音楽家系の俺が同人ゲームを作ることになった件について (通りすがりの猫。)
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原作1巻
最初の出会い


アクマゲームの息抜きで書きます故に不定期更新となります、ご了承ください!


突然ではあるが、皆は豊ヶ崎学園といえばどのようなイメージをするだろうか?私立のお金持ち?自由な校風?それとも進学校?

 

確かにそのイメージは間違っていない。だがあの人達に関わったら君もそのイメージがすぐに破壊されるだろう...。

 

ここら辺で自己紹介をしておこう。俺の名前は榊原(さかきばら)真希(まさき)、豊ヶ崎学園1年生。両親は父がプロの音楽家で母が音楽の先生という音楽の家系に産まれた。だからこそ両親も才能があるに違いないと決めつけ音楽の勉強をさせられた。もしかしたら本当の子供ではないかもしれないと疑えればまだ幾分かマシだったかもしれない。

 

だが、俺は残念ながら絶対音感の持ち主だ、もう否定はできない。正直音楽は嫌いではないが好きでもない。だが職業にしたいかと言われたら嫌だと胸を張って言える自信しかない。だから俺は実家を飛び出し少し離れた豊ヶ崎に通うことに決めたのだ。

 

え?親が許さないだろうって?それは案外放任主義な父が許したに違いない...。中学の頃は定期テストで学年10位に入るレベルで頭は良かったからというのもまた1つの原因かもしれない。

 

だがまさか音楽の家系のせいであんなことになるとは...。そうだな...始業式のことから話そうか。

 

始業式が始まる前の教室で待機時間のときに暇で暇で仕方なかった俺は2年の教室の前の廊下を歩いていた、噂では2年生はやばいときいていたがそんな雰囲気もなく歩いていた。すると前から一人の先輩が歩いてきたので避けようとしたらその先輩が口笛をしていて咄嗟に

 

「琥珀色のコンチェルト...」

 

と呟いてしまったのだ、そう!それが原因だったのだ...。

 

「...!君も『琥珀色のコンチェルト』をやったことがあるのか!しかもこのBGMはクリア後イベント専用...もしかして通だな?」

 

「いや、オタクとかじゃなくてそのゲームの音楽の監修したの俺の父なんで...」

 

「君のお父さんが!?...ところで名前きいてもいい?1年生の君がこんなところにいるのはさすがにおかしいよな...?」

 

「俺は榊原 真希、暇だったから廊下を歩いていたらこんなことに...。先輩は?」

 

「俺か?俺は安芸 倫也!この学校の2年だ。そうだ!今日の放課後にこの教室に来てくれないか!?頼みがあるんだ!」

 

「わ、わかりました。それじゃあそろそろ教室に戻るんで放課後に会いましょう」

 

「うん!待ってるからな!」

 

こうして俺の高校生活は始まったのであった。



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二人の先輩 え?一人忘れてる?

放課後になって俺は安芸先輩のいる教室に向かった。中から声がきこえたので俺は入っていくことにした。

 

「失礼しま~す、安芸先輩いますか?」

 

「お?来てくれたか!」

 

中にいたのは安芸先輩の他に三人の女性がいた。一人は安芸先輩と話していた金髪ツインテールでとあるところがない(どこがとは言わない)人でもう一人の方は黒髪ロングでとあるところがある(どこがとはry)人、最後に存在感が薄い女性がいた。

 

 

「えっと~...安芸先輩、この人達は?」

 

「紹介するよ!この金髪が澤村・スペンサー・英々梨っていって俺と同じ同級生。それでこっちの黒髪ロングの人が俺の先輩で三年生の霞ヶ丘 詩羽先輩。最後に印象が薄いのが俺と同じクラスの加藤 恵!よろしくな!」

 

「いや、なんで呼ばれたかまったくわからないんですがよろしくお願いします」

 

「そうよ!いきなり何の前触れもなく放課後に呼び出されたと思ったら、こんな表紙だけの企画書見せられて、意味不明な演説聞かされて、ついでに理解不能なサークル勧誘されて、あげくのはてには素人を連れてきて、そりゃブチ切れたくもなるわよ」

 

「いや英々梨、真希は素人なんかじゃない!こいつの苗字は榊原だ。それだけ言えばお前ならわかるよな?」

 

「...っ!?榊原ってあの!?」

 

いや、どの榊原さんなんでしょうか...。

 

「けど、だからといってその息子に才能があるなんて思えないんですけど?それにあんたね、今までみたいに消費型オタでいるうちはまだ見逃せてたけど、なんの取り柄もないくせにいきなりゲーム作ろうとか世間舐めてんの?」

 

あ、この人達はゲーム作るんですね。初めて知ったんですけど...。ってことは俺はBGM担当になるのかな?最近趣味で始めたバンドに悪影響を及ばさないといいんだけどな...。

 

そんなことを考えていたら隣に霞ヶ丘先輩が隣にきて話しかけてきた。

 

「榊原君?貴方、私と昔どこかで会ったことがあったかしら?その顔どこかで見た気がして...」

 

「それならたぶん父のことじゃないですかね?テレビにもちょくちょく出ているようですし。」

 

「なるほどそうだったのね、ありがとう」

 

