学戦都市と記憶の無い少年 (ainex)
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ここから少年の物語は始まる。

とりあえずリメイク版で設定変えて見ました。ストーリーは綾人とユリスがサイラスを倒しタッグを組んだ後からです、基本原作通りに進めますが、途中違うストーリーも混ぜます。キャラ紹介は定期的にしようと思います、ヒロインはゴッドイーターから1人出します


主人公 ソーマ・シックザール、16歳星導館学園高等部所属。

序列ランク外

 

使用純星煌式武装(オーガルークス)デスイーター【死を食らうもの】

代償 不明。

 

特待転入生として同じ天霧 綾人と一緒に星導館学園に入学。口数が少なく人と関わるのを拒んでいる。星導館に入学する前の履歴は不明、しかし実力は本物。好きなものは葡萄味の飲み物と1人でいる時。しかし最近はルームメイトの矢吹 英士郎が彼にに付きまとっていることから最近ストレスが溜まっている模様。彼は星脈世代(ジェネステラ)ではないが幼い頃に研究者だった両親に特殊な細胞を埋め込まれ、身体能力は星脈世代よりも少し高い。非星脈世代でありながら高い身体能力を持つことで周りからは【死神】と呼ばれ忌み嫌われている。

 

 

天霧 綾人 16歳星導館学園高等部所属

序列ランク外

 

使用純星煌式武装、黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)

代償不明

 

特待転入生としてソーマと一緒に星導館学園に入学。転入初日に華焰の魔女(グリューエンローゼ)と決闘し生徒会長千見の盟主(パルカ・モルタ)の権限によって決闘は無効となった。失踪中の姉を探して星導館に来たが情報は姉の使っていた黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)のみ。それからグリューエンローゼと協力し、鳳凰星武祭(フェニクス)ではタッグを組み優勝を目指す。幼馴染みの佐々宮 紗夜の方向音痴には世話を焼いている。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

最近良く夢を見る。毎日毎日同じ夢だ。

…………世界は荒廃し未知の生物によって人間は住む場所を失われていった。そんな生物に立ち向かうべく結成した組織に俺は所属していた……気がする。その夢の中での俺は今と変わらず周りから避けられていた、いや、自分が避けていた。というのが正しいだろうか、ある日のいつも通りの任務中に同行メンバーの1人が錯乱し、俺は建物の中に閉じ込められた。そこからはどうしてもおもいだせない。その残酷でどこか懐かしいような世界には見覚えはない。

 

「……い!……ーマ!き、い、て、る、か!」

 

「……うるさいぞ、……矢吹。」

「ソーマが聞いてなかったのが悪い。」

 

どうやら声が聞こえないほど考え事に集中していたらしい。同じクラスでルームメイトの矢吹 英士郎が俺に話しかけてきた。

 

「また考え事か?」

「……まぁ、そんなところだ。」

「夢なんて別に気にしなくてもいいって!そろそろ帰ろーぜ?」

「……先に帰っててもいいぞ。今日は少し散歩してから帰る。」

「俺もいこーか?」

「……断る。」

 

この矢吹 英士郎は嫌われ者の俺に唯一話しかけてくる物好きだ。矢吹はどうやら新聞部に所属しているらしく忙しいらしい。しかし最近はスクープがなく暇だから、という理由で俺にずっと付きまとっている。最初は鬱陶しく思い、話しかけられても無視を決め込んでいたのだが、矢吹は毎日毎日つきま取ってくるので最近は適当に話を合わせることにしている。

 

「そーか、じゃあ久々に取材でもしてくるかな。最近綾人とユリスがフェニクスに向けて練習してるらしいし!」

「……綾人か。」

「お?ソーマも気になるか?最近アイツスゲー活躍してて周りから注目されてるんだぜ?」

 

天霧 綾人、俺はそいつと同じ日にこの学園に特待転入生という形で来た。天霧はお人好しで誰に対しても優しいやつだ。だから俺は天霧のことがあまり好きではない。最初は天霧も同じ特待転入生の俺に興味を示し話しかけてきた。天霧は自分の過去の話をし俺にもどこに住んでいたのか。何故ここに転入してきたのか。などを俺に聞いてきたりした、だがそんな事を聞かれても俺には答えることが出来ない。何故なら俺はここに来る前の記憶が全く無いのだから。俺は天霧にここに来る前の記憶が無いことを伝えたら天霧は申し訳無さそうに俺に謝って来てそこから綾人はあまり話しかけてこなくなった。

 

「……そうか。」

「おいおい、もっと興味もとーぜ。綾人とソーマって同じ特待転入生なんだろ?」

「……ただ同じ日に転入しただけだ。それ以上でもそれ以下でも無い。」

「あぁ!そうかよ。じゃあ俺いくわ!なんかあったら電話してくれよな?」

「……気が向いたらな。」

 

そして矢吹は教室から出ていった。俺も少し間を開けてから教室をでていった。

 

「……やっと1人になれたな。」

 

最近矢吹が付きまとうせいで1人の時間が大部減り疲れきっていた。俺は耳にイヤホンを当て矢吹から絶対に聞くように、と言われた歌を聞きながら廊下を1人で歩いていた。途中で好物の葡萄ジュースを買い喉を潤しながら俺は1人の時間を満喫していた。俺は溜まっていたストレスが抜けていくのを実感していた。

 

それから外に出て歩いていると何やら人だかりが出来ていた、良く見てみるとどうやら今から決闘するらしくそれで人だかりが出来ているのに気づいた。俺はイヤホンを外し決闘する2人を見るべく近くに寄ってみる、するとどうやら天霧とうちの序列1位が決闘をする事がわかった。俺は興味を持ち少しばかり見ていこうと遠くから見ることにした、すると後ろから突然話しかけられた。

 

「あら、ソーマもあの2人の決闘を見に来たのですか?」

 

チッよりにもよってこの腹黒女か。

 

「……あぁ、散歩の途中で気づいたから少し観戦してるとこだ。」

「私ソーマが決闘を全然しないのでソーマは決闘に興味が無いのかと思いました。」

「……チッ、何で決闘しないのか知ってるだろ。」

 

俺がそう言うとこの女。クローディアが首を傾げ「さて?何のことでしょうか?」などと言うもので少しばかり腹がたった。そうこうしていると2人が決闘を始めていた。綾人は純星煌式武装、セル=ベレスタをつかっている。あの純星煌式武装は並の武器なら易易と真っ二つに出来る恐ろしい武装だ。それに対し序列1位の女は背負っていた日本刀をセル=ベレスタにぶつけないように綾人の斬撃を交わしながら反撃を加えている。あの女、なかなか出来るみたいだな。綾人が負けるのも時間の問題か。すると予想していた通り綾人は序列1位の女に胸のバッジを切られ敗北していた。

 

「あら、綾人が負けてしまいましたね。」

「……どっちも剣技では互角だったがあの女の方が1枚上手だったな。」

「ふーん、ソーマはあの子に勝てるのですか?」

 

あの序列1位にか、面白そうだがこんな大勢人がいる前でな。

 

「……どうだろうな、運が良ければ勝てるかもな。」

「なら今決闘してみたらどうですか?」

「……断る。今は散歩の途中だ、余計なことはしたくない。」

「そうですか。私はソーマとあの子の決闘見たかったんですがね。それではまた明日、私は仕事が残っていますので。」

 

クローディアは残念そうにしながら俺に手を振り去っていった。俺はまた耳にイヤホンを当て散歩を再開した。

 

「……決闘、か。気が向いたらあの女に挑んでみるか。」

 

