられる…」

あこ「ドラムさばきが…かっこいい…」

燐子「…かっこいい…」

リサ「1年下なのに…」

 

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三曲目:現状ディストラクション

Vo.秋山流星

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蘭「…すごい熱気が…」

モカ「すごいねー」

ひまり「…かっこいい…」

巴「すげえいい声…」

つぐみ「かっこいい…」

 

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四曲目:ダイバー

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

彩「…かっこいい…」

千聖「いい歌声…」

イヴ「すごいです…」

日菜「…かっこいい…」

麻弥「…みんなが…盛り上がってるっす…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

五曲目:私以外私じゃないの

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こころ「すごい…みんな笑顔になっている!」

薫「これはたまげた…」

はぐみ「みんな盛り上がってる…」

美咲「いい声…」

花音「すごい…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

五曲終えた僕らは、ここでポピパ達のみんなにライトを当てるようにサインを送った。

すると、25人に向けてライトが当たった。

 

香澄「え?」

友希那「どういう事?」

蘭「なんで私達に…」

彩「もしかして…あの時、まりなさんに渡されたあの曲…」

こころ「歌うのね!」

 

実は、このイベントの数日前に、まりなさんに頼んで五曲の譜面をそれぞれのバンドに送ったのだ。

 

流星「さぁ…五曲歌ったところですが、実は今回、『poppin'party』や『Roselia』などの、今回のイベントに出ていたみなさんに五曲それぞれ、ここのスタッフさんに頼んで譜面を送らせてもらいました。今回のイベントの主役は5組のガールズバンドのみなさんですからね。それで今回、その5組のガールズバンドのみなさんとそれぞれ一緒に曲を歌いたいと思います。まず、最初は『ハロー、ハッピーワールド!』の皆さんと一緒に歌いたいと思います。『ハロー、ハッピーワールド!』のみなさん、ステージに来てください!」

こころ「みんな、行こう!」

ハロハピ全員『うん!』

 

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六曲目:夏祭り

Vo.秋山流星&弦巻こころ

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〜曲中〜

 

こころ(すごく…楽しい!)

薫(体が勝手に動く!)

はぐみ(体が乗ってくる!)

美咲(楽しい…ただただ楽しい!)

花音(盛り上がってる…すごい!)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

七曲目:恋

Vo.秋山流星&丸山彩

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〜曲中〜

 

彩(すごい…流星君、楽しんでいる…)

日菜(こんなに楽しかったっけ…ギターって…)

イヴ(すごいです!)

千聖(これが…伝説のバンド…)

麻弥(かなり盛り上がるっす!)

 

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八曲目:プライド革命

Vo.秋山流星&美竹蘭

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜曲中〜

 

蘭(すごい…聴いてるだけでは味わえないものが…)

モカ(…盛り上がってる…)

巴(こいつは…楽しい!)

ひまり(凄く…熱くなる!)

つぐみ(盛り上がれる!)

 

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九曲目:曇天

Vo.秋山流星&湊友希那

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〜曲中〜

 

友希那(何これ…これが…『LINE DRIVE』…)

紗夜(体が勝手に…)

あこ(かっこいい…)

燐子(すごい…です…)

リサ(なんだろう…すごく盛り上がる!)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…九曲目が終わり、ついに『poppin'party』の番になった。

香澄達がぞろぞろと歩いてきた。その顔には少し緊張を見せていた。

 

流星「…香澄、緊張してるか?」

香澄「…流星君…」

流星「…香澄…楽しもうぜ」

香澄「!…うん!」

 

そして、十曲目がスタートした…

 

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十曲目:かさなる影

Vo.秋山流星&戸山香澄

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〜曲中〜

 

香澄(すごい…体が…)

有咲(すげぇいい声…)

沙綾(体が…熱くなる!)

りみ(すごい…)

たえ(体が勝手に動く!)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…セッション曲が終わり、イベントも最後になってきた…

僕は最後、みんなに共通して渡してある曲を歌うべく、準備した。

 

流星「…えぇ…短い復活ライブも終わりになります。最後は、このみんなで『前前前世』を歌いたいと思います」

 

僕はみんなにアイコンタクトを取り、楽器を取った…

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十一曲目:前前前世

Vo.秋山流星&戸山香澄&湊友希那&美竹蘭&丸山彩&弦巻こころ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…では、今日のイベントはこれで以上になります!ありがとうございました!最後は僕らの終わりの掛け声で締めくくりたいと思います!行きますよ!せーの!」

観客『ゲームセット!』

 

…こうして、僕らのイベントは終了したのだった…




いかがでしたでしょうか?
最後は少し無理があったりして、正直大変でしたw
選曲も結局僕が知っている曲の中で、リクエストに書いてあった曲を選びました…
たくさんリクエストしてくれた読者の皆さん、本当に申し訳ありません!
とりあえず、頑張って書いたのでよろしくお願いします!
では次回お会いしましょう!
※書き方等に何か意見あったらよろしくお願いします…


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第13話〜イベント後のイベント〜

どうも、VVVFです。
早速、本編どうぞ!


…イベント終了後、僕らはお菓子やジュースだけの簡単な打ち上げをすることにした。

 

まりな「それじゃあ、イベントの成功を祝って!」

一同『カンパーイ!』

 

乾杯後、みんなが真っ先に向かったのは、僕ら『LINE DRIVE』。

特に集まった先は、僕だった。

 

友希那「あの…流星様、ありがとうございました」

流星「友希那さん!?俺年下ですよ!?」

蘭「流星君…私と友達に…」

流星「全然オーケーだから、顔赤らめないで!」

彩「今日の演奏、本当に楽しかったです!ありがとうございます!」

流星「あ、こちらこそ…」

こころ「ねぇねぇ!一緒に世界を笑顔に…」

流星「断ります」

 

と、津波のように押し寄せてくるみんなを捌ききった後、僕はどうにかポピパのみんなの元に辿りついた。

他のみんなは尚之や良太などの元へと行った。

 

香澄「…あ!流星君!」

流星「よぉ…」

有咲「大丈夫かよ…ヘトヘトじゃねぇか」

流星「みんなの対応してたらかなり疲れた…ただでさえ疲れてんのに…」

沙綾「お疲れ。マッサージしてあげようか?」

流星「いや…寝たら復活するから」

りみ「遠慮しなくていいんだよ?」

流星「いや…りみ…目が怖いわ…」

たえ「マッサージしてあげるから」

流星「…おたえ?」

沙綾・りみ・たえ「いいでしょ?」

流星「…悪りぃ…香澄…帰るわ…」

 

なんやかんやで、打ち上げを楽しんだ僕らは、みんな満足げな顔をして帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

 

流星「…ん…うーん…」

 

僕は思わず目が覚めた。

疲れは一応取れていたので、スッと起き上がれた。

ふと周りを見ると、泊まっている良太、海斗、裕二の3人がまだぐっすり寝ていた。

 

流星「…6時か…」

 

僕はいつもと変わらずに洗面台へ行き、顔を洗い、リビングに行ってスマホをいじっていた。

そこへ…

 

流星母「ふわぁ…あ、流星、起きてたの?」

 

と、いつものように眠そうに起きてきた母ちゃんが現れた。

 

流星「うん。それで、今日はいつもの時間にパート?」

流星母「そうよ。さてと…パパッと朝ごはん作ろうかな」

 

母ちゃんは眠そうにしながらも、手際良く朝ごはんを作った。

さらにそこへ…

 

良太「ぐあーっ…よく寝た…」

海斗「おっはー…流星」

裕二「くそ寝みー…」

 

と、泊まりの3人が起きた。

 

流星母「あ、良太君達も起きたの?」

良太「おばさん、おはようございます」

流星母「おはよう。今朝食作り終わったところだから、みんなでご飯食べましょ」

 

いつもの風景に親友3人加えて朝食を取った後、僕らは今日の予定について話した。

 

流星「…んで、今日は久々にあのバッセンに行くぜ」

良太「島津さん、元気にしてるかな…」

流星「元気にしてるよ。まだおっちゃんだし」

裕二「だな」

海斗「尚之と合流して行きますか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…僕らと尚之が合流し、いざバッティングセンターへ…と思ったちょうどその時だった。

 

香澄「…あ!流星君!」

 

と、香澄が現れたのだ。

よく見ると、ポピパのみんなもいた。

 

流星「香澄!?それにみんなまで…なんでここに!?」

香澄「えへへ…ちょっと、一緒に遊ぼうかなぁって…」

有咲「まぁ…おたえと沙綾とりみは違うらしいけど…」

裕二「違うって…あ…」

 

有咲の発言を聞いた裕二があることに気がついた。

たえ、沙綾、りみの服装がいつもより変わっていた。

どうやら勝負服を着てきたらしい。

 

りみ「あの…流星君…この格好どうかな?」

沙綾「ちょっと…派手すぎたかな?」

たえ「これ…流星君の為に着てきたんだ…どう?」

流星「いや…あのー…」

 

僕は小学生からずっと野球ではキャッチャーをやっていたので、何を考えているのかは顔を見て一瞬でわかり、どうすればいいか考えるのも一瞬で分かる。

しかし、今回は反応に困った…

と、そこへ…

 

尚之「…なぁ…俺らこれから行くとこあるんだけど…お前らも一緒に行くか?」

 

と、尚之がすかさずフォローした。

 

香澄「うん!行く行く!」

有咲「いいぜ。どこに行くんだ?」

尚之「前、香澄達が来たあのバッティングセンターだよ。あそこ、俺らにとっては思い出の場所だからさ」

香澄「そうなんだー…」

有咲「ほら、沙綾、おたえ、りみ、行くぞ」

 

有咲の号令で、沙綾達は少しがっかりしながら僕の側から離れた。

というわけで、僕ら『LINE DRIVE』とポピパのみんなで、島津さんのバッティングセンターに行った。

バッティングセンターに着いた僕らは、ポピパのみんなを打席ボックスの後ろの休憩室に待機させ、島津さんのいる管理室に入った。

 

島津「ん?流星君…と、良太君!?裕二君に海斗君!君ら来てたのか!」

 

島津さんは嬉しさのあまり、かなり興奮していた。

 

良太「お久しぶりです、島津さん」

海斗「4年ぶりですね」

裕二「本当にお世話になりました」

島津「良太君、海斗君、裕二君。君たちの活躍をいつも見ているよ。私も誇らしい限りなんだ」

良太「いえいえ、そんな事ないですよ…」

島津「それよりここに来たということは、バッティングして行くのかな?良太はストラックアウトかな?」

流星「はい。よろしくお願いします」

 

僕らはベンチで待っていたポピパのみんなと合流し、僕らは持って来た野球道具を出した。

 

香澄「流星君、今日もキャッチャーの練習?」

流星「そのつもりだ」

 

僕はキャッチャーマスクを被り、バッターボックスの後ろでしゃがんで準備をした。

そこへ…

 

はぐみ「あ、香澄ちゃん!」

 

『ハロー、ハッピーワールド』、略して『ハロハピ』のメンバーの1人、はぐみちゃんがバッティングセンターに来た。

 

香澄「はぐだ!」

はぐみ「どうして香澄ちゃんがここに?」

香澄「流星君達がここで練習するんだって」

はぐみ「流星君がいるの?どこどこ?」

香澄「ほら、あそこ」

 

香澄はキャッチャーの練習をしている僕を指差して教えた。

 

はぐみ「あれ?流星君、キャッチャーなんだ」

香澄「私もここで練習しているのを見る前は知らなかったんだ。かっこいいよね」

はぐみ「うん!」

 

と、さらに…

 

こころ「…あ、はぐみいた!」

友希那「香澄さん?」

蘭「みなさん、なんでここに?」

彩「ちょっと振りたくなって…あはは…」

 

…何故か昨日のイベントに来ていたメンバーが集まってきたのだ…

当の本人達はただバッティングしに来たというらしいが…

 

こころ「それで、香澄ちゃん達は何してるの?」

香澄「さっきはぐはぐにも言ったけど、流星君達がここで練習しているんだ」

彩「流星君が!?」

友希那「どこにいるの?」

香澄「あそこにいるよ」

蘭「…キャッチャー?」

はぐみ「流星君はキャッチャーをやっているんだって!」

 

その後何球かボールを受けた僕は、振り返って友希那さん達がいることに気が付き挨拶をした。

 

流星「あ、こんにちは」

友希那「こんにちは」

蘭「すごいね」

流星「いえ、僕はただ…って、雑談はちょっと今はここまでにします。後で話しましょう」

 

僕は引き続きキャッチャーの練習をし、裕二達はそれぞれバッティング練習をすることにした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

30分後…

 

流星「…ふうっ…」

 

僕は一旦休憩するべく、ボックスから出た。

 

香澄「お疲れ様、流星君」

沙綾「これ、スポーツドリンク」

流星「サンキュー、沙綾」

 

と、僕が沙綾から飲み物を貰ったその時、ふと友希那さん達を見てみると…目を怖くさせて睨んでいた。

 

沙綾「…どうしたの?」

流星「いや…なんでも無いわ…」

 

スポーツドリンクを飲み一息入れた後、僕はまたボックスに入り、キャッチャーの練習をした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1時間後練習を終えた僕らは、はぐみにお願いされてはぐみが所属しているソフトボールチームの練習を見に行くことにした。

 

流星「…って、なんで友希那さん達まで来てんの!?」

友希那「いや…もっと…見ていたいから…」

尚之「こりゃ…惚れられた…ってことだな…」

流星「うっせぇ…」

 

と、僕らははぐみが所属するソフトボールチームの練習を見にきた…のだが…

 

はぐみ「ねぇねぇ!はぐみのチームと戦ってよ!」

流星「はぁ!?」

香澄「いいねいいね!はぐはぐ、ナイスアイデア!」

沙綾「確かに見てみたいかも…」

友希那「私も見たい…」

蘭「私も…」

彩「ね、いいでしょ?」

流星「…はぁ…」

 

…と、なぜか僕と尚之達のチームとはぐみのチームで練習試合をすることになった。

申し訳ない事に僕らに合わせて野球のルールでやることになった。

はぐみのチームメイトは野球のルールを多少覚えており経験者もいたので、説明することやピッチャーの心配などはなく少し安堵した。

また、僕のチームに何人か貸し出してくれるという事で、僕らは本当に申し訳ない気持ちで一杯だった。

僕はキャッチャーのマスクと胸当てを付け、キャッチャーのポジションに入った。

ファーストに海斗、セカンドに裕二、ショートに尚之が入った。

もちろん、先発はサイドスローの良太。

4年ぶりくらいのバッテリー復活で、投球練習は難なく終えた。

 

良太「…久々だな…」

流星「んじゃ、任せたぜ」

 

試合は3イニングで、引き分けありの試合とした。

 

審判「プレイボール!」

 

審判の声がし、僕は良太にサインを出した。

良太の持ち球は140キロ前後の速球と、100キロに満たないスローカーブ、120キロのチェンジアップ、130キロ前後の高速スライダーを使い分けている。

特にスローカーブは、僕らの小学校の時にいたチームでは『魔球』とまで呼ばれるほど、落差が大きくタイミングが取りづらいので、良太のウイニングショットとなっている。

 

流星(…まずはストレート)

 

サインを見た良太はすぐに頷き、投げる体制に入った。

僕は高めを要求し、良太はボールを投げた。

 

審判「ボール!」

 

バッターが振らずに見ていったので、僕は少し驚きを感じた。

 

流星(…ソフトボールをやっているとはいえ…今の球を見逃すか…なら…)

 

僕はまた高めに要求した。

良太はすぐに頷き、高速スライダーを投げた。

このボールをバッターは…見事にセンターに運んだのだ。

 

流星(なっ!?)

良太(マジか…あまり使わない球だったけど…)

尚之(こいつはまずいな…)

海斗(…これはバッテリーミスじゃない…相手が上手すぎる…)

裕二(く…こいつは…)

 

ソフトボールチームだからと、少し侮っていた僕らは、その打球を見てスイッチが入った。

はぐみは相手チームだったので喜んでいた。

 

香澄「…流星君…」

友希那「最初から打たれるなんて…」

沙綾「だ、大丈夫…だよね…」

 

見学している香澄達は僕らを不安そうに見ていた。

しかし、その不安はすぐに払拭されることになる。

次の打席…

 

流星(…盗塁がある…ここは速い球を)

 

僕は良太にサインを送り、真ん中を要求した。

良太はストレートを投げ、僕はそれを取った後、投げる体制に入った。

ランナーは1塁のままだ。

 

流星(…いつ出る…)

 

僕はチェンジアップを要求し、構えた。

良太は頷いて投げ…ランナーが盗塁した。

 

はぐみ「やった!これで盗塁成功だね!」

 

と、はぐみ達が笑っていたその時…

 

流星(…大人気ないけどっ!)

 

僕はすぐにボールを2塁に投げた。ボールはセカンドの海斗のグラブの中に入り…海斗はランナーをタッチした。

 

審判「アウト!」

はぐみ「…え?」

 

喜んでいたはぐみ達は審判の声を聞いて一瞬で固まった。

後々にはぐみに聞くと、今僕が刺したランナーはチーム1の俊足を誇り、盗塁は1試合に1回成功するほどの俊足ランナーだという。

 

良太「ナイスブロック!」

流星「どうってことない」

 

と、僕は口でそう言ったが、実際は紙一重の差だったので、少しヒヤリとした。

 

尚之「…さすがの強肩…劣ってないな…」

海斗「全くだ…まぁ、状況は軽くなった。ここから持ち前のリードで切り抜けて欲しいものだ」

 

僕が刺した後、バッターはウイニングショットのスローカーブを打てず、空振り三振とした。

次のバッターも5球で仕留め、チェンジとした。

 

女子1「秋山さん、すごいですね」

流星「まぁ…あれが俺の取り柄だからな」

尚之「それだけじゃねぇだろ。ほれ流星、お前の番だ」

流星「ほいよ」

 

僕はすぐにバッターボックスに入っていった。

 

香澄「あ!早速流星君だ!頑張れ!」

 

と、香澄の声が盛大に聞こえてきたが、僕はすぐにはぁとため息を吐いて集中した。

 

尚之「…まだ劣ってないよな…『俊足シューティングスター』…」

 

尚之はボソリと呟いた。

僕は4球目のストレートを打ち、出塁し、尚之のサインを見た。

 

尚之(…ここは任せたぞ…)

流星(さすが参謀…わかってるじゃねぇか…)

 

次のバッターはソフトボールチームの子で、初球振るように指示した。

 

流星(…ここ!)

 

相手ピッチャーが投げたすぐその後に、僕はダッシュした。

相手のキャッチャーはすぐにセカンドに投げたが…僕は余裕で成功させた。

 

流星「ふうっ…あぶね…」

 

僕は香澄達の方を見ると、かなり大はしゃぎしていた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、僕の盗塁が決まった事で、チャンスに強い尚之の一打で僕らが先制、2点差で僕らのチームが勝った。

その後は僕らでソフトボールチームの練習を見たのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
長ったらしい上に多分…しっくり来ない文章になったのかな?と思います…
とりあえず、頑張って書きましたw
次回も頑張って書きますのでよろしくお願いします!
では、次回お会いしましょう!


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第14話〜『LINE DRIVE』の絆

どうも、VVVFです。
最近、お気に入りにしてくれる人が増えているのに、評価があまり…
別に欲しいわけではないが…なんか気になります…
と、僕の愚痴に付き合って申し訳ありません。
では本編どうぞ!


…試合の次の日の朝…

 

流星「…ぐあーっ…」

 

僕はいつもより重く、体全体を使って起きた。

良太達はぐっすりと寝ていた。

 

流星「…はぁ…」

 

僕はいやでも時間通りに起きてしまう癖があるので、今日の体の重さにはため息を吐いてしまった。

その原因は昨日の出来事があるのだが…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…昨日…

僕らがソフトボールチームの練習を見た後…

 

流星「…あれ?香澄からだ…」

 

香澄のLINEからメッセージが来ているのがわかった僕は、その内容を見た。

 

香澄『今日、蔵でパーティやるよ!』

 

それを見た僕らは、僕と尚之の案内で有咲の蔵へ向かった。

蔵に着いた僕らを最初に待ち受けていたのは、有咲だった。

その有咲の様子がおかしかった。

かなり青ざめていた…

 

流星「…有咲?」

有咲「あ…流星…」

良太「ど、どうした?」

有咲「…これから蔵か?」

裕二「あ、あぁ…」

海斗「それがどうしたんだ?」

有咲「…覚悟して行けよ…」

尚之「…覚悟?」

 

有咲がそう言った理由が、蔵の地下室に入ってすぐにわかった。

 

香澄「あ!流星君…じゃなかった…ご主人様、お帰りなさいませ!」

全員『お帰りなさいませ!』

 

…そこにいたのは、ポピパや『Roselia』などのみんなが…エプロンにゴスロリ姿…平たく言うとメイド服の格好でいたのだ…

メイド服は全てこころの家の力によって作られたという…

有咲はやっぱり良識人なので、早々辞退。

リサさん、あこちゃんは諸事情により、辞退させてもらっているという。

それ以外のみんなは、渋々だったり、喜んだりと細かいところの差があるが、メイド服を着ることに賛成したのだ。

 

流星「…つーか、美咲ちゃんも!?」

美咲「私は…流星君…じゃなくて…ご主人様の事が好きになったから…いいかなって…」

流星「いや、美咲ちゃん良識人だろ!?そこで妥協しないで!?」

友希那「好きな人の為ならなんでもするものよ」

流星「友希那さんも!?てか、昨日流星様って言ってたよね!?あれ、読者の人にかなり驚かれたからね!?」

良太「流星…メタい事言うなよ…」

友希那「全然気にしてないわ。大好きだから…」

流星「…」

 

僕は友希那さんの一言で、溜まっていた冷や汗が一気に出てきた。

 

良太「…じゃ、じゃあ…俺らもこれで…」

リサ「いや?良太君達もご主人様らしいよ?天下の『LINE DRIVE』だもの」

尚之「…マジで…」

 

僕のやりとりを見た尚之達は、ほんのちょっとの恐怖を感じて逃げようとしたが…側から傍観していたリサさんが面白がってそう言ってしまったので、逃げることができなくなった。

 

香澄「というわけで、2回目の打ち上げ、かんぱーい!」

全員『かんぱーい!」

流星「か…乾杯…」

 

香澄の掛け声で、5人の男子に21人のメイドという謎のパーティが始まった…

名目上はおとといのライブの本打ち上げといった感じだが…

 

友希那「あの…これ作りました…食べていただけますか?」

流星「友希那さん!?俺、年下って何回も言ってますよね!?」

蘭「ご…ご主人様…これを…」

流星「蘭ちゃんも恥ずかしいならやらなくていいから!」

彩「蘭ちゃん、こうでもして流星君…じゃなくて、ご主人様に見入られたいだって」

流星「そんな事しなくていいから!」

 

僕はやはり、大量のツッコミ要素を捌いていっていた。

良太君の方はというと、特にこれといってイベントがあるわけでもないが…いや、あるな…

実は、燐子ちゃんは僕ではなく、キーボードである良太に好意を寄せていたという。(by良太)

実は良太は『LINE DRIVE』の中…いや、この地区でも指折りに入るほどのネトゲーマーで、その事でよく知っていた燐子ちゃんは、目の前に憧れだった良太を前にして、かなり緊張して良太の相手をしたという。

良太はそれを見て、自然体でいいよと言ったらしく、そこからたった数分でいいムードに。

結果、良太と燐子ちゃんは互いにメアドを交換したという。

そして1時間後…

僕はいるだけでかなりヘトヘトになり、帰りたくなった。

良太も燐子ちゃんとの話も終えてご満悦だそうだ。

尚之、海斗、裕二は僕のやりとりを見て笑っていたが、魔の手が伸びてしまい、3人もヘトヘトに…

ただ、まだ帰してもらえそうになかったので、唯一の頼みの綱である良太に助けを求めると…

 

良太(俺がゴキブリがいるというから、その後でみんなが騒いでいるところを逃げる)

 

と、サインで返してきた。

そして、僕はそのサインに頷くと…

 

良太「…あ、ゴキブリ」

香澄「ゴキブリ!?」

りみ「どこにいるの!?」

 

…良太、見事にやってくれたよ…

僕は思わず尊敬の目を良太に向けた。

結果、蔵の中は大混乱。

その隙をついて僕らは蔵から脱出。

みんなには申し訳ない気持ちで一杯だが…

こころに、僕の家を探さないように言い訳を使って言ってほしい事を3回4回…それ以上ぐらい、何度も繰り返して言いきかせた。

まぁ、有咲があるから大丈夫だろうけれど…

と、僕らは無事、それぞれの家に帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

という事があったので、多分そのせいで体がかなり重かった…

 

流星「…水でも飲もうか…でないと、落ち着かねえ…」

 

と、独り言を呟いてリビングに行くと…

 

香澄「おっはよー!流星君!」

流星「香澄!?」

 

香澄がリビングにいたのだ。

それだけじゃなかった。

 

友希那「おはよう、いい朝ね」

蘭「昨日はよく眠れたわ」

流星「いや、そうじゃなくて…なんで俺んちにいんだ!?」

 

今、香澄達がいるのは僕の家…昨日は鍵を閉めて寝た…あ…

僕はふとあるメモを見てしまった。

 

『今日は朝から用事があっていません。代わりに沙綾ちゃん達に留守番頼んだから 母より』

 

流星「…」

 

僕は思わず泣きかけた。

 

友希那「…昨日、覚えているわよね?」

蘭「私達を置いて逃げた事…」

彩「許さないからね」

 

その後良太達が来るまで、みんながずっと僕の周りにくっついて離れなかったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この日、僕らは久々の町観光をするべく、散歩をしていた。

香澄達も連れて…

 

良太「全く変わってねえな…」

裕二「いや、そこの和菓子屋が無くなってる!?」

海斗「本当だ…ここの饅頭美味かったのに…」

流星「あぁ…あそこの大将が亡くなってね…でも今は女将さんと息子夫婦で別のところで商売してるよ」

尚之「今度、そこへ行こうぜ」

 

と、僕らが色々話をしていた時だ。

 

はぐみ「…そういえば、流星君…」

流星「ん?」

 

はぐみがある質問を投げかけてきたのだ。

 

はぐみ「…なんで、『LINE DRIVE』結成させたの?」

流星「どうしてそんな事を?」

はぐみ「昨日…試合やって思ったんだけど…流星君達、野球の能力がすごく高くて…なのに、なんでバンド始めたのかなって…」

香澄「確かに…すっごく知りたい!」

友希那「出来れば聞かせてもらえるかしら」

蘭「私達が惚れたバンドの始まりを聞いてみたい」

彩「どんな感じで結成したの?」

 

みんなは僕ら『LINE DRIVE』の結成の理由を聞きたく、集まってきた。

と言っても、僕はただ1人そそくさと歩いて行ったのだが…

 

良太「始まりはね…まぁ、発端は流星よ」

香澄「そうなの!?」

有咲「流星からなんだ…まぁ、わからなくないな」

尚之「最初は俺と流星だけで、後に裕二、海斗、良太の順に集まったんだ」

燐子「…良太さんが…最後なんだ」

裕二「ははっ、良太が入るって聞いた時は驚いたんだぜ?」

良太「そうか?」

海斗「当たり前だ」

イヴ「どういう事ですか?」

海斗「まぁ…結成時は俺と良太はプライドが高くてね…バンドなんざどうでも良かったんだよ」

良太「その時、楽器できるのは俺ら5人だったから、仕方なく出てたんだけどね。そんな時に、流星はある曲の歌詞カードを渡されてね…俺と海斗はこれ以上やるのはいやになったから、それを拒否したんだ。そしたら、流星は土下座してやってくれとせがんだんだよ」

巴「流星が!?」

海斗「俺と良太はそれを見て『お前にはプライドがないのか』と言ったんだ。すると、流星なんて言ったと思う?」

ひまり「…わからないなー…」

つぐみ「なんて言ったの?」

良太「『俺はただみんなと笑顔で楽しくいたい。そのためにプライドなんかいらない』ってね」

海斗「喧嘩したわけでもねえのに、側から見た人が思わず警察呼びかけたもんな」

モカ「そんな事があったんだー」

良太「まぁ…流星はなんか人を引きつける何かがあるんだ。あいつと一緒にいる奴らが楽しくやっているのを見てね…」

海斗「それを聞いた俺らは、一瞬で衝撃…かな?そんな感じのものがこころに入ってきてね…今まで一匹狼だった俺らにとって、その言葉が今でも忘れられねえんだ」

たえ「すごいね…」

裕二「あいつがリーダーなのも、キャッチャーという役柄と、人を笑顔にさせる何かがあるから、俺らはあいつを信じてついて行くことにしたんだ。おかげで悔いはない」

沙綾「流星君…」

 

みんなが『LINE DRIVE』の結成当時の裏側を聞いた後、町観光を終え、その日は何事もなく1日が終わった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

良太達はそれぞれ家に帰る日…

僕らは都電の電停に来て、見送りをすることにした。

香澄達がまだ寝ている時に…

 

良太「…よいしょっと…」

海斗「んじゃ、また」

流星「あぁ、元気でな」

裕二「おいおい、またって…今度どこで会うかわかるだろ?」

尚之「ん?どういうことだ?」

 

裕二の発言に、尚之や良太達はわからなかったらしいが、僕は一瞬でわかった。

 

流星「…甲子園…だろ?」

良太「あ…そうか…」

海斗「裕二にしては、よく考えたな」

裕二「うっせえよ…」

尚之「でもまぁ…これで流星も話しやすくなっただろ?いや…リーダー?」

流星「だな…」

 

僕は良太達を見回した後、少し息を吐いて一気に喋った。

 

流星「…今回はみんな集まってくれてありがとう…おかげで最高の思い出がまた一つ増えた…次会う時は…仲間ではなく、敵だ。目指すは全員甲子園!一緒にぶつかりあって、戦おう!」

全員『オイ!』

 

気合いの声を入れた良太達は、それぞれの家に帰った。

僕らは、またバラバラになっていったものの、同じ目標一つが達成するべく、進むのだった。




いかがでしたでしょうか?
セリフ部分が長くて読みづらい所あったかもしれませんが…とりあえず、『LINE DRIVE』の話はこれで一旦終わりにします。
今回もキャラ崩壊シーンあったりしますが…頑張りますw
では次回お会いしましょう!
あ、今回のタイトルはいいものがなかったので、こんな感じかなとテキトーに書きました。
ご了承くださいm(_ _)m

5/9 諸事情により、内容を一部変更しました。


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第14.5話〜僕は1人の人間〜

どうも、VOSEです。
今回は、矛盾解消のために、後付け的な感じで書いたものです。
文字数もかなり少ないので、.5話としてつけさせていただきます。
では、本編どうぞ!


…ある日、俺は友希那さん達に話しておきたいことがあって、呼び出していた。

呼んだメンバーは、前の『CiRCLE』ライブにて、俺をかなり崇拝していたメンバーだ。

特に、友希那さんに至っては未だに『流星様』と呼ばれる始末であるし、沙綾達もまだ崇拝の目を向けられていた。

 

友希那「…流星様、どうなさいましたでしょうか?」

流星「いや、友希那さん…その呼び名は本当にやめてください…」

蘭「私は…その方がいいと思うんだけれど…」

流星「だから!…まぁ、今回はその話をしようとしたんで…」

 

俺ははぁとため息を吐きながら、友希那さん達に俺はこう言った。

 

流星「…今度からは俺を、まるで神みたいに扱うのはやめていただきたいと思います。これは、俺からのお願いです」

 

その言葉に、その場にいたメンバーは少し驚きながらも、覚悟した様子を見せていた。

 

流星「…俺は、今は1人の人間です。江戸川橋高校野球部のメンバーであり香澄達、Poppin'Partyのサポートメンバーであります。沙綾、りみりん、おたえも、今度からは俺を特別視しないで、友達として、一緒に歩ませてほしい。この場にいるみなさんも…お願いします」

 

俺はそう言って深々と頭を下げた。

 

友希那「…そう…ね…」

流星「…友希那さんは、俺と一緒にいたいと言っていましたが、俺よりいいやつはいます。俺なんかにこだわらないでください。俺はあくまで応援しますから」

友希那「…わかったわ」

 

その場にいるメンバー全員は、俺の言葉に納得してくれた。

俺はあくまで1人の人間であって、たとえそのグループの中の柱に俺らがあったとしても、それは信念であって、俺を好きになる理由にはならないからだ。

このままこういう関係をズルズルと引っ張るのはいくらなんでもいけないと思ったから、今回はこういう事を言わせてもらった。

これからは仲良く友達として、みんなと楽しんでいきたいと、付け加えて言わせてもらった。

りみりん、おたえ、沙綾も、その言葉に納得してくれた。

 

りみ「…今までごめんね、流星くん」

流星「いいっての…お前らとは仲良く、親友として過ごしたいからさ」

沙綾「…ありがと、そう言ってくれて」

たえ「これからもよろしくね」

 

沙綾達は笑顔で俺に言ってくれた。

 

流星「…んじゃ、今日は沙綾のパン屋でなんかパン買って帰るとするか」

りみ「うん!」

沙綾「あはは、毎度ありがとね」

たえ「私はメロンパンがいいなぁ」

 

こうして、秋山流星の神話化は免れたのだが、沙綾達とは後々、別の形で親友以上の仲になってしまうとは、この時俺は何も知らなかった。

 




いかがでしたでしょうか?
これで矛盾が解消されたらいいなと考えておりますが…(汗)
とりあえず今回はこれまでにさせていただきます。
では次回、お会いしましょう!


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第15話〜『SPACE』でのバイト

どうも、VVVFです
みなさん、本当に申し訳ありません!
ここ最近、いろんな事があって、なかなか出せずにいて、本当に申し訳なく思っています!
どうにか、最新話を出せるところまでいったので、気長に是非読んでいってください!
では、本編どうぞ!


…ポピパに沙綾が加わった、ある日のこと…

 

流星「…今日は楽器屋さんか…」

 

僕と尚之、ポピパのメンバーは江戸川楽器店に来ていた。

その理由は…

 

流星「…これ、電子ドラムか…」

尚之「なかなかお目にかかれないぜ?」

 

沙綾が電子ドラムを見ていたのだ。

電子ドラムは文字通り、全部が電子機器のドラムで、キーボードのドラム版と思えば簡単に理解できるだろう。

ただ…

 

尚之「まぁ、19万8千じゃ、妥当だろうな…」

香澄「高っ!」

 

…香澄の反応通り、高額である。

 

香澄「沙綾!これ超高いよ!」

沙綾「うーん…20万は無理だけど…」

 

と、沙綾が見たのは隣の電子ドラム。

尚之曰く、その電子ドラムは型番が古く先ほど見たものとは格が下がるが、叩けない事はないらしい。

それでも5万くらいすると…

 

流星「うへぇ…沙綾どうすんの?」

沙綾「貯金をちょっと崩すかな…それでも足りない分はお母さん達から出してくれるんだって」

尚之「なるほど…俺からも出そうか?」

沙綾「ううん、大丈夫だよ。さすがに、天下の『LINE DRIVE』に出させてもらうのは気が引けるから…」

 

沙綾は少し顔を赤らめて言った。

実はあの後、他のバンドメンバーに僕らを『LINE DRIVE』としてではなく、友達として普通に接してくれるよう言うと、どうにかオーケーを出してくれた。

沙綾達もいつもお世話になっているからと、今まで通りに接してくれるようにはなったが…

 

尚之「『LINE DRIVE』はやめてくれよ…俺だってフツーの高校生だぜ?」

有咲「あはは…まだ色濃く残ってるな…」

 

と、その時だ。

 

たえ「沙綾!これ見て!すごく面白いよ!」

 

と、おたえが何かを見つけた。

先程出て来た2つの電子ドラムは音を変えることができないモデルだったが、おたえが見つけたのは音が変えられる電子ドラムだった。

 

流星「へぇ…んなものまであんのか…」

尚之「あるぜ。この型は少し古いけど、先程の5万のよりかは新しいし、なかなかいいものだぜ」

 

その後、沙綾は鵜沢先輩の売り文句によって電子ドラムを買い、香澄はなぜかアンプを吊られて購入したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…僕らは江戸川楽器店から、沙綾の電子ドラムを一度バラバラにして有咲の家まで運んだ。

体力仕事は僕らがやると言ったのだが、沙綾とおたえとりみりんによって止められてしまった。

まだ神格化から抜け出せていないらしい…

 

流星「…これでよしっと…」

 

有咲の蔵の中に、沙綾の電子ドラムがバンと現れた。

技術的な部分は僕と尚之でやり、どうにか組み立て直したのだ。

 

沙綾「うわぁ…」

流星「沙綾、目を輝かせているなー」

尚之「そりゃそうだろ。こんないいドラムなかなかないぜ。俺も欲しいくらいだ」

 

その後、ポピパのみんなで一曲弾くことに。

曲はいつもの『私の心はチョココロネ』。

僕と尚之は笑顔でその曲を聴いた。

演奏後、みんなでお菓子パーティをすることにした。

そこで香澄が…

 

香澄「ねぇ!新曲作ろうよ!」

 

と、言い出したのだ。

 

流星「なぜ?」

香澄「5人揃ってるし…このメンバーでライブやりたいなーって!」

たえ「『SPACE』?」

香澄「『SPACE』!」

尚之「今のでよくわかったな!?」

 

と、僕らはいつものように雑談をしていると…

おたえの携帯に一本の連絡が入って来た…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

おたえの携帯に入った連絡は、『SPACE』のスタッフ全員インフル感染という緊急事態だという。

すぐさま『SPACE』に駆けつけた僕らは、オーナーが準備をしているところに遭遇。

香澄は今日だけのお手伝いをしたいと懇願し、りみりんや沙綾とお願いすると…

 

オーナー「…今日だけだよ」

 

と、言ったのだ。

ついでに、僕と尚之も手伝うことにした。

 

流星「…全く、オーナー何考えてるんですか?」

 

ポピパのメンバーがスタッフのユニフォームに着替えている時、僕はオーナーと話をした。

 

オーナー「あんたに言われたくないよ…ライブ、やったそうじゃない…」

流星「えぇ…」

オーナー「…どうして復活させたんだい?」

流星「…あいつらに、少しでも刺激をあげようとやっただけですよ」

オーナー「なるほどな…」

 

オーナーはそう言って、いつものように杖をつきながら歩いて行った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕と尚之も掃除を手伝うことにし、それぞれ分担で仕事をしていた時の事…

 

香澄「…あ、ノートだ」

 

と、香澄達があるノートを取った。

それは、今まで『SPACE』でやったバンドの数々だった。

 

香澄「すごい…」

有咲「へぇ…これ全部が…」

 

と、香澄、有咲、沙綾の3人が見ていくと、あるページに3人とも釘付けになった。

それは1番最初のページだった。

 

『最初で最後の予告ライブ!みんな盛り上がったぜ!オーナー、ありがとう! LINE DRIVE』

 

そのようなコメントの脇には、僕らが小学生の時の写真があった。

 

香澄「これって…流星君!?」

沙綾「思い出した!『LINE DRIVE』の最後のステージはここ、『SPACE』だった!」

有咲「え!?」

沙綾「その時は、なかなかどこに現れるか分からなかった『LINE DRIVE』がライブを予告して、『SPACE』のチケットが販売開始から1分で売り切れたという伝説を作ったはず…確か…」

香澄「流星君…すごい…」

 

と、そこへ僕が来た。

 

流星「なーにしたんだ?サボりか?」

香澄「ねぇ!ねぇ!流星君!これ!」

流星「ん?…あ、これあん時のか…懐かしいな…」

有咲「やっぱり、流星は凄えや」

 

と、そこへ

 

リィ「こんにちは〜」

 

と、鵜沢先輩が来た。

この日はグリグリと『Roselia』がセッションするという日だった。

その後、グリグリのメンバーのりみりんのお姉さん、ゆりさんやひなこ先輩、そして、花咲川女子学園の生徒会長、鰐部ななさんが来た。

グリグリのメンバーに生徒会長がいたのがその日の驚きだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…僕は今、一時避難をしている。

オーナーに許可を取り、僕と尚之で近くの公園で休憩を取った。

その理由はというと…

 

尚之「…今、『Roselia』がバンドをやってるところか…」

 

と、尚之は肩をすくめながら言った。

俺の神格化については晴れたのだが、やはり尊敬の眼差しは未だに残っており、ちょくちょく友希那さん達からメッセージがひっきりなしに飛んでくるのである。

 

流星「全く…友希那さんに見つけられたら、結局、どうしようもないからな…」

尚之「あはは…」

 

5分後、僕と尚之はもう頃合いだろうと、『SPACE』へと戻ろうとした…その時だ。

 

友希那「…流星くん、こんな所にいたのね」

流星「!?友希那さん!?」

 

なぜか友希那さんが現れたのだ…

 

尚之「あ、あのー…友希那さん?なんでここに?」

友希那「たまたま見かけたから。それに、今緊急で『SPACE』のバイトをしていると聞いて」

流星「あ、あぁ…俺と尚之はそろそろ戻るから…もうライブ前の準備は終わったんだろ?」

友希那「えぇ」

流星「それだったら、後でちゃんと見ますので…」

友希那「ありがとう…これ、差し入れ。一応、香澄さん達と尚之さんの分あるから」

尚之「一応!?」

友希那「9割が流星くん、1割が香澄さん達」

尚之「比がおかしいだろ!」

友希那「いえ、おかしくないわ。流星くんは私達を作ってくれた…」

流星「あーもう!尚之!行くぞ!」

尚之「あ、あぁ…」

 

友希那さんと尚之の様子を見た僕らは、話を中断させて、そそくさと『SPACE』に戻った。

その後、ライブは大成功し、『グリグリ』のみんなから喜んでもらい、『Roselia』は失敗したと思って泣いていたが、オーナーと僕の慰めによって、胸を張って帰っていった。

その時に、友希那さんとリサさんから今度ご飯食べに行こうと誘われたのは、また別の話…

そして、僕と尚之、ポピパのみんなで色々話をしながら、それぞれ帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の週、僕らはまた『SPACE』にいた…

理由は…『SPACE』に出させてもらうためのオーディションをやるためである。

僕は外で傍聴するつもりだったが、オーナーに誘われて中に入って、僕も審査員として聞くことになった。

そして、ポピパのみんなは、新しい曲を歌った。

僕からの感想はというと…最悪だった。

何もなっていないというのが現状だし、何もかもバラバラだった。

これでも毎日練習をしていたことが唯一の救いだった。

 

オーナー「…やりきったと思う者は?」

 

オーナーがふとそう言うと…

 

香澄「…はい!」

 

…香澄だけが、手を挙げて大きい声で返事した。

他のみんなは、顔をうつむかせて、納得のいかない感じで佇んでいた。

 

オーナー「…流星、今の曲とこの感じを見てどう思う?」

 

オーナーは少し笑った後、僕に尋ねてきた。

 

流星「…最悪ですね…」

 

僕はただ一言言った。

 

オーナー「うむ…これでわかっただろ?ダメだ。うちのステージで立たせるわけにはいかない」

 

オーナーが現実を見せつけるような言葉を発すると…

 

香澄「また受けます!いっぱい練習して、またオーディション受けにきます!」

 

と、香澄は現実をわかっていないような大きい声で喋ったのだ。

その後、僕らはある事実をオーナーから聞かされることになり、驚いたのだった。




いかがでしたでしょうか?
最後はグダグダになってしまいましたが、なんとか書けた感じです…
今後も更新が遅くなる事があると思いますが、僕の小説を今後とも是非よろしくお願いします!
では次回、お会いしましょう!


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第16話〜必ず立つために〜

どうも、VVVFです。
やっと書けたので、投稿します…w
では、本編どうぞ!


…次の日…

有咲の家の蔵にて…

 

たえ「…ここに理想の花園ランドを建設するの〜。こっちはオッちゃんの部屋…のろちゃんはこっちの部屋で〜…」

 

…と、たえが隅っこでしゃがんで、手で何かを描きながらつぶやいていた。

そのたえの後ろでりみがたえの名前をずっと言っていた。

 

有咲「…なんだ?あれ…」

 

有咲はすぐに隣にいた沙綾に聞いた。

 

沙綾「多分、『SPACE』の閉店かな…」

 

沙綾は昨日のことを思い出して言った。

実は昨日、オーナーが『SPACE』を閉めることを香澄達の前で言ったのだ。

 

流星「そりゃ…長くお世話になったところがなくなるんだから…ああなるのは仕方ないだろ…」

有咲「重症だなぁ…香澄も来ないし…」

 

確かに、今日は香澄の姿を見ていなかった。

何かあったのだろうか…

 

沙綾「…練習、どうしようか…」

 

と、沙綾が心配するかのように有咲に話しかけたその時だ。

 

香澄「お待たせー!」

 

と…いつもと変わらない香澄が来た。

 

香澄「遅れてごめんね!」

流星「…心配しすぎか…」

 

僕は思わずふっと笑った。

そして香澄は、バッグからスケッチブックを取り出し、あるページを見せた。

そこには、衣装のデザインが書いてあった。

 

香澄「えへへ、本番で着る衣装を考えて来ました!イェーイ!」

流星「いや、早すぎない!?」

沙綾「へぇ…結構可愛いね」

香澄「キラキラドキドキ間違いなし!」

りみ「でも…もうすぐ『SPACE』なくなるのに…」

香澄「まだなくならない!オーディション絶対合格しよう!」

 

僕は、香澄のその様子を見て、大丈夫だと思い、蔵から離れた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この日、僕は野球部の練習に参加していた。

もちろん、甲子園に出場するためにだ。

と言っても、僕は確実にベンチで代打か守備固めなんだけどね…

僕はキャッチャーのマスクを被り、雄介のボールを受けていた。

雄介のストレートは130キロとちょっと遅めだが、ノビがありかなり重い。

持ち球はフォークとスライダーで、フォークの落差はかなり大きい。スライダーは変化量が少ないが、ストライクが取れる。

と、僕の分析は大体こんな感じかな?

 

雄介「…いやぁ、それにしても、流星がキャッチャーだと結構投げやすいなぁ」

流星「そうか?」

雄介「同じキャッチャーの山本健介は、打つ方に重きを置きすぎて、リードはあまり良くないんだ」

流星「そうか…」

 

と、そこへ

 

???「…おい、俺のこと言ったのか?」

 

と、目つきの悪い男が現れた。

 

雄介「あ、健介先輩!」

流星「…すげぇ変わりよう…」

健介「全く…てめぇは俺の凄さに気がつかねぇなぁ…リードだっていいもの持ってるだろ?」

雄介「そ、そうですよね!まさしくその通りでございます!」

健介「ふん、それでいい…それより、秋山流星」

流星「はい、何でしょうか?」

健介「…お前はずっと何をしていた…」

流星「仲間の手伝いをしていたのですが」

健介「なるほど…まぁ、お前の件については気にしない。どっちみち、俺が卒業するまで、正捕手は俺だからな」

 

そう言って、山本先輩はどこかへと行った。

 

雄介「…まぁ、あんな感じの先輩だよ…気にするな」

流星「なるほどね…」

 

僕は、山本先輩の後ろ姿を目で追ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は、沙綾からのメールで今日あったことを教えてもらった。

今日、『SPACE』のオーディションを受けに行ったポピパのみんなは、オーナーで門前払いされてしまった。

その後に来た『CHiSPA』の4人はオーディションを受けて見事合格。

どうしてポピパは受からないのかを考えていると、ひなこ先輩から『一生懸命考えること』というヒントをもらって、その日は解散したという…

 

流星「…一生懸命考えること…か…」

 

僕は、ふっと笑いながら、天井を見上げたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…この日、僕は先輩ピッチャーと一緒にキャッチャーの練習をしていた。

 

流星「…ふう…」

???「お疲れ!流星君!」

流星「あ、康介先輩!」

 

僕が休憩をしていると、先ほど球を投げてくれた先輩が来てくれた。

辻上康介先輩…江戸川橋高校野球部のキャプテンだ。

140キロのストレートに、100キロにも満たないスローカーブを持つ、ドクターKが自慢の先輩だ。

持ち球はスローカーブの他に、ツーシーム、スライダー、Vスライダーを持っている。

性格はかなり明るくチームを鼓舞し、悩み事があったら気軽に相談出来る良き先輩だ。

 

康介「おいおい、どうしたんだ?流星、いつにも増してどんよりしてんぞ?」

流星「あはは…ちょっと、考え事を…」

康介「ん?考え事?」

流星「はい…」

 

僕は、昨日のポピパの話を康介先輩に話した。

康介先輩は真面目にしっかりと聞いてくれた後、こう言った。

 

康介「…よく考えろ…ねぇ…まぁ、お前が応援している『poppin'party』がどんなのかはわからないけれど…もう少し、自分を掘り下げて、周りを気遣えば、道はおのずとわかるもんじゃないのかな?」

流星「…そうですよね…やっぱり」

康介「流星も同じこと考えていたのか」

流星「はい…」

康介「とりあえず、そういうことだ」

 

先輩はそう言って、練習の続きへと向かっていった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は気になって、ある人に電話をかけた。

 

香澄「…もしもし?」

流星「よぉ、香澄」

 

…香澄だ…やはり、元気印の香澄なのだが、僕は少し無理していないか心配していた。

 

流星「…今、何してるんだ?」

香澄「えへへ…ギターの練習してるんだ」

 

と、香澄は元気よく話しかけてくれたが、その裏で何となく泣いている感じがした。

 

流星「…そうか…」

香澄「どうしたの?急に電話して」

流星「ちょっとね…香澄大丈夫かなって心配になってね…」

香澄「私はいつも元気だよ?」

流星「そういう事じゃなくてさ…」

香澄「ん?…」

流星「…いや…何でもない…すまないな…」

 

僕はそう言って電話を切った。

 

流星「…言葉が出なかった…くそ…」

 

その日は眠れずに、1日が終わってしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

この日は野球部の練習がないので、ポピパの練習見にいこうと思ったら…

 

流星「…またオーディションかよ…」

 

…ポピパのみんなは何故か『SPACE』でオーディションをやることになったのだ。

僕が着いた頃には、ポピパはステージの中にいた。

ステージの外のラウンジでは、『Glitter*Green』の皆さんがいた。

そして、ポピパの演奏が始まろうとした…その時…

 

香澄「…た…たとえ…ば…」

 

…香澄の声が出なくなったのだ…




いかがでしたでしょうか?
投稿はかなり遅くなると思いますが、一生懸命書くので、よろしくお願いします!
では、次回お会いしましょう!


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第17話〜たとえ辛くても〜

どうも、VVVFです。
先に言っておきます。
今回も(相変わらず)グダグダ文となっております。
最後は特にグダグダになってますw
理由は…これくらいでいいやと妥協しましたw
あまり期待せずに見ていってくださいw
では、どうぞ!


…香澄の声が出なくなった次の日…

雨が降りしきる中、学校の中にあるトレーニングルームで雄介のボールを受けていた。

 

雄介「…んー…なんかキャッチングがイマイチだな…どうした?流星」

流星「あ、あぁ…ちょっとね…」

雄介「『poppin'party』のことか?」

流星「まぁな…」

 

僕は、昨日の香澄の事を雄介に話した。尚之にはとっくに言っておいてある。

 

雄介「声が出なくなった!?」

流星「…心配でね…直前に俺が電話かけたのに…」

雄介「…俺は何もそのことに関われそうにないけど…せめて、言わせてもらうと…その子はスランプに陥っているんじゃないかな?」

流星「スランプか…」

雄介「…そういうのは…自分で乗り越えるしかないな…ほら、練習再開するぞ」

 

雄介の一言で、僕は練習を再開させたが、心のどこかで心配をしていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

僕は香澄の家を訪ねた。

出てくれたのは、妹の明日香ちゃんだ。

 

明日香「あ、流星さん…」

流星「明日香ちゃん…香澄は?」

明日香「お姉ちゃんは上に…上がりますか?」

流星「いや、様子を見に来ただけだから…とりあえず、これ…」

 

俺は途中で買ってきたフルーツの盛り合わせを明日香ちゃんに渡した。

 

明日香「え!?これもらえませんよ!」

流星「いや、もらっていってくれ。お見舞いの品だからさ」

明日香「…わかりました。ありがとうございます」

流星「あ、あと香澄にごめんと言ってくれる?」

明日香「え?」

流星「昨日、香澄に電話かけてさ…その時に気づかなくてさ…香澄に一言言えばああいうことにはならなかっただろうし…」

明日香「そうなんですか…大丈夫ですよ。お姉ちゃんのことですから」

 

その後、僕は香澄の部屋をちらっと見てそのまま帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

放課後に僕は有咲の蔵に向かった。

香澄はそこにはいなかった。

 

沙綾「あ、流星!」

流星「よぉ…香澄は?」

有咲「体は大丈夫だってよ」

たえ「声もしばらく休んだら戻るって」

りみ「でも…不安…」

流星「そうだな…」

 

その後、僕は香澄の代わりにギターパートを弾いて、練習に参加したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

僕は野球部の練習を終え、帰宅していると…

 

流星「…ん?」

 

信号機の反対側で香澄が小さく手を振っているのが見えた。

僕は慌てて信号が青になったのを見て、香澄に駆け寄った。

 

流星「香澄!?どうしてここに!?」

香澄「…ちょっと、話がしたくて…」

 

香澄の声は、いつものハキハキとした声と打って変わって、息を吐くような感じで声を出しているようだった。

僕と香澄は並んで、香澄の家まで一緒に帰ることにした。

 

流星「…声、大丈夫か?」

香澄「…うん…」

流星「…なんか別人みたいだな、あはは…」

 

僕は無理やり笑ってみせたが、香澄は先程より変わらずに小さい笑顔のままだった。

僕はそんな雰囲気が嫌になったので、単刀直入に香澄に聞いてみた。

 

流星「…それで…俺になんか用か?」

香澄「…うん…」

 

香澄は、小さい声で僕に悩みをぶつけてくれた。

 

香澄「…オーナーに…私がわかってないって言われて…もっと頑張らないとって…でも…本当に私がわかってなかった…もう…キラキラもドキドキも見えなくなって…どうすればいいかわからなくて…」

流星「…なるほどね…」

 

僕はそれを聞いて、どうにか言葉を振り絞って出した。

 

流星「…多分、それ、スランプだろうなぁ…」

香澄「…スランプ?」

流星「あぁ…まぁ、何もかも出来なくなってる状態に、香澄はなってるのかな?」

香澄「…そうなんだ…」

流星「まぁ、誰にでも一回はぶち当たるから、仕方ないよ…」

香澄「…流星君は…スランプになったことあるの?」

流星「俺?まぁ…あるよ」

香澄「流星君は…どうやってスランプ克服したの?」

流星「克服かぁ…俺は…『誰かがいつも見てくれている』…そう思ったから克服出来たかな?」

香澄「見てくれている?」

流星「あぁ…香澄だって、めちゃくちゃなことやってるけどさ…俺はずっと見ているからさ…まぁ、体壊すまでやるのはいけないけれどね」

 

僕はほくそ笑みながら話すと、香澄は少し頰を上げた…気がした。

 

香澄「…ありがとう」

 

香澄は小さくそう言い、前を向いている僕の…

 

…頰にキスをした…

 

流星「!?」

 

僕は急なことに、慌てて香澄を見た。

 

香澄「今までの…お礼」

 

香澄はそう言って、走って家に帰った。

といっても、すぐ近くまで来てたけどね…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

有咲の蔵にて…

 

香澄「ご心配おかけしました!」

 

と、香澄がいつもの声でお詫びの声をかけた。

 

尚之「全く…心配したっての…」

流星「全くその通りだ」

 

僕と尚之は互いに笑いながら、香澄の復活を喜んだ。

その後、香澄は練習に復活。

僕が放った一言と、昨日の有咲や沙綾の『後悔はしていない』といった助言、完全復活を遂げた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして、迎えた『SPACE』のオーディション…

『poppin’party』はこれを落とせば、『SPACE』でのライブは無くなるという、絶体絶命のところで受けることになったのだ…

『SPACE』のラウンジでは、僕と尚之、そして『Glitter*Green』のみなさんが、その様子を見ていた…

 

流星「…大丈夫…だよな」

尚之「当たり前だろ、あいつらなんだから」

 

そう言ってた尚之の予想は当たり、『poppin’party』は見事オーディションに合格、僕と尚之は『Glitter*Green』のみなさんと、喜びを分かちあったのだった。




いかがでしたでしょうか?
結構グダグダ文でしたと思いますw
それでも見てくださり、本当にありがとうございます。
更新はかなりローペースで進んでいますので、気長に待っていただけるとありがたいです。
では次回、お会いしましょう!


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第18話〜打ち上げ!〜

どうも、VVVFです。
今回…かなり内容が薄いです…
というのも、僕がいつもアニメも話数に沿って小説を書いているのですが…見事に話を間違えました…
なので、今回は無理やり方向転換させて書いていますので、今まで以上に最悪な文章となっているかと思いますw
そこはあらかじめご了承ください。
では、かなーりゆるい本編、どうぞ!


『SPACE』に合格した次の日…

僕と尚之は野球部の練習をしていた。

僕はこの日はバッティング練習をしていた。

 

カキーン!

カキーン!

 

金属バットの快音が聞こえる。

それは僕ではなく、尚之の方だ。

尚之はムードメーカー的な存在で、リトルリーグにいた時は、負けてもいつもみんなを励ましていた。

野球センスはかなりいい方で、特に肩がかなり強い。センター前に落ちたボールを返球してホームでアウトにさせたのは、指では数えられないくらいやっていた記憶がある。

また、中学の時の噂で、かなりのパワーヒッターに覚醒したというらしい。

実際、今やっているバッティング練習で、尚之が打った打球は全球柵越えしている。

僕はというと、キャッチャーという過酷なポジションにいながら足を使うことが多い。盗塁の中でも、二盗は確実に決められるし、過去に何度かホームスチールを決めたこともある。

そのため、バッティングは繋ぐ事を意識して、低弾道になる事が多い。

まぁ、低弾道でもツーベースやスリーベースを狙えるほど、足が速いからいいけどね…

と、まぁ僕と尚之のバッティング寸評はこれくらいにして、僕はセカンドベースを狙うようにして、バッティング練習をしていた。

そこへ…

 

???「あら、流ちゃんうまいねぇ」

 

と…どこからかオネエ風の口調で話してくる人が来た。

 

流星「あ、須磨先輩。こんにちは」

???「あらやだ、下の名前で呼んで頂戴よ」

 

丸刈り坊主なのに、やたらとクネクネと体を動かす、僕の目の前にいる人は、2年生の須磨麻里弥先輩だ。

といいつつ、下の名前はもちろん偽名。本当の名前は須磨拓也。

本人は気づかれたくないらしいけれど、学校にいる以上、本名で呼ばれるので、野球部員はおろか、学校全体で須磨先輩の本名を知っている。

それにも関わらず、本人はそれに気づいていないという鈍感ぶりである…

ポジションは主にショートを担当しており、チーム屈指の守備職人。

高く飛んでアウト、低くしゃがんでアウト、とあらゆる場面でファインプレーを連発しており、他の人から見たらボールを取る手がまるで千手観音みたいだという事で、『江戸川橋の千手観音』と呼ばれている。

また、須磨先輩のバッティングコントロールは卓越したものがあり、巧打者のイメージが強い。ただ、パワーないくせにボールを高く上げてしまう事がよくある。

大半の人は『須磨先輩』と呼んでいるが、ごく少数で『麻里弥先輩』と言っている人がいる。

ここでは、セリフの前の表記は『麻里弥先輩』にするが、ここの文や僕のセリフでは『須磨先輩』と表すので、間違えないように…

 

流星「いや、そういうわけには行きませんので…それより、須磨先輩は今日守備練習ですよね?早く行かないと間に合わないですよ」

麻里弥「あらほんとだ。ありがとね。んーチュッ」

 

須磨先輩は僕に投げキッスをして、守備練習をしに行った。

 

流星「…オェ…」

 

僕は思わず嗚咽を出した。

と、そこへ…

 

雄介「全く…須磨先輩はいつもああで困るぜ…」

 

雄介がのらりくらりと僕の元にやってきた。

 

流星「ほんとそれ…」

雄介「でも、あれで守備は日本の中でもトップレベル…強すぎだろ…」

流星「いろんな意味でな…てか、雄介どうした?」

雄介「あぁ、今日この後暇か?」

流星「暇だけど?」

雄介「この後、俺と流星と康介先輩でちょっと打ち合わせしたいんだ。尚之も連れてきてもいいよ。まぁ、色々な確認だな」

流星「確認?」

雄介「ピッチャーの球種や、投げ方の事」

流星「あーなるほど…わかった」

 

ということで、僕と尚之、雄介、康介先輩で夜ちょっとした会議をすることになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の午後…

花咲川女子学園にて…

 

香澄「えぇ!?流星くん来られない!?」

 

有咲経由で、僕の会議の話を聞いた香澄は、かなりひどく落ち込んでいた。

なぜかというと、この日ポピパの5人は、オーディション合格祝いの打ち上げで、焼肉を食べに行くという事を決めていたのだ。

香澄たちには、僕と尚之は野球の練習次第で行く、と言ってある。

 

りみ「残念だね、香澄ちゃん」

沙綾「まぁ、仕方ないよね。今度の大会で勝ってほしいから」

たえ「という事は、5人で打ち上げだねー」

有咲「香澄、しっかりしろ。今日はしゃあねぇから」

香澄「うん…」

 

香澄はまだうなだれたまま、小さくうなづいたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日の夜…

とある焼肉店…

その焼肉店に来たポピパのメンバーは、ゴザがある席に案内された。

一方は壁、テーブルを挟むようにのれんがかかっていて、廊下に出る入り口ものれんで仕切られている。

 

香澄「よぉし!今日は食べるぞー!」

有咲「相変わらずはしゃぐなぁ…香澄は…」

香澄「えー!だって、みんなでご飯食べるのって、ワクワクしない?」

有咲「いつものことだろ!」

沙綾「あはは…まぁ、確かに昼一緒だからね…」

りみ「でも、夜は初めて」

たえ「香澄を除いては」

香澄「え!?なんで!?」

たえ「いつも他人の家に乗り込んでいるから」

有咲「ごもっともだ」

香澄「えぇ!?そんなぁ…」

沙綾「で、でも、香澄が乗り込んでくれたおかげで、今のポピパがあるんだから」

りみ「そうだよ!だから元気出して!香澄ちゃん!」

香澄「りみりん、沙綾、ありがとぉ〜」

 

と、香澄たちが盛り上がっている中…僕たちが、ちょうど香澄たちがいる焼肉店に来たのだ。これ、ガチで偶然です…

 

店員「お客様、何名様でございますでしょうか?」

流星「4人です」

店員「わかりました。ではこちらへ」

 

僕ら4人が案内された場所は…また偶然にも、香澄たちの隣だった。

 

康介「いやぁ…ごめんね、急にこういうとこに行こうなんて言って」

流星「いえいえ、僕は大丈夫ですよ」

尚之「わざわざ僕まで誘ってくれるなんて…ありがとうございます」

康介「いいっていいって。今日は俺のおごりだから、好きなだけ食べようか」

雄介「あざーっす!」

 

そんな僕らのその会話のやり取りを、たまたま聞いてしまった人がいる…

 

香澄「…あれ?」

 

香澄はふと後ろを振り返り、のれんの向こう側を見た…

香澄はある人の後ろすがたを見て、思わずそののれんをくぐってきた。

 

香澄「流星くーん!」

流星「ぐわぁっ!?か、香澄!?」

 

突然のことに、僕は思わず目が点になり、尚之は驚いて壁に避難し、康介先輩と雄介はポカンとし、有咲とりみりんは止めに入ろうとしたが間に合わず、沙綾とたえは驚いた様子で見ていて…色々とカオスな状況だった。

そんな中でも、香澄は頰を僕の体にすりすりさせるように動かしていた。

香澄はその後、案の定有咲達に引きずられた…

 

雄介「もしかして、あなた達は『poppin’party』ですか?」

 

雄介はふと思い出したように、おもむろに聞いた。

 

りみ「えっ、知ってるの?」

康介「流星からよく聞いてるよ」

たえ「そうなんだ」

 

この後、康介先輩の気前の良さによって、僕らとポピパのメンバーで一緒に焼肉を食べることにした。

 

香澄「カルビいっただきー!」

有咲「あぁ!それ私が食べようとしてたやつ!」

雄介「すごい声の張りようだな、あはは」

有咲「そ、そうですか?おほほ…」

雄介「無理に上品にしなくてもいいよ。流星と一緒にいる感じでいいからさ」

有咲「あ、ありがとうございます」

たえ「有咲、照れてる」

有咲「照れてねぇし!」

 

と、いつものように大騒ぎしながらポピパメンバーは焼肉を楽しんでいた。

僕はというと、康介先輩と次の試合で戦う相手を分析していた。もちろん、偵察が持ってきてくれたビデオを見ながら。

 

流星「…この選手のリードはやはり、ストライク先行でいいかと…」

康介「それも確かにいいけど、俺としては、変化球を見せ球にしておいた方が打ち取れる気がする」

流星「となると、やはりスライダーですかね?」

康介「縦の方も行けるから、それで行くとしよう…」

 

と、僕と康介先輩で話をしていると…

 

香澄「何見てるの?」

 

と、香澄がまた僕に抱きついてきた。

 

流星「香澄…今真剣な話してるから、遊ぶのならまた後でな」

香澄「えぇ〜、私も見たいよぉ〜」

流星「だから!こっちは真剣な話してるって言ってるだろ!」

康介「まぁまぁ、こっちは支障ないから、続きを見ようぜ」

流星「は、はぁ…」

 

僕は肩に重力を感じながら、ビデオを見ることにした。

 

康介「…こいつはなんでも打ってくるから結構嫌なんだよなぁ…」

流星「でも、その反面、釣り球でも反応するので、ストライク先行で行けば問題ないかと…」

香澄「すごい…見ただけでわかるんだ…」

流星「キャッチャーやってたらそこまでわかるんだよ」

 

僕は康介先輩とビデオを途中まで見終わった後、ふと疑問に思ったことを聞いた。

 

流星「そういえば…なんで先輩は俺らを焼肉に?」

康介「ん?まぁ…ピッチャーとキャッチャーの交流みたいなものだ。ほかのピッチャーのメンバーは、今日色々用事があるからって、結局俺と雄介くんだけ。健介は実家が八百屋だから、店の手伝いで行けない…とまぁ、こんな感じかな?」

流星「へぇ…てか健介先輩、八百屋手伝ってるんですか」

康介「まぁ、地元向けの八百屋だよ」

 

その後、僕らは焼肉を思う存分食べ、康介先輩がまさかの全額負担してくれるという暴走に入り、俺らはすかさずそれを止めた。

流石に全額おごってもらうのにはかなりの金額に…と思ったからだ。

案の定そんな感じだったけどな…

 

香澄「…あの!康介さんに、雄介くん!」

 

帰り際、香澄は違う方へ帰る2人を止めた。

 

康介「ん?」

雄介「なんだ?」

香澄「今度、ライブハウス『SPACE』で、ライブやるので、よかったら見に来てください!」

 

香澄はここでもちゃっかり宣伝してきてる…

 

康介「おぉ、『SPACE』でか…わかった。行けたら行くよ」

雄介「俺も暇あったらな」

香澄「ありがとうございます!」

 

そんなこんなで、ポピパの打ち上げは無事、終了したのだった。




いかがでしたでしょうか。
最初は野球部の新キャラを出し、特に意味もない焼肉パーティをブッ込んだ、かなり薄い内容かと思います…w
とりあえず、低評価覚悟!で出させていただきましたw
次回はまともに書いていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
では次回お会いしましょう!


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第19話〜ラストライブ〜

どうも、VVVFです。
お待たせいたしました!バンドリ編の最終回に当たる所を書き終えました!
上げることを優先して書いているので、ここをこうしてほしいのがあれば言ってください。改善できるところまでやります!
さて…このバンドリ!の小説、なんとお気に入り登録者数が100を超えました!
これも駄文な僕の文を見てくださっている読者様のお陰でございます!
ありがとうございます!
今後も駄文ではございますが、よろしくおねがいします!
では、本編どうぞ!


…打ち上げから数日後…

僕は球場にいた…

 

流星「…大丈夫かな…」

 

僕はそう呟きながら、青空を見ていた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

事は、昨日に遡る…

 

野球部全員「試合を繰り上げる!?」

 

監督の上島先生から伝えられた、夏の甲子園へ向かうための地区予選、その大会の試合の変更を告げられたのだ。

 

上島「急で申し訳ないんだが…協会側の手違いで、試合を早くしてほしいと来たんだ。どうやら、ダブルブッキングしてしまったらしく…こうせざるを得ないと…」

 

僕ら江戸川橋高校は、一応初戦は突破できる下の方の中堅校である。

それ以上は勝った事はないのでシード権などはない。

よって、僕らは1回戦から順々に上げないといけないのだ。

しかし、問題はそこではない…問題なのは、試合の日程なのだ。

その繰り上げ第1試合の開始日が…『SPACE』のラストライブの日なのだ。

 

尚之「…どうすんだよ…」

流星「俺に言うなよ…この後、みんなにちょっと伝えておく」

 

僕がそう言ったのは、前の日に香澄達に、ライブを見に行くと言ってあるのだ。

その日は大丈夫だと思ってそう言ったのだが、まさかの事態に僕らは戸惑っていた。

監督からの話が終わった後、僕はすぐに電話をかけた。

辺りを見ると、他の先輩や同級生も同じように電話をかけていた。

 

香澄「…もしもし?流星くん?どうしたの?」

たえ「あ、流星くん、どうしたの?寂しくなったの?」

有咲「んなわけねぇだろ!」

 

いつものようにおたえのボケに有咲が突っ込んでいたが…

 

流星「みんな、すまない…ライブ、見に行けそうにないや…」

 

と、僕が残念そうに言うと…

 

香澄「え!?どういうこと!?」

有咲「はぁ!?詳しく聞かせろ!」

りみ「どういうことなの!?」

沙綾「教えて!」

たえ「一から全部!」

 

と、先程様子見してたであろう、りみと沙綾も加えて、全員で僕に質問責めをした。

僕は事の顛末をポピパ面々に教えると…

 

香澄「そうなんだ…」

りみ「それは残念だね…」

有咲「てか、手違いって、どういうことをしたら間違うんだよ!」

沙綾「そう言っても仕方ないね…」

たえ「頑張って…」

 

と、少々意気消沈した声が聞こえた。

 

流星「おいおい、そう落ち込むなって…その試合、勝ってくるから。終わり次第、そっちへ行くよ」

 

僕はそう言って、少しポピパのみんなをやる気にさせた後、電話を切った…

その次の日が、今の状況だ。

 

尚之「心配か?」

 

尚之がおもむろにそう言葉をかけて来た。

 

流星「まぁな…まぁ、成功してくれることを祈るしかないな」

 

僕は呟くように、天井を見上げていた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、ポピパのみんなは…

学校の終業式が終わり、今から『SPACE』へ向かおうとしていた。

 

有咲「おい!行くぞ!」

香澄「あ!ちょっと待って!」

 

この時、ポピパのみんなだけでなく、『CHiSPA』のメンバーもいた。

『CHiSPA』は、沙綾が前にいたバンドグループで、メンバーはギターボーカルで、前に僕と面識がある海野夏希、沙綾の代わりに入ったドラムの太湖里実、キーボード担当の川端真結、ベース担当の森文華の4人からなる。夏希ちゃんと里実ちゃんは花女、真結ちゃんと文華ちゃんは別の高校に行っている。また、尚之と里実ちゃんは姓は川端で同じだが、全く血は繋がってないのでご注意を…

と、ポピパのメンバーが全員いると見計らった夏希ちゃんが…

 

夏希「そういえば、みんなの彼氏は?」

 

と、唐突にそう言った。

 

香澄「か、彼氏!?」

有咲「ど、ど、ど、どういうことだよ!?」

沙綾「夏希!?何言ってるの!?」

夏希「いや、花女の1年生ならみんな知ってるよ?ポピパを助けている男の子の存在」

 

夏希はいたずらっ子のような笑顔でそう言ったのだ。

 

たえ「え?私の彼氏はギターだよ?」

りみ「たえちゃん、そういうことじゃなくて…」

香澄「彼氏かぁ…」

沙綾「ちょっと、恥ずかしいよぉ…」

有咲「い、いねぇし!彼氏なんていねぇし!」

 

ポピパのメンバー全員、やはり自分の個性を前面に出して、反論したり顔を覆ったりしていた。若干一名迷走した事を言っていたが…

 

夏希「まぁまぁ、私は彼氏じゃないってわかってるけどさ…流星くん、今日見に来る予定なんでしょ?」

 

夏希ちゃんはそう言うと、香澄達は急にだんまりとした。

 

夏希「…あれ?」

香澄「…実は…」

 

香澄は、その場にいた『CHiSPA』のメンバーに昨日の事を言った。

夏希ちゃんは聞いた後、

 

夏希「そうか…残念だったね…」

香澄「だから、流星くんのところまで、声が届くように頑張るんだ!」

 

香澄は笑顔でそう意気込んだのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方の僕は…

試合は8回まで進んだのだが…これといって目立った攻撃はない。

試合も0-0と未だに動きなし。

これから9回表で、江戸川橋高校の攻撃から始まるところだ。

 

上島「…秋山、ここで代打に出すぞ」

 

上島先生から、僕はそう告げられた。

次の打順は山本先輩で4番からの打順だったが、この日の山本先輩は全くいいところなし。

というか、いい当たりなのに伸びない球ばかりで、毎打席フライに取られるのだ。

ここはやはり起爆剤として僕が入れられるという事だろう。

あ、なんで僕が公式戦でベンチに入ってるかって?

中堅校ながらも、1年生の選手も数多いのだが、何故かものの見事に僕以外キャッチャーがいないのだ。

そのおかげで、山本先輩が正捕手なんてのも頷けるが、うちの捕手不足を典型的に示す記録(?)がある。

なんと、1年生の時点でキャッチャーのポジションを自ら申請してやる人が、ここ数年ぶりだと言うのだ。

山本先輩も元々は内野手、特にファーストを希望していたのだが、ファーストに似合わぬ強肩を見出した上島先生が、キャッチャーへのコンバートを強制的にやらせたらしい。

だからキャッチャー能力が低いと言われるんだ…と、その時僕はつくづく思った。

じゃあ、他のメンバーはどうなのかって?それはまた後日教えるとして…

僕は初公式戦で代打ながら打席に立った。

相手は先発からボールを託された2番手のリリーフ投手。

僕との対決が初めてだ。

 

流星(…まずは一球見よう)

 

相手ピッチャーは流れるような綺麗なオーバースローで一球ストレートを投げてきた。

最初は高めに入れてストライクだ。

 

流星(…やはり、研究通り…ストレートにノビがある…)

 

僕はそう思った後、再びピッチャーを見た。

2球目もストレート。これは低めに行きすぎてボール。

 

流星(今日の制球力は安定しないな…これでだと、次は持ち玉のフォークかな?)

 

そして3球目。

投げてきたのは…フォーク。しかも、失投気味のボールだ。

 

流星(よしきた!)

 

僕はそのボールに逆らわず、綺麗に流し打ちをし、レフト前に持っていった…

 

流星(…みんな…しっかり頑張れよ…)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、ポピパのみんなは…

 

香澄「…いよいよだね…」

沙綾「うん…」

りみ「緊張する…」

たえ「歌う?」

有咲「歌わねぇ!」

 

自分達が作ってきたTシャツを着て、出番を待っていた。

と、そこへ…

 

友希那「…戸山さん、こんにちは」

 

友希那さん達、『Roselia』のみなさんが来た。

 

香澄「あ!友希那さん!こんにちは!」

リサ「ヤッホー!みんな元気してる?」

あこ「ポピパのみんなも、一緒に盛り上げようね!」

たえ「よろしくおねがいします」

紗夜「よろしく」

燐子「あれ?そういえば…流星くんは?」

沙綾「流星くんは…」

 

ポピパのメンバーは、僕の試合の話を『Roselia』のみんなに言うと…

 

友希那「それは残念…だったね…」

 

友希那さんはかなりひどく落ち込んだ様子で返事した。

 

リサ「ちょっと、友希那!しっかりしてよ!」

紗夜「友希那さんがそこまで落ち込むなんて…」

香澄「でも大丈夫です!声は流星くんに届いてると思うので!」

友希那「そうね…私もその気持ちで行かせてもらうわ」

 

と、友希那さん達と香澄達で雑談をしていると…

 

スタッフ「まもなくオーナーが来ます!」

 

と、スタッフの号令が聞こえたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…オーナーから、出演者に向けた最後のライブへの一言…

それは…

 

オーナー「全力で楽しむこと!」

 

オーナーはただそれだけ言って、その場を後にした。

そして、ライブが始まった。

最初はゆりさん達『Glitter*Green』が曲を披露し、次に『CHiSPA』、そして…『poppin’party』が曲を披露した。

 

5人「ありがとうございました!」

 

ポピパ5人はこのために作った曲、『夢見るsunflower』を歌い終え、舞台袖に下がった。

 

りみ「結局…来てなかったね…」

沙綾「仕方ないよ…ねぇ、この後うちで打ち上げする?」

有咲「またかよ…」

たえ「でもいいかも」

 

4人はいつものように話をしていたが、香澄だけは、どこか浮かない顔をしていた。

 

沙綾「…香澄?大丈夫?」

香澄「あ…うん…やっぱり…聞いてもらいたかったなぁって…」

 

香澄がそう言うと、他のみんなも少し黙ってしまった。

 

沙綾「…まぁ、本当に仕方ないよ」

りみ「そうだよ!香澄ちゃんの声、ちゃんと…」

 

と、みんなが楽屋に入ろうとしたその時だ。

 

流星「しっかり聞こえてたぜ。香澄」

 

聞き慣れたその声に、5人は驚いて声の方を見た。

 

流星「…お疲れさん」

 

僕は少し息を上げながら、香澄達をねぎらった。

 

香澄「…流星くん…だよね?」

流星「どうした?そんな拍子抜けた顔してさ」

有咲「当たり前だ!何してんの!?試合は!?」

流星「勝ったよ。とりあえず一回戦は突破した」

りみ「そうなの!?おめでとう!」

流星「ありがとよ」

 

と、みんなで少し喜びを分かち合い、楽屋に入った。

 

たえ「…あれ?流星くん…その服…」

 

たえがふと、僕の衣装がおかしいことに気がついた。

革ジャンにジーンズと、少しラフな格好をしており、先程まで野球の試合をしていた人とはおもえない。

とそこへ、

 

尚之「流星!準備は出来てるぜ!」

 

尚之が楽屋に入ってきた。

その尚之の後ろには…良太、裕二、海斗がそれぞれスタンバイしていたのだ。

 

香澄「え!?『LINE DRIVE』の皆さん!?」

有咲「マジで!?」

良太「いやぁ…ここが無くなるってのも聞いてさ…試合は出れないから、こっちに来てしまったよ」

りみ「そんなことしても大丈夫なの?」

裕二「全然。こっちはまだベンチ入りしてもらえないから」

海斗「強豪校だしね…僕は残りたかったけど、ここのラストライブが今日って聞いたら行かないといけないと思ってね…」

流星「というわけで、サプライズでライブやることになったから、楽しんでけよ!」

 

僕はそう言って、舞台袖へと向かった。

その後に尚之達も舞台袖へと入った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

サプライズライブは見事に大盛況に終わった。

ライブ終了後に舞台袖に戻った僕らは、すぐさまオーナーの元へ行き、花束を5人で1束ずつ渡した。

 

オーナー「全く…お前らは期待を裏切らないね」

流星「それはいつものことですよ。まぁ、今日はこいつらが来られたのも幸いですし」

良太「全くだ」

 

僕らは互いの顔を見て、笑い合い、その笑いがいつのまにか周りのバンドに移っていった。

そして、記念写真を撮ることになったのだが…

 

友希那「私は流星くんの隣で撮りたいわ」

香澄「あぁ!友希那さんずるい!」

 

と、僕の隣に香澄と友希那さんが来ることになり、しかも2人がかなり体を押し付けて来るので、思わず赤面することになってしまった…

それでも、楽しいライブになったのは変わらなかった。

その後、『SPACE』のロビーに行くと…

 

純「流星さん!」

流星「お!純君じゃねぇか!」

 

香澄達の家族が来ていた。

香澄のお母さんや明日香ちゃん、沙綾のお母さんや純君、紗南ちゃん、有咲のおばあちゃんまで来ていた。

 

明日香「お疲れ様です。流星さん。お姉ちゃんもお疲れ」

香澄「明日香〜!ありがと〜!」

明日香「わぁっ!?お姉ちゃん!恥ずかしいよぉ〜!」

純「流星さん!すごかったです!」

流星「そうか?俺はそうでもないけど?」

紗南「すごいです!私のお婿さんにしてほしいくらい!」

流星「そ、それは勘弁かな?」

 

そんな感じでいつものような日常が見られたが、『SPACE』はこれで最後である…

僕ら、『LINE DRIVE』は表に出ると、今までお世話になった建物の前で、深々とお辞儀をした。

 

流星「今まで…ありがとうございました!」

尚之・良太・裕二・海斗「ありがとうございました!」

 

こうして、『SPACE』は長い歴史に幕を閉じたのだった。




いかがでしたでしょうか?
これ、夜中に書いているので、頭が働かずに変なこと書いていますが…ご了承を…
後、所々手抜きしてありますので、気になる方はぜひ言っていただくとありがたいです。
出来る限り直しますんで…(←言うの2回目)
今後は番外編を細々と書いていくので、よろしくおねがいします!
では次回、お会いしましょう!


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第20話〜壊れる友情〜

どうも、VVVFです。
急に出したくなったので書きましたり…w
というのも…先程バンドリのライブ見てましたら、パリーグとのコラボやるそうじゃないですか!
しかも、僕が応援しているチームの西武は、友希那さんが…
これはたまらん…源田たまらん…(←おい)
興奮が未だに冷めていないので、とりあえず投下…みたいな感じですw
なお、今回はどこに属していいのか未だに決めていないので、話数としては1期の続きにしており、また、話の元が、ガルパの2章の話ですので、あまり辻褄合わないかと思いますが、そこのところはご了承ください。
後日、変えさせていただきます。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

俺はいつものように尚之と昼飯を食べていた。

 

流星「…そういや、今日は自主練だっけ。確か、上島先生が今日、なんかの会議に出るって」

尚之「確かそうだったぜ?まぁ、俺らには関係ないことだろ?」

 

とそこへ、

 

男子生徒「よぉ!野球部!お前らすごいぜ!準決勝見てたぜ!」

流星「あ、あぁ、ありがとな」

 

1人のクラスメイトにそう声をかけられた。

夏の甲子園東東京大会、準決勝で惜敗…

学校としてはこれ以上のない結果だけれども、心のどこかではやはり、悔しい気持ちで一杯だった。

 

尚之「…まぁ、俺らはこれからまた頑張ればいいからさ!とりあえず、次は秋季大会。それまで練習しないとな」

流星「だな」

 

と、ゆっくりしていると…

 

上島「…失礼します。流星くんいるかな?」

 

これから会議に出るはずの上島先生が教室に入ってきた。

 

流星「あ、はい!」

上島「ちょっといいかな?」

 

俺は上島先生に連れられて、会議室に入った。

そこには、かなりガタイのいい熱血漢風の男の人がいた。

 

???「君が秋山流星くんだね?」

流星「はい…ええっと…」

???「私は中村修二だ」

上島「彼は私の同級生で、今はU-18日本代表の監督を務めているんだ」

流星「え、えぇ!?」

 

正直びっくりした…U-18日本代表の監督なんて、奇跡に等しいレベルで驚いた。

 

流星「そ、その、U-18日本代表の監督がなんでここに…」

中村「実は、君にお願いがあって来たんだ」

流星「お願い…ですか?」

中村「…秋山流星くん、是非、U-18日本代表のユニフォームを着てほしい」

流星「…え?」

 

いきなりのことに、俺はさらに驚いた。

 

中村「君のリード力、足の力、肩の力、場を盛り上げる雰囲気、それらは全て、今のチームに必要だと思ったからね。君みたいな選手に是非来てほしい」

流星「…」

 

俺はかなり悩んだ。

こんなチャンス、滅多にないけれど、もし行くことになったら、ポピパのみんなとしばらく別れることになる。

結構長く一緒にいたからか、ほんのちょっとだけ別れるだけでも、かなり寂しい。

それに察した中村さんは、こう続けた。

 

中村「ちょっと仲間と別れるの嫌なのかな?でも、今年は初めて東京で行われることが決まったから、仲間に会いに行こうと思えばいけるよ」

流星「え!?そうなんですか!?」

中村「海外だったら流石に悩んでからと言うところだけれども、今年は東京開催なんだ。そういう面で考えると、君にとってはかなりの好条件だと思う。どうかな?」

流星「…わかりました。こんな俺でも力になれるのであれば」

 

理由はかなり不純なものだけれども、俺はその手の話に乗ることにした。

その後、俺はインターネットで調べたところ、本当に東京で開催されるということで、その時の不安というものは払拭された。

ただ、この後、あんなことが起きるとは、思ってもみなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の放課後、蔵にて…

 

有咲「なぁ、今度久しぶりにみんなでライブとか…やらねぇか?」

 

俺が蔵に着いた時、有咲がそう言ったのを聞こえた。

 

流星「ん?ライブ?」

香澄「あ、流星くん!今来たんだ!」

りみ「というか、野球部の練習は?」

流星「顧問の先生が会議に参加するから、自主練だってよ。まぁ、大半は休みにするって言ってたけどな」

たえ「そうなんだ」

流星「それで、有咲、急にお前がライブやりたいなんて言うなんて、珍しいな」

有咲「べ、別にいいだろ!」

香澄「実は、私もライブやりたいなんて思ってたりして…」

流星「お前は毎度のことだろ…」

有咲「でさ、出来たら…新曲とかもやりたいなって思ってるけど…」

りみ「新曲かぁ…有咲ちゃんがそう言ってくれるなら、やるしかないよね」

流星「てか、急すぎてちょっとな…」

有咲「なんだよ…バンドマンとして、腕なまらせなたらいけないって思ったんだよ!」

流星「バンドマンって…」

沙綾「まぁまぁ…とりあえずやるとして…日程はどうする?」

有咲「1ヶ月後…なんてどうだ?カレンダーでいうと…この日とか?」

りみ「その日って…えっ?確か、テストの最終日じゃなかったっけ?」

流星「はぁ!?」

 

有咲の発言で驚いたりみの言葉に、俺も思わず声を上げてしまった。

 

香澄「あー!そうだよ、有咲!そこテストだよ!」

有咲「あー、そ、そっかー…そういやそうだったな…あは、あははは…」

 

有咲の歯切れの悪い笑いに、俺は思わず何かを隠していることを感じた。

多分、意図的にテストと被らせることで、何かを達成させようとしているのか…

その日は、軽く練習をした後、みんなで解散したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

 

尚之「よぉ!侍ジャパンの正捕手さん!」

流星「ばっ!お前それはしばらく黙ってろって言っただろ!」

 

俺と尚之で、またいつものように昼飯を食べていた。

U-18日本代表のことは、発表があるまでしばらく伏せてほしいと言われていたが、尚之には黙っていることを条件に言っていた。

また、ポピパのみんなにも言うつもりでいたけど…

 

尚之「…てか、香澄達、テスト最終日にライブやるだって?なかなか無茶するぜ…」

流星「しかも提案者が有咲というね…」

尚之「あいつ、どうしたんだ?」

流星「なんか隠してるような気がするし…一応、昨日有咲を除くみんなでもう一度話し合って、日程の延期の提案や、会場を抑えられるかどうかを聞いてくれるというけれど…」

 

と、尚之に話していると、携帯のメールが届いてきた。

 

流星「噂すれば…」

 

俺はメールの内容を確認した。

沙綾から届いたそのメールを要約すると…

日程については、今後も同じような場面が出て、その度にいちいち断るわけにもいかないという事で、日程に関してはそのままでいくという。

会場はおたえのアテで探すことになった。

 

流星「…いやいや…流石に相手側もわかってくれるだろ…テスト期間中にライブなんか出来るわけないから…」

尚之「有咲は一体何考えてんだ…」

 

俺は嫌な予感がしてきてならなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

この日の放課後、俺は気になって蔵に来た。

この時、有咲は学校で何かやっていていなかった。

 

流星「…よぉ。元気にしてる?」

香澄「あ、流星くん!」

りみ「こんにちは、流星くん…コホッ、コホッ…」

流星「ちょ、りみ大丈夫か!?顔色とか結構やばいぞ!?」

りみ「だ、大丈夫…私が曲作らないと、練習出来なくなるから」

流星「いや、でも無理すんなよ…」

香澄「あ、そうだ!流星くん!この歌詞のサビなんだけど…昨日の夜から考えていたんだけど、何を入れたらどうかわからなくて…」

流星「サビの歌詞か…どんな感じの入れたいんだ?」

香澄「キラキラドキドキするものを入れたいかななんて…」

流星「香澄らしいな…でも、たしかに悩むとこだな…俺も考えておくよ」

りみ「あ、流星くん、私の相談もいいかな?」

流星「いいけど…本当に大丈夫か?」

りみ「うん。みんなが頑張っているのにわたしだけ何もしないっていうのは…」

流星「休むのも作業の一つだよ」

香澄「そうだよ!焦らなくてもいいって!りみりんが本当に納得したものにしないと意味ないよ!」

流星「珍しくまともなこと言う香澄…」

香澄「どういうこと!?ひどくない!?」

流星「そりゃ、いつも変なことしか言わねえから…」

りみ「それで、流星くんはどっちがいいと思う?」

流星「ん?これはコードだな…俺は…」

 

と、話していたその時、ガチャリとドアが開く音がした。

 

たえ「あ、有咲来た」

 

俺はふと振り返って有咲を見ると、かなり疲弊した様子だった。

 

有咲「…お待たせ…ふぅっ…疲れた…」

香澄「もー、有咲遅いよー!今まで何やってたの!?」

有咲「ご、ごめん…ちょっと用事があって…」

 

俺は一瞬顔をこわばった有咲を見逃さなかった。

香澄はその後、立て続けにこう言った。

 

香澄「ねぇ!有咲!今おたえがライブできる場所探してくれてるんだけど、なかなか見つからないんだって!よかったら有咲も、手伝ってくれるかな?」

 

すると、有咲は…

 

有咲「はぁ!?私だって時間ねぇって!やることたくさんあるんだよ!」

 

と、怒った口調で言った。

 

流星「ちょ、有咲、その言い方は…」

香澄「そっかー…あ、あとね!私の相談にも乗ってほしいんだけど、ここの歌詞がね…」

有咲「てか、耳元で声がでかいっつうの…頭に響くんだって」

香澄「わっ、ごめんね、有咲〜…そんなに怒んないでよ〜」

 

…香澄が間に入ったところで、この時は特に何も起こらなかったが…

俺はどうにも違和感があって仕方がなかった。

 

有咲「歌詞は香澄に任せるから。私の意見は別に聞かなくていいから」

香澄「そんなこと言わないで、協力してくれたっていいじゃーん!」

りみ「あ、あの有咲ちゃん、私もちょっと相談があるんだ。Bメロなんだけど、2つの案で迷ってて…」

 

この助けを求めるりみに対する、次の有咲の対応は…

 

有咲「…はぁ、別にどっちでもいいっつうの…曲作ってるのはりみなんだろ?任せるって…てか、これ以上余計なもん抱えさせるなよ!」

 

これに俺はついにキレた。

 

流星「おい!有咲!お前の今の発言なんなんだよ!」

有咲「っ…」

りみ「…ご、ごめんね…有咲ちゃん…」

 

りみはその一言で、何も荷物を持たず、蔵から出て行ってしまった。

 

沙綾「あ!りみりん!」

香澄「有咲!今のはひどいよ…りみりん、具合悪いのに頑張ってくれてるんだよ!今の言い方はよく…」

 

香澄がそう言いかけたところで、俺は香澄を止めた。

 

香澄「…流星くん?」

流星「…悪りぃ…女子にはあまり手をかけないけれどもよ…今のは流石に俺でもブチ切れたぜ…」

たえ「…りゅ、流星…くん?」

流星「…有咲…テメェは一体何もんだよ!何様のつもりだよ!自分で勝手にライブをやるなんて言っておいて、いざライブのことを話したらどうでもいいとか、余計なもん抱えさせんなって…ふざけるのも大概にしろよ!この馬鹿野郎!」

沙綾「流星くん!落ち着いて!」

流星「落ち着いてられっかよ!みんながわざわざ日程を延期にしようと言っている時に、お前がどうしてもこの日がいいと言って聞かないから、みんなで頑張ろうってのに、自分はのうのうと別作業かよ!あぁ!?」

有咲「…っ…」

香澄「流星くん…」

流星「…正直、失望したぜ…有咲…お前の中の…ポピパってのはそんな程度でしかねぇのかよ!」

有咲「…う、うるさい!うるさいうるさいうるさい!お前に私の何がわかるんだよ!」

流星「わからねぇからそう言ってんだよ!お前が何も言わねえで自分勝手に言ってるようにしか聞こえねえんだよ!」

有咲「…」

流星「テメェが何考えてるのかわかんねえけどよ…自分で決めた以上は…みんなを巻き込ませた以上は、みんなと一緒にやるのがポピパじゃねぇのかよ!?今までのポピパはなんだったんだよ!」

有咲「…出て行けよ…さっさと出て行けよ!もう二度とくんな!この野球バカ!」

流星「あぁ、いいよ!もう来るかよ!お前とはもう2度とも関わんねえからな!」

 

俺はそう言って、蔵から出た。

この日、俺と有咲との友情は途絶えてしまった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日、野球部の練習で…

 

流星「はぁ…ちょっと休憩いいか?」

雄介「あ、あぁ、いいぜ」

 

雄介のピッチング練習で、俺は休憩を再び取った。

昨日のことを悔いていた。

あの時もう少し話を聞いていたら…なんて思っていた。

お陰で練習に力が入らず、雄介が投げた球を受け取る時も、鈍い音だったり、高い球を顔面キャッチするほどまでになった。

 

雄介「…おいおい…もうこれで10回くらい休憩してるぜ?こっちは練習になんかならねぇぞ?」

流星「悪りぃ…昨日…ちょっとな…」

雄介「…昨日?どうしたんだ?」

流星「あぁ…」

 

俺は昨日、有咲との喧嘩の話を雄介に話した。

雄介は相槌をつきながら聞いて、しばらく考えた後、俺にこう話した。

 

雄介「…てか、お前そんなに熱くなるやつだっけ?」

流星「え?」

雄介「流星は熱くなるけど…俺らの中では、盛り上げるムードメーカー的な意味で熱くなるんだよな…喧嘩の時の熱くなるっていう意味では、お前のそんな姿は見たことねぇんだよな…」

流星「俺も怒るときは怒るぜ?」

雄介「でも、そういう時に、キャッチャーの持ち前の周りを見る力ってのは役に立つかと思ったけどな」

流星「それは…何も言えねぇ…」

雄介「そこの部分はお前が悪い。少しは考えてやれよ」

流星「…あぁ…」

雄介「言ってることは間違ってなくてもな…熱くなって元も子もなきゃ意味もないんだから…」

流星「あはは…まさか、ピッチャーに説教されるとはな…」

雄介「仮にも侍の正捕手なんだぜ?そんなことで何もしねえでそのまま気分悪く世界と戦うなんてのは俺としても…いや、他の奴にとっても、気分悪いもんだからさ」

流星「…ありがとうな」

 

俺はそれで心が軽くなった。

今は有咲とは口聞かなくなるけれど、いつかは…

それまでは、今やるべきことをやるしかない…

そう思って、再び練習に入った。

 

流星「…雄介!来い!」

雄介「あぁ!」

 

その後、しばらくピッチング練習をし、全ての練習が終わった後に香澄から連絡が来て驚いたのは言うまでもない…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

野球部での練習後、俺は蔵の前に来た。

かなり入りづらい感じがした。

 

流星「…昨日…あんなこと言っちまったからな…」

 

と、意を決して入ろうとした時、ガラッとドアが開いた。

そこにいたのは…

 

流星「お、おたえ!?」

たえ「流星くん?」

流星「あれ?今日練習は?」

たえ「今日は終わったよ」

流星「どういうこと…だ?」

たえ「…今日の練習、震えなかったもん」

流星「…」

 

おたえの一言に、なんとなく察した。

 

たえ「だから、帰る。いいよね?」

流星「…」

 

俺は何も言えなかった。

この事に反応したら、昨日の二の舞になるし、おたえの不思議な言葉は、何か説得力があった。

おたえは、俺の横を通り過ぎていった。

そのすぐあとに…

 

有咲「…お前!」

 

有咲が昨日と同じように怒りながら来た。

 

有咲「来るなって言っただろ!あんたの顔なんか見たくねえって!」

流星「俺だって来たかねぇよ…香澄に言われて来ただけだ。じゃあな」

 

俺は来た道を重い足で歩いて帰った。

 

有咲「…っ…」

 

有咲は拳を強く握っていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

俺は良太や裕二達と電話で話をした。

今回のポピパのことについてだ…

 

良太「…そうか…そんなことが…」

裕二「てか、お前にしては珍しすぎだろ、あははは…」

流星「裕二笑うんじゃねぇよ!」

海斗「でも…たしかに問題だね…」

良太「1番根本的な問題ってのは、なぜ有咲ちゃんがテスト最終日にライブをやることにしたのか…」

流星「それについては、香澄からちょっと気になることを聞いてね…」

 

俺が聞いた話だと、有咲がテスト最終日にライブをやると言った日、有咲は昼休みに担任の先生に呼ばれたらしい。

それで俺はすぐに勘付いた。

 

良太「…それってつまり…」

流星「俺の憶測が正しければ…有咲はなんか成績関係で担任に言われて、それに対抗してテストの最後の日にライブをやるって言ったんだと思う…」

裕二「あんな頭のいい有咲ちゃんが?そんなバカな〜」

海斗「でも、そこまで熱くなるってことは、考えられなくもない」

良太「それかもな…」

流星「とりあえず、何か進展があれば話すよ。あ、あともう一つ、とびっきりの話があるんだ」

良太「ん?なんだ?」

流星「それは…」

 

俺のその後発した言葉に、良太達はひどく驚いた。

この事を、早く香澄達にも言いたい…そう思った俺であった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
僕自身、ツイッターはやっていない(というか、以前やっていたものの、軽い炎上騒ぎを引き起こして叩かれてトラウマになっているためやっていない)んですが、前書きにあったパリーグコラボの件で、某氏のツイート(僕の小説をお気に入り登録してくださっている方のツイート)を見ると、あそこ(あえて言いません)は夏場は最悪だと書いてあって、まぁ、あそこはそうだな(行ったことないけど、周りの環境から察して)と最初は思い、次に思ったのは…それでも行けば最高のステージになるだろ!…という自己中な発想でしたり…w
軽く自分の黒歴史もサラッと書いたところで、今回はこれくらいにしますか…
行きたい…8月16日…行きたいよー…
では、次回お会いしましょう!


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第21話〜素直になって〜

どうも、VVVFです。
久しぶりです…もう、2ヶ月前に投稿して以来、出してませんでした…
まぁ、色々とイベントがあったことと、熱がまだ冷めていたことから、しばらく投稿してませんでした…
とりあえず、完成していた作品を出すことにしましたのでご覧ください。
物語は第20話の続きです。
では、本編どうぞ!


