新米バス運転手と少女達のShining Road (ことね)
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序章
変わらない一日の始まり


 普段から見る専門だったのですが、思い切って執筆に挑戦してみようと思い、書いてみました。
 いろいろと拙い部分があると思いますがよろしくお願いします。




序章

1話 変わらない一日の始まり

 

卒業や進級など新生活であわただしくなる直前である3月下旬のとある平日

朝9時過ぎ、いつもどおりに沼津市街地を出発するバス・・・

この時間は通勤や通学のピークが終わり、静かな時間帯である。

そんな沼津市街地と内浦地区を結ぶバスを動かす、それが僕の仕事である。

 

沼津駅南口を出て市街地を走っていると、いくつか先のバス停で数人の利用者がバスを待っているのが視界に入った。

運転手の仕事として自分のバスに乗らない人であってもバス停にお客様が待っている以上はそのバス停に止まらないといけないのである。

 

 

だが、その中にいる女の子は自分の知り合いである・・・と気づいたのはバス停に着いてお客様の乗車を案内してからであった。

 

「大樹君、おはヨーソロー!」

「おはよう・・と言いたいけど後ろの人がつっかえてるから早く乗ってね。」

 

朝から元気な挨拶をしてバスに乗ってきた女の子の名は、渡辺曜ちゃん

古くから付き合いのある知り合いの一人である。

 

彼女は内浦地区にある高校、浦の星女学院に通う高校1年生である。

 

 

 

彼女が乗ってから十数分経った頃、バスは市街地を抜け内浦地区へと入る。

しかし、平日この時間帯ということもあり、内浦地区へ入る前にほとんどの人が降りてしまい、いつの間にか車内は彼女ひとりになっていたのである。

 

 

「次はシーパラダイス前、シーパラダイス前でございます。」

女性の音声放送が流れると降車を知らせるボタンが押された。

 

バスが停留所に近づくと見覚えのあるみかん色の髪の毛をした女の子が見えた。

降車ボタンが押されていたため、バスを止め扉を開け降りるお客様を案内する。

 

「あーっ!!大くんだぁー!!」

 

扉を開け、運転手である僕の姿を見るなり驚いた女の子の名は、高海千歌ちゃん

曜ちゃんの幼馴染であり、彼女と同じ浦の星女学院の高校1年生である。

 

千歌ちゃんの姿に驚いている中、曜ちゃんが運転席近くへと向かってくる。

 

「ここで降りるってことは今日から春休みかい?」

「うん。今日は千歌ちゃんの家で遊ぶ約束しててさ。」

 

運賃箱に整理券を入れ、定期券を確認する。

これもれっきとした運転手の仕事である。

 

言われてみれば、朝の時間帯に全然学生が乗ってこないと思ったら春休みの時期か・・・と考えぼやく。

 

「だから学生が少なかったのか・・・」

「うん。そういえば、私初めて大樹君の運転するバスに乗った気がするよ!」

「曜ちゃんいいなー、私も大くんの運転するバス乗りたいよー。」

 

曜ちゃんと千歌ちゃんが僕に言う。

 

「まあ先月やっと教習を終えて、今週から一人で乗務するようになったからね~。」

「今度私も乗せてよー。」

 

千歌ちゃんの言うことに、車じゃないんだから・・・と心の中で苦笑いをした。

 

「まあ千歌ちゃんはこれから乗る機会あるだろうからそのうち嫌でも乗る時が来ると思うなー。」

 

とかなんとか・・・ついつい話し込んでしまっていたら、出発の時間が迫っていたことに気づく。

 

「おっと時間だ。それじゃあまたのご利用お願いしますね!」

「うん。頑張ってね!!」

「ヨーソロー!お気をつけてなのであります!」

 

曜ちゃんが降りたのを確認し、扉を閉めバスを出発させる。

 

そんな春先のいつもと変わらない一日が今日も始まった。

 

 




投稿ペースとかは未定ですが、既に次話の執筆中でございます。
序章として主人公とAqoursメンバーを絡ませていこうかなと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。


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変わらない一日の続き

キャラ毎の一人称や口調を文に起こすのがまだ慣れません・・・。
第2話です。
今回は文学少女と小動物少女との出会いの話。


2話 変わらない一日の続き

 

千歌ちゃん、曜ちゃんに見送られてからおよそ数分。

終着の停留所へとバスは着いた。

沼津市街地からバスを運転すること30分弱、やっと一仕事を終えたのである。

 

しかしこれで終わりではなく、これから十数分の休憩と出発待機を行った後に

沼津駅へと再度バスを動かさなければならないのである。

そして途中途中のバス停では、春休みと思われる学生や年配の方を乗せ、沼津駅に向けて来た道を戻る。

 

 

 

そして再度、30分ほどバスを動かして沼津駅へと到着したのであったが・・・

ミラーで車内を見てみると後部座席で二人の少女がぐっすりと眠っている光景が見えた。

あわててシートベルトを外し、寝ている二人を起こしに行く。

 

「お客様~。終点ですよ~。」

 

二人のうち、通路側に座っていた紅い色の髪の女の子の肩を揺さぶり声をかけた。

すると、紅い色の髪をした女の子が起きたのだが・・・

肩に手をあてたままであった為、紅い髪の女の子の顔が急に真っ青になる。

そして、次の瞬間

 

「・・・・・・ぴぎぃぃぃいいいいいいいいいいいいっ!!」

小動物のような悲鳴で叫ばれてしまったのであった。

 

その悲鳴に驚いてしまった僕はとっさにその少女から離れたのだったが、段差を踏み外してしまいこけてしまうのだった。

悲鳴を聞き目がさめた窓側に座っていた栗色の髪の女の子が慌てて僕に駆け寄ってきた。

 

