ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ (風森斗真)
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というわけで、まずはオリキャラの設定を。
もはやナイトウィザードの要素を感じませんが(汗
むしろ、中の人ネタに引きずられていますね(汗汗


春川菖(はるかわしょう)

本作、オリジナルキャラ。17歳。

ゆりの幼馴染で、ももかを除き、ゆりの数少ない親友の一人。

中学生のころ、ゆりがムーンライトに変身する場面を偶然目撃してしまってから、心の大樹の声を聞くようになった。

 

~ユグドセイバーとしての春川菖~

心の大樹から、ゆりがプリキュアとして戦っていることを聞かされ、「知り合いが戦っているのを知っていて、見て見ぬふりはできない」、と言って、心の大樹と契約を交わし、"大樹の騎士"の証である剣「エターニアハート」を受け取る。

プリキュアではないため、パートナーの妖精は存在しない。

あえて言うならば、契約相手である心の大樹がパートナーとなる。

そのため、心の種を使わなくても身体強化を行うことができる。

空を飛ぶこともできるのだが、その方法を変身者である菖自身が知らないため、ムーンライトとともに戦っていたときには空を飛ぶことはなかった。

また、変身前は、変身時よりも威力は格段に落ちるが、衝撃波を出したりできる。

変身の際は、普段は左手につけている指抜き手袋に心の花の力を注ぎこむだけで、名乗りは特にない。

変身後は白い生地に不思議な文様が描かれたマントをまとった姿になる。

ゆりとともにダークプリキュアに敗れてからは、心の大樹の守護する結界を張るため、エターニアハートを心の大樹のもとに置いてきた。

そのため、変身ができなくなっていたが、心の大樹の傷が癒え、キュアムーンライトが復活すると同時に、菖も大樹に埋め込んでいたエターニアハートを取り戻し、再び変身できるようになった。

だが、心の花の力のほとんどを別のものにまわしてしまっているため、技の威力は全盛期と比べて衰えてしまった。

戦闘は、エターニアハートを用いての接近戦が基本だが、男女の筋力差があるのか、一撃の威力はプリキュアよりも高い。

また、パートナーとなる妖精が存在しないため、プリキュアたちのように空を飛ぶことはできないが、エターニアハートに封じられた「古代語(祝詞)」を唱えることで空を飛ぶことができるようになる。

なお、エターニアハートには四つの古代語が封じられており、それぞれに対応する四大元素があり、その元素の力を元に、エターニアハートは姿を変える。

 

<技一覧>

・セイバーショット:心の力を刃に乗せた斬撃を衝撃波にして飛ばす。

・セイバーインパクト:「マリン・インパクト」や「ムーンライト・インパクト」と同系技。

・セイバーストライク:心の花の力をまとったまま突進する。

<必殺技>

・ユグドフォルテウェーブ:フォルテウェーブと同系技。ただし、花の力を飛ばすのではなく、手のひらに心の花の力を集めて叩きつける。

・ユグドパワー・フォルテッシモ:フローラルパワー・フォルテッシモと同系技。体に花の力をまとうのではなく、ユグドフォルテウェーブの上位版といったほうが正しい。

・エターニア・ブレイドダンス:心の花の力をエターニアハートに集め、連続で斬撃を与え、最後に切りあげながら空へ吹き飛ばす。

 

<レイディアント・シルエット>

プリキュアがスーパーシルエットになる際に変身できる姿。

衣装が白く変わり、髪も長くなる。また、髪の色も金色に近くなる。

また、エターニアハートも刀身が大きくなり、淡い紫色の光をまとう両刃の剣へと変わる。

この状態の時は、何もしないで空を飛ぶこともできる。

<レイディアント・シルエット時の必殺技>

・ハートライト・レクイエム:心の花の力を手のひらにこめた状態で相手に掌底を浴びせ、追撃でエターニアハートで切りつける。

 

~高校生としての春川菖~

鳶色の癖っ毛で、優しい眼付をしている。

性格は天真爛漫で好奇心旺盛だが、思慮深いところがある。

趣味は遺跡巡りと工作。

最近は、「アーサー王伝説」などのイギリスの伝承文学や「シャーロック・ホームズ」に興味を持っていて、シャーロック・ホームズに至っては英文多読の本を読んでいるほど。

その関係で文系科目と技術家庭科に関してはゆりといい勝負をしている。

なお、工作だけに着目すれば、高校生のレベルではない、といわれたことも。

正義や悪という概念そのものに疑問を抱いているため、自分たちを「正義の味方」だとはまったく思っていない。

そのため、特にえりかから反発されることもあるが、この世界に本当に正しいものは存在せず、在るのはエゴから生まれた価値観とそれを享受することが許される環境、という考えからくるものであるため、「砂漠の使徒」が全面的に悪いとも、その対抗勢力である自分たちが全面的に正しいとは思っていないがゆえのもの。

だからといって、「砂漠の使徒」に賛同することはなく、最後には、「変わろうと努力していたところに余計な茶々いれんじゃねぇ」、といって、幹部に直接攻撃を加えることもある。

心の花は「菖蒲」、花言葉は「優しい心」「あなたを信じる」。

その花言葉の通り、力を失っている間も、後輩(つぼみ)たちの成長を見守っていた。

なお、いわゆる"視える体質"の人であるため、時折、誰もいないのに誰かと会話をしているような光景が見られる。

そのため、お化け嫌いを公言している人とは意図的に距離を取ることも。




4/26 追記
4/29 一部変更
5/7 追記
11/26 追記


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オリ主追加設定:エターナルハートとセイバーの試練について

そういえば形状変化とかのことを書いてなかったなぁ、と思って、ネタも出てこないのでちょっと整理する意味も込めて

武器は基本的にTOZのスレイが神依化したときに手にしているものを想像していただければ(要するに武器しか大きな変化はないということです)


○エターニアハートについて

持ち主によって基本となる形状を変える聖剣

先代の時は赤と青の一対の双剣だったが、菖は儀礼剣となっている

本来の姿はレイディアントシルエットになったときに解放される淡い紫色の光を放つ両刃の大剣で、レイディアントシルエットにならなければその姿を顕現することはない

祝詞を唱え、古代語の名を叫ぶと、それに応じた姿に変化する

古代語は全部で四種類あり、それぞれで属性が変わる

 

・『清浄なる炎(フォエス・ファイアリ)

身の丈ほどある剣になる。刀身には炎を思わせる紋章が刻まれている

炎を操る能力があり、中距離での戦闘も可能

剣を両手で持つことになるため、基本形状のときと比べると動きがある程度、制限されるため、それほど使用頻度は高くない

 

・『早咲きの大地(ハクディム・ガリア)

腕を覆うほどの大きさの手甲になる。明るい黄色の装飾で縁どられている

防御力と物理的な攻撃力が大幅に上がるが、他の形状よりも重く、動きがかなり制限されるため、あまり使われることがない

 

・『約束の翼(ルウィーユ・フィルク)

十二本の短剣になる。刀身は翡翠のような淡い緑色で、柄がなく、六対の翼のように背後に展開して浮かび上がっている。なお、短剣はセイバーの意のままに操ることが出来る

空を飛ぶことが出来るようになり、移動速度も速くなるため、使用頻度は高い

 

・『水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)

ロングボウになる。青白い光を放つ装飾が特徴的で、一応、剣としても使うことが出来る(菖はそのことを知っているが、あまり好みではないため使用したことがない)

矢は心の花の力を使用するため、連射が可能。周囲の相手を一掃することもできるため、使用することが多い

 

○形状変化後の技について

形状を変えたとしても、使用する技は基本の形状のときと全く同じ

だが、それぞれの属性に応じてその形状でしか扱えない技がいくつか存在する

 

烈しき清らなる炎の波(烈清炎波):『清浄なる炎』の形状で使用可能な技。エターニアハートから炎に姿を変えた心の花の力を噴出させ、周囲を一掃する。自分の周囲を焼き払うことはできるが、数が多いと対処しきれなくなる上に、炎であるため周囲の温度上昇により消耗が激しくなる

蒼き雨は天をも穿つ(蒼雨天穿):『水の執行者』の形状で使用可能な技。水の力が付与された心の花の光を矢に変えて放つ。範囲を任意で変更可能ではあるが、範囲を広げると命中性能は低くなる。だが、消火活動の際に多用される

 

○ユグドセイバーの試練について

ハートキャッチミラージュを手にする際、プリキュアたちに試練が課せられるのと同じように、エターニアハートの真の姿を解放するための試練を受けなければならない

だが、エターニアハートの試練はハートキャッチミラージュの試練と同時進行するため、個別で挑ことができない

 

本来の試練はプリキュアたちと同様、自分と向き合いその中で意思を貫くことが試練となるのだが、菖は良くも悪くも表裏がなく、芯になる部分が一貫していたためにミラージュが生まれず、急きょ先代のセイバーが対決することになった

「仮にミラージュが生まれていたとしても、争いになることはなく、そのまま対話と議論で試練は終了していただろう」というのが先代の見解



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オリキャラ設定:桜森友護の場合

ふと思いついたので備忘録としてぽいしときます。
ぶっちゃけると、敵か味方かわからないオリキャラって感じですが。
いつ出すかは、今のところ未定。
まぁ、本編とオールスターズ映画編が終わったらオリジナル話として出そうかな、とは考えていますが。


<人物設定>

桜森友護(さくらもりゆうご)

外見は17歳なのだが、そうとは思えないほど大人びた雰囲気を醸し出している。

だが、その眼は感情を読むことが出来ないほど暗い。

同級生の菖とは、何かの因縁があるようだが、互いの間柄は険悪というわけではない。

だが、菖以外の生徒とは極力、関わらないようにしているほど、人間嫌い。

驚くべきことに、プリキュアと闇の勢力の存在を知り、力を貸すことなく、放置していた。

そのことをえりかやいつきに追求されたときに返した言葉が、『自分の仕事ではないから』だった。

基本的に、闇の勢力に手を貸すことはなく、ごくまれにではあるが、プリキュアたちに力を貸してくれる。

だが、やり方は残酷であり、敵の幹部を見つけ次第、心臓や頭などの急所を確実に狙った攻撃を仕掛ける。

プリキュアたちのように真正面から向かっていくというよりも、闇討ちする暗殺者のような戦い方をしている。

果たして、彼は敵なのか味方なのか。

それを知っているのは、唯一、交流を持ち、その正体を知っている菖だけである。

同時に、友護を動かすことができるのもまた、菖だけである。

 

<正体>

桜森友護は偽名。

本名は桜守憂(さくらもりゆう)

ナシマホウ界と呼ばれる、菖たちが暮らす世界に存在する魔法使いの一人。

そもそも、魔法界とナシマホウ界は、本来、一つの世界であったが、デウス・マストの襲撃により二つに分離してしまった。

その時、ナシマホウ界と呼ばれる世界に残った、魔法技術を持つ一族は、いつか、魔法界とナシマホウ界が一つになる時を信じ、魔法という技術をひそかに磨き、伝えてきた。

それが錬金術や陰陽術といった、現在に残っている魔術である。

桜守の一族は、その中でも陰陽術を受け継いだ一族の一つであり、憂はその一族の時期当主。

そして同時に、菖にコロンの魂を受肉させる方法を教えた人物でもある。

だが、憂の信条は『一度始まったものは、終わらせなければならない』というものであり、あまり教えたくはなかったらしい。

ナシマホウ界と魔法界を行き来することもあり、その際にリアン始め、リコの家族と交流を持った。

魔法学校に一時的に身を寄せていたこともあり、その時にリズと知り合い、互いの技術を高めあった。リズ曰く『ナシマホウ界にも杖の樹があって、憂に杖が授けられていたら、最大のライバルであり、よき友人になれた』とのこと。

なお、教頭先生からは問題児として扱われていたが、その特殊性ゆえに校長から『来たる災厄に備えて、力を貸してほしい』と頼まれた。

その時に力を貸すことを了承したかどうかは、定かではない。

 

<魔法使いとしての友護>

世界の神秘を司る側の人間だからか、科学技術の産物をあまり好ましく思っていない。

無論、その恩恵を受けているため、全否定はしないが、原子力発電やロケット技術はそのまま兵器に応用できるため、最終的に大量虐殺のために使われる、と考えてしまう。

それだけでなく、科学技術の発展のせいで人間は自然から隔離された存在であると勘違いしていることを憂い、修正不可能とすら思っている。

そのため、どこか厭世的で、人間がどうなろうと知ったことではない、という態度を取っている。

それでも、世界の均衡を守るため、闇の勢力とは戦うことにしている。

最も得意とするのは呪符を媒体とした魔法(魔法使い組が使う魔法の杖のようなもの)。

ただし、呪符にはすでに魔法を使うために必要な呪文(術式)が記されているため、呪文を唱えることはない。

そのため、魔法使い組よりも魔法の発動が早く、一瞬で複数の魔法を操ることができるという、チートぶり。

もっとも、魔法使い組のように、自分の意思を魔法に反映させることが出来ないため、バリエーションは狭い。

もっとも、それは呪符を媒体にした魔法に限った話で、祭壇を準備したうえで呪文を唱えた場合、そのバリエーションは大幅に広がる。

この場合、発動までの速さという点では魔法界の魔法には劣る。



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オリキャラ設定:未来湊の場合

ひとまず、NS1が一段落したので、オリキャラ設定をポイします。
ちなみにCVは斉藤壮馬さんです


未来湊(みきみなと):14歳

 

あゆみと同じ中学生に通う二年生。

明るく、誰とでも打ちとけることができる性格。

趣味は頭脳系ゲームで、特にパズルや謎解きが好きだが、身体能力は高い。

手先も器用で、材料さえあればアクセサリーも自作できるだけでなく、家事スキルもそこそこあるため、料理もできる。

誰にも話しかけることができず、悩んでいたあゆみを気遣い、声をかけたことであゆみの最初の友達となる。

なお、あゆみを気遣った理由は、あゆみが誰かに話しかけにくそうにしていたから、ということもあるが、湊自身も転校生であり、あゆみの気持ちを察することができたから、ということもある。

フーちゃんを見ても気味悪がることなく、むしろおもしろいと思っており、あゆみ同様、友達となる。

そんな優しさだけでなく、たとえプリキュアの敵だとしても、フーちゃんは自分とあゆみの友達だから絶対に手出しさせない、と啖呵を切るほど義と友情に篤く、一般人なのにスマイル組を威圧できてしまうほど。

フーちゃん(フュージョン)を友として受け入れた結果か、それともあゆみの友達だからか、フュージョンの暴走で消えることがなかった。

暴走するフュージョンに自分の本当の想いを伝えたいというあゆみの願いを叶えるため、プリキュアとともに尽力するのだが、襲い掛かってきたフュージョンの欠片からあゆみを守るために身を挺してかばったため、一度はフュージョンに呑みこまれてしまう。

そのまま町の人々同様、消えるはずだったが、こんなところで終われない、という強い意志の力が光となり、鎧をまとった戦士"アステア"となる。

なお、プリキュアの活躍ばかりがニュースとなっている中で、いち早く、セイバーの存在に気づいた唯一の一般人であるが、セイバーを「かっこいい」と思うまでも、自分もセイバーのようになれたら、と憧れることはなかった。

だが、セイバーの正体が菖だとわかり、交流を持つようになると、菖を「兄貴」と呼び慕うようになる。

今後、彼がプリキュアとセイバーとともに戦うことになるのか、それは誰にもわからない。

 

<アステア>

キュアエコー同様、強い意志によって生まれたもう一人の戦士。

全身を白と銀の鎧で身を包み、フルフェイスの兜をかぶっている。(イメージは『アカメが斬る!』の「インクルシオ」タツミver.、ただし、槍は『Fate/』シリーズのクー・フーリンの宝具『ゲイ・ボルグ』)

セイバーとは違い剣ではなく槍を使って戦うのだが、無手で戦わないこともない。

あゆみの力になってやりたい、という想いから変身した影響か、戦う力がまったくと言っていいほどないエコーを守護する役割を担うようになる。

そのためか、守りの力は強く、強力な攻撃もある程度までなら耐えきることができるらしい。ただし、本人の感触であるため、正確には不明である。

なお、必殺技は存在せず、。

セイバーと同じく、妖精の力を必要とせず、「守りたい」という想い一つで変身できてしまう。

 

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<裏話>

実のところ、湊に関しての構想は菖よりも早くに出来ていた。

きっかけはpixivに投稿した仮面ライダー×プリキュアの二次創作において、エコーと同時に誕生するオリジナルライダーの変身者がほしい、というものだった。

その設定を引き継いだため、あゆみ(の中の人)と関連を持たせることのできる作品のなかで「仮面をかぶったヒーロー」にぴたりとくる作品が『アカメが○る!』だったので、そこから流用した。

また、オールスターズ映画の舞台としてたびたび選ばれているみなとみらいにちなんだ名前にしたかったため、「みなとみらい」→「港未来」→「湊未来」→「未来(みき)湊」とした。



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オリキャラ設定:剣崎一真の場合

完全なオリキャラ、というわけではないですが、とりあえずこちらのカテゴリーに
というわけで、真琴の義兄、剣崎一真の設定です
え、なぜ作ったか?
その理由はただ一つ。

来年以降のジューンブライド企画とかクリスマス企画とかで剣崎兄妹の「あのさぁ……」展開のお話を作ろうかと思った

ただそれだけです
おまけはないのでご容赦を
ちなみに、本編に出すかどうかはわかりませんが、あと一名、オリキャラを作ったのでそのうちあげるかな、と思います

あ、ちなみにちょっとアンケートをとりたい案件がありますので、ご協力いただけるとありがたいです
1か月くらいで閉める予定です
よろしくお願いします


剣崎一真

23歳、男性

 

真琴の義兄。

もともとはマナたちと同じ世界で生きていたが、10歳の時に火事に遭い、両親を失う。それと同時に、トランプ王国へと迷いこみ、アン王女に保護され、孤児院に入った。

その数年後、真琴と出会いなぜか懐かれ、以降、「義兄さん」と呼ばれるようになる。

一真本人も悪い気はしていないため、真琴がプリキュアに就任したお祝いとして、「剣崎」の苗字を与える(むろん、アン王女からは許可を得た)。

真琴がキュアソードとなる以前に、騎士団入りし、近衛騎士団の団員に就任。ジョナサンの部下として働いていた。

真琴がキュアソードとなってからは、ジョナサンとともに王女の警護にあたるようになり、職場でも先輩として真琴と一緒に行動していた。

キングジコチュー襲撃の際、アン王女とキュアソードを逃がすため、鏡の間へ向かう道中、自ら囮となり、以来、生き別れとなる。

 

単純でお人よし、熱くなりやすく、正義感が強い、と、まるで少年漫画の主人公のような性格をしている。

が、頭の回転が悪いわけではなく、孤児院の子供たちの勉強の面倒を見ていたこともある。

両親を目の前で失ってしまった影響か、「守りたい」という想いが強い。が、決して構い続けるわけではなく、見守るべき時は見守り、本当に困っていそうなときには手を差し伸べる、厳しさと優しさを持ち合わせている。

真琴から義兄妹の以上の感情を向けられていることに気づいているが、どうしたらいいのかわからず、気づかないふりをしている。なお、ダビィとの仲は良好で、天然な部分がある真琴を二人そろって気遣うことも。

 

<正体>

黄泉返り、と呼ばれる存在。

実は、一真は10歳の時に被害にあった火事で死亡していた。死亡していたはずなのだが、異世界であるトランプ王国に迷い込んだためか、その一命を取り留めるができた。

だが、その代償なのか、半ば人ならざる存在となってしまった。

菖に「人間ではないような気配がする」という感想を抱かれたのは、それが原因。

半分とはいえ人外になってしまった影響なのか、普通の人間よりも身体能力が高くなっている。

 

<合流後>

真琴の専属SPとして、ありすに拾われる。

普段は黒服黒ネクタイにサングラスをかけている。

ちなみに、仕事中は周囲への威圧感が半端ないのだが、真琴やマナたちがいるときはその空気が緩む。

なお、その威圧感が仕事に集中しているために起きる現象であることを、同じ班に所属するSPは承知しているため、もう少し肩の力を抜け、と呆れ笑いを浮かべながら指摘されることが多い。

 

<真琴への想い>

懐いてくる真琴は大切に思っているし、血はつながっていなくとも真琴は自分の家族である、と豪語している。

だが、その感情は妹に向ける「家族愛」ではなく、一人の女性に向ける「愛」へと、徐々に変化していた。

それは真琴も同じことなのだが、血はつながっていなくとも妹である、という想いが一線を越えることを阻んでいた。

 

<モデル>

言わずと知れた平成ライダー第5作品「仮面ライダー剣」の主人公、剣崎一真がモデル。

ただし、彼よりも若干、頭の回転は早い上に、「怪しいと思った人を疑い続ける」ことができる、ある意味、すれてしまっている部分があることは、ここで明記しておく。



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オリキャラ設定:白沢鏡介の場合

というわけで、いつぞや話したハピチャ組と縁のあるオリキャラ設定です
ぶっちゃけ、出すかどうかは今んとこわからんのですがね

……もしかすっと、オリジナルストーリーでテンダーと一緒に出したりできるかな……
予定は未定だけど

ちなみに、少しばかりあの青いヘタレ偽神に対してのヘイトをぶつけてます
あくまで青もやしに対してだけですので、プリキュアたちへのヘイトではありません
ご了承ください


白沢鏡介(しらさわきょうすけ)

22歳、男

 

ぴかり神社の神主見習い。

氷川まりあの幼なじみであり、いおなからは「(しろ)兄さん」と呼ばれ、慕われてる。

メガネと三白眼、少しばかり疲れたような表情、ぼさぼさの黒髪が特徴。

性格は穏やかな方だが、人と話すことは苦手。苦手というだけで、友人がいないわけではない。

思慮深く、まりあをはじめ多くの友人からは「メガネ参謀」や「軍師」、あるいは「ガイドさん」と呼ばれ慕われている。

 

ブルーに対してはひどく辛らつであり、「すべての元凶」だとか「許されざる咎人」と呼び、親の仇であるかのように扱っている。

ありていに言えば、ブルー大っ嫌い人間なのだが、嫌いなのはブルーだけであるようで、いおなはもとより、めぐみやひめ、ゆうこには普通に接している。

なお、様々な占術を心得ており、いおなにタロットカード占いを教えたこともある。

 

<正体>

ブルーとともにレッドを封印したプリキュア、キュアミラージュの遠縁。正確には、ミラージュの妹の子孫である。

ミラージュがブルーに恋をして、失恋し、絶望の果てにクイーンミラージュとなったことを先祖の記録から知っていた。

 

それだけならばまだしも、星に根付いた生命を守護する大樹《黄金樹》の化身であるぴかり神社の御神木を守護する任務に就いているため、ブルーが本当は地球の神ではなく、遠い星からやってきた存在であることを、黄金樹から聞いていた。

その話を聞いて、外から来た存在が中途半端にちょっかいを出してきた結果、自分の先祖が世界の均衡を崩しかねない存在に堕ちたことにかなりの怒りとブルーに対する憎悪に近いものを覚えた。

 

そのため、ブルーに対して「すべての元凶」「許されざる咎人」「俗物ヘタレ神」または「生臭エロ偽神」と呼び、その評価も辛辣なものになっている。

ミラージュが戻ってからもその評価は続いているのだから、相当根が深いようだ。

 

<用語説明>

○黄金樹

大空の樹や心の大樹と同じく、世界に存在する不思議な大樹。

もっとも、その姿はほかの樹木と大して変わりがないため、常人にはその区別をつけることはできない。

信仰を集めた大樹などが変異することがあり、土地の霊気を安定させ、災厄から根付いている土地を守護する役割を担う。

 

黄金樹が朽ち果てれば、その土地の龍脈は消失し、次第に土地は荒れ果てるとされている。そのため、妖などの土地の霊気の安定を嫌う存在から常に狙われている。

それらの悪しき存在から黄金樹を守護する役割を担うのが「守護役」と呼ばれる一族たちである。

 

○黄金樹の守護役

前述の黄金樹を朽ち果てさせないよう、守護する存在。

世界各地に複数存在し、魔法使いや聖騎士、陰陽師といったものの血を引く一族の一部がこの任に就いている。

白沢家はその守護役の一族であり、鏡介は現代の守護役となっている。

 

<守護役としての鏡介>

支援役として、付与の力を振るうことが多い。

正面から戦うことはないが、杖術や槍術も扱うことができるため、守られるばかりではない。

なお、その腕前はキュアテンダーとも一対一で肉薄できるほど。

背後で見ているだけの「生臭エロ青偽神」とは違う、とは本人の談である。

 

<プリキュアたちへの恋愛感情>

彼女たちへの恋愛感情は持たない。

恋愛を恐れている、ということではないのだが、どうしてもブルーの力を借りている、という部分でどうしても友人から一歩踏み出すことをしたくなくなっている節がある。

もっとも、それは親同士の決めた婚約者がいるから、という理由もあるようだが。

 

<モデル>

TPRG『神我狩』のキャンペーンセッションにおいて、作者がプレイしたキャラクター「白沢瑛士」から流用。

PCの性能としては、攻撃支援や回復、情報収集に特化した支援特化型。

回復はもとより、行動力を上げたり、単体攻撃を全体攻撃にしたり、ダメージの軽減や増加をおこなったりすることに特化させたため、ほとんど攻撃用のスキル(『神我狩』TRPGでは「タレント」と呼ぶ)を持っていない。




ちなみに、モデルのキャラシがこんな感じです↓
https://charasheet.vampire-blood.net/mfc8cfa7a08d60bfdbff98f57d81e8838


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オリキャラ設定:高校生組+a

ネタが浮かばないので、ここらで高校生組とその周辺のキャラ設定紹介
といっても、ほぼどこかの作品からのクロスオーバーなわけですが
ちなみに、高校生組としてますが、明さんについてはつばめさん著作の『花を護る騎士 ブレイドナイト』をほぼそのまま使わせていただいとりますので、そちらを読んでいただいたほうが早いかと

例によってあとがきはありませんので、悪しからず
なお、キャラの順番は五十音順です


○アリシア・デュフダ

14歳、女性

 

イギリスから短期留学でやってきた少女

明るく、物怖じしない性格で案外、すんなりとなじんだ

親しい友人からはアリスと呼ばれている

その正体は、地球の神ブルーから力を授かったイギリスのプリキュア「キュアコンチネンタル」

願いを叶えることを条件に、変身して戦う力を与えるブルーのやり口には、正直、どうかと思っているようだが、愛する祖国のために戦うことを決める

留学期間が満了し、イギリスに帰国したが、今でもつぼみたちとは文通をしている

 

<モデル>

言わずもがな、ハピネスチャージ・プリキュアに登場したイギリスのプリキュアだが、変身する少女は原作では未搭乗であったためオリジナル

名前はTOZのアリーシャ・デュフダをもじったもの

そのため、愛称がアリスとなった

 

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壱原侑子(いちはら ゆうこ)

年齢不詳、女性

 

君尋と小狼が住んでいるアパートの大家であり、普段は古物商を営んでいる女性

年齢は不明だが、抜群のスタイルと美貌を持っている

だが、私生活はかなりずぼらで、酒にだらしなく、料理も掃除もほとんどしない。そのうえ、外出時以外は基本的に着流ししか着ない

君尋の両親と小狼の両親とは仕事での付き合いがあり、二人が一人暮らしを始めることを聞き、家事全般を家賃代わりにアパートの一室を貸すことに

座右の銘は「この世に偶然はない、あるのは必然のみ」

 

<モデル>

『×××Holic』シリーズ、『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』に登場する『次元の魔女』あるいは『極東の魔女』こと壱原侑子をほぼそのまま流用

ただし、モデルと違い、本作の彼女はちゃんと生きた人間である

また、"力"に関しては"視る"こととある程度のまじないができる程度しかない

 

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木之本桜(きのもと さくら)

17歳、女性

 

希望ヶ花市に住む、明堂学園高等部二年生

誰にでも優しく明るく前向きな、『明堂学園の天使』と呼ばれる少女

ゆりがクールビューティーならば、こちらはほんわか美少女

幼いころに母親を亡くしてしまっているため、家事全般をこなすことができる

小学生のころからの同級生である小狼が大好きで、意地悪なところが兄に似ているためか、明に少しばかり苦手意識を持っているらしい

ちなみに桜の父親は考古学の教授であり、菖も時折、講義を聞きに行くのだとか

英語は会話はできるが文法は勉強中。なお、恋人の小狼から中国語も習っている

「ほえぇぇぇぇ」や「はにゃ~ん」など、驚いたり感動したりほっこりしたときに思わず出してしまう口癖が多い

 

<モデル>

性格などの中身は『カードキャプターさくら』に登場する木之本さくらだが、外見は『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』に登場するサクラ姫

ただし、魔力や霊力の類は持ち合わせていない

 

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九軒(くのぎ)ひまわり

17歳、女性

 

希望ヶ花市に住む、明堂学園高等部二年生

天然なところはあるが明るく、常に笑みを絶やさない、『明堂学園の太陽』と呼ばれる少女

天然であるため、どこか抜けたところがあったり的外れな合の手を入れることが多い

君尋の料理が大好きだが、君尋に対する感情は恋心よりも親愛のほうが強い

ももかと声が似ている、とよく言われるが本人は気にしていない。むしろそのおかげでももかと仲良しになれたことをうれしく思っている

『タンポポ』という名前の黄色い小鳥を飼っており、呼べば必ず飛んでくるほど仲良し

 

<モデル>

『×××Holic』シリーズに登場する主要メンバーの一人「九軒ひまわり」

ただし、原作のような"体質"は持ち合わせていない

そのため、君尋に親愛を抱いた理由はまた別にある

 

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月影小百合(つきかげ さゆり)

3歳、女性

 

月影家の末子であり、ゆりの妹

小さい頃のゆりにそっくり、と言われるほど瓜二つ

お姉さん大好きっ子であり、ゆりといつも一緒にいる菖も大好き

つぼみやえりか、いつきに構ってもらえて毎日が楽しい

物静かな静と見た目が怖い明がちょっと苦手で、ほんわかな空気の桜と小狼、あったかいひまわりと優しい君尋が好き

時々、ぬいぐるみのふりをするコロンで遊んでいるらしい

その正体は、心の大樹の力により、新たな命を得たダークプリキュア

もっとも、ダークプリキュアだった頃の記憶はないため、プリキュアとして戦う力も当然ない

 

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五月七日小羽(つゆり こはね)

12歳、女性

 

希望ヶ花市に住む、小学六年生

寡黙でどこかはかなげな印象がある少女

基本的に怒らないが、君尋が暴力を振るわれると静かに怒る

怒られた当人曰く、威圧されるような感覚がして怒鳴られるよりも怖かった、とのこと

両親から虐待を受けていたが、その現場を目撃した君尋に救われ、現在は侑子の屋敷に居候中

なお、君尋の指導の下、現在、家庭料理の修行中

つぼみたちを含めた仲良しグループ全員が好きだが、助けてくれた上に両親以上に愛情を持って接してくれている君尋は特に好き

菖と君尋と同様、"見える"体質であるが、二人と比べ"よくないもの"に対しての感覚には特に敏感

 

<モデル>

『×××Holic』シリーズに登場する「五月七日小羽」をそのまま流用

ただし、本作において、テレビ出演しているということはなく、母親からのDVも原作とは別の理由

 

------------

 

百目鬼静(どうめき しずか)

17歳、男性

 

希望ヶ花市に住む、明堂学園高等部二年生

寡黙で感情をまったくと言っていいほど表に出さないが、そこがかっこいい、と女子には大変な人気がある

弓道部に所属している

民俗学に興味があり、様々なまじないの知識やうんちくを持っている

特技は気配を消して他人(主に君尋か菖)の弁当のおかずを盗み食いすること

これに関しては、君尋は文句を言い続けているが、菖は諦めている

 

<モデル>

『×××Holic』シリーズに登場する主要メンバー「百目鬼静」をそのまま流用

ただし、本作では実家は寺ではないし、生き写しと思われるほどそっくりな祖父もいない

 

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李小狼(り しゃおらん)

17歳、男性

 

希望ヶ花市在住の香港人、明堂学園高等部二年生

五人衆の中で一番まともな性格をしている爽やか美青年

ただし、読書好きであり、本を読みながらでも無事故で学校から家まで歩いて帰れるほど器用

君尋とは遠縁にあたり、李家の事情により日本に留学する際、四月一日家を頼り、君尋と同じアパートに住むことになった

小学生時代を日本で過ごしていたため、日本語は堪能

桜とは小学生時代からの付き合いで恋人同士。ただし、お互いに手をつなぐだけでも顔を真っ赤にしてしまうほど初心であるため、ほんわかカップル、純愛カップル、などと周囲からからかわれる

考古学に興味があり、菖とはそのつながりで仲良くなった

また、中国拳法を修得しており、本気になると明や菖と互角に渡り合える、らしい

 

<モデル>

『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』の小狼をほぼそのまま流用。ただし、さくら同様、魔力は持っていない

家族構成に関しては『カードキャプターさくら』の李小狼とほぼ同じ

 

------------

 

四月一日君尋(わたぬき きみひろ)

17歳、男性

 

希望ヶ花市に住む、明堂学園高等部二年生

イケメン五人衆のにぎやかし担当、とからかわれるほど感情豊かでツッコミが激しい

半面、家事全般が得意であり、某赤い弓兵を彷彿させるほど世話焼き

その能力を買われ、家事全般を行うことを対価に侑子が所有するアパートに住まわせてもらっている

菖と同じく"見える"体質の人間であり、そちら関係でよくトラブルに巻き込まれる

また、小狼とは遠縁にあたり、来日後間もないころの小狼をサポートしていた

その関係で桜とは良好な友人関係を築けている

 

<モデル>

『×××Holic』シリーズ主人公「四月一日君尋」をそのまま流用

ただし、無月やモコナがいないため、霊的な側面に関しては全くの無防備

とはいえ、そんな状態でも特に何もないし、本人も対処法を身につけているため、あまり弊害はない

また、両親も健在である



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『もしも』の設定

n番煎じ感が否めませんが、もしも設定というやつです


斗真「先人もすなる仮設定といふもの、我もせんと思ひて記す」

菖「……なんで『土佐日記』?」

斗真「いや、なんとなく」

菖「というわけで、何番煎じかもしれないが、今回は俺がハートキャッチプリキュア以外のメンツと最初から一緒にいたらどうなったかの設定……だよな?」

斗真「Yes Yes Yes Yes Yes……まぁ、いくつかは設定の章でオリキャラとして出てるのとかぶるけどね~」

菖「なぜにジョジョった……まぁ、いいや」

斗真「あぁ、ちなみに本名と変身後の名前、それからコスチュームは基本的に『ユグドセイバー』のままですので、悪しからず。なお、下のような感じで説明するので参考までに」

 

~作品タイトル~

 

名前:本名/変身後(考えていたら出します)

立場:作品中での立場(先輩とか後輩とか)

関係:プリキュアとの関係

スタイル:戦闘スタイル

趣味趣向:そのままの通り

ヒロイン:上に同じ

 

----------------------------

 

~ふたりはプリキュア!(MHまで)~

 

立場:中学三年生~高校一年生。中高そろって藤村と同じクラス

関係:藤村経由でなぎさとほのかと知り合い、うんちく女王のほのかと気が合うようになる

スタイル:二人と同じく徒手空拳。ただし、光の力を弾丸や光輪にして飛ばすなどの遠距離攻撃も行う

趣味趣向:紅茶。たこカフェで紅茶を注文する珍客として常連さんには有名

ヒロイン:ほのか

 

 

菖「あ、ヒロインはひかりじゃないんだ?」

斗真「まぁ、個人的にひかりも嫌いじゃないけどほのかのほうに一目ぼれ状態だったからねぇ~」

菖「で、なんかサイヤな人たちみたいな戦い方ができる、ってことになってるけど?」

斗真「さらに言うならアテナを守護する星座の戦士かなぁ?個人的にはチャラへっちゃらな人たちよりもそっちのほうが好きだったし」

菖「いや、ここで作者の趣味趣向て……てか、たしかほのかが気になってる奴でキリヤってのがいたはず……」

斗真「ダレデスカ、シリマセンネソンナヒト」(超棒読み

菖「……おーい……」(-Д-;

 

----------------------------

 

~ふたりはプリキュア!S☆S~

 

名前:星野輝(ほしのひかり)/ディセンダー

立場:咲、舞と同級生。大空の樹を祭る神社に住んでいる

関係:大空の樹の下で出会ったもう一人の少年。精霊たちといち早く心を通わせていたため、アクダイカーンの侵攻を知っていた

スタイル:基本は徒手空拳。ただし、剣、槍、弓、楯の四つの聖なる武器を操る力を持つ

趣味趣向:詩文や小説を読むこと。ときどき執筆もしているよう

ヒロイン:舞

 

 

菖「あ、こっちは別の設定あったんだ」

斗真「まぁ、S☆S編だけで書こうかなって思ったからね。ネタも豊富だし」

菖「例えば?」

斗真「大空の樹なんてそのまんま世界樹だし、泉や敵さんも五行思想や四大元素の法則が元になってるからね~」

菖「作者好きだもんな、そういうの」

斗真「ふははははっ!」

菖「で、変身後の名前はもしかして?」

斗真「そ。「テイルズオブ」シリーズの「レイディアント・マイソロジー」からいただきました」

菖「あぁ~……やっぱりか。まぁ、世界樹だしなぁ」

斗真「そゆこと」

 

------------

 

~Yes!プリキュア5/プリキュア5GoGo!~

 

立場:サンクルミエール学園の歴史の教師。のぞみの補習には常に頭を痛めている

関係:のぞみとは補習で、こまちからは小説のネタを提供することで交流が始まった。ただし、生徒と教師という関係でとどまっている

スタイル:戦闘に参加することはないため、なし

趣味趣向:読書

ヒロイン:かれん

 

 

菖「こっちじゃ変身しないのか?」

斗真「理由は一つ。この子たちのチームは数が多い!!」(○Д○<クワッ

菖「……それな」(-▽-;

斗真「それに、どっちかってぇとブンビーの飲み友達ってポジションが面白くなりそうって思ったってのもあるしな」

菖「ふ~ん?まぁ、取り込まれることはないんだろうけど」

 

--------------

 

~フレッシュプリキュア~

~スイートプリキュア~

~スマイルプリキュア~

 

=データなし=

 

 

菖「……はい?」

斗真「考えてない。以上」

菖「おいおいおい、ここにきてそれかい?!」

斗真「仕方ないでしょ、練れてないんだから!仮面ライダーとのクロスは考えてるけど」

菖「こっちに載せられるもんじゃないもんな、なら仕方ないか」

 

---------------

 

~ドキドキ!プリキュア~

 

名前:剣崎一真/ブレイド

立場:真琴の専属SP

関係:孤児院時代の真琴の義兄でジョナサンの部下。トランプ王国で合流後、ありすの口利きで真琴の専属SPとして拾われる

スタイル:近衛騎士時代に使ってい鎧をまとい、光の刀身を持つ剣で戦う

趣味趣向:料理

ヒロイン:真琴

 

 

菖「あ、ここで一真さん登場か」

斗真「まぁ、もともと『仮面ライダー剣』のクロスだったんだけど、オリ主化させたらこんな感じかな、ってとこか?」

菖「趣味は適当か?」

斗真「しょゆこと。ま、孤児院に拾われた設定だし、手伝いってことで料理とかできてもおかしくないよね」

菖「……どこの赤い弓兵だ?」

斗真「ナオ、カレノイメージカラーハアオデス。アカイアーチャー?シリオマセンヨ」(棒読み

 

--------------

 

~ハピネスチャージプリキュア~

 

名前:白沢鏡介

立場:ぴかりが丘神社の管理人。ただし、祭神であるブルーのことは大嫌いで憎悪すらしているらしい

関係:氷川まりあの友人

スタイル:自身、あるいは他者を強化する支援型

趣味趣向:散歩

ヒロイン:まりあ

 

 

菖「あ、鏡介さんなんだ」

斗真「そ。細かいところは違うけどな」

菖「あぁ、まりあさんがヒロインポジとか?」

斗真「そ」

 

--------------

 

~Go!プリンセスプリキュア~

 

名前:クオン

立場:ホープキングダム近衛騎士団員

関係:トワとカナタの幼馴染だが、ホープキングダムに伝わるもう一つの伝説の武器『キーブレード』に選ばれた戦士でもある

スタイル:スピードを重視したトリックスタースタイル

趣味趣向:昼寝

ヒロイン:トワ

 

 

菖「……おいおい」

斗真「はっはっは!やっぱり『鍵』ってなったらやりたくなるからな!!」

菖「まさか、ここじゃなかったら……」

斗真「そう!K.Hとのクロスオーバーで登場させている!!」

菖「やっぱり……」

 

-----------

 

~魔法使いプリキュア~

 

名前:桜森友護

立場:みらいの同級生。神社の神主見習いでもある

関係:校長から依頼されてなかば渋々といった様子で共闘することに

スタイル:呪符を使った魔法

趣味趣向:ガーデニング

ヒロイン:リコ

 

 

菖「あ、ここで友護なんだ」

斗真「そ。ま、細かい設定は本編の『設定』を読んでみてください」

菖(……露骨な宣伝……)

 

-----------

 

~キラキラ☆プリキュアア・ラ・モード~

 

立場:キラキラ☆パティスリィの常連

関係:あきら、ゆかりの同級生

趣味趣向:ハーブティーの調合やコーヒー

ヒロイン:あきらとゆかり、ただし、本人は恋愛感情を抱いていない

 

 

菖「あぁ、一般人の高校生なんだ」

斗真「そ。あぁ、けど、グレイブの悪だくみでイチゴ坂が巻き込まれても、ビブリーと同じく、正常な状態になってたってことにしてるけどね」

菖「……なんだそりゃ」

斗真「理由はただ一つ。プリキュアたちにスイーツ以上の『甘さ』を突き付けるため」(-言-

菖「……おぉう……悪い笑顔……」

 

-----------

 

~Hugっと!プリキュア~

~スター☆トゥインクルプリキュア~

 

クロスオーバー企画で使用中のため、なし

 

 

菖「……ひかるは確かこっちで『バトルスピリッツ』のクロスオーバーだったか?」

斗真「そ。はなたちのほうはまだ構想の段階だけど、『仮面ライダー電王』とクロスさせる予定」

菖「投稿先は?」

斗真「未定」

菖「おいぃぃ……」




おまけ

~ヒーリングっど♡組が抜けてた理由~

菖「そういや、のどかたちとの絡みは?」
斗真「いやいや、今回のこの騒動のせいもあるけど、彼女たちの敵が敵だからね?そんなすぐには思い浮かばないからね?」
菖「ですよね~」


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ハートキャッチプリキュア!編(本編)
心の大樹と契約を交わすもの


というわけで、序章をぽい。
これ以降は、オールスターズとの絡みとか、劇場版とかのお話も含め、バラバラに投稿していく予定です。
「わかりづれぇよ!」って方は、ある程度まとまめて読んでいただければと。


心の大樹。

それは、世界にあまねく存在する植物たちと、人々の心に宿る「心の花」を見守り、守護する不思議な大樹。

だが、その大樹を狙い、宇宙のはるか彼方から、「砂漠の使徒」と呼ばれる侵略者が地球に攻め入っていた。

 

大樹は、自身と世界を守るため、強い心を持つ少女を戦士として選び、力を授けた。

その戦士の名は「プリキュア」。

彼女は一人、ないし数名で心の大樹と心の花を守るために戦ってきた。

 

だが、心の大樹を守護する存在は、プリキュアだけではなかった。

かつて、最初のプリキュアであるキュアアンジェが誕生した時代、世界の真理を探究するうちに、心の大樹にたどり着いた一人の青年がいた。

彼は、心の大樹と対話することで世界に危機が迫っていることを、そして、その危機に同年代の少女が一人で立ち向かっていることを知り、自らの意思でキュアアンジュに協力し、砂漠の使徒と戦うことを決めた。

 

砂漠の使徒と戦う力を持っていなかった青年は大樹と契約を交わし、大樹の力を受け取る代わりに、その生涯をプリキュアを支え、大樹を守るために捧げることを誓った。

いつしか、時代が過ぎ、キュアアンジェと探究者の存在は歴史の影に埋もれていった。

 

心の大樹は、プリキュアを陰で支えてきた名もなき戦士に、一つの名前を与えた。

大樹と契約を交わし、プリキュアを守り、支える戦士、"大樹の騎士(ユグドセイバー)"と。

 

------------------------------------------------

 

それから時は過ぎ、なおも続く、砂漠の使徒の侵略に、新たな世代のプリキュアが対抗していたが、大樹の騎士は現れなかった。

だが、四百年の時を経て、ようやく誕生したユグドセイバーは、同じ時に生まれた一人のプリキュアと共闘し敗れてしまった。

その傷は深く、命こそ取り留めたものの、心の花の大半の力を失ってしまった。

 

だが、彼はその希望と自身の力と契約の証である剣を、傷ついた心の大樹の守護へまわした。

そのため、彼は新たに誕生したプリキュアたちの戦いを見守ることしかできなかった。

しかし、新たに生まれたプリキュアたちの活躍によって、心の大樹はその傷を癒し、魔法使いの加護を必要としなくなった。

 

心の大樹は、傷が癒えていく中で、感じ取っていた。

四百年の時を超え、キュアアンジェとともに戦った名もなき戦士が、ユグドセイバーが再びこの世界に現れたことを。

 

 

これは、四百年の時を経て再臨した騎士と、四人のプリキュアの物語である。



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驚愕の事実!先輩プリキュアともう一人の戦士、登場ですっ!!

というわけで、第一話。
といっても、つぼみとえりかはすでに変身できます(おい
いや、漫画版だとそうなんですよ(汗
まぁ、ひとまず本編をどうぞ。


花咲つぼみは、つい最近、希望ヶ花市に引っ越してきた十四歳の中学二年生。

気が弱くて引っ込み思案。おまけに人見知りも重なって、なかなか友達ができずにいた。

だが、引っ越した先のすぐ隣にあるファッションショップに住んでいる同い年の少女、来海えりかという友人ができ、さらに共通の秘密(・・・・・・)ができてから、徐々にその性格は明るいものへと変わっていっていた。

 

そんなある日、つぼみは祖母が管理している植物園に展示されているリュウゼツランの見学に来ていた。

いつも、放課後に植物園でお茶会をしているえりかは、その日の見物客の多さに驚愕していた。

 

「すんごい数ねぇ!」

「リュウゼツランの開花が見られるかもしれませんからね!」

 

そう言いながら、つぼみも目を輝かせていた。

リュウゼツランの花というのは、数十年に一度だけ咲かせる、大変貴重なもので、その周期は竹よりも長いのだという。

花が咲くこと自体が奇跡的であるため、その瞬間を目撃しようと、こうして多くの人が集まっているのだろう。

 

だが、つぼみの顔は少し暗いものがあった。

それは、彼女がここ最近になってよく見る夢のせいだった。

つぼみとえりかが持っている共通の秘密。

それは、この世界を侵略しようとしている「砂漠の使徒」と戦い、世界を守る伝説の戦士「プリキュア」であることだ。

 

このことを知っている人間は、自分たち以外に、この植物園を管理しているつぼみの祖母、薫子だけだ。

驚くべきことに、彼女も五十年前はプリキュアとして戦い、砂漠の使徒の王を封印したのだという。

年老いて力も衰え、変身もできなくなった今も、二人のサポートをしてくれている協力者だ。

 

だが、つぼみは自分たちの前にプリキュアであった人物がいたことを、プリキュア(・・・・・)になる(・・・)以前から(・・・・)、恐ろしい夢を通じて知っていた。

 

それは、どこまでも晴れ渡った青空と、虹色に輝く葉をたたえた大樹の前で、黒いドレスをまとった少女と、白銀のドレスをまとった少女が激しく争っている光景だった。

そこにもう一人、耳に羽飾りをつけ、不思議な文様のマントをまとい、剣を振るっている青年がいた。

戦闘は激しく、やがて、白銀の少女と青年は黒い少女の攻撃に倒れてしまった。

だが、少女は大樹の後ろに隠れていた妖精たちに、パフュームを投げ渡し、次のプリキュアを探すように言いつけ、立ちあがった。

立ちあがった少女と青年は、黒い少女の放った光に飲まれ、消えていった。

その光景を最後に、目が覚めるということが、プリキュアになる以前からあった。

 

プリキュアになってから見なくなったその夢を、ここ最近になってまた見るようになった。

それは、何かの警告なのかもしれない。

そう思うと、つぼみの心には、どうしても不安がくすぶるのだ。

 

「花を咲かせたら、その一生は終わり……けれど、その株の下には新しい世代が育っている」

 

不安を抱えていたつぼみの耳に、静かな声が聞こえてきた。

声がした方へ視線を向けると、そこには、黒い長い髪を下ろしている眼鏡をかけた少女が立っていた。

 

「あら、ゆりちゃん!」

 

どうやら、薫子の知己の人物らしい。

薫子に呼ばれ、ゆり、と呼ばれた少女がつぼみたちの方へ歩み寄ってくると、薫子はつぼみとえりかを紹介した。

 

「彼女は以前、この植物園の常連さんだったの」

「よろしくお願いします」

 

つぼみがそう挨拶すると、ゆりは静かに微笑み、リュウゼツランを見上げた。

 

「薫子さんから、リュウゼツランが咲きそうだってことを聞いて来てみたのだけれど……やっぱり、植物の美しさと香りは、落ち着きますね」

 

そう口にしながら微笑みを浮かべるゆりを見たつぼみとえりかは、思わず放心してしまった。

同じ女の子から見ても、それだけゆりは美人さんということなのだろう。

ふと、植物園の植物たちが風もないのにさわさわと揺れ始めた。

 

「あら?植物たちが……」

 

その異変に気づいた薫子がそうつぶやくと、つぼみの背中をいつの間にか出てきたシプレがつついてきた。

シプレが言うには、巨大な闇の力がこちらに近づいてきているらしい。

そして、ゆりは悲痛な面持ちになり、胸元で手を握りしめた。

 

「……たぶん、わたしのせいです……」

 

その言葉が何を指しているのかはわからなかったが、とにかく、闇の力――砂漠の使徒が迫ってきているというのなら、つぼみとえりかはじっとしているわけにはいかなかった。

 

「わ、わたしたち、外の様子を見てきます!!」

「あ!ま、待ってください!!えりか!!」

 

えりかのとっさの機転で、つぼみはえりかと一緒に植物園の外へ出た。

その上空には、蝙蝠のような皮だけの片翼を広げた黒いドレスをまとった少女がいた。

その少女に、つぼみは見覚えがあった。

夢に出てきた、黒い少女だった。

 

「あ、あの人は……」

「う、浮いてる……」

「あ、あれは……」

「ダークプリキュアですっ!!」

 

驚愕するつぼみとえりかとは反対に、シプレとコフレはおびえながら叫んでいた。

シプレとコフレを見た黒い少女――ダークプリキュアは、冷たい視線を二人に向けて、ぽつりとつぶやいた。

 

「……プリキュア……」

「な、何が何だかわかんないけど……つぼみ!」

「はいっ!とにかく、変身です!!」

 

えりかがそう叫び、つぼみが答えると、二人はココロパフュームを取りだした。

シプレとコフレも、ダークプリキュアに立ち向かう決意を固めたのか、ブローチから心の種を取りだした。

 

「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ!!」」

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

 

シプレとコフレから飛び出してきた心の種をパフュームにセットすると、つぼみとえりかはパフュームの香水を体に吹きかけていった。

香水は光の粒子となって、二人の体を包むと、白を基本としたドレスへと姿を変えた。

 

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」

 

高らかに名乗り、同時に攻めに行ったのはいいのだが、ダークプリキュアの圧倒的な戦闘力に、二人はいいように弄ばれ、倒れ伏してしまった。

 

「で、デザトリアンとは全然違う……」

「今まで戦ってきた相手なんかより、ずっと強い……」

 

ボロボロになりながらも、どうにか立ち上がり、ブロッサムとマリンはそうこぼした。

二人が戦う姿を、少し離れた場所から、薫子とゆりが見ていたのだが、ゆりの顔は驚愕というよりも焦っているようにみえた。

 

「ま、まさか、薫子さんのお孫さんたちが……」

「えぇ……何の因果かはわからないけれど、彼女たちなのよ」

 

二人の会話が何を意味しているか、それを知る人間はこの場にはいなかった。

いや、ただ一人だけ、近づいてきていた。

 

「何事かと思って来てみたら……まずいっ!!」

 

薫子とゆりの方へ走り寄っていた青年は、そうつぶやくと急に方向を変えた。

その向かう先には、自分たちの必殺技とダークプリキュアの必殺技がぶつかり合った衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされてしまったブロッサムとマリンがいた。

立ち上がろうとしている二人に、ダークプリキュアは容赦なく、もう一度、手にしたタクトを向けた。

 

「貴様らに用はない……この場で消えろ!!ダークフォルテウェーブ!!」

「轟っ!!」

 

ダークプリキュアが放ったフォルテウェーブが眼前に迫ったとき、ブロッサムとマリンの前に突然、青いシャツを着た青年が立ちふさがった。

青年は足を踏みだし、右手を突き出しながら吠えると、あるでライオンの咆哮のような音が響き、フォルテウェーブを相殺した。

 

「ぬっ!!貴様は……ユグドセイバー!!」

「久しぶりだな、ダークプリキュア……といっても、再会してもうれしくないけど」

 

ユグドセイバー、と呼ばれた青年は、頬に冷や汗を伝わせながら、ダークプリキュアに返した。

だが、ダークプリキュアがさらに驚愕する事態があった。

 

「……やはり生きていたか、キュアムーンライト!」

 

ダークプリキュアの視線の先には、セイバーの少し後ろで、ブロッサムとマリンをかばうように仁王立ちしているゆりがいた。

 

「ゆ、ゆりさんが……キュアムーンライト」

 

ダークプリキュアの言葉に、ブロッサムは驚愕した。

キュアムーンライト。

そのプリキュアは、つぼみが見ていた夢の中に登場する、白銀の少女だったのだから。

そして、もう一人、ダークプリキュアの攻撃を相殺した青年もまた、夢に出てきたマントの青年と同じ名前で呼ばれていた。

だが、青年はダークプリキュアの言葉に耳を貸さず、視線もダークプリキュアから外すことなく、ゆりに語りかけた。

 

「ゆり、無理すんな……」

「あなたが言えた義理じゃないでしょ……」

 

青年の言葉にそう返しながら、ゆりは青年の隣へと歩みでてきた。

 

「ダークプリキュア!なぜ、今だにわたしにこだわるの?!」

「……お前は、わたしだからだ!!この世界に、同じ人間は二人もいらない!!」

 

ゆりの問いかけに、ダークプリキュアは憎悪を込めた視線を向けながら、そう返した。

ダークプリキュアは再びタクトを構え、ゆりにその切っ先を向けた。

 

「お前を倒して、わたしはわたしになる!!」

 

まるで禅問答のようなセリフを口にしながら、ダークプリキュアは再びフォルテウェーブを放とうとした。

その時だった。

虚空から、この場にはいない男の声が響いてきた。

 

『ダークプリキュア!キュアムーンライトには関わるなといったはずだ!!』

「……くっ……」

 

その声を聞いたダークプリキュアは、タクトをしまい、空へと消えていった。

その後姿を見たブロッサムとマリンは、緊張の糸が切れたのか、意識を失い、倒れこんだ。

同時に、青年も、膝をつき、苦しそうに肩を上下させた。

 

「菖!!」

「大丈夫……けど、きつかったぁ……」

 

ゆりが慌てて青年の名を呼び、しゃがみこむと、青年は微笑みを浮かべながら返した。

 

「変身できなくても、これくらいはできるんだけど……やっぱり、あれは無茶だったかなぁ」

「わかっているなら、もう二度としないで……もう、目の前で誰かを失うのはいやよ、わたしは……」

「……ごめん」

 

ゆりのそのつぶやきに、菖は困ったように微笑みながら返した。

 

------------------------

 

つぼみとえりかが目を覚ましたのは、空に星が輝きだした頃だった。

植物園で目を覚ました二人は、菖から簡単に自己紹介され、自分たちの目の前にかつて戦っていた先輩がいることに驚愕していた。

 

だが、同時に、心強くも感じていた。

ダークプリキュアは、いままで戦ってきた中で最も手ごわい相手だった。

同時に、心の奥底で感じたことがない恐怖を覚えてしまった。

だからこそ。

 

「「ゆりさん!菖さん!!……いえ、キュアムーンライト!ユグドセイバー!!どうか、わたし/あたしたちと一緒に戦ってください!!お願いします!!」」

 

目の前にいる強力な助っ人に、そう頼むのは、自明の理、というものだった。

だが、その言葉に、ゆりは顔を曇らせ、菖は困ったように微笑みを浮かべた。

 

「……ごめんなさい」

「そうしてあげたいのは、山々なんだけど……ごめん」

「そんな……」

「どうして……」

 

二人の返事に、つぼみとえりかはショックを隠しきれなかった。

だが、その理由は、二人の口からではなく、薫子の口から告げられた。

 

「ゆりちゃんはプリキュアの種の大半を失ってしまって、もうプリキュアにはなれないのよ……」

「け、けど菖さんは……」

「俺の力はいま、心の大樹を守護するために使っているから、変身することができないんだ」

 

菖の返答に、つぼみとえりかは意気消沈してしまった。

少しの間、四人の間に、重苦しい沈黙が流れた。

だが、ふと、ゆりの視界にリュウゼツランが入りこむと、ゆりははじかれたように立ちあがった。

 

「リュウゼツランがっ!!」

 

その言葉に、その場にいた全員がリュウゼツランへ視線を向けた。

そこのは、月明かりに照らされながら、咲いているリュウゼツランの花があった。

 

「さ、咲きました!!リュウゼツラン!!」

 

奇跡の瞬間に立ち会えたことに、つぼみは感激の声を上げ、えりかも感動で何も言えずにいた。

 

「……確かに、敵は手ごわいわ。でもね……あなたたちは一人じゃない。二人で力を合わせて立ち向かえば、きっと……」

 

ゆりはリュウゼツランを見上げるつぼみとえりかに優しい微笑みを向けた。

そして、リュウゼツランをもう一度見上げて、続けた。

 

「いままで、不甲斐ない自分を責めてばかりだったけれど……やっと、希望が生まれました……二人に、プリキュアの使命を託すことができたのだから……」

 

その想いに、菖は優しく微笑みながら、つぼみとえりかに視線を向けていた。

 

------------------------

 

帰り道。

菖はゆりを送るため、一緒に歩いていた。

ふと、ゆりは少し先を歩いている菖に問いかけた。

 

「……あれからいままで、どこに行っていたの?」

 

実は、ダークプリキュアと敗れたあの日から、菖はゆりにも黙って希望ヶ花市を離れてしまっていた。

正確には、ゆりから距離を置いて、一人でどこかへ行くことが多くなっていた。

幼馴染のゆりからすれば、それは、自分の半身を失うようなものだった。

 

「お父さんに続いて、あの子(・・・)を失って……あなたまでいなくなってしまったら、わたしは……」

「……ごめん」

 

泣きそうになるのを必死にこらえながら、自分の背中に言葉をぶつけてくるゆりに、菖は立ち止まって、謝罪した。

 

「いまさら謝ってすむと……!!」

「あいつを!……あいつを取り戻すための、手がかりがないか、ずっと探していたんだ」

 

菖は、右手を強く握りしめながら、ゆりの言葉を遮り、そう告げた。

その言葉に、ゆりは目を見開いた。

 

「け、けどそんなことが!!」

「それをできる可能性が、見つかったんだ……けど、いますぐにはできない」

 

どうしても、もう少し待たないといけないんだ。

菖の悲痛な声に、ゆりはそれ以上、何も言えなかった。

二人が何を失ったのか、そして菖が何を取り戻そうとしているのか、それを知っているのは、今もどこかで二人を見守っている心の大樹だけだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)。

つぼみ「そういえば、菖さん」
菖「ん?」
つぼみ「変身できないのに、なんでフォルテウェーブを相殺できたんですか?」
菖「あぁ、あれか……うん、心の花の力は出せるっちゃ出せるからね。変身した時よりも威力は落ちるけど」
えりか「威力が落ちてあれって……変身したら、どんだけすごいのよ」
ゆり「あら、そうでもないわよ?だって、あのあと、気力とスタミナを使いきって倒れかけてたもの」
えりか「って、大丈夫なんですか?!」
菖「大丈夫、大丈夫。じぃじのしごきに比べたら全然」
つぼみ・えりか「「じぃじ?」」
ゆり「菖のお爺様よ。相変わらずのようね……」
菖「『遺跡探訪するのなら、体力と腕っぷしは必須!ただ修練あるのみじゃ!!』なんて、言われてさぁ……いや、きつかったなぁ……」
えりか「……すごく遠い目をしている……」
つぼみ「よっぽど、しごかれたんですね……」


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強さの秘密は修練にあり?!菖さん、少し強すぎます!!

筆が進む進む……
というわけで、通算で第三話です。
「色々クロスオーバー」ってタグつけてるから、問題ないよね?!
そういえば、そのうち、フレッシュチームまでのオールスターズとの邂逅話を書くかもしれないです(ちょうど、お花見シーズンですしw)。
というわけで、どうぞ。


つぼみとえりかは、二人の先輩プリキュアである月影ゆりと、彼女とともに戦っていたもう一人の戦士ユグドセイバーである春川菖と出会った翌日。

四人はその日を境に、植物園でよくお茶会をするようになっていた。

だが、つぼみとえりかは難しい顔をしていた。

 

「……どうしたのさ?そんな難しい顔して」

「何か悩み事かしら?」

「悩み事といえば、悩み事です」

 

二人に問われ、つぼみがため息まじりに返した。

曰く、ダークプリキュアとの戦いのあと、何度か砂漠の使徒と戦ったのだが、あちらの力も徐々に強くなっているようで、辛勝することが多くなってきたのだという。

こちらもパワーアップを図らなかければならないのだが、どうすればいいのか、まったく答えが見いだせないでいるらしい。

 

「なるほどなぁ……」

「ゆりさんと菖さんはどうやって、強くなったんですか?」

「何か、特別な訓練をしていたとか……」

 

何しろ、二人とも自分たちよりも長い間、砂漠の使徒と戦ってきた実力者だ。

もちろん、自分たちがいま置かれているような状況になったこともあるはず。

そう考えてのことなのだろう。

 

「う~ん……特別な訓練っていってもなぁ……」

「薫子さんの紹介で明堂院流の道場に通ったことはあるけれど……」

「俺も似たようなもんかなぁ。剣道も武術もじぃじの手ほどきを受けてたし」

 

じぃじというのは、菖の祖父のことらしい。

菖の祖父、仁頼(じんらい)は神社の近くにある道場で細々と古流剣術を教えている人物で、薫子とも昔から交流があったのだという。

なお、ゆりは幼稚園からの付き合いで、仁頼とも交流があったため、知らない人ではないらしい。

だが、そんなことよりも重要なのは。

 

「……要するに……」

「「変身前の基礎体力が大事ってことだね/ことね」」

 

ゆりと菖が口をそろえてそう言うと、体力に自信のないつぼみはうなだれてしまった。

その様子に、菖は苦笑を浮かべていたが、ゆりはまったく気にしていない様子で、提案してきた。

 

「よかったら、今度一緒に行きましょう?久しぶりに、顔を出すように言われているし」

「あ、だとしたら、俺はちょっと許可取らないとまずいかなぁ……」

 

菖のその一言に、ゆりは首を傾げた。

 

「あら?どうして??」

「知ってるだろ?明堂院流の宗主とじぃじ、ライバル関係だからさ……」

 

仁頼と明堂院流の当主である厳太郎は、なんでも昔から腕を競い合っていた仲らしく、年老いた今では、互いの弟子を戦わせて、どちらの流派が強いのかを競い合っているのだという。

孫であり、直弟子でもある菖からすれば、いい迷惑なのだが。

もっとも、仲が悪い、というわけではないらしく。

 

「流派が絡まなかったら、二人ともいい飲み友達なんだけどね」

 

と、苦笑しながら菖は弁明した。

それでも、つまみ作るのは俺なんだよなぁ、と遠い目をしながらつぶやいていた。

 

「というわけだから、じぃじに許可もらわないと俺は参加できないかな」

「なら、仁頼さんに聞いてみたら?わたしに誘われたって言えば、たぶん、大丈夫だろうし」

「あぁ、それなら大丈夫かな」

「決まりね。それじゃ、今度の日曜日に。二人も、それでいいわね?」

 

いつの間にか主導権を握られていた二人(つぼみとえりか)は、ゆりの問いかけに了承する以外の選択肢がなかった。

 

------------------------

 

日曜日。

意外にもすんなりと許可を得ることができた菖は、ゆりとつぼみ、えりかの三人と合流し、明堂院流の道場へ足を踏み入れた。

もっとも、門下生からすれば、菖の存在は目障りなものであり。

 

「……出稽古を申し込んだはずなのに、なんで俺は問答無用で乱取りしなきゃならないんだ……」

 

乱取りという名目で、菖は一対多数の練習試合をするという事態に陥っていた。

だが、菖の足音には襲ってきた門下生たちがグロッキー状態で倒れていた。

一方の菖は、頬に汗を伝わせてはいるものの、あまり息は乱れておらず、まだ余裕があるようにも見えた。

 

「す、すごすぎっしゅ……」

「相変わらずね……少し、荒っぽくなったんじゃないかしら?」

 

えりかはただ単に"すごい"という事実だけを口にしたのに対し、長い付き合いのゆりは、腕が衰えていないことに感心していた。

乱取りの様子を上座で座して見ていた厳太郎はというと。

 

「……ふむ。動きがより実戦向きになってきたな。遺跡探検で狼藉者にでも襲われたか?」

「えぇまぁ……最近、物騒ですから」

 

苦笑を浮かべながら、菖はそう返した。

その脳裏には、砂袋のような黒いタイツで全身を覆い、キーッ、という奇声を上げる集団だったり、同じ黒タイツで髑髏のような模様をして、目出し帽のようなものを頭にかぶり、イーッ(・・・)、という奇声を上げる集団が浮かび上がっていた。

同時に、サムズアップと笑顔が似合う青年や、体格のいいアフロに似たぼさぼさ頭の初老の男性、パンツを干した棒を担ぎながら歩いていた青年の顔も浮かび上がってきた。

 

――そういえば、あの人たち、今どうしてるかな

 

世話になったり、人生の先輩としていろいろ教えてもらった恩義から、できるなら、もう一度会ってみたいと思いつつ、菖は再び身構えた。

菖の前には、後継者と目されている門下生、いつきが立っていた。

 

――さすが、厳太郎さんの直弟子。隙がないな……

 

ようやく、まともに戦えそうだ。いつきの目を見た瞬間、菖はそう感じ、口角を吊り上げた。

菖はあまり好戦的ではないのだが、それでも純粋に稽古は楽しいと思うし、嫌いではない。

 

だが、先ほどまでの乱取りの相手では、正直に言って、物足りなさを感じていた。

だからこそ、目の前に出てきたいつきに少しばかり期待している節があった。

 

「しっ!」

「っと!!」

 

先に動いたいつきは、掌底を菖の腹にめがけてつきだした。

しかし、菖はそれを回避し、いつきが突いてきた勢いをそのまま利用して、投げ飛ばした。

 

が、いつきは空中で受け身を取り、床に着地すると再び間合いを詰め、今度は連続で拳と蹴りをつきだしてきた。

菖はその一撃一撃をどうにかそらし、反撃の機会をうかがっていたが、中々、その隙を見出すことができなかった。

 

――的確に空いているところを狙ってきてるし、隙も作らないか……

 

ならば、と菖は右足を軸にして回り、いつきの背中めがけて左足を蹴り上げた。

加減はしたが、少しばかりいいのが入ったらしく、いつきは痛みに顔を歪めた。

 

「くっ!……まだまだ!!」

「さすが……けど!!」

 

残身を取り、再び床を蹴って間合いを詰めてくるいつきに対し、菖は左足を後ろに回し、右の掌底を構えた。

その構えは、えりかもつぼみも見覚えがあった。

 

「「あの構えはっ!!」」

「やぁぁぁぁぁっ!!」

「轟っ!!」

 

気合いを込めながら距離を詰めてくるいつきにむかって、菖は左足で床を蹴り、掌底を突き出し、吠えた。

すると、轟っ、とまるでライオンの咆哮のような音が鳴り、いつきの体に掌底が突き刺さった。

 

「かはっ……」

「……ごめん。少し、加減できなかった」

「い、いえ……参りました……」

 

重い一撃が突き刺さったにも関わらず、いつきはどうにか痛みに耐えながらそう返した。

いつきの降参宣言を聞いた厳太郎は、立ちあがると、それまで、と鋭い声を響かせた。

 

「いつき。少し、休憩にしなさい。ほかのものは、いつもの稽古を」

『押忍ッ!!』

 

厳太郎の声に、倒れていた門下生が一斉に立ち上がり、大声で返事をした。

最後まで健闘しダメージが残っているいつきは、厳太郎の言いつけ通り、見学しているつぼみとえりかのところで、腰を落とした。

 

「委員長、大丈夫?」

「いつきさん、大丈夫ですか?」

 

友人であるつぼみとえりかは、菖から鋭い一撃をもらったことに心配し、いつきに声をかけた。

いつきはにっこりと微笑み、大丈夫、と返した。

すると、菖が歩み寄ってきて、いつきに声をかけた。

 

「お疲れ。ちょっとすごいの入ったけど、大丈夫?」

「えぇ。大丈夫です……さすがに、お腹だから、手加減してくれたみたいですね」

「別に女の子だから手加減したってわけじゃないんだけど……さすがに、お腹はまずいし」

 

なお、いつきは明堂院流の娘なのだが、中性的な整った顔立ちと、普段の私服が男性らしいということもあり、美少年と間違えられることが多い。

同級生であるつぼみとえりかも間違えてしまった口らしく、つぼみに至っては、三分で初恋が終わってしまった、とショックを受けるほどだったらしい。

そういえば、といつきは菖に視線を向けた。

 

「さっきのあの技は、春川流の技ですか?」

「うちの流派は泉地(いずち)流だよ。それと、さっきのはうちの流派の技じゃなくて、ある人から教わった技なんだ」

 

そのある人というのは、遺跡探索をしているときに知り合った流浪の武術家だったのだが、どういうわけか、菖を気に入り、自分が師から受け継いだ技を継承させたい、といって、友情の証として教えたのだ。

 

「それで、その技の名前は?」

「獅子の吼える声に似た音が出るからってことで、"獅子戦吼(ししせんこう)"って呼んでたかな」

「獅子戦吼、ですか……」

「気当たりと突き、重心移動と踏みこみ、それから相手の体を貫く勢いで突き飛ばす気迫があれば、ちょっとかじった人でも、一歩手前まではいけるって言ってたから、いつきにもできると思うよ?」

 

ただ、完成させるには強い闘気が必要とのことであるため、よほど武に長けた人間か、でなければプリキュアのような特殊な人間でなければとてもではないが完成させることはできないのだろうけれど。

菖はそのことだけは胸の中にしまいこんだ。

 

自分たちがプリキュアであることを公言することは、砂漠の使徒に狙われる人間を増やすことに他ならないのだから。

もっとも、菖の場合は心の大樹さえ守れれば契約上問題はないのだが、それでもプリキュアや自分とは無関係の人間は巻きこみたくはないのだ。

 

もっとも、菖の懸念はいざ知らず。

いつきは単に自分に稽古をつけてくれた相手からの教えとして、純粋なままに聞いていたようだった。

 

「わかりました!いつか、菖さんの技を引き継げるように、僕も精進します!!」

「はははは……うん、頑張って」

 

いつきからのその言葉に、菖はただただ苦笑を浮かべるだけだった。

ちなみに、その間、つぼみはというと、顔を真っ赤にして上の空になっていた。

その様子が心配になったゆりは。

 

「……えりか、つぼみはどうしたのかしら?」

「あぁ、大丈夫ですよ。たぶん、菖さんの戦う姿に惚れこんじゃっただけですから」

 

えりかにそう問いかけたのだが、問いかけられた本人から即答された。

どうやら、菖のたたずまいと試合に向かう姿に惚れこんでしまったらしい。

 

もっとも、つぼみはもともと惚れやすい性格をしているため、えりかも深く追求することはなかった。

唯一、思っていたことは。

 

――果たして、今回の失恋はいつになったらくるのかねぇ

 

というくらいだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

つぼみ「ぽーーーーーーっ……」
ゆり「さっきから、つぼみは黙ったままだけど、大丈夫なの?」
えりか「たぶん、菖さんに惚れちゃったのかと……この子、いつきにも惚れたことがあるんで」
ゆり「いつきちゃんって、女の子よね……あ、なるほど……」
えりか「そ。中等部で噂の"男装の麗人"」
ゆり「なるほどね……けど、だとしたら前途多難よ?」
えりか「え?」
ゆり「彼、あれで結構もてるのよ?面白いからって」
えりか「えぇ……顔はまぁ、普通よりちょっといいって感じだけど……高校生になるとそんなもんなんですか?」
つぼみ「何を言ってるんですか、えりか!人間は中身なんです!心が一番大事なんです!!」
えりか「うおっ?!復活した!!」
ゆり「あまり応援する気にはなれないけど、頑張ってね。彼を落とすのは、けっこう至難の業よ?」
つぼみ「はい!!花咲つぼみ、今度こそ、恋の花を咲かせてみせます!!」
ゆり「そうなると、わたしはライバルということになるのかしら?」
つぼみ「……え?」
ゆり「え?」
えりか「……なんか、菖さんのほうが前途多難な気がするっしゅ……」


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三体目の妖精誕生!名前はポプリでしゅ!!

アニメ版のタイトルとかぶってないよね?……そのあたりがすごく不安だ……。
さて、かなりハイペースですが、ポプリ登場です。
次回あたりにサンシャイン、次々回あたりで、ムーンライトとセイバー復活の前日話になる……予定です!
あくまで、大まかな展望なので(汗

なお、今回のスキット風あとがきのゆりさんの発言は、若干、中の人ネタを含んでいます。


ゆりと菖から強くなるための秘訣を聞いたつぼみとえりかだったが、結局、変身前の基礎体力を上げることが重要という結論にいたり、体力作りから始めることになった。

なったのは、いいのだが……。

 

「……も……もぅ、無理、ですぅ~~……」

「ほら、つぼみ!ファイトファイト!!」

 

へばりながらもどうにか走っているつぼみに、少し先を走っていたえりかがエールを送った。

その二人の後ろには、ゆりと菖がいた。

 

「えりかはともかく、つぼみはちょっと問題だな、これは……」

「そうね。けれど、こればかりは仕方がないのではないかしら」

 

ゆりが軽く肩を上下させながらそう話すと、菖は苦笑しながら、そりゃね、と返した。

男女の差なのだろうか、それとも単に遺跡探索が趣味だからなのだろうか、菖のほうはまだ体力に余裕がありそうだった。

だが、その顔は何かを思案している様子だった。

 

「……けど、基礎体力だけじゃいつか限界がくる」

「そうね……まず、基礎体力を向上させて、あの子たちの戦闘力の底上げをしたとしても、その先には必ず、彼女が待っている」

 

菖の言葉に、ゆりは顔を曇らせて返した。

彼女、というのは、まだ二人がキュアムーンライトとユグドセイバーとして戦っていたころに、何度となく立ちふさがってきた強敵、ダークプリキュアのことだ。

 

砂漠の使徒の三人の幹部が生み出すデザトリアンとは一線を画す強さと、キュアムーンライトに対する異常なまでの執着心から来ているのであろう、プリキュアに対する強い憎悪と敵対心。

それらを有しているダークプリキュアと互角に戦うには、まだ何かが足りない。

ゆりも菖も、そんな気がしてならなかった。

 

------------------------

 

その日の放課後。

つぼみとえりかはファッション部の部室で文化祭に向けた衣装の作成に取り掛かっていた。

その活動中、ふと部員の一人がつぼみに問いかけてきた。

 

「ねぇ、そういえば知ってる?最近、出るらしいよ。お化け」

「お、お化けですかっ?!」

 

お化け、という単語に、つぼみは顔を青くした。

どうやら、つぼみはそういった類のものが苦手な人間らしい。

だが、話しかけてきた部員はそんな様子を気にすることなく。

 

「そ。なんでも、泣きながら暴れまわってるらしいよ?」

 

と続けた。

すると、廊下の方からバタバタと大きな音がこちらに向かってきた。

それまでしていた話の話題が話題だけに、つぼみはもとより、お化けの類をそもそも信じていないえりかまでもが、緊張で顔をこわばらせた。

突然、ガラッ、と大きな音を立てて扉が開くと、部員全員が悲鳴を上げた。

 

「いま、ここに怪しい影が飛んでいったけれど、みんな大丈夫?!」

 

だが、扉を開けた人物の声を聞いて、部員たちは安堵した。

勢いよく扉を開けたのは、明堂学園中等部の生徒会長であるいつきだったようだ。

どうやら、校舎内を見まわっていたときに怪しいが飛んでいく様子を目撃し、追跡していたらしい。

異常がなかったことをいつきに伝えると、いつきは、よかった、と安堵の表情を浮かべた。

だが、すぐにその顔を引き締め、部員全員に注意喚起をした。

 

「不審人物を見かけたら、すぐに逃げるように!学校を守るのは、僕の務めだからね!」

 

男装の麗人とはいえ、凛々しいその表情に、ファッション部女子一同はときめきを覚えながらも返事を返した。

いつきが部室を出ると、部員は全員、帰宅することにした。

幽霊話が出ただけでなく、不審人物の目撃情報まで出てきたのだから、帰りたいと思うのは必然といえば必然だ。

だが、つぼみとえりかだけは違った。

学園の幽霊騒ぎに、いつきも見かけたという怪しい影。

この二つを同時に行うことができる存在は。

 

「えりか、もしかして……」

「うんっ!砂漠の使徒の仕業だね!!」

 

と決めつけていた。

砂漠の使徒、という単語を口にした瞬間、ファッション部の布がぶわりと宙に浮いた。

 

「さ、砂漠の使徒……うわーーーーんっ!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ??!!で、出ましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「このっ!あたしらファッション部の大切な布に憑りつくなんて!!」

 

泣きながら暴れ出した布に、つぼみは悲鳴を上げながら慌てふためくが、勇敢にもえりかは布を手に取り、飛び上がっている布をどうにか引き戻そうと引っ張った。

すると、布のしたから、砂漠の使徒ではなく、意外なものが姿をあらわした。

 

「なっ?!」

「不審人物ってのは……えぇぇぇぇぇぇっ??!!」

 

布の下にいたもの。

それは、つぼみとえりかのパートナーの妖精と似たような姿をしたものだった。

 

------------------------

 

結局、布の下から出てきた不審人物の正体を植物園に連れて帰ると、薫子は微笑みを浮かべながら。

 

「あらあら。まだ赤ちゃんなのね」

 

と嬉しそうに口にした。

その視線の先には、シプレとコフレよりも一回り小さい妖精が切り株の上に、ちょこん、と腰かけていた。

 

「ポプリでしゅ~」

 

たどたどしい言葉で自己紹介すると、つぼみとえりかは微笑みを浮かべた。

それは、シプレとコフレも同じようで。

 

「こころの種が集まって、こころの大樹が元気になったから、新しい妖精が生まれたですぅ!」

 

と、まるで自分に新しい家族ができたかのようにうれしそうな笑みを浮かべていた。

そして、新しい妖精という言葉に、つぼみは何かに気づいたようだった。

 

「あっ!第三の妖精が生まれたということは……」

 

それはつまり、三人目のプリキュア、つぼみとえりかの仲間がいることを示していた。

だが、ポプリはそのことを喜んでいる様子はなかった。

どうやら、こころの大樹と遊んでいたときに、砂漠の使徒の襲撃を受け、こころの大樹は姿を隠し、ポプリも捕まるまいと必死に逃げてきたらしい。

 

「こころの大樹を守るためにも、三人目のプリキュアを早く見つけなくちゃ!」

 

使命感に燃えるえりかだったが、どうやって三人目を見つけるのか、その方法まではわからず、それを指摘されてうなだれてしまった。

それに助け船を出したのは、ゆりだった。

 

「ポプリのパートナーとなる新しいプリキュア。それは、優しい心と強い心を持つものと出会い、ポプリがその心に応えたときに誕生するのよ」

 

ゆりからのそのアドバイスに、ポプリは素直に、はいでしゅ、と返した。

 

「わたしはひとりで、ゆりちゃんは菖くんと一緒に戦っていたけど、支え合うことが出来る仲間は多い方が良いわ。かけがえのない出会いになるわ、きっと!」

 

新しい仲間がいる。

その事実に、つぼみとえりかはどこか嬉しそうな笑みを浮かべ、三人目のプリキュアを探すことに意欲的になっていた一方で、菖だけはどこか浮かない顔をしていた。

それに気づいたゆりは、菖にそっと問いかけてきた。

 

「菖、どうしたの?」

「……うん、少し、気になることがあってさ……」

 

ゆりにそう問われても、菖はその表情を崩すことなく、そう返した。

 

------------------------

 

その夜。

いつも通り、ゆりを自宅まで送った菖は、一人、植物園にある大樹の前に来ていた。

来ることがわかっていたのか、眼鏡をかけた書生風の青年が鍵を開けて、温室の中へと入れてくれたため、特に苦労することはなかった。

大樹の前に立ち、菖は手のひらを大樹の肌につけると、目を閉じて意識を大樹へ集中させた。

 

――聞こえるか?こころの大樹

《聞こえますよ、我が契約者……お久しぶりですね》

――あぁ。砂漠の使徒に捕捉される恐れがあったし、お前の傷もひどかったから、こうやって話すのは控えていたけど……元気そうでよかったよ

 

菖の頭に直接響くように、優しげな女性の声が響いてきた。

それに驚くことなく、菖は頭の中で声をかけてきた存在に語りかけた。

その声は、菖がユグドセイバーとして戦うために契約した、シプレたちプリキュアの妖精の産みの親、こころの大樹だった。

 

《えぇ。ブロッサムとマリンがいままで頑張ってくれたおかげで、こうして再びあなたとお話できるくらいには回復しました》

――なら、そろそろ俺が守護に回した力は必要なくなるな

《えぇ……ですが、再びあなたが戦うのなら、彼女たちにはやってもらわなければならないことがあります》

――砂漠の使徒の攻撃の激化……それに備えた防御、か

 

ポプリの話では、こころの大樹が砂漠の使徒に捕捉されつつある。

それはつまり、自分がこころの大樹を守護するために、残された力の半分を回して作り上げた結界が弱まっているということだ。

そして、菖のその言葉に、こころの大樹は静かに肯定の意思を返した。

 

《わたしの中で眠っているこの子の魂を守るためにも……》

――そして、彼女の花をもう一度、咲かせるためにも

 

大樹の言葉にそう返し、菖はその場から離れていった。

温室の外へ出るその姿を、書生風の青年は静かに見送っていた。

 

------------------------

 

翌日から、つぼみとえりかはポプリを伴って、花畑を巡り歩くようになっていた。

ポプリ曰く、花ならばゆりの言っていた、強くて優しい心の持ち主のことを知っているはず、とのことだ。

ちなみに、つぼみが興味本位でシプレに自分たちを見つけた方法を問いかけてたが。

 

「そ……それは実は、その……偶然、ですぅ……」

 

と冷や汗を伝わせながら返した。

シプレからの回答に、付き合っていたえりかは、他の方法を探さないかと提案してきた。

 

何しろ、今の季節は夏。

雨が降りやすく、湿り気が強い季節だ。

今も雨が降っており、えりかの気分はどんよりと沈んでいた。

 

それに対して、花が大好きなつぼみは、ご機嫌らしく、ミュージカルのワンシーンのようにステップを踏みながら歩いていた。

ふと、つぼみは足もとに花びらの多い花を見つけた。

 

「あっ!こういう、花びらの多い花は、花占いにもってこいなんです!」

「あぁ、幼稚園のころ、やったね~。好き、嫌い、好き、嫌いってやつでしょ?」

 

えりかの質問に、つぼみは微笑みながら肯定し、海外では『愛している、少し愛している、とても愛している、愛していない』の四つで、正午に太陽に向かって占いのが普通だ、と説明してくれた。

 

「愛してる確率高すぎ!てゆーか、探すのはつぼみの恋人じゃなくて、ポプリのパートナーでしょ!」

「はっ!そうでした!!」

 

恋愛話につい夢中になりがちな年頃、というよりも、そういった話が個人的に大好きなつぼみに、えりかは冷静に突っ込みをいれた。

つぼみはその突っ込みで我に帰り、しゃがみこんで花びらを数え始めた。

やがて。

 

「会えない、会える、会えない……あっ!!」

 

残り一枚、結果は『会える』。

その結果に、つぼみたちは次の花畑へと急いだ。

ポプリが言うには、今向かっている花畑に咲いているひまわりが、三人目のプリキュアについて教えてくれるらしい。

向日葵畑へと向かっていると、つぼみたちの耳に、奇妙な声が聞こえてきた。

 

「愛してる~、少し愛してる~、と~っても愛している~」

 

嫌な予感を覚え、つぼみたちは走った。

そして、彼女たちが目にしたものは。

 

「愛しすぎてる~、愛におぼれてる~、愛のためならすべてを捨てる~」

 

モグラのような姿をしたデザトリアンが、向日葵の花を根っこごと引き抜いている姿だった。

つぼみとえりかは捨てられた向日葵を抱きかかえた。

 

「ひどすぎる!!占いの内容も最低っ!!!」

「ゆるせません!!」

 

その声が聞こえたのか、デザトリアンの上に乗っていたアラビアン風の衣装を着た女性――サソリーナは、つぼみたちの登場に顔を歪めたが、探していたポプリの姿を見ると。

 

「あらん!第三の妖精つき!!飛んで火に入ってくれたわん!!デザトリアン、やっちゃって~ん!!」

 

と、顔を輝かせ、デザトリアンに命令した。

どうやら、ポプリを連れ去って手柄を立てようとしているようだ。

 

「えりか!」

「いくよ、つぼみ!!」

 

当然、それを許すつぼみとえりかではない。

二人がココロパフュームを取りだし、シプレとコフレを呼ぶと、着ていた服がそれぞれの心の花の色と同じ光を放っているワンピース姿になった。

 

「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ!!」」

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

 

パフュームから吹き出てきた光の粒子に包まれ、ワンピース姿だった二人は、プリキュアのコスチュームへと姿を変えた。

 

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」

 

名乗るが早いか、ブロッサムとマリンは地面を蹴り、デザトリアンとの距離を詰めた。

基礎体力を向上させる特訓をしてきたおかげか、最初のうちは、あまり苦戦するような場面はなかった。

 

だが、相手はモグラ。

地面に潜っては出てきて、出てきては潜ってを繰り返し、二人を翻弄し始めた。

やがて、モグラ・デザトリアンの爪は二人を捉え、吹き飛ばした。

きつい一撃が入ったのだろう、吹き飛ばされた二人は、なかなか起き上がれずにいた。

体勢が崩れたところを狙って、モグラ・デザトリアンが二人にとどめをさそうとした瞬間、ポプリが泣きながら飛びだしてきた。

 

「プリキュアをいじめちゃ、だめでしゅーーーーーっ!!」

 

ポプリがそう叫んだ瞬間、ポプリとデザトリアンの間に、向日葵の形をした光の盾が現れた。

その盾にはじき返されたモグラ・デザトリアンはよろけてしまい、後ろに倒れこんだ。

 

「はっ!い、今です!!マリン!!」

「オッケー!やるっしゅ!!」

 

モグラ・デザトリアンに隙が出来た瞬間を逃さなかったブロッサムは、マリンに合図を送り、ブロッサムタクトを取りだした。

マリンもブロッサムにうなずき返し、マリンタクトを取り出し、こころの花の力を込めた。

 

「なっ!まずい!!」

「「プリキュア!!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

 

タクトに込められたこころの花の力を光に変えて、全身にまとい、モグラ・デザトリアンに向かって突進していった。

すでにサソリーナはこの場から退避していたため、巻きこまれることはなかったが、置いていかれたモグラ・デザトリアンは、光の弾丸になった二人に貫かれた。

 

「「ハートキャッチ!」」

 

モグラ・デザトリアンの背後に抜けた二人が叫んだ瞬間、モグラ・デザトリアンはピンク色の煙に包まれ、爆発し、姿を消した。

どうやら、浄化に成功したようだ。

 

------------------------

 

デザトリアンを浄化した二人は、助けてくれたポプリにお礼を言い、さきほどの盾のことについて聞いてみていた。

だが、生まれたばかりのポプリは、まだ自分の能力について把握しきれていないらしく、わからない、としか答えられてなった。

だが、その疑問にはシプレが答えてくれた。

 

「ポプリには、守りの力があるですぅ!」

「なるほど、守りかぁ……すっごいバリアだったねぇ」

「改めて、ありがとうございました。ポプリ」

 

感心するえりかと感謝するつぼみだったが、ポプリの顔は暗く沈んでいた。

三人目のプリキュアを見つけることができなかったことが、よほど堪えているようだ。

だが。

 

「大丈夫です!雨も上がりましたし、あきらめずに頑張りましょう!」

 

ポプリを励ましながら、つぼみが空を見上げると、そこには先ほどまであった厚い雲はなく、晴れ渡った青空と、虹があった。

青空と虹を見て、少しだけ、元気を取り戻したポプリは、もう一度、プリキュアを探そうと、意気込み始めた。

その時。

 

「かわいい~っ!」

 

背後から、ポプリをそっと抱き上げる声が聞こえてきた。

そこには、男装の麗人であり可愛い物好きの生徒会長、明堂院いつきが目を輝かせながら、ポプリを抱き上げていた。

ポプリは、いつきの目を見た瞬間、心の奥がざわついた。

 

そのざわつきに、ポプリは確信した。

目の前で、自分を抱き上げているこの人こそ、自分のパートナー、三人目のプリキュアであることを。




あとがき代わりの一場面(スキット風)

えりか「それにしても、幽霊の正体がポプリだったとはねぇ……」
つぼみ「まさに、正体見たり枯れ尾花ですね。けど、少しほっとしました」
ゆり「あら?どうして??」
薫子「つぼみは、昔から幽霊とかお化けが苦手で、怪談話を聞いた夜なんかはなかなか寝られなくて、よくわたしの布団に入りこんでいたのよ?」
つぼみ「お、おばあちゃん!!??///」
えりか「ちなみに、ゆりさんと菖さんはどうなんです?」
菖「え?」
えりか「幽霊とかお化けのこと」
ゆり「そうね……あまり、怖いとは思わないかしら?むしろ、本当にいたとして、ぶん殴れないときにどうしようか考えてはいるけれど」
つぼみ「発想が物騒です……菖さんは?」
菖「俺は別に怖いとか思ったことないかなぁ……見えるし」
全員『え?』
ゆり「……菖、わたし、それ初耳なんだけれども」
菖「いや、言う必要もなかったし、いいかなぁと」
えりか「ちなみに、今この場には?」
菖「いるよ?ちょうど、つぼみの……」
つぼみ「~~~~~~~っ??!!」
菖「後ろにある木の根元で遊んでる小さいのが。コッペ様が無視してるから、無害だとは思う……て、つぼみ?」
ゆり「……気を失ってるわね」
菖「あらら……」
えりか「……どんだけ怖がりなのよ、この子は……」(苦笑


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三人目のプリキュアはいつきさん?!届け!ポプリの想い!!

菖とゆりが絡むことができないので、キュアサンシャイン誕生のシーンと心の大樹との遭遇についてはカットします(^^;;


向日葵畑で三人目のプリキュアを探していたつぼみとえりか、そして新たに誕生したポプリたちだったが、そのポプリはいま、いつきに抱きかかえられていた。

だが、いつきはポプリの正体を知っているはずもなく。

 

「うわぁ、かわいいなぁ……ぼくもほしいなぁ、こういうキュートなぬいぐるみ」

 

完全にぬいぐるみと勘違いしていた。

すっかり年頃の女の子になっていたいつきは、ポプリに頬ずりをしていた。

その様子を見ていたつぼみとえりかは、いつ正体がばれるが気が気ではなく、少し焦っていた。

もっとも、つぼみはポプリを羨ましそうな目で見ていて。

 

「いつきさんもキュートです……ていうか、ポプリになりたい」

「んなことより、早くポプリを!」

 

すっかり、恋する乙女モードに入っていたつぼみに、えりかはあきれ顔になった。

そんなえりかの声に気づき、いつきはいつもの状態に戻り、ポプリをつぼみたちに手渡した。

 

「し、失礼した。ふわふわで暖かくて、まるで生きてるみたいだね。本当にかわいいよ」

 

表情を引き締め、凛とした表情をするいつきに、ポプリの顔は真っ赤になってしまい。

 

「……ポプリは、こんな子を探してたでしゅ」

「……ん?」

「優しくてかっこよくて、すごーく素敵でしゅ!三人目のプリキュアは、君で決定でしゅ!!」

 

いつきの手のひらの中で、ポプリが口を開いてしまったのだ。

せっかく、ぬいぐるみと勘違いしてくれていたのに、ポプリがしゃべってしまったせいで、だいなしになってしまったことに、えりかとつぼみは額を抑えたが、ポプリが口にした言葉に、こんどは驚愕の声を上げた。

 

「えぇーーーーーっ??!!」

「い、いつきさんが??!!」

 

もっとも、一人、置いてけぼりをくらっていたいつきは、困惑しながら。

 

「ど、どういうことなんだ?!」

 

と困惑していた。

 

------------------------

 

つぼみとえりかは、困惑するいつきに事情を説明した。

その説明に、いつきはどうにか納得し、落ち着きを取り戻した。

だが、いまだに困惑していることがあった。

 

「事情はわかったけど……まさか、プリキュアの正体が君たちだったなんて……」

 

以前にも、いつきはプリキュアに、つぼみとえりかに助けられたことがある。

一度目は、武道に集中するために、本当は大好きなのにかわいいものを遠ざけていたことがあった。

かわいいものと武道、この二つに板挟みにされてしまい、揺らいだ心を砂漠の使徒に付け込まれ、デザトリアンにさせられてしまったのだ。

 

二度目は、門下生の一人が道場でデザトリアンにされてしまったときのこと。

道場に出てきた、ということもあり、いつきはデザトリアンと交戦したが、普段の胴着ではなく、えりかが作ってくれたワンピースを着ていたため、うまく戦うことができなかったのだ。

だが、助太刀に入ったブロッサムとマリンが、かわいい衣装で戦う姿を見て、ようやく、いつきはかわいいものを受け入れていけるようになった。

 

だからこそ、驚愕していた。

まさか、自分の知り合いがプリキュアだったとは思いもしなかったのだ。

一方、正体を不本意ながら明かされてしまったつぼみとえりかは、なんとも微妙な笑みを浮かべていた。

ふと、いつきは足もとに散乱している向日葵の花を見て、顔を歪めた。

 

「ひどい!これも、あのやつらの仕業なのか……」

「そうでしゅ。プリキュアになってくだしゃい、いちゅき!砂漠の使徒から、みんなを守ってほしいでしゅ!」

 

ポプリは、いまだいつきの腕の中で必死に訴えたが、いつきの顔は迷っていた。

そもそも、なってほしいといわれて、なれるかどうかわからないのだから、当然だ。

それは、えりかも同じのようで。

 

「そりゃ、生徒会長が三人目なら、心強いけどさ……」

 

なれるかどうか、とえりかがつぶやくと、シプレとコフレがポプリに忠告した。

 

「パートナーは好みで決めるんじゃなくて」

「プリキュアにふさわしいハートを持っているかで……」

「「ゼッタイゼッタイ、いちゅき/いつきでしゅ/です!!ポプリはこの子がいいんでしゅ/です!!」」

 

だが、先輩二人が言いきる前に、ポプリが大声で否定した。

つぼみもちゃっかり、抱き着いてポプリに合わせて否定しているあたり、つぼみもいつきを頼りにしているようだ。

頼られているいつきはというと。

 

「……君たちの力になりたい……ぼくも、ともに戦うよ」

 

と、一緒に戦うことを約束してくれた。

もっとも。

 

「プリキュアになれるかどうかは、ぼくには……」

 

と、自信がなさそうにしていた。

 

「いつきさんに、ぜひ着てほしいです!プリキュアのコスチューム!!」

「あ、あの可愛い服……ぼ、ぼぼ、ぼくが……?!」

 

つぼみが笑顔を浮かべながらそう話すと、いつきはブロッサムとマリンのコスチュームを思いだし、顔を赤くした。

そんな様子のいつきに、ポプリは、もっと可愛いのを着るでしゅ、と追い打ちをかけた。

 

その様子に、えりかは、いつきにとっちゃ殺し文句だわ、と半ば引いていた。

ふと、えりかの視線は向日葵畑に向いた。

そこには、まさに金色の海という表現がふさわしいほど、大量の向日葵が咲き誇っていた。

 

「それにしても、すごい向日葵!黄色い海みたいだよ!!」

「太陽に愛され、守られて育ったお花さんたちの笑顔がいっぱいですね!!」

「だよね!ぼくのお気に入りの場所なんだ、ここ!!」

 

花に誘われるように、つぼみたちの顔には、笑顔の花が咲いていた。

 

------------------------

 

翌日、いつきはいつものように明堂院流道場で稽古に励んでいた。

目の前には、先日の稽古で勝てなかった青年、菖がいた。

今回、菖の手にはスポーツチャンバラで使われるソフト剣が握られていた。

 

なんでも、泉地流は本来、剣術の流派であり、無手の戦いは本来の戦い方ではないらしい。

ならば、本来の戦い方であれば、どれくらいの強さなのか。

武闘派でもあるいつきはそこが気になってしまい、無理を承知で菖にお願いしたのだ。

 

「それじゃ、やろうか」

「よろしくお願いします!」

 

そう言って身構えたいつきに、菖はソフト剣の切っ先を向けて構えた。

しばらくの間、両者はにらみ合ったまま膠着した。

 

――攻めるに攻めきれない……これが、菖さんの実力、なのか……

 

威圧感を放っている本人はどうだかは知らないが、いつきの眼には、菖の背後に巨大なライオンの顔が見えていた。

一瞬でも気を抜けば、負ける。

いつきには、それがわかっていた。

だが、動かなければなにも始まらない。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ふっ!!」

 

床を蹴り、突っ込んでくるいつきに、菖は容赦なく構えていた剣を振り下ろした。

だが、いつきは脳天に振り下ろされた剣を回避し、その勢いを使って菖の頭めがけて左足をけりあげた。

 

だが、菖は姿勢を低くして、その蹴りを回避し、左手に剣を持ち変え、剣を突き出した。

いつきは体をひねってそれを回避し、菖から距離を取った。

力が入りずらい姿勢であるにも関わらず、その剣速は早く、少しでも反応が遅ければ、胸に突き刺さっているところだった。

 

――やっぱり、強い!……けれど、ぼくだってここで負けるわけにはいかないんだ!!

 

いつきは再び地面を蹴り、菖との間合いを詰めた。

今度は打撃ではなく、投げ技を狙っていたが、まるでいつきの意図を読んでいたかのように、菖は床を蹴って飛び上がり、落下しながら剣を振り下ろしてきた。

だが、いつきは落下してくる菖の手をつかみ、背負い投げの要領で投げ飛ばした。

 

「うわっ?!」

 

思いもよらない攻撃に、菖は悲鳴を上げたが、どうにか受け身を取り、背中から倒れることはしなかった。

 

「そこまで!」

 

菖が再び剣を構えた瞬間、厳太郎が二人を止めた。

どうやら、これ以上は時間の無駄、というよりも稽古の範疇を超えかねないと判断したようだ。

 

「菖くん。つき合わせてしまって悪かったな」

「いえ。久しぶりに思いっきり体を動かせたので」

 

厳太郎の言葉にそう返すと、厳太郎は今度はいつきのほうへ目を向けた。

心なしか、その視線は菖へ向けられていたものよりも鋭かった。

 

「いつき、お前は確実に腕を上げている。だが、何のために武道を学び、大きな力を望むのか。それを忘れるでないぞ」

「……はい!」

 

いつきは引き締まった表情でそう返した。

そのあと、稽古が終わりいつきを含めた門下生たちは解散となった。

稽古を見学していたつぼみとえりかは、菖を交えていつきと話をしていた。

 

なお、いつきに自分たちの正体がばれてしまい、ポプリがいつきにプリキュアになってほしいと頑なになっていることは、すでに菖とゆりには伝えられていたため、ポプリがぬいぐるみのふりをしていないことについて、とくに言及はしなかった。

 

「毎日、こんなに厳しい稽古を……すごいです!」

「菖さんもそうだけど、生徒会長も変身なしでも十分強いんじゃない?」

 

苦笑しながらえりかはそう言ったが、ポプリはそれでもいつきにパートナーになってほしいらしく。

 

「それでもポプリはプリキュアになって、ほしい……」

 

と言いかけて、ポプリは目を見開いた。

どうやら、花たちの悲鳴が聞こえてきたらしい。

ポプリの言葉を聞いたつぼみたちは、その場所へ向かおうとしたが、いつきだけは菖に止められた。

 

「なっ!!なんで止めるんですか、菖さん!!」

「変身できない君が行って、何になるんだ?ただ足手まといになるだけだぞ」

「……っ!!」

 

菖のその忠告に、いつきは身をこわばらせた。

いくら戦う技術があったところで、いつきはプリキュアではない。

つぼみたちと一緒に行ったところで、なにかできるということはない。

それは、いつきにもわかっていた。

けれども。

 

「……ぼくが武道を習ってきたのは……力を欲したのは、守りたいからなんです!」

「……何を守るためだ?」

「友達を、大切な人達をです!」

「……そうか」

 

いつきのその答えを聞いた菖は、つかんでいたいつきの肩から手を離した。

もっと強く止められると思ったのか、いつきは菖が手を離したことを意外に思ったらしく、目を見開いたが、その意図を察し、深く頭を下げると、つぼみたちを追いかけていった。

 

――大切なものを守りたい。いつき、君にその強い気持ちがあれば、きっと君もなれる

 

いつきの背中を見送りながら、菖は胸のうちでそうつぶやき、踵を返した。

その数日後、いつきは無事、ポプリのパートナーに、キュアサンシャイン(四人目のプリキュア)になれたことを知った菖とゆりは、そのことを心から祝福し、歓迎したのだった。

 

同時に、菖は一つの決断を下した。

ゆりを、キュアムーンライト(最強のプリキュア)とそのパートナーを復活させるという決断を。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

つぼみ「あの、菖さん。この剣なんですけれど……」
菖「それは……「エターニアハート」!?まさか、心の大樹のところまで行ってきたのか?!」
えりか「コフレたちが心の大樹が呼んでるって言って、連れていってくれたんです」
いつき「そこに、この剣が……あの、これってユグドセイバーの剣、なんですよね?」
ゆり「えぇ。けれど、心の大樹を守る結界の楔にするからって、大樹に突き刺してそのままにしていたの」
菖「けど、心の大樹もだいぶ力を取り戻したって言っていたし、いつきとポプリが結界を張りなおしてくれたんだろ?」
ポプリ「はいでしゅ!」
菖「なら、これがなくても大丈夫だ。取りに行く手間が省けたよ。ありがとう」
ゆり「これで、ユグドセイバーも復活、かしら?」
菖「いや、まだだよ……まだ、やらないといけないことがある」
ゆり「それって……」
菖「言わぬが花ってやつさ。少なくとも、俺はキュアムーンライトがいないうちは戦うつもりはない」
えりか「えぇ~~~……それって、単にめんどくさがってるんじゃ……」
菖「こればかりは、譲れないよ……俺が戦うって決めたのは、ゆりが戦ってるからだしな」
いつき「菖さんはゆりさんの騎士(ナイト)なんですね」
えりか「うぅ~……せめて、つぼみのナイトにもなってあげてほしいんだけどなぁ……」
菖「……??俺は心の大樹の騎士であって、ゆりの騎士じゃないんだけど」
女子一同『そういう意味じゃないです/ないっしゅ/ないのだけれど……』
菖「……??」


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二人の悲しみの正体。それは、ゆりさんの妖精でした……

実のところ、二つほど過程を吸っ飛ばしてるんですがねぇ……
まぁ、それはそれとして。
今回は前後編です(タイトルは別ですけど)
明日にでも後編を投稿できればいいなぁ……と思いつつ


それは、いつきがキュアサンシャインになってから数週間が経った頃のこと。

それまでの間に、つぼみたち、現役のプリキュアには様々な試練が降り注いできた。

心の大樹に呼ばれ、彼女、と言っていいのかどうかはわからないが、を守護するための結界を張りなおし、今まで張られていた結界の楔となっていた剣「エターニアハート」を菖に届けたり、えりかが夏休みの宿題が終わらずにつぼみたちに迷惑をかけたり、ポプリが家出をしたりと。

とにかく、砂漠の使徒以外のことでも忙しい毎日だったのだが、最近はそのようなこともなく、比較的平和な日々が続いていた。

そして、二学期が始まったころ。月が地球に急接近するスーパームーンが観測されるというニュースを聞いたえりかは、ちょうど満月ということもあって、植物園でお月見をしよう、と提案してきた。

そんな日に、事件は起きた。

夕方、いつものように植物園に集まってお茶会をしていたつぼみたちだったのだが、シプレの姿がないことに気づき、慌てて周囲を探していると、薫子が体験コーナーとして用意していた花壇の一角で、シプレが猫と格闘している姿が目に入った。

どうにか、猫を追い出すことはできたが、シプレの体はボロボロだった。

その光景を見てしまったつぼみは、涙目になりながらシプレの名前を呼んでいた。

「つぼみは大げさですぅ。こんなの全然痛くないですぅ!」

つぼみに手当てされながら、シプレはそう言ったが、それでもつぼみは泣きそうな顔のまま、シプレに包帯を巻いていた。

「もう絶対に無茶はしないで!シプレは大切な家族なんですよっ!」

「けど、まさかつぼみの花壇をトイレ代わりにしてた猫と格闘するとはね……」

「シプレ、やるじゃん!」

「コフレも悪事はゆるさないですっ!」

「いちゅきにはポプリがついてるでしゅっ!」

心配しているつぼみとは反対に、えりかといつきはシプレの行動を称賛し、コフレとポプリはいざという時は自分も戦う、と意気込んでいた。

そんな様子を見ていたゆりと菖の顔は、どこか沈んでいた。

ゆりに至っては、つぼみたちに、気を付けて、と警告まで発していた。

「妖精は痛みを隠すから……」

「え?」

「それってどういう……」

「……妖精、プリキュアのパートナーの願いは『プリキュアの力になること』。そのためなら、自分のことは顧みないし、行き過ぎた行動をすることもある……」

ゆりの言葉に、疑問符を浮かべたえりかといつきに答えるように、菖が暗い表情を浮かべながら返した。

ふと、ゆりの手にアクセサリーが握られていることに気づいたつぼみは、ゆりに問いかけた。

「あの、それって、プリキュアの種、ですよね?」

「あ、ほんとだ……欠片、というか残骸というか、だけど……」

ゆりの手にあったものは、三日月のような形になったプリキュアの種だった。

ゆりはつぼみの質問に、そうよ、と返した。

「……何の役にも立たない、ただの欠片……わたしの、後悔のかたまり……」

ゆりが何を意図してそう言ったのか、つぼみたちにはわからなかったが、唯一、菖だけは理解できたらしく、そっと目を伏せていた。

ゆりはその欠片を胸元にしまうと、つぼみたちの方へ視線を向けた。

「ごめんなさい、わたし、夕飯を作らないといけないから……」

「……送っていく」

そう言うと、ゆりは足早にその場から離れていき、同時に、菖もその場を離れてしまった。

------------------------

日が暮れて、空に満月が姿を見せた頃。

植物園の屋上で、つぼみたちはお月見に興じていた。

「まん丸のお月さま!きれいだな~」

「お団子がまた最っ高!」

「もぅ、えりかってば……」

「えりかは花より団子なんですっ!」

素直に月の美しさに感嘆するいつきに対し、えりかは用意された月見団子に夢中になっていた。

その様子に、つぼみは呆れたといわんばかりの表情を浮かべ、コフレはやれやれと肩をすくめていた。

当然、その場に、菖とゆりの姿はない。

そのことに、つぼみは表情を曇らせていた。

「菖さんとゆりさんも、お月見に参加できればよかったんですが……」

「……まだ、そんな気分にはなれないのよ。二人とも」

つぼみのつぶやきに、薫子は屋上の手すりに身を寄せて、陰鬱なため息をついた。

「おばあちゃん、それって、どういう……」

「……本当は、本人たちがいないところで話すのはどうかと思うけれど」

つぼみの質問に、薫子は迷いながらも答えてくれた。

それは、ゆりの過去に関わる話だった。

ゆりの父親は、薫子と縁のある植物学者で、心の大樹について薫子と共同研究をしていた。

ある日、考古学者である菖の両者から、心の大樹に関する記述と思われる碑文が発見されたことを聞き、単身、フランスへと向かったきり、行方がわからなくなったのだという。

薫子の推測では、砂漠の使徒の攻撃に巻きこまれたのだろう、ということだ。

そして、父親を失ったすぐ後、ゆりはプリキュアに選ばれ、砂漠の使徒と戦うことになった。

その時のパートナー、コロンに励まされながら、そして、ゆりと少し遅れてユグドセイバーとなった菖に支えられながら、ゆりは悲しみを乗り越えた。

「けれど……ダークプリキュアとの戦いで、ゆりちゃんはプリキュアの種の大半と、コロンを、失ってしまったの……」

「そんな!パートナーもだなんて……」

薫子から告げられた衝撃の事実に、つぼみはシプレを抱きしめる力を強めた。

シプレとコフレの話では、コロンはとても優しく勇敢な先輩で、自分たちにも色々なことを教えてくれたのだという。

「それから、菖くんも心の大樹を守るために、ユグドセイバーに変身するために必要なこころの花の力で結界を造り、その基点として、エターニアハートを大樹のもとに置いてきたの」

そうすることを選んだとき、菖の顔は悲痛に歪んでいた。

あの時、菖が言っていた言葉は、今も薫子の耳に残っている。

『何がもう一人の戦士"大樹の騎士(ユグドセイバー)"だ……何が、みんなの心の花を守るだ……何も、何もできなかったじゃないか!!大切な友達一人守れない、そんな騎士に……存在する価値なんてない!!』

本来、心の大樹と直接契約を交わし、プリキュアと同等の力を得ている菖は、ゆりがいなくとも戦うことができる。

だが、菖はそれをしなかった。

ゆりがいなければ、自分が戦う意味はない、と言っていたのだが、本当はコロンを守ることができなかった自分への戒めとして、剣を捨て、せめて心の大樹との契約を守るため、結界を張ることに注力する選択をしたのだ。

「……ゆりさんだけじゃなくて、菖さんの心もたくさんの悲しみで傷ついているんだね……」

「……まるで、ゆりさんのプリキュアの種の欠片みたいです……」

「……二人の心が、もう一度、満たされればいいな……」

満月を見上げながら、つぼみたちはそんな想いを抱いた。

 

一方、別の場所で、ゆりは胸元からプリキュアの種の欠片を取り出し、見つめていた。

その隣には、菖が黙って立っていた。

二人の脳裏には、コロンを失ったあの日のことが浮かび上がっていた。

「……コロン……」

その瞳から雫をこぼしながら、ゆりは、かつてのパートナーの名をつぶやいた。

それが聞こえていた菖もまた、涙こそ流さなかったものの、悲痛に顔をゆがめながら、左手を強く握りしめていた。

------------------------

翌日の放課後。

いつものように、ゆりと菖が植物園に来ると、いきなり、えりかが二人に抱き着いてきた。

「うわっ?!」

「ちょっ?!」

「ゆりさん!菖さん!!あたしの胸で泣いてください!!」

「「はぁっ?」」

何を言っているのかわからず、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった二人だったが、つぼみが事情を説明してくれて、納得した。

二人は、つぼみたちの気遣いを素直にうれしく思い、微笑みを浮かべた。

「ありがとう、心配してくれて」

「でも、大丈夫よ。わたしたちは、わたしたちなりにもう決着をつけたから」

「けど!!」

つぼみがなおも反論しようとした瞬間、妖精たちが何かを感じたのか、一斉に空を見上げた。

つぼみたちは何事か問いかけると、妖精たちは声をそろえて、意外な答えを返してきた。

「「「心の大樹がゆりさんと菖さんを呼んでるですぅ!/ですっ!/でしゅ!」」」

「「「えっ?!」」」

意外な答え、つぼみたちだけでなく、ゆりと菖も目を丸くした。

そして同時に、妖精たちは闇の気配が近づいていることも察知した。

どうやら、砂漠の使徒の幹部たちが接近してきているようだ。

「……行ってください、ゆりさん、菖さん!」

「けれど……」

「大丈夫っしゅ!」

「ぼくたちを信じてください!!」

心の大樹のもとへ行くように言ってきたつぼみに、ゆりは反論しようとしたが、えりかといつきが矢継ぎ早にそう返した。

その瞳に宿った力強い光に、ゆりも菖も根負けして。

「……それじゃ、お願いするわ」

「気を付けて、三人とも」

二人は心の大樹のもとへむかう決意を固めた。

しかし、ここでえりかが水を差してきた。

「……けど、どうやって行くのよ?」

そう、二人にはパートナーとなる妖精がいないため、以前、つぼみたちが心の大樹のもとへ向かった時のように、空を飛ぶという選択肢が取れないのだ。

だが菖が、それなら大丈夫、と胸を張って返した。

「エターニアハートがあれば、瞬間移動ができるんだ……もっとも、心の大樹のいる場所限定の瞬間移動だけど」

えりかが余計なことを言う前に、菖が発破をかけると、えりかは見事にずっこけた。

その姿に苦笑を浮かべる一同だったが、すぐに気を引き締めた。

菖の手には、すでに不思議な翼のような文様が剣身に刻まれた、赤茶色の剣が握られていた。

「ゆり、俺の肩に手を」

「えぇ」

そっと、菖の肩にゆりが手を振れると、菖は声高にエターニアハートに命じた。

「エターニアハートよ!俺たちを、心の大樹のもとへ!!」

その瞬間、菖とゆりの体は淡い光に包まれた。

そして、一瞬のうちに、その光は消えてしまった。

二人が、無事に心の大樹のもとへ向かったことを信じる三人は、ココロパフュームを手に取り、こちらに向かってきている砂漠の使徒の幹部たちを迎え討ちに行った。

------------------------

ゆりと菖は、一瞬で植物園の温室から、心の大樹の根もとにやってきた。

二人が大樹を見上げると、その耳に、優しい青年の声が聞こえてきた。

《ムーンライト、セイバー》

「この声って……」

「……まさか!」

大樹から聞こえてくる声に、ゆりは思わず、大樹の周りを走り始めた。

ずっと、菖と一緒に自分を支えてくれていた。いまはいないパートナーの妖精の名前を呼びながら。

「コロン!コロン、いるんでしょ!!」

走り去っていくゆりの背を見送りながら、菖は大樹へ視線をむけた。

「……俺がやろうとしていること、わかってくれているみたいだな」

《私は心の花とつながっています。特に、契約を交わしたあなたの心は、よくわかるのです》

「ははは……嘘は吐けない、か」

《はい……さぁ、始めましょう。セイバー》

「あぁ」

大樹に促され、菖はエターニアハートを逆手に持ち、目を閉じた。

その瞬間、菖の体は白く淡い光に包まれた。




あとがき代わりのその頃の話(スキット風)

つぼみ「行っちゃいましたね……」
えりか「行ったね……」
いつき「行っちゃったね……」
つぼみ「無事に、帰ってきてくれるでしょうか」
えりか「そればっかりはわからないっしょ」
いつき「ゆりさんと菖さんはぼくたちを信じて、ここを託してくれたんだ。ぼくたちも信じよう」
つぼみ「……そうですね!」
えりか「なら、まずはあいつらの相手をしないとね!コフレ、いくよ!!」
いつき「ポプリ、ぼくたちも!!」
つぼみ「シプレ!」
妖精たち「「「はいですぅ/ですっ/でしゅ!!」」」
(変身)
ブロッサム「ここから先は!」
マリン「一歩も通さないっしゅ!!」
サンシャイン「ゆりさんたちの邪魔は……」
プリキュア「「「させません/ないっしゅ!」」」


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キュアムーンライトとユグドセイバー、ついに復活です!!

予告通り、今回はムーンライトとセイバーの復活です。
なお、コロン復活については以下のように考えていただければ。

・ゆりの種の欠片を媒介にしたオーバーソ○ルのようなもの
・霊力ないし巫○の代用として、こころの花の力を使っている

正直、これを考えるのに少し手間取りました(^^;
まぁ、そのあたりはご都合主義ということで、ご容赦いただきたく……
では、本編をどうぞ。
……あ、今回は「あとがき代わりの後日談」はありません(というか、浮かばなかったです……ていうか、これ、前後編じゃなくて、三部作だよなぁ……)


心の大樹に呼ばれたゆりは、菖が持つエターニアハートの力で、菖とともに心の大樹のもとに来た。

そして、そこで聞いた、かつての自分のパートナーであったコロンの呼び声を聞き、菖と離れ、一人で心の大樹の周囲を走っていた。

「コロン!いるんでしょう?!コロン!!」

《ムーンライト》

再び、コロンの声を聞いたゆりは、背後を振り向いた。

そこには、半透明になっているコロンが浮かんでいた。

《やぁ》

「……コロン……」

ゆりはコロンに両手を伸ばし、抱きしめようとした。

が、その手はすり抜けてしまった。

「……っ!」

《……ムーンライト、僕の肉体は、すでに滅んでしまっているんだ》

それを裏付けるように、コロンの言葉はゆりの頭の中に直接響いてくるものだった。

その事実を突きつけられたゆりは、顔を伏せて、コロンに謝ることしかできなかった。

「……ごめんなさい、コロン……わたしは……」

《もういいんだ、ムーンライト。セイバーもそうだけど、自分を責めるのはもうやめるんだ》

触れることが出来ない体でも、コロンはゆりの頭にそっと手を伸ばした。

《僕は心の大樹の中でずっと、君たちを見守ってきた。だから、君たちがどれだけ苦しんできたか、もうわかっているよ》

だから、もう、いいんだ。

優しい声色で、コロンはゆりに声をかけた。

だが、ゆりはコロンの言葉に、首を左右に振った。

「わたし、愚かだったのよ。一人でなんでもできる、菖と一緒ならなんだって怖くないって、自分の力を過信しすぎていた……」

《それは違う!君は誰よりもプリキュアの使命の重さをわかっていた。だから、他の誰にも背負わせたくないから、ずっと一人で戦ってきた。そんな君だから、セイバーは力を貸してくれたんだよ》

コロンの言う通り、ゆりはつぼみたちとは違い、プリキュアとしては一人で戦ってきた。

自分ひとりでも問題ない、と思っていたから。

そして、菖が心の大樹と契約を交わし、かつてキュアアンジェとともに戦った"大樹の騎士"になり、一緒に戦ってくれるようになってから、自分たちに怖いものは何もない、と思うようになっていった。

そんな傲慢さが、自分の大切なパートナーを死に追いやった。

そのことを、ゆりも菖も、いまなお悔やんでいる。

《僕はね、ムーンライト。君のパートナーだったことを、いまでも誇りに思っている。だから、君も、自分を認めるんだ……そうすれば、君はもう一度、プリキュアになれる。僕がいなくても、ね》

「悪いけど、コロン。君にはまだ、ゆりのパートナーでいてもらうよ」

コロンがそう言った瞬間、白い光に身を包んだ菖が姿を現した。

その手には、エターニアハートが逆手で握られていた。

《やぁ、セイバー……僕を心の大樹にとどめていたのは、君の力なのかい?》

「心の大樹の願いでもあったさ。それより、コロン。君には、まだゆりを見守ってもらわないと困る」

そう言って、菖はエターニアハートを握りしめている手をコロンに突き出した。

ゆりは、困惑しながら、菖に問いかけた。

「ちょ、ちょっと、菖!どういうこと?!だって、コロンはもう……」

「確かに、コロンは死んでしまった……俺の力が足りなかったから、守ることができなかった……」

けれど、と菖は強い瞳を向けて続けた。

「肉体は滅びても、魂は残っている。なら、その魂に依代を与えて、新しい肉体(・・・・・)として(・・・)受肉させればいい」

死を迎えたものが蘇ることはない。

たとえ、どれだけ科学が発達しようと、どれだけ人間が知識を深めたとしても、この星に生きている生命体であるかぎり、こればかりは避けることの出来ない、絶対的な法則(ルール)だ。

だが、ルールに抜け穴があることは、よくあることだ。

菖は、遺跡探索をしながら、そのルールに抜け穴を探してきた。

そして、見つけた唯一の方法があった。

それが、魂に仮初の肉体を与え、定着させるという方法だ。

要するに、ホラー小説などの「呪われた人形」のようなものや、ファンタジー小説などの「ゴーレム」あるいは「意思のあるなにか」、もしくは「式神」のようなものをコロンの魂で作ろう、ということだ。

「け、けどそんなことが……」

「できると確信しているから、俺はコロンに話しかけたんだ。時間もあまりないから、これ以上の問答は無用だよ……ゆり、君のプリキュアの種をコロンにかざして」

菖の強い意思のこもった瞳に、ゆりは可能性を託し、言われるままにプリキュアの種を取りだし、コロンにかざした。

その瞬間、ゆりのプリキュアの種は紫色の淡い光を放った。

「こ、これは……」

「かざし続けて!そして、強く願うんだ!!もう一度、コロンと一緒にいたいって!!」

あとは、俺と心の大樹がどうにかする。

そう口にした瞬間、プリキュアの種とエターニアハートから光があふれ、コロンを照らした。

普通なら、半透明の状態になっているコロンが自身を照らしている光を遮ることなどありえない。

だが、ゆりの目には、エターニアハートからあふれ出ている光をコロンの体が遮っているように見えていた。

照らされている本人も驚愕しているらしく。

「こ、これは一体?!」

「ゆりの欠けたプリキュアの種を依代にして、お前に仮初の肉体を与えたんだ……ふぅ……」

いつの間にか、エターニアハートとプリキュアの種から放たれた光はやみ、菖は頬に汗を伝わせながら、その場に座りこんだ。

だが、その視線はただ一点だけを見ていた。

その視線の先には、紫と白の体毛に覆われた、シプレやコフレよりも少しばかり大きい妖精の姿があった。

「……コロン!!」

ゆりはかざしていた種を下ろし、コロンのもとへと走り、その体を抱きしめた。

今度は、すり抜けることなく、しっかりとその腕の中にコロンの存在を感じられた。

「……まさか、こうして君に抱きしめられる日が来るとはね……」

抱きしめられているコロンは、若干照れながら、そうつぶやいたが、その顔はどこか穏やかだった。

成功したことに安堵して、その微笑ましい光景をいつまでも見ていたいと思っていた菖だったが、まだやることが残っていた。

「……ゆり、コロンが復活したとはいえ、プリキュアの種は欠けたままだ。それに、コロンには種を再生する力はない」

コロンに与えられた肉体は、不完全なプリキュアの種を媒体にしている。

こうして、触れることができるのは、菖と心の大樹が集めた心の花の力のおかげなのだが、それでも、コロンに出来ることは、せいぜい、マントに変身してプリキュアに空を飛ぶ力を与えることと、砂漠の使徒の気配を察知することだ。

欠けたゆりのプリキュアの種を復活させるには、まだ足りない。

だが、菖も心の大樹も手を打っていないわけではなかった。

「ゆり、今度は種を心の大樹にかざして」

《そして、もう一度、願うのです。もう一度、プリキュアになりたい、と》

「……菖……」

だが、ゆりは、欠けた種を握りしめ、菖に問いかけた。

「うん?」

「こんなわたしでも、まだあなたは一緒に戦ってくれるというの?」

「コロンを守れなかったことは、俺にも責任がある。だから、そのことを気にして聞いてるなら、それはお門違いだ」

菖は座りこんだまま、そう返した。

今でも、菖は思っていた。

もし、あの時、自分の方が早く前に出ることができていたら、コロンが自分たちをかばうために飛びだしてきた気配を察知できていたら。

だから、失ってしまったものを取り返すため、(エターニアハート)を手放し、その方法を探すために時間を割いた。

それに、と菖は立ちあがり、ゆりの質問に返した。

「もう、答えは決まってるんだろ?」

「えぇ……」

ゆりは菖に微笑みを返し、かつて自分が誓った言葉を口にした。

「「みんなの心のために、戦う」」

ゆりの言葉に合わせるように、菖は同じことを口にした。

別段、驚く様子を見せることなく、ゆりは心の大樹にむかって種の欠片をかざした。

「心の大樹!お願い、わたしをプリキュアに……もう一度、わたしを!!」

ゆりがそう叫んだ瞬間、心の大樹と種の欠片が優しい光を放った。

その光は、ゆりだけではなく、コロンと菖も包みこんでいった。

光が止んだとき、その場に三人の姿はなかった。

《あとは、あなたたちの心次第です……あなたたちの心で、未来を切り開いていきなさい……》

誰もいない空間で、心の大樹の声だけが響いていた。

------------------------

そのころ、ブロッサムたちは砂漠の使徒の幹部を相手に苦戦を強いられていた。

三人のなかでも戦闘力が高いサンシャインが、どうにかブロッサムとマリンを援護しながら、体勢を立て直そうとしていたが、いまだに逆転のための活路が見いだせないでいた。

ブロッサムもマリンも、疲労といままで受けたダメージで動けなくなったそのとき。

草や木から、いくつもの小さな光が灯った。

「な、なんじゃき!!これは?!」

「この光は……心の大樹の光?!」

「まさか!」

三幹部たちが驚愕していると、ブロッサムたちと彼らの間に、旋風が巻き起こった。

風の中から、薄紫色の光を放つワンピース姿となったゆりと、エターニアハートを逆手に持った菖、そして、もう一人の妖精が姿を見せた。

突如現れた三人に、幹部たちは驚愕していたが、そんなことはおかまいなしに、ゆりは空を見上げた。

「勇気、愛、友情、優しさ、哀しみ、喜び……みんなの、たくさんの気持ち……わたしは戦う!みんなの心のために!!」

「そして、俺たちに再び光をくれた、仲間たちの絆のために!!」

ゆりと菖がそう叫んだ瞬間、ココロポッドが光を放ち、いままで溜められていた心の種が光の粒子となってゆりのプリキュアの種に集まり、欠けていた部分を補いはじめた。

それと同時に、菖の左手につけられた手袋の紋章も、強い光を放った。

「プリキュア!オープンマイハート!!」

心の種によって補完されたプリキュアの種を、ココロポッドにセットし、ゆりは高らかに叫んだ。

その瞬間、ココロポッドから光の花びらが舞い上がり、ゆりを包みこんでいった。

花びらの中で、ゆりの衣装は変わっていった。

薄紫色に光るワンピースから、白銀のワンピースと黒いリボンを腰に結んだその姿は、ブロッサムたちが夢で見ていたものと寸分変わらない姿だった。

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

高らかに名乗ったその隣には、青いシャツの上に不思議な文様が描かれたマントを羽織った青年が立っていた。

その出で立ちこそ、キュアムーンライトの隣で戦い続けたもう一人の戦士、ユグドセイバーのものだった。



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強いです!キュアムーンライトとユグドセイバー!!

正直、戦闘の描写がやりづらくてやりづらくて……
あっさりしすぎている感じはあると思いますが、ご了承を。


キュアムーンライトとユグドセイバー。

かつての強敵が復活したことに、砂漠の使徒の幹部たちは驚愕していた。

「さてと……後輩たちが随分、世話になったみたいだな」

「そうね……ここからは、わたしたちがお相手しましょう」

エターニアハートの切っ先を幹部たちに向けながら、セイバーがそう言うと、ムーンライトはいつの間にか取りだしていたムーンタクトを構え、同じように先端を幹部たちに向けた。

二人が放つ威圧感に、さすがの幹部たちもたじろいだが、その緊迫は一瞬で解かれることになった。

「キュアムーンライトーーーーーーーっ!!」

「……っ!?ムーンライト!!」

セイバーが叫んだ瞬間、ムーンライトは後ろに振り向き、タクトを構えた。

その瞬間、ムーンタクトと交差するように、黒いタクトが出現した。

その先には、宿敵ダークプリキュアがいた。

「心の種に異変を感じて来てみれば……復活したというのか?!」

「だからどうしたというの?!もうわたしは、あなたには負けない!!」

「上等だ!決着をつけてやる!!」

ダークプリキュアが雄叫びを上げると、ムーンライトに高速で攻撃してきた。

だが、ムーンライトはその攻撃を的確に捌き、ダークプリキュアとの距離を取った。

「セイバー、ダークプリキュアはわたしが!」

「なら、残りの三人は俺が」

背中を合わせた二人がそれだけ言葉を交わすと、二人は同時に地面を蹴り、それぞれの相手へと距離を詰めた。

セイバーに距離を詰められた三幹部は、驚愕しながらも身構え、迎撃の体勢を整えていた。

「はっ!三対一で勝てるとでも……」

思っているのか、と言いかけたコブラージャだったが、その声を遮るようにセイバーは雄叫びを上げた。

「セイバーストライク!!」

「なぁぁぁぁぁぁっ??!!」

光をまといながら突進してきたセイバーを止めることが出来ず、コブラージャは吹き飛ばされてしまった。

「うそぉん?!」

「な……なんちゅう馬鹿力じゃ?!」

「よそ見してて、いいのか?」

吹き飛ばされたコブラージャの方を見ていたクモジャキーとサソリーナだったが、すぐ近くでセイバーの声が聞こえてきたことに気づき、顔を引きつらせた。

「復活祝いだ、盛大に行こうじゃないか」

「ちょ、ま……」

「待たない!セイバーインパクト!!」

今度はサソリーナの腹に、こころの花の力をまとった左手を叩きつけると、サソリーナは衝撃波によってコブラージャと同じ場所まで吹き飛ばされてしまった。

だが、さすがに三幹部きっての武闘派を謳うだけあって、クモジャキーだけはなかなか一撃で、というわけにはいかなかった。

「……さすがに、他の二人みたいに簡単にはいかないか」

「当たり前(じゃ)!(おい)はあの二人のように、簡単には倒れんき!覚悟せぇよ!!」

「上等!!」

クモジャキーは引き抜いたサーベルを構え、セイバーに突進していった。

だが、セイバーの頭に向かって振り下ろされた刃は、エターニアハートに阻まれた。

クモジャキーは半ばでたらめにサーベルを振るい、セイバーに攻撃してきたが、その斬撃のすべては受け止められてしまった。

「どうした?その程度か??」

「くっ!!」

まだ余裕そうなクモジャキーは悔しげに顔を歪めた。

「次は、俺の番だ!!」

いうが早いか、セイバーは受け止めていたサーベルをはじき、三角形を描くようにクモジャキーを切りつけた。

だが、エターニアハートには刃がないため、クモジャキーの服が切り裂かれることはなく、鈍い打撃だけがクモジャキーに襲い掛かった。

クモジャキーはその鈍い痛みをどうにか耐え、反撃に転じようとした。

だが、その前に、セイバーの次なる攻撃がクモジャキーに襲い掛かってきた。

「せいっ!!」

短い気合いとともに、セイバーはエターニアハートの切っ先をクモジャキーに向け、高速での連続突きを見舞ったかと思えば、素早く左手に持ち変えて、跳躍すると同時にクモジャキーを切り上げた。

「がっ!!」

「これで、終わらせる!!エターニア・ブレイドダンス!!」

脳震盪を起こして一瞬だけ気を失ったクモジャキーを、セイバーは青白い光をエターニアハートにまとわせながら、容赦なく袈裟、逆袈裟、右薙に切りつけ、最後に跳躍と同時に切り上げた。

さすがに最後の技が効いたらしく、クモジャキーはそれ以上立ちあがることもなく、コブラージャたちより少し前の位置まで吹き飛ぶと、立ちあがることはなかった。

「くっ!!これ以上、ここにいたらわたしたちがあぶないわん!!」

「美しくないし、不本意だが、ここは撤退しよう!!」

普段はいがみあっていることが多い幹部たちだが、さすがに自分たちの身が危険にさらされていることを理解し、この時ばかりは素直に意見を聞き入れ、撤退していった。

セイバーは追撃することなく、サソリーナたちの撤退を見送ると、最大の宿敵と戦っているムーンライトへ視線を向けた。

だが、援護に向かうことなく、フラフラな状態のブロッサムたちの方へと向かっていった。

「しょ、菖さん……?」

「よく頑張ったな、三人とも」

一番ボロボロになっていたブロッサムの頭をなでながら、セイバーは三人をねぎらったが、惚れた相手に頭をなでられて呆けているブロッサム以外は、そんなことよりも、と慌てた様子でセイバーに問いかけた。

「そんなことよりも!ムーンライトの援護に行かなくていいの??!!」

「相手はダークプリキュアなんですよ?!」

「大丈夫だよ」

セイバーは慌てているマリンとサンシャインに落ち着いた様子でそう話した。

何を根拠に大丈夫と言っているのか、いまひとつわからないといった様子で、マリンとサンシャインは首を傾げた。

だが、セイバーはそんな二人を責めることなく、ただただまっすぐなまなざしで、今もムーンライトが戦って居る空を見上げた。

------------------------

そのころ、上空ではムーンライトとダークプリキュアの一騎打ちが繰り広げられていた。

最初こそ、地上での高速の肉弾戦が繰り広げられていたが、ダークプリキュアの抜き手を紙一重で回避し、投げ飛ばした瞬間、ダークプリキュアは空中へと逃れ、闇の力を弾丸にしてムーンライトに撃ち放ってきた。

飛んでくる弾丸を回避しながら、ムーンライトは同行していたコロンに、マントに変身してもらい、自分も空へと飛んだ。

だが、飛び上がった先では、ダークプリキュアがダークタクトに自身の力を込め、最大の一撃を準備していた。

「ダークフォルテウェーブ!!」

「シルバーフォルテウェーブ!!」

放たれた攻撃にすぐさま反応し、ムーンライトはフォルテウェーブをぶつけた。

二つのフォルテウェーブは拮抗し、消滅することなく押し合っていた。

「ダークプリキュア!どうしてそこまでわたしを憎むの?!"お前はわたし"とは、いったいどういうことなの??!!」

ムーンライトは押し負けないようにフォルテウェーブにこころの花の力を注ぎ続けながら、ダークプリキュアに問いかけた。

"お前はわたし"とは、何度となくダークプリキュアがムーンライトに投げてきた言葉だ。

ダークプリキュアはその問いかけに、忌々し気な表情を浮かべながら返した。

「お前が月の光とすれば、わたしは影!影が光を飲み込んだとき、月は一つになる!いまこそ、そのときだ!!」

またもなぞかけのような言葉を叫びながら、ダークプリキュアはフォルテウェーブにさらに強く力を込めた。

その瞬間、ぶつかり合っていた二つのフォルテウェーブは爆発した。

だが、ダークプリキュアが攻撃の手を緩めることはなかった。

「ダークパワーフォルテッシモ!!」

「くっ!……プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

ダークプリキュアとムーンライトは自身の力を体にまとい、光の球体となり、何度もぶつかり合った。

ぶつかり合いの中で、ムーンライトは何度も押し負けそうになった。

だが、今、自分の肩にはかつて失った妖精(パートナー)がいる。

地上には、自分の無事と勝利を信じて、待っている仲間(ブロッサム)たちと相棒(セイバー)がいる。

彼らがついている。

そう思うだけで、ムーンライトは押し返す力が湧きあがってきていた。

「わたしは……もう負けるわけにはいかない!!」

雄叫びを上げた瞬間、ムーンライトのフォルテッシモが強い光を放ち、ダークプリキュアを、彼女がまとっている闇の力もろとも呑みこんだ。

「ぐ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ムーンライトの光に包まれ、苦しそうに雄叫びを上げながら、ダークプリキュアは地面に落ちた。

もはや、立ちあがることもままならないほど、ぼろぼろになっているその傍らに、突如、仮面をかぶったコートの男が姿を現した。

「……っ!!あなたは!!」

「……お前は、サバーク!」

その男――サバーク博士とすでに遭遇したことがあるセイバーとムーンライトは驚愕の声を上げたが、サバーク博士は二人のことを無視して、倒れたダークプリキュアを抱きかかえ、静かに姿を消した。

「……なんだったんだ?」

「……わからないわ。彼の行動も、ダークプリキュアが言っていたことも」

何もすることなく立ち去っていったサバーク博士に疑問を覚え、そんなことを呟いたセイバーとムーンライトだったが、ムーンライトの体が突如、ふらり、と力なくゆれた。

だが、彼女が地面に倒れることはなかった。

隣にいたセイバーが、彼女を受け止めてくれたのだ。

「……ごめんなさい」

「そこは、謝るとこじゃないと思うけど」

「……そうね、ありがとう。セイバー」

「どういたしまして、ムーンライト」

疲労を隠しきれていないムーンライトの微笑みに、菖も微笑みを返していると、ブロッサムたちが駆け寄ってきた。

その顔には、純粋にムーンライトとセイバーの復活を喜ぶ笑みが浮かんでいた。

それは妖精たちも同じようで。

「ついにプリキュアとセイバーがそろったですっ!」

「コロンも復活したし、これなら百人力ですぅ!!」

心を宿している何か、というかなり特殊な存在になっての復活とはいえ、かつての先輩が戻ってきたことに、シプレもコフレも嬉しそうに微笑んでいた。

そんな中でも、一番明るい笑顔を浮かべていたのは、ブロッサムだった。

「これからは、五人ですね!うれしいです!!」

仲間が増えたことが純粋にうれしいらしく、笑顔でそう話していた。

その笑みを見て、ムーンライトは静かに微笑みを浮かべた。

「……みんな、ありがとう……」

今まで自分を応援してくれたブロッサムたちに、ムーンライトはぽつりと静かにお礼を言った。

だが、一番感謝を伝えたいのは、ほかでもない、隣で微笑みを浮かべているセイバーだった。

――そして……ありがとう、セイバー

だが、ムーンライトはその言葉だけは胸にしまっておいた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「……ぽーっ……」」」
ムーンライト「……どうしたの、三人とも?」
ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「……ムーンライト、すごくきれいです/っしゅ……」」」
ムーンライト「あら、ありがとう……けど、セイバーにはそんなこと一言もいわれたことないわね」
セイバー「気恥ずかしくてさ。まぁ、元が美人だからかもしれないけど」
ムーンライト「……ちょ、ちょっといきなり何を言って///」
コロン「ふふふ、紅くなったムーンライトを見るのは久しぶりだね」
ブロッサム「あ、もしかしてあなたが」
コロン「あぁ。ムーンライトのパートナー、コロンだよ。よろしくね、ブロッサム、マリン、サンシャイン」
ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「え?なんでわたしたちの名前……」」」
コロン「君たちのことは心の大樹のなかでずっと見守ってきたからね。これからも、未熟な後輩たちをよろしく頼むよ」
ブロッサム「あ、これはご丁寧に……って、そういえば、コロンはたしか一度死んだんじゃ……はっ!ということは、ここにいるのは??!!」
セイバー「お化けじゃないよ、まぁ、確かに"生きている"とはいいがたいけどね」
ブロッサム「……きゅ~」
コロン「おや?」
セイバー「っと!」
ムーンライト「……今後、ブロッサムにこの手の話はやめておきましょうね」
コロン「そうしたほうが良さそうだね」
ムーンライト「……そういえば、コロン。いい忘れていたわ」
コロン「うん?」
ムーンライト「お帰りなさい、コロン」
コロン「……うん、ただいま、ムーンライト」


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ファッション部初の晴れ舞台!なのに……ゆりさんと菖さんがまだ来ていません!!

タイトルの通り、学園祭開始前の一コマです。
なお、菖は料理を一通りできます(たぶん、書いてなかったけど)。
スイーツも含まれてはいますが、ショートケーキとかマカロンとか手の込んだものは作れません。
せいぜい、クッキーとかホットケーキとか、ある程度簡単に作れるものがせいぜいです(まぁ、それを応用したものが作れないわけでもないですが)。



ムーンライトとセイバーが復活してから一か月が経った。

あの日を境に、つぼみたちの周囲、具体的にはゆりの様子が少しだけ、変わったようだった。

普段から、物静かで優しい雰囲気をまとっていたゆりだったが、コロンが復活してから、その優しさに慈愛というのだろうか、包みこむような優しさを感じるようになっていた。

なお、菖に関しては、普段から自然体でいるため、あまりそう言った変化を感じられないようだったが、薫子に曰く、肩の荷が下りて菖らしさが戻ってきた、らしい。

色々なものが変わり始めてきたが、それを実感する間もなく、つぼみたち中等部は目まぐるしく動いていた。

その理由は、文化祭にむけた準備だった。

なんと今年は、ファッション部初のファッションショーが催されることになっているのだ。

ファッション部初の晴れ舞台ということもあり、衣装の作成にも気合いが入っていたのだが、あれでもないこれでもないと悩んでしまい、作成にかなりの時間を必要としてしまったのだ。

それが災いして。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!あと三日しかないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

文化祭の本番まで、あと三日というところまで迫っていながら、余裕ある行動がとれていなかった。

もっとも、他の部員たちのフォローのおかげで、間に合わない、という不名誉な事態にはならずにすみそうなのだが。

現に。

「衣装、全部そろったよ!!」

「衣装オッケー、衣装オッケー」

どうにかななみが衣装を完成させたらしく、えりかはチェックリストにチェックをつけていった。

だが、そのチェックはすぐに消すことになった。

「まだです!!ゆりさんと菖さんの衣装がまだです~~~~~~っ!!」

背後でつぼみがゆりと菖の衣装を作りながら、叫んでいた。

実は、ゆりと菖がキュアムーンライトとユグドセイバーとして復活を果たした前日に、少しでも二人の心が元気になるようにと、二人の新しいファッションを考案していたのだ。

だが、二人の衣装がいまだ完成しておらず、考案者であるつぼみとえりかは焦りに焦っていた。

そんな時、ファッション部のドアを叩く音が聞こえてきた。

「あぁぁぁぁっ!もう!!こんなときに誰よ!!」

「えりか。人を呼びだしておいて、それはないんじゃないの?」

えりかがパニックを起こして叫ぶと、ドアの向こうからえりかの姉、ももかが顔をのぞかせた。

実は、今回のファッションショーには、えりかが身内の特権として現役女子高生モデルである来海ももかに参加を要請したのだ。

なお、ももかは快くそのオファーを受けたのだが、そのあおりが菖に向かったことは言うまでもない。

もっとも、えりかはそんなことはまったく知らなかったし、ももかもえりかに知らせることはなかったのだが。

「あ、ごめん、もも姉ぇ」

「まったく……それで?どの衣装を着ればいいの??」

テヘペロッ、といわんばかりに舌を出しながら謝罪する妹に、ももかはそれ以上の追及者せず、自分が呼ばれた用事をさっさと片付けようとした。

ふと、作業の手を止めたつぼみがももかの方を見て、首を傾げた。

「あの、ももかさん。ゆりさんと菖さんは??」

「あら?来てなかったの??二人とも、てっきり先に来てると思ったんだけど」

ももかも首を傾げて、逆に問い返してきた。

ここ数日、衣装合わせをするために一度、ファッション部に来てほしいと連絡しようとして、どうにか二人を探したのだが、なぜか捕まることがなかった。

だが、どうやらそれは友人のももかも同じだったようだ。

「まぁ、菖くんはともかく、ゆりの体型はわたしとほぼ同じだから、わたしが着れれば問題ないわよ」

困り果てている妹とその親友のために一肌脱ぐことにしたももかが、そう告げると、緊急手段ということで、つぼみが作っていたゆり用の衣装をももかに着てもらうことにした。

だが、ここに来てまたもトラブルが。

「あら?……これ、頭が入らないかも」

「えぇぇっ??!!」

「任せて!」

試着室のカーテンから顔をのぞかせて、ももかが困り顔でそう言うと、つぼみはパニックを起こして涙目になった。

だが、えりかが素早くフォローしたおかげで、無事、着ることの出来る服になった。

その手際の良さに、ももかがえりかをほめると、えりかは頬を赤く染めながら、別に大したことない、と返していた。

その様子に、つぼみとももかは微笑みを浮かべていたことは言うまでもない。

------------------------

翌日。

生徒会の仕事を兼任しているいつきとクラスの出し物の手伝いへ戻ったももかを除いた、ファッション部のメンバーはステージ練習のために講堂へむかい、ウォーキングの練習をしていた。

だが、もともと人見知りで内気な性格だったつぼみは、右手と右足が一緒に動いてしまい、まるでロボットダンスでもしているかのようなぎこちなさだった。

「つぼみー、リラックスリラックス!」

「そ、そんなこと、言われましても……」

見かねたえりかが大声で叫ぶが、ガチガチに固まってしまっているつぼみは、無理なものは無理です、と視線で訴えていた。

その様子に、さすがのえりかもため息をついた。

「もぉ……もうちょっと度胸あればできるんだけろうけどなぁ……」

「遅れてすまない!!」

えりかがぼやいていると、突然、背後からいつきの声が響いてきた。

振り向くと、いつきが道着姿で走ってきている姿が目に入った。

いつきはステージの手前まで来ると、地面を蹴って跳び上がり、そのままステージに乗り、武道の型を披露した。

あまりに突然の、そしてあまりにもシュールな光景に、えりかたちは呆然としてしまったのは、言うまでもない。

もっとも、つぼみはいつきのその凛々しさに目を輝かせていたのだが。

一通り、ステージでの練習を終わらせ、いつきは生徒会の仕事へ戻り、残りのメンバーも残りの衣装の仕上げに入ろうと、ファッション部の部室に戻ると、そこには自分たちが作った衣装を着たゆりの姿があった。

「「ゆりさん!!」」

「あら、あなたたち……どこへ行っていたの?」

「それはこっちのセリフです!」

「こっちは散々探したんですよ?!」

いくら探してもいなかったというのに、ケロッとした顔でそう言われたつぼみとえりかは、半泣きになりながらゆりに詰め寄ってきた。

その勢いに若干引き気味になりながらも、ゆりは自分に足もとに視線を落とした。

つぼみとえりかもそれにつられて、ゆりの足もとに視線を向けた。

そこには、いま、ゆりが着ている衣装に合わせた靴がはかれていた。

「この衣装に合う靴を探していたのよ。あなたたちがせっかく、頑張って作ってくれたんだもの、靴にもこだわらないと、ね?」

つまり、今までゆりが捕まらなかったのは、衣装にあうデザインの靴を探していたためだったようだ。

だが、ここで疑問が一つ。

「……あの、菖さんは一緒じゃないんですか?」

「あら?まるで普段から二人一緒に行動しているような言い方ね?」

つぼみの問いかけに、ゆりは意地悪な笑みを浮かべてそう返した。

実際、ゆりと菖は一緒に行動していることが多いため、周囲からそう思われている節がある。

だが、実際には二人一緒に行動していることはあまり多くない。

学校では菖が友人に誘われて離れることもあるし、クラスは同じなのだが菖が周囲の視線を気にして、ももかがいないときはなるべく離れている。

もっとも、離れていると言っても、大抵は互いの視界の中にいるのだが。

「あ……す、すみません……」

「謝らなくて大丈夫よ、意地悪な言い方してごめんなさいね?」

不快に思ったと勘違いして謝罪するつぼみに、ゆりはなおも笑みを浮かべながらそう返した。

どうやら、本当に気にしていないらしい。

そのことを察したつぼみは、再度、同じ質問を投げてきた。

「い、いえ……それで、菖さんは??」

「菖だったら、友達の何人かと出店をやることになったって、そっちの手伝いに行ってるんじゃないかしら?けど、たぶんそろそろ……」

来るんじゃないかしら、と言いかけて、コンコン、とドアを叩く音が聞こえてきた。

「は~い、開けても大丈夫ですよ~」

えりかが間の抜けた声を出すと、ドアが開き、ワイシャツの上に青いエプロンを着た菖が姿を見せた。

「ごめん、遅くなっちゃった」

「あら、噂をすれば、ね」

苦笑しながら謝罪する菖に、ゆりは微笑みを浮かべながらそうつぶやいた。

「お?菖さんがエプロンだ」

「出店をやると聞きましたが、何を出すんですか?」

「その説明も兼ねて、みんなに差しいれ」

そう言って、右手をつきだすと、そこには何かが入っているらしい、発泡スチロール製の箱があった。

えりかが中を覗き込むと、そこにはきれいに並べられたクレープがしまわれていた。

トッピングのクリームが崩れないようにしまって、人数分用意しているあたり、菖の気遣いがうかがえる。

「あら?クレープ屋をやることになったの?」

「うん、スイーツ好きの男子と女子が集まってさ」

「……菖さん、スイーツ作れるの?」

ゆりの問いかけに菖が返すと、えりかが怪訝な目を向けて問いかけてきた。

その問いかけに、菖は少し考え込むような素振りを見せた。

「う~ん……あんまり作らないんだけどね、普段は」

「てことは、作るんだ?」

「そうだね。ゆりとか、じぃじの誕生日のときとか」

「……そういえば、ケーキとかパイとか作って持ってきてくれたこと、あったわね」

いま思い出したかのように、ゆりがつぶやくと、えりかは目を輝かせて、ゆりに問いかけてきた。

「ちなみに、お味のほどは??」

「そうね。なかなかおいしかったと思うわよ?まぁ、お店に出しても大丈夫かと聞かれても困るけれども」

「そりゃ、素人が作るんだから、そんなもんだろ?」

苦笑しながら菖が反論すると、それもそうね、と平然とした態度で返してきた。

そのやりとりのどこが面白かったのか、ゆりと菖は互いにくすくすと微笑みを浮かべていた。

なお、このあとすぐに菖の衣装合わせが終わり、準備のほとんどが終了したことは言うまでもない。

学園祭開始まで、あとわずか。

ファッション部はそのわずかな時間も惜しむことなく、全力で準備をするのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

菖「で、俺が着る衣装って?」
えりか「ずばりこれっしゅ!!」
菖「……黒ずくめだな。胸元もけっこう開いてるし……」
ゆり「普段着ないからこそのギャップが見れそうで、おもしろそうね?」
えりか「ちなみにゆりさんにこんなのも用意してみたっしゅ!」
ゆり「これは……けっこう、大胆ね?肌の露出がかなり多いみたいだけれど」
えりか「もも姉ぇに対抗するには、これくらいの大胆さが必要かと!」
ゆり「チェンジでお願いしたいわね」
菖「ちなみに、他のは?」
つぼみ「あ、はい。こんなのも作ってみました!」
菖「ふむふむ……なんか、制服っぽいな。明堂学園(うち)のとはだいぶ違うけど……これなんか、ヘッドホンと合わせたらけっこういけるかな?」
つぼみ「はい!菖さん、普段はシャツですけど、こういうジャケットも合うんじゃないかなぁ、と思いまして」
ゆり「あら、なかなか似合いそうじゃない?髪形を変えればもっと映えるだろうし」
菖「……ゆりさん?なんだか視線が怖いんだけど??」
ゆり「あら?別に何もしないわよ??ちょっと菖を着せ替え人形にして遊ぼうとか、そんなことは全然」
菖「考えてたんだな?試着はするから、安心しろって」
えりか「……なんか、ゆりさんのイメージが少し崩れたっしゅ……」
つぼみ「菖さんとは幼馴染みたいですから、遠慮しないでいい人ってことなのでしょうか?」
えりか「ま、いずれにしても明後日の学園祭、絶対成功させるっしゅ!!」
つぼみ「はい!」
ゆり「微力ながら、協力するわ」
菖「ゆりに同じく」


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菖さんがホストに?!文化祭で大騒ぎです!!

う~む、長くなってしまった……。
あ、今回は前後編でお送りします。
アニメ版とは少し、ずれがありますが、そこはまぁ、ご了承を。



なんだかんだで、文化祭当日。

菖は、朝早くから出店で出すためのクレープの下ごしらえをしていた。

ちなみに、お店の名前は"ハチポチ"である。

「お~す、春川……って、ずいぶん作ったな」

「おはよう。まぁ、うん……今日だけとは思うけど、知り合いの大喰らいがくる予定だから……」

やってきた同級生に驚かれながら、菖は苦笑を浮かべた。

なお、その知り合い、というのは、つぼみたちを通じて知り合った仲間(プリキュアたち)であることは秘密だ。

「へぇ?……あ、それよか、衣装できてるぜ」

「お?そうなのか。なら、そっちに着替えるかなぁ」

菖はそう返しながら、突き出された紙袋を受け取り、いそいそとその場を離れていった。

数分すると、ホストを彷彿させる出で立ちになった菖が困惑しながら姿を現した。

「……なぁ、おい……着てみたのはいいけど……これってまさか?」

「女子たちからの要望で、俺たち男子はホストだとさ」

「却下」

「即答??!!」

同級生からの一言に、菖は半眼になって返し、着ていたジャケットを脱いだ。

その行動の速さに、男子は驚愕して叫んだが、まったく意に介していないようだった。

「……あぁ、てことは、俺たちだけでホストかぁ……せっかく、いろんな衣装を着るだろうから、少しでもはやく人に見られることに慣れてもらおうと思ったんだけどなぁ……」

「……」

「それに、菖がホストの恰好しないと、泣く子もいるだろうなぁ……」

「……いるのか?そんな奴」

「さぁ?」

「って、でまかせかぃっ!!」

肩をすくめて返す同級生に、菖は突っ込んだ。

結局、他の男子もホストの恰好を、女子はフリル付のエプロンに三角巾という恰好をするということを聞かされて、逃げ道がなくなったことを悟り、菖もホストの恰好することになった。

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文化祭開催のファンファーレが鳴り響いてから数分。

菖たちの出店はそれなりの行列ができていた。

「いらっしゃい、子猫ちゃんたち」

「……ホストだからって、それはないんじゃないか?普通に接客しようぜ……」

クレープを焼きながら、菖は隣で客引きをしている同級生のセリフに冷や汗を伝わせながら突っ込みを入れた。

だが、同級生はそんなものは意にも介さず、なおもホスト風の客引きを続けた。

「いらっしゃい、子狸ちゃん」

「いや、だから普通に接客しろ。つか、猫ですらな……」

そういって、接客相手の方へ視線を向けた。

そこには、確かに、どんな動物が思い浮かぶかと問われたら、狸と答えるだろう印象を受ける少女がいた。

なお、その少女は、自分が狸と言われたことに気づき、ふくれっ面をしていた。

「菖さん、せめてなにかフォローしてください……」

「いや、ごめん」

ふくれっ面の少女――咲の隣にいたポニーテールの少女――舞にそう言われ、菖は素直に謝った。

なお、菖が、それは合っている、と思っていたことはお察しの通りである。

ふと、菖は招待されたはずの人数がこの場にいないことに気づき、二人に問いかけた。

「あれ?なぎさたちはどうしたんだ??」

「なぎささんたちなら、他のところに行ってるなり」

「ちょっと見て回ったら、一度、つぼみさんたちの教室で合流する予定なんです」

どうやら、先日の紅葉狩りの参加メンバー、プリキュア全員がそろってから一緒に行動するつもりのようだ。

それに納得した菖は、うなずいて返すと。

「そっか。それじゃ、何か食べてく?こいつが失礼なことしたお詫びってことで、一枚だけならおごるけど」

と提案した。

すると、おごり、という言葉を聞きつけたかのように、咲と舞と同い年くらいの少女たちが姿を見せた。

「菖さん!」

「おごりって!!」

「ほんとですか?!」

まるで何かに期待する幼い子どものように、キラキラとした目を向けてくる三人の少女に、菖は頬に冷や汗を伝わせながら、冷静に反論した。

「……一つだけでいいなら、な?ほんとは咲へのお詫びのつもりだったんけど……」

「あ、あの、無理しなくても大丈夫ですよ?」

「そうそう。そもそも、のぞみたちの言うことを真に受ける必要、まったくないじゃない」

「それに、いくら知り合いとはいえ、お言葉に甘えるのも……」

菖の表情を見たひかりとりんとかれんは、苦笑しながらそう言ってくれた。

いままで自分たちはこの場にいなかったし、そもそも菖が自分たちに詫びるようなことは何もしていないことも事実だ。

それに、つぼみたちがいないとはいえ、この場にいるのは十四人。

その全員におごるとなると、経済的にも申し訳ないと感じてしまうようだ。

「大丈夫。一つだけなら、おごっても大して苦にはならないし……なにより」

意地の悪い笑みを浮かべながら、菖は自分の背後を指さした。

「なぎさと咲とのぞみとラブなら、これくらいは余裕でいけるだろ?」

そこには、幾段にも重ねられた保冷ボックスに、クレープ生地が入ったボールが乗せられていた。

その光景を見て、遠慮を知らない甘いものが大好きな大喰らいたち(なぎさと咲とのぞみとラブ)は目を輝かせていたが、突込み役に徹することが多い、りんと美希はげんなりとしながら、胸焼けしそう、とつぶやいていた。

ふと、ほのかが何かに気づいたように、菖に問いかけてきた。

「あの、菖さん。もしかして、その恰好って……」

「……ホスト、だとさ……」

せっかく忘れかけていたのに、と背中に暗雲を漂わせながら、菖はがっくりとうなだれた。

その様子に、なぜか聞いてはいけないことを聞いてしまったのでは、と思ってしまったほのかは、すみません、と苦笑しながら謝罪した。

すると、なぎさの背後からゆりの声が響いてきた。

「あら、せっかくだから、ホストらしい接客をしてくれないかしら?」

「……なれないことさせないでくれ……」

ゆりのその一言に、菖はげんなりとしながら、返すのだった。

だが、そこは客商売。

すぐに気を取りなおした菖は、なぎさたちに笑顔を向けた。

「それで?トッピングはどうする??」

「それじゃあ……」

と、なぎさから順番に好きなトッピングを注文し、菖はそれを忘れないようにメモしていきながら、手のあいている同級生にそれを伝えていった。

あらかた、注文を終えると、なぎさが、あと、と言うと、全員が声をそろえて追加注文をした。

笑顔(スマイル)ください!』

「菖、どう対応するの?」

「春川~、女の子に恥じかかせるなよ~?」

ゆりと男子たちにからかわれながら、菖、ふむ、と少しだけ考えるそぶりを見せた。

だが、すぐに優しい笑みを浮かべ。

「お持ち帰りですか?」

と問いかけた。

整った顔立ちの菖が優しい微笑みを浮かべながら、それも普段は使わない比較的低い声色でそう言われてしまい、なぎさたちは全員そろって顔を真っ赤にした。

このメンバーの中で菖に対して、唯一免疫を持ってゆりさえも不意打ちされたためか、顔を赤くして。

「……あなたをテイクアウトしてどうするのよ……」

と突っ込んでいた。

なお、菖をテイクアウトすることはなく、純粋な部分が多いひかりと不意打ちを食らってしまった舞、意外にも男性への免疫が薄いかれん、そしてもともと恥ずかしがり屋の祈里は、その場を離れてもしばらくの間、顔を真っ赤にしていたということは、菖は知らない事実である。

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それからしばらくして、休憩に入った菖は、ファッションショーについていくつか確認するため、えりかとつぼみを探していた。

だが、なかなか見つけることができず、学祭を楽しみながらうろうろしていると、突然、背後から誰かが突進してきた。

「いたっ??!!」

「「ご、ごめんなさい!!」」

倒れないようにどうにか踏ん張ると、ぶつかってきた二人の女子は謝るや否や、走り去っていった。

なんだったんだ、と疑問に思いながら呆然としていると、今度は背後から菖を呼ぶ声が聞こえてきた。

「「あぁぁぁぁっ!菖さん発見です/っしゅ!」」

「あれ?つぼみにえりか。どうしたんだ?かなり慌ててるみたいだけど」

「ステージのことで連絡したいことがあったんですけど……」

「それよりも、こっちに女の子が二人、来なかった?!」

「え、えっと……あっちに行ったけど……」

えりかのあまりの勢いに気圧され、菖はぶつかってきた二人が走り去っていった方向を指さした。

すると、えりかとつぼみは菖にお礼を言ったかと思うと、即座に指さされた方向へ走り去っていった。

――な、なんだったんだ、いったい……

走り去っていった二人の背を見送った菖は、そうは思うものの、放っておいても大丈夫だろう、と勝手に判断し、再び学園祭を回り始めた。

途中で、ゆりと合流し、二人で一緒に回っていたが、ステージの方から爆音が響いてきたため、何事かとそちらへ向かっていった。

ステージにつくと、アンプを象ったデザトリアンとブロッサム、マリン、サンシャインの三人が戦っていた。

「ムーンライト!」

デザトリアンの気配を察知したコロンが、肩に下げられていたポシェットから顔を出し、ゆりに声をかけた。

「えぇ、いくわよ!コロン!菖!!」

「あぁ!!」

ゆりの呼びかけに、菖はポケットから羽飾りがついた指抜き手袋を取り出し、左手につけた。

同時に、ゆりもココロポットを取りだし、コロンもポシェットから姿を現した。

「プリキュアの種、いくぞ!」

コロンの胸のブローチから、いまだ欠けているプリキュアの種が出現すると、ゆりはそれをつかみ取った。

すると、コロンに蓄積されている心の花の光がゆりの種へと集まり、欠けた種を補い、完全な種の形へと変わった。

同時に、菖の左手にはめられた手袋の甲に描かれていた紋章が光を放ち、菖を包みこんだ。

「プリキュア!オープンマイハート!!」

復活した種をココロポットにセットすると、ゆりは心の花の光に包まれ、白銀のドレス姿へと変身した。

同じように、菖も青いシャツに不思議な紋様が記された白いマントをまとった姿へと変身した。

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!」

変身を終え、ムーンライトは高らかに名乗ったが、セイバーはそもそも名乗ることなく、エターニアハートを引き抜き、デザトリアンにむかっていった。

一足一刀の間合いに入りこむと、セイバーは心の花の力をエターニアハートに込め、おもい切り地面を蹴り、デザトリアンとの間合いを一気に詰めた。

「セイバーストライク!!」

心の花の光をまとったエターニアハートの切っ先が、デザトリアンを捉え、突き刺さった。

しかし、デザトリアンは突き飛ばされはしたが、どうにか耐えたらしく、ダメージを受けたようには見えなかった。

デザトリアンはすぐに体勢を立て直し、反撃しようとしてきたが、ムーンライトの拳がそれを阻んだ。

「ナイスフォロー、ムーンライト」

「あなたが前に出すぎなのよ」

「安心して背中を任せられる相棒がいるからな」

ムーンライトの指摘に、セイバーは笑みを浮かべながら返した。

一方のムーンライトは別に驚いた様子もなく、微笑みを返していた。

だが、その表情はすぐに引き締まり、デザトリアンの方へ意識を向けた。

二人が到着すると同時に、ブロッサムたちも二人の近くまで駆け寄ってきた。

「ムーンライト!セイバー!!」

「よかった、何かあったのかと」

「遅れたのはごめん、けど、敵から目をそらすのはまずいぞ?」

「来るわよ!」

ムーンライトが叫ぶと、デザトリアンはマイクを手に持ち、歌い出した。

歌はマイクによって音量を増し、衝撃波となって、四人に襲いかかってきた。

だが、サンシャインがいち早く四人の前に躍り出て、シャイニータンバリンを構えた。

「サンフラワーイージス!!」

サンシャインが叫ぶと、金色の光が向日葵の形を象り、衝撃波から四人を守った。

どうにか敵からの攻撃を凌いだ四人は、反撃に転じようとした瞬間、デザトリアンが突然、叫び始めた。

「「歌いたいけど~、歌えない~っ!どうしても、緊張して~っ、怖気づいちゃう~!!」」

ふと、セイバーはデザトリアンから二人分の声が響いてきていることに気がつき、自分たちよりも先に変身していたブロッサムたちに疑問を投げかけた。

「……あのデザトリアン、もしかして二人分の心の花を使ってる?」

「はい。軽音楽部の彩さんと真由さんがデザトリアンにされてしまったんです!!」

「だからか……」

「けど、軽音楽部なら"怖気づいてしまう"というのは、どういうことかしら?」

デザトリアンの叫びは、デザトリアンにされてしまった人間の心の叫び。

ということは、あの二人は何かに怖気づいてしまっているということになる。

その不安さえ取り除くことができれば、とムーンライトは考えているようだ。

「実は、ファッションショーにももかさんが出るってことで、例年以上の見物客が来ることになったんです」

「……なるほど。いつもよりもおおきな規模になったことにびっくりしちゃってるわけか」

サンシャインの説明を聞くと、セイバーはあっているようなあっていないような解釈を口にした。

間違ってはいないので、ムーンライトも強く否定はできないようだ。

「けど、軽音楽部って、君ら二人だけってわけじゃないんだろ?」

攻撃してこないことをいいことに、セイバーはデザトリアンに語りかけ続けた。

「二人だけでステージに立つのが怖いなら、軽音楽部のみんなで立ったら怖くなくなるんじゃないか?」

セイバーの言葉に、デザトリアンはわずかながら反応を示した。

どうやら、部活のメンバーのことは忘れたわけではないようだ。

ブロッサムたちも、二人の心に投げかけるように、軽音楽部のメンバーのことを話し始めた。

「そうです!お二人を信じている軽音楽部のみなさんのこと、思い出してください!!」

「仲間を信じられるなら、自分のことだって、信じられるはずだよ!!」

「大丈夫!あなたたちなら、きっと歌える!!」

ブロッサムたちの応援が届いたのか、デザトリアンの動きは鈍くなっていった。

だが、その応援を茶化すように、コブラージャが反論してきた。

「ふん!信じるだの仲間だの、馬鹿馬鹿しい!臆病者は臆病者のまま、何もできな……」

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「なぁっ??!!」

何かを言いかけたコブラージャに、ムーンライトは容赦なくフォルテウェーブを放った。

それに続き、セイバーが地面を蹴ると、右手に心の花の力を集め、シルバーフォルテウェーブに叩きつけた。

「ユグドフォルテウェーブ!」

ユグドフォルテウェーブに押し出され、シルバーフォルテウェーブが勢いを増してコブラージャに迫っていった。

コブラージャは紙一重で回避したが、自慢の長い髪がシルバーフォルテウェーブに命中し、半分ほどの長さまで縮んでしまった。

「ぼ、僕の髪がーーーーーっ!!」

髪がちりぢりになってしまったことにショックを受け、悲鳴を上げているコブラージャにむかって、今度はブロッサムが叫んだ。

「信じてくれるから頑張れる。仲間がいるから強くなれる!それを馬鹿にするなんて……わたし、堪忍袋の緒が切れました!!」

その声と同時に、ブロッサムとマリンとサンシャインは自分たちの武器(タクトとタンバリン)を取りだし、心の花の力を集めた。

「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

サンシャインの頭上に心の花が集まってできた太陽が出現すると、ブロッサムとマリンは心の花の力をまとい、その太陽へ突入した。

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

太陽の中でサンシャインの心の花の力もまとった二人が、勢いよくデザトリアンに突撃すると、金色のハートマークがデザトリアンの中心についた。

デザトリアンの背後に抜けたブロッサムとマリンは、タクトを構え、ポーズを取った。

「「ハートキャッチ!!」」

ブロッサムとマリンが叫ぶと、デザトリアンが爆発し、周囲に花びらが舞い上がった。

桜、コスモス、向日葵の三つの花がデザトリアンの背後に出現すると、ブロッサムたちのタクトとタンバリンの動きに合わせて回転し、デザトリアンを優しい光に包みこんでいった。

デザトリアンが消滅した瞬間を確認すると、コブラージャは、覚えていろよ、といかにも悪人らしい捨て台詞をもらして、姿を消した。

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心の花を取り戻したファッション部のボーカル二人は、つぼみとえりか、いつきの三人が保健室に運んでいった。

菖とゆりはデザトリアンが起こした騒ぎの後片付けをしながら、ファッションショーまでの時間をつぶしていると、なおみとななみが二人を迎えに来てくれた。

その表情は、緊張よりもどこか楽しで仕方がないという印象すら受けた。

「迎えに来てくれて、ありがとう。二人とも」

「いいえ……って、菖さん、いつまでホストの恰好してるんですか?」

「……着替えるタイミング、見失ったんだ……」

ななみからの質問に、菖は遠い目をしながら返した。

騒動の後片付けもそうだが、"ハチポチ"の手伝いもしなければならなかったため、ホスト衣装から着替えることがまったくできなかったのだ。

「それはそうとして、二人ともなんだかすごく浮かれているようだけれど、どうかしたの?」

「はい!じつは、さっきえりかから連絡があって、ファッションショーの演出がちょっと変更になったんです!!」

「演出が変更?」

「はい!軽音楽部の人に協力してもらうそうなんですが……」

なおみはそう前置きして、ファッションショーの演出変更について説明を始めた。

ファッションショーまで、あと十分。

説明を聞きながら、菖とゆりは人生でおそらく一番最初に経験する大舞台に、少しばかりの緊張と高揚感を覚えていた。




あとがき代わりのそのころ話(スキット風)

~"ハチポチ"でクレープを受け取り、離れてから~
のぞみ「かれんさん。顔真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」
なぎさ「ひかりも真っ赤だけど、風邪引いちゃった?」
咲「舞、顔真っ赤だけど、どうかした?」
ラブ「ブッキー、大丈夫?顔真っ赤だけど」
ひかり、舞、かれん、祈里「「「「い/う、いえ/いいえ/ううん。大丈夫です/よ」」」」
こまち「かれん、もしかして、菖さんをお持ち帰り、がまだ引っかかってるのかしら?」
かれん「……///」
ほのか「ま、まぁ、あの場合、そう取られても仕方ないわよね……」
ラブ「え?菖さんをお持ち帰りって、家に遊びに来てもらうって意味じゃないの??」
美希「ラブ、あんたねぇ……」
舞「間違ってはいないと思うけど……」
祈里「あの場合は、ねぇ……」
ピンクチーム『うん???』
りん「……今ほど、のぞみが抜けててよかったと思った瞬間はないわ」
ほのか「あはははは……」
うらら「……あの、わたしもまったくどういう意味かわからないんですが……」
りん「あんたは知らんでいい」


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咲き誇るファッション!みんなで作る、感動のステージです!!

今回はセリフ少なめです。
規定に引っ掛かるので(汗
なお、菖の衣装ですが、T○Zのス○イのカラバリを元にしてます。
そのほかの衣装は……御想像にお任せします!


えりかの提案で、急きょ、ファッションショーの演出が変更となった。

その連絡を受けた菖とゆりだったが、あまり動揺はしていなかった。

むしろ、軽音楽部のことを気にかけていたため、大体の予想はついていた。

だが、二人はあえて何も言わず、えりかの口から説明されるまで待っていた。

なお、伝えに来てくれたなおみとななみはどのように変更するのかまでは聞いていなかったため、同じようにえりかからの説明を待っていた。

最初の衣装への着替えを終えて、舞台袖に集まったファッション部のメンバーは、えりかからの説明を待っていた。

「さてと!それじゃ、皆に連絡はしたけど、軽音楽部の人の発表が残念な結果になっちゃったのは知ってるよね?」

その主な原因は、砂漠の使徒の襲撃だったのだが、どちらにしても、軽音楽部の人達が文化祭ライブを行えなかったことに変わりはない。

そこで、えりかはファッションショーのBGMとして、軽音楽部の人たちにライブを行ってもらうことを提案したのだ。

軽音楽部の人達も、面白そう、という理由で、快く引き受けてくれた。

説明を聞いた菖とゆりは、否定こそしなかったが。

「えりからしいな……突然、誰の相談もなしに決めるところも」

「ほんと、誰に似たのかしらね?」

と、半眼になりながらももかの方へ視線を向けていた。

視線を向けられていたももかは、さぁ誰かしらね、と言いながら視線をそらしていた。

菖とゆり、ももかの三人は、中学のころからの付き合いで、周囲が認める仲良し三人組なのだが、二人はももかに振り回されることが多い。

今回のえりかの行動も、ももかのそれと重ねたため、思わず、視線をももかにむけてしまったのだ。

「まぁそれはいいさ。それより、そろそろ時間じゃない?」

「はっ!そうだった!!それじゃ、みんな!」

菖が苦笑しながら返すと、えりかは目を見開き、右手を前に出した。

それに合わせて、ファッション部のメンバーは右手をえりかの手に重ねた。

ゆりとももか、そして菖も、彼女たちの手の上に、自分の手を重ねた。

「みんな!もうここまで来たら、思いっきり楽しもう!!」

『おぉーーーっ!!』

えりかの音頭に合わせて、全員が一斉に声を上げた。

同時に、軽音楽部が演奏する予定の曲、「Heart Goes On」のイントロが流れ始めた。

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ステージでは、軽音楽部のメンバーが奏でる音楽に合わせて、ライトが明滅を繰り返した。

その中で、デザトリアンにされてしまうほど心の花が弱まってしまっていた彩と真由がマイクを握り、旋律に合わせて歌い始めた。

「「Ready?Go!」」

二人が声を合わせて叫んだ瞬間、脇から水色の下地にピンクの花をあしらったワンピースを来たつぼみと、白いシャツに短パン、小さめの帽子をあわせたえりかが姿を現し、ステージを歩き始めた。

つぼみはまだ緊張しているのか、その歩調はゆっくりとしていて、どこかぎこちなかったが、えりかが引っ張ると、ようやく勇気が出てきたらしい。

しっかりとした足取りで歩み、えりかと背中合わせでポーズを決めた。

その二人と入れ替わるように、ななみやなおみたち、ファッション部のメンバーが次々にステージを歩き、自分たちがつくった衣装を披露していた。

そして、ついにももかの出番となったとき、会場は一気に湧きあがった。

白い帽子とワンピースに、茶色のジャケットを着て、慣れたように歩くももかの隣では、カーゴパンツに紅いシャツを着て、そのうえに黒い燕尾のポンチョのような上着を着た菖の姿があった。

「ほのか!ほのか!!菖さんが黒だよぉ!!」

「ふふふ、そうね」

「なぎささん、喜びすぎですよ……」

菖のその姿が、黒いユグドセイバーの姿と重なったためか、見に来ていたなぎさが目を輝かせていた。

新しい仲間ができたことを喜んでいた一方で、黒い衣装のプリキュアが自分しかいないことを引きずっていたようで、隣にいたほのかとひかりは苦笑していた。

菖もまた、三人のその様子に苦笑を浮かべながら、立ち去り際、入れ替わりにやってきたゆりに視線を向けた。

ゆりはその視線に微笑んで返すと、ワンピースの上にシャツを羽織ったいつきと一緒にステージに立った。

そのあとも、軽音楽部の演奏をBGMに、ファッション部のメンバーが次々に自分が作った衣装をまとい、ステージを歩いていった。

舞台のそでで、次の衣装を着てスタンバイしていたつぼみとえりかがショーの様子を覗き見た。

「うまくいってるみたい!」

「はい!!ここまでは大成功です!!」

えりかがサムズアップをむけると、つぼみは笑みを浮かべながらうなずいて返した。

そして、そろそろ自分たちの番が回ってきた。

「さぁ、後半だよ、つぼみ!!もっと気合い入れていこう!!」

「もちろんです!!」

片手を上げて、えりかがそういうと、つぼみも片手を上げ、うなずき返した。

そのまま二人はハイタッチを交わし、前半の成功と後半に向けた気合いを充填させた。

その頃、ステージの上では、シプレたちが目を輝かせながらファッションショーを見守っていた。

パートナーのえりかと一緒に行動していることが多いコフレは、やはり趣味もに通ってくるのか、目を輝かせていた。

その様子に苦笑を浮かべているコロンに、ポプリが問いかけた。

「コロン、アスターの花言葉はなんだったでしゅ?」

「アスターの花言葉は"信じる心"、だよ」

アスターは、今まさにステージで歌っている彩と真由の心の花だ。

互いを、そして、軽音楽部の仲間と信じ合っているその姿は、まさしく、アスターの花言葉にふさわしい。

ふと、シプレが突然、間の抜けた悲鳴を上げた。

どうやら、心の花を取り戻したことで、心の種が生まれたようだ。

シプレから、ぷりりん、と出てきた二つの心の種は、コロンが持っていたココロポットに収められた。

同時に、ほんの少しだけ、心の大樹の力が強くなったように感じられた。

そうこうしているうちに、ショーはすでに後半にさしかかった。

ファッション部のメンバーも、テンションが上がってきたらしく、顔を紅潮させながらも楽しそうな笑みを浮かべながら、ステージを歩いていった。

ゆりと菖が並んでいると、いきなり後ろからももかが二人の間に割って入るように飛びこんできた。

いきなりのことに、ゆりと菖は驚きはしたが、ももかの無邪気な笑顔にほだされ、苦笑を浮かべていた。

同じようなことは、えりかといつきもやっていて、先に歩いていたつぼみの手を引いて、つぼみの前を歩いた。

いつきは、えりかのようにつぼみを追い抜きこそしなかったが、つぼみの手を握り、三人が一緒になって歩いている形になった。

そして、いよいよ、クライマックスとなり、ファッション部のメンバーがステージ中央に、彩と真由を交えて一列に並ぶと、二人の手を取った。

二人が同時に最後の歌詞を歌いあげると、並んでいたメンバーは一斉にジャンプした。

歌も、ショーも終わり、観客たちからは歓声と拍手が響き渡った。

その光景に、つぼみは感動のあまり放心してしまい、えりかはやりとげたことに、わずかながら涙を浮かべた。

彩と真由もまた、自分たちのステージが成功を通りこして、大成功したことに感動し、思わず、涙を流した。

バックに控えていた軽音楽部の男子たちも、互いの拳を突き出し、グータッチを交わし、喜びを分かち合っていた。

ファッション部の助っ人にすぎないゆりと菖、ももかの三人は、脇に控えていたが、互いに笑顔を浮かべ、ハイタッチを交わしていた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

えりか「それでは!ファッションショーの大成功を祝しまして!!かんぱーい!!」
全員『かんぱーい!!』
菖「それにしても、すごい数の観客だったなぁ……さすが、現役カリスマモデル!」
ゆり「そうね。えりかの突然の演出変更もよかったと思うわ」
来海姉妹「「えへへ~……照れるわぁ/ますなぁ」」
菖「みんなもお疲れ様!」
つぼみ「いえ!菖さんとゆりさんもありがとうございました」
ななみ「そういえば、菖さんは出店でホストの恰好してたんですよね?」
えりか「なぬっ?!菖さんのホスト姿ですとぉっ??!!」
菖「……情報源はゆりか?それとも、ももかか??」
ゆり&ももか「「残念、正解は二人とも、よ」」
菖「……おい」
つぼみ「あ、あの……せっかくなので、見せてもらってもよろしいでしょうか?」
いつき「あ、僕も見てみたい!!」
えりか「あたしもぉ!!」
ファッション部全員『菖さん!お願いします!!』
ゆり「さぁ、どうするの?菖」
菖「……はぁ……着替えてくるから待ってて」
~菖、着替え終了~
女子全員『おぉ~!!』
ももか「なんだか、菖のそういう姿を見るのはすごく新鮮ね」
えりか「ふむ……ファッションショーでこれが出なかったのが残念でならないっしゅ」
いつき「つぼみ、顔真っ赤だよ?」
つぼみ「む、胸が……お胸が出てます~~~///」
ゆり「そういう衣装なんだもの、仕方ないと思うわよ?」
菖「……もう着替えていいかな?そろそろ返さないといけないんだけど」
えりか「なら、最後にホストらしい一言を!!」
菖「……えぇ……」
ももか「あら、いいじゃない?学園祭なんだし」
ゆり「ちょっとくらい、羽目を外してもいいと思うわよ?」
ももか&ゆり「「というか、見せてくれないと泣くわよ?つぼみ/つぼみちゃんといつきが」」
つぼみ「わ、わたしですかぁ??!!」
いつき「な?!泣きませんよ??!!」
菖「……はぁ……わかったよ……」
菖以外全員『……ドキドキ……』
菖「いらっしゃい、花の妖精さんたち」(お持ち帰りスマイル
中学生全員『ズキューンッ!!///』
ゆり「……そ、その笑顔は反則よ?菖……///」
ももか「……やば、付き合い長いのに、まさか菖くんにしてやられるとは思わなかったわ……///」
菖「ひどいな、二人とも」(--;


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強くなります!ハートキャッチミラージュへの試練!!

今回は最初の部分。
次回と次々回を含めて、三部構成です(好きだな、こういうの……)
なお、先代ユグドセイバーが初登場します。
イメージは、ネタ集を見ていただければ一発でわかるかとw


文化祭が無事に終了した日曜日の午後。

つぼみたちいつものメンバーは、植物園に来ていた。

「それで?今日はどういった集まりなのかしら?」

「文化祭も大成功に終わったし、みんなで楽しく過ごしたいなって思いまして」

ゆりの質問に、つぼみがティーポットにお湯を注ぎながら返した。

確かに、キュアムーンライトとユグドセイバー、そしてコロンが復活してから、先輩プリキュアたちとの顔合わせと紅葉狩りはしたものの、ハートキャッチ()のメンバーだけで集まる機会は、なかなかなかった。

それを思えば。

「……なるほどね、そういうのもたまにはいいかな」

と思うゆりであった。

なお、いまゆりが手にしているティーカップの中には、菖が遺跡探索で出会った友人から送られてきたハーブで淹れたお茶が入っている。

その茶葉を持ってきた菖だが、彼はいま、二杯目のハーブティーを淹れるため、友人から譲り受けた砂時計を逆さにしていた。

傍らにいたコロンが、不思議そうにそれを見つめ。

「それは何を測っているんだい?」

と問いかけてきた。

それを聞いた菖は、砂時計を譲ってくれた友人のまねをして、人差し指を立てながら。

「ハーブティーは蒸らし時間が重要!長すぎず、かといって短いすぎずに……」

「あぁ~、もう!まどろっこしい!!」

だが、その重要性を理解できていないえりかは、ティーポットをかっさらい、ぐるぐると回し始めた。

「なぁぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」

「このほうが早くできるっしょ!!」

「風味が壊れるからそういうことしちゃだめなんだよーーーーーっ!!」

「……ハチャメチャね」

「……はい」

えりかの無体に、菖が慌てた様子で話す姿を見ながら、残りのメンバーは冷や汗を伝わせていた。

ふと、つぼみはコスモスの花壇に目を向けた。

「ゆりさん、見てください!コスモスの花が咲いてます!!」

「えぇ、とっても綺麗ね」

季節は秋。

たしかに秋桜(コスモス)の季節ではあるが、ここまで立派なものはお目にかかったことがない。

ふと、いつきは足もとに小さな黄色い花が咲いているのを見つけ、目を輝かせた。

「わぁ、この花とってもかわいい!!」

「それは、イエローキューピッドです」

「"黄色の小天使(イエローキューピッド)"かぁ、たしかに可愛らしいな」

いつのまに立ちなおったのか、菖が無邪気な笑みを浮かべながらそう返すと、いつきは照れたようにうつむいてしまった。

その様子を見ながら、えりかは満足そうに腕を組み、うなずいていた。

「うんうん、内気だったつぼみも無事にチェンジしたし、いつきも好きなものに素直になれたし、コロン(パートナー)も復活してゆりさんの心の花も咲いたし、菖さんも力を取り戻したし、お姉さんはうれしいよ」

「えりか、上から目線ですぅ!」

「それにお姉さんじゃないですっ!!」

「というか、この中で一番年下に見えるのって……」

「どう考えても、えりかだわなぁ」

不満顔でシプレとコフレが突っ込むと、苦笑を浮かべながらコロンがつぶやき、さきほどの仕返しとばかりに、菖は意地悪な笑みを浮かべながらそれに続けた。

だが、えりかはそんなものは意に介していないようで、握りこぶしをつくり、とにかく!、と大声を出した。

「砂漠の使徒がどんな卑怯な手を使ってきても、あたしたちが力を合わせれば、絶対、絶ぇぇぇぇぇっ対、大丈夫だよ!!」

えりかの頼もしいその言葉に、いつきはうなずいて返し、つぼみも同意した。

だが、ゆりと菖だけは、不安が、いや、懸念があったようだ。

「……本当にそうかしら?」

「……どうだろうな?」

「「「え?」」」

つぼみたちが視線を向けたが、ゆりは手にしたティーカップの淵を指ではじき、そっと口元に運ぶだけで何も言わなかった。

だが、視線だけは菖の方へ向いていたため、菖に説明しろ、と伝えていることだけはわかった。

菖はそっとため息をつくと、空を見上げて、口を開いた。

「……たしかに、つぼみたちは強くなった。それに、ゆりもかつての力を取り戻した。けど、砂漠の使徒(向こう)が何も対策を講じていないはずがない」

「そ、それはそうだけど!」

「向こうは新しい力を身につけてくる。俺たちも、何かしらの対策を講じないといけない」

あくまで直感でしかないけど、そんな気がするんだ、と眉間にしわを寄せながら、菖はそう言った。

長い歴史を見ても、人類は何かしらの脅威に対して、常に対策を講じてきた。

砂漠の使徒にも、それだけの知性がある。

現状で満足してしまっては、必ず苦戦を強いられることになる。

だからこそ、自分たちもなんらかの力を身につける必要がある。

そう考えての一言だった。

ふと、ゆりが置いたティーカップに残されたお茶が、細かな波紋を生みだした。

注意深く周囲に耳を傾けると、かたかた、と周囲が細かく揺れている音が聞こえてきた。

その音は徐々に大きくなっていった。

それに気づいたつぼみたちは、自然と窓の外へと目を向けた。

すると、慌てた様子の薫子が突然、部屋に入ってきた。

「みんな!大変よ!!」

同時に、何かが空から落ちてきた。

それが落ちたと思われる場所に、今度は黒い、巨大な二本角の怪物が出現した。

「なぁぁぁぁぁっ??!!」

「なに、あれ?!」

「まさか、砂漠の使徒の攻撃?」

「行くわよ、みんな!」

ゆりが合図するよりも少し早く、菖は左手に指抜き手袋をはめながら、植物園の外へ出た。

それに続いて、つぼみたちも外へ出た。

菖に追いついたつぼみたちが目にしたものは、怪物によって砂地にされてしまった花畑だった。

「みんな、変身よ!!」

それを見たゆりは、鋭い声で合図すると、つぼみたちはココロパフュームを取り出した。

その瞬間、制服姿だったつぼみたちはそれぞれの色に輝くワンピース姿へと変わった。

「「「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ/でしゅ/よ!!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

妖精たちから飛び出してきた心の種をつかみ、それぞれの変身アイテムにセットすると、つぼとえりか、いつきの三人はパフュームから吹きだしてきた光の香水に包まれ、ゆりはココロポットに溜められていた心の種の光に包まれた。

光の中で、つぼみたちはワンピースからプリキュアのコスチュームへと姿が変わっていった。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」」

四人が名乗ると同時に、菖も手袋をはめた左手を胸の前にかざし、拳を握りしめた。

その瞬間、手袋に描かれた紋章が光を放ち、菖を包みこんだ。

光の中で、菖は白い生地に不思議な紋章が描かれた燕尾のマントをまとった剣士の姿へと変わった。

つぼみたちとは対照的に、菖は変身が終わっても名乗ることはなく、腰の右側に佩いた(エターニアハート)を右手で引き抜き、手の中で回して構え直した。

だが、怪物は執拗に花畑に砂漠化の光線を浴びせ続けた。

「――っ!!これ以上は、やめてください!!」

「あぁ、ブロッサム!!」

耐えきれなくなったブロッサムが考えなしに突撃していったが、相手の体躯はゆうに十倍以上はある。

徒やみくもに殴りにいったところで、はじき返されるのがおちだった。

はじき飛ばされたブロッサムを、マリンが受け止めた。

「あたしの親友に何してくれてんのよ!!」

マリンが叫びながら突進し、怪物の顔面に蹴りを入れたが、それもやはりはじき返されてしまった。

その様子を見ながら、セイバーはムーンライトに耳打ちした。

「ムーンライト、全員で一斉に」

「それしかなさそうね……みんな!同時にフォルテウェーブよ!!」

ムーンライトの合図で、ブロッサムたちはタクトとタンバリンを構え、花の力を集めた。

「花よ、輝け!!プリキュア!ピンクフォルテウェーブ!!」

「花よ、煌めけ!!プリキュア!ブルーフォルテウェーブ!!」

「花よ、舞い踊れ!!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

「花よ、輝け!!プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「ユグドフォルテウェーブ!!」

手にした武器から放たれた花の力が、それぞれの色に輝く光の花となって、同時に怪物に向かって飛んでいった。

同時に、セイバーも手のひらに花の力を集め、怪物に接近し、手のひらを叩きつけた。

五人の花の力に包まれ、怪物はようやく、姿を消した。

だが、完全に消滅はしなかった。

怪物が立っていた場所には、巨大なモニュメントのようなものが出現したのだ。

「なんでしょう、これ?」

「やっつけたんじゃないの?!」

困惑しながらも、油断なく身構えていると、謎のモニュメントから突然、声が響いてきた。

《やってくれたね、プリキュアども。そして、現代のユグドセイバー……我が名はデューン。砂漠の王だ》

どうやら、デューンと名乗ったこの人物こそ、砂漠の使徒の首領であり、このモニュメントとなった怪物を送り届けてきた張本人らしい。

彼は淡々とした口調で、たった一粒で星の緑を奪い尽くし、砂漠としてしまう、砂漠の使徒の最終兵器ともいえる「砂漠の種(デザートデビル)」を地球に送り届けたことを通告してきた。

そして、デューンはブロッサムたちに、止められるものならば止めてみろ、と挑戦状を叩きつけてきた。

そのデューンのメッセージが終了すると、モニュメントは塵へと変わり、跡形もなく消えてしまった。

「砂漠の種、デザートデビル……」

「あんなものが、これから地球に?」

デューンからの突然の挑戦状に、ブロッサムもマリンも驚愕していた。

すでに戦う覚悟はできている。

だが、この戦いに負けてしまえば、自分たちだけではない、この星にいるすべてのものが危険にさらされてしまう。

だからこそ、負けるわけにはいかない。

「残された道はただ一つ、だな」

「えぇ……デザートデビルが到達するまでの時間で、わたしたちがパワーアップするしかない」

「けれど、どうやって……」

ムーンライトとセイバーの言葉に、ブロッサムが疑問を投げかけてきた。

その疑問に答えるように、背後から薫子が声をかけてきた。

「……もし、さらなる力を求めるのなら、プリキュアパレスへ行きなさい」

「プリキュアパレスへ?」

プリキュアパレスとは、プリキュアがさらなる力を求めるときに訪れる聖域のことで、ムーンライトも話だけならば薫子から聞いていた。

だが、ムーンライトもセイバーもその領域に達する前に、変身不能の状態になってしまったため、実際にプリキュアパレスに足を踏み入れたことはなかった。

「そこで待ち受ける試練を乗り越え、ハートキャッチミラージュを手に入れる。それしか方法はないわ!」

「ハートキャッチミラージュ……?」

「かつて、キュアフラワーが砂漠の王を倒すために使ったという、伝説のアイテムよ」

ブロッサムのつぶやきに、ムーンライトがそう解説した。

その解説に、薫子は残念そうに顔を伏せた。

「本当は、もう少し、あなたたち自身の成長を見守りたかった……けれど、もう悠長なことは言っていられない。みんな、ついてきなさい」

そう言って、薫子は植物園へと向かっていった。

ブロッサムたちも、変身を解除することなく、そのまま薫子の後ろへ続き、植物園へと入っていった。

------------------------

植物園の一角にある、かなりの樹齢を感じさせる大樹の前に来ると、薫子はポプリにポシェットに隠し持っている種を出すように指示した。

ポプリは言われるままに種を取りだし、大樹の洞にあるくぼみに取りつけると、洞が突然、光を放ち、その場にいた全員を包みこんだ。

光が収まり、セイバーが目を開けると、目の前には心の大樹に負けないほど立派な大樹がそびえたっていた。

だが、周囲には自分以外の人影が見当たらない。

「……ここは……」

どこだ、とつぶやきかけて、セイバーはエターニアハートを引き抜いた。

その瞬間、エターニアハートと交差するように、紫に輝く巨大な刀身が視界に入ってきた。

向かってきた剣の使い手は、セイバーにさらなる追撃を開始した。

その斬撃すべてを受けとめ、あるいは捌きながら、セイバーは突如現れた敵対者である剣士にエターニアハートを振るった。

だが、敵対者はエターニアハートの間合いの外へと逃げ、その一撃を回避した。

「……強い」

「そりゃ強いさ……なにしろ、俺はお前の先輩みたいなもんなんだからな」

セイバーのつぶやきに、剣士はそう返してきた。

わけがわからない、と思いながら、エターニアハートを構えた。

剣士はその表情に何か思うところがあったのか、そうだな、とつぶやいた。

「……名乗っておこうか。俺は、ユグドセイバー。かつて、キュアアンジェとともに戦った、心の大樹の契約者。正確には、その魂といったところだな」

鳶色の癖っ毛に、赤い革製の服を着た剣士は、感情を押し殺した声でそう名乗った。

同時に、セイバーは悟った。

目の前にいる先代のセイバーと戦うことが、自分に課せられた使命であることを。




あとがきの代わりの一場面(スキット風)

シプレ「おばあちゃん、ハートキャッチミラージュの試練ってどんなものなんですぅ?」
薫子「ハートキャッチミラージュの試練、それはかつての自分と向き合うことよ」
コロン「それは……厳しい試練になりそうだね」
薫子「えぇ……けれど、それはプリキュアに限っての話よ。ユグドセイバーにどんな試練が課せられるのか、それはわたしでもわからないわ」
コフレ「それじゃぁ……」
ポプリ「セイバーにはもっと厳しい試練が待っているかもってことでしゅか?」
薫子「えぇ……けれど、信じましょう。みんなが無事に戻ってくることを」
コロン「そうだね……それも、僕たちにしかできないことだ」
薫子(どうか、みんな無事に戻ってきて……)


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過去の自分との戦い!試練はプリキュアvsプリキュア?!

今回は、セイバー、ムーンライト、サンシャイン、マリンの試練をお送りします。
なお、ユグドセイバーの試練については以下の通り。

・先代との一対一での決闘
・自身が課した誓約(ゲッシュ)あるいは信念を貫けるかが重要となる
・決闘に負けたとしても、信念を貫いてのことであれば、試練クリアとみなされる

まぁ、「本当の自分を受け入れる」のがプリキュアの試練なら、「意思を貫く」のがセイバーの試練といったところでしょうか。
というか、菖の性質上、影があっても即クリアしちゃいそうなのでw
なお、今回もあとがきのスキットはございません(申し訳ない


心の大樹を思わせる、荘厳な大樹の目の前で、白いマントをはためかせているセイバーと、赤い皮の服をまとった鋭い眼付の先代セイバーを名乗る男が剣を交えていた。

激しい剣劇の嵐の中で、先代が持つ紫に輝く剣(エターニアハート)と、セイバーが手にしている刃のない剣(エターニアハート)が交差し、二人の動きが止まった。

「驚いたな。てっきり、なぜいきなり戦うのか問いかけてくるものだと思ったが」

「一応、それなりに場数は踏んでるから、戦う覚悟はいつだってできてるよ!けど、たしかに、いきなり戦うのはちょっとびっくりかな!!」

つばぜり合いの状態になり、先代がそう口にすると、セイバーは必死な表情でそう返しながら、手のひらを先代に向けた。

その手には、心の花の力がすでに込められ、獅子の顔を象っていた。

「……なっ?!」

「獅子戦吼!!」

轟っ、と獅子が吼えるような音が響くとともに、心の花の力が先代に向けて飛び掛かっていった。

セイバーの手から飛び出してきた獅子を象った花の力を受け、先代は吹き飛ばされてしまった。

だが、彼も心の大樹と契約を交わした"大樹の騎士(ユグドセイバー)"だ。

ただで吹き飛ばされはしなかった。

セイバーは肩に鋭い痛みを感じ、思わず、肩に手をやった。

そこには、赤い液体がついていた。

それが自分の血であることは、確かめずともわかる。

知らないうちに一撃を与えられたことに、セイバーは相手の底知れない強さを感じながら、油断なく睨みつけた。

「……容赦ないな」

「お前が甘いんだよ。戦うというのなら、倒した相手の恨みや憎しみも背負っていく覚悟を持つべきだ」

そう語りながら、先代はエターニアハートの切っ先をセイバーに向けた。

エターニアハートは、所有者(ユグドセイバー)の心を映し、いかようにもその姿を変える剣だ。

ゆえに、先代の剣は、相手を斬るための刃が存在している。

それは、憎しみや恨みを買うことを覚悟している心の強さの表れでもある。

その一方で、セイバーは、たとえ自分たちの平穏を侵す存在であっても、傷つけることを良しとしないため、その剣には刃が存在しない。

「……たとえ、俺たちの平穏を侵す存在であっても、殺すのは俺の信念に反する」

「それが甘いと言っているんだ……その甘さが、どんな結果を招いたか、忘れてはいないだろ?」

「……あぁ。忘れてないさ……忘れちゃいけないんだよ、俺は」

自分の甘さが招いた惨劇。

それは、今もセイバーの胸に突き刺さっている。

いっそ、信念を捨て、甘さを捨てることができたなら、どれだけ楽になれただろうか。あの惨劇を招かずにいられただろうか。

そう思わなかった日はない。

だが、それでもセイバー(現代)(エターニアハート)は、敵を斬ることをよしとしない。

なぜなら。

「だって、それが俺(・・・・)だから(・・・)さ」

たとえ、どんな壁にぶち当たったとしても、曲げてはいけないものがある。

それは、自分の心にある信念。

たしかに、セイバーの、いや、春川菖が抱くその信念は甘いのだろう。

そして、その甘さゆえに、一度は友人を亡くしてしまい、大切な幼馴染の心の花を枯らせてしまった。

だが、それでも、その甘さを貫きたいと、菖は思っている。

「人は斬らない、それがお前の定めた誓約(ゲッシュ)ということか」

「うん……甘いっていうのは自覚してる。けど、俺は斬らない道を、救う道を探したい」

「……ふ」

セイバーのその答えに、先代は薄い笑みを浮かべた。

その笑みは、どこか満足しているようにも感じられた。

「なら……示してみせろ!お前のその信念を!!俺も自身の信念に賭け、全力で相手をしてやる!!」

「望むところ!!」

先代とセイバーの心の花の力が、覇気となって風を巻き起こしたと同時に、エターニアハートに込められた心の花の力が光となって現出した。

二人は、どちらからとなく地面を蹴り、一気に間合いを詰めた。

「くらえ!!」

「心よ、吼えろ!!」

「「エターニア・ブレイドダンス!!」」

間合いが詰まった瞬間、二人は同時に剣を振るった。

二つの光の剣がぶつかり合うと、その衝撃で大樹が大きく揺れ動いた。

------------------------

ムーンライトが目を開くと、そこには一面に紫と白の薔薇が広がっていた。

周囲には自分以外、誰もいない。

パートナーのコロンでさえ、ここにはいないようだ。

「……ここが、試練を行う場所……一人になったことにも、何か意味があるということ?」

そうつぶやくと、気配を感じ取り、ムーンライトは背後を振り向いた。

そこには、今自分が着ているコスチュームとは逆の、黒を基調にした服を着た自分と瓜二つの人物が立っていた。

いや、瓜二つではない。

なぜだかわかる。

目の前にいるのは、自分だということが。

「最後の試練とは、自分と戦うということ?!」

「ただの自分ではない。影の自分だ」

「影のわたし?!」

ムーンライトは、目の前にいるもう一人の自分が返事をしたことに驚愕したが、もっと驚愕したのは、自分に影があるということだ。

だが、影のムーンライト(キュアムーンライト・ミラージュ)は薄く笑みを浮かべながら返してきた。

「月に影があるように、心にも暗い影がある。それがわたしだ!」

ムーンライト・ミラージュは、地面を蹴り、一気にムーンライトに殴りかかってきた。

ムーンライトはその一撃を受け止めて、どうにか耐えたが、ムーンライト・ミラージュの攻撃はなおも続いた。

だが、その攻撃の一撃一撃は、まるで何かの感情をぶつけてくるかのように力任せだった。

その理由は、すぐにわかった。

「わたしはパートナー(コロン)を守り切れなかった!自分ひとりで戦わなければならない、セイバーに頼ってはいけないと思い込んでしまったせいで!!」

それは、自分がかつて抱いていた後悔の念。

パートナーの妖精を守り切れなかった過去と、自身の不甲斐なさで、自分を責め続けていたころの想い。

それが、目の前にいるムーンライト・ミラージュの正体であることに、ムーンライトは気づいた。

「……そう、わたしは自分勝手な思い込みのせいで、コロンを失ってしまった!そして、大切なことを見失いかけた!!」

自分を気遣い、微笑みかけてくれいたつぼみ(ブロッサム)たち、そして、こんな自分でも変わらずに接してくれていた(セイバー)の心。

それを、見失いかけてしまっていた。

だからこそ。

「……わたしは、強くなる!!みんなの心を守るために!」

ムーンライトはミラージュの腕をつかみ、投げ飛ばす要領で地面に叩きつけた。

背中から思い切り叩きつけられたムーンライト・ミラージュだったが、それでも戦意を喪失してはいなかった。

そんなムーンライト・ミラージュに、ムーンライトはまるで諭すような瞳を向けながら。

「悲しみの連鎖は……誰かが歯を食いしばって止めなければいけないのよ」

その言葉を聞いたムーンライト・ミラージュは、何かをあきらめたかのようにそっとため息をついた。

今の彼女に戦意はない。そう感じたムーンライトは、追撃することはなかった。

その背中に、ムーンライトは宣言するように語りかけた。

「わたしはもう、一人で戦おうなんて思わない。これからはみんなで困難を乗り越えていく」

「できるのか?半分に欠けたままの心で」

「難しいかもしれない。けれど、わたしは決めたのよ。みんなの心を守るため、戦い続けると」

ムーンライト・ミラージュからの手厳しい問いかけに、ムーンライトは微笑みながら返した。

その答えに、ムーンライト・ミラージュは静かに立ち上がり、ムーンライトに背を向けた。

「……なら、もうわたしはいらないな。お前の決意を鈍らせる、"悲しみ"というわたしは」

そう言って、ムーンライト・ミラージュは立ち去ろうとした。

だが、その背をムーンライトはそっと抱きしめた。

「いいえ。わたしは悲しみを背負って生きていく。そしていつか、その悲しみを愛で包みこんでみせるわ」

その答えに満足したかのように、笑みを浮かべると、その体は光に包まれ、消えていった。

同時に、ムーンライトも同じ光に包まれた。

------------------------

気づくと、サンシャインは一面、向日葵に覆われた向日葵畑にいた。

その場にいるのは、自分一人だけだった。

「……どうして、わたしたちはばらばらに?」

そんな疑問を口にすると、目の前に自分と瓜二つの人影が姿を現した。

だが、コスチュームは自分とは逆の黒であり、髪もツインテイルではなく、ストレートに降ろしていた。

まるで自分の現身のような人物に驚愕していると、彼女はいきなり拳を振るってきた。

サンシャインは自分も拳を握り、応戦した。

だが、ふと違和感を覚えた。

目の前にいるもう一人の自分(キュアサンシャイン・ミラージュ)は、武道の心得があるようで、ある程度、完成された型の通りに拳が振るわれている。

にも関わらず、彼女の拳は、どこか怒りをぶちまけるような印象を受けた。

「わたしは、お兄様を守るため、明堂院家を守るため、武道に励まなければならない!大好きなぬいぐるみも、可愛い服も我慢しなければならない!!」

突然、キュアサンシャイン・ミラージュの口から飛び出してきた言葉で、違和感の正体に気づくことが出来た。

それは、自分がかつて抱いていたものと同じ想いだった。

修行に集中するため、本当は大好きなぬいぐるみや可愛い服を我慢してきたことで生まれた、抑圧された心。

サンシャイン・ミラージュは、その抑圧された心のままに、拳を振るっているようだ。

サンシャインはその拳を受け止めて、まっすぐに自分の影を見つめながら反論した。

「けれど、いまは武道が好きだから続けている!!大好きなぬいぐるみも、可愛い服も、素直に好きと言えるようになった!!」

「じゃあ、頑張ってきたわたしは、もういらないの?!」

「……えっ??!!」

サンシャイン・ミラージュからのその一言は、サンシャインを驚愕させた。

確かに、今は(・・)武道もかわいいものも大好きだ。けれども、武道に関しては、大好きという以前に、義務としてやってきた部分が大きい。

だからなのか、武道をやるべきこと(義務)ではなく、好きなこと(趣味)の範囲にしてしまったことに、サンシャインは少なからず罪悪感を抱いてしまい、その想いが(ミラージュ)となって現れたのだろう。

それがわかってしまえば、サンシャインが取る行動は一つだった。

サンシャイン・ミラージュは、サンシャインにむかってつきだした拳を寸止めして、サンシャインをにらみつけた。

「なぜ、守りを消すんだ?」

「あなたは、わたしの敵ではないから」

「……っ!?」

サンシャインの言葉に、サンシャイン・ミラージュは目を見開いた。

だが、サンシャインは彼女のそんな様子を無視して、言葉を続けた。

「お兄様は、これまでつらいことや悲しいことがあっても、すべてを受け入れてわたしに笑いかけてくれた」

そう話すサンシャインの脳裏には、最愛の兄、さつきの笑顔だった。

さつきは、その病弱さゆえにいつきには想像できないようなつらい経験も、悲しい経験もしてきたに違いない。

にも関わらず、さつきはいつも、いつきに笑いかけてくれていた。

そして、いつきも、自分もそんな兄のようにありたいと願うようになっていた。

だから。

「だからわたしも、すべてを受け入れたい」

「すべてを?!」

驚愕するサンシャイン・ミラージュが突き出してきた拳を、サンシャインは両手でそっと包みこんだ。

その顔はひどく穏やかで、敵意や戦意はまるで感じられない。

「かつての頑なだったわたしも、好きなものに素直なわたしも、両方とも大切なわたし……だから、すべてを受け入れて、お兄様のように優しく笑いかけたい」

それが、サンシャインの答えだった。

その答えに満足したのか、サンシャイン・ミラージュは微笑みを浮かべ、光となって消えていった。

サンシャインもまた、光に体を包まれ、向日葵畑から消えていった。

------------------------

マリンは一人、海原に建っている柱の上に腰かけていた。

一人でいることに不安を覚えていないわけではない。

だからこそ、早く試練が始まってほしいと感じているし、仲間と合流したいと感じている。

「……試練とかいうのは、まだ始まらないのかな……」

マリンが水面に映る自分の姿を見つめながらそうつぶやくと、虚像がにやり、と笑みを浮かべ、こちらに向かってきた。

「……っ?!」

「あたしはキュアマリン・ミラージュ。あんたの影よ」

「あ、あたしの影?!」

驚愕するマリンにかまうことなく、キュアマリン・ミラージュはマリンに拳を振るってきた。

その拳を、マリンは捌きながら反撃の糸口を見いだそうとしていると、キュアマリン・ミラージュが突如、口を開いた。

「あたしだって、もも姉ぇみたいに売れっ子のモデルになりたい!美人になりたい!モテモテになりたい!!」

「……っ??!!」

その言葉は、かつて自分が抱いていた願いだった。

カリスマ現役女子高生モデル、という肩書を持つももか()に対するコンプレックスから、自分もそうなりたい、と抱いていた、かつての願望(過去の願い)

――つまり、影の自分って、昔のあたしってわけね?!

その事実に驚愕していると、キュアマリン・ミラージュは一気に間合いを詰めてきた。

「いまだって、そう思ってるでしょ??!!」

マリンを蹴り飛ばしながらそう叫び、追撃とばかりに、心の花の力を両手に集め、弾丸のようにして飛ばした。

吹き飛ばされながらも、マリンは飛んできた弾丸を回避し、再びキュアマリン・ミラージュと対峙した。

だが、蹴り飛ばされたときのダメージが大きかったのか、その息は荒く、顔も下を向いていた。

「……あたしはね、ブロッサムたちのおかげで、自分にもいいところがあるって気づけたの」

それは、一人では決して気づくことのできなかったもの。

仲間が、親友がいてくれたから気づけたことだ。

だから。

「だから今は、もも姉ぇみたい()なりたいんじゃない、もも姉ぇみたい()素敵な人になりたい!!」

「じゃあ、なぜ……影のあたしがいる?!」

問いかけながら、キュアマリン・ミラージュがなぐりかかってきた。

その拳を、マリンは受けとめ、まっすぐにキュアマリン・ミラージュを見た。

「しょうがないじゃん!マイナスのことをいうあたしも、あたしなんだもん!!」

その返答に、キュアマリン・ミラージュは驚愕した。

マリンは、そんなミラージュを引き寄せ、抱きしめた。

「でもさ、あたし、あんたのこと、嫌いじゃないよ……あたしって、自分のこと、全部大好きだから」

「……っ」

その一言で、キュアマリン・ミラージュは満足したように微笑み、光となって姿を消した。

同時に、マリンの体も光に包まれ、その空間から姿を消した。



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新しい力!スーパーシルエットとレイディアントシルエットに変身です!!

……長い……長くなってしまった……
いつもの倍はあるぞ、これ……
さて、気づく方もいらっしゃると思いますが、レディアントシルエットのモデルはT○Z-Xの最終話に登場するスレ○のアレです。
剣は別ものですけれども(苦笑
では本編どうぞ。


ハートキャッチミラージュの試練を乗り越えたムーンライト、サンシャイン、マリンの三人は、いつのまにかプリキュアパレスの中央にある、歴代プリキュアの石像が飾られている部屋にいた。

ハートキャッチミラージュの試練を乗り越えたプリキュアは、この部屋に石像が飾られることになっているようだ。

ムーンライトは、ふと周囲を見まわした。

「……薫子さん、セイバーとブロッサムは……」

「セイバーなら、ほら」

と、薫子が部屋の中央を指さすと、大樹の傍らにある石の剣の前に白いマントのセイバーが姿を現した。

セイバーは笑みを浮かべながら、片手を上げた。

「無事に終わらせたみたいだな」

「あなたこそ」

ムーンライトはそう返すと、片手を上げ、セイバーとハイタッチを交わした。

ふと、周囲を見渡すと、ブロッサムの姿がないことにセイバーは気づいた。

「……あれ?ブロッサムは……」

「まだ、みたいね……」

ムーンライトも周囲を見渡し、ブロッサムの姿がないことに気づいた。

マリンとサンシャインもまた、ブロッサムの姿がないことに気づき、周囲を見渡した。

ふと、彼らの視界に、石柱が置かれている台座が入りこんできた。

おそらく、それがブロッサムの石像になる予定(・・)なのだろう。

「……いまは、待つしかないか」

そっとため息をつき、セイバーは力なくその場に座りこんだ。

乗り越えたとはいえ、先代のセイバーと本気で戦ったのだ。

倒れたのはセイバーであったが、それは自分の持つ剣に刃がないがゆえのこと。

最後まで自分の信念を貫き通して戦ったことで、セイバーは無事に試練を乗り越えることができたのだ。

その代償に、少しばかり血を流すことになってしまったのだが。

だが、セイバーはそれを気にしている様子はなく、そっと目を閉じ、ただただ待つことにした。

――ブロッサム、君なら大丈夫。俺は、そう信じてる

心中でそうつぶやきながら、セイバーはブロッサムが無事に試練を終わらせて戻ってくることを信じて疑わなかった。

------------------------

少し時間はさかのぼり、プリキュアパレスに到着し、セイバーたちと一緒に試練を受けることになった時。

ブロッサムもまた、自分が試練を受ける場所となった桜の大樹の前にいた。

「ここは……みんなは……マリン?!サンシャイン?!ムーンライト?!セイバー?!」

ブロッサムは周囲に仲間がいないことに気づき、仲間たちを呼んだ。

しかし、それに応える声はなかった。

誰もいないという事実をようやく認識したブロッサムは、そっとため息をついた。

ふと、上空にある日食で黒くなった太陽から、一人の少女が下りてきた。

ブロッサムから少し離れた場所に着地した彼女を見たブロッサムは、その姿に驚愕した。

黒い服に白衣のようなコート、そして長い髪はストレートに伸ばしているという、いくつかの違いこそあるが、そこにいるのは間違いなく、自分だった。

「……あなたは、変わることはできない」

不意に、目の前に現れたもう一人のブロッサム(キュアブロッサム・ミラージュ)は静かにそう告げた。

その一言に、ブロッサムの瞳は凍り付いた。

その一瞬の隙をついて、キュアブロッサム・ミラージュは地面を蹴り、ブロッサムに突撃してきた。

ブロッサムはその一撃を受け止めることはできたが、吹き飛ばされてしまった。

だが、キュアブロッサム・ミラージュは執拗にブロッサムへ攻撃を続けた。

「あなたは変わることはできないわ。シャイで引っ込み思案な自分に、さよならしない限り」

「……わたしは……変わるんです!!」

反論しながら、ブロッサムはキュアブロッサム・ミラージュに向かっていった。

だが、キュアブロッサム・ミラージュはなおも悲しそうな瞳を向けながら、ブロッサムの攻撃を受け止め、いなした。

そして、心の花の力を手のひらに集め、手刀のようにしてブロッサムに叩きつけてきた。

------------------------

その頃、試練を一足先に終わらせたマリンたちはブロッサムの帰還を待っていた。

だが、思った以上に時間がかかっていることに、シプレはほんの少し、苛立ちを覚えているようで。

「……ブロッサム、遅いですぅ……」

石柱に背中を預けながら、文句を言っていた。

マリンもそれは思っていたようで、自分の石像の近くに腰かけながら、今にも泣き出しそうな顔で空を見上げていた。

「……この試練、乗り越えられなかったら、ブロッサムはどうなります?」

ハートキャッチミラージュに手を触れながら、ブロッサム(つぼみ)の無事を祈るように目を閉じている薫子に、ムーンライトが問いかけた。

薫子は、その問いかけに落ち着いた声で、何も変わらないだけ、と返した。

「ハートキャッチミラージュが与える試練は、自分自身を見つめること……誰だって、本当の自分と向き合うのは不安だわ」

それでも、本当の自分を受け入れ、知る勇気を持ち、自分で何をしたいのか、何をすればいいのかを考えることができれば、誰でも変わることができる。

そうして、歴代のプリキュアは絶望から希望を見出してきたのだから。

「今度はつぼみの番。つぼみが自分で、答えを見つけないといけないの……自分との戦いを乗り越えられるのは、自分だけだから……」

「「チョー心配~~~~~~/ですぅ!!」」

薫子の言葉に、マリンとシプレが同時に叫んだ。

「ブロッサムは弱虫で頼りなくて、最初は最弱のプリキュアとか言われちゃうし!それに、それに……」

「引っ込み思案ですぅ!!」

「あたしたちがいないと、ダメダメなんだから……」

「……まぁ、それがブロッサムだからなぁ……」

マリンとシプレの言葉に、セイバーは苦笑を浮かべながらそうつぶやいた。

だが、セイバーは別段、心配している様子はなかった。

それは、サンシャインとムーンライトも同じだったようだ。

「それでも信じて待ちましょう?わたしたちのブロッサムを」

それしかできないということもあってなのか、マリンも本当はわかっているからなのか、それはわからない。

マリンはそれ以上何も言うことはなく、ただ、石柱に向かって、自分たちが応援しているということを叫ぶことしかしなかった。

その様子を見守っていた薫子だったが、脳裏に警鐘が鳴り響いたことに気づき、叫んだ。

「みんな!!デザートデビルがここに来るわ!!」

「「「「っ!!」」」」

「……まだ、ブロッサムの試練が終わってないのに……」

あまりに早すぎる敵の接近に、マリンは愕然としながらつぶやいた。

だが、いつまでもこうしていられない。

マリンたちはプリキュアパレスの外へと急いだ。

外へ出ると、上空にはデザートデビルと思われる隕石がまっすぐに落ちてきていた。

そして、湖に着弾するとものすごい衝撃波を周囲にばらまいた。

衝撃に耐えていると、マリンの肩に乗っているコフレが突然、悲鳴を上げた。

見ると、隕石が落ちた場所に黒い影がまるで煙のように勢いよく立ち上っていた。

影は徐々に形を作り、まさに悪魔(デビル)と呼ぶにふさわしい姿へと変化した。

「グォオオオオオオオオオっ!!」

デザートデビルが咆哮を上げると、ゆっくりとこちらへ向かってきていた。

なぜこちらを目指すのか、その目的ははっきりしている。

「デザートデビルの目的は、ハートキャッチミラージュの破壊」

「けど、あんなのどうすれば……」

「大丈夫だよ!!」

サンシャインのつぶやきに、マリンがいつもの調子で返してきた。

「ブロッサムが帰ってくる前に、ちゃちゃっとやっつけちゃお!いくよ、コフレ!!」

「はいですっ!!」

駆けだしたマリンに呼ばれ、コフレは元気に返事をすると、マリンを追いかけ、彼女の肩に乗った。

その瞬間、コフレは青いマントに姿を変えた。

「わたしたちも、行きましょう。コロン!」

「あぁ」

「はい!ポプリ!!」

ムーンライトがコロンを呼ぶと、コロンはマントに姿を変えて、ムーンライトの肩に乗った。

同時にポプリもサンシャインのマントとなった。

妖精(パートナー)の力を借りることができる彼女たちは、そのまま空を飛び、デザートデビルへと向かっていった。

セイバーは、右手でエターニアハートを持ち、心の花の力を注ぎ始めた。

約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!!」

ある程度、心の花の力が溜まったことを感じたセイバーは、先代から教えてもらった言葉を唱えた。

すると、エターニアハートは緑色に輝くいくつもの刃へと変わり、セイバーの背後に浮かびあがった。

同時に、セイバーの体もわずかながら浮かびあがった。

「……初めて試したけど、案外、うまくいくもんだなぁ……」

試練を終えて戻ってくる前に、先代からエターニアハートが持つ能力についていくつか聞いていたため、さっそく試すことにしたのだ。

それが、この飛行能力だった。

セイバーは初めて空を飛ぶという感覚に好奇心を爆発させそうになったが、今はやるべきことがある、と気を引き締めて、マリンたちの後を追いかけた。

------------------------

一方、デザートデビルの接近を知らないブロッサムは、キュアブロッサム・ミラージュの猛攻で、倒れてしまいそうになっていた。

「シャイで引っ込み思案で、すぐに人に頼ってしまう。それが本当のわたしなのよ……」

「わたしは……たしかに、前のわたしはそうでした……でも、わたしは本当にチェンジしたんです!」

「いいえ、今も変わってないわ」

ブロッサムの反論に、キュアブロッサム・ミラージュは即座に返した。

それでも、ブロッサムはまるで駄々をこねている小さな子どものように、変わったんです、と反論し続けた。

だが、キュアブロッサム・ミラージュはそれを聞き入れるつもりはないらしく、ブロッサムの背後に回りこみ、語り続けた。

「そして、それはプリキュアになっても変わらない」

攻撃が来ると判断し、ブロッサムは逃げるようにキュアブロッサム・ミラージュと距離を取った。

ふと背後を振り向くと、キュアブロッサム・ミラージュは追ってきていない。

そのことに気づくと、ブロッサムはまるで逃げるようにその場から走り出した。

だが、いつの間にか、キュアブロッサム・ミラージュはブロッサムの前に回りこんでいた。

「……あなたはわたしを見なくていい。あなたはわたしから逃げていい。そして……あなたは、弱い自分に立ち向かうことをやめて、そのまま、変わらないままでいてもいい」

悲し気な瞳を向けながら、キュアブロッサム・ミラージュはブロッサムに告げた。

「自分が弱いのは、自分のせいじゃないと……他人(ひと)に甘え続けて!!」

指先に心の花の力をかき集め、刀印を結び、素早く縦一文字に振り下ろすと、その軌跡にそって、心の花の力が衝撃波となってブロッサムに襲い掛かった。

ブロッサムは防御する間もなく、その衝撃波を受けてしまい、背後にあった桜の大樹に背中を叩きつけた。

「くぅっ……うぅ……」

「……もう、わたしとの戦いは諦めなさい。自分は変われないと、認めるのよ!!」

「……わた、しは……」

反論しようと、言葉を紡ごうとした。

だが、キュアブロッサム・ミラージュは、悪魔のささやきのように甘い声でブロッサムに、大丈夫、と告げた。

「お父さんもお母さん、みんなも、そのままのわたしを認めてくれるわ」

変身しなくても、戦わなくても、みんな優しくしてくれる。

たしかに、そうかもしれない。

ブロッサムはそう思った。

けれど、それじゃいけないとも、同時に思っていた。

「それじゃだめなんです……わたしは、シャイで引っ込み思案なわたしが、ただ嫌なだけでした」

立ちあがりながら、ブロッサムはかつて自分が変わりたいと思っていた理由を思い出していた。

ただ、自分が嫌いなだけだった。

けれども。

「けれど、わたしはみんなに出会えました」

ブロッサムの脳裏に浮いてくるのは、いままで出会ってきた同級生や先生、そして、何より。

「強くて優しい、わたしの仲間……わたしは、みんなのことが大好きなんです」

みんながいたから、頑張れた。

みんながいたから、少しずつでも、変わっていけた。そしてこれからも、新しい自分を作っていける。

そう思うだけで、ブロッサムに力が湧いてきた。

キュアブロッサム・ミラージュが地面を蹴り、ブロッサムとの間合いを詰め、攻撃をしかけてきた。

だが、ブロッサムはその攻撃をいなし、キュアブロッサム・ミラージュの背後に回りこんで彼女の手首を捕まえた。

「あなたは、ちょっと前のわたしです。新しく自分を作っていくことに、臆病になっていたわたしなんです……わたし、変わります。チェンジ、するんです」

そう宣言して、ブロッサムは手を離した。

キュアブロッサム・ミラージュは、ブロッサムから間合いを離れ、向き合った。

その瞳には、寂しさのようなものが見えていた。

「……もう、シャイで引っ込み思案なわたしは、いらないのね?」

「いいえ」

キュアブロッサム・ミラージュからの問いかけを、ブロッサムは否定して、そっと彼女を抱きしめた。

「わたしがわたしらしくいるためには、シャイで引っ込み思案なわたしも必要なんです……だから、わたしは、シャイで引っ込み思案な自分も、大好きです」

その言葉に満足したのか、キュアブロッサム・ミラージュはそっと目を閉じ、光へと変わった。

------------------------

プリキュアパレスの外は、デザートデビルとの激戦が繰り広げられていた。

初撃をマリンが与えたのはいいのだが、蛇のように目と口を備えたデザートデビルのしっぽから、太陽光線を圧縮したのかと思われるような光線が発射されると、プリキュアパレスの白亜の壁をいとも簡単に貫通してしまった。

その様子を見ていたマリンとサンシャインは、そのあまりにも大きい威力に呆然としてしまった。

だが、ムーンライトとセイバーがその口を蹴り下ろし、無理やり閉ざさせた。

「プリキュアパレスを守りながら戦うのよ!」

「気を引き締めていかないと、一瞬で焼き肉になるぞ!!」

「こんなときに、嫌なことを言わないで!!プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「事実を言ったまでだろ!ユグドフォルテウェーブ!!」

冗談を言い合いながら、セイバーとムーンライトは蛇の頭にそれぞれフォルテウェーブを叩きつけた。

その一撃で、蛇の頭はつぶれ、光線の発射口が減った。

だが、そんな余裕はいつまでも続くわけがなかった。

二人ですらその体格差で徐々に押されていってしまい、プリキュアパレスの壁に叩きつけられてしまった。

「……あたしたち、試練を乗り越えて、パワーアップしたはずじゃなかったの……?」

「「弱音を吐くのはやめなさい/まだ早いぞ」」

マリンの前に立っているムーンライトとセイバーは同時にそう告げた。

そうしている間にも、ようやく破壊した二つの蛇の頭が再生していった。

「……ちぇっ、もう再生した……」

「やはり、みんなの力が一つにならないとだめみたいね」

セイバーがその再生力に辟易しながらつぶやくと、ムーンライトが薄い笑みを浮かべてそう返した。

つまり、デザートデビルを倒すには、五人そろわなければいけないということだ。

それを理解したサンシャインはマリンを励ました。

「ブロッサムが来るまで、頑張ろ!!」

サンシャインからの声援に、マリンは気合いを入れなおし、コフレに声をかけた。

「コフレ!もう一頑張り、いくよ!!」

「合点ですっ!!」

マリン(相棒)の一声にそう返すと、マリンとコフレは三人に遅れる形で続いた。

そこから少し離れた塔の上には、ピンク色に輝くマントをまとった少女(ブロッサム)が立っていた。

「花よ、輝け!プリキュア!ピンクフォルテウェーブ!!」

ブロッサムが放ったフォルテウェーブは、デザートデビルの顔面に命中した。

フォルテウェーブが飛んできた方向に全員が視線を向けると、ブロッサムがタクトを構えていた。

「お待たせしました!!」

「「……遅かったな/わね」」

セイバーとムーンライトは安心したように微笑みを浮かべたが、ブロッサムにそれを見られまいと背を向け、そう返した。

マリンはようやくやってきたブロッサムに抱き着き、満面の笑顔になっていた。

「いいってことよ!!」

「……さぁ、みんなそろったところで、デザートデビルを倒しましょう!!」

サンシャインが音頭を取ると、デザートデビルが蛇頭のしっぽから大量の光線を吐きだした。

追いかけてくるその光線を、セイバーは回避することなく、背後に浮かんでいる刃のうち、二つをつかみ取り、心の花の力を流し込み、投げつけた。

二つの刃は、意思を持っているかのように動き、セイバーの盾となり、光線を防いだ。

だが、デザートデビルはここで一つのミスを犯した。

セイバーが引きつけ役になっていたおかげで、上空にいたブロッサムたちに注意がむいていなかったのだ。

ゆえに。

「花よ、煌めけ!プリキュア!ブルーフォルテウェーブ!!」

「「花よ、輝け!プリキュア!ピンクフォルテウェーブ/シルバーフォルテウェーブ!!」」

三つのフォルテウェーブが、上空から同時に襲い掛かってきた。

そして、フォルテウェーブが着弾すると、追撃とばかりに、セイバーの背後に立ったサンシャインがシャイニータンバリンを構えた。

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

大量の心の花の光がデザートデビルに襲い掛かってきた。

その猛攻に、さすがの巨体も耐えきれず、わずかながら、体勢が崩れた。

それを見逃すことなく、ムーンライトはサンシャインに声をかけた。

「フォルテッシモよ!!」

「はい!!」

「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

ムーンライトとサンシャインが同時に叫ぶと、心の花の光をまとい、デザートデビルへと向かっていった。

それを見たマリンは羨ましそうにしていた。

「いいなぁ……ムーンライトとフォルテッシモ!!」

「……わたしたちも」

ふと、背後にきたブロッサムが困り顔でマリンに問いかけると、マリンは目をキラキラと輝かせて。

「フォルテッシモする?!」

と問いかけた。

その問いかけに、ブロッサムは微笑みながら、しましょう!!、と返した。

「よーし!いくよーっ!!」

「おーっ!!」

「「集まれ!二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

今度はブロッサムとマリン(いつものコンビ)が心の花の光をまとい、デザートデビルへ向かっていった。

その様子を見送ったセイバーは、やれやれ、と肩をすくめたが、自分だけ置いていかれるというのも面白くないらしく、右手に心の花の力を集め、高速でデザートデビルへと向かっていった。

「心よ、(たけ)り吠えろ!ユグドパワー・フォルテッシモ!!」

轟っ、という音とともに、獅子の頭を象った心の花の光が、二つのフォルテッシモとともにデザートデビルを貫いた。

三つのフォルテッシモを受けたにも関わらず、デザートデビルは健在だったが、大きなダメージを受けたようで、その体は大きく揺らいでいた。

その隙を見逃すほど、ブロッサムたちは甘くはない。

五人は、声をそろえて、ハートキャッチミラージュを呼びだした。

「「「「「ハートキャッチミラージュ!!」」」」」

「いまこそ!」

「「新しい力を試す時ですぅ/ですっ!」」

「パワーアップの種でしゅ!!」

コロンとシプレ、コフレが叫ぶと、ポプリがポシェットからパワーアップの種を取り出し、ハートキャッチミラージュにセットした。

すると、ハートキャッチミラージュから光があふれ、五人を包みこんだ。

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ!大樹の騎士に力を!!」

全員がハートキャッチミラージュに祈ると、鏡面に六つの花が浮かびあがり、光を放った。

すると、ミラージュに取りつけられていたピアスとティアラ、そして羽飾りがブロッサムたちのもとへと飛んでいった。

同時に、ブロッサムたちは白い、ウェディングドレスのようなコスチュームへと変わった。

セイバーもまた、その姿が変わった。

鳶色だった髪は金髪に染まり、ムーンライトと同じか、それ以上に長くなり、緑色の羽飾りで一本にまとめられていた。

そして、胸元には黄、袖口に赤、耳に青の羽飾りが取りつけられ、コスチュームもタキシードのようなものへと変わり、マントも前に掛ける部分がなくなっていた。

そして、その手には、二回り以上は大きくなった、淡い紫に輝く大剣が握られていた。

「「「「世界に広がる、一面の花!ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー!レイディアントシルエット!!」

白く輝く五人の姿に、デザートデビルは脅威を感じたのか、身じろいでいた。

その隙を逃さず、セイバーは心の花の力を右手にまとわせ、デザートデビルに突進した。

右の掌底をデザートデビルに当て、背後へと抜けたセイバーはエターニアハートを脇に構え、心の花の力をエターニアハートに込めた。

「俺のすべてで、悪しきを断つ!!ハートライト・レイクエム!!」

心の花の力を込められ、強い光を放っているエターニアハートが、デザートデビルの背後を襲った。

同時に、ブロッサムたちも四人の心を一つに重ねた。

その瞬間、彼女たちの背後に巨大な女神が姿を現した。

「「「「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ハートキャッチオーケストラ!!」」」」

女神は、まっすぐにデザートデビルへとむかっていき、右手を握りしめ、心の花の力をまとわせ、デザートデビルを頭上から殴りつけた。

すると、デザートデビルの背後に四輪の花が浮かびあがった。

女神がデザートデビルを両手ですくいあげると、花はくるくると回り、デザートデビルを浄化の光で包みこんだ。

消えていくデザートデビルを見守りながら、ゆりはふと口を開いた。

「試練を乗り越えて、気づいたことがあるの」

「うん?」

「砂漠の使徒を倒すには、わたしたちがただ協力するだけではだめ。一人一人が成長し、自立したうえで、そのうえで力を合わせないと」

「……そのために、わたしたちは自分自身と向き合う必要があったんですね」

だが、それは単に戦うということではなかった。

自分の負の一面を受け入れ、本当の自分を見つめ直し、成長することでもあったのだ。

ね、とマリンはブロッサムに微笑みかけると、ブロッサムは微笑みを返した。




あとがきの後日談(スキット風)

えりか「にしても……かっこよかったっしゅ……スーパーシルエット」
ゆり「そうね……ところで、つぼみはなんで赤くなっているのかしら?」
つぼみ「ふぇ?!……い、いいいいいいえ、なななななななんでもないでしゅ///」
いつき「なんでもありそうな感じだけど」(苦笑
シプレ「セイバーのレイディアントシルエットがかっこよかったから思い出して赤くなってるんですぅ!」
つぼみ「し、シプレ??!!」
ゆり「なるほどね……たしかに、かっこよかったとは思うわよ?」
菖「なんか、棘のある言い方だなぁ……」(苦笑
えりか「う~む……あれをタキシードと捉えたら、あたしらはウェディングドレスってことになるのかなぁ……」
コロン「だとしたら、セイバーの花嫁は誰になるのかな?」
つぼみ「は、花嫁ですかぁぁぁぁ??!!///」
ゆり「……コロン、少しからかいすぎよ///」
コロン「そうかな?セイバーはどうお……あれ?」
えりか「菖さんだったら、用事があるからって出てったよ?」
ゆり&コロン「「逃げたわね/ね」」
つぼみ「お、お嫁さん……菖さんの、お嫁さん……」
いつき「つぼみ~?帰っておいで~??」


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セイバーの名乗り、決定です!(スキット風)

時間を置いての連続投稿~。
というわけで、今回はスキットです。
内容はお題の通り。
なお、今後このとおりに幾かどうかは未定ですので、悪しからず。
まぁ、細かい説明はいいので、さっさと本編にどうぞ。


えりか「ねぇ、いつも思ってたんだけどさぁ……」

菖「うん?」

えりか「菖さん、なんでセイバーに変身するときに名乗らないの??レディアントシルエットの時は名乗ったじゃん」

いつき「そういえば……」

つぼみ「そうですね」

ゆり「確かに、彼、一度も名乗ったことがないわね……騎士として、それはどうなの?」

菖「騎士だから名乗らないといけないってルールもないと思うけど?」

コロン「珍しく揚げ足をとるねぇ……」

シプレ「けど、一人だけ仲間外れはなんだか寂しいですぅ」

コフレ「チームとしてもどうかと思うですっ!」

ポプリ「やっぱり、セイバーにも名乗りは必要だと思いましゅ!!」

菖以外全員『Yes!』

菖「えぇ~……ていうか、それのぞみたちの……」

つぼみ「というわけで、どんな名乗りがいいと思いますか?!」

えりか「そうだなぁ……はっ!こんなのはどう?!」

菖「……すっごく嫌な予感……」

えりか「じょうちゃ……」

菖「はい、却下!!」

えりか「え~……」

ゆり「え~、じゃないわよ。えりか。さすがにそれはまずいわ」

えりか「そんじゃ、じゅうk……」

菖「それもだめ」

えりか「え~」(―Δ―

つぼみ「あ、あのぉ……僭越ながら……」

ゆり「あら、つぼみはなにか浮かんだのかしら?」

つぼみ「はい。『スタートアップ!ユグドセイバー!!』なんていうのはどうでしょう?」

いつき「う~ん、言いやすそうだけど……」

ゆり「ちょっとひねりがない気もするわね……」

つぼみ「……そうですか」(´・ω・`)

いつき「けど、悪くないと思うから、第一候補だね」

菖「候補になった……」

ゆり「それじゃ、ほかのも作らないとね……」

いつき「う~ん……『いざ、参る!』なんていうのは、ちょっと違う気がするし……」

えりか「侍だったらそれでもいいと思うけどねぇ」

ゆり「いっそ、『ユグドパワー!メイク・アップ!!』なんていうのはどうかしら?」

ゆり以外『いや、だめですよ/だろ!!』

ゆり「冗談よ」

ゆり以外『冗談なのかよ/なんですか/なんしゅか?!』

ゆり「さ、早く決めちゃいましょ?」

ゆり以外『そして華麗にスルーした……/しやがった……』

菖「ん~……しかしなぁ、古代語でいくつかあるけど、どれもよさげなのがないんだよなぁ……」

つぼみ「古代語、ですか?」

菖「そ。たとえば、最近知ったのだと、『ルウィーユ・フィルク』とか『アクリア・ルズローシヴ』とか」

いつき「どんな意味なんですか?」

菖「『ルウィーユ・フィルク』は『穢れなき約束の翼』で、『アクリア・ルズローシヴ』は『水の執行者』なんだって」

えりか「うぅ……頭が痛いっしゅ……」

ゆり「なら、いっそ古代語で作ってみるのはどうかしら?」

菖「う~ん……いや、みんなが言ってる『オープンマイハート』は英語だから、そっちに合わせるよ」

ゆり「あらそう?」

つぼみ「う~ん、とすると……」

菖「そうだなぁ……『心力(しんりき)解放!ユグドセイバー、スタートアップ!』とか?ちょっとつぼみのアイデアもらったけど」

えりか「お~!かっちょいい!!」

ゆり「で、変身が終わったら、『大樹の騎士!ユグドセイバー!!』かしら?」

菖「まぁ、それが妥当だろうなぁ……」

えりか「それじゃ、さっそく試してみようよ!!」

コフレ「えりかは気が早すぎですっ!」

コロン「善は急げ、ともいうけど、確かに少し節操がない気も……」

ゆり「あら?いいんじゃない??」

いつき「僕も興味があるし!!」

つぼみ「はい!」

シプレ「つぼみといつきだけじゃなくて、ゆりさんまで乗り気ですぅ……」

ポプリ「面白そうだから、ポプリは大賛成でしゅ!!」

コロン「……やれやれだね……」

菖「はぁ……やるか」

つぼみ「それでは……シプレ、お願いします!」

えりか「コフレ!」

いつき「ポプリ!!」

ゆり「コロン、お願い」

妖精たち「「「「プリキュアの種、いくですぅ/いくですっ/いくでしゅ/いくぞ!!」」」」

つぼみたち「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

~全員変身~

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト「「「「ハートキャッチ!プリキュア!」」」」

マリン「……って!なんで、最後はいっしょじゃないのよぉぉぉぉぉぉっ??!!」

セイバー「だから、俺、プリキュアじゃないってば……」

コロン「……妙なところでこだわるね、君は……」(苦笑

ムーンライト「まぁ、そこがセイバーらしいのだけれどね」(微笑




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

マリン「そういえば、セイバーって、ムーンライトと一緒に戦ってたんですよね?そのときから名乗りはなかったんですか?」
ムーンライト「……そういえば、そうだったわね」
マリン「なんと?!」
ムーンライト「理由は確か……名乗りなんて(こんな)こっぱずかしいことやってられるか、だったかしら?」
セイバー「概ね、間違ってないな」
中学生組「「「なにその子供っぽい理由……」」」
セイバー「いや、ほんとうのことなんだけどな……けど、ムーンライトはよく恥ずかし気もなく名乗れたよな?」
ムーンライト「……まぁ、わたしもあのときは幼かったのよ……今でも少し恥ずかしいのだもの」
ムーンライト以外全員『あ、やっぱり恥ずかしいんだ……』


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気になります!菖さんがムーンライトの正体を知った日!