「いえいえ。霞ヶ丘先輩も安芸先輩に呼ばれて来たんですか?」

 

「そうよ。とりあえずあの二人をどうにかしないと...」

 

霞ヶ丘先輩が見ていた先にはまだ安芸先輩と澤村先輩が口論をしている姿があった。

 

「二人とも落ち着きなさいよ」

 

「っ...」

 

「せ、先輩...!」

 

「まぁ今回のことは、残念ながら私も澤村さんの意見に賛成だけどね」

 

「せ、先輩ぃ~」

 

そうして霞ヶ丘先輩と安芸先輩は二人の世界に入っていった。割り込む余地がなかったので俺は澤村先輩に話を聞きにいった。

 

「澤村先輩」

 

「ん?なによ?」

 

「安芸先輩の企画書はそんなに酷いんですか?」

 

「あんたもみればわかるわよ、はいこれ」

 

そう言って澤村先輩は俺に安芸先輩が作った企画書をみた。そこに書いてあったのは『名前、日付、同人ギャルゲー企画(仮)』の三点のみだった。

 

「ゲームの企画書なんですよねこれ?」

 

「あいつ曰くそうらしいわ、貴方がそう思うのも無理はないわ。」

 

確かに企画書なんてどう頑張ってもこれはいえない。こんなんで大丈夫なのかなと思っていたら、

 

「ねぇ!それより貴方のお父さんがあの榊原 光國(みつくに)って本当なの!?」

 

「そ、そうですよ...」

 

「琥珀色のコンチェルトよかったです!って伝えておいてほしいんだけど...」

 

「わかりました、父に伝えておきますね」

 

「ありがとう!...あの二人こっちのこと忘れてるわね、私ちょっと行ってくる!」

 

そう言って澤村先輩は霞ヶ丘先輩と安芸先輩の二人のやりとりに横から入っていった。

 

このままでほんとに大丈夫なのかな...。ん?誰か忘れてるような...気のせいか!

 

 




明日はアクマゲームです


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これだから弾き語りはやめられない

お詫びってほどじゃないけどリハビリだからとりあえずたくさん書く(尚水曜と木曜バイトの模様...)

とりあえずちょこちょこやります


安芸先輩の企画書を見せられて数時間後俺は一人暮らしの家に帰っていつも通りPCを開きつつギターを手にして調整してた。

最近になってニ◯ニ◯動画というものを知り、そこにいくつか弾き語りの動画を出していたらコメントで『生放送をしてほしい』というものがいくつかあったので本日より生放送なるものをやってみるのだ、ぶっちゃけ緊張しかない。

一応某SNSサイトでも告知はしてあるので来てくれると嬉しいんだがな...。

 

「ふぅ...。皆さん!いつも動画みてくれてありがとうございます!MIKASAです!今日はゆっくりしていってね〜!」

 

『きたああああああ!』

『楽しみにしてました!』

『888888888』

『きたー!!!』

 

うわっ!思った以上に人がみてきててビックリしたわ!とりあえず楽しみますか。

 

「それじゃあ、最初の曲は最近人気のアニメ『ろくでなしの魔法教師と禁忌魔法学』のOPから歌わせてもらいます!」

 

『今期の神アニメきたか!』

『あれみてるわ!』

『あのOPいいよね〜』

 

そうして弾き語り生放送を始めて1時間くらいしてたらとんでもないコメントをみつけてしまった。

 

『ランキング5位おめ〜!』

『ランキング5位とかやばwww』

『888888888』

 

おいおい、なんてこったい...。こんなつもりじゃなかったんだけどな...。まあ聴いてくれる人が増えるのは嬉しいからいいんだけどな。

 

 

side倫也

 

詩羽先輩と英梨々からフルボッコにされて家に帰ってきて日課であるネットサーフィンをしてたんだが、とんでもない生放送をみつけたかもしれない。名前はMIKASAっていうのか、めっちゃうまいな...。ん?この声どっかできいたことあるな...。ダメだ、思い出せない!喉まできてるんだけどなんでだ...。名前にも見覚えはあるんだよな〜。出てこないのはしょうがないか。

 

side out

 

side 真希

生放送が終わった後にツイッターを確認したら沢山リプがきていてとても嬉しかった。自分の歌声で喜んでもらえるってやっぱりいいな!ただ、身バレしないかだけが心配だな、年齢は公表してないけど声でわかる人はわかるだろうからな〜...。けど今まで動画出しててバレてないし入学したばっかりだから大丈夫だよな!

 

なんて思ってたのが昨夜のことでした...。

 

「放課後に音楽室借りに行くか〜...いや、今日は吹奏楽部が使うっていってたな、どうするか...。」

 

「よお!真希!」

 

そう言って俺の背中をバシバシ叩いてきたのは同じクラスの町田だった。こいつ確か吹奏楽部だったよな...。

 

「なあ、今日は吹奏楽あるんだよな?」

 

「ん?放課後は普通に部活あるよ」

 

「やっぱりか〜」

 

「なんだ?またギターか?」

 

「そうなんだよ、最近ちょっとやる気がでてね、けど場所がないならギター持ってきた意味ないな」

 

と言いながら家から持ってきたギターケースを撫でる

 

「なら視聴覚室とかどうだ?一応あそこも防音だから先生に言えば借りれると思うぞ?」

 

まじか!それはいい情報だな!