「運転手さん、大丈夫ずら!?!?」

「ああ、なんとか大丈夫です。それよりその子は平気ですか・・・?」

 

僕はこうみえても頑丈なのでたいした怪我とかはしていなかった。

だが、悲鳴をあげてしまった女の子のほうが心配であった為に栗色の髪の子に聞くと

 

「すいません・・・あの子は極度の人見知りでして」

「あーそうなのね。なんかまずいことをしちゃったのかと思ってね・・・。」

 

などと会話をしていると栗色の髪の子が「むむっ!?」という顔をして名札と顔を交互に見てきたので、

どこかで会ったことあるかなぁと頭の中で考えていたら、栗色の髪の子が僕に質問をしてきた。

 

「もしかして・・・大樹さんずら??」

 

とっさに自分の名前を呼ばれ脳内の記憶を掘り起こしてみる。

 

語尾にずらって付ける栗色の髪の女の子の知り合いって・・・もしや!?と思い出した所で

 

「ひょっとして、国木田さんの所の花丸ちゃんかな??」

「そうずら!」

「久しぶりだね~。元気そうでなによりだよ!」

 

栗色の髪の女の子の名前は、国木田花丸ちゃん

彼女もまた千歌ちゃんや曜ちゃんなどと同じく古くからの知り合いの女の子である。

しかし、最後にあってから結構な年月が経っていたので自力では思い出せなかったのである。

 

そして、さっき起こした紅い髪の女の子が花丸ちゃんの後ろから小動物のようにひょっこりと顔を出していた。

花丸ちゃんが、紅い髪の子に声をかける。

 

「ルビィちゃん、運転手さんはオラ達が寝てたから起こしに来ただけずら。」

「ううっ・・・ルビィのせいで、ごめんなさい。」

「大丈夫ですよ!怪我はしてないから気にしない下さいね。」

 

しかし、涙目で申し訳なさそうな顔をする紅い髪の子を見かねて僕は自己紹介をしてみることにした。

 

「僕は島 大樹って言います。花丸ちゃんとは幼い頃からの知り合いなんですよ。」

「く・・・黒澤・・・る・・・ルビィです。」

 

紅い髪の子は黒澤ルビィちゃんと言う名前らしい。

 

 

 

そして騒動のうちにそろそろ車庫へと戻らなきゃならない時間であったことに気づく。

 

「あー二人ともごめんね。そろそろバス動かさなくちゃいけないから降りてもらえるかな?」

「あっ!ごめんなさい・・・。」

「ごめんずら・・・。」

 

花丸ちゃんとルビィちゃんの二人は慌ててバスを降り、僕も運転席へと戻る。

 

「二人ともごめんね!また時間ある時に話そうね。」

 

そう一言告げ、すぐにバスを走らせ車庫へと戻っていったのであった。

 

 

 

 

そして車庫に着き、車内を点検していると二人が座っていた所にかばんが置いたままであったことに気づき、一人でぼやくのであった。

 

「話しながらだったから忘れていた事に気づかなかったのか・・・。」

 

ちなみに、その数十分後に二人が忘れたカバンを取りに来たため事なきを得たのであった。

 




前回より長くなってしまいました。
導入部といいながらよく分からない話ですいません。

またよろしくお願い致します!


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一日に一度だけ通る道

第3話です。

投稿されてから6件のお気に入り登録・・・本当にありがとうございます。

少々、自分語り目線が少々多くなってしまいました。

今回は凛々しいあの生徒会長とのお話です。


3話 一日に一度だけ通る道

 

花丸ちゃん達が忘れ物を取りに来てから数時間。

数時間の休憩を終えた後は沼津駅から市街地を行ったり来たりする。

 

 

そして道路のアスファルトを照らしていた陽の光が

富士山のある西の方へと傾きつつある夕刻18時過ぎ、僕の運転するバスは

再び内浦地区へと向かっていたのであった。

 

「夕日がまぶしいなぁ・・・。」

 

海沿いを走るバスからは沈みかかっている夕日が綺麗に見えるのだが

生憎にも、新米運転手である僕は安全運転を行うことを第一にしている為、

それさえも邪険に扱ってしまいがちである・・・。

 

 

バス停を通過したため、運転席の横にある自動放送のスイッチを入れた。

 

「この先、左に曲がりますのでご注意ください。」

今までの運転と違い、自動放送から注意を呼びかける声が聞こえる。

 

朝は直進してトンネルを抜けていた運行ルートだが、

夕方、この時間の便だけは左折しなきゃならないことを思い出して、ウインカーを出して左に曲がる。

 

誰も乗ってはいないのだが、注意喚起のためにマイクで放送を行う。

 

「左に曲がりますのでご注意ください。」

 

大きなバスのハンドルを左に回し、バスの方向を変える。

 

時に公共交通機関であるバスという乗り物は

利用状況や道路状況、あるいは周辺地域の教育機関へ通う学生など

多くの事情を解決するために特殊な運行を行うことがある。

 

特に通学のために利用する人が多い時間のバスでは、わざわざその学校の近くを経由し

ご不便をおかけしないような運行ダイヤが組まれているのだ。

そして無論のことであるが、内浦地区から沼津駅へ向かうバスは始発バス停に近いほど、乗ってくるお客様は少ないのだが・・・。

 

「次は、浦の星女学院。浦の星女学院でございます。」

 

浦の星女学院高校へ向かう丘の下にはバス停があり、そこから通学の生徒さんを乗せるために通学の時間帯だけはバスが通るようになっているのある。

 

すると、春休みであるはずのバス停には黒い長髪の学生がバスを待っていた。

 

バスを止めてドアを開けると、自分の知る後輩がバスに乗ってきたことに気づく。

 