昔語りです。
菖がムーンライトの正体を知った日の物語ですかね。
現在と二年前の回想が入り混じりますが、時系列が変化する際は「----」と「~~」で時間軸を区切ってますので、大丈夫とは思いますが、わかりずらかったらごめんなさい。
なお、二年前の話は小説をベースにしていますが、オリジナルも混ざっております。
ご了承ください。


「そういえば、思ったんだけど……」

いつもの休日、いつもの昼下がり。

いつものように、植物園の温室に集まって、お茶会をしていたつぼみたちだったが、ふと、えりかが思い出したかのようにゆりと菖に視線を向けた。

「菖さんっていつゆりさんがプリキュアだってことを知ったの??」

「そういえば……」

「そうだよね……」

えりかの疑問に、つぼみといつきは同意した。

ゆりにしても、菖にしても、あまり自分のことを話さないため、つぼみたちは二人が幼馴染であり、自分たちがプリキュアになる以前に戦っていた頼れる先輩であることしか知らないのだ。

「あぁ……話したことなかった……かな?」

「そういえば、そうね……」

今の今まで忘れていた、という態度で二人そろって顔を見合わせた。

その様子に、休憩中の薫子がくすくすと微笑みを浮かべた。

「それなら、いい機会だから話してあげたらどうかしら?」

「僕もそれに賛成だね」

薫子の言葉に、ゆりと菖の間に浮かんでいたコロンが反応し、同意した。

コロンのその反応に、ゆりは困惑しながら菖のほうへ視線を向けた。

向けられた本人は、俺にどうしろと、と困ったような笑みを浮かべ、そっとため息をついた。

「ゆりのことはゆり本人から聞いてくれ。俺が話すのは、俺のことだけだぞ?」

「「「それでも構いません/構わないっしゅ!!」」」

「……ほんと、お前ら仲いいよなぁ……」

菖の言葉に、つぼみたちは目を輝かせながら同時に口を開いた。

菖はそっとため息をついて、手にしているティーカップを口もとに運んだ。

ティーカップに入っていたダージリンを飲んで一息つくと、菖は笑みを浮かべながら口を開いた。

「……話をしよう。あれはいまから三十六万……一万四千年前だったか……?」

「そ、そんな昔の話なんですか?!」

菖の言葉に、つぼみは目を見開いて反応した。

だが、それはつぼみが純粋すぎるがゆえの反応であり、えりかといつきは苦笑しながら、ないない、と手を左右に振っていた。

菖の悪ふざけに、ゆりはそっとため息をつき、いい加減になさい、と静かに言い放ち、菖を威圧した。

もっとも、菖はその威圧を飄々と受け流していたのだが。

「あなた、どこかの黒スーツの男の人にでもなったつもり?」

「そのうち、指パッチンしたら時間を止められるようになったりしてな?」

「冗談はそれくらいにして、本題に入ってもらえないかしら?」

「あぁ、ごめん。そうだな、ここからは本題だ」

そう言って、菖は本当のことを、二年前に自分に起きた出来事を話し始めた。

------------------------

~二年前~

菖はその日、ゆりとともに植物園に来ていた。

当時、菖とゆりは明堂学園の中等部二年生だったが、ゆりの父親、月影英明氏はすでに失踪していた。

月影博士は、薫子とともに心の大樹についての研究プロジェクトを進めていたのだが、パリ郊外へ向かってから、音信不通となってしまった。

失踪した月影博士の手がかりについては、薫子も国際警察(インターポール)に連絡し、情報を集めていたのだが、手がかりらしい手がかりはつかめていなかった。

ゆりは、もしかしたら薫子なら何か知っているのではないかと藁にも縋る気持ちで薫子を訪ねてきたのだ。

なお、菖の両親は考古学者で、世界各地の遺跡の調査に同行したり、大学で臨時講師を受けもったりすることもあったりと、世界中を飛び回っているため、何か手がかりがないか、探してみるとのことだった。

なお、ゆりが菖をここに連れてきたのは、菖の口から、月影博士のことを何か聞けないかと思ったからだ。

だが。

「……そう、おじさまもおばさまも」

「うん。探しているんだけど……変な期待させちゃって、ごめん」

ダージリンを振る舞われながら、菖はゆりに謝罪した。

なお、菖の父親と月影博士は同じ大学の出身で、学部こそ違うが親友同士だった。

そのため、海外で仕事をしていた菖の父親は、一時期、自分が心の大樹の記述があった碑文を見つけなければ、と悔やんでいたこともある。

その後悔の想いからか、今は某アメリカ映画の考古学者よろしく、世界各地の遺跡を冒険しながら月影博士の行方を追っているのだ。

ゆりは、謝罪する菖に対して首を振って返した。

「ううん。協力してくれているんだもの。それだけでも感謝しなくちゃ。それに、案外、心の大樹を見つけて、研究に没頭しているだけかもしれないもの」

「……おじさんだったらありえそうだな」

幼いころから、月影博士を知っている菖は、ゆりが話す光景をありありと思い浮かべることができた。

それは薫子も同じだったようで、菖と一緒になって苦笑を浮かべていた。

ふと、菖の耳にこの場にいる人のものではない声が響いてきた。

「……??ゆり、薫子さん。何か言いました??」

「いいえ?」

「何も言ってないわよ??」

「……すみません、空耳だったみたいです」

二人の反応を見て、菖は微苦笑を浮かべてそう返したが、視線だけは一か所に向かっていた。

そこには、巨大なオランウータンのようなぬいぐるみが鎮座していた。

なお、このぬいぐるみがあることから、菖たちがいるこの場所は、ぬいぐるみ館とも呼ばれていることは、希望ヶ花市に住んでいる人ならば誰もが知っていることだ。

――まさかな

菖は心中でそうつぶやき、ティーカップに視線を戻した。

この声が、のちに自分と契約を交わすことになる心の大樹の声だということに、この時の菖はまだ気づいていなかった。

そして、ゆりもまた、パートナーとなるコロンが自分を見つけたのもこの時だということを知らなかった。

 

それから一週間ほどの時間が経過した。

ゆりと菖は幼馴染同士ということもあり、登校と昼休みはだいたい一緒に過ごしている。

もっとも、そのなかに来海ももかという、ゆりの親友が加わるのだが。

この日は、珍しくももかが一日中仕事がなく、朝から登校していたため、三人でお昼を食べていたのだが。

「「視線を感じる?」」

「えぇ……この一週間、ほとんどずっと」

ゆりがいきなり物騒な話題を切りだしてきた。

どうやら、この一週間、学校や自宅、はては買い物のときでさえ、どこかから視線を感じるのだという。

なお、ゆりを見ていたのはコロンなのだが、この時のゆりと菖はそのことを知る由もなかった。

「……ストーカー?」

「だったらゴミとかあさられてる可能性あるけど、聞かないからなぁ……」

ももかの言葉に、菖は可能性は低いことを示唆した。

ストーカーならば、ゆりとほとんどの時間を一緒に過ごしている(男子)にも何かしらの被害が出るはずだが、今のところは何も起きていないため、その可能性は低いと考えたようだ。

「けど、わたしなんかをつけ回して何が面白いのかしら?」

「いやぁ、ゆりは美人だからなぁ……案外、ゆりが好きな男の子だったりして?」

ももかがにやにやと笑みを浮かべながら、ゆりの言葉に返した。

明堂学園は中等部も高等部もレベルが高い生徒が多いのだが、ももかとゆりは中等部のクラスでもツートップであるため、その可能性はなきにしもあらずなのだ。

もっとも、ゆりはその自覚がないらしく。

「そんなことないわよ。というか、こんな地味な子を好きになる物好きなんて、菖くらいなものなんじゃないの?」

「……おいおい」

遠回しに自分が変わり者呼ばわりされたことに、菖は苦笑を浮かべながら文句を言った。

もっとも、ゆりとしては菖以外の男子はあまり意識したことがないのだが。

それはそれとして。

「で、どうする?もし必要なら、登下校中だけでも一緒にいるけど?」

「そこまで大げさにしなくても大丈夫よ」

そう言って、ゆりは菖の申し出を断った。

------------------------

~現代~

「ゆ、ゆりさんにストーカーですかぁぁぁぁぁっ?!」

「乙女の敵っしゅ!!」

「そんな卑劣漢、ゆるせない!!」

菖のここまでの話をきいて、つぼみたちは憤慨した。

憧れのゆりにストーカーがつきまとっていたという事実に憤慨したようだ。

その様子に、コロン(ストーカー本人)は冷や汗を伝わせていた。

その姿を見ていたゆりと菖は、ざまぁ見ろ、とでも言いたそうな顔をしていた。

「続けるぞ?」

「「「あ、はい」」」

------------------------

~二年前~

ゆりからストーカー被害の報告を受けてから二週間。

特に問題が起きたということはなく、ゆりからも視線を感じなくなったという報告を受けたので、菖もそれ以上、何も追及することはなく、いつもと変わらない日々が続いていく……はずだった。

変わったことといえば、ゆりがファンシーショップで買った、というぬいぐるみをよく持ってくるようになったことだ。

菖はそのぬいぐるみに違和感を覚えたのだが、あまり追求しなかった。

そして、菖の人生が大きく変わったのは、ちょうどその時だった。

 

その日、菖は祭り囃子の練習で近所の森に来ていた。

本来なら、人が来ることもないため、一人で練習するにはもってこいの場所なのだが、その日は珍客がいた。

「……なんだ、これ……」

菖の眼の前には奇妙な面構えの怪人たちがいた。

「キー?」

「キー、キーキキ、キキッキー!」

「……あ、これあかんわ……」

怪人たちは菖の姿を見つけるなり、自分たちの存在を知ったからには生かして返さん、とでも言いたいかのような面構えで襲い掛かってきた。

襲い掛かってきたのだが。

「はぁっ!!」

『キーッ??!!』

向かってくる怪人たちを菖は掌底や蹴り、手刀で迎え撃ち、圧勝していた。

怪人たちは菖の圧倒的な強さにおびえ、逃げだし始めていた。

去るもの追わず、という態度で、菖はそっと息をついたが、その顔はすぐにこわばった。

すぐ近くで、何か嫌なものが生まれた。

そんな感覚が襲い掛かってきたのだ。

「なっ?!なんだ、これ……」

菖は気配が強く感じられた場所へと走った。

すると、そこには赤い長髪の男と、その男の倍はある大きさの怪物。

そして、そこから少し離れた場所に立つ、幼馴染の姿だった。

------------------------

~現代~

「なるほど、そこで君はムーンライトが変身するところを見たというわけだね?」

ここまでの話を聞いて、コロンはようやく口を開いた。

その表情は、どこか呆れたとでも言いたそうなものだった。

それは、隣に座っているゆりも同じだった。

「まったく……あなたの好奇心の強さというか、怖いもの知らずは知っている人からしたら冷や汗ものよ?」

「ははは……」

二人からじとっとした視線を向けられ、菖は苦笑を浮かべた。

もっとも、ゆりのその態度は菖を気遣ってのものであることを、誰よりも本人が気づいているため、下手に反論することはしなかった。

「それで、クモジャキーが作ったデザトリアンを退治したあと、菖さんは植物園に行ったんですか?」

つぼみがその後の展開が気になるのか、菖に問いかけた。

「あぁ。そこで、コロンとコッペ様の存在を知って……俺の耳に聞こえていた幻聴の正体を知ることが出来たんだ」

「幻聴?……そんなもの、あなた話したことなかったと思うのだけれど?」

「口ではどうこう言っても、俺の身にも何かあるって知ったら、お前は気が気じゃなくなるだろ?」

ゆりの質問に、菖は苦笑しながら返した。

要するに、彼なりにゆりに気を使ったということだ。

もっとも、菖の場合は体質の問題もあるため、そういうことを滅多に口にしないということもあったのだが。

「それで、幻聴の正体って?」

菖とゆりの会話にえりかが口をはさんだ。

えりかのその一言で、菖は再びそのあと、自分に起こった出来事を話し始めた。

------------------------

~二年前~

ゆりがムーンライトに変身する姿を見てしまった菖は、戦闘が終わるとゆりに連れられて、植物園のぬいぐるみ館に来た。

そこには、深刻な表情を浮かべている薫子の姿があった。

薫子とゆりから、菖は大体の事情を聞いた。

だが、あまり衝撃は受けていなかった。いや、むしろ好奇心の方が強いようにも思えた。

なぜなら。

「まさか、実在していたなんて……」

「知っていたの?プリキュアのことを?!」

ゆりは驚愕して、思わず菖に詰め寄った。

プリキュアの存在は、ゆりですらつい最近、薫子から聞かされて知ったのだ。

だというのに、菖の口ぶりはまるで昔から知っていたかのようなものだったため、無理もない。

「うん……遺跡の碑文に、ね」

「そんな遺跡、学校で習ったことな……あぁ、そうね……」

ゆりは反論しかけて、やめた。

菖の両親は考古学者。そして、菖もその血を受け継いでいるのか、学校で習う範囲の外にある遺跡についても見識が深く、授業中、教師を泣かせることもしばしばあった。

となれば、菖の遺跡に関する知識の中にプリキュアの存在を示すものがあっても、おかしくはない。

ゆりはそこまで思い至り、顔を伏せた。

「……できれば、菖には知られたくはなかった。だって……」

「だって?」

「あなた、絶対にこういうもの……『ほっとけない』って」

「まぁ……言わない自信がないな」

菖は困ったような笑みを浮かべながら返した。

困っている人がいたら、放っておけない。それだけ菖は人が好い。

だからこそ、ゆりは菖にだけは黙っていたかった。

「……あなたが傷ついたら、わたしは何のために戦うのかわからなくなってしまうもの……」

「それでも、俺はほっとけない……ゆりが戦っているのを知ってて、見て見ぬふりなんて俺にはできない」

菖ははっきりとそう言った。

その瞳に宿る強い意志を、コロンは感じ取った。

それと同時に、残念にも思っていた。

もし、菖が女の子だったら、そして、自分のほかに仲間の妖精がいたのなら、と。

だが、コロンのその考えを否定する声が聞こえてきた。

《コロン、そんなことを思ってはいけませんよ?》

「心の大樹?!」

「またこの声か……」

コロンが心の大樹の声に驚愕すると、菖は眉をひそめてつぶやいた。

そのつぶやきが聞こえたコロンは目を見開いて、菖に問いかけた。

「菖、君はいまの声が聞こえたのかい?!」

「うん?ここ数日、何度か聞いてるよ……幽霊なのかと思って無視してたけど」

《あの、わたしは幽霊ではありませんよ?》

「幽霊って……言い得て妙だね、それは……」

菖の言葉に、コロンと謎の声が同時に返してきた。

------------------------

~現在~

「それが、俺と心の大樹のファーストコンタクトだったわけだ。それから、俺は心の大樹から"大樹の騎士(ユグドセイバー)"のことを聞いて、心の大樹と契約をしたってわけ」

菖はそこまで語って、ティーカップの紅茶を口に運んだ。

ファーストコンタクトについてのくだりを聞いた中学生組は、ぽかんとしていた。

「心の大樹が……」

「ゆ、幽霊ですか……」

「それは、なんというか……」

反応に困っているようだ。

もっとも、心の大樹から生まれた妖精たちは。

「「「扱いがひどいですぅ/ですっ/でしゅ!!」」」

と憤慨していた。

菖はシプレたちのその様子に、同じことをコロンにも言われたよ、と苦笑を浮かべた。

「しかたないだろ?俺、そういう体質なんだから」

「それって……」

「……あぁ……」

「……わ、わたしは何も知りません、何も聞いてません……」

菖がいわゆる視える体質であることを知らないいつきは疑問符を浮かべたが、他のメンバーはそれで納得できてしまった。

なお、納得されてしまった菖は、それもそれでなんだかなぁ、と心中でつぶやいていたのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ゆり「そういえば、菖。言い忘れていたわ」
菖「なんだ?」
ゆり「ありがとう。あのとき、わたしを心配してくれて」
菖「あの時?……あぁ、ストーカーのことか」
ゆり「えぇ」
中学生組「「「そ、そういえばそうでした!!結局、ゆりさんのストーカーはどうなったんですか??!!」」」
菖「……食いつきすげぇ……」
ゆり「無事に退散したわよ」
コロン「それはよかった」
シプレ「どの口がいってるですぅ?」
コフレ「シプレここは話さない方が身のためです!」
つぼみ「どういうことですか?」
えりか「さてはあんたら、何か知ってるね?」
シプレ、コフレ「「な、何のことだかまったくわからないですぅ/です!コロンがゆりさんがプリキュアにふさわしいかどうか調べるためにしばらくあとをつけていたなんてことは……」」
菖「……二人とも、ばらしてる」
シプレ、コフレ「「はっ!!」」
ゆり「コロンの名誉のために黙っていたのに……あなたたちのおかげでだいなしね」
コロン「シプレ、コフレ。あとでじっくり、O・HA・NA・SI、しようか?」
シプレ、コフレ「「コロン、目が怖いですぅ/です!」」
ゆり、菖「「二人とも、自業自得よ/だ」」


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花の都でファッションショー、ですか?!~邂逅:パリと不思議な男の子~

まぁ、タイトルの通りです。
劇場版のストーリーを、菖を交えたオリジナル展開を加えつつ、といった感じです。
一応、「邂逅」、「対話」、「激突」というサブタイトルで三部構成を予定しています。
大まかな展開としては……

「邂逅」=オープニング~オリヴィエとの邂逅
「対話」=オリヴィエとプリキュアの対話~オリヴィエ離脱
「激突」=最終決戦~エンディング

といった感じです。
なお、菖について補足がありますので、それはあとがきにて。
まずは本編をどうぞ。
(なお、あとがき代わりのスキットはございません。気が向いたら、後日、「パリでの一幕」ということでまとめたものを投稿いたします)

余談ですが、このお話でこのシリーズも通算30話目に突入しました。
さてさて、どこまでのびるのやら(汗
これからもよろしくお願いいたします。


日本を離れ、西へ向かうこと、およそ12000キロ。

そこは江戸とならび”花の都”と称されるフランスの首都パリ。

深夜、パリのシンボルとも言えるエッフェル塔の上で、二人の人影が佇んでいた。

「おぉ!麗しの都、パリよ!我々は帰ってきたぞ!!」

シルクハットにステッキという出で立ちをした、左目を仮面で隠している男が芝居じみた口調で高らかに口を開くと、その顔には笑みがこぼれていた。

だが、その眼は決して笑ってはいない。

何か不愉快なものを見るような、そんな視線を街に向けていた。

「砂漠の王にキュアアンジェ、世界は本当に憎らしいものであふれているな……だが、幸運なことに、月が満ちるまであとわずか」

男は手にしたステッキの持ち手にある紅に輝く宝玉を前にかざした。

「失われた力も、ここにある!今度こそ、この世界を破壊する!!はははははははは!!!」

満月まであとわずかという程度にかけた月と、それに負けないほどに強く輝く星空を仰ぎながら、男は高笑いしていた。

だが、傍らにいた彼の腰より少し高い程度の人影がその杖にあった宝玉を奪い取った。

男は宝玉を奪った少年に視線を向け、問いかけた。

「何をしている、ルー・ガルー?それを返しなさい」

ルー・ガルー、狼男と呼ばれた少年は髪の毛を青白く輝かせながら、金色の瞳を男に向け、嫌だ、と強く否定した。

「力も戻ったし、もう十分だろう?!世界を破壊するなんてやめてよ!お願いだ、男爵!!」

少年――ルー・ガルーは必死に訴えるが、男爵と呼ばれた男はまったく聞く耳を持たず、ただ、それを返せ、と命じた。

すると、男爵の背後に、無数の蝙蝠が姿を現した。だが、よく見るとその顔は、砂漠の使徒の戦闘員、スナッキーのものだった。

男爵が一言、スナッキーたちに命じると、スナッキーたちは奇声を上げながら、一斉にルー・ガルーに向かって突進していった。

大量のスナッキーの突撃を受け、ルー・ガルーはなすすべなく、エッフェル塔から落下した。

――どうしてわかってくれないんだ?!……父さん!!

落下する中で、ルー・ガルーは、なぜ男爵が自分の想いをわかってくれないのか、心のうちで悲痛な叫びを上げていた。

------------------------

パリのシンボル、エッフェル塔が見える広場で、えりかがエッフェル塔を手の乗せるようなポーズを取っていた。

えりかから少し離れた位置では、つぼみがカメラを構えていた。

「あぁ、そこです!!」

パシャリ、とつぼみがシャッターを押すと、ちょうど、えりかの手のひらの上にエッフェル塔が乗っているという、トリック写真ができあがった。

「いい感じです!!それでは、もう一枚!!」

「フランスっぽいなぁ……」

「はい!本やテレビで観るより、ずーっと素敵です!!」

いつきが周囲を眺めながらそうつぶやくと、つぼみは満面の笑顔で返した。

少し離れた場所には、ゆりが地図を片手にももかと道順を確認していた。

ふと、つぼみが周囲を見渡すが、菖の姿だけ見当たらない。

「……そういえば、菖さんは?」

「さぁ?」

「どーこ行ったんだろ?……まさか迷子なんてことないだろうし……」

中学生組は顔を見合わせ、顔を青くしていると、ゆりが、大丈夫よ、と声をかけてきた。

「彼の両親、いまパリの大学にいるらしいから、顔を見せにいくそうよ?たぶん、ついでに講義を受けに行くんじゃないかしら?」

「……それはそれで困るっしゅ……」

菖の行動パターンを読んでいるかのような言葉に、えりかはげんなりとしながら返した。

だが、そこはゆりに次ぐ優等生である菖のこと。

自分がどこのモーテルに宿泊するのかと、遺跡探索に参加する可能性があるかどうかを事前にメールしていた。

なお、メールはつぼみたちにも送られていたのだが、まだ確認していなかったようだ。

「そういえば、お父さんから聞いたんだけど、最近、『出る』らしいよ?」

「出るって、何が?」

「狼男ぉ!!」

「狼男って、伝説の??」

えりかは目を吊り上げ、犬歯をむきながら、つぼみの問いかけに答えた。

その答えにおびえるつぼみとは対照的に、いつきは口にしていたカプチーノのストローから口を放し、えりかに確認した。

その問いかけに、えりかは短く返し、最近、夜のパリに徘徊している少年の特徴を話した。

つぼみはえりかの口から次々に飛び出てくる狼男の特徴に、青い顔でびくびくしていた。

その様子に気づいたえりかは、にやりと笑いながら。

「つぼみ、もしかして怖いの?」

と問いかけた。

その問いかけに、妙な意地を張ってしまったつぼみは、怖くないと頑なに否定したが、いつきがふと何かに気づいたように指をさし、狼男、と叫んだ。

すると、当然、怖がりのつぼみはひどくおびえた。

「ひぃっ!!ど、ど、どこですかぁ??!!」

「嘘だよ~」

いつきはいたずら小僧のように笑いながら、つぼみの前にしゃがみこみ、カメラを構えた。

えりかはしゃがみこんでいるつぼみと肩をならべ、満面の笑顔でピースサインをむけていた。

ぱしゃり、とシャッターを切る音がすると、つぼみはようやくからかわれていたということに気づき、半泣きになりながら。

「ひどいですーーーーーーーーーーっ!!」

と憤慨した。

すると、えりかたちの耳に聞きなれた声が聞こえてきた。

「公共の場で大声を出すのはマナー違反ですよ?お嬢さん(マドモアゼル)

「ひゃひぃっ??!!……って、菖さん!!」

「お~、菖さんだ!ボンジュー」

「や、みんな」

そこには、いつもの青いシャツに黒いジャケットとチノパンを着た菖の姿があった。

その手には、英語で書かれた本が何冊かあった。

どうやら、考古学関連の書籍らしい。

「大学に行ってたんじゃなかったの?」

「講義は終わったんですか?」

「ていうか、菖さん、その本、読めるの?」

えりかを筆頭に、菖への質問攻撃が始まったが、その様子を見かねたゆりがため息交じりに口を開いた。

「……いっぺんに質問すると、菖が答えられないでしょ?少しは考えなさい」

「「「ごめんなさい/ちゃい」」」

さすがにゆりにお説教されて、つぼみたちも反省したようだ。

すっかりしおれた様子に、菖は苦笑を禁じえなかった。

------------------------

つぼみが落ち着きを取り戻し、菖と思わぬ形での合流を果たすと、再びパリ市内を散策し、やがて先ほどとはまた別の広場にたどり着いた。

広場を行き交う女性たちのファッションに、えりかは手にしたカメラをビデオモードにして撮影をしていた。

「おぉ……みんなすごくおしゃれ!」

「ファッションの町なんだし、当然じゃないかな?」

「いいえ!パリといえば、『花の都』なんですよぉぉぉぉぉぉ!!」

えりかがもらした感想に、いつきが返すと、つぼみは不満全開の顔でえりかに詰め寄った。

「な、なんなのよ、いったい?!」

突然、詰め寄られたえりかはつぼみの豹変ぶりに驚愕した。

その問いかけに、つぼみはうっとりとしながら答えた。

「花の都というからには、町中が色とりどりの花であふれていて、それはそれは素敵な……」

「……全然、そんな感じしないけど?」

「まぁ、秋だし仕方ないんじゃない?」

つぼみの言葉に、いつきとえりかは周囲を見渡しながらそう返した。

なお、花の都とは、花のように華やかな都、という意味であり、決してつぼみが解釈したように色とりどりの花であふれているという意味ではない。

もっとも、つぼみがそれをわかっているはずもなく。

「わたし、探してきます!」

と言い、その場から走り去っていった。

なお、この時、菖とゆりは三人の近くにはおらず、少し離れた場所にあるカフェで、二人の壮年の男女ともにお茶会をしていた。

その男女が菖の両親であることは言うまでもない。

------------------------

それから数十分。

えりかといつきから、つぼみがどこかに行ってしまったという報告を聞いた菖とゆりは、つぼみ探しはえりかといつきに任せ、一足先にアパートへ戻って、桜子の手伝いをしていた。

しかし、つぼみを心配していないわけではなかった。

「大丈夫かしら?あの子たち」

「まぁ、携帯で連絡取り合うことにしてるから、大丈夫だと思うけど。それに、何かあればコロンが気づくだろ?」

そう言って、桜子の手伝いをてきぱきとこなしていた。

すると、二人の耳につぼみとえりか、いつきの三人の声が届いた。

「おかえり。ずいぶんかか……」

「おかえりなさい。ずいぶん遠くまで……」

菖とゆりが出迎えながら少し小言を言おうかとおもったが、玄関にいた三人の姿を見て、それをやめた。

つぼみといつきに抱えられるようにして、ぼろぼろの状態の少年が気を失っていたためだ。

「すぐ、二階のベッドに」

「薬箱、取ってくる」

意外にも冷静な二人にそう指示され、つぼみたちは少年を二階の空き部屋へと運び、寝かせた。

 

その時、少年――ルー・ガルーは夢を見ていた。

それは、かつて自分が教会で大天使ミカエルに祈りを捧げていたときのもの。

自分が、父と呼ぶ男、サラマンダー男爵と初めて出会った時の記憶だった。

『ねぇ、お願い聞いてくれるんでしょ?』

『あぁ……まぁ、とりあえず、言うだけ言ってみろ』

『あのね、ぼく、パパとママがほしい!』

『なんだ?そんなの、俺だって持ってねぇぞ』

『えー?!』

『まぁ、なんなら一緒に探すか』

手をつなぎながら、サラマンダーが閉じ込められていたという不思議な空間の出口へ向かいながら、幼いルー・ガルーとサラマンダーはそんなやりとりをしていた。




菖の設定:補足

~「菖の両親」~
父母、ともに考古学者で現在は世界各地の遺跡調査の手伝いや臨時の講義を行っている。
夫婦仲がいいため、二人一緒に同じく国に滞在している。
菖が中学生に上がるまでは、夏休みや冬休みになると、菖を連れまわし、一緒に遺跡調査を行っていたこともある。
なお、その影響で、菖も日常会話程度ならヨーロッパの言語は話すことができるし、英語の学術書(考古学限定)を読むことができる。
作中では大学の講義のため、パリに滞在することとなり、菖とゆり、ももかと合流したときはものすごく驚いたとか。
登場しないシーンでは、菖がファッションショーのモデル(手伝いということはわかっている)に出ることを知り、休みをもぎ取るために全力で働いているようである。


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花の都でファッションショー、ですか?!~対話:少女たちの心のうち~

長くなってしまった……
いつもの倍以上はあるよ、今回……
次回は少し省くかも。
まぁ、ひとまず本編どうぞ。

なお、菖とオリヴィエのやり取りがほとんどないのは、菖自身がオリヴィエなら自分の納得する答えを出すだろうと思っていたからってのと、大学の講義でほとんどいなかったからですw
それから、今回もあとがき代わりのスキットはございません、あしからず(苦笑


ルー・ガルーが目を覚ますと、つぼみの顔が飛びこんできた。

つぼみの人の好さに辟易していたルー・ガルーは、いい加減にしてくれ、とでも言いたそうな顔で口を開いた。

「またあんたか……」

「見た目によらず、口が悪いね」

ベッドに寄りかかりながら、えりかがそう話すが、ルー・ガルーはそれを無視して、自分がいまどこにいるのか問いかけた。

「ここは……」

「わたしたちがお世話になっているアパートですから、安心してください」

つぼみがそう答えると、ルー・ガルーは体を起こしてベッドから抜け出そうとした。

だが、それをいつきが止めた。

「かなり疲れがたまっている。無理しない方がいい」

そう言われ、ルー・ガルーの動きは止まったが、その視線は、ベッドのすぐ隣に置かれている小さな机の上にある、紅い結晶にむいていた。

それを狙っている男が、いつここに来るかもわからない。

だから。

「……助けてくれたことには、感謝してる。でも、俺とあんたたちは他人同士だ」

これ以上、迷惑はかけられない。

そう言おうとした瞬間、白い指がルー・ガルーの頬に突き刺さった。

指の主がいる方向へ視線を向けると、えりかの顔がアップになって入りこんできた。

「あたし、来海えりか。ファッションに興味がある十四歳の女の子!よろしく!!」

「僕は明堂院いつき」

「わたしは花咲つぼみです。まだ、自己紹介してませんでしたね」

つぼみとルー・ガルーは、つぼみがパリに咲く花を求めて走り回ってるときに出会った仲ではあるが、確かに、いままで自己紹介はしていなかった。

名前を聞かれて、ルー・ガルーはつぼみから視線をそらしながら。

「……ルー・ガルー」

と静かに名乗った。

その名前に、変わった名前ね、という返しが聞こえた。

声がした方へ視線を向けると、水を持っているゆりとドアに寄りかかっているももか、そして、開かれたドアに背を預けて立っている菖の姿があった。

ルー・ガルー(狼男)か。本名だとしたら、名付けた親は悪趣味通りこして変わり者だな」

「……人の名前にケチつけるなよ。ま、本名じゃないんだけど」

「そっか、そりゃ悪かった」

名前の意味を知っていた菖からの一言に、ルー・ガルーは半眼になりながら言い返したが、返された菖は人懐っこい笑みを浮かべながら、素直に謝罪してきた。

あまりに素直すぎて、ルー・ガルーはそれ以上、何も言い返すことができなかった。

ふと、サイドテーブルに持ってきた水を置いたゆりがしゃがみこみ、ルー・ガルーに視線を合わせてきた。

「疲れていれば、大人だって休むし、困ったときは人にも頼るわ。あなたには休息が必要よ」

そういって、顔にかかった髪をそっとたくし上げて、自分も名乗った。

「……月影ゆりよ」

「えりかの姉の、ももか!よろしく!!」

「俺は春川菖、よろしく」

高校生三人組が自己紹介すると、つぼみは両手を合わせて、自分たちはもう知り合いだ、と結論付けた。

だが、ルー・ガルーはそれでも頑なに、無理だよ、と返した。

その様子を見たももかが、何かを思い出したように、そういえば、と口を開いた。

「あー、そういえば……ママがもう一人、男の子のモデルを探してたなぁ」

そういうわけで、ももかとえりかの母であり、今回のパリ旅行へ誘ってくれた桜子のもとへ、半ば無理やり、ルー・ガルーを引っ張っていくと。

「トレビア~ン!求めていた男の子のイメージにぴったり!!」

と、歓声を上げて、ルー・ガルーに抱き着いた。

「……じゃ、俺はお払い箱ってことで」

「あら?なにも菖くんがお役御免になるなんてことはないわよ??」

「……ですよねぇ……」

あまりの興奮ぶりに、菖はそんなことを口にしてみたが、そうは問屋が卸さなかった。

もっとも、最初からお払い箱宣言されることは期待していなかったのだが。

閑話休題。

重要なのはそこではない。

桜子の反応が好印象だったことを受けて、えりかは桜子と龍之介に思いきって問いかけた。

「ほんと?!じゃ、しばらくその子、うちにおいてもいい?!」

「……どういうこと??」

その問いかけに疑問を覚えた桜子は、えりかに率直に問いかけた。

そのストレートな問いかけに、えりかだけではく、横にいたももかと背後で見守っていたつぼみといつきも冷や汗を伝わせた。

「い、いや何と言うか……親公認の家出中というかなんというか……」

えりかの言い訳が苦しいことは十分わかっていたが、意外なことに、その言い訳に一番に反応したのは龍之介であった。

「それはつまり、自分探しの旅真っ最中、ということだね」

「そ、そんなとこ……かなぁ?」

苦笑しながらえりかがそう答えると、龍之介はあっさりと滞在の許可を与えてくれた。

------------------------

それから少しして、つぼみとルー・ガルーは屋外にあるベンチに腰かけていた。

「……あんたの連れって、警戒心とかないの?どうして、見ず知らずの赤の他人を簡単に受け入れられるのさ」

「そうですね……『袖すり合うも他生の縁』って、知ってますか?」

「知らない」

さすがに、日本のことわざまでは知らないらしい。

つぼみは優しい笑みを浮かべながら、日本のことわざなんですけれど、とその意味を説明した。

「道で袖が振れあうような些細な出会いでもそれは生まれる前からの運命、という意味です」

「……大げさだね」

つぼみはその返しに苦笑を浮かべながら、わたしは好きですよ、と返した。

「何も知らない人同士が偶然出会いって、お互いに影響し合ながら変えていくとしたら……どんな出会いも意味のある大切なものだと思います」

「僕とあんたも?」

ルー・ガルーの問いかけに、つぼみは、もちろん、と返したが、なんと呼べばいいか、戸惑った。

その様子に、ルー・ガルーはため息をついて、好きなように呼べばいい、とだけ返した。

なぜなら、自分の名前は。

「菖も言ってたけど、ルー・ガルーって狼男って意味だから……男爵がつけたあだ名みたいなものだよ」

その返しに、つぼみは少し考えるようなそぶりを見せ、オリヴィエ、とつぶやいた。

「オリヴィエ、なんてどうでしょうか?あなたのあだ名です!」

苦笑を浮かべているつぼみの顔を見ながら、ルー・ガルーはふと、庭にあった金木犀(オリヴィエ)の木に目をやった。

「……金木犀?」

「はい!どうですか?あなたの心の花も金木犀だったので」

ルー・ガルーと出会った時、つぼみはルー・ガルーの連れ、というサラマンダー男爵によって心の花を抜かれる現場に居合わせた。

その時に、ルー・ガルーの心の花を見たのだ。

正直、安直だとは思ったが、そういう名付けられ方も悪くないと感じたのか。

「それでいいよ……好きに呼べっていったじゃん」

と返した。

つぼみはその言葉に、気を良くしたのか、笑みを浮かべてオリヴィエの名前を呼んだ。

「オリヴィエ……わたしのことは、「あんた」じゃなくて、「つぼみ」って呼んでくださいね!」

せっかく、あだ名を決めたのだから、もう少し、親しくしてほしいという想いからだったのだろう。

だが、ルー・ガルー――オリヴィエは、そんなつぼみに背を向けたまま。

「……考えておく」

としか答えなかった。

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それから少しして、オリヴィエはえりかに呼びだされ、えりかの自室を訪れた。

だが、その部屋は衣服の生地やら設計図やらであふれかえり、散らかっていた。

オリヴィエはその様子に、散らかりすぎだ、と文句を言ったが、えりかは夢中になりすぎて、としか返さなかった。

桜子のファッションショーに、オリヴィエも出演することが決まると、ひとまず、採寸を行うことになったため、えりかがそれを行うことにしたのだ。

「……あんた、モデルじゃなかったの?」

「あんたじゃなくて、えりか!」

オリヴィエの問いかけに、えりかはそう返し、採寸をしながら答えた。

「あたし、服作るの、好きなんだよねぇ」

「……親も作ってるのに?」

「そーだよ!でも、ママも昔はモデルだったんだ」

結婚を機にモデルを引退し、今ではカリスマデザイナーという桜子。

そして、現役女子高生モデルの姉であるももか。

その二人に囲まれていたえりかは、昔はそれをコンプレックスに感じていた。

それを聞いたオリヴィエは、今は違うのか、と問いかけた。

「う~ん……全然ないわけじゃないんだけどね……自分の得意な分野でもっと頑張ってみようかなぁ、ってさ」

オリヴィエの肩に手をおきながら、えりかは話を続けた。

「……知ってる?ファッションにはね、人の心を華やかにする魔法があるんだよ!」

それは、えりかの持論でもあった。

服や恰好を変えるだけで、違う自分になれたような気がする。単純であっても、それでいいというものだ。

だが、オリヴィエにはよくわからなかったらしく。

「……よくわからないな」

と返された。

ある程度、予想はしていたのか、えりかは苦笑を浮かべて、けどね、と返した。

「つぼみも結構変わったんだよ?」

「へぇ……」

「ま、今のつぼみがあるのは、ひとえにあたしのおかげというわけね!」

「……そういう言い方して、人から嫌われないのが不思議」

自慢げに胸を張って言いきったえりかに、オリヴィエがそう返すと、えりかはオリヴィエの頬を引っ張った。

えりかに思いっきり引っ張られて、オリヴィエは悲鳴を上げたが、ふと、引っ張る力がゆるんだ。

「……けど、おしゃれして見た目は変わったけど、いいところは最初から何にも変わらないんだよね、あの子」

ふと見上げた表情が、どこか優しそうに見えたオリヴィエは、不思議そうにそのまま見上げていた。

すると、いつの間にかつぼみといつきが入ってきて。

「えりか!何してるんですか?!オリヴィエの顔が伸びちゃいます!!」

と叫んでいた。

おかげで、オリヴィエはえりかから解放されたが、今度はいつきと付き合うことになってしまった。

桜子の知り合いが経営しているブティックで、いつきが着る予定の服を作ってもらっていたのだが、それを一緒に取りに行こうということだった。

オリヴィエは、えりかとつぼみと付き合うよりはまし、と判断して、黙っていつきについていくことにした。

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「……オリヴィエはすごく照れ屋なんだな」

ふとそうつぶやくいつきの声が聞こえて、オリヴィエは不機嫌そうな視線をいつきに向けた。

その視線に気づいたいつきは、表情を変えることなく。

「僕の印象だから、怒らないでくれるとうれしいな」

と返した。

そういわれると、それ以上返すことができなかったオリヴィエは、ふと疑問に思ったことを問いかけた。

「……どうして自分のことを「僕」って言うの?」

「……うん……子供のころから、守りたい人がいてね。自分は男の子のように強くなろうと思っていたんだ」

いつきの実家、明堂院家は代々武術家で、本来ならその家督は兄であるさつきが継ぐはずだった。

だが、彼は、今でこそ改善されたとはいえ、昔から体が弱く、いつきが代わりを務めるようになっていった。

「そうして、代わりをしていくうちに、「僕」って言うようになったんだ」

そう答えるうちに、電車は駅に到着した。

電車を降りて、駅の階段を上っている最中に、オリヴィエは先を歩くいつきの背中に問いかけた。

「男のふりしてるの、辛くない?いつきは、女の子じゃないか」

それは、オリヴィエだけでなく、いつきと付き合いのある人間ならば誰もが思うことだろう。

だが、オリヴィエは、いつきがなにも女の子として当たり前のことまで我慢しているわけではないということを思い知ることになった。

ブティックに到着し、完成した服を見せてもらうと。

「かんわいぃーーーーーーーっ!!」

と目を輝かせて、いつきは完成した服を前後左右、あらゆる角度から見ていた。

その様子に、オリヴィエはドン引きしていた。

店を出ると、さすがにいつきは反省したらしく、申し訳ない、と謝罪してきた。

「あまりに可愛くて、つい僕も興奮してしまったよ……」

苦笑を浮かべながら、そう話すいつきだったが、オリヴィエはまだブティックでの衝撃が抜け切れておらず、頬に冷や汗を伝わせていた。

「……結局、無理してたんだよ。可愛いものが大好き、なんて、言っちゃいけない気がしてたんだ」

別に、誰に強制されたわけでもないのにね。

と、休憩がてら露店で売っていたエクレアを食べながら、いつきがそうこぼした。

オリヴィエは、なんとなく、その気持ちがわかるらしく。

「……わかるよ、その気持ち」

と返した。

その言葉に、いつきは微笑みながら、君は偉いな、と返した。

「僕はつぼみたちにきっかけを作ってもらうまで、自分からは何もしなかった。でも、君は違う」

「……逃げてるだけだよ」

「行動してるってだけで、十分立派さ」

「……そんな風に考えたこと、なかったな」

逃げていることは、何もしていないのと同じ。

そう考えていたのか、いつきの言葉が素直にオリヴィエに染みこんでいった。

だが、いつきも同じだったらしく。

「僕だってそうだよ、皆と出会うまで……でも、わかったんだ。自分を知ってもらうって、大切なことなんだなって」

ふいに出てきたポプリに頬ずりしながら、いつきはそう返した。

用事も終わったので、アパートに戻ることになったのだが、アパートの前に来ると、もうすでに日は暮れ始めていた。

道中、いつきはオリヴィエにも、オリヴィエを分かろうとしてくれている人がいる、と話した。

それが誰のことなのか、オリヴィエにはわかっていた。

「君は構われるのは苦手みたいだけど、つぼみはほっとけないんだよ……心の声を聞いてるから、余計にね」

そういいながら、いつきはドアを開けた。

すると、すぐ目の前に衣装合わせをしているのか、髪を下ろして薄い桃色のワンピースタイプのドレスを着たつぼみが飛びこんできた。

その変身ぶりに、オリヴィエは呆然としてしまった。

そんなことは気にせず、つぼみは微笑みながらオリヴィエといつきの方へ歩み寄ってきた。

「おかえりなさい。遅かったから心配……いたっ!」

「ちょっと、まだ針ついてるんだから!っと、おかえり~」

「衣装合わせかい?」

えりかとつぼみの様子を見たいつきがそう問いかけると、えりかは笑顔でうなずき、二人ともよろしく、と返し、つぼみの肩に手を置いた。

「どう?可愛いっしょ?」

オリヴィエに視線を合わせて、えりかがそう問いかけたが、オリヴィエは視線をそらすだけだった。

照れ隠しなのだろうと察したつぼみは、微笑みながら、オリヴィエに似合っているか問いかけた。

すると、今度はわりと素直に首を縦に振った。

桜子に呼ばれ、つぼみが部屋に戻っていくと、オリヴィエはえりかに。

「ファッションって、すごいね」

とつぶやいた。

そのつぶやきに、えりかは満面の笑みで、当然、と返した。

それから数分して、宿泊していたモーテルから呼びだされた菖を交えて、全員の衣装合わせが行われた。

もともと着ていた旅装束から一変、ちょっとおしゃれな少年に早変わりすると、つぼみに頬ずりされたり、えりかにからかわれたり、挙句、ゆりからは素直に笑えばいいのに、と言われてしまった。

だが、それにフォローを入れたのは同性の菖だった。

「無理に笑わなくても大丈夫だって。楽しいって思えるんだったらさ」

「……は、ははは……」

菖に頭をなでられながら、オリヴィエは引きつった笑みを浮かべた。

その表情に、菖はどれだけ、オリヴィエが過酷な環境にいたのか、察してしまった。

ゆっくり時間をかけていった方がいい、そう判断したのだが、昼間のうちに、ゆりに対する苦手意識を持ってしまったらしく、引きつった笑みを浮かべた。

その笑みに、つぼみが、おしいです、と言いながら、レクチャーを始めると、オリヴィエは部屋へと逃げていった。

オリヴィエに割り振られた部屋では、シプレたちがキュアフルミックスを飲んでいた。

薄暗い部屋の中で、オリヴィエは、顔を両手で覆いながら、うずくまった。

ふと、窓の外から待宵月(十四夜)の月明かりが入りこんできた。

その瞬間、オリヴィエはうずくまり、唸り声を上げた。

その髪の毛は、青白く光り、爪も徐々に伸びていった。

そんなことになっているとは露知らぬつぼみが、ドアのすぐそこに来た。

「オリヴィエ?謝りますから、機嫌なおして……」

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」

ノックして入ろうとした瞬間、突然聞こえてきた悲鳴に、つぼみはドアを開けた。

ドアの向こうでは、髪を青白く輝かせながらうずくまっているオリヴィエの姿があった。

「オリヴィエ!オリヴィエ、どうしたんですか?!」

オリヴィエに駆け寄り、つぼみが問いかけたが、オリヴィエは頑なに、なんでもない、と返した。

それでも、つぼみはその場を離れなかった。

「なんでもないわけない……」

「いいからっ!!」

「きゃっ!」

伸びてきたつぼみの手を払いのけ、オリヴィエがそう叫ぶと、つぼみの悲鳴が聞こえた。

声がした方へ視線を送ると、そこには、肩を抑えているつぼみの姿があった。

「ご、ごめん!つぼみ……っ!!」

謝りながら、つぼみに手を伸ばすオリヴィエだったが、体の奥から湧き出てくる痛みに、再びうずくまってしまった。

つぼみはふらふらとオリヴィエの近くに歩みより、大丈夫、とつぶやきながら、そっと抱きしめた。

すると、ようやく光が収まり、体を駆け巡っていた痛みも消えていった。

「……つぼみ……どうしよう……」

どうすればいいのかわからず、オリヴィエはそうつぶやいた。

つぼみは、そのつぶやきに、大丈夫、と返した。

「大丈夫です。わたしたちがいますから、大丈夫……」

その言葉に、なんに根拠もない。

けれども、オリヴィエはなぜかその言葉に安堵を覚え、静かに目を閉じた。

なお、そのやり取りは、気になって部屋の外まで追いかけてきたえりか、いつき、ゆり、そして菖に聞かれていたのだが、四人とも何も言わず、ただ事態を静観するだけだった。

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翌朝。

早くに目が覚めてしまったオリヴィエは、アパートの付近を歩いていた。

ふと、登ってきた朝日に自分の手をかざした。

その手は、昨晩のような禍々しさは帯びていない。

「ずいぶん早いのね」

「おはよう、早いな」

ふいに、目の前からゆりと菖が声をかけてきた。

どうやら、二人そろって朝の散歩に出ていたようだ。

「あなたも散歩?」

「どうせなら、一緒に行くか?」

菖のその提案と、ゆりの質問にオリヴィエは黙って頷いた。

しばらく川沿いを歩いていると、ゆりはオリヴィエに謝ってきた。

「昨夜はごめんなさいね」

「え?」

オリヴィエはなんのことかわからなかったが、すぐに楽しければ笑っていいと言われたことだということを察した。

「余計なこと、言っちゃったわね。わたし」

ふと、ゆりがそう言って振り返ると、懐いてきた大型犬の頭をなでているオリヴィエの姿が目に入った。

その様子が和やかだったので、菖もゆりも微笑みを浮かべた。

「動物、好きなのか?」

「飼ったことはないけどね……」

菖の問いかけに、オリヴィエは犬をもふもふしながら返した。

手慣れているその様子からでは、とてもそうは思えないのだが。

「あら?どうして??」

「ずっと、男爵と旅をしてたからさ」

「旅?」

ゆりが聞き返すと、オリヴィエは赤い水晶をゆりの前に差し出した。

ゆりはそれを受け取ってかざしてみた。

かなり透明度が高く、向こうの景色が透けて見えている。

「きれいね……」

「男爵の力の結晶だよ……ずっと、それを探していたんだ。バラバラになってたから、探すの大変だったよ。男爵も、すごい嫌がらせだってあきれてた」

「ははは……確かにな」

オリヴィエの言葉に、菖が苦笑を浮かべながら返していると、ゆりは結晶をオリヴィエに返し、オリヴィエと男爵の関係を疑った。

それを聞かれたオリヴィエの脳裏には、今までの旅の光景が浮かんできた。

世界各地を巡り、力の結晶を集め、自分を狼男として改造していった男爵の姿と旅をするなかで見てきた世界の光景が。

少なくとも、オリヴィエといる間、男爵は心穏やかだったはずだ。

けれども。

「……違うよ。連れまわされて、いい迷惑だよ」

「ただの連れ。そういうことか?」

菖は、オリヴィエの答えにそう返したが、オリヴィエは何も答えず、二人よりも先に歩いていった。

しばらく、三人は無言だったが、トンネルに差し掛かり、ゆりは口を開いた。

「……わたしね。もう父親と三年も会ってないの」

「……え?」

「フランスで行方不明になってからもう三年……わたしね、父にあったら、聞きたいことがたくさんある……あなたはそんな後悔をしてはだめよ」

オリヴィエが何かを思い詰めている、そう感じたゆりは、オリヴィエにそれだけを伝えたかったようだ。

トンネルに入ると、オリヴィエは何かに気付いたのか、突然、立ち止まった。

菖も、何か不穏なものを感じ取り、ゆりより半歩前に出て、彼女をかばうように左手で制止させた。

「……どうしたの?」

「……オリヴィエ、あの紳士がサラマンダー男爵か?」

だが、菖の問いかけに返したのは、オリヴィエではなく、サラマンダー男爵だった。

「よぉ!元気そうでなにより!!」

「逃げなさい!オリヴィエ!!」

「逃げろ、オリヴィエ!」

ゆりと菖は同時にオリヴィエの前に立ち、そう告げた。

その姿に、男爵は驚く素振りも見せなかった。

「これは勇敢な青年とお嬢さんだ。だが、プリキュアでもないのに私に立ち向かうとはなぁ……勇気と無謀をはき違えてはいないか?」

「「それはどうかな?/かしら?」」

ゆりと菖が同時に返すと、ゆりの少し後ろに姿を消していたコロンが姿を現した。

同時に、菖は紋章が描かれた指抜き手袋を左手にはめた。

「……そいつは……」

「コロン、お願い!」

「あぁ!プリキュアの種、いくぞ!!」

コロンの姿を見て、男爵は少しだけ驚いたようなそぶりを見せた。

その一瞬の隙をついて、コロンはプリキュアの種をゆりにわたした。

「プリキュア!オープンマイハート!!」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

二人が同時に叫ぶと、着ていた服は光に包まれ、プリキュアとユグドセイバーのコスチュームへと変化した。

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

変身を終えた二人の背に隠れていたオリヴィエは、まさかゆりがプリキュアだったとは思ってもいなかったようだ、

そして、菖もまた、プリキュアとは違うものの、戦うための力を持っていることを知り、衝撃を受けたようだ。

それは男爵も同じようで、憎きキュアアンジェの後継者であるプリキュアの姿を見るなり、忌々しそうに顔を歪めた。

「まったく……お前たちは本当にいつも邪魔ばかりしてくるな!!」

だが、と歪んだ顔が緩み、まるで数年来の友人でも見るかのような笑みを浮かべた。

「まさか、セイバーまで復活していたとはね……君は二代目といったところか?」

「みたいだね。正直、なんで四百年もの間、騎士(セイバー)がいなかったのか疑問だけど」

男爵の言葉に、菖が正直に返すと、男爵は笑みを浮かべた。

「さてね。もっとも、私は一方的だったキュアアンジェより、先代の騎士には好感を持てたよ……彼は、私すらも受け入れようとしていたからね」

だが、と男爵は鋭い視線を二人に向けた。

「今、私は友となりえた人間の後輩と語らうつもりはない。そこをどけ!話があるのは君たちじゃない!!」

「悪いけど、俺もここをどくわけにはいかなくてね!」

セイバーはそう答えると同時に、エターニアハートを抜き放ち、男爵との距離を詰めた。

ムーンライトも手刀を男爵ののど元めがけて叩きつけようとした。

だが、エターニアハートは男爵が手にしているステッキに、手刀は左手で防がれてしまった。

「すぐ熱くなるのは若い証拠だ」

「「あなた/あんたよりはね!!」」

ムーンライトとセイバーは同時に返し、再び男爵に拳を振るった。

ムーンライトが右手の拳で男爵をけん制すると、セイバーは体を沈め、左手を突き出し、男爵を吹き飛ばした。

オリヴィエのそばにいたコロンは、オリヴィエが動かずにいることに気づき。

「オリヴィエ!はやくここから離れるよ!!」

と声をかけた。

すると、オリヴィエはようやく我に帰り、ムーンライトとセイバーに背を向けて走り出した。

それをみた男爵は、オリヴィエに待つよう言ったが、鬱陶しそうにため息をつき。

「まったく、手間のかかる!」

とつぶやき、パチリ、と指をならした。

すると、オリヴィエの姿は消えてしまった。

------------------------

オリヴィエは気がつくと、オペラ座劇場のような空間にいた。

そこがサラマンダー男爵が作りあげた空間であることは、長い付き合いであるため、すぐに理解できた。

周囲を見まわしていると、カツカツ、と靴の音が背後から聞こえてきた。

「まったく、お前は人の話を聞かなすぎるぞ!」

オリヴィエが声がした方を振り向くと、そこにはムーンライトの手首をつかんでいる男爵の姿が目に入った。

なお、セイバーはそのすぐ背後で悲鳴とともに転がってきた。

「いっつつつ……って、ここは?!」

「うん?おいおい、いくら君でもここには招待できないぞ?というか、なぜプリキュアまで……」

セイバーの姿を見るなり、男爵は驚きと呆れが入り交じった表情を浮かべた。

だが、セイバーはともかく、ムーンライトは自分が連れて来てしまったことに気づき、これは失礼、とお辞儀をしながら謝罪をした。

手を離されたムーンライトは、セイバーの隣まで下がると、左の手首に巻かれたワイヤーを外した。

どうやら、セイバーはムーンライトに引っ張って来られたようだ。

「……あなた、いったい何者なの?砂漠の使徒、にしては心の花に興味がなさそうだし」

「そうだな……せっかくだ、君たち二人は聞いていくといい。ある昔話を」

そう言って、男爵は四百年前、自分に起こった出来事を語り始めた。




菖の設定:補足

~菖の持ち物について~
菖が基本的に持ち歩いているものは、携帯電話、財布、メモ帳、ボールペン、デジカメ、指抜き手袋(変身道具)、ワイヤーフックの七つ。
ワイヤーフックは手首に取りつけられるタイプのもので、普段は袖の中に隠れている。
持ち歩いている理由は、崖の下や中腹にある遺跡に下りる際に便利であり、突然の崩落に備えてのこと。
もっとも、遺跡探索で使用することはほとんどなく、怒ったゆりから逃げるときに使われることが主。


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花の都でファッションショー、ですか?!~決戦:男の心に一筋の光を~

やっと書き終えた(汗
都合により、妖精たちの活躍とエンディングシーンは省きましたが、ご了承ください。
というか、クライマックスの部分も駆け足なのよねぇ……まぁ、アニメコミックを資料にしてるから、仕方ないといえば仕方ないんですが(汗
ファッションショーについては……まぁ、うん。後日談でも書きますかねぇ、おまけということで。
(いや、あるいはおまけを短編集とするという手も……
まぁ、とりあえず、本編どうぞ。


ゆりと菖、そしてオリヴィエが散歩へ出ている間、つぼみは龍之介が撮影した衣装合わせの写真を眺めていた。

「素敵です!さすがおじさん!!」

つぼみは龍之介の写真を手放しで称賛し、オリヴィエにも見せてあげたいと思いながら、優しい笑みを浮かべていた。

すると、玄関のドアが開く音が聞こえ、ゆりと菖が姿を見せた。

「ゆりさん、菖さん!これ、昨日おじさんが撮った写真……」

「つぼみ、えりか、いつき。ちょっといいか?」

つぼみの言葉を遮り、菖は庭の方を指さした。

つぼみたちはその声色と、オリヴィエが傍らにいないことに、ただ事ではないことを察し、庭に出た。

五人が中庭に出ると、つぼみたちからオリヴィエがいないことを先に追求され、ゆりは簡単に答えた。

だが、つぼみはその言葉を受け入れられなかった。

「どういうことですか?!」

「今、言った通りよ……あの子は、サラマンダーが連れていったわ……」

「どうして?!ゆりさんと菖さんが一緒だったのに!!」

「落ち着け、つぼみ」

菖は、ゆりに詰め寄るつぼみの肩をつかんだ。

そして、静かに、しかし、激情を抑えた声でつぼみに説明した。

「……オリヴィエは、自分で男爵のもとへ行くことを選んだんだ」

そう説明して、菖はつぼみにオリヴィエが何を語ったのか、どんな答えを導いたのかを説明した。

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ゆりと菖がアパートに戻ってくる前のこと。

サラマンダー男爵の空間に迷いこんだセイバーとムーンライトは、男爵から四百年前の出来事を、男爵の過去を聞いていた。

「我々の出現に心の大樹がプリキュアを誕生させ、自らの力で心の大樹の存在と我々の存在を知った青年がセイバーになったことは知っているね?」

「つまり、俺たちは対の存在、ということか」

男爵の言葉に、セイバーがそう返すと、まるでそれを肯定するように、男爵は笑みを浮かべてうなずいた。

「……最初の砂漠の使徒は、初代のプリキュアに敗れた、と聞いているけど?」

「あぁ、キュアアンジェは強かったなぁ……封印されていた数百年、一度だって忘れなかったよ、この屈辱を!!」

ムーンライトの問いかけに、男爵は忌々し気に返し、こんな星、すぐに破壊できるとおもったのだがな、とつぶやいた。

そのつぶやきが聞こえたムーンライトは、砂漠の使徒の本来の目的が世界の砂漠化であるはずだ、と問いかけた。

だが、その問いかけに男爵は忌々しそうな顔で、関係ない、と返した。

「生まれたとき、私はただ『知りたい』と思った。自分たちの存在、王の心の内を……だが、それが「心」を嫌う王の怒りを買ったらしい」

知りたいと思うことは、好奇心がある、ということでもある。

それだけで男爵がこれまで遭遇してきた砂漠の使徒とは異なる存在であることは明白だった。

「そして、王から追放され、砂漠の使徒というだけで私に攻撃を仕掛けてきたキュアアンジェに敗れ、私は封印された……」

そして、封印されてからの数百年、サラマンダー男爵の心は、居場所のない世界への絶望と砂漠の王とキュアアンジェへの復讐心だけが募っていった。

「……いや、居場所がないというのは語弊があったな。唯一、私に居場所を与えられないか動いてくれていた人間がいたよ。もっとも、彼はキュアアンジェの側だったがね」

「……それが、先代のユグドセイバー……」

セイバーのつぶやきに、サラマンダー男爵は、そのとおりだ、と笑みを浮かべた。

「だが、彼の行動もむなしく、こうして私は世界に復讐するため、ルー・ガルーに力を植え付けた……」

そうつぶやき、男爵は再びオリヴィエに視線を向けた。

「ルー・ガルー、お前、最近、力のコントロールがうまくできてないんじゃないか?フランスに戻ったときに忠告すべきだったが、あの場所には私の力が、数百年かけて培われた憎しみの力が強く残っている」

その力が、オリヴィエの中にある力の破片と引き合い、ルー・ガルーとしての力が増大させているのだ。

そして、男爵の力の結晶の本体は、いまもなおオリヴィエの手にある。

増大される力の量は、半端なものではないだろう。

「暴走した力は、お前の心を呑みこみ、力のままに暴れる獣にするだろう……明日の満月には、化物の完成だ」

男爵はオリヴィエの前で片膝をつき、オリヴィエと視線を合わせながら、さらに続けた。

「世界は、我々のような異物を受け入れない。賢いお前ならわかるな?」

片や砂漠の使徒、片や狼男としての力を持つ少年。

普通の人間からすれば、どちらも化物であり、受け入れがたい存在である。

ゆえに、この世界には二人の居場所など存在しない。

「だから、全て壊して終わりにしよう。一緒に来い、ルー・ガルー……そのための数年間だ」

ささやくように、男爵がオリヴィエにそう告げたが、オリヴィエは答えを出しあぐねているようだった。

ほんの数秒、二人の間に沈黙が流れたが、それは突然に破られた。

ムーンライトとセイバーが同時に男爵との間合いを詰め、攻撃してきたのだ。

だが、男爵は涼しい顔でムーンライトの拳を受けとめ、セイバーの刃を回避した。

「この子に謝りなさい!誰もあなたを受け入れない?すべてを破壊して終わり?」

「甘ったれるのもいい加減にしろ!あんたは、心にふたをしたまま、周りを見てないだけだろうが!!」

「あの子がどんな想いでいるか、考えたことがあるの?!」

「それだけじゃない!あんたがオリヴィエと一緒に自分の力を集める旅に出ていた間も、少なからず手を差し伸べてくれた人はいたはずだ!その人は、あんたを受け入れようとしてくれていたんじゃないのか?!」

剣閃と拳閃が閃く中、男爵は二人が繰り広げる攻撃のすべてを捌いていた。

「やれやれ、セイバーはともかく、今度のプリキュアはずいぶんおせっかいだな……」

エターニアハートをステッキで、ムーンライトの拳を手のひらで受けとめ、男爵が呆れながらそうつぶやいた。

だが、二人の猛攻はなおも続いた。

「自分のことばかりで、オリヴィエと向き合うことの出来ないあなたに……」

「自分から手を伸ばすことを、最初からしないで諦めたあんたに……」

「「世界を語ることは、できない/できないわ!!」」

二人が同時に叫びながら、男爵に拳を向けた。

男爵は涼しい顔でその攻撃のすべてをいまも捌き続けている。

いまだ、ムーンライトもセイバーも、男爵に一撃すら与えていない。

だが、二人の目的は男爵を倒すことではない。オリヴィエ自身に選ばせ、男爵にその答えをつきつけさせることだった。

「オリヴィエ!あなたはどうしたいの?!」

「しっかり、自分の言葉で、男爵に聞かせるんだ!」

「「後悔することのないように、あなた/お前自身の言葉で、あなた/お前の意思を!!」」

二人の言葉に、オリヴィエの脳裏に浮かんできたのは、男爵の顔だけではなかった。

一日、たったの一日だけしか一緒に過ごしていない、つぼみやえりか、いつき、ゆり、菖の笑顔も浮かんできていた。

そうしている間にも、ムーンライトはタクトを抜き放ち、セイバーと同時に心の花の力で男爵を射貫いた。

さすがに、二人分の心の花の力は受け止めきれなかったらしく、背後にあった壁に勢いよく叩きつけられた。

「……ひどいな」

「……男爵、世界は確かに異物を受け入れないかもしれない。けど、受け入れてもらおうと手を伸ばすことはできるはずだ」

「それに、すべてを破壊してもなんの意味もない……あなたは決して満たされない。本当にわからないの?」

セイバーとムーンライトはダメージを受けて座りこんでいる男爵に語りかけた。

だが、男爵はそれに答えを返すことはなく、ふらふらと立ちあがり、二人に視線を向けた。

その視線は、いままで向けてきた無感情なものではなく、はっきりとした『怒り』が感じ取れた。

「その目……あの時と同じ目だ……キュアアンジェと同じ、俺を憐れむようなその目を……やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

雄叫びを上げながら突進してくる男爵にひるむことなく、ムーンライトとセイバーは武器を振りあげた。

だが、三人の間に割って入ったオリヴィエにいなされ、受け止められ、動きは止まった。

「……やめてよ、三人とも……男爵の言う通り、確かに僕は化物だ。みんなと一緒にはいられない……」

「オリヴィエ、あなた……」

「……それが、お前の出した答えなのか?」

エターニアハートの切っ先をオリヴィエに踏みつけられたまま、セイバーがそう問いかけると、オリヴィエは黙って、セイバーのみぞおちに拳を叩きつけた。

ぐっ、と小さく悲鳴を上げて、セイバーはその場に崩れ落ちた。

「……っ?!セイバー!!」

「ショーに出られなくて、ごめん。あと、つぼみに……ありがとうって……」

突如、気を失い、倒れ伏したセイバーの方へ顔を向けたムーンライトに、オリヴィエがそう語りかけ、首筋に手刀を叩きこんだ。

「そういうのは、自分で伝え……な、さい……」

気を失う中で、ムーンライトはオリヴィエに返し、セイバーと重なるようにして倒れた。

倒れ伏したセイバーとムーンライトに背を向け、男爵は、行くぞ、とオリヴィエに短く命じて、その場を去っていった。

------------------------

話を聞いたつぼみは、居ても立っても居られなくなってしまい、アパートを飛びだし、走り去っていった。

その背中をえりかが慌てて追いかけていく様子を見守った菖は、壁に寄りかかり、腕を組んでいるゆりに問いかけた。

「ゆり、お前はどう思う?オリヴィエは男爵に協力するためについていったのか、それとも……」

「……少なくとも、わたしはオリヴィエが世界を壊そうと思っていないことは確かだと思う」

菖がすべてを語る前に、ゆりはそう返した。

「けれど、だからといって、わたしは手をこまねいてみているなんてことはできないわ。やられた分は、やりかえしたいし」

それに、とゆりはかがみこみ、つぼみが落としていった写真を手に取った。

そこには、昨晩、オリヴィエと一緒になって撮った集合写真があった。

「友達が大変なときに黙って待っているほど、わたしは薄情じゃないわ」

「なら、決まりだな」

にやり、と笑みを浮かべて、菖はそう返すと、ゆりと一緒にアパートの外へ出た。

すると、ちょうどえりかがつぼみを連れ帰ってきたらしく、えりかの元気な声が聞こえてきた。

「大丈夫に決まってるでしょ?つぼみには、あたしたちがいるんだから!!」

「……つぼみ、薫子さんに連絡を取りたいの。サラマンダーのことを聞いてみようと思って」

ゆりのその言葉は、明らかに男爵に対して再戦を挑もうとする意思の表れだった。

それはつまり、つぼみと一緒にオリヴィエを迎えに行ってくれるということでもあった。

「みんな、行ってくれるん、ですか?」

「当たり前だろ?」

「僕らプリキュアとしても、砂漠の使徒の野望は阻止しないと!!」

「問題は、オリヴィエのことだけじゃない。そういうことよ」

理由はどうあれ、えりか、いつき、ゆりの三人は一緒に来てくれる。

それがわかっただけでも、つぼみには救いだった。

「……菖さんは来てくれないの?」

「まさか!やられっぱなしは癪に触るから、俺もいくよ」

えりかの問いかけに、菖は真顔で返した。

それに、と少し悲し気な表情を浮かべ、空を見上げながら続けた。

「先代が残した宿題なんだ。二代目の俺が、きっちり片をつけないとな」

先代のユグドセイバーが男爵とどう向き合ったのか、それは今となってはわからない。

だが、一つだけはっきりしていることがある。

キュアアンジェと違い、先代は当時、男爵が抱えていた怒りや憎しみすらも受け止めて、共に生きる道を与えようとしていた。

ならば、自分も、同じ道を示してやりたい。

それが、二代目ユグドセイバーとしての菖の答えだった。

------------------------

時刻は進み、日が暮れた頃。

男爵とオリヴィエは自分たちが初めて出会った古城にいた。

沈んでいく夕日を眺めながら、男爵はため息をついた。

「……この景色が見れなくなるのは、惜しいね」

「だったらやめなよ」

男爵から少し離れた場所にいたオリヴィエが、男爵の言葉に返した。

その様子が不満そうであることに気づかない男爵ではなかった。

「もう一度言う。世界を破壊するなんてやめてよ」

男爵と向き合い、オリヴィエは自分の心の内を言葉にした。

「あんたのように、僕は世界を語ったりできないし、あんたの憎しみもわからない……」

そもそも、オリヴィエと男爵では生きた時間が違いすぎる。

だから男爵のように世界を語ることはできないし、何より、オリヴィエはオリヴィエなのだ。

男爵が抱えている、世界やプリキュアに対する憎しみはわかるはずもない。

だが、それでも知っているものがあった。

「だけど、ひとりぼっちの寂しさは知ってるよ……」

男爵と出会う前、オリヴィエもまた、一人だった。

だからこそ、一人がどれだけ寂しいものなのか、それだけはわかっている。

「この数年間、散々な目に遭ったけど、悪いことばかりじゃなかった。世界は僕らを受け入れないかもしれない……でも、少なくとも、僕の世界には男爵がいた!!あの約束の日からずっと!!」

どうにか、男爵を説得しようとするオリヴィエの脳裏には、たった一日だけでも、オリヴィエを受け入れてくれたえりかやいつき、ももか、ゆり、菖、そしてつぼみの顔が浮かんでいた。

彼女たちがいる世界を、大切な人達がいる世界を壊したくない。それが、オリヴィエの意思だった。

だが、男爵はオリヴィエの言葉に沈黙したまま、背を向けた。

「男爵!!」

「……たった数年で、お前、ずいぶん大きくなったな……驚いたよ」

それは本心から思っていることのようだ。

だが、それでも男爵は自分の意思を曲げていない。曲げるわけがない。

ならば。

「力ずくでも止めるよ!!父さん!」

「面白い。その牙、私に立ててみろ!」

自身の力を解放したオリヴィエを見て、その言葉に偽りがないことを知ると、男爵が受けて立つことを宣言した。

オリヴィエと男爵による激しい戦闘が、古城を舞台に始まった。

その間にも、オリヴィエは男爵を止めるため、自分が導き出した答えを叫び続けた。

「人は変わっていける!それは僕たちだって同じはずだ!!」

「あいにくと、私は砂漠の使徒でね!!」

オリヴィエの足もとに炎を呼び出し、男爵はオリヴィエの言葉を否定した。

炎の爆発で吹き飛ばされ、落下していくオリヴィエだったが、その眼は諦めていない。

「この、わからずや!!」

壁からつき出た柱に手を伸ばし、それをつかんで、再び男爵の方へと跳んでいった。

雄叫びを上げながら、オリヴィエは男爵に拳を突き出し、爪を立てた。

オリヴィエの爪は、男爵の仮面をはじき飛ばした。

「憎しみも、人の感情だろ?!同じじゃないか!砂漠の使徒も、人間も!!」

憎しみや怒りもまた、心。

男爵がキュアアンジェに抱いている憎しみや怒り、それは、男爵が、砂漠の使徒が心を持っているという証拠でもあった。

だが。

「そうじゃない……もう遅いんだ」

男爵は頑なに否定した。

一瞬でオリヴィエの隣に移動したかと思うと、ステッキの先端に取りつけた力の結晶をオリヴィエに押しあてた。

「残念だけど……時間切れだ」

ステッキから炎が吹きだし、オリヴィエは吹き飛ばされた。

吹き飛ばされるオリヴィエを、満月の光が照らした。

その光を見た瞬間、オリヴィエに封じられた狼男の力がオリヴィエを呑みこんだ。

その瞬間、オリヴィエの額と目もとに紅い紋章が刻まれ、目には金色の光を宿った。

だが、それと同時に、その顔からは一切の感情が消え失せていた。

男爵はオリヴィエが力に呑みこまれたことを理解すると、視えるか、と古城へ視線を向けながら問いかけた。

視える人間には、古城が黒い何かで覆われている様子が見て取れた。

だが、その何かは、もうほとんど機能していないようにも見える。

「封印が弱まっている。何百年も私を閉じ込めた石の牢獄……破壊しろ!お前がすることはそれだけだ!!」

男爵がそう命じると、オリヴィエは雄叫びを上げ、拳を地面に突き刺した。

その瞬間、古城は一気に崩壊を始めた。まるで、数百年という長い時間が一度に訪れたかのように。

だが、男爵はそんなことは気にも留めず、静かに崩れ去っていく古城を進んでいき、自分とオリヴィエがかつて出会った空間へと入っていき、魔法陣を起動させた。

あらかた古城を破壊し終えると、オリヴィエは大聖堂があった場所に立った。

すると、上空から何かが飛んできた。

それは、オリヴィエを追ってきたブロッサムとマリンだった。

ブロッサムがオリヴィエを見つけた瞬間、ブロッサムはオリヴィエの名を呼び、マリンは何をしているのか問いかけた。

だが、オリヴィエはまったく答える様子がなかった。

その様子に、ブロッサムはフランスに着いたとき、流れていた噂を思い出した。

「……狼男?!」

「それだ!!」

オリヴィエの異常に気づいたブロッサムとマリンだったが、オリヴィエは二人を認識できていないらしい。

無表情のまま二人に突っ込んできて、攻撃を仕掛けてきた。

ブロッサムとマリンも、迎撃しようとしたが、あまりの速さについてこれず、マリンは吹き飛ばされてしまった。

背後にあった壁にマリンを叩きつけたオリヴィエは、今度はブロッサムに標的を定め、高速で移動し、ブロッサムを攻撃してきた。

ブロッサムは反撃することなく、攻撃を回避するだけで、何もできなかった。

それをいいことに、オリヴィエはブロッサムの首をつかみ、ぎりぎりと締めあげた。

「オ、リヴィエ!……わたしです!!わからないんですか??!!」

首をしめているオリヴィエの手首をつかみ、ブロッサムはオリヴィエに問いかけたが、何の反応もなかった。

「マリン・インパクトーーーーーーーッ!!」

突如、背後にまわったオリヴィエのマリンが、心の花の力を手のひらに集め、叩きつけようとした。

だが、それに気づいたオリヴィエは、叩きつけられたマリンの手をつかみ、背負い投げの要領で地面に叩きつけた。

「わぁっ!!」

マリンは悲鳴を上げたが、うまく受け身を取れたらしく、すぐにオリヴィエから距離を取った。

「マリン!……オリヴィエ!!やめてください!!」

「ダメだよ!届いてない!!」

ブロッサムがオリヴィエにやめるように叫んだが、マリンはオリヴィエにその声が届いていないと感じ、そう叫んだ。

マリンが感じたその感覚を証明するかのように、空中からオリヴィエがマリンに向かって急降下しながら、拳をつきだしてきた。

マリンはそれを迎撃しようと拳を構え、突き出した。

だが、両者の拳は、どちらに命中することもなかった。

なぜなら。

「ブロッサム?!」

突如、二人の間に割りこんできたブロッサムによって、二人の拳は受け止められたからだ。

「やめてください!二人とも!!」

ブロッサムが叫ぶと、オリヴィエはブロッサムから距離を取るように、大きく飛びのいた。

プリキュア(マリン)の拳とオリヴィエの拳を同時に受け止めたためか、ブロッサムには相当なダメージが入ったらしい。

その顔には、苦悶の表情が浮かんでいた。

「ブロッサム!!オリヴィエはもう……」

「いいえ!あの子は狼男じゃありません!!オリヴィエのままです!!」

マリンがオリヴィエの心がすでに狼男と化してしまっていることを告げようとしたが、ブロッサムは頑なにそれを否定した。

その視線の先には、無表情で涙を流すオリヴィエの姿があった。

だが、オリヴィエはその心の奥底に残った願望とは正反対に、執拗に二人へ攻撃を仕掛けてきた。

ブロッサムは向かってきたオリヴィエから逃げることはなく、かといって身構えることなく、両腕を広げ、仁王立ちしていた。

「謙遜、真実、変わらぬ魅力!……あなたにぴったりな、金木犀の花言葉です!」

オリヴィエの突進を受け止めて、押し倒されたブロッサムはオリヴィエにそう叫んだ。

その瞳には、黒い狼の形をした光をまとったいる金木犀の花が、オリヴィエの心の花が見えていた。

ブロッサムは、オリヴィエに語りかけるように叫び続けた。

「わたしたちのことを、思い出してください!!」

だが、その叫びもむなしく、オリヴィエはブロッサムを突き飛ばし、マリンに向かっていった。

オリヴィエの心がまだ生きていることを確信していたブロッサムと違い、オリヴィエと戦う覚悟を決めていたマリンは、向かってきたオリヴィエの攻撃を捌き、殴りつけた。

だが、拳が命中する前に、オリヴィエは身を引いて、回避した。

マリンはすかさず、心の花の力を手のひらに集め、オリヴィエにむかって発射した。

着地したばかりで体勢が整えられていなかったオリヴィエは、その攻撃を回避することができなかった。

だが、マリンの攻撃はオリヴィエに命中することはなかった。

「ブロッサム!!なに無茶してんの?!」

マリンは、自分が放った渾身の一撃がブロッサムに命中したことを知り、駆け寄った。

だが、マリンが近づいても、オリヴィエはその場から動かず、無表情のまま、涙を流していた。

それを見たマリンは、ブロッサムを抱き起こしながら驚愕していた。

マリンに助け起こされたブロッサムは、オリヴィエの手を握り、穏やかな笑みを浮かべながら、怪我がないか問いかけた。

だが、オリヴィエはただ涙を流すだけで、何も答えなかった。

そんなオリヴィエを、ブロッサムはそっと抱きしめた。

「泣かないでください。大丈夫ですよ」

ブロッサムの言葉がようやく届いたのか、オリヴィエの瞳から金色の光が消え、顔に刻まれた紋章も、男爵の力の結晶と同じ色から、オリヴィエの髪の色へと変わっていった。

もう、オリヴィエに攻撃する意思はない。

それを感じたブロッサムは、オリヴィエから顔を離した。

「サラマンダー男爵にちゃんと伝えられましたか?」

そう問いかけながら、ブロッサムはオリヴィエから流れてきていた涙をそっと拭った。

オリヴィエはその問いかけに黙ってうなずいて返すと、ブロッサムはオリヴィエの肩に手を置いたまま。

「チェンジ、できたんですね?」

と問いかけた。

その問いかけに、オリヴィエは気恥ずかしそうな顔をして、うん、とうなずいて答えた。

その瞬間、地面が大きく揺れた。

------------------------

ブロッサムとマリンがオリヴィエを発見した時と同じころ。

魔法陣の中央に立ち、ただ静かに世界が壊れるときを待っていた男爵は、ふと目を開いた。

その視線の先には、この空間に入ったひびが見て取れた。

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「ユグドフォルテウェーブ!!」

聞き覚えのある二つの声が空間に響くと、空間が割れて、中からムーンライトとサンシャイン、そしてセイバーが姿を見せた。

「やれやれ。本当にしつこいな……ルー・ガルーも足止めくらいしてくれてもいいものを」

「おあいにく様。オリヴィエはいま、ブロッサムとマリンが相手をしているわ」

嘆息する男爵に、ムーンライトはそう返し、手にしていたタクトを構えた。

その隣に立つセイバーは、エターニアハートの切っ先を男爵に向け、口を開いた。

「男爵、大樹の騎士(ユグドセイバー)として、もう一度だけ聞く……本当に、世界を破壊するつもりか?」

「しぶといね、君も……本当に、先代とそっくりだよ」

不敵な笑みを浮かべながら、男爵は手にしていたステッキの石づきを、床に叩きつけた。

かん、という涼しい音が響くと、男爵の足もとから炎が吹きだし、ムーンライトたちに襲い掛かってきた。

その炎をサンシャインが向日葵の盾(サンフラワーイージス)で受けとめ、ムーンライトセイバーは、サンシャインの背後で飛び上がり、男爵との間合いを詰めようとした。

だが、男爵はさらに炎を呼び出し、二人を迎撃した。

ルウィーユ・フィルク(穢れなき約束の翼)!!」

炎が二人に迫った瞬間、セイバーは古代語を叫び、エターニアハートを背後に浮かぶ六つの翡翠のように輝く刃に変えた。

刃はまるで意思を持っているかのようにセイバーとムーンライトの前へと飛び、飛んできた炎を迎え討った。

炎と刃がぶつかり合い、爆発が起こると、その煙の中から、ムーンライトが飛びだしてきた。

ムーンライトは、ムーンタクトに心の花の力を込め、刀のように男爵に振り下ろした。

だが、男爵はその一撃を手にしたステッキで受けとめた。

「どうして、こんな風にしか生きられないの?!」

ムーンライトは男爵に問いかけた。

だが、男爵は沈黙を保ったまま、ムーンライトをはじき飛ばし、再び炎を呼びだした。

向かってくる炎を、向かってきていたサンシャインがサンフラワーイージスで受け止めた。

「オリヴィエとともに生きる道だって、あるはずだ!!」

炎を受け止めながら、サンシャインは男爵にむかって叫んだ。

サンシャインの背後から、セイバーが飛び出してきた。

「まだ間に合う!あんたのその考えを、生き方を!変えることはできないのか??!!」

叫びながら、セイバーは心の花の力を拳に込めて、男爵に殴りかかった。

だが、その拳は男爵の手に防がれた。

その瞬間、セイバーは目を見開いた。

いや、セイバーだけではない。サンシャインもムーンライトも、男爵の手に起きた異変に驚愕していた。

「その身体?!」

「崩れて……?」

その手には、血のように紅い光を放つひびがいくつも刻まれていた。

まるで、強い衝撃を受け、今にも崩れ去ろうとしている岩のように。

「あちこちガタがきていてね……何百年、ここで過ごしたと思っている?」

そう問いかけながら、男爵はセイバーに杖を向け、炎を呼びだした。

だが、近くにいたムーンライトがセイバーを引き寄せ、セイバーは炎の直撃を免れた。

サンシャインの近くまで、二人が下がると、男爵は強い意思を込めたまなざしで、三人を見た。

「……共に生きる道などない。私の連れは、もとより孤独と憎しみだけだ!!」

はっきりと宣言した瞬間、男爵からあふれ出た力が激しい衝撃波となって三人に襲いかかってきた。

サンシャインは反射的にムーンライトとセイバーの前に立ち、サンフラワーイージスを展開した。

「どうせ、独りに戻るんだ。わざわざ知らせてやることもないさ……」

力の奔流の中で、男爵はそうつぶやいた。

誰に何を知らせるのか、それは、男爵のつぶやきが聞こえていなかったセイバーたちにはわからないことだった。

その瞬間、魔法陣が強い光を放ち、同時に、さきほどから襲ってきていた衝撃波よりも、さらに強い衝撃が三人に襲いかかってきた。

「「くっ?!」」

「きゃあっ?!」

三人は衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされた。

三人を吹き飛ばした衝撃の中心では、巨大な龍の影が姿を現していた。

------------------------

突然の揺れからどうにか立ちなおったブロッサムたちは、ムーンライトたちが向かった場所に、突然現れた巨大な龍に気づいた。

オリヴィエは、その影の正体を知っていた。

「男爵!!」

オリヴィエのその言葉に、マリンは驚愕の声を上げた。

「あれがサラマンダー?!」

「力が暴走してるんだ!!」

好き勝ってに暴れまわるその様子を見て、オリヴィエは顔をうつむかせた。

「きっと、もうだめだ……元には、戻れないよ……」

そうつぶやくオリヴィエにむかって、男爵は口を開き、炎を吐きだした。

ブロッサムとマリンはオリヴィエをかばうように前に出たが、それよりも早く、光の壁が出現した。

その壁を作ることが出来る仲間は、ただ一人だった

「あきらめちゃダメ!!サラマンダーの心の闇を照らすことができる光、それはきみだ!!」

サンシャインはうつむくオリヴィエを励ますように叫んだ。

その言葉をつなぐように、背後からムーンライトとセイバーの声が聞こえてきた。

「あなたが諦めない限り、わたしたちも一緒に戦うわ‼︎」

「動けないなら、俺たちが支えてやる。進めないなら、背中を押してやる。だから、諦めんな!」

ようやく合流できた仲間たちの名を呼び、ブロッサムとマリンは男爵の方へ顔を向けた。

「行きましょう!オリヴィエ!!」

「いつまでも休んでられないよ!あたしたちがなんとかしなくちゃ!!」

マリンの攻撃でほどけてしまったポニーテールを結わえ直して、ブロッサムはオリヴィエに視線を向けた。

その顔は、なぜ絶望しないのか、と問いかけているようだった。

「……プリキュアとセイバーの力の源、なんだか知っていますか?」

ブロッサムがオリヴィエの手を取ると、オリヴィエは顔を上げ、ブロッサムたちを見た。

その顔に絶望の色は浮かんでいない。あるのは、守ろうという強い意志だった。

「一緒に行きましょう!オリヴィエ!想いの強さが、わたしたちの力になるんです!!」

オリヴィエはようやく、龍となった男爵に顔を向けた。

そこにはもう、絶望はなかった。

「「「「「ハートキャッチミラージュ!!」」」」」

オリヴィエが立ち向かう勇気を出したことを知り、ブロッサムたちはパワーアップアイテムであるハートキャッチミラージュを取りだした。

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ!大樹の騎士に力を!!」

ブロッサムたちとセイバーが同時に祈りをささげると、ハートキャッチミラージュの鏡面から光があふれ、五人を包みこんだ。

光の中で、五人は最強シルエットへと変身を遂げた。

「「「「世界に広がる、一面の花!ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー!レイディアントシルエット!!」

白いコスチュームに身を包んだ五人は、男爵の前に立った。

その光を見た男爵は、忌々しそうにのどをならした。

「サラマンダー!憎しみに染まったその心!わたしたちが……キャッチします!!」

ブロッサムが高らかに宣言すると、ブロッサム(プリキュア)たちは自分が手に持っている武器に心の花の力を込め、天に掲げた。

その瞬間、彼女たちの背後に白いドレスをまとった巨大な女神が姿を現した。

「「「「花よ、咲き誇れ!プリキュア!ハートキャッチオーケストラ!!」」」」

女神は、プリキュアが武器を向けた方向へ、男爵の元へと向かっていき、その拳を振り下ろした。

それと同時に、セイバーもまた、心の花の力をまとい、男爵に突進していった。

「俺のすべてで、悪しきを断つ!!ハートライト・レイクエム!!」

女神の拳とエターニアハートの刃に対抗するように、男爵は炎を吐きだした。

炎と五人の力は拮抗し、押し合いになった。

だが、その均衡は、オリヴィエの叫びをきっかけに破られることとなった。

オリヴィエはいつのまにか自分の足もとに転がってきた男爵の力の結晶を手に取った。

いままで紅かったその輝きは、髪の色と同じ、青い輝きを放っていた。

オリヴィエは、手にした結晶を掲げ、一心に叫んだ。

「頑張れ!プリキュア!セイバー!!」

オリヴィエのその叫びは、徐々にパリ中へと広まっていき、人々のプリキュアとセイバーを応援する想いが、光となってプリキュアとセイバーのもとへ集まっていった。

「「「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」

人々の想いが力となり、拮抗していた男爵の炎を五人の力が打ち破った。

男爵の炎をくぐり抜け、セイバーが男爵を斬ると、女神がまるで男爵を慈しむかのように抱きしめ、光で包みこんだ。

やがて、女神が光とともに姿を消すと、男爵は龍の姿から人間の姿へと戻りながら、ゆっくりと地面に落ちた。

男爵が落ちた場所へと急いだオリヴィエは、目を閉じている男爵を泣きそうな顔で覗き込んだ。

無事に元の姿に戻った。

そのことに安心すると、オリヴィエは涙を流しながら嗚咽を漏らした。

「……ルー・ガルー……」

「……!?男爵!!」

「……泣いて、いるのか?」

オリヴィエが泣いていることを不思議に思ったのか、男爵がそう問いかけると、オリヴィエはどう話したらいいのかわからず、だって、とか、なんだよ、としか口にすることができなかった。

ふと、男爵は上空に視線を映した。

そこには、自分を打ち倒したプリキュアたちとセイバーがいた。

「……まったく、忌々しい……プリキュアどもめ……」

毒づいてはいたが、男爵の顔はどこか穏やかで、晴れ晴れとしていた。

「セイバーともども、次は必ず、俺が勝ってやるからな……」

「……ぷっ!!あはははははははは!!」

男爵はまだ戦うつもりでいるということがおかしかったのか、オリヴィエは笑い声をあげながら笑った。

ふと、男爵はオリヴィエの手に握られていた自分の力の結晶にひびがはいっていくことに気づいた。

結晶は、ゆっくりとひびを入れながら、やがて割れ、砂のように風の中へと散っていった。

これではもう、回収は無理だろうな、と空を見上げながら、男爵がそう思っていると、オリヴィエが語りかけてきた。

「男爵。また、旅をしようよ……つらいことや悲しいことは、これからもたくさん、あるかもしれない」

オリヴィエは男爵にそう語りながら、笑みを浮かべた。

その視線の先には、降りてきたブロッサムたちの姿があった。

「だけど、いつかそれを花に変えることができるなら……この世界も、悪くないんじゃないかな?」

オリヴィエの言葉に、男爵はただ静かに微笑みを返すだけだった。

だが、オリヴィエはそんなことは気にせず、こちらに歩いてくるプリキュア(少女)たちとセイバー(青年)にむかって、今、思っていることを言葉にした。

「ありがとう!プリキュア!セイバー!!」

その言葉を聞いたブロッサムが花のような満面の笑みを浮かべた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

つぼみ「みなさん!見てください、これ!!」
えりか「お!オリヴィエからの手紙じゃん!!」
いつき「なんて書いてあるの?」
つぼみ「そ、それが……フランス語で書かれてるのでまったく……」
菖「貸してみて?」
中学生組「「「菖さん、読めるんですか?!」」」
ゆり「あら、菖は海外の大学の講義も聞きに行くことがあるのよ?というか、パリの大学で考古学の講義を受けていたんだから、ある程度は読めるでしょ」
中学生組「「「そ、そうでした……」」」(汗
ゆり「それで?なんて書いてあるの?」
菖「ちょっと待って……『久しぶり、元気かな?なんて聞かなくてもわかる気がするけど』」
オリヴィエ(手紙)『僕と男爵はいま、アイルランドに来ているよ。知ってる?アイルランドはウィスキーが有名なんだけれど、アイルランドではウィスキーのことを「命の水」って呼ぶんだって!ウィスキー工場の見学をさせてもらったんだけど、そのときに男爵が試飲したウィスキーがちょっと強かったみたいで、軽く酔っ払っちゃったんだ。『プリキュアとセイバーにやられたときと同じくらい屈辱的だ』って、男爵は愚痴ってた……男爵の力を回収する旅でもここには立ち寄ったけれど、あのときよりも景色が輝いて見えるんだ。たぶん、これもつぼみたちのおかげなんだろうね。いつか、日本に来た時は希望ヶ花市を案内してほしい。そのときに、僕が旅で見てきたいろんなことをたくさん話したいよ。それじゃ、いつかまたどこかで(Au revoir)!』
えりか「ふふ~ん!まぁ、あたしらのおかげよね~!!」
いつき「もぉ、えりかったら……」
ゆり「ふふふ、オリヴィエも男爵もちゃんとこの世界にいることができてるみたいね」
つぼみ「はい!日本に来てくれるのが楽しみです!」
菖「ははは!……どうやら、先代からの宿題は無事に終わらせることができたみたいだな……」


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花の都でファッションショー、ですか?!~おまけ:パリでの一コマ(スキット風)~

やれやれ、やっとできた……
というわけで、楽しみにしていたかたはお待たせしました。
「花の都でファッションショー」の番外編スキット集です。
なお、今回は菖が中心になってるものが多い上に、ある意味、作者がやりたいからやったものもありますが、大目に見ていただければと。
わかりにくい、という方のために、今回の元ネタを↓

・菖の友人:パリの大学で一緒に講義を受けたことがある友人。
元ネタは「Fa○e/」シリーズから、フランスの聖処女と巌窟王
・菖の先生:元SASの考古学者。日本人とイギリス人のハーフで菖の両親共通の友人。月影博士の行方探索に協力してくれている人の一人。
元ネタは「MAST○R(マス○ー) KE○TON(キ○トン)」から、○賀=キ○トン=○一

まぁ、「色々クロスオーバー」のタグつけてるし、問題ないすよね?(^^;
ともあれ、本編どうぞ。
……あ、今回のあとがきはスキットの代わりにちょっとしたお知らせを書きました


~「飛行機の席順は……」~

(パリへ出発する数日前)

ゆり「つぼみ、ももか。わかっているわね?わたしたちが集まった理由」

ももか「えぇ、もちろん」

つぼみ「はい!」

ゆり、ももか、つぼみ「「「誰が菖の隣に座るか、それを決めるためよ/ね/です」」」

つぼみ「全員が菖さんの隣に座るためには、行きか帰りのどちらかで、菖さんには窓際の席に座ってもらう必要があります」

ももか「全員が平等で座るには、それが一番だものね……それで?どうするの??」

つぼみ「ゆりさん!行きの便でわたしと菖さんをサンドイッチにしましょう!!」

ゆり「あら、それはおもしろそうね……いいわ、つぼみ。その案にのりましょう」

ももか「うわ、一瞬で決まっちゃった……というか、二人とも、どんだけ菖くんのことが好きなのよ……ま、かくいうわたしもだけど」

 

~「離陸前の飛行機の中にて」~

つぼみ「……」(((;ω;lll)))ガクガクブルブル

ゆり「……」(--lll

菖「え、えぇと……なんで二人とも、俺の腕つかんでるの?」

つぼみ「はっ?!す、すみません!!……け、けど……」

ゆり「えぇ……さすがに、飛び立つ瞬間が怖くて……」

つぼみ「菖さんは怖くないんですかぁ?」(半泣き

菖「いや、俺は慣れてるから。というか、二人とも空、飛べるよね?なのになんで飛行機はだめなのさ?」(苦笑

ゆり「自分で飛ぶのと、飛行機だと感覚が違うから怖いのよ……」

菖「そんなもんかなぁ?」

 

~「菖の友人」~

(パリ市内の大学にて)

金髪の少女「ボンジュール、ショー!」

菖「ボンジュール、レティシア。久しぶり」

レティシア「む~!レティでかまいませんといったはずです!もうお忘れですか?!」

菖「ごめん、レティ」(にっこり

レティ「構いません。少しからかいが過ぎました……ところで、なぜあなたもここにいるのですか?エドモンド」

エドモンド「私がいてなにか問題でもあるのか?私もここの学生なのだがね」

菖「お、エドモンド!久しぶり」

エド「エドで構わんと言ったはずだ。よもや長く日本にいたために友人を忘れたか?……まったく、残酷なことだ」

菖「ははは、忘れてないって……というか、二人して同じこというなよ」

レティ、エド「「同じことを言わせるあなた/お前が悪い」」

菖「……はい、ごめんなさい」

 

~「菖の両親」~

(パリ市内のとある喫茶店にて)

ゆり「お久しぶりです、おじさん、おばさん」

菖父「あぁ、久しぶりだね、ゆりちゃん」

菖母「すっかり美人さんになっちゃって」

ゆり「ふふふ、おばさんだって変わらず若々しいですよ?」

母「あらやだ、ゆりちゃん、お世辞もうまくなっちゃって」

父「何を言ってるんだ。母さんはいつだって若いじゃないか」

母「あらやだ、あなたまで」

ゆり「……菖、相変わらずみたいね、あなたの御両親」(--;

菖「……穴があったら入りたいよ……いい歳して恥ずかしい……」(-▽-;

両親「「何か言ったか/かしら?菖」」

菖「なんでもありません」

母「それで?菖とゆりちゃんはもう付き合ってるの?」

菖、ゆり「「――っ??!!げほっげほっ?!」」

母「あらあら、その反応ということはもしかしなくても」

菖、ゆり「「母さん/おばさん!冗談はよしてくれ/ください!!///」」

母「あら、残念。ゆりちゃんはまんざらでもなさそうだけど」

ゆり「――っ????!!!!!/////す、すみません!友人を待たせているのでわたしはここで!///」

母「あら、残念。それじゃ、またいつかね。ゆりちゃん」

父「……で、菖。本当のところはどうなんだ?」

菖「ノーコメント」

 

~「菖の先生」~

(パリ市内にて)

菖「先生!キートン先生じゃありませんか?!」

キートン「ん?……あぁ、菖くんか!久しぶりだね。そちらのお嬢さんがたは?」

菖「俺の日本の友人です。眼鏡をかけてるのがゆりで、その隣がももかです」

ももか「菖、この人は?」

ゆり「……もしかして、考古学者のキートンさんですか?」

キートン「えぇ、そうですが……もしかして、菖くんが何か言っていたんですか?」

ゆり「彼とは幼馴染なので、考古学の論文については耳にタコができるほど聞かされて来ましたから。それに、キートン先生の講義についても」

菖「ははは……」(-▽-;

キートン「ははは。さて、それじゃ改めて。太一=キートンと言います。ご存知の通り、考古学者です。といっても、博士号も取っていなければ、身を置いている大学もありませんがね。まぁ、お見知りおきを」

ゆり「月影ゆりと言います」

ももか「二人の親友の来海ももかです。よろしくお願いします、先生」

キートン「えぇ、よろしく……ところで、菖くん」

菖「はい?」

キートン「パリ第一大学で私がお世話になった先生の講義が開かれるんだが……」

菖「ぜひご一緒させてください!!」

ももか「反応早っ?!」

ゆり「菖、龍之介さんたちには知らせておくから、いってらっしゃい」

菖「サンキュー、ゆり!」

キートン「……誘う前に同行することが決定したか。君の行動力は称賛に値するものだね」(苦笑

 

~「菖とオリヴィエ」~

(アパート裏庭にて)

オリヴィエ「……何やってんの?」

菖「見ての通り、読書」

オリヴィエ「ふ~ん?……面白いの?その本」

菖「人を選ぶかなぁ……俺は面白いと思うけど、えりかといつきは頭パンクしちゃうかも」

オリヴィエ「つぼみとゆりは?」

菖「ゆりは知的好奇心が旺盛だし、つぼみは頭がいいからね。読みたがるかどうかは別だけど」

オリヴィエ「ふ~ん?」

菖「……本、読まないのか?」

オリヴィエ「そんな暇なかったし、興味もないから」

菖「それはもったいない!」

オリヴィエ「え?だって、たかが本でしょ?知識なんて持ってても意味がないよ」

菖「そんなことはないさ。知識というのは、重さを伴わない財産。それに何より、学ぶ意欲ってのは大事なものだよ」

オリヴィエ「ふ~ん……なんで、そこまでして知ろうとするのさ?」

菖「……俺が追い求めてる答えを見つけるため、かな」

オリヴィエ「答え?」

菖「価値観や人種、そんなくだらないものを全部取っ払って、みんなで生きていくことができないか」

オリヴィエ「……無理だよ。砂漠の使徒とプリキュアがいい例だ」

菖「そうかな?砂漠の使徒の目的が世界の砂漠化だとしても、そこには彼らなりのやむを得ない事情があると俺は思うんだ。なら、その事情を理解して、受け入れて、彼らと一緒に生きていくことだってできるんじゃないか?」

オリヴィエ「……あんた、ほんとにプリキュアの味方?」

菖「そうだよ?けど、プリキュアが絶対的に正しいわけじゃないし、砂漠の使徒が絶対的な悪だとも思っていない。そもそも、正義だとか悪だとかって、どうやって決めるのさ?」

オリヴィエ「それは……わかんないよ。だって、そんな基準なんてないんだし」

菖「そう、だからどっちも正しくないし、どっちも悪くない。なら、共存できる。俺は、その答えを探すために、考古学を学んでいるんだ」

オリヴィエ「ふ~ん……」

菖「オリヴィエにもいつか、自分が取り組みたいと思う何かが見つかるよ。その時のために、知識は蓄えておいて損はない」

オリヴィエ「……考えとく」

 

~「ファッションショーの助っ人は……」~

菖「で、オリヴィエが抜けた穴は誰が?」

ゆり「……どうやら、あの人が助っ人をしてくれるみたいよ」

菖「あの人?……あぁ、()か」

ゆり「えぇ」

つぼみ「はっ?!あ、あなたはいつかのイケメンさん??!!」

コッペ(人間モード)「……(にこっ)」

つぼみ「――っ?????!!!!!/////」

菖「……もしかしなくても、つぼみはあの人がコッペ様だってことを」(ひそひそ)

ゆり「知らないみたいね」(ひそひそ)

コロン「なら、黙っておこうか。そのほうが面白そうだし」(ひそひそ)

菖、ゆり「「賛成」」(ひそひそ)

 

~「ファッションショー本番を控えて」~

つぼみ「うぅ……緊張してきました……」(><;

えりか「まったく、つぼみは緊張しすぎ!かっちょよくなった菖さんでも眺めて、その緊張といてきなさい!」

いつき「それ、逆効果じゃない?」(^^;

菖「なにを騒いでるんだか……にしても、さすがさくらさん。二人とも見違えたよ」

ゆり「ちょ?!……い、いきなり何を言ってるのよ?!///」

ももか「うふふ~♪まぁ、それほどでも~♪///」

えりか「……余裕そうに見えて、もも姉ぇ、顔が紅いっしゅ!」(・∀・

ももか「え、えりかぁ?!」(><メ

ゆり「ふふふ……照れてるももかも可愛いわね」

えりか「ともあれ、いよいよ本番っしゅ!みんな、気合い入れていくっしゅ!!」

つぼみ、いつき「「おー!」」

ゆり、菖「「って、えりかが仕切るのね/のか?!」」

ももか「なぁに勝手に仕切ってんだか」(^^;




活動報告に「大樹の騎士」のリクエストコーナーを設けました。
もしなにか、「こういうことをしてほしい」というものがありましたら、そちらのコーナーにコメントください。
気まぐれに選んで、気まぐれに執筆いたします。
なお、執筆したお話は、リクエストにもよりますが、基本的に「日常編」あるいは「オールスターズ編」に投稿させていただきます。


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花の都でファッションショー、ですか?!~没にしたおまけ~

珍しく本編に入れましたな
えっとタイトルの通り、こうしようかな、と思って没にしたお話です
キャラ崩壊とかありそうなので、そのへんはご容赦いただければ(だってまだ召喚できてないもん、二人とも

あ、あとがきはありませんのであしからず


~そっくりさん?~

菖「うん?あれは……レティ?それにエドも……」

レティ?「はい?」

エド?「なんだ?」

菖「……いや、違う。似てる、いやそっくりだけどあの二人じゃない」

レティ?、エド?「「……っ?!」」

菖「あなたたちは、一体……」

ゆり「菖?どうしたの??早く行きましょう!!」

菖「あぁっ!……あれ?もう、いない??」

 

~そっくりさんの正体は~

レティ?「ふぅ……危ないところでした」

エド?「なぜ、俺までつき合わなければならぬ……」

レティ?「しかたありませんよ!できる限り、その土地にゆかりのあるサーヴァントであること、それがマスターから与えられた条件なんですから!!」

エド?「……我が共犯者の頼みならば致し方あるまい……が、もう一つの条件を忘れていないか?聖女よ」

レティ?「……げ、現地の人間とはできる限り接触しないこと……」

エド?「ふむ。ならば先ほどの現地人との接触、あれはどうなのだ?」

レティ?「うっ……」

エド?「貴殿の食欲、それが原因ではないのか?オルレアンの聖女よ」

レティ?「……ひ、否定できません……」

エド?「ならばもう少し隠密行動をしてほしいものだ……もっとも」

レティ?「……えぇ……」

エド?、レティ?「「あの男/彼よりはだいぶましなのだろうが/けれど」」

 

~男爵、龍化暴走中:その1~

男爵「ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

パリ市民1「な、なにあれっ?!」

パリ市民2「ママン!怖いよーっ!!」

パリ市民3「お、おい……あれ、やばくないかっ?!」

パリ市民4「……も、もう、おしまいだ!!」

レティ?「主の御業を此処に!――旗よ、我が同胞を守り給え!!我が神は此処にありて(リュミノジテ・エテル・ネッル)!!」

エド?「慈悲などいらぬ!!――我が往くは怨讐の彼方!!虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)!!」

パリ市民5「……な、なにも、起きな、い?」

パリ市民3「た、助かった、のか?」

レティ?「皆さん!いまのうちに避難を!!」

パリ市民4「す、すまない!」

パリ市民1「あ、ありがとう!!」

レティ?「さて……あのドラゴン、どうしましょうか……」

エド?「案ずる必要はあるまい」

レティ?「え?」

ハートキャッチ組「「「「プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!」」」」

セイバー「俺の全てで悪しきを断つ!!ハートライト・レクイエム!!」

レティ?「……どうやら、そのようですね……」

エド?「では、俺は先にわが共犯者のもとへ戻るとするぞ」

レティ?「はい。マスターのもとへ帰還します」



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追跡!菖さんの遺跡に向ける、熱い想い!

今回はオリジナルですが、正直、かなり適当。
デザトリアンのくだりなんか、もはや無理やりな感じが否めない(汗
う~ん、今度からは日常ほのぼの系にするかなぁ……

ま、ひとまず本編どうぞ。


とある休日。

いつもならば、植物園に集まってお茶会をしているつぼみ、えりか、いつき、ゆり(ハートキャッチチーム)と菖なのだが、その日は珍しく、菖がいなかった。

「珍しいよねぇ、誘うと必ず来てくれるのに……」

『はらや』の大福を食べながら、えりかがそんな感想を漏らしていた。

つぼみといつきも、菖が来ないという初めての経験に、少しばかり戸惑いを覚えているようだ。

ゆりと薫子だけは訳知りのようで、くすくすと微笑みを浮かべていたが。

「もしかして、ゆりさんとおばあちゃんは何かご存知なんですか?」

「えぇ、つぼみたちがプリキュアになる前から、ね」

「えぇ??!!……もしかして、一人で楽しいことしてるとか?!」

「……本人にとっては楽しいのだろうけれど、わたしは楽しいとは思えないわね」

えりかの一言に、ゆりはティーカップを手に持ちながら返した。

ゆりの返答で、つぼみといつきは菖が何をしているのか、すぐに察することができたが、えりかは疑問符を浮かべていた。

その様子に呆れ返ったゆりに代わって、コロンがヒントを出した。

「セイバーの趣味はなんだっけ?」

「うん?遺跡の探検でしょ……あぁ、そういうこと」

ようやく、えりかも納得したようだ。

どうやら、今日も今日とて遺跡探検に向かっているようだ。

「ほんと……よく飽きずに遺跡探検できるよねぇ」

「けど、なにかに夢中になれるって素敵なことだと思います!」

「そうね。えりかも人のこと、言えないでしょ?」

つぼみの言葉に同意したゆりの問いかけに、えりかは苦笑を浮かべた。

確かに、えりかも菖のことは言えた義理ではない。

なにせ、新たなデザインの考案や服の仕立てとなると、何時間でも部屋にこもっていられる自信があるのだから。

「けど、遺跡って実際、どんな風になってるんだろう?」

「そうね……探検できるほどの遺跡が日本にあるのかしら?」

いつきにしても、ゆりにしても、教科書や資料集で見たことがあるもの以上の知識はない。

遺跡探検といっても、海外ならばともかく、日本にそれほど保存状態のいい遺跡が、はたして存在しているのだろうか、という疑問があるようだ。

「……ここは一つ、菖のあとをつけてみましょうか」

「「「え?!」」」

ゆりの突然の提案に、つぼみたちは一斉にゆりのほうへ視線を向けた。

基本的に、ゆりはだれかを追跡しようという提案をすることはない。

だが、今回は相手が(幼馴染)だからということもあるためか、遠慮がなくなっているようだ。

その証拠に、ゆりの顔にいたずらっ子のような悪い微笑みが浮かんでいた。

もっとも、もともとが美人なためか、つぼみたちはその微笑みすらも魅力的に感じてしまっていた。

----------------------------------

一週間後。

ゆりの提案に賛同したつぼみたちは、ゆりとともに菖が出ていく姿を確認し、追跡を開始した。

菖は、希望ヶ花市から少し離れた山の方へ向かっているようだ。

見失わないように、上空からシプレたちに追跡してもらいつつ、ゆりたちも菖の背後から追跡していった。

しばらく歩いていくと、菖は山の中へと入っていった。

ゆりたちもそれに続き、山の中に入ったが、木々に邪魔されて見失いそうになってしまった。

「ちょ……いったいどこまでいくのよ~……」

「もう結構、奥の方に入りましたよね?」

「……ポプリたち、菖さんのこと見失ってないかなぁ……」

中学生組は体力がそろそろ限界に近づいているためか、弱音が出始めていた。

少し休憩をしようか、とゆりが思った矢先。

「まぁ、そんな軽装備で来たわりには頑張った方じゃないか?」

と、すぐ近くから菖の声が聞こえてきた。

ぎょっ、と目を見開いて前を見ると、いたずらっ子のような笑みを浮かべている菖の姿があった。

「き、気づいていたんですか?!」

「うん、まぁ。山に入ったあたりから」

「ばれないと思ったのに……」

「いや?山に入るまでは完ぺきだったぞ?」

だが、山に入ると下草や落ちている枝が問答無用で物音を立てるため、後ろから誰かがついてきていることに気づくことができたようだ。

種明かしを聞いたゆりは、今度はこっちが質問するのだけど、と前置きをした。

「……それで?こんなところに遺跡なんてあったかしら?」

「あぁ。まだ発表はされてないし、父さんたちにも報告してないからな。それに、見つけたのはほんの二、三週間前くらいだし」

「見つけたって……そんな簡単に?」

あまりに軽い口調に、つぼみは首をかしげた。

日本で遺跡が発掘されるときは、偶然、石器などの何かしらの道具が出土した場合が主であり、あてずっぽうで見つかることはほとんどない。

だが、どうやら菖はあてずっぽうで見つけたわけではないようだ。

「このあたりの郷土史を読んでたら、ある時代、ここは入山禁止の扱いになっていたんだ。理由は、鬼が住むからとか、神隠しに遭うからとか、色々あったけど」

「そうなんですか?」

「そ。で、そういう山ってたいていはご神体や神域だったりするんだけど、このあたりには神社がないし、神主とかがいたって記録もなかったんだ」

「……なら、あるとしたら誰かのお墓、あるいは記録に残らなかった神殿にということね?」

「そういうこと」

菖が何を言いたかったのか理解したゆりが、菖がここへ来た根拠を答えると、菖は、にっ、と笑みを浮かべた。

どうやら、正解だったらしい。

「そ、そんな方法で見つかるんだ……」

「なんか、すごいような、すごくないような……」

なお、考古学者は伝説や伝承から遺跡があると思われる場所を発掘する手法は、あながち間違いではない。

『ギリシャ考古学の父』と呼ばれる、ハインリヒ・シュリーマンはホメロスの『イリーアス』にあるトロイヤ戦争の物語が真実であると考え、発掘作業を行った。

その結果、シュリーマンは古代ギリシャの遺跡を発見、『ギリシャ考古学の父』とまで呼ばれるようになったことは、教養ある人間ならば知るところだ。

「ま、今回は運が良かったってこともあるのかもしれないけど……で、どうする?」

「「「「……え?」」」」

「せっかくここまで来たから、遺跡の入り口だけでも見学していくか、それとも帰るか」

どうやら、趣味に巻きこむつもりはないらしい。

むろん、ゆりたちが軽装だから、ということもあるのだろうが、菖自身があまり大っぴらにしたくないということもあるのだろう。

だが、伝説や伝承だけで位置が特定された遺跡、というものにも、興味があるらしく。

「見てみたいです!」

「見学してくっしゅ!!」

「お邪魔じゃなければ、見学させてください!」

「後学のために、見ておこうかしら」

ということで、全会一致で遺跡見学をすることになった。

----------------------------------

菖が見つけたという遺跡を見学することにしたゆりたちは、見つかった場所から数分、歩いた場所にいた。

彼女たちの目の前には、洞窟のようなものがあった。

一見しただけでは、それを遺跡とはとても言い難かったため。

「……これが遺跡?ただの洞穴じゃん」

と、えりかが率直な感想を口にした。

菖は苦笑しながら、まぁ外見はね、と返し、交通安全のために首から下げる小さいライトをどこからか取り出し、明かりがつくことを確認してからゆりたちに手渡した。

「中は暗いから、スイッチいれて首から下げておいて。それとえりか」

「うぇ?」

「はしゃぐなよ?ものすごく危ないから」

このメンバーの中で一番落ち着きのないえりかに菖がそう警告すると、なんであたしだけ、と文句は言いつつも、従った方がいいと判断したのか、えりかは素直に返事を返した。

全員が準備を終え、洞窟の中へ入っていくと、ゆりたちは目を見開いた。

まず飛びこんできたのは、石でできた鳥居のような門だった。

そして、その奥にはまるで円を描くように平たい石が配置されていた。

だが、驚くべきはそこではない。

壁だ。壁がすべて、石でできている。

もともと、洞窟だったこの穴に運びこんで積み上げたものなのだろうことは、すぐに察しが付いたが。

「なんでこんなものが……それもこんな洞窟の中に?」

「この奥に扉もあったし、鳥居や環状列石(ストーンサークル)があるから、神官の墓か、祭壇なんだと思う」

そう言いながら、菖は環状列石のさらに奥へと進んでいった。

そこには、周りの壁とはまた違う、巨大な石の扉があった。

その先には、どうやら行けないらしい。

「この奥にあるのが何なのか、まだわからない。けど、伝承の通りなら、この奥には……」

そう言いかけた時、出口のほうから、シプレたちが悲鳴を上げて飛んできた。

「「「た、大変ですぅ/ですっ/でしゅ!!」」」

「みんな!外に砂漠の使徒が!!」

コロンが状況を説明した瞬間、つぼみたちは一斉に出口へと走りだした。

菖もすぐ後ろに続き、遺跡の外へと出た。

すると、目の前に突然、スコップの形をしたデザトリアンが視界に飛びこんできた。

もっとも、その腕はつるはしだったのだが。

「ちっ!よりによって発掘道具かよ!!」

「文句はあとよ!菖!!」

「わかってるさ!」

デザトリアンの姿が、慣れ親しんだ道具であることに、菖は顔をしかめ、ゆりに一喝されたが、自分のやるべきことはわかっているため、指抜き手袋を取り出し、左手にはめた。

それは、ゆりたちも同じだった。

それぞれの変身アイテムを取りだすと同時に、妖精たちはパートナーの近くへと飛んでいった。

「「「「プリキュアの種、いくですぅ/ですっ/でしゅ/いくぞ!!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

ゆりたちが妖精からプリキュアの種を受け取ると同時に、菖もまた、手袋に心の花の力を込めた。

その瞬間、五人は光に包まれ、その中で姿を変えた。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士、ユグドセイバー!」

「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」」

四人が名乗ると同時に、サソリーナはデザトリアンに攻撃を命じた。

すると、デザトリアンは、つるはしの腕を振りあげ、思い切り振り下ろしてきた。

当然、ブロッサムたちは散会してその攻撃を回避したが、セイバーだけはその攻撃を引き抜いた剣で受け止めていた。

「くっ!!」

「スッコー!!」

デザトリアンはもっとつるはしに力を込め、セイバーを押しつぶそうとした。

セイバーはつるはしを受け流すこともせず、その場にとどまっていた。

だが、その隙を見逃すデザトリアンではなかった。

もう片方の腕で、がら空きになっている胴を薙ぎ払いにかかってきた。

さすがにそれを受け止めることはできず、吹き飛ばされてしまった。

「「「セイバー?!」」」

「あらん?なぁんで避けなかったのかしらん?」

サソリーナはセイバーが回避できた攻撃を回避しなかったことを疑問に思い、セイバーの背後に視線を向け、にやり、と笑った。

「もしかしてぇ……そこに壊されたら困るものでもあるのかしらん?だったら……やっちゃいなさい!!デザトリアン!!」

壊されたら困る、というのはあながち間違ってはいない。

だが、サソリーナはそこにセイバーにとって重要なものがあると勘違いしたらしく、デザトリアンに徹底的に破壊するように命令した。

もちろん、それを実行させるほど、セイバーもお人好しではないし、セイバーが身を挺して洞穴をかばった理由を知っているプリキュアたちが許すはずがなかった。

「マリン・シュート!!」

「ブロッサム・シャワー!!」

ブロッサムとマリンが同時にデザトリアンに攻撃を加え、洞穴から引き離した。

「ここに眠っている人の安寧を妨げることは、許しません!!」

「はぁっ?!じゃぁ、そこにはお墓があるだけなの?!……ばっかばかしい!だったらなんでそんなボロボロになってでも守る必要があるのよ?あんたたちには関係のない、しかも大昔の……」

「うっさい、黙れ!」

「うぇ?!」

サソリーナの言葉に、プリキュアたちではなく、セイバーの怒号が響いた。

その瞬間、エターニアハートを翡翠の刃に変形させ、飛行能力を身につけたセイバーが猛スピードでデザトリアンに突っ込んでいき、殴り飛ばした。

「俺たちに関係ない?ばかばかしい?……あぁ、そうだろうさ。少なくとも、お前らやブロッサムたちにすればばかばかしいだろうさ!」

「ちょ?!なんであたしらまで??!!」

「わたしたちはそんなことは……すみません、ちょっと思ってました」

「……ばかばかしいとは思っていないけれど、関係ないというのは、否定できないわね」

「けど、ちょっとひどい気も……」

セイバーの反論に、マリンたちは抗議の声を上げたが、セイバーはそれらを無視して続けた。

「俺たち考古学者はな、あんたらがばかばかしいと思っているものから、自分たちの起源(ルーツ)を紐解いて、"よりよく生きるにはどうすればいいか"とか"俺たちがこれからどこに向かおうとしているのか"を考えていくのが仕事だ!」

歴史学というのは、道楽の学問、といわれていた時代がある。

それは、目を向けるべきは"現代(いま)"であり、過去に目を向けるのはよほど裕福な人間だけという見解からのものだ。

だが、むしろ人間が目を向けるべきは過去であり、過去から学び、よりよい未来を目指すことが歴史学の真髄だ。

特に、考古学や古代史は現代の価値観と大きく異なる時代に焦点を当てているからこそ学ぶべきもの、というのがセイバー()の理論だ。

時代が古くなればなるほど、世界中に住んでいる人間の根源(ルーツ)に近づくということでもあり、それらを知ることで、本当の意味での世界平和を成し遂げるためのヒントを探ることが、菖が生涯をかけて挑むと決めたテーマだ。

だから、たとえ関係のない人間の墓であろうとも、ないがしろにすることは決してない。

だからこそ。

「その想いを理解する前から頭ごなしに否定する連中に、ここをぶち壊させるわけにはいかない!!」

どうやら、お人好しと穏やかさが服を着て歩いているような人間であるセイバーの堪忍袋の緒が切れてしまったようだ。

エターニアハートを元に戻し、セイバーは心の花の力をエターニアハートの刃に乗せた。

「ちょ、やば?!」

「心よ、吼えろ!!エターニア・ブレイドダンス!!」

あまりに素早く必殺技を繰りだされたため、デザトリアンへ命令することも忘れて、サソリーナはその場から離脱した。

一方、逃げ遅れたデザトリアンは、心の花の力を込められたエターニアハートが繰りだす連続攻撃に耐えられず、目を回して倒れてしまった。

だが、浄化するには至っていなかったらしい。

そのことに気づいたムーンライトはブロッサムたちに号令を飛ばした。

「いまよ!!同時にフォルテッシモよ!!」

「「「はい!!」」」

ムーンライトの合図と同時に、ブロッサムたちはタクトとタンバリンに心の花の力を集め始めた。

「花よ、咲き誇れ!プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

「「集まれ!二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

サンシャインの頭上に太陽が出現し、ブロッサムとマリンが心の花の力をその身体にまとって太陽に突撃し、その力を体にまとい、金色の光をその身に宿した。

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

三人の心の花の力を合わせたフォルテッシモが、目を回しているデザトリアンに向かっていった。

それと同時に。

「花よ、輝け!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

ムーンライトも自分の心の花の力を身体にまとい、光の弾丸となってブロッサムとマリンと一緒にデザトリアンへ突進した。

三人がデザトリアンの背後に抜けると、三人がぶつかった場所には、金と銀、二色の光でハートが描かれていた。

「「「「ハートキャッチ!」」」」

四人が同時に叫んだ瞬間、デザトリアンを包むように四つの花が出現し、くるくると回転しながら光を放った。

「ぽわわわわ~……」

光につつまれるとデザトリアンは穏やかな顔になり、消滅した。

----------------------------------

その後、興ざめした、というよりも戦闘で疲れたから、という理由で、菖は遺跡調査を切りあげ、ゆりたちとともに帰路についた。

その道中、つぼみは菖に問いかけた。

「あ、あの菖さん。さっき言ってた『伝承』ってなんですか?」

「……ん?つぼみは興味がなかったんじゃなかったっけ?」

「あら?あんな中途半端に話を切りあげられたら、誰だって気になるわよ」

「僕も、その話にちょっと興味があります」

「あたしも~!」

何をしているのか、遺跡探検とはどういうものなのか、という好奇心からついてきた四人だったが、奇しくも菖が考古学に向けている想いを知ったからか、少しだけ、自分たちが住んでいる町の歴史に興味が出たようだ。

もっとも、菖は彼女たちが歴史にほんのちょっと興味が出てきたということは知らず、あの遺跡を発見する根拠となった伝承を話しながら、四人と一緒に帰宅するのだった。




あとがき代わりの後日談~スキット風~

~伝承について~
菖「その昔、ここには不思議な力を持つ天女がいた。天女は特に植物を愛し、悩みを抱える村の人々の心を癒し、助けた。しかし、その力を気味悪がった心ない人間が、いつしか天女を村から追放するようしむけた。天女は、自分がいることで村に争いの種ができるのなら、と村から離れ、山にこもった、申し訳なくおもった数人の村人が、天女に帰ってくるよう、頼みにいったときには、すでにその姿はなく、村人たちは天女が神の国へ帰ってしまったと思い、嘆いたそうな……これが、伝承の概要」
つぼみ「……なんだか、ちょっと悲しいお話です」
えりか「ちょっと変わってるからって、追放することはないのに……」
いつき「天女さま、悲しかっただろうなぁ……」
ゆり「仕方ないわ。人間は、理解できないものが怖いんだもの。天女さまもそれを理解していたから、自分から村を出たのだと思うわ」
菖「たぶん、ゆりの推測が正しいと思うよ。助けられていた村人は天女を間接的に殺してしまったことに罪悪感を覚え、手厚く葬ったってところかな……」
つぼみ「……あの、もしかして、あの遺跡は」
菖「たぶん、その天女に関係するなにか、なんだと思う」
ゆり「けれど、その伝承にいったい、どんな意味が?」
菖「詳しいことは調べてみないとなんとも言えないけど、その伝承が最初に語られたのが、ヤマト政権の成立した時期とかぶってるから、たぶん、地方豪族がヤマト政権に吸収されたことを表しているんじゃないかと思うんだ」
えりか「そんなことまでわかるの?!」
いつき「……もしかして、その時代、このあたりを治めていた豪族は、女の人だったとか?」
菖「その可能性は否定できないけど、どうなんだかね……」
えりか「……なんだか、歴史って、奥が深いっしゅ……夢中にはなれないけど」


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ムーンライトとセイバーの合体技(スキット風)

正直、かなり適当です(オイ
いや、本編を書いてて、そういえば、ムーンライトとセイバーの合体技、なかったなぁと思い出しまして……作るか!、ってなりました。
どんな技なのかは、本編とあとがきに。
まぁ、流し読んでもらってまったく問題ないです、ぶっちゃけると(--;


~某日、植物園ぬいぐるみ館~

えりか「……思ったんだけど」

つぼみ「はい?」

えりか「あたしたち三人は、三人の合体技があるじゃない?」

いつき「フォルテッシモとシャイニング・フォルテッシモのこと?」

えりか「そ!でさ、ゆりさんと菖さんって合体技あるのか、ちょっと気にならない?」

つぼみ「……い、言われてみれば……」

いつき「興味がないこともないなぁ……むしろ気になるかも!!」

ゆり「あるわよ、一応。ね?菖」

菖「ん?あぁ、確かにあるな」(-_-

中学生組「「「あるんですかっ?!」」」Σ(0ω0

ゆり「えぇ……ただ、あまり使いたくないのよ。菖に負担がかかるから」

中学生組「「「……え?それって、どういう……」」」

菖「どう説明したもんかなぁ……実際に見てもらった方が早いんだけど……」

ゆり「……そうね。それなら、プリキュアパレスへ行きましょうか。あそこなら、多少暴れても問題はないでしょうし」

菖「あのさ、ゆり。見せないって選択肢はないのか?」(--;

ゆり「あの子たちのあの目を見て、それを言うことがあなたにできて?」

中学生組「「「……(じーっ)」」」('▽'*<キラキラ

菖「……はい、無理です……」lll )

ゆり「そういうことよ。さ、行きましょう」

----------------------------------

~プリキュアパレス 大広間~

コロン「プリキュアの種!いくぞ!!」

ゆり「プリキュア!オープンマイハート!!」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

えりか「おぉ……なんだか二人しか変身してないのって、すごく新鮮っしゅ!!」

いつき「普段、みんな一緒に、だもんねぇ……」

ムーンライト「ポプリ、みんながけがしないように、シールドを張ってちょうだい」

ポプリ「しゅぅ?そんなに強い技なんでしゅか?」

えりか「え……そ、それってまずいんじゃ……」(0ω0;

ムーンライト「大丈夫よ。手加減はするから」

つぼみ「よ、よろしくお願いします……」

ムーンライト「まぁ、もし何かあっても、セイバーが責任を取ってくれるだろうし」

セイバー「……勝手に決めないでくれ……」(--;

ムーンライト「冗談よ……それよりも、始めましょう」

セイバー「はいよっと」

中学生組「「「……(ドキドキ)」」」

セイバー「……いくぞ!」

ムーンライト「えぇっ!!」

えりか「ん?セイバーが走りだしたっしゅ」

いつき「いったい、何を……」

つぼみ「あっ!ムーンライトが!!」

ムーンライト「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

えりか「せ、セイバーにフォルテウェーブ?!とうとう夫婦喧嘩っしゅか!!」

コフレ「えりか、ふざけてる場合じゃないですっ!」

つぼみ「ふ、夫婦っ??!!」Σ(゚д゚lll

いつき「つぼみ、そこは反応しなくても……うん?あ、セイバーが!!」

つぼみ「……ふぇ?……ふぉ、フォルテウェーブがセイバーに当たっちゃいました!!」

シプレ「でも平気そうですぅ」

いつき「それに当たったっていっても、右手だけだね……」

えりか「ここからどうなるか……」

セイバー「ユグドフォルテウェーブ!!」

えりか「今度はセイバーがフォルテウェーブ!!しかも、ムーンライトのフォルテウェーブが当たったまま?!」

つぼみ「いいえ!見てください!!二人のフォルテウェーブの光が一つになっていきます!!」

いつき「すごい……まるで月光のような、優しい光だ……」

セイバー「合技!」

ムーンライト「ルナティクス!!」

セイバー「フォルテウェーブ!!」

(轟っ)

中学生組「「「……」」」(゜□゜;

コロン「……相変わらず、凄い威力だね」(-□-;

シプレ「じ、地面が……」

コフレ「クレーターができてるです……」

シプレ「す、すごしゅぎでしゅ……」

ムーンライト「とはいえ、その分、反動もすごいのだけれど……セイバー、腕は大丈夫?」

セイバー「どうにか」

ムーンライト「嘘言わない」(右腕つかみ

セイバー「……っ!!」

ムーンライト「ほら、やっぱり……今日はもう無理しちゃダメよ?」

セイバー「はいはい」(^ω^;

ムーンライト「さ、手当てをしないといけないわ。早く戻りましょう?」

中学生組「「「は、はい!!」」」

えりか(……や、やばい。ムーンライトとセイバーを同時に怒らせたら、絶対、あたしらも無事じゃすまないよ……)

いつき(正直、次元が違いすぎるよ……)

つぼみ(二人の合体技……ムーンライト、少しずるいです)




設定補足:ムーンライトとセイバーの合体技

「ルナティクス・フォルテウェーブ」
ムーンライトとセイバーの合体技。
シルバーフォルテウェーブにユグドフォルテウェーブを重ね、相手に叩きつけるというだけという単純なものだが、二人のフォルテウェーブが完全に一体とした一撃であるため、単なる連撃よりも高い威力を誇る。
その威力に見合った代償として、セイバーの腕にかなりの負担がかかるため、大技と言わざるをえない。
もっとも、ある程度の加減はできるため、大きな怪我をした、ということはいままでなかったらしい。
とはいえ、本来は守る側であるはずの菖を傷つけかねないため、ゆりは積極的にこの技を使おうとしないし、菖もゆりのその心をわかっているため、積極的に使おうとは思っていない。


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さよなら、サソリーナ……砂漠に咲いた、心の花

本日、二度目~。
というわけで、久方ぶりの原作準拠の本編投稿。
内容はタイトルの通りです。
本来なら、生徒会のことが少し出てくるんですが、あくまでも主人公は菖なので、省略しているシーンがございますが、そこはご愛敬ということで。
ひとまず、本編どうぞ。


その日も、ブロッサムたちはデザトリアンとの戦闘を繰り広げていた。

ブロッサムがポストの姿をしたデザトリアンを投げ飛ばすと、マリンが追撃し、近くにあった大木の幹に叩きつけた。

その様子を少し離れた場所からサソリーナが見ていた。

「あ~んっ!もぅっ!!しっかりしなさい、デザトリアン!!」

「よそ見してる暇が」

「あると思って?!」

「なっ?!キャーーーーーーーーーッ!!」

ブロッサム、マリン、サンシャインの三人に一方的にやられているデザトリアンの姿を忌々しそうに見ながら、目くじらを立ててけなしていると、ムーンライトとセイバーの同時攻撃がサソリーナを襲った。

あまりに突然のその一撃に、サソリーナは抵抗する暇もなく吹き飛ばされ、デザトリアンの腹の上に着地した。

起き上がりながら、怒りにふるふると震え、サソリーナは奥の手であるアイテムを取りだした。

「こうなったら……ダークブレスレット!!闇に染まり、ダークな心に支配されるがいい!!」

ダークブレスレットは、激化するプリキュアとの戦いのなかで、少しでも有利に働くことができるよう、サバーク博士が開発した闇の力を増幅させるアイテムだ。

その能力は、装着者の力を飛躍的に向上させるだけでなく、装着者がデザトリアンと合体することで、その力も向上させることができるというものだ。

当然、闇の力をさらに引き出すために、デザトリアンの核となる心の花には大きな負担が伴うことになる。

そのため、コロンが守っている水晶の中に閉じ込められた人物は、苦しそうにうめき始めた。

「みんなっ!!」

コロンが叫ぶと同時に、デザトリアンにも変化が現れた。

どちらかといえば、無表情でどこか可愛さを感じる顔つきから一転、その表情は攻撃的なものとなり、先ほどの体つきよりも筋肉が太く、固くなり、より攻撃性を増していた。

《こうなったら、一気に勝負をつけてや……》

「やれるもんなら、やってみろ!!」

サソリーナのセリフの途中で、セイバーが間合いを詰め、エターニアハートを振り下ろしてきた。

普通のデザトリアンであれば、いまの一撃を回避することはできない。

が、ダークブレスレットによって強化され、そのうえ、サソリーナと合体している状態のいまは、その一撃をなんなく回避し、反撃につなげることができた。

《あまいわん!!》

「「そっちがねっ!!/甘いのはそちらですっ!!」」

「「隙ありっ/っしゅっ!!」」

《なっ??!!うあぁぁぁぁぁぁっ!!》

突然、真上から浄化の光が雨のように降り注ぎ、デザトリアンとサソリーナにダメージを与えた。

どうやら、セイバーは囮で、本命は上空へと飛び上がったブロッサムたちだったようだ。

四人からの一斉攻撃を受け、デザトリアンは膝をつき、体勢が崩れた。

ブロッサムはそれを見逃すことなく、マリンとサンシャインに合図を送った。

その合図に二人が答え、サンシャインが動いた。

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

サンシャインの頭上に、太陽のように赤々と燃える心の花の光が出現すると、ブロッサムとマリンは同時にタクトに心の花の力を込めた。

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

二人は心の花の光をまとうと、まっすぐにサンシャインが作りだした太陽へと突進した。

太陽の中で、二人は燃えることはなく、むしろ、その輝きを体にまといさらに力強い光となった。

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

金色の光となったブロッサムとマリンがデザトリアンにむかっていくと、金色のハートマークを胸に残し、デザトリアンの背後に擦り抜けた。

「「「ハート、キャッチ!!」」」

三人が同時に叫ぶと、デザトリアンの背後に桜とコスモス、そしてひまわりの花が出現し、くるくると回りながら、優しい光を放ち、デザトリアンを包みこんでいった。

『ぽわわわ~』

《ぽわわわ~……はっ!!ま、まずい!!》

デザトリアンと合体していたサソリーナは、三人の合体技を受けて、浄化されかけたが、すぐに脱出し、難を逃れた。

----------------------------------

砂漠の使徒の本拠地へと逃げ帰ったサソリーナは、砂漠にぽつんと存在している岩の上に腰かけ、月を見つめていた。

そんなサソリーナの背後には、クモジャキーとコブラージャがいた。

サソリーナもその気配に気づいていたのだろう。

月を見上げたまま、背後にいた二人に問いかけた。

「ねぇ、あたしたち、このままでほんとにいいのかしらん?」

「なにっ?!」

「何を言ってるんじゃ!サソリーナ!!」

サソリーナからの突然の一言に、コブラージャもクモジャキーも驚愕の声を上げた。

二人のその声を聞いて、サソリーナは、やるべきことはわかっている、と言って、姿を消してしまった。

サソリーナが姿を消すと、コブラージャとクモジャキーは顔を見合わせた。

「どういうことぜよ……」

「理由は察しが付く。サソリーナは、プリキュアどもの浄化の光を受け過ぎたんだ」

ダークブレスレットを受け取ってからというもの、サソリーナの出撃回数はコブラージャとクモジャキーよりも多くなり、必然的にプリキュアと戦う回数も増えた。

その結果、プリキュアとセイバーの浄化の光を自身が浴びる回数も増えてしまい、徐々にサソリーナの心の闇は浄化されていったのだ。

「これはゆゆしき事態ぜよ」

「珍しく意見が合うね……僕も同感さ」

さて、どうしたものかな。

コブラージャは空を見上げ、今後、サソリーナの処遇をどう提案するべきか、そして、今後、自分はどう立ちまわるべきか、そのことに思いをはせていた。

----------------------------------

数日して、明堂学園中等部校舎の屋上では、つぼみとえりかといつき(いつもの三人組)がおしゃべりをしていた。

その会話の中に出てきた突然の宣言に、えりかは驚愕の声を上げた。

「えーーーーーーっ??!!い、いつき、生徒会長辞めちゃうの??!!」

「うん。これから砂漠の使徒との戦いも激しくなっていくだろうから、そっちに集中できるように、と思ってね……それに、僕の任期もそろそろ終了だし」

「そんなぁ……」

いつきの突然の宣言。それは、生徒会長の引退宣言だった。

実際、ここ最近の砂漠の使徒の攻撃は激しさを増していた。

こちらも、キュアムーンライトとユグドセイバーという頼もしい先輩たちが戦力として加わってくれたことに加え、ハートキャッチミラージュという力も手にいれた。

だが、生徒会もプリキュアも武道(明堂院流)も、となんでもかんでも自分がやりたいことすべてができるわけではないことは、いつきもわかっている。

だから、任期を終える今を機に、思い切って生徒会から身を引くことを決意したのだ。

いつきがそう話すと、えりかも納得してくれたようで。

「……いつき、でもこれだけはわかって!いつきが生徒会長やってくれたおかげで、この学校は前よりもずっといい学校になったんだよ!それだけは忘れないで!」

と本当に残念そうに話していた。

えりかからの言葉に、いつきはにっこりと微笑みながら、ありがとう、とお礼をいうのだった。

 

その頃、高等部の屋上では、菖とゆりが二人で並んで座っていた。

今日はどうやらももかは仕事でいないらしく、二人がいる場所にしては珍しく、あまり騒がしい気配はなかった。

「……そういえば、そろそろ生徒会選挙だったな」

「……いつきはどうするのかしら?」

「さぁ?なにを選択するにしても、それはいつきが選んだことだ。俺たちがどうこう指図するいわれはないだろ」

「……それもそうね」

お人よしが服を着て歩いている、と称されるほど菖は人が好い。

だが、菖は人が選んだことに対してとやかく言うことはないし、その選択の結果、その人がどうなるかわかっていても、止めることはしない。

自身が選んだ道、その結末を受け入れる覚悟があると判断しているからだ。

だからこそ、ゆりがプリキュアになることを選んでも、何も言うことはなかったし、いますぐやめるよう、言うこともなかった。

今回も同じなのだが、いつきだから大丈夫、という信頼が大きいことは否定できないし、菖自身も否定するつもりはなかった。

「……さて、そろそろ」

行こうか、と言おうとした瞬間。

菖はなにかとてつもない気配を感じ取った。どうやら、その気配はデザトリアンのものだったらしく。

「ムーンライト!セイバー!!デザトリアンだ!!」

ゆりのカバンの中から、コロンが小声で二人に伝えてきた。

コロンの報告を聞いた二人は顔を見合わせ、互いにうなずき、周囲に誰もいないことを確認してから変身アイテムを取りだした。

「プリキュアの種!いくぞ!!」

「プリキュア!オープンマイハート!!」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!」

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

二人が同時に変身すると、コロンはムーンライトの肩に捕まり、マントに変身した。

「セイバー!」

「すまん!!」

ムーンライトはセイバーに手を差しだすと、セイバーはその手をしっかりと握り、ムーンライトと一緒に空へと飛び上がり、デザトリアンの気配を感じた中等部校舎の方へと向かっていった。

----------------------------------

中等部の校舎に到着した二人は目の前に広がっている光景に驚愕した。

「な、なんだこれ……」

「これはさすがにびっくりね……」

そこにいたのは、まるごとデザトリアンになってしまった校舎だった。

周囲を見回すと、ブロッサムたちの姿が見えなかった。

「……ブロッサムたちは?」

「わからないわ!……まさか、まだ校舎の中に?!」

ムーンライトが慌てた表情でデザトリアンの方へ視線を向けたが、どうやら、危惧しいたことは杞憂だったようだ。

「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」

デザトリアンから少し離れた場所で、三種類の光が輝くと同時に、つぼみたちの声が聞こえてきた。

どうやら校舎内にいた生徒たちを避難させてから、脱出したらしい。

ムーンライトとセイバーは安堵のため息をついた。二人はブロッサムたちと合流すると、屋上の方から、サソリーナの声が聞こえてきた。

「プリキュア!ユグドセイバー!!今日こそ決着をつけてやるわん!!」

「なんか、いやに自信たっぷりだな……」

「何があるかわからないわ。みんな、気をつけて!!」

セイバーが普段と違うサソリーナの様子に気づき、ムーンライトが警告を飛ばした。

だが、それに答える間もなく、デザトリアンが攻撃を仕掛けてきた。

とはいえ、その身体は校舎であるため、いつものように体を動かすことはできない。そのため、いつもよりも巨大な腕を振り下ろし、ブロッサムたちを叩きつぶそうとしてきた。

「ぐっ……ぬぅっ!!」

「お、重いぃ……!!」

「さすが、校舎のデザトリアンだけあるね!!」

「そ、それだけじゃなさそうです!!」

「ブロッサムの言うとおりよ……いつもより、闇の力が濃いわ!」

振り下ろされた腕を受け止めながら、ムーンライトはサソリーナの方へ視線を向けた。

そこには、三つの宝玉が装飾されたダークブレスレットがあった。

どうやら、コブラージャとクモジャキーから借り受けたらしい。

もっとも、サソリーナへの負担も大きいらしく。

――くっ……三倍のパワーがあるとはいえ、そろそろ厳しい!!

その顔は苦悶の表情を浮かべていた。

「さ、さっさと諦めて、降参しなさい!!」

「……そんなわけには!」

「いかないっしゅ!!」

サソリーナは苦痛に耐えていることを悟られないよう、早期決着のため、降参をすすめてきた。

だが、ブロッサムとマリンは必死に体を支えながら、それを拒否した。

同時に、二人の声に応えるように、セイバーとムーンライトの声が響いた。

「プリキュア!シルバーインパクト!!」

「セイバーインパクト!!」

二人の技が同時に炸裂し、わずかではあるが、デザトリアンの腕が宙へと浮いた。

その隙に、ブロッサムたちはデザトリアンの手の下から抜け出した。

「わたしたちは諦めません!たとえどれほど強大な敵が立ちはだかっても!!」

「仲間と一緒に、乗り越えてみせるっしゅ!!」

「それが、わたしたちの答え!!」

ブロッサムとマリン、サンシャインの三人に言いたいことを全部言われてしまったムーンライトとセイバーは、三人のその頼もしさに微笑みを浮かべ、再びサソリーナのほうへ視線を向けた。

「みなさん!一気にいきましょう!!」

ブロッサムがそう叫ぶと、手のひらにパワーアップの種が浮かんできた。

どうやら、一気に決めるつもりのようだ。

「「「「「ハートキャッチミラージュ!!」」」」」

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ、大樹の騎士に力を!!」

パワーアップの種をハートキャッチミラージュにセットし、祈りをささげると、鏡面から五色の光があふれ、五人を包みこんだ。

「「「「世界に広がる、一面の花!ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー!レイディアントシルエット!!」

光の中で、ブロッサムたちはウェディングドレスを思わせる純白のコスチュームに、セイバーはウェディングスーツを思わせるコスチュームへと姿を変えた。

そして、セイバーの手には、本来の姿となったエターニアハートが握られていた。

さらに強い浄化の光をまとったブロッサムたちとセイバーのうち、最初に動いたのはセイバーだった。

セイバーは心の花の力をエターニアハートに注ぎこみながら、サソリーナへと向かっていった。

サソリーナに激突する寸前、セイバーは右手を心の花の光とともに突き出し、彼女の背後へとすり抜けた。

同時に、ブロッサムたちも心を一つに合わせ、自分たちの武器に心の花の力を注ぎこんだ。

すると、彼女たちの背後に桜色の長い髪をした、純白のローブをまとった女神が出現した。

「「「「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!」」」」

女神は、ブロッサムたちの心の花の力を受け取り、その拳に集め、デザトリアンに叩きつけた。

それと同時に、セイバーはエターニアハートを振りかざし、サソリーナを切り伏せると同時に、込めた心の花の力を解放した。

「俺のすべてで、悪しきを断つ!ハートライト・レイクエム!!」

ほぼ同時に五人分の浄化の光を受けたサソリーナは、自身の負けを認め、その光に包まれていった。

光が収まり、デザトリアンが浄化されて校舎に戻ると、倒れ伏したサソリーナを抱きかかえてながらサソリーナに呼びかけるクモジャキーと、立ったまま無感情な瞳を向けるコブラージャの姿があった。

「……なによ、来てた、のね……」

「もう何もしゃべるな。お前(おまん)は、ようやったぜよ」

普段は互いに罵り合っているというのに、クモジャキーはサソリーナにねぎらいの言葉を送っていた。

サソリーナはそれを茶化すことなく、借り受けていたダークブレスレットを二人に差しだした。

「……あとは、よろしく、ねん……」

「……あぁ。確かに、受け取ったぜよ」

「任せておけ」

「ふふっ……ありが、とう……」

ダークブレスレットを受け取ったクモジャキーとコブラージャは、サソリーナを見つめたままそう告げると、サソリーナは満足そうな微笑みを浮かべ、消えていった。

サソリーナと入れ替わるように、クモジャキーの前にカタクリが閉じ込められた水晶が宙に浮かんだ。

「カタクリ……花言葉は『嫉妬』『寂しさに耐える』……」

「砂漠の使徒にも、心の花があったなんて……」

サソリーナの正体が心の花であることに驚愕していたブロッサムとマリンがそんなことをつぶやいていると、カタクリはまるで自分の体を求めるかのように、姿を消した。

それを見届けたクモジャキーとコブラージャは、ブロッサムたちにいつも以上に敵意がこもった視線を送りつけ。

「この仇、必ず」

「せいぜい、油断しないことだね」

そう言い残して、その場から去っていった。

----------------------------------

それから少しして、飛んでいったカタクリの心の花は、とある森の中の療養所のベッドの上でたたずんでいた。

そこには、サソリーナに似ている女性が静かに眠っていた。

カタクリの花が、すっと、その女性の体に入りこんでいくと、女性は何年かぶりに目を開けた。

「あれ……わたし……」

何をしていたんだっけ、と窓の外へ視線を向けると、遊びに来ていた小鳥が窓から入りこんできて、女性に擦り寄ってきた。

その愛らしい様子に、かすかに微笑みを浮かべると、小鳥は窓の外へと飛んでいった。

「……なんだか、長い夢を見ていた気がする……」

どんな夢だったのか、それは思い出せないけれど。

女性は、窓の外に広がる大空を見上げながら、そうつぶやいた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~数日後、植物園ぬいぐるみ館にて~
いつき「無事に、一二三くんが生徒会長として当選したよ」
えりか「そりゃ、あの騒動のあとに真面目に片付けしてるところ見せられたらねぇ」-3-)
つぼみ「浮ついた気持ちじゃなくて、ちゃんと学校と生徒みんなのためにできることをやろうとしている気持ちがみなさんに通じたんですね!」
菖「ま、いつきのほうはひとまず、肩の荷が下りたってところかな?」
いつき「はい……でも、いざやめてみると、感慨深いものがありますね」
ゆり「これからは見守っていく側になるけれど、間違っていると感じたところは、ちゃんと言っていかないとだめよ?」
いつき「はい!」(^^
菖「……けど、やっぱいつきの人気はそのままなんだよなぁ……」
つぼみ「はい……」(・ω・;
えりか「うん……」(--;
(プレゼントの山。すべていつき宛て)
いつき「う~ん……どうして僕なんかに……」(^^;
菖「……まぁ、悪意はないんだろうから、受け取っておけばいいんじゃないかな?その人達の好意の表れなんだし」
いつき「は、はい……」


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風邪を引いた菖さん!みんなでお見舞いに行きます!!

いきなり寒くなりましたねぇ……
変わり目、ということもありますけど、みなさん、油断なされないように……かくいう私も下手したら風邪引きさんになりそうですけど(--;
というわけで、今回は菖に風邪を引いてもらいます。
タイトルには「みんなで」ってありますけど、あくまでもハートキャッチ組のみんなで、って意味ですのでご容赦を。
要望によってはゆりさんやつぼみにも風邪を引いてもらうかもしれないです。そうなったら、どっちかがヒロインかくて……え、ちょ、ちょっと待って?お、おおおおお落ち着いて、ね??そんなことしたってなんのかいk……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

ムーンライト「さてと、それじゃ」
ブロッサム「本編、どうぞ!!」


その日、菖は部屋の布団の中でおとなしく眠っていた。

時刻はすでに十時を超えている。もう学校へ行っていなくてはいけないのだが。

「……げほっ……うぅ~……」

菖は風邪を引いてしまっていたようだ。

別に夜遅くまで薄着でいたわけでも、滝行をして体を冷やしてしまったわけでもない。

少し暖かいから、と油断してしまい、寝間着を一枚、少なくしていたため、体を冷やしてしまったのだ。

そこに加えて、ここ最近は研究書を読むことに没頭してしまっていたことで、知らず知らずのうちに疲労が蓄積していたようだ。

――季節の変わり目とはいえ……これはちときついなぁ……

心中でそうつぶやきながら、菖の意識は再びまどろみの中へと落ちていった。

----------------------------------

その頃、明堂学園では。

「え?菖くんが風邪??」

「えぇ……珍しいこともあるものね」

ゆりがももかに菖が欠席となった理由を話していた。

「ふ~ん……なんとかは風邪引かないっていうのにね」

「……それだと、菖がそのなんとかに当てはまるような言い方ね」

「だってそうでしょ?少なくとも歴史に関しては」

あっけらかんとした態度でももかが返してきた言葉に、ゆりは、そうだった、と顔を覆ってうつむいた。

それはそうと、と、ももかはゆりに問いかけた。

「どうするの?」

「何が?」

「菖くんのお見舞い」

何を聞いているのやら、とでも言っているかのようにため息をつき、ももかはゆりの問いかけに返した。

だが、それこそ愚問というもので。

「当然、行くに決まってるでしょ」

「んじゃ、わたしも行く~♪」

ゆりの返しに、ももかはにっこりと笑いながら答えた。

その答えに、ゆりは怪訝な顔をした。

「あら?行っても菖はかまってくれないわよ?」

「チッチッチッ!重要なのは、菖くんにかまってもらうことじゃないんだな~」

「……なら、何が目的なのよ?」

「ゆりが菖くんの寝込みを襲わないように見張るのよ♪」

その一言に、ゆりは顔面を真っ赤に染めた。

「ふ、ふざけないで!」

「わ~い!ゆりが怒った~♪」

微笑みを浮かべながら、ももかはゆりから逃げていき、ゆりはその後ろを追いかけていった。

その珍しい光景は、しばらく学校中で話題になったとかならなかったとか。

----------------------------------

放課後。

ゆりはももか、えりか、つぼみ、いつきの四人と一緒に菖の家に来ていた。

つぼみたち中学生組は、どこで聞きつけたのか、菖が風邪を引いたと知り、お見舞いに行く予定だったらしく、菖の負担になるから、とゆりとつぼみの提案で一緒に行くことになったのだ。

なお、ゆりの手には黄桃の缶詰が入った袋が、つぼみの手にはレトルトのおかゆとスポーツドリンクが入った袋があった。

どうやら、見舞いの品のようだ。

「にしても、菖さんが風邪引いたなんて……ちょっと意外っしゅ!」

「そうだね……もしかして、頼まれごとを断り切れなくて無理しちゃったのかな?」

お人よしが服を着て歩いていると言われているほど、人がいい菖は、二つのあだ名を持っている。

一つは、彼の趣味にあやかり、有名なハリウッドのアクション映画「インディ○・ジョーンズ」から、「明堂学園のインディ○・ジョーンズ」。そしてもう一つは、頼まれ事は断らないことから、「断れない男」である。

おそらく、風邪を引いたということは、後者のあだ名が災いしたのではないか。いつきはそう推測しているのだ。

もっとも、それはゆりとももかに否定された。

なぜなら。

「菖は自己管理ができないほど馬鹿じゃないわ」

「体調をが悪い時は、また今度にしてくれって必ず言うもんね」

そう、どこかの生徒会長や男装の麗人のように、菖は体調が悪い時でも人助けをしようとするほど人がいいわけではない。

むしろ、そのせいで体調を悪化させて、迷惑をかけることが嫌なので、自己管理はしっかりと行っている。

そのため、付き合いの長いゆりは、大方の予想がついていた。

「たぶん、季節の変わり目だから油断したんじゃないかしら?ここ最近、暖かいことも多かったし」

「な、なるほど……」

「まぁ、そのあたりは菖さんに直接聞いてみるっしゅ!!」

会話をしながら歩いていると、いつの間にか、菖の家の前に到着していた。

勝手知ったる人の家状態であるゆりは、何の断りもなく玄関を開けて、菖の名前を呼んだ。

「菖?どうせ、起きてるんでしょ?入るわね」

「ちょっ?!ゆりさん??!!」

「勝手に上がっちゃって大丈夫なんですか??!!」

ゆりの突然の行動に、えりかとつぼみが驚愕の声を上げたが、奥の方から弱弱しくはあるが菖の声が聞こえてきた。

「大丈夫~……上がってどうぞ~……」

一応、菖の許可を得たため、ゆりたちは遠慮なく菖の家に入っていき、菖の声が聞こえてきた方へ向かっていった。

「……けほっ……よ、揃い踏みのようで……けほっけほっ……」

「こ、こんにちは……じゃなくて!何やってるんですか菖さん!!病人はおとなしく寝ていてください!!」

「病人ってほど大げさじゃないよ。熱も下がったし、朝から何も食べてないから腹減って腹減って」

よく見れば、菖の手もとには果物ナイフと皮がむかれているリンゴがあった。

「……なら、それはわたしがやっておくから、あなたは寝ていなさい」

「いや、けど……」

「寝ていなさい」

「だから……」

「寝・て・い・な・さ・い!」

「……はい」

ゆりが威圧感をたっぷり漂わせて菖に詰め寄ると、菖はとうとう折れた。

蚊帳の外に置かれてしまっていたつぼみたちはその時のゆりを、まるで般若になったようだ、とのちに語っていた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~翌日の通学路~
ゆり「……おはよう、菖」
菖「おはよう。昨日はありがとうな」
つぼみ「おはようございます!」
えりか「お!菖さん復活っしゅ!!」
いつき「おはようございます、菖さん、ゆりさん」
菖「おはよう、昨日はみんなありがとう」
つぼみ「いえ、普段お世話になってますから!」
えりか「そうそう!こういう時こそ助け合いっしゅ!」
ゆり「えりかの場合、何か企んでいるようにも思えるのだけれどね」
いつき「あはははは……」
菖「ははは……なら、今度お礼にごちそうするかなぁ」
えりか「おぉっ!高級満漢全席!!」
つぼみ、いつき「「調子に乗らない!」」
ゆり「えりか、あなたは菖から風邪のウィルスをもらった方がよかったんじゃないかしら?」
えりか「……冗談だから、本気にしないでください……」
菖「はははは……平和だなぁ……」


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妖精がプリキュアに変身?!妖精劇場、開演ですっ!!

先に出来上がったので、11月最初の作品はこっちから。
ただし、今回はちょっと長くなっちゃったので前後編にします。
てか、アニメ本編のだとまじで長くなるな……どうしたもんかなぁ……
ひとまず、本編どうぞ。


いつもの放課後、いつもの植物園のぬいぐるみ館。

その丸太の切り株の上に立ったシプレ、コフレ、ポプリの三人は、つぼみたちに見せたいものがある、と言ってさっそく、見せたいものを披露した。

「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」

ブロッサム、マリン、サンシャイン(自分たちのパートナー)を演じ切った三人がぴったりとポーズを決めると、ゆりは穏やかな顔で拍手を送っていた。

「三人とも、よく見てるのね」

「さすがだな、三人とも」

「……マリンはもっとかっこいいよ」

ゆりと菖が感想を口にすると、えりかは文句があったらしく、むくれ顔でそう返していた。

が、えりかのそんな文句は無視され、ゆりはコロンの方へ視線を向け、意地の悪い笑みを浮かべた。

「コロンは真似してくれなかったの?ムーンライトの」

「……勘弁してくれ。僕はこれでも男の子だよ?」

「まぁ、たしかにムーンライトの真似はな」

コロンの返しに、菖はからからと笑いながら返すと、ゆりは笑みを浮かべ。

「だったら、セイバーの真似ならいいのかしら?」

とコロンに問いかけた。

するとコロンは、まぁそれなら、と返して、ため息交じりにユグドセイバーの変身ポーズを取った。

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

光りこそしなかったが、コロンがとったポーズは菖がセイバーに変身するときのものとまるっきり同じだった。

その完成度は、さきほど自分のパートナーの変身ポーズを取ったシプレたちよりも高かった。

「……これは、ちょっとびっくりね」

「……そりゃ、数年来の付き合いだもんなぁ……けど驚くよ、これ」

「……だからあまりやりたくなかったんだ……」

疲労感たっぷりの表情で、コロンがそう返し、背中に哀愁を漂わせながらそう返した。

そんなコロンに同情しつつ、もしかしなくても、セイバーのマントと剣を作ったら喜ぶんじゃないかなぁ、と菖は思っていた。

もっとも、口に出したら最後、コロンから何をいわれるかわかったものではないので、口には出さなかったが。

そんな風に和気あいあいとしていると、突然、ぬいぐるみ館の扉が開き、小さい女の子が泣きながら突進してきた。

「うあぁぁぁぁぁぁん!シプレちゃん、コフレちゃん!!」

「おっと?!……って、るみちゃん?」

飛びこんできた女の子は、なんとななみの妹のるみだった。

どういうわけか、るみはがっちりとシプレたちを抱きしめていた。

その後ろを追って、ななみが顔を出してきた。

「こら、るみ!」

「お、なみなみ。どしたの?」

突然やってきたななみに、えりかは疑問符を浮かべながら問いかけてきた。

すると、ななみは困った顔でため息をつきながら。

「今度、保育園にくる人形劇団が急に来れなくなっちゃったの」

「なるほど……それにるみちゃんはショック受けちゃってこうなったわけね」

ゆりはシプレたちを抱きかかえさせたまま、るみを膝の上に座らせてその頭を優しくなでていた。

人心地ついたのか、るみは泣き止んではいたが、まだシプレたちに未練があるらしく、ぎゅっと力強く抱きしめていた。

だが、保育園児とはいえ、妖精たちにとっては力が強いらしく、徐々にその顔が青ざめ始めていた。

「……あ~……るみちゃん?ぬいぐるみたちはつぼみお姉ちゃんに返してあげてくれないか?なんか、すっごく苦しそうだし」

「ほら、るみ。お人形さん、離してあげなさい」

「うぅ……ごめんなさい、つぼみお姉ちゃん」

「い、いえ……」

名残惜しそうにシプレたちを手放するみを見て、つぼみはなんだか申し訳ない気持ちになったが、ひとまず、苦しさのせいで尻尾を出さないようにする必要があったので、つぼみはるみからシプレたちを受け取り、丸太の上に座らせた。

「それにしても、よくできてるよねぇ、そのぬいぐるみ……まるで生きてるみたい」

「あはは……そんなわけないっしょ」

「ふふっ、冗談よ……けど、そのぬいぐるみで人形劇なんていうのも面白くていいかもしれないわね」

「「「「えっ……」」」」

ななみのセリフを聞いて、つぼみとえりか、いつき(中学生組)だけでなく、ゆりまで目を丸くして凍り付いてしまった。

まさか、自分のパートナーを人形劇に出して、園児たちの前で劇を披露させてしまったが最後、大勢の前でぼろを出してしまい、自分たちがプリキュアだということが露見しかねないのだから、やらせられるはずもない。

やらせられるはずもないのだが。

「面白そうでしゅ!」

ポプリが突然、口を開き、人形劇をやってみたい、という意思表示をしてきた。

だが、タイミングが悪かった。

いまこの場には、シプレたちが妖精であることを知らないななみとるみがいるのだ。

そんな場所で、シプレたちがしゃべれることを知られることは避けなければならない事態だ。

なのだが。

「あ、い、いまのは」

「あたしたちのだよ!いま……えっと……」

「腹話術の練習してたんだとさ。なぁ、ゆり?」

「え?……あぁ、そうね。といっても、まだ発表できるような段階じゃないし、発表できるかどうかもわからないから、成果を見せることが出来るのはいつになるかまったくわからないけれど」

菖がとっさについた嘘にのっかり、ゆりがそう説明した。

ゆりの説明でようやく納得したのか、ななみはそれ以上、追求することはなかった。なかったのだが、さらなる難題を突きつけられることとなった。

「なら、人形劇で実践練習すればいいんじゃないかな?」

「……お姉ちゃんたち、お人形劇やってくれるの?」

ななみの提案に、るみは涙目になりながら、つぼみたちに視線を送ってきた。

自分たちよりも小さい子どもから、そんな目をされて、おまけに事情も聞かされてしまっては、つぼみたちに断るという選択肢は存在しなかった。

なお、承諾したつぼみたちの背後で、そもそもの発端となった妖精たちは、我ら勝利を得たり、とばかりにガッツポーズを取っていた。

----------------------------------

数日して、るみたちが通う保育園の教室では、もう間もなく人形劇が始まるというのに、子供たちが元気に遊んでいた。

そんな中、この教室の担任であるのりこは、るみたちに振り回されていた。

そんな様子を見かねたもう一人の担任は、るみたちにのりこ先生で遊ばないようにしかりつけると、今度はのりこに視線を向けた。

「のりこ先生も、子供たちに甘いだけじゃだめですよ?先生なんだから、もう少し厳しくしないと」

「つい、子供たちのペースに流されてしまうんですよね……」

「しっかりしてくださいね?」

「……はい」

もう一人の先生からの苦言に、のりこは少ししょんぼりしたような顔つきになりながら、そう返した。

それから数分して、教室に作業着を着た菖が姿を見せた。

「こんにちは~人形劇の舞台ってここの設置でよかったですか?」

「あ、はい!よろしくお願いします!!」

「あっ!この前つぼみお姉ちゃんたちと一緒にいたお兄ちゃん!!」

真っ先にるみが気づき、指さしながらそう言うと、菖はにっこり笑いながら、よっ、と片手を上げて挨拶した。

「そっか、ここ、るみちゃんの教室だったか」

「うんっ!……つぼみお姉ちゃんたちは?」

「つぼみお姉ちゃんたちは、お人形さんたちを連れてくるから、ちょっと遅れてくることになってるんだよ。お人形さんたちが劇をしてくれる場所を作りに、俺だけ先に来たんだ」

実際、つぼみたちはシプレたちに着せる衣装の最終チェックを行うため、開演予定一時間前に来ることになっていた。

が、ステージについてはとてもではないが、一時間で設置できる自信がないため、こうして二時間ほど早く来たのだ。

だが、その前にやることが一つあった。

「春川菖です。本日はよろしくお願いします」

「こちらこそ。この教室の担任をしております、のりこと言います。本日はありがとうございます」

ぺこり、と頭を下げながら、菖は担任であるのりこに挨拶した。

のりこもそれに応じ、頭を下げながら、今日のことにお礼を言ってきた。

そんな短いやりとりを終えて。

「では、設置しちゃいますので、なるべく子供たちを近づけないようにお願いします」

「はい」

のりこがにこやかに返事を返すと、珍しく年上の男の人が来ている、ということに反応してか、のりこの周りにいる人数と同じくらいの数の子供たちが群がってきた。

だが、のりこから、お兄さんはお仕事があるから、と言われると。

「え~!お兄ちゃんも遊ぼうよ~」

と、遊んでほしいとせがんできた。

もちろん、これが普通のときであれば、菖も二つ返事で返すのだが、今回は人形劇という用事で来ているのだ。

引き受けるわけにはいかないし、子供たちにすんなり納得してもらう必要もある。

そう考えると、自然と出てきた言葉は。

「……お人形さんが劇できないって泣きながら帰っちゃうかもしれないけど、いい?」

だった。

人形劇を楽しみにしている子供たちにとって、お人形さんが帰ってしまう、というのは深刻な事態だ。

それを理解した子供たちは、お兄さんの邪魔はしない、ということにして、のりこと遊ぶことにした。

すんなりと子供たちが言うことを聞いた様子に、のりこは感心の眼差しを向けていたのだが、菖はそれに気づくことなく、鼻歌まじりにステージを作り始めた。

三十分ちかく経過し、ステージが完成するとほぼ同時に、ゆりが姿を見せた。

「お疲れ様、菖。押しつけちゃってごめんなさいね」

「お疲れ、ゆり。問題ないかったんだから、気にするなって」

「ふふっ、頼もしいわね」

菖から返ってきた言葉に、ゆりは少し頬を赤くしながら微笑みを浮かべていた。

その様子に気づいた、おませな男の子は。

「あぁっ!!お兄ちゃんとお姉ちゃんがラブラブだぁ!!」

と叫んだ。

その叫びを皮切りに、男の子も女の子も混ざって、ラブラブだぁ、と一斉にからかい始めた。

その様子に、のりこは困惑しながら、みんなをしかろうとしていたが。

「はははっ!こういうのはラブラブっていうんじゃなくて、仲良しさんっていうんだよ」

「そうなの?」

「そうそう!お兄ちゃんとお姉ちゃんは、君たちくらいのころからずっと一緒にいるから、こんなのはいつものことなんだよ?な、ゆり?」

微笑みながらゆりに同意を求めてくる菖に、ゆりはどう答えたものか動揺していたが、菖の目を見て、どうにかこの事態を終息させようとしての苦肉の策だということに気づき、微笑みを浮かべて。

「えぇ、そうよ。仲良しさんだから一緒に笑っていたのよ?」

と返すのだった。

その反応にきっかけを作った男の子は、つまらない、と言って、その場から離れていった。

すると、自然と事態は終息し、菖とゆりは同時に安堵のため息をついた。

「……なんか、ごめんな。付き合わせて」

「……いつものことでしょ?」

菖の謝罪に、若干、不機嫌そうにしながらゆりが返すと、そそくさと教室の外へ出ていってしまった。

その背中を見送りながら、菖は男の子から言われた言葉を思い返していた。

――ゆりと俺が、かぁ……そうなって、ゆりが幸せかどうかが問題なんだよなぁ……

鈍感、とよく言われる菖であるが、幼馴染であり共通の秘密を持つゆりに、特別な感情を抱いていないわけではない。

だが、自分の趣味が特殊であることはわかっているし、その先にある最悪の可能性を考えると、はたしてこのままゆりと恋人同士になってもいいのだろうか、という疑念が菖を思い止まらせていた。

が、菖はその疑念もゆりへの特別な想いも明かすことがなかったため、最近ではつぼみからも好意を寄せられてしまい、どうしたものか、と袋小路に迷いこんでしまっていた。

結局のところ、自分で自分の首を締めているわけなのだが、一人で悩んで答えが出るはずもなく、ひとまず、これについては保留にしようと心に決め、最終打ち合わせのため、教室を出た。

----------------------------------

開演予定時刻、五分前。

ステージの準備は万全。劇に使う曲を収録したCDもプレイヤーにセットし、問題なく作動することも確認済み。

あとは演じるつぼみたちの気合いだけ、という状況下で、子供たちはまだ遊び足りず、のりこにおねだりしていた。

「せんせー、おままごとしよー!」

「でも、そろそろ劇がはじまっちゃうよ?」

「ちょっとだけだから~」

「……それなら」

と、同意しかけた時だった。

ステージ脇にいたゆりが突然、ぱんぱん、と手を叩き、教室にいたみんなに声をかけた。

「さ、みんなそろそろ劇が始まるわよ?」

だが、そう簡単には座ってくれない。

その様子を見たゆりは、眼鏡を光らせ。

「早くしないと、お人形さん、帰っちゃうわよ?」

と若干、脅しじみたことを言ってのけた。

さすがに楽しみにしていただけあって、子供たちはすぐにゆりの言うことを聞いて、ステージの前に座り始めた。

そんな子供たちの様子に、のりこは憧憬と尊敬の眼差しを向けていた。

全員が座ったことを確認すると、ゆりはCDプレイヤーの再生ボタンを押し、収録していた曲を流し始めた。

なお、流れてきた曲は、ここ最近のつぼみたちの活躍にインスピレーションを受けたアーティストが作詞作曲したもので、小さい子どもを中心に人気を集めているものだった。

曲が流れている間、廊下で待機していたつぼみたちは劇の本番に向けて、気合いを充填していた。

気合いを入れて、つぼみたちは人形を手に、ステージの裏へと回っていった。

つぼみたちのスタンバイが終了したことを確認すると、ゆりはプレイヤーの停止ボタンを押し、曲を止めた。

すると、つぼみといつきがモブキャラとして選んだパペットを取りだし、動かしながらセリフを当てていった。

「きゃーっ!」

「た、たすけてくれーっ!」

「はーっはっはっはー!(だーれ)も助けになんぞ来ない、じゃきじゃきー!」

モブキャラのセリフに続き、えりかがクモジャキーを模した悪役の人形、というよりもイラストを張りつけただけの簡単なものなのだが、と左右や上下に揺らしながら割り当てられたセリフを言うと、入れ替わるようにして、恐竜のパペットを出した。

「ぼくはー、にんじんなんてー……大っ嫌いだーっ!!」

デザトリアンのような口調でセリフを言いながら、えりかは雄叫びをあげつつ、園児たちにむかって、パペットの口を開け叫んだ。

その様子に、つぼみといつきは、気合い入りすぎ、と苦笑を浮かべ、少し離れたところにいたゆりと菖は、気合い入ってるなぁ、と温かな微笑みを向けていた。

ふと、男の子が一人、劇を見ないで部屋のおもちゃ箱を荒らし始めていることに気づいたのりこは、その子に声をかけた。

「ヒロ君、みんなと一緒に劇みないの?」

「あんなの子どもっぽくてつまんない!」

菖やえりかが聞いたら、いやお前は子どもだろうが、と突っ込まれそうな返しに、のりこはどう説得したものかと思案していると、菖とゆりがヒロ君に近づいてきた。

「もしかして、怪獣が怖いのかしら?」

「怪獣が怖いから見ないなんて、そっちのほうが子供っぽいと思うなぁ」

にっこりと微笑みを浮かべながら、菖とゆりはあえてヒロ君を挑発するようなことを言った。

すると、ヒロ君は慌てた様子で、怖くない、と返し、席に戻っていった。

簡単に席に戻っていったが、ヒロ君は活発すぎて、簡単に言うことを聞いてくれるような子ではないことを知っていたのりこは、あのヒロ君が言うことを聞くなんて、と驚きの表情を浮かべていた。

そうこうしているうちに、劇は佳境を迎え。

「覚えてろ、じゃきじゃきーっ!」

えりかがお約束のセリフを言いながら、手にしていた人形を投げ捨てた。

「「「悪者はわたし/あたしたちが許さないですぅ/ですっ/でしゅ!」」」

プリキュアに扮したシプレたちが決めセリフを口にしてポーズを決めると、子供たちから拍手が飛び交った。

それを合図に、ゆりはCDプレイヤーの再生ボタンを押し、エンディングの曲を流し始めた。

その曲に合わせて、シプレたちも踊り始めた。

なお、流れている曲は、これまたオープニングのときと同じ、ブロッサムたちの活躍にインスピレーションを受けたアーティストの作品である。

ふと、のりこは子供たちが舞台の方へ視線を向けながら、うずうずとしていることに気づいた。

その理由を考えていると、ゆりと菖が近づいていき。

「みんなも踊っていいのよ?」

「隣の子にぶつからないように、気をつけてな?」

「うん!」

二人から許可をもらった子供たちは立ちあがったかと思うと曲に合わせて踊り始めた。

その二人の姿を見たのりこは。

――あの子たち、わたしよりよっぽど先生みたい……それに比べて、わたしは……

と、落ちこんでしまうのだった。




あとがき代わりの裏話~スキット風~

~そのころ、コロンは~
菖「そういや、コロン。お前さん、配役がないな?どういうこったよ??」(・ω・?
ゆり「あら、さすがに女の子だけの中にコロン一人を入れるのはかわいそうでしょ?」(^^
つぼみ、いつき「「えぇ~?!」」(´・ω・`
えりか「ちぇ~、せっかくコロン用にセイバーの衣装、作ったのになぁ」≡3≡)
ゆり「……それは見てみたいわね」
コロン「……え?ちょ、ゆり??」(-□-;
菖「コロン、諦めろ」
コロン「いや、せめて助け船を出そうとか考えなの?君は?!」
菖「あぁなったゆりを止める自信は俺にはないからねぇ~……というわけだ、生贄になってくれ」
コロン「ひどくないかなっ??!!」
えりか「さぁ、コロン……」
いつき「諦めて……」
つぼみ「お着換えしましょう!!」
ゆり「うふふ、頑張ってね?コロン」
コロン「う……うわぁぁぁぁっ??!!」Σ( □ lll
菖「……その後、コロンの姿を見たものは」
コロン「縁起でもないことを言わないでくれ?!」


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自信喪失ののりこ先生!子供たちが好きなのは……

寒いわぁ……北国はまじ寒いわぁ……
つわけで、妖精劇団第二幕。
このお話、教育者からするとそこそこシリアスですよねぇ……主に子供たちとの関わり方とか。
いや、千差万別、十人十色。みんな違ってみんないいと思うんで、個人的にはのりこ先生の接し方は大賛成なんですがね。
何が言いたいかって?厳しくするだけが先生の仕事じゃないってこと。
まぁ、それはともかくとして、本編どうぞ。


劇が終了し、つぼみたちは子供たちと一緒にお昼ごはんを食べることになった。

だが、この時間でもノリコはゆっくりできることはなく、こぼしてしまった牛乳をふいたり、スプーンを落としてしまったことを子どもが伝えてきたりと対応に追われていた。

その様子を見ていたつぼみは思わず。

「先生はお昼ごはんもゆっくり食べられないくらい、大変なんですね……」

と、心配そうに問いかけてしまった。

だが、ノリコはその問いかけに微笑みながら、いつものことよ、と返した。

「わたしはいつも子供たちに振り回されちゃって……本当は、あの子たちみたいにしっかりしないといけないのに……」

そう言いながら、ノリコの視線はゆりと菖が座っているテーブルの方へむいていた。

あの子たち、というのが菖とゆりを指していることにつぼみが気づくと、突然、ヒロ君がみかんを両手に持ってやってきた。

「みかん怪人だぁっ!!」

「こらっ、ヒロ君!!」

「あっははは~っ!み~かん、みかん~!!」

「僕もやる~っ!」

ヒロ君に便乗して、男の子が一人、同じようにみかんを持ち、目のようにしてはしゃぎ始めた。

のりこは二人がはしゃぎまわるのを止めようとして、ふと、ゆりのほうへ視線が向いた。

ゆりはただ、視線をこどもたちの方へ向けたまま、何も行動しなかった。

いや、ゆりは動く必要がなかったから動いていないだけだった。

「……おいこら、餓鬼ども……」

「……へっ?」

「……あぁ……」

「……やっちゃったっしゅ……」

「……はぁ……」

「「……え?」」

「遊ぶならまずは食べてからにしろ!それと遊ぶなら外で遊べ!!周りの子にぶつかって泣かせたらどうするんだっ?!」

動いたのは、穏やかさとお人よしが同居して服を着て歩いている、ともっぱらの評判である菖だった。

だが、今の彼の形相は、その評判とはまったく異なり、まさに「鬼」と呼ぶに相当するものだった。

それもそのはず。菖は両親と祖父の仁頼、三人に育てられてきた。

とりわけ、仁頼には幼い頃から行儀作法、特にテーブルマナーを厳しくしつけられてきたため、しかられてきた菖本人もテーブルマナーにはうるさくなってしまったのだ。

閑話休題(まぁ、それはそれとして)

菖の形相に、ふざけていた二人の男の子は徐々に涙目になっていき、ついには恐怖のあまり泣きだし。

「「のりこせんせ~っ!!」」

泣きながらのりこの方へと駆け寄っていった。

その様子を見た菖は、まるで何事もなかったかのように席につき、食器の片づけを始めた。

----------------------------------

それから少しして、園児たちはお昼寝の時間となり、つぼみたちは園児たちと一緒に教室で昼寝をしていた。

菖もまた、四人と一緒に教室に残っていたのだが、眠ることなく、静かに眠っている園児たちを見守っていた。

いや、眠ることなく、というよりも、眠ることができなかった、というのが正確だろうか。なにせ、菖はつぼみとゆりに左右を挟まれ、つぼみは菖の膝に、ゆりは菖の肩に頭を乗せて眠っていたのだ。

身じろぎしてどちらかを起こしてしまうような無体なまねはしたくないが、美少女二人に寄り添われて気恥ずかしいやらなにやらで、逃げ出したい板挟みの状態になってしまっていた。

さてどうしたもんかな、と思いながら、菖は目を伏せ、心を落ち着かせるために瞑想を始めた。

一方、のりこはつぼみたちが使っていた恐竜のパペットを手に、校舎裏で座りこんでいた。

脳裏に浮かんでいるのは、子供たちに流されることなく、きっちり言うことを聞かせることができるゆりと、子供たちに優しく接することも厳しくしかることもできる菖の二人の顔だった。

――わたしより、あの子たちのほうがよっぽどしっかりしてる……

わたしなんて、先生にむいていないんじゃないか。

二人の姿を思い浮かべると、そのことを嫌でも思い知らされてしまい、余計に落ちこんでしまった。

当然、のりこの心の花は枯れ始めてしまっていた。

そんな時だった。

「ちょうどいいところにいたぜよ」

突然、紅い長髪の男(クモジャキー)が姿を現し、土佐弁でそんなことを言っていた。

当然、のりこは立ち上がり誰なのか問いかけたが、クモジャキーは気にする様子もなく、自分が何者なのか名乗り、プリキュアどもをおびき寄せてもらおうか、と言い、両手を合わせた。

「心の花よ!出てくるぜよ!!」

その瞬間、のりこは赤い光に包まれ、水晶に閉じ込められてしまった。

クモジャキーは近くにあった恐竜パペットとのりこの心の花が閉じ込めた水晶を合成し、恐竜デザトリアンを生みだした。

恐竜デザトリアンは雄叫びを上げると、園庭をのそのそと歩き始めた。

その音に気づいたつぼみたちは閉めていたカーテンを少しだけ開けて、外がどうなっているのか確認した。

「デザトリアンっ?!」

「心の花を奪われたのはのりこ先生ですっ!」

いつの間に回収してきたのか、妖精たちはのりこが閉じ込められた水晶を持ってやってきていた。

それを見たえりかは、すぐに変身しないと、と提案してきた。

だが、気がかりなのは今も気持ち良さそうに眠っている園児たちだった。

「子供たちは俺とゆりに任せて」

「あなたたちは行きなさい」

「……お願いします!」

菖とゆりがここを引き受けてくれることに安堵したつぼみは二人にこの場を頼むことにして、えりかといつきと一緒に、ココロパフュームを取り出した。

「「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ/でしゅっ!!」」」

「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」

妖精たちから飛びだしてきたプリキュアの種をパフュームにセットして、つぼみたちはパフュームの香水を吹きかけていき、変身した。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」

三人は変身を終えると外に出て、恐竜デザトリアンの前に立った。

三人の姿を見たクモジャキーは、お決まりのセリフを口にして。

「俺はサソリーナとは違う!今日こそお前たちをひねりつぶしてくれる!!」

と勝利宣言して攻撃をしかけてきた。

ブロッサムたちが応戦すると、戦いの衝撃が校舎を襲った。

ゆり心の種の欠片を取り出し、自身の心の花の光を種から放ち、衝撃をやわらげようとした。

同時に、菖は右手をかざし、心の花の力を闘気とともに放った。

菖とゆり、二人の心の花の力で校舎への被害はまったくなかったが、完全に衝撃を殺しきれたわけではなかった。

殺しきれなかった衝撃が、ゆりと菖の背後を抜け、子供たちが眠っている教室のカーテンをあおった。

同時に、目を覚まし始めていた子供たちがカーテンをあおる風に気づき、目を開けた。

その瞬間、恐竜デザトリアン(恐ろしい怪物)の姿が子供たちの目に映った。

それを見た瞬間、子供たちは誰からとなく不安そうな声を上げた。

「せんせー……」

「せんせー、助けて……」

「のりこせんせー……」

それに気づいたゆりと菖の視線は、教室の方へと向いた。

だが、肝心のデザトリアン(のりこ)はその声に気づいていなかった。

《子供タチガ可愛イ……デモ、チャント言ウコトヲ聞カセナクチャ……今ノママジャダメ……》

それは、普段から思っていることなのだろう。そして、デザトリアンになってしまったきっかけとなったのは、自分よりもよほど先生らしく、毅然とした態度で子供たちと接することができる、二人の高校生(ゆりと菖)にあった。

《……ドウスレバ、アノ子タチミタイニナレルノ……?ドウヤッタラ先生ラシクナレルノ??!!》

あの子たちみたい、つまり、菖やゆりのように、ということなのだろう。

それに気づいた菖とゆりは、額に青筋が浮かびそうになるのをこらえながら、デザトリアンに声をかけ、カーテンを開けた。

その先には、のりこがいなくなってしまったことで不安が爆発し、泣き出した子供たちの姿だった。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

「のりこせんせー、どこーっ?!」

「こわいよーーっ!!のりこせんせー!!」

泣きながらも、子供たちはのりこの姿を求め、叫んでいた。

その姿を見て、デザトリアンの動きは止まった。

まだギリギリ、のりことしての意識が保たれているようだ。

ゆりはその理性に呼びかけ続けた。

「聞こえるでしょ?目が覚めて子供たちが真っ先に呼ぶのは、大好きなあなたなのよ?!あなたの代わりはどこにもいない、なのに、あなたが自分を見失ってどうするの?!」

「……ちっ!やれ、デザトリ……」

「やかましい……お前は俺が相手してやらぁっ!!」

苦しみ始めたデザトリアンに舌打ちしたクモジャキーは、攻撃を命令したが、その途中で屋上に上ってきた菖がクモジャキーに殴りかかった。

クモジャキーはいきなりの攻撃で命令を中断したが、デザトリアンは苦し紛れにゆりを攻撃しようとした。

ゆりが攻撃に備え、身構えた瞬間、背後からヒロ君が涙目になりながらデザトリアンにむかって突進していった。

「怪物めっ!のりこせんせーをどこに隠したんだよっ!!」

ヒロ君の行動を皮切りに、教室から子供たちが泣きながら飛びだしてきて、デザトリアンに取りついた。

「せんせーを返して!!」

「のりこせんせー、どこーっ?!」

「怪物め、あっち行けっ!!」

子供たちは恐怖を感じながらも、大好きなのりこ先生は怪物から取り戻したい一心で、立ち向かっていった。

その様子に、デザトリアンは動揺し、動きを止めた。

ゆりはそれをチャンスと見て、のりこにもう一度、呼びかけた。

「子供たちの声を信じて!みんな、のりこ先生が大好きなのよ!!」

ゆりのその言葉に、デザトリアンは自分の足元に視線を向けた。

そこには、先ほどからまったく手を緩めず、自分に立ち向かってくる子供たちの姿があった。

「のりこせんせーっ!!」

「のりこせんせーっ!!」

「のりこせんせーを、返せーーーーーっ!!」

子供たちの、のりこを呼ぶ声に、デザトリアンはついに動きを止めた。

その様子を見たクモジャキーは、なんと軟弱なデザトリアンだ、と文句を言い、ダークブレスレットを使おうとしたが。

「させるかよっ!」

「くっ!!ユグドセイバー……邪魔するでないぜよっ!!」

「やかましい!!人の弱みに付け込むしか能のない軟弱もんは……」

セイバーは拳に闘気と心の花の力を集めながら、鬼の形相をクモジャキーに向け、吼えた。

「星の果てまで、吹っ飛んでけーーーーーーーーーっ!!」

セイバーの咆哮と重なるように、獅子の咆哮が響き、クモジャキーを吹き飛ばした。

だが、吹き飛ばされながらも、クモジャキーはダークブレスレットの力を発動させ、デザトリアンと合体してのけた。

「くそっ!!あんな離れ業までもってやがったか!」

まさかの想定外の事態に、セイバーは悪態つきながら屋上から飛びだし、危険を察知したのか、ゆりの近くに集まっていた子供たちとデザトリアンの間に割って入ってきた。

「ここじゃ危険です!人気のない場所へ行きましょう!!」

ブロッサムがマリンとサンシャインにそう提案すると、二人はうなずいて返した。問題は、子供たちなのだが、とブロッサムはゆりとセイバーの方へ視線を向けた。

ゆりとセイバーはブロッサムの意図に気づき、うなずいて返した。

同時に、セイバーは飛翔状態へと姿を変えて、ブロッサムたちとともに保育園から少し離れた山の中へと移動した。

当然、四人を追ってデザトリアンも山の中へやってきた。

山の中でも、四人はデザトリアンと激しい攻防を繰り広げた。

だが、パワーアップしたデザトリアンの力は、やはり伊達ではなく、ブロッサムたちは少しばかり苦戦を強いられた。

デザトリアンの攻撃で吹き飛ばされたブロッサムとマリンが着地すると、サンシャインとセイバーはデザトリアンとの距離を取り、二人のすぐ近くにきた。

その瞬間。

「これでも、くらうぜよっ!!」

デザトリアンは大きく息を吸いこみ、咆哮とともにその息を吐き出した。

息は突風となり、ブロッサムたちに襲いかかろうとしていた。

だが。

「ユグドフォルテウェーブっ!!」

セイバーが突風に向かってフォルテウェーブを叩きつけて相殺したため、大した被害はでなかった。

だが、いつまでもこの攻防を続けるわけにはいかないし、これではじり貧であることは、セイバーも理解していた。

そうこうしているうちに、恐竜デザトリアンが第二波を放とうと身構えたが、次の瞬間、セイバーたちの背後から銀色の光が恐竜デザトリアンに向かって飛んできた。その光を避けることができず、恐竜デザトリアンはガードして受け止めていた。

「……遅くなったかしら?」

「いや、ナイスタイミングだ」

光を放った相棒(ムーンライト)がすまなさそうに声をかけてくると、セイバーは笑みを浮かべてそう返した。

ムーンライトも笑みを返したが、その顔はすぐに引き締まり、目の前の恐竜デザトリアンに意識を向けた。

「さっきの攻撃、風を貯め込む間は防御が薄くなるようね」

「なら、その隙が狙い目ですね!!」

「えぇ……わたしとセイバーが先行するわ!三人はその隙を狙いなさい!!」

先ほどの一瞬の攻防で、相手の技の特性に気づいたムーンライトは策を練り、ブロッサムたちに伝えた。

ブロッサムたちはムーンライトの立てた作戦にうなずいて返すと、セイバーはエターニアハートを握りなおし、身構えた。

「いくわよっ!!」

「応っ!!」

ムーンライトの合図と同時に、セイバーは地面を蹴り、ムーンライトと一緒に恐竜デザトリアンに接敵した。

そこから、ムーンライトと同時に連続攻撃を繰りだすと、恐竜デザトリアンは風を貯め込み、発射した。

その瞬間を狙っていたかのように、ムーンライトとセイバーは同時にフォルテウェーブを恐竜デザトリアンに叩きつけ、体勢を崩させた。

その隙を見逃さず、ブロッサムはハートキャッチミラージュを取りだした。

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ!大樹の騎士に力を!!」

五人が同時にハートキャッチミラージュに祈りを込めた瞬間、ハートキャッチミラージュから光があふれ、五人を包みこんだ。

その光の中で、ブロッサムたちはウェディングドレスのような衣装に、セイバーはタキシードのような衣装へとコスチュームチェンジした。

「「「「世界に輝く、一面の花!ハートキャッチプリキュア!!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー!!レイディアントシルエット!!」

コスチュームチェンジした五人が一斉に並ぶと、セイバーは本来の姿に戻ったエターニアハートを構え、心の花の力をその刃に込めた。

エターニアハートの刃が心の花の力を受けて、薄紫の光を放った瞬間、セイバーはデザトリアンに斬りかかった。

「俺の全てで、悪しきを断つ!ハートライト・レイクエム!!」

セイバーがデザトリアンに急接近し、エターニアハートを振りかざした瞬間、ブロッサムたちもそれぞれの武器を手に、心の花の力を一つに重ねた。

その瞬間、彼女たちの背後に淡い桃色の長い髪を持つ女神が姿を現した。

「「「「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!」」」」

四人の心の花の力を受け取った女神は、その拳を握りしめた。

同時に、セイバーは振りかざしたエターニアハートでデザトリアンを切り伏せ、デザトリアンの背後へと抜けた。

そこから間髪入れず、女神の構えた拳が振り下ろされ、心の花の光で包みこんでいった。

浄化の光がデザトリアンを包み込むと、クモジャキーは自分にも浄化の光が襲い掛かってきたことを知り、デザトリアンとの合体を解除して、その場から逃げ去った。

----------------------------------

デザトリアンを浄化し、心の花を元に戻してからしばらくして。

のりこが目を開けると、そこは幼稚園の教室だった。

視界には、子供たちが心配そうな顔でこちらを見ている姿が広がっていた。

「せんせー?」

「のりこせんせー、もっとお昼寝、する?」

「せんせー、どこか体、悪いの?」

子供たちが口々にそんなことを聞いてきていた。

のりこは子供たちの優しさに笑みを浮かべて、大丈夫、と答えた。

ふと、のりこはヒロ君が教室の隅っこの方でうつむいていることに気づいた。

「……ヒロ君もこっちにおいで?」

のりこの呼びかけに答えて、ヒロ君はうつむいたまま、のりこの方へと近づいていった。

その手は、まるで何かを隠しているかのように、後ろで組まれていた。

「……せんせー、これ、あげる」

そういって、ヒロ君は一つの箱をのりこに差し出した。

すると、突然、ふたが開き、ばね仕掛けの人形がのりこの顔めがけて飛んできた。

あまりに突然のことに、びっくりして悲鳴を上げるのりこだったが、いたずらが成功したのに、ヒロ君の顔は浮かないものだった。

そんな様子のヒロ君を、のりこはそっと抱き寄せた。

「もぅ!びっくりした!!」

「……せんせー、ごめんなさい……」

いたずらしたことに対してなのか、ヒロ君はうつむきながらのりこに謝った。

のりこはそんなヒロ君の頭を優しくなでながら、ヒロ君を許した。

その時のヒロ君の表情は、少しばかりくすぐったそうで、すごく嬉しそうだった。

その光景を、うずうずとした様子で、他の子供たちが見ていると、のりこは両手を広げた。

「みんなも、おいで?」

子供たちはその一言に目を輝かせ、我さきにとのりこの方へと駆け寄っていった。

子供たちに囲まれ、笑顔になっているのりこの様子を園庭からつぼみたちが見守っていた。

「紅花の花言葉は包容力。まさに、のりこ先生にぴったりの花だね」

「子供たちを包み込む優しさを思い出して、自信を取り戻したみたいですね!」

コロンの一言に、つぼみは微笑みながらそう返した。

それだけじゃないかもね、といつきがさらに付け加えた。

「たぶん、あの子たちはもっともっと、のりこ先生のことが好きになるんじゃないかな?」

「そうね……少なくとも、怒ると怖い菖よりは好きになるんじゃないかしら?」

「おいおい、それを言うなよ……」

くすくすとほほ笑みながら、ゆりがそう口にすると、菖は苦笑を浮かべながらそう返すのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~数日後、植物園にて~
るみ「~~♪~~~♪」
つぼみ「るみちゃん、ご機嫌ですね」
ななみ「うん。この間の人形劇の日から、ずっとこんな感じなのよ」
えりか「へ~?そうなんだ?」
ななみ「うん……あ、でも菖さんに少しおびえることがあったような?」
いつき「……あ、あぁ……」(^w^;;
ゆり「……まぁ、下手をしたらトラウマになるわね、あれは……」(--;
ななみ「……え?な、なにがあったんですかいったい……」
つぼみ「あ、あはははは……まぁ、あったといえばあったような……」
ななみ「……えっと、菖さん?」
菖「……」(遠い目
ななみ「……もしかしなくても、聞かないほうがよかったりします?」
菖「……そうしてくれると助かる」
ななみ「なら、聞かないでおきます」(^ω^;


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聖なる夜の贈り物!今夜はすてきなクリスマスです!!

斗真「……Merry X'mas」
ゆり「元気がないわね?」
菖「まぁ、気持ちはわからんでもないけどな」
斗真「年末、忙しい……仕事……」
ゆり「……ご愁傷様」

というわけで、みなさま改めましてメリーです。
100話目ということで、今回は本編、でもって時期が近かったので、クリスマス回です。
とはいえ、アニメとはだいぶ違う流れになりますけど、まぁ、そこはそれ、漫画版の流れで構成しているので、許してください。



季節はすでに秋を過ぎて、冬。

冬を迎えるとやってくるイベントの一つがクリスマスである。

その時期になると、製菓会社を筆頭に様々な企業がクリスマス商戦と称して、聖夜らしからぬ激しい戦争が繰り広げられる。

つぼみの実家である「HANASAKIフラワーショップ」もまた、クリスマス限定の聖戦の舞台となっていた。

「お待たせしました!ご注文のフラワーギフトです」

「クリスマス限定のプリザーブド・アレンジメントはいかがでしょうか?」

「小花を集めて作ったラブリーなリース!女の子が大好きなハート型です!」

「フラワーケーキもお勧めだよー!」

「こちらのポインセチアは、プレゼント用にお包みしますか?」

フラワーショップでは、えりかたちも一緒になってつぼみの手伝いをしていた。

この時期になると、菖は仁頼の手伝いで神社の大掃除をすることになっているのだが、珍しく菖の両親が帰国していたため、そちらに押しつけるから、友達の手伝いをして来いと許可をもらったため、こうしてつぼみたちの手伝いをすることができたのだ。

なお、本人は無自覚だが、菖はそれなりに顔が整っているため、多くの女性客が立ち寄ってきていた。

そのため、フラワーショップは今年一番の売り上げとなっていた。

閑話休題(それはともかく)

客足が徐々に収まってくると、店の奥から、花咲夫妻(陽一とみずき)が顔を出し、手伝ってくれたえりかたちにお礼を言ってきた。

「みんなが手伝ってくれて、大助かりよ。ありがとうね?」

「いやぁ、クリスマスがまさかこれほど忙しいとは……」

「クリスマスデートに恋人に花束をプレゼントして、想いを伝えるって人、多いみたいだからな」

「まさに、心を伝える美しいメッセンジャー、ですね!」

菖のつぶやきに、いつきが微笑みを浮かべながらそう返すと、つぼみが同意した。

「はい!大切な想いを託したお花で感動のイブを過ごしてほしいです!」

それに、とつぼみは笑みを深めた。

「クリスマスは、一人で過ごすことが多かったけど、今年は……大好きなお花と、みんなに囲まれて、幸せいっぱいです!」

「そっか」

つぼみの言葉に、菖は少しばかり寂しそうな笑みを浮かべた。

それに気づいたつぼみは、どうしたのか問いかけてきた。

「あの、菖さん?どうかしましたか??」

「うん?……いや、俺もそう言えば、クリスマスを友達と過ごすってこと、なかったなぁと思ってさ……」

「「「え?」」」

「……あぁ、そういえば、そうね……」

菖のその意外な一言に、中学生三人組と幼馴染でそれぞれ違う反応を示した。

聞いていいのかどうかわからないため、つぼみといつきは問いかけるべきかどうか迷っていたが、好奇心旺盛なえりかは恐れることなく問いかけてきた。

「え?どして??ゆりさんやもも姉ぇがいるじゃん」

「俺の両親、考古学者で海外を転々としてるだろ?で、必然的に残るのはじぃじと俺の二人。そこまでは大丈夫か?」

「はい」

「でもって、じぃじの仕事は神社の管理」

「……あ、なんとなくわかりました」

要するに、クリスマスとはいえ年末であるため、年始に備えての様々な準備を手伝うことになっているのだ。

そのため、友達とクリスマスを過ごすということが今までできずにいたのだ。

そこまで話すと、菖は暗い笑みを浮かべ。

「ふふふふ……自分たちがクリスマスだイブだって能天気に楽しんでいる裏じゃ、それを支えて、クリスマス(楽しみ)を棒に振って汗水流して働いている人たち(労働者)がいるのさ……それに気づいていない連中は、所詮、企業の思惑に乗せられているだけで信仰心の欠片すらない愚か者(哀れな連中)にすぎないのさ」

菖がぶつぶつと不穏なことを呟いている様子を見て、えりかは自分が聞いてはまずいことを聞いてしまったことに気づき、涙目になりながら、戻ってきて、と叫んでいた。

その様子を見かねたゆりは、ため息をついて、菖の頭に手刀を叩きつけた。

「いい加減になさい。それとも、蠍の一刺しを御所望かしら?」

「……ごめん、謝るから勘弁して」

「わかればよろしい」

ゆりにどつかれて素直に戻った菖は、苦笑しながら返した。

その様子を見ていた三人は、しっかり手綱を握られている、と思ったのだが、自分たちに飛び火することを恐れて、何も言えずにいた。

なお、つぼみだけは、菖とゆりのそんなやりとりを羨ましいと思いながら見ているのだった。

------------------------

それからしばらくすると、来客が完全にいなくなると、みずきが店の奥からクリスマスケーキとコーヒーカップを持って来て、休憩にしようと提案してくれた。

その提案に乗り、休憩に入ると、えりかは何気なく店内を見まわした。

「それにしても、すっごい売れたね。ポインセチア……あんなに入荷したのに、もう残りわずかだよ」

「クリスマスの定番の花ですから」

えりかの言葉に、つぼみが微笑みながら返した。

ポインセチアは、赤く大きい、花びらのように広がった葉が特徴的な花で、クリスマスリースに使われることが多い花だ。

なお、ポインセチアの花は赤い葉の中央にある小さな実のような形をしているのだが、それを知っている人はあまり多くはいない。

閑話休題(まぁ、それはそれとして)

ゆりはティーカップを手に、ポインセチアへと視線を向け、優しい笑みを浮かべた。

「花言葉は「祝福」、「聖なる願い」、「私の心は燃えている」……燃えるような赤は、まさに「情熱的な愛」ね」

「情熱的な愛……憧れます……わたしもいつか、素敵な人から心ときめくお花をもらって、情熱的に愛を確かめ合って……」

うっとりしながらゆりの言葉に返すつぼみの脳裏には、このメンバーの中で唯一の異性である菖の笑顔が浮かんでいた。

それがわかっていたゆりは、小さく微笑み、つぼみの耳元でこっそりと告げた。

「菖にはそんなことを期待しないほうがいいわよ?彼、そんな甲斐性はないから」

「なっ?!なんのことでしょうかぁ……??」

視線をゆりからそらしつつ、つぼみはひそひそと返した。

そんな二人の様子を見ながら、えりかはからからと笑っていた。

「まぁまぁ……というか、つぼみ。花屋の娘に花束贈る男なんていないって!」

だからわたしたちが代わりに、とまるで示し合わせたように、えりかたちはつぼみにリボンで装飾された箱を手渡した。

その箱の中身は、貯金箱や菜園セットなど、つぼみが欲しかったものが入っていた。

「わたしが欲しかったものばっかり!みんなで選んでくれたんですね!ありがとう!!」

満面の笑みを浮かべながら、つぼみはみんなにお礼をいった。

その様子に、プレゼントを贈ったえりかたちは微笑みを浮かべた。

だが、ふと、えりかたちの視線は菖の方へと向けられた。

「……菖さん?」

「菖さんの分のプレゼントって……」

「……まさかと思うけれど、用意していない、なんてことはないわよね?」

つぼみの手の中にあるプレゼントは三つ。

そして、この場にいるつぼみの仲間は、四人。

菖の分だけ、プレゼントがないことになる。

だが、菖はいたずら小僧のような笑みを浮かべていた。

「誰も用意してないなんて言ってないぞ?」

そう言って、菖はベルトに取りつけられたポーチから四つの小袋を取りだした。

袋にはそれぞれ、桜、コスモス、向日葵、百合のシールが貼られていた。

「つぼみだけじゃなくて、みんなにも……まぁ、つぼみのはえりかたちと比べたら小さいものになっちゃったけど」

苦笑しながら、菖はプレゼントを手渡した。

袋の中には、手作りの髪留めが入っていた。

「おぉ~!!」

「わぁ!!可愛い!!」

「すごい……これ、手作りですか?!」

「確かに、可愛らしいわね……けど、半人前の半人前、四分の一人前の出来、ってところかしら?」

「ひどい評価だな、それは。店に出すわけでも、まして職人になるわけでもないんだから、それくらいでちょうどいいと思うけど」

ゆりの評価に苦笑を浮かべながら、菖はそう返した。

だが、辛口な評価をしたゆりではあるが、その顔は優しい笑顔が浮かんでいるので、贈り物は気に入ってくれたようだ。

髪飾りはそれぞれ、桜、コスモス、向日葵、百合の装飾が施されていた。

どうやら、つぼみたちがプリキュアに変身したときのイメージに合わせて作ったようだ。

「気に入ってくれたかな?」

「「はい!ありがとうございます!!」」

「大満足っしゅ!!」

「えぇ、とても。ありがとうね、菖」

菖からの贈り物に、四人が笑みを浮かべてお礼を言うと、くすくす、とみずきが微笑んだ。

「よかったわね、つぼみ!男の人から贈り物をもらえ、て……」

そう言いながら、突然、みずきは顔を青くして、その場に座り込んでしまった。

あまりに突然のことに、つぼみと陽一はみずきの名を呼びながら駆け寄った。

ひとまず、病院へ行った方がいいと判断し、陽一は車の助手席にみずきを座らせ、病院へ向かった。

小さくなっていく車を見送りながら、つぼみは祈るように、お母さん、とつぶやいていた。

その様子があまりに痛々しく、菖とゆりはつぼみの肩に触れ、元気づけるように声をかけた。

「きっと大丈夫。だから、今は信じて待とう」

「そうよ。気をしっかり持って……隙を見せないためにも」

誰に、というのは言うまでもない。

こんなときに、じっとしているほど、砂漠の使徒はおとなしくはない。

そして、ゆりのその予感は的中してしまった。

----------------------------------

希望ヶ花市某所。

そこには、ひときわ大きなクリスマスツリーがライトアップされていた。

周囲はカップルや家族連れ、あるいはたくさんの仲間たちでにぎわっていた。

だが、悲劇というのは突然やってくるものだ。

突然、その場を通行していた二人の人間が光に包まれて姿を消した。それからほどなくして、人々の中心にあったクリスマスツリーが、異形の怪物へと姿を変えてしまったのだ。

その怪物の頭上には、クモジャキーとコブラージャの影があった。

「幹部二人の闇の力で生みだしたデザトリアン……確かに、パワーはそれなりぜよ」

「あぁ。だが、問題はプリキュアどもとセイバーに太刀打ちできるかどうか」

「関係ないぜよ!サソリーナの敵討ち、今度こそさせてもらうきん!!」

「……熱いねぇ、君は」

一人で意気込むクモジャキーに、コブラージャは呆れたと言いたそうにため息をついたが、その顔はどこか笑みが浮かんでいるようにも見えた。

 

一方、場所はフラワーショップ。

車で出発したみずきと陽一を見送ったつぼみたちは、閉店準備を終えて、陽一からの連絡を待っていた。

が、ただでさえ、気が滅入っているというときに限って、空気を読まない連中(砂漠の使徒)が騒動を起こすわけで。

「「「「砂漠の使徒ですぅ/ですっ/でしゅっ/だっ!!」」」」

「ちっ!こんな時に……」

「あぁ、もう!ちょっとは空気読めっての!!」

「とにかく行きましょう!薫子さん、留守をお願いします!!」

「わかったわ!みんな、気を付けて!!」

妖精たちの反応に、つぼみたちはデザトリアンが出現した場所へと向かっていった。

が、つぼみの心は依然として不安定なままだった。

そんなつぼみを見かねたシプレは、つぼみの顔に勢いよく張りついた。

「むきゃっ??!!し、シプレ!なにするんですか!!」

「しっかりするです、つぼみ!!つぼみが踏ん張らないで、誰がお父さんとお母さんを守るんですか!!」

「っ!!」

つぼみは目を見開いた。

――そうだ、いまわたしがやらなきゃいけないのはお父さんとお母さんを守ること!こんなところでくじけていられません!!

シプレに励まされ、つぼみの瞳に光が灯った。

どうやら、つぼみの心の迷いが晴れたようだ。そして、先に向かっていた仲間たちは変身アイテムを持ったまま、待っていてくれた。

「いくわよ、つぼみ」

「さっさとクリスマスには場違いなこいつら片付けて、陽一さんたちの帰りを待とう」

「はいっ!!」

ゆりと菖に元気よく返事をすると、つぼみも変身アイテムを取り出した。

そして、全員そろったところで。

「「「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ/でしゅ/ぞ!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

五人そろって、変身した。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」」

セイバーを除いた四人は高らかに名乗ると、クリスマスツリーを模したデザトリアンへと向かっていった。

セイバーもエターニアハートを引き抜き、四人のあとに続いた。

「現れたな、プリキュア!そしてセイバー!!」

「今日こそ君たちを倒してあげるよ!!」

「たとえどのような障害があろうと、わたしたちは負けません!!」

シプレには発破をかけられた影響か、ブロッサムがいの一番にデザトリアンへとむかっていった。

だが、デザトリアンはそのブロッサムにむかって吹雪を吐き出した。

もともと、冬に似つかわしくないデザインの衣装であることも手伝ってか、ブロッサムの体はいとも簡単に凍り付いてしまった。

「ぶ、ブロッサム??!!」

「つ、つめたい、です……」

かろうじて口は動くが、ブロッサムは寒さで体が思うように動かず、身を縮みこませて震えていた。

「あのブリザード、厄介ね」

「なら、冷気には炎だ!!」

ムーンライトのつぶやきに、セイバーはエターニアハートを構え、目を閉じた。

その瞬間、セイバーの体は赤い光に包まれ、周囲の雪が溶け始めた。

清浄なる炎(フォエス・ファイアリ)!」

古代語を口にした瞬間、エターニアハートは赤い光をまとい、一振りの剣へと姿を変えた。

いままでのエターニアハートとは違い、白い輝きを放つ、セイバーの身の丈ほどはある長剣がその手にはあった。

よくよく見れば、刀身には炎のような紋様が描かれている。

「……いつも思うけれど、あなたのその剣、ほんとに反則よね」

ムーンライトは半眼でセイバーの方を見ながら、そんなことを口にした。

なにしろ、ムーンライトにしてもブロッサム(後輩)たちにせよ、扱える武器は一つしかない。だが、セイバーは古代語さえ唱えることができれば、エターニアハートを様々な形状に変えることができるのだ。

つまり、扱うことができる武器が実質的にプリキュアよりも多く存在しているということになる。

扱える武器の多さは戦術の幅に直結する。その点において、セイバーはプリキュアよりも戦術の幅が広いということになる。

そこに触れて、ムーンライトは『反則』と呼んでいるのだろう。

そんなムーンライトに、セイバーは苦笑を浮かべた。

「といっても、それなりに負担はあるんだけどな……いくぞ!」

セイバーは炎紋の剣を構え直し、地面を蹴り、デザトリアンとの距離を詰めた。それに続き、ムーンライトとサンシャインも並走した。

マリンは一人だけ氷漬けにされてしまったブロッサムを守るため、すぐ近くで待機していた。

が、デザトリアンの戦闘力はこれまでのものと比べて高くなっているらしく、セイバーとムーンライト、サンシャインの三人が一斉にかかっていっても、なかなか倒れる気配がなかった。

加えて、すでに二人でダークブレスレットの力を使って合体をしていたため、戦いの流れはデザトリアンの側にあった。

「ふんっ!花だ、愛だの浮かれておって!!」

「消えてしまえ!!」

コブラージャとクモジャキーがデザトリアンに合体した状態でそんなことを叫びながら、広場にあったツリーを踏みつぶし始めてた。

ツリーが踏みつぶされる音や、避難している最中だったカップルや通行人の悲鳴が聞こえてくると、ブロッサムの体が震え始めた。

「聖なる夜を、花を、想いを……汚すことは、許しません!!」

ビシッ、ピシッという音を立てながら、ブロッサムは立ち上がり始めた。

「わたしの……わたしの心は、燃えています!!堪忍袋の緒も、切れちゃいます!!」

その雄叫びとともに、ブロッサムの体を拘束していた氷がすべて壊れ、はじけ飛んだ。

「あまり時間をかけていられません!みなさん、ここは"あれ"を使いましょう!!」

「うん!」

「おっしゃ、やるっしゅ!!」

「「了解/よ!」」

戦線復帰したブロッサムが四人にそう告げると、妖精たちはハートキャッチミラージュを呼び出し、パワーアップの種を取りだした。

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ、大樹の騎士に力を!」

五人が一斉にミラージュに祈りをささげると、鏡面から光があふれ、五人を包みこんだ。

その光の中で、五人の衣装は純白のものへと変わっていき、セイバーの手にあった剣は、本来の姿である薄紫の刀身を持つ両刃剣へと変化した。

「「「「世界に輝く、一面の花!ハートキャッチ・プリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー、レイディアントシルエット!!」

スーパーシルエットとレイディアントシルエット、プリキュアとユグドセイバーの最強シルエットに変身を終えると、ブロッサムたちは自分たちの武器を掲げ、心の花の力を集めた。

その瞬間、四人の背後に白いワンピースをまとった女神が姿を現した。

同時に、セイバーはエターニアハートを構え、デザトリアンに突進していった。

「俺の全てで、悪しきを断つ!!ハートライト・レイクエム!!」

「「「「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ハートキャッチオーケストラ!!」」」」

スーパーシルエットとレイディアントシルエットの必殺技が同時にデザトリアンに向けて放たれ、デザトリアンは浄化された。

早々に決着をつけることができたためか、それからあまり時間を置くことなく、広場は再び賑やかさを取り戻すのだった。

----------------------------------

その後、フラワーショップに戻ってきたつぼみたちは、陽一たちからの連絡を待っていた。

ふと、フラワーショップの前に停車する車の影が見え、つぼみは、陽一たちが帰ってきたのではないか、と思い、店の外へと飛び出した。

するとそこには、つぼみの予想通り、陽一とみずきの姿があった。

「お母さん!!よかった、なんともなかったんですね!!」

何事もなかったかのように笑顔を浮かべているみずきの姿を見たつぼみは、みずきと陽一に抱きついた。

その様子にみずきは、心配かけてごめんね、と謝ってから、笑みを深めた。

「それとつぼみ、うれしいお知らせがもう一つあるのよ?」

「え?」

みずきの言葉に、つぼみはきょとんとしたが、薫子は何かを察したらしく、目を見開いていた。

「あら、もしかして?」

「はい、お義母さん。二人目です!」

二人目、つまり、つぼみに妹か弟ができた、ということだ。

そこまで聞けば、さすがにアホの子という位置づけが定着しつつあるえりかもわかったらしい。

もちろん、えりかがわかったのだから、つぼみがわからないはずがなかった。

「二人、目?……あ、あ、赤ちゃんですね!!」

「やったじゃん、つぼみ!!」

「最高のクリスマスプレゼントだね!!」

「「みずきさん、陽一さん、薫子さん。おめでとうございます」」

驚愕しながらも喜びを隠せないつぼみに、えりかといつきは祝福を贈り、菖とゆりはみずきと陽一を祝福した。

「つぼみ、これからはお姉さんだな」

「頑張ってね?お姉さん」

「はいっ!わたし、頑張ってすてきなお姉さんになります!!」

大好きな二人(菖とゆり)からそう言われたつぼみは、満面の笑みを浮かべながらそう誓うのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~花咲家からの帰り道~
ゆり「めでたいことよね?新しい家族ができるなんて」
菖「そうだな……やっぱり、ちょっと羨ましかったりするのか?」
ゆり「……羨ましくない、って言ったら嘘になるけれど……」
菖「けれど?」
ゆり「つぼみもえりかもいつきも、わたしにとっては妹のようなものよ?あの子たちが笑顔なら、わたしはそれで十分」
菖「ははは。頑張れ、お姉さん」
ゆり「あら?それを言ったら、あなたはお兄さんじゃないかしら?」
菖「……それもそうだな」
ゆり「うふふ♪失念してたわね」
菖「否定はしません……あ、ちょっといいか?」
ゆり「ん?構わないけれど、どうしたの?」
菖「いやさ……ほれ」
ゆり「……ホットコーヒー?」
菖「ちょっとドタバタしてたからさ、ちゃんとできてないだろ?お決まりの」
ゆり「……それもそうね。フライングだって、えりかに怒られそうだけれど」
菖「言いかねないな……なら、二人の秘密」
ゆり「……えぇ、構わないわ♪」
菖「それじゃ」
ゆり「えぇ」
菖、ゆり「「メリークリスマス」」(カツンッ


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初夢物語~もしもの10年後~

前日談(スキット風)

~こたつでゆっくりと……~
つぼみ「ほわわ~……」
えりか「はふぅ……」
いつき「ん~……」
ゆり「……」
菖「……見事に炬燵の魔力に取りつかれてるな」(みかん食べつつ
ゆり「そうね……というか、この子たち」
中学生組「「「……ZZZ……」」」
菖「寝てるな」
ゆり「そうね……ふぁぁ……」
菖「まぁ、炬燵に入るとこうなるよな……」
ゆり「……菖、肩借りてもいい?」
菖「どうぞ」
ゆり「ありが……と……」
菖「……平和だなぁ……なんだか、俺も……ふぁあ……」
全員『すぅ……すぅ……』


ピピピピッ、ピピピピッ。

けたたましい電子音が耳に届いてきた。

ふと、ゆりが目を開けると、目覚まし時計は六時半を示していた。

きっちり時間通り。意識もはっきりしている。

ふと隣を見ると、大学から帰ってきてそのままの格好で寝落ちてしまったのだろう、幼馴染の姿が目に入ってきた。

「ふふっ……菖、起きなさい?」

「……ん、む??」

「おはよう、あなた(・・・)。昨日は遅くまでご苦労様」

「ん~……おはよう、ゆり……」

まだ寝たりないのか、寝転がったまま、眠そうな瞳をゆりのほうへ向けた。心なしか、その顔には幸せそうな笑みが浮かんでいるような印象がある。

「どうしたの?なにか、おもしろいことでも思い出したのかしら?」

「……いや。ほんとに俺みたいな男のお嫁さんになってくれたんだなって思ったら、うれしくてさ」

菖のその一言に、ゆりの顔は真っ赤になった。

その左手の薬指には、細身ではあるが、菖が首から下げているものと同じデザインの結婚指輪がつけられていた。

二人が結婚したのは実に数カ月前。幼馴染としてそのほとんどの時間を一緒に過ごしてきた二人だったが、ようやくゴールインを果たし、いまは希望ヶ花市内で一緒に暮らしている。

ちなみに、ゆりはつぼみと同じ植物研究所の研究員となり、大学で植物学の教鞭を取っており、菖もまた、同じ大学で考古学の教鞭を取っている。

もっとも、理系と文系で研究室が分かれているため、職場で顔を合わせることはめったにないのだが。

「……そ、それじゃ、あなたのお嫁さんらしく、朝ごはんを作ってこようかしらね」

「それじゃ、俺は起きるとするかなぁ……」

そう言いながら、ベッドから降りるゆりの背中を見送りながら、菖は微笑みを浮かべるのだった。

そんな二人の様子に背後から、やれやれ、というため息が聞こえてきた。

菖はそのため息が聞こえてきた方へ視線を向けると、そこには十年来、姿を変えることなくゆりの近くにいる妖精が座っていた。

「……やれやれ、君たちはずっと変わらないね」

「そういう君もな、コロン」

「僕は変わりたくても、変わりようがないさ。そもそも僕の時計は止まってしまっているんだし」

「そうだったな……」

高校を卒業してから十年。

砂漠の使徒の侵攻だけでなく、様々な闇の勢力との戦いもあったが、ゆりも菖も、そしてつぼみやえりか、いつきも、もはや戦うことがなくなった。

それだけ優秀な後輩がいる、ということもあるのだが、他の世界からの侵略者に対抗するため、プリキュア以外の勢力が誕生したためという部分が大きい。

そのため、心の大樹の守護者として契約を結んだ菖はともかく、プリキュアたちは一斉に戦いから身を引き、パートナーの妖精たちもプリキュアに力を割く必要がなくなったため、成長していった。

が、すでに死を迎え、菖とゆりの心の花の力で実体を保っているコロンは、その姿をとどめたまま、変化することはなかった。

だからこそコロンは、自分の時計が止まっている、と言ったのだろうが。

----------------------------------

朝食を終えて、菖とゆりは一緒に職場である大学へと向かっていった。

大学の職員入り口にくると、それぞれ割り当てられた部屋がある研究棟へと向かっていった。

理系の研究棟に入り、エレベーターに乗り込むと、ゆりは懐かしい人物と出会った。

「あら、ほのか」

「……あ、ゆりさん!おはようございます!」

「えぇ、おはよう」

そこにいたのは、かつての仲間の一人であり、先輩プリキュアとして活躍していた雪城ほのかだった。

彼女もまた、プリキュアとしての一線を退いてから、大学で教鞭を取るようになった。

ちなみに、ほのか以外にも、大学で教鞭をを取っている仲間もいる。

なので、彼女たちとこうして顔を合わせることもまれにあるのだ。

ちなみに、ゆりはつぼみとほのかの二人とはよく顔を合わせるのだが、菖は同級生の静や君尋、小狼と顔を合わせる機会が多い。

まぁ、それはともかくとして。

ほのかは、そういえば、とゆりに視線を向けて問いかけた。

「大変ですよね、お二人そろって大学の講師って」

「そうでもないわよ?結婚はしてるけど、毎日顔をあわせなくなったのが逆に新鮮だから、今のところ、二人とも楽しんでいる感じね」

「けど、気を付けたほうがいいですよ?まだ菖さんのことを諦められないって子はいますし」

結婚した、いや、ゆりと正式に交際するようになってからも、オールスターズメンバーの中には、愛人でも構わないから、といって菖の近くにいようとしたがるメンバーは残っていた。

なお、その筆頭がつぼみである。

ちなみに菖は愛人にしてほしいというメンバーに苦い顔をしているが、ゆりはオールスターズのメンバーであれば愛人にしても構わない、と思っている。

逆を言えば、良く知りもしない娘を愛人にするのは許さない、ということでもあるのだが。

閑話休題(それはそれとして)

「えぇ、わかってる」

ほのかの警告に、ゆりは微苦笑を浮かべるのだった。

----------------------------------

それからしばらくすると講義(仕事)が始まった。

ちなみに、菖の講義には女子学生が、ゆりやつぼみ、ほのかの講義には男子学生が大半を占めていることは言うまでもない。

もっとも、菖の講義に男子が参加していないというわけではないし、ゆりたちの講義に女子が参加していないというわけでもない。

だが、やはり美形の異性となると、必然的に引き寄せられてしまうのは人の性、というものなのだろう。

授業が終わると、学生たちがこぞって質問にやってくるのだが、その大半は教授と話すことが目的だったりする。

とはいえ、そういうことが目当てで集まってくる人達の捌き方にはみんな慣れたもので、相手を傷つけず、かといって、必要以上につけ上がらせない程度にあしらうことができるようになっていた。

いつの間にか身につけてしまったスキルを使って、菖は今日もいつものようにのらりくらりと回避していると。

「菖兄さん」

「菖お兄様」

「菖兄ちゃ~ん」

聞きなれた呼ばれ方に呼び止められた。

視線を声がした方へ向けると、そこには高校生時代のゆりと同じくらいの身長まで大きくなったアコと亜久里、レジーナの三人がいた。

「お?アコに亜久里、レジーナじゃないか」

「あによ?わたしがいたらおかしいの?兄さんとゆり姉さんの講義が受けたくてこの大学選んだのに」

「そうですわ!まったく、講師という立ち場になってもそのあたりの配慮がまったく足りていませんわよ!!」

「まぁいいじゃない♪菖兄ちゃんに声かけるの、久しぶりなんだし」

レジーナの言うとおり、ここ最近、菖はほかの研究機関のプロジェクトに参加する機会の方が多くなっているため、大学での講義が休講がちになっていた。

そのため、菖とゆりがいるという理由で入学してきたアコ、亜久里、レジーナの三人は菖の講義がないときはゆりの講義を聴講することで時間を潰していた。

が、やはり菖の授業のほうが興味があるらしく、こうして声をかけることはないらしい。

「別におかしいとは言ってないだろ?まぁ、気に障ったなら謝るよ」

「ならいい」

「そうですわね。あまりそのことで責めるのもお門違いというものでしょうし」

菖が苦笑を浮かべながら謝ると、アコと亜久里は許してくれたらしく、仕方がない、というようなため息をつきながらそう返してきた。

そこまでくると、やっと本題に入っていった。

「ところで、今日の講義で質問が……」

「あ、あたしもあたしも!」

「……みんな順番に」

余談だが、アコと亜久里は登録している講義のすべてを真面目に受けているため、単位が不足しているという心配をまったくしていない。

一方でレジーナは二人と比べて不真面目ではあるが、要領がいいため、単位不足で落第になることをギリギリで回避している。

が、菖の講義だけは真面目に受けているあたり、やる気がないわけではないようだった。

----------------------------------

それからいくつかの講義とプロジェクトの会議、研究会のための論文や現在テーマとしている研究論文のための資料集めなど、大学での業務を終わらせ、菖は家路についた。

特にこれと言って事件が起きるわけもなく、無事に我が家に到着した。

――ふむ……今日はゆりのほうが帰りが遅いのか

心中でそうつぶやき、菖はジャケットを脱いで台所へ向かった。

夫婦そろって大学の講師で研究者となると、どうしても一緒に時間に食事を摂るということが難しくなってしまう。

そのため、夕飯は先に帰った方が作る、というルールが、今のところの夫婦の約束事だった。

冷蔵庫の中身を確認しながら、菖はこの日の献立を決めて、さっそく調理に取り掛かった。

しばらくすると、玄関からゆりの声が聞こえてきた。

どうやら、帰ってきたらしい。

「ただいま、菖」

「おかえり。もう少しでできるから、座ってて」

そう言いながら、菖は作り終えた料理を盛った皿をテーブルまで運んでいった。

そこからさらに食器類を並べていき、すっかり夕食の支度を整えてしまった。

一方、手持ち無沙汰になってしまったゆりはというと。

「……この料理なら、お酒は日本酒か焼酎のほうがいいかしらね?」

なぜか晩酌の用意をしていた。

実はこの夫婦、かなりの酒豪であることが成人後に判明したのだ。

どれくらいかといえば、日本酒の一升瓶を二人で五本は開けてしまえるほど。

それなりに飲める人間でも一升瓶一本がせいぜいなのだから、かなりのものである。

「そうだなぁ……うす塩味で作ったからどっちもいけると思うけど、焼酎なら麦の方がいいんじゃない?」

「そうね……あぁ、でもちょうど日本酒があるから、そっちにしましょう?」

「賛成」

ゆりが両手で一升瓶を持ち上げている様子に苦笑を浮かべながら、菖はそう答えた。

---------------------------------

その後、夕食を終えた二人は入浴を済ませて、寝室に入った。

だが、すぐにベッドで横にならず、菖もゆりもスケジュール手帳を手に、それぞれの予定を擦り合わせていた。

「……菖、明日だけれど……」

「大丈夫。何が何でも、明日は外させてもらいますって学会にも伝えてある。それに、俺の代打以上の活躍をしてくれる優秀な助手もいるしな」

「ふふっ……なら、明日は大丈夫そうね?」

スケジュールを確認しながら、不安そうにしていたゆりだったが、菖からの一言で安堵の笑みを浮かべた。

翌日は、二人にとって特別な日。

幼馴染としてでも、共に戦う仲間としてでもなく、特別な人として一緒にいることを誓いあった日だった。

そのため、一緒に出かける予定を立てていたのだが、ここ最近、菖は学会の研究で忙しくしていたため、もしかしたらと思っていたらしい。

だが、菖は約束を守ってくれた。

そのことに安堵したようだ。

「それじゃ、そろそろ寝ないと、ね?」

「そうだな……おやすみ、ゆり」

「えぇ、おやすみ。あなた」

部屋の電気を消し、菖とゆりは互いにそう言いながら布団の中に入った。

その手は互いにつなぎあい、顔も向き合ったままなのだが、そこを突っ込むのは野暮というものだった。

暗くてよく見えなかったが、ゆりは先に眠ったであろう愛する人の寝顔を見つめながら、瞼を閉じた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~目が覚めたら~
つぼみ「ふぁあ……すっかり眠ってしまいましたぁ……」
えりか「ん~……炬燵の魔力、恐るべし……」
いつき「あははは……」
ゆり「……油断したわ……」
菖「ははは……ところで、みんなよく寝てたけど、なんか夢でも見てたのか?」
つぼみ「は、はいっ!!あ、ああぁぁぁぁのぉぉぉぉぉそのぉぉぉぉぉぉぉ……」(/// ///
えりか「あたしは自分が作った衣装でファッションショーやってる夢、見たっしゅ!」
いつき「僕は、みんなと一緒にお弁当食べてる夢だったよ……ゆりさんと菖さんは、どんな夢だったんですか?」
ゆり「そうね……こうだったらいいなって思える夢ね」
菖「ははは、なんか、似たような夢を見てそうだな」
ゆり「あら?そうなの??」
菖「まぁ、これ以上はノーコメントってことで……というか、つぼみ。そろそろ戻ってこい」
つぼみ「は、はひぃぃぃぃっ??!!」


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予兆~準備は静かに進む~

あぁ、そろそろア・ラ・モードも最終回……
でもって、今度はHugっと!、と……そういや、これがプリキュア15周年作品になるわけですな……
Hugっと!が始まるまでにこっちも本編最終話上げられるようにがんばろ(-ω-

あ、今回のあとがきスキットは私なりの悪ふざけですのでご容赦を
いやぁ、原作のこの二人は実にいいものですなぁ……末永くいてほしいもんです


その日、菖は珍しく一人でプリキュアパレスに来ていた。

その理由は、パレス内部にある遺物の研究ではない。

ハートキャッチ・ミラージュを手に入れるために挑んだ試練で、菖だけは先代のセイバーとの決闘だったのだが、つぼみたちは自分の影との一騎打ちだったのだ。

菖の試練の内容を聞いていたえりかは、自分たち(プリキュア)はもう一人の自分と向き合ったのに、なんで菖さん(セイバー)だけ違う試練なんだ、と文句を言ってきたのだ。

挙句の果てに、もう一度、プリキュアパレスに行って試練をやり直すべきだ、と文句を言って聞かなかったので、先代の騎士に挨拶に行くついでに、そのあたりを聞いてみようと思い、単身、やって来たというわけだ。

ちなみに、そのことを歴代プリキュアの銅像の中心にある、エターニアハートを模した石像の前でこぼしていると。

「……なるほど、事情はだいたいわかった」

と、呆れたと言いたそうな表情をしながら、先代騎士が現れた。

「だが、お前自身、もう自分のもろさは受け入れているんだろ?」

「まぁ、そうなのかな?」

自分のもろさを受け入れているというよりも、菖の場合はそれをものともしない芯の強さを持っている、という方が正確だ。

おそらく、歴代のプリキュアの意思もそれを察していたからこそ、あえて、先代騎士との決闘という形を試練にしたのかもしれない。

もっとも、本当のところは菖にも先代にもわからないのだが。

閑話休題(それはともかくとして)

「まぁ、そんなわけだから、お前はプリキュアたちと同じような試練は受けられない。勘弁してくれ」

「それは理解したんで、大丈夫ですけど……なんで先代が説明に??心の大樹か歴代のプリキュアたちの誰かが説明に来ると思ったんですが」

菖はその疑問を先代にぶつけた。

いくら不可思議なものが多いプリキュアパレスとはいえ、すでに肉体を失ったものが具現化することなどありえない。

だというのに、菖の目の前には先代騎士の姿があるのだ。

もっとも、その姿ははっきりとしたものではない。

視える体質の菖にすら、その姿は薄らいで見えているのだ。

おそらく、かなりの無理をして現界(げんかい)しているに違いない。

「気にするな、と言いたいが、そうも言えないか」

先代騎士はため息をついて、そう返し、真剣な眼差しを菖にむけた。

その表情に、菖は思わず背筋を伸ばし、真面目な表情を浮かべて、先代騎士の言葉を待った。

先代騎士はその表情に苦笑を浮かべはしたが、すぐにその笑みは消えた。

「いいか、菖。これから話すことは冗談でもなんでもない。わりとまじなことだ」

先代騎士は真剣なまなざしを菖に向けながら、その先を語り始めた。

「いいか。これから先、戦いが激しくなり、心の大樹が枯れてしまう可能性もある」

「……」

先代騎士の突然の言葉に、菖は眉をひそめた。

だが、先代騎士の言葉に反論することなく、ただただ聞きに徹することが出来ているところから、菖も最悪の事態は想定しているようだ。

「そうなった場合、大樹の加護を受けているお前に何らかの影響――具体的に言えば、変身できなくなるなんてことになる可能性もある」

その対策として、と先代騎士はそれぞれ赤、青、緑、黄色に染められた羽を差しだしてきた。

「心の大樹に咲いている花を使って染め上げたものだ。まぁ、心の種の代わりだと思ってくれればいい」

「なるほど、手袋をココロパフュームに見立てて、プリキュアの種の代わりを作ったんだ……で、これをどうしろと?」

「手袋に羽飾りがついているだろ?あれと付け替えればそれでいい」

「わかりました」

菖は二つ返事でうなずき、先代騎士からその羽を受け取った。

随分と簡単な対策ではあるが、視える体質の人間である菖には、先代騎士が手にしている羽から、とてつもなく強い力を感じ取っていた。

万が一に備えての対策、というのはあながち嘘ではないことがそれだけで理解できていた。

なにより、先代は嘘を吐くことが苦手だという疑うを、剣を交えた菖は理解できていたから、簡単に応じることができた。

----------------------------

菖が先代騎士から受け取った羽飾りと、手袋にもともとついていた羽飾りと付け替えている間、先代騎士は作業しているその背中を見つめていた。

そんな先代騎士に、一人の少女が声をかけてきた。

「どうしたの?セイバー」

「アンジェ……いや、これから厳しい戦いが待っているのかもしれないと思うと、俺たちがやり残したことの大きさを思い知らされてな」

口には出さないが、先代騎士は菖に負い目を感じている。

なにせ、自分たちにはやり残してしまったことが山ほどある。

その最たるものが、砂漠の使徒との決着なのだが、それ以上に、四百年前に砂漠の王から追放され、怒りと憎しみのまま、地球を破壊しようとしていたサラマンダー男爵の心を救うという宿題も押しつけてしまっていた。

最終的に男爵の力の結晶を砕いたうえで封印することになったが、セイバーは最初から封印することなく、彼の怒りと憎しみを理解し、この世界に受け入れてやれるよう、奮闘していた。

だが、結局、男爵の怒りと憎しみをほどく役目は、自身の後継者たる菖に引き継がせてしまった。

そして今回は、砂漠の王との決着まで押しつけてしまった。

「……それはわたしも同じ……ううん、わたしの場合、四百年もの間、たくさんの女の子たちに戦いを強いてきた」

先代騎士の言葉に、アンジェは顔を曇らせた。

本来なら、砂漠の王との決着は自分の代で終わらせたかった。

しかし、その想いは叶わず、結局、四百年もの間、多くの少女たちに戦いを強いてしまった。

そのことを、アンジェは悔やんでいるようだ。

「……今度こそ、終わってほしいな」

「……うん」

先代騎士のその言葉に、アンジェはただ静かにうなずくだけだった。

このとき、この二人はその願いがよもや成就することになるとは思ってもいなかったのだが、それはまだ少し先のことである。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~菖、帰還後~
先代騎士「行ったな」
アンジェ「そうね……ねぇ、ロイド?」
ロイド「ん?」
アンジェ「せっかくだから、パレスの日だまりで日向ぼっこしない?」
ロイド「おいおい、アンジェ。随分のんびりしてるな」
アンジェ「む~っ!二人だけのときは名前で呼んでって言ったよね?!」
ロイド「……そうだったな、コレット」
コレット「えへへ~♪」
ロイド「んじゃ、行くか」
コレット「うん♪」


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突きつけられた絶望

ア・ラ・モード最終回、ハッピーエンドで終わったというのに、こんなタイトルのお話を投稿する私って……

何度も話していますが、基本的に本編は漫画版をベースにしていますので、アニメ本編と違う点が多々存在しますが、そこは気にしないでいただきたく。
ちなみに、仁頼さん、意味深なセリフを出していますが、気づいていて追求していないかったという設定になっているので、まったく問題はない……はず!