俺は腰にある純星煌式武装に手を伸ばしその柄をそっと撫でた。俺の純星煌式武装はノコギリ型のデカイ剣だ。適合検査の時何故か俺は一目みてこいつに愛着が湧いた。検査をして見ると適合率は100%で振って見るととても手に馴染んだ。クローディアに聞いてみるとこの純星煌式武装は不明な点が多く誰も使い手が現れない不思議なものらしい。誰が検査しても展開すらせず適合検査すらできず、処理しようかと迷っていた所俺が適合したのだ。

 

「……そろそろ使わないとこいつが拗ねるかもしれないしな。」

 

 

 

それから俺は散歩を終えて男子寮に帰った。リビングに行くとまだ矢吹は帰ってきておらず疲れもあるので早めに寝ることにした。寝る前に俺は昨日見た夢を思い出しまた今日も同じ夢を見るのかと思うと億劫に感じた。しかしすぐに疲れからくる睡魔に襲われ俺は意識を手放した。……そしてまた夢を見る。しかし今日の夢はいつもの夢と少し違った。俺は閉じ込められる前に俺を閉じ込めた著本人の顔をハッキリと見た。…………そいつは女で白い肌に銀髪の肩にかかるほどの長さで目の色は綺麗な青色だった。そして俺はそいつの名前を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサ!!、と。

 




色々考えたのですが、やっぱり神機を入れちゃうと面倒くさくなるので無しにしました。

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死神は炎を難なく潜り抜ける。

ゴッドイーターシリーズで1番好きなキャラはソーマです。どれだけ好きって言うとゲームのアーカイブでソーマが苦しみながらシオを食らうシーンを何回も見続けるほど大好きです。


昨日見た夢の中に出てきたアリスという少女に俺は見覚えはない、ないが何故か懐かしいような気がして胸が熱くなっていた。今朝起きると俺は汗を欠いていて隣ではまだ矢吹がぐっすり眠っていた。時間を確認し、まだ時間があるのを確認してから俺は風呂に入ることにした。風呂の中でも何故かアリスという少女が頭から離れなかった、しかしそれ以上思い出そうとすると脳がそれ以上はだめだ。とでも言うのか頭痛がした。俺はそれ以上考えるのをやめ、汗を流すことに集中した、ふと自分の右手首を確認する。俺の右手首は何故かそこだけ黒い痣が出来ている。ここに着いてからずっとこの状態だ、治る気配は微塵も感じさせない痣を見ると気分が悪くなる。

 

「……あまり考えても時間の無駄だな。」

 

俺は風呂から上がり手早く制服に着替え朝の日課の一つ葡萄ジュースを口に含み耳にイヤホンを当ててイスに深く腰を下ろした。聞いている曲は矢吹から紹介されたシルヴィア・リューネハイムという女の曲だ。何故かこの女の曲を聞いていると安らぐような感じがし日頃のストレスをこれで解消している。そうしていると俺のストレスの元の一つ矢吹 英士郎が起床していた。

 

「おーおはようソーマ。なんだ?今日はやけに早くないか?」

「……たまたま早く起きただけだ、深い意味はない。」

「また変な夢でも見たんじゃないのか?」

 

矢吹は変に感が鋭い。というのも、例えば俺が矢吹から逃げていると必ず逃げた先には矢吹がいて「やっぱりここか!来ると思ったんだよな。」などと俺が逃げる場所に先回りしていたり、矢吹にジュースを買ってこいと言ってその時飲みたかったものを必ず買ってきたりする。まぁ、飲みたいものなんて葡萄ジュースがほとんどなんだがな。

と、こんな風に矢吹はとても感が鋭い。この勘のお陰かは知らないが矢吹の書く新聞は皆にとても人気だ。

 

「……余計な詮索はするな。俺は先にいく。」

「そ、そーか、わかった。じゃあ後でそっちに行くわ!」

 

「……別に来なくてもいいけどな。」

 

そう呟くと俺は男子寮を出て学園に向かった。

 

 

 

学園につき廊下をフラフラしていると何だか練習場が騒がしいことに気がついた。気になってドアの前で聞き耳を立てて見るとどうやら天霧とグリューエンローゼ朝早くから練習していることに気づいた。

 

「……こんな朝早くからよく頑張るな。」

 

「確かに、綾人は頑張り屋さん。」

「…………誰だ?」

 

声がして振り向いて見ると声の主は青い髪と小さめの身長、どこか惚けている顔が特徴の同じクラスの佐々宮 紗夜だった。

 

「……珍しいな、お前が朝早く学園に来ているなんて。」

「それはお互い様、ソーマこそ何でこんな朝早くに?」

「……ただ早く起きただけだ、深い意味はない。」

「そうか……私は今から綾人とユリスの練習を見学しに行く途中だ。ソーマもこい」

「……おい!待て!」

 

佐々宮はそう言うと練習場の扉を開け俺の手を引っ張って中へ連れ込んだ。

 

「……っておい!俺は別に入るつもりは、」

「あれ?ソーマ君どうしたの?紗夜と一緒にこんな朝早くから。」

 

「ソーマは近くで偶然あったからついでに連れてきた。」

「……これはただの事故だ。」

「フッ、貴様が朝早くから学園にいるとは珍しいな、【死神】。」

「……チッ、その名前で呼ぶんじゃない。華焰の魔女」

 

俺を【死神】と読んだ赤髪の女は同じクラスで天霧のタッグパートナーユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ。リーゼルタニアという国の王女らしく気難しい性格で友達は少ない。まぁ、俺も人のことは言えんがな。

 

「ユリスもソーマ君も喧嘩しないでよ……。」

「綾人、この2人はいつものこと。」

 

佐々宮の言う通り俺とリースフェルトはあまり気が合わない。こいつの一々鼻に付くような言葉遣いが理由の一つだ。天霧も良くこんな奴とタッグを組んだものだな。

 

「それで、貴様は何しに来たのだ?練習の邪魔をするなら容赦はせんぞ?」

 

リースフェルトは俺に細剣を向け睨みつける、こういう奴は1度叩き潰して黙らせるのが1番だ。俺は純星煌式武装を展開し刃をリースフェルトに向ける。

 

「……お前がその気ならいつでも相手になってやるよ。」

「ほほぅ、随分と強気だな?お前はここに来てから1度も決闘をしていないと聞く。なら、私と今決闘しろ、【死神】。」

「2人とも辞めなよ……」

「綾人!私にも退けない時もあるのだ!綾人は黙ってみていろ!」

「2人とも、ふぁいとー。」

「はぁ、止めても無駄か。」

 

天霧が観念したかのように後ろへさがる。どうやらリースフェルトは本気らしく俺に決闘を申請する言葉を発した。

 

「我、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは汝ソーマ・シックザールに決闘を申請する!」

 

そういい胸の校章に手を当て俺へと向ける。決闘か、確かこいつは魔術師だったな。少し厄介な戦いになりそうだ、だが……相手が悪い。そっちがその気ならこちらも真面目にやるとしよう。

 

「……受諾する。」

 

お互い距離を取り決闘が開始される。開始された瞬間俺はデスイーターを構え持ち前の身体能力でリースフェルトとの間合いを一気に詰める。

 

「クッ、早い!だが……甘い!咲き誇れ!鋭槍の白炎花(ロンギフローラム)

 

ユリスは炎を飛ばし間合いを詰めた俺を一気に突き放そうとする。だが、

 

「……甘いのはそっちの方だったな。墜ちろ!」

 

俺はデスイーターに力を込める。するとデスイーターに紫のオーラが纏いデスイーターの斬撃の間合いが伸びる。俺はそれを上段に構え向かってくる炎ごとリースフェルトの校章を真っ二つにした。

 

校章破壊(バッチブロークン)勝者ソーマ・シックザール。」

 