「あら、大樹さんではありませんか。」

「久しぶりだね。ダイヤちゃん・・・。」

 

整理券を取った、黒い髪の凛々しい顔たちをしている女の子・・・もとい

清楚感があり大人な雰囲気を持つこの子は・・・黒澤ダイヤちゃん。

 

僕の小学校の頃の後輩であり、僕の近所にある網元の名家の娘である。

 

彼女を乗せ、いくつかのバス停を通過したところで、降車ボタンが押された。

バス停でバスを停め、ドアを開ける。

 

そして、運転席の横に座っていたダイヤちゃんが降りるために席を立ち、傍にある運賃箱に整理券と小銭を入れる。

 

「ありがとうございました。」

「こちらこそ恐れ入りますわ・・・最近、朝の時間にお見かけしないと思いましたら、いつの間に運転手になってらっしゃったのですか?」

 

社交辞令ではあるもののお客様にたいしてお礼の言葉を添えると、やさしく微笑みながら質問をするダイヤちゃん。

やはり彼女には笑顔が似合うな・・・と心の中でつぶやく。

 

「なっ・・・!?そういうことを口にするなんて・・・破廉恥ですわ!!///」

 

突如として顔を真っ赤にしてしまったダイヤちゃんを見るなり、心の中で思っている事を口に出してしまうという、自分の良くない癖が出てしまった事に気づいて慌てて彼女に謝罪をする。

 

「ごめんごめん。まあ、今後はここの地区に来るバスも僕が担当する時あるからさ。

 これからもよろしく頼むよ。」

「い・・・いいえ、こちらこそ取り乱してしまい、申し訳ないですわ・・・。」

 

ダイヤちゃんがバスを降り、扉を閉めようとするとこちらを振り向いた。

 

「そういえば、4月からわたくしの妹が浦の星に入学しますの・・・きっと大樹さんの運転するバスに乗ることがあるかと思いますからよろしくお願い致しますね。」

「そうなんだね・・・妹さんによろしくお伝えくださいね。」

「ええ、それでは。」

 

ドアを閉め、バスを発車させる。

ふと思い、バスの進む方向に歩道を歩き始めたダイヤちゃんに対し、マイクのスイッチを車外放送に切り替えてこう言った。

 

「久々に君の笑顔が見れて良かったよ・・・。」

 

一言告げた僕は、サイドミラーに映るダイヤちゃんを見て顔を綻ばせて、再びバスを沼津駅方面へと走らせたのであった。

 

 

 

 

 

「久々に君の笑顔が見れて良かったよ・・・と言われるとは思ってもいませんでしたわ///」

走り去るバスの運転手よりスピーカー越しで言われた一言に思わず「ふふっ・・・」と笑顔になってしまった黒澤ダイヤなのであった。

 




1800文字書いて、本文が一気に消えてしまった時・・・顔面蒼白になりました。
自動バックアップ機能に感謝です。

どんどんと文字数が増えてきてしまい・・・見づらさが出来てしまったら申し訳ないです。


明日より仕事の都合で、土日を除く曜日はほぼ2日に一度のペースで更新することになると思います。
まあ昨晩・今晩みたいに続けて投稿できるようにプロットを組み立てておきますが・・・次回の更新までしばらくお待たせしてしまうことになると思います。
あらかじめご了承ください。

お気に入り登録をして下さった
緋炉さん、明日頑張るか?さん、Kai209さん、H,MATTUNさん、四葉さん(公開設定の方のみ)
ありがとうございました!




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変わらない一日の終わり

お待たせいたしました。

序章、第4話です。




ダイヤちゃんを降ろしてからひとつ先、千歌ちゃんの家の傍にあるバス停に近づくとそこには朝も乗ってきた女の子達がバスを待っているのが目に入った。

 

バスの扉を開け、女の子達へと声をかける。

 

「今朝ぶりだね、それと千歌ちゃんは曜ちゃんのお見送りかい?」

「それもあるけど、もしかしたら大くんに会えるかなーって思ってさ~。」

「千歌ちゃん、あの話を大樹くんに話すんだって言ってはりきっちゃってさ・・・あはは」

 

やはりバスを待っていたのは曜ちゃんと千歌ちゃんであった。

僕としては会えるとは思っていなかったので、びっくり半面・嬉しさ反面・・・という感じはるが。

 

「でも、運転手が僕じゃなかったらどうするつもりだったのさ?」

「ふっふっふっ・・・千歌は朝のあの時間のバスの運転手とこの時間のバスの運転手さんは同じ人だという情報を曜ちゃんから仕入れているのです!」

 

と、自慢げに言う千歌ちゃん。

 

「確かに曜ちゃんなら分かりそうだけど・・・。それで、話ってなんなの?東京の方へ遊びに行くって話かい??」

 

「ええっ!?どうして分かったの~!!」

 

どうやら、なんとなく言ったことが当たってしまったようであった。

 

「なんとなくだよー。でも千歌ちゃんならきっとそういう事ではしゃぎそうだな~って思ったからさ。」

「むー・・・なんか子供扱いされた気がする。」

 

顔を少し膨らませながら、そんなことを言う千歌ちゃんを見ていると微笑ましくなってしまう。

 

「ふふっ、そっかー・・・東京ねぇ。」

 

 

 

数年前・・・ふと東京へ行ったときのことを思い出す。

 

あの時はスクールアイドル「μ's」の東京地域決勝を見に行ったんだっけなぁ。

千歌ちゃんや曜ちゃんもスクールアイドルに出会うのかな・・・。

 

 

 

そんなことを考えていたら曜ちゃんはもうバスに乗っており、発車を待つだけであった。

 

「おっと・・・それじゃあバス出すね。」

「千歌ちゃん、またね!!」

 