…次の日…

俺のところに、香澄からのメールが届いた。

 

香澄『私、みんなから絶対キラキラドキドキを取り戻してみせる!流星くんも絶対取り戻してみせるから、待ってて!』

 

流星「…そう言われてもな…」

 

俺は小さくそう呟いた後、思わず笑みをこぼした。

 

流星「…俺も…見せてやるよ…キラキラドキドキしたものを…」

 

そう言って、俺は家を出た…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この日の放課後…

俺は練習後にバッティングセンターで尚之と一緒に練習をしていた。

 

島津「…今日も気合入っているね!流星くん!」

流星「はい!」

尚之「まぁ、あいつ侍に選ばれたからな…」

島津「え!?侍って…流星くん日本代表になったの!?」

尚之「はい。本当は発表があるまでは口外しないという話なんですけど、島津さんだったら大丈夫かな…なんて」

島津「それはすごい!香澄ちゃん達にも話したのかい?」

尚之「いや、言えずじまいなんですよ…喧嘩してしまって…」

島津「なるほど…これは大人が出してはいけない事だな」

 

島津さんはそう言って、管理室の中に入っていった。

 

流星「ふぅっ…もう一丁!」

 

俺はバッティングをもう一回やりこみ、結局日暮れ近くまでやっていた。

この間、俺は何もかも忘れて打ち込んだ。

でも…そこから離れるとやはり…

 

流星「…寂しいなぁ…」

 

香澄とおたえのボケに突っ込む有咲、それを見てなだめるりみと沙綾…そんな5人と一緒にいれた俺は、多分幸せ者だと思う…

そんなこんなでバッティングセンターから離れて、しばらく歩いていると…

 

流星「…いつのまにか…」

 

俺は『流星堂』に来ていた。

 

流星「…昨日来たばっかなのに…懐かしいなぁ…」

 

俺はふと、微笑んで呟くと…

 

香澄「…あれ?流星くん?」

 

香澄が『流星堂』の入口から出てきたのだ。

後ろには、沙綾と…有咲がいた。

有咲は、俺を見てとっさに俯いた。

 

流星「…香澄…沙綾…」

沙綾「ちょうどよかった。これから公園に行くんだけど、行く?」

流星「あ、あぁ…」

 

そんなこんなで、俺は香澄達と共に公園に来た。

公園に着くなり、有咲が…

 

有咲「…つーか、いってーな…まだジンジンするし…」

 

と、手をさすっていた。

 

流星「…何したんだよ…香澄…」

香澄「気持ちが伝わらないから、手を握ったんだ。そしたら…」

流星「は、はぁ…」

有咲「全く…ギターやってるんだから、握力ついているんだって…手加減しろよ…」

香澄「ホント、ごめんね…」

 

その後、有咲がおたえと会って、同じように手を握られた事を知った俺は、おたえも同じ気持ちだとわかった。

そして…

 

有咲「…あのさ…りゅ、流星にはわからないかもしれないけれど…前に先生に呼び出されたことあっただろ?確か、みんなでお弁当食べてる時…」

流星「俺は気にしなくていいよ。一応、香澄とかから聞いてるから」

有咲「そうなんだ…なら話すけれど…」

香澄「確か…有咲が生徒会長やってくれって言われるんじゃないかって、みんなで話した時だよね?」

流星「そんな会話だったんだ…」

有咲「あの時、実はさ…言われちゃったんだよ…先生に…」

沙綾「言われちゃった?なんて?」

有咲「最近…成績が落ちてきてるって…」

流星「あー…やっぱりな」

 

俺は有咲の言葉に、自分の予想が間違ってなかったとわかった。

 

香澄「やっぱりって、流星くんわかってたの?」

流星「なんとなく憶測出来てた。有咲が呼び出し食らわられたその日に、テスト最終日にライブをするというとなったら、成績が落ちてしまっているから、テストで高得点を出しつつライブを成功させるというシナリオを書いているんじゃないかって」

有咲「さすが、流星…キャッチャーは伊達じゃないね」

流星「それで、目標は?」

有咲「…5科目480点以上…」

流星「はぁ!?お前天才すぎるだろ!?」

有咲「でもそのくらいしないと説得力ないだろ?…というか…久々に聞いた気がする…流星のツッコミ」

流星「そうか?」

 

そして、有咲は神妙な面持ちのまま、話し続けた。

 

有咲「…実際…勉強の時間減ってたんだよ…バンドを始めてから…ヤバいと思ってても…みんなといる時間が楽しくて…」

流星「…」

有咲「それで先生に、バンドと勉強の両立は難しいって言われて…ついカチンと来ちゃったから…両立させてやるって…5科目で480点以上取らないと、バンドやめてやるって…」

流星「それで、夜遅くまでやってたと?」

有咲「わ、わかってたのか?」

流星「有咲の目のクマが証拠だ。寝不足してたって感じだよ」

有咲「あはは…流星には敵わないな…」

流星「どれだけお前らと一緒にいたと思ってる。俺はお前らといると楽しいから、こうして一緒にいるわけだ」

有咲「そう…だよな」

 

と話したところで、香澄が重要な質問を有咲に投げかけた。

 

香澄「なんで…そんな大事な事、どうして言ってくれなかったの?」

 

その質問に、有咲は恥ずかしそうに返事した。

 

有咲「…カッコ悪いだろ?私が意地はって、みんなを巻き込んじゃったわけだし…」

流星「だからといってな…何のわけもなく、勝手にいろいろ決めつけるのも悪いだろ。お前の性格だから言えなかっただろうけど、言っていれば、みんな分かって助けてくれたはずだぜ?」

有咲「ごめん…そこは本当に反省してる…流星もごめん…自分で勝手にあんなこと言って…自分は何もしないって…」

流星「俺も悪いことしたと思ってる…あの時は本当に申し訳なかった…でも、有咲…何のためのポピパ何だ?ただの道具じゃないだろ?悩みがあったら言い合うのも1つの手だろ?」

有咲「うん…」

流星「…俺は、野球をやって…みんなとの協力が必要だって、何度も試合をやって実感している。全員が同じようなプレーを出来ることなんて出来ない。必ず穴がある。その穴を埋めてやれるのは、俺を含め、周りの奴らなんだ。だから、意地を張って穴を隠すよりも、打ち明けてみんなで助け合ってやったほうが、もっともだと思うぜ?」

香澄「…流星くん…」

沙綾「…説得力あるね…」

 

そして、有咲は小さくこう呟いた。

 

有咲「…私…サイテーだな…ホント…」

 

その様子を見て、俺は一瞬頭の中であるワードをよぎった。

 

流星「…有咲、お前…自分はポピパにいない方がいいって思っただろ?」

香澄「え!?そうなの!?有咲!」

有咲「…うん…」

 

有咲がそう小さく頷くと…

 

香澄「そんなことないよ!有咲がポピパをやめるなら、ポピパは解散だよ!」

有咲「は!?何でそうなるんだよ!?私よりうまいやつなんていくらでもいるだろ?」

流星「それじゃ、香澄がやめて、他の奴がボーカルに入っても、ポピパは成立するのか?」

有咲「そ、それは…」

 

俺は立て続けにこう言った。

 

流星「これは香澄だけじゃねぇ…たとえ、りみが抜けて変わっても、おたえが抜けて変わっても、沙綾が抜けて変わっても…俺はポピパは成立しないと思ってる。このメンバーだからこそ、出来た最高のバンドだと思ってる」

香澄「そうだよ!そうじゃないとキラキラドキドキしないもん!」

有咲「…キラキラドキドキ…」

香澄「前に、有咲の家の蔵でクライブしたよね?あの時、みんなで演奏して、私、すっごくキラキラドキドキできた!有咲だってそうでしょ?」

有咲「それは…」

香澄「私ね…ずっと思ってたの。バンドはすごいな、音楽は偉大だなーって…」

流星「それはいくらなんでも言いすぎ…」

香澄「言いすぎじゃないよ!だって…どんなに気持ちが沈んでたって、みんなで一緒に演奏すれば、心がキラキラドキドキして、そんなのすぐに吹っ飛んじゃうんだもん!」

流星「あぁ…確かにわかる。応援歌が特にそうだもん」

有咲「応援歌?」

流星「応援歌は、選手に向けて送る歌だけど…どんなに暗い気持ちでも、みんなが応援してくれてるってわかってたら、それだけで頑張れるって思える」

 

俺がそう言った後、香澄も立て続けに言ってきた。

 

香澄「…この前の練習で…おたえが言われて気がついたの…キラキラドキドキしてたのは、音楽だけじゃない…さーやとりみりんとおたえと…有咲と!一緒に演奏してたからなんだって!だから…だから!ポピパにいない方がいいなんて、言わないでよ!」

流星「…俺も同意見だ。5人とこのメンバーだから、ポピパって思える」

有咲「そっか…そういうことか…」

 

有咲はまるで納得したかのような口調で話した。

 

沙綾「ん?どうしたの?」

 

沙綾がすかさず質問した。

 

有咲「私…バンドをやる前は学校でもずっと1人で…1人であることには慣れているはず…だったんだけどさ…今は学校で1人でいると退屈で…寂しくて…早く学校終わんねーかなって…それまでは、何にも思わなかったのに、今は気づくと、みんなのこと考えちゃってるんだよ…」

沙綾「有咲の気持ち、わかるかも…私もここのところ、ずっとみんなのこと考えてたもん…」

有咲「それで結局勉強に手がつかなくなって…みんなといるのが当たり前になってて…なんか…当たり前って偉大だなって…」

沙綾「だね」

 

その後、有咲はりみに謝りたい気持ちで一杯で、メッセージを書いては消しての繰り返しをしていたという。

また、有咲がポピパのことが大好きだと話したことで、香澄は抱きついた。

これに関しては俺は手を出すことはしない。そりゃ、友情のハグだもの…

 

有咲「…あ、あのさ、香澄…その…心配かけて…ごめん、な…」

香澄「私こそ、ごめんね…有咲がポピパを嫌いになっちゃったかもって思っちゃった…そんなわけないのにね…」

 

こうして、有咲は香澄達と再び絆を結び合った。

そして…

 

有咲「…さっき謝ったけど…改めて言わせてくれ…本当に、ごめんなさい…」

 

有咲は俺に向かって、お辞儀して謝った。

 

流星「…俺こそ、申し訳なかった…情けねぇよ…キャッチャーなのに、周りを見ないで、激昂してさ…雄介からも叱られたよ」

香澄「雄介くんが?」

流星「お前はキャッチャーなのに、周りを見ないで何してるんだって…俺の売りは、周りを熱くさせる力。苛立たせる熱さは要らねえって」

有咲「そうなんだ…まぁ…今回はすまなかったな…」

流星「いいってもんよ」

 

俺は有咲達に向けて笑って、同時に世界大会へ向けて意気込む心持ちでいたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

野球部の練習後、出禁令の解除が出た蔵に来た俺は、少し緊張しながら中に入った。

あ、ちなみに、おたえは香澄を信じてライブの準備をしていたらしく、チラシやチケットなどを用意してたらしい…なんという行動の早さ…

また、りみりんはここしばらく風邪をひいてしまい、練習にも参加できなかったが、どうにか復活しているという。

 

流星「…失礼しまーす…」

 

俺が恐る恐る中に入ると…

 

香澄「あ!流星くん!遅いよー!」

 

香澄が大声を上げて俺を呼んでいた。

 

流星「悪りぃ悪りぃ…」

有咲「全く…てか、失礼しますって言わなくてもいいんだぞ?」

流星「そうは言ってもな…一回出禁にされてんだから考えてくれよ…」

有咲「それはそうだったな…すまん」

流星「あと、りみ、復活おめでとう。これ」

りみ「うわぁ!チョココロネだ〜!」

流星「俺の父ちゃんの知り合いにパン職人がいて、特別に作ってもらったんだ」

たえ「へぇ〜」

流星「てか、おたえ…ライブをクライブにするってマジか?」

たえ「だって、どこも空いてなかったもん」

流星「もうちょっと場所探してよ…」

 

そんなこんなで、テスト前のりみりん&香澄の勉強会兼クライブの設営を手伝うことにした俺は、無造作にバッグを置いて、準備を手伝った。

ちなみに、ユニフォームとかは別バッグに片付けているので、埃の心配はない。

 

香澄「あ、そうそう!流星くん、今度のクライブを一緒に参加してよ!」

流星「ん?俺?」

 

香澄の突然のオファーに、俺は少し動揺した。

 

有咲「なんだ?なんか用でもあるのか?」

流星「まぁ、あるっちゃある。それに出ねえとヤバいもんだから…」

 

実は、ポピパがクライブする日、俺は用事があった。

主にU-18の日本代表のことだけど。

 

りみ「そっか…残念だね」

流星「その代わり、曲作り手伝うよ」

沙綾「ありがとう、流星くん」

 

こうして、俺とポピパの仲は再び良くなった。

俺はポピパのメンバーではないと思っていたけれども、ここまでこう関わると、メンバーの一人であると自分でも思ってきてしまう。

それでも悪くないと思った。

 

流星「…なぁ…俺って、ポピパのメンバーか?」

 

俺はふと、呟くように言った。

すると…

 

香澄「そうだよ!流星くんは、私達の大切な仲間だもん!」

有咲「お前がいなくなると、寂しくなるからな」

沙綾「もう、ここまで踏み込んだら、メンバーの一人でしょ?」

りみ「いつも、助けてくれるから、本当に助かってるよ」

たえ「うさぎの次に大切な人かな?」

 

と、各々返事が返ってきた。

てか…

 

流星「おたえ、うさぎの次に大切ってどういうことだよ!?俺ってうさぎ以下か!?」

たえ「冗談。大切な人だよ」

流星「冗談って何!?」

 

俺のいつものツッコミに、みんなで笑いあった。

この日から、俺は香澄たちとしばらく会うことがなくなった。

全ては、日本代表として…香澄達に笑顔になってもらうため。

日本代表という勲章を胸に、俺は必ず、世界と戦ってみせる…

俺は強く誓いながら、蔵を後にした…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
これの後に、世界大会編を持ってくるような形にしていますので、是非、世界大会編もご覧ください。まだ話が書けておりませんが…
今後も投稿がかなり遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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第22話〜ポピパとクリスマス〜

どうも、VVVFです
はい、久々でございます
そろそろ2期がやるということなので、こちらもかなりの転換点を必要ということで、自分でもなかなかの作品が出来ました( ̄▽ ̄;)
お気に入り登録者減少覚悟で出させていただきます。
では、本編どうぞ!


…この日は野球部はお休み。

というわけで今日はポピパのみんなと一緒に蔵で練習しようかと思っていたら…

 

流星「…ライブ?」

万実「えぇ、クリスマスライブで今日はライブハウスに行くそうですよ」

 

クリスマスというワードを聞いて、俺もあー、と納得した。

ここ最近、世界大会や練習試合などでてんやわんやしていて、時間というものをすっかり忘れていた。

だから商店街がイルミネーションで一杯だったのか…

俺はどうしようもなく暇だったので、おそらくいるだろうと、『CiRCLE』へと足を運んだ。

 

流星「…しかし、クリスマスかぁ…そんな時期かぁ…」

 

俺は思わず今年起きたことを振り返っていた。

あと5日くらいしたら正月…時間は早いものだと感じていた。

 

流星「…そういや、香澄と会ったのは都電の中でだっけ…あの時はなんだこいつっておもってたけど、そういう明るさに惹かれちまってたんだよなぁ」

 

俺はフッと笑いながら、商店街のイルミネーションをぼんやりと見つめていた。

 

流星「…そこから早かったもんなぁ…有咲やりみりん、おたえに沙綾…ポピパが出来て、RoseliaやAfterglow、Pastel*Palletにハローハッピーワールド…色んなバンドと触れ合って、俺ら『LINEDRIVE』も復活して…充実した1年だったなぁ…」

 

そんなこんなで思いにふけていると、『CiRCLE』に着いた。

 

流星「…失礼しまーす」

まりな「あ、いらっしゃい!流星くんだけって珍しいね!」

流星「え?香澄達来てないんですか?」

まりな「香澄ちゃん達は来てないよ?多分、商店街のイベントなんじゃないかな?」

流星「そうなんですか…」

まりな「あ、そうそう!今年の『CiRCLE』の来場者数を見てみたんだけどね…やっぱり、流星くん達が出た日が1番多かったんだよ!」

流星「え?マジですか?」

まりな「うん!ライブ後のアンケートでも、『LINEDRIVE熱かった!』とか、『LINEDRIVEとRoseliaのセッションが楽しかった!』みたいに、流星くん達のバンドを見たさに来て、満足する人達が多かったんだ」

流星「ただ俺らで楽しんで歌ってただけなのに…こうなるとまた復活ライブしなけりゃいけなくなるやないすか…」

まりな「あはは…でも、こうやって見に来てくれる人がいるから、流星くん達も一緒に楽しめるでしょ?それが一番いいと思うんだ」

流星「ですね」

 

俺はまりなさんと話をした後、商店街の方へと戻った。

行く時は無視していたが、ちゃんと商店街の入り口に仮設のステージがあった。

俺は近くにいたスタッフに出演メンバーの中にポピパがいないか質問しようとした時だった…

 

香澄「…あ!流星くん!」

 

たまたま外に出ていた香澄が俺を見つけ、俺にすぐさま抱きついたのだ。

 

流星「グハァッ!香澄!急に抱きつくな!」

香澄「えへへ、嬉しいだもん」

 

俺は懸命に香澄を剥がした。

 

流星「ったく…今日はクリスマスだからサンタの衣装か…」

 

香澄は赤い三角帽に、赤の服に白い綿のようなボタンをあしらった衣装を着ていた。

 

香澄「そうだよー!この後クリスマスのライブするからね!」

流星「そりゃそうか…んで、有咲とかは?」

香澄「今控え室にいるよ!呼んでくるね!」

流星「いや、呼ばなくていい…集中してるだろうし、寒いから」

香澄「えー…せっかく流星くん来てくれてるのに…」

流星「別に大丈夫だよ…とりあえず、ライブ楽しんで」

香澄「うん!」

 

香澄達のライブが始まるまでまだ時間があるので、俺は近くの羽沢珈琲店に足を運んだ。

 

つぐみ「いらっしゃいませー!…あ!流星くん!」

流星「よぉ」

亮一「よっ!流星じゃねぇか!」

流星「亮一?なんでここに?」

つぐみ「今日はうちでパーティーやるんだ!」

流星「なるほど…てか、なんで亮一も?」

亮一「俺は招待されたんだ。いつもお世話になってるお返しだってさ」

流星「なるほどね…」

 

俺はしばらくライブが始まるまで亮一と話していた。

すると…

 

蘭「…おまたせ…」

 

蘭が普段着ないような、かなり気合の入った服で入ってきたのだ。

後ろにはくすくすと笑ってるモカがいた。

 

流星「あー…これは俺はちょいと抜けた方がいいよな…」

亮一「は?どうしてよ?」

流星「まぁ…今に分かると思うぞ?」

 

俺はそう言ってコーヒーを飲み干し、時間を見て外へ出た。

 

流星「…ちょうどいいや、そろそろ香澄達のライブが始まる」

 

俺は曇り空の下、暗くなりそうな道を戻って、香澄達のライブがあるステージの前に立った。

 

しばらく待っていると、香澄達がステージに上がってきた。

 

香澄「みなさんこんにちは!」

5人『Poppin' Partyです!』

香澄「では、早速ですが聞いてください!」

 

香澄達の演奏が始まった。

楽しくて、キラキラしていて、ドキドキするようなステージだった。

香澄が思い描いていた、キラキラドキドキするようなステージは、今まさに、そこで行われていた。

それと同時に、俺は思わずこんなことを思い浮かんだ。

…もう、俺は必要ないと…

これだけ観客を楽しませるバンドになり、俺も嬉しいかぎりではあるが、こんなライブをしているのだったら、俺が出る幕はもうないではないか…

そんなことを思わせるような、完璧なライブだった。

 

流星「…もう、そろそろいいかな…」

 

俺はそう呟いて、そのステージをぼんやりと見つめていた。

ライブは5曲で終わり、アンコールで1曲歌った、計6曲でライブを締めた。

その後、俺は商店街のクリスマスツリーをぼんやりと見ていると…

 

香澄「…流星くん!」

 

香澄達が走ってやってきた。

 

流星「よぉ、お疲れさん」

有咲「ったく…さっき来たんだったら呼んでくれてもよかったぜ?」

流星「悪りぃ悪りぃ。集中してるかもしれないし、外は寒いから迂闊に出てきて次の日風邪でも引いたら…ね?」

沙綾「確かに、今日は寒いからね…雲がかかってるし」

たえ「日も出てないからね」

りみ「ありがとう、流星くん」

流星「いえいえ」

 

俺はそう言って、楽しく話している香澄達を遠い目で見ていた。

それに気がついたのは、香澄だった。

 

香澄「…あれ?流星くん、どうしたの?」

流星「…ん?いや、なんでもないよ…」

 

俺はなんでもないと否定したが、いつものように有咲が追及してきた。

 

有咲「なんでもないじゃねえだろ?ほら、話してみろよ」

流星「いや、本当になんでもないから!」

りみ「流星くん、何か辛いことでもあったの?」

たえ「話なら聞くよ?」

沙綾「ほら、話して?」

 

有咲の追及で、ポピパ全員が俺に食いついてきたので、俺は諦めて本音を漏らした。

 

流星「…いや、最初の頃はさ…みんなバラバラでさ?…香澄がまとめてこうやってポピパ出来て、俺も手伝うということでみんなについていったけど…今日のライブ見ててな…ポピパはキラキラドキドキするライブをやってるのを見てて…俺はそろそろお役御免かなって」

有咲「はぁ!?」

りみ「そ、そんなことないよ!」

たえ「流星くんはもうポピパの一部だよ」

沙綾「私たちがいらないわけないじゃん!」

流星「…そう思ってくれてるのはありがたいんだけどね…来年になれば俺は野球部の先輩として、これから入ってくるやつらに指導とかしなきゃいけない。最初のお前らだったら、特に香澄とかは危なっかしいことして迷惑かけないかって思うから、どうにか時間を割いてみんなの面倒とかを見てたけど…」

 

俺はそうやってブツブツといっていると、香澄が僕の前に出てきた。

 

流星「…香澄?」

香澄「…バカ!流星くんのバカ!」

流星「っ!?」

香澄「私達は…1人じゃ何も出来なかった…有咲と出会わなければポピパも出来なかった…りみりんやおたえや沙綾だって…!でも…一番そばにいてくれたのは…流星くんでしょ!」

流星「…香澄…」

香澄「もっといっしょにいてほしい!私たちと一緒に、キラキラドキドキさせてほしい!だから…いない方がいいなんて言わないで!」

流星「…」

 

香澄らしくない香澄の言葉に圧倒された俺は、思わずクスッと笑ってしまった。

 

有咲「…流星?」

流星「あ、いや…香澄らしくねぇなぁって…俺といっしょにいてほしいか…お前らもそうなのか?」

 

俺がそう言って他の4人を見ると、全員同じ目をしていた。

 

流星「…さっきはすまなかった…俺は、お前らと一緒にいる!一緒に最高のライブを作り上げよう!」

香澄「…流星くん!」

流星「俺も…来年は甲子園に連れていってやる…そこでお前らに…野球のキラキラドキドキ見させてやるからさ!」

香澄「うん!」

有咲「約束だからな?」

りみ「楽しみにしてるよ」

沙綾「その時は私たちも応援するからね」

たえ「ウイニングボールは私に…」

流星「いや、おたえは期待してんのか!?」

 

そんなこんなで、モヤモヤしていた気分がすっきりした後、香澄が突然、再び神妙そうな顔で俺に話してきた。

 

香澄「…私はね…もっと流星くんの近くで、キラキラドキドキしたいと思ってるんだ…だから…私と付き合ってください!」

 

…突然の告白だった。

それに動揺している俺に、さらに追い討ちをかけるように…

 

有咲「はぁ!?香澄!抜け駆けなしって言っただろ!?」

香澄「えへへ…ごめんごめん…」

有咲「はぁ…香澄が告白したんだったら、私もするか…流星、私と付き合ってくれるか?」

りみ「ふ、2人して!?え、ええっと…私と付き合ってください!」

沙綾「あはは…だったら、私とも付き合ってほしいかな?」

たえ「みんな告白してるから、私も告白する〜。流星、私と付き合って?」

流星「いや、おたえだけなんかちがーう!」

 

…とまぁ、5人から一斉に告白されたということで…

俺はどうしようもなく頭を抱えている…

しかし、話はかなり単純で一方的に決められてしまった。

 

有咲「…結局、みんな告白するんだな…」

りみ「どうしよう…流星くん、困ってるよ…」

香澄「だったら、みんなで流星くんの彼女にならない?」

有咲「はぁ!?香澄、お前バカか!?」

香澄「だって、それ以外いい考えなかったんだもーん…」

沙綾「でも、それは流石に…」

たえ「私は香澄の意見に賛成かな?」

流星「…おたえは黙ってろよ…」

 

俺は思わず頭を抱えてしまい、諦めがついた感じの声で…

 

流星「俺は別に大丈夫だよ…」

 

と、ため息混じりに言った。

 

香澄「ほんと!?やったー!」

有咲「てか、流星何言ってんだよ!」

流星「すまない…もう頭が追いつかん…」

有咲「あ…すまない…」

りみ「な、なんか決まっちゃったけど…いいのかな?」

沙綾「決まっちゃったね…」

たえ「うん、これでみんな幸せだよ」

 

と、諦め半分の状態で香澄達とそういう会話をしたその時だった。

商店街が一気に明るくなった。

クリスマスツリーのイルミネーションが点灯したのだ。

 

香澄「うわぁ…」

りみ「綺麗…」

流星「もうこんな時間か…」

 

俺らは思わずイルミネーションを見入っていた。

そこへさらに…

 

有咲「…ん?雪?」

たえ「あ、本当だ」

沙綾「雪が降ってくるなんて、予報してなかったのに…」

 

なんと予報士泣かせの雪が降ってきたのだ。

でも、クリスマスツリーのイルミネーションの光と、空から降る雪が絶妙にマッチしていて、とても綺麗な雰囲気になっていた。

 

香澄「…りゅうくんっ!」

流星「…ん?俺?」

香澄「うん!これから私たちの彼氏だから…なんかそれっぽい名前で呼びたいなって」

流星「いや、普通でいいっつうの…」

香澄「えへへ…これから一緒にキラキラドキドキしようね!りゅうくん!」

流星「だから流星でいいって言ってんだろーが!」

 

今年のクリスマスはとても満足できるクリスマスになった。

それこそ、5人のサンタからのプレゼントかのようにね。




いかがでしたでしょうか。
…はい、自己満足です。
俺が書きたい奴を書いただけです。
ファンである読者の方には、大変申し訳ございません…
ただ、これは本当に書きたかった感じのやつなので、勘弁してください…
これより先は、この関係がずっと続くと思っていただくとありがたいです。
よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!

追記1/1:この話を番外編から1期22話目とします


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第2期
2期1話〜新たな出会い〜


どうも、VVVFです。
ついに出ました…アニメ2期!
動きがリアルで、今までにない感じで次が楽しみだった!
というわけで、こちらも2期目に突入!
野球部新メンバーをチラリと登場させながら、アニメ通りに進めて行きます!
てな訳で、本編どうぞ!


…新学期初日…

俺は香澄を迎えるべく、家に来ていた。

 

流星「…遅えなぁ…」

 

と待っていると…

 

香澄「あ!りゅうくーん!」

 

香澄が玄関を出て俺を見るなり、走って抱きついてきた。

 

明日香「お、お姉ちゃん!恥ずかしいよ!」

 

香澄の妹、明日香ちゃんがその後に続いた。

 

流星「お、明日香ちゃん、お久しぶり」

明日香「あ、流星さん、お久しぶりです」

流星「その制服、羽丘だね?」

明日香「え?どうしてわかるんですか?」

流星「羽丘に知り合いの先輩がいてね。その人によくお世話になってるんだ」

明日香「そうなんですか」

香澄「それよりほらほら!行こっ!」

流星「おいこら!引っ張んじゃねぇ!」

 

そんなこんなで、俺らは学校へと向かった。

道中、香澄がずっと俺の腕に抱きついて離れなかったが、かなり幸せそうな顔をしていたので咎めることもできず、結局花咲川女子学園まで来てしまった。

俺と香澄は校門入ってすぐの白のテントへと向かった。

 

流星「…お?有咲じゃねえか」

有咲「あ、いらっしゃいませ!…って流星!?なんでここに!?」

流星「腕見ろ…」

有咲「香澄!お前何してんの!?」

香澄「えへへ、いいでしょ〜」

有咲「いや、そんな所でアツアツになるなよ!」

流星「…香澄…そろそろいい加減手を離してくれね?」

香澄「うん!」

 

ようやく香澄が腕から離れた所で、ふと物陰で誰かがいるのが見えた。

 

流星「…あれ?燐子さんやないすか?」

燐子「あ、流星君…こんにちは…」

 

案内所代わりのテントの下はテーブルが置いてあり、パンフレットとか置いてあるのだが、そのパンフレットの陰に隠れるように燐子さんがじっとしていたのだ。

 

流星「…そこで何をしてるんすか…」

燐子「わ、私…今度、生徒会長をすることになって…スピーチをすることになって…」

流星「ん?ん?待って?色々意外すぎて頭が追いつかないんだけど…」

有咲「まぁ、流星がそうなるのはしゃあねえかもな…」

流星「それで…有咲は?」

有咲「書記だ。燐子先輩の側で支える感じだな」

流星「なるほど…このこと、良太には?」

燐子「言いました…そしたら、頑張ってとメッセージが…」

流星「それなら頑張れるんじゃないですか?」

燐子「はい、少しは頑張れそうです」

 

良太からのエールをもらった燐子さんだったが、新入生を含めた全校集会ではあまりうまく話せなかったようである…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

江戸川橋高校野球部部室…

 

尚之「よ!新キャプテン!」

流星「お前、茶化すんじゃねぇよ…」

 

尚之がそういったのは、今度の野球部のキャプテンが俺になったからだ。

江戸川橋高校の野球部では、春のセンバツから次の春のセンバツまでは2年生メンバーの中でキャプテンを決めることになっており、3年生になった辻上先輩から俺に直々にキャプテンになってほしいといわれたので、断る理由もないので引き受けたのだ。

 

良一「そ、そういえば…健介先輩大丈夫かな…」

亮一「大丈夫っしょ。あの先輩だもん」

 

育成ドラフト1位で阪神に行った健介先輩をほんの少しだけ心配していた俺らだが、そんなことをそっちのけになるような光景を目の当たりにした。

俺らがグラウンドに出ると…そこには新1年生がかなり多くいたのだ。

もちろんまだ仮入部だけど、去年よりかは明らかに多い。

 

一彦「こりゃいろいろ大変になりそうだな…」

雄介「でも楽しくなりそうじゃねぇか?」

蓮二「だな」

 

俺らはそう言って新1年生の前に立った。

 

流星「えー…野球部キャプテンの秋山流星です。ここにいるのは野球部に入りたい、もしくは興味があるという人たちが集まってるかと思います。今回は仮入部という形ではありますが、練習は妥協するつもりはありません。厳しいところもあったりするかもしれませんが、これが野球部であるのでしっかりとついていってください」

 

俺が新1年生に挨拶をした後、1年生と俺らで練習を始めた。

キャッチャーの候補として名乗り上げたのは…

 

???「大島耕太です!」

 

いたって普通だが熱い闘志を持っている大島耕太。

 

???「中島悠誠です」

 

ガリ勉風の眼鏡をかけた中島悠誠。

この2人がキャッチャーの練習に入りたいという。

 

流星「一応聞くけど、どうしてキャッチャーをやりたいと思ったんだ?」

耕太「流星さんの活躍を見て!」

悠誠「今までキャッチャーしかやってこなかったので」

流星「耕太君はまぁ想像できた。悠誠君はキャッチャーずっとやってたの?」

悠誠「はい。意外でしたか?」

流星「いや、肩ができているし、ピッチャーでもやってるんじゃないかなぁって」

耕太「え?肩で来ているようには見えないんですけど…」

 

確かに悠誠君の体つきはキャッチャーをやっているようには見えない。

それで耕太君はキャッチャーをやっているようには見えなかったのだろう。

 

悠誠「さすが世界大会に出ているだけの観察眼はありますね…」

 

悠誠君は少しはにかんだ。

その後の練習とかに関してはまた別の話ということで…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

久々に有咲の家の蔵に顔を出すことができる俺は、急いで蔵へと向かった。

その途中で…

 

流星「…あれ?りみりん?」

りみ「あ、流星君」

 

橋の上で携帯を見ながら黄昏ているりみを見つけた。

 

流星「どうしたんだ?そんなところにいて」

りみ「香澄ちゃんたちを待ってるんだ」

流星「なるほどね…」

 

俺はふと、りみりんの持っている携帯の写真を見ると、香澄たちの写真が写っていた。

 

流星「…ゆりさんに向けてかな?」

りみ「うん…」

流星「…やっぱり寂しいか…」

 

俺がそういったのは、ゆりさんは高校卒業後、海外の大学に進学したので、離れ離れになったのだ。

 

りみ「うん…でもお姉ちゃんが『流星君という彼氏がいるんだから、彼に甘えておいで』って言ってくれたの…だから、寂しさは半分かな?」

流星「ゆりさん…そんなこと言ったんだ…」

りみ「うん。だから、しばらくはそばにいようかな」

流星「えぇ…」

 

とそこへ…

 

香澄「りーみりん!りゅう君!」

 

香澄とおたえがやってきた。

 

流星「お、来たな」

たえ「おひさしぶり~」

流星「確かに久々だな」

香澄「それじゃ、さっそく行こ~!」

 

俺と香澄、おたえ、りみりんで蔵へと向かった。

その蔵の練習は香澄、おたえ、りみりん、あとからやってきた沙綾と一緒に行い、気が付けば夜になっていた。

おかげでおたえは練習疲れで寝てしまうほど…

しばらく蔵でゆっくりしていると…

 

有咲「ごめん!会議が遅れちゃって…!」

 

有咲が慌てて蔵に入ってきた。

それに思わず沙綾が口に人差し指を立てて静かに入るようにジェスチャーで伝えた。

 

流星「まぁ、こんな時間までやってたからね…疲れちまってんだろ」

有咲「あぁ…本当にごめん…」

 

とその時、寝ていたおたえが起きた。

 

流星「お、おたえ起きたか」

香澄「おはよー!おたえ!」

りみ「おはよう、おたえちゃん」

沙綾「おはよう」

 

おたえは自分が寝ていたことに気がついて起きた後、肩にかけていたギターを片付けた。

 

たえ「今日はこれくらいで終わりにしよう」

流星「だな。すまねぇな、有咲。せっかく来てもらったのに」

有咲「あ、いや、別に…仕方ないし…」

香澄「というわけで、撤収〜!」

沙綾「じゃあね、有咲」

りみ「また明日〜」

有咲「あ、ちょっと待って!コンビニ行くから!」

 

俺らはそう言って外へ出て、みんなで話し合いながら帰った。

 

流星「そういや、おたえはバイトだっけ?疲れないか?」

たえ「全然大丈夫。ただ、みんなに会えないのは寂しい」

流星「そりゃそうだよなぁ…」

りみ「たぶん、それだけじゃないと思うよ…」

流星「ん?どういうことだ?」

沙綾「おたえだけ、私達と別々のクラスになっちゃったんだ」

流星「というと?」

有咲「私と香澄がA組。沙綾とりみりんがB組。で、おたえはE組」

流星「あー…それは…」

たえ「でも、流星と学校違うから寂しいと思わないかな?」

流星「それで慣れるって…」

たえ「だから、たっぷり甘えさせて」

流星「おたえ!?お前そんなとこで腕に抱きつくなよ!?」

 

と、みんなでワイワイと話していると、香澄がふとこんなことを漏らした。

 

香澄「またライブやりたいな…」

 

その一言に俺も含め、その場にいた全員が同感だった。

 

流星「たしかに、ここ最近はみんな忙しいからね…」

りみ「やってみたいなぁ…」

 

と、今までやったライブを思い返していると…

 

???「…あの!『poppin'party』さんですよね!?」

 

暗闇から一人の女の子がそっと現れた。

 

香澄「…あなたは?」

???「あの…助けてください!」

流星「…ん?どういうことだ?」

 

その子の話を聞くと、リニューアルオープンしたライブハウス『Galaxy』の初ライブの出演バンドがまだ足りていなかったので、是非ポピパのみんなに出てほしいというのだ。

 

流星「ええっと…君は?」

???「あ、朝日六花です!」

 

眼鏡をかけた青い髪の女の子…朝日六花ちゃんがわざわざポピパに会いに来たということは…

 

流星「六花ちゃんは、ポピパのファン?」

六花「はい!大ファンです!戸山香澄さんに、市ヶ谷有咲さん、牛込りみさん、花園たえさん、山吹沙綾さん!みんな大好きなんです!」

 

みんなを見ながらそう言ったので、筋金入りのファンなのだろう。

まぁ、ここ最近全国区のテレビにも出てきているから、ファンがいるのは必然だろう。

 

六花「ええっと…あなたは?」

流星「秋山流星だ。まぁ、ポピパ結成時から香澄達のサポートしていて…」

香澄「今は私たちの彼氏!」

流星「だから抱きつくなっつうの!」

六花「彼氏…?私たち…?」

有咲「まぁ…ここにいるメンバーは流星の事が…好きなんだよ…かっこいいし、面倒も見てくれてたから…一緒にいたいという気持ちが上回ってな…」

六花「そうなんですか…」

流星「ご、ごめん…ちょっとがっかりした?」

六花「いいえ、大丈夫ですよ。ファンとして、皆さんの関係を応援しますので」

流星「ありがとうね」

 

多分、今までの会話からして、六花ちゃんは『LINEDRIVE』のことは知らないのだろう。

今日は気が向いてるし、一曲香澄達と一緒に歌おうかな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…ライブハウス『Galaxy』は地下型のライブハウスで、前々から人気のライブハウスとして賑わっていたが、一旦改装工事で営業一時停止になり、ついこの間ようやく改装工事が終わって営業再開したのだという。

しかし、かつてのバンドが解散したり別の場所で活躍してしまっているため、新たなバンドを発掘しなければならず、今回のポピパのような奔走劇があったのだという。

ちなみに六花ちゃんはこの『Galaxy』でバイトをしている。

 

流星「…しかし、今日のテーブル見ると、どこかで見たような流れだな…」

 

俺がそう言って思わず苦笑いした。

そりゃ、今日の出演バンドは出演順で、『Afterglow』『ハローハッピーワールド』『Roselia』『poppin'party』なのだ。

もう、知り合い同士のライブになったのだ。

 

六花「今日集まれたのはその4バンドしかなくて…」

流星「あぁ、気にしないで。このメンバーはやっぱ盛り上がるだろうしね」

 

と俺と六花ちゃんで話していると、1組目の『Afterglow』が演目を終えた。

俺はそのタイミングを見計らい…

 

流星「すまね、ちょっと出かけてくる」

 

俺はそう言ってポピパや六花ちゃんがいる楽屋を出た。

 

六花「…流星さん、どうしたんでしょうか?」

有咲「…もしかして…」

 

俺が出て行ったのを見た有咲は、すぐに俺の考えを読んでいたのだった…

その後、『ハローハッピーワールド』『Roselia』と続き、トリの『poppin'party』までライブが進んだ。

 

香澄「ありがとうございました!」

 

香澄がそう言って、今日のライブを終わりにしようとした時だった。

 

流星「ちょっとちょっとちょっと〜、まだまだ終わらせねぇよ」

 

俺が舞台の上に乱入していった。

もちろん、観客は少々騒然としていたが、中には俺のことを知ってか、大喜びしてくれている人がいた。

ふと舞台袖にいた六花ちゃんを見ると、やはりえ?という表情を見せていた。

 

香澄「りゅうくん!どうしたの!?」

流星「りゅうくんって言うなよ!そのあだ名はプライベートの時くらいにして!」

 

そんな香澄との会話で観客から思わず笑いが起き、それを見て俺はこう続けた。

 

流星「えー、『Galaxy』にお越しの皆さん、こんばんは!俺はここにいる『poppin'party』のサポートをしている秋山流星と言います。えぇ、この中でご存知の人はいるかとは思いますけれど、僕は小学生の時、幼馴染と結成した『LINEDRIVE』というバンドを組んでまして、その経験を生かして香澄達のサポートをしていますが、今日はせっかくリニューアルオープン記念ということなので、オーナーからの許可も頂いて、ここでポピパのみんなと一緒に一曲やりたいと思います。よろしくお願いします!」

 

俺はそう言って一礼した後、香澄達に歌う曲のコードを渡した。

俺は蘭からギターを借りて、調整を行った。

 

流星「えぇ…俺は、『LINEDRIVE』ではボーカルとギターをやっていました。ですから、今日その時を思い出しながら一曲歌います。ぜひ楽しんでください。では、『poppin'party feat秋山流星』より、『Invisible Sensation』」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

挿入曲・『Invisible Sensation』

Vo.戸山香澄&秋山流星

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

六花(…流星さん…綺麗な声…しかもかっこいいし…何より楽しそう…)

 

六花ちゃんは俺とポピパメンバーとのライブ中、キラキラしたステージに心を奪われていた。

一夜限りの特別ライブは見事大成功。

蘭や友希那さん達も楽しんでくれていた。

そして、この日は『Roselia』と『poppin'party』のライブ告知をして、リニューアルオープン記念ライブは無事終わったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
若干の突貫工事でしたが、自分の中では良く出来た方かなと思っております。
さて、2期目2話も続いて書いていきたいと思いますが、リクエストがあれば、ガルパのこのイベをこの小説バージョンで書いてというのを募集してますので、活動報告の募集欄に書いてください。
お待ちしています!
では、次回お会いしましょう!


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2期2話〜参戦!Roseliaの主催ライブ!〜

どうも、VVVFです
昨日リアルタイムで見て、速攻で書き上げましたw
中身はグダグダと思っているので、今回は気長に見ていただくとありがたいです。
また、前回に続いて新キャラ登場しますんで、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…『Galaxy』のライブから数日経ったある日のこと…

 

尚之「よぉ!」

 

尚之がぐったりとしている俺のところに来た。

 

流星「…よぉ…」

尚之「どうした?眠そうな顔してるけど」

流星「いや…昨日香澄達に相談されてさ…」

尚之「香澄ちゃん達に?どうして?」

流星「香澄、この前のライブで主催ライブ開催予告出しちまったもんだから…」

尚之「おぉ…またいつもの突発的な?」

流星「そ。あいつ無鉄砲だから…」

尚之「主催ライブかぁ…俺らの時は全くやってなかったもんな」

流星「俺らの場合はゲリラライブだ。急に来てやった後急に帰るって感じだったから、主催ライブのノウハウなんてない。それなのに香澄は…」

尚之「それだけ頼られてるってことだろ?それに香澄ちゃん達にとっちゃ、お前は彼氏なんだから」

流星「そうだけどよぉ…」

 

と話していたその時だ。

 

???「失礼します!秋山先輩いますか!?

 

1人の下級生が大声を上げてそう言った。

 

流星「ん?俺だけど?」

???「あ、秋山先輩!」

 

真面目一筋のような坊主とガタイのいいやつがクラスに入って俺のところにやってきた。

 

流星「君は?」

???「木下匠と申します!」

尚之「元気がいいなぁ。んで流星に用事とは?」

匠「ちょっとお願いことがありまして…」

 

さっきとは打って変わって、小さい声で俺らの耳元に囁いた。

 

匠「俺の球、受けてもらえませんか?」

流星「なんだ、そんなことか…いいよ」

匠「ありがとうございます!では、放課後よろしくお願いします!」

 

元気がいい匠くんがそう言って去った後、尚之がふと思い出したように話した。

 

尚之「なぁ…あの匠ってやつ、確かU-15の代表じゃなかったっけ?」

流星「あぁ。台湾戦に先発して15奪三振したやつだよな?」

尚之「あの時はすげえと思ったけど、まさかここに来るとはな…」

流星「多分、俺の活躍見て受けてもらいたいと思ったんだろうな…」

 

俺は苦笑いしながら、香澄から送ってきたメールの内容を確認したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

練習終わりの放課後…

俺は蔵へ行くと…

 

たえ「あ、流星」

流星「よっ。今日はおたえと沙綾だけか」

沙綾「香澄とりみりんと有咲は、今友希那さん達のところに行ってるよ」

流星「Roseliaのところ?どうして?」

沙綾「この前の『Galaxy』のライブの時、Roseliaが主催ライブをするって言ってたでしょ?その主催ライブに参加して、私達のライブの参考になればいいなって思ってて」

流星「あー、なるほど…」

 

俺は思わず納得した。

 

たえ「それで、今連絡待ちのところ」

流星「そうか…うーん…俺も出ようかな?」

沙綾「流星も?」

流星「まぁ、観客やポピパ、Roselia以外のバンドには知られないようにやろうかなって考えてるけどね」

たえ「ゲリラライブ?」

流星「ゲリラライブよりかは、サプライズだな。観客に対する」

 

俺はいたずらっ子のような笑顔を見せた。

と、そこへ…

 

香澄「あ!りゅうくん!」

流星「お、香澄達が来たな」

 

Roseliaのライブの参加の交渉をしていた香澄達が帰ってきた。

 

有咲「あ、流星、来てたんだ」

流星「んで、さっき沙綾から事情は聞いた。んでどうだ?出ることになったか?」

香澄「うん!友希那さん達のライブに参加けってーい!」

流星「おぉ〜。おめでとう」

りみ「ただ、すぐだから今から練習しないと…」

流星「あんまり無理すんなよ。さてと…俺は友希那さんに電話してこよっかな」

 

俺はそう言って蔵の外に出た。

 

香澄「…りゅうくん、どうしたんだろう?」

沙綾「流星もRoseliaのライブに出るかもだって」

有咲「マジで!?大丈夫か?アイツ…」

りみ「野球部のキャプテンになったから、無理しなければいいんだけど…」

たえ「大丈夫。楽しそうだったから」

有咲「いや、そういう問題じゃねぇと思うんだけど…」

 

香澄達がそう話している一方で、俺は友希那さんに電話をかけた。

 

友希那「…もしもし」

流星「あ、友希那さん、ご無沙汰してます。練習の最中でしたか?」

友希那「いいえ。まだ準備段階よ」

流星「そうでしたか」

友希那「それで、御用は何かしら?」

流星「今度のRoseliaのライブですが、僕も出ても大丈夫でしょうか?」

友希那「サプライズかしら?でも『LINEDRIVE』は来れないでしょう?」

流星「なので、僕とRoseliaのセッションでやりたいと思いまして」

友希那「なるほど…わかったわ。曲に関してはどうしましょう?」

流星「こちらから送らせても大丈夫でしょうか?」

友希那「大丈夫よ」

流星「では、後で皆さんにコードや歌詞を送らせてもらいますので、よろしくお願いします」

友希那「お願いするわね」

 

俺も無事Roseliaのライブの出演が決まったところで、俺はそのことを香澄達に報告し、案の定香澄に抱きつかれたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

 

尚之「よっ!今から花咲川行くのか?」

流星「今日は野球部は練習休みだからな。香澄達を迎えに行くよ」

 

学校が終わり、俺と尚之で帰ろうとした時だった。

 

匠「失礼します!」

 

匠くんがクラスに入ってきた。

この前の練習で俺と尚之と匠くんの家が同じ方向であったことから、これから一緒に帰ることを約束したのだ。

正直言うと、雄介より頼りになれるほどの逸材と思ったので、少しでも仲良くなって試合で活躍してほしい気持ちがあったからだ。

 

匠「秋山先輩!帰りましょう!」

流星「あー…でも今日はちょっと寄りたいところあるんだ」

匠「寄りたいところ?」

尚之「こいつ、彼女がいるからそいつを迎えに行くんだよ」

匠「なーるほど」

流星「と言いながらポンと叩くのやめてくれ…」

 

そんなわけで、俺は尚之、匠くんと一緒に花咲川女子学園へと向かった。

その花女の校門の前で…

 

流星「…六花ちゃん、何してんだ?」

 

なにやらコソコソとしている六花ちゃんと、それを見て少し呆れている明日香ちゃんがいた。

 

尚之「よっ!明日香ちゃん!」

明日香「あ、流星さん、尚之さん。お久しぶりです」

流星「俺は前に会ったけどな。んで、六花ちゃんは何してんの?」

六花「え、ええっと…その…」

 

と、おどおどしてしゃがみこんでる六花ちゃんの元に…

 

匠「大丈夫か?」

 

匠くんが六花ちゃんと同じようにしゃがみこんで、覗き込むように見た。

 

六花「あ…はい…」

明日香「ええっと…あなたは?」

匠「申し遅れました!俺は木村匠!江戸川橋高校1年1組…」

流星「そこまで言わんでええ!まぁ…俺の後輩だ」

明日香「え!?私達と同い年なの!?」

六花「そういう風には見えない…」

匠「ガハハ…!それほどでも!」

尚之「褒めてねぇよ…」

 

と、その時だ。

 

香澄「あ!あっちゃん!六花ちゃん!りゅうくんに尚之くんも!」

 

香澄達が校門から出てきた。

 

六花「お、お、お…」

流星「六花ちゃん、上がりすぎ…」

有咲「んで…流星の隣にいるのは…」

匠「木村匠です!江戸川橋高校1年…」

尚之「はい、そこまで」

匠「兎にも角にも、よろしくお願いします!」

りみ「元気がいいね」

たえ「熱血漢だね〜」

匠「お褒めいただき、ありがとうございます!」

有咲「褒めてんのか?それ…」

沙綾「あはは…」

 

その話の間に、香澄は六花ちゃんにこの前の『Galaxy』のライブをセッティングしてくれてたことに、感謝のハグをして、六花ちゃんが顔を真っ赤にしていた。

そしてみんなで帰ることになったのだが…

 

香澄「りゅうくん!今日は蔵に来られる?」

流星「あーそうだな…練習見るか」

 

俺は香澄達の練習を見るために、蔵へ行く事になった。

 

匠「蔵?」

尚之「香澄ちゃん達は『poppin'party』というバンドを組んでて、流星はその練習を見てあげたりアドバイスしたりしてるんだ」

匠「昔バンドやっていたというものですか?」

尚之「ご名答。俺とアイツ、あとは名古屋にいるやつと関西にいる2人の幼馴染で昔『LINEDRIVE』って言うバンドを組んでたんだ」

六花「え!?5人だったんですか!?」

尚之「あぁ。アイツはギターとボーカルやってて、俺はドラム。今は時間がねぇからやれてないけどね」

 

そんなこんなで歩いて行き、蔵へ続く道と帰り道の分岐に差し掛かった。

 

流星「んじゃ、俺らはこれで」

尚之「了解。気をつけてな」

香澄「それじゃあっちゃん、また後でね!」

明日香「はいはい」

 

と、それぞれ分かれた後…

 

六花「楽しみだなぁ…」

 

六花ちゃんは香澄達との会話で、Roseliaのライブにポピパが出ることを聞いてワクワクしていた。

ただ…

 

明日香「でもその日、私と遊びに行くんじゃなかったっけ?」

 

と明日香ちゃんに釘を刺されて、六花ちゃんはガーンとショックを受けた。

 

尚之「あはは…ドンマイ、六花ちゃん」

六花「うぅ…行きたかった…」

明日香「はぁ…仕方ないなぁ。行こ、六花」

 

明日香ちゃんは少し微笑みながらそう言った。

そこに…

 

匠「それじゃ、俺も行かせてもらおうかな!」

 

匠が気持ちいい笑顔でそう言った。

 

六花「匠くんも?」

匠「なんだ?ダメか?」

明日香「そんなことないよ。それじゃ、一緒に行こっか」

匠「了解!」

 

こうして、匠と明日香ちゃん、六花ちゃんが友達になったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ライブ当日…

最後までチェックをしていた俺とポピパメンバーは、準備万端でライブ会場に乗り込んだ。

 

流星「失礼しまーす…」

 

俺らがRoseliaの楽屋に入ると…まるで気力を失ったかのようにグッダリとしている友希那さん達がいたのだ。

 

流星「大丈夫ですか!?」

友希那「うぅ…ちょっとね…」

 

と、俺らが慌てていると…

 

雄介「みなさん!水買ってきました!」

 

雄介が部屋に入ってきた。

 

流星「雄介!?なんでお前が!?」

雄介「流星!?いや、こっちが聞きたいんだけど!?」

流星「あ、それよりも友希那さん達を!」

雄介「わかってるっつうの!」

 

雄介が買ってきた水を飲んだ友希那さん達はどうにか回復した。

どうやら準備などでほぼ一睡も出来ずにいたらしい。

 

友希那「心配かけて悪かったわね…」

流星「いえいえ、大変のようですから仕方ないです」

雄介「それで、なんで流星がここに?」

流星「今日は友希那さん達とのセッションがあるんだ。お前は…まぁ、さしずめ友希那さん達のお手伝いといったところかな?」

雄介「まぁ、そんなとこ。友希那のお願いがあってな」

流星「あーなるほど…」

 

そういえば、雄介と友希那さんは2月くらいに付き合う事になったんだっけ…

Roseliaの中で付き合う関係を持っているのは健太さんとあこちゃんくらいだと思っていたのだが…まさか雄介が友希那さんの隣に来る事になるとは…

 

友希那「色々面倒見てくれてたし、雄介自身も音楽の勉強をして、私達にアドバイスしてくれて助かってるわ」

雄介「んで、新学期入る前に思い切って友希那さんに告白したら、友希那がOKくれて…」

沙綾「そうなんですか」

りみ「おめでとう、雄介くん」

雄介「ありがとう。でもまだまだ友希那含め、Roseliaをもっと支えないといけないと思ってるからね」

友希那「それよりも雄介は甲子園でしょ?」

あこ「今年も優勝はけんた君が取るからね!」

流星「あはは…これは手加減してくれなさそうだな」

 

そんなたわいもない話をした後、雄介含めRoseliaのみなさんはライブの準備を行った。

その間香澄達や俺は各々ライブに向けての最終チェックに入ったのだった…

 

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一方その頃、明日香ちゃん達は…

 

明日香「迷子にならないでね」

六花「は、はい!」

匠「ハッハッハ!俺は全然平気だぞ!」

明日香「いや、体大きいからでしょ…」

 

ライブハウスの最寄りである渋谷で、ライブハウスに向けて歩いていた。

 

六花「やっぱり、都会は人が多いね」

明日香「私はもう慣れちゃってるからなんとも思わないかな?」

 

と、歩いていると、3人が歩く方向から人波がドンと押し寄せるのが見えた。

 

明日香「六花、離れないようにね」

六花「う、うん!」

 

と六花ちゃんは頷いたが、予想以上の人混みに案の定飲み込まれ…

 

六花「きゃあっ!」

明日香「あ!六花!」

 

あれよあれよと後ろに引きずり込まれてしまった。

しかし…

 

匠「ほいよっと!」

 

体の大きい匠くんは、六花ちゃんの腕を掴み、自分の胸に飛び込ませた。

 

六花「た、匠くん!?」

匠「大丈夫か?」

六花「う、うん…」

匠「それじゃ、急いで明日香ちゃんのとこに行こう」

 

そう言って匠は、六花ちゃんの手を引っ張って明日香ちゃんの元へと向かった。

 

明日香「2人とも!大丈夫!?」

匠「俺は平気だ。六花ちゃんはちょっとダメっぽいけど…」

六花「わ、私は大丈夫ですっ!」

 

六花ちゃんはそう言って、掴んでいる匠くんの腕を振り払った。

 

匠「お、おう…」

明日香「それじゃ、行くよ」

六花「う、うん!」

 

一行は再びライブハウスへと足を向けた。

その途中、ライブが始まるまで六花ちゃんは、終始顔を赤くしながら歩いていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ライブが始まり、いくつか招聘したバンドやポピパが前座ライブをやっていた。

話によると、今回出演したバンドの人も『LINEDRIVE』の事を知っており、触発されたところがあるという。

 

流星「…さてと…俺も行くとするか…」

 

俺は自前のギターを持ち、ステージ袖へと向かった。

そのステージ袖では、香澄達がRoseliaのライブを目の当たりにしていた。

 

流星「…どうだ?」

香澄「っ!?りゅうくん!?」

流星「Roseliaのライブ、すごいか?」

有咲「あ、あぁ…」

流星「…俺が小さい頃にやった時もそうだった。大の大人が目の前で熱いライブをやってた時は、圧倒されたよ」

りみ「こんなライブを…私達は…」

沙綾「出来るかどうかわからなくなってきたね…」

 

と、その時だ。

 

友希那「みんな、今日は来てくれてありがとう。実は今日、もう1人ゲストが来ているの。その人は、私も含めたメンバー、先程出てきた『poppin'party』に、バンドの楽しさを教えてくれた人なの。それでは早速出てきてもらうわ。『LINEDRIVE』の秋山流星君よ」

 

友希那さんがそういうのと同時に、大きな拍手が湧いた。

 

流星「それじゃ、行ってくるよ」

 

俺はそう言ってステージに上がった。

 

流星「初めましての人は初めまして!『LINEDRIVE』の秋山流星です!今回は、僕からのお願いで、このRoseliaのライブに参加させて頂くことになりました!この場を借りて、Roseliaのみなさんに感謝します。ありがとうございます!」

 

俺がそういうと、会場は再び拍手が沸き起こった。

 

流星「本日は1曲だけですけど、Roseliaのみなさんとセッションしていきたいと思いますので、どうぞ聞いてください!」

 

俺は友希那さんに合図を出し、ギター構えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

挿入曲:紅蓮の弓矢

Vo.秋山流星&湊友希那

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…無事ライブが終わり、俺は香澄達の元へ向かった。

 

香澄「りゅうくん、お疲れー!」

流星「お疲れ。はぁ…他のバンドさんからサイン求められちまったよ…」

有咲「さすが、かつて一世風靡してただけあるな」

流星「それで…出来そうか?主催ライブ」

りみ「そ、それは…」

たえ「…わからない…」

沙綾「Roseliaみたいに、出来るか言われると…」

流星「うーん…技術的なアドバイスは出来るけど、そういうのはアドバイス出来ないなぁ…」

 

と悩んでいると…

 

友希那「お疲れ様」

 

Roseliaのみなさんが中に入ってきた。

 

香澄「お疲れ様です!」

紗夜「どう?参考になったかしら」

香澄「はい!でも…」

 

香澄はそう言ってしどろもどろになっているところに、友希那さんは…

 

友希那「…戸山さん。あなたは…ライブをする覚悟が出来てないわ」

 

冷たくも、温かい言葉で、香澄に厳しくそう批判したのだった…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
新キャラ、多分今後の話(多分RAISE A SUILEN編を作って)で重要になってくるのではないかと…w
乞うご期待(しないでくださいw)
2期3話目楽しみです^_^
では、次回お会いしましょう!


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2期3話〜どうする?主催ライブ〜

どうも、VVVFです。
お久しぶりです、2期第3話目です!
ようやく話がまとまることができたので、出すことにしました…
ようやく形になってよかったです…
これを機に復活させていけばいいなと思っておりますので、是非ともよろしくお願いいたします!
では、本編どうぞ!


…Roseliaのライブの後…

 

六花「はわぁ…すごかったぁ…」

 

ライブに来てくれていた六花ちゃん、明日香ちゃん、匠くんはライブハウスの前で香澄たちの帰りを待っていた。

 

匠「本当にすごかったな!俺は流星先輩の演奏に驚かされてしまったよ!」

明日香「流星さんの演奏、前に何回か聞いたことあるんだけど、何度聞いてもすごいなぁって思うんだよね」

六花「『Roselia』さんや、香澄さんたちのあこがれになったというのがよくわかります…楽しそうでしたし!」

 

と六花ちゃんたちが話していると…

 

香澄「あ!あっちゃん!六花ちゃんも!」

 

ライブを終えた香澄たちが通用口から出てきた。

香澄は明日香ちゃんを見るなり、すぐに抱きついた。

 

流星「まったく…香澄はやっぱり抱きつくんだな…」

有咲「その抱き癖、どうにかできねぇかな…」

 

俺らがこうやって、最初は楽しく話していると…

 

六花「今度の、ポピパさんのライブにも絶対行きます!」

 

六花ちゃんが目をキラキラさせながらそう言ったのだ。

その一言に、香澄たちは一瞬にして黙ってしまった。

 

六花「あれ?どうしたのですか?」

有咲「あ、うん…ちょっとね…」

流星「さっき友希那さんにね…」

 

その後、俺らは一旦打ち上げをやろうということで、蔵に集合して簡単なお菓子パーティをして解散したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

この日は本入部した新一年生の実力を見るため、簡単な試合形式での練習を行われようとしていた。

1年生はこの前の仮入部の時とほぼ同じ人数の人が入ってきてくれた。

基本的には、1年生vs2、3年生という、どこぞの野球漫画で見たような光景である。

この日の1年生バッテリーは匠と悠誠。

練習で1度しか見たことがない熱血漢の匠のピッチングと、ブルペンでの配球術が頭脳的な悠誠とのコンビがどれほど発揮できるか気になるところ。

ここで今回の1年生メンバーのスタメンと紹介をしよう。

1番はセンターの大島朗。先に行った体力テストではスピードスターの河内先輩に負けず劣らずの勝負を繰り広げた。元陸上部というのもうなづけるが、守備も良かったりするので、河内先輩の後釜として有望である。

2番はセカンドの田嶋浩樹。シニア時代は1番を打っていたリードマン。アベレージヒッターでチャンスメーカーでもあるので、大島との1、2番で確実に1点が取れる形を取っている。

3番はピッチャーの木下匠。言わずもがなの熱血漢だが、ピッチングはもちろん、バッティングもピカイチ。長打も期待できる二刀流である。

4番はファーストの大竹道紀。シニアから名を馳せているスラッガー。長打力はもちろん、当てる技術も上手いので回った時は注意したい所。

5番はサードの大竹幸長。4番道紀の双子の弟で、兄とは正反対のアベレージヒッターだが、チャンスには滅法強いので、こちらも当たりたくない。

6番はレフトに入っている大島耕太。1番の朗との血縁関係はない。本職はキャッチャーだが、外野も守れるというので今回はレフトに入れている。

7番はキャッチャーの中村悠誠。頭脳派キャッチャーだが、ピッチャーを奮い立たせる力を持っている。俺としては采配対決で勝ちたいところ…

8番はショートの三嶋連斗。打撃は非力ながら、守備が光る選手。たまにボールを落とすことがあるが、現戦力のなかではまだ戦える方である。

9番はライトの佐々木本信(もとのぶ)。強肩の外野手で、捕殺がかなり多いと聞いているくらいで、打撃や走力、守備力については普通である。

以上が1年生メンバーのスタメンである。

他にもいたりするが、代打とかで出てきた時に説明しよう…

 

尚之「…しかし、今年はやはり多いなぁ…」

流星「ほぼ俺のせいみたいなもんだけど…」

 

一方、今回の俺らのオーダーはこうなった。

1番・キャッチャー・秋山流星

2番・ショート・河内柳哉

3番・サード・日下蓮二

4番・センター・川端尚之

5番・セカンド・須藤麻里弥

6番・ファースト・阿山亮一

7番・ライト・東俊彦

8番・レフト・島川茂重

9番・ピッチャー・山内一彦

まぁ…いつも通りだ。

唯一違う所があるとするならば…雄介が苦手である抑えを志望したという所だ。

あいつもあいつで変えなきゃ行けないと感じた部分があるのだろう…

今回は3イニング制で実力を図ることにした。

 

「プレイボール!」

 

審判の声が高らかと聞こえた。

先攻は1年生チーム。

1番の大島朗からだ。

朗君は左打席に入った。

 

流星(…とりあえず、直球、頼む)

 

俺はサインを送り、一彦が1球目を投げた。

カキン!

鋭い音が聞こえた。ボールを引っ張ってわずかに線から外れてファウル。

 

流星(初球スイングかよ…しかも筋がいい…こいつはなかなかの強敵だぞ)

 

俺は少しニヤリと笑いながら、一彦にサインを出した。

 

流星(…インコース低めのスプリット…ボールになってもいいからギリギリで)

 

俺のサインを見た一彦は2球目スプリットを要求通りインコース低めに投げた。

朗君はこれも引っ張り、結局ファーストゴロに倒れた。

 

流星「ナイストライ、朗君」

朗「あ、ありがとうございます!」

 

俺は今の打席を評価して朗君に言葉を送り、朗君も笑顔でベンチに戻っていた。

その後も、2番の田島君はセンター前に落とされてヒットにされながらも、3番の匠君の打席でスチールを阻止し、匠君をセカンドゴロに打ち取ってこの回は終わらせた。

 

流星「…ふぅ…今回はなかなか楽しい戦いになりそうだ」

尚之「流星の目が輝いてるわ…」

真波「そうね…今回のバッターは積極的に打ってきてるから、なかなか頼もしいわ」

麻里弥「しかも、ただバカに打ってるだけじゃなくて、考えて打ってるから…あの子たち、伸びるわよ」

流星「ひとまず、今から俺行ってくるわ」

 

俺はそう言って、右のバッターボックスに入った。

匠君のボールをバッターで見るのは多分これが最初で最後かもしれないからだ。

 

流星(多分、初球は…『()()()()()』かな?)

 

俺が先読みして構えていると、匠君はヒュッとボールを投げた。

ボールがすうっと来て、俺がバットを振り始めたその瞬間、ヒューっと俺から逃げるように曲がっていった。

側から見ると、まるで切れ味の良い刃物の軌道を描いてるため、『スライサー』と呼ばれている、高速スライダーだ。

俺はそれをカツンとなんとかバットの先に当ててファウルにした。

 

流星(やっぱスライサーかよ…こいつの場合、全てのボールが魔球レベルなんだよなぁ…それよりも…)

 

俺はふと、キャッチャーのマスクを被っている悠誠君の方を見た。

悠誠君はふぅと息を吐いていたところを見ると、やはりボールを受けることに少し緊張していたらしい…

 

流星(…やっぱ、こいつと組むのはヤバイよな…てことは…極力負担をかけたくないから…ストレートか、さっき投げたスライサー…スプリットは要求はしないだろう…)

 

そう思って俺は打席に立ち、匠君は2球目を投げた。

投じたのは…スプリット。

 

流星「っ!?」

 

俺はハーフスイングをしてしまい、ストライクを取られた。

 

流星(…悠誠…テメェやってくれるんじゃねぇの…)

 

俺は少し火がつき、打席で構えようとしたその時だ。

 

悠誠「…流星先輩って…意外と大したことないですね」

 

悠誠君からそんな声が聞こえた。多分、煽ることで打ってもゴロにさせようという心理的な揺さぶりをかけようとしての発言だ。

それでも俺は冷静さを保っていた。

3球目はシュートを投げ、俺はそれを左方向に引っ張ってレフト前ヒットにした。

 

流星(なめんなよ…)

 

しかし、その後は三者凡退で終わってしまい、1回が終わった。

その後も、俺らは匠君の気迫あるピッチングと、悠誠君の巧みなリードで封じ込まれ、0点に終わった。

1年生チームはバッターを変えてなんとかヒットで稼ぐも、チャンスをものにできず、こちらも0点。

結果、0-0の引き分けに終わった。

なお、雄介の抑えは今回は起用しなかった。

 

流星「…みんな、ご苦労だった。今回の結果を踏まえて、今後の練習やスタメン考える。今日は各自解散!」

『はい!』

 

この日の野球部はこれにて終わったが、俺には少し考えさせる部分を抱える練習試合になったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…練習後、俺はいつもの蔵に入ると…

 

流星「…あれ?六花ちゃん?」

六花「あ、りゅ、流星さん!」

香澄「あ、りゅうくーん!」

 

いつものポピパメンバーに、六花ちゃんが遊びに来ていた。

どうやら、たまたま香澄が『Galaxy』の前に来ていたのを六花ちゃんが発見し、六花ちゃんがその後を尾行しようとしたところを香澄にバレ、公園で色々話し、さらには六花ちゃんが住まわせてもらっている銭湯にも行って、今に至っている…

 

流星「…てか、六花ちゃん銭湯でも働いてんの!?」

六花「はい!朝と夜の掃除2回で家賃タダにしてもらってるんです!」

りみ「あと、六花ちゃん、岐阜から来たんだって〜」

流星「そうなの!?それは遠いところからわざわざ…」

六花「い、いえ!私こそ、田舎者ですが…」

有咲「流星と六花、なにしてんだ…?」

 

と、有咲に突っ込まれたところで、話題は六花ちゃんの事へ…

 

流星「てか…今、親戚除いて1人だろ?大丈夫か?」

六花「はい。寂しい時もありますけど、電話しているので大丈夫です」

有咲「しかし、すげぇよなぁ…学校で勉強しながら、銭湯とライブハウスのバイト、おまけにバンドメンバーも探してるんだろ?」

流星「バンドメンバー探してんの?六花ちゃん」

六花「はい。まだ集まりませんけど…」

流星「そりゃすげぇや…」

りみ「本当にすごいよ〜」

沙綾「ロックだね〜」

六花「中学の頃はロックって呼ばれてました」

流星「でもさ…なんでここに来たんだ?」

六花「それは…去年夏、『SPACE』のラストライブがあるのを知って…」

流星「…ん!?」

 

俺は六花ちゃんの言葉を聞いて、思わず驚いた。

 

六花「中学の時、地元の友達とバンドを組んでいまして…他の子は受験があったので、私1人で、親に内緒で『SPACE』に来たんです…行かなきゃ絶対に損すると思って…そこで、ポピパさん達と会ったんです!」

ポピパ全員『え!?』

 

衝撃の事実に、ポピパはもちろん、俺も驚きを隠せなかった。

 

六花「その時見た、ポピパさん達のライブがキラキラしてて、ドキドキしてて…だから、たとえ聖地がなくても…キラキラドキドキできると思って…ここに来たんです」

流星「なるほどなぁ…」

沙綾「でも、旭湯屋さんだったら、花女の方が近いんじゃ…」

六花「親に迷惑かけまいと、特待生制度のある羽丘にしたんです」

流星「ん!?と、特待生!?」

香澄「特待生なの!?」

六花「人生で一番勉強しました」

流星「そりゃ疲れただろ…」

たえ「そういえば、なんでロックは『Galaxy』で働いているの?」

有咲「確かに、あんなきつそうなところでなんで…」

六花「あはは…どんなところかなぁって入ってみたら、店長さんが忙しそうにしていたので、手伝いますって言って…」

流星「…六花ちゃんはいつ来たんだっけ?」

六花「今年の3月です」

流星「でなれば…ライブハウスで働き始めてたった1ヶ月足らずでメンバー集めか…きつくね?」

六花「はい。周りにバンドやってる友達もいないので、どうしようかなと迷っていたところに…たまたま先輩達がいて…また、ポピパさん達に助けられました」

流星「…」

 

俺は、六花ちゃんの、ファンとして、目指すべき目標としてのその1つ1つの言葉の強い力に、思わず耳を傾けてしまった。

 

六花「ポピパさん達のライブを聴いて、やっぱりキラキラドキドキして…やっぱり夢じゃなかったって…そして、ライブをやるって聞いて、ワクワクして…辛いことあるけれど…ポピパさんのおかげでまだまだ頑張れるって思えるんです。本当にありがとうございます」

流星「…六花ちゃん…」

 

と、その時だ。

おたえがギターをポロロンと鳴らした。

そして…

 

たえ「…いい曲、あった」

 

その時、俺はおたえにしてはいい事してくれんじゃねぇかと、素直に嬉しくなった。

その後、香澄達は六花ちゃんを観客とした、たった一曲のミニライブを行った。

六花ちゃんは過去のことを思い出して思わず泣きだしていた。

そして、ポピパは主催ライブをやる事を再び決意し、六花ちゃんもバンドを組んでポピパと共にステージに立つ事を心に決めた。

 

六花「…そういえば、1つ気になったんですけど…流星さん」

流星「ん?俺か?」

 

ライブが終わり、それぞれの決意が固まったところで、六花ちゃんが俺に声をかけた。

 

六花「流星さんって…『LINE DRIVE』っていうバンドやってたんですよね?私、聞いたことなくて…その『LINE DRIVE』は有名だったのですか?」

流星「んまぁ…一時期な…俺らが小学生の頃に組んでたバンドだ」

六花「しょ、小学生!?」

流星「あぁ。俺の幼馴染で結成したバンドだ。Afterglowと同じ感じかな?ただ、小学生の頃だったから、ライブハウスでそこまで上がることはなかった。でも、合間の時間にやってくれる事を許してくれたところもあってな。そこで『ゲリラライブ』って名目で突然割り込んでライブをやったんだ」

六花「す、すごい…」

流星「元々は俺がやりたいと言い出したやつなんだけどな…結果的には、各音楽会社もこぞって俺らを引き抜こうと必死になってたくらいまでのし上がったんだ」

香澄「そうなの!?」

流星「あぁ。でも俺らはやっぱり、野球が本業でバンドは副業というスタンスを崩すことはなかった。んで、俺らは6年生の頃に解散して、しばらくやらなかったんだ」

有咲「でもさ…その残した功績があまりにもデカすぎるんだよ…」

六花「ど、どういう事ですか?」

沙綾「今存在しているガールズバンドのほとんどが、流星くん達『LINE DRIVE』の大ファンで、『LINE DRIVE』が楽しそうに演奏している様子を見て、自分達も楽しくバンドをやりたいと言う子が、今のガールズバンドとして動いているのもおかしくないんだ」

六花「そ、そうなんですか!?」

たえ「実際、私達も『LINE DRIVE』の影響で本格的にやり始めたようなものだからね」

 

六花ちゃんは、俺の昔話に驚きを隠せなかった。

 

流星「…今は、別れてはいるけど、その気になれば5人集まって『LINE DRIVE』復活なんてのできるからな。実際、『SPACE』のラストでも5人集結してのライブだったし」

六花「そ、そうだったのですか!?私、わからなかったです…」

流星「それだけ、香澄達の印象が強かったって事だ。香澄達からしたら、これとない褒め言葉だよ」

香澄「えぇ〜、でもりゅうくん達の方がすごいよぉ〜」

有咲「今はこんな感じで話してるけど、ライブの時はかっけぇぞ?観客と楽しんで歌ってる時なんか、いい笑顔だし」

りみ「それに、私達を助けてくれるし」

沙綾「感謝してもしきれないほど」

たえ「だから、私たちは流星が好きなんだ」

六花「そうなんですね!」

 

こうして、六花ちゃんと交流を深めた俺らは、改めて主催ライブの話を進めることにしたのだった。




いかがでしたでしょうか?
今回も最後は無理やりくっつけた形になってしまいましたが…()
とりあえず、疲れましたw
これからも更新ペースは上げていきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
では次回、お会いしましょう!


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2期4話〜笑顔にするためのライブ!〜

どうも、VVVFです。
ようやく目処が立ったので、少しずつ話を出していきたいと思います。
ただ、1週間でバンドリ2期全話を書き上げたという超突貫工事と、この話含めて2話分は、別編ですら出ていない情報が出ているので、正直クオリティは良くないものかと思います。
それでも良ければ、どうぞ見ていってください。
では、本編どうぞ!


…あの蔵ライブの後から数日経ったある日の事…

この日も蔵で集まっていた。

俺は香澄が作ったライブの原案を見させてもらうことになった。

その内容は…香澄達が空を飛ぶというもの…

 

流星「…いや、無理だろ!?」

香澄「えぇ〜!?そんなぁ〜!」

有咲「そんなに落ち込むことか!?現実的に考えて無理に決まってるだろ!」

 

俺と有咲で、香澄のライブの原案を見て、その場の空気は思わず重くなってしまった。

 

流星「まぁ…香澄のアイデアだから、何となくは予想できてたけどよ…」

香澄「それじゃ!」

有咲「ダメだ」

香澄「そんなぁ〜!」

流星「大体、こんなのどこの会場でやるんだ?それに、飛ぶためにはどうすればいいのかを考えなきゃ無理じゃねぇか…」

香澄「うぅ…いい案だと思ってたのにぃ…」

 

そんな香澄の意思はかなり固く、翌日の昼でも出したらりみりんや沙綾、おたえも思わず悩んでしまったらしい。

そりゃ無理だろう…そんな気持ちでいた俺を、まさかこの後実現させる奴がいるとは思ってもみなかったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その翌日の事…

この日はノック中心の練習をする日だった。

俺はいつもはやらない内野に入ってノックを受けていた。

そんな時、俺はふと、辺りを見回してある奴がいないことに気がついた。

 

流星「…あれ?すぎりょーは?」

亮一「あ、すぎりょーは急な用事があるって言って先に帰ったぞ?」

流星「…あいつが途中で抜けだすほどの用事…いや…まさか…なぁ?」

亮一「どうしたんだ?」

流星「いや、まぁ…俺の記憶が間違ってなければ…な?」

 

俺がそう言ったのは、杉浦がハロハピの補佐をしているという事だからだ。

あいつが大概抜けているときは、本当に緊急事態かこころんに呼び出しされたかのどちらかである。

その詳しい話は明日にならないとわからないが…

 

亮一「最近、すぎりょー明るくなってるもんなぁ…噂だと、『花咲川の異空間』と呼ばれてる弦巻こころと一緒にいて、それで明るくなったらしいが…」

流星「んまぁ…あながち間違いではないが…その話をここでするのはよそう…うん、こころんだから…」

亮一「流星は一応親交あんだっけ…その、弦巻こころってのと」

流星「まぁ、ほんの少しな。ただ…一緒にいると疲れる」

亮一「大体察したわ…」

 

俺と亮一の会話が弾んだところで、練習は一通り終わったらしく、この日は解散となった。

部活が終わり、部室でクタクタで制服に着替えていたその時、ドンとドアが開いた。

 

良一「…はぁ…はぁ…流星くん、いる?」

 

杉浦が中に入ってきたのだ。

 

流星「ん?どうした?すぎりょー」

良一「ちょっと…話があるんだ…」

 

俺は良一に呼ばれて、踊り場付近の階段に向かい、そこに座って話を聞いた。

 

流星「…今日はどうしたんだ?ハロハピの呼び出し食らったのか?」

良一「そういうところ…それで、今日これを香澄ちゃん達に…」

 

杉浦はそう言うと、バッグからスケッチブックを取り出した。

そのスケッチブックの中には、香澄が書いた絵が描かれてある。間違いなく香澄のだ。

 

流星「…なんで、香澄のをお前が?」

良一「こころちゃんが持ってて…」

 

杉浦曰く、今日たまたま昼休みで集まっていたポピパの元にこころんが乱入し、そこでスケッチブックを見たら何かを思い浮かんだらしく、それを元にライブの計画を立てたらしい。

そのライブの1番の名目は、『香澄達を笑顔にする』ということだ。

 

良一「…その中でね、こころちゃんが空を飛ぶって言ってて…」

流星「…あ…」

 

俺はこの時点で、昨日の俺の言葉を撤回せざるを得なかった。

 

良一「…どうしたの?」

流星「…いや、昨日これ出来ないだろって言ってたから…」

良一「え?出来ないんじゃ…」

流星「弦巻家の恐ろしさ、お前ならわかるだろ?」

良一「あ…」

流星「…あの家ならやりかねない…」

良一「ど、どうするの!?やめさせる!?」

流星「うーん…」

 

俺は香澄が書いた絵を見ながら、ふぅと息を吐いた。

 

流星「…やめさせなくてもいいと思うよ?やりたいならやらせればいいし。もちろん、できる範囲であるならば」

良一「でも…怖くない?」

流星「少なくとも安全には注意払ってるでしょ?それでなんとか出来るんじゃない?」

良一「…なんかよくわからないけど…流星くんが出来るというなら…僕はこころちゃん達のサポート、頑張るよ」

流星「その前にお前は練習やれよ?」

良一「わかってる!」

 

その時の、杉浦はとびきりの笑顔を見せてくれたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

俺は香澄達と一緒にリムジンに乗っていた。

香澄達はあの『怪盗ハロハッピー』から、俺は杉浦に直接手渡しされてリムジンに乗っている。

 

流星「…外の景色を見せないようにしてるなぁ…それだけ驚かせたいってことなのか…」

香澄「こころん達、どんなライブにするのかな?」

沙綾「少し、ドキドキするね」

 

と、しばらく乗っていると、あるところに車が止まった。

 

「目的地に到着いたしました」

 

運転席に乗っていた黒服の人がそういうと同時にドアが開いた。

俺らが外へ出ると…そこには、非常に大きなクルーズ船が停まっていたのだ。

 

「こちらが、こころ様の船舶、スマイリー号です」

香澄「おぉー…大きい…」

流星「さすが弦巻家…スケール違いすぎるだろ…」

 

俺らは黒服の人に誘われるがまま、船内に入った。

すぐ入るとロビーに出てきて、そこには大きなシャンデリアや高級ピアノがあった。

さらには吹き抜けにもなっており、目視できるだけでも4階分はある。

 

流星「す、すげぇ…」

 

と、俺はずっと驚きっぱなしで突っ立っていると…

 

良一「…お疲れ様、流星くん」

 

杉浦がロビーに現れた。

 

流星「すぎりょー!なんでお前がここに!?」

良一「僕はサポートしに来たんだ。一応やるべきことが終わったから、ここに来たんだ」

流星「…なるほどな…」

良一「この後は、僕もライブを楽しませてもらうことにするよ。そろそろ開演時間だしね」

 

と、杉浦がそう言うと、付いてあった電気が一斉に消えた。

そして、今見えてる吹き抜けの最上階だけが光に照らされ、そこには花音さん、はぐみ、ミッシェルが立っていて歓迎してくれた。

そして、その1階下には薫さんが怪盗ハロハッピーになりすまして立っていた。

その薫さんは、ふっと消えたと思ったら、月形の乗り物に乗って1階に降りてきて、りみりんに近づいて手を取ったのだ。

そこからライブがスタートしたのだ。

その後は色々大変で…暗くなった船内を駆け巡ったと思えば舞台が見えるバルコニーに出て、その舞台でおたえが好きなギタリストのピックが投げられたり、手作り感満載の武道館の背景を、香澄達の影がライブをやっている風景が作り出されたりと、ある意味至れり尽くせりだ。

さらには…

 

薫「空で会おう」

 

という言葉を残して、ハロハピメンバーがドロンと消えた。

俺らは走って外の甲板に出ると、街中から何かが浮いていくのがその甲板から見えた。

 

流星「…あれは…気球?」

良一「そ、それが今回のライブの目玉の1つであるミッシェル気球だよ」

 

そこでライブをしているのを見てとれた俺は、その状況に思わず唸ってしまったが…それだけではなかった。

俺の見間違いじゃなければ…こころんとミッシェルがその気球と繋がってる台から飛び降りたのだ。

 

流星「ん!?ちょ、あいつら何してんの!?」

良一「まぁまぁ落ち着いて。ここからが見せ所なんだから」

 

その良一の言葉を信じて、俺はそれ以上何も言わなかった。

こころんとミッシェルが落ちていくのを見ていった俺は、もうダメだと思って見つめていた。

しかし、良一の言葉通り、1番の見せ所を目の当たりに見ることができた。

ミッシェルの背中についていたバッグから翼が飛び出し、靴からはジェット噴出器がでてきた。

そして、そこから水面を飛んだり、花火が上がってその中を飛んだりと、もう、何が何だかわからないほどのライブを楽しませてもらえた。

 

流星「…すげぇな…ハロハピのライブは…」

良一「色々度肝を抜かせてもらってるよ。でも…これは全て笑顔の為。こころちゃんはどんな手を使ってでも、笑顔にしようとしているし、それにみんなが感じ取って笑顔になってくれている。だから…僕はそんなハロハピに惹かれたのかな?どんな手を使うってのはあまり好きじゃないけど」

流星「そうだな…まぁ、今回のライブで、香澄達も何か感じ取ってもらえたようだし」

 

俺はそう言って、笑顔でこころんやミッシェルを迎えている香澄達を見たのだった…

あ、ちなみにこの後、高所恐怖症の薫さんがバタリと倒れてしまったのは秘密ということで。




いかがでしたでしょうか?
…こんな感じの話が、しばらく出てきます。ご了承くださいませ。
色々無理して書いた部分もあるので、こんな感じでどうだ?という部分はありますが、それでも楽しんでいただけたら幸いです。
残り9話分、消化していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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2期5話〜心通わせるライブ〜

どうも、VVVFです。
はい、突貫工事作第2作目です()
今回も内容に関しては自信はありません()
そして、今回も別編ですら出てない内容が織り混ざっております。ご了承ください。
では、本編どうぞ!


…ある日の事…

部室にて…

 

蓮二「…ん?彩からだ」

 

蓮二がボソリと独り言のように呟いた。

 

流星「…ん?彩って…あの彩さん?」

蓮二「そうだ。あのインタビューの後も親交があってな、よくパスパレの皆さんとよくご飯食べに行ってるよ」

一彦「いいなぁ…あの時、流星に選ばれてたら…」

流星「俺のせいか!?」

一彦「当たり前だろうが!」

亮一「まぁまぁ…それにしても、あんまりアイドルに興味なさそうなお前がよくここまで親交あるもんだ」

蓮二「正直アイドルとしてのパスパレは興味はない。ただの友達だ」

流星「なるほどね…それで、どんな連絡が来たんだ?」

蓮二「…うーんと…なんだこれ?『ワールドアイドルフェス』?」

良一「それ、確か日本最大級のアイドルのライブイベントだったはず…」

流星「アイドルを知らない俺でも知ってるぜ?」

蓮二「…その『ワールドアイドルフェス』にパスパレが出るんだとよ」

流星「…ん!?マジで!?」

 

その場にいた全員がかなり驚いていた。

『ワールドアイドルフェス』に出ること自体、かなりすごい事なのだから、当然の反応だろう…

 

流星「すげぇなぁ…パスパレ…」

蓮二「ただなぁ…千聖、大丈夫かな…」

流星「どういうことだ?」

蓮二「千聖、あいつ今ドラマの仕事も入ってるって言ってたからなぁ…」

流星「…つーか、なんでお前スケジュール知ってんだ?てか、呼び方も呼び捨てだし…」

蓮二「んまぁ…付き合ってるわけではないが、仲はかなり良くてな…マネージャーレベルでスケジュールも把握してるし」

流星「…お前何者だよ…」

 

俺はおいおいと言わんばかりにボソリと呟いたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

蓮二はパスパレの練習を見るため、事務所のスタジオに来ていた。

蓮二は手慣れた感じでエントランスに入り、顔パスで中に入った。

 

蓮二「…こんにちは〜」

彩「あ!蓮二くん!こんにちは!」

麻弥「こんにちはっす!」

イヴ「こんばんは!レンジさん!」

日菜「ヤッホー!れんれん!」

蓮二「日菜、その名前はやめてくれって言っただろ…」

日菜「でも、れんれんは私たちのこと呼び捨てで呼んでくれてるんだよね?だったらいいよね!?」

蓮二「良くないだろ!」

 

そんな事を話していると…

 

蓮二「…あれ?千聖は?」

 

蓮二は千聖さんがいないことに気がついた。

 

イヴ「チサトさんは今ドラマの撮影に行ってます!」

蓮二「やっぱドラマか…無理してなきゃいいんだけど…」

 

と心配していたところへ…

 

千聖「遅れてしまってごめんなさい」

 

千聖さんが部屋に入ってきた。

 

千聖「あら、蓮二くんも来ていたのね」

蓮二「お邪魔してます。まぁ、時間が時間なんで、もうそこまでいられないですけど」

日菜「えぇ〜、もう帰るの〜!?」

蓮二「当たり前だ、今何時だと思ってる?」

麻弥「確かにそうですね。では、1曲やったら上がりましょう」

蓮二「んじゃ、俺はそこで立って聞いてるから」

 

蓮二はそう言って、ドア付近へと移動した。

その時、チラッと彩さん達の方を見ると、彩さんが千聖さんに何かを頼んで、その頼みを断られたかのような表情を浮かべているのが見えた。

 

蓮二「…明日辺り、彩さんに聞くか…」

 

その日の練習は、特に何事もなく終わったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

蓮二は花女の校門の前に来ていた。

 

彩「…あれ?蓮二くん?」

蓮二「どうも、彩さん。ちょっと話いいですか?」

彩「う、うん…」

 

蓮二はそう言って、彩さんを公園に連れ出した。

 

彩「…ええっと、蓮二くん、どうしたの?」

蓮二「…彩、最近なんか心配事はないか?」

彩「え!?ええっと…な、なんでもないよ!?」

蓮二「…平気だったらそんなにオドオドするはずがないですよね?」

彩「うっ…」

 

彩さんはまるで観念したかのように、今思っている胸中を告白した。

 

彩「実は…今回のライブのセットリストの中に…『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』があって…その曲、千聖ちゃんとのツインボーカルの曲なんだ」

蓮二「あー…2人で合わさなきゃいけないやつだから…」

彩「うん…千聖ちゃんと合わさなきゃいけないのに…千聖ちゃん、忙しそうだし…」

蓮二「しばらくドラマのお仕事が忙しいからなぁ…でも、その気持ちは、多分千聖も同じじゃないのか?」

彩「そうかな…最近、なんか避けられてるような気がして…」

蓮二「…まぁ…とりあえず今やるべき事をやらなきゃな…これ以上は突っ込まない方がいい気がする」

彩「そうだね…心配かけちゃってごめんね、蓮二くん」

蓮二「いえいえ。まだ『ワールドアイドルフェス』まで時間あるんですから」

彩「うん!」

 

この日は悩みを聞くだけでそのまま解散することにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そんな彩さんの悩みを聞いた日から数日後…

この日は千聖さん、日菜さん、麻弥さんが集まった時で、蓮二もたまたま休みであったので来ていた。

しばらくそれぞれの練習をしていた時だった…

 

日菜「…千聖ちゃん、なんか変」

 

日菜さんがふとそう言ったのだ。

麻弥さんが千聖さんのベースを見ると、弦がゆるゆるになっていたという。

 

蓮二「…最近、大丈夫なのか?千聖」

千聖「大丈夫って…何が?」

蓮二「ドラマの仕事があるのに大きいライブに向けた準備…俺はそこまで詳しくはないが、どちらもキツいことには変わりはない…それなのによく頑張れるなって」

千聖「こんなの、全然平気よ」

蓮二「そうか…あんまり無理しないようにな」

 

その言葉に、千聖さんは少し神妙そうに俯いたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…またまた数日たったある日の事…

俺は蓮二に呼ばれて屋上に来ていた。

 

流星「…お前が呼ぶとは珍しいな…どうしたんだ?」

蓮二「…昨日、インターネット漁ってたらこんなの出てきてさ…」

 

蓮二はそう言って、俺にスマホの画面を見せた。

パスパレのデビューライブの酷評が書かれた記事だ。

まぁ、その時の事をイヴちゃんに聞いたんだけど…大人の事情でアテレコでライブすることにされた挙句、機械トラブルでアテレコが効かなくなる事態にまで発展したのだからなぁ…酷評を受けるのもしゃあないけど…

 

蓮二「…これ、本当の話か?」

流星「…まぁ…本当だ…」

蓮二「そうか…」

流星「まぁ、昔の話だ。今はちゃんと弾いてるんだし、全然いいだろ」

蓮二「にしてもなぁ…今度のライブができるか不安なんだよなぁ…千聖とも最近合わせられてないからどうしようもないというか…」

流星「そういや…最近千聖さん、いろんなスタジオに行って練習してるって、おたえから聞いててさ」

蓮二「え?」

流星「あいつ、バイトしてるって聞いてて…そのバイトの先々で、よく千聖さんと会うってさ」

蓮二「…なんで1人で練習してんだ…あいつ…」

流星「さぁな…でも、それ相応の理由があるんじゃねぇの?」

蓮二「…」

 

その時、蓮二は何かを思い出し、俺にこう質問した。

 

蓮二「…流星、ギターを弾きながら歌うのは、実際問題どうなんだ?」

流星「ん?急にどうした?」

蓮二「…お前の答えによっちゃ、俺はこの事を黙ってる必要がある。もちろん、お前もパスパレのみんなに言わない事を約束してほしい」

流星「お、おう…ギター弾きながら歌うね…なかなかキツいよ?多分香澄だって、苦労はしてると思うし」

蓮二「そうか…そういうことか…なら、俺は…千聖が話さない限り、そのことは黙っておくよ。多分、千聖はみんなに迷惑かけまいと、1人で頑張ってるんだろうな…」

流星「え?それだったら言った方がいいんじゃ…」

蓮二「本人が気がすむまではやらせてもいいんじゃないかなって思う。俺の仕事はサポート…まぁ、お前と一緒だ」

 

蓮二はそう言って、その場から離れたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日からはたまた数日後…

雨が降りしきる中、蓮二が事務所の前に来ると、日菜さん、麻弥さん、イヴちゃんが入口前で立っていた。

 

蓮二「…あれ?日菜に麻弥にイヴ、そこで何してんだ?」

日菜「あ、れんれん!ヤッホー!」

麻弥「どうもです」

イヴ「こんにちは!それで、今ちょっと…」

 

イヴちゃんの話曰く、昨日30分ほど前から練習をしていて、その時『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』をやっていたのだが、千聖さんは歌わないでやるという練習に違和感があり、思い切って彩さんが千聖さんも歌ってほしいと言ったところ…

 

千聖「いやよ!」

 

と、叫んだという。

その後に彩さんは顔を洗うと言って退室、千聖さんも撮影があると言って出たという。

 

イヴ「それで、今悩んでいて…このまますれ違うのでしょうか…」

麻弥「私は…彩さんや千聖さんにいつもお世話になってるばかりで…どうしようかわからなくて…」

蓮二「そんなことないだろ、麻弥」

イヴ「そうですよ!いつもマヤさんのドラムに助けられてます!」

日菜「麻弥ちゃんのドラム、結構いい感じに引っ張ってくれてるからね」

麻弥「そ、そうでしょうか…フヘヘヘ…」

蓮二「そうに決まってるさ。んで、これからどうすんだ?」

麻弥「これから…私は…演奏でパスパレを支えるっす!」

イヴ「私も、パスパレを支えます!」

日菜「やっぱ、パスパレは5人じゃないとね?あ、違うか…表舞台には出ないけど、6人!」

蓮二「俺は無しでいいよ。パスパレは5人で十分だ」

イヴ「そんなことないです!レンジさんもパスパレの一員です!」

蓮二「んまぁ…ありがとな」

 

そして、蓮二達が事務所内のスタジオに入ると、彩さんが既に入っていて、声出しの練習をしていた。

 

彩「あ、お疲れ様!

蓮二「あれ…?まだ時間じゃないだろ?」

彩「うん…だって…私が出来てなかったから、千聖ちゃんも一緒にやってくれないのかなって…だから、頑張るしかないって思って」

イヴ「それで、1番に入って練習をしてたのですね!」

日菜「ふーん」

 

と、ここで、麻弥さんが突っ込んだ事を話し始めた。

 

麻弥「多分、千聖さんも一緒に歌いたいと思いますよ。そうじゃなければ、ベースの弦があんなにくたびれる事がありませんから」

蓮二「…麻弥…」

 

蓮二は、麻弥が薄々気づいていたことに、思わずふっと笑ってしまった。

 

蓮二「…千聖は、あの曲をベース弾きながら歌うことに、自信がないんだ。実際、流星に聞いたら両立させるのはなかなかキツいって…日菜みたいなやつにかかればどうってことないだろうけど、彩だってギター弾きながら歌えって言われても無理に決まってるだろ」

彩「う、うん…」

蓮二「…千聖は、あいつなりに頑張って、お前らに顔向け出来るように頑張っているんだから…気にする必要はないと思う」

 

蓮二はそう言って、体を横に向けた。

 

蓮二「…今、るんって来ただろ?」

日菜「ちょっと!それ私のセリフ!」

蓮二「いいだろ?別に」

彩「蓮二くん…日菜ちゃん…イヴちゃん…麻弥ちゃん…行ってくる!」

 

そう言って、彩ちゃんは外へ出かけていった。

その後、ちょっとしたわだかまりは解消され、『ワールドアイドルフェス』も成功を収めたらしく、蓮二の携帯には…

 

彩『蓮二くん、大好き!』

 

という彩さんの告白があったのだという…(なお、これは罰ゲームとかではなく、送るかどうか迷っていた彩さんのメッセージを日菜さんが勝手に送ったらしい…」




いかがでしたでしょうか?
この回と前回に関しては今後改訂しなければ…と思っております。
まだまだ2期のお話は続きますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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2期6話〜いつも通りのライブ〜

どうも、VVVFです。
特に話す事は今のところありません(リアルガチで)
では、本編どうぞ!


…ある日の事…

俺はこの日、亮一と羽沢珈琲店に来ていた。

 

つぐみ「2人とも、よく来てくれたね!」

亮一「つぐみからの連絡だったら行かないわけにはいかんでしょ。多分かなり込み入った話だと思ったんだが」

つぐみ「あはは…そんな大層な話じゃないよ。ちょっと手伝ってほしいかなって思っただけ」

流星「つぐみから手伝って欲しいって…絶対大変な仕事だろ…」

亮一「右に同じ…」

つぐみ「そんな大変な仕事じゃないよ!ライブの手伝いをして欲しいだけ!」

亮一「あ、そういう事なのね…」

 

亮一は少し安堵の表情を見せた。俺も話を聞いて少しは安心した。

 

亮一「しかし、流星はまだしも、俺を選ぶ理由が分からんが…」

つぐみ「ほら、蘭ちゃんの彼氏だしね?」

亮一「そういう理由かよ!」

つぐみ「蘭ちゃんからもお願いって言われたんだ。それに、最近蘭ちゃんとも会えてないらしいし…」

亮一「確かに会えてはないが、連絡はしてる!」

流星「まぁまぁ…」

 

そんな内部事情を知ったところで、今回のライブの概要を聞いた。

 

つぐみ「今回のライブは商店街のお祭りに合わせてやるライブで、Afterglowが出る事が確定してて、Poppin'Partyは今出演するかどうか、沙綾ちゃんが交渉中ってところかな?」

流星「ならほぼ確定だろ。香澄はやりたいって言うの目に見えてるからな。まぁ、それは沙綾から伝えられるだろうからそこはいいとして…具体的に俺らは何をすればいい?」

つぐみ「今回のライブでは、『Galaxy』から機材を借りる事になるから、その機材運びを手伝ってもらう事になるかも」

亮一「それなら大丈夫だろ。その日は野球部もちょうど休みだし」

流星「まぁ、俺は香澄や有咲から呼ばれたら行くわ。ほぼ確定だけど」

つぐみ「ありがとう、2人とも。あ、亮一君はこの後うちの練習来られる?」

亮一「ん?行けなくはねぇけど」

つぐみ「久々に練習見に行かない?蘭ちゃんも喜ぶよ!」

亮一「んまぁ…あいつには少々悲しい思いさせちまったからなぁ…行くわ」

 

ということで、亮一はAfterglowの練習を見るために、つぐみと一緒に練習場所へと向かった。

練習場所に着くと、Afterglowのメンバーが既に練習をしていた。

 

つぐみ「あ、みんなもう練習してる!」

蘭「あ、つぐみやっと来た」

つぐみ「ちょっと、話しててね…」

モカ「話って、何の?」

つぐみ「今度の商店街のライブだよ。それで応援を頼んだんだ」

巴「応援?」

亮一「俺っすよ」

ひまり「あ!亮一君!久しぶり!」

亮一「おいっす!久しぶり!」

 

なかなか顔を出せなかった亮一とAfterglowのメンバーは、久々の再会をお互い喜んだ。

特に蘭は…

 

蘭「…来るの遅い」

 

そう言って、亮一にすっと近寄って抱いたのだ。

 

モカ「おぉー、熱いねー」

亮一「…モカ?それは言わんでくれね?」

ひまり「でも、やっぱりお似合いだよ〜、お二人さんっ!」

巴「でもさ…こうやってると、アタシらまで恥ずかしくなんねぇか?」

 

そう言われて亮一は、はっとなって蘭の方を見ると、蘭が赤面になって体を震わせているのが見えた。

 

亮一「…もう、離れよっか…」

蘭「うん…」

 

その後、ライブに向けた練習をやったAfterglowは、練習の手伝いをしていた亮一と共に帰ることにした。

 

蘭「…そういえば、ここ最近、亮一は何をしてたの?」

亮一「俺か?俺はずっと野球部の練習だったな…最近構ってられなくてすまねぇな」

蘭「私は別に気にしないよ。亮一がちゃんと頑張ってるならそれだけでも…」

亮一「ありがとよ、蘭」

 

…と、蘭と亮一がかなりアツアツになっているのを、後ろを歩いていたモカや巴達はニヤニヤと微笑んでいた。

 

つぐみ「…やっぱりアツアツだね、2人とも」

ひまり「幼馴染の私でも嫉妬してしまいそう…」

巴「ひまりが嫉妬してどうすんだよ…」

ひまり「だって〜、蘭が青春してるんだよ!?」

モカ「私はパンがあればいいかな〜」

蘭「…みんな…」

亮一「聞こえてるっつうの…」

つぐみ「あ、ごめん…」

亮一「まぁ…俺は全然いいけどさ…蘭の事も考えてくれよ?」

ひまり「アイアイサー!」

亮一「考えてねぇなおい…」

 

と、6人で歩いていると…

 

つぐみ「…あ、ここだよ!今度のライブ会場!」

 

つぐみがそう言って指差したのは、商店街の一角である空き地であった。

 

亮一「野外か。面白そうじゃん」

蘭「そりゃもちろん、ワクワクする」

ひまり「私も楽しみになってきた!それじゃあ、ライブに向けて〜、えいえいおー!」

「…」

ひまり「ちょっとー!巴と亮一君はやってくれると思ってたのにー!」

巴「それは…お決まりというか…」

亮一「1つの芸だろ」

ひまり「酷くない!?」

亮一「ひまりだから出来る事」

 

久々に共に帰る亮一やAfterglowのメンバーは、夕焼けの下で笑顔になりながら帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日の夜…

俺は香澄に呼ばれて蔵に来ていた。

 

流星「…主催ライブの会場を『Galaxy』にする?」

香澄「どうかな?」

 

香澄からそう提案された俺は、特にダメということはないので…

 

流星「別にいいんじゃねぇか?もちろん、『Galaxy』の予定を聞かなきゃダメだろうけど」

香澄「やったー!」

有咲「まぁ、これで会場は決めたってことで…まぁ、やることはまだまだあるけれど…」

流星「俺も手伝える事あったら手伝うぜ。まぁ、つぐみにライブの手伝いをお願いされたからどっちみち手伝うことになるけど」

りみ「ありがと、流星くん」

 

その後、俺らはライブに向け、練習をして気合いを入れたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、ライブ当日…

俺や亮一、ポピパとAfterglowで機材を運び出すべく、『Galaxy』に来ていた。

 

流星「…ふぃぃ…重いわ…これ…」

香澄「手伝ってくれてありがと〜」

亮一「これは蘭達には結構きついやつやな…」

つぐみ「亮一君、ありがとうね」

亮一「どうってことねぇ」

流星「それより借りてすまねぇな、六花ちゃん。あと、匠も来てくれてありがとよ」

六花「いえ、大丈夫ですよ!商店街のお祭りですから!」

匠「俺は六花に呼ばれて来ただけっす!力仕事は任せてください!」

 

六花ちゃんが呼んでくれた匠の力も使って、機材をライブ会場へ運んだ。

 

亮一「セッティングは流星に任せた」

流星「了解」

 

しばらくして、セッティングも終え、いざライブ開始…と思いきや…

 

流星「…雨降ってきやがった…」

 

空が曇っていき、やがてすぐに雨が降ってきたのだ。

 

流星「亮一!機材を濡らされる前に運んでくれ!」

亮一「了解!」

 

と、強くなる雨の中、俺らはライブの機材をどんどんと中に入れ、再び『Galaxy』へと持っていってもらった。

 

有咲「うへぇ…びしょ濡れだよ…」

流星「今日俺らジャージでよかったな…亮一…」

亮一「だな…」

流星「しかしどうしたものか…」

巴「このままじゃどうしようもないし、止むまで待機しておくか。ちょうどコロッケもあるし」

亮一「なんでコロッケ…?」

巴「あこと健太が買ってきてくれたんだ。20個ほど」

流星「結構多いな!?」

沙綾「あ、それだったらうちも差し入れ持ってきてたんだっけ」

モカ「おぉ〜!やまぶきベーカリーのパン〜!」

亮一「さすがモカ…」

 

と、しばらくテントの中で雨宿りをしていると…

 

六花「そういえば、Afterglowの皆さんはどのように結成したんですか?」

 

六花ちゃんがAfterglowのメンバーにそう質問した。

 

巴「どのようにって言われても…気がつけば一緒にいたっていうか…幼馴染だからな」

六花「そうなんですか!?」

巴「あぁ、小学校からずっと一緒にいたんだけど、中学になってからは、蘭だけ別のクラスになってな…」

つぐみ「それで、みんなずっと一緒にいられるようにって、バンドを始めたんだ」

モカ「その後、バンド名を決めようとなった時に、夕焼けを見て、夕焼けを意味する『Afterglow』ってなったんだよ〜」

六花「そうなんですか。それじゃ、目標とかは…」

ひまり「目標は…目指せ、武道館!まぁ、みんな一緒にいられたらそれでいいんだけどね」

六花「それで…ええっと…亮一さん…でしたっけ?亮一さんとAfterglowの出会いとかは…」

亮一「それは…言うべきかな?あの夏のこと」

ひまり「ダメー!それはダメー!」

蘭「亮一…行ったらどうなるかわかるよね?」

亮一「そんな黒歴史じゃねぇのに…まぁ、嫌だったらいいわ。色々あって仲良くなったと思ってくれれば」

六花「そ、そうなんですね…」

 

と、雑談をしていると…

 

蘭「あ…雨が止んできた…」

 

外の天気の様子が良くなって来ていた。

 

流星「この時間なら…今からでもライブ出来るな」

六花「でも、もうトラックは…」

流星「何のための男手だ?行くぞ!亮一!匠!」

亮一「了解!」

匠「任せてください!」

 

こうして、俺らは機材搬入のため、再び『Galaxy』に来た。

そこから機材を運ぼう…としたら…

 

匠「うおらぁぁぁぁ!」

 

…こういう時の脳筋野郎は本当に役立つ。

匠の馬鹿力で機材はあっという間に運ばれていった。

 

六花「す、すごいです…匠君…」

流星「さすが…」

亮一「脳筋…」

 

そんなこんなで、どうにか夕方からライブを始めることが出来た。

ライブ衣装は濡れてしまったがため、夕方からは制服を着てライブをすることになった。

最初はAfterglow、そしてポピパの順でライブをやり、そして…

 

香澄「Poppin'Partyの主催ライブ、『Galaxy』でやります!」

 

という香澄のサプライズ発表を公表した。

これには六花ちゃんも驚き、慌てふためいたのは言うまでもなく…

この日のライブは無事成功を収め、ポピパは主催ライブに向けた準備を着々と進めていくのだった…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
この話に関しては…まぁ、言うことがほぼないかと…w
まだまだ2期の話は残っておりますので、順次アップしていければと思います。
では次回、お会いしましょう!