電子音声が決闘の勝者を告げ俺はデスイーターを解除し腰にしまう。

 

「な、なに、私が貴様に負けるだと。」

「……まだまだ詰めが甘いな、出直してこい……王女様。」

 

俺はそう言いい天霧と佐々宮に背を向け練習場を出ようとする。しかし出ようとする時天霧が俺に声を掛けた。

 

「ソーマ君、流石にパートナーがこんなふうにやられるのは俺も納得が行かないよ。次は俺と決闘してくれないか?」

「……今は断る。どうしても決闘したいなら授業が終わってからにしてくれ、俺は疲れた」

「そう、か。わかった。じゃあ授業が終わったら中庭で待ってるよ」

「……フッ、せいぜい逃げない事だな。」

 

そう言って俺は今度こそ練習場から出る。しかし出た瞬間に待ち構えていたのはルームメイトの矢吹だった。

 

「おいソーマ!俺に黙って決闘するとかないでしょ!一声掛けてくれよ。」

「……何で俺が決闘するのにお前に報告しなきゃ行けないんだ。」

「つれないねぇ、俺とソーマのなかじゃんかよ!それにうちの序列5位の後はダークホースの綾人とデュエルかよ!これはスクープだぜ。」

 

矢吹はじゅるりと涎を垂らして記事を書いていた。チッ、大事になっちまうな、まぁ、別にいいか。今日は少し気分が良いから今回だけ見逃してやるか。

 

「……矢吹、クローディアにだけはこのことを伝えるなよ?面倒事がふえる。」

「それは無理なはなしだぜ?だってもう記事にして配信しちゃったし。」

「……チッ、後で覚えてろよ。先に教室にいくからな。」

「おうよ!んじゃ後でな!」

 

そう言うと矢吹は練習場に入っていく。リースフェルトの次は天霧か、天霧との決闘はリースフェルトの時のようには行かなそうだな。だが何故か分からないが俺は今最高に興奮している。それと……気のせいかもしれないが右手の痣が少し広がっているようにも見えた。俺は気にしないように耳にイヤホンを当てシルヴィア・リューネハイムの曲を耳に流し教室へと向かって行った。

 

 

 

教室に入ると皆の視線が俺に向かっていた。そりゃそうか、決闘をしない奴がいきなり決闘をしてしかも序列5位を倒したのだ。この視線にも納得がいく。俺は気にせずに自分の席に着き机に突っ伏して瞼を閉じる。曲に集中するために耳に神経をやると曲とは違う周りの話し声も聞こえてきた。

 

「……おい、あの死神がユリスを倒したってよ。」

「まじでか。やっぱり死神だな、戦闘能力もバケモノだぜ。」

 

「ねえ、あの人って。」

「辞めなって!あの死神と関わったらろくなことないんだから。」

「声が大きいって!聞こえるよ!」

 

俺が序列5位を倒した事で周りからの反応は更に厳しくなっているようだ。俺は生まれつき身体能力が高い。それと別に聴覚も普通の人とは段違いだ。俺は聴覚が高いせいで周りの陰口が全てきこえているのだ、それにしても人間というのは弱い生物だ、お互い肩を寄せあってしか生きていけない。だが俺はあんな奴らとは違う、俺は1人でも充分やって行けるはずだ、人と馴れ合う何てまっぴらだ。そんな事を思いながら俺は曲に集中して授業が始まるのを待っていた。




先日友人からレイジバーストを借りたのですが余りにもソーマの出番が後半過ぎてやる気を失いました。でもシエル可愛いな。いや、作者はアリサ派です。

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死神はやはり黒い炎も潜り抜ける。

最近ずっと遅くまで起きてて気づいたら顎にニキビが出来てました。……泣きたい。


気がつくと授業が始まっていた。どうやらそのまま眠っていたようだ隣では矢吹もイビキをかいて爆睡していた。

 

「(……こいつあんなに寝たのにまだ眠いのか。)」

 

俺は少し矢吹に関心した。まぁ、俺も寝ていたから人のことは言えないんだがな。教卓では先生が六花の歴史やら構造について解説していたそして3年一区切りの星武祭についても。星武祭には3つの種類がある、まずは一年目の夏に行われる鳳凰武祭(フェニクス)これは2人1組のタッグ戦だ。天霧とリースフェルトはこれに出場するらしい。まぁ、俺は組む相手なんていないからどうでもいいがな。次に二年目の秋に行われる獅鷲星武祭(グリプス)これはチーム戦で6つの学園から選ばれたメンバー通しが戦うものだ、これも俺には関係がないな。そして最後は三年目の冬に行われる王竜星武祭(リンドブルス)これは個人戦でトーナメントを組み優勝を目指す大会だ。俺もこれに出るつもりだ。各それぞれの大会で優勝すると景品として何でも好きな望みが叶うらしい、それで皆夢中になって強くなろうとしている……くだらん。俺には叶えたい望み何て一つもない、もしもリンドブルスで優勝したら……そうだな。一生葡萄ジュースをただで飲める権利でも頼もうか。そう考えていると少し口角が上がってにやけてしまった。

 

「ソーマ、何で笑ってるんだ?」

 

俺の前の席の佐々宮が俺にそう言ってきた。

 

「……ただ考え事してただけだ。」

「ふーん、でも優勝した後の願いが葡萄ジュース飲み放題何てさすがに変だぞ。」

「……声に出してたのか。」

「違う。ソーマの考えてる事は何となく分かる、だってソーマ1日中葡萄ジュースの事だけ考えてるだろ?」

「……さすがにそこまでではないがな。」

 

そんな下らない話を佐々宮としていると気づけば授業は終わっていた。何でか知らんがコイツと話すのはそんなに疲れなくて楽なんだよな。

 

「ソーマ、今日の放課後綾人と決闘するんでしょ?」

「……あぁ、そうだな。」

「私は綾人の事も好きだがソーマの事もなかなか気に入っているだから私はどっちにも応援することにした。」

 

えへん!と言うようなドヤ顔で腰に手を当てそれから俺の目を見て

 

「ソーマ、綾人は強いぞ。だから頑張って」

「……あぁ、わかった。勝ってみせるさ」

「だけど綾人に怪我をさせないようにね、怪我させたら私が怒るぞ。」

「……段々難易度が上がってるぞ。まあ、善処するさ」

 

佐々宮はうむ、と頷くとそのまま机に突っ伏して寝息を立て始めた。寝るの早いな、コイツは矢吹と同じ種類か。そんな事を思いながらふと隣に目をやると矢吹は机に突っ伏し寝てる振りをしてチラチラとこちらを除いていた。

 

「……おい、」

「…………(汗)」

「……もう起きてるのは知ってるんだぞ。」

「…………(汗)」

「……チッ、そっちがその気なら俺にも考えがある。」

 

俺は少し間を開け拳の骨を鳴らして矢吹に鉄拳を喰らわせようとすると。

 

「わ、わるかったって!殴るのはよしてくれ!」

「……最初から素直にそうしてればいいだろ。」

「だってあのソーマが佐々宮と仲良さそうに話してるなんてスクー、」

「アァ?なんか言ったか?」

「何でもございません。」

 

俺は矢吹を睨みつけると矢吹は拗ねた子犬のようにシュン、と縮こまった。いつもこんな風に静かならいいんだがな……。そんなふうに思っていると矢吹が俺の顔を見て恐る恐る話しかけた。

 

「あ、そ、そう言えばそろそろ綾人との決闘の時間だろ?行かなくてもいいのか?」

「…………忘れる所だった。」

「お、おいおいソーマから吹っかけたくせに忘れるなんてやばいだろ」

「……全部お前のせいだ。いってくる。」

「何で俺のせいなんだよ。まぁいいか、ソーマ頑張れよ?」

「……頑張っては見るさ。」

 