 

「ありがと!いまから先生に言いに行くわ!」

 

「頑張れよ〜」

 

町田の声をBGMにしながら俺はダッシュで職員室に向かいに行った。

 

 




倫也の口調が難しい


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ネットの名前は慎重に決めましょう

昨日の弾き語りの反響がよかった俺はウキウキで職員室へ向かったが

 

「視聴覚室の鍵?ほかの人が借りていったぞ、使いたいならそいつに交渉しな」

 

「わかりました」

 

知らない人がいるなら別にいいかなとは思いつつも足は視聴覚室へと向かっていた、そしたらどこかせきいたことがある声がきこえてきた。

 

「や~ごめんごめん、教室出たところで勝ち気なクラス委員長に『こら待て掃除当番~!』って追いかけられちゃってさ~」

 

「・・・なにやってるんですか倫也先輩」

 

「え?なんでこんなとこいるんだ真希?」

 

「音楽室が使えなくて視聴覚室で弾こうと思ったんですよ」

 

「お!まじか!よかったらきかせてくれないか?」

 

「・・・いや、俺は別に大丈夫ですけどそこにいる人はほっといていいんですか?」

 

「あ・・・」

 

「もう鍵閉めっちゃったから今日のサークル活動はこれでおしまいってことでいいよね?」

 

「・・・ほんとごめん」

 

「えっと、加藤先輩でしたっけ?とりあえず視聴覚室使うんで貰ってもいいですか?」

 

「あ、うん大丈夫だよ。安芸君どうする?この子の演奏きくの?」

 

「そうだな、せっかくこうしてメンバー全員集まったんだし、今後の進め方とかもうちょと話していかないか?」

 

「全員ってのがちょっと詭弁にきこえるけど・・・そだねちょうどいいしね」

 

「ところで安芸君、後輩君は?」

 

「・・・もう中入っていったな」

 

だれが先輩二人のイチャラブ(?)の会話をきいていなきゃいけないんだよ・・・。

 

「調整終わるまで少し待っててください」

 

「おう、わかったよ」

 

「それで安芸君、今後の進め方ってなにか思いついたの?ほかのメンバーの心当たりは?」

 

「・・・さて、夢も希望も打ち砕かれ万策尽きた週末金曜日、皆様いかがお過ごしでしょうか~」

 

「まだ一つしか策を弄してないと思うんだけど?」

 

さて、調整お終わったし弾き始めるか。

 

「一事が万事ということを考えれば、一策が万策といえなくもない」

 

一曲目はGo〇 〇nows でいいかな。

 

「理屈っぽいこといってるようで全然辻津あってなくないそれ?」

 

確か最初の入りはFmaj7からだったっけか、やるか。

 

「まあとにかくもうちょっと粘り強く・・・ってこれは!?」

 

「倫也先輩わかるんですか?」

 

「わかるもくそも涼〇ハル〇の憂鬱の代表曲じゃないか!」

 

「へぇ~安芸君、それって有名なの?」

 

「名作中の名作だぞ!

 

「渇いた心で駆け抜ける~ 」

 

「真希君だっけ?上手だね」

 

「・・・確かにうまいんだけどこの声どこかで・・・」

 

「どっかできいたことあるの?」

 

「そのはずなんだけどな~・・・」

 

そろそろサビか、G、 Em、 Am、 Dmっと

 

「思い出した!この声MIKASAか!」

 

「MIKASA・・・?誰なの?」

 

「MIKASAはとある動画掲載コンテンツで弾き語りの動画を出していてここ最近で一気に伸びてきた人だよ。それにプライベートがTwittterですら完全に非公開で素性が未だにわかっていなかったんだよ、わかっていたのは男性であるというただそれだけで声も若干ほかの男性よりも高いせいで一部からは女性なんじゃないかって言われてんだ。それなのにその正体がまさか真希だったなんて・・・。いつもきいています!これからも頑張ってください!」

 

なんかちょっと照れくさいけど一応否定くらいしておくか。

 

「倫也先輩、俺はそのMIKASAって人じゃないですよ」

 

そういいながら手元ではちゃんと弾いているので沈黙にはならない。

 

「・・・なんだ、そうなのか」

 

あれ?あっさり信じちゃったよこの人。もしかして案外チョロい先輩なのかもしれないな、なんて考えてたら

 

「安芸君、MIKASAって並び替えたらMASAKIになるよ?」

 

「・・・ごめんなさい、嘘つきました」

 

今後、加藤先輩の前で嘘を吐くのはやめよう、見破られる気しかしない。ってかこんな簡単なアナグラムにするんじゃなかったな・・・

 



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先輩の家って普通は行かないよな

結局、あの後俺を除く二人で今後のことを話していた。え?俺はなにしてたかって?ただひたすらアニソンとボカロを弾いてました。そして話の流れでどうやら俺と加藤先輩は明日の土曜日に倫也先輩の家に行くことになった。どうしてこうなったかって?安心してくれ、俺もどうしてかわからん。

 

翌日、とりあえず集合場所と言われたところに10分前に着いた。

 

「お、もう来てたか真希」

 

「あ、おはようございます倫也先輩」

 

「それにしてもはやいな?」

 