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2期7話〜2度目の文化祭は…〜

どうも、VVVFです。
流星「どうも、秋山流星です…てか、なんで俺呼ばれてんの?」
話すことがほぼなくて
流星「だからって、キャラを呼ぶ必要はないでしょ!?」
まぁまぁ、こうやってやれば、流星に対して何かしらの質問が飛んでくるんじゃない?
流星「それはないだろ…」
それに、最近俺のフォロワーさんから、流星が浮気性なんて言われてるけど…
流星「ないわぁ…」
まぁ、流星はたらしだからね
流星「しれっとひどいこと言うな!」
あ、そろそろ始めるね
流星「呼んでおいて貶すってどう言うことだよ!」



…5月ごろ、俺らにとってこの時期、一番のイベントが待っていた。それは…

 

亮一「文化祭だぁー!」

「イェーイ!」

 

1年生含む野球部のメンバー全員が、亮一の声に反応して盛り上がっていた。

 

雄介「…それで、今年も合同文化祭やるって?」

 

盛り上がっている側で、静かに座って見ていた雄介が、隣で立っている俺にそう質問した。

 

流星「らしいな。しかも、今年もかなり大規模になりそうだ」

雄介「と言うと?」

流星「花咲川の方で、日菜さんが花女と羽丘の合同文化祭の提案が来てな…そんで、たまたま去年うちと花咲川で合同文化祭やったことを知った日菜さんがここに来て直訴して、何とか3校合同でやることにこぎつけたらしい」

雄介「日菜さんって、紗夜さんの妹さんだったよな…?何考えてんのかわからんが…」

流星「まぁ、今年もうちの男子筆頭に花女との合同文化祭に前向きだったのと、羽丘は元々女子校だから、未だに女子が多いってのもあってそれがうちの男子共に刺さって、やろうという雰囲気になったとか…」

雄介「わからなくはないけどな…」

流星「んでだ…今回の文化祭では、少し、1年生を試す事をやろうと思う」

雄介「…試すって…まさか、流星?」

流星「そのまさかだ…1日目はうちで、2日目は羽丘での、対羽丘学園との練習試合をする」

 

…と、俺が羽丘学園との練習試合の事を打ち明けると、盛り上がっていた奴ら全員がシーンとなってしまった。

 

流星「…ん?どうした?」

亮一「いや、その…すげぇ嫌な言葉が聞こえたんだが?」

朗「あの…先輩?その…羽丘学園って…」

流星「去年夏の甲子園優勝校だ」

幸長「ま、マジですか…」

流星「まぁ、あそこのエースの健太さんとは色々と付き合いあるし、今回もアポ取ったら了承してくれたからさ」

本信「そういえば、流星先輩と羽丘のエースの健太さんって、U-18の世界大会でバッテリー組んでましたよね?」

流星「俊哉さんがけがをしてしまったからな…急遽バッテリーを組むことになったけど…」

耕太「俊哉さんって…羽丘で健太さんとバッテリー組んでいる…」

流星「そうだよ。んで、その世界大会でもバッテリーを組む予定だったけど…」

連斗「それで準決勝まで行けたのはすごいですよ!」

道紀「そりゃ、捕逸0、盗塁阻止率10割、盗塁成功率8割、打率5割越え…流星さんがここにいること自体もったいない気が…」

流星「最初は野球はあまり突っ込まないと思ってたんだけどな…」

尚之「彼女の影響だろ?」

流星「まぁ…それのおかげで頑張れたってのもあるからな」

 

俺は思わず、今までの出来事を思い出してしまい、笑ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後、ついに文化祭の準備が始まった。

俺は良一と蓮二を引き連れて特使として、花女へと向かった。

 

流星「…校門前までは来てたけど…こうして中に入るのは始業式以来か…」

蓮二「始業式何があったんだ…」

流星「聞かないでくれ…」

 

俺らは校門前でそれぞれ分かれた後、俺は香澄の教室へと向かおうとした。

そしたら…

 

「あ!秋山流星君だ!」

「握手して!」

「サインください!」

 

…瞬く間に周りに人が集まり、身動きが取れなくなってしまったのだ。

 

流星「うわっ!?ちょ、ちょっと待てって!」

 

と、慌てふためいていると…

 

有咲「全く、流星はモテモテだなぁ…」

 

有咲が不敵な笑みを浮かべて近づいてきたのだ。

 

流星「あ、有咲!?」

有咲「ちょっと失礼」

 

有咲は人ごみの中のかき分けてきて、俺に近づいて手を握り、まるで大根を抜くかのように力強く引っ張ってきたのだ。

おかげで人ごみから抜け出したと同時に、人ごみも彼女持ちであるとわかったのか、大半の人が去っていったのだ。

 

流星「…今回ばかりは有咲に助けられたな…」

有咲「いいっての。一応…彼女だし…」

流星「…ありがとな」

 

そして、俺と有咲は香澄が手伝っているという生徒会室へと向かった。

 

香澄「あ、りゅうく~ん!」

流星「よぉ、今年も合同でやることになったから手伝いに来たぜ」

香澄「ありがと~!早速で申し訳ないんだけど…荷物持ってくれない?」

流星「いいぜ」

 

俺は香澄と有咲とともに、文化祭で使う資材運びを手伝うことにした。

 

香澄「そういえば、主催ライブ、1か月後にやることになったよ!」

流星「え!?」

有咲「いろんなバンドとの調整や、うちらの練習など重ね合わせた結果、1か月後がいいと…」

流星「それはきつくねぇか?」

香澄「それでも頑張る!」

流星「はぁ…香澄らしいな」

 

俺はため息交じりに香澄に言った。

ちなみに今年中のライブの『LINEDRIVE』の出演は遠慮してもらうことにしている。

俺らはあくまで野球をメインで頑張っているので、2年生になり、ゆとりがほぼなくなっている今、無理に来て迷惑をかけるのはいかがなものかと…

ということで、『LINEDRIVE』のリーダーである、俺じきじきに、各メンバーには今後はしばらく出演しないことを言ってある。

香澄もそれを気にしてか、『LINEDRIVE』のことは触れてくれなかった。

 

流星「それで、会場とかは決まってんのか?」

有咲「まだ確定じゃねぇけど、『Galaxy』にしようと考えてんだ」

流星「『Galaxy』か…いいんじゃねぇか?一回やってるし、六花ちゃんもいるから」

香澄「それで、今日この後予約しにいこうと思ってて〜」

有咲「流星も来るか?」

流星「行きたいのも山々なんだが…今回はちと事情があってな…行けなくてすまない」

香澄「そっかー…」

有咲「キャプテンお疲れさん」

流星「ありがとよ」

 

その後、俺はりみりん、沙綾、おたえの手伝いにも行き、この日のお手伝いは終わりになった。

良一や蓮二と合流した俺は、江戸川橋へと戻って野球部の練習に合流した。

 

浩樹「そういえば、流星先輩って、『Poppin'Party』の誰かと付き合ってるって噂があるんですが…本当ですか?」

 

練習前のランニングで隣を走っていた田嶋君が声をかけてきた。

 

流星「んまぁ、本当だ」

浩樹「やっぱり、本当だったんだ…一体誰とですか?」

流星「聞いて驚くなよ?…全員だ」

浩樹「えぇ!?」

流星「驚くなって言っただろ…半分あいつのせいってのもあるけれど…てか、なんで田嶋君がそんな事を?」

浩樹「ぼ、僕は…『Poppin'Party』のファンでして…」

流星「そうなのか?なら、香澄達も喜ぶだろうな」

浩樹「あ、あの…サインとかはもらえたりとか…」

流星「それならいいんじゃねぇかな?しばらくして落ち着いたら、提案してみるよ」

浩樹「ありがとうございます!」

 

この日は対羽丘学園との試合を想定した練習を行って、1日を終えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

尚之の家にて…

 

良太「…ポピパの主催ライブかぁ…」

尚之「それに加えて文化祭のライブがあると…」

 

俺は尚之と羽丘学園の作戦会議をしながら、良太や裕二、海斗とグループ電話をしていた。

 

裕二「俺らも出たかったなぁ…その主催ライブ」

海斗「バカかお前は…1年の面倒見なきゃいけないのに、ライブに行けるわけないだろ」

裕二「わかってるっつうの」

良太「今年の『LINEDRIVE』の活動はないって言ったよな?」

流星「そりゃもちろん。今年は色々忙しくなりそうだし…」

尚之「今年だけじゃなく、来年もキツそうだな…もう一回くらいはやりたいけど…」

 

尚之の言葉で、全員が思いにふけたところで、グループ電話を切った。

それと同時に、ある人が中に入ってきた…

 

真波「2人ともおつかれ〜。はい、おにぎり」

 

マネージャーの真波ちゃんだった。

最近、真波ちゃんは尚之の家に泊まりに来ることが多くなっており、まるで花嫁修行みたいに親から料理を教わっているという。

まぁ、そのおかげで補食のおにぎりがなんとか食える範囲になってくれたのだが…

 

流星「ありがとよ」

尚之「最近すまないな、真波」

真波「いいのいいの。尚之君のためだから」

流星「…お前ら、付き合ってんの?」

真波「うーん…友達以上恋人未満かな?」

流星「めんどくせぇなおい!」

尚之「お前みたいなやつには…」

流星「もうそれ以上はいい!」

 

そんな茶番をした後、真波ちゃんはふと、こう質問してきた。

 

真波「…今年の『LINEDRIVE』…ライブしないの?」

 

その時の表情は寂しげな雰囲気を醸し出していた。

 

流星「…残念だがな…俺らはあくまで野球児…バンドは付随するようなもんだし…1年が入って、バンドをやる暇もなくなってきてるからな…」

真波「そっかぁ…そうだよね…」

尚之「いつかはやるさ。そのいつかはわからんけどな」

流星「それまで応援してくれたら、有り難いってもんだ」

 

俺のその言葉に、真波ちゃんは微笑んでくれたのだった…

 

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…次の日…

俺は香澄達全員と合流して、文化祭の準備をしていた時のこと…

 

有咲「路上ライブ!?」

 

有咲が思わず叫んでしまっても無理はない…

そりゃ、おたえが路上ライブを始めるなんて言い出すもんだから、俺だって驚く。

 

流星「なんで路上ライブを…?」

たえ「やっぱり、ライブまでに実力を付けたいから」

流星「んまぁ…たしかに付くけれど…それはちゃんと俺らに報告しないとさ…」

たえ「ごめん。でも、どうしてもやりたくて…」

流星「…まぁ、そこまで言うならしゃあねぇ。有咲もここは目をつぶってくれ」

有咲「んまぁ、別につぶらなくても、おたえはちゃんとした理由でやってんだからな…それよりも香澄」

 

有咲は唐突に香澄を呼んだ。

 

香澄「なーに?有咲」

有咲「…お前、ちゃんと準備は出来てるんだよなぁ?」

香澄「うん!ええっと…やっぱりプラネタリウムは夏の大三角形に…」

有咲「うちの出し物の事じゃねぇ!新曲、ちゃんと考えてんだろうな!」

流星「…新曲?」

りみ「今度の主催ライブで、みんなでやりたいなって言ってて」

沙綾「それで、香澄に新曲のフレーズを考えてくれてるんだけど…」

 

俺は香澄が頭を抱えている様子を見ると、かなり難航しているのが伺える…

 

流星「…まぁ、頑張れってしか言えないな…」

香澄「りゅうくーん!ひどいよー!」

 

とまぁ、この日は香澄達の手伝いをすることで終わりになった。

ちなみに、この時香澄とりみりんから路上ライブの様子を撮ったものを見せてもらい、まさかの『私の心はチョココロネ』を歌ったことに、少し吹きそうになったのは秘密…

 

 




いかがでしたでしょうか?
最近話す話題がなくてかなり困り果ててます。
前書きと後書きを書かずに出すのもいいかなと思ったのですが、書かないとなんか締まらない感じがして…
なんとか言葉を絞り出して書いてありますw
とりあえず、今回はここまで
では、次回お会いしましょう!


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2期8話〜不穏な予感〜

どうも、VVVFです。
特に話す事はございません(リアルで)
とりあえず、読んでもらえたら幸いです。
では、本編どうぞ!


…文化祭の準備が着々と進んできていた頃…

この日は野球部は休みとしていた日のため、俺は久々に蔵に来た。

そこで目の当たりにしたのは…ライブまでに必要なものなどが書かれたリストだった。

 

流星「…これを残り1ヶ月か…キツイなぁ…」

沙綾「でも、これをやらないと…ライブに間に合わない…」

香澄「それで…最初に何をやる?」

りみ「チラシ作りかなぁ?」

沙綾「そうだね…早めに作らないと、みんなが来られなくなるし…」

流星「んじゃ、そのチラシが作り終わったら俺に一部回してくれ。みんなに配るからさ」

 

と話していると…

 

有咲「悪りぃ!遅くなった!」

 

有咲が生徒会の仕事を終えて遅れて蔵に来た。

 

流星「お疲れさん」

有咲「あれ?流星、今日部活は?」

流星「休みだ。だからここにいる」

有咲「なんか、すまねぇな…来てもらって」

流星「いいってもんよ。それより、この後練習だろ?」

香澄「うん!セッティングしよっ!」

沙綾「私はもうちょっと待ってて」

 

と、みんなが乗り気で練習を始めようとしていたが、おたえだけはなんか雰囲気が違っていた。

 

流星「…おたえ、どうした?気分悪いのか?」

 

俺が不安に思っておたえに尋ね、おたえは返事をしたが、その返事は驚くものだった。

 

たえ「…別のバンドに…行きたい…」

 

その一言に、その場にいたみんなが凍りついた。

 

流星「…どういうことだ?」

たえ「…レイ…私の幼馴染がバンドを組んでいて…そのバンドの曲聴かせてもらって…圧倒された…私も…そんな音を出したくて…」

流星「そのバンドに…行きたいと?」

たえ「…ギターが足りないって言ってたから」

りみ「それじゃあ、サポートギターなんだね」

流星「…ふうぅぅぅぅぅぅ…驚かせんなよぉ〜…」

 

俺は思わず足から崩れるようにへたり込んだ。

サポートギターは、メンバーが足りない時に緊急で呼ぶ、いわば助っ人みたいなもの。

 

有咲「全くだって…ポピパ脱退するのかと思ったぜ…」

流星「俺もだ…」

たえ「そのバンドに行って…修行して…主催ライブを絶対に成功させたい…」

流星「…だってさ、香澄」

香澄「うん!私は大賛成!私たちは色々準備とか練習を一杯するから、おたえも修行だよ!」

 

その時の雰囲気は、暗さ一転明るくなったが、沙綾だけは不安そうな顔を覗かせていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

 

流星「本日は、花咲川女子学園の校庭を借りて公開練習を行う!一同、礼!」

『お願いしまーす!』

 

…俺ら江戸川橋高校野球部は、花女にて公開練習をすることになった。

というのも、羽丘では一足先に公開練習なるものをやり、集客を図ろうとしているのだ。

そうなれば、うちらもやらないことには始まらないのだが…

 

本信「どうせなら、花咲川でやってみたいなぁ…」

 

という、本信の何気ないこの一言によって、野球部一同の花女公開練習という、またとないアピールポイントに駆られ、押された俺は仕方なく上島監督と共に花女の先生にお願いを申し出て、実現したというわけだ…

もちろん、その見学者の中には…

 

香澄「りゅうくーん!」

こころ「流星!笑顔よ!」

 

…と、うるさい外野もいるわけだ…

 

流星「はぁ…とりあえず、最初はランニング!その次にノックに入る!個別練習はその後だ!やるぞ!」

『おぉー!』

 

…異様に士気の高い奴らだな…

ランニングを終え、次にノックに入る頃には、なんだこんなものかと、見学に来ていた女子がいつのまにかいなくなっていた。しかし、これがある意味好都合でもあるわけで…

 

上島「…セカンド!」

浩樹「はい!」

 

いつも以上に野球部のメンバーが輝いていた。

さらには…

 

良一「っ!」

流星「ナイスキャッチ!」

 

あまり守備がいい方ではない良一がファインプレー連発という事を筆頭に、いつもの練習ではありえないほどファインプレーが続出していた。

これには遠ざかっていた女子達も再び練習風景を見学してくれることになった。

しばらくして休憩に入り、俺はゴミを捨てに学校裏へと行くと…

 

沙綾「…あ、流星」

夏希「お久しぶり!流星くん!」

流星「沙綾に夏希ちゃん!」

 

たまたまゴミ捨てにきていた沙綾と夏希ちゃんとバッタリ会った。

ちょうど捨ててきた後らしいが…

 

沙綾「…というか、どうして野球部のユニフォームに?」

流星「公開練習…うちの奴らがここでやりたいと言い出したからな…」

沙綾「ということは、流星のかっこいい姿が見られると…?」

流星「カッコ良くはないだろ」

夏希「そんなことないって!今のその姿だけでもカッコいいよ!」

流星「んまぁそれはいいとして…ちょうどいい。沙綾、少し時間あるか?」

沙綾「え?い、いいけど…」

 

俺はゴミを捨てた後、校舎裏で沙綾と昨日の話をした。

 

流星「…沙綾、昨日、すごく不安がっていたが…どうしたんだ?」

沙綾「え!?そ、そうかな…そう、見えたのかな?」

流星「…おたえが抜けるのが怖いのか?」

沙綾「っ…さすが、流星だね」

 

沙綾は思わず観念したかのように、今の気持ちを率直に言ってくれた。

 

沙綾「…おたえがサポートギターになるって言った時…なんかすれ違いそうで…またみんなが解散しそうで…怖いんだ…」

流星「…まぁ、何度かあったもんな…特に沙綾は…」

沙綾「…私は…今のポピパが好きで…ずっと一緒にやりたいと思ってて…でも、みんながすれ違ったまま解散したら…どうしようって…」

流星「…すれ違ってはねぇよ」

沙綾「…え?」

流星「…香澄だって、有咲だって、りみりんだって…そして、おたえだって、今のポピパが好きだから、より良いものにしたいと頑張ってる。その為のサポートギターなんだろ?元より離れるんだったら、おたえは何も話さずに蔵から去ると思うぜ?そんな度胸、あいつにはないし、そもそもポピパが好きだから…俺や香澄、沙綾達に、修行を積むと言ったんだろ?自分が頑張ってみんなを驚かせて、いいものにしたいと」

沙綾「…」

流星「…もし、おたえが本当にあっち側に行ったなら…俺は間違いなくおたえをぶってる。平手じゃなくてげんこつでだ…でも、あいつはそういう性格じゃねぇ…他の誰よりもポピパを考えてる…だから…沙綾、信じろ」

沙綾「…そうだね。ありがと、流星」

 

沙綾はそう言って、俺の頰にキスをした後、自分のクラスへと戻っていった。

 

流星「…さてと…戻るとすっ…」

 

と、俺が踵を返して練習に戻ろうとした時、ジーッと俺の方を誰かが見つめていた。

…俺のチームメイトだった…

 

麻里弥「…あらあら、流星ちゃんったら、こんなところで…()()()()()()()()()()()

 

その時の須藤先輩の言葉はえげつなかった…

俺は速攻でメンバーに土下座で謝り、校庭へと向かった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…さぁ、気を取り直して、練習を始めるぞ!」

『おぉー!』

 

…さっきの俺の現場を見てか、彼女なしのメンバーはかなり火がついていた。

俺はピッチャーの投球練習を見るべく、耕太君と悠誠君と共にピッチャーの投球を見ることにした。

もちろん、ピッチャーは花形のポジションであるため、女子の熱い目線が注がれていた。

最初に投げるのは一彦だ。

 

一彦「…ふぅ…」

 

ビュンッ!

バンッ!

 

流星「…スピード上がった?あかりちゃん、球速は?」

あかり「145キロです」

 

無愛想な新人マネージャー、青木あかりちゃんは、いつも通りの無表情で淡々と球速を言った。

 

流星「カズ!お前いつのまにか10キロ上がってんぞ!」

一彦「トレーニングのかいがあるな…」

流星「んじゃ…スプリット!」

一彦「了解!」

 

そんな投球練習を見ていた花女の生徒は…

 

「すごいね…あんなに球を速く投げられるんだ…」

「変化球だっけ?あんなに曲がるんだね!」

 

と、話していた。

一方の野手陣は打撃練習をしていた。

打撃投手はピッチャーをやっていた事がある亮一。

カキーン!

 

亮一「おぉー…」

蓮二「…こんなもんか…亮一!もういっちょ!」

亮一「了解!」

 

柵越え一歩手前のヒットを連発している蓮二の練習を、彩さんはうっとりとした目で見ていた。

 

彩「…蓮二君、すごいなぁ…」

千聖「えぇ、あんなに飛ばせるのはすごいわ」

 

その蓮二の次が良一。

カキーン!

 

亮一「来てるよ!すぎりょー!今のはいい感じ!」

良一「あ、ありがとう!もう1つ!」

亮一「あいよ!」

 

いい笑顔で練習に励んでいる良一の様子を、花音さんは微笑ましく見ていた。

 

花音「良一君もさすがだね」

 

そんな練習風景は花女の生徒にとってはかなり新鮮なものに見えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…2日後…

俺ら江戸川橋高校ナインはそろそろ迫る文化祭での練習試合に向けて、羽丘にて合同ミーティングを行った。

と言っても、当日の試合の流れや休憩所などの諸設備についての説明であるが…

 

健太「…というわけで、今回の合同ミーティングを終えます。次に会えるのは、グラウンドです。互いに悔いのない試合になるよう、頑張りましょう」

 

健太さんの一言で、合同ミーティングは終わった。

俺は空気を吸おうと、飲み物を買って外へ出ると…

 

健太「…よぉ、大丈夫か?」

流星「あ、健太さん」

 

健太さんも外へ出ていた。

俺と健太さんは、互いに持っている飲み物を飲みながら、文化祭の準備をしている中庭を見つめていた。

 

健太「最近どうだ?香澄ちゃん達とうまくいってるか?」

流星「もちろんですよ。毎度連れ回されてはいますけど…そういう健太さんは?」

健太「こちらも相変わらず。定常運転だよ」

流星「ですよねー…」

健太「…そういや、あこから聞いたんだが、香澄ちゃん達、ライブやるって?」

流星「はい。香澄のいつもの突発的な提案から始めた感じですが…やる事が多いらしくて…」

健太「あこ達もライブをやるときは忙しいって聞いてるぜ?まぁ、雄介君がいるから、俺はあまりそういうの関わった事ないけど…」

流星「たしかに忙しそうにはしてますけど、いい笑顔してますよ」

健太「それなら良かった」

 

そして、俺は健太さんにこう言った。

 

流星「…今年の夏は負けません」

 

そう言って、俺は健太さんの横を通り過ぎたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

まさかの彩さん、花音さん、リサさん、つぐみちゃん、モカちゃんの5人による文化祭記念バンドの公開練習が行われたという出来事があって、少し興奮冷めやまぬ中、おたえからこんな連絡が来た。

今サポートで入っているバンド…『RAISE A SUILEN』の最初のライブの日程を伝えられたという…

…文化祭のライブの日と同じなのだ…

 

流星「…嫌な予感しかしないなぁ…」

 

俺はそのメールを見て、軽く拳を握ったのだった。




いかがでしたでしょうか?
色々と感想等あれば、受け付けておりますので何なりと(アンチコメは極力控えてもらえるように…)
では、次回お会いしましょう!


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2期9話〜熱戦再び!江戸川橋高校VS羽丘学園!・前編〜

どうも、VVVFです。
はい、文化祭編です。
この回は、前々からこうした方がいいかな?と思って書き、ある方のキャラクターの使用許可もらって(一回取り消したけど再び作った形)書きました。
その方のキャラクターは…言わずもがな、何回も出てるあの人ですw
何回出るねんとお思いになるでしょうが、まだまだ登場はしてくると思うので…w
では、本編どうぞ!


…おたえから連絡をもらった次の日…

俺はおたえの口から聞きたく、蔵に来ていた。

 

沙綾「そっか…文化祭と被ってしまったんだ…」

たえ「うん…」

流星「…しかし、よくもまぁ勝手に決めたもんだ…今回その『RAISE A SUILEN』だっけ?誰が作ったんだ?流石にその幼馴染じゃあねぇだろ?」

たえ「幼馴染じゃない…チュチュって子なんだ…」

流星「チュチュ…ね…ちょいと、電話かけてくる」

りみ「流星くん?」

流星「大丈夫。ただの情報収集だ」

有咲「情報収集って…」

流星「俺がまだバンドやってた頃にスカウトに来たプロデューサーがいてな…その人に、そのチュチュってやつの基本情報を聞く。ついでにおたえの幼馴染やらも情報集めておくよ」

香澄「な、何をするの…?」

流星「何もしねぇよ…」

 

俺は昔知り合った、今はかなりの大物になっているプロデューサーに電話をして、その子の情報を色々と仕入れた。

チュチュという子は、インターナショナルスクールに通っている帰国子女で、そのプロデューサーから見てもかなりの交渉術を持つ子だという。

しかも、成績が優秀で14歳ながら高校一年生相当のクラスに入っているという。

ただ、自信家でわがままなところがあるのだという…

そんなチュチュが初めてプロデュースしたというのが、『RAISE A SUILEN』であった。

ボーカルはおたえの幼馴染、レイヤこと和奏レイ。

ドラムは『狂犬』と呼ばれている、マスキングこと佐藤ますき。

キーボードはパレオという子。

DJがプロデューサーであるチュチュ。

そして、サポートとしておたえが入っている。

 

「…こんなものかな…」

流星「わざわざすみません…」

「いいっていいって。君から連絡が来るもんだから、僕にプロデュースして欲しいもんだと思ってたが…」

流星「…俺の友達…いや…彼女を少しでも助けたいと思ったので…」

「彼女?」

流星「そこはいいです。今日はすみません」

「いいよ、全然。また何かあったら、時間が合えば話に乗るからさ」

 

その後、おたえは『RAISE A SUILEN』と文化祭のライブ両方に出るという無茶な日程を敢行するといい、香澄達もそれに合わせて日程を変更するように燐子さんや日菜さんに伝えてもらうのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして、文化祭当日…

無事開会式を終えた俺らは、すぐに昼に行われる試合に向けた練習の最終調整に入った。

 

流星「…さてと…今日の試合は主に1年生メンバーを中心に構成した。相手は去年の夏の覇者。胸を借りるつもりで戦うぞ!」

『おぉー!』

 

今日の試合の客入りはかなりすごかった。

江戸川橋と対戦相手の羽丘の生徒はもちろん、花女の生徒も多数来ていた。

 

雄介「こりゃすげぇ…黄色い声援が聞こえてくるな…」

悠誠「こんな中で出来るかな…」

匠「ガッハッハ!こんなのなんか気にせず、思い通りにやれば全て良し!」

連斗「お前らしいな…」

 

とまぁ、こっちは定常運転。羽丘の方も笑顔が見えているから定常運転だろう…

一方、観客席の方では…

 

香澄「…あ!いたいた!りゅうくーん!ファイトー!」

沙綾「頑張ってー!」

彩「蓮二君、ファイトー!」

こころ「良太!笑顔で頑張って!」

あこ「けんた君、ファイトー!」

リサ「大河、頑張れー!」

 

と、いつものみんなが応援に来ていた。

俺はふと、健太さんと目を合わせ、お互いに思わず肩をすくめた。

そしてついに…

 

審判「整列!」

流星・健太「行くぞ!」

『おぉー!』

審判「一同、礼!」

『お願いしまーす!』

 

こうして、練習試合1日目が始まった。

 

六花「流星さん、すごい気迫…」

明日香「私はそんなに興味はなかったから見てなかったけど…こう見るとすごいね…」

あこ「流星さんだけじゃないよ!けんた君だってすごいんだから!」

明日香「たしかに、健太さんもすごいね…流星さんとは違った気迫があるって感じで…」

六花「どっちも勝ってほしいです!」

 

ちなみに、今日の俺らのスタメンはこんな感じだ。

1番・セカンド・田島浩樹

2番・ライト・阿山亮一

3番・レフト・大島耕太

4番・センター・川端尚之

5番・ファースト・大竹道紀

6番・サード・日下蓮二

7番・ショート・杉浦良一

8番・キャッチャー・中村悠誠

9番・ピッチャー・木下匠

9人中6人が1年生という構成で試合を進めることにした。

一方の羽丘学園も、ほとんど1年生で構成されており、健太さんや大河さん、俊哉さんがオーダーに入っていないという珍しいオーダーになった。

 

「あれ?今日はあの秋山君出ないの?」

「寺原君も出ないの!?なぁんだ…がっかり」

 

という声が多数を占めていた。まぁ、主力が出ていないのならそんな声が出ても仕方ないだろう…

 

康介「…とりあえず、先発の匠君がどれだけの力を出せるのか楽しみだな」

流星「楽しみですよ」

 

そんな俺と辻上先輩の期待を、匠君は大きく超えることになった。

その匠君の1球目…

 

匠「…フンッ!」

 

ズバーン!

風を切り裂くような、一筋の線が見え、キャッチャーの悠誠のミットに収まった。

ど真ん中のストレートだ。

 

流星「…151…あいつ、自己更新しやがったな」

雄介「速ぇ…」

 

そんな匠君の球の速さは、健太さんたちはもちろん、野球に関しては素人の観客も驚きを隠せなかった。

 

健太「ん!?なんだ!?今の球は!?」

俊哉「速くね!?」

大河「…江戸川橋…いい逸材手に入れやがったな…」

あこ「な、なに今の!?」

六花「た、匠君…すごい…」

香澄「有咲!今の球何キロ出てた!?」

有咲「そんなもん言われても知らんっつうの!」

沙綾「で、でもすごかった…今の球は多分150以上出てたんじゃないかな…」

りみ「えぇ!?本当に!?」

 

観客のどよめきが響く中、匠君は2球目を投げた。

左打席の1番バッターの内角をえぐるようなスライダーを投じてきた。

 

健太「…キレよすぎるだろ…」

俊哉「あいつの球、一度でもいいから取ってみたいわ…」

 

3球目はアウトコースのストレート。

バッターはこれを打ち損じてファウルにした。

そして4球目…低めのスプリットを振らさせて空振り三振とした。

続く2番バッターと3番バッターも空振り三振にさせ、1回の表は終わった。

 

流星「…この様子だと…しばらくは匠君に任せてもいいだろ…」

尚之「継投は考えないのか?」

流星「6回まで投げさせて終わりにさせる。その次は1年の元明くん、樹君、そして、雄介に締めてもらう」

尚之「大丈夫なのか?あいつ、苦手って言ってるけど…」

流星「でも、あいつは抑えに行きたいって言ったんだ。勇気を出して言ったんだから、やらせてみるよ」

 

俺と尚之でこの後の試合運びについて相談をしている頃、健太さんたちもこの後の試合の方針を考えていた。

 

健太「…あのピッチャー、なかなか手ごわいな…」

大河「1塁すら踏ませないような内容だったな…キャッチャーも頭がいいんだろ…」

俊哉「流星君とは違ったキャッチャーだな…どうにか攻略しないと…」

健太「まずはヒットが出ないことには始まらないな…」

 

1回裏の俺らの攻撃…

1番の浩樹君は1ボール1ストライクでカーブをとらえるもレフトフライになりアウト。

2番の亮一は初球のストレートを打つもセカンドゴロ。

3番の耕太君はフルカウントからのフォークを打ってファーストフライとなり、チェンジとなった。

 

麻里弥「…どう?癖わかった?」

流星「今のところは…おそらくあれかな?というのはありますけど…」

 

俺は試合の流れを見ながら、崩すことができるところを探していった。

その後は観客もつまんなくなるであろう、投手戦にもつれ込んだ。

匠君が4回までパーフェクトに抑え込み、1人のランナーも出さなかった。

一方の羽丘の先発も、同じく4回まででヒットを許すことはなかった。

とはいえ、羽丘の先発に対しては、5番の道紀君がフォアボールで出塁したことが攻略の手がかりになりそうな予感がしていた。

さらに言えば、時々いい打球にはなるが、運悪く風に流されてアウトになるケースも多かったので、ヒットをつないでいけば勝てると予想した。

 

流星「…こんな感じでどうだ?」

悠誠「確かに、今日はいい当たり出ているのに風に嫌われていますし…」

亮一「何か意見あるやついるか?」

 

亮一の言葉に、全員が首を横に振った。

 

流星「それじゃ、しばらくはこの作戦で行くとしよう。お前ら、打ってかかるぞ!」

『おぉー!』

 

5回表も、匠君はパーフェクトに抑え、裏の攻撃に入った。

この回の先頭バッターは悠誠君から。

その悠誠君は、なんと8球も粘りに粘った結果、ようやくレフト前に運び、ヒットをもぎ取った。

 

流星「ナイスヒット!」

 

続く匠君は持ち前のフルスイングを隠して、バントを敢行。

これがかなり絶妙に入り、サードの内野安打にさせ、この日初めて2塁にバッターを進めた。

 

雄介「浩樹君!ここは頼む!」

浩樹「はい!」

 

そんな浩樹君の気合のこもった声が現れたかのように、浩樹君はインコースに入ってきたボールを上手く捉え、ライト前に落とした。

悠誠君がそれを見て3塁を蹴り、ホームベースを踏んだ。

待望の1点だ。

 

流星「よーし、OK!」

耕太「ナイスヒット!浩樹!」

 

俺らの声に、浩樹ははにかむように顔をうつむき、右手を上げた。

この浩樹のヒットを足がかりに、俺らは羽丘に対してこの回3点を取った。

その後7回にはスライダーが得意な大山元明君、8回にはシンカーとシュートが持ち味の金原樹君が登板、2人はいいリリーフを見せてくれた。

9回には…

 

流星「雄介、頑張れよ」

雄介「おうよ!」

 

雄介が抑えのマウンドに上がった。

やはり苦手意識があるからなのか、先頭2人にはフォアボール2つ出してピンチを作ってしまったが、残りの3人はゴロとフライで片付けて試合終了。

0-3で羽丘学園に勝つことが出来た。

 

流星「お疲れ!」

雄介「いやぁ…抑え大変だったけど…なんとかなった」

蓮二「んじゃ、今後とも抑えいけるな?」

雄介「いや…それは…遠慮しとく」

亮一「なんだよ〜、いいじゃねぇか」

流星「まぁまぁ…とりあえず、今日は勝てたんだからな」

審判「一同、礼!」

『ありがとうございました!』

 

試合終わりの礼を終えると…

パチパチパチパチパチパチ…

 

見てくれていた観客から拍手が起こった。

 

健太「…流星」

流星「あ、健太さん」

健太「とりあえず、明日の告知をするぞ」

流星「あ、はい、そうですね!」

 

俺と健太さんは観客の前へ行き…

 

流星「皆さん、本日はご観覧頂きありがとうございます!」

健太「明日は、羽丘学園にて2試合目を行いますので、是非来てください!」

流星・健太「よろしくお願いします!」

 

明日の第2試合の告知をして、解散したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

俺はいつものように蔵で香澄達の練習を見ていた。

もちろん、おたえはおらず…

ふと、香澄の方に電話が来た。

おたえからだ。

どうやら会議が長引いてしまって、練習に来るのが難しいだとか…

 

沙綾「…本当に…大丈夫かな…」

流星「沙綾…心配するな…おたえは大丈夫」

沙綾「流星…」

流星「…お前らは、とりあえず明日に向けて練習な!思いっきり練習して、おたえを驚かせよう!」

香澄「うん!みんな!頑張ろう!」

『おぉー!』

 

こうして、文化祭1日目が終わったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
まぁ、こんな感じかな?と…
とりあえず、はたまたテラケン氏のキャラクターを使わせてもらいました。
お礼申し上げますm(_ _)m
次回は文化祭練習試合後編ですので、お楽しみに
では次回、お会いしましょう!


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2期10話〜熱戦再び!江戸川橋高校VS羽丘学園!・後編〜

どうも、VVVFです。
文化祭・後編です。
んで、少しネタバレすると…事件起きます。
そんな大したことがない事件かもしれませんが、一応言っておきます。
一体どんな事件なのか…
では、本編どうぞ!


…文化祭2日目…

この日もグラウンド周りには多くの観客が来ていた。

 

流星「…やっぱ、昨日告知して良かったな…」

一彦「昨日は1年生を中心だったからな…今日は…」

 

一彦の言葉で、俺らはオーダー表へ目を移した。

第2試合の俺らのオーダーはこんな感じだ。

1番・キャッチャー・秋山流星

2番・ファースト・阿山亮一

3番・サード・日下蓮二

4番・センター・川端尚之

5番・ショート・杉浦良一

6番・セカンド・須藤麻里弥

7番・ライト・東俊彦

8番・レフト・島川茂重

9番・ピッチャー・坂口雄介

…いつもと変わらない、強いて言うならすぎりょーがスタメンに入っているオーダーである。

対する羽丘も、ピッチャーには健太さん、キャッチャーに俊哉さん、ショートに大河さんを入れた、最強オーダーで挑んできた。

特に1番から侍ジャパン同士の対決ということあって…

 

「マジで!?世界で戦った2人がもう対決かよ!」

「どんな風になるのか楽しみ〜!」

 

と、かなり盛り上がっていた。

ふと、羽丘の校舎の方を見ると、香澄達はもちろん、明日香ちゃんや六花ちゃん、あこちゃんが教室から覗いていた。

 

明日香「そろそろ流星さん達の試合始まるね…」

あこ「昨日は負けちゃったけど、今日は絶対に勝つ!」

六花「流星さんがどんな試合を見せてくれるのか楽しみです」

香澄「りゅうくん、ファイトー!」

 

そして…

 

審判「一同、礼!」

『お願いしまーす!』

 

文化祭2日目、江戸川橋高校対羽丘学園の第2試合が始まるのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「江戸川橋高校の攻撃。バッターは1番、キャッチャー、秋山流星君。背番号2」

 

…場内アナウンスの声が聞こえた。

俺は左打席に入った。

 

流星(ふぅ…よろしくお願いしますよ、健太さん)

健太(こちらこそ)

 

俺と健太さんで互いに挨拶をした後、俺はバットを構え、健太さんは1球目を投げた。

インコースのストレート…強気の投球だ。もちろん、判定はストライク。

 

流星(1球目インコース…となると次は…)

 

2球目もインコースのストレート。これはわずかに外れてボール。

 

流星(…2球連続か…なら、次は…アウトコース)

 

3球目…予想通り、アウトコースにボールが来た。スプリットだったが、なんとかバットで運んでレフト線ギリギリに流した。

 

流星(ふぅ…なんとか打ててよかった)

 

いきなりのヒットに、会場は大盛り上がり。もちろん、香澄達は…

 

香澄「りゅうくん、ヒット!」

有咲「今のよく運んでいったな!」

沙綾「難しい球だったよ?でも、さすが流星だね」

りみ「この調子で頑張って欲しいな」

六花「私も、ポピパさんに負けないくらい応援します!」

 

一方で…

 

あこ「えぇ〜!けんた君…最初から打たれちゃったよぉ〜」

明日香「まぁまぁ…まだ始まったわけじゃないからね?」

 

と、あこちゃんは少し落ち込んでいた。

 

健太(まぁ…あいつは打たれても仕方ないし…走られても仕方ない…問題はこの後…しっかりと落ち着いて抑えれば、流れを持っていける)

 

そんな健太さんの気持ち通り、2番の亮一はチェンジアップを振らされて三振、3番の蓮二はストレートを引っ張るもレフトフライ。4番の尚之は高速スライダーをジャストミートで打つも、この日も風に煽られ、センターフライで3アウトにされてしまった。

 

香澄「あーあ…今ので攻撃終わっちゃった…」

六花「すこし、残念でしたね…」

あこ「ふっふっふ〜、これが魔界の女王の念力!」

明日香「いや、それはあこちゃんの彼氏の力でしょ…」

有咲「とりあえず、江戸川橋はこの後頑張って打って欲しいなぁ…」

 

そんな有咲の期待を裏切るかのように、この日の健太さんを完全に攻略するのが3回まで無理であった。

時々ヒットで出塁するも、2塁まではなかなか行けず、チャンスも作れなかった。

それでも俺らは諦めておらず、2回では亮一の横っ飛びが功を奏してアウトにしたり、4回は1アウトランナー1塁3塁だが、バッターを三振にした後に盗塁してきたランナーも刺して三振ゲッツーを取った。

お陰で、この日もまた投手戦になり、江戸川橋高校のヒットは4本、対する羽丘学園のヒットは5本と、拮抗した試合展開になった。

そんな拮抗した試合が動いたのは6回だった…

ツーアウト2塁でバッターは尚之…

ランナーは俺だったため、色々と守備位置も確認していた。

 

流星(…尚之…ここは一発頼む…最低でも外野奥まで飛ばしてくれ)

尚之(了解)

健太(…何か企んでるのか?んまぁいい…とりあえず、集中集中…)

 

健太さんは気持ちを落ち着かせて投げた1球目…インコースのスライダー…

尚之はその球を強引にも引っ張った。

その打球は…ライトのポールの内側を通り過ぎていった。

1試合目2試合目合わせて初めてのホームランだった。

 

流星(ナイス!尚之!)

健太(今の持っていったか…すこし甘かったかな…)

 

甲子園大会優勝投手からのホームランは、会場にいた観客を大いに沸かせた。

 

流星「ナイスホーマー!尚之!」

尚之「たまたまインコース張ってて良かったよ…これで試合が動いたな」

 

その尚之の言う通り、ここで健太さんは降板した。

しかし…

 

あこ「えぇー!けんた君ここで降りるのー!?」

明日香「でも、なんか笑顔だよ?」

 

そう、健太さんは悔しい表情を1つも見せず、逆に清々しい様子でベンチに戻ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…2番手のピッチャーは1年生のサウスポーで、健太さんに劣らないほどの能力の高さを見せつけていた。

交代した後は5者連続凡退にさせるなど、安定したピッチングをしていた。

対する雄介はというと、前日抑えで投げていたこともあって、4回まで投げて降板。続くピッチャーには一彦が入って投げていた。

雄介は新しくドロップカーブを習得したらしく、そのおかげで羽丘学園の打線を封じこみ、一彦も隙を見せない投球でリードを守っていた。

このまま2試合連続勝利を収めたいと意気込んでいた矢先…事件は起きた…

この回1アウトでバッターは俺…

その初球だった…

 

流星(…最初はストレートだろうな…)

 

そんな俺の予想は当たったが…ボールが顔面に目掛けて来たのだ。

 

流星「っ!?」

 

すっぽ抜けだったのは気がついたが…避けられなかった。

パキン

…何かが割れる音が聞こえた…

それと同時に、俺の頭に激痛が走り、俺は思わず倒れ込んだ。

起き上がれなかった。

頭を抱えるくらいしか出来なかった。

悶えるしかなかった。

今一瞬で何が起きたかは理解できた。ただ、避けられなかった…

 

雄介「流星!」

健太「流星君!」

 

審判やマスクを被っている俊哉さん、健太さん、チームメイトの声は聞こえた。しかし…その声は遠のいている感じだった。

会場は騒然となった。

 

香澄「りゅう君!?」

有咲「流星!?」

沙綾「そんな…」

りみ「流星君!」

 

香澄達は教室から飛び出て、グラウンドへと向かった。

香澄達はグラウンドに出ると、俺の元へと駆け寄った。

 

香澄「りゅうくん!」

流星「…香澄…か…はぁ…それに…健太さんも…」

健太「安静にしてろ!今から救急車呼んだから!」

流星「す、すみません…はぁ…頭が…痛くて…はぁ…」

健太「何も喋るな!悪化するだけだぞ!」

流星「…はぁ…でも…2つ…はぁ…言わせてください…」

健太「…なんだ?」

流星「…今のピッチャーを…はぁ…責めないでください…はぁ…むしろ…はぁ…いい勝負してくれた…はぁ…その調子でって…はぁ…言ってください…はぁ…」

健太「…わかった」

流星「あと…はぁ…香澄…はぁ…有咲…はぁ…りみりん…はぁ…沙綾…はぁ…お前らは…ライブ…しっかり成功させろ…おたえと…一緒にな…」

香澄「…うん、わかった」

 

その後、俺は救急車で病院へと運ばれていった。

幸いにも脳震盪で済んでおり、大事には至らなかったが、この日は全て無下にしてしまった。

夕方辺りには母ちゃんが走ってやってきたが、無事であることを確認すると、その場からヘタレこんでしまった。

そして、試合はというと…2-3と逆転負けを喫してしまった。

あの後、大河さんと俊哉さんの連続ヒットで同点にされてしまい、さらには3番手として上がった辻上先輩がギリギリを狙った結果の押し出しフォアボール…これが決勝点となり、負けてしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

俺は病室のベッドで安静にしていると、沙綾がお見舞いに来てくれた。

 

流星「…沙綾…イテテ…」

沙綾「無理しないで、流星。これ、お見舞い」

 

沙綾はやまぶきベーカリーのパンを持ってきてくれた。

 

沙綾「…脳震盪だってね…良かったよ、大事に至らなくて…」

流星「あぁ…後遺症もそこまでないらしいから、明日には退院出来そうだってさ」

沙綾「よかった…」

流星「それでさ…ライブはどうだった?ちゃんと5人でやれたか?」

 

俺が1番心配していた事を沙綾に伝えると、沙綾は悲しい顔で首を横に振った。

 

流星「…そんな…」

沙綾「…おたえ…ちゃんと来てくれたんだ…でも…間に合わなかった…おたえ…悲しんで…泣いてた…有咲も何か言いたげだったけど…何も言わなかった…」

流星「…そうか…でもおたえは来てくれたんだよな…」

沙綾「うん…やっぱり…私たちのこと考えてくれてたし…でもなんだろう…この複雑な気持ちは…」

流星「…これは…おたえが踏ん切りつけてくれるだろ…」

沙綾「…え?」

流星「なんとなくだがな…やっぱ、おたえはポピパが好きなんだよ。だから…修行を積んで出来なくて…悔しくて…その気持ちに蹴りを付ける…おたえはやってくれるさ」

沙綾「…そうだね…」

流星「…学校は確か明後日からだな?一緒に行くか、学校に」

沙綾「うん…ありがと」

 

こうして、まさかの幕切れで、悔いの残る文化祭になってしまったのだった。




いかがでしたでしょうか?
…はい、頭部デッドボールです。
野球やってないのでどれほどなのかわからないですが、まぁ…豪速球で頭部は危険ですし、最悪ヘルメットも割れるほどだそうで…
これで本当に脳震盪だけで済むのかどうかは、経験者くらいにしかわからないので、そこまでは突っ込まないよう、よろしくお願いします。
さて、次回はどうなるのやら…
では、次回お会いしましょう!

追記:誤解を招く場面があった為、ワンフレーズ挿入しました。


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2期11話〜決めるのは…〜

どうも、VVVFです。
もうそろそろ、アニメパート分が終わりそうです。
後はガルパ分を書き上げれば大丈夫ですが…ガルパのイベント分も書き上げたいなと思っております(無理に決まってるが)ので、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…文化祭明け初めての学校…

俺は花女の校門の前で待っていた。

そこへ…

 

流星「…来たな、おたえ」

たえ「っ…」

 

沈んでいる様子のおたえが来た。

 

流星「…大丈夫だったか?ライブの方は」

たえ「ええっと…」

流星「あ、文化祭の方じゃねぇよ。『RAISE A SUILEN』だ」

たえ「…うん、そっちの方は大丈夫だった」

流星「そうか…」

たえ「聞いたよ…香澄から…ケガ、大丈夫?」

流星「気にすんな。しばらくは練習出来そうにはねぇが、すぐに治るさ」

たえ「そう…ごめんなさい…流星…」

流星「…なんで謝るんだ?」

たえ「だって…私達のこと…心配してくれて…でも…私…間に合わなくて…」

 

おたえはいかにも泣きそうな感じで話した。

俺はそんなおたえを見かね、静かにおたえを抱いた。

 

たえ「…流星…」

流星「…気にする必要はねぇ。お前がポピパが好きなのは香澄や有咲、沙綾、りみりん、そして俺がよく知ってる。それだから、遅れてでも来たんだろ?」

たえ「…うん…」

流星「…シャキッとしろよ。お前は、いつも不思議な感じで、笑顔が絶えない、可愛らしい女の子なんだからさ。だから…そんな顔すんな。俺は気にしねぇよ。今回は、プロデューサーを名乗ってるあいつが元凶ってとこだろうな」

 

俺はそう言って、おたえから離れた。

おたえは俺の言葉を聞いて素っ頓狂な声を出した。

 

たえ「え…?」

流星「色々と調べさせてもらったんだ。と言っても、どんなバンドかぐらいしか知らないけどね。兎にも角にも、お前には色々踏ん切りつけなきゃな。俺は行くぜ。退院報告しないといけないから」

 

俺はそう言って、おたえと別れた。

その後、香澄達と和解したおたえは、香澄達と共に色んなところへ行ってはお礼を言いに行ったという。

その時に俺は初めて、文化祭ライブで六花のソロギターと、Roseliaが歌った事を知ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方の俺は、放課後羽丘に来ていた。

日菜さんがアポを取ってくれたので、俺はグラウンドへと向かった。

 

健太「…ん?流星?」

流星「あ、健太さん。こんにちは」

健太「なんでお前がここに?てか、お前退院出来たのか!?」

流星「軽い脳震盪だったので…お騒がせしました」

健太「はぁ…びっくりさせんなよ…それで流星がここに来たってことは…あいつか?」

流星「はい。あの件でイップスなってないか大丈夫かなって…」

健太「それなら大丈夫だ。俺があいつに、流星の言葉を言ったらいつも通りに投げてくれたよ。んで、あいつはお前にお礼と謝罪をしたいって」

流星「お礼なんていいですよ。大丈夫なようでしたら俺は帰ります。あと、今度会うときは甲子園大会の予選でって言ってください」

健太「わかった。そう伝えておくよ」

 

俺はその後、蔵へ行き、香澄達と合流した。

 

流星「…おいっす」

香澄「りゅうくーん!心配したよぉ〜!」

流星「うわっ!香澄!抱きつくなって言っただろ!」

香澄「だって〜、だって〜!」

沙綾「まぁまぁ…お帰り、流星」

流星「言って2日ぶりだけど…」

有咲「それでも長かったんだぞ?」

りみ「うん。みんな心配してたんだ。沙綾ちゃんから大丈夫だって聞いて、安心はしてたんだけど…」

流星「それは…すまねぇな…んで、おたえは?」

香澄「行くところがあるんだって〜」

流星「行くところ?」

香澄「うん!」

 

その時、俺は直感で、おたえが今何をしているのかわかった気がしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして数時間後…

 

たえ「…RAS、やめてくるって言ってきた」

 

おたえが帰ってきて早々、そういう報告をしてきた。

 

流星「…ちゃんとけじめつけてきたな」

たえ「うん。でも…最後に一回だけ…主催ライブに出て欲しいって…それだけ出たら…」

流星「1回だけ…だな?」

たえ「うん」

香澄「うーん…じゃあ、そのRASのライブ、見に行ってもいい!?」

たえ「え?」

有咲「まぁ、気になるしな」

りみ「私も見に行きたいな。沙綾ちゃんは?」

沙綾「…私も」

流星「…俺も行くか。どういう感じなのか…この目で…耳で聞きたい」

香澄「それじゃ、みんなでライブに行くこと、けってーい!」

 

…いつもの日常に戻ってきた。

やっぱり、すれ違ってはいなかった。

そう思えると、心が少し楽になった。

沙綾も同じように感じたのだろうか、どこか安心している様子が見えた。

こうして、おたえのサポートギター最後のライブを、俺ら5人で見に行くことになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日の夜…

俺はおたえに電話をかけた。

 

たえ「…流星?」

流星「よぉ、おたえ。ちょっと話があるんだ」

たえ「いいよ〜。あ、もしかして婚約指輪の話?」

流星「そうじゃねぇよ…レイヤ…和奏レイのことだ」

たえ「っ…」

 

俺はおたえの幼馴染であろう、和奏レイのことについて聴くと、おたえは少し言葉を詰まらせた。

 

流星「…こんなタイミングで申し訳ない…でも、少し気になってな…おたえと和奏レイって、どうやって知り合ったんだ?俺の情報網で知る範囲だと、バックバンドだって聞いたんだが…」

たえ「…幼馴染で…同じミュージックスクールの生徒…それで…公園でレイが泣いてたことがあって…私が声をかけたのが始まり…そこから仲良くなったんだ」

流星「…それで…」

たえ「…5年生の時…レイが親の転勤で引っ越して…最後に歌を歌って以来、会えなかった…」

流星「それで、今ようやく再会したと…」

たえ「だから…」

流星「RASで共に歌いたかったと…」

たえ「っ!…うん」

流星「…わかるよ…その気持ち…下手したら…レイって子はおたえを引き止めようとするかもな…」

たえ「でも伝えた…ポピパの方が大事だって…」

流星「…そうだな…でもまぁ…この事を知ることが出来たから…俺は…最悪、おたえをレイの元にやってもいいとも思う。ただ、それは後悔がない時だけだ。今のお前は、ポピパを抜けて後悔なんかしたくないだろ?今を頑張って、ポピパとして、みんなを支えてくれたらいいって思う」

たえ「…うん。それで、話はそれだけ?」

流星「すまないな…ちょっと聞きたかっただけ」

たえ「ううん。私も話して、なんかスッキリした気がする」

流星「そうか…それじゃ、また」

 

俺は電話を切り、ふぅと天井を仰いだ。

 

流星「…幼馴染との再会…か…」

 

俺は思わず、俺と尚之との再会を思い返したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

俺らはRASの主催ライブの会場にやってきた。

会場は以前、Roseliaがライブをやった会場だった。

 

香澄「ここでやるんだ…」

有咲「つーか、結成してもう主催ライブかよ!?早くねぇか!?」

流星「…それだけ、プロデューサーの腕がなったということだろうな…」

 

とそこへ…

 

麻弥「あれ?香澄さん達じゃないっすか!」

香澄「麻弥さん!」

イヴ「私もいます!」

流星「お?イヴちゃんもいるなぁ。つーか、なんでお二人がここに?」

麻弥「好きなドラマーの方が今回のライブにいるんですけど、1人じゃ心細くて…」

イヴ「イケニエです!」

流星「いや、生贄じゃなくてお供な!?」

 

俺らはライブハウスの中に入り、今回のバンドの話を、俺より詳しく麻弥さんから教えてもらった。

 

流星「…そういや、なんでここで主催ライブを…?」

麻弥「ここは関係者の方々が注目する場所でもあるので、ここでやることが一種のステータスになるんです!」

流星「なるほどな…んで、麻弥さんのお目当は、ますきさんかな?」

麻弥「おぉー!よく知ってますねー!」

流星「一応、俺もそれなりの情報網ってもんがある。『狂犬』というあだ名があるのは知ってんだが…」

麻弥「はい!ますきさんは、空白の部分にどんどんドラマを叩き込むんで、自分の世界に入るというか…首輪をつけられても周りのメンバーを引きずり回るような感じのドラマーなんです!」

流星「なるほどな…他は知ってるのは?」

麻弥「レイさんですね…元々、レイさんはバックバンドの仕事一筋の人ですから、今回のスカウトにちょっと驚かされたというか…」

流星「なるほどな…」

麻弥「あ、余談ですけど、2人とも私より1つ下なんですよ〜」

流星「俺らと一緒ってことか」

 

と、俺と麻弥さんで話していると、そろそろライブが始まるギターの音が聞こえた。

 

流星「さてと…聞きに行くか…」

 

俺らは、気持ちを引き締めるかのように、ライブ会場の中へと入っていった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…感想は先に言おう…

圧倒された…

それだけだった。

いや、もう一つ付け加えるとするならば、いい音楽ではあった。

そりゃ、盛り上がるに決まってる…

ただ、俺の中では、そこまで盛り上がる気持ちにはなれなかった。

俺の知る、あの大物プロデューサーも…

 

「たしかに音はいい。けど、『LINEDRIVE』には劣る」

 

と言ってくれ、多くの関係者もその言葉には賛同していた。

そして、そのライブでおたえがサポートを終了するというと…

 

「やめないでー!」

「残ってー!」

 

と、ファンの温かい声援が送られてきた。

そんな様子を見させられた香澄達は、どれほど複雑な思いになったのかは、想像に難くない。

だけど…それがおたえの答えだと、俺はもう割り切って覚悟をしていた。

ちなみに、今になって気がついた話ではあるが、レイに関して、有咲が同じミュージックスクールに通っていた顔見知りであったこと、キーボードのパレオに関して、パスパレのイベントによく来ていて、イベントに合わせて髪色を変えているということを初めて知った。

ライブが終わった俺らは、会場を出て、おたえが出るのを待っていた。

ただやはり…

 

香澄「…おたえ、すごかったね…」

有咲「まるで別人みたいだったな…」

りみ「カッコよかった…」

沙綾「うん…」

 

香澄達はかなり落ち込んでいた。

 

流星「…はぁ…何落ち込んで…」

 

と、俺が励まそうとした時…誰かが俺らに近づいているのに気がついた。

その足音の方を見ると、猫耳ヘッドホンをつけた子と、白黒の髪の毛にしてあるパレオちゃんが現れた。

 

???「初めまして、『Poppin'Party』の皆さん。私、『RAISE A SUILEN』のチュチュと申します」

 

猫耳ヘッドホンをつけた女の子…チュチュが自己紹介をした後…

 

チュチュ「タエ・ハナゾノを、私達にお譲り頂きたい」

 

…単刀直入に切り込んできたのだった…

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
これまた突貫工事で作り上げたものですが…楽しんでいただけたでしょうか?
深夜の朦朧とする意識の中で書いているので、おかしいとか、こういう解釈でいいですよね?とかあるかと思うので、こればかりはご報告いただけると幸いです。
とりあえず、今回はここまでにします。
では次回、お会いしましょう!


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2期12話〜覚悟を決めて〜

どうも、VVVFです。
とりあえず、本編見てください。(話すネタないので)
では、本編どうぞ!


…あのチュチュってやつからおたえを欲しいと言われてから数日後…

 

流星「…んなことがあってだな…」

良太「…なるほどな…」

 

俺と尚之は学校で、いつもの3人とグループ電話をしていた。

 

海斗「…そのチュチュって奴、胸糞悪いな…」

裕二「一発ぶっ飛ばしてやりてぇ!」

良太「裕二…その気持ちはわかるが、抑えろ」

裕二「って言ってもよ!」

流星「…どうしたもんか…俺だって、アイツにギャフンとは言わせてぇさ…」

尚之「…俺にはどうしようもねぇ話だな…」

 

と、話をしていると、有咲からメールが届いた。

…チュチュと話をするというメールだった。

 

流星「…今日放課後、話してくるわ」

 

俺は一言そう呟き、その場から離れたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…蔵にて…

 

チュチュ「ヴィンテージのすごい奴!これも!これも!これもー!これ、誰の!?」

有咲「うちのじいちゃんの…」

チュチュ「excellent!」

流星「…来て早々騒がしいと思ったらこれか…」

 

俺が着くと、チュチュが蔵を物色していて、目を輝かせていた。

 

流星「…なんなんだ、あいつ…」

香澄「蔵に来たなり、目を輝かせて…」

流星「は、はぁ…」

 

そして、チュチュの隣にいたパレオが、持ってきたお土産を出し、チュチュとの会議を始めさせた。

 

チュチュ「さてと…結論から申し上げますと…タエ・ハナゾノを、『Poppin'Party』から脱退してもらうと…」

たえ「なんで…」

チュチュ「なんでって、あなたが2つのバンドを掛け持ちできるパワーがないもの」

流星「…かと言って、自分の都合で勝手に決めんのはどうなんだよ」

チュチュ「そりゃ、私の目に適ったものしか、RASのバンドは務められないもの。それにタエ・ハナゾノは合格した…それだったら、『Poppin'Party』を脱退させるのは自然じゃないなしら?」

流星「それはあんたが決めることじゃない」

チュチュ「えぇ。だから、ここにいる『Poppin'Party』に決めてもらおうとしてるじゃない」

流星「つーかさ…サポートやめるって…」

チュチュ「()()()()はやめてもらうわ。これからは()()に私のギタリストとして活躍してもらうわよ!」

沙綾「それさ…勝手に決めてない…?おたえの気持ちは?」

チュチュ「だから、1人じゃ決められないからと思ってここにいるのよ」

 

そして、チュチュはお土産のマカロンを取ると、持っているポピパの情報を話し、その上で、おたえがどうするのかを決めて欲しいと言ったのだ。

 

チュチュ「あ、そうそう。リュウセイ・アキヤマ。あなたは野球部の部長よね?なんでこんな()()()()()()と付き合ってるのかしら?」

流星「…()()()()()だからだ。友達であり、バンド仲間であり…()()()だからである」

チュチュ「そういえば、リュウセイ・アキヤマはタエ・ハナゾノを含めて『Poppin'Party』と付き合ってるってね?なんとも羨ましいHarlemじゃないの」

流星「うるせぇ…」

有咲「…てか、なんでおたえなんだよ…」

チュチュ「なんで?だって、この前のライブ見にきたじゃない!perfect sound!perfect voice!perfect voltage!完璧にこなしてみせたじゃない!」

 

そんなチュチュの言葉に、俺は思わずボソリと呟いた。

 

流星「…完璧な演奏?めっちゃくちゃつまんなかったが…」

 

その呟きに、チュチュは即座に反応した。

 

チュチュ「…あ?」

 

俺は応戦するかのように、寄りかかっていた壁から立った。

 

流星「…確かに、演奏はすごかった。震えるものはあった。でも…ちっともつまんない。少なくとも俺はな」

チュチュ「あんた…この完璧な演奏をつまんないと?言ってくれるわね!そんなど素人、初めて見たわ!」

流星「そりゃどうも、俺はど素人だ。でも、ただ圧倒させるだけなら…RASはどっちみち廃れるだろうって思ってる。まぁ、これもあくまで俺の…」

チュチュ「What!?あんた!もう一回言いなさいよ!私の完璧なバンドが、廃れるって言うの!?」

流星「あぁ、そうだ。心から楽しんでるようには見えん」

チュチュ「楽しさなんて求めてない!私が求めるのは、完璧な音楽…完璧な演奏…それに答える最高の観客!」

流星「それがつまんねーってことだ。やっぱ、子供ってことだな」

チュチュ「はぁ!?」

流星「…何も見えてねぇ、バカなプロデューサーもどきは、とっとと帰れ」

 

俺は威圧感を放ちながら、チュチュを威圧した。

 

パレオ「やめてください!今回はそのことで喧嘩しに来たわけではありません!」

 

パレオがその場をなだめようとするまで、雰囲気は最悪だった。

俺は意を決して、この場から去る事にした。

その時に…

 

流星「…一つ言ってやる。俺はそこまでど素人じゃねぇ」

 

俺はそう言って、蔵から出たのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

 

流星「…すまない!」

 

俺は尚之と良太、裕二、海斗に土下座で謝った。

『LINEDRIVE』の出演を要請したからだ。

 

尚之「ったく…今年は無理だって言ってたのによぉ…」

良太「全く何考えてんやら…」

 

と言っていた、尚之と良太の言葉には、どこか嬉しさを感じさせるものがあった。

 

裕二「それで、いつやるんだ?」

流星「…ポピパ主催ライブの日…6月最後の土曜日だ…」

海斗「それなら行けなくはない。監督やチームメイトに土下座する羽目になるけど…」

良太「でもいいだろ?なぁ、流星…お前がこのタイミングでやりたいって言ったのは、理由があるんだよな?」

流星「…チュチュってやつを…ギャフンと言わせたい」

良太「あー、RASのプロデューサーか…そいつと張り合うと?」

流星「あぁ…」

尚之「最近話題のプロデューサーを相手取るのか…いつにも増して、面白くなったんじゃねぇの?」

良太「あぁ。今回のライブは、いつも以上に暴れまわろうぜ!」

『おぉー!』

 

そんな良太達の声が聞こえ、俺は土下座の顔を上げた。

 

尚之「てか、流星なんつー顔してんだよ」

流星「いや…ダチって、偉大だなぁって…」

良太「偉大だよ、偉大。仲間ってのが自分を熱くさせてくれるんだ」

裕二「そんなダチを、全否定させるような奴には、少しきついお灸を据えねぇとな」

海斗「な?流星」

流星「…あぁ」

 

こうして、ポピパ主催ライブの『LINEDRIVE』の参戦が確実になった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

 

流星「…ふぁぁ…」

 

俺は練習中、思わずあくびをして走っていた。

 

雄介「…珍しいな、流星があくびなんて」

流星「あぁ…ちょいとな…昨日色々考え事をな…」

 

実は、昨日俺が去った後、チュチュに色々ハッパをかけられた香澄達は、それぞれがすれ違ってしまう自態になったというのだ。

その事に、俺は色々と考えを巡らせて、どうしたら戻るのかと考えていたのだ。

 

流星「…俺が抜け出したばかりに、香澄達に負担をかけてしまったからなぁ…俺も考えないと…」

雄介「必要ねぇだろ。ここは信じてやってくれよ」

流星「…んまぁ…信じてはいるさ。もう一回仲良くできることも…これは一種の心配事ってことだ…」

雄介「なるほどね…まぁいいけど」

 

雄介はそう言って、俺を置いていった。

 

流星「…信じる…か…一瞬、信じきれなかったかもな…」

 

俺は少し、ふっと笑いながら雄介を追いかけていった。

しばらく練習をやり、いつものように笑ってこなした後…

 

流星「…ん?」

 

香澄からメールが届いたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

 

流星「…香澄、来たぜ」

香澄「りゅうくん、来てくれてありがとう」

 

すでに有咲、沙綾、りみりんが座っており、おたえがギターを持っていた。

 

流星「…おたえ…」

たえ「…私の気持ちを…歌にしたの…聞いてください…」

 

こうして、おたえのソロライブが静かに始まった。

その一言一言には、かなりの重さがあった。

それほど、おたえの気持ちは強いということなのだ。

俺は思わず感激してしまった。

 

たえ「…ふぅ…」

 

おたえのソロライブが終わり、俺はふと、周りを見てみると、りみりんと沙綾が涙を流していた。

そして、有咲がさっきおたえが歌った曲にキーボードを入れ、そのあとに涙を流しておたえに気持ちを伝えた。

沙綾やりみりんもおたえに気持ちを伝え、これでようやく和解した。

そして…

 

たえ「…流星…今回は…本当にごめん…」

 

おたえが俺に謝ってきた。

 

流星「いいっていいって…なんていうか…その…俺も、お前らを擁護できなかった…すまない」

沙綾「気にしないで。流星の気持ち…私たちと同じところがあったから…」

りみ「代わりに言ってくれて、ありがと、流星くん」

流星「…ありがとう…」

たえ「…流星…これからも…私と…ポピパを…よろしくね」

流星「…当たり前だろ?」

 

俺はおたえの髪の毛をくしゃくしゃと撫で、おたえはまるでうさぎみたいないい笑顔を見せたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

『Galaxy』にて…

俺は入り口のドアを開けた。

 

六花「…あ、いらっしゃいませ!」

 

六花ちゃんはドアが開く気配がして、振り向いた。

 

流星「よぉ、六花ちゃん」

六花「流星さん!こんにちは!今日は何の用でしょうか?」

流星「…ポピパの主催ライブ…その参加バンドに1組追加させてほしい」

六花「え?」

流星「これは…ポピパもまだ知ってない話だし…六花ちゃんにしか出来ないお願いなんだ」

六花「ど、どのバンドが参加を?」

流星「…『LINEDRIVE』だ」

 

俺はいたずらっ子のような笑顔を六花ちゃんに見せたのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
一応話すネタとかはあるんですが、ここでは関係ないと思いますので…()
では、次回お会いしましょう!


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2期13話〜主催ライブ!〜

どうも、VVVFです。
さてさて、今回でアニメパートの話はこれにて終了でございます。
あとはしばらく、3期始まるまではのんびりと自分の妄想を書こうかなと思いますので、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…ついに主催ライブ開催まで後少しまで来た。

この前おたえがソロで弾いた曲は『Returns』という曲で歌う事になった。

俺はこの日、いつもの駅で、いつもの奴らと合流する事にした。

 

流星「…あ、来た来た!」

良太「よぉ!来たぜ!」

裕二「おいっす!」

海斗「全く…監督に怒られながら来たんだから、少しは感謝しろよ?」

流星「すまねぇな…ありがとう」

 

俺は良太達と共に、俺の家でセトリなどを決める事にした。

と言っても、曲をカバーすることしか出来ないからな…

ちなみに尚之は野球部の練習でいなかった。

 

流星「…この曲をやるのでいいか?」

良太「全然。俺はお前に任せた」

裕二「その曲をやるなら、とりあえずこの後は耳コピだな」

海斗「その上で、1回のリハーサルでなんとか出来ればそれで良しだな」

流星「あぁ」

 

俺は良太達と共に、やるべきことをどんどんと片付けていった。

 

良太「…そういや、ポピパどうなった?」

 

良太がふと、俺にそう質問してきた。

俺はその質問に、笑顔でこう返した。

 

流星「…やっぱあいつらはすげぇよ」

 

その一言で、3人はホッとしてくれた。

 

裕二「…元の関係に戻ったんだな…」

流星「んまぁ、なんか『Galaxy』の前でチュチュに会ったらしいが、その時はおたえ、ちゃんと断ったらしいからな」

海斗「彼氏の流星も顔が浮かばれるな」

流星「そんなことはどうだっていいだろ!」

良太「まぁまぁ…んで、どのタイミングで出るんだ?」

流星「香澄達は最初と最後の2回に出るというんだ。その最後の2回目の登場の前に、俺らが出る」

裕二「ヒュー。お客さんのボルテージを上げる役なんだな」

海斗「これはまた責任重大なことを…」

良太「でもいいじゃねぇか。俺らはポピパを含め、ほぼ全てのガールズバンドの祖なんて言われてるレベルだ。これで盛り上げないわけにはいかないだろ?」

流星「ライブはとにかく楽しむ。まぁ…ガールズバンド時代を終わらせるなんて抜かしてるチュチュに、一発食らわせてやるってのもあるがな」

海斗「そうだな」

 

俺の言葉に、良太達は大きく頷き、ポピパの主催ライブに向けて準備を進めていくのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日の放課後…

この日はポピパや出演バンドのみんなに内緒でリハーサルに来ていた。

と言っても、ポピパ達のリハーサルが終わった後なんだけどね。

 

流星「…六花ちゃん。今回の出演バンドは?」

六花「ええっと…『Roselia』さんに、『Afterglow』さん、『Pastel*Palettes』さん、『ハローハッピーワールド!』さんです」

流星「いつものメンバーか…助けてくれたんだな…」

 

俺は思わず微笑んでしまった。

リハで曲を何度か歌い、その都度照明などの機材の調整も行い、ライブに向けた準備を終えた。

 

六花「すごい…なんか楽しそう…」

良太「そうか?俺らはただ楽しんでるだけなんだが?」

六花「そうなのですか?」

海斗「音楽は、『音を楽しむ』と書く。音を出す事に楽しまなきゃ、観客すら楽しまない。それが俺らの心の中にある気持ちだ」

流星「元々は俺が半ば強引に入れたようなもんだけど…」

裕二「後悔はしてない」

尚之「お陰で5人で仲が深まったからな」

 

俺らは笑顔でリハの終了を祝い、ライブに向けて気合を入れ直したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして、待ちに待ったライブ当日…

俺ら5人は集合時間より早めに『Galaxy』に着いた。

 

流星「…カメラ?」

 

ふと、置いてあるカメラに気がつき、その下のコメントも見た。

 

尚之「ポピパ主催ライブ記念映像の録画…か…いいんじゃね?俺らはシークレットゲストだけどさ」

流星「んまぁ、この後バレるし、いいだろ?」

良太「だな。それじゃポーズはどうする?」

裕二「侍ポーズ!それでいいんじゃねぇか?」

海斗「たしかに、パフォーマンスとしてはいいな。それをやろう」

 

俺らはカメラを下に置き、しゃがんで刀を抜く侍みたいなポーズをとって、カメラを元に戻した。

そこへ…

 

香澄「あ!りゅうくん、遅いよー!」

 

香澄がやってきた。

 

香澄「…って、あれ!?良太君に裕二君、海斗君も!?あれ!?『LINEDRIVE』は今年やらないって…」

流星「あのバカプロデューサーに、俺らの音楽を聴かせたくてな…でも、ただ出るじゃ楽しくねぇから、シークレットゲストとして黙っておくようにしたんだ」

香澄「りゅう君…」

流星「すまねぇな。でも、俺らはお前らのライブを、絶対に成功させるように努力する。お前らも、頑張ってライブ、やりきろうぜ!」

香澄「うん!」

 

そして、俺は楽屋の方に入ると…

 

蘭「あ、流星くん…と!?」

紗夜「『LINEDRIVE』の皆さん!?」

良太「どうも〜」

裕二「お邪魔するっす!」

海斗「お久しぶりです、皆さん」

リサ「あ、あれ?確か、今年は出ないって話じゃ…」

流星「状況が変わったんです。ご理解ください」

彩「でも、『LINEDRIVE』が出るんだったら、絶対に成功するよ!」

こころ「流星!今日はみんなを笑顔に、そして、香澄のライブを絶対に成功させるわよ!」

流星「当たり前だ」

 

俺らはライブに向けた準備を整え、俺は香澄達と共に準備の手伝いをし、尚之達は楽屋で待機してもらう事にした。

なお、この時久々に会った良太と燐子さんのアツアツぶりに、彼氏持ちである友希那さんや蘭が少し羨ましそうにしていたのは公然の秘密ってことで…

一方の俺は、受付をしてくれている有咲の隣に来て話をしていた。

荷物が来るのを待っている状況である。

 

有咲「…しかし、来れるなら来れるってちゃんと言ってくれよ、流星」

流星「すまんすまん。でも、今回の事件が無ければ、俺らはこうやってライブする事はなかった」

有咲「確かにそうだけどさ…そうやって約束したなら、最後まで守ってくれよ…」

 

有咲はいつものように愚痴を言ったが、どこか嬉しそうにしていた。

 

流星「…このライブが終わったら、みんなでデート行こうか。おたえだけは、特別に接待してやる」

有咲「そうだな…今回は、おたえもおたえで頑張ってたし…ちゃんとけじめつけれたんだから」

流星「…今回は見逃してくれよ?」

有咲「当たり前だ。後で香澄達にも言えよ?」

流星「わかってる」

 

俺は思わず笑顔でそう言った。

しばらくして、ポピパも準備が整い、円陣を組む事にした。

 

流星「…てか、狭くね!?30人だぞ!?」

たえ「そこをなんとか」

 

…と、無理やり全員が入って円を組み、香澄が音頭を取った。

 

香澄「ええっと…今回は…その…」

はぐみ「かーくん、リラックスリラックス!」

麻弥「落ち着いてもらって大丈夫っすよ」

流星「始まる前から緊張しちゃ、いい音楽流れねぇぞ」

香澄「…ありがとう、みんな!今日、絶対に、キラキラドキドキのライブにしようね!」

『おぉー!』

香澄「それじゃ行くよ!ポピ」

『パ!』

香澄「ピポ」

『パ!』

香澄「ポピパパピポ」

『パ!』

 

…ポピパ恒例の掛け声をみんなで合わせ、ついにライブが始まるのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…一方の観客席では…

 

雄介「…今日は野球部のみんなで羽休みとしてきたんだが…」

亮一「まぁ、いいんじゃない?流星のおごりだって言ってるし」

真波「香澄ちゃん達の主催ライブ…楽しみだね!」

 

いつもの野球部のメンバーが、この日は来られる人だけライブ会場に来てくれた。

 

六花「…ええっと…ポピパさん達のリストは…」

 

と、六花ちゃんが機械の準備をしていると…

 

匠「…よぉ!六花!」

 

匠くんが声をかけた。

 

六花「ふぇ!?た、匠くん!?」

匠「大丈夫か?なんか大変そうだが」

六花「う、うん!大変…だけど…今日はみんなを盛り上げたいから…頑張らないと」

匠「そうかそうか!六花は裏方なんだよな?頑張れよ!」

六花「うん!ありがとう!」

 

匠くんからエールをもらった六花ちゃんは気持ちを引き締めて、ライブの準備を着々と進めたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…ライブが始まった。

最初はもちろん、香澄達『Poppin'Party』だ。

 

流星「…最初は確か『Happy Happy Party』だよな?」

尚之「だな…リストだとそう書いてある」

 

しかし、最初に歌ったのは…ラストに持ってくるはずの『Returns』なのだ。

 

流星「おぉー…マジか…」

良太「…香澄ちゃん達…やりやがったな」

 

この時、俺ら『LINEDRIVE』は面白くなりそうな予感を感じていた。

その予感は見事に的中していた。

続くハロハピ、パスパレ、Afterglow、Roseliaが全員、新曲を1曲目に持ってくるという所業をやったのだ。

これには観客も盛り上がらないはずがなく…

 

亮一「蘭ー!かっこいいぞー!」

雄介「友希那!いい声だったぞ!」

 

…とまぁ、2人の感想は置いといて、会場のボルテージもかなりアゲアゲだった。

この状態で、俺らの出番が回ってきた。

 

友希那「…次はスペシャルゲストよ。今回の告知には出ていなかったけれど、私達にとって…そして、『Poppin'Party』にとって、大切なバンドなの。カバーしか歌わないけれど…その震える歌声に酔いしれなさい」

流星(友希那さん…ハードル上げるやないすか…)

 

と、緊張とは裏腹に高ぶる何かが沸き起こる感覚を覚えた俺は、暗闇の中、それぞれスタンバイさせた。

そして、1曲目が流れた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1曲目:Bleze drops

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

曲中…

 

レイ「…『LINEDRIVE』…うそ…」

ますき「…これは、まさかの大物が来ちまったな…」

 

ライブを見に来ていたレイとますきは、かつて憧れていた『LINEDRIVE』の登場に、驚きを隠せなかった。

曲が終わり、俺らが目を開けると、そこにいた観客が一斉に大いに湧いた。

まぁ、後ろにはこの日の為に書き下ろした、俺ら『LINEDRIVE』のマークが出ていたから、俺らのバンドを知ってる人が喜んでくれたのだろう。

 

流星「…どうも!」

『『LINEDRIVE』です!』

良太「いやぁ、新曲じゃなくてすみません」

尚之「俺らはカバーしか歌わないので、どうしようもなく…」

海斗「って、そんなこと今はどうだっていいだろ」

裕二「そうだそうだ!ポピパ初主催ライブなんだからさ!」

流星「そうだな…とりあえず、ポピパ、初めての主催ライブ、おめでとう。俺らは今回この初めての主催ライブのゲストとして迎え入れてくれたことに、本当に感謝します!」

尚之「言うて、お前もポピパのライブの手伝いしてたんだろうが」

流星「裏事情は言わんでいい!」

 

…とまぁ、いつものコントみたいなMCをやり、俺はふぅと息を吐いて、観客の方を見た。

 

流星「…今回は、初めて主催ライブを行ったポピパのみんなに、少しでも勇気を与えようと、後3曲、歌わせてもらいます!では2曲目聞いてください…Mr.Childrenさんの曲で『足音〜Be strong』」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2曲目:足音〜Be strong

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…Mr.Childrenさんの曲で『足音〜Be strong』でした。では続きまして3曲目です。GLAYさんの曲で『HEROES』」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3曲目:HEROES

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…ありがとうございました。では、最後の曲です。最後の曲は…これまで辛いことがあり、今回の主催ライブをやるに際しても、前途多難な事が多くありました。それでも、決してくじけないように、この曲を選びました」

香澄「…りゅうくん…」

流星「では、今回の俺らの最後の曲は…FUNKISTさんの曲で『ft.』です」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4曲目:ft.

Vo.秋山流星

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…これで俺らの曲は全て終わった。

そして、香澄達は『Dreamers Go!』を締めで歌い、そして、アンコールで『キズナミュージック♪』を歌った。

とてもキラキラしていた。

俺はふと、クリスマスのことを思い返していた。

 

香澄(もっと一緒にいてほしい!もっとキラキラドキドキしたい!)

流星「…十分、キラキラドキドキしてるじゃねぇか」

 

こうして、ポピパの初主催ライブは大成功を収めた。

俺らは喜びを分かち合い、まぁ…香澄達に関しては安定のハグで喜んでいたんだがな。

無事に終えられて、ホッとした俺は、みんなと一緒にデートに行く事を決定したのだった…

ちなみに、この後チュチュがやってきては「ぶっ壊してやる!」なんてほざいていたのはまた今度の話…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回はアニメ12話部分と13話部分の合同で書き上げたのですが、まぁ…12話部分は少なめですw
13話目をベースとして書いていますので、ご了承ください。
さて、この後ですが、多分デート回を書くかなと…どこで出すかはまだ未定ですが、楽しみに待っていただければと思います。
では次回、お会いしましょう!


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2期?話〜二度目のクリスマス〜

どうも、VOSEです。
今回はクリスマス回の2回目、つまり流星とポピパの2回目のクリスマスのお話です。
結構甘い話になっておりますが、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…今年もクリスマスがやってきた…

今年は何かと話題の尽きない一年だった…

チーム発足後初の全国進出、雄介や亮一達と一緒に侍ジャパンに選ばれ、かつて共に戦おうと約束したライバルとも再会し、野球に関してはあまりにも充実すぎる一年が過ぎた。

そして、ポピパの方は…まぁ、いつものように忙しかった。

初の主催ライブもやったりしたし、楽しめた…

そして、クリスマスといえば…俺と香澄達が付き合い始めて1年が経つ日でもある。

今思えば、少々後悔が残る許しではあったが、それを上回る経験もたくさんしてもらった。

やっぱ、香澄達といると楽しい。それを改めて気づかされた1年だった。

 

香澄「…りゅうくんっ!」

流星「うわっ!?香澄!?」

 

不意に香澄が俺の背中から抱きついてきた。

この日は有咲の蔵でクリスマスパーティー。

有咲はいつものように…

 

有咲「なんでうちでクリスマスパーティーなんかやるんだよ!」

 

とツッコんでいたが、俺が賛成すると一気に有咲も賛成の態度を示した。

もう、変わりすぎだろと、俺がツッコみたくなるほどだったが…

 

香澄「りゅうくん、何考えてたの?」

流星「ん?いや、まぁ…今年1年色々あったなって…」

有咲「たしかに色々あったな…流星とこうやって付き合ってからは、色々見える景色も違って見えたし」

沙綾「そうだね。なんかこう…うまく言えないけど、香澄の言葉を借りるとキラキラしてた」

りみ「流星くんも一緒に頑張ってくれたから、私も頑張れたし」

たえ「私がレイ達のバンドに入らされそうになった時も、流星は私を助けてくれたし、本当に感謝してるよ」

流星「俺こそ、お前らと出会えたことに感謝しているし、笑いの絶えない1年になった気がするよ。まぁ…お前らの変貌ぶりには驚かされるけどさ…」

 

俺はため息混じりに、香澄達が変わった事も伝えた。

 

香澄「えぇー?そう?」

流星「香澄は変わらなかったから別にいい…特に言いたいのは有咲!」

有咲「は!?私!?」

 

直々に指名された有咲はいつものようにツッコんだ。

 

流星「当たり前だ!お前、香澄の影響受けすぎ!事あるごとにひっつくのやめてくれ!」

有咲「べ、別に…流星のことが好きなだけで…」

流星「いや、有咲は歯止め役に徹してくれ!でなければ手に負えなくなるから!」

有咲「うぅ…私だって…流星と…イチャイチャしたいのに…」

 

俺に怒られたと思った有咲は、有咲らしからぬ涙を浮かべて、消え入る声で俯きながら呟いた。

 

香澄「あー!りゅうくんが有咲を泣かした!」

有咲「な、泣いてねぇー!泣いて…泣いてなんか…」

流星「うわっ!?有咲、ごめんって!」

 

俺は慌てて有咲に駆け寄り、抱擁して背中をさすった。

 

流星「すまなかった…有咲…そうだよな…お前も俺の彼女だもんな…」

有咲「うっ…うっ…」

たえ「いいなぁー、有咲。私も泣こうかな?」

流星「雰囲気をぶち壊すな!おたえ!」

有咲「…ありがと…流星…」

 

すこし泣き止んだ有咲は、すこし顔を上げ、ふっと俺の顔に近づいたと思うと…唇に感触を覚えた。

しかも、5秒と少々長い接吻だった…

そして、顔から離れた有咲の顔は、すこし色っぽい雰囲気を出していた。

 

流星「…てか、なんでいきなりキスなんかするんだ!?」

有咲「なんか、したくなってな?」

流星「そういうとこが一番変わったとこだ!」

 

そして、俺は嫌な予感を胸に香澄達の方を見ると…香澄を筆頭に、全員が俺の顔に近づいたのだ。

 

流星「ばっ!お前らやめろ!」

香澄「えぇー、いいじゃんいいじゃん!」

りみ「有咲ちゃんだけ、ずるいもん。私もいいよね?」

沙綾「私もいいかな?」

たえ「おねがーい、流星」

流星「いや、前に散々キスしただろ!マジでやめて!?ねぇ!」

 

そんな悲痛な俺の叫びは虚しく、俺は香澄達と唇で触れ合ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…さて、気を取り直して、乾杯!」

『かんぱーい!』

 

…蔵に集合してから3時間、ようやくクリスマスパーティーが始まった。

 

流星「今日は鳥の丸焼きに、オードブル、お菓子など、たんまり買ってきたから、ぱーっと食べるとしようか!」

香澄「おぉー!」

有咲「香澄、あんまりはしゃぎすぎんなよ?」

流星「思いっきりはしゃいだら、さっきの事になりかねないからな…」

香澄「まぁまぁ…あ、今日もポッキーがある!」

流星「いや、やめろよな!?またポッキーゲームやるわけ…」

たえ「もちろん、やる」

流星「いつになく真剣な顔だな!?いや、いつも通りか!?」

りみ「悪くない…」

流星「それ、蘭ちゃんの真似だよね!?今やめて!?笑いそうだから!」

沙綾「だ、大丈夫…?流星」

流星「これが大丈夫に見えるかよ…」

 

お菓子類は後々食べることにして、俺らは鳥の丸焼きやオードブルを先に食べることにした。

鳥の丸焼きを分解する作業は俺が買って出た。

 

流星「…ほい、沙綾」

沙綾「ありがと、流星」

香澄「りゅうくん!もっと!」

流星「はいはい」

たえ「うーん…ハンバーグが良かったなぁ…」

流星「今日は我慢してな!?」

有咲「すまね、流星。この骨どこに捨てれば…」

流星「その皿の上に乗っけちまって大丈夫だろ」

りみ「はい、流星くん。あーん」

流星「あーん…うん、うめぇや」

 

…最後のりみりんのあーんは、俺が今のところ食べられてないから、りみりんの計らいで食べさせてもらったものだが、この後…

 

香澄「あ!りみりんだけずるい!りゅうくん!私のも!あーん!」

有咲「私も!」

たえ「はい、流星くん」

沙綾「私もあるよ」

 

…と、みんなであーんしようしたので、仕方なく俺は全員分を食べる羽目になった…

オードブルが片付いたところで、お菓子に手を伸ばした俺らは、いつものあのゲームに…

 

香澄「…むぅ、沙綾いいなぁ…」

沙綾「ごめんね、みんな」

 

…じゃんけんによって先にやることになった沙綾と、ポッキーゲームをすることになった。

ルールは、ポッキー1本に両端からプレイヤー2人が口に入れてちょこちょこ食べていき、口を離したらそこで終わり。

至って単純だが、これは大体罰ゲームのやつでよくあるのだが、仲が良すぎる俺らにこういうのはどうかと思うのだが…

 

流星「ったく…さっさとやるぞ」

有咲「流星も素直になったんじゃね?」

流星「早く終わらせたいだけだ!」

 

…という事で、最初は俺と沙綾でポッキーゲームをやった。

終始、香澄達の嫉妬の目が痛すぎるほど向けられているが、こういうのはもう慣れた…

俺と沙綾で互いにポッキーを食べ進め、そして…俺と沙綾の唇が届いた。

この様子を間近で見ていた香澄達は…

 

香澄「…むぅ…沙綾だけずるい…」

有咲「いいなぁ、沙綾…」

りみ「沙綾ちゃん、羨ましい…」

たえ「沙綾だけ独占してる…」

 

と、各々言っていたが、その言葉もすっかり慣れた。

 

沙綾「うふふ…ありがと、流星」

流星「あぁ…さぁて、この後は…」

 

俺はポッキーゲームから逃げようと試みたが…

 

有咲「流星?まだまだ終わらないぞ?」

 

…すっかり変わってしまった有咲に止められてしまい、その後も沙綾のも含めて計5ラウンド、ポッキーゲームをやった。

 

香澄「うーん、幸せ〜」

流星「それはお前らだけだろ…全く…」

 

その後、別のゲームでも盛り上がった俺らだったが、気がついた時には外はすっかり夜に変わってしまっていた。

 

流星「…もう、こんな時間か…そろそろお開きにするか」

香澄「えぇー!?もう終わり〜!?」

流星「今日は解散だ。泊まるのもなし。流石に着替えも無いし」

有咲「そうか…うちに流星用の服あるんだけどな…」

流星「いやなんであるの!?いつのまにか買ってたのか!?」

有咲「…うん…」

流星「いや、本当に変わったな!?おい!」

 

そして、今日のパーティーの感想をそれぞれ言う時間になったのだが…

 

りみ「今日はとても楽しかったよ。流星くんと付き合って1年経つけど、楽しくてあっという間だった!」

たえ「だから、これからも、私たちを応援してね、流星」

沙綾「私達も、応援するからね」

有咲「今度は全国優勝だぞ?」

香澄「うんうん!りゅうくん、待ってるからね!」

 

いつのまにか俺への感謝の言葉になっていった。

とても歯がゆかったが…

 

流星「…こちらこそ、お前らと出会えて本当に良かった。これからまた1年後、2年後…将来大人になっても、クリスマスパーティーやろうな」

ポピパ全員『うん!』

 

この時の香澄達の笑顔は、今年一年の中で一番素敵な笑顔に見えたのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
自分の妄想を爆発させたような感じに仕上がりましたが…どうでしたでしょうか?
さて、そろそろ1年が過ぎようという時期ですね…
今年一年はみなさんどうだったでしょうか?
僕はまぁ…早い一年だったと思いましたw
プライベートでは色々ありましたのでw
では、おそらく今年最後の話になると思いますので、みなさん良いお年をお迎えください。
では次回、お会いしましょう!

追記:前回同様、本編に組み込む形で入れましたが、話の順序を考えて話数は?にさせていただきます。
決まり次第数字を入れる予定なのでご了承ください


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第3期
3期0話〜夏祭りのこと〜


どうも、VOSEです。
今回の話は、六花ちゃんの回想で出た夏祭りを参考にしております。
どうぞご覧ください。
では、本編どうぞ!


…甲子園大会が終わり、今年も選出された世界大会の間、俺らのために野球部で練習に付き合ってくれ、日々練習に明け暮れていた頃…

 

流星「…そういや、そろそろ夏祭りか…」

雄介「そうだな…はぁ…」

 

俺と雄介は商店街を歩きながら話していた。

 

流星「どうした?そんなため息ついてさ」

雄介「いやな?今年の夏祭りは参加出来ねぇかなぁって…」

流星「いや、そうでもないだろ?」

雄介「でもさ…まだこの後世界大会あるわけだしさ…」

流星「休息ぐらいいいだろ…」

 

と歩いていると…

 

匠「よいしょぉぉぉ!」

 

…あの脳筋野郎が、夏祭りに使う太鼓を1人で持って歩いていた。

 

流星「…木下ぁぁぁ!」

匠「あ、秋山先輩!お疲れ様っす!」

流星「お疲れ…じゃねぇよ!なんでお前太鼓持ってんだ!?」

六花「あ、私がお願いしたんです!」

 

ふと、どこからか六花ちゃんが現れ、匠のフォローに入った。

六花ちゃんと匠は前のポピパ主催ライブの時に連絡先を交換し、時々こうやって手伝いをお願いして手伝うという関係になったという。

 

匠「というわけで、断れなくて、今やっております!」

雄介「お前の練習メニューだけ増やそうか!?」

六花「お、落ち着いてください!これは私がお願いしたので…」

流星「まぁ、六花ちゃんが言うなら仕方ないけれど…」

 

その後、なんとか体力が残っていた俺と雄介は夏祭りに使う台の設置準備の手伝いを行い、この日はその場で解散したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして、夏祭り当日…

 

流星「…ふひぃ…監督マジでありがたいわ…」

 

この日、監督が頑張った労いで、早めの切り上げにし、夏祭りに参加してリフレッシュするようにと言ってくれたのだ。

というわけで、今私服で夏祭りに参加している。

 

流星「…しかし、焼きそばうめぇなぁ…」

 

と、屋台で買った焼きそばをすすっていると…

 

香澄「あ!りゅうくーん!」

 

…浴衣姿の香澄達が現れた。

 

有咲「流星、来てたのか?」

流星「あぁ。今日はリフレッシュしてこいと言われたからな」

りみ「それじゃ、流星くんと一緒に回れるね」

流星「そういうことだな」

 

と、俺と香澄達で談笑している一方で…

 

六花「…す、すごい…これが東京の夏祭り…」

 

と、六花ちゃんも浴衣姿で夏祭りに参加していた。

 

六花「で、でも人が…目が回りそうです〜…」

 

六花ちゃんが人の多さにたじろいでいると…

 

匠「お?六花何してんだ?」

 

匠が六花ちゃんを発見し、近くに寄ったのだ。

 

六花「た、匠くん!ちょっと、人が多くて…」

匠「それは仕方ないもんな!とりあえず、俺のところに来い!そうすれば波に巻き込まれずに済むぞ!」

六花「あ、ありがとう!匠くん!」

 

六花ちゃんはお言葉に甘えて匠の胸に飛び込んだ。

その瞬間、六花ちゃんはかなりときめいていた。

しばらくして、匠は人が若干少ない所へ六花ちゃんを連れ出し、空いていたベンチに座らせた。

 

六花「ふぇぇ…どえらいとこやったわぁ…」

匠「ん?岐阜出身か?」

六花「え!?なんでわかったの!?」

匠「うちの祖父、岐阜だから一瞬でわかった!どうだ?すごいだろ?ガハハ!」

六花「そうなんだね…」

 

六花ちゃんはすこし、匠を羨ましそうに見ていた。

それに匠はすぐに反応した。

 

匠「…どうした?六花」

六花「いや、ええっと…」

匠「俺に話してみ?無理にとは言わんけどさ」

 

大きな笑顔とは裏腹に、とても優しい言葉で話した匠に、六花ちゃんは思わず本音を漏らした。

 

六花「…私…ポピパさんみたいな、ステキな演奏してみたくて…でも、一緒にライブできる人がいなくて…私が勇気でない性格もあって、どうしようもできなくて…この先、どうすればいいかな…」

 

その言葉に、匠は静かにじっと聞いた後、六花の頭に手をポンと置いた。

 

六花「…匠くん?」

匠「…へっ、六花らしくねぇじゃん」

六花「ほぇ?」

匠「俺は六花とそんなに長くいたわけでもねぇが、お前は優しくて、芯のある奴だと思ってるぞ。でなければ、ポピパの主催ライブの照明とかの操作、できやしないだろ?」

六花「た、匠くん…」

匠「俺はこういうガラじゃねぇが、人が頑張ってる姿を見て応援したくなる性格でさ…六花、お前のパートナーはきっと見つかる。それまで地道に頑張って努力しろ!俺がずっと、応援してやるからよ!」

六花「…ありがとう…」

 

六花ちゃんはこれですこし心が和らいだのか…

 

六花「…あの、匠くん!」

匠「ん?なんだ?」

 

六花ちゃんは勇気を振り絞って、こう言った…

 

六花「私…まだ匠くんのこと知らんけど、ここまで優しゅうしてくれて、好きになりました!これからも、一緒にいてくれませんか!?」

 

その言葉に、匠は変わらず満面の笑みでこう言った。

 

匠「俺に告白とは、やっぱ間違いねぇや!六花!いいぜ!一緒にいても!」

六花「ほ、本当!?」

匠「あぁ!これからよろしくな!六花!」

六花「は、はい!」

 

こうして、また1組のカップルが生まれたのだった…

その後六花ちゃんと匠はここで解散し、六花ちゃんは俺とポピパに合流して夏祭りを楽しんだのだった。




いかがでしたでしょうか?
バンドリ3期始まり、僕のこの小説もアニメ準拠のため3期に突入いたしました。
かなり長い小説になるとは正直思ってもみなかった話です…w
それくらい、バンドリは偉大だなと思いました…
今回の話の中で、六花ちゃんの方言は一部岐阜弁を使用しており、もしかすると美濃弁と違うかもしれませんが、ご了承ください。
では、次回お会いしましょう!


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3期1話〜夢の始まり〜

どうも、VOSEです。
はい、0話からすぐの投稿ですw
というのは、先にこちらを書いて、0話はこれが書き終わった後に作成したものであります。
なので、ほぼ同時に出させていただきます。
というわけで、この話からバンドリ3期スタートと思って見ていってください!
では、本編どうぞ!


…夏休みが明け、秋も終盤に差し掛かり、野球部はプレーオフシーズンに突入した。

野球部は今年、飛躍しすぎるほどの大活躍を見せ、日本代表に6人も選出されるなど、俺らの高校ではもう、スター的存在になっていた。

その評判は都内だけでなく、全国からも練習試合の申し込みが殺到するなど、絶大だった。

そんなわけで、俺はしばらく香澄達と会うことがほぼなく、会えたとしても必ず誰かがいないという日々が続いていたのだ。

この日、久々に練習を早めに切り上げることになったので、俺は香澄に真っ先に連絡をした。

 

香澄「…りゅうく〜ん!会いたいよ〜!」

流星「第一声がそれかよ!全く…」

有咲「香澄だけじゃねぇぞ〜」

りみ「流星くん、お久しぶり〜」

たえ「元気にしてた?」

沙綾「野球部はどう?大変だって聞いてるけど」

流星「なんとかなってるよ…」

 

俺は久々に香澄達の声を聞いてホッとしていた。

まぁ、俺は野球部のキャプテンを務めていることもあって、色んな重責を担う羽目になり、香澄達と離れたことによってその重責の重さがかなり増していたように感じていた。

少しくっつき過ぎてたところもあって、多少は気が楽にもなってたけど…

依存症というわけじゃないけど、最後に5人と会ったのが夏休み中の夏祭りだから、それ以降会えなかったのは俺としてもなかなか寂しかった。

 

香澄「それで、電話をかけたってことは〜?」

流星「今日はこの後練習無いから、久々に会いに行こうと思ってさ」

香澄「やったー!ちょうど、今日蔵練やるから、来て来て!」

流星「お、そうか。んじゃ、花女の前で集合な」

 

俺はそう言って電話を切った。

 

雄介「…香澄ちゃん達か?」

流星「あぁ。あいつらと会うのが久々でな…」

雄介「お前も大変だよなぁ…ここ最近、練習試合の申し込みの相手をずっとやってたんだから…」

流星「でもまぁ、お陰で俺の幼馴染と対決出来たしね。やっぱ野球は楽しいよ」

雄介「そうだな。とりあえず、お前は早くお嫁さん達のとこへ行っとけ」

流星「お嫁さんじゃねぇだろ!?」

雄介「お前に異論は求めん」

流星「いやなんでよ!?」

 

…という会話を雄介と交わした後、俺は走って花咲川女子学園へと向かった。

俺が花女の校門前に着いた頃には、香澄達はすでに待っていた。

 

香澄「りゅうく〜ん!会いたかったよぉ〜!うぅ…」

流星「泣くほどじゃねぇだろ…んまぁ、今日は抱いてもいいからさ。久々に会ったわけだし」

有咲「んじゃ、私も」

たえ「私も〜」

りみ「私もいいかな?」

沙綾「私も私も!」

流星「いや待てな!?はぁ…もう、どんとこい!」

 

少し吹っ切れたような感じで言った俺だったが、心のどこかでは少し嬉しさがあった。

久々に会った俺らは、蔵練するためのおやつなどの買い出しをした。

もちろん、やまぶきベーカリーでもパンを買った。

 

沙綾「…そういえば、流星と流星の幼馴染の3人との対決、すごかったなぁ」

 

沙綾はおもむろにそう言った。

 

流星「ん?見に来てたのか?」

沙綾「うん。2戦とも」

香澄「えぇー!沙綾ずるいー!」

沙綾「あはは、ごめんごめん。ちゃんとDVDあるから、それで見よっか」

流星「てか、録ってたんだ…」

沙綾「流星が研究に使うんじゃないかなって一応録っておいたんだ」

流星「それなら使わせてもらおうかな」

沙綾「ちなみに、撮影場所はネット裏すぐだから」

流星「そんなとこにいたのか!?気がつかなかったわ…」

沙綾「ふふふ、選球眼のある流星でも、私の変装には気がつかなかったね」

 

と、雑談しながら歩いていると、夏の時にポピパの主催ライブが行われた『GALAXY』にやってきた。

 

香澄「あ!GALAXYだ!ロックいるかなぁ…ちょっと行ってくるね!」

 

そう言って、香澄とおたえはGALAXYの中へ入っていった。

その数十秒後…

 

香澄・たえ「あーっ!」

 

そんな2人の声が聞こえてきた。

 

流星「何事!?」

有咲「行ってみよう!」

 

残った俺ら4人はGALAXYの入り口へと向かう階段を降りた。

降りた先で、香澄達が何かを見ながらはしゃいでいた。

 

香澄「ねぇねぇ見て見て!武道館だよ!武道館!」

流星「ほぇ?」

 

俺はそのポスターをよく見ると、それは『Bang Dream!ガールズバンドチャレンジ』というライブの大会のポスターで、決勝が武道館というかなり豪華な大会になっていた。

と、そこへ、

 

六花「あ、ポピパさん!こんにちは!」

 

ちょうど仕事をしていた六花ちゃんが扉を開けて挨拶してくれた。

 

流星「お、六花ちゃん、お久しぶり」

六花「流星さん!お久しぶりです!」

 

六花ちゃんとも夏祭り以来会っていないので、かなり久々な感覚だった。

 

香澄「それよりロック!これ!」

六花「あ、そのポスターですね!それでしたら、中でお話ししませんか?」

香澄「するする!ね!いいでしょ!?」

有咲「そうだな。こんなところで立ち話するのもなんだしな」

 

というわけで、俺らはGALAXYの中に入った。すると…

 

匠「あ、秋山先輩、お疲れ様です!」

流星「匠!?なんでお前がここに!?」

 

匠が重そうな機材を一人で運んでいるところに出くわした。

しかも、さらっとGALAXYの服着てるし…

 

六花「私が誘ったんです。ここで一緒に働かない?って言ったら、快く引き受けてくれて」

流星「…てか、野球の練習もあるのによく来られたな…」

匠「ガハハ!俺の馬鹿力をなめないでくださいよ!」

流星「そういや、噂で聞いたんだが…六花ちゃんと匠、付き合ってる?」

六花「は、はい!この度、木下匠君とお付き合いすることになりました!」

 

六花ちゃんのおめでたい話に、俺とポピパの面々は大いに喜んだ。

 

香澄「おめでとー!ロック!」

有咲「あのバカ筋肉のどこが好きになったんだ?」

六花「え、ええっと…優しくて、頼り甲斐があって…ずっと笑顔でいてくれることです!」

匠「ガハハ!それほどでも!」

流星「お前はさっさと機材運べ!」

 

という、近況報告も終えたところで、俺とポピパ、六花ちゃんで先ほどのポスターの話に移った。

 

六花「私も、さっき店長に聞かされて…ここでも、大会の予選になるそうですよ」

流星「そうなんだ…それにしてもなかなか大きい大会を作りましたね…」

六花「この地区のライブハウスが協力してやるそうですよ」

流星「てことは、CiRCLEも?」

六花「はい!CiRCLEさんも予選会場の1つです!ポピパさんは、もちろん出ますよね?」

香澄「うん!みんなで武道館行きたい!それに、有咲も武道館でやりたいって言ってたし!」

流星「へ?そうなのか?」

有咲「いや、あの時は…みんなで同じ夢を追いかけたいっていうか…駆け抜けたらいいなって…」

匠「まるで俺らと同じっすね!」

たえ「うんうん」

 

そんな会話を交わした俺らは、今回のイベントに参加することに前向きに検討することにして、今回はここで解散となった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

この日も自主トレを早めに切り上げた俺は、早く香澄達の元へ行こうと早く校門を出た。

そこへ…

 

チュチュ「待ちなさい!」

 

校門で待ち伏せしていたチュチュに出くわした。

俺はすぐに身構えた。

 

流星「…何の用だ」

チュチュ「そんな身構えないでよ。ただ、手紙を渡しに来ただけ」

 

チュチュはそう言って、猫型の封筒を渡してきた。

 

流星「…ファンレターだったらこの場で破くぞ」

チュチュ「そんなわけないでしょ!?お誘いよ!ライブの!」

流星「ライブ?」

 

俺は封筒の中を確認すると、RAISE A SUILENの主催ライブのチケットが入っていた。

 

チュチュ「今回はRoseliaとPoppin'Party2組にも招待したわ。どうせだったら、あんたも誘おうって思ってね」

流星「…なるほどな。ポピパのパートナーの俺も誘うと…」

チュチュ「レイヤから聞いたわ。あなた、かつてこの地域でバンドをやってて、そのバンドが今のガールズバンドの原点になってるって」

流星「そう言われてるだけだ」

チュチュ「だからこそ…あなたには来て欲しいわけ。そのライブにね」

流星「…ならわかった。多分あいつらも行くだろ」

 

俺はそう言って封筒をカバンの中にしまった。

 

流星「…そういや、ギター、まだ見つからないのか?」

 

俺がそう言ったのは、おたえがいたポジションの事だった。

 

チュチュ「あら、意外と心配してくれてるのね」

流星「勘違いするな。てめぇらの音楽に見合うギターの人が果たしているのかと思っただけだ」

チュチュ「私たちの音楽、認めてくれるのね?」

流星「()()はな。お前のやり方が気にくわないだけだ」

チュチュ「それなら今回は真っ当なスカウトよ。それもライブの時に言わせてもらうわ」

流星「ほう…見つけたのか…」

チュチュ「えぇ。だから、楽しみにしてちょうだいね」

 

チュチュはそう言うと、上機嫌で帰っていったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

俺と香澄と有咲で先にRASのライブ会場に来た。

おたえやりみりん、沙綾は後からやってくるという。

 

有咲「…しかし、あのチュチュってやつ、直接流星に渡すとはな…」

流星「あいつは少し目の敵にされてる部分もあるからな…それで覚えてんだろ」

香澄「それにしても、物販すごいね…」

 

Roseliaが主催ライブを行ったライブハウスでは、物販も行うことができるスペースがあり、今日はそのスペースに埋め尽くさんばかりの人が集まっていた。

 

流星「…人気はやっぱ高えな…」

香澄「そうだね…」

 

とそこへ…

 

リサ「あれ?香澄に有咲、流星じゃん!」

 

リサさんと友希那さんが現れた。

おそらく友希那さん達もチュチュに招待されたのだろう。

 

流星「ご無沙汰してます。今日は2人だけで?」

リサ「ううん。Roseliaみんな来てるよ。そっちも?」

香澄「はい!」

流星「Roseliaも招待ってことは…なんか企んでるな…」

友希那「どういうことかしら…」

流星「実は…」

 

俺は今日のライブで発表があることを友希那さん達に伝えた。

香澄達には前もって話したので、ここでは友希那さんとリサさんに話すのみにした。

 

友希那「発表…なんのかしら…」

リサ「それを流星に伝えたってことは…流星も関係あるのかな…」

流星「それはわかりません…」

 

と話していると…

 

たえ「お待たせ〜」

 

おたえがちょうどやってきた。その後ろには…六花ちゃんがいた。

 

流星「ん?六花ちゃん?なんでここに?」

六花「わ、私も招待されて…」

流星「六花ちゃんも?…ということは…」

 

俺は六花ちゃんが来たことで、ある予測が立った。

 

香澄「何かわかったの?」

流星「…予想だがな…」

 

と、俺が言おうとした時だった。

 

りみ「お待たせ〜!」

沙綾「待った?」

 

りみりんと沙綾がやってきた。

これでポピパ全員揃い、Roseliaもすでに中で待機しているというので、俺の話は一旦打ち切って、中に入ることにした。

そして、ライブが始まった。

やはり、RASの音楽は凄かった。

何度聞いても圧倒され、俺らの音楽より比にならないくらいだ。

まぁ、小学生レベルと比較されたくないだろうからこんな事は心の奥にしまっておくけど…

しばらくしてライブが終わり、観客全員がアンコールと叫び始めた。

そしてそして、ドラムのマスキングのリズムに合わせて、チュチュが壇上に上がった。

 

チュチュ「OKOK。アンコールの前に1つ告知するわ…」

流星「来たな…」

 

俺は少し気を引き締めた。

 

チュチュ「今度、私たちRAISE A SUILENは、『Bang Dream!ガールズバンドチャレンジ』に出場します!そこで、Roselia…そして、伝説のバンド『LINEDRIVE』が生み出したPoppin'Partyを…ぶっ潰す!」

 

その一言に、俺の心に火がついた。

と、同時にこの後の一言に驚きを隠せなかった。

 

チュチュ「そのために…」

 

と、チュチュが言ったその時、六花ちゃんのところにスポットライトが当たった。

 

チュチュ「ロッカ・アサヒ!あなたをスカウトするわ!」

 

チュチュは高らかに声をあげたのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
さぁ、3期アニメ分全部書き終えられるのかどうか…
自分の体力との勝負になりそうです…w
あと、3月1日から2週間ほどある予定の為、その間もしかすると投稿ができなくなるかもしれないので、あらかじめご了承ください。
では、次回お会いしましょう!