その男は、突然やってきた。

それは、クリスマスを無事に乗り越え、お正月も過ぎて、妊娠したみずきが安定期に入り、戻ってきたある日のことだった。

その日も普段通り、つぼみは植物園の手伝いをしていた。

そこには、いつものように仲間たちも一緒にいて、笑顔の花が咲いている。そんないつもと変わらない平和な日常に、突如、その青年は踏みこんできた。

一見すれば、穏やかそうな好青年だが、彼を見た瞬間、菖と薫子の顔は険しくなった。

菖はその瞳の奥から漏れ出ている、穢れと呼んでも過言ではない負の感情を感じ取ったため。薫子は、その青年がかつて自分が死闘を繰り広げ、やっとのことで封印した相手であることを知っていたから。

だが、そんなことはまったく知らないつぼみは。

「いらっしゃいませ!」

「こんにちは……この植物園で最も高齢な花を探しているんだけれど」

と、少年と言葉を交わしていた。

少年の口から出てきた、最も高齢な花、という言葉に首を傾げていると、つぼみの耳に薫子の鋭い声が響いてきた。

「つぼみ!その人から離れて!!」

薫子の悲鳴に、つぼみは驚き、身をすくませてしまったが、少年のほうはまるで長い間、探し求めていたものをようやく見つけたかのように、楽しそうな笑みを浮かべた。

「ふふふ、五十年ぶりだね。キュアフラワー」

「デューン!!」

「五十年前に君に封じられた僕の力、返してもらうよ!!」

薫子がデューンと呼んだ青年は、宣言すると同時に薫子にむかっていった。

だが、その進行を妨げるように、菖とゆりが立ちふさがった。

「コロン!」

「あぁっ!!プリキュアの種、いくぞ!!」

「プリキュア!オープンマイハート!」

ゆりはココロパフュームを手に、傍らにいたコロンに声をかけた。その意図を察したコロンはすぐさまプリキュアの種を取りだした。

一方の菖は、変身アイテムである指抜き手袋をはめて、すぐにユグドセイバーに変身し、名乗ることなく、エターニアハートを引き抜き、デューンに接近した。

振り下ろされたエターニアハートを、デューンは眉一つ動かすことなく受けとめて、微笑みを浮かべた。

「ほぉ?君が二代目のユグドセイバーか」

「お初にお目にかかる、砂漠の王デューン……失礼だが、早々にご退場いただけないだろうか?」

「無理な話だね」

「言うとおもった!!」

できることなら、争いは避けたいところだったのだが、それは最初から無理なことだと、セイバーもわかっていた。

それでも砂一つ部分でも可能性があるのなら、それに賭けてみたいと思っていたのだが、やはり無駄だったらしい。

セイバーはデューンから距離を取ることなく、さらに一歩、踏みだし。

「ユグドフォルテウェーブ!」

心の花の力を手のひらに集め、デューンに叩きつけた。

技を繰りだすその速さに対応できなかったのか、デューンはセイバーの技を受けて、植物園の外まで吹き飛ばされた。

幸いなことに、閉園日だったため、周囲に一般人はいないため、植物園の中で戦っても問題はないだろうが、園内の植物たちにどんな影響を与えるかわからない。

だからこそ、戦いの場を外に移すよう、仕向けたのだ。

「「先に行く/ってるわ!」」

「わたしたちもすぐ追いかけます!!」

言うが早いか、地面を蹴ってデューンの追撃に向かったセイバーとムーンライトの背中にむかって、変身していなかったつぼみの声が響いた。

だが、それに反応することなく、セイバーもムーンライトもデューンを追いかけ、植物園の外へ出た。

外に出ると、デューンが涼しい顔で立っていた。

その様子から、どうやらあまりダメージは入っていないらしいということが嫌でもわかった。

そして、同時に、それだけの実力差があるということも。

「……手ごわいぞ」

「……えぇ」

「……怖くない?」

「怖いに決まってるわ」

平然としているデューンを眼前にしながら、セイバーはムーンライトに問いかけた。

返ってきた答えは、予想できていたものだったが、その答えには続きがあった。

「けれど、あなたと……いいえ、あなたたちと一緒だから、大丈夫!」

「そっか」

ムーンライトから返ってきた答えの続きに、セイバーは笑みを浮かべた。

それと同時に、ブロッサムたちも追いついてきた。

「お待たせしました!」

「おっしゃ!こっからやったるっしゅ!!」

「わたしたちも戦います!」

追いつくなり、気合十分といった具合の様子だった。

その頼もしさに、セイバーもムーンライトも自然と笑みが浮かんできたが、すぐにその表情は冷たいものへと変わった。

その視線の先には、自分たちが倒すべき相手、砂漠の王(デューン)がいるのだから。

「……いくぞ!」

「「「「えぇっ/はいっ/やるっしゅ!!」」」」

セイバーの合図を皮切りに、プリキュアたちと同時に地面を蹴り、デューンとの距離を詰めた。

だが、デューンとの戦闘力の差は圧倒的だった。

何があったのか、まったく理解できない。唯一、理解できたことは、何があったのか理解できないまま倒された、ということだけだ。

「くっ!!」

それでもセイバーとムーンライトは立ち上がろうとしていた。

だが、それを止めるかのように、薫子の声が響いた。

「もうやめて!」

背後を見れば、そこには肩で息をしながら駆け寄ってくる薫子の姿があった。その傍らには、妖精の姿のままのコッペもいた。

「これ以上、その子たちを傷つけさせない!」

「ほぉ?なら、どうするんだい?」

「……コッペ、お願い。いまだけわたしに力を貸して!」

薫子がコッペの背に触れながらそう願うと、コッペのお腹に描かれた大きなハートマークが光を放ち、薫子を包みこんだ。

光が収まると、薫子が立っていた場所に、ブロッサムよりも明るいピンク色の長い髪をした女性が立っていた。

その女性こそ。

「聖なる光に輝く、一輪の花!キュアフラワー!!」

かつて、デューンを死闘の末に封じた伝説のプリキュア。キュアフラワーだった。

その突然の登場に、ブロッサムたちは歓喜の表情を浮かべ、セイバーとムーンライトは驚愕に目を丸くした。

「ホーリーシャワー!フラワーインパクト!!」

だが、フラワーがデューンに攻撃を仕掛けたことで、表情は引き締まり、ブロッサムたちも同時に必殺技を放った。

だが、それでもデューンの力には遠く及ばなかった。

デューンが自身の闇の力を手の平に集め、解き放った瞬間、闇の力は雷のようにブロッサムたちに襲いかかった。

想像以上のその威力に、現代のプリキュア(ブロッサム)たちはおろか、セイバーとフラワーですら立ち上がるのがやっとの状態まで追い込まれてしまった。

すでに疲労困憊の状態になっているフラワーの手首をつかみ、デューンは楽しそうな笑みを浮かべた。

「衰えたな、キュアフラワー。まぁ、時は流れ枯れて散るのが花の運命(さだめ)、ということか」

そう言いながら、デューンはフラワーの首に手をかけ、彼女がいつも首から下げていたペンダントの鎖を引きちぎり、紅玉をいとも簡単に砕いてしまった。

その瞬間、デューンの体からより強い闇の力があふれだし、その体つきも少年のそれから青年のそれへと変化した。

どうやら、力を取り戻してしまったらしい。

だが、バッドニュースはそれだけではなかった。

デューンが青年の姿へと変化すると同時に、上空から聞き覚えのある声が響いてきた。

「お迎えに上がりました、デューン様……折よく、心の大樹も見つけております」

それはデューンの腹心にして地球攻略の最高責任者であるサバーク博士の声だった。

サバークの声に、そうか、と返し、デューンは上空から降りてきた光の中へと進んでいった。

その手はいまだ、キュアフラワーの腕をつかんだままだった。

これで、自分を邪魔するものはいない。

そう確信したデューンは冷酷な笑みを浮かべて光の中へ消えていった。

キュアフラワーとともに。

----------------------------

つぼみたちが目を覚ますと、そこは植物園の中だった。

どうやら、気を失っていたところを誰かが運び入れてくれたようだ。

その誰かというのが、いまこの場にいない菖であることは、すぐに察しがついた。

ほどなくして、妖精たちが慌てた様子でつぼみたちの元へ駆けつけてきた。

「つぼみ!つぼみ!!」

「大変ですっ!はやく、ハートキャッチミラージュを見るですっ!!」

シプレたちの慌てふためいているその様子に、つぼみたちはハートキャッチミラージュの鏡面を見ずにはいられなかった。

だが、そこには残酷な現実が待っていた。

ハートキャッチミラージュの鏡面には、枯れはてた心の大樹の姿が映されていた。

「こ、心の大樹が……枯れてます……」

「……っ!!大樹が枯れてしまったということは!!」

ゆりは目の前にある鏡像に、もっと恐ろしい事実があることに思い至り、外へと出た。

つぼみたちもそれに続き、外へ出ると、希望ヶ花市は一面の砂に覆われていた。

それがデューンの仕業であることに気づくまで、大して時間はかからなかった。

唯一、植物園だけはコッペの結界によって守られていたため、無事だったようだ。

だが、それは同時に、植物園以外の場所は無事ではない、ということを意味していた。

「……っ!!お母さん!!」

そのことに気づいたつぼみはフラワーショップのある方へと走っていった。

えりかたちもその後に続き、砂に足を取られながらもフラワーショップがある場所へとたどり着いた。

だが、そこにあったものは非情な現実だった。

フラワーショップは砂に埋もれ、屋根だけとなってしまっている状態だった。

その光景を見てしまったつぼみは、必死に砂をかきわけ、お父さん、お母さん、と泣きながら悲鳴をあげていた。

「……ひどい……ひどすぎます……」

やがて、砂をかきわける手は止まり、つぼみは泣き崩れてしまった。

何もかも砂に呑みこまれ、家族も町の人も、植物たちも全滅してしまった。

自分たちが守りたいと願ったものを、守ることができなかった。

その事実に打ちひしがれて、四人はとぼとぼと植物園に戻っていった。

ふと、ゆりといつきは温室の中から気配がすることに気づき、立ち止まった。

まさか、砂漠の使徒の追撃か。

そう思った四人は、恐る恐る、温室の扉を開けた。

だが、扉の先にいたのは。

「お前たち、無事だったか!よかった!!」

そこにいたのは、希望ヶ花に住んでいる人々と。

「お!やっと戻ってきた」

菖の姿があった。

そのすぐ近くには、ももかや同級生たちの姿もあった。

「みなさんっ?!」

「もも姉ぇ!!」

「心配したのよ!」

えりかに抱き着かれながら、ももかはそう返し、微笑みを浮かべた。

だが、えりかはふと、なぜここにももかや同級生たちがいるのか気になった。

「そういえば、なんでここに?」

「菖くんに連れてきてもらったのよ。ほかの町の人もね」

どうやら、菖がいなかったのは無事だった人達を探しに、町へ出ていたからだったようだ。

ふと、つぼみはここにいる人たちの顔に、まったく絶望が浮かんでいないことに気づいた。

町が砂漠になっているというのに。

「みなさん、どうしてそんなに元気なんですか?町は砂漠になっているのに……」

ふいにつぼみが近くいたなみに問いかけると、なみは笑顔を浮かべ、答えを返した。

「あたしたちの心は、そんなにヤワじゃないって!こんなんでめげてたら、プリキュアに怒られちゃうよ!!」

「プリキュアと白騎士は、きっといまもどこかで世界を守ろうと頑張っている!だから、俺たちだって頑張んなきゃな!」

なみの答えに同調するように、同級生の番の言葉が返ってきた。

いや、番だけではない。

「一度、プリキュアに助けられたんだもん。こんなんで負けないよ!」

「こうして無事でいるんだ。俺たちにできることを精いっぱいやらねぇとな!」

「動くことができるなら、活路を見いだすことができるまで足掻くだけだ」

「ここでわたしたちがあきらめたら、プリキュアと白騎士に顔向けできないもんね!!」

その場にいるみんなが、口々にそう返してきた。

そこには絶望や諦めの感情はいっさいなかった。

「……わたし……わたし、くじけそうになった自分の心に、堪忍袋の緒が切れましたっ!!」

誰も諦めていない。

なのに、自分は目の前に突きつけられた現実に絶望し、くじけそうになってしまっていた。

その想いを振り切るかのように、つぼみは温室に響くような大声で叫んだ。

「みなさんと同じように、プリキュアも白騎士もきっと……いいえ、絶対にあきらめませんよっ!!」

「つぼみ!」

「そうだね、それでこそプリキュアだ!」

つぼみのその言葉に、えりかといつきも元気を取り戻した。

すると、外からデザートデビルのうめき声が突然響いてきた。

「皆、奥へ集まるのじゃ!!」

その声を聞いた仁頼が避難誘導を始めると、つぼみたちはそのどさくさにまぎれて、外へ出た。

菖も外へ出ようとしたが、仁頼に呼び留められた。

「菖、行くのじゃな?」

「……うん。じぃじ、行ってくるよ」

「無事に戻ってこい。わしが願うのはそれだけじゃ」

「うん!」

仁頼の言葉にうなずいて返した菖は、温室の外へ飛び出した。

すでにつぼみたちは変身して、デザートデビルとの死闘を繰り広げていた。

菖は変身アイテムの手袋を取り出し、左手にはめると、気合を入れるかのように叫んだ。

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

叫んだ言葉に呼応するように、手の甲に描かれた紋章が光を放ち、菖を包みこんだ。

光が収まると、紋様が描かれた白い外套(マント)を身にまとったセイバーが姿を現した。

「……どうやら、成功だな」

心の大樹が枯れはてしまう可能性を見越して、先代騎士が渡した秘策が功を奏したことに、セイバーは安堵のため息をもらした。

だが、その顔はすぐに引き締まり、エターニアハートを構えた。

「其は流るるもの、裁きを執行する水――水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

エターニアハートに封じられた四つの言霊のうちの一つを口にした瞬間、エターニアハートは青い光を放つ弓へと姿を変えた。

セイバーは弓を引き絞り、デザートデビルに照準を合わせた。

その瞬間、心の花の力が青い光の矢となって番えられた。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

セイバーが吼えながら矢を放つと、矢はまっすぐにデザートデビルへと飛んでいき、眉間に突き刺さった。

その攻撃に、セイバーが参戦したことに気づいたブロッサムたちは、セイバーの隣へと降り立った。

「わたしたちは、五人だけど五人じゃありません!」

「応援してくれている人がいる!!」

「守りたい人がいる!!」

「心は、みんなとつながっている!!」

「だから、負けない……負けるわけにはいきません!!」

そう宣言した瞬間、プリキュアたちの体が心の花の光に包まれた。

だが、自分たちの心の花だけではない。温室の中から聞こえてくる、自分たちを応援してくれている人たちの声が聞こえてくる。

彼らがいる限り、自分たちはいつまでも絶望に打ちひしがれているわけにはいかない。

その想いが、プリキュアたちを完全復活へと導いた。

「みなさん!いきますよ!!」

ブロッサムの合図に全員がうなずき、デザートデビルへとむかっていった。

----------------------------

デザートデビルをあらかた倒したあと、ブロッサムたちはコッペの背に乗り、地球を離れ、砂漠の使徒の本拠地である惑星城へとむかっていった。

ふと、ブロッサムが地球に視線を向けると、そこには赤茶けた惑星があった。

青く輝く星。世界初の有人宇宙飛行を行った宇宙飛行士の一人、ユーリィ=ガガーリンが残した言葉とはまったく異なる姿になってしまった地球を見て、ブロッサムはデューンへの怒りを募らせた。

同時に、自分たちの帰りを信じて待ってくれている人々と惑星城で待っているであろう薫子のことを想った。

必ず、砂漠の使徒を倒し、薫子を助け出す。

その誓いを胸に、ブロッサムは惑星城へと視線を戻した。

プリキュアと砂漠の使徒。

二つの勢力の四百年もの長きにわたり続いた戦いに決着がつくときが、刻一刻と近づいてきていた。




あとがき代わりのその頃(スキット風)

~ブロッサムたち出発後の惑星城~
デューン「プリキュアとユグドセイバーが近づいている?心の大樹は枯れたはず……なのになぜ、妖精もプリキュアも生きている?」
薫子「心の大樹は、まだ完全に枯れていない。人々の心に希望ヶまだ残っているのよ!!」
サバーク「……デューン様、お任せください。プリキュアとセイバーの始末、必ずや!!」
薫子「そんなことはさせないわっ!!」
デューン「ふっ、変身できない君に何ができるんだい?キュアフラワー」
薫子「くっ……」
デューン「ふふふっ、君が後生大事に守ってきたもの、そのすべてを滅ぼしてやる!何もかもだ!!はーっははははははっ!!」
薫子「……みんな……どうか、無事で……」


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衝撃の真実!サバーク博士の正体は……

次回か次々回でようやくアニメ本編が終わる、かなぁ……。
色々はしょってますが、そこはそれ、時間短縮ということでお許しを。
あ、今回は後日談ありませんので。


砂漠の王、デューンの襲撃により、一瞬のうちに砂漠となってしまった地球。

さらわれた薫子の救出と、砂漠の使徒との決着をつけるため、プリキュアたちは惑星城に赴いた。

「……早速のお出迎え、かな?」

「そのようね」

惑星城に到着して早々、大量のスナッキーたちが出迎えてきた。

全員、気合もやる気も十分な状態でここに来ているため、圧倒的な数の差でひるむようなことはなかった。

だが、ここまで運んでくれたコッペが五人の前に躍り出た。

「……コッペ様?」

「どうやら、ここは任せてほしいってことみたいだよ」

ムーンライトが問いかけると、コロンがそう返した。

申し出はありがたいのだが、コッペだけで大丈夫なのか不安を覚えたプリキュアたちとセイバーだったが、その想いを察したのか、コッペは目を閉じ、自分の周囲に花吹雪を出現させた。

花吹雪が止むと、コッペの姿は眼鏡をかけた美形の書生へと変わっていた。

その書生が、ブロッサムたちのピンチを何度となく救ってくれたイケメンさんであることに気づくまで、さほど時間はかからなかった。

そのことにショックを受けたブロッサムだったが、今はそれどころではないことをしっかりわかっていたため、復活するまで大して時間はかからなかった。

このイケメンがかなりの使い手であることは、ブロッサムもマリンも身をもって知っているため、コッペに任せて、先へと進んだ。

----------------------------

その後も、クモジャキーとコブラージャが妨害に来たが、クモジャキーはマリンが、コブラージャはサンシャインが相手をすることになり、残ったのはブロッサム、ムーンライト、セイバーの三人だけになってしまった。

だが、その三人の前に、デューンを除き、砂漠の使徒の中でも最強最悪の敵が姿を現した。

「キュアムーンライト……」

「ダークプリキュア……っ!」

「今度こそ、決着をつける!!」

そこにいたのは、ダークプリキュア。

かつて、コロンを消滅させ、心の種の大半を砕いた、キュアムーンライトの宿敵だ。

ダークプリキュアはその双眸を金色に輝かせ、ムーンライトに鋭い視線を向けてきた。

どうやら、ここでの対決は避けられないらしい。

「……ブロッサム、あなたは薫子さんのところへ。セイバー、ブロッサムをお願い」

「でも、三人で戦えば!!」

「……行こう、ブロッサム」

一人で戦おうとするムーンライトに反論するブロッサムだったが、セイバーにそれを止められた。

「でも!」

「その気持ちだけで十分よ……それに、これはわたし一人でやらなければならないことなの」

ムーンライトは反論するブロッサムを諭すように静かに告げた。

「彼女は、かつてのわたし。仲間(セイバー)を頼らず、コロン(パートナー)を失い、すべてを諦めた、わたしの過去……だから、これはわたし自身の手で決着をつけなければいけないの!!だから、あなたは、あなたのやるべきことをやりなさい!」

ムーンライトとダークプリキュアの宿縁は、長く一緒に戦ってきたセイバーすら入る隙がないほど深く、根強いものだ。

どうしても、ムーンライトは一人で決着をつけたいらしい。

「ここはムーンライトに任せて。俺たちは薫子さんのところへ急ごう……大丈夫、ムーンライトが簡単に負けるなんてこと、ありえないから」

微笑みを浮かべ、セイバーはブロッサムにそう語り、ムーンライトの方へ視線を向けた。

ムーンライトもまた、セイバーに視線を向け、力強くうなずいた。

セイバーはそれにうなずいて返すと、ブロッサムと一緒に薫子の探索にむかった。

二人の姿が見えなくなると、ムーンライトは再び、ダークプリキュアに視線を戻した。

どうやら、ダークプリキュアもまた、誰にも邪魔されずにムーンライトと決着をつけることを望んでいたようだ。

二人は同時にタクトを構え、互いに意識を向け、隙を伺った。

ふいに、惑星城のどこかで爆発が起こった。

おそらく、ここにいない誰かが戦っているために起きたものだろう。

その轟音を皮切りに二人は同時に間合いを詰めた。

----------------------------

ムーンライトと別れたブロッサムとセイバーは、惑星城の最奥を目指した。

なぜ奥を目指すのか。それは、セイバーがいままで行ってきた遺跡探検の経験からだった。

古代、人間は自身の支配する土地を求め、手に入れるため"戦争"というを手段をとった。

当時の戦争の勝利条件は、その土地を支配している統治者を討ち取ることが主だった。

そのため、城というのは防御性を考慮して作られ、最も攻略まで時間がかかる場所に重要人物をかくまう場所を作るケースが多くみられるのだ。

「けれど、なんでデューンはおばあちゃんを玉座に?」

「あいつは薫子さんに敗北した。そのことを恨めしく思っているはずだ。なら、それ以上の屈辱を薫子さんに味わわせるには?」

「……まさか!」

「そう……薫子さんが、キュアフラワーが守ってきたものを、本人の目の前で破壊すること」

そのための施設が、玉座の間に備わっている。

セイバーはそう読んでいた。

そうこうしているうちに、二人は玉座の間に到着した。

そしてそこには、セイバーの読み通り、椅子に座らせられて拘束されている薫子がいた。

その脇には、二体のボスナッキーがいた。

「……俺は右、ブロッサムは左を」

「はいっ!」

ボスナッキーたちに聞こえない程度の声で、セイバーが指示すると、ブロッサムはうなずき、二人同時に玉座の間に突撃した。

侵入者たちに気づいたボスナッキーたちだったが、戦闘準備をすでに終わらせていた二人にかなうはずもなく、一瞬で浄化されてしまった。

「おばあちゃん!!」

「薫子さん!!」

「つぼみ!!菖くん!!」

薫子のところまで駆け寄ったセイバーがエターニアハートで薫子を拘束している手錠を砕くと、ブロッサムが薫子に抱き着いた。

薫子は抱き着いてきた孫娘をあやすように、軽く背中を叩きながら、それを受け止めていた。

「ブロッサム、俺はムーンライトのところへ行く」

「え、けど……」

「結果がどうなるとしても、俺には見届ける義務がある。それに……」

セイバーはモニターを見ながら、眼付きを険しくした。

「どうにも嫌な予感がする」

「わ、わかりました……わたしも一緒に行きます!!」

「けど、薫子さんは……」

「わたしなら大丈夫」

さすがに、薫子一人を残すのは危険と判断したセイバーだったが、薫子自身が大丈夫だと返してきた。

普通なら、それでもと反論するところだが、いつの間に追いついたのか、書生姿のままのコッペがやってきた。

どうやら、ここは任せろ、と言っているようだ。

コッペのその口から出てきていない言葉にあまえ、セイバーとブロッサムは再び、ムーンライトのもとへとむかった。

----------------------------

玉座の間から離れ、セイバーとブロッサムはムーンライトとダークプリキュアが戦っている場所に戻ってきた。

そこではすでに、ムーンライトとダークプリキュアが激闘を繰り広げていた。

だが、それもいよいよ決着が見えてきた。

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「ダークフォルテウェーブ!!」

白と黒、二つのフォルテウェーブがぶつかり合い、激しい衝撃を生み出した。

最初こそ拮抗していた二つのフォルテウェーブだったが、徐々に白い光が黒い光を呑みこんでいった。

「なっ?!」

「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

ダークプリキュアが驚愕に目を見開き、隙が生じた。

その一瞬の隙をついて、ムーンライトは心の花の光をまとい、ダークプリキュアにむかって突進した。

だが、その一撃はダークプリキュアに命中することはなかった。

なぜなら、それを受け止めたのは。

「ぐっ……」

割って入ってきたサバーク博士だった。

ムーンライトのフォルテッシモを受け止めたサバーク博士は、うめきながらどうにか倒れないよう踏みとどまった。その瞬間、パキリ、と乾いた音を立てて、仮面が割れた。

仮面に隠された素顔が明らかになった瞬間、セイバーとムーンライトは驚愕した。

そこにいたのは。

「お……おとう、さん……?」

「嘘、だろ……なんであなたがここにいるんだ……おじさん!!」

そこにいたのは、行方不明になっているはずのゆりの父、月影英明氏だった。

「な、何かの間違いよね……そうなのよねっ?!お父さん!!」

間違いであってほしい。

自分の父親が、砂漠の使徒だった。自分の戦うべき相手だった。

そんなことは嘘であってほしい。ムーンライトは、ゆりはそう願った。

だが、英明の口から出てきた答えは、残酷なものだった。

「……すべては、私の心の弱さが招いたことだ……」

研究に行き詰まった英明は、フランスでデューンと出会い、砂漠の使徒となってしまった。

そして、英明は立ちはだかったムーンライトとセイバーを倒すため、ダークプリキュアを作ってしまった。

そのダークプリキュアは、ダメージを受けて立つのもやっとな状態であるにもかかわらず、ムーンライトにむかって、敵意を飛ばし続けていた。

「キュアムーンライト、博士から、離れろ!!」

ふらふらと歩み寄りながら、ダークプリキュアはなおも叫び続けた。

「わたしたちはどちらかが消えるまで戦う運命(さだめ)!お前を倒し、わたしが真のキュアムーンライトになるっ!!」

そんな状態のダークプリキュアを、英明が抱き止め、もういいんだ、となだめた。

なぜ、自分が作った存在とはいえ、ダークプリキュアをそこまで大切に扱うのか。

セイバーだけでなくブロッサムもそのことに疑問を抱いたが、その答えはすぐに明らかになった。

「ゆり……この子は、ダークプリキュアは心の大樹の研究で得た技術と、お前がくれたお守りにしまっていた髪の毛を使って造られた、お前の妹だっ!!……私は、キュアムーンライトを倒すために、この子を造り、姉妹(娘たち)を争わせてしまった!!」

「わ……わたしの、妹……わたしを倒す、そのために、お父さんが……」

英明の独白と衝撃の事実に、ムーンライトは打ちのめされた。

むろん、その場にいたセイバーとブロッサムも、ショックを隠しきることはできなかった。

「すまない、ゆり……ダーク……私の、娘たち……」

英明からのその言葉を聞いたダークプリキュアは、薄い笑みを浮かべた。

その瞬間、彼女の体は光の粒子となって消え始めた。

ムーンライトの技を正面から受け止めただけではなく、サバーク博士に、英明にダークプリキュアという一人の存在として認められ、彼女の中の何かがほぐれたのだろう。

消えていく中で、ダークプリキュアはいままで見せたことのない穏やかな微笑みを浮かべながら、英明をお父さんと呼び、ムーンライトに視線を向けた。

憎悪にも憤怒にも満ちていない、穏やかな、慈しみに満ちたその顔を向けた瞬間、ダークプリキュアは完全に崩れ去り、消えていった。

「はははは、とんだお涙ちょうだいだね」

ダークプリキュアが完全に消え去り、数秒としないうちに、愉快そうに笑う声が上から響いてきた。

声がした方を見ると、そこには不敵な笑みを浮かべたまま石柱に腰かけているデューンの姿があった。

「……デューン!!」

娘の死をあざ笑われたからか、それとも、自分を甘言で惑わし、娘を傷つけ、娘たちを戦わせたことに怒りを感じたのか、英明は激しい怒りを込めた瞳をデューンに向けた。

感情があらわになったことに驚愕したのか、デューンは一瞬、ほんの一瞬だけ、驚愕の表情を浮かべたが、すぐに不敵な微笑みに戻った。

「怒ったってだめさ、月影博士。力がほしいと僕に頼んだのは君だよ?」

「……くっ!!」

「フランスで研究に行き詰まっていた君は、自分で僕らの仲間になった。そんな君の研究の成果は、心の大樹の守りを破るのに役立ったよ。おかげで地球も砂漠化できた……ありがとう、月影博士」

にっこりと、無邪気な笑みを浮かべながら、デューンはそう語った。

そして、なおも無邪気な笑みを浮かべながら、淡々とした様子で口を開いた。

「最後の希望、プリキュア。そして、心の大樹の守護騎士ユグドセイバー……僕が君たちに絶望というものを味わわせてあげるよ」

そう話すが早いか、デューンは一瞬で英明との間合いを詰め、殴りかかってきた。

英明は接戦するも、吹き飛ばされてしまった。

入れ替わるようにして、ムーンライトもデューンに向かっていき、ブロッサムとセイバーも遅れて援護に入った。

だが、どの攻撃もまるで赤子の手をひねるように簡単に回避されてしまい、ムーンライトも英明同様、吹き飛ばされてしまった。

「君たちも僕が憎いのかな?」

向かってきたブロッサムとセイバーにそう問いかけながら、デューンは光弾を放ったが、ブロッサムがマントで受けとめ、デューンへ向かってはじき返した。

そのすぐ後ろに続くように、セイバーが間合いを詰め、斬りかかった。

「ははは、すごいすごい!!」

まるで戦いそのものを楽しんでいるかのような態度に、セイバーはある種の不気味さを感じた。

それにひるんでしまい、セイバーもブロッサムもデューンに吹き飛ばされてしまった。

「君たちは弱すぎる!」

再び立ち上がり、むかってくる英明たちに向かって手のひらをむけた。

その瞬間、まるで見えない鎖に縛られたかのように、四人の動きは拘束された。

動けない四人に向かって、デューンは黒い光弾を爆発させた。

爆発に巻き込まれ、ブロッサムとムーンライトは強制的に変身を解除された。

セイバーは、どうにか変身解除まではいたらなかったが、受けたダメージは大きかったようだ。

「強いものが弱いものを喰らう、なにか問題でも?」

そう言って、デューンは手のひらに闇のエネルギーを圧縮した弾丸を放った。

倒れているつぼみとゆり、満身創痍となっているセイバーと英明の前で停止した。

それと同時に、弾丸は鳴動を始めた。

その様子を見て、英明はデューンが何をしかけてのか理解したようだ。

傷だらけの体に鞭打って立ち上がり、英明はゆりたちをかばうように仁王立ちした。

「ゆり!母さんのことを……頼む」

「……お、じさん?……まさか!だめだ、そんなの!!」

英明がゆりに向けた言葉の意味を理解したセイバーは、傷だらけの体を無理やり立ちあがらせ、英明のもとへと駆け寄り、その右手で襟首をつかみ、後方へ投げた。

「なっ??!!」

「獅子戦吼!!」

体を回転させ、左手に闘気を込め、鳴動を続ける弾丸に向かって自身が最も得意とする一撃を叩きつけた。

だが、その一撃が弾丸に命中すると同時に、弾丸は爆ぜ、闇のエネルギーの奔流がセイバーを襲った。

「ははは、面白いね!たかが人間の心の力ごときで僕の闇に打ち勝とうというのかい?!」

セイバーが放つ白い光と、デューンのはなった黒い光がぶつかり合い、せめぎ合った。

大きな力を前に、なおも抗い続けるもう一人の戦士に、デューンはさらに言葉を投げた。

「僕の憎しみは消えることはない!たとえ、君が何度、手を伸ばそうと、僕は君たちと同じ場所へ行くことはないのさ!!」

「それでも!俺は手を伸ばし続ける!!」

「無駄なことを!見てわからないのかい?!僕の力()君の力()は決して交わることなく、拒絶し合うことしかできないということを!!」

「それでも、俺は諦めない!諦めて、たまるかっ!!」

デューンの言葉に反論し、セイバーは手を伸ばし続けた。

すでに手袋は二つの力のぶつかり合いに耐えられずボロボロになり、白いマントも無残にちぎれてしまっている。

それでも、セイバーは手を伸ばし続けた。

たとえ、相いれることができないとしても、その想いを受け止めることくらいはできる。

そこから、戦うことではない、別の答えを導きだすことができるかもしれない。

たとえ、可能性の話であっても、それが大樹の騎士として、自分が導き出した答えだから。

「しっかり見ておけ、デューン!!これが、俺の全てだ!!」

もはや、変身は完全に解除されてしまっている。

それでも、菖は倒れなかった。

地面を蹴り、菖は左手で闘気を放ったまま、右手に心の花の力を込め、解き放った。

獅吼戦花(しこうせんか)!!」

菖が放った闘気の獅子(獅子戦吼)心の花の光(ユグドフォルテウェーブ)が重なり、白い光を放つ、さらに大きな獅子となってデューンの闇を呑みこんだ。

その光景に、デューンは驚愕し、目を見開いた。

だが、その視線の先にいる自分の闇を呑みこんだ菖は変身が解除され、うつ伏せに倒れていた。

もう、菖に戦う力は残っていない。そう判断すると、薄い笑みを浮かべながら。

「なるほど……さすが、プリキュアと並ぶだけのことはあるね。けれど、もうボロボロじゃないか。そんな状態でどうやって僕と戦うんだい?」

実に、愚かだね。

デューンのその一言が、ゆりの怒りに火をつけた。

無言で立ちあがり、鋭く睨みつけ、ゆっくりと歩き始めた。

だが、傍らにいたつぼみにその手をつかまれ、止められた。

「……放しなさい」

「いやです!」

冷たく言い放つゆりに、つぼみは泣きそうになりながらも抵抗した。

「憎しみや怒りのまま戦ったら、きっと負けてしまいます!」

「わたしはそれでもかまわない……父を唆し、妹をあざ笑っただけでなく、菖を傷つけた彼を、わたしは許すことはできない!!」

自分の力が至らなかったせいで、大切な幼馴染を戦いに巻き込んだだけでなく、大切なパートナーも一度、失った。それだけならばまだしも、ようやく出会えた父は、デューンの力で砂漠の使徒へと変えられ、その父の手で自分を倒すためだけにダークプリキュアが、妹が作られ、自分の手で彼女の命を終わらせてしまった。

そうなってしまったすべての元凶は、目の前で微笑みを浮かべている青年だ。

その青年を倒すためならば。そのための力を得るためならば。

「怒りや憎しみが力になるというのなら、わたしはそれでもかまわない!!」

「情けないこと、言わないでください!!わたしの大好きなゆりさんは、絶対、そんなこと言いません!!」

「でも!……それでも、わたしは……」

つぼみは必死にゆりを止め続けた。

だが、それでもゆりは憎しみのままに戦うことをやめようとはしなかった。

それがわかっていたから、つぼみはゆりの名前を叫んだ。

「月影ゆり!!」

「……っ!!」

普段からおとなしくて、引っ込み思案で、声を荒げたことなんて一回もなかったつぼみが、初めて叫んだことに、ゆりは気圧され、押し黙ってしまった。

そんなことはおかまいなしに、つぼみは拾ってきたプリキュアの種の欠片をゆりに差し出した。

「わたしが憧れた、キュアムーンライト……自分が何をするべきか、何のために戦うのか……自分で、考えてください!!」

涙を流しながら、つぼみは必死にゆりに訴えた。

その言葉に、ゆりは目を閉じ、深く息を吸った。

わかっている。いいや、わかっていた。

自分たちの、プリキュアの力は、憎しみや怒りで強くなるものではないことを。

ならば、何のために戦うのか。その答えはおのずと導き出せた。

いや、それだけではない。

つぼみもまた、家族を失った。そして、いま目の前で、自分と同じく、淡い想いを抱いている菖を傷つけられた。

怒らないはずがない、憎まないはずがない。

けれども、つぼみはそれらの感情を抑えて、なおも正反対の感情で戦おうとしている。

自分よりも小さくて、幼いこの子が。

それなのに自分は、憎しみや怒りのままに戦おうとしてしまっていた。

そんな自分を恥じながら、ゆりは差しだされたプリキュアの種をつかみとった。

そして、種はようやく一つとなり、完全な姿を取り戻した。

「……わたしたちは憎しみではなく、愛で戦いましょう……つぼみ、変身よ!」

「……はいっ!!」

涙を浮かべながら、つぼみは立ち上がり、ゆりの隣に立った。

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

二人が同時に叫ぶと、心の花の光が二人を包み、プリキュアへと変身した。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

変身を完了させ、二人は同時に地面を蹴り、デューンとの距離を詰めた。



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みんなの力を一つに!宇宙に咲く、大輪の花!!

ほんとは昨日のうちに投稿したかったんですがねぇ……
なんせ、2月1日をプリキュアの日とするってプリキュアの新作会見で発表がありましたから……

閑話休題(それはおいといて)

これにて、アニメ本編は終了です。
今後は、日常編とオールスターズ編、それから、菖を中心にしたオリジナルストーリーを投稿する予定です。
なお、アニメ本編をベースにしていますが、個人的に思うところがあったので、展開にちょっと修正を加えています。
これが今後、どうなっていくのか……伏線にできたらいいんだけどなぁ……

まぁともあれ、「Heart Goes On」か「風ノ唄」(FLOW)をBGMにしながら読んでください。


「……わたしたちは憎しみではなく、愛で戦いましょう……つぼみ、変身よ!」

「……はいっ!!」

涙を浮かべながら、つぼみは立ち上がり、ゆりの隣に立った。

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

二人が同時に叫ぶと、心の花の光が二人を包み、プリキュアへと変身した。

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

変身を完了させ、二人は同時に地面を蹴り、デューンとの距離を詰めた。

最初こそ、デューンは余裕の表情で二人の攻撃を受け流していたが、徐々に二人のコンビネーションがそれを上回っていき、デューンを押し始めた。

ブロッサムとの打ち合いでできた隙を狙い、ムーンライトの蹴りがデューンを吹き飛ばしたが、デューンは吹き飛ばされながら今までの攻撃の中でも最大規模の光弾を放ってきた。

防御する間もなく放たれた光弾が爆発した瞬間、デューンは笑みを浮かべた。

だが、煙が晴れると、そこにあったのは金色に輝く向日葵の盾だった。

思わず目を閉じてしまったブロッサムは、何があったのか確かめるため目を開けると、そこには金色と水色のマントをまとった仲間の姿があった。

煙が収まり、マリンが飛びだし、デューンとの激しく打ち合いが始まった。

「はぁぁぁぁっ!!」

一瞬、互いが交差した瞬間、マリンは振り返り、光弾をデューンに向かって放った。

体勢を整える前に放たれたその一撃を、デューンは回避することも防御することもできなかった。

さらに、マリンと同時に走りだしていたサンシャインがデューンに接近した。

サンシャインの拳はデューンに防がれ、カウンターが返ってきたが、サンシャインはそれを回避して、がら空きになった胴体に連続で拳を叩きこんだ。

「はっ!!はぁぁぁぁぁぁぁ……たぁっ!!」

さらに追撃とばかりにサンシャインインパクトを叩きこみ、デューンを吹き飛ばすと、今度はブロッサムが追撃した。

四人のコンビネーションに、デューンは徐々に受け身になり始めた。

このまま押しきることが出来る。

そう感じた瞬間。

「なめるなぁぁぁぁぁぁっ!」

デューンが雄叫びを上げた。

その瞬間、デューン自身が抱える闇が波動となり、周囲に吹き荒れた。

突然のその攻撃に、ブロッサムたちは吹き飛ばされた。

吹き飛ばされ、体勢が崩れたプリキュアたちにむけて、デューンは再び闇のエネルギーの光弾を放った。

だが、その光弾はプリキュアたちに命中することなく、突然吹き出てきた炎に切り裂かれた。

一瞬の出来事にデューンが目を丸くしていると、視界に白いものがちらついた。

それが、プリキュアと肩を並べて戦う戦士、ユグドセイバーがまとうマントであることに気づいた瞬間、風が吹き抜けると同時に体中に鋭い痛みが走った。

見れば、体中のいたるところに切り傷が生まれていた。

「くっ!!」

一体、なにが。

それを考える間もなく、セイバーからの追撃がきた。

今度は胸と腹に重い衝撃が走り、踏ん張りがきかず、吹き飛ばされてしまった。

だが、それだけで終わらなかった。

今度は両腕と足に同時に痛みと衝撃が走った。見れば、青白い光の矢が突き刺さっていた。

プリキュアにこんな芸当ができるとは、お世辞にも思えない。

となれば、この矢を放った人物はただ一人。

「おのれ……おのれ、ユグドセイバー!!」

憎悪と敵意がこもった瞳を向けるその先には、青い弓を構えているセイバーの姿があった。

セイバーはデューンのその言葉に、答えることなく、弓をいつもの剣に戻し、身構えた。

「セイバー!」

「ど、どうして?!変身アイテムは壊れちゃったんじゃ……」

どうにか立ち上がったプリキュアたちは、セイバーの隣に駆け寄ってきた。

確かに、変身アイテムは壊れてしまった。もう、変身はできないはず。

そう思っていたのだが。

「変身に必要な力は、俺に宿っているからさ。もう、手袋は必要ないんだ」

そう言って、左手の甲を見せた。

そこには、変身アイテムの手袋に描かれていたものと同じ紋章が光っていた。

それが出現したのは、ほんの少し前だった。

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ゆりとつぼみが、憎しみや怒りを抑え、戦うことを決意して変身したとき。

菖は投げ飛ばした英明の安否を確かめていた。

「おじさん、乱暴なことしちゃったけど、大丈夫?」

「あ、あぁ……セイバー、いや、菖くん。私は大丈夫だ」

けれど、と英明は菖に恨めしそうな視線を向けて、問いかけた。

「なぜ、邪魔をしたんだ……私は、私の罪は、もはや命で償うよりほかに……」

「だからって、自分の命を捨てることは間違ってる」

英明がデューンの攻撃を受け止めようとしたこと。

それ自体は、おそらく、ゆり(自分の娘)を守るための行動なのだろう。

英明本人にとって、それ以上に、自分が犯した罪を償いたいがゆえのものだった。

それはわかっている。わかっているから、菖は許せなかった。

「命を捨てるのは簡単だよ、おじさん……けど、だからこそ、十字架を背負って生きていくことが償いなんじゃない?」

それに、と菖はデューンとの決着をつけるべく、ブロッサムと共に戦っているムーンライトの方へ視線を向けた。

英明も、菖の視線を向けている先へ、自身の視線を向けた。

「……何より、残った時間でゆり(自分の子ども)未来(これから)を見守る義務があるはずだ。それを放棄して死ぬことは、絶対に許されることじゃない」

だから、どうか生きてくれ。

そう口にした瞬間、菖の左手の甲にユグドセイバーの紋章が浮かび上がった。

紋章が強い光を放つと、その光は菖を包みこんでいった。

光の中で、菖は白い外套(マント)をまとい、羽根のついた耳飾りをつけた姿へと変わった。

「それが、大樹の騎士ユグドセイバー。世界を救いへ導く光たらんと誓った、不殺(殺さず)の騎士としての願いだから」

優しい笑みを、英明に向けながら、セイバーは地面を蹴り、ブロッサムたちの元へと駆け寄った。

----------------------------

そうして、手袋なしで変身を遂げたセイバーは、デューンの攻撃で体勢が崩れたプリキュアたちを守り、デューンを追撃するに至った。

「そんじゃ、五人そろったところで……」

「えぇ」

「はいっ!」

「おっしゃぁ!やったるっしゅ!!」

「うんっ!!」

五人はうなずきあい、同時にデューンにむかっていった。

デューンは怒りに任せて五人を迎え撃った。

だが、五人のコンビネーションが徐々にデューンを上回り、ついに二人の拳がデューンを吹き飛ばした。

だが、そこで終了するわけがない。

デューンが吹き飛ばされた先に、まるで待ち構えていたかのようにサンシャインが立ちふさがった。

吹き飛ばされながらも空中で身を翻したデューンは、サンシャインと一対一の殴り合いとなった。

だが、そもそも体勢が整っていなかったためか、サンシャインの連撃をもろに受けることになった。

サンシャインがサンシャイン・インパクトでデューンを吹き飛ばすと、五人は次から次へとデューンに向かっていった。

そして、空中へと舞いあがったセイバーがエターニアハートを弓に変えると、ブロッサムたちもタクトとタンバリン(自分たちの武器)を取り出し、心の花の光(フォルテウェーブ)を放った。

フォルテウェーブが同時にデューンに着弾すると、激しい土煙が巻き起こったが、煙が晴れるよりも先に、マリンとサンシャインが動いた。

「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

青と金色の光をまとい、マリンとサンシャインが流星のように飛び上がった。

すると、ムーンライトは隣にいたブロッサムに視線を向けた。

その視線が何を訴えようとしているのか、それを察したブロッサムは顔を輝かせた。

「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

ブロッサムとムーンライトが自分の心の花の光をまとい、流星になった姿を見届けたセイバーも、遅れを取るまいとエターニアハートを元の姿に戻し、自分の心の花の力をエターニアハートに込めた。

すると、セイバーの体が白い光につつまれ、エターニアハートは白い光の球に姿を変えた。

「ユグドパワー・フォルテッシモ!!」

セイバーもまた、白い流星となってプリキュアたちとともにデューンへむかっていった。

デューンもまた、赤黒い光をまとう流星となって、プリキュアたちを迎え討った。

青と金、ピンクと紫、そして白の光が赤黒い光と何度も激突を繰り返した。

だが、赤黒い光は三つの光に競り負け、地面に落ちた。

唖然としているデューン目がけて、五人は光をまとったまま、突撃し、デューンの背後に擦り抜けた。

『ハート、キャッチ!!』

五人と妖精たちが声をそろえた。

だが、そこで終わらない。

ブロッサムはパワーアップの種を取り出した。

「いま、万感の想いを込めて!!」

その声に呼応するように、パワーアップの種が光りだし、ハートキャッチミラージュを呼び寄せた。

「「「「鏡よ、鏡!プリキュアに力を!!」」」」

「鏡よ、大樹の騎士に力を!!」

プリキュアたちとユグドセイバーの祈りを受け、ハートキャッチミラージュの鏡面から光があふれ出た。

その光に包まれたプリキュアたちとセイバーのシルエットが変化し、白く輝くコスチュームへと変わった。

「「「「世界に広がる、一面の花!ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

「世界を救いへ導く光!ユグドセイバー!レイディアントシルエット!!」

最強フォームへとパワーアップした五人は、パワーアップした心の花の力を自分たちの武器に集めた。

その瞬間、プリキュアたちの背後には巨大な女神が姿を現し、セイバーは心の花の光を右手にまとめ上げた。

「俺のすべてで、悪しきを断つ!!ハートライト・レクイエム!!」

「「「「花よ、咲き誇れ!!プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!」」」」

二つの必殺技が同時にデューンに繰りだされた。

だが、デューンは浄化されることはなかった。

デューンを包みこむ浄化の光を、デューンは気合いではねのけただけでなく、集まった心の花の光をかき消してしまった。

「は、ハートキャッチ・オーケストラが……」

「う、うそでしょ?!」

「なっ……」

ハートキャッチ・オーケストラとハートライト・レクイエム、スーパーシルエットとレイディアントシルエットでの必殺技が、通用しなかった。

そのことにショックを隠しきれないブロッサムとマリン、サンシャインの三人だったが、ムーンライトとセイバーは驚愕している様子はなかった。

むしろセイバーは、憐みの念すら、デューンにむけていた。

だが、当の本人はそんなことに気づくはずもなく、赤黒い光をまとったまま、プリキュアたちとセイバーに視線を向けた。

「やってくれたね、プリキュア……そしてユグドセイバー……だが、僕の憎しみはこの程度で消えることはない」

今までの比ではない、強大な負のエネルギーを周囲にもらしながら、デューンはプリキュアたちとセイバーに視線を向けた。

そのあまりの恐ろしさに、コロン以外の妖精たちは、互いに身を寄せ合い、ガタガタと震えていた。

「憎しみは増殖し、すべてを破壊し、奪い尽くすまで消えることはない……プリキュアの愛など、セイバーの想いなど……僕の憎しみの前には、ゴミだと教えてやろう!!」

そう叫んだ瞬間、惑星城はデューンを中心に崩壊を開始した。

ブロッサムたちは反射的に地面を蹴り、宙へと舞い上がった。

セイバーも英明を抱えて飛び上がり、崩壊から逃れた。

「な、なに?!何なの!!」

何が起きているのか、マリンは困惑し叫び声を上げると、目の前に花吹雪が舞い上がり、花吹雪の中から、薫子とコッペが姿を見せた。

「みんな、こっちへ!!」

薫子の声を聞いたプリキュアたちとセイバーは、薫子とコッペのすぐ近くまで寄っていった。

その瞬間、コッペが結界を張り巡らせた。

結界の中から惑星城は旋風をまといながら変化していく様子が見えた。

「……くるわ」

薫子がそうつぶやくと、旋風の中から、巨大化したデューンが姿を現した。

「あぁぁぁぁぁぁ!!があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

デューンは雄叫びを上げると、その拳を振りあげ、何度も執拗に地球に振り下ろした。

その様子は、まさに、憎悪や怒りを地球という物体にぶつけているようなものだった。

ブロッサムはその姿を、悲しそうなまなざしで見つめていた。

「……笑っちゃうよね。たった十四歳の美少女が世界を救うためにデューンと戦うなんて」

「美少女は微妙ですっ!!」

神妙な顔つきで語るマリンの言葉に、コフレは容赦ない突っ込みを入れた。

その突っ込みに、むっとなったマリンではあったが、その顔はすぐに笑顔になり、コフレとともに結界の外へと飛びだした。

「ちょっくら地球を救いに行こう?」

「はい!!」

「ふふっ」

マリンの言葉に、ブロッサムはうなずき、サンシャインは微笑みを浮かべながら浮かびあがり、マリンの隣で制止した。

「えりか、ゆりさんは十七歳だよ?それに、菖さんは男の人だし」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!そうだった!!ゆりさん、菖さん、ごめんなさい!!」

サンシャインのツッコミに、えりかはムンクの名画「叫び」のような表情を浮かべ、ムーンライトとセイバーに謝った。

その様子を、ムーンライトはぽかんとした様子で見上げ、微笑みを浮かべた。

セイバーもまた、苦笑を浮かべはしたが、特に文句を言ってこなかった。

「行きなさい」

「行ってきな」

「「はい!!」」

ムーンライトの言葉に、マリンとサンシャインは同時にデューンへと向かっていった。

二人に続き、ムーンライトも向かおうとしたとき、ブロッサムはムーンライトに声をかけた。

「さっきは、生意気なことを言ってすみませんでした……ムーンライトが一番悲しい思いをしていたのに」

それは、ゆりが憎しみに囚われたまま、デューンと戦おうとしたときのことだということは、すぐにわかった。

ブロッサムとてわかっていたのだ。

自分がどれだけの言葉を並べたところで、その時にムーンライトが抱いた感情は、彼女にしか理解できないものであるということは。

けれども、何も言わずにはいられなかった。

そんなブロッサムからの謝罪が意外だったのか、ムーンライトは優しい笑みを浮かべて、ブロッサムの肩に手を置いた。

「あなたの優しい気持ちと思いやりの心が、わたしに大切なものをくれたのよ」

その言葉だけで、ブロッサムはムーンライトが憎しみや怒りから解放されたことを理解できた。

優しい表情を浮かべていたムーンライトは、それだけ伝えると凛とした顔つきに戻り、英明の方へ視線を向けた。

「お父さん、行ってきます」

「……あぁ、気を付けて行ってきなさい。またお前を危険な目にあわせてしまうのは、心苦しいが……」

「いいのよ……帰ったら、わたしの話、いっぱい聞いてくれる?」

「……あぁ、もちろんだ」

英明はそう言って、ムーンライトを見送った。

その背中を見送ったブロッサムは、薫子の方へ振りむいた。

「おばあちゃん、行ってきます!」

「いってらっしゃい」

薫子はほほ笑みながらブロッサムを見送り、その後ろ姿を見送った。

ブロッサムとムーンライトに続き、セイバーも結界の外へ出ようとしていた。

だが、それを英明が呼び止めた。

「待ってくれて、セイバー……いや、菖くん」

「……?」

振り返り、セイバーは英明の方へ視線を向けた。

「ありがとう、娘の……ゆりのそばにいてくれて」

「……俺がそうしたいから、そうしてただけだよ。おじさん」

穏やかな笑みを浮かべて、菖はそう答えた。

「そうか……いや、だとしても礼を言わせてほしい」

そう語る英明の表情には、もはやサバーク博士の面影はない。

自分がおじと呼び慕っていた、月影英明の顔だった。

「……なら、全部が終わったあとで」

「……そうだな……」

「それじゃ」

そう言って、セイバーは地面を蹴り、プリキュアたちを追いかけた。

その背中を見送りながら、薫子と英明は、どうか無事に帰ってきてほしい、とそれだけを願っていた。

----------------------------

接近したブロッサムたちを見つけたデューンは、その拳をブロッサムたちに向けて振るった。

だが、その軌道を見切り、ブロッサムたちが回避すると、デューンは続けざまに眉間にエネルギーを集中させ、光線を放った。

光線はブロッサムたちを巻きこみ、はるか後方にある月にまで伸びていった。

込められたエネルギーの量は、とても回避できるようなものではない。

それゆえに、デューンは勝利を確信したが、光線を放った余波で生まれた煙が晴れると、そこには無傷のブロッサムたちがいた。

「……デューン……」

ブロッサムはまっすぐにデューンを見つめながら、語りかけた。

「悲しみが終わらないのは、わたしたちの力が足りないから……憎しみが尽きないのは、わたしたちの愛が、まだ足りないから……」

それはおそらく、ブロッサムが本気で思っていることなのだろう。

思えば、自分たちは砂漠の使徒がどういう経緯で地球を狙ってきたのか、なぜ一方的な侵略をしかけてくるのかを理解していない。

そうするまえに、自分たちは拳を交えてしまった。

もっと自分たちに力があれば、もっと早く、この戦いを終わらせることができたかもしれない。

もっと自分たちに深い愛情があれば、これ以上、憎しみを広げることのない方法を編み出せたかもしれない。

ハートキャッチミラージュに手を置きながら、ブロッサムは祈るように言葉をつないだ。

少しでも、デューンの心に自分の想いが届くように。

「だから……だから……」

そんなブロッサムの手の上に、セイバーとムーンライトの手が重ねられた。

「……たしかに、憎しみや悲しみは消えることはない。消すことはできない。けれど、それを分かち合って、互いに受け入れていくことはきっとできるはずだ」

「だから、そのためにわたしたちは力を合わせましょう」

「わたしも合わせる!」

「わたしも!!」

「シプレも!!」

「コフレも!!」

「ポプリも!!」

「僕も!」

二人に続き、マリンとサンシャインがブロッサムの手の上に自分の手を重ねた。

パートナーの妖精たちもまた、手を重ねた。

一人では、力が、愛が足りなくても、同じ想いを抱いている仲間がいればあるいは。

五人と妖精たちの心が重なり合った瞬間、ハートキャッチミラージュから白い光があふれ出た。

それは、いまだ花開くことのなかった、ブロッサムの心の花が花開く瞬間でもあった。

『宇宙に咲く、大輪の花!!』

妖精たちと五人の声が重なり、ハートキャッチミラージュを中心にして、五人の心の花の光が巨大な卵のような形をつくった。

卵は、ぴしぴしと音を立ててひび割れ、その中から、デューンと同じ大きさへと変身したブロッサムの姿があった。

「無限の力と、無限の愛を持つ、星の瞳のプリキュア……ハートキャッチプリキュア!無限シルエット!!」

そこに立っていたのは、顔立ちこそブロッサムだった。

だが、そのコスチュームはドレスのようなものではなく、ワンピースだけのシンプルな出で立ちになり、胸のブローチには桜の花があしらわれており、羽飾りで長い髪を結んでいた。

そんな、プリキュアとユグドセイバーをかけ合わせたような出で立ちの彼女の周囲からは、桜の花びらが吹雪のように舞い上がっていた。

その姿に恐怖しているかのように、デューンは、プリキュアに向けて、拳を振り下ろした。

だが、彼女は防御すらせず、ただ瞳を閉じた。

デューンの拳は、プリキュアに届くことはなく、はじき返された。

それでも、デューンは執拗に、何度も拳を打ちつけてきた。

「……憎しみは、自分を傷つけるだけ……」

「それでも、憎しみが消えることはない!!」

「たとえそうでも、あなたに届けます。この愛を……プリキュア!こぶしパンチ!!」

プリキュアのつぶやきに、デューンが苦しそうに顔をゆがめながら返すと、拳を握り、彼の胸にその拳を振り下ろした。

その拳が命中すると、デューンは白い光に包まれ、爆発した。

----------------------------

それから数カ月。

無事、地球を元の姿に戻すことができたプリキュアたちとセイバーは、戦いとは無縁の日常を過ごしていた。

その日常のなかであっても、わずかな変化はあった。

その一つが、無事に誕生したつぼみの妹、ふたばだった。

その日も、えりかはつぼみを待つ間、みずきに抱っこされているふたばの頬をふにふにとつつきながら、だらしない顔をさらしていた。

「お待たせしましたぁ……えりか?」

「おぉ、つぼみ!!」

「おぉ、つぼみ!!じゃありません!!いくら、ふたばが可愛いからってほっぺたつつきすぎです!!」

本当は自分もつっつきたいのだが、それを我慢していることを、半分涙目になりながら話すが、えりかはそんなことはまったく気にする様子はなく、つい、といいながらこめかみをかいていた。

そんなやりとりをしつつ、二人は一緒に通学路を歩き始めた。

二人は道中でいつきと合流し、町を一望できる丘へとむかった。

なお、砂漠の使徒を倒してから、いつきは髪を伸ばし、制服も白の学ランから女子の制服へと変えていたため、すっかり美少女になっていた。

一面、砂漠だった町が元の姿に光景を見て、えりかはどや顔になりながら、胸を張った。

「あたしたちはすごいことをしてしまった!世界がいま輝いているのは、あたしたちのおかげ!!たった十四歳の少女が、地球を救ってしまった!!」

「……まだ言ってるよ」

「わたし、聞きすぎて堪忍袋の緒が切れそうです」

最後の戦いが終わってから数カ月。

えりかはずっとこんな調子だった。

もっとも、つぼみもいつきも、最初は同じようなことをしていたのだが、すでに踏ん切りがついたらしく、えりかのような感動はもうないようだが。

「なによーーっ!つぼみといつきだって、こないだまであたしと同じこと言ってたじゃん!!言ってたじゃん!!無限の愛だよ!!地球を救っちゃったんだよ!!あたしの人生、これ以上何があるっていうの?!悩んじゃうなぁ!!」

確かに、つぼみといつきも、えりかと一緒になって同じことをしていた。

だが、つぼみといつきはもうそのことに囚われていなかった。

そんなえりかに、冷たいツッコミが入った。

「えりか、まだそんなこと言ってるの?」

「いつまでも終わったことにこだわっていても、しょうがないぞ?」

「……すみません」

声がした方へ視線を向けると、そこには、シプレとコフレ、ポプリを抱きかかえているゆりの姿と、隣で町を見下ろしている菖の姿があった。

ちなみに、コロンはゆりのすぐ隣に浮かんでいる。

さすがに、ゆりのツッコミには、えりかも素直に頭を下げて謝罪した。

戦いの後、シプレたちパートナーの妖精は枯れてしまった心の大樹の根元に芽生えた心の大樹の新芽を守護し、育む役割を担うことになったのだ。

そして、それは菖も同じだった。

とはいえ、妖精たちのように頻繁に、というわけにはさすがにいかず、一週間に一度のペースで様子を見に行くくらいのことしかできないのだが。

「菖さん、心の大樹はどうでしたか?」

「いまもすくすく育ってるよ。このペースなら、一か月もしないで普通の木と同じ大きさになるんじゃないかな?」

菖のその言葉に、つぼみは安堵したように微笑みを浮かべた。

それを見たゆりは、大樹がいまも漂っているであろう快晴の空を見上げた。

「いままでは、心の大樹がわたしたちを見守ってくれていたけれど、これからはわたしたちが心の大樹を育てて見守っていくのよ……だから、いつまでも無限の愛や無限の力に頼ってばかりじゃだめ……自分の人生なんだから」

「……しかし、人生とは……なんとも深いっしゅ」

ゆりの言葉に、えりかは深く考え込むような顔をしながらそうつぶやくと、そう深く考えることはないさ、とえりかの方を見上げながら、菖が口を開いた。

「自分が目指すものにむかって進んでいくってことでいいんだ。これからどうするか、そいつを決めるのは自分次第なんだし、さ」

「君には一流のファッションデザイナーになるって夢があるじゃないか」

「おぉ!!そうだった!!」

「わたしは、えりかの夢、精いっぱい応援します!!」

「ぼくも!」

「シプレも!」

「コフレも!」

「ポプリもでしゅ!!」

つぼみといつきの応援宣言にのっかり、妖精たちも混ざって応援宣言をした。

そんな和気あいあいとした様子を横目で見ていたゆりの方へ、つぼみは視線を向けた。

「ゆりさんは、これからどうするんですか?」

「わたし?」

「はい!」

「わたしの夢……わたしも、自分の人生、考えないとね……」

まだ、具体的に何をやりたいのかは決めていない。

なにしろ、今までそんなことを考える余裕など、微塵もなかったのだから。

「けれど、まずは……お父さんとの時間を大切にしたいわ……新しい家族とも、ね」

デューンとの決戦から帰還した英明は、月影家へ戻ることになった。

事情は、春菜にだけは真実を伝えたいという、英明のたっての希望で、ゆりは自分がプリキュアであったことを話し、英明は研究に行き詰まった心の弱さを利用され、砂漠の使徒に囚われていたことを明かした。

意外にも、春菜はそのことを受け入れ、理解してくれたため、話はそれ以上、こじれることはなかった。

むしろ、問題になったのは、ゆりが口にした『新しい家族』のことだった。

崩れていく惑星城から帰還した際、英明は一人の少女を見つけていたのだ。

春菜には、おそらく砂漠の使徒に囚われていたのだろう、両親もいるかどうかわからないので、うちであずかることにしたい、と話したのだ。

当然、春菜は困惑したが、これまたすんなりと受け入れてくれた。

ちなみに、その妹というのは、ダークプリキュアが生まれ変わった姿だという事実を知っているのは、つぼみたちと薫子だけである。

ともあれ、ようやく戻ってきた父親と、新しく迎えた家族との時間を大切にする。

それが、いまのところ、ゆりがやりたいことだった。

ゆりの言葉を聞いて、いつきも、自分がこれからどうしたいのかを口にした。

「ボクは、そうだな……明堂院流の道場を続けながら、いろんなことにチャレンジしたいな」

「たとえば?」

具体的にどうするのか気になったのか、えりかがそう問いかけると、いつきはにっこりとほほ笑みながら返した。

「それは秘密だよ」

「教えてくれたっていいじゃん……つぼみは?」

「わたしは、もう一度、宇宙に行きたいです!今度は、自分の力で!!」

それは、あの決戦のあとになって見つけた、つぼみの夢だった。

だが、単に宇宙に行きたいわけではない。

つぼみには、宇宙に行って、やりたいことがあったのだ。

――そして、できるなら……草も花もない宇宙に、少しでも花を咲かせたい……

あの決着の一撃を、自分の想いを込めた拳をデューンに打ちこんだとき、ブロッサムは心の種を、デューンの心に植え付けた。

それを受け取ったデューンが去り際に振り向いたとき、その表情は、いままで見せたことのない、穏やかで、優しい微笑みを浮かべていた。

――せめて、そうすれば……

きっと、これ以上、デューンのように、憎しみを無意味に振りまく存在に、愛を芽生えさせることができるかもしれない。

そうなることが、いや、そうすることが、つぼみが見つけた、自分の夢だった。

いつの間にか、その場に残っているのは、つぼみと菖だけになった。

つぼみは、ふと菖の方へ視線を向け、問いかけた。

「菖さんは、これからどうするんですか?」

「そうだな……俺は、やっぱり本格的に考古学を学びたい。単なる好奇心のためだけじゃなくて、世界中のみんなが手を取り合って生きていくヒントを見つけるために」

まっすぐに空を見上げながら、菖はそう答えた。

いままでは、単に古代に眠る、誰も知らないことに好奇心をうずかせ、その衝動のまま、遺跡調査に従事していた。

だが、今回の戦いを通じて、いや、デューンとサラマンダー男爵と出会って、彼らの憎しみと悲しみに触れた。

そして、それは彼らだけではない、おそらくこの地球上のどこかで、誰かが抱えている痛みでもある。

そして、その痛みがあるから、人は争い、奪いあう。そこからまた悲しみと憎しみの連鎖が生まれてしまう。

その果てにあるものを、デューンは見せてくれた。

なら、それを少しでも遅らせるために自分ができることをしたい。

それが、菖の願いであり、新たにできた目標だった。

「わたし、菖さんのその夢、応援します!」

「ありがとう、つぼみ」

つぼみは満面の笑みを浮かべて宣言すると、菖はにっこりと温かな笑みを浮かべて、つぼみの頭を優しくなでた。

いつもなら、そこで赤面して慌てふためくつぼみだが、今回は少し違っていた。

すっと、静かに、つぼみは菖に身を寄せてきた。

あまりに突然のことで、菖は慌てて離れようとしたが、つぼみは懇願するような声でそれを止めた。

「お願いですから、いまは、このまま……」

精いっぱいの勇気を絞りだしたようなその声を聞いた菖は、それ以上、離れようとはしなかった。

しばらくの間、二人はくっついたままだったのだが、それを知っているのは、丘を吹き抜ける優しい風と、そこに咲き誇っている草花だけだった。




あとがき代わりの後日談

~『花咲つぼみの日記』より~
わたしたちがプリキュアとして、菖さん――ユグドセイバーと一緒にこの世界を救ったことを、人々は忘れていくでしょう。
けれど、わたしは、えりか、いつき、ゆりさん、菖さんと一緒に駆け抜けた一年を、決して忘れません。
わたしに大切なことを教えてくれて、新しい夢を見つけるきっかけをくれた日々は、わたしにとって、一番の宝ものだから。


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ハートキャッチプリキュア!(日常編)
とある雨の日の菖とゆり


めっちゃ雨降ってたのでふと思いついたお話。
まぁ、ぶっちゃけ、雨宿りネタです。
なお、つぼみたち中学生組は出てきません。

にしても、シエル……やっぱり日本語以外は完璧なのね(苦笑


何事もない、平日の放課後。

菖は特に片付けなければならない用事もないため、少しばかり、商店街を散策していたのだが、突然、雨に降られてしまった。

あいにくと、傘を準備していなかったため、仕方なく、近くの公園にある屋根付きのベンチに飛びこみ、雨宿りをすることにした。

――この強さだと、通り雨だろうから、すぐに止むだろうな……それまで、少し雨宿りしてるか

幸いにして、濡れたのは制服と靴の中だけで、カバンの中までは大した被害は受けていない。

暇を潰す、という点において、困ることはなかった。

困ることはなかったのだが。

「……へっくし!!……うぅ……さすがに、濡れたままは冷たいわなぁ……」

ぬれねずみのままであるため、徐々に体温は奪われていく。

菖は周囲に誰もいないことを確認すると、もぞもぞと制服のシャツとインナー、靴下を脱いで、水気をできる限り搾り取ってから、インナーとシャツを着た。

さすがに、靴下と靴を履くのはためらわれたため、しばらくの間、菖は雨が止むまで、カバンの中に忍ばせていた本を読んで過ごすことにした。

しばらくの間と、雨の中、こちらに向かって走ってくる影があった。

菖はそれに気付くことなく、読書を続けていた。

だが、駆け寄ってきた人物の声を聞いて、そうも言っていられなくなってしまった。

「……はぁ……よりにもよって、傘を用意してないんて……困ったわ、ね……」

聞き覚えのある声に、菖が視線を上げると、そこには、菖と同じく、ぬれねずみになってしまっているゆりの姿があった。

「しょ、菖?!な、なんであなたがここに??!!」

「いや、雨宿りしてるんだから、当然だろ……ほれ。これ使って」

菖にしては珍しく、視線をそらしながら、ゆりにまだ濡れていないタオルを手渡してきた。

その態度に、ゆりは不思議そうに首をかしげ、タオルを受け取りながら問いかけた。

「ありがとう……けど、なんで目をそらすのよ?」

「……自分で自分の状況をわかっててそれを聞くのか?」

そう言われ、ゆりは自分の制服に視線を落とした。

そこには、雨に濡れて肌と下着が若干、透けて見えてしまっている自分のブラウスがあった。

菖が視線をそらした理由を理解すると、ゆりは羞恥心で顔を真っ赤に染め、菖の背後に腰かけた。

「見たの?」

「……黙秘権は」

「認めないわよ?正直に言いなさい」

「見ないように努力しました」

背後から、威圧感を垂れ流しながら問いかけるゆりに、菖はできる限り平静さを保ちながらそう答えた。

その答えに満足したのか、ゆりはそれ以上追及することはなかった。

それからしばらくして、ようやく雨脚が弱まり、傘を差さなくてもいいくらいになると、菖は本を閉じてカバンにしまった。

「ゆり、上がったみたいだぞ、雨」

「そうね……それじゃ、行きましょうか。タオルは洗って返すわ」

「気にしなくていいのに……」

苦笑を浮かべながら、義理堅い幼馴染の発言に、菖が返したが、その動きはぴたりと止まった。

乾いていたとはいえ、さすがにあのタオル一枚だけで完全にブラウスの水気を取ることはできなかったらしい。

ましになったとはいえ、まだ少しばかり透けていることに気づいてしまったのだ。

「……ゆり、これ羽織って」

そう言って、菖は持って来ていた青いシャツを手渡した。

だが、その意図がわからず、ゆりはどうしたのか問い返してきた。

「ど、どうしたのよ、いったい」

「……いっても殴るなよ?」

「え?えぇ……」

「……まだ若干透けてる」

言質を取ってから、菖はシャツを差し出した理由を伝えると、ゆりは顔を紅くしてシャツを奪い取り、ブラウスの上に羽織った。

「……約束だから、殴らないけど、何か埋め合わせはしてもらうわよ?」

「覚悟の上さ」

「……なら、最初の一つ」

そう言って、ゆりはまだ若干顔を赤くしながら、菖に手を伸ばした。

「手、つないで一緒に帰ってくれる?」

「……お安い御用さ」

菖は少しばかり顔を赤くしながら、ゆりの手を取った。

埋め合わせ、とは言ったが、まさか本当にやってくれるとは思わなかったゆりは、うつむきながら菖の手を握り、立ちあがった。

「……さ、行きましょう?」

「あ、あぁ……そうだな」

ゆりに促され、菖はゆりの歩調に合わせて歩きだし、二人で一緒に家路についた。

なお、その時の二人を見かけた町の人達は、そのほとんどが似合いのカップルだ、と思ったのだそうな。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~翌日の教室にて~
ゆり「菖。これ、昨日借りてたものよ」
菖「わざわざ学校で返さなくてもよかったに……けど、ありがとう」
ももか「むむ?!ゆりが菖くんに借り物……しかも、タオルとシャツ??!!」
クラスメイト全員『…………っ??!!』
女子全員『つ、月影さん!いったい、春川くんとどんなロマンスが?!』(///▽///
男子全員『春川、ちょっと屋上まで付き合え』(^言^メ
ゆり「あら?ロマンスなんてものじゃないわ。昨日、急に雨に降られて困ってたところに菖がタオルと羽織るもの(シャツ)を貸してくれただけよ」
菖「残念ながら、お前たちが思ってるような展開はなかったから、付き合う義理なし……というか、お前ら、そんなこと言ったら卒業まで何か頼ってきても全部断るぞ?」(^言^
女子全員『なぁんだ、残念……』(-ω-
男子全員『なっ?!……それはご勘弁を!』Σ(○△○lll
ももか「……で、ゆり。本当のところは?」
ゆり「本当も嘘もないわ。事実だもの」
ももか「ふ~ん?」(・∀・
ゆり「……な、なによ?」(-ω-;
ももか「べつに~?その割には嬉しそうな顔してるなぁって思っただけよ?」
ゆり「……っ??!!」Σ(///△///
ももか「ふふふっ……冗談よ。ゆりったら、ほんと可愛い!!」(^^*


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ある嵐の日のゆりと菖

台風接近情報を聞いて思い浮かんだので。
しかし……ゆりと菖の話はすぐに出てくるんだけど、なかなかつぼみとの絡みが出てこない……
いや、ほんとはつぼみとの絡みにするはずだったんですがね……
まじで、どうしようかなぁ……。
あ、それからわりと適当なので、クオリティは少し低めかもです。


『続きまして気象予報。本日、大型の台風が日本列島に接近。首都圏を中心にかなりの範囲が暴風域に突入するものと思われます』

二学期の平日。

菖は朝食を終えて、カバンを持ち、学校へ向かおうとしていたのだが、仁頼が見ていたニュースから台風情報が流れてきたことを知り、眉をひそめた。

予報では、午後には希望ヶ花(ここ)も暴風域に突入する可能性があるとのことだ。

「……まずいな、これ……じぃじ、神社の方、大丈夫かな?」

「あちらは大丈夫だ。高台にあるから、浸水の心配もない……風の被害はわからんがな」

「ならいいけど……こりゃ、午後は学校、休みかなぁ……」

そんなことをつぶやきながら、菖は学校へ向かうのだった。

----------------------------------

案の定、その日の午後は休校となり、菖はゆりとももかとともに一緒に家路についていた。

途中、つぼみとえりかとも合流し、少しばかりにぎやかになったのだが、つぼみの顔は少しばかり不安そうだった。

「どうかしたの?つぼみ。なんだか、不安そうな顔をしているけれど」

「はい……実は、今日、お父さんもお母さんも家にいないんです」

どうやら、台風の夜に一人で留守番することが不安で仕方がないようだ。

薫子さんがいるのでは、とえりかが問いかけたが。

「おばあちゃんは三日くらい学会に出ているので、今は希望ヶ花にいないんです……」

「ありゃ……なんか、ごめん」

「なら、今晩、うちに来る?」

えりかが謝罪すると、ももかがつぼみに提案してきた。

つぼみの家である『HANASAKIフラワーショップ』と、えりかとももかの家である『フェアリードロップ』は隣同士だ。

ときどき、つぼみもえりかに誘われて夕食を一緒に食べることもあれば、休日に家族そろってバーベキューに行くこともある。

つぼみ一人だけ、というのも大変だろうから、とももかが気を利かせてくれたようだ。

「よろしいんですか?」

「大いに結構!お隣同士なんだし、困ったときはお互いさま、よ!」

ももかが胸を張ってつぼみに返すと、つぼみは安心したのか、それではお世話になります、と返した。

「よかったな、つぼみ」

「はい!……あ、でも菖さんは大丈夫なんでしょうか?おじいさんと一緒に住んでるとはいえ、いろいろ大変なんじゃ……」

「あぁ……大変なのはたぶん、明日以降かなぁ……神社の修繕とか修理とか掃除とか」

「むしろ、それ以外で大変なことが想像できないわね……」

つぼみの問いかけに返した菖の言葉に、ゆりは苦笑しながら合いの手を入れた。

不思議なことに、菖が住んでいる家は、台風や地震、大雨で何かしらの被害を被ったという話をまったく聞かない。

仁頼の話では、祖霊(先祖の霊)と管理している社の神が守ってくれているからだ、とうことなのだが、本当のところはわからない。

「大変といえば、ゆりの方じゃないか?男手が必要な時は呼んでくれよ?」

「ありがとう。けど、大丈夫よ」

ゆりは微笑みながら、菖にそう返した。

だが、このときのゆりは、まさか本当に菖を呼ぶことになるとは思ってもみなかった。

----------------------------------

菖が帰宅してすぐ、菖の携帯にゆりからの着信が入ってきた。

「もしもし?どうしたんだ……」

『菖、お願い、助けて!』

普段とは違う、かなり動揺したゆりの声に、菖は電話を切らず、すぐにゆりの家へと向かった。

菖の家と、ゆりが住んでいる植物園の職員宿舎からはあまり距離はないため、徒歩五分もしないうちにゆりの家に到着した。

本来ならマナー違反だが、電話口のゆりの様子から察するに、あまり悠長なことを言っていられないため、菖はドアを開けて、ゆりを呼んだ。

「ゆり?!」

「菖……ごめんなさい、突然」

「それはいいけど……どうしたんだ?」

菖の声を聞いてか、私服姿のゆりが駆けつけてきた。

少しは落ち着いたようだが、それでもまだ、少しばかり青い顔をしていた。

「……笑わないで、聞いてくれる?」

「ん?まぁ」

「……急に電気が切れて、びっくりしちゃって……」

どうやら、運悪く停電してしまったらしい。

あまりに突然だったため、普段は冷静なゆりも動揺してしまい、菖に助けを求めたようだ。

「……コロン、お前がついていながらどういうこったよ」

「いや、ごめん。僕も落ち着かせようとしたんだけど、あんまり突然でびっくりしちゃって」

どうやら、コロンもあまりのことに動揺してしまったらしい。

菖はそっとため息をついて、ブレーカーが落ちていないか確認しに向かった。

幸いなことに、ブレーカーを戻すと、家の電気系統はすべてもとに戻った。

「よかった……これで大丈夫」

「ありがとう……ところで、菖。申し訳ないんだけど、しばらくいてくれないか?」

「かまわないけど……どうして?」

ついてきたコロンにそう頼まれ、菖は疑問符を浮かべた。

当然といえば当然のその問いかけに、コロンは苦笑を浮かべた。

「ゆりが腰を抜かしちゃったみたいで、動けないみたいなんだ」

「……わかった」

コロンの返しに、苦笑を浮かべた菖は、二つ返事でうなずき、ひとまず、ゆりが落ち着くまで滞在することを仁頼に伝えた。

----------------------------------

それから少しして、ようやく、ゆりも元に戻り始めていたのだが、ここにきて追い打ちがかかった。

菖が淹れてくれたお茶でティータイムをしていると、突然、轟音が鳴り響いた。

「きゃっ??!!」

「おっと!……でかかったな、いまの」

「……そ、そうね……」

突然の雷に驚いたが、すぐに平静さを取り戻した菖に対し、ゆりはまだ動揺が残っているらしく、どこか落ち着きがなく、コロンをずっと抱きしめていた。

「……それにしても、珍しいな。ゆりがここまで動揺を引きずるのは」

「自分でもびっくりしてるわ……わたし、ここまで弱かったかしら……」

「俺から見たら、ようやくゆりらしくなってきたって感じだけどな」

ゆりがあまり感情を表に出すことがなくなってきたのは、実はここ最近のことだ。

原因は、英明氏(父親)の失踪と、プリキュアとしての使命を背負ったことだということは、菖もわかっている。

だが、それ以前のゆりはいまのように冷静沈着ではあったものの、感情を表に出すことは多かった。

それこそ、薫子が淹れてくれたダージリンが飲めない、という理由だけで不機嫌になってしまうほどに。

「そうかしら……」

「そうだよ」

「……なら、きっとそれはつぼみたちと、菖。あなたのおかげね」

微笑みを浮かべながら、ゆりはそう返した。

その言葉に、菖は何も答えず、ただ微笑みを返すだけだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~春菜、帰宅後~
菖「それじゃ、俺はこれで」
春菜「あら、大丈夫なの?外、すごいことになってるけど」
菖「いやいや、むしろ女性だけのところに男が一人ってのもまずくないですか?」(-_-;
春菜「あら、菖くんなら大丈夫ってわかってるわよ?それに、むしろ将来的にもそうなるかもしれないし?ね、ゆりちゃん」(^∀^
ゆり「ちょっ?!お、お母さん??!!な、何を言って……」Σ(///□///
春菜「それに、こんな中を引き止めもしないで歩かせて風邪を引かれたり、怪我でもされたら、それこそ申し訳ないわ。せめて風が収まるまでいてもいいわよ?」
菖「う~ん……それじゃ、お言葉に甘えさせていただきます」
春菜「よかったわね、ゆりちゃん。菖くんに手料理をごちそうできるわよ」
ゆり「……だから、なんでそっちに話を持っていこうとするの?お母さん」(-_-;
春菜「うふふ♪」(^^♪
コロン(……菖、今回は君に同情するよ……)


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とある雨の日の菖とつぼみ

三時間ほどのクオリティ。
ようやくできたよ、菖とつぼみだけのエピソード(-_-;
けどそんなに設定を詰めてないから、自己採点で100点満点中45点くらいかね。

それはともかく、今日のア・ラ・モード、あきゆか回でしたねぇ……
この話をネタに高校生組の話をもう一回作ろうかしら?


休日。

今日のつぼみは、一人で花畑を巡っていた。

花畑は、つぼみにとってのパワースポット。

だから、時々、シプレとこうして花畑を巡っているのだ。

だが。

「……どうしましょう……」

「すっかり降られちゃったですぅ……」

この季節、天候は不安定になりやすく、運が悪ければ、出先で豪雨に襲われるということも稀にある。

今日のつぼみとシプレは、どうやら運が悪いらしい。

雨に降られたうえに、傘もないため、身動きがとれなくなってしまったのだ。

今は大きな木の下で雨宿りをして、雨が止むのを待っていた。

「……こんなときに雨が降るなんて、ついてません」

「けど、予報でもこうなるとは言ってなかったらかしかたないですぅ」

つぼみのぼやきに、シプレが慰めるようにそう返してきた。

そんなシプレに、つぼみは何も言わずにそっと抱き寄せて、ただ頭をなでるだけだった。

ふと、自分たちの方へ向かってくる足音に気づいた。

ハートキャッチミラージュの試練を乗り越え、少しだけ、変われたような気がしているが、やはりまだ見知らぬ人が怖いつぼみは、少しばかりびくびくしながら、足音が聞こえてきている方向へ目を向けた。

だが、つぼみとシプレはその人物があまりにも意外だったので、目を見開いた。

「ふぅ……参った参った……って、つぼみにシプレ?」

「「しょ、菖さんっ??!!な、なんでここにいるんですか?!」」

「いや、近くに遺跡があったから探検してたんだよ」

やってきた人物は、つぼみが淡い想いを抱いている相手であり、頼りになる味方の菖だった。

彼が遺跡探検という、同年代の人間とは思えない意外な趣味を持っていることは、先刻承知だったが、まさかこんなところで会うことになるとは思わず、つぼみもシプレも驚いてしまった。

「あ、相変わらずですね……」

「そういうつぼみとシプレは……花畑巡りか」

「「はい/はいですぅ」」

「……で、途中で雨に降られて雨宿り、と……災難だな、お互い」

苦笑しながら、菖がそう話すと、つぼみもシプレもつられて微苦笑を浮かべた。

「それはともかく、もう少し、雨をしのげる場所に行こうか」

「あるんですか?そんなところ」

「そこの洞窟」

菖が指をさす方向へ視線を向けると、そこには確かに少し小さいながらも十分に雨を避けられる洞窟があった。

さすがに、立っているのも疲れたつぼみは、菖の提案に乗ることにした。

----------------------------------

洞窟に入った菖は、持って来ていたレジャーシートを地面に敷き、真ん中に明かり代わりのランタンをつけてくれた。

「でも、よくここに洞窟があるって……」

「前にもここには来たことがあったからさ」

「けど、なんでここを?多少は濡れるけど、あの木の下でも問題なかったように思えるんですが……」

「うん。レジャーシートを雨具代わりにしようと思って木の下に立ち寄ったんだけど、つぼみがいたからさ。さすがに、女の子の体を冷やさせるわけにはいかないし」

苦笑しながら、菖はそう答えた。

一人であれば、濡れても気にすることなく帰ることもできるが、どうやら、つぼみに気を遣ってくれたらしい。

なんだかんだと紳士的な対応をしてくれている菖に、つぼみは頬を赤くしながら、もじもじとくすぐったそうに小さく身をよじっている間に、菖は簡易コンロを用意して、お湯を沸かしてくれていた。

「つぼみ、座って待ってて。今、お茶淹れるから」

「は、はい……」

いわれるまま、つぼみはレジャーシートに座り、お茶が注がれるのを待った。

三分ほどして、つぼみの目の前にアルミ製のカップが置かれ、その中にほかほかと湯気の立った紅茶が注がれた。

ふと、生姜の香りがつぼみの鼻腔をくすぐってきた。

「ジンジャーティー、ですか?それに、シナモンも入っているような」

「うん。濡れちゃったからね、風邪引かないように体が温まる効能がハーブをブレンドしておいたよ」

なお、菖は遺跡探検に行くときは、乾燥させた生姜とシナモンスティックを必ず持参すると話してくれた。

遺跡と一口に言っても、地面の下に埋まっているものから洞窟の中にあるものまでさまざまあるらしく、昼間でもかなり冷えることもあるそうだ。

そのため、体を温めるためのものは常備しているのだ。

「そうだったんですね……」

「まぁそこはそれ、念には念をってね……雨具を持ってこなかったのは、失敗だったけど」

「あ、あはははは……くちゅん!」

菖も自分と同じミスをしたことがなんだかおかしくて、つぼみは苦笑を浮かべると、可愛らしいくしゃみを出した。

それに気づいた菖は、荷物から着替え用に持って来ていたのだろう、青いシャツを取りだして、つぼみにかけてくれた。

「ふぇっ?!」

「羽織ってなよ。さすがに冷えるからさ」

「は、はい……あ、ありがとう、ございます」

顔を赤くしながら、つぼみは菖にお礼を言って、受け取ったハーブティーに口をつけた。

が、思った以上に熱かったため。

「……あちっ!」

と、小さく悲鳴を上げた。

その様子を、菖は穏やかな笑みを浮かべながら見守りつつ、自分もハーブティーを飲もうとしたのだが。

「……くしゅんっ!!」

「菖さん?!だ、大丈夫ですか?!」

「大丈夫、大丈夫……さすがに、冷えてきたか……」

どうやら、菖も体を冷やしてしまったらしい。

体を温める効能があるとはいえ、限界はあるようだ。

だが、菖は荷物から新しいシャツを出す気配がない。

どうやら、つぼみに羽織らせたもので最後だったようだ。

「……」

少し、鼻をすすっている菖を見ていたつぼみは、意を決して、菖に身を寄せて、羽織らせてもらっていたシャツの右半分を菖の背中にかけ、左半分を自分の背中にかけた。

「ちょ、つぼみ?!」

「こ、こうしたほうが、少しは暖かくなるはずです!」

「いや、年頃の女の子が安易にそういうことしちゃだめだって!」

いきなりのつぼみの行動に、菖は驚愕しながら、気にしないでいいから、と伝えたが、意外にも頑固なつぼみは、顔を赤らめながら。

「……菖さんだから、平気なんです」

と、つぶやいた。

もっとも、その声はあまりにも小さかったので、菖は何を言ったのかわからなかった。

だが、つぼみの意思の固さはわかったので、つぼみの好きなようにさせておこうということにした。

菖に寄り添うつぼみは、どこか満足そうな微笑みを浮かべていたのだが、それを知るのは静かにしていたパートナーの妖精だけだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

つぼみ「菖さん!この間はごちそうさまでした!」
菖「お粗末さま。ほかのバリエーションは、今度のお茶会のときでいいかな?」
つぼみ「はい!」
えりか「なになに?つぼみ、菖さんに何かごちそうしてもらったの?」
つぼみ「はい!菖さん特製のハーブティーを!」
えりか「ふ~ん……どこで?」
つぼみ「雨の日の洞窟で……はっ?!」Σ(///□///
えりか「ほほ~?どんなラブエピソードがあったのかな~?あたしゃ気になるよ~」(・∀・
ゆり「……つぼみ、そのときの話、少し詳しく聞かせてもらえるかしら?」(-言-
つぼみ「ひぃっ??!」(((;ω; )))
菖「おいおい、あんまりいじめt……」
ゆり「菖は黙ってて!!」(-言-#
菖「……はい、すみません」(・_・;


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とある昼休みの菖といつき

いつかはやろうと思っていましたので、第一弾を。
ぶっちゃけ、某日常漫画からネタをいただきましたが。
次回は……菖への質問コーナーとかにしようかな?
組み合わせ、どうしよう……。

2017/8/3 改題


『お昼の放送の時間で~す!みなさん、こんにちは!本日は週末、特別放送です!!』

昼休み、明堂学園の放送委員がやけにテンションの高い声でお昼の放送を始めた。

その放送を教室で聞いていたゆりとももかは、お弁当を食べながら、そのテンションの高さに若干引いていた。

「やけにテンションが高いわね、今日は」

「何かいいことでもあったのかしら?」

ももかのその疑問の答えは、意外にもすぐに明らかになった。

『本日の特別放送はスペシャルゲストとして、この方々に来てもらいました!』

『こんにちは!中等部生徒会長の明堂院いつきです!』

『……強制連行(ドナドナ)された高等部の春川菖です……』

『春川さん、テンション低っ?!』

『俺がこういう場に出るのが嫌いってことを知ってて言ってるだろ……』

放送委員の反応に、菖は苛立ちながらそう返してきた。

基本的には人の頼みを断らない菖だが、こういう場に出たことはない。

本人曰く、あまりこういうものには出たくないのだそうだ。

『ま、まぁまぁ……無理なお願いを聞いてくださって、ありがとうございます!』

『お願いされた覚えがない』

『というわけで、今日はこちらのお二人をお招きしての特別放送です!』

『……無視して進められた……』

『あ、あははは……』

菖の文句をスルーして無理やり話を進めている放送委員に、菖は文句をもらす気力もなくなってしまったようだ。

そばにいるいつきは、その様子に苦笑を浮かべていた。

----------------------------------

(以降、スキット風でお送りします)

愛音『というわけで、週末特別放送!司会進行は私、自称「放送委員一のMC」前川愛音でお送りいたします!改めまして、春川さんと明堂院さん、本日はご協力お願いいたします!』

菖『……どうぞよろしく』

いつき『よろしくお願いします』

愛音『早速ですが、こちらのコーナーに行きましょう!『ぶっちゃけ!お助け相談コーナー』!!』

いつき『えぇっと、放送委員に寄せられた手紙の中から委員の人がランダムに選択したものを読み上げてそれにお応えするコーナー、でしたっけ?』

愛音『おぉ!さすが、生徒会長!よくご存知で!!その通りです!このコーナーは、私たち、放送委員が独断と偏見で選んだ相談お手紙を発表して、相談にお答えしていくコーナーです!』

菖『いや、お答えって、結局、迷宮入りさせることもあるだろ?』

愛音『はい!ぶっちゃけ、解決もやぶさかではありませんが』

菖、いつき『『いや、解決しようよ/しましょうよ、そこは!!』』

愛音『お二人からナイスな突っ込みが来たところで、さっそく一枚目!』

いつき『ま、また無視された……』

菖『いつき、これはもうあれだ。慣れるしかない』

いつき『……はい』

愛音『ペンネーム、ツンツンニャンコさんから!『ずっと片想いしていた彼に、思いきって告白しようと思っています!どうしたらいいか、教えてください』とのことですが……』

菖『……告白かぁ……』

いつき『告白……』

愛音『……リア充、爆発しやがれ』

菖『おい?!』Σ(@_@;

愛音『まぁ、それは冗談として』

いつき『……冗談に聞こえなかったですよ……』(^_^;

愛音『お二人だったらどうしますか?』

菖『う~ん……いきなりそんなこと聞かれてもなぁ』

いつき『ぼ、僕も経験がないので、ちょっと……』

愛音『ふむふむ……って、春川さんは結構な人におモテになっていると伺ってますが、ないんですか?』

菖『……なにそれ、初耳』(・_・;

愛音『おや?結構、有名ですよ?噂では、高等部きっての才女、月影ゆりさんにも懸想されているとかいないとか』

菖『噂だろ?』

愛音『そうですかぁ』

~~~~~

ももか「……ゆり、どうなの?」

女子1「つ、月影さん、それほんと??!!」

女子2「真相のほどは?!」

ゆり「さぁ、どうかしらね?」

女子3「あ~ん!いけず~~~~っ!!」(>_<

男子全員(……おのれ、春川……だが納得できてしまう!!)

~~~~~

愛音『まぁ、脱線はここまでにして、どうですか?お二人とも』

菖『う~ん、そうだなぁ……たとえば、オーソドックスに、夕焼けの屋上で二人きりのとき、とか?』

いつき『たしかに、オーソドックスですね』

菖『……夕焼けの屋上、呼びだした彼と二人きり。高鳴る胸の鼓動を抑えて、彼』

愛音『……の背中を押す?』

いつき『危ないじゃないですか!!』

菖『当然、彼は落ちるな』

愛音『そこにさらにインパクトある一言を』

菖『……「わたし、本気よ?」とか』

いつき『ちょ?!怖いですよ、二人とも!!』

菖『よい子も悪い子もやっちゃだめだぞ~』

~~~~~

えりか「……なんか、菖さんがこんな冗談をいうのって」

つぼみ「すごく、新鮮です……」

~~~~~

愛音『ま、まぁ、シチュエーションはこれくらいでいいとして、何かアドバイスはあったり……』

菖『……当たって砕けろ?』

愛音『砕けちゃダメじゃないですか!!』Σ(^ω^;

いつき『ははははは……あ、けど、恥ずかしくてもストレートに言った方が、気持ちは伝わるんじゃないかなと思います』

愛音『なるほど、なるほど……まぁ、ツンツンニャンコさんには頑張ってもらうとして、次のお手紙に』

菖『まとめるつもりが皆無だな』

愛音『えぇっと、次のお手紙は……小悪魔フェアリーさんから。これは中等部の人ですかね?『鈍感な先輩に友達が恋しています。どうしたら、先輩をあの子に振り向かせることができるか、教えてほしいっしゅ!』とのことですが……"しゅ"?』

菖『……あいつだな』(-_-;

いつき『あぁ……あはははは……』(^_^;;

愛音『おや?お二人がご存知の方で??』

菖、いつき『『本人のプライベートもあるから、ノーコメントで』』

愛音『ですよね~』

~~~~~

ゆり「……もしかしなくても、えりかね」

ももか「えりかの手紙ね……何考えてるのかしら、あの子」

ゆり「あの子の考えてることは、時々、予想の斜め上をいくから、厄介なのよね」(--;

ももか「……わが妹ながら、申し訳ない」(^_^;

~~~~~

愛音『それにしても、鈍感さんですかぁ』

菖『鈍感、ねぇ……』

いつき『鈍感さんかぁ……』

愛音、いつき『『……(ジーッ)』』(・_・

菖『うん?』

愛音、いつき『『難題ですね、これは』』

菖『いや、何で俺の方を見て言うの?』(^_^;

~~~~~

ゆり「自分の胸に聞いてほしいわね」(-_-

ももか「って、フォローになってなくない?」(^ω^;

~~~~~

えりか「こればっかりは自分の胸に聞いてほしいっしゅ」

つぼみ「あ、あはははは……」

~~~~~

愛音『これはもう、全力でアタックしまくるしかないです!』

菖『……そして最後は夕焼けの屋上で……』

いつき『いつまで引きずるんですか?!』

愛音『ま、まぁ、こればかりはそれしか言えないです……そういえば、お二人は告白したりされたりという経験はございますか?』

菖『俺より、いつきの方が多いんじゃないかな?されたほうの経験』

いつき『あ、あはははは……』(^ω^;

愛音『ほぉほぉ!!』

菖『といっても、男子からじゃなくて、女子から』

愛音『あぁ……明堂院さん、かっこいいですもんねぇ』

いつき『ど、どうも……』

菖『で、そういう前川さんは?』

愛音『あるわけないだろ、こんちきしょーっ!!』(TωT#

菖『……お、おぅ……』(・ω・;

~~~~~

ゆり「……菖、そういうのは聞かないのがマナーよ……」(-_-;

ももか「菖くんも大概、予想の斜め上をいく対応するわよねぇ……」(・_・;

ゆり「幼馴染ながら、情けないわ」

~~~~~

愛音『では、そろそろお時間が近づいてきたようですので、今日はこれにて!お二人とも、今日はありがとうございました!!』

菖『どういたしまして。つか、事前に連絡してくれよ』

いつき『はい!こちらこそ、ありがとうございました!!』

愛音『それでは、最後の〆に、春川さん!お昼のお弁当に心を奪われて無防備な女子のみなさんに、ときめきを与える一言を!』

菖『……いや、なんで俺?』

愛音『いいからいいから!』

いつき『僕も聞いてみたいです!』

菖『……はぁ……』

~~~~~

ゆり、ももか、つぼみ、えりか『……(ドキドキ)』

~~~~~

愛音『それでは、春川さん!3、2、1……キュー!!』

菖『……明日の君の笑顔は、今日よりもっと素敵だね』

~~~~~

全校女子『ズキューーーーーーンっ??!!』

~~~~~

愛音『……くっ……ふ、不覚にもわたしにまで飛び火が……』(///_///

いつき『わかってて構えてても、やっぱり無理ですね……』(///_///

愛音『そ、それでは本日はこれにて!午後の授業は、先生方による催眠呪文にお気をつけください』




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~数日後~
愛音「春川さ~ん!先日はありがとうございました!!」
菖「うん、お疲れさん」
愛音「というわけで、次回もぜひお願いします!!」
菖「事前に日付は連絡してくれよ?」
愛音「わかってますって!……それはそれとして、聞きましたか?」
菖「なにを?」
愛音「この間の放送で流した相談の答え、さっそく実行した人がいたそうで」
菖「へぇ……」
愛音「相手は『命ばかりは!』って、おびえていたそうですが、無事に結ばれたそうです」
菖「いや、危ないからやめろって言ったはずなだけどな……」
愛音「恋する乙女は止められないんですねぇ……ふふふ♪」
菖「……まじですかぁ……」


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とある普通の日の菖とつぼみ

スイーツといえば、ケーキやアイス、プリンにカステラなんてありますけど、饅頭とか大福とかも食べたくなりますよね……
やっぱり、日本人は餡子が好きなのでしょうか?
ちなみに、私は一時期、ケーキのクリームを食べると気分が悪くなってしまい和菓子の類(奇をてらってない奴)しか食べれなかったことがあります。


「……」

「……」

その日、菖とつぼみは二人きりで希望ヶ花市にある和菓子屋「はらや」に向かっていた。

だが、二人の間に会話はまったくなく、ただただ沈黙だけが流れていた。

――ど、どどどどどどどど、どうしましょうっ??!!

意中の相手と二人きり、という状況に、つぼみの脳はオーバーヒート寸前といったところだった。

何か話したいのだけれど、何を話したらいいのか、まったく思い浮かばない。

ただただ流れる沈黙の中、つぼみはどうにかこの状況を打開したいと思いながらも、その策が見いだせずにいた。

----------------------------------

そもそも、二人がこんな状況になったのは、今から一時間ほど前のことだ。

放課後になって手持ち無沙汰になった菖は、なんとなしにぬいぐるみ館を訪問した。

「こんにちは……て、コッペ様しかいないのか」

と、つぶやきながら、コッペ様の前までやってくると、菖はコッペ様に挨拶をして、足もとに座り、カバンから本を取りだして、しおりをはさんだページを開いた。

コッペ様は、そんな菖に視線を送るだけで、特に拒絶するような様子は見せなかった。

しばらくの間、菖一人が静かに時間を過ごしていると、ぬいぐるみ館に二人の来館者が姿を見せた。

「あら、菖くん。いらっしゃい」

「あ、菖さん!こんにちは!!」

「……ん?あぁ、薫子さん。お邪魔してます。でもって、つぼみはこんにちは」

本から視線を上げて、つぼみと薫子の方へ目を向けて、菖は微笑みながら挨拶を交わした。

「いま、お茶を淹れるから、待っててね」

「お構いなく」

「いえ!菖さんはお客さまです!おもてなししなくては!!」

なぜか妙に気合が入っているつぼみの様子に、菖は苦笑を浮かべながら、お言葉に甘えて、と本にしおりを挟んで立ちあがった。

いつものテーブルが用意されると、薫子が、困ったわね、とつぶやく声が聞こえてきた。

「どうかしたんですか?」

「えぇ……お茶請けのお菓子を切らしてしまって」

「簡単なものでよければ……って、植物園じゃ無理か」

台所があれば話は別なのだが、植物園には給湯室はあれど、包丁やまな板、小麦粉などはない。

作ろうにも作れないのである。

「そうね……ちょっと、待っててもらっていい?すぐに買ってくるから」

「それくらいなら、俺が行きますよ」

「あ、わたしが行ってきます!いつものでいいんですよね?」

「いや、ものさえ教えてくれれば、俺がひとっ走り……」

「いえ!菖さんはお客様ですから、そんなことはさせられません!」

「……なら、二人に行ってきてもらおうかしら?」

菖とつぼみの珍しいやりとりに、薫子は苦笑を浮かべながら、そう頼んだ。

薫子からの提案に、つぼみは目を丸くして硬直してしまったが、大好きなおばあちゃんに意見することができず、結局、その提案を飲むことにした。

----------------------------------

薫子の計らいで、菖と二人きりではらやへ向かうことになったのはうれしいのだが、何を話したらいいのか、つぼみはまったくわからなかった。

これがえりかかいつきであれば、ファッションの話や学校での話で、ゆりであれば、花の話で盛り上がるのだが、菖の興味はそのどれにも向いていない。

いや、少なくとも、花については、その花にまつわる伝承や伝説には食いついてくるのだが、あいにくと、つぼみはその手の話には疎かった。

さて、どうしようか、と延々と悩んでいるうちに、二人ははらやに到着した。

「ここだな」

「ふぇ?……あ、はい!ここです!」

「つぼみも薫子さんも、よく買いにくるのか?」

突然の菖の問いかけに、つぼみは焦ったが、すぐに平静を取り戻し、うなずいて返した。

「はい!ここの大福がとてもおいしくて……ほんのり塩気の効いた甘い餡を、もっちりとした白いお餅が包みこんで、絶妙なハーモニーを……」

うっとりとしながら、つぼみがはらやの大福の魅力を語りだしたのだが、ふいに菖が聞きに徹していることに気づき、顔を紅くして、すみません、と謝罪してきた。

だが、菖はまったく迷惑に思ってはいなかったようで。

「謝らなくても大丈夫。というか、つぼみ、花とかファッション以外にもちゃんと好きなもの、あったんだな」

「え?」

「はらやの大福、あそこまで熱っぽく話せるってことは、それだけ好きってことだろ?」

にっこりと笑いながら、菖がそう問いかけると、つぼみは顔を紅くしたまま、首を上下に振った。

その様子を微笑みながら見ていた菖は、俺もここの和菓子は好きだよ、と返してきた。

「俺の場合は饅頭だなぁ。蒸したてほかほかの皮の柔らかさと使っている小麦が持っている甘さが餡子と絶妙にマッチしてさぁ……でもって、これまた緑茶が合うんだよ」

「わかります!ちょっと濃いめに淹れた緑茶とお饅頭……これはもはや最強の組み合わせではないでしょうか?!」

つぼみが目を輝かせながら、菖に同意すると、菖もまた、にっこりと笑みを浮かべ、サムズアップを向けていた。

----------------------------------

あまり長い時間、はらやの和菓子談義をしているわけにもいかないため、菖とつぼみは途中で談義を切りあげて、用事を済ませようとした。

が、目的の大福を買って、帰ろうとしたとき。

「あ、つぼみちゃん、ちょっと待って!」

「はい?」

突然、売り子のお姉さんに呼び止められ、つぼみと菖は立ち止まり、カウンターの方へ振り返った。

「今度、うちで新しく販売しようと思っている試作品があるの。よかったら、食べて感想を聞かせてちょうだい?そこのかっこいい彼氏さんもどうぞ」

どうやら、菖をつぼみの彼氏と勘違いしたらしい。

だが、彼氏、という単語につぼみは顔面どころか首から耳まで真っ赤に染めて、頭から湯気まで出してしまい、ついには。

「か、彼氏……しょ、菖さん(しょーしゃん)が、かれし……」

と、ふらふらしながらうわごとのようにつぶやいていた。

「あ……あらあら……」

「あの、売り子のお姉さん?俺はつぼみの先輩であり、友人であって、彼氏彼女の間柄じゃないですよ?」

「あら、そうなの?……けど、まんざらでもないんじゃない?」

菖の顔を見ながら、売り子さんはニヤニヤと笑みを浮かべて、菖に返した。

言われている菖の顔は、若干ではあるが、紅くなっていることを見逃していなかったのだ。

が、菖はここでさらなる反論をしてきた。

「いや、まぁ……だって、つぼみみたいな可愛い女の子が彼女だったら、誰だってうれしいんじゃないですかね?」

菖の口から、かわいい、という単語を聞いてしまったつぼみにとって、それが致命的な一撃となった。

かろうじて残っていた理性が、ついに限界突破を迎え、つぼみの頭はショートして、そのままぱたり、と倒れてしまった。

むろん、それに気づいた菖に支えられて怪我をすることはなかったのだが。

そんなつぼみの様子を見ていた売り子は。

――あらあら……けど、これはこれで面白いわね♪

なんだかんだ言っても、売り子さんは女性(女の子)なのだ。

他人の惚れた腫れた(コイバナ)には目がないのである。

それが、常連さんの孫娘のものであればなおのこと。

――応援してるわよ、つぼみちゃん♪

店内に設置されている椅子に横にされながら、うんうん、唸っているつぼみの顔を見て、売り子さんは心のうちでこっそりつぼみにエールを送り、試作品を取りに店の奥へと向かっていった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~倒れたつぼみが目を覚ましたあと~
売り子「これが新商品の試作品よ!」
つぼみ、菖「「いただきます!……(パクッ、もぐもぐ)おいしい!!」」(*^ω^* )
売り子「よかったぁ」
つぼみ「おいしいです!いままでの餡子とは違った甘さですね……けど、これは?」(・ω・?
菖「……干した果物……干し柿ですか?」
売り子「あら、よくわかったわね?そうよ。お砂糖を少し控えめにする代わりに、干し柿を混ぜて甘さを加えたの!」
つぼみ「すぐに見抜いちゃうなんて……菖さん、すごいです!」
菖「ん?いや、ロンドンに行ったとき、ロンドン一おいしい中華屋に行ったことがあってさ。その時に、この餡子を使った月餅を食べたんだ」
つぼみ「そうなんですか?!」Σ(・ω・
菖「なんでも、戦前、革命家の孫文が考案したものらしいよ?」
売り子「へぇ……」
つぼみ「初耳です……学校でも習わないですよ」(・_・;
菖「そらそうだよ。俺だって、世界一教養のある考古学者の先生から聞かなかったら、知らないままだったよ」
つぼみ「へぇ……」
菖「ちなみに、ゆりとももかは会ってたことがある」
つぼみ「えぇ??!!ど、どこでですかぁっ?!」
売り子「……もしかしなくても、わたし、お邪魔?」(^ω^;


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とある休日の六人組

……下手すると規制に引っ掛かるかも……
と思いつつ、投稿します。
だって、どこまでが規制に引っかかるボーダーなのか、わからなかったし(汗
まぁ、「歌詞」は出してないから大丈夫だと……思いたい……


とある日曜日。

いつもなら、ぬいぐるみ館でお茶会をしている五人だが、今回は違う場所にいた。

そこは、希望ヶ花駅前にある比較的おおきなカラオケ。その一室に、いつもの五人はいた。

現在マイクを握っているのは、えりかだった。

いまえりかが歌っている曲は、「スペシャル*カラフル」だった。

曲が終わり、えりかは満足そうなため息をつきながら、ソファに座った。

「ふぃ~……歌った歌った~」

「上手でしたよ、えりか」

「えっへへ~♪」

つぼみに褒められ、えりかはにやけ顔になりながら、最初に注文していたコーラを飲んだ。

そんな様子を見ながら、菖とゆりは。

――どうしたこうなった/なったのかしら?

と疑問符を浮かべていた。

----------------------------------

ことの始まりは、えりかがカラオケに行こうと誘ったことが始まりだった。

どういう経緯で、カラオケなのか、その本当のところはついぞ語られることはなかったが、えりか曰く。

「いつも、植物園ばっかりでつまらない。たまには別の場所に行ってみんなで遊ぼう!」

ということらしい。

が、別の場所といっても、ゆりは基本的に遠出はしないほうだし、菖は休みの日になればどこかへふらっと出かけていくか、自室に引きこもるかの二つの一つ。

ある意味、高校生らしからぬ高校生なので、遊びに行く場所といわれても、ピンとくるものがなかった。

それを知っていたからなのか、えりかは五枚のチケットを取りだした。

「最近、希望ヶ花にもカラオケボックスができたんだよ!もも姉ぇが無料券六枚もらったから、みんなで一緒に行こうって!」

「……なるほど、ももかの差し金か」

「ある意味、ももからしいやり方ね。直接誘ってくれればいいのに」

「仕事で忙しいから、誘えなかったんじゃないか?」

だからといって、えりかにおつかいを任せるのもどうかと思うけれど。

と菖は心中でつぶやいた。

もっとも、大好きな姉におつかいを頼まれて、ご機嫌な状態になっているえりかにその一言を言ったらどうなるかわかったものではないので、口にはしなかったが。

「で、菖さんとゆりさんも行かないかって」

「……行かないって選択肢はないんだろうな」

「そうね。それにいいんじゃないかしら?たまには」

菖とゆりは自分たちに拒否権がないことを知っていたので、一緒に行く以外の選択をできなかった。

結局、つぼみといつきも一緒に行くことになり、いつもの五人組にももかが加わった六人で新しくできたカラオケボックスに向かうことになった。

----------------------------------

そうして場面は戻り。

えりかが歌い終えると、ディスプレイに「ムーンライト伝説」という、数年前に流行した美少女アニメの主題歌のタイトルが表示された。

「……誰だよ、これ選んだの……」

「あ、わたし!」

菖が苦笑しながら呟くと、ももかが元気よく立ちあがって返した。

その手には、なぜかマイクが二つ握られていた。

なぜ二つ?、と菖が疑問に思っていると、ももかはゆりにマイクの片方を手渡した。

どうやら、ゆりと二重歌唱(デュエット)するつもりのようだ。

その意図を理解したゆりは、微笑みを浮かべてそのマイクを受け取り、立ち上がった。

「「ごめんね、素直じゃなくって……」」

ゆりとももかは歌詞が流れ始めたと同時に、示し合わせたわけでもないのに寸分たがうことなく、見事なデュエットを披露し始めた。

――うわぁ……親友同士だから当たり前かもだけど、だからってすぐにできるもんじゃないだろ、これ……

ゆりとももかの歌声がまったくずれることなく、歌い続けている二人の様子に、菖はなぜか納得できてしまっている自分に苦笑を浮かべていた。

一方のつぼみたちは、ゆりとももかの歌う姿に頬を少しばかり紅くしていた。

「「信じているの、ミラクル・ロマンス!」」

ゆりとももかが歌い終えると、つぼみたちは呆然としたまま拍手するのを忘れてしまい、菖の拍手だけがむなしく響いていた。

だが、それも長くは続かず、いつの間にか新しい曲が画面に表示された。

その題名は、「紫月の葬送詩」だった。

葬送詩、とあるだけに、鎮魂歌の類なのではないかと思われたが、つぼみたちを驚かせたのは、それを選んだ人物だった。

「「「「「って、いつき/いつきちゃん??!!」」」」」

「へっ??!!」

つぼみたちの驚きの声に、いつきは驚愕の声を上げた。

だが、イントロが終わると、いつきはすぐに歌い始めた。

「闇に惑う、魂よ……さぁ、行きなさい」

葬送、とついているから、もう少しおどろおどろしいものかと思っていたが、思ったよりも美しい旋律といつきの歌声に、その印象はすっかり変わってしまった。

いや、そもそも向日葵(太陽)が好きないつきにとって、正反対のものとなる月をテーマにした歌を歌うということが意外だったので、そのあたりも手伝ってかなりのインパクトがあった。

「この手にかざし……行く!」

歌い終えると、いつきはそっと息をついて、注文していたウーロン茶を口に運んでいた。

「……少し、意外だったわね」

「あぁ……まさか、鎮魂歌が出てくるとは思わなかった……」

ゆりの感想に、菖がそう返すと、画面のほうへ視線を向けた。

そこには「White Light」と書かれていた。

「……あ、俺の番か」

「いってらっしゃい」

「あぁ」

ゆりに見送られて、菖はマイクを手に取り、歌い始めた。

「何も言わず、白になれ!」

まさか菖がロックミュージックを歌うとは思えなかったらしく、つぼみたちは目を丸くしていた。

おまけに、それなりに美声であるのだから、なおのことだ。

慣れているゆりとももかはともかく、菖にホの字になっているつぼみは、すっかり顔を真っ赤にしていた。

「しょ、菖さん、かっこいいっしゅ……」

「うん……少し、意外だったかな……」

「うふふ、つぼみちゃん、菖くんにすっかり惚れこんでるわね」

「そうね」

つぼみ以外の観客となっている少女たちは思い思いの感想を口にしていた。

そうしているうちに、菖の歌も終盤へとさしかかった。

「Wanna be the White, White Light!」

菖が歌い終えると、いまだ呆然としているつぼみ以外から割れんばかりの拍手が送られた。

その拍手に、菖は少しばかり照れたように頬をかきながら、マイクを置いた。

「……さて、こんどはつぼみの番だけど……」

「……これはすこし無理そうね」

「お~い、つぼみ~?帰っておいで~?」

菖とゆりはつぼみの様子を見つながら、苦笑を浮かべていた。

そんな視線を向けられているつぼみは、えりかといつきに心配されながら、呆然としていた。

少しして、つぼみが気がつくと、画面に「No Limit」の表示があった。

「……もしかしなくても、これってつぼみの?」

「はっ!!そうでした!!」

本来、かなりの恥ずかしがり屋で人前で歌うことに抵抗するのが常だったのだが、みんなと思いっきり楽しみたいという想いが、その羞恥心を克服することに一役買ってようだ。

急いでマイクを手に取ると、つぼみはその隠れた才能を披露した。

「Touch and Go!Catch the Sun!」

普段のおとなしい声と違い、凛とした雰囲気すら感じさせる歌声がカラオケボックスに響いた。

同時に、つぼみの歌には、どこか人を引きつけるようなものすら感じられた。

さながら、人々を引きつけてやまない歌姫、といったところだろう。

もし、つぼみに内気なところがなければ、たちまちその歌唱力で人気者になれたかもしれない。

そんなことを思っていると、つぼみの歌も終盤にさしかかった。

「Touch and Go!Catch the Sun!」

だが、歌い終えると、つぼみは全身全霊を使いきったかのように真っ白になり、へたり込んでしまった。

「ははは……お疲れ、つぼみ。かっこよかったよ」

「は……はい……ありがとうございます……」

つぼみは菖に褒められたことで、再び顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

なお、このあとも時間いっぱいまでカラオケで歌い続け、翌日、中学生組はのどを枯らしてしまったことは言うまでもない。

もっとも、高校生組は翌日ののどを心配し、のどのケアができる効能を持っているお茶やのど飴を使っていたため、それほどひどい被害は受けなかったそうな。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~翌日~
つぼみ「お゛ばよ゛う゛ござい゛ま゛ず」
えりか「お゛ばよ゛~」
いつき「ばばば……ぶだり゛ども゛びどい゛(ごえ゛)……」
えりか「い゛づぎも(びど)の゛ごど(い゛)え゛な゛い゛っじゅ」
菖「おはよ~……って、ひどい声だな、三人とも」
ゆり「ちゃんとのどのケアしないとだめよ?ただでさえのどを酷使したんだから」
ももか「ま、その点あたしたちはぬかりなし、ね」
中学生組「「「びどい゛でず/っじゅ……」」」
菖「ま、これを教訓に、以後気を付けような。はい、のど飴」
中学生組「「「あ゛、あ゛り゛がどう゛ござい゛ま゛ず!!/あ゛り゛がどう゛っじゅ!!」」」


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とある昼休みの高校生組

ぶっちゃけ、適当な上に短いっす(汗
しかし……ア・ラ・モード、闇堕ち回数多くないすか?(苦笑
この調子でいくと、次回のショコラも闇堕ちしちゃうんじゃ……
一番心配なのはいちか二度めの闇堕ちですが。
(といいつつ、本心では『あ、そ。くだらん』と思っている私がいるんですよねぇ……


キーンコーンカーンコーン。

という、もはや学校のチャイムといわれれば、誰もが思い浮かべるであろう、お馴染みのベルの音が明堂学園内に鳴り響いた。

時刻は正午。昼休みの時間である。

そして、昼休みの楽しみの一つとなれば、やはり友達との昼食だ。

それはももかも例に漏れず。

「ゆ~り!菖くんも一緒にお昼食べよ!!」

「えぇ、構わないわ」

「あぁ、いいよ……と思ったけど、先にいつものとこで待っててくれないか?」

ももかの誘いに、心よく返事するゆりと菖だったが、菖は苦笑しながらそう返した。

「ふぇ?どうして??」

「朝が忙しくて、弁当作るのを忘れてきたんだよ」

ももかが愛らしく首を傾げながら問いかけ、菖はそれに遠い目をしながら答えた。

一方のゆりは菖のその答えを聞いて、あきれ顔になっていた。

「どうせ徹夜で研究論文を読んでたんでしょ?」

「ははは……その通りです」

「よくわかるわね、ゆり」

「登校中にドリンクゼリーを飲んでる姿を見ればだいたい予想がつくわよ……」

感心するももかに、ゆりはため息まじりにそう返した。

なお、この日の菖の朝食は、『十秒チャージ、二時間キープ』が売りのドリンクゼリーと、『一日に必要な栄養をバランスよく得られる』ということで有名なバランス栄養食であった。

もっとも、この日は体育もないため、それだけでも十分、空腹に襲われることはなかったのだが。

「で、菖くんはこれから購買なわけね」

「そういうこと……一番人気の焼きそばパンが一個五十円だから、急ぎたいんだ」

というわけで、行ってくる。

二人にそう言ったかと思うと、菖はその場から消えていた。

が、ゆりはその姿を目で追えていたらしく、廊下の方へと視線を向けていた。

「……早すぎて見えなかった」

「……わたしでもギリギリ追えたのだから、無理ないわね……」

呆然とつぶやくももかに、ゆりは苦笑しながらそう返した。

だが、いつまでもこうして呆けているわけにもいかないので、ゆりとももかは三人の定位置となっているベンチへと急いだ。

----------------------------------

十分ほどして、ベンチに座っていたゆりとももかの視界に、菖が入りこんできた。

その手には、戦利品なのであろう焼きそばパンと、他にも色々と入っている袋が下がっていた。

「……またずいぶんと……」

「朝ごはんがあれだったから、やっぱりお腹すいちゃったのかしら?」

菖の持っている荷物の多さに、ゆりはあきれ顔になり、ももかは苦笑を浮かべていた。そうこうしているうちに、ほくほく顔となっている菖が近づいてくると、ゆりは自分の隣をぽんぽんと軽く叩き、そこに座るように示した。

菖は示されるまま腰をかけると、袋から数種のパンを取り出した。

「お待たせしました」

「それじゃ、食べましょうか」

「うん!それでは、ご一緒に」

「「「いただきます」」」

ももかの号令で、三人は同時に手を合わせ、「いただきます」を合唱した。

三人はほぼ同時に自分たちの昼食に手をつけた。

なお、ゆりとももかは手作り弁当なのは言うまでもないが、菖が勝ちとった戦利品の中から、本日の昼食として選び取ったパンは、大人気の焼きそばパンとなぜか(・・・)売っていたマーボーカレーパンとプリンパンの三種類だ。

焼きそばパンを食べ終えて、菖はマーボーカレーパンに手を伸ばそうとした瞬間、ももかの熱い視線を感じ、思わず口を止めた。

「……」

「……ももかさん、もしかしなくても、食べてみたい……とか?」

「うん!」

菖の質問に、ももかは満面の笑みを浮かべてうなずいた。

少しの間、菖とももかは静かなにらめっこを続けていたが、どうしても食べてみたいももかの顔が徐々に泣き顔へと変わっていくのを見て。

「……はい。辛いから気をつけろよ?」

「わ~い!ありがとーっ!!菖くん、大好き!!」

ちぎられたマーボーカレーパンを手に取り、ももかは明るい笑顔を浮かべながら菖にお礼を言った。

すると、今度はゆりのほうから視線を感じ、菖はゆりのほうへ目をむけた。

ゆりは感情をおさえきれずに、うらやましそうな視線をももかにむけていた。

「……ゆりも食べる?」

「え?……けれど、悪いわ。あなたのお昼なのに」

「いや、正直、焼きそばパンが思った以上にボリュームあってさ……食べきれる自信がないから、手伝って?」

本当はほしいのに遠慮する姿を見て、ゆりらしいと思いつつも、菖はマーボーカレーパンをちぎって渡した。

ゆりは若干、顔を赤らめて、お礼を言いながら、ちぎられたパンを手に取った。

菖からマーボーカレーパンを受け取った二人は、どちらからとなくパンをかじった。

カレーパンなのだから、中にカレーが入っているのは当然なのだが、菖が買ってきたカレーパンは、マーボー(・・・・)カレーパン。

カレーの中に麻婆豆腐が入っているという、辛さと辛さのハイブリッド料理だ。

当然、その辛さは普通のカレーの比ではなく。

「……かっらーーーーーいっ!!」

慣れていないももかは一口食べて悲鳴を上げた。

が、菖の家にお呼ばれした時に、何度かマーボーカレーを食べたことがあるゆりは、涼しい顔をしていた。

「あら、なかなかいけるわね」

「……ゆり、辛くないの?」

「慣れてるから」

ももかの質問に、ゆりはしれっと返した。

ふと、ゆりがももかの方へ視線を向けると、まるで意地悪された、とでも言いたそうに涙を浮かべているももかの顔があった。

その様子があまりにもおかしてく、悪いと思いつつも、ゆりはつい。

「……ぷっ……くくっ……」

と笑ってしまった。

当然、ももかは涙目のまま文句を言い始めたため、ゆりは謝罪したのだが、まだ笑いのツボにはまったままのようで、ごめんなさいと言いつつ、笑みを殺しきれてないという状況になっていた。

当然、ももかはそれにさらに激怒するわけで。

という、無限ループにも近いやり取りが、親友二人の間で繰り広げられている光景を見ながら、菖は。

――いつ見ても飽きないよなぁ……二人のやり取り

暖かな笑みを浮かべ、美少女二人のじゃれあいを見守りながら、残っているパンを口に運ぶのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~ゆりが落ち着いてから~
ももか「そういえば、菖くん。そっちのパンは?」
菖「こっちはプリンパン。二人の分もあるけど、食べる?」
ももか「え?いいの?!いただきま~す!!」(^0^*
ゆり「……ももか、遠慮がないわね」
菖「とかいいつつ、ゆりも受け取ってるじゃん」(^-^;
ゆり「だっておいしそうなんだもの。しかたないじゃない」(-ω-
菖「ははは……」
ももか「はむっ!……ん~~~~~~っ!!おいし~~っ!!」(^ω^*
ゆり「……たしかに、おいしいわね」
菖「……う~ん、たしかにおいしいけど……」(-ω-
ゆり「あら?あまり納得していない感じね?」
菖「いや、正直、『PANPAKAパン』と比べたら、ねぇ」
ゆり「……あそこのお店は別じゃないかしら?」(-ω-;
ももか「む~っ!二人しかわからない話なんでず~る~い~!あたしもまぜてよ~!」
菖、ゆり「「あ/あら、ごめん/ごめんなさい(……機嫌悪い顔もかわいいんだよな/のね、ももかって)」」


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とある休日の高校生組

リクエストにお応えして、今回は高校生組の休日です。
ア・ラ・モード、ニューアイテムも出てきたことだし、そろそろシエルとの顔合わせ、書こうかなぁ……


とある日曜日。

この日、ももかは珍しく、撮影も何もなく、一日フリーの状態だった。

とはいえ、公欠してしまい、受けることが出来なかった授業の穴を埋めるため、教師から出された課題をこなすためにてんてこ舞いになっているのだが。

「……うえぇ~ん……終わらないよ~……ゆり~、菖く~ん~、助けて(ヘルプミー)~~~~」

量が量だけに、なかなか終わる気配がない。

そのせいでももかは涙目になりながら、ももかは親友二人に救援要請メールを送信していた。

そのメールは五分とせずに返信があり。

《仕方ないわね、行ってあげるから待ってなさい》

《どうせ助けないと気づくまでメールするつもりだろ?わかったから、行くまで頑張れ》

と、少しばかり冷たいながらも、二人がももかを大事にしているとわかる内容の文面が返ってきた。

「うぅ~……ありがと~!二人とも大好き~~っ!!」

文面を見て、ももかが涙目になりながら、友情に篤い二人に感謝していた。

----------------------------------

救援要請をしてから十分後。

菖とゆりはももかが待つ「フェアリードロップ」に到着した。

さくらも事情を聞いていたらしく、うちの娘がごめんね、と少しばかり申し訳なさそうに謝罪しながら、ももかが待っているリビングへと案内してくれた。

ももか(依頼人)と合流してから数分後。

最初こそ、ももかは遊びに来てくれた二人と遊ぼうとしていたが。

「何のためにわたしたちを呼んだか、覚えてないのかしら?」

「遊ぶために呼んだんだったら、俺は帰るぞ?」

と、威圧感たっぷりに言われ、片付けるものを片付けることにした。

なんやかんやで五分ほどしてから。

「う~ん……」

「……公式」

「あ、なるほど!」

数学に始まり。

「ねぇ、菖くん。ここって……」

「この構文を使って訳してみ?」

「うん!」

英語へと移り。

「……菖、わたしにもちょっと教えてほしいのだけれど」

「ねぇ、ここってなんて答えればいいの?」

「……お前ら、日本史と世界史になったとたん俺に振るよな?」

日本史と世界史(歴史)の課題を菖へ質問を集中砲火していた。

二人が救援要請を受けて、来海家に来てから二時間ほどして。

「終わったーーーーっ!!!」

と、ももかの歓喜の声が響いてきた。

「「お疲れさま」」

その声に、菖とゆりは声をそろえてねぎらった。

むろん、ももかもそのねぎらいにお礼を言い、最後には。

「おかげで終わったよ~!二人とも大好き~っ!愛してる~~っ!!」

「よかったな、ゆり。天下のカリスマモデルに愛されて」

「あら?それはあなたもじゃないの?」

抱き着いてきたものだから、菖とゆりは互いにそんな冗談を言い合っていた。

なお、ももかが菖に恋愛感情を抱いているかどうかは、今のところ謎のままであることはここに明言しておく。

……どこかから冷たい視線と威圧感が垂れ流れているような気がするのだが、それは気にしないことにしよう……。

「それじゃ、せっかくだし、一緒に遊ぼう!!」

やるべきことを終わらせたからか、ももかは何気兼ねなく遊ぶことができることに満面の笑みを浮かべつつ、二人に提案してきた。

とうの昔に、というより、ももかと一緒に課題に取り組み、ももかよりちょっと早く終わらせた二人は、その誘いを断る理由がないため、一緒に遊ぶことにした。

「で、何するんだ?」

「ちょうどいいから、格ゲー対決しよう!!」

菖の問いかけに、ももかは目を輝かせながら、どこからかゲーム機を取り出してきた。

どうやらここ最近のももかのマイブームは格闘ゲームのようだ。

「……ふむ、乱闘か?」

「最大四人までオーケー!」

「ふむ……受けて立つ」

「それなら、わたしもやらないわけにはいかないわね」

ももかの挑発に乗り、菖とゆりはコントローラーを手に、ももかに宣戦布告をした。

----------------------------------

「うりゃっ!」

「ほいっ!」

「甘いわ」

コントローラーを手に、美少女二人と青年の格ゲー大会が開催されてから五分。

四人対戦モードで参戦したNPCの残機を協力してゼロにし、早速、問答無用の冷酷無慈悲な争いが始まった。

だが、三人ともこのゲームに慣れているらしく、なかなか決定打を決めることができず。

『Game Set!』

タイムアップで引き分けとなってしまった。

その結果に、菖とゆりはほっとした様子になっていたが、ももかはどこか納得がいかないらしく。

「もっかい!!今度は何か賭けよう!!」

と、アンティルールを持ちかけてきた。

「……うへぇ……」

「かまわないけれど、何を賭けるというの?」

ももかの提案に、菖はいかにも嫌そうな顔をして、ゆりは少し面白そうだとでも言いそうな表情を浮かべていた。

まったく正反対の二人の態度ではあるが、ゆりが同意してくれた以上、民主主義的勝利を得たももかは、目を閉じ、こめかみに指を当てて。

「……最下位の人が明日のお昼ごはんを二人におごる!」

「……乗ったわ」

「……おいおい……」

ももかの提案に、ゆりが賛同し菖はげんなりとした表情を浮かべた。

その表情を見て、ももかとゆりは面白そうにくすくすと微笑んでいた。

その微笑みに菖は毒気を抜かれ、結局、挑戦することにした。

なお、最下位だったのは。

「あ~ん!なんでわたしなのよ~~~~っ!!」

「「ももか、ごちそうさま」」

「ふぇ~ん!!」

言い出しっぺのももかであった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~翌日の昼休み~
ももか「む~……納得いかない~!」
ゆり「いい加減に諦めなさい?ももか」
ももか「ぶ~……そりゃ、言い出したわたしが悪いけどさぁ……」
菖「……ついでに言えば、負けたのもお前の責任だろ?」
ももか「ぶぅ~」
ゆり「まぁ、一番安いものにしたんだから、それで許して」
菖「……あとでゆりの分もまとめて払ってやるから」
ももか「ほんと?!わーいっ!菖くん、大好き~~~っ!!」
菖「……分かったから抱き着くのはやめてくれないか?」
観衆1「おのれ、春川ぁ……」
観衆2「来海さんに抱き着かれている、だと……」
観衆3「くそっ!うらやましいぞ、あのやろう!!俺と代われ!!」
菖「……周囲の目が痛い」
ゆり「我慢なさい?」
菖「うへぇ……」(-ω-lll


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とある休日の五人組

秋の行楽シーズン……というわけで、今回は休日の五人組の物語です。
来月中にアニメ本編のお話を出せればと思います。


その日、つぼみたちは紅葉狩りに来ていた。

本当は花見がしたかったのだが、桜の季節はすっかり過ぎてしまっているため、ならば代わりに紅葉狩りにしよう、というえりかの提案で、五人は紅葉狩りを行うことになったのだ。

とはいえ、あまり遠くに行くことはできないので、希望ヶ花市近くにある一際きれいな紅葉が見られる山に来ていた。

今は、少し開けた場所でレジャーシートを敷いて、五人と四匹でお昼ごはんを堪能していた。

「いやぁ、それにしても……」

「うん……」

「はい……」

「「「おいしいですぅ/ですっ/でしゅっ!」」」

えりかとつぼみ、そしていつきとパートナーの妖精たちは、菖が作って持って来てくれたお弁当のおいしさに感動していた。

なお、お弁当はそれぞれが作って来ることにしていたはずなのだが、持ってきたのはつぼみといつきと菖とゆりの四人だけで、えりかはお弁当の準備すらしてこなかったらしい。

そのことでゆりにお説教をもらったのだが、それはまた別の話。

閑話休題(それはともかく)

菖のお弁当は、もちろん、つぼみたちだけでなく、ゆりとコロンも口にしていたのだが、その顔つきは中学生組と異なり、真剣なものだった。

「……菖、君も大概、乙女心を壊すよねぇ」

「そうね……」

「……うん?どういう意味だ、コロン??ゆり??」

「そのまんまの意味だよ?」

「……どうしてこうも美味しく作れるのかしらね?」

菖の作ってきたお弁当を食べながらゆりは、羨ましい、と言いたそうな顔で菖をにらみつけていた。

その視線に、菖は冷や汗を伝わせながら。

「知らない」

と答えるのが精いっぱいだった。

もっとも、そんな答えで納得する乙女たちではない。

「あ、あの、できれば秘訣を……」

「教えてくれないと、もも姉ぇに言いつけるぞ~?」

「やっぱり、なにかコツがあるんですか?」

「そのあたり、全部教えてくれないと……ひどいわよ?」

「……勘弁してつかぁさい……」

四人からの視線にすっかり威圧されてしまい、菖は顔面を真っ青にして、そう返すのが精いっぱいだった。

----------------------------------

その後、どうにかゆりたちは落ち着きを取り戻し、菖も威圧感から解放され、安堵していた。

もっとも、それを抜きにして。

「それで?どんな秘訣があるのかしら?」

料理がどうしたらうまくなるのか、その秘訣を聞くことは忘れていないゆりさんたちであった。

菖はそのしつこさにいい加減辟易し、仕方ないといった様子で教えることにした。

「特別なことは何もしてないよ」

「……そんなことないでしょ?」

「ほんと。味見をちゃんとすることと、少し薄味にすることくらいかなぁ」

「そんなことなの?」

菖の口から出てきた秘訣に、えりかは目を丸くした。

えりかが想像していたのは、特殊な調味料を使うことや食材に何か仕掛けをすること、あるいは料亭でやっているような仕込みを模倣しているというものだった。

だが、予想とまったく違う秘訣に、拍子抜けしてしまったようだ。

「薄味にしとけば、あとから自分で好きなように調整できるし、なにより、塩分や当分の過剰摂取を避けることにもつながるからな……ばぁばからの知恵だよ」

ばぁば、というのは、今は亡き菖の祖母のことだ。

菖が小学校にあがってから間もなく、川を渡ってしまったが、それまでに菖は様々な知恵を彼女から教えてもらった。それだけでなく、彼女は菖や、将来、菖のお嫁さんになる人に向けて、様々な知恵を伝えようとノートを残してくれていた。

その中に、料理のレシピも存在していたのだ。

レシピの中には必ず、味見をすることと薄味に仕立て好みで調整すること、という文言があるのだ。

「けど、それだと好みにあった味になって決しておいしいとは……」

「そこはそれ、一般的なレシピを見てそれに合わせるだけ」

「基本に忠実に、ということですね」

「そういうこと」

「えぇ~……なぁんか、それってつまらないっしゅ」

ゆりがきれいにまとめたというのに、えりかは文句をたれていた。

そんなえりかに、ゆりではなく菖がお説教を開始した。

「えりか?そんなこと言って、基本をおろそかにした料理がどれだけまずいかわかるか?下手をすれば破壊兵器になるんだぞ?」

「……へ?」

「もちろん、食材を洗剤で洗うなんて言語道断だ。だがそれだけでなく、調味料と使った食材の相性、食材の切り方、火を入れる順番。そういう一つ一つの細かいものを大切にしていかないと、料理ってのは一瞬で崩壊するもんだ」

「え、えぇっと……菖さん?」

「そもそも、調理ってのは世界共通の文化であり、人間が共有し受け入れることのできるものであって……」

くどくど、くどくど、くどくど、くどくど。

菖のあまりのマシンガントークぶりに、えりかは反論を許されず、正座の状態でしおらしくなっていた。

「……始まっちゃったわね」

「菖さん、なんだかすごいです……」

「文化のことになったりすると、菖さん、ほんとにすごいよね……」

菖がえりかを説教している姿を横目に、ゆりとつぼみ、いつきの三人は妖精たちと一緒に残った料理に舌つづみを打っていた。

「まったく……えりかも変に口答えしなかったら、今頃菖の料理を堪能できてたのに」

「「あ、あははは……」」

「でもそれがえりかですっ」

ゆりが呆れながらつぶやくと、つぼみといつきは苦笑を浮かべ、コフレは卵焼きをほおばりながら、ゆりにそうツッコミを入れていた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~昼食後~
えりか「……や、やっと解放されたっしゅ……」
つぼみ「えりか、今回ばかりは自業自得です」
いつき「あははは……ところで、コロン。なんで僕の肩に?」
コロン「あんな状態のゆりの近くにいるのは無粋ってもんだと思うよ?」
シプレ「どういうことでしゅ?」
コロン「ほら」
いつき「……菖さんとゆりさんが並んで歩いてる……」
えりか「傍から見たらカップルみたいっしゅ」
つぼみ「……」Σ(゚д゚lll
いつき「あ、つぼみがしぼんだ」
えりか「つぼみだけに?」
つぼみ「……こんな状況じゃ笑えないです……」lll )


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とある昼休みの菖とゆり

やらかしました、第二弾。
ぶっちゃけ反省はしてないですけども。
そろそろラジオネタがなぁ……
ひとまず、本編どうぞ。
……あ、あとがきのスキットはまた後日(浮かばなかったんだもの、しかたないっすよね……)


『お昼ごはんを堪能しているみなさま、こんにちは~。まぁたまたやってまいりました~放送委員きっての美人MC、前川愛音で~す!本日はみなさまお待ちかね、週末特別放送でお送りいたしておりま~す』

明堂学園の昼休み。

学校中で一人の少女の声が響いていた。

その声は、明堂学園の生徒ならば知らない人はいないという有名人のなかの一人、前川愛音だった。

『特別放送ということで、今回も特別ゲストのお二人に来ていただきました~!では、紹介お願いしまっす!!』

『……誘拐(アープダクション)された春川菖です』

『同じく、菖と一緒に強制連行された月影ゆりよ』

特別ゲストと紹介されたのは、愛音と同じく、明堂学園の有名人だった。

一人は、前回も出演した、通称『断れない男』菖で、もう一人は、学園きっての才女であるゆりだった。

どうやら、今回の菖の相方はゆりが務めるらしい。

文句をいわれながらも、愛音はそれを無視するかのようにして放送を続けた。

----------------------------------

(以降、スキット風でお送りします)

愛音「改めまして、本日の特別ゲストは、『断れない優男』にして『明堂学園のインディ・ジョ○ンズ』春川菖さんと、『明堂学園一の才女』月影ゆりさんのお二人に来ていただきました~!いやぁ、春川さんは本日で二度目の参加ということになりますねぇ。先日はありがとうございました」

菖「あぁ、はいはい……まったく、いつかまた来てくれって頼んできたのはいいけど、今日だって聞いてないぞ」

ゆり「近くにいたわたしまで強制連行して……ほんとに強引ね、あなた」

愛音「いやぁ~、照れますなぁ」

菖、ゆり「「褒めてない」」

愛音「ガーンッ!!……なんて冗談はほどほどにして」

菖「……明らかにショックを受けてたような……」

ゆり「(……菖、これは気にしてはだめよ。飛び火するわ)」

菖「(……だな)」

愛音「……お二人がひそひそと何を話しているかは、とりあえずスルーして……実は、前回の放送の際に取りあげた相談者さんから、お礼のお手紙が来ているんですよ♪」

菖「前回の?……あぁ、告白云々のやつだっけ??」

愛音「はい!実は、その相談者さん、無事に意中の方とお付き合いできることになりまして」

菖「……まさかと思うけど?」

ゆり「……実践したというの?」

愛音「さぁ?」(^^♪

菖「……そりゃ、自分の命と引き換えだったらつき合うっての選択するだろ……」

ゆり「実質、選択権がないのと同じだものね」

愛音「サスペンスから始まる恋物語……ありだとおもいます!!」

菖、ゆり「「いや、ないから」」

~~~~

つぼみ「菖さんとゆりさんのダブルツッコミです!」

えりか「ほんと、仲がいいというか、いいコンビというか……」

いつき「息ぴったりだよね、二人とも」

~~~~

愛音「まぁ、せっかくなので、読み上げさせていただきますねぇ~♪」

菖「……プライバシーとかはどこへやら……」

愛音「『こんにちは、先日はありがとうございました。春川さんと明堂院さんのアドバイスのおかげで、無事、大好きな彼と付き合うことになりました』」

菖「……いや、どっちかってぇと生命の危機を感じてじゃないのか?」

愛音「『そういえば、ふと思ったのですが、春川さんって月影さんとよく一緒にいますよね?お二人ってもしかして、もしかするんですか?ぜひ、聞かせてください』とのことなのですが……ぶっちゃけ、どうなんです?」

菖「残念ながら、そんなロマンチックな関係じゃないよ」

ゆり「……そうね、ただの幼馴染。何の変哲もない、退屈な関係よ」(--メ

菖「……あの、ゆりさん?なんで怒ってるんでしょうか?」

ゆり「知らないわよ、ばか」

~~~~

えりか「出たっしゅ、菖さんの特性『どんかん』……」

いつき「こればっかりは、直しようがないけど……ちょっとどうなのかなぁ」

えりか「これじゃつぼみがかわいそうっしゅ」

いつき「うんうん」

つぼみ「あ、あの……なんでわたしなんでしょうか……」

~~~~

愛音「それはそれとして、今回、お二人をお呼びしたのはほかでもありません。放送委員宛てになかなか面白い企画が届いたのでさっそくそれを実行しようかと」

菖「……いやな予感しかしない」

ゆり「……奇遇ね、わたしもよ」

愛音「まぁ、企画といっても、明堂学園の有名人である御二方にいろいろあれこれ聞きたいから質問コーナーを設けてくれってだけなんですが」

菖「……ほんと、俺らってこういうときの予感は当たるよな」

ゆり「……そうね。疫病神でも憑いてるのかしら?菖、仁頼さんにお祓いを頼めない?」

菖「俺からも頼んでおくよ……もらうものはもらうけど」

ゆり「そこはあなたが立て替えてくれるんじゃないの?」

愛音「……えぇ、お二人が何やらいちゃラブトークを……」

菖、ゆり「「いちゃラブなんてしない/わよ」」

愛音「……えぇ、お二人の仲がよろしいということを再確認したところで、本日のコーナー、行ってみよう!!」

菖「さて、今回はどんなカオスを呼び起こすのか」

ゆり「……カオスを呼び起こすのは確定なのね……」

愛音「というわけで、今回は特別ゲストのお二人宛てに届いた質問をびしばしぶつけていこうと思います!まずは春川さんから!!」

菖「いきなりだな」

愛音「まずは、PN(ペンネーム)「あなたの御耳のお友達」さんから。『春川さん、こんにちは!』」

菖「はい、どうも」

愛音「『ぶっちゃけ、お聞きしますが、月影さんとはいったいどういうニヤニヤな関係なんですか?正直に、すっきりすっぱり答えてほしいぜ!』とのことですが……」

菖「さっきも言ったけど、幼馴染ってだけなんだけどなぁ……あぁ、でもこれみよがしに付き合おうなんて考えるなよ?」

愛音「おっとぉ?!それはまさか??!!」

ゆり「……そうね。せめて菖よりも高スペックだってところを見せてからでないとね」

菖「そういうこと」

愛音「……えぇっと、春川さんよりも高スペックというと?」

ゆり「炊事洗濯、掃除は基本として、お菓子作りに裁縫、あとはそれなり以上の教養……かしら?あぁ、あと、体力も必要ね」

愛音「……それ、高校生には無理なのでは?」

ゆり「あら?やっている人が目の前にいるじゃない」

~~~~

えりか「そんなハイスペック超人、明堂学園じゃ菖さんしかいないっしゅ」

つぼみ「えりか、それを言ったらだめです」

いつき「まぁ、事実なんだけどねぇ」

~~~~

愛音「さて、では次の質問。PN「ガンプラ大好きっ子」さんから。『春川さん、こんにちは!試験前はいつもお世話になってます』」

菖「……正直、俺より先生の世話になってほしいんだけどな」

愛音「『春川さんは甘いものがお好き、と伺いました!もし、春川さんお勧めのお店があったら教えてください!もちろん、食堂とかでも全然OKです!!』……とのことです」

菖「う~ん、けっこうあるけど……大丈夫かな」

愛音「おぉ!構いませんよ!!ぜひぜひ、教えてください!!」

菖「んじゃま……えぇと、まずは小泉学園の移動式販売店『タコカフェ』、夕凪市のベーカリー『PANPAKAパン』、サンクルミエール市の和菓子屋「小町」、四つ葉町の移動式カフェ『KAORU’Doughnaut Cafe』、我らが希望ヶ花市の和菓子屋「はらや」、加音町のケーキショップ『Lucky Spoon』、七色ヶ丘のお好み焼き屋『あかね』、横浜市中華街の喫茶店『点心華心』、大貝町の洋食屋『ぶたのしっぽ』、ぴかりが丘の弁当屋『おおもりご飯』、夢が浜市のドーナツ屋『マーブルドーナツ』と和菓子屋『春屋』、津成木市の移動式ベーカリー『Mofu Mofu Bakery』……最近だと、イチゴ坂市のスイーツ店『キラキラパティスリー』かな」

愛音「……まじでたくさんありますね……つか、全部制覇したんですか?!」

菖「まぁな」

ゆり「まぁ、理由はわかるわよね?」

愛音「……あぁ、趣味でやって来た町で小腹が減ったからちょっと立ち寄ってみたらおいしかった、と」

ゆり「そういうパターンよ」

愛音「……なんすか、その外回り営業マンみたいな見つけかた」

菖「ははははっ」

~~~~

つぼみ「ま、まさかこんな形でプリキュアオールスターズがあげられるとは……」

えりか「ぶっちゃけ、ありえないっしゅ!!」

~~~~

愛音「しかし、かなりいろんなお店に行ってますねぇ……ちなみに、一番のお勧めってあったりするんですか?」

菖「ん~、どこもおいしいんだけど、ちょっと意外なものを食べたいってときは『点心華心』をお勧めするかなぁ」

ゆり「あら、そうなの?」

菖「あぁ。なにせこの間食べたスイーツが『ゾンビ肉のケーキ』とかって」

愛音、ゆり「「……はいっ??!!」」

菖「な、びっくりするだろ?」

ゆり「……食べた、のよね?」

愛音「ぶ、ぶっちゃけ、どうだったんですか?!」

菖「見た目はあれだったけど、普通においしかった」

愛音「……ぶっちゃけ、ありえな~い……」

ゆり「……どこかで聞いたような……」

愛音「……気を取りなおして、次は月影さんへの質問です!!」

ゆり「あら、わたしのターンなのね」

愛音「はい!というわけで、PN「ももちー」さんから。『月影さん、こんにちは!初めてお手紙します』」

ゆり「えぇ、こんにちは」

愛音「『月影さんって放課後はふだん、どこで過ごしているんですか?もし、お勧めの場所があったら、教えてください!』とのことですが……」

ゆり「そうね。特別、遊ぶ場所というわけではないけれど」

愛音「ほうほう?」

ゆり「夕凪市の『大空の樹』、サンクルミエール市の『時計塔』、希望ヶ花市の『植物園』なんかはおすすめね。特に最初の二つはちょっとしたデートスポットにいいんじゃないかしら?」

愛音「お~、なるほど!!」

~~~~

いつき「……まさかここでもか……」

えりか「……ほんと、あたしらの行動範囲ってどうなってるんだろ……」

つぼみ「あはははは……」

~~~~

愛音「さて、さくさく行きましょう!お次はPN「美少女戦士」さんから。『月影さん、こんにちは』」

ゆり「えぇ、こんにちは」

愛音「『単刀直入にお伺いします!告白されるなら、どんなふうにされたいですか?!』……って、随分、ストレートな……」

ゆり「あら、可愛らしくていいんじゃないかしら?」

愛音「う~む、しかし……ぶっちゃけ、どうなんですか?」

ゆり「そうね……ストレートに自分の気持ちを口で伝えてほしいわ。目をそらさず、ちゃんとわたしの顔を見て」

愛音「……それができるのって、春川さんしかおらんのでは?」

ゆり「うふふ♪どうかしらね?」

愛音「これは……実践してもらうほかありませんな!!」

菖「……飛び火した……」

ゆり「あら、ごめんあそばせ♪」

菖「"申し訳ない"なんて1ナノミクロンも思ってないだろ」

ゆり「あら、わかるかしら?」

菖「何年来の付き合いだと思ってんだよ」

愛音「……あのぉ、春川さん?それで、実践のほうは……」

菖「やるわけないだろ、恥ずかしい」

ゆり「あら?やってくれないの?」

愛音「乙女の純情を弄ぶんですか?!」

菖「おいおい、こんな公の場で、それもお遊びでやる時点で乙女の純情も何もないだろ!!」

ゆり「……菖……」

愛音「お、おぉう……まさか月影さんが上目遣いで春川さんにおねだり……これは貴重なシーンです!!」

~~~~

えりか「なんですとぉっ??!!」

つぼみ「は、はわわわわ!!……お、お二人とも、ふ、フレンチです!!」

いつき「……それを言うなら、破廉恥じゃないかなぁ……」

~~~~

愛音「さぁ、春川さん!男なら覚悟を決めて!!」

菖「……はぁ~……わかったよ……と言いたいけど、残念だったな」

愛音、ゆり「「え?」」

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

菖「昼休み、終了だ」

愛音「はぅあっ??!!」

~~~~

学園内全員『はいぃぃぃぃっ?!』

~~~~

愛音「……ひ、非常に残念な結果になりましたが……今回はこれにて……くっ!こうなれば、春川さん!!」

菖「はい?」

愛音「お昼休みが終わって脱力してしまっている乙女と野郎どもに激励の一言を!!」

菖「……だから、なんで俺?」

ゆり「あら、いいじゃない♪」

菖「……はぁ……」

愛音「というわけで!」

菖「え?ちょ?」

愛音「3、2、1……キュー!!」

菖「……夢に向かって頑張る君の横顔、見てみたいな」