「そうですか?10分前行動は当たり前かと・・・」

 

「これであとは加藤だけだな」

 

ちなみにだが本日は楽器をもってきていない、邪魔になると判断したからだ。

 

「・・・今更だけど、なし崩しで真希も参加させちまったが大丈夫か?」

 

「ほんとに今更ですね倫也先輩、ここまできたらやりますよ。それにそこまで学生生活が大変ってわけでもありませんし」

 

「そうか、ありがとな」

 

「けど一度やるってきめたからには全力でやりますよ?問題ないですよね?」

 

「ああ、まったく問題ない。これから頼むぞ!」

 

「わかりました」

 

そんなこんなで集合時間を3分遅れたところで加藤先輩がやってきた。

 

「お待たせ~」

 

「大丈夫ですよ加藤先輩」

 

「・・・よう」

 

「晴れててよかったよね~今日。予報ちょっと微妙だったから心配してたんだ」

 

「降水確率も低いってわけではなかったからですからね・・・」

 

ふと隣をみると倫也先輩が考え込みながら歩いていた、大方女子を家に連れて行くのが初めてとかなのだろう。いや、俺も家に上げたことなんて生まれて一度もないが・・・。

そうこうしているうちに倫也先輩の家に着いた、どうやらこの辺の近くの坂で倫也先輩と加藤先輩が初めて出逢ったらしい。

 

「ま、散らかってるけど適当に座ってくれ」

 

「お邪魔します」

 

「改めてお邪魔しま~・・・うわぁ絵に描いたオタク部屋だね」

 

確かに言われてみればポスターやフィギアやラノベがたくさんある。こんなにたくさん買ってさぞかしアルバイトも大変だったんだろうな・・・なんて考えながらそこらへんで寛ぐことにした。

 

「それで倫也先輩、なんで集まったんですか?」

 

そう、今現在ここにいるメンバーでなにをするのかは俺はまったく知らされていない。無知なのが悪いんじゃない、しっかりと伝えなかった倫也先輩が悪い。この問いを無視して加藤先輩は勝手に話を進めた。

 

「とりあえずメンバー集めようってのはいいよ。ゲーム作るのにはたくさんの人が必要だってのは流石に私でもわかるし。実際に榊原君の加入には私も反対しないし」

 

「PCギャルゲーならそんなでもないけどな、商業でも小さいところはニ~三人で作っているところもあるし」

 

「?けどだからといって少人数よりかは大人数のほうがいいんじゃないですか?」

 

「確かにうちは商業ではなくただの個人サークルなわけでギャラも発生しないから大人数でもいいかもしれない、けど何分俺の人脈がないから仕方ないんだ・・・」

 

学校でも有名人の澤村先輩に霞ヶ丘先輩と知り合いで人脈がないというのは些か疑問ではあるがまあいいだろう。初めてギャルゲーをする加藤先輩に倫也先輩がちょくちょく突っ込みながらも話は進んでいく。

 

 

 

 




短時間で読めるをモットーとしてる俺は毎話これくらいでやっていきますよ?あまり長いと俺の文才だと読む人あきちゃうでしょ?

次の更新ですがアクマゲーム、冴えかの共に遅くても来週の土曜25:00にはあがります。(金曜の夜中っていったほうがわかりやすいかな?)


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例え話って難しいよね

加藤先輩がギャルゲーを始めて数時間が経ち現在の時刻は19:00、どうやら倫也先輩のルールでBAD ENDはノーカウントでもう一回やれという謎が・・・いや、それに応える加藤先輩もどうかと・・・。俺?一人暮らしだから門限もくそもないから大丈夫。さてそれまで俺はただひたすらラノベを読んでいた。決して甘い雰囲気(?)(倫也先輩と加藤先輩)の間に入れなかったというわけではないと俺の名誉の為と言っておこう。

 

「そっちじゃないよ、澤村さんのことだよ」

 

・・・どうやら澤村先輩の話をしているようだ。

 

「この前、あんなに思いっきり断られたんだし、もう二度と話をきいてくれないんじゃないかな?」

 

確かにあんな断られ方をされたらもう無理なんじゃ・・・。

 

「まあ、向こうはそのつもりかもな。携帯も着信拒否されてるし」

 

・・・ん?着信拒否?つまりそれなりの仲ではやっぱりあるんですね。

 

「だからまぁ、布石を打った。あとは待つしかない」

 

「つまり倫也先輩にはなんかしらの方法で澤村先輩と直接会話をする方法があり、言い方的にもうまもなくそのタイミングが来る為の策があるってことですか?」

 

「そういうこと、例えば萌え豚に『ヒロインの可愛さに萌え死ぬ!』って薦めたゲームが実は『可愛い萌えヒロインが死ぬ』鬱ゲーだったら怒るだろ?」

 

「「ごめん(なさい)、言ってる意味がよくわかんない(わかりません)」」

 

「二人揃ってそんなこと言うか・・・、じゃあ例えばシナリオ厨に『これ絶対泣けるから!』って薦めたゲームが、実はバグだらけで正常に作動しなくて逆の意味で泣けるゲームだったらキレるだろ?」

 

