銀の魔法先生スイ (フリーク)
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とある少年の最期

魔法陣を発動させて三人が光に包まれる時、口パクだけど「さようなら」と口を動かした。

一人はそのまま目を伏せ、二人は目を見開いた。

直後に魔法陣が起動し、三人は姿を消した。

僕は転移型魔法陣に歩み寄り、『何も無かった』事にし、魔法陣を破壊し彼女へ振り返った。

 

「…これで、ここに残るのは僕らだけになった。マリステイス、アナタを消す」

 

彼女はもう既に姿形を留めていなかった。

彼女の〈使い魔〉ニーズヘグを彷彿される龍に似た姿が赤黒く象られていた。

自我を失ったのか、それとも力を使い過ぎて暴走したのか。

禍々しい力の中心で、マリステイスは真っ赤に染まった瞳を僕に向け、憎々しげに顔を歪めた。

 

「ーはああぁぁッ!」

 

対抗するように力を込めて、スイの身体が一際強い銀色の光に包まれた。

ーきっとこの力を使えば、僕もこの力に呑み込まれて、消えてしまうだろう。

スイは心のどこかでわかっていた。限界まで力を使ったことはないが、そのあとどうなってしまうのかは自分が一番よくわかるのだ。

彼の師も危惧していたように、力に耐えられなきなった身体は呑み込まれてしまう。だから、力の要素になり得る『宝玉』を得て、その力を律する必要があった。

しかし、こうして限界まで力を使ってしまえば、その必要はない。最後の力を振り絞り、限界を感じながらも、さらにスイは力を練り上げた。

互いに睨み合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそして、激しい銀の光を放って、辺りは白一色に染まった。

 

◆◇◆◇◆

 

頭を撫でる懐かしい感触に、スイはゆっくりと目を開ける。

顔に柔らかな何かを感じてふっと目を上げると、マリステイスが座って微笑んでいた。慈母のような温かい眼差しで自分を見つめてい

る姿に気づき、スイもふっと小さく笑う。

 

「おはよう、マリステイスさん」

「…驚かないの?」

「なんとなく予想できてたから。ー今こうして僕の前にいて、今まで夢の中で会ったことのあるアナタが本当のマリステイスで、僕ら

が戦ったアナタは力で自分を失ってしまったマリステイス、なんじゃないかなって」

 

やはり僕の考えは外れていなかったようだ。

そのあとマリステイスと他愛もない話をした

 

◆◇◆◇◆

 

「スイ、アナタも分かっていると思うけど、このままだといなくなるわ」

「うん、もちろんわかってる」

「だけど、一つだけそれを回避する方法があるの」

 

スイはその言葉に少し驚いていた

 

「それって?」

「異世界に転移してもらうわ」

「…異世界に?方法は別にいいけど、そこはどんな世界?」

「この世界と同じように『魔法』の技術が発展しているわ。でも、一般には公表されていないみたい」

「『魔法』が…。それは僕らが使う『魔法』とは違うの?」

「ええ。だからその世界から、こちらの世界に転移することのできる『魔法』を創り出せるかもしれないわ」

 

その言葉に少しだけ希望の光が見えた気がした

 

「それじゃあ、異世界への転移をはじめるわ」

 

僕の足元に大きな魔法陣が浮かび上がった

 

「いい、スイ。その世界では『魔法』という技術は秘匿されているわ。だから使う時は気をつけて。それと、宝玉もアナタの中にあるわ」

 

そう言いながら彼女は僕の胸を指差した

 

「宝玉には、私の精神が込められているから、何か話しかけてね」

「わかったよ」

「それじゃあね、元気にね」

 

その言葉の直後、魔法陣が起動し視界が光に包まれた



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Episode 1 少年の邂逅

連続投稿です。


ー寒い…

 

それが意識が浮上してきて一番初めに感じたことだった。

目を開けると、目の前には見た事もないほどの巨大な大木があった。

大きさだけならば、スイも驚かないが《右目》で集中してみると

 

「…やっぱり、《魔力》が流れてる」

 

目の前にある大木ほど、綺麗に魔力回路が出来ているのは初めてだ。

その事が気になりずっと樹を観察していると、

 

「そこの貴方、何をしているの?」

 

そんな声が聞こえた

 

 

シャークティSide

 

はじまして、私はシャークティといいます。麻帆良学園の教会でシスターをやっています。

今日も、いつもの見回りで学園内を歩いていたのですが、世界樹に見知らぬ人が近付いていました。

遠目からみても明らかに制服は着ていませんでした。

その事から私の警戒心は跳ね上がり、急いで駆け寄りました。

 