そう言い残し俺は教室を出て天霧がいる中庭に向かった。

 

 

 

 

 

 

中庭につくともう既に大勢のギャラリーが集まっていた。集まったギャラリー達は俺を見るなりコソコソとはなし初め、俺が通ろうとすると何も言わず道を開けた。チッ、いつにも増してくだらん奴らだ。ギャラリーの中央に行くと、どうやら天霧はすでに準備しているらしく先日正式に天霧の純星煌式武装となったセル=ベレスタを構え目を閉じて待っていた。

 

「……悪い待たせたな、矢吹に時間を取られてた。」

「いや、それほど待ってないよ。それにしてもいっぱいギャラリーが集まったね。見せ物ではないんだけど……」

 

天霧は少し困った顔で周りを見渡す。まぁ、確かに少し多すぎるとは思うがな。俺はデスイーターを展開させ剣先を天霧に向ける。

 

「……お前がどんな覚悟を持って俺に挑んだか知らんが、あのお姫様の敵と言うならお前も随分とお人好しだな。」

「別にそれだけのために挑んだ訳じゃないさ。挑んだ理由は3つある、まず一つはユリスのため。二つ目はソーマ君と剣を交えて見たいだけさ。三つ目は……」

 

そう言うと天霧は口角を上げニヤリと笑った。コイツ何を考えている。三つ目が気になるが今はそれどころじゃないな

 

「……くだらん、さっさと始めるぞ。視線が痛くてムズムズする。」

「それもそうだね、それじゃあ始めるよ。」

 

天霧は校章に手を当て俺へと決闘を申請した。俺はそれをすぐに承諾し天霧と俺の決闘が始まった。決闘が始まってから数秒天霧と俺の間には沈黙が訪れていた。しかし最初に天霧が行動にでる。

 

「天霧辰明流剣術初伝 肆祁蜂(しきばち)!」

 

天霧はそう言うと踏み込んで俺へとセル=ベレスタを突こうとする。だがそれを俺はデスイーターで威力を受け流し難なく交わす。

 

「……流星闘技(メテオアーツ)か。俺は星脈世代じゃないから分からんがなかなかの早さだ、だが……まだまだぬるいな。」

 

俺はリースフェルトの時と同じように思い切り踏み込み自分の背丈と同じくらいのデスイーターを上段に構えそのまま天霧に振り下ろした。手応えはなく振り下ろした先には土煙だけが舞っていた。

 

「(……終わったか、いや!)」

 

俺はとっさに左に周り混んだ天霧に気づきデスイーターでガードした。

 

「1度その技は見ているからね!対処の使用もあるがまさかそれも防がれるなんて星脈世代じゃないのにすごい身体能力だ。」

「……うるさい。ハッ!」

 

俺はデスイーターでガードしていたセル=ベレスタを切り上げ体制を崩した天霧の校章に拳を入れようとする、だか。

 

「まだだ!天霧辰明流剣術初伝 貮蚊龍(ふたつみづち)!」

 

天霧はそう言うと切り上げられたセル=ベレスタを力ずくで振り下ろし、そこから十字に横から俺の校章を破壊するために振り抜く。だがまだまだ遅い。俺は天霧が校章を破壊する前にとっさにバックステップで交わしデスイーターを両手で持ち横に構えリースフェルトの時と同じように紫色のオーラでデスイーターのリーチを伸ばした。

 

「……これで終わりだ。喰らえ!」

 

校章破壊(バッチブロークン)勝者ソーマ・シックザール。」

 

俺の斬撃は天霧の校章を破壊し電子音声が俺の勝利を宣言した。本来であればギャラリーからは歓声が上がるはずなのだが周りは俺が勝者したことに驚いたのかやけに静かだった。

 

「やっぱり負けちゃったか、ソーマ君は強いな。俺じゃまだ勝てないや」

「……バカ言うな、お前本気を出していなかっただろ。」

「ありゃ、バレちゃってたか。」

 

コイツは俺に決闘で手を抜いた。しかしその理由はなんだ?俺はデスイーターを右手に持ったまま天霧の顔を見つめていた。

 

「ソーマ君?どうしたの?俺の顔になんかついてる?」

「……ソーマだ。」

「え?何てい、」

「ソーマでいい。君付けはよせ、……気持ち悪いからな。」

「そう、か、わかったよ!ソーマ!なら俺のことも天霧じゃなくて綾人で良いよ?」

「……考えておく。」

 

気がつくと周りのギャラリーはいなくなっていた。俺と天霧の周りはガラリとしており先程の喧騒はどこかに消えていった。そのあまりの変わりように俺は何故か笑っていた。

 

「なんで笑ってるんだい?ソーマ」

「……深い意味は無いさ。それと、お前は俺と決闘を始める前に3つ理由があるといったな?後の一つはなんだ?」

「あぁ、それね。三つ目はソーマと友達になるため、かな?」

 

そう言うと天霧はニコっと人懐っこい笑みを漏らし俺もそれにつられて笑ってしまった。

 

「……それだけのために俺と決闘したのか、面白い奴だなお前。」

「よく言われるよ。」

 

「おーいおふたりさん!もう決闘はおわったのか?」

 

俺と天霧が笑っていると矢吹が葡萄ジュースを二つ持って駆け寄ってきた。

 

「はい!ソーマ。疲れた後はこいつだろ?」

「……やっと分かって来たか矢吹。」

「ほら!それと綾人にもやるよ!」

「あ、ありがと。」

 

そして俺と天霧は葡萄ジュースを決闘で疲れた体にながしこむ。

 

「あ、美味しいねこれ!ソーマが毎日飲んでる意味がわかる気がするよ!」

「そ、そうか、お前も分かってるな。」

 

俺は照れくさそうに鼻を掻きながら顔を反らした、すると矢吹が。

 

「なんだー?おふたりさん知らない間に仲良くなってんじゃん!うんうん、よきかなよきかな。」

「……チッ、いつにも増して騒がしいやつだ。」

「それについては同情するよ。毎日大変だね、ソーマ。」

「二人して俺の悪口とか酷くないか!?」

 

そんな矢吹の声を無視して俺は考える。天霧 綾人、不思議なやつだ、俺と友達になるために決闘を挑みわざと負けるだなんて。

 

「あ、それでソーマ!俺と、友達になってくれるかな?」

「……チッ、勝手にしろ。」

「うん、これから宜しくね!ソーマ!」

 

そう言うと天霧は俺に手を伸ばし握手を求めてきた。俺は少し遠慮がちに手を伸ばすと天霧が俺の手を掴み強制的に握手することになった。

 

「……宜しく…………綾人。」

 

 

 

 

「あれ?俺って無視されてる、よな?」

 

ソーマと綾人は先程までの決闘が嘘のように仲良くなっていた。それから矢吹 英士郎を置いて男子寮に2人で向かって言ったのは言うまでもないない。

 

「あれ、土煙が目に入って涙が。」




次か次の次に矢吹視点でも書いてみようかなと思ってます。

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ソーマは恥ずかしながら迷子になる。

やっぱりヒロインいないとダメだよな。


俺はあの日決闘して綾人と友達になった。最初俺は綾人の事を疎ましく思っていた。誰にでも優しくて人当たりがよくお人好しの綾人を。だが今思えばそんな部分にただ俺は嫉妬していただけだと思う。綾人は俺には無いものを全て持っている、それは俺には決して手に届かなくて、暖かくて、それでいて柔らかな…………今は亡き母親のように。俺にはここに来る前の記憶がほとんど無いに等しい。ただ覚えているのは自分の名前と獣の本能のような戦い方と、両親に特殊な細胞を埋め込まれた事だけ、だがなんとなくわかる。母親は強くて優しくてそれでいて海のように広い心を持っていると。そして理解している。母親が死んだ原因は…………俺自身にあると。父親の事はまだ思い出せない。いつか思い出せるだろうか、そして俺は全て思い出した時に正常出いられるだろうか。間違いなく俺は過去に過ちを犯している。それと右手首の痣が関係しているのかは不明だが。