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野球編
野球編第1話〜ライブがあったその日~


どうも、VVVFです。
野球に関係している小説なのに、全く野球の場面が書かれていないことに気が付いたので、とりあえず、19話の話の裏話的な感じで書きました。
ひとまずこれが限界なので、よろしくお願いします。


…俺はこの日、ブルペンで雄介のボールを受けていた。

 

流星「…うん、この前の試合よりスライダーの変化量が上がっている」

雄介「そうか?なら良かった…」

 

俺はそう言って、雄介の元へと向かった。

 

流星「…このままの状態を維持すれば、イニング数が増えるだろうし、エースにもなれるだろうね」

雄介「それはないって…康介先輩のスローカーブがある限り、俺はまだエースにはなれねぇよ」

 

雄介はちょっと冗談交じりにそう言った。

 

流星「でも、康介先輩はスタミナがないから…この前の試合だって全くそうじゃねぇか」

 

俺がそう言ったのは、この前やった夏の大会の試合のことだ。

その日は『SPACE』最後のライブだったのだが、試合のダブルブッキングで繰り上げスタートをする羽目になってしまったという日なのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日前…

俺はポピパのメンバーの心配をしながら、試合を迎えていた。

 

康介「みんな、気合い入れて行くぞ!」

全員「おぉー!」

 

俺らは円陣を組んでグラウンドに出た。

この日のオーダーを、紹介しながら説明しよう。

1番、俊足のリードオフマン、センターで3年生の荻窪裕也先輩。

2番、バント職人、ショートで2年生の河内柳哉(りゅうや)先輩。

3番、巧打のポイントゲッター、サードで3年生の八木淳先輩。

4番、キャッチャーで3年生の山本先輩。

5番、セカンドで2年生の須磨先輩。

6番、チームのムードメーカー、ライトで2年生の島川茂重(ありしげ)先輩。

7番、知られざるパワーヒッター、ファーストで3年生の桐生大樹先輩。

8番、強肩の守備職人、レフトで2年生の東俊彦先輩。

9番、ピッチャーで2年生の辻上先輩。

 

以上が今日のオーダーだ。

1年生がまるで入っていないように見えるが、ベンチでは俺と雄介、練習試合で活躍した尚之の3人が入っている。

江戸川橋高校は中堅校ながら、毎年3回戦で敗退する実力の弱さがある。

とはいえ、去年はOBのピッチャーと山本先輩による活躍で、夏の甲子園大会の予選の準決勝までは駒を進めた。

確実に伸びている証拠でもある。

そうこう説明しているうちに、試合が始まった。

今回は江戸川橋高校の先攻でやることになった。

1回表は荻窪先輩が安定のバッティングで出塁し、盗塁を決めるも、続く2番の河内先輩がレフトフライ、3番の八木先輩がファーストフライ、4番の山本先輩がセカンドフライという、フライの連続で得点にはこぎつけなかった。

その裏は辻上先輩のスローカーブが見事に冴え渡り、三者連続三振に打ち取った。

その後は4回表まで特に動きはなかった。

動きがあったのは4回裏だ。

ここまでなんと9人連続三振を決めている辻上先輩だったが…ここに来て、制球が定まらなくなった。

コーナーに投げようと思えば大きく外れ、ストライクを取りに行こうと思えばど真ん中になってしまう状態になった。

 

流星「辻上先輩!ファイト!」

尚之「ここ耐えてください!」

 

雄介はブルペンで肩を作っていた。

辻上先輩はどうにかバッターをサードゴロに打ち取り、4回を凌いだ。

 

流星「辻上先輩!大丈夫ですか!?」

辻上「はぁ…はぁ…なんとか…」

 

と言っている辻上先輩の顔がかなり引きつっていた。

 

上島「辻上、今日はここまでだ。よく頑張った」

 

監督はそう言って辻上先輩を称えた。

 

上島「…山本、次の回は坂口で行く。球種とか再度確認しておけ」

山本「了解です」

 

山本先輩は年上の人に対してはかなり丁寧になる。まぁ、当たり前だけどね…

 

5回表も、下位打線の3人の先輩が凡退で3アウトになった。

そして5回裏…

 

アナウンス『江戸川橋高校、選手の交代をお知らせします。ピッチャーの辻上康介くんに変わりまして、ピッチャー坂口雄介くん、ピッチャー坂口雄介くん』

 

雄介は若干緊張した様子でマウンドに出た。

 

流星「雄介!落ち着いて投げてこい!」

 

俺はそう言ってエールを送った。

雄介はストレートを中心に、決め球にフォークを使って三者凡退にさせた。

おかげでまたしばらく暇になってしまった。

主な動きはなく、8回まで何もなかったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺が出塁した後、代打は出さずに須磨先輩が打席に入った。

 

流星(…須磨先輩…仕掛けるので、空振りでもいいので振ってください)

 

俺は須磨先輩にサインを出し、須磨先輩はそれにうんとうなづいた。

相手ピッチャーが初球を投げた瞬間…俺は走った。

須磨先輩は俺のサイン通りにバットを回してくれた。

おかげでキャッチャーのスローイングが多少遅れた。

俺はボールが二塁に到達する前にセカンドベースに足を付けた。

 

審判「セーフ!」

 

俺はその声が聞こえたので気が楽になった。

その後の須磨先輩はきわどいボールに泣かされて、見逃し三振になった。

続く6番には…

 

アナウンス『江戸川橋高校、選手の交代をお知らせします。6番ライト、島川君に代わりまして、代打川端尚之君、代打川端尚之君」

 

と、尚之が代打で登場したのだ。

 

流星(尚之…ここは打ってくれよ…)

 

俺がそう祈った瞬間…

カキーン!といい音が鳴った。

俺は思わずその打球を追っていくと…

尚之が放った球は、放物線を描いてスタンドに入ってしまったのだ。

 

流星(マジかよ…あいつ、あんな球打てたっけ…)

 

俺がホームベースに戻った後、尚之もホームベースに帰ってきた。

これで初めて得点が入った形になった。

 

流星「おい、尚之」

 

俺はベンチに戻る途中、尚之に声をかけた。

 

流星「今の打球…いつからあんなに飛ぶようになったんだ?」

尚之「中学校の時、北海道で所属していたシニアチームに凄腕の指導者がいてね…その人に鍛え上げられたんだ」

流星「鍛え上げられたって…どうすりゃあんな打球飛ぶんだよ…」

尚之「さぁ?俺でも不思議なくらいだ」

 

その後、桐生先輩、東先輩が凡退で倒れ、3アウトとなった。

9回裏…

俺は山本先輩に代わってキャッチャーのポジションに入った。

ライトには尚之が入った。

打順は4番からのクリーンナップからで、こっちのピッチャーは中継ぎ5イニング登板の雄介だ。

 

流星(さぁ…ここをしのいで一回戦突破するぞ)

 

俺は目で雄介にそう言った。

 

流星(さてと…ここで4番からの好打順だが…この4番は右打者で広角だからな…若干厄介なんだよな…)

 

俺はそう思い、雄介にインコースを要求した。

雄介はストレートのインコースを要求通りに放り込んだ。

バッターはその球を見逃し、審判はボールを取った。

 

流星(つくづく思っていたんだが…この審判、インコースに厳しいんだよな…)

 

俺はそう思いつつ、今度もインコースに構えた。

雄介はスロースライダーをインコースに投げた。

バッターは反応して打ってきたが、球は後ろにそれてファウルになった。

 

流星(まぁ、反応するわな…ここでフォーク見せるか…)

 

俺は雄介に低めを要求した。

雄介はフォークを投げたが、少し高めに浮いてしまった。

それをバッターは見逃さず、レフト方向へ打った。

ただ、東先輩がすでに待っていたのでレフトフライに打ち取った。

 

流星(あぶねー…今のは高いわ…)

 

と言いつつ、6イニング目に入っている雄介は、若干疲れが見えているのがわかる。

 

流星「雄介!落ち着いて投げてこい!」

 

俺は雄介にそう言ってボールを投げた。

続く5番は、初球をたたかれたものの、セカンドゴロに打ち取った。

俺は6番打者を迎える場面で雄介のもとに寄った。

 

流星「大丈夫か?雄介」

雄介「まぁ…結構つらいかな?」

流星「そうか…あと一人、投げられるか?」

雄介「頑張るよ…」

流星「お前の球、全部取ってやるから、ガンガン投げてこい。疲れている状況でそんなこと言ってられないだろうけど、お前ならいける」

雄介「ありがとう」

 

俺は雄介にエールを送って、キャッチャーのポジションに入った。

 

流星(とはいえ…ここまで投げてきてるんだ…どうにか楽に投げてもらわんとな…)

 

俺はそう思って、雄介に真ん中を要求した。

雄介はかなり驚いたが、すぐにうなずき、1球投げた。

ストレート…バッターはやはり反応し、打った…

ボールは高く打ちあがり…そのボールを俺がとった。

 

審判「アウト!」

 

ここで試合が終わった。

江戸川橋高校、全国甲子園大会東東京大会、初戦突破となった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合終了後、俺と尚之は監督に直訴して、球場から直接『SPACE』へと向かった。

 

流星「…しかし、こっから『SPACE』なんて行ってもさ…どうしようもなくね?」

尚之「どうしてさ」

流星「まず行って何すんの?」

尚之「ライブすんだよ」

流星「は?」

 

と、その時だ。

 

良太「…おーい!こっちだ!」

 

…幼馴染の声がした。

俺はそれを聞いて、思わず笑ってしまったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
また中途半端と言われそうで怖いですが…僕は好きで書いていますので、そこのところはよろしくお願いします。
あと、また新しい小説を書こうかと思っていますので、よろしくお願いしますw
では次回、お会いしましょう!


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野球部第2話~練習開始!~

どうも、VVVFです。
今回の話より、最新話には◎をつけることにいたしました。
目次の方にも書いておきますので、よろしくお願いします。
さて、今回の話は時系列めちゃくちゃですが、展開としましては第14話の後と思ってください。
初めて本格的(?)な練習に参加する様子でございますので、よろしくお願いします。
なお、作者は野球部に入っていないので、練習内容などにつきましては、勝手な想像で書いておりますので(一応、『ダイヤのA』で知識は蓄えておりますが)、この練習はおかしいと思ったら、報告お願いします。(暴言などは書かないように…)
では、本編どうぞ!


…文化祭が終わり、『CiRCLE』でのイベントが終わった後、俺は本格的に練習に参加することになった。

大会も近くなってきたから、流石にそこは練習に参加しないとまずくなると思うしね。

 

流星「…さてと、俺は今日は足を速くしたいから、思いっきりダッシュしておこうかな…」

 

と、俺はつぶやきながら歩いていると…

 

???「…あの!秋山、流星くんだよね?」

 

1人の女の子が俺に話しかけてきた。

 

流星「ん?そうだけど…」

???「やっぱり!私、倉本真波って言います!同じ、1年生でマネージャーよろしくね!」

 

俺よりやや身長が小さく(ちなみに俺は175センチくらい)、黒髪のツインテールの子…倉本真波ちゃんが元気よく挨拶してきてくれた。

 

流星「おう、よろしくな」

真波「うん!あ、あと、流星くんって、『LINE DRIVE』のメンバーだったんだよね?」

流星「もしかして…見にきてたのか?」

真波「もちろん!私、『LINE DRIVE』の大ファンだったから!でも、ちょっと驚きだなぁ…流星くんが『LINE DRIVE』のメンバーだなんて…」

流星「…もしかして、それで近付いてきてる?」

真波「そんなわけないでしょ!?私はマネージャーだから、お手伝いするために近付いているわけ!」

流星「からかっただけだよ」

 

俺はそう言って、真波ちゃんにダッシュするメンバーを募ってほしいのと、タイムを計ってもらうようにお願いした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…集まったのは1年生メンバー全員。

真波ちゃんは持ち前の明るさでメンバーとすぐに打ち解けていたので、メンバーを募らせるのはかなり容易だった。

来たのは尚之と雄介はもちろん…

 

蓮二「日下蓮二だ。よろしく」

 

俺よりかなり真面目そうな、主にサードを守っている日下蓮二。

 

亮一「阿山亮一っす!よろしく!」

 

金髪の天然パーマのチャラ男、主に外野を守っている阿山亮一。

 

一彦「山内一彦だ。よろしくな」

 

特にこれといった特徴のない男、ピッチャーの山内一彦。

 

良一「す、杉浦良一です…よろしくお願いします…」

 

ちょっとおどおどした頼りない少年、主にショートを守っている杉浦良一。

計7人が今年の新入生部員だという。

 

流星「いやぁ…みんなごめんな。こんな俺に呼び出しさせてさ…」

蓮二「大丈夫だ。今日は先輩方が遅れると言っているし」

亮一「俺も走りたかったから別にいいっすよ!な、すぎりょー!」

良一「そ、そうだね、阿山君…」

真波「ほら!杉浦君困ってるでしょ!」

一彦「全くだ…」

 

そんなこんなで、俺らは校庭を往復する形でダッシュを行った。

本来これはメニューに組み込まれていないものだが、自主練の一環を兼ねてやっているようなものだ。

それを5往復終えたところで、俺らは今のところのタイムの経過を見ることにした。

 

流星「…はぁ…はぁ…」

真波「すごい!往復するごとにタイムが上がってる!」

尚之「こいつは結構足速いからな」

真波「でも、阿山君も同じくらいだね」

流星「確かに、走ってるとき、いつも俺の横にいたもんな」

亮一「あざっす!俺の持ち味は強肩と足の速さだからな!」

真波「その次に蓮二君と雄介君、一彦君は相変わらずの平均値。杉浦君はもうちょっと頑張らないと…」

良一「ご、ゴメンね…」

流星「なんで謝る?」

良一「いや…なんかその…」

流星「別に自分のことだから、そこは謝らなくてもいいよ」

 

と、そこへ…

 

康介「よぉ!一年はもうやってたのか!」

 

辻上先輩がやってきた。後ろには2年上の先輩マネージャーがいた。

茶髪でポニーテール、かなりのナイスバディをしている人だった。

 

流星「辻上先輩!それと…」

???「中谷ゆいよ。康介と同じ2年生だから、何があったら何でも聞いてね」

流星「ありがとうございます!」

一彦「と言っても、先輩に告ることはするなよ。ゆい先輩、康介先輩と付き合ってるんだから」

流星「いや、しねぇよ!?てか、なんでお前知ってんの!?」

蓮二「こいつの兄貴が新聞部にいるから、いろんな学校内の噂とか知ってんだよ」

ゆい「そうそう、それで私たちどれだけ冷やかされたのか…」

一彦「兄貴に代わってお詫び申し上げます…」

康介「いいからいいから。てか、この話を健介には言うなよ…あいつ、そういうの好きだからさ…」

流星「わかりました…」

 

というたわいもない話をした後、俺らは監督から言い渡されたメニューを行うことにした。

なお、健介先輩は補講で遅れてくるだという。

 

流星「さてと…最初はストレッチか…先輩と一緒にやるっていうらしいけど…」

 

と、俺はベンチに置いてあるメニュー表を見ながらつぶやいていると…

 

???「…お前一人か?」

 

そう声がして、ふと後ろを振り返ると、金髪の目つきが悪い人が立っていた。

 

流星「あ、はい。そうですけど…」

???「なら俺とやろうぜ」

流星「いいですよ。えぇっと…」

???「八木淳だ。よろしく」

流星「あ、はい!よろしくおねがいします!」

 

八木先輩はそう言うと、前座屈姿勢の俺の背中を押してくれた。

 

流星「…ええっと、淳先輩?」

淳「ん?なんだ?」

流星「なんでストレッチ、俺にしたんですか?」

淳「…見た目がアレだから…健介からも引かれてるとこあるんだ」

流星「なるほど…」

淳「逆になんでお前は俺を見て怖がらないんだ?」

流星「いや…なんかこう…優しい先輩に見えたので」

淳「お前、変だろ」

流星「いや、俺キャッチャーずっとやっていたので、ある程度心が読めるというかなんというか…」

淳「なるほどな…少なくとも、健介よりかはキャッチャー能力高いな」

流星「ありがとうございます」

 

俺と八木先輩の会話はこれで終わったが、仲良くなれたような気がした…多分…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この日はシートバッティングを行う日で、俺は走り込みをやった後に参加する形になった。

まぁ、あまり練習に出ていなかったから、仕方ないことだろうけど…

最初の場面はノーアウト1塁という場面。

バントするか否かの判断を選手に任せる形での練習だ。

守備はバントシフト。

ピッチャーは辻上先輩、1塁ランナーは亮一、バッターは尚之だ。

 

流星「…ここの場面…俺が守備だったら…盗塁を警戒しつつ、バントを阻止できるのは、高めの球…バッターだったら…」

 

とつぶやきながら走っていると…

 

茂重「ちょいちょい、なんかつぶやいてんじゃないの」

流星「あ、島川先輩」

 

俺より若干身長の低い、茶髪の先輩…島川茂重(ありしげ)だ。

 

流星「てか…なんで先輩が走ってるんですか?」

茂重「いやぁ…気持ちよく寝てたら、上ちゃんに見つかってね…」

流星「上ちゃん?」

茂重「監督だよ。親しみ込めて『上ちゃん』って言ってて、意外と監督もまんざらじゃないらしいんだよね」

流星「そうなんですか…」

 

というわけで、俺と茂重先輩でしばらく走っていると…

 

上島「…流星!走り込みは終わりだ!ちょっと来い!」

 

監督に呼ばれた。

 

茂重「上ちゃん!俺は!?」

上島「お前は走ってろ!それと、1年の前で上ちゃんと呼ぶな!」

茂重「そんなぁ…」

康介「ははは…お前、まだそんなこと言ってんのかよ」

健介「お前、そろそろ殺されんぞー!」

 

茂重先輩は監督に怒られ、それを見た康介先輩や山本先輩に茶化されていた。

 

上島「…流星、いきなりで悪いが、シートバッティングのキャッチャーをやってくれないか?山本にはファーストに移動させてやってみたいんだ」

流星「わ、わかりました」

 

俺はキャッチャーの防具を付け、ポジションに入った。

山本先輩はかなり不機嫌そうにファーストに入っていた。

場面としては、一打逆転の場面でノーアウト1塁。

ピッチャーは康介先輩、ランナーは坊主頭が特徴の2年生、河内柳哉(りゅうや)先輩。

右打席に入ったのは、満面の笑みをこぼしている3年生、桐生大樹先輩だ。

 

流星(…確か、桐生先輩は広角で打つパワーヒッターのイメージがある…無理にアウトコースを狙うと、レフトスタンドに流される…かといって、インコースだと引っ張られるし…河内先輩は速い…低めで走られたらきついから…高めしかないか…)

 

俺は高めの速い球を康介先輩に要求した。

康介先輩は要求通り、高めのストレートをいっぱいに決めた。

 

蓮二「ストラーイク!」

 

審判役の蓮二が手をあげて叫ぶのが聞こえた。

 

流星(…これでとりあえず1つはとった…あと2つはどうしたものか…)

 

俺はふと、河内先輩のリードを見た。

やはり、俊足と呼ばれているだけに、リードはでかい。

ただ…

 

流星(…よく見たら、軸が1塁に寄ってるじゃん…これだったら、低くても、俺の肩で阻止できるか…なら)

 

俺は低めの縦スライダーを要求した。

康介先輩はこれまた要求通りに縦スライダーを投げたが、俺が練習に入る前から投げていたので、体力を使い切ってしまったらしく、弾が大幅に低くなった。

おかげでワンバウンドして俺のミットに入った。

 

蓮二「ボール!」

 

流星(…そうか…康介先輩…体力ないか…これはちょっと話してきた方がいいな…)

 

流星「すまん、タイムお願いする」

蓮二「タイム!」

 

練習だからタイムなんてのはないだろうけど、こういうのは実際の試合でも起きかねないと思うからね…

 

流星「先輩…投げれますか?」

康介「なんとかな…ずっと投げていたから、結構来ている…」

流星「そうですか…でしたら、三振は諦めます」

康介「え?」

流星「その代わり、打たせて取りに行きます。その方が体力的に楽になると思いますから」

康介「でも、相手は…」

流星「任せてください…責任はとります」

康介「っ!…わかった」

 

俺は康介先輩にそう言った後、ポジションに戻り…

 

流星「…バックは援護よろしくお願いします!」

 

笑顔で、大声で届くようにそう叫んだ。

 

流星(もう、何も考えるな…体力がない以上、変化なんて期待しない方がいい…だったら…)

 

俺はインコースにミットを構えた。

そして、康介先輩が投じたのは…スライダー。

桐生先輩はそれを打ったが、打ち損じでボールはセカンドの前に来た。

 

流星「ゲッツー!」

 

俺は2塁ベースを指し、セカンドはカバーに入ったショートにボールを投げ、2塁はアウト。

そして、ショートがファーストにボールを投げ、1塁アウトと、4-6-3のダブルプレーに持ち込めた。

 

流星「…ふぅっ…」

 

うまく行けたと、少し安堵した俺のもとに、康介先輩が寄ってきた。

 

康介「お疲れ、有言実行だね」

流星「ありがとうございます!」

 

ちょうどその時部活の終了の時間だったため、まともな練習はこれっきりだったが、それでも満足していた。

これから甲子園に向け、頑張ろうと思えたのであった…

 




いかがでしたでしょうか?
さて、活動報告ではないですが、近況報告としましては…
今お気に入り登録している小説の設定を使って、勝手に小説を書いているところですw
活動報告に書いてあるものではなく、最近お気に入り登録したばっかりの小説でございますので、まぁ、こっちの興味本位でぼちぼち書いていますw
とりあえず、これくらいにしておきます(リアルの方で時間ないので…)
では次回、お会いしましょう!


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野球編第3話〜…似てる?〜

どうも、VVVFです。
見てくれている人、ここ最近少なくなってきているような気がして…
とりあえず、今回からしばらく、最新話は一番下に置いておこうかと思います。
これで見てくれる人上がってくれ…評価上がってくれ…
という下心満載ですw
では、今回は短いですが、本編どうぞ!



…この日、俺は投球練習で辻上先輩の球を受けていた。

前にも言ったと思うが、辻上先輩は140キロの直球と100キロにも満たないスローカーブが特徴の選手だ。他にもツーシームとスライダーの横と縦を操る人だが…

 

康介「…流星!次カーブな!」

流星「わかりました!」

 

そんな辻上先輩が投じたスローカーブは、軌道がスラーブとほぼ変わらないような感じで、100キロ満たないという、かなりの『変則球』だ。

俺は小学校の時に、『魔球』使いの良太の球を受けていたため、辻上先輩のスローカーブも難なく受けていたが…

 

流星(…なんか…似ている?)

 

俺は何となく、辻上先輩のスローカーブと良太のスローカーブの球質が同じ感じがしてならなかった。

ただ、辻上先輩と良太のスローカーブの軌道は全く違うため、実際どうなのかはわからないでいた。

 

康介「…」

 

辻上先輩はそんな俺の様子を見て、少し目を光らせたのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の練習の合間のこと…

 

流星「お?おにぎりか」

真波「うん!よかったら食べて!」

 

真波ちゃんが補食のおにぎりを作ってきてくれたということで、俺ら1年生で早速食べようとしたが…

 

雄介「お、俺は遠慮しとくよ…」

亮一「お、俺もいいわ!別にそんなに疲れてるわけでもねぇし?」

良一「僕も…ごめんね」

 

…と、みんながかなり否定的だった。若干1名除いて…

 

尚之「なんだよ、お前ら。だらしないにも程があるぜ?」

 

尚之はそう言って、おにぎりを1つ取って食べた。

 

流星「…んじゃ、俺も」

 

と、俺も続けておにぎりを手にして、一口食べた。

その時、俺の口の中が見事に爆発した。

 

流星「っ!?しょっぺえ!水!水!」

蓮二「お前は初めてだからか…ほれ」

 

遅れてきた蓮二に助けられた俺は、ふと、尚之の思わぬ欠点を見逃していることに気がつき、忘れてた自分を心底恨んだ。

 

尚之「そうかぁ?これうめぇぞ?」

 

尚之はそういいながら、多分塩マシマシ状態からの追い塩をかけたようなおにぎりを、なんともない顔でひょいひょいと口の中に放り込んでいった。

 

一彦「全く…そんな飯食えるの珍しすぎだろ…あいつの舌、どうなってんだ?」

流星「あぁ…あいつ、かなりのバカ舌なんだよ…」

蓮二「そういや幼馴染なんだよな?あいつどんだけバカ舌なんだ?」

流星「俺もそこそこのバカ舌だって言われてるからなんとも言えねぇけど…小学校の頃、イタズラであいつに泥団子を食べさせたら、あいつ美味しいと言ってそのまま食っちまったんだよ」

一彦・亮一・良一・蓮二「!?」

 

俺の思わぬ爆弾発言に、味覚は普通の4人が凍りついた。

 

亮一「あいつ…舌がどうこう言う前に…口の検査やった方がいいんじゃねぇか?」

蓮二「バカ舌なのはなんとなくわかっていたが、まさかそこまでだとは…言葉に出来ない…」

流星「だから、あいつの『美味い』はアテにならねぇ…」

良一「それで…泥団子を食べた尚之はどうなったの?」

流星「食った後腹痛くなってトイレに行ったらしい。その後、俺とイタズラに参加したやつはこっぴどく叱られたよ。それで5試合出場停止とかになったっけな」

一彦「言語道断だな…」

流星「今では反省してるよ…」

 

ちなみに、この会話はバカ舌王…もとい、尚之と塩味の塩にぎりを作った真波ちゃんには聞かれていない。

そういえば、ついこの間…

 

真波「尚之くん!これ作ってきたんだ!よかったら食べて!」

尚之「お、サンキューな」

 

と、昼休みの時間に尚之の元に、2人分の弁当を作ってきた真波ちゃんが来て2人で一緒に食べてたことあったっけ…

その時、俺は香澄達からの依頼で、コードの手直しをしていて、終わった時にふと真波ちゃんの弁当を見てみたが…

まぁ、某侍が出てくる時代劇ギャグ漫画に登場する、かの有名な『ダークマター』程ではないけれど、見るからに不味そうな料理が並んでいた。

それを尚之が美味しそうにパクパクと食っていた。

多分、初めて美味しいと言ってくれた人だから、作って来てくれてると思うけど…真波ちゃん、そいつは世界に類を見ない超絶バカ舌だから…

俺はそう思いながら昼休み過ごしていたりした。

と、まぁちょっとした回顧をしていると…

 

康介「…おーい、流星いるか?」

 

辻上先輩がひょっこりと現れた。

 

尚之「ん、いますよ?流星!」

流星「え?」

尚之「康介先輩」

 

俺は尚之に言われて、辻上先輩がいることに気がついた。

 

康介「よぉ!ちょっといいか?」

流星「え、あ、はい」

 

俺はわけもわからず、辻上先輩の後についていった。

辻上先輩が来たのは、ブルペンだ。

 

康介「…さてと、ここでちょっと話しようかな」

流星「どうしたんですか?急に呼び出して…」

康介「まぁ、ちょっと流星の反応が気になってね…」

流星「俺の反応ですか?」

康介「あぁ…練習でスローカーブ投げた時な」

 

俺はその一言で、あ、と思わず口を開けた。

 

康介「あの時…何思ってたんだ?」

流星「あ、いえ…受けた球が俺の幼馴染に似てるって思っただけです」

康介「流星の幼馴染?尚之か?」

流星「いえ、別のやつです」

康介「名前は?」

流星「言ってわかりますかね…天野良太です」

康介「え?知ってるよ?」

流星「え!?」

 

辻上先輩からの衝撃発言に、俺は一瞬フリーズした。

 

康介「てか、中学同じだったし」

流星「え!?え!?辻上先輩、どこ出身ですか!?」

康介「名古屋だ。と言っても、そこまで名古屋弁は出ないけど」

流星「あー…だから、良太と…」

 

良太は親の転勤で名古屋に行ってしまっていたので、なんとなく合点が行く。

 

康介「そうそう。んで、俺の今のスローカーブは、良太くんのスローカーブを真似して投げているんだ」

流星「そうなんですか。だからなんか似てるなーって思ったんですよ」

康介「まぁ…でも、あいつの球はまさしく『魔球』だったよ。俺が真似して投げようと思っても、あいつのような球は投げられないし」

流星「俺も最初良太の球を受けた時は、全く取れませんでしたよ」

 

と、ここまで良太のスローカーブを持ち上げているが、実際どんな球かわからないだろう…

辻上先輩のスローカーブは、さっき言ったようにスラーブ気味で、それだけでも落差があって、三振を狙えるような球である。

良太のスローカーブの場合、あいつがリリースすると、一度どっちに投げてるの?という程大きく外れる。一瞬打者の頭の上を通り過ぎるんじゃ…と思った時に、それがまるでぐいっと地面に引っ張られるように、急に曲がっていき、最後は低めのコーナーにピッタリ来る…そんな落差があまりにも大きいスローカーブを、良太は毎試合投げている。

おかげでバッターはタイミングを完全に外されて、空振りしてしまう…というわけだ。

 

康介「あの球はあいつだから投げられるような球だからな…そんときの俺は、新参者の良太くんに先輩風吹かせて、ここの先輩は俺だから命令に従えっていうような感じでさ…」

流星「今の先輩からは考えられないですね…」

康介「まぁな。でも、あいつがあのスローカーブを披露した途端、一気に情勢は変わったよ、先発は毎回良太くん、その時からスタミナのなかった俺は抑えに回されて、悔しかったよ」

流星「それは…」

康介「でも、それで高飛車だった俺の気持ちも変わってね…あいつにスローカーブを教えてほしいと言ったんだ。土下座してね。そしたら快く教えてくれた…まぁ、それでも難しくてわからないけど」

流星「そんなことがあったんですか…」

康介「俺は、良太と出会って良かったって思ってる。ここに来たのは、自分の実力がどこまで発揮出来るかっていうのを調べたいからなんだが…結局、どこの高校にも行けなくて」

 

辻上先輩は頭をかきながら、笑顔で話をした。

俺はその後、つい疑問に思ったことを話した。

 

流星「そう言えば…辻上先輩って、なんであんなにスタミナないんですか?」

康介「あー…それ聞く?」

流星「そりゃ聞きますよ。聞いてわかったうえで、今後の組み立て方にも対応できますし」

康介「そうだな…まぁ、言ってもいいかな?」

 

辻上先輩はそう言って、おもむろにブルペンのベンチに座った。

 

康介「…実はな…俺は小さいころ、呼吸器官で病気を患っていてね…今でも後遺症が残っているほどなんだ」

流星「え!?後遺症!?」

康介「といっても、人より早く息が上がるって感じだ。おかげでずっと長距離走なんてできなくてね…」

流星「でも、なんで先輩は野球をやろうって思ったんですか?」

康介「小学校の時、病院で入院していた時、たまたまプロ野球の試合をやっていてね…その時に、かっこいいなんて思って、退院してすぐに親にやりたいといったんだよ」

流星「それで…親は?」

康介「反対していたよ。あんな埃だらけのところでやらせるわけにはいかないって。でも、俺は諦めきれずに、親に内緒で近くのビルの壁で投げていたんだ」

流星「そうなんですか」

康介「んで、転機が訪れたのが、それから1か月たったころかな?俺が壁当てしていたのをたまたま見ていたリトルリーグの監督が、ぜひチームに来てほしいって。俺は親が反対しているというと、その監督は技あざ俺の家に来て、親の前で土下座したんだ。その熱意と、面倒見させてくれるということで、俺は野球をやることができたんだ」

流星「そうなんですか…」

康介「まぁ、話の本筋から離れちまったけど、俺はまだ病気の残り香が残っているっつうことだ。これでどうだ?」

流星「ありがとうございます」

康介「んじゃ、戻るとすっか」

 

俺と辻上先輩はブルペンから出て、みんなのもとへ戻ったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
結構見にくいかな…
とりあえずこれで勘弁してください…w
さてさて…実は実は、今とある作者様に(ハーメルン内の作家さん)合作をお願いしたところ、合作は無理だけど、自分の小説の設定を使って書いて大丈夫という、心温かいメッセージをもらったので、現在誠心誠意製作中でございます。
また懲りずにやってるよと思った方いるかと思いますけど…これが俺です!(威張るところではない)
まだ相手方の小説が進んでいないことから、発表はまだまだ先になるかと思いますが、ぜひともよろしくお願いします。
なお、今回承諾してくださった作者の方には、改めてこの場でお礼を申し上げます。
本当にありがとうございます!
では、長くなりましたので、次回、お会いしましょう!


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野球編第4話〜変えたい自分〜

どうも、VVVFです。
最近出せてないと思い、生存確認がてら投稿しました。
突貫工事であるため、中身がかなり薄い内容ではございますが、よろしくおねがいします。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

上島「ショート!」

 

…この日は上島監督によるノックが行われていた。

上島監督は正直、ノックなんて出来るの?なんて思ってたけど、実は甲子園優勝選手の1人で、プロにも入っていたというほどの実力者なのだ。

怪我の影響で早い段階で戦力外通告を受けてしまい、その後はもう一つの夢だった教師になるためにひたすら頑張って、免許を取って晴れて教師になっただとか。

そんな上島監督の動きを見ていると、なんかブランクを感じさせない機敏な動きと体を使った的確な指示やアドバイスで、まだやれそうじゃん…なんて思ったりしてる。

話を戻して…

今ショートの位置にいるのは良一。

正直、気の弱そうなやつだから、守備とか大丈夫なのか?なんて思っているけれど…

 

良一「はい!」

 

良一はそう言って監督が打ったゴロを華麗にさばいた。

 

上島「杉浦!体の動きは良かったぞ!ただ、まだ固い!ちゃんと体動かして!」

良一「は、はい!」

 

良一はそう言われた後に、顔をうつむかせてすぐに列の後ろに付いた。

その時の表情は、まるで何かに必死だった。

 

流星(…あいつ…大丈夫か?)

 

俺は思わず心の中で呟いた。

その後、休憩に入り、リラックスしていたその時だ…

 

???「…おーい、兄貴〜!」

 

と、声がし、良一はビクッと体を震わせた。

 

流星「ん?…っ!?」

 

ちょうどドリンクを飲んでいた俺は、口に入れていたものを思わず吹き出しそうになった。

なぜって?それは…

 

雄介「おーい、杉浦〜、先生がおよ…って、2人いる!?」

 

…雄介が驚くのも無理はない…

だって…良一が2人いるんだもん…

 

良一「ちょ…信介…ここに来るなって…」

信介「別にいいじゃん!減るもんじゃないし」

 

信介という、良一にそっくりの子は、実は双子の弟。

なんでも『赤堂高校』のチームに入っており、1年からスタメン獲得している逸材だとか。

赤堂高校は、甲子園大会優勝経験を持つこの辺りの野球好きにとって知らない人はいない名門校だ。

良一から聞かされた時は、俺らも思わず唸ってしまった。

 

良一「それで…なんで来たの?」

信介「遊びに来ただけだよ!ね?遊ぼうよ!」

良一「遊びに来なくてもいいのに…」

信介「だって、ここ最近遊んでくれないじゃん!」

 

…そんな会話に俺は思わず…

 

流星(…紗夜さんと日菜さんに似てる…)

 

と、また心の中で呟いた。

ただ気がかりだったのが、良一の顔がいつにも増して浮いていない事だった。

 

流星(…良一…もしかして…)

 

この後、信介君は上島先生に連れられ、説教を食らわされたのはまた別の話…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後、俺は偵察で赤堂高校に来ていた。

なぜ俺が偵察に来ていたのかと言うと…

 

真波「ごめんね…今日は私がビデオ忘れて…」

 

…真波ちゃんが偵察用のビデオを忘れていってしまったからだ。

 

流星「いいって。俺もちょっと気になってる高校だし」

 

俺はそう言って、赤堂高校と同地区で僕らよりやや上の高校、『立川大付属高校』との練習試合を見た。

赤堂高校のスタメンには、良一の弟、信介も名を連ねていた。

 

流星「…良一の弟の信介君は…今日は1番セカンド…どんなもんか楽しみだな」

 

俺はそう呟いて試合を見た。

結果は…5-0と赤堂高校の勝利であった。

信介君はこの日4打数4安打と大活躍。

出塁した後、盗塁を1つ決めているが、この盗塁はキャッチャーが変なとこに投げたお陰で偶然にも決められたもので、俺からしたら盗塁は苦手に見える。

その試合のあと…

 

信介「…あ、流星くん!」

流星「よぉ」

 

俺は信介の元を訪れていた。

 

信介「今日は偵察なんですか?」

流星「そんなとこだ。まぁ、こんなことしてるから偵察は元より失敗してるけどな」

信介「そうですか」

 

信介君はそう言った後、笑顔とは打って変わって、真面目な顔を見せてきた。

 

信介「…流星さん、お兄さんを…もう一度、立ち上がらせてください」

流星「…え?」

 

俺は信介の言葉に、少し驚いた。

 

信介「…お兄さんは…昔は輝いていました…でも、僕が…野球をやり始めたせいで…輝かなくなって…」

流星「良一が?」

信介「はい…お願いします」

 

信介はそう言って、その場を後にした。

 

流星「…良一が…輝かなくなった…か…」

 

俺はその言葉に少し引っかかっていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

俺は自主練で河川敷を走っていると…

 

流星「…ん?」

 

ブンブンとバットが空を切る音がし、俺はその音に反応してその方向へ向かった。

そこにいたのは…良一だった。

 

流星「…よぉ!杉浦!」

良一「うわっ!?…なんだ、流星くんか…」

 

いきなり現れた俺に、良一はビクリと体を震わせていた。

 

流星「自主練か?俺も付き合うよ」

良一「ありがとう…ちょっと見てほしいところがあるんだ」

 

そう言って良一は、バッティングフォームの修正点などを俺に教えてほしいと言った。

俺は自主練後は暇だったので、快く受けた。

まぁ、今日のことが気になるしね…

 

良一「…こんな感じでどうかな?」

流星「うーん…さっきの方が良かったかな…ヘッドが下がってる」

良一「そうなんだ…それじゃ、これは?」

流星「なんだかぎこちないぜ?自然なフォームでやるんだったら…こうとか?」

 

俺と良一でマンツーマンで教え、良一のどことなく一生懸命さが俺に伝わっていた。

しばらく練習に付き合ったあと、俺と良一はベンチに座って、俺はふと良一に数日前の事を聞いてみた。

 

流星「…そういや杉浦…この前弟来てただろ?」

良一「っ!…うん」

 

良一は途端に顔色を暗くさせた。

 

流星「…その時さ…お前がなんか浮かない顔をしてたからさ…なんかあったのかって」

良一「…なんでもないよ?僕は平気だよ?」

流星「そうか?俺には、弟となんか距離を置いておきたいとしか見えねぇんだけど」

良一「…」

流星「話してごらんって…俺はお前のチームメイトだ。悩みがあるなら聞く権利はあるだろ?」

良一「…やっぱり、流星くんは見透かしているんだね…すごいや」

流星「どこがだよ…」

 

俺は笑ってそう言うと、良一も思わず笑ってしまった。

そして、良一は静かに重い口を開けた。

 

良一「…最初に野球をやり始めたのは僕なんだ…家族の中で…信介は最初、野球なんて興味を示さないでいたんだ…」

流星「へぇ…ちょっと意外だな…」

良一「そんな時、父さんと信介で僕の野球の試合を観に来たんだ。そしたら、信介がやってみたいと言い出して…実際やらせてみたら、僕より上手くなって…信介はセンスがいいんだ。なんでもやってのける…いつしか、僕より信介が注目されて…僕より信介だって周りから言われて…」

流星「…」

良一「…高校では…野球以外のところに行こうと思ったけど…野球以外に取り柄もないから、結局野球部に来たんだ。信介とも距離を置きたいから、高校も別にして…」

流星「なるほどな…端的に言えば、天才の弟とそうじゃない兄といったところか…」

良一「そんなものだよ…ここでやってわかったんだ…僕は信介に勝てないって…」

流星「うーん…そうかもな…」

良一「え?」

 

俺がつい呟いた発言に、良一は少し驚きながらも、どこかわかっていた様子を見せていた。

それを見た俺は、はぁとため息を吐いて、おもむろに立ち上がって話した。

 

流星「…実は今日、赤堂高校の試合見に行ったのよ…」

良一「え?」

流星「確かに、信介はすごかった。4打数4安打の大活躍だ」

良一「…だよね…僕なんかより…」

流星「でも…俺はお前の方がいいと思ってる」

良一「…」

流星「まだ不器用だからこそ…伸びると思ってる。だから…俺と一緒に戦って、伸びようぜ」

良一「…流星くん…ありがとう」

 

俺はそう言って、良一との特訓に付き合った。

が、その特訓は思わぬ客で止められた…

 

こころ「…ヤッホー!」

はぐみ「流星くん、こんばんは!」

流星「うげっ!」

 

…まさかのこころとはぐみの登場に、俺は思わず声を上げてしまった。

 

良一「え、ええっと…この人たちは?流星くん…」

流星「あー…弦巻こころと北沢はぐみって言ってな…一応知り合い」

良一「弦巻…?弦巻って…あの!?」

 

良一も弦巻家の話は知っているようだった。

 

こころ「流星くん、後ろの子は?」

流星「あー…杉浦良一っていうやつで…」

良一「ちょっ!流星くん!やめてよ!」

はぐみ「へぇ!よろしくね!良一くん!」

良一「あ、う、うん…」

 

そして、こころは良一が笑っていないことに気がつき…

 

こころ「あれ?笑顔になってないわね?何かあったの?」

 

と、声をかけた。

 

良一「え!?」

はぐみ「ホントだ!ねぇねぇ!今練習してるでしょ?はぐみ、ソフトボールのチームに入っているから、一緒にやろうよ!」

こころ「いいわね!私もやるわ!」

良一「え…えぇ〜!?流星くん!助けて!」

流星「…良一…ご愁傷様…」

 

俺はその様子をただ見るしかなかった…

まぁ、そのあとこころとはぐみと共に練習をしていた良一はいつのまにか笑顔になって練習していたから良かったけどね。

なお、こころとはぐみがなぜ河川敷に来ていたのかと言うと…2人で何か面白いことをやろうと飛び出してきたらしい…

 

 




いかがでしたでしょうか?
最後の最後でハロハピの2人出てきましたけど…これは強引に引っ張ってきた感じですw
僕の中では、ハロハピはハロハピで良一との出会いを別で書こうと思ったのですが、ネタとなるガルパのイベストーリーにいいものがないため、ここに突っ込みました…
なぜこの2人出てきた!?なんて思ってたら申し訳ございません…m(_ _)m
今回は超突貫工事でやりましたので、中身が伴わないかもしれませんが、よろしくおねがいします。(多分、今後もそんな感じであろうと…)
では、次回お会いしましょう!


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野球編第5話〜最初の練習試合!〜

どうも、VOSEです。
かなり久々の野球編でございます。
この話はまだ1期の頃の流星でございますので、話し方がおかしくなっているかもしれませんが、細かいところは気にせずに読んでいただけるとありがたいです。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

健介「練習試合?」

康介「そうですよ、山本先輩」

 

部室で着替えをしていた野球部メンバーが、辻上先輩の一言に少し驚いた。

 

健介「珍しいな。この時期に練習試合なんてよ」

淳「んで、対戦相手は?」

康介「都立草脇高校です。過去に1回だけ甲子園に出場したことのある高校ですが、今はそれほどの実力はありませんね」

大樹「草脇かぁ…」

茂重「どうしました?桐生先輩」

大樹「いや、ここ最近メキメキと力をつけてきてるから、意外と侮れないなって」

 

その桐生先輩の発言に、俺は思わずうなづいてしまった。

 

尚之「…どうした?」

流星「いや…草脇高校が侮れないって話」

尚之「どういう事だ?」

流星「確か、草脇高校に新しく入ってきた俺らと同じ1年生のやつが意外といい選手らしくてな…確か、畠山って言ったっけな?」

 

その一言に反応したのは、意外にも一彦だった。

俺はそれを見逃さなかったが、ここで荒立てるほどでもないのでスルーした。

 

康介「とりあえず、草脇高校のメンバーとかの資料は後日見ることにしますので、今日は練習試合のアナウンスだけさせてもらいます」

健介「了解」

 

この日の練習は軽めの調整をする程度に落ち着いて終わったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後日、俺ら1年生組だけで草脇高校の過去の試合の様子を撮ったビデオを見ることにした。

 

真波「…この子ね。流星君が言ってた畠山って子」

 

まるで金髪のチャラい感じの男の子が、マウンド上で投げていた。

これが俺が言っていた畠山俊二。

 

亮一「んで、こいつの特徴は?」

真波「とにかく球が速いね…直球が143キロがマックスで、持ち球が高速スライダーと高速シュート、ちょこっとだけ変化する縦カットと、速球派の投手よ」

尚之「速球派ね…体力とかコントロールとかは?」

真波「体力は…ある方かもね。8回まで全力投球しているような感じがする…」

流星「…いや、こいつはそこまでねぇな」

真波「え?」

流星「1回に投げた球と6回に投げた球に球威の差が出ちまってる…ただ、辻上先輩との投げ合いで勝てるかどうか…」

 

と、俺がじっと悩んでいると…

 

康介「俺は今回は4イニングまでだ」

 

辻上先輩が練習を終えて入ってきた。

 

康介「今年の1年は活気あるなぁ。今から研究だなんて」

流星「僕から提案させていただきました。少しでも力になればいいと思いまして…」

康介「なるほどね。いい心構えだな」

 

辻上先輩はふっと笑ってみせた後、先ほどの言葉の真意を話してくれた。

 

康介「今回は1年にも機会を与えるようにしたいんだ。まぁ、そもそも俺があまりにも体力がないからというのもあるけれど、実戦に勝るものはないからね」

流星「それで、継投はどんな感じでやるんですか?」

康介「監督と話したが、先発は俺が投げ、次に山内、最後に坂口で行こうと思う」

雄介「お、俺が抑えですか!?」

康介「3点差以内となれば、そうなるだろう」

雄介「マジですか…」

 

そんな雄介の声は震えていた。

 

流星「なんだ?雄介、抑え出来ないのか?」

雄介「んまぁ…ちょっとね…昔1試合だけ抑えやったんだが、ボロボロに負けてね…」

流星「苦手としているのか…」

康介「なら、坂口を2番手に持ってくるように監督に言っておく。抑えの素質あると思ったんだけどなぁ…」

雄介「すみません…お願いします」

 

そして、ミーティングの続きは明日行うことで、この日は上がることにした。

俺はそのタイミングで一彦に声をかけた。

 

流星「…一彦、ちょっといいか?」

一彦「なんだ?流星」

流星「いや、ちょっと気になってだな…さっき、畠山の名前が出た時、なんか反応してたからさ…」

一彦「そうか?気のせいじゃないのか?」

流星「こんなとこで荒立てるようなもんじゃねぇから見逃してたけどさ…」

一彦「なら、勘違いだ。俺は大丈夫」

 

一彦はそう言ってその場を後にしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして、練習試合当日…

試合を行うグラウンド前で、俺らは集まっていた。

 

康介「今日はしっかり勝ちに行くぞ!」

『おぉー!』

 

辻上先輩の声で気合を入れた俺らは、ベンチに入って試合の準備をした。

そして、俺は試合前最後のトイレへ向かっていると…

 

???「…ったく…まだやってたのか、カズ!」

一彦「うるせぇ…やって何が悪い」

 

誰かと一彦が揉めている声が聞こえた。

俺はその声が聞こえる方へ行き、ちらっと見ると、一彦ともう1人、金髪の男子が言い争いをしていた。

…草脇高校の畠山俊二だ。

 

俊二「てめぇは俺に負けて、野球をやめたはずだろ!?そんな負け犬のてめぇがなんで野球のユニフォームを着ている!」

一彦「…諦めたくなかったんだよ…」

俊二「へっ、諦めたくねぇって、綺麗事かよ」

 

一方的に責められている一彦が心配になった俺は…

 

流星「…そこで何してんだ」

 

ふと、2人の間を割るように言った。

 

俊二「あぁ?テメェ何もんだ?」

一彦「…流星…」

流星「悪りぃな、そいつは俺のチームメイトだ。返してもらうぞ」

俊二「返すも何も、こいつは使いもんにならねぇからな!てか、こいつの仲間ってことは、お前も所詮負け犬だな!」

流星「…まぁ、言い返す言葉はないさ。今は確かに、負け犬かもしれんし。でも…お前には負ける気がしねぇ」

 

俺はそう言って、一彦のユニフォームの首部分を持って、連れて帰った。

 

一彦「…なんでお前が?」

流星「たまたまだ。見過ごせなかったからな」

一彦「お前には関係ない話だろ…」

流星「確かにな。でも、チームメイトを貶されてる所見てて、黙ってるわけには行かねえだろ」

 

俺はそう言って、一彦をベンチに戻した。

その後、試合前にオーダーの確認をした。

 

〜江戸川橋高校スタメン〜

1番・中・荻野裕也

2番・二・河内柳也

3番・三・八木淳

4番・捕・山本健介

5番・遊・須磨拓也…もとい須磨麻里弥

6番・右・島川茂重

7番・一・桐生大樹

8番・左・東俊彦

9番・投・辻上康介

 

…これが、今現段階でのベストメンバーである。

ベンチの選手は1年生以外ゼロ。これで9イニングを過ごさなければいけないのだから、よく予選大会で3回戦まで戦えたと思える…

 

康介「…今回は1年生は1年生でバッテリーを組んでもらうつもりでいるから、2番手の坂口、3番手の山内は秋山とバッテリーを組むことにする。頼んだぞ」

『はい!』

 

辻上先輩から言われた俺らは、今日の試合に気合を入れた。

特に、一彦とのバッテリーを組むときは気を付けないと…と思っていると…

 

一彦「…ちょいといいか?」

 

ちょうど一彦が俺に声をかけてきた。

 

流星「ん?どうした?」

一彦「さっきの話についてだ…」

 

俺はその一言を聞いて、少し心構えた。

ベンチでは話したくないということで、俺と一彦は校舎裏へと移動した。

 

流星「…というか、俺に話していいのか?さっき話したくないと言っていたのだが…」

一彦「関係ない話とは言ったが、別に話さなくてもいい話でもないし、見過ごせるわけにいかないといったお前になら、この話はしていいかと思っただけだ」

流星「…ならいいんだけどさ…んで、どういう話だ?」

一彦「…まぁ、俺の小さい頃の話だ…」

 

俺は一彦の昔の話を聞いた。

一彦は畠山と同じリトルチームのチームメイトで、当時畠山がエースで、一彦が畠山の次にすごい奴といわれていたという。

そんな関係が崩れたのはある試合で一彦がノーヒットノーランを達成させたからで、それ以降一彦がエースとはやし立てられるようになった。そして、それを畠山はプライドを傷つけられたとして、一彦を妬むようになったという。

 

一彦「…その因縁が今でも響いているというわけだ」

流星「なるほどな…」

一彦「正直、あまり話したくない話でもあったが…お前ならわかってくれるだろうと思って話したんだ…」

流星「まぁ、わかるよ…それなら、今日この際はっきりさせてみたらどうだ?一応3番手での登板予定もあるし…」

一彦「その予定だ…だから、頼むよ。流星…お前のリードで、白黒はっきりさせたい」

流星「別にいいが…後ろにそらすつもりはないが、ホームラン打たれたらごめんよ」

一彦「そういうのは気にしないさ」

 

そう言った一彦の顔は、どこかすっきりしていた。

俺らの初めての練習試合。果たして勝てるのだろうか…

 




いかがでしたでしょうか?
久々のオリジナルストーリーでしたので、こんな感じでいいのだろうか不安で不安で…
今後もちまちまと書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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世界大会・1年生編
世界大会・1年生編第1話〜いざ、出陣!〜


どうも、VVVFです。
かなり間が空いた上に、まだ新シリーズ書くのかと思っている人いるかもしれませんが…ご了承ください…
さて、今回は流星が世界大会の出場メンバーの一人として戦うと同時に、ポピパメンバーもそれに伴う動きを書いていきたいと思っています。
なお、今回の話では、以前コラボさせていただいた選手の3人が登場しますので、ご覧ください。
では、本編どうぞ!


…真夏の空がまだ残っている8月後半…

俺は都内のホテルに来ていた。そこには…

 

健太「よぉ、お前も選出されたのか」

流星「健太さん!大河さんに…俊哉さん!」

 

前に練習試合で戦った羽丘学園の寺原健太さん、坂本大河さん、中村俊哉さんがホテルのロビーに立っていた。

 

健太「江戸川橋は準決勝敗退で残念だったな…」

流星「すみません…約束守れなくて…」

健太「いいっていいって」

大河「約束は目の前にあるもの片付けてから守られるものだからな。仕方ないさ」

俊哉「次は秋の都大会だ。今度はそこで会えることを願うよ」

流星「はい!」

健太「さて…行こうか。他の()()達が待ってる」

 

俺と健太さん達は、案内された場所へと一緒に向かった。

そこで待ち構えていたのは、多くの記者陣の方々。

俺らが通るのを見ると、すぐにカメラのフラッシュを焚いた。

 

流星(うわぁ…緊張する…)

 

俺は少し緊張しながらホテルの用意された部屋に入ると、数人選手が座る席に座っている人が見えた。

俺と健太さん達の席はあらかじめ決められていたので、入り口入ってすぐで別れ、先に座っている人の隣に座った。

 

???「ん?君も1年?」

流星「あ、うん…俺は秋山流星。君は?」

???「僕は陣内一樹。よろしくね」

流星「よろしく。呼び捨てでいいよ」

一樹「僕も呼び捨てで構わないよ」

 

陣内一樹という名前の隣の人は、俺より若干身長が低めのまぁ、女装させれば多分女の子に間違われるほどの可愛さを持っていた。

 

流星「一樹はどこから?」

一樹「僕は名古屋の神宮大附属だよ」

流星「え…めちゃくちゃ名門じゃん…」

 

俺は思わず度肝を抜かれた。

神宮大附属は名古屋のみならず、東海地方の高校の中でも由緒ある野球部の名門中の名門の高校だ。

この高校から出たプロ野球選手は数知れないほど。

もちろん、名門だから野球部自体の規模も大きく、部員は100人越える。

その中から試合に出られるのは控えを含めて18人だから、競争が激しい。

 

流星「でも…試合出てたっけ?」

一樹「やだなぁ。出てたよ?ほら、第1試合の連続スチール」

流星「え?あれ、一樹なの?」

一樹「そうだよ〜」

 

それなら納得だ…

俺と一樹が今話したのは、甲子園大会本戦の1回戦にあった連続盗塁である。

神宮大附属は先攻9回表で1-0で負けており、2アウトまで追い込まれているというような状況であった。その状況を打破したのが、ボールで出塁した1塁ランナー。決死の二盗を成功させると、そのすぐあとに三盗を決め、バッターのシングルタイムリーで同点にするという奇跡的な場面があったのだ。

結局その試合は虚しくも神宮大附属のサヨナラ負けだったが、それでもあの時のインパクトはかなり大きかった。

その時の本人が今目の前にいるという…

 

一樹「流星はどこ?」

流星「あー…俺は多分わからんよ?江戸川橋高校」

一樹「あー…本当にごめん。わからない」

流星「気にしなくていいよ。一応予選準決勝まで駒を進めた程度だから」

一樹「準決勝まで行ったんだ。それなら納得」

 

ちなみに、一樹のポジションはセカンドと外野。

外野がメインでセカンドはおまけみたいな感じだという。

そうこうしているうちに、いろんな人が入ってきた。

中でも別格を誇っていたのは、今年の準優勝校、『大阪燈江(とうこう)高校』のキャプテンでエースの前嶋明成さん。

甲子園決勝での健太さんとの投手戦が圧巻で、惜しくも最終回のホームランで負けてしまったが、実力は健太さんと同等の選手だ。ただ、明成さんは3年生であるため、今後の成長とかを考えるとやはり健太さんの方が上かな?

もちろん、この人もドラフト候補の一人で、現在中日が目をつけているという感じだ。

しばらく経って、今回の出場選手20人が全て出揃った。

そして、すぐ後に中村さんが中に入ってきた。

 

中村「…監督の中村修二だ」

 

前に会った時とは違った、厳かな雰囲気が漂っていた。

 

中村「今回集まってもらったこの20名、俺が実際に試合を見に行ったり、ビデオを見たりして、今回の世界大会に必要だと思った選手、それが君たちである。3年生は最後のラストチャンス、2年生は今後行われるであろう国際大会や、自分自身の成長につながると思っている。1年生は、貴重な経験を積んで、2年生同様成長につなげていってほしいと思う。」

 

中村さんはそう言った後、僕ら選手の顔を一人一人見た。

 

中村「…俺は、この世界大会の監督に就任したからには、必ず優勝するつもりで戦う。みんなもその気持ちは必ず持っているだろう。だからこそ、日々の練習を忘れずに試合にぶつければ、必ず俺らは勝てると信じている。だから、共に戦ってほしい」

 

中村さんはそう言って、頭を深々と下げた。

その後、コーチ等の説明が入り、その日の決起集会は終わったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夕方、『CiRCLE』にて…

 

香澄「こんばんは!友希那さん!」

友希那「戸山さん、こんばんは」

彩「蘭ちゃん、こんばんは!」

蘭「こんばんは」

こころ「こんばんは!みんな!」

 

この日は合同ライブの打ち合わせに5バンド全員来ていた。

いつのまにか『CiRCLE』の看板バンドとなったポピパやRoseliaら5つのバンド…その5つのバンドで障害者支援慈善ライブをするという話で来ていた。

ただ、ある発言がきっかけで話が180度変わった。

 

あこ「そういえば…けんたくん今日会ってないなぁ…」

 

あこちゃんの言葉にいち早く反応したのは、香澄達ポピパメンバーだった。

 

沙綾「健太さん、学校来てないの?」

巴「なんか、用事で休むって聞いてたけど…」

香澄「そうなんだ…そういえば、流星くんも来てないなぁ…」

有咲「そういえばって…香澄毎回蔵来る時、流星のことばっかしか考えてないだろ?」

沙綾「そういう有咲もぼーっとしてたよ?その度に、流星くんの名前呟いていたし」

有咲「ばっ!それ言うなー!」

リサ「あはは、ポピパのみんな流星くん好きだねー。でも、本当に何してるんだろ…大河達…」

 

ポピパとRoseliaの変な空気は、ちょうどそこにいたAftergrowやパスパレ、ハロハピのみんなに伝播していった。

 

蘭「え?流星くん、香澄のとこに来てないの?」

香澄「そうなんだよぉ〜…」

彩「学園祭で知り合った友達から聞いた話だと、学校には来てるけど、野球部の練習には来てないらしいよ」

りみ「え!?そうなの!?」

イヴ「もしかして…秘密の特訓を!?」

有咲「それはない…と思うけど…」

巴「健太は一応来てはいるらしいけど…軽い調整で済ましているような…」

蘭「ちょっと、心配だね…」

こころ「大丈夫よ!きっと楽しいことをしているはずだわ!」

美咲・有咲・リサ(いや、そういうことじゃない…)

 

と、話が盛り上がっていたその時だ。

急にスタジオのドアが勢いよく開いたのだ。

そこにいたのは、先程買い物をしていたはぐみだった。

 

香澄「はぐはぐ?どうしたの?」

はぐみ「か、かーくん!大変だよ!これ見て!」

 

と、はぐみが見せてきたのは、『週刊ベースボール』という野球雑誌で、今号はちょうどU-18世界大会に出場する選手が特集に出されていた。

 

沙綾「あ、『週刊ベースボール』。どうしてそれを?」

はぐみ「たまたま面白そうだなーって見てて…そしたらね!ここ!」

沙綾「ええっと何々?…っ!?」

巴「どうした?沙綾」

沙綾「こ、これ見て…巴…」

巴「ん?…っ!?」

 

野球観戦が趣味の沙綾が雑誌を見て血色を変えたのを、巴が察知して同じように見て、巴もまた血色を変えた。

 

香澄「ちょっと、沙綾!私にも見せて!」

沙綾「ごめんごめん…でも、これ見たら驚くかもよ?」

麻弥「どういうことっすか?」

千聖「何かすごい事でも?」

 

そう言って、メンバー全員が雑誌を囲むように見ると…

その雑誌に載っていた、出場選手の中に、キャッチャー枠に俺と俊哉さんが、ピッチャー枠に健太さんが、内野手枠に大河さんが載っていたのだ。

 

香澄「え…これ、夢じゃないよね…」

イヴ「リュウセイさんが…サムライに?」

リサ「大河も…」

あこ「けんたくんも!?」

友希那「俊哉くんまでいるわ…」

 

全員驚きを隠せなかった。

香澄はすぐに携帯を取り出し、俺に電話をかけた。

俺はというと…

 

???「行くぞ」

流星「はい!」

 

今日の決起集会で出会った福岡の高校、『天神高校』のエース、蓑原光貴さんのピッチング練習に付き合うため、貸し出しのブルペンにいた。

蓑原さんは高校3年生で、ドラフト注目の選手の1人。

MAX153キロのストレートに、90キロ台のナックルという2つの大きな武器を使い、天神高校を甲子園大会準々決勝進出に導いた立役者。

ピンチでも眉ひとつ動かさないポーカーフェイスの持ち主で、感情を露わにすることはないが、協調性が誰よりもある人だ。

 

光貴「…うん、これでいいかな?ありがとな」

流星「いえ、俺が出来るのはこれくらいですから」

 

と、俺がふと自分の荷物を見ると、携帯が鳴っているのが聞こえた。

 

流星「…香澄?」

 

俺は携帯を開いて電話に出ると…

 

香澄「流星くん!質問なんだけど!」

有咲「流星!お前、いつ日本代表になったんだよ!」

あこ「けんたくんいる!?あこ、けんたくんと話したいんだけど!」

イヴ「リュウセイさん!サムライになったんですね!」

リサ「大河いる!?電話変わってほしいんだけど!」

 

…と、香澄だけじゃなく、いつものポピパメンバーやリサさん、あこちゃんなどの声が聞こえた。

思わず携帯を耳から遠ざけてしまうほど、みんなの声が響いていた。

と、まさかのちょうどいいタイミングで…

 

健太「蓑原さん。流星借りていいですか?」

 

健太さんと俊哉さん、なぜかブルペンに用がなさそうな大河さんまで来た。

 

光貴「俺は別に構わないが…流星くんは少々お取り込み中だ」

 

蓑原さんはそう言って俺の方に指を指した。

そのタイミングで俺は健太さん達の存在に気がついた。

 

健太「…流星、どうした?固まってんぞ?」

流星「あ、いや…その…今からスピーカーモードにしますんで…」

俊哉「どういうことだ?」

 

俺はおそるおそる携帯をスピーカーモードにさせると…

 

香澄「流星くん!話聞かせてよ!」

あこ「けんたくんいないの!?ねぇ!流星さん!」

リサ「大河いるでしょ!?話ぐらい聞かせてよ!」

 

と、怒涛の質問ラッシュが鳴り響いたのだ。

 

健太「うおっ!?」

俊哉「おいおい…これはやべえって…」

大河「Roselia大変だそうだから極力話すのやめようぜって言ったの誰だよ…」

 

と、健太さん達は思わず頭を抱え…

 

光貴「こ、これは一体…」

 

と、僕らの関係を知らない光貴さんはただたじろぐしかなかった。

 

あこ「あ!けんたくん!話したかったよぉ〜!」

リサ「大河もいた!」

健太「お、おう…あこ…Roselia大丈夫か?」

あこ「うん!…というより!けんたくん、日本代表になったの!?」

健太「あ、うん…そうだけど…俺以外にも、俊哉や大河、流星もいるぞ」

香澄「うん、知ってる!さっきはぐはぐが買ってきた雑誌に載ってたよ!」

流星「あー…『週刊ベースボール』か…」

 

その後、俺と健太達は興奮している香澄やあこちゃん達を落ち着かせた後…

 

健太「日本代表になったからには、必ず優勝してくるから、待ってろよ」

あこ「うん!頑張ってね!けんたくん!」

流星「香澄…お前はあまり変な事すんじゃねぇぞ」

香澄「わかってるってばぁ〜。だから、頑張ってね。流星くん」

 

と、それぞれエールをもらったところで電話を切った。

 

流星「…ったく…何してんだよ…香澄は…」

 

と、俺がふと振り返ると…何やら黒いオーラをまとった蓑原さんが迫ってきていたのだ。

ふと健太さん達を見ると…恐怖を感じている顔になっていた。

 

光貴「…おめぇら…彼女持ちだったのか…」

流星「い、いえ!違います!友達ですよ!?」

光貴「友達でも…女がそばにいるんだったらそれは彼女と一緒だろうがぁ!」

健太「ひいっ!!」

大河「これ、めちゃくちゃやべぇって!」

俊哉「流石に…この雰囲気は…」

流星「だ…誰かたすけてくれぇ!」

 

…その後、光貴さんにおそるおそる質問した結果、光貴さんは今まで彼女はおろか、女の子と一緒にいたことがないため、彼女持ちを羨ましがるが故にあぁなってしまったらしい…

なんとも意外な一面が見れたのであった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
まだ導入編なので、腑に落ちないところあるかとは思いますが、こちらもご了承ください…
さて、今回この作品を作るにあたって、選手の提供を許可してくださったテラケンさんには、ここで改めてお礼を申し上げます。
本当にありがとうございます。
今回登場した3人は、前にコラボさせていただいた『激突!江戸川橋高校VS羽丘学園』にて出ております。
原作の『白球に込める思い』はただいまリメイク中とのことなので、僕の作品を参考にしていただけたらと思います。
また、新たなコラボ小説も作成中なので、期待しない程度で期待してくださいw
では、次回お会いしましょう!

19/9/12 文章一部改訂しました。


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世界大会・1年生編第2話〜追加招集〜

どうも、VVVFです。
お待たせいたしました…
ようやっと形にできたので上げますわ…
なお、今回は3,000字で眠い中書いたので文言がおかしいと思いますが、そこのところをよろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…決起集会があった日の次の日…

俺はホテルから出て朝のランニングをしようとした時だ…

 

流星「…あれは…」

 

俺はとある人を見つけ、その人の元へと駆け寄った。

 

流星「…荒島さん!」

???「ん?」

 

宮城県の『気仙沼南高校』の荒島尚人さんだ。

今年の甲子園で宮城県代表として出場し、準決勝で『大阪燈江高校』と対戦して負けてしまった高校の4番を務めている。

すらりとした体格ながら、どこから出てくるのかわからないパワーと走力で、一躍有名になった選手だ。

先の『大阪燈江高校』との準決勝でも1点差というわずかな差ながら負けてしまったが、その点数のほとんどを尚人さんが取ったほどだ。

 

流星「荒島さん!今からどこへ?」

尚人「練習だ。それ以外に何がある」

流星「その練習についていってもいいですか?」

尚人「構わない」

 

あまり多くを語らない尚人さんの後を追って、俺は練習をすることにした。

そのウォーミングアップのキャッチボールの練習でのこと…

 

尚人「…そういや、流星は追加招集の話聞いたか?」

 

尚人さんが徐ろに話しかけてきたので、俺は思わず取ろうとしたボールを落とし損ねた。

 

流星「うわぁっ…ふうっ…追加招集ですか?聞いてないですよ?」

尚人「やはりな…実は今回1名が辞退したおかげで、追加招集された奴が昨日の決起集会に来る予定だったんだけど、色々手間取って今日来るらしい」

流星「そうなんですか」

尚人「まぁ、そういうことだけ頭に入れておけ」

 

そうやってキャッチボールをした俺と尚人さんは、その後も自主トレを行って調整をしていったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして全体集会…

 

中村「えー…今回、怪我による辞退で1名が追加で招集することになった」

 

尚人さんから聞かされていた俺含め、中村さんの一言でその場にいた全員がざわついた。

 

中村「では、早速だが出てきてもらおう」

 

そう中村さんの言葉で、ベンチから出てきたのは…

 

良太「天野良太です!愛理大愛知1年生です!よろしくお願いします!」

 

…まさかの幼馴染だった…

 

良太「…あ、いたいた!流星!久しぶり!」

 

良太の余計な一言で、みんなの注目は一気に俺の方に目が向けられてしまった…

そして、全体集会が終わった後…

 

流星「ばっ!お前、俺の名前大声で叫ぶんじゃねぇよ!」

良太「いいじゃねぇかよ」

 

良太は相変わらず笑顔で話した。

 

健太「流星と仲がいいのか?」

良太「あ、ええっと…あ!寺原健太さん!」

健太「はじめまして、天野良太くん。健太とよんでくれて構わないよ」

良太「僕も良太と呼んでくれても大丈夫です!ええっと…流星とは幼馴染なんですよ」

健太「そうなんだ。これからよろしく」

良太「はい!」

 

と、ここで俺は思わず気になったあの質問を聞いた。

 

流星「そういや…燐子さんと上手くいってる?」

 

俺がそう言ったのは、ついこのあいだ燐子さんと良太が形だけながらお付き合いをしていることを聞いたからである。

もちろん、良太は名古屋にいるため遠距離恋愛をしているが、2人がよくやっているゲームでペアを組んでいたりするほど仲の良さはいいと聞いている。

 

良太「あぁ、あこちゃんとも一緒にゲームやったりしてるけど、あこちゃんが都合が悪い時とかは俺と燐子でよく2人でクエスト進めてるよ」

健太「え?良太ってあこや燐子と仲いいの?」

良太「一度一緒にライブしたくらいですけど、ゲームの中では仲良くやってますよ」

健太「え…ええっと…?」

流星「後で俺がいいますので…」

 

その後、俺と良太でストレッチをし、全体でランニングをすることになった。

そこへきたのは…

 

一樹「流星!良太!」

 

俺らに追いついてきた一樹だ。

 

流星「よぉ。てか、一樹と良太って知り合い?」

良太「シニアの時に一緒でな。高校ではいいライバルだよ」

一樹「でも驚いたなぁ…流星と良太が知り合いだし、俺と良太も知り合いだし、俺と流星もここで仲良くなったし…」

流星「まぁ、俺と良太の場合は幼馴染でバンドもやってたし…」

一樹「あ!それ知ってる!良太からよく聞いてたよ!今思い出したよ」

良太「こうして3人で走ってると、不思議な感じするな」

流星「だね」

一樹「んじゃ、俺は先に行くよ」

良太「あ!待て!俺が先に行く!」

流星「テメェら子供かよ…」

 

と言ってる俺も、2人に負けじとペースを上げていった。

 

大河「あいつら元気だな〜」

俊哉「この後も練習あるのによ…」

健太「まぁ、いいんじゃないか?」

 

ほとんどの2.3年のメンバーは俺ら1年のレースを面白がりながら見ている一方、良太を見て嫉妬をしている人もいるとは、この時誰も気づかなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の夜…

 

流星「…ぐはぁ…今日も疲れたぁぁ…」

良太「お疲れ」

 

俺と良太は宿の大浴場でのんびりと湯船に浸かっていた。

今日の練習で久々に良太の球を受け、少し心が昂ぶってきた俺は、良太に頼んでオーバーワークをしてしまい、今に至っているわけである。

 

流星「いやぁ…すまねぇな」

良太「いいって。俺はお前のわがままにどれくらい付き合ったと思ってるんだ」

流星「なんも言えねぇや」

 

俺と良太でそんな会話を交わらせながら入っていると…

 

???「…良太」

 

どこからか声が聞こえた。

ふとその声の方を見ると、坊主頭の目つきの悪い男の人が仁王立ちしていた。

 

良太「あ、中林先輩じゃないですか」

 

良太が言ったその人は、愛理大愛知の3年生、中林明道である。

明道さんは、主に一塁を守っており、豪快なスイングが特徴の選手である。

 

明道「全く…なんでお前が来るんだ…」

 

明道さんはそう言って湯船の中に入った。

 

良太「と言いますと?」

明道「…この世界大会に、スーパースターなんて2人もいらん…」

良太「またその話っすか」

 

その話に関しては俺は全くわからなかったので、のちに良太に話を聞いた。

愛理大愛知の野球部は名門で、その中でも一番成績が良い選手が学校でも認められる『スーパースター』である。

かつては明道さんがその『スーパースター』にふさわしいという事で認められ、調子にのる性格と相まって野球以外は横暴な行為を繰り広げていたという。

そこへ釘を刺したのが良太で、練習試合負けなしの実績が買われて『スーパースター』の称号を手にした。

その結果が受け入れられない明道さんは良太が『スーパースター』になった後でも『スーパースター』を名乗っているという。

 

明道「そんな話とはなんだ!俺にとっては大事なものなんだ!」

良太「でもあんたは学校でやりたい放題やってるだろ…それでよく『スーパースター』名乗れますよね…」

明道「んだとこら!」

 

まさに一触即発だった状態のため、俺は慌てて止めに入った。

 

流星「まぁまぁ、ここはお風呂ですから、ゆっくり入ってのんびりしましょうよ」

明道「ふん!てめえなんぞがこの話に入って…」

流星「…うるさい…ですか?」

明道「…」

 

俺は少し声を低くして明道さんを抑えた。

その後は何も起きず、俺と良太は先にお風呂から上がった。

 

良太「…すまない、流星」

流星「いいっつうの。ああいうのは大嫌いだからさ」

良太「全く…わからねぇよ…ただの称号だっつうのに…」

流星「ただの称号でも効果あるもんだ」

良太「そういうものなのか…」

 

俺と良太はこうして再開を分かち合った一方、俺は選手間の軋轢を目の当たりにしたのだった。

 




いかがでしたでしょうか?
さて、次回は大学との対決話にしようと考えてますので、よろしくお願いします(´・ω・)
では次回、お会いしましょう!


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世界大会・1年生編第3話〜いざ、侍の初陣〜

どうも、VOSEです。
ようやく世界大会編を更新できるくらいまで完成させました…
中身は毎度のように変な感じであるかと思いますが、気楽に見ていただけるとありがたいです。
では、本編どうぞ!


…招集から2週間程度経った頃…

この日、俺らU-18日本代表は、極央大学との練習試合に臨んだ。

極央大学は大学野球の中では名門校で、大学リーグでは何度か優勝をしており、プロも輩出している。

その極央大学の球場がある場所へ移動しているバスの中で…

 

流星「極央大か…相手にとっては不足ないかもしれんが…」

 

俺が若干言葉を濁してそう言ったのは、この前の良太と中林さんとの軋轢を見ていたからである。

 

一樹「…流星!どうした?そんな顔して」

 

隣の席の一樹が俺の顔を見て話してきた。

 

流星「あぁ、一樹か…いや、ちょいとね…」

 

俺はふと、この前のことをポロっと話すと…

 

一樹「…そんなことあったんだ…」

 

一樹は若干引きながら聞いてくれてた。

 

流星「まぁ、俺の先輩にも似たような人いるからなんとも言えないけどね…」

一樹「でも、このチーム内でそんなこと起きてて大丈夫かな?」

流星「さぁね…とりあえず、今はこの試合に集中するとしよう」

 

俺はそう言って、外の景色を見た…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…極央大学の球場に着いた俺らは、控室に行き、そこで早速今日のスタメンを発表された。

1番はやはり、『羽丘高校』のショートの坂本大河さん。

2番は岩手にある『花添西高校』のライトを守ってる大道昇さん。

足が速く、色んな戦術を使える頼れるバッターだ。チームは甲子園大会本戦で初戦負けだったが、中村監督の目に留まり、今回招集されたという。

3番は西東京の『双璧高校』のサード、高成真さん。

双璧高校は西東京の強豪で、噂では、羽丘との練習試合が壮絶だったとも聞いたことがある。その中でも高成さんは長打力がありながらも、守備も上手いため、招集されたという。

4番は良太を目の敵にしている『愛理大愛知』のファースト、中林明道さん。

性格はアレだけど、素質は十分なスラッガー。今回はお試しということもあって、4番を任された。

5番は『気仙沼南高校』のセンター、荒島尚人さん。この人もスラッガーだからクリーンアップに抜擢された。

6番は『神宮大付属』のセカンド、陣内一樹くん。走りと守備が上手いバッターで、スタメン唯一の1年生だ。

7番は『羽丘高校』のキャッチャー、中村俊哉さん。

8番は『天神高校』のレフト、新藤雷人さん。

スライディングキャッチとホームランキャッチが真骨頂の守備職人。本職はセンターだが、今回はレフトを守ることになってる。

9番は『大櫛山高校』の川島聖さん

本職はセカンドだが、今回は一樹君がセカンドに入っているため、DHとしてスタメンに入った。

足が速く、いろんな小技がつかえるので、9番に入って、1番打者と同じような働きを期待している。

そして…

 

中村「…ピッチャー、寺原健太!」

健太「はい!」

 

健太さんが今回の先発に任された。

 

流星「健太さん、頑張ってください!」

健太「おうよ!」

 

健太さんはいつものように笑顔で答えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…この日は幸いにも土曜日である。

甲子園で活躍したルーキー達を一目見ようと、多くの観客達がぞろぞろと集まってきていた。

その中にはもちろん…

 

香澄「流星くん、今日出るかなー?」

有咲「うーん…どうだろうな…」

 

ポピパメンバーがこぞって遊びに来ていた。

それだけでなく…

 

あこ「けんたくん、先発なのかな?」

巴「当たり前だろ?甲子園の優勝投手なんだからさ!」

イヴ「早くサムライ達の活躍見たいです!」

 

あこちゃん、巴、イヴが観に来てくれた。

また、沙綾の家族も駆けつけてくれたのだ。

 

香澄「…あ!流星くんだ!おーい!」

たえ「おーい!」

有咲「ばっ!静かにしろ!香澄!おたえ!」

沙綾「…あれ?今ベンチってことは…今日はスタメンじゃないのかな?」

りみ「ええっ!?そうなの!?」

沙綾「まぁ、先輩の俊哉さんがいるからね…今回は仕方ないかな?」

 

その後、今回の練習試合のスタメンが発表されると…

 

あこ「あ!けんたくんが出てるよ!」

巴「本当だ!さすが、エースだな!」

あこ「大河さんもいるし…リサ姉達も呼んだ方が良かったかな…」

巴「今回は仕方ないさ。そっちは練習だって聞いてるしな」

イヴ「パスパレも、彩さん達はお仕事なんです。そのかわり、私が彩さん達の分まで応援します!」

香澄「そういえば…流星くんは?」

沙綾「今日はスタメンから外されてるね…仕方ないかな?」

有咲「そりゃ、流星より上の先輩達もいるからな…」

イヴ「でも大丈夫です!流星くんは必ず出ます!」

りみ「うん!絶対出るよ!」

 

香澄達は期待を込めて、今日の試合の様子を見るのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合開始直前…

 

昇「…さてと、そろそろ試合開始だ」

 

今日2番でスタメンの大道さんが、円陣を組んでくれた。

甲子園大会で『花添西高校』は大道さんを中心に円陣を組んでいた。その時の再現といった感じだ。

 

昇「練習試合だからといって、大学生だからといって、俺らはこんなとこで負けるわけにはいかない!いいな!」

『オーッ!』

昇「それじゃ行くぞ!ソイヤーッ!」

『ソイヤーッ!』

 

こうして、U-18日本代表の初陣が幕を開けた。

 

中村「…寺原、今回は練習試合だから3イニングまでだ。色々試してみたいからな」

健太「わかりました」

 

健太さんはそう言って、マウンドへと向かった。

 

流星(今日は調子良さそうだな、健太さん)

 

そんな俺の予想はズバリと当たり、この3イニングは9者凡退でパーフェクトに進めていった。

三振数は5つ、全て直球での三振で、さすが甲子園優勝投手と言わんばかりの投球だった。

一方の俺は、ブルペンキャッチャーとして試合の様子を後ろで見ながら、次に投げるピッチャーの練習に付き合っていた。

 

蓑島「…おし、これでいいな」

流星「了解です!」

 

打線の方は、極央大のエース、田川浩二さんの前に、わずかヒット2本で抑えられていた。

 

蓑島「さすがドラフト1位候補…フォークがキレてやがる…」

 

田川さんの持ち味はストンと落ちる落差の大きいフォーク。

ストレートと同じ高さから落ちていくので、当てるのがやっとなのだ。

そして3回が終わり…

 

中村「ピッチャー交代!」

 

中村さんが審判にそう言って、交代させた。

 

あこ「けんたくん、お疲れ様ー!」

 

そんなあこちゃんの声に、健太さんは手を挙げて応えた。

続く蓑島さんは自慢のナックルが高めに浮いてそれを打たれ、ピンチを招いてしまうも、粘りの投球で2回をなんとか投げ切った。

 

流星「大丈夫ですか?」

蓑島「なんとかな…今日は調子悪かったわ」

 

蓑島さんは笑いながら言いつつも、しばらく反省点の洗い出しをノートに書き纏めていた。

5回までのこっちの打線は未だに沈黙の一途を辿っており、田川さんはここまで6奪三振と好調をキープしていた。

そして、三塁にも未だ到達していない。

ここで中村さんが、俺を呼んだ。

 

中村「…秋山、バットとヘルメットの用意をしておけ」

流星「わ、わかりました!」

 

その理由がすぐにわかった。

6回表…

7番の俊哉さんの打順で…

 

『バッターの変更をお知らせします。バッター、中村俊哉君にかわりまして、代打、秋山流星。バッター、秋山流星』

 

俺が代打で出場することになった。

これには香澄達も…

 

香澄「あ!流星くんだ!ファイトー!」

沙綾「頑張れー!」

 

と、応援に熱が入った。

 

流星(さてと…この回も田川さんが登板ってことは…ある程度足を使わないといけないってことだな…となると狙うは…)

 

俺はレフト方向にちらりと見て、バッターボックスで構えた。

 

流星(狙うはレフト方向へ長打…)

 

田川さんの第1球…インコース高めのストレートだった。

俺はそれを思いっきり引っ張った。

カキーン!

 

健太「っ!長打コースだ!」

俊哉「オッケー!ナイス!」

 

俺は快足を飛ばして2塁に進んだ。

 

流星「ふひぃ…ストレート重いって…」

 

田川さんはふと、俺の方を見て思わず微笑んだ。

まるで流石だと言うかのように。

俺は田川さんに少しお辞儀をして2塁ベース上で少しジャンプをしてリードを取った。

 

流星(田川さんの欠点は…おそらくクイックが遅いこと…ただ、キャッチャーの長谷川さんは強肩だからな…三盗は無理だから…新藤さん、ライトに大きいの、お願いします)

 

俺は次のバッターの新藤さんにサインを送り、新藤さんもそれにヘルメットのつばを持って答えた。

しかし…新藤さんはこの打席で空振り三振に喫してしまい、ここは動くことができなかった。

 

流星(今のは田川さんのキレのいいストレートに振らされた感じだな…こうなったら…)

 

俺は少し覚悟を決めた。

次は川島さんの打席。ここで一気に活路を見出す…

俺はサードの守備位置を確認した後、リードを気づかれないくらいに大きくとった。

その川島さんに対する1球目…

俺はそこで走った。

サードは塁から深めに離れて守っていたのと、幸いにも長谷川さんの送球がそれてしまったので、三盗は見事に成功した。

これでようやくチームとして初めて3塁に到達した。

 

香澄「流星君、すごーい!」

有咲「今のすごすぎないか!?」

あこ「流星さんかっこいい!」

巴「このまま1点取っちまえ!」

 

この三盗にベンチはもちろん、応援席も大盛り上がりだった。

一方の田川さんと長谷川さんはバツが悪そうな顔を見せた。

 

流星(とりあえず犠牲フライでも1点は確実に取れるポジションには行けたから…ここは頼みます)

 

俺は再び大きくリードを取ってピッチャーにプレッシャーを与えた。

このプレッシャーに感じ取ったのか、田川さんは牽制を2度ほど入れてきた。

そのあと普通のピッチングをして1ボール2ストライクに持ち込んできた。

そして、第4球目…

カキーン!

川島さんが打った球はライト方向へ高々と上がった。

深い位置に入ったので、タッチアップできる。

俺はライトがボールを取ったところでタッチアップした。

そして、悠々とセーフ。

これが両チーム通じて初めての得点になった。

 

健太「ナイスラン!流星」

俊哉「よく走った!」

一樹「流星君、すごいね!」

 

ベンチに帰るとみんなが先ほどのスチール含めて褒めてくれた。

その後は俺が俊哉さんの代わりにキャッチャーに入った。

6回には福井にある『聖修高校』のピッチャーで、落差の大きいドロップカーブが武器のサウスポー、新川洋治さんが、7・8回には福岡にある『みやま高校』のエース、シンカーが得意な山橋俊二さんがそれぞれ投げてくれた。

2人とも良い球を投げてくれたおかげで6回以降はパーフェクトに抑えていた。

そして、9回裏…

1-0という緊迫した状況で登板してきたのは…

 

良太「…懐かしいな、流星」

流星「そうだな」

 

…親友の良太だ。

中林さんは不機嫌そうに近寄ってきたが、ただ一言…

 

明道「…抑えろよ。馬鹿やろ」

 

と言い残してポジションに戻っていった。

 

良太「…あの人、なんだかんだ言って、良いところあるからさ」

流星「へぇ…」

 

俺は勘違いしていたことを少し悔やみながら、良太とサインの確認をしてポジションに入った。

 

流星(…そうそう、その変則フォーム…懐かしいな…)

 

ワインドアップから左手をそのまま高々と上げ、そこからサイドで投げる変則フォームに懐かしさを感じながら、ボールを受けた。

1人目のバッターにはインハイのボールを見逃して三振。

2人目のバッターには伝家の宝刀、スローカーブを振らせて三振。

そして、3人目のバッターにはチェンジアップを詰まらせてセカンドゴロにし、3アウトゲームセットとなった。

結局、俺が生還したあの1点が決勝点となり、試合は終わった。

 

流星「ふひぃ…終わった…」

健太「お疲れさん。まだまだこんなもんで弱ってちゃダメだぞ」

流星「わかってますって…でも緊張がまだ抜けなくて…」

一樹「慣れだよ、慣れ。これから慣れれば大丈夫だからさ」

流星「ありがとな…」

 

その後、俺らはホテルに戻った後初勝利を祝して軽い打ち上げをし、この後も勝って世界大会では万全を期す形で進むと、心に誓ったのだった…

なお、香澄やあこちゃん達がホテルのロビーに来て、俺や健太さん達に抱きついてきたのはまた別のお話…

 




いかがでしたでしょうか?
次がいつになるかわかりませんが、世界大会編はこの後もまだまだ続く予定なので期待…はそこまでせずに待っていただくとありがたいです。
今回はここまでにさせていただきます。
では、次回お会いしましょう!


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Roselia編
Roselia編~思い出の曲編・第1話~


どうも、VVVFです。
まさかの次回予告を無視して、こちらを投稿という形になってしまいましたが…とりあえずかけましたw
今回はゲーム内のイベントのお話を改造して書きました。
いつものような文でございますが…よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

流星「…ぐぁぁ…疲れた~…」

 

野球部で久々の鬼特訓が行われ、俺や尚之たちはへとへとの様子で校門を出ていた。

 

尚之「今日はたくさんしごかれたな…特にキャッチャーは股関節強化のためにしゃがみ歩きをグラウンド10往復だって?」

流星「休み入れながらやってたけれどよ…マジでヤバいって…」

雄介「健介先輩が珍しく弱音吐いてたもんね…」

 

と、3人で愚痴をこぼしていると…

 

友希那「…こんにちは」

 

校門を出たところで友希那さんと会った。

どうやら待ち伏せしていたらしい。

 

流星「友希那さん!?どうしてここに!?」

友希那「ちょっと相談したいことがあって…この後時間あるかしら」

流星「あ~…今日この後尚之たちと飯食いに行くんですよ…」

友希那「なら一緒についていくわ」

 

友希那さんの目は真剣そのものだった。

いつも俺に差し向けているような感じではなく、バンドの件に関しての目つきだ。

 

流星「…わかりました。一緒に行きましょう」

 

ということで、俺らは友希那さんと一緒に近くのラーメン屋で話を聞くことにした。

ちなみに、雄介と友希那さんは初対面であるため、軽く自己紹介をしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺らがラーメン屋に入り、ラーメンを注文した後、俺は友希那さんに相談内容を聞いた。

 

流星「…それで、聞きたいことというのは…」

友希那「これよ」

 

友希那さんが取り出したのは、ミュージックプレーヤーだ。

 

流星「…ん?どういうことですか?」

友希那「聞いてほしい曲があるの。その中に入ってるから聞いてくれるかしら」

流星「なるほど…いいですよ」

 

俺は尚之と一緒に出された曲を聞いてみた。

 

流星(…おいおい…いい曲じゃんか!心躍ろさせてくれるようなメロディ…純粋に気持ちいい!)

 

曲を聞き終えた俺は、ふと尚之の方を見た。

尚之も何かに満たされているような表情を見せていた。

 

友希那「…どうだったかしら」

流星「いや…めちゃくちゃよかったです」

尚之「本当にいい曲でした」

友希那「そう…それならよかったわ」

雄介「なんだよ、俺にも聞かせてくれよ」

流星「はいはい」

 

俺はミュージックプレーヤーを雄介に渡した後、友希那さんの話を聞くことにした。

 

流星「それで…なんでこれを?」

友希那「実は…これ、私のお父さんの歌なの…」

尚之「お父さんの!?すげぇ…」

友希那「たまたまカセットテープで見つけてね…今度のライブで、歌おうかと思ってたけど…歌える自信がなくて…」

流星「いやぁ…友希那さんだったら十分歌えるとは思うんですけど…」

友希那「そう言ってくれるだけでも嬉しいわ…でも…なんかいまいち…」

流星「…それで俺に助けを求めたって感じですか?」

友希那「あなたと一緒にこの曲を練習したら…少しでも自信がつけると思って…」

流星「うーん…こういうのはなぁ…まぁ、手伝いますけど、それで自信がつくかはわかりませんよ」

友希那「ありがとう…」

 

友希那さんはそう言って、少し安堵の表情を見せた。

ちなみに、この曲は明日Roseliaのみんなにも言うつもりらしい…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

俺は昨日の友希那さんから聞いた曲を聴いていた。

 

流星「…自信がない…か…」

 

その言葉に少し引っかかっていた俺は、あまり曲に集中できなかった。

そこへ…

 

雄介「よぉ、昨日の聞いてんのか?」

 

雄介が覗き込むように見てきた。

 

流星「あぁ…」

雄介「しかし意外だなぁ…友希那さんがあんなこと言うなんてね…」

 

雄介は前の合同ライブでRoseliaのファンになり、特に友希那さんに惚れてしまったらしい。

あと、俺が『LINE DRIVE』のボーカルであったことにも驚いたとか…

そんなことがあったので、昨日友希那さんが来た時は大発狂していた。

まぁ、これは公然の秘密ってことで…

 

流星「…昨日の友希那さん、自信がないってよりかは…この歌を歌えるレベルじゃないって思ってる感じなんだよなぁ…」

雄介「そうなのか?俺にはさっぱりわからんけど…」

流星「まぁ、俺の勘みたいなもんだ。気にする必要はねぇよ」

雄介「でも、お前の勘ってのはよく当たるんだよなぁ…なぁ、俺もちょっと連れて行ってくれねぇか?友希那さんのとこ」

流星「どうしてだ?」

雄介「お前の勘が当たってたらさ…俺にもなんとなく似たような境遇にあるからさ、多少アドバイスできるとこはあると思うんだよ」

流星「…そうだな。んじゃ、一緒に行くか」

 

俺はそう言って、ミュージックプレーヤーを閉じたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺と雄介がRoseliaの練習場所に来て、入ると、友希那さんが昨日俺らに聞かせてくれた曲を流していた。

俺と雄介は静かにその様子を見て待つことにした。

そして、曲が流れ終えると…

 

あこ「…ごい…すごい、すごい、すっごーい!かっこいい!超かっこいいです!」

 

…あこちゃんのいつもの興奮した様子が見えた。

 

紗夜「そうね…あれ?」

 

紗夜さんがすぐに俺らに気が付いた。

 

リサ「流星君!?それと…」

雄介「坂口雄介です。流星と同じ学校で、同じ野球部です」

リサ「そうなんだ。私は今井リサっていうんだ。よろしく~」

 

…と、雄介とRoseliaのみんなで自己紹介をした。

 

リサ「ところで…なんで流星君がここに?」

流星「実は…昨日友希那さんに相談されまして…」

リサ「相談?もしかして…さっきの曲についてなのかな?」

流星「そうです。それで、今日ここに来たんですけれど…」

 

と、俺が言いかけた時だった。

 

友希那「…みんな、ごめんなさい…今までのことはなしにするわ」

 

友希那さんが突然、そう言いだしたのだ。

 

流星「え!?」

友希那「…やっぱり、この曲は今のレベルに見合わない…」

あこ「え!?」

友希那「余計な時間を取らせてしまったわね…今の曲のことは忘れて、セットリストを考え直しましょう」

あこ「かっこいい曲だと思っていたのになぁ…」

友希那「流星君もごめんね…こんなことに付き合わせてしまって…」

流星「…」

 

俺は煮え切らない感じがした。

それは雄介も一緒だった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Roseliaの練習後、俺と雄介は友希那さんとリサさんと一緒にスタジオから出ていた。

 

友希那「…ごめんなさい…せっかく昨日相談してもらったのに…」

流星「俺はいいですよ」

雄介「俺も別に大丈夫ですよ」

流星「お前はあまりかかわってないだろ…」

リサ「まぁまぁ、これを機に仲良くやっていこうよ、雄介君」

雄介「はい!」

 

と、仲良く話しているところで…

 

あこ「友希那さーん!リサ姉ー!」

 

あこちゃんがやってきた。その後ろに燐子さんが追いかけるように来た。

 

リサ「ん?今の声って…」

友希那「あこ?いったいどうしたの?」

 

あこちゃんは息を切らしていた。

そして、息を整えると…

 

あこ「あ、あのっ!さっき聞かせてくれた曲…あこ、演奏したいです!」

友希那「え?」

 

友希那さんは素っ頓狂な声を出した。

俺も雄介も思わずぽかんとしていた。

 

あこ「あの曲、すっごくかっこいいって思ったんです!ライブで演奏したらすっごく盛り上がります!」

流星「まぁ、確かにそうかもしれんけどさ…」

燐子「はぁ…はぁ…あこちゃん、速い…!」

 

燐子ちゃんがようやく追いついた。

 

あこ「りんりん!りんりんもあの曲、演奏したいよね!」

燐子「う、うん…私もあの曲、演奏したいです…どなたの曲なのかわからないですけど…きっと…きっと、友希那さんの歌声にあう、素敵な曲だと思いました…!」

友希那「私の…歌声に?」

雄介「俺も思います!今の曲、友希那さんが歌ったら、かなりいい曲になると思います!」

 

あこちゃんも燐子さんも雄介も、友希那さんに先ほどの曲を歌ってほしいと願うように話した。

特に、燐子さんからは、初めて友希那さんの歌声を聞いた時と同じ衝撃だと言ってくれた。

ただ…

 

友希那「…私の歌声は…そんなに純粋なものではないわ」

 

友希那さんは消極的だった。

 

あこ・燐子「え!?」

リサ「友希那…それって…」

友希那「私は…今の私には…あの曲を歌う資格はない…」

 

友希那さんはそう言って、消極的な姿勢を崩さなかった。

友希那さんは、あこちゃんの熱意を受け取った後、考えるといって、そのまま帰っていった。

それを、リサさんと雄介が付いていき、俺はその場にとどまった。

 

あこ「…流星さん、付いていかないんですか?」

流星「今回はな…あいつの方が、いいと思ってな…」

 

俺は雄介に友希那さんを託すことにした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

リサ「…友希那…一体どうしたの?歌う資格がないなんて…」

 

リサさんが友希那さんに追いつくや否や、友希那さんにそう尋ねた。

 

友希那「リサ…」

 

友希那さんはリサの名前を言うと、友希那さんは静かに話した。

 

友希那「…あなたなら気づいているでしょう?あの曲が、私のお父さんのものだってこと…」

リサ「…ん。やっぱりそうだったんだね」

 

俺らやあこちゃん達に聞かせてくれたあの曲は、友希那さんのお父さんの曲だったのを、リサさんは知っていた。

 

リサ「まだ、お父さんが本当にやりたい音楽をやっていた頃の…」

友希那「えぇ、そうよ…あの頃のお父さんの、音楽への純粋な情熱…それを…今の私が歌っていいはずがない」

 

と、そこへ…

 

雄介「そんなことはねぇ!」

 

雄介が遅れてやってきた。

 

友希那「あなたは!?」

リサ「雄介君!?なんでこんなところに!?」

雄介「え!?流星いねぇのか!?あの野郎…」

 

雄介は俺がいないことにそこで初めて気が付いた。

 

友希那「それで…あなたは何でここに?」

雄介「あ、えぇっと…俺は、決して友希那さんに歌う資格がないなんて思っていません。俺は…友希那さんにあの曲を歌ってほしいと思っています」

リサ「雄介君…」

 

友希那さんとリサさんは、雄介のまっすぐな目を見て、思わず息をのんだ。

 

雄介「…てか、俺何言ってるんだぁ~!あこがれの人の前で何言ってるんだぁ~!」

 

雄介はそう言うと、頭を抱えて、しゃがみこんだ。

 

友希那「あの…大丈夫?雄介君…」

リサ「というか…ここに来ちゃっても大丈夫なの?家とかは…」

雄介「あ、俺一人暮らしなので大丈夫っす。それじゃ…」

 

雄介はそう言って帰ろうとすると…

 

リサ「待って!せっかくだから、友希那の家に泊まっていけば?」

 

リサさんが雄介にそう言ったのだ。

 

雄介「え!?」

友希那「ちょ、リサ、何言ってるの!?」

 

もちろん雄介と友希那さんはひどく驚いた。

 

リサ「ん~、なんとなくだけど…雄介君がなんか私よりいいアドバイスできそうと思ってね…」

雄介「いや、何言ってるんですか!?こじ付けですよね!?」

リサ「それとも、行きたくないの?」

雄介「そ、それは行きたいですけど…」

リサ「だったらいいじゃん!友希那も、見られたらダメなものはないよね」

友希那「そ、そうだけど…」

リサ「それじゃあ、けってーい!ほら!雄介君、行くよ!」

雄介「り、リサさん!?」

 

…雄介は半ば強引で、友希那の家に行くことになったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
最後は…まさかと思うところはあると思いますが、そのまさか…的中するかもしれませんw
あまり期待しないようにw
では、特に話すことがないので、次回、お会いしましょう!


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Roselia編~思い出の曲編・第2話~

どうも、VVVFです。
そういえばこの話の最後書いてなかったな…という思い出しから今日突貫工事で作り上げた、超コテコテの回となっておりますw
前回あげた回で一気に3人お気に入り減ったけど…あの後ちゃんと仲良くなりますんで大丈夫です。
今回は…少々無理矢理感半端ないかとは思いますけれども…温かい目で見ていただけたら幸いです。
では、本編どうぞ!


…雄介は今、かなり縮こまっていた。

 

雄介「…マジで緊張する…」

 

なぜなら…憧れになっていた友希那さんの家に入っているからだ。

 

雄介「…てか、なんで流星いねえんだよ!あいつ何帰ってんだよ!」

 

と1人、頭を抱えながら叫んでいた。

そこへ…

 

友希那「…うるさいわよ。隣まで聞こえてくるわ」

 

着替えを済ませた友希那さんが現れた。

 

雄介「あ…すみません…」

友希那「全く…リサも何考えているのやら…」

 

雄介は、先ほどリサさんの鶴の一声で友希那さんの家に上がらせてもらっただけでなく、泊まらせてもらうことになったのだ。

これには雄介と友希那さん、どちらも驚き、2人とも全否定したのだが、リサさんに言葉巧みに誘導されて、雄介は仕方なく泊まらせてもらうことになったのだ。

 

友希那「…それで、あなたはどうして私がこの曲を歌えると思ったのかしら」

 

友希那さんがそう言って、先ほど聞かせてくれた曲を流した。

 

雄介「あ、えぇっと…それは…」

 

雄介は友希那さんにわざわざ会いに来た理由を思い出し、話そうと思ったその時だ。

 

友希那父「友希那?少しいいかな?」

 

友希那さんのお父さんが中に入って来たのだ。

 

友希那父「ん?そこにいる子は?」

雄介「は、初めまして!坂口雄介と申します!」

友希那父「初めまして。友希那とはどうやって?」

雄介「えぇっとですね…話せば長くなるので、後でいいでしょうか…」

友希那父「そうだな」

 

友希那さんのお父さんはそう言って雄介に笑顔を見せた。

 

友希那「それより…なんでお父さんがここに?」

友希那父「部屋から懐かしい曲が聴こえて、ついな…もう10年以上前の曲じゃないか?」

友希那「私…この曲歌いたいと思ったの…でも…私には…」

友希那父「それなら歌えばいい。雄介君もそうだろう?」

雄介「は、はい!俺もそう思ってます!」

友希那父「ほら、そこの子も言っている。何をためらっているんだ?」

友希那「この曲から感じる音楽への純粋な情熱…それを私の歌声に乗せて歌える自信がなくて…」

友希那父「それならその思いを乗せて歌えばいい」

友希那「え?でも…」

 

友希那さんのお父さんの発言に、友希那さんはかなり戸惑ったが、雄介はその発言に納得していた。

それを見た友希那さんのお父さんが雄介に質問してきた。

 

友希那父「雄介君は納得しているようだね…何か同じようなことを過去に受けていたのかな?」

雄介「あ、いえ…俺、実は野球部でピッチャーをやっていて…プロ野球の試合を見て野球を始めたんですけど…一時期自分がピッチャーでいいのかって思えてきて…その時に父に…今の友希那さんのお父さんと同じようなこと言われました。やりたいと思ったらとことん、純粋に向き合ってやりなさいって…」

友希那「…雄介君…」

雄介「だから…同じ境遇に立っている友希那さんを放っておけなかったんです。自分も…悩んでいましたから」

 

雄介の言葉に、友希那さんは少し驚いた表情を見せていた。

 

友希那父「…だから、今ここにいるんだろ?友希那…今、この曲に対する…音楽に対する思いがそれなんだろう?だったら、それを歌えばいい。どんな思いを抱えたっていい。それをぶつけろ」

友希那「私が未熟でも?」

友希那父「完成されてなきゃ演奏できない音楽なんて存在しないさ。雄介君がいる野球だって、誰しもが完璧にできることなんてできない。でも、その時の最高のパフォーマンスで観客を沸かせることはできる。お前がそれほど技術や精神的な未完成さを思い悩んでいるとしても…その思いは純粋で、素晴らしいものだと思うぞ」

友希那「…!」

 

雄介はすべて友希那さんのお父さんに株を奪われた形になったが、雄介はそれでいいと思った。

 

雄介(親子水入らずの話だったな…俺は余計だし、帰るとするかな…)

 

なかなか変えるタイミングがつかめなかった雄介は、そっと部屋から出ようとした…が、

 

友希那父「今から帰るのかい?もう遅いだろうし、今日は家でゆっくりしていって」

 

…と、友希那さんのお父さんが雄介に察してそう言ったので、雄介は仕方なく残ることになった。

 

友希那父「長くしゃべってしまったな。それじゃあ行くよ。雄介君も、何かあったら何か言ってね」

雄介「あ、ありがとうございます…」

 

そして、友希那さんのお父さんが部屋から出た後、雄介は友希那さんに向かって…

 

雄介「…本当にすみません…急に押し掛けた上に…何も助けられなくて…」

 

と、友希那さんに謝った。

 

友希那「謝らなくてもいいわ…あなたの話もためになったわ」

雄介「…それで、この曲は?」

友希那「…明日、みんなには言うつもりだけど…歌ってみせるわ」

雄介「!…そうですか」

 

雄介はそう言って、思わず微笑んだ。

 

雄介「友希那さん…頑張ってください。僕はあまり役には立たなかったですけど…応援するくらいはできますんで…何か手伝ってほしいことがあれば教えてください」

友希那「ありがとう。あと、役には立っているわよ。さっきの話でね」

 

雄介と友希那さんは互いに見合って笑いあった。

その後、雄介と友希那さんは互いに友達になることを約束し、その日は寝ることになった。

ちなみに、雄介は友希那さんとは別の部屋で寝ることになったが、一つ屋根の下で夜を過ごしていることに緊張して眠れなかったのはまた別のお話…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

この日、野球部が休みであるため、雄介と友希那さんとリサさんで『Roselia』の練習場所へ向かった。

その練習場所に着くと、すでにあこちゃんと燐子さん、紗夜さんが集まっていた。

 

あこ「あ、友希那さんにリサ姉に雄介さん!おはようございます!」

友希那「突然呼び出してごめんなさい。今日は改めて、みんなに話しておきたいことがあるの」

 

友希那さんはそう言ってみんなに昨日聴かせた曲のことを言った。

 

友希那「先日、みんなに聴いてもらったあの曲だけど…あの曲、私の父の曲なの」

あこ「えぇ~っ!?」

燐子「友希那さんの…お父さん…?」

 

友希那さんの言葉に、あこちゃんと燐子さんはやはり驚きを隠せなかった。

 

友希那「あの曲を初めて聴いたとき、私はこの曲を歌いたいと思った…だけど…今の私に、あの曲を歌う資格があるのかわからなかった。少なくとも資格がある、と胸を張っては癒えないと思ったの…あの曲の持つ、音楽への純粋な情熱を今の私では歌いきれないと、そう思ったのよ」

 

友希那さんは神妙な面持ちで、今までの経緯を話し、あこちゃん、燐子さん、紗夜さんは昨日の友希那さんの行動に納得した。

 

友希那「だけど、あの曲と向き合いたいという気持ちは本物だと…それも音楽への情熱なんだと…それに気づかせてくれた人がいた」

 

友希那さんはそう言って、雄介の方を見た。

その時、友希那さんがほんの少し、雄介に対して微笑んだ。

そして、友希那さんは、友希那さんのお父さんが作った曲にもう一度命を吹き込みたいと言い、それにみんなが賛同して、『あの曲』をやることになったのだった。

 

友希那「あ、あと、ここにいる雄介君に、何か手伝ってほしいことあったら言っておいて」

雄介「それ、俺のセリフじゃないんすか!?」

 

雄介は渾身のツッコミをして、その場を明るくさせた。

まぁ、その後の雄介は見事にこき使われて、いい感じのトレーニングになったって言ってたかな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜…

 

流星「…もしもし、友希那さん?どうしました?