「うん、二人ともまたね!」

 

バス停を離れ、沼津駅方面へと向かう。

 

珍しく、市街地へ入っても乗降するお客様は少なく、

幸か不幸かバスには曜ちゃん以外の乗客は誰一人居なかった。

 

そして、曜ちゃんが降りるバス停が近づいた。

バスをバス停に停め、運賃箱へと向かってくる曜ちゃんが降り際にこう言った。

 

「大樹くん、やっぱり分かってたんだね。」

「まあ、千歌ちゃんの言いそうな事はわかるんだ。幼馴染やってるからね。」

 

曜ちゃんも千歌ちゃんの幼馴染である為か、彼女の言いたいことは大方分かっていたみたいであった。

 

「あはは・・・そっかぁ。」

「それでだ。もちろん、曜ちゃんも一緒に行くんだよね?」

「うん!千歌ちゃんのことはこの渡辺曜にお任せくださいでありますっ!」

「ホントかなぁ?!曜ちゃんも一緒になってはしゃぎそうな感じがするんだけど・・・」

「そ・・・そんなことないよ!!///」

 

昔から変わらないやり取りをし、曜ちゃんはバスから降りた。

 

「まあ・・・楽しんでおいでよ、今度話を聞かせてね。」

「ヨーソロー!!ありがとうなのでありますっ!」

 

 

ドアを閉め、敬礼をする曜ちゃんを横目に最後の一仕事を終えにバスを発車させた。

 

 

そして、沼津駅へと着いたバスを車庫に回送させ、今日の仕事を終えたのであった。

 

 

 

 

だが、僕はまだ知らなかったのである。

 

彼女らが東京で見てきた物は、普通の日々を変えるきっかけになるということを。




数日間仕事の都合で空いてしまい、お待たせいたしました。


本当は金曜に更新を出来たのですが・・・。





スクフェスでハロウィン千歌ちゃんSSRと新規追加の動物編千歌ちゃんSRが出てしまい
加えて補助チケとかいろいろ引いてたら新規URの善子ちゃんが二枚出たり、ハロウィン編の善子ちゃんURとかが出てしまい・・・一年の運を使い果たしてしまったような出来事があり、更新が遅れてしまいました。(ハロウィン編千歌ちゃんと動物編千歌ちゃんが可愛すぎるのがいけないんだ・・・。特に動物編千歌ちゃん、あれは可愛すぎてやばい。)

それから、感想もお待ちしております。(まだ4話だけですが)

それではまた次回もよろしくお願い致します。

新たにお気に入り登録をして下さった、
Leonさん、イツバさん、はるかずきさん(公開設定の方のみ)
登録ありがとうございます。


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変わらない休日の朝

お待たせいたしました。

序章第5話です。

3rdシングル発売日…という記念(ではなくただの偶然)で今回はセンターのあの子が出てきますよ。


翌日、陽が昇り始めた頃に目が覚めてしまった事に気づくと、僕は手元のスマホで時計を見る。

時計は朝の5時半過ぎを示していた。

 

昨日の仕事の疲れもあったのか、帰ってきてご飯と風呂を済ませた所までは覚えていたのだが・・・いつのまにか爆睡してしまったみたいだった。

 

「んー・・・眠れないし外にでも出るか。」

 

眠りすぎてしまったせいか・・・或いは寝れそうになかった為か、自前のランニングウェアに着替え、とりあえず外に出てみることにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

空の東側から陽が昇り始めた頃、淡島の見える海岸沿いをランニングをしていた。

前方からランニングをする人が見えたため、道の端に避けたのだが・・・なんと、そのランニングをしていた人から声をかけられた。

 

「あっ、おはよー大樹!」

「あれ・・・果南じゃん。どうしたの?」

 

朝早くから僕に声をかけてきたこの子は、松浦果南ちゃん。

僕が唯一、名前を呼び捨てで呼んでいる知り合いの女の子である。

千歌ちゃんや曜ちゃん、僕とは幼い頃からの幼馴染であり、二人のお姉さん・・・のように昔から二人の面倒を見ていたとても優しい子である。

 

「朝早くから珍しいね、今日は休みなの?」

「うん・・・まあ目が覚めちゃったし。」

 

富士山を望みながら、内浦湾を見つめて他愛も無い会話をする。

昔から僕達二人はこうだった。

 

「てか、果南こそ今日も早起きしてランニング?」

「うん。日課だからね、毎日続けてるよ。大樹も一緒にする??」

「んー。体力そこまで無いからパス・・・とは言いたいけども今日くらいは付き合うよ!」

「本当!?嬉しいな♪」

 

果南よりも体力はないはずなのだが・・・何故か口に出てしまった。

 

「それにさ、果南と久々に話したい・・・からさ。」

「ふふっ・・・言われてみれば最近は大樹と会ってないからね。」

 

そして、僕と果南は朝焼けが海を照らしつつある春の朝を走り出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

二人で走り出して十分弱、浦の星女学院の坂の下までやって来た。

 

春の朝とはいえ、十分も軽くジョギングをすると汗をかいてしまう。

なによりも、体力があまり無いために息があがってしまう。

 

息を整える為に二人で岸壁に座り休んでいると、果南から声がかけられる。

 

「そういえば、バスの運転手になったんだって??」

「うん。つい今週からやっと一人でバスを動かしてるよ。」

「むー・・・就職した時も話してくれたのに、今回は私何も聞いてないよ。」

 

少しムスッっとした顔で拗ねる果南を見て、思わず笑ってしまう。

 

「なんで笑ってるのさ・・・私は怒ってるんだからね。」

「あははっ・・・ごめんね。久々に果南のいじけた姿見たから懐かしくなっちゃってさ。」

 