ああ、それならわからなくはないけど加藤先輩が全くわかってない顔をしている。先の二つの例でわからなかった(読者)の為にわかりやすくいうと『これいいよと薦めて実はまったくよくなかったオチ』といえばわかりやすいだろう。

 

「・・・その例えもわかりにくいよ榊原君」

 

ちょっ・・・なんでさらっと人の気持ち(地の分)に突っ込んでこれたんですか・・・?不思議で仕方ないんですが。

 

そんなこと(メタい話)はおいといてここからが本題なんだが・・・同じように、ホラー嫌いやつに騙してホラー作品を貸したら怒るだろ?」

 

「「本題が一番わかりやすいってどうなの(なんですか)?」」

 

「で、そんな仕打ちを受けたら、貸したやつに一言言わなきゃ気が済まないだろ?」

 

「いや、そうですか?」

 

「済まないんだよ!特にオタクは!」

 

「それで、わざわざ長い例え話(18行)だしたってことは澤村先輩もそれに当てはまるってことですか?」

 

「そういうことだ」

 

「ていうか気になってたけどさ、安芸君って澤村さんのこと詳しいよね?」

 

「・・・どうしてそう思う?」

 

「だってほら、本名とか家族のこととか、昔のこととか・・・考えすぎ?」

 

加藤先輩、たぶん考えすぎじゃないと思いますよ。

 

「考えすぎついでに、もう一つだけ教えておこうか」

 

そうして倫也先輩は西窓のほうに行き正面を指した。

 

「あいつの家が金持ちだって言ったよな」

 

「それは噂できいたことあります」

 

「それも本当だ、ここからでっかい屋敷がみえるだろ?」

 

「まさか・・・」

 

「そのまさかだ、あれが澤村邸」

 

「あ、あそこからなんか光がみえますよ?」

 

「えっと・・・あ、本当だ。なんだろ自転車?」

 

「倫也先輩!この家の前でとまりましたよ!」

 

「ああそうだな」

 

「あ、安芸君・・・入ってきたよ!この家に!」

 

なんで鍵を持ってるんですか澤村先輩・・・。

 

「倫也先輩、この部屋に近づいてきますよ!」

 

「ああそうだな」

 

「あ、安芸君・・・?なんか転んだみたいだよ?」

 

「無茶しやがって・・・」

 

「・・・倫也先輩、どうやら振り出しに戻されたようですよ・・・」

 

「ああそうだな・・・二人とも」

 

「「なに?(なんですか?)」」

 

「一応伏せておけ」

 

あれ?なんか音がきこえてきたぞ、と思った直後だった。

 

「何が萌えバトルアニメだああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~!!」

 

澤村先輩が怒声と共に倫也先輩の部屋にはいってきた。

 




この作品を読んでくださってる方でアクマゲームも読んでくださってる方に連絡です!馬鹿な主が間違えてアクマゲームを消してしまった為、急遽バックアップからあげ直しましたのでお手数ですがご確認の程よろしくお願いします!


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やはり先輩はテンプレだった

「と、倫也、あんた・・・っ、あたしがホラー超苦手なの知っててぇ!」

 

うわ・・・それはひどいですね倫也先輩・・・。

 

「ん?『これはゾンビですか?はい、ジョージ・A・ロメロの名作です』は気に入らなかったか?」

 

やべぇ、タイトルだけでめっちゃ気になる。それから自分が仕組んだ罠をどや顔で話す倫也先輩とそれに文句を言う澤村先輩の姿がしばらく続いた。にしても噂の澤村先輩がこんなにも倫也先輩(好きな人)の前だと変わるなんてまたとんでもない光景をみてしまったのではないのだろうか・・・。

 

さて、倫也先輩の部屋に居たのが倫也先輩だけじゃないと知ると俺と加藤先輩を思いっきり睨んできた。

 

「えっと・・・澤村先輩、そんなに倫也先輩と二人きりになれなかったのが許せないんですか?ごめんなさい、今から帰るんでもう睨まないでください」

 

「あー、真希。そいつ超近眼なんだ。学校じゃコンタクトだけど」

 

「あ、そうなんですか。で前者については触れないほうがいいんですか?」

 

「あ、ああ・・・頼むよ。英梨々がもう顔を真っ赤にしてるから触れないでもらえると助かる」

 

テンプレツンデレなんて初めて見たぞ・・・。ほんとにこんな人が世の中にいるんだな。

 

「さて、説明して・・・もらわなくてもいいか別に」

 

もう立ち直ったのか、案外早いんだな。

 

「要するに、倫也の、周りが見えてない自分本位の視野狭窄な欲望から生まれたぼくのかんがえたさいきょうの思いつきな愚策にまたつき合わされたってことね」

 

「いやぁ、今日のうちに俺のメッセージを受け取ってもらえてよかった。このままお前が来なかったら今晩加藤を泊めなきゃならなかったぞ」

 

・・・俺は帰れってことですかね?うわぁ倫也先輩、俺は悲しいよ。

 

「ちょっと、それだったら榊原はどうするのよ!?」

 

「・・・?帰ってもらうつもりだったがなんで英梨々が気にするんだ?」

 

「き、気にしてないわよ!ちょっと思っただけ!」

 

「あ、いや俺は普通に帰るんで気にしてもらわなくても大丈夫ですよ?」

 

「いえ、もう夜も遅いしなんならうちに来こない?どうせなら生演奏をききたいし」

 

「え?っていうかそれっって澤村先輩が今日きてなかったらの話なんですよね?なんで俺が澤村先輩の家で泊まることになってるんですか?」

 

「・・・。じゃあもし今日あたしが倫也の家に来てなかったらうちにきて演奏してくれたの?」

 

「いや、まさか。帰りますよ」

 

「結局帰るんじゃない」

 

当たり前だ、なんでいきなり先輩の、しかも女性の家に泊まらなきゃいけないいんだ。心の準備とかってもんが・・・じゃなくて!