 

突然友希那さんから電話がかかってきて、俺は思わず携帯を落としそうになりながら電話に出た。

 

友希那「もしもし、ごめんなさい。急に電話かけてしまって…」

流星「いえいえ、こっちは大丈夫ですよ。それよりどうしました?」

友希那「ちょっとお礼を言おうと思って…」

流星「なんで俺にお礼なんて…俺は何もしてませんよ?」

友希那「でも、雄介君を私のもとに送ったの、流星君でしょ?本当にありがとう」

流星「いやいや…お礼は雄介にしてくださいって…」

友希那「もうしてるから大丈夫よ。それより…」

流星「ん?」

 

急に友希那さんの声の様子が変わり、俺は耳を傾けた。

 

友希那「…今回のことで…雄介君のこと…ちょっと気になって…それで…」

 

友希那さんのその一言に、俺は思わずふっと笑った。

 

流星「…俺のことはいいっすよ。俺はただの手伝いですから。雄介に来てもらったって別にかまわないですし」

友希那「本当に?」

流星「俺はああだのこうだの言いませんから。雄介が気に入ったのならばそれでいいですし、あいつも大喜びするでしょうから」

友希那「わかったわ…ありがとうね、流星君」

 

と、その日の会話はそれで終わった。

友希那さんの声がいつも取り喜んでいたので、俺はうれしかった。

やはり、今日も夜空がきれいに輝いていた。

ちなみに、この次の日、雄介に友希那さんからのご指名があったことを伝えると、大喜びしすぎて、4階から大ジャンプしそうになったことは公然の秘密である…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
最後の着地点は…限界点ですので、悪しからず…
話変わりまして…
前回の前書き後書きに書いてあったパリーグコラボ…あれ、行きます。絶対行きます。
大学のバンドリーマー仲間と行きたいとは思っているけれど…行きたい…メットライフ絶対行きたい。
誰か参戦するしませんかね〜…という超自己中活動報告でございました。
とまぁ、今回はこんな感じで終わりにします。
では、次回お会いしましょう!


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Roselia編〜取り戻すべきは…・第一話〜

どうも、VOSEです。
はい、今回はRoseliaのゲーム内ストーリー第2章での話になります。
ネタバレ要素含まれているので、それでも構わないという人はごゆっくりお読みください。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

雄介は友希那さん達Roseliaの練習に来ていた。

雄介はこの時、大会で自分のせいで負けてしまって悔しい思いから、自分に足りないものを補うために変化球とフォームの研究を、音楽の勉強と同時並行で進めていた。

そのため、Roseliaの練習の休憩の合間には変化球やフォームのチェックを行い、練習時には友希那さん達Roseliaのメンバーにアドバイスを送りながら過ごしていた。

この日もいつもと同じように友希那さん達にアドバイスを送りながら過ごしていた。

 

紗夜「…そろそろ時間ですね」

友希那「えぇ、今日はこのくらいにしましょう」

 

雄介から見ても程よい練習で終わったRoseliaのメンバーは各々機材を片付けながらこの後の事を話していた。

 

リサ「今日はちょっと早めに終わったし、外のカフェに行かない?」

あこ「いいですね!あこ、行きたいです!」

リサ「雄介くんは?」

雄介「俺もお供させていただきますよ」

 

雄介はリサさんからのお誘いに笑顔で答えた。

Roseliaと雄介は機材を片付けたあと、CiRCLEの外のカフェでゆっくりスイーツでも食べながら話をしていた。

 

リサ「そういや、雄介くんは1週間後試合だったっけ?」

雄介「はい。そのために今調整中っていうところで…」

紗夜「それだったらわざわざ私たちに構わずに休んでもらっても…」

雄介「俺だってRoseliaの1人としているんですから!出られるときには出ますよ!」

友希那「そうね。雄介は意外と的確にアドバイスしてくれるから助かるわ」

あこ「うん!雄介さんのアドバイスがなかったら、またパート間違えそうになってましたから…」

燐子「私も…間違えそうになってたパートが、雄介くんのおかげでスムーズに出来ました」

雄介「そう言ってくれると嬉しいです!」

紗夜「でも、そろそろ試合も近いですから、これから1週間はお休みにしてください」

雄介「わかりました。すみません…皆さん…」

友希那「気にしないわ。雄介も頑張って」

 

雄介は友希那さん達に背中を押されながら、1週間自分磨きを行って試合に臨むことになった。

さらにこの後、友希那さん達Roseliaのメンバーの元へ、思いがけないオファーがやってきたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合当日…

この日の先発の雄介は5回まで4安打無失点と好投を続けていた。

 

雄介「ふぅ…」

流星「どうした?雄介、今日調子いいじゃねぇか」

雄介「あぁ、流星。今日Roseliaがライブだから、ちょっと気合入れててさ…」

流星「ライブ?」

雄介「何も、SWEET MUSIC SHOWER…通称SMSってのに出ることになってさ…」

流星「あー、聞いたことある。一応大きなイベントだったっけな」

雄介「まぁ、友希那さん達は前座枠だから期待はされてるかわからないけど、友希那さん達ならやってくれるよ!」

流星「目輝いてるなぁ…ほい、俺らの守備だぞ」

雄介「あ、マジ?んじゃ行きますか」

 

と、意気揚々と雄介はマウンドへ上がったのだが…対戦バッターに対する初球だった…

カキーン!

ピッチャー強襲のライナーが飛んできたのだ。

 

雄介「っ!?」

 

雄介は咄嗟に左手を出してしまい、これが大きな誤算となった。

球は雄介の左手を見事に直撃し、雄介はその場でうずくまってしまった。

その間にセカンドがボールを取ってなんとか2塁への進塁は阻止したものの、雄介がずっと悶えていた。

 

流星「雄介!?大丈夫か!?」

雄介「くっ…これは…ヤバイ…」

 

今のプレーで突き指をしてしまった雄介はあえなく降板。その後緊急登板の辻上先輩の好リリーフでなんとか凌ぎ切った俺ら江戸川橋高校は、その試合はなんとか勝利で終わらせた。

その後、雄介の突き指は脱臼ということが判明し、1ヶ月から2ヶ月は戦列から離れることになってしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後、雄介はSMS後のRoseliaの元へ来た。

雄介は心配させまいと、突き指を隠しながらアドバイスを送った。

途中不自然がられる事はあったが、なんとか凌いでいた。

そして何より、雄介は…友希那さんの様子がおかしいことに今気がついた。

 

雄介「…友希那さん、大丈夫ですか?」

友希那「え、えぇ…大丈夫よ」

 

雄介は友希那さんだけでなく、Roselia全体で何か思い悩んでいる事を察した。これが突き指を隠している大きな理由だった。

そして、いつものように練習が終わり、雄介はリサさんにSMSで何があったのか聞いた。

 

雄介「…リサさん、SMSどうでした?」

リサ「雄介…うん、最悪だったよ…お客さんいなくなるし…なんか、ダメだった」

雄介「そんな…」

リサ「やっぱり技術足らなかったのかな…」

雄介「そんなことないですよ!技術はあると思います!それでも足らなかったらもっと練習すれば良いですし!」

紗夜「そうね…技術はやっぱり練習で身に付けなければ…」

リサ「そうだよね…とりあえず、雄介もクッキー食べる?」

雄介「あ、いいんですか?ありがとうございます」

 

雄介は左手をずっとポケットに入れながら、右手でクッキーを食べた。

 

紗夜「とりあえず、練習するようでしたら、時間を延長しますが…湊さんはどうしますか?」

友希那「…私は今日は上がるわ。そして、リサ」

 

友希那さんはいつになく真剣な眼差しで、リサを見つめた。

 

リサ「ん?何?友希那」

 

その後の友希那さんの言葉に、その場にいた全員が耳を疑った。

 

友希那「…もう、クッキーは持ってこなくていいから。それじゃ」

 

友希那さんはそう言って、部屋から出て行った。

 

リサ「あ、あはは…私、空気読むべきだったかな…」

雄介「そんな事はないとは思うんですけどね…友希那さん…」

 

その時感じた、友希那さんのわずかな違和感に、雄介は気にとめることはなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その次の週のこと…

 

友希那「…ストップ!今テンポが崩れたわ」

 

友希那さんはいつもとは違った、張り詰めた雰囲気を醸し出しながら練習していた。

雄介はその異様な雰囲気に言葉を失った。

 

友希那「あこ、今のところ、前と同じように崩れているわ。直してくるに言ったはずよ」

あこ「す、すみません…」

雄介「まぁまぁ、今のは難しいところだからね。ここはね…ちょっとむずいかもだけど、こうやってみたらどうだ?」

 

友希那さんの冷たい言葉に、雄介はすかさずフォローに入ったが、場の雰囲気は冷たいままだった。

 

友希那「雄介、あなたは優しすぎるのよ。もう少し緊張感を持ってもらわないと困るんだから」

雄介「確かに緊張感は持っていないとできないかもしれないですけど、ずっとだとかえって疲れますから」

友希那「一切の妥協は許されないの。ここにはその覚悟を持ってきてもらいたい。それができないのなら、雄介もここから出て行ってもらうわ」

雄介「…」

 

雄介は友希那さんの言葉を受けショックではあったが、ピッチャー特有のポーカーフェイスを見せ…

 

雄介「…わかりました。ここにいる間はそのつもりでアドバイスさせてもらいます」

 

と笑顔で答えた。

その後の練習は雄介がいたこともあって、多少はなごんでいたものの、終始冷たい雰囲気のまま練習を終えた。

雄介は友希那さんがスタジオを出ていったあと、あこちゃんやリサさんたちを繕った。

 

雄介「お疲れ様…その、今日は大変だったね」

あこ「うん…友希那さん、どうしちゃったんだろう…」

リサ「なんか、昔の友希那に戻ってしまったような…」

燐子「そう…ですね…」

雄介「俺は途中参加なので昔の友希那さんのことわからないんですが…前はあんな感じでしたか?」

紗夜「そうね…確かに、あんな感じでしたかと…」

 

雄介は出ていった後のドアを、不安そうに見つめたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

 

友希那「…あこ、またテンポがずれているわ!」

 

この日も結局、Roseliaの練習は冷たい雰囲気のままで練習していた。

 

あこ「ご、ごめんなさい…」

雄介「ドンマイドンマイ!今のはしゃあねえから、まだまだ頑張って…」

 

雄介はあこちゃんを励まそうと、少し声を上げてフォローしたが…

 

友希那「雄介、言ったはずよ。一切の妥協は許されない。そんな心のない応援なんていらないわ」

雄介「…」

 

雄介はあこがれだった友希那さんに、まるで自分を否定されたようなことを言われ、心が締め付けられた。

それでもポーカーフェイスで何とかぐっとこらえ…

 

雄介「…わかりました、以後気を付けます」

 

と、苦しい笑顔で返事した。

しかし、この重苦しい空気に、ついに耐えかねてしまったのが…

 

友希那「それじゃ、もう一回同じところを…」

あこ「…何度やっても、できないと思います」

 

あこちゃんは決死の思いで、この状況に異議を唱えた。

 

友希那「あこ?」

あこ「何度練習しても…あこはできないと思います!SMSで失敗して、反省会もしないで、みんなわけもわからずに練習してるし…FUTURE WORLD FES.に近づいているか遠ざかっているかもわからないし!」

友希那「…今の状態だと遠のいているわね。それに、こんなところで音を上げているようじゃ、先が知れているわ」

 

その友希那さんの言葉に、その場にいた全員が凍り付いた。

 

友希那「そんな甘えた様子で、このバンドにいる資格はない」

あこ「っ!…こんなの…こんなの、Roseliaじゃない!」

 

あこちゃんはそう言うと、勢いよく外へ飛び出していった。

 

友希那「…それじゃ、4人で練習を再開しましょう」

 

友希那さんは無慈悲な言葉を言ったのだが、さらに…

 

燐子「どうして…あこちゃんにそんなこと言うんですか?」

 

燐子さんが、珍しく感情的になって、友希那さんに訴えた。

 

燐子「きっと…どれだけ練習したって…音なんか合いません!こんな演奏、誰だって聞いてくれません!だって…誰もみんなの音聞いていないから!」

 

燐子さんはそう言うと、あこちゃんを追うようにスタジオを飛び出していった。

 

リサ「どうしちゃったの?友希那…この間の練習からなんか変だよ?」

友希那「私は…Roseliaを取り戻したいだけよ。私たちの音を取り戻したい。それだけの事」

 

友希那さんのその言葉に、雄介は声を上げた。

 

雄介「…それじゃ、友希那さんは自分たちの音はどういうものなのか、わかってるんですか」

友希那「それはもちろん、ほかを寄せ付けない、圧倒的な音楽よ」

雄介「…そうですか…今までずっと…友希那さんのこと考えていってなかったのですが…」

リサ「雄介…?」

 

すると、雄介は右手でスタジオの壁をこれでもかというほど強く叩きつけた。

 

雄介「結局あんたは今まで何を見てきたんだ!俺は昔のことはわからねぇけど、今までRoseliaはRoseliaで頑張ってきたと思ってますよ…そんな、今まで頑張ってきたものをすべて捨てるつもりなのか!?みんなで努力してきたものは、結局無意味だったというのか!」

友希那「えぇ、そうよ!Roseliaに生半可に気持ちなんてない。そのおかげで、SMSで失敗したのよ!」

雄介「たった一度の失敗で、そこまでする必要なんてあるかよ!次につなげられることなんてできなかったのかよ!緊張感を持つ?馬鹿を言うな!こんな雰囲気で、観客を魅了ができると思うのかよ!」

友希那「っ…もう…来ないで…あなたはRoseliaどころか、音楽のセンスすらないのよ…そんな人に、このRoseliaにいる資格なんてない!」

 

雄介にはその言葉が一番響いた。

 

雄介「…見損ないました…結局、あなたにとってのRoseliaはそんなものだったんですね…」

 

雄介はそう言うと、静かにスタジオから出ていったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
実はこの話、ちょっとした辻褄合わせ用で作ったものでございますので、少々変なところあるかと思いますが、ご了承下さいませ…
後編は翌日あたりに出そうと思っていますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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Roselia編〜取り戻すべきは…・第二話〜

どうも、VOSEです。
はい、後編の回でございます。
毎度のようにぐだぐだ文ですが、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…数日後、雄介は駅前にいた。

突き指の状況を確認するために整骨院に来ていたからだった。

 

雄介「…結局、突き指の状況は変わらず、それどころか右手まで心配されるなんてな…」

 

実は友希那さんとのけんかの際に、雄介が右手を壁に強く叩いてしまったせいで、右手に大きな青あざができてしまい、結局右手も包帯を巻いて治す羽目になったのだ。

俺には友希那さんとのけんかでのけがだということ事で知っていたが、ここは雄介の問題であると思って特に追求しなかった。

 

雄介「…はぁ…どうしたもんか…」

 

と歩いていると、ふと、友希那さんが駅のコンコースで泣いているところを見つけた。

 

雄介「…友希那さん…」

 

雄介は友希那さんにばれないようにそっと近づいた。

それと同じタイミングで…

 

香澄「友希那…先輩?」

 

香澄が泣いている友希那さんを発見して声をかけてきた。

 

友希那「戸山さん…見苦しいところ見せてしまったわね…」

香澄「い、いえ!ええっと…友希那先輩!」

友希那「何かしら…」

香澄「あの…ライブに来てください!」

友希那「え?」

香澄「ご、ごめんなさい!でも…なんかこうズドーンと落ち込んでいるような感じがして…私たちのライブを見てキラキラドキドキしてくれたらいいなって!」

友希那「そうね…どうしようかしら…」

 

雄介は結局、この時時間を見て急がなければならなくなったため、その場から離れた。

あのけんかの後、むしゃくしゃしていた雄介は、一度友希那さんと会って話をしたいと思っていたので、そのライブに行こうと決めたのだが、これも結局、整骨院への通院でおじゃんとなってしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

雄介はジュース2本買って帰宅の途についていた。

なぜ2本かというと、この後録画してあるプロ野球の試合を見るからである。

 

雄介「…はぁ…どうやって友希那さんとはなそっか…」

 

と、トボトボ歩いていると…

 

雄介「…友希那さん?」

 

1人で、何か考えながら歩いている友希那さんを見かけたのだ。

雄介はそれを見て、駆け出すか駆け出さないか迷っていた。

 

雄介「…この時…流星だったら…」

 

雄介の答えはそう時間がかからなかった。

雄介は友希那さんに向かって走り出し…

 

雄介「友希那さーん!」

 

と、大声で呼んだ。

友希那さんは驚いた表情で雄介の方を振り向いた。

 

友希那「ゆ、雄介…」

雄介「たまたま見えたもので…あ、ジュースいりますか?」

 

友希那さんはバツが悪そうに顔をそむけたが、そむけた目線が雄介の左手を向いたのだ。

 

友希那「ゆ、雄介!?その左手…」

雄介「え!?あ、き、気にしないでください!ただの怪我ですから!」

友希那「…ちゃんと言って…」

雄介「いや、でも…」

友希那「…お願い…この包帯、なんなの?」

 

雄介は友希那さんの真剣なまなざしに、答えざるを得なかった。

 

雄介「…試合で突き指したんですよ。結果は脱臼、1ヶ月から2ヶ月の戦線離脱ですよ」

友希那「もしかして…ずっと左手を隠してたのって…」

雄介「余計な心配をかけたくなかったんです。こんなことで心配されたら練習どころじゃないですし…」

友希那「そう…そして右手は…?」

雄介「あの時ですよ、けんかしたとき…あの壁に強く打ち付けてしまって…結局台無しですよ」

 

雄介は笑顔で答えた。

 

雄介「ところで、友希那さんはここで何を…?」

友希那「戸山さんたちのライブを見終わったところよ」

雄介「あぁ…そうなんですね…お邪魔でしたか?」

友希那「いえ…逆にちょうどよかったわ…」

 

友希那さんはそう言うと、神妙な顔で、雄介に頭を倒した。

 

友希那「…ごめんなさい…」

雄介「友希那さん…?」

友希那「私…Roseliaがどうして変わってしまったのか…わからなかった…前のような音楽を…SMSで奏でられなくて…前みたいに戻ろうと…前と同じように厳しくして取り戻そうとした…でも…結局それじゃあ意味がないってわかった…紗夜にも、雄介と同じようなことを言われたわ…結局どうすればいいのかわからず…ずっと悩んでいたのよ…」

雄介「それで…何かわかったんですか?」

友希那「…戸山さんたちの演奏を聴いて…みんながどういう音楽を奏でているのか…そういうことを考えればいいということ…音を取り戻すには、誇りを取り戻すべきであること…今のところはそう言うところかしら…それこそ、雄介がどうしてRoseliaでちゃんとしたアドバイスが送れるのか…わかった気がするの…あなたは、Roseliaの誇りを尊重し、それでもみんなの音楽を聴いて、それに合わせた言葉を送っている…だから、あの時…紗夜と同じことが言えたのかもね…だから…本当にごめんなさい…」

 

友希那さんは再び顔を下げて、雄介に謝った。

その様子を見て、雄介はまた笑顔になった。

 

雄介「…友希那さんは一人で抱え込みすぎですよ」

友希那「…え?」

雄介「Roseliaは、あの5人そろってRoseliaです。あこちゃん、紗夜さん、リサさん、燐子さん、そして…友希那さん、あなたたち5人がいてRoseliaなんですよ。だから…もっと頼っていいんじゃないですか?」

友希那「っ…」

 

友希那さんはその言葉に、はっと気づくような表情を見せた。

 

雄介「…確かに俺は、音楽なんて興味はそれほどありませんでした。でも…あなたの音楽に魅了され、そして、あなた達Roseliaにスカウトされて…何も出来ないのは自分としても嫌いなので、ならばせめて、自分の中で出来る事をやって、その上でみんなの力になればいいかなと思ってやってます。あのように言われた事はショックでしたけど…友希那さんは友希那さんなりに悩みに悩んで、こうするしかないと考えたはずですから…俺は何も言いません。俺が出来る事は、こうやって面で話して寄り添う事ですから」

 

そんな雄介の言葉に、友希那さんは唇をぐっと噛みしめ、そして…

 

友希那「…ごめん…なさい…ありがとう…雄介…」

 

友希那さんは雄介に寄りかかるように抱きつき、思いっきり泣いた。

雄介はそんな友希那さんを、ただ優しく、包み込むように抱いた。

その後、雄介は友希那さんから…

 

友希那「…ちゃんと指を治してから、練習に戻ってきて。待ってるわ」

 

と言われ、雄介は左手の治療を専念することにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…3週間後…

 

「…いやはや、驚いた…もう治ってるじゃないか!」

 

雄介の治療にあたっていた整骨院のお医者さんが、目を丸くして雄介の左手のレントゲン写真を見ていた。

 

雄介「うそ!?」

「うそもなにも…うん、これなら十分投げることができる。ただ、まだ指がまだ動けないだろうから、リハビリが必要だな…それでもまぁ、甲子園大会の予選には間に合うだろう。これからも精進するように」

雄介「ありがとうございます!」

 

雄介は診てくれた医者にお礼を言った後、意気揚々と整骨院から出た。

そして、すぐに俺に電話をかけた。

 

流星「治ったのか!?」

雄介「あぁ!医者も驚いてたぞ!」

流星「お前、なんで急に…」

雄介「さぁな。でも、甲子園大会の予選には間に合うらしいから、それまではなんとか感覚を取り戻すことに専念するわ」

流星「そうだな。んじゃ、お前はしばらく別メニューで調整させることにするよ。それよりも…」

 

俺はふと、ある事に言及した。

 

流星「…友希那さん、大丈夫か?香澄からも聞いたけど、友希那さん泣いてたくらい思い詰めてたらしいけどさ…」

雄介「あぁ、それなら大丈夫」

 

雄介はいつもの明るい調子で返事した。

 

雄介「友希那さんはこの前のSMSでのライブで失敗しててね…それでどうすれば思い悩んだ結果、前みたいに厳しくやったらしいけどな…俺然り、他のメンバーからは不評でさ…結局、どうすればいいのかわからなかったってことよ」

流星「なるほどな…んじゃ、俺が出た方がいいか?」

雄介「いらねぇよ。俺は友希那さんにその事を聞いて、俺の思いも吐かせてもらったよ。紗夜さんも、同じような事を言ってたみたいだけどね」

流星「なら良かった…それだったら、今からスタジオ行けば?」

雄介「そうするつもりだ。とりあえず俺も迷惑かけたしな」

流星「了解。いってら」

 

俺との電話を終えた雄介は、その足でRoseliaがいるスタジオへと向かった。

途中差し入れ用のドリンクも買って、スタジオのエントランスに入ると…

 

あこ「…あ、雄介さん!」

 

あこちゃんがエントランスで飲み物を買っている所に出くわした。

 

雄介「ありゃ、買っちゃったのか…差し入れ持ってきたのになぁ」

あこ「だって、来るなんて思わなかったし!というか、指怪我したんですよね!?大丈夫ですか!?」

 

俺が指を怪我した事は、友希那さんからRoseliaのメンバーに伝えられていた。

なので、あこちゃんは雄介が来て、怪我の心配をしてくれたのだ。

 

雄介「大丈夫大丈夫。もう治ったってさ」

あこ「えぇ!?でも、1ヶ月から2ヶ月かかるって…」

雄介「なんでかは知らんが、早く治ったらしい。んで、とりあえずその報告をしに来たって感じだ」

あこ「そ、それじゃみんなに…」

雄介「あぁ、いいよ、言わなくても。そろそろ時間だろ?練習の邪魔は出来ないから、これだけでも」

あこ「でも!友希那さんもリサ姉も紗夜さんもりんりんも…みんな会いたがってますよ!」

雄介「そう言ってくれるとありがたいけどね…止まらないだろ?Roseliaはさ?」

 

雄介はそう言って笑顔で言うと、持っていたレジ袋を置き、左手を思わず見た。

 

雄介「…たかが、こんなところで話すようなことじゃないけれどさ…俺は、中学から野球を始めてさ…周りは小学校からずっとやってきたような奴らとやってきてさ…最初は、よそ者が入ってきて周りとの連携とも取れずに、ずっと独りで戦っててさ…でもどうしようもなくて。だから努力するしかなかった。それで実力を認めてもらうしかなかった。そう思ってたけどな…ある時、俺が気持ちを全面にして投げきったら、仲間がそれに応えるように打ってくれた。打った後、俺の方を見て、親指立ててね…みんな、俺の事信じてくれていたんだ。それを俺は見ていなかっただけなんだって…それからは、俺はみんなの期待を背負うために練習に励んだんだ。その時思ったもん。止まれないって。みんなのために、無駄にはしたくないってな」

あこ「雄介さん…」

雄介「…またいつかは戻るよ。まぁ、指が治ったタイミングでだけどね。そんな長くかからないし、すぐに帰ってくるよ」

あこ「はい!あこ、待ってます!雄介さんも、友希那さんのために帰ってきてくださいね!」

雄介「なんか、意味深だな…今の言葉…」

 

雄介はそう言うと、手を上げて家へ帰った。

 

あこ「…さてと、これ友希那さん達を持っていかなきゃ」

 

と、あこちゃんが雄介の差し入れを持って行こうとしたその時だ。

 

リサ「おおっと!あこ、それ1人だと重いでしょ?」

 

リサさんが突然、あこちゃんに駆け寄ってきたのだ。

 

あこ「リサ姉!?」

リサ「私だけじゃないよ?」

 

リサさんがそう言うと、リサさんが飛び出てきた角から、友希那さん、紗夜さん、燐子さんが現れたのだ。

 

あこ「え!?みんな、さっきの話聞いてたの!?」

友希那「えぇ」

あこ「それだったら、出てきてくれれば良かったのに〜」

燐子「ごめんね、あこちゃん…ちょっと出づらかったというか…」

友希那「でも、お陰で雄介のことについて、少しだけ分かった気がするの。あそこまで感情的になって怒ってくれたことについて…」

紗夜「えぇ。きっと、雄介くんもこの前の友希那さんみたいな境遇を受けていた…分かって欲しかったから怒ったんだと思います」

 

みんなで、さっきの出来事について話した後、友希那さんはふぅと一息吐き…

 

友希那「…みんな、ここでは立ち止まらないわよ。私達はRoselia。その誇りを持ってライブに臨むわよ」

 

友希那さんは少し笑顔になりながら、気合の言葉を言ったのだった…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回この話を作ったのは、このあと出したい話の辻褄合わせでございますので…まぁ、何卒ご理解ください…
そろそろコロナ滅せよ…というところで、今回はここまでにさせていただきます。
では次回、お会いしましょう!


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Roselia編〜頂点を目指す者同士〜

どうも、VVVFです。
とりあえず溜めていた話の1つを出そうと思って出しました。
今回の話は…告白回です。
2期ではすでに出てきたあのカップル(この小説内限定)の告白の様子を書いてみました。
まぁ…薄いです、内容はw
こんな感じでいいかなと、とりあえず書いてみましたので、ぜひご覧ください。
では、本編どうぞ!


…2月下旬頃…

 

友希那「…ふうっ…とりあえずここまでにするわ」

 

友希那さんの一言で、Roseliaの面々は休憩に入った。

 

あこ「友希那さん、お疲れ様です!」

リサ「クッキー焼いてきたから、食べよっか」

 

と、いつもと変わらないRoseliaの休憩風景だが…

 

友希那「…あれ?雄介は?」

 

いつも来るはずの雄介がこの日は来ていなかった。

 

紗夜「どうしたのでしょうか?」

燐子「私、ちょっと見に行ってきます」

 

燐子さんがスタジオを出て、ロビーの方に出ると…

 

燐子「…あ」

 

机の上で突っ伏して寝ている雄介がいた。

座ってる椅子の下には、差し入れのドリンクが置いてあった。

 

友希那「…あら、ここにいたのね?」

 

心配になって出てきた友希那さん達も、ロビーに集合した。

 

紗夜「そんなところで寝るなんて…疲れてるのでしょうか?」

リサ「うーん、どうだろ…ん?何これ…」

 

リサさんはふと、雄介の手の先にあるメモを見つけた。

そこには、変化球の研究などが書かれていた。

 

あこ「うわぁ…すごいびっしり書いてる…」

友希那「雄介…」

 

と、みんながメモを見てびっくりしていると…

 

雄介「ん…んん…ん!?うわぁっ!?み、みなさん!?」

 

雄介が目を覚ました。

 

リサ「や、やっほー…大丈夫?」

雄介「あはは…すみません、寝てました…」

 

雄介は急いで立って、机の上のメモやペン、スマホを片した。

そして、急いで荷物を持った。

 

雄介「さ、行きましょうか」

 

雄介は笑顔でそう言うのを見て、友希那さんは心配そうな顔をした。

 

リサ「…友希那、どうしたの?」

 

それを見かねたリサさんが、友希那さんのそばで雄介に聞こえないように言った。

 

友希那「…私の気のせいじゃなかったら…雄介くんは、相当疲れてるんじゃないかなって…」

リサ「確かに、今の笑顔は無理してたよね…」

友希那「元々彼は私達のファンで、流星くんの紹介で知り合って、こうやって私達のサポートをしてくれているのだけれど…彼は野球もやってるのよ…流星くんは特別だけれど…雄介はそうじゃないもの…疲れてもおかしくないわ」

リサ「そうだね…さっきのびっしりと書いてあったメモを見ると…相当野球のことに熱心に勉強してて…それに加えて私達のために音楽も勉強してるもんね…」

友希那「…心配だわ…」

 

友希那さんは雄介の後ろ姿を見て、心が締め付けられる感覚を覚えたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

…その後の練習でも、雄介は眠気を取ることが出来ず、友希那さん達の練習中に思わず寝てしまっていた。

幸いにも雄介が寝てしまってることに、友希那さん達は気づいていなかったが、雄介はこのまま寝てしまったら迷惑をかけかねないと、メモを書いてそっと1人外へ出た。

 

雄介「やべぇなぁ…やっぱ、変化球の研究で徹夜するんじゃなかった…」

 

この時雄介は、自分に足りないものを補うために、新たな変化球の取得に取り掛かっており、欲しい球種も決めてあるのだが、その研究をするだけでも1日徹夜をしており、その足で実践的に投球し、その足で先程友希那さん達のスタジオに行っていたのである。

体力的にこれ以上減るものがないところまで、雄介はヘトヘト状態だったが…

 

雄介「今度の春までには、なんとか投げたいな…」

 

と、その足で再び投球練習をすることになった。

 

雄介(夏では悔しい思いをしたし…今自分がやれることは、これくらいしかない…)

 

雄介はその一心で、先程投球練習をしていた壁当てで練習を行った。

自分の投球フォームを撮っては確認してメモを取る。

誰も見てくれる人がいない状況で、雄介はこの行動をループして行っていた。

 

雄介「うーん…まだなんか足りないなぁ…」

 

10回くらい同じような動作を終え、ベンチに座って確認をしようとしたその時だ…

 

友希那「…何してるの?」

雄介「うわぁっ!?」

 

後ろから友希那さんの声がした雄介は、思わず声を上げてしまった。

 

雄介「ゆ、ゆ、ゆ、友希那さん!?なんでここにいるんですか!?」

友希那「練習終わって雄介に質問しようとしたらいなくて、こんな置き手紙書いてあったから、心配して見に来たのよ」

 

友希那さんは雄介の隣に座った後、そう言って、さっき雄介が置いたメモを取り出した。

 

雄介「あ、そうなんですか…すみません…本当に…」

友希那「謝らなくていいわよ。それより、何をしてるの?」

雄介「ええっと…今は自分の投球フォームを確認してて…」

友希那「どんな感じなの?」

雄介「ええっとですね…言ってもわからないかと思いますけど…」

 

雄介は先程行っていたことを友希那さんに必死に説明をしていた。

友希那さんは雄介の説明を、懸命に聴こうとしたが…

 

友希那「ごめんなさい…わからないわ…」

 

友希那さんは申し訳なさそうに謝った。

 

雄介「謝らなくてもいいですよ…わかってもらおうにも難しい話ですし…」

 

雄介はそう言って、肩をすくめ、そのまま立って再び投げようとマウンドへと向かおうとした。

友希那さんはそれを見て、思わず…

 

友希那「待って!」

 

そう叫んだ。

雄介は驚いてすぐに振り向いた。

 

友希那「…どうして、そこまで頑張るの?」

雄介「どうしてって…俺はみんなを甲子園に連れて行きたいだけですし…あ、甲子園で優勝するのも目標ですよ!でも…今のレベルでは到底手に届かない…だから…」

 

友希那さんはその言葉を聞いて、思わず微笑んだ。

 

友希那「…私達に触発されたからかしら?」

雄介「え?」

友希那「私達は、常に頂点を目指して頑張ってきた。最近では明確な目標までも見つけた。雄介も、同じなのよね?」

 

雄介はその言葉を聞いて、確かにそうだと思い、目線をボールに移した。

そして、微笑んだ後…

 

雄介「なんか似た者同士だったかもしれませんね」

 

雄介は友希那さんにそう言って笑って見せた。

 

友希那「…そうかもしれないわね」

 

友希那はそれに応えるように、いつものように静かに笑った。

雄介はその後、10球投げて練習を終えた。

その10球の間、友希那さんはその場を離れなかった。

 

雄介「さてと…友希那さん、また明日、お願いしますね」

友希那「明日は来なくても大丈夫よ。身体を休めなさい」

雄介「いや、大丈夫ですって…」

友希那「いいから休んで。そのかわり、明後日からまたよろしく頼むわね」

雄介「…わかりました」

 

そして、雄介はここで、勇気を振り絞って友希那さんにこう言った。

 

雄介「…あの!友希那さん!」

友希那「ん?何かしら?」

雄介「あ、あの…もし…よかったらですけど…俺と…付き合ってくれませんか!」

 

雄介は断られる事覚悟で顔を真っ赤にして叫んだ。

 

雄介「なんかその…一目惚れして…それからずっと…こうやって関わってるのも奇跡で…本当に…ダメでしたら…ダメと言っても…」

 

雄介は叫んだ後、途端に声が小さくなった。

友希那さんはその様子を見て、思わず微笑んだ。

そして…

 

友希那「…私でよければ、構わないわよ」

 

なんと、まさかのOKが出たのだ。

 

雄介「え…」

友希那「…私はこういう関係には興味がなかった…だから、あなたの想像してるような事はしてあげられないかもしれない…でも、あなたなら…私のこと、理解してくれると思って…だから、よろしくお願いするわ。雄介」

雄介「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!友希那さん!」

友希那「呼び捨てで構わないわよ、雄介」

雄介「は、はい!」

 

その後、2人は夕焼け空の下、ぎこちない感じで手を繋いで家に帰ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

結局、友希那さんから数日ほど休みをいただいた雄介は、久々にスタジオに顔を出した。

 

雄介「…こんにちはー」

 

雄介がスタジオの中に入ると、友希那さん達が丁度休憩をしていたところだった。

 

あこ「あ!雄介さん、こんにちは!」

燐子「お久しぶりです、雄介くん」

リサ「身体の調子どう?」

雄介「なんとか休めました」

紗夜「今度はちゃんと体調管理しっかりしてくださいね」

雄介「気をつけます…」

 

と、それぞれ数日ぶりの再会を果たして話をした後、友希那さんが雄介の元に寄った。

 

友希那「休められたようで何よりだったわ。これからもまたよろしくね、雄介」

雄介「わかってるよ、友希那」

 

雄介が友希那さんを呼び捨てで呼んだ事に、他の4人はひどく驚いた。

 

リサ「え!?い、今、雄介くん…友希那を…呼び捨てに?」

雄介「あれ?友希那、付き合う事になったなんて言ってなかった…?」

友希那「言う必要無いと思ったんだけど…」

あこ「ゆ、友希那さんと…雄介さんが…付き合うって!?」

友希那「えぇ、そうよ…雄介が勇気を出して告白してくれたから、私はそれに応えたのよ」

紗夜「でも珍しいですね。そういうのに興味なさそうなのに…」

友希那「雄介も…頂点を目指そうと頑張ってるの。それを応援しないわけないわ」

雄介「俺も、友希那含め、Roseliaの皆さんを全力で応援していきますので、よろしくお願いします!」

 

こうして、雄介と友希那さんは晴れ晴れと恋人同士となったというわけである。

 




いかがでしたでしょうか?
今回は3000字ほどと、少ない文字数でありましたが…どうでしょう?w
これ以上絞れない気がしたので、完成後はずっと放置してたのですが、とりあえず出そうと思ったので…
まぁ、評価低下覚悟で出させていただきましたので、よろしくお願いします。
次もいつになるかわかりませんが、出せたら出していきたいと思っています。
では次回、お会いしましょう!


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Afterglow編
Afterglow編〜学校の七不思議!?第1話〜


どうも、VVVFです。
今回はツイッターにてリクエストで来てくれた回でございます。
元はガルパ内のイベント『6人目のAfterglow』です。
というわけで、投稿する…んですけど、ただ一つ注意を…
この話の主人公的存在になるのは、流星じゃないことをご了承ください…
前々から構想に入れていた一環の一つをここで出した形ですので、何卒よろしくお願いします…
では、本編どうぞ!


…夏休みが入る直前の日…

 

流星「…はぁ、疲れたぁ…」

亮一「だよなぁ…ノックキツイって…」

 

今日は珍しく俺は亮一と帰宅することにした。

というのも、尚之はこの後家族との久々の再会で外食に行き、雄介は学校に残ってやることがあるということで、1人で帰ろうとしたところに亮一がやってきたのだ。

もう一方の『りょういち』である良一も久々の家族との外食だということで、亮一も暇だったらしい。

 

亮一「…んでもって、まだこの先も練習があるわけだ」

流星「この暑さでやるのはきついよなぁ…唯一の救いが明日の休みなわけだし…」

 

と、俺と亮一でトボトボと駅前で歩いていると…

 

蘭「…あれ?流星じゃん」

流星「ん?…あ、蘭、こんにちは」

 

たまたま駅前で歩いていた『Afterglow』さんと合流した。

 

巴「ん?流星…隣にいるのは?」

流星「あ、あぁ…こいつは阿山亮一。うちの野球部での同級生」

亮一「阿山亮一っす!よろしくっす!」

ひまり「お、元気がいいね!」

亮一「ありがとうございます!」

蘭「うーん…亮一くんだっけ?ちょっと苦手かも…」

つぐみ「まぁ、蘭とは大分違うタイプだからね…」

モカ「どっちかと言えば、ひまりに似てるかもねー」

 

一方のAfterglowもそれぞれ亮一と挨拶をした。

亮一はすぐにAfterglowのメンバーと仲良くなった。

 

流星「それより、蘭達はなんでここに?」

蘭「学校の登校日が終わって、今帰っているところなんだけど…」

つぐみ「今、ひまりちゃんが宿題終わってないっていう話で流星くん達が来て…」

ひまり「どーしよー!全く終わってないのー!」

 

ひまり先輩は頭を抱えながら絶叫した。

それを見て俺は思わずため息を吐いてしまった。

 

巴「流星は?野球部に入ってるんだし、あまり終わらせてなさそうな気がするんだけど…」

流星「俺は終わらせたよ。と言っても、昨日ちょうど終わらせた感じなんだけどね…」

蘭「そうなんだ…」

亮一「いや、甘すぎね?俺なんか初日で全部終わらせたぜ?」

流星「てめぇはいいだろ!」

モカ「え?亮一くん、頭いいの?」

流星「こいつ、こんな身なりだけど…学校では必ず3位以内には入ってるんすよ…」

つぐみ「え…」

亮一「そんな驚くことっすか?」

蘭「結構意外…だって…チャラそうだもん…」

亮一「いや、見た目で判断しないで!?」

ひまり「ちょうだーい!その頭、あたしに少しでもいいからぁ!」

亮一「ちょ…ひまりちゃん!?」

 

そんなコントのような会話をしばらくした挙句…

 

ひまり「お願い!この後宿題手伝ってー!」

 

と、せがんできたのだ。

俺は流石に亮一は宿題は手伝えないだろう…と思っていたら…

 

亮一「あ、いいっすよ?俺暇なんで」

 

と、なぜか快諾したのだ。

 

蘭「え!?」

つぐみ「いいの!?亮一くん!」

亮一「全然問題ないっす。今高3の範囲勉強中ですけど…」

流星「はぁ!?」

蘭「高3って…」

ひまり「ありがとぉー!ほんと、亮一くん神様だよぉ〜!」

 

そんな会話を見ている傍らで、俺は思わず蘭さんに質問した。

 

流星「…蘭、ひまりって、宿題貯める方なのか?」

蘭「ううん。ひまりはちゃんとやる方なんだけど…数学で詰まっちゃったらしくて…」

流星「なるほど…」

 

俺は思わず納得した。

そんなわけで、俺はここで別れることにして、亮一は蘭さん達とつぐみさんの実家の喫茶店『羽沢珈琲店』に行くことになった。

ただ、この後まさかの展開が起きるとは思ってもみなかったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…羽沢珈琲店にて…

 

亮一「…あー、ここっすね。ここはたまにこうやって引っかかって間違える人いるんすけど、実はそうじゃなくてここをこうやって変形させて計算するんすよ」

ひまり「あ!ホントだ!すごい…亮一くんの解説すごくわかりやすい!」

亮一「俺にとっちゃこんなの序の口っすよ。これをもっと難しい計算にして出題することもあるんで」

ひまり「え?例えば?」

亮一「例えば、この計算式にさせるためにここをこういじると…」

 

…と、意外とわかりやすい亮一の数学解説に、ひまりはもちろん、蘭達も驚かされていた。

 

蘭「すごい…」

モカ「これはモカちゃんでもわからなかったなぁ…たしかにそうすれば一発で出てくるもんねー」

つぐみ「本当にすごい…」

巴「文武両道とは、この事だな…」

 

そして、しばらくやっていると…

 

ひまり「すごーい!亮一くん様様だよ〜!」

亮一「こんなもんすよ」

 

ひまりの宿題の悩みを一発で解決したのだ。

 

亮一「まぁ、こういうのは自分で参考書とか見ておいた方がいいっすよ。参考書にはちゃんとそういうの書いてるんで」

ひまり「うん!わかった!見てみる…って、あれ?」

亮一「どうしたんすか?」

ひまり「…ない…参考書が…見つからない…」

モカ「今日授業で持ってきたはずだよー?」

ひまり「もしかして…参考書…教室に…置いてきちゃった…」

 

そんなひまりの言葉に、蘭達も反応した。

 

巴「おい…今、めちゃくちゃ不穏な言葉が聞こえてきたんだけど…」

蘭「明日取りに行く?頭のいい亮一がいるのに?」

亮一「こういうのは自分の頭で理解しないといけないっすよ。俺がつきっきりで付き合うのにも限度あるんすから」

蘭「それもそうか…」

つぐみ「でも、最終登校日から始業式までは完全閉鎖されるって聞いたような…」

巴「今日がラストチャンスってことか…」

亮一「そうなると無理っすね…」

モカ「そーそー。ひーちゃん、あきらめなよー」

 

ひまりさん以外のその場にいた者が、ひまりさんの参考書を取ることに消極的だった。

 

ひまり「そんなぁ〜!あの参考書なかったら、宿題進まないよー!」

亮一「あきらめた方がいいっすね…」

蘭「多分、今学校行っても真っ暗だよ?」

 

と、亮一と蘭が諦めムードで話していると…

 

ひまり「…あのさ…みんな一緒に、取りに戻ってほしいって言ったら…怒る?」

 

と、衝撃発言をしたのだ。

 

蘭「言うと思った…」

 

と、蘭はさすが幼馴染と言わんばかりの一言を言った。

 

巴「まぁ…私も何となく予想していた…」

ひまり「お願い〜!ね!今度何か奢るからぁー!」

亮一「…はぁ…流石にきつくないっすか?」

巴「でも、暗い中ひまりを1人で行かせるのも心配だしな…」

つぐみ「たしかに、何かあってからじゃ遅いもんね…ひまりちゃん、私、一緒に行くよ!」

亮一「…まぁ、しゃあないっすわ。俺も行かせてもらうぜ」

ひまり「ありがとぉー!2人とも〜!」

 

その後、蘭達全員行くことになって、『Afterglow』と亮一は蘭さん達の高校、羽丘学園へと向かったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…亮一達が学校に着いた時、辺りは真っ暗だった。

 

ひまり「うわぁ…真っ暗…」

巴「つぐの言う通り、今日以降は閉鎖されそうな雰囲気だな」

亮一「まだ鍵開いてるっぽいんで、さっさと取って済ませちゃいましょう」

 

そんなこんなで、亮一と蘭達は校舎内に入り、ひまりの参考書を取りに向かった。

 

モカ「ひーちゃん、参考書どこにしまったか覚えてるー?」

ひまり「多分、机の中にしまっちゃったんだよね…ちょっと見てくる!」

 

と、モカとひまりの会話をよそに、蘭はどこか落ち着きがなかった。

それを亮一がすぐに反応した。

 

亮一「…蘭ちゃん?」

蘭「うわぁ!?」

 

亮一が声をかけると、蘭はどこから出てきたのかわからないほどの大きな声で驚いたのだ。

 

巴「うわっ!?ど、どうした!?」

亮一「ら、蘭ちゃん!?」

蘭「ちょ…後ろから声かけるのをやめてよ!」

亮一「いや、驚かそうと思ったわけじゃ…」

巴「それでも、流石に驚くだろ…」

亮一「す、すまんっす…」

蘭「…あんたはあっち行って…顔見せないで…」

 

蘭はそう言って、亮一を離れた場所に行かせて距離を置いた。

 

つぐみ「ごめんね、亮一くん…蘭ちゃん、暗いところ苦手だから…」

亮一「そうなんすか…本当に申し訳ないっす…」

つぐみ「謝らなくてもいいよ。仕方ないもん」

 

と、その時だ。

 

ひまり「あった!あったよー!」

 

ひまりが参考書を片手に戻ってきたのだ。

 

亮一「ふうっ…」

つぐみ「よかったね!ひまりちゃん!」

ひまり「みんな、ありがとう〜!これで宿題が進められるよ〜!」

 

そうやって喜びを分かち合おうとした時…

 

蘭「早くここから出よう!」

 

蘭はそう言って走って玄関へと向かった。

 

亮一「…」

 

亮一はそれを見てただ申し訳ない気持ちで一杯になりながら、蘭達の後を追ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…亮一は遅れて玄関に着くと、蘭達が慌てて色んなドアに手をかけていた。

 

亮一「…あれ?」

巴「あ!亮一!ちょっと手伝ってくれ!どこのドアも鍵が開いてないんだ!」

亮一「え!?」

 

亮一は慌てて目の前のドアを開けようとしたが…開かない。

 

亮一「…どういうことだ?」

 

亮一も蘭達同様に色んなドアを開けようとドアに手をかけたが、どこも開いてなかった。

 

亮一「…外からドア閉められてるなぁ…ということは…」

巴「と、閉じ込められた!?」

ひまり「ど、どうしよう!?私達、このまま始業式までここで過ごすことになるの!?」

亮一「それはないと思うっすよ…朝警備員が必ず来るはずなんで、それまでは辛抱…といったところっすね」

 

そうやって話している亮一は、ふと蘭の方を見ると震えているのが見えた。

 

モカ「でも、面白くなってきましたな〜」

亮一「これのどこが面白えんだよ…」

蘭「そ、そうだよ!お、お、面白いわけないじゃん!」

つぐみ「お、おお、落ち着こう!」

亮一「つぐみちゃんが落ち着けよ…」

 

亮一はそう言ってあたりを見回した後、あるものを見つけてそれに向かって走った。

 

ひまり「りょ、亮一くん?」

 

亮一が見つけたのは、校舎の構内図。

 

亮一「…巴さん、部活帰りで遅くなってここがしまった時、どこか開いてるとこあります?」

巴「あ、あぁ…体育館の非常口なら…開いてるぜ?」

亮一「そこに行きましょう。俺が先頭で行くんで、みんなは付いてきてくれ」

 

亮一は珍しく真面目な雰囲気で蘭達に話した。

 

ひまり「ほ、本当に歩くの?ここから体育館まで結構な距離あるよ?」

亮一「それじゃ、ここにずっと朝が来るまでいるのか?」

つぐみ「亮一くん?」

亮一「手がそれしかないのなら、たとえ遠回りでも行くしかないじゃないすか。それに、俺はこういうの平気なので」

 

亮一はそう言ってにかっと笑ってみせた。

 

蘭「…」

 

蘭さんはそれを見て少し心が落ち着いたのか、震えが多少無くなっていた。

 

亮一「それじゃ、行くぞ。みんな固まって俺に付いてきてくれ」

 

亮一はそう言うと、先頭を切って歩いていった。

 

つぐみ「…亮一くん、意外とこういう時は真面目なんだね」

ひまり「うん…なんか惚れちゃうなぁ…」

巴「そんなこと言ってる場合じゃないだろ…早く行くぞ」

モカ「りょうかーい」

蘭「うん…」

 

『Afterglow』のみんなも、意を決して亮一の後をついて行くことにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ひまり「…うう…夜の学校って、思ってた以上に怖い…」

 

体育館につながる廊下を歩いていた時、ひまりが思わずそう呟いた。

 

亮一「まぁ、仕方ないわ。こういうのはお化け屋敷と一緒で、静かな上にどこに何か現れるのかわからないっていうのもあるから。まぁ、今回はそういう驚く仕掛けとかはないから大丈夫だと思うけど」

巴「にしても…怖すぎるでしょ…」

亮一「まぁ、懐中電灯があっただけマシだ。今回は非常事態だし、流星が幅利かせてくれるからなんとかなるとおもうぜ?」

 

亮一はそう言ってはいるものの、一向に振り返ることはしていなかった。

 

蘭「…なんで…こっち見ないの?」

亮一「え?いやだって…蘭、言ってましたよね?顔見せないでって」

蘭「そ、それは…ごめん…」

亮一「別に大丈夫っすよ。それに、そんな余裕があるわけではないんで」

ひまり「そうだね…」

 

と、ひまりが窓の方をふっと見たその時だ。

 

ひまり「うひゃぁっ!?」

 

ひまりが大声で叫びだしたのだ。

 

それには亮一も思わず振り返った。

 

巴「うわぁぁっ!?な、なんだ!?」

ひまり「今、窓に顔が映らなかった!?」

モカ「ひーちゃん、よく見てよー。映ってるの、つぐだよー?」

ひまり「えっ!?…あ、ほ、ホントだ…」

亮一「全く…驚かさないでくれよ…」

 

亮一は思わずため息混じりにそう呟いた。

 

巴「ひまり、ちょっと落ち着けって…大丈夫、幽霊なんていないよ」

蘭「そういう巴だって、さっきおっきい声出してたじゃん」

亮一「しかも、声が震えてるし…」

 

と話していると、モカが思い出したかのようにおもむろに話し始めた。

 

モカ「音と言えばさ〜…ウチの音楽室って、夜な夜なピアノの音が聴こえてくるらしーよ?」

ひまり「え…なにそれ…」

亮一「学校の七不思議ってやつ?定番中の定番だけど…」

モカ「そーそー、羽丘学園にもそういうのあってねー」

つぐみ「その話…聞いたことあるかも…人体模型が動き出すとか、鏡に知らない人が映るとか、確かそんなやつだよね?」

亮一「いや、どこ学校にもある定番の七不思議じゃね?」

モカ「他にはー、階段が1段増えてるとかー、体育館からドリブルの音がするとか!」

亮一「最後だけなんかある意味コミカルだな、おい…」

ひまり「で、でも…体育館…にも…あるの?」

巴「は、はは…まさか、そんなのウワサだろ?」

亮一「あくまでウワサだからね…実際に見たというのなら別ですけど、ホラだったら意味ないから」

モカ「でも、今日ここにいるんだから〜、真相が明らかになっちゃうかもー?」

亮一「…馬鹿らしい…」

 

亮一は思わず頭を抱えて、ため息をつきながらそう呟いた。

 

つぐみ「あと、グラウンドには井戸があるって…その井戸を覗き込むと…」

蘭「こむと…?」

モカ「中から手が伸びてきて、井戸に引きずり込まれるんだって〜」

蘭「うわぁぁっ!!」

亮一「…驚くほどか?」

巴「りょ、亮一にはわからないだろうけどな!」

ひまり「もぉー!そういうのやめてよ!モカ!」

亮一「こういう時はやめようか。そういうのは学校じゃなくて家で集まった時にしてくれ」

モカ「冗談だって〜。モカちゃんジョークだよ〜…ってあれ?7つ目のウワサってなんだっけ?」

亮一「それ、今気にする話?」

巴「そ、そうだよ!私たちはそういうのを解明しに来たわけじゃないんだから!」

亮一「とりあえず、今は体育館から出ることにしよう」

 

そう言って、亮一は再びその足を動かした。

蘭達も少しホッとした感じで亮一の後を追いかけていったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
ひとまず、これの次はもう出来ているので、しばらくしたら出します(・ω・`)
ちょっと疲れました…w
てなわけで、今後ともよろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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Afterglow編〜学校の七不思議!?第2話〜

どうも、VVVFです。
さぁ、第2話…と言って、これで『6人目のAfterglow』編はこれで終わりですけど…w
ただ、Afterglow関連の話はまだまだしていきたいと思っていますので、是非ともよろしくお願いします!
では、本編どうぞ!


…しばらく歩くと、体育館へ続く階段に着いた。

 

亮一「…あのー…みんな?」

蘭「…どうかしたの?」

亮一「付いてきてとは言ったけど…俺にくっついてなんて言ってねぇよ?」

 

実はここに来る間、亮一は蘭達に合わせるようにゆっくりめに歩いていたが、いつのまにか蘭達が亮一にくっつく形で来ていたのだ。

 

ひまり「だって、亮一くんが頼もしいからぁ…」

亮一「だからといって、くっつかれると…俺、今まで女子との関わりなんて無いんで、こういうのはあまり…」

蘭「へぇ…意外」

巴「チャラそうなのに勉強できるからてっきりモテるのかと…」

亮一「そこまで無いわ…とりあえず、ここの階段から上るぞ。この方が近道なので」

 

亮一は先程見た構内図より、体育館へ行く最短ルートを出していた。

その道中にある階段が、今亮一達がいるところである。

とその時だ。

 

ひまり「…うう…」

 

ひまりが何かを思い出し、思わず唸ってしまったのだ。

 

亮一「…さっきの七不思議?」

蘭「ちょ…亮一!そういうこと言わないで!あんたのせいであたしも急に思い出しちゃったじゃん!」

亮一「すまん…でも、そういうのは気にしない方が1番。たかがウワサだから」

巴「そうだぜ?そんなもん、ウワサしかないからな」

ひまり「それじゃ、巴は信じてないの?」

巴「あ、あたしは信じないぞ!迷信、迷信!」

亮一「と言ってる割には足が震えてるけど…」

モカ「…あー、階段が1段増えてるっていう話かー」

亮一「今気がついたの!?さすがマイペース…」

モカ「ふふーん、それほどでもー」

亮一「いや、褒めてないっす…」

モカ「まぁまぁ…それより、階段の話なんだけどさー。階段の段数ってわかる?」

蘭「さ、さぁ…」

亮一「そんなの知って何になるやら…」

モカ「でしょー?だから、たった1段増えても気づかないし…」

亮一「たしかにそうだね…」

モカ「だから、気にすることないと思うよー?」

蘭「モカ、たまにはいいこと言うじゃん」

モカ「へへー。モカちゃん、実はいつもいいこと言ってるんだけどなー?」

亮一「いや、さっきの七不思議の話はいいことじゃないでしょ…」

モカ「気にしない、気にしなーい」

 

亮一達はこれで話を終えて先へ進もうと足を運ぼうとしたその時だ…

 

つぐみ「そういえば…学校の階段、確か12段だったと思う。私、生徒会の仕事でよく校内の清掃やってるんだけど、掃除しているうちに段数を覚えちゃって…」

 

つぐみの要らぬ情報が出てきたことにより、蘭達の恐怖度が増幅されてしまったのだ。

 

巴「つぐ…その情報は知りたくなかったよ…」

亮一「というか、今出す話じゃないよね…」

つぐみ「は!?ご、ごめん!」

蘭「階段は12段…ねぇ、みんな。数えながら上ってみない?そうすれば、七不思議は嘘だって証明できるよね」

ひまり「でも、数えてみて13段あったら…?」

蘭「そ、その時はその時!…ていうか、階段が増えてようが、別にあたし達の身に何か起きるわけじゃないし…」

亮一「それに、別に俺らが今重要なのはこの校舎を出ることなんだから…数えるならさっさとやるぞ」

 

そんなこんなで、蘭達は段数を数えながら階段を上っていった。

亮一は先に踊り場に上ってその様子を見ることにした。

 

蘭「…10、11」

ひまり「12!やっぱり、七不思議なんてうそ…」

 

亮一から見ても明らかにちゃんと上ってきて、12段あることを確認し、ホッとしていたその時だ…

 

???「13!」

 

巴と同じ声が高らかに聞こえてきたのだ…

 

亮一「っ!?」

 

亮一はすかさず巴の方を見ると、巴は静かにしていた。

声を発した様子もなかった。

 

ひまり「も〜、巴、冗談言わないでよ〜!」

巴「え?あたしは何も言ってないぞ?」

亮一「俺も見えたぞ?巴は何も言ってない…」

 

亮一のその言葉に、蘭達全員が絶句した。

亮一も何が起きたのか全くわからなかったが、心の中で深呼吸をした後…

 

亮一「…今のは聞かなかったことにしよう。さぁ、早く先進みましょう」

 

その様子を見た蘭は、思わず亮一に声をかけた。

 

蘭「…怖く…ないの?」

亮一「え?」

蘭「あたしには…見栄を張ってるようにしか見えないんだけど…」

亮一「…まぁ、怖いわ。俺でも…でもさ…先頭を切ったのもあるし、それに、1人でも笑顔にならないと、みんな怖がるだろ?」

 

亮一はそう言って再び笑顔を見せた後、階段を再び上った。

 

つぐみ「…亮一くん、来てくれて本当に助かるなぁ…」

巴「それな…亮一がいないと、あたし達のどれだけ怖がってたんだろう…」

蘭「っ…」

モカ「…蘭?もしかして、さっき怒った事、後悔してるのー?」

蘭「そ、そうじゃない…と言いたいけれど…あの笑顔を見てたら…なんで怒ったんだろうって…」

ひまり「まぁ、亮一くんは私たちと会うの、これが初めてみたいなものだから、知らないもん」

蘭「だからこそ…本当はあんな事言うべきじゃないのに…」

 

と、蘭達が話していると…

 

亮一「…ったく…何話してるんすか?」

 

全然来ていないことに気がついた亮一が戻ってきたのだ。

 

蘭「あ、うん…何でもない…」

亮一「そう?何かあったら言ってくれよ?」

つぐみ「何があったら…というよりも…」

亮一「さっきの怒られた話?」

ひまり「え!?聞いてたの!?」

亮一「いや?なんとなく…俺は気にしてないから。俺は怒られたことよりも、早くここから出て皆さんを安心させたい一心でいますので」

蘭「っ!」

亮一「ほら、皆さん、行きますよ」

 

亮一はそう言って、手を差し出した。

 

ひまり「…うん!行こう!ほら、蘭!」

蘭「え?」

モカ「せっかく差し出した手だよー?男子の手なんて、なかなか繋げられないからね?」

亮一「モカ…流石にそれ以上いうと、こちらにも限度というものがあるからね?」

モカ「ごめんって」

蘭「…ごめん…ありがとう…」

 

蘭はそう言って、差し出してくれた手を取って、階段を上ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…どうにか体育館に着いた蘭達は、どこか疲れ切っている顔をしていた。

途中、蘭さん達『Afterglow』の曲がピアノで流れてきて、蘭達がパニックになっていたのだが、亮一がまさかの千葉ロッテマリーンズの福浦選手の応援歌を歌ったことと、亮一の励ましの声により、なんとかメンタルが保たれた蘭達は、どうにか亮一に食らいつくように体育館へと来たのだ。

 

ひまり「やっと着いたぁー!」

蘭「これでやっと外に出られる…んだよね?」

巴「ああ、そのはずだ。確か、いつも開いている非常口は…」

 

と、巴が言ったその時だ。

うっすらついていた懐中電灯の明かりが突如として消えたのだ。

 

つぐみ「きゃっ!?あ、明かりが!」

亮一「みんな!固まって!」

 

亮一の言葉によって、全員が団子のように固まった。

 

ひまり「ど、どうなってるの!?」

つぐみ「懐中電灯が壊れちゃったみたい…!」

蘭「嘘でしょ…なんでこのタイミングで…」

亮一「とりあえず、その懐中電灯貸してくれ。見てみる」

つぐみ「あ、ありがとう…」

巴「これじゃ、非常口の場所もわからないよ…」

亮一「いや、非常口の場所はわかる…ただ、それがどの入り口かまでは流石にわからないでは…」

巴「あ、あぁ…」

つぐみ「どうしよう…せっかくここまで来れたのに…」

ひまり「私、もう無理かも…ううっ…泣きそう…」

亮一「泣かないでくれよ…確かに、辺り真っ暗ですけど、手がないわけではないから…」

 

亮一はそういうと、ふと目を瞑った。

 

亮一「…きてるな…」

蘭「…何が?」

亮一「風が吹いてる…ということは、空いている窓かドアがあるということ…そこへ行くぞ。みんな、固まってついてきてくれ」

 

亮一はそう言って、風が吹いた方へと歩いた。

その先にあったのは、巴が言っていた非常口らしきドアだった。

 

亮一「ここか…」

蘭「は、早くここから出よう…」

 

亮一はドアノブに手をかけて、ドアを開けようとした…が、ドアはピクリとも開かない。

 

亮一「開いてない!?」

モカ「詰んだー。今度こそ詰んだー」

巴「おーい!開けてくれー!だれかいないかー!?」

亮一「仕方ねぇ…ここはタックルで開けるしか…」

蘭「バカ!そんなことしたら!」

亮一「だったらどうしろと!」

蘭「っ…」

亮一「…すまん…でも、こうなったのは仕方ねぇ…流星じゃなくて、俺が直々に謝りに行くから」

つぐみ「そ、そんなことしなくても…」

 

と、その時だ。

カチャリと音がした。

ドアの鍵が開いたという証拠である。

 

ひまり「開いた!」

つぐみ「警備員の方が開けてくれたのかな?」

 

と、6人は外へ出ると…そこには誰もいなかったという…

後々聞いた話だと、学校の七不思議の7つ目に、生徒の幽霊が夜な夜なうろついていて遊び相手を探しているだとか…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…亮一の家にて…

 

亮一「…はぁ…ひでぇ目にあったわ…」

 

亮一がベッドの上で昨日のことを振り返っていた。

本当は昨日の件で疲れてどこにも行きたくないという気持ちだったが…

 

亮一父「亮一、今日は華道の先生が来るから礼儀正しくな」

 

と、朝亮一が父から受けた言葉でなんとか力を振り絞っていた。

亮一の父は警察官であり人望が厚く、それ故に色んな人と触れ合う機会が多くあるため、人脈が広いのだ。

亮一は重い体を起こして、慣れた手つきで和服を着た。

そして、意外と広い家を歩いて和室に着いて、正座で待機した。

亮一の父も隣に来て正座で待機した。

そして、最初入って来たのは…

 

蘭「…失礼します…あ…」

亮一「あ…」

 

蘭さんが入ってすぐに亮一を見て、あっと驚いた。

その後すぐに蘭の父が入って来たが、亮一の父の計らいで、2人きりで話す機会を設けてくれた。

 

蘭「…昨日はごめんね…」

亮一「俺は別に大丈夫っすよ。というか…意外っすね。蘭がこういう和服着てるなんて」

蘭「亮一くんこそ、そんな和服着て…ちょっと惚れちゃったかな?」

亮一「何言ってるすか…蘭らしくない」

蘭「亮一くんも、この格好似合ってないよ」

亮一「お互い様じゃないっすか」

蘭「そうだね」

 

亮一と蘭はお互いに笑いあった後…

 

蘭「…今度…『Afterglow』の練習来てくれる?」

亮一「え?」

蘭「まぁ…その…これからも…亮一くんと仲良くしたいって、他のメンバーも言ってたから…」

亮一「まぁ…いいっすよ。これからもよろしくっす」

蘭「よろしく」

 

こうして、亮一は『Afterglow』のみんなと交流を深めていくことになったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
内容…薄かったでしょw
これで精一杯でしたw
今回はこれで勘弁してください…
というわけで、まだまだリクエスト募集(ここでは初ですけど)してますので、是非ともよろしくお願いします!
ハーメルン内では活動報告の方で箱を設けさせてもらいますので、そこにてリクエストをお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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Pastel*Pallet編
Pastel*Pallet編〜自分の夢編・第1話〜


どうも、VOSEです。
今回は、ストックでずっと残してた話を放出する回でございます。
なんとか書けた作品でございますので、長い目で見ていただくとありがたいです。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

上島「…おーい!みんな集まれー!」

 

上島監督の声がグラウンドに響いた。

 

流星「何だ?」

尚之「こんな時に集合かけるなんて…何かあったのか?」

 

フリーバッティングをしていた俺らは、監督の元へと向かった。

 

上島「えぇー…今日は、とある雑誌から、今回うちの取材をしたいと来たので、突然で申し訳無いが、インタビューや練習に一緒に参加させてもらいたい」

一彦「珍しいな…こんなとこに来るなんて…」

亮一「なんすかね…」

 

俺らは一体誰が来るんだろうと話していると…

 

彩「皆さんこんにちは!まん丸お山に彩を!Pastel*Palletの丸山彩です!」

千聖「同じく、Pastel*Palletの白鷺千聖です。よろしくお願いします」

日菜「氷川日菜です!よろしくお願いしまーす!」

イヴ「若宮イヴです!よろしくお願いします!」

麻弥「大和麻弥です!よろしくお願いします!」

 

…この時点で俺の体力がゼロになるのが目に見えた…

 

上島「えー、今回君たちには、『パレットストーリーズ』という雑誌の別冊付録で、地元応援コーナーで記事が組まれているから、今日は全員にインタビューと代表2名に野球部を案内してもらう形にするからな」

ナイン「えぇー!?」

 

…そりゃみんな驚くもんな…

 

康介「しかし…なんで急に…」

上島「今回『パレットストーリーズ』が何千部か売れたから、感謝を込めてらしい」

流星「そんなに売れてるんだ…」

上島「それで、今回はうちと羽丘学園で特集が組まれることになったと…」

尚之「と言っても、うちは準決勝敗退ですよ?」

上島「それでもベスト8だ。善戦してる方だろ?」

雄介「なるほど…」

 

そして、話は野球部を案内する人を決めることに…

 

亮一「やっぱここは辻上先輩と東先輩じゃないっすか?うちのキャプテンとアイドルですし」

良一「僕もそれがベストだと思う…」

一彦「妥当だな…」

 

と、周りがそう言い始めた中、俺は嫌な予感がしたのでそろりそろりと部室から出ようとした。

それを見逃さなかったのは…

 

日菜「…あ!流星くん逃げようとしてる!」

 

…日菜さんだった…

日菜さんのその一言で、野球部員全員の目が獣の目となり、俺を睨んだのだ。

それに追い打ちをかけるように…

 

上島「えー…今回、Pastel*Palletさんからの希望で…案内役は流星ともう1人にしてほしいと…」

 

これが、みんなの目が変わる瞬間だった…

 

一彦「頼む!流星!俺を指名してくれ!」

茂重「俺にしてくれ!頼むから!」

 

と、面白そうに見てる尚之、怯えてる良一、興味なさそうにしている蓮二などを除いた、彼女なしメンバーからの圧がかなりすごかった。

 

流星「あ、あはは…」

 

ただ、俺は察していたところもあったので、とっくに誰にするかは決めていた。

 

流星「まぁ、ここは…『ミスター・普通』の蓮二にするよ」

 

俺はそう言って蓮二の方を見た。

 

蓮二「ん?俺でいいのか?」

流星「下手にどこかうまいやつよりかは、平均的なやつの方がいろんな角度から見れるだろうからね」

蓮二「なるほど…」

 

かくして、この日の取材は俺と蓮二で案内することになり、他のメンバーは練習しながら取材を受ける形になったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

出来た記事を見るために、蓮二はパスパレのメンバーがいる事務所に来ていた。

この日、俺は色々と立て込んでいたため、蓮二1人に行かせる羽目になったのだが…

 

蓮二「…この記事をこうしてもらえませんか?」

編集者「え…?」

千聖「…え?」

 

編集者の方と、蓮二と一緒に検閲しに来てくれた千聖さんが、蓮二のその一言に素っ頓狂な声を上げたのだ。

 

蓮二「この部分、取材の内容の主軸となる割にはスペースが狭すぎます。スポーツの話ではここの部分が一番肝になるんです」

編集者「は、はぁ…」

蓮二「それと、羽丘学園の記事も同じですけど、記事の内容が単調すぎではないですか?2つの高校の共通点もそうですが、違いというものをはっきりさせておかないと、見る人はつまらないと思いますよ?」

千聖「…れ、蓮二くん…?」

 

まさかの蓮二のダメ出しがあり、編集者の方も千聖さんも困惑していた。

編集者は改稿すると言って、この日の打ち合わせは終わった。

 

千聖「…あの、蓮二くん?」

蓮二「はい、なんでしょう?」

千聖「なんでそんなに詳しいの…」

蓮二「父が新聞社のスポーツ担当の編集長を務めていて、こういう現場を家でよくしているのを見ていたので…」

編集者「え…もしかして、蓮二君って、上の名前日下っていう?」

蓮二「はい、そうですけど…」

編集者「やっぱり!失礼しました!今より手直ししてきます!」

 

編集者の人はそう言ってすぐに編集室へと向かった。

取り残された蓮二と千聖さんは立ち上がって自動販売機が置いてあるコンコースに来た。

 

千聖「…どうしたのかしら…」

蓮二「あー…俺の父、そういう界隈では『鬼の編集長』と言われているんですよ…」

千聖「そうなのね…」

蓮二「そういえば、彩さんとかは?」

千聖「今レッスンルームでレッスンしているわよ」

蓮二「それじゃ、そのレッスンルームに案内してもらえますか?お礼をまだ言っていなかったので」

千聖「それはちょっと遠慮したほうがいいかも…」

蓮二「どうしてですか?」

千聖「…ううん、何でもないわ。それじゃ、行きましょう」

 

千聖さんに案内されて、レッスンルームへ向かった蓮二は、千聖さんが言った意味が分かった。

 

蓮二「失礼しまーす…?」

 

蓮二が中に入ると、レッスンルームの端っこで黒いオーラを醸し出して落ち込んでいる彩さんがちょこんといた。

 

イヴ「あ、蓮二さん!こんにちは!」

蓮二「お、おう…イヴちゃん…あの…彩さん、どう

したんですか?」

麻弥「こんにちはッス。彩さん、ちょっと落ち込んでいて…」

蓮二「いや、落ち込み具合がひどくないですか!?」

 

蓮二が麻弥さんから聞くと、彩さんが憧れているあゆみさんという人が所属している『Marmalade』というアイドルグループが解散するということを聞いて落ち込んでいるという。

蓮二はそれを聞いて携帯でその『Marmalade あゆみ』を調べてみると、そのあゆみさんという人は、グループの中ではお笑い担当的な立ち位置だが、まじめで努力家という一面を持っており、座右の銘が『努力すれば夢は叶う』だった。

麻弥さん曰く、彩さんにとってあゆみさんは自分に勇気を与えた人で、自分の原点となる人なのだという。

 

蓮二「…それで、1か月後のライブで、『Marmalade』は解散すると…」

彩「ううっ…そうなんだよ…」

 

彩さんを慰めるために近くに寄った蓮二は、自分にも同じような節があり…

 

蓮二「…わかりますよ…そのつらい気持ち…」

彩「…うん…ま、まぁ、気にしないで」

 

そういった彩さんの顔は暗かった。

蓮二はそのあと、千聖さんに無理を承知でこの後のレッスンの見学をしてもらった。

レッスンルームの外から中を見る形になったが、蓮二は彩さんの様子を見て、少しこぶしを握ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

レッスンの休憩中…

蓮二は先ほどの編集者から、手直しした雑誌の記事にダメ出しをした後、レッスンルームへと向かおうとすると…

 

彩「…確かに今、解散がショックな気持ちと…それ以上に心にぽっかり穴が空いたみたいな気持ちなの…」

 

彩さんの声がしたのだ。

蓮二は角に隠れて、彩さんと麻弥さんの会話を聞き取った。

 

彩「そのぽっかり空いた穴に、あゆみさんがいたことは確かなんだけど…」

 

彩さんは、憧れていた人が突然いなくなることに、どうしようもない心のダメージを負っていたのだ。

 

蓮二「…あの頃と同じだな…」

 

蓮二はそう小さくつぶやくと…

 

麻弥「…あれ?蓮二君じゃないっすか」

 

麻弥さんに見つかってしまった。

今の一言は聞き取れなかったが、静かな廊下にぼそぼそというと聞こえてしまったのが理由らしい。

 

蓮二「すみません…盗み聞きしてしまって…」

彩「ううん、大丈夫だよ…はぁ…」

蓮二「大丈夫じゃないですね…」

 

蓮二はそんな彩さんを見ているのがつらくなってきた。

その時、麻弥さんが…

 

麻弥「それじゃあ、今日この後みんなでお茶でもどうですか?心の穴は埋められないかもしれないけど、少しでも力になりたくて…」

 

そんな麻弥さんの言葉を聞いた蓮二は…

 

蓮二「それじゃ、俺もいいですか?そのお茶会に参加しても…」

 

自分も力になりたいと、そういう一心で手を挙げたのだった…

ちなみに、雑誌の記事はこの時まだ出来上がっていないという…

 

 




いかがでしたでしょうか?
後編につきましては(おそらく)明日出す予定なので、興味があれば気長に待っていただくとありがたいです。
では、次回お会いしましょう!


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Pastel*Pallet編~自分の夢編・第2話~

どうも、VOSEです。
はたまたストック放出です。
前回出したパスパレ編の続きとなっておりますので、どうぞご覧ください。
では、本編どうぞ!


…彩さんたちの練習が終わった後、千聖さんがおすすめする喫茶店へと向かった蓮二達。

その千聖さんのおすすめの喫茶店というのが、『羽沢珈琲店』だった。

 

蓮二「…どうしてここに?」

千聖「ここははずれのメニューがないの。どれもすごく美味しいのよ」

蓮二「なるほど…確か、ここは学校にも近いですよね?」

イヴ「はい!なので、私はここでバイトをしているのです!」

 

蓮二と彩さん達は色んなメニューを頼んで、互いにお茶やクッキーの交換などをしてお茶を楽しんだ。

 

蓮二「…日菜さん、どうしました?」

 

蓮二がふと、日菜さんが浮かない顔をしていたのを見て質問した。

 

日菜「あ、うん。人を励ますのって難しいなーって」

麻弥「ひ、日菜さん!?」

彩「あはは…ありがとう、みんな」

麻弥「大丈夫っすよ。そりゃ、目標にしていた人のニュースは大きいですし」

蓮二「それに、放っておけませんでしたから」

彩「れ、蓮二君?」

日菜「おぉー、男らしい〜」

蓮二「男ですが」

麻弥「そういう意味で言ったんじゃないかと…」

 

ここで、みんなの話題は自分の原点についてだった。

 

彩「そういえば、麻弥ちゃんはなんでドラムを始めたの?」

麻弥「ジブンは…元々音楽が好きだったんですけど、根っからの引きこもりで…」

蓮二「まぁ、そう見えるわな」

麻弥「蓮二君、酷くないっすか!?」

蓮二「そう見えるんだからそうだろ」

麻弥「うぅ…」

千聖「そ、それで…?」

麻弥「あ、それで、ある時にあるドラマーの方のパフォーマンスを見て、いつか自分もあんな風に叩けたらいいなぁって」

蓮二「それで練習をしたってところか…」

麻弥「そうっす!色んな研究をして、スタジオで叩きまくって…」

千聖「そして、私たちに会ったということなのね」

麻弥「はい!そんな憧れの人みたいになりたくて!」

彩「憧れの人かぁ…」

 

彩さんはふと、そのあゆみさんのことを思い浮かべていた。

 

彩「あゆみさんは…私の憧れの人で…私の目標となる人で…本当にすごい人なんだ…」

千聖「でも、その人が居なくなって、今は心に穴が空いた状態ってことなのね」

彩「そうかも…」

イヴ「でも、アヤさんは強いです!アヤさんのぽっかり空いた穴を、私たちが埋めましょう!」

麻弥「そうですね。ジブン達も彩さんを励ましていきましょう!」

彩「2人とも、ありがとう!」

 

そんなパスパレの会話を、蓮二は思わず微笑みながら見ていた。

 

蓮二「…俺の原点か…」

 

蓮二はふと、自分が野球を始めた理由を思い出してみたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

練習の合間の休憩時間での事…

 

蓮二「…なぁ、流星」

流星「ん?どうした?」

 

蓮二が俺に話しかけてきた。

 

蓮二「…お前が野球を始めたきっかけってなんなんだ?」

流星「なんだよ、急に」

蓮二「実はな…」

 

蓮二はここ数日のことを俺に話してくれた。

俺はなるほどと納得した。

 

流星「…彩さんが沈んでると…」

蓮二「あぁ…んで、話していると、自分の原点のことについての話になったからさ…ちっと聞きたくてな」

流星「別にいいけど…お前はどうなんだよ」

蓮二「俺は…あるっちゃある…でも、なんか他のやつのが聞いてみたい」

流星「ならいいけどさ…俺は…単純だけど、野球をやってるやつがカッコいいって思ってた。だから始めたんだ。特に惹かれたのはキャッチャーが盗塁を刺すシーンなんかが好きで、いつか俺もやってみたいって思ったんだ」

蓮二「バンドの方はどうなんだ?」

流星「『LINEDRIVE』は…面白そうだから。それだけだ」

蓮二「なるほど…」

流星「んでさ、蓮二はどういう理由で野球始めたんだ?」

蓮二「俺はな…」

 

蓮二は自分の原点について話してくれた。

俺はその話を静かに聞いていたが、あまりにもいい話であったが故に…

 

蓮二「…ってとこかな?…って、おい、泣いてんのか?」

流星「な、泣かねえ訳ねぇだろ…いい話すぎて…」

蓮二「はぁ…俺は泣かせるためにこの話をしたつもりはねえっての…」

流星「でもさ…それがお前の原点なんだろ?だったら、俺らもそれに応えねえとな」

蓮二「当たり前だ」

 

蓮二はそう言って、練習場所へと戻っていったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…数日後…

蓮二は麻弥さんに呼ばれてスタジオに来ていた。

そこには彩さん以外の4人がいた。

彩さんは先に帰っていた。

 

麻弥「…あ、蓮二君!」

蓮二「どうも…どうしました?」

麻弥「少し、手伝って欲しい事があって…」

蓮二「手伝って欲しい事…とは?」

麻弥「確か、蓮二君の父親は『鬼の編集長』と呼ばれている、日刊紙の編集長、日下成通さんでしたよね?」

蓮二「そうだが…」

麻弥「その成通さんに、今度の『Marmalade』のあゆみさんとコンタクト取ってくれませんか?」

蓮二「…一応お願いしてみる」

麻弥「ありがとうございます!」

 

と、ここでイヴちゃんが蓮二の原点について質問してきた。

 

イヴ「そういえば、なんでレンジさんは野球をやっているのですか?」

蓮二「俺か?てか、昨日流星にも言ったけど…」、

 

蓮二はここでも自分の原点について話した。

その言葉一つ一つに重みがあったのか、麻弥さんとイヴちゃんは思わず涙を見せた。

 

麻弥「そ、そんな話が…」

日菜「なんか、るんって来ちゃったなぁ〜」

イヴ「はい…とても、切なくて…」

蓮二「…俺はそれを糧にして、野球をやってるんだ」

千聖「そうなのね…」

 

泣いていない日菜さんと千聖さんも、思わず感動していた。

 

麻弥「…蓮二君、それ、ぜひ彩さんに聞かせてください」

蓮二「…別にいいが…どうしてだ?」

日菜「なんかわからないけど…それは言った方がいいと思うなぁ」

麻弥「その蓮二君の言葉が、彩さんをさらに突き動かしてくれると思います」

蓮二「…そうか?」

 

蓮二は半信半疑ながらも、『Marmalade』解散ライブでその話をすることに決めたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして数日後…

蓮二は夜のライブ会場の前にいた。

人々が『Marmalade』の解散ライブを楽しみ、帰っているところだった。

 

彩「…あれ?蓮二君?」

 

この日はファンとして来ていた彩さんが、入り口で立っている蓮二を見つけた。

 

蓮二「どうも、時間ありますか?」

彩「うん…」

 

蓮二は人があまり通らない場所へと彩さんを連れ、近くにあったベンチに座らせ、蓮二も隣に座った。

 

蓮二「…ライブ、どうでした?」

彩「楽しかった!そして…寂しかった…」

蓮二「…」

彩「でも…あゆみさん達は、自分の意思で、解散に踏み切ったんだから…私も、けじめをつけて、頑張ろうって思ったんだ」

蓮二「…僕の話していいですか?」

彩「え?…うん」

 

蓮二は一言断った後、自分の原点のついて話を始めた。

 

蓮二「…俺が野球を始めた理由…知りたいですか?」

彩「んまぁ…少し興味があるけど…」

蓮二「…妹と…親友の為です」

彩「…え?」

蓮二「…妹は…野球をやっている俺が好きだと言ってくれ…親友は、俺とともに野球をやって、高め合ったライバル…その2人が…同時に居なくなったんです…」

彩「…」

蓮二「ホント、偶然ですよ…2人して病に倒れ…妹が先に行き…その後に俺の親友が…」

彩「…そんなことが…」

蓮二「野球を続けられるのか…妹も、親友も、俺をそばで応援してくれた2人が居なくなって…出来なくなるんじゃないかって思いました…でも…これも本当に偶然…いや…2人とも、一緒の気持ちだったかもしれませんが…妹は『私が居なくても、お兄ちゃんのそばでずっと応援している』…親友は『俺が居なくても、いつも後ろで守ってやる』…なんか、同じ言葉に聞こえたんですよ。その後2人は…」

彩「…そんなことが…」

蓮二「でも、俺の心には…その言葉が今でも残ってるんです。だから、まだまだ諦めるつもりはないって…野球を続けてこられたんです。彩さんも…まだ諦めないでください」

彩「…うん!ありがとう!蓮二君!」

 

その後、蓮二と彩さんは麻弥さんに呼ばれて楽屋へと行き、そこで彩さんの憧れであったあゆみさんと初対面を果たし、色んな言葉やポーズを教えてもらって、この日は解散となった。

なお、帰り際に彩さんが蓮二にお礼を言って投げキッスしたという…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…それからまた数日後…

 

蓮二「…はい、これで大丈夫です」

編集者「ふひぃ…終わったぁ…」

 

蓮二のOKが出ると同時に、編集者の方は机に突っ伏した。

結局、ダメ出しと修正の繰り返しで編集者の方は徹夜作業を毎日進めたらしく、蓮二の父からも檄が飛んで、ようやく納得のいく記事が出来たという。

 

彩「…あれ?蓮二君、今終わったところ?」

 

蓮二がコンコースでジュースを飲んでいたところに彩さんが来た。

 

蓮二「そんなところだ。彩さんは?」

彩「今レッスンの休憩中。あ、そうそう。ちょっと来て」

 

彩さんはそう言って、蓮二を連れてスタジオへと入れさせた。

 

イヴ「あ!レンジさん!こんにちは!」

麻弥「こんにちはっす!

蓮二「こんにちは。ええっと…なんで俺がここに?」

千聖「渡したいものがあるからよ」

日菜「はい!これ!」

 

と、日菜さんが渡してきたのは事務所に入れるネームプレートだ。

 

麻弥「今回の件で大変お世話になったので、ジブン達でお願いして、蓮二君にも入れさせてもらうようにしたんです」

蓮二「と言っても…いいのか?俺が入っても」

千聖「そのための入館証よ。使って」

蓮二「あ、ありがとうございます…」

 

こうして、蓮二はパスパレのみなさんとともに行動を取ることになったのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
なかなかストーリーに悩みに悩んだので、これでいいのか心配ではございますが…()
パスパレ編に関しても、Roselia編同様、ガルパ内イベの話を軸に持っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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Molfonica編
Molfonica編・第1話〜新バンドご来店!〜


どうも、VOSEです。
今回は、この『バンドリ!〜輝く星と白い球〜』史上初の、流星や香澄達がほとんど出ない回になっております。
導入部分の話になっておりますので、つまらないかと思いますが、温かい目で見ていただくと嬉しいです。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

???「し、失礼しまーす…」

 

CiRCLEにある女の子たちがやってきた。

 

まりな「あれ?ましろちゃん?どうしたの?」

 

まりなさんは最初に入ってきた、銀髪の女の子に声をかけた。

 

ましろ「あ、はい…これ、ポスターとフライヤーを持ってきたので…」

まりな「お?ましろちゃんもついにバンド結成した?」

ましろ「はい。後ろにいるみんなと一緒にやることにしました」

 

ましろという名前の子は、後ろにいるバンド仲間の方を見て言った。

 

まりな「そうなんだ!それなら、CiRCLEでも紹介したいから、今からカメラ持ってくるから、ちょっとだけ自己紹介してもいいかな?」

ましろ「は、はい…よろしくお願いします…」

 

まりなさんはそう言うと、すぐに裏に入ってすぐに戻り、カメラを構えた。

 

まりな「それじゃ、それぞれ自己紹介しちゃって!」

ましろ「は、はい…と言っても…何から喋れば…」

???「まずはバンドの紹介からしましょう」

ましろ「そ、そうだね…」

 

ましろちゃんのバンド仲間に言われて、ましろちゃんはおどおどとした感じで紹介し始めた。

 

ましろ「は、初めまして。私たち、Molfonicaと言います。モニカと呼んでもらえると嬉しいです。あと、メンバー全員が月ノ森女子学園に通っています…ええっと…まず、わたしから…倉田ましろです。ボーカルをしています。よろしくお願いします」

 

ましろちゃんはたどたどしく自己紹介した。

 

透子「それじゃ、次はアタシが自己紹介するね!アタシは桐ヶ谷透子っていいます!Molfonicaではギターを弾いてます!SNSをやってまーす!よろしく!」

 

金髪の女の子…桐ヶ谷透子ちゃんが元気よく自己紹介した。

 

つくし「次は私だね。皆さん、ご機嫌よう。私はMolfonicaのリーダーの二葉つくしです!担当はドラムです!学園では学級委員長を務めてます!よろしくお願いします!」

 

ツインテールの黒髪の女の子…二葉つくしちゃんが礼儀正しく自己紹介した。

 

七深「それじゃ、次は私だね〜。皆さん、ご機嫌よ〜。Molfonicaのベースを担当している、広町七深で〜す。よろしくね〜」

 

ピンク色の髪の女の子…広町七深ちゃんがのんびりとした声で挨拶した。

 

瑠唯「最後は私ね。皆さん、ご機嫌よう。Molfonicaでヴァイオリンを担当している八潮瑠唯です。よろしくお願いします」

 

黒髪のショートヘアの子…八潮瑠唯ちゃんが礼儀正しく挨拶した。

 

ましろ「Molfonicaはまだまだ未熟ですが、応援してくれると嬉しいです。これからも頑張って活動しますので、応援よろしくお願いします」

 

ましろちゃんの締めの一言で、Molfonicaの自己紹介は終わった。

 

まりな「うん!OK!良かったよ!みんな!」

ましろ「き、緊張したぁ…」

透子「あはは〜、シロいつも通り緊張してんじゃん!」

つくし「でもこれで、みんなに知ってもらえるね!」

七深「そのために頑張らないとね」

瑠唯「そうね。CiRCLEで演奏することが目標だから、そのために努力しないと」

 

とここで、透子ちゃんが何かを発見した。

 

透子「…あれ?この写真…もしかして、第1回のガールズバンドパーティのですか!?」

 

CiRCLEのラウンジの後ろにあるボードに、大々的に複数枚の写真が貼られてあった。それは香澄達ポピパとRoseliaなどの5バンドが初めて会った第1回ガールズバンドパーティの写真だった。

 

ましろ「本当だ…香澄さん達、キラキラしてる…」

つくし「うん!私たちも、こんなライブやりたいなぁ…」

まりな「この時は本当すごかったよ!今でもうちの観客動員数が破られないからね!」

透子「そうなんですか!?でも、第2回も結構人がいたような気がするんですけど…」

まりな「会場は第1回も第2回も満員だったけど、倍率だったら断然第1回のガールズバンドパーティが凄かったんだから!それは、Poppin’partyやRoseliaの5バンドだけじゃなかったからなんだけどね…」

瑠唯「それはどういうことですか?」

まりな「ほら、ここにいるの、男子バンドでしょ?」

 

まりなさんが指を差した写真の差には、俺ら『LINEDRIVE』の写真が貼ってあった。

 

透子「あれ?本当じゃん」

七深「他のバンドに劣らず…いや、他のバンドよりすごく楽しそう」

ましろ「まりなさん、この人達は?」

まりな「『LINEDRIVE』というバンドだよ。今は事情があって活動してないんだけれど、昔この地域で有名なバンドで、その時は小学生ながらスカウトが来るほどすごいバンドなんだ!」

つくし「しょ、小学生でスカウト!?す、すごい…」

瑠唯「でも、その写真は小学生じゃないわね…今は高校生になったのかしら」

まりな「うん!今はみんな高校2年生になったんだ。ちなみに、この子達『LINEDRIVE』は、今のガールズバンドのみんなに影響を及ぼしたから、『ガールズバンドの父』なんて呼ばれてるんだよ!」

ましろ「が、ガールズバンドの父…」

つくし「一回会ってみたいなぁ…」

 

Molfonicaのメンバーはそれぞれの思いにふけながら、この日は解散となった。

 

ましろ「…『LINEDRIVE』…会ってお話ししてみたい…」

 

そんなましろちゃんの願いは、そう遠くない未来に実現するのであった。




いかがでしたでしょうか?
初めて流星達が出ない回書いたのですが…どうだったのだろうか…?
この話の続きも後日出す予定でございますので、お待ち下さい。
では、次回お会いしましょう!


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Molfonica編・第2話〜お花見でご挨拶〜

どうも、VOSEです。
はい、今回はモニカの初イベの話を改造した回でございます。
ネタバレ等含みますので、ご了承ください。
では、本編どうぞ!


…ある春のこと…

俺は香澄に誘われて買い出しに来ていた。

というのも、ポピパやRoseliaなどのいつものメンバーでお花見をすることになり、その為の買い出しをしているのである。

また、春休みであるということなので、良太や海斗達も来て一緒にお花見をすることになったのだ。

 

流星「…コップはこれでいいか?」

有咲「あぁ。このくらいあれば十分だろ」

たえ「あ、このうさぎかわいい…」

りみ「本当だぁ…これ、箸置きだね」

流星「今日は花見の買い出しなんだからパスな」

たえ「え、それは…」

流星「それはなんだ?おたえ」

たえ「…いや、ごめん。なんでもない」

有咲「お、おたえが黙ったぞ…」

香澄「有咲〜!りゅうく〜ん!このお皿でいいー!?」

流星「お、いいじゃん。その紙皿でとりわけして…ってかんじだな」

沙綾「大まかにこんな感じかな?うん、これで買い出しは終わりっと」

 

俺らは買い出しを終え、一旦有咲の家へ向かおうとしたその時だった…

 

香澄「…あ!あそこにいるのは!」

 

香澄が誰かを発見して、トコトコと走っていったのだ。

 

有咲「あ!香澄!ったく…」

流星「何してんやら…追いかけるぞ」

 

俺らは香澄の後を追っていくと…香澄が見知らぬ誰かと話をしていた。

白い髪の女の子で、少しおどおどしている。

 

香澄「お久しぶり!ましろちゃん!」

ましろ「お、お久しぶりです…香澄さん」

 

どうやら知り合いらしく、それで香澄が走っていったらしい…

 

流星「…おい、香澄…お前何してんだよ…」

香澄「あ、みんな!ちょうどね、CiRCLEのイベントに来ていた子を見つけちゃってさぁ…」

流星「CiRCLEのイベントって…この前の『第二回ガールズバンドパーティ!』か…」

香澄「そうそう!それで、そのガールズバンドパーティに来てくれたのが、このましろちゃん!」

ましろ「く、倉田ましろです…よろしくお願いします」

 

ましろちゃんはおどおどとした感じを変えない状態で挨拶してくれた。

 

沙綾「それで、ましろちゃんの後ろにいるのは友達?」

ましろ「は、はい…同じバンドの子達なんです…」

透子「どうも〜!月ノ森の超絶クールなバンド、モルフォニカ!略してモニカでーす!」

『よろしくお願いします!』

 

ましろちゃんの後ろにいた子達が挨拶をしてくれた。

 

流星「ましろちゃん達は、ガールズバンドパーティを見てからバンド結成したのか?」

ましろ「は、はい。というか…あなたは?」

流星「あぁ。俺は秋山流星。ポピパのサポーターってとこだな」

ましろ「流星さんですね。よろしくお願いします」

 

俺はモルフォニカのみんなとそれぞれ自己紹介をした。

倉田ましろちゃんに桐ヶ谷透子ちゃん、二葉つくしちゃんに広町七深ちゃん、そして八潮瑠唯ちゃんの5人でモルフォニカを結成しているという。

 

流星「…つーか、ひとつ疑問なんだけど…月ノ森ってさ…月ノ森女子学園のことか?」

 

俺は少し気がついたことがあり、おそるおそる質問してみた。

 

透子「はい!私達、月ノ森女子学園の生徒なんです!」

流星「いや、マジで!?あそこ超がいくつあっても足りない超名門お嬢様校じゃねぇかぁぁぁぁ!」

つくし「りゅ、流星さん、大袈裟ですよ…」

流星「いやいやいや…マジか…香澄、なんつー子達と仲良くなってんだ…」

香澄「ま、まぁ、バンドをやりたい子がましろちゃんだったから…」

ましろ「だから、私達はCiRCLEの舞台に立つように頑張ってます」

流星「なるほどね…」

 

と、話していると、瑠唯ちゃんが思い出したかのように、俺に話しかけてきた。

 

瑠唯「そういえば…私の記憶違いじゃなければ…あなた、確か『LINEDRIVE』の人よね?」

『え!?』

 

その一言に、モニカのみんなが驚いた。

 

流星「お?その話もう広まってるのか?」

瑠唯「CiRCLEで第一回のガールズバンドパーティのことが掲示されてあって、そこで『LINEDRIVE』を見たのです」

流星「なるほどなぁ…そうだよ。俺は『LINEDRIVE』でギター兼ボーカルをやってたよ」

つくし「す、すごい…『ガールズバンドの父』と言われているバンドの人が目の前にいるなんて…!」

七深「しかも、ポピパのみなさんのサポーターだなんて…」

ましろ「だから、ポピパのみなさんの演奏が…」

流星「演奏に関しては俺は何もしてねぇぞ?それは、香澄が引っ張ってくれたからみんなも一緒についていって、楽しんでやっているからだ。俺はそれの背中を押しているだけに過ぎねえよ」

 

その後、香澄がモニカのみんなにお花見を誘い、モニカのみんながそれに承諾してこの日は別れたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…お花見当日…

 

ましろ「…なんか、すごいところに来ちゃったね…」

つくし「そ、そうだね…」

 

せっかくのお誘いに快く引き受けたましろちゃん達だったが、今回の花見に来たのはポピパ、Roselia、Afterglow、パスパレ、ハロハピの5バンド集結のお花見であったため、かなり緊張していた。

そこからは前途多難の交流となる…と思っていたが…

 

ひまり「透子ちゃんって、あの現役女子高生インフルエンサーのTOKOちゃん!?」

リサ「え!?マジで!?あの、バズったものは全て流行るってあの!?」

透子「うわぁ…私のこと、知ってくれてたんだー!ありがとうございます!」

 

…こんな透子ちゃんの姿を見て、他の4人も他のバンドの人達と交流を深めていった。

特にましろちゃんは弱気の性格で、一旦離れてしまったものの、香澄やこころなどの協力でボーカル組で輪の中に無事に入ることが出来た。

そして、お花見も盛り上がってきた時のこと…

 

ましろ「…あれ?そういえば、流星さんは?」

 

ましろちゃんが、今日の花見に俺がいないことに気がついたのだ。

 

香澄「りゅうくんはね〜…ちょっと用事で来られなくなっちゃったんだぁ…」

 

そんな香澄の言葉に、ボーカル組が次々に反応した。

 

友希那「あら?流星くんもなの?」

蘭「友希那さんのところもですか?実は亮一も…」

彩「蓮二くんもなんだよね〜…」

 

その反応を見て、ましろちゃんはふと、頭を傾げた。

 

ましろ「ええっと…みなさん、どうして落ち込んでるのですか?」

香澄「あ、言い忘れてたんだけど…私達ポピパはね、全員りゅうくんとお付き合いしてるの」

ましろ「え!?りゅ、流星さんとですか!?しかもポピパ全員で!?」

香澄「うん!そして、友希那先輩や蘭ちゃん達の彼氏も、りゅうくんの友達なんだ!」

ましろ「そ、そうだったんですか…」

香澄「それで、今日みんなで一緒に行くって言ってたのに…急に外せない用事出来たから行けなくなったって言われて〜…」

ましろ「そうなんですか…それなら、流星さんのところに行きませんか?私、流星さんのこと、あまり知らなくて…」

香澄「そうしたいんだけど…りゅうくんからお花見を楽しんでって言われて〜…」

友希那「それだったら、みんなで行かない?おそらく、流星くんや雄介くん達がいないって事は…おそらく…」

蘭「そうですね…私も同じ予感がしてます」

こころ「それじゃあ、みんな誘って河川敷行きましょう!すぎりょーが、河川敷でやってるって聞いたから!」

香澄「本当!?こころん!それじゃあ、みんなでりゅうくん達のところへ行こう!」

 

…こんな成り行きで、香澄達は欠席している俺達の元へと向かったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方の俺らはというと…

 

流星「…そうそう!こうやって、ちゃんとピッチャーの目を見て捕ってね」

「はい!」

 

…河川敷で少年野球チームの練習に付き合っていた。

きっかけは、島津さんからのお願いだった。

島津さんの知り合いの少年野球チームで、1日だけでもいいから江戸川橋高校の野球部のみんなに、一緒に練習に付き合ってほしいという要望が来たのだ。

ここ最近での活躍で子供達からも熱い要望があったため、断ることができずに引き受けてしまった形だ。

しかも、その練習には…

 

良太「今のフォームは崩れちゃってるから、ここをこうして投げるといいよ」

海斗「この打球を捕るにはこうやって捕る。こう捕ると逆に投げにくくなるから気をつけること」

 

…良太達まで参加してくれたのだ。

島津さんのお願いとなっちゃ、断れないもん…

 

流星「ふぅ…しかし、こうやって教えるのも悪くないな」

雄介「俺は中学から野球始めた人だから、こうやって小さい子に教えるなんて出来るかなとは思ったけど…教えられて良かったよ」

良一「ぼ、僕もうまく伝えられて良かった…」

流星「んで、これが終わったら、俺ら江戸川橋高校ナインで対戦形式の練習を見せると…」

雄介「お前の親友のあの天野ってやつのボール見てみたいんだよなぁ…辻上先輩のスローカーブのお手本となったカーブを見てみたい」

流星「それも後で掛け合ってみるよ」

 

と、グラウンドから離れて水分補給をしながら話していたその時だ…

 

香澄「…りゅうく〜ん!」

 

突如、横から香澄が抱きついてきたのだ。

 

流星「ブフハッ!」

 

突然飛び込んできたもんだから、飲んでいたスポドリが思わず鼻から出てしまった…

 

流星「か、香澄!?お花見は!?」

香澄「ちゃんとしてるよ!でも、やっぱりりゅうくんがいないと!」

流星「電話で話したよな!?俺は用事があるって!わざわざ来なくてもよかっただろ!」

 

そんな会話を、モニカのみんなは遠くから見ていた。

 

ましろ「…あれ、流星さん…ですよね?」

つくし「だけど着ているのは…ユニフォーム?」

透子「江戸川橋高校…そういや、野球部が最近強くなってるって噂になってる高校だっけ…興味ないけど…」

七深「でもかっこいいね、流星くん」

瑠唯「そうね…でも、『LINEDRIVE』の流星さんがなぜ野球を…?」

沙綾「流星くんは元々野球をやってて、バンドはその次。それで、小学6年の時にバンドメンバーが引っ越すから最後のライブをやって解散したんだ。その後はしばらくバンドやってなかったんだけど、第一回のガールズバンドパーティで復活。そしてほんの少しだけだけど、活動はしてるんだ」

ましろ「そうなんですか…」

透子「でも…流星さんって、強いんですか?」

沙綾「聞いて驚くことなかれ!流星くんは18歳以下の日本代表に選ばれてるからね!」

つくし「に、日本代表!?す、すごい…」

 

沙綾がモニカのみんなに俺の話を自慢げに話していた。

 

良太「流星!そろそろメインイベント始まるから、香澄引き剥がして来いよ!」

 

良太が俺に向かって手を上げて呼んだ。

 

流星「はいよ!香澄…お前そろそろ離れろ」

香澄「わかったよ〜。それじゃ、頑張ってね!」

 

香澄はようやく俺から離れて俺を見送った。

しばらく練習を見た香澄達は、終始驚きの表情を見せた。

特に、俺の強肩発動や、海斗と裕二の二遊間捌き、良太の『魔球』など、モニカのみんなにとっては目を輝かせるものばかりだった。

そして練習終了後…

 

『かんぱーい!』

 

俺ら江戸川橋高校ナインと香澄達でお花見をすることになった。

まだ日が落ちない時間であった事と、島津さんのバッティングセンターでシャワーを貸してもらったこともあって、各々綺麗になった状態で参加することができた。

 

流星「しかし、香澄達の音楽を聴いてやりたいか…こいつらのどこがいいんだ?」

香澄「ちょっと〜!りゅうくんひどい!」

流星「悪りぃ悪りぃ…」

ましろ「やっぱり…キラキラしてて…輝いていて…私もいつか、香澄さんみたいになりたいなって…」

香澄「ましろちゃん!ありがとー!」

流星「まぁ、なんとなくわかってたがな…」

 

と、話していると…

 

尚之「流星!ちょっと来てくれ!」

 

そう叫ぶ尚之の声が聞こえた。

 

流星「ん?なんだ?」

 

俺はふと、尚之の方を見ると…なぜかギターやベースなど、バンドの楽器に加えて簡易的なステージがあったのだ。

 

こころ「こんなところでライブやったら、絶対に楽しいと思って持ってきたのよ!」

流星「こころんかーい!」

良一「こ、こころちゃん…やっぱりすごいね…」

 

…こころがライブをやりたいと、楽器やステージを持ってきたというのだ…

 

透子「マジで!?私達、すげぇやりたいんだけど!」

リサ「あはは!私たちも聞いてみたいな!でも…最初はこの人たちじゃないとね?」

 

リサさんがそう言うと、モニカ以外のみんなが、全員俺、尚之、良太、裕二、海斗を見たのだ。

 

流星「…休ませてくれねぇか?」

香澄「だって!この5人がいたら、絶対聴きたいもん!『LINEDRIVE』の音楽!」

 

この香澄の言葉に反応したのが、モニカのみんなだった。

 

透子「え!?ら、『LINEDRIVE』!?」

つくし「流星さんがボーカルなのは知ってましたけど…5人!?『LINEDRIVE』って、5人組のバンドなんですか!?」

流星「まぁな…俺とそこにいる尚之、良太、裕二、海斗の5人で結成したのが『LINEDRIVE』なんだ」

七深「バンドメンバー全員野球の人だなんて…すごい…」

瑠唯「それなら是非聴いてみたいわ」

透子「そうそう!ちょー聴いてみたい!『LINEDRIVE』の音楽!」

流星「…だってよ?」

 

俺はふと、尚之達の方を見ると…すでにスタンバイしていた…

 

良太「おい!流星!何してんだ!?」

裕二「さっさとやるぞ!」

流星「ノリノリかよ…」

 

俺はそう言って微笑むと、ステージに上がり、ギターを取った。

 

流星「…んじゃ、ゲリラライブ、1曲目いくぞ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

挿入曲『ドラマ』

Vo.秋山流星&天野良太

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜曲中〜

ましろ「…すごい…香澄さん達より…キラキラしてる!」

透子「この歌声、聴いてるとなんか乗ってくる!」

つくし「確か、すでに出ている曲のはずだけど…流星さん達の方が好きになりそう!」

七深「本家を超える歌声…」

瑠唯「それに、他のメンバーも楽しそうにしている…これが…『LINEDRIVE』の音楽…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…曲が終了し、ふと、全員を見渡すと、すでに俺の声を聞いた香澄達はもちろん、モニカのみんなもうっとりしていた。

 

香澄「…やっぱりりゅうくんの歌声、いいなぁ…」

有咲「あぁ。楽しく歌ってるって、何度聞いても実感してる」

流星「それはどうも、モニカのみんなは?」

ましろ「す、すごかったです!皆さん、自分たちの音楽を楽しんでいて…本当にすごかったです!」

透子「私、『LINEDRIVE』のファンになった!そのくらいすごかった!流星さん!なんで『LINEDRIVE』は心惹かれる歌を歌えるんですか!?」

流星「それはやっぱ…()()()()()()()からかな?」

つくし「音を…楽しむ…」

良太「音は人それぞれ。そんな自分の音を、一緒にいる奴らが楽しんでくれるから、俺も楽しめる。だから()()()()()んだ」

七深「なるほど…」

瑠唯「それが、『LINEDRIVE』の強みなのね…」

 

それぞれ感想を聞いた後、俺らはこの後何曲か歌った。

結果、俺ら『LINEDRIVE』のゲリラ単独ライブとなってしまい、思わずみんなに吠えてしまったが、みんな喜んでくれていた。

お花見は無事大成功を収め、充実した1日になったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
いやはや、最近は小説のお気に入りが減る一方で…
まぁ、この小説はただの自己満小説なので、なんとも言えませんが…w
思いついた話はどんどん書いていく人なので、ストックが大量に有り余る事態になっているので、そんな話をどんどん放出していけたらなと…
というわけで、今回はここまでにします。
では、次回お会いしましょう!