~~~~

学園内女子『……(キュンッ)』

~~~~

愛音「……ぜ、前回ほどではないにしても、これはキュンッと来ちゃいますね……月影さんは平気そうですが」

ゆり「慣れの問題ね」

愛音「……さいですか……それでは、本日の放送はこれまで!みなさん、午後は先生方の催眠術にお気をつけください!!ではでは~♪」




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~数日後~
ももか「……それで、菖くん」
菖「はい、なんでしょうか、ももかさん」(・ω・;
ももか「ゆりに告白のまねごと、したの?」
菖「してません」
ももか「なぁんでよ!」Σ( □ ;
菖「俺みたいな趣味に全力を注いでるやつが彼氏なんて、ゆりに迷惑だろ」
ももか「愛の前にそんなものは無にも等しいのよ!!」(`・ω・´ 
菖「いや、そんなキリッ!とした顔で言われても……」
ももか「もぉ~……ゆりもなんか言ってやって!!」
ゆり「……」(--
ももか「……ゆり?」
ゆり「……あ、ごめんなさい。何の話だったかしら?」
ももか「……だめだ、こりゃ」( □ lll


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とある昼休みの菖とクラスメイト

リクエストにお応えして、今回は菖と菖のクラスメイトのお話。
なお、ゆりとももかは出てきません。
必然的につぼみたちも出てきません。
なお、今回は許可をいただき、偉大なる先人様の作品に登場しているキャラクターに出演してもらっています。
どなたが出ているのかは、本編をどうぞ!


ある日の昼休み。

菖は珍しく、ゆりとももかとは一緒に行動していなかった。

ももかはいつも通り、一日中仕事でいないのだが、ゆりのほうは法事があるということらしく、今日は忌引きとなっていた。

とはいえ、いつもの二人がいなくとも、菖はぶれることなく、いつものように研究書に没頭し始めた。

のだが。

「お~いっ!春川~!!」

一人の眼鏡をかけた男子が声をかけてきた。

その声に気づいた菖は顔を上げて、声をかけてきた男子のほうへ視線を向けた。

「……ん?なんだ四月一日(わたぬき)か」

「なんだとはなんだよ……って、珍しいな、来海はともかく、月影もいないのか」

「ももかはいつも通り、ゆりは法事だとさ」

なるほど、と四月一日と呼ばれた青年は納得したようにうなずいた。

彼は四月一日君尋(きみひろ)。菖とゆりのクラスメイトであり、通称「明堂学園のオカン」である。

「誰がオカンだっ!!」

「……いや、どうしたよ?」

「……すまん、なんか突っ込まないといけないような気がしたんだ」

「はははは……今の時間、そうそういない(・・・)だろ、声かけてくるやつ」

突然の叫びに、菖が問いかけると、君尋は、そうなんだけどさ、とつぶやき、謝罪しながらそう返した。

「にしても珍しいよな、春川が一人でいるなんて」

「まぁ、基本的にゆりかももかが一緒だからなぁ……そういうお前だって、百目鬼(どうめき)九軒(くのぎ)といつも一緒じゃないか」

「ひまわりちゃんはともかく、百目鬼のやつとは好き好んで一緒にいるわけじゃない!!」

「ははは……相変わらず、毛嫌いしてるのな」

明堂学園高等部には、いくつか名物が存在している。

菖とゆり、そしてももかの三人も、『学園の有名人三人組』として有名なのだが、それと同じくらい有名なのが、『夫婦漫才コンビ』とまで呼ばれている四月一日君尋と百目鬼静の組み合わせだ。

理由はわからないが、君尋は静を見ているとイライラしてくるらしい。もっとも、最初のうちは理由なく苛立っていたのだが、最近では自分が作った弁当を勝手に食べたり、『次はあれを作ってくれ』と要求してきたりと、君尋からして見れば傍若無人にもほどがある態度に苛立ちを覚えるらしい。

静の印象については、君尋曰く、『傍若無人にして無愛想、何を考えているかわからない腹立たしい奴』なのだそうだ。

だが、実のところ、静は明堂学園でもかなりの人気を誇っている。

君尋は、おそらくそこも気に入らないのだろう。

明堂学園男子を全校生徒の投票でランキングにした結果、一位には「明堂学園一のイケメン」と呼ばれているクラスメイトの御剣明(みつるぎあき)が、二位には菖と君尋、そして静と君尋の遠縁にあたる李小狼(りしゃおらん)が、それぞれランクインしている。

この五人の人気は中等部の頃からのもので、五年近く、揺らいだことがない。

ちなみに、女子の部では一位にはももかがランクインし、二位にはゆりとクラスメイトの九軒ひまわり、木之本桜(きのもとさくら)の三人がランクインしているという結果だ。

この四人についても、中等部の頃からランキング順位が揺らいだことはなく、「明堂高校の美少女四人組」とさえ呼ばれている。

閑話休題(それはそれとして)

「で、どうしたよ?わざわざ四月一日のほうから来るなんて」

「あぁ、珍しくお前一人だろ?だから、小狼と明誘って、一緒に飯食わないかと思ってな」

「百目鬼はいないんだな」

「当たり前だ!!てか、あいつは黙ってても来るから呼ぶ必要すらない!!」

もはや確信しているらしい。

そう思っているあたり、君尋は静のことを理解していると言えなくもない。

「ははは……なら、お言葉に甘えようかな」

「おぅ!甘えろ、甘えろ!!」

「……なぜに、上から目線……」

君尋の言い方に苦笑を浮かべながら、菖は君尋のあとについていくのだった。

----------------------------------

屋上に到着すると、すでに明と小狼が場所を取って待っていた。

「遅ぇぞ、四月一日。まさか、春川の趣味に付き合ってたんじゃねぇだろうな?」

「遅かった。君尋、春川」

黒い長髪をポニーテールにまとめた明が不敵な笑みを浮かべながらそんな皮肉を言うと同時に、琥珀色の癖っ毛をした小狼が微笑みながら同じようなことを口にした。

二人の言葉に、悪い悪い、と同時に返しながら、菖と君尋は座り、持ってきた弁当箱を開けた。

なお、ここにいる全員、料理のスキルはそれなりに高いが、あえて順序をつけるとすれば、君尋=明>小狼>菖、といったところだろう。

そのため、ふたが開いた弁当箱の中身はそれなりのできとなっている。

ちなみに、今日の弁当の中身はそれぞれ、次のような感じになっている。

 

君尋=中華

明=中華+和食

小狼、菖=和食

 

ふと、明が四月一日の弁当をのぞき見て、にやり、と笑みを浮かべた。

「お、今日の四月一日弁当は中華か」

「……また大家さんからのお達しか?」

「てことは、今日の四月一日家の夕食は中華三昧だな」

「そういう春川の弁当は今日も和食じゃないか」

「和食は正義!……って言いたいけど、じぃじが和食以外あまり食べないからさぁ。脂っこいものは胃にくるし」

「そういう意味じゃ、俺らみたいな一人暮らしは気楽でいいな。好きなもんを好きなように作って食える!」

どや顔になりながら明が自慢そうに言うと、菖は苦笑を浮かべながら。

「だからって、毎日スイーツなんてのは骨に優しくないからな?」

と返した。

それについては大丈夫だ、と明は反論したが、その場にいた全員が心中では、どうだか、とつぶやいていた。

この場にいる男子全員、料理が得意なのだが、趣味がお菓子作りであるのは唯一、明だけだ。

『甘いものは正義』とすら言ってのけるこの美青年は、それほどスイーツ好きである。

下手をすれば三食スイーツでも大丈夫だ、と言ってしまいそうで、菖たちは気が気ではないのだ。

ふと、君尋は背後から気配を感じ取り、牙をむいて振り返った。

「くぉら!百目鬼!!まぁたてめぇは人の弁当を勝手に……」

「……ん、んまい……腕を上げたんじゃないか?春川」

「ははは……そりゃどうも。けど、せめて一言、言ってくれ」

いつの間にか現れた静が、ひょい、と菖の弁当箱に入っていただし巻き卵を一つつまみ、口の中に放り込んで感想を口にした。

その様子に、君尋は目くじら立てて説教を始めたが、静は指で耳をふさぎ、聞く耳もたぬ、という様子だった。

そんな二人の漫才を見ながら、菖たちは自分の弁当の残りを片付け始めるのだった。




というわけで、今回は葵つばめさんの「花を護る騎士 ブレイドナイト」から、主人公、御剣明さんに出演していただきました。
設定としては、スペックと性格はそのままに、ブレイドナイトとしての能力だけがない、という感じです。
とはいえ、持ち前の鋭さで「菖には何かしらの秘密がある」とは感じている、という具合です。追求しないのは藪をつついて蛇を出すつもりがないから。
つばめさんにはこの場にて御礼申し上げます。許可をいただき、ありがとうございました。
なお、他のキャラクターは、CLAMP作品の中でも五指に入る傑作(と私は勝手に思っている)である「ツバサ」(あるいは「カードキャプターさくら」)と「xxxHolic」の主要登場人物に出ていただきました。
まぁ、小狼とさくらはどちらかといえば「ツバサ」寄りの方ですが。
どっちかといえば、「堀鍔学園」に近いのかな?
キャラのブレは……このさい気にしないでください!(半泣
----------------------------------
あとがき代わりの後日談(スキット風)

~数日後~
明「よ、春川」
菖「御剣。どうした?」
明「いんや?今日は少し生き生きしてるなと思ってな。やっぱ、月影と来海がいるからか?」
菖「ははは、どうだろう?まぁ、けどあの二人がいると自然と元気になるのは間違いないかなぁ」
君尋「あぁ、小狼も似たようなこと言ってたかなぁ」
菖「ほぉ?」
明「ほほぉ?」
君尋「ほら、小狼、木之本と付き合ってるだろ?『桜がいないと、なんだか調子が狂う』ってぽろっとこのあいだ」
菖「あぁ、なるほど……ちなみに、四月一日と御剣はそういう人っているのか?」
君尋「俺はひまわりちゃん~♪」
明「ん?そうだなぁ……んぁ~……」
菖、君尋「「……」」
明「……やめろ、なんでそんな憐れむ視線を向けるんだ」
菖「いや、なんというか……」
君尋「……不憫な」
明「……よぉし、先にゴングを鳴らしたのはお前らだからなぁ……?肚ぁ括れよ!」(-言-メ
菖「ちょっ?!それはパス!!」Σ(0□0;
君尋「逃げるぞ、春川!!」Σ(0ω0;
明「待ちやがれ!!」(0言0メ
ゆり「……何やってるのかしら、まったく……」(-□-;
ももか「まぁ、いつものことでしょ」(^ω^;
ひまわり「うふふ、なんだか楽しそう♪」
桜「うんうん!」(^▽^*


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とある菖がいない日のゆりとももか

ゆり「……作者、これは一体どういうことかしら?」(-△-メ
斗真「……な、なんのことかなぁ?お、おおおおっさん、わわわわわからないなぁ」(-▽-;

ゆりさんがご立腹な理由は本編にて。
ぶっちゃけ、現代社会で妻公認の愛人ってありなんでしょうか、なしなんでしょうか?
それ次第で菖争奪戦の行方が変わるんですがねぇ……


その日は休日。ゆりと、珍しく仕事が一日フリーとなっていたももかは二人で公園のベンチに座っていた。

普段なら、つぼみとえりか、いつき、そして菖と一緒に植物園のぬいぐるみ館でお茶会をしたり、ももかと菖と一緒に勉強したり、買い物に出かけたりしているはずだった。

だが、間が悪いことに菖は海外に渡航しているため、現在、日本にいないのだ。

そのため、ゆりは読書に集中してしまい、ももかはその隣で暇を持て余していた。

「……」

「……」

「……うぅ~……」

「……」

「……ひ~ま~っ!!」

手足をばたつかせながら、ももかが文句を言い始めた。

だが、いつもなら構ってくれる菖がここにいないため、ももかのじたばたはしばらく続いた。

そんなももかを横目に、ゆりは読書に集中していた。だが、その心中は決して穏やかなものではなかった。

「……ももか、いい加減にしなさい?」

「う~っ!だって~っ!!」

「だってじゃないわ。いくら構ってくれる人がいないからって、あなた少しはしたないわよ?」

「……ぶ~……ゆりだってほんとは退屈なんじゃないの~?」

むくれながら、ゆりの言葉にももかが反論してきた。

その反論に、ゆりは思わず言葉を詰まらせた。

確かに、退屈なのか、退屈ではないのかと聞かれれば、確実に前者だ。いや、より正確に言うならば、落ち着かないのだ。

なにしろ、ゆりと菖は幼馴染で、何をするにもほとんど一緒に行動していた。そのため、菖の趣味に付き合い、一緒に遺跡探検をしたこともある。

高校生になってからはそういうことはなくなったが、それでも休日は菖と一緒に行動することが多いのは事実だ。

「……反論できないわね」

「ほらやっぱり!!……というか、思ったんだけど、ゆりって菖くんのことどう思ってるのよ?」

「あら、前にも放送で言ったけれど、本当にただの幼馴染よ??」

ももかの突然の質問に、ゆりは顔色一つ変えずに返した。

その反応に、ももかは、にやり、と何か企んでいるような微笑みを浮かべた。

「なら、わたしがもらっちゃっても……」

「それはだめよ」

ゆりはももかが言い終わらないうちに、鋭い視線とセットで返した。

その視線にたじろぎながらも、ももかは頬を膨らませて抗議を始めた。

「ぶ~っ!!いいじゃん!!ゆりにとって菖くんはただの幼馴染なんでしょ??!!」

「えぇ。けれど一言も、他の人に取られていい、なんて言ってないわよ?」

そのあたりは菖も同じである。

昼休みの放送の時に、菖もゆりのことをただの幼馴染と公言しているのだが、これ見よがしに付き合おうとか考えるな、と警告もしていた。

要するに、互いに恋愛感情は抱いているのだが、長すぎるくらいの時間を一緒に過ごしてきたため、そのあたりの感覚がすっかり麻痺してしまい、一緒にいるのが当たり前、という認識にすり替わっているのだ。

だからこそ、菖はゆりが誰かと付き合っている場面を想像できないし、その光景にもやもやしたものを感じるし、ゆりも菖が誰かと手をつないで歩いている姿を想像できないし、したくもないのだ。

「……それじゃ、仮にゆり以外の女の子だったらどんな子なら菖くんと付き合っても納得するの?」

「そうね……芯が強くて、他人や植物を思いやる優しさを持っていて、成長しようと努力し続ける子なら、構わないと思うけれど」

ゆりの口から返ってきた答えに、ふと、思い当たる人物が浮かび上がったももかは、首を傾げた。

「……あれ?なんかいま、つぼみちゃんの顔が浮かんだような……」

「気のせいじゃないかしら?」

ももかの疑問に、ゆりはくすくすと微笑みながら返した。

実際のところゆりは、つぼみなら菖を取られても仕方がない、と思っている。

つぼみが菖に対して親愛や憧憬のようなものを超えた、小さな恋心を抱いていることには気づいているし、つぼみ本人もその恋心に自覚を持っている節がある。

だからこそ、言外にライバル宣言をしているし、つぼみなら菖を任せることができる、と思っているのだ。

もっとも、だからといって、簡単に取られるつもりもないのだが。

――他にも菖を好きな仲間はいるみたいだけど、負ける気はしないわよ

本から目を離し、雲を見上げながら、ゆりは誰に対してでもなく、宣戦布告をするのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~菖、帰国後~
来海姉妹「「菖くん/さん、おかえり~っ!お土産は~っ?」」
菖「……あ?恩師の葬式で向こうに行ったのに土産もなにもあるか」(-皿-メ
つぼみ「……しょ、菖さん、なんだかちょっと怖いです……」(((;ω; )))
いつき「菖さんが海外に行く用事って、大抵が遺跡探検だから、さも当たり前のようにお土産せびられて怒ってるんじゃないかなぁ……」(^^;
ゆり「おかえりなさい、菖。どうしたのよ?なんだかご立腹みたいだけど」
菖「そこのおバカ二人に聞けばわかる」
ゆり「……あぁ、なるほど……用事が用事だったのにお土産せびられたのね?」
つぼみ「ゆ、ゆりさん、よくわかりますね……」
いつき「さすが幼馴染」
えりか「……もういっそ、結婚しちゃえばいいのに」
菖、ゆり「「……っ???!!え、えりか?!変な冗談言うな/言わないでっ!!」」Σ(///□///
えりか「……およ?」
いつき「……なんか、いつもと反応が……」
つぼみ「違うような……」
ももか「ふ~ん?」(・∀・


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菖の発掘品コレクション(スキット風)

リクエストにお応えして、今回はスキット風。
中の人ネタってことだったんですけど、すみません、みんながみんなを発掘品で出すのは無理だったので、主にF○Oネタに集中させていただきました。
まぁ、何がどの子のネタなのかはあとがきにて。


えりか「そういえばさ……あたしたち、菖さんのこと知ってるようで知らないこと、多いよね?」

つぼみ「そうですね……」

いつき「うん、獅子戦吼(菖さんの得意技)とか、いままで発掘したものとか」

ゆり「気になるなら、見せてもらえばいいじゃない。ね、菖?」

つぼみ「いいんですか?!」

菖「ん~……まぁ、写真でよければ。けどいま手もとにないから、明日でもいい?」

全員『もちろんです/っしゅ/よ』

菖「……意外だな、ゆりが興味持つなんて」

ゆり「あら?わたしだってあなたがどんなものを見つけたのか、興味あるわよ」

菖「さよで……」(-▽-;

----------------------------------

~翌日~

菖「さて、持ってきたよ」

えりか「わっはは~い!見せて見せて~!!」(^ω^*

つぼみ「いっぱいあります!!」Σ(0□0;

いつき「すごい数ですね」(^^;

ゆり「小学生の頃から遺跡探検していたものね……ゆうに百は超えてるんじゃなかったかしら?」

中学生組「「「そんなにっ??!!」」」

菖「まぁ、そこから先は数えてないけどねぇ……」

つぼみ「そ、それでどんな出土品があったんですか?」

菖「まずは、これかな」

ゆり「……これは、石かしらね?欠片、ということはなにかの一部?」

いつき「これだけじゃなんとも想像できないですね……」

菖「イギリスで最も有名な英雄の一人に由来するもの、っていわれてるな」

つぼみ「イギリスで最も有名な……」

えりか「英雄の一人?」

ゆり「……もしかして、ロビン・フットかしら?」

いつき「もしかして、クー・フーリンですか?」

菖「クー・フーリンはアイルランドの英雄だぞ?イギリスとアイルランドは別物だから、気をつけろな?ちなみに、正解は円卓の騎士」

えりか「……円卓の騎士?」

つぼみ「イギリスで有名な王様、アーサー王に仕えていた十二人の騎士のことです。彼らが集い、会議をするときは必ず決まって円卓で行われたことから、円卓の騎士、と呼ばれたそうですよ?」

菖「良く知ってるな、つぼみ。補足すると、アーサー王の史実性については諸説あるから省くけど、騎士道を重んじた王と言われ、理想とする人物の一人として数えられているんだ」

えりか「へぇ……」

いつき「……それで、この石の欠片がアーサー王ゆかりのもの、ってことですか?」

ゆり「いったい、何なのかしらね?」

菖「曰く、円卓の一部、なんだとさ」

中学生組「「「へぇ~……」」」

菖「ま、まだ調査中だからなんとも言えないけど」

ゆり「……それで、次は?」

菖「ん?そうだな……これなんかどうかな?」

ゆり「あら……なにかの研究書、かしら?」

いつき「そこまで古くはない感じですね……」

えりか「何が書いてるの?」

菖「……言っても笑うなよ?」

中学生組「「「うんうん」」」

菖「未確認飛行物体(U.F.O)黄金郷(エルドラド)、果ては宇宙人との交信についての考察なんかが書かれた研究ノート」

ゆり「いわゆる、超常現象の研究ノート、というわけね?」

菖「その通り(That's right)

えりか「へぇ……てか、なんでそんな研究ノートがあんの?」

菖「第二次大戦時、ナチが神秘の力を使って戦争に勝とうとしていたって噂、聞いたことない?」

いつき「え?」

つぼみ「ナチってなんですか?」

菖「……あ、そこから?」

ゆり「ナチスドイツのことよ。ちなみに、日本も第二次大戦の頃は神秘の存在を利用しようとしてた節があった、というトンデモ話を聞いたことがあるわ」

菖「いや、事実だと思うぞ?現に、帝国陸軍の腕や肩に五芒星の護符が弾除けとして縫いつけられていたらしいし」

中学生組「「「へぇ……って、五芒星がなんで護符になるんですか?」」」

ゆり「そういえば、そうね。日本の信仰で星が関連しているなんて思えないけれど」

菖「……日本出身の魔法使いって聞いて、誰を想像する?」

菖以外『……??』

菖「一番メジャーなのは安倍晴明だな。特に晴明は五芒星と縁が深いんだ」

ゆり「あら、そうなの?」

菖「あぁ。陰陽道の考え方に、五行相克ってのがあるのは、ゆりも知ってるだろ?」

ゆり「えぇ。たしか、万物は火、水、土、木、金の五つの属性に分かれていて、それらは互いに打ち消し合う、というものだったわね?」

菖「そ。で、相克とは反対に相生って考え方もあるんだ。この二つを相関図にようにすると、あら不思議、五芒星の出来上がりってわけ」

つぼみ「ほ、ほんとです!」

菖「そんなわけで、五芒星は陰陽道のシンボルって位置づけることができるんだ。現に、安倍晴明の家紋は桔梗紋、五芒星なわけだし……で、そこから派生して、五芒星を護符にするようになったんじゃないかな?」

えりか「へぇ……知らなかったっしゅ!」

いつき「普通、触れる知識じゃないからね……けど、菖さん、よく知ってますね」

菖「それこそ、俺の趣味」

中学生組「「「あ、あははは……」」」




というわけで、中の人ネタ大公開。
といっても、量が増えそうだったので、三人に絞らせてもらいましたがね。(汗

・円卓の欠片→モードレット:紅トワ
       マシュ=キリエライト(ギャラハド):朝比奈みらい
・研究ノート→エレナ=ブラヴァッキー:黄瀬やよい

まぁ、本当ならアーチャー・インフェルノも加えたかったんですが、まだ私自身、彼女の真名解放してないんですよね(-▽-;
なので、今回は見送らせていただきました。


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とある昼休みの美少女四人組(スキット風:前編)

リクエストにお応えしまして、美少女四人組をゲストにラジオ回です。
とはいえ、ちょっと文字数が多いし、話題を大きく二つに分けようと思いまして、前編と後編に分けさせていただきます。
ついでに、今回は頭っからスキット形式なので、ご了承ください。


愛音「というわけで、毎週末恒例の昼休み特別放送!みなさん、こんにちは。放送委員一の美声MC、前川愛音です」

さくら「こ、こんにちは!木之本桜です」

ひまわり「九軒ひまわりです、今日はよろしくね♪」

ももか「来海ももかで~す♪」

ゆり「……月影ゆりよ」

愛音「というわけで、今回の特別放送は明堂学園高等部が誇る美少女(トップビューティー)四人組に来てもらいました~♪……おら、喜び叫べ野郎ども~!!」( □ メ

さくら「あ、愛音さん……?」(^^;

ひまわり「なんだか、すごい興奮してるね、今日は」

ももか「あははは……」

ゆり「……はぁ……今日も混沌とした放送になりそうね」(--;

ひまわり「いつものことじゃない?」

ゆり「えぇ、その通りね……」

 

----------------------------------

 

菖「また珍しい組み合わせだな」

君尋「お、ひまわりちゃんとさくらちゃんの共演か」

小狼「そうか。さくらが言ってたのはこのことだったのか……」

明「てか、愛音のやつ、はっちゃけてやがるな」

静「そりゃ学園のトップ美人四人がそろってるからな。あれこれいじくり倒す絶好のチャンスと思ってんじゃないか?……春川、これもらうぞ」

菖「ん?あぁ、構わないぞ」

君尋「って、お前はまた人のものを!!」( □ メ

 

----------------------------------

 

愛音「さて、改めてまして。本日はみなさん、お集まりいただきましてありがとうございます!月影さんは今回で二回目の御出演ですね」

ゆり「そうね」

ももか「確か、菖くんと一緒に出てたのよね~?」(・∀・

ひまわり「そういえば、そうだったね?」(^∀^

ゆり「……ももかと九軒さんはなんでニヤニヤしているのかしら?」(--

ももか「だって、そりゃね?」

ひまわり「ね~?」

ゆり「……意味がわからないわ」

さくら「は、はぅ~……」(^ω^;

愛音「まぁ、そんなニヤニヤなお話は置いておくとして」

ゆり「置いておくのね……」

愛音「今回、皆さんにお集まりいただいたのはほかでもありません……仲良しの皆さんにいろいろあれこれ伺いたいというのもそうなんですが……ぶっちゃけ、恋愛トークが目的ですっ!!」

四人『……え?』

愛音「だって、皆さん美人なのに木之本さん以外に浮いた話がまったくないのでそのあたりどうなのかとか、意中の方はいらっしゃるのかとか、木之本さんと李さんのいちゃラブについて根掘り葉掘り聞いてやろうと……」

さくら「ほ、ほえ~~~~~~っ!!!さ、最後のはなんだか変なの混ざってなかった???!!!」Σ(///□///

ゆり「あら、面白そうね」

ももか「ほほ~う」(・∀・

ひまわり「うふふ、さくらちゃん、頑張ってね?」

さくら「はうぅぅぅ……」

愛音「まぁ、それは冗談として」

さくら「じょ、冗談なのね……」

ももか「あら、残念」(´・ω・`

ひまわり「うふふ♪」

ゆり「……ももか、ほんとに残念そうな顔するのね……」

愛音「えぇと、本音を言いますと、皆さんをゲストにして放送してほしいって要望がありまして」

ももか「ふむふむ」

愛音「募集した質問がもう段ボール箱四つ分ぐらいたまってるんですよ」(^ω^;

ひまわり「あら、そんなに?」

さくら「ほえぇ……」

愛音「あ、ちなみに一人につき一箱です。誹謗中傷まがいのものとか、ほとばしるリビドーのままに出てきた愛の告白とか、卑猥な要求とか、放送事故すれすれになるものなんかは取り除いております」

ももか「それにしたって、箱一個ってすごい量よねぇ……」

さくら「うん、さすが、来海ちゃん」

ももか「……いや、木之本さんのぶんもあるんだけど?」(^^;

 

----------------------------------

 

君尋「さすが、すごい人気だな。さくらちゃん」(・∀・

明「あぁ。こりゃ、李もうかうかしてられねぇんじゃないか?」

小狼「……どういうことだ?」

明「下手したら、他の誰かに横からかっさらわれちまうぞってことだ……四月一日の弁当みたいにな」

小狼「なっ???!!!」Σ( □ lll

君尋「俺の弁当?……って、あーーーーーーーーーっ!!!!!百目鬼、てめーーーーーーーーっ!!」Σ( □ メ

静「……もぐ」(-ω-

菖「あはははは……」

 

----------------------------------

 

愛音「さて、というわけで、時間も押しているので、さくさく進めていきましょう!」

さくら「お、お手柔らかにお願いします」(^^;

ゆり「……それでも対応しようとするあたり、やっぱりいい子よね、木之本さん」

さくら「え?そうかな??けど、わたしは月影さんもいい人だと思うよ?」

ひまわり「うんうん!近寄りにくい雰囲気出してるけど、みんなのこと気にかけてくれているの、わたし知ってるよ?」

ももか「うふふ♪ゆり、男の子だけじゃなくて、女の子からも大人気ね♪」

ゆり「……あ、ありがとう……」(/// ///

愛音「え、えぇっと……なんかわたしだけ除け者なんですが……」

ゆり「あ、ごめんなさい。それで、最初の質問って何かしら?」

愛音「あぁ、はい。最初の質問は……って、みなさんの様子を見ていただければ答えていただく必要、ないんですよね……」

さくら「ほえ?」(・ω・?

愛音「最初のみなさんへの質問。実は、皆さん、仲がいいのか悪いのかってものだったんですよ」

ももか「あぁ、なるほど。いまのをみたら一目瞭然だもんね」(^ω^;

愛音「そういうことです!まぁ、できれば、なれそめといいましょうか、どういう経緯で仲良くなったのかをお聞きしたいのですが」

ひまわり「きっかけは、四月一日くんと春川くんかしらね?」

愛音「ほうほう!『明堂学園のインディー・ジョーンズ』こと春川さんと、『明堂学園のオカン』の四月一日さんですか!!……こういっちゃあれですけど、意外な組み合わせですね?」

ゆり「そうかしら?」

ももか「う~ん……そうかも?ほら、これが菖くんと李くんだったらわからないでもないけど」

ひまわり「うん??……あ、そっか。李くん、考古学に興味があるもんね!!」

ももか「そうそう」

 

----------------------------------

 

君尋「そうなのか?小狼」(・ω・?

小狼「あぁ。だから春川からはしょっちゅう論文とか、専攻研究の本を貸してもらってるんだ」

明「ある意味、せんせーの理解者ってわけだな」

菖「せんせー言うな」(--;

 

----------------------------------

 

愛音「それで、どういう経緯なんでしょうか??」

ひまわり「春川くんも四月一日くんも、お料理上手だから」

さくら「何時の間にか意気投合してたって感じだったよね?」

ももか「で、元々、四月一日くんと仲が良かった九軒さんと百目鬼くん、あと、四月一日くんの親戚の李くんと、恋人の木之本さんがセットになって仲良くなったって感じよね?」

ゆり「あと、『なんだかんだで面白そうだから』って理由で、御剣くんも一緒につるむことが多いわね」

愛音「おぉ!『明堂学園一のイケメン』、みんな振り向くあんちくしょうの御剣さんですか!!いやぁ、ぜひともお近づきになりたいんですよねぇ……」

さくら「でも、わたしは御剣くん、ちょっと苦手かも」

ひまわり「あぁ、お兄さんに似てるんだっけ?」

さくら「そ。お兄ちゃんったら、いつも意地悪するのよ?それに、最近じゃ小狼くんにも意地悪するし」

ゆり「それだけ、二人のことがかわいいってことよ」

ももか「あぁ……構い方がわからなくてついいじわるしちゃうって感じかなぁ……」

愛音「おや?来海さん、なにかありましたかな?」

ももか「うん……ちょっとね」

ゆり「ももかも、一時期、えりかとの付き合い方に悩んでたことがあったものね」

愛音「あぁ、中等部ファッション部の部長さんでしたかね?文化祭のファッションショー、見事でしたねぇ……って、妹さん??!!いらしたんですか??!!」

ももか「……なんか、意外な反応ね……」

ゆり「知っていたと思ったら、知らなかったのね……」

 

----------------------------------

 

えりか「断固、抗議させてもらいたいっしゅ!!」(>□<メ

つぼみ「えりか、落ち着いてください!!」Σ(>□<;

いつき「気持ちはわかるけど、落ち着いて、ね?」(^^;

 

----------------------------------

 

愛音「さて、それでは次の質問……えっと、代表して、ペンネーム『恐怖の着ぐるみくまさん』から」

さくら「ほ、ほえぇぇ……」

ひまわり「変わったペンネームね」

愛音「『ぶっちゃけ、お聞きします……皆さん、好きな異性のタイプってどんな感じなんですか?!根掘り葉掘り聞きたいんじゃよ~!ふぇっふぇっふぇ~♪』だそうで……」

ゆり、ももか、ひまわり「「「木之本さん/さくらちゃんは李くん/小狼くん一択だから、意味のない質問ね/よね/だね」」」(・∀・

さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇ~~~~~っ!!!!!」Σ(///□///;

愛音「おやおや~♪明堂学園のほんわかお姫様にはすでに王子様がいらっしゃると!!」(・∀・

さくら「お、お姫様……お、王子様……はうぅぅぅ~~~~~……」(///□///

ひまわり「……あらら」

愛音「羞恥心のあまり気絶してしましたか……」

ゆり「……ちょっと、からかいすぎたかしらね?」

ももか「あははははぁ……」

愛音「……えぇっと、なんというか……正直、ごめんなさい」

 

----------------------------------

 

校内男子『うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!おのれ、李ーーーーーーっ!!!!』

小狼「……」(/// ///

菖、君尋、明「「「ニヤニヤ」」」(・∀・

 

----------------------------------

 

愛音「ま、まぁ、気絶しちゃった木之本さんはひとまず回復するまで置いておくとして、どうなんですか?御三方は」

ももか「そうねぇ、御剣くんみたいなかっこいい人だったら大歓迎かなぁ」

ゆり「ももかは昔からそういうところがあるわね」

ひまわり「そういう月影さんは、御剣くんのことどう思ってるの??」

ゆり「ただかっこいい人ってだけね。スペックも申し分ないのでしょうけど、いかんせん、性格の部分でついていけないわ」

愛音「あらあら、学園一の才女から手厳しい一言が」

ひまわり「なら、月影さんのお眼鏡にかなう男の子って誰なのかなぁ?」(^ω^*

ももか「そりゃねぇ~」(・∀・

ゆり「……あによ?」(--;

愛音「お?これは、もしかしなくても、もしかしちゃう感じですか??」

ひまわり、ももか「「うふふふふ♪」」(・∀・

ゆり「……ぷぃ」(///A///

 

----------------------------------

 

校内男子『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!まさか、春川なのか?!春川なのかぁぁぁぁぁっ??!!』

明「で、どうなんだ?センセー」(・∀・

君尋「おらおら、素直に言っちゃえよ?」(・∀・

小狼「……言った方が、楽になるときもあるぞ?」

菖「……ノーコメント」(/// ///

静「……もぐ」

君尋「……って、お前は色気より食い気か!!」( □ #

(後半へ続く



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とある昼休みの美少女四人組(スキット風:後編)

というわけで、後編です。

斗真「……今気づいた」
菖「うん?」
斗真「そろそろこの小説、100話になる」
ゆり「なぜ驚いているのかしら?」

作者が驚愕している理由は本編の後!


愛音「さてさて、なんだか、若干スルーしちゃってるのか、されちゃったのかはわからない人が一人二人いますが……気にせず、次の質問、いっちゃいましょう!!」(>▽<

さくら「……スルーするんだ……?」

ゆり「木之本さん、突っ込んだら負けよ」

愛音「さてさて、ペンネーム(PN)『前世はターミネーターだよ、まじで』さんから!!」

ひまわり「あら、面白いペンネームね♪」

愛音「『甘いものはお好きだったりしますか?どこかお勧めのお店とかあったら、是非是非教えてください!!』とのことです」

ももか「う~ん、お店かぁ……」(-ω-

ゆり「わたしとももかの場合、ほとんど菖と同じなのよね」(-ω-

愛音「といいますと、いつぞや話してくれたお店、ということでしょうか?」(・ω・?

ゆり、ももか「「その通り/よ」」

ひまわり「どんなところなの?」

ゆり「希望ヶ花市だと、和菓子「はらや」ね。けど、希望ヶ花市以外にも、小泉学園とか夕凪市、サンクルミエール市、四葉町……他にもいろいろあるわね」

さくら「へぇ~……」(0□0;

愛音「……今さらながら、春川さんの行動範囲って、どうなってるんですかね?」(-ω-;

ゆり「さぁ?」

ももか「こればっかりはゆりもわかんないかぁ……」

愛音「ある意味、明堂学園の七不思議として認定できそうですね~」

 

----------------------------------

 

明「……で、「はらや」以外のスイーツ店ってどこがあるんだ?」(`・ω・´

菖「前に言ったと思うけど?」(^^;

明「いちいち覚えてられっかよ。教えろ」

静「おいおい……」

君尋「御剣の食いつき、すげぇな……」

小狼「……さすが、明堂学園のスイーツ男子」(^^;

 

----------------------------------

 

ゆり「九軒さんたちは、どこかあるの?」

ひまわり「わたしとさくらちゃんは、お店にいくことってほとんどないかしら?」

愛音「そうなんですか?」

さくら「うん、たいていは自分で作るよ?」

ひまわり「あとは李くんか四月一日くんに作ってもらってるかな~」

愛音、ももか「「なん……だと……」」Σ(゚д゚

ゆり「……なんでショックを受けているのかしら?」(^^;

愛音「……わたしって、女の子としてどうなんでしょう……」

ももか「それいったら、わたし、お料理できない……」

愛音「女子力……」

ももか「低い……」

愛音、ももか「「……」」( ω lll

さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇ……」

ひまわり「あ、あらら……」

ゆり「……なるほど、女子力の低さにショックを受けている、というわけね……」

愛音「というか、みなさんの周りの男子がおかしいんですよ!!」

ゆり「あら、八つ当たり?」

愛音「だってそうじゃないですか!!掃除、洗濯、料理、三拍子そろった『明堂学園のオカン(四月一日くん)』に、一人である程度のことはできちゃう『断られない男(春川さん)』と『さわやか王子様(李さん)』、『寡黙なナイスガイ(百目鬼さん)』!!そして果てはチートの権化たるハイスペックパーフェクト男子『明堂学園一のイケメン(御剣さん)』がすぐ身近にいるんですよ??!!」

ゆり「菖は幼馴染だもの。すぐ身近にいるのは当たり前だと思うのだけれど?」

さくら「小狼くんも小学生のときから近くにいてくれてるし……そ、それに、わ、わたしのここここ、恋人、だもん……」(/// ///

ひまわり「で、わたしと来海さんは」

ももか「そんな二人のお友達なわけだから」

四人『すぐ身近になっちゃうのは必然だと思うわよ/んだけど/のだけれど/じゃないかな?』

愛音「うがーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

----------------------------------

 

君尋「恋人」

静「恋人か」

菖「恋人な」

明「恋人だとさ」

四人『よかったな、小狼/李』

小狼「……」(/// ///

 

----------------------------------

 

愛音「はぁ……はぁ……」

ゆり「落ち着いたかしら?」

愛音「はい……お聞き苦しい放送になってしまい、申し訳ございません」

さくら「あはは……」

愛音「さて、気を取りなおして……っと、そういえば、四月一日さんや李さんからはどんなものを作ってもらうんで?」

さくら「小狼くんはパンケーキとか、シンプルなのが多いかな?あ、時々、点心を作ってくれるんだよ」

ひまわり「四月一日くんはその日の気分次第ってところが多いかも……あ、でもバレンタインのときはフォンダンショコラ作ってくれたっけ♪あとは……シフォンケーキ、おいしかったなぁ……」

愛音「……ま、まさかの男子からのチョコ……」

ひまわり「もちろん、洋菓子だけじゃなくて、お饅頭とか和菓子も作ってくれるよ?」

ゆり「そういえば、いつだったか黒いお饅頭と白いお饅頭の二種類を作ってきたことがあったわね」

ももか「あ、もしかしてあの可愛かったやつ?」

ゆり「そうよ」

さくら「モコちゃんみたいで可愛かったよねぇ♪」

ゆり「えぇ。思わず懐かしくなっちゃったわ」

愛音「え、えぇっと、モコちゃんというのは、もしかして某人気漫画のキャラクターのことでしょうか?」

四人『その通りよ/だよ』

愛音「おぅ……息ぴったり……」

 

----------------------------------

 

菖「そういえば、御剣と四月一日でスイーツ対決したこと、あったよな?」

明「あぁ、あったな、そんなの」

君尋「結果は引き分けだったな……お前のせいで!!」(-□-#

静「どっちもうまかったんだ。優劣なんぞつけられるか」

小狼「百目鬼らしい理由だな」(^^

菖「ははは……」

 

----------------------------------

 

ゆり「菖はそれほど凝ったものは作らないわね。それなりにバリエーションはあるけれど」

ひまわり「今度、菖くんと一緒に合作してみたいって話してたよ?」

ゆり「あら。それじゃご相伴にあずかろうかしら?」

ひまわり「うん。四月一日くんも喜ぶんじゃないかな?」

愛音「ふむふむ……つまり、お勧めのスイーツは男性諸君が作ってくれたもの、と?」

ももか「曲解すると、お勧めのスイーツは男の子?」

さくら「……ほぇ?」(・ω・?

ゆり「何をどう解釈すればそんな見解を出せるのかしら?」

ひまわり「……四月一日くんはおいしくないと思うけどなぁ?」

ももか「え?ゆりは食べたくないの?菖くんのこと」

ゆり「わたし、食人主義者(カニバリスト)じゃないんだけれど?」

ももか「いや、そっちの意味じゃなくて、もう一つ、別の意味で」

ゆり「もう一つの……?……って???!!!」Σ(///□///

ももか「にっしし~♪」

ゆり「……ももか、あとでお説教よ」

ももか「え~~~っ」

ゆり「え~、じゃないわ!!高等部の子たちならともかく、つぼみ……中等部の子たちに悪影響が出たらどうするのよ!!」

ももか「……いまさらっとつぼみちゃんの名前出してなかった?」

ゆり「話をそらさない!!」

さくら「……ねぇ、ひまわりちゃん、愛音さん。「別の意味」ってどういうこと??」

ひまわり「さくらちゃんは知る必要、ないんじゃないかな~?」

愛音「そうそう……木之本さんは純粋なままでいてください……」

さくら「……ほえ?」

 

----------------------------------

 

菖「……なぜだろうか。俺、今、背筋に寒気が……」

小狼「大丈夫か?」

静「風邪じゃないのか?」

菖「いや、風邪じゃないな、これ……」

 

----------------------------------

 

愛音「さてさて、それでは次の質問!!PN『言葉でなで切り』さんから!!『明堂学園のイケメン五人組のなかで、皆さんはどの人がタイプですか?』だそうです」

ゆり「またずいぶんと突っ込んだ質問ね……」

さくら「あははは……」

ももか、ひまわり「「木之本さん/さくらちゃんは李/小狼くんで、ゆり/月影さんは菖/春川くんに決まってるもんね?」」

さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇっ????!!!!」Σ(///□///

ゆり「な、なんで菖で確定なのよ!!」Σ(/// ///

ももか、ひまわり「「だって、ねぇ?」」(・∀・

愛音「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!おのれ、リア充~~~~~~~っ!!ハイクを読め!カイシャクしてやる!慈悲はない!!」

 

----------------------------------

 

ネタがわかる人々『アイエーーーーーーッ??!!ニンジャ?!ニンジャ、ナンデ??!!』

菖「……なんのネタだ?」

小狼「さぁ?」

静「わからんな」

君尋「同じく」

明「おいおい」(^^;

 

----------------------------------

 

愛音「って、ぶっちゃけ、御剣さんと百目鬼さん、四月一日さんはどうなんですか?」

ももか「わたしは断然、御剣くん♪あのちょい悪って感じだたまらなく痺れちゃう♪」

ひまわり「わたしはどっちかっていうと、百目鬼くんかな?四月一日くんも嫌いじゃないけど、タイプっていうのとはちょっと違うかも」

愛音「おや?彼氏にしたいというわけではない、と??」

ひまわり「うん。ほら、四月一日くんって、恋人っていうより、お嫁さんに来てほしいって感じじゃない?」

ももか「あ、なんとなくわかる!」

ゆり「料理上手なうえに、裁縫もできる。おまけに家事全般が得意……確かに、恋人というよりも主婦って感じよね」

ひまわり「ね?」

愛音「なるほどなるほど」

 

----------------------------------

 

君尋「なぁっ??!!ひ、ひまわりちゃん……またそんなことを……」(;ω;

菖「あははははっ!!!」

君尋「くっ!!春川!!お前、笑いごとじゃないだろ!!」

小狼「君尋が主婦、か……ふふっ、たしかに似合いそうだ。割烹着とか」

静「実際に、似合っているときがあるからな」

君尋「百目鬼は黙れ!!つか、小狼、お前まで!!」

 

----------------------------------

 

~キーンコーンカーンコーン~

愛音「おっと!楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。というわけで、今回の放送はこれまで!改めてまして、みなさん、ありがとうございました!最後にみなさんにメッセージを一言お願いします!!」

ゆり「あら、菖のときみたいにはならないのね?」

さくら「え、えっと、何をいえば??」

ももか「それじゃ、僭越ながら、わたしから……んんっ、みんな!楽しんでくれたかな?これから午後の授業が待ってるけど、頑張って乗り切ろう!!」

ひまわり「楽しんでくれたら、うれしいかな?」

さくら「うぅ……は、恥ずかしかったけど、楽しかった、かな?みんなも楽しんでくれたら、うれしいな」

ゆり「ふふっ、楽しんでくれたら幸いだわ……それと、菖。どうせ聞いてたんだろうから子の場で話すけど、四月一日くんと一緒に何かつくったなら、ごちそうしてもらうから、覚悟してね?」

愛音「お、おうふ……月影さんの笑顔がおっかないです……さて、それでは今週の放送はここまで!みなさん、午後の授業(お勤め)も頑張りましょ~」




あとがき
斗真「いや、50話を超えた時点でこれまでの最高記録を更新してるんだけど、まさか100話に手が届きそうになるとは思いもしなかった」
ゆり「あら。なら100話到達記念で何かやるのかしら?」
斗真「100話目は本編にするって決めてるんだよ。もうじきイベントあるし」
ゆり「イベント?」
菖「あぁ、なるほど……メリー・クルシミマスか」
つぼみ「あの、それを言うなら、Merry X'masかと……」
菖「作者は独り身だし、どうせ仕事だからクルシミマス(これ)でいいんだよ」
斗真「ほっとけ!!」

というわけで、そろそろ100話に届きそうなわけです(^^;
いやはや、ネタに困らないっていうのもありがたいですが、なにより、皆さまの応援あってこそ。
今後も頑張りますよ!!


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とある寒い日の菖とゆりとつぼみ

寒い日が続きますなぁ……
というわけで、こんな寒い日の話題を。


その日は、秋に入ったばかりにも関わらず、冷たい風が吹き荒れていた。

普段よりも肌寒くはあるが、菖とゆりは相変わらず、二人並んで登校していた。

(さみ)ぃなぁ……」

「そうね」

「……全然、寒そうに見えないんだが、それは俺の目の錯覚か?」

「えぇ、その通りよ?」

菖の問いかけに、ゆりはあっけらかんと返してきたが、カバンの中からコロンが反論してきた。

「いや、これでもゆりは今日、少し多めに着ているよ?」

「コロン、カバンの中にいる間は黙っててほしいって言ったわよね?わたし」

「周りには誰もいないんだから、いいじゃないか……それにしても、寒いね、ほんと」

カバンの隙間から顔をのぞかせながら、話しかけてくるコロンに同意するように、菖とゆりはうなずいた。

ちなみに、現在の菖の装備は制定品のコートに紺色のマフラー。ゆりは制定品のコートに白いマフラーと耳当てをつけて、黒のストッキングである。

ちらり、と菖は隣を歩くゆりの方へ視線を向けるとゆりは視線で、どうしたのか、問いかけてきた。

「いや、いつもの恰好じゃないからさ、つい」

「……似合ってないかしら?」

「そんなことはない。似合ってるから、ちょっと見惚れた」

若干、顔を赤らめながら、菖は視線をそらした。

それが照れているからだということをわかっているゆりもまた、顔を若干赤らめ、視線をそらした。

「……ありがと」

小さくつぶやくようにゆりはお礼を言った。

聞こえていない、と思ってはいるが、それでもやはり気恥ずかしいものは気恥ずかしいのだろう。

もっとも、菖はゆりがお礼を言っていることがわかったので、余計に気恥ずかしくなり、寒さで赤くなっていた顔が余計に赤くなってしまっていた。

そんな二人の様子など知ったことではないというように、元気のいい声が響いてきた。

「菖さん、ゆりさん!おはようございます!!」

声がした方を見ると、そこにはコートとマフラーに身を包んだつぼみの姿があった。

ミトンの手袋をしているあたり、かなりの重装甲だ。

「おはよう、つぼみ」

「おはよう」

ふと、ゆりはつぼみの隣にえりかがいないことに気づいた。

「えりかはどうしたの?いつも一緒に登校してるわよね?」

「はい……えりか、夕べ風邪を引いたらしくって」

おおかた、寒いというのに夜遅くまで暖房をつけるのも忘れて、ファッションデザインに没頭していたのだろう。

なお、いつきは風邪を引いたというわけではなく、引退した身であるにも関わらず、生徒会からの依頼で少し早めに学校へ向かったのだそうだ。

「いつきもいつきで大変だな」

「そうね……というか、生徒会もだらしないわね。いつきがいなくてもちゃんと機能するようにしないと」

ゆりの容赦のない一言に、つぼみは苦笑を浮かべたが、実のところ、つぼみもそう思っているので、あまり強く否定はできなかった。

----------------------------------

菖、ゆり、つぼみは三人で並んで通学路を歩いていると、突然、強い向かい風が吹いてきた。

その強さに、思わず三人は足を止め、身震いした。

「……寒っ」

「……冷えるわね」

「さ、寒いですっ!!」

三者三様の悲鳴の上げ方だったが、つぼみは本当に寒かったらしく、ガタガタと震え始めた。

その様子が不憫に見えたのか、ゆりは申し訳なさそうな表情をした。

「カイロでも持ってくるべきだったかしら?」

「……だなぁ……こういう時、人肌恋しくなるっていうけど、こりゃまじだな」

マフラーを口元まで引き上げ、ポケットに手を突っ込み、できる限り肌を外に出さないようにしながら、菖はそう返した。

その言葉に、何を考えたのか、ゆりは菖にぴったりとくっついてきた。

「へ?どうしたんだよ、ゆり??」

「寒いんだもの。あなたをカイロの代わりにすることにしたわ」

「だからってひっつくか、普通?」

頬を赤くしながら、菖は困惑した様子でゆりに反論した。

が、反論されている方もやはり恥ずかしいらしく、誰の目から見てもわかるほど真っ赤になっていた。

もっとも、そんな状況を許せるつぼみではなく。

「わ、わたしも寒いので、しょ、菖さんに温めてもらいます!!」

顔を真っ赤にして、ゆりと同じように、菖にひっついてきた。

「おいおいおいおい……」

美少女二人に抱き着かれ、さすがの菖も動揺してしまったらしい。

顔を真っ赤にして、おろおろし始めていた。

そんな羨ま……けしからん光景を見た同級生たちから、三人ともからかわれたことは言うまでもない。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~教室にて~
明「さて、春川」
君尋「ちょぉっと顔かしてくれ」
菖「……俺はアンパンから生まれたヒーローじゃないんだけど?」
静「そっちじゃないだろ」
明「学園一の才女に抱き着かれた感想は?」
菖「……それを聞くか」
明「当たり前だ」
君尋「正直に話しちゃった方が、身のためだぜ?」
静「さっさと吐い(ゲロッ)ちまいな」
菖「……黙秘権を行使させてもらいたい」
明「おいおい、お前も男だろ?白状しちまえよ」
菖「やなこった。特に御剣、お前には絶対言いたくない」
明「ちぇっ!つまんねぇな」
----------------------------------
ひまわり「それで、月影さん?」
ゆり「何かしら?九軒さん」
ひまわり「意中の男の子は暖かかった?」
ゆり「……な、何を言っているのかしら?」(/// ///
ひまわり「いま校内もちきりだよ?月影さんが春川くんとついにくっついたって」
ゆり「……誰かしらね、そんな噂を流したのは」
ひまわり「さぁ?」(^^
ゆり「……はた迷惑な話ね」
ひまわり「うふふ♪」


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高校生組のドタバタ騒動記

えぇ……アンケートにお応えしての作品なんですが……
すみません、この場にて謝罪を。
今回、見方によってはヘイトに取られかねない作りになってしまいました。
が、断言します。作者の想像力が足りなかったせいでこうなっただけで、私個人にまったくそのような意図はございません。

それと、ちょっと新しい職場に就職したことと年末に向けての動きの都合上、次話投稿まで少しばかり間を開けさせていただきます。
まぁ、ちょうど通算100話目にあたる話になので、予告通り、リアルのイベントにからんだ物語を、と思っています。



ある日の昼休み。

珍しく、学園のイケメン五人と美少女四人が一堂に集っていた。

そんな中で、ゆりがありえない行動を取っていた。

「はい、明くん(・・・)

「サンキュ、ゆり(・・)

ゆりは自分の弁当のおかずを、明にあげていた。

それも、自分の箸で持って、明の口元へ運んでいる。

いわゆる、"あ~ん"である。

「……どうかしら?」

「ん、うまい。こんなうまい料理作れるんだから、いい嫁さんになれるぜ、ゆり」

「うふふ♪ありがとう」

明からの褒め言葉を、ゆりは素直に受け取っていた。

そんな二人の様子は、まさに恋人同士という様子だった。

そして、それはあながち嘘ではないらしく。

「しっかし、あの二人がなぁ……」

「意外といえば意外よねぇ」

「でも、二人とも幸せそう」

「そうだな」

君尋とひまわり、ももかと小狼は二人を遠巻きにしながらひそひそと言い合っていた。

どうやら、二人が付き合っているというのはあながち嘘ではないらしい。

そんな状況の中で、少なからず、ゆりのことを想っていた菖はというと。

「……は、春川くん?」

「さっきから箸が進んでねぇぞ?もらっていいのか?」

「……あぁ」

弁当箱を眺めていた。

普段なら、黙々と食べているはずなのに、おかずはおろか、ごはんも減っていない。

どうやら、かなり動揺しているらしい。

菖がそんな状態になっていることに、静とさくらは少なからず気遣っているようだったが、まったく気づいていないゆりと明はまだいちゃいちゃしていた。

----------------------------------

放課後になって、菖は一人で下校しようとしていた。

そんな菖の背中を見つけたゆりは、いつものように声をかけた。

「菖、またせ……」

「……俺といるよか、御剣と一緒にいたほうがいいんじゃないか?月影(・・)

ゆりに視線を合わせることなく、菖はそう返してきた。

その語調に棘はないし、敵意もない。

だが、何かが決定的に違う。幼馴染として菖と付き合ってきたゆりだからこそ、その違和感に気づいた。

そして、その正体に気づくまで、大して時間は必要なかった。

「……あ、名前」

いつもならば、ゆり、と呼んでくれる菖なのだが、この時に限って、月影、と苗字で呼んでいたのだ。

だが、その理由がわからない。

春川菖という人間は名前で呼んでいた人物を、いきなり苗字で呼んだりしない。うぬぼれかもしれないが、特に自分にそんなことをするようなことはないと、ゆりは思っていた。

その想いは、もはや確信とまで言ってもよかった。

ならば、何があったのか。

ゆりはそれをずっと考えていた。

すると。

「……どうしたの?月影さん?」

「ゆり、どうしたの?ずっと考え込んでるみたいだけど」

ひまわりとももかが声をかけてくるまで、二人が近づいていることにすら気づかなかった。

ゆりは慌てた様子もなく振り返ると、二人に何があったのかを話した。

「なるほどねぇ……」

「まさか、菖くんがねぇ……というか、九軒さん。これって」

「……うん、そうだね」

二人だけ納得したかのようにうなずきあい、ゆりに視線を向けた。

「「やっぱり、ちょっとやりすぎたってことよね/だよね」」

「……やっぱり、そうかしら……」

二人に同時に指摘され、ゆりは珍しく、落ち込んだ。

かくいう二人も、少しばかり申し訳なさそうな顔をしていた。

実のところ、屋上でゆりと明は付き合っているような素振りを見せていたし、君尋や小狼、ひまわりにさくらも、二人が付き合っているという噂が本当であるかのように振る舞っていたが、それは菖を困らせるための演技だった。

そもそものきっかけは、ゆりが菖になかなか振り向いてもらえないことにやきもきしたことを明たちに相談したところ、それならいっそ、嫉妬させてみたらどうか、という話に発展したのだ。

ゆりからすれば、菖が自分をどう思っているのかを知ることが出来るし、明や君尋からすれば、滅多に見られない菖の姿を見ることができるという、一石二鳥の作戦だったので、珍しくゆりもこの計画に乗っかったのだ。

その結果が、菖からの拒絶とも取れる態度だった。

そして同時に、ゆりの心に一抹の不安が芽吹いてきた。

もし仮に、今回のことが嘘だと菖に知れたら、菖の態度はもとに戻るのだろうか。それとも、ずっと自分を拒絶し続けるのだろうか。

もし前者であれば、まだいい。いや、拒絶され続けるよりはずっといい。

だが、もし後者であったら。それを思うと、ゆりは不安でたまらなくなってしまった。

が、そんなゆりの心に追い打ちをかけるように、さくらが突然、教室に飛びこんできた。

「つ、月影さん!!大変だよ!!春川くんが……」

交通事故で病院に運ばれた。

さくらの口からその言葉が出るか出ないかのうちに、ゆりはカバンを持つのも忘れて、教室を飛びだしていった。

----------------------------------

時間を少し巻き戻し、菖は校門を出て、一人で歩いていた。

が、その心中は決して穏やかではなかった。

表情には出さなかったものの、実のところ、菖の心のうちは、明に対する嫉妬で渦巻いていたのだ。

が、仮にも神事に携わる身であり、視える体質であるため良くないものを引き寄せないようにするため、この感情を表に出すわけにはいかないため、抑え込んでいた。

それこそ、食事に手をつける余裕もないほど。

そして、自分の周囲の状況を認識することが困難なほど。

もっとも、なぜ自分がそうなっているのか、理解できていないわけではなかった。

――あれ?俺、なんでこんな気持ちになってるんだっけ……あぁ、そうか。御剣がゆりと付き合ってるからか……ほんと、今さらなのになぁ……

菖は、自分の趣味である遺跡探検が危険を伴うものであることはわかっているが、やめられそうにないことも同時にわかっていた。

だからこそ、大切に思っているゆりを"特別な人(恋人)"にしたくなかった。

恋人にしてしまったら、もしものとき、ゆりを悲しませてしまうことはわかっていたから。もっともそれは、ゆりが自分をどう思っているか知らないから出てくる、身勝手な考えなのだが。

そこまで考えたとき、菖の耳に、ビッビー、というけたたましい音が響いてきた。そんな気がした。

だが、その音の正体が何なのか、それを確かめることができないまま、菖は意識を手放した。

いたずらが過ぎてしまい、想定以上のダメージを与えてしまったことに気づき、菖の身を案じて追ってきた友人たちに気づくこともなく。

----------------------------------

菖が目を開けると、見えてきたのは見覚えのない天井と、真っ暗になった左半分の視界だった。

何があったのか。

とりあえず、身じろぎしてみたが、その瞬間に激痛が走り、身を起こそうにも起こせなかった。

――つつっ……一体、なにが?

そう思い、視線だけ動かすと、心配そうな顔をしている君尋と小狼が入りこんできた。

そのすぐ近くには、表情こそ変わっていないが、それでもほっとしたような目をしている静と明がいた。

「……何があったんだ?ここはどこだ?」

体は痛むが、どうにかしゃべることはできるようで、菖は事情を知っているであろう四人に問いかけた。

「ここは、病院だ。とりあえず、俺は医者を呼んでくる」

「お前、車に轢かれたんだよ。ぼーっとして歩いてたから」

「ったく、何考えてたんだよ。らしくねぇな」

「……お前のせいでもあることを自覚しろ、御剣」

四人が四人、そう返すと、小狼は宣言通り、医者を呼びに病室を出ていった。

残された三人は、小狼を見送ると、少しばかり気まずそうに問いかけてきた。

「……で、どうしたんだよ。いったい」

「いくら考え事してても、歩いてるときは車や他の人には気づくだろ」

君尋と明が問いかけると菖は、どう答えたものか、とうなり、口を開いた。

「……いや、うん。ゆ――月影と御剣が付き合ってるって知ったら、がらにもなく動揺したらしい」

「やっぱりか……」

返ってきた答えに、静はそっとため息をついた。

君尋と明も反応そのものは同じだったが、こちらのほうはかなり気まずそうにしていた。

「あぁ、じつは……」

と、種明かししようとした瞬間。

突然、病室のドアが開き、ゆりが駆けこんできた。

「菖!!大丈夫なの?!」

「……体中痛いけど、ひとまず大丈夫」

「そう……よかった……」

菖の答えに、ゆりは安堵したのか、ぺたりと床に座りこんでしまった。

どうやら腰が抜けてしまったらしく、立つに立てなくなってしまったようだ。

「……こんな時に支えてやるのが恋人なんじゃないのか?御剣」

「あぁ、そのことなんだが……すまん、あれ実は……」

と、非難するような視線を明に浴びせながら問いかけた菖に対し、明は気まずそうにしながら事の真相を話そうとした瞬間。

床にへたり込みながら、ゆりがその先を答えた。

「……そなのよ」

「ん?」

「だから、嘘なの!わたしと御剣くん(・・・・)が付き合ってるっていうのは!!」

「……四月一日(四月バカ)にはまだだいぶ早いと思うけど?」

だが、ゆりからの言葉を素直に受け止められない菖は、そう言いながら、明に視線を向けた。

が明は、本当だ、と返して続けた。

「お前をどうしたら動揺させる(いじる)ことができるか考えたら、月影(・・)に協力してもらうことが一番だってことになってな……」

「で、俺と小狼、それから来海さんとひまわりちゃんが乗っかったってわけだ……」

明の説明を補足するように、君尋が申し訳なさそうにして付け加えた。

要するに、全部、菖を嫉妬させるための演技だったというわけだ。

もっとも、それが演技だったと知っているのは、張本人である二人と君尋と小狼、そしてももかとひまわりの六人だけで、さくらと静はまったくわからなかったらしい。

なお、静には君尋とひまわりが伝え忘れていたから、ということのようだが、さくらは嘘をつくことが苦手な性格であるため、あえて黙っていたらしい。

一方、答えを聞いた菖はというと。

「……人間不信になりそう、俺……」

と、ふてくされたように見舞客たちから顔をそらした。

もっとも、口ではこう言っているものの、馬鹿がつくくらい人が好い菖のことだから、一週間もすれば元の調子に戻るだろう、と勝手に予想していたことは言うまでもない。

とはいえ、その一週間は本当に人間不信に陥ったらしく、ゆりたちだけでなく、つぼみたちの誘いすらも断るようになってしまったのだった。

なお、菖のけがは奇跡的に大したことはなく、念のための検査入院は一日のみで、その日があければすぐに退院となったことを補足しておく。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~元に戻るまでの経緯~
-事件翌日-
ゆり「おはよう、菖」
菖「……」(プイ
ゆり「……」Σ(゚д゚lll

-事件三日後-
ゆり「菖、一緒にお昼……」
菖「ごめん、用事があるからまた今度にしてくれないか?月影さん(・・・・)
ゆり「……」(;ω;lll

-事件五日後-
ゆり「し、菖……一緒に帰らない?」
菖「……あぁ、構わないよ」
ゆり「……ほっ」

-一週間後-
明「ようやっとせんせーの調子が元に戻ったな」
静「……こうなった原因の一端がお前にあることを自覚しろよ?」
明「ちっ……わぁってるよ」
さくら「ところで……」
ももか「うん……」
ひまわり「そうね……」
君尋「さっきから、あの二人、距離が近くないか?」
小狼「事件からの反動ってところだろうな。まぁ、好きにさせておこう」

ゆり「……菖、今度の日曜日、久しぶりにつぼみたちとお茶会しない?」
菖「そうだなぁ……だいぶ出てないからそろそろ顔出さないとだな」
ゆり「なら、あなたの淹れた紅茶、期待していいのかしら?」
菖「任せとけよ、ゆり(・・)
ゆり「なら、楽しみにしてるわね」(^^*


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とある雪の日の五人組

今週頭の大雪を見て思いついたお話。
たぶん、これが今年最後の投稿になるかと。
みなさん、来年もよろしくお願いいたします。


それは、とある寒い朝のことだった。

「……寒いと思ったら……じぃじ!これ雪かき必要だよ!!」

菖は玄関のドアを開けて、外の景色に愕然としながら中にいる仁頼に声をかけた。

目の前に広がっていたのは一面の雪景色だった。

関東から少し遠い位置にある希望ヶ花市ではあるが、一面銀世界になるほどの降雪はめったにない。

そうなると、神社の管理を任されている一家の人間としてすぐに思い浮かぶのは、雪の中での力仕事なのだった。

そして、菖にとって一年間を通じて、最もやりたくないと思う苦行でもあった。

「……やるか」

だが、そんな苦行でもやらないわけにはいかない。

菖はため息をついて、雪かき用のスコップを取りに向かうのだった。

----------------------------

「お~~~~~っ!!雪だ、雪だ~~~っ!!」

「一面真っ白……すごいですっ!!」

「ほんと、ここまで降るのは久しぶりだね」

一方、別の場所では中学生組がはしゃいでいた。

特に、遊ぶことに関しては全力全開になるえりかのはしゃぎようは、すごいものがあった。

もっとも、そのはしゃぎっぷりから発生するお約束というものは必ずあって。

「ふべっ!!」

足を滑らせて、えりかは雪道に顔面ダイブしてしまうのだった。

つぼみといつきは、やると思ったらしく、その様子を見て、ただただ呆れたといわんばかりの表情を浮かべていた。

ふと、さくさく、と雪を踏む音が聞こえてきて、つぼみといつきは音の方へ視線を向けた。

そこには、マフラーとイアーマフで完全武装をしたゆりの姿があった。

「「あ、ゆりさん!おはようございます!!」」

「おはよう、二人とも……えりかははしゃいで転んだのかしら?」

「その通りです」

「はい……」

「まったく……もう少し落ち着きを持ちなさい?」

ずっこけたままのえりかに向かって、ゆりが警告すると、えりかは力のない声で返事をして、ゆっくりと立ち上がった。

ふと、菖の姿がないことに気づいたのか、えりかは周囲を見まわし、首を傾げた。

「あれ?菖さんは??」

「菖なら神社の方じゃないかしら?この雪だもの。参道や階段の雪かきをしているはずよ」

菖の行動パターンを把握しているあたり、さすが幼馴染といったところか。

そして、菖が仕事をしていることを聞いて、何もしないで遊んでいるほど、つぼみたちは薄情ではない。

「なら、菖さんのお手伝いに行きましょう!!」

「うん!いい鍛錬になりそうだしね!!」

「……って、いつきは結局そこなの?」

ここに来てまで鍛錬のことを考えているいつきに、えりかは驚愕と呆れが入り交じった顔で突っ込みを入れるのだった。

----------------------------

それから少しして、つぼみたちは菖がいるはずの神社に到着した。

鳥居の向こうには、ゆりが言っていた通り、参道の石畳に積もった雪を雪かき用スコップで集めている菖の姿があった。

「菖!手伝いに来たわ!!」

「サンキュー!拝殿の脇の倉庫にまだスコップあるから、それ使ってくれ!!場所はわかるだろ?」

ゆりが菖の姿を見つけるなり、大声で呼びかけると、菖もまた大声でそう返してきた。

むろん、何度か手伝いに来ているゆりは倉庫の場所もしっかり把握していたため、迷うことなくスコップを取りに向かい、つぼみたち中学生組の分も手渡した。

「ほら、あなたたちの分よ」

「「ありがとうございます!」」

「おっしゃあ!頑張るっしゅ!!」

ゆりからスコップを手渡された中学生たちは、やる気十分といった様子を見せた。

見せた、のだが。

「……も、もうだめです~……」

「こ、これ……いつまで続くのぉ……」

つぼみとえりかはものの数十分でダウンし始めていた。

下地が違ういつきは、まだ余裕はありそうだが、それでもやはり疲労の色が濃いようで、くじけそうになっているつぼみとえりかを応援することは難しいようだった。

だが、ゆりと菖はいまだ黙々と作業を続けていた。

「……ふ、普通、ここまで黙々とできる?」

「ゆりさんはともかく、菖さんはわたしたちの倍以上はやってますよね……?」

優秀な人材であることは知っているが、ここまで化け物じみた体力と集中力を見せられると、つぼみとえりかは二人の、ある種の異常さに驚きを隠せないでいた。

そんな二人を横に、菖とゆりは黙々と作業を続け、数十分後には雪かきは完了していた。

「こんなものでいいんじゃない?」

「そうだな。ありがとうな、四人とも。中でじぃじが御汁粉作ってるはずだから、中で食べて温まってくれ」

菖が社務所を指さしてそう告げると、一番早く飛びついたえりかが猛烈ダッシュで向かっていった。

そのはしゃぎぶりに、残されたメンバーは呆れながら苦笑を浮かべていた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~足もと注意~
ゆり「それじゃ、わたしたちも入りましょう」
つぼみ、いつき「「はい!」」
菖「あ、雪かき終わったからって走ると……」
つぼみ「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」
いつき「う、うわわわわっ??!!」
菖「すべるぞ……って、もう遅いか」
ゆり「まったく……もう少し落ち付いて行動できないのかしら?」
菖「まぁ、元気なのはいいことじゃないか」
ゆり「そうね……ところで、菖?」
菖「うん??」
ゆり「転ぶと危ないから、手をつないでもらってもいいかしら?」
菖「お安い御用」
ゆり「あ、ありが、とう……」(/// ///
菖「お、おう」///)
えりか「うん?!なんかラブロマンスの匂いがするっしゅ!!」


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四人組、初詣に行く

手水がない神社って困るんですよねぇ……
その理由は本編にて。
……こんど、地元の神社にお参りするときはペットボトルに水を詰めていこうかな……
あ、ちなみに今回は(というか今回()?)えりかの扱いが少しばかりひどいです
まぁ、えりかはマナーとかそういうのが出てくる話じゃ、こんなふうに扱われるのが通例なのかなぁ、と思いつつ

えりか「ちょ、作者ひどいっしゅ!!」


「そういえば……まだ、初詣に行ってないっしゅ!!」

三が日が過ぎた頃、いつものメンバーでお茶会をしていたハートキャッチ組(四人組)だったが、えりかのその発言に目を丸くした。

「……そういえば」

「そ、そうでした!!」

「あら?わたしと菖はもう初詣に行ってきたわよ?」

「「「いつのまにっ??!!」」」

慌てふためく、というほどではないにしても、少しばかり焦ったような表情を浮かべたいつきとつぼみだったが、ゆりは落ち着いた様子だった。

その余裕は、自分だけ初詣を済ませていたことにあるわけなのだが、中学生組はその行動の速さに驚きを隠せないでいた。

なお、この日も菖は神社の管理という仁頼の仕事の手伝いをするため、お茶会には不参加である。

「菖のご両親が帰っているとはいえ、あんまり余裕はないみたいだったから手伝いに行ったの。その帰りに、ね」

「な、なるほど……」

「それならそうと、声をかけてくれれば」

「あたしたちも手伝いに行ったのに~」

仲間はずれにされたことに、中学生組はしごく残念そうな顔をしていたが、ゆりはそんな三人に鋭い視線を向けた。

「連れていくわけないでしょ?特にえりか」

「ちょっ??!!」

「仁頼さんの雷が真っ先に落ちるのは目に見えているわ」

その理由は言わずもがな。

自分でもわかっていることなので、えりかはこれ以上、反論することができず、むくれてテーブルに突っ伏してしまった。

その様子を見て、ゆりはそっとため息をつき。

「……ま、けれどもまったくご挨拶もなしというのはだめよね、やっぱり」

「てことはっ??!!」

「行きましょう?いまなら、菖の珍しい恰好も見れると思うし」

その一言で、つぼみたちは希望ヶ花神社へ初詣に向かうことになった。

----------------------------

植物園から歩くこと数分。

四人は希望ヶ花神社に到着した。

三が日を過ぎたとはいえ、神社には参拝客がまだ少しばかり並んでいるようだった。

そんな中、参道を歩き、まっすぐに拝殿へ向かおうとしているえりかに、ゆりとつぼみは慌てた様子で止めようとした。

だが。

「こんの、ばっかもーーーーーーーーんっ!!」

境内に響き渡るほどの怒号が四人の耳を貫き、えりかだけでなく、気の小さいつぼみも身をすくませてしまった。

声がした方へ視線を向けると、そこには竹箒を手にした袴姿の菖の姿があった。

「あ、しょ、菖さん……」

「な、なんかすっごくご立腹??」

「な、なんで??!!」

「……えりか、お(めぇ)さん、(みそぎ)もしねぇまま参拝しようたぁ、いい度胸じゃねぇか」

「み、禊?」

禊とは、一般的に水垢離を行って穢れを落とす行為を指す。

だが、神社に水垢離を行うようなスペースは存在しないし、まして今の季節は冬。

自殺行為もいいところである。

「えりか、神社にお参りするときは、まず手水舎で手を洗って口ゆすいで、それから参拝しないと」

「神様に失礼だよ?」

どうやら、つぼみといつきはわかっていたようだ。

だが、現代っ子のえりかはわからないらしく。

「え?そんなに大事なこと?」

と首を傾げた。

その様子に、再び菖の怒りが燃え上がった。

「ほほぉ……えりか、お前は汚れた格好で人様の家に上がりこむのかい?」

「……しないっしゅ」

さすがにえりかでもそんな失礼なことはしない。

だが、手水舎で禊を行わないまま参拝するということは、菖が言ったことと同じことをするようなものなのだ。

そのため、参拝前には手水舎で身を清めることは参拝のマナーと言えるのである。

なお、よく間違える人がいるが、手水舎で身を清める手順は、右手で柄杓を持ち、左手、右手の順に手を洗い、左手に柄杓の水を移し、その水で口をゆすぐ。そして再び左手を洗い、柄杓の柄を洗う。

これが正しい手順だ。

もっとも、簡略化で左手を再度洗うことをしない、というものもあるのだが。

ちなみに、これを柄杓一杯分の水で行わなければならない。

「うぅ……ま、まさか菖さんがここまで厳しい人だったなんて……」

「自業自得よ」

「それと、勉強不足です!」

「いい勉強になったじゃないか」

「うぅ……」

手水舎に並び、なぜか江戸っ子口調になっていた菖に教えられた通りの手順で禊を終わらせ、つぼみたちはようやく拝殿の前に立った。

ガラガラ、と鈴を鳴らし、賽銭を投げた一同は、二度、軽くお辞儀をしてから、ぱんぱん、と二回、拍手してからもう一度、お辞儀をした。

さすがのえりかも、二礼二拍手一礼の手順はわかっていたらしい。どこか間違えていないか、がっちがちに固まってはいたことは、ご愛敬、というものだろう。

こうして、中学生組は無事に初詣を終わらせたのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~おみくじ~
えりか「みんなでおみくじ引こう!!」
いつき「うん!」
つぼみ「賛成です!!」
菖「ちなみに、引いたおみくじは持って帰っても全然問題ないからな」
中学生組「「「はーい!」」」
えりか「というわけで!」
いつき「いっせーの」
つぼみ「せっ!!」
全員『……』
つぼみ「だ、大吉です!!待ち人、すでに近くに。恋愛、想い続ければかなう……やりました!!」
いつき「わたしは小吉かぁ。ゆりさんと菖さんは?」
ゆり「わたしは吉よ」
菖「俺は末吉だ」
つぼみ「えりかは……」
えりか「……凶……」
菖「あらら」
ゆり「大凶じゃないだけ、まだいいんじゃないかしら?」
えりか「うぅ……」
菖「……まぁ、結んでいきゃいいさ」
えりか「はいっしゅ……」
菖「……しっかし、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)様もなかなかどうして……」
つぼみ「木花咲耶姫?」
菖「うちの神社の祭神。桜や山の神さまで、天照大神の孫神と婚姻された女神だよ」
いつき「女神さま、なんですか」
菖「そ……ちなみに美人とされている」
四人『へ、へぇ……』


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高校生組の初詣

初詣ネタをもう一発。
今回は高校生組ですが、最初に断っておきます。
ア・ラ・モード組はいません、希望ヶ花市在住の彼らだけです。
初詣って、本来、土地の神様へのご挨拶ですからね、ご容赦を(-ω-;


それは、三が日のある日のこと。

希望ヶ花神社の社務所で、ゆりと菖は菖の両親と並んでお守りやおみくじの販売をしていた。

「本年もよろしくお願いいたします」

「五百円です」

「こちらですね」

「お気を付けて」

次々にやってくる参拝客をさばきながら、新年の挨拶を交わしていると、菖とゆりの目の前に見覚えのある顔がいくつか出てきた。

「よっ!おめでとうさん」

「「「明けましておめでとう/ございます」」」

「「今年もよろしく/な」」

「あっけおめ~!」

「「謹んで、新年お慶び申し上げます」」

明堂学園高等部の美男美女揃い踏みである。

ちなみに、女子はさくらとひまわり晴れ着。ももかと男子はそれぞれコート姿である。

「おぉ、ゆりが巫女服だぁ!!」

「とっても似合ってるよ、ゆりちゃん」

「うんうん!本物の巫女さんみたい!!」

「うふふ、ありがとう。さくら、ひまわり」

女子は女子で、ゆりの巫女服姿を褒めていると、男子たちは菖の袴姿を珍しく思い。

「へぇ?馬子にも衣裳ってか?」

「おいおい、本職のやつにちと失礼じゃないか?」

「似合っているな。四月一日に割烹着着せているような雰囲気だ」

「んだと、てめーっ!!」

「おいおい、ちったぁ静かにしてくれや」

冗談を交えながら、そんなやりとりを繰り広げていた。

順番待ちの参拝客は、苦笑いを浮かべながら新年早々、にぎやかな九人やりとりを、苦笑しながら見守っていた。

----------------------------

それから少しして、菖とゆりは友達と一緒に参拝してくることを許され、君尋たちと一緒に拝殿の前に並んでいた。

ちなみに、ゆりは巫女服、菖は袴姿のままである。

もっとも、首にマフラーは巻いているのだが。

「寒くないか?ゆり」

「大丈夫……ありがとう、菖」

とはいえ、寒いことに変わりはないうえに、マフラー以外の防寒具を身に付けていないため、菖はゆりにそう問いかけたのだが、ゆりの生来の我慢強さがここで出てきたらしい。

とはいえ、参拝客の熱気のおかげか、確かにさほど寒さは感じないのも事実なのだが。

「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけど」

「ん?」

突然、一緒に並んで歩いていると、ももかが問いかけてきた。

「参拝の手順って、どうやるんだっけ?」

「「「「……おいおい」」」」

ももかのその言葉に、菖と静、そして君尋と小狼は呆れたといわんばかりのため息をついた。

だが、少なくとも君尋はひまわりの一言で態度を変えた。

「あ、それわたしも知りたい」

「もっちろん!丁寧に教えてあげるよ~♪」

「……ももかはともかく、ひまわりもだったか……」

「いかにも、現代の若者だな」

二人して参拝の作法がわからないという事態に、菖と静はさらに深いため息をついていた。

そんな二人をよそに、君尋は小狼を巻き込んで、参拝の作法を説明し始めていた。

「まず、鈴を軽く鳴らすんだ。あんまりガラガラいわせちゃだめだよ」

「そうなの?」

「呼び鈴と同じだから、あんまりうるさいと神様に迷惑かかるだろ?」

「あぁ、なるほど!」

「そしたらお賽銭を投げて、二回お辞儀をする。そしたら、二回手を叩いて、もう一回お辞儀」

いわゆる、二礼二拍手一礼、という作法である。

「なるほど!よくわかったわ♪」

「ありがとう、四月一日くん、李くん♪」

「「どういたしまして」」

二人にお礼を言われて、君尋と小狼は微笑みを浮かべて返した。

なお、小狼が親友とはいえ他の女の子に微笑みを浮かべていることに、少なからず嫉妬している少女が一人いたことは、言うまでもない。

----------------------------

拝殿の前にようやくたどり着いた九人は、それぞれ一列に並んでいた。

なお、鈴は三つしかないため、三人でそれぞれ綱をつかみ、鳴らしていたことは言うまでもない。

鈴を鳴らして、お賽銭を入れ、二回お辞儀をして、二回手を叩いて、一回お辞儀をする。

完璧なまでにその動きはシンクロしていたのだが、それは置いておく。

参拝を終えた高校生組は、拝殿の前から立ち去り、少し離れた場所にむかった。

「で、お前ら、何をお願いしたんだ?」

「……唐突だな、明」

唐突に、明がそう問いかけてきた。

その問いかけに、菖は苦笑しながら返した。

「なんだよ?大事だろ、これ」

「いやいやいや」

「口に出したら、ダメなんじゃなかったけ?」

明のその返しに、君尋とさくらは否定的な答えを返した。

が、二人のその意見に、菖が追い打ちをかけた。

「いんや、別に口に出しても大丈夫だぞ?」

「そうなの?」

「まぁ、うん……ただな、初詣って氏神様にご挨拶って意味合いのほうが強いんだよなぁ」

勘違いしがちではあるが、初詣は本来、その土地の神様に新年の挨拶に伺うという意味合いのほうが強い。

そのため、変に願い事をするのではなく、今年一年もよろしくお願いいたします、という気持ちで臨んだ方がいいのだ。

とはいえ、そんなことは知ったことではないのが高校生組。

何を願ったのか、言うか言わないかでもめ始めた。

そんな様子を見ながら菖は、今年もにぎやかになりそうだ、という感想を抱くのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~結局、何を願ったの?~
明「で、君尋は何を願ったんだよ?」
君尋「……結局、言わなきゃいけないのかよ……てか、俺は何も願ってないぞ?今年一年もよろしくお願いしますってしか思ってない」
明「……まじで?」
静「それが初詣の本来の作法だからな。たぶん、菖も同じなんじゃないか?」
菖「まぁ、そうだな」
ゆり「御剣くんだけ、ちょっと欲深なのね?」
ももか「けど、そこがいい♪」
ひまわり「いまどき珍しい、肉食男子ね♪」
さくら「ほ、ほえぇぇぇ……」
小狼「あははは……」
明「……泣けるぜ……」


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ゲームをしよう!(スキット風)

斗真「……セッションしたい……」
菖「いきなりだな」
斗真「いやいや、NWネタやらCoCネタが出てきたのをみたらよぉ……やりたくなってくるじゃないか」
菖「ここ最近、神我狩だけだもんな」
斗真「……はぁ……」

何の話かは、まぁ本編をご覧あれ。
知っている人は知っているし、知らない人はちょっとでも興味を持っていただけると幸いです。




~菖の自室~

ゆり「あら?菖、この本はいったい??」

菖「ん?あぁ、これか」

ももか「え?なになに??」

明「なんだ?なんか面白いもんでもあったのか??」

ゆり「えぇ……変わったタイトルの本が……クトゥルフ神話TRPG??」

ももか「TRPG??」

明「あぁ……あれか……よく見りゃ、他にもいろいろあるな」

菖「明、知ってたんだ?」

明「まぁ、名前だけな」

ももか「え?え??」

ゆり「ちょっと説明してほしいわね」

菖「あ、悪い」

----------------------------

菖「『TRPG』ってのが何か説明する前に、『RPG』ってのがなんなにかはわかるよな?」

ももか「ロールプレイングゲームでしょ?」

ゆり「それくらいならわかるわよ。けど、それがどうかしたの?」

菖「『TRPG』ってのは、自分たちでロールプレイ、演技をしながら進行するゲームのことだ」

明「よく、『大人のごっこ遊び』とか『しっかりしたルールのあるごっこ遊び』とか言われてるな」

ももか「え??要するに、ゲームってこと?」

ゆり「そういうことね……つまりはゲームの登場人物になりきる遊び、ということね?」

菖、明「「その通り」」

ももか「へぇ……けど、なんでそんなゲームの本が?あ、もしかして攻略本?」

菖「残念。ちょっと中を読んでみ?」

ももか「ふぇ?……(パラパラ)……うぇぇぇ、なにこれ、字がいっぱい……」

ゆり「攻略本にしては文字ばかりね……それに、この『3d4』とか『6d3』って?」

明「そらそうだろ。『TRPG(そいつ)』はルールブック、ゲームソフトの説明書みたいなもんなんだからよ」

ゆり、ももか「「え?」」

菖「……なにを勘違いしてんのか知らないけど、『TRPG』はアナログゲームだぞ?」

明「筆記用具と紙切れとサイコロがありゃできるからな」

ももか「へぇ……」

ゆり「なかなか面白そうね」

菖「……やってみる?ゲームのキャラも自分で作らないとだけど」

ゆり「かまわないわ」

ももか「むしろやってみたーい!」

明「こりゃ決まりみたいだぜ?博士」

菖「博士いうな。わかった。なら、キャラクターシートと作り方の簡単なメモ渡すから、今度の日曜までに作ってきて」

ゆり「わかったわ」

ももか「うふふ♪ど~んな子を作ろうかなぁ~?」

明「で、進行役(キーパー)は誰がやるんだ?」

菖「俺がやるよ。明は二人のサポートってことでキャラ作っておいて」

明「はいよ」

菖「……さぁて、どんなシナリオにしようかなぁ……この際、とっておきの"あれ"を使うかな?ふふふふ……いまから楽しみだ♪」

ももか「ね、ねぇ、ゆり?気のせいかな、菖くんがなんだかすっごく悪い顔してる」

ゆり「あれはなにかよからぬことを考えているときの顔ね……ところで明、このゲームのジャンル、聞いていなかったのだけれど」

明「あぁ……言っていいのか?」

ゆり「えぇ」

ももか「うん」

明「……ホラー系。それも、シナリオの描写次第でソフトからハードまでどれでもござれ」

ゆり、ももか「「……え?」」

明「そんなわけだから、二人とも、覚悟しとけよ?」




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~さぁ、ゲームを始めよう~
ゆり「菖、作ってきたわよ」
ももか「同じく~」
明「君尋とかも誘いたかったが、まぁいいだろ」
菖「だな。プレイヤーが三人もいりゃ、CoC(これ)をやるには十分だ……」
ゆり、ももか「「(ごくり)」」
菖「さぁ、始めよう。恐怖と混沌渦巻く物語を」
ゆり「……な、なんだか一気にホラーな雰囲気を……」
ももか「お、お手柔らかに……」
明「ははは」(-▽-;


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とある日のセイバーとムーンライト~大樹の前でドンパチ~

ぶっちゃけ、やらせてみたいと思ったのでやりました。
思い返せば、この小説、二人がドンパチやらかしたことないんですよね……
あ、時間軸はムーンライトとユグドセイバー復活後ですので、あしからず。


とある休日。

菖とゆりは、ユグドセイバーとキュアムーンライトに変身した状態で心の大樹の前で向かい合っていた。

「……いくわよ、セイバー」

「……あぁ」

二人の手には、自分たちの得意とする武器が握られている。

そして、二人の瞳には、明らかに闘志が宿っていた。

どうやら、これから二人は手合わせ(ドンパチ)行う(やらかす)つもりのようだ。

「始め!!」

審判役を頼まれたコロンは、試合開始の合図を叫んだ。

それと同時に、セイバーとムーンライトは地面を蹴り、互いの間合いを詰めた。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「せやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

互いの間合いに入った瞬間、セイバーとムーンライトは激しい剣劇を繰り広げた。

両手でタクトを持ったムーンライトが、タクトを垂直に振り下ろ(唐竹割を)してくれば、セイバーは体をそらして回避し、エターニアハートを逆手に持ち直して振りあげた。

だが、ムーンライトはそれを読んでいたらしく、危なげもなく回避すると、セイバーの胸にむかって蹴りを入れてきた。

「ぐっ!!」

「プリキュア!シルバーリフレクション!!」

蹴られたタイミングとほぼ同時に、セイバーは後ろに下がり、ダメージを最小限に抑えたが、ムーンライトは、シルバーリフレクションで追撃をしかけてきた。

むかってくる銀色の円盤を、エターニアハートではじき飛ばし、セイバーは着地と同時に、持ち直したエターニアハートを再び逆手に構えた。

その瞬間、セイバーの体は黄色の光を放つ陽炎に包まれた。

「其は堅牢なる大地、彩るは咲き誇る花――早咲きの大地(ハクディム・ガリア)!!」

すでに失われた古代語を口にした瞬間、セイバーは白い光に包まれた。

光そのものは一瞬で収まったが、セイバーの姿が変化していた。

手にしていたエターニアハートは姿を消し、代わりに武骨な篭手がセイバーの腕にまとわれていた。

「姿を変えたところで!!」

ムーンライトはそう叫びながら、心の花の光をボールのようにまとめて、投げつけてきた。

セイバーはそれを涼しい顔ではじき返したが、はじき返されたボールは、シルバーリフレクションへとむかっていった。

シルバーリフレクションに命中したボールは、霧散することなく跳ね返り、再びセイバーへと向かっていった。

「……あぁ、そういやそういう技(反射技)だったな、それ」

そうつぶやきながら、セイバーは跳ね返ってきたボールを回避し、同時に反対方向から向かってきたムーンライトの拳を受け止めた。

拳を止められたムーンライトは、それでも止まることなく、連撃(ラッシュ)を繰り広げてきた。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

だが、セイバーはその連撃を涼しい顔で受け流し、見つけたわずかな隙を狙って攻撃をしかけた。

ムーンライトはその攻撃を反射的に回避し、ダメージを受けずにすんでいた。

しかし。

「っ?!しまった!!」

「せいっ!!」

攻撃の回避に専念していたムーンライトは、手首をつかまれ、一本背負いの要領で投げ飛ばされてしまった。

だが、プリキュアのでたらめな身体能力で空中で受け身を取り、タクトを振るった。

その瞬間、タクトが描いた軌跡から、心の花の光が刃となってセイバーにむかって飛んでいった。

だが、セイバーはその刃をなんなくはじき飛ばした。

すると、セイバーはフォルムチェンジを解除し、普段の姿に戻った。

「……次で決めよう」

「えぇ……」

時間も体力もそろそろ限界と判断したのだろう。セイバーがそう提案すると、ムーンライトはそれに同意し、タクトを構え、心の花の力を込め始めた。

セイバーも、エターニアハートを構え、心の花の力をその刃に込めた。

互いに、一歩も動くことなく、にらみ合いが続いたが、風が吹き抜けていくと、それを合図に、二人は間合いを詰めた。

「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

「心よ、吼えろ!エターニア・ブレイドダンス!!」

二人の必殺技が同時に炸裂し、ぶつかり合い、せめぎ合った。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

互いに一歩も引くことない状態が続くかと思われたが、ムーンライトは忘れていた。

セイバーには、いや、菖には志を同じくした異国の武人から託された、獅子の名を持つ技があるということを。

「獅子戦吼っ!!」

「なっ?!きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

セイバーはムーンライトとせめぎ合いながら、エターニアハートを持っている反対の掌底を突き出した。

すると、掌底から青白い獅子がムーンライトに襲い掛かった。

当然、至近距離からのその攻撃に対抗できず、ムーンライトは吹き飛ばされてしまった。

「くぅっ!!」

「そこまで!!」

ムーンライトがはじき飛ばされ、地面に落ちた瞬間、コロンは試合終了の合図を出した。

「……負けちゃった……」

そっとため息をつきながら、ムーンライトはどこか残念そうな、しかし、すっきりとした顔で呟いた。

なお、その後、セイバーに助け起こされたムーンライトの顔は、どこかうっとりしていたそうな。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~植物園帰還後~
ゆり「……まさかあそこであれを使ってくるなんて……」
菖「いや、あぁでもしないと勝てないだろ?」
ゆり「だからってずるいわ」
菖「持てる力の全部を使ってこそ、意味があるんじゃないのか?」
ゆり「ぐっ……そ、そうだけれど」
コロン「……いつも以上に会話が弾んでるね……僕はちょっと席を外させてもらうよ」


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菖の不思議な出会い

とあるニュースを見て、居ても立っても居られないかったので思わずやってしまいました……
はい、今回は某有名なキャラクターに登場してもらってます。
ていうか、菖なら出会っててもおかしくないような気がしますね……なんでさ(-ω-;


ゆり「そういえば、菖」

菖「ん?」

ゆり「あなた、君尋くんと同じで"視える"体質だったわよね?」

菖「あぁ、そうだな」

えりか「ってことは、遺跡とかで視たりしたんですか?!」

つぼみ「……な、なななななにをでででででででしょうかぁ??」(○ω○lll

いつき「つぼみ、もう震えてる」(^^;

菖「ん~……会ったことがあるな、本物に」

ゆり、えりか、いつき「「「本物?」」」

菖「そうさな……みんなになら話しても大丈夫かな」

 

----------------------------

 

それは、菖がエターニアハートを心の大樹の下に置いていってからしばらくした後のこと。

どうにか、コロンを蘇らせることはできないか。その方法を、菖は神秘が色濃く残っていた太古の時代の資料をあさり、碑文や伝承に求めていた。

そんななかで、菖の目に止まったのが、平安時代に遺された伝承だった。

――伝承の通りなら、このあたりに『反魂(はんごん)』のヒントが……

反魂。

それは、日本にある数少ない黄泉返りの伝承に登場する、ある種の魔術だ。

死んでしまったものを再び現世に呼び戻す魔術。それさえあれば、そして、それを行使する方法がわかれば、あるいは。

その可能性を求めて、菖はこの場所にやってきたのだ。

「そこでなにをしている?!」

「いますぐそこから離れるのじゃ!!」

境内をうろうろとしているときだった。

突然、背後から少年の声ともう一人、別の男の声が響いてきた。

思わず、声がした方を振り向くと、そこには青い学生服に虎模様のちゃんちゃんこを着た少年が険しい表情で立っていた。

「それ以上先に行ってはいけない!封印している妖怪が目を覚ましてしまう!!」

少年が発した警告に従い、菖はその場から離れて、少年の隣まで引いた。

「警告ありがとう」

「いえ。けれど、なぜあなたはここに?」

「ちょっと調べものをね……それを言ったら、えっと……」

菖は少年の名前を聞いていないことに気づき、何と呼んだらいいのかわからず、言葉に詰まった。

その理由を察した少年は、自分から名乗ってくれた。

「あぁ、これは失礼しました。僕は鬼太郎、ゲゲゲの鬼太郎です」

「個性的な名前だな……俺は春川菖だ、よろしく、鬼太郎」

「こちらこそ」

互いににこやかな笑みを浮かべて、菖と鬼太郎と名乗った少年は握手を交わした。

これが、菖にとって二度目となる、超常的存在との接触となった。

 

----------------------------

 

ゆり「それで、結局、その遺跡には何があったの?」

菖「鬼太郎が言っていたとおり、何かを封印しているんじゃないかって札が張られた石の塔だけだったよ」

えりか「えぇ~……なんかつまんないっしゅ」

菖「だからって安易に封印を解こうとか思うなよ?」

えりか「ま、まさかぁ。そんなこと……」

つぼみ、いつき「「えりか」」

えりか「……はい、ちょっと思ってました、ごめんちゃい」

ゆり「まったく……それで取り戻しのつかないことになったらどうするのよ?」

えりか「……考えてませんでした……」

菖「……むなしきかな、時の流れよ」




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~その夜~
(カラコロ、カラコロ)
菖「……こんばんは」
鬼太郎「こんばんは、菖さん。久しぶりです」
菖「あぁ」
鬼太郎「……気のせい、かな?菖さんの力が少し強くなったような?」
菖「強くなった、というより、これが本来の俺の力だよ」
鬼太郎「……そういえば、そんなこと言っていましたね」
菖「ま、長話もなんだ。お茶でも飲んでいきなよ」
鬼太郎「それじゃ、ありがたく」

----------------------------

というわけで、鬼太郎に登場していただきました。
4月からまた新シリーズとして放映予定、というニュースを知りまして、やらさせていただきました。
私個人としても、水木しげる先生がお亡くなりになったことを知って、かなりショックを受けた身ですが、こうしてもう一度、鬼太郎たちの活躍を見ることができると思うと、うれしくてうれしくて……


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とある休日の高校生組

久々にリクエストにお応えしての作品です。
といっても、ほとんど男子しか出てないんですが(苦笑
ちなみに、作中に出てくる料理はほとんど私がリアルで作ったことのあるものだけです。(やったことないやつなんて、無理無理(汗



その日、菖は小狼の家にいた。当然、小狼も一緒にいる。

いつもと違う風景といえば、二人の前に考古学の資料や最新研究の論文が所狭しと並べられているところだろうか。

実のところ、小狼もまた、考古学に傾倒していて、時折、菖に最新の研究結果や専攻論文について聞きに来ることがある。

そして、今日はたまたま、菖の家に小狼が来ている日だったのだ。

「ということは、ここは……」

「あぁ。以前までの研究が覆された、ということになるな」

二人してこれまでの最新研究についてのことを話していると、突然、インターホンが鳴り響いてきた。

その音を聞いた小狼は首をかしげた。

――今日は春川以外に来客はいないはずだし、さくらなら電話の一本も入れるはず……

そんなことを考えながら、小狼は玄関へと向かっていった。

「はい」

「李、邪魔するぞ~」

「邪魔する」

「むぐ~~~~~っ!!」

玄関を開けると、そこには明と静、そして簀巻きにされて担がれている君尋の姿があった。

よほど豪胆な人間でない限り、そんな光景をいきなり見せられて驚かない人間はいない。

そして、小狼はその光景を見て驚かない人間ではなかった。

「き、君尋??!!な、何があったんだ、いったい?!」

「おいおいおいおい……かなり物騒な光景だな……どうしたんだよ?」

「あぁ、さっきそこでタイムセールやっててな。思わず買いすぎちまったから、どうせならお前らと一緒に昼飯作ろうと思ってな」

小狼が君尋の簀巻き姿に驚く一方で、菖は冷静さを装ってはいたが動揺を隠しきれず、頬に冷や汗を伝わせながら、明に問いかけた。

ちなみに、このメンバーの中で一人暮らしをしているのは小狼と君尋と明の三人だ。

そのため、彼らの家事レベルはかなりの水準であり、菖も含めて、調理実習でもかなりの活躍を見せている。

「……本音は?」

「……そろそろ一人で食べるのに寂しさを感じてきた」

だが、あまりに唐突なお誘いに、菖は裏があると本能的に悟り、問いかけてみると想定していた答えが返ってきた。

君尋がな、最後に付け加えたが、本当は明も人恋しさを覚えていたのではないか、と勝手に推察した菖だったが、あえてその真意を問いただすことはしなかった。

----------------------------

その後、君尋はようやく簀巻きから解放され、菖、小狼、明と一緒に厨房に立っていた。

が。

「ったく……素直に言ってくれればついてったっての……なんで簀巻きにされなきゃならん」

と、簀巻きにされたことに腹を立てて、ぐちぐちと文句をこぼしていた。

その文句を聞きながら、菖は苦笑を浮かべ、自分が担当することになった料理を作っていた。

「まぁまぁ……湾岸に沈められなかっただけまだいいじゃないか」

「……それを言うなよ、怖いから……」

「ははは……明ならやりかねないけどな」

「おいおい、そいつぁちとひどくないか?……もしもんときは否定できないがよ」

「「「いや、しろ/しようよっ!まじでやりそうで怖いよ/怖ぇって!!」」」

と、冗談を言い合いながら、四人はせっせと料理を作っていた。

数十分もすると、いくつかの料理が出来上がり、皿に盛りつけられていた。

「鮭のホイル焼きに唐揚げ、野菜炒めにジャーマンポテト……それなりに充実してきたな」

「あぁ……あとは、デザートだな」

五人の中でも随一の甘味好きの明は、ここにさらにデザートも追加するつもりらしい。

多少は我慢すればいいのに、と思いながら、そんなことを言っても止まるようなやつではないことも知っているので、誰一人として止めることはなかった。

だが、一つ問題が発生してしまった。

「……食いきれるか?これ」

「……難しいな……数日にわければいけなくもないが」

「もつかな、それまで」

「無理だろうな」

「……なら、消費する人数を増やしゃいい」

あまりの量に、思わず食べきれるかどうか心配してしまった菖たちだったが、明が機転を利かせて助っ人を呼ぶことで、その心配は解消された。

----------------------------

「……で、その助っ人で呼んだのが」

「あぁ、いつもの面子ってわけだ」

「おいおい……」

「「ごちそうになりま~す♪」」

「ご相伴にあずかるわよ、菖」

「お招きありがとうね、御剣くん。小狼」

明が助っ人として呼んだのは、本当はももか一人だけだったのが、いつの間にかゆりとひまわり、さくらも混ざって結局、いつものメンバーがそろうことになった。

なお、ももかとセットでやってきそうなえりかと、えりかに引きずられてやってきそうなつぼみといつきは、今日は出かけているらしく、残念ながら欠席となった。

「……まぁ、いいさ。さ上がってくれ」

小狼は柔らかな笑みを浮かべ、少女たちを招き入れた。

出迎えていた菖たちも、彼女たちに続き、リビングへ向かっていった。

「……しかし、いつの間にか大所帯だな……」

「そうだな。だが……」

菖のつぶやきにうなずき、小狼はさくらたちの背中を見つめて、柔らかな笑みを浮かべた。

「俺は、こういうのも悪くないと思う」

「……そうだな」

小狼の答えに、菖もまた微笑み、同意した。

なんだかんだ言っても、結局、菖もこの面子でわいわいするのが好きなのだ。

悪くないと思わないはずがない。

「さてと、それじゃ俺たちも行こうぜ」

「あぁ」

小狼はうなずき、菖と一緒にリビングへと向かっていった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~食事はみんなと楽しく~
ももか「ん~~~~~~っ!!おいし~~~~~~っ!!」
さくら「ほんと、おいしいね♪」
ひまわり「うんうん♪」
ゆり「……くっ……悔しいわね、これは……これを菖も作ったって思うと、少し悔しいわね」
菖「いやいや、なんで俺限定?」
ゆり「どうせ、ホイル焼きとジャーマンポテト以外は四月一日くんか御剣くん、でなきゃ李くんが作ったんでしょ?」
明「残念。豚肉のから揚げも菖が作ったやつだぜ?」
女子『なん……だと……』
静以外の男子『いや、なんだよ、そのリアクション』
静「……どっちでもいいだろ。うまいんだから……おかわり」
君尋「お前はもう少し味わって食べろ!!」


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とある放課後の菖とつぼみ

今回は一日遅れのヴァレンタインということで……
あとはわかるな?
なお、個人的に私は海外形式のヴァレンタインの方が好みです。
なんでかって?お返しの品のこと考えなくていいから

……あ、ちなみに今回、えりかといつきは出てきません(というか余裕がなかったです


乙女の祭典(ヴァレンタイン)

言い換えれば、それは乙女の聖戦でもある。

特に日本は製菓会社の商法戦術により、世界各国から見ると少しばかり異質な形のヴァレンタインとなっている。

その最たる理由が。

「御剣くん!」

「このチョコレート」

「受け取ってください!!」

「……あ、あぁ……ありがとうな」

甘くてほろ苦い恋の味、チョコレートを想い人に手渡すという行事になってしまっているからであった。

なお、海外では主にヴァレンタインカードを友人に送ることが一般的となっており、別に愛の告白を行うことが一般的というわけではない。

もっとも、起源をさかのぼれば、日本の形もあながち間違ってはいないのだが。

閑話休題(それはともかくとして)

ここにも、そんな乙女の聖戦に参加している少女が、二人いた。

「……ゆ、ゆりさん」

「何かしら、つぼみ?」

「きょ、今日は、そ、その……」

「……大丈夫よ。別にわたしが送ったからって、貴女が送ることを遠慮しちゃだめよ?」

「は、はい!!」

菖の幼馴染として一緒にいることが当たり前のゆりと、菖と一緒に過ごすうちにその優しさと強さに心惹かれているつぼみ。

二人のカバンの中には、(想い人)に向けて送るチョコレートが入っていた。

「とはいえ、菖の場合、日本のヴァレンタインをあまりよく思っていないから、素直に受け取ってくれるかどうか」

「そうなんですか?」

「えぇ……」

菖の考古学への情熱は、幼い頃から強く、長期の休みには両親がいる海外の国へと飛んでいたこともある。

そのため、海外の文化に触れる機会が多く、海外発祥の行事については、外国に合わせることが普通になってしまっていた。

「だから、今日はたぶん、菖からも贈り物があるはずよ」

「……もしかして、ヴァレンタインカード、ですか?」

「えぇ」

ヴァレンタインカードとは、海外で一般的なヴァレンタインの贈り物である。

友人に感謝の想いを乗せて、カードを送り合うのだが、日本では友チョコに近いのかもしれない。

そんな話をしながら登校していると。

「おはよう、二人とも」

背後から菖に声をかけられた。

「おはよう、菖。ごめんなさいね。先に出ちゃって」

「お、おおおおおお、おはようございます!」

「いんや。だいたい事情はわかってるから……てか、つぼみ、なに緊張してんの?」

「な、ななな、なんでもないです!」

顔面を真っ赤にしながら返すと、菖は微笑みを浮かべて、自分のカバンに手を入れ、何かを取りだした。

菖の手の中には、桜のイラストが描かれたカードと、百合の花が描かれたカードがあった。

「こっちはゆりに。こっちはつぼみに」

「あら、ありがとう」

「あ、ありがとうございます!」

「Happy Valentine、二人とも」

菖が満面の笑みを浮かべると、つぼみもゆりも一瞬で真っ赤になり、小声で同じように返した。

----------------------------

放課後になり、菖は一人、植物園に向かっていた。

なおいつもならばゆりが一緒にいるのだが、植物園で待っている、と少し顔を赤くして足早に下校してしまったのだ。

それだけならばいいのだが、色々あれこれと頼まれごとを引き受けているうちに、少しばかり遅くなってしまったのだ。

――さてと、さっさと行かないと、ゆりの機嫌が急降下しちゃうな

そう思い、さっさと植物園に向かおうとした矢先。

「しょ、菖さん!」

背後からつぼみに呼び留められた。

「お、つぼみ。つぼみもいま帰りか」

「はい!植物園に寄っていこうと思いまして」

「へぇ、奇遇だな。俺もこれから植物園に顔出しにいく予定なんだよ」

その理由の半分はゆりで、もう半分は薫子とコッペにヴァレンタインカードを贈ることがである。

もっとも、そんな事情をつぼみに話しても仕方がないので、黙っていることにしたのだが。

「あ、あの、菖さん……」

「うん?」

「こ、こここ、これ!う、ううううううう、受け取ってくだしゃい!!」

ところどころかみかみになりながら、つぼみは菖に小包を突き出した。

勢いのあまり、菖のボディにむかったそれだが、みぞおちにクリーンヒットすることなく、両手におさまっていた。

いや正確には、小包を持つつぼみの両手ごと、菖の両手が小包をつかんでいたのだが。

両手を菖につかまれている、という事実を感覚で認識したつぼみは、一瞬で顔面を真っ赤にし、頭から湯気を出してしまった。

「お、おい、大丈夫か?!」

「は、はひぃぃぃ……」

どうにか倒れずに済んではいるが、あまり意識ははっきりしていない。

原因は自分がつかんでいるこの両手にあることは、菖もわかったのだが、かといって、下手に手放すとそのまま地面に倒れてしまいそうな気がして、さてどうしたものかな、と菖は困ったような微笑みを浮かべるのだった。

なおその後、それから五分とせずにつぼみは回復し、二人並んで植物園にむかったのだった。




あとがき代わりのその後の話

~植物園到着~
菖「こんにちは、薫子さん」
つぼみ「おばあちゃん!来ました!」
薫子「あら、いらっしゃい」
菖「はい、薫子さん。これ」
薫子「あら、ヴァレンタインカードね?」
菖「えぇ。一枚はコッペ様に」
薫子「ありがとう。さ、ゆりちゃんが上でお待ちかねよ?」
菖「おっと、いけない」
つぼみ「はい!それじゃ、菖さん。行きましょう!」
菖「……わかったから、引っ張らないでほしいなぁ……」
薫子「あらあら♪」


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ホワイトデーのお返しに

キャンディーは好きな人、マカロンは特別な人、クッキーは友達、マシュマロは嫌いな人。
ちゃんと意味があるんですねぇ……キャンディーは知ってましたけど、マシュマロが嫌いな人ってのは初耳ですな。
クッキーが砕けやすいからってんで嫌いな人ってなってたと思うんだけど……

閑話休題。

というわけで、ホワイトデー。
菖は果たしてなにを作るのか、それは見てのお楽しみ!

……あ、今回もえりかといつきは出てません(書く余裕がなかったよ


その日。

菖と明、小狼の三人は御剣家のキッチンに集合していた。

理由は、近づいている三月十四日にあった。

その日はホワイトデー。

バレンタインデーの贈り物にお返しをするという、日本人の義理堅い気質が如実に出ているイベントだ。

当然、三人もチョコをもらったため、お返しを作ろうということになったのだ。

現在、明と菖はマカロンを、小狼はキャンディーを作っていた。

「そういや、バレンタインのお返し(ホワイトデーの贈り物)にもちゃんと意味があるんだったよな?」

「あぁ。定番のクッキーは、確か……「友達でいよう」だったかな」

不意に、何かを思い出したらしく、小狼はそんなことを口にすると、明がそう返してきた。

なお、一時期はクッキーと並び定番だったマシュマロは、すぐに溶けてしまうから、という理由で嫌いという意味が込められている。

もっとも、貴女の想いを包みこんで、という好意的に捉える人もいるのだが。

「じゃあ、キャンディーは」

「味が長続きするから、「好きです」ってことなんじゃないか?」

「あとは、貴女の想いを宝石に代えてって捉えるらしいぞ?」

「……色々あるんだな」

明の知識に感心しながら、小狼は砂糖水を煮詰めている鍋に視線を落とした。

なお、小狼がキャンディーを贈る相手が誰なのかすでに知っている菖と明は、相変わらずの仲の良さにニヨニヨとしながら自分の作業をしていることは言うまでもない。

「で、明のマカロンは誰に贈るものなのかな?」

「……唐突だな、おい」

「普段、からかってんだから、こんなときくらいはからかわせてもらうぜ~?」

くけけけ、と普段は絶対しない悪魔のような笑みを浮かべている菖に、明はじとっと目を向けた。

実は、明もももかからバレンタインチョコを受け取っていたのだが、そのチョコには「I'm loving you.」というメッセージが書かれていたのだ。

いつものようにからかっているのだろう、とゆりと菖は考えていたのだが、ももかから受け取った他のメンバーのチョコには一切、メッセージが書かれていなかった。

そのため、明も腹をくくることにしたらしく、特別な存在、という意味が込められているマカロンを作ることにしたようだ。

「そういうお前はどうなんだよ、せんせー」

「せんせー言うな。で、どうなんだよ、なにが?」

「……月影のことだ。まさかいつまでも逃げるつもりじゃないだろうな?」

「……腹は括るさ」

明に発破をかけられ、菖はどこか真剣なまなざしでそう返した。

そうこうしているうちに、菖と明のほうもマカロンが完成させ、準備を整えた。

----------------------------

翌日、ホワイトデー本番ということもあってか、ほとんどの女子がそわそわとしていた。

その中にはつぼみとももかも混ざっていた。

もっとも、ゆりも表面上は落ち着いてみえているが、内心はかなりそわそわしているのだが。

閑話休題。

「おはよう。ゆり、つぼみ」

「えぇ、おはよう」

「お、おおおおおはようございます!!」

少し早めに出たつもりだったのだが、なぜか菖と合流してしまった二人は、できる限り平静を装って菖と挨拶を交わした。

もっとも、つぼみはいつも通り緊張してしまっているらしいが。

「……ところで菖。今日は何の日か」

「わかってる。ほれ、ゆりにはこれ……雰囲気も何も考えずに申し訳ないけど」

歩きながら、ゆりに問いかけられた菖は、カバンから紙袋と紙箱を取りだして、ゆりに手渡した。

ゆりは素直にそれを受け取ると、カバンにしまった。

それを見ていたつぼみは、自分にはないのか、と視線で問いかけてきたので、苦笑を浮かべながら、もう一つの箱と袋を取りだしてつぼみに手渡した。

「「ありがとう/ございます!!」」

菖からの贈り物、ということが純粋にうれしいのか、二人は花のような笑顔をむけて、お礼を言ってきた。

その笑顔に、菖は少しばかり照れくさそうに顔をそらしながら、どういたしまして、と返すのだった。

なお、箱の中身が二人ともマカロンであり、その意味が「貴女は特別な人」という意味だということを知っていた二人は、昼休み中、ずっと顔を真っ赤にしていたのだとか。




あとがき代わりのその後の話

~菖の贈り物はマカロンだけにあらず~
植物園にて
ゆり「ところで……この紙袋にはなにが?」
つぼみ「開けてみましょう!」
ゆり「そうね……これは」
つぼみ「ブレスレット、でしょうか?」
ゆり「みたいね……あら、何かついてる……これは」
つぼみ「宝石、でしょうか?」
菖「単なる色付きのガラスだよ」
ゆり「あら、そうなの?」
菖「あぁ……ちなみに、ゆりのはラピスラズリ、つぼみのはダイヤモンドに似たのを使ったんだよ」
つぼみ「ダイヤモンドですか」
ゆり「あら、てっきり花を使うのかと思ったけれど……うふふ、これも悪くないわね♪」
菖「……ふむ、この様子なら、気づいてないみたいだな……」
ゆり、つぼみ「「何か言った/言いました?」」
菖「いや、何も」


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ホワイトデーのお返しで……(スキット風)

はい、だいぶ遅いですが、ホワイトデーネタをもう一つ
今回、ぶっちゃけ、カップル成立です
先方には許可をもらってますから問題ない……はず


~昼休み~

ももか「~♪~~♪」(^ω^*

ゆり「いやにご機嫌ね、ももか」

さくら「なにかいいことでもあったの?」

ひまわり「もしかして、明くんに告白されちゃったとか?」(^▽^

ももか「うんにゃ~、それがまだなのよねぇ……けど、放課後、二人だけで話せないかって言われちゃった♪」

さくら、ひまわり「「おぉっ!!」」

ゆり「あら……それはチャンス到来ね。頑張りなさい、ももか」

ももか「うんっ♪」(^^♪

 

~放課後:教室~

ももか「あ~きくん♪」

明「おう、来たか。ももか」

ももか「うん♪待った?」

明「いや、全然……てか、悪かったな、急に呼び出して」

ももか「う、ううん!全っ然大丈夫!!……あの、それで、用事って……なに?」

明「あぁ……いや、ほら……今日、ホワイトデーだろ?」

ももか「うん」

明「で、ほら……お前、俺に……」(/// ///

ももか「うん♪……にししし、明くん、真っ赤」

明「うっせぇ……ほれ、これ」

ももか「ありがとう!……ねね、開けていい??」

明「好きにしな」

ももか「は~い♪好きにしま~す……あれ?これって、マカロン?」

明「あぁ。ひび入ったからクリームとキャンディでデコッたけどな」

ももか「お~……ん?マカロンとキャンディ……??」

明「……」

ももか「そ、それって……も、ももももももしかして、もしかしなくても、もしかしたりしちゃったり??!!」Σ(///□///

明「……もう少し落ち着いたらどうなんだよ……」

ももか「え……そ、そそそそ、それじゃあ……」(///ω///

明「お返しの意味、知っているなら、言わなくてもわかるだろ?」

ももか「あ~ん、いけず~!ちゃんと言わないと、捕まってあげないんだから!!」

明「……いつの時代だよ……無理があるとか、自分で思わないのか?」(-□-;

ももか「……てへ♪」

明「おいおい……はぁ、しゃあねぇ。一回しか言わねぇから、しっかり聞けよ?」

ももか「うん」

明「……俺は、ももかが好きだ」

ももか「……(ズキューーーーンッ)……」Σ(/// ///

明「……わかりきってるとは思うが、返答は?」

ももか「……わ、わ、わたしも……明くんのことが、(しゅ)(しゅ)きでしゅ!!」

明「……あぁ……録音してなかったのがすっげぇ悔やまれる……」

ももか「ふぇえぇぇっ??!!」

 

~翌日~

ももか「と、いうわけで、わたしたちお付き合いすることになりました!」(///▽///

ひまわり、さくら「「おめでとう!ももかちゃん!!」」

ゆり「おめでとう、意中の人を射止めることが出来て、よかったわね?」

ももか「いやぁ……でも、今度はゆりだからね?」

ゆり「……なにが?」

ももか「またまた、しらばっくれちゃって……」

ひまわり「うふふ♪」

ゆり「……だから、何がっていうのよ……」(--;




あとがき代わりのその頃の話

~男子側~
君尋「で?明、俺たちに何か言うことは?」
明「あ?……あったか、そんなん」
静「しらばっくれる気、満々だな」
菖、小狼「「あははは……」」
明「……あぁ、俺、ももかと付き合うことになったから」
君尋、静、小狼、菖「「「「おめでとう」」」」
明「ん、あんがとよ」


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ある日の菖とつぼみ

鬼太郎第6期第一話放送記念ということで、再びの鬼太郎コラボ回です
時々、ぽろっと出しても……大丈夫ですかね?(-▽-;


その日、菖は一人の少年と町を歩いていた。

同行している少年は髪で片目を隠し、虎模様のちゃんちゃんこに下駄という、なんとも奇妙な格好である。

だが、菖はそんなことは気にしていない様子で少年と話をしていた。

そんな二人を呼ぶ声が背後から聞こえてきた。

「菖さん!」

「ん?おぉ、つぼみ」

振り返り、声の主を確認した菖は微笑みを浮かべた。

だが、隣の少年はつぼみとは初対面だったらしく。

「菖さん、この子は誰です?」

「あぁ、鬼太郎は初対面だったな」

首をかしげる鬼太郎に菖は、すまん、と苦笑を浮かべながら謝罪し、つぼみを紹介した。

「この間、ちらっと話したろ?社で会った不思議な人」

「あ!もしかして、その方が!!」

「そう。彼が鬼太郎……鬼太郎、この子はつぼみ。俺の後輩だ」

「よろしく、つぼみさん。僕はゲゲゲの鬼太郎です」

「花咲つぼみです!こちらこそ、よろしくお願いします!!」

鬼太郎とつぼみはにこやかな笑みを浮かべながら、互いに握手を交わした。

どうやら、仲良くなれそうだ。

そう思った菖は、ふと思い出したことがあった。

「あ、そういえば」

「うん?どうしたんです?菖さん」

「ほらこの前、おやじさんに頼まれてたもの。手に入ったから」

「あぁ、あれですか!」

「へ?」

一人だけついてこれないつぼみが首をかしげていると。

「おぉ!それはありがたい!!」

ここにいないはずの声が聞こえてきた。

いったい、この声の主はどこに。

つぼみはきょろきょろと辺りを見回していると、鬼太郎の頭に奇妙なものがあることに気づいた。

それは明らかに目玉だった。だが、その目玉には人間の手足が生えていた。

そこから導きだせる結論は一つ。

「お、お、お……」

「「ん?」」

「……あ、まずい」

「おば、けぇ……」

怖いものが苦手なつぼみは、そのままぱたりと気を失ってしまった。

もっとも、菖に支えられたおかげで地面に激突することはなかったが。

----------------------------

気を失ったつぼみが目を覚ますと、そこは知らない場所だった。

木の葉の布団に、ちゃぶ台と囲炉裏。窓にガラスははめられておらず、屋根はかやぶき。

どう見ても、普通一般の家とは思えない内装だ。

いったい、自分はどこに連れてこられてしまったのか。

そんな不安がよぎったつぼみだったが、見知った顔がすぐ近くに出てきて安堵した。

「起きたか」

「はい……あ、あの、菖さん。ここは」

「ここはわしと鬼太郎の家じゃよ、お嬢ちゃん」

「ひぃっ!!」

さきほどのこともあってなのか、目玉のおやじの声に思わず悲鳴を上げてしまった。

菖は、わかっていたことではあるが、ため息を禁じ得ないらしく。

「お前な、俺の友達のおやじさんに失礼だろ……おやじさん、すみません。こいつ、極度の怖がりなもんで」

「なに、構わんよ。むしろ、そうなるのが自然じゃからな。仕方なかろうて」

「ははは……時代が変わって、すっかり僕ら(妖怪)のことを忘れてしまっていますからね、人間たちは……」

「そうだな……」

鬼太郎の言葉に、菖は少しばかり寂しそうな顔になった。

古来、人間と妖怪(自然)は互いに折り合いをつけて生きてきた。

だが、いつからか人間は科学技術という力を手にいれ、自然や超常的存在(神秘)を追いやり、万物の長であるかのように振る舞い始めた。

そうして次第に、人間はこの星とのつながりを忘れ、先住民(妖怪)をいないものとして扱うようになってしまった。

菖の脳裏には、ほとんどの人間が忘れ去ってしまった先住民とのつながりを持ち続けているために同族(人間)から"化け物"として扱われている友人の顔が浮かんでいた。

その様子に、つぼみは思わず。

「あ、あの……ごめんなさい」

と謝罪していた。

あまりに素直に謝罪してきたためか、鬼太郎と目玉のおやじは温かな笑みを浮かべ、そこまで気にする必要はない、と言ってくれた。

「なに、お前さんは菖と同じでまだ若い。これからよりよくなっていくにはどうするか、じっくり考えるとえぇ」

「……はい!」

目玉のおやじに励まされたつぼみは、元気よくうなずいた。

この様子なら、少しずつであれば自分たちの仲間を紹介してもよさそうだ。

鬼太郎はそんな考えを抱いていた。

なお、この後すぐに鬼太郎に見送られ、菖とつぼみは無事に人間の世界(自分たちの住む場所)に戻れたことは言うまでもない。




おまけ

~目玉のおやじに頼まれていたもの~
菖「そういや、おやじさん」
おやじ「む?どうした、菖くん」
菖「忘れないうちに、これを」
おやじ「おぉ!これは!!特性ハーブのティーバックじゃな!いやぁ、ありがたい」
つぼみ「頼まれてたものって、それですか?」
菖「あぁ。おやじさんは大の風呂好きでさ。こんな体だから、茶碗に入るくらいのお湯でいいんだ」
鬼太郎「だから、時々燗酒に入ったりすることもあるんですよね?父さん」
つぼみ「お、お酒のお風呂ですか……?」
菖「想像つかないだろ?正直、俺もだ」

~鬼太郎の仲間~
???「鬼太郎~?……あら?お客さん??」
鬼太郎「やぁ、猫娘」
菖「お、久しぶり」
つぼみ「こ、こんにちは!」
猫娘「こんにちは、菖。そっちの女の子は?」
つぼみ「は、花咲つぼみです!よ、よろしくお願いします!!」
猫娘「つぼみちゃんね、初めまして。わたしは猫娘よ」
つぼみ「猫娘、さん?……もしかして、化け猫さんですか??」((( □ ;)))
菖「まぁ、そうなるかねぇ……」
猫娘「えぇっと……もしかして、つぼみちゃんって怖がり?」
菖「もしかしなくても。まぁ、悪い子じゃないから、安心してくれ」
猫娘「ま、あいつよりはましでしょうねぇ」


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神社でお花見

というわけで、お花見シーズンなので
ちなみに、今回、新キャラ初登場です
誰なのかは、読んでからのお楽しみ!
というわけで、一週間ぶりの日常編、どうぞ!!


ある晴れた日の神社の境内。

祖父の手伝いで和装に着替えて神社の掃除をしていた菖に、来客があった。

 

「こんにちは、菖さん!」

「こんにちは。ごめんなさいね、突然」

 

その来客は、ゆりとつぼみだった。

春休みになり、数日間、春とは思えない寒い日が続いていたが、ようやく暖かな日が続くようになり、桜が花開いてきたので、お花見に来たようだ。

ちなみに、えりかといつきは用事で来れなかったらしい。

 

閑話休題(それはともかく)

 

「構わないさ……で、どうする?おすすめは、拝殿の裏くらいだけど」

「はい、大丈夫です!」

「どうせ、わたしとつぼみとあなたの三人だけだもの」

 

菖の問いかけに、つぼみとゆりはそう返した。

それなら、と菖は二人を拝殿の裏まで案内した。

そこには、菖がお勧めしたことが納得できるほど立派な桜があった。

 

「わぁ……」

「これは……たしかにすごいわね」

「だろ?俺はあと少ししたら終わるはずだから、先に始めてくれ」

 

そう言って、菖はそそくさとその場を立ち去っていった。

菖を見送った二人は、そのままレジャーシートを敷いて、持ってきたお弁当や飲み物を広げた始めた。

 

「……ちょっと作りすぎたかも知れませんね……」

「そうね。けど、いいんじゃないかしら?用事が終われば、えりかといつきも来るだろうし、それにもう少ししたら」

 

広げた弁当の多さに、つぼみは苦笑を浮かべたが、ゆりは優しい笑みを浮かべた。

その理由は、すぐにわかった。

 

「お姉ちゃ~ん!」

 

手を振りながら駆けてくる五歳くらいの女の子がいた。

女の子はゆりとつぼみの姿を見つけると、まっすぐにゆりの胸に飛び込んできた。

 

「あら、早かったわね、小百合。迷子にならなかった?」

「うん!あのね、コロンちゃんが教えてくれた!」

 

小百合、と呼ばれた女の子は満面の笑みを浮かべてゆりの質問に答えた。

その答えの通り、女の子が背負っていたリュックから、コロンが顔をのぞかせていた。

 

「そうなの。ありがとう、コロン」

「どういたしまして」

 

ゆりはコロンに向かってお礼をいうと、コロンは若干、疲れたような顔で返した。

その表情に、どうやらかなりあっちこっち行きそうになっていたらしいことを感じ取った。

何を隠そう、小百合はダークプリキュアが転生した姿なのだ。

惑星城が崩壊する中で、英明が彼女を見つけ、連れてきたのだ。

小百合にダークプリキュアとしての記憶はないため、ゆりを敵視することはなく、むしろ大好きな姉として慕っている。

ゆりもまた、小百合を実の妹のように可愛がっている。

なお、小百合のことを話すゆりに顔がすっかり惚気顔になっていることは、公然の秘密である。

 

「つぼみお姉ちゃん、こんにちは」

「こんにちは、小百合ちゃん」

 

一方、小百合はつぼみにお辞儀をして、丁寧に挨拶をしていた。

愛らしく挨拶をする小百合に、つぼみはすっかり惚気顔になっていた。

 

「それじゃ、小百合も来たことだし、先に始めましょうか」

 

ゆりの号令に、つぼみと小百合はうなずき、ゆりが用意してくれたコップを手に取った。

 

----------------------------

 

それから数分後。

ようやく仕事から解放された菖は、ゆりたちを案内した場所へと向かっていた。

 

――今年もキレイに咲いたなぁ……

 

そんな感動を覚えながら敷地内を歩いていくと、ゆりたちを案内した桜の近くまでたどり着いた。

すると、ぼふっ、と何かが菖の腹に飛びこんできた。

何事かと、菖は視線を落とすと、そこには抱き着いている小百合の姿があった。

 

「こんにちは、小百合」

「うん!こんにちは、菖お兄ちゃん!!」

 

にぱーっ、と明るい笑みを浮かべながら挨拶してくる小百合の愛らしさに、菖は若干、ほおをゆるめ、優しく頭をなでた。

頭をなでられた小百合は、よほどうれしかったのか、うれしそうな笑みを浮かべていた。

その姿を見ていたのか、ゆりの声が聞こえてきた。

 

「よかったわね、小百合。お兄ちゃんに頭なでてもらえて」

「うん!」

「菖、お疲れ様。申し訳ないけれど、先に始めていたわ」

「あぁ、ありがとう。まぁ、どれくらいかかるかわからなかったからさ、大丈夫だ」

 

そう言いながら、菖は小百合に手を引かれて、レジャーシートの上に座った。

 

「菖さん、お疲れ様です」

「あぁ、ありがとう、つぼみ。それから、これ、差し入れ」

 

つぼみにねぎらわれた菖は、手にしていた風呂敷を手渡した。

風呂敷に包まれていたのは重箱で、その中にはおそらく菖の手作りなのだろう、おかずが大量に入っていた。

 

「わぁっ!!」

「おいしそー!!」

「また随分と芸の細かい……というか、気を使わなくてよかったのに」

「これくらいは大丈夫だって。それに、えりかといつきが来たら足りなくて大暴走起こすぞ?えりかが」

 

菖のその一言に、その場面をありありと思い浮かべることができた二人は、思わずくすくすと微笑みを浮かべるのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~小百合はハートキャッチ組のアイドル?!~
えりか「お~い!」
いつき「遅れてしまって、申し訳ない」
菖「お、来た来た」
つぼみ「えりか~、いつき~」
ゆり「ようやく来たわね」
小百合「えりかお姉ちゃん、いつきお姉ちゃん!こんにちは!!」
えりか「お~、小百合ちゃん!こんにちは!!」
いつき「こんにちは」。今日もかわいいよ~♪」
小百合「えへへ~♪」
菖「……みんなすっかり、小百合ちゃんの虜だな」
ゆり「そうね……姉としてちょっと自慢してもいいのかしら?」
菖「いいんじゃないか?」


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菖と小百合と歯医者さん

ハーメルンよ!私は帰ってきた!!

いやぁ、引っ越しのせいでネットがまったく使えないし、スマホ投稿するつもりがまったくなかったので、だいぶ間が空いてしまいました(苦笑
というわけで、久方ぶりの日常編。
実のところ、このニュースを見て思いついたお話です(URL→http://news.nicovideo.jp/watch/nw3501554)


その日、菖はゆりと小百合と一緒に歯医者に来ていた。

普段ならほとんど縁のないのだが、今回に限ってはそうも言っていられなかった。

なぜなら。

「……痛い……」

「我慢なさい、子供じゃないんだから」

「……見物人は気楽だから羨ましい」

げんなりとした表情を浮かべながらぼやく菖に、ゆりはため息をつきながら返した。

三人がここにいる理由、それは、菖の親知らずが深刻な状態になってしまったことにあった。

ただでさえ、人間の奥歯は磨きにくい場所にあるというのに、普通の歯と異なった生え方をしていたものだから、余計に磨きにくく、そのせいで虫歯になってしまっていたのだ。

そのため、親知らずを抜く、という選択肢を取る以外になかった。

そこまでなら、ゆりと小百合はなんら関係はないのだが、菖は麻酔を使うということでできるだけ誰か他の人も同伴してほしいと医者に言われたらしい。

本来なら、祖父の仁頼を頼るところなのだが、あいにくと施術予定日は用事があったため、同伴は不可能となった。

そのため、最終手段としてゆりに同伴をお願いしたのだ。なお、小百合は大好きなお姉さんがどこかに出かけるということを知り、ついていくことにしたらしい。

もっとも、目的地が歯医者であることを知ってからは、泣きそうになるのを我慢していた。

しばらくして。

「春川さ~ん」

「……行ってくる」

「えぇいってらっしゃい」

名前を呼ばれた菖は、げんなりとした顔でゆりにそう告げると、ゆりはそっけない顔と態度で返してきた。

若干、ふらふらとしながら菖が診察室へ入っていってしばらくすると。

キュイーーーーーーンッ、という、歯を削るために使われる医療用ドリルの音が響いてきた。

その音に恐怖心を覚えたのか、小百合の目に涙が浮かんできて。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ギャン泣きし始めてしまった。

さすがに周囲の迷惑になる、と判断したゆりは、どうにか泣き止むよう、なだめ始めたのだが、うまくいかなかった。

それもそのはず。

ドリルの音に恐怖心を覚えたのではなく。

「兄ちゃーーーーーーんっ!」

いままさに治療を受けている菖の身を案じているからだった。

ゆりは妹のその様子に苦笑を浮かべながら、大丈夫だから、と言ってなだめていた。

しばらくして、診察室から菖が疲れた様子で出てきて、小百合の隣に腰掛けた。

すると、小百合は泣き止み。

「お兄ちゃん、大丈夫?痛くない?」

「……うん、大丈夫、痛くないよ……」

「もうこれで終わりだよ」

「いや、経過見るから一週間したらまた来てね、ってさ……」

「これ、あげるから、元気出して」

「……うん、気持ちはありがたいけど、それ、歯医者さんのぬいぐるみだからね?返そうね?」

麻酔の影響で調子が出ないのか、それとも慣れないことに神経を使って疲れてしまったのか。

いずれにしても、いつもなら人懐っこい笑顔を向けているはずの菖が、魂が抜けたような顔をしながら小百合に対応していた。

話すことができたからか、落ち着きを取り戻した小百合だったが、どこか寂しそうにうつむいていた。

自分なりに菖を励まそうとしていたのだが、その菖がどこかドライというか、気の抜けた返事しか返さなかったため、怒っていると勘違いしたらしい。

「……菖」

さすがに見かねたうえに、大切な妹をしょんぼりさせたことに怒りを覚えたゆりは、ジロリ、と菖に鋭い視線を送った。

だが、菖はその視線に気づくことなく、ぽふ、と小百合の頭に優しく手を置き。

「ありがとうな、小百合」

とお礼を言った。

少しばかり調子が戻ったことを察したのか、小百合は明るい笑顔を浮かべるのだった。

なお、一週間後、再び歯科医に行くことになった菖なのだが、そのことを聞いた小百合がまたギャン泣きしたことは言うまでもない。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~一週間後~
小百合「あ!菖お兄ちゃん!!」
ゆり「あら、菖。どうしたの?」
菖「ん?経過観察でもう一回歯医者に行かないとなんだよ」
小百合「歯医者、さん?……」
菖「うん……て、どうした?小百合ちゃん??」
小百合「菖お兄ちゃん(じょうおにいぢゃん)、また歯医者さん(ばいじゃざん)いぐの?」
菖「うん、そうだよ?」
ゆり「小百合、大丈夫よ?今度はキュイーンって音はしないし、菖も痛くないから一人で平気だって」
菖「……てか、なんで自分のことじゃないのにこんなギャン泣きされなきゃいけないのさ?優しいのはいいことだけど」


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えりかの災難

再びのコラボ回。
今回はえりかがちょっとひどい目に合います。
まぁ、前回のHugっと!で出てきた天才デザイナー(笑)のセリフにインスピレーションを受けたからってのが大きいですが。


「……降りてこない、降りてこないぃぃぃぃ……」

 

とある日、えりかは神社の境内で頭を抱えていた。

どうやら、新しい衣装のデザインが浮かばないらしい。

 

「うぅ……出てきたと思えば骨に積もる雪のように隙間から逃げてく……」

 

ハロウィン定番の某クレイアニメの主人公の歌の一節を口にしたえりかだが、突如、はっ、と顔を上げた。

 

「ま、まさかこれは妖怪の仕業??!!」

「んなわけあるか」

 

えりかの突然の叫びに、呆れた、といわんばかりのツッコミが入った。

声がしたほうへ視線を向けると、そこには呆れ顔をした菖の姿があった。なお、今の菖は袴姿。どうやら、神社の仕事の手伝いをしているようだ。

 

「でも!出てきたと思った端からアイデア消えてくんですよ?!これは、妖怪アイデア食いの仕業……」

「んな妖怪、いるわけない。出てきたと思ったその瞬間に書き留めとかないから忘れちまうってだけだ」

「えぇ~……」

「そもそもな、なんでもかんでも妖怪の仕業にするなよ。妖怪が人間に何かする時ってのは、人間が妖怪の領域(テリトリー)を侵した時だけだぞ」

 

忘れがちではあるが、菖はいわゆる視える体質の人間であり、その体質ゆえに、人ならざるものと友好関係を結んでいた。

菖がたったいま言った言葉は、その友人の一人がいつか愚痴っていた言葉だった。

だが、それは菖もまた感じていたことだったようだ。

 

「最近はなんでもかんでも妖怪のせいにしやがって……大半は手前(てめえ)のせいじゃねえか」

「ぶぅ~……んじゃ、あたしはどうすればいいんですかぁっ!!」

 

正論と言えば正論であるため、言い返すことができず、えりかはやけくそになって叫び声をあげた。

だが、その叫びすらも。

 

「はいはい、ひとまずはお静かに願いますよ」

 

と、ぞんざいに扱われる始末だった。

どうやら、よほど腹に据えかねているらしい。いつもなら、頑張れとか、一言応援してくれるのだが、それすらないことがその証拠だ。

菖からアドバイスをもらえないことを理解してえりかは、そっとため息をつき、空を見上げた。

が、風に流れる雲を見つめていても、透き通る初夏の青空を見つめていても、アイデアが降りてくることはなかった。

 

----------------------------

 

夕方になって、菖から帰れと言われて、強制的に家路につかされたえりかは、とぼとぼと歩いていた。

結局、あれからずっと考えていてもいいアイデアが浮かんでこなかったのだ。

 

――今日もだめだった……ここ最近、全然、浮かんでこないよ……いつもならこんなことないのにぃ……

 

実のところ、スランプは誰にでもあることなのだが、えりかは今まで、スランプらしいスランプを抱えたことがなかった。

そのため、本人はまったく信じていないというのに、妖怪のせいにしたくなるほど追い詰められていた。

そんな中、ふと、前を見ると。

 

「……あれ?」

 

なぜか霧が立ち込んでいた。

心なしか、暗いようにも思えるが、日暮れ時にだったからこんなものだろう、と対して気にすることもなく、えりかは家路を急いだ。

しかし、徐々におかしいということに気づき始めた。

進めども進めども家につく気配がないのだ。

 

――あっれ~?おかしいな、そろそろついてもいいころなんだけど……

 

そんなことを考えていると、少し前のほうに和服を着ている老婆の姿が目に入った。

 

――ちょうどいいや、あのおばあさんに聞いてみよ!

 

そう思いたつやいなや、えりかは老婆に近づき。

 

「こんばんは、おばあちゃん!ちょっと道を聞きたいんだ、け、ど……」

 

と、老婆の前に出て問いかけたが、その顔は徐々に青ざめていった。

老婆は老婆なのだが、直感で理解できた。

目の前にいるこのおばあちゃんは、人間ではないということが。

取って食われる。

そう思ったえりかだったが、意外な言葉が老婆の方からかかってきた。

 

「なんじゃ?どこへ行きたいというんじゃ?」

「え……えっと、フェアリードロップってお店、なんだ、けど」

「フェアリードロップ?」

 

老婆はえりかの言葉に首を傾げた。

どうやら、フェアリードロップを知らないらしい。

だが、今度はそのことにえりかが首を傾げた。

希望ヶ花市に住んでいて、フェアリードロップとHANASAKIフラワーショップを知らない人はいない。

なのに、目の前の老婆はまるでフェアリードロップを知らないかのようだった。

 

「……おばあちゃん、もしかして、違う町の人?」

「うん?……まぁ、違う町といえば違う町じゃな」

「へぇ~……そういえば、おばあちゃんはどこに行こうとしてるの?」

 

ふと興味を覚えたえりかがそう問いかけると、老婆はえりかが来た方向へ指を向けた。

 

「この先にある神社に、ちと用があったの」

 

指差した方向にある神社と言われて、えりかが思い至るものは菖と仁頼が管理を任されている神社しかない。

 

「あの、その神社、あたし知ってますよ?」

「ほぉ?ということは、菖の坊やのことも知っとるのか?」

「ぼ、坊や?」

 

えりかは突然、自分の頼りにしている先輩が坊や呼ばわりされたことに驚きを隠せなかった。

その様子に、老婆は面白そうに笑みを浮かべた。

 

「なるほど。おぬし、人間じゃな?」

「へ?」

「人間が迷い込むのも珍しい。なに、心配いらん。わしが坊やのところまで送り届けてやろう」

 

何を聞いているのかわけがわからないえりかだったが、老婆はそんなことは知ったことではないといった様子で、えりかの手を引っ張った。

老婆とは思えないその力の強さに、えりかは驚きはしたが、突っ込む余裕もなく、神社まで引っ張られていった。

 

----------------------------

 

神社に到着すると、えりかは目を丸くした。

そこにいたのは、どう見ても人間ではない。かといって、動物ともコフレたちプリキュアのパートナー妖精ともつかない姿のものたちがたむろしていた。

 

「……ま、まさか……」

「お~、来たか!砂かけの!!」

「こっちば~い、はよきんしゃ~い」

「おぉ、子泣き、一反木綿!すまんかったの、遅くなって」

 

呆然とするえりかをよそに、砂かけの、と呼ばれた老婆は蓑をまとった老人と白く長い布がいる場所へとむかっていってしまった。

 

「い、一反木綿って……ま、まさか、ここにいるのって、全部……」

「そう、妖怪だよ……それで?人間の君は何の用事でここにいるのかな?」

 

突然、えりかの背後から少年の声が聞こえてきた。

ぎぎぎ、と音が聞こえそうなほどゆっくりとした動きで、えりかは振り向いた。するとそこには、学生服の上に、虎模様のちゃんちゃんこを着た少年の姿があった。

だが、えりかは直感で理解した。

この少年もまた、人間ではないということを。

 

「え、えっと……み、道に迷って?」

「……なんで疑問形なのかは突っ込まないでおくけど……今の時間は君がいていい時間じゃない。早く帰ってくれないか?」

 

少年が冷たくそう言い放つと、境内中から冷たい視線を感じた。

どうしたものか、考えあぐねていたえりかだったが、そんな彼女に救いの手が差し伸べられた。

 

「なぁにやってんだよ、お前は……」

「……へ?……しょ、菖、さん??」

「はいはい、菖さんですよっと……」

 

半眼になりながら見下ろしてくる、見覚えのある顔にえりかは安堵して。

 

「……しょ(じょ)(じょう)()~~~~~んっ!!」

「おいおい、世界を救った美少女がする顔かよ?」

「だっ()、だっ()~~~~~っ!!」

 

緊張の糸が切れてしまったためか、涙と鼻水ですごい顔になりながら泣きわめくえりかに、菖はため息をつきつつ、ちり紙を差しだし、えりかが落ち付くまでしばらく待つのだった。




あとがき代わりの後日談

~見えないけれど……~
えりか「……で、菖さん。これはいったいどういうことなの?」
菖「夜の神社、妖怪たちにとっては数少ない憩いの場なんだよ」
えりか「へぇ……?はっ!てことは、まさかこの中に妖怪アイデア食いが……」
鬼太郎「いるわけないだろ、そんなの……まったく、菖以外は招いた覚えはないのに……」
菖「すまんな、鬼太郎。だが、今回ばかりは許してやっちゃくれねぇか?」
鬼太郎「まぁ、ほかならぬ君の頼みだからな」
えりか「……ほ、ほんとに妖怪っていたんだ……」
鬼太郎「……失礼だな。見えないけど存在するものだってあるんだ」
菖「シプレやコフレたちがいい例だな。えりかだって、つぼみに会う前はあいつらのことを信じなかったろ?」
えりか「そ、そりは……否定できないっしゅ……」
鬼太郎「だったら、言いがかりはやめてくれ。やってもいないのに妖怪(僕ら)のせいにされちゃたまったもんじゃない」
えりか「うっ……ごめんなさい……」
鬼太郎「わかればよろしい」
菖「……はぁ……普段からこれくらいしおらしかったら、もう少し楽できるんだけどなぁ……」


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ある日の先代騎士とキュアアンジェ、そしてミラージュたち

6/15はゴロあわせで「ロイコレ」の日だそうで……
というわけで、先代騎士とキュアアンジェ(本作では本名をコレットとしています!)をいちゃこらさせてみました!(オイ
まぁ、いうて先代騎士をキュアアンジェが膝枕しているのをミラージュたちが影から目撃しておしゃべりしてるってだけですが

なお、セイバーミラージュは登場しませんのであしからず

……なお、今回、あとがきは思い浮かばなかったので、割愛します(汗
30分クオリティだもんね、しかたないね!


アンジェ「ロイド。ここどうぞ!」

ロイド「え……い、いや、さすがにここでは……」

アンジェ「……(じー)……」

ロイド「……はぁ……わかったよ、ならお言葉に甘えます」

アンジェ「うふふ♪」

ロイド「……」

アンジェ「……ロイド?」

ロイド「……(すー、すー)……」

アンジェ「寝てる……うふふ、可愛い♪」

 

----------------------------

 

ブロッサムミラージュ(M)、マリンM、サンシャインM「「「……(じー)……」」」

ムーンライトM「あなたたち、そんなにじっと見たら失礼よ?」

ブロッサムM「で、でも!」

マリンM「すっごく気になるわよ!!」

サンシャインM「アンジェが先代セイバーを膝枕って……あの二人がそんな関係だったなんて……」

ムーンライトM「……はぁ……」

サンシャインM「ムーンライトMは気にならないの?」

ムーンライトM「気にならない、と言えば嘘になるわね」

ブロッサムM「ほら!」

ムーンライトM「まぁ、だからといって出歯亀していいっていうことにはならないでしょ?」

三人「「「うっ……そ、そうですけど……」」」

ムーンライトM「……ただでさえうらやましくて殺気を漏らしそうになるから、これ以上はやめましょうね?」(^言^

三人「「「は~い」」」

マリンM「それはそれとして、なぁんでセイバーMは来ないのかしら?」

ムーンライトM「現代のセイバーは自分の全部をあっさり受け入れすぎてるせいで、ひねくれちゃって出てこないのよ……おかげで表のわたしをからかうこともできない……」

ブロッサムM「い、意外にムーンライトMが黒いことを……」(○□○;

ムーンライトM「あら?だって表のわたし、からかったら面白そうじゃない?」(^言^

ブロッサムM「まぁ、それはわからないでもないけれど」

ムーンライトM「いっそのこと、心の大樹にお願いして、今のセイバーMを呼び出しちゃおうかしら?」

サンシャインM「いまの心の大樹にそんなことできないと思うけど……」

マリンM「というか、力が足りないから無理ね」

ムーンライトM「それもそうね」

ブロッサムM「……もしかして、忘れてた、とか?」

ムーンライトM「言ってみただけよ」

 

----------------------------

 

ロイド「……アンジェ」

アンジェ「うん?」(・ω・?

ロイド「そろそろ、そこのうるさい奴らにお説教したほうがいいような気がするんだが?」(--メ

アンジェ「それもそうね……頑張ってね、ロイド」

ロイド「……まぁ、お前にお説教(こういうの)は似合わないからな……しかたない、行ってくる」

アンジェ「……なるほど、あの三人がいたから、名前で呼んでくれなかったんだ……あとでわたしもお説教かな?」(^言^



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ファッション部と顔合わせする高校生たち

ちょっとやりたいことがあるので、つじつま合わせとして
正直、少しばかり適当なので、そのあたりはご容赦いただきたく
……というか、まじでネタが出てこない……


「さすが、ももかの妹だな」

「あぁ、かなり作りこまれてる」

「え、えへへ~……ま、まぁ、それほどでもあるっしゅ!」

 

放課後、ファッション部の部室でもある被服室では、中等部ファッション部員のほかに、ファッションモデルの助っ人として参加することもあるゆりとももか、そして菖の三人と、その同級生である君尋、静、明、小狼、ひまわり、さくらの六人がいた。

要は、いつもの高校生メンバーがファッション部の部室に全員集合しているという状態だった。

最初こそ、声や名前、噂は聞いたことがあっても、菖とゆり、ももかの三人以外は実際に会ったことがない、明堂学園のアイドルたちにみんなどぎまぎしていたのだが、つぼみたちが潤滑油になってくれたようで、いまではすっかり打ち解けていた。

 

「ずいぶん、にぎやかになったわね」

「そうだな……さて、暇になった俺はどう時間をつぶすか……」

 

と呟きながらも、菖はカバンの中から一冊の本を取り出していた。

いつも通りのことではあるが、読書で時間をつぶすつもりのようだ。

その様子を見ていたゆりは、そっとため息をついた。

 

「あなた、またここで読書して過ごすつもり?」

「何か問題でも?」

 

きょとん、とした顔で菖はゆりに問いかけた。

その態度に、再びため息をつくと。

 

「問題ないけれど……少しはつぼみたちのほうに加わろうとか思わないの?」

「ん~……思わないでもないけど、そんな空気じゃないからなぁ、いまは」

 

いわれてみれば確かにその通りである。

普段ならともかく、いま、つぼみたちは普段なら会うこともない人達と交流しているのだ。

その邪魔をするのは、少しばかり気が引けるというもの。

ならば、今は放っておいたほうがいいだろう。

 

「……それなら、わたしもあなたに倣おうかしら。隣、大丈夫?」

「大丈夫」

「なら、失礼するわね」

 

ゆりの問いかけにそっけなく返した菖だったが、そんなことは気にすることなく、ゆりは菖の隣に腰掛け、文庫本を取り出した。

しばらくの間、二人の間には沈黙だけが流れていたのが、。

 

「……にしても、にぎやかだな」

「……そうね」

 

いまだ、菖とゆりの二人を除き、ファッション部と高校生組の交流は続いており、そのにぎやかさは時間が過ぎるごとに増しているようにすら思えた。

もっとも、菖にしてもゆりにしても、そのにぎやかさを不快に思っているわけではないようだ。

その証拠に、視線は本に向けたままではあったが、その表情はどこか穏やかなものだった。

 

「……にしても……」

「えぇ……」

「「いつのまにあんなコスチューム、用意してたんだ/のかしら?」」

 

視線は本にむいていたのだが、視界の端にはしっかり明たちの様子が捉えられていたため、交流会がいつの間にかコスプレ大会になっていたことに気づいていた。

そのコスチュームの数はなぜか幅広く、文化祭のファッションショーで菖が着た黒い和服のようなコスチュームや学ラン、中華風の衣装にどこかの反逆者のようなコスチュームまであった。

いつの間にそんなものを用意していたのか、菖もゆりも気になったのだが、なぜか突っ込んだ瞬間、自分たちも巻き込まれるのではないかと感じ、突っ込まずにいた。

もっとも、二人が少し距離を置いていたことに気づいたえりかと明、ももかの三人によって、菖とゆりも強制参加させられることになったのだが、巻き込まれた本人たちも、まんざらではなさそうであったとか。




あとがき代わりのその後の話~スキット風~

~高校生組のファッションショー~
菖「……で?なんで俺まで巻き込まれてるの??」
明「我慢しろ、俺らだって巻きこまれてんだからよ」
君尋「正直、こんな恰好をする羽目になるとは思わなかった……」
ひまわり「四月一日くんも御剣くんも、似合ってるよ?」
君尋「ひまわりちゃんも似合ってるよ、その恰好」
ゆり「ところで、気のせいかしら?さくらはなんだか慣れているような感じがするのだけれど?」
さくら「ほえ?」
小狼「まぁ、小学生のころから色々着せられてたからな、さくらは」
さくら「はうぅぅぅぅぅぅぅ……」

----------------------------

ももか「ちょっと、えりか?なんでわたしのぶんはないわけ?」
えりか「だってもも姉ぇまで来るって思ってなかったもん!てっきり仕事だと思ったのに」
いつき「ま、まぁまぁ……」
ももか「まぁ、それはいいわ……明くん、かっこいいし♪」
えりか「そういや、もも姉ぇ、やけに明さんのこと推してるけどなんで?」
ももか「だって明くんはわたしの恋人(ダーリン)だもん♪」
中学生組『……えっ?……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??!!』

----------------------------

菖「なんか騒がしいな」
ゆり「そうね……おおかた、ももかが爆弾発言でもしたんじゃない?」
静「あいつはちゃっかりトラブル巻き起こすからな」
明「あぁ……まったく付き合ってるこっちの身にもなってほしいぜ」
君尋「本音のところは?」
明「可愛いから許す」
ひまわり「すっかり惚気てるね、明くん」
小狼「まったくだな……」
ひまわり「小狼くんとさくらちゃんも似たり寄ったりだけどね?」
さくら「は……はうぅぅぅぅぅぅぅ……」


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ある日の小狼とさくら~それを追いかける菖とゆり、そして明とももか~

菖「作者、この終わり方……」
斗真「いや、まぁ、うん……ごめんなさい」
ゆり「ほかに思い浮かばなかったのね」
斗真「……おっしゃる通りで……」

さっさと出したかったから、というのもありますが、これ以上浮かんでこなかったというのもあって、なぁんか微妙な終わり方になってしまいました
ご容赦ください(いや、まじで


とある日の休日。

さくらと小狼は希望ヶ花のバス停に来ていた。

当然と言えば当然なのだが、二人とも制服姿ではなく、私服姿だったところから察するに、どうやら休日デートのようだ。

そんな二人の様子を、見えないところから見守っている影が四つ。

 

「……なぁ、やっぱやめといたほうがいいんじゃないか?あとで小狼、怒るぞ?ぜったい……」

「とか言いながら、お前ら二人もちゃっかり覗いてんじゃねぇか」

「……なんで、わたしもここにいるのかしら?」

「いやいや、そういいながら、ゆりも興味あるんでしょ?」

 

それは、さくらと小狼にとって、一番の親友たちである仲間たちのうち二人であった。

どこから聞きつけたのか、さくらと小狼がデートをするらしいという情報をつかみ、覗き見、もとい、見守ることにしたようだ。

もっとも、菖とゆりはあまり乗り気ではなく、むしろ、明とももかの熱意と押しの強さに引っ張られて、強制参加しているようだったが。

 

「お?そんなことより、移動するみたいだぞ」

 

明の指摘通り、さくらと小狼はバスに乗りこみ始めていた。

車に乗られては追いつけない、と判断した明とももか(ノリノリの二人)は、ゆりと菖を引っ張り、小狼たちとバスに乗り込んだ。

なお、バスに乗り込んだあと、小狼とさくらは互いの顔を見ながら楽しそうに会話していたため、親友四人が同じバスに乗ったことなど、まったく知らなかった。

 

----------------------------

 

小狼たちがバスを降りたのはこのあたりでも有名なテーマパークの停留所だった。

どうやら、さくらの父親がチケットを二人分もらい、さくらに渡したらしい。

そんな会話が聞えてくると。

 

「へぇ?さすが、藤隆教授だな」

「せんせー、お前、さくらの父親、知ってるのか?」

「せんせー言うな」

「たしか、さくらのお父さんって大学の教授だったかしら?」

「そうよ。たしか、考古学……あ……」

「そういうこと」

 

ゆりの言うとおり、さくらの父親である藤隆は考古学の教授を勤めている。物腰が柔らかいだけでなく、授業もわかりやすく、ゼミ生に的確なアドバイスをしてくれるため、人気が高いのだが、まさか菖ともつながりがあったとは。

菖の考古学に関する横のつながりの広さに驚いていると。

 

「おっと、いかん。見失うところだった!」

「いけない、いけない!」

 

明とももかの二人が小狼とさくら(ターゲット)を見失いそうになっていたことに気づき、追跡を再開した。

 

----------------------------

 

それからしばらくの間、菖たちは小狼とさくらの追跡を続けていた。

ジェットコースターやメリーゴーランド、コーヒーカップなどの定番を回ったり、ワゴン販売に目を向けたり、移動中に着ぐるみと写真を撮ったり。

明らかにデートであることを見せつけられていたゆりと菖は、気恥ずかしさもそうなのだが、なにより、隣にいる人と一緒に気兼ねなく回りたい、という欲求が芽生えてきていた。

そのせいもあってか、まともに互いの顔を見ることができない様子だった。

なお、その様子を見ていた明とももかがニヤニヤ顔をしていたことは言うまでもない。

そうこうしているうちに、一行はお化け屋敷の行列に並んでいた。

 

「あぁ……木之本、これ大丈夫なのかなぁ……」

「さぁ、どうかしら?」

 

菖の問いかけに、ゆりも不安そうな顔で首を傾げた。

実のところ、さくらはお化けや幽霊といったホラー系にまったく耐性がない。

最近はそういった話題を聞いて泣きそうになるということはなくなったのだが、それでも怖いものは怖い。

はたして、どんな反応をするのやら。

それを考えると、Sっ気の強い明は。

 

「……中の様子が見れないのが残念だ」

 

と実に残念そうにしていた。

そのセリフを聞いていた菖とゆりは、同時にため息をついたことは言うまでもない。

なお、この後、ももかのうっかりにより、小狼とさくらに尾行がばれ、主に小狼からお説教を受けたそうな。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~お化け屋敷の中で~
ももか「ところで、さくら?」
さくら「ん?なに、ももかちゃん??」
ももか「お化け屋敷で、何かあったんじゃないの?」
さくら「……な、なにかって??……」(-▽-;
ももか「小狼くんに抱き着いちゃったり、抱き着いちゃったり」
さくら「ほ……ほぉえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ???!!」Σ(///□///
ももか「ほれほれ~言っちゃいな~?言っちゃいな~?」(-▽-
さくら「は、はうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
ゆり「ももか、それくらいにしてあげなさい?」
ももか「え~……」
ゆり「……ぶつわよ?」
ももか「はい、やめます!」
ゆり「よろしい」
さくら「あ、ありがとう。ゆりちゃん」
ゆり「まぁ、あとでひまわりも混ざって報告会してもらうけど」
さくら「ほえぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」
ゆり「うふふ♪冗談よ」


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とある花火大会のハートキャッチ組と高校生たち

先週、地元で花火大会がありまして、それを見て思いつきました。
ようやく、菖とゆりが一歩前進(?)します!(あながち嘘じゃないよ!!
いつか二人だけで夏祭りネタとかやりたいなぁ……
てか、そろそろつぼみの相手も出してあげないと……


うだるような暑い日が続く夏休みのある日の夕方。

菖とゆりは浴衣姿で河原に来ていた。

周囲を見れば、同じように浴衣姿の男女や家族連れでごった返していた。

 

「うわぁ……覚悟はしてたけど、混んでるわなぁ」

「夏の一大イベントだもの。これくらいのにぎわいはないと、ね?」

「それもそうだな」

 

くすくすと微笑みを浮かべるゆりに、菖は苦笑しながら返した。

今日は希望ヶ花市の夏の風物詩である花火大会の日で、この日は多くの人々が友人や家族と一緒に打ち上げ花火を見ようとこぞって河原にやってくるのだ。

菖とゆりもまた、こうして花火見学にやってきた、というわけだ。

むろん、二人だけ、というわけではない。

 

「菖さーん、ゆりさーん!」

「こんばんは」

「あれ?もしかして、あたしたち、時間間違えちゃった?!」

「いや、俺らが先に来ただけだから」

「そうよ。むしろえりかが遅刻しなかったことにびっくりしているくらいだから」

「ひどいっしゅ!」

 

身から出た錆、とはいえ、えりかはゆりの言に反論した。

が、ゆりはその様子にくすくすと微笑み、冗談よ、と返した。

 

「それはそうと、遅いな。君尋たち」

「そうね……もうそろそろ着いていてもおかしくないのだけれど……」

「ももねぇはあたしたちが出る前にはもう出発してたけど……」

 

えりかはそう言いながら、この場にいない姉と、おそらく、いや、確実に将来、義兄となる先輩()のことを案じた。

まさか、事故に遭っていないか、明に嫉妬した無粋な連中に襲われたか。いや、可能性が高そうなものは、突然仕事が入ってキャンセルせざるをえない状況になってしまったか。

心配しすぎて、えりかが頭を抱え始めると。

 

「お~い!」

「悪ぃ、ちと遅くなったか?」

「「こんばんは、みんな」」

「「すまない/ごめん、遅くなった」」

「……よう」

 

噂をすればなんとやら、とはよくいったものである。

声が聞こえてきたほうを見ると、そこには浴衣姿の明とももか(美男美女カップル)小狼とさくら(ほんわかカップル)、そして君尋と静、ひまわり(にぎやか三人組)がいた。

 

「お、来た来た」

「少し遅かったわね?」

「ももねぇも明にぃも遅いっしゅ!!」

「「こんばんは!」」

 

先に来ていた面々がそれぞれの反応を示すと、小狼とさくら、君尋は少しばかり申し訳なさそうな顔をしていたが、ももかと明、ひまわりは苦笑いを浮かべ、静に至ってはそのポーカーフェイスを崩すことはなかった。

むろん、静のそのポーカーフェイスに、君尋が苛立ちを覚えないはずがなく。

 

「百目鬼!お前はもう少し申し訳さなそうにそたらどうだっ?!菖はともかく、月影さんやつぼみちゃんたちに申し訳ないとは思わないのかっ?!」

「……やかましい」

「いや、俺はともかくってなんだよ」

 

君尋のツッコミに、静はいつも通りに返したが、菖は苦笑を浮かべながらツッコミを返していた。

そんな三人の様子に、ゆりが呆れ返ったようなため息をつくと、川の方から、ひゅー、という甲高い音が聞こえて来た。

その音を聞いて、振り返ってみると。

ドーンッ!

色とりどりの光と、一拍遅れて大きな破裂音が響いて来た。

どうやら、花火大会が始まったようである。

いつの間にか、君尋の騒がしいツッコミは止まり、全員の視線は花火のほうへと向いていた。

 

「「たーまやーっ!」」

 

花火が咲くと同時に、えりかとももかがお決まりの掛け声を叫んでいた。

その様子を横で微笑ましく見守りながら、菖とゆりは花火に魅入っていた。

いつの間にか、菖とゆりは手をつないでいたのだが、それを知っているメンバーは誰もいなかった。

結局、菖とゆりが手をつないでいた、という事実は誰も知ることなく、花火大会は終了したのだった。




あとがき代わりのその後の話

~帰り道~
ももか「それじゃ、わたしとえりかは明くんに送ってもらうから、ここで」
つぼみ「わたしもご一緒させてもらいますので、ここで。みなさん、おやすみなさい」
君尋「それじゃ、ひまわりちゃんといつきちゃんは俺と百目鬼で送っていくよ。小狼、さくらちゃんのこと、ちゃんと送ってやれよ?」
小狼「わかってる」
静「……小さい狼だけに、送り狼にならないようにな?」
小狼、さくら「「……おっ……??!!」」Σ(///□///
菖、ゆり「「……はぁ……」」

----------------------------

ゆり「まぁ、必然的にわたしのことはあなたが送ってくれることになるんだろうけど……」
菖「いい加減、飽きたか?」
ゆり「誰がそんなことを言ったかしら?」
菖「ははは」
ゆり「……ねぇ、菖……手、もう一度、つないでも、いい?」(/// ///
菖「……おぅ……」(/// ///
ゆり「……それじゃあ、お言葉に甘えて」(ぎゅっ
菖「おぅ」(ぎゅっ


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とある昼休みの明とももかと菖~お昼の放送、スキット風(前編)~

というわけで久々のラジオ回
今回はタイトルの通りでござい
文字数の関係で前後編に分けさせてもらいますが、ご了承を
……あ、おまけスキットはないですよ~


愛音「皆さん、お昼の時間がやってまいりました~♪今回も大好評のゲストをお招きしての特別コーナーでの放送となりま~す!本日のゲストは皆さんご存知、『チートの権化』、みんな振り向くあんちくしょう!の御剣明さんと、我が明堂学園のトップアイドル!小悪魔な魅力(カリスマ)ふりまく女子高生モデルの来海ももかさんです!!」

明「お~っす。今日はよろしくな」

ももか「よろしくね♪」(^^♪

愛音「そんでもって、今回はアシスタントとして……」

菖「またも強制連行(ドナドナ)されてきた春川菖です……はぁ……」(  lll

愛音「いやぁ、まさか春川さんが手伝ってくれるとは思いませんでしたよ♪」

菖「よく言う……俺をここに引っ張りだすためだけにゆりを懐柔しやがって……」

明「……懐柔されたのか、月影が」

ももか「なんか、少し意外かも」

愛音「ご本人曰く、春川さんの困っている声を聞きたいから、なのだそうで」

菖「……なんてこった……」

明「意外にSだな、あいつ」

ももか「ゆりの意外な一面が見れた気がするわね……」

 

----------------------------

 

さくら「ほ、ほえぇぇぇ……」

ひまわり「ゆりちゃん、白百合かと思ったら、その本性は黒百合なのかな?」

ゆり「なにわけのわからないことを言っているのかしら?」

ひまわり「うふふふ♪」

 

----------------------------

 

愛音「まぁ、それはともかくとして!本日は我らが明堂学園きっての美男美女にゲストとしてご参加頂いております!!」

ももか「美男美女だって!照れちゃうよね、明くん♪」

明「ももかはともかく、俺はそれほどじゃねぇだろ……まぁ、言われて悪い気はしないけどよ」

菖「えぇっと、二人のイチャラブはともかくとして、さっそくいつもの行こうか」

愛音「はいは~い♪」

ももか「……なんか、菖くんのスルースキルがものすごくレベルアップしてる気がするんだけど、気のせいかな?」

明「いや気のせいじゃないだろ?……まぁいいや、さっさと進めようぜ、せんせー」

菖「せんせー言うな。というか、お前らがいちゃついてるから進行が遅れるんだっての、ちった自覚してくれ」

明「おっと、珍しくご立腹なようだな」

愛音「いやぁ、わかる気がしますけども……目の前でイチャコラされたら……ねぇ?」(^▽^#

ももか「えぇ~?そんなもん??」

愛音「そんなもんですよ、ももかさん……それが証拠に……春川さんっ!!」

菖「え、ここで俺なの?!……えぇと、まず、寄せられた質問というか、メッセージの中でも大多数を占めていたものから……てか、これ送ってきた連中、まじで度胸あるよなぁ。明に喧嘩売ってるようなもんだぞ、これ」(-▽-;

明「ほぉ?」

ももか「ほへ?」

菖「え~……多すぎるので、ペンネーム(PN)はあえて伏せさせていただきまして、代わりに、明堂学園高等部生徒、多数の声ということで読まさせていただきます」

 

----------------------------

 

えりか「……なぁんか、簡単に予想できるっしゅ」(-▽-;

つぼみ「はい……」(-▽-;

いつき「あははは……」(-▽-;

 

----------------------------

 

菖「リア充、爆発しやがれコンチクショウ!!」

愛音「まったくその通り!!」

菖「末永く爆発し続けて、ちゃんとゴールインしやがれ!!」

愛音「まったくです!!」

菖「御剣!!てめぇ、ももかちゃん泣かせたら地獄に引きずりこんでやるからな!!」

明「おいおい、物騒なこと言うな……泣かせるわけねぇだろ」

菖「くそぉ!神よ、我らを見放されたか!!」

明「おいおい……」

愛音「……って、あれ?春川さん、どうしました??」

菖「……ごめん、このメッセージ見たら胃が痛くなってきた……」(--;

ももか「だ、大丈夫?!」

明「おいおい、無理すんなって」

愛音「どんな内容で?」

菖「……春川、ちょっと壁になっちゃくれねぇか?何かを殴りたい気分なんだ……ざっけんな!!俺は便利屋じゃないっての!!」( □ #

菖以外「「「あ~……」」」

菖「そこで納得しないでくれ!頼むから!!」

 

----------------------------

 

小狼「なんというか……」

君尋「菖も大変だな……」

静「……学校の壁に穴あけないようにって配慮なんじゃないか?」

小狼「そうなのか?」

君尋「もしそうだとしたらこいつ、笑いの天才だよ……てか、ねぇから!」

 

----------------------------

 

愛音「ま、まぁ、皆さん言いたいことは同じようですね~」(-▽-;

菖「そりゃ、学園一の美男美女だからなぁ」

ももか「菖くんも、うかうかしてると横から取られちゃわない?白いユリの花」

菖「……ここで言うかよ」

ももか「にっししし~♪」

菖「……おい、明。頼むから、こいつの手綱、ちゃんと握っててくれないか?」

明「手綱を握るのは構わないが……お前もさっさともらっちまえよ?白百合」

愛音「あ、あのぉ……さっきから、どなたのことをおっしゃってるので?」

菖、明、ももか「「「黙秘させてもらう/もらうね」」」

愛音「ぐぬぬ……ここにもリア充が……」

 

----------------------------

 

ひまわり「で?もらわれてあげないの?」

ゆり「……なんのことかしら?」(プイッ

さくら「ほえ?」

 

つぼみ「言わずもがな、ゆりさんのこと、ですよね?」

えりか「だろーねー」

 

----------------------------

 

菖「まぁ、気を取りなおして、さっさと本題に行こうか」

愛音「ですね~……というわけで、今回はお二人にあることないこと、洗いざらい白状し(ゲロっ)てもらいましょう!!」

明「おいおい、尋問か何かかよ?」

ももか「あるいは取り調べ?」

菖「ちなみに罪状は?」

愛音「う~ん……危険物所持法違反?」

菖「二人から発生する熱気は危険物?」

愛音「というか……お二人の色気?」

菖「それだ!!」

明、ももか「「それだ、じゃない/わよ!!」」

 

----------------------------

 

ゆり「珍しいわね、ももかがツッコミなんて……」

ひまわり「普段はツッコミされる側だもんね」

さくら「けど、これはこれで新鮮かも」

 

えりか「もも姉ぇがツッコミにまわってるっしゅ」( □ ;

つぼみ「珍しいんですか?」

いつき「そうなんじゃない?」

 

----------------------------

 

愛音「え~、話がそれましたが」

明「そらしたのはそっちだろうが」

愛音「聞こえません!本題に戻りましょう!!」

ももか「見事にスルーされたね、明くん」

明「しゃあねぇな……」

菖「はいはい、文句はあとにしとくれよ~……さて、今回もゲストに対する質問が届いております。とはいえ、やはり人気のお二人だもんねぇ……」

愛音「段ボール箱、十個は軽くいってましたよ、二人で」

明「お~お~、そらまたすごいこって……」

ももか「うふふ♪みんな何をそんなに知りたいのかな~?」

菖「まぁ、いつものごとく、前川が独断と偏見で選抜したものを読まさせてもらうぞ~」

明「はいよ。どんどん頼むぜ」

菖「了解(ラジャ)。というわけで、最初の質問はPN『俺はシスコンじゃねぇ!!』さんから……『明さん、こんにちは』」

明「はい、こんにちは」

菖「『いつも思うだが、明さんって結構マルチな才能を持ってるよな?一体、特技はいくつあるかちょっと気になったんで質問するぜ』とのことですが……」

明「あ~……数えてねぇからなんとも」

菖「だよな」

愛音「おぉ!ぜひとも教えていただきたいものですな!!」

菖「俺が把握してるだけでも、楽器演奏とか瓦割り、料理、スイーツ作りに裁縫、あみぐるみ作り、ものまね……」

愛音「って、初っ端から結構な数ですね??!!」

明「それ以外にも居合い抜きにアーチェリー、弓道、ロッククライミングに素潜り、魚釣りなんかも得意だな」

菖「そういや、この前は明堂院流の道場に出稽古に来てたよな?」

明「あぁ、そういやせんせーもそんとき一緒にいたか」

菖「せんせー言うな。いつきに頼まれてな。まぁ理事長とじいじの代理戦争みたいなものだし?」

愛音「だ、代理戦争とはまた……おっかない単語が出てきましたなぁ……」

 

----------------------------

 

えりか「そうなの?いつき」

いつき「うん、まぁ……ほんとはお爺さまが僕を通じて菖さんを誘ったんだけど、今思うと、お爺さまと仁頼さんの弟子対決って感じが強かったような……」

つぼみ「はひぃ……」

 

----------------------------

 

ももか「そういえば、えりかがそんな話をしてたような……明くんと菖くんも模擬試合したんだっけ?」

明「あぁ、まぁな」

ももか「勝敗は?」

明、菖「「引き分け」」

愛音「おや、意外!てっきり、明さんの圧勝かと」

明「おいおい、そりゃせんせーに失礼ってもんだぜ?」

ももか「でも、菖くんってあんまり荒事は得意じゃないような気がするんだけど」

菖「いや、海外へ発掘調査に行くとやっぱり身の危険はあるからさ。それなり以上に鍛えておかないと、命が危ないし」

明「まじでやりづらかったぜ、こいつ。実戦でないと絶対にしないような動きするし」

菖「それについてける明もすごいと思うけど」

愛音「はへぇ……なんだかもう、わたしはこのお二人についていけないような気がします……」

ももか「前川さん、大丈夫。前川さんだけじゃないよ。わたしも、たぶんどこかの誰かさん以外はみんなそうだから」

 

----------------------------

 

生徒一同『うんうん』

 

さくら「……ねぇ、ひまわりちゃん。どこかの誰かさんって、もしかして……」

ひまわり「さくらちゃん、それは言わぬが花、なんじゃないかな?」

ゆり「……なによ、二人してこっちを見て」

(後半へ続く



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とある昼休みの明とももかと菖~お昼の放送、スキット風(後編)~

というわけで、後編ですが……終わり方、わりと適当です、申し訳ないです



愛音「さてさて、春川さんと御剣さんのバトルステータスが異常に高いことがわかったところで、次の質問をば!春川さん、よろしくどうぞ!!」

菖「投げるのかよ!まぁいいや……えっと、これはももかへの質問だな」

ももか「ほへ?わたし??」

菖「PN『血盟騎士の閃光』さんから……なんか、聞いたことがあるような、ないような……『こんにちは、ももかさん』」

ももか「は~い、こんにちは~♪」

菖「『いつも雑誌で拝見してます。学校生活との両立は大変だと思うけど、これからも頑張ってください!さて、質問ですが、ももかさんはモデルとして気をつけてることとかってありますか?よかったら教えてください!!』……だとさ」

愛音「おや?まともな質問ですね」

菖「……あれ?なぜかまともな質問が新鮮に見える……まぁいいや」

明「いいのかよ!」

菖「進行に差し障るからな……で、ぶっちゃけたとこ、どうなんだ?よく体型に気を遣うなんてのは聞くけど」

ももか「まぁ、そうね。バストはともかく、ウェストは気をつけてるかなぁ?」

愛音「ちなみに、お勧めのダイエット方法ってなにかありますか?!」

菖「いきなり食いついてきた……」

明「そりゃ、乙女だからな、前川も……つか、学園中の女子が食いつくと思うぞ?」

菖「あぁ……けど、なんでかね?ゆりとさくらとひまわりは無反応のような気がするよ」

明「……否定できないな」

 

----------------------------

 

ゆり「……ちょっとは否定してほしいわね……」

ひまわり「ふふふ♪」

さくら「ほえ?」

 

----------------------------

 

ももか「お勧めの方法なんてないけど、わたしがやってるのは体幹トレーニングと糖質制限かな?」

愛音「ほうほう!!」

ももか「要は脂肪を燃焼させる筋肉を増やして、脂肪のもととなる糖質を抑えれば大丈夫ってことだと思うのよね~……あ、もちろん、栄養バランスも考えて食事する必要があるけどね」

菖「あ~、たまにいるよなぁ、間違ったダイエットで絶食とか断食するやつ」

明「いるな、確かに……そういや、断食って正しいやり方ってのがあるんだよな?」

菖「まぁ、指導員がいるところでやったほうが安全だわな」

愛音「いわゆる、断食合宿、というやつですかね?」

菖「そう、それ」

ももか「さすがにわたしはそれはごめんかな~」(^ω^;

菖「まぁ、一番いいのは我慢しすぎないで食べたいときに食べて、調整しながら瘦せてくことなんだろうけど」

明「だわなぁ」

ももか「うんうん!」

愛音「やっぱり食べることはやめられませんからなぁ」

菖「だからって、スイーツの食べ過ぎはよくない」

愛音「うぐっ!!」

 

----------------------------

 

えりか「うぐっ!!」

つぼみ「え、えりか……」

いつき「僕たちの中で一番の食いしん坊だもんねぇ……なぎささんやなおちゃんほどじゃないけど」

 

----------------------------

 

なぎさ、なお「「ふぇっくしょん?!」」

 

----------------------------

 

愛音「……そ、それはそうと……つ、次の質問に行っちゃいましょう!!」

菖(あ、逃げた)

明(逃げたな)

ももか(逃げたわね)

愛音「え~っと、PN『ニャンコ娘』さんのからのお手紙です」

菖「これまた聞いたことがあるような……」

愛音「『ももかさん、御剣さん、こんにちは』」

明、ももか「「こんにちは」」

愛音「『風の噂で聞いたんですが、お二人はお付き合いをされているのだとか。なれそめとか、告白したときのこととか、聞いてもいいですか??!!』だそうで」

菖「はい、次の質問~」

愛音「ちょっと待てぃ!!」

菖「プライベートなことじゃないのか、この質問」

愛音「だってわたしも気になりますもん!!なので、独断と偏見でOKということに……」

菖「職権乱用、ダメゼッタイ」

愛音「ちくしょう!放送室(ここ)ではわたしがルールブックだ!!」

 

----------------------------

 

つぼみ「ぼ、暴走が始まっちゃいました……」

えりか「あ~……これは菖さん、どう収拾つけるんだろ?」

いつき「さぁ……」

 

----------------------------

 

ゆり「……はぁ……何をやっているのかしら、まったく」

さくら「ほ、ほえぇぇぇ……だ、大丈夫かな?菖くんたち」

ひまわり「だ、大丈夫、じゃないかな?」

 

----------------------------

 

君尋「うわぁ……前川が暴走してらぁ……」

小狼「菖たち、大丈夫かな……」

静「大丈夫じゃないか?……もぐ……」

君尋「こんな時によく食ってられるよな、お前は……」(--;

 

----------------------------

 

愛音「ぜーはーぜーはー……」

菖「というわけで、さっきの質問の答えを知りたいという猛者は直接本人たちに聞いてくれ」

(キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン)

菖「さて、名残惜しい?ですが、ここでお昼の放送は終了です。最後に、本日のゲストお二人からコメントをお願いします!」

明「お?そんじゃ、そうだな……まぁ、月並みだが、楽しかったぜ!機会があれば、また呼んでくれ」

ももか「今度はゆりたちともう一回、出てみたいかな~♪あ、でなきゃ君尋くんや小狼くんも一緒に呼んで、とか!」

菖「……放送室の許容人数的に無理だな、それは」(-▽-;

ももか「あははは……」(´・ω・`)

菖「ではでは、本日はこれまで!みなさん、午後の先生方からの催眠魔法に注意しつつ、午後も頑張ってください!」

愛音「……って、最後の最後でわたしのセリフを盗っただとぅ??!!」




あとがき代わりの後日談

~結局……~
(数日後)
菖「そういや、明。お前、こないだの放送で俺がスルーさせたやつ、質問しに来た奴とかいたのか」
明「いたな。けど、ももかをいやらしい目で見てたから腹立って威圧して退散させた」
君尋「おいおい……」
小狼「気持ちはわからないでもないが……やりすぎじゃないのか?」
明「んなこたねぇよ。まぁ、これをわかってくれるのは、小狼と菖だけだろうがな」
菖「いや、なんで独り身の俺が?」
明「あ?月影がいるだろ?お前には」
菖「うっ……」
君尋「おいおい、なに赤くなってんだよ?」(・∀・
明「もしかしなくても、お前、月影のこと~?」(・∀・
小狼「はははは……」
静「……腹減った……」
菖「……お前のキャラがまったくぶれないことにこれほど安心感を覚えたことはないよ、俺は……」


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(ハートキャッチ組限定)膝枕

ふと思いついたので、やってみました
(といっても、ハートキャッチ組のみですが)

……そのうち、オールスターズ編の新しい話、書きたいなぁ……

あ、今回もあとがきありません、ご了承を


ゆり「……菖、覚悟を決めなさい?」

菖「いや、そうは言うがな……」

ゆり「トランプに負けたんだもの、なんでも(・・・・)言うことを聞くんでしょ?」

菖「そうだけど……」

ゆり「なら、覚悟を決めなさい?」

菖「うっ……わかりました……」

 

えりか「二人だけで温室に行ったと思ったら……」

いつき「いつの間にあんな関係に……」(/// ///

つぼみ「は、はわわわわわ……」

えりか「……つぼみ、これはあんたもうかうかしてられないよ?」

つぼみ「え、えりか!それは言わないのがお約束です!!」Σ(///□///

 

----------------------------

 

つぼみ「しょ、しょしょしょしょ……」

菖「證誠寺(しょじょじ)?」

つぼみ「證誠寺の庭に……じゃないです!!」Σ(///□///

菖「だったら何だ?」

つぼみ「え、えっと……あの……その……お、御膝、どうぞ、です……」(/// ///

菖「……へ?」"゚д゚)

 

えりか「な、なんだか寒気が……って?!ゆ、ゆりさん??!!」( □ ;

いつき「お、お願いですから、その殺気を静めてください!!」( □ ;

ゆり「……あら?なんのことかしら?」(-言-

 

----------------------------

 

ももか「あ~きくん♪」

明「ん?どうした、ももか??」

ももか「どーぞ!」(ぽふぽふ

明「……なら、遠慮なく」

 

ひまわり「あら、ももかちゃん、いつになく大胆♪」

さくら「ほえぇぇ……すごいなぁ、ももかちゃん……」

ゆり「……菖もあれくらいすんなり受け入れてくれたらいいのに……」

 

菖「あっさり受け入れやがった」

君尋「さすが、明って感じだな」

小狼「あぁ……素直に尊敬する」

 

----------------------------

 

さくら「しゃ、小狼くん……」

小狼「あ、あぁ……」

さくら「お、御膝、どうぞ……」(/// ///

小狼「あ、ありがとう」(/// ///

 

ももか「うふふ、二人とも赤くなっちゃってる。かわいい♪」

ひまわり「本当、あの二人は見てるとほんわかするわねぇ♪」

ゆり「ふふふ♪」

 

明「おーおー、赤くなっちゃってまぁ」(-▽-

菖「いや、赤くならないお前が異常なだけだ」

君尋「せんせーに一票」

菖「せんせー言うな」

 

----------------------------

 

えりか「つ~ぼみ♪」

つぼみ「なんでしょう?えりか」

えりか「はい、御膝どーぞ!」

つぼみ「え?えぇ??」

 

ゆり「あら?仲良し二人組ね」

いつき「ほんと、仲良しですよね、あの二人♪」

シプレ「シプレとコフレも!」

コフレ「仲良しですっ!」

菖(……和むなぁ……)



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とある日の高校生組と中学生組

C.Cさくらを見てふと思いついたお話
とはいえ、クリアカード編、地上波も最終回迎えちゃったんですがね(´・ω・`)
また一つ、今季楽しみなアニメが終わってしまった


覚えているだろうか。かつて、菖とゆり、そしてつぼみたちがシプレたち妖精にせがまれるような形で、保育園で人形劇をしたことを。

そして、その人形劇ののち、つぼみたちは保育園の手伝いをすることになったことを。

 

「……で、子供たちからの熱烈アンコールでもう一度、ボランティアをすることになった、と?」

「はい……申し訳ありません、菖さんもゆりさんもお忙しいというのに……」

 

菖の問いかけに、つぼみは本当に申し訳なさそうに答えた。

 

「いや、それは別に構わないけど……今度はなにを手伝うんだ?」

「そうね。それは気になるところだわ」

「はい。今度は絵本の読み聞かせなんです」

「「絵本?」」

 

つぼみから返ってきた答えに、菖とゆりは同時に首を傾げた。

 

「紙芝居じゃなく?」

「絵本なんです」

「この間のような人形劇ということもなく?」

「はい」

 

つぼみは二人の問いかけに頷きを返した。

だが、つぼみはさらに驚くべきことを口にした。

 

「それで、あの……できれば、明さんやももかさん、小狼さんたちに協力してもらいたいんですが」

 

まさかのその一言に、菖とゆりは目を丸くし。

 

「「はぁっ??!!」」

 

驚愕の声が上がった。

 

----------------------------

 

数日後。

明たちに連絡を回し、快く協力してもらえることになり、読み聞かせに使う絵本を選び、練習する運びとなった。

ちなみに、読み聞かせに使うことになった絵本は、『手袋を買いに』と『泣いた赤鬼』の二冊である。

なのだが。

 

「『泣いた赤鬼』ですか?」

「何?この絵本??あたし、知らないんだけど」

「ぼくもこの絵本、読んだことないかも??」

「……なん……だと……」

 

中学生組に言われた菖は驚愕してしまった。

なお、小狼を除いた高校生組は知っていたらしく、菖のように声こそ出してはいないが、同じように驚いていた。

 

「おいおい、数ある鬼が出てくる絵本の中でもこんな優しい話はないぜ?」

「そうなのか?」

「あれ?小狼は知らなかったか」

「あぁ。香港では読んだことがなかったからな」

 

首をかしげる小狼に君尋が問いかけると、小狼はうなずいて返した。

すると、明がにやりと笑みを浮かべ。

 

「なら、小狼に知ってもらうって意味も込めて読んでみるか。頼むぜ、せんせー」

 

と、菖に話を振ってきた。

 

「せんせーいうな。というか、なんで俺なんだよ?」

「このメンツの中で一番驚いてたのがせんせーだから」

 

話を振られた菖が問いかけると、明はさも当たり前かのような口ぶりで反論してきた。

他のメンバーも同意見らしく、うんうん、と首を縦に振って肯定していた。

彼らの反応に、菖は最初、断ろうとしたが。

 

「菖……だめ?」

「菖さん、お願いします」

 

と、ゆりとつぼみに上目遣いでおねだりされてしまい、折れることにした。

 

----------------------------

 

「『「赤鬼くん、悪者の僕と赤鬼くんが仲良くしていたら、きっと村の人達はまた君を仲間はずれにしてしまう。だから、僕はこの山から出ていきます。赤鬼くん、村のみんなとどうかいつまでも仲良くしてください。さようなら」だってぇっ?!そ、そんな青鬼くんっ!!』赤鬼は泣きました。一番仲の良かった青鬼がいなくなってしまったことに泣きました。けれど、赤鬼は青鬼との約束を守って、村人たちとずっと仲良く暮らしましたとさ」

 

おしまい。

菖がそう結ぶと、そっと目を閉じ、ほぅっ、と大きくため息をついた。

瞬間、ぱちぱち、と小さな拍手が響いてきた。

小さなその音は、やがて大きくなっていき、明のものだろうか、ぴー、という口笛の音色も響いてきた。

 

「うぅ~~~~~~っ!こ、こんな……こんな悲しいお話だったなんて~~~~っ!!」

「青鬼、あんた(おとこ)だよ!!あたしゃ感動したぁっ!!」

「いいお話だなぁ……僕も、感動したよ!!」

「……うん、まぁ感想は人それぞれだよね……」

 

泣いたり感激したりと、中学生組の様々な反応に、菖を含めた高校生組は苦笑を浮かべるしかなかった。

ちなみに小狼は、いい話だったな、とありきたりな感想を口にしていたが、解散したのち、その胸に秘めた本音をさくらに暴露したらしい。

もっとも、どんな感想を抱いていたのかは、さくらが頑なに話そうとしなかったため、誰にもわからなかったのだが。




あとがき代わりの後日談

~読み聞かせを終えて(高校生組のみ)~
全員『お疲れ様~っ!』
菖「いやぁ、なんとか終わったぁ」
明「あいつら、満足そうにしてたな」
君尋「そりゃこれだけ遊んでくれる人がいればな」
ゆり「ふふふ……ももかったら、御剣くんを子供たちに取られて途中までむくれてたものね」
ももか「ちょっ?!は、恥ずかしいこと言わないでよ、ゆり!!」Σ(///□///
小狼「まぁ、それだけ明が安心できるってことなんだろうな」
静「……少し前まで、ちびっ子を見ただけで泣かれることが多かったのにな」
さくら「そうなの?」
小狼「あぁ……そういえば、今日は泣かれなかったな、一度も」
菖「ふむ……これはあれかね?」
ひまわり「あれ?」
菖「愛は人を変える」
明、さくら、ももか以外『それだ!!』
明「いや、それだ、じゃねぇよ」
ももか「愛だなんて……まぁ、その通りだけど♪」
さくら「……ほえ?」


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菖の不思議な友達

そういや日常編で出したことなかったなぁ、と思って出してみました
まぁ、本人が人との絡みをあまり好まないのでかなり短いのですが(汗
もしかしたら本人の口から自分のことが語られる機会は……あかん、永遠に来ない気がする……


その日、菖は珍しく誰とも一緒に行動していなかった。

その理由が、これから会う約束をしている人物が人間嫌いで、自分以外の誰かを連れてくることを極端に嫌っているためだ。

 

――だからって、学校にも必要最低限しか来ないってのもどうかと思うけど……なんでか先生たちは黙認してるし

 

そんな風に心のうちで愚痴をこぼしながら、菖は友人が住んでいる、というよりも入り浸っている寂れた神社に向かっていった。

その背後に、いくつかの人影が気配を隠してついてきていることも知らず。

 

----------------------------

 

「やれやれ、やっと着いた」

「遅かったな、春川」

「お前がいちいち場所変えるからだろ……で、頼まれたやつ」

 

神社に到着するなり、社の中から菖と同年代と思われる青年の声が聞こえてきた。

菖は社の扉を少しだけ開けて、手にしていた袋をその中に放り込んだ。

 

「……サンキュー」

「おう」

「……で?誰だ、そこにいる奴らは」

「へ?」

「……どこの誰だ、と聞いてんだ!春川に気づかれないようにつけてきたやつらがいるんだろ?!」

 

突然の怒号に、菖が目を丸くしていると、背後の鳥居の陰からゆりたちが顔をのぞかせてきた。

 

「……気づかんかった……」

「ごめんなさいね、菖……」

 

ゆりは少しばかり申し訳なさそうにして謝罪してきたが、他のメンバーはただただ苦笑を浮かべているだけだった。

だが、笑ってごまかせるほど、社の中にいる青年、桜森友護は甘くはなかった。

 

「用事が済んだんならさっさと帰れ。そも、ここにゃ春川しか呼んでねぇんだ。招かれざる客はお断りだ」

 

ぎぎぃ、ときしんだ音を立てながら社の扉が開き、その奥から菖たちと同い年の青年が姿を現した。

とはいえ、着ている服は無地の浴衣で、目の下に濃いクマを浮かばせていること。そして何より、その瞳はまるで全てのことに絶望しているかのように暗い光をたたえていることを除けば、なのだが。

 

「おいおい、お前、もしかしなくても不登校の桜森か?」

「なんだ、友護か。驚かすなよ」

「「「え?えっと……??」」」

「よぅ」

「……ちっ……さっさと帰ってくれ」

 

不機嫌そうに舌打ちをするやいなや、友護はゆっくりと社の扉を閉めて、それ以上の会話を一方的に拒絶した。

その光景を見た菖と君尋は、やれやれ、と言いたそうなため息をついていた。

その後、菖はゆりたちと共に家路についた。

その道中、事情を知らない明とももか、ひまわりによって質問攻めにされたのだが、菖はそのことごとくをはぐらかしていた。

なお、ゆりもその中に混ざって菖に事情を聞きたいと思っていたのだが、なぜか聞いてはいけないような気がして、何も聞かないことにした。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~友護に抱いた印象~
明「なんつうか、読めないよな」
ももか「なんだろう?怖い感じがする、かな?」
小狼「なんというか……不思議な感じだな」
さくら「なんだろう?……すごく悲しい感じがする人、かな」
ひまわり「う~ん……なんだか、わたしと同じような……」
ゆり「そうね……自分以外の人は誰も信じないって感じの人かしら?」

君尋「なんか、色々だな」
菖「まぁ、なんだかんだ、あいつ人前に出ないからなぁ……」


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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~始まりはいつも突然~

はい、というわけで文化祭ネタ
ぶっちゃけ、「あっち○こっち」に影響されていることは言うまでもないです
さてさて、どうなるか
ひとまず本編をどうぞ!

……あ、しばらく「あとがき代わりの~」はありませんのでご了承ください


『合同演劇?』

 

もう間もなく、明堂学園も文化祭を迎える時期となった。

そこで、出し物をどうするのか、という話し合いが行われたのだが、生徒会から驚愕の発表がされ、学校中で驚愕の声が上がった。

どうやら、中等部と高等部の二年生が合同で演劇を行うことが生徒会の決議で決定されたらしい。

 

「しっかし、大胆なことするな、生徒会……つか、俺らにその話、回ってないような?」

「まぁ、いいんじゃねぇか?なんか面白そうだし」

「たしかに、この六年間、なかったな。そういうの」

「そういわれれば、そうね」

「おぉ!合同演劇!!」

「楽しみだね、ももかちゃん」

 

いつもの仲良し組は、その告知に思い思いの感想を口にしていた。

そんな彼らではあったが、その心中で共通している想いは。

 

――演目、なんだろう?

 

であった。

だが、その疑問は。

 

「菖さん!ゆりさん!!みなさん!」

「もも姉ぇ!明兄ぃ!菖さん、ゆりさん!!」

 

突如乱入してきたつぼみとえりかによって、すぐに解消されることとなった。

 

----------------------------

 

『おとぎ話をアレンジしたオリジナル?!』

「はい!」

いつき(前生徒会長)からの情報だから間違いないっしゅ!!」

 

つぼみとえりかの二人からもたらされた情報は、合同演劇で行われる演目だったのだが、そうやら既存のものではなく、自分たちで作り上げたオリジナルのもののようだ。

ちなみに、その台本の作成には漫画家志望の番長くんやさくらと小狼の小学生からの同級生である奈緒子が関与しているのだとか。

 

「ちなみに、台本も借りてきたっしゅ!」

「あら、それじゃ拝見しようかしら」

 

えりかがどこからか取り出した台本を、ももかが受け取り目を通した。

明も興味があるのか、ももかの隣にさりげなく移動して、台本を覗き込んだ。

気のせいか、ページが進むごとに、ももかの顔が徐々に赤面していき。

 

「いやんっ♪こんなこと明くんとなんて、できな~い♪」

「おいおい……」

「いったいどんな内容なんだよ?」

「ちょっと興味あるわね……ももか、次、いいかしら?」

「いいよ~♪」

 

ゆりが興味を示し、ももかから台本を受け取ってその文面に目を通した。

 

「ゆり、俺もいいか?」

「えぇ、どうぞ」

 

菖も興味を持ったのか、ゆりに断ってから台本を覗き込んだ。

だが、そこに書かれていた役柄とセリフに既視感があった。

読み進めていくうちに、菖とゆりの顔は徐々に赤くなっていき。

 

「……こ、これは……」

「……おい……誰だよ、これ考えたやつ……」

 

読み終わった二人は顔を赤くしながら同時に、口を開いた。

既視感があると思ったら、それもそのはず。

どこからリークされたのか、台本に書かれた劇の内容は、キュアムーンライトとユグドセイバーが初めて一緒に戦った時のことを、かなりのアレンジメントを加えたものだったのだから。

それも、なぜかご丁寧にその時に言っていたセリフは一言一句、すべてそのままに。

 

「……菖、これはわたしたちでやるしかないわ」

「……あぁ。ほかの誰かにやられて羞恥心でもだえるより、自分たちでやったほうがまだましだ」

 

どうやら、他人にやられて羞恥心にもだえるよりも、自分たちで再現したほうがずっとましと判断したらしい。

その様子を見ていたえりかが、なぜかにやにやとしていて、つぼみが少しばかり申し訳なさそうに苦笑していることなど、その時の二人はまったく気づくことがなかった。

何を隠そう、番長と奈緒子の二人にこのネタを提供したのはえりかなのである。

理由は単純。

どうしたら菖とゆりの二人を舞台に上げることができるかを考えていたとき、二人がどうしても舞台に上がらなければならない状況を作ればいい、ということに思い至ったのだ。

その結果が、二人の羞恥心を利用する、ということだった。

むろん、つぼみは止めようとしたのだが、もうどうにも止まらないところまできていたらしく、結局、えりかの思うままにさせることになってしまったのだ。

 

――うぅ……菖さん、ゆりさん、ごめんなさい……お叱りはちゃんと受けます……

 

羞恥心にもだえそうになるのをどうにか耐えながら、その場に立っている菖とゆりを見ながら、つぼみは心中でそう謝罪するのだった。



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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~配役が決まりました!~

まぁ、タイトルの通り
ちなみに私は自分の物語の登場人物は悪役以外は全員こき下ろしたりしないタイプです
何が言いたいかって、別に悪意を持ってこんな展開にしたわけじゃないってこと(マジです

あ、今回はあとがき代わりのおまけがございます


急遽、生徒会の一存で決定した中等部と高等部の三年生による合同演劇。

その演目は、なんと、中等部の番長くんとさくらと小狼の幼馴染である奈緒子が、ユグドセイバーとキュアムーンライトが初めて共闘した頃の実話をファンタジー風にアレンジしたものだった。

なお、スペシャルサンクスがえりかとつぼみであることは言うまでもない。

そして、この日は配役を決めることになったのだが。

 

「それじゃ、この役をやりたいって人~っ!!」

 

クラス委員長が問いかけたが、返ってきた答えは無言だった。

菖とゆりは、台本が自分たちの経験をもとに作られたものだということを知っていたため、ほかの誰かに演じられるくらいなら、自分たちが、と思っていたのだが、さすがに立候補する勇気はなかった。

しかし。

 

「なら、推薦でOKって人は?」

 

と、ももかが問いかけると、一斉に菖とゆり以外の全員が挙手した。

結局、民主主義的な決定(多数決)で推薦制による配役が決定したのだったが。

 

「……騎士役(主人公)が俺で」

お姫様(ヒロイン)がわたし……」

 

なぜか、菖とゆりが主役を務めることになった。

ちなみに、対抗馬として、主人公には明と小狼が、ヒロインにはももかとさくらが推薦されていたのだが、なぜか一票の差で二人に決定したのだった。

 

「……なぜだろうか。この配役に意図的な何かを感じる……」

 

むろん、書き記された推薦結果を見た菖は、意図的なものを感じ、半眼になりながらぽつりと呟いた。

その様子に、そんなことはない、と明や君尋は否定したが、小狼とさくらは明らかに気まずそうにしていた。

そして、二人のその態度は、クラスメイトたちも同じだったように感じたため。

 

「……よし、やましい心がない奴だけ、俺の目を見てくれ」

 

と、ご丁寧に某組織の司令官のポーズを取りながら、きっぱりはっきりと宣言した。

そんな菖に返ってきた態度は。

 

「……見てくれよ、頼むから」

 

明とももか、ひまわり、君尋、静以外の全員が顔をそらす、というものだった。

 

----------------------------

 

その後、他の配役が決定し、次のような結果となった。

 

ナレーション:愛音

騎士(主人公)の従者:小狼

姫(ヒロイン)の兄王子:明

姫(ヒロイン)の専属侍女:いつき

隣国の姫:ももか

隣国の姫の護衛騎士:さくら

隣国の姫の専属侍女:つぼみ

 

ちなみに、えりかと君尋は衣装制作と着付け補佐のため、静は音響担当となったために配役から外されることとなった。

 

「……今更なのだけれど、わたしにお姫様役なんて似合わない気がするわ……」

「まぁ、月影ってどっちかというと、騎士様って感じだもんな」

「……どうせわたしに愛嬌なんてないわよ」

 

なるべくしてなった配役、という印象が強かったのだろうか、ゆりがそんなことを口にすると、明がからかうように合の手を入れ、それを本気と受け止めたゆりはいじけてしまった。

 

「……おい、御剣」

「わ、(わり)ぃ、せんせー」

「せんせー言うな」

 

ゆりがいじけた気配を感じ取ったのか、菖はその元凶である明に向かって笑みを浮かべながら声をかけた。

その笑みにうすら寒いものを感じた明は、少しばかり動揺しながら謝罪するも、誠意が全く見えなかった。

その態度に、菖のお説教が始まったのだが、その最中(さなか)、いじけてしまったゆりをももかやさくらがフォローしていた。

 

「そんなことないよ!ゆりだってお姫様似合うよ!!」

「そ、そうだよ!ゆりちゃん、綺麗だもん!!」

「……ほんとにそうかしら?」

 

どうにか持ち直し始めてはいたが、ゆりの顔はまだ沈んでいることに気づいたつぼみは、恋敵に塩を送ることになるとわかっていたが、ゆりを浮上させるために。

 

「菖さんはどう思いますか?」

 

と、あえて相手役()に問いかけた。

 

「うん?いや、昔っから女の子は"姫"って呼ばれていたわけだから……お姫様じゃない女の子は、いないと思うよ?」

 

狙っているわけではなく、自然と出てきたセリフではあるのだが、そのセリフにキュンッとこない女子はこのクラスにはいなかった。

クラス中の女子がときめいているその姿を見て、静は。

 

「……男子よ、かくあれ?」

 

と疑問符を浮かべながらそんな言葉を口にした。

 

「いや、あれできるのはあとは明だけだろ」

「あぁ……いや、たぶん、俺はやらないかも?」

「どうしてだ?」

「俺はももかだけをときめかせることができりゃ、それで十分だからな」

 

小狼の疑問に返ってきた明の答えに、今度は男子一同から、のろけかさっさと爆発(結婚)しろ、と罵声のような祝福を浴びせられたことは言うまでもない。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~放課後になった帰り道~
つぼみ「それじゃ、わたしといつきはえりかのお手伝いをしますので」
ゆり「気をつけて帰りなさいね?」
中学生組「「「は~い」」」
菖「すっかりお姉さんだな、ゆりも」
ゆり「それはそうよ。だって妹がいるんだもの」
菖「そうでした……いや、しかし、仕方なかったとはいえ、意外だったな」
ゆり「何が?」
菖「ゆりがお姫様役を()る気になったこと」
ゆり「仕方ないじゃない」
菖「とはいうけど、お前、あんまし目立ちたくないほうだろ?」
ゆり「えぇ……けど」
菖「けど?」
ゆり「あ、相手役が菖だったんだから、仕方ないじゃない」(/// ///
菖「……そ、そっか」(/// ///


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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~いよいよ開幕です!~

やっとこさっとこ出来上がり
といっても、三部構成の第一部ってやつですが(汗
ちなみに、名前はかなり適当です!どっかからもじったのもあれば、オリジナルのもありますので、へんな勘繰りはご容赦ください(-▽-;

ちなみにしばらくあとがきはありません


配役が決定し、菖たちは練習に打ち込み始めた。

むろんその最中には、練習であるというのにきわどいシーンがあったり、明とももかを中心とした数名のクラスメイトがからかってきたり、と様々なことがあったわけだが、残念ながら割愛。

 

そうして数日が経過し、いよいよ。

 

----------------------------

 

「うぅ……き、緊張してきましたぁ……!」

「まぁ、ランウェイを歩くのとはまた違うだろうしな」

「けど、ここまできちゃったらもう楽しむしかないよ?」

「そうそう!多少のミスはアドリブでどうにかしちゃえばいいし!」

「いや、ミスるの前提なのか?」

 

本番当日。

舞台袖では衣装に着替えた菖たちがスタンバイした状態で、始まるまでの間、雑談をしながら緊張をほぐしていた。

そのおかげか、つぼみの緊張もある程度はほぐれたようだ。

 

「そんじゃ!いっちょやりますか!」

「あぁっ!」

「「「はいっ!」」」

「「えぇっ!」」

 

明の号令で、役者一同、再び気合を入れると、開幕を告げるブザーが鳴り響いた。

 

----------------------------

 

ここではない時間、ここではない場所。

そこには一人の有名なお姫様がいました。

そのお姫様、ルーナ姫が有名だった理由は、その美貌だけではありません。王国最強とさえ言われている近衛騎士団長とも互角に渡り合える力を持っていながら、常に民草を思いやる優しさを持ち合わせていました。

そして何より、その知恵と教養で、兄王子と共に王国の発展に大きく貢献してきました。

そんな彼女の楽しみの一つが、森の中にある天然の花畑を散歩することでした。

 

ですが、その道中、一人の旅の騎士が何人もの盗賊に囲まれている光景を目撃しました。

騎士は、襲ってくる盗賊を、ちぎっては投げちぎっては投げと、次から次へと倒していました。

しかし、それでも数の暴力には敵わず、騎士は徐々に苦戦を強いられていきました。

ルーナ姫は、これ以上、彼が戦っている姿をただ見ているわけにはいかず、乗っていた馬から飛び降り。

 

「名も知らぬ騎士よ!加勢いたします!!」

「ご助力、感謝する!」

 

ルーナ姫の助力に感謝しながら、騎士はなおも襲ってくる盗賊を蹴散らしていきました。そして、ルーナ姫もまた、騎士に負けず劣らずの実力で盗賊たちを薙ぎ払い、ついに盗賊を全員捕らえることができました。

盗賊たちを憲兵のもとへ護送するため、ルーナ姫は騎士に随伴してもらうことになり、その間、色々な話をしました。

 

「それでは、騎士様は修行のために旅を?」

「修行のため、というのもあるのですが、私の一番の目的はこれなのです」

 

そう言って、騎士は一冊の本をルーナ姫に見せました。

それは、この世界にあるすべての遺跡についての記録が記されている、と言われている見聞録でした。

もちろん、ルーナ姫もその本のことは知っていました。

そして、その中身を読んだこともあったので。

 

「騎士様もその本を?!」

 

と驚愕していました。

 

「もしや、姫様も?」

「えぇ!わたしも以前、その本を読んで歴史の勉強をしたことがあるのです」

 

そうして、ルーナ姫は騎士に語り始めました。

見聞録を読んで、自分も実際に世界中にある遺跡を見て回ってみたいということ。色々な国へ行って、色々な人と出会い、話をしてみたいということ。

そして、彼らと分かり合い、平和な世界にしていけるようにしたいということを。

 

「……素晴らしい目標ですね」

「そうでしょうか?世界はいまだ、戦争の火種に満ちている。人は絶えず争い、己の利権しか求めない……こんな世界に、希望はあるのでしょうか……それこそ」

「それこそ、伝説の導師がいてくれない限り」

 

伝説の導師。

それは、かつて世界を平和に導き、戦争を終焉へと導いたという伝説の人物で、彼、あるいは彼女が訪れたとう遺跡はすべて、騎士が手にしている見聞録に記されています。

そして、その人物は、騎士にとってもあこがれの人物であったらしく。

 

「私……いや、俺も、できることなら導師のような人物にすがりたい。けど、きっと、それじゃいけない」

 

騎士は、まっすぐな瞳でルーナ姫にそう返しました。

ルーナ姫はその瞳に吸い込まれそうになっていました。

 

「伝説の導師が本当にいたのかどうか、それはわからない。けれど、かつてのように導師だけに頼って、平和な時代へ導いてもらうのは間違ってる気がする」

 

導師ばかりに、いや、誰か一人の人間に頼りきりってしまうということは、その人間にすべてを背負わせてしまうということ。

その重圧にそして、導師がその重圧に耐え続けることができるという保証はありません。

それを、騎士は本能的に理解しているようでした。

誰もが救世主の存在を願っているというのに、それとは正反対の考えを口にした騎士に、ルーナ姫は驚き、目を丸くしました。

そうこうしているうちに、一向は城下町の入口へと到着しました。

 

「では、私はこれで」

「あ、あの、騎士様」

 

憲兵に事情を説明しなければならないため、騎士はその場から離れようとしましたが、ルーナ姫は騎士を呼び止めました。

 

「まだ名乗っていませんでしたわね。わたしはルーナと申します……あなたのお名前は?」

 

ルーナ姫にそう頼まれた騎士は、今まで自分が同行していた女性がこの国の姫であったという事実に驚き、目を見開きましたが、すぐに春風のようなさわやかな笑みを浮かべ。

 

「私の名はシャルルと申します。知らぬこととは申せ、姫様には多大なるご無礼、どうかご容赦いただきたく」

 

恭しくお辞儀をし、シャルルと名乗った騎士は憲兵とともにその場を立ち去っていきました。



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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~舞踏会まで、もう少しです!!~

北国ってさ、東のほうと比べると寒くなるの早いのよね
……ぶっちゃけます、寒くなるのが早くて風邪ひきかけました

まぁ、どうでもいい

本編どうぞ
あ、今回もあとがきないっすよ


不思議な旅の騎士、シャルルとの出会いから一週間。

ルーナ姫は窓から外をながめながら、そっとため息をつきました。

彼女の頭の中には、一週間前に出会った騎士の顔が浮かんでは消えていました。

 

「……あぁ、なぜ彼の顔ばかり思い浮かぶのでしょう……」

 

あの日の邂逅以来、ルーナ姫の脳裏に騎士シャルルの顔が浮かばなかった日はありませんでした。

それが何を意味しているのか、これまで男性との交流がほとんどなかったルーナ姫には知る由もありませんでした。

そしてついには。

 

「……いっそのこと、彼をわたしの専属近衛騎士に……」

 

と、なんとも大胆なことを思い浮かべてしまうのでした。

もっとも、その大胆な考えを口にすることを口にすることはなかったのですが。

ですが、口にすることはなくても、それを察することができる人が、この城には一人だけいました。

それは。

 

「遍歴の騎士を専属近衛騎士に、なんて考えてないだろうな?ルーナ」

「お、お兄様??!!ど、どうしたのですか、突然!!」

「いやなに、侍女たちから妹が遍歴の騎士に懸想してるって噂話を聞いてな」

 

ルーナ姫にそう話しかけてきたこの人は、姫のただ一人の兄にして、この国の王子であるユリウス王子です。

ユリウス王子もまた、ルーナ姫と同じくらい国民から人気があるのですが、ルーナ姫はこの兄王子が少しだけ苦手でした。

なぜなら、ユリウス王子はいわゆるイケメンではあるのですが、性格が少し悪く、気に入った人には意地悪をしたくなってしまうのです。

その意地悪の矛先は、当然、妹姫であるルーナ姫にも向かい。

 

「そうかそうか~、お堅い騎士姫の我が妹にもとうとう、想い人が」

「だ、だから!違うと言っているでしょ、お兄様!!」

「まぁ、それが事実かどうかはともかくとして」

「……もういいわ、これ以上反論しない……」

 

これ以上、何を言っても撤回する気がないことを理解したルーナ姫は、ため息交じりにそう返しましたが、ユリウス王子は、そんなことは関係ない、とでも言いたそうに、話を続けました。

 

「今度、隣国と友好を深めるために舞踏会を開くことになったんだ」

「あら?ということはプラナ姫もこちらに?」

 

プラナ姫とは、隣国に住んでいる姫の名前です。

そして、彼女とルーナ姫は親友同士でもあります。

なお、プラナ姫はユリウス王子に懸想している、という噂は両国の国民の間では有名な話で、今後の両国友好のためにも良い話まで進んでほしい、と思っている人もたくさんいるようです。

 

「ん?あぁ、そのはずだ」

「そう……なら、今度こそ決着付けてほしいわね」

「んあ?」

「だって、お兄様もプラナ姫のことを慕っていますよね?」

「……」

 

ルーナ姫の言葉に、ユリウス王子は沈黙で答えました。

実際、ユリウス王子はまんざらでもないどころか、プラナ姫のことを本当に慕っています。

ですが、本人の意地の悪い性格とひねくれ加減のせいで、なかなか素直になれずにいるのです。

そのことを知っているルーナ姫は、プラナ姫にどうしたらいいのか、何度となく相談を受けていたのです。

ルーナ姫は今回がいい機会と思い、王子に苦言を呈したのでした。

もっとも、その苦言を受け入れるほど、ユリウス王子は素直ではないため、ルーナ姫の言葉を受け入れることができずにいました。

とはいえ、事は国家間でのことであるため、中止にするか否かは、もはや二人に決めることはできないのでした。

そして、それは遍歴の騎士とその従者もまた同じことでした。



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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~一方、騎士二人はというと~

※順番間違えたので、再投稿します(汗

斗真「いやはや、豪華だったわね」
ゆり「えぇ」
つぼみ「はいっ!」
菖「みんながみんな、まさかオンエアでオールスターズとは、ってびっくりしてたな」
斗真「……そのうち、Hugっと!中心で書こうかな、どうしようかな……」

実のところ、S☆Sで二次小説書こうかなとかかんがえてたりしてます
……ぶっちゃけ、そろそろこっちの方はネタが、ね……

まぁ、それはどうでもいいとして
今回、あとがきに配役を書いときます
(私が忘れそうだし(汗


ユリウス王子とルーナ姫が互いに互いをからかい合っていた日の夜。

シャルルは宿屋の一室にいました。

その部屋には、もう一人の青年がいました。

彼はシャルルの従者、アスト。シャルルの幼馴染であり、最大の理解者です。

 

「それで、シャル。今度はいつまで滞在するんだ?」

「さて、どうするかな……」

「って、決めてないのか!」

「いつものことだろ?」

「まぁ、そうだが……」

 

シャルルの返答に、アストはため息交じりに返しました。

実は、この遍歴の騎士シャルルはけっこうな気まぐれ屋で、国にせよ街にせよ、滞在する期間はその時々の気分次第だったりするのです。

もっとも。

 

「……今回はけっこう長くなるんじゃないか?」

「う~ん……どうだろ?」

 

その返事にアストは、あ、これは長くなるな、と感じました。

 

「……はぁ……まぁいい。それはそれとして、聞いたか?」

「何を?」

「一週間後、舞踏会があるそうだ。隣国の王族も交えて」

「ふ~ん?」

「って、興味なさそうだな」

「そもそも、俺らみたいな流れ者に招待状が来るはずないしな」

「……まぁ、そうだな」

 

シャルルからのもっともな意見に、アストは残念そうにため息をつきました。

その態度に、何か引っかかるものを覚えたシャルルは、ニヤリ、と笑みを浮かべました。

 

「もしかして、その隣国の姫に懸想してるのか?」

「いや、それはユリウス王子だろ?俺は……って、なにちゃっかり言わせようとしてるんだ!!」

 

アストは顔を真っ赤にして、シャルルにむかって反論しました。

実のところ、アストは隣国の姫の護衛騎士の一人に想いを寄せているのです。そのことを知っているシャルルは、ニヤニヤ、と笑みを浮かべてあえて、本人の口から言わせて、からかおうとしていたのです。

もっとも、アストが途中でそれに気づいたため、失敗に終わりましたが。

 

「確か、チェリムだったか?」

「あ、あぁ……って、俺のことはいいんだよ!てか、シャルルの方こそどうなんだよ?」

「何が?」

 

今度はシャルルが首をかしげました。

 

「ルーナ姫、だっけ?この国の姫といい雰囲気だっただろ?」

「あぁ~……けど、俺は無理だろ」

「そうか?」

「身分が違い過ぎる」

 

片や一国の姫、片や浪々の身である遍歴の騎士。

身分の差に開きがありすぎます。

それはシャルルにもわかることでした。

当然、アストもわかっています。

 

「そりゃそうかもだが……かといって、このままあきらめんのか?」

「ん~、諦めるとかそういうのじゃないと思うけど……まぁ、俺が一国の王か、導師になれれば、話は変わってくるんだろうけど」

 

伝説の導師は、社会的なつながり、つまり、家族のようなものは持たなかった、とされていますが、伝承では一人の姫と恋仲に近い関係になっていたと言われています。

 

「そりゃ、導師になれれば話は変わるかもしれないけど……」

「その代わり、世界を平和に導く使命を果たさなければならなくなる……自由に旅ができなくなるのは、俺はやだなぁ」

 

苦笑を浮かべながら、シャルルは答えました。

自由に旅をして、困っている人々を助けて回る。それが、シャルルの今の生きがいでした。

それがなくなるのは、少しばかり寂しいものがあるようです。

 

「ま、所詮、俺らは浪々の身。そんな奴らに舞踏会の招待状なんて来ないさ」

「……そうだな」

 

本日、二度目のその言葉に、アストはため息をつき、それ以上、何も言ってきませんでした。

ですが、この時の二人は、まさか自分たちに招待状が届くような事態が起こるとは、まったく思ってもいませんでした。




あとがき代わりの配役紹介

ルーナ姫:ゆり
シャルル:菖
ユリウス王子:明
プラナ姫:ももか
アスト:小狼
チェリム:さくら
サフラ:いつき
フラン:つぼみ


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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~お祭りで事件発生?!~

どーすっかなぁ、オールスターズ……
見に行きたいけど、平日休みいつとるか……
あるいは、地元でやるのを待つか?……いや、あそこ日曜しかやらないもんなぁ……

あ、今回はTOZの序盤のシーンを参照してます
それから今回はあとがきはありませんので、ご容赦を


翌日。

シャルルとアストの宿泊している宿屋に、一人の来訪者がありました。

明るい、亜麻色の髪をしたその少女は、ルーナ姫の使者、と名乗り、二人に用向きを説明しました。

 

「本日、教会にて伝説の導師に関係する祭りが執り行われるのです。姫から伺いましたが、お二人は伝承に興味を抱かれているのだとか。よければ、ぜひ、参列してみてください」

 

サフラ、と名乗った侍女のその言葉に、シャルルもアストも目を輝かせて、二つ返事で、ぜひ、と答えました。

お祭りが好き、というわけではありません。

伝説の導師が関わっている、というところに興味を抱いたのです。

その反応に、サフラはサンフラワー(ひまわり)のような笑顔を浮かべ、その場を立ち去っていきました。

しかし、このときの三人は、まさかあのようなことになるとは微塵も思っていなかったのでした。

 

----------------------------

 

数時間後、シャルルとアストは教会にやってきていました。

理由は言わずもがな、導師が関わっているという祭りを見学するため、あるいは、このお祭りに参加するためです。

この祭りの始まりは、こんな伝承が関わっています。

古の時代、多くの人々の嘆きを聞き入れた神が、その救い手となる人間を選定するために、石畳に一振りの剣を突き刺し。

 

「これを引き抜いた人間に、多くの民を救うための力を授ける」

 

と宣言したことから、多くの人々が剣を引き抜こうと挑戦しました。

ですが、誰一人としてその剣を引き抜くことのできませんでした。

誰もが諦めたその時、一人の年若い青年が、その剣を石畳より引き抜きました。

その青年こそ、後に、導師として語られ、数々の伝説を生み出すこととなった青年だったのです。

……という伝承にちなんで、毎年、石畳に突き刺さった剣を引き抜くことで、その年の導師を決めるというのが、このお祭りの内容となったのです。

毎年、この祭りには力自慢の男たちが参加していたのですが、今年は。

 

「うわぁ……すごい数だな、これ」

「だな……さすが、導師様ってところか?」

「というより……それだけ、人々が救いを求めてるってことなんだろうな」

 

二人が感想を漏らした通り、かなりの人数が集まっていました。

理由は、教会に安置されている、いまだ引き抜かれたことのない剣が、今回の祭りで使われる、ということもあるのですが、今の時代が大きく影響していました。

たしかに、今は戦争もなく、平和な時代ですが、世界では今もまだ大きな国家間での緊張は続いていました。

幸いにして、シャルル達が滞在しているこの国と、友好関係を結んでいる隣国との間にそのようなことはないのですが、第三勢力からの侵攻がいつまた始まるともわからないこの時代に、民は不安を抱いているのです。

そして、その不安が、この祭りに現れているのでした。

 

「まぁ、幸い、この国と隣国の王族は民草と上手くやっていっているようだから、心配はないみたいだけど」

「そうみたいだな……っと、シャルル。お前の番だぞ」

「お?サンキュー」

 

アストに促され、シャルルは剣が突き刺さった石畳の前に立ちました。

その途中で、ルーナ姫がこちらを見て、薄く笑みを浮かべている姿を見つけました。

シャルルはその笑みに、微笑みを返し、剣の柄に触れました。

その瞬間。

 

「ふざけるな!」

「祈りがなんだってんだ!!」

「それで俺たちの仕事がもどってくんのか?!」

 

突然、教会の入り口から複数の男たちの罵声が聞こえてきました。

どうやら、今の時代に対する不安が、暴動という形で爆発してしまったようです。

 

「静まれっ!静まらんかっ!!」

「国営市場が武具や商品の販売権を独占してるのは戦争の準備をしてるからなんだろ?!俺たちをこんな茶番でだませると思ってんのか?!」

「……貴様っ!!」

「おやめなさい!!」

「やめろ!!やめろと言ってるだろ!!」

 

暴徒の言葉に、激高した衛兵の一人が、剣に手をかけた瞬間、ルーナ姫とユリウス王子の怒号が響きました。

ですが、それで収まるほど、暴徒たちの怒りは小さくはありません。

王族からの命令だけでなく、民衆に剣を向けることができない衛兵は、詰め寄ってくる暴徒を抑えることができず、暴徒の凶刃がルーナ姫に襲い掛かろうとしていました。

 

「やめろっ!!」

 

シャルルは剣をつかんだまま、暴徒にむかって走り出しました。

その瞬間。

 

しゃん……

 

何か固いものがこすれ合うような音が響きました。

その正体を確かめないまま、シャルルはルーナ姫の前に飛び出し、手にしていた(・・・・・・)何か(・・)で、凶刃を受け止めました。

その何かを目にした群衆と、ルーナ姫、ユリウス王子を含めた国の重鎮たちは目を見開きました。

シャルルの手に握られていたのは、この教会に安置されていた、さきほどまでシャルルが触れていた、選定の神剣だったのです。



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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~いよいよ舞踏会ですっ!!~

さぁて、もうそろそろ180話に突入……
次で180話目にしたいから、ちょっと急ごう、頑張ろう(汗


「やめろっ!!」

 

引き抜いた神剣で、暴徒の凶刃を受け止めたシャルルは、そうとは気づかず、暴徒に剣の腹を叩き付けました。

よほどの衝撃があったのか、暴徒はそのまま気を失い、その場に倒れてしまいました。

 

「姫様!殿下!ご無事ですか?!」

「あ……あぁ、俺もルーナも無事だ。礼を言うぞ、導師よ」

「導師?……いや、俺……私は一介の流浪の騎士。導師なんて、大それたものじゃ……」

「いいえ、あなたはたしかに導師様です。あなたの右手にある神剣が、何よりの証拠です」

 

ルーナ姫からそう言われて、シャルルは右手に目を向けました。

そこにはたしかに、石畳に突き刺さっていた神剣がありました。

 

「……え……えぇぇぇっ??!!」

「いや、驚いてんのはこっちなんだが?」

 

シャルルの反応に、ユリウス王子は思わずそう返しましたが、すぐに周囲にいる衛兵たちに暴徒を逮捕するよう、命令を下しました。

衛兵たちはその命令を忠実に実行し、誰一人、その命を奪うことなく、暴徒全員を逮捕、連行しました。

騒動が収まり、ユリウス王子とルーナ姫は再びシャルルとアストの前に姿を見せました。

 

「改めて、妹を守ってくれたこと、感謝する。新たな導師」

「わたくしからもお礼を。導師様」

「いえ、傷つけられるかもしれない人を守るのは、騎士として当然のこと。どうぞ、お気になさらず」

「だが、それでは俺たちも納得ができないな……そうだ!今宵の舞踏会、君と君の従者も参加してはどうだろう?」

「い、いや、しかし!!」

 

ユリウス王子の突然の提案に、シャルルは困惑していました。

小さな村や町を盗賊から守ったことはあっても、お城に呼ばれるほど、大きな功績を立てたわけでもないため、そういった機会がなかった、ということもあるのですが、何より、いきなり伝説の導師として見られていることが困惑の種になっていました。

 

「……それとも、不敬罪としてしょっ引かれたいかな?先日、我が妹に対して、尊大な態度をとったそうじゃないか」

「……わかりました、舞踏会の招待、お受けします」

 

脅しとも取れるその誘いに、シャルルは舞踏会への招待を受けることにしたのでした。

もっとも、本人は行きたくなかったわけではなく、行くきっかけをつかむことができなかっただけだったので、あまり困ったような様子は見受けられませんでした。

なお、誘い方が誘い方だっただけに、ルーナ姫はユリウス王子に対して、呆れたような表情を浮かべていましたが、シャルルが舞踏会に参加することができるようになったことをうれしく感じているのか、柔らかな笑みを浮かべていました。

 

----------------------------

 

その夜。

ルーナ姫の厚意で借り受けた正装をまとったシャルルとアストは、舞踏会の会場である大ホールにいました。

普段はあまり口にすることのできない、豪華な料理と酒、そして、貴族のお歴々との会話を楽しんでいると。

ユリウス王子とルーナ姫のが会場へやってきたことを告げる声が、高らかに響きました。

ホールの出入り口へ視線を向けると、そこには煌びやかな衣装をまとったユリウス王子とルーナ姫が優雅に歩いていました。

ルーナ姫のその美しさに、シャルルは見惚れていました。

その様子を見ていたアストは、くすくすと声を潜めて笑っていましたが、シャルルはそのことに気づくことはありませんでした。

一方、ルーナ姫はというと。

 

――シャルル様は……あ、あそこに

 

歩きながら、シャルルの姿を探していました。

やっとその姿を見つけたとき、ルーナ姫もまた、シャルルの凛々しさに見惚れてしまいました。

その様子を横目に見ていたユリウス王子は、年頃の娘らしい妹のその反応に微笑みを浮かべていました。

二人が上座に到着すると、今度は隣国の来賓であるプラナ姫の到着を告げる声が高らかに響きました。

再び、視線を出入り口の方へ戻すと、そこにはルーナ姫に勝るとも劣らない姫がいました。

彼女こそ、隣国の美姫、プラナ姫です。

プラナ姫はホールに入るや否や、他の貴族たちからのあいさつを無視して、まっすぐにユリウス王子の元へと向かっていきました。

 

「ユリウス王子!!」

 

プラナ姫はユリウス王子の名前を呼びながら、突然、ユリウス王子に抱き着きました。

一国の姫として、そのようなことは許されるものではありませんが、プラナ姫がユリウス王子にぞっこんであることは、周囲でも有名な話であったためでしょうか、それとも、咎めてやめるようなら、もうやめているからでしょうか。

従者たちはプラナ姫を咎める様子がまったくありませんでした。

もっとも、抱き着かれている当の本人と、その妹は別のようで。

 

「だから、いちいち抱きついてくなって」

「プラナ、そろそろ乙女の恥じらいを考えなさい?いくら兄上への愛が溢れすぎていても、時と場所を考えないと、いやらしい女に見られるわよ?」

「あ~ん!ルーナの意地悪~!!」

「本当のことを言っているだけでしょ?チェリムの苦労もしらないで」

 

親友であり、将来、義妹になるかもしれないルーナ姫にそう言われ、さすがのプラナ姫も黙ってしまうのでした。

 

----------------------------

 

来賓がすべて揃ったところで、改めて乾杯の音頭がなされ、招待客は各々の相手と会話をしていました。

なお、シャルルの近くにいたアストは、プラナ姫が入場するや否や、彼女の近くに控えていた侍女のチェリムのほうへと向かっていき、二人きりの会話を楽しんでいました。

その結果、シャルルは一人、この賑やかな空気の中を過ごしていたのですが、そんなシャルルに声をかけてくる女性がいました。

 

「ここにいらしたのね、導師様」

「いや……ですから、私は導師なんて器では……って、今日だけで何度言わせるんですか、姫様」

「うふふ、ごめんなさい。ついからかいたくなってしまったの」

 

声をかけてきた女性は、言わずもがな、ルーナ姫でした。

ルーナ姫は困惑しているシャルルの顔を見て、くすくすと愛らしい微笑みを浮かべていました。

 

「けれど、驚いたわ。まさか、導師の剣を引き抜いてしまうなんて」

「それは抜いた本人が一番びっくりしてます」

「そうでしょうね……けれど、私は少しほっとしていますの……だって、あなたのような民草を思いやる方が導師様なら、きっと、この世界を争いのない、平和な世界へと変えてくれるでしょう?」

 

ルーナ姫の問いかけに、シャルルははっきりと答えることはできませんでした。

それは、導師が背負う宿命と責任を知っているがゆえのことであり、はたして、自分にそれを背負うことができるかどうか、不安があったからです。

けれど、シャルルは。

 

「はい。きっと、そうなるように努力すると思います」

 

と、ルーナ姫の期待に応えられるよう、その答えを返しました。

その言葉を口にしたシャルルの顔を見た瞬間、ルーナ姫の顔は真っ赤になりました。

それと同時に、ホール脇に控えていた楽団が、ワルツを奏で始めました。

美しい旋律を耳にしながら、周囲の貴族は思い思いの相手にダンスの申し出をし始めました。

むろん、プラナ姫とユリウス王子もダンスに参加するようです。

それを見たルーナ姫は、勇気を出してシャルルに問いかけました。

 

「……シャルル様。どうか私と一曲、踊ってくださいませんか?」

「え……はい、拙い身ではありますが、よろこんで」

 

差し出されたルーナ姫の手に、自分の手を添え、シャルルはルーナ姫と共にホールの中央へと進んでいきました。



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中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~ついにクライマックスですっ!!~

終わった~っ!
でもって、通算180話突入~っ!!
さぁて、次は春のカーニバルかなぁ(白目


ルーナ姫の誘いを受けたシャルルは、ルーナ姫と共にホール中央へと進みました。

そこには、同じユリウス王子とプラナ姫が手を取り合っていました。

美しいワルツが奏でられる中、ルーナ姫とシャルル、ユリウス王子とプラナ姫は、同時に踊り始めました。

拙い身、とは言ったものの、シャルルのステップは華麗で、しっかりとルーナ姫をリードしていました。

見目麗しい美男美女、四人の美しいワルツに、周囲の人々は思わず目を奪われ、うっとりとしていました。

 

「拙いというのは、嘘ですわね?こんなにお上手だなんて」

「姫様のリードが的確なのですよ」

「うふふ♪そういうことにしておきましょう」

 

シャルルに褒められて悪い気がしなかったのか、柔らかな笑みを浮かべて、そう返しました。

ルーナ姫の微笑みの美しさに、シャルルは赤面し、思わず顔をそむけてしまいました。

その瞬間、ルーナ姫の足がシャルルの足に引っかかってしまい、バランスが崩れてしまいました。

しかし、シャルルは慌てることなく、ルーナ姫の腰に手をまわし、タンゴのような姿勢に無理やり持ち込みました。

 

「ほら、やっぱりお上手」

「……試しましたね?」

「さぁ、どうかしら?」

「悪いお姫様だ」

 

試すような笑みを浮かべたルーナ姫に、シャルルは困ったような笑みで返し、ルーナ姫を引っ張り起こしました。

一連の無駄のない動きに、周囲からは拍手の嵐が巻き起こりました。

シャルルとルーナ姫は、その拍手を受けて、恭しくお辞儀をして、その場をそそくさと立ち去っていきました。

その様子を、誰も咎める様子はありません。むしろ、ようやく場所が開いたことを喜んでいるようにすら思えました。

ちなみに、ユリウス王子とプラナ姫だけは、二人の逢引きを邪魔してはいけない、と思ったのか、そっとしておくことに決めたようでした。

 

----------------------------

 

テラスへ出たルーナ姫とシャルルは、天高く昇っている月を、二人で並んで眺めていました。

 

「……やはり、旅に出てしまわれるのですか?」

 

不意に、ルーナ姫はシャルルに問いかけました。

その問いかけに、シャルルは沈黙を返しました。

それが肯定であることに気づかないルーナ姫ではありません。

 

「……できることなら、私もついていきたいのですが」

「危険な旅になります。それこそ、私とあなたが初めて出会ったあの日よりも、ずっと危険なこともあるでしょう……姫様は、どうかこの国の民を導き、希望となってください」

「……わかりました……ですが!」

 

ルーナ姫は、ぐいっ、とシャルルを引き寄せました。

ダンスの時は無我夢中であったためでしょうか、顔が急接近してもあまり気にしなかったシャルルの顔が赤く染まりました。

ですが、それはルーナ姫も同じらしく、耳まで赤くなり、瞳も、涙で潤んでいました。

 

「月に一度は、必ず手紙を書いてください。それと、近くに来たのならば、必ず会いに来てください」

「え……それは構いませんが」

「それから!!」

 

ルーナ姫はシャルルをさらに引き寄せて、その頬に唇を付けました。

何をされたのか、一瞬、理解ができなかったシャルルでしたが、ルーナ姫にキスされたことがわかると、首まで真っ赤になり、困惑したように悲鳴を上げました。

 

「……へっ?……えぇぇぇぇぇぇっ???!!ちょ、な、何をなさっているのですか!!王族が、まして女性がこんなことを軽々しく……」

「軽々しくなんて思っていません!!私は、相応の覚悟を持っています!」

「いや、覚悟って……一介の騎士にそんな感情、向けるものでは……」

「いいえ。あなたは一介の騎士ではなく、伝説の導師……十分、その価値はございます」

 

普通、貴族にしても王族にしても、よほどの手柄や功績がない限り、騎士に目を向けることはありません。

まして、シャルルは主も領地も持たない流浪の騎士。

普通なら、こうして王族と席を同じくすることすらあり得ません。

ですが、シャルルは導師の剣を引き抜き、導師たる資格を示しました。

導師は、引き起こす数々の奇跡と救いから、民衆に多大なる支持を受けます。

故に、王族であっても貴族であっても、導師を無視することは決してありません。

たとえ、そこに向けられている感情がどのようなものであっても。

幸いにして、ルーナ姫は導師に対して、好意的なようでした。

もっとも、その想いは、シャルルという一人の男性に向けられているものであり、導師に向けられている、というわけではないのですが。

 

「……たとえ、周囲がどれだけ反論しようとも、私は言い続けます。私は……ルーナは、あなたを、シャルルをお慕い申しております」

 

あまりに突然の告白に、シャルルの思考回路はショート寸前となっていました。

ですが、ルーナ姫はそんなシャルルに救いの手を差し伸べました。

 

「答えは、急ぎません。ですが、できることなら、あなたが出立する前に、答えを聞かせてはいただけませんでしょうか……」

 

そう言って、ルーナ姫はそそくさとその場を立ち去っていきました。

小さくなっていく背中を見送り、シャルルはテラスの手すりに身を預け、夜空を見上げて、そっとため息をつきました。

 

「……俺に、どうしろと……あぁ、いっそこの身が騎士でなければ、これほど苦しむことはなかったのだろうか……」

 

それは、シャルルの身分がルーナ姫のそれと大きく離れているがゆえの苦悩でした。

導師である以上、そんなものは気にする必要はないのですが、導師になりたて、ということもあり、そういうわけにはいきませんでした。

 

----------------------------

 

舞踏会から数日。

ルーナ姫はあの日以降、事あるごとにシャルルを訪ね、シャルルと共に街を散策したり、森の中の花畑へ出かけたり、時には、公務の護衛としてシャルルを引き連れることもありました。

そうして同じ時を過ごすうち、シャルルもルーナ姫に対する想いが大きくなっていきました。

そして、ついにシャルルが旅に出る日がやってきました。

導師の出立、ということもあってか、王都の門の前には、多くの人々に混ざって、ユリウス王子とルーナ姫、そして、なぜ隣国の王女プラナ姫と専属侍女のチェリムの姿がありました。

 

「道中、気を付けて」

「どうもありがとう。ユリウス殿下、ルーナ姫……ところで、なぜプラナ姫が?」

「あぁ……実は、今日の昼に発表する予定だったんだが……」

「私とユリウス王子の婚姻が正式に決まったの。それで、色々なことを決めるのにこうしてここに残っているのよ」

 

青天の霹靂、とはこのことだろうか。

その時、その場にいた誰もが思いました。

ですが、民衆からはすぐに祝福の言葉が二人にむけられました。

 

「それでは、結婚式の時までには戻らなければなりませんね」

「そうしてくれ。というか、三月(みつき)に一度は戻ってきて外の様子を教えてほしい。なんせ、この間の暴動が帝国の手引きによるものだってわかったからな……警戒を厳にしなけりゃならん」

 

帝国とは、ここ数年になって勢いを増した国家で、周辺の国々を次々と平定し、世界統一を目論んでいることで有名でした。

そのため、戦争を仕掛けるように仕向けたり、各国の情報を集めるため、密偵が各地に紛れていると噂されていました。

先日の騒動も、帝国の密偵によるものだったことがわかり、いたずらに民の不安を広げないよう、ユリウス王子も気を使っているようでした。

なにより、と、ユリウス王子は意地悪な笑みを浮かべました。

 

「時々、顔を見せないと、ルーナがどこぞの馬の骨にかっさらわねかねないからな」

「お、お兄様っ??!!」

「で、殿下っ?!」

「はっはっはっ!まぁ、二人ともまんざらでもないんだろ?」

 

二人の反応に、ユリウス王子は愉快そうに笑いました。

その笑みにつられてか、民衆からも笑い声が上り。

 

「導師様、さっさと捕まえてしまえ!」

「姫様!なんだったら、一緒についていっちまいな!!」

「一国の姫と導師様の旅……いける!これはいけるわ!!」

 

などと、勝手なことを言い始めていました。

ですが、シャルルはルーナ姫から宿題を出されていたので、その提出をしなければなりません。

深く呼吸をして、シャルルは、ルーナ姫をまっすぐに見つめました。

その視線を、ルーナ姫は真剣なまなざしで受け止め、シャルルの口から紡がれる言葉を待っていました。

 

「ルーナ様。私は長い間、一つ所にとどまることのできない身です」

「えぇ」

「求める声があれば、すぐに参じなければなりません」

「わかっています」

「……そんな俺でも、構わないのですか?」

「構いません。待つことも、愛する者の甲斐性というものでしょう?」

 

最後の砦のつもりで用意していたのだろうか、その言葉をまったく気にしない、と言いたそうな顔でルーナ姫は返してきました。

そのことに、シャルルはどこかほっとしたような表情を浮かべました。

 

「次にここに……ルーナ、あなたの元へ戻った暁には、あなたを妻に迎えることができるよう、多くの人々を救ってみせます」

「……っ!!……はいっ!」

 

その宣言を聞いたルーナ姫は、花が咲いたような笑顔を向けました。

その笑顔に見送られ、導師シャルルと従者アストは旅立っていきました。

その背が見えなくなるまで、ルーナ姫は見送っていました。

 

のちに、シャルルはその宣言通り、いくつもの街や村を、悪逆非道な盗賊や領主から救い、民衆だけではなく、国や教会からも絶大な支持を受け、ルーナ姫の元へ戻ってきました。

そして、シャルルはルーナ姫を妻に迎えることを認められました。

ちなみに、プラナ姫とユリウス王子の結婚式は、世界最大の礼拝堂を持つ教会で盛大に執り行われ、その場でプラナ姫の専属侍女であるチェリムと、導師シャルルの従者アストの婚約が発表されたのだとか。

こうして、三組の夫婦は幸せに暮らすことになりましたとさ。

めでたし、めでたし。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~劇が終わって~
皆『お疲れ様~~~~~っ!!』
明「いやぁ、うまくいってよかったよかった」
ももか「うふふ♪明くんとダンスしちゃった~♪」
いつき「あぁ……ドレス、かわいかったなぁ……」
つぼみ「い、いつき??」
小狼「さくらと踊れなかったのは、ちょっと残念だったかなぁ……」
さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇ……」(///□///
ももか「それはそれとして……ゆり?」
ゆり「……何かしら、ももか?すっごく悪い顔してるのだけれど?」
ももか「菖くんのほっぺにキスしちゃったりしちゃったり??」(-▽-
ゆり、菖「「……(ボンッ)……っ??!!」」Σ(///□///
明「お!それは俺も聞きたいなぁ」(-▽-
ももか「でしょでしょ?」(-▽-
菖「……ゆり」
ゆり「……えぇ」
明、ももか「「……?」」
菖、ゆり「「逃げるんだ/わよ~っ!!」」
全員『なぁっ??!!』
つぼみ「……ふ、二人とも早いです……」( ゚д゚)
えりか「ゆ、ゆりさんが逃げるって、珍しいっしゅ……」
いつき「……はぁ……ドレス、可愛いなぁ……」
えりか「って、いつき?いつまでトリップしてるのよ……」(-▽-;


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悩める菖(スキット風)

200話まであと2話!
その前に、ちょっとあげておきたかったので、こっちを先に
結果がどうなったかは、あとがきを見てのお楽しみ!

というわけで、本編どうぞ


菖「……う~ん……」

つぼみ「菖さん、なんだか難しい顔してます」

えりか「今度の遺跡探検どこにするか迷ってる、とか?」

いつき「菖さんだからねぇ……ありえそうな気はするけど」

ゆり「……あの顔はそんな顔じゃないわね……」

つぼみ「そうなんですか?」

ゆり「えぇ……はぁ、なにを悩んでいるのやら。ちょっと聞いてくるわ」

つぼみ「あ、お供します!」

えりか「面白そうだからあたしも!」

いつき「ならわたしも!」

 

----------------------------

 

ゆり「それで?なにを悩んでいたの?」

つぼみ「お役に立てるかわかりませんが、教えてください!」

えりか「あたしらに黙ってるなんて、水臭いっしゅ!!」

いつき「わたしたちは仲間なんですから!」

菖「ん?……あぁ、顔に出てたか……心配かけさせてごめん」

ゆり「それで?どうしたの??」

菖「あぁ……明たちのことなんだけど、正直に話した方がいいかなぁ、と思ってさ」

ゆり「……わたしたちのこと?」

菖「そ」

えりか「あ~……たしかに。明義兄ぃってけっこう鋭いし」(-▽-lll

つぼみ「それに、君尋さんとさくらさん、時々シプレたちをじっと見てるんですよ……」

いつき「ま、まさかばれてる、なんてこと……」

菖「あると思うぞ?君尋、俺と同じ体質だから」

つぼみ、えりか、いつき「「「……えっ??!!」」」

ゆり「……まさか、と思ったけど、彼も?」

菖「そ、視える人」

コロン「なるほど……だから彼、時々、僕の方を見てたのか……」

菖「えりかも言ったけど、明だけじゃない。静も小狼も、あれでかなりいい勘してるから、隠し通すのも難しい気がするんだよねぇ」

ゆり「そもそも、言葉遊びではぐらかすことはできても、嘘はつけないものね、あなた」

菖「あははは……」(-▽-;

ゆり、つぼみ「「……まぁ、それが菖/さんの美点で、好きなところなのだけれど/なんですけど……」」(ぼそっ

えりか「ん?ゆりさん、つぼみ、何か言った??」

ゆり、つぼみ「「何も言ってないわよ/ませんよ?」」

えりか「ふ~ん??」

いつき「つまり、隠し通すのは難しいし、隠していたせいで関係がこじれることを避けたいから、話すべきか迷っていたってことですか?」

菖「まぁ、端的に言えば」

ゆり「たしかに、問題ね……」

つぼみ「はい」

ゆり「……けれど、もう砂漠の使徒の侵攻もないし、わたしたちが先頭に立たなければいけない、という状況でもないから、わたしは話してもいいと思うわ」

つぼみ「それに、ももかさんと明さんの関係がこじれてしまいかねないですし」

えりか「え?!なんで??!!」

つぼみ「ももかさんは知っていて、自分には教えなかった、嘘をついていた。そう思われても仕方がないってことです」

いつき「あぁ、なるほど……ももかさんだったら、えりかが何かしら秘密にしてることに気づいててもおかしくないしね」

えりか「うぅ……否定したいけど、できないっしゅ……でも!もも姉ぇにだってばれてないはずだよ!!」

ゆり「……まぁ、いずれにしても話しておいた方がいいかもしれないわね。辻褄合わせにも協力してもらえそうだし」

菖「なら、今度の放課後ってことでいいか?」

つぼみ、えりか、いつき、ゆり「「「「はい/うん/えぇ!」」」」

菖「……って、なんで俺がリーダーみたいになってんのさ……」




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~打ち明けたあと~
明、君尋、小狼「「「やっぱりな」」」
静「そうじゃないかとは、思っていた」
ひまわり「へぇ~、そうなんだ?」
さくら「ほぇ?」
ももか「やっぱり、そうだったんだ!……ていうか、えりか、あんたよく秘密にできたわね?」
えりか「むっ!もも姉ぇ、それは聞き捨てならない!!」
ももか「あんたの場合、調子に乗ってゆりや菖くんやつぼみちゃんの足を引っ張ってるとこしか想像できないもん」
つぼみ「あ、あの!えりかはちゃんとわたしのこと助けてくれてました!!」
いつき「……なんか、想像はしてたけど」
菖「みんな反応あっさりしてるなぁ……いや、ありがたいけどさ」
明「そりゃ付き合い長いからな?それに、せんせーの態度、ちっとわかりやすかったし」
君尋「つか、んな変なの連れてたらなぁ」
ひまわり「変、かなぁ?かわいいと思うけど」
さくら「ねぇ?」
ゆり「よかったわね、みんな?」
コロン「はははは……」( ▽ lll
シプレ、コフレ、ポプリ「「「えへへへ~ですぅ/ですっ/でしゅ♪」」」


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ゆりと唐突な出会い~妖怪だって、おしゃれはするんです~

鬼太郎6期も第2シーズンに突入ですねぇ……
いや、まさか猫娘があんなことになるとはまったく予想外です……(白目
というわけで、何気に出てこなかった猫娘さん、登場です

……………………そろそろ、まなも出そうかなぁ……………………

では、本編どうぞ


その日、菖はゆりと二人だけで街に出かけていた。

傍から見ればデートをしている光景なのだが、そんな色っぽいものではない。

偶然、出かけた先でばったり出会い、そのまま一緒に行動することになった、というだけだ。

もっとも、二人ともまんざらでもない様子ではあるのだが。

 

「あら?菖じゃない?」

「ん?……あぁ、猫娘の姐さんか。珍しいな、お前さんから声をかけてくるなんて」

「ま、あんたは知らない仲じゃないしね……で、お隣のその人は?恋人??」

「そうだったら光栄なんだけどね」

「……ね、ねぇ、菖……この人は?」

 

すっかり置いてけぼりにされてしまっていたゆりは、半ば呆然としながら菖に問いかけた。

そこでようやく、菖はゆりに目の前の女性を紹介した。

 

「あぁ、ごめん。この人は……人、でいいのかな?……って、見えてるの?!」

「え?えぇ……女の人、よね?」

「……人かどうかは、微妙なところね。あたし、人間じゃなくて妖怪だし」

「……え?」

 

女性から返ってきた答えに、ゆりは目を丸くした。

菖が人ではないものを見ることのできる、見鬼の力を持っていることは知っているし、その力でいわゆる「妖怪」と呼ばれる存在と交流を持つことができたことも知っている。

だが、普通、妖怪は夜行動するものであり、昼間に行動するとは思えない。加えて、人間とまったく変わりない姿を取っていることにも驚かされていた。

いや、それよりなにより、プリキュアではあるが、見鬼や霊力のような力は一切持っていない自分が、妖怪を見ていることに驚いていた。

 

「え、えっと……妖怪、なんですか?」

「えぇ、まぁ……本当に見えてるのね……あぁ、なるほど。菖の影響を受けてるわけね」

「かもしれないですね……こいつ、ゆりとは幼馴染で付き合いも長いので」

 

そう返して、菖はゆりに女性を紹介した。

 

「ゆり、いつだったか話した鬼太郎の友人で、猫娘だ。姐さん、こっちは月影ゆり、俺の幼馴染です」

「よろしくね、ゆり」

「えぇ、こちらこそ」

 

ゆりは猫娘から差し出された手を握り、薄く微笑みを浮かべた。

猫娘はその笑みに返すように笑顔を浮かべると、菖のほうへ視線を向けた。

 

「ていうか、菖。あんたまであたしを姐さん呼ぶのはやめてくれない?」

「いや、姉御よりはいいかなぁと」

「どっちもよくないわよ……」

 

ため息をついて、猫娘は文句を言った。

だが、もはや諦めているらしく、それ以上、このことについて追及してくることはなかった。

 

「そういえば、あんたたちはどうしてここに?」

「そりゃこっちのセリフ」

「あら?女の子はおしゃれをしたいものよ?たとえ妖怪でもね」

 

あっけらかんとした顔で、猫娘はそう答えてきた。

言われてみれば、コートやマフラーの類を身につけていることもあったな、と菖は思い出して、失礼しました、と謝罪した。

 

「それで?菖はその子とデート中ってわけかしら?」

「だから、俺なんかにゆりはもったいないですって」

「……相変わらず自己評価低いわねぇ……まぁいいわ。なら、ちょっとこの子、借りるわよ?」

「えっ?!あ、あの、ちょ……」

 

ゆりの文句を聞き入れるつもりも、菖の意見も聞くつもりも一切ないらしく、猫娘はゆりの手をつかみ、そのままショッピングモールのほうへ姿を消した。

当然、ゆりはなすすべなく強制連行(ドナドナ)されてしまったわけで。

 

「……えぇ~……」

 

その鮮やかすぎる手腕に、菖はただ呆然とするだけだった。

 

----------------------------

 

菖から半ば無理やり引き離されて、ゆりは猫娘と呼ばれた、自称妖怪と一緒にショッピングモールをめぐることになった。

もっとも、本当に服が目的だったらしく、回った店のほとんどがファッション関連であった。

 

閑話休題(まぁ、それはともかくとして)

 

現在、二人は近くの喫茶店で休憩という名のティーブレイクタイムに入っていた。

ちなみに、猫娘は猫舌らしく、アイスミルクティーを、ゆりはストレートティーを注文し、それぞれ楽しんでいた。

 

「で?」

「え?」

「本当のところ、どうなの?菖との関係」

「んぐっ?!……………………けほっ、けほっ……………………」

 

あまりに唐突な質問に、ゆりは思わずむせてしまった。

その反応に目を丸くした猫娘は、大丈夫、と問いかけたうえで、謝罪してきた。

ようやく落ち着くと、ゆりはじとっとした視線を猫娘に向けながら、問いかけた。

 

「なんで、そんなことを?」