 

「倫也先輩と加藤先輩何してるんですか?」

 

「ん?ああ、加藤に英梨々の過去絵をみせてるんだ」

 

いや、だからってそれを本人の前でやるなんてなんて所業・・・。

 

「澤村さん、こんな萌え絵も描くんだ・・・」

 

まあ確かに見た目と中身が一致してないよな・・・。

 

「っていうか本当にオタクだったんだ」

 

それは思った、ここまでディープだとは思わなかった。

 

「覚えてなさいよ倫也・・・」

 

「いや、だって実物みせないと絶対信じてくれないし」

 

確かに、実物みないとなかなか信じられないよな。

 

・・・。それで俺はもう帰っていいんじゃないか?なにかすることあるの?

 

「これでわかったろ加藤に真希?この、学校ではお嬢様の振りしつつも裏では思いっきり同人に手を染め人気ジャンルに寄生しつつ荒稼ぎしてるオタク女が俺たちのギャルゲー制作にとってどれだけ必要なのかが!」

 

「・・・確かにわかりましたがどうやら本人は乗り気じゃないようですよ?」

 

「あたしやっぱ帰る、てか死ね」

 

「いや、絶対仲間になってもらうぞ英梨々!お前のその卓越したデザイン能力と、流行りの絵柄にすぐ追随できる起用さがあれば、この大して特徴のない加藤でさえも超絶萌えキャラに・・・」

 

それって澤村先輩のレベルの画力がないと加藤先輩が萌えないってことじゃ・・・。倫也先輩ってたまにとんでもない発言するよな・・・。ってかそれならモデルを加藤先輩じゃない人にすれば別に澤村先輩にキャラデザを頼まなくても・・・。だがこの議論はすでに始まっていたようで、

 

「それ、モデルなしでオリキャラ起こしたほうがハードル低いんじゃないの?」

 

「いや、それは困る。何しろ加藤あっての企画だし」

 

「まぁあたしはやる気ないからどうでもいいけど」

 

「いや、それも困る。何しろ英梨々がいないと成り立たない企画だし。」

 

「えっと、一応きいときますけど俺っていります?」

 

「当たり前だ、真希もいなきゃ困る。何しろ真希がいなにと成り立たない企画だし。」

 

あ、一応いるんですね。ならいいかな暇つぶしにもなるし、ただそしたら連絡くらいは入れておいたほうがいいかな?

 

「それってどんだけ脆弱な企画なのよ。例え初代スタッフが全員抜けてブランド名と権利しか残ってなくてもしれっと続編がでる某タイトルをみならいなさいよ」

 

それって【自主規制】じゃ・・・。これ以上はいってはいけない。詳しくは各自で調べるように。いいね?

 

「やめろ!そういうブランドのこと『俺は』尊敬してるけどそれとこれとは話が別だろ!」

 

とそんな話をしてたら突然、

 

「きゃああああ~っ!?」

 

加藤先輩が悲鳴をあげたのだ。




確かあれは2002年にでた作品でしたよね?懐かしいですね。


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喧嘩じゃないよ論争だよ

どうやら加藤先輩は『18歳以上ですか?』のボタンで『ハイ』を押したらしい。つまりどういうことかわかるな?ここでは加藤先輩の名誉にかけてわざとではないとだけ言っとくぞ。

 

「あ、あ、あへっ・・・さ、澤村さん、これはっ」

 

ちょうど俺の座ってる位置からは画面がみえないのでどのような画像が映っているかは読者の皆様のご想像にお任せするとしよう。・・・俺はさっきから誰に説明してるんだ?

 

「そういうことはいちいち聞かないのがマナーってものじゃないのかしら加藤さん?」

 

さて、興味がない俺は倫也先輩に許可を借りて少し弾こうかと思ったが持ってきていないことを思い出し立ち上がってまた座るという奇妙な行為をした。その時に、

 

「なんで立ちあがったのよ」

 

「いや、楽器持ってきてないの思い出して・・・」

 

なんてやり取りがあったのは内緒だ。どうやら話をきいてると澤村先輩のサークルはとても人気があるということがわかった、けれど運営をしているのはお父さんらしい。まあ確かに未成年が18禁サイトを運営するのはあまりよくないな、にしても両親がオタクで金があるってもうチートだよな。それに容姿はいいし・・・。あれ?もしかして澤村先輩ってオタク視点からみても人気なんじゃないか?なんてどうでもいいこと考えてたら倫也先輩と澤村先輩の論争はまだ続いていた・・・仲良しすぎかよ。

 

「情熱がなきゃやってやれられないだろ!」

 

「続けられるわよ?」

 

「せっかく熱く語ってるんだからちっとは怯めよ!」

 

「むしろそういう商売っ気全開の作家さんこそコンスタントにたくさんのイベントに出て稼ぐわよ?よく隣り合わせになる某サークルなんかもう・・・」

 

「やめてやめて消費型オタの夢を壊すのやめて!」

 

「いや、倫也先輩も消費型オタから搾取する生産側にまわるんじゃ・・・?」

 

「榊原の言う通りよ倫也、そんな甘っちょろい夢を抱えたままじゃやっていけないわよ?」

 

「違うもん俺は商売じゃないもん表現の自由だもん!」

 

・・・?なんか矛盾してないか?