 

 

春の風が心地よく俺の髪を撫でる。俺は今ようやくストーカーの矢吹や友達の綾人と離れ1人で六花を散歩している。街を歩くと星導館の生徒や見かけない制服を来ている生徒がチラホラと見える。

 

「(……あまり遠くに行くと迷子になるかもな。)」

 

ここはまだ俺が知っている行動範囲の中だ。そんなに遠くに行かない限り迷子にはならないだろうな。そんな事を思いながら俺は奥へと歩みを進めた。そして………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………迷った。

 

どうやら俺は迷子になってしまったらしい。両耳にイヤホンを当て適当に歩くのは今度からやめにしよう。そんな反省を冷静にしつつ俺はこれからどうするかを頭で整理した。

 

まず一つ目は、矢吹や綾人に連絡をする。しかしこんな事であいつらの手を借りるのは少々恥ずかしい気もする。矢吹なんて、この話で2日3日はいじられそうだ。うん、これは最後の手段にしよう。

 

そして二つ目は、人に尋ねる。これもあまり実行しようとは思わないな。何せ俺は初対面の相手との口の聞き方がわからない。いきなり話しかけて相手に不快な思いをさせるのはやはり胸が痛む。よし、この手段も最後の手段にしよう。

 

そして三つ目は、当てもなくフラフラと歩いてみる。これは1番簡単だが1番危険だな。下手に動いてまた迷ったりなんかしたら本末転倒だ。……この状況だとあまり佐々宮の事を悪く言えないな。

 

結局俺はどの選択肢も一旦保留にし休憩することにした。とりあえず俺は近くの自販機でジュースを買おうと思い自販機に近づく。すると、

 

「うーん、どっちにしようか迷うな。この新商品も美味しそうだし、あ!でもこっちも美味しそうだな。」

 

自販機の前には何故か帽子を深く被り長袖長ズボンの女が自販機の前で格闘していた。俺は女が買い終わるのを後ろで待っていることにした。てかジュース選ぶのにそんな時間掛けなくてもな。

 

「うーんやっぱりこっち……イヤでもこっちもなぁーはぁ。何で私ジュース買うのにこんなに時間掛けてるんだろ。」

 

「(……それはこっちのセリフだ。)」

 

俺は前で悩む女に声をかける事にした。えっと、綾人曰く初対面の人には笑顔で話しかける、だよな。俺は話しかける前に無理やり笑顔を作り意を決して女に話しかける。

 

「……お、おい、そんなに悩んでるんだったら先に俺がか、買ってい、いいか?」

「え!?あ、ごめん後ろで待ってたんだね。全然気づかなかったよ。」

「…………。」

 

振り返って視界に入った女の顔は正しく絶世の美女。という表現が正しく、顔が恐ろしいほどに整っていて、俺は思わず女の顔に見とれてしまった。

 

「あれ?そんなにじっと見ちゃって私の顔になんか付いてる?」

「…………あ!いや、そうじゃないさ。」

「そ、そう?じゃあ先に買ってもいいよ?」

「あ、あぁ、そうさせて貰う。」

 

俺は小銭を取り出して自販機に入れいつもの葡萄ジュースを買おうとする。しかし何故か女は俺のその様子をじっと見つめていた。

 

「……そんなに見られたら買いづらいんだが。」

「あ、ごめんごめん気にしないで!」

 

いや、気にしないでって言われてもな。なんというか、はずかしい。俺は女の言う通り気にしないように葡萄ジュースのボタンを押す。がたん!という音がして俺の目当ての物が下の取り出し口に落ちてきた。

 

「ねえ?それって美味しいの?」

「……美味しいっていわれてもな、まぁ俺の好きな者の一つだし。」

「へぇー!そんなにか!じゃあ私もそれにしよ!」

「あ、ちょ!」

 

女は俺の静止を聞かずお金を入れて俺がさっき押してボタンを押す。

 

「はい!お揃いだね!」

「あ、アンタ俺と同じのでいいのかよ。さっきあんなに迷ってたじゃないか。」

「うーん、今思ったんだけど今度また買えばいいだけなんだよね。だから私もこれでいいんだ!」

 

女は嬉しいそうにジュースを口に含み飲み込んでから俺にまた話しかける。

 

「てか、いつまでそんなわざとらしい笑顔作ってるの?」

「うぐ、……ば、バレてたのか。」

「そんなわざとらしい笑顔誰でも分かるって。」

 

俺は女に指摘され、笑顔をやめる。ふぅ、慣れない事はするもんじゃないな、頬が疲れる。俺は買った葡萄ジュースを口に含む、だが何故か緊張してほとんど味がしなかった。

 

「あ、でも今の顔よりさっきの方がまだいいかもね!」

「……どっちだよ。それより用事とかあるんだったら行かなくてもいいのか?」

「あ、そうだった……。すっかり忘れちゃったよ!ごめんね時間取らせちゃって!えっとー名前なんだっけ?」

「……ソーマだ、好きに呼べばいい。」

「わかった!じゃあね!ソーマ君!」

 

女は俺に手を振って走ってどこかへいってしまった。ていうか俺に名前聞いといて自分では名乗らんのか。まぁ、別に興味ないからいいけどな。すると突然電話がかかってきた、名前を確認すると…………矢吹か。

 

「……なんだ。」

「なんだって。ソーマを探してたんだけどどこにもいないから電話したんだよ!今どこにいるんだよ!」

「……何処っていわれてもなぁ。」

 

実際何処かと聞かれてもまず俺は迷子なのでここがどこなのかよくわからない。

 

「あ、もしかしてソーマ。」

「……(ギクリ。)」

「迷子になっちゃったんだろ!お前いいとしこいて迷子とか恥ずかしすぎるだろ!これから佐々宮の事わるくいえないぞ?」

「……チッ、後でおぼえてろよ。」

「わ、わかったって、そんなに怒るなよ。そうだな、じゃあ近くに何あるか教えてくれよ。迎えに行くから」

 

近くか。何があるって言われても、カジノ、bar、キャバクラ、って、思いっきり歓楽街じゃないか。

 

「……悪い、どうやら俺は歓楽街にいるらしい。」

「そ、そんなに遠くにいったのか。わかった、今から向かうからそこでまってろよ!」

 

そう言うと電話が切れて俺は近くの椅子に座り込んだ。チッ、だから矢吹に言いたくなかったんだ。俺はイスに座り耳にイヤホンを当ていつも聞いてる曲を流した。

 

「……ん。なんかこの歌の声をさっき聞いたような…………いや、まさかな。」

 

俺はそんな事あるはずないと鼻で笑い飛ばして矢吹が来るのを待った。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「あ!ソーマ君に私の名前言うの忘れてたよ。」

 

急いでてうっかり自己紹介するのわすれちゃった。自分だけ名前聞いて自分では名乗らないってなかなか酷いよね。

 

「ふふ、面白い人だったな、ソーマ君。また会えたらいいな。」

 

私は何故か自然と笑みが零れていた。あれ!なんで私ソーマ君の事でわらってたんだろ。可笑しいな、あ!そんな事よりもウルスラを見つけなきゃ!ウルスラには聞かなきゃいけない事沢山あるんだから!