「……………………あいつ、なんというか危なっかしくて放っておけないのよ。それこそ、人間側に重しがないと、そのうちふらっとこっち(妖怪の)側に来ちゃうんじゃないかってくらい」

「それは…………………………」

 

猫娘の言葉に、ゆりは少しばかり、心当たりがあった。

菖を通じて知り合った同級生の一人、友護もそうなのだが、菖もどこか人間に対して諦めのような感情を見せるときがある。

おそらく、それは菖の見鬼の能力が故なのだろう。

見えざるものを見る力。それはたしかに、人間から見れば妖怪と同じ、バケモノだ。

だから、重しなのだろう。

菖を人間の側にとどめておくための。

けれど。

 

「……………………たぶん、わたしはまだ、彼の重しにはなれてないのだと思います」

「……そう」

「けれど」

 

ゆりは手にしたティーカップを置いて、まっすぐに猫娘を見つめた。

 

「絶対、彼をあなたたちの側へ行かせません」

 

たしかに、自分は、いや、自分たちはまだ、菖の重しになることはできていない。

けれど、そうやすやすと手放すつもりはないし、手放させるつもりもない。

その決意が、ゆりにはあった。

いや、おそらく、これは自分の妹分たちも同じことだろう。特に、自分やつぼみ、舞たちのように、菖に特別な感情を抱いているのならば。

 

「……………………そう。それなら、ちょっとは安心かな」

「ふふ……優しいんですね、あなたは」

「そうかしら?……………………まぁ、放っておけないっていうのはそうかもね」

 

ゆりの言葉に、猫娘は若干、顔をそらした。

そのしぐさを愛らしく感じたゆりは、くすくすと微笑みを浮かべた。




あとがき代わりのその後の話

~置いて行かれた菖は不機嫌に~
ゆり「ご、ごめんなさい、菖……」
菖「…………」
猫娘「お、置いていったことはほんとにごめんって……」
菖「……………………別に、気にしてないですよ?」
猫娘「そ、そう……ね、ねぇ、ゆり。もしかして、だけど」
ゆり「えぇ……これ、気にしてますよ。ものすごく……」
猫娘「……………………ほんと、こいつ、いつからこんな面倒くさくなったのよ……………………」
ゆり「知りませんよ!……………………けど、そんなとこが可愛いって思うんです、最近……………………」
猫娘「……………………はいはい、ごちそうさま」


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とある昼休みのイケメン5人組~お昼の放送 スキット風(前編)~

というわけで、久しぶりのラジオ回
でもって、ようやく登場、イケメン五人
もしかしたら、噂の大家さんも話題に出る……かも?

ひとまず、本編どうぞ


愛音「皆さん、お昼の時間がやってまいりました~♪今回も大好評のゲストをお招きしての特別コーナーでの放送となりま~す!本日のゲストは、明堂学園に通ってて彼らを知らないのはモグリの証拠!明堂学園が誇る五人の王子様、名付けて『ファイブ・プリンス』です!」

菖「いや、なんだよその売れないアイドルグループみたいな名前は!」(-□-;

明「どうせなら『四月一日と愉快な四人組』みたいなのにしてほしい、ってか?」(-▽-

君尋「なんで俺なんだよ!てか、それだったら『御剣と愉快な仲間たち』でもいいだろうが!!」Σ(-□-;

小狼「いや、なんでそのネーミングなんだ?」

静「子供か?」

菖「つか、子供だろ……主に明が」

明「おうおう、せんせー、言ってくれるじゃあねぇの?喧嘩なら買うぞ?」( 言 メ

菖「せんせー言うな。事実だろ?まぁ、演技だろうけど」

愛音「あ、あの~……進まないんで、そろそろいいですか?」

小狼「あぁ」

君尋「菖と明(バカ二人)は放っておいて、進めちゃおう」

静「あぁ」

 

--

 

ゆり「……ほんと、何やってるのかしらね……」

ももか「あははは……けど、明くん、楽しそう♪」

ひまわり「ね~♪」

さくら「しゃ、小狼くんと君尋くん、大丈夫かな……」

 

えりか「うわぁ……明義兄ぃ、大暴れっしゅ」

つぼみ「しょ、菖さん……」

いつき「やっぱり五人がそろうとこうなるのかな?」(-▽-:

 

--

 

愛音「え~、気を取り直しまして……あの、春川さん、御剣さん、大丈夫?」

菖「あぁ、うん……大丈夫」(遠い目

明「問題ないぜ♪」

小狼「菖、本当に大丈夫か?」

君尋「気にしても仕方ないんじゃないか?」

静「ツッコミ疲れ、か」

愛音「みたいですね……まぁ、ひとまず放っておいて、進んじゃいましょう」

小狼「えぇっと、たしかこういうゲストを招くときは、視聴者のみんなからのお便りに書かれてる質問に答えていく、んだったよな?」

愛音「That's right!もしかしなくても、愛しのさくらちゃんから聞いちゃった感じですか?」

小狼「い、愛しのって……ま、まぁ、そんな感じ、かな」(/// ///

明「おーおー、小狼が赤くなってるぜ」(-▽-

菖「そういう明はももかに聞いてたろ?」

明「まぁな!」

君尋「恥ずかしげもなく返しやがった」

静「まぁ、御剣だから当然、か?」

菖「いや、なぜ疑問形?」

愛音「さ~て、春川さんの調子が戻ってきたところでさっさとやっちゃいましょう!……というか仕事させてください、イケメンに囲まれてわたしのリビドーが天元突破して真っ赤な花火を咲かせそうです」

菖「というわけで、質問コーナー」

愛音「勝手に進めないでください!!」

菖「いや、前川のリビドーが爆発する前に終わらせた方がいいかなぁと」

愛音「あ、お気遣いいただきありがとうございます……じゃなくて!!大丈夫ですよ、まだ!!」

君尋「なら、お願いしようか。時間もないし」

愛音「こほん……えぇ、では気を取り直して。今回もわたしの独断と偏見で送られてきたお手紙からピックアップさせていただいたんですが……先にいくつか、質問ではないんですが、多数の生徒からということで紹介をさせていただきます」

菖「……あぁ、なるほど……」

小狼「どういうこと?」

君尋「まさか、この間のときみたく?」

静「なるほどな」

愛音「えぇ~、お察しの方もいらっしゃると思いますが、ひとまず、読み上げさせていただきます」

 

--

 

ゆり、ももか、さくら「「「なぜかしら/なんでだろ?予想が当たっているような気がするのだけれど/んだけど……」」」

ひまわり「あははは……」

 

--

 

愛音「御剣てめー、俺らのももかちゃんを奪ってんじゃねーっ!」

明「やかましい、そもそもももかはものじゃねぇだろうが」

愛音「李くん!さくらちゃんを泣かせたら承知しないわよ!!」

小狼「泣かせるつもりはないし、悲しませたりはしないさ」

愛音「四月一日くん!お嫁に来てください!!いや、むしろお嫁さんになって!!」

君尋「ここでもかよっ!てかなんでプロポーズされてんの、俺?!」

愛音「百目鬼くん、結婚してください!!」

静「……………唐突すぎる…………」

愛音「春川くん、今度教室の……」

菖「そんなの業者に頼め」

愛音「春川せんs……」

菖「担当の先生に質問しろ」

愛音「…………よくわかりましたね、修理の依頼と授業に関する質問だってこと」

菖「いい加減、その手のことに関する質問が多すぎてな……ほんと、なんで俺に聞くんだか……」(  ;

明「ま、せんせーの授業は分かりやすいからな」

小狼「そうなるのも必然、か」

君尋「てか、いい加減お前も断ることを覚えろよ」

静「お前には言われたくないんじゃないか?四月一日」

愛音「さすが、断れない男、ですね~♪」

菖「………泣けるでぇ……」

(中編へ続く



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とある昼休みのイケメン5人組~お昼の放送 スキット風(中編)~

長くなったので急きょ中編ということに……
ちなみに、今回、過去作エピソードもあります
どうなったのか、詳しくは読んでみてください(露骨な宣伝)


愛音「さて、それでは気を取り直して……PN「もちろん余だよっ♪」さんから」

菖「なんで、余?」

愛音「さぁ?……『李さん、こんにちは』」

小狼「こんにちは」

愛音「『李さんに質問です。木之本さくらさんとの馴初めを教えてください』……ほうほう!」(-▽-

小狼「なっ??!!」Σ(///□///

君尋「ずいぶんとド直球だな……」

菖「勇気あるなぁ……」

明「ケッケッケ、こりゃ、さくらが真っ赤になるのが想像できるな!」

静「明、お前、いますごく悪い顔してるぞ」

小狼「……ちなみに、拒否権は?」

小狼以外『認められておりません』

小狼「くっ……わかっていたけど……」

 

-----------------------------

 

さくら「ほ……ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ???!!!」Σ(///□///

ひまわり「そういえば、わたしも気になってたのよね~♪さくらちゃんと小狼くんの馴初め」(-▽-

ももか「うふふ、さくらちゃん?逃がさないからね?」(-言-

さくら「ゆ、ゆりちゃ~ん!!」(;□;

ゆり「……ごめんなさいね、さくら♪」

さくら「ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」

 

-----------------------------

 

愛音「では、教えてもらおうかね?」

明「ネタは上がってんだ!さっさと吐いちまえよ!」

菖「おいおい、どこの刑事ドラマだよ……」

小狼「……はぁ……わかったよ」

君尋「お?やっと折れたな」

小狼「きっかけは、小学五年生のころだったかな?俺が両親の都合で日本に引っ越してきて」

君尋「俺が世話になってるアパートに転がり込んできたんだよな?」

小狼「あぁ」

愛音「ほぉほぉ。そして右も左もわからないところに、木之本さんが話しかけてきた、と」

小狼「まぁ、そんなところだ」

君尋「そっからだもんな、さくらが小狼と俺の住んでるアパートに行き来するようになったのって」

愛音「ほぉほぉ!つまり、木之本さんの優しさに触れるうちに惹かれるようになった、と?」

小狼「…………」(/// ///

愛音「にょっほほほ~!顔面が真っ赤かですな~」(-▽-

明「ほっほ~!こいつぁ、記念に一枚撮っとくべきかな?」(-▽-

小狼「…………頼むから、勘弁してくれ…………」

 

-----------------------------

 

ゆり「あら……御剣くん、ちょっと調子に乗ってるんじゃないかしら?」

ひまわり「これは、あとでももかちゃん(奥さん)からのお説教かな~?」

ももか「お、奥さんだなんて……もぅ!ひまわりちゃん!!ほんとのことだけど、さすがに恥かしいわ!!」(/// ///

さくら「あうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 

-----------------------------

 

愛音「そういえば、カップルといえば明さんとももかさんも熱愛カップルとして有名ですよね?」

君尋「そういやそうだな」

静「所構わずいちゃついてる感じがするな」

明「おいおい、さすがに時間は考えてるぜ?それに学校でやってる以上のことはやってねぇっての」

菖「具体的には?」

明「そりゃ……って、何言わせようとしてんだよ!」

菖「……ちっ」

君尋「しょ、菖が舌打ちした……」

静「こりゃ、明日は雨だな」

小狼「あはははは……」

愛音「え~……まぁ、御剣さんと来海さんに関しては以前の放送でお話ししてもらって……なかったな、そういえば」

静「プライベートだからって、せんせーが止めたんだったな」

菖「せんせー言うな。まぁ、猛者どもは明に直接問い質してフルボッコにされたらしいけどな」

明「ふっ……暴れたりなかったぜ」

愛音「な、なんというか……ぶれませんね、ホントに……」

明以外『まぁ、明/御剣だから/だし/だからな』

明「そう褒めんなって、照れるじゃねぇか」

愛音「いや、褒めてないと思いますよ?」

 

-----------------------------

 

ゆり「ほんとに相変わらずね、あなたの彼氏」(-▽-;

ももか「いやぁ~っはははは……面目次第もございません……」

 

えりか「ほんと、明義兄ぃは相変わらずっしゅ……」(-▽-;

いつき「あははは……」

 

-----------------------------

 

愛音「え~、時間もないので次の質問に……PN『ツンネコ先生』さんから。『御剣さん、四月一日さん、こんにちは』」

明「おう」

君尋「こんにちは」

愛音「『お二人はお料理が大得意と伺いました。かくいうわたしはかなりの料理下手……このままじゃお嫁にもいけません!なのでお料理のコツを教えてください!!お願いします!!』だそうで」

菖「……どこがツンネコなんだろうな?」

静「まさか、デレ期の時に書いていたのか?」

愛音「あははは……まぁ、そこはあえて横に置いておくとして、どうでしょう?お二人とも」

明「あ~……コツって程のものはない、よな?」

君尋「ん~?レシピに忠実であればそれなりのものはできるはずだけど」

愛音「いやぁ、あえての一工夫をしてみたい、とか?」

菖「なぜに疑問形……けど、それが失敗のもとなんだよなぁ」

明「食材との相性はともかく、タバスコ大量投入とか、酢を突っ込んでみるとかな」

君尋「ちゃんと味見してからやればいいのに……」

愛音「あ、あははは……」

小狼「この反応はやらかしたことがあるんだな?前川さんは」

静「だな」

愛音「……おっしゃる通りです……」

 

-----------------------------

 

ももか、さくら「「前川さん……」」

ゆり「……はぁ……」

ひまわり「あははは……」

 

えりか「まぁ、気持ちはよくわかるっしゅ!」

いつき「え~?」

つぼみ「えりかの自作料理、時々すごいことになりますもんね」

 

-----------------------------

 

愛音「ま、まぁ、乙女の最近のお料理事情はこれくらいにしておいて」

明「あ、逃げやがった」

菖「触れられたくないんだ、そっとしておこう」

愛音「うぅ……せんせーの優しさが身にしみます……」

菖「前言撤回、どんどんいじっていこう」

愛音「ぴぎゃぁっ?!まさかのあげて落とす戦法??!!」

小狼「菖をせんせーなんて呼ぶからだろ」

君尋「自業自得だな」

愛音「……PN『もふもふ天国』さんから!!」

愛音以外『あ、スルーしやがった』

愛音「『春川さん、御剣さん、こんにちは』」

菖「こんにちは」

明「おう」

愛音「『以前、お二人は月影さんをめぐって大乱闘を繰り広げたことがあると風のうわさで聞いたのですが、真相を教えていただけませんか?!』だそうですが」

明「大乱闘ってほどじゃねぇが……前に、月影と恋人の真似事したこと、あったな(※53話「高校生組のドタバタ騒動記」参照)」

君尋「あぁ、菖が車に引かれたときのか」

菖「………………あったな、そんなことも」(遠い目

 

-----------------------------

 

ももか「あったね~」

ひまわり「あったわね~」

さくら「そ、そういえばあったね、そんなこと……」

ゆり「……………誰よ、この質問した人……………」(-△-lll

 

-----------------------------

 

静「前方不注意だったな、たしか」

小狼「あぁ……あの後がひどかった……」

愛音「……………ぐ、具体的には?」

小狼「菖が人間不信に陥って、誰ともしゃべらなくなった」

静「それだけならまだいい。俺たち……特に御剣と月影にひどい敵意を向けるようになった時もあったな」

君尋「あ~……退院してすぐだったっけ?あん時はひどかったぁ」

愛音「おぉう……善意の塊みたいな春川さんがやさぐれて……もしかしなくても、レアシーン見逃してました?」

明「かもな?」

明と菖以外「「「「頼むから二度とやるなよ?」」」」

明「やらねぇっての!」

君尋「やったらやったで来海が明になんかしそうだもんな」

静「……背後から刺しにくる、とかか?」

菖「あなたを殺してわたしも……とか言いそうだもんなぁ、ももか」

愛音「あ~……ももかさん、下手するとヤンデレ化するほどぞっこんですもんね~……ちくせう、うらやまけしからん」

明「おいおい……」

 

-----------------------------

 

ゆり「……ももか、まさかと思うけどやらないわよね?」

ももか「やりません!!」

 

えりか「ど、百目鬼さん……さらっと怖いことを……」

つぼみ「ま、まさか本当にやるなんてことは」

いつき「ないんじゃないかなぁ……?」(-▽-;

(後編へ続く



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とある昼休みのイケメン5人組~お昼の放送 スキット風(後編)~

というわけで、今回がイケメンぞろいのラジオ回最終回
まぁ、妙なオチになったのはご愛嬌ということで


愛音「さ~て、気を取り直して!PN『たわし』さんから……『こんにちは、イケメン五人衆の諸君』」

明「おう」

菖「なんかすっげぇ偉そうというか……雑なまとめ方というか……」

愛音「『みんなは女の子を見るときに、最初にどこに目が行くのか教えてほしいぜ!』……ほほぅ?」

小狼「なんというか……」

愛音「それで、みなさんどうなんでしょうか?やっぱり……胸ですか?お胸ですか?おぱ~いですか??」

静「……お前、実はかなり楽しんでるだろ?」

君尋「女の子がそういうこと口にしちゃいけません!」(-□-;

 

-----------------------------

 

ゆり「なんというか……前川さんね」(-□-;

ももか「いつもの前川さんだね~」

ひまわり「ふふ♪」

さくら「はうぅぅぅ……」

 

つぼみ「フ、フレンチ……じゃなくて、ハレンチですっ!!」Σ(>□<

えりか「落ち着きなって、つぼみ……気持ちはわかるけどさ」(-▽-;

いつき「あははは……」

 

-----------------------------

 

愛音「で、どうなんです?」

君尋「俺は……やっぱ目かな?」

静「俺もだな。目は口程に物を言う」

小狼「そういう意味じゃ、俺も目かな?」

明「俺はそうだな……似たようなことになるがやっぱ、笑顔、だな。とくにももかの笑顔は世界最強だな」

愛音「お、おぉう……」

 

-----------------------------

 

高校生組、中学生組以外の全校女子生徒『ズキューーーーーーンッ!!』

高校生組、中学生組以外の全校男子生徒『御剣-------っ!!てめぇ、彼女もちの余裕かごらぁっ?!そしてちゃっかり惚気てんじゃねぇーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!』( □ メ

ももか「………………………」(/// ///

ゆり「あら?ももか、どうしたの?」(-▽-

ひまわり「お顔が完熟トマトだよ?」(-▽-

さくら「ほえぇぇぇ……」(-▽-;

 

-----------------------------

 

君尋「……………なんか、色々聞こえてきたような?」

愛音「ほうほう……で、肝心の春川さんは?」

菖「俺?」

明「せんせーはやっぱ胸か?」

菖「んなわけあるか」(-□-;

小狼「なら、どこだ?」

菖「顔、というより目だな」

愛音「お?これまた四月一日さんたちと同じ回答」

菖「百目鬼も言ってたけど、『目は口程に物を言う』からさ」

明「まぁ、あとせんせーはいわゆる"視える人"だからな。『目を見ればわかる!』ってのを地で行くから」

愛音「……え?もしかして、春川さんって痛い人だったんですか?」

明「は?」

小狼「え?」

静「ん?」

菖、君尋((まぁ、普通はそういう反応になるわなぁ……))

 

-----------------------------

 

ゆり「……御剣くん、何のために菖がこのことを隠してたのかわかってないわね……」

ももか「あらら……」

ひまわり「あはははは……」

さくら「……ほぇ?」

 

つぼみ「菖さんの才能が疑われてます!」

えりか「いや、ふつう疑うから!」

いつき「だよねぇ……」

 

-----------------------------

 

菖「まぁ、それは横に置いとくとして」

愛音「えぇ、まぁ……春川さんの名誉のために」

菖「一言余計だ」

愛音「あははは……えっと、では続きまして、PN『サーチ・アンド・デスたいっ!』さんから」

君尋「……もう突っ込まねぇ」

小狼「ははは……」

愛音「『春川さん、四月一日さん、こんにちは!』」

菖、君尋「「こんにちは」」

愛音「『お二人に質問です!ぶっちゃけ、好きな人はいますか?!いなければわたしと付き合ってください!!』……ず、ずいぶんストレートに……」

君尋「俺は……うん、いるから、ごめん」

菖「あ~……うん、俺も決着つけないといけない子がいるから、ごめん」

明「数秒で玉砕かよ……てか、こいつも勇気あるよなぁ……」

小狼「……というか、これ、いいさらし者のような気がするんだが」

静「自業自得じゃないか?」

愛音「えぇ~……というわけで、無残な結果になってしまいましたが」

菖「というか、なぜこの質問を選んだ?」

愛音「そんなの簡単ですよ~♪」

明「あ~……なるほど?」

愛音、明「「面白そうだったから」」

君尋「……だと思ったよ」

 

-----------------------------

 

ゆり「……なんというか、ほんとに御剣くんね」

ひまわり「ね?」

さくら「なんというか、意地悪なところってほんと、ね」

ももか「あはは……」

 

-----------------------------

 

愛音「ま、まぁ、いい落ちがついた、ということで今日はこれくらいにしましょう」

菖「だな。ちょうど……」

 

キーンコーンカーンコーン

 

明「時間だしな」

小狼「それでは、今日の放送はここまで」

君尋「午後の授業も頑張っていこう」

静「授業退屈だからって寝るなよ?」

愛音「わたしのセリフ、取らないでくださいよぉっ!!」Σ(T□T

菖「あははは……」(-▽-;



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とある休日にカレーパーティーを

次回はエピローグといったな、あれは嘘だ
というか、先にこっちが出来てしまったのでこちらを先に出します

てなわけで久方ぶりの日常回、でもってタイトルの通り、カレーです
なお、明さんの作るカレーについては、原作者葵つばめさんから事前にお伺いしてました

それと今回、ついに大家さん登場です(ほんとにやっとだよ)
まぁ、どなたなのかは皆さん予想ついてるとは思いますが
それから四月一日たちに絡んでもう一人、新キャラ出してます
誰になるかはお楽しみに
ただし、白黒饅頭ではありませんのであしからず

ちなみに、今回、菖が作ったカレーですが、実際に作って食べてもらったら"いける"とのことでした
参考までに

では本編どうぞ


その日、明堂学園高等部の仲良し組とつぼみとえりかは君尋が住んでいるアパートを経営する大家の屋敷に勢ぞろいしていた。

その理由は、アパートの大家さんにあった。

 

その大家さん、君尋の話では普段はぐうたらなくせにグルメなうえ、毎日違うメニューでないと飽きて文句を言いだすのだそうだ。

もっとも、三食作ることと掃除洗濯などの家事を全部代行することを条件に家賃を無料にしてもらっているため、文句は言えないらしい。

 

それはともかく。

 

今回、その大家さんからカレーが食べたいという指令が飛んできたのだ。

が、君尋が作ったカレーだけじゃなく、明たち君尋の友人が作ったカレーも食べてみたい、という要求があったのだとか。

 

「で、俺たちを緊急招集した、と」

「あぁ……特に小狼と菖と明なら、普段食べれないカレーも食べれるだろうとか言ってきてな……」

「な、なるほど……」

「まぁ、俺はともかく、菖と明なら確かに変わり種も食べれるんじゃないか?」

 

小狼は苦笑を浮かべながら、材料を刻んでいる菖と明の背中に視線を向けた。

実際、明は家庭料理はもとより、フルコース料理からスイーツに至るまで、三ツ星シェフ顔負けの料理を作ることができるし、菖はインドの遺跡探検に行った折に現地発掘メンバーから本場のカレーの作り方を教わっている。

日本ではまずめったに食べることが出来ないカレーがずらりと並ぶことは明白だった。

ちなみに、ゆりとつぼみは菖、さくらは小狼、来海姉妹は明の手伝いをそれぞれ行っている。

 

その一方で、ひまわりと静は大家さんと談笑しながらカレーが作られている音を楽しんでいた。

大家とひまわりはともかく、静は絶対つまみ食いするから手伝わなくていい、むしろ台所に入ってくるな、と君尋から厳命された結果である。

なお、大家が住んでいる家は武家屋敷のような日本家屋であり、キッチンはかなり広いため、こうして何名かが並んで料理をしていてもまったく気にならないようになっていた。

なぜこんな造りにしたのかは、いまだに謎らしい。

 

「君尋くん、これでどうかな?」

「うん、大丈夫。それじゃ小羽(こはね)ちゃん、次はこれを切ってくれるかな?」

「うん」

 

包丁の軽やかな音と材料が刻まれる音と一緒に、君尋と隣にいる小学生くらいの少女の穏やかな会話が聞こえてきた。

ちなみに持たせているのは、刃が硬化プラスチックになっているもので、いわゆる「怪我をしない子供用包丁」である。

ある程度、家事ができるようになったほうがいい、という判断と、怪我をさせないように、という大家さんと君尋の配慮のようだ。

 

「小羽ちゃん、だいぶ笑うようになったみたいだな」

「えぇ。最初に会った時はものすごく暗かったのにね」

「これが明だったらこうはならなかったな、絶対」

「それは言えてるかもしれないっしゅ!」

「え、えりか、ちょっと言い過ぎなのでは……」

「おいおい、ひでぇこというな、えりか。てかつぼみ、お前ぇは否定してくれないのかよ?」

「いやぁ……こればかりはわたしも否定できないなぁ……」

「……泣けるぜ……」

 

その様子を横目に見ながら、菖と明、ゆりとえりか、ももかはそんなことを口にしていた。

君尋の隣で作業を手伝っている少女、五月七日(つゆり)小羽(こはね)は、虐待を受けていたところを、偶然見かけた君尋が保護したのだという。

むろん、警察には伝えてあるし、小羽自身も施設よりも君尋のところがいいとはっきり伝えたため、君尋が住むアパートの大家さんとも話しをして、大家さんと住むことにしたのだ。

ちなみに、迷わず君尋のアパートを選んだ理由は。

 

「君尋くんは友達だし、わたしと(・・・・)同じ(・・)だから(・・・)

 

だった。

小羽と同じ、というのが何を意味しているのか、なんとなく察することができたのは言われた本人と菖だけだったことはいうまでもない。

そうこうしているうちに、菖のほうは完成が徐々に近づいてきていた。

 

「あとは、水切りした木綿豆腐を角切りしてカレーになじませれば完成だ」

「それにしても、ひき肉の代わりに水切りした木綿豆腐を使うという発想もなかなかないわね」

「ちょっとでもカロリーを減らそうと思ってな。思ったよりうまくいったみたいでよかったよかった」

 

ゆりが感心しながらつぶやくと、菖はほこほこ顔で返し、さいの目に切った木綿豆腐を鍋に投入した。

本来の麻婆豆腐のレシピは、長ネギ、生姜、ニンニク、ひき肉、木綿豆腐に豆板醤が基本だ。

だが、菖はひき肉の代わりに木綿豆腐をつぶし、軽く炒ったものを使っている。

理由は単純にカロリーを低く抑えるためだ。

ちなみに、隠し味がもう一つ。

 

「そういえば、さっき入れてたオレンジの液体は……もしかして野菜ジュースですか?」

「あぁ。豆板醬も使ってるから結構辛く仕上がるからね。リンゴを入れるのと同じ感じで野菜ジュースを入れてみたんだ……野菜が少ないからってのもあるけどね」

 

普通、カレーに隠し味として投入するのならば牛乳やリンゴ、はちみつ、あるいはチョコレートか醬油、コーヒーが一般的だ。

が、菖は今回、少し冒険してみるという意味合いも込めて、コップ一杯分の野菜ジュースを入れてみたのだ。

 

「まぁ、スパイスでごまかされるだろうし、大丈夫じゃないかな?」

「だといいんですが……あとは煮込むだけですね?」

「あぁ。つぼみもゆりも、手伝ってくれてありがとう」

 

にっこりと微笑みを浮かべながら、菖が手伝ってくれた二人にお礼を言うと、二人も微笑みを返してきた。

そんなピンク色な空気が流れてきているところがもう一つ。

 

「そうそう。うまいじゃないか、ももか」

「えっへん!わたしだって練習してるんだよ!!」

 

明に指導されながら、ももかはみじん切りになった玉ねぎを前に胸を張ってドヤ顔をしていた。

キュウリを厚めの輪切りにするのも一苦労であったももかにとって、みじん切りができたことは大きな進歩だった。

が、ももかよりもできる妹は。

 

「もも姉ぇ、みじん切りぐらいでドヤ顔しないの」

 

と文句を言いながら、イカを捌いていた。

野菜を切ることに関してはだいぶ上達したももかだが、さすがに魚介類を捌くのは自信がないらしい。

えりかからの指摘で珍しくうなだれると、明が慰めるように頭をなでた。

 

「ま、ももかはこれからだこれから」

「そ、そうだよね!これから明くんに教えてもらえばいいんだもんね!!」

「ケケケ、みっちりねっちょり教えてやっから覚悟しろな?」

 

意地悪な笑みを浮かべながら、明はももかにそう告げた。

やや嗜虐趣味(サディズム)なきらいがある明だからこそできる悪い笑みに、被虐趣味(マゾヒズム)なきらいがあるももかは少しばかり興奮したらしく、目を潤ませ頬を赤く染めていた。

その様子に、えりかは呆れたと言わんばかりのため息をついてイカの胴を輪切りにしていた。

 

なお、小狼とさくらはそんな二つのグループが気にならないほどピンク色でほんわかな空気を漂わせていたため、まったく気付かなかったそうな。

 

------------

 

数分して、テーブルには君尋と小羽が作ったポークカレー、明とももか、えりかが作ったシーフードカレー、菖とゆり、つぼみが作ったマーボーカレー、そして、さくらと小狼が作ったグリーンカレーが並んでいた。

 

「お待たせしました、侑子(ゆうこ)さん」

「ふふふ、待っていたわよ、四月一日……さぁっ!冷めないうちにいただきましょう!!」

「……なんというか、ほんと、にぎやかな人だよな、郁子さん」

「にぎやか通り越して騒がしくなったりするのは困りもんだけどな」

 

まるで腹ペコの子供のような態度で騒ぐアパートの大家さん、壱原侑子の様子に、菖が苦笑を浮かべると、君尋はため息交じりにそう返してきた。

もっとも、その顔は呆れているというよりも幼い子供を見守る父親のような顔だったが。

 

「ほーら!四月一日も春川くんもはやく座りなさい!全部食べちゃうわよ~?」

「はいはい」

「今行きます」

 

郁子の呼び出しにより、日常生活以外にも苦労の多い二人の男子学生は友人たちが待っているテーブルにつき、カレーを堪能するのだった。




~あとがき代わりのおまけの話(スキット風)~

小羽「どうかな?君尋くん」
君尋「うん、おいしいよ。小羽ちゃん」
静「……小狼、お代わり」
小狼「あぁ、わかった」
ひまわり「このシーフードカレーおいし~♪」(>ω<♪
ももか「明くんとわたしの愛情がたっぷりこもってるからね!」(ムフー
えりか「もも姉ぇ、魚介類はあたしが切ったってこと忘れないでよね?」(-□-;
明「……野菜ジュースがはいってるな?このカレー」(-ω-
ゆり「あら、意外に敏感ね」
菖「明なら気づくと思ったけどな」
つぼみ「野菜不足を補う作戦です!」
侑子「あらあら、愛のある作戦ね~」(-▽-
さくら「……もしかして、わたしたちはいま、愛を食べてるってこと?」( □ ;
静「愛を食い物にしている、ということか?」
えりか「百目鬼さん、それはそれでどうかと思うっしゅ!」(-□-;


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とある日の体育の授業

久方ぶりに新キャラ登場!
今回出てくるのは、"高校生組とかかわりが深い人"です

ちなみに作者は高校時代、武道の時間は剣道の授業でした

菖「無双って程じゃないにしても、かなりよかったんだろ?」
ゆり「さすが、経験者ね」
斗真「にょっほほほ~」(-▽-

基本、体育は嫌いなんですがね、この時ばかりは大暴れしてた記憶がありますよ


学校の授業というのは、文部科学省が定めた規定により、ある程度、決まっている。

その決まりを示すものが、「学習指導要領」と呼ばれるものだ。

この学習指導要領は各教科各科目ごとに用意されており、教職課程を取得している学生たちには必須のアイテムとなっている。

 

その中で、体育の学習指導要領には、武道に関する項目が存在している。

武道を学ぶことで伝統を重んじることや、相手を尊重する心を磨くことが目的となっている。

だが、その目的とは別に、純粋に「武道そのもの」を楽しんで授業に臨んでいる生徒が、ここ明堂学園にいた。

その生徒とは。

 

「御剣、お前の相手は俺だ」

「お、黒鋼先生か!よろしくお願いします!!」

 

明堂学園が誇るハイスペックチート男子、無駄にイケメンな漢、みんな振り向くあんちくしょう。

様々なあだ名を持つ、明堂学園イケメン五人衆の筆頭、御剣明である。

二人のやり取りを見ていた菖と君尋、小狼は苦笑を浮かべながら。

 

「うわぁ……怪獣大決戦だな、これもう」

「あるいは最強決定戦?」

「言いえて妙だな」

 

と、好き勝手なことを言っていた。

とはいえ、彼らの発言はこのクラス全員が抱いている感想でもあるため、誰も非難することはできないでいた。

何しろ、御剣明といえば、希望ヶ花が誇るイケメン男子ナンバーワンであると同時に、最強の二つ名を冠するほど武芸に長けている。

もっと厄介なのは、その強さゆえにより強いものとの戦いを好んでおり、強者と戦いたいという衝動を常に抱えているということ。

つまるところ、戦闘狂であるという点だろう。

 

そんなわけで、個人の人格はともかく、その衝動を常に抱えているような人間は最初からお断り、と泉地流の稽古場に足を踏み入れることはおろか、菖との交流試合すら行ったことはない。

もっとも、泉地流の技を使わない、という条件下で何度か試合をしたことはあるが。

 

それはともかくとして、実のところ、明堂学園には明と同じような気質の人間が一人いた。

それがいま明の目の前にいる男。保健体育担当の黒鋼先生だ。

彼は剣道部の顧問でもあり、様々な伝説を持っている教師でもある。

 

曰く、古流剣術のすべてだけでは飽き足らず、槍、杖、鎖鎌、手裏剣、弓、体術、果ては忍術まで習得したとか。

曰く、教師はかりそめの姿で、実は日本政府お抱えの暗殺者だとか。

曰く、実は四葉財団や海藤グループなどの大企業のSPを歴任したことがあるとか。

 

ともかく、こと荒事に関して様々な噂を持っている。

どれも噂の域を出ないが、細身ながらもしっかりとした体躯に短く刈りあげられた髪、鋭い視線と不敵な表情を見れば、あながち噓ではないのかもしれない。

もっとも、真実のほどは定かではないが。

 

それはともかくとして。

そんな戦闘狂二人が武道の授業という、正々堂々と相手と戦うことができる場面に出くわせばどうなるか。

火を見るよりも明らかなことだった。

 

「おーい、みんな、少し離れるぞ~」

「巻き込まれっぞ~」

「春川、李!審判頼んだ!!」

「なんかあっても骨は拾ってやるからな!」

「……春川はいっそのことそのまま巻き込まれちまえ」

 

クラスの中で明に次ぐ腕前をしている菖と小狼に白羽の矢が立ち、審判を押し付けられてしまった。

もっとも、その中には少し、いやかなり無礼なことを言ってくる声もあったため、菖は声がした方へ視線を向けながら、不機嫌そうな声で返した。

 

「あ?そんなこと言うんだったら今年度中はお前たちからの頼み事、全部拒否すっぞ?」

『ひぃっ!!』

「だ、誰だよ、春川巻き込まれちまえとか言った馬鹿は!!」

「謝れ!てか詫びの印になんかもってこい!!」

「それじゃ足りねぇ!指詰めろ!!」

「腹切って詫びろ!!」

「なんでそうなるんだよ、物騒なっ!!」

 

だが、普段から雑事を頼み、快くはなくとも最終的に受けてくれる人の良さから、菖に対してそんな嫉妬を抱くのも馬鹿らしいと思っている生徒のほうが多く、くだらないことを口にした生徒に対しての激しい、いや、物騒なバッシングが始まった。

だが、忘れてはいけないのは、現在進行形で体育の授業は続いているという事実。

そして授業中に騒げば、当然降り注ぐのが。

 

「やかましい!貴様ら黙ってろ!!」

 

教師からの叱責である。

黒鋼のそのひと吼えに萎縮してしまった生徒たちはしーんと静まり返った。

だが数秒とせず、黒鋼は明を試合コートに招き、菖と小狼、静に審判の役を押し付けた。

逆らえない、というよりも武道を嗜むものでなければ審判が難しいと判断していた菖たちは、素直にコートに近づいた。

三人いる審判の内、主審を菖が務めることが決まると、菖は準備を始めた。

明と黒鋼はすでに準備を終わらせていたため、審判たちの準備が終わると、互いにお辞儀をしてコートに足を踏み入れ、三歩のすり足で所定の位置まで進み、竹刀を抜き、蹲踞(そんきょ)の姿勢をとった。

 

「始めっ!!」

 

二人がその位置に来て、蹲踞の姿勢に入ると、菖は高らかに試合開始を告げた。

同時に、声も出していないのにびりびりとした何かが肌に伝わってきた。

その何かを、武芸者は剣気だとか殺気と称するのだが、そんなことを知っているのは泉地流継承者である菖と李家のたしなみとして中国拳法を学んだ小狼くらいなものだ。

 

それは横に置いておくとして。

試合開始が宣言され、序盤は互いに竹刀の先端を動かし、どうにか相手の中心を捉えようとしていた。

しばらく、静かな攻防が続いたが、一瞬の隙を見つけたのか、明が先に動いた。

明堂院流の稽古でも見せたことのない、まさに風と表現できるほどの素早い動きで黒鋼に迫った。

だが、黒鋼はその動きをあざ笑うように向かってきた明の竹刀を弾き、切り返してきた。

 

だが、明の負けず嫌いの性格がここで活きた。

床を蹴って後退し、黒鋼の竹刀をギリギリで回避したのだ。

だが、回避するだけで終わらなかった。

剣道には後ろに下がりつつ、一本を狙う引き技が存在する。

明が狙っていたのは、引き面だったようだ。

しかし、有効範囲の外にまで引いてしまっていたため、剣先が面のふちに当たっただけで、一本にはならなかった。

 

それからも高校の授業とは思えない攻防を繰り広げた二人だったが、突然、甲高いホイッスルの音が鳴り響いた。

それに一拍遅れて、菖が両手を上げ、止めっ、と号令を出した。

その号令とともに、二人は最初の位置へと戻っていった。

 

「引き分け!」

 

本来、剣道の試合において、引き分けという判定は、個人戦には存在しない。

だが、今回はあくまでも授業であり、全体の流れ、というものがある。

制限時間になっても決着がつかなければ引き分け、となってしまうのは道理だった。

なお、それがしかたないことと理解しているため、両者とも大人しく退場したが。

 

「「いつかこの決着をつけてやる」」

 

と物騒なつぶやきが審判三人はおろか、その場にいた全員の耳に入ったとか。




あとがき代わりのおまけの話

~昼休み~
ももか「それで、明くんと先生、決着つけるの?」
ひまわり「果し合いになっちゃったりしない?」(-ω-;
君尋「……否定できないなぁ……」
静「黒鋼先生、あれでかなりの戦闘狂だからな」
小狼「試合会場がもつかどうかが疑問だ……」
さくら「そ、その前にどっちかが倒れたりとか……」
ゆり「まぁ、御剣くんが負けるなんてところ、あまり想像できないけれどね」
静「……最悪、どっちか入院なんてことに……」
ももか「…………にゅ、入院…………」(;ω;<ぶわっ
明「おいおい、大げさだぞももか」
君尋「つか百目鬼、お前、来海さんを不安にさせるようなこと言うんじゃねぇ!!」(ーДー#
菖「いや、案外とこれが正しい反応なんじゃ……俺だって黒鋼先生とやり合いたくないし」(-Д-;


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年越しカウントダウンは境内で

謹んで、新年お慶び申し上げます
というわけで、カウントダウンなので0:00ちょうどに今年最初の投稿を
あ、あとがきのほうに戯れで描いた年賀画像を貼り付けときます
誰が出るかはお楽しみということで

では、本年もよろしくお願いいたします


大晦日。

それは、一年が過ぎ去り、新しい一年を迎える前日。

この日、特に寺と神社は翌日の正月にむけて昼も夜もせわしない。

むろん、希望ヶ花神社の管理を任されている春川家も例外ではない。

だが、この年は何人かの心強い助っ人がいた。

 

「こ、こっちのお守りのノルマ、達成しました~」

「破魔矢の準備も終わった~」

「護符も作り終わったよ~」

「……わたし、小狼くんと君尋くんの手伝いに行ってくる」

「あ、それなら一緒に行きましょ?」

 

社務所の中で大量のお守りや破魔矢を作っていたのは巫女服を着たつぼみたち三人組と小羽とひまわりだった。

仲がいいため大抵は一緒に行動しているので、当然、菖がこの時期になるととてもせわしないうえに、その忙しさゆえに不機嫌になる姿を何度か目撃している。

それを不憫に思ってか、それとも、好きな人の助けになりたいからなのか。

ゆりとつぼみは自発的に手伝いに来るようになり、その話を聞きつけた君尋たちも手伝いに来たようだ。

 

なお、ももかは仕事のためこの場にいない。明もこの場にいないのだが、その理由がまた珍妙なもので、なぜかももかが所属する事務所からももか専属のSPとして扱われているため、仕事に行くももかに同行しているからであった。

静も静で、実家がお世話になっている寺の手伝いを檀家一同で行うことになり、若い衆の一人として駆り出されたため、この場にはいなかった。

そんなわけで手伝いに来ているのは、ゆりとつぼみ、えりか、いつきのほかに、君尋、小狼、さくら、ひまわり、小羽の五人だった。

 

それは置いておいて。

 

君尋と小狼は夜に参拝客に提供するため、急きょ境内に作ったかまどで甘酒を作っていた。

ちなみに、使っている酒粕は仁頼が秘蔵していた大吟醸のものである。

 

「あぁ……いい香りしてきた」

「さすが大吟醸だな」

 

君尋と小狼は鍋に酒粕が焦げ付かないよう、ゆっくりとかき混ぜながら漂ってくる香りを楽しんでいると、背後からか細い声が聞こえてきた。

 

「……いい匂い」

「あ、小羽ちゃん。お守りのほうは終わったの?」

「うん。こっちのお手伝いしようかなって」

「わたしも来たよ~」

「ひまわりちゃんも?それはありがたいな」

「なら、あと二つ三つは作っておきたいから、そっちをお願いするよ」

 

小狼がそう話し、少し離れたところに作られたかまどのほうへ視線を向けた。

まだ火をくべていないので今見ている鍋ができたら、取り掛かる予定だったのだろう。

特に打ち合わせをしたわけでもないはずなのに、小狼が君尋に目配せすると君尋はもう一つのかまどのほうへ向かっていき、火をつけた。

 

「水と酒粕は入れてあるから、焦げ付かないようにかき混ぜててほしいんだ。あ、砂糖もあるから、二人の好みで味を調整してくれないかな?」

「わかった」

「うん、了解」

 

火を入れ終わると、君尋が二人にそうお願いをした。

二人はその指示に従って時折、ゆっくりと鍋の中身をかき混ぜながら、火に当たって暖を取っていた。

傍から見ると姉妹のようにも見えるその光景に、小狼と君尋は笑みを浮かべ、甘酒の追加分を作り始めた。

 

------------

 

一方そのころ、菖とゆりは拝殿や本殿の周囲の掃除を終わらせ、賄いを作っていた。

ちなみに作っているのはトン汁とぶり大根、里芋の煮っ転がしである。

神事の前というとできる限り、生臭さは控えるという印象があるが、仏教の影響を受けている神社ではないため、別に問題ないとのことらしい。

実際、捧げものの中にはアユやカツオ、スルメといった魚介が並ぶこともある。

 

まぁ、それは置いておいて。

 

「よし、こんなもんかな」

「それじゃ、四月一日くんたちの手伝いに行きましょうか」

「だな」

 

ゆりの言葉にうなずき、菖は前掛けを取り、君尋たちがいるであろう境内へと向かっていった。

ゆりも三角巾と割烹着を脱いで菖の後を追いかけていった。

二人が境内に出ると、君尋と小狼だけでなく、ひまわりと小羽、えりかといつき、さくらもいた。

つぼみだけがいないことに気づいた菖は、近くにいた君尋に問いかけてみた。

 

「あれ?つぼみがいないけど」

「つぼみちゃんなら、まだ社務所の方じゃないかな?作ったお守り、箱に入れてたと思う」

「ん、了解。なら、俺はそっちを手伝いに行ってくる」

「それじゃ、わたしも一緒に行くわ。あぁ、そうそう。みんな、お夕飯の準備できたから、食べて頂戴ね?」

 

つぼみが一人でいることを聞いて、つぼみを気遣ったのか、菖とゆりは社務所の方へ向かうことにした。

ゆりから夕飯ができていることを聞いたえりかは、我先にとばかりに台所へ向かっていき、そのうしろを苦笑を浮かべながらいつきが追いかけていた。

 

「冬なのに、元気いっぱいだね」

「ま、まぁ、えりかちゃん、見た目の通りだから……」

「子供ってこと?」

「ぷっ……くくっ……こ、小羽ちゃん、それはちょっとストレートすぎ……」

 

その様子をみていた小羽の感想に、ひまわりがフォローを入れると、的を得たツッコミが返ってきたことに、君尋は笑いをこらえるのだった。

なお、台所にまっさきに突撃したえりかは、居合わせた仁頼から、手洗いうがいをしていないことやマナーが悪いことを怒鳴られ、委縮していたのだが、それについては割愛。

 

----------------------------

 

菖とゆりが社務所に到着すると、つぼみが一人でせっせとお守りを箱に詰めて片付けたり、包み紙の準備や確認をしていた。

 

「つぼみ、お疲れさん」

「手伝いに来たわよ」

「あ、菖さん、ゆりさん」

 

声をかけると、疲れた様子をみせることなく、つぼみは菖とゆりのほうに顔を向けてきた。

 

「けど、あとこれだけで終わりなので大丈夫ですよ」

「そうか。それじゃ、終わるまで待ってるよ」

「え?で、でもいいんですか??」

「お夕飯ができあがっているの。みんなで食べましょう?」

 

ゆりが微笑みながらそう返すと、つぼみはさらにやる気が出てきたらしく、四十秒、というわけには行かなかったが、十分とかからずに残りの作業を終わらせた。

単に食いしん坊だからではない。大好きな二人が炊事係であることを知っていたため、二人が作った料理を温かいうちに食べたい、という欲求があったからである。

 

「あ、ちなみに献立は?」

「トン汁とぶり大根、それから里芋の煮っ転がし」

「ちなみにご飯はしめじとマイタケの炊き込みご飯よ」

「お、おいしそうです……早く行きましょう!」

「これこれ、慌てなさんなって」

 

今にも走り出しそうな勢いのつぼみに苦笑を浮かべながら、菖とゆりはつぼみを伴って台所へと向かっていった。

なお、到着した時はちょうど、えりかが仁頼からお説教を受けている真っ最中で、君尋たちと一緒に遠巻きに仁頼の雷がえりかに集中している様子を見ながら、嵐が過ぎ去るまで待っていたのだが、それは別の話。

 

------------

 

夕食のあと、菖たちは正月の初詣の準備を終わらせると、今度は大晦日に行われる大祓式の準備に入った。

といっても、そちらの方は仁頼と菖の両親がほとんど終わらせていたので、特に何もすることはなかった。

むしろ、神社の境内で年越しカウントダウンしても問題ないとすら言われてしまい、菖たちはその言葉に甘えて、普段着に着替え、境内に集まっていた。

 

「結局、明とももかは間に合わなかったか」

「さすが、カリスマモデルとその専属SPね」

「年明けギリギリまでお仕事とは……さすがもも姉ぇっしゅ」

「……いいや、そうでもないみたいだぞ?」

 

小狼がそう言って鳥居のほうに視線を向けた。

すると、手を振りながら参道を歩いてくる二人の男女の姿があった。

言わずもがな、明とももかである。

 

「いやぁ、間に合った間に合った」

「もぉ、マネージャーもギリギリまで仕事入れるなんて、ぶっちゃけあり得ない!!」

 

どこかで聞いたようなセリフを口にしながら文句を言うももかに、明はどこか隙のない笑みを浮かべながら、落ち着け、と諭していた。

 

「お疲れ様、ももか、御剣くん」

「お疲れ、二人とも」

「ありがとう、ゆり~」

「おぅ、ありがとさん……で、もう特にやることはない感じか?」

 

状況がまったくわからないため、明がそう問いかけると、菖はほとんどの作業が終わったことを説明した。

 

「まぁ、そうだな。年越しカウントダウン終わったら俺は着替えて手伝いするけど」

「あ、わたしも手伝います!」

「当然、わたしもよ」

「……君尋くん、一緒にお手伝い、しよう?」

「そう、だな。小狼、さくらちゃん、悪いんだけど、百目鬼のほう、頼んでいいか?」

「あぁ、構わない。九軒もそうするだろ?」

「そうね……それじゃ、小狼くんたちと一緒に行こうかな」

 

なお、いつものメンバーが勢ぞろいしている状態ではあるのだが、その場に静だけがいなかった。

手伝いが終われば、駆けつけるとは言っていたが、この時間になってもいない、ということは、参拝客の対応なども手伝わされているのだろう。

それならば、と小狼とさくら、ひまわりの三人は静が手伝いに行っている寺の方へとむかうことにした。

 

そうこうしているうちに、参拝に来ていた周囲の人々が時計や携帯電話を取り出していた。

間もなく、午前零時。

新しい年がやって来る時間になったようだ。

それにつられたのか、つぼみは愛用のカメラを取り出し。

 

「みなさん!年越し第一号の写真撮影、しませんか?」

「お、いいな、それ」

「よし、撮ろう撮ろう!」

 

当然、その提案に反対するものはおらず、全員が快く賛成してくれた。

が、ここでひとつ、問題があった。

その場にいるのは合計十一人。どれだけぎゅうぎゅうに詰めても、全員が入るかどうか微妙なところである。

だが、その問題に気付く間もなく、周囲からカウントダウンの声が聞こえてきた。

 

「と、とにかく詰めろ詰めろ!」

「やんっ!明くんのエッチ♪」

「……なんでさ……」

「……し、菖?なんだったら、腰に手を回しても大丈夫だから」

「え?……あ、あぁ……うん……」

「しゃ、小狼くん……も、もうちょっと詰めていい?」

「あぁ、大丈夫だ」

 

慌てながらどうにか全員が入ろうと密集したころには、年明けまで残り十秒を切っていた。

なぜかピンク色の空気が漂っていたような気がするのは気のせいである。

どうにか入りそうであることがわかると、菖たちは周囲に合わせてカウントダウンを始めた。

 

『五、四、三、二、一!!あけましておめでとうございます!!』

 

その声と同時に、ぱしゃり、とつぼみのカメラからシャッター音が聞こえてきた。

デジカメの画像には、数名、顔を赤くしているものはいるものの、満面の笑みを浮かべているメンバーがいた。




おまけ

菖、湊「「新年、明けまして」」
オールスターズ全員『おめでとうございます!』
はぐたん「あけおめ~」
斗真「旧年中はたくさんのお気に入り登録、ご感想、ありがとうございました。本年もどうか、拙作をよろしくお願い申し上げます」
ほまれ「で、あいさつがおわったのはいいけど……」
はな「なんで、ハリーはそんな格好(※挿絵参照)してるの?」

【挿絵表示】

ハリー「斗真に無理やり着せられたんや!俺は着たくない言うたのに!!」
斗真「まぁ、子年だからな、仕方ない仕方ない」
ハリー「ねずみちゃうわ!ハリハム・ハリーや!!もう何べんこのネタ使えば気ぃ済むんや!!」
菖「……なぁ、作者。来年はゆりとつぼみの晴れ着を……」(ひそひそ
斗真「……頑張って描くよ~」(ひそひそ
つぼみ、ゆり「「菖/さん?作者/さん?」」
菖、斗真「「なんでもない」」

改めまして、本年もよろしくお願いいたします
なお、Pixivにも「kazama」の名前でほかのあけおめ画像と一緒に掲載しております
良ければ、探してみてください


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侑子さんが七草粥をご所望のようです

本当なら昨日のうちに投稿すべきだったんですが、すっかり忘れてしまっていました(汗
ちなみに、私も自作してみましたが……ご飯の量が少なかったせいですかね?七草粥ならぬ七草雑炊になってしまいました(-▽-;

あ、本編よりおまけのほうが力入ってるかも?……気にしない気にしない


春の七草。

大根、かぶ、せり、なずな、ほとけのざ、はこべら、ごぎょうの七種類の植物のことをさし、これをおかゆにしたものを『七草粥』という。

松が明ける一月七日の朝に朝食としてこれを食べ、正月の食事と飲酒で疲れた胃腸の調子を整えることができると言われている。

 

そんな七草粥を待ち望んでいる人物が一人、いた。

 

「わ~た~ぬ~き~!おかゆまだ~?!」

「だぁ、もう!もう少しでできるから我慢してくださいよ、侑子さん!!」

 

君尋と小狼、小羽が住んでいるアパートの大家、壱原侑子である。

普段から大喰らいなのだが、正月のおせちやお酒を大量に飲み食いしたのだが、胃腸が荒れた、という様子はない。

二日酔いで気分が悪そうにしている姿を見たことはあるが、それも胃腸薬を一服すればすぐさま治ってしまうのだから、始末が悪い。

そのうえ、七草粥までしっかり要求してくるのだから、もはや食い意地の塊にすら思える。

 

「悪いな、菖、小狼、明。お前らにも手伝ってもらっちゃって」

「気にするな。侑子さんにはお世話になってるしさ」

「ま、報酬で七草をもらうことになったから構わないさ」

「なに、これくらいならいつでも呼んでくれや」

 

申し訳なさそうにしている君尋に、小狼と菖、明がそう答えた。

どうも昨年のカレーパーティーで味をしめたらしく、今度は七草粥の食べ比べがしたい、とわがままを言ってきたらしい。

とはいえ。

 

「七草粥って、基本的な作り方は一緒だから、別に代わり映えとかなくね?」

「だな。根っこは薄切りにして葉はちょっと湯がいてからみじん切りにしておかゆに混ぜるくらいなもんだし」

「あるとすれば、高菜漬けとかトッピングするとか、韓国風や中華風にするとかか?」

「……だしをいれるとか?」

 

せりやなずなといった野草が入る都合上、どうしても苦みが出てしまう。

その苦みを少しでも和らげるために、中華風や韓国風、あるいは梅干しなどの漬物を添える工夫がされているのだが、どうやら、侑子は四人がどのような工夫を凝らすのかを楽しみにしているようだ。

 

「……さすが侑子さん……策士だ」

「その策にまんまと乗せられた俺らって……」

「言うな。ある意味、あの人は明以上の強敵なんだから」

「おいおい、そりゃちと失礼なんじゃねぇか?……否定はできんけど」

「「いや、しろよ!せめてしてくれよ!!」」

 

明にしても侑子にしても、自分の欲望に対して忠実だが、明が相手をあおって動かすタイプであるのに対して、侑子はそれとなく相手を動かすタイプだ。

どちらのほうが厄介かといえば、後者だろう。

 

「四月一日~?はやくしなさ~い?」

「わかってますって!もうちょっと待ってください!!……いくか」

 

侑子に催促され、君尋が大声でそう返すと台所にいる三人はため息をつきながら出来上がった七草粥を鍋ごとテーブルへと運んだ。

なお、君尋は基本的な七草粥、小狼は中華風、明は豆乳で煮込んだ豆乳粥風、菖は出汁と醤油で風味をつけたオリジナルを作っていたのだが、どれも好評であった。

 

ちなみに、元来が大喰らいである侑子は、やはりこの場でも食べ過ぎてしまい、結局、胃薬の世話になることになったのだが、それはまた別の話。




おまけ

小百合「おいし~!!おいしいね、お姉ちゃん!!」(>▽<
ゆり「ふふっ、そうね、小百合」
つぼみ「菖さんのはお醬油とおだしがいい香りです……」
えりか「明義兄ぃの豆乳粥も美味しいっしゅ!!」
さくら「小狼の中華粥風も美味しいよ~」
いつき「ごま油の香りでもっと美味しく感じます!」
小羽「君尋くんのも、おいしい」
ひまわり「うふふ、そうだね、小羽ちゃん」
静「……もぐ」
君尋「黙って茶碗突き出すんじゃねぇ!せめて『おかわり』を言いやがれ!!」
明「おーおー、静と君尋のコンビは相変わらずだな~」
小狼「まぁ、平常運転かな?」
菖「だな……あっちも平常運転なのか?」
小狼「あっち?」
ももか「明くん、あ~んして?」
明「お?いいぜ……ほれ」
ももか「あ~……ん??!!な、なんで避けるの?!」
明「いや、熱いから冷ましたほうがいいかな、と」
ももか「む~!!」( H///
菖「……平常運転だな」
小狼「だな」


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人間嫌いの青年の叫び

鬼太郎、ついに最終話迎えますね……
来週からのデジモンも楽しみっちゃ楽しみだったりしますが(いや、放送当時、太一どころか光子郎より年下でしたが、もうアラサーっすよ。三回くらい見てる鬼太郎よりもなんか感慨深いものがありますわ!)

まぁ、それはそれとして

今回、菖の出番はあまりありません
というか友護の人間嫌いな部分が前面に出てる感じです(いや、私も本音をいうとあまり人間は好きじゃないんですがね。おもに人の善意に漬け込むような詐欺師連中とかSNSで馬鹿さらしてる阿呆どもとか迷信や伝承を普段信じないくせしていざ何かあると神頼みするような連中とかは特に)

なお、思いのたけをぶつけるような話なので、あとがきはありませんご了承を


それは、ある雨の日のこと。

ゆりとつぼみがそれぞれの用事で菖とは別々に行動していた時のことだった。

菖は一人、帰路についていると、一人の女性が必死に何かを訴えている光景が目に入った。

聞けばそれは、「妖怪による不当な行為の防止等に関する法律」、通称「妖対法」の成立を応援するための演説だった。

 

ここ最近になって、日本どころか世界中で妖怪と人間の間で戦争が起きるのではないかという雰囲気が出ていた。

それまで、科学技術の恩恵に目がくらみ、人知を超える存在をないものとして扱ってきながら、そのような存在が起こした被害が増えてきた結果、政府は妖怪に対する人間の姿勢を法律で示そうとしているようだ。

 

「わたしの友人は、妖怪に殺されました!それ以来、わたしは妖怪の危険性を訴え続けてきた!けれど、その声は無視され続けていました……ですが……」

「くだらねぇ!!」

 

少女の訴えに、はっきりとそう告げる声が聞こえてきた。

その声は、菖の隣から聞こえてきた。

菖が視線を声が聞こえてきた方へ向けると、そこには人間嫌いの友人の姿があった。

 

「く、くだらない……そんな……」

「下らねぇもんは下らねぇ!妖怪が危険だから排除しろだ?だったら熊や狼、野犬、鹿はどうだってんだ?あいつらだって人間を襲ったり人身事故の原因になったりしてるだろうが!!そいつらはよくて、妖怪だけは排除しろってのか?妖怪のことをよく知りもしねぇくせによくそんなことを言えたもんだな!!」

 

それは、その友人だからこそ言える言葉だった。

たしかに、妖怪という存在は人間にとって理解しがたく、時には危害を加えることもあるものだ。

だが、妖怪というのは、妖怪を学問的に捉えようとした井上円了が築き上げた『妖怪学』という学問の定義上、人間の知恵を総動員すれば必ず解明できるものであり、決して、奇妙奇怪、不可思議な存在でないというものだ。

 

例を挙げるならば、『天狗』、という妖怪がいる。

これは修験者が修行の果てに転じた存在であるといわれるが、妖怪学を修める学者たちの中には、その正体はセミであるとしているものもいる。

天狗という言葉が確認されている最古の書物の文献やそこに記されている文章からそのような見解が示されているだけであり、実際のところはどうなのかはわからない。

だが、井上円了が言いたかったのは、天狗の正体ではなく、人間の知性と理性を総動員すればどのようなことであっても解明できないものはない、という心意気だ。

 

理解できないものがない、というのならば、理解する努力を怠らなければ何者でもあれ人間の理解の範疇を超えることがないということでもある。

だが、目の前にいる少女の言葉は、その学問の志を根底から覆すものだった。

まして、隣にいる友人は、日夜、人知れず行われている『非日常』の侵略から『日常』を守っている存在だ。

妖怪などという非日常の存在上等。

むしろ、普段から戦っている存在の方がよっぽど恐ろしいし、分かり合えない存在であることを知っている。

むろん、人間を好きになることもできないが。

 

「そもそも、人間なんて存在の方がこの星で最も下らねぇ存在なんだ!!繁栄のためにほかの生き物を犠牲にするのはまだいい!だがな、人間はやりすぎたんだよ!!自分たちが住む場所を確保するために、娯楽のために必要もなく山を切り崩し、環境を著しく変質させ、動物どころか、妖怪が住む場所さえ奪っていった!そんな奴らの怒りを、お前らは知っているのか?!」

「ど、動物が感情を抱くなんて……」

「ありえないとでも?!それこそナンセンス!!飼い犬や飼い猫だって自分の都合の悪いことをされればたとえ飼い主であろうが牙や爪を立てるだろうが!!それと同じだ!!!」

 

動物であっても、感情は存在する。

そもそも、感情は本能に似た部分がある。本能とは、どのような動物であろうと持っているものである。

人間もまた動物であり、その本能を持っている。理性があればこそ、その本能を抑えているが、人間も所詮動物。

感情に流され、その感情のまま、行動を起こしてしまうこともある。

現代の地球史上最大にして最悪の世界戦争とまで言われる、第二次世界大戦などその最たるものだ。

 

本能のままに行動するということは、人間が最も人間的であることができる部分、『理性』が本能を制御できなくなってしまったということでもある。

それはつまり、人間もまた動物であるということの何よりの証拠だ。

 

「所詮、人間なんてのは理性なんていうもろくて薄っぺらい麻縄で本能を縛ってるだけにすぎねぇんだ。一時の感情で流されんな!てめぇのダチが殺された状況はどんな状況だ?!本当にそいつに非はねぇのか??!!そこんとこをよぉっく考えてからものを言いやがれ!!たかだか二十年も生きてねぇ小娘が!!!!」

 

感情に訴えた少女の声よりも、菖の隣に立ったいる青年、桜森友護の声の方が聴衆には響いたのだろう。

もともと希望ヶ花市は、砂漠の使徒と幻影帝国、デウス・マスト、果ては未来からのやってきたクライアス社の襲撃を受け、それを乗り越えてきたのだ。

目の前にいる少女の訴えが絶対的に正しいわけでないことを、全員、身をもって知っている。

だからこそ、誰も彼女に耳を貸すことはしても、向けられている瞳は本当にこの少女の言っていることは真実なのか、という疑念に満ちたものだった。

その瞳を向けられた少女は、何も返すことができず、ただただどう返せば納得してもらえるのかを考えるだけだった。

 

「言葉に詰まった時点で君の負けだ。これ以上は風邪をひく。せめて、この傘をさして、帰りな」

 

菖は少女にただ一言、そう言って、自分が持っていた傘を差しだし、その場を去っていった。

その隣には、彼女の意見を完封した青年の姿はなかった。

なお、これがきっかけとなり、この少女は妖怪学を専攻し、井上円了の弟子、とまで呼ばれるほどの研究成果を世に出すことになるのだが、それはまた別の話である。



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中学生組と交換留学生

久々の鬼太郎シリーズ
今回は妖怪ではなく、おそらく、歴代鬼太郎シリーズで高人気となっている『人間側』のヒロインに登場してもらいます

……まぁ、誰のことかはわかるよね、たぶん(^^;


その日、明堂学園に見慣れない制服の少女が一人いた。

彼女の名は犬山まな。

東京の中学校に通う、十五歳の女子中学生だ。

本来、所属している学校はまったく違う彼女が、なぜ明堂学園にいるのか。

それは、明堂学園とまなが通う学校が企画した国内交換留学のためだった。

運がいいのか悪いのか、まなは今回、その留学の対象者に選ばれてしまい、明堂学園に来ることになったのだ。

 

「あ、犬山さん!」

「犬山さん、やっほ~」

「えっと、花咲さんと来海さん、だっけ?」

 

基本的に真名は社交的な性格だが、まだ慣れていない、ということもあり、名前を覚えきれていなかった。

それをわかっているからなのか、それとも単に話しかけてきたのがつぼみとえりか(お人よしコンビ)だからなのかはわからないが、気にする様子はなかった。

 

「はい。お昼、一緒にどうですか?」

「ね、一緒に食べない?紹介したい先輩もいるんだ!」

「そうなの?それじゃ、遠慮なく」

 

どうやら、二人はまなを昼食に誘いに来たようだ。

せっかくの厚意なので、まなは二人の申し出を受け、屋上へと向かった。

 

------------

 

屋上にやってくると、そこにはいつきたちにはおなじみの菖たち、高校生メンバーがいた。

初対面のメンバーばかりではあるが、初対面で年上というだけで物怖じするようなまなではなかった。

 

「初めまして!国内交換留学でお世話になってる、犬山まなです!!」

「わたしたちと同じクラスに留学してるんです」

「で、一緒にお昼を誘ったっしゅ!」

 

突然の自己紹介で目を丸くしていた菖たちに、つぼみとえりかが補足説明を加えると、納得したらしく、高校生たちはまなを歓迎した。

一方、受け入れられたまなはというと、華やかな笑みを浮かべながら高校生組と混ざり、お弁当を食べていた。

 

「……春川先輩と四月一日先輩のお弁当、手作りなんですか?」

「あぁ。俺の場合、じいじが仕事してる時間に作っちゃうし」

「俺は一人暮らしだからな」

「すごいなぁ……というか、いいなぁ、一人暮らし」

 

中学生らしく、両親に邪魔されることなく、自分の好きなことをして過ごしていたいようだ。

そのため、一人暮らしというものに無邪気な幻想を抱いているのだ。

 

「羨ましいって思うかもしれないけど、そんなの幻想だぞ?」

「あぁ。実際はいろんなことを自分一人でやらないといけないしな」

「掃除に洗濯、炊事、買い物、ゴミ出し……てか、あげたらきりないな」

「だな。まぁ、ともかく、親がやってくれてる諸々を自分一人でやんなきゃいけないんだ。想像以上に大変だし、自分の好きなことに使う時間だって少ないぞ?」

 

と、絶賛、一人暮らしをしている君尋と小狼、事実上一人暮らしとなっている菖と明から言われて、さすがにまなも苦笑を浮かべた。

洗濯は洗濯機がやってくれるし、買い物は生協の注文販売があるからまだいいが、さすがに掃除と料理については自分一人でやらなければならない。

マンションやアパートのような部屋であればまだいいが、一軒家の掃除となると、どれだけ時間がかかるかわかったものではない。

そこまで想像できたために、しばらく一人暮らしはしないでいいかな、と思ったようだ。

 

(ていうか、お母さん、いっつも一人でそれをやってるんだよなぁ……今度からちゃんとお手伝いしよう……)

 

ついで、なのかはわからないが、いつも一人で家事をしている母親に申し訳ない気持ちがわいてきたらしく、手伝いもちゃんとやろう、と心に誓ったようだ。

そこまで思って、ふと、まなは一人の友人のことを思い出した。

 

「……そういえば、鬼太郎って一人暮らしのようなもの、なんだよね?生活、どうしてるのかな??」

「え?誰のこと?」

「あ、あぁ、えぇっと……わたしの友達のこと」

 

えりかの問いかけに、まなは慌てた様子で返した。

まさか妖怪が友達だ、などと言えるはずもない。

言ったところで信じてもらえるはずもない。

だが、意外にも一人、鬼太郎の名前に反応した先輩がいた。

 

「へぇ……あの鬼太郎に人間の友達、ねぇ……」

「え?し、知ってるんですか?鬼太郎のこと!!」

「知ってるも何も、花見や月見で神社の境内借りて飲んでるし、あいつら」

「て、てことは猫姐さんや親父さんも?」

「会ったことあるな」

 

なお、最近になっていつものメンバーに加えて、南国に住まう妖怪で自らを『チン』と名乗っている妖怪がたまにやってきたり、本来は学校にいるはずの「トイレの花子さん」やアニエスとアデルという二人の魔女の姉妹も参加するようになっていた。

 

「そ、そうなんだ……なんでわたしには言ってくれなかったんだろ」

「たぶん、夜遅いからじゃないかな?」

 

仁頼が管理を任されている神社に、鬼太郎一行がやってくる時間は深夜帯が主だ。

以前、えりかが誤って鬼太郎たちの宴会に迷い込んだことがあったときは、珍しく遅い時間帯ではなかったのだが、むしろその時間で宴会を行っていることが珍しいようだ。

 

「え~!だったらなおのこと呼んでほしかったなぁ……」

「おいおい、うら若き乙女が何言ってやがる……変な輩に襲われても知らんぞ」

 

夜に行動するものは、何も妖怪だけではない。

人の目が少なくなる時間帯には、よからぬことを考える人間が多く活動する時間帯でもある。

その中にはもちろん、うら若き乙女を毒牙にかけようとする不逞の輩もいる。

あまり深くかかわってきたわけではないが、それでも知り合って縁が結ばれたのだ。

心配するな、ということができるほど菖たちは冷たい人間ではない。

 

「うっ……そ、それはやだなぁ……今度、猫姐さんに相談しよう……」

「そうしろそうしろ」

 

忠告はしたが、それでも鬼太郎たちの宴会に参加したいという意欲を見せているまなに、これ以上は何を言っても無駄だと感じたのか、菖は苦笑を浮かべながらそう返していた。

なお、ゆりたちもまた、菖と同じく、苦笑を浮かべていたことは言うまでもない。

 

ちなみに、鬼太郎についての話をしている間、関わりを持っていない明たちは聞こえていないかったため、妖怪が現実に存在しているということを知ることはなかった。



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変化する日常

今回は、重婚法成立後、そしてラバーズに対して同時に婚約を結んだ菖さんの「希望ヶ花市での」に日常です

なお、おまけはありませんし、わりと適当です
一次創作の方が忙しいからね、仕方ない!!是非もないネ☆


ブルースカイ王国の叙勲式を受けてから数日。

菖たちは再び日常に戻っていた。

だが、少しだけ、その日常に変化があった。

その変化というのは。

 

「「菖/菖さん」」

「おまたせ、ゆり、つぼみ」

 

登下校で、菖とゆり、つぼみの三人が一緒にいることが増えたことだ。

叙勲式のあとに行われたパーティーの席で、プリキュアと並び立つ光の戦士の一人であるユグドセイバーが五人のプリキュアと婚約を交わしたことは、どこから洩れたのかはわからないが、噂になっていた。

だが、ここ最近、日本では日本経済の衰退と人口減少に歯止めをかける試みとして施行された『条件付き多重婚承認法』、通称『ハーレム法』の成立と相まってか、多くの条件に合った人々が、交際していた女性と将来を約束するようになった。

もっとも、その中には救いようのないほど屑な人間もいないわけでもないのだが。

 

まぁ、そんなことはどうでもいい。今は重要なことではない。

 

法案の成立と、プリキュアたちの婚約が相まって、ある程度のレベルであれば『ハーレムは当たり前』という風習が、特に思春期という多感な時期の若者たちに目立つようになっていた。

むろん、その風習は希望ヶ花市にも根付き始めている。

その先陣を切ったのは、明堂学園イケメン五人衆の筆頭にして、「みんな振り向くあん畜生」と呼ばれている御剣明であった。

 

彼は、すでに交際していた女子高生カリスマモデルである来海ももか、ももかの妹えりかの友人である山吹祈里、同じく友人の氷川いおなの姉、氷川まりあの三人と交際していたのだが、この法案が成立してすぐに婚約を交わしたらしい。

実は、明は高校生ながらももかの専属SPとして活動しているため、事務所から相応の報酬を受け取っている。

また、そのルックスから、ももかの相手役モデルとしても起用されることがあり、SPとしての報酬も合わせて、かなりの額の収入があるため、楽々と条件をクリアしてしまったのだ。

 

「それにしても、ももかはともかく、祈里もまりあさんもいつのまにって感じだな」

「なんでも、この間、ももかが撮影で四つ葉町に行ったときに偶然、現地モデルとしてスカウトされたラブたちと、もともとももかと一緒に撮影する予定だったモデルの付き添いで来ていたまりあさんと会って、そのまま交際することになったらしいわよ?」

「な、なんというか、すごい偶然です……」

 

ゆりがももかから聞いた話そのままを語ると、つぼみは苦笑を浮かべながらそうつぶやいた。

菖もまた、ものすごい偶然にもはや笑うしかなく、苦笑を浮かべていた。

 

「ところで」

 

ゆりが背後に視線を向けながら、話題を切り替えてきた。

その視線の先には、今にも殺人を犯しそうな雰囲気の男子が数名、こちらを凝視している姿があった。

 

「わたしたち、なんであんなに睨まれてるのかしら?」

「あぁ……一言で言うなら、もてない男のひがみ?」

「……今更じゃない?」

「今更だと思いますが……」

 

なぜ、そんな視線を向けられているのかわからないゆりの言葉に、菖は疲れた表情でそう返していた。

普段から、ゆりやつぼみ、えりか、いつきと一緒に行動していることが多いうえに、ももかやひまわり、さくらといった、明堂学園屈指の美女が周囲にいるため、男子たちからの嫉妬の視線など、確かに「今更」だった。

だが菖は、以前によりも、その視線の鋭さが増してきているような気がしてならないようだ。

もっとも、異性からの嫉妬の視線というものは感じにくいものらしく。

 

「さ、それはいいから行きましょう?」

「早くしないと、いつきから大目玉ですよ?」

「あ、あぁ、わかった」

 

何も感じていないのか、遅刻することの方を心配しているゆりとつぼみに引っ張られ、菖は校門へと向かっていった。

なお、心の大樹が呟いていたことだが、違う世界では、菖といつきが恋人同士になっている世界も存在しているらしい。

もっとも、菖にとって、そんな並行世界のことまで面倒は見切れない。

なにより、そちらの世界にも同じように自分と同じ光の戦士がいるというのなら、その世界のことは、その世界のプリキュアと光の戦士に任せたおいたほうが面倒がなくて済む。

そう考えていたのか、それ以上のことは聞かなかったし、聞くつもりもなかった。

 

それはさておき。

 

こうして、菖は二人の美少女に引っ張られる形で、今日も学校に通うのだった。

なお、このことでいらぬ嫉妬をして妙なことを仕掛けてきた連中には、「定期試験の勉強を手伝わない」という、ある意味、菖の能力を買っている連中にとって不利益にしかならないことを公言していた。

 

その宣言の通り、いらぬ嫉妬を向けてきたばかりか、三人の恋路を妨害しようとした輩に対し、菖は定期試験はおろか、普段ならば頼まれれば行うような雑務も手伝うことはしなかった。

ある意味、菖の手伝いを当てにしていた人間は、その原因である生徒を一斉に責め立て、挙句の果てには、菖に直接土下座して謝罪させるような事態にまで発展したことを、ここに記しておく。



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明さんのお仕事

まぁ、タイトルの通り、我らがイケメン五人衆が一人、明さんのお仕事の物語です
まぁ、このお話でさらに明さんにホの字になる乙女が二人出てくるわけですが……
誰になるかは本編をお楽しみに


その日、希望ヶ花市に多くの少女たちが集まっていた。

その理由は、現役女子高生モデルの来海ももかと、フランスで最も有名なファッションブランド『ボアンヌ』の専属モデルである天の川きららがコラボすることになったためだった。

当然、ももかから招待されたゆりと菖、えりかとつぼみ、いつきはもちろんのこと、ももかの専属BGである明もその場に居合わせていた。

 

「すっげぇ人だかり……さすが、現役女子高生モデルと海外ブランド専属モデル」

「ですよね!ほんと、ももかさんもきららちゃんもすごすぎます!!」

 

ももかときらら見たさに集まってきた群衆に、菖がそうつぶやくと、聞き覚えのある声が背後から聞こえてきた。

振り向くと、そこには菖たちの後輩プリキュアであるはるかとみなみ、トワの三人がいた。

 

「お?久しぶりだな、はるか、みなみ、トワ」

「あら?やっぱり来ていたのね」

「お久しぶりです、はるかさん!」

「「「ごきげんよう、皆さん」」」

 

はるかもみなみもトワも、ノーブル学園流のあいさつで返してきた。

生まれた時からお嬢様であったみなみとホープキングダムの王女であるトワはともかく、はるかもその所作が洗練されてきているように感じた菖とゆりは、温かなまなざしをはるかに向けていた。

 

「あ、あの?菖さん?ゆりさん??どうしたんですか??」

「……いや?はるかがトワの義姉になる日はいつなのかなぁって思っただけだよ」

「ふふっ、そうね。すっかり『お姫様(プリンセス)』らしさに板がついてきたようだしね」

「……っ??!!」

 

くすくすと笑みを浮かべながらはるかの問いかけに返してきた菖とゆりの言葉に、はるかは小規模な噴火を起こした上に、首筋まで真っ赤になっていた。

トワの義姉ということは、すなわち、ホープキングダムの王子であるカナタと夫婦になるということである。

 

『信じればお姫様になれる』と、幼い日にカナタに言われたことがきっかけで、プリンセスになることを目指し、励ましてくれたカナタにあこがれていたはるかにとって、それは望むべきものであり、できることならかなえたい夢でもあるのだが、いざ他人にそのことを指摘されると、やはり羞恥心がこみあげてくるらしい。

はるかは顔を真っ赤にしたまま、うずくまり、うなってしまった。

 

「は、はるかさん……」

「はるか……」

「菖さん、ゆりさん?お二人とも、お義姉さまをからかいすぎですわ」

「はははは……って、トワ、お前もちゃっかりはるかを「義姉(あね)」呼びしてんじゃん」

「トワ、あなたもいい性格してるわね……」

 

意外にもちゃっかりしているトワの発言に、菖もゆりも苦笑を浮かべながらそう返していた。

だが、トワはそんなことは意に介す様子もなく、首をかしげていた。

そうなるであろうことは、二人ともわかっていたことなので、あまり気にしている様子はなかった。

不意に、いつきが周囲にいる人々が視線を向けている場所と同じ方へ視線を向けた。

いつきの目に、見知った顔の少女二人が姿を見せると、いつきは菖たちに声をかけた。

 

「あ、きららちゃんとももかさんが出てきたみたい!」

「お、来たな」

 

いつきが指し示す方へ視線を向けると、そこには今回のファッション誌に掲載される予定のコーディネイトの服を着たももかときららが並んでいた。

撮影が始まると、警備員たちが群衆の前に等間隔で立ちふさがり、スタッフたちの邪魔にならないようにしていた。

その中に、明とまりあの姿があった。

 

「……あれ?あれって、まりあさん、だよな??」

「そうね……もしかして、ボアンヌ側の警備スタッフかしら?」

「あぁ、そういやいおながそんなこと話してたような?」

 

そういえば、まりあの妹であるいおなからそんな連絡があったような、と思い出しながら、菖はそうつぶやいていた。

その美貌とスタイルの良さから、モデルとしても活躍できそうではあるのだが、なぜかまりあは身辺警護人という職場を選んでいた。

もっとも、それは恋心を抱いている明と職場が一緒になる可能性があるため、という下心からなのだが、そんなことは菖たちはまったく知らない。

 

「……あれ?ね、ねぇ、菖さん、ゆりさん。そこにいる男の人……」

 

不意に、いつきがそう言いながら、一人の男性の方を指さした。

指さす方へ視線を向けると、そこには鋭い目つきの男が一人、懐に何かを隠している様子で群衆の中を歩いていた。

 

「……まずいかもしれないな」

「どうするの?」

「……素人の俺たちが手を出すわけにもいかないから、ここは」

 

そう言って、菖は明の方へと歩んでいった。

菖の姿に気づいた明ではあったが、仕事中であるため、あちらから声をかけることはなかった。

だが、そんなことはお構いなしに、菖はハンドサインで不審者がいた方向を指さした。

明は指さされた方へ視線を向け、菖の意図を理解したようだ。

 

「協力、感謝する」

 

菖の耳元でひそひそとそうお礼を言って、不審な男がいた方へと向かっていった。

明が向かっていく姿を見送ると、菖はその場を離れていき、もといた場所にとどまっていたゆりたちと合流し、イベントが終了するまでの時間、ももかときららの仕事ぶりを遠目から見学していた。

 

なお、余談だが、あの時の不審な男はきららをストーキングしている男だったらしく、警備の網に引っ掛かり、暴れだしたところ、明が鎮圧し、警察に引き渡した。

その姿に、恋人のももかはもとより、護衛対象であるはずのきららと警備員であるはずのまりあが若干、顔を赤くしていたらしい。



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デート中の再会

相棒ロスを起こす前に。それと、亀山さんの帰国を祝って(?)
というわけで、亀山さんの相棒にも出演していただきました


 とある平日の東京都某所。

 菖とゆりは国立博物館近くの公園を散歩していた。

 

「なかなか面白い内容の展示だったわね」

「だろ? つぼみも来れればよかったのにな」

「ファッション部の活動なのだから、仕方がないわよ」

 

 春休みに突入したということもあり、学生たちは平日昼間も自由に活動をしている。

 だが、つぼみはえりかといつきと一緒にファッション部の活動で部室に。ひかりはベローネ学院の友人たちとお出かけ。舞は咲がソフトボール大会に出場するため、その応援に。いおなは氷川道場の稽古に、とそれぞれの用事で一緒にいられなかった。

 結果、ゆりが菖を独占している状態が生まれたようだ。

 もっとも、ゆりとしては申し訳なさもあるが、久しぶりの二人きりという状態にまんざらでもない様子で、菖の腕に抱きついていた。

 むろん、その柔らかい感触に、趣味はともかく、精神は健全な男子高校生である菖は。

 

「あの、ゆりさん?」

「あら、どうしたの?」

「当たってるんですが?」

「当ててるのよ。それとも、わたしじゃ満足できないというの?」

「いやいや、そういうわけじゃないんだけど……」

「それに、たまにはこういうのもいいじゃない?」

「……まぁ、おっしゃる通りではあるけれど」

 

 意外と純情な菖は、婚約までしているというのに手を握ることはあっても、こうして抱き寄せたりキスをしたり、体に触れたりすることはしない。

 学生のうちは清いお付き合いを、ということのようだが、ゆりとしてはやはり物足りなさを感じることがある。

 そのため、こうして積極的になってしまったのだが、本人も菖もまんざらでもないようだ。

 

「それで、これからどうしましょうか?」

「ん~。少しこのあたりを散歩しながら、お弁当を食べるのによさそうな場所を探そうか」

「いいわね。ピクニックみたいで」

「最近はうちの神社で花見しないからねぇ。そろそろ、みんなで集まってもいいんじゃないかなぁ」

「そうね。祈里もまりあさんもきららも御剣くんに会う理由になるだろうし」

 

 そんな他愛ない会話をしながら歩いていると、背後から穏やかな男性の声に呼び止められる。

 

「失礼、少しよろしいでしょうか?」

「え? あ、はい」

 

 振り返ると、オールバックにしている初老の男性がいた。

 

「連れとはぐれてしまったのですが、見かけていませんでしょうか? フライトジャケットを着た、短髪でやや大柄な男性なのですが」

「いえ、わたしは見ていませんでしたが……菖、あなたは?」

「俺も……ん?」

 

 見ていない、と答えようとした菖だが、こちらにむかって走ってくる男性を見つけ、首をかしげる。

 フライトジャケットを着て、短髪でやや大柄。

 どう見ても目の前にいる男性が言っていた男の特徴に当てはまる。

 

「あの、もしかしてあの人では?」

「……おやおや」

「右京さん! もう、探しましたよぉ! いったいどこ……」

 

 どうやら、右京と呼ばれたこの男性が探していた連れだったらしい。

 こちらの男性も、右京を探してあちこちを探し回っていたようだ。

 その男性が、菖の顔を見た瞬間。

 

「え、菖くん?!」

 

 驚愕の声をあげる。

 どうやら、菖のことを知っているようだ。

 そして、それはしょうも同じこと。

 

「え……あっ! 亀山さん?!」

 

 サルウィンの集落周辺にある遺跡調査の時に遭遇した日本人、亀山薫。

 崩落事故の被害者をいちかの母、さとみとともに救助したことがある人物だ。

 じつに数年ぶりの再会である。

 しかし、そのことを知らない人物がこの場に二人。

 

「おやおや、亀山君は彼とお知り合いでしたか」

「菖、この人と知り合いだったの?」

 

 右京とゆり、二人が声をそろえてそれぞれの連れに問いかけてきた。

 菖も薫も簡単に自分たちが出会ったいきさつを説明すると、納得したらしく、意外な場所での再会に目を丸くしていた。

 

「そうでしたか。そのようないきさつが」

「えぇ。あ、そうだ! 菖くん、この人が俺の上司の杉下右京さん」

「あ、どうも。明堂学園三年の春川菖です」

「ご丁寧にどうも。ちなみに、こちらの女性は?」

「幼馴染の月影ゆりです。ゆり、いつだったか話したことあるだろ? サルウィンで会った亀山さん」

「あぁ、いちかのお母さんと会った時の……その節は菖がお世話になりました」

「いやいや、俺の方こそお世話になったというか……最近の女子高生ってこんななんですか? 右京さん」

「さぁ。僕はわかりかねますが……なかなかしっかりしたお嬢さんじゃありませんか」

「しっかりしすぎですよ! 菖くんも尻に敷かれて大変じゃない?」

 

 十年以上、サルウィンで生活していたためか、薫はゆりの態度に困惑し、菖に問いかける。

 だが、当の本人は。

 

「かえって、これくらいしっかりしてくれ方が自分のやりたいことに集中できますよ。それに、惚れた人に世話を焼かれるというのは、割といいもんです」

 

 と惚気てみせた。

 その返しに、薫はどこか感心したようにうなずき、右京は笑みを浮かべる。

 が、菖の言葉に一つ、引っ掛かりを覚えたらしく、右京は興味深そうに性に問いかけてきた。

 

「惚れた人、ということは、お二人は」

「えぇ。自慢の交際相手です」

「そうでしたか」

「……こんなところで何を言ってるのよ!」

「あの、ゆりさん。それ、結構、痛いんですが?」

 

 返ってきた菖の答えに、右京は満足そうな笑みを浮かべるが、ゆりは顔を真っ赤にして菖の足に手を伸ばし、つねり上げてくる。

 菖は嫌がるというよりも諭すような声色でゆりに語りかけるが、恥ずかしさのせいか、なおも菖をつねり続ける様子に、菖も右京も薫も、苦笑を浮かべてるのだった。




おまけ

~そういえば~
薫「そういえば、右京さん」
右京「なんでしょう?」
薫「どこに行ってたんですか? 俺、結構探したんですけど?」
右京「博物館で興味深い展示を行っているようでしてね。パンフレットを受け取りに」
薫「右京さんでも考古学に興味持ったりするんですね」
右京「日本ではなかなか見られない展示ですからねぇ、少々、興味が湧きました」
薫「へぇ……なんか、菖くんみたいなこと言うんですね」

~警視庁見学ツアー?~
菖「あの、特命係の杉下警部と亀山巡査をお願いします」
受付「かしこまりました。お名前をお伺いしても?」
菖「春川です」
受付「承知しました。少々お待ちください」

数分後

右京「お久しぶりですね、菖くん」
薫「警視庁の見学ツアー、ご案内って……随分、いるね」
菖「すみません。俺とゆりだけのはずだったんですが……」
ゆり「後輩たちもぜひ行きたいと言っていまして。急で申し訳ありません」
右京「いえいえ、構いませんよ」
薫「特命係(俺たち)は、基本的に暇だから!」


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オリジナルストーリー編
新たな敵?!黒タイツにサングラスの「チョイーッ!」な奴ら!!


タイトルを見て頂ければわかる通り、プリキュア作品でも数少ない戦闘員たちの登場です
ぶっちゃけ、世界中って言ってるだから、日本の他の場所に出てもおかしくないよね?!、って思って出しちゃいました♪

時系列的には、ハートキャッチアニメ本編終了後、今作では、ももかたちにカミングアウトした後になります

それはともかく、本編どうぞ


砂漠の使徒の侵攻を防ぎ、砂漠の王(デューン)の憎しみを浄化してから一年と数か月。

三年生になった菖たちは、それぞれの毎日を、少しばかりあわただしく過ごしていた。

特に、菖とゆりは翌年は大学生ということもあり、受験勉強に多くの時間をとられていた。

とはいえ、二人とも元が優秀である上に、親が大学の教授ということもあり、試験ではなく、推薦入試を狙っているような状態になっている。

ちなみに、学部は違うが、二人とも同じ大学に進学する予定だ。

なお、つぼみとえりか、いつきに至っては、高等部までエスカレーターなので特に試験はない。

 

閑話休題(それはともかく)

 

そんなわけで、今日ものんびりと、植物園で優雅なティーパーティーが開かれていた。

 

「いやぁ……ここ最近は、ほんとに平和っしゅ……」

「とはいえ、何かしらの事件は起きるけどね……」

 

えりかがだらしない顔でつぶやく中、いつきは苦笑を浮かべてそう返した。

何かしらの事件、というのは、プリキュアたちがいままで倒した敵が力を蓄え、再び襲撃してきたり、何かしらの理由で、封印されていた闇の勢力が復活し、世界を滅茶苦茶にしようとしたりしたことで、いずれも、プリキュアオールスターズと守護騎士が戦い、解決してきた。

そしてなぜか、いつもその時期になるといままで出会ったことのないプリキュアと出会うのだが。

 

「たしかに、ここ最近は平穏そのものだな」

「そうね……一年前が少し懐かしくなるくらい」

「でも、わたしはこれでいいんだと思います……みんなとこうして、ゆっくりくつろげる時間が大好きなので」

 

ティーカップを片手に、つぼみはそう返した。

その姿は、どこかゆりに似て、清楚な印象さえ受ける。

一年前から、ゆりに憧れを抱いていたため、少しずつ、ゆりに印象が近づいているのだろう。

 

――ほんと、一年で人間って変わるもんだよなぁ……

 

そんなつぼみと、つぼみの隣で同じようにティーカップを片手に紅茶を飲んでいるゆりを眺めながら、菖はそう思った。

その瞳が、どこか慈しみと愛情をたたえているように感じたのは、コロンと少し離れた場所に腰かけている薫子だけだった。

 

ふと、コロンの耳が何かを感じ取ったかのように、ひくり、と動いた。

同時に、キュアフルミックスを飲んでいたシプレたちも、びくっ、と体を大きく震わせ、コッペも視線を別の方向へ向けた。

その異変に気づいたつぼみたちは。

 

「ど、どうしたんですか?シプレ!」

「コフレ、どしたの?」

「ポプリ?」

「コロン、何かあった?」

「……コッペ?」

 

それぞれのパートナーに問いかけた。

だが、妖精たちは、わからない、と首を横に振った。

 

「わからない……わからないけど……」

「何か、嫌な気配を感じるですぅ!」

「砂漠の使徒じゃないけど、闇の気配ですっ!」

「新たな敵かもしれないでしゅっ!」

 

妖精たちのその言葉を聞いたつぼみたちは当然。

 

「みなさん!」

「おっしゃ!行くっしゅ!!」

「うん!」

「そうね、いずれにしても放っておくわけにはいかないみたいだし」

 

と、すっかりやる気全開になっていた。

菖もまた、言葉に出してはいないが、つぼみたちと同じ気持ちだった。

 

----------------------------

 

菖たちは、妖精たちの案内で闇の気配が強く感じる場所へと向かっていった。

そこは、つぼみが最初にキュアブロッサムに変身した公園だった。

だが、そこはいつもの公園ではなかった。

なぜか、遊具やベンチにはカビが生えており、黒タイツにサングラスをかけた謎の集団が、チョイ、チョイ、という奇声を上げながら、何かの作業をしていた。

 

「なるほど?たしかに、砂漠の使徒じゃないけど……」

「味方、というわけでもなさそうね」

「ど、どうしましょう?!」

「どうしましょうもこうしましょうもないっしゅ!」

 

四人があぁでもないこうでもない、と口論している間、菖は周囲を見回していた。

どうにも腑に落ちない。

これだけの規模のカビを、言っては悪いがどう見ても日曜日の朝に放送している特撮ヒーローの下っ端戦闘員のような連中が発生させたとは考えられない。

どこかに、彼らを統括している存在がいるはず。

それを探しているのだ。

すると、公園のベンチに、まるで昼寝でもするかのように寝そべっているシルクハットの男がいた。

 

「んぅ?……まったく、騒々しいですぞ。いったい、なんですかな?君たちは」

「そういうあんたは何者なんだよ、おっさん」

「おっさ……んんっ!まぁ、いいでしょう。吾輩はナマケルダ。幻影帝国の幹部というやつですな。見知りおかなくて結構ですぞ、面倒ですからな」

「なるほど……話し合いの余地も、なさそうだな?」

 

菖はナマケルダと名乗った男と話している間に、自分を取り囲んでいた黒タイツたちを見て、彼らが話し合いの余地すらない、敵対勢力であることを悟った。

それは、つぼみたちも同じらしく。

 

「「菖/さんっ!」」

「久しぶりにやるっしゅ!!」

「いきましょう!菖さん!!」

「……しか、なさそうだな!!」

 

ココロパフュームとココロポッドを手に、臨戦態勢に入っていた。

菖も、ポケットから指ぬき手袋を引き抜き、左手につけた。

 

「「「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ/でしゅ/ぞ!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!」」」」

「心力開放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

 

一年ぶりになるその言葉を口にした瞬間、五人の体は光に包まれた。

光が収まると、そこには変身した五人の姿があった。

 

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

『ハートキャッチ!プリキュア!!』

 

五人が名乗り、ポーズを決めると、黒タイツもナマケルダも唖然としていた。

なぜなら。

 

「ぷ、プリキュアですとぉっ??!!聞いておりませんぞ、この街にもプリキュアがいようとは!!」

 

どうやら、ほかの街に攻め入った時、プリキュアに撃退された経験があるらしい。

そのため、プリキュアはいないだろう、と踏んでいた希望ヶ花市にやってきたのだろうが、まさかそこにもプリキュアがいるとは想定外だったようだ。

 

「くっ!……わざわざプリキュアを相手するよりはましかと思って遠出してみればこれですぞぉ……まったく、面倒事が多くてかないませぬなぁ!」

「だったらこなきゃよかったのに……ま、一分でそう思うことになるだろうけど」

「……なんですと?」

 

菖のつぶやきに、ナマケルダがぽかんとしつつ、そう返した。

ナマケルダの反応が返ってくるやいなや、ブロッサムたちは一斉に動き出し、黒タイツ軍団を蹴散らし始めた。

全員、戦闘は一年ぶりとはいえ、その動きにはまったくさび付きを感じさせなかった。

特に、ムーンライトとブロッサムは背中合わせであるにも関わらず、言葉も視線も交わすことなく、互いに互いをカバーし、見事な連携を見せていた。

 

「って、ブロッサムとムーンライトすごっ?!」

「いつの間にかあんな動きを……って、マリン!!」

「うぇ?!」

 

二人の華麗な戦いに見とれてしまったマリンに隙が生じ、黒タイツたちが一斉に飛びかかってきた。

だが。

 

「サンフラワー・イージス!!」

『チョイーーーーーーーっ??!!』

 

マリンと黒タイツの間に、ひまわりの形をした光の盾が割って入ってきたため、黒タイツたちはマリンを襲うことができなかった。

すかさず、マリンが反撃とばかりに。

 

「マリン・ダイナマイト!!」

 

心の花の力で周囲に衝撃波を作り上げ、襲ってきた黒タイツたちを一気に吹き飛ばした。

 

「ありがとう、サンシャイン!」

「油断大敵だよ?マリン」

「あははは……って、そういえば、セイバーは?!」

 

この場にいるはずのもう一人の仲間が見当たらないことに気づいたマリンとサンシャインは、周囲を見回した。

ふと、ある場所に探していた影があったのだが。

 

獅吼散花(しこうさんか)!!」

 

心の花の光を右手に集中させ、地面にたたきつけていた。

その瞬間、マリン・ダイナマイトと同じように周囲の黒タイツたちが吹き飛び、セイバーが立っている場所が少しばかり窪んだ。

 

「……うへぇ……新技だよね、あれ……」

「さ、さすがセイバー……ってことかな?」

 

戦闘スタイルそのものが違うため、ハチャメチャなのは知っていた。

だが、まさか先輩プリキュアの一人のように、自分の足元に小規模なクレーターを作るような技を持っていたということまでは知らなかったようだ。

さすがのサンシャインも苦笑を浮かべていた。

 

「まったく……いくら海外で荒事が多いからって、これはないでしょう……」

「な、直るんでしょうか?」

 

いつの間にか、黒タイツたちを片付けたムーンライトとブロッサムが合流した。

セイバーのやらかした光景に、ムーンライトは呆れたようなため息をつき、ブロッサムは苦笑を浮かべて、修理できるのか不安を覚えていた。

 

「まぁ、その辺はうまくやるさ」

「あら、おかえりなさい。楽しかった?」

「た、戦いが楽しいって……ムーンライト……」

「いや楽しんでるわけないでしょ……」

「あら、ごめんあそばせ♪」

 

明らかにからかっているようなムーンライトの口調に、セイバーはため息をつきはしたものの、それ以上の追及はしなかった。

言っても無駄、ということを経験から知っているからだ。

何より、今は集中すべき相手が目の前にいる。

 

「宣言通り、一分だったな……で、どうする?Mr.ナマケルダ」

「このまま続ける?それとも……」

「まだ続け()る?」

「もちろん、手加減なんてしないけれど」

「決めるのはあなたです!」

 

びしぃっ!、という効果音が聞こえそうな体勢でナマケルダを指差したブロッサムが、そう言い切ると、ナマケルダはシルクハットを目深にかぶり。

 

「どうやら、これ以上は面倒なことにしかならないようですぞ……吾輩はこれにて退散させていただきましょう!」

 

ありていに言わずとも、逃げることを選んだナマケルダは、瞬間移動でその場を離れていった。

その逃げ足の速さに、今度はブロッサムたちが啞然としていた。

 

----------------------------

 

その後、公園のあちこちに発生していたカビがなくなり、セイバーが作ったクレーターもなくなると、何事もなかったかのように公園は賑やかさを取り戻した。

だが、変身を解除したつぼみたちは、依然としてすっきりしない顔をしていた。

 

「これは……もしかして?」

「もしかしなくても、でしょ」

「まさか、新たな戦いが始まるということでしょうか……?」

 

本来、戦うことを好ましく思っていないつぼみが不安そうにそうつぶやくと、ゆりがそっと彼女の肩に手を置き、菖もつぼみの頭をそっとなでた。

 

「それはわからないわ。けれど」

「あぁ……一方的にやられるわけにもいかないから、戦うしかない」

 

本当はそうならないことが一番なんだけど。

その言葉を飲み込み、菖はそっとため息をついた。

もっとも、その願いはいとも簡単に踏みにじられることになるのだが、それを知るのは、しばらく未来()のことだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~翌日~
ももか「そんなことが……」
明「てことは、また一年前みたいなことになるかも、ってことか?」
菖「さぁな?」
ゆり「それはわからないわ」
君尋「まぁ、何かあれば、言ってくれ」
静「力になれるかもしれんしな」
さくら「こういう時こそ、助け合いだよ!」
小狼「そうだな」
ひまわり「うんうん♪」
菖、ゆり「「……ありがとう、みんな」」


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今度の敵は「サイアーク!」な奴?

というわけで、オリジナルストーリー第二弾
今度はタイトルの通りです
もっとも、被害者の描写は一切出しませんが(-▽-;

ともあれ、まずは本編どうぞ


幻影帝国と名乗る、新たな敵が出現してから一週間が経過した。

ひとまず、今のところは幻影帝国の攻撃はなかったが、それでも気を抜くことはなく、つぼみたちはパートナー妖精にはカバンに潜んでもらい、いつでも変身できるよう臨戦態勢を整えていた。

もっとも、毎日幻影帝国からの攻撃があるわけではないし、現にこの一週間、彼らが攻撃を仕掛けてきた、ということは一度もなかった。

とはいえ、油断はできない、ということを一年前に経験しているため、メンバーの中で一番だらしないことに定評があるえりかですら、どこか引き締まった表情をしていた。

 

閑話休題(まぁ、それはそれとして)

 

そんな中であっても、菖は相変わらず、伝承や遺跡の調査結果、あるいは考古学に関する論文を読み漁っていた。

砂漠の使徒の一件から、菖は単なる興味本位だけでなく、どうすれば価値観の違う、文化が異なる人間が共存できるのか。そのヒントを探りたい、という明確な目的ができた。

その目的のため、追い求めたい夢のために、菖は本格的に考古学を勉強したいと望むようになっていた。

 

だが、いま菖がいる場所は、以前、ナマケルダと名乗った幻影帝国の幹部が惰眠をむさぼっていた公園のベンチだった。

俗に、二度あることは三度ある、という。

菖が居合わせたその場所に、再び幻影帝国の幹部が訪れるなど、予想だにしなかった。

 

「……ちっ!まさかこんなところに人がいるとは思いませんでしたぞ!!」

「あいにくと、こんな町でもそれなりに若者はいるもんでね……なんだ、あんたか、シルクハットの紳士(ジェントルマン)

 

苛立たしそうな声を聞き、菖は同じような態度で返した。

そこにはなんと、一週間前に出会ったシルクハットの紳士(マッドハッター)がいた。

 

「おや?どこかでお会いしましたかな?……まぁ、どちらにしても関係はありませんな。チョイアーク!!」

『チョイーッ!!』

 

マッドハッター、ナマケルダがそう叫ぶと、黒いタイツで全身を包んだサングラスの人物たちがどこからか現れた。

その光景に、やはりな、と思いながら、菖は制服のポケットから指ぬき手袋を引き出し、左手につけ、胸の前で左拳を握った。

 

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

 

その叫びが響いた瞬間、菖の体が光に包まれた。

光の中で、菖の姿は制服から、マントをまとった姿へと徐々に変化していった。

ものの数秒で光は収まり、それまで光に包まれていた場所に、変身を終えた菖が姿を現した。

 

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

 

腰に差した剣を引き抜くことなく、セイバーはマントを翻し名乗った。

その姿に見覚えがあったナマケルダは、苛立たし気に頭を掻き。

 

「まったく!よりにもよってまたあなたですか!しつこいですぞ!!」

「俺からすれば、お前さんのほうがしつこいけどな!」

 

堪えるが早いか、セイバーは腰の剣(エターニアハート)を引き抜き、向かってきたチョイアークたちを相手に、ちぎっては投げの大活劇を披露した。

さすがに、チョイアーク(戦闘員)程度では相手にならないことを悟ったのか、ナマケルダはある種の切り札を出してきた。

 

「まったく……情けないですぞ!これでは切り札を切るほかないようですな」

「切り札?」

「そう、切り札ですぞ!……サイアーク!!」

 

ナマケルダがそう叫んだ瞬間、背後から先ほどまで戦っていたチョイアークたちを十倍ほどにした大きさの黒タイツが姿を現した。

 

「でかけりゃいいってもんじゃないだろうに……」

「ですが、体格の差は戦闘力の差でもありますぞ!やってしまいなさい!!」

「サイアーク!!」

 

ナマケルダが号令を出すと、サイアークと呼ばれた巨大な戦闘員はセイバーにむかって拳を振り下ろしてきた。

それに対して、セイバーは何もせず、ただサイアークを見上げているだけだった。

勝った。

その瞬間、ナマケルダはそう思った。

だが、ナマケルダは忘れていた。

セイバーはなにも一人で戦っているわけではない、ということを。

 

「サンフラワーイージス!!」

「「プリキュア!ピンク/ブルーフォルテウェーブ!!」」

 

サイアークの拳が振り下ろされた先に、光のひまわりが出現した。それと同時に、ピンクと青の光の花がサイアークに激突した。

そして。

 

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

 

銀色の花がサイアークの頭上から落ちてきた。

 

「な、な……」

「遅かったな、みんな」

 

連続して行われたプリキュアたちの攻撃に、ナマケルダが驚愕する一方で、セイバーは薄い笑みを浮かべて彼女たちにそう語りかけた。

 

「遅かったな、じゃないっしゅ!!」

「怪我してない、セイバー?!」

「大丈夫ですか?!」

「遅くなってごめんなさい……というか、わかってて避けなかったでしょ、いまの」

「ばれた?」

 

ムーンライトからの問いかけに、セイバーはいたずら小僧のような笑みを浮かべて返した。

実のところ、セイバーは、もうそろそろ彼女(ムーンライト)たちが来るのではないか、となんとなく感じていた。

それはもはや長年の経験からくる勘だった。

だが、セイバーの、いや、春川菖という青年の勘はめったなことでは外れない。

だからこそ、動かずに、遅れてくることになるプリキュアたちに見せ場を作ろうとしていたわけだ。

とはいえ。

 

「でも、危ないことはしないでください!」

「心臓、止まるかと思ったわよ」

「あぁ……はい、ごめんなさい」

 

セイバーに恋心を抱いているブロッサムとムーンライト(二人)は、やはり心配したらしく、そのままお説教に入ってしまっていた。

さすがに、セイバーもこればかりは自分に非があるとわかっていたため、反論することなく、素直にお説教を受けていたのだが。

 

「ぐぬぬぬ……吾輩をよそにおしゃべりとはいい度胸ですぞ!サイアーク!!」

「サイ……」

 

むろん、自分たちをほったらかしてお説教タイムに突入しそうになっていた瞬間を見逃さなかったナマケルダは、サイアークに攻撃を命じてきた。

だが、簡単に攻め入る隙を与えるほど。

 

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

「「ツインフォルテウェイブ!!」」

 

ブロッサムたちとセイバー(ハートキャッチ組)は甘くはない。

それぞれの合体技を一斉にサイアークにぶつけ、一気に浄化してしまった。

あまりのその早業に、ナマケルダは。

 

「……なっ……くっ!やはりここの侵略は諦めるしかなさそうですぞ!!」

 

撤退を選択した。

ナマケルダが撤退すると、辺り一面に生えていたカビが一斉に消滅し、元の風景に戻った。

 

「やれやれ……ほんとに砂漠の使徒みたいなやつだな」

「そうね……けれど、敵の幹部が彼だけとは限らない」

「それに、またわたしたちの友達を狙ってくる可能性も……」

 

ナマケルダが撤退し、元に戻った風景を眺めながら、セイバーがそう呟くと、ムーンライトとブロッサムは今後、より戦いが激しくなっていくのではないか、という懸念を口にした。

なまじ、大いにあり得ることであるだけ、セイバーも気休めを言うことができず、沈黙してしまっていたが。

 

「大丈夫!」

「わたしたちが力を合われば、きっとみんなを守ることができるよ!」

 

底抜けに明るいマリンと、太陽の力を持つサンシャインが三人の不安を吹き消すように明るい笑みを浮かべながら、そう語りかけた。

二人のその言葉と笑顔に、ブロッサムとムーンライト、そしてセイバーは頷き、再び、戦いに身を投じる決意を固めたのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~お説教は続くよ~
ゆり「だから……」
つぼみ「もう、無茶なことは……」
菖「……はい……」
えりか「あらら~……まぁだやってるっしゅ……」(-□-;
いつき「途中で切り上げちゃったからね、仕方ないんじゃないかな?」(-▽-;
えりか「ん~、けどあたしだったら何かスイーツごちそうしてくれたら許しちゃうけどなぁ~?」
コフレ「えりかは食い気ばっかりですっ!」
コロン「にしても……ちょっと長いかなぁ……」(-▽-;
菖「(……というか、連絡のしようがなかったんだから、理不尽といえば理不尽だよなぁ、このお説教……)」


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イギリスからの短期留学生、ですか?!

なんとな~く、誰なのかはわかる方もいらっしゃると思いますが、そこはお口チャックでお願いします(-▽-;
まぁ、それはそれとして、ワンドロなので、あまりクオリティは高くないと思いますが、そこはご了承いただければ
今回は戦闘ありません
次回は……あるかな?

とりあえず、本編どうぞ

……あぁ、そうそう。ハピネスチャージ組を登場させるかどうかっていう質問があったんですが、モブキュアとテンダーは登場させます
ラブリーたちは登場させませんが、セリフの中で出したりする予定です
それと、英語の表記あるんですが、もし間違ってる表現あったら言ってください、直します


――幻影帝国。

それは、とある王国に伝わる災厄の箱(パンドラ・ボックス)ともいえる秘宝『アクシア』に封印されていた、絶望を振りまく存在。

その女王、クイーン・ミラージュを筆頭に、ホッシーワ、ナマケルダ、オレスキーの三人を幹部とする集団だ。

その日、ナマケルダは『不思議の国のアリス(Alice in WonderLand)』に登場するハートの女王のような衣装をまとった金髪の美少女、クイーン・ミラージュの前に跪いていた。

 

「……ナマケルダ、プリキュアがいないはずの土地での度重なる失態。これはどういうことだ?」

「はっ……プリキュアがいない、と思っていたのですが、実は吾輩が赴いた地にもプリキュアと、あの小娘たちと戦う戦士がおりまして……いやはや、まさに面倒なことになりましたぞ」

(よー)するに逃げ帰ってきたってわけ~?なっさけないわね~」

 

ナマケルダの報告に茶々を入れるように、一人の女の声が響いた。

声がした方へ視線を向けると、そこには青い縦巻きロールの髪をした、いかにも貴婦人でございというような女性が座っていた。

 

「ホッシーワ……ふんっ!戦っていないものはなんとでもいえますぞ!!あのものたち、ぴかりヶ丘にいる小娘どもよりも数段、いや、それ以上の強さでしたからな!!」

「あら?それなら、今度はわたしが行っちゃうわよ~?どーせ、見かけ倒し……ぱぱっと終わらせてやるわ♪」

「……好きにしろ」

 

ホッシーワ、と呼ばれた女性がそう宣言すると、クイーン・ミラージュはそれだけ言い残し、目を閉じた。

どうやら、これ以上は何も聞くつもりも話すつもりもないようだ。

それを悟ると、ホッシーワは瞬間移動で姿を消し、ナマケルダは。

 

「さ~て、吾輩は怠けさせていただきますぞ~」

 

と呟き、その場から消えた。

 

----------------------------

 

同時刻の希望ヶ花市、明堂学園中等部三年生のクラスは、少しばかり浮足立っていた。

なぜなら。

 

「三週間だけだけど、外国から留学生が来るんだって!!」

「どこの国の、どんな子かなぁ?」

「日本語、通じるといいんだけど……」

 

一週間だけ、海外から留学生が来る、ということになったためだった。

欧州と違い、完全に島国になっているため、滅多に海外へ出ることがない日本の学生たちにとって、同年代の外国の子と接することができる機会はそうそうない。

 

まして、留学生となると学校側が特別にカリキュラムを組まない限り、滅多にあることではない。そのため、どんな子が来るのか、仲良くできるか、など、いまからワクワクとドキドキが止まらなくなってしまっていたようだ。

それは、来海家について行ってファッションショーに参加したことがあるつぼみとえりか、いつきも同じらしく。

 

「どんな子が来るのかなぁ……」

「き、緊張しますけど、ちょっと楽しみです!」

「……まさかと思うけど、オリヴィエ、なんてこと、ないよね?」

 

目を輝かせているつぼみの横で、えりかは苦笑を浮かべながらそうつぶやいた。

オリヴィエとは、四百年前、心の大樹に初めて選ばれたプリキュア、キュアアンジェによって封印された砂漠の使徒、サラマンダー男爵の養子で、つぼみたちの弟的存在だ。

今は世界各地を男爵とともに転々としており、どこにいるのかはわからない。

 

時々、知人がいる大学の講義を目的に海外旅行をすることがある菖ですら、滅多に会うことはないらしい。

もっとも、男爵の携帯番号を知っているらしく、時々、連絡を取り合っているようだが。

 

閑話休題(それはどうでもいいとして)

 

そうこうしているうちに、教室に担任の鶴崎先生が入ってきた。

 

「ほら、お前たち!!浮足立つのはわかるけど、席について!H.R始めるよ!!」

 

鶴崎先生からの指示に従い、生徒たちは自分たちの席に着いた。

すると、一人の金髪の少女が教室に入ってきた。

どうやら、彼女が噂の留学生らしい。

 

「あ~、すでに知っていると思うが、三週間の短期留学ということで、イギリスから留学生が来ている。日本の慣習に戸惑うところもあると思うから、みんなきっちりサポートしてやってくれ!」

『はーい』

 

鶴崎先生からの言葉に、つぼみたちが返事を返すと、鶴崎先生は留学生に自己紹介するよう、促した。

 

「Hallo, everyone!My name is Alisia Dufda.Please call me Alisia or Alice.I'm from England.I'll stay Japan for three weeks.I want you to be friend.Thank you.」

 

当然といえば当然ながら、いきなりの英語の自己紹介にクラス中が困惑した。

もっとも、つぼみとえりか、いつきの三人をはじめとするファッション部のメンバーと番は菖から英語を教わることがあったため、名前がアリシアであること、アリシアあるいはアリスと呼んでほしいということ、そして彼女がイギリスから来たことは聞き取ることができた。

一方、自己紹介を終えたアリシアは、生徒たちの反応にくすくすと微笑みを浮かべ。

 

「ごめんナサイ、みなサン。ワタシ、日本語チョトならできマス。なので、改めて日本語で自己紹介(ジコショカイ)させてくだサイ」

 

どうやら、彼女なりに場を盛り上げようとしたらしい。

日本語ができる、ということを知ると、生徒たちは盛大にずっこけ、だったら最初から日本語で自己紹介してくれ、と笑いながら返していた。

 

----------------------------

 

放課後になって、日本のファッションに興味がある、と言ってきたアリシアはファッション部に顔を出していた。

なお、部室には菖とゆり、ももかと明が先にいたのだが、えりかたちを待っていたらしく、作業机の上にノートを広げて勉強していた。

もっとも、主にシャーペンを動かしているのはももかであり、明が中心となってももかに教えている、という状況のようだが。

 

「あれ?もも姉ぇ、明義兄ぃ、来てたんだ?」

「「こんにちは、みなさん」」

「おぅ、お疲れさん」

「お疲れ様。授業、終わったみたいね?」

「お疲れ……って、ももか。これ見よがしに逃げようとしないの」

「ひ~ん……」

 

どうやら明の教え方がスパルタだったらしく、隙を見て逃げ出そうとしたらしい。

そんなももかのブレザーの襟を、菖は引きつった笑みを浮かべながらつかみ、ももかの動きを止めた。

だが、ふと、菖は視界に入り込んできた明るい色に気付き、えりかたちのほうへ視線を向けて問いかけた。

 

「ん?もしかして、お客さん??」

「ふぇ?あぁ、うん」

「中等部にイギリスから短期留学で来た子が……」

「Hallo,みなサン!初めまシテ、ヨロシクネ」

 

つぼみが紹介しようとした矢先、つぼみの背後から、ひょい、とアリシアが顔を出して挨拶してきた。

アリシアを見かけた菖はとっさに。

 

『へぇ?イギリスから来たんだ……よろしく』

『こちらこそ、よろしくお願いします。私はアリシア・デュフダ。アリシア、あるいはアリスと呼んでください』

 

と、英語で挨拶を交わした。

なお、アリシアと菖の会話はももかと中等部の子たち以外は全員、理解できたため、ももかに同時通訳をしていた。

ちなみに、つぼみたちはというと。

 

「わ、わかってましたけど……」

「菖さん、英語ぺらぺ~ら……」

「あ、あははは……まぁ、イギリスに行ったこともあるらしいし、当然、なのかな?」

 

わかってはいたが、菖の英会話を目の当たりにして、ポカーンとしていた。

だが、この時の彼女たちは、彼女との出会いが、まさか海外で活躍する、それも、つい最近、仲間入りを果たした後輩と同じ力を持っているプリキュアとの出会いであったとは、夢にも思っていなかった。




あとがき代わりのその後の話

※『』は英語、「」は日本語のセリフと思っていただければ

~明さんは罪な男~
アリス『ところで、そこの黒髪のお兄さん』
明『ん?俺か??』
アリス『はい!お兄さんはお付き合いしてる方は……』
菖『あぁ~、明にはちゃんと恋人いるから、やめとけな?』
ゆり『だからといって、菖に手を出しても許さないから、そのつもりでね?』
アリス『は……はい……』
菖「……ったく、明よぉ」
明「あ?」
菖「お前も罪な男だな」
明「あぁ……けど、俺はももか一筋だからな、簡単にゃなびかねぇぜ?」
菖「……それこそ、クレオパトラとか楊貴妃とかダースで持ってこられない限り、か?」
明「いや~、さすがにダースで迫られても困るけどな♪」


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イギリスのプリキュア、登場です!!

もうね……うん……ネタが浮かんでこないよ……(´・ω・`)
しばらくお休みしたほうがいいかなぁ……

というのは冗談として

なんか、スター☆トゥインクルはアイドル路線でも目指してるんですかね?
変身中に歌う必要性が見えない……物珍しいとは思うけど

まぁ、そんな文句は置いといて、本編どうぞ


イギリスからやってきた短期留学生、アリシア=デュフダ(アリス)と友達になったつぼみたちハートキャッチ組。

当然、つぼみたちはアリスには自分たちがプリキュアであることを隠していた。

しかし、アリスもまた、つぼみたちに秘密にしていることがあった。

そして、お互いの秘密が明らかに日は、すぐ近くに迫っていた。

 

----------------------------

 

その日の放課後も、アリスはつぼみたちと一緒にファッション部の部室となっている被服室にやってきていた。

数ある部活の中から、なぜファッション部なのか、興味本位でももかが聞いてみたが、アリス曰く、ファッションに国境線はないから、だそうで。

とはいえ、アリスの性格の良さが幸いして、三日もしないうちにすっかり打ち解けることができ、もはや最初からいたメンバーのようにすら思えるほどになっていた。

 

そんなある日のこと。

この日もつぼみは、えりかといつき、そしてアリスとともにファッション部へ向かおうとしていた。

だが、その時。突然、あたりを"嫌な気配"が包み込んだ。

まさか、と思い、外を見ると、グラウンドがケーキやマカロン、パフェ、キャンディーなどなど、スイーツの森になってしまっていた。

そして、その中央には、桃色のベレー帽を被った、水色の縦巻きロールの女性がいた。

一見して、彼女が幻影帝国の幹部だということに気づいたつぼみたちは。

 

「アリスさん!急いで避難してください!!」

「あたしたちは逃げ遅れた人がいないか、見てくるから!いつき、アリスのことお願い!!」

「わかった!アリス、こっち!!」

「わ、わかりマシタ!」

 

いつきに連れられて、アリスはその場から離れていった。

つぼみとえりかは、二人の姿が遠ざかっていくのを確認すると、ココロパフュームを取り出し、カバンに待機していたシプレとコフレに声をかけた。

 

「「シプレ/コフレ!!」」

「「はいですぅ/ですっ!」」

 

パートナーが何を言いたいのかを理解した二人は、元気よく返事を返し。

 

「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ!」」

「「プリキュア!オープンマイハート!」」

 

胸のブローチからプリキュアの種を射出し、パートナーに渡した。

二人は種を受け取ると、ココロパフュームにセットした。

パフュームから噴き出してくる光の香水を吹きかけながら、コスチュームを変化させていった。

制服から、光のアンダースコートへ、そして、バレリーナのような背中のあいたドレスへと姿を変えていった。

 

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

 

変身を終えて、同時に名乗ると、二人は窓から校庭へと飛び出し、スイーツの森へと向かっていった。

スイーツの森の手前に到着すると、案の定、チョイアークたちがブロッサムとマリンを出迎えてきた。

 

「邪魔っしゅ!!」

「そこを、どいてください!!」

 

二人がそう叫びながら、チョイアークたちを蹴散らし、幹部がいるであろう森の中心へと向かっていった。

数分としないうちに目的の場所に到着した二人を出迎えたのは、大きめのベレー帽をかぶった水色の髪を縦巻きロールにした女性だった。

 

「あら?あなたたち……なるほど、ナマケルダの言っていたこの街のプリキュアっていうのはあなたたちね?」

「ナマケルダ……やっぱり、あなたも!」

「幻影帝国の幹部!」

「そうよ!わたしはホッシーワ!なんでもほしい、なんでも独り占めしたい、麗しい欲深き貴婦人よ!!」

 

悪役令嬢のようなポーズを決めながら、ホッシーワはそう名乗った。

自分のことを欲深いとわかっているということに、ブロッサムもマリンもどこか戸惑いのようなものを覚えたが、自分たちがやることに変わりはない。

 

「たとえ欲深いことを自覚していても、人様に迷惑をかける悪行!このキュアブロッサムが止めて見せます!!」

「留学生が来てるってのに、ちょっとは平和に過ごさせなさいよ!海より広いあたしの心も、とっくに我慢の限界、超えてるんだからね!!」

「はっ!知ったことじゃないわ!やってしまいなさい、チョイアーク!!」

 

ホッシーワの号令に応じるように、サングラスをかけた全身黒タイツたちがブロッサムとマリンに襲いかかってきた。

だが、もはやスナッキーと同等程度の戦闘力しか持たない戦闘員相手に後れを取るような二人ではない。

 

「ブロッサム!シャワー!!」

「マリン!シュート!!」

 

ブロッサムとマリンの技が同時に炸裂し、チョイアークたちを吹き飛ばした。

ナマケルダから話を聞いていたホッシーワだったが、その戦闘力までは聞いていなかったらしい。

チョイアークたちは一瞬にして全滅してしまい、結局、ホッシーワ一人が残る形になった。

 

「なぁっ??!!」

「さぁ!次はどなたですかっ?!」

「とことんやってやるから、かかってこいっしゅ!!」

「な、ナマケルダから聞いていたけど、ここまでとは……けど!クイーンミラージュ様からの指令を受けている以上、あたしも負けられないのよ!!」

 

ホッシーワがそう叫んだ瞬間、ハートキャッチ組メンバーのものではない、凛とした声が響いてきた。

 

「これ以上、あなたたちの好きにはさせない!!」

 

その瞬間、上空から人影が一つ、ブロッサムとマリンの前に降り立った。

その姿にブロッサムとマリンは目を丸くした。

なぜなら。

 

「優雅なる、英国のプリキュア!キュア・コンチネンタル、参上!!」

 

現れた人影はプリキュアそのものだったのだから。

 

「い……」

「い……」

「「イギリスのプリキュアですかぁっ?!/っしゅっ?!」」

「えへへ……Nice to meet you!Japanese Precure!」

 

驚愕するブロッサムとマリンをよそに、晴れやかな笑顔を向けて、流ちょうな英語でキュアコンチネンタルはそう告げた。

だが、驚愕していたのはブロッサムとマリンだけではなかった。

 

「ちょっ?!イギリスのプリキュア?!なんで、あんたが日本(ここ)にいるのよ??!!」

「あら?なにも自分の国で活動することがプリキュアの仕事じゃないわよ?何より、英国は紳士と淑女の国。なら、貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)を心構えていてもおかしくはなくってよ?」

「いや、貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)は英語じゃなくてフランス語なんだけど……」

 

いつの間に来ていたのか、セイバーがコンチネンタルにむかって野暮なツッコミを入れていた。

だが、コンチネンタルはわかっていて言ったらしく。

 

「Oh!これがJapanese ツッコミ、ですね?」

 

と、目をキラキラさせながらセイバーにそう問いかけていた。

その反応に、セイバーはやりづらさを感じながら、向かってきたチョイアークたちに向かって、拳を突き出した。

 

「ユグドフォルテウェーブ!!」

 

その瞬間、拳圧と同時に圧縮された心の花の力が解き放たれ、チョイアークたちを吹き飛ばし、浄化した。

一瞬で多くのチョイアークを失ったことに、ホッシーワは目を丸くして。

 

「な、なんなのよ、あんた?!一人だけ男だからってかっこいいところ見せ……」

「ようなんて考えてない、さっさと立ち去ってくれないか?」

 

珍しく冷めた視線を向けながら、セイバーはホッシーワにむかってそう問いかけた。

だが、その問いかけに答えることなく、ホッシーワは癇癪を起こし、切り札であるサイアークを呼び出すのだった。




あとがき代わりのその頃の話

~チョイアーク出現時の高校生たちの様子~
君尋「みんな!落ち着いて行動してくれ!!」
小狼「非常口はこっちだ!慌てずに進んでくれ!!」
明「……なぁ、あれだけいるなら、ちょっとくらいもらってもいいよな?」
静「……お前は何を言ってるんだ……」
ももか「もぅ!明くん、馬鹿言わないの!!ゆりたちの邪魔になったらどうするのよ!!」
さくら「ほえぇぇっ?!」
ひまわり「なんというか……御剣くんはどこまでも御剣くんだよねぇ……」


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イギリスのプリキュアと共闘、です?

久方ぶりにこちらを。
といっても、いつもより短いんですが。
さて、そろそろこっちもお花見かな?
……………………その前に色々やらないとだけど

本編どうぞ


突然現れたイギリスのプリキュア、キュアコンチネンタル。

図らずも彼女と共闘することになったハートキャッチ組ではあったが、作戦を立てる間もなく、サイアークの襲撃を受けてしまった。

だが。

 

「この程度じゃ俺たちの敵じゃないっての!」

「ふんっ!!」

「「たぁーっ!!」」

「はぁっ!!」

 

砂漠の使徒の侵攻から地球を守り、その後も先輩、後輩たちとともに闇の勢力から世界を守ってきた歴戦の戦士たちにとって、それは脅威でもなんでもなかった。

まったく苦戦する様子もなく、サイアークはブロッサムたちに浄化されてしまった。

当然、その不甲斐なさに、ホッシーワは癇癪を起した。

 

「きーっ!!ちょっと!しっかりしなさいよ!!」

「自分で戦わないのに文句を言うのはどうかと思う」

「まったくそのとおりっしゅ!」

「うるっさいわね!レディに仕事させるんじゃないっての!!」

 

セイバーとマリンのつっこみにホッシーワがむきになって返してきた。

だが、まるでホッシーワを挑発するように、セイバーは鼻で笑いながら。

 

「ハッ!あんたみたいなのが"レディ"?笑わせるなよ」

「んなっ?!」

「俺からすれば、本当のレディってのはあんたみたいなのじゃなくて、そこにいる子たちだけどな」

 

そう言いながら、セイバーはムーンライトたちを指さした。

気障っぽいセリフではあるが、本心からそう思っていることだ。

そのセリフがホッシーワの堪忍袋の緒を切れさせるどころか、堪忍袋そのものを木っ端みじんにしただけでなく。

 

「こ、こんな時に何を言ってるの?!」

「は、はわわわわ……」

「Oh……Knight様、大胆ネ……」

「……セ、セイバーがすごく気障なセリフを……」

「なんか悪いものでも食べた?」

 

ムーンライトたちにも被害が及んでいた。

なお、ムーンライトとブロッサムは顔を真っ赤にして動揺していたが、サンシャインとマリン、初対面のコンチネンタルは別の意味で動揺していた。

だが、そんなことは知ったことではない、とばかりにホッシーワが癇癪を起した。

 

「ムッキーッ!!このあたしがそんな小娘どもに劣るっての?!」

「鏡見て出直して来い」

「ウガーッ!!」

 

手ひどい言葉の応酬に、ついにホッシーワの怒りが爆発した。

ホッシーワはなりふり構わず、手にした傘を構えてセイバーにむかって突進してきた。

だが、何の策もなしに突っ込んでまともに戦えるほど、セイバーは甘くはないし、弱くもない。

いや、むしろ、考えなしで突っ込めば。

 

「獅子戦吼っ!!」

 

セイバーの得意技にして必殺技の餌食となることは目に見えていた。

だが、ホッシーワはそれを念頭に置いて戦えるほど、冷静ではなかった。

当然、セイバーのその技はホッシーワの体を貫き、はるか空の彼方へと吹き飛ばして突き飛ばした。

 

「……星になれ……」

「なんかカッコイイこと言ってるけど、全然、似合わないっしゅ……」

 

吹き飛ばされたホッシーワが飛んでいった方へ目を向けながら、セイバーが呟いた言葉に、マリンは思わずツッコミを入れるのだった。

 

----------------------------

 

ホッシーワが強制退場したことで、周囲の異変は収まり、グラウンドはすっかり元通りになった。

それを見届けたムーンライトとセイバーは、こっそりとその場を離れようとするコンチネンタルの腕や肩をつかみ、引き留めた。

 

「さぁて、と。それじゃ、聞かせてもらおうか?」

「あなた、いったい、何者なの?」

「む、ムーンライトもセイバーも、いつも以上の迫力です……」

「こ、これ、もしかしてさっきのおばさんのことよりも怒ってたり??」

「す、するのかなぁ……?」

 

ドドドド、ゴゴゴゴ、と背後からそんな音が聞こえてきそうな雰囲気に、掴まれているコンチネンタルだけでなく、ブロッサムたちも顔を真っ青にしてガタガタと震えていた。

なお、コンチネンタルはというと。

 

「お、Oh……わ、ワターシ、コノクニノコトバ、ワカラナイヨ?」

 

と、どうにかごまかそうとしたのだが。

 

「安心しろ、ちゃんと日本語に聞こえるから」

「むしろ変にごまかさないほうが身のためよ?」

「……Jesus……」

 

そんなごまかしが通じるわけがなく、ハートキャッチ組最強の二人に強制連行させられるのだった。




あとがき代わりのその後の話

~本音のところは……~
ムーンライト「セイバー……一つ、聞きたいのだけれど」
セイバー「ん?」
ブロッサム「あ、あの、わたしたちがレディって……」
セイバー「少なくとも、本気でそう思ってるけど?さっきのおばはんと比べたら」
マリン「むぅ……………………あのおばさんと比べられるのはなんか釈然としないっしゅ」
サンシャイン「けど、そこがセイバーらしいというか……」
セイバー(というか、あのおばはんがレディだったらお前らをなんて呼んだらいいのかわかんねぇし)
ムーンライト「……?何か言ったかしら?」
セイバー「いえ、なにも」


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びっくりです、キュアコンチネンタルの正体!

何を白々しい、というタイトルですが
ぶっちゃけ、ちょっと青に対しての批判、というか、ハピチャに登場するプリキュアに対する批判みたいなのがはいってます……いや、まぁ、言いえて妙とは思いますよ?言っておいてあれですが

まぁ、ひとまず、本編どうぞ



幻影帝国の幹部の一人、ホッシーワを強制退場させ、突然登場して、立ち去ろうとするキュアコンチネンタルを捕まえたセイバーとムーンライトは、ブロッサムたちとともに人気のない場所へ移動し、変身を解除した。

その姿を見た瞬間、コンチネンタルは明らかに驚愕しているようだった。

 

「What's?!あ、あなたタチがJapanese Precureだったノ??!!」

「あなたたち、ということは、あなたもこの学校に通っている、ということね?」

「もういい加減、正体ばらしたらどうだ?キュアコンチネンタル……いや、アリシア・デュフダ」

 

菖のその言葉に、つぼみたち中学生組は目を丸くした。

一方のコンチネンタルは観念したかのようにため息をついた。

 

「Oh……バレバレ、ということデスネ?」

 

そう問いかけてすぐに、コンチネンタルのコスチュームが淡い光を出すと、泡のように消えた。

変身解除された姿を見たつぼみたちは目を丸くし、ゆりと菖はやっぱりか、とため息をついた。

そこにいたのは、二週間の短期留学で明堂学園に来ていた留学生、アリシア・デュフダ――アリスだったのだから。

 

-------------------

 

放課後になって、つぼみたちはアリスを連れて植物園の温室に来ていた。

理由はもちろん、アリスがプリキュアになった事情を聴くためだ。

仮にも、砂漠の使徒との戦いで勝利し、その後もブラックホールやフュージョン、影水晶などの悪意ある存在と戦ってきたのだ。

多少なりとも、力になることがあるかもしれない。

何より、今こうしている間にも侵攻しつつある敵、「幻影帝国」のことについて知りたい、ということが大きかった。

 

その事情を説明したうえで、アリスに事情を聞きたい、と話したのだ。

最初こそ、自分以外にもプリキュアがいることに驚いていたアリスだったが、一人ではないことがわかったからなのか、快くその招待を受けてくれた。

だが、おそらくアリスにとっての一番の理由は。

 

「……ん~……delicious!やぱり、菖の淹れたお茶はおいしいデス!」

 

明堂学園でも随一、と言われる菖の紅茶が目当てだったのだろう。

破顔しているアリスに、苦笑を浮かべながら、菖は、そりゃどうも、とお礼を言って、本題に取り掛かった。

 

「そろそろ聞かせてくれないか?アリス」

「幻影帝国というのは、何者なの?それと、あなたがプリキュアに変身できた理由は?」

 

ゆりの問いかけに、アリスは手にしていたティーカップをソーサーにおいて、腕を組んだ。

 

「なんて説明したらいいのか、ちょっとむつかしデス」

「わかる範囲でいい。話してくれないか?」

「「「お願いしますっ!」」」

「Alright、わかりマシタ」

 

菖とゆりだけではない、同級生であるつぼみたちの目に真剣さを感じ取ったアリスは、静かにうなずき、自分が知っている範囲のことを語り始めた。

もっとも、自分が知っていることは本当に少ないのですが、という前置きがついてのことだが。

 

「まず、先に断っておきマスガ、わたしも彼ら――「幻影帝国」のことについては、ほとんど何もわかっていないデス。いきなり、ブルースカイ王国を占領して、世界各国に宣戦布告をしてきた、ということシカ……」

 

デスガ、とアリスはさらに続けた。

 

「変身できた理由は知ってます」

「ん?パートナー妖精はいないみたいだけど……??」

 

その一言に、えりかが首を傾げた。

たしかに、アリスの周囲にはパートナーとなる妖精の姿がない。

ということは、パートナー妖精を必要としない、ということなのか。

そう考えていると、アリスはその答えを口にした。

 

「幻影帝国に対抗するため、神様にプリキュアにしてもらたデス」

「「「「「神様ぁっ?!」」」」」

 

むろん、その言葉に驚かない菖たちではなかった。

むしろ、胡散臭ささえ覚えた。

そのため、思わず質問してしまった。

 

「それは、いわゆるエホバとかキリストのことを言っているのか?それとも、自分で神と名乗ったのか?」

「自分から愛をつかさどる神ダ、と言ってマシタ」

 

その結果、帰ってきた言葉に。

 

「……胡散臭せぇ」

「「胡散臭いわね/です」」

「何それ、胡散臭いっしゅ!」

「な、なんか、信じていいの?それ……」

 

菖たちの意見は、反応こそさまざまであったが、胡散臭い、ということでまとまっていた。

アリスも実際のところは同意見らしく、そうなんダケド、と前置きして、一冊のカードフォルダーを取り出した。

 

「信じていいかはわかりませんが、プリチェンカードを集めて、このフォルダーを完成させたら、お礼にひとつだけ願いをかなえる、と話してました」

「……もので釣ってんのかよ」

「胡散臭さ倍増ね」

 

変わることのない辛辣な評価に、アリスはただ苦笑を浮かべるしかなかった。

もっとも、たしかにもので釣るような行為はどうかと思っているのはアリスも同じことだった。

とはいえ。

 

「But……わたしはLondonが、イギリス(U.K)が大好きです。だから、どんな形であれ、戦うPowerをくれた彼には感謝してます」

「……信じることはしないけど、恩義があるから戦う。そういうことか?」

「Year」

「……やれやれ……プリキュアになる女の子ってのは、どうしてもこうもお人好しばかりなのかねぇ……」

「まぁ、それがわたしたち、ということなのだから、しかたがないんじゃないかしら?」

「はい!」

「お人よしが一番っしゅ!」

「そうだね」

 

困ったように、しかしどこか嬉しそうな笑みを浮かべながら、菖はそう返した。

その言葉に同意するように、ゆりたちは同じように笑みを浮かべ、同意した。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~ところで……~
アリス「菖さんもプリキュアなんですか?」
菖「俺はプリキュアじゃなくて、プリキュアの守護騎士みたいなもんだよ」
ゆり「大樹の「騎士」だから、間違いではないわね」
アリス「Oh!ということは、どなたかに忠誠を誓ったのデスカ?」
つぼみ「菖さんは自由の騎士ですから、どなたにも忠誠を誓ってないですよ」
えりか「だからって引き抜かないでね?」
いつき「そんなことしたら、泣くよ?つぼみが」
つぼみ「はいぃっ?!」Σ(0□0;
アリス「Oh……ちょっとザンネンです……」(´・ω・`)


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再会の約束。さよなら、アリス!

タイトルの通り
まぁ、結構、適当だったのであれですが……
次回以降にプリキュアハンターの話、書いていけるかなぁ、とか思ってたりしてます

まぁ、それはともかく、本編どうぞ

ちなみに、ももかをはじめ菖とゆりの親友たちは「正体を明かしたときに妖精の存在も一緒に説明した」ということにしてます


キュアコンチネンタルが自分の正体を明かした翌日から、つぼみたちのアリスに対する態度が少しだけ変わった。

悪い方向に、ではない。

むしろ、今まで以上に仲良くなっていた。

それは、菖たちの正体を知っている明たちにも言えた。

つぼみ、えりか、いつきと同じクラスに所属している、ということもあって、それなりに交流はあったのだが、より積極的に関わるようになり、放課後には一緒に遊びに行ったり、勉強を見てやったりしている光景が目撃されるようになっていた。

 

そんな、穏やかな日々も、もうすぐ終わりを迎えようとしていた。

 

------------------

 

二週間、という時間はあっという間に過ぎていき、いよいよ、アリスがイギリスへ帰国する日が二日後に迫っていた。

 

「明日には、アリスは帰国してしまうんですね……」

「なんか、ちょっと寂しいね」

「仕方ないよ、決まっていたことなんだもの」

「Year……わたしもチョト悲しいデス」

 

いつもの温室で、いつものように放課後ティータイムを楽しんでいたつぼみたちだったが、やはり、友達との別れを悲しまないことなどできなかった。

つぼみたちは、一度、大切な友達であるシプレ(妖精)たちと別れなければならないことがあった。

あの時と違って、縁があればまた出会うことはできるかもしれない。だが、アリスは海を隔てた遠くの国に住んでいる。

気軽に会いに行くことなど、できるはずもない。

もっとも。

 

「……例外がここに一人いるのだけれどもね」

「あぁ……まぁ、否定はしないけど」

「What's?どゆコトデス??」

「菖はね、時々海外の大学に考古学の講義を聴講に行くのよ」

「Wao!!とゆことは、U.Kにも?」

「俺の師匠がいるからね、一年に二回くらいは行ってるんじゃないかな?」

 

実際のところはよく覚えていないようだ。

なお、菖が海外へ向かう頻度はユグドセイバーになってから月に一回となっている。

それ以前は、一年に二回、行くか行かないかだったのだが、こころの大樹と契約を結び、ある程度の位置であればテレポートすることができるとわかってから、その頻度が増えたのだ。

とはいえ、出入国の手続きを一切していないため、あまり公的機関からの恩恵は受けられないのだが。

もっとも、アリスにはそんなことは関係ないらしく。

 

「とゆことは、また会うことができるてコトデスネ?」

「まぁ、そうなるかな?」

 

苦笑しながら、菖はアリスに返した。

一方のアリスは、少なくとも、つぼみたち全員とまではいかなくとも、少なくとも、日本で友達となった人と再会できることを知り、目を輝かせていた。

なお、その目の輝きを、憧れの人にはすぐに会うことができることを理解したから、と勘違いしたつぼみとゆりは。

 

「「……………」」

 

……………作者(ナレーター)にかみつきかねないほど不機嫌になっていた、ということだけ、記しておこう。

 

------------------

 

二日後。

とうとう、アリスが二本を発つ日がやってきた。

空港には、引率教員を伴っているアリスのほかに、つぼみたちファッション部のメンバーと、菖たち高校生組が見送りに来ていた。

 

「アリス、向こうでも元気でね!」

「時々、お手紙ください!」

「いつでも待ってるから、また遊びに来てね!」

 

別れを惜しむように、中学生組はアリスを抱きしめていた。

アリスもまた、目に涙を浮かべながらうなずいていた。

 

「ま、せんせーならまたすぐに会いに行くだろうけどな」

「せんせーいうな。てか、いきなりイギリスには行かんさね」

「まぁ、そりゃそうだ」

「菖の場合、向こうに行ったとしても、まず大学のほうに行きそうだもんな」

「……否定できない」

「いや、しろよ!!」

 

明のからかいから始まった一連の流れに、アリスだけでなく、抱き着いていた中学生組も笑みを浮かべた。

なお、高校生組の女性陣は。

 

「まったく……」

「あははは……」

「まぁ、それがせんせーだから」

「そうだね」

 

呆れたり苦笑を浮かべたり微笑んだりと、様々な反応を示していた。

やがて、アリスが搭乗する予定の飛行機の準備が整い、搭乗開始のアナウンスが響いてきた。

 

「それでは、ミナサン。また会いまショウ」

「えぇ、いつかまた、ね」

「うん」

「はい!また会いましょう!!」

「こんどはあたしらがそっちに行くからね!」

「またいつか」

 

泣きそうになりながらも笑顔を浮かべ、別れを告げるアリスに、つぼみたちはそう返し、小さくなっていくアリスの背中を見送った。




あとがき代わりのその後の話

~一週間後、植物園にて~
えりか「うぅ~……英単語が頭の中をぐるぐる……」
つぼみ「え、えりか、頑張ってください」
ゆり「どうしたのよ?いったい」
ももか「アリスちゃんから手紙が来たから、返事を書こうとしたんだけど……」
菖「英語ができないから辞書片手に必死になって返事書いたはいいけど、脳みその容量を超えちゃったか?」
いつき「みたいです……」
えりか「……でも、あたし、英語の勉強、頑張るよ!」
コフレ「えりか、珍しくやる気ですっ!」
ゆり「まぁ、海外に友達がいるんだもの。辞書を使わなくても手紙が書けるようになりたいわよね?」
菖「それに、あっちに行くって約束したしな?」
えりか「だから、頑張るっしゅ!!」
つぼみ「わたしも頑張ります!」
いつき「僕も!」
ももか「……なんか、まぶしいわね……」
菖「これが青春?」
コロン「あはははは……」


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戻ってきた日常~しかし、その裏でひそかに進む何か~

タイトルは少し不穏ですが、なんてことはありません(いやまじで
ある意味、これは伏線です
その回収は……どんな形になるかは日曜の更新をお待ちください!

それでは本編どうぞ


アリスが帰国してから数日。

少しばかりさみしさは残るものの、つぼみたちは変わらぬ日常を過ごしていた。

もっとも、すでに季節は初夏のころ。この時期に学生たちに襲いかかってくるものがあった。

それは……。

 

「「うわ~~~~~~んっ!中間テスト/試験やだよ~~~~~~~~~っ!!」」

「あきらめろ、来海姉妹」

「えりかもももかも、往生際が悪いわよ?」

「え、えりか、わからないところは教えますから、頑張りましょう?」

「あははは……」

 

勉強が苦手なえりかとももかにとって、いや、全国の学生たちに平等に訪れる試練。

それが定期試験だった。

特に、菖たち高校生にとって、この定期試験は次の進路を決定づける重要な指針になるため、気合を入れなければならないものだった。

 

「ほれほれ、文句言ってないで、手を動かす」

「うぅ~……明くんが久しぶりに鬼畜ドSモードにぃ……」

 

恋人の容赦ないスパルタに、涙目になりながらシャーペンをせわしなく動かしていた。

そんな中で、菖と小狼はさくらとひまわりに英語を、君尋はえりかといつきに古文を、ゆりと静はつぼみに理科を教えていた。

 

その中でももかが、そういえば、と手を止めて口を開いた。

 

「今朝のニュース、見た?」

「今朝の?」

「……あぁ……たしか、一定以上の所得税を納めるだけの経済力がある奴は五人まで婚姻オーケーってやつだったか?」

「そう、それ!」

 

ももかが話しているニュースとは、少子化対策の一環として、一定以上の所得税を納めるだけの経済能力がある場合のみ、複数人との婚姻を認める「一夫多妻、多夫一妻制に関する法案」、通称「ハーレム法」が提出された、というものだ。

複数人といっても、五人までの人数制限が課せられているし、その人数を超えて異性と親密な関係になることは禁じられているし、仮にそうした場合、問答無用で厳罰が課せられることになっている。

 

加えて、現在も人権問題や母体となる女性の健康への配慮など、話し合う余地があるため、そう簡単に可決されないだろうと、世間では言われている。

なお、あくまで「可能とする」法案であるため、一夫一妻を貫いても問題はない。

 

要するに、合法でハーレムと逆ハーレムが可能になるかもしれない、という話題は、当然、多感な時期の高校生たちの話題になっていた。

ももかもそれにひっかかった一人なのだろう。

だが、ここにいる男子たちはあまりいい顔をしていなかった。

 

「要は少子化対策なんだろうけど……いや、けどそれってどうなのかね?」

「男ならまだしも、女性の負担とかもなぁ」

「むしろ、経済活動をどうにかしないとなんじゃないか?あるいは子どもの養育を政府が負担するとか」

「それこそ無理だろ」

「やっぱまずは景気対策だろうなぁ……いっそ、働ける年齢を下げるとかすればいいんじゃないか?」

 

なぜかハーレム法でどんなハーレムを築くか、というよりも法案の粗探しとその法案が生まれた背景についての話し合いが始まっていた。

どうやら、ここにいる全員、ハーレムを築くつもりはないらしい。

むしろ、この法案を歓迎しているのは。

 

――この法案が通れば、誰とも争わずに菖を共有財産にできるのだけれど……

――もしこの法律が成立すれば……誰とも喧嘩せずに菖さんと結婚できるのでは?!

 

プリキュアであり、共に戦う中で菖に対して特別な感情を抱くようになったゆりとつぼみだった。

ちなみに、菖に特別な感情を抱いているのはこの二人だけではない。

他の町にも二人、菖に対して特別な感情を抱いているプリキュアがいるのだ。

もちろん、喧嘩などしたくはないので、菖の選択に従うことで一応の決着がついているのだが、この法案が成立すれば、誰も脱落することなく、菖のお嫁さんになることをができる。

できれば、みんな一緒にゴールインしたいと考えている二人だからこそ、この法案は賛成だった。

もっとも、気恥ずかしくて声を大にしてそれを主張する勇気はないのだが。

 

「……ま、考えてても仕方ない、いまは勉強勉強!」

「うっ……うまく話をそらせたと思ったのに……」

「はっはっは!あまいぞ、ももか!!」

「てかやっぱりそれが目的か……」

「油断も隙もないわね……」

 

どうにかして勉強から逃げようとするももかに、菖とゆりはため息しかでなかった。

だが、この時の彼らは、この話題に出てきた法案が可決され、このメンバーの中から法案の恩恵を受けることになるものが二人ばかり出てくるとは、思いもしなかった。

 

なお、試験結果としては、この場にいた全員、上位にランクインし、ゆりと菖、明の三人で一位争いが行われ、ゆりが見事に一位の座を勝ち取ったのであった。



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試験終わりの高校生たち

割と適当です
ちなみに、今回は某有名アプリゲームのアーケードが出ております
ここまでいわば、わかるよね?

本編どうぞ


中間試験が終了した当日。

菖たちはいつものメンバーで試験終わりのストレス発散に遊びに出かけていた。

場所は、駅前に最近できた少し大きめのゲームセンターだ。

ゲームセンターと銘打ってはいるが、ちょっとしたアミューズメント施設になっており、部屋数は少ないがカラオケも完備している、若者のちょっとしたたまり場になっていた。

 

「しかし、よくこんな場所ができたもんだよな」

「最近まで会社が入ってたみたいだけど、倒産したからアミューズメント会社が買収したんだって」

「へぇ……」

「ところで、何が入ってるとか知ってるのか?」

「アーケードが主みたいだな。UFOキャッチャーもあるけど」

 

小狼の問いかけに、明がそう返していると、静がぽつりとほかにもあることを告げてきた。

 

「プリクラもある、らしいな」

「ふ~ん……あ、さくらちゃん、小狼くんと一緒にプリクラ撮ってきたら?」

「え?……あ、え、あ、そ、その……」

 

静のつぶやきが聞こえたのか、ももかが隣にいたさくらにとう耳打ちすると、さくらは顔を真っ赤にしておろおろしながら小狼のほうへ視線を向けた。

小狼も静のつぶやきが聞こえていたらしく、若干、顔を赤くしながらさくらに視線を向けていた。

 

「……さ、さくらが、撮りたいなら」

「と、撮りたい!!」

「なら、行こうか」

「うん!」

 

小狼の提案にさくらが華やかな笑顔を咲かせると、小狼の手を取り、まっすぐにプリクラのコーナーへと向かっていった。

そんな、明堂学園の生徒一同が公認しているほのぼのカップルを、菖たちはにやにやしながら見守っていた。

 

-------------

 

その後、二人だけでプリクラを撮ってきたさくらと小狼をニヨニヨ顔でからかった菖たちは、それぞれ自分たちが気になったゲームに興じることになった。

ちなみに、君尋はひまわりと静とともにUFOキャッチャーに、明とももかは二人同時プレイが可能なシューティングゲームに、小狼とさくらはレーシングゲームのほうへと向かっていった。

一方、菖とゆりは最近、多くの人々の間で流行しているアプリゲームのアーケード版があったため、そちらへむかっていった。

 

「噂じゃ聞いてたけど、ほんとにあった……」

「これがそうなの?」

「あぁ」

 

ゆりの問いかけにうなずき、菖は席に座り、コインを投入し、ゲームをスタートさせた。

 

「そういえば、これはどういう内容のゲームなの?」

「端的に言えば、現実に実在した英雄や実在する作品の登場人物を選択して戦わせるRPG、かな」

「実在した英雄や登場人物?もしかして、諸葛孔明とかシャーロック・ホームズとか??」

「そゆこと」

 

なお、本来は男性である人物が女性として描かれていたり、どう考えても人格破たんしていたり、明らかに人間ではない姿になっていたりするのだが、そこはそれ、ゲームなのでご愛嬌、というものだろう。

そうこうしているうちに、このアーケードゲームの特徴の一つである、一回プレイするごとに一枚もらえる、専用のカードが飛び出してきた。

菖はそれを取り出した瞬間、目を輝かせた。

 

「どうしたの?いいのが当たった??」

「欲しかったキャラがきたんだよ」

「そうなの……ちなみに、どんなキャラ?」

 

ゆりの質問に答える代わりに、菖は入手したカードをゆりに見せた。

菖から差し出されたカードを見てみると、白いフードをかぶった剣士が描かれていた。

カードの下の方を見ると、剣のようなマークの上に、「アーサー・ペンドラゴン」と名前が書かれていた。

 

「アーサー・ペンドラゴン……もしかして、アーサー王伝説の?」

「そゆこと」

 

ゆりからカードを回収し、菖はそのままゲームを開始した。

菖がやっているのなら、自分もやってみよう、という好奇心に駆られ、ゆりもコインを投入し、ゲームをスタートさせた。

すると、菖と同じく、プレイ用のカードが出てきたため、手に取ってみた。

そこには、白い鎧をまとっている、黒髪でくせ毛をしている爽やかな印象を受ける青年が描かれていた。

先ほどと同じようにキャラ名が書かれている部分を見てみると、剣のようなマークの上に、「シャルルマーニュ」と書かれていた。

 

――そして、これを読み込ませればいいのね?

 

恐る恐るといった感じで、ゆりがカードを指定された場所に置くと、画面にカードと同じイラストの青年が現れた。

 

『我が名はシャルルマーニュ!どうか、この名を胸に刻んでおいてほしい。我がマスターよ!!』

「……??!!」

 

画面に現れた青年のセリフが、字幕とともにステレオから流れてきた。

心なしか、その声は隣でゲームをプレイしている菖のものにそっくりだった。

あまりの驚きに、ゆりは思わず目を丸くしてしまったことは言うまでもない。

 

なお、その後、明とももか、菖とゆりに分かれて、エアホッケーで勝負をしたり、格闘ゲームで対戦したりと思い思いの時間を過ごしたのであった。




おまけ

~格ゲー対決~
明「せんせー、格ゲーで勝負しようぜ!」
菖「オーケー、フルボッコにしてやんよ」
ゆり「菖、ちょっといい?」
菖「ん?」
(ゲームスタート後)
明「なっ?!ちょ、はっ??!!あの複雑コンボを??!!……なぁぁぁぁっ??!!し、菖!!お前いつの間にそんな高等テクを……って」
ゆり「ふふっ、I'm winner.」
菖「……代わってくれって言われて代わってみたが……」( Д ;
明「……すっげぇびっくりしてるよ、俺も……」( Д ;

~エアホッケー対決~
明「お?エアホッケーだ」
ももか「ペア対決もできるみたいね」
明「なら、俺とももか、せんせーと月影でどうだ?」
菖「格ゲーのリベンジマッチか?」
ゆり「うふふ、受けて立ちましょう♪」
(ゲームスタート後)
明、菖「「おぉぉぉぉぉっ!!」」( □ メ
ゆり「はぁぁぁぁぁっ!!」
ももか「そりゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」(>▽<

君尋「……なぁ、これエアホッケーだよな?」( Д ;
静「もはや別ものに見えるな」(-ω-;
小狼「白熱しすぎてる気がするな……」( □ ;
さくら「ほ、ほえぇぇぇぇ……」
ひまわり「ちょ、ちょっとこれは……」


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体育祭の招かれざる客?!「オレスキー」な軍人登場!~前編~

まぁ、誰が出てくるかはタイトルを見て頂ければお分かりの通り
少しばかりキャラ崩壊があるかもですが、そこはご愛嬌で(俺、あいつ好きくないしなぁ……(オイ

あ、ちなみに今回前後編です(普段よりちょっと長くなったのでね、区切りますよん


中間試験が終了してから数週間。

明堂学園は体育祭の準備と練習でにぎわっていた。

なお、明堂学園の体育祭はよさこい演舞を行うことが伝統となっているのだが、中等部は男女混合で、高等部は有志を募り男女別で行うことになっている。

 

そして現在、菖たち五人と、ゆりたち四人は別々の場所でよさこいの練習をしていた。

もっとも、菖とゆりは最初は断るつもりでいたのだが、明堂学園が誇る美少年美少女九人全員がそろって演舞に出ないというのは華がない、という実行委員会からのゴリ押しと嘆願で折れるしかなかった。

もっとも、菖の場合、自分が担当する委員以外の一切の仕事を実行委員会からは受け付けない、という条件が提示されたということも大きいのだが。

 

「今年の体育祭はゆっくりできるかなぁ……」

「体育祭でゆっくりってのも変な話だけどな」

「そうは言うけどな、考えてみろよ?なぜか手が空いてるってわかると仕事押し付けてくるんだぜ?」

「……すまん、俺が悪かった」

 

菖の言葉に突っ込んだ明だったが、悲壮感漂うその表情と言葉に思わず謝罪した。

本来ならば菖ではなく、明に回されるはずだった仕事までもなぜか菖に回されることになってしまったことがあり、実行委員会内でも大問題に発展したことがあったのだ。

もっとも、そこは明並みの万能性を発揮することがある菖の仕事。大した問題に発展することはなかったのだが、指揮系統の乱れと、一人の生徒に対しての負担の集中がかなり問題視されれいた。

 

「あんときはお前、一番の働き者だったもんなぁ」

「……なんなら、今からでもその苦労を背負うか?うん??」

 

プチリ、というよりブツリ、と何か太いものが盛大に切れる音が聞こえてきたのは錯覚てもなんでもない。

実際、菖の顔には般若も真っ青になるほどのいい笑顔と、赤黒い陽炎が見え隠れしていた。

いまの菖は相当、怒っている。

それなりに付き合いが長い明は、本能的にそれを感じ取った。

 

「いや、それは勘弁してくれ。ももかと過ごす時間が減る」

「最近はお前、ももかだけじぇなくて祈里とかまりあさんとかもいい仲らしいじゃねぇか?」

「あっちから言い寄ってんだ、まだそんな仲じゃねぇ」

「ほぉ……まだ、ねぇ?」

「……いや、まじで悪かったって……機嫌直してくれよ、せん……菖」

 

せんせーと言いかけて、明はすぐにその呼び名を引っ込めた。

そうでなくても、体育祭の次は期末試験が待っている。

そのせいで、つい先日、中間試験を終わらせたというのに、いまだに菖に質問してくる生徒は多くいるのだ。

 

今までは高等部の生徒だけだったのだが、ここ最近はなぜか中等部からも大勢の後輩たちがやってくるようになっていたこともあり、せんせー、と呼ばれることにいい加減、辟易しているのだ。

ここで、せんせーと呼んで不機嫌になられたら、体育祭までの間に何をされるかわかったものではない。

特に、普段、やらないだけ菖のやってくる嫌がらせは地味に痛い。

そればかりはどうしても避けておきたいのが明の現在の心情だった。

 

「ははは……なんというか、不機嫌になったときの菖にかかっちゃ、さすがの明も形無しか?」

「みたいだな……正直、俺らもあいつを積極的に不機嫌にさせようって思わないし」

「あぁ……」

 

菖と明の様子を少し遠い所から見ていた君尋と小狼、静の三人はなぜか背中にうすら寒いものを感じながらそんな感想をもらしていた。

彼らもまた、菖が不機嫌になったときの怖さを知っている。

加えて言うなら、菖が本気で『敵』と認識した場合、どんな対応を取るかも、期間限定で経験済みだ。

自分たちがしでかした結果、ということもあって、それを甘んじて受け入れはしたが、それでもやはりかなりの居心地の悪さを感じていた。

できることなら、もう二度とごめんだ、と思うほどに。

 

「……できることなら、この体育祭、穏やかに終わってほしい」

 

ぽつり、と君尋がそんなことをつぶやいていたが、なかなか願い通りにならないのが現実というもの。

よりにもよって体育祭のその日に『幻影帝国』の新たな幹部からの襲撃があるとは、この場にいた全員、この時は予想すらしていなかった。

 

------------

 

数日して、明堂学園は体育祭本番の日を迎えた。

自分の係以外の仕事を押し付けられることがなかった菖は、こう言っては妙だが、ゆっくりと過ごすことが出来ていた。

そうでなくても、昨年までは様々な手伝いを押し付けられ、出場予定の競技の集合時間に間に合わなくなるという事態に陥りそうになったことがあったのだ。

その時と比べれば、かなり時間に余裕があるため、ゆっくりと過ごしている、というのは何も間違った表現ではない。

 

それはともかくとして。

 

現在、菖はゆりと、遊びに来ていたつぼみとともにクラスごとに割り当てられたテントの下で、出場競技の集合時間になるまで待機していた。

ちなみに、少し離れたところでは、ももかとさくらとひまわりが明と小狼と静の応援をしていた。

君尋はどうやら、別の場所の手伝いに向かっているらしく、この場にはいなかった。

現在、グラウンドで行われているのは、200メートル走で、明と小狼、静の三人がスタートラインに立っていた。

 

スタートのピストルが鳴ると、全員、一斉に走り出した。

が、一秒も絶たないうちに、明がトップに躍り出て、そのまま一位をもぎ取った。

続いて、静、小狼と続き、第一陣は終了した。

 

「てか、よくやるなぁ、明のやつ」

「ほんとにね……正直、明堂学園最強を名乗っても疑問にすら思わないわ」

「むしろ、なんで今まで名乗らなかったのか、気になるところですね」

 

当然といえば当然というか、予想できていた結果に、菖もゆりもつぼみも、どこか呆れたようなため息をついた。

特に菖は、なんとなしに自分の感覚で明がゴールするまでのタイムを計っていたのだが、その記録、実に9秒台。

某陸上選手の世界記録に迫る勢いの速さだ。

当然、その勇姿に黄色い悲鳴を上げずにはいられないのが。

 

「明くーーーーーんっ!!かっこいーーーーーーーっ!!」

 

恋人であるももかであった。

わかってはいたが、まさか予想通りの反応をすることになるとは思わなかった菖とゆり、そしてつぼみは苦笑を浮かべながら、目をハートマークにしながら叫ぶももかを見守っていた。

が、ふと三人は奇妙な気配を感じ取った。

 

「……何か出た?」

「菖さん、それ、小々田さんか夏さんのセリフ……」

「シローも言うことがあるけれど……来るわね」

 

ゆりが呟いた瞬間、グラウンドが一瞬で荒野のような荒れ果てた空間に姿を変えた。

それと同時に、上空から突如、野太い声が聞こえてきた。

 

「この俺様を差し置いて!一番になろうなどと!!不届き千番!!」

 

ずとん、という落下音とともに、砂煙が巻き起こった。

その中から、声の主なのであろう、軍服に身を包んだ男が歩み出てきた。

男はまっすぐに明のほうへ向かっていき、びしりっ、と指を突き出した。

 

「一番はこの俺、オレスキー様のものと相場が決まって……」

「ねぇから、つか誰だ、お前?最近大活躍中の幻影帝国の人間か?」

「そうだ!幻影帝国が幹部のナンバーワン、オレスキー様だ!!」

 

自分で自分をナンバーワンと呼ぶ当たり、そしてなにより、その名前から、かなりのナルシストであることがうかがえたのか、明はげんなりした表情を浮かべた。

なお、興味の対象外になっていたのだろう、小狼と静は明がオレスキーの注意を引いている間に避難誘導を行っていたため、この場にはいなかった。

 

「で?何の用だよ、ゴミスキーさま?」

「オレスキー、だ!!俺様以外の一番を獲得しようとする奴を成敗しに来た!!」

「……それって、もしかしなくても俺のことか?」

 

獲得しようとしていた一番、というのがさきほどの競技のことをいうのであれば、それは確かに自分以外、ありえない。

そのことに気づいたからこそ、明は嫌な予感を覚え、いつでも逃げられるよう、身構えた。




後半へ~続く!(某アニメナレーター風


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体育祭の招かれざる客?!「オレスキー」な軍人登場!~後編~

というわけで後編
そういえば、皆さんの母校では体育祭とか文化祭で「目玉」というか伝統のようなものってありますかね?
作者の母校は体育祭では各学年ごとによさこいを踊ることと、クラスごとに行う大縄跳びの競技が伝統のようです(ちなみに、作者はよさこいだけ皆勤賞)

まぁ、それはどうでもいい
作中で菖たちが何を踊ったのかは想像にお任せしますよん
というわけで本編どうぞ


体育祭の当日。

200メートル走の競技中に、突然、幻影帝国の(自称)ナンバーワン幹部を名乗るオレスキーが乱入し、グラウンドはそれなりにパニックになっていた。

だが、かつて希望ヶ花を守り戦った、プリキュアたちとその仲間であるユグドセイバーの正体を知っている親友たちの避難誘導により、あまり大きな被害が出ずにすんでいた。

もっとも、それはオレスキーが勝手に明に喧嘩を売り、こう着状態になっているから、ということが大きいのだが。

 

「で、俺と何で勝負するんだ?チャイコフスキーさんよ」

「オレスキーだ!誰が作曲家だ!!」

「あ、それは知ってたのか」

 

あえて挑発するように、名前を間違えて呼ぶ明に対して、オレスキーは額に血管を浮かべながら抗議していた。

だが、実のところ、明は内心、少しばかり冷や冷やしていた。

それなりに(・・・・・)喧嘩は慣れているし、明堂院流古武術の目録を授かっているとはいえ、自分はプリキュアでも光の戦士でもない。

何かしらの不思議パワーを使われたら、敗北することは確定的だということはわかっていた。

だからこそ、明は待っているのだ。

この場で戦うべきヒーロー(プリキュア)たちの登場を。

 

――おいおい、時間は稼いでるんだから、早く出てきてくれよ、月影、せんせー

 

本当は中等部の三人もそのヒーローたちなのだが、明としては同級生であり親友の二人を一番頼りにしている。

その信頼を口に出すことは決してないのだが。

だが、口に出さないことこそ、互いの信頼の証であり、絆の形、なのだろう。

 

「さっさとそいつから離れな、幻影帝国」

 

空に響いたその声とともに、青白い光の矢がオレスキーの足元に突き刺さった。

矢が飛んできた方向へ視線を向けると、そこには青白い衣をまとい、弓を構えているセイバーの姿があった。

 

「ぐぬぬっ!名乗ることなく先制攻撃とはひきょ……」

「戦いに卑怯もラッキョウもあるもんか!そこの君、ここは任せて、早く避難を!!」

「サンキュー!」

 

セリフを全部言い切る前に、セイバーはオレスキーの言葉にかぶせるように明に声をかけ、明はそれに応えるように礼を言ってから駆け足でその場を去っていった。

その背中を見送り、セイバーは青いシャツに白い外套の姿に戻り、エターニアハートを引き抜き、その切っ先をオレスキーの方へ向けた。

 

「ったく、ほんとに空気読まないよな、お前ら!面倒ごとが増えるからこの時期は出てきてほしくなかったんだがな!!」

「ふんっ!知ったことか!!さっさとナンバーワンの俺様に倒されるがいい!!もう一人の戦士!!」

 

俺様に、と言いながら、オレスキーは周囲にチョイアークたちを呼び出し、セイバーを襲わせた。

他人が弱らせたところで自分がとどめを刺し、とどめを刺したの自分、という結果だけを持ち帰るという、いかにも小物がやりそうな手法である。

汚い、さすが軍人、汚い!

 

作者(ナレーター)っ!余計な解説はせんでいい!!」

 

…………いや、地の文(ナレーション)に突っ込まれても困るんだけど。

 

「何言ってんのかわからんが、よそ見してる暇、あるのか?」

 

セイバーがオレスキーに問いかけた瞬間、三つの大きな光の花と、無数の小さな花の光がチョイアークたちに向かっていき、直撃した。

直撃の衝撃で爆発が起きたのか、土煙がもうもうと立ち上っていた。

その煙が晴れると、本来、真っ黒であるはずのスーツがまるで燃え尽きたかのように真っ白な状態になったチョイアークたちが倒れていた。

 

「なにぃっ??!!」

「遅くなりました、セイバー!」

「遅れたわ、ごめんさないね、セイバー」

「主役は遅れて登場するものっしゅ!」

「マリン、それはないんじゃないかなぁ……」

 

一瞬の出来事に、オレスキーが顎が外れんばかりに口を開き、絶叫していると、セイバーの隣にブロッサムたちが駆けつけてきた。

遅れてきたことを謝るブロッサムとムーンライトだったが、マリンだけはいつものように両手を腰に当て、どや顔でそんなことを言っていたが。

 

「ぐぬぬ……貴様らがホッシーワやナマケルダが言っていた、この街を守るプリキュアか!いきなり攻撃とは卑怯ではないか!!」

「いやだから、戦いに卑怯もラッキョウもないだろうが」

 

同じ言葉で返され、オレスキーはぐぬぬ、とうなりながら、押し黙った。

だが、おかげで頭に上っていた血が少しだけ体のほうへ降りてきたため、冷静になることができた。

どう考えても多勢に無勢というこの状況。そして、ホッシーワたちから上がっている報告から考えて、ここで戦ったとしても勝てる可能性はないに等しい。

仮に戦ったとしても、ボロボロにされた挙句、出世の道が閉ざされてしまうことを覚悟して戦わなければならない。

もちろん、そんな高尚な覚悟がオレスキーにあるわけがなく。

 

「今日のところは調子が悪い!帰らせてもらう!運がよかったな!!」

 

と、誰が聞いても負け惜しみだとわかるセリフを口にして、その場から逃げていった。

そのあまりの逃げ足の速さに、一同はただただ呆けた顔を浮かべていた。

 

------------

 

それから数十分後。

幸いにして、グラウンドにもテントにも甚大な被害はなかったため、トラックのコースを書き直すだけで復旧作業は終了した。

そして、恙なく競技は再開され、ついに。

 

「……来ちまったか」

「来ちゃったな」

「来たな」

「いや、もうここまで来たら腹くくれよ、菖」

「明にも同じことを言いたいんだが……」

 

いよいよ、体育祭の目玉であるよさこい演舞が始まろうとしていた。

緊張と疲労からなのか、菖が少しばかり遠い目をしていると、明と静がそれに同意し、君尋と小狼が突っ込みを淹れた。

もはやお決まりのコンボといえる一連の流れに、誰も何も言うことはなかった。

 

「……まったく、何をやってるのかしらね」

「あははは……」

「まぁ、いつものことだし?」

「うふふふ」

 

いや、少し離れた場所にいた美女四人が呆れ顔や呆れ笑いを浮かべながら突っ込んでいた。

だが、その声が菖たちに聞こえるはずもなく、何の反応も返ってこなかった。

そうこうしているうちに。

 

「それでは、よさこい出場者の皆さん、準備をお願いします!」

 

実行委員から準備を呼びかける声が聞こえてきた。

菖たちは衣装や化粧の最終チェックを行った。

それらが一通り終了すると、よさこいの実行委員長が集合をかけてきた。

その招集に応じ、参加者が全員、委員長を囲むようにして円陣を組んだ。

 

「よし、いいかな……みんな!今日この日のために練習してきた全てを出し切るぞ!!」

『応っ!!』

「ゲットレディ……」

『Go!』

 

ノリがいい明を中心に、参加者たちがその掛け声に返していった。

その波に負けたゆりもまた、同じ反応をしていたのだが。

 

「……こういうのも、悪くないわね。たまには」

 

薄く笑みを浮かべながら、そう呟いていた。




あとがき代わりのその後の話

~体育祭終了後~
ももか「あ~きくん♪優勝、おめでとう!」
明「おう、ありがとな!!」

菖「参加した競技全部でMVPだもんな……」
静「まぁ、おかげでクラスごとの総合得点で優勝したわけだが」
君尋「こりゃ、お祝いしなきゃか?」
ゆり「やめておいたほうがいいと思うわよ?」
君尋「その心は?」
ひまわり「せっかくだから、ももかちゃんと明くんを二人きりにさせてあげましょ?」
小狼「二人きりの世界だしな」
さくら「ほえぇぇぇ……」


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一歩を踏み出す勇気

タイトルとそぐわない内容になってないことを祈りたいけど、菖の心境の変化です
あとがきはないよ、悪しからず

それでは本編どうぞ


体育祭が無事に終了し、期末試験も終えて、明堂学園は夏休みに突入した。

つぼみたちも夏休みに入っており、昨年の経験から、夏休みの宿題は早々に片付けてしまおうと、植物園で勉強会をしていた。

 

だが、一人だけ、どこか落ち着かない様子のものがいた。

珍しいことに、その人物は菖だった。

もっとも、菖がそわそわしていることに気づいたのは、幼馴染のゆりと菖に恋心を抱いているつぼみ、そして、親友グループの一人である明とグループの中でも人の変化に聡い、君尋だった。

 

「どうしたのよ、菖?」

「なんか、すっげぇざわついてないか?」

「……そうかもしれない」

 

明と君尋の問いかけに、菖はシャーペンを持ったまま答えた。

案外素直に答えたことを二人とも意外に感じたのか、目を丸くした。

 

「お、おいおい……本当にせんせーか、お前」

「……明、お前覚悟できてんだろうな?」

「前言撤回、まごうことなく菖だ」

 

菖がとことん嫌っている愛称を呼ぶと、背筋にうっすらと寒気を感じた君尋がそうつぶやいた。

が、その雰囲気もすぐに収まった。

 

「……で、どうしたんだよ、ほんとに」

「勉強中に菖がそわそわするって、よっぽどのことだろ。何か気になることでもあるのか?」

「気になることといえば、まぁ、そうだな」

 

明の問いかけに、菖は少しばかりぶっきらぼうになりながら答えた。

応えるその顔が、若干、赤らんでいたことから、趣味である考古学や遺跡のことではないことは、すぐに察しがついた。

おそらくは、女。

そう推測した明は、ニヤニヤと笑みを浮かべながら。

 

「なんだなんだ?せんせーにもとうとう春が来たってか?」

「今は夏だぞ」

「わかってて言ってるだろ、それ」

 

冗談で返してきた菖に、明は若干、苛立ちを覚えながらもぐいぐいと迫ってきた。

 

「で、相手は?月影か?花咲か?それとも……」

「俺からすりゃ、お前と祈里との関係も気になるけどな」

「あぁ、言わなかったか?例の法案が話題になってからアプローチがすごくてな」

 

例の法案、というのは、俗に「ハーレム法」と呼ばれている、実質的に一夫多妻制を法的に容認するという、少子化対策のために作られた法案のことだ。

容認する、といっても、男女どちらかに一定以上の所得が必要になるうえに、第一夫人以外は仮に浮気をし、離婚したとしても、離婚に関わる慰謝料を請求することはできないなど、一応はいろいろと制約がある法案ではある。

 

そして、その法案が話題になり、成立もほぼ確定的であることを知った祈里は以前から目をつけていたのか、明に対して更なるアプローチをかけてきていた、という話をラブたち(フレッシュ組)から聞いていた。

そして、その結果。

 

「……付き合うことに?」

「しました」

「おぉう……よくももかが許したな」

「ゆりと菖にとって『特別な後輩』だったら別にいいんだと」

 

要するに、プリキュアでなかったら許さなかった、ということのようだ。

それもそれでどうなんだろう、と苦笑を浮かべながら、菖はももかの懐の深さに、どこか感心していた。

だが、そこで話が終わることはなかった。

 

「で、お前さんはどうなんだ?」

「……ちっ、はぐらかされんかったか」

 

話題をそらすことに失敗した菖は、露骨に舌打ちをした。

が、捉えた獲物は逃さない、とばかりに物騒な目をした明は、追い打ちをかけるように問いかけてきた。

 

「で?実際、どうなんだ?」

「……あぁ……うん……ちょっと、心境に変化あり、かな」

「ほほぅ?」

 

ようやく菖の口から出てきた言葉に、明は意地の悪い笑みを浮かべた。

それは君尋も同じことで、二人のその反応に、イケメン五人組の良心とも言うべき小狼が苦笑を浮かべていた。

なお、静はその間、黙々と課題を進めていたが、耳は傾けていた。

もっとも、元々が寡黙な男であるため、何も言ってはこなかったのだが。

 

「で?その変化ってのは?」

「ん~、いい加減、決着つけないとかなぁって」

「決着って、月影さんと花咲ちゃんの?」

「も、あるんだけど、他にも二人ばかり」

「……おいおい、プリキュアってのはどんだけ惚れっぽいだよ……月影はしゃあないとしても」

 

菖の言葉に、君尋は苦笑を浮かべた。

他の二人、というのは、つぼみたちから見れば先輩プリキュアとなる、シャイニールミナスとキュアイーグレット――九条ひかりと美翔舞のことだ。

いつの間にか、この二人からも好意を寄せられるようになってしまい、水面下で誰が菖の心を射止めるか競争が始まっている。

 

だが、菖は考古学者を目指しており、考古学者である両親と恩師の影響で、遺跡探検が趣味であり、単身で海外へも赴くことがある。

当然、危険な目に遭うことも多く、菖自身も最悪の事態を覚悟している。

そのため、悲しませたくはないという理由で、寄せられている想いに応えることを避けてきた。

が、それは逃げであることも菖は理解している。

だからこそ、決着をつけなければ、と思っているのだ。

 

「……おまえ、まさか月影のこと」

「捨てる気はない。というか、ゆりなしでこれから先を生きていける自信がない」

 

幼馴染で、幼いころから長い時間を一緒に過ごしてきた。

だからこそ、隣にい続けてほしいと思うし、離れたくはないと思う。

いままで、悲しませるような結果になることを怖がって、一歩を踏み出すことをしてこなかったが、ゆりにこの想いを伝えないままでいるせいで、つぼみたちがいつまでも自分に想いを寄せたままでいるのはよくない。

 

いい加減、一歩を踏み出さなければ。

 

奇しくも、妹分たちに背中を押されるような形で、その覚悟が固まり始めていたようだ。

それを聞いた明は、不敵な笑みを浮かべた。

 

「ならさっさと告白し(こくっ)ちまえ」

「まだしばらくは無理」

 

もっとも、固まり始めただけであり、告白するまでしばらく時間がかかるようだ。

明からの返答で、四人は内心、呆れながらもしばらくは見守ることにするのだった。



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対決!「プリキュアハンター」ファントム!!(前)

長くなりそうなので前後編で
タイトルの通り、ここが一つの山場です
なお、浄化は原作通り、ハピネスチャージ組が行うので、今回は撃退するだけです
時期的には、夏休み中、ハピネスチャージ組の強化合宿が終わったあたりと思っていただければ

てなわけで本編どうぞ


夏休みが中盤を迎えた頃。

菖は泉地流の稽古場となっている自宅の敷地で、一人の空手着の少女と組み手をしていた。

その少女の名は氷川いおな。最近になって希望ヶ花市を初め、世界各国で暗躍している組織『幻影帝国』の侵攻が最も激しい、ぴかりが丘に住む中学生だ。

そして、彼女はその幻影帝国と戦う、ぴかりが丘のプリキュア、キュアフォーチュンでもある。

 

「やぁぁぁぁぁっ!!」

「はっ!!」

「……くっ……てぇぇぇぇいっ!!」

「甘い!!」

 

稽古場に、二人の鋭い声が響き渡った。

いおなの表情からは彼女が必死であることが伝わってきた。

彼女がここまで必死になる理由。

それは、いおながプリキュアになったきっかけにあった。

 

いおなには、まりあという姉がいた。

いおな曰く、容姿、運動神経、成績、心意気、性格。どれを取っても完璧であり、まさに理想の女性らしい。

そんなまりあには、一つの秘密があった。

それは、まりあがぴかりが丘で活躍していたプリキュア、キュアテンダーである、ということだった。

 

ぴかりが丘で現在活動しているプリキュアは、ラブリー、プリンセス、ハニー、フォーチュンの四人だが、以前はキュアテンダー一人で活動していたそうだ。

たった一人ではあったが、テンダーの実力は高く、一人でも十分戦うことが出来た。

だが、その彼女でも敗北した敵がいた。

 

その敵は、プリキュアハンターを名乗る赤毛の青年、ファントム。

まりあの秘密を探るため、こっそり後をつけていたいおなを攻撃からかばったせいで、彼に敗北したテンダーは、ファントムに連れ去られ、行方知れずとなってしまった。

その後も、何度かファントムと接触、交戦したがまったく歯が立たない状況が続いていた。

 

だからこそ、力をつけてファントムを倒し、テンダーの行方を追い、救いたい。

そう決意したいおなは、めぐみたちに紹介され、先輩プリキュアの仲間であり、より実践に近い武術を習得している菖に稽古をつけてもらいに来ていた。

なお、稽古は日数を重ねるごとに厳しくなっていき、徐々に手加減されなくなっていったことは言うまでもない。

 

「がぁっ!!」

「……ふぅ~……どうした?この程度か?」

「……くっ……あぅ……」

「その顔はなんだ!その目はなんだ!その涙はなんだ!!お前の涙でファントムを倒せるのか!姉を救えるのか!!」

「ま、まだ……まだやれ、ま……」

 

 咤され、立ち上がろうとしたいおなだったが、力尽き、倒れこんでしまった。

そんないおなを、無理やり起こすことはなく、菖は抱き上げ、縁側に寝かせた。

気を失い、目を閉じているいおなに、タオルをかけてやり、縁側に腰掛けて天井を仰ぎながらため息をついた。

 

――ちょっとやりすぎたかな……

 

眠っているいおなを見やりながら、菖は少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。

だが、これいくらいしなければおそらくファントムには勝てない。

聞いた限りの話ではあるが、いおなたちハピネスチャージ組は一度、ファントムと交戦している。

その時は、ファントムをあと一歩のところまで追い詰めることができたのだが、幻影帝国の首魁、クィーンミラージュが出現し、その圧倒的威圧感に戦うことすらできなかった。

 

いおなたちにプリキュアになる力を与えた「地球の神」を名乗る青年、ブルーの力でどうにか脱出はできたらしいが、それはあくまで幸運が招き寄せた結果に過ぎない。

二度目も、そうなるとは限らない。

だからこそ、力を身につけるべきということはわかっている。そして、そのために多少の無茶も必要になるということも。

 

――まぁ、ここまでできるようにこれからちょっと手加減すればいいかな

 

と、今後の稽古の方針を考えていたその時だった。

ざわり、と菖の背に冷たいものが走った。

 

――なん……だ?まるでダークプリキュアと出会った時のような、この嫌な気配は……

 

もしこの場にココやナッツ、シロップやシプレたち妖精がいたら、何か出た、と言っているのではないだろうか。

そんなのんきなことを考えながら、菖は周囲に気を配った。

見鬼、見えざるものを見る目を持つからこそ、気配には少し敏感だ。

もちろん、そこまで精度が高いわけではないから、だいたいの方角しかわからないが、これだけ強い気配を感じさせる存在だ。

少なくとも、コロンは何かしらの反応を示すはず。

そうなれば必然的に、ゆりが戦闘を行うことになる。

 

つまり、轟音が響いている場所が、この気配の主がいる場所ということになる。

そして、菖のその予想は的中した。

突如、ドーンっ、という空気を揺さぶる爆音が響き渡った。

 

「な、なんですか??!!」

「わからない、けど……行くぞ、いおな!!」

「は、はい!!」

 

爆音で目を覚ましたのか、いおなが菖に問いかけたが、菖はとにかく現場に向かうことを告げた。

いおなも変身アイテムを手に持ち、それに続いた。

 

------------

 

時計を少し巻き戻し、場所は希望ヶ花市の植物園の温室。

今日も今日とて、ゆりとつぼみは二人でお茶会をしていた。

えりかはなにやらインスピレーションが湧いてきたらしく、自室で服のデザインを描きまとめており、いつきはいつも通り、明堂院流の稽古でこの場にはいなかった。

そのため、ここにいるのはゆりとつぼみ、そして二人のパートナー妖精たちだけだった。

 

「そういえば、今日、いおなが来てるんですよね?」

「えぇ。まっすぐ菖のところへ向かったみたいだけれど」

 

いおなが菖のもとへ向かう理由は知っているし、理解できるため、ゆりは特に何も思うことはない。

思うことはないのだが、それでもやはり嫉妬めいたものは感じていた。

それはつぼみも同じこと。

なにしろ、いおなは週に一度、必ず菖のもとで修行している。

本来、泉地流の当主である仁頼が監督するべきなのだが、泉地流は他流試合を好まないし、滅多に外から弟子を取ることはない。

 

そのため、流派に関係なく、友人同士の技術交流という名目であれば、自分が感知するところではない、と仁頼が話していたため、菖が監督することになったのだ。

監督といっても、本当に模擬戦しかやっていないらしく、時々、ゆりやつぼみも呼ばれて一緒に稽古をしている。

が、二人きりになる機会がめっきり減ってしまい、ゆりにしてもつぼみにしても、もう少し菖に甲斐性があればいいのに、と思うことがないわけではない。

もっとも、そこがいいのだけれど、と思ってしまうあたり、惚れた弱み、というやつなのだろうか。

そんなことを考えながら、薫子特製のダージリンを堪能していると、突然、コロンとシプレの耳がひくり、と動き、背後にいたコッペも歯をむき出しにして何かを威嚇していた。

 

「コロン?」

「シプレ?」

「ゆり、幻影帝国の気配だ」

「それも、いままで戦ってきた誰よりも強力な力を感じるですぅ!」

 

シプレのその言葉に、ゆりとつぼみは迷うことなくココロパフュームとココロポットを手に取り、温室の外へ出た。

外へ出ると、一人の口元が隠れるほど長い襟がある白コートを着た赤毛の青年が立っていた。

だが、彼がただ者ではないことは一目見れば見ればわかった。

それは素人に毛が生えた程度のつぼみでもわかるほどだった。

そして、それほどの実力を持つ敵は、一人しか心当たりがなかった。

 

「ゆ、ゆりさん」

「えぇ、おそらく彼がいおなの言っていた……」

 

ゆりとつぼみはいおなの話を思い出し、身構えた。

一方の青年は、二人が手にしている変身アイテムを見た瞬間、目元をさらに険しくし、一言だけ呟いた。

 

「……プリキュア……」

「つぼみ、変身よ!コロン、お願い!!」

「はい!!シプレ、お願いします!!」

「わかった!」

「はいですぅ!」

 

ゆりの呼びかけに応じ、つぼみはココロパフュームを構え、パートナー妖精に呼びかけた。

その瞬間、二人の服は薄紫と桃色のワンピースへと変わった。

 

「「プリキュアの種!いくですぅ/いくぞ!!」」

「「プリキュア!オープンマハート!!」」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

 

変身を終えたブロッサムとムーンライトは、パートナー妖精を下がらせ、身構えた。

同時に、赤毛の青年は腰に差していたダガーを引き抜き、二人に襲いかかってきた。




後半へ~続く!(某ナレーター風


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対決!「プリキュアハンター」ファントム!!(後)

二日連続投稿~
理由は特にない
強いて言うなら、今日、テウチライブさんが地方で野外ライブやるから?
詳しくは活動報告を見てくださいな

まぁ、それはいい

ぶっちゃけ、戦闘描写は適当
時期的には「ハピネスチャージプリキュア!」本編27話終了後くらいです

では、本編どうぞ


突如現れた"プリキュアハンター"ファントムを前に、つぼみとゆりは変身し、戦うことを選んだ。

いおなから何度か聞いていた話では、ファントムはこれまで何人ものプリキュアを倒し、どこかへ連れ去っているのだという。

おそらく、集中的に侵攻しているぴかりが丘以外の場所にも、プリキュアがいることを、幻影帝国の幹部たちから聞いたのだろう。

そして、三人を退けたことに興味を抱いたのか、それとも単にプリキュアがいるからなのか、こうして希望ヶ花市にまでやってきた。

 

自分たちがプリキュアであることを知った瞬間、向けてきた殺気の強さから、自分たちに対する憎しみがそうとうなものであることは、二人にはかんたんにりかいできた。

話し合いができる雰囲気ではないのならば、戦う以外の選択肢はない。

だが、戦いの中でも、二人はどうにか退却してもらうことはできないか、語り掛け続けた。

 

「なぜあなたはそこまでプリキュアを憎むの?!」

「あなたが抱えている事情を、少しが説明してください!!」

「くどい!!」

 

だが、いくら語り掛けても、ファントムは聞く耳持たぬとばかりに二人に攻撃を仕掛けてきた。

当然、やられっぱなしでいるわけにはいかない二人は反撃した。

が、手にしている剣や左手に装着されている赤い楯に阻まれ、決定打を与えることが出来ず、消耗を強いられた。

 

「……はぁ……はぁ……」

「……くっ……っ!」

「……なるほど。あの三人が手こずるはずだ。お前たちはそうとう実力がある。少なくとも、ぴかりが丘の『ハピネスチャージプリキュア』よりも強い」

 

冷ややかな瞳のまま、汗をかくどころか、息を切らせることもなく、ファントムはそう口にした。

 

「だが、それもここまでだ。俺の全身全霊を以って、お前たちを倒させてもらう!!」

「そうは……いきません!」

「負けるつもりは、わたしたちもないわよ!!」

 

ムーンライトとブロッサムはタクトを構え、ファントムは剣を構え直した。

再び、ファントムが地面を蹴って接近してくると、ムーンライトとブロッサムは自分たちのタクトに心の花の力を集めた。

 

「「集まれ!二つの花の力よ!!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

 

フォルテッシモの記号を描き、二人の体はそれぞれの心の花の力に包まれ、光となってファントムへ向かっていった。

向かってきたムーンライトとブロッサムにを、ファントムは剣で迎え撃った。

フォルテッシモとファントムの剣が数度、火花を散らしながらぶつかり合った。

が、何度目かのぶつかり合いで、ファントムが大きくよろめくと、その隙をついてムーンライトとブロッサムは上空へと昇り、流星のようにファントムへと向かっていった。

これで決める。そう思っていた二人だったのだが。

 

「……見えた」

 

ファントムがそうつぶやくと同時に、二度、手にした剣を閃かせた。

そこから数秒遅れて、フォルテッシモの光が消えた。同時に、ファントムの背後にムーンライトとブロッサムの倒れ伏した姿が現れた。

変身したときのコスチュームではなく、淡い光のワンピースをまとった姿で。

 

「……くっ……」

「……うぅっ……」

 

倒れた二人は、苦痛に耐えるように呻いていた。

ファントムが放った先ほどの剣閃は、的確に二人を捉え、ダメージを与えていたようだ。

 

「確かに手ごわかったな。だが、これで終わりだ……ミラージュ様の安寧のため、お前たちも絶望の世界へ誘おう」

 

すでに戦闘不能状態の二人に、冷たく宣言し、ファントムが手をかざした瞬間。

いくつもの光がファントムに向かって飛んできた。

だが、ファントムは慌てることなく、二人にかざしていた手をその光の方へ向け、手のひらから赤黒い光を出して飛んできた光をすべて防いでしまった。

 

「なにも……」

「あたしの親友と先輩に、なにしてくれちゃってんのーーーーっ!!」

 

何者だ、と問おうとしたその時、怒号とともに水色の影が、マリンが飛びかかってきた。

マリンはムーンライトとブロッサムが手ひどくやられたことへの怒りに任せて、ファントムにラッシュをしかけていたが、すべて紙一重で回避された。

だが、この場に駆け付けたのはマリンだけではない。

 

「サンシャイン・フラッシュ!!」

 

その声が聞こえたと同時に、ファントムの背後から無数の光の花が襲いかかってきた。

とっさに、ファントムは楯が取り付けられた左腕をかざして光の花を防ぎ、マリンの拳を剣の柄頭でたたき落とした。

 

「増援か……たった二人で何ができる?」

「あたしたちは、確かに二人だよ」

「けど!わたしたちは二人だけど二人じゃない!!」

「仲間の絆、か?くだらん!!」

 

二人の言葉を、くだらん、と一蹴し、ファントムはマリンに手をかざし、衝撃波をたたきつけ、吹き飛ばした。

 

「むきゃっ??!!」

「マリン!!」

「他人の心配をしている余裕があると思うか?」

 

衝撃波の威力がかなり強かったのか、変身を解除されながら吹き飛ばされたマリンを気遣うサンシャインに、ファントムは一瞬で間合いを詰め、剣を振るった。

サンシャインはその一撃をすんでのところで回避し、反撃しようとしたが、ファントムはさらに手数を増やし、反撃する隙を与えてくれなかった。

ファントムの猛攻に、サンシャインも耐えることができなくなり、ついに吹き飛ばされ、マリン同様、変身を矯正解除させられてしまった。

 

「ハートキャッチプリキュア、だったか……確かに強いが、それもここまでだ」

 

力尽き、倒れたハートキャッチ組に向かって、ファントムは手をかざした。

何を仕掛けてくるかはわからないが、いずれにしてもこのままでは危険であることは、全員わかっていた。

変身できない状況ではあるが、せめて、一人だけでも逃がさなくては、そう思った瞬間だった。

 

「セイバーショット!!」

「フォーチュン・コメットアロー!!」

 

二つの光が、ファントムに向かって襲いかかってきた。

突然の襲撃に、ファントムはかざしていた腕で顔をかばいながら、後ろへ飛び退いた。

ファントムが元々立っていた場所に、二つの光が着弾し、土煙を巻き起こした。

煙が晴れた瞬間を狙い、襲撃者に攻撃を仕掛けるようと、ファントムは剣を構えた。

そして、煙が薄くなった次の瞬間。

 

早咲きの大地(ハクディム・ガリア)!!」

 

古代語を叫びながら飛び出してきたのは、巨大な手甲をまとい、接近戦に特化した状態のセイバーだった。

セイバーはファントムに飛び掛かると、怒り狂ったかのように拳を連続で突き出してきた。

今まで同様、左腕の楯で受け止めたファントムだったが、その顔は驚愕と焦りに満ちた。

 

重い。余りにも重すぎる。

拳の速さこそプリキュアのものとは少々劣るが、その重さは今まで戦ってきたどのプリキュアよりも強く、重いものだった。

 

――もう一人、プリキュア以外の戦士がいることは知っていたが、報告では使っていたのは剣と弓だったはず……あの三人組、隠していたというのか?!

 

ファントムは報告を怠っていた三人の幹部に苛立ちを覚えたが、それはまったくの八つ当たりである。

確かに、三人の幹部はセイバーが剣と弓を使う姿は目にしている。だが、逆を言えば目にした姿はその二つだけだ。

他の武器を使わないという道理はないし、むしろその可能性を考慮しなかったファントムに落ち度がある。

そして、考慮しなかったがゆえに動揺が生まれ、その動揺が隙となって表れた。

 

防戦一方だったファントムが、どうにか攻勢に出ようと切り付けてきた。

が、いまセイバーが使っているものは手甲。武器であり、防具でもある武具であることを忘れいていた。

ガチンッ、という音が響いたかと思うと、剣をはじき返され、ファントムは大きくのけぞった。

 

「しまっ……」

「ユグドフォルテウェーブ!!」

 

のけぞったファントムに向かって、セイバーは心の花の力をまとった拳を突き出した。

光は衝撃波となり、拳の威力も重なってファントムの体を貫いた。

 

「……がっ……はっ……」

「まだだ……獅子戦吼!!」

 

轟、とまるでライオンが吼えるような音とともに、今度は心の花の力とは違う、青白い光がファントムの体を貫いた。

さらに続けて。

 

「フォーチュンスターバースト!!」

 

上空からいおなの、キュアフォーチュンの声が響き、淡い紫色の光がファントムに向かって落ちてきた。

普段ならば回避することは容易いのだろうが、セイバーから受けたダメージが効いているためか、その光を回避することができなかった。

辛うじて、防御には成功したが、それでもセイバーから受けたダメージがあるためか、肩で息をしながら立っていた。

 

だが、ファントムの視界には二人の姿がなかった。

いったいどこへ行ったのか。

周囲を見回しながら、攻撃してきた二人の姿を探していると、自分が倒した四人のプリキュアのもとに駆けつけ、介抱している二人の姿があった。

 

「ゆり、つぼみ!!大丈夫か?!」

「えりか、いつき、大丈夫?!」

 

二人は倒れている四人に声をかけたが、まったく答えなかった。

まさか、と思い、セイバーはムーンライトとブロッサムの手首に指をあてた。

幸い、脈はしっかりと感じ取ることができたので、気を失っているだけということがわかり、セイバーは安どのため息をついた。

 

同時に、ふつふつと心の奥底から熱いものが湧き上がってきた。

はらわたが煮えくり返るような不快感と、耳の奥でどくどくと聞こえてくる心臓の音に、湧き上がってきた何かが怒りの感情だということを理解するまで、さほど時間はかからなかった。

四人をパートナー妖精たちに任せると、セイバーとフォーチュンはほぼ同時に立ち、ファントムに視線を向け、わきあがってきた感情をぶつけた。

 

「ファントム!今日こそあなたを倒して、キュアテンダーを……お姉ちゃんを返してもらうわ!!」

「よくも俺の大切な仲間を痛めつけてくれたな……落とし前、つけてもらうぞ」

 

大切な姉を奪われたフォーチュンと、大切な幼馴染と思いを寄せてくれている後輩を傷つけられたセイバー。

二人の怒りは、もはや天元突破を迎えていた。

このまま一気に、と思ったその矢先だった。

突然、上空に無数の鏡が出現し、鏡面から赤黒い光が槍となってセイバーとフォーチュンの前に突き刺さった。

 

『ファントム、今は退きなさい』

「クィーンミラージュ様!しかし!!」

『退きなさい。それとも、わたしの命令が聞けないというの?』

 

虚空から響いてきた少女の声に、ファントムは反論したが、少女はさらに冷たい声で命令した。

反論したい気持ちはあったが、それを抑え込むようにして、ファントムは命令に従い、その場から姿を消した。




次回はエピローグ

目覚めたゆりとつぼみに、菖がかける言葉は?!
そしてファントムはセイバーと再戦を望むのか?!

待て次回!


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再戦の誓い

今回は少し短め
唐突に恋心を自覚させる描写入れるのってやっぱり少しむずいっすわぁ(白目
あ、あとがきはありませんのでご了承ください


ファントムとの戦闘で負傷したつぼみたちを温室へと運んだ菖といおなは、四人を手当てしていた。

いおなはふと、菖の横顔を見た瞬間、背筋が凍りつくような感覚を覚えた。

顔にこそ出ていないが、菖からは殺気にも似た鋭い気迫を感じ取ることができ、相当怒っている、ということを理解できた。

 

「……あ、あの……菖、さん」

「大丈夫だ……当たり散らすようなことはしないさ」

 

どうやら、菖も自分の状態を把握しているらしく、必死に怒りを抑えているようだ。

それだけ四人が、ゆりが傷つけられたことに苛立っている。

 

――やっぱり、菖さんはゆりさんのことが……

 

その姿を見て、いおなはどこか寂しそうな表情を浮かべていた。

いおなにとって菖は、流派は違えど稽古に付き合ってくれる人であり、ゆり同様、自分たちを見守ってくれる存在だ。

だが、稽古に付き合ってくれている時間もそうだが、休憩中や世間話をしている間も、いおなの心はぽかぽかとしたものに包まれているような感覚がしていた。

 

――もしかして、わたし……菖さんのこと……

 

そう思って、それ以上考えるのをやめた。

これ以上、このことを考えても仕方がないことだし、何より、自分はゆりには敵わないということは自覚している。

まりあほどではないとはいえ、ゆりが素敵な女性であることは、短い付き合いだがいおなも知っている。

そして、そんな女性と菖が幼馴染であり、互いに想いあっていることも。

 

だからわかっている。

 

――勝てるわけ、ないわよ……復讐にとらわれて周りを見ることすらできなかったわたしが

 

菖とゆりの間に、自分が割って入ることが出来る隙間がないことも。

復讐心で変身した自分に、菖を愛する資格がないことも。

けれども。

 

――だからって諦めたくない

 

確かに恋敵(ライバル)は多いし、手ごわい。

だが、あきらめるつもりはないし、ここで身を引くのはカッコ悪い。

まりあだったら、たとえ玉砕するとわかっている勝負でも、万に一つの勝ち目がなくても、身を引くことはないはずだ。

それこそ、響ではないが、ここで身を引いたら女が廃るというものだ。

 

――負けない!ファントムにも、恋にも!!

 

密かに決意しながら、いおなはえりかといつきの手当を再開するのだった。

 

------------

 

一方、菖はつぼみとゆりの手当をしながら、心の奥底でくすぶっている、憎しみと怒りのどす黒い感情の炎を鎮めていた。

憎しみではなく、愛で戦う戦士にとって、その感情は抱くべきではないのだろうが、今回ばかりは無理からぬことだ。

大切な幼馴染と後輩たちを傷つけられて、それらの感情を抱かずにいられるわけがない。

むしろ、感情に任せて当たり散らしたりしないことを評価してもらいたいほどだ。

だが、菖とて一人の人間だ。大切な人たちを傷つけられて、怒りや憎しみを抱くことがないということはなかった。

 

――本当なら、こんなこと思っちゃいけないんだろうけど……あいつをフルボッコにしないと気が済まない……

 

本来なら、こんなことを考えることはない。

菖の本来の性質は平和主義で温厚なものだ。

自分から波風立てるようなことはしないし、よほどのことがない限り戦いに身を投じることも、争いを興そうとも思わない。

そもそも、大樹の騎士として戦うことにしたのは、ゆりが心配だったから、という理由が大きいのだ。

仮にゆりがキュアムーンライトにならなければ、菖も大樹の騎士として戦うことはなかっただろう。

 

それだけ、菖にとって月影ゆりという少女が大切ということだ。

その大切な人を傷つけられて、ただのほほんとしていられるほど、菖も大人ではないし、聖人君子でもない。

 

――"プリキュアハンター"ファントム……次に会ったら容赦しない

 

静かな、しかし確かな怒りを込めて、菖はこの場にはいない襲撃者に宣言した。

だが、この時の菖はまだ知らなかった。

ファントムと再び戦う日が間近に迫っていることも、苦戦を強いられるということも。

そして、その予兆の片鱗すら知ることもなく、ファントムとの再戦の時は、すぐそこまでせまっていた。

 

そんなことを考えていると。

 

「……ん……」

「……こ、こは……?」

「目が覚めたか?二人とも」

 

ゆりとつぼみの声が聞こえ、声をかけてみた。

菖の声に、ゆりとつぼみは横になったまま菖のほうへ顔を向け、まるで菖を安心させるかのように笑みを浮かべた。

 

「……どうしたの?菖??」

「なんだか、菖さんの顔、少し怖いです……」

 

どうやら、感情を抑えることはできていたが、表情には出ていたらしい。

二人の問いかけに、なんでもない、と返した菖は、立ち上がり、タオルを濡らしてくる、と言って、その場を去っていった。



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穏やかなひと時~遊びに来た乙女たち~

タイトルでお察しの通り、ラヴァーズが菖の家に全員集合します
ハーレムメンバーはこの五人でほぼ確定です
かれんとかみなみも当初は入れたかったけど、良家のお嬢様ってなるとこういうの、けっこう難しいのよね(かれんに至っては兄弟もいないから跡目争いとかありそうだし)
そんなこと気にするあたり、頭固いのかもしれないけども、大事なので反映させます

まぁ、それは置いておくとして、本編どうぞ


夏休みも折り返し地点を迎えたある日。

菖はゆりとともに泉地流の稽古場で組み手をしていた。

普段はこの場に入るのは菖一人なのだが、ゆりが体を動かしたいと頼んできたため、こうして、変身することなく模擬戦を行うことにしたのだ。

 

互いの体も温まり、そろそろ本格的に始めようとしたその時だった。

突然、仁頼が四人ほど引き連れて稽古場にやってきた。

 

「菖。お前にお客さんだ」

「俺に客?……って、つぼみたちか。いらっしゃい」

 

仁頼の背後に視線を向けると、そこにはつぼみのほかに、ひかりと舞、いおなの三人がいた。

 

「こんにちは、菖さん、ゆりさん」

「き、来ちゃいました」

「「こんにちは」」

 

四人が四人、それぞれに菖とゆりに挨拶すると仁頼は静かにその場から立ち去って行った。

そのすれ違いざま、仁頼にお礼を言うと、四人は稽古場へと入ってきた。

すでに何度か入ったことがあるつぼみといおなは驚くことはなかったが、今回が初めての訪問となるひかりと舞はイメージと全く異なるその空間にぽかんとしていた。

 

「で、どうしたんだ?急に」

 

菖は何の気なしに四人に問いかけた。

つぼみとゆりについては、最近、定期的に遊びに来ることがあるし、いおなは月に一度か二度、出稽古と称して単身でやってくることが多いため珍しくもないのだが、ひかりと舞が希望ヶ花市に来ることはたしかに珍しいことだった。

 

「ぐ、偶然、出かけたらひかりさんと会いまして……」

「はい。そしたらいおなさんにも会いまして……」

「菖さんの所に行くって言ったら、二人ともついてきたんです」

「そうか……すまないけど、少し待ってくれないか?」

 

申し訳なさそうに菖が謝罪したのもつかの間。

その顔はすぐに研ぎ澄まされた刃のような鋭さと冷たさをまとった。

その視線の先には、正座して目を閉じ、瞑想しているゆりの姿があった。

 

「いま、ゆりと組み手の真っ最中なんだ」

「は、はい」

「それじゃ、ゆりさんとの組み手が終わったら今度はわたしと組み手をしてください!」

「……休憩挟んでから、ね?」

 

いおなからのお願いを、菖は苦笑まじりに了承すると、いおなは嬉しそうに笑みを浮かべ、少しばかりあわただしく更衣室へと向かっていった。

取り残されたひかりと舞は、どうしたものかとおろおろしていたが、つぼみに呼びかけられ、台所へとむかった。

その背中を見送り、菖は再びゆりと向き合った。

 

「ごめん、待たせた」

「いえ、かまわないわよ……ほんと、あなたって人気者ね?気づいているんでしょ??」

「……」

 

ゆりの問いかけに、菖はどう答えたものか、と困ったような笑みを浮かべた。

実のところ、菖は自分が何人かのプリキュアたちから、もっと具体的に言えば、今この場に遊びに来ている後輩たち全員と、目の前にいるゆりから好意を寄せられていることに気付ている。

だが、自分の趣味が遺跡探検であり、行きたいという衝動に駆られて世界中のあちこちへふらっと旅に出てしまうため、特別な関係になって寂しい思いをさせたくないと思っているため、気づかないふりを続けていた。

 

「あなたの好きなことは、わたしたちだって知っているし、衝動はどうしようもないこともわかってるわ。だから、そろそろ一歩を踏み出してもいいんじゃない?」

「……そうだな」

 

幼馴染からの手厳しい一言に、菖は苦笑を浮かべながらうなずくのだった。

 

------------------------

 

そのころ、ひかりと舞はつぼみに連れられて春川家の台所にいた。

時間も時間であったことと、地稽古でくたくたになって帰ってくるであろうことは目に見えていたため、疲労回復に効果のある昼食を作っているところだった。

ちなみにメニューは豚肉の冷しゃぶとしめじの炊き込みご飯としじみの味噌汁だ。

どれも疲労回復効果が高い食材を使っているあたり、つぼみたちの気遣いを伺うことが出来る。

 

「つぼみちゃん、こっちは完成したよ」

「こちらも大丈夫です!」

「炊き込みご飯もあとは炊き上がるのを待つだけですし、それじゃ、三人に何か飲み物を作りましょうか」

 

菖との付き合いが長いからなのか、それとも最近になってお姉さんになったことでつぼみが成長したからなのか、あるいは、勝手知ったる想い人の家の台所だからなのか。

いずれにしても、なぜかつぼみがこの場のリーダーとなっていた。

 

「レモンとはちみつがありますから、レモネードを作りましょうか」

「あ、それいいですね!」

 

レモンとはちみつといえば、飲み物の組み合わせとしても定番であることはもちろんのこと、運動後のクエン酸と糖分補給のために使用される食材でもあるため、迷わず起用した。

 

「それにしても、つぼみさん、なんだか手慣れてますね」

「そうね。もしかして、毎日お料理してるとか?」

「えぇ。ふたばが生まれてから、わたしもちょくちょくお料理するようになったんです」

 

ちなみに、その指導員となってくれているのは主に薫子なのだが、菖とゆりも協力してくれている。

菖に至っては、ゆりや仲のいい先輩である君尋や小狼、さくらも交えて一緒に料理を作ったりすることが多い。

が、つぼみはその事実を口にはしなかった。

ひかりと舞が自分とゆりを最大の恋敵として見ていることは知っている。かといって、同じプリキュアなのだから、できれば仲良くしたい、という気持ちのほうが強いのだ。

臆病ともとれるが、元来、つぼみは争い事が大嫌いな性格をしているため、つぼみらしいといえばつぼみらしい選択である。

根っこが純粋な二人は、そのことに気付くことなく、つぼみと一緒にレモンを絞ったり氷を砕いたりはちみつをお湯に溶かしたりして、はちみつレモネードを作るのだった。

 

そして、レモネードが完成したころには、少しぼろぼろになった菖とゆりが、二人よりももっとボロボロな状態になっているいおなに肩を貸しながら台所へやってくるのだった。




あとがき代わりのその後の話

~いおなとゆり、浴槽にて~
いおな「う~……また勝てなかったです……」
ゆり「うふふ。けど、だいぶ腕を上げたじゃない?」
いおな「そうでしょうか……お姉ちゃんにはまだまだ遠い気がしますが」
ゆり「まりあさん、だったわね?もし戻ってきて回復したら手合わせ願おうかしら?」
いおな「たぶん、ゆりさんと菖さん二人がかりでも苦戦すると思います」
ゆり「あら。そんなに?」
いおな「はいっ!だってお姉ちゃんは最強のプリキュアですから!!」
ゆり「……最強はなぎさとほのかの二人じゃないかしら?」

~食卓にて~
菖、ゆり、いおな「「「うまい/美味しい……」」」
つぼみ「ありがとうございます!」
舞「三人で頑張った甲斐がありました」
ひかり「はい!」
菖「そっか。ありがとう、三人とも」
つぼみ、舞、ひかり「「「い、いえ!お礼を言われるまでのことじゃありません!!」」」(/// ///
ゆり「あらあら♪」


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再戦、ユグドセイバーvsプリキュアハンター!~1、ファントムの叫び~

タイトルの通り、ファントムとのタイマンです
3話くらいを予定していますが、もしかしたらもう少し伸びるかも?
どのみち、ムーンライトたちは出てきませんので悪しからず


ファントムの襲撃から数日。

つぼみたちの傷は完全に回復し、いつもの日常が戻ってきた。

が、変化がなかったわけではない。

 

つぼみたちはあの日を境に、もっと強くならなければならない、と感じるようになっていた。

特に、菖はつぼみとゆりを傷つけられたことに対し、ファントムに強い怒りを覚えると同時に、自分の不甲斐なさに苛立ちを覚えるようになっていた。

そのためだろうか、いつも以上に泉地流の技を磨くようになり、ゆりや明とも地稽古という名の実戦もどきを明堂院流の道場で行うようになっていた。

 

そんな、小さな変化が起きてから数日。

希望ヶ花市を、再び薄暗い気配が包み込んだ。

同時に、泉地流の稽古場に自生している、周囲の草花がざわつき始めた。

稽古場で一人、稽古に励んでいた菖はその気配を感じ取り、誰が来たのか、確信した。

 

――来たか、ファントム!

 

菖は稽古着のまま、気配がより強い方向へ、植物たちのざわつきが強い方へと駆けだした。

稽古場のすぐ近くにある森を抜けて、希望ヶ花神社の境内に出た。

すると、鳥居から拝殿へと向かう参道の中央に、赤い髪をした白いコートの青年がたたずんでいた。

 

「……貴様か、もう一人の戦士」

「また会えるとはな……決着をつけよう、ファントム!!」

「望むところ!!」

 

菖のその挑発に、ファントムは腰に差した剣を引き抜き、飛び掛かってきた。

振り下ろされた剣を回避し、その顔にむかって足をけり上げた。

ファントムは腕につけたプロテクターでその足を受け止め、払い除け、再び剣を振り下ろした。

だが、菖は振り下ろされた剣を持つ手首をつかみ、ファントムを地面に向けて引っ張った。

 

「くっ!!」

 

ファントムは体をひねり、足から着地し、どうにか倒れることを防いだ。

菖はファントムが着地すると同時に間合いを取るため、その場から離れ、左手を握りしめ、胸の前にかざした。

その瞬間、左手の甲にユグドセイバーの紋章が浮かびあがり、稽古着が光った。

光がおさまると、そこには不思議な文様が描かれた白いマントをまとった騎士の姿があった。

 

「変身していないというのにこの技量か……やはりプリキュアよりも強い!」

「あんたも相当だけどな……だが、わからないな」

「何がだ?」

「あんた、人間じゃなくて妖精だよな?なぜ幻影帝国に手を貸す?それとも、あんたが黒幕なのか?」

 

菖は普通の人間にはないものがある。

それが、見鬼、と呼ばれる特殊な視力とそれに付随する直感だ。

先日、ファントムと最初に出会ったときは頭に血が上っていたためわからなかったが、多少、冷静になった今の状態で彼を見た時、菖は違和感を覚えた。

 

後輩で妹分の一人でもあり、今を時めくアイドルの一人、剣崎真琴の義理の兄、剣崎一真や、先代セイバーと最初に『砂漠の使徒』と戦ったプリキュア、キュアアンジェにとって因縁の相手であるサラマンダー男爵と似たような気配だ。

ついでに言えば、のぞみたちが通うサンクルミエール学園に籍を置いている非常勤講師である小々田コージと、アクセサリーショップ、ナッツハウスのイケメン店主、夏。のぞみたちの同級生で小々田と夏になにやら縁がある美々野くるみの三人とも似たような気配だ。

 

そんな気配を漂わせる人間は総じて、妖精か人外が化けている姿であることがほとんどだ。

だからこそ、経験則から妖精か、あるいは幻影帝国を陰から操っている存在であると考えるに至ったのだ。

そして、菖のその直感は正しいことを、ファントム自身が証明してくれた。

感情が一切見えないその顔に、明らかに怒りの表情が浮かんだのだ。

 

「……貴様……言うに事を欠いて、俺が、黒幕、だと?」

「あぁ」

「この俺が、ミラージュ様に忠誠を誓うこの俺が、黒幕だというのか?!本当の黒幕はミラージュ様の愛を受け入れず、捨て去り、さらには封印した地球の神ブルーではないか!!」

 

その叫びに、セイバーはひくり、と眉を動かした。

ブルーのことは、いおなとグラサンから聞いているので、多少のことは知っている。

ただ、セイバーの中での印象はただの胡散臭い残念なイケメンというだけにとどまっていた。

それもそのはず。

さきほども話したが、セイバーは普通の人間には見えないものを捉える視力がある。

少なくとも、本物の神に出会ったことはないが、正月の時期や例大祭の時期に神社を見ると何か強い力をもつものがいることを感じ取ってきた。

 

その才覚ゆえに、ブルーが神を名乗る割に力が小さいことは気にかかっていた。

むろん、力が小さい神も存在しているのだが、仮にそうであっても、菖以外にも見えているということは受肉しているということであり、その時点で「神」としての力の大部分がそがれてしまうため、彼を「神」としてみることができなくなっていた。

そこにきて、今度は「本当の黒幕」とファントムに言わせるほどのことをした、という過去があることが発覚したのだ。

もっと言えば、クイーンミラージュとブルーの間には並々ならぬ因縁があるということでもある。

 

――こりゃ、あとでいおなにブルーから聞いてみてくれって頼みようだな

 

そう考えはしたものの、今は目の前にいるこの男を叩きのめすことに意識を切り替えた。

が、同時に気付いた。

ファントムの様子が、どこかおかしいということに。

 

「……まだ未完成だが、ちょうどいい……貴様で試してやろう……ミラージュ様からいただいた、新たな力を!!」

 

ファントムがそう叫んだ瞬間、ファントムの足元から赤黒い光の柱が立ち上り、天を貫いた。

その光がおさまると、ファントムの姿はそこにはなかった。

かわりにあったのは、赤いシャツに黄色い文様が描かれた黒いマントを羽織った、自分(ユグドセイバー)の姿だった。




To be continued……


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再戦、ユグドセイバーvsプリキュアハンター!~2、ファントムの隠された能力~

タイトルの通り、今回はファントムの権能の一部が発揮されます
とはいえ、原作よりも少し改造されているかもですが
なお、次回で決着の予定です


「貴様の相手は、貴様自身だ!ユグドセイバー!!」

「コピー能力か?……さすが、鏡の力を使うだけはある」

 

ファントムが化けた姿に、目の前に現れたもう一人の自分に、末恐ろしいものを感じながら、セイバーはエターナルハートを構えた。

同じようにファントムもエターナルハート、と呼ぶにはあまりにも禍々しい、赤い光を反射している剣を引き抜き、構えた。

 

「その武器だけは変身前と変わらないんだな」

「これが俺の愛刀だからな。お前と俺、どちらが本物か、試そうじゃないか」

生命(いのち)あるものに本物も偽物もない」

 

ファントムの言葉にぴしゃりと言い返し、セイバーは心の花の光をエターナルハートに宿した。

挑発のつもりだったのだろうが、冷静に言い返されたことであてが外れたのか、ファントムは舌打ちをした。

だが、意外にも先に仕掛けてきたのはセイバーの方だった。

 

「なっ?!」

「ただでさえお前には腹立ってんのに、俺の恰好されたら余計に腹立った」

 

普段のセイバーであればあり得ない、冷たい声でそう言い放ち、剣ではなく、蹴りでファントムを攻撃してきた。

鋭い蹴りがファントムの腹に向かっていったが、間一髪、腕でガードしたため、内臓に直接ダメージが入ることはなかった。

だが、それでも衝撃は強く、少しばかり吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐぅっ!!」

「まだまだ!!」

 

間髪入れず、今度は首筋にエターナルハートが振り下ろされた。

だが、ファントムは振り下ろされる腕をつかみ、背負い投げの要領でセイバーを投げ飛ばした。

そのまま地面に倒れてくれれば楽なのだが、とファントムは思っていたが、同時にそう簡単に思うようにはいかないということもわかっていた。

セイバーは空中で体をひねって着地し、エターナルハートを振るった。

 

「セイバーショット!!」

「ちぃっ!!」

 

振るわれたエターナルハートの軌跡に沿うように、心の花の光が三日月の刃となって飛んできた。

その刃を受け止め、はじき飛ばしたファントムは赤黒い光を全身にまとわせ、セイバーに突進してきた。

突進と同時に振り下ろされた剣を回避し、ファントムの背後に回り込むと、セイバーは手のひらに心の花の力を集め、ファントムの背に触れた。

 

「セイバーインパクト!!」

「がはぁっ?!」

 

心の花の力が衝撃波となり、ファントムの背中に強い衝撃を与えた。

そのダメージに、ファントムは肺に残った空気を悲鳴とともに吐き出し、恨めしそうにセイバーに視線を向けた。

その視線の先には。

 

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

澄んだ水のように青く輝く弓を手にし、矢のように細く束ねられた心の花の光を番えたセイバーの姿があった。

その姿を確認した次の瞬間、ファントムに向かって大量の光の矢が襲いかかってきた。

さすがに、今の姿では(・・・・・)それらすべてに対処することはできない。

そう判断したファントムは、自分がセイバーの姿だけを写し取ったわけではないことを証明するかのように、高らかに祝詞を唱えた。

 

早咲きの大地(ハクディム・ガリア)!!」

「なにっ?!」

 

さすがにセイバーは驚愕の声を上げた。

目の前に現れたのは、色合いこそ違うが確かにファントムが装備しているものは、エターナルハートが変化する武器の一つ、巨大な手甲だった。

放たれた矢を、手甲で弾き飛ばしたファントムは地面を蹴って距離を詰め、その拳を振り上げてきた。

だが。

 

約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!!」

 

セイバーは再び祝詞を唱え、弓となっていたエターナルハートを数本の翡翠に輝くナイフへと変化させ、宙に舞った。

回避されたファントムの拳は、地面に向かって振り下ろされ、小規模ながらクレーターを作り上げた。

さすがに、ミルキィローズのような巨大なクレーターを作ることはなかったが、それでも規模としては十分すぎた。

 

「ちっ……敵に回すとこうも厄介か、セイバーの力ってのは!!」

「まだまだこれだけではないぞ!水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

さらに追い打ちをかけるように、ファントムは別の姿へと変わり、追撃してきた。

ムーンライトから、少し反則、と言われるほどの力を秘めた剣を相手にすることがどれだけ厄介なことか、痛感させられたセイバーだったが、それを気にしている暇はない。

ファントムに向かって突撃しながら、セイバーは背後に待機させている短剣の一振りを手に取り。

 

「「清浄なる炎(フォエス・ファイアリ)!!」」

 

ファントムと衝突する寸前、炎の大剣へと変化させ、横凪にその剣を振るった。

だが、セイバーの剣がファントムを捉える前に、ファントムもまた弓を大剣に変えていた。

二振りの炎をまとう剣がぶつかり合い、さらに激しい炎を生み出した。

周囲を炎が包む中、二人の剣士は互いの剣を激しくぶつけ合い、切り結んでいた。

切りつけては回避され、切りつけては受け止められ。そんなやり取りを何度か繰り返すうち、セイバーとファントムはどちらからとなく間合いを取った。

 

――レイディアントシルエットだったら切り抜けることもできるんだろうけど……

 

周囲で燃え滾る炎のせいもあって、体はやけに熱くなっている一方で、頭のほうはいたって冷静だったセイバーは打開策を見いだそうと思案していた。

だが、最強フォームであるレイディアントシルエットは、ハートキャッチミラージュがなければなることができないし、下手をすればブロッサムたちがいなければなることができない可能性もある。

何しろ、あの鏡は「プリキュア()ユグドセイバーに力を」与えるものなのだ。

セイバー一人では、うまく機能しないことだってありえる。

 

――だったら、エターナルハートの力をあてにしない!純粋に俺自身の力でぶつかってやる!!

 

最強フォームになることはできない。かといって、形状を変え(フォームチェンジし)ただけではじり貧になる。

ならば、もう純粋な実力で勝負するしかない。

そう判断し、セイバーはエターナルハートを通常の姿に戻し、その刀身に心の花の光をともした。

ファントムもまた、セイバーのその姿を見て、同じ土俵で戦うことにしたのか、それとも単になめてかかっているのか、最初の姿に戻り、同じように赤黒い光を刀身にともした。

 

そのまま、両者はまったく動かず、互いに隙を探り合った。

不意に、風が二人の間を吹き抜けた。その風に運ばれて、どこからか飛んできた木の葉が二人の間を通り抜けた。

それと同時に、セイバーとファントムは地面を蹴り、雄たけびを上げながら互いの距離を詰めた。




次回、ついに決着!


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再戦、ユグドセイバーvsプリキュアハンター!~3、決着!~

というわけで決着
もうお判りだと思いますが、ファントムはあくまでもハピネスチャージ組を倒すために磨いた力のテストとして、セイバーに戦いを挑んだだけなので、あっさり引きます
まぁ、戦うことになった当の本人はそんなことはわからないのですが

なお、次回は数日後(ないし数週間後)のエピローグです


純粋な実力で勝負するしかない。

そう判断し、セイバーはエターナルハートを通常の姿に戻し、その刀身に心の花の光をともした。

ファントムもまた、セイバーのその姿を見て、同じ土俵で戦うことにしたのか、それとも単になめてかかっているのか、最初の姿に戻り、同じように赤黒い光を刀身にともした。

 

そのまま、両者はまったく動かず、互いに隙を探り合った。

不意に、風が二人の間を吹き抜けた。その風に運ばれて、どこからか飛んできた木の葉が二人の間を通り抜けた。

それと同時に、セイバーとファントムは地面を蹴り、雄たけびを上げながら互いの距離を詰めた。

 

「「おぉぉぉぉぉっ!!」」

 

青白い光をまとうエターナルハートと、赤黒い光をまとうファントムの剣がぶつかり合い、火花を散らした。

幾度となく互いに打ち合い、切り結ぶうちに、疲れが出たのか、セイバーのエターナルハートを握る力が少しばかり緩んだ。

その隙をついて、ファントムは手首を返し、エターナルハートを巻き上げ、弾き飛ばした。

 

勝った。

 

エターナルハートがセイバーの手から離れた瞬間、ファントムは勝利を確信し、強く地面を蹴り、セイバーの首筋にめがけて刃を振るった。

だが、それが誘いであることに、ファントムは気付かなかった。

振り下ろした剣の柄をつかみ、セイバーはファントムの胸に手をかざした。

その手には、さきほどエターナルハートに灯っていた光と同じ色の光が球体となって集まっていた。

 

「ユグドフォルテウェーブ!!」

 

セイバーが叫んだ瞬間、光の球体は花のように開き、ファントムに襲いかかった。

剣をつかまれたままのファントムはその光を回避することが出来ず、直撃してしまった。

だが、それだけでは終わらなかった。

追撃とばかりに、今度は青白い炎を手にまとわせた。焔は徐々に牙をむく獅子のような形状へと変わった。

つかんだ剣を自分の背後へと引っ張り、ファントムを引き寄せながら、獅子の頭をかたどった光をたたきつけた。

 

「獅吼戦花っ!」

 

轟っ、とライオンの咆哮のような音とともに、心の花の力が衝撃となってファントムの体を貫いた。

二度も連続で大技の直撃を受けたファントム体力は限界を迎え、セイバーの姿を保つことができなくなった。

だが、それでもまだ戦う力は残っているようで、セイバーの頭に思い切り頭突きをかました。

ゴッ、という音を立て、強い衝撃がセイバーとファントムの頭を襲った。

その衝撃を受けて、セイバーは思わず、ファントムの剣をつかんでいた手を緩めてしまい、ファントムを離脱させてしまった。

 

ファントムはセイバーから距離を取り、肩で息をしながらセイバーの様子を探っていた。

セイバーは、ファントムに視線を向けながら、地面に突き刺さったエターナルハートに近づいていき、手に取って構えた。

だが、間合いを詰めてくる様子はなかった。

どうやら、ファントムほどダメージを受けてはいないが、スタミナが切れかかっているようだ。

お互い、あと一撃が精一杯だろう。

 

ならば、次の一撃で決着をつける。

同時にそう思った瞬間だった。

 

《退きなさい、ファントム》

 

突如、上空からクィーンミラージュの声が響いてきた。

見上げると、そこにはいつぞやと同じように、黒いドレスをまとった少女が浮かんでいた。

 

「み、ミラージュさま!し、しかし!!」

《二度も言いません。それとも、ここで私に消されたいの?》

 

その言葉が噓ではないことは、彼女の瞳に浮かぶ光でわかる。

本気で、クィーンミラージュは命令に従わなかった場合はファントムであろうと消すつもりでいるようだ。

消されるつもりはないのか、それともクィーンミラージュの命令に従うつもりになったのかはわからないが、ファントムは素直に従い、空間を切り裂き、どこかへとつながる通路を作った。

その通路に足を踏み入れながら、ファントムは視線だけをセイバーにむけてきた。

 

「この勝負、預けておく」

「二度と来るな」

 

いずれ決着をつけよう、と言われる前に、セイバーはまた訪れることを完全拒否した。

その言葉に対する返事をしないまま、ファントムは通路の奥へと消えていった。

ファントムの姿が見えなくなると、通路は自動的に閉じ、後には何も残っていなかった。

ファントムの退場を見届けると、クィーンミラージュの姿もまた、虚空に消えていった。

どうやら、これ以上、あちらから何かしてこようとは思っていないようだ。

 

「……あぁ、ったく、頼むからこれ以上は何も起きないでほしいもんだ……」

 

変身を解除し、地面に仰向けに倒れながら、菖は誰にともなしに文句を言った。

が、一つだけ、きがかりなことがあった。

それは、ファントムが突如、自分の姿に変身したことだった。それも、能力もまったく同じ状態に、だ。

着ていたコスチュームの色が同じであったなら、偽物と本物、区別がつかないほどだった。

まさに、鏡写し、といっても過言ではないほどの完璧な変身。

あれでまだ「未完成」と言っていたが、果たして、あの力を何に使うのだろう。

そんな疑問が、菖の中にあった。

 

「……あぁ、もう。考えても仕方ないか……」

 

思考するための材料がないため、これ以上は考えることをやめて、戻ることにした。

この時、セイバーと激戦を繰り広げたファントムの力に、ぴかりが丘に住むプリキュアたち、特にキュアラブリーがセイバー以上の苦戦を強いられることになろうとは、知る由もなかった。



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まりあと明の稽古

はじめに言います。つばめさん著作の『ブレイドナイト』を読まれた方はご存知と思いますが、『ブレイドナイト』の設定と若干かぶるお話となります
というより、『ブレイドナイト』のカップリングに関する話となります
微エロです、嫌いな方はご注意を


ファントムとの戦いが終わって数週間が経った。

あの戦いの後、当然のように、自分たちを呼ばないで戦ったことに対して、つぼみたちからお説教を受けたことは言うまでもない。

特に、ゆりとつぼみは涙目になり、今にも泣きそうな声色で、自分たちはそんなに頼りないのか、とか、もう無理はするな、とか色々と言われてしまったことは言うまでもない。

もっとも、出会って即戦闘になってしまったために連絡する暇すらなかったため、仕方ないといえば仕方ないのだが。

 

それはともかくとして。

 

その日はいつものように、いおなが希望ヶ花市に遊びに来ていた。

だが、今回は少しばかり違う点があった。

一つは、いつものように泉地流の稽古場ではなく、明堂院流の道場に来ているということ。

もう一つは、いおなが一人の女性を連れてきていた、ということだ。

その女性はというと。

 

「はぁっ!」

「ぐぉぁっ?!」

 

明堂院流の門下生を相手に地稽古をしていた。

が、その実力はあまりにも高く、明堂院流でもなかなかの使い手であるはずの熊本が軽々と敗北してしまうほどだった。

 

「く、熊本さん?!」

「すげぇ、体格が頭一つ分くらい違うのにふっとばしちまった……」

「さすが、いおなのお姉さんね……」

「ふふふ」

 

熊本があっさりと吹き飛ばされたことに驚愕している菖と明の横で、ゆりがそんな感想を漏らしていると、いおなは自慢げに笑みを浮かべていた。

そう、いま熊本を吹き飛ばした人物こそ、かつてはぴかりが丘で戦っていたが、ファントムに敗れ、行方不明となっていたいおなの自慢の姉、氷川まりあその人である。

 

あれから、めぐみたちハピネスチャージ組のもとにファントムが現れ、戦いを挑んできたのだが、撃退に成功し、いままで捕らえられていたプリキュアたちも解放することができたそうだ。

その中には、かつてぴかりヶ丘で最強を誇っていたプリキュア、キュアテンダーこと氷川まりあも含まれていた。

今回の出稽古は、復帰したまりあのリハビリも兼ねてのことのようだ。

 

なお、菖たちはすでにブルースカイ王国復活を祝っての祝賀会に招待されたときにまりあと顔合わせは済んでいる。

済んでいるのだが、彼女のその実力まではいおなの話でしか知らなかったため、こうして目の当たりにしたことで改めて、ぴかりヶ丘最強の称号は伊達ではないことを理解した。

 

「ふふ、さて次はどなた?」

「なら、俺が」

 

まりあの問いかけに名乗りを上げたのは、明だった。

さきほどのまりあの腕前を見て、スイッチが入ってしまったのだろう。その顔には、獰猛な笑みが浮かんでいた。

 

「あぁ……明の戦闘狂スイッチ、入っちまったか」

「ま、まぁ、こうなるのも仕方ないかと……」

「正直、わたしは明さんとだけは稽古したくないです……」

「たぶん、それはここにいる全員が思ってるな」

 

学園でこそ、超高校級のイケメンだとかみんな振り向くあんちくしょうなどともてはやされている明だが、当然、欠点が存在する。

その欠点が、人をからかって遊ぶことを好んでいるということと、戦闘狂である、ということだ。

そのため、菖とゆりを見かけるたびに、戦いたくて仕方がない、という衝動に襲われるらしい。

そのことを聞いた時、ウィルスに侵された超人(DXのオーヴァード)かよ、と菖が心中でツッコミを入れたのは言うまでもない。

 

それはともかくとして。

 

互いに向かい合い、礼をして、明とまりあは身構えた。

その瞬間、開始の合図が響き、明とまりあは互いに激しい攻防を繰り広げた。

ごっ、とか、べしっ、みしっ、という、普段の稽古ならば絶対に聞こえてこない音が二人の間に響いていた。

その間、両者とも一歩も引かないどころか汗一つかいている様子がなかった。

 

「さすが、希望ヶ花最強の高校生と氷川道場最強の門下生……」

「正直、わたしでもあれを捌ききるのは無理ね……まったく勝てる気がしないわ」

「いやいや、希望ヶ花最強の二人が何を……」

 

菖とゆりの発言に、いつきは苦笑を浮かべながら、反論した。

なお、いつきが言うように、菖とゆり、明の三人は希望ヶ花市の三強として、不良たちや武道を嗜む人々から恐れられており、"三匹"とまで呼ばれることもある。

さすがにゆりがいるうえに、全員が高校生であるため、その後ろに「おっさん」はつかないのだが。

 

それはともかくとして。

 

明とまりあの激しい攻防を見守っていた菖たちだったが、不意にいおなが口を開いた。

 

「けど、ちょっと羨ましい」

「何が羨ましいんだ?いおな」

「お姉ちゃん、すごく楽しそうにしてる」

 

背後から何か黒い靄のようなものを漂わせ、今にも包丁を持ち出しそうな表情をしながらいおなはそう返してきた。

いおながまりあが大好きであることは、彼女との交流が始まってしばらくしてから知ったことだが、まさか稽古相手にまで嫉妬するほどとは思っておらず、菖とゆりは若干引き気味になっていた。

なお、いつきは、いおなほどではないにしても、お兄ちゃん大好きっ子であるためか、苦笑を浮かべながらその様子を見守っていた。

 

それはともかく。

 

一進一退の攻防を繰り広げる明とまりあだったが、流れは徐々に明の方へと向かっているように見えた。

が、それは明の性格が攻めの性格だからそう見えるだけであり、決して、まりあが劣勢というわけではない。

現に、まりあはすべての攻撃を捌きながらもその場から一歩たりとも動いていない。

その胸部装甲とは真逆の、絶壁ともいえる守りを披露していたまりあだったが、長い間、鏡の中で眠っていたことが災いしたらしく、徐々に疲労が見え始めていた。

その疲労から生まれた隙を見逃すほど、明は甘くはない。

 

「せりゃっ!」

 

気合一閃。

みぞおちめがけて、明は掌底を突き出した。

掌底が突き刺さるその一瞬前に、まりあは明の腕を蹴りあげた。

だが、それはある意味で悪手だった。

全身全霊を込めていたのか、それとも膂力の差があったのか、まりあの蹴りでは明の掌底の軌道を体から完全にそらすことができなかった。

みぞおちから狙いが逸れた明の掌底はまりあの体を捉えたままだった。

狙いが逸れたが、明の掌底は勢いをそのままにまりあに向かっていき。

 

むにゅん。

 

「……あ……」

「……な……」

「へ……?」

「え……?」

「………………」

「……え?……」

 

胸に当たった。

あまりに意外なその結果に、観戦していた一同は目を丸くし、現在進行形で触れている装甲の柔らかさゆえか、それとも想定外の展開に驚いてか、あるいはその両方か、明は呆けた顔になっていた。

一方、いまだ特定の相手がおらず、当然、家族以外の異性に肌を触れるこそすら許したことがないまりあは徐々に顔を真っ赤に染めていき。

 

「……き……きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

涙目で悲鳴を上げながら明の顔にビンタを浴びせていた。

あまりの早業と想定外の事態に反応が遅れてしまったのか、それとも乙女の柔肌に触れてしまったことへのせめてもの償いか、明はその一撃を回避することなく、甘んじて受け止めた。

 

「……な、なんというか……災難だな、明のやつ」

「……御剣くんのえっち……」

「……よし、もごう。いますぐもごう」

「い、いおな?!ちょ、ちょっと落ち着いて??!!」

 

その一部始終を見ていた菖は、明に同情のまなざしを向けながらそう呟き、ゆりは顔を赤らめながら、自分が被害を受けたわけではないのに胸をかばいながら明を非難していた。

一方、大好きな姉を辱められたいおなは、その瞳から完全に光が消え、右手を握ったり開いたりしながら物騒なことをつぶやき、いつきがそれをどうにか止めようとするのだった。

 

なお、この手合わせの結果はまりあの張り手を思いっきりもらい、気を失った明の負けという判定になったことを補足しておく。




おまけ

~熊本さん敗北(別ver.)~
まりあ「はぁっ!!」
熊本「ぐはぁっ!……や、やられたぜぇ……よぉ……」

明「おいおい、熊本さん、レイヴンになりきれてねぇぞ?」
菖「いや、何を言ってんのかわかんないぞ、明」

~菖とゆりの場合~
菖「せぃっ!」
ゆり「はぁっ!!」
菖「……そこだぁっ!!」
ゆり「くっ!!させない!!」
(がっ!ふにゅん)
菖「……あ」
ゆり「え……?……い、い……いやあぁぁぁぁぁっ!!!!!」
菖「ひでぶっ!!!(……や、柔らかかった……けど、まじでごめん、ゆり)」
ゆり「……菖のえっち……」(///H///メ

~その後の明とまりあ~
まりあ「……むぅ……」(///H///メ
明「え、えぇと……まりあ、さん?」
まりあ「むぅ~~~~……っ!!」(///H///メ
明「……なんか、甘いもの、ごちそうします。それで許してください」
まりあ「……と……」
明「ん?」
まりあ「一日デート!そうでなかったら、お姉さん、許しません!!」
明「あ、はい」
まりあ「ん!よろしい!!」
明(……なんか、謝罪にかこつけて、デートこじつけられたような?)


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ブルースカイ王国からの招待状!わたしたち、貴族になるんですか??!!

前々から思っていたことなんですが……トランプ王国しかり、ブルースカイ王国しかり、正体を知らないからってプリキュアたちに何の恩賞もなしってのは国のメンツとしてどうなんでしょうね?(-▽-;
パルミア王国とメイジャーランド、ホープキングダムは異世界だからしゃあなしとしても……まぁ、子供向けアニメですし?難しい話は置いておこうってことなんでしょうけど

ともあれ、本編どうぞ


まりあがいおなとともに希望ヶ花市にやってきてから数日。

いつものように、温室でお茶会をしていた菖たちだったが、その顔はあまり優れていなかった。

 

その原因は、希望ヶ花市に、いや、プリキュアたちが住んでいるすべての町に、めぐみたちから一つの知らせが飛んできたことだった。

その知らせとは、ブルースカイ王国からプリキュアオールスターズ全員にむけての叙勲式の招待だった。

 

ぴかりヶ丘にあるブルースカイ王国大使館に居を構えている白雪ひめ――ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ブルースカイの故国、ブルースカイ王国が幻影帝国の侵略から解放され、国王はじめ王国民全員もまた無事に鏡から解放され、元の活気ある姿に戻ったらしい。

 

ひめからある程度の話を聞いたブルースカイ国王は、ブルースカイ王国を解放するために尽力したハピネスチャージプリキュアだけでなく、世界各国にいるプリキュアたちの働きに敬意を表し、一代限りの名誉貴族の称号を贈ることを決定、叙勲式を行うので、ぜひともブルースカイ王国に来てほしい、ということのようだ。

ちなみに、その通達はひめを通じて行われ、招待状についてはリボンからコロンを経由して手渡された。

 

「しかし、太っ腹だな、ブルースカイ王国……プリキュアオールスターズ全員を名誉貴族に、だとさ」

「それって大丈夫なのかしら?そもそも、わたしたちのことを知っているのって、めぐみたちだけ……あ、まさか」

 

菖が妙なところに感心し、ゆりがまゆをひそめていた。

周囲の人々を巻き込まないように、というのと、奇異の目でみられることを避けるために、自分たちがプリキュアであるということを他人に話してはいけない。

ブルーが定めた恋愛禁止の掟ではないが、これがプリキュアオールスターズの暗黙の掟だった。

 

が、ラブたちとマナはその掟を盛大に破っている。

ラブたちはメビウスとの最終決戦の時に、帰ってこれないかもしれないからという理由で家族にすべてを打ち明け、マナはキングジコチューとの戦いのときに盛大に名乗りをあげていた。

 

そのため、マナは現在でも総理大臣から人知の及ばない力による災害の処理をマナを経由してドキドキプリキュアに依頼されることがあるようだ。

もっとも、ラブたちはそのことを商店街の人々の心のうちにとどめているため、政府機関からの協力要請を受けたことはないのだが。

 

ともあれ、おそらく、それらの影響なのか、それともひめが両親である国王と王妃に色々としゃべっているうちに口を滑らせてしまい、プリキュアオールスターズのことやプリキュアの守護騎士のことも話してしまったのか。

 

いずれにしても、ブルースカイ王国にはプリキュアオールスターズと守護騎士たちの正体も現在の所在地もばれているようだ。

 

「あ~……ひめって家族大好きだもんねぇ」

「ぴかりヶ丘だけじゃなくて、他にもプリキュアがいることを話しちゃったのかな?」

「で、そんな話を聞いちゃったから、幻影帝国を倒すことに尽力したハピネスチャージプリキュア(めぐみたち)以外のプリキュアも名誉貴族に叙す、ということなのでしょうか?」

「そういうことなのだろうけれど、それもそれでどうかと思うけれどね?まぁ、さすがにわたしたちを軍事利用しようとかは考えない……と思いたいわ」

「そこなんだよなぁ……」

 

つぼみの疑問に返しながら出てきたゆりの指摘に、菖は眉をひそめた。

一代限りの名誉貴族とはいえ、貴族の位を叙されている以上、ブルースカイ王国のために働くことは当然のことである、と過激な思想を持っている人間であれば言いかねない。

もっとも、プリキュアの力も、守護騎士の力も破壊よりも浄化に重きを置いているものであるため、兵器利用は当然できないのだが。

 

それはともかく。

 

「まぁ、叙勲式についてはメディアを一切介さないってことにすれば大丈夫なんじゃないか?」

「……だといいのだけれど……あるいは叙勲式の時だけは変身させてもらう、とか?」

「そのへんはひめやみんなと相談だなぁ……まぁ、最悪、俺一人だけ身バレさせてってのも……」

「それはだめです!」

「そうっしゅ!菖さんばっかり目立ってずるいっしゅ!!」

「えりか、そういうことじゃないと思うけど……」

 

菖が代表で一人を選出する方法にどんな意図があるのか察しきれなかったえりかがそんな反論をすると、いつきは苦笑しながら否定した。

突然否定されたことに、えりかは怒りながらその理由を問いただすと、ゆりが額に青筋をうっすらと浮かべながら笑顔で解説を始めた。

 

「いい?えりか。もしあなたがプリキュアだってことが世界中の人たちに知られたらどうなるかしら?」

「え?そりゃいろんな人から注目されるんじゃ」

「そうね。そして家族も巻き込まれて、ありもしない誹謗中傷を書かれることにつながるかもしれない」

「もっと言えば、名誉とはいえ貴族だからな。家族を誘拐して身代金をせしめたり、それこそ何か軍事的なことに利用しようとしたりするんじゃないか?」

 

それだけならばまだしも、非人道的な研究を平気で行う連中や世界征服を目論む連中にその存在を知られ、拉致される可能性もある。

だからこそ、正体がばれないよう変身した状態で参列するか、仲間たちが物量に物を言わせて強制的に沈黙させることができるよう正体を明かすのは一人だけ、という制限を設けることを考えたのだ。

決して、一人だけ目立ちたいからではない。一人に危険が集中するように仕向けるための提案なのだ。

 

それを自分にすればいい、と菖が口にすれば、当然、つぼみは黙っていない。

ゆりは沈黙しているが、当然、そんなことをさせるつもりはない。

おそらく、同じ話をすれば、ひかりと舞、そしていおなも同じように否定する。

それだけ、彼女たちにとって菖の存在は大切なものなのだから。

 

「とはいえ、叙勲式はまだしばらく先のようだし、ひめたちとゆっくり調整していきましょう?」

「だな。さすがに国内がまだごたついてるだろうし」

 

いつまで経っても結論が出ないという気配に、ゆりがそう提案すると、菖はそれに同意した。

実際問題、鏡に閉じ込められていただけとはいえ、どのような被害があったかの把握や復興の必要性の有無など、国として行わなければならない諸々は存在する。

それらの把握を行わないことには、叙勲式はまだ先になるだろう。

現に、ひめはそのことを理解し、国王に進言したため、叙勲式自体はまだしばらく先になることをリボンに言づけていた。招待状自体は用意してしまったため、持っておいてほしいということなので手渡されてしまったが。

 

ひとまず、これからのことを考えながら、叙勲式をどう乗り切るか、なぎさたちも交えて相談することにした菖たちだったが、この時は、まさか幻影帝国の裏に今回の戦いを仕掛けた黒幕がいることなど、まして、戦いがまだ終わりを迎えていないということなど知る由もなかった。




おまけ

~貴族になったとして~
ゆり「それで?名誉貴族になったとして、みんなは何がしたい?」
えりか「もっちろん!あたしプロデュースのドレスや服をはやらせるっしゅ!」(-H-
いつき「う~ん、わたしは孤児院とかの支援を積極的にしたいかなぁ」
つぼみ「ここはやはり、貴重な植物の管理を!!」
菖「ぶれないなぁ……」(-▽-;
ゆり「そういうあなたは?」
菖「ん~……まぁ、文化財保護とかかなぁ?あとは……いや、これはいうのはやめておく」
ゆり「あら?気になること言うのね?」
菖「まぁ、うん……(まだ言えるかよ、ゆりだけじゃなくてつぼみも舞もひかりも嫁に迎えたい、なんてさ……)」


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聖なる夜に現れた敵?!

クリスマス回、やっぱりゆりさんたちとイチャコラな話……になるわけがない
プリキュア史上、一番クリスマスを穏やかに過ごせてないのって、もしかしなくてもハピネスチャージ組なんじゃないかって疑いたくなりますね……

そんなストーリーに便乗してのお話です
だってこんな展開になってもおかしくないですもの

あ、話の都合上、今回もあとがきはありませんのであしからず


クリスマス。それは、神の子イエスの生誕を祝う日。

多くの家族連れやカップル、友人たちが、形は違えどイエス生誕を祝う前夜祭となるイブの夜を過ごす日でもある。

 

希望ヶ花市に住まうハートキャッチ組は、今年もポインセチアの販売にいそしんでいた。

この年もかなりの人数の客人が詰め寄せてきていたのだが、昨年とは違い、今回は心強い助っ人がいた。

 

「いやぁ、今年も売れたねぇ……」

「ほんと。去年もだけど、今年はもっとすごかったね……」

「去年もこんなだったのか?」

「あぁ。そりゃもうすごかった……」

「ポインセチアだからな……それに、クリスマスリースも人気だったし」

「ですが、みなさんがいてくれて助かりました」

「そうね。特に今年はふたばちゃんがいるし」

 

その助っ人とは言わずもがな、明堂学園のイケメン五人衆(小狼と静、君尋)と、明堂学園の華(ひまわりとさくら)である。

まぁ、要するに明とももかを除くいつものメンツが勢ぞろいしていたのだ。

ちなみに、明とももかがこの場にいないのは、クリスマス特別取材の撮影があり、その護衛と終わり次第クリスマスデートの予定があるから、だそうな。

 

もっとも、その選択はあながち間違いではない。

今をときめくカリスマ女子高生モデルの来海ももかだけでなく、希望ヶ花市きってのイケメンである明が一緒に並んでいれば、今回の倍以上の混雑を生み出すことなど簡単に予想できることだ。

そうなることを避けるため、もっといえば、客寄せパンダになるつもりがないため、二人とも手伝いを辞退したようだ。

 

それはともかくとして。

 

客足が落ち着くと、店の奥から花咲夫妻と、つぼみの妹であるふたばが顔を出した。

 

「お疲れ様。お手伝いしてくれて、ほんとうにありがとうね」

「受験もあって大変だろうに、申し訳ない」

「いえ。たまの息抜きですから」

「それに、赤ん坊がいると店に手が回らないでしょう」

 

本来、手伝いに来てくれている五人と菖、ゆりの七人は受験シーズン真っ盛りだ。

それなのにこうして手伝いに来てくれたのだ。

とはいえ、君尋は進学はせずに大家が経営している古物商に、ももかはモデルとして事務所に就職することが決まっており、菖とゆり、明の三人はすでに大学から推薦入試での合格通知をもらっているし、明に関しては事務所が提携している警備会社でアルバイトをすることになっており、ももかの専属SPとして公私ともに活躍することになっている。

静とひまわり、小狼とさくらは一般入試での受験になるが、現在の学力であれば十分に第一志望に合格することができるため、まだ少しばかり余裕があった。

 

「こんばんは」

「こんばんは~!」

 

ふと、入口の方から若干、幼い声が二つ聞こえてきた。

入口に視線を向けると、そこにはどこか虚ろな瞳をしている人形のような少女と、ゆりを小さくして髪を少し短くしたような少女がいた。

 

「小羽ちゃん、小百合ちゃん。こんばんは」

「こんばんは、君尋くん。静くんとひまわりちゃんも」

「こんばんは、お兄ちゃん、お姉ちゃん!!」

「おう」

「こんばんは、小羽ちゃん、小百合ちゃん」

 

そこにいたのは、君尋が住んでいるアパートの大家の家に居候している女子小学生、五月七日小羽だった。

どうやら、一人でフラワーショップまで歩いてきたらしい。

 

「外、寒くなかった?」

「大丈夫、耳当てしてたし、マフラーもしてたし」

「そっか。よかった」

 

君尋の問いかけに、柔らかい微笑みを浮かべながら小羽はそう返した。

その光景にほっこりしていると、店の奥からつぼみとゆりがカートを押しながら入ってきた。

カートの上には、クリスマス限定で取り寄せていたフラワーケーキとティーポットとティーカップが置かれていた。

どうやら、ささやかながらみんなでクリスマスパーティーをしよう、ということのようだ。

もちろん、小羽と小百合の分もある。

 

「あら、ついたのね、小百合」

「ゆりお姉ちゃん!」

 

ゆりの姿を見つけるなり、小百合はぱたぱたと駆けていき、ゆりに飛びついた。

むふ~、と満足そうな笑みを浮かべながら抱きついてくる小百合を抱き上げて頭をなでながら、ゆりは温かな笑みを浮かべた。

その様子を眺め、穏やかな笑みを浮かべながら、ケーキを切り分けていた。

 

「ゆりさんと小百合ちゃん、すっごくいい笑顔ですね」

「あぁ。君尋と小羽ちゃんもだけど」

「ふふふ……マナさんじゃないですが、キュンキュンしますね!」

 

後輩チームのリーダーの口癖をまねながら、つぼみはティーポットのお茶をカップに注いでいた。

その微笑みにいとおしさを感じた菖は、つい、空いている手で、つぼみの頭をなでてしまった。

いままで何度かなでられたり褒められたりしたことがあったので慣れてきたため、驚いて気を失う、ということはなくなったが、それでもやはり想いを寄せている人になでられるのは気持ちのいいものらしい。

つぼみは頬を少し赤くしながら、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

------------

 

ささやかなティーパーティーもお開きとなり、つぼみに見送られながら、ゆりと菖は小百合と手をつないで帰路についていた。

小百合が口ずさむ、クリスマスの定番ソング「ジングル・ベル」に合わせながら、二人が「ジングル・ベル」を歌っていると、小百合は不意に立ち止まり、黙り込んだ。

どうしたのか気になり、菖とゆりが小百合のほうへ視線を向けると、小百合は突然、こんなことを聞いてきた。

 

「菖お兄ちゃん、ゆりお姉ちゃんとチューしないの?」

「「ぶっ??!!ちょ、ちょっと小百合/ちゃん???!!!」」

 

あまりにあまりな質問に、菖とゆりは顔を真っ赤にして同時に叫んでいた。

当然といえば当然の反応だが、小百合の疑問も当然だった。

なにしろこの二人、幼馴染で死線を共にした間柄であり、周囲から見ても距離が近いというのに、いまだに親友以上恋人未満の関係で止まっている。

互いに互いのことを想いあっているのだが、なかなか一歩を踏み出す勇気を持てずにいるのだ。

 