 

「倫也先輩、お言葉を返すようですがそれって加藤先輩(メインヒロイン)が売れなくてもいいってことですか?世間に認知されなくてもいいってことですか?所詮自己満足の行き域だったってことですか?どうなんですか?」

 

「・・・真希、お前なにちゃっかりそっち側《英梨々サイド》にまわってんだよ・・・」

 

「二人の意見をきいていたら俺が賛同できたのは澤村先輩だったので、それに女の子の味方はするものでしょ?なんで男子二人で女の子を論破しなきゃいけないんですか大人げない」

 

「う、裏切りもの~!」

 

「あ、あの、三人とも喧嘩は・・・」

 

「あなたは黙ってなさい」

 

「加藤、今は口を挟まないでおとなしくゲームの続きやっててくれ、な?」

 

まだ加藤先輩クリアしてなかったんですね・・・。

 

「とりあえず酷くなったら俺がちゃんと仲裁するんで加藤先輩は安心しててください」

 

「えっと、私なんでここに呼ばれたの・・・?」

 

「・・・大丈夫です加藤先輩、それは俺もですから」

 

さてここからの論争は正直俺が入るにはあまりにも戦力が低かったのでへたに入るよりかはひたすらききに徹していた。詳しく知りたい人は『冴えない彼女(ヒロイン)の育て方』というラノベの143ページ以降を参照してくれ。

 

さて結局加藤先輩がしていたゲームに見入った二人の先輩はクライマックスに入り終わった後には泣いていたらしい。というのも俺は途中で寝てしまったからだ、なにせ二人の論争はあの後数時間に渡ったのだ。眠くなるなというほうが無理だろう。

 

さて現在の時刻であるが・・・

 

「あ、外が明るくなってる」

 

この加藤先輩の一言で想像してほしい・・・。俺は倫也先輩に起こされた、本日が日曜であることに感謝しかない。月曜だと考えただけでゾッとする。

 

 

 



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布教用と観賞用までは買わないね

さて、流れで倫也先輩の家で泊まった土曜日から1週間後。え?1週間なにがあったか説明しろって?なんもなかったよ、普通に学校行って家で勉強して暇つぶしにギター弾いてときたま生放送をしての繰り返しだったから語ることなんて特にないんだよ。

 

さて、本日は何故か倫也先輩と加藤先輩と遠出することになった、ほんとは和合市の霞先生のサイン会に行きたかったんだよな・・・。

 

「おはようございます倫也先輩に加藤先輩」

 

「おはよ・・・ふあぁぁぁぁ~」

 

「おはよう二人とも、それじゃあ切符買いにいこうか」

 

「?どこまで買うの安芸君?」

 

「和合市」

 

ん?まさか・・・?

 

「って、隣の県じゃない。うわ切符たっか」

 

「遠出するって言ったろ昨日」

 

「倫也先輩、もしかして今日行くのってとある作家さんのサイン会ですか・・・?」

 

「っつ!まさか真希!」

 

この瞬間倫也先輩と分かり合えた気がする。

 

「俺、霞先生の大ファンなんですよ!」

 

「じゃあもちろん『恋するメトロノーム』は・・・?」

 

「もちろん!何回読んでも新しい発見があるのでいつも常備して暇なときに呼んでますよ!」

 

「おお・・・!!」

 

「それって昨日安芸君が渡してくれた本のこと・・・?」

 

「あ、そうですよ加藤先輩。ってか倫也先輩もう布教してたんですね」

 

「もちろん!それで加藤感想は・・・?」

 

「ラノベって完全男の子向けかと思ってたけど、女の子が読んでも泣ける作品だよね、これ」

 

「だよな!やっぱ泣けるよな!

 

「さすがわかってますね加藤先輩!」

 

「この間のギャルゲーもそうだったけど、食わず嫌いってよくないなぁて・・・まぁ、もうちょっと表紙とか手に取りやすいものにしてくれたら助かるけど・・・」

 

「か、加藤っ、お前ってやつは、やっぱり・・・」

 

まさか食わず嫌いはよくないって言葉がオタクじゃない人からでてくるとは、さすが霞先生といったところか。

 

「だから悪いんだけど、返すのゴールデンウィーク明けでいいかな?もう一度、今度はゆっくり読んでみたいなって思っちゃって」

 

こ、ここまで影響を及ぼすのか。これは霞先生様様だな。今日あったら感謝しよう・・・心の中で。

 

「いいっていいって!というか別に返さなくてもいいから。どうせ加藤に渡したのは布教用だし、読書用と保存用にあと2セット持ってるから」

 

「そ、そう?まぁ、また買う必要ないならありがたくもらっちゃおうかな?」

 