「そこの貴方、何をしているの?」

 

その声が聞こえたのかゆっくりと私の方に振り返りました。

その人は長い銀髪を後ろで結び、蒼と金の瞳に、中性的な顔立ちをしていた。

正直、服飾の情報がなければ女性と勘違いする程だった。

 

 

ー…不覚ですがその美貌に少し見惚れていました

 

 

気がついてその少年をみると、彼は倒れていました。

慌てて駆け寄り顔を見ると顔色が、悪かった。

怪しい人物匿うのは、正直だめだが、良心に従い教会へと連れ帰ることにした

 

 

 

スイSide

 

僕の二度目の覚醒はベッドの上だった。

起き上がり周りを見渡した。

するとシスターが一人やって来た。

 

「気づいたんですね」

「あの、アナタは?」

「私の名前はシャークティと言います。この教会のシスターをしています。それでアナタは、誰ですか?」

「僕の名前はスイです」

「ではスイ、アナタはあそこで何をしていたんですか?」

 

その質問に少しだけ抵抗感があった。

彼女は僕の話を信じてくれるだろうか。

少し考えた。

 

(話してもいいと思うわ)

 

ふとそんな声が頭に響いた。

 

(これって…マリステイス?)

(ええ、宝玉に込められている精神から話しかけてるの)

(やっぱり、それで良いってどういう?)

(少なくとも彼女は信用できるわ。それに、自分の事情を知っている人がいた方が、何かと融通が効くわ)

(ふ〜ん、わかった。彼女に話してみるよ。…ちなみに、なんであの時いきなり気絶したわけ?)

(それは、多分転移してすぐだったから身体が、変化についていけなかったからだと思うわ)

 

悩みが解消されると、マリステイスとの会話を終了した。

ふと前見るとシャークティがこちらをじっと、見ていた。

 

「…話せないんですか…?」

「いえ、その信じてくれないと思ったんで…」

「大丈夫です。一先ず話してみて下さい。少し楽になるかもしれませんよ」

「えっと実は…」

 

魔法関係の事は出来るだけ触れず、僕が孤児であること、そして…

 

「異世界から…」

 

異世界からやって来た事を話した。

シャークティは、少なからず驚いているように見えた。

だけど、何か納得したのか

 

「わかりました。スイ、アナタの話を信じます」

「信じるんですか?この話を…」

「ええ、少なくともアナタが嘘をついているようには見えませんから」

 

(ね、言ったでしょ?)

 

そんな声が聞こえた気がした。

 

「一先ずそこで休んでいてください。夕食の準備が出来次第、呼びに来ますので」

「ありがとうございます」

「いえ、それでは」

 

そう言いシャークティは部屋を出ていった。

さて僕も少し寝ようかな。

 



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Episode 2 少年、先生になる

何とか書けました…
さて、ここからどう絡めていこう…


翌日、僕はシャークティに連れられて学園内にいた。

 

「シャークティ、どこに向かってるの?」

「学園長室です」

 

そう言いながらシャークティは扉の前で止まった。

そして扉を開けると一人の老人が奥の机に、座っていた

 

「…魔物?」

「人じゃよ…」

 

思わず口に出てしまった。

眉毛と口髭、それに顎髭も白くそれにとても長い。

それに頭が異様に長い。

この特徴を見て、人ならざるものと考えても、しょうがないだろう。

 

「それでシャークティ、彼は誰じゃ?」

「彼は…「スイです。」それで…」

 

そのまま、人ならざるものー学園長に僕の事情を話した。

 

「う〜ん、異世界からきたと、それで今教会で匿っていると。なるほどの」

「それで学園長…彼は…」

「まあ、構わんよ。このまま教会で世話を見るんじゃよ」

「はい、わかりました」

 

どうやら僕の処遇は決まったようだ。

正直、環境が目まぐるしく変わるのは嫌だからね。

 

「それで、スイ」

「何ですか、学園長」

「一つ、お主に頼みたい事があるのじゃが…」

「何ですか?」

「お主、アルバイトしてみる気はないかの?」

「アルバイト、ですか…。構いませんよ」

「よいのか?」

「居候させてもらってる身ですからね、別にいいですよ。それで、アルバイトの内容は?」

「あるクラスの副担任をしてほしいのじゃ」

「わかりました」

「では、指導教員のしずな先生に案内して貰いなさい。しずな君」

「わかりました、学園長。こっちへ来て、スイ先生」

 