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番外・poppin'party編
番外編〜大晦日と初詣〜


どうも、VVVFです。
あけましておめでとうございます
というわけで新年最初の話を出させていただきます
短い文ですが、どうぞご覧ください。
では本編どうぞ!


…大晦日、この日は俺は家でごろごろ…出来なかった。

香澄が有咲の家で年を越そうと言い始め、俺や有咲達はそれに付き合うことになってしまったからだ。

てな訳で、俺は有咲の家に来ていた。

玄関から入り、居間に行くと…

 

香澄「…あ!りゅうくん!」

流星「うわっ!?こら!香澄!いきなり抱きつくな!」

香澄「だって、会えるの楽しみにしてたんだもん!」

有咲「ったく…香澄は何してんやら…流星、隣借りるぞ」

流星「いや、有咲も同じことしてねぇか!?」

 

俺の左腕に香澄が抱きつき、有咲も俺の右腕に絡みつくように抱いてきたのだ。

 

流星「…あのー…なんですか、この状況は…」

たえ「挨拶」

流星「いや、挨拶で腕抱くやついるか!?」

沙綾「いいなぁ…2人とも…」

流星「沙綾、やめてくれよ?お前とりみりんだけが頼りなんだから…!」

香澄「え…私、頼られてないの?」

流星「いや、そういう意味じゃないから落ち込まないで…」

 

とまぁ、いつもどおりかちょっとイチャつきが多い感じで、年越しをすることにしたのだ。

とりあえず俺らはこたつで囲みながらテレビをつけ、それをBGMにトランプやすごろくなどでめいいっぱい遊ぶことになった。

 

流星「…は!?マジで!?」

りみ「ようやく上がれた〜…」

香澄「珍しいね、りゅうくんが負けるなんて」

流星「ちょっと調子悪りぃなぁ…ババ抜きは心理戦だから得意なんだけど…」

 

まぁ、若干俺の足に絡んできてるやつがいるってのもあるが…

 

流星「てか、ババ抜きもそろそろこのくらいにしないか?」

香澄「うん!次何する?」

有咲「と言っても、やることはないからなぁ…」

りみ「うーん…どうしよう…」

 

みんなで次やりたいことを考えていると、香澄がりみが食べているものを見てハッと思いついた顔をした。

 

香澄「ねぇねぇ!ポッキーゲームしない!?」

 

それを聞いた途端、俺は思わず飲んでた水を吹き出してしまった。

 

香澄「りゅ、りゅうくん!?」

流星「ゲホッゲホッ…香澄、お前馬鹿か!?」

香澄「だって、りゅうくんともっと仲良くなりたいし…」

 

なんか、香澄は俺と付き合いだしてから妙に女の子っぽさが増していて、若干アンニュイな雰囲気までも漂わせてるんだよなぁ…

今だって、少々モジモジしながら話してるし…

 

流星「と言ってもなぁ…俺はあんまりそういうのはしたくねぇんだけど…」

香澄「ううっ…りゅうくぅん…」

 

香澄ぃぃぃぃぃ!その上目遣いどこで覚えたぁぁぁぁ!

と思うほど、香澄が目を輝かせながら俺をまじまじと上目遣いで見てきた。

そこに救いの手が…

 

有咲「香澄!お前何言ってんだよ!」

 

有咲が唐突に突っ込んできた。助かった…と思ったら…

 

有咲「私も混ぜろ!」

 

この瞬間、俺は思わず天を仰いでしまった。

 

流星「…有咲…突っ込んでくれよ…」

有咲「わ、私も…やってみたいからさ…」

流星「いや、そういうのじゃねぇだろ!?ちゃんと突っ込め!」

 

…とまぁ、てんやわんやでポッキーゲームをする羽目になり…

ここの部分は割愛ということで…

 

流星「…もうこんな時間か…」

 

ポッキーゲームでヘトヘトになった俺がふと時計を見ると、あと10分くらいで年を越す時間になっていた。

 

香澄「本当だ!年越しそば食べたーい!」

流星「いや、そのタイミングでその話するか!?」

万実「出来たわよ」

流星「おばあちゃん、準備早っ!」

 

準備していた有咲のおばあちゃんの年越しそばで、俺らは年を越すことにした。

 

有咲「全く…ばあちゃんは張り切りすぎるんだよなぁ…」

流星「どういうことだよ…」

有咲「ばあちゃん、流星と私が付き合ってるって思ってるからさ…」

流星「いや、そうじゃなかったの?」

有咲「そうだけどさ…恥ずかしくて…」

香澄「えぇー!言っちゃえばいいのにー」

有咲「うるせー!」

沙綾「まぁまぁ、有咲落ち着いて」

りみ「でも、有咲ちゃんの気持ち、わかるよ」

たえ「なんかこう…ドキドキする感じとか…」

有咲「いや、フォローなってねぇし…」

 

いつのまにかいつもの会話になっていった。

まぁ、それが俺にとっちゃうれしいといえばうれしい話なんだけどね。

そんなこんなでしばらく食べていると…

 

流星「…あ、年越したな」

 

いつのまにか新年になっていた。

 

りみ「本当だ…」

たえ「でも、みんな変わってない」

流星「いや、普通そうじゃね!?」

有咲「まぁ、でもなんか…いつも通り過ごしてたら…だな」

香澄「なんか、年越したとは思わないね」

沙綾「いつもだったら年を越すのに色々心構えとかしてたけど、あっという間だったね」

 

俺らはそうやって笑いながら話した。

 

流星「…去年はもう、色々あったからなぁ…楽しかった」

香澄「私も楽しかった!」

有咲「まぁ…私も…」

たえ「うん、楽しかった」

りみ「こうやって楽しく過ごせたのも…」

沙綾「流星のおかげかな?」

流星「んなわけないだろ…お前らだけでも、楽しく出来たと思うぞ?」

有咲「それはないな」

香澄「りゅうくんがいたから、もっともっと楽しめたんだよ!これからも、よろしくね!」

流星「あぁ、よろしくな」

 

初詣は朝ごはん食べてからにするということで、今日はこのタイミングで寝ることにした。

まぁ、寝る時にジャンケンで勝った沙綾とりみりんが隣で俺を抱きながら寝てしまってる為に、結局寝れたのは3時くらいだったことは秘密ってことで…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

朝…

 

香澄「おはよー!」

 

香澄が朝早くカーテンを開けて俺らを起こした。

 

りみ「香澄ちゃん、おはよー…」

有咲「ふあぁ…いつも思うけど、よく起きられるな…」

香澄「だって、楽しみなんだもん!…あれ?」

 

目をこすりながら起きているポピパメンバーの横で、俺だけ大の字になって寝ていた。

 

たえ「りゅうくん、まだ寝てるね」

沙綾「大丈夫かな…」

 

と、沙綾やおたえが心配している中、香澄は俺の顔に近づいて…目覚めのキスをしたのだ。

それには俺も思わず起きてびっくりした。

 

香澄「…あ、起きた!」

流星「ばっ!お前何やってんの!?」

香澄「えへへ…目覚めのキス!」

流星「いや、キスは昨日散々しただろ!」

香澄「だって、起きないから」

流星「じゃねぇよ!全く…」

 

俺らは着替えを済ませ(ここでは流石に分かれて着替えをした)、有咲のおばあちゃんが作ってくれた朝食を食べて、近くの大きな神社へと向かった。

 

香澄「うわぁ…やっぱり人いっぱいだね!」

流星「そりゃ、初詣だからな」

 

と神社の前の行列を見ていると…

 

あこ「…あ!ポピパのみなさん!こんにちは!」

 

あこちゃんと健太さんがちょうど来た。

その後ろには良太と良太の腕にしがみついている燐子さんも見てとれた。

 

流星「よ!良太!」

良太「よ、よぉ!」

あこ「りんりん、大丈夫?」

燐子「う、うん…良太くんの腕掴んでるからなんとか…」

流星「そういや、燐子さんは人混み苦手でしたね…」

健太「それで、今からお参りするんだろ?一緒に並ぶか」

 

ということで、お参りは健太さんや良太と一緒に並ぶことにした。

そんな並んでる最中で、良太は俺とポピパの距離に違和感を覚えたらしく…

 

良太「…流星、ポピパのみんなと何かあったのか?」

 

と質問して来た。

 

流星「え?ええっと…」

良太「なんか、かなり距離近くね?」

流星「あー…ええっとね…」

 

俺が健太さんや良太達に事情を説明すると…

 

あこ「えー!?」

燐子「ポピパのみなさんと、流星くんで付き合うんですか!?」

流星「なぜかそうなった…」

香澄「えへへ、いいでしょー」

有咲「あ、こら!香澄!流星に勝手に抱きつくなって!」

流星「という有咲も抱きつくな!」

あこ「いいなー」

健太「いや、あこには俺がいるだろ…」

良太「お前…たらしだな…」

流星「んなわけねぇ!」

 

…そんなこんなで、俺らは賽銭箱の前まで来た。

俺らはそれぞれ賽銭を入れて、お願いをした。

俺の願いは、チームを甲子園で優勝させること、ポピパのみんなといつも以上に仲良くなりたいということだ。

そのあと、それぞれおみくじを引いて一喜一憂した後、神社の前で健太さん達と合流した。

 

健太「さてと…ここからは新シーズンだ。今度会うときは、決勝で」

良太「こっちは甲子園だな。健太さん達に勝って、俺らと勝負しようぜ!」

流星「当たり前だっつうの。今度は俺らが、日本一になってみせますから」

 

俺らは互いの健闘を誓い、そのまま分かれた。

 

香澄「…りゅうくん!」

流星「ん?」

 

帰る途中、突然香澄から呼ばれた俺は、ふと香澄の方を見た。

振り返ると、香澄達5人が、整列して俺の方を見ていた。

 

香澄「…りゅうくん!今年もよろしくね!」

有咲「また迷惑かけるかもしれないけどよ…よろしくな」

たえ「流星くんと、もっとキラキラしていたいから、よろしくね」

りみ「一緒にいて楽しかったよ。今年もよろしくね」

沙綾「私たちも頑張るから、流星くんも頑張って」

 

5人がそれぞれ思いを伝えてくれたのだ。

それを聞いた俺は、思わずふと笑ってしまった。

 

流星「…去年は甲子園に行けなかった…だから、今度は甲子園に行く…お前らを連れてな…だから、これからも…よろしく頼むな」

 

その時交わした笑顔は、俺は一生忘れないものになったのだった。

 




いかがでしたでしょうか?
これからバンドリ2期目突入するのでこの小説でも2期目に入ろうかと思っていますので、よろしくお願いします!
では、次回お会いしましょう!


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番外編〜バレンタインの話〜

どうも、VVVFです。
今日はバレンタインなので、新しく書きました。
いつものようなグダクダ展開ですが、よろしくお願いします。
※作中にある高校名がありますが、調べたところ実名の高校が実際に前にあったようです。この作中では想像上にある高校ですので、お間違えないようよろしくお願いします。


…2月14日…

男子にとってはこの時期で一番気になる日である…

どうしてか…

この日はバレンタインという日である…

女子が男子にチョコレートをあげる日で、普通の男子ならば、ワクワクしてチョコレートをもらう準備をしているのだが…

 

審判「一同、礼!」

『お願いします!』

 

この日、俺ら江戸川橋高校野球部は、平日ながら対外試合に出かけていた。

相手は千葉にある千葉県立船津高校で、千葉県の中ではトップクラスに入る強豪校だ。

今回はその船津高校の練習試合のために千葉の球場に出張しているので、午後の授業は上島監督の特権で休ませてもらっている。

 

雄介「しかし、なんでこんな日に試合なんかやるんかな…」

亮一「しかも平日だろ?珍しいじゃん」

流星「なんでも、船津高校の監督と上島監督は親友の間柄で、今回の練習試合もお互いに同意してやろうとしたらしいけど、船津高校自体が有名で土日埋まってしまったから、唯一空いているこの日にやる事になったって」

蓮二「それでもやっぱりこの日はいかんだろ…」

康介「仕方ないだろ」

 

まぁ、俺からしたら、香澄達にえんえんと騒がれるよりかはマシかなとは思うけどね…

なんせ今日は…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方の花咲川女子学園…

 

香澄「えぇー!りゅうくん、いないの!?」

「そうなの。今日は練習試合で出かけちゃってるから…」

 

香澄が江戸川橋高校にいる、仲良くなった子と電話で話をして、そこで初めて俺ら野球部が学校にいないことを知った。

この事を知ると、何がなんでも来そうで、そういうのは流石に良くないと思ったからだ。

 

りみ「流星くん、今日は学校に来てないの?」

香澄「そうなんだよ〜。りゅうくん、試合でいないって…」

有咲「なんで今日試合なんだよ!?」

沙綾「わからないけど、そうなったら仕方ないんじゃない?」

たえ「そうだね…」

 

とみんなが落ち込んでいたものの…

 

香澄「そんな事思っても仕方ないよね!それじゃ!第1回!ポピパのチョコレート交換会始めまーす!」

 

香澄のその掛け声でチョコレート交換会をする事になった。

もちろん、交換会は大盛り上がり。

香澄はコンビニのチョコ、りみりんは有名なチョコレート店のチョコ、沙綾は手作りのチョココロネ、おたえはお気に入りのお店のチョコ、そして有咲は…

 

香澄「すごーい!これ、全て手作りしたの!?」

有咲「べ、別にそんなんじゃ…」

 

一つ一つ手作りしたチョコを持ってきていた。

 

りみ「すごいね!一つ一つ分けて作ってくれたんだね!」

有咲「ま、まぁな…やっぱり作るなら、手作りの方がいいかなって…でも形が…」

沙綾「こういうのは、形じゃなくて気持ちだよ、有咲。ありがとうね」

 

そんなこんなでポピパのチョコレート交換会は大盛り上がりを見せたのだが…

 

たえ「あれ?みんなそれぞれ一個ずつ残ってるね…」

 

交換したはずなチョコレートが、一個ずつ残っていたのだ。

 

有咲「こ、これは…流星の…物なんだ…」

香澄「有咲も?実は私もなんだ!」

りみ「私も、流星くんにあげようと思っていたんだ」

たえ「実は私も」

有咲「いや、食べようとしてただろ!手が伸びかけてたし!」

沙綾「私も放課後渡そうと思ったんだよね。でも…」

 

俺の事を思い出した香澄達が、再び気を落としてしまった。

すると、香澄がハッとある事を思いついた。

 

香澄「…あ、そうだ!せっかくまだ来ないだったら、今からチョコ作らない!?」

有咲「はぁ!?今から!?」

りみ「それ、いいかも。家帰ったらすぐにみんなで作って、それを流星くんに渡せば…」

たえ「喜んでくれる事間違いなし」

沙綾「それいいね!それだったら、有咲にレクチャーしてもらおっかな?」

有咲「な、なんで私が!?」

香澄「だって、こんないいチョコ、手作りしてきたんだもん!私たちも作りたいから教えて!」

有咲「こ、これはリサさんに教わってもらって…」

沙綾「リサさんに?なるほど…だから、上手くできたんだ…それでも教えて欲しいな」

有咲「ばっ…そんなキラキラした目で見ないでくれ!わかったから!」

 

そんなこんなで、香澄達は放課後、有咲の家でチョコを作ることになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

審判「一同、礼!」

『ありがとうございました!』

 

夕方近くなって、練習試合は無事終わった。

結果は5-3で俺らが勝った。

5回までは投手戦で、先発の雄介が見事な三振ショーを見せつけ、6回に好投に応えるように尚之が先制アーチ。

その後、亮一と島川先輩のヒットでもう一点入り、6回は2点入った。

しかし、8回に雄介が疲れてしまった事により、船津高校は3点返して逆転。

9回にはなんとか犠牲フライで1点入れて延長戦に突入。

11回表で頼れる尚之の2点ホーマーで再び勝ち越した俺らは、辻上先輩の見事なリリーフで勝ちをもぎ取った。

 

亮一「いやー、今日は痺れる展開だったな!」

流星「声が大きい」

 

電車の中で思わず大声を出す亮一に、俺は思わず突っ込んだ。

 

尚之「でも、課題は残ったな…雄介のスタミナ、打撃陣の打撃力…まだ改善するところはある」

良一「そ、それでも強豪校に勝てたのは大きいと思うよ」

一彦「杉浦のヒットもすごかったな。中継ぎエースのあの萩山って人からよくツーベース打てた」

良一「は、初めてのサード経験したけど…なんとか守れてよかったし…」

 

と、各々今回の試合を振り返っていると…

 

蓮二「…そーいや、今日はバレンタインなんだよなぁ…」

 

蓮二がふと小さい声で呟いた。

 

流星「…蓮二、どうした?」

蓮二「あ、いや…最近パスパレの皆さんと一緒にする機会が多いんだけどさ…なんかやな予感しかしない…」

流星「それ言うんだったら俺なんかな…」

尚之「お前はおかしいからな…」

流星「俺がおかしいわけじゃねぇ!」

雄介「はいはい、よくわかったから」

流星「わかってねぇだろ!」

亮一「流星、うるさいぞ」

流星「くっ…」

 

いじりいじられのまま、俺らは無事最寄りの駅に着いた。

 

尚之「んで、お前は『流星堂』に行くんか?」

流星「行くさ。多分、待ってくれているはずだからな。と言っても、多分いつものように練習を見るだけになるだろうけど」

亮一「そうか、それじゃ、ここでお別れだな」

流星「あぁ。んじゃ、また明日」

 

俺は少し早歩きで蔵へと向かった。

と言っても、時刻は18時。

外も暗くなりかけている時間帯なので、全員いるかどうかも微妙な感じはしていた。

蔵に着いた俺は、そろりといつもの練習場所に入ると…

 

香澄「あ!りゅうくーん!」

 

…案の定、香澄が抱きついてきた。

 

流星「ばっ!香澄!」

香澄「えへへ〜、会いたかったよぉ〜」

流星「だからって抱きつくのはおかしくね!?」

沙綾「でも、今日はいなかったからね。いつ来るのか楽しみにしてたんだ」

流星「どういうことだ?」

有咲「これ…お前のだよ、流星」

 

有咲がそう言って出したのは、綺麗でカラフルな箱だった。

 

流星「これ…」

りみ「私たちの気持ちだよ」

たえ「ずっと一緒にいたいから」

香澄「有咲が教えてくれたんだ!」

有咲「ばっ!香澄!」

沙綾「まぁまぁ…これが、私のお礼って事で。これからもよろしくね、流星」

流星「あぁ…ありがとな」

 

その後、中に入っていたチョコを食べたが、5人の熱い視線のせいで、甘かったのか苦かったのかわからないで食べていったのだった。




いかがでしたでしょうか?
束の間の休息に書いた感じですので、あまりいい感じに出来ませんでしたが、読んでくれてありがとうございます。
現在別の小説の構想も考えていますが、なかなか書けないのが現状で…
とりあえず頑張って書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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番外編〜香澄の誕生日〜

どうも、VVVFです。
今日は香澄の誕生日。
ということで、1000字程度のショートストーリーを書いてみました。
軽く読んでいただくだけで充分ですので、どうぞ見ていってください。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

蔵にて…

 

有咲・りみ・たえ・沙綾・流星「香澄、誕生日おめでとう!」

香澄「うわぁ〜!ありがと〜!」

 

この日は香澄の誕生日。なので、俺らは蔵で誕生日パーティーを開くことにしたのだ。

もちろん、香澄には知らせていない、サプライズパーティーだ。

 

流星「しかし、香澄の誕生日がこの日なのか…有咲とかに言われるまで気付かなかった」

香澄「え?有咲が言ってくれたの?」

有咲「ばっ!流星!それ言わないでって!」

流星「え?聞いてねぇぞ?」

有咲「今言った!」

 

と、パーティーはいつものようにワイワイと盛り上がった。

 

沙綾「今日は外暑いから、ケーキはアイスケーキにしておいたよ。あと、うちの親が香澄のために色んなパンを用意してくれたんだ」

流星「にしては張り切りすぎだろ…」

 

沙綾が指差したところには、かなり山積みになっているパンがあった。

 

香澄「ありがとー!沙綾ー!でも、こんなには食べられないかも…」

流星「ケーキのアイスと一緒に食えばなんとかなるだろ。それでも無理だったら俺が食っとくわ」

りみ「そうだね」

たえ「さぁ、早速食べよう」

 

ケーキは六当分に切り分け、みんなでパンにアイスを乗せながら食べるという形で食べ進めていた。

 

流星「そういや、今日俺何もプレゼント持って来てなくてさ…」

有咲「はぁ!?持って来いって言っただろ!?」

流星「忘れちまってな…それで、香澄が今欲しいものないかなって聞きたくてさ」

香澄「ん?私が今欲しいもの?」

流星「そうそう。なんかない?」

香澄「うーん…流星くんかな?」

流星「ご冗談がキツイって…」

香澄「ごめんごめん…うーんと…あ、野球やりたい!」

流星「ん?それは…どういうこと?」

香澄「流星くん達と一緒に野球部の練習やってみたいんだ!」

流星「それはあかん…マジで…」

香澄「えぇ〜!?」

流星「えぇじゃないっつうの!硬球なんて硬いから、香澄みたいな一般素人だと怪我するっつうの!」

香澄「そっか…」

 

香澄は少ししょんぼりとした表情を見せた。

それを見た俺は、はぁとため息をつきながら、おもむろに立った。

 

流星「…キャッチボールくらいならやってもいい。あとはバッセンで球打つくらいだな」

香澄「本当!?」

流星「軽くやるくらいだけだからな」

香澄「ありがとー!」

流星「馬鹿野郎!抱きつくな!」

 

そんなこんなで、俺らは外へ出てキャッチボールをすることにした。

 

有咲「…てか、なんで私達も外にいるわけー!?」

たえ「いいじゃん、やろうよ、キャッチボール」

りみ「私はいいかな…」

沙綾「今日は香澄の誕生日だし、香澄のやりたいことやらせてあげようよ」

 

と、有咲達は日陰で俺らを見守ることにした。

俺と香澄はお互い離れたところでスタンバイしていた。

 

香澄「…流星くん!行くよー!それ!」

 

香澄が投げた球は、大きく上へ上がり飛距離がない。

 

流星「オッケー、オッケー…ほい」

 

俺はどうにかボールを取り、それを高々と上げた。

 

流星「それじゃ、次は俺な」

 

俺はいつものキャッチボールをするようにボールを投げた。

香澄が投げたボールとは違い、かなり速い球になった。

それでも…

 

香澄「うわっ!…ちょっと!速いよ!」

 

香澄は難なくボールを取った。

 

流星「悪りぃ、悪りぃ…」

 

その後、俺と香澄でキャッチボールをしばらくやり、いつのまにか有咲やおたえなども参加させられて遊んだ。

 

流星「…もうこんな時間か…」

 

俺らが夢中になってやり、気がついたら17時を回っていた。

 

香澄「あーあ…もうちょっとやりたかったなぁ…」

流星「しゃあねぇよ。まぁ、楽しめたからいいだろ?」

香澄「うん!流星くん、ありがとうね!」

流星「いいってもんよ」

 

香澄は笑顔で俺に礼を言ってくれた。

そして…

 

香澄「…流星くん!最後にいい?」

流星「ん?」

香澄「…手繋いでいいかな?」

流星「え?」

香澄「いいでしょ?」

流星「…まぁ、いいぜ?」

香澄「…ありがと」

 

俺と香澄で手を繋いで、蔵へと戻ったのだった…

なお、後ろで有咲や沙綾達がコソコソと何か話していたのは別の話。




いかがでしたでしょうか?
最近色々と忙しいので、ちょこちょこと小説書いていますが、納得がいくまで書き続けているので、他作品に関してはもうしばらくお待ちを…
これからまだまだ夏が続くので、体調崩さずに頑張っていきたいと思います。
では、次回お会いしましょう!


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番外編〜逆玉手箱!?・poppin'party編〜

どうも、VVVFです。
かなり久々のバンドリでございます。
今回はふと思いついた、なかなかエグい話になってるかと思いますw
というのも、自己満回になりそうな感じでして…w
また、こういう話はあまり書かないようにしていたので、果たしてどんな反応が来るのやらと…
というわけで、お待たせしました
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

蔵にて…

 

香澄「おっはよー!みんな!」

りみ「おはよー、香澄ちゃん」

たえ「おはよー」

沙綾「おはよー、香澄」

有咲「今日はちゃんと朝に来られたな」

香澄「ちょっと、有咲酷くない!?」

有咲「いつものことだから、今日も遅いと思ってたんだよ」

 

と、ポピパのみんな、朝早くから練習するために蔵に来ていた。

 

香澄「あれ?りゅうくんは?」

有咲「流星は野球の練習をしてから来るだってさ」

沙綾「いつものルーティンってところかな?」

香澄「それじゃ、りゅうくんが来る前に頑張っちゃおっ!おー!」

『おー!』

 

と、意気込んで練習を始めようとしたその時だ。

 

有咲「あ、待ってくれ!その前にちょっとみんなに見てもらいたいものがあるんだった!」

 

有咲が何かを思い出し、地上の物置スペースからある物を取り出した。

それは、綺麗な漆塗りの箱で、蓋の上には赤い紐が結び付けられていた。

 

有咲「この前、質流れで来たやつらしいんだけどさ…」

りみ「え?違うの?」

有咲「いや、そもそもどういう流れで来たのかわからなくてな…怖くて中見れなかったんだよ…」

香澄「それじゃ、開けていいってことなんだね!」

 

香澄はそう言うと、すぐに紐を解いた。

 

有咲「ばっ!香澄!まだ心の準備が!」

 

そんな有咲の叫びも虚しく、香澄はその箱の蓋を勢いよく開けた。

すると、中から煙がモクモクと上がったのだ。

 

香澄「うわあっ!ケホッケホッ」

有咲「香澄!閉めろ!」

りみ「きゃあっ!」

たえ「うわあっ!」

沙綾「何これ!ケホッケホッ」

 

蔵の地下室が煙で充満した。

蓋を閉めた後も、この煙がしばらく続き…

 

???「…だ、だいじょうぶ?みんな」

???「こらっ!かすみ!おまえがかってにやるから!」

???「ご、ごめんって…」

???「あれ?なんか…視線が低くなってるような…」

???「ど、どうなってるの!?これ!」

 

そして、煙が晴れると…

 

『えぇー!』

 

と、驚きの声が響き、そんな超ベストタイミングというところで…

 

流星「すまねぇ!遅くなった!」

 

俺が部屋に入った。

そして、今の現状を見た俺は…

 

流星「…え…えぇ!?か、香澄達…なんで小さくなってんの!?」

 

思わず固まってしまった。

香澄達が…まるで小学生くらいの身長になってしまっていたのだ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「…ったく…香澄は何してんだよ…」

かすみ「ごめんなさい…」

 

事情を聞いた俺は、思わず頭を抱えてしまった。

とりあえず小さくなった香澄をこっぴどく叱ったが、精神的にも幼児退行してしまったのか、ぐずっていた。

 

流星「この後どうすんだよ…てか、どうやって戻るんだ、これ…」

りみ「あ、さっき、こんなかみがはいってたよ」

流星「ん?」

 

俺はその紙をもらって見ると…

 

『この箱は幼児退行する煙が入っています。真夜中の0時に元に戻りますので、安心してください』

 

と、書いてあった。

 

流星「いや、安心できるか!この状況どうすりゃいいんだよ!てか、どう説明すりゃいい!」

たえ「そのまま帰る」

流星「いや、なんで小さくなったのか説明出来ん!はぁ…」

 

しばらくして、俺はようやく重い腰を上げた。

 

流星「…とりあえず、今日は解散して、各自家に連れて帰るから…それでいいよな?」

かすみ「はーい!」

 

そんなわけで、俺は香澄達を連れて帰ろうとしたその時だ…

不意に引っ張られる感覚を覚え、ふとその方を見ると…有咲が服を掴んでいたのだ。

 

流星「…あり…さ?」

ありさ「…いっしょにいく」

流星「…へ?」

ありさ「いっしょにいくっていってるの!」

流星「いや、でも有咲んちはここ…」

ありさ「きょうはりゅうせいといっしょにいたい!」

 

それを聞いた瞬間、俺の背中に電気が走った。

いや、待て待て待て…普通に考えれば、女の子を家に泊めさせるのは構わないけれども…朝が地獄絵図になりかねないぞ!?

と、考えていると…

 

かすみ「あー!ありさだけずるいー!わたしも一緒にいる!」

さあや「わたしも一緒にいたい…」

りみ「わたしも…」

たえ「わたしも」

 

…案の定、くっついてきた。

いつもだったら無理を通せるのだが…今回ばかりは幼児退行している関係もあり、無理に断ることが厳しい…

 

流星「…はぁ…仕方ねぇ…」

 

俺は肩に鉛を背負うようなどんよりさで、まずは香澄の家に行くことにした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…小さくなってしまったので、服はどうなのかと言われるかもしれないが、有咲の家には色んな服が置いてあったので、それを借りることにした。

今回は明日用の服を取るため、ポピパメンバーの家に行くことにした。

まず最初は、香澄の家…

俺が家のインターホンを鳴らすと…

 

明日香「はーい」

 

今日は休日ということもあって、明日香ちゃんがインターホンに出てくれた。

 

流星「あ、明日香ちゃん。秋山流星です。ちょっと、いいかな?」

明日香「あ、流星さん。どうしたんですか?」

流星「ちょっと、玄関で話したいんだ」

 

俺はそう言って玄関に入れさせてもらい、明日香ちゃんと話をすることにした。小さくなった香澄を連れて…

 

明日香「お、お姉ちゃん!?」

かすみ「あ!あっちゃん!おおきいね!」

流星「いや、香澄が小さくなったからだろ!」

明日香「りゅ、流星さん!これは一体!?」

流星「あぁ…実は…」

 

俺はさっき起こった事の顛末を明日香ちゃんに話すと…

 

明日香「し、信じられませんが…」

流星「俺も信じられない…けどこうなってしまったからなぁ…」

明日香「仕方ないですね…それで、お姉ちゃんの服を取りに来たんですよね?今持ってきますので、待っててください」

 

明日香ちゃんが用意した香澄の服を回収した俺は、続いて沙綾の家へと向かった。

 

純「え!?お姉ちゃん!?」

さあや「うん、そうだよ」

紗南「お姉ちゃん、可愛い!」

さあや「ありがとう、さな」

 

沙綾が純と紗南と一緒に遊んでいる一方で、俺は沙綾の母に事の経緯と家に泊めさせる事を話した。

 

流星「本当に申し訳ありません…」

千紘「大丈夫よ。元に戻るのでしたら安心ですし、沙綾、流星くんのことを思っている事が多々あるから」

流星「へ?」

千紘「たまにパンを作るとき、香澄ちゃん達だけじゃなくて、流星くんのことを考えて作ってたりして…その時に何故か流星くんに向けたものが焦げたりしてね」

流星「…沙綾も重症だな…」

 

沙綾の意外な面を知らされたところで、沙綾の母から荷物を受け取り、続いておたえの家へと向かった。

 

野々絵「あらー、たえちゃん、小さくなってる〜」

流星「…」

 

ここは経緯を説明して、さっさと荷物を受け取って去る事にした。

この間に色々あったが、大半はおたえとおたえの母の天然コンビの処理に追われたので、説明は割愛する…

最後に来たのはりみりんの家。

たまたま海外から帰ってきていたゆりさんが家にいたので、ゆりさんに事情を説明した。

 

ゆり「そんな事があったの…」

流星「はい…申し訳ありません…」

ゆり「いいのいいの、元に戻るならまだ安心できるわ」

流星「それでなんですが…」

ゆり「ふふっ、りみを流星くんの家に泊めさせるって事でしょ?」

流星「え!?」

ゆり「だって…家に着いてもりみ、流星くんに掴まってるから」

 

たしかに、りみりんは他人の家の前で待っている事以外、ずっと俺の裾を掴んでいた。

 

りみ「おねえちゃん、だめ?」

ゆり「うん、いいよ。流星くんなら大丈夫だから」

流星「すみません…」

ゆり「流星くんが謝らなくていいわよ。りみは流星くんの家に一度でもいいから泊まってみたいって言ってたし」

流星「そうなんですか…」

 

しばらく雑談をした後、ゆりさんから荷物を受け取り、合計5人の洋服を抱えながら家に帰った。

 

流星母「あら、流星、帰ってくるの早いわね」

流星「あ、あぁ…実は…」

かすみ「こんにちはー!」

流星母「あら?この子達は?」

流星「聞いても信じられないと思うけど…」

 

俺は母ちゃんに事情を説明すると…

 

流星母「この子達は香澄ちゃん達なのね?なら大歓迎よ」

流星「いや、すんなりと受け入れた!?」

 

と、ツッコミを入れながらも、今日一日家に泊めさせる事が出来たのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…時間的にはお昼を回っていたので、歩き続けた香澄達はヘトヘトで、お腹を空かせていた。

 

流星母「それじゃ、私がお昼ご飯作るから、流星は少し準備してくれるかしら」

流星「了解」

 

香澄達にはテレビを見させて、俺は母ちゃんの手伝いをする事になった。

が…

 

かすみ「わたしもやるー!」

さあや「わたしもてつだいます!」

りみ「わ、わたしも!」

 

香澄、沙綾、りみの3人が手伝ってくれる事になったのだ。

たえと有咲は2人でボケとツッコミでちょっとした漫才をしていたので手伝いには参加しなかった。

 

流星母「はい、出来たわよー。今日はハンバーグよ」

 

大判のハンバーグが出来上がったところで、みんなでテーブルに皿などを置き、ご飯を食べる準備をした。

香澄達と母のハンバーグは大判のハンバーグ1枚で事足りるが、俺の場合は…

 

ありさ「りゅ、りゅうせい…それ、ぜんぶたべるの?」

流星「ん?これくらい普通だぞ?」

 

…大判ハンバーグ、7枚が、まるでパンケーキのように積み重なっていた。もちろん、ご飯も大盛り。

 

流星母「流星は野球やってるから、このくらい食べないと力が付かないのよ」

流星「そういう事。それじゃ…」

『いただきまーす!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…昼ごはんを食べ終わった後…

 

かすみ「ふわぁ…ごはんたべたらねむくなってきたよ…」

ありさ「わ、わたしも…」

 

歩いてご飯食べたので、香澄達の瞼が閉じかけていた。

 

流星「母ちゃん、香澄達そこで寝させて大丈夫?」

流星母「大丈夫よ。ちょっと待ってて、ブランケット出すから」

 

と、母がブランケットを探しているうちに、香澄達は寝てしまった。

その様子を見ていると、思わずどきりと心が動く音がした。

 

流星「…やべっ…変な方向に傾きそうになったわ…」

 

しばらくして母がブランケットを持ってきて、それを香澄達にかけたところで…

 

流星「…ふうっ…母ちゃん、ちと、出かけてくるわ」

 

俺は香澄達にバレないように小声で話した。

 

流星母「どこへ?」

流星「バッセン。少し身体を動かしたいからね」

流星母「わかったわ。いってらっしゃい」

流星「あ、香澄達には置きたらここにいるように言って。どこか行っていなくなるのが1番困るから」

流星母「うん、言っておくわね」

 

ということで、俺は寝ている香澄達を置いて、少しの間バッセンで身体を動かす事にした。

ただ、やはり家に置き去りにするのが気になり…

歩いて数分後、すぐに引き返した。

そして、玄関を開けると…

 

かすみ「りゅうくーん!」

流星「うわあっ!?」

 

香澄が俺に飛びついてきた。

香澄は涙目になっていた。

 

かすみ「りゅうくん、どこにいってたの!?」

流星「あぁ、悪りぃ…身体動かそうと思って外に出たんだけど…心配になってな…ごめん」

かすみ「うぅ…」

 

他の4人も起きていたので、少し申し訳ない気持ちになった。

というわけで、俺は香澄達と家でゲームをして、時間を忘れるほどめいいっぱい遊んだ。

 

流星「…おし、俺の勝ち」

ありさ「ちょっとりゅうせい!てかげんして!」

流星「こればかりは手加減出来ねぇんだよなぁ」

たえ「りゅうせい、もう一回」

流星「了解」

かすみ「それじゃ、これにかったら、りゅうくんにキスする!」

流星「いや、それはおかしいでしょ!?」

さあや「あはは、それいいね!」

流星「沙綾もやめて!?」

 

…という、香澄達が付けたポピパルールによって、香澄達に頰にキスされる事になり、頭が爆発しそうになったのは別の話で…

お風呂は正直、別々で分けて、母が香澄達の面倒を見る方が良いのだが…

 

かすみ「りゅうくん!はいろっ!」

ありさ「はいるぞ!りゅうせい!」

りみ「りゅうせいくん、いいかな?」

たえ「わたしも」

さあや「りゅうせいくんとはいりたいなぁ」

 

…という、香澄達きっての希望で、俺とポピパ全員入る事に…

目のやり場にかなり困り、精神的なダメージもかなり負ったが、この場はなんとか過ごせた。

夜ご飯は野菜炒めなど、みんなで分けるおかずでみんなと取り合いになりながら食べ、歯を磨いてそして…

 

流星「…狭いかもしれんが、ここで寝るとしよう」

 

俺の部屋で香澄達と寝る事にした。

と言っても、香澄達は床、俺はベッドと分けて寝るが…

しかし、やはりここでも…

 

かすみ「りゅうくんと一緒がいい!」

ありさ「ばかっ!かすみ!わたしがとなりにいくんだ!」

さあや「わたしもとなりにいきたいなぁ」

たえ「わたしも〜」

りみ「わ、わたしも…!」

流星「…お前ら…やめてくれ…」

 

と、いつもの寝る場所合戦に…

全員小さくなっているので、一緒に寝ようと思えば出来るが、朝になった時の破壊力は…そんな事を考えてしまうが…

 

かすみ「それじゃ、みんなでねよー!」

流星「香澄ぃぃぃぃぃ!」

 

…結果、全員同じベッドで寝る事になった。

やましいことは考えたくない…俺はとりあえず、頭の中を空っぽにしながら、寝る事にした…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

 

流星「…ん…」

 

俺がふと目を覚まし、パチクリと瞼を動かすと…目の前に有咲がどんといたのだ。普通の体に戻って…

 

流星「っ!!!」

 

しかもうつ伏せで寝てるもんだから、柔らかいアレが俺の体に密着してるもんだからマジでヤバい…

ふと、横を見ると、右手には香澄と沙綾、左手にはりみりんとおたえが寝ていた。

あぁ…この状況どうにかしてくれ…

俺は神様にお願いをする羽目になった…

起きてしばらくすると…

 

有咲「…う、うぅん…」

 

有咲が目を覚ました。それと同時に香澄達4人も起きた。

 

香澄「ふわぁ…よく寝た…あ!体が元に戻ってる!」

有咲「朝からうるさいなぁ…って、本当だ!」

りみ「戻って良かったぁ」

たえ「これで一件落着だね」

沙綾「でも、昨日は楽しかったなぁ…」

香澄「そうだね!そういえば、りゅうくんは?」

有咲「流星は…あ」

 

有咲がようやく、魂が抜けている俺の上に乗っかっている事に気がつき、すぐにその場から退いた。

その後しばらくは俺は動けず、有咲はペコペコと平謝りした。

 

流星「はぁ…昨日は楽しかったけど、散々だわ…」

有咲「これも全て、香澄のせいだがな…」

香澄「ごめんって〜…」

沙綾「まぁまぁ、2人とも」

りみ「それより、あの箱なんだったんだろうね…」

たえ「もう一回あの煙吸う?」

流星「やめろ!」

 

そんなこんなで、あの箱による事件は無事終わった…に思えたが、ポピパだけでなく、他のバンドにも起きるとは、この時思ってもみなかったのだった…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
書き終えて見てみると、やはりこれは…と思うところがありまして…w
実はというと、ツイッター上での話題になればと書いてみたやつなのですが…これで変な感想が来ないことを願います…
次回はいつになるかわかりませんが、ちょこちょこ書いていますので、出来たら出していきたいと思います
では次回、お会いしましょう!


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番外編〜キラドキポピパ5人とデート!?前編〜

どうも、VVVFです。
約3ヶ月半ぶりのバンドリです。
今回は完全なる妄想で話を作りました。
後編も作る予定ですが、いつできるのやらと…
極力早めに仕上げるので、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

蔵にて…

 

流星「…デート?」

香澄「うん!」

 

たまたま俺と香澄しかいないタイミングで、香澄がデートしたいと申し込んできた。

 

流星「これまた唐突な…俺と香澄だけでか?」

香澄「ううん!私達5人とりゅうくんで!」

流星「うんまぁ…いつも通りっちゃあいつも通りか…」

 

俺はいつも通りかと思い、いつものようにお茶を飲んでいたが、次の香澄の発言で思わずそのお茶を吹き出してしまった。

 

香澄「それでね!今度は泊りがけで行きたいなって!」

流星「ぶふっ!」

 

香澄のいつもの行動力には頭が下がらないが、こればかりは驚きを隠せなかった。

 

香澄「ダメかな?」

流星「いや、待ってね?…泊まるのは…有咲の家だよな?」

有咲「おい!勝手に決めんな!」

 

丁度いいタイミングで、有咲が入ってきた。

 

流星「いや、すまぬすまぬ…ちょっとこいつがさ…」

香澄「うーん…たしかに有咲の家でもいいけど…なんかこう…もっとドキドキできるところがいいかなって!」

有咲「ん?ん?な、何の話してんだ?」

流星「…香澄が泊りがけのデートしたいと…俺らで…」

有咲「はぁ!?お前、どこ行こうとしてんの!?」

香澄「あ、そうそう!それなんだけど…ここはどうかな?」

 

そう言って、香澄がバッグから取り出したのは1枚のパンフレット。そのパンフレットは、長崎にある『ハウステンボス』の物だった。

それを見た瞬間、俺は頭を抱えた。

 

有咲「…香澄…まさか、ここに行きたいと…?」

香澄「…ダメかな…?」

流星「いや、無理に決まっとるだろ!そこに行くのにどのくらい時間と費用がかかると思ってんだ!?」

香澄「え、でも…」

有咲「大体、うちらのお金じゃ絶対に行けねぇからな!?バイトしてても行けるわけがないっての!」

香澄「…こころんちの黒服の人からチケットもらったんだけど…」

流星「はぁ!?」

 

香澄はまたおもむろに、バッグからクリアファイルを取り出した。

中には、往復の新幹線と特急のチケット、ハウステンボスのパスポート、ホテルの予約チケット、そして日程表が入っていた。

 

流星「…香澄?これは一体どういうことかな?」

香澄「ええっとね…黒服の人が、いつもこころんがお世話になってるから、そのお礼として、招待してくれるって言ってくれて…どうせなら私だけじゃなくてポピパ全員とりゅうくんも一緒に行きたいって言ったら取ってくれて…」

 

その香澄の話の裏は、この後俺がしっかりと取ったのでこの話は事実であることがわかる…

ただ…

 

流星「お前さぁ…1人で勝手に決めんなっつうの…こっちも予定あるんだからさ…」

有咲「全く、人の事見ないで決めるんだから…」

香澄「ごめんなさい…」

流星「とりあえず…この日はなんとか空けよう…香澄がかわいそうだからな…」

香澄「りゅうくん…!」

流星「はぁ…ただし、次行くときはちゃんと話し合ってから決める事!いいな!」

香澄「うん!」

流星「有咲も行くよな?」

有咲「はぁ!?なんで私まで!?」

流星「行かないのか?」

有咲「い、行くに決まってるだろ!私だって、流星と一緒にいたいからな!」

 

その後、沙綾とりみりん、おたえも来て、3人の日程も無事抑えることが出来て、俺とポピパのデートが決まったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…金曜日…夕方18時…

泊りがけとはいえ、この時間から出発するとは、俺含め香澄達は、日程表を見るまでは思ってもみなかったのだろう…

 

香澄「…あ!りゅうくん!」

 

香澄達が大きな荷物を持ってトコトコとやってきた。

 

流星「よぉ、しかしもまぁ…この時間から出発するとはな…」

沙綾「しかも、一回博多で泊まるんでしょ?その博多到着が0時前…」

流星「なかなかキツいよ…この日程は…新幹線の中で一旦寝たほうがいいかもね…」

 

そんなわけで、俺らは重い荷物を持って、18時50分に出る新幹線に乗るべく、東京駅へと向かった。

 

流星「…そういや、沙綾。頼んでいたアレ、持ってきてくれた?」

沙綾「うん、持ってきたよ」

たえ「何を持ってきたの?」

沙綾「内緒。明日の朝までね」

りみ「めっちゃ気になる〜」

流星「んで、俺は今日この後色々買わなくちゃいけないからな…お前らは先に新幹線ホームに行ってくれよ」

香澄「はーい!」

有咲「わかった」

 

その後、東京駅につながる大手町駅に着いた俺は、香澄達を置いて走ってある店へと向かった。

 

香澄「…りゅうくん、大丈夫かな…?」

有咲「まぁ、大丈夫だろ。あの足だし」

りみ「そうだね。それじゃ、私たちは先に新幹線に乗ろっ」

 

俺が絶対に来るだろうという信頼の元、先に新幹線ホームへと向かった香澄達であったが…

先に新幹線に乗り込み、指定された席で待っているも…

 

香澄「…来ないね…」

たえ「うん…」

 

俺が来ないことで、香澄達が急に心配になってきたのだ。

 

有咲「…あいつ…何してんだよ…」

りみ「有咲ちゃん、落ち着いて」

有咲「落ち着いたられっかっつうの!これでもし乗り遅れたら…」

沙綾「大丈夫だよ…きっと」

 

と、心配している香澄達の元へようやく…

 

流星「すまねぇ!遅れた!」

 

いっぱいのレジ袋を持った俺が到着した。

 

香澄「もー、遅いよー!りゅうくん!」

流星「すまないすまない…こいつを買うのに意外と列並んでたからさ…」

 

俺はそう言いながら、空いていた席に座った。

それと同時に列車が動いた。

今回もらった席は2列席の3つで、俺が座った所の隣には、じゃんけんで勝った有咲が座り、前2列には香澄、沙綾、おたえ、りみりんが座った。

 

香澄「それで、りゅうくんは何を買ってきたの?」

流星「あぁ、今日の夜飯、駅弁だ」

有咲「お?マジ?それはありがてえ…」

流星「今回、黒服の人からお金も支給されてるから、ありがたく使わせてもらったよ。なんせ、今日は博多に着いたら飯なんて食ってられないだろうからな」

たえ「ありがとー。それで…ハンバーグ弁当はある?」

流星「もちろん、買ってるよ。ほれ」

たえ「うわぁ、本当にありがとう!流星くんって、テレパシーで繋がってるのかな?」

有咲「それはない、絶対に…」

流星「少なくとも、俺はお前らの彼氏なんだからな。お前らの好物くらいは知ってるよ」

 

俺らは新横浜を出た後に駅弁を食べ、その後は持ってきたトランプを使って遊び、岡山を出た頃には香澄達は寝てしまっていた。

俺はせめて起きていないといけないと思い起きていたのだが、隣は有咲、しかも腕を組んで寝ているから…胸がヤバイ…

 

有咲「…うぅん…流星…行かないで…」

 

なんつー有咲に似合わぬ甘すぎる寝言のせいで興奮を抑えなくてはならない事になるとは思ってもみなかったが…

こうして5時間程かけて…

 

流星「…やっと着いた…博多…」

 

俺らはホテルのある博多に着いた。

ただ、今はもう0時回りそうな時間であるため…

 

香澄「ふぁぁ…眠いよぉ〜…」

有咲「とりあえず…ホテルに連れて行ってくれ…」

 

…と、香澄達の精神が壊れかけている。

そんなわけで、改札を出て黒服の人が手配したホテルの送迎の車に乗って、ホテルに到着し、チェックインしてその日は寝た。

なお、部屋はツインで、部屋割りは適当にして、その日は寝たのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…朝6時半…

 

流星「…ん…」

 

俺は思わず目が覚め、目を開けると…

 

香澄「…あ!起きた!」

 

香澄が色々と支度をしていた。

 

流星「香澄…か…そっか…昨日は色々疲れてたからな…」

香澄「どういう事?」

流星「部屋割り…何もしてねぇだろ?」

香澄「あ、なるほど!」

流星「そういうこった…」

 

俺はそう言っておもむろに起きた後、有咲達にモーニングコールをかけて起こし、ロビーに集合した。

 

有咲「昨日はすまなかった…流星」

流星「いいってもんよ…ただまぁ…まだねみぃや…」

りみ「今日はこの後もう一個電車乗るから、そこで寝てていいよ」

たえ「うんうん。私の膝で寝ていいよ」

流星「いや、おかしくね!?と言いてえとこだけど…マジでだめだ…今回はその言葉に甘えるとしよう…」

 

…ということで、俺らは8時半くらいに出る列車に乗るため、色々支度をし始めた。

 

流星「…支度はこんなもんでいいか…んじゃ、早いけど飯を食べることにしよう…」

香澄「賛成!」

流星「んで、今日の朝は都合上用意されてないらしいから、沙綾にあるものを持ってきてもらったんだ」

沙綾「うん!はい、これ」

 

沙綾がバッグから取り出したのは、やまぶきベーカリーのパンだ。

この事を予測していた俺は、沙綾に頼んで作ってきてもらったのだ。

 

りみ「うわぁ、チョココロネもある〜」

有咲「つーか、箱で持ってくる必要あるか…?」

沙綾「チョココロネ対策だよ、有咲。潰れてチョコが出ちゃったらね…?」

りみ「沙綾ちゃんのチョココロネはどんなになっても美味しいもん」

流星「いや、そういうわけじゃねぇよ…」

 

というわけで、俺らはホテルで沙綾のパンで朝食を済ませた後、早めに博多駅へと赴いた。

そして特急ハウステンボスに乗り、席決めをした後、隣になったおたえの肩にもたれかかって寝始めた。

 

香澄「…昨日、りゅうくん1人起きてたんだよね…」

有咲「寝ててよかったんだけどな…ま、しばらく流星は寝させてあげようぜ」

 

有咲はそう言って、おもむろに俺に近づくと…俺の唇にキスをしたのだ。

 

香澄「!?有咲!」

有咲「えっへっへ〜おっ先〜」

りみ「有咲ちゃん、ずるいよぉ〜!」

沙綾「なら、私も」

たえ「あの…私の目の前でそういうの、やめてもらえるかな?」

 

そんなキス合戦があったこととはつゆ知らず、俺はしばらくおたえの肩でぐっすりと休んだのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…10時20分頃…ついに…

 

香澄「着いたー!ハウステンボスー!」

 

ハウステンボスに着いた。

寝ていた俺は着いた時に目覚め良く起きて、辺りを見回しながら、来たことを実感した。

 

有咲「しかし、すげぇなぁ…建物が綺麗…」

りみ「うん!それに、お花も可愛いし」

たえ「うさぎ、いるかな?」

沙綾「いると思うよ?多分、ハウステンボスの中の施設に」

 

と、ポピパ各々がハウステンボスに着いて感嘆しているところへ、俺は声をかけた。

 

流星「さてと…ここからは自由行動だ。みんなそれぞれ好きな行動していいぞ」

 

本来はここはみんなそれぞれ自由に動いていいというふうになっているのだが…

 

香澄「えぇー!私はりゅうくんと一緒にいるー!」

有咲「こら香澄!私も混ぜろ!」

りみ「流星くん、私もいいかな?」

沙綾「私も、一緒にいたいな」

たえ「私も」

 

…とまぁ、いつものようにポピパのみんなはがっつくわけで…

これにはもう慣れているから、俺からはもう何も言わないけど…

 

流星「…とりあえず、一緒に回るか…」

香澄「うん!」

 

俺の一言に、ポピパみんな満面の笑顔になって俺に抱きついてきた。

というわけで、俺らは共にハウステンボス内を回ることにした。

入口のウェルカムゲートから入った俺らは、そのゲートを振り返って見ていた。

 

香澄「それにしても、すごい建物だね〜。本当にヨーロッパに来たみたい…」

りみ「うん、めっちゃ綺麗〜」

たえ「なんだろう…沙綾んちのパンの色みたい」

流星「いや、ちがくね!?」

有咲「パンはあんな色してねぇだろ!」

沙綾「あはは…うちのパンはそこまで赤くないよ…」

 

と話しながら、門みたいになってる建物の中をくぐっていくと、大きなアスレチックが見える広場に出てきた。

 

香澄「ねぇ、あのアスレチックやってみたくない!?」

有咲「うっ…あれはパス…」

りみ「私も遠慮しとこっかな…」

沙綾「私もやめておこっかな…」

流星「俺もパス」

香澄「えぇ!?みんな行かないの!?やったら絶対に楽しいのに!」

たえ「香澄、私行くよ」

香澄「おたえ〜、ありがと〜!でも…りゅうくん行かないなら私もいいかな?」

流星「珍しい…香澄の理性が勝つなんて…」

香澄「ちょっとそれはひどくない!?りゅうくん!」

 

と、目の前の大きなアスレチックを見て盛り上がっていると…

一台のバスが通り過ぎていった。

 

流星「…ええっと…あのバスは奥のエリアへ行くバスだな…あれに乗ってどこ行くか決めるのもありだな…」

有咲「そうだな…私は歩きたくないし…」

香澄「えぇ〜、歩いた方が楽しいって!」

りみ「うん、どこに何があるのか、歩いてみないとわからないし」

有咲「マジか…」

流星「もしもの時は俺がおんぶしてやるから…」

有咲「そ、それだったら…今…」

流星「()()()の時だぞ?」

有咲「お、おう…」

流星「とりあえず回ってみることにしよう…だいぶ広いし、回るだけでも時間かかるだろうからね」

香澄「わかったー!」

 

こうして、俺と5人のデートがようやく始まったのだった…

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回はハウステンボスを舞台にさせていただきました。
ハウステンボスには僕自身行ったことあるのですが、そんなに建物とか覚えておらず、今回は園内マップを見て想像しながら書きました…
次回はいつ書けるかわかりませんが、書き終えたら出していきたいので、よろしくお願いします(2度目)
では次回、お会いしましょう!

追記
10/10 辻褄合わせの訂正をしました。


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番外編〜有咲の誕生日〜

どうも、VVVFです。
今日は有咲の誕生日回です。
今回も1000字程度の簡単な形になったので、気長に読んでいただくとありがたいです。
では、本編どうぞ!


…10月27日…

 

『ハッピーバースデー!有咲(ちゃん)!』

 

俺らの大きな歓声が、蔵の中に響かせた。

この日は有咲の誕生日。

その為、今日は有咲の誕生日会を開いていた。

ポピパはもちろん、恋人である俺も参加した。

 

有咲「あ、ありがとう…なんか、照れるな…こう祝われると…」

流星「最近はこうやってみんなに祝われることあまり無いからな」

香澄「というわけで!はい!有咲!プレゼント!」

 

と、香澄が取り出したのは…小さな盆栽だった。

 

有咲「ミニ盆栽!すげぇ嬉しい…」

沙綾「ふふっ、サプライズプレゼント、大成功だね」

流星「みんなで選んだ甲斐あったな」

有咲「大切にするよ…ありがと、みんな」

香澄「おぉー、有咲が素直になってる〜」

有咲「べ、別にいいだろ!素直になっても!」

 

その後は、俺と香澄達で有咲の誕生日会を大いに盛り上げ、有咲を持ち上げたのだが…

 

有咲「香澄!お前は羽目外しすぎだ!」

香澄「えぇー!?いいじゃん、いいじゃーん!」

有咲「主役は私だろ!?お前が目立ってどうすんだよ!」

香澄「ひぃぃー!」

 

…と、いつもの香澄と有咲の会話で盛り上がる形になった。

 

流星「全く…誕生日会って感じしねぇな、おい…」

 

と、俺が喋ると、香澄はふと、ある事を思い出したらしい。

 

香澄「あ、そうだ!有咲に渡すものがあったんだ!」

 

香澄はそう言うと、ポケットからある紙を出して有咲に渡した。

 

有咲「ん?これは?」

香澄「りゅうくんデートチケット10枚分!」

流星「ブフッ!」

 

ジュースを飲んでいた俺は、香澄の言葉に思わずジュースを吹きこぼしそうになった。

 

流星「んなっ…俺聞いてねぇぞ!?」

香澄「そのチケット、1枚使うと1週間はりゅうくんとデートに行けまーす!」

流星「地味に長えな、おい!?」

有咲「ざっと2ヶ月は流星とデートに行けるってことか…」

流星「突っ込んで!?ねぇ、有咲突っ込んで!?」

 

思わずツッコミを入れてる俺とは反対に、まるで先ほどとは正反対にドキドキしていると思われる、有咲の様子が伺えた。

 

流星「…つーか、内容どんななんだよ…」

 

俺は有咲からチケットをふんだくって内容を確認した。

このチケットを使うと、俺と有咲だけのデートに香澄達は介入することなく、有咲は俺に何しても良く、それに反対した場合は俺の意思を尊重することなく延長される…

 

流星「…誰だ!このチケット作ったのは!」

たえ「みんなで作ったんだー」

流星「いや、おかしくね!?つーか、香澄の時には無かっただろ!?」

香澄「あの時は何も考えてなかったから…あ、それだったら私も作っていいよね!?」

流星「いや、作らなくていい!」

 

…という俺の言葉は虚しく、香澄は次の日に香澄専用のデートチケットを作ったのはまた別の話…

 

有咲「それだったら…今使ってもいいのか?これ」

りみ「全然大丈夫だよ。それじゃ、香澄ちゃん、行こっ」

香澄「うん!それじゃ、りゅうくん、有咲、楽しんでね!」

流星「…いや、どう楽しめと!?」

 

…その後、俺は有咲と2人きりの蔵で、色んなゲームをやった。キスのオンパレードだったがな…

 

 




いかがでしたでしょうか?
一応この後アンケートで希望すれば後半に出ていた『デートチケット』回を書こうかなと考えておりますが…それはおいおい…
あと、もう一つ告知といいますか…そろそろ名前も改名しようと思います。
これを出した後に改名をしますので、よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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番外・Roselia編
番外編〜友希那の誕生日〜


どうも、VVVFです。
一日遅れの友希那さん誕生日回書きました。
いつもの突貫工事ですが、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…秋が深まった10月25日…

雄介はある目的でショッピングモールに来ていた。

 

雄介「…友希那、どんなのがいいんだろうか…」

 

次の日が友希那さんの誕生日で、雄介はそのプレゼントを買いに来ていた。

 

雄介「うーん…猫のグッズとかがいいと思うんだけどなぁ…なんかピンと来ないなぁ…」

 

しばらく悩みながら歩いていると…

 

雄介「…お?これいいんじゃねぇか?」

 

雄介はそう言って目をつけた商品を手に取り、そのまま買った。

値段的には高校生の雄介も安心の価格であった。

 

雄介「ちょっと安っぽくなっちまったけど…これなら友希那に似合う」

 

雄介はそう言って、明日のサプライズパーティーに期待を膨らませたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

野球部の練習を終えた雄介は、走ってRoseliaがいるスタジオへ向かった。

 

雄介「…いるかなぁ…」

 

と、雄介がスタジオの中に入ると…もぬけの殻だった。

いや、機材とかはまだあるので、スタジオの外で何かをしているものかと思われる…

 

雄介「うーん…この後どうしようか…」

 

と、雄介が悩んでいると…ドアが開く音が聞こえた。

 

雄介「…ん?」

 

雄介がふと、振り返ると…かなりおめかしをした友希那さんと、その後ろにはリサさんや紗夜さんたちが立っていた。

 

リサ「あ、ちょうどよかった〜。雄介くん、今日この後友希那とデートに行ってよ」

雄介「え!?ちょ、急すぎません!?」

友希那「そうよ…いきなりすぎるわ…」

あこ「でも、友希那さんと雄介さんは恋人同士ですし!今日だけはデートに行って、思い出を作ってください!」

紗夜「本来はそういうのはあまり良くないとは思っているのですが…せっかくの誕生日ですし、行ってきてください」

雄介「ちょ…勝手に進んでますけど!?」

友希那「…横暴だわ…」

 

と、リサさん達の策略により、雄介と友希那は急遽、デートをすることになった。

 

雄介「…すまない…練習をしなければならないのに…」

友希那「いえ、気にしてないわ。雄介とのデートだもの。断らないわけないもの」

雄介「というか…貴重な誕生日を潰してしまってよかったのか…」

友希那「ううん、雄介となら大丈夫よ」

雄介「そうか…なら良かった…」

 

雄介は友希那さんにそう言われて照れ臭そうにしていた。

ふと、雄介は友希那さんの格好について話をした。

 

雄介「…そういや友希那、何か雰囲気がいつもと違うんだけど…」

友希那「あら、わかった?」

 

今の友希那さんの服装は制服で、いつもと同じように見えているが、髪型をポニーテールにしていたり、指輪をつけていたりした。

 

友希那「これ、リサやあこからもらったものなの。今日、誕生日で、みんなそれぞれプレゼントを用意してくれて…せっかくだったら、雄介と一緒にデートに行ったらって言われたのよ」

雄介「なるほど…しかし…こういう友希那もなんか新鮮だな…なかなか見ないもん」

友希那「そうね…特に、こういう時に指輪なんてしたことないもの…」

 

そう言って、友希那は左手をすっとかざすようにあげた。

 

雄介「もしかして、身につけているもの全部、リサさん達からの…」

友希那「えぇ、そうよ。今日もらったプレゼント。さっきもらったんだけど、その後雄介が来るって言って、どうせだったら雄介とデートに行ったらって…」

雄介「そ、そうなんだ…」

友希那「昔の私だったら、そんなことをしてる暇なんてないって言ってたかもしれないけど…今は、こうやって隣に雄介がいるのも悪くないって思えてきたわ」

雄介「そう言ってくれるとありがたいな…あ、俺からもプレゼントあったんだっけ…」

 

雄介はそういうと、バックから紙袋を取り出して、友希那さんに渡した。

 

友希那「…中身は見ても?」

雄介「いいよ。喜んでくれると嬉しいんだけど…」

 

友希那さんは紙袋の中身を見て取り出すと、猫のチャームが付いたブレスレットが出てきた。

 

雄介「友希那、猫好きだし…なかなか決まらなくて、結局、俺の財布事情で1番と思ったものにしてしまったけど…」

友希那「えぇ、嬉しいわ。これも付けさせてもらうわね」

 

友希那さんはそう言うと、雄介からもらったブレスレットを早速手首につけた。

 

雄介「喜んでもらえて良かった…ほっ…」

友希那「そんなに考えなくてもいいわよ。プレゼントは嬉しいし、何よりあなたからもらったものを喜ばないわけないもの。ありがとう」

 

雄介は友希那さんの方を見て、思わずはにかんだ。

その後、1時間程度散歩をした後、友希那さんと雄介はスタジオに戻って、いつものように練習を行ったのだった。




いかがでしたでしょうか?
今回の誕生日回も2000字無いくらいの文字量でしたが…これくらいで許してください…
では、次回お会いしましょう!


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番外編〜逆玉手箱!?・Roselia編〜

どうも、VOSEです。
今回は溜まってた話の放出でございます。
まぁ、いつものような感じでございますので、気楽に見ていただくと幸いです。
では、本編どうぞ!


…ポピパのあの箱の事件から数日後…

 

流星「…あの箱が無くなってた!?」

有咲「あぁ…何故か消えてたんだ…」

 

先に蔵に来ていた俺は、蔵から箱が消えているという事を聞かされ、動揺していた。

 

流星「あれを世に出回したらやべぇぞ…オークションには流石に出品してねぇよな?」

有咲「当たり前だろ!?あんなもん出せるかっつうの!」

流星「だよな…んじゃどこに…」

 

俺の疑問のその答えが、まさか身近にあるとは、この時は分からなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…あるスタジオにて…

 

友希那「…一旦、ここまでよ」

あこ「お疲れ様です!友希那さん!」

紗夜「お疲れ様です」

燐子「お疲れ様です、友希那さん」

リサ「おっつかれー!クッキー食べる?」

あこ「食べるー!」

 

Roseliaの皆さんが、スタジオで休息を取っていた。

そこへ…

 

雄介「お疲れ様でーす!」

健太「差し入れのドリンクだぜ」

 

雄介と健太さんがビニール袋を持って入ってきた。

 

あこ「待ってましたー!」

友希那「いつもありがとう、雄介」

雄介「こういうのは男の仕事ですから!」

健太「それに、今日は俺も休みだったし、手伝えるところは手伝わないとな」

紗夜「2人とも、いつもありがとうございます」

 

と、和気あいあいと休息を取っていると、雄介がふと、あるものを見つけた。

 

雄介「…なんだ?これ」

 

なぜか漆塗りの箱が隅に置いてあったのだ。

 

紗夜「忘れ物でしょうか?」

リサ「いや、でもさっき置いてあったっけ?こんな綺麗な箱なんて」

燐子「ありましたけど…忘れ物か何かと思って、そのままにしてました…」

紗夜「それでしたら早く言ってもらわないと…」

 

と、そこへ、スタジオに常設してある電話が鳴った。

それに雄介が出た。

 

雄介「はい、もしもし…あ、はい…え!?もう時間!?いや、今日18時ほどまで取っていたはずですよ!?」

健太「手違い起きたのか?」

雄介「みたいですね…はい…とりあえず、今からそっち行きますので…はい…」

 

雄介はそう言って電話を切った後、Roseliaの皆さんに、何故か12時までになっていた事を言って、それを確認するために健太さんを連れて受付へと向かった。

 

紗夜「ちゃんと18時までと連絡したはずですが…」

リサ「もしかして、手違いとか?」

紗夜「そんな馬鹿なことが…」

友希那「あれこれ言っても仕方ないわ。とりあえず片付けしましょう」

 

友希那さんの一言で、Roseliaが片付けを始めた。

と、その時だ。

 

あこ「…あ!箱が!」

 

あこがドラムを片付ける時に、うっかり肘に箱が当たり、落としてしまった。

その拍子に蓋が開き、中から煙がモクモクと湧き上がったのだ。

 

あこ「うわあっ!」

紗夜「宇田川さん!早く閉めてください!」

燐子「な、何ですか!?これ!?」

リサ「私に聞かれても!」

友希那「と、とりあえず避難するわよ!」

 

と、友希那さん達は避難しようとしたものの、煙がたちまち広がり、辺り一帯を覆ったのだ。

蓋はすぐに閉めたので、これ以上煙が出る事は無いが、それでも結構な煙の量が出た。

 

???「ケホッケホッ…みんな、だいじょうぶ?」

???「えぇ、なんとか…って、あれ?しせんが…」

???「ひくく…なってます…」

???「ど、どうなってるの!?」

???「も、もしかして…いまのはこは…パンドラのはこ!?」

 

そして、煙が晴れると同時に…

 

雄介「すみません…やっぱり時間変更できませ…」

 

雄介と健太さんが中に入ってきた。

その2人が目にしたのは…

 

健太「…え?」

雄介「…え?」

 

…小さくなった、Roseliaのメンバーだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

健太「…という事は、あこがあの箱を間違って落として、その箱の中から煙が出て、それを吸った事でこうなったと…」

あこ「そう!なんでかしらないけど、ちいさくなっちゃったの!」

 

近くの公園へ移動し、事の顛末を聞かされた雄介と健太さんは、未だに信じられない表情を見せていたが、小さくなった友希那さん達を見て、信じざるを得なかった。

 

さよ「うだがわさんが、あんなことをしなければ…」

あこ「うぅ…ごめんなさい…ごめんなさぁぁい!」

健太「うおっ!?泣くな!あこ!」

りさ「まぁまぁ、あこもわざとおとしたわけじゃないから」

ゆきな「そうよ。しかたないわ」

雄介「そうですね…というか、この後どうするんですか?」

健太「あこはうちで預かるとして…友希那やリサはどうするんだ?」

ゆきな「わたしは…ゆうすけと一緒にいたいわ」

雄介「俺!?」

ゆきな「えぇ、だめかしら?」

雄介「い、いいですけど…」

健太「リサは…大河とか呼ぶ?」

りさ「そうしたほうがいいかも…」

さよ「わたしはひなにしょうじきにはなすわ…」

雄介「俺も説明します。多分、『るんってきた!』って言うかもしれませんが…」

さよ「しかたないわよ」

雄介「そして…燐子さんはどうしましょう…」

りんこ「わたしは…」

 

雄介と健太さんで、燐子さんを誰に面倒見てもらうか考えていたその時だ。

 

良太「…あ、健太さん、いたいた!」

 

…なんとも偶然にも、良太が通りかかったのだ。

 

健太「良太くん!?なんでここに!?」

良太「今日、ここでちょっと用事があって…って、あれ?そこにいるのは?」

 

良太は小さくなったRoseliaの皆さんの方を見て、目が点になった。

 

健太「あ、あぁ…これはだな…」

 

健太さんは良太にさっき起こったことを話すと…

 

良太「…え…」

 

良太は絶句した反応を見せた。まぁ、これが普通の反応だけど…

 

健太「そんなわけなんだ…あ、せっかくだから、燐子を見てくれないか?一応付き合ってるんだろ?」

良太「いや、まぁ…そうですけど…」

雄介「え?つ、付き合ってる?てか、誰?」

良太「あ、そういえばはじめましてだったな…俺は天野良太。流星の幼馴染で、君のことは流星から聞かされてるよ、坂口雄介くん」

雄介「え、流星の幼馴染!?」

健太「そんな反応するよな、最初聞かされるとね」

 

と、色々話をした後で、良太は小さくなった燐子さんの方を見た。

 

良太「…大丈夫ですか?燐子さん」

りんこ「は、はい…」

健太「それじゃ、燐子は良太が面倒見るで決定だな…」

雄介「それじゃ…とりあえず今日は、それぞれ解散するってことでいいのかな…?」

ゆきな「そういうことにしましょう」

 

雄介と健太さん、良太はとりあえず、それぞれ家に帰すことで決まった。

まずは紗夜さんの家に帰すことになったのだが…

 

日菜「うわ〜、お姉ちゃんが小さくなってるー!」

 

…案の定日菜さんが大喜びして飛んで、紗夜さんに抱きついた。

 

さよ「ひ、ひな!ちょっとだかないで!」

日菜「すごい!すごい!るんってきた!」

健太「…と、とりあえず、日菜ちゃん…紗夜さん…頼みますね?」

日菜「うんっ!」

さよ「…しんぱいですが…」

雄介「紗夜さん…ファイト」

 

紗夜さんと日菜さんの家から出た雄介達は、それぞれRoseliaのメンバーの家へ向かった。

雄介は友希那さんの家に上がり、友希那さんの父に事情を説明して部屋に上がった。

 

雄介「…しかし、こうして見ると、小さくなった友希那も可愛い…」

ゆきな「からかわないで」

雄介「すみません…それで、何しましょうか…その格好では何も…」

ゆきな「それでもとまらないわ。とりあえず、今度の曲のフレーズを考えるわ」

雄介「俺も手伝いますよ。何かあったら言ってください」

ゆきな「ありがとう、ゆうすけ」

 

その時の友希那の笑顔を見て、雄介は思わず悶絶しかけたのだった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…雄介は友希那さんの部屋の隅で、しばらく野球の勉強をしていた。

 

雄介「…ここではやっぱ低めを攻めた方がいいか…」

 

と、ビデオを見ながらノートを取っていると…

 

ゆきな「…ゆうすけ?」

 

友希那さんが声をかけてきた。

 

雄介「ん?どうしました?」

ゆきな「そろそろごはんのじかんだから…」

雄介「え?あ、本当だ…持ってきますか?」

ゆきな「うん、おねがい」

 

雄介はそう言って立ち上がると、1階へ降りて、友希那さんと雄介の分の料理を取りに行った。

 

友希那父「はい、雄介くん、これ」

雄介「ありがとうございます」

友希那父「友希那、大丈夫か?」

雄介「はい、問題ありません」

友希那父「なら良かった。迷惑かけてないか心配しててな」

雄介「迷惑だなんて!逆にこっちが迷惑をかけてるのではないかと…」

友希那父「そんなことはないさ。最近友希那が少しだけだが、明るくなっててね。そりゃ、Roseliaの影響もあるかもしれないが、君と付き合うって聞いた後からは、友希那も色々私に聞いてきてね」

雄介「そうなんですか…」

友希那父「あぁ。だから、友希那を頼むぞ」

雄介「はい!」

 

雄介は勢いよく返事をして、ダイニングを出て階段を上がろうとすると…

 

雄介「…ん?…っ!?」

 

友希那さんが階段に座って、ふくれっ面になって待っていた。

 

ゆきな「…もう…おとうさん、いわないでっていったのに…」

雄介「そ、そうなんだ…でも、ちょっと意外な面見れた気がする…」

ゆきな「そういうこといわないで、はやくごはんたべるわよ」

雄介「あ、あぁ…」

 

友希那さんは雄介にそう言って立ち上がり、階段を駆け上がったが、その足取りは軽やかだった。

夕食を友希那さんの部屋で食べた2人は、お風呂に入ることなった。

 

ゆきな「ゆうすけ、いっしょにおふろはいるわよ」

雄介「…え!?」

 

友希那さんから放たれた言葉に、雄介は思わず固まってしまった。

 

ゆきな「おとうさんから、こいびとどうしなかよくなってきたらおふろにもはいるって…」

雄介「いや、あながち間違いではないけれど!まだ心の準備が!」

ゆきな「…だめ?」

 

身長が低いせいか、友希那さんが上目遣いで頼みこんできたので、雄介は一瞬でハートを撃ち抜かれ、結局一緒に入ることになった。

シャワーでは雄介が髪を洗ってあげたり、湯船では雄介の上に友希那さんが乗っていたり、それこそ本当に気が気でなかった雄介は、人生初めてのぼせるという感覚を覚えたらしい…

そして、就寝時間になり…

 

雄介「…友希那さん、本当にここでいいんですか?」

ゆきな「もちろんよ」

 

雄介は友希那さんの部屋のベッドで、友希那さんと一緒に寝ることになったのだ。しかも、友希那さんは雄介のパジャマの裾を掴んでいた。

 

ゆきな「というか、なまえ、また『さん』づけしてる」

雄介「す、すみません…」

ゆきな「わたしたちはこいびとなんだから、そんなふうにいわれるときずつくの…」

雄介「気をつけてはいるんだけど…やっぱり慣れなくて…」

ゆきな「そう…」

雄介「…」

 

そんな話をしてしばらくすると、友希那さんの寝る吐息が聞こえた。

 

雄介「…すみません…友希那さん…」

 

雄介はそう言って、そのまま寝ることにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…次の日…

 

雄介「…ん…」

 

雄介が目を覚ますと、目の前に友希那さんがくぅくぅと寝ていた。元の姿に戻って…

 

雄介「っ!?」

 

雄介は驚いて、こっそりと離れようと動こうとした。

ただ、友希那さんはずっと裾を掴んでいたので、すぐに目を覚ました。

 

友希那「…ん…」

雄介「っっっ!!!」

 

雄介は声にならない声を叫び、固まってしまった。

それを見た友希那さんは、ゆっくりと雄介の方へと動き、抱きついた。

そして、小さくこう言った。

 

友希那「…ごめんなさい」

雄介「…え?」

 

雄介は素っ頓狂な声を出した。

 

友希那「…昨日、気分害したかしら…」

雄介「い、いえいえ!俺が告白したのに、なんかそれらしいことしてなくて…」

友希那「確かにそうだけど…私だって同じ事やってるのだから、気にしないで」

雄介「…友希那さん…」

友希那「…でもせめて、私のことを『さん』付けしないようにしてほしいわ」

雄介「あはは…そうだな…友希那…しばらくそのままでいいか?」

友希那「いいわよ…雄介」

 

しばらくベッドの中で抱き合った2人は、その後仲良くベッドから起き上がった。

 

雄介「…そういや、体戻ったな」

友希那「そうね…なんとかなったわね」

雄介「とりあえずこれで一安心かな…」

友希那「でも、もう少しそのままでも良かったかしらね…今度は雄介の家に行ってみたいわ」

雄介「いや、俺んち、野球グッズばっかですよ?それでもいいなら、いつでも大歓迎ですが」

友希那「えぇ、今度行かせてもらうわ、雄介」

 

友希那さんはそう言うと、雄介の唇にキスをした。

 

雄介「っ!?」

友希那「…これからもよろしくね」

 

そう言った、友希那さんの表情は明るかったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
今回はこんな感じで書いてみたというものですが…楽しんでいただけたでしょうか?
まだまだ書いていきたいとは思いますので、是非ともよろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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番外・その他編
番外編〜春のお花見・第1話〜


どうも、VVVFです。
さて、今回は告知をさせていただきます。
えー…あと幾らか(まだまだありますが…)ストーリーを書いたら、バンドリの小説は一旦更新停止にさせていただきます。
完全な更新停止ではなく、ちょこちょこストーリーが出てくるのですが、一応報告しようかと思い、この話と共に書きました。
詳しくは活動報告に書いてありますので、よろしくお願いします。
では、番外編1発目どうぞ!
あ、今回の番外編は完全に時系列めちゃくちゃです。(理由は、元ネタがゲームのイベントストーリーな為)
感想等に「時系列めちゃくちゃ!」など書かぬよう、よろしくお願いします。


…うららかな春の陽気が続いているある日のこと…

 

りみ「わぁ…見て、桜が満開だよー」

香澄「こんな綺麗な景色を見ながら、みんなで帰宅できるなんて…私、すっごく幸せだなー」

流星「それは言い過ぎ…でもないかな…確かに幸せだ」

 

僕と尚之、ポピパの5人は一緒に帰りながら、川沿いの満開の桜並木を歩いていた。

 

沙綾「だね。にしても…ここの桜は特に綺麗だな〜」

尚之「話によると、ここの桜並木は都の桜の名所百選に選ばれたらしいぜ」

有咲「そうなんだ…本当に綺麗な景色だなー」

りみ「こうやってワクワクしちゃうのも、春の力のおかげかな?春といえば…何か新しいことが始まる予感するよね?」」

香澄「えー?そうかな…私はいつも何かが始まる予感してるけど?」

流星「それは香澄だけだ…」

有咲「なんてったって…ノーテンキだし…」

香澄「私だけ!?おたえもそうだよね!?」

流星「急に振ってどうする!?」

たえ「私は春っていうと…たけのこご飯…って感じするけど」

尚之「なんでたけのこご飯!?」

沙綾「あはは…おたえは相変わらず独特だね」

 

…などなど、たくさんの話をしながら、川沿いを歩いて行くと…

 

???「たぁぁ!」

 

と、何かの掛け声が聞こえた。

僕と尚之はその声の主を一瞬で特定した。

 

香澄「…ん?ねぇ、みんな。あれなんだろ…」

???「えいっ!えええいっ!」

 

掛け声はかなり大きい声で言っていた。

 

有咲「…な、なんだあいつ…桜の木に向かって刀みたいなの振ってるぞ…あれは完全にやばい奴だ…みんな、目を合わせるなよ…」

流星「あー…合わせても大丈夫だと思うよ?」

有咲「はぁ!?なんでだよ!?」

尚之「知り合いだから…」

 

と、僕らは掛け声を出している人の元へ行った。

香澄は正体をとっくに知っていたので、普通に近寄った。

 

香澄「…ねぇ!イヴちゃん!そんなところで何やってるの!?」

 

掛け声を出している人の正体は、『Pastel*Palettes』のイヴちゃんだった。

片手にはなぜか木刀を持っていた。

 

イヴ「ん?あ、カスミさんじゃないですか!それに、リミさんとサーヤさんもタエさんも。あ、アリサさんとリュウセイさんとナオユキさんもいたんですね」

流星「俺らは付属扱い!?」

尚之「一応いたんだけど!?」

有咲「こ、こんにちは…」

 

僕と尚之はイヴちゃんに思わずツッコミ、有咲はいつもの人見知り効果が発生した。

 

流星「…つーか、何やってたんだ?桜に向かって木刀なんて…」

イヴ「実は…ブシの特訓をしていました」

流星・尚之「ブフッ!」

 

僕と尚之は思わず吹いてしまった。

 

有咲「はぁ!?武士の特訓!?…で、ですか?」

流星「素顔見えちゃったよ…」

有咲「いや…バレてないようだぜ?」

 

有咲の素顔が思わず出てしまったが、イヴちゃんにはバレてなかった。

 

イヴ「舞い落ちる桜の花びらを刀で斬るんです。私の読んだ小説の剣豪は、そうやって特訓をしていました」

流星「いや、斬れないし小説だからな!?」

イヴ「斬れないんですか?」

尚之「木刀は叩くことはできるが、斬るために作ったわけじゃないんだよ…それに、小説だから、それが本当に武士がやったかどうかはわからないよ…」

イヴ「そうなんですか…」

 

僕と尚之の一言で、イヴちゃんはすっかり気分を落としてしまったが…

 

流星「…まぁ、精神を鍛えるためにはいいかもな…」

 

と、僕がすかさずフォローに入った。

そこへ…

 

???「はぐみ!お花見って本当に楽しいわね!」

???「こころんには絶対負けないからね!」

 

と、声がした。

その声の方を見ると、2人の人影が積もった桜の花びらをお互いに投げ合い、1人はそれを観戦しながら何か言っていた。

 

流星「…この声は…マジかよ…」

 

僕は思わず呟いてしまった。

僕らは、桜の花びらで雪合戦をしている2人の方へと向かった。

 

はぐみ「あ!かーくんじゃん!かーくん達もひょっとしてお花見していたの?」

 

花びらの雪合戦をしていたのは…こころちゃんとはぐみちゃんだった。それにツッコミを入れていたのは美咲ちゃんだった。

 

香澄「ううん。みんなで一緒に帰ってたら、たまたまイヴちゃんと会ったんだ」

イヴ「私はここでブシの特訓をしていました!リュウセイさんとナオユキさんに叱られましたが…」

流星「あー…ごめん…」

尚之「決してそういうわけじゃ…」

イヴ「大丈夫です!こんなことでくよくよしてたら立派なブシになれませんから!」

 

とその時、香澄はある事に気付いた。

 

香澄「もしかして…CiRCLEじゃない所で花女の1年生メンバーが揃うのって初めてじゃない!?」

流星「言われれば…そうだね…」

イヴ「本当ですね!改めて、よろしくお願いします!」

こころ「そうね、よろしく!」

 

とその時、有咲が少し緊張気味にこう言ってきた。

 

有咲「なぁ、香澄…そろそろ帰ろうって…いつまでもこんな変わったヤツらと一緒にいたら、私まで変な目で見られるだろ…」

流星「いや…香澄がもう変なヤツらの1人だからな?」

有咲「あーそうだった…流星、尚之、帰ろうぜ」

 

僕のフォローにより、有咲は僕と尚之を連れてそこから離れようとした時だ…

 

香澄「あ!いい事思いついた!」

 

香澄がそう叫んだのだ。

 

有咲「え!?」

尚之「これは…」

流星「やな予感が…」

 

僕と尚之と有咲は不安になる一方で、香澄はある提案を出した。

 

香澄「ねぇねぇ、みんな!せっかくここで会えたのも何かの縁だし、みんなでお花見をしようよ!」

流星「え?」

尚之「なんだ…」

 

僕と尚之は香澄の事だから、変な事でも言うのかと思っていたが、案外まともな意見だった。

まぁ、出演者は超変わり種の人達だがな…

一方の有咲は、やっぱりというような顔をしていた。

 

香澄「次の日曜日って、みんな予定空いてる?」

はぐみ「わわ!さっすがかーくん!ナイスアイディア!はぐみはその日大丈夫だよ!こころんもみーくんも平気だよね?」

こころ「私と美咲はもちろん参加よ!」

美咲「勝手に決めてるし…まぁ、大丈夫だけど…」

イヴ「私もみなさんと一緒にお花見やってみたいです!日本に来る前から、お花見ってずっと憧れていましたから!」

流星「そういや、イヴちゃんはフィンランドと日本のハーフなんだっけ…そりゃ、憧れるもんな」

イヴ「はい!」

香澄「りみりん達もオーケー?」

りみ「うん!こんな機会なかなかないもんね!」

沙綾「だね。沙綾も行くでしょ?」

たえ「私、たけのこご飯持って行くね。楽しみ〜」

尚之「たけのこご飯安定だな…あ、俺は今回パス。先に友達と遊ぶ予定入っちまって…」

流星「俺は平気だよ」

 

という事で、僕らはお花見をすることになった。

楽しみだな。

 




いかがでしたでしょうか?
わずかになると思いますが、頑張って書きますので、よろしくお願いします!
では次回お会いしましょう!


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番外編〜春のお花見・第2話〜

どうも、VVVFです。
今日は少し本気になってやりました…2話連続投稿です!
さすがに日が空きすぎたので…ある意味挽回しようと…
とりあえず、いつものように流しながら見ていってください。
では、本編どうぞ!


…日曜日…

 

僕らはこころちゃんの家に向かうべく、駅前で集合する…ことになったのだが…

 

有咲「…あれ?早く着きすぎた?」

流星「それはないって…待ち合わせ時間の10分前だぜ?」

 

…と、集合していたのは僕と有咲だけだった。

 

有咲「全く…みんな何してんやら…それより、こころの家だっけ…どんな感じだろうな…」

流星「あー…有咲は知らないのか…予想の斜め上以上行くかもよ」

有咲「知ってんのか?」

流星「ここら界隈だと結構有名だぜ?まぁ…知らなかったらそこまででいいけどさ」

 

と、そこへ

 

りみ「あ、有咲ちゃん、流星くん、おはよー!」

 

と、りみが走ってきた。

 

流星「お、りみりんおはよー」

りみ「あ、あれ!?私、待ち合わせの時間間違えてたっけ?」

有咲「いや、間違ってないよ。私達が早すぎただけ」

りみ「そっか…よかった〜。沙綾ちゃんとおたえちゃんももうすぐ来るって」

有咲「りょーかい」

 

と、さらにそこへ

 

沙綾「あれ?3人早いね!」

 

と、沙綾が来た。

 

流星「おはよー」

沙綾「あれ?もしかして有咲、楽しみすぎて早く来ちゃったとか?」

有咲「はぁ!?べ、別にそんなんじゃねーし!」

流星「いや…5分前行動は普通でしょ?」

沙綾「あはは…確かにそうだねー」

 

と、さらにさらにそこへ

 

イヴ「おはようございます!」

 

と、イヴちゃんがやって来た。

 

イヴ「いい天気になってよかったですね!」

流星「確かに、今日はいい花見日和だな」

イヴ「あれ?アリサさん、眉間にシワが寄っています!大丈夫ですか?もしかして、気分が悪いとか?」

流星「あ、いや…これは気にしなくても…」

有咲「あ、いえ…別に、そういうわけでは…お気遣い、ありがとうございます…おほほほ…」

流星「…有咲…」

イヴ「それなら良かったです。それにしても、アリサさんはとてもおしとやかですし、大和撫子を絵に描いたような方ですよね〜。桜が似合います!」

 

イヴちゃんの一言を聞いた僕は、思わず笑いを堪えた。

 

りみ「う、うん…そうだね…」

 

と、りみも苦笑いするほど…

と、さらにさらにさらにそこへ

 

香澄「ご、ごめーん!遅れちゃったー!」

 

と、主役の登場…

 

有咲「か、香澄!お、お前!」

イヴ「お、おまえ?あ、アリサさん?」

 

有咲の急な言動変更に、イヴちゃんは戸惑ってしまった…が…

 

有咲「!?おま…おま…おま、んじゅう…持って来てくれた…かしら?」

 

と、無理矢理言葉を持って行った。

 

流星「…有咲…」

香澄「おまんじゅう?そ、そんな約束したっけ?おまんじゅうはないけど、お菓子はたくさん持って来たよ!」

流星「おぉ〜これ、結構大変じゃない?」

 

香澄の両手には、パンパンお菓子が入ったビニール袋がたくさんあった。

 

香澄「えへへ…こうでもしないと、楽しめないからね!」

流星「こりゃすごい…半分持って行くよ。大変だろ?」

香澄「え!?いいよ!別に!」

流星「唯一の男手だ。そのくらいやらせてくれ」

香澄「えへへ…それじゃ、遠慮なく〜」

 

その後、おたえ、はぐみちゃん、美咲ちゃんが来て、こころちゃん以外のメンバーは全員揃った。

というわけで、揃ったメンバー全員でこころちゃんの家へと向かった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕らは、ある家の長い塀沿いに歩いていた。

 

香澄「…ねぇ、はぐ…こころんのおウチってまだなの?さっきからずっとながーい塀沿いに歩いているだけで…だんだん眠くなって来たんだけど…」

流星「ここで寝るバカはどこにいる!?」

香澄「あはは…冗談だって…」

流星「全く…つーか、もう着いただろ?はぐみちゃん」

はぐみ「あれ?流星くん知ってたの?」

流星「ここら界隈の有名な家だぜ?知らないわけない」

香澄「え?もしかして…ここ?」

有咲「あはは…冗談はやめてくださいよ…」

流星「冗談じゃないぜ…ほれ、玄関の表札」

沙綾「…『弦巻』…確か、こころちゃんの苗字、弦巻だったよね?」

りみ「本当だ…ということは…」

流星「正真正銘、ここがこころちゃんの家」

沙綾「まさか…こころが弦巻家の一員だったなんて…驚きだよ…」

 

と、その時、大きい門の脇にある小さい門から、こころちゃんが出て来た。

 

こころ「みんな、よく来てくれたわね!どうぞ、入ってちょうだい!」

 

僕らはこころちゃんに誘われて、中に入った。

そこには、一面真っピンクの花が咲いていた。

 

香澄「こ、これって…夢?私…眠すぎて、夢見てるのかな?」

流星「それはない」

 

僕は香澄の頭にチョップを入れた

 

香澄「痛っ!やっぱり…夢じゃない…よね?」

こころ「みんな、どうぞ自由にして!走り回るのもよし!寝転がるのもよし!バク転するのもよし!ここではすべてが自由よ!」

流星「いや、バク転はしないからな!?」

 

僕らは、こころちゃんの家を色々見ていた…

僕は知っていたとはいえ、中まで入ることは確実になかったから、見るもの全て初めてなのだ。

 

有咲「つーか、ここどこだよ!スケールデカすぎだろ!」

流星「…だよな…」

有咲「!?流星…もしかして…聞いてたのか?」

流星「まぁな…でも、他の奴らは聞いてねぇ…」

有咲「そっか…」

 

その後、お花見を用意するのに、こころちゃんがSPを使ったのは言うまでもない。




いかがでしたでしょうか?
この後、特に言うことないので…次回お会いしましょう!


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番外編〜春のお花見・第3話〜

どうも、VVVFです。
季節は春、お花見シーズンだということで、久々の番外編&生存確認投稿をしました。
というか、これを出していたこと自体忘れておりましたり…w
てな訳で、いい機会なのでここでブッコミましたw
まぁ、毎度のような駄文掲載でございますので、そこのところよろしくお願いしますw
では、本編どうぞ!


…俺らはこれから花見をする準備を進めようとした。

ただやはり、弦巻家の一員。こころの家のSPらしき人達がこぞって花見の準備をし出したので、俺らが準備で出る幕というのは一つもなかった。

 

こころ「さぁ、準備も出来たし、お花見を開始するわよ!みんな、掛け声は大丈夫よね!?」

流星「いや、決めてねぇよ!?」

香澄「掛け声って、決めてたっけ?」

こころ「別に決めなくてもいいのよ!みんな心に浮かんだ、思い思いの言葉を叫ぶの!この桜の木と、大空に向かって!」

流星「いや、言ってることめちゃくちゃじゃね!?」

はぐみ「そうでもないと思うけど?」

流星「いや、実際問題そうだろ!?」

 

そんなこんなで、俺らはお花見を開始する運びになった。

ちなみに、こころとはぐみは打ち合わせなしで掛け声を決めたので、俺と有咲は驚かされた。

また、こころの家で料理もたくさんスタンバイしているってこともあって、またまた驚かされた。

 

流星「…有咲、大丈夫か?」

 

俺は有咲の隣に来て、少し心配するように話しかけた。

 

有咲「え!?あ、あぁ…ちょっとな…」

流星「飯取りに行かねえのか?」

有咲「それどころじゃねぇよ…疲れて仕方ねえんだ…」

流星「うーん…あらかた俺がどうにか突っ込み入れておくけれど…あんまし無理しないようにな」

有咲「そう言われてもよぉ…イヴって子には大和撫子みたいって言われてるから…なんかこう…イメージ壊したくねぇんだよなぁ…」

流星「そうやって遠慮してるから逆に自分を苦しめてるんじゃねぇの?」

有咲「うっ…」

流星「人の目は気にするなとまでは言わないけれど、ある程度は本当の自分とか見せてもいいだろ?まぁ、お前の性格じゃどうにもならんと思うけどな」

有咲「はぁ!?そういうこと言うなし!」

流星「まぁ、俺はいつもの有咲の方が自然でいいと思うけどな」

 

俺はそう言って、料理を取るべく、テーブルの方へと向かった。

 

有咲「いつもの方が…いい…か…」

 

と、有咲が少し顔を赤くしながら微笑むと…

 

イヴ「…有咲さん、どうしました?」

 

イヴちゃんが有咲の隣にやって来たのだ。

 

有咲「わ、若宮さん!?どうしたって…別に私は何も…」

イヴ「もしかして…流星くんに恋してるんですか?」

有咲「はぁ!?そうじゃ…じゃなくて、そうですか?」

イヴ「なんか、流星くんと話をした後の有咲さん、取ってもいい笑顔でしたよ?」

有咲「そ、そうでしたか?気のせいだと思います〜、おほほ…」

 

そう言った有咲の表情は、どことなく嬉しい感情があったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺はみんなと離れて、1人素振りをしていた。

食ってばかりだとシャレにならないだろうし、少しでもレギュラーになるためにも、ここは素振りをして力をつけようと思った。

そこへ…

 

こころ「流星くん!何してるの!?」

 

こころとはぐみがやってきた。

 

流星「ん?素振りだけど?」

こころ「素振り?」

はぐみ「あのバットを振って、パワーをつけたりするんだよ!」

こころ「へぇ!でも、面白くないんじゃない?」

流星「そうでもねぇよ。自分の目標のためにも、まずは小さなことをコツコツと積み上げていきたいんだ」

 

俺はそう言って素振りを再開させた。

だが…

 

香澄「あれ?流星くん何してるの?」

 

と、香澄たちが来たことによって、再び素振りは中断した。

 

沙綾「そこで素振りしてたの?」

流星「まぁな、ここでも多少はやらないといけないと思ってね」

りみ「やっぱり、流星くんは野球一筋だね」

たえ「さすが、野球の卵」

流星「いや、おたえ、言ってる意味わからねぇよ?」

 

そんなこんなで俺はみんなに見られる形でしばらく素振りを敢行することになり、俺が素振りを終えた後はみんなから拍手をもらった。

そして、みんなでまだそんなに関わっていなかったことから、改めて自己紹介をすることになった。

 

流星「そういえば…イヴちゃんって、最近までフィンランドに居たんだよな?なんか、カルチャーショックというものはあった?」

イヴ「うーんと…特にこれといってというものはないですね」

流星「へぇ、意外だな」

イヴ「やはり、想像通りの綺麗な国でした。だから、私は日本が大好きです!」

香澄「えへへ、そう言ってくれると嬉しいね!」

流星「香澄の手柄じゃねぇだろ」

沙綾「そんなイヴちゃんに、少しとっておきの情報があるんだ」

イヴ「はい?なんでしょう?」

りみ「イヴちゃんって…流星くんと会うまでは野球の存在って知ってた?」

イヴ「全然知りませんでした。フィンランドは雪国なので、どちらかというと、スキーとかが盛んですね」

たえ「実は、野球の日本代表のあだ名が『侍ジャパン』って知ってた?」

イヴ「えぇ!?そうなんですか!?リュウセイさん!」

流星「そうだよ」

イヴ「侍ジャパン…日本のブシドーの塊みたいですね…私も野球やってみたいです」

流星「あー…それは逆にやらない方がいいかも。やるんだったら始球式でやってくれるはずだから…」

 

と、そんなこんなで話をしていると、香澄があることに気がついた。

 

香澄「そういえば…今日有咲、ほとんど喋ってないよね?具合でも悪い?」

流星「か、香澄…これ以上は…」

有咲「い、いえ、大丈夫です…」

沙綾「顔色もちょっと悪いね…疲れてるみたいに見えるけど…」

有咲「ほ、本当に大丈夫だから…」

流星「…有咲…本当に大丈夫かよ…これ以上は助け舟出せねぇぞ…」

 

俺は独り言のように呟いた。

そこへさらに…

 

香澄「ホント?大丈夫ならよかった!それじゃあ、有咲!ガツーンと一言お願い!」

 

…香澄が有咲を殺しにかかった。

 

流星(香澄ぃー!有咲のHPは0だから!これ以上はオーバーキルだから!)