ふいに発してしまった言葉にしゅんとした顔をする果南を見ると二年前のあの出来事を思い出す・・・。

そして、しゅんとした顔のままで果南が僕にこう告げる。

 

「大樹・・・千歌達が東京へ行くって話は聞いた?」

「うん。昨日の夕方に二人から聞いたよ・・・。」

 

千歌ちゃんはやっぱり果南に東京へ行くことを言っていたらしい。

 

「まあ、振り返っても過去には帰れないし。大事なのはこれからを見つめる・・・ことなんじゃないかな?」

「うん・・・。」

「それにさ、僕は変わらずに君らのお兄さん的なポジション・・・でいたいと思ってるよ。」

 

我ながら、かなり恥ずかしいことを言ってしまった様な感じはするが・・・この際気にしたら負け、なのかもしれない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

果南と二人で話しながら道を走り、家の近くまで戻ってくる頃には

太陽が東の山から顔を出し、朝焼けがキラキラと海を照らす頃になっていた。

 

「それじゃ・・・またね。」

「うん。」

 

果南と別れ、家へと向かう。

 

 

 

家の近くに咲く桜が、海風になびいて花びらを舞わせる光景に

普通の日常と違う何かの訪れを感じていた。

 

「千歌ちゃん達は今日から東京へ出発するって言ってたっけ・・・。」

 

春先の変わらない風景を見ながら、家へと帰ったのであった。




いよいよ、3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」がついに発売ですね。
電車好きとしても、ラブライブ好きとしても本当に楽しみです。

新たにお気に入り登録をして下さった、
虚月さん、ヴェルナーさん、副部長さん、マーリン15さん(公開設定の方のみ)
ご登録ありがとうございます。

ここで、今後のこの小説の展開について少しお話しようかなと思います。
序章としては、
・鞠莉ちゃんとの再会
・善子ちゃんとの出会い
・曜ちゃんと千歌ちゃんが東京から帰ってくる
・梨子ちゃんとの出会い

この4話分で序章は終了し本編となります。

なるべく早く構成練って執筆に取り組みますが・・・なんせ仕事が忙しいのでまたお待たせしてしまうことになるとは思いますが・・・何卒よろしくお願い致します。

それでは!



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帰国子女と休日の運転手さん

お待たせ致しました。

まずは遅くなった事に関するお詫びをさせて下さい。

えー・・・仕事が忙しかったり、外出が多かったりでなかなか構成作りが出来ず、本当にすいません。

それでは、第6話です。


家に帰ると朝早くから体力を使う事をしてしまったせいか、シャワーを浴びるとソファーで眠りこけてしまっていた。

そして夕刻近い時間になるまで寝ていたことに気づかず、電話機の着信音が鳴り響いたことによって目を覚ます。

 

「誰だよ・・・せっかくのんびり寝ていたのにさぁ~・・・。」

 

着信音で眠りから叩き起こされた僕は、不満をぼやく。

だが・・・生憎にも家には誰もおらず、仕方なく寝起きの眠い目を擦って電話機へと向かう。

 

普段なら着信先の電話番号を画面で確認するのだが、寝起きであった為にそれさえもせずに受話器を取ってしまう。

 

「もしもし・・・島ですけども・・・。」

「Hi!その声はダイキね!」

 

電話越しに聞こえる高めの声と英語が入ったような言い回しに懐かしい感じを覚え、ふとその少女の名前が浮かんだ。

 

「もしかして・・・マリーかい?」

「Yes!もちろんよ~。久しぶりね、ダイキ!」

 

僕がマリーと呼んだ電話相手は僕の知り合いの中の一人。

そして今は内浦から海外へ留学している・・・その子の名は、小原鞠莉ちゃん

 

「いきなりどうしたのさ・・・マリーから電話なんて珍しいからビックリしちゃったよ。」

「ふふっ・・・実は今週から帰国しててね、それで少し話がしたいなぁ・・・って思ったのよ!」

 

 

「まあ・・・予定は空いてるから平気だよ。」

「そしたら、17時に淡島の船乗り場へ来てもらえるかしら?」

「17時!?もうそんな時間なの!!」

「ええ、そうだけど・・・ひょっとしてSleepしてたのかしら?」

 

マリーに言われた事に驚き、壁にある時計を見ると時間は16時30分を示している事に気づく。

 

「まあそんなところかな。とりあえず、今から支度するね!」

「OK!それじゃあ待ってるわね!Chao!!」

 

 

相変わらずの突然の約束の取り付ける辺り、変わってないなぁと思いながらも支度をする為に、部屋へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして電話が来てから30分後、淡島の入口に着いたのだが・・・

 

「マリーいないじゃん・・・」

 

車もバイクもいないポツンとした定期船乗り場の駐車場を眺めながら、マリーの到着を待っていた。

すると、どこからともなくヘリコプターが飛んでる様な音が聞え・・・その音がどんどん大きくなっていく事に気づく。

 

空を見上げるとピンク色のヘリコプターが着陸体制に入っていた為、慌てて留まっていた場所から離れた。

ヘリコプターが接地をし、ドアが開く。中からは金髪の少女が降りてきた。

そして直ぐに、その金髪の少女は僕へと抱きついてきた。

 

「ダイキ~!!シャイニー☆」

 

抱きついてきたその子こそ、先ほど電話をくれた小原鞠莉ちゃんその人である。

 

「いきなり電話来たからさ。行ってみたら、いきなり抱きつかれるとは思わなかったよ!?」

「そうは言うけど海外ではこれくらい普通よ~。」

 

諸外国の当たり前が日本の当たり前なわけないでしょうに・・・と心の中で思ってるとマリーが僕から離れ、告げる。

 