加えて、つぼみやひかり、舞、いおなにも好意を寄せられているため、どうすればいいのか袋小路に迷い込んでしまっているのだ。

もっとも、そんな悩める青年を救うために用意した、と言わんばかりに、つい先日、通称「ハーレム法」が成立した。

一定の所得を納めることができる世帯であれば、五人までの法律婚を国が保証する、一夫多妻または一妻多夫を容認するものだ。

つまり、頑張って条件をクリアできるようにすれば、誰でもハーレムないし逆ハーレムを築くことができるというわけである。

 

現在、プリキュアたちはブルースカイ王国の名誉貴族としての勲章を得ている。菖もまた、その勲章を得ているし、現在進行形でトランプ王国の考古学特別調査員や歴史教育の特別監査員としての身分もある。

また、そのコネクションを駆使して、四葉財閥が所有している博物館の学芸員や調査員の紹介も行っており、その謝礼としてそれなりの額の報酬をもらっている。

十分に資格を満たしている、と言っても過言ではない。

 

「……なぁ、ゆり……」

「……え、えぇ……」

「もし、さ。お前だけじゃなくてほかの子もって言ったら、どうする?」

「つぼみと舞、ひかりといおな以外は認めないわ。もしそうだったら、あなたを殺してわたしも死ぬ」

 

恐ろしい答えが即座に返ってきたことに、菖は苦笑を浮かべたが、ゆりの瞳にハイライトがないことから、その本気度が伝わってきた。

背筋に冷たいものを感じはしたが、菖としても、さきほどゆりが口にしたメンバー以外に告白する気はまったくない。

というより、菖の趣味を理解し、受け入れ、万が一を覚悟できているのはおそらく彼女たちくらいなものだ。

 

それは菖だけでなく、菖に想いを寄せている少女たち全員の共通認識だ。

おそらく、つぼみや舞に聞いても、同じ答えが返ってきただろう。

そう思うと、覚悟を決めたのか、ゆっくりと深呼吸して、菖は小百合から手を放し、ゆりの前に立った。

 

「ゆり。ほんとうはつぼみたちがいるときに話そうと思ってたんだけど、今話す」

「え、えぇ……」

「俺は……」

 

そこから先の言葉を紡ぐ前に、菖はまるでつららを押し当てられたかのような冷たい感覚を覚え、振り向いた。

ゆりも同じものを感じていたらしく、小百合を抱きかかえ、菖の背後へ視線を向けた。

そこには、二階建ての住宅ほどはある赤いサイアークがいた。

 

同時刻。

小泉学園、夕凪市、サンクルミエール市、四葉町、加音町、七色ヶ丘、大貝町、そしてぴかりヶ丘をはじめとする世界各地で、同時多発的に赤いサイアークが大量に出現した。

そしてその数分後、巨大な赤い惑星が突如として出現、地球にむかって接近しているという緊急速報が流れるのだった。

これが、幻影帝国による世界征服を目論んだ黒幕、地球の神を自称する青年ブルーの兄、惑星レッドの神レッドによる地球攻撃であることを知っているのは、ぴかりヶ丘に住むハピネスチャージプリキュアだけであった。



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もしかしなくても大ピンチ?!サイアーク軍団の総攻撃!

連日投稿~っと
というわけでメリークリスマスだ、諸君!

ふと思ったんですが、クリスマスを何事もなく過ごせたチームが少ないっていうのもそうですが、ハピネスチャージ組みたく、総攻撃を加えられたチームってのも数少ないような……てか漫画版を除けばハピネスチャージ組だけのような気もする……

あ、タイトルの通り、レッドの総攻撃ですけど、出てくるのは赤いチョイ&サイアークだけで、海外のプリキュアもテンダーも出てきませんのであしからず
あくまでこのシリーズは「ハピネスチャージ組が頑張っている一方そのころ」的な話ですので

では、本編どうぞ

なお、春菜(ゆりのお母)さんはゆりがプリキュアだってことは知ってます
ハートキャッチプリキュア!編(本編)の最終話にそのことが書かれてます
知らないって人はお確かめください


HANASAKIフラワーショップでの手伝いを終えた帰り道。

小百合に指摘されたことをきっかけに、菖がゆりに自分の想いを伝えようとした瞬間、赤いサイアークが突然、姿を現した。

さすがに、小百合の目の前で変身するわけにはいかず、菖は小百合を抱えているゆりの手を引き、急ぎその場から離れた。

 

どうにか、その場から離れ、サイアークを撒くことには成功したが、出現していたサイアークは先ほどのサイアークだけではなかった。

サイアークから逃げつつ、自宅に向かう道中で、何体もの赤いサイアークを見かけたのだ。

もっとも、塀や電信柱、家の壁を壊して回ることに夢中で気づいていなかった、ということもあるのだろうが、見つかることはなかったので、戦闘になることはなかった。

月影家に到着すると、玄関にはすでにゆりと小百合の両親である春菜と英明が人数分の非常用カバンを運び出していた。

 

「「お父さん、お母さん!」」

「ゆり!小百合!!」

「菖くんも無事だったか!」

「おじさんたちも……それより早くここから避難……」

 

菖がそう言いかけると、背後から視線を感じた。

振り返ると、身をかがめてこちらを伺っている赤いサイアークがそこにはいた。

その姿を見た瞬間、ゆりはココロポットを取り出し、コロンの名を呼んでいた。

 

「プリキュアの種っ!いくぞ!!」

「プリキュア!オープンマイハート!!」

 

コロンの胸のブローチから飛び出してきた光が心の種へと変わり、つりはその種をココロポットに差し込んだ。

ポットからあふれた光がゆりを包みこむとシルエットが変化していき、ゆりの姿はキュアムーンライトへと変わった。

 

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

 

名乗ったと同時に、ムーンライトは玄関から飛び出し、赤いサイアークを吹き飛ばした。

道が開けたと同時に、英明と春菜は非常用カバンを持ち、赤いサイアークと交戦するムーンライトを心配そうに見つめてから、植物園へと避難した。

 

「ゆり!俺は英明さんたちを植物園に送り届けてから合流する!!」

「了解!……菖、三人をお願い!」

「ゆりも気をつけろよ!」

 

互いの役目を瞬時に判断し、二人は迎撃と避難者の護衛に分かれた。

ちなみに、なぜ植物園なのかというと、植物園の温室はコッペの結界が闇の力を無効にしているからだった。

その力は、かつて砂漠の使徒が地球のすべてを砂漠化させた中で、唯一、原型をとどめていたほどだ。

ならば、今回のサイアークの襲撃でも耐えることはできるはず、と推測してのことだった。

そして、その推測の通り、植物園の周囲にはサイアークの姿はなく、襲撃されている様子もなかった。

 

「おじさん、おばさん。ここなら安全なはずだ……って、おじさんにはわかりきってることかな」

「そうだな。確かに、キュアフラワーの妖精の加護が働いているここならば安全だ」

 

いたずら小僧のような笑みを浮かべながら語る菖に、苦笑を浮かべながら英明は返した。

キュアフラワーの妖精、コッペの加護の強さは、身をもって知っている。

なにしろ、英明はかつて、砂漠の王デューンの配下、サバーク博士として地球侵攻に手を貸していたのだから。

 

もっとも、それもすでに過去の話。

今はこうしてダークプリキュアの生まれ変わりである小百合も加えて、家族とともに平穏に暮らしている。

だからこそ、やっと取り戻した平穏な時間を壊させるわけにはいかない。

そのためにも、菖は戦場へ向かうことを決意していた。

 

「おじさん、おばさん。俺、行き……」

「お兄ちゃん、どっか行っちゃうの?」

 

行きます、と言おうとした瞬間、足元から小百合の不安そうな声が聞こえてきた。

見下ろせば、そこには今にも泣きだしそうな小百合の顔があった。

菖は身をかがめて目線を小百合に合わせ、そっと頭を撫でた。

 

「ゆりお姉ちゃんがちょっとピンチっぽいからな。お兄ちゃん、ちょっと手伝いに行ってくる」

「帰ってくる?」

「あぁ、絶対帰ってくる」

 

返ってきた言葉に、小百合は菖にぎゅっと抱きついてきた。

菖は小百合の頭を優しくなでながら、小百合が満足するまで抱きつかせていた。

やがて、落ち着いた小百合は菖を解放し。

 

「行ってらっしゃい!」

 

と笑顔で見送りの言葉をかけた。

菖は小百合に、行ってきます、と返し、英明と春菜に頭を下げ、町に向かって走り出した。

 

------------

 

菖が町に戻ると、そこかしこに赤いサイアークが出現しており、町を破壊してまわっていた。

自分の住む街を、故郷を破壊され、怒りを覚えないほど菖は大人ではない。

 

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

 

菖が叫んだ瞬間、左手の甲に紋章が浮かび、紋章から光があふれ出た。

光に包まれ、菖のシルエットは徐々に、もう一人の戦士ユグドセイバーのものへと変わっていった。

 

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

 

名乗るや否や、セイバーは聖剣エターナルハートを引き抜き、ムーンライトを探し、町の中を走り出した。

途中、赤いサイアークや同じく赤いチョイアークが襲いかかってきたが、その全てを切り伏せ、いなし、殴り飛ばしながら、セイバーは町の中を走り回った。

その中でやけにチョイアークが集まっている場所を見つけ、そちらに向かってみると、なぜかチョイアークが上空へと投げ出されている光景が目に入った。

チョイアークが集まっているその中央を見てみると、そこには。

 

「おらおら、どうしたどうした?!」

「チョイ~ッ??!!(特別訳:なぁ~っ?!)」

「チョ、チョイ?!チョ、チョイ~~~~ッ??!!(特別訳:お、おいっ?!って、なに~~~~っ?!)」

「はっははははっ!楽しすぎて狂っちまいそうだぁ!!」

「チョ、チョイチョチョイ、チョチョチョイ~~~~ッ?!(特別訳:こ、こんな人間、いてたまるか~~~~っ?!)」

 

チョイアークたちを相手に、無双している男が一人いた。

背中の中ほどまではある長い髪をポニーテールにまとめ、ともすれば女性と見間違えそうな美貌を持つ青年。

その付近には、おそらく、避難している途中だったのだろう、ももかの姿があった。

言わずもがな、希望ヶ花市のイケメンの一人であり、実はかなりの戦闘狂である御剣明だった。

 

「……たまに思うけど、あいつ、実はサーヴァントだった、なんてことないよな?」

 

スナッキー程度の戦闘力しか持っていないとはいえ、チョイアークを相手に息を切らすこともなく戦い続けていられる体力に、セイバーは苦笑を禁じえなかった。

が、さすがに数の暴力にものを言わせれば押し負ける可能性もある。

手を貸すべきだろうか、と思ったが、セイバーはなかなか行動に移せなかった。

 

「ちょっと手を貸してやるか?あぁ、けど俺の獲物を盗るんじゃねぇ、とか言ってこっちに攻撃してきそうな気が……」

 

お楽しみ中のところで横やりを入れれば一瞬で機嫌を悪くして、こちらに攻撃を加えてくるような気がしてならなかったのだ。

ただでさえ数が多いチョイアークとサイアークが相手だというのに、そこに明が加わってしまうと、もはや悲惨なことにしかならない。

さて、どうしようか、と悩んでいると。

 

「マリン・シュート!!」

「サンシャイン・フラッシュ!!」

 

マリンとサンシャインの声が聞こえてきた。

どうやら、明と同じ場所で交戦しているようだ。

それなら、ここは放っておいても平気だろう、と判断し、その場を離れようとした時だった。

 

「ちょっとセイバー!遅いっしゅ!!」

「こっちも手伝ってください!!」

 

サンシャインとマリンの二人に見つかり、そちらへ行かざるを得なかった。

 

「もぉっ!ムーンライトとブロッサムが戦ってるのに、旦那様が戦わなくてどうすんのよ!!」

「……俺は英明さんたちの避難誘導をしていたんだが?というか、なんで明も戦ってんだよ……普通にチョイアーク吹っ飛ばしてるし」

 

やるべきことをやってから戻ってきたというのに文句を言われ、セイバーはため息をついたが、すぐに気持ちを切り替え、明たちが避難するための道を開き、二人とともにブロッサムとムーンライトがいる場所へと向かった。



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どうしましょう?!巨大隕石、接近です!!

三日連続投稿~……いや、よくやるよほんと……
ハピネスチャージプリキュアの最終決戦時と同じ時間軸と思っていただければ
実質的に、次回がオリジナルストーリーの最終回……の予定です
とはいえ、しばらく先になりそうですが……

まぁ、とりあえず本編どうぞ
……あぁ、例によってあとがきはございませんので悪しからず


ゆりの家族を植物園の温室に避難させてから町へ戻り、マリンとサンシャインと合流したセイバーは、二人とともにムーンライトとブロッサムを探し、再び町中を駆けた。

やはりというべきか、道中、かなりの数の赤サイアークと遭遇したが、容赦のない三人の攻撃で何もさせないまま撃沈させていた。

 

「けどなんでまたいきなり?」

「クリスマスだってのに、連中、ほんと空気読まないっしゅ!!」

「言ってくれるな……気持ちはわかるけど」

 

マリンがふくれっ面になりながら漏らしてきた文句に、セイバーは苦笑を浮かべた。

プリキュアの面々はなぜかクリスマスを平穏に過ごせたためしがない。

ハートキャッチ組も、クリスマスだというのに砂漠の使徒の幹部二人から襲撃を受けたことがある。

そのため、穏やかに過ごしたいと思っているのにそうさせてくれない相手に辟易していた。

が、文句ばかりも言っていられない。

 

「あ……第二波、来るぞ!」

「あぁ、もう!急いでるのに!!マリン・シュート!!」

「サンシャイン・フラッシュ!!」

「セイバー・ショット!!」

 

セイバーの警告と同時に、三人の前に再び赤サイアークと赤チョイアーク集団が姿を現した。

だが、三人とも慌てる様子はなく、出てきた瞬間を狙って遠距離攻撃で撃退してしまった。

ほとんど出番がないようでかわいそうに思えてくるのだが、今回の彼らは物量作戦で攻めてきているらしく、あとからあとからぞろぞろと出現してきていた。

 

「あぁ、もう!こいつらまじでなぁ!!」

「あとからあとから……」

「しつこいっしゅ!!」

 

ちぎっては投げしながら文句を言う三人であった。

だが、文句を言ったからといって、攻撃の手を緩めるチョイアークたちではなかった。

仲間がやられていることを全く気にする様子もなく、まるで怒りで我を忘れた巨大ダンゴムシのように休む間もなく攻め立ててきた。

そんな彼らをいなしながら、サンシャインはなぜか違和感のようなものを覚えた。

 

「けど、なんか変じゃないかな?」

「変って、なにが?」

「いつもなら、幹部の誰かがいるはずだけど、今回に限ってその気配がない」

「あ~、幻影帝国が倒れたからいよいよ黒幕登場ってところだからじゃないか?」

 

幻影帝国が倒されたことは、先日、まりあといおなが明堂院流道場を訪ねてきたときにちらりと聞いていた。

当面の脅威は去った、と考えていいかもしれない、ということだったが、ミラージュがいうには、自分は意図してクイーンミラージュになったわけではなく、何者かに声をかけられて徐々にクイーンミラージュとしての力に染まっていったらしい。

幻影帝国が倒されたいま、その黒幕がいよいよ動き出したということのようだ。

 

「な、なるほど……黒幕がいたとは……」

「って、それめぐみたちから言われてなかった?マリン」

「うぐっ!」

「忘れてやがったな……まぁいい。とにかく、大元はラブリーたちに任せるとして、俺たちは俺たちの町を守ることに専念するぞ」

 

セイバーのその言葉に、二人は気合の入った返事をすると、他に避難できていない人がいないか確認しながら、希望ヶ花に侵攻してきているチョイアーク、サイアークの軍団を蹴散らしていった。

道中、なかなかムーンライトとブロッサムに遭遇しないことに苛立ち始めていたセイバーは、マリンとサンシャインにその場を任せ、再びムーンライトとブロッサムを探しに町の中を走り始めた。

 

数分してようやく、周囲をチョイアークたちに囲まれながらも無双しているムーンライトとブロッサムを見つけ、安堵すると同時に、心配する必要もなかった、とため息をついた。

だが、サイアークが二体、安どしている二人の背後に飛び掛かってきた。

 

「「サイアークッ!!」」

「はっ!」

「しまっ……」

 

あまりに突然の襲撃に、二人は目を固く閉じ、腕を顔の前にかざし、防御姿勢に入った。

が、いつまで待っても、衝撃が襲ってくることはなかった。

恐る恐る、目を開けてみると、そこに飛び込んできた光景は、不思議な文様が描かれた白いマントをはためかせている青年の後ろ姿だった。

 

「セイバー?」

「セイバー、なんですか?」

「ほかに誰が……あぁ、ファントムがいたか……大丈夫、俺だよ」

 

セイバーはなぜ自分の正体が疑われたのかと苦笑を浮かべながら、ファントムではないことを告げた。

だが、どこかまだ疑いの視線を向けてきているムーンライトとブロッサムは、なぜかいくつか質問をぶつけてきた。

 

「マリンの口癖は?」

「海より深いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ」

「サンシャインの好きなものじゃなんですか?」

「可愛いもの全般」

「わたしとブロッサムのスリーサイズ」

「ムーンライトは上から……って何言わせようとしてんの?!知らないよ、俺!!」

「本音は?」

「知りたいけど知ったら社会的にも肉体的にも精神的にも殺されそうなのでご遠慮願いたい!」

 

最後に飛び出してきたとんでもない質問に、セイバーは顔を真っ赤にしながら返した。

だが、ここでブロッサムがここでさらなる爆弾を投じてきた。

 

「ならわたしたち以外の女の子だったらどうなんですか?!」

「……ムーンライトとブロッサム以外のスリーサイズ聞いて何になるの?」

「へ?」

「そ、それって……」

「……ん??」

 

意趣返し、というわけではないのだろう。

なぜか自然と出てきたその言葉に、ムーンライトとブロッサムは顔を真っ赤にし、セイバーは首を傾げた。

もっとも、今はそんな茶番をしている場合ではないのはわかっているため。

 

「この話はこの場を切り抜けてから三人だけでじっくりとしましょう?」

「逃げないでくださいね?セイバー」

「……あぁ、もう!どうにでもなれ!!」

 

集まってきたチョイアークとサイアークを蹴散らし始めた。

ちなみに、半ばやけになっているのか、セイバーはやや八つ当たり気味に攻撃していた。

それから数十分して、チョイアークもサイアークも姿を見せなくなったころ。

三人は異様な威圧感を感じ、上空を見上げた。

そこには、かつて砂漠の使徒が居城としていた惑星、惑星城よりも巨大に見える赤い惑星が見えた。

 

それだけ大きく見える理由はただ一つ。

惑星城の時とは違い、この赤い惑星は地球に衝突することも厭わないほど接近しているためだ。

当然、三人の心には焦りと不安が芽生えた。

 

「こりゃまずいな……」

「えぇ……どうしたものかしらね」

「ハートキャッチオーケストラでどうにか……できるでしょうか?」

 

さすがに不安になったブロッサムはそうつぶやいた。

一言で言えば、難しい。

どうにかできるかもしれないが、その場合の被害は甚大なものになるだろう。

少なくとも、日本列島は無事では済まないし、ユーラシア大陸も半分は消し飛ぶ覚悟が必要だ。

そうなってしまったら、はたしてこの地球上からどれほどの国、生物、生命が消えてしまうか。

想像しただけでも背筋がぞっとする。

 

そんなことはとうてい許せるはずもないが、自分たちにはどうしようもできないこともまた事実だった。

それをわかっているのか、セイバーはため息をついた。

 

「ここは、ラブリーたちにどうにかしてもらうしかないか」

 

本来、サイアークやチョイアークはぴかりが丘で戦うキュアラブリーたち、ハピネスチャージプリキュアが戦う相手だ。

ならば、この事態をどうにかできるのは自分たちではなく、ラブリーたちではないだろうか。

他力本願なことこの上ないが、実際問題、セイバーたちにできることは、地上に湧いて出ているチョイアークたちを浄化して、一人でも多くの人を避難させることだけだった。

 

それから数十分後。

禍々しく輝いていた赤い惑星から光の粒が降り注いできた。

それと同時に、赤い惑星は徐々に緑色に染まりながら、小さくなっていった。

どうやら、地球から離れていっているようだ。

 

その様子を見たセイバーとムーンライトは、どうにかなった、と確信した。

その証拠に、チョイアークたちに破壊された街並みは本来の姿へと戻っていた。

自然と、三人は互いに視線を向けあい、笑みを浮かべていた。



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ブルースカイ王国で叙勲式!そしてついに……

300話到達~っ!
というわけで、ひとまずオリジナルストーリー編の最終回
タイトルの「ついに……」が何を示しているのか、わかる方はわかるはず
まぁどうなるかは読んでみてからのお楽しみってことで

駆け足感半端ない?
まぁ、そのあたりはお許しを


惑星レッドと呼ばれる、地球の兄弟星が地球に急接近するという事件が解決し、ハルモニア王国で開催される春のカーニバルに招待され、ひと騒動があってから数週間後。

日本に、いや、世界各地に住むプリキュアと菖のもとにブルースカイ王国から叙勲式の招待状が届いた。

以前、一度だけプリキュアとセイバーをブルースカイ王国の名誉貴族に叙することが決定されたことを通達する意味も込めた招待状が届けられたが、今度はちゃんと日時と場所を指定されていた。

どうやら、惑星レッドの地球接近とそれに伴い出現した赤いチョイアークたちの事件の後片付けが落ち着いたため、再度、招待状を送付したようだ。

 

「なるほど、レッドの一件が終わってようやく王国も落ち着いたみたいだな」

「そうね……それで、どうするの?」

「さすがに行かないと不敬だろ」

 

一緒にいたゆりからどうするのか問いかけられ、行く、と答えた。

 

「ならわたしも行くわ」

「いや、ゆりは別に大丈夫だと思うが……」

「あら?行かなくても大丈夫なら行っても大丈夫ってことでしょう?」

 

ゆりのその一言に、菖はそれ以上、何も返せなかった。

こうまでして菖が一人でブルースカイ王国へ渡ろうとしていることには理由があった。

以前にも、ブルースカイ王国が幻影帝国から解放された功績をたたえ、世界各国のプリキュアと、彼女たちに助力する二人の騎士をブルースカイ王国の名誉貴族に叙することが決まり、そのことを伝える書状が届いたことがあった。

 

だが、プリキュアにしても光の騎士にしても、一部を除いてその正体が高校生や中学生、あるいは小学生であるということは知られていない。

たとえ、一代限りの名誉貴族とはいっても、年端もいかない子供にそんな肩書を与えられれば、よからぬことを企む人間も出てくるだろう。

事件に巻き込まれる可能性をつぶすという意味でも、叙勲式に参加するメンバーは少ないに越したことはない。

最善は誰にも知られることがない、ということなのだが、さすがに王家のメンツとしてそれは許されない。

 

「せめて、変身した姿での参列が許されればいいんだけど……」

「許されるのかなぁ、それ……」

 

本来ならば変身する前の姿で正装するべきなのだろう。

このあたりは、ひめがしっかり説明して、国王たちに納得してもらう必要があるのだが、果たして、ひめがうまく説明できるかどうか。

その返事はえりかとつぼみの口からもたらされることとなった。

 

「菖さん、ゆりさん!朗報です!!」

「ひめちゃんがちゃんと説明して、王様が納得してくれたみたいっしゅ!!」

 

二人のその報告に、ゆりも菖も安どのため息をついた。

 

--------------

 

翌日。

ぴかりが丘にあるブルースカイ王国大使館に集合したオールスターズのメンバーは、どうやってブルースカイ王国に向かうかの相談をしていた。

むろん、変身してから向かう方が面倒は少ないだろう。

だが、プリキュアの姿にしても、セイバーの姿にしても、目立ってしまう。

世界規模での侵略を図っていた幻影帝国のことがあって、プリキュアの存在はいまや世界中の人々に知られるものとなっている。

 

突然、何もないのにプリキュアが空港に出現すれば、マスコミが押しかけるどころか、何か起きるのではないか、と勘違いしてパニックになることも十分考えられる。

無駄にパニックを起こして迷惑をかけることはしたくないたので、変身してからブルースカイ王国に向かうという選択肢は必然的に消えてしまう。

どうしたものか、と考えていると、ひめから衝撃の言葉が飛んできた。

 

「王室のプライベートジェットを使ってもいいってことだったから、それを使って入国してもらうことにしようって話してました」

「……え?」

「それから、入城に関しては問題ないと思いますよ?わたしがプリキュアだってことは、お父様もお母様もだけれど、お城の人たちはみんな知ってるし、メイジャーランド王女アコ様も含まれてるから、秘密裏に入れるように配慮するし、叙勲式にも変身して出席していいって」

「それにメディアは一切入れないってことも約束してくれました!」

 

どうやら、叙勲式のことだけではなく、式典が行われるまでの間のことも考えてくれていたようだ。

さすがに、何か裏があるのではないかと勘繰りたくなってしまうほどの待遇だったが、パルミエ王国の国王付きの侍女だけでなく、メイジャーランドとトランプ王国の王女もいるのだ。

滅多なことをすれば、国際問題、というより世界間の問題に発展するばかりではなく、国際的にも微妙な立場に追い込まれる可能性もあることを考えれば、信用しても問題ないと結論付け、納得することにした。

 

「空港の代わりと言ってはなんですが、四葉が所有している飛行場を使うことにしましょう」

「おぉっ!助かります!!」

「なら、叙勲式で実際に国王の前に立つのは……ここはやっぱなぎさとほのかの二人か?」

「え……えぇぇぇぇっ??!!な、なんでそんな大役を?!ぶっちゃけ、ありえない!!」

「なぎさ……」

 

その後も、要求できるかどうかはともかくとして、仮にそうなった場合を想定してどのように行動するか、その打ち合わせを終わらせ、解散となった。

その帰り道。

菖が少しばかり陰鬱なため息をついていることに気付いたゆりとつぼみは、心配そうに顔を覗きながら、大丈夫か問いかけてきた。

 

「どうしたの菖?」

「あ、あの、菖さん。大丈夫ですか?」

「ん?……あぁ、大丈夫だよ?」

「そうかしら?あなた、さっきからずっとため息ついてるじゃない」

 

付き合いが長い故か、さすがにゆりも菖が何か心配事を抱えていることはすぐに察したようだ。

 

「大したことじゃない……わけでもないんだけど、うん……ちょっと心配事」

「その心配事は、わたしたちには教えてもらえないの?」

「う~ん……いや、これは教えてどうこうなるものじゃないからなぁ……」

 

でも、と菖は二人に微笑みを向けた。

 

「心配してくれて、ありがとうな」

「い、いえ……」

「当然よ。だって、あなたはわたしにとって、わたしたちにとって大切な人なんだから」

 

若干、顔を赤くしながら、ゆりはそう返した。

その意味がどういう意味なのかわからないほど、菖も鈍感ではなかった。

そして、ゆりのいう『わたしたち』というのが、自分とつぼみのことだけではなく、別の町に住んでいる仲間のことを指していることも、薄々気づいていた。

 

ゆりからのその言葉に、菖は一つの決意を固めた。

そして、いよいよ、叙勲式の当日を迎えることとなった。

 

--------------

 

叙勲式当日。

無事に入国した菖たちはメディアも関係者以外の野次馬も一切いない状態の空港に降り立った。

そこから王城までのバスに乗り込み、まっすぐに王城へむかうこととなった。

もちろん、窓ガラスには外から見えないようにブラインド加工が施されている。

となると、やはり内側から外の風景を見ることも難しいため、えりかは難しい顔をしていた。

 

「う~ん……納得はしてるんだけど、やっぱり外を見てみたいっしゅ!」

「我慢なさい。叙勲式が終われば比較的自由になるんだから」

「は~い」

 

事前に今後の自分たちの安全面のことは何度も話し合っていたので、さすがにえりかも素直に従っていた。

特に反論することもなく、ゆりの忠告に素直に従っているあたり、えりかも正体がばれることはメリットよりもデメリットの方が大きいことを理解しているようだ。

もっとも、それも叙勲式が終わるまでのこと。

叙勲式は変身した状態で出席することを許可されたため、それさえ終われば、あとは変身を解除して観光を楽しむことができる。

 

もっとも、そうなった場合、えりかならばあっちこっちのファッション関連のお店を視察して回るだろうし、なおやなぎさを中心とした食いしん坊組はレストランなどの飲食店を総なめすることになるだろうことは目に見えていた。

なので。

 

「叙勲式が終わっても、はっちゃけるなよ?」

 

と、菖が仏のような笑顔で釘を刺してきた。

もっとも、その笑顔の裏に、不動明王が見えたらしく、えりかたちはこくこくと激しくうなずいていた。

そうこうしているうちに、ブルースカイ王国の王城へ一行は到着した。

めぐみとゆうこは、以前、幻影帝国の占領下にあった時に一度だけ訪れていたらしく、懐かしさを覚えているようだ。

 

「皆様、ようこそおいでくださいました」

 

城の中に入ると、正面から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

視線をそちらに向けると、そこには青白いドレスをまとったひめの姿があった。

背筋を伸ばし、凛とした表情で立つその姿は、ぴかりヶ丘中学校二年生の『白雪ひめ』ではなく、ブルースカイ王国の第一王女、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイの風貌だった。

 

「話は父より伺っております。どうぞ、こちらへ」

 

そう言ってひめは全員を比較的広い部屋へと案内した。

ぱたり、と戸を閉めると、先ほどの凛とした口調から一転、いつものひめの口調に戻った。

 

「ここなら、監視カメラとかもないから、変身して大丈夫だよ!」

「おぉっ!さっすがひめちゃん!!」

「なら、あまり時間もないから早く済ませてしまいましょう?」

 

ゆりの一言に、全員がうなずき、変身アイテムを取り出し、一斉に変身した。

変身を終えると、プリンセスは一人で部屋の外に出て、待機していた衛士に声をかけ、会場である謁見の間までのエスコートを頼んだ。

衛士にエスコートされ、謁見の間に到着すると、周囲にはドレスや燕尾服で着飾った多くの貴族や来賓たちが今回の功労者たちに拍手を送ってきた。

なぎさを先頭に、全員が玉座の前に到着すると、誰からとなしに姿勢を正した。

それと同時に、周囲に控えていた宮廷楽師たちが担当する楽器を構え、音楽を奏で始めた。

それが、叙勲式の開式を告げるファンファーレであることは言うまでもなかった。

 

--------------

 

結論から言って、叙勲式は恙なく終了した。

代表として前に出たブラッグが、緊張したせいでガッチガチになってしまい、動きがぎこちなかったことを除けば、何事もなく叙勲式は終わり、現在はブルースカイ王国の復活を祝う祝賀会が催されていた。

並んでいる数々の料理に、食いしん坊組はすっかり夢中になり、ブルースカイ王国とのコネクションを持っておこうと考えているのか、それとも勉強熱心なのか、参列していた貴族や来賓たちと会話をしていたりする中で、セイバーは一人、バルコニーで涼んでいた。

配られたグラスを手に、のんびりと夜空を眺めていると、不意にセイバーの名を呼ぶ声があった。

声がした方を見ると、そこにはムーンライトとブロッサム、ルミナス、イーグレット、フォーチュンの五人がいた。

 

「ん?どうしたんだよ、みんな」

「貴方の姿がなかったから探しに来たのよ」

「どうしたのかはこっちが聞きたいです」

「ゆりさんやつぼみちゃんたちから聞きましたよ?叙勲式の前からため息ついてることが多いって」

「何かあったんですか?」

「わたしたちにも話してください!相談もなしなんて、水臭いです!!」

 

ムーンライトたちが口々にセイバーに文句を言ってきた。

だが、セイバーは彼女たちの文句に苦笑を浮かべるだけで、なにも言い返してこなかった。

心配をかけていたのは事実であるし、相談しなかったことも事実なのだから、返しようがないのだ。

 

「何かあった、というより、踏ん切りがつかないなって感じかな……」

「踏ん切りがつかないって……どういう?」

「……もしかして、クリスマスのときのことかしら?」

 

五人の中で唯一、セイバーが思い悩んでいたことをいち早く察知し、その答えを本人の口から聞きかけていたムーンライトがそう問いかけてきた。

それがきっかけになり、セイバーは困ったように頭をかきむしると、ため息をついて、ムーンライトたちのほうへ顔を向けた。

 

「一度しか言わない、というか言えないから、聞き逃さないでほしいんだけど」

「えぇ」

「「は、はい!」」

「「わ、わかりました!!」」

 

何かを決意したようなその瞳に、ムーンライトたちは居住まいをただした。

そして、セイバーの口から彼女たちが望んでやまなかった言葉が飛び出してきた。

 

「ルミナス、イーグレット、ムーンライト、ブロッサム、フォーチュン。君たちを一人の女の子として愛しています。こんな俺でよければ……」

「「「「「け、結婚を前提にお付き合いしてください!!!」」」」」

 

そこから先の言葉を待ちきれず、五人が一斉に叫んだ。

セイバーはその頼みに、もちろん、と答えるのだった。

すると、セイバーがそう答えるタイミングを見計らったように、ホールにいたプリキュアたちがバルコニーにやってきて「おめでとう」と大合唱してきた。

からかわれたり泣かれたりしながらも、仲間たちに祝福されたセイバーたちの顔には、満面の笑顔が浮かんでいた。




おまけ

~聞かれてました~
「……君たちを一人の女の子として、愛しています。こんな俺でよければ……」
「「「「「け、結婚を前提にお付き合いしてください!!」」」」」

ハッピー「う、う、う……ウルトラハッピーだよ!!??」
サニー「お赤飯用意やで、これは!!」
ホワイト「うふふふ♪ビッグニュースね♪」
ブルーム「イーグレット……やったね!!」
サンシャイン「ムーンライト、ブロッサム!おめでとう!!」
ハニー「うふふ♪これはお祝いしないとね?」
テンダー「ふふふ、おめでとう、フォーチュン♪」
ミント、ピース、ロゼッタ「「「うふふふふふふ♪」」」(^▽^
エコー、ラブリー「「……わ、わたしも頑張ろう!!」」(//////

ハート「ん?!なんか幸せの気配が……」
エース「愛の鼓動を感じますわ!」
ピーチ、パッション「「……?なんだか甘酸っぱい気配が……」」
ビューティー「あら?ハッピーじゃありませんが、ウルトラハッピーな気配が……」

食いしん坊組『え?どうしたの??』


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プリキュアオールスターズ編
みんなで紅葉狩り?プリキュアオールスターズ、全員集合です!


やりたいからやった、としか言えませんな。
ちょこちょこ中の人ネタを突っ込んでますが、気づかれる方がいらっしゃるのやら……。
えっと、前提として、以下の点があげられます。

・ムーンライトとセイバーは復活している。
・コロンも一緒に復活している
・ハートキャッチミラージュ未入手
・必然的に砂漠の使徒との決着はまだついていない

まぁ、これは『ハートキャッチ』編であと2,3話ほど待っていただければどんな物語だったのかわかるとおもいます。
ぶっちゃけ、ネタバレも入るわけですが、大丈夫じゃない方はブラウザバックをポチしてください。
『大丈夫だ、問題ない』というイーノックな方はゆっくりしていってね!


~これは、キュアムーンライトとユグドセイバーが復活してから、二週間ほど過ぎた頃の話~

 

秋も深まり、行楽シーズンがやってきたころ。

キュアムーンライトとユグドセイバー、そしてコロンが復活したお祝いと、結局、お月見に参加できなかった穴埋めということで、紅葉狩りに行こう、という話になった。

が、つぼみとえりかに、そのついでに紹介したい人達がいる、といわれ、いつきとゆりと菖は二人についていくことになった。

「ところで、紹介したい人たちって?」

「会ってみてからのお楽しみっていいたいけど」

「怖い人達じゃないから、大丈夫です!」

「いや、怖い人達って……えりかはともかく、つぼみにそんな知り合いがいたら俺、腰が抜けるよ」

「それもそうね」

愛らしい笑顔を浮かべながら話すつぼみの言葉に、紹介は苦笑を浮かべながら返し、ゆりが同意した。

えりかといつきは笑いながら。

「「たしかに!」」

と声をそろえて同意すると、つぼみは涙目になりながら、否定できないけどひどくないですか、と返していた。

うなだれるつぼみを、シプレとコロンが慰めていると、前方からこちらにむかって声をかけてくる少女がいた。

「お~い!つぼみ~、えりか~!!」

「あ、いたいた!!お~い!!」

「お久しぶりです!みなさん!!」

それに応えるように、えりかとつぼみが手を振った。

その先には、十人ほどの少女たちと三人の青年がいた。

------------------------

少女たちと合流したつぼみとえりかは、いつきとゆり、菖の三人と引き合わせた。

「初めまして、明堂院いつきです」

「月影ゆりよ」

「俺は、春川菖。よろしく」

「ちなみに、ゆりさんと菖さんは高校生っしゅ!」

えりかの補足に、少女たちは驚愕の声をあげた。

菖はまだ納得できるようだが、ゆりは高校生にしては大人びているようにみえるから、なのだそうだが。

もっとも、メンバーのなかにも年相応に見えない人もいるため、深くは追求しなかったが。

三人が自己紹介を終えると、いかにも元気が取り柄のスポーツ系の雰囲気をまとっている少女――美墨なぎさから、自己紹介が始まった。

十五人の少女たちと、三人の青年が簡単な自己紹介を終わらせると、ゆりはつぼみとえりかに視線を向けた。

「それで?あなたたちとこの人達はどういうつながりなのかしら??」

「それはですね……」

「聞いて驚くなかれ!!なぎさたちはなんと!!」

「なんと?」

「「先輩プリキュアなんです!!」」

つぼみとえりかが同時に驚愕の事実を口にしたが、菖とゆりは大して動揺しなかった。

むしろ、菖については疑問符を浮かんでいたため、そちらのほうが気になってしまっていた。

「……あれ?小々田さんと夏さん、シローさんは??」

「俺にさんづけはいいよ。むずがゆい……」

「俺も同意だ」

「ははは……僕たちはね」

菖の言葉にそう返すと、小々田たちの体から煙が立ち上った。

煙の中から、白と茶色、オレンジの毛玉が飛びだすと、菖の胸元に飛びついてきた。

「ココ達はプリキュアをサポートする妖精なんだココ!」

「改めて、ナッツナツ!」

「シロップだロプ!」

妖精となった、というよりも本来の姿に戻ったココたちは菖に受け止められながら、自己紹介した。

すると、くるみも歩み寄ってきて。

「実はわたしも……」

と言った瞬間、ぼふん、と音を立てて煙が立ち上った。

まさか、と菖は冷や汗を伝わせたが、予想通り。

煙の中からココよりも白い毛玉が飛びだしてきて菖の肩に飛び乗った。

「ミルクも妖精なんだミル!」

「……なんか、もうすごいな……」

いきなり四匹の妖精に抱き着かれ、菖は困惑しながらそうつぶやいた。

すると、なぎさが何かを思いついたようで。

「そうだ!ついでだから、メップルたちも出て来たら?」

「そうね!」

なぎさの親友、ほのかがそれに同意すると、なぎさとほのか、ひかり、咲と舞から何かが飛びだしてきて、菖の方へと飛びついてきた。

「メップルメポ!よろしくメポ!!」

「ミップルミプ」

「ポルンだポポ!」

「ルルンルル!」

「フラッピだラピ」

「チョッピチョピ!」

「ムープと」

「フープフプ!」

「キュアキュア、プリプ~」

「ワイはタルトいいますねん。この子はシフォンや。よろしゅうたのんます!」

「……なんで関西弁?というか、ごめん、降りてくれないかな?」

それなりに鍛えているとはいえ、かなりの数の妖精が菖に抱き着いていたので、両腕にかかる負担が大きくて仕方がない。

菖の頼みを聞き入れて、妖精たちは菖の足もとに飛び下りていった。

ほっと一息ついた瞬間、菖は背中になにか冷たいものが走る感覚を覚え、振り向いた。

すると、そこには目を輝かせながらうずうずと震えているいつきがいた。

「……えっと?」

「か……」

「か?」

「かわいいーーーーーーっ!!うわぁ、かわいいよみんな!!」

キーン、と耳鳴りがするような大声が響くと、いつきはしゃがみこんで妖精たちを抱きしめた。

なお、一番近くにいた菖は、その大音量の一番の被害を受けることになり。

「……耳が痛い……」

両耳を抑えて、うずくまるのだった。

なお、その様子を見ていたつぼみとえりか、ゆり以外の面々は唖然としていた。

「かわいいものが好きな男の子って……」

「ちょっと、変わってるわね」

こまちが苦笑を浮かべながらそうつぶやくと、かれんも同じく苦笑しながらそう返した。

それが聞こえたゆりは、そうでもないわよ、と前置きして。

「だって、いつきは女の子だもの。菖、大丈夫?」

「あぁ、どうにか……いわゆる、男装の麗人だね」

ゆりが心配そうに声をかけると、菖は耳をおさえながらではあるがそう答えた。

菖のその言葉に、舞が苦笑を浮かべて、宝塚以外で初めて目にしました、と口にした。

ちなみに、妖精たちをもふもふしているいつきを見て、ほのかはなぜかうずうずとしていたのだが、それに気づいた人はいなかった。

「そんなのはどーでもいい!!」

ふと、舞の返しに、突然、えりかが大声を上げた。

「ゆりさんはともかく、なんで菖さんは驚かないんですか!!」

どうやら、プリキュアが十五人もいるということに、ゆりと菖が驚かなかったことが気に入らないらしい。

「ヒント、俺の趣味は遺跡探索」

「……ヒントになってないような……」

「ははは……なら、答え。学術的にあまり重要じゃない遺跡とかに、なぜか"プリキュア"って読める石碑とかけっこうあったんだ。だから、もしかして、ゆりたち以外にもいるのかなぁっては思ってたから」

あれは興味深かったなぁ、と菖は思い出しながらつぶやいた。

なぜかはわからないが、そのとき菖が見学していた遺跡には、アルファベットに近い形をした文字が記されていて、そこに「光の戦士プリキュア」としか読めない、ローマ字らしき綴りも存在していた。

そのつぶやきが聞こえたのか、ほのかが目を丸くしながら問いかけてきた。

「そうなんですか?けれど、アルファベットが出来たのは、紀元前1500年くらいだからわからなくはないですけど、ローマ字表記って確認されているもので一番古いものは、戦国時代の書物なんですよね?」

「そうなんだよ。仮にあれが本当にアルファベットを使ったローマ字表記の文章だとしたら、ローマ字の成立が紀元前ってことになるんだ。いや、あるいはローマ字の原型があそこに記されていたという可能性もあるな」

ほのかの問いかけに菖は眉間にしわを寄せながら、そう返した。

なお、二人のその会話を聞いていたのぞみとえりかは。

「わ、わけがわからない……」

「菖さん、遺跡のことになると相変わらずっしゅ……」

知的な話にはついていけません、とばかりの状態だった。

------------------------

森の中を散策しながら、おしゃべりをしていると、そういえば、とラブが思い出したように、菖に問いかけてきた。

「菖さんって、妖精じゃないんですよね?男の人もプリキュアになれるんですか??」

「俺の場合、プリキュアじゃないんだよね、厳密には」

「へ?」

「彼はこころの大樹と契約を交わした戦士なのだけれど……見せた方が早いんじゃないかしら?」

ゆりの一言に、それがいいか、と菖はつぶやき、少し離れた場所へ歩みでた。

菖は目を閉じ、左手に意識を集中させた。

すると、手袋に描かれた紋章が光を放ち、菖の全身を包みこんだ。

光が止むと、そこには不思議な文様が描かれた、白い外套をまとう菖の姿があった。

「へ、変身した……」

「あれ?名前が……」

「一応、ユグドセイバーって名前はあるけど、名乗りがないんだよね」

苦笑しながらそう返すと、セイバーはふと、なぎさががっくりとうなだれている姿が目に入った。

「……えっと、どうしたの?」

「……じゃない……」

「え?」

「……黒じゃ、ない……」

どうやら、服の色のことを言っているようだが、なぜ黒じゃないとわかってしょんぼりしているのか、見当がつかなかった。

「えぇっと……なぎさ、変身したときの色が黒なんです」

「……そういえば、黒ってなぎささんだけですよね?」

「……うぅぅ……」

ほのかが補足説明をしたすぐあとに、うららが首を傾げながらそう言うと、なぎさは余計に落ち込み、膝をついてしまった。

「……えっと、なんか、ごめん」

ひとまず謝っておいたほうがいいかと思ったのか、セイバーが謝罪すると、なぎさは涙目になりながら、大丈夫です、と返して立ちあがった。

「こうなったら、ゆりさんといつきが黒仲間であることに期待して!!」

「……ゆり、いつき。この場合、なんて言ってあげたらいいんだろう?」

「見せてあげた方が早そうね。いつき、妖精たちをもふもふはそこまでにして、一緒に変身するわよ」

「えぇ……うぅ……はい、わかりました」

歩きながらも、妖精をもふもふしていたいつきは、名残惜しそうに返事をして、ココロパフュームを取りだした。

ゆりもココロポットを取り出し、コロンに視線を送った。

「「プリキュアの種、いくでしゅっ/いくよ!」」

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

コロンとポプリから心の種が飛び出てくると、ゆりといつきはそれを受けとめココロパフュームとココロポットにセットした。

二人がサンシャインとムーンライトに変身し終わると、セイバーとは正反対に高らかに名乗った。

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

『おぉ~~~~~っ!!』

サンシャインとムーンライトの変身に、セイバーとつぼみ、えりかの三人以外は目を輝かせていた。

彼女たちが共通して抱いていた感想は。

『キュアムーンライト、綺麗……』

だった。

ゆりが高校生ということもあり、どこか大人びた雰囲気をまとっているからそう感じたのだろう。

ちなみに、サンシャインに抱いた感想は、かわいい、という月並みのものだった。

が、ここで一つ問題が。

「……なぎさ……」

「なぎささん……」

ほのかとひかりがひどく落ち込んでいるなぎさに視線を向けていた。

黒仲間かもしれない、と期待していたサンシャインとムーンライトがまったく違う色。

おまけに、ムーンライトに至っては自分と逆の色に近い銀だったことにショックを受けたらしい。

なお、その愚痴を聞いた瞬間、セイバーとムーンライトは。

「(……ムーンライトは銀なのか?それとも紫なのか?)」

「(紫ということでいいと思うわ……)」

「(それじゃ、俺の色は白なのか?)」

「(マントの色がそうなんだから、そうなのではないかしら?)」

ひそひそと自分たちの色について、話し合っていた。

その間、なぎさはほかのメンバーからも慰められていたのだが、再起するまでに少しばかり時間がかかってしまったことはいうまでもない。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

セイバー「こうして並ぶと、俺、けっこう浮くなぁ……」
ムーンライト「そうね。いってみれば黒一点だもの」
セイバー「マントは白なんだけどな」
ホワイト「けど、白仲間が増えて少しうれしい気も……」
イーグレット「ホワイトとわたしだけだものね、今のところ」
ベリー「それにしても、相手を傷つけて憎しみを生みだしたくないからって、わざわざ斬れない剣にしなくても……」
ミント「……人々の憎しみや恐怖が溢れ、世界を黒く染めていく時代に、それを乗り越え、人々をつなごうとする一人の青年の物語……うん!いけそうな気がするわ!!」
セイバー「何かの物語?」
アクア「ミントは小説家を目指しているんです」
セイバー「そうなんだ?なら、こんど遺跡探索したときの話をネタとして提供しようか?」
ミント「青年の趣味は遺跡探索で、旅する中で探索した遺跡に遺された謎を解くうち、世界の真実にたどりつく……あ、はい!ぜひお願いします」
サンシャイン「よく出てくるね……ちょっとびっくりしちゃった」
ブロッサム「ともあれ、こうしてまたみなさんと一緒にどこかに遊びにいきたいです!」
ブラック「そうだね!」
ブルーム「大賛成なり~」
ドリーム「よーし!まずは変身を解いて、今日は目いっぱい遊んじゃうぞ~!けって~い!!」


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再会後の顔合わせ(スキット風)

少し、フライングです。
DX3のエンディング後の風景を想像していただければ。
まぁ、正直、やりたいからやったとしか(多いな、こういうの)


響「改めまして、わたし、北条響!それで、こっちが……」

奏「南野奏です!よろしくお願いします」

ハミィ「ハミィはハミィニャ!よろしくだニャ!!」

なぎさ「よろしく!」

ゆり「それじゃ、今度はわたしたちの番ね。なぎさ、お願い」

なぎさ「はい!」

~自己紹介中~

ゆり「月影ゆりよ、よろしくね」

コロン「ムーンライトのパートナー、コロンだよ。よろしく」

菖「で、俺が最後が……俺は春川菖。よろしく、二人とも」

響&奏「……え?男の人??」

菖「あ、やっぱり気になるのね……」

つぼみ「菖さんはプリキュアじゃないですけど、わたしたちの仲間なんです!」

えりか「その名も、大樹の騎士・ユグドセイバー!!」

奏「菖さんが、騎士(ナイト)ですか……?なんだか、イメージにあわないような……」

響「おぉ~~~~~~っ!!かっこいい!!」

コロン「こうも反応が違うのは、面白いね」

菖「イメージにあわない、かぁ。まぁ、俺よりも先代のほうが騎士って感じだったからなぁ」

舞「菖さんは"騎士"というよりも単なる"剣士"って感じですもんね」

こまち「でもかっこいいのは本当よ?」

つぼみ「はい!」

えりか「普通よりちょっといいって感じの菖さんが、一瞬でかっこよくなるから覚悟した方がいいっしゅ!!」

奏「そうなんですか??!!」

響「それはぜひ見てみたいです!!」

菖「……これは、まさかの?」

ゆり「そうね」

かれん「……のようね」

こまち「あらあら、うふふ」

ほのか/ひかり/舞「「「あははは……」」」

りん「……ご苦労様です。菖さん」

なぎさ/咲/のぞみ/うらら/ラブ「「「「「え?どういうこと??/ことですか??」」」」」

菖「実際に変身して見せてみろってこと。ちょっと離れてて」

菖(ごそごそ)

響「あれ?菖さんの変身アイテムは手袋なんだ?」

ゆり「えぇ。それに、わたしたちとはちょっと違うところがあるから、見ているとおもしろいわよ?」

響&奏「「ちょっと違うところ??」」

菖「よし、それじゃいくか」

えりか「よっ!待ってました!!」

ラブ「それじゃ、菖さん!お願いします!!」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

響&奏「「ま、まぶしぃっ?!」」

菖「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

響&奏「「お、おーーーーーっ!!か、かっこいい!!」」

セイバー「……ほんとは、見世物じゃないんだけどなぁ……」

せつな「せっかくだから、みんないっしょに変身しない?」

のぞみ「いいねぇ!!そうしよう!!」

ひかり/うらら「「はい!!」」

りん「うぇ~……まぁ、たしかに菖さんだけ変身させて、あたしらが変身しないのはないかぁ……」

くるみ「面倒だけど、仕方ないわね」

美希「はぁ……まったく……」

祈里「あはは……」

つぼみ「それではみなさん!!」

いつき「プリキュアに!」

えりか「変身っしゅ!!」

セイバー以外全員『えぇっ!!』

セイバー「……なぁ、コロン。これは俺も乗った方がいいのか?」

コロン「そのほうが後で文句は言われないと思うよ?」

セイバー「だよなぁ……」

MHチーム「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆Sチーム「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGoチーム「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュチーム「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチチーム「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

スイートチーム「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」

ブラック「光の使者、キュアブラック!!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!!」

ルミナス「輝く生命!シャイニールミナス!!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

セイバー以外『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』

マリン「……って、まーたセイバーだけ言ってないっしゅ!!」

セイバー「いや、だから、俺はプリキュアじゃないから」(苦笑

ミント「まぁ、そうよね」(汗

ドリーム「それにしても……」

ルミナス/イーグレット/ブロッサム/リズム「「「「「……ぽーーーーっ……」」」」」

レモネード「ルミナスたちはどうしたんでしょう?」

ムーンライト「だいたい予想は出来るわよ?」

レモネード「え?」

パッション「あぁ、わたしもわかったわ……」

ミルキィローズ「そうね」

ルージュ「あぁ……なるほどね」

ルミナス/イーグレット/ブロッサム/リズム「「「「「……セイバー、やっぱりかっこいい……/です……」」」」」

サンシャイン「……ブロッサムは知ってたけど、まさかほかの皆もそんな風に思うとは思わなかったなぁ……」

ブルーム「セイバーがかっこいいっていうのは、わかるけど」

ブラック「顔、紅くするほどかなぁ?」

ベリー「う~ん?どうかしらねぇ……」

パイン「ま、まぁ、いいんじゃない?人それぞれということで」

アクア「まぁ、一理あるわね」

メロディ「あぁ、けどリズムはちょっと違うかも?」

ムーンライト「そうなの?」

メロディ「リズム、ちょっとほれっぽいので……」

マリン「ブロッサムと同じっしゅ……」

コロン「セイバー、前途多難だね……ちょっと同情するよ」

タルト「……とかいいながら、コロンはん、実はめっちゃくちゃ楽しんどらへんか??」

コロン「さぁ?どうかな??」

シプレ、コフレ、ポプリ「「「コロンがものすごく怖いですぅ/ですっ/でしゅ……」」」




あとがき代わりのおまけ(スキット風)

作品(世界)を超えて巡り合う~
ハミィ「そういえば、ハミィはゆりと会ったことがあるかにゃ??」
ゆり「いいえ、初めてだと思うけれど」
響「あ、それ、わたしも思ってた!わたし、ゆりさんとは初めて会った気がしなくて」
ゆり「あら?不思議なこともあるものね?」

~人気ものハミィ~
ほのか「ね、ねぇ、ハミィ。ちょっとお願いがあるんだけど……」
ハミィ「ニャ?なにかにゃ??」
ほのか「ちょっと、抱っこさせてくれない?」
ハミィ「構わないにゃ!」
ほのか「ありがとう!!」
いつき「いいなぁ……次は僕にも抱っこさせて!」
奏「うぅ……わたしもハミィの肉球、ふにふにしたい……」
菖「……すっげぇ人気者だな、ハミィ」
ゆり「そうね……」
なぎさ「……ほのかがあんなにとろけた顔してるの、初めて見た気がする……」


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顔合わせスキット~人間になった猫と小さなツンネコお姫様~

タイトルのままです。
まぁ、誰と誰かはわかる人にはわかるでしょうが。
なお、例によって、妖精たちに割り当てられるセリフが少なくなっていますが、ご了承を。(多すぎて、無理……)


エレン「黒川エレンです。よろしくお願いします!」

アコ「調辺アコよ。よろしく」

菖「君たちが響たちの新しい仲間か」

ゆり「あら?……間違っていたら申し訳ないけれど、アコは小学生なのかしら?」

アコ「そうよ……だからってなによ?」

ゆり「いいえ、なんだかえりかより年下には見えなかったから。気に障ったらごめんなさいね」

菖「あぁ~……たしかに、えりかよりしっかりしてそうだなぁ」

えりか「ちょ?!ゆりさん?!菖さん?!なんかひどくないですか??!!」

ゆり、菖「「自分の胸に手を当ててこれまでの行いをよ~く思い返して見なさい/見な?」」

えりか「うぐっ……つぼみ~、いつき~」(半泣き

つぼみ、いつき「「ごめんなさい/ごめん、えりか。フォローできません/できないよ」」

えりか「うあ~~~~~~んっ!!」(´;ω;`)

菖「まぁ、それはそれとして。俺たちも名乗らないと、失礼だな」

ゆり「そうね。それじゃ、なぎさからお願いしてもいいかしら?」

なぎさ「もちろんです!それじゃ……はじめまして!あたし、美墨なぎさ!!こっちは、ほのかとひかり!」

ほのか、ひかり「「よろしくね/お願いします」」

~少女、自己紹介中~

ゆり「わたしは月影ゆり。で、幼馴染の菖よ」

菖「よろしく。二人とも」

エレン、アコ「「よろしくお願いします!」」

えりか「あれ?二人とも驚かないの?あたしたち(プリキュア)の中に(男の子)がいるってこと」

響「そりゃ、わたしたちが事前に教えてましたから!」

奏「そのほうが手間が省けると思って、響と相談していたんです」

菖「そっか。ありがとう。二人とも」

響、奏「「いえ!これくらい、どうってことないです!!」」

こまち「ふふ……相変わらず、仲がいいのね。響と奏」

アコ「そうでもないわ」

エレン「そうね。奏が試作したカップケーキを勝手に食べて」

ゆり「……お魚くわえた野良猫を追いかけるように、奏が響を追いかける、と」

菖「……なぜかありありと目に浮かぶな」

響「たははは……」

奏「も~、響ったら、笑いごとじゃないわよ?!」

つぼみ「でもお二人とも、すごく仲がいいです!」

咲「うんうん!!仲良きことは良きことなり~!」

舞「そうね!」

なぎさ「うんうん!やっぱり、パートナー同士、仲良くなくっちゃ!!」

ほのか「ふふ、なぎさはメップルと喧嘩ばっかりだけれどもね」

つぼみ「えりかとシプレも同じです」

ひかり「けど、喧嘩するほど仲がいいともいいます!」

いつき「シプレもえりかも仲がいいからね。まさにぴったりの言葉だよ」

なぎさ、メップル、えりか、シプレ「「「「そ~かな~/そうメポ?/そうですか?」」」」

くるみ「あぁ……なんかすっごく疑ってるって顔ね」

せつな「声はぴったりそろっているのにね……」

うらら「仲がいいといえば、ゆりさんと菖さんも仲がいいですよね?」

のぞみ「そういえば、二人が喧嘩してるところって見たことがないような……」

りん「ちょ?!あんたら、こんな時に爆弾投下する?!」

つぼみ「そういえば……」

舞「そうですよね……」

かれん「あの、お二人が喧嘩することってあるんですか?」

菖、ゆり「「あるな/あるわね」」

ひかり「ちなみに、どんな時に喧嘩するんですか?」

菖「特売日にどっちが先に最後の商品手にしたとか」

ゆり「休日の約束をすっぽかしたときとか、ね……」

菖「あぁ、あとは……あれか?」

ゆり「そうね、あれね」

菖、ゆり「「どっちが学年順位が上かで言い争いになったな/わね」」

えりか「ちっさ?!最後が意外にちっさ?!」

シロップ「ちっさい言うなロプ!!」

うらら「シロップのことじゃないですよ?」

菖「まぁ、どれも小学生とか中学生のときとかの話だよ」

ゆり「最近じゃ、そんな小さいことじゃ喧嘩しなくなったわね。えりかじゃないんだから」

えりか「ちょ?!ゆりさんひどいっしゅ!!」

ラブ「あははは……」

エレン「あぁ、でも成績の話は、わたし、わかるかもしれない」

菖「そうなのか?」

エレン「はい」

響「そっか。エレンはメイジャーランドでハミィと"歌姫"の座を競っていたもんね」

ハミィ「そうニャ!セイレーンはハミィにとって、一番の親友なんだニャ!」

つぼみ「え?ハミィはメイジャーランドの妖精、ですよね?それじゃ、エレンさんは……」

エレン「わたし、元々、メイジャーランドの妖精だったのよ」

菖以外『えぇ?!』

菖「へぇ……それは驚きだ」

美希「いや、菖さん。驚いてないでしょ」

菖「うん、実は割と」

祈里「えぇ……」

えりか「……まぁ、そりゃそうだわねぇ」

つぼみ「菖さんの体質を考えたら……」

エレン「え?体質って……」

アコ「もしかしなくても、視える体質ってことかしら?」

エレン「ひぃっ?!」

りん「……もしかしなくても、エレンって」

つぼみ「わたしたちと同じで……」

奏「えぇ……お化けとか、妖怪とか、苦手なのよ」

りん、つぼみ、エレン(ガシィッ!!)

ひかり「三人の間に友情が生まれました!」

アコ「仲良しトリオね。まるでメイジャーランドの三銃士だわ」

響「けど、そんなこと言ったら、あの三人のことだから……」

奏「えぇ……」

エレン「『そんなことはありません、姫様!』って、口をそろえていいそうね」

奏「それも合唱で」

響「あはは、ありえる」

菖「うん?ちょっと待った……いま、姫様って言った?」

ゆり「この流れだと、アコはメイジャーランドのお姫様ってことになると思うのだけれど?」

アコ「そうよ?」

スイートチーム以外全員『……え?』

アコ「……あによ?」

つぼみ「い、いいえ……し、失礼しました……」

舞「まさか、お姫様だったなんて露知らず……」

アコ「別に普通に接してくれていいわ。響たちだってそうなんだもの」

菖「ま、本人がそう言ってるんだから、いいんじゃないかな?」

アコ「物怖じしないのね、菖さん」

菖「平民だろうが貴族だろうが、人は人だからな。俺からしたら、アコはちょっとしっかりした可愛い女の子だからな」(アコの頭ポム

アコ「……ありがと、菖お兄ちゃん////」

響「……いま、アコが……」

奏「照れながら笑った……」

エレン「これはかなりレアな……」

アコ「……っ?!フカーーーーーッ!!」

ハミィ「ニャ?!姫様に猫耳としっぽが出てきたニャ??!!」

ゆり「あらあら、可愛らしいわね」




あとがき代わりのおまけスキット

~ちょっとおふざけを~
アコ「ねぇ、菖さん。菖さんは変身すると"大樹の騎士"になるのよね?」
菖「ん?そうだけど」
アコ「だったら、変身して片膝ついてわたしの手を取ってほしんだけど……だめ?わたしも変身するから」
菖「……構わないけど、いたずらしようって気はないよね?」
アコ「ないから安心して」
菖「……わかった」
~菖、アコ、変身~
セイバー「……(片膝ついて手を取り)さて、これで構いませんか?姫」
ミューズ「えぇ……さぁ、騎士よ。わたしの手に忠誠の口づけを」
セイバー「……おいおい」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響『それはだめーーーーーーっ!/ですーーーーーっ!!』
ミューズ「チッ」
セイバー「……いま舌打ちしなかった?」
ミューズ「気のせいよ」
えりか「……チビっ子が意外に腹黒っしゅ……」

~新たな仲間がもう一人~
響「……突然だけど、菖さんってかっこいいよね」
つぼみ「はい!優しいですし、お料理も上手ですし!」
ゆり「芯が通った性格しているくせに、おせっかいでお人好しだけれどもね」
ひかり「けど、だからこそこっちの話を黙って聞いてくれて、ちゃんとアドバイスをしてくれるんだと思います!」
かれん「それに、ちょっと好奇心が旺盛で、好きなものになるとスイッチはいっちゃうのよね」
舞「そこも菖さんのいいところです!」
響「そしてなによりも……」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響「「「「あの人懐っこい笑顔が一番心惹かれます!/惹かれるのよね!」」」」
ゆり「うふふ、響も菖の虜になっちゃったのね」
コロン「……セイバー、ほんとに前途多難だね……」

~そしてなぎさはまたも落ち込む~
なぎさ「……」(隅っこ体育座り
ほのか「なぎさ、元気出して……」
エレン「どうかしたの?」
ひかり「エレンさんとアコちゃんが変身した時の色が黒じゃないって嘆いているんです」
ほのか「いつきとゆりさん、菖さんの時もそうだったわよね……」
アコ「ちなみに、なぎさは何色なの?」
ほのか「黒よ。ちなみに、わたしは白で」
ひかり「わたしが黄色です」
アコ「それじゃ、わたしはひかりとお揃いなのね」
エレン「わたしは青なのよね……けど、姫様は最初は黒じゃなかったかしら?」
アコ「……エレン。そのことは忘れなさい」
エレン「は、はい!」
ほのか「い、いったい、なにがあったのかしら……
ドドリー「知らぬが花、ドド」


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顔合わせスキット~笑顔輝く少女たち~

顔合わせスキットです。
まぁ、タイトルを見てくださればわかるかと。
なお、あゆみの変身を思わせる場面がありますが、衣装だけ着替える感じです。
例によってセリフが割り当てられていない子や妖精は無視ですが、ご了承を。


みゆき「というわけで!わたし、星空みゆき。キュアハッピーです!」

あかね「うちは日野あかね。キュアサニーや。よろしゅうたのんます、先輩!!」

やよい「き、黄瀬やよい、です……キュアピースに変身します」

なお「キュアマーチの緑川なおです」

れいか「キュアビューティーに変身する、青木れいかと申します」

キャンディ「キャンディクル!よろしくクル!!」

あゆみ「坂上あゆみ、です……あ、あの……この前は本当に……」

菖「おっと、それ以上は聞かないよ?」

ゆり「そうね。あなたは十分、反省したんだもの。それなら、これ以上、責めるのはお門違いよ?」

あゆみ「で、でも……」

菖「う~ん……それなら、お仕置きってことで……」

えりか「顔に落書き?それとも着せ替え人形??」

ゆり「あなたは黙ってなさい」

えりか「ぎゃん!!」

つぼみ「で、でも菖さん……お仕置きっていったい……」

りん「菖さんのことだから、発掘した拷問器具にまつわる怖い話を聞かせるとか……」

エレン「自分が体験した怪談を聞かせるとか……」

みゆき、なお「「な、何それ、怖い」」(((;ω;lll)))

かれん「……ないわね」

アコ「そうね」

こまち「うふふ、それはそれで面白そうだけれど」

あゆみ「……ど、どんなお仕置きでも覚悟はできてます!!」

菖「なら……」(デコピン)

あゆみ「あうっ……え?あまり、痛くない……」

菖「はい、これで手打ち。これ以上の謝罪は聞かないからそのつもりで。いいね?」

ゆり「菖らしいわね。なら、年長者として、わたしも」

あゆみ「……っ!!……え?」

アコ「ほっぺに」

いつき「両手をそえて、おでこをくっつけただけ?」

ゆり「あなたは、ちゃんと大事なことに気づいた。そして、大事な友達を助けようとした……そうでしょ?」

あゆみ「……はい」

ゆり「それなら、わたしからはなにも言うことはないわ。だから、これ以上、自分を責めるのはやめなさい」

あゆみ「……はい!」

みゆき「うんうん!やっぱり笑顔が一番!!」

アコ「意味がわからないわ……」

あかね「すまんな。みゆきはいっつもこんな調子やから」

咲「それはそうと、今度はこっちの番なり!なぎささん!お願いします!!」

なぎさ「オッケー!」

~少女、自己紹介中~

キャンディ「クル?菖は女の子じゃないのにプリキュアになれるクル??」

みゆき「そういえば……」

あかね「菖さん、あんさん、もしかして"心は乙女"とかいう口やあらへん……よな??」

菖「海外だったらそういう人は多いけど、俺は違うから」

なお「そうなんですか?」

れいか「でしたら、菖さんはいったい……」

やよい「もしかして、プリキュアに味方する、正義のスーパーヒーローとか??!!」

菖「う~ん……正義のスーパーヒーローか……プリキュアの味方ってのは間違ってないけど、俺は自分が正義のヒーローだとか思ってないからなぁ……」

やよい「そうなんですか?」

みゆき「え?なんで??」

菖「……この世に悪があるとするならそれは人の心、だからね」

えりか「まぁた始まったっしゅ……」

なぎさ「またその格言?菖さん、好きだよね、その言葉……」

れいか「……自身が人である以上、人の心を持つ菖さんもわたしたちプリキュアも、完全な正義とはいえない、ということでしょうか?」

菖「そういうこと……ゆりとせつなとエレンは理解してくれてるんだけど、他の子はねぇ……」

ゆり「無理もないわ。せつなとエレンは出自が出自だし、アコはまだ小学生だもの」

咲「む~……難しい話は置いておいて!!」

舞「そうね。そろそろ恒例の……」

のぞみ、ラブ、えりか「「「変身した姿お披露目しちゃうぞ~っ!けってーい!!/だよ~!/っしゅ!!」」」

菖「……小学生か、お前らは……」

アコ「馬鹿っぽい」

なぎさ「あははは……それじゃ、みんな行くよ!!」

全員『えぇっ!/はいっ!/Yes!/オーケー!』

 

MH「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆S「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート「「「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」」」

スマイル『プリキュア!スマイルチャージ!!』

あゆみ「みんなの想いを守るために……心を一つに!」

ブラック「光の使者、キュアブラック!!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ローズ「青い薔薇は秘密の証!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)!熱血パワー!!キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々!直球勝負!!キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け!キュアエコー!!」

ルージュ、セイバー、サニー「「「って、ちょっと待ったーーーーっ??!!」」」

エコー「ふぇっ??!!」

ルージュ「な、なんであゆみがエコーに変身できんの??!!」

サニー「せやで!フーちゃんがおらへんのに変身できたんかいな?!」

セイバー「エコーの背後でスタンばってたやつ、いったい何をしかけた??!!」

ルージュ、サニー「「って、そっちかい?!」」

マリン「いやぁ、実はエコーの衣装が可愛かったんで作ってみたっしゅ!」

エコー「あ、あの……衣装だけなら作れるからって、えりかから言われて……」

セイバー「あ~、だいたい察しはついたよ……って、だから泣きそうになるなって、ちょっと驚いただけだから」

サニー「あぁ……それはそうと、セイバーはん……」

セイバー「うん?」

マーチ「ムーンライト、止めてほしいんですけど……」

ハッピー「ぴ、ピースがぁ……」

ビューティー「少し、かわいそうなことに……」

ムーンライト「何をふざけていたのかしら?プリキュアはごっこ遊びじゃないのよ?」

ピース「ご……ご、ごめんなさ……」

ムーンライト「謝る必要なんてないわ。なんでじゃんけんをするのかその理由を聞きたいの」

セイバー「……ごめん、無理」

ムーンライト、ピース以外『速攻で投げ捨てた??!!』

セイバー「まぁ、あと少ししたら鎮火するだろうから、それまで触らない方がいいよ?」

ムーンライト、ピース以外『……は、はい……』

ムーンライト「泣いてるだけじゃわからないわよ?ちゃんと説明しなさい?」

ピース「ご……ごべんなざーーーーーいっ!!」(大泣き




あとがき代わりのスキット集

作品(世界)を超えて、巡り合う2~
みゆき「ねぇねぇ、菖さん」
菖「うん?どうした?みゆき」
みゆき「菖さんとわたしって、初対面ですよね??」
菖「……そのはず、だけどな……」
みゆき「なんだか、会ったことがあるような気がするんですが……」
菖「奇遇だな、俺もだ」
ゆり「なんだか、多いわね最近」

~お説教のあとは……~
やよい「うぅ……ぐすん……」
菖「あぁ……災難だったな、やよい」
やよい「ひぃっ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
つぼみ「お、落ち着いてください!!」
菖「……これ、俺がフォローしたほうがいいのか?」
あかね「まぁ……できるんなら、そうしてほしいんやけど……」
菖「なら、なにか好きなものがあれば」
みゆき「やよいちゃん、ヒーローとか大好きですよ?」
菖「……なら、俺のお気に入りの特撮ヒーロー映画見に行くか?」
やよい「……ゆりさんは……」
菖「興味ないから来ないだろ」
やよい「行きます!!」
えりか「復活早っ?!つか、菖さん、それってまさかデートなんじゃ……」
つぼみ「いいえ、えりか。それは違いますよ」
かれん「そうね。これはあくまでお詫びだから……」
舞「ぎりぎりデートではない、はずよね……」
ひかり、響「「……」」
えりか「……めちゃくちゃ怖いっしゅ……」
ラブ「いいなぁ……わたしもお供しちゃおうかな……」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響『ラブ/ラブさんはだめ/だめです!!』
ラブ「……ひどい……」

~優しいお兄さんとお姉さん……?~
みゆき「ねぇねぇ、菖さんとゆりさんってどんな人なのかな?」
あかね「そら優しいんとちゃうか?」
やよい「あゆみちゃんへのあの対応だもんねぇ……けど、ゆりさんは正直、コワイ……」
みゆき、あかね「「あ……あははは……」」
なお「いいなぁ、わたしもお兄ちゃんかお姉ちゃん、欲しかったなぁ……」
れいか「なおは一番上のお姉さんですもんね」
なお「うん……」
アコ「なら、呼んでみればいいんじゃない?」
なお「うぇ?!いきなりそんな……」
アコ「……菖お兄ちゃん、ゆりお姉ちゃん」
菖、ゆり「「うん?/え?どうした?/どうしたの?アコ」」
スマイル『なんか自然に反応してる??!!』


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顔合わせスキット~エコーの守護騎士~

なんだかんだで、久方ぶりの顔合わせスキット
今回は遅れながらの湊くん主役です

……あ、おまけスキット、ひとつしか思いつかなかったので、これで勘弁してください


湊「……えっと、未来湊です。よろしく」(--;

あゆみ「湊くん、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ」(^^;

みゆき「そうそう!もっと気楽に気楽に!!」(^▽^

あかね「みゆきの場合は気楽ゆうより、能天気なんとちゃうか?」(-▽-;

りん「それ言えてるかもねぇ……うちにも似たようなのがいるし」

のぞみ、うらら「「へ?誰のこと/ですか??」」

くるみ「……あんたら、一回、鏡見て来い……」

湊「……兄貴、助けてくれ……」

菖「こればっかりはなぁ……まぁ、ひとまず、顔と名前、覚えるとこから始めようか」

湊「……おう」

 

----------------------------

 

つぼみ「改めて、花咲つぼみです!」

えりか「来海えりか、14歳!」

いつき「明堂院いつきです」

ゆり「月影ゆりよ。菖とは幼なじみなの。よろしくね」

湊「よろしくお願いします」

えりか「それにしても……」

あゆみ「……?」

えりか「よくあんなイケメン捕まえたよね?あゆみ」

あゆみ「へ……ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」Σ(///□///

いつき「えりか、からかいすぎ」(^▽^;

つぼみ「で、でも、わたしも気になります!あゆみさんが湊さんをどう思っているのか!」

あゆみ「あ、あうあうあうあう……み、湊く~ん」(;□;

湊「うっ……い、いや、えっと……」(///□///

菖、ゆり「「……はぁ……」」

((べしっ!))

えりか「へぐっ??!!」

菖「えりか、調子乗りすぎ」

ゆり「いいかげんいなさい?でないと……」

菖、ゆり「「俺/わたしたち二人のお説教コース突入させてもらうぞ/わよ?」」

えりか「ひぃっ!!そ、それだけはご勘弁を!!」Σ(○□○lll

湊、あゆみ「「さ、さすが兄貴/菖さん……」」

えりか「……というか、なんであたしだけ?!つぼみだって気になるって言ってたじゃ……」

菖、ゆり「「つぼみはいいんだよ/のよ。お前/あなたみたいにしつこくないから」」

えりか「理不尽っしゅ!!」

菖「世の中はそんなもんだ」

湊「……なんだろう?兄貴が言うと説得力があるというか……」

あゆみ「たぶん、そこは突っ込んじゃいけないんだと思うよ、湊くん」

湊「……だな」

えりか「……あの二人はあの二人でまた二人だけの空気作ってるし……」

いつき「まぁまぁ……そういえば、なんで湊くんは菖さんのことを『兄貴』って?」

湊「いや、なんかただ先輩って呼ぶのとは違うような気がしてさ」

菖「なんだ、そりゃ」

ゆり「あら?いいんじゃないの?いままで妹分しかいなかったんだから、ちょうどよく弟分が出来たわけだし」

菖「あぁ……そういう意味じゃ違うわな」

湊「迷惑なら、やめますけど……」

菖「別に構わんさ」

湊「おう!それじゃお言葉に甘えるぜ、兄貴!!」




おまけスキット

~恰好は正反対?~
えりか「そういえば思ったんだけど」
あゆみ「うん??」
えりか「どっちかっていうと、湊のほうが守護騎士って感じがする」
みゆき「あ!それ、わたしも思った!!」
やよい「わたしも!!」
ゆり「たぶん、恰好の違いなのかもしれないわね。湊くんは鎧とマントって姿だけれど、菖はマントだけだもの」
菖「だから、俺は騎士なんて柄じゃないって」
湊「俺は……うん、あゆみの騎士ってだけで十分かなぁ」
あゆみ「……(ボムッ)……」(/// ///


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顔合わせスキット~愛の鼓動響かせる少女たち~

先に書きあがったので、こちらをポイします。
誰が出るかは、まぁ、わかりますかね?
なお、今回は珍しく、菖にオコになってもらってます。
理由は、まぁ、本編を。
彼女にちょっと痛い目にあってもらいたいという、私の個人的な想いからなので、スルーしていただけるとありがたいです。


ハート「初めまして!わたしはキュアハート、相田マナです!!」

ダイアモンド「キュアハートのお目付け役、キュアダイアモンド。本名は菱川六花です」

ロゼッタ「キュアロザッタこと、四葉ありすと申します。以後、お見知りおきを」

ソード「キュアソードこと剣崎真琴よ。よろしく」

マリン「ちょ、ちょっと待った?!」

ブラック「い、いま剣崎真琴って言ったよね?!」

ハッピー「てことはもしかして!」

ムーンライト、セイバー、ミューズ、ドキドキチーム以外『まこぴー??!!本物の??!!』

セイバー「あぁ~、これは……」

ムーンライト「収拾つかなくなるわね」

ミューズ「馬鹿っぽい」

サニー「って、ミューズはともかく、なんでムーンライトとセイバーはそない冷静でいられるんや?!」

ブルーム「本物のアイドルが目の前にいるんですよ?!」

セイバー「いや、だって俺、別にファンじゃないし」

ムーンライト「同じく、ね」

ハート「な、なんですとぉぉぉぉっ??!!」

ブロッサム「は、ハートがものすごくびっくりしてます……」

ダイヤモンド「そりゃ、ハートはまこぴーの大ファンだもの」

ロゼッタ「驚くのも無理はないと思いますわ」

ダイヤモンド「あぁ、けどそうと知ったらハートのことだから……」

ラケル「……次の行動が簡単に予想できるケル」

ハート「こうなりゃ、セイバーとムーンライトにまこぴーの良さを徹底的に……」

ダイヤモンド、ラケル「「ほらやっぱり/ケル……」」

ルミナス「あ、それはやめておいた方が……」

セイバー「……そうかそうか、ならお返しに俺はハートに遺跡探索の魅力を語りつくさないといけないな?」(^^メ

ハート「……へ?」

ムーンライト「そうね。ならわたしは植物のあれこれをしっかりレクチャーしないといけないわね」(^^メ

ハート「……え??え???」

ムーンライト、セイバー「「等価交換だ/もの。与えられたものはきっちりお返ししないとな/ね」」

ハート「い、いや、あのお二人さん……目が、目がものすごく怖いんですが……」(((^^;;

セイバー「なぁに、遠慮するな。たかだか三時間程度、大学院レベルの講義をするだけだから」

ハート「い、いやだから、あの……」

ムーンライト「そうね。実戦を含めても五時間程度だし、これくらいわけないわよね?」

ハート「え、えぇっと……」

シャルル「は、ハート……な、なんだかすぐに謝った方がいいような気がしてきたシャル……」

ダイアモンド「す、すごい……あのハートがやり返されてる……」

ソード「それだけじゃない。勢いでも負けてるわ……」

ダビィ「こんな光景、初めてだビィ……」

ロゼッタ「あらあら♪」

ソード「それにしても、ハートが押し返されてるってすごく新鮮ね……」

マリン「御三方、セイバーとムーンライトをなめたらあかんっしゅ」

サニー「せやな。でもって、あの二人は、たぶんうちらのなかで絶対に怒らせたらあかん人らやわ」

ソード「そうなの?ムーンライトはともかく、セイバーはものすごく優しそうだけど……」

ブロッサム「二人とも普段は優しくて、頼りになる先輩なんですが……」

ピース「怒ったときのムーンライトは……」(((;ω;lll

マリン「いやいや、セイバーも……」(((―ω―lll

ベリー「……二人とも、すごく震えてるわね……」

ソード「……それだけ恐ろしいってこと、なの??」

ピース、マリン「「そう/っしゅ!だから、あの二人を怒らせるのだけは絶対に……ぜーーーーーっったいに!やめたほうがいい/っしゅ!!」」

ハート以外のドキプリメンバー「「「は、はい……」」」

ビート「あぁ、でもハートはもう遅かったみたいね……」

ミューズ「……そうね」

ハート「ご、ごめんなさい!」(猛ダッシュ

ムーンライト「あら、逃げられるとでも……」(瞬間移動

セイバー「思っているのか?」(瞬間移動

ハート「ひえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」

シャル「に、人間の動きじゃないシャル!!」

パッション「二人とも、凄い速さだわ……」

ピーチ「全然見えなかった……」

ハッピー「わたしもだよ……」

ブラック「あんな速さ、ありえない……」

ビューティー「もしかしたら、マーチの速さに匹敵するかもしれません」

ルージュ「いや、そこまで?」

マーチ「いや、たぶんわたしでもあそこまでの速さは出せないと思うよ?」(^^;;

マリン「……今度から、なるべく二人を怒らせないようにするっしゅ……」

ピース「お、同じく……」

ブロッサム「まさに、触らぬ神に祟りなし、です……」

パイン「あ、あははは……」

パッション「さ、三人は放っておいて、わたしたちは準備をすすめましょう」

レモネード「それが身のためですね」(汗

ムーンライト、セイバー、ハート以外『さ、賛成……』

ハート「ごめんなさーーーーいっ!もう勘弁してくださーーーーいっ!!」(半泣き

シャルル「も、もういやーーーーーシャルーーーーーーっ!!」

ベリー「そういえば、なんで二人は怒ってるのかしら?」

ビート「それもそうね……ただ自分が好きな歌手の魅力を教えようとしてただけなのに……」

マリン「あ~……うん。本人たちから聞いた話じゃないんだけど……昔、学校の友達にアイドルが大好きな人がいたんだって」

ビート「ふむふむ」

マリン「で、その人があまりにもしつこくお勧めアイドルのことを話すもんだから、最終的に二人ともぶち切れちゃって……」

ダイヤモンド「……以来、ハートみたいに自分の好きなものの魅力を無理やり聞かせようとする人には脊髄反射で怒るようになっちゃった、と?」

マリン「そうっしゅ」

ロゼッタ「あらあら……お気持ちはわからないでもないですが、少し大人げないですわね……」

アクア「そう言われればそれまでね……けど、たしかにそこまで尾を引くことかしら?」

ブロッサム「確か、その時のお友達は三ヶ月以上、延々しつこくお話を続けていたそうです……」

ルージュ、サニー「「さ、三ヶ月以上……」」

ミント、ロゼッタ「「あらあら……それは確かに怒るわね/怒りますわね」」

サンシャイン「半ばトラウマになってるみたいだから、思わず、なんだろうね……けど、ソードのことが嫌いってわけじゃないと思うから、そんなに身構えなくて大丈夫よ?」

ソード「え、えぇ……」

ダビィ「……けど、できる限り、推さない方がいいみたいダビィ……」

マリン「それが身のためっしゅ」




あとがき代わりのスキット集

~「私の歌を……」~
ハート「というわけで、ソードと……」
ドリーム「レモネードの……」
ハート、ドリーム「「コラボステージどうぞーーーーーっ!!」」
レモネード、ソード「「わたしたちの歌を聞けーーーーーーーっ!!!!」」
ムーンライト、セイバー、ミューズ以外『キャーーーーーーーーーっ!!』
セイバー「これが、コンサートの熱狂か……」
ミューズ「ある意味、爽快ね」
レモネード、ソード「「~~~~~♪」」
ムーンライト「……けれど、こういうのも、たまにはいいわね」

~「ユニット結成、ですか?!」~
マリン「そういえば、ブロッサムもけっこう、歌うまいよね?」
サンシャイン「そういえば……」
ムーンライト「そうね」
セイバー「へぇ?そうなんだ?」
ブロッサム「そ、そんな褒められるようなものじゃないですよ~……」(汗汗
ソード「ね、よかったらわたしとレモネードと一緒にユニット組まない?」
レモネード「それ賛成です!!」
ブロッサム「え~~~~~??!!む、むむむむむむむ、無理です無理です!!わたしの歌なんて、お二人と比べたら素人もいいところなんです~~~~~っ!!」
マリン「またまた~、ブロッサムったら~」
ムーンライト「謙遜も過ぎると失礼よ?ブロッサム」
セイバー「俺は聞いてみたいな、ブロッサムの歌」(にっこり
ブロッサム「~~~~~~っ!!///わかりました!!やりましょう!!」
マリン「これは……セイバー、グッジョブ?」
サンシャイン「なんで疑問形?」

~「そういえば……」~
ソード「セイバーの武器は、剣なんですね」
セイバー「正確には儀礼剣かな。斬ることができないから」
ソード「わたしも、名前が(ソード)だし、なんだか、親近感を覚えますね」
ベリー「わたしも、一応、武器は剣なのよね……」
セイバー「お、なら、俺たちは剣つながりの同盟ってとこかな?」(にっこり
ソード「同盟、ですか……?」
ベリー「同盟……それもそれでおもしろいかも」


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顔合わせスキット~愛の切り札は二人目の小学生?!~

劇場版が一段落したのはいいけれど、今度は合宿編がなかなか進まねぇ……
というわけで、先に、あの人に出てもらうことにしました。
ひとまず、本編どうぞ。
なお、今回は中の人ネタが一つ入っております。
わかりにくいかもですが(汗


亜久里「初めまして。(わたくし)は円亜久里、キュアエースですわ。よろしくお願いいたします、先輩方」

ゆり「あら、ご丁寧にありがとう」

菖「こちらこそ、よろしく。けど、そんなに堅苦しくしなくていいんじゃないか?」

亜久里「いいえ、そうは参りませんわ!『プリキュア五つの誓い、一つ!プリキュアたるもの、一流のレディたるべし!!』ですもの」

菖「へぇ……プリキュアにそんな誓いがあったんだな」

亜久里「ところで、菖さんは男性ですのにプリキュアに変身できるのですか?私はそちらのほうが気になります」

マナ「よくぞ聞いてくれました!!ゆりさん!」

ゆり「そうね」(指パッチン)

(いつきとありす、菖の背後へ回りこみ)

いつき、ありす「「……(にこっ)」」(菖の腕、がしっ

菖「……へ?……どわぁ?!」

あかね「御用や!菖さん!!」

やよい「ご、ごめんなさい!!」

菖「ちょ?!」

こまち「かれん!いまよ!!」

えりか「つぼみ、行くっしゅ!!」

なお「あゆみちゃん!行っちゃえ!!」

かれん、つぼみ、あかね「「えぇ/はい!」」

菖「むぎゅっ?!」

ラブ「す、すごい……」

せつな「一瞬で菖さんの背後に回って腕を締めあげてから縄で縛って、かれんさんとつぼみとあゆみがマウント取って動きを完全に封じた……」

美希「まさに完璧なコンビネーション……」

祈里「……あら?ひかりさんたちは……」

ひかり、舞、響「「「……」」」orz

アコ「……乗り遅れて参加できなかったみたいね」

なぎさ「そんなに残念がることかなぁ?」

れいか「うふふ……」

マナ「それでは!亜久里ちゃんに説明するために、みんな(菖さん以外の)で考えた劇をご覧いただきましょう!」

りん「題して、『大樹の騎士と月光のプリキュア、奇跡の物語』!!」

キャンディ「始まり始まりクル~!」

みゆき「あ~!キャンディー、わたしのセリフ盗らないでよー!はっぷっぷ~!!」

------------------------

うらら「なぜ、あなたはともに戦ってくれるのです?この戦いはわたし一人で背負うべきもの、なのになぜあなたまで傷つく必要があるの?!」

真琴「それが私の選んだ道だからです。なにより……」

こまち「そういいかけて、少女に微笑みを浮かべながら、騎士は語りました」

真琴「幼馴染のあなたを一人で戦わせることはできません。だから、ともに戦いましょう」

うらら「……ありがとう、セイバー」

こまち「少女は騎士にお礼を言い、そっと彼の胸に身を寄せました。騎士も、そっと少女の肩を抱きしめました。二人のその様子を、心の大樹が優しく見守っていました……おしまい」

亜久里「……」

マナ「どう?亜久里ちゃん?菖さん――ユグドセイバーのこと、少しはわかった?」

亜久里「……ぶ……」

アコ「ぶ?」

亜久里「ブラボーですわぁーーーーーーーーっ!!」

アコ「そんなに?」

亜久里「貴女は、彼の素晴らしさがわからないのですか?!危険を承知で、プリキュアとなった幼馴染を助けるべく、騎士となったその心!男性であることが悔やまれてなりませんわ!!」

菖「う~ん……そんなに褒められたものかなぁ?」

亜久里「はい?」

菖「いや、ゆりがほっとけなかったってのもそうなんだけど、世界が砂漠になっっちゃったら遺跡探険もできなくなっちゃうしねぇ」

亜久里「……あくまで、自分の夢を追うために手を貸した、と?」

菖「ま、六四でそんな感じかな……つか、こまち」

こまち「はい?」

菖「かなり脚色したよな?いまの話」

こまち「うふふ……さぁ、どうでしょう?」(ニッコリ

菖「……したんだな、脚色。まぁそれはいいんだけど」

みゆき「それはそうと、三人とも。そろそろ下りた方がいいんじゃない?それとも、三人分のおもしで菖を紙切れにしちゃうつもりかしら?」

かれん、つぼみ、あゆみ「「「……っ!!??ご、ごめんなさい!菖さん!!」」」

菖「いや、別に構わないけど……みゆき、もしかして怒ってる?」

れいか「もしかして、キャンディーにセリフを盗られたことでまだ不機嫌なのでしょうか?」

えりか「というか、みゆきってこんなにドSなキャラだったっけ?」

あかね「いんや。不機嫌になるとこないなこと突然言いだしたりすんねん」

なお「わたしたちの間だと、『みゆき様モード』って呼んでるけど」

奏「いかにも女王様って感じだものね……別の意味だけど」

エレン「別の意味の女王様……音吉さんの本で読んだことがあるわ!」

りん「いや、一体どんな本よ?!」

なぎさ「そんな本があるなんて……ありえな~い!」

六花「……なんだかもう、しっちゃかめっちゃかね……」

亜久里「ずいぶん、にぎやかな方たちですのね……」

アコ「すぐになれるわ。ま、なれるまでが問題なんだけどね」

亜久里「はぁ……」




おまけスキット
~「お仲間が増えました」~
アコ「ところで、亜久里。あなた、小学生?」
亜久里「そうですわね。4年生ですわ」
アコ「そうね、3年生よ」
亜久里「やはりそうでしたのね!同じ小学生同士、これからもよろしくお願いいたしますわ」
アコ「ん、よろしく」

~「菖さんの背中は……」~
えりか「ところでつぼみ……どうだった?菖さんの背中」
つぼみ「はひぃっ??!!」
こまち「そういえば、感想、聞いていなったわね。かれん?」
かれん「え、えぇっと……」
あかね「ほれほれ、あゆみも観念して白状しぃ?」
あゆみ「あうぅぅぅ……」
かれん、つぼみ、あゆみ「「「も、黙秘権を行使させてほしいわ/いただきます」」」
ゆり「(それだけ、気持ち良かったっていうことなのね……)」
ひかり、舞、響「「「(いいなぁ、うらやましいなぁ……)」」」


~「ドS王女みゆき様」~
菖「にしても、さっきのみゆきにはびっくりしたなぁ……」
なお「ときどき出てくるんですよ……みゆき様モード」
れいか「普段のみゆきさんとは真逆になるので、いつも驚かされます」
あかね「そらいきなりあんなん見せられたらなぁ……」
やよい「うんうん」
みゆき「なに?わたしがどんなしゃべり方をしようと、わたしの勝手でしょ?」
菖「別に俺は否定しないよ?まぁ、知り合いに似てるなぁって思うけど」


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顔合わせ回~ドキドキプリキュアの新メンバー?!~

今回は顔合わせといえば顔合わせなのですが、スキットではありません。
まぁ、誰との顔合わせなのかはタイトルを見ていただければわかるかと。
正直、適当感が半端ないですが(汗


「……しかし、広いなぁ……」

四葉財団が所有しているホテルのパーティーホールで、菖はセバスチャンから受け取ったグラスを片手に、そんな感想を漏らしていた。

なお、正式ではないとはいえ、パーティーと称しているため、全員、ドレスになっている。

とはいえ、フォーマルな衣装を持っていない人がほとんどであるため、財団から借りているのだが。

「菖、そのセリフ、今日で何度目?」

「……数えてないな」

「……はぁ……」

菖の返しに、ゆりは呆れたといわんばかりのため息をついた。

なお、菖は現在、水色のワイシャツに白のジャケット、そして紺色に黄色の刺繍で文様が描かれたネクタイを締めている。

対するゆりは、薄い紫の生地を使った肩が出ているデザインのドレスをまとっている。

えりか曰く、胸元の花のブローチがアクセントなのだそうだ。

「で、マナたちはいったい、何を企んでるんだ?」

「さぁ?それはわたしにもわからないわ」

「だよなぁ……」

始まるのならさっさと始まってほしいと思っているのは、ゆりも同じのようで、あまり居心地はよくなさそうであった。

おそらく、慣れない格好のせいもあるのだろう。

すると、背後から突然、聞きなれない少女の声が聞こえてきた。

それと同時に、菖は自分の背中に何かがひっついてきた感触を覚えた。

「だったら直接聞いちゃえばいいじゃない」

「それもそうなんだけどなぁ……って、誰?」

「あたし、レジーナ!マナの友達よ!」

金髪で、やたらおおきなリボンをつけている青い瞳の少女はいたずらっ子のような笑みを浮かべながら、そう名乗った。

菖の首に腕を回し、まるでおんぶをしているような状態であったが、レジーナはニコニコと満足そうな顔で笑みを浮かべていた。

「レジーナー?」

「どこですの?レジー……あ、いましたわ!もう、勝手にフラフラしないくださいとあれほど……」

「あ、菖さんにゆりさん!」

「菖お兄様、ゆりお姉さま!すみません、はしたないところを……」

「よ。マナ、亜久里」

「こんにちは、二人とも」

菖とゆりも、自己紹介をしようかと思った矢先、マナと亜久里の声が聞こえてきたかと思うと、亜久里が突然、謝罪してきた。

パーティー会場で大声を出す、というのは、確かにあまり褒められたことではないが、ここはあくまでも身内で行われているパーティー。

それほどかしこまらなくてもいいのではないか、と菖もゆりも思うのだが、そこは亜久里のこだわりということで、目をつむることにした。

「マナ、亜久里!やっほ~」

「レジーナ!このような場で殿方にひっつくのはおやめなさい!はしたないですわよ!!」

「ぶ~!いいじゃん、別に~」

レジーナは菖の背中にひっつきながら、文句を言い始めた。

突然、菖をはさんで始まった喧嘩に、菖は苦笑を浮かべていたが、その喧嘩は十秒としないうちに終結することとなった。

「いい加減になさい、亜久里?ここで喧嘩するなんて、それこそはしたないわよ?」

ゆりにそう指摘され、喧嘩腰になっていた亜久里は、うぐっ、と声を詰まらせて沈黙した。

その様子を見ていた菖とマナは苦笑を浮かべ、レジーナは、ざまぁ見ろ、とでも言いたそうな悪い笑みを浮かべていた。

だが、その矛先はレジーナにも向けられた。

「そもそも、あなたがいけないということをわかっているの?レジーナ」

「うぐっ……」

レジーナは菖の背中から離れ、緊急避難をしようとしたが、それよりも早く、ゆりに首根っこを捕まれてしまい、逃げることができなかった。

ついでに、亜久里も腕をつかまれて、ちゃっかり逃げられなくなってしまっていた。

そのまま、ゆりは亜久里とレジーナを連れて、会場を後にした。

「……あ、あの、菖さん……」

「止めることはできないから、あしからず」

亜久里とレジーナが連行されていく姿を見ていたマナは、隣にいた菖に、どうにか止められないか、聞こうとしたが、あっさりと断られてしまった。

付き合いが長いからこそ、互いに止めることが出来る状態にあるのかないのか、理解しているのだろう。

菖は早々にゆりを止めることを諦め、手にしたグラスに残っているジュースに口をつけた。

----------------------------------

数分して、ゆりはぐったりしている亜久里とレジーナを連れて戻ってきた。

どうやら、こってりと絞られたらしい。

よほど堪えたのか、レジーナはマナへとまっしぐらに向かっていき、亜久里はフラフラとどこかへ行ってしまった。

「……ゆり、やりすぎたんじゃないか?」

「……かもしれないわね……ちょっと反省ね」

菖に言われて、少しばかり申し訳なさそうにしているゆりであったが、言っていることとは裏腹に、あまり反省はしていないようだ。

もっとも、それを追求するほど、菖も勇気があるわけではないし、面倒事になることはわかりきっているため、口に出すことはしなかった。

「そういや、マナ。結局、その子は何者なんだ?やけに人懐っこい感じがするけど」

「ん?……あ、そういえば今日は菖さんたちにレジーナを紹介するつもりでパーティーを開いたんだった!」

「って、忘れてたのか!!」

「てへへ……」

菖の突込みに、マナは申し訳なさそうに笑みを浮かべた。

そんなマナに六花が声をかけてきた。

「マナ!こんなところにいた……早く行くわよ!」

「あ、待ってよ、六花!それじゃ、菖さん、ゆりさん。またあとで!!」

六花の後を追いかけ、マナはそそくさとその場から去っていった。

「……台風みたいなやつだな、ほんとに」

「いまさらだけれども、ね……」

菖の感想にゆりはそう返したが、実のところ、ゆりも同じことを思っていたので、強く言い返すことはなかった。

ふと、突然、ホールの照明がすべて落ち、暗くなり、お化けが苦手なメンバーから悲鳴が聞こえてくるほどであった。

あまりに突然であったためか、菖もゆりも思わず身構え、周囲を警戒した。

だが。

「みなさま、長らくお待たせいたしました」

突然、ステージの方からマイクで拡声されたありすの声が聞こえてきた。

ステージの方を見ると、スポットライトに当てられているありすの姿があった。

「このたびは、お忙しいなか、集まっていただき恐縮でございます。それでは、わたくしたち、ドキドキプリキュアの新しい仲間を紹介させていただきます」

ありすからの衝撃の一言に、参加者全員が驚きの声を上げた。

が、そんなことはお構いなしとばかりに、一人の少女がステージに躍り出てきた。

その少女に見覚えがある菖とゆりは、目を見開いた。

「あたし、レジーナ!よろしく!!」

「……菖、わたしがいま思ったこと、言っていいかしら?」

「……たぶん、俺も同じこと思ってるぞ……」

「「……ぶっちゃけ、ありえない……」」

出会って早々、みっちりとお説教してしまったゆりと、それを止めることをしなかった菖は、思わずなぎさの口癖を同時につぶやくのだった。

----------------------------------

それから少しして、レジーナと亜久里がマナを伴って菖とゆりのもとへとやってきた。

さきほどみっちり絞られたせいか、亜久里はどこか気まずそうにしているのに対し、レジーナはけろっとした態度で、再び二人に自己紹介していた。

「というわけで、よろしくね!菖兄ちゃん、ゆり姉ちゃん!!」

「あ、あぁ……うん、よろしく」

「こっちこそ、よろしく」

本当は少しばかり気まずいのだが、そんなことは表情に出さず、菖もゆりも普段通りの顔でレジーナに挨拶した。

ふと、レジーナは何かを思いついたように、にやり、と笑みを浮かべた。

「ねぇ、菖兄ちゃん。ちょぉっと後ろ向いて?」

「ん?こうか?」

レジーナに頼まれるまま、菖はくるりとレジーナに背を向けた。

すると、レジーナはいきなり菖の背中に抱き着いてきた。

「うわっ?!」

「んふふ~、やっぱり菖兄ちゃんの背中、マナと同じであったか~い」

「……お褒めにあずかり、光栄?」

レジーナからの感想に、菖はどう答えていいのかわからず、苦笑を浮かべるしかなかった。

その光景を羨ましそうに眺めている影がいくつかあったのだが、菖もレジーナもそれに気づくことはなかった。




スキット集

~「お姉さんはどっち?!」~
つぼみ「そういえば、亜久里さんとレジーナさんはアン王女の半身同士、なんですよね?」
レジーナ「そうよ!」
亜久里「えぇ、その通りですわ」
えりか「てことは、双子みたいなものか……どっちがお姉さんなの?」
亜久里、レジーナ「「もちろん、レジーナ/あたしですわ/よ!」」
菖「あれ?レジーナが姉なんだ?」
マナ「はい、二人で話し合って、そういうことになったみたいです」
ゆり「あら、そうだったの?」
真琴「(本当は、だいぶ言い争いになったんです)」
菖「(まじ?)」(・・;
六花「(けど、収拾つかなくなっちゃって、結局、亜久里ちゃんが折れることになったんです)」(--;
ゆり「(あら。ということは、亜久里が大人の対応をしたわけね?)」
ありす「(そういうことですわ)」(^^*

~「なぜか意地悪したくなる?」~
ゆり「レジーナ」
レジーナ「なに?ゆり姉ちゃん」
ゆり「はい、これ」
レジーナ「なになに?……って、虫ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ??!!」(><lll
ゆり「あら、ごめんなさい。つい意地悪したくなっちゃって」
レジーナ「うぅ……」(;△;
亜久里「あら?レジーナ、虫は苦手でしたか?」
レジーナ「い、いきなりでびっくりしただけ!!」
ゆり「うふふ、強がりね。けど、そんなところも可愛いわね」


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顔合わせ回~真琴の義兄~

タイトルの通り、本編(ってわけではないですが)では初登場になります。
ぶっちゃけるとケン○ジャキです(苦笑
設定としては、私が別サイトで掲載しているこちらの作品の設定を参照頂ければ↓
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10403030

ちなみに、今回は菖とありす以外のドキドキ組だけの登場ですので悪しからず。

では本編どうぞ



その日、菖は四葉財閥が所有するテレビ局に来ていた。

普通ならあまり来ることはないのだが、今回、そのテレビ局で歴史、特に考古学関係の特集番組が行われることになっており、特別コメンテータとして菖の両親が出演することになっているためだった。

そのことを知っていたありすが、菖に気を利かせてテレビ局に招待したのだ。

 

「やれやれ、ほんとに……ありすのこういうところには驚かされるよ」

 

ぽつりとそう呟きながらも、やはり長く顔を見ていない両親に会えることを嬉しく思っているのだろうか。若干、頬が緩んでいた。

そんな菖の背後から、聞き覚えのある元気な声が聞こえてきた。

 

「あれ、菖さん?」

「ほんとだ」

「「菖お兄様/お兄ちゃん!!」」

「ん……ぐはっ??!!」

 

突然、背後からタックルされ、その衝撃で吹き飛びそうになるのをこらえて、菖は背後を振り向き、若干、顔をゆがめながら片手をあげた。

 

「あぁ、マナと六花。それに亜久里とレジーナか……レジーナ、ナイスタックルだが背後からはやめてくれ」

「えへへ、ごめんなさ~い」

「もう!レジーナ!!いきなり殿方に飛びつくなんて、レディにあるまじき行為ですわよ!!」

 

突然、、菖にタックルを仕掛けてきたのは悪戯娘のレジーナだった。

普段は黒いドレスのような服を着ているのだが、今日はピンクのシャツにジーンズとスカートを合わせているようだ。

 

「ねね、菖お兄ちゃん!今日のあたしの恰好、どうかな?」

「いいんじゃないか?」

「ですよね!ですよね!!もう可愛くてキュンキュンが止まらないです!!」

「マナ、あなたは少し落ち着きなさい」

 

ありきたりではあるがそんな感想を口にした瞬間、マナが突然、そんな感想を口にした。

その興奮ぶりに、六花(ストッパー)が思わずツッコミをいれていたのだが。

ちなみに、ありすの姿がないことに気づいた菖は、ありすはどうしたのか問いかけると、仕事で残念ながら来ることが出来なかった、とマナが答えた。

 

閑話休題(それはともかく)

 

それで、と菖はマナたちに問いかけた。

 

「マナたちは真琴の応援か?」

「はい!」

「真琴が新曲のMVを撮るから見に来てほしいって」

「珍しいな、真琴がそんなこと言うなんて」

 

少し驚いたように、菖はつぶやいた。実際、真琴はコンサート以外で仕事場に誰かを招待するということはまずない。

ナイーブになっていた頃に、ありすが気を利かせて現場の立ち入りを許可したことはあったが、真琴自身から来てほしいと頼んだことは、ただの一度もなかった。

裏を返せば、今回はいの一番にマナたちに聞いてほしいということなのだろうが。

 

「そっか……まぁ、俺はCD買うから、別にいいかな」

「え~!菖お兄ちゃんも一緒に見ようよ!!」

「レジーナ!菖さんはご両親にお会いするんですから、邪魔したらだめですわ!!」

 

菖に甘えてくるレジーナに対し、亜久里は腕を組みながら っていた。

が、双子の妹の言葉を聞き入れるほど、レジーナは大人ではない。

さてどうしたものか、と困惑していると、一人の青年が声をかけてきた。

 

「おーい、そろそろ真琴の撮影、始まるぞ」

「あ、一真さん!」

「わかりました、すぐ行きます!」

 

マナと六花は顔なじみらしく、青年にそう返した。

 

「あ、そうだ!一真さん、紹介しますね。この人は春川菖さん!わたしたちの友達の先輩です!菖さん、こちら剣崎一真さん。まこぴーの義理のお兄さんです!!」

「てことは、孤児院の?」

「まぁ、そんなとこかな……剣崎一真だ、よろしく」

「菖です。こちらこそ」

 

一真から差し出された手を握った。

その瞬間、菖は何かの違和感を覚えた。

 

「……ん?」

「どうした?」

「あぁ、いや……何も」

 

一真の問いかけにそう返し、菖は何もなかったかのように答え、手を離した。

だが、胸に残る違和感はまだ残っていたらしく、菖の表情は少しばかり困惑しているように思えた。

 

「それじゃ、俺たちはこれで。ほら、マナちゃん、みんな、行くよ」

「あ、はい!それじゃ菖さん、またあとで!!」

「じゃーね、菖お兄ちゃん!!」

「あぁ、あとでな」

 

そう言って、マナとレジーナたちは一真に案内され、真琴が収録を行っているスタジオへむかった。

その背中を見送りながら、菖は、先ほど一真に触れたときの感覚を思い出していた。

 

――目を見たときもそうだったけど……あの人、なんで妖に近い気配をしてるんだろう……

 

それは見鬼の才を持っているからこそ、わかるものだった。

なぜか、一真からは妖や霊のそれに近いものを感じ取っていたのだ。

 

――悪い人じゃないことはわかるんだけど……まぁ、こればかりは様子を見るしかないか

 

いますぐどうこうするような問題でもないし、まして、一真は真琴の義理の兄であり、家族も同然だ。

妹分の家族を、人間ではないから、と言って傷つけることはしたくない。

何より、人に危害を加えないのであれば、たとえどんな存在であっても共存できると信じているからこそ、一真と戦うという選択肢は持ち合わせていなかった。

だからこそ、しばらくは見守ることに決めた。

 

「……あ、そろそろ行かないとだ」

 

そうこうしているうちに、時間を浪費してしまったらしい。

菖は急ぎ、両親が収録を行っているスタジオへと向かうのだった。




あとがき代わりのおまけ

~義兄の前では……~
真琴「義兄さん!」(ぎゅむっ
一真「おっと!まったく、いつまで経っても甘えん坊だな、真琴は」
真琴「だって義兄さん、あったかくて気持ちいんだもん♪」
マナ「ま、まこぴーがすごく一真さんに甘えてる……」
六花「世のファンが見たら卒倒するわね……」
亜久里「マナも卒倒しそうな感じですが……」

~新曲~
真琴「風にめくられたcard!占うように、笑う……迷わない、はずもない……それでも!明日を探せ!!」

マナ「おぉ!な、なんか今度の新曲はカッコよさ全開になってる!!」
六花「イメージがガラッと変わるわね……」
亜久里「ですが、真琴さんにはぴったりですわ」


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顔合わせスキット~幸せ集める少女たち~

さぁて、本編をどうしようか、寄せられてきたリクエストの内容はどうしようか、と考えていたら、なぜか唐突に浮かんできたので書きました。(おい
といっても、正直、ハピチャはあまり好きではないんですよねぇ……(汗
その主な理由は青の神(ブルー)のせいだったりしますが。
めぐみたちプリキュアメンバーや誠司が嫌いってわけじゃないんですがね、いやはや……
とりあえず、本編をどうぞ。


めぐみ「初めまして!愛乃めぐみ、十四歳!キュアラブリーです!!」

ひめ「わ、わわわ……わたしはヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ!ブルースカイ王国の王女で、キュアプリンセスです!一応、"白雪ひめ"で通ってますので、ひめって呼んでください!」

菖「……お姫様二人目、入りまーす……」(苦笑

アコ「……なんでわたしの方を見るのかしら?菖兄さん」

菖「ははは……」

ひめ「む?!わたし以外に王女がいるですと??!!」

響「えぇ。アコはメイジャーランドの第一王女だし」

マナ「亜久里ちゃんとレジーナはアン王女の半身だものね」

ひめ「な、な、な……なんですと~~~~~っ??!!」

菖「……一番、王女らしからぬ王女だな。アコのほうがまだ王女らしい……」

アコ「……あによ」

菖「いや、なんでも」

マナ「それより、わたしたちの自己紹介がまだだったよね?」

なぎさ「あ、そうだった!それじゃ、いつも通り、わたしから」

先輩プリキュア(少女)セイバー(青年)、自己紹介中~

ひめ「え?菖さんって、騎士なの?」

めぐみ「おぉ!それじゃ、ひめ!忠誠を誓ってもらっちゃう?!」

ひめ「ふ、ふふふ……なら、王女らしく」

菖「いや、俺は誰にも忠誠を誓わないから」

めぐみ、ひめ「「え??!!」」

ゆり「二人とも、諦めなさい。菖は誰にも忠誠を誓わない代わりに、プリキュアがピンチの時には必ず力を貸すと自身に誓っているから、それで勘弁してあげて」

めぐみ「おぉ!なんかヒーローみたい!!」

菖「……そんなかっこいいもんじゃないよ」

ひめ「えぇ?ほんとうはどう思ってんの??」

つぼみ「……なんだか、えりかを見ている気分です」

いつき「あぁ、そういえばなんとなく……」

ゆり「……似てるわね、あの二人」

えりか「そうかなぁ?あたしのほうがもうちょっとお姉さんだと思うけど?」

えりか、めぐみ、ひめ以外『それはない』

えりか「……全否定されたっしゅ……」

ひめ「で、菖さん。どうなの?どうなの??」

菖「……俺はヒーローなんてかっこいいもんじゃないし、まして正義の味方でもないよ。ただ、放っておけないだけだ」

めぐみ「誰を?」

菖「秘密(ひ~みつ~)♪」

ひめ「そういわれると……」

めぐみ「気になりますなぁ……」

こまち「それなら……」

ゆり「……ふふ」(指パッチン

菖「……え?」

いつき、ありす「「ふふふ……菖さん、覚悟/お覚悟を!」」

菖「どわ?!ってまたこのパターン???!!!」

めぐみ、ひめ「「って、いきなり何事??!!」」

リボン「菖さんの腕を締めあげて押し倒して、ふんじばりましたわ??!!」

ゆり「大丈夫よ。説明するよりも観てもらった方が早いから、菖が逃げないように確保しているだけだから」

めぐみ、ひめ「「え?え??」」

ひかり「今度はわたしたちの!」

舞「(ターン)です!!」

響「菖さん、覚悟!」

菖「むぎゅっ??!!……いきなり乗っかるのはやめてくれぃ……」

めぐみ「あらら~……」"゚д゚)

ひめ「な、なにが何やら……」"゚д゚)

アコ「……馬鹿っぽい」

くるみ「まったくね」

せつな「あ。あははは……」

ラブ「それではお待ちかね!後輩向け説明寸劇!」

やよい「『大樹の騎士と月光のプリキュア、奇跡の物語』!」

みゆき「始まり始まり~っ!!」

~劇終了~

ひめ「すごごごごごごごーーーーーーーーーーいっ!!!!」

めぐみ「うんうん!!感動ものだよ!!」

菖「……これが二回目だけどさぁ、自分の過去を脚色されて見せられる俺の気持ちにもなってくれ……というか、俺、この場に必要か?」

ゆり「あら。いままでわたしたちに恥ずかしい思いを散々させてきたんだから、ちょっとくらい、意趣返ししてもいいじゃない」

菖「……さいで……というか、二人が盛大な勘違いをしそうで俺は怖いよ」

めぐみ「え?」

ひめ「どゆこと??」

菖「実際は劇ほどロマンチックじゃないし、心の大樹の前で抱き合ったりしてないし」

ゆり「そういえば、そうね」

菖「というか、お前、俺が心の大樹と契約するって決めたとき猛反発したじゃないか」

ゆり「そうだったかしら?よく覚えてないわ」

菖「口で言ってもわからないってわかったら、薫子さんから教えてもらってた空手の技、全部ぶつけてきたよなぁ……制服姿のまんまで」

いつき「……へ?」

えりか「まさか菖さん……見たの?」

つぼみ「ま、まさか……菖さんに限ってそんな……」

ゆり「……そこのところ、どうなのかしら?菖」(^^メ

菖「具体的に何をとまでは言わないが、見てない(・・・・)に決まってんでしょうが!目のやり場にめちゃくちゃ困ったっての!!」(--;;

ゆり「そう、なら許すわ」

ひめ「な、なんか、劇と違って仲がいいのか悪いのか、まったくわかりませんぞ、御二方……」

めぐみ「けど、これって幼馴染だからこそなんじゃないかな?わたしにも、男の子の幼馴染がいるし」

くるみ「それはそうと、劇を見た感想は?」

ひめ「感動ですぞーーーーーーっ!!」

めぐみ「もう、二人の愛があふれてて、幸せいっぱい、お腹いっぱいです!!」

菖「……さいでっか……」(―▽―;;

亜久里「ところで、ひかりさん、舞さん、響さん……」

アコ「いつまで菖さんの背中に乗っかってるつもり?」

ひかり、舞、響「「「……っ???!!!ご、ごめんなさい、菖さん!!」」」

菖「ん、気にしないで……というか、なんで俺の背中に乗りたがるかな……」

ひかり「だって……///」

舞「ねぇ……///」

響「あはははは……///」

ありす「ところで、こまちさん……次回、ぜひ脚本を執筆していただきたいのですが。もちろん、真琴さんとうららさんが主演で」

こまち「うふふ、面白そうね」

真琴「えぇ、全力でやらさせてもらうわ」

うらら「はい!」

やよい「なら、ポスターはぜひわたしに!」

えりか「衣装はぜひともあたしに!!」

美希「わたしも協力するわ!!」

ひめ「及ばずながら、不詳、このひめも……」

くるみ「……なんか、不穏な気配が……」

りん「なぁにやってんだか……」

菖「まぁたずいぶんと賑やかになったもんだなぁ……」

ゆり「そうね。頑張ってね、お兄さん」

菖「それを言うならゆりもだろ、お姉さん」

ゆり「……それもそうね」




スキット集

~似た者同士、ただし、混ぜるな危険?~
ひめ「う~ん……ここをもうちょっとこうしたほうが……」
えりか「あ、これを合わせてもいけるんじゃ?」
ひめ「おぉ!その手がありましたか!!ナイスですぞ!えりか殿!!」
えりか「ひめっちもなかなかっしゅ!」
つぼみ「すっかり二人の世界です……」"゚д゚)
ゆり「似た者同士、気が合うのかもしれないわね」
菖「……けど、あの二人は『混ぜるな危険』だと思うんだがな」
めぐみ「え?どういうことですか??」
ゆり「似た者同士で、性格もそっくり。ということは、トラブルを二倍にする可能性もある、ということよ」
菖「……そうなったら、二人の制裁はゆりに担当してもらう感じかな?」
ゆり「それじゃ、この際だから、徹底的にやってしまいましょうか」(^▽^メ
えりか、ひめ「「(ゾクッ)……な、なんかいま、背中に寒気を感じたっしゅ/ましたぞ……」」(--lll

~長いなぁ……~
菖「そういや、ひめってのは偽名なんだよな?」
めぐみ「うん!でも学校じゃ"白雪ひめ"ってことで通ってるわ」
ゆり「さすがに、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイは長いものね」
なぎさ「え、えぇっと……ヒメルダ・ウィンドウ・オブ・ザ・ブルースカイ?」
咲「え?ヒメルダ・ウンドー・アーキュリー・ブルーハワイじゃなかったっけ?」
のぞみ「ヒメルダ・オブ・ザ・キュアブルースカイじゃなかった?」
ラブ「違うよ!ヒルダ・ウィング・キュアー・ザ・スカルだよ!」
ひめ「……全然違うんだけど……」
菖「……お前らなぁ、人の名前で遊ぶなて……長いからわからんでもないけどよぉ」(苦笑

~わたしの歌を……2~
うらら、つぼみ、真琴「「「~~~~~♪」」」
菖「やっぱ、三人とも、歌うまいな」
ひめ「めぐみも結構うまいですよ?」
めぐみ「うぇ?!ちょ、ひめ、いきなりなにを??!!」
ひめ「ほれほれ、めぐみ~。歌ってしまいなさい!そして、菖さんのハートをがっちりとつかんでしまうのですぞ!!」
めぐみ「うぅ……」(チラ
菖「……うん?」
めぐみ「……わかった。わたし、頑張る!」
ゆり「乗せるのがうまいのか、乗せられやすいのか……」
めぐみ「わたしの歌を聞けーーーーーーーっ!!」


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顔合わせスキット~蜂蜜と幸運、そして幼馴染と神を名乗る協力者~

今回、少しブルーに対してのあたりをきつくしてます。
理由はハピチャチームの顔合わせのときに書いた通りです。
いや、プリキュアだって女の子だし、恋愛禁止なんて無理でしょ。
それ以前にハピチャの本編見てたときに思ったことですが……結論から言って、ブルー神様と違うやん!
というわけで、少しばかり、菖にお説教させました。
どうなるかは、本編どうぞ。


ゆうこ「初めまして。大森ゆう子、キュアハニーです。お近づきの印に、ハニーキャンディーをどうぞ」

いおな「氷川いおな、キュアフォーチュンです。よろしくお願いします。先輩方」

誠司「俺は相楽誠司、めぐみの幼馴染です」

ブルー「僕はブルー。彼女たちのサポート役で、地球の神と呼ばれているよ。よろしく」

菖、ゆり、アコ「「「……胡散臭い/わね」」」

ひめ「ちょ?!神様相手に辛辣ですぞ??!!」Σ(◎ω◎;

めぐみ「しかも珍しく菖さんも……どうして?」

アコ「だって自分を神さまだなんて言うかしら、普通」

菖「それに、俺以外の子にも視えてるんだろ?神様なのに」

ゆり「その時点で、神様ではなく人間ということになるわね。あるいは受肉しているということになるのだろうけれども」

ブルー「ははは……確かに辛辣だね。ところで、菖くん、君は男の子なのにプリキュアなのかい?」

誠司「そ、そうだ!もしよかったら、俺にもそのことを教えてください!」

菖「俺はプリキュアじゃないよ。そして残念だけど、誠司の力にはなれそうにない」

誠司「え?それってどういう……」

菖「俺の場合、心の大樹と契約を交わして"大樹の騎士"になったから。といっても、騎士らしからぬ騎士だけど」(苦笑

誠司「へぇ……じゃあ、神様に頼めばあるいは?」

ブルー「いや、僕ができるのは女の子にプリキュアとしての力を与えることだけだ……力になれなくて、申し訳ない」

誠司「別に神様を責めてないよ」

ゆり「……わざわざ菖に聞くということは、めぐみたちは何も説明していないわけね」

誠司「あぁ、はい。いきなり、『先輩プリキュアと仲間を紹介するから、誠司も来て』って言われて」

ゆり、菖、アコ、亜久里「「「「……めぐみ、ひめ。あとでじっくりお説教ね/だ/ですわ」」」」

めぐみ、ひめ「「あ、あはははははは……面目次第もございません」」(土下座

菖「……なぁ、もしかしなくても、これってまた?」

ゆり「そうなるわね。うふふ」

誠司「……え?なんで指を……?」

菖「……逃げないから、締めあげるのはやめてくれ」

ゆり「あら、残念」

いおな「……なんだか、すごく物騒な言葉が聞こえてきたわ……」

ゆうこ「あははは……」

ブルー「それで、何が始まるんだい?」

ひめ「プリキュアと菖さんの感動物語です!」

めぐみ「その名も!『大樹の騎士と月光のプリキュア、奇跡の物語』!」

ブルー「へぇ……それは楽しみだね」

~劇終了~

ゆうこ「うぅ~……感動だよ~~~~~!!」

いおな「そうかしら?なんだか少し嘘くさいけど」

誠司「劇だなんだから、脚色入ってるんだろ?」

こまち「うふふ……」

ありす「さすが、こまちさんですわ!それに、真琴さんもうららさんも、ますます演技に磨きがかかって……」

真琴「……なんだか、癖になりそうね、セイバーの格好」

うらら「ふふふ、真琴さん、似合ってるもんね」

ブルー「……」

ひめ「およ?どうかしたの、神様?」

ブルー「いや……菖くん、君はキュアムーンライト……ゆりさんと幼馴染なんだよね?」

菖「えぇ、まぁ……だからほっとけなかったんだけど」

ブルー「……念のために言っておくけれど、プリキュアは恋愛禁止だよ」

ひかり、舞、つぼみ、響、あゆみ『えーーーーーーーっ??!!』Σ(゚Д゚

かれん、ゆり「「……どういうことか、説明してくださるんですよね?/くださる?」」(^^メ

ブルー「……恋愛は、危険だ。確かに、守りたい『特別な一人』がいればその想いで強くなることはできる。けれど、一度こじれたら取り返しのつかないことになりかねない」

菖「……まるで、プリキュアになった女の子は誰か特別な一人を好きになっちゃいけない、みたいな言い方だな」

ブルー「そうは言っていない!だが、恋人が敵につけいる隙となり、最大の弱点となってしまうことだって……」

菖「なら、そうならないように心を強くすればいい……といっても、中学生にはどだい無理かもだけど」

中学生組『ちょっ?!さらっとひどい!!』

ゆり「無理もないわ。だって、彼、わたしたちよりもずっと年上の人が友人だったりするもの……それより、菖。少し辛辣すぎないかしら?」

菖「この手あいにはこれくらい言わないとわからないよ。というか、俺はともかく、プリキュアの力の源は誰かを想う心だろ。あんたがそれを否定してどうすんだよ」

ブルー「……」

菖「あんたに何があったのか、俺は知らない。けど、仮にもプリキュア(あいつら)をサポートするのが仕事だってんなら、それを邪魔するようなことするな」

ブルー「……本当に、辛辣だね、君は」

菖「そりゃどうも」

亜久里「……なんだか、今日の菖さんはずいぶんと荒れてますわね」

ゆり「彼、考古学者の卵だもの。人の営みを否定されたことに腹を立てているのだと思うわ」

ゆうこ「人の営み、ですか?」

ゆり「えぇ。人は、誰かと恋をして愛し合い、子孫を作り、文明や文化をつないでいく……何千年、何百年の歴史の中で、それだけは変わらないと彼は言っていたわ」

いおな「……随分、難しいことを……けど、それとわたしたちの恋愛禁止とどう関係が?」

ゆり「あら?少なくとも、彼はわたしたちも普通の人間として扱っているのよ?それなのに『誰かと幸せになりたい』という、人として当たり前の想いを否定されたら、わたしたちは人間として扱っていないということにならないかしら?」

めぐみ「けど、ブルーも考えがあってのことだと思うんですが……」

ゆり「そうね。けれど、菖はその考えが根本的な部分で許せないのだと思うわ。だから、あぁやって正面からぶつかろうとしているのよ」

めぐみ「……頭がパンクしそう……」(--lll

誠司「お前は難しく考えるからそうなるんだよ。要するに、菖さんはブルーの考えてることを正しいと思えないってことだ」

めぐみ「おぉ、なるほど!さっすが誠司!」

誠司「……お前はもうちょっと自分の頭で考えてくれ……」

めぐみ「たはは……」

ラブ「むむっ?!何やら幸せの匂いが……」

マナ「めぐみちゃんと誠司くんを見てると、なんだか胸がキュンキュンしちゃうよ!!」

せつな「二人がこれからどうなっていくのか……乞うご期待、かしら?」




スキット集

~やっぱり混ぜるな危険だった~
ひめ「えりか殿~!会いたかったですぞーーーーーっ!!」
えりか「あたしもだよ~!ひめ~~~~~~っ!!」
つぼみ「お二人が熱い抱擁を交わしています……」
菖「やっぱり混ぜるな危険だったか」
ゆり「なら、ちょっとそこでオハナシしましょうか?」
ひめ、えりか「「……っ??!!せ、背中に寒気が?!」」

~強さとは~
誠司「菖さん!俺と手あわせしてください!!」
菖「うぇ?!突然、どうしたのさ?」
誠司「俺、めぐみの力になりたいんです。でも、プリキュアになれない、特別な力もない俺に出来るのは、自分を鍛えることだけなんです!だから……」
菖「う~ん……誠司、強さってなんだと思う?」
誠司「え……?」
菖「単に腕っぷしが強いだけ、頭が切れるだけを強さというなら、プリキュアじゃなくても過去の伝承や伝説にある英雄だけじゃない。軍人や探偵にだってその領域に達している人もいるだろうさ……けれど、重要なのはそこじゃない」
誠司「じゃあ、なんだっていうんですか?!」
菖「それがわからないうちは、俺から教えることはできない……けどそうだな……ヒントならあげられるかも」
誠司「え?」
菖「心に絶対に曲げない信念と、絶対に叶えたい夢を持つこと」
誠司「……はぁ?」
菖「俺はこの二つを忘れなかったから、本当の"大樹の騎士"になれた。だからきっと、誠司もこの二つを見つけられれば、プリキュアみたいになれなくても、あの子たちの敵に負けることはないと思う」
誠司「……そんなもの、なんですか?」
菖「そんなもんだよ……まぁ、どうなるかなんて、俺にはわからないけどね」

~甘い誘惑~
ゆうこ「みなさん、お近づきの印にハニーキャンディーをどうぞ!」
大喰いたち『いただきまーす!……おいしーーーーーっ!!』
菖「……うん、素朴な味だな」
ゆり「そうね。そこらの飴よりもおいしいと思うわ」
ゆうこ「うふふ……ありがとうございます!」(^^*
大喰いたち『おかわり!』
菖「……って早っ?!」
アコ「もうちょっと味わって食べなさいよ……ほんと、馬鹿っぽい」
くるみ「まぁ、それがあの子たちだからねぇ……」
れいか「けれど、気持ちは少しわかります。なんだかいつまでも食べていたい気分です」
亜久里「まさにブラボーですわ!」
りん「……そのうち、ハニーキャンディーで釣られちゃったりして……」
菖「まさに、甘い誘惑だな」


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顔合わせスキット~いおなの素敵なお姉さん~

今回はスキットです。
なお、海外のプリキュア(アローハとかメルシーとか)は今回、スキットしか登場しません。
もしかしたら、番外編で菖と絡ませるかもしれませんが。
……下手したら、海外に菖ラヴァーズが出てくるのか……それはやだな……
まぁ、ひとまず、本編どうぞ。

※2019.11 オリジナルストーリーとの齟齬をなくすため、内容を若干変更しました


菖「……にしても、突然だわな。ブルースカイ王国からの招待状」

ゆり「そうね。差出人がひめということもだけれど、プリキュアと協力者全員に配られたことにも驚きだわ」

菖「……つか、めぐみたちはともかく、俺たちは関係ない……はずだよな?」

ゆり「そのあたり、ひめからじっくり聞かないと、ね」

ありす「お二人とも、支度は整いましたか?」

菖「あぁ、大丈夫。出迎え、ありがとうな。ありす」

ゆり「大丈夫よ……つぼみたちはどうだかわからないけれど」

つぼみ「お待たせしました!」

いつき「僕たちも大丈夫です」

えりか「準備完了っしゅ!!」

ありす「うふふ、ナイスタイミングですわね」

えりか「ところで菖さん?」

菖「ん?」

えりか「なぁんか、言うことないの?あたしらに」

菖「五人とも似合ってるぞ」

えりか「それだけ~?」

菖「それ以上に何を言えと?」

えりか「ぶ~ぶ~」≡3≡)

ありす「うふふ……それではみなさん、出発いたしましょう」

つぼみ、いつき、ゆり「「「はい!/うん!/そうね」」」

 

----------------------------------

 

ひめ「ようこそ、お越しくださいました。皆さま」

えりか「やっほ~、ひめっち……」

ゆり「えりか、すこしはわきまえなさい」(ペチッ

えりか「……ごめんちゃい……」

菖「このたびは、お招きいただき感謝いたします。ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ王女殿下」

つぼみ、いつき「「ありがとうございます」」

ひめ「いえいえ。皆様にはお世話になりましたもの、礼をつくすのは当然のこと……さ、皆さま、どうぞ中へ」

菖「……にしても、ひめのやつ、やるときゃやるんだな……」

ゆり「えぇ、正直、びっくりしたわ」

ひめ「おほほ……では、みなさん、こちらへどうぞ」

めぐみ「あ、つぼみ!えりか!」

ゆうこ「いつきちゃん!」

いおな「ゆりさん、菖さん!お久しぶりです!」

つぼみ、いつき「「こんにちは」」

えりか「やっほー!」

ゆり「久しぶりね、いおな」

菖「元気そうだな。それと、おめでとう」

めぐみ、ゆうこ、いおな「「「ありがとうございます!」」」

いおな「あ、そうだ!!せっかくだから、わたしのお姉ちゃんを紹介します!!」

菖、ゆり「「お姉ちゃん?」」

まりあ「えぇ、氷川まりあ。キュアテンダーよ。よろしくね、二人とも」

菖、ゆり「「よろしくお願いします」」

まりあ「うふふ、いおなから聞いた通りね」

菖、ゆり「「え?」」

まりあ「菖くんもゆりちゃんも、いい目をしてるわ」

菖「ははは、ありがとうございます」

ゆり「え、えっと……あ、ありがとうございます」(・・///

まりあ「あら?ゆりちゃん、どうかしたの?」

菖「たぶん、自分と年が近い人に褒められたことがあまりないから、緊張してるんじゃないですかね?」

まりあ「あら、そうなの?それにしては、菖くんは落ち着いているのね?」(^^

菖「まりあさんと同い年くらいの友人が海外に何人かいますから」(^^

まりあ「あら、それは意外ね……もしかして、菖くん、不良学生さん?」

菖「いやいや、単に学校の(歴史の)授業だけじゃ物足りなくて、大学の講義を聴講しに行ってるだけですよ」

いおな「……す、すごい……お姉ちゃんと口で渡り合ってる……」

ゆり「さすがに、わたしでもあそこまで口が回るかどうかわからないわ……」

ゆうこ「それよりも!みんな、はやく行かないと、始まっちゃうよ?」

めぐみ「おぉ!そうだった!!」

いおな「お姉ちゃん!菖さんといつまでも話てないで、早く行こう!」

ゆり「菖、行きましょう?」

まりあ「あ、待っていおな!」

菖「あぁ、ごめん。待たせた」

 

----------------------------------

 

ひめ「皆さま、このたびはお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます」

国王「それでは、ブルースカイ王国と皆さまの国々、そしてプリキュアの皆様との友好に」

全員『乾杯っ!』

菖「……にしても、日本だけじゃなくて海外にもこんなにプリキュアがいたのか……さすがにこれはびっくりだな」

ゆり「えぇ……それも、みんなブルーの力で変身できるようになったのよね?」

めぐみ「そうですよ!ほんと、ブルーってすごいですよね……」

いおな「ほんと、スケールが大きすぎて何が何だか」(^^;

菖「誠司から聞いたけど、結局、あいつが出した恋愛禁止令ってのは、過去の教訓からだったって?」

ゆうこ「えぇ……けど、いまはミラージュさんとも和解して、すっかり仲良しカップルです」

菖「……結局、自分の払ったつけが回ってきてたってだけじゃないかよ……やっぱ、神じゃなくて人だったってことか」

いおな「あ、相変わらず、神さまには辛辣ですね……」(^^;

菖「プリキュアだって普通の女の子だろ?だったら、恋愛禁止なんて馬鹿なこと押しつけるもんじゃないっての」ε-(--メ

めぐみ「あ、あはははは……」

まりあ「あら、まともなこというのね?」

ゆり「えぇ。もしかすると、わたしたちよりもずっと大人なのかも」

まりあ「そんな彼だから、ゆりちゃんは好きになったのかしら?」(・∀・

ゆり「えぇ……って、まりあさん?!何を??!!」(///Δ///

まりあ「ふふふ、照れない照れない」

ゆり「て、照れてなんて……」(///△///

えりか「……ゆりさん、意地っ張りっしゅ……」(--

マナ「でも、照れてるゆりさん可愛い!!もう、胸がキュンキュンだよ~~!!」(>▽<

ラブ「うんうん!ゆりさんの幸せな顔、ゲットだよ!!」

ゆり「……そう、あなたたち、どうやらお説教が必要のようね……」(-言-

えりか、マナ、ラブ「「「ひぃっ??!!」」」

まりあ「あらあら♪」




スキット集

~「会ったこと、あるのか??」~
コンチネンタル「Hi!お久しぶりネ!!」
アール「ボンジュール!お久しぶりです!!」
菖「……え?アリスはともかく、どっかで会った??」
アール「「はい!わたしの国で幻影帝国と戦っているところを見かけました!!」」(^^*
ゆり「……菖?どういうことかしら??」(^言^
菖「……あぁ、もしかして、パリ第一大学のときの?!」」
アール「えぇ!あの時は助けていただき、ありがとうございました、ナイト様!!」(^^///
菖「だから、俺はナイトなんてがらじゃないってば……」(--;;

~「二人のお姉さん?!」~
まりあ「ねぇ、菖くん、ゆりちゃん」
菖、ゆり「「なんですか?」」
まりあ「二人は、アコちゃんや亜久里ちゃんからお兄さん、お姉さんって呼ばれてるのよね?」
ゆり「えぇ、まぁ……」
菖「少しばかり、不本意ですが」(苦笑
まりあ「なら、二人もわたしのことを『お姉さん』って呼んでいいからね?♪」
菖「……いやいや」
ゆり「……まりあ、姉さん」
菖「って、乗るんかい?!」Σ(◎ω◎;
まりあ「うふふ♪」
いおな「……お姉ちゃんはわたしだけのお姉ちゃんなのに……」(´・ω・`

~「やっぱり素が一番」~
ひめ「やっほ~!えりか~!!」
えりか「お~、ひめっち……じゃなくて、ヒメルダ王女殿下!」
ひめ「あぁ、大丈夫よ、普段通りで。もういい加減、疲れちゃって」(--;
えりか「あ、やっぱり無理してたんだ?」
ひめ「無理、とは言えないんだけど、慣れない言葉遣いだったり作法だったりで、もう肩凝ってしまいますぞ!!」
えりか「うんうん!やっぱり、素のひめっちが一番っしゅ!!」
リボン「姫様!またこのような場でそのような砕けた口調を!!」
ひめ「……けど、お目付け役のリボンがやっぱりうるさいのですぞ……」
えりか「ひめっち、ここはいっちょ……」
ひめ「ですな!」
えりか、ひめ「「逃げるが勝ちっしゅ/ですぞ!!」」
ゆり「……ほんとに、あの二人は……」(-言-
菖「まったく……元気がいいのはいいんだけど、もうちっと場をわきまえてほしいもんだ……」(--;


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顔合わせスキット~花と海と星の姫君~

本編をどうしようか、リクエストどうしようか……つか、一次創作どうしようか……
そんなことを考えながらなぜか出てくる顔合わせスキット。
タイトルの通りです。
なお、星のお姫様からのあだ名は適当です(だれか、アイデアくだしゃい……)
わりとどうでもいいけど、作者はみなみの中の人が大学の先輩であったということにびっくりしているようです。
まぁ、ひとまず、本編どうぞ。


はるか「はぁ~……楽しかった~、カーニバル」(≡▽≡

きらら「ま、どたばたもあったけどねぇ~」

みなみ「それじゃ、そろそろめぐみさんたち以外の先輩にもご挨拶に行きましょう」

はるか、きらら「「賛成~!」」

~数分後~

プリンセスチーム「「「ごきげんよう」」」

つぼみ、えりか、いつき「「「ご、ごきげんよう」」」

ゆり「あら、ご丁寧に。ごきげんよう」

菖「ごきげんよう、お嬢様方。俺たちになにか用事かな?」

はるか「いえ、ご挨拶をと思いまして!わたし、春野はるか。キュアフローラです!」

みなみ「わたしは海藤みなみ、キュアマーメイドです。よろしくお願いします」

きらら「あたしは天ノ川きらら。キュアトゥインクルよ」

えりか「ん?!天ノ川きららって、あのカリスマモデルの??!!」

きらら「そうよ?」

えりか「お~~~~~っ!!さ、サインください!!」

きらら「ごめん、あたし、イベント以外でそういうことはしないことにしてるから」

えりか「しょ、しょんな~」´・ω・`)

ゆり、菖「「諦めなさい/諦めろ、えりか」」

つぼみ「あははは……えっと、わたしは花咲つぼみ。キュアブロッサムです」

えりか「……キュアマリンの来海えりか……」

いつき「僕は明堂院いつき。キュアサンシャインだよ。よろしく」

ゆり「月影ゆりよ。よろしくね」

菖「俺は春川菖。よろしく、三人とも」

はるか、みなみ、きらら「「「よろしくお願いします!」」」

きらら「ねぇ、えりえり。えりえりってもしかしなくても、来海ももかの親戚か何か?」

えりか「え、えりえり?あぁ、もも姉ぇはあたしのお姉ちゃんだけど……」

きらら「あ、やっぱり!今度、一緒に仕事したいって思ってたのよ!!」

えりか「なんですと?!」

ゆり「すっかり馴染んだみたいね」

みなみ「ふふっ。ところで、菖さん。一つお伺いしても?」

菖「ん?なんだ??」

みなみ「菖さんは男の人なのにプリキュアになれるんですか?」

ゆり「菖はプリキュアではないわ。けれど、そうね……プリキュアと同等の力を持つ戦士ということに間違いはないわ」

はるか「プリキュアと同じ力を持つ戦士?」

菖「そ。大樹の騎士(ユグドセイバー)っていうのが、もう一つの名前」

はるか「大樹の騎士……」

みなみ「騎士、なんですね」

きらら「いっそ、あたしたちのところに来ちゃう?ほら、あたしたち、(プリンセス)だし」(・∀・)

菖「いや、俺は……」

亜久里「菖さんは誰にも忠誠を誓わない、自由の騎士ですわ。ですから、あなたがたのところへ行くことはありませんわ」

きらら「あら、残念。みなみんにいいお相手ができるとおもったんだけどね~」(・∀・)

みなみ「ちょ、ちょっときらら!!」

菖「お相手て……見合い相手って意味だったら、お断りだぞ?別にみなみが嫌いってわけじゃないけど」

きらら「お?てことは、騎士さまにはすでに心に決めたお相手が?」

はるか「えぇ~~~~~っ??!!だ、誰なんですか??!!」

菖「いや、いないから」

はるか、きらら「「即答?!」」

ゆり「そうね。少なくとも、彼の特殊な趣味につき合いきれる人はいないもの」

きらら「特殊な趣味?」

ゆり「遺跡探検よ」

きらら「……楽しいの?」

菖「めちゃくちゃ楽しい!」

はるか、きらら「「え~……?」」(--;

ゆり「ね?ついてこれそうにないでしょ?」

みなみ「あはは……けれど、菖さん。わたしたちよりちょっと年上なだけなのにもう考古学に傾倒しているなんて、すごいですね」

菖「そうかな?まぁ、両親が両親だったからなぁ」

みなみ「菖さんのご両親って……」

ゆり「両親とも考古学者よ。といっても、いまは世界中の大学や発掘遺跡を飛びまわっているから、日本にはいないわよ」

みなみ「そうですか……海藤グループで博物館を作ろうという話があったので、協力していただきたいと思ったのですが」

菖「ん~……一応、連絡はしておくよ。それに、俺が世話になった教授とかにも話して見る」

みなみ「あ、ありがとうございます」

きらら「ふ~ん?忠誠は誓わなくても力は貸してくれるんだ?」

菖「それが俺の騎士としての誓約(ゲッシュ)でもあるからな」

はるか「なんか、かっこいい……」

ゆり「ふふふ、そうね……ほんと、普段はかっこいいところなんてないのに、ね」




スキット集

~花のプリキュア大集合~
はるか「そういえば、咲ちゃんはキュアブルーム、つぼみちゃんはキュアブロッサムなんだよね?」
咲「そうなりよ!お揃いだね!!」
つぼみ「はい!花のプリキュア、三人娘です!」
菖「または花のプリキュア三姉妹か?」
ゆり「なんだか可愛らしいわね」
菖「はるかか咲が末の妹で、つぼみが姉かな?」
ゆり「案外、つぼみが末っ子ということもありえるかもね」
菖「それはそれで面白そうだな」

~奇しくも集まるご令嬢~
ありす「初めまして、海藤みなみさん。わたくしは四葉ありす。以後お見知りおきを」
みなみ「ごきげんよう、四葉ありすさん。まさか、四葉財閥の方とお会いするなんて思いもしませんでした」
ありす「わたくしも、あなたのお父様――海藤つかささんから、お話はうかがっておりましたが、まさか、共通の秘密を持つ友人になれるとはおもいませんでしたわ」
かれん「あぁ、やっぱり海藤つかささんの娘さんだったのね」
みなみ「あら、あなたは……」
かれん「わたしは水無月かれんといいます。両親からあなた方のことは伺っていました」
ありす「そういえば、かれんさんのご両親は高名な演奏家でしたわね」
みなみ「そうなんですか?」
かれん「えぇ、まぁ……」
えりか「あそこだけ完全に別世界っしゅ……」
つぼみ「みなさん、上流階級ですから……」

~完璧なモデルと輝くモデル~
美希「あら?きららさん??」
きらら「あれ?みきっち?ひっさしぶり~!」
美希「えぇ、久しぶり!この前、一緒に仕事していらいかしら?」
きらら「そうなるねぇ~……今度また一緒に仕事しよう?せっかくプリキュア仲間になったんだし!」
美希「えぇ!その時は、完璧なショーにしてみせるわ!」
きらら「……相変わらずだね、ほんと」(苦笑
えりか「……いま気づいた」
いつき「なにが?」
えりか「この場に今を時めくカリスマモデルが二人もいるっしゅ!!」
ひめ「おぉ!それはゆゆしき事態ですぞ!!えりか殿!!」
えりか、ひめ「「さっそく、あたしら/たちのデザインした衣装を売りこむっしゅ/みますぞ!!」」
ゆり「……騒がしいわね。少しは静かになさい?」(^^メ
えりか、ひめ「「ひぃっ??!!」」


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顔合わせスキット~もう一人の姫君~

もはやなにもいうまい……


トワ「ごきげんよう。わたくしはキュアスカーレット、プリンセス=ホープ=ディライト=トワ。こちらでは紅城トワと名乗っております。以後、お見知りおきください」

菖「いつも思うけど、はるかたちってほんとにお嬢様って感じだよな……どっかの誰かとは大違い」

ひめ「ちょ?!なんでそこであたしを見るのすか?!納得がいきませんぞ!!」

菖「うん、納得してもらう必要はないかな。一番、お姫様って感じがしないし」

ひめ「超辛辣?!」(半泣き

めぐみ「あははは……」

いおな「自業自得よ。少しは反省しなさい?」

ひめ「うぅ……」(TωT

トワ「ところで、あなたがプリキュアと共に戦う騎士、菖様でしょうか?」

菖「俺は様なんてつけられる柄じゃないよ。呼び捨てで構わないさ」

トワ「では、菖さん。どのようないきさつで、騎士なったのでしょう?」

はるか「そういえば、ハルモニアの時はだいたいの説明しか聞いてなかった」

みなみ「そういえば、そうね……」

きらら「にしし、どんなロマンスがあったのか、気になるよねぇ~」

菖「……ありす。出番のようだぜ」

ありす「はい。それでは……」(指パッチン

はるか「え?え??」

みなみ「いきなりステージが出てきた……」

きらら「……あれ?照明が……」

お化け怖い組『ひぃっ??!!』(((;ω; )))

トワ「み、みなみ……」

めぐみ「レディース、エーンジェントルメーン!」

あかね「ちゅうても、男の人って菖さんしかおらへんけどな!!」

りん「それは言わないお約束!」

六花「……こほん。それでは、後輩への説明のために作られた寸劇」

マナ「『大樹の騎士と月光のプリキュア、奇跡の物語』!」

みゆき、ひめ「「始まり始まり~!/はっじまるよ~!」」

アコ「……なに、この乗り。馬鹿っぽい……」

~劇終了後~

プリンセスチーム『……』

いおな「……みんな沈黙してる……」

ゆうこ「それに顔も紅いわね」

はるか「す」

菖「す?」

はるか「素敵素敵!素敵すぎる~~~~~!!」

みなみ「もう、はるかったら……」

きらら「けど、女の子としてはちょっと憧れるかなぁ?」

トワ「まさに、騎士としての心を持つ方ですわ……わたくしたちの同級生よりも立派です」

菖「お褒めにあずかり光栄、って言えばいいのかな?この場合」(苦笑

ゆり「よかったじゃない、菖。姫様直々にお褒めの言葉をいただいて」

菖「……俺からしたらそんな感覚、ないんだけどなぁ……」

トワ「どういうことですの?」

アコ「菖さんは身分を気にしないから。王族だろうと平民だろうと、みんな同じ人間だって」

きらら「ふ~ん……てことは、みなみんやトワっちのことも可愛い女の子として見てるってことかな~?」(・∀・

菖「まぁ、そういうことになるかな」

みなみ、トワ「「か、可愛いだなんてそんな……」」(///

えりか「あぁ……まぁた出てきたっしゅ」

いつき「なまじ、手放しで褒めるからたちが悪いよね~」(苦笑

れいか「ですが、菖さんが心から思っていることですから、改善のしようがないと思ってしまうのも事実です」

ゆり「けど、これでまた菖のファンが増えたかもしれないわね」

つぼみ「うぅ……ただでさえ、ゆりさんという強大な壁があるというのに……」

りん「ほんと……菖さんの罪作り……」(--lll

菖「いやだから……俺のどこがいいんだって……」




スキット集

~三国の王族、秘密の会合~
トワ「お久しぶりです。ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ王女」
ひめ「んも~、かたっ苦しいなぁ、トワは……ひめでいいって!」
アコ「あんたはもう少し王女らしく振る舞ったら?トワの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいね」
ひめ「あにおぉ?!」
トワ「ひめ、はしたないですわよ?」
ひめ「ぶー!!」
菖「……こうして見ると、どうしてこう、王女とか姫殿下っていっても性格変わるのやら……」
ゆり「あら、それこそ、あなたがいつも言っていることじゃない?」
菖「そうでした」

~ついつい比べてしまう……~
アコ「こうして見ると、ひめよりトワの方がお姫様っぽい」
菖「あぁ……その通りかも」
ひめ「ちょ?!」
ゆり「ひめはどちらかというと姫殿下というよりも貴族のお転婆令嬢だものね」
ひめ「うぐっ!!」
めぐみ「親しみやすいからわたしは好きだけど」
ゆうこ「同じく~」
ひめ「ゆ、ゆうこ~めぐみ~」(涙目
いおな「まぁ、ゆりさんと菖さんの言うことも一理あるけど」
ひめ「ひぐ~~~~~~」(´;ω;`)

~おふざけが……~
トワ「あの、菖さん。一つお願いが」
菖「うん?」
トワ「変身していただけませんか?」
菖「かまわないけど……なぁに企んでるんだ?」
トワ「うふふ」
~少女、セイバー、変身中~
セイバー「……なぁんか、既視感(デジャブ)が」
スカーレット「さぁ、騎士よ。忠誠の証を示しなさい」
セイバー「ほらやっぱり……やらねぇよ?」
スカーレット「……す、すみません……きららにすすめられて、つい出来心で……」
セイバー「お前の差し金か」
きらら「にっししし~♪」


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顔合わせスキット~二人は魔法使い!~

ネタがなくなってきたなぁ、顔合わせの……
本編もそろそろ書かないとだけどオリジナルのネタがなぁ……



みらい「え、えっと……改めまして、朝比奈みらい、十四歳!キュアミラクルです!!」

リコ「わたしはリコ。みらいと同じ十四歳で、キュアマジカルよ」

はるか「さっきも言ったけど、二人は魔法使いです!」

ゆりと菖以外『え~~~~~~~~~っ??!!』Σ(゚Д゚

菖「あぁ、これは……収拾つかなくなるなぁ」

ゆり「そうね……あっちの人ごみは放っておいて、わたしたちはのんびりお花見の続きをしましょうか」

菖「賛成」(苦笑

えりか「……って!ゆりさんと菖さんは相変わらず感動がうすいっしゅ!!」

ひめ「もっと興奮すべきですぞ!!」

ゆり「あら?わたしたちも魔法使いに片足突っ込んでいるようなものでしょ?」

菖「それに、ただでさえ興奮してるお前たちの中に俺たちまで入ったらみらいたちの負担が増えるだろ?」

ゆり以外『うぐっ!!』

ゆり「というわけで、少しは落ち着きなさい……というか、亜久里。一流のレディはどんなときも静かに、冷静でいるものよ?」

亜久里「うぅっ……わたくしもまだまだですわ……」

みらい「……なんか、すごいね、あの二人……」

リコ「まさに"大人"って感じだわ……」

マナ「そりゃ、ゆりさんと菖さんは高校生だもん!」

つぼみ「おまけに、菖さんは大学で考古学の講義を受けるほどの秀才で、海外にもお友達の方がいらっしゃるんです!」

リコ「へ、へぇ……こ、考古学、ねぇ……」

みらい「だ、大学の授業って……理解できるんですか?!」

菖「考古学限定だけどね」(汗

ゆり「菖は小さいころから考古学の本を読んでいたから、当然といえば当然ね」

みなみ「けど、それが高じて遺跡探検が趣味なのだけどね……」

ありす「ですが、ホテルやレジャー施設を建てるときに遺跡が見つかったときや博物館を建造するときはとてもお世話になりますよ?」

みなみ「そうね。講義で忙しいはずなのに、考古学者のご両親や友人の方を紹介してもらっているもの」

リコ「へ、へぇ……(ま、まさかお父様のことを知ってるなんてこと……ブツブツ)」

みらい「リコ?どうかしたの??」

リコ「な、なんでもないわ!!」

みらい「……??」

菖「まぁ、持ちつ持たれつ、かな?おかげでバイト先に困らないって先輩たちは言ってたし。ありすとみなみも、将来有望な若者を引き抜けるだろ?」

みなみ「ふふ、そうですね♪」

ありす「あらあら、うふふ♪なんでしたら、菖さんも将来的には我が四葉歴史資料館と海藤グループの歴史博物館の学芸員を兼任なさいますか?」

菖「魅力的なお話だけど、いまはパスかなぁ。将来的にはお世話になるかもだけど」

ありす、みなみ「「そうですわよね/よね」」

トワ「お、お二人ともわかっていらっしゃったのですか?菖さんが何とお答えになるか」

ひかり「というか……」

舞「たぶん……」

マナ「ここにいる子たち、みんなわかってたと思うけど?」

トワ「……??」

アコ「トワ、菖はまだ働くことの出来る年じゃないから、自分のやりたいことをやりたいだけよ」

トワ「あぁ、そういうことですのね」

ゆり「……それはそれとして。なぎさ、咲、のぞみ、えりか、響、なお、ゆうこ。さっきから食べてばかりじゃない。もう少し話に加わったら?」

なぎさ、咲、のぞみ、えりか、響、なお、ゆうこ『だっておいしそうだったんですもん!』

ゆり「……はぁ……」

亜久里「花より団子。とても、レディの振る舞いとは思えませんわ」

あかね「色気より食い気とも言うな……ちゅうか、亜久里、あんた、人のこと言えへんで?」

亜久里「……?」

六花「食べながらいわれても、説得力ないわよ?」(苦笑

アコ「……レディ(笑)」

亜久里「う……うるさいうるさい、うるさーーーーーーーーいっ!!」(///Λ///メ




スキット集

~「わくわくもんだー!」~
みらい「菖さん、遺跡探検って楽しいですか?」
菖「めちゃくちゃ楽しいよ」
リコ「自信たっぷり……」
菖「だって、誰も見たことのないものや自分の知らないものがあるかもしれないって思ったらわくわくしないか?!」
みらい「おぉ~!誰も知らないもの?!それはたしかに、わくわくもんだー!!」
リコ「って、なんて好奇心してるのよ?!」

~「戦争勃発?!」~
メップル「……」
アコ「……」
トワ「……」
みらい「……」
やよい「……」
あゆみ「……」
いおな「……」
トワ「なぜでしょう?あなたがたを見ていると、宿命のようなものを感じますわ」
やよい「うん……なんでだろう?」
みらい「なんだか、ずっと戦っていたような、そんな感じが」
あゆみ「わたしは、一つの目的のために一緒に戦っていたような気も……」
いおな「何かを奪い合うために戦っていたような気も」
メップル「ふ……我が宝物の前にひれ伏すがいい!!」
菖「って、なにいきなり喧嘩ふっかけてんだ?!」

~「やっぱり会ったことが……」~
ほのか「……」
チョッピ「……」
うらら「……」
エレン「……」
やよい「……」
リコ「……ね、ねぇ……気のせいだったら申し訳ないのだけど、わたしたち、会ったことが……」
うらら「ないはず、なのだが……」
やよい「ん……なんか、奇妙な感じ」
ほのか「あらあら、うふふ♪なぜでしょうね?」
チョッピ「さぁ?わたしからはなんとも……」
エレン「なんか、ほのかだけ訳知り顔って感じね……」
ゆり「……ねぇ、口調が変わってない??」


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顔合わせスキット~もう一人の魔法使いは元気っ娘!~

無風状態……ついに出動、扇風機(ぷ~き~ちゃん)……
何度、寝落ちしそうになったか……
みなさんも熱中症にお気を付けて


ことは「はーっ!花海ことはでーす!みんな、よろしくねー!!」

つぼみ「ものすごく元気な方です!」

響「それにかわいい!」

リコ「そりゃそうよ!」

みらい「だってはーちゃんは」

モフルン「みらいとリコの自慢の子どもモフ!!」

菖、ゆり、アコ、きらら「「「「……え?いまなんて……」」」」

みらい「モフルン、ちょっといまのは説明不足というか、誤解を招くというか」

モフルン「モフ?」

リコ「え、えっと、ね。はーちゃんは……」

~リコ説明中~

菖「なんだ、そういうことか」

ゆり「驚いたわ……まさか本当に『十四歳の母』を見ることになるとは思わなかったもの……」

みらい「……って、言う割に菖さんもゆりさんも驚いてないですよね?」

リコ「他の人もそんな感じの人がいるんだけど……」

菖「まぁ、俺もゆりも黄泉返りに近いことやったしなぁ」

つぼみ以外のお化け怖い組『……え?』

ゆり「そうね。コロンがそうだし」

ひかり「わたしは『光のクイーン』の生まれ変わりだし……」

くるみ、エレン「「わたしは元々は妖精だし……」」

せつな「わたしは、いわゆる『黄泉返り』ね」

亜久里「わたくしはアン王女の半身ですし」

みらい、リコ「「……い、いろいろあるんですねぇ……」」

菖「……まぁ、けどそれ言ったら今更な感じがするけどなぁ……というか、俺、そもそも視える体質だし……」

ことは「ん?菖さん、何か言った??」

菖「なんでもないよ」

----------------------------------

みらい、リコ「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

ことは「キュアップ・ラパパ!エメラルド!フェリーチェ・ファンファン!フラワーレ!!」

ミラクル「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法!キュアマジカル!!」

フェリーチェ「(あまね)生命(いのち)に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

魔法使いチーム以外『お~……』

えりか「フェリーチェ、なんだか妖精さんみたいっしゅ……」

いつき「えりか、みたい、じゃなくて、ほんとに妖精だって……」

ひめ「三人とも可愛いですぞ!!」

マナ「うんうん!もうキュンキュンだよ!!」

魔法使いチーム「「「あ、あまり見られると……恥ずかしいなぁ/わ/です……」」」(///

菖「フェリーチェは変身すると口調が変わるんだな」

フェリーチェ「そうなのですか??」

れいか「そうですね。たしかに丁寧語に変わっています」

りん「まるでお嬢様かお姫様みたいな口調だね……」

アコ「……どっかの姫とは大違い」

ひめ「ちょ!なんでそこであたしを見るの?!納得がいきませんぞ!!」

トワ「ひめ、落ち着いてくださいまし。はしたないですわよ?」

アコ「ふふん♪」

ひめ「うごーーーーーーーーーーーっ!!!!」

菖「……姫らしからぬ悲鳴ってか?」(苦笑

ゆり「……ぷっ……くくっ……」

フェリーチェ「ところで、みなさんは変身するとどのようになるのでしょう?」

なぎさ「お?興味ある感じ??」

咲「それなら!」

ラブ「みんなでプリキュアに」

つぼみ、のぞみ「変身です!/しちゃうぞ~!けってーい!!」

菖以外『えぇっ!/Yes!』

菖「……ほんと、みんな好きだなぁ、このノリ……」

ゆり「とかいって、菖もちゃっかり手袋出してるじゃない。お互いさまよ」

菖「はははは……」

MH「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆S「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート「「「「レッツプレイ!プリキュア!!モジュレーション!!」」」」

スマイルパクト『Ready?』

スマイルチーム『プリキュア!スマイルチャージ!!』

スマイルパクト『Go!!Go,Go!Let's Go!!』

あゆみ、グレル、エンエン「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!」」」

ドキドキ「「「「プリキュア!ラブリンク!!」」」」

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ「「「「L・O・V・E!!」」」」

亜久里「プリキュア!ドレスアップ!!」

アイちゃん「キュピラッパー!」

ハピネスチャージ「「「プリキュア!くるりん、ミラーチェンジ!!」」」

いおな「プリキュア!くるりん、スターシンフォニー!!」

プリンセス「「「「プリキュア!プリンセス・エンゲージ!!」」」」

ブラック「光の使者、キュアブラック!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)!熱血パワー!!キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々!直球勝負!!キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け!キュアエコー!!」

ハート「(みなぎ)る愛!キュアハート!!」

ダイヤモンド「英知の光!キュアダイヤモンド!!」

ロゼッタ「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」

ソード「勇気の刃!キュアソード!!」

エース「愛の切り札!キュアエース!!」

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛!キュアラブリー!!」

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!!」

ハニー「大地に実る、生命の光!キュアハニー!!」

フォーチュン「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!!」

フローラ「咲き誇る、花のプリンセス!キュアフローラ!!」

マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス!キュアマーメイド!!」

トゥインクル「煌めく、星のプリンセス!キュアトゥインクル!!」

スカーレット「深紅の、炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」

ミラクル「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法!キュアマジカル!!」

フェリーチェ「普く生命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

セイバー以外『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』

ミラクル「……って?!」

マジカル「なんか、わたしたちも乗っかってるし??!!」

フェリーチェ「つ、つい勢いで……」

マリン、プリンセス「「というか、セイバー!ノリが悪いっしゅ!!/ですぞ!!」」

セイバー「……あのさ、俺はプリキュアじゃないって何度言ったらわかってくれるんだ?いい加減、怒るぞ?というか怒っていいよな??」(^言^

マリン、プリンセス「「ひぃっ??!!」」Σ(○ω○lll

ミラクル「は~……追っかけっこが始まったぁ……」"゚д゚)

マジカル「しかも、セイバー……鬼の形相に、というか、鬼になってる……」"゚д゚)

フェリーチェ「あ、あの……あちらは止めなくて大丈夫なのでしょうか??」(・ω・;

ムーンライト「大丈夫だから、放っておきなさい」

フェリーチェ「は、はぁ……ムーンライト姉様(ねえさま)がそうおっしゃるなら……」

ムーンライト「……なんで、姉様なのかしら?」

フェリーチェ「い、いえ……ミラクルとマジカルから、ムーンライト姉様とセイバー兄様は、わたしたちよりも年上の方とうかがっていたので……あ、あの、ご迷惑、でしたか?」

ムーンライト「……そんなことはないわよ?」(///

ブロッサム「ムーンライトが照れてます……」

サンシャイン「珍しい……」

ハート「う~ん!!ムーンライトの照れた顔!キュンキュンだよ~~~~!!」(><

ラブリー「うんうん!ラブだねぇ!!」

スカーレット「ラブ、なのでしょうか?」




スキット集

~『妹キャラ、追加入りま~す』~
アコ「……菖兄さん、ゆり姉さん」(///
亜久里「菖お兄様、ゆりお姉さま!」(^^*
ことは「はーっ!菖お兄ちゃん!ゆりお姉ちゃん!!」(>▽<
菖、ゆり「「どうした/の?三人とも」」
響「なんだろう……」
マナ「なんか……」
リコ「違和感がないわね……」
のぞみ「いいなぁ……わたしもお姉さんって呼ばれたい」
えりか「同じく~」
りん「いや、あんたらは無理だから」

~『花のプリキュア四人娘』~
ブルーム「輝く金の花!」
ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!」
フローラ「咲き誇る、花のプリンセス!」
フェリーチェ「普く生命に祝福を!」
ブルーム「わたしたち!」
ブロッサム「花のプリキュア」
フェリーチェ「四人娘です!」
フローラ「さぁ、お覚悟はよろしくて?!」
菖「……いや、いったい、何を覚悟しろと?」(苦笑

~『まさか、伝染してる?!』~
みらい「そういえば、菖さん!今度はどんな遺跡を見つけたんですか?!」
菖「うん?興味あるのか?」
みらい「はい!だって、知らないことって、わくわくもんですから!!」
ことは「はーっ!わたしも聞きたーい!!」
菖「ははは……まさか、ことはも興味を持つとは……」
ことは「だって、探検ってわくわくもんだしー!」
菖「……なるほど、自慢の娘ってのもあながち嘘じゃないか」
みらい「えっ??!!」
菖「口癖が伝染し(うつっ)てる」
みらい、ことは「「はっ!そういえば!!」」
リコ「って、いまさら気づいたの?!」


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顔合わせスキット~光り輝くパティシエガールズ~

明後日、いよいよア・ラ・モードに新メンバー登場ですかぁ。
メンバーが六人って、5GoGo以来ですかね?


みらい「ここです!」

ゆり「ここが、みらいたちがお勧めのお店?」

菖「なんというか……ファンタジーだな」

はるか「さ、入りましょう!」

ことは「はーっ!おっ邪魔っしま~す!」

きらら「ほらほら、菖さん!早く早く!!」

菖「ちょ、引っ張るなって」

ゆり「……」(-言-

トワ「あ、あの……ゆりさん……?」

ことは「ゆ、ゆりお姉ちゃん、なんかコワイ……」

えりか「あぁ……うん、まぁ……」(--;

ひめ「わ、わたしからはノーコメントですぞ……」(--;

----------------------------------

いちか「いらっしゃいませ!キラパティへようこ……お~!みんな~!!」

みらい「いちかちゃん、久しぶり~!」

ことは「はーっ!遊びにきたよ~!!」

あきら「やぁ、久しぶりだね。ところで、きらら。手をつないでいる人はお客さん?」

きらら「にっしし~、違うよ?あたしのダーリン」

いちか、あきら「「えっ?!」」

菖「嘘つかない」

きらら「てへっ☆」

菖「まったく……俺は春川菖。まぁ、みらいやきららの先輩ってとこかな?よろしく」

あきら「よろしく。私は剣城あきらです」

ゆり「……自己紹介もいいけれど、そろそろ後がつかえてくるのだけれど?」

菖「あ、ごめん」

みなみ「ごきげんよう。お久しぶりです、あきらさん」

あきら「やぁ、みなみ。きららとみなみがいるということは……」

トワ「わたくしたちもいますわ。ごきげんよう、あきらさん」

はるか「ごきげんよう、あきらさん」

あきら「やっぱり、みんないたのか……ところで、彼は?」

みなみ「実は、菖さんも含めて、紹介したい方がいるんです」

はるか「みんな、わたしたちの先輩なんです!」

あきら「……え?」

いちか「な、なんですとーーーーーっ??!!」

----------------------------------

いちか「初めまして!わたし、宇佐美いちか!!キュアホイップです!!」

ひまり「きゅ、キュアカスタードの、あ、有栖川ひまり、です……」(いちかの後ろへ

あおい「あたしは立神あおい!キュアジェラートだ!よろしくな!!」

ゆかり「琴爪ゆかり、キュアマカロンよ。よろしくね?」

あきら「わたしは剣城あきら、キュアショコラです。よろしくお願いします」

つぼみ、奏「「……ポーーーーーッ……」」

菖「……つぼみ?奏??」

ゆり「もしかしなくても、またあの病気かしら?」

あきら「あの病気?」

つぼみ「……はっ!!す、すみません。あきらさんがあまりにもかっこよかったので」

奏「……王子先輩という方がいるのに、わたしったら……」

いちか「うんうん、わかるわかる……」

菖「……男装の麗人、再び」

いつき「な、なんで僕を見るんですか?」

えりか「いつき、自分の胸に聞いてみるっしゅ」

あきら「あ、あははは……」

菖「にしても……みんな、スイーツ店を経営してるんだなぁ」

ゆかり「えぇ。おかげで退屈しないわ」

いちか「おいしいスイーツで、みんなを笑顔にしたくて始めました!みなさんもどうぞ!!」

なぎさ「え、いいの?いっただっきま~……って、かわいい!!」

かれん「これは、モフルンのカップケーキね?」

こまち「なんだか、かわいくて食べるのがもったいないわね」

ひめ「こ、これは……食べるのがもったいないですぞ!!」

マナ「かわいくて、胸がキュンキュンだよ~!!」(>▽<

ことは「わかるわかる!はむっ」

トワ「と言いながら、食べていますわ、ことは。はむっ」

亜久里「トワも人のことを言えませんわよ?はむっ……ん~~~~~♪」

きらら「いや、トワっちあぐりんも他人(ひと)のこと言えないでしょ!」(´∀`;

みなみ「……なんだか、見たことのあるやり取りね」

リコ「ほんとね……」

ありす「あらあら♪」

ゆかり「いかがかしら?お味の方は」

菖「うん、うまい。みらいたちがわざわざ俺たちを招待したくなるのもわかるな」

ゆかり「うふふ、それは何よりだわ」

菖「……ところで、琴爪」

ゆかり「あら?ゆかりでいいわよ?何かしら、菖?」

菖「距離、近くないか??」

ゆかり「そうかしら?」

菖「仮にも淑女なら、もう少し異性に対して警戒してほしいんだけど」

ゆかり「それなら、ゆりにも言った方がいいんじゃないかしら?」

ゆり「あら、わたしは菖の幼馴染よ?これくらいの距離が普通よ」

ゆかり「そうなの?」

ゆり「そうよ?」

ゆかり、ゆり「「……」」

ゆかり「うふふふふ……」

ゆり「ふふふふふ……」

ひまり「な、なんだかお二人の雰囲気がものすごく怖いです……」

やよい「……怖いぃ……」(((;ω; )))

くるみ「こ、これが女の戦い……」

エレン「音吉さんの本で読んだことがあるわ!」

りん、あかね「「いや、何の本なのよ/やねん、それ?!」」

なぎさ、咲、ラブ、のぞみ、うらら、響、なお、ゆうこ『おかわりー!』

いつか「って、早っ?!」

ひまり「驚きの速度です!!」

あおい「おいおい……あたしらより動物じゃねぇか」

ひかり「あ、あははは……」

六花「ん?あたしらより、って??」

いちか「あれ?みらいちゃんたちから聞いてません?」

みらい「いちかちゃんたち、変身すると動物みたいになるんですよ!」

リコ「正確には、動物の耳としっぽがつくのよ」

ほのか「それは……見てみたいわね」

ひかり「ほ、ほのかさん……目が怖いです……」

いちか「こ、これはまさか……」

ひまり「ご、ご要望にお応えするしかなさそうですね」

あおい「なんか、面白そうだな!!あたしは乗ったぜ!!」

ひまり「ゆ、ゆかりさんとあきらさんを呼んできます!!」

----------------------------------

ア・ラ・モード『キュアラモード・デコレーション!!』

いちか「ショートケーキ!元気と、笑顔を!」

ひまり「プリン!知性と、勇気を!」

あおい「アイス!自由と、情熱を!」

ゆかり「マカロン!美しさと、ときめきを!」

あきら「チョコレート!気品と、強さを!」

ア・ラ・モード『レッツ・ラ・まぜまぜ!!』

ホイップ「キュアホイップ!できあがり!!」

カスタード「キュアカスタード!できあがり!!」

ジェラート「キュアジェラート!でっきあがり!!」

マカロン「キュアマカロン!できあがり!!」

ショコラ「キュアショコラ!できあがり!!」

ア・ラ・モード以外『お~……』

菖「へぇ……なるほど、確かに動物だな……」

菖、ゆり以外『……か、か……』

菖、ゆり「「……」」(耳ふさぎ

菖、ゆり以外『かわいいーーーーーーーーーーーーーっ!!!!』

マカロン以外のア・ラ・モード『……っ???!!!』

のぞみ「ね、ね!触らせてもらってもいい??!!」

ほのか「本物のしっぽみたいね!」

せつね「や、柔らかい……」

いつき「うわぁ……いいなぁ、かわいいなぁ!!」

いおな「ふ、ふかふかしてて……き、気持ちいい……」(///ω///

ホイップ「ちょ?!く、くすぐった……」

カスタード「ふぇぇぇぇぇぇぇ?!」(・ω・;

ジェラート「あ、そこ……いい……」(///▽///

菖「……うわぁ……」

マカロン「うふふ、みんな大人気ね♪」

菖「ちゃっかり耳ふさいでたのか……」

マカロン「えぇ。だって猫だもの」

ゆり「……」

菖「……ゆり?」

ゆり「……わたしも、ショコラをもふもふしてくるわ」

菖「……いってらっしゃい」

ショコラ「うわぁっ?!」Σ(///△///

ゆり「……この感触、くせになりそうね……」(///

ショコラ「そ、それはどうも……」

マカロン「ところで、あなたは触らないの?」

菖「変身してるとはいえ、女の子だからな。むやみやたらと触るのはマナー違反でしょ」

マカロン「あら?わたしは気にしないわよ?」

菖「俺が気にするの。というか……さっきから距離つめすぎじゃないか?」

マカロン「うふふ……逃げなくてもいいじゃない?」

菖「……捕食者の目をしている人から逃げて何が悪いんだ?」

マカロン「ふふふ、なら、おいしくいただいちゃおうかしら?」

ひかり、かれん、舞、つぼみ、響、あゆみ『それはダメーーーーーーーッ!!』

マカロン「あら、残念♪」




スキット集

~「高校生四人組」~
あきら「そういえば、菖くんもゆりさんも高校生なんだよね?」
ゆり「そうね。明堂学園高等部の二年よ」
菖「同じく」
ゆかり「あら。それなら同い年ね」
あきら「ふふ、なんだか仲間が増えたみたいでうれしいな」
ゆかり「それなら、こんど四人でどこかへ出かけない?」
ゆり「それもいいかもしれないわね」
菖「……なぜだろう、逃げたくなってきた」
ゆかり「ふふ、逃がさないわよ?」
ゆり「そうね。せっかく両手に花なんだから、もったいないわよ?」
菖「……荷物持ち確定じゃないですか、ヤダー」(棒
あきら「あ、あははは……」

~「混ぜるな危険 Part2」~
ゆり「……ゆかり、ちょっと聞きたいのだけれど」
ゆかり「なにかしら?」
ゆり「いつまで菖にひっついてるつもりかしら?」
ゆかり「わたしの気が済むまで?」
菖「……なぜに疑問形?」
ゆり「そろそろ離れてもいいのではなくて?」(^言^
ゆかり「い・や・よ♪」
ゆり「……」(シャー
ゆかり「……」(ニャオ~ン
えりか「……な、なんだか修羅場な気がするのは気のせい?」
ひめ「えりか殿、気のせいではないですぞ……わたしにも見えますぞ……」
えりか、ひめ「「あの二人、混ぜるな危険だったんだ……」」

~「ライオンと獅子」~
いおな「菖さん、もう一度見せてください!」
菖「また?」(^^;
いおな「はい!」
あおい「何やってんの?」
菖「ちょっと、俺の技が見たいんだってさ……」
あおい「へぇ?どんなの??」
菖「見せた方が早いか……ちょっと離れてて」
あおい「……?うん」
菖「……すぅ~、はぁ~……獅子戦吼()っ!!」
あおい「おぉ……一瞬、ライオンが見えた!!」
いおな「そういえば、あおいは変身するとライオンになるのよね?」
あおい「あぁ!案外、菖さんと組んだらいいコンビになるかもな!!」
菖「はははは……」

~「扱いはお手の物」~
エレン「……ゴロゴロ……」
ハミィ「ハニャ~……ゴロゴロ……」
ゆかり「うふふ、面白いわね、あなたたち」
アコ「……なにしてるの?」
ゆかり「あなたも堪能してみる?」
アコ「遠慮しておくわ」
ゆかり「そういわずに」(なでなで
アコ「……ふみゃ?!……ゴロゴロ……」
エレン、ハミィ、アコ「「「ゴロゴロ……ゴロゴロ……」」」
ゆかり「うふふ、三人とも猫みたいでかわいいわ♪」


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顔合わせスキット~夢と希望のペガサス~

勢いのままに書いてしまいました(苦笑
セリフがあてられてないキャラが複数いますが……すみません、勘弁してください(土下座
ちなみに、作中で菖が何といったのかはあとがきのスキットに書かせていただきます。


シエル「Bonjour(ボンジュール)!わたしがキラパティの新しいメンバー、キラ星シエルよ!Enchanté(アンシャンテ) de(ドゥ) vous() connaître(コントレ)、先輩プリキュアのみなさん!」

なぎさ「ぼ、ボンジュール……」

ひかり「ふ、フランス語全開です……」

のぞみ「うぅ……頭痛いよぉ……」

ありす「あらあら♪」

ゆり「……まぁ、無理はないわね。なぎさ、ぼぉっとしてないで、あなたから自己紹介なさい?」

なぎさ「……はっ!!はい!!えっと、あたし、美墨なぎさ!よろしくね!!」

シエル「Oui(ウィ)!」

先輩プリキュア(少女)自己紹介中~

ゆかり「それじゃ、最後に菖ね?」

菖「ん?あぁ……Bonjour mademoiselle(マドモァゼル). Je(ジュ) m'appelle(マペール) 菖.Je(ジュ) suis(スイ) vraiment(ヴレマン) ravie(ラヴィ) de(ドゥ) vous() rencontrer(ランコントレ).」

ハートキャッチ組以外『……へっ?!』Σ(゚Д゚

シエル「Wow!菖はフランス語がわかるの?!」

菖「挨拶だけは、な?基本的に英語で事足りるし」

つぼみ「読むだけなら、菖さんは英語に始まり、様々な言語に精通しているんです!」

えりか「菖さん、世界中の遺跡を巡って冒険してるしねぇ。当然っちゃ当然だけど」

やよい「2000の技を持つお……」

ラヴ「いや違うでしょ?!」

菖「貴様は(ビガラザ・)クウガ(クウガ)!!」

ゆり「のっからないの!」

菖「はい、すみません……」

シエル「ふふっ、いちか、なんだか面白いわね、菖って」

いちか「あ、あははは……」

ひまり「けど、面白いだけはないです!すごく知的な方なんですよ!!」

シエル「そうなの?」

ゆかり「えぇ。なにしろ、世界中の遺跡の発掘調査に向かうくらいなのだもの」

あきら「確か、研究論文も書いてるんだったっけ?」

シエル「……えっ?!」

菖「おい、あきら。いくら俺でも研究論文までは書いてないぞ」

あきら「あはは……ごめん、ちょっとからかいたくなって」

菖「せいぜい書いてもレポート(報告書)程度で、論文なんてとてもじゃないが言えるものじゃない」

ほのか「……十分すごいと思うんですが……」

ゆり「まぁ、菖だもの……」

ゆかり「うふふ♪」

あきら「あはははは……」(-∀-;

祈里「……それはそれとして、シエルちゃんは変身するとどんな動物になるの?」

ことは「はーっ!気になる~っ!!教えて~~っ!!」(>∀<*

うらら「教えてください!!」

シエル「オゥ、すごい勢いね……Oui!わかったわ!!」

舞「どんな動物なのかしら?」

咲「いまから楽しみなり~っ!」

----------------------------------

シエル「キュア・ラ・モード、デコレーション!!パフェ!!夢と、希望を!レッツ・ラ・まぜまぜ!!」

(少女、変身中)

パルフェ「キュアパルフェ!出来上がり♪」

菖、ゆり、ア・ラ・モード組以外『お~~~~っ!!』

みゆき「ペガサスだぁ!!」

あかね「って、うちらのプリンセスフォームとかぶっとるやん!!」(^ω^;

なお「なんだか、すごく早そう!」

やよい「もしかして、小宇宙(コスモ)を感じることがっ?!」

パルフェ「いや、できないから」(苦笑

菖「……時々思うが、やよいってほんと、特撮ヒーローとか少年漫画ヒーロー好きだよなぁ……」

れいか「それがやよいさんの好ましいところだと思います」

菖「まぁ、そうだな」

かれん「あ、あの……それよりあれは止めなくて大丈夫なのかしら?」

みなみ「さすがに、収拾つかなくなりそうだわ……」

菖「うん?」

シエル「ちょ、ちょっと待って?!そんな、みんなで一斉に来られたら……あんっ!いやんっ!!……ちょ、なんてとこ触ってるのよ?!」(///A///メ

菖「……知らぬが仏、触らぬ神になんとやら」

ゆり「大いに賛成よ」

かれん、みなみ「「って、見捨てるんですか?!」」

菖「俺にはあんな荒波の中に入っていく勇気はない」(`・ω・´)

かれん「いや、そんなキリッとした顔で言われても……」

ゆり「まぁ、あんな中に入っていったあとには木乃伊取りが木乃伊になるわね、菖の場合」

みなみ「……あぁ、なんとなくそれは」

ゆかり「うふふ♪可愛い女の子たちにもみくちゃにされてあたふたしている菖を見るのも面白そうね」

あきら「ゆかり。ちょっとそれはおふざけが過ぎるよ?」(-∀-;

ゆかり「あら?でも菖がわたふたしている姿、見てみたいとは思わない?」

あきら「それは……」(視線そらし

菖「……おぃ」(-A-メ

ゆり「うふふ、菖もすっかり弄ばれてるわね」

菖「……納得いかん、というか、納得したくない……」(-_-;




スキット集

~「なんて言ったの?」~
ひまり「そういえば、菖さん。さっきシエルさんになんて言ったんですか?」
菖「ん?あぁ、「こんにちは、お嬢さん、私の名前は菖。お目にかかれて光栄です」って感じかな?」
いちか「おぉ!!菖さんフランス語喋れるなんて、かっこいい!!」(^0^*
つぼみ「はい!わたしたちの自慢の仲間です!!」
ゆかり「あら?自慢の彼氏、じゃないのね?」(^ω^
つぼみ「か、かれ……はひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ???!!!」(///0///
シエル「……?つぼみはなんで真っ赤になってるのかしら?」
あおい「……知らぬが仏ってやつだと思う」
あきら「あ、あははは……」
シエル「ちなみにわたしは「会えてうれしいです」って言ったのよ?」
いちか「へぇ~」
みらい「知らない国の言葉……わくわくもんだーっ!!」

~「みんなでレッツ・ラ・クッキング!」~
シエル「そうそう、空気を含ませるようにして……」
なぎさ「こ、こう、かな?」
かれん「む、難しいわね……」
のぞみ「うわわっ??!!」
りん「のぞみ!あんたはちょっとそっちで座ってなさい!うららはカレーを入れようとするな!!こまちさんは羊羹入れない!!」
菖「……いつも思うけど、なんでこいつら(5GoGo組)はこうもにぎやかなんだ?」
ゆり「さぁ?」
アコ「馬鹿っぽい」
亜久里「まったく……レディには程遠いですわね!」
きらら「いや、それをあぐりんがいう?」(^ω^;


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顔合わせスキット~双子のパティシエとツンデレゴスロリ娘~

パティシエで双子、これだけで誰なのかは一目瞭然
ちなみに、人数が多くなりすぎて私がパンクするので、ハートキャッチ組のみとなっております、ご了承を(-ω-;


菖「で、シエルが会わせたい人ってのは?」

いちか「この子で~す!」

ジュリオ「お、おい、押すなよ!」

シエル「わたしの双子の弟!」

ひまり「リオくんです!!」

あおい「妖精のときはピカリオって名前だぜ!」

あきら「で、もう一人が」

ゆかり「うふふ♪覚悟なさい?」(^言^

ビブリー「ちょっ!離せっての!!自分で歩くって言ってんじゃん!!」

ゆかり「あら?そう言って、こっそり逃げようとするんじゃなくて?」

ビブリー「くっ……なぜばれた……」

つぼみ「……なんか、こっちはかなり個性的です」

ビブリー「はぁっ?!なによ、文句あんの?」( 皿 メ

つぼみ「ひぃっ??!!」Σ( □ lll

菖「なんでそうなる?」(-Д-;

ゆかり「うふふふ♪」

あきら「ゆかり、楽しんでない?」(-▽-;

ゆり「楽しんでるわね、確実に……」

ゆかり「ふふ、にゃ~お♪」

 

----------

 

リオ「こんなんでいいのか?」

菖「ん……あぁ、オーケーだ。そしたら、手のひらサイズに切って、片栗粉を敷いたトレイに置いて行ってくれ……熱いから気を付けろよ?」

ビブリー「あぁっ!べたべたする!!」

つぼみ「あ、あの……片栗粉を手にまぶしておくとくっつきにくくなりますよ?」

ビブリー「あぁっ?!……あ、ほんとだ」

ゆり「硬くならないうちに、あんこを乗せて、包みましょう」

ひまり「包んだらひっくり返して置いておきます」

シエル「あんこの重さで結び目が閉じるわけね……」

いちか「そういえば、和菓子ってあんまり作ったことなかったよね?」

菖「そうなのか?」

ゆかり「そういえば、そうね」

あきら「サクラちゃんと出会ったときくらいじゃないかな?」

つぼみ「さくらさん?」

えりか「へぇ?ここに来たことあるんだ、さくらさん」

あおい「ん?なんでさん付けなんだ??」

いつき「だって、さくらさん、高校生だよね?」

シエル以外のア・ラ・モード組『え?』

ハートキャッチ組『ん?』

いちか「えぇっと……そのさくらさんって、どんな人ですか?」

ゆり「こんな子よ?写真、見せるわね」

あきら「……あぁ、うん、違うね。この子のことじゃない」

菖「まさかの名前かぶり……」

ゆかり「ややこしいことこの上ないわね」

つぼみ「こればかりは仕方がないかと……」

いちか「あははは……」

 

----------

 

ビブリー「……甘い」

リオ「けど、なんか淡白な甘さだな」

菖「こういうのが、コーヒーとか緑茶にあうんだよ」

いちか「へぇ……緑茶はわかるけど、コーヒーもなんだ?」

ゆり「一部では、羊羹を食べるならコーヒーのほうがいいって人もいるみたいよ?」

いちか「へぇ……」

ゆかり「ちなみに、羊羹は江戸時代、めったに手に入らない高級品だったのよ。だから、お客さんに出した時に遠慮されて食べられることなく、お砂糖が浮いてしまった、なんてエピソードがあるわね」

あきら「へぇ……」

つぼみ「きんつばみたいな状態になったものを『もったいないから』と言って食べることが、出した人の楽しみだった、という話もありますね」

菖「なもんだから、出されたときに遠慮なしに食べられると恨みの視線を向けられた、なんてことがあったそうだな」

リオ「……な、なんというか、恐ろしい話だな、それは……」

ビブリー「ふ~ん?だったら出さないで取っとけばいいのに」

いつき「あははは……」

あおい「まぁ、そうはいかないのがおもてなしってやつなんだろうな」

ゆかり「ふふふ♪それなら、ビブリーには今度わたしがおもてなしの精神を教えてあげようかしら?」

あきら「あぁ、お茶会?」

菖「家元だったか、たしか」

ゆかり「えぇ♪よければ、菖も奥様方といっしょにどうぞ♪」

つぼみ「……お、奥様……」(//////

ゆり「落ち着きなさい、つぼみ……ゆかり、あんまりうちのつぼみをからかってはだめよ?」

ゆかり「ふふふ♪」

菖「……あきら、お前の彼女だろ?どうにかしてくれよ」

あきら「あははは……」



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顔合わせスキット~輝く未来を抱きしめてっ!未来を守る、新たなプリキュア!!~

映画は見ないし、まだ始まってもないですけど、ひとまず、三人そろったので。
……はい、とうとうハグたん登場です。
どうなるかは、おまけスキットをご覧あれ(-▽-;


はな「えぇ~っと……このあたりのはずなんだけど……」

さあや「もしかして、道間違えちゃったかしら?」

ほまれ「もしかしなくても、迷ったんじゃない?これ……」

はな「うぅ~……めちょっく……」(-◇-;

ハグたん「……ぅ?あ~、う~!!」

はな「……ん?どうしたの?ハグた……あっ!!あった!!キラパティ!」

さあや「あれが?」

ほまれ「ふ~ん……いけてんじゃん♪」

はな「それじゃ、レッツゴー!」

----------------------------

いちか「いらっしゃいませ!……あ、はなちゃん!」

はな「こんにちは!いちかちゃん!!」

さあや、ほまれ「「お邪魔します」」

ひまり「いらっしゃいませ!みなさん、お久しぶりです!」

はな「うんうん!……あれ?もしかしなくても、ちょっと忙しい??」

あおい「いんや、そうでもないぜ?人は多いけどな」

あきら「今日は貸しきりみたいなものなんだ」

はな、さあや、ほまれ「「「えっ?!」」」

ゆかり「うふふ♪よく周りを見てごらんなさい?知っている人もいるでしょ?」

はな「……あ!みらいちゃんにリコちゃん!!」

さあや「ことはちゃんもいるわね」

ほまれ「……ねぇ、もしかしてここにいる人たちって……」

いちか「はい!」

ひまり「実は、わたしたちの先輩です!」

はな、さあや、ほまれ「「「……え?」」」

----------------------------

はな「初めましてっ!野乃はな、十三歳!夢はイケてる大人のお姉さんです!!」

さあや「薬師寺さあやです、よろしくお願いいたします」

ほまれ「輝木ほまれです、よろしく」

菖「よろしく。しかし……これまた個性的なメンバーだな」

ハグたん「ハ~ギュ、ハ~ギュゥ!!」

菖「ん?どうした、おちびちゃん??」

はな「ん?ハグたん、このお兄さんが気になるの??」

ほまれ「なんなら、抱っこしてみたら?」

菖「うぇ?!」

ゆり「変な悲鳴出さないで……珍しいわね、あなたが及び腰だなんて」

菖「いやいやいやいやいやいや!だって赤ん坊だぞ?!万が一があったらどうすんだよ?!」

ゆり「あら?この間はふたばちゃん抱っこしてすっかりのろけ顔になってたじゃないの」

菖「うっ……あぁ、もうわかりました!!えっと、野乃さん、だったね?その子、こっちに」

はな「あ、は、はい!!」

ハグたん「あ~い♪」

菖「お、笑った」

ゆり「あら、可愛い♪」

はな「あ、あの、それでお兄さんたちは……」

ゆり「そうね。自己紹介しないといけないわね」

菖「……といって、もう五十人はこえてるからなぁ……なぎさを呼ぶのはあとにして、とりあえず、いまは俺たちだけにしとかないか?」

ゆり「それもそうね」

ほまれ「えっ……五十人超えって……」

さあや「なんだか、すごい数……」

はな「うぅ~」

菖「あははは……突っ込んでやるなよ、そこだけは」(-▽-;

ハグたん「はぎゅぅ?」

つぼみ、えりか、いつき、ゆり、菖(ハートキャッチ組)自己紹介、終了~

はな「え?お兄さん、プリキュアじゃないの?!」

菖「……この反応、もう何度目なのかなぁ……」

ほまれ「うわ、すごく遠い目してる……」

ゆり「菖はプリキュアではないわよ。まぁ、そうね……プリキュアにとっての守護騎士(ガーディアン)といったところかしら?」

菖「……間違ってないんだろうけど、それはどうなんだよ?」

ゆり「あら?実際、わたしたちを何度も助けてくれてるじゃない?」

つぼみ「はい!菖さんはわたしたちにとって、頼りになる人なんですから、守護騎士といっても過言ではないかと!」

菖「……だから、そんなかっこいいもんじゃないって……」

はな「おぉ!!なんかかっこいい!!」

さあや「うふふ♪」

ほまれ「へぇ……いけてんじゃん」

菖「からかうのはやめてくれないかね?」

ハグたん「……ふぇ……」

菖「……あ」

ハグたん「ふぇぇぇぇぇぇぇっ!!あーーーーーーーーーーぅっ!!!」(>□<

はな「ちょ?!ハグたん、どうしたの??!!」

つぼみ「……(すんすん)……あ、これはおむつですね!」

さあや「はな、替えのおむつ!」

はな「オッケー!」

----------------------------

菖「……はい、これでよし」

ハグたん「ハ~ギュ~♪」

菖「よしよし、すっきりしたなぁ」

ほまれ「なんか、すっかりのろけ顔になってる……」

はな「そりゃそうでしょ!ハグたん可愛いもん!!」

さあや「けど、随分、手際よかったよね?菖さん」

ほまれ「弟か妹の世話したことがある、とか?」

ゆり「菖は一人っ子よ?まぁ、あながち間違いではないけれど」

ほまれ「え?それって、どういうことですか?」

つぼみ「わたしの妹がちょうどハグたんと同じくらいなので……その……いろいろとお手伝いを……」

HuGっと組「「「あぁ……」」」

えりか「菖さんは"断れない男"だからねぇ。大抵のお願いは聞いてくれるよ?」

ほまれ「なら、今度、お店て手伝ってもらおうかな?」

菖「……気がむいたらな」

はな「え~~~っ?!イケメンな店員さんがいたらもっと繁盛すると思ったのにぃ……めちょっく~」(-◇-lll

菖「……俺は客寄せパンダと違うぞ」(-□-;

ハグたん「ハーギュ?」




あとがき代わりのスキット集

~ハグたんの笑顔はみんなの癒し~
ハグたん「ハ~ギュ~♪」
菖とゆり以外『キューーーーーーンッ!!』
つぼみ「か、かわいいですぅ~~~~~」
いつき「うわぁ、うわぁ!!」
はな「おぉ、ハグたん大人気!!まぁ、当然だけど!!」
さあや「ふふふ♪よかったね、ハグたん。お姉さんたちにいっぱいかまってもらえて」
ゆり「……わ、わたしも抱っこしていいかしら?」
菖「おぉ、ゆりまでメロメロに……」

~お仕事うんと盛りだくさん~
はな「う~ん……モデルさん、お花屋さん、看護師さん……」
さあや「パイロット、キャビンアテンダント、イラストレーター、デザイナー……」
ほまれ「パン屋さん、本屋さん、エンジニアに研究者……」
菖「なにをぶつぶつ言ってんだ?」
はな「お仕事です!」
菖「ふ~ん?」
さあや「どうせなら、いろんなお仕事を経験して、なりたい自分やわたしにしかできないことを見つけたいんです」
ほまれ「ちなみに、菖さんは……」
菖「俺は考古学者かなぁ」
ほまれ「へぇ?」
はな「もしかして、インディ○・ジョーンズみたいな……」
菖「あの人みたいなのは目指さないぞ?ていうか、トレジャーハンターで合衆国のエージェントも兼任してる考古学者なんて聞いたことない」
さあや「まぁ、そうですよね」
菖「……元軍人の考古学者だったら知ってるけど」
HuGっと組「「「……え?」」」

~ハグたんのパパ代わりは……~
はな「う~ん……」
ほまれ「どうした、はな?」
はな「うん、ここにいるメンバーの中で、菖さんだけ男の人なんだよねぇ……」
さあや「そうね」
はな「ハグたんのパパ代わりに……」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響「「「「「それはだめ/ーーーーーーーーっ/ですーーーーーーーっ!!」」」」」
はな「ほわぁっ??!!」Σ( □ ;
ゆり「うふふ……はな。菖を引きぬこうなんて、いい度胸してるわね?」(^▽^メ
はな「は、はわわわわわ……」( □ lll
ハグたん「……ぅ……ぁぅ……あーーーーーーーーーーっ!!」(T□Tメ
菖「おっと……ほ~ら、よしよし……お前ら、大騒ぎするからハグたんがびっくりしちゃったじゃないか」(-ω-メ
ひかり、舞、かれん、つぼみ、ゆり、響『うっ……ごめんなさい』
はな「うぅ……わたし、悪くないのにぃ……めちょっく~」(-◇-lll


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顔合わせスキット~二人の愛のプリキュア~

映画公開はまだですけど、まぁ、せっかくなぎさとほのかが出てきたし、Hugっと組の名乗りも出てきたことだし、えみるとルールーとの顔合わせです
本編との兼ね合い?そんなの気にしない!


ルールー「それで、はな。わたしたちに会せたい人っていうのは?」

えみる「どのような方々なのです?」

はな「むふふふ、それは会ってみてからのお楽しみ!」

さあや「……あ!ほら、着いたよ」

ほまれ「へぇ?……この神社、イけてんじゃん♪」

はぐたん「いけ!いけ!あ~い!」

ハリー「そうか?ただのおんぼろや思うけど……」

菖「……声がすると思えば君たちか。それとおんぼろで悪かったな、どぶねずみ」

ハリー「どぶねずみちゃうわ!ハリハム・ハリーや!!」

はな「あ、菖さんだ!!」

さあや「袴姿に箒……もしかして、この神社の管理人さんって……」

菖「それはじいじの仕事。俺はじいじの手伝いだよ……みんなは拝殿の脇にいるから、先に行っててくれ」

Hugっと組『は~い/はい/わかった』

 

----------------------------

 

ルールー「初めまして、ルールー・アムールです」

えみる「ルールーの親友の愛崎えみるなのです!」

アコ「……亜久里」

亜久里「そうですわね、アコ」

アコ、亜久里「「ようやく、わたし/わたくしたちにも同年代の後輩が!」」(・∀・

えみる「え??」

ルールー「後輩、ということは……もしかして、ここに集まっている皆さんも?」

はな「そうなのです!なんと、ここにいる皆さん、全員……」

さあや「なぎささんとほのかさんと同じ、わたしたちの先輩プリキュアなんだよ」

ほまれ「まぁ、中にはプリキュアじゃない人もいるけど」(^^;

ルールー「そうなのですか?」

ゆり「そうよ。たとえば、あそこでシュークリームを食べてる男の人、いるわよね?」

ルールー「はい」

ゆり「あの人はハリーと同じ妖精よ。それから、並んでスケッチをしている青い髪の子とベレー帽を被った子は人間だけれど、プリキュアではないわ」

ルールー「なるほど……」

えみる「で、でもその人達を除いても、いっぱいいるのです……」(○□○;

つぼみ「少しずつ、ゆっくり覚えていけば大丈夫ですよ」(-▽-;

えみる「は、はいなのです!」

えりか「そんじゃ、なぎささんから紹介していこっか~!」

なぎさ「あ、わたしとほのかは会ったことがあるから、ひかりからにしようか!」

ひかり「はいっ!……え?……」

なぎさ、ほのか、ゆり、ゆかり&Hugっと組以外『なんですと/ってーーーーーーーーっ?!』

ゆり「……もう少し、静かにできないかしら?仁頼さんの雷が落ちてもしらないわよ?」

ゆかり「うふふふ♪」

 

~説明&フレッシュ組まで自己紹介終了~

 

ゆり「で、わたしたちの順番なのだけれど……」

はな「……あれ?そういえば、一人足りない??」

ほまれ「あぁ……菖さんだよね?いないの」

いつき「うん……菖さん、まだかかるのかな?」

えりか「案外、さぼってたりして?」

つぼみ「そ、そんなことはない……と思いたいですけど」

菖「いや、ないから。そんなことしたらじいじの雷落ちるから」

ゆり「あら、おかえりなさい」

菖「ただいま。で?そこの二人が、はなたちの後輩か?」

はな「はい!」

ルールー「ルールー・アムールです」

えみる「愛崎えみるなのです!」

つぼみ「わたしは花咲つぼみです」

えりか「あたしは来海えりか!」

いつき「僕は明堂院いつき!」

ゆり「月影ゆりよ。こっちは幼なじみの菖」

菖「よろしく」

ルールー、えみる「「よろしくお願いします/なのです」」

ルールー「ところで、菖さん。あなたはわたしたちのことを……」

菖「プリキュアだってことは知ってるよ」

ゆり「ついでに言えば、わたしたちと一緒に戦ってくれる、数少ない戦士よ」

えみる「そ、そうなのですか??!!」

菖「その通りだけど……えみる、なんか目がすげぇキラキラしてない?……って、ルールーもかよ」

ルールー、えみる「「どんな姿になるのか、ぜひ見せてください!」」

はな「あ!わたしも興味ある!!」

さあや「わたしも♪」

ほまれ「観念して、見せてよ」

菖「……見世物(みせもん)じゃねぇぞ」

Hugっと組(ルールー以外)『え~~~~~っ!!』

はぐたん「え~!は~ぎゅ、あ~ぅ」(^ω^*

ゆり「あら、見せてあげてもいいじゃない?減るものじゃないんだから」

菖「やなこった」

ゆり「……しょうがないわね。わたしも一緒に変身してあげるから、我慢なさい?」

菖「いや、ゆりがやるからっていうのは違うだろ?」

ゆり「どうせこのあと、わたしたちだって変身することになるんだから、一緒にやったほうが楽でしょ?」

菖「そっちが本音か」

ゆり「えぇ。悪い?」

はな「な、なんというか……」

さあや「二人の息がぴったりというか……」

ほまれ「いや、息ぴったりってのとは違うと思うけど?」

えみる「お、お二人とも、少し落ち着いてください……」

ルールー「いつの間にか、話題の方向がずれているように思えるのですが……」

 

----------------------------

 

コロン「プリキュアの種、いくぞ!!」

ゆり「プリキュア!オープンマイハート!」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

えみる「おぉ~~~~~っ!!」

セイバー「こうも素直に感動されると、なんかこそばゆいな……」

ムーンライト「……そうね」

ルールー「なるほど、やはりキュアブラックさんとキュアホワイトさん……いえ、なぎささんとほのかさんとも違う姿なんですね」

えみる「それに、セイバーは最初からメロディーソードのようなものを持っているのです!」

セイバー「これはエターニアハート。代々、ユグドセイバーに受け継がれてきた聖剣だ」

えみる「おぉ~っ!!」

ルールー「ちなみに、菖さんで何代目なのでしょう?」

ムーンライト「彼は二代目よ?なんでも、心の大樹と交信できるだけじゃなくて、色々と条件が必要みたいなのよ」

ルールー「ということは、厳正な審査を勝ち抜いた人、というわけですね?菖さんは」

ムーンライト「審査、とはちょっと違うきはするけど……そんなイメージで間違ってはいないはずよ?」

ほまれ「……てことは、もしかしてアンリも?」

えみる「お兄様も?」

ほまれ、えみる「「なれる可能性が……」」

菖「さぁ?」

ほまれ、えみる「「ですよねぇ~」」




おまけスキット

~やっぱり会ったことが?その1~
つぼみ「う~ん……」
りん「どうしたの?つぼみ」
ことは「珍しく難しい顔してるね?」
のぞみ「ルールーのことがそんなに気になる?」
ルールー「あ、あの、わたしに何か……」
つぼみ「い、いえ!なんだか、どこかで会ったことがあるような気がして……」
りん「あぁ、たしかに!」
のぞみ「そういえば!」
ことは「はーっ!」
ルールー「……言われてみれば、たしかに……」

~やっぱり会ったことが?その2~
ルールー「えっと、リコ、さん?」
リコ「なにかしら?ルールー」
ルールー「もしかしなくても、どこかで会ったこ……」
リコ「あるわけないじゃない。変なことを言うのね?あなた」
ルールー「うっ……あうあう~……」


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顔合わせスキット~呼ばれて出てきた?~

タイトルだけではわからないかもですが、出てきててもおかしくないので
思ったんですが、付喪神もプリキュアたちからすれば妖精なんですかね?
おばけ嫌いのりんとなおが真っ青にならないところから考えると

あ、今回はあとがきありませんのでご了承を


つぼみ「それで、はなさん。わたしたちに会わせたい人というのは……」

さあや「う~ん、人というか」

ほまれ「妖精というか……」

ルールー「みなさん、一度お会いしてます。まぁ、友好的な関係ではありませんでしたが」

えみる「ま、まぁ、会ってみればわかると思うのです」

ゆり「……なぜかしらね、菖?なんだかとっても困惑しそうな気がするわ……」

菖「奇遇だな、ゆり。俺もだ」

はな「ふっふっふ……それでは登場してもらいまっしょう!」(>▽<

ミデン「呼ばれて飛び出て?じゃっじゃじゃ~んっ!」(○W○

菖とゆり以外『え~~~~~~~~っ??!!』Σ( □ ;

菖「あ~、なるほど。やっぱりか」

ゆり「予感的中ね……あまりうれしくないけど」

ミデン「も~!菖とゆりはびっくりしてくれないからつまらな~い!!」(-H-

菖「うっせ。付喪神にいまさら驚くかっての」(-□-;

おバカ組『付喪神?』

お化け嫌い組『つ、付喪神って、たしか捨てられた道具のお化け……』( Д lll

こまち「たしか、ミデンって本体はカメラだったわよね?」

かれん「それじゃ、やっぱりミデンもお化け、ということに……」

菖「で?満足したか?はなたちにたくさん色んな思い出を写してもらって」

ミデン「そりゃもう!キュンキュンし過ぎて絶好調なり~!ウルトラハッピーで、素敵すぎ!もうぶっちゃけありえな~い!こりゃもうワクワクもんだ~!って感じだよ~!!」

マナ「ちょ?!」

咲「それ、わたしたちの口癖?!」

みゆき「はっぷっぷ~っ?!」

はるか「えぇぇぇっっ??!!」

なぎさ「ぶっちゃけありえな~い!!」

みらい「あはははっ!」

菖「おいおい……」

ミデン「あははは~」

ゆり「ミデン?あまりみんなをからかうのはやめておきなさい?」

ミデン「は~い」

菖「……やけに素直なのが逆に怖い……」

さあや「でも、一時期よりはずっと素直でいい子ですよ?」

ほまれ「ほかの子の真似するとこはあるけど、そういうとこもちょっとかわいらしいし」

菖「……ペットと化している付喪神とは、これいかに……」

コロン「おもちゃにされてる妖精もここにいるけどね?」

シプレ「ですぅ……」

つばみ「あははは……」

ゆり「コロンとシプレは小百合のお気に入りだものね……いつも面倒見てくれて、ありがとう」

コロン、シプレ「「どういたしまして/ですぅ」」

 

------------

 

ミデン「それじゃみんな~、撮るよ~?」

オールスターズ全員『は~い』

ミデン「それじゃ~……はい、チーズ!」(パシャリ)

はな「いいかな?」

ミデン「いいよ~」

なぎさ「どんな感じかな?」

ことは「見せて見せて~」

ミデン「はい、どうぞ!」(写真ぺらリ

いちか「お~!」

ひめ「すごごごごごーい!」

咲「綺麗に撮れてるなり!」

舞「ふふ♪ほんと、さすがね」

のぞみ「よ~し!それじゃ、ミデンのためにもっとキラキラな思い出を撮影してもらうぞ~!」

ミデン「けって~い!」

りん「あっはははは!今度はのぞみの真似だ!!」(^▽^

うらら「ふふふ、そっくりです♪」

菖「……遊ばれてんのか遊んでんのかわかんねぇなぁ……」

ゆり「ふふ、そうね」



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顔合わせスキット~宇宙に煌めく十字星~

やれやれ、やっと出来上がり
お待たせしました、スター☆トゥインクル組との顔合わせ会です
なお、状況としては、こんな感じです↓

はながひかるたちを希望ヶ花のお花見に招待→会場(仁頼が管理してる神社)の住所を教えてもらって最寄り駅に到着→迷った

こんな感じです
さぁ、ひかるたちは会場へ無事にたどり着けるのか?!(オイ

ひとまず、本編どうぞ


ひかる「う~ん??」

ララ「ひかる、大丈夫ルン?」

えれな「もしかしなくても」

まどか「迷った、かもしれないですね?」

ひかる「うぅ~……」(-□-;

プルンス「やっぱり、待ち合わせしたほうがよかったでプルンス」

ひかる「そうはいうけど……」

えれな「まぁ、こういうときは誰かに聞くのが一番だって」

まどか「たしかに、そうですね……あ、あの、すみません!!」

菖「……ん?どうした??」

ひかる「あ!あの、この神社に行きたいんですけど……」

菖「うん?……あぁ、あそこか……ちょうど、俺も行くところだから、ついてきて」

トゥインクル組「「「「はい/ルン!」」」」

 

はな「あっ!菖さん!!」

あおい「お、やっときたな!」

ゆり「遅かったわね?」

菖「ごめんごめん、はなたちのお客さん、道案内しててな」

ひかる「あっ!はなちゃん!!」

ララ「あおいもいるルン!」

えれな「っていうか……」

まどか「もしかしなくても、ここにいる皆さん……」

菖「ん?満と薫、それからゆい以外の女の子はみんなプリキュアだな」

トゥインクル組「「「「え……えーーーーーーーっ??!!」」」」Σ( □ ;

まどか「と、ということは、あなたも……?」

菖「俺とあそこで喋ってる男子はプリキュアじゃないけど、光の戦士って奴だな。あっちにいるのは、単なる一般人」

えれな「ど、どっちにしてもすっごいびっくりなんだけど……」

ララ「……ひかる。こういう時こそ……」

ひかる「ぷ、プリキュアの数……きらやばぁ……」(ポカーン

 

----------------------------

 

ひかる「初めまして!星奈ひかる、キュアスターです!」

ララ「羽衣ララ、キュアミルキールン。よろしくルン」

えれな「天宮えれな、キュアソレイユだよ。よろしく!」

まどか「香久矢まどか、キュアセレーネです。よろしくお願いいたします、先輩方」

つぼみ「しょ、正面から先輩って言われるのは初めてな気がします……」

えりか「まぁ、もう慣れたけどね~」

菖「……で?」

ララ「ルン?」

菖「その背中のリュックサックもどきが妖精か?」

ララ「妖精、でいいのかルン?プルンス?」

プルンス「う~ん……一応、宇宙妖精だから、妖精ってことでいいとは思うでプルンスが……」

菖「……なぁ、もしかしなくも……この二人、地球外生命体?」

ひかる「え?なにそれ?」

ゆり「ありていに言えば異星人(エイリアン)かどうか、ってことね」

ララ「……な、なぜわかったルン……」

菖「ん~……しいて言うなら、勘?」

えれな「か、勘って……」

まどか「あ、当てずっぽうということですか……」

ゆり「あら?結構当たるのよ?菖の勘」

ひかる「そうなんですか?!」

ゆり「えぇ。特にその人が悪い人かいい人かっていうのはほぼ間違いないわね」

プルンス「か、勘で見破るなんて……ナンセンスでプルンス」

菖「……いや、俺からすればプリキュアって存在もナンセンスだからな?」(-▽-;

えれな「そ、それ言っちゃうんだ……」(-▽-;

 

----------------------------

 

トゥインクル組「「「「スターカラーペンダント!煌めく、星の力で!!憧れの"わたし"描くよ!!トゥインクル、トゥインクル、プリキュア!トゥインクル、トゥインクル、プリキュア!スター☆トゥインクル……スター☆トゥインクルプリキュア!♪」」」」

スター「宇宙に輝く、キラキラ星!キュアスター!!」

ミルキー「天にあまねく、ミルキーウェイ!キュアミルキー!!」

ソレイユ「宇宙を照らす、灼熱の煌めき!キュアソレイユ!!」

セレーネ「夜空に輝く、神秘の月明かり!キュアセレーネ!!」

トゥインクル組「「「「スター☆トゥインクル!プリキュア!!」」」」

菖、湊、誠司以外『お~っ!!』

菖「……なんか、歌ってるし……」

湊「なるほど、今度は宇宙か……」

スター「って、驚くとこそこなのっ??!!」

湊「いやぁ、なんというかな……」

菖「慣れ過ぎた?」

ミルキー「……意味が分からないルン」

誠司「あははは……」

菖「まぁ、それはそれとして……よかったな、ゆり、いつき、あかね」

ゆり「……そうね。別に寂しいわけじゃないけど」

いつき「え?」

あかね「ん??何がよかったんや?菖さん」

菖「ヒント、ソレイユとセレーネ」

いつき「……あ!月と太陽!!」

菖「そゆこと」

ソレイユ「もしかして」

セレーネ「わたしたち以外にも月と太陽のプリキュアが?」

菖「あぁ、ゆりといつき、それからあかねだな……咲もだっけ?」

咲「う~ん……あたしのは厳密には花のような……?」(-▽-;

舞「最近だと、満さんのほうが多いものね。そういえば」

スター「それはそれとして、ほかのみんなはどんな風になるのか、ちょっと気になる!!」

ミルキー「たしかにルン!!」

菖「……だとさ、湊」

湊「俺ら、ちょっとどいてた方がいいかな?兄貴」

なぎさ「しょ、菖さん、湊くん……なんか、ちゃっかり自分たちだけ逃げようとしてません??」

あゆみ「……湊くん………」

ひかり、舞、つぼみ「「「……菖さん……」」」

ひかり、舞、つぼみ、あゆみ「「「「お願い/します、一緒に変身して/ください」」」」

ゆり「菖、湊。どうせ逃げられないのだから、一緒に変身した方が楽じゃないかしら?」

菖「ですよね……」

湊「……くっ……あ、あゆみの頼みじゃ仕方ないな……」

菖(……というか、湊よ……)

湊(……あぁ、兄貴……俺も思ったぞ)

菖、湊((涙目上目遣いって、反則だろ、常識的に考えて……))

 

----------------------------

 

なぎさ、ほのか「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆S組「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo組『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ組「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ組「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート組「「「「レッツプレイ!プリキュア!!モジュレーション!!」」」」

スマイルパクト『Ready?』

スマイル組『プリキュア!スマイルチャージ!!』

スマイルパクト『Go!!Go,Go!Let's Go!!』

あゆみ、グレル、エンエン「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!」」」

湊「来い、白銀(しろがね)の鎧よ!!」

ドキドキ組「「「「プリキュア!ラブリンク!!」」」」

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ「「「「L・O・V・E!!」」」」

亜久里「プリキュア!ドレスアップ!!」

アイちゃん「キュピラッパー!」

ハピネスチャージ組「「「プリキュア!くるりん、ミラーチェンジ!!」」」

いおな「プリキュア!きらりん、スターシンフォニー!!」

プリンセス組「「「「プリキュア!プリンセス・エンゲージ!!」」」」

みらい、リコ「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

ことは「キュアップ・ラパパ!エメラルド!フェリーチェ・ファンファン!フラワーレ!!」

ア・ラ・モード組『キュアラモード・デコレーション!!』

いちか「ショートケーキ!元気と、笑顔を!」

ひまり「プリン!知性と、勇気を!」

あおい「アイス!自由と、情熱を!」

ゆかり「マカロン!美しさと、ときめきを!」

あきら「チョコレート!気品と、強さを!」

シエル「パフェ!!夢と、希望を!」

ア・ラ・モード組『レッツ・ラ・まぜまぜ!!』

Hugっと!組『ミライクリスタル!ハート、キラっと!!は~ぎゅ~っ!!』

 

ブラック「光の使者、キュアブラック!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)!熱血パワー!!キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々!直球勝負!!キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け!キュアエコー!!」

アステア「守護騎士!アステア!!」

ハート「(みなぎ)る愛!キュアハート!!」

ダイヤモンド「英知の光!キュアダイヤモンド!!」

ロゼッタ「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」

ソード「勇気の刃!キュアソード!!」

エース「愛の切り札!キュアエース!!」

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛!キュアラブリー!!」

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!!」

ハニー「大地に実る、生命の光!キュアハニー!!」

フォーチュン「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!!」

フローラ「咲き誇る、花のプリンセス!キュアフローラ!!」

マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス!キュアマーメイド!!」

トゥインクル「煌めく、星のプリンセス!キュアトゥインクル!!」

スカーレット「深紅の、炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」

ミラクル「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法!キュアマジカル!!」

フェリーチェ「普く生命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

ホイップ「キュアホイップ!できあがり!!」

カスタード「キュアカスタード!できあがり!!」

ジェラート「キュアジェラート!でっきあがり!!」

マカロン「キュアマカロン!できあがり!!」

ショコラ「キュアショコラ!できあがり!!」

パルフェ「キュアパルフェ!できあがり!!」

Hugっと!組『輝く未来を、抱きしめて!!』

エール「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!!」

アンジュ「みんなを癒す、知恵のプリキュア!キュアアンジュ!!」

エトワール「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!!」

マシェリ・アムール「「みんな、大好き!愛のプリキュア!!」」

マシェリ「キュアマシェリ!」

アムール「キュアアムール!」

 

全員『全員、集合!プリキュアオールスターズ!!』

 

トゥインクル組「「「「おぉ~!!」」」」

プルンス「って、菖と湊も言ったでプルンス!」

タルト「今までは言うとらんかったけど、諦めたらしいで?」

ハリー「男は諦めが肝心、とか言って(ゆうて)たな」

セイバー「で、どうだ?ソレイユ、セレーネ」

ソレイユ「わぁっ!サンシャインもサニーもかわいい!!」

セレーネ「ムーンライト……なんて美しい……」

サニー「ははっ、おおきにな!ソレイユ」

サンシャイン「ソレイユもかわいいよ」

ムーンライト「うふふ、ありがとう、セレーネ」

フォーチュン「ちなみに、スター」

トゥインクル「あんたも他人事じゃないよ?」

スター「へ??……もしかして、わたしにも星のプリキュアの先輩が?!」

フォーチュン「えぇ」

トゥインクル「何を隠そう、あたしとフォーチュンも星のプリキュアだよ」

スター「きらやばーっ!!よろしくお願いします!!先輩!!」

ミルキー「……別に仲間外れでも寂しくないルン……」

セイバー「あははは……」

アステア「なんか……どんまい」( ▽ ;




あとがき代わりのおまけ

~仲間外れ……~
ミルキー「……………………」(´・ω・`)
ブロッサム「な、なんだかミルキー、すっごくしょんぼりしてます……」
ピース「えっと、もしかして……」
セイバー「自分以外に天の川(ミルキーウェイ)のプリキュアがいないから、じゃないか?」
イーグレット「……仮にいたとしたら、名前って」
セイバー「ん~……安直にギャラクシー?」
ミルキー「……別に気にしてないから大丈夫ルン……」

~口癖~
なぎさ「ぶっちゃけ、ありえな~い!!」
咲「今日も、絶好調なり~!」
のぞみ「けって~いっ!」
みらい「わくわくもんだーっ!!」
いちか「キラッとひらめいた!!」
ひかる「きらやばっ!」
菖「……いやぁ、集まったら集まるもんだな、口癖って……」
ゆり「変なところで感心するのね、あなた……」

~太陽のプリキュア三人娘~
サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!」
サニー「太陽燦々!熱血パワー!!」
ソレイユ「宇宙を照らす、灼熱の光!」
サンシャイン、サニー、ソレイユ「「「わたしたち/うちら、太陽のプリキュア三人娘!」」」
セイバー「元気だなぁ~……」


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顔合わせスキット~二人目の異星人の友達~

七夕だし、新プリキュアも入ったことですし
というわけで、顔合わせスキットです
誰が出るかは、まぁ、わかりますよね?
今回、本編では変身はしませんのであしからず

あ、口調とか絡み方とかは正直想像でしかないので、そこはご容赦を
(わかってきても変える気はないけど(オイ


ユニ「……で?これからどこに行くの?」

ひかる「七夕パーティーだよ!」

ユニ「いや、だからってなんでわたしまで……」

ひかる「だって、ユニだってプリキュアになったんだよ!先輩のみんなにご挨拶しなきゃ!」

ユニ「……え?先輩プリキュアってどういうこと??」

ララ「気持ちはわかるルン。わたしも大混乱したルン」

えれな「とはいえ、びっくりはすると思うけどね」

まどか「えぇ……主にその数に」

ユニ「へ?」

ひかる「と、とにかく!会場にレッツゴー!!」

 

-------------

 

ありす「ようこそ、ひかるさん。ララさん。えれなさんにまどかさん」

ひかる「こんにちは、ありすさん!」

まどか「お招き、ありがとうございます」

ララ「ありがとうルン!」

ありす「もしかして、そちらの方が?」

えれな「うん。わたしたちの新しい仲間だよ!」

ユニ「ユニよ。よろしく」

ありす「うふふ♪四葉ありすと申します。以後、お見知りおきを」

セバスチャン「ありすお嬢様の専属執事、セバスチャンでございます。以後、お見知りおきください」

ユニ「ど、どうもニャン」

ありす「それでは皆様、会場のほうへどうぞ」

セバスチャン「七夕パーティーですので、皆様、浴衣のご着用を。浴衣はレンタルしておりますので、ご自由にどうぞ」

ひかる「おぉっ!!浴衣のレンタル?!」

ララ、ユニ「「浴衣って、何?」」

えれな「あぁ、やっぱりそこからなんだ……」(-▽-;

まどか「うふふ♪それでは道すがら説明しますね。着付けもお手伝いしますよ」

えれな「お?サンキュー、まどか」

 

~着替え終了&会場入り~

 

ユニ「す、すごい人数……」

ララ「いつ見ても圧巻ルン……」

えれな「あはは……やっぱり慣れるまでちょっと時間かかるかなぁ」

まどか「すでに順応されている方はいらっしゃるようですが……」

えれな「え?」

ひかる「みらいちゃん!久しぶり!!」

みらい「久しぶり、ひかるちゃん!その浴衣、すっごく似合ってるよ!」

ひかる「えへへ……みらいちゃんの浴衣もきらやばだよ!」

みらい「ありがとう♪」

えれな「なんというか……さすが、ひかるだね」

ユニ「すごい順応力ね……」

菖「それに合わせるみらいもすごいけどな」

ゆり「好奇心が強い二人だから、馬が合うのかしらね?」

ララ「あ、菖さんとゆりさんルン!こんにちはルン!!」

まどか「こんにちは、お二方」

菖、ゆり「「こんにちは」」

ユニ「え、えっと……こ、こんにちは」

ゆり「あら?そんなに緊張しなくて大丈夫よ」

菖「……てかまた増えたのか……」(-▽-;

ユニ「え?増えたって……」

菖&ゆり「「プリキュアの数」」

ユニ「……へ?」 ゚д゚)

ララ「まぁ、そうなるルン」

えれな「わたしたちもびっくりしたもんねぇ最初は」

ひかる「あははは……」

 

------------

 

ユニ「レインボー星のユニ、キュアコスモよ。よろしく」

えりか「おぉっ!またも異星人のプリキュアっしゅ!!」

いちか「ララちゃんに続く異星人ですとぉっ?!」

みらい「おぉっ!!わくわくもんだぁ!!」

ユニ「……え、えっと……」

つぼみ「ま、まぁ、反応に困りますよね……」

いつき「あはは……いきなり驚かれたり目をキラキラさせられたら、そりゃね」

菖「まぁ、少なくとも俺らの中に君を異星人だからって変な目で見る連中はいないさ」

ユニ「そうみたいね……少し、安心したニャン」

ゆり「……ん?ニャン??」

ユニ「……あっ!!え、えっと、あの、その……」

ひかる「ユニ、時々口癖で「ニャン」って言っちゃうんだよね~?」(-▽-

ユニ「ちょ、ちょっとひかる!!」Σ(///□///

菖「……こらまた、愉快なのが仲間になったなぁ」

つぼみ「でもいいことだと思います!」

菖「そりゃね」

ゆり「その代わり、あたしたちへの精神的ダメージがひどくなるのだけれど……」

いつき「あははは……」

菖「言ってくれるな」

(※なお、このあと総勢55人のプリキュアから自己紹介され、ユニの頭はパンクしそうになったのだとか)




おまけ

~変身しました~
コスモ「銀河に光る、虹色のスペクトル!キュアコスモ!!」

エレン「猫耳?!」
ハミィ「猫耳だにゃ!!」
ゆかり「猫耳ね……」
コスモ「……え?な、なに??」
菖「いや、こいつらも猫なんだよなぁ……」
コスモ「な、なるほど?」

~お仲間!~
パルフェ「Bon!キュアコスモ!わたしも虹のプリキュアよ!!よろしくね!」
コスモ「え、えぇ……」
ゆり「うふふ、すっかりタジタジね?」
つぼみ「まだ慣れていないということでしょうか?」
ひかる「まぁ、そのうち慣れるよ!」
コスモ「気楽に言ってくれるわね……」

~お仲間!その2~
マカロン「うふふ♪にゃ~お♪」
ビート「同じ猫同士、仲良くしましょ?」
コスモ「え、えぇ……というか、マカロンはわかるけど、あなたのどこに猫要素が……」
菖「ビートは元々猫の妖精だからな。今は戻れないけど」
コスモ「……へ?」
ビート「しょ、菖さん!それは言わないのがお約束でしょう??!!」


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顔合わせスキット~AIとの会話~

そういややったことなかったなぁ、と思ってやってみました
ぶっちゃけ、構想自体はサマーン星編のあたりで思いついてたんですがね
まぁ、悪ふざけみたいなものだと思っていただければ

菖「いや、いくつ作ってんだよ、そんな話」(  ;
ゆり「すでに二けたは行ってそうね」
斗真「話が思い浮かばないことも多いんだ、こうやって稼ぐしかないだろ」
つぼみ「是非もなし、ですか?」
斗真「是非もないネ☆」

あ、ちなみに今回、あとがきはありませんのでご了承を


AI『初めまして、私はララ様のロケットに搭載されている、サポートAIです。どうぞ、AIとお呼びください、プリキュアの皆さん。そして大樹の騎士ユグドセイバー、守護騎士アステア』

オールスターズ『お~~~っ!!』

菖「こ、これはまた……」

湊「地球の科学力がどれだけ遅いのか思い知らされるな……」

菖「いや、最近はAIの思考の幅も広くなってるんだろ?確かAIとプロ棋士が囲碁対決してAIが勝利したって話を聞いたことあるぞ」

湊「兄貴、それたしか将棋じゃなかったか?」

マナ「ま、まぁ、どっちでもいいじゃないですか」

ララ「いまはAIをみんなに紹介することのほうが重要ルン」

ゆり「それもそうね」

AI『お気になさらず。ところで、地球のAIはまだ発展途上、ということでしょうか?』

菖「少なくとも、AIにすべての判断を任せられるほど、発達はしてないかな……発達もしてほしくないけど」

ひかる「えっ??!!なんで?!面白そうじゃないですか!!」

なぎさ「いろいろ考えなくて楽になりそうだし」

ラブ「いいことばっかりだと思うけど……」

菖「あほか……AIに全部判断を任せた結果、自分で考える力を身につけなくなるぞ?」

湊「ん?……あぁ~、あぁ、なるほ、ど?うん、そいつはたしかにまずいな」

ユニ「どういうことよ?」

菖「たしか、二けた以上の計算が最初のうちはできなかったんだよな?ララは」

ララ「うっ……い、いままで二けた以上はAIに計算してもらっていたから……」

ゆり「その調子じゃ、四則計算が全部混ざったものは難しそうね」

まりあ「あらあら……騙されちゃう典型的なタイプね」

ひかる「え?」

菖「ここに、ひとつ六十円の饅頭があります。これを二十個入る箱に詰め込みました。三箱で四千円でお売りしましょう……買うか?」

ララ「え?……えぇと、お得ルン?」

菖「お得な価格でございます」

優等生組『えっ??!!』Σ( □ ;

ララ「なら買うルン……ってちょっと待ってルン!計算するルン!!」

菖「どーぞどーぞ」(-▽-

ララ「えぇと、一個六十円のお饅頭がニ十個だから一箱で千二百円、それが三つだから……三千六百円?四百円も高いルン!!買わないルン!!」( □ #

湊「はい、よくできました」

ひかる「出会ったばかりのころのララだったら騙されてたかもね?」(-▽-;

AI『はい。その時であれば、ララさまが騙される可能性は百二十パーセントです』

ララ「え、AI!!余計なことは言わないでいいルンっ!!」Σ(///□///

菖「と、まぁララは学校で勉強したからどうにかなったが、将来的に自分じゃ何も判断しない、考えない愚か者が大量生産されかねない、というわけさ」

ユニ「ふ~ん?まぁ、だからなのかしらね?ララがいきなり指名手配されちゃったり、アイワーンにマザーAIをクラッキングされて大混乱になったのは」

まどか「AIに頼りすぎるのも考え物、ということでしょうか?」

ひかる「でも、AIとお話しできたらきっと楽しいよ!!」

ゆり「その結果、AIと人類の頂上決戦なんてことにならないといいけれど……」

AI『それについては、私からはなんとも……』

 



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顔合わせスキット~三人のお医者さん見習い~

いやはや、いつになったら終わるんでしょうな、この騒動
春の映画が二度も延期になって、もはや『夏の映画』の仲間入りを果たしそうな気がしてならんです(白目
そんなご時世なので、ちと不謹慎かもですが、こんな書き方にしました

まぁ、それは置いておいて、本編どうぞ
あ、おまけはありませんのでご了承ください


~プリキュアオールスターズ専用音声会議室~

 

のどか「えぇっと、これでいいのかな?聞こえてる??」

ちゆ「えぇ、大丈夫よ」

ひなた「オーケーオーケー!聞こえてるよ~、のどかっち!」

のどか「よかったぁ……これで学校に行かなくてもちゆちゃんとひなたちゃんとお話できるね!」

ちゆ「まぁ、今はこんな状況だからね」

ひなた「ほんとほんと……あ、誰か来た?」

ひかる「やっほ~!みんな~!!」

はな「久しぶり!」

のどか「あ、ひかるちゃん、はなちゃん!」

ララ「オヨ~、これが地球の映像通信」

プルンス「随分と原始的でプルンスなぁ」

ユニ「まぁ、仕方ないんじゃない?」

ルール―「科学の進んだ文明からすれば、そう感じるのは仕方のないことかと」

えれな「あははは……」

まどか「ところで、ほかの皆さんはまだなのでしょうか?」

さあや「そろそろ来るんじゃないかな?」

えみる「噂をすれば、なのです!お久しぶりなのです!亜久里、アコ!!」

亜久里「ごきげんよう。遅れてしまって申し訳ありませんわ」

アコ「遅れた、ごめん」

のどか「え、えっと……」

響「あれ?もしかして、その子たち……」

奏「ふふ、そうかもね」

エレン「というか、そうとし考えられないでしょ?」

ちゆ「……え?」

六花「ほらほら、いきなりそんなこと言わないの」

真琴「三人が混乱しちゃうでしょ?」

マナ「まぁ、気持ちはわからないでもないけどね」

ひなた「え?え??」

ありす「うふふ♪みなさんそろったようですし、ここはやはりなぎささんにカミングアウトしてもらいましょう?」

なぎさ「うぇ?!な、なんであたし?!」

菖「そりゃ、なぁ」

ゆり「言ってみれば、原点にして頂点のふたりだから、かしらね?」

やよい「わぁっ!なんかかっこいい!!」

ひかり「が、がんばってください!なぎささん!!」

ほのか「ふふ♪」

なぎさ「う~……えぇい!女は度胸!!ここで決めなきゃ女が廃る!!」( Д メ

響「ちょ、それわたしのセリフ!!」Σ( □

のどか「……な、なんだか賑やかな人たち……」

ちゆ「そ、そうね……」

ひなた「あっははは!この人たち面白い!まじうけるんだけど!!」

湊「……その余裕がいつまで続くかな?」

ひなた「へ?」

なぎさ「初めまして!のどかちゃん、ちゆちゃん、ひなたちゃん。わたしは美墨なぎさ、キュアブラックだよ」

のどか「キュアブラック……ってことは!」

ちゆ「もしかして!!」

ほのか「えぇ。わたしたちも」

なぎさ、ほのか「「プリキュアだよ/なのよ」」

ひかり「ちなみに、ここにいる菖さんと湊さん以外、みんなプリキュアです!!」

舞「そして菖さんと湊くんは」

つぼみ「わたしたちと同じ、光の戦士です!!」

のどか「……へ?」

ちゆ「……え?」

ひなた「……え?……えぇぇぇぇぇぇぇっ???!!!」

菖「ははは、やっぱり驚いた」

湊「もはやこの時期の恒例だなぁ……」

 

----------

 

のどか「初めまして!わたし、花寺のどか。キュアグレースです!」

ちゆ「沢泉ちゆ、キュアフォンテーヌです」

ひなた「キュアスパークルの平光ひなただよ~!よろしくね、先輩方♪」

ゆり「なんというか……」

菖「……まぁ、先人曰く『みんな違って、みんないい』。個性的なのはいいことだ」

ひなた「へ?え??」

ちゆ「あはははは……」

のどか「え、えっと……ひなたちゃんは明るくて元気なところが素敵ってことだよ」

ひなた「え~?そ、そうかなぁ……てへへへ」

菖「……うまくまとめやがった……花寺のどか、恐ろしい子!!」

つぼみ「あ、あははは……」(-▽-;

ちゆ「ところで、このパソコンを届けてくれたのって誰なのかしら?」

ひなた「え?ララルンかまどかっちじゃないの??」

ララ「違うルン」

まどか「えぇ、わたくしのところにも今朝突然届いて……」

ありす「うふふふ♪」

菖「……なるほど、またお前か」

いおな「ほんと、なんというか……なんでもありね、四葉は」

ありす「お褒めいただき、光栄です♪」

六花「褒めて、るの?」

マナ「さ、さぁ?」

ゆり「まぁ、そういうことにしておいてあげましょう?」

つぼみ「どう表現したらいいかわからないですし」(-▽-;

いつき「あははは……」

のどか「な、なんだかほんとにみんな賑やかな人たちだなぁ……」

ちゆ「そ、そうね……」

ひなた「けど、仲良くできそうでいいじゃん♪」

ちゆ「そうね♪」

のどか「ふわぁ~!早く直接会ってお話したいなぁ~」



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顔合わせスキット~四人目のお医者さん見習いは風の精霊?!~

大変長らくお待たせいたしました(いや、今回はマジで
仕方ないっしょ、ネタがなかったし、どう書いていこうか悩みに悩んでたんだから(ほかにやることがあったってのもあるけども

というわけで、今回はあすみさんが登場です
なんかもう、感染症騒動でいろいろ変なことになってるから苦笑しか出てきません!いや、まじで!!
てなわけで、終わり方も少し適当ですが……気にするな!!

というわけで、どうぞ


~プリキュアオールスターズ専用チャットルームにて~

 

あすみ「初めまして、風鈴あすみと申します」

のどか「いまはわたしの家で居候してます!」

菖、ゆり「「また増えた/のね……」」

つぼみ「あははは……」

ひめ「いやいや、つぼみさん、笑うところではないかと」

えりか「まぁ、反応に困るのはわかるっしゅ!」

ちゆ「ちなみに、パートナーはラテです!」

ひまり「そうそう!でもって、あすみんはラテが大好きでもうべったりなの!」

ひかり「大好きで……」

舞「べったり、なのね……」

いおな「お、落ち着いて、二人とも!ひまりの言っている大好きは、恋愛的な意味じゃないから!!……たぶん」

えりか「いや、たぶんなのかーい!!」

あかね「おぉっ!えりか、ナイスツッコミやん♪」

れいか「あらあら♪これは新たな漫才コンビの誕生でしょうか?」

なお「れいか、なんでそうなるのよ……」

菖「……なぁ、なんか収拾付かなくなるような気がするの、俺だけ?」(--;

ゆり「いつものことね……」

菖「明がいれば、殺気飛ばして黙らせることもできるんだろうけどなぁ」

つぼみ「あ、あはははは……」

舞「そ、それはさすがにやめたほうが……」

いおな「というか、モニター越しでも殺気って飛ばせるものなんですか?」

菖「さぁ?試したことないから、なんとも」

ゆり「まぁ、自然と収まるまで、待つのが無難かしらね」

菖、ひかり、舞、つぼみ、いおな『あははは……』(-▽-;

 

~数分後~

 

菖「落ち着いた?」

のどか「は、はい……」

ちゆ「す、すみません……」

ひなた「ご、ごめんなさい……」

ゆり「……はぁ……」

菖「で?あすみさん、でいいかな?」

あすみ「いいえ、呼び捨てで構いません。先輩は敬うもの、とのどかたちから聞いておりますので」

菖「……いや、四大精霊の一柱に敬われても俺は困るんだけど」

のどか「四大精霊?」

いおな「って、なんですか??」

舞「えぇっと……この世界は「火」、「水」、「風」、「土」の四つの元素で構成されるって思想があるの。その元素を司る精霊を『四大精霊』って呼ぶの」

菖「あすみは風のエレメント、なんだろ?なら、四大精霊の一柱『シルフ』と見てもおかしくはないだろ?人間に、プリキュアになれるくらいの力があるんだし」

ちゆ「な、なるほ、ど??」

ひなた「うぇ~ん、わけわからないよぉ!!」(;ω;

ゆり「まぁ、菖でなかったら、御剣くんか四月一日くんくらいしかわからない話だから、仕方ないわ」

のどか「ふわぁ……菖さんってほんと物知りですねぇ……」(○д○;

ゆり「まぁ、菖だし」

つぼみ「菖さんですし」

えりか「……それで片付くのも、どうかと思うっしゅ!」

ひめ「まったくですぞぉ!!」

ひかり「あははは……」

あすみ「ふふふ、なんだか、皆さん、個性的な方ですね」

ひなた「でしょでしょ!」

ちゆ「あすみも、きっといろんなことを経験できると思うわよ」

のどか「もちろん、わたしたちもね♪」

ゆかり「うふふふ♪」

あきら「ゆかり、なんか悪いこと、企んでないよね?」(^ω^;



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顔合わせスキット~元気な常夏娘たち~

お久しぶりです
一次創作の息抜きで帰ってまいりました

なお、今回、トロピカル~ジュ組との顔合わせですが、あまり出来は良くありません
30分クオリティであることもそうなんですが、私自身、トロピカル~ジュはあまり見てないので……プライベート関係でごたごたしてたことに加えて、まなつのあほの子ぶりやローラの初対面時のうざったさが原因で
それでもよければ、読んでみてください

では、本編どうぞ



~海藤グループ所有のプライベートビーチ~

 

菖「……暑い」

ゆり「我慢なさい。というか、エジプトのほうがもっと暑いでしょう?」

菖「そうなんだけどさぁ……なんというか、こう、な?」

つぼみ「な? と言われても困ります……」

えりか「それよか、ほんとに来るの? あの子たち」

舞「あの子たち、とは?」

えりか「あ、そっか。知ってるのあたしたちだけだっけ?」

いつき「シャンティアに招待されたの、僕たちだけだったからね」

菖「俺たち以外のメンバーが会ってないのは、まぁ仕方ないっちゃ仕方ないな」

いおな「……ということは、ゆりさんとつぼみさんはしばらくの間、菖さんを独り占めならぬ二人占めしていたわけですか」

ひかり「むぅ……わ、わたしたちだって菖さんのお嫁さんなんですよ?」

舞「抜け駆けはずるいです!」

菖「悪かったって。埋め合わせはするから、な?」

いおな「むぅ……」

えりか「……とか痴話げんかしている間に来たみたいっしゅ」

 

----------------------------------------------------

 

まなつ「初めまして! わたし、夏海まなつです!」

さんご「す、涼村さんごです。よ、よろしくお願いします!」

みのり「……一之瀬みのり。よろしく」

あすか「滝沢あすかだ。よろしくな、みんな」

ローラ「で、わたしが次のグランオーシャンの女王。ローラ・アポロドーロス・ヒュギーヌス・ラメールよ!」

なぎさ「え、えっと……ローラ・アボカドロ・ヒューゴス・ラーメン?」

咲「違うよ。ローラ・アボカド・ヒューギス・チャルメラだよ!」

みゆき「え? ローラース・ケードヒュ・ラメルじゃないの?」

ローラ「どれも違うから! というか最後の何よ!!」

はるか「ま、まぁまぁ……」

きらら「ていうか、なんかさらっとすごいこと言ってなかった?」

いおな「……次期女王とか言ってたような」

ローラ「そうよ! 後回しの魔女やバトラーの陰謀を阻止した結果、わたしが次の女王として任命されたのよ!!」

菖「あ、正式に決まったんだな」

ゆり「一応、おめでとうと言うべきかしらね?」

つぼみ「おめでとうございます、ローラさん!」

ローラ「ふっふっふ……もっとほめたたえなさい!」

えりか「……相変わらずうざいっしゅ」

ローラ「あんですってぇっ!!」

つぼみ「えりか……」

いつき「はぁ……またやってるよ」

あすか「なんか……すみません、ほんと」

さんご「けど、最初の頃よりだいぶましになったんですよ?」

つぼみ「あれで、ですか……」

みのり「うん。ほんと」

菖「……はぁ……」

ゆり「えりか。いい加減にしなさい?」

えりか「ぴぃっ!!」

まなつ「ローラも。みんなびっくりしてるよ?」

ローラ「……悪かったわね」

舞「……根はいい子みたいですね」

菖「まぁ、これで性格ひん曲がってたらプリキュアになんてなれないだろうし」

いおな「ちょっと調子に乗りやすいだけみたいね……ひめみたい」

ひめ「はいぃっ?!」

菖「はいはい、そこ食いつかない……はぁ、明じゃないけど、泣けるぜ……」




おまけ

~もう一人の人魚のプリキュア~
マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス! キュアマーメイド!!」
ラメール「ゆらめく大海原(オーシャン)! キュアラメール!!」

マリン「おぉ……ついに海のプリキュアがトリオに!」
セイバー「水のプリキュアってくくりだったらもう少し多いけどな」
ブロッサム「けど、これでマリンも先輩ですね!」
ミューズ「マリンが先輩って……なんかそこはかとなく不安」

~プリンセスの会合~
ひめ「御機嫌よう、プリンセス・トワイライト」
トワ「御機嫌よう、ヒメルダ王女」
アコ「へぇ? ひめのお姫様ぶりも板についた来たわね」
ローラ「え? なにこのお堅い感じ……」
菖「いや、お前。グランオーシャンの次期女王だろうに……」


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顔合わせスキット~デリシャスな笑顔~

順番を間違えてしまったので、再投稿(ーー;

というわけで、遅れながらデリパの顔合わせスキットです
あまねさんはまだ登場し(させ)ません


~オイシーナタウン某所~

???「オイシーナタウンへようこそ! まずは……あら?」

菖「ん??」

ゆり「どうしたの、菖?」

菖「いや、今何かいたような気がしたんだけど」

つぼみ「……な、何か、というのは……な、なんでしょうか??」

舞「つ、つぼみちゃん……」

いおな「知らぬが仏、というか、つぼみの場合は花か?」

ひかり「あははは……」

菖「まぁ、それについては横に置いておいて」

いおな「置いておくんですか……」

菖「この店、どこなんだろうな?」

ゆり「それにそもそもだけれど、なんで、わたしたちが招待されたのかしら?」

つぼみ「なんでも、まなつさんたちが紹介したい人がいるから、ということですが……」

ひかり「紹介したい人、ですか」

つぼみ「はい……」

いおな「……あの、それってもしかして」

ゆり「……もしかしなくても、もしかするかもしれないわね」

菖「まぁ、行ってからのお楽しみってことで」

舞「そ、そうですね……あ、あそこじゃないかしら?」

菖「みたいだな」

???「あらあら、この人たちの目的地はゆいちゃんのおうちだったのね」

 

~和実亭~

ゆい「いらっしゃいませ~!」

まなつ「あ、菖さんたち来たっ!」

ローラ「遅かったじゃない! 次期女王のわたしを待たせるなんていったいどんな……」

菖「それ、今は関係なくない?」

ゆり「そもそも、あなたたちが道案内をしてくれたら迷わずに済んだと思うのだけれど?」

あすか「す、すみません……気が回りませんでした」

つぼみ「ま、まぁ、無事に到着したからいいじゃないですか」

ゆい「あ、あのぉ……」

菖「あ、すみません。五人、大丈夫ですか?」

ゆい「えぇ、大丈夫ですよ。というか、今日は貸し切りなんですが……」

まなつ「ゆいちゃん、大丈夫だよ! この人たちもあたしが招待した人だから!」

ゆい「え? てことはもしかして」

菖「……Oh」

ゆり「また賑やかになるわね」

ひかり、つぼみ「「はいっ!」」

舞「うふふふ」

いおな「ふふっ。またすごいことになりそうですね」

 

-----------

 

ゆい「初めまして! わたし、和実ゆいです!」

ここね「芙羽ここねです。よろしくお願いします」

らん「華満らんだよ~! よろしくね!!」

ローズマリー「ローズマリーよ。みんな、よろしくね♪」

菖「よろしく。そういや、和実ってことは、この定食屋は」

ここね「はい。ゆいの家です」

らん「ちなみに、ここねんはレストラン、わたしは中華屋の娘なんだよ~」

つぼみ「料理屋さん大集合ですかっ?!」

いおな「そういうことになるわね……ところで、ローズマリーさん」

ローズマリー「マリちゃんでいいわよ?」

いおな「……マリちゃんは一体?」

ゆい「マリちゃんはね、ここの隣のゲストハウスでお世話なってるの!」

ローズマリー「時々、お店も手伝わせてもらってるわ。それにしても……」

ひかり「……?」

舞「なんでしょか?」

ローズマリー「みんな可愛いし、菖くんと湊くんはイケメンだから感激しちゃ~うっ! もう嬉しさてんこ盛り~~っ!!」

菖、ゆり「「……ど、どうも」」

つぼみ「あ、ありがとうございましゅ……」

ひかり、舞「「あ、あははは……」」

いおな「……この場に明義兄さんがいなくてよかったわ」

ゆり「そうね」

菖「だなぁ。あいつがここにいたら、真っ先に「まり男」とか呼んでそう」

ローズマリー「何よ、その赤い配管工のおじ様みたいな呼び方っ!!」

らん「あははは……」

ここね「な、なんというか……愉快な方、なのね?」

えりか「愉快で済めばいいんだけど……」

いおな「うんうん……」

菖「……大変だな、お前らの義兄は」

いおな「それを言ったら、菖さんにとっても義兄ということになると思いますけど」

菖「……そうだった」




おまけ

~腹ペコレディーズ~
ゆい「腹ペコったぁ……」
ゆうこ「おなかすいたねぇ~」
なお「ご飯、まだかなぁ……」
りん「あんたら、ちょっとは遠慮しなさいよ……」

~Let's~
いちか「それじゃ!」
ゆい「うんっ!! レッツラぁ」
いちか「クッキング!!」

菖「仲いいなぁ……」
ゆり「スイーツづくりとお料理……まぁ、同じキッチンに立つ者同士だし」

~そして案の定~
いつき「ね、ねぇ……コメコメ、パムパム、メンメン」
ほまれ「ちょ、ちょっとだけ。ちょっとだけだから……」
いつき、ほまれ「「あなたたちをもふもふさせてぇっ!!」」
コメコメ、パムパム、メンメン「「「き、きゃ~~~~~っ??!!」」」

はな「め、めちょっく……」
さあや「あらあら、ほまれったら……」
菖「まぁ、案の定、だなぁ……」


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顔合わせスキット~食卓彩るスウィートネス~

というわけで、あまねん&拓海との顔合わせ会。
まぁ、変身はしませんし、ブラペのカミングアウトもしませんが
いやしかし……あまねんのCVが茅野さんだったとは……(ーー;
菖のヒロイン枠もそうなんですが、CV関係でネタがらみが忙しくなりそうですな……

まぁ、それは横に置いておいて、本編どうぞ


~ローズマリー居候中のゲストハウスにて~

 

あまね「初めまして、菓彩あまねだ。先日は参加できず、申し訳ない」

ゆい「あまねちゃん、この間は生徒会の仕事があったんだって」

菖「へぇ……え? 生徒会のってことは」

つぼみ「もしかして、あまねさんも生徒会長さんなんですか?」

あまね「あぁ。微力を尽くさせてもらっているよ」

ゆり「だ、そうよ? みんな」

あまね「みんな?」

かれん「ふふふ」

いつき「実は僕たちも」

れいか「微力ではありますが、生徒会長を務めさせていただいてます」

あまね「そ、そうなのか?!」

マナ「そうなのですっ!」

みなみ「改めて」

まどか「よろしくお願いします」

あまね「あぁ。こちらこそ、よろしくお願いする」

菖「……なんというか、あれだな」

つぼみ「はい?」

菖「あまねの口調、プリキュアってより、俺や湊に近い感じがするのは気のせいか?」

ゆり「……言われてみれば、そうね」

ゆい「え? そうかなぁ?」

あまね「おかしい、だろうか?」

菖「いや、おかしくはないし、個性的でいいと思うぞ?」

つぼみ「はい! とてもかっこいいと思います!!」

あまね「あ……ありがとう」

らん「お? あまねん、照れておりますな?」

あまね「なっ……うぅ……」

ここね「うふふふ」

ゆい「あまねちゃん、可愛い~」

ローズマリー「あらあら~♪」

???「いや、なにやってんだよ……てか、ちょっと密度高くないか?」

ゆい「あっ! 拓海!」

菖「ん? あ、お邪魔してます」

拓海「あ、どうも……えっと?」

菖「俺は春川菖。ゆいの友達の付き添い人だ。よろしく」

拓海「品田拓海です。ゆいの幼馴染で、このゲストハウスは俺の親が経営してるんです」

ローズマリー「そうなのよ~。ほんと、いつもお世話になってるわぁ」

ゆい「わたしも、いつも拓海に助けられちゃってます」

拓海「べ、別にお前のためってわけじゃ……」

ゆかり「……なるほど、そういうことね」

ゆり「あらあら」

ローズマリー「あら? ゆりちゃん、もしかして何かわかったのかしら?」

ゆり「えぇ。なんとなくですけれど……彼、苦労しそうですね」

ローズマリー「ふふふ、ほんとね」

拓海「な……なんすか?」

ゆり「いいえ。なんでもないわ」

ローズマリー「えぇ。なんでもないわ」

拓海「はぁ……」

ゆり「あぁ、そうそう。品田くん」

拓海「な、なんすか?」

ゆり「どこかの誰かに持っていかれないうちに、ゆいちゃんに自分の気持ちを伝えておいた方がいいわよ?」

拓海「はぁっ?!」

ゆり「一応、恋人がいる身としてのアドバイスよ? 頑張ってね」

拓海「お……おす……」

ローズマリー「ふふふふ、青春ね~♪」

拓海「はぁ?……なんなんだよ、ほんとに」

舞「気にしたら負けですよ、品田さん」

拓海「いや、そういわれると余計に気になるんだけど……」




~おまけスキット~

あまね「そういえば、菖さん」
菖「うん?」
あまね「なぜか、菖さんと会ったことがあるような気がするのだが、気のせいでしょうか?」
菖「う~ん……そんな気がしないでもないんだよねぇ、俺も。けど、みゆきもそうなんじゃないかな?」
あまね「え?」
みゆき「あら? そんな気がしないでもないけど、どうだったかしらね?」
あまね「……え?」
みゆき「何? 人の顔をじろじろ見て。失礼じゃないかしら?」
あまね「え、えぇっと……す、すまない」
みゆき「なら、お詫びにリスリスダンスを踊りなさい」
あまね「り、リスリスダンス?」
菖「これこれ、みゆきさん……」


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顔合わせスキット~若きクックファイター~

いつカミングアウトするのかなぁ、と思っていたらまさかの先週行ったでござる
というわけで、勢いで書きました
世の中クリスマスだけど、こちらはそんなの関係ねぇ!
まぁ、ともかく本編をどうぞ


~ゲストハウスの一室~

よね「ようこそ、オイシーナタウンへ! 今日はゆいちゃんが菖さんたちにお話したいことがあるみたいよ?」

菖「なんか、いきなり呼び出されたんだけど……」

舞「なんでしょうか?」

拓海「あぁ~……えっと……その……」

ゆり「あら? 拓海くん、いつになく緊張しているみたいだけれど?」

拓海「いや、あの……実は、ゆいが皆さんを呼んだ理由ってのが俺にあるっていうか……」

つぼみ「え? ゆいさんじゃなくて、拓海さんに関わることなんですか?」

ゆい「えっと、そのことを話す前に、伝えておかなきゃなぁってことがあって」

菖「え?」

ローズマリー「実は、ゆいたちと一緒に戦ってくれている仲間が一人、いるのよ」

つぼみ「え? もしかして、その人もプリキュアなんですか?」

ローズマリー「いいえ。彼はプリキュアではなく、クッキングダムの戦士クックファイターに近い存在よ」

菖「彼?」

ひかり「ということは、その方は男の子ってことですか?」

あまね「あぁ」

らん「その名もブラックペッパー!」

メンメン「略してブラペメン!」

菖「ブラペて……」

拓海「やっぱその略し方ってどうなんだよ……」

ゆり「というか、拓海くんがいる前でその話をして大丈夫なの?」

ゆい「問題ないですよ?」

ここね「だって品田先輩、わたしたちのことを知ってますから」

あまね「それに、先ほどから話題に上がっているブラックペッパーは」

拓海「……俺のことなんです」

菖&菖ラヴァーズ『え……えぇぇぇぇぇっ??!!』

ローズマリー「あらあら、ものすごい驚きようね……まぁ、無理もないと思うけど」

 

-----------

 

拓海「というわけで、ブラックペッパーこと品田拓海っす。改めて、よろしくお願いします」

ゆり「よかったわね、菖。後輩が増えたわよ」

菖「はははは。けど、それは確かに」

拓海「え? 俺以外にも、菖さんみたいにプリキュアと戦うやつがいるんすか?」

菖「あぁ。守護騎士アステアっていう騎士がいるぞ」

拓海「へぇ……ちなみに、菖さんはなんて名前なんですか?」

菖「大樹の騎士ユグドセイバーってんだ」

拓海「……なんか、アステアとセイバーのほうがカッコイイ気が……」

ローズマリー「いやけど、ブラックペッパーもいいじゃない!」

ゆい「そうだよ! それに拓海、ブラックペッパー好きでしょ?」

拓海「いまそれを言うか?」

ローズマリー「それに、わたしたちクックファイターはみんなスパイスやハーブの名前だから、ちょうどいいわよ」

ここね「そういえば、マリちゃんとフェンネルさん、ハーブと同じ名前」

あまね「ジンジャーさんにシナモンさん、それにセルフィーユもハーブやスパイスの名前だったな」

らん「え? セルフィーユってハーブ聞いたことないけど??」

菖「あ~、フレンチパセリのことか。チャービルっても言うんだけど、セルフィーユはそのフランス語名だよ」

らん「へぇ、知らなかった!」

ローズマリー「だから、あなたはブラックペッパーのままでいいのよ」

ゆい「うんうん!」

拓海「まぁ、そう言うなら……」




おまけ

~その姿はまるで……~
ブラックペッパー「変身するとこんな感じっす」
セイバー「……なんというか、あれだな」
ブラックペッパー「あれ、とは?」
セイバー「タキシード仮m……」
ブラックペッパー「いやこれタキシードじゃないっすけど」

~マントは戦士のワンポイント?~
ムーンライト「セイバーとブラックペッパーを見ていて思ったのだけれど」
ブロッサム「はい?」
ムーンライト「男の子って、マントが好きなのかしら?」
プレシャス「そういえば」
フィナーレ「二人ともマントを羽織っているな」
イーグレット「あの、ムーンライトとブロッサムは人のことを言えないと思いますけど……」

~そういえば~
ゆり「ところでゆい」
ゆい「はい?」
つぼみ「拓海さんがブラックペッパーだって知った時、どう思いましたか?」
ゆい「えっと……びっくりとびっくりでわけわからなくなっちゃって、思わず泣いちゃいました」
ひかり「えっ?!」
ゆい「でも、ブラペが拓海だってこと、なんだかうれしいんです!」
ゆり「ふふふ。ちょっとは前進したのかしらね?」
拓海「……な、なんすか」
菖ラヴァーズ『いいえ、何も?』
拓海「……その温かい目はやめてください……恥ずいっす」
ゆい「え?」
菖「……ゆいはやっぱり、色気より食い気かぁ」
ローズマリー「まぁ、ゆいらしいわね」


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顔合わせストーリー~ヒーローガールの住む町へ!~

久しぶりに顔合わせ物語