 

俺は心の中でそう叫んだ。

有咲は俺に助けを求めて来た。かなり必死のようだった。

 

流星「か、香澄…そういや、これ、俺出してなかったんだよ」

 

俺はそう言っておもむろに持ってきたバッグに走り、そこから紙袋を取り出した。

これは花見用に持ってきたお菓子だが、豪勢な料理を目の前にして出すタイミングを見逃していたやつなのだ。

それを今思い出して、注意をこっちに引きつけようと試みたというわけだ。

 

香澄「え?なになに?」

流星「これだよ」

沙綾「これは…大福?」

流星「俺が小さい頃からお世話になっている和菓子屋さんに頼んで作ってもらったんだ」

はぐみ「へぇ〜、美味しそう…って、これ、『島月屋』の大福じゃん!」

有咲「『島月屋』!?」

沙綾「うそぉ!?」

美咲「す、すごいもの持ってきたね…」

りみ「知ってるの?」

はぐみ「『島月屋』はこの場所で代々受け継がれる和菓子屋で、確か江戸時代から続く老舗だよ!」

イヴ「江戸時代から!?」

美咲「上品な甘みを持つあんこと、もちもち食感なのに滑らかな口当たりのお餅を使った和菓子は、かつてお偉いさんにあげていたという逸話があるほどの名店だって、うちの親が言ってたんだ」

沙綾「確か、列が最長4時間待ちという記録を持ったほどの名店中の名店だったはず…そんな和菓子屋の大福がこんなところで見れるなんて…」

流星「俺の父ちゃんがそこの店の店主と同期だったらしく…たまにご馳走してくれたんだよ。売れ残ったお餅とあんこを使って大福やおはぎをよく作ってくれたんだよ。今日お花見するためにお土産を作ってほしいって言ったら、快く引き受けてくれたよ」

有咲「す、すげぇ…」

流星「てな訳で、これをみんなで食べようぜ」

 

俺らはこうして大福を食べながら、話を進めることにした。

 

流星「…有咲…大丈夫か?」

有咲「ありがとう…流星…少しだけ落ち着いたよ…」

 

その後は有咲が盆栽をやっていること、家が質屋で蔵を持っていることを香澄にバラされた有咲は、みんなからの一斉砲撃にあっていた。

 

イヴ「アリサさんの家、行ってみたいです!」

はぐみ「私も一回行ってみたーい!」

香澄「あとね!私がこうやってバンド出来るのも、有咲のおかげでもあるんだ!もちろん、その時に流星くんも居たんだよね!」

流星「あん時はほぼお前の強引な行動に引っ張られただけだわ。それに、お前は勝手に家に上がって、有咲のおばあちゃんと仲良くなって…」

香澄「でも、それのおかげで今バンド出来るじゃん!流星くんも、私のこと応援してくれたことなんだし!」

流星「それは応援するけどさ…お前は少々強引すぎ」

 

と、まぁ…香澄のお膳立てもあって、有咲のHP…いや、体自体がかなり持たないものになってしまっている。

さらには…

 

こころ「そうだわ!蔵よ!うちにも蔵を建てましょう!」

 

と、こころの発言により、有咲の限界値がマックスになっていた。

 

流星・美咲「なんでそういう結論に…」

 

俺と美咲ちゃんは同時にそう突っ込んだのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数時間後…

 

香澄「本当に楽しかったね!今日のお花見!」

 

俺らはこころの家での花見を終えようとし、香澄が締めの言葉に入ろうとしていた。

 

香澄「実は私、お花見って初めてだったんだけど…こんなに楽しいって思わなかった!」

流星「初めてだったんかい!まぁ、いつものとは違うけれど、たしかに楽しかったな」

 

というのも、この数時間の間にバトミントン大会やらこの前の通称『お花見合戦』やら、俺がいたからホームランダービーやらをやっていたので、結構楽しめたところはあった。

 

はぐみ「はぐみはもうお腹いっぱーい!もう何も入らないよー」

流星「はぐみは色々食ってたからな…」

こころ「あたしはまだお花見したいわ!まだまだこれからじゃない!」

流星「いや、こころのお花見はこれくらいで十分だと思う…」

沙綾「ごめんね、こころ。私たちももう少し居たいんだけど…明日学校あるからさ…」

こころ「それなら、明日学校でお花見の続きやりましょう!」

はぐみ「さんせーい!」

流星「って出来るかっつうの!普通そんなのやったら大騒ぎになるわ!」

 

俺はふと、後ろにいる有咲を見ると、かなり体力が消耗していた。

俺がどうにか突っ込みをたくさん入れていたおかげで、HPは多少ながら回復している様子だが、未だに厳しい様子には変わりない。

 

イヴ「でも、今日は本当に楽しかったです!ありがとうございました!」

 

イヴちゃんは感謝の言葉を述べたあと、こう続いた。

 

イヴ「ずっと憧れてたお花見ができて本当に感謝してます!桜の下にいると、不思議と素直な気持ちになって、いつも以上にたくさんおしゃべりしてしまいました!」

 

その一言で、俺は締めたな…そう思ったが…

 

はぐみ「だよねー!みんなと話せてホント最高だった!この花女のメンバーで、また来月もお花見しよーよ!」

 

はぐみの最後の一言でまたツッコミタイムが始まってしまった。

 

美咲「来月じゃもう…桜散ってるよね?」

流星「もうそれ、お花見じゃねぇよ…」

有咲「そ、そうですね。おほほ…」

 

そして、香澄の提案で次回のお花見の場所を決める事になり…

 

はぐみ「そういえば、あーちゃん家の蔵は音が漏れにくいって言ってたよね!」

 

というはぐみの提案により…

 

香澄「それいいじゃん!有咲の家にしようよ!私、さんせーい!」

イヴ「蔵にある骨董品、見てみたいです!もしかして、有名なサムライの鎧とか…」

香澄「あ、それじゃあ有咲の家でお宝探しするのはどうっ!?絶対たのしーよ!」

流星「そんなことできるわけねぇだろ!お前ら、ちょっといい加減に…」

 

と、俺が言いかけたその時だ…

 

有咲「お前ら…勝手に決めんなっつーの!蔵で宝探し!?ただでさえ騒がしいやつらが来るのに宝探し!?桜はどこいったんだよ!蔵じゃ桜見えねぇだろ!」

流星「ついに爆発したかぁ…」

 

有咲が本気のツッコミ炸裂させ、俺以外の周りのみんなを一斉に黙らせた。そして…

 

イヴ「…あ、アリサさん?」

 

今まで有咲をおしとやかな大和撫子と思っていたイヴちゃんが絶句してしまった。

 

香澄「有咲、やっと調子が出たね」

流星「香澄…察せよ…」

 

その後、有咲はみんなにツッコミまくって、この日のお花見は終わりになった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜、俺は珍しく有咲に誘われて家の中に入った。

 

流星「…失礼しまーす」

有咲「遠慮しなくてもいいぜ?今日はうちが誘ったんだから」

流星「にしても、珍しいな。有咲が自主的にうちの中に人を入れるなんて」

有咲「べ、別にいいだろ!ほら、さっさと上がれよ!」

 

有咲は顔を赤くしながら俺を家の中に案内した。

俺は少し珍しいなと思いながら、家の中に入っていった。

 

有咲「…ここ、うちの部屋なんだ。どうぞ」

流星「え、あ、あぁ…」

 

俺にとっては珍しいことだらけでかなり戸惑った。

まず、有咲って自分からこうやって人を入れてたっけ…って思わず考えてしまった。

 

有咲「どうした?入らねえのか?」

流星「いや、お前にしては珍しすぎて、何が何やら…」

有咲「う、うるせえ!とっとと入った!」

流星「わ、わかったよ…」

 

俺は素直に有咲に従い、有咲の部屋の中に入った。

 

流星「…それでどうした?お前が家に来て欲しいなんて言ったり、ここを案内したり…なんか嫌なことでもあった?」

有咲「そ、そういうことじゃねぇけど…ただ…」

流星「お前…なんか変だろ…まさか、誰かに俺に恋してるんじゃねぇのかって囁かれたんじゃ…」

有咲「ち、違え…と言いたいけど…」

流星「おいおい…図星な上に否定しねぇなんて…本当に…」

有咲「大丈夫じゃねえから呼んだんだっつうの!」

流星「そうかっかすんなよ…」

 

俺は有咲の部屋にあるソファに座り、続くように有咲も俺の隣に座った。

 

有咲「…そういや、若宮さん、なんか言ってたか?」

流星「ん?今日の花見でか?」

有咲「うん…」

流星「特にこれといってないな…強いて言うなら、お前が耐えかねてツッコミマシンに変わった後、悪魔でも取り憑かれたんじゃないかって言って、俺がそれが本当の有咲だって言ったら、今までのは仮の姿で、桜のおかげで本当の姿を現したなんて言ったから、速攻で突っ込んだよ」

有咲「そんなことあったんだ…やっぱツッコむよな…」

流星「本当だよ」

 

俺と有咲は、今日のお花見を振り返った。

おかげで少し和んだ会話になったと思っていたが…

 

有咲「実はさ…」

 

有咲がそう切り出したので、俺は思わず言葉を止めた。

 

有咲「…流星が隣に来て、色々話してくれただろ?」

流星「あぁ…まぁ、そういうことあったな」

有咲「あの後…私、流星くんに色々助けてもらって…本当に嬉しかった…でも…なんか…こう…あの話の後…嬉しいというかなんというか…複雑な気持ちになって…」

流星「それで、イヴちゃんに恋してるんじゃないかって言われたのか?」

有咲「え?」

流星「正直に言うと、ちらっと見えちまってたのよ。なんかイヴちゃんとお前が話しているのがね」

有咲「そうなんだ…」

流星「まぁ、俺は別にどうってことはないんだけどよ…俺はただ助けただけなんだからさ」

有咲「それでも嬉しかったんだぜ?だから…これ、お礼」

 

有咲はそう言うと、俺の頰にキスをした。

 

流星「!?有咲!?」

有咲「…わ、私だってこういうのはしたくねぇし!ただ…それくらい感謝してるってこと…好きだったけど…もっと好きになっちまったんだから…責任取れよ!」

流星「いや、どうやって責任取るんだよ!?」

 

こうして、ドタバタお花見の1日が幕を閉じるのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ED:今日もサクラ舞う暁に

Vo:秋山流星&戸山香澄

 

 




いかがでしたでしょうか?
まぁ…今回は無理矢理感半端ない形で終わらせました…w
今色んな小説そっちのけで書いているやつも、元の作者が別でスピンオフを書いている人の作品をスピンオフと認めたくない宣言出してしまっているので、頓挫しそうな感じ…w
まぁ、地道にゆっくりと書いていきたいけど、週間で出している作品が故に、下手したら諦めるかも…w
思いついたやつを書く気ままな性格なので、下手したらお蔵入りになるかも…w
という近況報告はこれくらいにして、次回は久々の『水どう』スピンオフを書く…かも?
まぁ、頑張りますんでよろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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番外編〜ワクワク温泉旅行!前編〜

どうも、VVVFです。
今回はのんびり気ままな感じのお話にさせていただきました。
しかも、マッシブさんの『ラブライブ!サンシャイン!〜もう一度輝くために〜』と、テラケンさんのキャラを使った変に豪華な仕様で送らせていただきます!(マッシブさんとテラケンさんには了承済みです。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます)
というわけで、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

流星「…うん、これで宿題は終えられたな」

香澄「はぁ〜…終わったぁぁ…」

 

冬の宿題を全くやっていなかった香澄の面倒を見るため、俺や有咲、沙綾、りみりん、おたえで蔵で宿題を見ていた。

 

りみ「おつかれ、香澄ちゃん」

香澄「疲れたよぉ〜、りみり〜ん」

有咲「全く…やってなかった香澄が悪いだろ…」

流星「激しく同意」

香澄「ガーン!沙綾〜、有咲とりゅうくんがいじめてくる〜」

流星・有咲「いじめてねぇ!」

沙綾「まぁまぁ、今日は頑張ったよ、香澄」

たえ「とりあえず休もっか」

香澄「ありがと〜、沙綾、おたえ〜」

 

頭から湯気が出るほど真剣に取り組んだ香澄であったが、ここはやはり…

 

香澄「ねぇねぇ!宿題も終わったから、どこか行かない!?」

 

お得意のポジティブシンキングが発動した。

 

流星「行くって…どこに?」

有咲「温泉はどうだ?」

沙綾「お、いいね〜。この時期寒くなってきたから、丁度いいかも」

流星「でも、この時期空いてるところってあるか?」

香澄「うーん…千歌ちゃんの家の旅館やマリーちゃんの家のホテルだったらあるかも」

流星「は!?」

 

香澄のその発言に、俺は思わず驚いてしまった。

 

流星「香澄…おまえ、千歌さん達とまだやりとりしてんの!?」

香澄「もちろん!」

 

そう言った香澄の携帯のSNSの履歴を見ると、たしかにAqoursの千歌さん達の名前があった。

しかも、昨日も9人全員と会話してるし…

 

流星「…それで、今の話言ったのか?」

香澄「まだ!でも前に次来る時はいつでも来ていいだって!」

流星「は、はぁ…」

 

その後、香澄が千歌さんに泊まりに行きたいと言ったら、快く受け入れてくれたので、俺らは『十千万』へ2泊3日の温泉旅行に行くことにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後…

俺らは東京から電車に乗って、『十千万』の最寄りの沼津駅へと向かっていた。

 

香澄「楽しみだなぁ」

りみ「こうやってみんなと一緒に温泉に行くのって、初めてじゃない?」

沙綾「たしかにそう言われれば…」

たえ「初温泉旅行〜」

香澄「いぇーい!」

 

と盛り上がっている香澄達の横で、俺と有咲でコソコソと話をしていた。

 

有咲「…すまねぇな…流星…私があんなこと言ったせいで…」

流星「気にすることはねぇよ。有咲が行きたいって言ったんだから、それで十分じゃね?」

有咲「まぁ、そうだけど…」

流星「旅行だし、気にせずにとことん休もうぜ」

有咲「だな」

 

電車を乗り継いでいき、沼津に着いた俺らを待ってくれたのは…

 

千歌「あ!香澄ちゃん!久しぶり〜!」

香澄「千歌ちゃん!久しぶり〜!」

 

千歌さんと千歌さんのお姉さんである志満さんが迎えに来てくれていた。

 

流星「お久しぶりです。遠征の時はお世話になりました」

志満「いえいえ。今日はゆっくりしていってね」

流星「ありがとうございます」

 

俺らは志満さんの運転する車で『十千万』へと向かった。

その道中…

 

千歌「あ、そうそう、今日はAqoursのみんなと夜くんが手伝いに来てるんだ!」

流星「夜空さんが?」

千歌「うん!ね!香澄ちゃん!」

香澄「うん!この前グループLINEで千歌ちゃんから泊まりに来てもいいって言ったら、みんな手伝いに来るって!」

千歌「それで、夜くんにも伝えたら、夜くんも手伝いに来るだって」

流星「なるほどね…あ、そうだ。今日もう1組来る予定なんですけど、大丈夫すか?」

志満「しばらく貸切状態だから、大丈夫よ」

流星「ありがとうございます」

有咲「ん?誰か誘ったのか?」

流星「まぁ、この後遅れてくるそうだから、その時までのお楽しみってことで」

 

遠征の時に見た海岸を見ながらたわいもない話をして、あっという間に『十千万』に着いた。

 

流星「久しぶりだなぁ…」

沙綾「と言っても、3ヶ月とかじゃない?」

たえ「それ久しぶり」

りみ「みんな元気にしてるかな〜?」

 

と、俺らが『十千万』のエントランスに入ると…

 

Aqours8人・夜空「いらっしゃいませ!」

 

迎えに来ていた千歌以外のAqours全員と夜空さんが和服姿で出迎えてくれた。

 

香澄「曜ちゃーん!鞠莉ちゃーん!」

曜「おっ久しぶり〜!香澄ちゃん!」

鞠莉「久しぶり〜!」

たえ「お久しぶりです、果南さん、ダイヤさん」

果南「お久しぶり。元気にしてた?」

ダイヤ「お久しぶりですわ」

沙綾「お久しぶり、善子ちゃんに花丸ちゃん」

善子「だからヨハネ!」

花丸「善子ちゃん、会ってそうそうそんなこと言わないズラ」

りみ「お久しぶり、ルビィちゃん」

ルビィ「お久しぶり!りみちゃん!」

有咲「お久しぶりです、梨子さん」

梨子「お久しぶり、有咲ちゃん」

流星「お久しぶりです、夜空さん」

夜空「久しぶりだね。今日はゆっくりしていってよ」

流星「お言葉に甘えさせていただきます」

 

久々の再会に喜んだ俺らは、早速部屋に荷物を置いて、休むことにした。

 

曜「…あれ?志満さんは?」

千歌「さっき連絡があって、流星くんが呼んだ人達来るから迎えに行ったって」

ダイヤ「誰ですの?」

流星「Aqoursの皆さんだったら一回会ったことがある人達ですよ。あと、夜空さんに会わせたいと思う人も呼んだので」

夜空「俺に会わせたい人?」

流星「すぐにわかると思いますよ」

 

その人達が来るまでの間、俺らはこれまであったことを互いに喋り合った。

 

千歌「えー!?」

曜「流星くんと香澄ちゃん達、付き合うことになったのー!?」

流星「ま、まぁ…形上は…」

香澄「形じゃないもん!ほらこうやって…」

流星「ばっ!香澄!抱きつくなって何回言えばわかる!」

有咲「別に減るもんじゃないからいいだろ?」

流星「何かが減る!減るから困ってんの!」

たえ「私は後ろから〜」

流星「おたえもやめろ!」

 

いつもの茶番劇をありありと見せつけられた千歌さん達は…

 

千歌「それじゃ、私達も夜くんと付き合おっかなぁ」

ダイヤ「私も、夜空さんとお付き合いさせてもいいですわよ?」

ルビィ「あ!お姉ちゃんずるーい!」

善子「ムーンはヨハネのものー!」

夜空「あはは…」

 

夜空さんが苦笑いするほど、触発されてしまったらしい。

梨子さんや花丸ちゃん、ルビィちゃんはジト目で羨ましそうに夜空さんにイチャつく千歌さん達を見ていた。

 

流星「お陰で色々面倒を見なければならず…」

夜空「大変だね、流星くん」

流星「はい…夜空さんも」

夜空「あはは…」

 

とそこへ、車が止まる音が聞こえた。

 

千歌「あ!志満姉帰ってきた!」

流星「来ましたか…」

 

俺らはエントランスへと行くと、そこにいたのは…

 

香澄「あ!友希那さん!」

友希那「あら、戸山さん達もう着いていたの?」

香澄「はい!」

 

友希那さん達Roseliaのメンバーだった。

さらに…

 

健太「やっと着いたぁぁ」

雄介「お疲れ様です、健太さん」

 

健太さんと雄介が後ろでヘトヘトになっていた。

 

千歌「あれ!?湊さん!?」

友希那「あら、高海さん、お久しぶりです」

リサ「ヤッホー、みんな久しぶりだね〜。テレビで共演して以来かな?」

曜「リサさん!ヨーソロー!」

リサ「ヨーソロー!あははっ、この掛け声久々にきいたなぁ〜!」

紗夜「ご無沙汰してます、ダイヤさん」

ダイヤ「いえいえ、お気になさらず」

善子「ふっふっふっ、我が同胞よ。我が陣地によくぞいらした。褒めてつかわそう!」

あこ「魔王の同盟である貴殿の城に招待されて、我は喜んでおるぞ!」

燐子「あ、あこちゃん…」

花丸「善子ちゃん、やめるズラ」

善子「善子じゃないし!」

 

以前にあるテレビ番組で共演したRoseliaとAqoursの皆さんで再会を分かち合ってる一方で…

 

夜空「て、て、寺原健太さん!?」

健太「あぁ、そうだが…」

夜空「は、はじめまして!静真高校野球部の望月夜空と申します!お会いできて光栄です!」

健太「いやいや…そんな大したことしてないよ…」

夜空「でも!僕は夏の甲子園大会決勝見ていました!かっこよかったです!」

健太「あぁ、ありがとう。せっかくだから呼び捨てで構わないよ。流星から聞いたら、ちょうど同い年だそうだしね」

夜空「そ、そんなことは…」

健太「そんなにかしこまらなくてもいいんだって。今日から3日ほど、よろしく頼むな」

夜空「は、はい!出来れば、野球についても教えていただければ…」

健太「だから大したことしてないって…」

 

初対面の夜空さんと健太さんの会話は、まるで夜空さんがレジェンドを見るような感じで話していた。

そりゃ、夏の甲子園大会優勝校のエースだもん…

 

紗夜「とりあえず、今日から3日ほど、こちらでお世話になります。よろしくお願いします」

千歌「ううん!大丈夫だよ!」

 

こうして、poppin'party、Roselia、Aqoursの3グループと、俺と雄介、健太さん、夜空さんで2泊3日の楽しい旅行が始まったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…1日目は移動で疲れたので、この日はみんなでゆっくり休むことにした。

 

千歌「それじゃ、みんなでボードゲームやろー!」

香澄「いいねいいね!」

あこ「あこもやるー!」

 

と、香澄達が盛り上がっている一方で、俺と雄介、健太さん、夜空さんで別の部屋で明日の予定について話し合っていた。

 

流星「明日どうするんすか?」

夜空「俺的には、沼津市内をまわったり、近くの水族館に行くかな?」

健太「それだけで回れるもんなのか?」

夜空「沼津市内は歩くだけでは2時間くらいですが、各所行きたいところもありますから、結構時間かかると思いますよ?」

雄介「さすが、この土地を知ってるだけありますね」

夜空「と言っても、そう大したものはほとんどないので、どうしようかなと…」

健太「それじゃ、夜空の学校におじゃましようかな」

夜空「え!?」

流星「どうしました?」

夜空「いや、そういうのは事前に言わないと…それに、俺は手伝いで練習に来れないとも言ってますので…」

健太「見学くらいだったらいいだろ。どんなものか知りたいし」

 

健太さんのその一言に、夜空さんは恐縮しまくっていた。

 

流星「でも、香澄や友希那さん達はどうするんですか?」

健太「千歌ちゃん達に色々連れて行ってもらうことにしてもらうか…夜空、頼めるか?」

夜空「あ、いや…多分千歌達も『一緒に行く!』なんて言いそうですけど…」

雄介「それだったら、友希那達も連れて行きます?」

夜空「そうなると、俺が多分痛い目に合うと思う…」

雄介「あ…察しました…」

流星「多分、俺らも変な目で見られること間違いないですし…」

雄介「そういや、俺らが遠征で行った時も、香澄達が流星の応援で大声出すと、守さん達すごい目で見てましたから…」

健太「そ、そうなんだ…」

流星「それじゃあ…こっそり抜け出して行く形にします?」

雄介「面白そうだけど…バレた時の反応が…」

夜空「怖いなぁ…」

 

そんなこんなで話し合っていると…

 

あこ「けんた君!何してるの?」

 

あこちゃんがトコトコとやって来て、健太さんの背中に乗った。

 

健太「あぁ、明日の予定について話し合ってたんだよ」

あこ「どこ行くの?」

夜空「まだ未定だけど、水族館の鑑賞や沼津市内の観光を主にやるかな?」

あこ「それ、すっごく面白そう!」

流星「まぁ、まだ未定だからなんとも言えないけどね」

健太「それで、あこは何しに来たんだ?」

あこ「けんた君も、一緒にボードゲームやろっ!って誘いに来た!」

健太「そういうことか。じゃあ俺はこれで失礼するよ」

流星「楽しんできてくださーい」

あこ「あ、香澄さん達からも流星くん達連れて来てって言われてるので、来てくださいっ!」

夜空「俺らもかよ!?」

雄介「しゃあねぇ…行くとすっか…」

 

そう言って俺らはゲームに参加したのだが、この後罰ゲームありのトランプゲームで色々際どいことをされて疲れ果ててしまった。

時間もいい感じなので、男4人でお風呂に入ることにした。

 

流星「ふひぃ…疲れたぁ…」

健太「移動で疲れてんのに、あいつら何してんだよマジで…」

雄介「仕方ないですよ…特に流星なんかね…」

夜空「あれは凄まじかった…香澄ちゃん達が大はしゃぎするくらいだもん」

流星「あれはないって…あれは…」

 

と、入っていると…

 

香澄「りゅうくんはっけーん!」

 

突如、香澄が後ろから飛び込んできたのだ…

 

流星「香澄!?てか待て待て待て!今俺ら入ってんだぞ!?」

香澄「いいのいいの!こうやって裸の付き合いできるのは今のうちだからさぁ〜」

流星「すぐに別れるわけじゃねぇよ!てか、有咲達もいるじゃん!?何で来てんの!?」

有咲「べ、別にこういうのもいいかなって…恥ずかしいけど…」

流星「恥ずかしかったら来なくていい!」

雄介「え、待って?っていう事は…友希那もいるわけや…」

友希那「いるわよ」

雄介「え!?」

千歌「夜くーん!」

夜空「千歌!?てか、みんなまでいんの!?」

ダイヤ「あら、邪魔でしたか?」

夜空「いえ、何でも…」

あこ「けーんたくん!いーっしょにいよっ!」

健太「あこ達まで来てんのかよ…」

 

結局、俺らは混浴で温泉をゆっくり入って温まった。

その後、俺らの隣で寝るやつを決めるじゃんけん大会でも白熱を極めて、1日目は旅館で楽しんだのだった…

 

 




(後書きは後編に書きます)


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番外編〜ワクワク温泉旅行!後編〜

(前書きは前編に書いてあります)


…日がまだそこまで昇ってない時に、俺は思わず起きてしまった。

ふと体を動かそうにも、何かに乗られて動けなかった。

その乗ってるものの正体はすぐに気がついた。

昨日のじゃんけん大会で俺の隣に来れなかった有咲、おたえ、りみりんの3人が、俺の上に乗っていたのだ。

どんだけ執念で一緒に寝たいんだよ…

と思って隣を見てみると…雄介が酷いくまを付けてこっちを見ていたのだ。

雄介の隣には、友希那さんがまるで猫のように丸まって、甘えるように雄介の腕に抱きついていたのだ。

 

雄介「…寝られなかった…」

流星「…ドンマイ…」

 

俺と雄介は見事に抱きついている香澄達や友希那さんを起こさないようにこっそりと抜け出した。

 

志満「あら、流星くんと雄介くん、おはよう」

流星「おはようございます…ふわぁ…」

志満「2人とも眠そうだね。特に雄介くんは…」

雄介「気にしないでください…」

志満「あ、そうそう。さっき夜空くんと健太くんが出かけていったわよ。多分、朝練というところかしら…2人も行ってみたら?」

流星「そうですね…それじゃ、行ってきます」

 

俺と雄介は『十千万』の前の砂浜へと向かった。

そこでは、先にトレーニングしていた健太さんと夜空さんが、投球練習をしていた。

 

健太「…お、流星!雄介!お前らも起きたのか!」

流星「おはようございます。2人とも早いですね」

夜空「俺が健太さんに直訴したんだよ。プロになるには、こうやって強い人から教えてもらうっていうのもいいと思うしね」

雄介「それで…寝られたんですか?」

健太「俺は寝れたかな?あこに抱きつかれながら寝てたけど、あことは小さい頃よく一緒に寝てたし、今でも機会があればよく一緒に寝てるしね」

夜空「俺もだな。小さい頃泊まりに来た時はよく一緒に寝てたよ」

雄介「いいなぁ…そんな人生じゃなかったのに…」

流星「あはは…」

 

その後、俺と雄介はストレッチを行った後、俺がキャッチャーでピッチャー3人の投球練習に付き合うことにした。

 

夜空「…さすが健太さんだ…球がよく伸びてる…」

雄介「あの高速スライダーにはよく振らされました…」

 

甲子園優勝投手の健太さんの投球を見ていた夜空さんと雄介は、さすがと言わんばかりに感心していた。

 

流星「何感心してんだ!雄介!次はお前だ!」

雄介「俺かよ!?」

流星「当たり前だろうが!」

 

と俺は、寝起きで頭が回ってない雄介を投げさせることにした。

 

健太「あいつ、球は重いけどなぁ…もうちょい変化球あってもいいと思うぜ…」

夜空「雄介くんに合う球だと…カーブでしょうか?」

健太「あとは動くボールでもいいんだよなぁ…」

 

雄介は頭がフラフラな上、足元が安定しない砂場での投球練習をやったが、一度もフォームが崩れることがなかった。

 

流星「…次、夜空さん!お願いします!」

夜空「了解!」

 

最近ようやく投げられるようになった夜空さんの球は、150キロ以上出ていると思われる直球にスライダー、フォーク、カーブと立て続けに投げた。

 

健太「おー、こいつはすげぇや…」

雄介「夜空さん、イップスだったそうで…そこから立ち直って投げられるようになったそうです」

健太「それであの球か…誰かに触発されたのか?」

雄介「前に会ったとき、巨人の桑畑健人選手みたいになりたいと言ってましたね…投げられて打てる選手みたいになりたいって…」

健太「いや、あの人は鬼才だからね!?あんな馬鹿みたいな能力持ってるのなかなかいないし、作ろうと思ったら体壊れかねないぞ!?」

夜空「やっぱり…無理ですか…」

 

投球練習を終えた夜空さんが、思わず聞こえた健太さんの一言に、暗いオーラを出してネガティヴ発言をし始めた。

 

健太「あ、いや…でも、打てて投げられる投手も悪くないぞ!だから、気を落とさないで!?俺も手伝うからさ!」

 

と、その後の健太さんの必死のフォローで夜空さんはなんとか落ち着いた…

 

流星「さて…せっかくですし、ここで走りませんか?砂浜ダッシュ」

雄介「お、いいな!」

健太「足腰鍛えられるし、俺らにとってはなかなかない経験だからな」

夜空「だったらいっちょやりますか」

 

俺らはせっかく砂浜に来たので、10往復の砂浜ダッシュをやろうと準備していたその時だ…

 

千歌「夜くーん!」

 

千歌さん達Aqoursの皆さんが揃ってやってきた。

 

夜空「あれ?千歌達、起きてたのか?」

ダイヤ「えぇ。起きたら夜空さんがいなかったので、みなさんを起こして志満さんに尋ねたら砂浜で練習していると聞いたので」

流星「み、『皆さん』?てことは…」

 

俺の背筋が凍ると同時に、いつものあいつらの声が聞こえた。

 

香澄「りゅうくーん!」

 

香澄がトコトコと走ってきて、いきなり俺に抱きついてきた。

 

流星「香澄!引っ付くな!」

香澄「えぇ〜、いいじゃ〜ん」

流星「良くねぇ!」

 

その後に、有咲や沙綾達も来たが…

 

たえ「私も抱きつく〜」

流星「おたえやめろぉ!」

有咲「全く、お前ら何やってんだよ…」

流星「と言いながら体に抱きつくのやめて!?」

りみ「わ、私も…!」

流星「りみりんもやめて!?」

沙綾「私は…どうしよっかなぁ…」

流星「いや、止めて!止めてくれない!?」

 

と、俺らにとってはいつも通りの行事が行われた…

 

健太「…リア充め」

流星「健太さん!?」

雄介「そんなに女をたぶらかして楽しいか!」

流星「雄介も!?」

夜空「俺は…詳しく知らないから関わらないでおこう…」

流星「夜空さんも同罪ですよねぇ!?

 

俺はそういうツッコミの連続で、練習前に疲れがどっと溜まってしまっていた。

しかし、それは俺だけではなく…

 

千歌「いいなぁ…私も夜くんに抱きつこっと!」

夜空「千歌!?」

曜「あ、ずるい!私も!」

夜空「曜まで!?」

果南「2人とも、夜空はみんなのものだから、ちゃんと分け合おうね」

夜空「果南姉!?なんか違う!なんか違うから!」

ダイヤ「そうですわね…でしたら、私はここに…」

夜空「ダイヤさんもやめて!?」

鞠莉「でしたら、私はここに…」

ルビィ「お、お姉ちゃんがそこなら、ルビィはここに!」

花丸「みんなずるいズラ…」

善子「ヨハネも抱く〜!」

梨子「わ、私は…いいかな…」

夜空「みんなやめてくれぇ!」

 

…夜空さんも抱きつき被害に遭ってしまった…

 

健太「…お前もギルティだな…」

夜空「ちょっと健太さん!?健太さんはどうなんですか!?」

健太「俺にはあこしかいない」

夜空「雄介くんは!?」

雄介「友希那さんオンリーです」

夜空「ぐはぁ!お前らも堕ちろよぉ!」

流星「夜空さん、ドンマイです…」

 

と、そこへ…

 

友希那「みんな、うるさいわよ…」

紗夜「朝からそんな大声出したら近所迷惑ですよ」

 

Roseliaのみなさんがやってきた。

 

香澄「あ!おはようございます!友希那先輩!」

友希那「おはよう、戸山さん」

雄介「昨日はよく眠れた?」

友希那「もちろんよ、雄介。今回は羽伸ばしだから、ゆっくり寝てたわ」

雄介「それは良かった」

あこ「それで…なんでみなさん、抱いているんですか?」

流星「察してくれ…あこちゃん…」

 

俺がそう言ったところで、香澄達はようやく俺から離れた。

 

有咲「それで、流星達は何しようとしてたんだ?」

流星「あぁ…砂浜ダッシュ。足腰の強化が目的でやろうってなったんだ」

千歌「そうなんだ!それじゃ、私たちもやろっ!」

曜「いいね!面白そう!」

ダイヤ「何事にも体幹を鍛えておくことが重要ですからね。朝のいい運動になりますし、やりますわよ」

香澄「だったら私たちもやろっ!有咲!」

有咲「変なこと聞くんじゃなかった…」

流星「ドンマイ、有咲…」

あこ「面白そう!あこもやる!」

健太「面白いものかわからないけど、やるんだったらやろうか」

あこ「うん!」

友希那「私はどうしようかしら…」

雄介「そうですね…今回は希望者だけでやる感じにしますよ。今日は観光の予定ですし、俺らは自主トレの一環でやるだけなので友希那たちは休んでも…」

友希那「いや、やるわ」

雄介「え!?」

リサ(雄介君と一緒に何かやりたかったんだね…)

 

そんなこんなで、結局Aqoursの皆さんや香澄たちも加わって、計23人で砂浜ダッシュを敢行したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

朝練習後…

 

有咲「はぁぁ…疲れた…」

流星「なんかすまねぇな」

 

俺は疲れて倒れている有咲の足をもんでいた。

まぁ、次にりみりんと沙綾が待っているが…

 

有咲「いや、流星のせいじゃねぇ…いてっ!」

流星「あ、すまねぇ…」

有咲「いや、大丈夫…うん、これくらいでいいかな」

流星「了解。んじゃ、りみりん」

りみ「うん」

 

という感じで、俺は疲れている3人のマッサージをしていた。

 

沙綾「そういえば、最近有咲って、流星と仲良くしているよね~」

有咲「はぁ!?そこまでではねぇし!」

流星「そういえば、確かに有咲と絡むことが多いもんなぁ…それはそれでいいとは思うけど…」

有咲「よかねぇ!」

りみ「でもいいなぁ…私なんて、忙しかったりするから…」

沙綾「私も、店で忙しいから流星と一緒にいることが少ないんだよねぇ…」

流星「それに関しては俺も時間が作れていないからなぁ…今日はその分、一緒に楽しもうか」

りみ「うん!今日もよろしくね、流星君!」

沙綾「楽しみにしているよ~」

 

りみと沙綾のマッサージをし終わって、しばらく横になっていると…

 

夜空「流星君、ご飯ができたよ」

 

夜空さんが部屋にきて朝ごはんの連絡が来た。

 

流星「ありがとうございます」

 

俺は立ち上がり、夜空さんとともに食堂へと向かった。

 

流星「そういえば、さっき有咲とりみと沙綾が呼ばれて出て行ったんですけど…お手伝いですか?」

夜空「そうだよ。今日は量が多いから、千歌たちだけだとね…」

流星「なるほど…」

 

食堂に着くと、豪勢な朝食が置いてあった。

すでに香澄たちが座って待っていた。

 

香澄「あ!りゅう君!待ってたよ~!」

流星「すまんすまん」

 

俺は案内されたところに座った。

右隣には香澄、左隣には沙綾が座っていた。

 

千歌「それじゃ、いただきます!」

『いただきます!』

 

千歌さんの音頭で、俺らは賑やかな朝食をとった。

 

香澄「りゅうく~ん!納豆食べて~!」

流星「了解。ほれ」

有咲「すまん、流星…これ食べてくれないか…?」

流星「有咲、ネギが苦手だっけ…わかった。くれ」

沙綾「流星、これもいいかな…?」

流星「はいよー」

友希那「雄介…これいいかしら…」

雄介「あ、大丈夫っすよ」

あこ「これ、ナマコだよね…」

健太「あ、確かにそうだな…食べてやるよ」

あこ「ありがとう!けんた君!」

千歌「夜くん!これお願い

夜空「塩辛か…わかった」

 

…とまぁ、香澄や友希那さん、千歌さんたちがそれぞれ苦手なものを俺らにあげていたりするけどね…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…志満さんの送りで、俺らは沼津駅前にやってきた。

降りたのは南口の方で、駅前はかなり栄えているところだ。

 

流星「それで…これからどこへ?」

夜空「俺や千歌達はここらの事はよく知ってるからな…まぁ、流星くんや雄介くん、健太さんはわからないでしょうから、まずは市内観光をしましょうか」

千歌「というわけで、poppin'partyとRoselia御一行ご案内しまーす!」

 

そんな俺らがまず最初に来たのは、沼津駅前からほんの少しずれたところにあるアーケード商店街。

そこには色んなお店がずらりと並んでおり、人通りは…まぁ、あまり多くはない…

 

夜空「まぁ、東京よりかは人口少ないからどうしようもないけどね…」

流星「そりゃそうですよね…」

 

そのアーケード商店街を抜け、しばらく歩いていくと突き当たりに差し掛かり、そこで俺らは左の方の道路へと向かった。

 

健太「つーか、なんでこのルートを…?」

流星「中の人が実際通ったルートらしいっすよ…」

雄介「メタ発言するな」

 

…ということで、俺らは大きな道路をひたすら南下していった。

 

健太「しかしすげえな。街全体がAqoursのみんなを応援してる感じがして…」

ダイヤ「これも地道な努力の積み重ねですわ。今では皆さん応援してくれているのですよ?」

夜空「Aqours以外にもスクールアイドルはいるけどね。それでもAqoursは頑張ってここまで上り詰めたんだから、俺としても誇らしいよ」

 

また、しばらく歩いていると…

 

あこ「あれ?今度は曜さんのマンホールがある…」

健太「あ、ほんとだ…」

 

歩いている途中であこちゃんがあるマンホールに気がつき、健太さんがそれに気がついた。

 

曜「あ、それ、沼津市が付けてくれたんだ!」

香澄「そうなの!?」

梨子「私たちのお陰で街をアピール出来たからそのお礼としてだって」

有咲「すげぇ…千歌さん達…」

花丸「でも香澄ちゃん達も今や人気バンドでしょ?すごいズラ」

りみ「それでも花丸ちゃん達はすごいよ。街のアピールに一役買ってるなんて、すごいよ」

ルビィ「ルビィ達だけじゃないよ。街のみんなが応援してくれたから、頑張れたんだ」

 

そんなこんなで歩いていると、俺らは沼津港にやってきた。

 

香澄「うわぁ!あんなところに大きな門が!」

鞠莉「あれは沼津港大型展望水門『びゅうお』デース!」

沙綾「こんな大きな水門、沼津にあったんだ…」

鞠莉「中に入ると絶景デスヨ!」

夜空「んで、近くには深海水族館があるけど、行く?」

あこ「水族館!?行きたーい!」

紗夜「そうね…今度の曲作りでのヒントとして行きましょう」

リサ「とか言って、本当は楽しみで行きたいんでしょ?」

紗夜「そ、そういうわけじゃ…」

友希那「雄介はどうする?」

雄介「俺は行こうかなと…」

友希那「それじゃ、私も行こうかしら」

香澄「りゅうくん!私たちも行こっ!」

流星「そうだな…行くか」

 

…約2時間後…

 

香澄「楽しかったね!りゅうくん!」

流星「まぁ、それなりにかな?」

あこ「すごかったね!けんた君!あんな魚が本当にいるなんて信じられないよ!」

健太「迫力がすごかったもんな」

友希那「でもちょっと不気味だったわ…」

雄介「だからずっと俺の腕についていたんですか…」

 

それぞれ思い思いに水族館で過ごしたところで、沼津港で俺らは昼食をとり、再び沼津駅前へと戻ってきた。

そこから内浦まで戻った俺らは、『淡島マリンパーク』と『伊豆・三津シーパラダイス』で思う存分楽しみ、無事『十千万』に戻ってきた。

 

流星「ふいぃ…疲れたぁ…」

 

体力に自信があるはずの俺だが、この日はどうも疲れてしまって、部屋に入るなりうつ伏せで

まぁ、四六時中香澄達が俺の元に来ては抱きついたりしてくるから、それのツッコミが主な原因だろう…

そこへ…

 

沙綾「…流星、大丈夫?」

 

心配してきた沙綾がやってきた。

 

流星「あぁ…沙綾か…ちょっとね…」

沙綾「今日、香澄達にツッコミ入れてたから?」

流星「そういうとこだ…」

沙綾「なるほどね…マッサージする?」

流星「あはは…大丈夫だよ。横になったらすぐに回復するから」

沙綾「了解。それじゃ、私は香澄達のところに行くね」

 

沙綾はそう言って部屋を出ていった。

 

流星「…さて、寝るとするか…」

 

俺は瞼が落ちそうだったので、そのまま寝ることにした。

そして、次に目を覚ますと…

 

流星「…ん?すげえ柔らかい…」

 

横になっていた体を仰向けにさせると…

 

沙綾「あ、起きた?」

 

沙綾が膝枕をしてくれていたのだ。

どこからか視線が飛んできているが、今の俺にはそんな余裕があまりなかった。というか…正直驚いていた。

 

流星「沙綾!?」

沙綾「ふふっ、おはよう、流星」

流星「お、おはよう…」

 

俺は重い体を起こして沙綾を見た。

 

沙綾「本当に大丈夫?」

流星「まぁ…寝たからな…ふぁぁ…」

沙綾「本当に気持ちよく寝てたからね〜。寝顔可愛かったよ」

流星「と言いながらいつも見てるくせに」

沙綾「まぁ、たしかにそうだね」

流星「んで…今はもう飯の時間か?」

沙綾「うん、みんな流星が起きるの待ってたんだ」

流星「マジで!?んじゃ早く行かねえと!」

 

俺はバッと立ち上がって食堂へと向かった。

 

沙綾「…流星、大好きだよ」

 

沙綾は唇に人差し指を当てて、小さくそう呟いた。

俺は食堂に着くなり、待っててくれたみんなに謝った後、共に夕飯を食べ、昨日のようにドタバタと混浴風呂にボードゲームと、騒がしい夜を迎えながら、寝床についた。

3日目は帰宅するから、これといったイベントはないものの…

 

香澄「千歌ちゃん!また会おうね!」

千歌「うん!約束だよ!」

友希那「今日はいい休みを取らせてもらったわ。ありがとう」

ダイヤ「こちらこそ。今度来るときは是非、うちに遊びに来てください」

健太「夜空、今度会うときは練習試合か甲子園で。その時まで仕上げてこいよ」

夜空「はい!そのときは全力で相手になります!流星くんと雄介くんも、もし会うときは全力で戦うからね!」

流星「こちらこそ、負けませんよ!」

雄介「負ける気はありませんので!」

 

こうして、2泊3日の温泉旅行は楽しい記憶を刻んで終わったのだった。




いかがでしたでしょうか?
実はこれを書き上げたのは2月なんですが、リアルがお忙しい2人の了承がなかなか得られず(忙しすぎて見てなかったというだけですが)、結果このタイミングで出すことになりました…w
ですから了承してくださって本当に感謝してます!
本当にありがとうございます!
というわけで、今後とも僕はもちろん、テラケンさんとマッシブさんをよろしくお願いします!
では次回、お会いしましょう!


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デートチケット編
デートチケット・有咲編〜最初のデート〜


どうも、VOSEです。
今回は2000文字程度の完全妄想の作品でございます。
アンケートで賛成の数が多いにもかかわらず、こんな作品になってしまったので、温かい目で見てくださるとありがたいです。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

花咲川女子学園にて…

 

香澄「…うぅ…りゅうくんとしばらくイチャイチャ出来ないよお〜…」

たえ「有咲ぁ〜、私たちにも流星とデートさせて〜」

有咲「ふっふっふ〜、それは難しい事だなぁ」

 

昼休み、香澄達があるものの話題について話していた。

それは、有咲の誕生日に香澄達が作った『デート・チケット』についてだった。

香澄達も細かいルールはつけていなかったので、仕方なく俺と有咲、沙綾、りみりんでルールをつけた。

その内の一つに『デート・チケット使用時は優先的にチケット使用者が流星に近づいたり、デートをすることが出来る』というものだ。

また、流石に1週間に1回は長いので、1日に1回、自由なタイミングで発動することが出来るようにした。しかも、累計制にするというので、例え途中から離れてまた一緒にいることになっても、間の時間はカウントされないようになった。まぁ、めんどくさい…

 

沙綾「しかし、今回作った『デート・チケット』。我ながらよくこんなもの作ったよね…」

香澄「だって、みんなりゅうくん大好きでしょ?だったら、みんなでりゅうくんと2人きりで一緒にいた方がいいかなって!」

りみ「でも、それでしばらく隣に入れないのは寂しいな…」

香澄「うぅっ…自分で作っておいて失敗したよぉ〜」

有咲「どうだ、羨ましいだろ〜」

 

そんな会話が中庭にて繰り広げられていたことなど、もちろん俺は知らない…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…この日はデートチケット使用日…

これが初めてのデートチケットを使ったデートになる…

 

流星「…しかし、有咲がショッピングに行きたいとはな…」

有咲「別にいいだろ?それに、ショッピング言ったって、ただ盆栽を見に行くくらいだけだから」

流星「まぁ、有咲らしいっちゃ有咲らしいがな」

 

そう、俺と有咲が向かっていたのは近くのホームセンター。

そこで欲しいと思った盆栽のリストアップや用具の買い出しなどだ。

しかし、厄介なことが1つ…

 

流星「…有咲、どうして俺の腕に抱きつくんだい?」

有咲「いいだろ?デートなんだし」

 

…ホームセンターに着くまで、俺の腕に有咲がずっと抱きついているのだ。

しかも、日向に当たっている猫みたいに気持ちよさそうにしている。

そんな表情見せたらそこまで突っ込む気も失せてきた。

無事ホームセンターに着いた有咲は、俺から離れるとすぐに盆栽のリストアップとお手入れ用具の買い出しを行った。

 

有咲「ええっと…確か肥料は…」

流星「…これをどんくらいの頻度で買うんだ?」

有咲「そんなでも無いぞ?今回は無くなったやつを買いに来ただけだからさ」

流星「なるほどね…」

 

それほど多くない買い物を、有咲が自腹(おそらく盆栽などを売って得たお金)で支払い、俺が荷物を持って帰ることにした…と思ったら…

 

有咲「なぁなぁ。ちょっとショッピングモールとかに行ってもいいか?」

 

有咲が唐突にショッピングモールに行きたいと言いだしたので、急遽ショッピングモールへ行くことにした。

ホームセンターで買ったものは一旦有咲の家に置いてから向かった。

有咲がショッピングモールに着いてまず向かったのは洋服屋さん。しかも可愛い系の服が置いてある店だ。

俺はもちろん外で待って有咲が出るのを待つことにした。

 

流星「…しかし、なんで変なもん作るんだ…素直に行きたいって言えばいいのにさ…」

 

と、ぶつくさ文句を言いながら有咲が出るのを待った。

そして数分後…

 

有咲「…お、お待たせ…」

流星「お、来たな…」

 

有咲が出てきたので、俺は顔をあげたら…見事に可愛らしい有咲がそこに立っていた。

 

有咲「…ど、どうだ?こんなの、着たことないし…」

 

と言いながら、有咲はミニスカの純白のワンピースの裾をあげながら俺に見せていた。

はっきり言うと…鼻血出そう…

 

流星「…いやかわいすぎひん!?お前そんなキャラ!?」

有咲「そ、そうじゃねぇけどさ…ひまりちゃんから、ちゃんとおめかしした方がいいって、今になって思い出してさ…」

流星「…てことは、その店は…」

有咲「ひまりちゃんがオススメしてくれたお店」

流星「マジかよ…」

 

なんともいらないような嬉しいサプライズが起きたところで、俺は有咲とフードコートで簡単な軽食を済ませ、家路につくことにした。

 

有咲「…流星、なんで私のこと見てないの?」

流星「べ、別に…」

 

帰宅する道中でも有咲はずっと俺の腕に抱きついて、隣で歩いていた。

住宅街の中だから人の目もはばからずに出来るが、ショッピングモールや駅前では結構色んな人がこちらを見ていたような気がした。

 

有咲「…今日は一日、ありがとな…また頼むかもしれないけど…よろしく頼むな」

流星「いいって…俺はお前の彼氏なんだしな」

 

俺はようやく有咲を見て言葉を交わした。

有咲は俺の言葉を聞いてかなり嬉しそうだった。

 

有咲「そっか…ありがと、流星…愛してる」

流星「…ん?有咲?さっき愛してるなんて…」

有咲「っ!?言ってねぇからな!?何も言ってねぇからな!」

流星「…わかったよ、有咲」

 

この日、俺の左手はずっと、有咲に抱きつかれたまま終えたのだった。




いかがでしたでしょうか?
これが好評であれば、どんどんと書いていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!


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特別編〜テラケン氏作『白球に込める思い』とのコラボ〜
特別編〜激突!江戸川橋高校VS羽丘学園・前編〜


どうも、VVVFです。
今回、やっと出せるということになりました…
なんと今回、テラケンさんの小説、『白球に込める思い』とのコラボ回が完成いたしました!
なかなか構想とか考えたりするのがきつくて…気づいたら10日間くらい空いてしまいましたが、テラケンさんのお許しをもらい、書かせてもらいました!
今回協力してくださったテラケンさんには、ここで改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます!
今回は前編・中編・後編の3部に分かれており、前編と後編は僕の作風で、中編はテラケンさんに敬意を表して、テラケンさんの作品風に仕上げております。
連投かつ駄文ではございますが、どうぞごゆっくりお楽しみください!
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

 

流星「…羽丘学園と試合?」

尚之「そうそう」

 

部室で着替えている時、尚之から練習試合をやるということを言われた。

 

流星「羽丘学園って…確か、友希那さん達がいる高校だよな?でも、女子校じゃなかったっけ?」

尚之「つい最近男女共学になったんだよ。まぁ、時代の流れって感じだけど…」

流星「へぇ…」

 

とそこへ、

 

雄介「おいっす!遅れちまった!」

 

雄介が遅れて部室に入ってきた。

 

流星「お前、何してたんだよ…」

雄介「悪りぃ悪りぃ…ちょっくら寝てたもんだから…」

尚之「寝てたって…授業まともに受けてねぇだろ…」

雄介「まぁまぁ…それで、さっき聞こえてたけど、試合すんの?」

流星「らしい。相手は羽丘学園だって」

雄介「羽丘学園!?マジかよ!?」

 

雄介は羽丘学園と聞いただけで、かなり驚いていた。

 

尚之「どうした?」

流星「羽丘学園がどうしたんだ?」

雄介「羽丘学園の野球部って…春の甲子園大会優勝の実力校じゃねぇか!?」

流星「え!?マジ!?」

雄介「中でも実力があるのは友希那さんと同い年の選手で、闘志のエース、寺原健太さん、ポーカーフェイスのキャッチャー、中村俊哉さん、ムードメーカーの守備職人、坂本大河さん…といったところかな?」

流星「お前は友希那さんと交流あるからわかるだろうけど…俺らにはさっぱり…」

雄介「いや、マジすげぇんだって!特に、寺原選手は東東京No.1とまで評されている実力派だぜ!?」

尚之「お、おう…」

 

意外と物知りな雄介に、俺と尚之は思わず戸惑ったのだった…

 

流星「こいつは、かなり用心しないとな」

尚之「こっちは一応、去年の東東京大会で準決勝まで行ったけど…不安だな」

雄介「まぁ…とりあえず、あとで真波ちゃんに偵察お願いしようぜ」

 

ということで、俺らは真波ちゃんにお願いして、羽丘学園の偵察をしてもらったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなこんなで、迎えた練習試合の日…

場所は江戸川橋高校のグラウンド…

 

上島「わざわざ練習試合をしてくださって…その上、わがまままで聞いてくださって…」

城ヶ原「いえいえ、こちらとしても、急成長を見せている高校と戦えるのですから、いい腕試しになりますよ」

 

上島監督と、羽丘学園の監督、城ヶ原監督がホームベース上で固い握手を交わしながら会話をしていた。

 

流星「…今日はこんなオーダーか…」

 

今日言い渡されたオーダーはこんな感じだ。

1番、キャッチャー俺、秋山流星。

2番、ショート、河内柳哉先輩。

3番、サード、日下蓮二。

4番、センター、川端尚之。

5番、セカンド、須藤先輩。

6番、ファースト、阿山亮一。

7番、ライト、東先輩。

8番、レフト、島川先輩。

9番、ピッチャー、坂口雄介。

初っ端から俺が登場する形になったが、まぁ、主砲が秋山のみとなった以上、繋ぐバッティングをしなくてはいけないしね…

 

と、そこへ…

 

???「…君かい?秋山流星くんってのは」

 

1人の青年がやってきた。

ユニフォームからして、羽丘学園の選手だろう。

 

流星「はい、そうですが…」

???「やっぱり。僕は寺原健太だ。よろしく」

流星「あ、はじめまして…改めまして、秋山流星です!よろしくお願いします!」

 

突然現れた、今日の相手チームの先発選手と握手をした俺は、思わず緊張してしまった。

 

健太「さてと…まぁ、君のことは、よくあこから聞いているから、どんな人なのかなって思ってたけど…」

流星「あこ?あこって…宇田川あこちゃんですか?」

健太「あぁ。俺とあこの家が隣同士で、互いの家によく出入りしている仲なんだ」

流星「なるほど…」

 

俺はふと、最近のあこちゃんの悩みを思い出した。

実は、あこちゃんからよく恋に関する悩みを聞かされており、俺自身そんなに恋愛経験が少ないので、クラスの奴らからよく質問を聞いていたりしていた。

多分、あこちゃんが好意を寄せているのが、健太さんだろう…

 

流星「こっちは、勝手ながら偵察で拝見させてもらいました。ストレートに高速スライダー…あとは落ちる変化球が厄介であると分析させてもらいました」

健太「それはそれは…いつのまに…」

流星「はい…ここまでやらせてもらったので、やるからには勝たせてもらいます」

健太「こっちも、負けるために来たわけじゃないからね」

 

俺と健太さんは互いにそう話し合って、別れた。

もうそろそろ、試合開始の時間になる…

楽しみになってきた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

先攻は羽丘学園から…

先頭バッターは1番、ショートの坂本大河さん。

記憶の限りじゃ、バットコントロールよし、パワーよし、走力よし、守備よし…走攻守の3拍子揃った、1番で出したくない選手だ。

 

流星(…1回様子を見ておくか…)

 

俺は雄介に、低めのストレートを要求した。

雄介はきっちりと投げ、坂本さんは1回見逃した。

 

球審「ストラーイク!」

流星(オッケー…まずは1つ目だ。次も…ストレートで行こう)

 

今度は、インコースにミットを構えた。

雄介はストレートを投げてきたが、若干真ん中よりに入ってしまったため…

カキーン!

と快音をならしてしまった。

重い球が武器の雄介の球であるため、打球は案外伸びず、また、予測していた東先輩が右寄りにいたため、フェンスに当たったがシングルヒットになった。

 

流星(さすが…だな…)

 

次の2番バッターは、いわばバント職人。

左打席に入って早々、バントの構えはもちろんながらとっている。

 

流星(…高めのストレート…こいつでどうだ?)

 

俺はストレート続きでミットを構え、雄介はしっかりとそこへ投げた。

そして、バッターはバントの構えのまま引いていく…と思った時だ。

なんと、バッターはバントで空けていた手の間隔を閉じたのだ。

 

流星(バスター!?ランナーは!?)

 

俺はランナーの坂本さんを見ると…スタートを切っていた。

 

流星(バスターエンドラン!?)

 

俺がそう言うことを考えていた時、バッターはきれいに流し打ちにされた。

レフトは強肩の島川先輩だが、取ったときにはすでに坂本さんはセカンドベースを抜け、二三塁の半分のところを走っていた。

結局、島川先輩はホームに強めの球を返してきた。

 

流星(どうしたものか…この状況だと、犠牲フライ…もしくは内野ゴロの間の得点…得点できる可能性がたくさんありすぎる…マジでいろいろとヤバいな…)

 

俺はそう思いながら、大声で…

 

流星「まず一つ!確実に取っていくぞ!」

 

と、叫んだ。

ここで、3番バッターが右打席に入ってきた。

 

流星(ここからクリーンナップ…怖いところだけど…まだ大丈夫かな)

 

俺がそう思ったのは、まだ決め球のフォークを見せていないからだ。

相手も研究しているとはいえ、雄介のフォークはキレがあるし、予想以上に落ちるため、実際の打席で見ていない限り、手こずるのは間違いない。

 

流星(ここは…スロースライダーで行ってみよう)

 

俺はインコース低めにミットを構えた。

守備は前進守備…一応これでゴロになったときに三塁ランナーは動けなくなるはず…

雄介は俺の指示通り、スロースライダーをインコース低めに投げた。

ここでも予想外なことが…

3番バッターが…バントをしてきたのだ。

 

流星(ウソ!?マジかよ!?)

 

しかし、雄介の球は微妙に外れていったので、相手はそれを見極めてバットを引っ込めた。

ふと、俺は三塁の方を見てみると、坂本さんはそそくさと塁に戻っていった。

 

流星(スクイズを狙ったか…今のが外れててよかったものの…この段階で決めようとするとは…練習試合だから、いろんな作戦を試そうってことかな?)

 

俺はそう思うと、無性に闘争心を掻き立てられた。

次に俺は、インコース全体に的を広げた。

 

流星(格下に見られているのかどうかわからねぇけど…負けられねぇ!)

 

俺はそう思って、雄介に強気で指示をした。

雄介は俺の様子に少し驚いたものの、フッと笑ってポーズを取った。

そして…雄介はインコースにストレートを投げた。

バッターは見るだけにとどまった。

 

球審「ストラーイク!」

 

球審の高らかな声が聞こえた。

 

流星(1ボール1ストライク…今度は外に来い)

 

俺はアウトコースにミットを構えた。

雄介はスロースライダーをきっちりと外角に投げ込み、ストライクを取った。

この時もバッターは動かずにじっと見た。

 

流星(…こいつはフォーク待ちなのかな?ここで少しハッパかけておくか…)

 

俺はそう思った後、バッターに声をかけた。

 

流星「…今何待ちっすか?」

バッター「ん?」

流星「先に言っておきますけど…次、フォーク投げますんで。言ったからには本気ですから」

バッター「!?」

 

俺はそう言って、雄介に指示を出して、ミットを構えた。

雄介は俺の指示を見て投げる体制に入る前に、すぐに1塁に牽制を入れた。

1塁ランナーはすぐに戻ったため、セーフになった。

 

流星(さてと…ここでフォーク行きますか)

 

俺は低めにミットを構えた。

雄介は俺のサインにうなずき、ボールを投げた。

バッターはバットを振ったが…低めにキレのいいフォークが見事に決まり、三振にさせた。

 

バッター「くそっ!」

流星「言ったでしょう?本気だって…次の打席、待ってますよ」

 

バッターの去り際、俺はそのバッターにそう言って、揺さぶりをかけた。

 

流星「ワンナウト!次も締まっていくぞ!」

尚之「ワンナウト!」

茂重「ワンナウト!」

 

確認を込めてのコールを叫んだあと、俺はポジションに入った。

 

流星(とはいえ…まだピンチには変わりない…島川先輩でも、多分犠牲フライにされる可能性があるからな…どうにかここはゲッツーか三振にしないと…)

 

しかし、やはり甲子園優勝校…次の4番、羽丘学園の大黒柱の川添陸さんに初球をたたかれ、犠牲フライで1点を入れられたのだ。

その後の5番バッターはファーストフライで抑え、最初は1-0で先制されることになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

戻ること昨日…

花咲川女子学園にて…

 

香澄「ん~!有咲の弁当おいし~!」

有咲「いつもそう言っているだろ、香澄…」

香澄「だって、本当においしいんだもん!」

 

…と、ポピパのみんなで、いつものように昼ご飯を食べていたが…

 

有咲「…てか、なんで他の奴らまでいるんだ!?」

イヴ「お邪魔してます、アリサさん」

こころ「みんなで一緒に食べるとおいしいわね!」

はぐみ「うん!」

沙綾「みんな、これ食べてみて。今日作ったパン」

りみ「ありがと~沙綾ちゃん」

美咲「ありがとうございます、山吹さん」

 

…と、花女1年生組が、まるで宴会みたいに集まっていたのだ。

もちろん、このメンバーで昼ご飯を食べようといったのは…いや、言うまででもない。

 

たえ「さぁ、今日はみんなで歌って食べよ」

有咲「いや、これ宴会じゃねぇから!ただの昼ご飯だから!」

こころ「いいわね!このメンバーで一緒に歌いましょう!」

香澄「いいね、いいね!何歌う?」

はぐみ「かーくんたちの曲で歌おうよ!」

美咲「いや、これ宴会じゃないから…それに、戸山さんたちが迷惑ですし…」

沙綾「私はさすがに…」

りみ「休み時間少ないから…」

イヴ「私も、今日は遠慮しておきます…今日はこの後大事な仕事がありますので…」

香澄「えぇ~!?みんなで歌おうよ~。有咲も歌うよね?」

有咲「歌わないっつうの!」

 

と、わいわい楽しく話していると…

 

イヴ「…そう言えば、最近リュウセイさんと会ってませんね…一体何しているんでしょうか?」

 

と、イヴちゃんがポピパのみんなに質問するように言った。

 

沙綾「流星君は、今野球部の練習にいそしんでいるよ」

はぐみ「そう言えば、夏の甲子園の予選で流星君の高校、準決勝まで行ったんでしょ!?」

りみ「そうだよ~。私たちも応援に駆け付けたんだ~」

はぐみ「いいなぁ~。はぐみも行きたかったよ~」

香澄「でも、流星君、寂しそうだった…」

沙綾「そりゃね…あと一つで甲子園行けなかったんだから…」

 

と、ポピパのみんなは、俺たちが甲子園の予選の準決勝で負けた瞬間を思い出していた。

その様子を見たイヴちゃんは、こう提案した。

 

イヴ「あの…明日、リュウセイさんたちの練習見に行きませんか?それでいつものような感じでしたら、カスミさんたちも安心するでしょうから」

香澄「でも、見に行けるかな?」

沙綾「ちょっと、流星君に聞いてみるね」

 

その沙綾が、俺が明日試合をするという情報を聞いて、ポピパやこころ達に伝えて、みんなで試合を見に行くことになったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして今日…

 

香澄「あぁ~…1点取られちゃった…」

 

香澄たちが1回表が終わったところを見て、少し落ち込んでいた。

この日、香澄たちは最初から試合を見ていて、楽しみにしていた。

もちろん、今日来たのはポピパやイヴちゃん、こころ達だけでなく…

 

彩「でもまだまだこれからだよ!」

千聖「まだ表ですし、1点だけだから、逆転はあるわよ」

 

…と、花女で俺が知っているメンバーがやってきていたのだ。

それだけでなく…

 

美咲「というか…相手がまさかの羽丘学園だったとは…」

友希那「えぇ。私たちもまさか今日の試合、流星君たちの高校と試合するとは思ってもみなかったわ」

 

…今回は羽丘学園の応援に来た友希那さんたちと、蘭さんたちがいたのだ。

 

蘭「今回はつぐみがいきたいって言ったから来てみたけど…こんな偶然あるなんて…」

つぐみ「ほんと、偶然だね…」

 

なお、日菜さんに連れられてきた紗夜さんや麻弥さん、江戸川橋高校の女子を虜にさせるために来た薫さん(何しに来てんねん)もいたため、まさかの『CiRCLE』で出会ったメンバーがここで集結していたのだ。

 

あこ「…あ!けんたくん!」

 

あこちゃんがそう言った先には、マウンドに上がっている寺原さんが…

 

香澄「あ!流星君だ!」

 

香澄が言った先には、打席に入ろうとしている俺がいた。

 

友希那「もう、早速対決するわね…」

あこ「あこはけんたくんを応援する!」

香澄「私は流星君を応援する!」

 

…とまぁ、香澄や友希那さんたちの中でも、対立するとは思ってもみなかったけどな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星(…全く…香澄たちの声聞こえるっつうの…)

 

俺は思わずため息つきそうになった。

かくいう寺原さんも、あこちゃんのこえが聞こえて少し変な汗をかいている様子だった。

 

流星(さてと…香澄の声援は今はいいとして…寺原さんの球種は高速スライダーにスプリット…タイミングずらす球としてチェンジアップ…高速スライダーはストレートとほぼ同じ速さ…)

 

俺は右打席に入りながら球種のおさらいをしていた。

 

流星(初球はストレートかスプリット…入るとしたら外側か…)

 

俺はいつもの"読み"を頭の中で繰り返していた。

寺原さんが投げてきたのは、ストレート。

俺の予想通り、外角に決めてきた。

 

流星(やはりストレート…となると、次はスライダーかな?)

 

と、俺が読んだ2球目は、予想通りの高速スライダー。

インコースに入ってきたが、ギリギリストライクになった。

 

流星(やっぱり…てことは…釣り球かな?)

 

3球目…インコース高めのストレートでボール。

 

流星(オッケーオッケー…それじゃ、叩くとするか!)

 

俺がそう意気込んだ次の4球目…アウトコース低めのチェンジアップ。

俺はそれを流し打ちした。

ボールはライト線ギリギリのフェアゾーンに入った。

守備が深めに入っていたので、俺は1塁に留まることになった。

 

流星(ふうっ…フェアになってよかった…)

 

ふと、俺は寺原さんを見ると、先程より目つきがガラリと変わっていた。

 

流星(やべ…ギア入ったな…寺原さん…こいつは早めに仕掛けておかないと…)

 

俺は1塁ベースからかなりリードを取って、盗塁の準備をした。

寺原さんは俺の方をちらりと見た後、河内先輩にアウトコース高めのストレートを入れた。

まぁ、いわゆるウエストボールだったから、俺は盗塁できなかったけどね。

河内先輩に対する2球目は、インコースの高速スライダー。

これも俺は反応しなかった。

3球目に入ろうとしたときには、牽制を入れられ、若干どきりとしたけど…

その3球目のストレートで、俺はスチールを敢行した。

 

大河「スチール!」

 

坂本さんの声が聞こえ、それに反応して中村さんが2塁にボールを投げた。

ボールが坂本さんのグラブに収まり、俺とのクロスプレーとなったが…

 

審判「セーフ!」

 

…ギリギリセーフになった。

 

流星(あぶねー…今のはきわどすぎ…よく審判セーフ取ったな…)

 

俺はふと、今度は坂本先輩の方を見ると、あきらめている様子を見せていた。

多分、今のはどっちとも取れないようなプレーだったから、抗議もできないと判断したのだろう…

どちらにせよ、今のプレーでチャンスが増えた。

逆に寺原さんからすればピンチが増えたため、もっとギアが入ったのだろう…

だって、セカンドからでもオーラが出ているのが見えるし…

結局河内先輩は、チェンジアップにタイミングが合わず、セカンドゴロになった。

続く蓮二は、初球のストレートを打ち、ライトフライに倒れた。

その間に、俺は3塁に進塁し、これでツーアウト3塁になった。

ここで、俺は奇策を考えた。

ここで打席に入るのは、尚之…

尚之が打席に入るとき、ちらっと俺の方を見て、俺はそれを見てにやりと笑い、サインで俺がやろうとしていることを伝えた。

尚之はサインを見た後、特に驚きはせず、そのサインをベンチに伝えた。

 

流星(尚之…ここは行かせてもらうからな!)

 

そして、寺原さんが尚之に対して、初球を投げ、中村さんがボールを返した時だ…

俺は…三塁を飛び出した。

 

三塁手「スチール!」

 

中村さんも俺のスチールに気が付き、ボールを返すように手を仰いだ。

寺原さんはすぐにボールを中村さんに投げ、中村さんはそれを取って、タッチしようとした。

俺はその様子を見て、一瞬で判断して、体をひねらせて、ホームをタッチした。

その後に中村さんは俺にタッチした。

 

審判「セーフ!」

 

…本盗完了。これで同点になったのだった…

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
後書きは後編の方で書かせていただきますので、では中編、どうぞ見ていってください!

追記
話の内容を少し変えました。(7/25)


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特別編~激突!江戸川橋高校vs羽丘学園・中編~

どうも、VVVFです。
前書きは前編の方に書かせてもらっています。
では、中編どうぞ!


羽丘学園、野球部部室…

そこで練習を終えた健太と大河が次の練習試合の話をしていた。

 

 

「…江戸川橋高校?」

 

「あぁ。今度の対戦相手だ」

 

 

聞いたことのない高校に、健太は頭をひねらせた。

かくいう大河も、正直知らないと言っているが…

 

 

「どうやら、去年夏の都大会で準決勝まで行った高校らしい」

 

 

大河は最近知り合いから聞いた話を健太にした。

とそこへ、

 

 

「お疲れ」

 

「お、俊哉、お疲れ」

 

 

ちょうど練習が終わった俊哉が部室に入ってきた。

 

 

「あ、俊哉、今大河から聞いたんだけどさ、今度の練習試合の相手、決まったらしいぜ?」

 

「知ってる。江戸川橋高校だろ?」

 

「あー、もう知ってたか」

 

 

俊哉がとっくに知っていることに、少し悔しそうな顔をする健太と大河。

その様子を見たのか見てないのか、立て続けにこう言ってきた。

 

 

「というか、もう分析は終わっている。お前らもマネージャーからビデオとかもらっておけ」

 

「マジかよ!?んで、主軸とか、エースとかわかったか?」

 

「ビデオを見てからにしろ」

 

 

先に分析を終えていることに、少し興奮している大河に、俊哉は一蹴した。

それでも、健太もかなり気になるようで…

 

 

「まぁ、言ってもいいじゃねえか?情報共有ということで」

 

「はぁ…わかった。あくまでも俺の分析だから、あとは自分で何とかしろよ?」

 

 

俊哉はいやいやながらも、自分の分析結果を2人に教えることにした。

 

 

「まずは、主要メンバーだな…チームの中で、エースと呼ばれているのは、辻上康介。こいつが投げるスローカーブは、スラーブ気味の変則的な球筋だから注意すること。4番は夏までは山本健介っていうやつが務めてたんだけど、今は1年の川端尚之が務めている」

 

「なんだよ、1年が4番って…ちょっと拍子抜けだな」

 

「それが案外そうでもなくて、パワーがあるし、肩があるし、広角に打ち分けるから、なかなかの逸材だぜ?あと、俺個人で気になったのは…秋山流星ってやつだな」

 

「秋山流星?」

 

 

秋山流星という名前に、健太はちょっと聞き覚えがあった。

それは、大河も同じだった。

 

 

「こいつは、俺とは真逆のタイプのキャッチャーでね…チームでも存在感があるし、感情むき出しでピッチャーを引っ張っているから、気になったんだ」

 

「なるほど…そんな感じか?」

 

「だろうな…あとはピンと来る奴はあまり…」

 

「なら楽勝だな!」

 

「そうだな」

 

 

健太と大河は、互いに笑いあった。

絶対に勝てる…そう思っていたが、まさか1回から波乱が起きるとは、この時誰も思ってもみなかった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「セーフ!」

 

 

この時、会場にいた者…厳密にいえば、相手の江戸川橋高校のベンチを除いては、このプレーを誰も予想できなかっただろう…

健太はもちろん、大河も、俊哉も、監督の城ヶ原先生も、予想なんてできなかった。

…ホームスチール…初回からこんなことをしてくるなんて、相当な馬鹿にしかなせないようなものだ。

それを…やってのけたのだ。()()()()という男は…

 

 

「…しゃあっ!」

 

 

みんながあっけに取られている中、ただ一人、雄たけびを上げていた。

 

 

「ナイススチール」

 

「おうよ!」

 

 

バッターボックスから離れていた、4番の川端尚之が、流星とハイタッチした。

 

 

「マジかよ…」

 

(こんなところでホームスチールするなんて…)

 

(こいつは…かなり予想外だな…)

 

 

健太たちは、かなり動揺をしていた。

とはいえ、先攻で1回表の時に1点を入れていたので、そこまでのダメージはなかった…

 

 

 

「…けんた君…大丈夫かな…」

 

 

あこは、今グラウンドの外でけんた君たちが勝つ祈るように手を合わせている…

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

と、隣で声をかけてくれたのはリサ姉。

リサ姉もけんた君たちの応援に駆けつけてくれたんだ。

それだけじゃない。

友希那さん達も今日はけんた君たちのために応援に駆けつけてくれたんだ。

あとね…

 

 

「健太達、ここで終わるわけないからな!」

 

 

お姉ちゃんやお姉ちゃんの友達まで応援しにきてくれたんだ。

だから、けんた君たちは勝てる…そう思っていたけど…

 

 

「流星くん、すごーい!」

 

「今のホームスチール!?凄すぎ!」

 

 

今日は流星さんの応援も来ているんだ。

流星さんの友達の香澄さん達が応援しに来ていて、知り合いが今日全員来ていることになっちゃった。

あこも流星さんと知り合いだから、流星さん達も応援したいけれど、実は昨日…

 

 

『明日は気になってる人を応援してきな』

 

 

と、流星さんからメールが来たんだ。

だから、今日はけんた君を思いっきり応援するんだ。

 

 

「頑張れー!けんた君ー!」

 

 

 

あこの声が聞こえて、健太は我に返った。

 

 

「全く…今日は練習試合だっていうのに…」

 

 

健太はそう呟きながら笑ったあと、4番の尚之を見た。

 

 

(この前、ビデオで確認したけど…こいつはなかなかの打撃力だからな…)

 

 

健太はそう警戒しながらも、自信満々の顔を見せた。

 

 

(…笑ってる?)

 

 

尚之は健太の様子を見て、改めて気持ちを引き締めた。

 

 

健太は4番の尚之を、2球目のチェンジアップで詰まらせて3アウトチェンジ。

 

 

「とりあえず、1回は乗り切れたかな?」

 

 

帰ってきたナインに、城ヶ原先生が笑顔で迎えた。

その一言に、健太達は黙ってしまった。

 

 

「そこまで落ち込むことはないよ。今のは誰も予想はしていなかった。今は次の回をどうやって切り抜けるかを考えよう」

 

 

「はい!」

 

 

城ヶ原先生の激励で、羽丘学園ナインは士気を取り戻した。

 

 

「…すげえなぁ…さすが、春の関東ベスト4に入る実力校」

 

「ああいうところも、羽丘学園の特徴だろうな」

 

 

羽丘学園ベンチを見ながら感嘆していたのは、秋山流星と川端尚之だ。

2人はそう言った後、それぞれ守備に入った。

その時に…

 

 

「流星が取った1点だ!大事に守っていくぞ!」

 

 

と、尚之が大声を上げて、チームの士気を上げた。

しかし、江戸川橋高校はすぐにピンチを迎えることになった。

雄介が6番バッターに投げた球は肩に当たり、デッドボール。

続く7番には四球と、荒れ始めてきた。

 

 

(…ちょっと荒れてるな…緊張してんのか?)

 

「タイムお願いします」

 

 

流星はすぐにタイムを要求した。

 

 

「あー…あれはちょっと緊張してるな」

 

 

健太は雄介の様子を見て、ふとそう呟いた。

それを聞いていた大河が話してきた。

 

 

「緊張?」

 

「あいつ、確か1年だろ?多分、先発としては初めてだろうな…」

 

「なるほど…多分、お前が言いたいのは、せっかく同点にしてもらったことによる、責任の重さってことか」

 

「そういうこと。まだ序盤だろうけど、抑えなきゃいけないところで取られて、それでも取り返してくれたから…っていう心理が働いてるんだろ」

 

「俊哉は多分、ここで相手チームの秋山ってやつの捕手としての実力が試されるって言うだろうな」

 

「違いない」

 

 

健太と大河がそう話をしている一方、流星と雄介はマウンドで話をしていた。

 

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ…申し訳ねぇ」

 

「謝ることなんかねぇよ。また1点取られてもいいんだから」

 

「え?」

 

「変なことで気を落とすな。まだ序盤。1点取られたら俺らがちゃんと取り返すから。お前は俺の指示がない限り、バッターに集中して投げろ。いいな?」

 

「あぁ、すまない…」

 

 

そう話し合った後の雄介の様子は、少し余裕が出来たような感じだった。

 

 

「顔が変わった…余裕が出来たな」

 

 

雄介の様子にいち早く気がついた健太は、ニヤリと笑った。

続く8番、俊哉に対してスロースライダーで空振りを取ると、雄介は続く健太、大河を三者三振に倒すことに成功した。

これにはちょっと予想外だった健太だが…

 

 

(これくらいにしてもらわないと、俺らとしてもあまり歯ごたえがないんだよね)

 

 

と、闘争心を燃やした。

2回裏の攻撃は、5番セカンドの須藤麻里弥(オネエ)が、センター前にヒットを打った。

この時、キャッチャーの俊哉が…

 

 

「いくわよーん…オラァ!」

 

 

…と叫んだのが聞こえたらしく、トラウマになりかけそうになったらしい。

その後は健太も三者三振で流れを渡さなかった。

その結果、4回まで1-1のまま試合が進んでいったのだった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…あーあ、つまんない」

 

 

あこはどちらも引けを取らない試合に、少し飽きてきていた。

 

 

「こらこら!試合見るたびいつもそういうこと言うから」

 

 

と、リサ姉がいつものように注意してきた。

でも、本当につまんないもん…

 

 

「まぁ、仕方ないよ。野球の試合、結構こういうの多いから」

 

 

そう言ってきたのは、流星さんの友達の沙綾さん。

お姉ちゃんの友達でもあって、『やまぶきベーカリー』の看板娘さんなんだ。

 

 

「へぇ、そうなんだ、沙綾」

 

 

と、沙綾さんに声をかけたのも、流星さんの友達で有咲さん。

少し怖いところあるけれど、優しいところもあるんだ。

でも、そこまで関わってなかったから正直わからないところもあるけど…

 

 

「うん。プロ野球や公式の大会だと、球場とかに売店とかあるからそこを巡って時間を潰すなんてことができるけど、今回は練習試合だから、近くのコンビニで我慢するくらいかな?でも、見てて面白いと思うよ」

 

「へぇ…今度、私も連れて行っていい?」

 

「うん、いいよ!」

 

 

…沙綾さん達は結構盛り上がっている。

でも、あこはあまり野球のルールってわからないんだ。

何度もけんた君の試合を見に行っても、ちんぷんかんぷん…

 

 

「あこ!何考えてんだ?」

 

「あ、お姉ちゃん」

 

 

そっか、今日はお姉ちゃん達も来てたんだっけ。

確か、お姉ちゃんの友達が誘って、たまたまそれがこの試合だったって…

 

 

「また健太の事考えてただろ?」

 

「え!?」

 

「へへ、顔に出てるぞ?」

 

「そ、そんな事ないよ!」

 

 

お姉ちゃん!今そういう事言わないで!

リサ姉も笑ってないで、何か言って!

 

 

「…何やってんだ?あいつら…」

 

「あこちゃん達…健太さんの話してるな?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合が動いたのは、5回表…

雄介が2アウトランナーなしの場面で、打席には健太…

 

 

(…健太さんは2打席目…ピッチャーだし、読みもうまいはず…ここは早めの勝負で)

 

 

流星は雄介にそうサインを出して、続いて投げる球とコースを伝えた。

 

 

(まずは…フォーク!)

 

 

雄介が低めのフォークを投げ、それが決まった…かに思えたその時だ。

 

 

カキーン!

 

 

…金属が球に当たる時の快音が響いた。

 

 

(…え?)

 

 

流星が打たれた方向を見上げると…打球がレフトのポールの内側ギリギリに…入ったのだ。

 




いかがでしたでしょうか?
後書きは後編の方に書かせてもらっています。
では、後編へどうぞ!

追記:話の内容を少し変えました(7/27)


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特別編〜激突!江戸川橋高校vs羽丘学園・後編〜

どうも、VVVFです。
前書きは前編の方に書かせてもらっています。
では、本編どうぞ!


…嘘だろ?

俺は思わず声を上げたくなった。

低めのフォーク…

意外とギリギリを攻めたところなのに…健太さんは…

レフトのポールの内側ギリギリに入れるなんて…

羽丘学園のベンチは、かなり盛り上がっていた。

これで2-1…こいつはマジでやばいな…

雄介はそこまでメンタル弱いわけでもないが、強いわけでもない。

初めての先発で、春のセンバツ優勝校にここまで善戦して来ているわけだ。

この回で、中継ぎとして一彦にスイッチしても大丈夫だろう…

俺は雄介の元へ走っていった。

 

流星「雄介、大丈夫か?」

雄介「あぁ…すまねぇ…また打たれちまった」

流星「気にすることねえよ。あれは相手の方が1枚上手だった」

雄介「そうか…まぁ、とりあえずこの回は投げたいと思ってるんだが…」

流星「奇遇だ。俺もそれを考えてたとこだ。次からはカズに任せても大丈夫だな」

 

そんな会話をした後、俺はキャッチャーのポジションに入った。

一方の健太さんの方は…

 

健太「ふひぃ…今の打てて良かったわー」

 

と、ひと段落していた。

 

俊哉「今のよく打てたな…あいつ、重い球だったはずだぜ?」

 

正妻も先ほどの本塁打に驚きを隠せなかったらしい…

 

健太「まぁな。でもフォークだったし、多少低めは張ってたから、打てて良かったぜ」

 

その後、雄介は2アウト満塁にさせてしまうも、最後の打者を空振り三振に抑え、この回は2-1に留まることになった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あこ「やったー!けんた君打った!」

 

グラウンドの外で健太さんを応援しているあこちゃん達は大喜びをしており、香澄たちはちょっとがっかりとしていた。

 

沙綾「あちゃー…打たれちゃったねー」

有咲「ここで交代かもな…」

香澄「え!?流星君交代するの!?」

有咲「ちげーよ!ピッチャーが交代するって話だよ!」

 

…香澄のいつものボケで、また普段通りの香澄たちにはなったが…

 

りみ「大丈夫かな…」

たえ「点入れてくれることを信じよう」

 

と、手を合わせて、逆転してくれることを祈ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「お疲れ、雄介」

雄介「あぁ…何とか乗り切った…」

 

雄介は若干疲れてはいたが、それでもすがすがしい顔をしていた。

 

上島「坂口、お疲れ。今日はここで終わりだ。今日の反省点を次に生かすように」

雄介「はい!」

上島「次は山内で行く。山内は準備しておけ」

一彦「はい!」

 

ただ、続く6番、7番、8番は全員凡退に倒れてしまった。

健太さんがまたギアをあげていったからだ。

 

健太「ふぅ…」

俊哉「お疲れ、健太」

健太「あぁ。んで、相手の次のピッチャー変えるのか?」

俊哉「多分な。次は山内一彦ってやつが出るっぽいな」

大河「山内一彦?」

 

守備から帰ってきた大河さんが、二人の会話に入ってきた。

 

健太「知ってんのか?」

大河「噂では一応聞いたことあるんだ。確か、キレのあるスプリットで、完全試合一歩手前で打たれて負けたって」

健太「まるで西武の西口さんじゃねえか…」

大河「でも、そのくらいすごいピッチャーだってことは聞いてるぜ?」

俊哉「でも、なんでそいつがあんな高校に入ってるんだ?」

健太「さぁ?」

 

3人がそう言っている間に、一彦が6回のマウンドに入った。

一彦はスプリットとシンカーとカットボールを投げ、マウンドで息を吐いた。

 

流星(コンディションはよさそうだな…6回は4番からだ。強打者に強いのがあいつの武器だから…行けるだろ)

 

俺はそう思って、最初に投げるボールをサインで指示した。

一彦は初球、スプリットを投げ、それが低めに入りストライク。

2球目はカットボールを投げてボール。

3球目のストレートで詰まらせて、セカンドゴロになった。

 

流星「ナイスピー!」

 

その後、一彦は残りの2人をしっかりと凡退にさせていった。

一方の江戸川橋高校も、先ほどの本塁打が効いたのか、攻撃がかなり盛り上がってきた。

それが7回表…

 

流星(…最初のバッターをツーベースで打たれて、続くフォアボールでノーアウト満塁…辛いなぁ…)

 

先頭の7番打者がカットボールを叩いてツーベースにすると、その後の一彦が乱れて連続フォアボールでノーアウト満塁のピンチ。

ここで入るは1番の坂本さん。

 

流星(一番回したくないところで来ちまったか…どうしたものか)

 

坂本さんは1打席目で見事にヒット打ったからな…

と、考えていると、一彦が俺を呼んでいるのが見えた。

 

流星「す、すみません!タイムお願いします!」

審判「タイム!」

 

俺は走って一彦の元へ来た。

 

流星「どうした?」

一彦「どうしたもねぇ…今、何考えてた?」

流星「いや?次はどう抑えようかと考えてただけなんだが?」

一彦「なるほどな…俺の考え、いいか?」

流星「いいぜ?」

一彦「ここは…何も考えないでリードしてほしい。その方が投げられるような気がする」

 

俺はそのことを聞いて、逆に心が落ち着けた気がした。

思わず笑ってしまった。

 

一彦「…変なこと言ったか?」

流星「いや…それでいこう。俺が責任とる。だから、ちゃんと腕を振って投げてこい」

一彦「…責任は取らなくてもいい。俺も連帯だ」

流星「だな」

 

俺と一彦は笑い、俺はキャッチャーのポジションに入った。

 

大河(…笑ってる?)

沙綾(なんかいいアイデア思い浮かんだのかな…)

 

打席に立っている大河さん、外で見守っている沙綾が俺と一彦が笑っていることに気づいた。

 

流星(んじゃ…行くとすっか)

 

俺はミットをインコースに構えた。

一彦はそのインコースにカットボールを入れた。

大河さんはその球を見逃し、ストライクになった。

続く2球目は低めのシンカー。

これも見逃してストライク。

 

流星(これで後はバットを振るだけしかなくなる状況になった…一応、今までのは手を出してこなかったから、多分ストレートかスプリットに対応している…どちらも速いから、多分どちらにしても対応は可能だ…ということは…)

 

と、俺が構えた場所は…低めのアウトコース。

一彦はそれを見て…ボールを投げた。

 

大河(来た!)

 

と、大河さんはバットを振った。

 

大河(!?シンカー!?ヤバイ!)

 

大河さんはそのままバットを回し、ボールはバット先に当たった。

これがピッチャー前に転がっていった。

 

流星「ピッチャー!ホーム!」

 

俺がそう言うと、一彦はボールを取ってすぐに俺に投げた。

俺はそれを取った後、すぐにホームに滑り込むランナーにタッチした。

 

審判「アウト!」

 

審判の声が聞こえたので、俺はすぐに1塁に投げようと構えた。

が、やはり坂本さん。悠々に1塁に到達していた。

 

流星(とはいえ…これで1アウト…これでなんとかいけるな)

 

その後、一彦は2番をダブルプレーで打ち取り、3アウトチェンジにしたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

香澄「ふぅ〜…緊張した〜」

有咲「ライブほどじゃねぇけど、ほんとドキドキするな」

りみ「危なかったね…」

たえ「今のピッチャー、反応良かったね」

 

俺たちを応援している香澄達は、先ほどのピンチを凌いだことでかなり安堵していた。

一方のあこ達は…

 

リサ「大河、何してるの!?」

巴「あれは仕方ないな…」

あこ「もう一点入ると思ってたのになぁ」

 

と、少々落ち込んでいた。

 

巴「でも、健太のホームランで勝ち越しているんだ。このままいけば勝つんだから」

あこ「そうだよ!だから、あこは頑張ってけんた君を応援する!頑張れー!けんたくーん!」

 

と、あこが大声で健太さんに向けて応援すると…

 

香澄「あ!ずるい!私たちも応援しよ!頑張れー!流星くーん!」

有咲「ばっ!香澄!恥ずかしいからやめろ!」

たえ「頑張れー」

りみ「頑張ってー!」

有咲「ちょ、おたえにりみりんも!?沙綾もなんとか…」

沙綾「フレー!フレー!流星!」

有咲「…はぁ…頑張れー!流星!」

 

と、香澄達も応援し始めた。

その応援に、俺と健太さんは思わず苦笑いしていたのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…8回裏…

この回は8番の島川先輩からの攻撃…

島川先輩は1ボール2ストライクからの5球目のスプリットを打ってノーアウト2塁。

続く9番の雄介はストレートを弾くも、ピッチャー強襲の後のショートゴロという結果に。

そして、1番の俺に回って来た…

 

流星(…ここまで完投ペースの健太さん…一向に疲れを見せてないが…若干球威が落ちている…今なら!)

 

俺は打席に入ると…バントの構えを見せた。

島川先輩もそれを見て、思わずニヤリとしていた。

一方の健太さんは、やはり威圧感を与えながら俊哉さんのミットを見ていた。

 

流星(やっぱ怖えよなぁ…4打席目だけど、なかなか慣れねぇ)

 

そして、健太さんが投げた1球目…チェンジアップ…

俺はそれを…叩いた。

カキーン!

そんな快音が聞こえ、俺は走った。

ボールは右中間を深々と破っていった。

島川先輩は全力疾走で無事ホーム生還。

俺は2塁まで走り、ツーベースヒットにさせた。

江戸川橋ナインのベンチからはガッツポーズが見え、一方の羽丘ナインはちょっとがっかりしていた。

 

香澄「来たー!流星くん、ヒットだよ!」

有咲「ちょっ、騒ぐな!香澄!」

あこ「あー!打たれちゃった…」

リサ「もうそろそろ体力がないのかな?」

 

と、スタンドにいる香澄やあこ達も片方が喜び、片方が落ち込んでいた。

そして…

 

城ヶ原「ピッチャー交代!」

 

相手の城ヶ原監督が出てきて、ピッチャーの交代をしたのだ。

 

あこ「けんた君…」

リサ「でも、何も悔しそうにしていなさそう」

 

と、リサさんが言うように、降板させられた健太さんはどこか投げ切ったような表情を見せていた。

 

巴「健太、ちゃんと投げてきたんだから、あとは点が入るのを待とう」

あこ「そうだね…」

 

その後、クリーンナップが三者凡退という結果になり、試合は最後の9回に入ったのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…9回表…

この回、マウンドに上がったのは、辻上先輩。

ブルペンで温めていたので、すぐに投げられるような感じになっている。

さっきの一彦もそうだけどね…

そして、右打席に6番バッターが入った。

 

流星(1球目…お願いします!)

 

俺はアウトコースに球を構えた。

辻上先輩はそこに縦のスライダーを投げ、見逃してボール。

 

流星(流石に振りませんか…なら…インコース)

 

俺がインコースに構えると、辻上先輩はそこにツーシームを投げてきた。

ストライクゾーンから離れるような球で、それにバッターは振って三振。

1ボール1ストライク。

 

流星(…次は高めで)

 

俺が高めの球を要求すると、辻上先輩はストレートをインハイに入れてきた。

これもストライク。1ボール2ストライクだ。

 

流星(よし…これで、スローカーブ!)

 

俺はアウトローにミットを構え、辻上先輩がスローカーブを投げた。

バッターはそれにタイミング合わず、空振り三振にした。

 

流星「1アウト!」

 

俺はそう言って、この回抑えられることを確信した。

まぁ、案の定、スローカーブが冴え渡ってこの回無失点でサヨナラの望みを託すことに成功したけど…

最後も最後であっけなかった。

三者凡退…それで試合終了。

結局、2-2の引き分けでこの試合は終わった。

スタンドにいた観客も、いつのまにかポピパとあこちゃん、リサさん、巴さんしかおらず、彩さん達はそれぞれの事情で帰ってしまったとか…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

流星「今日はありがとうございました!」

 

俺は健太さんの元へ行き、お礼を言った。

 

健太「いや、こちらこそ。今日はいい試合だったよ」

 

健太さんは笑顔で対応してくれた。

そして…

 

健太「今度会うのは夏の甲子園の都大会決勝。その時に決着をつけよう」

流星「もちろんです!今度は負けませんから!」

 

俺と健太さんで、甲子園の予選での再会を約束したのであった。




いかがでしたでしょう?
実は…本来僕の構想では、僕が前編、テラケンさんが後編の合作にしようという提案をしましたが、テラケンさんの都合により、今回は僕1人の作品になってしまいました。
本当に感謝しかないです…(T ^ T)
僕のただの好奇心でやらせてもらったような感じですが、それを見事受け止めてくださったテラケンさんには本当に、本当に感謝しかありません(←何回言うねん)
では、テラケンさんの小説も是非、読んでいってください!
以下にURL貼っておきますので、そちらからテラケンさんの小説も見て楽しんでいってください!
では、次回お会いしましょう!
協力してくださったテラケンさんのURL↓
https://syosetu.org/?mode=user&uid=135827
『白球に込める思い』のURL↓
現在リメイク中とのこと。


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特別編〜マッシブ氏作『ラブライブサンシャイン!〜もう一度輝くために』とのコラボ〜
特別編〜激突!江戸川橋高校VS静真高校!プロローグ〜


どうも、VVVFです。
コラボ小説第2弾です!
今回は色々と捻じ曲げてしまってますが、原作がラブライブ!サンシャイン!!のマッシブさん作『ラブライブ!サンシャイン‼︎〜もう一度輝くために〜』とのコラボでございます!
Aqoursとポピパの初の対面…という形になりますが、まぁ、先程言った通り、色々捻じ曲げておりますw
そこの点踏まえて温かい目で見てくださるとありがたいですw
では、本編どうぞ!


ある日のこと…

俺ら江戸川橋ナインは遠征のため、バスの中にいた。

 

流星「…しかし、ここ最近練習試合多いなぁ…こっちの身が持たねぇよ」

尚之「しゃあねえよ。どこかの誰かさんが世界大会で大活躍しちまったんだから」

雄介「こっちはありがた迷惑といったとこよ」

流星「そんなこといわれてもなぁ…」

 

俺と尚之と雄介で話しているところへ、茂重先輩がやってきた。

 

茂重「そろそろ休憩だから、支度しておけよ」

流星「了解です」

 

そんなこんなで、俺らを乗せたバスはサービスエリアに入った。

そのサービスエリアで、遠征の対戦校の話をすることにした。

 

亮一「最初の対戦校は静真高校。真波ちゃんの情報によると、夏1回、春1回と実績があって、去年は予選で準優勝と惜しかったけどチームは結構強いよ」

流星「なるほどな…んで、当の真波ちゃんは?」

良一「あ、あそこ…」

 

と、良一が指を差した先には…

 

香澄「真波ちゃん!見て見て!これ美味しそうだよ!」

真波「本当だ!」

りみ「香澄ちゃん、買っていく?」

有咲「いや、りみりん…今日私ら何しに来てるかわかってる?」

たえ「旅行?」

有咲「じゃねぇよ!流星たちの応援しに来たんだろうが!」

 

…真波ちゃんのほかに、香澄達がサービスエリアを満喫していた。

今回の遠征の際に、上島先生が香澄達を応援として連れて来て欲しいという異例の要望が来たのだ。

多分、マネージャーがゆい先輩と真波ちゃんだけでは足りないと判断したのと、遠征は常にアウェーであるので少しでも応援してくれる人がいれば俺ら選手も安心するということだろう。

なお、今回香澄達が来るに際して、家族に連絡は取っているからそこは安心している。

 

尚之「…賑やかだなぁ…」

流星「しゃあねぇだろ…」

蓮二「それで、試合は明日だろ?今日は?」

雄介「今日はたしか、『十千万』という旅館で一泊するんだっけな」

一彦「サイトの情報だと、海が近くていい旅館だって」

流星「なるほどなぁ…」

 

と、そこへ

 

麻里弥「みんな〜、そろそろ行くわよ〜」

 

と、須藤先輩が声をかけてくれた。

 

流星「それじゃ、行くか」

尚之「そうだな」

 

そんなこんなで、俺らはバスで今日の宿泊先へと行ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、静真高校…

 

夜空「…練習試合?」

 

黒のショートヘアで癖っ毛の少年…望月夜空がキョトンとした声を出した。

 

守「そ、練習試合」

 

と、チームのキャプテン、寺田守が笑顔で話した。

 

涼真「へぇ?それで、どこと戦うの?」

 

と、まるで裏がありそうな笑顔で話す、夜空のチームメイトの小宮涼真が言った

 

守「東京の江戸川橋高校ってとこ」

純「あぁ?どこだそれ」

 

口がかなり悪いが、アイドル好きの伊藤純がいつものように口悪く言う。

 

和希「俺らはまずわからないから入るけどよぉ…強いん?」

 

不良っぽい格好だが、根は真面目の倉本和希はその高校の名前に疑問を感じた。

 

聡「はっはっは!どんな相手でも、俺らが必ず勝つ!」

 

かなり豪快に笑う、チームのムードメーカーの田嶋聡は高らかに言う。

 

拓海「確かに、聡の言う通りだね〜」

将吾「それは俺も思いますよ」

健人「今のチームで負ける相手はいないと思います」

 

と、どこかふわふわとしている大槻拓海と、その大槻が目をつけている赤田将吾と高田健人は聡の言葉に賛同した。

 

守「でも、今回のは結構強いかもね…一応、甲子園の東京予選では準決勝敗退だから」

裕二郎「激戦の東京で準決勝敗退…まぁ、それなりの実力はあるな」

 

チームの中で代打の神様と呼ばれている、茂木裕二郎が納得するように言った。

 

忍「それで気になる選手はいた?」

 

代走のスペシャリスト、牧野忍が守に質問した。

その理由は、守の目がキラキラとしていたからだ。

 

守「まぁね。俺が気になったのは…1年の秋山流星」

夜空「秋山流星?」

薫「えぇ、1年の秋山流星よ」

 

2年生だけの会議に入ってきたのは、同じく2年生で眼鏡をかけたかなりのナイスバディのマネージャー、村田薫だ。

手にはDVDを持っていた。

 

和希「薫ちゃん、それは?」

薫「今年の江戸川橋高校を撮ったビデオよ。これで予習した方がいいでしょ?」

裕二郎「それじゃ、1年に見せないといけないんじゃ…」

薫「1年は先に見せたわ。この後能力の底上げを図る練習をするらしいから」

純「なるほどな…んじゃ、早速ビデオ見させてくれ」

薫「わかったわ」

 

薫が部室にあるレコーダーにDVDを入れ、ビデオを映した。

 

守「さてと…さっき言った秋山流星だけど…こいつ」

 

守さんはそう言って、キャッチャーで構えている俺を差した。

 

涼真「おや?キャッチャーか…」

和希「なるほど…通りでお前が気になるわけだ」

守「でも、俺が気になったのはそれだけじゃない。彼は、U-18の世界大会で日本代表として戦ったこともある実力者だ」

夜空「え!?」

拓海「これはすごいね〜」

忍「守、お前から見てその秋山流星ってのはどこがすごいと思う?」

守「うーん…やはり、リード力がずば抜けている。それに肩もいいし、バッティングも器用にこなす。さらには足も使えるからタチが悪い…って感じだな」

裕二郎「打てるキャッチャー…ってわけか」

 

全員が俺のところで止まっているビデオを見た。

 

守「他にもいい選手はいるけれど、やっぱりこいつを抑えればなんとかなる…というのが俺の考えだ」

夜空(秋山流星…こいつは確かに気になるところだ…)

 

夜空はこの時、その秋山流星に今日会えるとは思ってもみなかった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺らが宿に着いたのは大体夕方前。

目の前には海がドーンと広がっていた。

 

上島「今日は長旅ご苦労さま。明日に備えるため、今日は心と体を休めておけ。体を休めるなら部屋に居てもいいし、心を休めるなら砂浜で遊んでも構わん。ただし、野球選手は体が資本であることを忘れるな」

一同「はい!」

上島「では各自、それぞれの部屋に荷物を置いて、夕飯までは自由とする。解散!」

 

上島監督の号令で、俺と尚之と雄介は部屋に荷物を置きに行こうとしたが…

 

香澄「流星くーん!今日は一緒に寝よっ!」

有咲「香澄!お前何言ってんの!?」

香澄「えぇー!?いいじゃん!」

 

…とまぁ、いつもの香澄節に当てられたわけで、まだ玄関でたじろいでいた。そこへ…

 

千歌「ただいま〜!」

 

と、オレンジ色の髪の女の子がやってきた。

 

千歌「…あれ?今日団体来てたっけ?」

志満「そうよ〜」

 

受付の志満さんとそういう会話をしているということは…旅館の関係者だろう。

にしても、制服を着ているから高校生だろうし、高校生で旅館の関係者っていうのはすごい…

とその時だ。

 

香澄「ねぇねぇ!その制服かわいいね!」

 

…カスミィー!

俺は思わず心の中で叫んでしまった。多分、有咲も同じ気持ちだろう…

 

千歌「え!?あ、ありがとう…ええっと…あなたは?」

香澄「あ、ごめん、名前言ってなかったね!私、戸山香澄!よろしくね!」

千歌「香澄ちゃんね!私は浦の星女学院2年生、高海千歌です!よろしくね!」

香澄「浦の星女学院?」

千歌「この近くの高校なんだ!」

香澄「そうなんだ〜」

有咲「って、バカ!お前2年生だから先輩だぞ!?」

千歌「ええっと…あなたは?」

有咲「あ…」

香澄「この子は市ヶ谷有咲!そしてそして…」

有咲「…って、勝手に紹介するなぁー!」

流星「…俺らは部屋に入って休もうか」

尚之「だな…」

雄介「さっさと行こうぜ…」

 

と、俺らは先に部屋に荷物を置こうとしたその時…

 

夜空「こんにちは〜」

 

ちょうど部活帰りの少年が旅館にやってきた。

 

志満「あら、夜空くん。今日はごめんね。手伝い頼んじゃって」

夜空「別に大丈夫ですよ…ってあれ?」

 

夜空と呼ばれたその少年は、俺を見るなり少しだけフリーズした。

 

流星「…ん?」

千歌「あ、夜くん!今日は手伝いに…ってあれ?」

夜空「もしかして…君は…秋山流星くんかい?」

流星「え?あ、はい、そうですけど…」

夜空「だよなぁ…って、えぇー!?」

流星「いや、なんで急に驚いたんですか!?」

夜空「あ、ごめんごめん…俺は望月夜空。今度君が対戦する静真高校の野球部に入っている」

流星「っ!?」

尚之「こりゃ、とんだ懐に入っちまったな…流星」

 

俺は対戦相手の高校の人だと分かると、目つきをすぐに変えた。

 

夜空「そんな闘志むき出しにしなくてもいいよ。今日は手伝いに来ただけだしね」

雄介「そうなんですか…というか、夜空さんの制服、浦の星女学院…でしたっけ?その制服に似てるような気がするんですが…」

夜空「あぁ。俺は一応、浦の星女学院のテスト生で、野球部だけは静真高校に行っているって感じなんだ」

尚之「そうなんですか…」

夜空「まぁ、今日はゆっくりしていってよ。ここのお風呂とか最高だからさ」

流星「ありがとうございます」

 

そんなこんなで、俺らは部屋に入ってゆっくり休むことにした。

 

尚之「ふぃー…まさか相手高校の野球部の人が来るとはなぁ…」

流星「まぁな…それに、なんとなくだがあの人、俺みたいな苦労人な気がしてならねぇ…」

雄介「というと?」

流星「…なんか、知り合いの女の子に振り回されてるような感じが…」

尚之「まさか〜、お前が香澄達に振り回されるみたいなわけあるわけねぇだろ。お前の場合はレアケースだっての」

流星「そうだろうか…」

 

その会話を盗み聞きしていた望月さんは…

 

夜空(あいつ…今の会話だけでそこまで読めるって…どんだけ心読めるんだよ…)

 

と、1人で変な汗をかいていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…部屋には着いたものの、特にやることのなかった俺と尚之と雄介の3人は、千歌さんの案内で浦の星女学院に行くことにした。

それをたまたま見ていた辻上先輩達が…

 

康介「俺らも付いて行っていいか?」

 

と、言ってきたので、結局江戸川橋ナイン全員が行く羽目になるのは公然の秘密ということで…

 

千歌「じゃーん!ここが浦の星女学院だよ!」

流星達「おぉー…」

 

意外と大きい建物がデーンと建っていた。

 

康介「さてと…俺がとりあえず許可取ってくるから」

 

と、辻上先輩が言うと…

 

鞠莉「そんな心配ナッシーング!」

 

と、やけにテンションの高い金髪の女性の人がやってきた。

 

康介「ええっと…あなたは?」

鞠莉「オー!失礼しました!私は小原鞠莉と申します。ここの生徒で理事長も務めてますわ」

江戸川橋ナイン全員「えぇー!?」

 

そりゃ、制服着てたら生徒なのはわかるけれども…理事長って…

 

千歌「さっき、私が連絡したんだ!ね!鞠莉ちゃん!」

鞠莉「イエース!今日は浦の星のソフトボール部と兼用でグラウンドを使うことになるけど、そこは勘弁してね?」

康介「使わせてもらうだけでもありがたいことです。ありがとうございます!」

 

俺らは鞠莉さんの案内で浦の星女学院の校内に入り、指定された部屋で着替えた後にグラウンドに出た。

 

香澄「すごーい!みんなカッコいい!」

有咲「てか、いつもみてるだろーが!」

りみ「でも、こんな間近で見たことないもんね」

たえ「みんな、すごく似合ってる」

有咲「いや、野球部なんだから似合うのは当たり前だろ!」

沙綾「まぁまぁ…」

流星「とりあえず、変なことはすんなよ。特に香澄は気をつけろ」

香澄「はーい!」

尚之「いや、気をつけないな、おい…」

 

江戸川橋のジャージに身を包んだ香澄達と共に、俺らはグラウンドに集まった。

 

康介「今日はグラウンドをお借りします!よろしくお願いします!」

江戸川橋ナイン全員「お願いします!」

 

俺らはそう言って挨拶をして、各自練習の準備をした。

ここまで来るのにあらかじめ走っていたので、アップは十分にしてある。

 

康介「ピッチャー陣とキャッチャーの流星は最後のコンディションの確認、内野陣はシートバッティングを行う!各自用意!」

江戸川橋ナイン全員「はい!」

 

そんな俺らの姿を、校内に残っていた浦の星女学院の生徒達が好奇の目で俺らをじっと見ていた。

ソフトボール部の人達も練習をやめて俺らの練習を見るほどだ。

 

雄介「この環境…やっぱり慣れねぇなぁ…流星!投げるよ!」

流星「オーケー!」

 

雄介がいつもよりゆったりとした感じでストレートを投げ、俺はそれをしっかりと取った。

球の調子は良さそうだ…

 

流星「オーケー!良い球来てるよ!次フォーク!」

 

…そんな感じで球を受けていたが、やはり周りは女子だらけ。

結構目線が気になる…

そんな中で、1人俺らに違う目線で見ていた人がいた。

望月さんだ。

 

夜空「…やっぱり、秋山流星は注意しないといけないな…あと注意すべきなのは…4番の川端尚之…チーム唯一のサウスポー、坂口雄介…」

 

と望月さんが偵察がてら、俺らのチームを分析していると…

 

梨子「何してるの?夜空くん」

夜空「うぉっ!?…なんだ梨子か…」

 

望月さんの友達でスクールアイドルグループ『Aqours』のメンバーの一人、桜内梨子さんが後ろから声をかけた。

ちなみに、『Aqours』のメンバーには先程会った千歌さんや鞠莉さんもいる。

 

夜空「今はそこで練習してる次の対戦校の分析してるんだ」

ダイヤ「へぇ?こんなところでこそこそしながら分析なんですのね」

夜空「あまりバレたらいけない…って、ダイヤさん!?」

花丸「マル達もいるよー」

夜空「みんなお揃いで…」

 

宿の準備で忙しい千歌と理事長の鞠莉以外の『Aqours』全員が望月さんの後ろにいたのだ。

簡単に紹介すると、千歌さんの幼馴染の渡辺曜さん、同じく千歌さんの幼馴染の松浦果南さん、果南の同級生で生徒会長の黒澤ダイヤさん、ダイヤさんの妹の黒澤ルビィちゃん、ルビィちゃんの親友の国木田花丸ちゃん、そして、ルビィちゃんと花丸ちゃんの同級生の津島善子ちゃん。

これに千歌さん、鞠莉さん、梨子さんの3人を加えた計9人のスクールアイドルが『Aqours』である。

 

曜「それで、分析っていうのは?」

夜空「ほら、今あそこで練習してるの」

ダイヤ「鞠莉さんが無理言ってグラウンド貸した人達ですわね…でも、気迫があるのは間違いないですわ」

夜空「正直、俺も少し驚いてはいる。これで自主練だもん」

果南「自主練!?」

夜空「監督いないだろ?それでもあそこまで気合に満ちた練習するもんだから…これは俺も負けてられないな」

 

夜空さんはそう言って、目を輝かせたのだった…

 

 

 




後書きは4話目にて書きます


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特別編〜激突!江戸川橋高校VS静真高校!前編〜

前書きは1話目にて書いております。


…次の日、俺ら江戸川橋ナインは、今日の試合会場に来ていた。

もちろん、静真高校のみなさんも来ている。

 

康介「みんな!今日は静真高校との練習試合だ!相手の胸を借りるつもりで戦うぞ!」

江戸川橋ナイン全員「はい!」

 

と、入り口で号令をかけていると…

 

???「よぉ!お前らも沼津に来ていたのか!」

康介「!?松崎!?なんでお前がここに!?」

 

超好青年風の男子生徒が俺ら江戸川橋高校の円陣に声をかけた。

彼は、松崎拓人で俺らの先輩。

部活は吹奏楽部に入っており、世界大会で応援歌を流してくれたのもこの人のおかげ。

 

拓人「実は、俺ら吹奏楽部も今日はここでコンサートに招待されててさ。んで、昨日河内から連絡来たから駆けつけたわけ」

康介「そうなんだ…」

 

親友のまさかの登場に、康介先輩は驚きと安堵の様子を見せた。

 

拓人「それでさ、今日はお前ら味方いないだろ?俺ら今日休暇みたいなもんだから、応援するよ」

俊彦「さすが拓人、わかってんじゃん」

拓人「同じ高校を応援するのは当たり前だろ?」

 

 

そんなわけで俺ら江戸川橋高校のメンバーに応援が付くことになって、心強くなったのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合前の客席は僕らの予想通り…なのかな?

一塁側の客席が静真高校の生徒だけでなく、浦の星女学院の生徒も見えたのだ。多分…

 

千歌「夜くーん!頑張れー!」

鞠莉「夜!ファイトー!」

ダイヤ「頑張りますのよー!」

 

…Aqoursの皆さんのおかげだろう…

ふと、俺が夜空さんを見ると…汗をかいているような感じをしていた。特に運動した時の汗ではなく、変に緊張している時の汗だ…

その一方でこっちも…

 

香澄「流星くん!頑張って!」

有咲「こっちはちゃんとサポートするから、負けんじゃねぇぞ!」

 

…やはり、知り合いの女子に応援されるのは少々緊張する…

それに加えて…

 

拓人「今日は思いっきり応援するぞ!」

吹奏楽部の皆さん「おぉー!」

 

…こっちは応援歌付きなんだよなぁ…

まぁ、これほど心強い味方はいないから、よしとするけどね。

今日のスターティングメンバーは以下の通り

 

〜江戸川橋高校〜

1番・キャッチャー・秋山流星

2番・ショート・河内柳哉

3番・サード・日下蓮二

4番・センター・川端尚之

5番・セカンド・須藤拓也…もとい須藤麻里弥

6番・ファースト・阿山亮一

7番・ライト・東俊彦

8番・レフト・島川茂重

9番・ピッチャー・山内一彦

 

〜静真高校〜

1番・ショート・倉本和希

2番・セカンド・小宮涼真

3番・センター・伊藤純

4番・キャッチャー・寺田守

5番・ファースト・望月夜空

6番・サード・田島聡

7番・レフト・日向咲也

8番・ピッチャー・大槻拓海

9番・ライト・平林雄介

 

僕らのオーダーは、雄介が先発でないこと以外はいつもと同じメンバー。

夜空さん達静真高校も、僕らが予想していたメンバーとほぼ同じ。

ということは…どちらもガチで戦うということだ。

 

康介「お前ら、今日も頼むぞ!」

江戸川橋ナイン「はい!」

上島「いつものように、気を楽に、体は真剣に頼むな」

亮一「いや、監督そんなこと言ってないっすよ!?」

上島「そうだったか?」

 

監督と亮一の会話で和んだ俺らは、審判の合図でグラウンドに飛び出した。

 

香澄「頑張ってー!流星くーん!」

沙綾「ファイトー!」

 

と香澄達。

 

千歌「頑張れー!夜くーん!」

花丸「頑張るずらー!」

 

と千歌さん達。

それぞれの応援を受け、江戸川橋高校と静真高校のスタメン全員が出たのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…今回俺らはビジターなため、先攻でゲームが始まる。

つまり、俺が最初の打席で初っ端からぶつかるというわけだ。

夜空さんはファーストでキャッチボールをしている。

それを見ていたら、その視線に気づいた夜空さんが俺の方を見た。

 

流星(今日は負けませんよ)

夜空(こちらこそ)

 

俺と夜空さんで目でそう言葉を交わした。

そして、俺はバッターボックスの前に立った。

ふと、俺は先発の大槻さんを見た。

ベンチにいる時や、礼をするときにちらっと全員見たのだが、大槻さんはどこか抜けている感じで、とても不思議な人だった。

それが一変して、真剣な目つきになっていた。

 

流星(面白そうなピッチャーだなぁ…楽しませてもらいますよ)

 

俺は審判とキャッチャーに礼をして打席に入った。

 

審判「プレイボール!」

 

その審判の声が聞こえたと同時に、俺は構えた。

大槻さんが1球目を投げた。

最初は無難にストレートから入ってきた。

俺はどんなものかという思いで最初は見逃した。

まぁ、最初だからストライクだけどね。

 

流星(やっぱ速いなぁ…MAX148キロの直球な…)

 

続いて大槻さんが投げた球もストレートだ。

この球はわずかに外れてボール。

 

流星(…次に縦スライダーかな?)