「再会も済んだ事だし、出発しましょうかしらね。」

「へ??どこに????」

「ふふっ・・・行ってからのお楽しみよ♪さあ乗って乗って!」

 

マリーに背中を押されるがままにへりに乗り込む、シートベルトを締めるヘリが上昇を始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これは・・・一体??」

「えっ、ディナーだけど?」

「それは見れば分かるけど・・・。」

 

数分間の空中浮遊を経験した後、何故かマリーのお付きにスーツを渡されて着替えをするように頼まれた。

そして、着替えてからとある一室へと通されたのが現状である。

 

「まあ・・・久々にダイキと会えたのだし、ゆっくり話したいと思ったのよ。」

「はぁ・・・とりあえず、家に飯いらないって連絡だけさせてくれないか?」

「Of courseよ♪」

 

家に承諾を貰い、久々に会ったマリーとディナーを楽しむ。

そしてマリーと他愛も無い話をする。

 

「そういえばダイキ、Bus Driverになったんですって??」

「まあね。一応ついこの前から一人で乗務するようになったんだけどね。」

「そうなのね~。それで、実は私も伝えたいことがあるの・・・。」

「ん?なんかあったの??」

 

「私、4月からこっちにまた戻ってくるから!」

「・・・えっ!?」

 

突如として言われてしまった一言に驚きながらもスープを口に入れ、飲む。

 

「しかしなんでまたこっちに戻ってくるのさ?」

「理由はまだSecretよ!まあ、今日はその事前準備も兼ねてるのよ♪」

「はぁ・・・これまたにぎやかになるねぇ・・・。」

 

 

突如として言われた帰国の話・・・驚きつつもまたあの頃みたいにみんなが笑顔になる。

そんなことを僕は思っていた。

でも、このマリーの帰国が、複雑に入り組んだ道をひとつに繋げる・・・。

そんなきっかけのひとつになるとはまた誰も知らなかった。

 

 




大変お待たせしました。
4月って色々あるから忙しくて大変ですね。
でも、そんなのは言い訳にはならないですね・・・すいません。

お気に入り登録してくださった、RODEOさん、千導霧弥さん(公開設定の方のみ)
ありがとうございます。

序章も後3話で終わりです!
なるべく早く書くように善処しますのでよろしくお願いいたします!


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特別編・番外編
渡辺曜 誕生日特別編「全速前進ヨーソロー!」


バタバタしていたらもう一週間経っていたなんて・・・。

大変お待たせしました。

(このエピソードの構成・展開を書いたプロットが真っ白になってしまいましたので、初めから作り直してたなんて言えない・・・)

4月17日は渡辺曜ちゃんの誕生日・・・ということで勝手に特別編を上げさせていただきます。

頑張って僕の中の渡辺曜という可愛い女の子を精一杯表現してみました。

それではどうぞ!


渡辺曜 誕生日特別編「全速前進ヨーソロー!」

 

 

 

「・・・きろー!!・・・き、起きてよー!!」

 

とある日曜日の朝方、身体を揺らされる振動で意識が覚醒していく。

 

「頼むから・・・寝かせてくれ・・・。」

 

ふと、そんなことをぼやき、再び眠ろうとする・・・

 

「ふふっ・・・この曜ちゃんの前でそんな事をしていいのかな・・・えいっ!!」

 

ふと身体に感じる暖かさとちょっとした重さ・・・人が僕の上に乗っかってきているという事に気づくのには時間がかからなかった。

 

寝起きで閉じたままの瞼をあけると、そこには見覚えのある顔と女の子特有の良い香りが漂っていた。

そして僕は、自分の目の前にいるのが自分の最愛の彼女であるということに気づく。

 

「・・・曜、おはよう。」

 

「おっはヨーソロー!!」

 

朝から僕を起こしにきたその相手は、渡辺曜

かれこれ幼い頃からの顔なじみの一人であり、今は僕の彼女

彼女が高校を卒業した頃から4年間ほどお付き合いをしている。

 

 

「それで、こんな早くからどうしたのさ・・・。曜だって知ってると思うけども、昨日僕は夜遅かったんだよ?」

 

「そうだよね・・・朝からごめんね。」

 

ちょっと不満げに言ってしまった為か、彼女はシュンとしてしまう。

僕としてはそのような意図は全く無かった為、慌てて弁解に移った。

 

「いや・・・その・・・決して迷惑とは思ってなくて・・・その・・・。」

 

どぎまぎしてしまった僕を見るなり、彼女はにやっとした笑みを浮かべた。

 

「ふふっ・・・。それじゃあ・・・今日お出かけしない??」

 

「まあ、いいけど?どこか行きたい所でもあるの?」

 

「んー・・・特には決めてないかな。大樹は?」

 

「んー明日も休みだからちょっと遠出するか!」

 

「よっしゃ!どこに行くの?」

 

「んー。横浜とかどう??」

 

壁にかけてある時計を見つめる。すると・・・時刻は朝の8時半を示していた。

 

「そしたら、支度するからちょっと待っててくれる?」

 

「分かった。僕も支度するね!」

 

「了解なのでありますっ!」

 

昔から変わらない敬礼を見せ、曜は僕の部屋を出て行く。

机の上にある卓上カレンダーを見つめると日付は4月16日を示していた。

そっと、机の引き出しを開け、小さなケースを取り出す。

 

ケースを開け、銀色に輝く二つの指輪を見つめながら、僕はふと付き合った時の事を思い出していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最初の告白は彼女からで、本当にシンプルなものだった。

 

「私・・・ね。大樹くんの事がずっと好き・・・なの。」

 

夕日が内浦の海を真っ赤に照らし、雲ひとつない夕焼け空だった冬の日

ずっと気になっていた女の子に告白されてしまった・・・。

 