 

そう言うと彼女、シルヴィア・リューネハイムは歓楽街の街へと消えていった。しかし、この時まだソーマは知らない。彼女がソーマの記憶を取り戻す可能性だと言う事を。そして、彼女がソーマにとってかけがえの無い人になるということを。

 

 

 

PS.この後ソーマと合流した矢吹はボコボコにされ、ソーマが迷子になった記憶をを強制的に失いました。

 




矢吹可哀想。


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矢吹は死神にストーカーをする。

タイトルの通り矢吹がストーカーをします。


とある休日〜矢吹の場合

 

 

 

おっす!俺は矢吹 英士郎。ソーマの数少ない友達の1人だ!俺は新聞部所属で実は諜報機関影ぼ、ごふん!おっとイケナイイケナイこれは秘密だった。っと、自己紹介はここまでにして実はいま。俺はソーマの追跡をしている。何故こんなことになったかだって?それは1時間前に遡んなきゃ行けないな。

 

1時間前〜〜

 

 

「おい!ソーマ最近俺のことほっといてどこいってんだよ!」

「……別に矢吹には関係ないだろ。」

「関係ないって、ひどいよ!ひどすぎる!」

「……全くお前はいつも騒がしいな。じゃあ俺はいくからな?」

「いくってどこにだよ!っておい!」

 

そして現在〜〜

 

 

ってな具合で最近いっつもソーマ学校終わったらどっかに行っちまうんだ。だから!ソーマが何をしているのかを探るために俺がこうして「ソーマ追跡大作戦」を決行したってわけ。

 

「ねぇ、矢吹。さっきから何ごちゃごちゃいってるのさ。ソーマに気づかれちゃうよ?」

「おっと。すまない綾人。取り乱しちまった。」

「いつもと変わんないとおもうけど。」

 

今回の作戦の同行者は天霧 綾人。先日星導館序列1位を破り見事序列1位を手に入れた今最もノリに乗っている男だ!おっとと、追跡を続けなくては。

 

「ねぇ、矢吹。さっきからソーマ自販機の前で止まったまま動かないよ?」

「んー。確かに誰かと待ち合わせでもしてるんじゃないか?」

「あのソーマがねぇ。ありえない話では無いけど何であそこで待ち合わせなんだろうね。」

「シッ!静かに。誰かがソーマに近づいてきたぞ!」

 

ソーマに近づいてきた相手をよく見ると……はぁあ!お、女!あのソーマが女と待ち合わせしてただと!有り得ん。

 

「え!あの人がソーマの待ち合わせで待ってた人!?」

「な、なぜだ。あのソーマが俺を差し置いて女の子とで、デートだと。」

「いやいや、ソーマってよく見るとカッコイイからモテてもおかしくないとおもうさどね。」

 

そんな事を言う綾人君。君は何て鈍感なんだ!ソーマ何て言うに及ばないほど周りに女をはべらせてるじゃないか!この前なんて中等部の元序列1位と朝の訓練にいって何故かビショビショになって帰ってきたりしてたじゃないか!くそ!神様は何て残酷なんだ。この世全てのモテ男よ。死滅しろ。あ、やべ。涙が……

 

「や、矢吹何で俺をそんな今にも泣きそうな顔で睨むのさ!」

「うるさい!とっとと監視をつづけるぞ!」

 

これは涙なんかじゃない!青春の汗さ!

 

「っと、おい綾人、ソーマと女が動き始めたぞ!」

「あ、そうだね、追跡しよう。」

「くそ!ソーマめ。決定的な証拠をゲットしてソーマの弱みを握ってやるぞ!」

「あ、あんまりやり過ぎないでね。」

 

〜〜〜〜〜

 

 

「ヘックション!……なんだ?風邪でもひいたのか?」

「ふふ、誰かがソーマ君の噂でもしてるんじゃない?」

「……フッ、バカなこというな。いくぞ、シル。」

 

 

〜〜〜〜〜

 

追跡を初めてからまだソーマと謎の女に特別な動きはなし、か。なんだ?一体あの2人はどういう関係なんだ?

 

「あ、矢吹!ソーマたちがファミレスに入っていったよ??」

「よしいくぞ!バレないように1番離れた席に座るぞ!」

 

そして俺と綾人はバレないようにこっそりとファミレスに潜入する。店員さんに変な目で見られたがそんな事はどうでもいい!今は監視に専念するぞ!

 

店に入ってから数10分後〜

 

おいおい、何だか二人怪しい雰囲気だぞ!あ!ソーマが女を撫でやがった!ゆ、ゆるせん。何でアイツだけ。

 

「矢吹そんなにジロジロ見てたらバレちゃうって!」

「そんなのどうでもいい!俺は、俺は、……」

「はいはい、そのうち矢吹にも春がくるって。」

「グッ、綾人に言われると腹が立つ。」

 

そんなこんなで綾人に慰められていると、お、2人とももう出るみたいだな。

 

「矢吹、2人を追いかけなくていいの?」

「追いかけない理由がないだろ!ほら!さっさと行くぞ!!」

「はぁ、このテンションについていけないよ……。」

 

よし、追跡を再開だ!ってあれ?

 

「ねぇ矢吹?二人どこいったんだろうね?」

「くそ!どこいったんだ!まだ2人の決定的な証拠がないぞ!」

 

「や、やや、矢吹。う、後ろ……。」

 

なんだ?綾人あんなに怯えちゃって。後ろに死神でもいるってか!ってあれ。何だか悪寒が……。

 

 

とある休日〜ソーマの場合

 

「なぁ!ソーマ!どこ行くんだよ!」

「チッ、うるさいやつだな。」

 

俺は今朝から矢吹に付きまとわれている。なんでも俺が最近休日の日にどこかへ行ってしまうのがコイツは気に入らないらしい。

 

「ソーマ冷たいぜ。」

「……くだらん。俺はいくからな?」

「あ、ちょっとまって!っておい!」

 

俺は矢吹を無視して教室をでてダッシュで校門まで走った。

 

「はぁ、はぁ、ここまでくれば矢吹もこないだろ。」

 

俺は矢吹から逃げ切って待ち合わせをしている場所へと歩を進めた。待ち合わせの場所は先日謎の女にあった、自販機の前だ。あの日以来俺は女が気になって休日には毎日あの自販機の前で女が現れないかまっていた。いや、この話はまた今度でいいか。そんな事を考えている内に目的地の自販機の前にたどり着いた。

 

「……まだ来ないか。って言ってもまだ時間じゃないしな。」

 

俺は近くのイスに座って待っていることにした。相変わらず両耳にイヤホンを当て右手には葡萄ジュース。うん、これがベストだな。

 

「ソーマくん!待った?」

 

音楽を止め声の主の顔をみる。

 

「……いや、待ってないさ。」

「あ、なんかこのセリフ恋人通しみたいだね!」

「……バカいうな。シル。」

 

女は前と同じく帽子を深く被り、白のTシャツにジーンズといった格好をしていた。この女が俺のまっていた相手だ。本名は教えてくれないがシルと呼んでくれと言われたので俺はそう読んでいる。

 

「えへへ、じゃあいこっか!」

「……了解だ。」

 

俺は椅子から立ち上がって葡萄ジュースの缶を捨てる。

 

「やっぱりソーマ君っていっつも葡萄ジュース飲んでるよね。」

「……これが1番好きなんだ。」

「たまには違うのも飲んだらいいのに!」

「……余計なお世話だ。」

 

やはりシルの声はどことなく俺の聞いている曲の歌手に似ている気がする。まぁ、多分俺の勘違いだろうがな。そう思いながら俺とシルは並んで歩き始める。それとシルが俺に質問をしてきた。