 

そんな俺の考えを、大槻さんはいい意味で打ち崩してくれた。

次に投げたのは…カットボール。

 

流星(カットボールか!)

 

俺はどん詰まりでバットに当てた。

ボールはファウル線を切った。

 

流星「ふうっ…あぶね…」

 

俺は小さくそう呟いた。

俺はふと、ベンチの方を見ると、香澄達が応援しており、その上の観客席で吹奏楽部の人たちが、西武の秋山翔吾選手の応援歌を流してくれていた。

 

流星(…これでどうにか落ち着けるな…)

 

俺はため息を1つついた後、大槻さんを睨んだ。

そして、大槻さんは4球目を投げた。

 

流星(縦スラ!)

 

コーナーに来た縦スライダーを、俺はどうにか食らいついた。

その当たった球は、大きな放物線を描いてライトのグローブに収まった。

 

審判「アウト!」

 

審判のその声が聞こえた俺は、次の打者の河内先輩に耳打ちをした。

 

流星「やっぱり、ストレートが速いですし、ノビがあります。縦のスライダーも落差あるんで気をつけてください。あとはカットボールも厄介なので、それも気をつけて」

柳哉「わかった」

 

といった河内先輩は、縦のスライダーに引っ掛けてアウトにされた…

3番の蓮二も見事に振らされて三振にされた。

 

一彦「流星、行くぞ」

流星「当たり前だ」

 

俺はキャッチャーのマスクをかぶって、グラウンドに出た。

 

香澄「流星くん!頑張って!」

有咲「負けんじゃねぇぞ!」

 

そんな声を背に受けて、俺はポジションに着き一彦の球を受けた。

 

流星(…球は走ってる…問題はなさそうだな…ただ、沼津海星の破壊力が知れないし…)

 

俺は考えを巡らせながらしゃがんだ。

そして、最初のバッターの倉本さんが打席に入った。

 

流星(倉本さんは俊足が売りのスイッチヒッターなんだよなぁ…ランナーに出されたら俺の肩でも防げるかどうか…)

 

俺は一彦にサインで最初のボールを指示した。

一彦はそれにうなづいて初球を投げた。

倉本さんは初球からバットを振ったが、振るタイミングが早かった。

 

審判「ストライーク!」

 

倉本さんは驚いた目をしながら笑っていた。

ここで俺は倉本さんに囁いた。

 

流星「…驚きました?」

和希「あぁ…入る前はそんなに速くない球なのに、入った瞬間、球が速く見えちまう…すげぇノビだな」

流星「そうですか…だったら、打つの難しいですよね?」

和希「さぁな…俺は当ててやるよ」

 

俺はこれでしめたと思い、次の球もストレートを要求した。

2球目のストレートも、倉本さんはバットを振ってストライクを取った。

 

流星(これでストレート一本に絞っただろ…)

 

俺はそう考えて、一彦に次は低めのスプリットを要求した。

一彦はすぐにうなづいて、投げる体制に入り…投げた。

倉本さんはストレートだと思ってバットを振ったが、ストレートとほぼ同じ軌道から落ちるスプリットに振らされ、三振にさせた。

 

審判「ストライーク!バッターアウト!」

 

倉本さんは笑いながら首をひねり、ベンチに戻っていった。

 

流星「ナイスボール!」

 

俺はそう叫んで一彦にボールを返した。

続くバッターはセカンドの小宮さん。

 

流星(…小宮さんはバッティングが上手い…変なとこに投げたら確実に打たれるぞ)

 

俺は一彦にサインで警戒を呼びかけ、続いて投げるボールを指示した。

最初に投げたボールはシンカー。

インコース低めの角ギリギリを攻めたが、判定はボール。

 

流星(見切ったか…ここでまたハッパかけるか…)

 

俺はそう思って小宮さんに声をかけようとしたが、何故だか声をかけられない雰囲気を醸し出していた。

 

流星(…裏があるなこれ…声をかけて逆にこっちがくずれたら元も子もない…ここはちゃんと進めよう…)

 

俺は一彦に2球目をサインで指示した。

続く2球目は、大槻さんの持ち球の1つにあったカットボール。

これを小宮さんはカットしてファウルにさせた。

この時の球は、インコース高めギリギリの球だった。

これを打たれた俺は、若干危機感を感じた。

 

流星(今のをカットするか…となると、アウトコースも危ないな…)

 

俺はそう思いながら、次の投げる球を指示した。

3球目は低めのストレート。

これも1球目同様にわずかに外れてボール。

 

流星(2ボール1ストライク…次入れないと厳しくなるぞ)

 

と、俺は一彦に警戒を示したのだが…

4球目のストレートは高く浮いてボール。

5球目のスプリットも引っかかって低めに入ってボール。

これでフォアボールで出塁させてしまった。

 

流星「ここは仕方ない!次、バッター集中!」

 

俺は一彦に声をかけたものの、続く3番の伊藤さんには送りバントで送られ、2アウト2塁となった。

ここで4番、寺田さんがバッターボックスに入ってきた。

 

流星(怖いんだよなぁ…この人に打たれたら勢いづくのも時間の問題…かといって、下手に変化球でかわしても、打たれるのは目に見えてるからな…ここはストレートを見せつつ、要所は変化球で)

 

俺は一彦にサインでさらなる警戒を呼びかけた。

その直後だった…

カキーン!

そんな快音が聞こえた。

寺田さんが打った打球はセカンドの横を通り抜け、ライトの前に落ちた。

ライトは東先輩だったため、強肩でランナーを1塁と3塁で止めたが、それでもやはりピンチには変わりない。

 

流星(2アウト1、3塁…ここで入るのは…)

 

俺がちらっと静真高校のネクストバッターサークルを見ると…夜空さんが打席に入ってくるのが見えた。

 

果南「頑張れー!夜空ー!」

ルビィ「頑張ってー!」

善子「頑張るのよー!ムーン!」

 

…千歌さん達Aqoursの皆さんの応援のボルテージがかなり上がっていた。

 

流星「…ふうっ…」

 

俺はため息を1つ吐き、千歌さん達の声より大きな声でグラウンドにいるみんなに呼びかけた。

 

流星「この回はあと1つ!気合いをいれていくぞぉー!」

 

その声は、観客席に響き渡るほどだった。

そして、一拍置いて…

 

江戸川橋ナイン「おぉー!」

 

一彦を始めとした8人全員が拳を突き上げて雄叫びをあげた。

 

夜空(なるほど…ああやって士気を上げているのか…)

 

夜空さんは感心しながら、打席に入った。

 

流星(頼むぞ…カズ…)

 

俺はそう思いながら、ミットを構えた。

一彦は1球目、ストレートを投げた。

夜空さんはそれを引っ掛けたが、ちょうどセカンドとショートのど真ん中。

一彦はその打球を取れなかったが、すぐに動いていた河内先輩と須藤先輩の華麗な守備でダブルプレーに取った。

 

流星「ふうっ…1回からこれかよ…」

 

俺はそう呟きながらベンチに戻っていった。

そう、これがまだ1回の攻防。

この防戦一方のスタートから、俺らはあと8回戦わないといけないのであった…

 

 




後書きは4話目にて書きます。


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特別編〜激突!江戸川橋高校VS静真高校!中編〜

前書きは1話目にて書いております。


…2回表…

この回は4番、尚之の打席から始まる。

 

流星(…この間に拓海さんの攻略を考えないと…)

 

と、俺がじっと拓海さんの投球を見ようとしたその時だ。

 

香澄「流星くんっ!」

流星「のあっ!」

 

…香澄が後ろから抱きついてきた。

 

流星「ばっ!香澄!お前今試合中だっての!」

香澄「えへへ…こうしていたいんだ〜」

流星「こうしていたいんじゃねぇよ!」

有咲「ばっ!香澄!流星の邪魔すんな!」

 

ちょうどトイレから帰ってきたであろう有咲が俺に抱きついている香澄を見るなり、すぐに引き剥がしにかかった。

 

流星「ちょっ…香澄!離れろ!首もげる!」

香澄「えぇー、離れたくないもん」

有咲「そうじゃねぇっつうの!とにかく離れろ!」

 

そんな茶番をたまたま見ていた1塁の望月さんは…

 

夜空(…うちがああいうのじゃなくて良かった…)

 

と安堵していたが、後に夜空さんも今の俺みたいになってしまうというのはまた別の話…

その後、りみと沙綾のおかげで香澄から離れた俺は、2回の大槻さんの投球を見た。

拓海さんはコントロールが良く、丁寧に投げ分けているため、1回の俺らみたいにうまく手の中に回されてる感じになってたが、スタミナがそこまでないため打ち続ければ攻略できないことはない。

ただ、そのスタミナが消耗する前に攻略するというのが一番思うところではあるんだけどね。

 

康介「…どうだ?流星」

流星「やっぱり、縦のスライダーが厄介ですね…持ち球のカットボールやカーブも少々手こずると思いますが、今のチームで攻略はできますね」

康介「そうか?」

流星「少なくとも、インコース低めに縦スライダーを決められたらおしまいです。逆に球が少々浮いた時に打てば大丈夫ですよ」

雄介「いつになく真剣じゃね?流星」

流星「まぁ…外野がうるさいから」

 

俺がふとベンチの奥を見ると…香澄がキラキラと目を輝かせて座っているのが見えた。

隣にはため息をついている有咲とそれをみて笑っている沙綾とりみとおたえの3人がいた。

 

雄介「なるほどな…」

 

雄介もそれを見てどこか納得していた。

試合の方は三者凡退と、拓海さんにペースを作られていた。

こちらとしても、やはりペースを掴むために一彦の本来の打たせて取るピッチングにしないといけない…そんな思いで、ポジションに入ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、静真高校のベンチ…

 

夜空「…守、ちょっといいか?」

守「ん?なんだ?」

 

夜空さんは守さんに今回の対戦相手である江戸川橋高校と戦ってどう感じたかを聞いた。

 

夜空「今回の江戸川橋高校…お前の目からしてどう?」

守「俺は…想像以上にいいチームだって思うぜ?特にあの秋山流星っていうキャッチャー。正直言って、捉えるの難しい拓海の縦スライダーに対応してきている。あの1打席の中で。対応力の高さに加えて、どうにか食らいついた球はボールを取られてもおかしくないくらいギリギリだったから、ミートの力もあるね。想像以上だよ」

夜空「たしかに、あいつの食らいつき方が半端ないし…」

守「それに、守備の場面でのあの守備陣への呼びかけ、それに応える内野陣。あいつは守備の要といっても過言ではないな」

夜空「なるほどなぁ…」

拓海「でも、うちにはうちの守備の要がいるからね〜」

夜空「うおっ!?拓海いつのまに!?」

 

夜空さんと守さんの会話の間に、拓海さんが入ってきた。

 

拓海「僕らのキャプテンだもん。1年生に負けるわけないよ」

守「ありがとな、拓海」

拓海「いいってもんよ〜。それじゃ、次もがんばろ〜」

 

拓海さんはそう言ってベンチの奥へと戻っていった。

 

夜空「…信頼されてますね。やっぱキャプテンですよ」

守「おいおい、こんなとこでそんなしょっぱいこと言うなって。俺らは練習試合でも勝つ。その気持ちで頑張らないと」

夜空「だな」

 

夜空さんは改めて、この試合で勝つことを心に決めたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…この回は6番からの攻撃。

バッターは聡さん…この人に打たれるとはっきり言って怖い…

この人はムードメーカーであるため、一度打たれると打線の勢いが止まらなくなるのだ。そうなると、最悪の場合、一彦をたった1回で降板せざるを得なくなるのだ。

 

流星(この人は気をつけよう…まずは…強気でインコース)

 

俺はそうサインを出したが、これがまさかの展開になるとは思ってもみなかった…

一彦が投げた1球目…聡さんの腹に直撃してしまったのだ。

聡さんは脇腹を抱えながらも笑いながら出塁し、ノーアウト1塁になった。

 

流星(やべぇな…静真のメンバーに火が点いちまったぞ…どうすんよ…)

 

俺がそう言ったのは、次の7番、日向くん。

目から炎が出てるほど、今のデッドボールに怒りを表しているように見えた。

 

流星(…カズ…落ち着け…ちゃんとお前の投球見せろ)

 

俺はそう言ってミットを構えたが…

次も強気で攻めたインコースのスプリットが…捕らえられた。

カキーン!

コースは完璧にインコース低めの角に入っていた。

それを見事に運び…ホームランになった。

その瞬間、静真高校側の応援団がワーッと大歓声に包まれたのだ。

 

流星(マジかよ…これはヤバい…マジで…)

 

日向くんが戻ってきたと同時に、俺は審判にタイムを要求し、一彦の元へと向かった。

 

一彦「すまん、流星…動揺しちまった…」

流星「しゃあねぇこと…と言いてえけど、この様子じゃあっち側のペースになるのも時間の問題だしなぁ…」

一彦「…5イニングか?」

流星「お前のこの後の投球によりけり。場合によっちゃ、この回で降ろすことも考えておけ」

一彦「そうか…」

流星「…そこまで落ち込むな。たしかにこの回で降ろすとは言ったけど、それはお前があまりにも酷すぎた場合だ。そんなことないと思って俺も受けるつもりだから…俺のミットか須藤先輩たちのグローブに収まるような投球を見せろ。それがお前だろ」

一彦「…あぁ、そうだな。」

流星「まだまだ頑張れるんだ。やるぞ」

一彦「了解」

 

といいつつ、一彦は若干気を落としていた。不安で仕方ない…

続く8番、拓海さんにはピッチャーフライで1アウトを取ったが、9番、平林くんにはヒットを打たれ1アウト1塁。

そこから盗塁を決められ1アウト2塁。

1番、和希さんにセンター前に運ばれて静真高校、1点追加。

2番、涼真さんはレフトフライに打ち取った…と思ったら、まさかの島川先輩が落球。静真高校、1点追加。

3番、純さんにホームランを打たれ、静真高校、2点追加。

4番の守さん、5番の夜空さんはなんとか凡退にさせてここで攻守交替となった。

スコアは…5-0。江戸川橋高校、未だヒットなし。

 

流星(これは…不甲斐なさすぎる…)

 

俺は思わず頭を落とした。

ムードメーカーの1人、島川先輩が落球というエラーを起こしてしまったため、チームの空気は必然的に落ち込んでいた。

いつのまにか吹奏楽部の人達にも重い空気が充満していた。

 

流星(…どうすりゃいい…今回ばかりはきついぞ…)

 

俺はベンチを見ながらどうしようかと悩んだ。

試合はそのまま4回まで進み、静真高校はさらに6点も取って俺らを突き放した。一方の俺らは鳴かず飛ばず…拓海さんの完璧な投球術に完全に翻弄されていた。

いつのまにか、江戸川橋高校のベンチの上が静かで、静真高校のベンチの上がかなり騒がしい雰囲気になっていた。

 

流星(…このままじゃ…)

 

俺は手を顔に当て、本気で打開策を考えた時だった。

 

香澄「…みなさん!」

 

今ちょうど帰ってきた香澄がやってきた。その手には…ランダムスターが…

 

香澄「あの!…キラキラドキドキしてますか!?」

流星「…は?」

 

また来た…香澄語録…

 

有咲「ばっ!香澄、お前何ギター持って来てんの!?」

りみ「香澄ちゃん、ダメだよ!」

沙綾「香澄、今回ばかりは…」

 

と、有咲たちの制止があっても、香澄はいつになく真剣な表情で俺らを見ていた。

 

香澄「私は…野球なんてわからない!でも…キラキラドキドキしてない気がするんです…流星くんも…尚之くんも…みなさん全員が!私は…みんながキラキラドキドキしている姿が見たいんです!例え手が届かなくても…一歩ずつ前進していけば…キラキラドキドキするはずです!」

 

そんな香澄の言葉に、俺は思わず笑ってしまった。

 

香澄「…流星くん?」

流星「…お前にしては…珍しいなって思っただけ。俺らに説教するなんてな」

香澄「え!?説教!?説教なんてしてないよ!?」

流星「俺にはそう感じたんだ。でも…ありがとう」

香澄「っ!…えへへ…」

流星「…俺らは必ず勝つ!今は大差つけられてるけど…1点、また1点取り返せば、俺らは必ず勝つ!だから…応援してくれ」

香澄「うん!約束だよ!」

 

そんなやりとりを見た尚之や雄介たちは、微笑みながら決意を固めていた。

 

康介「…やることは決まったな…お前ら!このまま言われっぱなしで黙っちゃいられねぇだろ!この5回、気を引き締めていくぞ!」

江戸川橋ナイン「はい!」

 

その様子を見ていた千歌さん達は…

 

千歌「…あの子、すごいなぁ…」

曜「…千歌ちゃん、また目つけた?」

千歌「そ、そうじゃないよ!」

梨子「それじゃ何?」

千歌「…ああやって、大切な人のそばで、励ませるなんていいなって…」

ダイヤ「大切な人のそばで励ませる…ですか」

果南「たしかに、私もいいなって思うな〜」

善子「くっくっくっ…堕天使ヨハネも魔術結界を再構成して真の姿に...」

花丸「善子ちゃん、素直にそういう人になりたいと言えばいいずら」

善子「善子じゃなくてヨハネ!」

ルビィ「でも、善子ちゃんの言ってること、わかるよ」

善子「だからヨハネ!」

花丸「わかったずら」

鞠莉「私達は、今ここで応援することしか出来ないけれど、それだけでも夜達の力になるんだから。元気よく応援しよ?」

千歌「うん!頑張れー!夜くーん!」

 

千歌さん達は、再度応援で力になろうと意を決した。

そして、5回表…4番、尚之の攻撃…

 

尚之(…香澄ちゃんにあんなこと言われたら…火がつかないわけねぇ!)

 

尚之はそう思いながら初球のカーブを…引っ張った。

カキーン!

これが、俺らの反撃の口火となったのだった…

 

 

 

 




後書きは4話目にて書きます


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特別編〜激突!江戸川橋高校VS静真高校!後編〜

前書きは1話目にて書いております。


…尚之がチーム初のヒットにして、初の得点を挙げた。

拓海さんはほんの少しだけ、悔しそうな顔を見せた。

 

尚之「っしゃぁ!」

 

1塁を回っている尚之が雄叫びを上げる声が、3塁側のベンチにいる俺らに聞こえた。

尚之はホームに戻った後、次の須藤先輩とハイタッチしてベンチに戻った。

 

流星「ナイスバッチ!尚之!」

尚之「なぁに、まだまだこれからだよ」

 

ムードメーカー3人衆の1人、尚之のホームランによってチームは勢いに乗っていった。

5番、須藤先輩は絶妙なバッティングコントロールでボール球をヒットにすると、6番、亮一のセーフティバントでノーアウト1、2塁。

7番、東先輩の二遊間に抜けるヒットで2点目をもぎ取った。

拓海さんはもうそろそろスタミナが切れてくる頃だろうから、この回の2点は非常に大きな意味を成していた。

8番、島川先輩は見事な流し打ちを見せたが、レフトの日向くんがファインプレーを見せて1アウト1、2塁。

9番の一彦は空振り三振に切って取られた。

そして、1番の俺に打順が回って来た…

 

流星「…ふうっ…」

 

俺がネクストバッターサークルから打席へ向かおうとする時、それを見た拓人さんが吹奏楽部のみんなに合図を送った。

その後に流れたのは…世界大会でも流してくれた、千葉ロッテマリーンズのチャンステーマ1という、チャンスの時に流れる応援歌である。

 

夜空(うおっ!?球場が一瞬揺れた!?)

 

夜空さんがそう錯覚するほど、江戸川橋高校の吹奏楽の応援歌に気合が入っていた。

そして俺は…左のバッターボックスに入った。

 

守(なっ!?)

夜空(左に入った!?右打ちじゃねぇのかよ!?)

 

と、夜空さん達静真高校のみなさんはもちろん…

 

雄介「ちょ…あいつなんで左に入ってんの!?」

尚之「さ、さぁ…」

 

尚之たちも驚きを隠せなかった。

 

流星(本当は両打ちなんだけど…ここしばらく右しか打ってないんだよね…)

 

俺は思わず笑顔になりながら、拓海さんを見た。

拓海さんはそんな俺を見て少し笑った後、すぐに真剣な表情を見せた。

1球目…高めのストレート。これがギリギリ入ってストライク。

2球目…アウトコースのカットボール。ストライクゾーンからかなり離れてボール。

3球目…インコースのストレート。入るのがわかっていたが、ここはあえて見逃した。

これで1ボール2ストライク。

拓海さんはそこまで表情を変えていないが、多分スタミナがないのだろう。1回のストレートと今のストレートに球威の差が出ていた。

それだと多分、あのボールも…

拓海さんはふうっと息を吐いて、4球目を投げた…

インローの縦スライダー…俺はそれを…すくい上げるように叩いた。

ボールは大きな放物線を描き…左中間を破った。

 

流星(あー…ヒットか…)

 

と、内心がっかりしてしまったが、俺はそのまま全力ダッシュ。

1塁と2塁にいた亮一と島川先輩がホームに戻り、俺は3塁まで進んだ。

相手が前進守備をしていたのが功を奏した。

 

流星「ふうっ…」

 

俺はふとベンチを見ると、大盛り上がりの尚之や香澄達が見えた。

11対4…点差はあるが、やはり点が入るのは嬉しい。

 

流星「さぁて…俺はちょっくら仕掛けますか…」

 

俺は小さくそう呟いた。

沼津海星高校はここで拓海さんを降板させた。代わりに入ってきたのは左キラーの高田健人さんだ。

多分、次の河内先輩対策なのだろう…

ただ、河内先輩は左キラーなんてものは正直通用しないと思う。だって、この人バントで内野安打にさせるほどなんですから…

俺はその河内先輩にとあるサインを送った。河内先輩はそれを見てすぐにうんと頷いた。やはり、河内先輩も面白いと思ってくれたんだろう…

健人さんが投球練習を終え、河内先輩は打席に入った。

健人さんの第1球目…インコースのスライダー。

その球を受けた守さんがボールを返したまさにその時…俺は3塁を蹴った。

 

守「っ!?バック!バック!」

 

健人さんは慌ててボールをキャッチャーに送り、守さんはそれを取ろうとしたが…焦りでボールを取り損ねたのだ。

その間に俺がホームインし、1点をもぎ取ったのだ。

球場が一気にしんと静まった後、すぐにわっと江戸川橋高校の応援が湧いたのだ。

 

流星「すみません、河内先輩…」

柳哉「いいって。今回は1点が欲しかったし、奇襲としては上出来だろ?」

流星「はい!」

 

俺は河内先輩とそう話した後ベンチに戻り、尚之達から色々と怒られたり質問されたりとてんやわんやになった。

河内先輩はそれを気にもせず、健人さんの球速差が大きいチェンジアップをセーフティバントで処理したのだ。

 

守「待て!出る!」

 

と言った守さんの言葉を無視するかのように、ボールは本当にギリギリのラインで止まった。

 

聡「嘘だろ…」

健人「今のバント絶妙すぎ…」

 

左キラーの健人さんでも、バントが絶妙で決められたらどうしようもなかった。

続く3番、蓮二は初球のカーブをレフト前に引っ張って2アウト1、3塁にした。

そして、打者1巡して4番、尚之…

カキーン!

…まさかの二打席連続アーチ、1イニング2本塁打というバカなことをやってのけたのだ。

これで11対8。まさかのビッグイニングに大盛り上がり。

沼津海星はたまらず健人さんを降板。リリーフ失敗率が少ない赤田将吾さんを出した。

5番の須藤先輩はやはりお得意のすくい上げでセンターフライにし、この回で攻撃が終わった。

 

康介「よし!これで3点差!このまま引き締めていくぞ!」

江戸川橋ナイン「はい!」

 

ただ、俺はここで先発の一彦に対して悲痛な通告を出した。

 

流星「カズ」

一彦「ん?なんだ?」

流星「…お前は、今日はこれで終わりだ」

一彦「っ!…」

流星「…いくら俺でも、今日の打たれすぎは見過ごせない。この後託すことも出来ない」

一彦「…いいんだ。逆にスッキリした。このまま引っ張られても、正直投げ込める自信がない」

流星「そうか…」

一彦「すまねぇな、流星…今日は不甲斐ねぇや」

流星「しゃあねえってことだ。この回からは雄介に投げさせる。お前は今日の反省点を振り返っておけ」

一彦「あぁ」

 

そう言って、俺はキャッチャーのポジションへと向かった。

一彦はやはり悔しい顔で一杯だった。

先に言っておくと、雄介はこの後の8回までを1人のランナーも許さずに乗り切った。

特に圧巻だったのは、7回と8回に起こした6者連続三振。

7番の日向くんを三球三振に切って落としてから3番の純さんをフォークで締めたのだ。

これには俺も思わずうぉ…と呟いてしまった。

話を戻して6回表…

6番の亮一は将吾さんのフォークをすくい上げて左中間へのヒットで出塁。

7番の東先輩がバントを決めて1アウト2塁。

8番、島川先輩は…

 

島川(俺のエラーで大量失点につながった…ここでもう一回挽回する!)

 

そんな意気込みが功を奏し、引っ張った打球が1塁線ギリギリに入るヒットで1点を返した。

9番の雄介は再びバントを仕掛けるも…スリーバント失敗で2アウト2塁。

俺に打順が回ったのだが、俺はシンカーにタイミングが合わず、三振に倒れた。

将吾さんはシンカーを軸に置いていて、そのシンカーが結構厄介なのだ。

先程の島川先輩もなんとかシンカーを打ってヒットにしたのだ。

7回表…

2番、河内先輩はシンカーをしっかりと見極めてフォアボールで出塁。

3番、蓮二は俺と同様にシンカーに振り回され、最後はストレートで締められて三振。

4番の尚之はやはり絶好調。この打席でボールを右中間に流し、その間に河内先輩が戻って1点を追加。

5番の須藤先輩は再びお得意のすくい上げを見せたが、これがまさかの二遊間とセンターのお見合いでポトリと落ち、その間に尚之が戻って1点を追加。

6番の亮一はフォークを引っ張ったが、夜空さんのファインプレーでダブルプレーにされて攻撃が終わった。

この時に夜空さんの活躍で千歌さん達がかなり興奮して手を振り、観客席から落ちかけたのは別の話…

8回表…

7番、東先輩が初球のストレートをまさかのセンターへのホームランにし、1点追加。

これが同点打となった。

その後は島川先輩、雄介と変わった代打の良一、俺と打順が回ったが、3人ともこの回はいいところがなく、その後の無得点のまま9回へと進むのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

9回表…

この回マウンドに上がってきたのは…抑えとして出場が多い小松原聡くん。

この回の先頭は2番、河内先輩…

 

流星「河内先輩!ファイトー!」

尚之「あと一点、頼みます!」

雄介「ファイトー!」

 

俺らはベンチから声を出すことしか出来なかった。尚之はこの後打席が回ってくるから違うけど…

1球目…ど真中のシュート。まずは見逃してストライク。

2球目…インコースに再びシュート。これも入ってストライク。

3球目…低めのスプリット。ボール球だが、ギリギリなため河内先輩はカットしてファウル。

4球目…アウトコースのシュート。これはすっぽ抜けてボール。

5球目…またも低めのスプリット。河内先輩はこれを見逃したが、ストライクを取られ三振にされた。

 

流星「河内先輩、ドンマイです」

柳哉「別にドンマイというほどじゃねえよ。まぁ、今回はやらかしたってことかな?」

 

そう言った河内先輩の顔はどこか悔しさをにじませていた。

続く3番の蓮二は3球目のストレートを三遊間に運んで1塁にもっていったものの、4番の尚之がスプリットをひっかけてダブルプレーにされた。

 

尚之「あはは…わりぃ、今のはちょっとやらかしちまった」

雄介「お前にしては珍しいな…」

尚之「いやぁ、張っていた球が全然来なくてさ…」

流星「フルカウントにされてたってこともあるからな…今のは責められねぇよ」

 

俺はそう言って、キャッチャーの防具をつけていると…

 

香澄「流星君っ!」

 

香澄がおもむろに話しかけてきた。

 

流星「ん?」

香澄「…最後、頑張って」

 

香澄は笑顔でそう言ったのだ。

 

流星「らしくねぇこと言うなよ。お前はそんなキャラだったか?」

香澄「だって…」

流星「別に練習試合なんだから…心配してくれるのはありがたいけど、そういうのはここじゃねぇの。お前は笑顔でキラキラしてくれ。俺がドキドキさせてやるからよ」

香澄「っ!…うん!」

康介「流星行くぞ!」

流星「はい!」

 

俺は辻上先輩に呼ばれてグラウンドに出た。

 

有咲「…ったく、ほんと香澄、お前らしくねぇな」

香澄「え?」

沙綾「ほんとは好きなんでしょ?」

香澄「え…」

りみ「香澄ちゃん、顔でバレバレだよ?」

たえ「トマトみたい」

香澄「ちょ…りみり~ん!おたえ~!意地悪を言わないで!」

沙綾「あははは…でも、私たちも流星君好きだよ?」

りみ「香澄ちゃんや沙綾ちゃんだけじゃなく、私やおたえちゃんや有咲ちゃんも」

有咲「まぁ、こんなこと言ってもどうしようもないけど…変な気は起こすなよ?」

香澄「わかってるって~」

 

ポピパのそんな会話を、降板して休憩していた雄介がそば耳を立てて聞いていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…9回裏

江戸川橋高校は雄介に変えて、抑えに康介先輩を出した。

康介先輩はストレートとスローカーブで静真高校を3人でピシャリと締め、試合終了。

結果は11対11という引き分けに終わった。

俺らは応援してくれた観客や吹奏楽部の人に礼をした。

一方の夜空さんたちも観客に礼をしていた。

観客の皆さんは、それを見て拍手をしてくれた。

 

流星「夜空さん、今日はありがとうございました」

夜空「こちらこそ」

流星「今度会うときは、甲子園でお願いしますよ」

夜空「当たり前だ。その時は手加減しないぞ」

流星「こちらも、負けませんから」

 

僕と夜空さんで、甲子園での再会を約束した。

こうして、江戸川橋高校と静真高校の練習試合は終わったのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
今回の小説を作る際に、実は自分もこの小説の設定を使いたいというところがありまして、その時たまたまマッシブさんから自分の小説を使ったコラボ小説を作って欲しいという連絡を受けて実現したという形で、このコラボが実現しました。
改めて、マッシブさんにはお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
今後とも、ぜひ僕の小説、そして、マッシブさんの小説をよろしくお願いします。
マッシブさんのホームとコラボさせていただいた小説は以下のURLよりご覧になれますので、ぜひよろしくお願いいたします。
では次回、お会いしましょう!
マッシブさんのURL↓
https://syosetu.org/?mode=user&uid=235715
コラボさせてもらった『ラブライブ!サンシャイン‼︎〜もう一度輝くために〜』のURL↓
https://syosetu.org/novel/156063/

追記:マッシブさんの意向により、高校名を『沼津海星高校』から『静真高校』に変更しました


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特別編〜D-generationさん作『双子の兄は努力した天才』とのコラボ〜
特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・プロローグ〜


どうも、VOSEです。
今回は…コラボ回です!
コラボ先はD-generation Sさんの作品『双子の兄は努力をした天才』でございます!
今回ももちろん、ご本人様の承諾は得ておりますので、どうぞごゆっくりご鑑賞ください!
全部で3話、最後の3話目に後書きを書かせてもらいます。
では、本編どうぞ!


…ある日のこと…

この日は雄介との自主練習をするために駅前で待っていた。

すると…

 

???「あの〜…ちょっとすみません…」

 

突然声をかけられた。

 

流星「へ?はい、どうしましたか?」

???「ちょっと人探してて…金髪にブリーチをかけたバカは見かけませんかね?」

 

どこかで見たことあるような髪の色に、どこかで見たことあるような顔の、爽やかなイケメンのお兄さんが誰かを探しているようで、俺に尋ねてきた。

今のところそういう人は見かけなかったので…

 

流星「いえ、見てませんけど…」

 

と答えた。

 

???「そっすか…あのバカどこ行ったんだ…集合時間過ぎてるっつうのに…」

 

かなり慌てているようだったので、俺は思わず…

 

流星「…それでしたら一緒に探しましょうか?」

 

と提案した。

 

???「え!?でも君、誰かを待っているのでは…?」

流星「大丈夫です。ちゃんと話をしますので」

???「いやー、それなら助かるよ!ありがとう!」

 

お兄さんはそう言うと、俺の手を掴んで大きく振った。

 

流星「…そういえば、まずそもそもの話なんですけど…携帯は繋がらないんですか?」

???「繋がるけど、俺に預けたままにどっか行ったから…」

流星「本当にバカだった…それで、もっと詳しく特徴を…」

???「外見はさっき言ったような感じで…あとは話し方が特徴的で…アイツの口癖がヤバい、あるいはバリヤバ、あとはオニヤバ…」

流星「えぇ…それで、その人の名前は…?」

???「とき…いや、ごめん、今は香輝(ひろあき)って名前で覚えてくれる?」

流星「あ、はい、大丈夫ですよ」

 

俺はひとまず今までの情報をメモにとった。

 

流星「それで、どこに行ったのかわかりますか?」

???「いや、全く…アイツは感覚で動くタイプだから…でも、集合の時間はわかってるはずだから、そこまで遠くへ行っていないはず…」

流星「それじゃ、この近くを一緒に探しましょう」

 

そんなこんなで、俺とお兄さんで、お兄さんの友人探しをすることになった。

 

???「そういえば君は?」

流星「あ、俺秋山流星と言います。あなたは…?」

ケイ「んー…ケイって呼んでくれるとありがたいかな?俺の周りではそれで通ってるし、その方が都合いいし」

流星「わかりました」

 

しばらく街中を歩いていると…

 

流星「…あれ?あそこに金髪の人が…」

 

ふと、遠目からキョロキョロと誰かを探している人を見つけた。

 

ケイ「ん?…あ!いた!いたいた!おーい!常盤ー!」

???「あ!やっといた!」

ケイ「やっといたじゃねぇよ!バカ!お前今までどこをほっつき歩いてたんだ!」

 

ケイさんは、常盤と言ったお兄さんに勢いよく説教した。

 

ケイ「全く…あ、この子、さっきお前のことを一緒に探した秋山流星っつうんだ。忙しいところわざわざ一緒に探してくれてたんだから感謝しろよ」

香輝「どうも、琉球ブラックサンダースの常盤香輝っす!俺のこと探してくれてありがとな!」

流星「いえいえ…ん?琉球ブラックサンダース?」

 

俺はそのワードを聞いて、思わず耳を疑った。

琉球ブラックサンダースは知名度はそこまで高くないものの、れっきとしたプロ野球チームの1つだ。

ここ何年かはお荷物軍団とされていたが、去年には日本一にもなった最強軍団でもある。

そんな日本一のチームの選手が目の前にいるなんて…

 

ケイ「というか、せっかく手伝ってくれたんだから何かお礼しないとな…常盤、何かある?」

香輝「バッテならありまっせ」

ケイ「んじゃ、それにサインでも書くか…俺はは右書くから、お前は左書いておけ」

香輝「了解っす!」

 

ポカンとしている俺を尻目に、ケイさんと香輝さんはバッティンググローブにサインを書き、俺にプレゼントしてくれた。

そこで俺の意識は戻った。

 

流星「あ、ありがとうございます…」

ケイ「あと俺から何か渡すか…」

香輝「リスバンなんてどうっすか?」

ケイ「それなら、Roseliaとパスパレのがあるが…」

流星「Roseliaとパスパレ!?え、ケイさんって、何者…?」

 

俺は思わずケイさんにそう尋ねた。

 

敬「ここまで来たら話すか…改めて、琉球ブラックサンダースの氷川敬です。よろしく」

流星「ま、マジもんのプロ野球選手…というか、氷川?Roseliaとパスパレってことはもしかして…紗夜さんと日菜さんの!?」

敬「紗夜と日菜知ってるのか?俺はその2人の兄貴ってところだ」

流星「し、失礼しましたぁ!」

 

俺は思わず最敬礼をした。

そりゃ、バンドのみならず、プライベートで少しお世話になっている氷川姉妹のお兄さんに会うなんて…というか、今思い出したんだけど、敬さんって、琉球ブラックサンダースのエースとかじゃなかったっけ!?

と、そこへ…

 

雄介「あれ?流星!そこで何してんだ?」

 

たまたま道を通っていた雄介がやってきた。

 

敬「お、流星君の友人かな?それじゃそろそろ俺らはここでお暇とさせていただくか。行くぞ、常盤」

香輝「アイアイサー!」

敬「流星君、今日はありがとな。あと、妹2人も知ってるようだし、2人のこともよろしく頼むな」

流星「は、はい!」

 

そう言って2人はその場から離れていった。

 

雄介「…あれ、琉球ブラックサンダースの氷川選手と常盤選手じゃん!お前、なんであの2人に会ってたんだ!?」

流星「たまたま人探しの手伝いをしていただけだ。と言っても、常盤選手を探してただけなんだけど」

雄介「いいなぁ…ん?そのリスバン、Roseliaとパスパレの…?」

流星「練習向かう時に話してやるよ。Roseliaはお前にあげるわ。友希那さんの彼氏なんだし」

雄介「お、おう。ありがとな」

流星「…しかし、プロの2人に会うとはね…」

雄介「お前がプロに入ったら対戦するんじゃねぇの?」

流星「さぁな…でもまぁ、戦うことになったら、全力でぶつかるまでよ」

 

俺と雄介は和気藹々と、今日の出来事を話しながら練習場所へと向かった。

一方の敬さん達は…

 

香輝「…そういえば、さっきの秋山流星って子…」

敬「ん?どうした?」

 

移動中、香輝さんが徐に言ったので、敬さんが尋ねた。

 

香輝「いや、さっきの秋山流星って子…アンダーで何度か聞いたことあるんですよね…」

敬「そうなのか?だったら近い将来が楽しみだな…俺とプロの世界で戦うか、それとも…」

香輝「意外とすぐだったりするかもしれませんよ」

敬「それはまだだろ…さて、今日どこ行くかわかってるんだろうな」

香輝「確か、ドームでしたっけ?」

敬「神宮だ!バカ!」

 

お互いに、近い将来に戦うだろうと思っていたのだが、この時まさか、すぐあとに対決するとは、思ってもみなかったのだった…

 

 




後書きは3話目に書きます。


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特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・第1話〜

前書きはプロローグで書いてあります


…敬さん達と会ってから数ヶ月後…

 

『琉球ブラックサンダースと練習試合!?』

 

俺ら江戸川橋高校ナインは監督からの発言に度肝を抜かされていた。

 

上島「なんでも、NPBと高野連の合同企画で、これからの野球の発展のためにプロチームと注目の高校で練習試合をやってみないかという申し出があってだな…今はオフシーズンだが、今回のためにプロチームの琉球ブラックサンダースも準備してくれているし、やらざるを得なく…」

流星「でも、なんで俺らが!?」

上島「中村さんの推薦だそうだ。秋山や坂口ら、日本代表経験者を6人も揃えているチームなら、いい試合してくれるだろうと」

 

この時、思わず中村さぁぁぁん!と心の中で叫んだ俺であったが、こうなった以上は覚悟を決めてやろうと思った。

 

流星「…お前ら、相手はプロのチームだが、恐れることはない!俺らは俺らの野球を突き進むのみ!相手が誰だろうと関係ない!これまでと同じ気持ちで戦っていくぞ!」

『おぉー!』

 

一方、琉球ブラックサンダースの本拠地、沖縄にて…

 

『高校の野球部と練習試合!?』

 

ロジャー「YES!今回はプロのチームと高校の野球部で練習試合をして、野球の活性化を促そうと企画したそうなのダ!」

敬「それで…どこの高校と対決するんですか?」

ロジャー「東京にある江戸川橋高校ってところダネ。甲子園には1回しか行っていないものの、注目度が高いチームで、日本代表を6人出したことでも有名になったところダ。早速だが、ビデオがあるから見てもらうとイイ」

 

というわけで、敬さん達はスタッフが用意してくれたビデオを見ることにした。

 

「さて、ここからはコーチである俺が、今度の試合で脅威になるあろう選手の特徴を言っておくよ。まずは…この子だな。キャッチャーの秋山流星君」

敬「秋山流星!?」

 

コーチの言葉に、敬さんは小声で叫んだ。

周りには聞こえないように言ったが、たまたま秋山流星を知っている奴が隣で、その人がその小声に反応した。

 

香輝「秋山流星って…前に東京で会った…」

敬「あぁ…」

 

2人は少し落ち着いてコーチの話を聞くことにした。

 

「おそらく、このチームの中で精神的支柱となっているのが、この秋山流星くん。江戸川橋高校野球部のキャプテンで、キャッチャーとしての実績は申し分ない。おそらくうちのどのキャッチャーよりも優れている」

???「それは買いかぶりすぎではないだろうか?」

 

コーチの言葉に反論したのは女子ながらキャッチャーという激務をこなす六道聖さんだ。

 

「いや、買いかぶりではない。彼は捕逸がほぼ0に等しく、盗塁阻止率は8割を超える。打撃は基本的には当てに行くタイプで、足が速いのが特徴。盗塁成功率は6割以上。キャッチャーを鼓舞させる力を持っていて、これらの能力の高さから、2年連続でアンダーの日本代表に選ばれている、一番最初にして最強の敵だ」

敬「そのアンダーの成績はどうなんですか?」

「それ、話した方がいい…?」

聖「どういうことだ?話した方がいいに決まっているだろう」

「…アンダーにおける成績が、通算打率が5割越え…」

『…え?』

 

コーチから放たれたその成績に、ブラックサンダースのメンバー全員が静まり返った。

 

敬「アンダーで打率5割超えてるって…マジかよ…」

「さらに守備では、捕逸記録はいまだに0、盗塁阻止率は驚異の10割、足では盗塁成功率8割と…」

聖「…さっきの言葉を撤回する。これはかなり脅威になりそうだ…」

香輝「…敬さん…まさかの化け物と会ってたんですか…俺ら…」

敬「らしいな…でも、なんか余計に戦いたくなるんだよな…」

 

敬さんはそう言って、ビデオの中で映っている俺を見つめていた。

 

「次に怖いのは…ピッチャーの木村巧君。彼はマックスで149キロを曲げる剛速球ピッチャーで、変化球もかなり曲がる、厄介なピッチャーだ。今年の世界大会にもにも選ばれていて、防御率が0.15と…」

???「…本当に高校生チームなのか…?」

 

思わず声を震わせて言ったのは、左腕の小池さんだ。

 

「今回、江戸川橋高校を推薦したのは、アンダーの監督を務めている中村修二さんだからね。しかも強く推薦したくらいだから…」

敬「そうなのか…こりゃ、楽しくなってきそうだな…」

 

敬さんはそう言って、にやりと笑ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして来たる試合当日…

オフシーズンながら、大々的に宣伝された上に休日のため、今回用意した球場の観客席は満席となっていた。

その中にはもちろん…

 

香澄「…うん!りゅうくんを応援する準備は出来た!」

 

…いつものように香澄達が応援に来ていた。

今回は香澄達だけでなく、RoseliaやAfterglow、パスパレ、ハロハピのみんながやってきてくれたのだ。

それだけでなく、今回は…

 

ますき「へぇ、こんなところでやるんだ」

レイ「みたいだね」

六花「す、すごいです…」

 

RASのますきさんとレイ、六花ちゃんが来てくれていた。

 

有咲「それにしても、紗夜先輩と日菜先輩にお兄さんがいて、そのお兄さんがプロの野球チームでプレーしてるなんて、驚きました」

紗夜「別に隠していたつもりではありませんが、話す必要はなかったかと…」

日菜「それでも、自慢のおにーちゃんなんだよね〜。かっこいいし、いつもお世話してくれてるし、何より野球をやってる姿がるるるんっ!って来るんだもん!」

香澄「そうなんですね!どんなプレーが見れるのか楽しみだなぁ…」

 

一方、俺ら江戸川橋高校野球部は…

 

雄介「…緊張するなぁ…」

 

ロッカールームで試合の準備をしていた。

雄介はプロとの対決にガチガチになっていた。

 

流星「落ち着け、雄介」

雄介「とは言ってもよぉ…」

蓮二「今回は頑張るしかないな…うん、これしかない」

良一「今僕らができることをやるしかないね」

 

そして、メンバー発表の時…

 

流星「今回も俺と監督で話し合ってスタメンを決めた。今回の試合で勝てると思ったメンバーだ。それじゃ、発表するぞ…」

 

今回のスタメンはこうだ。

1番は毎度、キャッチャーの俺、秋山流星。

2番はライト、阿山亮一。

3番はセカンド、田嶋浩樹。

4番はセンター、川端尚之。

5番はファースト、大竹道紀。

6番はサード、日下蓮二。

7番はショート、杉浦良一。

8番はレフト、佐々木本信。

そして、9番は…

 

流星「…先発は…坂口雄介!お前に頼んだ!」

 

俺は力強く、雄介を指名した。

 

雄介「え…俺?マジ?」

流星「ここ最近は抑えとしても活躍してくれているからな…だけど、今回はお前が適任だと思った。頼む」

雄介「…わかった。やろう!流星!」

 

雄介は武者震いで硬い笑顔だったが、目の奥には闘志が湧いているのが見えた。

そして、試合前に対戦する琉球ブラックサンダースのオーダーもわかった。

ここでおさらいで俺らのオーダーも出しておこう。

 

〜江戸川橋高校・オーダー〜

1番・捕・秋山流星

2番・右・阿山亮一

3番・二・田嶋浩樹

4番・中・川端尚之

5番・一・大竹道紀

6番・三・日下蓮二

7番・遊・杉浦良一

8番・左・佐々木本信

9番・投・坂口雄介

 

〜琉球ブラックサンダース・オーダー〜

1番・中・新城剛

2番・二・阿部光次郎

3番・右・常盤香輝

4番・左・神山孝徳

5番・投・氷川敬

6番・一・C.J.ポール

7番・三・桜木佳輔

8番・遊・神楽坂智哉

9番・捕・六道聖

 

…琉球ブラックサンダースのオーダーはいつも見るような本気のオーダー…

つまり、俺らに対して容赦なく、情けなく、本気でぶつかってくれるというわけだ。

それだけ、日本代表を6人揃えているチームだもん…

今回のオーダーにも5人、日本代表経験者がいるからそれくらいはやるだろう…

今回の試合は練習試合ではあるが、ハンデとして俺ら江戸川橋高校は金属バット、琉球ブラックサンダースは木製バットを使用することになっているが、果たして抑えられるのだろうか…

 

流星「…雄介」

雄介「なんだ?」

 

アップを終えた俺と雄介は、外のブルペンで打ち合わせをした。

 

流星「…今回はささやき戦術は使えない。だから、その分お前の力が試される。行けるな?」

雄介「…今はこの時をただ楽しむよ。やることは変わらんさ」

流星「いい感じに緊張もほぐれたな。んじゃ、行くか」

 

こうして、俺ら江戸川橋高校と、プロリーグの琉球ブラックサンダースとの試合が、始まった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…一方の香澄達は…

 

香澄「あ!りゅうくんがいる!」

 

と、それぞれ盛り上がっていた。

 

沙綾「りゅ、琉球ブラックサンダースも本気のオーダーだ…」

有咲「ということは…?」

りみ「相手も本気ってこと!?勝てるの!?」

たえ「…勝つ…流星達なら…」

紗夜「そうですね…流星くん達の力ならば、プロ相手でも勝てそうですが…」

日菜「今日のお兄ちゃん、なんかるんってする!」

友希那「先発に雄介…頑張って…」

リサ「そうだね…ここは見守るしかないね…」

蘭「亮一…」

モカ「蘭緊張しすぎ〜」

蘭「だって…プロ相手にちゃんと戦えるか心配だし…」

ひまり「蘭ってば〜、亮一くんのこともうすこし信じてあげたら?」

蘭「し、信じてるって!」

 

…いつものバンドの仲間の間でも、ただならぬ緊張感が漂っていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして…

 

審判「プレイボール!」

 

審判の試合開始の声が聞こえた。

ブラックサンダースの先頭バッターは、メジャー経験を持つ新城さん。

 

流星(下手に攻めたら打たれるからなぁ…まずはストレート…インコースで)

 

俺はサインを送り、インコースに構えた。

雄介はそれを見て腕を思いっきり振ってストレートを投げた。

新城さんはそのストレートをカットして後ろに飛ばした。

 

審判「ファール!」

流星(今のカットしたのか…でも…)

 

思いのほか伸びる直球に、新城さんは驚きを隠せない表情を見せた。

 

流星(…ならば…スロースライダー…行けるな?)

 

俺は低めのスライダーを要求した。

雄介はそれに従って投げた。

低めに若干外れてしまい、これはボールになった。

 

流星(…今度は低めのスプリット…)

 

雄介は俺のサインを見て頷き、低めのスプリットを投げた。

新城さんはそれを思わず振ってしまい、ストライクを取った。

 

流星(これで2ストライク1ボール…なかなかいい球来てるぞ…ならば…)

 

俺はサインを送り、雄介はそれを見て投げた。

高めのストレートの揺すり球。

しかし、ノビがいい雄介のストレートに、新城さんはてんてこ舞いの空振り。

元メジャーリーガー相手に三振を取った俺らは、かなり安堵した。

 

流星「オーケーオーケー!この調子でどんどん投げていけ!俺らなら勝てるぞ!バックも頼むぞ!」

 

俺は大きな声を出して、雄介や守備陣を鼓舞した。

続く2番の阿部光二郎さんには3球目に投げたスプリットを引っ掛けさせて、セカンドゴロにさせた。

そして…

 

香輝「よぉ、久しぶりだな!」

流星「常盤さん、よろしくお願いします」

 

3番、常盤さんの打席になった。

 

流星(…この人は当たったら飛ぶからな…守備は長打警戒。雄介は低め中心で頼む)

 

俺はサインを送って、外野を後ろに下げた。

雄介はうんと頷いて、ポジションに入った。

 

流星(…低めとは言ったが…この人は怖いな…ここで鍵になるのは…)

 

俺は考えを巡らせ、雄介にサインを送った。

1球目はアウトコースのスロースライダー。この球は外に外れてボールになった。

2球目はアウトコースのストレート。常盤さんはこのボールに食らいついたが、カットした。

先ほどの阿部さんといい、常盤さんといい、雄介のストレートに驚きを隠せなかった。

 

流星(今日はいつもより伸びてるからなぁ…ただ、これが何イニングまで持つか…)

 

3球目はインコースにストレートを投げた。これは見逃してストライクになった。

 

流星(…ここで頼む。雄介)

 

そして4球目…低めのスロードロップだ。

遅い球速のドロップカーブに常盤さんは見逃した。

そして…

 

審判「ストラーイク!バッターアウト!」

 

1回表、琉球ブラックサンダースの攻撃は、衝撃の3者連続凡退という結果から、試合が始まったのだった…

 




後書きは3話目に書きます。


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特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・第2話〜

前書きはプロローグで書いてあります。


…1回表で、プロのブラックサンダースが三者凡退という出来事に、応援に来ていたブラックサンダースファンは驚きと呆れと、開き直りの声がした。

かつてお荷物球団と呼ばれてた所以だろう…

 

香澄「雄介くん、ナイスピッチング!」

友希那「よかった…これなら勝てそうね」

日菜「まだまだこれからだよー!ブラックサンダース!」

紗夜「お兄さん頑張ってください!」

 

香澄達からも、俺や敬さん達に向けた声援が聞こえてきた。

 

敬「すごいなぁ…坂口って子…」

聖「あのピッチングはあの子の力もあるが、リードも良かった。なら、私達はそれを上回るピッチングをしよう」

敬「そうだな。それじゃ三者凡退させたお返し、やってやろうか」

香輝「そうっすね!やりましょう!」

敬「うわっ!?香輝!?」

香輝「さっきのボールに振らされたんで、なんかこう…早く守備終わらせて攻撃したいっす!」

敬「そうだな…早めに主導権を握りたいところだ」

 

そして、1回裏、江戸川橋高校の攻撃…

 

流星「よろしくお願いします」

 

俺は一礼してから、打席に入った。

敬さんのピッチングの特徴は、マックス130キロのストレートながら、70キロ程度しか出ないナックルと織り交ぜて投げる幻惑投法といったピッチングだ。

闘志あふれる投球で、マウンドを支配するピッチャーだ。

 

流星(…打たせて取るピッチャーだからな…ここはゴロは避けたい…)

 

そして、俺が構えていると…

 

聖「…先程はすごいリードだったな」

 

…六道さんが話しかけてきた。

それに俺は思わずニヤリと笑った。

そして1球目、最初はアウトコースのストレート。これは見逃してボール。

 

流星「…結局六道さんも俺と一緒だったんすね」

聖「…え?」

 

俺の言葉に、六道さんは少し戸惑った。

 

流星「…結局のところ、六道さんもせこい方法を使ってるってことっすね」

六道「んなっ!?」

 

2球目、インコースのストレート。これはギリギリ入ってストライク。

 

流星「…さてさて、今度はナックルかな?いや、ナックルだろうなぁ」

聖「…っ…」

 

そして3球目…低めのストレートが来た。

俺はそれを流した。

球は一二塁間を抜け、ライト前ヒットになった。

 

流星「ふぅ…打てた打てた」

 

俺は一塁で一息ついて、防具を仲間に渡した。

一方の敬さんと六道さんはマウンド上で話をしていた。

 

敬「大丈夫か?連続でストレート来るなんて、珍しいが…」

聖「すまない…ついカッとなってしまった…」

敬「珍しいな…お前がカッとなるなんて…」

聖「あいつもささやき戦術を取っていたらしいんだ。だから私のささやきに動じるどころか、挑発するような言葉を…」

敬「…なるほど…だから強いのか…」

 

敬さんはチラッと俺の方を見た。

 

敬「…まぁ、あいつはいいキャッチャーだってことだ。ここからはバッターに集中しよう」

聖「あいつを走らせてもいいのか?」

敬「俺はピンチに強いって、わかるだろ?」

聖「…そうだな。秋山って子は走らせる。バッターを抑えて次につなぐようにしよう」

 

そんな敬さんと六道さんの会話を見ていた俺は、亮一にサインを送った。

 

流星(…おそらくここは俺を走らせても問題ないと相手は思ってる。ならば、俺は走らないから、なんとか繋いでくれ)

 

亮一はそれを見てヘルメットのつばを持って合図した。

しかし、亮一は敬さんのピッチングに見事に翻弄され、三塁へのゴロになってしまった。

 

流星(マジかよ…!)

 

俺は全速力で2塁へ走ったが、ゴロの速度が速かったため、サードの桜木さんは2塁へ投げてセカンドアウト。そして、ファーストもアウト。

 

敬「ふぅぅぅ…」

 

今度は敬さんが大きく息を吐いた。

 

亮一「すまね!流星!」

流星「いいっていいって!次がんばれ!」

 

そして、3番の田嶋君はセンターフライに打ち取られ、3アウトチェンジとなった。

 

流星「…んまぁ、しゃあねぇな。相手はプロだもん」

雄介「…これ勝てるのか?」

流星「勝つようにするさ。勝てなかった申し訳ねぇ」

亮一「大丈夫だぜ!こんな体験は貴重だし、負けても悔いはねぇ!」

良一「そうだね。僕も今日の試合を楽しむよ」

流星「ありがとな。それじゃ、お前ら、行くぞ!」

『おぉー!』

 

俺らは気合を入れて、2回表の守備へ向かった。

その頃香澄達は…

 

香澄「あ〜、りゅうくん、終わっちゃった…」

 

と、香澄達なりに盛り上がっていた。

 

有咲「紗夜先輩と日菜先輩のお兄さん、すげぇ…」

紗夜「球速は遅くとも、プロですから」

日菜「すごいよねー、お兄ちゃん。大怪我乗り越えてやってるんだもん」

沙綾「え?大怪我?」

友希那「紗夜と日菜のお兄さん、ケガしてたの?」

紗夜「えぇ…お兄さん、元々は右で投げていたのですが、肩を故障してしまって…それからは、努力を続けて左で投げるようになって…」

蘭「そうなんだ…それでもプロで投げてるってすごい…」

 

敬さんの事情を知った香澄達は、今度は敬さんに向けても応援することになった。

なお、俺はその話を試合後香澄達に聞いた。

そして2回表。

この回は4番からの打席…

神山さんは長年にわたりチームを支えた、ブラックサンダースの顔。

長打は減ったものの、いぶし銀の打撃で4番を務めている。

 

流星(…ここは下手に避けたら打たれるからな…雄介、三振狙うぞ)

 

俺は雄介にサインを出し、胸を押さえて落ち着くように促した。

1球目はインコースのストレート。これは球1つ分外れてボール。

2球目はインコースのスライダー。これは若干甘かったがストライクになった。

3球目はアウトコースのスプリット。コースにきっちり入ってストライク。

 

流星(…ここまで振ってないということは…ドロップカーブを待っているのか…ならばここは低めに外そう)

 

4球目は要求通り、低めギリギリに落ちるドロップカーブを投げた。しかし、これも見逃してボールになった。

 

流星(ドロップカーブも見逃すか…ならば、ストレート…もう一回インコースで)

 

そして5球目…インコースのストレートが来た…のだが、すこし真ん中に来て甘くなっていた。

神山さんはこれを見逃さなかった。

インコースのストレートを引っ張って、三遊間に抜けていった。

 

流星(あちゃー…今のは仕方ないかな…)

 

ブラックサンダースベンチはほんの少しだけだが、盛り上がっていた。

ノーアウト1塁。ここで回ってきたのは…

 

敬「…よろしくな、流星くん」

流星「よろしくお願いします」

 

…5番の敬さんだ。

 

流星(…敬さんは意外性のあるパワーヒッターだ…ひとたび甘くなれば打たれる…ならばここは…)

 

 

俺はマスクを外し、守備陣に大声をあげた。

 

流星「ここはでっかいの行く可能性あるぞ!てめぇら、頼むぞ!」

『オイ!』

 

俺の声に、守備陣は返事で答えた。

 

敬(…こうやって味方を鼓舞するのか…なるほどね…)

 

敬さんはすこし微笑みながら、打席をならしていた。

 

流星(…さてさて、ここはどう攻めよう…下手に避けたらここでも打たれるしな…ならば、開き直ってインコース低めを中心に…)

 

そうやって考えて雄介に投げさせた、1球目のインコース低めのストレートだった…

敬さんはそれを強引に引っ張ったのだ。

 

流星(引っ張った!?)

 

敬さんが打ったボールは、高々と舞い上がり、ポールの内側を通った…

 

流星(…マジかよ…良いコースだったのに…てことは、張ってたのか…)

 

俺は頭をひねりながら、雄介にボールを返した。

そして、俺はまたマスクを外して、守備陣に大声をあげた。

 

流星「今のはすまない!今度は飛ばさねえから、守備頼んだぞ!」

 

俺はそう言って、またマスクを被って守備に入った。

続く6番のポールさんにはフォアボールで出塁させるも、7番の桜木さんはセカンドの田嶋君のファインプレーでゲッツーにとり、8番の神楽坂さんはレフトフライに打ち取り3アウトとなった。

 

流星「ふぅ…」

 

ベンチに戻った俺は、1つため息を吐くと、雄介に謝った。

 

流星「すまねぇ、雄介。打たれちまった…」

雄介「なぁに、気にすることじゃねぇだろ。今のはコースも完璧だったし、打たれたのが不思議なくらいだ。それよりも次の攻撃をどうにかやらねぇとだろ?」

流星「そうだな…ありがとう」

 

少し心が落ち着いたところで、俺はこの後の組み立て方を考えた。

一方、スタンドでは…

 

日菜「お兄ちゃん、すごーい!るるるるるるんっとする〜!」

紗夜「今のはコースも完璧だったのに…お兄さん、さすがです…」

香澄「あちゃー…打たれちゃった…」

 

と、香澄達の中でも盛り上がっていた。

 

六花「大丈夫でしょうか…流星さん」

有咲「大丈夫だろ…多分」

たえ「大丈夫だよ。流星くんだもの」

りみ「流星くん、ファイトー!」

沙綾「負けるなー!」

 

そんな香澄達の声援がベンチまで聞こえ、俺は思わず笑いそうになりながら、目の前の試合に集中した。

最初の打席は4番の尚之。

 

流星(…頼むぞ、尚之)

 

そんな俺の願いは、尚之にしっかり届いた。

敬さんの5球目、インコースのストレート…尚之は力強く引っ張った。

打った瞬間わかる当たりだった。

 

流星「オッケー!」

 

俺は思わず声を上げた。

ボールはスタンドの中にズドンと入った。

プロチームから打ったホームランに、ベンチはお祭り騒ぎだ。

 

流星「これで1点差…あと1点入れば…」

 

しかし、5番の道紀くんはファーストゴロ。6番の蓮二はサードフライ。7番の良一はフェンス手前での失速でライトフライに倒れてしまった。

 

流星「さぁ…尚之が1点返してくれた。まだまだ序盤だ。俺らにもチャンスがある。プロの胸を借りるつもりで、どんとぶつかっていくぞ!いくぞ!ソイヤ!」

『ソイヤ!』

 

江戸川橋高校は再び気合を入れ直して、3回表の守備に入った。

そして、この回の最初のバッターは…

 

聖「よろしく頼むぞ」

 

…六道さんだ。

 

流星「よろしくお願いします」

 

俺は六道さんに一礼して、ポジションに入った。

 

流星(この人は打撃に期待はあまりないが、用心しておけ…)

 

と、サインで送ったが、聖さんは初球のストレートに手を出してしまい、セカンドゴロに倒れた。

ここで打順が一周した。

1番の新城さんは先程のやり返しでセンター前ヒットにされてしまったが…

 

流星(…スチール!)

 

俺の強肩を発動させ、新城さんの盗塁を防いだ。

これには新城さんも帰る途中で拍手をするほどだった。

ブラックサンダースの応援団すら思わず唸った。

 

敬「今のが盗塁阻止率10割の…」

香輝「す、すげぇ肩…」

聖「リードも上手いし、肩もあるし、打てる…本当にすごいな…」

 

ブラックサンダースベンチでは驚きの声が聞こえ、スタンドでは…

 

六花「で、でらすげぇ…」

レイ「すごい送球だったね…」

香澄「これが、私達のりゅうくんだもん!」

 

と、香澄達がよろこんでいた

その後の光次郎さんも抑え、裏の攻撃に移ったのだった…

 




後書きは3話目に書きます。


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特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・第3話〜

前書きはプロローグで書いてあります。


…3回裏は先頭の雄介が倒れ、続く俺と亮一はフォアボールで出塁するも、ピンチに強い敬さんの本気のピッチングによって、浩樹くんはショートゴロ、尚之はレフトフライに倒れてしまった。

その後の4回表…

この回は香輝さんからの攻撃…

 

流星(…頼むよ…雄介…)

 

俺は少しばかり祈るような思いでサインを出したが…

カーン!

…香輝さんは3球目のストレートを思いっきり引っ張った。

 

流星(っ!?これはまずい!)

 

香輝さんも確信したような表情を見せ、追加点が入るホームラン…

…になろうとした時だった。

 

亮一「させねぇよ!」

 

亮一がなんと、壁をよじ登ってキャッチしたのだ。

ホームランキャッチというファインプレーに、江戸川橋高校ナインは一斉に手を上げて拍手した。

香輝さんも驚いた表情を見せ、頭を傾かせた後なくなくベンチへ下がった。

 

蘭「亮一…すごい…」

モカ「さすが亮一〜、未来のプロ候補〜」

ひまり「頭良くて野球できてかっこいいなんて…いいなぁ〜」

レイ「亮一くんって、頭良いの?」

蘭「江戸川橋高校の中でトップクラスなんだって」

ますき「そりゃすげぇや…」

 

続くポールさんはサードゴロ、敬さんはストレートに引っかかってキャッチャーフライに倒れ、4回表が終わった。

4回裏では、道紀くんがレフトフライに倒れるものの…

 

蓮二「フンッ!」

 

ミスター普通の蓮二がレフト線ギリギリを攻めるヒットで、しかも全力疾走によってスリーベースになった。

 

彩「すごーい!蓮二君!やるねー!」

千聖「今のは難しいボールだったけど…よく持っていったわね」

日菜「もー!お兄ちゃん何やってるの!?」

紗夜「日菜、少し落ち着きなさい…」

 

それでも、敬さんのピッチングはすごく、続く良一がサードに打球が飛び、ワンバウンドをしていた事と前進守備のため、バックホームで蓮二が刺されて1アウト、良一も刺されて2アウト、合計3アウトでチェンジとなってしまった。

そして、5回表…

6番のポールさんをフォアボールで出塁させると、7番の桜木さんはバントを決めて1アウト2塁にさせた。

8番の神楽坂さんは空振り三振に切って、続くは…

 

流星(…聖さんか…)

 

侮ってはいけない選手とはいえども、心の中で少し余裕が生まれていた俺は…

 

流星(…ここは引っかけさせる球で。そろそろ疲れてきてるだろうが、ここは我慢してくれ)

 

と、雄介にサインを送った。

俺は早く終わるだろうと、少したかをくくっていた。

しかし、聖さんは俺の思いを見事に打ち砕いた。

初球のドロップカーブを見事にすくい上げた。

ボールはセカンドの上を超え、レフト前に行った。

ポールさんはそれを見て本塁へ猛ダッシュ。

バックホームしたが、ボールは本塁から離れてしまい、ポールさんは滑り込んでホームインした。

 

流星(…やっちまった…)

 

先程の自分に怒りたい気持ちが湧いていた。

これで3-1となってしまった。

さらには新城さんにも打たれてしまい、2アウト2、3塁となったが、光次郎さんはサードフライに打ち取ってチェンジとなった。

 

流星「雄介、お疲れ。今日はここまでだ。ありがとな」

雄介「いいって。俺もいいピッチング出来たと思うよ。引っ張ってありがとな」

流星「俺なんかまだまだだっつうの。さっきちょっと気持ち緩んじまったからな…今日はお前がよく頑張った」

 

そして、ベンチで次に投げるピッチャーを言った。

 

流星「次はカズ!6回から行くぞ!」

一彦「わかった!」

 

一方のスタンドでは…

 

リサ「…雄介君、変わるみたいだね…」

友希那「そうね…」

燐子「今日は…残念でしたね…」

友希那「仕方ないわ。雄介は頑張ったもの。まだまだこれからよ。雄介」

 

友希那さんが雄介に、自分なりに応援の言葉をかけた。

そして、点差を広げたブラックサンダースベンチで敬さんと常盤さんが話をしていた。

 

敬「これで2点差…だけど、なんか物足りないなぁ…」

香輝「プロらしくドーンと行っちゃえばよかったんすけどねぇ…意外としぶといっすね、江戸川橋高校」

敬「なんせ、アンダーの日本代表を6人揃えている。並大抵のチームではないからな…」

香輝「あと、うちの打線が奮起しなきゃですね…」

敬「ただ、次の回は出来ないかもよ…」

 

そんな敬さんの言う通り、ここからしばらくは試合が何も動かなかった。

時々得点圏に行くこともあるが、結局点が入ることがなかった。

動いたのは7回裏の攻撃。

先頭の道紀くんが、敬さんの高めに浮いたナックルを叩いてツーベースヒットとなり、ノーアウト2塁になった。

 

流星(敬さんはピンチに強いタイプ…どうやって打ち崩せるか…)

 

早く攻略したい俺の思いを、あの男が見事に決めてくれた。

続く蓮二はバントを選択して、それをきっちり決めて1アウト3塁。

ここで打席には、良一が入った。

そこで、俺はいつもの、良一のスイッチが入る瞬間を見た。

これで俺はさっきの思いが確信に変わった。

 

敬(…なんだ?この嫌な雰囲気は…)

聖(この子…さっきと何かが違う…)

 

違和感に気づいた敬さんと六道さんだったが、その違和感の正体に気づかぬまま1球目、アウトローのストレートを投げた。

良一はそれを…綺麗にレフト方向へ打った。

打球の勢いはとどまることを知らず、レフトの神山さんはただ見守るしかなかった。

2ランホームラン…これに江戸川橋高校ベンチは騒がずにはいられなかった。

 

流星「あいつ、やったぞ!」

亮一「ナイスすぎりょー!」

蓮二「ナイスホームラン!」

 

まるでサヨナラ勝ちしたかのように、このホームランに俺らは驚き、喜んだ。

 

敬「…今のを引っ張ってホームラン…見事だな…」

聖「確か、さっきの杉浦ってやつも日本代表だったな…下位打線にいるから油断してしまった…」

敬「仕方ないさ…これはお見事、その一言に尽きる」

 

そして、スタンドでは…

 

こころ「良一!すごいホームランだったわよ!やったじゃない!」

はぐみ「すごいすごーい!すごいよ!プロからホームランだよ!」

美咲「今のをホームラン…すごすぎるよ…」

 

良一と一緒にいるハロハピのメンバーが、ジャンプしながら良一のホームランに喜んでいた。

 

香澄「さっきの尚之くんのホームランもすごかったけど、良一くんのホームランもすごーい!」

有咲「良一くんって、練習を人一倍努力してやってるって、流星から聞いたけど…それが花咲いたって感じか?」

沙綾「そうだね…このまま流れに乗って欲しいなぁ」

 

その後、江戸川橋高校の攻撃は連続で凡退となり、チェンジとなった。

そして、この回から登板するのは…

ズドンと大きなキャッチャーミットに収まる音が聞こえる球を投げる、チームのネクストエース、木下匠くんだ。

 

あこ「あ!匠くんだよ!ロック!」

六花「匠くん、ファイト〜!」

 

スタンドの六花ちゃんは、精一杯の声を出して匠を応援した。

そんな応援の力なのか、匠は149キロの球をほうりなげてきた。

149キロのストレートを見たブラックサンダースのメンバーは、思わず士気が下がりそうになっていた。

 

敬「あんな球を投げるのかよ…」

聖「直球もそうだが、スライダー、シュート、スプリットのキレもチームの中では1番だ…用心しなければ…」

 

といいつつも、ブラックサンダースの攻撃は、匠くんの力投の前に、8回は完全にひれ伏してしまった。

スライダーで打ち上げてフライ、シュートで詰まってゴロ、スプリットに振らされて三振、極めつきは直球で押されてしまっている状態だった。

この日の匠くんはどの球も走っていた。

 

敬「いやいやいや…あれは無理だな…スライダーもシュートもスプリットもエグい…」

香輝「おまけにストレートが速くて重い…勝てますか…これ…」

敬「さぁな…」

 

敬さん達はこのまま点が取られないんじゃないかと心配になったが、今は試合に集中しようと、頭を振った。

一方の江戸川橋高校の攻撃は、良一のホームランで勢いに乗りたかったが、こっちも結局敬さんの前に凡退続き、出塁も出来なかった。

 

流星「…これ、決着つくか…?」

尚之「今回は延長はなしだから、9回で勝ち越さなかったら引き分けだ…うちとしては上々だが、やっぱ勝って終わりたいな…」

 

そして、何も試合が動かないまま、9回まで来た。

9回表…この回は香輝さんからの攻撃だったが、香輝さんは5球目のスプリットに手を出してしまい、空振り三振。

続く神山さんは、初球のシュートを詰まらせ、ショートゴロになってしまった。

そして、最後の打席には…

 

敬「よろしくお願いします」

 

…敬さんだ。交代は無し。ここで抑えれば俺ら江戸川橋高校の負けは無くなる場面だ。

 

敬(…ここは集中しよう…琉球ブラックサンダースの面目を保つために!)

流星(おそらく敬さんは気合を入れているな…)

 

俺はここでタイムを入れて、マウンドへ駆け寄った。

そのタイミングで、俺は内野のみならず、外野も呼んだ。

 

匠「どうしたんですか?秋山先輩」

流星「いや、お前らに少し、謝りたくて…」

尚之「どういうことだ?」

流星「…この打席、匠にはストレート一本でお願いしたい」

亮一「マジで!?相手プロだぞ!?」

流星「でもな…敬さんは、この打席に強い想いで立っている。ならば、俺はそれに応えたい。匠には、辛いピッチングになるだろうし、守備には思いっきり動いてもらうかもしれない…それでも、この打席だけは…ストレート一本で行かせて欲しい」

蓮二「…わかった」

浩樹「秋山先輩が言うのなら、僕はそれに従いますよ」

匠「その通りだ!秋山先輩!俺のストレート、受け止めてくださいね!」

 

俺のわがままに、メンバー全員が覚悟を決めて頷いてくれた。

 

流星「…これが、この試合を決める重要な打席だ。ホームラン打たれる覚悟で行くぞ!」

『オイ!』

 

俺が最後の戦いに向けて声をかけ、気合を入れ直した。

 

流星(…匠…いいな…)

匠(OKです…秋山先輩!)

 

そんな俺の様子の変化に、香澄は敏感に反応した。

 

香澄「…りゅうくん、なんか変わった?」

 

そして、敬さんに投げた1球目…インハイのストレート。これは外れてボール。

 

敬(おっと、グイグイ来るね…)

 

2球目はインコース真ん中のストレート。これは中に入ってストライク。

 

敬(…2球連続ストレートか…もしかするとな…)

 

3球目はアウトローのストレート。これも入ってストライク。

 

敬(…ストレート勝負か…なら…)

流星(次が…勝負!)

 

そして4球目…高めの、匠の渾身のストレートが来た。

 

カーン!!!!

 

…木製バットの気持ちのいい音が聞こえた。

敬さんは確信歩きをした。

これは打った瞬間、わかる当たりだった。

 

流星(…やっぱすげぇや、敬さん…)

 

俺は思わず脱帽したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合は4-3で、琉球ブラックサンダースの勝ちだ。

お互いに悔いのない試合だったため、最後の挨拶はとても清々しかった。

そして、俺ら江戸川橋高校ナインは、琉球ブラックサンダースの選手にサインや写真を撮ってもらったりして、試合後も有意義に過ごした。

そこへ…

 

香澄「りゅうく〜ん!負けちゃったよ〜!」

 

香澄が泣きながら走ってきて抱きついてきた。

 

有咲「お前が負けたわけじゃねぇだろ!ったく…流星は残念だったな…負けちまって…」

流星「悔いはないよ。練習試合だし、さすがプロってことだよ」

りみ「そうだね。特に紗夜先輩、日菜先輩のお兄さんがすごかったよ〜」

沙綾「あんなホームラン見せられたらね…」

たえ「本当にすごかった」

 

ポピパのみんなと合流して、今日の試合について話していると…

 

敬「…流星くん、今日はおつかれ様」

 

紗夜さんと日菜さんを連れた敬さんがやってきた。

 

流星「敬さん、今日は本当にありがとうございました」

敬「いいって。今日は楽しい一日になったよ。君とは、今度はプロの世界で戦いたくなったよ」

流星「そう言ってもらえると光栄です。プロで戦えるように、努力します」

敬「あぁ、待ってるよ、流星くん」

 

こうして、俺は敬さんとプロの世界で戦うことを約束して、プロチーム対高校野球部の試合は幕を閉じた…

ちなみに、敬さんに俺とポピパ全員が付き合っていることを話すと…

 

敬「…お前、たらしだろ…」

 

と、いつものツッコミをぶちかまされただった…

 




いかがでしたでしょうか?
元はD-generation SさんとのTwitterでの絡みをきっかけに書いてみました。
こんな感じで良かったのだろうかと、毎度の緊張が拭えなかったのですが、D-generation Sさんに喜んでもらえたので良かったです…
今回のD-generation Sさんの作品『双子の兄は努力をした天才』と、D-generation Sさんのプロフィールのリンクを下に貼りますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!
『双子の兄は努力をした天才』↓
(引退より削除されました)
D-generation Sさんのプロフィール↓
(引退より削除しました)


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最新話
3期2話〜スカウトの先には…〜


どうも、VOSEです。
お待たせしました。2ヶ月ぶりの投稿です。
と言いつつ、3500文字程度の短い文ですが、よろしくお願いします、
では、本編どうぞ!


…六花ちゃんのスカウトの噂は、江戸川橋高校にまで広がっていた。

今のガールズバンド5組の他に、RASのファンも急増し、そこから広まっていった。

六花ちゃんがスカウトされたことによって、もちろんこいつが黙っているわけなく…

 

匠「ガハハ!うちの六花がスカウトされたようだな!ようやくその才能を見てくれる奴が現れたってことだな!」

 

…匠が部室で大声で嬉しそうに雄叫びをあげていた。

匠と六花ちゃんの関係は、匠によって江戸川橋高校中に知れ渡ったため、匠に集中砲火が来る羽目になったのだが、当の本人はスカウトされた理由を聞かれると

 

匠「分からん!」

 

と、清々しいほどの笑顔で言い切っていた。

 

流星「…しかし、どこでチュチュは六花ちゃんのことを知ったんだ…」

一彦「おそらくこれじゃない?」

 

一彦が俺に見せたのは、俺が頭部死球でいなかった時のライブの様子だった。

そこには六花ちゃんがメガネとシュシュを外してギターを弾いているのが見えた。

この演奏に、俺は思わず聞き入ってしまった。

 

匠「…どうすか?先輩!」

流星「うわっ!匠か…うん、かなりすげぇよ…これはびっくらこいた…」

匠「俺は何度も聞かさせてもらってますよ!六花の演奏を聴くたびに、心に火が付くんですよね!」

一彦「これ以上ない褒め言葉だな…六花ちゃんには言ったのか?」

匠「いえ、全く!あいつは褒めると照れてしまうので!」

流星「お前が言うとわかってるのか、わかってないのか、わからねぇじゃねぇか…」

 

俺は思わずあきれ返ってしまったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その日の放課後、俺は香澄達と蔵にいた。

というのも、今回の『BanG Dream!ガールズバンドチャレンジ!』の出場を決めたというので、この後のスケジュールの方針などを決めるために集まったという感じだ。

 

流星「…しかし、うちの学校でも六花ちゃんのスカウトの話すげぇよ…噂が半端ない」

香澄「りゅうくんのところでもそうなの?」

流星「あぁ…まぁ、うちの脳筋野郎が六花ちゃんと付き合ってるからな…」

有咲「脳筋野郎…?あぁ、匠くんか…」

沙綾「そういえば、夏祭りで告白したんだっけ?すごいよね…」

流星「俺らも1年で付き合い始めたんだから大して変わらないだろ…」

 

と、いつものように雑談していきながら、スケジュールを決めていった。

 

流星「…そういや、この前なんで六花ちゃんがあのチュチュに知られるようになったかって話、してただろ?」

りみ「うん。それがどうしたの?」

流星「実は今日、カズに教えてもらったんだけど…これ」

 

俺は携帯を出して香澄達に見せてもらった動画を見せた。

 

香澄「何これ、すごい!」

たえ「うん、痺れる…」

有咲「あー、これか…これは確かにすごかったなぁ…」

 

当時その場にはいなかった香澄、おたえは六花ちゃんのギターの技術に度肝を抜かれた様子だった。

 

流星「俺も最初見たときは別人じゃねぇか?なんて思ったけど…何度見ても六花ちゃんなんだよな…おそらくチュチュはこれを見て六花ちゃんのスカウトを決めたんだと思う…」

有咲「なるほどな…」

流星「あとは、六花ちゃん次第だと思うけどね…」

 

実はスカウトの公表の時、六花ちゃんはわけがわからなかったのか、すぐに断ったのだ。

これからどうなるのか心配なのだが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方その頃、匠はこの後の『Galaxy』でのバイトに備えて向かっていると…

 

六花「ひぃぃぃぃっ!」

 

六花ちゃんがあわててどこかへ走っているのが見えた。

 

匠「…六花?」

 

匠はその六花の後を追いかけた。

 

匠「…よぉ!六花!」

六花「た、匠君!?どうして!?」

匠「たまたま見かけたからな!運動か!?」

六花「ち、違うの!今、追いかけられてて!」

匠「追いかけられてるだと…?」

 

匠はふと、後ろのほうを見ると、ものすごい勢いで走ってきているパレオちゃんの姿をとらえた。

 

匠「なるほどな!それじゃ、俺についてこい!」

六花「え!?」

匠「俺はここの土地勘はいいからな!ちゃんとついて来いよ!」

 

匠はそういうと、六花ちゃんの前へ走り、先導した。

 

六花「あ、ありがとう、匠君!」

 

そんな匠の先導によって、パレオちゃんとの距離を広げることができた二人は、とりあえず近くの商店街へ逃げることに…

そこでたまたま着いた先は…

 

はぐみ「あ!ロック!それに匠君も!」

匠「あ、はぐみ先輩!」

 

はぐみが今店番をしている北沢精肉店だ。

 

はぐみ「どうしたの?二人して」

六花「北沢先輩!しばらくかくまってくれませんか!?」

はぐみ「え?どういうこと?」

匠「説明は後で!とりあえずお願いします!」

はぐみ「それだったらはぐみの足元とかはどう?」

六花「は、はい!お願いします!」

 

ということで、六花ちゃんははぐみの足元でしばらくかくまってくれることになった。

匠は先に『Galaxy』に言っていると告げ、北沢精肉店から離れた…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…匠と六花ちゃんの逃走劇から数分後…

さすがに走りつかれたチュチュは都電の電停にある自販機で飲み物を買おうとしていた。

 

チュチュ「くっ…こんなことで飲み物が買えないなんて…パレオ~!どこ~!」

 

と、チュチュが嘆いていると…

 

友希那「…飲み物を買いたいの?」

 

これからレッスンへと向かう友希那さんが現れた。

 

チュチュ「湊友希那!?」

 

突然の敵の出現に、チュチュはひどく驚いた表情を見せたもののすぐに冷静になり、友希那さんに飲み物をおごってもらった。

なお、チュチュは基本お金は持ち歩かない主義であるので、現金を持ち合わせて今買ったのもおごってもらった理由の一つだという…

ここで、たまたま通りかかった雄介が、チュチュと友希那さんが一緒にいる光景を見かけた。

 

雄介「…友希那?それに、あそこにいるのは…」

 

雄介は少し不安になって、柱に隠れて会話を盗み聞きした。

 

チュチュ「…まさか敵にコーヒーおごられるなんてね…」

友希那「敵?」

チュチュ「ねぇ、返事を聞きたいんだけど」

友希那「返事?」

チュチュ「言ったわよね?今度のガールズバンドチャレンジで、ロゼリアをぶっ潰すって。RASはそのためのバンドよ。私が作ったPerfectなバンドなのよ」

友希那「…私があなたのスカウトを断ったのは、Roseliaは、あなたの音楽を奏でる場所じゃないからよ」

チュチュ「私の音楽を求めて何がわるいの?音もメンバーもPerfectな音楽を作るのに、妥協なんていらないでしょ?」

 

その後、都電がやってきて、リサさんが都電から降りてきた。

それと同じタイミングで、チュチュは…

 

チュチュ「御馳走様。偉そうにしているのも今のうちよ。Bye」

 

捨て台詞を吐くかのようにその場を去っていった。

その様子を見た雄介は、ようやく物陰から姿を現した。

 

雄介「…つくづく頭にくる奴だな」

友希那「…聞いていたのね、雄介」

雄介「たまたま通りかかっただけなので」

友希那「そう…」

リサ「それじゃ、行こっか、友希那…」

 

リサさんがそう言ってスタジオへ向かおうとしたが、友希那さんはチュチュの後ろ姿をじっと見つめていた。

何か思うところがあるかのように…

 

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…その日の夜…

 

六花「…はぁ…ここまで来とらんね?」

 

六花ちゃんは『Galaxy』のスタッフルームの入り口の垂れ幕からじっとスタジオを覗いた。

 

匠「…大丈夫か?六花」

六花「た、匠くん…うん…ちょっと平気かな…」

匠「あんま無理すんじゃねぇぞ。さっきオーナーから、スタジオ自由に使っていいって言われたから、練習頑張れよ」

六花「ありがとう、匠くん」

 

匠は最後の仕事をこなす為、スタッフルームの奥の方へ入っていった。

六花ちゃんはお言葉に甘えて、スタジオで持ってきたギターを思う存分弾いた。

そんな六花ちゃんのギターをBGMにして、匠は最後の仕事をこなし、再びスタジオへ向かうと…

 

ますき「…来いよ!」

六花「へ?…ひぃぃぃぃぃっ!」

 

六花ちゃんがますきに連れられる光景を見たのだ。

 

匠「六花!?」

 

匠はすぐに追いかけたが、ますきは六花ちゃんをバイクに乗せて走らせたので、さすがの匠でもこれ以上追いかけることはできなかった。

 

匠「…なんなんだ?」

 

それから数十分後、六花ちゃんから匠の携帯へ電話が来た。

六花ちゃんに呼ばれて向かったのは、近くの大きな高級マンションだった。

 

匠「六花!」

六花「匠くん!来てくれて…ありがとう…」

 

六花ちゃんは少し気分を落としていた。

 

匠「…どうしたんだ?」

 

匠はすぐに六花ちゃんに何があったのか聞いた。

 

六花「うん…この前、RASさんにスカウトされたって言ったでしょ?」

匠「あぁ!すごいことだろ!」

六花「うん…それで…さっき…私の演奏聴いてもらったんだけど…」

 

六花ちゃんは声が消え入りそうな感じで話した。

匠は全てを察し、六花ちゃんをそっと抱きしめた。

 

匠「…今日は帰るぞ。六花」

 

匠はそう言って、六花ちゃんを抱きながら帰宅したのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
実は構想は練っていたのですが、なかなかうまく作れなかった節がありまして…ようやく形になったので、投稿させてもらったような感じです。
この後も出していけたら出す予定なので、今後ともよろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!


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3期3話〜諦めない気持ち〜

どうも、VOSEです。
今回も3600字程度の短い文ですがよろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


…六花ちゃんがRASを不合格にされたことは、匠から聞かされた。

俺としては、あんなに大々的に言っておいて結局落とすなんてのは、ものすごく腹立たしいことではあるが…

匠は今回の六花ちゃんの件に関しては、俺以外には誰にも話していないという。

匠なりの気遣いだろう。

俺は香澄達に言おうかどうか迷ったが、それこそ香澄達が逆に心配しすぎてガールズバンドチャレンジに集中出来なかったらどうしようもないと思い、今回は伏せておくことにした。まぁ、おそらくいつかは香澄達の耳に届くからね。

俺はとりあえず、その日はいつものように匠やピッチャー陣、キャッチャー陣を連れて投球練習を行うことにした。

 

流星「しかし、あのチュチュってやつ、スカウトしておいて結局落とすなんてな…」

 

俺と匠は練習の合間の休憩中で、六花ちゃんのことについて話した。

 

匠「まぁ、そのRASってバンドには合わなかったことじゃないか?俺のロックはすごいからな!」

流星「それならいいんだけど…」

 

俺はとりあえずはぁとため息を吐きながら、練習に戻るべく、ポジションについた。

この日の匠は、球速は変わらないものの、変化球のキレや球のノビがいつもより良くなかった。

匠はさっきの休憩中もけろっとしていたが、あいつも六花ちゃんのことが心配なんだろう…

 

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…その日の放課後、俺は香澄達に呼ばれて蔵に来ていた。

今回のガールズバンドチャレンジで出す新曲についてだった。

 

流星「よぉ、来たぜ」

香澄「あ、りゅう君!」

 

俺が蔵にくると、香澄たちがノートとにらめっこしていた。

そのノートを見ると、『step×step』という曲名が書かれていた。

 

流星「これが新曲の歌詞か?」

香澄「うん!」

有咲「流星も見てくれないか?」

 

有咲に言われて、俺はその歌詞を見た。

それを見た俺は、直感であることに気が付いた。

 

流星「…これ、六花ちゃんのこと言ってないか?」

 

歌詞に出てくる『ロック』という言葉が、六花ちゃんのあだ名のことを指している感じだった。

 

沙綾「あ、気が付いた?」

流星「まぁ、これも直感なんだが…なんでこんな歌詞に?」

りみ「実はね…」

 

香澄たち曰く、六花ちゃんはバンドをやりたいと願っているのだが、何かでためらっている様子であり、自分に素直になれない様子であるというのだ。

 

流星「…なるほど…それで、六花ちゃんに向けての応援ソングという位置づけか…」

有咲「そういうこと、これでとりあえず作曲していくという感じだな」

りみ「それで考えているのはね、みんなで足踏みしながらやろうかなって」

流星「それライブでか?ということは…沙綾はどうすんの?」

沙綾「私はスネアドラムで立ちながらやろうかなっておもってるよ。有咲は手持ちのキーボードにするよ」

流星「マジで!?お金は…もしやだけど…」

有咲「あぁ…うちの千曲川を…」

 

そういった有咲の目がかなりうるんでいた。

 

流星「マジか…」

有咲「でも…ロックのために…今回は犠牲にする…」

流星「…そこまで本気か…」

 

俺は今回のポピパの本気に、六花ちゃんの心のつっかりがなくなることを願った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…一方、その頃、『Galaxy』にて…

 

六花「…はぁ…どうしたらええやろ…」

 

六花ちゃんがステージを清掃中にずっとため息しながらボソッとつぶやいていた。

 

匠「…ロック、大丈夫か?」

 

見かねた匠が六花ちゃんのもとへ向かった。

 

六花「ふぇ!?匠君!?う、うん、大丈夫だよ…」

匠「どう見えても大丈夫じゃねぇな…」

 

匠はそういうと、ステージから観客のほうへ見た。

 

匠「…ここからの景色、こんなんになってんだな!」

六花「うん。でも匠君って上ったことなかったっけ?」

匠「ん?そうだったか?」

六花「そうやろ!だって、ここの手伝いよくしてくれているから!」

匠「あはは…でも、ここでライブができたら、お客はどんな顔するんだろうな!」

六花「うん…」

匠「…ロックが好きなポピパは、いったいどんな景色見てるんだろうな」

 

匠の言葉に、六花ちゃんは少しどきりとした。

 

六花「た、匠君?」

匠「六花は、バンドやりたいんだよな?」

六花「…うん…でも…」

匠「RASは確か、ポピパを目の敵にしているだったな!でも、それがなんだ!」

六花「え!?」

 

匠の一言に、六花ちゃんは驚きの表情を見せた。

 

匠「好きなバンドの敵に回ることはそら気が引けるかもしれねぇし、俺だっていやな気持ちがある。でも、こうやって仲良くしてくれているからこそ、ポピパの皆さんも、ロックが全力で楽しんでほしいと思ってるはず!」

六花「そうなんかな…」

匠「俺は少なくともそう思ってるさ!それに、俺はロックの彼氏であり、お前のファンだ!たとえ何言われても俺はロックを応援するさ!」

六花「は、恥ずかしいよ~、匠君!」

匠「でも、それはポピパの皆さんもそう思ってるんじゃないか?」

六花「そうかな…そう思ってくれたら嬉しいんやけど…」

 

六花ちゃんはそう言いつつも、少し明るさを取り戻し、匠と共にステージの掃除を行ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そしてライブ当日…

この日はお客さんがわんさかとやってきていた。

もちろん俺も観客の1人として見に来ており、明日香ちゃんと同じ席で香澄達を見ることにした。

 

流星「しかし、明日香ちゃんも見に来るなんてね…てっきり興味がないものかと…」

明日香「まぁ、お姉ちゃんが出てるし、見てもいいかなって思ったので…」

 

と、ライブの様子を見ていたところへ…

 

六花「明日香ちゃん、お待たせ」

匠「先輩、お疲れっす!」

 

一仕事を終えた六花ちゃんと匠がやって来た。

 

六花「そろそろポピパさんやるんやね〜」

流星「そうだな。今日がガールズバンドチャレンジの初戦だからな。頑張って欲しいところだ」

六花「私もそう思います!」

 

そして六花ちゃんはふと、ステージの方を見ると…

 

六花「…あれ?楽器が…違う?」

 

有咲と沙綾の楽器が違うことに気がついた。

これは、今日のために用意した、香澄達なりのサプライズである。

 

香澄「皆さんこんにちは!」

『Poppin’partyです!』

 

ついに香澄達のライブが始まった。

最初のMCは特に問題なく順調だった。

そして…

 

香澄「では、早速新曲やります!」

 

香澄の一言で、六花ちゃん含め観客の人達が大いに盛り上がった。

六花ちゃんに至っては…

 

六花「新曲!?」

 

と、目をキラキラさせながら言っていた。

 

たえ「この曲は、ポピパの大切な友達を思って作った曲です」

六花「え?」

 

おたえの新曲のあらましを聞いた六花ちゃんは、すぐにキョトンとなった。

 

りみ「何か悩んでいることがあるかもしれないけど、自分の好きな事が出来る様にと思って、作った曲です!」

有咲「今日は5人で歌います!」

沙綾「聞いてください!」

香澄「『step×step』!」

 

こうして、香澄達のサプライズ曲が流れた。

最初のサビの途中まで聞いていた六花ちゃんは、香澄達が作ったこの歌詞に心を打たれ、何か決したのか、髪を結んでいたシュシュを取ってその場から離れた。

 

明日香「ロック?」

流星「…匠、行ってやれ」

匠「言われなくても!」

 

匠は六花ちゃんを追いかけるようにその場を離れた。

六花ちゃんはギターを引っ提げて会場から離れ、匠は何も持たずに六花ちゃんの隣についた。

『Galaxy』から出た2人は、都電の駅へと向かった。

 

六花「匠くん…匠くんの言う通りやった!ポピパさんは…ポピパさんやった!」

匠「だろ!?ポピパの皆さんは、六花のことを思ってくれてるんだ!お前も…その気持ちに応えないとな!」

六花「うん!…きゃぁっ!」

 

六花ちゃんは走ってる途中、転びかけた。

それを匠が手を繋いで引っ張った。

 

匠「大丈夫か!?」

六花「うん!」

 

その後も手を繋いで走った2人だったが、残念ながら都電には間に合わず、これ以上行く手段がなかった。

 

匠「間に合わなかったか…」

六花「そうやね…他に何か…」

 

と悩んでいたその時だ。

 

ますき「…よぉ、ラブラブの2人とも」

 

ますきがバイクに跨っていた。

 

六花「ますきさん!」

 

と、六花ちゃんが言ったその時、匠が六花ちゃんの背中を押した。

 

六花「きゃあっ!た、匠くん!?」

匠「行ってこいよ!待ってるからさ!」

 

匠はそう言うと親指を立てて、満面の笑顔を見せた。

それを見た六花ちゃんは、少しときめいたあと、すぐにキリッと表情を変えてますきのバイクに乗り込んだ。

その後ろ姿を、匠はずっと笑顔で見送った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…その後、匠から六花ちゃんのRAS入りが認められたと連絡が来た。

匠は自分のことのように六花ちゃんのRAS入りを大いに喜んでいた。

 

流星「…それで、今日は六花ちゃんのとこに行くのか?」

匠「はい!ロックのギターを聞きに行くので!」

流星「了解。んじゃ、とりあえず今度、俺の持ってるギターの本あげるわ。それで少しは勉強しとけ」

匠「ありがとうございます!」

 

匠はとびっきりの笑顔で返事したのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
そろそろ書かないといけないと思ってきたので、夜中でなんとか書き上げました…
なので、内容の保障は(いつものように)ありませんのでご了承下さい…
では次回、お会いしましょう!


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Afterglow編~甘いホワイトクリスマス~

どうも、VOSEです。
色々と事情が事情で書くモチベーションが上がってないので、今回は溜めてたストーリーの放出となります。
まぁ、3000文字程度の作品…と言ったらこれで察しのいい人は今回のストーリーはどうなるかわかるかな?w
とりあえず今回はアフグロ編を公開します。
では、本編どうぞ!


…12月24日…

世間がクリスマスムードで盛り上がっているころ…

亮一は駅前の広場で待ち合わせをしていた。

 

巴「お!亮一!朝から早いな!」

亮一「よっ!巴も早いな!」

 

この日はAfterglowのみんなとクリスマスパーティの買い出しに来ていた。

元々はAfterglowの5人のみでやるパーティだったが…

 

亮一「なんで俺まで…?」

巴「亮一にはよくお世話になっているからな。そのお返しということだ」

亮一「お返しって…俺は何もしとらんぞ…」

巴「そんなことないだろ。よく作詞とかでヒントくれたりしているらしいしな」

 

巴がそう言ったのは、Afterglowの作詞を亮一も加わって作っているということだ。

もちろん、最終決定するのは蘭なのだが、今のところ没にされたことはない。

それほど亮一とAfterglowの感性は合っているということなのだ。

 

亮一「まぁ…そんな程度だけれど…」

巴「それでも意外と助かっているんだぜ?ありがとな」

亮一「こちらこそ」

 

と話していると…

 

ひまり「二人ともごめ~ん!」

 

ひまりがとことことやってきたのだ。

 

亮一「ん?もうそんな時間だっけ…」

ひまり「え!?…あ、ほんとだ…」

巴「まったく、ひまりはせっかちだな!」

ひまり「だって、二人とも先に着いていたから~!」

亮一「はい、言い訳は後で」

ひまり「ひどくない!?」

巴「まぁまぁ、早いことに損なんてないからさ。さ、ちゃっちゃと買い物をしてつぐみのところに行くぞ」

ひまり「おー!」

亮一「立ち直りはや…」

 

今日はひまりと巴と亮一で、クリスマスパーティーの買い出しをすることになった。

蘭とモカはちょっとした用事で外しており、つぐみは珈琲店の手伝いで行けないことから、この3人でやることになった。

 

亮一「いやぁ、しかしこうやってお前らと仲良くなるなんてなぁ」

巴「あははっ、確かにそうだな!たしか、夏の…」

ひまり「やめて!思い出させないで!」

亮一「それはごめん」

ひまり「ちょっと!笑いながら言うのやめてよ!怖かったんだからね!」

 

と、笑いながらショッピングモールの中を歩いていると…

 

亮一「…ん?」

 

亮一はふと、ある一点を見つめた。

それは、用事があると言って今回の買い出しに来ていない蘭とモカがエスカレーターに乗っているところだ。

 

亮一「…気のせいかな…」

 

亮一は人違いだと思い込み、そこは気にせずに巴達の後を追った。

 

ひまり「うわぁ!美味しそうなケーキ!」

亮一「たしかにそうだけど…ハードル高くね?」

巴「うっ…確かに…金額の桁が違いすぎる…」

亮一「それやったらこっちはどうっすか?」

ひまり「えぇー!ちょっとダサくない!?」

巴「確かにリーズナブルだけど…ひまりの言う通り、どこか華がないんだよなぁ…」

 

そんなこんなで巡り巡った結果、ケーキは亮一とひまりが妥協したストロベリーホールケーキ、オードブルは豪勢なものを買い、買い出しを終えた3人は羽沢珈琲店へ…

 

亮一「…ふひぃ…寒すぎ」

つぐみ「あ!3人ともいらっしゃい!今日は7時までやるから、それまでちょっと待ってて!」

 

つぐみはそう言って、慌ててキッチンへと向かった。

その間、巴は亮一にふと、こう質問した。

 

巴「そういやさ、亮一は女の子とかに興味あんのか?」

亮一「んっ!?」

 

コーヒーを飲んでいた亮一は、その質問に思わず吹き出しそうになった。

 

亮一「いや、唐突だな!?どうした!?」

ひまり「いや、亮一君も人並みに恋ってするかなぁって」

亮一「まぁ…人並みには…実際気になるのはいますし…」

巴「へぇ?誰なんだ?私達の知ってる奴なのか?」

亮一「まぁ、知ってる奴だけど…」

ひまり「誰!?教えて!教えて!」

 

亮一は言いたくはなかったが、このままだと押し切られそうなので、仕方なく話すことにした。

 

亮一「…この事は内緒にしてくださいよ?」

ひまり「うんうん!」

亮一「…蘭が…好きっす…」

巴「おぉ!?マジで!?」

亮一「家柄が似てるし、なんとなく合って…気になってはいるけどね?ただ、蘭はそうでもない気がして…」

巴「まぁ、蘭はそういうのは興味なさそうだからな…」

ひまり「それで、いつ頃から気になり出したの!?」

亮一「いつからかはわからない…気がついたら、目で追ってた感じで…」

ひまり「ヒュー!純情だねぇ〜!」

亮一「からかわないでほしいなぁ…」

 

と、亮一が一口コーヒーを飲んだあと、店の入り口のベルが鳴った。

 

つぐみ「いらっしゃいませー!…あ、流星くん!」

流星「よぉ」

 

たまたま俺が店に寄ったのだ。

 

亮一「よぉ!流星じゃねぇか」

流星「亮一?なんでここに?」

つぐみ「今日はうちでパーティーやるんだ!」

流星「なるほど…てか、なんで亮一も?」

亮一「俺は招待されたんだ。いつもお世話になってるお返しだってさ」

流星「なるほどね…」

 

俺と亮一で、しばらくコーヒーを飲んで待っていると…

 

蘭「…お待たせ…」

 

蘭が店に入ってきた。

かなりのおめかしをして…

 

流星「あー…これは俺はちょいと抜けた方がいいよな…」

亮一「は?どうしてよ?」

流星「まぁ…今に分かると思うぞ?」

 

俺はそう言ってコーヒーを飲み干し、時間を見て外へ出た。

 

亮一「全く…なんなんだ?あいつ…」

 

亮一はその時、なんとなく察知はしていたが、気持ちを落ち着かせるために、ただ呆然としているふりをした。

 

モカ「お待たせ〜。どうかな〜?」

巴「いいんじゃないか?な、亮一」

亮一「いや、なんで俺に振るん?」

つぐみ「そりゃね?」

 

つぐみはまるでいたずらっ子のような笑顔で亮一に言った。

 

亮一「しかし、蘭がそんなにおめかしするなんて、珍しくね?」

蘭「う、うるさい…私だってこんなことしたくなかったのに…」

ひまり「でもすっごく似合ってるよ!」

蘭「あ、ありがとう…」

 

その後、夜7時になったので…

 

ひまり「それじゃ、クリスマスパーティーを開催しまーす!」

 

羽沢珈琲店貸し切りのAfterglowだけによるクリスマスパーティーが始まった。

 

亮一「…んで、何をやるんだ?」

つぐみ「と、特にないかな…」

亮一「ないの!?」

蘭「パーティーと言っても、いつもと変わらないから…」

モカ「唯一の楽しみは、つぐの家のケーキが食べられる事〜」

巴「あとはプレゼントとかかな?まぁ、この年になるとプレゼントなんてなんとなくわかってるからな」

ひまり「ただ1つ、私たちにもわからないプレゼントがあるんだ!」

亮一「わからないプレゼント?」

つぐみ「ね?蘭ちゃん」

蘭「っ…」

 

つぐみの言葉で、蘭は少し言葉を詰まらせた。

モジモジと指を動かした後、目を閉じて、意を決したように亮一に話した。

 

蘭「…あ、あの!亮一…もし…よかったらさ…私とさ…付き合ってくれませんか…?」

亮一「え!?」

 

亮一はまさかの展開に驚きを隠せなかった。

 

蘭「…私には…モカ、つぐみ、巴、ひまり…この4人で…ずっと一緒にいてくれた…そこへ…亮一が来てくれて…見ず知らずの私達にもずっと優しくしてくれて…私…いつのまにか…亮一に目が行ってて…」

モカ「本当はね〜、私も亮一の事が気になってたんだ〜」

亮一「モカ!?」

つぐみ「実は私も…」

ひまり「私も…」

巴「私もなんだ…」

亮一「みんなまで!?嘘でしょ!?」

モカ「本当だよ〜。でも…なんとなくだけど、亮一には、蘭がお似合いかなぁって」

つぐみ「最初、蘭ちゃんはそういうのに興味ないって言ってたけどね…」

巴「本当はずっと気になっていて…でもその事で音楽に支障が出たらって思ってたりしててさ…」

ひまり「でも、人生は一回きり!当たってダメだったら仕方ないって!そう言ってね…」

蘭「みんなが…押してくれたんだ…亮一…ダメかな…?」

亮一「だ、ダメなわけねぇ!俺だって…蘭の事が好きだ!俺だって、こうやって関わってから気になってたし…」

蘭「え…」

 

亮一の言葉で、蘭は驚きの表情を見せた後に、少し安堵の顔を浮かべた。

亮一はそんな蘭の元へ行き、優しく抱いた。

 

亮一「…蘭も同じ気持ちでよかった…これからもよろしくな…」

蘭「こ、こちらこそ…ありがとう…」

 

優しく抱き合っている様子を、モカ達は暖かく見守っていた。

そしてしばらくして抱き終え、亮一達はパーティの続きをした。

 

亮一「…あ、蘭。口にクリームついてるぞ」

蘭「ほんとだ。ありがと」

亮一「いいって」

蘭「そう言ってる亮一も付いてるよ」

亮一「あ、本当だ…お互い様だな」

蘭「そうだね」

 

冬の寒い雪の降る商店街の、心も体も暖かい喫茶店のパーティは、いつもより一段と明るい光を灯していたのだった…

 

 




いかがでしたでしょうか?
ここ最近あまり見てもらってないことが気かがりになっている俺なんですが、今はマジでそれがどうでも良くなるような緊急事態状態でなんとか頑張ってるので、今後ともよろしくお願いします…
久々にこの謳い文句も言わせてもらいます。
感想、評価等を是非ともよろしくお願いします。(ただし悪質な感想は厳禁)
では次回、お会いしましょう!


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