スキットではなくストーリーです
20周年だからね! 仕方ないね!!


 ここはソラシド市。

 スカイランドという異世界からやってきたヒーローに憧れる少女ソラ・ハレワタールと、同じく、災害による影響でスカイランドから落ちてしまった『プニバード族』と呼ばれるスカイランドの鳥少年ツバサ。

 そして、元はスカイランドに住んでいたのだがソラシド市に居を移した博物学者ヨヨ。

 なぜか異世界人が三人も存在するというその街に、菖とゆり、つぼみ、いつきの四人が訪れていた。

 一緒にえりかも来ていたのだが。

 

『お母さんからプリティホリックに資料を届けて来てほしいって言われてるんでぇ』

 

 と言ってソラシド市に到着するなり、商店街の方へと向かっていってしまった。

 かくいう菖たちも、別に遊びに来たわけではない。

 

「それで、つぼみ。そのヨヨさんのお宅はこっちのほうであってるのか?」

「はい。そのはずですが……」

「随分、町から離れていくんだね」

 

 いつきが口にしたように、四人は今、町から少し離れた小高い丘を登っている。

 その上に、今回の目的地であるヨヨ邸があるようだ。

 

「えぇ。おばあちゃんも町から少し歩くみたいだけどって言ってました」

 

 そもそも、この場につぼみたちが来ている理由は、昨日、薫子からお使いを頼まれたからであった。

 昨日、薫子からソラシド市に住んでいる大学時代の知り合いから、いくつか野菜とハーブの種を分けてほしいという連絡があったそうだ。

 薫子自ら届けに行きたいところではあったのだが用事があったため、直接赴くことができない。

 かといって、郵便で送ると種の鮮度が心配である。

 そこで、年の近い孫がいるから、という理由でつぼみたちにお使いをお願いする運びとなったのだ。

 おばあちゃんっこのつぼみはもとより、普段からお世話になっている薫子からの頼みを断るほど、ゆりも菖もいつきも薄情者ではない。

 えりかもさくらからプリティホリックソラシド市支店に届け物をしてほしいと頼まれたため、ハートキャッチ組全員がこの場に来ることになったのだった。

 

「それにしても、おばあちゃんの話していたヨヨさんってどんな方なんでしょう?」

「さぁ? こればっかりは直接お会いしないとなんとも言えないな」

「そうね……少なくとも、大学時代に知り合った、と言っていたから植物のことにも造詣が深いんじゃないかしら?」

「ぼくとしては、お孫さんがどんな子なのか気になるなぁ」

 

 そんなことを話しながらしばらく歩き、ソラシド市にある小高い丘を登ると、その先にはかれんやありす、みなみの生家ほどではないが、それなりの大きさを持つ邸が見えてくる。

 

「あそこだな」

「大きいおうちです!」

「広いわね……」

「可愛い……」

 

 ヨヨ邸と思われる家を見つけた一行はそんな感想を漏らしながら玄関へと向かっていき、つぼみがインターホンを押す。

 すると、ドアの奥から元気のいい声が聞こえてきた。

 それとほぼ同時に。

 

「こんにちは! どちら様でしょう?」

「おっと……えぇっと、わたし花咲つぼみといいます。あの、ヨヨさんにお届け物が……」

 

 青い髪を右側にサイドテールでまとめ、斜めぱっつんで切った前髪にしている、いかにも元気っ娘という印象を受ける少女の質問に、つぼみが答えていると。

 

「あら。薫子さんからの荷物を届けに来てくれたのね?」

 

 元気っ娘の背後から眼鏡をかけた老婆が姿を見せ、元気っ娘が老婆の名前を呼んだ。

 

「ヨヨさん!」

 

 どうやら、この老婆が薫子の知人、虹ヶ丘ヨヨであるらしい。

 

「ソラさん、この人はわたしの大学時代のお友達のお孫さんよ。えぇとあなたたちは……」

「あ、俺たちはこの娘の付き添いです」

「「初めまして」」

「初めまして。よかったら、中でお茶していって?」

 

 突然、ヨヨからお茶に招待された菖たちだったが、断る理由もなかったため、菖たちはその招待を受けることにした。

 家の中に入り、リビングに通されると赤ん坊を抱えた長い髪の少女と、菖とゆりと同年代と思われる気の強そうな女性。そして、片目が前髪で隠れている少年がソファで団らんしている姿を見かける。

 

「あ、いらっしゃい」

「「こんにちは」」

「あんいちあ!」

 

 菖たちの姿を見かけると、四人はそれぞれに声をかけてくる。

 彼らに挨拶を返し、ヨヨに促されるまま、ソファに座ると、先ほどの青い髪の元気っ娘が赤ん坊を抱えた少女の隣に座り。

 

「改めまして、わたしはソラ。ソラ・ハレワタールです。こちらは、わたしがお世話になってる」

「虹ヶ丘ましろです。この子はエルちゃん」

「あいっ!」

「ツバサと言います」

「わたしは聖あげは。保育士学校に通ってる、保育士見習い! よろしくね」

 

 と、自己紹介してくれた。

 それに応じるように、菖たちもそれぞれ自己紹介する。

 その後、菖たちはヨヨが淹れてくれたお茶を楽しみながら、談笑をしていた。

 

「なんとっ! いつきさんも武術を嗜んでいるのですか?!」

「うん。一応、菖さんとゆりさんもだけど……」

「ぜひ、稽古をつけてください! ヒーローになるためにも、修行は欠かせません!!」

「おぉ……なんか、すごくまっすぐだな、ソラは」

「そうね。実に好ましいわ」

「それなら、今度ぜひ、希望ヶ花市にも遊びに来てください!」

「はいっ!!」

 

 その中で、なぜかソラを希望ヶ花市に遊びに行く約束を取り付けていた。

 その理由がヒーローになるという、ソラの夢を達成するための手助けというのだから、実に彼女たち(プリキュア)らしい。

 そんな会話を続けていると。

 

「こんにちは~! いやぁ、まさかこんなに離れてるとは思わなかったっしゅ……」

 

 もう一人、ソラシド市を訪れていた菖たちの仲間、来海えりかがやってきた。

 その後、えりかもソラたちに自己紹介をしたうえで談笑に加わり、ヨヨ邸はしばし、賑やかな空気に包まれるのだった。




~おまけ~

『そういえば聞いたことがあるような……』
つぼみ「そういえば、ましろさんの声……」
ましろ「はい?」
菖「そうだな。なんか聞いたことあるような気がする……」
えりか「……ちょっと、『すあまじゃないラビっ!』って言ってみてほしいっしゅ」
ましろ「へ?……すあまじゃないラビっ!!」
いつき「あぁ……なるほど」
ゆり「あの子に似てるのね」
ましろ「えっと、あの子って……??」
ソラ、ツバサ、あげは、エル「「「「????」」」」

『同い年』
あげは「そういえば、菖くんもゆりちゃんも同い年なんだよね?」
菖「そういえば、そうだな」
ゆり「えぇ」
あげは「なら、今度、一緒に遊びに行かない?」
ゆり「構わないわよ?」
菖「どうせなら、ほかのメンツも誘うか?」
あげは「いいねぇ! なんかアガルっ!!」


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菖さんのクレープは恋の味??!!やってきました、明堂学園!

タイトルの通り、文化祭の一コマをオールスターズ視点でお送りします。
本編との矛盾はない……はず!
なお、誰がどんなトッピングを頼んだかは、皆様の御想像にお任せです。

5/3 改題


つぼみとえりか、そしていつきに招待され、なぎさたち先輩プリキュアは、明堂学園に集合していた。

数週間前に、一緒に紅葉狩りへ行ったため、それほど久しぶり、という感覚はないが、それでも同じ力を持っている仲間との再会はうれしいものだ。

つぼみたちには、事前に自分たちが来ることを伝えてあったが、いつきから、いきなり大人数で押しかけるのはまずいので、バラバラに入場してから合流したほうがいい、とアドバイスをもらったため、それぞれが入場してから、集合時間を決めて、つぼみとえりかの教室に集合することにした。

そのため、今はチームごとに別れて行動中だ。

咲と舞(スプラッシュスター)の二人は、今、校舎前の広場の出店を見て回っている。

「すっごいねぇ、舞!いろんなお店があるよ!!」

「うん!……あれ?ねぇ、咲。あの人って菖さんじゃない?」

ふと、舞がそう言って指さすと、そこには、スーツを着ている菖の姿があった。

よく見ると、『クレープ屋"ハチポチ"』とかかれている看板の近くに立っていたため、おそらく、あそこが菖の出店なのだろう、という判断はすぐについた。

「ねぇ、舞。菖さんに挨拶しに行くついでに、クレープ買いに行かない?」

「そうね!そうしましょう!!」

咲の提案に、舞がうなずくと、提案者の咲は舞の手を引いて、クレープ屋"ハチポチ"の行列に並んだ。

すると。

「いらっしゃい、子猫ちゃんたち」

「……ホストだからって、それはないんじゃないか?普通に接客しようぜ……」

スーツを着ている男子の接客に、菖が冷や汗を伝わせながら突っ込みを入れる光景が目に入った。

「男子の恰好、スーツかと思ったらホストなのね……」

「菖さんがホストって……なんかすっごく新鮮なり……」

咲と舞が呆然としていると、自分たちの番が回ってきた。

すると、先ほどから接客していた男子生徒が咲の顔を見るなり、にっこりといたずら小僧のような笑みを浮かべた。

「いらっしゃい、子狸ちゃん」

年上の、それも菖の知り合いからすらも狸呼ばわりされ、咲はふくれっ面になった。

菖は誰が狸と呼ばれたのかわからなかったのか、半眼になりながら顔を上げた。

「だから、普通に接客しろ。つか、猫ですらな……」

と、菖が突込みかけて、咲と舞の方へ視線を向けると、何も言えなくなってしまった。

その心中で何を思ったのか、容易に想像できてしまった咲は、ただでさえ少し丸っこい顔を余計に膨らませ、菖をにらんだ。

その様子に、舞はため息をつきながら、菖に苦情をもらした。

「菖さん、せめてなにかフォローしてください……」

「いや、ごめん」

舞の苦情に、菖は素直に謝った。

知り合いというより、仲間であるということもあり、二人はそれ以上何も言えなくなってしまったため、咲はそれ以上は追及しなかった。

もっとも、その明らかに怒気が込められた視線を、狸呼ばわりした男子生徒に向けていたのだが。

「あれ?なぎさたちはどうしたんだ??」

ふと、菖からなぎさたちの姿が見えないことについて問いかけた。

どうやら、いつきから、自分たちが来るということは聞いていても、学校にはそれぞれのチームに別れくることは伝えられていなかったようだ。

「なぎささんたちなら、他のところに行ってるなり」

「ちょっと見て回ったら、一度、つぼみさんたちの教室で合流する予定なんです」

舞のその説明で納得することにしたのか、菖は、そうか、とうなずきを返した。

いつまでも談笑しているわけにはいかないためか、菖は二人に、同級生が失礼なことをしたお詫び、ということでクレープをおごると提案してくれた。

咲としてはうれしいことなのだが、咲と比べて遠慮深い舞は、断ろうとした。

だが、その声は後ろから聞こえてきた声に阻まれてしまった。

「菖さん!」

「おごりって!!」

「ほんとですか?!」

咲と舞が後ろを振り向くと、なぎさ、のぞみ、ラブの三人が子どものように目を輝かせていた。

よく見ると、他のメンバーも一緒にいた。

大方、菖を見かけたから挨拶に行こう、ということになったのだろう。

そして、期せずしてここで合流してしまったのだ。

だが、そんなことは露知らない菖は、三人の勢いに飲まれそうになりながらも、苦笑まじりに。

「……一つだけでいいなら、な?ほんとは咲へのお詫びのつもりだったんけど……」

と宣言してくれた。

咲へのお詫びという意味が込められてのおごりだったことを理解したほのかとりん、そしてかれんは、さすがに悪いと思ったのだろう。

「あ、あの、無理しなくても大丈夫ですよ?」

「そうそう。そもそも、のぞみたちの言うことを真に受ける必要、まったくないじゃない」

「それに、いくら知り合いとはいえ、お言葉に甘えるのも……」

と、やんわりと断ろうとしていた。

つぼみたちを抜いたとしても、ここにいるメンバーは十四人。

さすがに、一枚だけとはいえ、全員におごるとなると、相当な金額になってしまう。

だが、そんなことは気にしていないようで。

「大丈夫。一つだけなら、おごっても大して苦にはならないし……なにより」

と、菖は意地悪な笑みを浮かべながら背後を指さした。

そこには、クーラーボックスの上に置かれた、いくつものボールが置いてあった。

おそらく、あれが全部クレープの生地なのだろう。

その証拠に。

「なぎさと咲とのぞみとラブなら、これくらいは余裕でいけるだろ?」

と問いかけてきていた。

なぎさも咲ものぞみもラブも、自分たちのことを気遣ってくれて、というのも変な話ではあるが、用意してくれたことに気づき、大量に自分の好きなクレープが食べられるという想いも相まって、目を輝かせていた。

だが、常識人の域にいる突込み役(りんと美希)はげんなりとした顔で。

「「……胸焼けしそうだわ」」

と、突っ込んでいた。

ふと、ほのかが何かに気づいたようで、菖に問いかけてきた。

「あの、菖さん。もしかして、その恰好って……」

「……ホスト、だとさ……」

ほのかが質問をすべて言いきる前に、菖ががっくりとうなだれながら答えた。

どうやら、菖個人はあまり好ましく思ってはいないようだ。

「す、すみません……」

なんだか、聞いてはいけないことを聞いてしまったのではないか。

そう思ってしまったほのかは思わず謝罪してしまった。

すると、いつの間にやってきたのか、ゆりがなぎさの背後から声をかけてきた。

「あら、せっかくだから、ホストらしい接客をしてくれないかしら?」

「……なれないことさせないでくれ……」

ゆりの言葉に、菖はげんなりとしながら返した。

だが、その眼はどこか楽しんでいるような印象があった。

どうやら、菖自身、ゆりとのこのやりとりを楽しんでいるようだ。

ゆりの来訪で、少しばかり元気になったのか、菖はなぎさたちの方へ視線を向けた。

「それで?トッピングはどうする??」

「それじゃぁ……」

注文を取り始めた菖に、なぎさから順に、注文を始めた。

と、なぎさが注文を始めようとしたが、せつながそれを止めて、問いかけてきた。

「ねぇ、みんな。こういうお店って、大抵の注文は断られないのよね?」

「まぁ、そうね」

「だったら、こういうお店での定番、やってみたいんだけど」

「「「「定番?」」」」

せつなの言葉に、もともと抜けているところがあるのぞみとうらら、まだまだ世情に疎い部分があるひかりとかれんは首を傾げた。

その様子に、なぎさが小さく微笑みを浮かべた。

「あのね、こういうお店だと……」

と、小声で説明を始めた。

だいたい理解できたらしく、なぎさから順番に注文を始めた。

菖はその一つ一つをメモしていき、手の空いている男子に作るよう指示を飛ばしていった。

最後にせつなが注文を終えると、なぎさが、せぇの、と合図をして、何かに期待するような笑顔を向けながら。

笑顔(スマイル)ください!!』

満面の笑みで十四人の美少女たちが、菖にむかってそう頼んできた。

その光景に、嫉妬と興味の視線を向けながら、男子生徒がからかい半分で。

「春川~、女の子に恥じかかせるなよ~?」

と言ってきた。

ゆりも悪ノリして。

「菖、どう対応するの?」

と問いかけてきたため、菖は引くに引けなくなってしまった。

ふむ、と考え込むようなそぶりを見せてから、優しい微笑みを浮かべて、いつもより少し低い声で。

「お持ち帰りですか?」

と問いかけてきた。

その無邪気で優しい笑顔に、なぎさたちは顔を真っ赤にしてしまった。

唯一、このメンバーの中で菖との付き合いが長いゆりですら、恥ずかしげに顔を背けていた。

「……あなたをテイクアウトしてどうするのよ……」

なお、ゆりがそうつぶやいたことは、こうなるきっかけを作った少女たちは、誰一人、気づくことはなかった。

------------------------

その後、無事にクレープを受け取ったなぎさたちだったが、ひかりと舞、かれん、祈里は依然、顔を真っ赤にしたままで、まったくクレープに手がついていなかった。

「……かれん?どうしたのよ??」

その様子が気になったくるみがかれんに問いかけたが、かれんはまったく気づいていなかった。

なお、それは他のメンバーも同じで、いくら問いかけても、反応がなかった。

もっとも、その原因にいち早く気づいたラブたち、フレッシュチームは苦笑を浮かべながら。

「「「まぁ、もう少しすれば治るでしょ」」」

と放置することにした。

その言葉を信用して、なぎさたちはクレープを堪能し、なぎさ、咲、のぞみ、うらら、ラブの五人は一枚目を食べ終えるや否や、二枚目を注文しに行列へと向かっていった。

「……ほんと、よく食べるよ、あの子は……」

「胸焼け、しないのかしら?」

その背中を見つめながら、りんは呆れたとばかりにため息をついていた。

その隣に座っていたゆりも、冷や汗を伝わせながら、そんな疑問を口にしていた。

なお、ゆりの目の前にあるクレープも菖が焼いたものである。

これも菖のおごりであることは言うまでもない。

紅茶を口にしながら、ゆりはクレープを一口食べると、自然とその頬が緩んだ。

「……おいしい」

その表情は、普段の凛々しい大人っぽいそれとは違い、年相応の可愛らしいものだった。




あとがき代わりのその時の話(スキット風)

~一つ目のクレープ消化中~
ひかり、舞、かれん、祈里「「「「……ぽーっ……」」」」
せつな「……ねぇ、四人は大丈夫なの??」
こまち「かれん??」
ほのか「ひかり、大丈夫?」
咲「舞~?」
くるみ「……四人とも、まだ顔が真っ赤ね……」
りん「……もしや、これは……」
ほのか「ありえなくもない、のかしら?」
ラブ「……まぁ、ブッキーはそもそもあぁいう笑顔に弱いからねぇ……」
未希「まぁ、かくいうわたしたちもその笑顔にしてやられちゃったんだけれど」
ゆり「さすがに、わたしもやられたわ……一番付き合いが長いはずなのにね……」
のぞみ「そうなんですか?」
なぎさ「なんか、優しい笑顔だったなぁっては思いましたけど」
ゆり「普段の菖の笑顔は、あんな優しい笑顔じゃなくて、もっと無邪気な感じなのよ?それこそ、子供っぽいものね」
うらら「たしかに、菖さんってわたしたちよりも年上ですけど、子供っぽいところ、ありますもんね」
ラブ「歴史の話とか?」
こまち「そうよねぇ……けれど、それも菖さんの魅力じゃないかしら?」
くるみ「ふ~ん?……って、のぞみ、どうしたのよ??」
のぞみ「おかわり~!」
りん「ってもうかい!!」
うらら「あ、わたしもお供します!!」
咲「あ、わたしも!」
なぎさ「ならわたしも!!」
ラブ「同じく~!」
ゆり「……この子たちはもうちょっと味わって食べるということを知らないのかしら?」
なぎさ、ひかり、咲、舞、のぞみ、かれん、うらら、ラブ、祈里以外『……あ、あははははは……』


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世界をつなぐ虹色の花~EP.1:運命の出会い?!プリキュアオールスターズ、全員集合!!~

というわけで、HuGっと!の第一話放送を記念しまして、プリキュア映画10作記念、オールスターズDX3の第一話です。
個人的にこの映画、好きなんですよねぇ……特にクライマックス。
ぶっちゃけ、そこに力入れていく予定なので、お楽しみに。
なお、ピンクチームとブルーチームの描写は勘弁してください。
あくまでセイバーも活躍するイエローチーム中心ということで(いや、つか全チーム入れたら、私が過労死する……)
あ、あとがきは今回はありませんのであしからず。


横浜みなとみらいに新設されたショッピングモール。

つぼみたちハートキャッチ組は、そこで行われるファッションショーに出ていた。

見物客の中には、参加できなかったゆりと菖はもちろん、なぎさたち先輩プリキュアたちの姿もあった。

ふと、ステージの上に突然、白い猫が現れ、つぼみの胸の中に飛びこんできた。

すると、今度は中学生くらいの少女――北条響が猛スピードでステージに上がってきた。

「すみませーーーーーーーんっ!!」

大声で謝罪しながら、ツインテールの少女がステージを駆け上ってきたが、けつまずいてしまい、ステージにダイブしてしまった。

その様子を見た観客は、思わず笑い出してしまった。

中には、駆けあがってきた少女が飛び入り参加のゲストかと思っているものもいるようだ。

だが、そうは思えないものもいた。

「まぁた嫌な予感が……」

「もしかして、あの子たちも?」

りんは冷や汗を伝わせながら、そうぼやくと、こまちは表情を崩さずにそうつぶやいた。

そのつぶやきに、咲が反応し、何が?、と問いかけていた。

ほかのプリキュアたちも、口々にそんなことを話していたが、ゆりと菖は何も言わず、苦笑を浮かべているだけだった。

ふと、突然、地震のような轟音と揺れがホールを襲った。

異変を察知し、菖とゆりは周辺を見まわしたが、特に何かが起きたという様子はなかった。

少なくとも、自分たちの頭上以外(・・・・)は。

「……まさか、上っ?!」

見上げると、タルトやココたちと同じような姿をした不思議生物たちが大量に降ってきていた。

そのあまりの量に、会場はあっという間に妖精たちで埋め尽くされた。

「これっていったい、どーなってるのーーーーーーっ??!!」

幸い、妖精たちの上に出ることができた響は、誰に問いかけるでもなく、叫んでいた。

----------------------------------

その後、どうにか脱出してショッピングモールの外へ出たなぎさたちだったが、目の前に広がっている光景に目を見開いていた。

「こ、これって……夢じゃ、ないですよね……?」

「……ぶっちゃけ、ありえな~~~~~~~いっ!!」

つぼみとなぎさは目を丸くしながらそんなことを叫んでいたが、咲とラブ、そしてのぞみは楽観的なもので、ただただ『楽しそう』としか思っていなかった。

彼女たちの目の前に広がっている光景は、かつて、自分たちが訪れたことのある妖精たちの世界の一部が無秩序に入り交じった光景だった。

なぎさも叫んだ、ありえない光景に、お調子者のえりかでさえも、何が起こっているのか、困惑してしまっていた。

「いったい、何が……って!なにやってんの?!」

だが、その緊張はなぎさと咲、のぞみ、ラブの四人によって破られた。

いつの間に移動したのか、彼女たちはお菓子の一部であるドーナツやクッキーを楽しんでいた。

他にも、ひかりはおもちゃの兵隊に追いかけれ、うららと祈里とせつなはマトリョーシカのおもちゃたちに夢中になっていた。

そして妖精たちも、懐かしさからか同窓会を始めていた。

だが、王族でもあるココとナッツの胸中は、はっきり言って穏やかではなかった。

「何かがおかしいココ……世界がめちゃくちゃに混ざり合ってるココ……」

何か、よくないことが起こっている。

ココのその考えを証明するように、虹の橋から、小さなペンライトがいくつも転がり落ちてきた。

自分の目の前に落ちてきたそのライトを拾い上げたポプリは、不思議そうに首を傾げた。

「これはなんでしゅ?」

「これは?!ミラクルライトナツ!!……これが落ちてきたということは……」

自分の足元にあったミラクルライトを拾い上げたナッツは驚愕しながらも、隣にいるココに視線を向けた。

その視線の意味に気づいたココは、うなずいて返した。

「ココ!レインボージュエルに何かあったに違いないココ!!」

ココのその言葉に答えるように、老婆の声が響いてきた。

『その通り!』

声がした方向へ目を向けると、そこには、おどろおどろしい雰囲気をまとっている老婆や、巨大なメカ、顔の半分を仮面で隠した紳士など、かつて自分たちが戦った強敵が姿を現した。

「ドツクゾーンの魔女メポッ?!」

「フリーズンにフローズミポ!!」

「時計の郷を襲ったサーロインチョピ!!」

「シャドウナツ!」

「ムシバーンもいるロプ!!」

「なんでトイマジンがここにおんねん??!!」

「「「サラマンダー男爵ですぅ/ですっ/でしゅっ!!」」」

妖精たちは、かつてプリキュアに倒された彼らがここにいることに、盛大に驚き、動揺してしまっていた。

だが、唯一、コロンだけは冷静さを保ったまま、彼らに問いかけた。

「なぜ、お前たちがここにいるんだ!お前たちはプリキュアが倒したはずだ!!」

「いや、それ以前に……お前さん、男爵じゃないな!何者だ?!」

菖の問いかけに、サラマンダーは笑い声を上げながら天を仰いだ。

「なるほど、勘の鋭いやつもいるようだ……」

「無駄話はおよし!……プリズムフラワーを近くに感じるねぇ……」

サラマンダーの言葉を遮り、魔女と呼ばれた老婆が口を開いた。

ココとナツの口からも出てきた、プリズムフラワーという単語にゆりが反応した。

「プリズムフラワー?!いったい、なんなの?」

「……まさか、世界がこんな風になったのは……!!」

「アンタたちの仕業なの?!」

ラブの問いかけに、魔女はニヤリと笑みを浮かべた。

「その通りさ、お嬢さんたち……いや……プリキュア!!」

魔女の口から出てきたプリキュアという単語に、今度は響が動揺した。

「プリキュアって!なんであたしたちがプリキュアだって知ってんの?!」

動揺しながら叫ぶ響を制止するように、一緒にみなとみらいに来ていた幼馴染の南野奏が、わからないけど、と前置きをしたうえで緊急事態だということを告げた。

それに響は同意し、うなずいた。

「うん!」

「「変し……」」

「あなたたちの思い通りにはさせません!!」

変身する、と言いかけて、つぼみの声がそれを遮った。

二人は自然とつぼみのほうへ視線をむけた。

そして、次の瞬間、つぼみの口から出てきた言葉に、二人同時に驚いた。

「みなさん!プリキュアに!!変身です!!」

「「え~~~っ??!!みんなでプリキュアに変身~~~~~~っ?!」」

「ほら!あんたたちもいくよ!!」

動揺している二人に、えりかは微笑みを浮かべながらそう告げ、響たちも含めてその場にいた全員が変身アイテムを取り出し、変身した。

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

「スカイローズ・トランスレイト!!」

「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

心力解放(しんりきかいほう)!ユグドセイバー、スタートアップ!」

「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」

それぞれが変身アイテムを取り出し、叫ぶと、全員がまばゆい光に包まれた。

その中で、少女たちはプリキュアのコスチュームへ、菖はユグドセイバーの姿へと変身していった。

「光の使者、キュアブラック!」

「光の使者、キュアホワイト!」

「輝く生命、シャイニールミナス!」

「輝く金の花!キュアブルーム!」

「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」

「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

「知性の青き泉!キュアアクア!!」

「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』

全員が変身を終えて名乗ると、セイバーを除いたプリキュアたちは同時に叫び、ポーズを取った。



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世界をつなぐ虹色の花~Ep.2:蘇った敵!みんなバラバラで大ピンチ?!~

というわけで、第二話。
こういうとき思うのは、「なんでもいいからとりあえずぶん殴ってだまらせりゃ終わりじゃね?、なんですが……
はい、それを言っちゃおしまいってのはわかっているんで、それ以上はなにも言いません。


突然、プリキュアを知る謎の存在に遭遇した響と奏の二人は、緊急事態ということでプリキュアに変身した。

だが、彼女たちの前には、他にもたくさんのプリキュアの姿があった。

思わず、乗りで一緒に変身したのだが。

「……って?!えーーーーーーーーっ??!!」

「プリキュアがこんなにたくさん?!ど、どうなってるの??!!」

響と奏――メロディとリズムは動揺して叫んでしまった。

その反応に、ブロッサムたちは微笑みを浮かべていた。

「その気持ち、すごくわかります!」

「あたしたちもびっくりしたもんねぇ」

ブロッサムとピーチがそんなことを話していると、他のプリキュアたちも同じような反応をしめしていた。

「さすがに、これは……」

「全部でえっと……」

「二十一人!セイバーを入れたら二十二人!!」

ローズが数えようとしていると、ドリームが笑顔全開でそう返した。

もはや、世代を超えて戦う戦隊ヒーローやライダー戦士にも匹敵する数である。

「いつの間にかすごい数だね、プリキュア!」

ドツクゾーンの魔女、と呼ばれた女の声に、プリキュアたちとセイバーは視線をむけた。

が、少なからず動揺はしているらしい。

「なんで、あんたたちが?!」

「あなたたちは、わたしたちが倒したはず!!」

そう、かつて自分たちが苦戦の末、やっとの想いで倒したのだ。

だというのに、なぜいま目の前に彼らがいるのか。

その答えはすんなりと返ってきた。

「不思議だろう?教えてやろう……それは、邪悪の神ブラックホール様のお力なのだ!!」

『ブラックホール?!』

「ブラックホール様はこの世のすべてを呑みこむカオス!闇の意思そのものだ」

ブラックホールという存在に驚きを隠せないプリキュアたちだったが、一人だけ、やけに冷静な突っ込みを入れている声があった。

「……すべてを呑みこむ闇からブラックホールて……ずいぶん安直だな。で?あんたらの目的ってのは、そのプリズムフラワーとやらなのか?」

「ほぉ?随分と答えを急ぐね。もう少しプリキュアたちのように驚いてくれてもいいんだよ?」

「おあいにく。あんたらみたいなしつこい連中に示す礼儀は持ち合わせていないんだよ」

いつの間にか、大樹の騎士のみが持つことを許される聖剣エターニアハートを引き抜き、セイバーはその切っ先を魔女たちのほうへ向けていた。

「まぁいいじゃないか。こうして明らかな敵意を向けてくれたほうがこちらとしても都合がいい」

「それもそうだね……まぁ、いいさ。教えてやろうとも!我らの目的はプリズムフラワーを見つけ、破壊すること!!」

「プリズムフラワー?!」

フリーズン、フローズンの口から出てきた単語に、ドリームたちは眉をひそめた。

プリズムフラワーというものを、自分たちは知らない。だが、彼らが狙っているということは、おそらく、彼らにとって不都合なものであるということはすぐに推察できた。

「プリズムフラワーはココたちとプリキュアたいの世界をつなぐ、光のエネルギーココ」

「ナッツたちが人間世界に来られるのは、プリズムフラワーのおかげなんだナツ」

「プリズムフラワーの世界をつなぐ力があるから、シロップたちはのぞみたちのいるこの世界に来ることができるんだロプ」

プリズムフラワーの存在について、ココたちはそう説明してくれた。

要約すれば、プリズムフラワーというのは、人間の世界と精霊や妖精たちの世界をつなぐ架け橋であり、妖精たちを人間の世界にとどまらせるためのエネルギーであるということだ。

ということは。

「もし、プリズムフラワーに何かあったら……」

「世界を結ぶ力が乱れてしまうですぅ/ですっ!!」

そうなっては一大事、とばかりに、ポプリはココにプリズムフラワーのありかを問いかけた。

だが、返ってきた答えは。

「それはココたちにもわからないココ」

「プリズムフラワーはその力を守るため、この地球のどこかに隠れているナツ!!」

「そうさ!だから私がいるのさ!!」

妖精たちにもわからない、プリズムフラワーのありか。

それを探し出すために、魔女が占いで見つけ出すということのようだ。

「さぁ、水晶よ!プリズムフラワーの姿を映し出せ!!」

魔女が持っている水晶に命じると、水晶に巨大な金色の光を放つ球体が映し出された。

それは、まぎれもなくプリズムフラワーの姿だった。

その球体に、ピシリ、とひびが入った。

その光景に妖精たちは悲鳴を上げた。

「やっぱり弱っているナツッ!!」

「どうして?!まだあいつらに奪われてないんでしょ?!」

近くにいたアクアが問いかけた瞬間、地面が、いや、空間が激しく揺れ始めた。

いったい、何が起こっているのか。

周囲を見渡すと、空が闇に覆われ始めていた。

「ぶ、ブラックホールの力が地球全体を覆い始めているココ!!」

「そんなことになったら、プリズムフラワーは地球と一緒に枯れてしまうナツ!!」

仮に、ブラックホールの力が地球を覆いつくしてしまえば、すべてが闇に飲まれ、地球上に存在するすべての生物は息絶え、闇の世界となってしまう。

それこそが、ブラックホールの狙いであり、導きである。

まるで歓喜に打ち震えるかのように、ドツクゾーンの魔女が高笑いした。

その言葉と、地球を覆いつくせるほどの巨大な存在に、リズムとメロディは恐怖を抱き、身をすくませてしまった。

だが。

「まだです!まだプリズムフラワーはあの人達に奪われていません!」

「それに、まだ枯れてない!」

プリズムフラワーはまだ枯れてない、ならば、まだ希望は残っている。

その希望に気づいていたからこそ、プリキュアたちは戦う意思を見せていた。

「わたしたちの世界をめちゃくちゃになんて、絶対に許さない!!」

「プリズムフラワーは、必ず」

『守ってみせる!!』

プリキュアたちの宣言に、妖精たちの目から絶望の色が消えて、希望の輝きが現れた。

だが。

「面白い……いいだろう、お前たちには特別に味わわせてやる。バラバラに交じりあった世界をね!!」

プリキュアたちの意思を聞いた魔女は、水晶に自分の魔力を込め始めた。

なにをするつもりかはわからないが、とにかくしかけてくる。

そう感じたセイバーは、古代語の祝詞を唱えた。

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

その瞬間、エターニアハートは青い輝きを放つ弓へと変わった。

セイバーは一切の躊躇なく、弓を引き、魔女の水晶めがけて心の花の光を矢に変えて放った。

だが、一瞬だけ遅かった。

矢が水晶に届く前に、水晶から魔女の魔力があふれだし、まばゆい光を放った。

その光に動揺するプリキュアたちにさらなる追い打ちをかけるように、トイマジンが飛び上がり、プリキュアたちの前にむかって急降下した。

落下の衝撃と、着地時に振り下ろした拳の勢いで、地面に巨大なクレーターが発生した。

さらに、クレーターができた衝撃で、プリキュアたちはバラバラに吹き飛ばされてしまった。

----------------------------------

サンシャインとムーンライト、そしてセイバーが目を開けると、目の前にはすごろくのようなマス目があった。

「……ここは、すごろく?」

「サイコロもありますし、たぶんそうかと」

「なぜに、すごろく……」

目の前に広がっているすごろくのマス目に、呆然としていると、上空からトイマジンとサラマンダー男爵の声が聞こえてきた。

「ようこそ!ぼくのすごろくへ!!」

「さあ、サイコロを振ってゴールを目指せ!さもなくば、ここからは出られんぞ?」

どうやら、すごろくでゴールしなければ外に出ることはできないらしい。

かといって、素直にその言葉に従うはずはない。

「あのね!どこの誰が『はい、そうですか』って……」

サイコロを振ると思っているのか。

ルージュがそう突っ込もうとした瞬間、サイコロを持っていたレモネードが思いっきり、サイコロを投げた。

「って、あんた!なにやってんのよっ?!」

突っ込みを入れるや否や、トイマジンたちは、ゆっくり楽しんでいってね~、とのんきなことを言って消えてしまった。

その瞬間、その場にいた全員が光につつまれ、マス目の上を飛んでいった。

サイコロの出目と同じ、六個目のマスに到着すると、目の前に「スーパーモグラたたき 百点でクリア」という文字が浮かび上がった。

文字が消えると、ムーンライトたちは先ほどのすごろくとは別の光景が目に入ってきた。

ついでに、なぜか手には巨大なピコピコハンマーが握られていた。

一体全体、なにがなんなのか、困惑していると、上空にトイマジンが現れた。

「スーパーモグラたたき!百点取ったらクリアだよ!」

「だから、ゲームなんかしてる場合じゃ……」

「よ~い、スタート!!」

ルージュが突っ込んでいるにもかかわらず、トイマジンは一方的にゲームスタートを宣言した。

すると、モグラが出てくる穴から。

『ウザイナ~ッ!!』

かつて自分たちが戦ってきた敵が飛びだしてきた。

あまりに突然、敵が出てきたものだから、ムーンライト以外のプリキュアたちはその場から逃げだした。

だが、残ったムーンライトとセイバーは。

「「ふっ/せやっ!!」」

地面を蹴って宙に飛び上がり、ハンマーを振るい、出てきた(もぐら)に容赦なくたたきつけた。

「とにかく叩きなさい!そうすればここから出られるわ!!」

「止まってたって何にもならないぞ!だったら、行動あるのみだ!!」

二人の鼓舞に、プリキュアたちはやる気を出したのはいいのだが。

上空から大量の敵が降ってきた。

『イッパイイルヨ~!!』

『多すぎっ!!』

その多さに、突っ込まずにはいられなかった。

とはいえ、数分後。

「九十五っ!」

「九十六、九十七っ!!」

「九十八!!」

「九十九!!」

(ひゃ~く)っ!!』

いつの間にかハンマーを二つ手にしていたセイバーの協力もあって、無事に百点を取ることができた。

だが、クリアしてもやはりすごろくのマス目に戻ってきてしまった。

「あぁ……やっぱここかぁ」

「あぁ、もう!!遊んでいる場合じゃないってのに!!」

と、ルージュが叫ぶ横で。

「そ~れ!」

やはりレモネードがサイコロを振ってしまった。

しかも出てきた目は一である。

こうして、しばらくの間、ムーンライトたちとセイバーはすごろくに縛りつけられるのだった。



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世界をつなぐ虹色の花~EP.3:すごろくの世界で大暴れ?これがイエローチームの底力!!~

斗真「始まったねぇ、HuGっと」
菖「そうだな」
ゆり「そうね」
つぼみ「はい!」
斗真「働くお母さんと育児……なぜだろうね、俺、現代日本で一番解決しないといけない問題を扱っているような気がしてならんよ」
菖、ゆり、つぼみ「「「それを言っちゃあ/言ったらおしまいよ/だめよ/だめですよ!」」」

いや、ほんと最近の世の中どうなってんのかね?
ネグレクトは当たり前のように横行しているし、子どもを叱れない、かといって叱ると文句を言ってくる。
挙句の果ては「泣き止まないから」って暴行……あれ?現代日本終わった方がいいんじゃね?
HuGっと!が親御さんや大きいお友達に少しでもいい影響を与えてくれることを祈ります


すごろくの世界に飛ばされ、すごろくで遊ぶことを強要されている黄色チームプラスアルファとセイバーたち。

ろくに策を練る暇もないまま、レモネードが無邪気にも再びサイコロを振ってしまったために、今度はボーリングをやるはめになった。

とはいえ、さきほどのもぐらたたき同様、やはりインチキなわけで。

「……ピン、でかい……」

セイバーが呆然とつぶやくと、ピンが割れて、中からデザトリアンやウザイナーたちが出てきた。

さすがに、二度目ともなると、普段は穏やかなセイバーも堪忍袋の緒が限界突破してしまうわけで。

「……其は堅牢なる大地、彩るは咲き誇る花……」

ぶつぶつと何かを呟いた。

その瞬間、セイバーの体は黄色の光につつまれていった。

光が収まると、エターニアハートではなく、巨大な手甲をまとった姿のセイバーが現れた。

早咲きの大地(ハクディム・ガリア)

古代語の祝詞を口にすると同時に、セイバーは地面を蹴って、デザトリアンたちとの距離を詰め、拳を振りあげた。

「だらっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

怒号とともに、セイバーは振りあげた拳を振り下ろした。

その瞬間、オールスターズメンバーでもかなりの怪力の持ち主であるミルキィローズに匹敵するほどの衝撃が巻き起こった。

「要するに、こいつら全員倒せばいいんだろ……だったら、いちいちちまちま相手にしてられっか!一気にやってやらぁっ!!」

「そういうことなら!!プリキュア!ファイヤーストライク!!」

「よーしっ!サンシャインフラッシュ!!」

「プリキュア!プリズムチェーン!!」

いつもは穏やかなセイバーが繰り出した猛攻を皮切りに、次々と必殺技を繰り出していき、ついに、九本のピン()を倒していった。

「これで九体!」

「さっさと終わらせて、みんなを迎えにいきましょ……って、あら?」

パッションが今まで倒したピンの数をカウントし、ミルキィローズがはっきりと宣言すると、ローズは自分の足元に小さすぎるザケンナーがいることに気づき、そっと足払いした。

その瞬間、チビザケンナーの姿が消えた。

「これで十体」

ムーンライトがそう呟くと、プリキュアたちとセイバーは光につつまれ、その場から消えた。

----------------------------

だが、それでもやはりすごろくのステージに戻されてしまった。

抵抗するならば、その心が折れるまで、とことん付き合う、というトイマジンと男爵のコピーの決意表明なのだろう。

そう受け取ったプリキュアとセイバーたちは。

「こうなったら!とことんまでやってやるわ!!」

「……めんどくさい……かまってやるからかかってこいっ!!」

ルージュとセイバーのダブルツッコミが同時に入り、野球対決へと入りこんだ。

だが、ほとんどのメンバーがホームランを決めて、圧倒的な点数差で勝利を収めた。

その先も、さらなる試練が待ち構えていたのだが。

「お菓子作り対決!」

「カラオケ対決!」

「ダンス対決!」

「武道対決!」

「お勉強対決!」

次々にプリキュアたちの得意な課題にさしかかり、難なくクリアされてしまった。

とはいえ。

「土器修復対決!割れた土器を元通りに直せたらクリアだよ」

要するに立体パズルのようなものなのだが、ここにいる(・・・・・)プリキュア(・・・・・)たちは(・・・)、誰も土器の修復などという根気のいる作業は経験したことがなかった。

そのため、誰がいくか、戸惑い、迷っていたが。

「……ったく、情けない……これくらい、ルミナスとレモネードはともかく、ムーンライトはできるだろうが」

と、ガリガリと苛立たし気に頭をかきむしりながら、セイバーが前に進み出た。

とはいえ、さすがにムーンライトでも、今回のステージには自信がないらしく。

「……こればかりはあなたに任せるわ。セイバー」

とムーンライトも半ば当たり前のようにセイバーに投げた。

バトンを投げ渡されたセイバーは、やれやれと頭をかきながら、回答者の席に座った。

「先に正しく土器を直せた方が勝ちだよ~?」

その瞬間、トイマジンがひくひくと頬を引きつらせるような笑みを浮かべながら、競技説明をし、スタートの合図を出した。

その瞬間、セイバーは土器の欠片に集中し、動きを見せなかった。

その間にも、呼び出されたザケンナーがてきぱきと土器の修復に取り掛かっていたが、途中で行き詰まり、ああでもない、こうでもない、と悩み始めた。

その瞬間、セイバーの手が動いた。

雄叫びを上げるわけでもなく、ただただ黙々と、それこそ、誰の忠告も助言も必要ないといわんばかりの勢いで、土器を修復していき。

「……土器修復対決……って、なんでさっ?!」

五分とかからないうちに、それこそ、某空の盗賊団の女首領の名セリフ、「四十秒で支度しなっ!」、を余裕で上回る速度で土器を修復させた。

出てきた課題が土器修復であったことに対してなのか、ツッコミながら叫ぶセイバーであったが、途中からどれがどこに当てはまるものなかのわからなくなったザケンナーが頭を抱えながら消滅し、その空間から脱出した。

もとのすごろくのステージに戻されたプリキュアとセイバーであったが、もうそろそろゴールに到達できるというところまできた。

「よっしゃ!セイバーの協力もあって、すんなりここまで行けたよ!!」

「このままゴールを目指すだけね!!」

「見てください!あと六マスでゴールです!!」

と、感激の声を上げ、ゴールを指さすメンバーがいる一方で。

「……ま、そう簡単に行かせちゃくれないんだろうけどな」

「そうね」

セイバーとムーンライトだけが、トイマジンとサラマンダー男爵のしつこさに理解を示しているようなセリフを口にした。

実際問題、彼女たちの目の前にはサラマンダー男爵とトイマジンが姿を現していた。

どうやら、とことんまで妨害することに決めたようだ。

その証拠に。

「もうサイコロは振らせないもんね~!」

トイマジンの手にはいままでレモネードが振っていたサイコロがあった。

それを見たローズは、ずるい、と叫んでいたが、そんなことは聞く耳もつはずもなく、トイマジンと男爵は容赦なく攻撃をしかけてきた。

「くっ……要はサイコロを振って、ゴールにいくことができればいいのだけれど」

「数秒、あいつを止められたら……」

トイマジンとサラマンダー男爵の猛攻を受けながら、どうにか打開策を見いだそうとムーンライトとサンシャインが話をしていると、ルミナスは妙案を思い付いたらしく。

「その役、わたしに任せてください!いいこと思いつきました!!」

「何をしようとしてるかは知らないが!!」

「させないぞっ!!」

ルミナスが策を実行しようとした瞬間、男爵とトイマジンは同時に動きだし、ルミナスに向かっていった。

当然、ルミナスの邪魔をさせるほど、プリキュアもセイバーも甘くはなく。

「させるかっ!!」

「「ルミナスの邪魔はさせないっ!」」

向かってきた男爵とトイマジンを思い切り吹き飛ばした。

すると、トイマジンが持っていたサイコロがポロリとプリキュアたちの止まっているマス目に落ちてきた。

それと同時に。

「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」

ルミナスは吹き飛んでいった二人の進行方向に、七色の光の壁を作り上げた。

当然、二人は壁に激突し、マス目に落ちた。

「な、なんだ?!体が動かない!!」

「これ、一回休み、でどうでしょうか?」

動けずに困惑しているトイマジンをよそに、ルミナスが苦笑を浮かべながらそう問いかけてきた。

「なるほど!!」

「すごいわ、ルミナス!!」

と、ルミナスを褒めたたえる声が響いてきた。

だが当然、トイマジンはそれに反論してくるわけで。

「コラー!待てー!!ずるいぞ!!」

と叫んでいたのだが、セイバーとローズが同時に反論した。

「いや、先にずるしたあんたに言われたかない」

「それに、わたしたちは(・・・・・・)ずるしてないわよ!」

「な、なにっ?!」

「いや、だってそこ、一回休みのマスだし」

セイバーとローズがそう言いながら二人が止まっているマスを指さした。

そこにはたしかに、一回休みの文字が記されていた。

驚愕する二人をよそに、レモネードがサイコロを手に取り、思いっきり振った。

サイコロは空中を舞い、やがてマス目に落ちると、見事、六の出目を出した。

『やったっ!ゴール!!』

「よしっ!!」

「な、なにぃーーーーーっ?!」

三者三様の声を上げながら、すごろくの世界に金色の光があふれ、その場にいた全員が姿を消した。



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世界をつなぐ虹色の花~Ep.4:全員再集合!これがプリキュアの力です!!~

タイトルからセイバーが消えてしまったよ……
ちょっと長くなったので、区切りました。
次回、最終決戦です。
とはいえ……これなぁ、最後のセイバーの選択、元ネタ(TOZ)を意識したんですが、ちとやりすぎかなぁ……


みなとみらいのショッピングモール前。

最初にプリキュアたちとセイバーが変身し、復活した敵と対峙した場所では、妖精たちがプリキュアの生還を待っていた。

ふと、上空の三か所が同時にひび割れ、次の瞬間、巨大な爆発とともに、プリキュアたちとセイバーが飛びだしてきた。

『プリキュア!セイバー!!』

プリキュアたちの無事な姿に、妖精たちは歓喜の声を上げた。

だが、喜んでばかりもいられない。

プリキュアたちが帰還したと同時に、魔女たちもこちら側に戻ってきてしまったのだ。

「おのれ、プリキュア……ブラックホール様の力の前に、ひれ伏すがいい!!」

怒号を上げながら、魔女はその全身に闇の力をまとった。

その瞬間、魔女の姿はより禍々しく、より凶悪なものへと変わった。

だが、その姿を見てひるむプリキュアたちではなかった。

「これ以上、あなたたちの好きにはさせません!」

ブロッサムが啖呵を切ると、ブラックとホワイトが手をつなぎ、魔女に向かって走りだした。

「プリキュアの美しき魂が!!」

「邪悪な心を打ち砕くっ!!」

「「プリキュア!マーブルスクリュー……マックス!!」」

白と黒、二つの光がらせんのように絡み合い、二人の手から放たれた。

その光に飲まれ、魔女は悲鳴を上げながら姿を消した。

一方、上空では、ブルームとイーグレットがブライトとウィンディに変身し、精霊たちの力を集め始めていた。

「精霊の光よ!生命(いのち)の輝きよ!!」

「希望へ導け!二つの心!!」

「「プリキュア!スパイラルスター!スプラッシュ!!」」

「ぐぅっ!!……な、なにぃぃぃぃぃぃぃっ??!!」

二人から放たれた精霊の光が、牛頭鬼を思わせる姿に変わったサーロインを呑みこんだ。

サーロインは、まさか二度も同じ技を受け、消滅するとは思わなかったのか、悲鳴を上げながら光の渦の中にその姿を消した。

別の場所では、ドリームたちがムシバーンと戦闘を繰り広げていた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

ムシバーンは雄叫びを上げると、腰に差していた筒を引き抜き、光刃を発生させ、ドリームたちにむかっていった。

「プリキュア!サファイアアロー!!」

「プリキュア!エメラルドソーサー!!」

「プリキュア!ファイヤーストライク!!」

アクア、ミント、ルージュが次々にムシバーンにむかって必殺技を繰り出していったが、それらすべてをムシバーンは手にした光刃剣で切り裂いていった。

ファイヤーストライクを切り伏せ、思い切り地面を蹴って空中から攻撃をしかけようとしたその瞬間。

「プリキュア!プリズムチェーン!!」

レモネードがプリズムチェーンを放ち、ムシバーンを拘束した。

その拘束を無理やりに破壊したムシバーンだったが。

「プリキュア!シューティングスター!!」

ドリームの必殺技を防御することはできず、消滅してしまった。

そして、そこから少し離れた場所では。

「うおぉぉぉぉぉっ!!」

トイマジンが空中で雄叫びを上げ、黒い巨大な熊のような姿へと変えていた。

そんなトイマジンにむかって、ピーチたちがむかっていった。

「幸せになったトイマジンの姿を利用するなんて、絶対に許さないんだから!!」

ピーチがそう叫ぶと、パッションが胸元に両手をかざし、光の力を集めた。

「ハピネスリーフ!セット!!……パイン!!」

赤い輝きを放つハートをパインに向かって投げつけると、パインは走りながらそれを受け取った。

その瞬間、今度は黄色い輝きを放つハートがセットされた。

「プレアリーフ!……ベリー!!」

「エスポワールリーフ!……ピーチ!!」

パインから投げ渡されたリーフをベリーが受け取った瞬間、青い輝きを放つハートがセットされた。

続けて、ベリーはピーチに向かってそのリーフを投げた。

「ラブリーリーフ!!はっ!!」

ベリーから渡されたリーフを受け取った瞬間、今度はピンク色の光を放つハートがセットされ、四葉のクローバーのような形へと変わった。

ピーチは四っつの光を放つリーフをトイマジンに向かって投げつけた。

すると、リーフが突然巨大化しだ。

「「「「ラッキークローバー!グランドフィナーレ!!」」」」

巨大化したリーフから光があふれ、トイマジンを包みこんでいった。

トイマジンを包んだ光はクリスタルのような壁を造りあげた。

壁の内側で、トイマジンは光の中へと消えていった。

そしてこちらでも。

「サラマンダー男爵の姿を使っての悪行の数々!わたし……堪忍袋の緒が切れましったっ!!」

「出ました!堪忍袋っ!!」

ブロッサムたちがサラマンダー男爵と対峙していた。

男爵はその身体を本体であるドラゴンへと姿を変え、ブロッサムたちへとむかっていった。

だが。

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「ユグドフォルテウェーブ!!」

セイバーとムーンライトの同時攻撃により、態勢を崩されてしまった。

その隙を見て、サンシャインは心の花の光をかき集め、太陽を作りあげた。

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

その太陽の中に、ブロッサムとマリンがフォルテッシモで突っ込んだ。

太陽の中で、ブロッサムとマリンは金色の光をまとった。

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

ムーンライトとセイバーが復活するまでの間に編み出した、三人の合体必殺技はサラマンダー男爵に命中し、一瞬で浄化してしまった。

そして、こちらでも。

「「フリージング!ブリザード!!」」

「「プリキュア!パッショナート!ハーモニー!!」」

フリーズンとフローズンのコンビの攻撃とメロディとリズムのコンビの攻撃がせめぎ合っていた。

だが、一瞬でメロディとリズムの放った光が、フリーズンフローズンの冷気を呑みこんでいった。

「ば、ばかな!!」

「俺たちは最強コンビだというのに!!」

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

負けるはずがない、そう確信していた二人だったが、プリキュアが放った光に飲みこまれ、その姿を消した。

「最強のコンビはわたしたちみんなに決まってるじゃない!」

肩で息をしながらも、メロディが消滅したフリーズンフローズンに告げた。

その言葉に、妖精たちは歓声を上げ、プリキュアたちの顔には笑顔が浮かんだ。

だが、それもすぐに驚愕へと変わった。

空が突然、赤黒い光に覆われ、不気味な風が巻き起こってきた。

《我が名はブラックホール……すべてを闇に!すべてを暗黒の世界に!!》

上空からおどろおどろしい声が響いてきた。

その声は、自らブラックホールと名乗っていた。

姿なき声の主を探し、プリキュアたちはあたりを見回したが、あたりにそれらしき姿はない。

「どこっ?!どこにいるの?!」

「ま、まさか……宇宙?!」

その答えは正しかった。

成層圏を超えた無重力圏に、ブラックホールはいた。

そして、その位置から、地球にいる自分の敵に向けて攻撃をしかけてきた。

「まずい!!穢れなき約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!!」

「セイバー?!」

セイバーが何かに気づき、飛翔状態へと姿を変えると、プリキュアたちの前へ出た。

その瞬間、空の向こうから巨大な黒い光が降り注いできた。

「おぉぉぉぉぉぉっ!!獅吼戦花(しこうせんか)!!」

降り注いできた巨大な光の柱にむかって、セイバーは自身の心の花の力と闘気を両手にまとわせ、突き出した。

その瞬間、菖の心の花の力と闘気は青白い光へ変わり、牙を剝く獅子の顔へと変化し、光の柱とぶつかった。

《無駄だ!貴様一人で、我が力を受け止められると思うなっ!!》

「そんなこと、やってみないとわからないだろっ!!」

セイバーはブラックホールに叫び返した。

セイバーの放った技と、ブラックホールが放った衝撃波は拮抗していた。

だが、やはり放っているエネルギーの質量で差が開いてしまった。

抵抗かなわず、セイバーはブラックホールが放った衝撃波に飲まれ、吹き飛ばされてしまった。

そして、その余波は当然、地上にいたプリキュアたちにも襲い掛かってきた。

抵抗する暇もないまま、プリキュアたちは吹き飛ばされ、変身アイテムもその力を失い、変身を強制解除させられてしまった。

「そ、そんな!!」

「プリキュアの力が……」

「変身が解かれるなんて?!」

「……っ!!セイバーは?!」

「菖っ!!」

「菖!!お願い、返事をして!!菖っ!!」

変身が強制解除させられたことよりも、ブラックホールからの攻撃の最前線にいて、真っ先に吹き飛ばされてしまった菖の安否を気遣い、ゆりとコロンが叫び、菖のもとへと駆け寄ってきた。

ボロボロではあったが、菖は顔をしかめながらどうにか立ち上がろうとしていた。

だが、プリキュアたちと同じく、菖も変身を強制解除させられてしまっていた。

変身が強制解除されたことだけでなく、プリキュアとしての力も消滅してしまったことに右往左往していると、上空から金色の光が降り注いできた。

見上げると、そこには巨大な金色の光を放つ花があった。

「……大きい……これが、プリズムフラワー……」

「巨大な雲の中に隠れていたんだニャ!!」

プリキュアたちも妖精たちも、その巨大さに驚愕していると、ブラックホールが動き出した。

《見つけたぞ、プリズムフラワー!!光の力、消し去ってくれる!!》

ブラックホールの力が、徐々にプリズムフラワーを覆い始めた。

このままでは、世界は闇に染まってしまう。だが、プリキュアとしての力も変身アイテムも失ってしまった今の自分たちにはどうしようもできない。

誰もが諦めかけたそのとき、つぼみだけはまだ諦めていなかった。

「まだですっ!プリズムフラワーはまだ光を失っていないじゃないですか!きっと、まだ……」

方法はあるはず。

だが、今の自分たちに、プリキュアの力はない。

どうにかしたくても、方法がない。

もはや、自分たちには諦める以外の選択肢がないのか。

つぼみも絶望しかけたその時。

「一つだけ……一つだけ、方法があるナツ……」

ナッツの口から、希望につながる言葉が出てきた。

その方法とは、わずかに残っているプリズムフラワーの光の力を使うことだった。

プリズムフラワーの残された光の力を使えば、最後にもう一度だけ、変身することができる。

だが、それは同時に。

「それを使ってしまったら、プリズムフラワーの力は全部なくなってしまうナツ!」

「……もし、プリズムフラワーの力がなくなったら、ココたち妖精の住む世界とのぞみたち人間の住むこの世界をつなげることができなくなるココ……」

「それって、どうなるの?」

「みんなと……お別れになるココ……」

「……え?」

ココの口から出てきた突然の言葉に、つぼみは呆然としてしまった。

プリズムフラワーは、その光の力で人間の世界と妖精の世界を結んでいる。もしプリズムフラワーがなくなれば、妖精は自分の世界に引き戻され、二度と、人間の世界に行くことができなくなってしまう。

それは、プリキュアたちと妖精たちが永遠に離れ離れになることを意味していた。

「せやかて、このままブラックホールを放っといたら、全部の世界が!!」

「嫌ポポ!!」

誰もが驚愕する中、タルトは世界を救うための選択を手放すつもりがなかった。だが、その言葉を遮るように、ポルンが叫んだ。

「お別れ、嫌ポポ……嫌ポポ嫌ポポ~ッ!!」

ポルンが泣きながら叫ぶその言葉をきっかけに、妖精たちもプリキュアも、自分のパートナーと別れたくないという想いがあふれだしてきた。

「……世界を取るか、みんなと一緒にいることを取るか……本当に、それだけしかないのか?」

プリキュアたちと妖精たちが泣いている声を聞きながら、菖はぽつりとつぶやいた。

パートナーと別れるのは、確かに嫌だ。けれども、このままブラックホールを放っておいても、世界がめちゃくちゃにされてしまう。

世界とパートナーたち(大切な友達)とを天秤にかけているのだ。迷ってしまうのは、仕方のないこと。

それは、菖もわかっていた。

どちらを取っても、彼女たちにとって悲しい結末を迎えることに変わりはない。

ならば。

「……もしかして、この方法なら……」

「菖……?」

何かを思い付いたかのような菖の呟きを聞いたゆりは、コロンを抱えたまま、菖のほうへ視線を向けた。

菖はなにも答えることのないまま、ゆりに抱きかかえられているコロンの頭をそっとなでた。

「……なぁ、ナッツ……プリズムフラワーの力を使わなければ、変身ができないってことは、それに代わるだけの大きな力さえあれば、変身はできるってことだよな?」

菖はココとナッツに視線を送りながら、そう問いかけた。

「そ、それは……」

「その通りココ。けど、それだけの力は……」

「あるじゃないか。世界のルールすら変えられる力が、一つだけ……けど、たぶん、それをできるのは、()()()()()()()()()()()()()()、俺だけなんだろうけど」

菖は真剣な表情のまま、ココの反論に返した。

世界のルールすら変える可能性を持っている、一人に一つだけ持っている力。

それが、何をさしているのか、ゆりとコロンはすぐに理解できた。

「なっ?!正気か、君は!!」

「そんなことをしたら、あなたは!!」

「え?……ど、どういうこと、ですか?」

コロンとゆりが激しく動揺していることに気づいたつぼみは、二人に問いかけた。

つぼみの問いかけに返ってきたゆりの答えは、世界を滅ぼさせるか、パートナーと別れるか、その二つの選択よりももっと残酷な選択肢だった。



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世界をつなぐ虹色の花~Ep.5:最後の変身……さよなら、妖精たち!~

やぁっと終わったぁ……
若干、本編と違うシーンはありますが、ご容赦を。

菖「で、これが終わったら今度はNSか?」
斗真「う~ん、NSにも手を出すけど、その前にHuGっと!組との顔合わせが書けそうな気がするのよねぇ……」
ゆり「あら?映画は観にいかないの?」
斗真「……田舎町なもんで……」

ひとまず、三人がそろったあたりから、顔合わせスキットを書き始めようかなと思っています。


ブラックホールの力によって蘇った敵を撃退したプリキュアたちとセイバーだったが、ブラックホールからの攻撃でプリキュアとしての力も変身アイテムも失い、対抗手段を失ってしまった。

唯一、もう一度戦うことができる方法は、残されたプリズムフラワーの光の力すべてを使うことだったのだが、それは同時に、妖精たちとの別れを意味していた。

だが、そんな中で菖は、自分だけにしかできない別の選択肢を導き出していた。

それは。

「自分の命を変身のための力に変えるつもりなのよ!」

「じ、自分の命を?!」

「け、けどそんなこと……」

「できるのよ、菖は……だって、変身のために必要な力は、彼の体に宿っているんだもの!」

以前、砂漠の使徒との最終決戦の時、セイバーの変身アイテムである手袋がぼろぼろになり、消滅してしまったことがある。

だが、その時に身につけていた心の大樹の力が込められた羽飾りが残っていたおかげで、再びユグドセイバーに変身することができたのだ。

そして、菖の体にはいまも、その力が残っている。

そのため、一応、手袋がなくてもユグドセイバーに変身することはできるのだ。

だが、プリズムフラワーが弱り切っている以上、菖の中に残っている大樹の力だけで変身することはできない。

ならば、それを補てんするための力をどこからか捻出するしかない。

菖が導き出したその答えは、自分の命を使うというだった。

「そ、そんなっ!!」

「だめだよ、そんなの!絶対!!」

「けれど!どっちも選ばないなら、それなりの覚悟と代償を払わないといけないだろ??!!俺が持ち合わせているもので、そんなことができるのはもう俺自身の命しか残ってないんだ!!」

当然、その場にいる全員が菖の選択に反対した。

自分の命を投げ出してまで世界を救おうとする、それは物語であれば美徳なのだろうが、ここは現実の世界。

その選択肢の先にある結果を、菖も知らないはずがなかった。

それでも、菖は世界を守り、妖精たちとも別れないですむ方法を取ろうとしているのだ。

「……どうして……どうして、自分の命を簡単にかけようなんて思うんですか?!」

つぼみが涙を浮かべながら、菖にそう問いかけた。

まるで、思い止まってほしいと願うかのように。

だが、菖はゆりに抱かれているコロンの頭に手を置きながら、穏やかな顔で返した。

「みんなが悲しむ結末なんて俺はごめんだ。だからって世界をあんな奴の好き勝手にさせることも我慢ならない」

それに、と菖はプリキュアたちに視線を向け、その瞳に強い意思を込めて続けた。

「……未来を決めるのは、この瞬間に選んだこと("今"の選択)だ……みんながどんな選択をするとしても、俺は反対しないし、反論もしない。けど、俺はこの世界の未来をあきらめたくないから、どんな手段を使ってでもあいつを止めるってだけ。だから、俺が選ぶことができる選択肢を選んだってだけだよ」

それに、と照れくさそうに笑いながら、菖は続けた。

「ただでさえ時間がないのに、あぁでもないこうでもないってうだうだ考えるくらいなら、俺は半歩でも先に進むことができる選択をする!」

その言葉に、響の脳裏になぎさたちが言っていた言葉が浮かびあがってきた。

『どうやったら、ここから抜け出せるかまでは、わからない……けど!』

『でも、前進あるのみ!!』

『立ち止まってちゃ、何も始まらない!』

『わたしたちは、いつだってそうやってきたんだから!!』

それは、自分が諦めそうになったとき、先輩のプリキュアたちがかけてくれた励ましの言葉(エール)だった。

「そう……だよね……進まなきゃ……」

ハミィを抱きかかえながら、響は立ち上がった。

「立ち止まってちゃ、何も始まらないんでしょ?!まっすぐ、前進あるのみだって、さっきみんなが言ってたじゃない!!……わたし、奏がいなくて、凄く心細かったけど……」

そう言いながら、響は涙をにじませながら、微笑みを浮かべた。

「みんながわたしの手を取って一緒に前に進んでくれたから、頑張れた!」

その言葉に、今度は奏の脳裏に、先輩プリキュアの言葉が蘇った。

『わたしが大変なとき、いつもブルームはわたしの手を取って、一緒に前に進んでくれた!!』

『わたしたちは自分のパートナーを、みんなを信じてる!!』

『たとえ目の前にいなく手も、お互いを想うことはできる!お互いを想うことができれば、気持ちはつながる!!』

『わたしたちは、離れていてもいつも一緒なの!!』

「……そうだった……気持ちがつながっていれば、離れていてもいつも一緒……みんながさっきそう教えてくれた!」

響と奏の言葉に、なぎさたちは自分たちが言ったことを思い出し、はっとなった。

ほんの少しでも、前に進む力が、自分たちにも残っている。それなら、自分たちがなんとかしなければ。

その意気込みが、先輩プリキュアたちに次々に伝わっていき。

「どこにいたって、わたしたちはみんな……ずっとずっと、ず~~~~~っと!友達です!!」

みんなの顔に笑顔が戻り、絶望の淵から戻ってきた。

同時に、プリキュアたちはブラックホールへと視線を向けていた。

「わたしたちの気持ちは、いつでも一緒!!」

「心がつながっていれば、怖いものなんて、なにもない!!」

「わたしたちは、今で着ることを精いっぱい頑張ります!」

「わたしたちの世界を、闇に呑みこませやしない!!」

「わたしたちは絶対に……」

『諦めない!!』

菖はその様子を見て、薄く笑みを浮かべた。

――ようやく覚悟が決まった、か……まったく、ちょっとばかり遅いぞ?みんな

正直なところ、菖はこれでつぼみたちが立ちあがらなかったら、本当に自分一人で飛びだしていくつもりだった。

だが、ほんの少し。砂粒一つ分くらいは、もしかしたら立ち直ってくれる可能性くらいあるのではないか、とどこか期待していたのだ。

「……どうしたんだい?菖。なんだか、ほっとしたような顔をしてるけど」

「うん?……あぁ、覚悟はできてるんだけど、やぱりみんなが立ちあがってくれたことにほっとしちゃってさ」

「……もしかしなくても、君、こうなることを期待してたのかい?」

「さぁ?どうだろう?」

「まったく……」

いつの間にか近づいてきていたコロンと、そんな問答をしていると、コロンは不意に黙ってしまった。

彼が何を想っているのか、なんとなく察したコロンは呆れたようなため息をついた。

だが、その表情はどこか寂しそうであった。

「なんだよ、その顔は……もう会えないってわけじゃないだろ?」

「けれど!!」

「人間の世界と妖精の世界はつながらないわけじゃない。きっと、(いにしえ)の時代、魔法使いって呼ばれた人達はお前たち妖精の協力があって、いろんな奇跡を起こしたんじゃないか?」

「それは……そうかもしれないけれど!それはあくまで物語や伝承のことであって、現実のことじゃ……」

「火のない所に煙は立たない。できないんじゃない、できた人間がいなかっただけなんじゃないのか?だったら、俺は俺たちの世界とお前たちの世界が、もう一度つながる可能性を信じる!」

そう言う菖の目尻からも、わずかながら光るものがあった。

菖とて、コロンたちとの別れが悲しいわけがない、寂しいわけがない。だが、それでも笑顔を浮かべることができるのは、もう一度、自分たちの世界がつながることを、再会できることを信じているからにほかならなかった。

「……じゃあな、友よ」

「あぁ……またいつか」

菖とコロンは互いの拳をぶつけあい、別れの挨拶を済ませた。

そして、すべてを吹っ切ったかのように、覚悟を秘めた表情になり、ブラックホールへと視線を向けた。

《馬鹿め!もう手遅れだ!!》

だが、ブラックホールは最後の希望であったプリズムフラワーを粉々に砕いてしまった。

その光景に、プリキュアたちは呆然としてしまった。

遅かったのか、誰もが思ったその時だった。

砕けたプリズムフラワーが、流星のように降り注ぎ、妖精たちが手にしていたミラクルライトに光が灯った。

妖精たちは光が灯ったミラクルライトを掲げた。

「プリキュアとセイバーに力を!!」

と一斉に願ったその瞬間、プリキュアたちとセイバーの足元に温かな光があふれだした。

その光につつまれ、プリキュアたちとセイバーは最強フォームへと変身した。

「わたしたちの最後の力!!」

『受けてみなさい!!』

プリキュアたちがブラックホールにむかってそう叫ぶと、ブラックホールは自身の闇の力を再び、地球に向けて解き放とうとした。

だが、それよりも一瞬早く、プリキュアたちが必殺技を放った。

「漲る勇気!」

「溢れる希望!」

「光輝く、絆とともに!!」

「「エキストリーム!」」

「ルミナリオ!!」

「精霊の光よ、生命の輝きよ!!」

「希望へ導け、二つの心!!」

「「プリキュア!スパイラルハート!スプラッシュ!!」」

「「「「「五つの光に勇気を乗せて!プリキュア!レインボーローズ!エクスプロージョン!!」」」」」

「邪悪な力を包みこむ、煌めく薔薇を咲かせましょう!ミルキィローズ!メタルブリザード!!」

「プリキュア!ラブサンシャイン!」

「エスポワールシャワー!」

「ヒーリングブレア!」

「「「フレッシュ!!」」」

「プリキュア!ハピネスハリケーン!!」

「「「「花よ、咲き誇れ!プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!」」」」

「俺のすべてで、悪しきを断つ!!ハートライト・レクイエム!!」

「「かけめぐれ!トーンのリング!!プリキュア!ミュージックロンド!!」」

全員の必殺技が、虹色の光となって空へと昇っていき、宇宙にいるブラックホールへと届いた。

だが、ブラックホールは自身の闇の力で、その光を全力で防いだ。

《すべての光を呑みこむ、このブラックホールの前では、お前たちなど無力だ!!》

「何があっても、わたしたちの心は暗闇に呑みこまれたりしないっ!!」

「どんな時も、わたしたちの心の光は、明日を目指して輝くのっ!!」

「たくさんの素敵な出会いが、大きな成長と、新しい旅立ちにつながっていく!!」

「わたしたちは決して立ち止まらない!たとえ、大きな困難にぶつかっても!」

「大好きなみんなと歩みたい!光輝く未来は、絶対に手放しません!!」

絶望の淵から立ちあがったプリキュアたちの、本心の言葉がそこにあった。

だが、彼女たちとは対となる存在であるブラックホールはそれを否定した。

《くだらんっ!たとえそれが叶ったとして、お前たちはもうバラバラなのだぞ?!》

「ハミィたち妖精とわたしたちは、お互いを想い合う心でつながっているの!」

「絶対に負けない!何があったってわたしたちは、まっすぐ自分たちの明日へと……進んでいくんだから!!」

メロディとリズムの言葉で、プリキュアたちの放つ光はより一層、強さを増した。

その光の強さに、ブラックホールは驚愕した。

《なにっ?!……そ、そんな……まさかあぁぁぁぁぁぁっ!!》

ブラックホールは悲鳴を上げながら、光の中へと消えていった。

ブラックホールが消滅すると、上空には青空が広がり、プリキュアたちも、セイバーも変身が解除され、元の姿に戻っていた。

周囲を見渡すが、そこに妖精たちの姿はなかった。

それがわかると、誰からとなく涙を流し始めた。

菖もまた、涙こそ流さなかったが、目を細め、どこか寂しいそうな表情で空を見上げていた。

すると、菖の背中と胸に飛びこんでくるものがあった。

「……ゆり、つぼみ……」

「ごめんなさい。菖……でも、いまはせめてこのまま……」

「……すみません、菖さん……でも、少しだけ、このままでいさせてください……」

飛びこんできたのは、ゆりとつぼみだった。

あれだけ啖呵を切ったのはいいが、いざ別れるとなると、やはり耐えられなかったようだ。

その気持ちがわかった菖は、そっとつぼみの頭をなで、回されてきたゆりの手に自分の手を重ねながら、二人の好きなようにさせていた。

----------------------------

それから数日して、響たちは桜が咲き誇る丘の上で花見に来ていた。

だが、やはりまだハミィたちとの別れをひきずっているらしい響は、心ここにあらず、という状態だった。

「響っ!そっちいったよ~!!」

「へ?……ふばっ?!」

えりかの呼びかけでようやく我に帰った響だったが、飛んできたバレーボールを受け止めることができず、顔面キャッチしてしまい、尻餅をついてしまった。

「大丈夫ですかっ?!」

「どーしたのよ?ボーっとしちゃって」

かけよってきたつぼみとえりかがそう問いかけると、少し寂しそうな顔で響は、ごめん、と謝ってきた。

「ハミィたち、今頃、どうしてるかなって考えちゃって」

「それは言わない約束でしょ!」

「大丈夫!きっと楽しくやってるよ!」

「そうそう!」

「わたしたちみたいに!」

「「「ね~っ!」」」

ある意味、かなりお気楽な返答ではあったが、その表情の奥に悲しみが隠しきれていなかった。

やはり、まだ少しだけ、別れをひきずっているようだ。

ふと、空を見ると、大きな虹がかかっていた。

「雨も降ってないのに……きれい……」

「はい……」

虹の美しさに見とれてながら、ゆりとつぼみが呟くと、菖は穏やかな顔つきで、そういえば、と呟いた。

「……虹は古来、現世と別世界をつなぐ橋って考えられていたんだっけな」

「じゃあ、もしかして……」

「まさか、そんなこと……」

もしかしたら、妖精たちの世界と自分たちの世界がいま、つながったのかもしれない。

だが、そんなことはありえない、そう思った矢先だった。

空から突然、何かがこちらに落ちてきたのだ。

「み、見て!」

「あれって、もしかして!!」

落ちてきたもの、それが妖精たちであることがわかると、響たちの顔に笑顔が浮かんだ。

ハミィにミップル、メップル。ポルンにルルン、チョッピとフラッピ、ココ、ナッツ、シロップにミルク。タルト、シフォン。そして。

「シプレ!」

「つぼみ!会いたかったですぅ!」

つぼみのパートナー、シプレも一緒に戻ってきた。

シプレがつぼみの胸に飛びこんでくると、つぼみはぎゅっとシプレを抱きしめた。

「でも、どうして?」

「心の大樹に虹の種が生まれて、新しいプリズムフラワーが咲いたんですぅ!」

そう言われて、菖は初めて、自分の中に温かな力が流れ込んできていることに気づいた。

どうやら、心の大樹もこの世界に戻ってくることができたようだ。

「それじゃあ!」

「これからは、ずっと一緒ですぅ!!」

妖精たちとまた一緒に過ごすことができる。

それを知ったプリキュアたちの顔には、明るい笑顔が輝いていた。



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夏祭りの事件!ゆりさんと菖さんが秘密のデート、ですか?!

季節は初夏というか梅雨時というかなんですが、まぁ、お祭りです。
お祭りと言ったら、浴衣ですね。
といっても、ハートキャッチチームのしか描写はしませんが。(^^;
なお、メンバーが少し多いので、セリフが割り当てられていない子もいますが、ご容赦を。
……まぁ、セリフを割り当てられない主な子たちは妖精だったりするですが(汗


夏のある日。

えりかは興奮気味な様子で、いつものメンバー(つぼみたち)に提案した。

「夏祭り!一緒に行こう!!プリキュアのみんなも呼んで!!」

その手には、希望ヶ花市にある唯一の神社、希望ヶ花神社で行われる夏祭り開催を知らせるチラシがあった。

どうやら、他のプリキュアのメンバーも呼んで夏祭りに参加したいようだ。

つぼみといつき、そしてゆりもそれには乗り気だったが、唯一、菖は苦笑しながら謝ってきた。

「ごめん、その日は俺、無理だわ」

「「「え~~~~~~~??!!」」」

「あら?何か用事でもあったの??」

中学生組は菖のその一言に大声を上げてしまったが、ゆりはきょとんとした顔で菖に問いかけた。

「つぼみたちはともかく、なんでゆりが聞くかなぁ……というか、ゆりにも手伝ってほしいんだけど?」

「あら?まるでわたしだけは知ってい……あぁ、そういうことね」

ゆりはまるで納得したかのようにうなずいた。

「それで?わたしは何を手伝えばいいの?」

「細かいことはじぃじに聞いてほしいから、帰りにうちに寄ってくれないか?俺も自分のことで手がいっぱいでさ」

「わかったわ。それなら、あまり日もないから、今日はお暇するわ」

二人だけでとんとん拍子に話が進んでいき、つぼみたちは結局、質問する間もなく、菖とゆりは帰宅してしまった。

「……な、なんだったんでしょう?」

「「さぁ?」」

残されたつぼみたちは、突風のような出来事にただ呆然としていた。

------------------------

チラシに記された夏祭りの当日。

夕方になって、つぼみたちは待ち合わせ場所である神社の鳥居の前にいた。

なお、つぼみは桜吹雪の浴衣を、えりかはコスモス模様の浴衣を、いつきは向日葵模様の浴衣を着ていた。

なお、これは既製品ではなく、エリカが自ら作ったのであるから驚きである。

いや、ファッションのことならなんでもどんと来い、と鼻高々に宣言するえりかであるから、驚きはあまり大きくはないのだが。

もっとも、つぼみは純粋にすごいと思っているらしく。

「けど、えりかはやっぱりすごいです!洋服だけじゃなくて浴衣も作れるなんて」

と称賛していた。

大親友からの称賛に、えりかは胸を張っていた。

すると、駅の方から聞きなれた声が聞こえてきた。

「「お~い!」」

「久しぶりなり~~!!」

「「ヤッホー!」」

つぼみたちが声の下方向へ目を向けると、そこには浴衣を着たなぎさたちが駆け寄ってきていた。

その中には、最近になって知り合った響、奏、エレン、アコ(スイートプリキュア)の四人の姿もあった。

「みなさん!お久しぶりです!!」

「やっほ~!」

「久しぶり、みんな」

なぎさたちと挨拶を交わすと、つぼみたちは鳥居をくぐり、神社の境内へと入っていった。

境内には、様々な屋台が所狭しと並んでいた。

つぼみたちは互いにはぐれないようにしながら、屋台を楽しんでいた。

特に、なぎさ、咲、のぞみ、うらら、ラブ、響の大喰らいたちはお小遣いが許す範囲で屋台のものを次から次に食べていた。

あまり大食漢ではないつぼみたちはその様子を見ながら苦笑を浮かべていた。

ふと、ひかりとりん、かれんの三人はゆりと菖の姿がないことに気づいた。

「つぼみさん。菖さんとゆりさんは……」

「お二人でしたら、何やら用事があるようでして……」

つぼみがひかりの質問に答えると、エレンが何か思い至ることがあるらしく、まさか、とつぶやいた。

それに気づいたせつなは、怪訝な顔でエレンに問いかけた。

「エレン?どうしたのよ?」

「菖さんとゆりさん……もしかして、こっそりデート、だったり?」

『……えっ??!!』

エレンの突然の発言に、菖に淡い想いを寄せている少女たちは、目を見開き、ぎぎぎ、と音が鳴るほどゆっくりとエレンの方へ視線を向けてきた。

このメンバーの中で最もおとなしいつぼみもまた、某忍者の漫画に登場するくのいちのように、目の周囲に血管を浮き出たせていた。

つぼみのその顔が本気で怒ったときの顔だということを知っているえりかは、慌てふためいた。

「ちょ!エレン!!菖さんの話に『女の子とデート』ってワードは危険すぎっしゅ!!」

「にゃっ??!!」

「あぁ……菖さんの罪作りが……」

「恋する乙女にとっては確かに禁句ね」

えりかの反応に、エレンが猫のような悲鳴を上げて驚くと、りんやアコがため息をついて呆れたようにつぶやいた。

すると、彼女たちの耳に不思議な音色が響いてきた。

音が聞こえてきた方向へ目を向けると、そこにはこの神社の神楽殿があった。

そのうえには、一人の巫女と五人囃子がいた。

その巫女と五人囃子を見た少女たちは、驚愕で目を見開いた。

『ゆ、ゆりさん?!菖さん??!!』

そこにいたのは、用事と菖の手伝いで一緒に祭りに参加できないと言ってきた菖とゆりの二人だった。

 

ゆっくりと、しかし澄んだ音が神社の境内に響き渡っている。

その音色に合わせ、巫女装束に着替えたゆりが神楽鈴を手に神楽舞を踊っていた。

もともとが美人なゆりだが、その所作の一つ一つが洗練されていて、さらに神聖な雰囲気を醸し出していた。

舞い続けるゆりを前に、今にも人を殺しそうな雰囲気をまとっていたつぼみたちでさえ、ただ恍惚とした表情で舞い踊るゆりを見つめていた。

やがて、五人囃子が演奏を終えると、静かにゆりたちは神楽殿から立ち去っていった。

奉納演舞が終わっても、つぼみたちはその余韻に酔いしれ、その場に立ちつくしてしまっていた。

そんな彼女たちに声をかける男たちがいた。

どうやら、ナンパのようである。

「君たち、今、暇?」

「よかったら、俺らと回らない?」

「ていうか、君たちかわいいね~?」

いかにも『チャラい』雰囲気をまとっているその青年たちの言葉に、少女たちは呆れたといわんばかりのため息をついた。

そのため息が自分たちがかっこいいから出たため息と勘違いしたらしく、さらに調子づいた。

だが。

「いくらお祭りとはいえ、迷惑だと思わないのかしら?」

『ゆりさん!』

「あれ?さっき踊ってた巫女さん?君もよかったらどう?」

「ご遠慮させてもらうわ。わたし、あなたたちのような無粋な人達は嫌いなの」

ゆりもナンパしようとしたのか、青年の一人はゆりにも声をかけたが、冷たくあしらわれてしまった。

「それと、あまりわたしの友達に迷惑をかけないでくれる?正直、あなたたちの誰かと付き合うくらいなら、幼馴染の趣味に付き合うほうが千倍ましよ」

『はぁっ?!』

ゆりのさらなる反撃に、青年たちは堪忍袋の緒が切れたらしく、額に青筋を浮かべた。

だが、すぐに青年たちは顔を青くすることになった。

「神のおわす社の御前で何をやっておるか、痴れ者どもが!!」

雷鳴のような大声が、ゆりの背後から響いてきた。

そこには、浅葱の袴と白い衣を着た老人と紫と若葉色の狩衣を着た菖がいた。

いつもは穏やかな雰囲気をまとっている菖だったが、今回ばかりは普段と違う衣装をまとっているからなのか、厳かで、触れがたい雰囲気をまとっていた。

その菖が、ナンパ男たちに冷たい視線を向けたまま、口を開いた。

「さっさとここから立ち去れ。ほかの客に迷惑だ。それとも……大衆の前で赤っ恥をかきたいか?」

コキリ、と右手を鳴らし冷たく言い放った。

その言葉に、ナンパ男たちだけではなく、ゆり以外の少女たちまで背筋に冷たいものを感じた。

ナンパ男たちも目の前の老人だけならばまだしも、殺気を放っている菖を相手にして無事でいられる保証がないと本能で感じ取ったのか、すごすごと立ち去っていった。

「……まったく、昨今の若者は情けないのぉ。もうちっと気骨を見せんか」

「じぃじ、ここで喧嘩にでもなったらそれこそお客様に迷惑だって」

男たちが立ち去ると、菖にじぃじと呼ばれた老人はため息をついて呆れたように口を開いた。

その言葉に、菖は苦笑しながら返した。

もうすでに、さきほど放っていた殺気はしまいこまれている。

「ふふ、菖と仁頼さんの大立会い。ちょっと見てみたい気もしましたけど」

「めんどうだからやめてくれ」

いたずらな笑みを浮かべながら、ゆりがそう言うと、菖はげんなりとしながら返した。

すると、つぼみたちが菖とゆりに声をかけてきた。

「あの!菖さん!!ゆりさん!!」

「どうしたんですか?その格好」

「さっきの舞、とってもきれいでした!!」

「お手伝いって、神楽舞の巫女さんだったんですか?」

「ていうか」

「菖さん……」

『狩衣とっても似合います!!』

つぼみたちが次々に感想を口にしていると、菖とゆりはたじたじになった。

その様子に見かねた仁頼は。

(かーつ)っ!」

『――っ??!!』

「少しは落ち着きを持たんか!菖はともかく、ゆりちゃんが困っておろうに」

「……じぃじ、俺のことはいいのかよ……」

仁頼の言葉に、菖は苦笑を浮かべながら、祖父の自分に対する扱いに苦情を漏らしていた。

------------------------

それから数十分。

菖とゆりは浴衣に着替え、つぼみたちと合流した。

なお、菖は紺色の生地に白の格子縞の浴衣。ゆりは紫の生地に白百合が描かれた浴衣を着ていた。

なお、菖の帯には菖蒲の花の根付がついた扇子が、ゆりの手には白百合の模様が描かれた団扇があった。

「まさか、仁頼さんがわたしの分の浴衣も用意してくれてたなんて……でも、よかったの?これ、あなたのおばあさまの……」

「いいんじゃないか?ものは使われてこそってじぃじは言ってたし……それに、ゆりだったらばぁばも喜んで渡しただろうし」

なおも困惑しているゆりに、菖はにっこりと微笑みを向けた。

ゆりがいま着ている浴衣は、今は亡き仁頼の妻、つまり、菖の祖母が若い時に着ていたものだ。

仁頼曰く、昔のものを整理していたら出てきたのだが、菖の母は自分のものを持っているからゆりに着てほしい、とのころだった。

「……なら、いいのだけれど」

「それより、そろそろ行かないと、えりかたちがうるさくなると思うぞ?つぼみとか舞はともかくさ」

「……そうね」

菖の言葉にうなずき、ゆりは菖に続いて歩きだした。

その視線は、菖の左手に向けられていた。

幼い頃であれば、何のためらいもなく握っていた左手を。

――ちょっとくらいなら、いいわよね?

心のうちで呟き、ゆりは菖の左手にそっと手を伸ばし、握りしめた。

ゆりが自分の手を握ってきたことに気づいた菖は、少し驚いたように目を見開き、ゆりに視線を向けた。

ゆりは顔を少し赤くして、団扇で口元を隠しながら。

「……他意はないわよ?はぐれたら大変だもの」

「そうだな」

菖は、そう返して、ゆりの手を軽く握り返した。

「なんか、昔に戻ったみたいだな」

「……そうね」

菖のその一言に、ゆりは微笑みを浮かべながら、返した。

だが、その心中では、真正直に受け止めている菖に少しばかり苛立ちを覚えていた。

もっとも、それが菖なのだけれども、と諦めてもいたのだが。

なお、手をつないだままつぼみたちと合流した菖とゆりは、その後、えりかを中心にもう一度、質問という名の尋問を受けることになったのだが、それはまた別の話。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

えりか「で、菖さん、ゆりさん。どういうことなのか説明してほしいっしゅ!」
菖「うちは神社の管理を任されてるんだよ。雇われ神主みたいなもんでさ」
ゆり「で、毎年、この時期になると菖はいつも雅楽師として駆り出されるのよ」
つぼみ「そうだったんですか……」
くるみ「……あら?ということはゆりさんはどう関係してくるのかしら??」
こまち「巫女さんの格好をしていましたけど」
菖「あぁ、ゆりに舞手をお願いしたんだ」
舞「舞手、ですか?」
菖「そ。奉納演舞の舞手」
なぎさ、咲、のぞみ、ラブ「「「「……???」」」」
ほのか「奉納演舞っていうのは、平たく言えば、神様に舞を見てもらうことよ」
舞「そして、ゆりさんがその舞を納める巫女さんになったってことですよね?」
かれん「……あら?けど、なんで急にゆりさんが??」
ゆり「欠番が出たから、わたしが代役になったのよ。ほとんど、菖のお爺様の一存だけれど……」
エレン「へぇ……」
せつな「ところで、それはそれとして……」
ひかり「ゆりさん、いつまで菖さんの手を」
舞「つないでいるつもりですか?」
かれん「もうそろそろ放しても大丈夫だと思うんですが?」
ゆり「あら?そうね。ごめんなさいね、菖」
菖「いや、大丈夫だよ」
つぼみ「うぅ~~~~……」
響「む~~~~~……」
ひかり、舞、かれん「「……」」
ゆり「……あら?なにかしら??」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響「「「「「ゆりさん、あとでOHANASI、しましょう?」」」」」
ゆり「えぇ、構わないわよ?」
菖「……なぜだろう、ゆりたちの背後に穢れが視える……」
えりか「いや、穢れじゃないっしょ……」
りん「主に菖さんのせいですよ……」
美希「ま、本人は気づいてないみたいだけど……」
エレン「これが世にいう、朴念仁……」
せつな「または鈍ちん……」
祈里「菖さん、恐ろしいです」
いつき「恐ろしい……のかなぁ?」(^^;;


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未来のともだち~Ep.1:フュージョン復活?!プリキュアオールスターズ、出動!!~

というわけで、今度はNS……
いや、ぶっちゃけね、出したいキャラが一人、いるんですよ……オリキャラで。
まぁ、誰かと同じく、想いの力で変身する、プリキュアと同年代の少年ってしたいんだけどねぇ……
どうしよう、いや、まじで……

あ、今回もあとがき代わりはありませんのでご容赦を。


横浜市の沿岸部。

休日でにぎわうその場所は、透き通るような青空が広がっていた。

だが、その空を突如、暗闇が覆いつくした。

《我が名はフュージョン!すべてを破壊し、世界を闇に染める!!》

突然、空から声が響いてくると、今度は町のいたるところで爆発が起きた。

あまりに突然の出来事に、人々はパニックになり、あたりには悲鳴が響いてきた。

だが、爆発だけで終わりではなかった。

まるで有名な怪獣映画のワンシーンのように、海から突如、巨大な恐竜のような化け物が出現したのだ。

怪獣はその口を開き、町に向かって炎を吐き出した。

おしまいだ。誰もがそう思った次の瞬間。

「すべてを貫け!蒼き雨は天をも穿つ(蒼雨天穿)!!」

凛とした青年の声が響くと、吐きだされた炎にいくつもの青い光が向かっていった。

光と炎がぶつかり合い、大爆発を起こした。

爆風が収まり、視界が晴れると何かを見つけたのか、誰かが驚きの声を上げた。

「お、おい見ろ!観覧車のゴンドラに誰かいるぞ!!」

「人?……女の子だ!!」

「一人じゃない、二人、三人……いや、もっとだ!!」

観覧車のゴンドラの上には、確かに、派手な衣装をまとった少女たちが立っていた。

その数はゆうに十人を超えていた。

「おぉ、間違いない!あれは!!」

「知っているのか?!」

「世界が闇に覆われるとき、現れるという伝説の戦士……」

プリキュア。

誰かがその名前を言った瞬間、プリキュアたちはゴンドラから飛び出し、フュージョンと名乗った怪獣へと向かっていった。

当然、怪獣も抵抗し、次々に炎を吐きだした。

しかし、その炎をことごとくを打ち破る、白い戦士がいた。

時には青い光を放つ弓を、時には緑の輝きをまとう刃を、時には黄色の光をまとう手甲を、そして時には紅蓮の炎を放つ大剣を操り、次々に炎を打ち破っていった。

それでも、それはあくまでもフュージョンの攻撃からここにいる人々を守っているだけ。

フュージョンはまだ、健在だった。

「……っ!!」

人々の中にいた小さな女の子が、恐怖で目をつむった瞬間、フュージョンが放った炎がまっすぐにむかってきた。

だが、女の子は炎に焼かれることはなかった。

なぜなら。

「せいっ!!」

白い戦士の放った一閃に、その炎は引き裂かれたのだから。

女の子は恐る恐る目を開けると、そこには、不思議な紋章が描かれたマントが風にあおられはためいていた。

「……大丈夫か?」

「う……うん……」

マントを着ている青年の言葉に、女の子は恐る恐る答えると、青年は優しい笑顔を浮かべた。

「そっか……危ないから、お母さんのところに行ってな?」

「う、うん!……あ、あの!!」

「うん?」

「お、お兄さんは、誰?」

「俺かい?……俺は、大樹の騎士ユグドセイバー。プリキュアとともに戦う、もう一人の戦士さ」

ユグドセイバー。

それは、プリキュアの伝承に隠された、もう一人の戦士。

人々の心に咲く、心の花とつながり、世界に根付くすべての植物たちを見守る存在。心の大樹と契約を交わし、心の大樹を守護する騎士。

それが、ユグドセイバー。

心の大樹を守護するプリキュアとともに戦う、唯一の少年だ。

「遅いわよ、セイバー」

「そう言うなって。あのでかいのが吐いてきた炎、全部かき消してきたんだからさ」

プリキュアの一人が、遅れてやってきたことに文句を言ってくると、セイバーは苦笑を浮かべた。

要するに、プリキュアたちが気づいていなかったことの後始末をしてきたわけなのであって、文句を言われる筋合いはないのである。

そのことに気づいた何人かのプリキュアは、慌てた様子で謝罪してきた。

もっとも、根っこが優しい人間であるセイバーは特に気にしていないようだった。

「さてと、それじゃ、やりますか!!」

『えぇ!』

セイバーの号令に全員がうなずくと、フュージョンに向けて浄化の光を放った。

十人以上から放たれた光を受けたフュージョンは、さすがに耐えきれず、爆発し、いくつもの欠片を飛び散らせた。

怪物が倒れたことに、人々は歓喜の声を上げ、平穏が戻ったことを喜んだ。

だが、このとき、人々は、いや、プリキュアもセイバーも気づかなかった。

飛び散った欠片たちが、世界の危機を引き起こしかねないほどの大事件を起こしてしまうとは。

そして、その事件が新たなるプリキュアを生み出すことになるとは。



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未来のともだち~Ep.2:悩める少女、その名は坂上あゆみ~

う~む……セキュリティソフト新しくしたら、なんかいつもと勝手が……
どうにかならんかな、これ……

閑話休題。

というわけで、第二幕。
オリキャラ一名、入ります!でもって、ちと展開が原作と変わります!!
……いや、だって、あゆみちゃん、なんかかわいそうなんやもんさ……
あ、オリキャラ設定は後日出します。


フュージョン騒動から数日が経過したが、いまだ、プリキュアの活躍はニュースで取りあげられていた。

もっとも、その人数の多さのせいなのか、セイバーのことは一切、語られていないのだが。

閑話休題(それはともかく)

横浜市のとあるマンションの一室。

ここにも、プリキュアのニュースを聞き、心躍らせる少女がいた。

ブレザーの制服をまとった、亜麻色の髪をふたつにまとめた愛らしい顔立ちの少女は、プリキュアに憧れを抱いていた。

――プリキュア……かっこいいなぁ……わたしも、プリキュアになれたらいいのに……

そんな想いを抱いた少女だったが、すぐに現実に引き戻された。

「あゆみ、そろそろ学校行きなさい?」

あゆみ、と母親から呼ばれた少女の、それまで輝いていた顔は一気に沈みこんだ。

「……学校、行かなきゃだめ?」

「え?」

「だって、知らない子ばっかりなんだもん……」

あゆみは、いや、坂上家はここ最近になってここ横浜に引っ越してきたばかりだった。

中学生のあゆみは、当然、転校となり、新しい学校にはいることになったのだが、いまだなじめず、友達らしい友達もいなかった。

「仕方ないでしょ?引っ越してきたばっかりなんだから……勇気を出して、みんなに話しかけてごらん?まずはそれから、ね」

それができたら苦労はいらない。

心の中でそう反論するが、口に出すことはできず、あゆみは黙ってうなずくしかなかった。

結局、あゆみはしぶしぶながら学校へ行くことにした。

----------------------------

昼休みになったが、結局、あゆみは誰にも話しかけることができないままでいた。

――あ~あ……誰かに話しかけるなんて勇気、わたしにあるわけないよ……

母親から言われたことを実行しようにも、話しかけるような雰囲気ではなかったり、話しかけることができそうになってもチャイムが鳴ったりと、なぜかタイミングがあわないのだ。

もはや不運とした言いようがない。

そんなわけで、あゆみは一人寂しく、お弁当を食べていたのだが、そんなあゆみに声をかけてくる男子が一人いた。

「やぁ。坂上、だったよね?」

「え?う、うん……」

「はじめまして、の方がいいかな?」

あゆみが声のしたほうへ視線を向けると、そこには同じ優しいまなざしの少年がいた。

たしか同じクラスの人だったはず。

だが、たしかに転校してからこっち、話しかけられた記憶がない。

「俺、未来湊(みきみなと)。よろしく」

「う、うん……よろしく……え、えっと、それで……」

何か用事があるのだろうか、と問いかけようとした時だった。

湊は、にっ、と明るい笑みを浮かべてあゆみの前にあった椅子に座った。

「坂上。お前もしかしてだけど、この前のテレビ、見ただろ?」

「え?……う、うん……それが、どうかした?」

「実はさ、あの場にいたのはプリキュアだけじゃないみたいなんだ!」

「えっ?!」

湊から突然告げられた衝撃の事実に、あゆみは驚き、悲鳴を上げた。

どうやら、湊はニュースでは報道されていないもう一人の戦士のことを知っているようだ。

「ぷ、プリキュア以外にもいたの?!あの化け物と戦ってた人が!!」

「いた。というか、俺、その人に助けられた人を知ってるんだ」

「うそっ?!ね、ねぇ、どんな人だったの?!」

いつの間にか、あゆみは湊との会話に夢中になっていた。

やがて休み時間が終わり、あゆみと湊は放課後にもう一度話す約束をして、再び授業にいそしむことにした。

----------------------------

一方、こことは違う場所。妖精たちしか入ることができない空間では、中華街の点心を大量に並べられたテーブルを前に、妖精たちが集合していた。

「ほな、プリキュアの妖精のみなさん!我らがプリキュアとセイバーの勝利をたたえて、そろそろ乾杯しよか!」

「まだみんなそろってないニャ」

茶碗にお茶を注ぎながら、タルトが号令をかけると、ハミィがそれにストップをかけた。

実際問題、この場にはミップルとメップルを始め、何人かの妖精がいない。

彼らを抜きにして勝手に始めるのは、たしかにマナー違反だろう。

だが。

「おいしそうでしゅ……」

「ポプリ!つまみ食いはお行儀が悪いですっ!」

「ちょっと味見しようとしただけでしゅ!!」

「そういうのを、つまみ食いっていうんだよ?」

我慢しかねたポプリがじりじりと点心に近づいていっていた。

が、それをシプレが阻止し、コロンが諫めた。

そんな様子に苦笑を浮かべていると、タルトの手前にあった肉まんがいつの間にか消えていた。

それを見たポプリは同然。

「自分だけずるいでしゅっ!」

「ちゃうて!!誰かが食べたんや!!」

文句を言い出したのだが、タルトは必死にそれを否定した。

すると、タルトの背後から何か音が聞こえてきた。

音が聞こえてきたほうへ視線を向けると、そこにはつまようじで歯磨きをしている不定形状態のフュージョンの姿があった。

もちろん、消滅したはずのフュージョンが再び姿を見せたことに妖精たちは驚愕しないはずがなく。

『あっちいけーーーーーーーっ/ですぅ/ですっ/でしゅっ/ニャ!!』

手当たり次第にフュージョンにむかってものを投げつける、大騒動へと発展した。

やがて、シフォンがフュージョンを蓋つき瓶の中へテレポートさせると、騒動はひとまず収まった。

「けど、なんでフュージョンが……」

「プリキュアとセイバーが倒したはずニャ!」

なぜ、この場に倒されたはずのフュージョンがいたのか。

その疑問を口にし始めた妖精たちだったが、タルトとコロンは冷静に分析し、見解を口にした。

「……きっと、倒れたフュージョンの欠片がまだ残っていたんだ」

「そうなると、他にもいるかもしれへん……こりゃ、のんきにパーティーやっとる場合やないで!!」

かくして、妖精たちはパートナーのプリキュアにこのことを伝え、フュージョンの欠片を探すため、この場を後にした。



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未来のともだち~Ep.3:不思議な友達、名前はフーちゃん~

今回は菖の出番はありません。
基本的にあゆみと湊とフーちゃんだけです(おい
まぁ、次回あたりに菖は出てきますよ……えぇ、出てきます……
映画とまったく関係のない描写になるけどね!!


放課後、あゆみと湊は一緒の通学路を歩いていた。

驚くべきことに、湊はあゆみが住んでいるマンションの一つ下の部屋に住んでいるのだそうで、自然と同じ方向へ足が向いていた。

当然、その間もおしゃべりは続いていた。

が、ふとあゆみは足元の落ち葉の下に、何かがあることに気づいた。

「な、なにあれ?……もぞもぞ動いてる」

「ん?……あ、ほんとだ」

「動けないのかな?なんだか、苦しそう」

あゆみは落ち葉の下敷きになっている何かを助けようと、落ち葉をどかした。

すると、黄色い不思議な何かがぴょんぴょんとはねながら、あゆみの指先に乗ってきた。

心なしか、その顔は喜んでいるように思えた。

「もしかして、喜んでる?……ふふっ、可愛い」

「へぇ?見たことない生き物だな……」

「あなた、名前はなんていうの?」

指先からぴょんぴょんと小さくはねながらあゆみの肩に移動した黄色い何かに、あゆみがそう問いかけると、それは。フーッフーッ、という声を出していた。

「……フーフー言ってるな」

「なら、フーちゃんって呼んでいい?」

「フーッ」

「あ、うなずいた」

どうやら、あゆみの提案に賛成したらしい。

その様子が可愛らしくて、あゆみと湊は微笑みを浮かべるのだった。

----------------------------

それから二人と一匹(?)は街の方へ歩いていき、商店街を散歩していた。

「フーちゃんはこの街、初めて?ひとり?」

「フー?」

「わたしも、ひとりだったんだ……お父さんの仕事で最近引っ越してきたばかりでさ……」

「ひとりだった(・・・)?」

「うん、だけどいまは」

湊の問いかけに応えかけて、あゆみはショーウィンドウに飾られていたブレスレットが目に入り、思わず感嘆の声を上げた。

「……可愛い……」

「へぇ……たしかに、いいデザインだな」

二人がそんな感想をもらしていると、フーちゃんがじっとそのブレスレットを見つめた。

すると、フーちゃんの体は一瞬でブレスレット形になり、あゆみの手首に巻きつき、ブレスレットの形へと変わった。

「わぁっ!」

「おぉっ??!!」

一瞬で変形したフーちゃんに、あゆみと湊は驚愕したが、特に怖がることはなく、笑顔を浮かべていた。

「ありがとう、フーちゃん」

「すごいな、フーちゃんは」

かたやフーちゃんにお礼をいうあゆみと、かたやフーちゃんのすごさに感心する湊。

二人の間には和やかな空気が流れていたが、それは突然終わりを告げた。

あゆみの背後から、中腰になって地面に視線を向けている、ピンク色の髪を両サイドでコロネのように巻いている少女が突然、あゆみにぶつかってきたのだ。

あまりに突然だったことと、少女があゆみの後ろに隠れていたため見えなかったという二つが重なり、湊は声をかけることができなかった。

「きゃっ?!」

「わわっ?!」

「っと!」

当然、少女とあゆみはぶつかった。

が、幸い、あゆみは湊に受け止められ、転ぶようなことはなかった。

湊に支えられたあゆみは、背後を振り向いた。

そこには、呆然としながら自分を見ている少女の姿があった。

しばらく無言で見つめ合う二人だったが、あゆみは突然、頭を下げて謝り、その場から走り去っていった。

「あ、待って!!」

ぶつかってきた少女は、逃げていくあゆみのあとを追いかけ、走りだした。

その場に残ったのは、苦笑を浮かべながら、どうしたものか、と頬をかいている湊だけだった。



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未来のともだち~Ep.4:湊、喫茶店で奇妙な店員さんと二人組に出会う~

ようやく、菖とゆり登場(ただし、この二人だけ……他意はないよ?)
喫茶店のネタがわからない人は、渡瀬草一郎さんの作品を読んでみよう!(私が好きな作家さんの一人です)


ツインコロネの少女から逃げるように走り去っていくあゆみを、湊も追いかけたが、人ごみの中に消えてしまい、すぐに見失ってしまった。

さすがに人ごみの中を、手掛かりなしに人を探す効率の悪さを知っている湊は、ため息をついてそれ以上の探索を諦めて、街を散策することにした。

近くまできたので中華街に立ち寄ると、湊はふと一軒の喫茶店が目に入った。

店の名前は、「点心華心」というのだろう、出入り口の真上にその四文字が記されていた。

――ちょっと冒険してみるかな

あゆみはこの街は初めて、というが、実のところ、湊もあまりこの街に明るいわけではない。

実のところ、湊もここ最近になって引っ越してきた側の人間だ。

だが、本人の生来の性格ゆえか、すぐに馴染むことができ、あまり寂しさを感じることはなかったのだが。

閑話休題(それはともかくとして)

湊はひとまず、冒険してみることにして、店に入った。

すると。

「いらっしゃいませ!」

水色のような、翡翠色のような、とにかく変わった髪の毛をしたメイドさんが出迎えてきた。

ここはメイド喫茶じゃなかったはずだけどな、と心の中で突っ込みながら、湊はウェイトレス(メイド)に促されるまま、空いている席についた。

「こちら、メニューになります。お決まりになりましたら、お呼びください」

流れるようにメニューを手渡すと、メイドさんはそのまま下がっていった。

どうやら、お決まりのセリフを言わないあたり、ここはメイド喫茶ではなく、本当の意味での喫茶店のようだ。

そこに謎の安堵を覚えた湊は、メニューを開き、何があるのか、確認し始めた。

その瞬間。

「ちょわっ??!!」

隣の席から男性の悲鳴が聞こえてきた。

反射的にそちらを見ると、そこには先ほどのウェイトレスと同じく、メイド服をまとった金髪の女性に抱き着かれている青年の姿があった。

「すんすん……」

「ファ、ファウナさん?!お願いだから、匂い嗅ぐのはやめてくれないかな?!」

「ちょ、ちょっとファウナ!また菖くんに抱き着いて!!」

「だっていい匂いなんだもん♪」

「だからって抱き着かない!!」

悲鳴を聞きつけたのか、案内してくれたメイドさんが飛んできて、ファウナ、という店員に注意をした。

どうやら、彼女たちは姉妹らしい。背格好も似ているところから、おそらく双子なのではないか、と推測できた。

なお、ファウナと呼ばれたウェイトレスに抱き着かれている青年の目の前には、眼鏡をかけているクールビューティーな女性が白い目をしていた。

「……よかったわね、菖。かわいいメイドさんに抱き着かれて匂いも嗅がれて」

「……そういうゆりさんも、今度はあぁたがターゲットにされとるわよ?」

「え?……きゃぁっ??!!」

青年からゆりと呼ばれた女性がきょとんとしていると、ファウナが背後から彼女に抱き着き、つむじあたりでしきりに匂いを嗅いでいた。

「ん~♪この人もいい匂い~……百合の花みたい」

「……だとさ、ゆり」

「……なんだか、すごく気恥ずかしいのだけれど……菖、どうにかできないの?」

「無理」

「ご、ごめんなさい!……こら、ファウナ!行くわよ!!」

「ん~……」

菖だけでなく、ゆりにまで抱き着いて匂いを嗅ぐという、一つ違わなくとも、間違いなく変態と言わざるをえない行為をしていたファウナは、姉に襟首をつかまれ、ずるずると店の奥へとひきずられていった。

「……少年、君もこの店を定期的に利用するなら、あの店員さんに気を付けろ」

「……あ、はい……」

菖から少年と呼ばれた湊は、ただただ呆然としながらそう返すしかなかった。



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未来のともだち~Ep5:フーちゃんの異変~

いかんなぁ……日常編がまったく出てこない……リクエストのネタも文章にできない……
それだけじゃなくて、正式なカップリングもどうするか……
……というか、今回のでほぼ固まっちゃうような気がするんですよねぇ……
……オリキャラ、もう一人出すかぁ……


「点心華心」を出て、湊は自宅へと足を向けた。

すると、ちょうどあゆみも戻ってきたらしく、後ろ姿が目に入った。

「お~い、坂上~!」

「え……?あ、未来くん。よかったぁ……ごめんなさい、途中で置いて行っちゃって」

「気にしないで大丈夫。俺こそ、見失って悪かった」

あゆみの謝罪に、湊はすまなさそうにしていると、突然、向かいの家で飼われている犬が吠えだした。

その声にあゆみがおびえると、ブレスレットに化けて巻きついていたフーちゃんが元の姿に戻り、吼えてきた犬を威嚇し始めた。

「フーッ!フーッ!!」

「ウゥーーーーッ!!」

しばらくの間、フーちゃんと犬は互いに威嚇合戦をしていたが、それは唐突に終わりを告げた。

「モモ、ステイ!!」

「キュ~ン……」

湊の鋭い声に威圧されたのか、モモと呼ばれた犬はすぐにしゅんとなり、その場に伏せた。

その隙に、あゆみはフーちゃんを抱えて、マンションのエントランスホールへと入っていった。

湊もそれに続き、一瞬遅れて、あゆみたちと合流した。

「ふぅ……怖かった」

「フ~……」

「ありがとう、フーちゃん、未来くん」

「フ~♪」

「どういたしまして」

助けてくれたことにお礼をいうあゆみに、フーちゃんと湊はにっこりと笑みを浮かべた。

でも、とあゆみはフーちゃんをなでながら忠告した。

「フーちゃん、小さいだからあんな大きな犬に近づいたら危ないよ」

その言葉をあゆみの手の中で聞いていたフーちゃんは、一つの結論に達した。

小さいから危ない。それなら、大きくなればいい。

だから、集まれ。集まって、大きくなる。早く、早く。

フーちゃんのその想いは街に響き渡り、異変を起こし始めた。

だが、このとき、あゆみも湊も、そんなことは知る由もなかった。

----------------------------

その頃、点心華心では名物ウェイトレスのファウナに匂いを嗅がれていた二人が紅茶とケーキを楽しんでいた。

「ほんと、おいしいわね」

「だろ?」

「これを作っている人は、よほど腕のいいパティシエなのね……どんな人なの?」

少し興味を持ったのか、ゆりがそう問いかけると、菖はちょうど通りかかってきたもう一人のウェイトレスに声をかけた。

「フローラさん。今日、夢路のおっちゃんは?」

「夢路さんなら、今、新作作ってるはずよ?呼んできましょうか?」

「できれば……って、新作?……まぁた変なの作ってるんじゃ……」

「変なのたぁご挨拶じゃねぇか、坊主」

フローラの「新作」という言葉に冷や汗を伝わせて菖が返すと、野太い声が聞こえてきた。

そちらへ目を向けると、手ぬぐいを頭に巻いた作務衣姿の男性がボウルと泡立て器を手にした状態で立っていた。

無精ひげを生やしているその顔に似合わず、フリルのついたエプロンをかけていることに思わず、ぎょっとしたゆりだったが、菖はどうやら見慣れているらしく、特に何の反応もしめさなかった。

「ちわっす、おっちゃん」

「おぅ。元気そうだな、坊主……って、そっちの美人さんは?」

ゆりの方へ視線を向けた夢路は、お前のこれか、と泡立て器をボウルに入れたまま、小指を立てた。

そのしぐさが意味するものを知っているゆりは首まで真っ赤になってしまった。

一方、菖も顔を紅くして夢路から視線をそらし、沈黙した。

「おいおい、だんまりかよ。まぁ、いいけどよ」

かっかっかっ、とひょうひょうと笑いながら、ゆっくりしていけよ、と厨房へと姿を消した。

なお、それから数分しても、菖とゆりは顔を真っ赤にしたまま、互いの顔を見ることができず、待ち合わせていたつぼみとえりかといつきがやってくるまで、一言もしゃべることができなかったそうな。

----------------------------

その夜。

加音町に住むプリキュア、スイートプリキュアたちがキュアハッピーと一緒にコンテナ置き場でフュージョンの欠片と戦闘を繰り広げていたことを知らなかったあゆみは、湊に拵えてもらったフーちゃん用のベッドを机に置き、自分のベッドの中で熟睡していた。

だが、フーちゃんは眠ることなく、ベッドから抜け出し、向かいの家にいるモモに視線を向けていた。

フーちゃんの脳裏には、昼間、あゆみが言っていたことを思い出していた。

『いっぱい食べれば、大きくなれるよ』

()()()()()()()()大きくなれなかった。

それなら、もっと手っ取り早く大きくなる方法を取ればいい。

――いっぱい食べれば大きくなれる……いっぱい、食べれば

フーちゃんは窓ガラスをすり抜けて、ゆっくりとモモのほうへと降りていった。

翌日の朝。

「あゆみ、あゆみ」

あゆみは自分を呼ぶ声に気づき、起き上がった。

周囲を見ると、ドアのあたりに少し大きくなった黄色いフニフニしたものが浮かんでいた。

「あゆみ」

「フーちゃん?」

「フーちゃん、あゆみ」

フーちゃんは自分を指さして『フーちゃん』と呼び、あゆみを指さして『あゆみ』と呼んだ。

その光景に、あゆみは目を丸くした。

「しゃべれるの?」

「しゃべれる。いっぱい食べて大きくなった」

まさかたった一晩で大きくなるとは思わなかったあゆみだったが、そんな疑問は続くフーちゃんの言葉で吹き飛んだ。

「あゆみ、友達」

「友達?」

あゆみの問いかけに、フーちゃんはうなずいた。

「あゆみ、フーちゃん助けてくれた。だから友達」

「……うん!友達!!」

あゆみはうれしくなってフーちゃんの腕を取った。

友達の笑顔を見ることができ、嬉しいと思ったのか、にっこりと笑みを浮かべた。



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未来のともだち~Ep6:突きつけられる現実~

う~む、ちょっと無理があるかなぁ?
けど、実際、そうなんだもんなぁ……
という想いを湊くんに代弁してもらいました

今回はちと長めです(たぶん、あと二回くらいで終わるかなぁ


フーちゃんが大きくなり、おしゃべりができるようになったことに喜んだあゆみは、その日のうちに湊を誘い、フーちゃんと三人で街に出かけることにした。

なお、大きくなったフーちゃんと初対面の湊は、朝方のあゆみ同様、目を丸くしたことは言うまでもない。

だが、姿を自由に変化させることができることを見ていたため、すんなりと受け入れることができ、すぐに打ち解けることができた。

三人は午前中、街を散策して回ったが、午後になると湊は用事を片付けるために一次離脱したため、あゆみとフーちゃんは湊の用事が片付くまで、ゲームで遊ぶことにした。

最近になって販売された、リモコンを使った体感ゲームなのだが、フーちゃんの動きが想像以上に切れが良く、あゆみはあと一歩というところで負けてしまった。

「あ~ぁ、負けちゃった……フーちゃん、上手だね」

「あゆみ、悲しい?」

「え?」

「あゆみ、負けた。悲しい?」

どうやら、あゆみがフーちゃんに負けたことを悲しいと思っているか、気にしているようだ。

が、あゆみはにっこりと笑いながら、悲しくないよ、と返した。

その笑顔にほっとしたのか、フーちゃんも笑顔になったが、何かに気づいたのか、フーちゃんは一瞬で姿を変えて、あゆみの腕に巻きついた。

ふと、リビングの方へ視線を向けると、そこには眉間にしわを寄せている母親の姿があった。

あゆみの母は、まっすぐにテレビの方へむかっていくと、いきなりゲームの主電源を落とした。

「なにするの?!」

「ゲームは一時間まで!そういう約束でしょ?もう二時間以上やってるじゃない」

「だからっていきなりリセットするなんてひどいよ!」

「約束を守らないほうが悪いの」

いきなりゲームの電源を落とされたことに抗議するあゆみだったが、母親はまったく聞く耳を持たなかった。

自分の話をまったく聞いてくれない。そう思ったあゆみは、思わず走りだし、飛びだしてしまった。

----------------------------

しばらくの間、無我夢中で走っていくと、いつの間にか湾岸の公園に来ていた。

海が見える休憩所まで歩いていき、ため息をついた。

「もう、いきなりリセットするなんてひどすぎるよ!!」

「……あゆみ、お母さん、嫌い?」

「嫌いだよ!だって……わたしの気持ち、ちっともわかってないんだもん……本当は、学校だって変わりたくなかったのに……」

あゆみは悲しそうなまなざしで海の方を見ながら、そう答えた。

フーちゃんは続けざまに、もう一つ、質問をしてきた。

「学校、嫌い?」

「嫌いだよ!知らない人ばっかりのこの街も!!……あ~あ、全部、なくなっちゃえばいいのになぁ……」

「それって、俺やフーちゃんと遊んだ思い出もなかったことにしたいってことか?」

あゆみのつぶやきに、少し残念そうな、悲しそうな声が聞こえてきた。

声がした方へ視線を向けると、そこには若干、息を切らしている湊の姿があった。

「み、未来くん?!ど、どうし……」

「どうしてここに、か?なんか坂上が血相変えて走ってくのが見えたから、心配になって追いかけてきたんだよ」

ふぅ、とため息をついて湊はあゆみに近づいていき、近くにあったベンチに腰かけた。

「心配、してくれたの?」

「ん?そりゃするだろ?友達なんだから……少なくとも、俺はそのつもりだぞ?」

そう言われて、あゆみは湊に声を掛けられてからのことを思い出した。

たしかに、楽しかったし、うれしかった。

知り合いが誰もいないこの街に来て、なかなか勇気を出せなくて。そんな自分を見つけてくれたことが、声をかけてくれたことが。

少なくとも、あゆみにとっても湊は、フーちゃんと同じでこの街に来て初めてできた友達だった。

「だからさ……知らない人ばっかり、なんて言うなよ。寂しいじゃんか」

「……ごめんなさい……」

あゆみが申し訳なさそうに謝罪すると、湊はにっこりと笑いながら、大丈夫、と返した。

許してくれた、そう感じたあゆみはほっと胸をなでおろした。

「……全部、なくなる……リセット……」

だが、フーちゃんだけはあゆみの言葉が離れなかったらしく、ぶつぶつとなにかを呟いていた。

「あれ?……あ、やっぱり!」

「え?」

「ん??」

突然響いてきた声に、あゆみと湊は背後を振り返った。

そこには、いつぞやのツインコロネの女の子がいた。

「また会えたね!ほら、赤レンガ倉庫のところで」

「あぁ、あの時の……」

女の子があゆみにそう話すと、女の子は満面の笑みで近づいてきた。

「あたし、星空みゆき!みゆきって呼んでね!!えっと、あなたは……」

「え?わ、わたしは、坂上あゆみ、だけど……」

「俺は未来湊、よろしく。星空さん」

「うん、よろしく!!二人は、このあたりに住んでるの?」

みゆきの質問に答えようとした瞬間、みゆきの名を呼ぶ声が聞こえてきた。

そちらへ視線を向けると、どうやら、みゆきの友達らしい四人の少女たちがかけてきていた。

四人と合流すると、みゆきは彼女たちと和気あいあいと会話を始めた。

その様子を見ていたあゆみは、たくさんの友達がいるみゆきが、少し羨ましいと思ってしまった。

それに比べて、自分の友達は、フーちゃんと湊だけ。

「……なんでかな……」

「坂上?」

静かにその場から立ち去って行こうとするあゆみの背中を、湊は追いかけた。

だが、あゆみが背中にかばっていたフーちゃんだけは違った。

「あゆみ、悲しませた!!」

フーちゃんがそう叫ぶと、あゆみの背中から飛びだしていった。

「あゆみ、悲しませた!敵!!」

「フーちゃん!!」

「どうしたんだ、フーちゃん?!」

二人の呼びかけに答えることなく、フーちゃんはみゆきたちに攻撃を仕掛けてきた。

突然の襲撃に、みゆきたちは驚いていたが、近くにいたタヌキのような白いぬいぐるみが、フュージョンクル、と叫ぶと、みゆきたちはポケットからパクトを取りだした。

『Ready?』

「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」

『Go!Go, Go!!Let's Go!!』

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

「太陽燦々、熱血パワー!キュアサニー!!」

「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!!キュアピース!!」

「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!!」

「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

「「「「「五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!!」」」」」

突然のプリキュアの登場と、彼女たちがフーちゃんと戦い始めたことに、あゆみも湊も何が何だかわけがわからなくなっていった。

なぜ、突然、フーちゃんが暴れ始めたのか、なぜ、みゆきたちが、プリキュアがフーちゃんと戦うのか。

わからないことが多すぎる。

だが、混乱していても、事態は徐々に悪化していった。

フーちゃんと戦闘に入ったハッピーたちが次々と必殺技を繰り出していったが、その全てをフーちゃんは吸収してしまった。

「わたしたちの攻撃が、全然きかない……」

「逆にどんどん強くなっていく……」

「どうしよう」

自分たちの攻撃が一切通用しない、その事実にどうすればいいのかわからなくなったスマイルプリキュアたちだったが、突如、空から声が聞こえてきた。

「あきらめちゃダメ!!」

声が響くと、ハッピーたちの前に四人の少女たちが舞い降りてきた。

彼女たちのことを、唯一、ハッピーだけが知っていた。

「メロディ……来てくれたんだ!!」

「挨拶はあと!みんなで力を合わせて、フュージョンを倒すよ!!」

フュージョンを、フーちゃんを倒す。

その言葉に、近くまで来ていた湊とあゆみは驚きを隠せなかった。

――どうして?どうしてプリキュアが、フーちゃんを?!

――なんでったってプリキュアがフーちゃんを……いや、そんなことより!

困惑するあゆみと湊だったが、湊の中ではすでに一つの結論が出ていた。

フーちゃんが、友達が攻撃されている。

たとえ、プリキュアが相手であっても、友達を攻撃されて黙っていられるほど、湊はお人好しではない。

あゆみと湊は走りだし、フーちゃんとプリキュアたちの間に割って入った。

「やめろ!」

「もうやめて!これ以上、フーちゃんをいじめないで!!お願い……」

両手を広げ、仁王立ちするあゆみと、人を殺せるのではないかと思えるくらい冷たく鋭い視線を向けてくる湊の姿に、プリキュアたちは動きを止めた。

フュージョン、いや、フーちゃんもまた、突然、割りこんできた友達に驚き、動きを止めた。

「いじめって……そんなつもりじゃ」

紫色の髪をした青い衣裳のプリキュア――キュアビートがあゆみの言葉に反論するが、あゆみは聞く耳を持たなかった。

「わたしの、わたしたちの大切な友達をこれ以上、傷つけないで!!」

「たとえどんな事情があろうと、相手がプリキュアだろうと、俺と()()()の友達を傷つけることは許さない!!」

あゆみの叫びが届いたのか、フーちゃんの姿は徐々に縮んでいった。

あゆみが元の姿に戻ったフーちゃんを抱きしめると、フーちゃんはようやく、正気に戻ったらしい。

「あゆみ……湊……」

あゆみに抱きしめられながら、フーちゃんは自分の友達の名前を呼んだ。

だが、プリキュアたちがかけてきた言葉は、冷たいものだった。

「あなたたち、それが何なのか、知っているの?この前、街を襲った怪物……フュージョンの一部なのよ、それは」

「フュージョンをこちらへ渡して!街にも、そしてあなたたちにも危険が及ぶかもしれない!!」

プリキュアたちからすれば、あゆみと湊を思ってのことなのだろう。

たしかに、二人とも先日の事件は知っている。

もしかしたら、プリキュアたちが言っていることは本当なのかもしれない。けれど、それでも。

「フーちゃんはわたしの……わたしと()()()の友達なの!!絶対に渡さない!!」

「待って!!」

フーちゃんを抱きかかえたまま、その場から走り去ろうとするあゆみを、ハッピーが止めようとした。

だが。

「せやぁっ!!」

鋭い気迫とともに、衝撃がハッピーを襲った。

そこには、掌底を突き出している湊の姿があった。

男の子とはいえ、プリキュアを吹き飛ばしたその膂力に驚きを隠せないハッピーだったが、彼の口から出てきた言葉に、プリキュアたちの動きは止まった。

「お前らにとっては敵でも、あゆみにとってはようやくできた友達なんだ。その友達を、危険だからってほいほい渡せるわけないだろ‼︎それとも何か?プリキュアってのは世界を守るためなら、誰かの友達を平気で犠牲にするような連中なのかよ?!」

その言葉に、スマイル組も、スイート組も反論できなかった。

答えが出せない彼女たちに背を向け、湊はあゆみとフーちゃんを追いかけ、走りだした。



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未来のともだち~Ep7:届けたい気持ち~

さぁ、いよいよ佳境に入ってまいりました!
それはいいんですが……どうしようかなぁ、が一つ。
まぁ、それは次回をあげるまでに考えておきましょう(オイ


湊にかばわれ、あゆみとフーちゃんは住んでいるマンションに戻ってきた。

だが、ここまで走ってきたため、あゆみの息はすっかり上がっていた。

それを心配そうにフーちゃんが見上げた。

「あゆみ、大丈夫?」

「大丈夫……大丈夫だよ、フーちゃん。わたしが、わたしと湊くんが守ってあげるからね……」

「フーちゃんも、あゆみと湊を守る」

あゆみからの言葉に、フーちゃんが答えるとリビングからお母さんがむっとした形相でやってきた。

「あゆみ!急に飛びだしていったら心配するじゃ……」

叱られる。

そう思ったあゆみは、反射的に身をすくませた。

だが、そこからさきの言葉が続かなかった。

恐る恐る、お母さんの方へ視線を向けてみたが、そこに母親の姿はなかった。

その時、あゆみの脳裏にプリキュアたちが言っていたことが浮かび上がってきた。

『それはこの間、街を襲った怪物――フュージョンの一部なの』

まさか、そんなはずはない。

そう願いながら、あゆみは恐る恐る、フーちゃんに問いかけた。

「フーちゃん……お母さん、どこ行ったか、知らない?」

「フーちゃんが消した」

帰ってきた返事に、あゆみはフーちゃんのほうへ振り向き、どうしてしんなことをしたのか問いかけた。

「あゆみを叱った。あゆみの敵だ」

「敵?」

「あゆみを悲しませるのも敵、怖がらせるのも敵だ」

その言葉に、あゆみは目を見開いた。

そして、思い出したことがあった。

今朝は、湊が隣にいたとはいえ、今朝、モモに吼えられていなかった。

まさか、隣の犬もフーちゃんが。

あゆみがそう思い、問いかけようとした瞬間、フーちゃんはわけのわからないことを言ってきた。

「フーちゃん、いっぱい食べて大きくなった。だから、あゆみの願い、叶えることができる」

「何それ……望みなんて、なにも」

ないはず、そう思っていた。

だが、フーちゃんは、いや、フュージョンはそうは思っていなかったらしい。

「お母さん、嫌い……学校、嫌い……この街も、大嫌い。全部、なくなっちゃえば、いいのにな」

それは、さっき思わず口に出したことだった。

本当にそう思っていたわけではない。だが、フーちゃんはその言葉が、あゆみの望みだと思ってしまった。

それが、あゆみの願いだと。

だから。

「あゆみの願い、叶える!!」

「ま、待って!フーちゃん!!」

だが、あゆみの制止もむなしく、フーちゃんは姿を消してしまった。

----------------------------

その頃、赤レンガ倉庫の屋根の上では、スイート組(メロディたち)スマイル組(ハッピーたち)がフュージョンの欠片を探しながら、さきほどの公園でのやりとりを思い出していた。

「フュージョンは友達……あの子たち、そう言ってたよね?」

「本当なのかしら?」

フュージョンがどのような存在かを知っているからこそ、そう思えてならない。

そもそもフュージョンは、この世界を支配しようとしていた全ての悪意が混ざり合った存在。

友達になれるとは、とても思えない。

だが、本当にそうなのかどうかはこの際、どうでもいい。

「たとえ本当でも、放っておくわけにはいかないわ」

ミューズがつぶやくと同時に、、不気味な声が響いてきた。

「リセット……リセット……」

その声が響き続けると同時に、各地に散らばっていたフュージョンが、次々に建物を消去し始めた。

あゆみのために、全てをリセットする。

たった一つのその想いのために、街は、消えようとしていた。

リセットされなかった街の住人たちが逃げ惑うなか、あゆみはフーちゃんの姿を探して走り回っていた。

その途中でハッピーたちスマイル組の姿が目に入った。

ハッピーたちもあゆみの姿に気づいたらしく、二人と合流した。

「あ!あんた、フュージョンと一緒にいた子やんか!!」

「あなたのフュージョンはどこ?!」

「あの塔のてっぺんにいるのがそうなの?」

矢継ぎ早に飛んでくる彼女たちの質問に、あゆみは一切答えず、走り去ろうとした。

だが、その背中を、ハッピーが呼び止めた。

「あゆみちゃん!わたしたちに言いたいこと、あるんじゃない?だから来たんでしょう?」

その言葉に、あゆみは少しだけ、迷った。

けれど、このままではフーちゃんを、友達を助けることができないということもわかっていた。

だから。

「お願い、助けてください……フーちゃんを止めて!!わたし、全然、そんなつもりなかったのに……全部なくなっちゃえばいいなんて、本気で言ったんじゃないのに……フーちゃんはわたしの望みを叶えるって……誤解なのに!!」

「それじゃあ、あなたのために?」

「フーちゃんは悪い子じゃないの!悪いのは、全部、わたしなの!!」

泣きながら、そう懇願するあゆみに、ハッピーは微笑みを向けた。

「じゃあ、本当のことをフーちゃんに言おう!誤解だって、フーちゃんに言いに行こう!!」

「そ、そんなの無理!!」

「どうして?」

「だって、何度も呼びかけたのに、全然、届かないみたいで……」

それは事実だった。

何度、フーちゃんと呼びかけても、まったく答えがなかった。

ここにいるのは、フーちゃんと同じ、フュージョンの欠片のはずなのに。

「だったら、もっと大きな声で言ったらえぇやん!あんたの気持ちが届くまでさ!!」

「伝えたいことは、ちゃんと言わないと伝わらないよ?」

「わたしは、あなたたちと違うんです……あなたたちは、プリキュアだから……」

強いから。

だが、あゆみのその言葉はすぐに否定された。

「わたしたちは強いからプリキュアになったんじゃない。大切なものを守りたい、だからプリキュアになれたの」

「大事なのは、ハートってこと……フュージョンは、あなたの大切な友達なんでしょ?」

そう言われて、あゆみの脳裏にフーちゃんと過ごした時間が浮かびあがってきていた。

「友達が悪いことをしたり、間違ったことをしたら、それを止めるもの友達だと思うよ!」

「……わたし……」

メロディにそう言われて、あゆみは、自分が本当はどうしたいのか、ようやく口に出すことができた。

「わたし、フーちゃんに言いたい。わたしの気持ちをちゃんと、伝えたい」

「伝えに行こう!わたしたちが手伝うよ!!」

「一緒に、頑張ろ!」

ハッピーとメロディにそう言われ、あゆみは彼女たちに頭を下げた。

----------------------------

その頃、湊もまた、フーちゃんとあゆみの姿を探して街を走り回っていた。

だが、一向に二人を見つけることができずにいた。

――くそっ!二人とも、無事でいてくれよ……

襲ってくるフュージョンの欠片を回避しながら、湊は二人の無事を祈っていた。

だが、いつまでもやみくもに走っていても、見つかるものも見つからない。

湊は深呼吸しながら、どうすればいいのか思考を巡らせた。

街にこの怪物たち、おそらく、フュージョンが出現してから何か変化はなかったか。どこか、襲われていなさそうな場所はないか。

それを考えながら周囲を見回すと、かなり離れた場所にある塔のてっぺんが、奇妙な光を放っていることに気づいた。

――もしかして、あそこを目指していけば……

最近、引っ越してきたばかりのようなものとはいえ、湊はあゆみよりも長く、ここに住んでいる。

だからこそ、普段の街の姿はだいたい頭に入っている。

塔の上の光は、湊が記憶している普段の姿にはないものだった。

ならば、あそこにフーちゃんがいる可能性もあるのではないか。

そう考えて、湊は塔へ向かって走りだした。

奇しくも、その方向はあゆみとプリキュアたちが向かっている方向と一緒だった。



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未来のともだち~Ep8:プリキュアオールスターズ、全員集合!!~

というわけで、オールスターズ+セイバー、再び登場です。
とはいえ、あまり出番はないのですが(苦笑
あぁ、それから、あと二話くらいで終わると言ったな……切りがいいからEp10まで作ろうと思います(オイ!!
というわけで、もうちょっとかかります。お付き合いください(土下座


あゆみがプリキュアたちとともに、湊が単身で塔へ向かっている道中は、すでにフュージョンの欠片であふれていた。

欠片たちは、自分たちの敵であるプリキュアと、リセットの対象であるはずの人間がいることで、より攻撃的になってしまい、その姿を見つけただけで襲いかかってきた。

次々に襲ってくるフュージョンからあゆみを守るため、プリキュアたちはフュージョンを迎え撃った。

「あゆみちゃん、大丈夫?!……あゆみちゃん?」

ハッピーがあゆみに問いかけると、あゆみの顔はなぜか沈んでいた。

「フーちゃん、もうわたしのこと、忘れちゃったのかな……」

「そんなことないよ!!」

「まだ離れているから、あなたの姿が見えてないだけだと思います!近くまで行けば、きっとあなただってわかるはずです!!」

不安になっているあゆみをハッピーとビューティーが励ますが、それでもやはり不安はぬぐえないらしい。

「……わたし、行けるかな……」

不安そうにしているあゆみに、今度はピースが話しかけてきた。

「不安になる気持ち、すごくわかるなぁ……わたしも怖くて、よく泣いちゃうし……」

「え?……プリキュア、なのに?」

ピースの言葉に、あゆみがそう問い返すとサニーが、当たり前やんか、と笑いながら返した。

「プリキュアだからって、(なん)も特別なことあらへん!みんな普通の女の子や!!」

「ぷぷっ……サニーが普通の女の子って……」

「失礼やな!それ()うたら、マーチなんてオカンやないか!!」

「誰がオカンよ!!」

サニーとマーチの漫才を見ているうちに、あゆみの顔には自然と笑顔が浮かんだ。

なお、この間、ピースがフュージョンの欠片に捕まり、メロディやリズムたちに救出され、何度も頭を下げていたのだが、幸いにしてその光景を見ているものは誰もいなかった。

あゆみがようやく笑顔になり、不安が吹き飛んだことに一安心したプリキュアたちだったが、フュージョンの勢いが収まることはなく、むしろ激しさを増していた。

そして、その激しさの中で、ついにフュージョンはあゆみにまでその牙を向け始めた。

あゆみとプリキュアたちの背後に、突然、犬型のフュージョンが出現すると、フュージョンはまっすぐにあゆみの方へと走っていった。

それに気づいたプリキュアたちは、あゆみの元へ向かおうとしたが、他のフュージョンに邪魔されてしまった。

やられる。

そう思い、身をすくませた瞬間だった。

「せやぁっ!!」

突如、鋭い気迫と一緒に、角材が飛んできて、フュージョンに突き刺さった。

角材が飛んできた方をみると、そこには肩で息をしている湊の姿があった。

「湊くん!」

「逃げろ、あゆみ!!」

湊が無事だったことに安心すると、湊が険しい顔でそう叫んだ。

振り返ると、そこにはもう一体、犬の姿をしたフュージョンが飛び掛かろうとしていた。

「伏せろっ!!」

突然、聞こえてきた声に、思わずあゆみは身を伏せた。

すると、誰かがあゆみを飛び越える気配がした。

「獅子戦吼っ!!」

轟っ、とライオンが吼えるような音が響くと同時に、あゆみの髪を風がなでた。

一体、何が起きたのか、恐る恐る顔を上げてみると、そこには湊より少し背の高い、青いシャツを着た青年が立っていた。

「……ふぅ……」

「間に合ったようね」

「よかったよかった~」

青年が深く息を吐くと、背後から大人のような落ち付いた声と、自分と同い年くらいの女の子の声が聞こえてきた。

振り向くと、そこには四人の人影があった。

その姿を見たメロディとリズムは、彼女たちの名前を呼んだ。

「つぼみちゃん!」

「えりか!」

どうやら、メロディたちの知っている子たちらしい。

彼女たちの様子からそれを察したあゆみと湊だったが、その正体をすぐに知ることとなった。

「変身よ!」

「はいっ!」

「やるっしゅ!!」

長身の女性の合図で、濃い桃色の髪の女の子と青い髪の女の子が何かを取りだして答えた。

すると、ぬいぐるのような白い動物が四体出てきた。

「「「「プリキュアの種!いくですぅ/ですっ/でしゅっ/ぞ!!」」」」

「「「「「プリキュア!オープンマイハート!」」」」」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」」

目の前でブロッサムたちの変身を目の当たりにした湊とあゆみは、驚愕で目を丸くしていた。

だが、続けざまに。

「「「「チェインジ!プリキュア!ビートアップ!!」」」」

「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

「「「「レッツ!プリキュア!!」」」」

かっこよくポーズを決め、名乗ったのだが。

「……よかった~……間に合った~!!」

ピーチがほっとしたようにため息をついていた。

その様子にベリーが、呆れたといわんばかりのため息をついていた。

「ピーチが道を間違えるから……」

「だってぇ~……」

ベリーの文句に、ピーチが反論しようとすると、マリンがそれをなだめながら近づいてきた。

「間違えるよね、道って」

「「ね~♪」」

「……その話はいいだろ……」

二人同時にそんなことを言っていると、青いシャツの青年が呆れたとため息をついた。

「あれ?菖さん。まだ変身してなかったの??」

「珍しいですね?菖さんが乗り遅れるなんて」

「……誰のせいだと思ってやがる……」

パインとマリンの反応に、菖と呼ばれた青年は、半眼になってマリンを睨みつけた。

だが、いつまでもそうしているわけにもいかないことはわかっていたらしい。

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

左手を握りしめ、胸の前にかざした菖は、高らかにそう叫んだ。

すると、菖の左手の甲に紋章のようなものが浮かびあがり、菖を光で包みこんだ。

光が収まると、不思議な文様が描かれた白いマントをまとった菖の姿があった。

湊は菖のその姿が、先日、プリキュアたちと一緒にフュージョンと戦っていた、もう一人の戦士の姿と同じであることに気づいた。

「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

セイバーが高らかに名乗ると、素早く剣を引き抜き、逆手に構えた。

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

その言葉を唱えた瞬間、セイバーは青い光に包まれた。

光が収まると、青い弓を手にしたセイバーが姿を現した。

セイバーが弓を構え、矢を番えることなく弦を引くと、ブロッサムたちも自分の武器を取り出し、ハッピーたちのほうへ視線を向けた。

「ここは、わたしたちに任せてください!」

「あっ!ダメ!!フュージョンに技は通じないよ!」

「うん!わかってる!」

「だからやるのよ」

「え?」

サンシャインとムーンライトの言葉が、何を意図しているのか図りかねたハッピーだったが、その言葉の意味をすぐに理解することになった。

「「「プリキュア!ピンク/ブルー/シルバー/フォルテウェーブ!!」」」

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

「貫け!閃くは蒼き雷(蒼雷閃)!!」

ハートキャッチ組とセイバーの必殺技が、それぞれフュージョンに向かっていき、吹き飛ばした。

だが、案の定、フュージョンはより大きな姿になってブロッサムたちに襲い掛かってきた。

「力を飲み込むなら、より強い力の方へ集まる!!」

「フュージョンは俺たちの方へ誘導する!!」

「ここは、わたしたちに任せて!!」

引き寄せられてきたフュージョンと追いかけっこをしながら、ブロッサムがハッピーたちにそう叫ぶと、ピーチたちも自分たちの必殺技を放ち、他のフュージョンたちを引きつけた。

ブロッサムたちとピーチたちのおかげでいくつかのフュージョンが引き寄せられたため、少し楽になったものの、それでもまだ街にはフュージョンがあふれていた。

そしてついに、フュージョンが大きな行動に出た。

なんと、港に停泊していた船を持ち上げ、ジェットコースターのような線路の上に乗せ始めたのだ。

それを見れば、フュージョンが何をしようとしているのか理解することは簡単だった。

スイート組とピース以外のスマイル組は、フュージョンの思惑を阻止しようと、線路の上に乗り、突進してきた船を止めた。

だが、彼女たちは忘れていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということを。

線路からフュージョンの一部が伸び、船を止めている邪魔者たちをはじき飛ばした。

支えを失った船は、再び線路を走りだし、猛スピードで街に向かっていった。

それを見ていた妖精たちは、ミラクルライトの明かりを灯しながら、必死にライトを振り、他のプリキュアを呼んでいた。

『プリキュアーーーっ!!こっちだよ/や/です/でしゅ/ニャーーーーーっ!!』

その瞬間、ライトがひと際まぶしい光を放った。

すると、まるでライトの光に導かれるように、三人のプリキュアが姿を現した。

「ブラック!ホワイト!ルミナス!!」

三人に気づいたメロディが彼女たちの名前を呼ぶと、三人はものすごい勢いで向かってきた船を受け止めると、再びフュージョンが線路から伸びて、邪魔者を吹き飛ばそうとした。

だが、そのフュージョンは遅れてやってきた二人のプリキュアが作りあげた光の盾にはじかれてしまった。

そして続けざまに、上空から六人のプリキュアたちが下りてきた。

「ブルーム!イーグレット!!」

「ドリームたちも!!」

フュージョンはいきなり現れたプリキュアたちに意識を向け、線路を作っていた体をすべて人型に戻した。

その瞬間を狙い、パッションがアカルンの力を使い、船を再び海上へテレポートさせた。

一方、ハッピーたちは集まってきたプリキュアたちの数に、感嘆の声を上げていた。

「プリキュアって……こんなにいたの?!」

「一、二、三……数えきれないよ!!」

「わたしたちを含めて、総勢二十八名です!」

サニーとマーチが驚愕の声を上げていると、ビューティーがいつの間に数えたのか、冷静な声で返してきた。

なお、その中にセイバーは含まれていないようだ。

「プリキュアのみんなーっ!このあゆみちゃんと、湊くんがあそこまで行きたいって言ってるの!力を貸して!!」

ハッピーが先輩プリキュアたちにそう頼むと、オッケー、と快い返事が返ってきた。

あゆみがその光景に感動している中、湊はただ一人、セイバーと向かいあっていた。

「まさか、喫茶店でメイドさんに匂い嗅がれてたお兄さんが、もう一人の戦士だったなんて……」

「ははは……それは言ってくれるな……」

湊の言葉に、セイバーが乾いた笑みを浮かべて返したが、その表情はすぐに真剣なものに変わった。

「で?君はどうしてあそこを目指す?」

「……あゆみを、友達を守りたい。ただそれだけです」

セイバーの問いかけに、湊はあまり時間をかけずに返した。

その答えにセイバーが納得したのかどうかはわからない。だが、少なくとも、悪い印象は持たなかったようだ。

そういうことなら、とセイバーはどこかから一本の剣のようなものを取り出し、湊に手渡した。

「え??」

「守りたいんだろ?だったら、こいつを持っていきな。素手より、幾分かましだろうから」

「……ありがとう!!」

湊は素直にお礼をいうと、ハッピーたちの元へと戻っていった。

その背中を、セイバーはどこか優しい、しかし強い光を宿したまなざしで見守っていた。

このとき、ここにいるメンバー全員は、まさか自分たちが奇跡の立会人になるとは、予想すらしていなかった。



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未来のともだち~Ep9:誕生!新たなプリキュアともう一人の戦士!!~

斗真「……あかんなぁ……」
えりか「どしたの?」
斗真「DX3のDVDを中古で入手できたんだが、どうしてもセイバーが入ってしまう……」
いつき「あははは……」


集合したプリキュアたちとセイバーの力を借りて、あゆみと湊はフーちゃんのもとへとむかっていた。

「あゆみちゃん、湊くん!もうすぐだよ、頑張って!!」

追従するハッピーが二人の方へ視線を向けてそう叫んだ。

だが、その隙をついたかのように、フュージョンが急接近し、ハッピーを呑みこもうとした。

それに気づいたあゆみは、一歩踏み出し、ハッピーを押しのけた。

当然、ハッピーとあゆみの立ち位置は変わり、今度はあゆみがフュージョンに呑みこまれそうになってしまったのだが、ぐいっと何かに引っ張られ、体が後ろの方へ飛ばされた。

視線を向けると、そこには、フュージョンに呑みこまれていく湊の姿があった。

「湊くん!!」

あゆみが悲鳴を上げると、今度は別の方向からフュージョンが押し寄せてきた。

あまりに突然のことだったことと、他にもフュージョンが襲い掛かってきていたことが重なってしまい、プリキュアたちは二人をかばうことができなかった。

呑みこまれた二人を助けようと、プリキュアたちがむかっていったが、はじき返されてしまった。

そんな中で、あゆみと湊は意識をしっかり保ち、ただ一つの想いを抱いていた。

 

----------------------------

 

ひとりぼっちだと思っていた。誰も、わたしの気持ちなんてわかってくれないって思ってた……

けど違った……わたしは、ひとりじゃない!

湊くんが傍にいてくれた、フーちゃんが傍にいてくれた!

それに……ちゃんと言えば、気持ちは伝わる。必ず……わたしの本当の想いを、フーちゃんに知ってほしい……絶対、伝えるんだ!!

フーちゃんのところへ、行きたい!!

 

----------------------------

 

終わる、のか?ここで……

何もできないまま?あゆみを、フーちゃんのところに連れていけないまま……?

いいや……終われないよな……あゆみにとっちゃ、フーちゃんは初めてできた友達なんだ。勘違いしたままで、あゆみの本当の気持ちを知らせないままで、終わっていいはずない!!

諦めない!まだ、諦められない!!

あゆみを、フーちゃんのところへ、連れていくまでは!!

 

----------------------------

 

フュージョンの中で、二人が同時にそう思った瞬間、不思議なことが起きた。

あゆみと湊を呑みこんだフュージョンの中から、強い光があふれだし、フュージョンを消し去っていったのだ。

プリキュアたちは、その光景をただ呆然と見守っていた。

そして、奇跡が起きた。

二つの光の中から、白いコスチュームをまとったツインテールの少女と、白い鎧とマントをまとった、紅い槍を持つ戦士が姿を現したのだ。

その二人が、あゆみと湊であることは明白だった。

「想いよ、届け!キュアエコー!!」

「守護騎士!アステア!!」

あゆみがプリキュアに、そして湊がもう一人の戦士に変身した。

その事実に、プリキュアたちだけでなく、妖精たちも驚愕していた。

もっとも、一番驚いているのは、変身した当の本人たちであった。

「わ、わたし、なんでプリキュアに……って、もしかして、湊くん??!!」

「なんじゃこりゃ?!……って、あゆみ?プリキュアになれたのか??!!なんで??!!」

お互いの姿に驚愕していると、メロディたちが歩み寄ってきた。

「それは、あなたたちにわたしたちと同じ、熱いハートがあるからよ」

「誰かを守りたい、そんな優しい気持ちがあれば、女の子は誰だってプリキュアに」

「男の子は、プリキュアと並ぶ戦士になれるのよ!」

なんだかよくはわからないが、自分たちにもプリキュアに負けない、強い心があったことに、あゆみと湊――エコーとアステアはどこか嬉しそうな笑みを浮かべていた。

二人は、再び一緒に走ってくれているプリキュアたちと一緒に、フーちゃんがいる塔のもとへとむかっていった。

だが、まるでプリキュアたちを拒絶するかのように、黒い風がその場を包みこんだ。

ハッピーたちは、その風のせいでエコーとアステアの姿を見失ってしまった。

エコーとアステアはハッピーたちとはぐれたことに気づくことなく、だが離れることなく、フーちゃんのもとへむかっていた。

だが、さすがに濃すぎる闇に、どこへ進んだらいいのかわからなくなってしまった。

――フーちゃん

エコーが心のうちでフーちゃんを呼んだ瞬間、アステアの持つ槍が光をまとった。

アステアはそれを見た瞬間、自分がどうするべきかを理解したように、槍を掲げた。

その瞬間、槍はアステアの手から消え、上空へと飛び上がり、砕け散った。

すると、まるで進むべき道を示すかのように、光の道が現れた。

その道ができたのは、アステア一人の力ではないことは、二人ともわかっていた。

「応援してくれている人が、こんなに……」

「……俺たちは、ひとりじゃない。そういうことみたいだな……」

「うん……」

出現した光の道を前に、二人がそうつぶやいた。

「「みんな、ありがとう」」

どちらからとなく、ここにはいない、見知らぬ誰かにお礼を言うと、アルスターはエコーの方へ顔を向け、問いかけた。

「……エコー、ここから先は一人で大丈夫か?」

「うん……ありがとう、湊くん……ううん、アステア」

アステアの問いかけに、エコーは力強くうなずいて返すと、アステアはサムズアップを向けた。

その仮面の下には、きっとあの人懐っこい笑顔があるのだろう。

エコーはそんなことを思いながら、アステアと、自分たちを包んでいる闇の外で応援してくれているみんなに感謝しながら、光の道を進んでいった。

その先で待っているはずの友達のもとへ。自分の、本当の気持ちを伝えるために。



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未来のともだち~Ep10:あゆみの本当の気持ち~

はい、というわけで、最終話です
いやはや……長かった……
湊の設定については、後でまた個別に出します


闇の中に現れた光の道を、エコーは一人で歩いていた。

その先にはエコーの大切な友達が、フーちゃんが待っていた。

エコーはゆっくりとフーちゃんに歩み寄り、声をかけた。

「フーちゃん、わかる?あゆみだよ」

「あゆみ……」

「フーちゃん、わたしのためにごめんね……でも、もういいの」

エコーはフーちゃんにそう伝えたが、フーちゃんは納得していないようだった。

「まだ、リセットしてない」

「違うの!悪いのはわたしなの!!……みんなに自分の気持ちをちゃんと伝えないで、学校や町のせいにして……」

「フーちゃん、あゆみの、あゆみと湊の友達。友達の望み、叶える」

謝っているエコーを励ますように、フーちゃんがそう告げると、エコーはフーちゃんに笑顔を向け、もう叶えてくれた、と伝えた。

「フーちゃん、わたしと湊くんと一緒におしゃべりしてくれたよね……一緒に遊んで、ずっと、一緒にいてくれた……わたしね、そんな友達が欲しかったの。それが、わたしの望みなの」

エコーは、フーちゃんに笑顔をむけて、自分の本当の気持ちを、フーちゃんに伝えたいことを口にした。

「フーちゃん、友達になってくれて、ありがとう」

「あゆみ、もう大丈夫か?怖くないか?寂しくないか?」

「大丈夫、だってわたしにはフーちゃんと湊くんがいるから……フーちゃん、大好き!!」

エコーがフーちゃんを抱きしめると、フーちゃんの顔に笑顔が浮かんだ。

その瞬間、フーちゃんの体は光を放ち、周囲にあった黒い霧を退けていった。

街中に広がっていた闇が浄化されると、エコーの変身は解けてしまった。

これですべて終わった。そう思った瞬間。

「リセット……リセット……」

背後から、おどろおどろしい声が響いてきた。

振り返ると、そこには黒いフュージョンがまるで巨大な噴水のように沸きあがっていた。

どうやら、フーちゃんとは別の意思を持ったフュージョンの塊が残っていたようだ。

「リセットはしない。あゆみの望みは、叶っている」

目の前に立ちふさがっているものと同じ存在であるフーちゃんがそう説得するが、黒いフュージョンはまるで聞く耳を持たず、あゆみとフーちゃんに襲いかかろうとしてきた。

だが。

「させるかぁ!!」

雄叫びとともに、あゆみとフーちゃんの目の前にアステアが降り立ち、拳をフュージョンにむかって突き出した。

アステアの拳から放たれた光に阻まれ、フュージョンはそれ以上、前に進むことができなかった。

だが、それはアステアにかなりの負担を強いることでもあった。

その証拠に、ピキリ、と鎧にひびが入り、崩壊が始まっていた。

「アステア!!」

あゆみはフーちゃんを抱きかかえたまま、悲鳴を上げた。

アステアは振り返ることなく、あゆみたちをかばうように立ち続けていた。

その胸には、プリキュアに負けないほど強い『守りたい』という想いがあった。

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

兜が半分以上割れて、その素顔が見え始めている状態のなか、アステアが雄叫びを上げると、ハッピーたち(スマイル組)が駆けつけ、浄化の光をフュージョンに向けた。

すると、フーちゃんの体が光の粒に変わり、ハッピーたちとアステアの方へと流れていった。

《アステア、プリキュア……あゆみを守って!!》

フーちゃんの切実な想いが、ハッピーたちとアステアに伝わってきた。

その想いに答えるように、ハッピーたちは光の出力を上げた。

「ハッピーエンドを、邪魔しちゃ、だめーーーーーーーっ!!」

ハッピーが叫ぶと、光はより強くなり、フュージョンを完全に飲みこんだ。

同時に、アステアの鎧もすべて砕け散り、変身が強制解除された。

幸い、湊にけがはなかったらしい。

満面の笑みを浮かべて、あゆみの方へ振り向き、サムズアップを向けていた。

あゆみは湊に何もなかったことに安堵し、微笑みをを浮かべたが、すぐにフーちゃんの姿がないことに気づいた。

「フーちゃん?」

あゆみがフーちゃんに呼びかけると、どこからともなく、フーちゃんの声が聞こえてきた。

《フーちゃんはあゆみと湊が住むこの街にいる……ずっと、二人の傍にいる……》

「……フーちゃん……ありがとう……」

「ありがとう、フーちゃん」

それは、フーちゃんが消えるということでもあるのだが、あゆみと湊は、別れの言葉ではなく、感謝をフーちゃんに送った。

それを、ハッピーはどこか寂しそうな顔で見守っていた。

----------------------------

それから数日後。

あゆみは徐々にクラスに溶け込んでいき、湊と一緒に過ごす時間が少しだけ減った。

だが、登下校のときは一緒にいるし、休日に時間が合えばいまも一緒に遊びに行くため、二人とも寂しさはなかった。

そして、とある日曜日。

湊はあゆみの部屋のインターホンを押していた。

「はーい……あら、未来くん。いらっしゃい!」

「こんにちは、おばさん。あy……娘さんは」

「あ、おはよう!湊くん!!ごめん、もう少し待ってて!!」

玄関先に出てきたあゆみは、湊の姿を見つけるなり、慌てた様子で髪を整え、ぱたぱたと準備をしていた。

どうやら、この日は一緒に出かけるようだ。

宣言通り、少しだけ待っていると、準備が完了したあゆみは靴を履いて、玄関から出てきた。

「お母さん、行ってきます!!」

「いってらっしゃい、二人とも」

母親に見送られた二人は、マンションを出ると、湾岸公園の方へとむかっていった。

そこには、つい先日、友達になったばかりの女の子たちと、一人の男の子が待っていた。

彼女たちの姿を見つけると、湊とあゆみは同時に駆け出し、彼女たちのもとへとむかっていった。

あゆみのその顔には、もう、寂しそうな影はなく、愛らしい満開の笑顔が浮かんでいた。



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オールスターズ、最大のピンチ?みんなで宿題合宿です!!

季節的にこれから、って感じですが、再び夏のお話。
今回は前後編でお送りします。
なお、今後、オールスターズ全員が絡んでくる場合は『オールスターズ編』、各チームとの絡みの場合は『日常編』に投稿していく予定です。
ちなみに、今回のお話の時間軸は夏休み終了二週間前くらいです。
まぁ、だいたいそれくらいには八割がた終わらせてましたし。
ひとまず、本編へどうぞ。


それは、夏休みのある一日。

えりかは自分の部屋の中で頭を抱えながら、悲鳴を上げていた。

「うが~~~~~っ!!」

そして同時刻。

小泉学園、夕凪市、サンクルミエール、四葉町、加音町、七色ヶ丘でも同じように頭を抱えて悲鳴を上げる少女たちがいた。

その理由は一つ。

『宿題が終わらなーーーーーいっ!!』

もともと勉強が苦手な少女たちは、夏休みに部活や手伝いなどにかまけて、ほとんど宿題が手つかずの状態だったのだ。

そして、ふと宿題の存在をおもいだし、面倒くさいが片付けなければと、思い立ったところまではよかったのだが、そこから先へまったく進むことができずにいた。

こんなときに思いつくことはただ一つ。

『そうだ!みんなに協力してもらおう!!』

そして、プリキュアオールスターズに連絡が回り、勉強合宿を行うことになったのは、えりかが悲鳴を上げてから三分後の出来事である。

だが、この時、菖は。

「……くぅ~……」

夏の暑さにやられ、絶賛、昼寝の真っ最中であったため、すぐに気づくことはなかった。

------------------------

それから一週間後。

菖は部屋着として愛用している甚兵衛姿で、自室の真ん中に腰を下ろしていた。

彼の周囲には考古学の論文や資料、あるいは古い年代の地図のコピーや伝承の類がまとめられた本が、開かれた状態で散在していた。

どうやら、遺跡探索のための前調査をしているところのようだ。

菖はいつになく真剣な顔で書類とにらめっこしていたため、部屋の静寂を破る音は、菖の小さくつぶやく声と本をめくる音だけだった。

だが、その静寂も、青い珍獣とその飼い主たちの声によって破られることとなった。

「菖さん発見です!」

「「確保ぉっ!!」」

「「「「はいっ!/うんっ!/了解よ!!」」」」

「……っ?!え??!!ちょ、な、なに??!!」

突然、七人分の声が聞こえたかと思うと、菖は抵抗する間もなく、簀巻きにされ、担ぎあげられてしまった。

「「捕ったどぉ~~~~~~~~~~っ!!」」

「ちょっ?!まじでなに??!!……って、なんだゆりたちか。つか、誰だよ、俺を担ぎあげてるのは」

「お久しぶりです、菖さん!!」

「すみません、突然、こんなことして」

「……その声は響とエレンか。うん、久しぶり……て、重くないの?」

簀巻きにされた状態で、顔が天井の方を向いているため、誰に担がれたのかわからない菖は、担ぎあげている人物に問いかけると、加音町にいるはずの響とエレンの声が聞こえてきた。

どうやら、二人が菖を担いでいるようだ。

「はい!菖さん、思ったより軽いです!!」

「わたしたち、結構、鍛えてますから!!」

エレンはともかく、響は鬼に変身する特撮ヒーローのようなセリフを返した。

なお、抵抗は無駄と判断してか、菖は二人にされるがままになっていた。

「……で、なんでこんな暴挙に出たんだ?四十文字以内で理由を答えてくれ、えりか」

「夏休みの宿題が終わらないから、みんなで一緒にやろうかなと思ったから」

悪びれる様子もなく、えりかは菖の質問にそう返した。

その答えを聞いた菖は、ふむ、とうなずき。

「……三十三字か。まぁまぁってところか……三点」

とさりげなく、えりかの答えを採点していた。

その点数の低いさに、えりかは目を丸くし、反抗した。

「ちょ?!さりげなく採点してるし!!つか低っ!!」

「五点満点中だが?」

「あ、さいで」

後から出てきた言葉に、えりかは目を丸くしながらそう返した。

で、と菖はゆりの方へ視線を向けて。

「俺はなんでこんな状況にさせられてんの??」

「あら?先週送られてきたメール、覚えてないの?」

メールとは、えりかから送られてきたもので、夏休みの宿題をちゃっちゃと終わらせて、ついでにみんなで遊ぼう、という提案だった。

なお、宿泊先は水無月家が所有する別荘で、三泊四日の予定だ。

むろん、菖もその面子に含まれていたうえに、拒否権はないとゆりから宣告されていたため、準備だけはしていた。

「あぁ……今日だったか。研究に没頭しててすっかり忘れてた」

「ほんと、相変わらずね。あなたは……」

菖のその言葉に、ゆりがため息をついて返した。

「話はわかったから、そろそろほどいてくれない?着替えないとだし、用意した荷物も持ってかないとだろ?つか、普通に声かけてくれればいいのに」

「普通じゃおもしろくないっしゅ!!」

「……よし、えりかはあとでお仕置きだ」

「ピャッ??!!」

どや顔で返したえりかに、菖は暗い笑みを浮かべながら宣言すると、えりかは顔を青くして悲鳴を上げた。

なお、菖の口から「お仕置き」という単語が飛び出たことに、つぼみとエレンは。

「い……いったい、どんなお仕置きなんでしょう……」

「ま、真っ暗な部屋で怪談とか怖い話とか……?」

と顔を真っ青にしてひそひそとつぶやき合っていた。

それが聞こえたゆりは、眼鏡を持ち上げて、二人の耳もとで口を開いた。

「あら、菖のことだから百叩きとか石抱き、鉄の処女(アイアンメイデン)なんてこともあるかもしれないわよ?」

いずれも中世ヨーロッパや江戸時代の日本で実際に行われた拷問や処罰である。

さすがに、命を取りかねないものはないが、それでもかなりの苦痛を伴うものであることにかわりはない。

だが、本人はそんなことはちっとも思っていないらしく。

「……ゆり。俺は時々、お前の発想が怖くてたまらないときがあるよ」

「あら、それは光栄ね」

「……褒めてないんだけどなぁ……」

ゆりはくすくすと笑いながら、菖に返したが、返された本人はどう反応したものかと微苦笑を浮かべてしまっていた。

------------------------

簀巻きから解放され、菖は普段の恰好に着替え、用意していた荷物を持り、再びゆりたちと合流し、希望ヶ花市を出発した。

それから電車で揺られること、十数分。

一行は無事に、サンクルミエール市はナッツハウスに到着した。

ナッツハウスには、すでにほとんどのチームがそろっており、あとはみゆきたち(スマイルチーム)の到着を待つばかりだった。

「そういえば、菖。宿題はもう終わらせたの?」

「あとは美術だけだ。そういうゆりは?」

「似たようなものよ」

みゆきたちの到着を待つ間、各々、和気あいあいした会話を繰り広げており、菖とゆりもまた、日陰でそんな会話をしていた。

なお、ゆりと菖(高校生二人)は夏休みの初日から宿題に手をつけ、二週間と少しで終わらせて、泣きついてきた親友(ももか)の手伝いも行っていたことはいうまでもない。

そのももかも、二人の手伝いの甲斐あって、残る宿題は美術だけ、という結果になっていたことはいうまでもない。

閑話休題(それはともかく)

「……なぁ、いくらなんでも遅くないか?集合時間、十分は過ぎてるぞ」

「そうね……何かあったのかしら?」

菖がつぶやいた通り、みゆきたちは集合時間から十分すぎても姿を見せていなかった。

さすがに心配になってきたのか、メンバーのしっかり者たち(一部除く)(ブルーチーム)は携帯を取り出して、連絡を入れ始めていた。

「……あら?」

ふと、誰かの携帯が着信音を鳴らしていることに気づいたゆりは、耳を澄まして、音源を探した。

すると、ナッツハウスの中から音が聞こえてきていることに気づいて、ゆりはかれんに声をかけた。

「かれん。ナッツハウスの中に誰かいるようだけれど?」

「え?そんなはずは……」

ゆりの問いかけに、かれんは怪訝な顔をしながら、ナッツハウスへ近づき、鍵を開けて中へ入っていった。

数分して、かれんはいつの間に侵入したのか、みゆきたちを引き連れて出てきた。

その光景に驚かない人間はこの場にはおらず、みんな反応はそれぞれではあったものの、驚愕の声を上げ、みゆきたちに詰め寄ってきた。

次から次に飛んでくる質問に、みゆきたちは対応しきれず、とうとう収拾がつかない状態になってしまったが。

「「(かーつ)っ!!」」

『――っ!!??』

菖とゆりの怒声に全員、顔を青くして黙ってしまった。

その後、出発する前に菖とゆりからちょっとお小言を受けた少女たちだった。




あとがき代わりの裏話(スキット風)

~えりかが集合をかける一週間前~
ももか「……終わったぁ……」
ゆり、菖「「お疲れ様」」
ももか「ほんと助かったわぁ、二人とも。ありがと~!大好き~!!」
ゆり、菖「「だからって抱き着かない/で……余計に暑苦しい/わ」」
ももか「ぶ~!いいじゃん、いいじゃん!!頑張ったんだし、ちょっとはご褒美ちょうだいよ!!」
ゆり「……だそうよ?菖」
菖「って、俺に振るのか!」
ゆり「あら?こういうのは男の子がするものでしょ?」
菖「だからってなぁ……はぁ……わかったよ。で?なにがいいんだ?」
ももか「そうねぇ……頭、なでなでしてちょうだい!」
菖「そんなんでいいのか?」
ももか「後でえりかに自慢してやるのよ♪」
ゆり(……どちらかというと、つぼみのほうが羨ましがりそうね……)
菖「それくらいでいいなら」(ぽむ、なでなで)
ももか「……ほにゃ~……///」
ゆり「……ももかの蕩け顔、ある意味で危険ね……」
菖「もういいか?」
ももか「や~!もっと~!!」
ゆり、菖「「……幼児化している……」」


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オールスターズ、最大のピンチ?みんなで宿題合宿です!!2

タイトルが思い浮かばなかったから、"2"ということで後編です。
なお、水着回にするつもりは毛頭ありませんでした。
理由?
本編とオリジナルで水着回がなかったからですよ(おい
まぁ、それは建前で、本音はオールスターズ全員分の水着の描写なんぞやっとったら一話まるまるできますわ、とおもったので
あとは……菖の精神衛生的な問題ですw
ひとまず、本編どうぞ


夏休みの宿題をみんなでやろう。

えりかを含む、勉強苦手組の面々が同時にそう考え、かれんの別荘で宿題合宿をすることになった。

なお、そのメンバーに菖が含まれていることはいうまでもない。

もっとも本人は。

「女の子だらけのメンバーのなかに男が一人……間違いが起きたらとか思わないのかなぁ……」

と不安になっていたことは言うまでもない。

もっとも、それだけ菖のことを信頼してくれているということでもあるのだが。

そんなこんなで、菖たちは現在、孤島にあるかれんの別荘に来ていた。

むろん、5GoGoチーム以外の人間がここに来たのは初めてなわけで。

『……すごい……』

と感想を漏らしていた。

その反応に慣れていないのか、かれんは照れくさそうな笑みを浮かべていた。

その後、一行は各自話し合って割り振った部屋に荷物を置いて、勉強道具を持って会議室のような場所へ再び集合した。

「それじゃ、始めましょうか」

「わたしと菖はもう終わっているから、自分の勉強をしているけれど、わからないところがあれば適当に聞いてくれていいわ」

「ただし、悪ふざけはしないように……とくにえりか」

「ちょ?!なんで名指し??!!」

菖とゆりが自分たちの方針を説明すると、菖はえりかに視線を送りながらそう言うと、えりかは当然、文句を言い出した。

その文句に、菖とゆりは。

「「普段の自分の行いを思い返して、よく自分の胸に聞いてみろ/なさい」」

と同時に反論されてしまった。

その反論に返す言葉もないえりかは。

「うあぁ~ん、つぼみ~」

とつぼみに泣きついてきた。

だが、つぼみはというと。

「自業自得です、えりか」

とフォローすることなく、ばっさりと切り捨てた。

いつになく手厳しい反撃に、えりかは撃沈してしまった。

撃沈したえりかは放置して、メンバーはそれぞれ、残っている宿題や自分たちの勉強を始めた。

しばらくすると。

「あ、あの、菖さん」

「うん?どうした?なお」

スマイルチームのオカンこと、なおが菖の隣にやってきた。

どうやら、歴史の宿題で手こずっているらしい。

「この問題がわからなくて……」

「どれ?……」

なおに指示されたテキストのページを見ながら、菖はなおに懇切丁寧に解説し始めた。

すると、今度はやよいが。

「あ、あのぉ……ゆ、ゆりさん?」

「あら?どうしたのやよい」

「こ、ここの問題がわからなくて……お、教えてほしいんですけど……」

びくびくしながらゆりに数学の質問をしてきた。

最近は改善されつつあるものの、やよいのゆり恐怖症はまだ収まらないらしく、今もゆりと話す時はびくびくしてしまうようであった。

「……ここはね、この公式を使って……」

やよいにびくびくされながらも、ゆりはまったく動揺することなく、淡々とそして丁寧に説明していった。

「……どう?わかったかしら??」

「は、はい!あ、ありがとうございます」

やよいがお礼を言うと、ゆりは優しく微笑みを浮かべた。

「またわからないところがあったら、いつでも聞きに来なさい?」

「はい!ゆりお姉さん!!」

やよいも明るい笑顔を咲かせながら、ゆりにそう返して、ぽてぽてと自分がもといた場所へと戻っていった。

その背中を見送りながら、ゆりは。

「……ゆりお姉さん、か……」

とつぶやきながら、少し照れてたように微笑みを浮かべていた。

------------------------

それから三時間ほどして、一区切りついた少女たちは夕食の支度を始めた。

メニューは合宿初日、ということで、バーベキューだった。

といっても、屋外で肉や野菜を焼くだけという、いたってシンプルなものだが。

なお、最初から初日はバーベキューにする予定だったため、食糧は多めに買っておいてあるし、備蓄もあるため、あまり気にしないで大丈夫、とかれんは話していた。

もっとも、最悪、心もとなくなってきた場合は、アカルンの力か不思議図書館を中継して町へ向かい、買い出しにむかうことも考えているらしいが。

閑話休題(それはともかく)

現在、海外の付近では菖とゆりが肉や野菜を焼き、他のメンバーが焼きあがった端から食べていくという状態になっていた。

その中でも、大喰いの少女たちは。

『お肉♪お肉♪どんどんお肉♪も~っとお肉♪』

なぜか即興の歌を歌いながら大量の肉を皿に盛りつけていた。

大喰いとはいえ、肉ばかり取っていくその姿は、もはや乙女とはかけ離れていた。

「……肉ばっかりじゃなくて、野菜も食べなさい」

「これがほんとの肉食系女子……」

菖が苦笑しながらそんなことを呟くと、ゆりは眼鏡を光らせ、育ち盛りの少女たちに忠告した。

「けれど、肉ばかりじゃなくて、野菜も食べないと美容に悪いわよ」

ゆりの手痛い一言に、肉を取っていた少女たちは固まってしまった。

その様子を見て、菖は笑いをこらえながら、野菜を少し多めに網の上に置いていった。

「ほれ、野菜も食べないと……」

『食べないと?』

「……」

「……あ、あの、菖さん?」

急に沈黙した菖に、つぼみが不審なまなざしを向けると、菖は微苦笑を浮かべていた。

「え、この先を言わないとダメ?俺、ここにいる皆を敵に回したくないんだけど」

「まぁ、それはそうね」

「どういうことクル?」

菖が何を言いたいのか理解したゆりは、冷たくそう返したが、キャンディーはわからないらしく、首をかしげていた。

だが、そこで墓穴を掘るような菖ではない。

キャンディーの質問に答えることなく、菖は答えず、ひたすら、野菜を金網に置いていっていた。

そんな様子の菖に、隣にいたつぼみが、自分の皿に盛りつけた肉を箸でつかみ。

「……しょ、菖さん」

「うん?なんだ、つぼみ?」

「あ、あーん、してください」

「ん?あーん……」

いわれるままに口を開けた菖に、つぼみはつまんだ肉を菖の口に投げ込んだ。

「ん?……むぐむぐ……ありがと。けど、俺のことは気にしないで大丈夫だから、自分の分をちゃんと食べなよ?」

菖はつぼみに微笑みかけながらお礼を言って、再び忙しなく金網に食材を置いたり、ひっくり返したりを続けた。

そんな様子を見ていたつぼみは、顔を真っ赤にしながら再び。

「しょ、菖さん……あーん」

「ん?あーん……むぐむぐ……」

「あーん」

「……あーん」

と、まるで小鳥に食事を与える親鳥のように、自分の皿に盛りつけられた肉や野菜を菖の口に運んでいった。

菖もまた、つぼみが運んでくれる食材を無駄にはできないと、自分の口に迎え入れていた。

その様子を見ていた乙女たちは、顔を真っ赤にしながら、羨ましそうな視線を送っていた。

なお、肉や野菜に夢中になっていたえりかは。

「……つぼみ、あんた自分の分も食べなよ……」

と苦笑していた。

------------------------

そして時間は過ぎて、合宿二日目の午後になってようやく。

『終わったーーーーーーーーっ!!』

会議室で歓喜の声が響き渡った。

えりかたち宿題合宿の立案者たちが宿題をすべて終わらせたのだ。

「お、お疲れ様」

「頑張ったわね、みんな」

菖とゆりからほめられて、勉強苦手組(ピンクチーム)(一部除く)とほか数名は照れくさそうな笑みを浮かべた。

当初予定していた三泊四日の予定のうち、半分の日数で宿題を終わらせたため、手持無沙汰になるかと思った菖だったが、そんなことはなかった。

いや、むしろ合宿の日数を半分残すことは、遊ぶことにかけては全力をつくす彼女たちならではの計画でもあったようだ。

『それじゃ遊ぼう!!』

合宿立案者たちが声をそろえてそう提案してきた。

それが目的だったことを理解した菖たちが、呆れた、といわんばかりのため息をついたことは言うまでもない。

特に、メンバー随一の毒舌であるアコは。

「……結局、遊ぶことが大目的だったのね」

と呆れ返っていたことは言うまでもない。

こうして、目的を果たした少女たちは無事に、夏休みの残りの時間すべてを遊びや部活に費やすことができたのだった。

そして、海に来たのであれば、やることは一つ。

『というわけで、みんなで海で遊ぼう!!』

『おー!』

「……そうはいうけどな……」

「そうね……」

「肝心なこと、忘れてない?」

海で遊ぶ、というワードにテンションが上がってきている中学生たちだったが、菖とゆり、そしてアコは至って冷静だった。

なぜなら。

「だって、わたしたち、水着を持って来てないじゃない」

そのことをすっかり失念していた中学生たちは、がっくりとうなだれてしまった。

だが、キャンディの一言でそれは解決することになった。

「だったら、これを使うクル!」

「何それ?」

キャンディが突然取りだしたボタンのようなものに、菖が疑問符を浮かべると、みゆきたちがその疑問に答えた。

「それはキュアデコルといって、わたしたちが回収しているアイテムです」

「えらい便利やで?なんもないところから布や食べ物だしたりできるしな」

「それに、人魚さんになったりすることもできるんですよ!」

「けど、なんでそれを……あ、そうか!イルカデコル!」

「そっか!あれをつかって人魚になればいいんだ!!」

スマイルチームの説明によれば、変身し状態でイルカデコルの力を使うと、人魚のように下半身がイルカの尾びれのようになるのだそうだ。

つまり、水着を用意せずとも、海中遊泳を楽しむことができるということだ。

それを聞いたえりかたちは。

『それいい!早速やろう!』

とすっかりやる気になっていたため、止めることができるような状態ではなくなってしまった。

「……これ、もう止められないな」

「そうね……覚悟するしかないわね」

泳ぐつもりがなかった菖とゆりは、陰鬱なため息をつき、流れのまま、変身アイテムを取り出すのだった。

そんな二人は、心中で。

――これから二日間、はたして精神がもつかどうか……

と不安に思っていたというのは、コロンとココ、ナッツの三人だけが知っていた。




あとがき代わりのおまけ話(スキット風)

~バーベキュー準備中~
菖「お、バーベキューにするんだ?」
かれん「えぇ。やっぱり、みんなでわいわいしながら食べたいなと思ったので」
菖「なら、炭火は……りんに任せればいいか?」
りん「え?その心は?」
菖「情熱の赤い炎だし」
りん「それ、変身したときの名乗りってだけでまったく関係ないですよね?!」
菖「あ、ばれた?まぁ、それは俺がやるから、りんはのぞみたちの面倒みてくれ……食器運ぶだけでもあいつらじゃ……」
ゆり「……ありえるわね。りん、わたしも行くから手伝ってちょうだい」
りん「あ、はい!」
菖「さてと、取りかかるかなぁ……」
~数分後~
のぞみ「お父さん、まだ~?」
菖「もういいよ~」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響、あゆみ『(お、お父さん?!)』
アコ「……お父さん」
菖「なんだい、母さん」
アコ「……っ??!!////」
ゆり「菖……あなたにそんな性癖があったなんて……」
菖「悪ノリしただけなんだけどな……なんでさ……」
ゆり「冗談よ」
菖「冗談ですまなさそうなレベルの話だから、まじでやめてくれ」
ゆり「うふふ……たまにはわたしだって言いたくなるわよ、冗談」
菖「……というか、俺が父さんってなったら母さんって、ゆりなんじゃ……」
ゆり「……え?……///」


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オールスターズ、最大のピンチ再び?菖さんが歴史の先生です!

リクエストにお応えして、今回は菖による歴史の授業……なんですが、頭の部分だけで後半は省きます。
やり始めたらとてもじゃないけど終わらないですもん。
時代も適当にチョイスさせていただきました。
あと、今回のあとがきですが、私が個人的に思っていることを菖に代弁してもらいました。
不快に思われる方も中にはいらっしゃると思いますが、個人的に本当に必要なことだと思っているので、ご了承いただければと。

……通算70話目……本編を投稿する予定だったんだけどなぁ……


人間の科学技術の進歩というのは早いもので、特に最近はコミュニケーションツールで用いる分野の発展が目まぐるしい、というのが菖の感想だ。

そんな感想を抱いている菖の目の前には、菖のスマホが置かれていた。

そして、その画面ではSNSアプリが開かれており、フレンド登録しているオールスターズのメンバーの会話が繰り広げれていた。

当然、その中にゆりのアカウントもあり、オールスターズメンバーとは別にコミュニケーショングループを作っているのだが、それはまた別の話。

現在、オールスターズメンバーの間では、一つの共通の話題で持ちきりになっていた。

それは、歴史の授業がまったくわからない、というものだった。

ふと、アプリのチャット画面を見てみると、あろうことか、ゆりが驚愕の提案を投げかけてきた。

《なら、いっそのこと菖に歴史の授業をしてもらってみてはどう?》

それを見た菖は、一瞬、思考が凍結したが、すぐに反論の返信を送った。

《いや、待て!なんでそうなるんだよ??!!》

《あら?だってこのメンバーで歴史の成績が一番いいのはあなたしかいないでしょ?》

《いや、ゆりが教えればいいじゃないか!!》

《あなたの成績を見たら、わたしが教えて大丈夫かどうか不安になるわよ》

明堂学園高等部きっての才女、として有名なゆりなのだが、唯一、歴史の成績だけは菖に負けてしまっている。

それだけならまだしも、菖は時折、同級生にも歴史を教えてほしいと頼まれることがある。それだけならばまだいいのだが、その解説が教師顔負けといった次元に達してしまっているため、先生に聞くより春川に聞いたほうが面白い、という印象が同級生の間で広がっていた。

そのせいで、一部の教師から白い目で見られることがあるのだが。

閑話休題。

ゆりのお墨付きのせいで、菖に授業をしてもらえるという雰囲気が出来上がってしまい、断るに断れなくなってしまった菖は。

《……わかったから、せめて範囲を教えてくれないか?》

と、敗北宣言をするのだった。

----------------------------------

日曜日。

ありすの好意で貸切にしてくれることになった四葉財団が所有しているホテルに、オールスターズのメンバーは来ていた。

その中にはもちろん、菖もいるのだが、不機嫌そうな面構えをしていた。

普段、穏やかな表情しか見たことがないドキドキ組は、菖のその表情に驚愕していた。

「ちょ?!菖さん、なんかものすごく不機嫌な顔してる?!」

「い、いったい、何があったのよ……」

「あらあら♪」

「な、なにか嫌なことでもあったのかしら……」

「は、判断がつきませんわ……」

「……主な原因がお前らだということを自覚しろ……」

ドキドキ組がそんなことを言っていると、とうの本人が苛立ちをおさえることなく、文句を言ってきた。

「え、えぇと……ごめんなさい?」

「マナ、なんでそこで疑問符なのよ……まぁ、わたしたちは本当に関係ないから、仕方ないんだけど」

ドキドキ組は普段、アイドル活動をしている真琴を除き、メンバー全員が優秀な成績を修めている。そのため、歴史の授業がわからない、という枠にはまってはいないのだ。

そのため、今回はどちらかといえば、菖をサポートする立場にあり、自分たちが怒られる謂れがまったくわからないでいた。

「……そもそも、歴史の成績がいいからってなんで俺が教師役なんだよ……俺、自分で研究する分にはいいけど、教えるのへたくそなんだぞ……」

ぶつぶつと、菖は聞こえないようにそんな文句を呟いていた。本人は自分を過小評価する傾向にあるため、本当のところを知っているゆりやつぼみたちが聞いたら、そんなことはない、と強く否定するだろうが。

もっとも、人になにかを教えるということが、どれほどエネルギーを使うか、身をもって体験している勉強をちゃんとしていた優等生たち(ブルーチーム(一部除く))と平均レベルの子たちは、申し訳なさそうに苦笑を浮かべ、基本的に勉強ができない組(ピンクチーム(一部除く))は、本当に申し訳ございません、と申し訳なさそうに謝りながら、何度も深々と頭を下げていた。

「いい加減にしなさい、ここまで来たら腹をくくるのが男でしょ」

と、近寄りがたい雰囲気になっていた菖に、ゆりは何の遠慮もなく近づき、どこからか取りだしたハリセンで頭をはたいてきた。

その一発で、菖の怒りはなりをひそめ、再び不機嫌そうな面構えに戻った。

----------------------------------

その後、ホテルの会議室に入った一同だったが、その中に、菖の姿はなかった。

いや、菖だけではなく、ほのかとかれん、こまち、ゆり、れいか、亜久里とレジーナ以外のドキドキ組の姿もなかった。

そのことに疑問を感じた、今回の勉強会の発起人たちだったが、その理由はすぐにわかった。

授業用のものなのだろう、様々な資料を手にした菖が姿を見せると同時に、この部屋にいなかった面子も姿を見せた。

「さてと、それじゃさっさと授業を始めようか。学校や塾じゃないから、あいさつは不要。さっさとやるぞ」

そう言って、壇上に立った菖はサポート役を買って出てくれた優等生組に資料の配布を頼んだ。

数分もしないうちに、全員に資料が行きわたり、いよいよ、菖の授業が開始された。

「さてと、それじゃ今日やるのは江戸時代の初期から中期。いわゆる、三大革命前の時代までだな。たしか、今やってるのはそこらへんだったよな?」

なお、地域によってばらつきはあるものの、現在、ここにいるメンバーが学校の授業で扱っている範囲がそのあたりに集中しているということは、四葉財団の調査でわかっている。

それを聞いたとき、さすがの菖も何も言えず、ただただ乾いた笑みを浮かべていた。

「さて、まずはそもそも江戸幕府ができるまでのことをやらないと始まらないな。なわけで、ひとまず、江戸幕府ができる直前のことから話をしていこうと思う」

そう宣言してから、菖は本日の生徒たちの方へ視線を向けた。

「さて、まずは基本的な質問だ。江戸時代の前の時代を何時代と言ったか、覚えているかな?えりか」

「うぇ??!!は、はい!!」

「次の中から選んで答えてくれ。一、安土桃山時代。二、戦国時代。三、ファッション現代」

なお、最後のファッション現代はえりかがよく買っているファッション雑誌の一つであり、菖なりにこの授業に込めた笑いの要素でもある。

だが、これは基本的すぎる問題なので、さすがにえりかも自信たっぷりに返してきた。

「安土桃山時代っしゅ!!」

「その通り。で、その戦国時代の終わりに、「天下分け目の合戦」って呼ばれた戦争が勃発したんだが、それは」

「あ、それ知ってる!関ケ原の合戦でしょ!!」

「……響、その通りだ。んじゃ、その戦いが終わったのは?」

「……」

菖の言葉に先駆けて、響が発言したので、その流れで質問をしたのだったが、どうやら、年号までは覚えていないらしい。

いまどき、小学生でも覚えているような年号なうえに、切りもいい数字なので覚えやすいのだが。

「1600年な。これは一般常識だから、覚えておくように」

「……はい……」

「さて、さっきも言った通り、関ケ原の合戦は徳川軍(東軍)が勝利。実質的に、豊臣勢を上回る力を持っていることを世に知らしめたわけだ。これが契機となって、1603年、家康は右大臣と征夷大将軍の位を賜り、江戸幕府を開くこととなる……ここまでは大丈夫かな?」

『はい!』

さすがに「おバカ」で定評のあるのぞみも、ここまでは理解できているらしい。

だが、菖にとっても、ここまではあくまでも復習であり前哨戦だ。

問題は、この先に控えている内容になっていた。

「さて、それじゃここからいよいよ本題に入っていこう。まず最初に……」

こうして、菖による江戸時代の授業が始まった。

基本となる幕府の政治制度に始まり、幕府の敷いた政策、将軍ごとの特色やその時々の気風からくる文化の変化、事件などを具体的な例や時代劇の一幕を交えて説明していった。

その内容の面白さもさることながら、「どんな突拍子もないものでもいい、とにかく自分が考えた答えを言ってみてほしい」という、菖独自の質問スタイルも手伝って、授業開始から一時間経過しても誰も居眠りをしている様子はなかった。

「……さて、ひとまずこれくらいで今度のテストの範囲は大丈夫だろう。みんな、お疲れ様!」

その言葉が、授業終了の合図となった。

授業終了後、菖は教卓として使わせてもらっていたテーブルに突っ伏し、大きくため息をついた。

「……疲れた……」

「お疲れ様。相変わらず、すごいわね」

菖のその一言に、ゆりはそう言いながらペットボトルのお茶を渡してきた。

ありがとう、と一言礼を言ってから、菖はペットボトルの中に入っているお茶を口に含み、再びため息をついた。

「けど、この資料があればゆりでもこのレベルの授業、できただろ?」

「そうね……やれといわれてできないこともない、かしら?」

「資料作るのは俺がやって、授業はゆりってわけにいかなかったのか?」

いまさらながらの質問に、ゆりは意地悪な微笑みを浮かべて。

「あら?だって、みんなが希望したのは菖、あなたの授業なのよ?だったら、その要望に応えたほうがいいんじゃないかしら?」

「……もっともなことで」

正論を返され、菖はため息とともに反論を諦めた。

菖のそのふてくされているとも取れる様子に、ゆりは優しそうな微笑みを浮かべるのだった。

----------------------------------

それから一週間。

SNSアプリのチャット画面には、菖の授業のおかげで歴史のテストで満点を採れた、という報告と菖へのお礼が次々に流れてきていた。

《本当に、ありがとうございました!》

《あぁ、なんで菖さんがわたしたちの先輩じゃないんだろ!!》

《というか、学校の授業がつまらなすぎるのがいけないのよ!》

《……お前らな、先生たちだって工夫してるんだからな?そこんとこわかってんのか??》

徐々に学校の先生を叩き始めた彼女たちに、菖は一言釘をさした。

生徒の側であるとわからないことなのだが、たとえ十分間だけの授業であっても、かなりの準備が必要となる。

その中から、最低限、教養として必要となる情報をピックアップし、わかりやすく伝えるにはどうすればいいのか。そして、より印象付けるために、どのような雑談や小噺、豆知識を披露すればいいのか、という点にも教師は心血を注いでいる。

その努力を、菖は両親の背中を見て知っているから、学校の授業で文句を言うことはない。

そして、だからこそ、「面白いから」という安易な理由で自分に授業をしてほしいと言ってほしくないのだ。

もっとも、その想いを理解してくれているのは、ゆりだけなのだが。

その後、SNS上では、勉強苦手組に対して、菖がお説教をすることになってしまった。

なお、その内容はオールスターズ全員が見ていたため、ゆり以外の全員が、『耳が痛い』という感想を抱いたのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~授業終了後~
菖「さて、これでおしまいだけど、みんなに聞いてほしいことがある」
ゆり以外のオールスターズ『……?』
菖「みんな、歴史に興味がないみたいだけど、もしかしなくても「昔の人の話だから」って理由じゃないだろうな?」
勉強苦手組『ぎくっ!!』
菖「……やっぱりか。けどな、お前らだって好きなことくらいあるだろ?そこにだってちゃんと歴史は存在するんだぞ?まして、ファッションや歌、料理、小説なんかは当時の国の意思やお財布事情なんかの影響をもろに受ける分野で、そのたびに消滅しないように工夫を凝らし、進化しているんだ。それに興味を持たないでどうするよ」
えりか「えぇ?……けどさぁ、突き詰めても結局「昔……」
菖「だからってそこで思考停止して学ぶことを放棄するのは愚者の行いだ。そもそも、歴史を学ぶことの意義は、自分たちが生きている国が歩んできた道筋を知り、その時代その時代に生きてきた人々が築いた文化を受け継いで、さらに進化させていくことにある」
マナ「う~ん……けど、それが「いま」とどう関係が……」
菖「……ある教授の話だ。第二次大戦のときに激しい空襲を受け、大学は崩壊、街は壊滅寸前というところまで行っていた」
なぎさ「うへぇ……」
菖「だが、その教授は授業を続けた」
なぎさ「え?」
こまち「黒板も机も、ないのに、ですか?」
菖「あぁ。その教授は当時、こう語ったそうだ『敵の狙いは我々英国民の向上心を砕くこと。ここで我々が学ぶことを放棄すれば、それこそ、ヒットラーの思うツボ。今こそ学び、憎しみ合い、殺し合う人間の性を乗り越え、新たな文明を築くべきです』ってな」
ゆり「第二次大戦中に、そんな立派な精神をもつ方がいたのね……」
菖「あぁ。けど、残念なことに過去の文明を学び、新たな文明を築こうとする気概のある若人はこの場にはいないらしい」
オールスターズ『うっ……』
菖「何より、歴史を学ぶことの意義は、自分の国が築いてきた文明や文化を知り、新しい文明や文化を築くだけじゃない。ほかの国が持つ文明を知ることで、その国の価値観を知り、理解し、共存共栄の道を模索することにある」
のぞみ「……ねぇ、りんちゃん、共存共栄って」
りん「……あんたね、ちょっと黙って聞いてなさい」
菖「国際化が進む中で、俺たちはどうしても閉鎖的ではいられない。いやでも海外の情報は入ってくるし、異国との関わりなしに生きていくことなんて不可能だ」
オールスターズ『……』
菖「そして、国が違うということは、俺たちとは違う価値観を持っているということで、その衝突は避けることはできない。なら、血を流さず、共に生きていく道を模索するためにも、相手の価値観や文化を理解しなければならない。そのために、まず俺たちは自分の国の歴史を学び、自身の価値観を身につけなければならない。だから、「昔の人の話だから関係ない」じゃなくて、「昔の人の話だからこそ、聞いておこう」くらいの気持ちは持っていてくれ……これが、俺がみんなに願うことであり、忘れないでほしいことだ」
ゆり以外『はいっ!』
ゆり(ふふふっ、かっこいいわよ、菖……)


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永遠のともだち~Ep.1:静かに進む事態、目覚めない子供たち~

いやはや、非常に難産でございました……
では、待っていたかどうかはわかりませんが、いよいよ、オールスターズNS最終幕の登場です!
もちろん、あいつも出しますぞ~
いつになるかは言いませんが


その日、菖とゆりは、ももかと一緒にファッション部によるプチファッションショーに参加していた。

自分でデザインしたらしい衣装を着て、試着室から次々と部員たちが出てくると、今度はゆりとももかの出番となった。

 

「……えりか。なんでわたしたちは二人一緒なのかしら?」

「まぁまぁ、着てみればわかるっしゅ!!」

「ほら、ゆり!しのごの言わないで、入った入った!!」

「あ、ちょ!!」

 

ももかに言われるまま、というより、背中を押されるまま、ゆりは試着室へと入っていった。

それから数分と経たずに、カーテンが開かれた。

カーテンの向こうには、でかでかと「友」と書かれたTシャツを着たももかと、同じようにでかでかと「情!!」と書かれたTシャツを着たゆりの姿があった。

二人が並ぶと「友情!!」の単語が成立するという、変わったTシャツのようだ。

 

「へぇ……二人にぴったりじゃないか?」

「そうかしら?」

「決まってるじゃない!だって、あたしたち二人を感じで表わしたら『友情』に決まってるじゃない!」

「……まぁ、それもそうか」

 

普段の二人の仲良しぶりから、菖は納得したようにうなずいた。

なお、えりかは菖も着せ替え人形にし(服を着せ)ようとしたのだが、行かなければいけない場所があるから、と断られてしまった。

 

----------------------------

 

菖がえりかのファッションショーから逃げて、行かなければならなかった場所。

そこは、夢違え観音と呼ばれる観音様についての伝承が残る遺跡だった。

 

――さて……はたして鬼が出るか蛇が出るか……

 

菖はその手に握りしめた一枚の封筒に視線を向けながら、心中でつぶやいた。

実のところ、菖はここにくる用事はなかった。

なぜなら、ここは一度、じっくり見学した上、あまり面白いものもなかったため、すっかり興味を失っていたのだ。

ならば、なぜここに来たのか。

その理由が、手にある封筒に入っていた手紙だった。

 

その手紙には、こんなことが書かれていた。

『ここ数日の間に起きている、子どもが目を覚まさない奇病は、普通の病気ではない。むろん、特殊なウィルスや病原菌、あるいは未発見の生物による感染症の類でもない。原因はほかにある。それを知ることができるのは、神秘を守護する側にいるものか、神秘に触れたことがある者たちのみ。脆弱な戦士たち(プリキュア)の守護者たるお前だけだ。もし、真実を知る勇気があるのなら、夢違え観音の伝承が残る遺跡へ迎え。そこに、謎を解くカギがある。ただし、気をつけろ。あるいは二度と戻って来れなくなるかもしれないからな』

 

――いや、戻ってこれなくなるって、どんだけ危険なんだよ……

 

手紙の主にツッコミを入れながら、菖は周囲を見まわした。

すると、ある一点に気づき、そっとため息をついた。

 

――なるほど。こりゃ確かにみんなにゃわからないな

 

視線の先にあるもの。それは、何かのゲートのような、虹色の光の輪だった。

だが、遺跡の周辺を散策している人々はそれに気づいていない様子だった。

そのことから、どうやらこの光は、自分にしか見えていないということを確信できた。

菖は、その筋の人々からは「見鬼」と呼ばれる才能を持つ、稀有な人間だ。

見鬼の目は、普通の人間では捉えることのできないものを見定めることができる。

そのため、いわゆる霊視を行う人間は、この才能を持っていると言われている。もっとも、その才能が本物であるという保証はないのだが。

 

閑話休題(それはともかく)

 

菖は虹色の光を見つめながら、再び、陰鬱なため息をついた。

 

「……はぁあ……これ、行くしかないよなぁ……」

 

いかにも行きたくなさそうにため息をつきながら、光の方へと歩み寄った。

静かに光へ手を伸ばし、触れてみた。

すると、菖の手は光の中へ吸いこまれていった。

おもむろに光の背後を覗いてみるが、つき抜けてはいなかった。

どうやら、この光の先は別の空間に通じているらしい。

普通ならば、驚き、慌てふためくところなのだろうが、そこは何度となくプリキュアたちと戦ってきた守護騎士だ。

まったく動揺しているようには見えなかった。

 

――やれやれ、ほんとに鬼か蛇が出てきそうだよ……

 

この先に何が待っているのか、不安しかなかったが、行くほかにないことを理解していたため、菖はためらうことなく、光の中へ入っていった。



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永遠の友達~Ep2:事件の裏にはやっぱり妖精?!~

少し時間かかったかなぁ……?
というわけで、NS3第二話。
いやもうね……ぶっちゃけると、オリジナル視点になってたりなってなかったりです(オォイ
ちなみに、菖と友護のユメタのお母さんに対する風当たり、少し強めにするつもりです。
尽くすばかりが愛にあらず、ってね
まぁ、どうなるかはこの先をお楽しみに


光をくぐり抜けると、菖の目の前には、現実ではありえない光景が広がっていた。

 

「……うわ、なんだよ、これ……」

 

色とりどりのサンゴ、空中を泳ぐ魚や泡の中にあるお菓子の数々。

まさに夢の世界ならではの光景なのだが、どうにも違和感を覚えた。

なぜなら、あまりにも()()()()()()()のだ。

だが、その理由はすぐに理解できた。

 

「……なるほど、あれか」

 

その視線の先には、子供たちが楽しそうに遊んでいた。

それも、掃除機のようなものに乗った、小さな妖精と一緒に。

その子供たちの顔に、菖は見覚えがあった。

どれも、ニュースでちらりと映っていた、目を覚まさない奇病にかかった子供たちだった。

 

「……もしかして、ここは夢の世界なのか?」

 

そうつぶやいた瞬間、菖は背後に嫌な気配を感じ取り、振り向いた。

そこには、熊のぬいぐるみのような何かが立っていた。

だが、それがただのぬいぐるみではないということを、菖の直感は見抜いていた。

そして、その直感は正しかった。

 

「アクムーーーーーーーっ!!」

「ちっ!!」

 

突然、腕を振りあげて奇声を上げたかと思うと、ぬいぐるみもどきは振りあげたその腕を思いっきり振り下ろしてきた。

舌打ちしながらもそれを回避した菖は、左手を胸に当てた。

 

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

 

そう叫んだ瞬間、菖の体が光を放った。

光に目がくらんだぬいぐるみもどきは、そのまぶしさに目をそらした。

その隙をついたたのように、青く輝く光の矢がぬいぐるみもどきを貫いた。

 

「大樹の騎士、ユグドセイバー!水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

菖を包んでいた光の中から、青い光をまとった弓を手にしている、白いマントをまとう戦士が姿を見せた。

その戦士こそ、伝説の戦士プリキュアとともに戦う、もう一人の戦士。心の大樹の守護騎士、ユグドセイバー。菖のもう一つの顔だった。

 

「熱烈な歓迎だったな……こいつは返礼だ!」

 

いきなり殴りかかられたことに怒っているのか、セイバーは弓を構え、心の光の矢を番えた。

 

「我は水、全てを洗い清める、清冽なる流れ!アクリア・ユグドフォルテウェーブ!!」

 

番えた矢を放つと、青い光はまっすぐにぬいぐるみもどきに飛んでいき、その胸に深々と突き刺さった。

 

「あく、むぅ……」

 

ぬいぐるみもどきはうめき声をあげながら、その場に倒れ伏した。

だが、その姿は消えていない。

そのことに違和感と、嫌な予感を覚えたセイバーは即座にその場を離れた。

だが、そのすぐ近くで。

 

「アクムーーーーーーーっ!!」

「うぇっ??!!」

 

先ほど一方的に倒したぬいぐるみもどきと同じ声を上げている、同種と思われるものの声が聞こえてきた。

だが、同時に。

 

「プリキュア!スパークルソード!!」

「プリキュア!ダイアモンドダスト!!」

「プリキュア!ロゼッタリフレクション!!」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきた。

その声に、セイバーは思わず陰鬱なため息をついた。

 

「まったく予想してなかったのに……どうして、こうも怪事件の裏にゃプリキュアや妖精たちが絡んでくるのやら……」

 

だが、文句を言っていても仕方がないため、セイバーは再び弓を構え。

 

蒼き雨は天をも穿つ(蒼雨天穿)!!」

 

矢を放った。

放たれた矢は、まっすぐにぬいぐるみもどきを射貫いた。

一方、後輩たち(ドキドキ組)は放たれた矢の発射地点へと視線を向け。

 

『せ、セイバー??!!なんでここに??!!』

 

同時に叫んでいた。

その仲の良さに、セイバーは苦笑を浮かべた。

だが、その表情はすぐに引き締まった。

 

「来るぞっ!!」

 

セイバーのその予告通り、掃除機にまたがったウサギのような妖精が姿を表わした。

妖精がむけてくるその視線には、敵意が込められているようにも感じられた。



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永遠のともだち~Ep.3:全ては我が子のため?マアムの秘めた想いと行動~

ぶっちゃけ、展開がオリジナルと化しています。
いや、だって手に入らなかったし書籍もないので……
まぁ、そこはそれってことで許してください(汗


思わぬ形でドキドキ組と合流することになったセイバーだったが、その視線は一体の妖精に向けられていた。

 

「……その姿といい、さっきの変な奴を出した掃除機といい、あんたは妖精か。子供たちをこの世界に閉じ込めているのはあんたか?」

「閉じ込める?あんなに楽しそうにしているのよ?」

 

妖精の言うとおり、子供たちは楽しそうに遊んでいる。

まるで、ここが夢の世界で、自分たちが目を覚ますことなく、ずっと眠ったままでいることに気づいていないかのように。

だが、楽しければいいというものではない。

どうにか説得しようと試みるセイバーとドキドキ組だったが、妖精は聞く耳を持たず。

 

「ここから、出ていきなさい!!」

 

強制排除を開始した。

だが、出ていけと言われて素直に出ていくわけもなく、どうにか話をできないか、語りかけ続けた。

もっとも、その努力もむなしく、あっけなく夢から排除されてしまうのだった。

 

――邪魔者はいなくなった。早くユメタを安心させないと

 

プリキュアたちと白騎士が姿を消した方向へ視線を向けながら、妖精は自分の子供のもとへと急ごうとした。

ふと、その足元に見覚えのあるものがあることに気づいた。

 

「……プリキュアの教科書?」

 

それは、グレルやエンエンたち、妖精学校に通う見習いパートナー妖精たちが、将来、パートナーとなるプリキュアについて学ぶために作られた教科書だった。

開かれたページには、さきほど遭遇したドキドキ組の絵があった。

 

――もしかしたら、またプリキュアたちが邪魔をしに来るかもしれない……それなら、いっそ、ここにあるプリキュア全員を夢に閉じ込めてしまえば

 

そんな悪魔のささやきが、妖精の脳裏によぎった。

このバクの妖精、名前をマアムという。バクはその伝承の通り、悪夢を喰らい、吉夢をもたらすとされているが、マアムもまた、その役割を担っている。

そして彼女には、まだまだ力の弱い、ユメタという息子がいる。

臆病で寂しがりで、バクが立ち向かわなければならない悪夢にもおびえる始末だ。

そんなユメタを守るために、マアムは悪夢退治に奔走していた。その間、ユメタが寂しがらないよう、眠りについた子供たちに遊び相手になってもらっていた。

 

だが、いつか子供たちは夢から醒める。そうなったら、ユメタは一人になってしまう。

目の前で友達となった子が消えてしまったときのユメタの悲し気な顔を見て、マアムは一つの禁忌を犯した。

それが、子供たちを醒めない夢に捕らえることだった。

葛藤がなかったといえばうそになる。だが、マアムにとって、ユメタは大切な一人息子。

何者にも代えられないものだ。

だから、あらゆるものからユメタを守りたいと願っているし、そのためなら、どんな代償も払うつもりでいる。

 

――全部、ユメタのために……

 

そして、マアムはまたユメタのために禁忌を犯そうとしていた。

 

----------------------------

 

一方、はじきだされたドキドキ組とグレルにエンエン、菖、そしてめぐみとひめたちはソリティアで今後の方針を話し合っていた。

なお、さきほど遭遇した二人のバクの妖精については、グレルとエンエンからすでに聞いていた。

 

「う~ん……ユメタくんはグレルとエンエンの友達なんだよね?」

「うん」

「立派なバクになるために、学校を辞めるって言ったんだよ。けど、あんなことしてるなんて……」

 

マナの問いかけに、グレルとエンエンはしょんぼりとしながら返した。

事は、マアムを倒せばいいという、簡単な話ではない。

 

「……菖お兄様、いったい、どうすればいいのでしょうか?」

「ん~……話をする間もなく追い出されちゃったからなぁ……話を聞かないことには、なんとも言えないけど」

 

亜久里の問いかけに、菖は困り顔で返した。

が、その目に、珍しく冷たい光が宿り、驚愕の言葉を口にした。

 

「下手をしたら、もうすでに退治しなきゃならないくらい手遅れなのかもしれない」

「……え?」

「それだけ強い闇がマアムから視えていた、て言っても、みんな信じないだろうけど」

 

それは、見鬼の才覚があるがゆえの勘だった。

だが、実際、マアムからは穢れと言っても差し支えないようなものが漂っていたことも事実だ。

そうでなければ、バクのいる空間で悪夢が闊歩しているわけがない。

とはいえ、菖もただ退治するだけが正しいというわけではないことをわかっている。

だからこそ。

 

「いずれにしても、このことは一度、みんなで話し合ったほうがいいと思う」

「そうですね」

「三人寄れば文殊の知恵、って言うし」

「プリキュアのみなさんが集まれば、きっといい知恵が浮かびますわ」

「そういうことなら、一度、みんなに連絡を取って今度のお休みの時に集まろう?」

「賛成ですわ!」

 

どうするべきか、仲間に相談する。

その方向で全員一致し、その場は解散となった。

だが、その翌日。

プリキュアオールスターズとセイバーはマアムの力によって、夢に囚われてしまった。

新たなプリキュアであるハピネスチャージ組と、幻のプリキュア、キュアエコー。そして、エコーを守護する戦士を残して。



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永遠のともだち~Ep.4:夢の世界での出会い~

というわけで、いよいよクライマックス直前。
今回はできればEp.5までいくつもりではあるんですが……もしかしたら6とか7までいくかも?
まぁ、そんときになってみないとわからないですが。

なお、今回登場してもらったのは、テイルズオブシリーズ、Zの主人公とBの主人公です。
主人公のモデルがモデルだし、Zについては、ね?
ってことで、こうしました。
あと、予告しておきますが、次回もテイルズオブシリーズから一人、ナイトウィザードから一人、出演してもらう予定です。
誰になるかはお楽しみに

というわけで、本編どうぞ


その日の夜。

希望ヶ花市にある、神社の敷地内にある一軒家の一室に、一人の青年がいた。

ふと、青年は窓から部屋の外へ視線を向けた。

すると、月明かりが夜空を照らしているにも関わらず、力強く瞬いている星が一つ、また一つと増えていった。

 

――やれやれ、期待してはいなかったが、まさか本当に占の通りになるとはな

 

青年はそっとため息をつき、携帯を取り出して、ある男へ電話をかけた。

数秒のコール音のあと、男が電話に出ると、青年は二、三、言葉を交わして電話を切った。

そして、再び空を見上げ、ため息をついた。

 

「……まったく、こればかりはどうあがいても防ぎようがないから、大目に見ておくが……俺に手だしさせた代償は高いぞ?春川、月影」

 

同級生である二人の名前を、なぜか呟くと、青年は不敵な笑みを浮かべながら月を見つめ。

 

「騒がしくなってきたな」

 

と呟くのだった。

 

----------------------------

 

菖が目を開けると、視界には果てしなく続く青空と草原が広がっていた。

自分が布団に入ったことと、目を開けるまで寝返り以外の動きをしていないことを自覚していた菖は、これが夢の光景であるということをすぐに理解できた。

 

「……けど、この夢にいったいどんな意味が?」

 

そうつぶやくと、突然、突風が吹き抜けてきた。

思わず、腕で顔をかばい、目を細めた菖だったが、風はすぐに通りすぎていった。

再び目を開けると、風が吹く前にはいなかった二人がいた。

一人は、ゆりと同じかそれ以上に長い髪をたなびかせている女性。もう一人は、ユグドセイバーと同じ、不思議な文様が描かれている白いマントをまとった青年だった。

 

「……あ、あの」

「鳥は……」

「へ?」

 

ここがどこなのか、問いかけようとした瞬間、女性が口を開いた。

 

「鳥はなぜ空を飛ぶんだと思う?」

「それは……」

 

鳥が空を飛ぶようになったこと。

それは地球の長い歴史の中でそうなるよう、進化をしてきたからだ。

だが、なぜか菖はその答えではだめだ、と直感していた。

答えを悩んでいると、時間切れだ、とでも言うかのように、女性が答えを口にした。

 

「誰かに命じられたからじゃない。そうしたいからそうしているんだ……」

「え、えっと……」

「ははは、まぁ、突然そんなこと言われても戸惑っちゃうよな」

 

女性の言葉に戸惑っていると、今度は青年が苦笑しながら口を開いた。

 

「え、えっと?」

「なんだか、ちょっと悩んでいるような声が聞こえたからさ。ちょっと退屈してたし、話を聞いてみようと思ったんだよ」

「は、はぁ……」

 

何を言っているのかまったくわからない、という顔を浮かべたが、青年はなおも人懐っこい笑顔を向けていた。

残念ながら、逆光で顔はよく見えなかったが。

 

「で、君はどんなことで悩んでいるのかな?」

「えっと……」

 

菖は青年に自分がいま抱えている当面の悩みを打ち明けた。

友達の母親が、とある事件を引き起こしていること。事件を終わらせるには、母親を浄化する(倒す)ことが一番手っ取り早く、確実であること。それはわかっていても、自分がそれをしたくないと思っていること。

それら全てを、青年も女性も黙って聞いてくれていた。

全てを話し終えて、最初に口を開いたのは女性のほうだった。

 

「……一つ、聞いていいか?」

「え?」

「全と個、どちらか一方しか取ることができないとしたら、お前はどっちを取る?」

 

大げさに言えば、それはつまり、個人を取るか世界を取るか、ということのようだ。

だが、菖はまったく迷うそぶりを見せずにあっけらかんと。

 

「個を取ったら、全にならない?」

「……どうやら、こいつはお前と同じ思考回路をしているようだな。導師」

「正直、ここまで俺と似ているとは思わなかったよ」

 

導師、と呼ばれた青年は、女性の言葉にそう返し、菖へ視線を向けた。

その瞬間、光は弱まり、導師の顔がはっきりと見えるようになった。

はっきりとした導師のその顔に、菖は目を丸くした。

そこにあったのは、菖とまったく同じ顔だったのだから。

 

「俺からは何も言わない。君と俺は同じみたいだから、俺が言いたいことはたぶんわかってると思うから」

 

導師がそう語ると、徐々に菖の意識が遠のき、瞼が閉じ始めた。

必死にこらえようとするが、その意思とは逆に、瞼は重さを増していった。

 

「どうやら、俺たちとの会話はここまでみたいだな」

「そのようだ……お前は、お前が正しいと信じた道を行け。その先にある結末、見届けさせてもらうぞ、夢を挟んだ向こう側の世界からな」

「どうか、君が納得できる答えを導きだせることを祈っている」

 

二人が菖にその言葉を送ったと同時に、菖の瞼は完全に閉ざされ、意識も闇の中へ落ちていった。

だが、睡魔が襲ってくることはなかった。

その代わりに、何か固いものが足に触れる感触を覚え、目を開けた。

見渡せば、そこは以前訪れた夢の世界だった。

そして、周囲にはプリキュアオールスターズが集結していた。

加えて、なぜか自分の姿もユグドセイバーの出で立ちになっていた。

 

「……ん?なんで俺、またここに??てか、いつのまに変身したんだ??」

「え?えぇっと……なんて説明したらいいのかな?プリンセス?」

「わ、わたしにふらないでよ!!」

「……まぁいいや。状況もだいたいわかったし」

 

必死になって答えようとしていた見知らぬプリキュア二人に、そっけない態度で返し、菖はまっすぐにマアムが呼び出した悪夢たちに視線を向けた。

しばらくにらみ合いが続いたあと。

 

「みんな、いくよ!!」

 

ブラックの合図で、全員、一斉に駆け出し、悪夢たちに向かっていった。



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永遠のともだち~Ep.5:夢の世界での戦い、やっぱりピンチはお約束~

長くなるから区切りました
ということで、続きます、やっぱりまだ続きます
たぶん、Ep.7までいくんじゃないかなぁ?


いつの間にかプリキュアオールスターズとともに、夢の世界に来ていたセイバーだったが、ブラックの合図でプリキュアたちと同時に、悪夢に立ち向かっていった。

千を余裕で超えると思われる数だったが、そこは幾度となくピンチを乗り越えてきた伝説の戦士。

個々人の力と技だけでなく、連携を取りながら、悪夢たちを次々と蹴散らしていった。

そんな中、セイバーは一人、離れた場所にいた。

 

『あくむーーーーーーっ!!』

「我は焔、万物を灰燼に帰す、清めの劫火――清浄なる炎(フォエス・ファイアリ)!」

 

祝詞と古代語を唱えた瞬間、セイバーの周囲は炎に包まれた。

炎が収まると、刀身が紅い、身の丈ほどはある大剣を手にしたセイバーの姿があった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

セイバーが剣を振りかざすと、刀身から炎が吹きだした。

悪夢たちはその炎に驚き、一瞬だけ怯んだ。

だが、数の有利を思い出したのか、すぐに気を取りなおし、セイバーに向かっていった。

向かっていったのだが。

 

「ぜらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

横一文字に剣を薙いだ瞬間、炎の津波が押し寄せ、悪夢たちを飲みこんだ。

それでも、やはり数は悪夢のほうが上。

炎の向こうから、悪夢たちが飛び越えてやってきた。

だが、セイバーは冷静だった。

 

「其は堅牢なる大地、彩るは早咲きの花――早咲きの大地(ハクディム・ガリア)!!」

 

再び祝詞と古代語を唱えた瞬間、セイバーは白い光に包まれた。

光が収まると、今度は黄色い光をまとった巨大な手甲(ガントレット)をまとっていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

気迫のこもった雄叫びを上げながら拳を振り下ろし、悪夢たちを殴りつけた。

殴られた悪夢は吹き飛び、その先にいた悪夢たちを巻き込んで、さらに遠くまで飛ばされていった。

だが、セイバーの猛攻はこれで終わらなかった。

 

「空を翔ける翼、其がまとうは約束を運ぶ風――約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!」

 

再び祝詞と古代語を唱えると、今度は翡翠に輝く光をまとった旋風が巻き起こった。

旋風の中から、今度は無数の刃を翼のように広げ、宙に浮かんでいるセイバーが姿を現した。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

セイバーが雄叫びを上げ、両手を前にかざした瞬間、背後の刃がまるで意思があるかのように飛びかい、次々に悪夢を切り裂いていった。

いつ終わるかもわからない連撃に、さすがに悪夢たちもひるみ始めたが、セイバーの勢いは止まらなかった。

 

「我は水、罪穢れを洗い清める、清冽なる流れ――水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

四度目の祝詞と古代語を唱えると、今度は水柱が立ち、弓を構えたセイバーが姿を現した。

これまでに三回、自分たちがやられていることを考えると、悪夢たちは思わず後ずさりしてしまった。

だが、それで逃げられるほど、セイバーの攻撃も甘くはない。

 

「逃さんっ!!」

 

弓を引いた瞬間、青い光が矢のような形となり、番えられた。

弦を離すと、青い光が分裂し、次々に悪夢たちへと向かっていき、悪夢たちを貫いた。

だが、ここまでの一連の攻撃を受けても、悪夢たちの数は減る気配がなかった。

なぜなら。

 

「……技食らった端から復活するとか、どんだけだよ!」

 

攻撃を受けても、攻撃を受けても、悪夢たちは一瞬でその傷を癒し、再び立ちあがってくるのだ。

ちらっとプリキュアたちのほうへ視線を向けると、状況は彼女たちも同じのようだった。

最初こそ善戦していたが、倒した端から復活してくる悪夢たちに、徐々に戦況は悪化し始めていた。

 

――くっそ!せめて、悪夢を吉夢に変えることができれば!!

 

古来、悪夢を祓うには吉兆とされる吉夢を買うことがよいとされ、凶兆である悪夢を他者から受け付けることもできるとされている。

これを夢買いと呼ぶ。

だが、あいにくとセイバーはそういった類の力は持っていないし、方法もしらない。

こんな時に頼りになる人間は知っているのだが、さすがに夢の中となると干渉は難しい。

どうしたものか、そう考え始めた瞬間だった。

 

「どり~む、どり~む……」

「息吹、息吹よ!この息吹、神の息吹たれ!!」

 

上空から、聞きなれない声と聞きなれた声が同時に聞こえてきた。

見上げると、そこには同級生であり、おそらく世界一人間嫌いの高校生である友人、友護と、いかにもコスプレとしか思えない男の姿があった。

 

「遅いぞ、友護!!」

「うっせぇ、あっさり夢に囚われやがって」

「ふっ……君が口喧嘩とは、よほど仲がいいのだろうな」

「「いや、こいつとはただの腐れ縁だから/なので」」

 

男の問いかけに二人が同時に返すと、友護は手の平の中に光の球を生みだし、セイバーにむかって撃った。

球は、まっすぐにセイバーにむかっていったが、不思議なことに、衝撃や痛みはまったくなく、セイバーの胸に吸いこまれるようにして消えてしまった。

 

「これであいつらを祓えるはずだ。俺たちも加勢する」

「珍しいな、人間嫌いのお前が」

 

セイバーが友護をからかうようにそう聞くと、ちっ、と不機嫌そうに舌打ちを返してきた。

その様子に男は、くくっ、と小さく笑ったかと思うと、真剣な表情に戻り。

 

「事態はすでに、君たちだけの問題ではない、ということだよ」

「……そこまで深刻なのか?」

「あぁ……事態を重くみて、"真昼の月"は俺たちを派遣し、元凶の排除を命じてきた」

 

真昼の月、というのが何を示す言葉なのかはわからないが、とにかく、このままでは自分が思う最善の結果にはならないことは、セイバーもすぐにはわかった。

時間をくれ、そう言おうとしたその瞬間だった。

突然、悪夢たちが地面の中に潜り、姿を消した。

それと同時に、マアムが突然苦しみだし、乗っかっている掃除機から、何かが飛び出てきた。

飛びだしてきたそれは、まるでライオンのような爪と顔を持ち、セイバーと友護のゆうに二倍はあるであろう体格をしていた。

何より、彼がまとう気配に、セイバーと二人の闖入者(友護と男)は眉をひそめた。

その気配は、まるで憎悪や怒りといった負の感情をまぜこぜにしたような、ねっとりとまとわりつく、穢れのようにすら感じた。

 

「……災禍の顕主」

 

不意に、セイバーの口からそんな言葉が出てきた。

その名を聞いた瞬間、彼は――いや、災禍の顕主は天に向かって吠え、まっすぐにセイバーたちにむかってきた。



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永遠のともだち~Ep.6:夢の世界の奇跡!キュアエコーと守護騎士アステア、復活!!~

長かったぁ……いやはや、難産だったぁ……
まぁ、某なろうのほうに出してる作品に力入れてたからね、仕方ないね

というわけで、タイトルの通り、NSで登場したお2人が復活です。
次回でようやく決着がつくかなぁ……
それができるまでが長いんだけど(汗
まぁ、ひとまず、本編どうぞ


突然出現した災禍の顕主は、否応なしにセイバーと友護、そして謎のコスプレ男へとむかってきた。

だが、三人は至って冷静だった。

 

「向かってくるだけが戦いではないぞ!」

「ちっ!!」

「この悪霊を絡め取れ、絡め取り給わずば、不動明王のご不覚、これにすぎず!!」

 

三人がそれぞれの反応を示しながら、災禍の顕主を攻撃した。

だが、災禍の顕主はそのことごとくを打ち破って接近し、拳を振りあげてきた。

 

「おぉぉぉぉぉっ!!」

 

拳はまっすぐにセイバーにむかって振り下ろされた。

その拳を剣で受け止めたが、その強い勢いにセイバーは膝をついた。

 

----------------------------

 

その頃、プリキュアたちのほうも苦戦を強いられていた。

地面に潜り、合体した悪夢たちがドーム状に変化したかと思うと、その中に閉じ込められただけでなく、その中で巨大悪夢と戦わさせられていた。

彼女たちがそうしている間にも、制御を失った悪夢たちは子供たちが集まっている丘の方へと向かっていっていた。

彼らの進行方向には、グレルとエンエン、そしてユメタがいた。

 

「ユメタ!」

「危ない!」

 

悪夢の狙いは、自分たちを退治することができる唯一の存在であるバク。つまり、ユメタだった。

それがわかっていたからだろうか、それとも純粋に、ユメタを守らなければ、と思ったからなのだろうか。

グレルとエンエンはユメタたちの前に立ち、両手を広げ、悪夢たちに立ち向かった。

 

――守るんだ、俺たち/僕らの友達を!!

 

その想いが、手にしたミラクルライトに伝わったのか、ミラクルライトからまばゆい光が放たれた。

そのまぶしさに思わず目を閉じた二人だったが、すぐに目が慣れ、周囲を見回した。

目の前に広がっているのは、先ほどまでの夢の世界ではなく、優しい光が溢れている以外には何もない空間だった。

 

「グレル、エンエン」

 

だが、その空間の中でも、一人の女の子の声が聞こえてきた。

声が聞こえてきた方へ視線を向けると、こちらに歩み寄ってくる二つの影があった。

 

「あなたたちね?わたしたちを呼んだのは」

「友達を助けたい、そんな強い想いが聞こえてきたぞ」

「き、きみたちは誰?」

「わたしは坂上あゆみ、プリキュアよ」

「俺は未来湊、あゆみを守護する、もう一人の戦士だ」

 

エンエンの問いかけに、あゆみと湊がそれぞれ応えた。

返ってきたその言葉に、グレルは驚愕した。

 

「プリキュアともう一人の戦士?!でも、教科書に君たちのことは……」

 

書かれていなかった。

プリキュアのパートナー妖精になるため、必死に勉強しているグレルだったが、あゆみと湊のことは教科書でも見たことがなかった。

だが、それをエンエンが否定した。

 

「僕、先生に聞いたことがある!たった一度だけ変身した、幻のプリキュアと守護騎士がいるって」

「幻のプリキュアと守護騎士?!」

 

エンエンの言葉に、グレルは驚きを隠せなかった。

そんな様子に、笑みを浮かべるあゆみと湊だったが、その表情はすぐに真剣なものへと変わった。

 

「わたしにはパートナーの妖精がいないの……わたしも、あなたたちと同じように友達を、プリキュアのみんなを助けたい!」

「だから、力を貸してあげてくれ」

「で、でも、あゆみが変身できても、湊は……」

「おいおい、俺が変身するのはプリキュアを守護する騎士だぞ?守護する(守る)べきプリキュアが近くにいれば、おのずと活路は見えてくる」

 

グレルの言葉に、湊が不敵な笑みを浮かべて返した。

その言葉、というよりも、湊からあふれてくる自信に、グレルとエンエンはうなずき、あゆみに近づき、手を握った。

 

「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!!」」」

 

その言葉(想い)を口にした瞬間、あゆみのジャケットの胸ポケットに付けられていたリボンの形をしたボタンが光を放ち、あゆみを包みこんだ。

それに呼応するように、湊の胸ポケットに挟まれていたタイピンが光を放ち、湊を包みこんだ。

 

「想いよ、届け!キュアエコー!!」

「守護騎士!アステア!!」

 

光が収まった瞬間、光の中から白いプリキュアと鎧の騎士が姿を現した。

その二人こそ、たった一度だけ、友達に想いを伝えたい、その願いを叶えてやりたい、という強い想いで変身を遂げた、幻のプリキュア(キュアエコー)もう一人の戦士(アステア)だった。

変身を遂げたエコーだったが、彼女はすぐに次の行動へ写った。

 

「想いよ、届け!ハートフル・エコー!!」

 

戦ったことのない、いや、戦うことのない唯一のプリキュアであるエコーが使うことができる、唯一にして最大の技が、悪夢のドームに降り注いだ。

その瞬間、ドームは苦しそうに揺らぎ、蠢き、消滅してしまった。

突如、ドームがなくなったことに驚いたプリキュアたちだったが、空を見上げて、何が起きたか、すぐに理解できた。

 

「あ、あれは!」

「あゆみちゃん……いや!キュアエコー!!」

「ふふっ……」

 

まるでいたずらっ子のように、驚愕するみんなの反応に微笑みを浮かべたエコーだったが、すぐにその表情は真剣なものへと変わった。

 

「みんな!いまよ!!」

 

エコーがそう叫ぶと、霧散した悪夢たちが再び集まり、タコのような姿へと変わった。

タコとなった悪夢にプリキュアたちは一斉に向かっていった。

タコも、その触手でプリキュアたちと激闘を繰り広げ、最終的に全員を捕まえてしまった。

 

「プリキュア、ツカマエタ!!」

 

勝利を確信して、悪夢は落ちろ、と叫び、プリキュアたちを地面に叩きつけた。

だが、土煙が晴れるとそこには逆に、タコの触手をがっちりつかんでいるプリキュアたちの姿があった。

 

「プリキュア、つかまえた……ですって?」

「つかまえたのは、こっちの方よ!!」

「ラブリー、プリンセス!!いまよ!」

 

ハートの合図で、少し離れた場所にいたラブリーとプリンセスは身構えた。

 

「愛の光を聖なる力に!ラブプリブレス!!プリキュア!ピンキーラブ!シュート!!」

「プリキュア!ブルーハッピー!シュート!!」

 

二人の必殺技が同時に放たれ、タコへと向かっていったが、同時にタコの口が開き、闇の力を光線に変えて打ちだしてきた。

悪夢と二人の力がぶつかり合ったが、悪夢のほうが若干、力が強いらしく、二人の光の力が徐々に押し返され始めていた。

 

「プリキュア!頑張れーっ!!」

「「プリキュア!頑張れーっ!!」」

「「「プリキュア!頑張れーっ!!」」」

 

グレルとエンエンを筆頭に子供たちがミラクルライトを振って、プリキュアたちを応援する声が響き続けた。

子供たちのその想いに応えるように、ミラクルライトから明るい光があふれだした。

すると、いつのまにそこにいたのか、ラブリーとプリンセスの背後にもう一人のプリキュアが立っていた。

ミラクルライトの光を受け取ったかのように、彼女が持つバトンから光があふれ出ると、その光はラブリーとプリンセスの二人を照らし、力を与えた。

 

「「キュアハニー!!」」

「さぁ、いっきに押し返すよ!!」

「オッケー!!」

 

ラブリーの言葉に、プリンセスが力強くうなずくと、二人の放つ光はさらに大きくなり、対には悪夢を包みこんだ。

 

 

「みんなの夢を全部、悪夢にしようなんて!最悪すぎる!!」

「そういうのは、ラブじゃない!!」

 

二人の叫びと、彼女たちが放つ光に飲みこまれ、悪夢はうめき声を上げながら消滅していった。

が、悪夢を消し去るだけで、二人の力は止まらず、夢の世界を包んでいたガラスにまで届き、閉ざされた夢を打ち破った。

 

「よっしゃ!終わったぁっ!!」

 

悪夢が消滅したことで、すべてが終わったと思ったプリンセスが、素直にその言葉を叫んだのだが。

ドカーーーーンッ!

と、再び爆発音が聞こえてきた。

それも一つだけでなく、何度も何度も。

慌ててそちらへ視線を向けると、そこには文様が描かれた白いマントを着た騎士と白銀の鎧をまとっている戦士、そして、黒いマントを着た男ともう一人、和服を着た青年が黒い、巨大な何かと戦っている光景が目に入ってきた。



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永遠のともだち~Ep.7:目覚めの時、そして最後のひと波乱~

通算160話目にして、ようやくNS3完結っと……
ほぼオリジナルですが、まぁ、そこはそれということで



巨大なタコとなった悪夢を、プリキュアたちが力を合わせて倒す、少し前。

そこから離れた場所では、セイバーと友護、そして友護の知り合いとおぼしき男が、黒いオーラをまとった巨大な男――災禍の顕主と戦っていた。

 

「ユグドフォルテウェーブ!!」

「ふん!はぁっ!!」

「雷よ!!」

 

それぞれが出せる技を、一斉に災禍の顕主にぶつけるが、そのことごとくを、闇の波導で打ち消されてしまった。

歴然としている力の差を理解していながらも、どうにか倒す手段はないか、個々人でその策を巡らせていると、災禍の顕主は右半身を下げる形で身構えた。

その構えに、セイバーは見覚えがあった。いや、その構えは、自分の体が覚えているものそのものだった。

そして、その想像は現実のものとなった。

 

獅子戦吼(おぉぉぉぉっ)!!」

 

災禍の顕主が雄叫びを上げながら、右手をつきだしてきた。同時に、その手に込められた闘気が獅子の頭の形となって飛び出してきた。

 

――やはり、同じ技!!

 

それは、セイバーが海外で偶然出会った武芸者から受け継いだ技だった。

なぜ、災禍の顕主がこの技を使えるのか、それはわからないが、一つだけ、セイバーのなかで決心したことがあった。

 

――同じ技を使う以上、俺が引導を渡してやらなきゃいけない!

 

どちらが先に習得したのか、そんなことはどうでもいい。

だが、同じ技を使う以上、災禍の顕主は自分と同門ということになる。ならば、引導を渡すことが、せめてもの手向けというものだろう。

 

「……災禍の顕主!」

 

セイバーは災禍の顕主の名を叫び、エターニアハートの切っ先を向けた。

 

「お前が誰の悪夢で、どこから来たのか。そんなことはどうでもいい!だが、同じ技を持つ身として、お前をこのままにするわけにはいかない!!」

 

セイバーがそこまで宣言すると、災禍の顕主はセイバーへ視線をむけた。

その瞬間、災禍の顕主は目を見開いた。

その記憶の奥には、セイバーと同じ姿の青年がいた。

彼もまた、世界に安寧をもたらすため、その身を賭して自分と戦った。

そしていま、目の前にいる彼もまた、その青年と同じ出で立ちをしている。

自分の瞳に映る彼の魂の輝きは、あの時の青年のものと同じ。

ならば。

 

「……ならばどうする?導師よ!!」

 

答えはわかりきっているが、あえて再び問おう。

討つべき敵を前に行う、彼の選択を。

 

「導師?……俺は騎士なんだけど……いや、そんなことはどうでもいいか」

 

セイバーは災禍の顕主が何を言っているのか、理解できずにいたが、ひとまず置いておくことにした。

どうするか、なんてことは決まっている。

セイバーはエターニアハートに心の花の力を流し、その刃から青白い炎を立ち上らせた。

 

「お前を、浄化する!!」

 

その答えを聞いた災禍の顕主は、再びセイバーにむかって、突進してきた。

だが、その行く手を一本の槍が阻んだ。

槍が飛んできた方へ視線を向けると、そこには、白い鎧をまとった一人の戦士がいた。

その姿に見覚えがあったセイバーは、驚愕に目を見開いた。

 

「お前は……湊っ?!」

「今の俺の名前はアステアっすよ!先輩!!」

 

そこにいたのは、かつてフュージョンが復活した大事件の時、キュアエコーとともに誕生した、プリキュアの守護騎士アステアだった。

だが、あの事件以降、エコーもアステアも変身する力を失ったはずだ。

その疑問を察してか、湊―-いや、アステアは、いまはそんなことよりも、と災禍の顕主に視線を向けた。

 

「まずはあいつをどうにかしないと!」

「……それもそうだな。友護、それからマントのお兄さん、いけるか?!」

「……いわれずとも」

「ふっ、無論だ」

 

セイバーの問いかけに、二人がそう返すと、四人の視線は一斉に災禍の顕主へと向いた。

だが、災禍の顕主の視線は、セイバー以外にむいてはいない。

どうやら、彼の興味はセイバーにあるようだ。

 

「……さっきから、あいつ、春川以外には興味がないようだな」

「そのようだ。しかし、いったい、あの化物とどんな因縁があるんだ?君は」

「そんなの、俺が知りたいよ……けどまぁ、仕方ないかな」

 

いかにも面倒そうではあるが、セイバーはエターニアハートを握りしめ、身構えた。

 

「奴は俺が相手をする!みんなは子供たちとプリキュアのみんなを!」

「了解!」

「……ちっ、しゃあない」

「ふふふっ、なかなか勇敢で無謀な少年だ。いいだろう!だが、私たちが駆け付けるまで倒れるなよ!!」

 

敵意がセイバー一人に向いている以上、これはセイバーと災禍の顕主の戦い。ならば、無関係である子供たちを巻き込むわけにはいかない。

それをわかってくれたアステアと友護たちに感謝しつつ、セイバーは災禍の顕主に意識を向けた。

 

「……もはや、語るまい」

「……いくぞ!!」

 

セイバーと災禍の顕主は同時に踏み出し、セイバーは手にした剣を、災禍の顕主はその爪を振りかざした。

地面をえぐり、空間を切り裂くその剛爪を、セイバーは手にした剣で受け止め、あるいは回避しながら、災禍の顕主と切り結んでいた。

やがて、セイバーと災禍の顕主に間合いが生まれ。

 

「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

「やはり、我らの幕はその技か!!ならば!!」

 

セイバーの左手に心の花の光とは違う、青白い光が集まり始めた。それを見た災禍の顕主もまた、右手に赤黒い炎を集めはじめ。

 

「「獅子、戦、吼!!」」

 

互いに同じ、ライオンを思わせる光と轟音がぶつかり合い、激しい衝撃と光が生まれた。

だが、その光も衝撃も、数分としないうちに互いの技に込められた闘気が尽きたことで消滅した。いや、しようとしていた。

 

「なにっ?!」

「これが、俺の全てだ!!獅吼戦花っ!!」

 

そこにさらに、セイバーは心の花の光と闘気を掛け合わせた、自分の力で昇華させた技を繰り出してきた。

心の花の光を纏ったその闘気に、災禍の顕主は驚愕し、防御することを忘れてしまった。

その結果、災禍の顕主は吹き飛び、黒い霧へと還っていった。

 

「……終わった、か……」

 

ふらり、とセイバーの体が揺れた。

悪夢との度重なる戦いと、それに伴う四度にわたるフォームチェンジ。そして、災禍の顕主との戦いと二度の大技。

かなりの体力を消耗してしまったためか、セイバーの体は限界だった。

だが、セイバーは倒れなかった。

 

「……ここで、倒れることはできないっての……」

 

疲れた体に鞭打って、セイバーは友護が向かったであろう、マアムのもとへと急いだ。

友護はあれで、頼まれたことはきっちりとこなす男だ。子供たちは安全な場所へ、現実の世界へと返してくれているだろうことはわかっていたから、安心して任せることができた。だか、だからこそ、セイバーは一つ、危惧している事がある。

それは、こんな事件を引き起こしたマアムの処分。身も蓋もないことを言えば、マアムの討伐だ。

セイバーは、いや、菖はよくは知らないが、友護の所属している組織の上層部にいると思われる「真昼の月」と呼ばれる人物は、こういった事件を起こす存在に容赦をしない性格のようだ。

おそらく、再発防止の意味も込めて、マアムを始末するよう、言いつけているに違いない。

 

「急がなきゃ!!」

 

ふらつく足を踏み出しながら、セイバーはマアムがいると思われる場所まで急いだ。

そして、その予想は的中した。

 

----------------------------

 

その頃、子供たちを避難させ終わらせた友護は、マアムの背後に立っていた。

 

「お前が子供たちを眠らせていたっていう妖精だな?」

「……え?」

「私怨はないが、消えてくれ」

 

そう口にした瞬間、友護は手刀を素早く振り降ろした。

が、マアムにその手刀が当たることはなかった。

訝しげに手刀の先を見ると、そこには、息を切らせているセイバーの姿があった。

 

「……何のつもりだ?」

「……やめろ。それが正しい選択だとは、俺は思えない!」

「邪魔するな。今は反省したかもしれないが、今後、同じようなことを繰り返さないという保証はない!なら、いまここで殺しておいたほうが今後のためだ!!」

「だからといって、安易に殺すのは納得いかない!!」

 

殺しを良しとしないセイバーだからこその答えだったが、それに納得する友護ではなかった。

 

「なら、今後、同じようなことが起こらないと保証できるのか?!今回はお前たちが気づいて止めることができたからまだいい!だが、次は大人を巻き込むかもしれない!現世(うつしよ)にいるすべての生き物を巻き込むかもしれない!そうなったら遅いんだ!!」

「けど、いまここでこいつを殺せば!ユメタは、こいつの子供が同じことを繰り返すかもしれないじゃないか!!」

 

なくはない話だ。

もし、人間がマアムを殺したとユメタが知れば、人間に復讐するため、マアムがしたことと同じことをするかもしれない。

なぜなら、バクは夢に住まい、夢を喰らう霊獣としての側面がある。夢を司る存在でもある以上、並の人間がかなうはずがない。

それをわからない友護ではなかった。

 

「……ちっ……(ぬる)いな、お前も」

「あいにく、お前が脆弱って蔑んでる連中の味方だからな、俺は」

「……ふっ……今は見逃す。が、次はない」

「その時は、俺も止めない」

 

セイバーの説得にしぶしぶながら、友護は応じたらしい。

だが、次はセイバーも止めるつもりはないというあたり、どうやら同じことを繰り返したら本気で殺しにかかるつもりのようだ。

 

「わ、わかりました。に、二度としません」

 

若干、おびえながらではあるが、マアムはうなずいて返した。

その態度に満足したのか、友護は何も言わず、その場から去っていった。

一方、連れの男性はというと。

 

「妖精のご婦人。私も一人の親だ。だからこそ言わせてもらうが……あなたの気持ちはわからないでもない。しかし、子供に手を差し伸べるばかりが親ではなく、見守り、信じることも親の務めだと、私は思う」

「……えぇ、まったくその通りね……私は、自分の子どもをまったく信じてあげられなかったのかもしれない……」

「それがわかれば、おそらく私たちが再びここにくることはないだろう」

 

年齢に合わない、爽やかな笑みを浮かべて、友護に続き、その場を去っていった。

慌ただしい二人が立ち去ると、セイバーはそっとため息をつき。

 

「俺たちも帰るか、アステア」

「そうだな、兄貴」

「……兄貴?」

 

アステアの言葉に疑問を感じながらも、セイバーはアステアとともに現世へと戻るゲートをくぐっていった。



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誠司といおな、突然の訪問!~強さとは?~

そーいや、ハピネスチャージ組との絡み、作ってなかったなぁ、と思って作りました
とはいえ、ハートキャッチ組のメンバーは菖以外登場しませんが(-▽-;
ついでに、誠司といおな以外、ほとんど空気状態ですが、そこはご容赦を

あ、ちなみに時系列的には、フォーチュンがメンバー入りして少ししたあたりって感じです
ので、まりあさんはまだ復活してません


菖の元に、その二人は突然やってきた。

 

「「たのもーっ!!」」

「……って、なんだ、誠司といおなか……どうしたんだよ?」

「兄貴に鍛えてもらいたくて来たんだ!」

「菖さんに他流試合を申し込みに来ました!!」

 

道場破りが言いそうなセリフと一緒に、菖の目の前に誠司といおなが現れた。

何を思っているのか、そればかりは菖もわからないが、どうやら、思うところがあって、二人だけで他流試合を挑んできたようだ。

もっとも。

 

「「「おはようございま~す!」」」

 

ハピネスチャージ組の他の面々もやってきていたようだ。

とはいえ、いおなと誠司の二人ほど、気合いがはいっているわけではなく、どちらかというと、二人の付添人、という印象すら受けた。

 

閑話休題(まぁ、それはさておき)

 

菖にとって、誠司はもう一人の弟分でもあり、いおなは妹分。どちらも可愛いと思うからこそ、協力するのもやぶさかでないのだが、菖がこういうときに返す答えは決まって。

 

「悪い、無理」

 

だった。

それを聞いた瞬間、いおなと誠司は、目を丸くして。

 

「えぇぇぇぇぇっ??!!」

「ここは普通、弟分と後輩のために一肌脱ごう!、ってカッコイイセリフをいうところじゃないんですかっ??!!」

「やだよ、面倒くさい。というか、泉地流(うち)は基本的に他流試合はお断りなんだよ」

「い、いま面倒くさいって言いましたぞ?!」

「菖さんの口から、その言葉が出るとは思わなかったなぁ……」

 

菖の口から、面倒くさい、という言葉が出てくるとは思いもしなかっためぐみたちは、驚愕で目を丸くしていた。

だが、それでも菖の答えも、誠司といおなの決意も変わることはなく。

 

「「お願いします!」」

「だめ」

「「お願いします!!」」

「やだ」

 

と、意味のない応酬が続いていた。

ちなみに、応援団三人はその様子を見ながら、いつ終わるのだろうか、と苦笑を浮かべていた。

 

----------------------------

 

十分ほど、不毛なやり取りを繰り返していたが、とうとう菖の方が折れ、ひとまず、五人を部屋に上げることにした。

 

「……はぁ……ったく、強くなりたいってのはわかるけど、なんで俺なんかを?」

「いや、兄貴以外にいないだろ?!」

 

菖がため息交じりにそう話すと、誠司が驚いたように返してきた。

基本的に、泉地流は他流試合を好まない。

理由は定かではないが、仁頼が言うには、力を求めすぎる結果になりかねない、ということらしい。

 

力は争いを引き寄せ、争いは流血を招く。流血は穢れを呼び、穢れはやがて澱みとなり、よくないものを引き付ける場となる。

そもそも、泉地流は剣で狩りを行うための技術と、護身のための体術が混ざり合い、生まれた流派であるため、ひっそりと受け継がれていくことが一番、なのだとか。

 

争いをよく思わない菖としても、仁頼のこの教えに従うことにまったく違和感がなかった。

もっとも、剣術である以上、精神鍛錬の面も備わっているため、それなりに修業はしていたし、仁頼も何かと理由をつけて明堂院流との他流試合を行わせていたことは公然の事実であるのだが。

 

閑話休題(それはどうでもよくて)

 

「強くなりたいって理由だけで稽古に励むのは別に悪いことじゃないと思うけど、なら手に入れた強さで何をしたいんだ?」

「それは……」

「わたしは、プリキュアハンターを倒して、一刻も早くお姉ちゃんを取り戻したい!」

 

菖の問いかけに、いおなは即答した一方で、誠司は口ごもってしまった。

その答えに、菖はそっとため息をついた。

 

「……俺もそこまで深いわけじゃないけど、誠司。今のお前に稽古をつけることが危険だってことくらいはわかるぞ」

「なっ?!なんでだよ、兄貴!!」

「……厳しいことを言うようだが、構わないか?」

「あぁ!」

 

さすがに、二人目の弟分、それも菖と湊とは違い、一般人の域を出ないからこそ、菖はあえて厳しい言葉をぶつけることにした。

 

「前に、強さって何か、聞いたこと、あったよな?」

「あ、あぁ……」

「俺が思うに、強さってのは『信念』とか『覚悟』なんじゃないか?」

「信念と覚悟?」

 

オウム返ししてきた誠司の言葉に、菖はうなずいた。

 

「覚悟が備わっていれば、さっきのいおなみたいにすぐに言葉に出すことができるはずだ。そして、強い信念があれば、たとえ世間一般では悪とみなされても、それを貫くことや夢に向かって突っ走ることだってできるはず。要は周りから何と思われようとも貫き通すって意思や心ってのが、強さだと俺は思うわけよ」

 

その言葉を聞いて、誠司はうつむいてしまった。

なぜなら、誠司が力を欲している理由は、幼馴染の、めぐみの力になってやりたいがためだった。

だが、めぐみの力になる、ということが、果たして、戦いにおける強さを指すのだろうか。

プリキュアに並ぶ戦士になれない自分には、戦う力ではなく、もっと別の方法があるのではないか。

そんな考えが、ここ最近では渦を巻いていて、それが「迷い」となっていた。

その迷いのせいで、先ほどの質問に即答できなかったのだ。

 

「迷いが生じるってことは、その程度の信念だったということか、貫き通す覚悟が足りないってことだ。そんな状態で力を付けても、中途半端なものになってしまう」

 

そこまで言って、菖は鋭い視線を誠司に向けた。

 

「誠司、力が欲しい、力を得たいと思うのは勝手だ。めぐみたちと一緒に戦おうが、対決しようが、はっきり言ってどうでもいい。だがな……中途半端にかかわるな!」

 

一瞬、ビリッ、と空気が震えた。

思わず、その場にいた全員が菖を見て、目を疑った。

そこにいるのは、たしかに自分たちの頼れる兄貴分、春川菖だ。だが、いつもの穏やかな雰囲気はそこにはなく、まるで敵と対峙しているかのような雰囲気すら感じられた。

 

「中途半端な覚悟で身につけた力ほど弱いものはない!そんな力でプリキュアと一緒に戦おうなんざ、片腹痛い!!」

 

それは、自分が経験しているからこその言葉だった。

誠司と菖は、年齢こそ違うが、置かれている状況はまったく同じだ。

 

大切な幼馴染がプリキュアとして、世界を守るために戦っている。

それを黙って見ていることができるほど、二人とも大人ではないし、彼女が大切だからこそ、力になりたい、隣で戦いたいと思っていた。

 

幸いにして、菖にはその機会があったが、誠司にはそれがない。だからこそ、誠司は焦っているのだろう。

そして、焦っていることはいおなも同じことだ。

だが、何事も焦りすぎることはよくない。

一度立ち止まり、頭を冷やす必要があると感じたがために、あえて厳しく当たったのだ。

そして、それは功を奏したらしい。

一刻も早く力を付けたい、稽古をしたい、と思っていた二人の心が落ち着いたようだ。

 

「……さて、それがわかったんなら……さっさと着替えろ。ほかの三人も一緒だ」

「「「わ、わたしたちもですかっ??!!」」」

「「え?だ、だって他流試合は……」」

「基本的には、な?俺とゆりの知り合いが直接申し込んできた場合は受けて構わないって言われてるんだよ」

 

と、いたずら小僧のような笑みを浮かべて驚愕する五人に返した。

どうやら、言葉遊びでだまされたらしい、ということにきづいたいおなと誠司は、盛大にずっこけ、脱力したのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~稽古後~
誠司、いおな「「……ぜぇ、ぜぇ……はぁ……はぁ……」」( □ ;
菖「まったく……ちとだらしなくないか?」(-ω-
誠司「い、いや、兄貴……そうはいうけど、なんだよ、さっきの」
いおな「掌底だけで一気にわたしと相楽くんを一緒に吹き飛ばすなんて……なぎささんじゃないけど、ぶっちゃけ、ありえないですよ……」
菖「あぁ……うん、これは泉地流の技じゃなくてさ。ちょっと知り合いから教えてもらった」
いおな「……変身もしてないのにそんな芸当できるなんて……」
誠司「……言っちゃ悪いけど、兄貴、人外に片足突っ込んでないか?」
菖「よ~し、誠司はこのままもう一本いこうか~?」(^言^
誠司「うぇっ?!」Σ( □ ;
菖「男の子だろ?まだいけるよなぁ?」
誠司「い、いや、あの……さすがに限界……」
菖「人のこと化け物呼ばわりしたんだからそんくらいの覚悟はできてるよなぁ?」(^言^メ
誠司「か、勘弁してくれーーーーーーーーっ!!」
いおな「……いっそそのままめぐみに看病してもらうコースに入っちゃえばいいのに……」


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春のカーニバル♪~Ep.1:突然届いた招待状!~

見てきました、見てきましたよ、オールスターズメモリーズ……(昨日、平日休みもぎ取った)
いやぁ、感動ものでしたなぁ!
思わずパンフも買ってしまいましたぞ!!

斗真「ただ困ったことが一つ」
菖「どしたのさ?」
斗真「DVDの販売、待ち遠しくなってしまった……」
菖「なるほど?」
斗真「ついでに、オールスターズメモリーズは、ここじゃ書けないってことを実感させられた」
菖「……あぁ、それだけ俺が入るスキがなかったわけだ?」
斗真「というか、あれはHugっと!組とMH組が主軸だからこその作品だからなぁ……うん、潔く諦める」
菖「俺とゆりがあんまり関われないなら、そのほうがいいだろ」

その代わりと言ってはあれですが、春のカーニバル♪投稿開始です!
ちなみに、視点はハートキャッチ組を中心にして、カーニバルの様子は流れてくる背景の解説が中心になるかと……


(は~る)の小川は、さらさら行くよ~♪」

 

ここは、ノーブル学園の一角にある庭。その庭を流れる小川の橋の上で、花の髪飾りをしているいかにも活発そうな少女――春野はるかが『春の小川』をご機嫌な様子で口ずさんでいた。

その足元では、ピンクのふさふさした耳をしている子犬が、パフパフ、とご機嫌な様子で歌いながら、その場をくるくると回っていた。

 

「ご機嫌ね、はるか」

「だって、これから三人でおでかけなんですよ?こんなの素敵すぎです!!」

 

はるかの隣に佇んでいた清楚な少女――海藤みなみがそう問いかけると、はるかは微笑みを崩さないまま、そう返し、再び『春の小川』を口ずさみ始めた。

数分としないうちに、待ち合わせているもう一人の少女――天ノ川きららが謝りながら走ってきた。

 

「なに、はるはる?テストの練習??」

「……っ!!!???」

 

きららの問いかけに、はるかは顔を真っ青にしてフリーズしてしまった。

実のところを言うと、はるかは。

 

「歌のテスト……忘れてた……」

 

というわけで。

むろん、そのことに驚愕しない二人ではなく、やはり、悲鳴を上げていた。

その後も、すっかりテンションが下がってしまったはるかに、気楽にいけばいい、とアドバイスをしていたのだが、やはりテストと鼻歌では心にかかってくるプレッシャーが違うらしく、はるかはすっかり自信をなくしてしまっていた。

だが、そんな彼女に、歌う勇気を与えてくれる招待状(インヴィテーション・カード)が飛び込んできた。

その招待状が、先輩プリキュアの、そして、プリキュアと肩を並べ、伝説に名を連ねる守護騎士との出会いになるとは、この時の三人と妖精二人は思ってもいなかったのだった。

 

----------------------------

 

その頃、希望が花市の植物園では。

 

『ハルモニア?』

「そうです!一年を通してお祭りをしている、とっても賑やかな国なんですぅ!」

 

同じく、招待状を受け取ったハートキャッチ!プリキュアの面々が、妖精たちから説明を受けていた。

 

「……って、菖さん、知ってました?」

「知らん。いくらなんでも、一年中祭りをやってる国ってのは、日本以外知らない」

『えっ??!!』

 

菖の発言に、他の面々は目を丸くした。

なお、菖が言っていることは嘘ではない。

意識されていないうえに、皇族と一部の一族を含めた人々しか関わっていないため、民衆にはすっかり忘れ去られてしまっているが、日本という国は神道の祭祀がしっかりと根付いているくにであり、日本国の象徴である天皇が、現代はその祭祀のすべてを取り仕切っていると言っても過言ではない。

 

祭り、と聞けば、誰もが神社や寺の境内で縁日が開かれている光景や盆踊り大会を想像するだろうが、元来、祭り(カーニバル)というものは、神に祈りを捧げることが目的としてされているものだ。

祈りの捧げ方が、教会での礼拝になるのか、国民が集まって踊り狂うか。はたまた神輿を担いで神社の周辺地域を行脚するかの違いはあるが。

縁日はあくまでも商人たちが祭りを目当てにやってくる民衆を相手に商売をしようと考えたところから始まったものであり、お祭りとはあまり関係がなかったりする。

とまぁ、そういう意味では、日本も年中お祭りをやっているといえなくもないのであるが。

 

閑話休題(それはともかくとして)

 

「で、なんであたしたちが招待されたの?」

「いままで、えりかたちだけでなく、先輩や後輩プリキュアも含めて、何度も世界を滅亡から救った功績が認められて、ハルモニア王国に招待されたというわけですっ!」

「ハルモニア王国のパレード、特に、ハルモニア王国の守護龍に感謝の歌と踊りを捧げる春のカーニバルに招待されることは、とても名誉なことなんだ」

「きっと、ハルモニア王国の王様が、みんなの活躍を知ってつぼみたちに招待状を送ってくれたんですぅ!」

 

シプレとコフレとコロンがそう説明する一方で、ポプリは、歌と踊り、という単語に惹かれ。

 

「いちゅき!いちゅきも可愛いドレスを着て、ポプリと一緒に踊るでしゅ!!」

 

と、いつきに行きたいアピールをしていた。

五人とも、王国からの招待、と言われて悪い気がしなかったのか、その招待を受けることにした。

だが、ゆりと菖はここで重大な問題に気づいた。

 

「……招待状は、これ一枚だけ?」

「地図とかは描いてないのかしら?」

 

肝心のハルモニア王国への経路が書かれたものが、一枚も入っていなかったのだ。

 

「それなら問題ないと思うよ?」

「そりゃまたどうして……」

 

菖がコロンに問いかけようとしたときだった。

届いた招待状が突然、光を放った。

光が収まると、菖たちの目の前に一枚の絨毯が現れた。ただの絨毯ではないことは、招待状が変化したことからもわかるが、それ以上に。

 