 

「そう言えばソーマ君っていっつも音楽聞いてるけどどんな曲きいてるの?」

「……別に普通の曲さ。」

「ふーん。その曲好きなの?」

「……まぁ、そうだな。聞いていると何だが落ち着くんだ。聞いてみるか?」

「え!いいの?聞かせて聞かせて!」

 

俺はシルにイヤホンを渡しシルはそれを耳にあてる。

 

「え、この曲って。」

「……どうかしたか?」

「あ、ううん。何でもないよ!……そっか、私の歌で落ち着くのか。……。」

「……そうか。最後何て言ったんだ?」

「いや!何でもないよ!気にしないで!あ!そう言えば私ご飯食べてないんだ!そこのファミレスにでもはいろ!」

 

何だかシルが落ち着かない雰囲気だが。気にしなくて大丈夫だろう。まぁ、俺も腹が減ったしな。そう思いながら俺とシルはファミレスに入る。何だか俺達が入った後に怪しい2人組が入ってきた気もするが……気のせいか。

 

「ご、ごめんね、取り乱しちゃって。」

「……いや、気にするな。丁度俺も腹が減っていたところだ。」

「そ、そっか。ならいいんだけど。」

 

何だか店に入ってからシルが俺の顔を見たと思ったら俯いてまた見たと思ったら俯くのくりかえしなんだが。どうかしたのか?すると店員が注文を取りに来た。とりあえず2人ともコーヒを頼み落ち着くことにした。

 

「……そう言えば、シルが探している人ってどんな人なんだ?」

 

そう。俺はシルの人探しに手伝っているのだ。しかし人を探すと言っても肝心の特徴など外見などを聞いていない。

 

「あ、私の探してる人って言うのは、んーそうだね。強くて、やさしくて、私に歌を教えてくれた師匠なんだ!」

 

そう言って今まで見せたことのない笑顔でシルは俺にいった。それにしても歌の師匠か。

 

「……そうなのか。と言うかシルは歌も歌えるんだな。」

「あ!?あ、う、うん!そ、そうなんだー。」

「……そんなに綺麗で歌も歌えるんだったらさぞ人気者だろうな。」

「き、綺麗だなんて……。もう、ソーマ君はストレートすぎるな!」

「……す、すまない。だが、本当のことだ。」

「あ、ありがと。」

 

何だか恥ずかしいな。絶対顔赤くなってるしシルも顔が赤い気がする

しかも知らない間にコーヒが運ばれていてもう冷めていた。

 

「……そ、そう言えば、シルは同い年ぐらいに見えるが学校はどこなんだ?」

「あ、えっと。その、ごめん。言えない。」

「……そ、うか。なら歌をきかせて、」

「あ、あのソーマ君。」

 

シルは俺に真面目な顔をして俺の目を見る。

 

「な、なんだ?」

「私には、その。色々事情があって、秘密にしなきゃいけない事とかいっぱいあるんだ。だからさ、もしかしたら危険な目に会うかもだし、ソーマ君にこれ以上お世話になる訳にも行かないから。」

 

シルは俺にそんな事をいった。それに対して俺は……。

 

「シル。俺は自分の意思でシルに手伝ってるんだ。シルが秘密にしたいならそれでいい、俺はそれでもいいさ。」

 

俺はそう言いながらシルの頭をそっと撫でる。尚俺の顔はゆでダコの様だろう、チッ、慣れないことはするもんじゃないな。

 

「ソ、ソーマ君、あ、ありがと。いつかソーマ君に秘密にしてたこと話せる日が来たら話すから、それまで待っててくれる?」

「……あぁ。いつまでもまつさ。」

「そ、それと……ソーマ君顔凄い真っ赤だね。」

 

うっ、シルにもバレてしまった。するとシルはクスクスと笑いだし何故か俺もシルにつられて笑ってしまった。

 

「お!ソーマ君の笑った顔初めて見た気がする!あ、でもわざとらしい笑顔も合わせたら二回目だね!」

「……そ、それは、忘れてくれ。」

「いやだよー。」

「チ、まぁでもシルも笑ってる方がいいな。俺はそっちの方がすきだぜ。」

「あー!またそうやってソーマ君茶化すんだから!」

「ちゃ、茶化してなんか!ん?」

 

何だかさっきから俺達の事をジロジロ見てくるやつがいるような。

 

「どうしたの?ソーマ君。」

「……さっきから見られてる。ほら、あそこ。」

「あ、ホントだ。全然気づかなかったよ。」

 

だれだ。いや、よく良く見たらあれは矢吹だな。ん?隣に居るのは綾人か。チッ、アイツおぼえてろよ。

 

「……シル、もうでるか。」

「そ、そうだね、見られてたら落ち着かないし。」

 

そう言うと俺とシルは会計を済まして外にでる。そして出た瞬間シルの手を引いて路地にかくれる。

 

「ソ、ソーマ君!」

「……静かに。」

 

俺は人差し指を顔の前に当て静かにするように伝える。すると出てきたのはやはり。

 

「ねぇ、矢吹、2人ともどこいったんだろうね?」

「くそ!どこいったんだ!まだ2人の決定的な証拠がないぞ!」

 

やっぱりこいつか。本当に痛いのが好きなんだろうな。俺は拳の骨を鳴らしながら矢吹の後ろに立つ。

 

「や、ややや矢吹、う、うしろ!」

「へ?」

 

「……矢吹、覚悟しろよ。」

 

 

 

その日から矢吹はソーマの休日の過ごし方について詮索しないようになった。

 

PS・この事件が起きてから3日は矢吹は学校に来なかったらしい。




矢吹いじるのって楽しいね。そろそろアリサちゃんでも……

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ソーマは綺凛の凄さを知る。(いろんな意味で)

ハイペースで書いたので少しごちゃごちゃかも知れません。


先日起こった矢吹のストーカー事件から4日が過ぎいよいよ鳳凰武祭が1週間後に始まろうとしていた。そして何故か俺は頭を悩ませていた。その原因を知るには4日前に遡らなくてはいけない、が。めんどくさいので省略することにする。簡潔に説明するとあれから矢吹をボコボコにした俺は綾人に矢吹を連れ帰るように言いつけそして何故か俺はシルに説教をされた。そして俺はシルに鳳凰武祭に出ないと許してあげないと言われ渋々了解したのだ。しかし鳳凰武祭はタッグ戦、組むメンバーがいなければ出ることも出来ない。だから俺はこうして頭を悩ませている訳だ。

 

「……どうしたもんか。」

「おう!ソーマどうしたってよ!そんな湿気た顔して!」

「……チッ、矢吹か。」

 

こいつ4日前に俺にボコボコにされたのによくまあ話しかけられるもんだ。度胸だけはいいって言うか。タダのアホっていうか。

 

「なんだよ。俺じゃ気に食わないってか?俺ならソーマの悩んでること解決できるかも知れないぞ?」

「……ふーん。じゃあ何に悩んでるのか当ててみろ。」

「そんなの決まってんだろ!校内で葡萄ジュースの販売が中止になるからどうしたもんか悩んでんだろ?」

「……全然ちがう。って言うかその話し本当か。」

 

矢吹の話が本当なら俺は校内で葡萄ジュースが飲めないことになる。これは重代だ、これは何としても鳳凰武祭にでて優勝して葡萄ジュースの校内販売禁止を取り消して貰わなければ。

 

「あぁ、マジらしいぞ、何でも売れ行きがあまり良くないらしくてな。てかそれじゃないなら何になやんでんだよ?」

「……鳳凰武祭のタッグパートナーについてだ。」

「えぇ!まじ?ソーマが鳳凰武祭にでんのか!これはニュースだぞ!」

 