その事に僕は衝撃を受けて、立ち尽くしてしまった事を今でも覚えている

 

「本当に・・・僕なんかでいいの?」

 

不安そうに曜ちゃんを見つめると、こう言われた。

 

「大樹くんじゃなきゃ・・・駄目なの///」

 

「そっか。ちょっとだけ時間を貰ってもいいかな・・・?」

 

曜ちゃんが勇気を出して、告白してくれたのにも関わらず僕はすぐには答えを出せなかったのである。

 

「え?どうして??」

 

驚いた顔をする彼女の顔を横目にこう告げた。

 

「曜ちゃんが僕を思っている気持ちがすごい伝わってきて、本当に嬉しいんだ・・・でも、僕が本当に曜ちゃんを好きなのか?・・・という事についてちょっと考えたいんだ。」

 

「・・・そうだよね。突然言われても困るよね・・・。」

 

告白された時、しゅんとする曜に対して申し訳なさを感じたのだが、同時に自分への不甲斐なさというのも感じていた。

 

「ごめんね。別にこれからも変わらずにうちに遊びに来てくれて構わないし、曜ちゃんの事が嫌いという訳じゃないんだ・・・でも、結論だけは少し待ってくれないかな?」

 

「うん。分かった・・・。」

 

自分の中で、中途半端な気持ちで付き合ってしまっては曜ちゃんの気持ちに申し訳ない・・・。

そのような気持ちがあった為・・・その場で返事は出来なかった。

 

 

それから数日が経ったある日、僕は不意に倒れてしまう。

しかも父親が出張、母親が旅行へ行っている為、家には誰もいない・・・。

そんな最悪のタイミングでだった。

 

曜がたまたま遊びに来た曜がそれを見つけ、看病してくれた。

本当に些細なきっかけだったが、その時、僕はこの子が大好きであり、僕のことを大切にしてくれる子なんだな・・ということに気づいたのだった。

むしろ、この事にすぐ気づけなかったことを後悔した。

 

 

そして体調が治った後、すぐに彼女へ自分の気持ちを伝えた。

 

他人に自分の気持ちを伝えるなんて事は初めての事で、自分がそんなに上手く言葉を紡げるとは思ってもいなかった。

今でもあの時自分がなんと彼女に告げたのか・・・ということは思い出せない。

だが、自分の気持ちの数々を彼女に告げた後、彼女が嬉し泣きをしていたという事実だけは今でも覚えている。

 

それからの毎日は、新鮮でとっても充実していた。

アウトドア派である彼女は、暇さえあれば僕を遊びに誘う事が多かった。

 

時には沼津から抜け出し、東伊豆地域、静岡市内や浜松市内・・・時には県内から出て関東地方へ行く等、本当に色々な所へ出かけた。

最初に二人で遠くに出かけたのは横浜・みなとみらい・・・あそこで二人きりで見た夜景は鮮明に記憶に残っている。

 

僕としても曜のエネルギッシュな性格が僕にとっては刺激を貰うばかりで、彼女といる毎日がとっても楽しかった。

 

いつからかそんな彼女が愛おしくて仕方なかったのかもしれない。

 

そんな事を思い出しながら、着替えを済ませ、先の小さなケースの蓋を閉じて、カバンにしまって、一人で呟く。

 

「あの時の約束は今日果たす・・・」と

 

「おーい!準備できたよ!!」

 

曜が扉越しに声をかけてきたので、慌てて部屋を出る。

 

「いまいくよー!!」

 

 

 

そして僕達は、横浜へと出発した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

時間は午前10時過ぎ。

沼津から東名高速を上り、1時間近く見覚えのある大観覧車と超高層ビル群が見えてきた。

 

横浜駅に隣接するデパートの地下駐車場に車を停めて、電車でみなとみらいへと移動する。

 

その最中、懐かしさに思いを馳せていた時、曜がこう言った。

 

「そういえば、付き合って初めて出かけたのってみなとみらいだったよね。」

 

「うん。今でも覚えているよ。あの時の曜、少し緊張していたよね~。」

 

「えーっ!そ・・・それはだって/// 大樹と付き合って初めて遠くへ出かけるってなったから緊張しないわけないじゃん!!///」

 

「ふふっ・・・本当に曜はそういう所が可愛いからなぁ・・・。」

 

「ナチュラルに褒められると・・・なんか、照れちゃうよ///」

 

傍から見ればバカップル・・・に見られそうなやり取りをしていたら降りる駅へと到着した。

 

 

懐かしさを感じて・・・二人してあの頃のことを思い出しながら、色々と巡る。

 

超高層ビルにある展望台や赤いレンガの倉庫などに行き、公園から水上バスに乗る。

 

「ん~!!やっぱり海風は気持ちがいいね!!」

 

 

 

「そうだね。やっぱり曜は海が一番似合うなぁ・・・。」

 

「えへへ・・・/// 大樹にそう言われると・・・なんか嬉しいなぁ///」

 

「そうだ。夕食なんだけどさ、美味しいハンバーグのお店見つけたからそこに行かない?」

 

「ハンバーグ・・・!?楽しみなのでありますっ!」

 

曜の笑顔が見れるだけで、遠出をしに来た甲斐があったと思わされてしまう。

 

 

そして夕食を済ませ、再び二人で日が暮れた街を歩く。

 

そして、大きな観覧車がある遊園地へとやってくる。

 

「そういえばここも初めて来た時寄ったよね。」

 

「うん。確か頂上付近で一回止まっちゃったんだよね・・・あはは。」

 

観覧車に乗る為、列に並んで待ちながらこの話題でずっと話していた。

 

そして、観覧車へと乗った。

ふたりっきりになってすぐに曜がこちらへと近づいてくる。

 