違うんだ加藤先輩、このひとはそんなんじゃ終わらないんだよ。

 

「いやもちろん買うぞ?布教用が減ったら当然だろ?」

 

「そ、そう・・・ありがと」

 



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霞先生との出会い

あ、ヒロインアンケやってるんでよろしければ活動報告をご覧ください。


さて、電車の中で熱く語っていたらいつのまにか着いてしまった和合市(聖地)、そこから各地を周りついに今回の本命である帖文堂書店の三階イベントフロアの行列に並んでいた。

 

「なぁんだ、サイン会があるならちゃんとそういってよ」

 

「そうだよ倫也先輩、サイン会っていってくれればそれなりに持ってきたのに」

 

「いや、マジで加藤がそこまでハマってくれるとは思わなかったし、まさか真希が『恋するメトロノーム』のファンだとは思わなかったから断られるかと・・・」

 

「だからって拉致紛いの行動しなくても・・・」

 

「そうだよ安芸君、『だから目的も言わずに連れ出してしまえ』ってどういう倫理?」

 

「ねぇ!実は二人とても仲がいいんでしょ!?」

 

「「そんなことないよ(です)」」

 

「ほら!息ピッタリじゃん!」

 

「ま、まぁ倫也先輩それはとりあえず置いといてよく整理券3枚も取れましたね?」

 

「まあ三人分の電車賃と昼飯代に往復三時間かかったしな」

 

「わざわざすみません」

 

「ありがとうね安芸君」

 

「いや、別にこれくらいなんともないよ」

 

「それでさこの霞詩子先生ってどんな人?榊原君知ってる?」

 

「きいた話によると女の人らしいですよ?ただネットで検索しても一番上に出てきたサイトが個人ブログだったんでなんともいえないんですよね~、倫也先輩は知ってますか?」

 

「あ、ああ・・・前にも二巻発売の時にここでサイン会があってな」

 

「それで?それで?」

 

「・・・会ったらすぐにわかるからそれまでのお楽しみってことで」

 

「倫也先輩のケチ~!」

 

「そろそろ始まるよ二人とも」

 

「本当ですね、いや~楽しみだな~」

 

五分ほどの説明が終わった後拍手と共に霞先生がでてきた。

 

「・・・全然見えないよ安芸君」

 

「確かに俺の身長(175cm)でギリギリですね・・・」

 

「・・・大丈夫だ、サイン貰うときに直接対面できる」

 

「あれ?倫也先輩?あの人どっかでみたことあります!誰でしたっけ?」

 

「あと少しだから我慢しろ真希」

 

そうしてついに霞先生と対面した。

 

「・・・倫理君?」

 

「「え?」」

 

「ども、ここでは久しぶりです・・・それと、何度も言うけどその渾名やめて」

 

「「霞ヶ丘・・・先輩?」」

 

「いや、霞詩子先生・・・ここではな」

 

まさかあの霞ヶ丘先輩が霞先生だったなんて・・・。だが俺は言わなければいけないことがあるんだ!

 

「霞先生!いつも楽しく読ませてもらってます!サインください!」

 

「え、えぇ。構わないわ」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ改めて、こちらが三年C組霞ヶ丘歌羽先輩。あと、ペンネーム霞詩子先生」

 

「でこっちが二年B組加藤恵」

 

「それと一年A組榊原真希」

 

そうして倫也先輩は俺たちの紹介を始めたと思ったら

 

「それじゃあ、これで紹介も済んだことだし、後はざっくばらんに・・・」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「を~い」

 

「はぁ・・・倫也先輩の周りってほんとにやばいんですね、なんでこんな人たちばっかりなんですか?」

 

「榊原君、それあたしのセリフね。そのやばい人の中に榊原君も入ってるからね?」

 

「・・・え?まじですか?」

 

「うん、マジ」

 

「いや、そこに真希が入ってたとしてもなんの特徴もない加藤がいるからキチンとバランスとれてるじゃん」

 

「・・・そういう問題じゃないですよね?」

 

「そうだよ安芸君、こんなすごい人たちを使って同人ゲーム作ろうとか言ったの?それって逆の意味で無茶だよ」

 

「けど俺、他に絵や文章書けそうな知り合い他にいないし」

 

「それ自分が何言ってるかわかってますか倫也先輩?」

 

「そうだよ、武器が核ミサイル二発しかない軍隊みいたいだよ」

 

「けどその二発で敵を全滅させらんほぉぉぉぉぉ!?」

 

「・・・いつまでいちゃついてるのよ。昔の女の前で」

 

「・・・倫也先輩?」

 

「いちゃついてると思うならそういう誤解を招く行為はやめて!あとそういう迂闊な出鱈目いうのもやめて!真希が勘違いしてるから!」

 

「ていうか、こんなところまで何しに来たの倫理君?今の彼女をそんなに見せつけたいわけ?」

 

「だからぁ、あんたこの街じゃ結構有名人なんだから」

 

「大丈夫よ、誰も気にしてないから」

 

そうして倫也先輩と霞ヶ丘先輩のやりとりをきき流しながら俺はサインを眺めていた。途中から加藤先輩も混じっておれが空気だったのはここだけの話な?

 

 

 

 

 



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