こいつ4日前のことで全く成長してないのか、あきれたもんだ。

 

「……また余計な事するなら今度は1週間寮から出れないようにするぞ。」

「じょ、じょーだんにきまってんだろー。それにしてもパートナーねぇ。」

 

「お、矢吹とソーマ何の話をしている、私もまぜろ。」

「ん?佐々宮か!丁度いい所に来てくれた!今ソーマの鳳凰武祭のパートナーがいなくて困ってんだよ!」

「おお、そんな事か。」

「……なんだ。佐々宮当てがあるのか?」

 

珍しく佐々宮が役にたつな。

 

「実は私も鳳凰武祭に出る予定だったのだが、急遽お父さんに呼び出されてしまってどうしようかと悩んでたんだ。」

「へぇーそれで?」

「だから、私の代わりに私のパートナーとソーマが組めばいい。」

 

佐々宮はエヘン、といった表情でドヤ顔をかましてくる。と言うか佐々宮のパートナーって……

 

「ってことはソーマあの元序列1位の疾風迅雷と組むのか!?」

「……何だか嫌な予感がするんだが。」

「大丈夫だ。綺凛はいい子だし実力は確かだからソーマの足は引っ張らないぞ。」

 

刀藤 綺凛。中等部の元序列1位か。話には聞いたことがあるが、疾風迅雷、その二つ名から分かる通り彼女の剣は早い、らしい。実際には見たことないがな。でも1度綾人を負かしているんだったな。だがな、

 

「……実力が確かなのは認めるが、そんな奴が俺みたいな奴と組んでも良いのか?」

「うむ、気にするな。綺凛はそんな事気にしない。」

「まあまあ、いいじゃんかソーマ!綺凛ちゃんがペアなら問題要らないって!」

「……まぁ、そうだな。」

「よし!決まりだな!じゃあ佐々宮!」

「よし、わかった、今から綺凛を練習場に呼ぶ。」

「おいソーマ!綺凛ちゃんは……凄いぞ。」

「……なにがだ。」

 

綺凛と言う女が凄いというのは知っている。だが矢吹の言っている凄いと言うのは何だか違う気がした。そして、後々俺はこの言葉の意味を理解することになる。

 

「そりゃきまってんだろ!あの年齢から考えられないバインバインだぞ!すごいったら、あだぁ!なにすんだよ佐々宮!」

「そんな下品な事言うなら矢吹は綺凛とは合わせないぞ。」

「わ、悪かったって。」

「……くだらん、さっさといくぞ、佐々宮。」

「れっつごー。」

 

そうして俺と佐々宮は綺凛が待っている練習場へと向かった…………

 

「あれ?2人とも俺のこと忘れてない?」

 

…………勿論矢吹を置いて。

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「あ、あのぉ!私刀藤 綺凛です!紗夜先輩からお話は伺ってます!あの、その、えと、よ、よろしくお願いします!」

「綺凛、あんまり緊張するな。ソーマは見た目は強面だが根はイイヤツだ。」

「……強面は余計だ。」

 

俺の目の前にいたのは想像していた疾風迅雷とは違って、見た目は少女でとても可愛らしい女の子だった。ちなみに俺が想像していた疾風迅雷とはリースフェルトのような強気で自信過剰な女。だが実際見てみるとどうだ、礼儀は正しくてとても…………凄い。何がとは言わないが。

 

「……俺はソーマ・シックザールだ、適当に呼んでくれ。」

「は、はい!ソーマ先輩。あの、それじゃあ私の事も好きに呼んで下さい。」

「……そうだな。じゃあ綺凛と呼ばせて貰う。」

「あ、はい!分かりました!よろしくお願いします!」

「おぉ、2人とも仲良くできそうだな、それじゃ私は失礼する。」

 

そう言って佐々宮は出ていこうとする。すると出る前に振り返り俺のほうを見てこう言った。

 

「ソーマ、一つだけ頼みがある。」

「……なんだ?佐々宮」

「アルルカントの奴らを私の代わりに倒してくれ。」

「……そんな事か、任せておけ。」

「綺凛もソーマとがんばれ。」

「わ、分かりました!紗夜先輩!」

 

なんだ?佐々宮アルルカントに何か因縁でもあるのか?いや、頼まれたからには全力で潰すだけだ。

 

「2人とも頼もしい。やっぱりソーマに頼んで正解だった。」

「……気にするな、俺もパートナーを探してた所だ。」

「ありがとう。2人とも応援してる。」

 

そう言い残すと佐々宮は練習場をでてどこかに言ってしまった。……さて、ここからどうしたものか。俺は中等部の女子に何を話したらいいんだ。

 

「あ、あのぉ、」

「……どうした?」

「私ソーマ先輩の実力をあまり知らなくて、それで、」

「……早く要件を言え。」

「あ、はい!あの!私と決闘してくれませんか!!」

「……要するにお互いの実力を知るために決闘する、という事か?」

「はい!そうです。私達は一応パートナーなのでお互いの実力を知るにはこれが手っ取り早いかなと思いまして。」

 

確かに一理あるな。ここでお互いの実力を確認するのも悪くない。

 

「……了解だ。じゃあ始めよう。」

「あ、はい!お願いします!」

 

そうして俺と綺凛はお互い距離を取り俺はデスイーターを展開させ、綺凛は背負っていた日本刀を構え俺は決闘をする際の言葉を発した。

 

「……我、ソーマ・シックザールは汝、刀藤 綺凛に決闘を申請する。」

「受諾します。」

 

始まった瞬間お互いに踏み込んでデスイーターと日本刀がぶつかる、その時……

 

「おいっす!待たさたな!随分とさがしたんだ、ぜ?」

 

矢吹の登場によりバランスを崩した俺達は正面からぶつかりもみくちゃになって転がった。

 

「……チッ、タイミングが悪すぎるぜ。」

「あー悪い悪いお取り込み中だった、か。って」

「……どうした?って」

 

何だか右手に柔らかい感触がある。そうだな、例えるならば……全てを包み込むまるで母の愛、といったところか。いけない、現実を見なければ。

 

「は、はわわわわ!」

「す、すまん!これは全部矢吹のせいで……」

「おい!確かに俺も悪いけど全部悪いわけじゃないだろ!」

 

なんと言うか。もみくちゃになった勢いで俺は綺凛を押し倒す形で綺凛の胸部装甲に手を置いていた。なんと言うか……凄い。何がとは言わないが。

 

「はぅぅ、だ、だだ大丈夫、です。ソーマ先輩が悪いわけじゃないので。」

「……本当にスマン。そんなつもりは無かったんだが。」

 

ふぅ、どうやら許してくれるようだ。と言うか見ていたのが矢吹だけで本当によかった。他の奴らが見ていたら……

 

……ってあれ?なんだ。複数の視線を感じる。

 

「き、きき貴様!ま、まさかそんな趣味があったのか!」

「ソーマ、流石にそれは俺でも引くよ……。」

「あら、ソーマったらそんなプレイが好きなのですか?」

「ソーマ、綺凛に何をしている。」

 

この後俺は初めて土下座というものをした。……こんな屈辱は2度と味わいたくない。

 

 

PS・次の日学園新聞には死神は中等部の女の胸を揉みしだくどうしようもない変態という記事が匿名E・Yから提供されそれを見たソーマが鬼の形相でどこかへ言ってしまいそれから1週間矢吹は学校に来なかった。尚記事は消され代わりに新聞部の矢吹は中等部の女子の胸ばかり見ている変態と言う記事が掲載されたのは別の話である。




矢吹さん。お疲れ様です、

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