「ねえ・・・大樹。」

 

「ん?どうした??」

 

僕の隣に腰掛け、肩に頭を乗せてくる。

 

「少しだけ、こうさせてくれない?///」

 

「いいよ。今だから出来ることだしね。」

 

観覧車が半分くらい上昇した時、僕は話を始める。

 

「実はさ・・・今日ずっとデートしながらね。初めて来た時のことを思ってたんだ。」

 

「うん。私も実は思ってたよ。」

 

そう・・・初めて来た時もこの観覧車に乗った。

そして、曜が突然泣き出した・・・という事があった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

実は初めて二人で来た時、曜が少し緊張していたのもあって、疲労が普段より溜まりやすくなっていた。

しかし、僕は初めの頃はそれに気づけず、曜が無理して歩いているのに気づいた時は自分を責め、酷く悔やんだ。

だが、自分を責めた所でどうにもならなかったので、予定を変えて早めに切り上げようとし、二人で観覧車へと向かった。。

乗った途端、曜が突然目に涙を浮かべ泣き始めてしまう。

慌ててしまった僕は咄嗟に彼女に対して、謝罪の言葉を述べてしまう。

 

「曜ちゃんごめん・・・!俺がもっと早くに気づければこんなことにはならなかったのに・・・!」

 

謝罪を述べる僕に対し、曜ちゃんはこう言ってきた。

 

「ううん・・・違うの。私が無理して、我慢せずに大樹くんに言ってればこうならなかったから私のせいだよ・・・。」

 

渡辺曜という少女は周囲からは多才な人物と思われているのだが、以前に千歌と梨子が親密になっていくの見て疎外感を感じてしまい、悩んでしまう子であった。

 

それが幸いしたのか、僕にとっても同じようなことをしてしまっていたみたいであった。

 

「そんなことはないよ。曜ちゃんという僕の彼女の性格をしっかり把握できていなかった僕が悪いんだし・・・さ?」

 

「でもっ・・・私のせいでせっかくの遠出が台無しになっちゃって・・・ううっ。」

 

泣きながらそう言う曜ちゃんを僕はぎゅっと優しく抱きしめ、こう告げる。

 

「曜ちゃん・・・いや、曜。僕はね、君と付き合ってから毎日が楽しくて、刺激的でさ・・・君と居られるだけで本当に幸せなんだ。君の笑顔にずっと力を貰っていたんだ・・・。だから、君には笑っていて欲しいんだ。僕の前では二度と絶対に悲しい涙は見せたりなんか絶対にさせない!次に泣かせるのは嬉し泣きって、今そう決めた!・・・だから、顔を上げて?」

 

カバンからハンカチを取り出して、曜の涙を拭く。

そしてこう告げる。

 

「今日から僕は!君の事をちゃん付けで呼ぶのはやめる!!何故なら、対等でありたいから!!」

 

大声で宣言すると曜は思わず笑い出した。

 

「あははっ・・・なにそれ~!じゃあ私も呼び捨てで呼んでいいかな?・・・大樹///」

 

ちょっとした蟠りが解け、二人で笑いあった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あはは・・・そんなこともあったね。」

 

「うん、それでさ・・・。」

 

疑問符を浮かべて首をかしげる曜を横目に僕はカバンから小さなケースを取り出してこう言った。

 

「あの時に決めた約束、果たして良いかな?」

 

ケースを開くと、銀色に輝く指輪が二つ入っていた。

 

「え・・・もしかして・・・それって」

 

震えそうな声で涙を浮かべる彼女を見つめながら、優しい顔で話を続ける。

 

「次に曜を泣かす時は嬉し泣き・・・ってあの時言ったよね?覚えているかい??」

 

「うんっ・・・指輪が二つあるってことは・・・そういうことだよね?」

 

「本当はね、明日言いたかったんだ。大事な日だからさ。」

 

「明日・・・?もしかし・・・んっ///」

 

最後まで言い切らないうちに僕は彼女の口を塞ぎ、キスをしてこう告げる。

 

「一日早いけど、誕生日おめでとう曜!!そしてこれからもずーっと一緒に・・・人生という大海原を航海しませんか?///」

 

照れながら僕は彼女にそう告げる。

すると彼女は、ケースの蓋を閉じて、ポケットに入れて僕へと抱きついてきた。

 

「ヨーソロー!!///これからもずっと一緒にいようね!!約束だよ・・・?///」

 

「もちろんさ!!」

 

 

 

こうして僕らは新たなる関係へと進展したのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時は流れ、あの告白から3年が経った。

 

僕は市内を走る路線バスだけでなく、都市間を結ぶ高速バスの運転も行うようになった。

以前より、仕事の量や時間が増えた。

だが、以前より充実した毎日を送っている。

 

朝起きて、妻の料理を食べて出勤する。

 

その前に日課となってしまったことを行う。

 

「よし!行って来るね!!・・・今日も無事故で安全運転に努めるでありますっ!!」

 

「ヨーソロー!!いってらっしゃい!・・・無事に帰ってきてね!!」

 

まるで出庫前の乗車点呼のようなやり取りではあるが、結婚してから仕事に行くときと帰ってくる時は必ずこれを行っているのである。

自分自身の安全を確保するだけでなく、利用してくれるお客様の為に・・・。

 

 

そして、家で自分の帰りを待っている・・・家族のために。

 

 

 

 

渡辺曜 誕生日特別編 "完"




曜ちゃんは二番目に好きな子なので、一段と気合を入れてみました。

逆に気合を入れすぎてしまい、よく分からない文面構成になってしまいました。
申し訳ございません。

時間かけすぎて、後書きが思った以上にかけませんでした。

次回改めて、記載させていただきますので何卒、ご了承ください。


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