呼ばれたのでしずな先生のもとへ行き、学園長室をあとにした。

 

 

近衛 近右衛門Side

 

全く驚いたわい。

シャークティから紹介された少年が異世界からきてるとはの…

 

「それで学園長、スイはもしかして…」

「ああ、彼はA組。ネギ君がいるクラスじゃよ」

「やっぱりですか…」

 

シャークティはやはり心配のようじゃの。

じゃがあの少年、やけに落ち着いていたのう…

何となくじゃが纏ってる空気が違った。

まあ、恐らく大丈夫じゃろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…それにしても、銀髪に()()()()とはのう。

あれは、無自覚に落としそうじゃのう…

 

 

スイSide

 

しずな先生に連れられて廊下を歩いてると、赤髪で杖を持った少年が僕達の目の前を走り去った。

そしてそれを追うように大勢の少女達が、走り去った。

一瞬だが、「廊下は走るな」と注意をしようとしたのは間違っていないはずだと思う。

 

するとしずな先生は驚く事を言った。

 

「スイ先生、さっき走ってった彼らがA組の担任のネギ先生と、そのクラスメイトです」

 

ちょっとだけ頭が痛くなった。

このクラスは大丈夫だろうか…

そんなことを考えながら、今もなお走り去るネギ先生の背中を、隠していた()()で見た

 

その体からは、()()()()を出していた

それはまるで、以前僕が掛かった魔法陣で確か効果は…

 

()()されてる…?」

 

ふと小声で呟いた

 

「どうしたんですか?スイ先生」

 

固まっていた事を不審に思ってか、しずな先生が質問してきた。

 

「彼を追いかけてもいいですか?少し気になるので…」

「え、ええ。別に構いませんが…」

「では、これで」

 

そう言って彼を追いかけた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

結論だけいうと彼を探すのは、簡単だった。

彼から出た《紫色の》魔力が糸のように繋がっていたため、それを辿るように追いかけた。

 

追いかけると一つの部屋にたどり着いた。

いざ、中に入ろうとするが中で鍵がかかっていて開けれない。

しかも中から何やら倒れた音もした。

 

 

…仕方ない、()()()

 

 

ネギSide

 

どうしよう…、アスナさんに作った惚れ薬を飲まされて、みんなに追いかけられるなんて…

宮崎さんに助けられたけど、逆に襲われてるし…

 

ーもうダメだ…

 

僕に近づく宮崎さんの顔を見てそう思った瞬間

 

 

 

 

 

「ーハッ!!」

 

そんな声とともに、扉が()()()()()

そしてその扉は中を舞い僕らの所に落ちてきた。

そしてそのまま僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

スイSide

 

やり過ぎたかな…

扉を吹っ飛ばし中に入ったが、ネギ先生は女子に覆い被される形で意識を失っていた。

まあ…今からすることにとっては、好都合なんだけど。

ネギ先生のもとに駆け寄り、彼から発している()()の魔力を消した。

これで騒動はなくなる筈なんだけど…

どうしよう、彼ら。

 

「おーい、ネギ坊主」

 

ふと、ネギ先生を呼ぶ声が聞こえた。

急いで隠れて様子を見ることにした。

 

「ちょっと、ネギーって、どうしたのよコレ!」

「…う~ん、あれアスナさん!?」

「あ、本屋ちゃん!…じゃなくて宮崎まで。一体どうしたのよ…」

「えっと、宮崎さんに襲われてたら扉がいきなり吹っ飛んで、その衝撃で気絶してたんです」

 

するとアスナと呼ばれた少女は頭をガシガシとかくと、

 

「全く…世話やけるわね!」

 

そう言いながら少女を抱えた

 

「あ、ありがとうございます、アスナさん!助かりました…」

 

そして二人は去っていった

さて、僕も戻るか…

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「あ、ここにいたんですねスイ先生」

 

しばらく周っているとしずな先生に会った。

 

「すいません、いきなり飛び出してしまって…」

「いえ、大丈夫ですよ。顔合わせはまた明日にしましょう」

「わかりました、それでは」

 

そして僕は教会に帰った。

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「あら、帰ってきたんですね」

 

教会の入口にシャークティが立っていた。

その隣には二人の少女がいた。

 

「ただいま。そこの二人は?」

「私の名前は春日美空、美空って呼んで」

「私ハ、ココネ。ヨロシク」

 

短髪の少女が美空、褐色の肌の子がココネみたい。

 

「僕の名前はスイ、こちらこそよろしく」

 

これで僕の先生としての初日が終わった。

 

 

 




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