「……これ、浮いてる?」

「もしかしなくても、これに乗れってこと……ですか?」

「……あ、ありえないっしゅ……」

「えりか、それなぎさのセリフ……」

「これは……正直、びっくりね……」

 

さすがに、冷静なことに定評があるゆりも、これには目を丸くしていた。



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春のカーニバル♪~Ep.2:到着!ハルモニア王国!!~

本日、二度目の投稿~

オドレンとウタエンのコンビ、オリエンタルラジオなんすよね、そういえば……
最近、テレビで見ないけど、ラジオのMCとかの仕事中心になったんですかね?(あんまし関心がない

それはそれとして

今回はちょっと短め
理由はオドレンとウタエンが国家侵略したシーンを削除したから
あのシーン、あんまし好きくないのよねぇ
もうちょっと華麗な盗み方をしてほしかった(苦笑

まぁ、ひとまず本編どうぞ!


突然、ハルモニア王国からの招待状が届いたハートキャッチ組の面々は、突然、目の前に現れた浮かんでいる絨毯に驚愕したものの、この絨毯に乗れば目的地へ行くことができるのではないか、ということに気づき、すぐに乗り込んだ。

すると、案の定、絨毯は宙に浮かび、すーっと静かに動き始めた。

 

「「「おぉぉぉっ!!!」」」

「まさかと思ったけれど、本当に飛ぶのね……」

「さながら、『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の空飛ぶ絨毯だな、こりゃ」

 

中学生組が感動で目を輝かせている一方で、菖とゆりは大人の余裕を見せているかのように、そうつぶやいた。

そうこうしているうちに、絨毯は空高く舞い上がり、雲の向こうへとやってきていた。

 

「こりゃまた……すごいとこまで……ん??あれは」

 

と、菖が驚愕していると、その視界にいくつもの飛行物体が入り込んできた。

あるものは見覚えのある顔の気球が、またあるものは馬車やつばめ、亀、機関車、飛行機、船、イルカ、人力車など、様々なものが一つの方向へ向かって飛んで行っていた。

それらに乗っている人影が、仲間たちであることに気づくまで、さほど時間は必要なかった。

 

「まぁ、俺らに届いたんだから、当然っちゃ当然か」

「そうね……そういえばそうだったわ」

 

ゆりと菖は自分たちだけでなく、先輩や後輩プリキュアの活躍が認められて、招待されたということを思い出したらしい。

そのためか、二人とも心中ですっかり忘れていたことを謝罪したのだが、これは秘密の話。

 

しばらくの間、奇妙な空中行列が続くと、突然、雲が切れ、その向こうから巨大な城が見えてきた。

その荘厳な城に、一同は言葉を失い、しばらくの間、黙って城を見ていた。

だが、それから数分とすることなく、絨毯はテラスへとまっすぐに舞い降り、元の招待状へと戻ってしまった。

 

「ありゃ?戻っちゃった……」

「たぶん、帰るときには元に戻るよ」

「そうでなかったら困るけどな」

 

残念そうにしているえりかに、いつきがそう返すと、菖は苦笑を浮かべながらそう付け加えた。

だが、その苦笑も一人の少年の呼びかけですぐに影を消した。

 

「兄貴!!ゆりさん、つぼみにえりか、いつき!!」

「久しぶりだね、みんな!」

「やっぱり菖たちも呼ばれてたんだな!」

「みんな~!久しぶり~!!」

 

プリキュアオールスターズのメンバーの中で、菖のことを「兄貴」と呼び慕うのは、一人だけだ。

いや、彼は厳密にはプリキュアではなく、菖と同じ立ち位置の戦士なのだが。

 

「お?湊とあゆみじゃないか!!」

「グレルとエンエンもいます!」

「お~!久しぶり~!!」

「元気だった?」

「久しぶりね、四人とも」

 

あゆみと湊。

二人は、他の面々と違い、町や世界を守るために戦ったことはない。

そんな彼らがなぜここにいるのか。それは単純に、あゆみもプリキュアであり、湊は菖と似通った力を持つ、あゆみの守護騎士であるためだ。

ともあれ、懐かしい顔との再会に喜んでいると、突然、広間の方から呼び出しがかかってきた。

どうやら、先方の準備が整ったらしい。

思い出話もそこそこに、六人は妖精たちとともに、ホールへと入っていった。



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春のカーニバル♪~Ep.3:まさかのカーニバル参加?!~

今思ったこと……秋も深くなってきたのに春とはこれいかに(苦笑

ん~、書きたい話は色々あるんだけど、春のカーニバル編を終わらせてからの方がいいか、それとも、中休み的な何か、ということで投稿するか……

……また後で考えよう

というわけで、本編どうぞ


突然、ハルモニア王国から春のカーニバルへの招待状が届いたプリキュアオールスターズの面々と二人の光の騎士だったが、オドレンとウタエンと名乗る二人の大臣に案内され、ホールへと足を踏み入れていた。

 

「みなさん、改めまして、この度は我々の招待を受けていただき、まことにありがとうございます!!」

「ありがとうございますっす!!」

 

線が細く背が高い男と、それと正反対に太く背が低い男がうやうやしくお辞儀をしてきた。

 

「「いえ。こちらこそ、ご招待、ありがとうございます」」

「「ご招待いただき、光栄に存じます」」

「「この度の招待、感謝いたしますわ」」

 

慣れない対応に、多くの面々が困惑している中、菖とゆり、ひめとアコ、ありすと亜久里だけは丁寧にお辞儀を返していた。

ふと、二人の大臣は菖と湊の姿を見つけ、不思議そうに首を傾げた。

 

「あのぉ、失礼ですが、そちら様は?」

「まさか、男の子でプリキュア、なんてことはないっすよね??」

「俺たちは……」

 

大臣の問いかけに、湊が正直に答えようとしたが、それを菖が片手で遮った。

 

「俺たちは彼女たちに同行を依頼された身です。もし、招待されていない人はお断りというなら、せめてカーニバルが終わるまで、この国に滞在することをお許しいただきたいのですが」

「あぁ、その程度なら構いません。むしろ、カーニバルを見学していってください」

「えぇ、ぜひともぜひとも!!」

 

菖の言葉に、大臣たちは笑顔を浮かべながらそう返したが、ウタエンと名乗った付き人はひっそりとオドレンに耳打ちした。

 

「だ、大丈夫なんすか?ただでさえ、プリキュアたちが目の前にいるのに、ここで余計な連中に感づかれでもしたら……」

「なぁに、大丈夫だ。背が高い方はともかく、もう一人はプリキュアたちと大して年も変わらん、ただのガキンチョだ。いざとなりゃ、二人まとめて人質にすりゃいいんだよ!」

 

ひそひそとした声で、何やら物騒なことを言い合っている二人だが、そのことに気づいた人間は誰もいなかった。

実のところ、二人は、このハルモニア王国の大臣とその付き人ではない。

自称、世界をまたにかける大泥棒、オドレンとウタエンの二人組。それが彼らの正体だ。

実は、プリキュアたちがここに来る少し前、二人はハルモニア王国に侵入し、王族とその配下全員を投獄、実質的に国を奪ってしまったのだ。

だが、運悪く、国を盗んだのは、春のカーニバルの招待状をプリキュアたちに送られていた後で、あと数時間もしないでプリキュアたちが全員、この城にやってくるということを知らされた。

当初、ウタエンは逃げることを提案したが、オドレンはそれを却下。代わりに、プリキュアたちが自分たちの邪魔をできないように、排除する作戦を編み出したのだ。

その作戦の内容とは。

 

「おっと、作者(ナレーター)さんよぉ!それをここで話しちゃ、無粋ってもんだぜ?」

 

あ、はい、すんません。

 

「兄貴、誰に向かって喋ってるんすか?」

「なんでもねぇよ。それより、早いとこ説明しねぇと、プリキュアたちに怪しまれるぞ?」

「は、はいっす!」

 

慌ててプリキュアたちの元へ戻ったウタエンの後ろを、落ち着いた歩調でついていき、二人はプリキュアたちの前にきた。

 

「実は、今回のカーニバルでみなさんに一つ、お願いがあるのです」

「お願い?」

「えぇ……実は」

「プリキュアの皆さんにステージに立って、歌って踊ってほしいんっす!!」

 

ウタエンからのその言葉に、当然。

 

『え~~~~~~~~っ???!!!』

 

全員、驚きの悲鳴を上げた。

むろん、そのあと、ちゃんと理由も説明された。

曰く、春のカーニバルはその年ごとに催しを変えて行われてきたのだが、今年は妖精たちに感謝を捧げる感謝祭なのだという。

普段からいろいろと世話になっている妖精たちに感謝を捧げる、と聞いて、なんとなく納得しているものが大多数を、いや、ほとんどを占める中、一人だけ、訝しげな表情を浮かべている人がいた。

 

妖精に(・・・)感謝を捧げる、ねぇ……」

 

言わずもがな、菖である。

最初にコロンから聞いた話とは、だいぶずれがあるため、そこに引っ掛かりを覚えているようだ。

おまけに、カーニバルの説明も、なんやかんや、とかなり適当に省略していたことも、そう思わせる材料となっていた。

が。

 

「まぁ、祭りも時代の流れの中で意味合いを変えていくなんてことがないわけじゃないからなぁ……」

 

と、無理やり理解するのだった。

もっとも、理解できていれば納得がいく、という理屈はなく、心中では。

 

――いや、なんやかんやってなんだよ!なんやかんやって!!

 

と叫んでいた。



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春のカーニバル♪~Ep.4:妖精たちからの感謝とオープニングセレモニー~

……寒い……
え~……タイトルの通り、オープニングセレモニーです
背後の変身シーンは完全に削除させていただきますので、ご容赦を

あぁ、そうそう
中休み的な何かのネタ、決めました!
何になるのか?それは見てのお楽しみ!!

ともあれ、まずは本編をどうぞ!!


「妖精たちに……」

「感謝?」

 

二人の大臣の説明を聞いた一同は首を傾げた。

特にひめは、パートナー妖精であるリボンに対して、じとっとした視線を送っていた。

その視線に気づいたリボンは。

 

「な、なんですの、その目は?!文句がありますのですか??!!」

「あ、いやいや!リボンにはいつも、ありがとう、って思ってるよ?!……心の中で」

「「いや、心の中でかよ?」」

 

リボンの文句が響く中、ひめはそう弁明したが、その弁明の仕方に、菖と湊が苦笑を浮かべながらつっこみを入れた。

だが、ウタエンはひめのその言葉が気に入らなかったらしく。

 

「思ってるだけじゃ、伝わらないっす!感謝の気持ちは、言葉に出してこそ、外に出してこそっす!!」

『へっ?!』

 

ウタエンからの突然のその言葉に、オールスターズ一同は目を丸くした。

だが、同時に、パートナー妖精たちが、プリキュアとプリキュアの守護騎士たちに感謝する歌を楽しそうに歌う光景が脳裏に浮かび上がってきた。

そのあまりに楽しそうな光景に、その場にいた全員が喜びの表情を浮かべた。

 

「どうする?歌って踊っちゃう?」

「もっちろん!リボンとグラさんには、いっつもお世話になってるもん!!」

「そうね……いつも近くにいてくれるコロンには、感謝してもしきれないわ」

「はい!シプレにはいつもお世話になってますし!」

 

そういうわけで、プリキュアオールスターズの面々は、カーニバルへの参加を快諾するのだった。

ちなみに、菖と湊、そしてあゆみはプリキュアではない、ということで、客席に案内されそうになったのだが。

 

「「「菖さんはわたし/あたしたちの大切な仲間です!ぜひ、一緒に参加させてください!!」」」

「できれば、菖も参加させてほしいのだけれど?」

『あゆみ/ちゃん/さんと湊/くん/さんもわたしたち/うちらの仲間なんです/や!参加させてください!!』

 

と、それぞれのチームからの懇願があった。

しかし、歌とダンスがやらないと、と二人が渋っていると。

 

「「「歌だけで大丈夫なら、参加させていただけないでしょうか?」」」

「……どうします?あに……オドレン様」

「……わかりました!では、お三方は歌だけのステージということで、プリキュアのみなさんのあとに披露していただきましょう!!」

 

と、三人からの提案もあり、オドレンは特別に同席を許すことにした。

もちろん、その胸中には。

 

――ま、プリキュアどもと別個で始末すんのも面倒だからな。このほうが都合がいい

 

という、オドレンの計画があることは言うまでもない。

 

----------------------------

 

紳士、淑女、そして少年少女の皆さん(Ladies and gentlemen, boys and girls)!」

「長らくお待たせいたしましたっす!春のカーニバル、妖精大感謝祭!」

「「その舞台を彩るプリキュアたちの入場です/っす!!」」

 

オドレンとウタエンが設営されたステージでマイクを握り、カーニバルの開始を宣言した。

すると、ステージの奥から、ワゴンに乗ったプリキュアオールスターズの面々が次々と登場してきた。

 

「歌わないなんて、ありえない!断然、dancing!『ふたりはプリキュアMax Heart』!!」

「ぶっちゃけ、はっちゃけ!ときめきパワーで、歌もダンスも絶好調なり~!『ふたりはプリキュアS(splash)S(star)』!」

「今日は、歌にダンスにがんばっちゃうぞ~!けって~い!!『Yes!プリキュア5!!』」

「ダンスユニット『クローバーズ』としても活動中!みんなで幸せゲットっすよ!『フレッシュプリキュア』!!」

「ハルモニアで春のカーニバル、ですか?!やるっしゅ!『ハートキャッチ!プリキュア』!!」

「ここで決めなきゃ、女が廃る!気合いの歌とダンス、見せてくださいっす!『スイートプリキュア』!!」

「歌もダンスも、気合いだ、気合いだ、気合いだーっ!輝く笑顔がまぶしすぎ!『スマイルプリキュア』!!」

「春のカーニバルでも、キュンキュンさせてくれるっすよね?もちのろん!!『ドキドキ!プリキュア』!!」

 

それぞれの変身シーンが巨大スクリーンで映し出され、その度に、オドレンとウタエンが独特のフレーズをつけながら、代わる代わる登場したプリキュアチームを紹介していった。

そしてついに。

 

「さぁ、、みなさんお待ちかね!幻影帝国の魔の手から、世界を救いやがったこの人たちに登場してもらいましょう!!」

「お腹いっぱい幸せチャージ!妖精のみんなにハピネス注入!!無敵だ、わっしょい!『ハピネスチャージプリキュア』!!」

 

めぐみ、ひめ、ゆうこ、いおなを乗せたワゴンが、オドレンとウタエンの紹介を受けながら入場してきた。

さらに。

 

「そして、そして!彼女たちが新たな平和のカギになるのでしょうか?!満を持しての登場です!!」

「妖精の皆様、ごきげんよう!我らが戦うプリンセスが、今日は歌って踊っちゃうっすよ!強く、優しく、美しく!!『Go!プリンセスプリキュア』!!」

 

ウタエンの紹介と、万雷の拍手の中、プリンセスプリキュアの三人が会場へ入ってきた。

慣れているのか、単純に楽しんでいるのか、みなみときららは笑顔で拍手を送ってくれている妖精たちに手を振っているのに対して、はるかはがっちがちに固まった表情を浮かべていた。

明らかに緊張している。

その様子に、きららは呆れたように、さっきまでのやる気はどうしたのか、と問いかけていた。



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春のカーニバル♪~Ep.5:You make me happy~

いよいよ、カーニバルスタート!
所々、オリジナルが入りますがご了承を!


オドレンとウタエンに紹介されながら、プリキュアオールスターズの入場が終わり、メンバー全員が指定された席についた。

 

――なんか、週末の夜に放送されている音楽番組のようなセットに似てるような……

 

席についた菖は苦笑を浮かべながらそんな感想を抱きつつ、それとなく周辺を見た。

観客席には、たくさんの妖精たちが、ステージの始まりを今か今かとキラキラした顔で待っていた。

が、その中に、まるでコソ泥のような印象を受ける顔をした、かかしのようなものがあることに気づいた。

 

「……兄貴、気づいた?」

「お前もか、湊」

「あぁ……あれも観客、なのか?」

 

ひそひそと、菖の隣に座っていた湊が声をかけてきた。

どうやら、怪しいかかしに気づいているのは、菖と湊の二人だけのようだ。

何かが怪しい、初めからそうは思っていたが、ここまでくると、警戒したくもなってきた。

だが。

 

「……水を差すのもなんだから、いつでも動けるように準備だけしておこう」

「了解」

 

せっかくのカーニバル、それもプリキュアたちが主役なのだから、水を差すようなことはしたくなかった。

ゆえに、準備をするだけにとどまることにしたようだ。

そうこうしているうちに。

 

「観客席の皆様、そしてプリキュアのパートナー妖精の皆様!今日は心行くまで、プリキュアオールスターズによる歌とダンスをお楽しみください!!」

 

司会進行を務めるオドレンのアナウンスに、観客席の妖精たちが黄色い歓声をあげた。

歓声が響く中、オドレンとウタエンが早速、一曲目の紹介に入った。

 

「それでは、早速一曲目に参りましょう!」

「フレッシュプリキュアの皆さんで、『You make me happy!』」

 

----------------------------

 

曲が紹介されると、巨大なスクリーンとステージが出現した。

ステージの上にはすでに変身したラブたち、フレッシュプリキュアのメンバーがそろっていた。

曲が始まり、フレッシュ組がダンスを始めると、スクリーンにPVのようなものが映りだした。

 

四つ葉のクローバーが咲いている広場にいたラブたちと、その傍らで飛んでいるシフォンを慌ただしくタルトとアズキーナが追いかけていく。その様子を見ながら、四人が笑みを浮かべていた。

 

せつなが抱えているたくさんのハートの中から一つずつ、タルトとアズキーナ、シフォンに、ラブたちが手渡していく。

三人だけではなく、四葉町に住んでいる家族や友人たちにもラブたちはハートを配っていった。

 

けれど、そのハートは、決して笑顔だけで生み出せたものではない。

そう語るかのように、せつなはイースの姿となり、うずくまっていた。

だが、ラブと美希、祈里が涙を流しながら、イースの手をつかむと、ダンスステージを一緒にジャンプした。

その顔には、もう涙は浮かんでいなかった。

 

いきなり場面が変わり、四人がエンジェルモードになると、ホホエミーナとともに空を飛んで行った。

上空で、四人が手をかざすと、地上から光が集まっていき、やがて、地球を包み込むほどの大きなハートとなった。

そのハートの中で、見ているみんなに投げかけるように、ピーチが投げキッスをすると、曲が終了すると、四人のダンスも終了した。

 

----------------------------

 

フレッシュ組がダンスを終えると、階段状のステージへと戻っていった。

ちょうど、彼女たちと対面するような位置に座っていたオドレンとウタエンは、マイクを片手に四人に感想を伝えた。

 

「いや~、素晴らしいステージでございました!」

「ありがとうございます!」

「タルトにはいつもお世話になってるし、シフォンは歌とダンスが大好きだから、頑張りました!」

 

オドレンの感想を受けて、美希とラブがそれぞれ言葉を返すと、ウタエンがフレッシュ組に質問を投げかけた。

 

「そういえば、四人そろってのダンスは久しぶりじゃないっすか?」

「はい。せつなは今、ラビリンスを幸せな国にするために頑張ってるから、なかなか一緒にダンスができなくて」

「そうだったのですか……」

 

寂しそうなラブとせつなの気持ちは、咲と舞も体験したものだった。

 

「わたしたちも、妖精のみんなとなかなか会えないんだ」

「だから、ラブさんの気持ち、わかるわ」

 

咲と舞のパートナー妖精であるチョッピとフラッピは、ダークフォールの勢力を退けた後、本来いる世界へと戻っていった。

大空の樹を介して、こちらの世界とチョッピ達の世界を行き来することもできるが、それでも、やはり毎日、というわけにはいかないらしい。

少しだけ、しんみりとした空気になってしまったが、その空気を吹き飛ばすように、のぞみの元気な声が響いた。

 

「大丈夫!お互いを想い合う心があれば、なんとかなるなる!」

 

呑気と言えば呑気なのだが、その通りでもあるため、いつもならつっこみを入れているりんとくるみなのだが、今回ばかりは何も言ってくることはなかった。

彼女たちも、その気持ちはわかっているのだから。

 

「うん!どんなに離れたって、せつなはわたしたちの大切な親友だよ!!」

「……ありがとう、ラブ」

 

ラブの言葉に、せつなは微笑みを浮かべながら返した。

そのやり取りに、司会者二人は感動したらしく。

 

「うぅ……いい話だぜ!」

「ダンスって、最高っす!!」

 

オドレンは涙を流し、ウタエンは急に立ち上がり、踊り始めた。

むろん、急な動きのせいで周囲に被害が出てしまい。

 

「「……何やってんだか……」」

 

と、菖と湊の二人に苦情を言われてしまった。

その冷たい視線に、ウタエンはうろたえながら謝罪をするのだった。



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春のカーニバル♪~Ep.6:イェイ!イェイ!イェイ!&プリキュア5フルスロットルGoGo!~

今回は二曲続けて
まぁ、こんなのがあと二回くらいありますけども(そうでないと、話数がおおくなりすぎちゃう(汗

……次回当たり、ちょっと中休みで別の話、投稿しようかなぁ……


「まったく、気を付けろ!ウタエン!!」

 

突然、踊りだしたウタエンにむかってオドレンが注意すると、ウタエンは申し訳なさそうに謝罪した。

 

「つ、次の曲いくっすよ!!」

 

どうにか話題を変えようと、ウタエンは次の曲を促した。

 

「スマイルプリキュアで『イェイ!イェイ!イェイ!』」

「そして、Yes!プリキュア5GoGo!で『プリキュア5 フル・スロットルGoGo!』の二曲を続けてどうぞ!!」

 

----------------------------

 

ギターの軽快なBGMが始まると同時に、いつもの秘密基地である不思議図書館に集合したスマイル組が、何やら話し合っている風景が映し出された。

どうやら、パートナー妖精であるキャンディのサプライズバースデーパーティーを計画しているようだ。

五人で計画を練っていると、キャンディが無邪気な笑みを浮かべながら、割り込もうとしてきた。

好奇心旺盛なキャンディのことだから、それは当然といえば当然のこと。

 

だが、みゆきたちがしようとしていることはあくまでも『サプライズ』。

仕掛ける側に知られてしまっては意味がない。

そのため、五人は珍しく、キャンディを避けるようにして、誕生日パーティーの準備を始めるのだった。

 

誕生日パーティーといえば、当然、バースデーケーキが必要となる。

ということで、五人でケーキを作り始めたのだが、みゆきが生地を混ぜていたボウルを落としそうになったり、あかねが素早い手つきでクリームを塗っていったり、なおがイチゴを素早く切っていったりと、なかなか賑やかな様子が描かれていた。

ちなみに、やよいはケーキに飾り付けるキャンディの飴細工を作り、れいかは部屋の飾りつけを担当していた。

 

ケーキが完成すると、不思議図書館の本棚が光り、その中からキャンディが飛び出してきた。

飛び出してきたキャンディの勢いは止まることなく、そのままみゆきと顔面衝突してしまい、二人とも床に倒れ込んだ。

幸いなことに、ケーキは無事だったのだが。

ふと、キャンディが部屋を見回すと、いつもと飾り付けが違うことに気づいた。

 

みゆきたちがキャンディの飴細工が乗ったバースデーケーキを見せると、キャンディは満面の笑みを浮かべ、みゆきに飛びついた。

それを抱きとめるみゆきたちの顔にも、彼女たちのチーム名に恥じぬ、キラキラした笑顔が浮かんでいた。

 

----------------------------

 

スマイル組のステージが終了すると、あたりが一瞬で暗くなり、静寂に包まれた。

だが、次の瞬間、先ほどのスマイル組の音楽とは違い、優雅さと力強さが融合したような曲調のBGMが流れだした。

その瞬間、スポットライトが中央に浴びせられ、ステージに立つ、六人の姿が照らし出された。

六人は観客席に手を振りながら、ステージの前の方へと歩いて行った。

 

スクリーンの方へ視線を向けると、GoGo組が集まるナッツハウスが映っていた。

店内のレジでは、文庫本を読んでいる夏とにこやかに会話しているこまちの姿があった。

その上空では、巨大化したシロップがうららを乗せて空の散歩を楽しんでいた。

一方、店外にある、色とりどりの花を咲かせているプランターに水やりをしているのは、りんとくるみだった。

だが、くるみは花の美しさに思わず緊張がほどけ、ミルクの姿に戻ってしまった。

それを慌てた様子でかれんが受け止めたので大事には至らなかったが、りんとかれんは困ったような笑みを浮かべていた。

そして、ナッツハウスの目の前にある湖の桟橋には、小々田が立っていた。その背中を見つけたのぞみがナッツハウスを出て、駆け寄りながら呼びかけた。

その声に気づいた小々田が振り返り、微笑みを浮かべると、のぞみはその笑顔に見惚れ、思わず止まってしまった。

 

場面が一転すると、ドレスを着たのぞみと、正装をした小々田がおとぎ話の舞踏会のように、ダンスを踊り、互いの顔が近づいていく――という、のぞみの妄想が映っていた。

のぞみの後ろに座っていたりんたちは、のぞみが何を考えていたのか、簡単に察することができたらしく、ミルクに至っては、かれんの腕の中でかみつきかねない勢いでのぞみをにらみつけていた。

慌てて否定するのぞみだったが、その肩に小々田が手を触れて、微笑みかけると、明るい笑顔を返した。

 

ナッツハウスの近くにある草原を、それぞれ仲のいい妖精たちを肩に、あるいは頭に乗せて、五人は駆けていく。

その顔には、満面の笑みが浮かんでいたことは、もはや言うまでもない。

 

----------------------------

 

スマイル組とGoGo組のステージが終わり、みゆきたちは参加者席に戻ってきた。

 

「えー、『Yes!スマイルプリキュア5』の皆さんは……」

「いや、混ざってるっす、兄貴」

 

スマイル組とGoGo組の名前をまぜこぜに言ってしまったオドレンに対し、ウタエンが思わず普段の口調でつっこみを入れた。

その後も、GoGoが抜けていた、とぼけたり、まだステージに上がっていないチームの名前が混ざったりと、もはや狙って間違っているのではないか、と疑いたくなるようなボケを連発してするオドレンだったが、それを放置して、ウタエンがGoGo組にインタビューを始めた。

 

「にしても、プリキュア5の皆さんは美男美女ぞろいっすねぇ。それに妖精が人間になれるなんてすごいっす!」

「え?!そ、そうですね。みんなカッコイイと思います……あ、ミルクはかわいいだよね!あ、あははは……何言ってんだろ、わたし……」

「のぞみさんったら……」

「うふふ♪」

 

意外な質問にてんてこ舞いになるのぞみを見ながら、うららは恥ずかしそうに頬を染め、こまちは相変わらずのマイペースで穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「やっぱりのぞみ、緊張しちゃってますね……」

「ふふ、そうね」

 

一方で、付き合いの長いりんは、呆れたように肩を落としながらつぶやき、かれんがそれに相槌を打った。

 

「けど、イケメン具合だったらうちのコッペ様も負けてないよ~!」

「えりか、のぞみさんにとって、ココさんが一番カッコイイんですよ!」

 

なぜか対抗心を燃やすえりかに、つぼみがつっこみを入れた。

なお、そのやりとりを聞いていた何人かは。

 

――菖/さんだって負けてないわよ/です!!

――湊くんだって、かっこいいもん!!

 

と、謎の対抗心を燃やしていた。

なお、えりかにそう突っ込んでいたつぼみも。

 

――でもわたしにとっての一番は菖さんです!!

 

と、対抗心を燃やしていた。

なお、その気配に気づいたのかどうかはわからないが。

 

「ん?……なんか、甘酸っぱいっす!!」

 

と、ウタエンがそんな反応をしていた。

 

「さて、スマイルプリキュアの皆さん、ステージに立ったご感想は?」

 

調子が戻ったのか、それとも本当に狙って間違えていたのか。

今度はオドレンがスマイル組にマイクを向けた。

 

「いや~、さすがにちょっと緊張しましたわ」

「うん……失敗したらどうしようって思っちゃったよ……」

「でも、キャンディとポップのスマイルが見ることができて、ウルトラハッピーです!」

「スマイルにかけては、うちのチームはどこにも負けへんからな!決めるときは決める!それがスマイルプリキュアや!!」

 

若干、弱気なやよいに対し、みゆきとあかねが明るくインタビューに答えると、ウタエンも笑顔を浮かべながらインタビューを続けた。

 

「いや~、仲のいいチームっすね!」

「でも、みゆきさんとキャンディさんは、ちょっぴりドジなコンビと聞きましたけど?」

「え?!そんなこt……」

 

オドレンの質問に対し、反論しようとしたみゆきが立ち上がると、バランスを崩し。

 

「あっ!」

「「えぇ?!」」

 

見事に地面に顔面からダイブした。

それを見たスマイル組が心配しないわけがなく。

 

「「みゆきちゃん?!」」

「大丈夫ですか?!」

 

やよいとあゆみが悲鳴を上げ、れいかが安否を気遣った。

だが、あかねは苦笑を浮かべながら、ある意味でフラグを建ててしまったオドレンに対して。

 

「オドレンさん……そないな振りしたら、みゆきはこけるに決まっとるやろ?」

 

と、ツッコミを入れていた。

ただのインタビューだったはずが、いつの間にか、コントのようになってしまっていたことに困惑していたオドレンは。

 

「え?そんなシステムなの?」

「そやで」

 

と、聞き返してきた。それに対して、真面目にうなずくあかねだったが、それもすぐになおと湊によって否定された。

 

「いや、システムて……」

「そんなの無いから」

「……はっぷっぷ~」

 

そんなやりとりを聞いていたみゆきは、当然、むくれてしまっていた。

一方、ここまでのステージを見ていたはるかたちは。

 

「すごいステージだったなぁ……みんな、キラキラ輝いてた!!」

「えぇ、次の曲が楽しみね」

「あたしたちも、負けてらんない!」

 

純粋に感動するはるかとみなみに対し、きららは闘志を燃やしていた。

どうやら、ステージに立つものとして、スイッチが入ってしまったようだ。



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春のカーニバル♪~Ep.7:Alright!ハートキャッチプリキュア&DANZEN!ふたりはプリキュアMax Heart!~

よし190話目!200話までのカウントダウン、スタートっす!!

というわけで、ハートキャッチ組とMH組のステージ
……これ終わったら少し飛ばそうかな……なんか疲れてきたし

あ、ちなみにハートキャッチ組の描写は菖を加えてのオリジナルになってますので悪しからず


「さぁ、それでは次のステージに参りましょう!」

「お次は、歌とダンスでみんなのハートもがっちりキャッチ!!ハートキャッチプリキュアの皆さんで『Alright!ハートキャッチプリキュア』!!」

「そして、プリキュア伝説の始まりといえば、この三人!ふたりはプリキュアMax Heartの皆さんで『DANZEN!ふたりはプリキュア!Max Heart ver.』!!」

「「張り切って、どうぞ!!」」

 

----------------------------

 

ステージが変わり、巨大な花壇が出現すると、ブロッサムたちが踊りだした。

スクリーンには、希望が花市の河原や桜の木が映し出されていた。

そんな中、花畑に咲いている一輪の花を見つめながら、つぼみが何やら真剣な表情を浮かべていた。

そんな中で、シプレが心の種を生み出し、コフレがココロポットに生み出さた種をしまう姿が映った。

 

そんなシーンから一転、同級生のみんなと並んでお弁当を食べようとしていると、突然、えりかが割り込んできて、だし巻き卵を置いたかと思うと、メインのからあげを取ってしまい、素早く口に放り込んだ。

そのあまりの早業にあぜんとしながらも、楽しみにしていたおかずを取られたことに、つぼみは静かに涙を流していた。

 

場面は変わり、明堂院家の庭にある池のほとりでは、道着を着た幼いいつきとさつきが空を見上げながら背伸びをしていた。

一陣の風が吹き抜けていったかと思うと、今度は河原へと場面が変わり、成長したいつきとさつきが並んで座りながら、川を眺めていた。

 

さらに場面が変わり、心の大樹の根本に、ゆりと菖の二人が座っていた。

二人の傍らには、コロンが目を閉じ、安らかな寝息を立てていた。

そんなコロンの様子に微笑みを浮かべてながら、菖とゆりは心の大樹に背を預け、手をつなぎながら枝に咲いている花を見上げていた。

その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいたことは、言うまでもない。

 

妖精たちがマントに変身し、宇宙に飛び立っていく四人のプリキュアと薄緑色に輝く翼のような刃を背後に浮かばせて続く一人の青年の姿へと場面が変わった。

なお、えりかは横着しているのか、それとも触り心地が良すぎて離れがたいのか、コッペにへばりついていた。

 

いつの間にか、四人はスーパーシルエットに、青年は白いタキシードのようなシルエットに変わり、ブロッサムとマリンが手をつなぎ、その後ろにサンシャインとムーンライト、そして青年が立っていた。

その背後には、ハートキャッチ・オーケストラで呼び出される女神の姿があった。

 

場面は地球に戻り、ほっこりとした様子で花壇を見つめるつぼみに続くような形で、えりかといつき、ゆり、菖が姿を現し、花壇に咲き誇る花たちに笑みを浮かべていた。

 

----------------------------

 

ステージが暗くなると、突然、ステージ中央にまぶしい光がともり、その中から、ブラックとホワイトが飛び出してきて、見事に着地した。

 

スクリーンには、階段を駆け上がりながらザケンナーから逃げるほのかが映っていた。

が、その行く先にもザケンナーが控えており、困惑した表情で『ありえない!』と叫んでいた。

一方で、なぎさのほうも追ってくるザケンナーから必死に逃げていた。

だが、そのあまりのしつこさに、やはりこちらも『ありえない!』と叫んでいた。

 

場面は変わり、三人のたまり場であるキッチンカー・タコカフェの屋上で、なぎさがうずくまっていた。

落ち込んでいたなぎさだったが、その傍らにほのかが、そしてメップルとミップルが姿を見せると、互いの手を取り合い、立ち上がって駆けだした。

 

ひかりが足元からあふれ出てきた光に包まれ、シャイニールミナスへと変身すると、すでに変身を終えていたブラックが、ザケンナーにむけてラッシュの嵐を、ホワイトは、ある意味で彼女の代名詞とも言える足技でザケンナーを迎え撃っていた。

一方、ルミナスは荒れ果てた荒野をまっすぐなまなざしで見つめていた。

 

場面が変わり、それぞれの部活で活動しているなぎさとほのか、そして友達と一緒に縁日の投げ輪を楽しむひかりの姿が。最後は、河原でラクロスのパス練習をするなぎさとほのかの姿を、妖精たちと一緒に座って見学するひかりの姿が映されて、曲が終了した。

 

----------------------------

 

「お疲れ様、みんな」

「ありがとう、菖」

「「あ、ありがとうございます!」」

 

ステージから戻ってきたメンバーを菖が労うと、ゆりとつぼみとひかりが若干、顔を赤くしながら微笑みを浮かべた。

 

「いやぁ、楽しいステージでございました!」

「えへへ……ありがとうございます!」

「なぎさちゃんたちは、今も妖精のみんなと一緒に暮らしてるんすよね?」

 

菖に続き、オドレンが感想を伝えると、ウタエンがインタビューを始めた。

 

「はい。ミップルたちとお別れしたときは、本当につらかったけど……わたしたちは、これからもずっと一緒です!」

 

ウタエンのインタビューにほのかが答えると、なぎさの方に視線を向けた。

ほのかが何を言いたいのか、理解できていたなぎさは、笑顔で相槌を打っていた。

だが、一緒に暮らしていれば、当然、不満も出てくるわけで。

 

「でも、メップルなんか、たくさん食べるから困っちゃって……ね?ひかり」

「え?えぇっと……元気があっていいのでは?」

 

突然、話を振られたひかりは困惑しながらなぎさに返した。

もっとも、たくさん食べる、という一点に関しては、なぎさも人のことは言えないらしく。

 

「なぎさには言われたくないないメポー!昨日だって、ご飯三杯お替りしてまだ足りないって言ってたくせにメポ!!」

「ちょ?!デリカシーなさすぎ!ありえない!!」

「……もう、なぎさったら……」

「あははは……」

 

突然、口論を始めたなぎさとメップルに、ほのかとひかりは苦笑を浮かべた。

 

「ところで、噂では、ハートキャッチプリキュアの皆さんにはもう一人、メンバーがいらっしゃるんっすよね?」

「あぁ、たしかスクリーンに映ってたな、もう一人……ん?そういえば、菖さんも映ってましたが、もしかしてもう一人のメンバーって……」

「はい!何を隠そう、菖さんはわたしたちの頼れる味方です!!」

「その名も、大樹の騎士ユグドセイバーっしゅ!!」

 

プリキュア以外のメンバーがスクリーンに映っていたことをオドレンが思い出し、つぼみとえりかが、待ってました、とばかりにセイバーを紹介した。

 

「あ、なるほど。それで菖さんも大切な仲間ってことなんすね……ところで、ゆりさんといい雰囲気だったっすけど……」

「……お、おい、ウタエン!!……無粋なこと聞くもんじゃないぜ?」

 

スクリーンでのワンシーンが気になったウタエンがゆりに問いかけようとした瞬間、背筋にうすらさむいものを感じ取ったオドレンが慌てて止めた。

事実、まだ歌ってないメンバーと先ほどステージに上がったメンバーの中から、殺気じみた視線が二人にむけられていた。

さすがに地雷原に足を踏み入れてしまったことを悟ったウタエンが、話題を切り替えようと、無理矢理、ハートキャッチ組に質問をぶつけた。

 

「と、ところで!ハートキャッチプリキュアの妖精のみなさんは、「こころの種」というものを、プリっと生み出すそうっすね?」

「はい!しおれてしまったこころの花が元気になると、シプレたちからこころの種が生まれるんですよ」

「やっぱり、くすぐったら出てくるの?」

 

同じ仕組みなのか、ひめがつぼみたちにそう問いかけてきた。

だが、えりかから返ってきた答えは、意外なものだった。

 

「ううん、なんか勝手に、プリっと」

「プリプリっと?」

「プリプリプリっと」

 

似た者同士の二人がそんなやりとりをしていると、一体、その種はどこから出てくるんだろうか、と疑問を覚えた湊が質問をしようとすると、突然、肩をつかまれた。

肩をつかんでいる腕が伸びている方へ視線を向けると、そこには、笑顔を浮かべながら般若面を浮かび上がらせている菖とゆりの姿があった。

 

「湊?いま、余計なこと、考えてなかった?」

「え?……い、いや、そんなことは……」

「世の中にはな、知らなくてもいいことがあるんだ。そして、これは知らなくてもいいことだ、イイネ?」

「ア、ハイ」

 

まるで未来都市に住む人々のようなやり取りをした菖と湊だったが、それにまったく気付く様子もなく、ウタエンが新たな話題をもちこんできた。

 

「オイラのこころの花はなんなんすかね?」

「う~ん……」

 

聞かれて、えりかがじーっとウタエンを見つめてると。

 

「ラフレシアじゃない?」

 

と答えた。

 

「それってめちゃくちゃ臭い花じゃないっすか!!」

「あ~……たぶん、ラフレシアよりお化けこんにゃくの花の方が臭いぞ?」

「お化けこんにゃく?」

「ショクダイオオコンニャクのことですね。二年に一度、たった二日しか咲かない、世界最大の花とも言われてます!」

 

なお、ショクダイオオコンニャクはその名の通り、燭台のような花を咲かせるこんにゃくなのだが、その花の匂いは腐臭に近く、ラフレシアと並び、臭い花として有名である。

ちなみに、ラフレシアの花言葉は"夢現(ゆめうつつ)"である。

一方、ここまでのステージを見ていたプリンセス組は。

 

「みんな、輝いてるわね」

「うんうん!こんなすごいステージ、初めて……って、はるはる?泣いてるの??」

「ううん……こんなにたくさんの人たちが一生懸命戦ってきたんだなって思うと、感動しちゃって」

 

反応はそれぞれであったが、カーニバルを大いに楽しんでいるようだった。



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春のカーニバル~Ep.8:休憩時間……の二人からは不穏な気配~

というわけで、もうメインのステージも終わっちゃいましたし、長くなりそうなので、残りの子たちのステージはカットします!

ついでに、本編とは大分ずれますが、オリジナルの展開を入れさせていただきます
それが何かはひとまず、読んでからのお楽しみ、ということで!

ではでは、本編どうぞ


半数近くのチームのステージが終了し、少しばかり休憩時間をもらったオールスターズメンバーは、舞台裏へとやってきていた。

オドレンから休憩室に飲み物を用意している、と説明を受けると、パートナー妖精たちのほとんどが、プリキュアたちに飲み物を取ってくる、と言って、休憩室へ向かっていった。

なお、コロンもゆりに気を遣って飲み物を取りに行こうとしたが、ゆりがそれを止めたため、今はゆりの肩に載っている。

 

パートナー妖精を見送り、談笑しながら休憩室へと歩いていると。

 

「どいたどいた~っす!!」

 

両手に大荷物を抱えたウタエンがどたどたとメンバーの間を走り抜けていった。

その慌ただしさに、一同は目を丸くしていたが、舞台裏はそんなもの、とフレッシュ組から説明された。

ダンス大会のステージに何度となく立っている彼女たちからの言葉に納得した一同は、再び休憩室に向かって歩き出した。

 

「おい、うまくいったか?」

「もちのろんっす!」

 

ウタエンが走り去っていった方向で待機していたオドレンが首尾を聞くと、ウタエンは抱えていた荷物を開いた。その中には、さきほどすり取ったプリキュアの変身アイテムがごっそりと入っていた。

 

「ふっふっふ……まさかあの背の高いほうがユグドセイバーだとは知らんかったが」

「えぇ!所詮はプリキュアと同程度のはずっす!!」

「そして、プリキュアも変身できなければただの非力な小娘も同じ!!」

 

そう、すべてはオドレンの作戦だった。

ハルモニアを盗んだまではいいが、数時間もせずにプリキュアたちがやってくる。

それを知って逃げずにいた理由は、カーニバルにあやかり、プリキュアから変身アイテムを奪い取り、一網打尽にすることだった。

 

「プリキュア全員を一気にやっつけちまえば、俺たちを邪魔する連中は未来永劫いなくなる!」

「さすが兄貴っす!!」

 

……そうそううまくいけばいいけどねぇ。

 

「あん?なんか言ったか、作者(ナレーター)さんよぉ?!」

 

……いいえ、なにも。

 

「さぁ、あとはカーニバルを終わらせて、邪魔な三人をどっかに閉じ込めちまえば、俺たちの作戦は成功だ!」

「それまではのんきに楽しんでもらうっすよ!」

 

周辺に聞こえないのが不思議なくらいの高笑いをしながら、オドレンとウタエンは闇の中へと消えていった。

だが、その計画を聞いていた影が二つあることに、オドレンとウタエンは気付かなかった。

 

「……ど、どうしよう、湊くん?!」

「まさか、俺と兄貴の勘が当たるとはなぁ……」

 

二人の企みを聞いていたあゆみと湊は、それぞれそんな反応を示していた。

もっとも、ここでオールスターズメンバーに話したところで、信じてもらえないか一気に騒ぎが大きくなり、事態が収拾できなくなることもありえる、と考え。

 

「とりあえず、騒ぎになるとまずいから、兄貴以外には黙っておこう。いいな?グレル、エンエン」

「「オーケー/わかった!」」

 

ひとまず、事態を静観することにした。

だが、あゆみはパートナー妖精がいないと変身することができないため、万が一に備えて、あゆみのそばにいるように指示した。

むろん、グレルとエンエンもその意図は理解していたため、素直にうなずくのだった。

 

----------------------------

 

一方、休憩室に向かったなぎさたちに少し遅れる形で歩いていた菖は、ゆりとコロンに声を掛けた。

 

「ゆり、ちょっといいか?」

「どうしたの?菖」

「はい、これ」

 

振り返ったゆりに、菖は彼女の変身アイテムであるココロポットを手渡した。

なぜ、それを菖が持っているのか。疑問に思ったゆりは、若干、訝しむように菖を見た。

その視線の意味を悟った菖は、違う、と否定した。

 

「俺じゃないっての……いただろ?たった一度だけ、ゆりからココロポットを盗む機会があったやつが」

「……まさか、ウタエンさんが?」

「あぁ……まったく、いい腕してるよ」

「……それをすり返すあなたも相当なものだと思うのだけれど……」

 

呆れながら話している菖に、ゆりは苦笑を浮かべた。

なお、菖のすり技術は、海外でも治安の悪い地域で、何度か手荷物をすり取られた経験から来ているものらしく、あまり揉めることを好まないため、すられた瞬間にすり返す、という技術を身につけたらしい。

 

閑話休題(それはともかくとして)

 

「会場にも、明らかに妖精じゃない何かがいたし……何より、カーニバルの由来を『なんやかんや』って誤魔化す時点でかなり怪しかったからな……」

「ということは、このカーニバルは……」

「それに、この国も……」

「おそらく、な」

 

ゆりとコロンも菖と同じ仮説に行き着いたらしい。

だが、だからといってこのことをつぼみたちに話すという考えはなかった。

つぼみたちは、如何せん、素直すぎる。

特に、なぎさを筆頭にしたピンクチームと、一部のイエローチームはその素直さが美徳であるため、怪しんでいるということがすぐにばれてしまう可能性が高くなる。

何より。

 

「みんなには、ギリギリまでカーニバルを楽しんでほしいしさ……なるべく、水を差したくない」

「……うふふ♪わかったわ。それなら、わたしも黙ってる」

「僕もだ」

「すまんな、二人とも」

 

すまなさそうな笑みを浮かべて、菖が二人に感謝した。

だが、その心中では。

 

――ほんと、そういう優しいが大好きなのよね

――そういうところが大好きなんだろうね、ムーンライトもブロッサムも

 

とつぶやいていたのだが、それを菖が知る由もなかった。

 

----------------------------

 

そしてステージは進み、S☆S組、ドキドキ組、スイート組、ハピネスチャージ組がステージを終わらせ、いよいよ、プリンセス組がステージを始めようとしていた時だった。

 

「みんな!その二人を捕まえて!!」

「え?!……えぇっ??!!」

 

オドレンとウタエンが、プリキュアたちに追いかけられていた。

何が何やら困惑するプリンセス組の三人だったが、ウタエンがずっこけてしまい、手にした荷物から、大量の変身アイテムが転げ落ちてきた。

その中には。

 

「あーーーーっ?!」

「ココロパフューム?!」

「あ、あたしのスマイルパクトも?!」

「オドレンさん、ウタエンさん、これはどういうこと?」

「まさか、あなたたち!」

 

プリキュアの変身アイテムが入っていた。

なぜ、彼らの荷物の中に変身アイテムが入っているのか。

もしや、盗んだのではないか。そう勘繰られて、オドレンとウタエンは慌てて弁解を始めた。

 

「ち、違うんですよ!」

「お、オイラたち、プリキュアの大ファンなんっすよ!」

「そ、そうそう!思わず、イミテーションを作ってしま……」

 

と、言いかけた瞬間。

荷物の中から、着信音が響いた。

オドレンとウタエンが慌てた様子で荷物の中身を漁ると、着信音が響かせているプリキュア5の変身アイテム「キュアモ」があった。

 

「あーっ!!あたしのキュアモ?!」

「わたしのもあるわ!!」

「やっぱりね!」

「思った通り、か……ゆりのココロポットがすられてた時から、もしやとは思ってたけど」

 

のぞみとかれんが驚愕する一方で、いおなと菖の冷静な声が響いた。

いおなの手には、ハピネスチャージ組がブルーからもらったプリキュア専用の携帯電話「キュアライン」が、菖の手にはスマートフォンが握られていた。

 

「のぞみちゃんたちのキュアモは携帯電話としても機能する。偽物だったら、着信音はしないはず!」

「けど、こうして着信音が鳴っている……それがどういうことかは、解説しなくてもわかるよな?……そろそろ、化けの皮、剥いだらどうだ?盗人さんよぉ!!」

 

菖といおなに看破され、オドレンとウタエンはどう突破するか、必死に考えた。

だが、いい案は浮かび上がってはこなかった。

 

「……くっ……こうなりゃ、仕方がねぇ!!」

「お察しの通り、オイラたちはこの国の大臣じゃないっす!!」

 

当然、ウタエンのその言葉にプリキュアたちは驚愕した。

だが、そんなことはお構いなし、という具合に、オドレンとウタエンはポーズを決めて名乗りを上げた。

 

「空に輝く太陽も!」

「水面に映る月すら盗む!!」

「「七つの海をまたにかけ!」」

「世界のすべてを手に入れる、無駄にイケメンなニクイ男!神出鬼没の大盗賊、オドレン!」

「その相棒、ウタエンっす!!」

「俺たちに心まで盗まれても、知らないぜ?」

 

二人は心中で、決まった、とつぶやいていた。

だが、周囲の妖精たちだけでなく、プリキュアたちからも反論があったらしく。

 

『無駄にイケメンって、全然イケメンじゃないじゃん!!』

「「「え~?藤P先輩/和也さん/明兄ぃのほうがイケメンなんだけど/なり~!!」」」

「「「菖さんのほうがイケメンですっ!!」」」

「湊くんのほうがイケメンだもん!!」

「「いや、お前ら、何言ってんの??!!」」

 

言われた菖と湊は若干、頬を赤くしてつっこみを入れた。

ちなみに、ゆりもまた顔を赤らめながら。

 

「……とっくの昔に菖に盗まれてるわよ、そんなの……」

 

とつぶやいていたのだが、誰も聞いているものはいなかった。

とはいえ、冷静さに定評があるゆりは、すぐに平静を取り戻すと、オドレンたちに問いかけた。

 

「盗賊……ということは、わたしたちをだましていたのね?」

「そういうことだぜ、お嬢さん(マドモアゼル)!」

「すでにこの国は兄貴のものっす!!国のお偉い人たちだって、牢屋の中っすよ!!」

 

ウタエンのその言葉に、当然、妖精たちはブーイングを飛ばした。

だが、オドレンがそれを一喝し、何かのコントローラーのようなものを取り出した。

 

「なに、あれ?」

「ゲーム機のコントローラー??」

「いくぜ、大回転!!」

 

オドレンがコントローラーを操作すると、突如、ステージが回転を始めた。

回転する中でステージがまるでメッキが剝がれていくかのように崩れていき、姿を変えてしまった。

 

「……なに、これ……」

「随分、悪趣味ね」

「センスゼロですな!」

「……まぁ、そこのへっぽこ盗賊二人組の心情が出てるんだろ」

 

変化したステージに、プリキュアたちと菖がそんな感想を漏らしていた。

当然、その感想に、特に菖がへっぽこ盗賊と呼んでいたことに、オドレンは怒り出した。

 

「だまらっしゃい!!というか、誰がへっぽこだ、誰が!……こほんっ!!いまやこのステージはお前たちを閉じ込める檻だ!」

「ここからは一歩も出さないっすよ!!」

「なによ、それ!!」

「そんなことさせないわ!はるか、きらら!変身よ!!」

 

当然、二人の思い通りにさせるつもりは毛頭なく、まだ変身アイテムを奪われていないプリンセス組が変身アイテムを取り出し、変身しようとしたが。

 

「させるかよ!ドロボーン!」

「あぁっ?!」

「くっ!」

「ちょっ?!」

 

変身を邪魔するために、オドレンがドロボーンを呼び出した。

いきなり現れたドロボーンに驚き、三人は思わず後ずさってしまった。

そして、そこに隙が生まれ。

 

「隙あり!!」

 

オドレンのステッキが突然伸びて、プリンセス・パフュームを奪い取ってしまった。

 

「ふ……ふっふふふ……あーっははははは!!これで、全てのプリキュアの変身アイテムは俺様のもの……プリキュアに変身できないお前らなんぞ、非力な小娘も同ぜ……」

「それはどうかな?」

「それはどうかしら?」

 

オドレンが高笑いする中、菖とゆりが不敵な笑みを浮かべてプリキュアたちの前に躍り出た。

 

「お前ら、誰か忘れちゃないか?」

「あん?プリキュアは全員……」

「……あ、兄貴!まずいっす、そういやもう一人いたっす!!変身できる奴が!!」

「……あぁっ!!ユグドセイバーか?!」

 

プリキュアさえ変身できなくさせてしまえば、ということばかりに思考が寄っていたらしく、オドレンの頭の中にセイバーと幻のプリキュア、その守護騎士の存在が抜けていたようだ。

だが、それだけではない。

ゆりの手に、盗んだはずのココロポットがあることに気付き、二人はさらに驚愕した。

 

「な、なんでそれがお前の手に?!」

「お、おいらがほかの変身アイテムと一緒に盗んだはずっす!!」

「お生憎様!こっちにはあなたたちと同じくらい、手癖の悪い人がいるのよ!!」

「ちょっ?!それ、ひどくないか?!……まぁ、いいけど……それと、へっぽこ盗賊ども!俺に、いや!俺たち(・・・)守護騎士に(・・・・・)変身アイテムは必要ない!!いくぞ、湊!!ゆり!!」

「おうさ、兄貴っ!!」

「えぇっ!コロン、お願い!!」

「わかった!!」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

「来い、白銀の鎧よ!!」

「プリキュアの種、いくぞ!」

「プリキュア!オープンマイハート!」

 

菖と湊が同時に叫ぶと、まぶしい光が二人を包み込んだ。

光が収まると、そこには白い外套をまとった騎士と、白銀の鎧をまとった騎士が、そして、オールスターズ最年長の白銀のプリキュアが立っていた。

 

「大樹の騎士、ユグドセイバー!」

「守護騎士、アステア!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

 

プリキュアを守護する二人の騎士とおそらくはプリキュアオールスターズの中でも最強といえる実力を持つキュアムーンライトの登場に、周囲の妖精たちは歓声を上げた。

予想していなかった守護騎士の登場に、オドレンは動揺を隠せていなかったが、すぐにドロボーンたちを呼び出した。

 

呼び出されたドロボーンたちは、変身できないなぎさたちにむかって襲いかかってきたが、その動きを、三人が止めた。

その結果として三人はドロボーンたちに取り囲まれることになった。

だが。

 

「さすがに多いなぁ……百は越えてるんじゃないか?」

「兄貴、いけるか?」

「あら?二人とも、まさかこの程度で弱音を吐くの?」

 

セイバーと湊に背を預けながら、ムーンライトは余裕綽々といった様子で返した。

むろん、それに反論しないセイバーではない。

 

「まさか!……というか、二人こそ、大丈夫か?この数」

「あら?この程度の数、あなたたちとなら余裕もいいところだわ」

「さぁ?俺は、あと一体増えたらきついかも?」

 

セイバーの問いかけに、アステアはわざとらしく返した。

その返答に、セイバーは薄い笑みを浮かべて。

 

「なら、湊が打ち漏らした一体は俺かムーンライトがもらうってことでどうだ?」

「ふふっ……それもいいわね」

「うわぁ、ひでぇな、二人とも……」

「「「……ふっ」」」

 

三人は余裕そうにそんなやりとりをしていたかと思うと、同時に不敵な笑みを浮かべて、取り囲んでいたドロボーンを迎え撃った。

 

----------------------------

 

一方、オドレンとウタエンは変身アイテムを奪われてなお、戦おうとするプリキュアたちと対峙していた。

 

「ちっ……まさか変身アイテムを取り返していたとは予想外だったが……お前さんたちは変身アイテムがないってのに、まだ抵抗するつもりか?」

「当たり前でしょ!」

「世界をあなたたちのものになんて、絶対にさせない!」

 

たしかに、変身アイテムは奪われてしまった。

唯一、あゆみだけはグレルとエンエンが一緒にいるため変身はできるが、彼女が変身するキュアエコーは、浄化に特化したプリキュアであり、ルミナスと同じく、戦闘力はほとんどない。

けれども。

 

「たとえ変身できなくたって!」

「わたしたちがやることは、ただひとつ!!」

「あなたたちを!」

『止めてみせる!!』

 

絶対的不利な状況に陥ったとしても、決して絶望せずに立ち向かう。

それが、プリキュアオールスターズの合言葉だった。

だが。

 

「あっれ~?兄貴、あいつら、戦う気みたいっすよ?」

「はっ!変身もできない小娘に何ができるってんだ!!」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべながらコントローラーを操作した。

その瞬間、はるかたちプリンセス組以外のオールスターズメンバーが立っていた場所が、突然沈み始めた。

 

『え?!』

『な、なに??!!』

「みんな!!」

 

突然、ステージが沈み始めたことに困惑するなぎさたちを助けようと、はるかたちは駆けだした。

同時に、ドロボーンの群れの中から、銀色の光が飛び出し、ステージの方へと向かってきた。

 

「あゆみ、みんな!!」

 

それがキュアエコーと共に誕生した守護騎士(アステア)であることは、必死の叫びでわかった。

あゆみはグレルとエンエンを抱えたまま、アステアに手を伸ばした。

アステアはその手をつかみ、飛び出そうとしたのだが、時すでに遅く。無情にもステージは奈落の底へと沈んでいき、扉が固く閉ざされてしまった。



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春のカーニバル~Ep.9:イマココカラ/わたしたち、堪忍袋の緒が切れましたっ!!~

タイトルでお察しの通り、大暴れ回ですw
とはいえ、戦闘描写はそんなにありませんが(-▽-;


「あぁ……」

 

沈んでいくステージから、オールスターズメンバーを助けだそうと駆けだしたはるかたちだったが、間に合わず、ステージを沈めた仕掛けの扉は大きな音を立てて、固く閉ざされてしまった。

 

「へ!馬鹿な奴らだ。守護騎士の一人も、わざわざ自分から飛び込んでいきやがったぜ!」

「兄貴に逆らうから、こういうことになるんっすよ!」

「俺様が世界を手に入れるのを、お前たちは奈落の底から眺めてるんだな!もっとも……」

 

そう言いかけて、オドレンはセイバーとムーンライトの方へと視線を向けた。

いまだ、二人は大量のドロボーンに囲まれながら、戦闘を続行中だった。

 

「お前たちの切り札の騎士様と最後のプリキュアが倒れるのが先かもしれないがな!!はーっははははははっ!!」

 

勝利を確信したオドレンは高笑いをした。

その高笑いに屈するように、はるかたちはその場に膝をついてしまった。

 

「そんな……ハルモニアは、世界はどうなっちゃうの……」

「このまま何もできずに、負けてしまうなんて……そんなの……」

「くっ……」

 

変身アイテムは奪われ、仲間も彼らの手に落ちた。どうあがいても覆すことができない状況に、はるかたちは絶望の底に沈みだした。

だが。

 

「簡単に諦めるな!!」

「弱音を吐くのはやめなさい!!」

「まだだ!!まだ終わりじゃない!!」

「諦めないで!!」

「「「……っ??!!」」」

 

自分たちに向けられた鋭い声に、自然と顔が上がった。

声がした方向には、今もまた奮闘しているセイバーとムーンライトの姿があった。

そして、観客席の側には、いつの間に変身したのか、アステアに抱えられたキュアエコーの姿があった。

どうやら、二人はステージが沈み切る前に脱出できたようだ。

 

「仮にもゆりたちの、俺たちの後輩だっていうなら!最後の瞬間まで、足掻いて見せろ!!」

「あなたたちにも、守りたい大切な何かがあるはず!それを思い出しなさい!!」

 

手にした剣を閃かせ、あるいは拳を、あるいは蹴りを放ちながら、セイバーははるかたちにむかって叫んだ。

ムーンライトもまた、セイバーに背を預けながらドロボーンたちを相手に奮闘していた。

同時に、アステアたちの存在に気付き、襲いかかってきたドロボーンに拳を叩き付け、エコーに害が及ばないように奮闘し始めたアステアが声を上げた。

 

「可能性を信じて、絶望の先にある希望を信じる!それが、お前たちプリキュアだろう!!」

「あなたたちの中にある、奇跡の力を!絶望を乗り越える勇気と、大事な人を守りたいという想いを信じて!!」

 

二人が叫んだ瞬間、セイバーはステージの床に自分の拳を叩き付け、ムーンライトはシルバータクトを取り出し、心の花の力を集め、フォルテウェイブを放った。

その瞬間、出現したドロボーンの半数以上が同時に吹き飛んで行った。

その光景を見たオドレンとウタエンは。

 

「「あ、ありえねぇっ/ないっす!!」」

 

と、目玉が飛び出すのではないか、というくらい目を大きく見開き、叫んでいた。

だが、そんな二人の様子に関係なく、はるかはふらふらと立ち上がった。

その目には、もう絶望は宿っていなかった。

 

「……わたし、歌う!」

「はるか?」

「はるはる?」

 

突然のはるかの言葉に、みなみときららは目を丸くした。

だが、はるかは深呼吸をして気持ちをおちつかせると。

 

「だって、歌とダンスの力を信じてるから!わたしたちの先輩は、どんな困難もあきらめずに立ち向かって、乗り越えてきた!!だからわたし……歌いたい!!」

「……えぇっ!」

「そうだね……こんなところで、諦められないよね!」

 

はるかにつられるように、みなみときららも立ち上がった。

だが、それを阻止しようと、オドレンがコントローラーを操作しようとした。

 

「へっ!歌えれば何が変わるって……」

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

だが、コントローラーは一本の矢に貫かれ、破壊されてしまった。

 

「やっと後輩が立ち上がったんだ。無粋な真似はお断りだぜ?おっさん!!」

「くぅっ!誰がおっさんだ?!……まぁいい、自分たちを送る鎮魂歌(レクイエム)くらい、歌わせてやるぜ!!」

 

矢を放ったセイバーの威圧に負けて、オドレンは小細工を諦めた。

ウタエンも同様、その場に縫い付けられたように動かなかった。

そんな中で、はるかたち三人は歌い始めた。

 

「わたしたちは、普通の女の子……だけど、何かできること、あると思う」

「心には、秘密のドアがある」

「開くなら、今こそ、その時!」

 

それは、プリキュアになった少女ならば、誰もが一度は考えたこと。

いくら変身できるとはいえ、戦う勇気があるとはいえ、彼女たちはまだ十代の女の子。

けれど、彼女たちがプリキュアになれた理由は、たとえ、嵐が吹き荒れたとしてもその風向きを変える勇気を持ち、そしてその力を信じていること。

 

歌に込められたその祈りは、まさに奇跡(ミラクル)を呼んだ。

ステージ上空に眩しく輝く光が現れたかと思うと、その光からはるかたちの変身アイテム、ドレスアップキーが三つ出現し、鍵がかかった宝箱にむかって、光を伸ばした。

その光に照らされた瞬間、宝箱は開き、中にしまわれていた変身アイテムが光を放ちながら、宙に浮かんだ。

その瞬間、はるかたちはプリキュアへと変身した。同時に、ステージもオドレンがデザインした悪趣味なものから、ハルモニアを守護する龍をデザインしたものへと変わった。

 

さらには、奈落の底へ閉じ込めらえたはずのプリキュアたちが次々にステージへと上がってきた。

ムーンライトとエコーも彼女たちと合流し、ついに、プリキュアオールスターズ総勢四十人が一堂に会した。

彼女たちの放つ輝きは、まさに未来へつながる願いそのもの。

それを示すかのように、ステージには色とりどりの光があふれていた。

 

----------------------------

 

「形勢逆転だな……どうする?おとなしく自首するか」

「それとも、俺たちに叩きのめされてからお城の警備兵に突き出されるか」

「「好きな方を選びな!!」」

 

ステージにはいなかったセイバーとアステアは手にした武器をオドレンとウタエンに向け、そう問いかけた。

だが、これでおとなしくするほど、盗賊二人は往生際がいいわけがなく。

 

「ちぃっ!!こうなったら、総力戦だ!!出てこい、ドロボーンども!!」

 

やけっぱちになったのか、オドレンがそう叫ぶと、ステージを埋め尽くすほどの数のドロボーンが姿を現した。

 

「おいおい、まだいるのか……」

「さすがに、これは呆れるな……」

 

すでに百以上のドロボーンを相手に無双していたセイバーとアステアは、まだまだ出現するドロボーンたちに呆れたようなため息をついた。

だが、その瞳に『絶望』の二文字はなかった。

なぜなら、二人には、それ以上の希望と守ると誓った仲間がいるのだから。

 

「さぁて、総仕上げと行こうか!!」

「おぅっ!」

『えぇっ!!』

 

セイバーの掛け声に応えると同時に、プリキュアたちはチームごとに分かれて、自分たちを取り囲んているドロボーンたちに立ち向かっていった。

大乱闘の中、ステージ内のドロボーンたちをMax Heart(MH)組に任せ、5GoGo組は妖精たちの避難を、ハピネスチャージ組とプリンセス組はハルモニア王国の重鎮や王族たちの救出、ほかのチームはステージを破壊するべく、出口を探していた。

 

その中で、ハートキャッチ組と合流したセイバーは彼女たちとともに廊下を走っていた。

すると、正面に上へ向かう階段が見えてきた。その階段の先には、出口と思われる大扉があった。

当然、出口へ向かおうとしたのだが、それをムーンライトが制止した。

その瞬間、階段の段差からミサイルの発射口が出現し、中から、無数のミサイルが発射された。

 

「サンフラワー・イージス!!」

 

一足早く前に躍り出たサンシャインがひまわりの盾を展開し、第一陣を防いだ。

第一陣の爆風の中から、ブロッサムとマリンが飛び出し、ミサイルを回避しながら階段へと向かっていった。

 

「カーニバルを無茶苦茶にして……その上、シプレたちの気持ちも踏みにじるなんて……わたし、堪忍袋の緒が切れました!!」

「海より広いあたしのこk……へばぁっ?!」

 

ミサイルをさばきながらお決まりの決めセリフを口にしたブロッサムに続き、マリンも決めセリフを言おうとしたのだったが、飛んできたミサイルをさばくことができず、吹き飛ばされてしまった。

 

「ま、マリン?!」

「まだ言ってる最中~~~~~~っ!!」

 

ミサイルはマリンを先端に乗せたまま、天井へと向かっていった。

キュアマリン、大ピンチ!とテロップが付きそうになった。だが、すんでのところで駆け付けたメロディに助けられ、事なきを得た。

 

「大丈夫?マリン」

「うん!ありがとう、メロディ!!」

 

救出されたマリンがメロディにお礼を言っていると、後ろからリズムたちも駆けつけてきた。

 

「ほんと、しまらないよな、マリンは……」

「……はぁ……」

 

ちなみに、その様子を見ていたセイバーとムーンライトは、半ば呆れたような表情を浮かべていた。

だが、その表情も大量のドロボーンを前にしてすぐに引き締まった。

 

「このカーニバルは私たちと観客のみんなで奏でる組曲!それを利用して世界を手に入れようなんて……絶対に許さない!!」

「わたしたちプリキュアと、守護騎士たちの気合のレシピ!見せてあげるわ!!」

「わたしたちの心のビートは、もう止められないわ!!」

「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!!」

 

ちゃっかり、スイート組に混じって決めセリフを口にするマリンに、ミューズは呆れたような表情を浮かべて。

 

「それ、言わなきゃいけないの?」

 

と冷静なつっこみを入れていた。

ミューズのその冷静さに、セイバーとムーンライトは乾いた笑みを浮かべながら、ドロボーンたちを相手に大暴れをしていた。



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春のカーニバル~Ep.10:守護神暴走?!ステージの続きは……~

いやはや、これで最後と
お次は奇跡の魔法編だけど……しばらくは別の話を中心に流そうかな、とか考えてます

ともあれ、本編どうぞ


解放されたプリキュアオールスターズの面々と、二人の守護騎士たちが騙されたうっぷんを晴らすかのように、ドロボーンたちを相手に大暴れしていた。

当然、無事だったドロボーンたちは逃げ惑うのだったが。

 

「こーらーっ!なんで逃げてんだ!!真面目に戦えーーーーーっ!!」

 

自分では戦わないオドレンがそう叫ぶと、当然のようにドロボーンたちから文句が飛んできた。

だが、自分が弱い、ということを自覚しているらしく、オドレンは開き直ったように、まともにやってかなうわけないだろ、と反論していた。

 

そんな光景はお構いなしに、プリキュアたちはステージに残っていた妖精たちを避難させ、囚われていた王族を救い出し、城を占拠していたドロボーンたちを一掃していった。

そんな中、ひときわ大きい音が響いてきた。

オドレンとウタエンが音のした方へ視線を向けると、ラブリーとフローラの二人が崩壊したステージの前でハイタッチを交わしていた。

どうやら、二人でステージを破壊してしまったらしい。

 

「あ……」

「あ……」

「「……ありえねぇだろっ/っすよっ??!!」」

 

女の子の細腕の、どこにそんな力が。

と、盗賊二人が驚愕したその時だった。

 

突如、空に爆音が響きわたった。

これがただの爆発音ではないことは、誰でも理解できた。

なぜなら。

 

「「……ド……」」

「「……ド……ド……」」

「「「「ドラゴンーーーーーーーーっ??!!」」」」

 

声が響いてきた方向へ視線を向けると、そこには巨大な一頭の龍がいた。

その龍こそ、ハルモニア王国を守護する守り神である守護龍である。だが、その瞳は、なぜか怒りの炎をたぎらせていた。

なぜ、ドラゴンが怒っているのか、想いを伝えるプリキュアであるエコーには理解できた。

 

「あのドラゴン……楽しみにしていたカーニバルをめちゃくちゃにされて怒ってる……」

「おいおい、だからって……やばっ!!」

 

アステアはドラゴンの口の中からチラチラと漏れ出ている火の粉を見て、ドラゴンが次に何をしようとしているかを理解し、エコーをかばうように前に出た。

案の定、ドラゴンが口を開くと、炎を吐き出してきた。

アステアは朱槍を呼び出し、両手で回し始めた。

 

槍の遠心力で生み出された風が、ドラゴンの炎を二つに割き、アステアと背後にいたエコーを守った。

だが、周辺にいたドロボーンたちは、炎にあおられ、消え去ってしまった。

どうにか事なきを得た二人だったが、ドラゴンの攻撃はさらに続き、ハルモニアに甚大なダメージを与えていた。

 

「プリキュア!サファイア・アロー!」

蒼い雨は天をも穿つ(蒼雨天穿)!!」

「マリン・シュート!!」

「プリキュア!ビューティー・ブリザード!!」

「プリキュア!ダイヤモンドダスト!!」

 

青い弓を持つ姿に変身したセイバーと、水や氷の力を操るプリキュアたちが必死に消火にあたり。

 

「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」

「プリキュア!エメラルド・ソーサー!!」

「サンフラワーイージス!!」

「カッチカチの!ロゼッタウォール!!」

 

飛んでくる炎を、盾を使えるメンバーが防ぎ、被害が広がらないよう、食い止めていた。

が、次から次へと降ってくる炎のせいで、消火が追い付かずにいた。

どうにかしなければ。

誰もがそう思った時だった。

フローラたち、プリンセス組が手に持っていた、新たなドレスアップキーが淡い光を放ちだした。

 

「これは?」

「ドレスアップキーが……」

「光ってる?」

 

もしや、このキーを使え、ということなのだろうか。

ドレスアップキーの輝きに困惑しながらも、フローラたちはキーをプリンセスパフュームに差し込んだ。

すると、フローラたちの体を、ドレスアップキーを包んでいたものと同じ光が包み込んだ。

その光に、守護龍も動きを止め、フローラたちのほうへ視線を向けた。

 

このあと、いったいどうすれば。

そんな想いがフローラたちの頭をよぎったときだった。

 

「大丈夫、わたしたちもいます!」

「わたしたちの力、受け取って!」

「大丈夫!できるよ!」

「だって、わたしたち」

 

プリキュアだから!

 

いつの間にか後ろにいた、先輩プリキュアたちの言葉とともに、フローラたちは力がみなぎってくる感覚を覚えた。

先輩たちからもらった勇気と力に報いるため、フローラたちはドレスアップキーを回した。

 

「「「モードエレガント!プリマヴェーラ!!」」」

 

鍵を回した瞬間、フローラたちのコスチュームが変化し、絵本に出てくるお姫様(プリンセス)のような姿へと変わった。

モードエレガントへと変身したフローラたちは、両手に光を集め、守護龍に向かって、その手のひらをかざした。

 

「「「プリキュア!レインボートルネード!!」」」

 

その名の通り、虹の竜巻がフローラたちの手から放たれ、守護龍を包み込んだ。

だが、その光は決して守護龍を攻撃するためのものではない。

怒りを鎮め、思い出してもらうためのもの。

歌とダンスは、カーニバルは、本来、楽しいものだということを。

光が収まり、渦の中から守護龍が姿を見せた。

だが、その瞳にはもう怒りの炎は灯っていなかった。

 

守護龍の怒りを無事に鎮めることができたことを悟ったフローラたちは、安堵の表情を浮かべて、後ろで支えてくれていた先輩たちに。

 

「「「みんな!ありがとう!!」」」

 

満面の笑みを浮かべて、お礼をいった。

その瞬間、守護龍が突然、低いうなり声を上げた。

怒りは鎮めたはず。今度はいったい、と困惑していると、グレルとエンエンが何かに気づいたように、フローラたちの方へむかって声を上げた。

 

「フローラたちの歌とダンスが見たいんじゃないか?」

「そっか!守護龍は歌とダンスが大好きだし」

「何より、新たに生まれたプリキュア、プリンセス・プリキュアの皆さんの歌とダンスを、守護神様は心より楽しみにしていたのです」

 

エンエンの言葉を引き継ぐように、救出されたハルモニア国王が頭を下げ、三人に頼み込んだ。

 

「どうか、守護神様にあなた方の歌とダンスを捧げていただきたい!」

「もちろん!」

「喜んでやらせていただきますわ!」

「あたしたちがステージに立たないなんて、ありえないしね♪」

 

フローラたちの答えはすでに決まっていた。

何も、国王に頼まれたからではない。

自分たちも、先輩プリキュアたちと同じようにステージに立ち、いつか、同じ輝きを放てるように頑張るという、決意表明の意味を込めて。

フローラたちはステージに立つことを決めていた。

 

----------------------------

 

フローラたちの歌とダンスが終わったのだが、そういえば、何かを忘れているような、と誰もが思い出したその時だった。

 

「レディース、エーン、ジェントルメーン!!」

「お待たせしました!ここからは、プリキュアたちとともに戦う守護騎士たちのステージです!!」

 

なぜか司会をしているグレルとエンエンが、これまたなぜかオドレンとウタエンのようなノリで司会進行を始めた。

そして、全員が全員、この二人の一言で、まだ歌とダンスを……いや、正確には、歌を披露していない参加者がいることを思い出した。

もっとも、当の本人たちも盗賊たちとの対決や守護龍の暴走で忘れかけていたようだが。

 

閑話休題(それはともかく)

 

「それでは、まずはこの二人!」

「僕たちのパートナー、想いを伝える奇跡のプリキュア、キュアエコー!そして、エコーを守るために変身する白銀の守護騎士!」

「その名も、アステア!!」

「二人がお送りする曲は『キミの記憶』!そして、『UNION』!!」

「「二曲、続けてどうぞ!!」」

 

なぜかノリノリのグレルとエンエンが曲を紹介すると、ステージにはキュアエコーに変身したあゆみの姿があった。

その隣には、やはりアステアの鎧をまとった湊がいた。

なお、いつもは背に背負っているか、手に持っている朱槍は、今回はグレルとエンエンに預けているようだ。

ピアノの伴奏が始まり、徐々に曲が進んでいくと、おとなしい雰囲気のあゆみには似つかわしくない、ドラムやギターなどの楽器が軽快な音楽を奏で始めた。

 

「風の声、光の粒、まどろむ君に注ぐ。忘れない、優しい微笑み。悲しみ隠した瞳を……」

 

エコーが歌う中、彼女の脳裏に浮かんでいたのは、湊と同じくらい大切な友達。

思えば、彼がいなければ、みゆきたちと知り合うことはなかったし、自分が変わるきっかけをつかむことはなかった。

それを表すかのように、バックスクリーンの映像も、あゆみと湊にとって、かけがえのない日々が流れていた。

 

その友達には、もう、会うことはできない。

けれど、たとえ会うことはできなくても。

 

「笑ってた、泣いてた、怒ってたキミのこと、覚えている!忘れない!いつまでも……決して、until my life exhauted……」

 

その友達が、ふーちゃんがいたから、自分は変わることができた。

みゆき、あかね、やよい、なお、れいか。それだけではない、たくさんの大好きな友達が、仲間ができた。

湊という、本当に大切な人ができた。

ふーちゃんは、もうここにはいない。

けれど。

 

「君はね、たしかにあの時、私のそばにいた!いつだって、いつだって、いつだって、すぐ横で笑っていた!」

 

もう一度、ふーちゃんに出会えたら伝えたい。

この想いを、表しきれない感謝を。そして、いまある幸せ(ウルトラハッピー)を。

だから、もし、この記憶がなくなったとしても、ふーちゃんとの思い出がなくなったとしても。

 

「なくしても、取り戻す!キミを……I've never leave you……」

 

エコーが歌い終えた瞬間、最初から軽快なリズムのBGMが流れ始めた。

 

「目を醒ませ!僕らの世界が、何者かに侵略されてるぞ!!」

 

エコーが歌った曲とは真逆の、軽快なBGMが流れ、アステアがノリノリで歌い始めた。

バックスクリーンの映像は一転して、今のあゆみと湊の日常が映し出されていた。

他のメンバーと違い、何の変哲もない、穏やかで平和な日々。

それでも、湊のポケットに朱槍のピンが入っていない日々はなかった。

それもすべて、忘れないため。

 

「あの日の誓いってなんだっけ?教室で何を語ってたっけ?このままじゃ約束まで消えてしまう……」

 

ふーちゃんのことだけではない。

自分がアステアとなったきっかけと、今も持ち続けているその想いを、この胸から消さないためだった。

 

「それじゃ、とりあえず同盟を結ぼうか!キミを退屈から、救いに来たんだ!!」

 

バックスクリーンの映像に、笑顔を浮かべながら並び歩く湊とあゆみの映像が流れると、音楽が終わり、ステージに割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。

 

----------------------------

 

「いやぁ、二人とも歌、うまいんだなぁっ!」

「友達とカラオケに行くことはあるけど、さすがに、二人を連れていけないもんね……ごめんね?」

「気にしないでいいよ!だってあゆみも湊も楽しそうだったもん♪」

 

普段は変身するような大事件が起きるわけでも、まして侵略されそうになっていることもない毎日を送っているため、あゆみはグレルとエンエンにぬいぐるみのふりをさせ続けていることを申し訳なく思っているらしい。

とはいえ、二人ともその辺りはわきまえているし、放課後や休みの日にはいつも外に連れて行ってもらっているので、文句はなかった。

だが、湊もあゆみも、やはりその辺りは気にしているらしい。

 

「……今度、みゆきたちと一緒にカラオケ行こうか?」

「へ?……みゆきちゃんたちの都合が良ければ」

「もちろん!行く行く~っ!!」

「楽しそうだもん!」

「……いいのでしょうか?」

「いいんじゃないかな?だって楽しそうだし!」

「いやぁ、そうは言うけどな……うちは、デートの邪魔したらあかん思うけど?」

「「で、デート?!そ、そんなんじゃないって!!」」

 

あかねの反応に、湊とあゆみは顔を真っ赤にして反論した。

その反応を予想していたのか、あかねは意地の悪い笑みを浮かていた。

仕組まれた反応であったことを理解したあゆみと湊は、さらに顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「……え、えぇ~っと……」

「な、なんだか収集付かなくなりそうなんで」

「つ、次に行きたいと思いますっ!!」

 

グレルとエンエンが無理やり、話題を転換し、次の曲の紹介へと進んだ。

 

「次にお送りしますのは、守護騎士伝説の原点!」

「その優しさと強さに、プリキュアも妖精もメロメロ?!」

「心の大樹を守護する騎士、ユグドセイバーで!」

「『風の唄』!」

「「さぁ、彼の歌を聞けーーーーーーっ!!」」

 

----------------------------

 

半ば投げやりな曲紹介の後、エレキギターの軽快な旋律が響き渡った。

同時に、様々な楽器がBGMを奏で始め、その中をいつの間に変身していたのか、ユグドセイバーが姿を見せた。

 

「遥かその先へと、君の道を……追い風に乗っていこう!!」

 

バックのスクリーンには、趣味である遺跡探検に精を出す菖の姿が映っていた。

だが、目的のものが見つからなかったのか、少しばかり残念そうにため息をついてた。

もっとも、探す答えが容易く見つかりはしないことなど、菖は、はじめからわかっていた。

けれども、抑えきれない好奇心を満足させるために、はじめからそんなことはわかっていて、考古学の世界に足を踏み出したのだ。

 

「何度も、遠回りして……夢の足跡を、書き足していった世界地図を広げたら!!」

 

基本的な気質が穏やかな菖が、一体、何を求めて、考古学の道を進んだのか。進もうと決意したのか、それは幼馴染のゆりと菖の両親と、長きにわたり彼を育ててきた祖父以外はわかっていない。

周囲の人間からは、仲間であるつぼみたちでさえ、菖のその夢を理解することはなかった。

それでも、夢を追い求める心はとどまることを知らなかった。

 

「響け、風の唄!目を閉じれば、心の声、背中押すよ!目指す雲は、ずっともっと高く……!!」

 

その胸にある夢は、ただ背中を押すだけの風にすぎないかもしれない。

耳を澄まさなければ、聞こえないほど、か細く、頼りない唄かもしれない。けれども、その風が、溢れ出すほどの想いが菖を目指す場所まで押し上げてきたこともまた事実。

その唄に込められた、たくさんの想いに応えるためにも、菖は夢を追い続ける。

追い続けたその先で。

 

「眩いほどの輝きを放つ……君よ、青い旋律になれ!!その願い、高く舞い上がれ!!」

 

セイバーが歌い終わり、変身を解除して席に戻ろうとしたその時だった。

不意に、ステージから微かに、アンコールの声が響いてきた。

その声は徐々に大きくなっていき、やがて、ステージ全体がアンコールの嵐に包まれた。

これだけの声が上がっているのだから、応えないわけにはいかない。

BGM班もそれをわかっていたらしく、休む間もなく、楽器をかき鳴らし始めた。

セイバーも、仕方がない、といった具合でため息をつき、歌い始めた。

 

「ヒカリ、奪うもの脱ぎ捨てて!翔び立つ、覚悟決めて!明日が灯る聖域(場所)へ!羽撃たいてく……Grow up the dark……」

 

バックスクリーンには、雨の中を菖とゆりが背中合わせで立っている映像が映っていた。

気のせいか、ゆりの目が赤くなっているように感じる。

コロンを失ってしまって間もないころ。

 

ゆりはしばらくの間、ふさぎ込んでしまったことがあった。その原因を唯一知っているからこそ、菖はできることを、コロンを取り戻すための手段を探していた。

何も、ゆりにもう一度、立ち上がってもらうためではない。

菖もまた、コロンを取り戻したかったのだ。

 

なんだかんだと不安定な時期であるゆりと菖の間を取り持ってくれていたのは、ほかでもないコロンだった。

コロンのおかげで、ただでさえ強い絆で結ばれていた二人の関係は揺るぎないものに、まさに『最強』と呼ぶにふさわしいものとなっていた。

だからこそ、菖は失ったものを取り戻すため、さながら、夜の闇を駆け抜けていくカラスのように、日々を駆け抜けていった。

 

「夜が暗いほど羽ばたける、五芒星(ほし)が希望をつなぐ!弱さを祓い除けて、生まれ変わる!Grow up the dark!!」

 

菖が歌い終わり、司会者席のほうへと戻ってくると、後ろにいたハートキャッチ組のメンバーと、ひかりと舞が座っていた。

 

「お疲れ様、菖。かっこよかったわよ?」

「「「菖さん、かっこよかったです!」」」

「ありがとう。ゆり、つぼみ、ひかり、舞」

 

菖が微笑みながら四人にお礼を言うと、四人は若干、頬を赤らめて微笑みを返した。

そんな甘酸っぱい空気なんて知ったことはない、という具合に、グレルが質問してきた。

 

「にしてもとっさにアンコールに応えるなんて、さすが菖だな!」

「アンコールが来た時、ぼく、びっくりしちゃったよ!」

「いや、正直、俺もびっくりなんだよねぇ……なぁ?えりか、ひめ??」

 

グレルとエンエンのコメントに返答しながら、菖は笑みを浮かべながらえりかとひめのほうへ視線を向けた。

その背後からは、ビューティー・ブリザードにも匹敵するほどの吹雪が吹き荒れていた。

どうやら、かなりご立腹のようだ。

 

「え……えぇっとぉ……」

「そ、そのぉ……」

「……とりあえず、帰ったらお説教な?」

「「……はいっしゅ/ですぞ……」」

 

笑顔でそう言われたえりかとひめは、反論しても無駄だということを悟り、しおれながらそう返していた。

その様子に、プリキュアたちとパートナー妖精たちは、苦笑を浮かべるのだった。

その瞬間、ひときわ強い風がステージに吹き込んできた。

風上のほうを見ると、そこにはハルモニアの守護龍が羽ばたきながらステージを見下ろしていた。

龍はその瞳を細めると、身をひるがえし、どこかへと飛んで行ってしまった。

 

「……どうやら、守護龍は満足してくれたみたいだな」

「そのようね……一時は冷や冷やしたけれど」

 

守護龍がプリキュアと守護騎士のステージに満足したことを悟った菖とゆりは、安堵の表情を浮かべながらため息をついた。

ふと、背後から本物のハルモニア王国の大臣がティーパーティーが行われることを告げてきた。

むろん、ドレスも用意するとのことで、おしゃれしたい盛りの子たちは一斉に更衣室へと向かっていった。

 

「やれやれ……」

「うふふ♪さ、わたしたちも行きましょう?」

「そうだな」

 

苦笑を浮かべながら、菖はゆりと並んでステージを離れていった。

ふと、その耳に、子供のような声で、ありがとう、という言葉が聞こえてきたような気がした。

 

その後、ノーブル学園に戻ったはるかは、音楽の授業で行われた歌のテストで、見事満点を採ったのだが……それはまた別の話。




あとがき代わりのその後の話

~パーティー中~
ゆり「中々、賑やかなパーティーね」
菖「そりゃプリキュアが全員揃ってるからなぁ」
ゆり「それはそれとして……何か、言う事はないの?」
菖「ん?……あぁ……えっと」
ゆり「……?」
菖「ゆり、似合ってる……すごく、綺麗だ」(/// ///
ゆり「……ず、随分ストレートに言ってくるわね……」(/// ///
菖「そ、そりゃ……似合ってるって思ったんだから、仕方ないだろ?」
ゆり「……そ、そう……」(  ///
ひかり、舞、つぼみ「「「あ!菖さん、ゆりさん!!」」」
菖「……ん?お、ひかり、舞、つぼみ」
ゆり「あら?あなたたちも来たのね?」
ひかり「はい!」(^▽^
舞「菖さんもゆりさんも、ステージお疲れ様でした!」(^▽^
つぼみ「あ、あの……その……か、かっこよかったです!」(///ω///
菖「はは、ありがとう」
ゆり「そういえば、菖?この子たちにもいうことがあるんじゃないの?」
菖「ん?あぁ……」
ひかり、舞、つぼみ「「「え?あ、あの……」」」(/// ///
菖「三人とも似合ってるよ。とてもかわいいよ」
ひかり、舞、つぼみ「「「……っ??!!」」」Σ(///□///
ゆり「……ほんと、いつもストレートよね、あなた……」(/// ///


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みんなで歌う、奇跡の魔法~1、みんなでお花見……のはずだったのに!!~

※投稿し直したものです

はい、お題の通り
序盤は映画本編とまったく関係ないオリジナルストーリーです
まぁ、ミラクルとマジカルが合流してからもその流れは変わらんと思いますが……

あ、ちなみに今回は()が出てきます
誰のことかって?それは読んでからのお楽しみ!!(まぁ、出てくるのはまだ先ですが)

ひとまず、本編どうぞ

……あ、今回はあとがきありません


桜が満開になったころ。

パリへ行ってしまうきららの見送りも兼ねて、オールスターズで一度集まろう、という話があった。

それならば、とめぐみたちがお花見をしようと提案してきたため、桜が美しいと評判の公園に向かうことになった。

 

「そういえば、みんなが集まるのって、かなり久しぶりになるんじゃないか?」

「そういえば、そうね……」

「……なぜかなぁ、わたし、ちょっと嫌な予感が……」

 

菖とゆりがそんなことを話していると、いつきが苦笑を浮かべながら、そんなことをつぶやいた。

プリキュアのみんなが集まる。そこまではいいのだが、なぜかみんなが集まると、セットで新しく誕生した後輩プリキュアと、厄介事が舞い込んでくるのだ。

それも、一度だけでなく、三回も四回も同じことが繰り返されてきた。

 

「そうそう起こってほしくないけどなぁ……」

「……やめましょう?それを考えるのは」

 

苦笑を浮かべながら、ゆりが菖にそう話すが、実のところ、ゆりも同じ気持ちではあった。

そのことについて考えるのはやめて、何事もなくみんなと楽しい時間を過ごせることを祈るばかりだったのだが、その祈りが天に通じることはなかった。

 

ふと、上空から嫌な気配を感じ取った菖は空を見上げると、黒い靄のようなものが菖の視界に入ってきた。

あれは良くないものだ。直感でそう理解した菖は、その靄がゆりとつぼみにむかっていっていることに気付くと。

 

「危ない!!」

 

つぼみとゆりのほうへと駆け出し、二人を突き飛ばした。

いったい、何が起こったのか、なぜ、菖が自分たちを突き飛ばしたのか理解できなかったつぼみとゆりだったが、振り返った瞬間、目に入った光景でその理由を理解した。

黒い靄が、菖を包み込んでいたのだ。その靄から自分たちをかばうために突き飛ばした、ということを瞬時に理解した二人は。

 

「「菖/さんっ!!」」

 

悲痛な声で菖の名前を叫んだ。

だが、菖はなんともなかった。いや、頬を伝っている冷や汗と眉間にしわを寄せているところから察するに、本当に何もなかった、というわけではないようだが、少なくとも、怪我をしたとか、何かのダメージを受けた、ということはないようだ。

 

「……大丈夫……けど、四人とも、注意してくれ」

「え?」

「な、なにが……」

「まさか」

 

菖のもとへ駆け寄ったつぼみたちは、菖が睨んでいる方へ視線を向けた。

そこには、まるでいつぞやのみなとみらいに出現したフュージョンのような黒い何かが不規則に動きながら、何かの形を作り上げていた。

やがて、その何かは、はっきりとした姿に変わった。

 

「ま、まさか……」

「ありえないっしゅ!!」

「そんな!」

「倒したはずなのに……」

「……まさか、こんな形でまた会うことになるなんてな……」

 

その姿に、菖たちは驚愕を隠せなかった。

そこに現れたのは。

 

「「「「……デューンっ!!」」」」

「災禍の顕主……っ!」

 

砂漠の王(デューン)と、誰かの悪夢が集合した姿(災禍の顕主)

そのどちらも、かつて、自分たちが戦い、死闘の末に浄化した、したはずの存在だったのだから。

 

「みんなっ!」

「「「「はいっ!/やるっしゅっ!/えぇっ!」」」」

 

その姿を見た瞬間、菖は四人に呼び掛けた。

四人は、手にココロパフュームとココロポッド(変身アイテム)を構えながら答え、パートナー妖精たちを呼んだ。

 

「「「「プリキュアの種、いくですぅ/ですっ/でしゅ/ぞ!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!」」」」

「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「大樹の騎士、ユグドセイバー!!」

「「「「「ハートキャッチ!プリキュア!!」」」」」

 

五人が変身を終えたと同時に、デューンと災禍の顕主は同時に襲いかかってきた。

いきなり戦闘を仕掛けられた五人だったが、これまで戦ってきた経験が生きたのか、慌てることなく、応戦することができた。

だが、五人が五人とも、心のうちは穏やかではなかった。

なぜなら。

 

――こんなお花見日和のときに!!

――なんで襲ってくるのよ!!

――せっかくのいい気分が台無しだよ!!

――なぎさじゃないけど

――ぶっちゃけ、ありえない!!

 

五人が五人とも、お花見を楽しみにしていたというのに、水を差された気分にさせられてしまったのだから。

もっとも、これを仕掛けてきた張本人たちは、そんなことは一切、知ったことではないようだが。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~2、離れ離れにされた仲間たち~

かなり久しぶりに奇跡の魔法編
いや、オリジナル展開考えるのに時間を食いまして……
ちなみに、セイバーが飛ばされたのはマジカルが飛ばされた場所と同じ場所です


突然、黒い靄から出現したデューンと災禍の顕主と戦闘になった菖たちは、迷うことなく、変身して応戦していた。

だが、かつての強敵が二人同時に出現したため、必然的に苦戦を強いられることとなった。

 

「くっそ!なんでこいつらが……」

「さぁ、なぜかしらね?」

「とにかく、こいつらをどうにかしないと!!」

「みなさん!ここは一気に行きましょう!!」

 

打開策として、ブロッサムがスーパーシルエットへの変身を提案し、セイバーたちもそれに賛成した。

だが、パワーアップの種とハートキャッチ・ミラージュを取り出した瞬間、空の上から声が響いてきた。

 

『困りますねぇ、パワーアップなんてされては』

 

ブロッサムたちが一斉に声がした方へ視線を向けると、シルクハットに燕尾服を着たトラ柄の毛並みをした黒馬が馬車のような車の屋根の上に立っていた。

どうやら、この妖精、と呼んでいいのかは怪しいが、が今回の騒動の原因のようだ。

 

「困るって言われてもな」

「そうね……こっちもあなたたちのせいで迷惑を被っているのだから」

「お互い様です!」

「確かに、一理はありますが……やはり、我々にとっては迷惑なので、この場で決めさせていただきましょう」

 

静かにそう宣言した黒馬はシルクハットに前足をかけ、器用に投げつけてきた。

投げつけられたシルクハットがブロッサムたちの頭上に到達した瞬間、シルクハットが突然巨大化した。

あまりに一瞬の出来事に、目を丸くしていると、シルクハットは真っ直ぐにブロッサムたちのもとへ落ちていき、閉じ込めてしまった。

 

-

 

「……ここは?」

 

セイバーが目を開けると、そこは見知らぬ荒野だった。

黒馬もどきの妖精らしきものが投げつけたシルクハットに閉じ込められたところまでは、どうにか覚えている。

そこから先の記憶がなかったが、どうやらこの空間に連れてこられたらしいということだけは察することが出来た。

そして同時に。

 

「………?!ムーンライト!ブロッサム!マリン!サンシャイン!!」

 

近くにいたはずの仲間たちがいなくなっていた。

どうやら、引き離されてしまったようだ。

 

「戦力を分散したか……あやつめ、馬のくせにやりおる」

 

などとふざけたことを呟きながらも、セイバーはこれからどうするかを考えていた。

とにかく、この場から動かないことには始まらない。

何より、先ほど出てきたデューンと災禍の顕主を放っておくわけにもいかない。

 

――まずはあの二人を探すことから、か

 

本来なら、そこは仲間を探すことが優先なのだろうが、あの四人なら大抵のことは大丈夫だろうという信頼から、先に片付けるべきものを片付けることを優先したのだ。

もっとも、その選択が、ブロッサムたちをピンチに陥らせるのだが、そんなことはまったく予想することもできないし、そもそも分散させられてしまった時点でどうしようもないことであった。

 

しばらくあてもなく歩いていると、背中に突然、ざわり、と不愉快な感覚がした。

その感覚に、セイバーは思わず身構え、周囲を見回した。

心の大樹の力を借りて、世界各国にある遺跡をテレポートで訪れたとき、たまたま、盗賊団が根城にしている遺跡の周囲に転移してしまったことがある。

今、セイバーが感じ取っている感覚は、その時のものとまるっきり同じだった。

 

――来るっ!

 

エターニアハートを引き抜いた瞬間、甲高い音とともに衝撃がセイバーの腕に伝わってきた。

セイバーの視線の先には、先ほど対峙していた災禍の顕主が黒い炎をちらつかせながら、エターニアハートの刀身に拳を打ち付けていた。

災禍の顕主は言葉を発することなく、雄たけびを上げ、拳を振り下ろしてきた。

 

「くっそ!なんでお前がここに?!ブロッサムたちをどこにやった?!」

 

振り下ろされる拳を回避しながら、セイバーは災禍の顕主に問いかけた。

だが、理性がまったくないらしく、問いかけに答えることはせず、めったやたらに攻撃を仕掛けてきていた。

話し合いにならないことを悟ると、セイバーは距離を取り、エターニアハートを弓に変化させ、心の花の力を矢に変えて災禍の顕主に放った。

だが、矢はいとも簡単に握りつぶされてしまった。

 

「おぉぉぉぉぉっ!!」

「完全に理性を失ってるのか?!……くっそ!"穢れなき約束の翼(ルウィーユ・フィルク)"!!」

 

エターニアハートの姿を変化させる言葉を叫んだ瞬間、エターニアハートは六本の短剣へと変化し、セイバーの背後に浮かび上がった。

それを気にすることなく、セイバーは地面を蹴り、空中へ跳びあがった。

本来なら、万有引力の法則でそのまま地面に向かって落ちていくところだが、落ちる様子はなく、セイバーは宙に浮かんでいた。

 

セイバーという敵を見失った災禍の顕主は、セイバーの姿を探し、周囲を見回し始めた。

だが、その姿を見つけることはできなかった。

いったいどこへ、そう思いながら血眼で探していると。

 

「獅吼、戦花っ!!」

 

頭上から、セイバーの声が響くと同時に、ライオンの咆哮のような音が響いた。

釣られるように頭上を見ると、そこには急降下しながら牙をむくライオンの顔を模った光を右手にまとっているセイバーの姿があった。

だが、気づいた時にはもうすでに遅かった。

回避する暇を与えることなく、セイバーの心の花の光は、そのこぶしとともに災禍の顕主の眉間に突き刺さった。

セイバーが着地した瞬間、災禍の顕主は青白い炎に包まれた。

浄化の力は、やはり災禍の顕主にとって苦痛以外の何物でもないのだろう。

苦しそうに呻きながら、セイバーの方へ腕を伸ばしてきた。

 

だが、セイバーはその手に捕まるよりも早く、その場から飛び退いた。

とっさではあったが、その判断は正しかった。

数秒とすることなく、突然、災禍の顕主は爆発し、爆風と煙が周囲を包んだ。

煙が晴れると、すでに災禍の顕主の姿はなく、彼が立っていた場所には巨大なクレーターができていた。



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みんなで歌う奇跡の魔法~3、新たなプリキュアとの出会い~

はい、お待たせしました
アンケート結果を反映した内容がこちらになります
またそのうちやるかも?


災禍の顕主が自爆し、その跡地を見て、その威力の凄まじさに冷や汗をかいたセイバーだったが、安どのため息をついて、再び周囲を見回した。

どうやら、現状、この空間にいるのは自分だけのようだ。

 

――かといって、このままじっとしてるわけにもいかないしな……どうしたものか

 

腕を組み、地面に座りながらそう考えていると、悲鳴のような声が聞こえてきた。

音のする方へ視線を向けると、紫色の何かが落ちてきていた。

よく見れば、それは紫色の髪をした、魔法使いのような恰好をした少女だった。

 

「ちょっ??!!ルウィーユフィルク(約束の翼)!!」

 

歴代のユグドセイバーから受け継がれていく聖剣、エターナルハートに秘められた力を開放するための古代の言葉を叫んだ。

その瞬間、腰にあったエターナルハートがエメラルド色の光を放ち、六本のナイフへと姿を変え、セイバーの背後に浮かび上がった。

それと同時に、セイバーの体が浮かび上がり、真っ直ぐに落ちてくる少女へとむかっていった。

落下してくる少女を受け止めたセイバーは、そのままゆっくりと地面に降りた。

 

「……あ、あれ?痛く、ない??」

「危なかったな。大丈夫か?」

 

何が起こったのかわからず、キョトンとしている少女に、セイバーはそう声をかけた。

少女はその問いかけにうなずいて返し、自分が置かれている状況を確認すると顔を真っ赤に染めた。

その理由の大部分、というよりも、セイバーの受け止め方が理由そのものだった。

その姿勢が横抱き、いわゆる、お姫様抱っこ、というやつだ。

これで真っ赤にならないのは、抱きかかえているのが同性か、幼いか、でなければよほどポンコツかのどちらかだろう。

もっとも、セイバーに抱きかかえられている少女は、この年頃の少女としては一般的な感性を持っているらしく、赤くなりながら降ろすよう、催促してきた。

 

「あ、あの……もう大丈夫なので、降ろしてください……というか、降ろしなさい!今すぐ!!」

「あ、あぁ……すまない」

 

その勢いに、セイバーは思わず謝罪しながら、少女を地面に降ろした。

降ろされた少女は顔を真っ赤にしたまま、服の乱れを直し、こほん、と咳払いをしてからセイバーに向き直った。

 

「助けてくれてありがとう。わたしはキュアマジカル」

「あ~、なるほど。やっぱりプリキュアだったか」

 

身に着けている衣装と雰囲気から、なんとなくそんな感じがしていたセイバーだったのだが、その予想は的中していたらしい。

そして、彼女もまた、別のプリキュアを探していたらしく。

 

「プリキュアを知っているの??!!」

「あ、あぁ……俺はプリキュアじゃないけど、俺の幼馴染と後輩が、な」

「お、幼馴染と後輩さんが……って、あなたは違うの?」

「俺はプリキュアと同じ力で戦うもう一人の戦士ってところか?」

 

疑問形で返したのは、実のところ、プリキュアにしてももう一人の戦士にしてもわからないことが多すぎるためだ。

だが、マジカルにとってプリキュア以外にもう一人の戦士がいた、という事実のほうが強烈だったらしく、口をあんぐりと開けていた。

 

「……こらこら、女の子がそんな顔しない」

「……あ、ご、ごめんなさい……」

 

だらしない顔をしていることに気付いたマジカルは、セイバーに指摘され、頬を少し赤くしながら謝罪し、居住まいを正した。

その後、周囲を見回し、セイバーに一つ、問いかけてきた。

 

「あ、あの……わたしの友達を、キュアミラクルを見ていないかしら?」

「いや、俺も仲間とはぐれちまってな……どうしたもんかと思ってたところ……」

 

そう言いかけたとき、突然、二人の背後に何かが落下してくる音が聞こえてきた。

音のほうへ視線を向けると、はるかが想いを寄せている王子カナタと、キュアスカーレットに変身するトワの故郷、ホープキングダムを絶望に染めあげた"絶望の魔女"デスピアがいた。

自らの化身である影を茨に変え、まるでスカートのように束ねたその頂点から、二人を見下ろしていた。

 

「……走れるか?」

「……え、えぇ……」

「そんじゃ……」

「……あ、あの、まさか……」

 

セイバーの問いかけに、マジカルは彼がこれから何をしようとしているのか確かめるため、問いかけようとした。

が、そんな暇もなく、セイバーは走り始めた。

 

「逃げるんだよ~!マージカール!!」

「って、やっぱりぃっ??!!」

 

予想通りの返答に、マジカルは涙目になりながら叫び、セイバーを追いかけた。

 

「な、なんで逃げるのよ?!戦わないの??!!」

「正面からまともにやり合って勝てるならやってるさ!」

 

マジカルの問いかけに、セイバーはそう返した。

実際、逃げながらも追いかけてくるデスピアの影を振り払っていた。

向かってくる方向を絞ることができるからできる芸当であり、立ち止まった瞬間、少なくとも前後左右と頭上から同時に影が攻撃してくると読んでいるのだろう。

だが、気になることが一つあった。

デスピアの狙いが、マジカルに集中しているのだ。

まるで、弱いものから先にたたきつぶそうとしているかのように。

 

「……まさか、敵はマジカルに狙いを定めてる?」

「な、なんでわたしばっかりぃっ?!」

 

セイバーが口にした予測に、マジカルは涙目になりながら悲鳴を上げた。

実際のところ、その予想は正しかった。

倒したはずのデスピアたちを心無い人形として復活させた魔法使い、ソルシエールは使い魔であるトラウーマのアドバイスで戦いに慣れていないミラクルとマジカルに狙いを定めるよう、指示を出していた。

それも一つの目的のためなのだが、その目的をセイバーたちは知らない。

 

そして、セイバーたちが知らない事実がもう一つあった。

すでに、大半のプリキュアたちがソルシエールの手によって復活した敵の手にかかり、囚われの身になっているということを。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~4、トランプスートの先輩たち~

いやはや、DVDゲッチュして見直して、ようやく書き終えた……

けど……まだまだ続くのよ……(大蛇丸風味

なお、若干、ネタバレというか、オリジナルストーリーの流れを意識したセリフがありますが、皆さんのスルースキルならばスルーしてくれると信じています……(嘘じゃないよ?だってその話を出すまで十話くらい書く予定だし

……あぁ、そうそう。昨年あたりから、ISとDXのクロスオーバ-作品とゴーストハントと少年陰陽師のクロスオーバー作品を投稿し始めたの。後者の方は投稿再開だけれど、そっちも読んでくれるとうれしいわ(大蛇丸風


追いかけてくるデスピアの攻撃をかいくぐりながら、セイバーはどうやってこの場を切り抜けるか、考えていた。

戦えないことはないし、少し無理をすれば、倒すことも不可能ではない。

 

だが、それは一対一で戦った場合のことだ。

戦わずに逃げの一手を迷わず選ばせた理由は、デスピアがマジカルばかり狙っていることにあった。

さすがのセイバーも、誰かをかばいながら戦う、となると勝率はぐっと低くなるため、策を練る必要があった。

さて、どうしたものか、と考えていると、マジカルが走りながら喚いた。

 

「もぉっ!なんでこんなことになってるのよぉっ!!」

 

その叫びが届いたのか、それとも単純にタイミングを見計らっていたのか、突然、どこかから一人の少女の問いかけが聞こえてきた。

 

『お困りですか?』

「困ってるに決まってるでしょ!!」

 

マジカルが即答すると、突然、デスピアが地面に沈んだ。

よく見てみると、デスピアから伸びている茨に、五人の少女が着地していた。

 

「な……な……」

Ulala(オーララ)……まさかあいつらもここにいたとは」

「え?し、知ってるの?あの子たちのこと??!!」

「知ってるも何も、あいつらもプリキュアだ」

「えぇぇぇぇぇぇっ??!!」

 

セイバーの言葉に驚きを隠せないマジカルをよそに、着地した五人のプリキュアは決めポーズとともに名乗りだした。

 

「みなぎる愛!キュアハート!!」

「英知の光!キュアダイヤモンド!!」

「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」

「勇気の刃!キュアソード!!」

「愛の切り札!キュアエース!!」

「「「「「響け!愛の鼓動!ドキドキプリキュア!!」」」」」

「いや、名乗ってる場合か?来るぞ!!」

 

名乗ったと同時に、セイバーの警告通り、デスピアの茨が攻撃を仕掛けてきた。

だが、五人はプリキュアオールスターズの中でもずば抜けたセンスを持つメンバーが集まったチームであり、セイバーとムーンライトほどではないにしても戦闘経験もそれなりに豊富だ。

まして、集中的に攻撃が向かっているマジカルはセイバーが護衛してくれている。

彼女たちが目の前の敵に後れを取る要素は一切なかった。

 

「敵はマジカル狙いですわ!」

「了解!フォローするよ!!

「セイバー!マジカルの護衛、お願い!!」

「ここはわたしたちが!」

 

次々と向かってくる茨に対して、ハートたちは後れを取ることなく、次々に防いでいき、本体へとむかっていった。

 

「スパークル・ソード!!」

「ダイヤモンド・シャワー!!」

「ハート・ダイナマイト!!」

 

防御に徹していたロゼッタ以外の三人の手によって、ディスピアは行動を停止した。

その光景に、セイバーは口笛を吹き、マジカルはただただ呆然としていた。

 

「相っ変わらず容赦ない連携だなぁ……さすが、オールスターズきっての優等生チームだ」

「す、すごい……」

 

交流の有無という差があるが、セイバーとマジカルではそれぞれに抱く感想が違っていた。

すでにその連携を一度見たことがあるセイバーは、相変わらずの連係プレイに感嘆したのに対し、初見であるマジカルはただただ驚いていた。

 

「どうやったら、あんなに強く……」

「なれるよ!」

 

いつの間に隣に立っていたのか、ハートがマジカルのつぶやきに返した。

 

「愛さえあれば、ね?……そうだよね、セイバー?」

「なぜ俺に聞く?」

 

宇宙の外からやってきた敵対型地球外生命体に対抗するために組織された特殊部隊の生き残りが戦う物語を描いた特撮ヒーローのオープニングで歌われたような言葉を言いながら、問いかけるハートに、セイバーは半眼になって反論した。

だが、ハートは臆することなく、首を傾げて返してきた。

 

「だって、セイバーはブルースカイ王国の名誉貴族に叙されたとき、五人にプロポーズしたじゃないですか?」

「……え、それ言っちゃう?今言っちゃうの??てか、その話、関係ある?」

 

なお、ハートの言葉は嘘ではない。

幻影帝国という、ラブリーたちが戦った敵勢力がブルースカイ王国を制圧した事件が起きたが、王国の解放と幻影帝国の撃退に手を貸した功績を讃え、プリキュアたちとセイバーに一代限りの条件でブルースカイ王国の男爵の爵位が与えられたことがあった。

そこに加えて、日本政府が人口減少に歯止めをかけるために、一定の所得を得ている人物に対し、五人まで異性との婚礼を認めるという法案を設立させていた。

 

セイバーはすでにトランプ王国とブルースカイ王国の王立学校初等部ならびに中等学校の歴史の教師として臨時雇用されている。

そこに加えて、四葉財閥と海藤グループが経営する博物館に優秀な学芸員を紹介した紹介料を十分すぎるくらいもらっている。

 

高校生ながらかなりの貯金があるため、思い切って五人のプリキュアにプロポーズしたのだが、全員、惚れた弱みでもあるのか、あっさりとOKし、今に至るという状態だった。

むろん、プリキュアたちと一部の友人たちはそのことを知っているため、公然の秘密のようなものになっているのだが、さすがにこの場で言うことではない。

なお、ハートは。

 

「あ~ぁ、あたしが総理大臣になったら、LGBTを意識した婚姻に関する法案、成立させちゃおうかなぁ~」

「おいおい、ハート。それ、私利私欲が混じってないだろうな??」

「ちょ、ま、マナ?!なんでそんなこと言うのよ??!!」

 

何が狙いなのか、なんとなく察してしまったセイバーと、成立してくれたらうれしいのだけれど素直に喜んでいいのかどうかわからないダイヤモンドは同時にハートに突っ込んでいた。

一瞬だけ和やかな空気が流れたが、倒しきれていなかったディスピアが雄叫びをあげた瞬間、全員の視線がディスピアに集中した。

 

「……マジカル、先に行って!セイバー、マジカルのこと、お願いね?」

「え?で、でも……」

「……わかった。任されよう。遅れるなよ?花見」

「わかってますって!」

 

セイバーの問いかけに、ハートがにっこりと笑って返すと、ハートはマジカルに向き直って問いかけた。

 

「あなたも来るんだよね?お花見」

「え?ま、まぁ、行くけど……」

「それじゃ、あとでね?」

 

ウィンクしながら微笑みかけ、そう告げるハートだった。

マジカルはそれが『お花見の時にまた会おう』という約束であることを察するまでさほど時間はかからなかった。

ならば、満面の笑みでハートたちと再会するために、ミラクルと合流することが先決と判断したマジカルは、あとでね、と返して、先へ進んだ。

セイバーもそのあとを追いかけるようにして走っていった。

 

そのため、彼らは知らなかった。

ディスピアがハートたちを拘束したうえで自爆することを選んだということを。

なお、同時刻。

囚われたプリキュアたちを助けようと、モフルンとアロマ、パフの三匹がソルシエールの館に潜入し、トラウーマと追いかけっこを繰り広げていたのだが、それはまた別の話。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~5、トラウーマによる尋問タイム~

皆さま、お待たせいたしました
『プリキュアオールスターズ みんなで歌う奇跡の魔法』きっての名(迷?)シーンの登場でございます
今回は珍しく、純度百パーセント、ほぼ原作のまま描写させていただいております(いくつか、セリフは省略しましたが)

なお、『あれ』の下りですが、アメリカでは害獣指定されているという話を聞いたので、そのまま採用してます


ハートたちと別れ、マジカルとセイバーはこの不毛な大地をひたすら駆け回っていた。

その途中、岩山が多い場所に来ていた。

 

「しっかし、不毛な場所だな……この空間を作った魔女ってのは、そうとう心が荒んでるらしい」

「え?なんでそんなことが」

「あくまで『らしい』ってだけで、本当にそうかはわからんぞ?俺だって、知り合いから聞いただけだしな」

 

自分たちがいるこの空間を、一つの結界と考えれば、今目の前に広がっている光景は、その術を施した人間の心象が反映されている。

セイバーが、いや、菖がその手の話題に詳しすぎる知り合いから聞いた話だ。

目の前に広がっている岩山と枯れはてた木々がソルシエールと名乗った少女の心象を反映しているというのなら。

この光景は彼女の心がそれだけ荒んでいるということの表れではないか、と推測するには十便過ぎた。

 

不意に前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

目を凝らしてみると、そこにはフローラたちプリンセスプリキュアがいた。

 

「フローラ!マーメイド、トゥインクル、スカーレットも!お前たちは無事だったんだな?」

「って、セイバー?!」

 

意図せず合流した先輩に、フローラたちが驚くのもつかの間。

初めて出会ったときに近くにいたマジカルのパートナー、ミラクルがいないことに気づいたフローラが問いかけると、マジカルははぐれてしまったことを素直に伝えた。

探しに行こう、と提案するフローラとそれに同意するマジカルに対して、冷たく宣告する声が天空から響いてきた。

 

『無駄だ』

 

その声と同時に、ダークピエーロとアクダイカーンが上空から降り立ち、六人の前に立ちふさがった。

再び現れた敵に驚愕し、身構えるマジカルたちをよそに、ソルシエールは冷たく宣告してきた。

 

『さきほど、お前たちを逃がしたプリキュアはすでに私が捕らえた』

「なっ?!」

「みんなが……」

 

それは、先ほど出会ったドキドキ!プリキュアの五人のことだけではない。

いまは離れ離れになっているミラクルが出会った先輩プリキュア、ハピネスチャージプリキュアの四人に事もさしていた。

もうほとんどのプリキュアがソルシエールに囚われてしまったことを悟り、残されたプリキュアたちと、セイバーは一刻も早く救出しなければ、と心を駆られた。

 

----------------------------

 

同時刻、ソルシエールによって捕らえられたプリキュアたちが押し込まれた牢獄では。

 

「で、で」

「でら、でら」

「出られない~!」

(お・り)!』

 

なぜかブラックとブルーム、ドリームのリズミカルなボケに、ムーンライトとマリンを除くほとんどのプリキュアが乗っかっていた。

 

「あほかぁーーーーーーーーーーっ!!」

 

そのあまりのぼけっぷりに、普段は図らずもボケ担当となってしまっているマリンが盛大なツッコミをいれていた。

 

「何が、オ・リ!よ!!プリキュア、大ピンチっしょ??!!そろいもそろってみんなとっ捕まってぇ!!」

「お、落ち着いて、マリン……」

 

どうにかなだめようと、ホワイトがマリンに語りかけるが、マリンの怒りは収まる気配はなかった。

一方で、同じく牢獄にとらわれたフォーチュンは、同じ相手からプロポーズされたルミナスとムーンライト、イーグレットと合流できたことに、少しばかり安堵すると同時に、無念な想いを抱いていた。

 

「まさか、ほかの皆さんもつかまっていたなんて……」

 

その心のうちは、エースが代弁してくれていた。

ややプライドが高い意向にあるソードとプリンセスも同じく、しょぼんとした顔でうなだれていた。

そんな彼女たちの心情は知ったことではない、とばかりに牢屋の入口にある馬の装飾からトラウーマの声が聞こえてきた。

 

『みなさ~ん、尋問の時間です』

「無駄だよ!あたしたちは絶対泣いたりしない!!」

『威勢がいいですねぇ、ブラックさん?私は今、取込み中ですので私の人形がお相手します!』

 

そう宣言すると、天井からトラウーマに似た操り人形が下りてきた。

そこからはプリキュアとトラウーマの根競べとなった。

感動的な人形劇に玉ねぎのみじん切り。ありとあらゆる手段でプリキュアに涙を流させようとした。

それでも涙を流さないプリキュアに、トラウーマは最終兵器を持ち出してきた。

 

『次はとっておきです』

「とっておき?」

 

一体、何が飛び出してくるのか。

怖いもの見たさの好奇心で、プリキュアたちが目の前に出てきた風呂敷を凝視していた。

トラウーマの人形は風呂敷を取り払った。

そこには、金格子の中にはいった一匹の動物がいた。

とある国のとある地方では、その習性ゆえに害獣として指定され、危険度もかなり高く設定されている動物が。

その動物の名は。

 

『僕、スカンク!』

『~~~~~~~~~っ???!!!』

 

プリキュアたちは声にならない悲鳴を上げた。

それもそのはず。

スカンクは危険を感じるとお尻から分泌される液体を危険を与えてきた相手に吹き付ける習性がある。

その液体は、周囲に強烈なにおいをまき散らすだけではない。

引火性の強いガスも同時に放つため、下手をすれば大爆発を起こす結果になりかねない。

まさに、ギャグマンガでよくみられる『へっぴりで大爆発』を現実のものにしてしまうのだ。

 

『さぁ、この匂いに耐えられますかねぇ?ひっひっひ!!』

『ひえぇぇぇっ??!!!』

「ちょ、ま、ま……やめ……」

 

やめてくれ、というブラックの懇願むなしく、スカンクくんはへっぴりを一発。

そのなんとも言えない匂いに、プリキュアたちは乙女に似つかわしくない悲鳴を上げていた。

だが、鼻をつまみ、口をふさぎ、どうにか匂いをやり過ごしていた。

 

「みんな!決して涙をながしちゃだめよ!!」

「でないと、プリキュアの涙が何か恐ろしいことに使われてしまう!!」

 

ブラックとホワイトの予測は正しかった。

実際、トラウーマは今のところ(・・・・・)主人として扱っているソルシエールの思惑とは別に、自分の目的のために動いていた。

その計画には、プリキュアの涙がどうしても不可欠であることは、ここまで自分たちを執拗に尋問していることから理解できていた。

だからこそ。

 

「助けがくるまで……頑張るっしゅ!!」

 

まだ残っているプリキュアたちがきっと助けに来てくれる。

囚われた大半のメンバーがそう信じていた。

なお、一部のメンバーは、どんなことがあってもきっと駆けつける、と約束してくれた一人の騎士(婚約者)がどうにかしてくれると思っていたのだが、それはまた別の話。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~6、無力な自分たち~

忘れがちなことなのかも知れないけど、プリキュアって、最初からプリキュアじゃないんだよね。徐々に「なっていく」ものなんだよね……

まぁ、それがわからないからどっかのドブネズミ(まだ言う)は「プリキュアたるもの、こんなことで泣いたらあかん!!」なんて馬鹿なこと言って、「プリキュアって言っても、14歳の女の子なんだよ!!」って大先輩からお説教されるシーンがあったんでしょうけど

あ、ちなみにタイトルの通り、今回は「二人」に出てもらいます
まぁ誰が出てくるかは、皆さんすでにお察しと思いますが


自分たちを助けてくれたプリキュアたちが囚われてしまったことを知り、ミラクルとマジカルの心は動揺した。

その隙をつくかのように、ソルシエールが放った敵はプリキュアたちを攻撃してきた。

 

「いい加減、しつっこい!!」

「どうあっても、プリキュアの涙を手に入れるつもりってこと?!」

「まったく!」

「いい加減に、してほしいですわ!!」

 

セイバーがマジカルを守りつつ、プリンセス組が口々にそう言いながら交戦していた。

その攻撃の合間を縫って、ハッピーたちスマイル組が最後に戦ったピエーロを模した敵は執拗にマジカルを狙っていた。

そんな戦闘が続くと、セイバーもカバーしきれなくなり、攻撃がマジカルへとむかっていった。

 

「しま……っ!!??」

「きゃーーーーっ!!」

 

攻撃をまともに受けてしまったマジカルは吹き飛び、背後にあった岩山に背中を打ち付け、地面に落ちてしまった。

偽ピエーロはマジカルにむかって追撃を行った。

その追撃をセイバーはカバー出来なかったため、攻撃がまっすぐにマジカルへ向かっていた。

だが、その攻撃はマジカルに直撃することはなかった。

 

攻撃が命中する寸前に、一筋の白い光がマジカルにむかって飛んでいき、そのまま、直撃地点から離れた場所までマジカルを連れて行ったのだ。

 

「間に合って、よかった」

 

白い光の正体は、マジカルを地面に降ろしながら、そう口にした。

そう口にした彼女もまた、プリキュアだった。

ただし、フローラたちとは違い、よほどのことがない限り戦うことのない、幻のプリキュアであるが。

その幻のプリキュアとは。

 

「想いよ、届け!キュアエコー!!」

 

かつて、世界中を悪意で染め上げようとした悪意の集合体『フュージョン』の欠片、ふーちゃんと『友達』となり、言葉だけで暴走したふーちゃんを鎮静化したプリキュア、キュアエコーだった。

 

「「エコー!!」」

「来てくれたのですね?」

 

彼女の出現に、フローラたちは驚きつつ、嬉しそうに目を輝かせていた。

だが、セイバーは少し残念そうな顔をしていた。

 

「君も来たのか……君がいるってことは、アステアも?」

「うん……でも」

 

と、言いよどむエコーの顔を見て、セイバーもまた、相棒であるアステアとはぐれてしまったことを悟った。

だが、セイバーはそんなエコーに、そうか、と短く返し、マジカルの方へ視線を向けた。

地面に横になったまま、マジカルは起き上がる気配すらなかった。

その様子に、セイバーは苛立ちを覚え、エコーの方へ視線を向けた。

 

「……エコー、その子、頼めるか?」

「え?は、はい!!」

 

セイバーに突然、そう頼まれたエコーだったが、二つ返事で頷いた。

その言葉に、セイバーは感謝しつつ、再びマジカルを横目に見た。

その視線は、どこか冷たく、まるで期待した自分がバカだった、と言外に告げられているような気がしたマジカルは、さらに落ち込んでしまった。

 

----------------------------

 

一方、マジカルとはぐれてしまった相棒(パートナー)のミラクルは、西洋的な雰囲気が漂う屋根の上で、ミュージアムの館長の姿を模した敵に防戦一方な状態になっていた。

それを知っていたブロッサムたちは、当然、援護に向かいたかった。

だが、彼女たちの目の前にも、別の敵がいたため、援護に回ることができなかった。

 

「ふんっ!!」

「あぁっ??!!」

 

偽館長のパンチで、ミラクルは吹き飛び、屋根から落ちてしまった。

だが、ミラクルが地面に激突することはなかった。

彼女が地面に激突する前に、一つ筋の銀色の光が、彼女を救い上げ、少し離れた場所に着地させたのだ。

その光の主を、ブロッサムたちは知っていた。

 

「守護騎士、アステア!!」

 

彼は一人の友達を、キュアエコーを守りたいという強い思いから生まれた、もう一人の光の戦士、アステアだった。

どうやら、彼もこの世界に連れてこられてしまったようだ。

 

「大丈夫か?」

「……なんで……」

 

アステアは抱き上げたミラクルを降ろしながらそう問いかけた。

が、ミラクルの口からは、およそ歴代のプリキュアならば出てこない言葉が出てきた。

 

「……なんで、わたしがこんな目に……かなうわけ、ないよ……あんな、怪物……」

 

いままでミラクルはプリキュアとして戦ってきた。

確かに自分とマジカルが一緒に戦ってきた化け物(ヨクバール)は手ごわかった。

だが、それもマジカルと一緒だったから、勇気を出し合って頑張って戦ってこれた。

 

--------------

 

『立派なプリキュアになる』

 

その想いで、補習授業中であるにも関わらず、特別な許可を得て、ナシマホウ界に来た。

けれど、すぐに戦いに巻き込まれて、完膚なきまでに打ちのめされてしまった。

 

たしかに、自分たちは今まで『ヨクバール』という闇の存在と戦ってきた。

くじけそうになることもあったし、敵うはずがないと思った時もあった。

けれど、そんなときに自分の支えになってくれたのは、マジカル/ミラクルだった。

彼女がいれば、勇気を出して戦うことができる。

選ばれた戦士の輝きを放って戦うみんなと一緒に。

 

けれど、いまの自分は、何の力もなく、世界の隅っこで落ち込んでいるだけ。

相棒がいれば、勇気を出して立ち上がれるのに。

けれど、今はそのマジカル/ミラクル(相棒)が隣にいない。

 

ミラクル/マジカル、どこにいるの?

隣にあなたがいたなら、勇気を出し合い、立ち上がれるのに……

 

奇しくもミラクルとマジカルの胸には。パートナーを求める想いが重なっていた。



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みんなで歌う奇跡の魔法~7、立ち上がるマジカル。目指すは歌が聞こえるほう~

やや駆け足な展開ですが、まぁ、仕方がない
次回はいよいよミラクル・マジカルが合流するんですが……

まぁ、ともあれ本編をご覧ください



相棒と離れ離れになり、自分一人ではどうしようもない敵と戦うことになり、その敵から執拗なまでに攻撃をされ、ミラクルもマジカルも、精神的にもう限界だった。

そんなマジカルに、エコーは問いかけた。

 

「キュアマジカル、あなたはなんのために今まで戦ってこれたの?」

「それは……」

 

エコーの問いかけに、マジカルはこの町に来た時のことを思い出していた。

 

『二人で、立派なプリキュアになる』

 

それが、ミラクルと、みらいと誓った言葉だった。

けれど、一緒にそう誓ったパートナーはいま、ここにはいない。

 

「お花見は?」

 

不意に、フローラがマジカルに問いかけてきた。

こちらの世界に、ナシマホウ界に来た時に最初に出会った彼女たちから、プリキュアに会いたいのなら、と誘われたのだ。

 

「みんなでお花見にいくんじゃなかったの?」

 

フローラのその問いかけに、マジカルの目に再び光が灯り始めた。

確かに、約束した。ミラクルと、みらいと一緒にお花見に行くと。

そのためにも。

 

「そのためにも、そんなところで寝てる場合じゃないだろ?」

 

いつの間に手にしていたのか、青い弓を構え、矢を放っているセイバーの言う通り。

こんなところで倒れていられない。早く、ミラクルを見つけなければ。

自分がやるべきこと、やらなければいけないことを思い出したマジカルはようやく立ち上がり、セイバーの隣に立った。

 

「さっさと切り抜けて、みんなを探す……いけるな?」

「はいっ!!」

 

先ほどの冷たい目とは違う優しい声色で問いかけるセイバーに、マジカルはしっかりと返した。

それを皮切りに、セイバーは口角を吊り上げ、番えた矢を偽ピエーロに向かって放った。

同時に、フローラたちとマジカルも偽ピエーロや偽アクダイカーンに向かっていった。

戦う決意を取り戻したためか、先ほどまでとはまるで別人の動きをするマジカルに圧倒され、偽ピエーロと偽アクダイカーンは吹き飛ばされた。

そのすきを見て、フローラたちはトワの故郷ホープキングダムの城を象ったアイテム、プリンセスパレスにドレスアップキーを差し込み、ロイヤルドレスへとドレスアップした。

 

「「「「モード・エレガント!ロイヤル!!プリキュア!!グラン・プランタン!!」」」」

「「……ドリーミング……」」

 

ロイヤルドレスで放たれる最強の浄化技の光を浴びて、偽ピエーロと偽アクダイカーンは浄化され、花火となって消えていった。

 

「ブルーミング……ごきげんよう」

 

王女(プリンセス)らしい、一言をそえ、消滅を見届けると、四人は通常のドレスへと戻った。

その瞬間。

 

『ルララ、ラ、ル~ルラ~♪ラ~ラ~リ、ララ~♪』

 

不意に、その場にいた全員の耳にか細い歌声が聞こえてきた。

幾度となく聞こえてきたその歌声に、マジカルは疑問を覚えた。

それは、セイバーたちも同じだったようだ。

だが、考察を行うことを許すつもりはないらしく、今度は砂漠の王デューンと、かつてすべての世界を統合し、自分の管理下に置こうとしたスーパーコンピューター・メビウスの偽物が姿を見せた。

 

「……マジカル。ここは俺らに任せて、君は早く歌の方へ」

「えっ?!で、でも!!」

「手がかりがない以上、あの歌を追った方がこの場にいるよりもパートナーが見つかる可能性が高い」

 

さすがに分が悪いと感じたのか、セイバーはマジカルにそう言った。

要は、足手まといだから早く行けということか。

そう感じたマジカルだったが、それをエコーが否定した。

 

「マジカル。セイバーはあなたが邪魔だから行かせようとしてるんじゃないよ?」

「え?」

「パートナーと一緒のあなたなら、きっとソルシエールを止めることができる。だからあなたには先に行ってほしいの」

 

エコーの言葉に、マジカルは思わずセイバーを見た。

今度は青い弓ではなく、金色の手甲をまとい、偽デューンと偽メビウスと渡り合ってるためか、セイバーはその視線に気づいていないようだ。

 

「で、でも、セイバーは……」

「ううん、セイバーもね、大事な人たちとはぐれたから、探したいんだよ」

 

その大事な人たちというのは、キュアハートが言っていたプロポーズした五人であることは言うまでもない。

その五人がこのメンバーの中にいないことは、なんとなく察しがついたが、ならばなぜあれほど冷静でいられるのか疑問だった。

その疑問を察したのか、エコーは苦笑を浮かべながらもさらに続けた。

 

「『うじうじ悩んでたって仕方がない。戦うしかないなら戦ってみんなを探して助ける』って、セイバーは思ってるんじゃないかな」

「で、でもそれなら戦いながらでも……」

「それに、わたしもあなたならパートナーを見つけて、ソルシエールを止めることができると思う。だって、あの歌は、まるであなたを呼んでいるようだったから」

 

そう言われてしまったら、もう行くしかない。

マジカルはエコーたちに、また後で、と告げて、歌が聞こえるほうへと走っていった。

 

--------------

 

そのころ、ソルシエールが作り上げた世界の外側では、二人の男がベンチに座っていた。

一方は、高校生くらいであるというのに、まったく感情の読めない瞳をした、冷たい印象を受ける青年。もう一方は、眼鏡をかけた疲れた表情のぼさぼさ頭の青年だ。

どちらも、上空のただ一点に視線を集中させていた。

 

「……あそこだな」

「あぁ……ったく、固有結界か。また大規模な魔術を躊躇なく使いやがって……」

「さっきの話じゃ、この世界の魔術師じゃないんだろ?なら、こっちのルールを知らなくても仕方ない」

「だが、よっぽどじゃない限り魔法や魔術を秘匿することはこっちの世界じゃ絶対条件だ。それをあっさり破ってるんだ。ちょっときつくお灸をすえなきゃいかんよな?」

 

感情の読めない瞳をした青年が、明らかに怒りを込めた声色で上空を見つめ、呟いた。

どうやら、この青年はキュアマジカル――リコが本来住んでいる世界、『魔法界』のことを知っているようだ。

 

「なら、早いとこ行こう。良くない気配がどんどん強くなってきてる」

 

眼鏡の青年がそう告げると、どこから取り出したのか、一振りの杖を取り出し、地面を軽くたたいた。

その瞬間、二人の体は浮き上がり、まっすぐに見つめていた一点に、ソルシエールの城へと向かっていった。




まぁ、誰が乱入してくるか、みなさん、お察しの通りかと(-▽-;
というか、こんな事態になって動かないはずないですからね、この二人が
どんな具合に引っ搔き回すのか、それは次のお楽しみ、ということで


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みんなで歌う、奇跡の魔法~8、ソルシエールとの対決!乱入してきた二人の魔法使い?!~

タイトルの通り、二人の魔法使い(もう誰だかわかると思いますが(苦笑))が乱入してきます!
この二人、ぶっちゃけ、一次創作で見習い陰陽師が主人公の作品を書いている私個人の非常に個人的な感情と感想を語らせるためだけに出しました!

まぁ、世界が闇にのまれる、なんて危機にこの二人どころかほかのウィザードたちやカミガカリたちも立ち上がらないわけがないので!


ミラクルとマジカルは先輩プリキュアたちに後を託され、歌が聞こえてきた方へと走っていた。

だが、二人の耳にはすでに、先ほどの歌は聞こえていなかった。

それでも、マジカルは歌が聞こえてきていた方へ走り続けていた。

すると。

 

『ラ~ラ~リ~ララ~♪』

 

ミラクルの歌声がマジカルの耳に届いた。

まさかと思いながらも、マジカルは走りながら、先ほど聞こえてきた旋律を口ずさんだ。

 

「ルラララ、ル~ルラ~♪ラ~ラ~リ~ララ~♪」

 

やがて、マジカルの口ずさむ旋律は、ミラクルの歌声と重なった。

その瞬間、もともとこの歌を歌っていた女の子の声が響いてきた。

同時に、上空に一筋の光が現れた。

 

「あの光は……!」

 

マジカルは意を決してその光に向かって飛び込んでいった。

光の先は、まるで宇宙にでもいるかのような細かな光にあふれた空間だった。

その空間の先には、自分が探していた大切なパートナーの姿があった。

 

「マジカル!無事でよかった!!」

「ふふっ、当たり前でしょ!楽勝よ!」

 

実のところ、さっきまでいっぱいいっぱいだったというのに、いつものように強がりを言って、ミラクルに微笑みかけた。

二人は手をつなぎ、先ほど飛び込んだ光とは違う、もう一つの大きな光の方へとむかっていった。

 

----------------------------

 

その頃、ソルシエールの工房(アトリエ)にはモフルンたちが迷い込んでいた。

ソルシエールに見つかり、回れ右して逃げようとしたが、トラウーマが先に背後に控えていたため、逃げられずにいた。

 

「もう逃げられませんよ!!」

 

トラウーマは逃げ惑う三匹の妖精にそう告げた。

だが、工房にある鏡からミラクルとマジカルが飛び出してきたことで、そちらに意識を持っていかれてしまった。

 

「魔女ソルシエール!」

「プリキュアのみんなを、返してもらうわ!!」

 

最初に目を付けた二人のプリキュアが、まさか工房までたどり着くとは思わなかったのだろう。

だが、感情というものが欠落しているかのように冷静なソルシエールは、相変わらず抑揚のない声で、淡々と告げた。

 

「言っておくが、もう助けは来ないぞ。ほかのプリキュアも、二人の守護騎士もすでに捕らえたからな」

「ほぉ。そいつぁ好都合ってもんだ。余計な邪魔が入らなくて済む」

 

驚愕するミラクルとマジカルのものではない、明らかにこの場にいないはずの人間の声が、工房に響いた。

さすがにそのことにはトラウーマも驚いたのか、慌てた様子で呼びかけた。

 

「何者です?!プリキュアと守護騎士以外にこの場に来られるものなど、ナシマホウ界には……」

「いるんだな、これが」

「……ま、お前らにも知られないように存在しているから、知らないのも無理はないが」

 

トラウーマの呼びかけに答えるように、工房の床に突然、真円に五芒星が記された魔法陣と目玉のような記号が記された魔法陣の二つが出現した。

その魔法陣から、錫杖を手にした三白眼の眼鏡の青年と、感情が一切読めない青年の二人が姿を現した。

 

「初めまして。世界結界の守護者から派遣された魔法使いです」

「君たちの行動があまりにも目に余る……よって、君たちを制裁することになった。恨んでくれて構わない。が、これも僕たちの仕事だ」

「世界結界の守護者……?」

 

そんなものは聞いたことがないといわんばかりの態度で、ソルシエールは問い返した。

が、二人のうちの一人をよく知っているマジカルは、目を丸くして問いかけてきた。

 

「って、ちょ、えっ?!ま、まさか友護さん?!お姉さまのライバルだった友護さん??!!」

「お姉さま?……あぁ。リズのことか?」

 

リズ、というのはマジカルの、リコの実の姉のことだ。

魔法学校を首席で卒業し、現在は魔法学校の先生となるために勉強をしている、とても優秀で、リコにとって自慢の姉だった。

その彼女に心当たりがあるということは、間違いない。

だが、彼から返ってきた言葉は、そんなリコの印象とはまったく真逆のものだった。

 

「ライバル?あんなのが??魔法界じゃたしかに、一、二を争う強者かもしれんが、神秘が薄れたこっちの世界で磨かれた魔法を学んできた俺としては、正直、子供じみてたから相手にならなかったけどな」

 

手加減することの方が大変だった、とでも言いたそうに問いかけに答えてきた青年の言葉に、マジカルは固まった。

だが、同時に、その辛辣さから、彼が姉から聞いていたナシマホウ界の魔法使い、桜森友護で間違いないと悟った。

 

リズやマジカルたち魔法界の魔法使いを擁護すると、彼女たちは決して弱者というわけでも、修行が足りないというわけでもない。

だが、科学技術に居場所を奪われ、それでもなお生き残りをかけて磨かれてきたナシマホウ界の魔法と比べれば、魔法が当たり前に存在している魔法界の魔法のほうが数段劣ることは当然のことだ。

 

だから友護は、魔法界の魔法使いたちを『腑抜け』と称し軽蔑しているのだ。

もっとも、それは魔法が偏在する世界に生まれた彼女たちへの羨望と嫉妬が混ざっているためとめ言えなくはないが。

 

「よくはわかりませんが、ソルシエール様の邪魔をしようとしていることはわかりました」

 

そんなやり取りをしている彼女たちを横目に、訳が分からない様子でソルシエールとは異なり、トラウーマだけはソルシエールの魔法を邪魔しに来たと察知し、身構えてきた。

 

「ならばあなた方はわたくしめがお相手いたしま……」

「術力強化」

「縛っ!」

 

トラウーマが乱入者二人に宣言しかけた瞬間、メガネの青年は杖をもう一人の魔法使いにむけ魔法を放った。

魔法をかけられた青年はトラウーマに向かって一枚の札を飛ばし、力強く一言だけ口にした。

その瞬間、札から光のロープが伸び、トラウーマに絡みつこうとした。

だが、さすがに馬の姿をしているだけあって、動きは俊敏で、なかなか捕獲できなかった。

 

乱入してきた二人の魔法使いがトラウーマを相手にしている一方で、ミラクルとマジカルはソルシエールと戦っていた。

だが、彼女自身も魔法使いとしての実力はかなり高いらしく、何もない場所からいきなり自分のカチューシャの飾りと同じ、割れたハート形のはさみを呼び出し、ミラクルとマジカルを挟み込んだ。

大きさもそうだが、挟む力も大きかったらしく、二人の変身は解除され、地面に倒れてしまった。

だが。

 

「モフルン!」

「もう一度、変身よ!!」

「モフゥッ!!」

 

ふらふらしながらも立ち上がり、近くにいたモフルンに呼びかけ、二人はモフルンと手をつないだ。

 

「「キュアップラパパ!サファイヤ!!」」

 

変身の呪文を唱えた瞬間、二人はモフルンと一緒に光に包まれた。

光がおさまると、先ほどまでの紫とピンクのコスチュームではなく、二人ともそろって青を基本とした天女のようなデザインのコスチュームへと変身した。

 

「姿を変えたところで同じこと!」

 

ソルシエールは再び、同じ魔法で二人に攻撃を仕掛けた。

だが、先ほどのコスチュームと違い、このコスチュームは飛ぶことが出来るらしい。

二人は空中に逃れ、最初の魔法を回避したが、再び同じ魔法を今度は二人の背後に出現させた。

当然、その襲撃を受けた二人は再び床に倒れ、変身が解けてしまった。

だが。

 

「「キュアップラパパ!!」」

 

再び二人は変身し、ソルシエールに立ち向かっていった。

その姿に、トラウーマは最初に出会った時と何かが違うことを察した。

それはソルシエールも同じらしい。

 

「なぜ何度も立ち上がる?」

「伝わったのよ、みんなの想いが」

「諦めない、強い心が」

 

プリンセスプリキュアやキュアエコーだけではない。

ハピネスチャージプリキュアのみんなや、ピーチ、ブロッサム、メロディ、ハッピーそしてセイバーは、さっきまでの戦いで決して折れることはなかった。

自分たちは折れてしまったが、約束を守るためにもう一度立ち上がることができたし、もうあきらめないと誓った。

だから。

 

「この思いがある限り!!」

「わたしたちは!!」

「「絶対にあきらめない!!」」

 

プリキュアといっても、彼女たちはまだ二十年も生きていない、女の子だ。

けれど、みんなと一緒にいて、わかったことが二人にはある。

それは、不屈の心。

どんなことがあっても、どんなにつらい思いをしても、決してあきらめずに前に進む心。

ミラクルとマジカルは、先輩プリキュアたちから、そして、二人の守護騎士から、その心を受け取った。

だからこそ、目の前にいる強大な敵に立ち向かうことができるのだ。

 

「……まれ……黙れっ!!」

 

その瞳の輝きが気に入らないのか、ソルシエールは再び、自身が身につけているカチューシャと同じ形の鋏を虚空から呼び出し、二人に向けて飛ばした。

だが、ミラクルとマジカルは、それをはじき返した。

ソルシエールが弾かれた鋏を回避し、空中に飛び上がると、埃の中から、同じく飛び上がってきたミラクルとマジカルが手をつなぎ、二人の合体技をお見舞いした。

 

「「プリキュア!トルネード!!」」

 

二人で作り出す渦が、ソルシエールに襲いかかり、ソルシエールはなすすべなく吹き飛ばされ、背後にあった本棚に背中を打ち付け、地面に倒れた。

まさか、自分の主が負けるなどと思ってもいなかったトラウーマは、その光景を見て、口を開き、呆然としていた。

そのすきを見逃すほど、乱入してきた二人の魔法使いは甘くはなかった。

 

「行動制限!」

「オンキリキリ、カラカラ、シバリ、ソワカ!!」

 

魔法使いたちの鋭い詠唱が聞こえた瞬間、トラウーマの体は光の環で拘束された。

ナシマホウ界の存在だから、と甘く見ていたためか、トラウーマはそのまま床に倒れてしまった。

ついでに、もうこれ以上喋るなと言わんばかりに、光の鎖がトラウーマの口を縛り付けた。

 

「ルラララ、ルルラ~♪ラ~ラ~ル~ルラ~♪」

 

すると、突然、工房の隅の方からミラクルとマジカルは何度も聞いた歌声が聞こえてきた。

歌が聞こえてくる方へ視線を向けると、そこには本棚に寄りかかりながら歌っている大きなハート飾りのカチューシャをつけた、小さな女の子がいた。

 

「やめろ!そんな歌など、聞きたくもない!!」

 

歌が聞こえてくると、突然、ソルシエールが歌声を拒絶し始めた。

何度となく聞こえてきた歌声と、歌が聞こえるたびに姿を現した小さな女の子に、マジカルは疑問を覚え、何かを知っているような風であるソルシエールに問いかけた。

 

「あの子は、いったい?」

「……お前たち、心は伝わると言ったな……」

 

マジカルの言葉に返ってきた言葉は、衝撃の言葉だった。

それは、ソルシエールの哀しい過去に、そして、彼女がプリキュアの涙を求めた理由だった。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~9、ソルシエールの悲しみと秘薬の正体~

というわけで、この物語の肝の部分
いや、正直、『奇跡の魔法』を根底からひっくり返すようなこと言ってますが、そこは気にしないでつかぁさい……(--;
いい作品だってことは知ってるし、私もそう思うんですが、いかんせん、一次創作でそういうのテーマに書いてますからどうしても思ってしまいまして……(白目

まぁ、そこはそれとして
次回はいよいよクライマックス!
途中退場してからでてきてないけど、セイバーは果たしてどのような活躍をしてくれるのか?!
こうご期待!


「お前たち、想いは伝わるといったな?……だが、わたしの想いは通じなかった!!」

 

そう叫んだ瞬間、周囲の光景が変化した。

先ほどまでの書斎とは一変し、木々に囲まれた森の風景と、幼い女の子が優しそうな老婆に駆け寄り、膝枕をされながら眠っている光景。

どうやら、幻影魔法を使って、ソルシエールが自分の過去を映し出したようだ。

 

「……なるほど、あれは幼いころのお前か」

「そうだ……孤児だったわたしは、ある魔法使いに拾われて、弟子となった」

 

ソルシエールは拾ってくれた師匠(せんせい)が後継者を探していることを知り、彼女に認めてもらいたくて必死に魔法を学び、力を伸ばした。

だが、結局、師匠が行使できるという究極の魔法を教えてもらうことはできず、挙句、子守歌で寝かしつけようとする始末だった。

結局、師匠は究極の魔法についてのいっさいを墓まで持って行ってしまった。

 

だからこそ、トラウーマから聞きだした死者蘇生の魔法薬を作り、よみがえった師匠から再び究極の魔法について教えてもらおうとした。

そのために、光の戦士であるプリキュアの涙がどうしても必要だったのだ。

その独白を聞いて、ミラクルとマジカルは何も言えなかったが、二人の魔法使いが怒り半分呆れ半分で答えてきた。

 

「「ばっかじゃねぇの?」」

「ちょっ??!!」

「ゆ、友護さん!いくらなんでも……」

 

非難しようとするミラクルとマジカルの声など気にする様子もなく、神秘の側に立つ二人の男は持論をぶつけてきた。

 

「一時的とはいえ死者蘇生を行うことができると思ってんのか?そんなん、魔術師だろうが魔法使いだろうがやっちゃならねぇ禁忌中の禁忌だろうが!!」

「第一、よみがえったとして教えてくれる保証があるか?だったら、いままで自分が教わってきたものをもう一度全部、これ以上ないほど絞りに絞って思い出して、とことん煮詰めて精錬して洗練して、あんたの師匠とは違う、『自分の究極の魔法』を身につけて見せつけてやるほうがずっと有意義だろうが!!」

「「探求のために周囲を巻き込むのは大いに結構!だが、禁忌に触れることと自分の研鑽不足を棚に上げるのは同じ魔術師として許さねぇ!!」」

 

片や、周囲に気味悪がられながらも自分のいる安住の地を守るため。片や、一族代々受け継いできたものを守るため。

それぞれ目的は違うがその手段のために魔法を身に着けた二人の青年は、ソルシエールの想いを正面から否定した。

それは、年頃の少女からすれば、反論され、非難されるものだろう。

だが、ソルシエールとマジカルは幼いころから魔法使いとしてのルールを教えられてきた。

当然、その中には禁忌中の禁忌である死者蘇生のこともあった。

 

むろん、逸話の中にはいくつも死者蘇生を成功させたという話が存在している。

だが、成功した例を持つ魔法使いたちは、いずれも強大な力や膨大な知識、あるいは特殊な出自を持っていたことと、様々な要因が重なったためであり、普通の魔法使いが死者蘇生の術を行使したとしても、たとえ一時的であっても成功することはないし、成功したとしても多大な犠牲を払う必要があるため、よほど自分の理論に自信がなければ行う魔法使いはいない。

 

「だったら、なぜ師匠は何も残してくれなかった?!師匠の研究記録にも、日記にも!究極の魔法について何一つ……」

「魔法使いが自分の研究成果を弟子とはいえ他人にあっさり引き渡すか。魔法使いにしても陰陽師にしても、術者ってのは基本的に偏屈なもんなんだよ」

「……あ、あの……ソルシエール……あなたは、先生を恨んでいるの?」

 

辛辣な友護の言葉を遮るように、ミラクルはソルシエールに問いかけた。

その問いかけに、ソルシエールは感情を爆発させながら、当たり前だ、と返した。

恨んでいなければ、自分に最後の魔法を教えなかった理由がない。結局、彼女は最後まで自分を認めるつもりがなかった、と。

だが、ミラクルもマジカルもそれに反論した。

その根拠は、ソルシエールの師匠が歌っていたという、子守歌にあった。

 

子守歌は本来、子供を寝かしつけるためのものだ。

夜の闇におびえることなく、安心して眠りにつかせるための歌。

それはある種の魔法にも似たものだが、その魔法には子供に対する『愛情』がこめられている。

だからこそ、子守歌を歌ってくれた、ということは師匠はソルシエールのことを愛していたことにほかならない。

それが、ミラクルとマジカルが出した、ソルシエールへの答えだった。

 

だが、それでもソルシエールは認めようとしなかった。

 

「小さい時の話だ。それに……やはりおかしいではないか!愛してくれていたのなら、なぜ究極の魔法を教えてくれなかった?」

「それは……」

「わからない、けど……」

「なぜだ!なぜなんだ?!」

 

究極の魔法を教えてくれなかったことに、疑念を抱き、頭を抱える彼女に、ミラクルとマジカルは何も答えられなかった。

もしかしたら、と友護ともう一人の魔術師の方へ視線を向けたが、二人とも何かを考え込んでいる様子で、ソルシエールの言葉が全く耳に入っていないようだった。

 

ソルシエールの脳裏には、トラウーマと始めて出会った時の、師匠の墓前での初めての対話が浮かび上がっていた。

自分の才能に嫉妬し、追い抜かれることが嫌だったから教えなかった。そうでなければ、自分を愛していなかったから、教えなかった。

その記憶の言葉が聞こえてきた瞬間、ミラクルは必死になって否定した。

 

「思い出して!あなたを、あんなに素敵な笑顔にしていた師匠だよ?!」

「だが、もう師匠の顔も、声もよく思い出せない……」

 

ソルシエールがそう返した瞬間、モフルンが突然、こけてしまい、背負っていた壺の中から光の魔法の杖が一つ、落ちた。

何をやっているのか、とアロマが呆れる一方で、床に落ちた衝撃のためか、魔法の杖から放たれた光にトラウーマが怯えた。

同時に、ソルシエールたちの耳に優し気な老婆の歌声と、彼女に究極の魔法のことを聞いているかつてのソルシエールの姿が浮かんできた。

 

『茨の陰に迷っても、繋ぐこの手が、道しるべ……♪』

 

そっと、ソルシエールの手を自分の手で包みながら、優し気に微笑む老婆の顔。

その顔を思い出したソルシエールは、泣きながらその場に膝をついた。

同時に、ミラクルとマジカル、そして友護ともう一人の魔法使いでさえも確信した。

老婆は、ソルシエールの師匠は、彼女を愛していたということを。

そうなれば、可能性を絞ることができたのか、友護が推論を口にした。

 

「考えられるとすればいくつか思い当たるものはあるな……」

「友護さん、それって?」

「愛していたからこそ、受け継がせたくなかった。ということが一つ」

 

友護の言葉に、ミラクルとマジカルは目を見開いた。

だが、魔法が偏在し、当たり前となっている魔法界ならばともかく、ナシマホウ界では往々にしてよくあることだ。

その魔法を伝授した時。魔法を弟子に伝承した時。その瞬間、それまでの術者の命の灯が消えるという魔法というものは。

 

愛しているからこそ、自分が究極の魔法を教えてほしいと何度も頼んだせいで師匠を死に追いやったと思ってほしくないから、伝えなかったのではないか。

友護は可能性の一つとして、それを口にした。

だが、それが全ての答えであるかのように、ソルシエールはうずくまり、涙を流した。

 

「わたしは……ただ師匠に褒めてほしくて……だから、すごく頑張って……」

 

ソルシエールのその言葉を、ミラクルとマジカルは黙って聞いていた。

だが、ミラクルのほうが耐えられなかったのか、その瞳はうるうるとしていて、今にも泣き出しそうだった。

 

「なんであなたがウルウルしているのよ?!」

「だって……」

 

マジカルの方を向きながらそう返したミラクルの瞳から、一滴の涙が落ちた。

その涙は、いつの間にか足元に控えていたトラウーマの人形が手にしていた作りかけの魔法薬を入れている瓶の中へと落ちた。

 

「「……あ……」」

「ぶるっふ……ぶるっふふふふ!」

 

人形は素早くトラウーマのもとへと移動してくると、トラウーマは口を縛られたまま、笑い出した。

いつの間にか現れていたもう一体の人形がトラウーマを縛っていた光の環を外していき、トラウーマの体を自由にした。

 

「いただきましたよ!プリキュアの涙!!これで秘薬は完成だ!!」

 

うかつにも、ミラクルの涙が、トラウーマが求めてい秘薬の最後の材料となってしまったようだ。

自由になったトラウーマは人形から秘薬を受け取ると、ソルシエールの方へ視線を向けて謝罪らしからぬ謝罪をしてきた。

 

「ソルシエール様、実はこの秘薬はあなたの師匠を蘇られせるものではない!あなたの師匠に封じられた、俺の本当の力を取り戻すためのものだ!!」

「……ちっ!(きょう)さん!!」

「これは無理だ!!魔法陣の外へ!!」

 

なにかまずいことをやらかすつもりだと察した友護は、鏡さんと呼んだ青年に術の援護を求めた。

だが、彼は援護できないことを告げ、魔法陣の外へ出ることを提案してきた。

実際に、そうする以外にもう手の打ちようがないため、友護と鏡さんは持ってきていた杖の先端で床を叩いた。

その瞬間、杖を中心に魔法陣が広がり、二人と近くにいたミラクルとマジカル、そして妖精たちも巻き込み、光の渦を発した。

渦は、トラウーマが本来の姿に戻り城が崩壊するその一歩手前で収まり、その場には何も残っていなかった。

 

----------------------------

 

城の外にあるビルの屋上に、友護たちが作り上げた魔法陣が出現すると、その中から、友護と鏡さん、ミラクルとマジカル、そして妖精たちが出現した。

街は、分厚い不気味な雲に覆われており、上空には友護と鏡さんが作ったものと違う魔法陣が展開されていた。

その中央から、まるで闇を切り取ったかのような、吸い込まれそうな黒い空間が現れると、そこから、城と合体したトラウーマが出てきた。

 

その瞬間、トラウーマは城の城壁の一部を開き、砲門を展開した。

その先にある行動を瞬時に理解した友護と鏡さんは杖を掲げた。

 

「防壁展開!!」

「この身はわが身にあらず、神の御影をかざすものなり!!」

 

そう叫んだ瞬間、二つの砲門の前に白い光で描かれた五芒星と、中央に巨大な梵字が記された魔法陣が展開された。

その魔法陣に阻まれた砲門からは放出されることはなかったが、残る砲門からは、幾筋の闇が砲弾となって街に向かっていった。

着弾した闇は、徐々に周囲に広がっていき、飲み込んでいった建物はすべて消え始めていた。

 

「ちっ!!まさかと思ったが、別の可能性のほうか?!」

「究極の魔法が、あいつを封じるためのものってことか?!仮にそれが当たってるとして、そうだとすりゃ厄介だぞ!!」

 

究極の魔法の正体についてまだ考えていたのか、友護がそう叫ぶと、鏡さんがそう叫んだ。

厄介だと判断した理由はただ一つ。

唯一の弟子であるソルシエールが、究極の魔法をしっかり伝授されていないということにある。

闇の侵攻を防ぎつつ、トラウーマを再封印するための魔法を今から編み出すのは、時間がいくらあっても足りない。

だが、それでもトラウーマに立ち向かおうとする二人がいた。

 

「とにかく!あいつを止めないと!!」

「友護さん!と、鏡さんでいいんですか?」

「正しくは鏡介(きょうすけ)だ!」

「なら、鏡介さん、力を貸してください!!」

 

その二人とは、当然ながら我らがプリキュアの二人である。

普段ならば、力を貸すいわれはないといって断る友護だったが、今回ばかりは世界が闇に飲み込まれるという脅威に脅かされている。

その場に遭って、この期に及んで力を貸さないことはしない。

 

「いいだろう!援護はしてやる!!」

「というか、俺らに浄化の力はないからな!援護しかしてやれん!だが期待しろ!!」

 

その力強い言葉に背中を押され、ミラクルとマジカルは同時に屋上を蹴って、トラウーマへとむかっていった。



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みんなで歌う、奇跡の魔法~10、究極の魔法の真実~

というわけで、クライマックス
といっても、相変わらず戦闘描写は簡単な感じになってますが
なお、原作とは異なる点が多々あると思いますが、そこはご容赦を

お花見に関しては……まぁ、『顔合わせスキット~二人は魔法使い!~』をご参照ください
前提が古いものなので、菖との絡みがゆりさんしかいませんが


ソルシエールがプリキュアの涙を求めた理由。

それは、彼女の師匠が使えたという『究極の魔法』を伝授してもらえなかった理由を聞くため、一時的に師匠を蘇らせる秘薬を作るためだった。

だが、その秘薬の正体は、かつてソルシエールの師匠に封印された『闇の獣』トラウーマが本来の力と姿を取り戻すためのものだった。

それを知った時にはすでに遅く、ソルシエールと師匠の秘話を聞いてしまったミラクルが感動して流した涙によって完成した秘薬で、トラウーマは本来の姿に戻り、世界を無に帰そうとしていた。

むろん、それを阻止するため、ミラクルたちはトラウーマに立ち向かっていった。

 

「能力強化!」

「韋駄天よ、かの者たちに加護を!!」

 

友護と鏡介の二人は、ミラクルとマジカルに援護のための魔術を施した。

その魔術の効力か、ミラクルトマジカルは体が軽くなったように感じた。

だが、いつも以上に力を引き出せる状態になった二人でも、本来の姿に戻ったトラウーマの前では苦戦を強いられていた。

それでも、友護と鏡介はミラクルとマジカルのダメージが最低限になるよう、地面にたたきつけられる前に何枚もの障壁を作り衝撃を弱めたり、タイミングを見て傷を癒す魔法を放ったり、トラウーマの攻撃そのものの威力が下がる魔法を使ったりしていたおかげで、すぐに動けなくなるということはなかった。

 

「…………ぜぇ…………はぁ…………」

「…………ちぃっ…………」

 

だが、援護してくれている二人の顔には徐々に疲労の色が濃くなり始めていた。

ソルシエールの城の中に侵入するためと、トラウーマの封印解法による城の崩壊から逃げるために使った移動魔法と支援魔法の連続使用、さらには少しでも被害を抑えるため、放たれた攻撃に対する障壁の展開。

そんなことを休みなく続けているため、実際に戦っているミラクルとマジカルよりも、二人のほうが激しく消耗しているのだ。

 

「…………ったく…………思った以上に…………厄介だぞ、これは…………」

「俺たち、より……戦闘力が低い、から、しかた……ないがな!」

「だが、早く決着……つけてくれ、ないと…………ぜぇ…………こっちがもたない」

 

友護にしても鏡介にしても、魔法や魔術という人知を超えた力を使うことができるというだけで、人間であることに変わりはない。

人間である以上、人間としての限界というものが存在する。

どこかで燃料を補給すれば、あるいは充電すればいい、というわけではない。

一応、龍脈や大気中から霊力を吸い上げて補給してはいるが、それも微々たるものだ。

実質的に、魔力が尽きれば二人ともそれで打ち止めになってしまう。

 

だが、魔力と体力の違いはあっても、それはプリキュアも同じだった。

友護と鏡介の援護があっても、ミラクルとマジカルだけでは本来の姿のトラウーマにいくら立ち向かっても弾き飛ばされ、何度も地面にたたきつけられた。

だが、二人は決してあきらめず、何度も立ち上がった。

なぜ立ち上がることが出来るのか、ソルシエールは城の屋上で二人の様子を眺めながら、そんな疑問を抱いていた。

ふと、二人の口が動いていることに気づいた。

耳を澄ますと、二人はどうやら、師匠の子守歌のメロディを口ずさんでいるようだ。

 

『あのメロディを聞くと力がわいてきた』

 

二人は確かにそういっていた。

だが、ソルシエールはなぜかメロディだけでは足りないと直感で感じ取っていた。

こうなってしまったのも、トラウーマの口車に乗ってしまった自分に責任がある。

ならば、この事態を収束させるために、自分ができることは。

そう考えた瞬間、ソルシエールの口は自然と動いた。

 

「瞼、閉じれば……夢の、森……遊んで、おいで……夜明け、まで……♪」

 

再び立ち上がろうとするミラクルとマジカルの耳に、ソルシエールが幼いころから師匠が聞かせてくれた子守歌の旋律が聞こえてきた。

声がするほうへ視線を向けると、そこには祈るように手を組んで子守歌を歌うソルシエールの姿があった。

歌声が町中に響くと、ミラクルとマジカルの体の傷は徐々に癒えていき、友護と鏡介の魔力も回復していった。

 

「これは……歌の力?」

「あの子守歌、(まじな)い歌だったのか」

 

呪い歌とは、呪文が歌詞となった歌のことだ。

当然、まじないも含まれれば、(のろ)いも含まれることもある。

童謡の『かごめかごめ』が(のろ)いの歌としてはメジャーだろう。

この子守歌は、どうやら癒しの(まじな)いを込めた歌のようだ。

 

「ねぇ、もしかして『究極の魔法』って」

「この歌のことだったの?!」

「なるほど……あいつの師匠は、ちゃんと教えてたんだな」

「それが呪い歌で、しかも子守歌だったから、ソルシエールが勘違いしたってわけか……まったく、はた迷惑な話だ」

 

幼いころから何度となく聞かされてきた子守歌が、まさか究極の魔法だとは、ソルシエールも思わなかったのだろう。

だから『教えてほしい』と頼んでも、子守歌を歌って寝かしつけようとした、と勘違いしてしまったのだ。

それならそれで一言くらい言ってから歌えばいいものを、と現役の魔術師二人はため息をついていた。

 

「闇の獣に追われても、怖がらないで。そばにいる♪」

 

そんなことも知らず、子守歌のすべての歌詞を思い出したのか、ソルシエールはつっかえることなく、子守歌を歌い切った。

その瞬間、ミラクルとマジカルから少し離れた場所にいるモフルンの背中から光の柱が出現した。

どうやら、歌に反応して魔法の杖が光を放っているらしい。

その光に反応してか、トラウーマの頭上にあった城が大爆発を起こした。

爆発の煙の中から、囚われていたプリキュアたちと守護騎士の二人が飛び出し、近くのビルの屋上に着地した。

 

「「みんな!」」

ブラック(ブリャック)!ホワイト!ルミナス(リュミナシュ)!!」

「ルルン!」

「心配かけて、ごめんね」

 

先輩プリキュアたちが脱出し、屋上に着地した姿を見ていたミラクルとマジカルはルルンを抱いて屋上に飛び上がり、合流した。

ルルンはようやくブラックたちと合流できたことがうれしく、泣きながらルミナスに抱きついてきた。

その姿を見て安堵の表情を浮かべるミラクルとマジカルは、ふと爆発した城を見た。

爆発で残った屋上にソルシエールの姿があり、彼女が歌ってくれたからこそ、プリキュアのみんなが無事に脱出できた。

だから。

 

「ソルシエール!ありがとう!!」

 

ミラクルは手を振りながらソルシエールにお礼を言った。

その声が聞こえたのか、ソルシエールは頬を赤く染め、あわあわとしながら、最後にはうなずいて返していた。

その瞬間、ソルシエールのドレスが変わった。

紫色のドレスから、明るい桃色のドレスへ。そして、カチューシャの割れたハート飾りは二つのハート飾りに。

それが恐らく、ソルシエールの本来の姿なのだろう。

 

「さぁ、みんな!いくよ!!」

『えぇっ!』

「やるっしゅ!」

「「応っ!」」

 

ブラックのその呼びかけを合図に、全員が屋上から一気にトラウーマに向かって飛び掛かっていった。

当然、地上では魔術師二人による援護があった。

 

「範囲拡大、能力倍化!」

「毘沙門天よ、かの者たちへ加護を!!オン、チシャナバイシラ、マダヤマカシャヤヤクカシャ、ソワカ!!」

 

二人がそう口にした瞬間、プリキュアたちの体は軽くなり、力が湧き上がってきた。

だが、その理由は二人の魔術師の援護だけではない。

ソルシエールの歌の力も加わっていた。

 

「言葉とメロディに、愛や勇気の魔力が隠されてる♪」

 

ソルシエールの口にするその歌は、いつのまにかプリキュアたちだけではない、周囲にいた人々の口からも紡がれていた。

その旋律を嫌ってか、トラウーマは砲台から次々に人参型のミサイルを発射していった。

だが、それらはブルームやイーグレット、ピーチ、ベリー、パイン、パッションたち、空を飛ぶことが出来るプリキュアや、友護たちの魔法によって破壊され、町に被害を出すことはなかった。

それどころか、弾かれたミサイルをハートたちが受け止め、無理やり軌道を変更させて、トラウーマの後頭部にぶつけ、爆発させた。

周囲がだめならば旋律の中心をたたけばいい、と考えたのか、トラウーマの攻撃は城の方、より正確にはソルシエールへと向いた。

 

それを察知した、というわけではないだろうが、ハッピーたちが城の屋上から飛び出し、ミサイルをすべて上空へと蹴りあげた。

空を飛べないハッピーたちは当然、重力に逆らえず落下してしまったが、彼女たちの下を飛んでいたブロッサム、サンシャイン、ムーンライト、セイバーが受け止めた。

むろん、マリンもいたのだが、通過と同時に受け止めようとして失敗し、慌ててハッピーを助けに行っていた。

 

ハッピーたちだけではない、アステアも飛んできたミサイルを持っている槍でいなし、はじき返していたし、エコーもまた、アステアに背中を預けるような位置でミサイルをつかみ、投げ飛ばしていた。

そうしているうちに、いつのまにかミラクルとマジカルがソルシエールの隣に立ち、手をつないでいた。

 

「茨の影に迷っても、つなぐこの手が、道標♪」

「「「一緒に歌えば不思議な力が、湧き上がる♪」」」

 

三人がそう紡いだ瞬間、ミラクルとマジカルのコスチュームが変わり、背中に白い羽が生えてきた。

二人は羽をはばたかせ、空へと飛び上がっていき、トラウーマの上空で手をつなぎ、輪を作っていたプリキュアたちの中に入っていった。

 

「歌は魔法♪究極の魔法♪」

 

最後の歌詞が紡がれた瞬間、プリキュアたちの体から光があふれだした。

 

「わたしたちはつながっている!」

「プリキュアの絆の力、見せてあげるわ!!」

 

ミラクルとマジカルがトラウーマに言い放った瞬間、ブラックたちからあふれていた光が強さを増した。

強さを増したその光は、輪の中央に集まっていき、光の玉となった。

その玉の中から、一対の宝石が姿を見せた。

その宝石は、ミラクルとマジカルが掲げている杖に吸い込まれるように近づいていった。

 

「「フル・フル・リンクル!!」」

 

呪文を唱えながら光の宝石から力を受けた杖で円を描くと、光は魔法陣を描き、光のハートを出現させた。

 

「闇の獣よ!」

「闇の世界へ!」

「「帰れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」

 

ミラクルとマジカルが同時に叫び、杖を振り下ろした。

その瞬間、光のハートは重なり、巨大な矢のようになってトラウーマへと飛んでいった。

当然、その鼻面に光の矢は命中した。

 

『や、やめろ……まぶしい!!やめろぉっ!!』

 

トラウーマの悲痛な叫びが響いてきたが、そんなものを聞くつもりはない。

だが、トラウーマを完全に追い払うにはまだ足りないようだ。

それを補ったのは。

 

「……奇一、奇一、たちまち感通!!万魔(ばんま)降伏(ごうぶく)!!」

雷電(らいでん)神勅(しんちょく)!!急々、如律令!!」

 

地上から、これまでに感じたことのない強い魔力の波が発生し、同時に友護と鏡介の声が響いてきた。

その瞬間、ミラクルとマジカルが放った光の矢に重なるように、白く強い光を放つ雷がトラウーマに降り注いだ。

雷とは、『神鳴り』とも呼ばれ、あらゆる魔を祓う光とされている。

その霊力を受けた光の矢は、さらに力を増して、大きくなった。

 

『いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

先輩プリキュアたちとミラクルとマジカルの声が重なり、光の矢は完全にトラウーマを包み込んだ。

光に包まれたトラウーマは、断末魔を上げることすら許されず、光の粒子となって消え去っていった。

トラウーマが消え、空に漂っていた分厚い雲が徐々に晴れていき、光の柱がプリキュアたちと二人の魔術師に降り注いできた。

 

「終わったか……」

「あぁ……さて、帰るとするか」

「俺も帰って報告だな」

 

二人はすべてが終わったことを察し、静かにその場から立ち去っていった。

立ち去る二人の姿を見た者も見送る者もその場にはいなかった。

 

--------------

 

その後、ソルシエールから謝罪を受けたミラクルとマジカルは、立ち去っていくソルシエールを見届け、お花見に参加していた。

当然、はるかによって魔法使いであることをカミングアウトされ、マナの制止も聞かず、もみくちゃにされることになるのだが、それはまた別の話。




おまけ

~脱出するまで~
ルミナス、イーグレット、ムーンライト、フォーチュン「「「「ブロッサム?!それにセイバー?!あなたまで??!!」」」」
セイバー「油断したわけじゃないけど、登場と同時に自爆って……さすがに初見殺し過ぎるでしょ、無理だって……」(  lll
ブロッサム「はい……」(  lll
ピーチ、メロディ、ハッピー、プリンセス組『うんうん』
ムーンライト「……ま、まぁ、それなら……」
ルミナス「あ、あの!お二人ともお怪我とかなかったですか?!」
イーグレット「ルミナス、落ち着いて?」
フォーチュン「心配なのはわかるけど、ね?」
アステア「で、兄貴。脱出できそうか?」
セイバー「この手のトラップに引っかかったことないからなぁ……牢獄の構造も今まで見たことないものだし……何より、力が半減してるから無理」
マリン「しょ、しょんにゃ~……」
フローラ「でも、ミラクルたちがきっと」
ハート「そうだね。二人を信じよう!」
セイバー「……案外、この事態を受けて動いてる人がいるかもしれないしな」
フォーチュン「……あぁ……なんか心当たりあります」

※セイバーは友護、フォーチュンは鏡介を思い浮かべていたようです


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憑りつかれた菖さん?!もう一人の魔法使い、参上です!!

ハロウィンということで、もう一発。といっても、漫画版のまほプリを読んでたら思いついたってだけですが(苦笑
たぶん、ハロウィンネタでもう一回やるかも?
今回は少し長いです。そして少しばかりシリアスだったりするかもdrす。
加えて、いつぞや設定だけ紹介したオリキャラが登場します。
といっても、名前は出さないんですけどね(苦笑
まぁひとまず本編どうぞ!


その日、菖は津成木市のハロウィンパーティーに来ていた。

本来は菖もオールスターズのメンバーと一緒に来るはずだったのだが、菖だけはみらいの実家であるパワーストーンショップにも用事があったため、一足先に津成木市に来ていたのだ。

現在、菖はハロウィンパーティーの会場から少し離れ、パワーストーンショップの中で、じっと土器の壺を見ていた。

「……」

「どうかしら?やっぱり、なにか考古学的な価値がありそう?」

「資料を見てみないとなんとも言えませんけど、たしかに、考古学的な価値がありますよ……ですが」

ジロリ、とみらいの母、今日子に鋭い視線を向け、菖は続けた。

「まさかと思いますけど、贋作なんてこと、ないですよね?」

「う~ん……そう言われると、ちょっと自信ないのよねぇ……ちなみに、根拠は?」

「この壺に描かれている紋様。これは紀元前の遺跡に多く見られた形状のものです。が、出土しているもののほとんどは壊れている」

「なるほど。対して、こちらの壺はほとんど壊れていない。たしかに、贋作と疑ってかかるべきね」

菖が示した根拠と解説に、今日子は満足そうにうなずいた。

「なるほどね……てことは、専門家に見てもらった方がいいわね」

「そうしてください……というか、なんで俺なんですか」

「あら。みらいにリコちゃん、それにことはちゃんも、菖くんならわかるんじゃないかって紹介してくれたのよ?それに、リアンさんも菖くんのことは褒めてたし、下手な人に見てもらうより、まず信頼できる人に見てもらおうと思ったのよ」

あっけらかんとした顔で今日子はそう返してきた。

確かに、菖は考古学や歴史学において、オールスターズメンバーから一歩どころか百歩以上先を歩いている。それこそ、この前の中間試験前にはオールスターズメンバー全員を集めて歴史の授業を行ってほしいとおねだりされたことがあるほどだ。

それくらいならばまだいいのだが、まさか美術品の鑑定もさせられるとは思っても見なかったようだ。

本来、鑑定は専門から大きくはずれるため、菖としてはやりたくないのだが、今回はみらいとリコだけでなく、菖とゆりにとって可愛い妹分の一人でもあることはからも頼まれてしまったため、断るに断れなかったのだ。

もっとも、今日子にも話を通しているあたり、道理をわきまえてはいるようだ。

「それじゃ、お茶淹れるから、待っててね」

「いえ、おかまいなく」

にっこりとほほ笑みを浮かべながら、菖は台所へと下がっていく今日子の背中を見送り、再び壺に視線を向けた。

その表情は、さきほど鑑定していたとき以上に、どこか油断の出来ない、真剣なものだった。

――さっきから感じてる気配は、やっぱりこの壺からだ……なんだったかな、あいつが言ってたことがあったような……

そんなことを考えながら、菖は再び壺をよく見ようと手に取った。

その瞬間、壺から禍々しい色の陽炎が立ち上り、菖を包みこんだ。

「っ?!」

菖は壺を落とすことなく、テーブルに置いて、距離を取ろうとした。

だが、壺から立ち上ってきた陽炎は菖を包んだまま、壺と菖とをつないだ。

《……見つけた……》

「……っ?!誰だ?」

《見つけたぞ、我をこのような狭き場所に封じた、忌まわしき魔導士よ!!》

「なにっ?!……う、うわっ!!」

突如、菖の頭の中で声が響くと、陽炎はさらに濃くなり、菖を完全に包み込んでしまった。

それから少しして。

「お待たせ~……って、あら?」

今日子がティーセットをもってやってきたのだが、その時にはすでに菖の姿はどこにもなかった。

----------------------------------

一方、津成木市から少し離れて、場所は希望ヶ花市。

市内某所にある少しさびれた神社の本殿の中で、一人の青年が座禅を組んでいた。

ふと、青年は何かの気配を感じ、目を開けて、虚空を見つめた。

――いま、なにか気配が……

青年はすっと立ち上がり、本殿の扉を開け、気配がした方向へ視線を向けた。

奇しくもその方向は、菖がいるはずの津成木市がある方向だった。

――あっちのほうから、か……まったく、今度はどこの馬鹿が封印を解いたんだ?

露骨に面倒くさそうな顔をしながらも、青年はなぜか、向かわなければならない、と想い、出かける支度を整え始めた。

――ったく、ただでさえハロウィンで現世と冥界の境界線がごっちゃになってんだから、面倒事を起こさないでほしいもんだぜ……

本来、ハロウィンとはケルト民族の行事である。その内容は、日本のお盆に近く、この日、十月の末日は現世と冥界の境界があいまいになるため、異形の存在に遭遇しやすい、と言われている。

そのため、異形による災厄(トリック)を防ぐため、人々は異形の存在に扮し、カブでランタンを作り、異形への生贄(トリート)を用意することで、災厄を防ごうとした。

これが、本来のハロウィンの謂れである。なお、現代でハロウィンといえばかぼちゃだが、それはハロウィンの文化がアメリカに渡った際、カブの代用品としてかぼちゃが使われるようになったため、と言われている。

もっとも嘆かわしいことに、科学万能という夢言葉に踊らされている現代では、そのような意味が込められているとも知らず、ただ仮装してお菓子をもらうだけ、というまったく中身のないものへと変貌してしまっている。

だが、この青年は、まるで本来の意味を知っているかのようにつぶやき、けだるげに、そしてなぜか憎しみがこもった瞳を、気配を感じた方向へ向けていた。

「……騒がしくなってきたな」

ざわり、と青年にむかって吹いてきた秋風に髪を遊ばせながら、青年はそうつぶやき、風をまとい(・・・・・)空へと舞いあがった(・・・・・・・・・)

----------------------------------

場面は戻って津成木市のハロウィンパーティーの会場。

そこでは、すでに多くの市民とパーティーの参加者が思い思いの仮装でパーティーを楽しんでいた。

むろん、その中にはオールスターズのメンバーも含まれていた。

久方ぶりにみんなで集まり、わいわいと盛り上がっている中、ゆりとつぼみは菖の姿がないことに気づき、みらいたち(魔法使い組)に問いかけた。

「ねぇ、みらい、リコ、ことは。菖の姿が見えないのだけど」

「もしかして、まだ用事が終わらないのでしょうか?」

「う~ん……お母さんはさっき終わったって言ってたし、それにリビングにはいなかったって言ってましたよ?」

「なら、こっちに向かってるんじゃないかしら?」

「もしかして、この人ごみで迷子になってるのかも!」

みらいとリコの返答に、ことはがお菓子を両手に持ったまま返した。

なお、魔法使い組は魔法界にある魔法学校の制服を着ており、ゆりは某人気漫画の死神が着用していた黒い着物に白い羽織、つぼみは某魔法少女の衣装に黒いマントを着ていた。

ことはの言葉に、菖に限ってまさか、と苦笑を浮かべる四人だったが、その背筋に突然、奇妙な寒気を覚えた。

「……な、なんだかいやな感じがするモフ……」

「闇の気配がするですぅ……」

「……気を付けて、みんな!」

その気配にいち早く気づいた妖精たちは、口々に警告を発するが、時すでに遅かった。

邪悪な気配の主は、すでに活動を始めていた。

会場はすでに、ザケンナーやウザイナー、コワイナーをはじめとした闇の手勢たちが姿を現し、暴れまわっていた。

「なっ?!なんで、こんなところにザケンナーたちが?!」

「考えるのはあとよ!つぼみ、みんな!変身よ!!」

『は、はい!!』

動揺し、叫ぶつぼみにむかって、ゆりが叫ぶと、みらいたちも一緒にうなずき、変身アイテムを取りだした。

シプレとコロン、そしてモフルンもパートナーが変身することを察して、すぐ近くまで飛んできた。

「「プリキュアの種!いくですぅ/いくぞ!」」

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

「キュアップ・ラパパ!エメラルド!!フェリーチェ・ファンファン!フラワーレ!!」

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

「二人の魔法!キュアマジカル!!」

「あまねく生命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

つぼみたちが変身を終えると、それぞれが戦ってきた敵に向かっていった。

周囲では、すでに変身したオールスターズのメンバーが戦っている最中だった。

だが、すでにいくつもの激しい戦いを乗り越えてきた彼女たちの前では、幹部クラスから生み出される敵など、相手になるはずもなかった。

数秒、とまではいかなくとも、十分もしないで出現したすべての敵が浄化されると、ムーンライトは怪訝な顔つきになった。

それにいち早く気づいたブロッサムはムーンライトに問いかけた。

「どうしたんですか?ムーンライト」

「……おかしいと思わない?これだけの騒動になっているのに、菖……セイバーの姿が見当たらない」

ムーンライトの言葉に、ブロッサムとミラクルたち(魔法使い組)はようやく違和感に気づき、周囲を見まわした。

たしかに、セイバーらしき姿は見当たらない。

「そういえば……」

「そうね」

「セイバーお兄様、いったいどこへ……」

心配になって周囲を見まわすと、ブラックが突然、悲鳴を上げた。

「あっ!あそこにセイバーが!!」

ブラックが指さす方向には、見覚えのあるマントをまとった青年がいた。

そのいでたちは、たしかに、セイバーのものだが、ムーンライトとブロッサムは違和感を覚えた。

それは、オールスターズメンバーのなかでも長い時間をセイバーと過ごしてきた結果なのかもしれない。

だが、その違和感に気づかなかったブロッサムとマジカルを除く、ブラックたちピンクチームは。

「どこ行ってたんですかぁっ?!」

「こっちは大変だったなり~!!」

「でも、怪我とかなさそうでよかった!」

と、無邪気に近づいていったのだった。

だが、そのメンバーのなかで、セイバーの異変に気づいたハートとフローラは。

「……あれ?セイバーのマント、、なんだか違うような?」

「ほんとだ。白じゃなくて黒だ……」

と、疑問符を浮かべ、首を傾げていた。

ふいに、セイバーは、すらり、と腰に差しているエターニアハートを引き抜いた。

それと同時に放たれた殺気に、ムーンライトとサンシャイン、フォーチュンが気づいた。

「「「いけないっ!セイバーから離れて!!」」」

『え?』

《……消えろ、小娘ども!!》

ブラックたちの反応は一瞬遅れてしまい、エターニアハートから放たれた一撃を回避できなかった。

その光景に驚かないプリキュアたちではなかった。

だが、その隙を見逃してくれるような敵ではなかった。

比較的は慣れていたブロッサムとムーンライト、そして魔法使い組の五人を残し、ほぼ一瞬でオールスターズのメンバーが倒されてしまった。

「くっ!」

「いったい、なにが?!」

「セイバー!」

「わたしたちがわからないんですか?!」

「セイバーお兄様!!」

《……さえずるな、小娘ども》

セイバーの口から、セイバーの声ではないしゃがれた男の声が響いてきた。

その声に、ブロッサムは驚愕し、思わず問いかけてしまった。

「あ、あなたはいったい何者ですか?!菖さんを……セイバーをどうしたんですか?!」

《我に名はない……いや、長きにわたる時の中で、忘却の彼方へと追いやられた》

「長きにわたる時の中?……いったい、どういう……」

ムーンライトが菖に憑りついた名もなき存在が口にした言葉を反復すると、ミラクルとマジカルが何かに気づいたように大声を上げた。

「ま、まさかあの壺の中に……」

「封印されていたの?!」

「……どういうことか、説明してくれるかしら?」

ミラクルとマジカルの言葉に、ムーンライトが名もなき存在に視線を向けたまま問いかけた。

ムーンライトの背中から流れ出てくる寒気に、ミラクルもマジカルも下手なごまかしをしないほうがいいと察し、菖にしていた依頼のことを話した。

それを聞いたムーンライトは、呆れた、といわんばかりのため息をついた。

「まったく、なにをやっているのかしらね……セイバー!どうせ聞こえてるんでしょ?!目を覚ましなさい!!そんなわけのわからない奴の好きなようにされていいの?!」

ムーンライトが名もなき存在の中に、まだセイバーがいることを信じ、セイバーに呼びかけた。

それに続き、ブロッサムもセイバーに呼びかけた。

「そうです!わたしたちの大好きなセイバーは、こんなひどいことをする人に負けるわけがありません!!目を覚ましてください!セイバー!!」

ムーンライトとブロッサムが同時に呼びかけるが、名もなき存在がセイバーを解放する様子はなかった。

いや、二人の声は確かにセイバーに届いていたのだろう。二人が呼びかけたと同時に、名もなき存在は顔をしかめ、動きを止めた。

だが、それでもセイバーを解放するには至らないようだった。

名もなき存在は、忌々しそうに顔をゆがめながら、エターニアハートの切っ先をムーンライトとブロッサムに向け、次なる一撃を放とうとしていた。

もはや戦闘は避けられない、そう思い、ムーンライトとブロッサムはタクトを構え、ミラクルたち(魔法使い組)は魔法の杖を構えた。

その瞬間。

「オン、キリキリ、カラカラ、シバリ、ソワカ!」

突然、上空から聞き覚えのない声と不思議な言葉が響いた。

同時に、名もなき存在を縛りつけるかのように、地面からひもが伸びてきた。

《ぐっ?!》

名もなき存在は、セイバーの体ごとそのひもに縛りつけられ、身動きが取れなくなってしまった。

いったい、何が起きているのか。

ムーンライトたちが唖然としていると、背後から足音とさきほど聞こえてきた声が響いてきた。

振り向くと、そこにはハイライトが消えたまなざしをした、けだるげな青年が苛立ちを抑えながら、歩み寄ってきていた。

「ったく、妙な気配を感じたと思ったらお前かよ、春川……つか何あっさり憑依されてんだ、さっさと起きろ(・・・・・・・)、このバカタレ!!」

《なっ?!……き、貴様!まだ抵抗する力が……》

「……さい、さっさと、俺から、出ていけーーーーーーーっ!!」

青年の力強い言葉に応えるように、セイバーが怒号を響かせた。

その瞬間、セイバーの背後に黒い靄のようなものが出現した。

どうやら、それがセイバーに憑りついていた存在の正体のようだ。

「な、なにあれ?!」

「ま、まさか幽霊?!」

「……幽霊かどうかは定かではありませんが……邪な存在であることは変わりありません!!」

ミラクルたちは突然現れた靄に驚愕していると、ムーンライトとブロッサムはタクトに心の花の力を込め始めた。

だが、それよりも早く、青年が動いていた。

「春川、耐えろ!ノウマクサラバ、タタギャテイビャク、サラバボッケイビャク、サラバタ、タラタ、センダマカロシャダ……」

再び青年が不思議な呪文を唱え始めると、セイバーの周辺に炎が燃え上がり、セイバーごと黒い靄を包みこんだ。

あまりに一瞬で生みだされたその光景に、ムーンライトたちだけでなく、倒れていたプリキュアたちも目を丸くしていると、彼女たちの耳に、セイバーと黒い靄の悲鳴が同時に響いてきた。

「あっちちちちちちっ!!」

《なっ?!ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ??!!》

やがて、炎は自然に消えていき、炎の中から無傷のセイバーが姿を見せた。その身体には、まだ地面から伸びていたひもが絡みついていた。

だが、背後にあった黒い靄は完全にその姿を消していた。

謎の青年は目を閉じ、何かの気配を探るかのような素振りを見せると、目当てのものがないことを察し、右手で刀印と呼ばれる手の形を作ると。

「解くる不動の縛り縄、緩まりきたる」

今度は日本語でそんな言葉を紡ぎ、右手で横一文字を空中に描いた。その瞬間、セイバーの体にまとわりついていたひもは消え、セイバーを自由にした。

ひもがほどけたことを確認した青年は、セイバーに視線を向けると。

「貸し一つ」

とはっきりと告げた。

セイバーはそれに対して苦笑を浮かべながら返してきた。

「……はらやの大福で手を打たないか?」

「足りん」

「なら、手作り梅ジャムパイもセット」

「……手製のハーブティーもつけろ」

了解(オーケー)

「商談成立。じゃあな」

短いやりとりを終えると、青年はセイバーに背を向け、立ち去ろうとした。

その瞬間、青年は魔法使い組に視線を向けた。

その視線に気づいた魔法使い組は、何の用事だろうか、とたじろいだ。

だが、青年は特に何か語りかけることはなかった。

その代わり。

「……この程度か。プリキュアというのは……」

聞こえない程度にそうつぶやいたかと思うと、突然、突風が吹きだしてきた。

その突風に巻きあげられた木の葉や土埃の中に紛れ、青年は姿を消してしまったのだった。

その後、菖を交えて、ハロウィンパーティーは再開され、心配をかけたから、という理由で、菖はオールスターズのメンバーにあれこれごちそうさせられたことは言うまでもない。

なお、セイバーを救った青年について、菖は詳しく語ることはなかった。

だが、近いうちに、少なくとも、ハートキャッチ組と魔法使い組はまた会うことになるかもしれない、と何やら予感めいた言葉を返していた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~青年の正体について~
ゆり「……そういえば、菖。あなたを助けたあの人、もしかして明堂学園の生徒なんじゃない?」
菖「あぁ」
つぼみ「そ、そうなんですか?!」
ことは「はぁ~……菖お兄ちゃんとゆりお姉ちゃんの学校にも魔法使いっているんだ~」
えりか「ん~?けど、そんな人、いたっけ??」
いつき「さぁ?中等部には少なくとも、噂でも聞かないよ?」
ゆり「社交性がないどころか、めったに人と話そうとしないから、話題にすら上がらないことも多い人よ……確か、桜森友護、といったかしら?」
菖「あぁ……ちなみに、ゆり。お前とコロンの恩人でもあるからな?」
ゆり、コロン「「え?それって……」」
リコ「……友護、ユーゴ……もしかして、お父様とお姉ちゃんが話していたナシマホウ界の魔法使い?」
みらい「リコ、どうしたの?」
リコ「えっ?!う、ううん!!なんでもないわ!!」
みらい「……??」


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Happy Halloweenで全員集合?!Trick or Treatはキラパティで!!

ちょっとフライングですけど、まぁ、いいでしょう。
というわけで、ハロウィンネタ。
といっても、終わり方が中途半端ですが。
魔法使いでもやったし、もしかしなくても、ア・ラ・モードでもやるのでは……いや、やるだろうな、ほぼ確実に。
まぁ、それはいいや。本編どうぞ。

あ、ちなみに今回は何人か、中の人ネタでコスプレしてもらってます。
とはいえ、オールスターズの人数が多すぎるので、全員出してたら私の気力が持たないので、このお話では、ハートキャッチ組とドキドキ組、それからア・ラ・モード組のみに限定させていただきます(汗
そのうち、スキットとかで出すかもわかりませんが。
なお、元ネタは以下の通り。

つぼみ→『シャーマンキング』コロロ
いつき→『シャイニング・ウィンド』ゼクティ・アイン
ゆり→『新・光神話パルテナの鏡』パルテナ
菖→『東京レイヴンズ』阿刀冬児(第二封印解放状態)
マナ→『灼眼のシャナ』マージョリー・ドー
六花→『剣と魔法と学園もの。3』クラティウス
ありす→『神撃のバハムート』ヴァンピィ

ありすとえりかに関しては見つからなかったので適当に、真琴は……まぁ、人気のネタから、です。


「「「「Trick or Treat!!」」」」

「……これから作ろうとしてたんだけど?」

ある休日の昼下がり。菖は突然、目の前にコロポックルに魔女と猫娘、某大乱闘ゲームに登場する女神の口から、ハロウィンでお決まりの合言葉が飛び出してきたため、思わずため息をついた。

なお、この場に来るはずだったもう一人の魔女は、やらなければならないことがあるために来ることが出来なかった。

ちなみに、コロポックルはつぼみ、魔女はいつき、猫娘はえりかで大乱闘ゲームの女神はゆりである。

そして、菖はというと、浴衣の上に羽織りをかたからかけ、額から角がつき出ている鉢金をつけていた。

閑話休題。

「あら、それはごめんなさい」

「す、すみません。わたしといつきとゆりさんは止めたんですけど、えりかがどうしても聞かなくって……」

「ちょっ?!つぼみ、あたしのせいなわけ??!!」

「あら?事実じゃなくて??」

つぼみが菖に言い訳をしていると、えりかが反論してきたが、ゆりの静かな威圧で沈黙してしまった。

「……ま、いいから入って。お茶くらいは出すから」

菖は呆れ顔でそう告げて、さっさと家の中に入っていった。

突然の招待につぼみたち中学生組は困惑していたが、幼さないころからとくお邪魔していたゆりはさっさと玄関をくぐり、家の中に入っていった。

その姿を見て、つぼみたちも慌てて菖の家に入っていった。

----------------------------------

菖に招かれて、つぼみたちはリビングでお茶をごちそうになっていた。

「「はぁ~……おいしいですぅ/っしゅ……」」

「変わった香りのお茶ですね……紅茶、なんですか?」

「この香り……シナモンティーね。それも生姜とダージリンも混ぜてるみたいね」

菖が淹れた紅茶にほっとしたため息をつきながら、つぼみたちは菖がお菓子を完成させるのを待っていた。

「にしても、わざわざハロウィン用にお菓子を作るなんて……菖さん、もしかしなくても意外に凝り性?」

「けどお菓子を作れる男の人って、すっごく素敵です!」

「……褒めてもお菓子以外は何も出ないよ?」

えりかとつぼみのやりとりにツッコミを入れながら、菖はつぼみたちの目の前にお替りの紅茶が注がれたティーカップと完成品第一号と思われる一口サイズのパイを置いた。

「さてと、というわけでいたずらされるのはごめんだから、お菓子をあげよう」

「わ~いっ!」

「「いただきま~す!!」」

「ふふっ、それじゃいただこうかしら?」

なんだかんだ言って、菖の手作りスイーツが大好きなつぼみたちは満面の笑みを浮かべてパイが乗せられたお皿を手に取り、パイを口に運んだ。

「んっ?!これってパンプキンパイ??」

「うわぁ、優しい甘さだなぁ……」

「かぼちゃ本来の甘さが出るようにしっかり過熱して、砂糖を少し抑えめにしてみたんだけど……どうかな?ゆり、つぼみ」

作ったものはハロウィンにちなんでパンプキンパイだったらしい。

口にしてそのことにすぐに気づいたえりかといつきはほっこりとした笑顔を浮かべていたが、つぼみとゆりは黙ったままだったため、菖は思わず二人に直接問いかけてみた。

「……おいしくて、溶けちゃいそうですぅ」

「……あなたって、ほんとに乙女心を粉砕する天才ね……おいしくてダメ出しできないのが悔しいわ」

「ははは、褒め言葉として受け取っておくよ」

ゆりからの言葉に、菖は苦笑を浮かべつつ、そう返した。

なお、出来立てのパンプキンパイをごちそうしてもらったことをえりかから聞いたももかが、後日、菖にパンプキンパイをせがんだことはいうまでもない。

----------------------------------

それから数時間後。

場所は希望ヶ花市から少し離れて、イチゴ坂。

街はすっかり、ハロウィン一色に染まっていた。

「さすが、スイーツの街だな。すっかりハロウィンで染まってらぁ」

「これにはさすがにびっくりね……」

「はい……」

「なんか楽しそう!!」

「うん!!」

菖とゆりが目を丸くしていると、つぼみは二人に同意し、えりかといつきは町の楽しそうな雰囲気に目を輝かせていた。

すると、いつきと同じく魔女に扮した少女がやってきて。

「Trick or Treat!」

と元気よく声をかけてきた。

『……』

突然のトリック・オア・トリートの掛け声に、全員、思考が停止してしまい、思わず無言の上に無表情でその少女に視線をむけていた。

その視線が徐々に怖くなってきたのか、捨てられた子猫のようにぷるぷると震えはじめた。

それでもなお、お菓子をせがもうとするあたり、いい根性をしていると感心してまう。

「……と、Trick or Trea……」

「「……Happy Halloween, マナ」」

「は、Happy Halloween、マナさん」

「「Happy Halloween!!」」

「Happy Halloween!ありがとう!菖さん、ゆりさん、つぼみちゃん、えりかちゃん、いつき~っ!!」

「こらっ!マナ!!また一人で勝手に……あ、つぼみ、みんな!って、菖さんとゆりさん?!」

魔女に扮していたマナに、菖とゆりがお菓子をあげていると、今度は黒い猫耳をつけたメイド服の少女がぱたぱたと駆けてきた。

「よ、六花」

「あら、六花は猫耳メイドなのね?」

駆け寄ってきた六花に気づいたゆりと菖は黒猫メイドのコスプレをしている六花に声をかけた。

もっとも、六花も二人の存在に気づいたらしく、名前を呼んだが、鬼と女神という恰好に、少し驚いているようだった。

「……どうしたよ?」

「いや、菖さんはともかく、ゆりさんがそんな恰好するとは思わなかったので……」

「そう?わたしは気に入っているのだけれど?」

「俺はともかくってなんだよ、六花」

失礼といえば失礼な発言に、ゆりと菖の反応はそれぞれだった。

ちなみに、ドキドキ組はマナとありすが魔女、亜久里がヴァンパイア、六花が猫耳メイドに扮しているのだそうだ。

ちなみに真琴は、ベルトのバックルや緑色の血がにじんでいる頬の傷を再現した化粧から察するに、どうやら、某特撮ヒーローで最終的に不死の存在となっていしまう主人公に扮しているようだ。

「それよか、早く行こうぜ?いちかたちが待ちくたびれてるだろうし」

「そうね」

『はいっ!』

菖の一言で、ハートキャッチ組にドキドキ組の二人が合流する形で、今回の集合場所であるキラパティへと向かっていった。

----------------------------------

キラパティに到着すると、ハロウィンの装飾が真っ先に目に飛びこんできた。

同時に。

『いらっしゃいませ!キラパティへようこそ!!』

ア・ラ・モード組の面々がキラパティの制服姿で出迎えてきた。

が、唯一、普段と違うのは。

「……なぜに獣耳としっぽ?」

「もしかして、変身した後の姿ということかしら?」

「あぁ、さすがに制服を脱ぐわけにはいかないから、獣耳のカチューシャだけだけでもつけようってことになったんだ」

どこからか犬耳のカチューシャをつけたあきらがやってきて、苦笑を浮かべながら説明してきた。

「よ、あきら。お疲れ様」

「久しぶりね、あきら」

菖とゆりがあきらに挨拶すると、あきらは微笑みを深めて返した。

「いらっしゃい。菖、ゆり。つぼみちゃんたちも。ゆっくりしていってね」

「あら、来たのね?」

普段から、高校生同士ということで付き合いのある菖とゆりだけでなく、つぼみたちにも挨拶を忘れない紳士ぶりを見せたあきらの背後から、猫耳としっぽをつけたゆかりが姿を現した。

「うふふ、いらっしゃい♪お菓子はあるから、いたずらはダメよ?」

「だからって、お前がいたずらしていいって理由にはならないからな?ほれ、Happy Halloween」

ゆかりの行動はすでに読んでいる、と言いたそうにため息をつきながら、菖は差し入れ代わりに作ってきたパンプキンパイをゆかりとあきらに手渡した。

「あ、ありがとう」

「あら、残念♪」

パンプキンパイを受け取ったあきらははにかみながらお礼を言い、ゆかりは口では残念といいつつ、その表情と視線はいつ菖にいたずらを仕掛けようか、虎視眈々と狙っているようだった。

そんなゆかりの視線に気づいたゆりは鋭い視線でゆかりを牽制し、つぼみはまるで、菖さんは渡しません、と言っているかのように菖のうでに抱き着いて、ゆかりを睨みつけていた。

「……あのぉ……つぼみさん?」

「……はっ??!!す、すすすすすすすみません!!」

手作りのフキの葉が顔に当たっていたのか、菖がつぼみに何をしているのか問いかけると、つぼみは我に帰り、顔面が真っ赤になり、慌てて菖から離れていった。

その様子を見ていたオールスターズのメンバーは、顔を真っ赤にしていたり、ニヤニヤと笑みを浮かべていたり、嫉妬のまなざしをむけていたり、と十人十色な反応を見せていた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~みなさん、落ち付いたあと~
菖「……疲れた……」lll )
いちか「……お、お疲れ様です……」(^^;;
ひまり「し、菖さんが燃え尽きてます……」(0ω0;
シエル「Oh……大丈夫なの?菖」(--;
ゆり「しばらくは立ち直れないでしょうね……ところで、シエル。あなたの恰好は他の皆とは少し違うのね?」
シエル「Oui(ウィ)!Japon(ジャポン)のテレビで見た"鬼"という妖怪よ!」
つぼみ「えっと……なんで、水色の髪の毛でメイド服なんでしょうか?」(^ω^;
えりか「アニメキャラだからじゃない?」('―ω―'
いつき「なんか、菖さんとかぶってるね……菖さんもなんで鬼を選んだんだか……」
ゆり「鬼は人間に一番近い妖怪だから、だそうよ?それに彼、お化粧はあんまり好きじゃないし、かぶりものは蒸れるから避けたいっていってたもの」
えりか「コスプレにそんなこだわりを持ってくるとは……菖さん、わかってないっしゅ……」
いつき「えりか、それは言わないのがお約束」(^^;


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スポーツの秋?高校生&小学生組vs中学生組でかくれんぼ、ですかっ??!!Ep.1

秋といえばスポーツの秋って人もいらっしゃるのでは?
ちなみにわたしは読書と食欲と芸術だったりします。
まぁ、遊びはスポーツなりやと思いますが、オールスターズ全員でできることったらこんなもんしか思いつかんかったんで。
今回は三部構成にしようかと。少なくとも、11月中には全話投稿できるように頑張ります。

あ、今回のスキットは日付が日付なので、特別編にさせてもらっています。


それは、めぐみの突然の提案で始まった。

「スポーツの秋っ!ってことで、先輩プリキュアのみんなと菖さんも巻きこんで『大逃走』やろう!!」

『……えっ?!』

当然、その場にいたハピネスチャージ組の面々はその提案に面喰ってしまった。

だが、その提案に乗っからない三人(ひめとゆうことまりあ)ではなかった。

そのため、三人の反応は。

「「「面白そう/ね!!」」」

であった。

さすがに三人ならまだしも、敬愛する姉を相手に止める自信はいおなと、経験上、こうなっためぐみは止まめることができないと知っている誠司にはなく、ため息をついて成り行きに任せることにするのだった。

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それから数日後の三連休の初日。

つぼみたちハートキャッチ組と菖はめぐみからSNSで指定された場所へとやってきた。

むろん、そこにはすでに到着している他のメンバーもいたため、久方ぶりの再会に和気あいあいとしていた。

そんな中で、ゆりは持参した文庫本を開き、読書の秋としゃれこみ、菖は近くにあったベンチに腰かけ、哀愁を漂わせながら空を見上げていた。

そんな菖を心配してか、あきらが声をかけてきた。

「だ、大丈夫?菖くん」

「……あぁ、ひとまずは……」

だが、あきらの声に菖は哀愁を漂わせたまま、返してきた。

いったい、何があったのか。

あきらはそれを聞こうとゆりの方へ視線を向けると、ゆりは文庫本に視線を向けたまま、呆れた、といわんばかりのため息をついて返してきた。

「三連休で遺跡の研究に没頭できると思ったのに、めぐみの突然の呼び出しでこっちに来ざるをえなくなってショック受けてるのよ」

「へ、へぇ……」

その説明だけでなんとなくわかってしまったあきらは、菖のあいかわらずの研究への情熱というか、遺跡バカ具合というかに苦笑を浮かべていた。

とはいえ、いつまでも引きずるほど、菖もお子様ではない。

そっとため息をつくと、気持ちを切り替えたらしく、その表情から哀愁が消え去った。

「……立ち直るのも早いのね」

「どうしようもないことをぐだぐだ考えている暇があったら一歩でも前に進む選択をする。それが菖だから」

「なるほどなぁ……その心意気はわたしたちも見習わないとかな?」

「だからといって、考えなしというのはダメだと思うのだけれど」

そう言いながら、ゆかりの視線はピンクチームの代表である、なぎさ、咲、のぞみ、ラブの四人へとむいていた。

もっとも、彼女たちはゆかりからの視線に気づかなかったようで、今も和気あいあいと花市を続けていた。

そうこうしていると。

「みなさーんっ!そろそろ始めるんで、集合してくださーい!!」

という、メガホンで拡声されためぐみの声が聞こえてきた。

その指示に従って、ゆりとゆかり、あきらの三人は菖と一緒に指定された場所へ集合するのだった。

----------------------------------

SNSの上では、めぐみから簡単な説明がされたが、ここでもう一度、細かいルールの説明を受けることとなった。

ルールは某人気テレビ企画『逃○中』とほぼ同じ、数名のハンター()に対し、制限時間が過ぎるまで逃げ切るという、至ってシンプルなものだった。

なお、企画者がめぐみ(中学生)であり、あくまで、みんなでわいわい楽しみたい、という目的の下で行われる企画であるため、賞金は存在しない。

しないのだが、そこは四葉財閥のご令嬢であるありすの協力により、勝利したチームに四葉が新規オープンを予定しているホテルの記念パーティーへの招待券が授与されることとなっている。

なお、海藤グループのご令嬢であるみなみは、みんなで楽しむのなら、ということで今回の大会の舞台となるホテルの貸切を許可してもらった。

とはいえ、自分のわがままであまりグループに迷惑をかけたくないというみなみの思いから、スタッフは、万が一に備えての救命士と警備員のみだった。

だが、そこで力を発揮したのがアコとひめ、そしてトワの王女としての立ち場だった。

王城のコックを使う、ということはなかったが、コック見習いたちに修行の場を提供するということで、それなりの腕のコック見習いたちに来てもらっていた。

なぜかプリキュアとしてではなく、一個人としての連携もたくましくなってきたのではないか、と諸事情を聞いた菖はそんな感想を抱いたのであった。

閑話休題(まぁ、それはともかく)

めぐみの口から説明されたルールは、次の通りとだった。

 

・制限時間は三時間、時間までに鬼チームが逃走チームを全員捕まえられれば、鬼チームの勝利。逃走チームが一人でも捕まらなければ逃走チームの勝利

・範囲はホテルの建物内部のみ。ただし、関係者以外立ち入り禁止の場所およびキッチンは範囲外とする。なお、窓や入り口から一歩でも出た場合、失格とする

・捕まった人はロビーの待合場所で待機すること。なお、復活権など特殊なルールは切りがなくなるのでなし

・当然ながら、変身、特殊能力(魔法を含める)や不思議アイテムの使用は不可。なお、ワイヤーフックなどの道具の使用も不可とする

 

むろん、危険な場所への立ち入りは禁止であるが、仮に迷ってしまった場合に備え、そういった場所へ近づいてしまった場合、携帯警報器から警告アラームが出るようになっていることが追加された。

なお、携帯警報器は危険な場所への立ち入りを警告するためだけでなく、近くに鬼がいる場合、それを知らせるための役割も果たしているとのことだ。

「それじゃ、ルールも説明し終わったところで!チーム分けを発表しま~すっ!!」

ある程度、詳しくルールを説明し終わっためぐみがみんなが気になっているチーム分けの発表を開始した。

そのチーム分けは次のようになっていた。

 

<逃げる側>

なぎさ、ほのか、ひかり、咲、舞、のぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみ、ラブ、美希、祈里、せつな、つぼみ、えりか、いつき、響、奏、エレン、みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみ、マナ、六花、ありす、真琴、めぐみ、ひめ、ゆうこ、いおな、はるか、みなみ、きらら、トワ、みらい、リコ、ことは、いちか、ひまり、あおい、シエル

 

<追いかける側>

ゆり、菖、アコ、亜久里、誠司、まりあ、ゆかり、あきら

 

見事に、中学生と高校生&小学生で別れていた。

「……あれ?なんで、誠司がこっちなんだ?」

「あぁ、たぶん、体力的な問題じゃないかと」

ここに来て初めてチーム分けについて聞かされたらしい誠司は、頭痛に耐えるように顔をしかめながらそう返してきた。

「……てか、あいつら……」

「企画者なのに参加者に回ってんのね」

「まぁ、めぐみらしいといえばらしいけれども」

「ちゃっかりしていますわね……」

「けど、それじゃあ審判は誰が……」

本来、企画者は審判や大会運営に関係する仕事をしなければならないため、参加はできないはず。

しかし、めぐみもひめも、今回はちゃっかり、追いかける側として参加しているのである。

となると、審判は誰が行うのか。あきらの疑問はそこにあった。

だが、それもすぐに解決されることとなる。

「審判は僕たちがやることになってるんだ」

「そういうわけだ。よろしく頼む」

声がした方へ視線を向けると、そこにはのぞみたち5GoGo組のたまり場であるナッツハウスの主人である(ナッツ)と、のぞみの学校に赴任している臨時講師の小々田(ココ)だった。

「……なるほど、妖精たちに審判を任せるわけだ」

「けれど、よく承諾したわね。あなたたちだって一緒に遊びたいでしょうに」

菖とゆりがそう問いかけると、確かにそうなんだけど、と苦笑しながら小々田は返した。

「あぁ。君たちにはいつも助けてもらっているからね。これくらいはさせてくれ」

「それに、俺たちやシローやくるみはともかく、他の妖精はいつも遊んでいるようなもんだろ。たまにはいい薬だ」

夏は皮肉をこめてそういうが、実際のところ、遊んでばかりいるわけでもない妖精がちらほらいたりする。

もっとも、彼らを抜きにしても、基本的にプリキュアのパートナーである妖精たちは、遊んでいるようなものなので、否定はできないらしい。

そんな様子の妖精たちを傍目に、夏はプリキュア(選手)たちに視線を向けた。

「それでは、作戦会議を含めての準備時間を三十分間だけ設ける。時間が経過したら、(ハンター)チームは端末に出てきた場所へむかってくれ」

以上、解散。

夏のその一言で、その場にいたメンバーはそれぞれのチームに別れ、作戦会議へと入っていった。

はたして、この勝負の行方はどうなるのか。勝利の女神はどちらに微笑むのか。

それを知るのは、神のみであった。




あとがき代わりのスキット(特別編)

~キラっと、映画公開ですっ!!~
いちか「いよいよ!」
シエル「わたしたち、ア・ラ・モード組の……」
ア・ラ・モード組『映画公開ですっ!/だぜっ!/よ/だよ』
つぼみ「舞台は、ファッションとスイーツの都、パリ!」
ゆり「わたしたちも訪れたことがある場所ね」
えりか「いやぁ、まさかかぶるとはねぇ……」
いつき「ははは……」
菖「えりか、それを言っちゃあおしまい(おしめぇ)だぜ?」
えりか「……面目ないっしゅ」
ゆり「それで?斗真は見に行く予定は……」
斗真「……ないな。金も暇も」
全員『……えぇ~……』
菖「まぁ、一人で女児向けの映画見に行くのは、勇気いるもんなぁ……寄席ならともかく」
斗真「それだけじゃなくてな、地元に映画館がない代わりに市民ホールで上映することになるんだが……いつ上映されるのかまったくわからんのさ」
ひまり「それならしかたない、のでしょうか?」
ゆかり「なら、レンタルをするしかないわね」
斗真「そうなるなぁ……まぁ、しばらくは人気すぎて借りれないだろうから、必然的に来年とか、次のプリキュアが出てきた頃ってことになるんだろうけど」
全員『……あぁ……』


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スポーツの秋?高校生&小学生組vs中学生組でかくれんぼ、ですかっ??!!Ep.2

寒いぃ……((( □ lll)))
というわけで、秋というよりも冬に片足突っ込んでる感じですが、スポーツの秋です。
今回は第二話。いよいよ、試合開始(ゲームスタート)なわけですが……まぁ、うん、ひとまず本編をどうぞ。
まったく関係ないですけど、ハピチャとア・ラ・モードの漫画、衝動買いしてしまいました……これをベースに青神フルボッコなハピチャ小説書こうかしら……


めぐみの提案で突然始まったオールスターズ対抗かくれんぼ大会。

現在、菖と誠司を含めたオールスターズは追われる側と鬼側に別れて、作戦会議に入っていた。

入っていたのだが。

「……正直、言っていい?」

「うん」

「どうぞ」

「……作戦の立てようがなくない?」

菖の抱いた感想の通りだった。

身も蓋もないことを言ってしまえば、これは単なるかくれんぼと鬼ごっこをかけあわせたものだ。

隠れている中学生組を見つけ、捕獲する。ただそれだけなのだ。

「けれど、優先順位を決めることはできると思うわ」

「正面切ってやりあうのもばかばかしくなるのもいるからなぁ……」

正面切ってやりあうのもばかばかしくなるのとは、要するに体力お化けな子たちのことだ。

その筆頭と言えるのが、数々の運動部の助っ人をしている響とマナの二人だ。

二人にばかり集中してしまっては、勝てる試合も勝てなくなってしまう。

「ということは、マナは後回し、ということになりますの?」

「そうなると、響も後回しってことになるわね」

「そういうことよ。むしろ、あの二人と……あとはなお、なぎさをいつまでも相手していたら日が暮れてしまうわ」

亜久里とアコの質問にゆりは、よくできました、と微笑みを浮かべて返してきた。

ゆりに褒められたことがうれしいのか、亜久里とアコはそろって顔を真っ赤にして顔を真っ赤にしてうつむいた。

そんな様子の二人を放っておいて、高校生組と誠司とまりあは作戦会議を続けた。

「なら、体力に自信がなさそうな連中から攻めるか?」

「そうね。つぼみなら格好の獲物になると思うわ」

「あぁ……つぼみの体力のなさはすごいからなぁ……」

ゆりの一言に、菖は苦笑を浮かべた。

その後も、ああでもない、こうでもない、とひとまずのところどうすべきか考えていると。

『時間だ。合図があるまで、所定の位置で待機していてくれ』

という、夏の声がアナウンスされた。

それを聞いた菖たちは立ちあがり、指定された部屋へと向かっていった。

----------------------------------

夏のアナウンスで試合開始が告げられてから三十分。追われる側の準備時間として準備された時間が経過した。

それと同時に、ありすから渡された警報器から、『試合開始(Game Start)』の表示が出てきた。

なお、配置は一か所につき一人と決めていたのだが、アコと亜久里に関しては体力的な問題を考慮して、アコは菖と、亜久里はあきらと一緒に組んで行動することになった。

「それじゃあみんな。打ち合わせ通りに」

「「「「えぇ」」」」

「押忍!」

「「はい」」

まりあの号令に、七人がそれぞれ返すと、これもチーム同士の連絡用ということで全員に配布されたインカムをつけ、バラバラに配置についた。

だが、その途中で。

「……こちら、菖」

「亜久里ですわ」

「……ゆかりよ」

「「「のぞみ/ラブ/いちかを確保した/しましたわ/わ」」」

三人同時にそれぞれ一人ずつ確保したという連絡が回ってきた。

どうやら、鬼が行動を開始する時間になっても隠れる場所を見つけられず、移動していたところを確保されたらしい。

その証拠に、インカムから聞こえてくる三人の声は呆れ返って何も言えないというような状態だったそうだ。

とにかく、開幕早々、追われる側が三人、待機送りとなってしまった。

ちなみに、のぞみを確保したのは菖・アコチーム、ラブを確保したのはあきら・亜久里チーム、いちかを確保したのはゆかりである。

「……ねぇ、菖兄さん。思ったこと言ってもいい?」

「奇遇だな、たぶん俺も同じこと思ってるぞ」

開幕早々、のぞみを捕まえた菖とアコは、のぞみを待機所送りにしたあと、配置に戻りながら顔を見合わせ、呆れた、といいたそうなため息をついた。

「「こいつら/この人たちのドジっぷりというか間抜けぶり、どうにかならないのかなぁ/かしら……」」

オールスターズの中でもドジっ子で定評があるのぞみとラブ、みゆき、いちかの四人に関しては、開幕して一番早く捕まえることができるとは思っていた。これが、開幕して十分やに十分してからであれば、まだわかる。

だが、まさか開幕して十分ももたなかったということに、さすがの菖とアコも呆れ返ってしまったようだ。

もっとも、今回ばかりは時の運ということもあるので、あまり深く追及するつもりはないようだが。

「……まぁ、気を取りなおして頑張るか」

「ん」

菖のその一言に、アコはうなずいて返した。

----------------------------------

鬼たちが動き始めてから、一時間が経過した。

菖とアコは担当することになった階の廊下にいた。

その瞬間、警報器からピコンという電子音が聞こえてきた。

「……ここのどこかにいるな」

「みたいね……どうするの?兄さん」

菖の隣にいたアコが、菖を見上げながら問いかけてきた。

ひとまずのところ、アコは菖が出した方針に従うつもりのようだ。

「まずは廊下を適当に歩いて……」

「警報器の音が大きくなった部屋に入って探索?」

「その通り」

「わかった」

菖の提案にうなずき、アコはとてとてと廊下にを歩き始めた。

なぜかその背中が少しはしゃいでいるようにも思えた菖は、柔らかな微笑みを浮かべ、アコの後を追いかけた。

しばらくの間、廊下を適当に歩いていると、警報器から小さく電子音が聞こえてきた。

――この周辺にいるようだな……

菖は注意深く耳を澄まして、音源を探した。

どうやら、アコも気づいたらしく、同じように目を閉じて警報器のアラームの音を探していた。

ふと、菖よりもアコの方が早く、音源に気づき、静かに音源がある(誰か隠れている)と思われる部屋の前まで歩いていった。

そして、ちょいちょい、と菖を手招きするようなしぐさをし、ドアノブに手をかけた。

その様子が招き猫のようだなと思ったことは秘密である。

菖はその招きに応じ、ドアの前へ忍び足で近づき、アコのすぐ隣に立った。

すると、アコは空いている手の指を三本立て、ゆっくりと一本ずつ、折っていった。

立っている指がなくなり、拳を作ると同時に、アコは思いっきり扉を開けた。

菖は部屋の中へ入っていくと、先ほどよりもはっきりとアラームが聞こえてきた。

同時に、ぴゃっ、と間の抜けた悲鳴がベッドの下から聞こえてきた。

「……やよい、びっくりしたのはわかるけど、せめて悲鳴出さないように努力しようとか思わないのか?」

菖はベッドに近づき、苦笑を浮かべながらベッドの下にいるやよいに問いかけた。

そこには菖の予想通り、涙目になったいるやよいがいた。

「だ、だって~~~~っ!!いきなりでびっくりしたんですもんっ!!」

「はいはい。ひとまず、やよい、確保な」

やよいからの苦情を無視するように、菖はやよいの手首をつかみ、ベッドの下から引きずりだすと、やよいの警報器に取り付けられている「確保済み」のボタンを押した。

ボタンを押されたやよいは、菖の指示に素直にそれに従い、ベッドの下から出てきて、まっすぐに待機所へと向かった。

----------------------------------

やよいを確保したあと、菖とアコはほかにも隠れているメンバーがいないか、探索を始めていた。

他の階で動いていた捕獲チームの活躍もあり、すでに三分の一のメンバーが脱落した。

その主な要因が、

肝っ玉が小さい(臆病な)ことに定評がある祈里とひまり、ひめの三人は他の捕獲チームに囚われ、脱落したのだが、もう一人、つぼみがいまだに捕まっていない。

そのことに、アコは、意外、とでも言いたそうな顔をしていたが、菖とゆりは。

「……成長したなぁ、つぼみ」

『そうね……あの臆病で内気なつぼみが、突然のアラームにびっくりしないんだもの……お姉さん、ちょっと感動だわ』

そんな、妹の成長を喜ぶ兄と姉のような会話をデバイス越しで行っているゆりと菖だったが。

『……噂をすれば、ね』

ゆりの口からそんな言葉が聞こえてくると、デバイスの向こうからアラームが聞こえてきたと同時に、ゆりが走り出す音が聞こえた。

「どうした?」

『見つけたわ、階段よ』

菖が気になって問いかけると、ゆりは短くそう返してきた。

その返答の意図を読み解いた菖は、足早に階段の方へと向かっていった。

「兄さん?」

「ゆりが上の方から誰かを追い詰めてるみたいだから、先回りしてはさみ討つぞ」

わけがわからずついてきたアコは、その道中で菖に何があったのか問いかけようとしてきた。

が、菖はまるでアコが何を聞きたいのか予想していたかのように素早く答えた。

そうしている間にも、菖とアコは階段の真ん前に到着し、下りてくるであろうターゲットを待ち構えた。

すると。

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

という悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴が聞こえてきた方向へ視線を向けると、涙目になりながらつぼみが降りてきた。

どうやら、ゆりに追いかけられて必死に逃げているようだ。

それも、自分の体力の限界値などとっくの昔に天元突破させたうえで。

だが。

「きゃっ??!!」

誰かが言っていた。慣れない運動はするものではない。

それをつぼみは体現してしまった。

見事に何もないところでつまづいてしまったのだ。

そして運が悪いことに、その先にあるものは床ではなく、階段の段差。下手をすれば、大怪我では済まない。

さすがに最悪の事態を覚悟したつぼみは目を閉じ、身を縮ませたのだが。

「……??」

いつまでも衝撃がこない。それどころか、なにか温かいものに抱き止められたような感触が体を包んでいることに気づいた。

おそるおそる目を開けると、安堵した顔をしている菖の顔がどアップで飛びこんできた。

「……っ???!!!ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ???!!!あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ、あの??!!こ、ここここここれはいったいどういう状況なのでしょうかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」

「簡潔に言えば、落っこちそうになったつぼみを菖兄さんが抱き止めたってところかしら?」

冷めた視線をつぼみにむけながら、アコが答えた。

抱き止めた、という表現につぼみは自分に視線を向けた。

そこには、菖に横抱きにされている自分の体があった。いわゆる、お姫様抱っこという姿勢である。

そのことに気づくと。

「……きゅ~……」

つぼみは顔を真っ赤にして意識を手放してしまうのだった。

突然、気を失ってしまったことに菖は困惑してしまっていたのだが、アコもゆりも冷めた視線を向けるだけで、なにも助言しなかった。

そんな二人の心中は。

――お姫様抱っこ、うらやましい……

であったことは、ここだけの秘密である。

ちなみにほぼ同じタイミングであきらからひかりを確保したという連絡があった。

なお、この時点で、逃走組の脱落者は八人。残り人数は、三十四人。そして、残り時間は二時間五分であった。




あとがき代わりのその頃の話(スキット風)

~待機組~
ひめ「あ~……あたしたちの大会、終わっちゃったよぉ……」(;ω;
いちか「まぁまぁ」(^^;
のぞみ「う~ん、でもわたし、けっこう早く捕まっちゃったからなぁ……」(´・ω・`
ラブ「わたしも~」
やよい「そうなの?」
いちか「あはははは……実は、開幕早々……」(-□-;
ひめ、やよい、祈里「「「……あぁ……」」」
ひかり「……ところで、なんでつぼみさんは顔が真っ赤なんですか?」
つぼみ「えっ??!!しょ、しょれはでしゅね……はうぅぅぅぅぅぅっ」(///□///
ひめ「……ほぉ?これはなにやらラブロマンスの匂いがしますぞ?!」
のぞみ「えっ?!なになに?!何があったの??」
つぼみ「た、大したことじゃありませんよ?!しょ、菖さんにお姫様抱っこされちゃっただけで……はっ!!」
ひめ、ラブ「「ほほぉ~?」」(・∀・
やよい、のぞみ「「きゃーっ!!」」(///▽///
ひかり「……うらやましいです……」
つぼみ「……はうぅぅぅぅぅぅっ……」


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スポーツの秋?高校生&小学生組vs中学生組でかくれんぼ、ですかっ??!!Ep.3

斗真「さぁ、ついにこの季節がやってまいりました」
菖「……?どしたのさ」
斗真「干し柿、レッツ・ラ・クッキング!!」
菖「……クッキング、なのかなぁ、あれ」

実は住んでるとこの裏手に渋柿が何本がありまして。
大家さんに確認したら干し柿にしちゃって大丈夫とのことでしたので、実のところ、毎年楽しみにしていたりいなかったり。
来年は柿の葉茶でもチャレンジしてみようかな?


~前回までのあらすじ~

めぐみの発案で突如、開催が決定したオールスターズ対抗かくれんぼ大会。

高校生組と小学生組、誠司が鬼側、中学生組が逃げる側となり、貸しきりにしてもらった海藤グループ所有のホテルを会場にして、四葉財閥が新たにオープンすることとなったホテルのオープニングパーティーの招待券を賭けて、熾烈な争いが開幕した。

開幕して十分足らず、のぞみ、ラブ、いちかの三名は隠れる場所に迷い、あえなく脱落。

その後、接近を知らせる警報器のアラームに驚き、ひかり、祈里、やよい、つぼみ、ひめが脱落。

残る人数は三十四人。残り時間はあと、二時間十分となっていた。

----------------------------------

そして現在。

菖はことはと追いかけっこをしていた。

「はーっ!!たっのし~~~~っ!!」

「くっそ!箒も魔法も使ってないのに、このスピードって反則だろ!!」

一応、菖もそれなりの運動能力を持っているが、ことははそのスピードをはるかに上回る速度で廊下を走っているのだ。

もっとも、ことはは元々妖精であるため、人間の常識が通用するとは限らないので、本当に反則をしているのかどうかはわからないのだが。

「……けどま、逃げられてもまったく問題ないんだけど」

「……え?」

菖がニヤリと笑いながらそうつぶやくと、ことはの目の前に突然、シーツが現れた。

「はーっ??!!」

あまりに突然のことになすすべなく、ことははシーツにくるまれそのままこけてしまった。

もぞもぞと、どうにか抜け出ようとすることはの目の前に、アコが歩み寄ってくると、菖の方へ視線を向けて満面の笑みを浮かべながらサムズアップを向けた。

「勝利」

「作戦成功!」

「はーっ……負けちゃったぁ……隠れる場所変えようとしたのがだめだったかな~……」

ま、楽しかったからいいや、と言いながら、もぞもぞとシーツから出てきたことはは、苦笑を浮かべつつ、自分で警報器につけられたボタンを押した。

「あ、自分で押したんだ?」

「うん?だって、わたし、捕まったんだよ??」

だからといって、素直に警報器のボタンを押すとは限らない。そんなことができる潔さを持っているのは、直球勝負が口癖のなおや武道家であるいつきといおな、素直さが自慢の咲やのぞみ、ラブ、みゆき、マナ、そして変に生真面目な亜久里とせつなくらいなものだろう。

もちろん、オールスターズのメンバー全員が狡いわけではないのだが、足掻くくらいのことはするだろう、と菖は予想しているため、ことはのその純真さについ感動の涙を流していた。

「……ことは、お前はその純真な心のまま、まっすぐに育ってくれ……」

「……うん??」

「……兄さん、泣きすぎ……」

その様子に、ことはは疑問符を浮かべながら首をかしげ、アコは冷や汗を伝わせていた。

----------------------------------

その後も、ゆりやゆかり、誠司にまりあ、あきらと亜久里の活躍もあり、れいか、あゆみ、六花、真琴、トワ、シエルが脱落した。

彼女たちは、ことは同様、アラームに気づき、隠れる場所を変えるために移動している最中に捕まってしまったというのだから、運がない。

だが、かと言って場所を変えないでいるというのも問題があるようだ。

実際、あきらと亜久里の目の前には、とあることわざを連想させるような状態で隠れている子がいた。

二人の目の前にあるのは、カーテンの端っこから飛び出ている、コロネのような巻き方をしている髪の毛だった。

「……亜久里ちゃん、こういうことわざ、知ってる?」

「……もしかして、頭隠して尻隠さず、でしょうか?」

「うん。けどこれは……」

「そうですわね……」

あきらと亜久里は顔を見合わせて、同時に今の状態にぴったりな言い回しを口にした。

「「体隠して髪隠さず、だね/ですわ」」

「えっ?!えぇっ??!!ど、どこが出てるの??!!完璧に隠れてるはずなのに??!!」

「見苦しいですわ、みゆき。というわけで、確保ですわ」

みゆきの疑問など知ったことではない、という態度で、亜久里はみゆきの警報器のボタンを押し、腕をつかんでカーテンから引っ張りだした。

むろん、捕まったみゆきは。

「……はっぷっぷ~……」

頬を膨らませ、むくれながら、いつもの口癖をつぶやいていた。

そんな様子のみゆきに、あきらは困ったような顔をしながら苦笑し、亜久里は呆れたといいたそうにため息をついていた。

----------------------------------

一方、誠司はまりあと合流し、他のメンバーを探していた。

だが。

「……見つからないわねぇ」

「そうですね……」

「……ところで、誠司くん」

「はい?」

隣を歩くまりあに問いかけられ、誠司は首を傾げ、立ち止まり、まりあの方へ視線を向けた。

その顔は、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。

「めぐみちゃんと、どこまでいったのかしら?」

「っ??!!い、いいいいいいいいいきなりなにを言ってくるんですか??!!」

「いやぁ、だっていおなの話だと、ここ最近、二人ともいい雰囲気だっていうし?お姉さん、少し気になるなぁ」

いきなりそんなことを聞かれて、誠司は顔を真っ赤にして動揺すると、まりあはにやにやと笑みを浮かべたまま、ぐいぐいと問い詰めてきた。

「ほらほら、話しちゃった方が楽になるんじゃない?」

「だ、だからまだなにも……」

「ふ~ん?まだ、ねぇ……ということはこれからなにかすることも……」

「いやいやいや!というか、まりあさん、近くないですか?!」

誠司はまりあに詰め寄られながら悲鳴を上げた。

壁まで追いこまれた誠司は、どうにか逃げようとしたが、進行方向をまりあの腕によって阻まれ、動くに動けなくなってしまった。

いわゆる、逆壁ドン、というやつである。

いおなが見たら半狂乱しそうな光景だよな、とどこか冷静な部分が残っていた誠司はそんなことを思っていると。

「「まりあさん/お姉ちゃん!だめーーーーーーっ!!」」

廊下の向こうから、めぐみといおなの悲鳴が聞こえてきた。

と思うと、めぐみは誠司に、いおなはまりあに飛びついてきた。

中でもいおながまりあに飛びついた勢いは強く、まりあは壁から手を放し、誠司を解放せざるをえないほどだった。

「誠司!まりあさんに変なこと、されてない?!大丈夫??!!」

「へ、変なことってなんだよ!てか、めぐみも近いって!!」

意中の相手に近距離まで迫られて赤面しない人間はいない。

めぐみの顔がアップで視界に入っていることで、誠司は顔を真っ赤にしていた。

そんな様子を楽しそうに微笑みながら見守りつつ、まりあは迫ってきたいおなに寝技を決め、警報器のスイッチを押した。

スイッチが押されたことに気づいたいおなは、ここまでの一連の流れがまりあの策略だということに気づき。

「め、めぐみ!!逃げて、罠よ!!」

「誠司くん、いまよ!!」

「へ?」

「は、はい!!」

まりあからの突然の合図に、誠司は一瞬、困惑したが、めぐみの警報器のスイッチを押した。

当然、めぐみがそれに気づくことはなく。

「……あ」

スイッチを押されて、ようやく気づいたのだった。

もちろん、油断していた自分が悪いということはわかっているのだが、やり方に納得がいかないめぐみは。

「やり直しを要求します!!」

と若干涙目になりながら反論してきた。

だが、ルールはルールなので、それ以上、強く言えず、結局、おとなしく待機所へ向かうのだった。

----------------------------------

その後も、中学生組とハンター組の攻防は続いた。

が、三人以上ではさみ討ちされたり、時には逃げているところを確保されたり、あるいは自分ではうまく隠れていたつもりだったが、服の一部が出ていたり、うまく隠れられていなかったりしていたために見つかってしまい、あえなく脱落してしまった。

そして、残り時間は一時間。

現在残っているのは、なぎさをはじめとした体育会系チームのみ。

菖やアコが「体力お化け」とからかっているメンバーが相手となる。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~めぐみの場合~
めぐみ「うえ~ん、あんな手にひっかかるなんてぇ……」
ひめ「でもよかったんじゃないの?」
めぐみ「なにが?」
ひめ「誠司と急接近できたし、まりあさんに取られるのを阻止できたし」
めぐみ「そ……それは……」Σ(///□///
いおな「そもそも、あなた、相楽くんとなかなか進展がないって悩んでなかった?」
つぼみ「そ、そのお話!!」
ひかり「詳しく聞かせてください!!」
えりか「もっとえぐりこむように、ぐぐぐいっと!!」
めぐみ「へっ??!!……の、ノーコメント!!ノーコメントでお願いします!!!」

~みゆきの場合~
みゆき「はっぷっぷ~……うまく隠れたと思ったのにぃ……」lll-3-)
やよい「あははは……」
あゆみ「わたしも似たようなものだから、落ち込まないで」(^^;
みゆき「え?あゆみちゃんもなの?」
やよい「どこが隠れ切れてなかったの??」
あゆみ「ブレスレットが窓に映ってたんだって……うかつだったなぁ……」(-▽-;
みゆき「……ちなみに、誰に見つかったの?」
あゆみ「……菖さんとアコちゃん」
やよい「……時々思うけど、菖さんって本当に何者なんだろ?目が良すぎるというか、なんというか」
みゆき「まるで探偵さんみたいだよね~」
あゆみ「……スーツを着て、帽子をかぶるハードボイルド探偵?」
えりか「いやぁ、菖さんは探偵ってより……」
つぼみ「……お人よしの探索者?」
やよい「……SAN値がピンチになりそうでげそ……」


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スポーツの秋?高校生&小学生組vs中学生組でかくれんぼ、ですかっ??!!Ep.4

少し間を開けた投稿になりましたが。
はい、秋はとっくに過ぎて季節はすっかり冬ですが、スポーツの秋です。
えっと、まず先にお詫びを。
剣崎さんの設定、消しました。
ぶっちゃけ、使うとしてもドキドキベースの話になりそうなので、ここじゃ関係ないかなと想いまして。
で、代わりにこっちを投稿することにしました。
これで通算99話。うん、約束は破ってない!!(オイ


<前回までのあらすじ>

めぐみの突然の思いつきで急きょ始まった、かくれんぼ大会。

菖、ゆり、ゆかり、あきらの高校生と、アコ、亜久里の小学生コンビ、そして誠司を含めた捕獲チームは次々と隠れていたつぼみたちを捕獲、脱落させていった。

いよいよ残っているメンバーは体育会系の(体力お化けな)メンバーのみ。

そして、残り時間は一時間にせまろうとしていた。

----------------------------------

残るメンバーは体育会系の体力お化けのみ。

その状況に、まりあは一度、作戦を練る必要があると考え、インカムを通じて作戦会議を行うことを提案した。

もちろん、異論があるものはおらず、菖とアコも立ち止まって通話に参加していた。

『で、作戦についてなんだけど、菖くん、ゆりちゃん。何か策はあるかしら?』

「いや、自分でふっておいてそれですか」

「なんで、わたしたちなんですか?」

『だって、わたし、はるかちゃんたちならともかく、ほかの子についてはほとんど知らないんだもの。このメンバーの中じゃ一番古株の二人なら何か策を思いついてると思ったのよ』

「……なるほど。まぁ、なくはないって感じですかね?な、ゆり?」

『……そうね』

「そうなの?兄さん、姉さん」

菖の一言とそれに同意するするゆりの声に、隣で座っていたアコがそう問いかけた。

残っているメンバーは、なぎさ、咲、りん、響、あかね、なお、マナの七人。いずれも、スポーツ万能を絵に描いたような子たちで、正面から正々堂々捕まえようとしても逃げられるのがオチだ。

しかし、一部を除くが、彼女たちには共通の、そしておそらく、唯一無二の弱点が存在している。

その弱点とは。

「『色気より食い気。とにかく食欲旺盛な腹ぺこちゃんが多い』」

「……ねぇ、兄さん、姉さん。もしかして、思いついた策って……」

「『食べ物で釣る』」

『ですよねぇ……』

菖とゆりの答えに、インカムからため息まじりで全員同じ答えを返してきた。

彼女たちに共通する、唯一無二の弱点。それは、食欲が旺盛であるということだ。

そして、そこが菖たちの勝機となりえる、唯一の突破口でもあった。

唯一の問題は、食堂やキッチンも「Staff Only(関係者以外、立ち入り禁止)」であることなのだが。

菖とまりあ、そしてゆかりには何か策があるらしく、薄ら怖い笑みを浮かべていた。

--------------------------

それから少しして、体育会系(体力お化け)メンバーのなかでも随一の『鉄の胃袋』を持っているなおが、どこからか漂ってくるいい匂いに反応した。

――くんくん……この匂いは、どこから?

まだ競技中であるにも関わらず、なおは匂いにつられるようにして、隠れていた場所からふらふらと不用心に出てきてしまった。

実のところ、なおは今まで菖やゆかり、ゆり、あきら、まりあといった超がつくほど理不尽な高校生たちとの追いかけっこで余計な体力を使ってしまったため、空腹が限界に達し始めていた。

そのため、ほんのわずかに残った理性的な部分が『これは罠だ!』と叫んでいても、生物の三大欲求(食欲)には勝てず、こうしてふらふらと出てきたのだ。

そして、それは他のメンバーも同じだったらしい。

注意して見れば、なぎさや咲、響、そして、生き残っているメンバーの中で唯一のツッコミ役であるはずのりんもとろんとした顔でふらふらと匂いのもとへと向かっていっていた。

さながら、花の甘い香りに誘われる蝶のようだが、その先にあるものが甘い蜜ではなく、食虫植物の消化器官であることはいうまでもない。

そして、案の定、彼女たちが向かう先には。

「「いらっしゃ~い♪」」

「さぁ、観念して捕まっておくれ?」

「うふふ、逃がさないわよ?」

全員集合していた捕獲チームが待ち構えていた。

が、気づいたときにはもう遅かった。

罠であることに気づいて、逃げようと身を翻したなぎさたちだったが、頭上からいきなり白い何かをかぶせられてしまい、うまく身動きがとれなくなってしまった。

その結果、あえなく御用となり、捕獲チームの勝利が確定したのだった。

----------------------------------

その後、捕獲チームの勝利が確定し、賞品であるオープニングパーティーの招待券は捕獲チームに進呈された。

簡単な進呈式を終了させ、お疲れパーティーということで、キッチンに控えていたシェフ見習いたちが腕に寄りをかけて作った料理の数々がホールのテーブルに並べられた。

むろん、公的な場ではないとはいえ、パーティーはパーティー。捕獲チームも逃走チームも全員、パーティードレスに着替えての参加となっていた。

「菖、ここにいたのね」

「うん?ゆりか、どうした?」

「別に。ダンスはないけれど、壁のしみになるよりはましかと思って声をかけただけよ」

「あははは……」

グラスに注がれたノンアルコール・シャンパンを楽しんでいると、ゆりが声をかけてきた。

なお、ゆりが着ているドレスは、ムーンライトのときの衣装を意識しているらしく、薄紫のワンピースタイプのドレスである。胸元には白いリボンが飾られており、肘近くまである白い手袋もあって、どこかのご令嬢のような雰囲気を出していた。

ちなみに、菖は青いジャケットに白のワイシャツ、そして赤い生地に、緑と黄色の糸で唐草文様の刺繍が施されているネクタイを締めている。

さすがに何度目かのパーティー衣装であるため、互いに慣れてきてはいるのだが、やはり普段と違う格好になると今まで見えていなかった魅力というものに惹かれるらしく。

「「……」」

声をかけてきた理由に苦笑を浮かべたあと、菖もゆりも互いに照れくささから言葉を失ってしまっていた。

どう切り出したものかな、とどちらからとなく考え出していると、黒いレースで飾られたドレスを着たなぎさが声をかけてきた。

「菖さん!ゆりさん!!」

「よ、なぎさ」

「お疲れ様」

「菖さんもゆりさんも、お疲れ様です!」

勝負の結果などどこへやらという感じで、なぎさは二人に明るい笑顔を向けてきた。

が、すぐにその顔には疑問符が浮かんできた。

「そういえば、あたしたちを捕まえるとき、どうやって、あのおいしそうな匂いを出したんですか?ルールだと、関係者以外立ち入り禁止の場所に入ることはできないんじゃ?」

なぎさの疑問も最もである。

なぜなら、あの時に漂ってきた香りは、いまこのホールに並んでいる料理のものと同じくなのだ。

が、競技中は「関係者以外、立ち入り禁止(Staff Only)」となっている部屋には入れないことになっている。

それはもちろん、厨房も含まれている。

だというのに、あの匂いをどうやって充満させたのか。

「あぁ、あれな」

「あれはね、厨房の扉を開けて扇風機で厨房の空気を廊下に送ったのよ」

「……え?」

単純といえば単純ではあるが、限りなく成功率が低い作戦であることに、なぎさは目を丸くした。

匂いの発生源から遠くなればなるほど、匂いが薄れていってしまうことくらい、なぎさもわかっている。

だが、あえて、菖たちは匂いを厨房から流してきたのだ。

「……なんで、そんなんで成功するって思ったんですか?」

「「お前/あなたたちの食欲がどれだけ強いかはわかっているからな/ね」」

菖とゆりは声をそろえて、そう返してきた。

なぎさにしても、りんにしても、響にしても、なおにしても、体力お化けな一面が強いのだが、それと同等、いや、それ以上かもしれない一面を持ち合わせている。

それが、食いしん坊キャラ、というものだ。

そして今回の競技では、菖たちから逃げるため、彼女たちは想像以上のカロリーを消費し、かなりの空腹状態にあった。

そのため、わずかな料理の匂いも敏感に捉えることが出来た、というわけだ。

そして、そうなる可能性の方が強いことを菖たちは信じていた。

なにしろ、今回追いかけっこをすることになった彼女たちは。

「「信頼できる仲間、だからな/ね」」

「……そんなところを信頼してほしくない……ていうか、ぶっちゃけ、ありえな~~~~~いっ!!」

普段はうれしく感じる言葉と信頼なのだが、今回ばかりはそれを喜んでいいのか悪いのか。

いや、喜びたくないなぎさは、頭を抱えて絶叫するのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~パーティーの出し物~
ありす「それでは、余興として、皆さんに得意の一発芸を」
マナ「それじゃ、一番手はわたし!!あたしの歌を……」
六花「やめなさい!!」
ゆかり「うふふ♪菖は何をするつもりかしら?」
あきら「あぁ、少し楽しみだね」
まりあ「あらあら♪」
ゆり「菖、期待されているわね、あなた」
菖「勘弁してくれよ……」
ゆり「あら?あんなキラキラした目をした二人を見ても、そんなことが言えるかしら?」
菖「ん?」
アコ、亜久里「「……(ジーッ)……」(・ω・*
菖「……はぁ……しゃあない。なら、とっておきをやってやるか」
ゆり「うふふ、楽しみにしてるわね♪」


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みんなでMerry X'mas!

クリスマスということで、パーティーです
ぶっちゃけ、中の人ネタ突っ込んでます。あと、そこそこ適当です。
……何がうれしくてクリスマスで騒がなならんのさ?
俺、キリシタンじゃないんだけど?つか、日本のクリスマスは異常だってことに気づけよ……


~立神コンツェルン所有、某ホテル~

なぎさ「それじゃ、みんな!」

咲「グラスは持ったなりか?」

のぞみ、うらら「「おーっ!」」

りん「……あんたら、ほんと、ちょっとは大人になりなさい……」

なぎさ「それじゃ……せ~の!!」

全員『Merry X'mas(メリークリスマス)!!』

菖「……はぁ……今年もこの季節かぁ……」

ほのか「あ、あの……菖さん?」

かれん「なんだか、ものすごくたそがれるというか……」

みなみ「疲れているような」

アコ「どうしたの?兄さん??」

亜久里「菖お兄様?!まさか、どこか体の具合が??!!」

いちか「な、なんですとぉ??!!」

ひまり「一大事です!!」

ゆり「そんなに慌てなくても大丈夫よ。毎年のことだから」

あおい「え?そうなんですか??」

ありす「ちょっと興味がありますわ♪」

ゆり「菖の実家は神社の管理人だってことはわかるかしら?」

ハートキャッチ組以外『うんうん』

ゆり「そして、クリスマスイブとクリスマスはいつあるのかしら?」

基本、おバカ組『12月24日と25日!!』

それ以外『……あぁ、なるほど……それはたしかに大変ね/だね/ですね』

基本、おバカ組『へ??』

ゆり「……12月の下旬は、神社も大晦日と新年の準備で大忙しなのよ」

菖「……なんど、ゆりにヘルプをお願いしたことか……」

ゆり「そのたびに甘酒おごってもらったり、菖お手製のお守りもらってるから、ちゃらよ」

菖「いや、そうは言うけど」

ゆり「なら、気にしないでも済むように考えればいいじゃない?」

菖「……あ、あのぉ……ゆりさん??」

つぼみ「……な、なんだかゆりさんの様子がおかしいです!!」

六花「そうよね……なんか、酔っ払ってるみたいというか……」

あおい「んなばかな!飲み物は全部ノンアルコール……」

ひめ「……あ、さっきゆりさんがつまんでたチョコレート」

めぐみ「……もしかして、あれ、チョコレート・ボンボン?」

あきら「え?……な、なんでそんなのが……」

いちか「……って、ゆかりさん?」

ゆかり「うふふ♪」

菖「いたずら好きのチェシャ猫め……」(-皿-メ

アコ「……む~……」#-3-)

響「ん?アコ、どうし……」

アコ「あたしも酔う!!」(グイッ!!

奏「ちょっ??!!」

エレン「姫様っ?!そんなに炭酸を飲んだら!!」

アコ「……」

えりか「こ、今度はちびっ子の様子が……」

いつき「あ、あれ?ふらふらしながら菖さんのところに……」

菖「ん?どうした、アコ??」

アコ「……ジー……ハグッ!!」

菖「いっだぁっ??!!」

つぼみ「か、かみつきました!!」

のぞみ「ど、どうなってんの??!!」

あかね「つ、ついにアコの嫉妬の炎が燃え上がったんか??!!」

りん「いや、なんで嫉妬?!」

響「いやぁ……アコって、炭酸で酔っ払っちゃうみたいで……」

れいか「炭酸で、ですか?」

なお「そりゃまた……」

美希「珍しい体質ね……」

祈里「……というか、いるんだね。炭酸で酔う人……」

菖「あだだだだだだだっ???!!!」

アコ「アグアグアグアグッ!!」

ゆり「どうなのよ?!あたしのどきょがらめらってゆーの?!」

ことは「……はー……」

リコ「なんというか……」

咲「修羅場?」

エレン「音吉さんの本で読んだことがあるわ!!」

りん、あかね「「いや、どんな本??!!」」

菖「どうでもいいけど、助けてくれないかなっ??!!」




あとがき代わりのおまけ(スキット風)

~両手に花?~
菖「あ、あのぉ……」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、ゆり、響、アコ、あゆみ、亜久里、みなみ、トワ、ゆかり、あきら『……』
菖「……みなさん、そろそろ……」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、ゆり、響、アコ、あゆみ、亜久里、みなみ、トワ、ゆかり、あきら『……やだ』
菖「……なんてこった……」
りん「これがいわゆる両手に花……」
あかね「いや、両手どころか周り花ばっかやんけ……」
えりか「菖さん、ほんと罪作りっしゅ……」

~お約束?~
マナ「あたしの歌をき……」
六花、真琴「「やめなさい!!」」
うらら、つぼみ、めぐみ「「「あたしの歌を聞けーーーーーーっ!!」」」
ことは「はーっ!盛り上がってきたーっ!!」
えりか「つぼみ、なんかめっちゃ張り切ってるっしゅ……」
いつき「あはは……箍が外れた感じだね……」


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みんなでレッツ・ラ・一発芸!(カラオケもあるよ!!)

忘年会シーズンということで、リクエストにお答えする形で書きました。
とはいえ、思い浮かばなかったから、半ば、というよりもかなり適当(オイ
あ、ちなみに菖とアコ、それからカラオケ組の数名は中の人ネタですのであしからず。

大晦日までにもう一話投稿できたらいいなぁ……

あ、ちなみに中の人ネタは以下の通り

菖:『TOZ-X』スレイ
アコ:『Fate/』シリーズ エリザベート・バートリー




ありす「それでは、パーティーの余興ということで、ここは一つ、菖さんに一発芸を披露してもらいたいと思います♪」

菖「……異論は?」

ありす「認めません♪」(^^♪

菖「……やっぱりかぁ」

ゆり「菖、諦めなさい。というか、あの子たちを見て拒否することができる?」

菖「あの子たち?」

ゆり「ほら」

アコ、亜久里、レジーナ「「「……(ジーッ)……」」」(’▽’*<ワクワク

菖「……はい、無理です」

あおい「諦めはやっ!!」

あきら「あはは……」

菖「……しゃあない、とっておきをやるかぁ……」

ゆり「うふふ♪楽しみにしてるわよ、菖」

ありす「ちなみに、他の皆さんは披露できる一発芸があればそれを、ない方は一曲歌っていただきます♪もちろん、チーム全員でやっていただいでも、個人でやっていただいでもどちらでも構いません♪」

いちか「なっ、なんですとーーーーっ??!!」

あおい「あ、だったらあたしそっちがいいな~」

真琴、めぐみ、ゆうこ「「「あ、わたしも」」」

菖「まぁ、さすが芸能人ってところか?真琴とあおいは……」

----------------------------

~MH組~

なぎさ「それでは、まずはあたしたちから!」

ほのか「なぎさのたこ焼き早食いとひかりのハイスピードたこ焼き作りです!」

ひかり「がんばります!!」

メップル「それでは~!!」

ミップル「レディ~……」

ポルン、ルルン「「ゴー!ポポ/ルル!!」」

ひかり「はいっ!はいっ!!はいぃっ!!」

なぎさ「(ぱくぱく、もぐもぐ)」

つぼみ「す、すごいスピードです……」"゚д゚)

えりか「てか、口の中、火傷しないの??!!」

ほのか「少し冷ましたものを食べてます♪」

ゆり「……たしかに、たこ焼きが乗ってる船が余計にあるわね」

 

~こまち~

こまち「なら、わたしは落語にしようかしら?」

りん「え?」

うらら「こまちさん、落語なんてできたんですかっ?!」

かれん「……わたしも初耳よ?」

のぞみ「すごいすご~いっ!!」

こまち「うふふ♪小説のネタにしようと思って取材したことがあるの。そのときにね」

菖「……なんというか、それはまたすごいな……」( □ ;

 

~フレッシュ組~

ラブ「それじゃ、わたしたちは!!」

美希「いつも通り、完璧に」

祈里「ダンス披露です!!」

せつな「……ほんとにいつもと変わらないわね……」

 

~スイート組~

響「それじゃ、あたしたちは!」

奏「アコのスペシャルコンサートよ!!」

エレン「バックバンドは当然、わたしたち!!」

アコ「さぁ、わたしの歌声に酔いしれなさい♪」

 

~スマイル組~

あかね「……あかん、このメンツやとあんときの漫才しか思い出せへん……」( _ ;

やよい「あれは……」( _ ;

なお「思いっきり、すべったもんねぇ」( _ ;

みゆき「……ウルトラハップップ~」; 3 )

れいか「……あきらめましょうか」( _ ;

全員『賛成ー』

あゆみ「え?えぇっ??!!」

 

~プリンセス組~

はるか「わたしたちは……」

みなみ「一夜限りのスペシャルユニット!」

きらら「復活、させちゃうよ♪」

トワ「さぁ、存分に楽しんでくださいませ♪」

 

~魔法使い組~

みらい「それじゃ、わたしたちは……」

ことは「三人の魔法のイリュージョン!!」

リコ「とくと、ご覧あれ!!」

三人「「「キュアップ、ラパパ!」」」

 

~菖~

菖「んじゃま、"無限しりとり"いっきま~す」

ゆり「あら、そっちにするのね?」

つぼみ「どういうことですか?」

ゆり「見ていればわかるわ。彼、ちょっとすごいわよ?」

なぎさ「それじゃ……"たこ焼き"からお願いします!」

菖「オケィ……たこ焼き、キラキラル、ルビィ、犬チョコレート、トゥインクル、ルウィーユ・フィルク、クレッシェンド、ドドリー、リンクルステッキ、キラキラルステッキ、キュアパフューム、ムーンライト、トワイライト、トゥインクル・ハミング……」

えりか「こ、ここまでほとんどプリキュア関連のもの(あたしたちのこと)ばっかりっしゅ……」

いつき「す、すごい……」

ゆり「まだまだ、こんなものじゃないわよ?」

菖「グミ」

えりか「あ、逃げた」

菖「ミューズ」

アコ「と思ったら戻った……しかもわたし?!」

菖「図画、画像」

エレン「って、また逃げた」

菖「ウザイナー……なぁ、ところでこれ、いつまで続けりゃいいんだ?」

ゆり「だめよ、まだやめないで」

菖「でもなぁ……」

ゆり「あきらめて、さっさと続きを言いなさい?」

菖「いい加減、ネタなくなってきたんだけど?」

ゆり「どうしたの?しりとり王の名が泣くわよ?」

菖「……よく覚えてんな、そんな昔のこと」

ゆり「当然よ」

つぼみ「よ、よくよく聞いてみたら……ゆりさんとのやりとりまでしりとりになってます」

あゆみ「すごいを通り越して、もうなんて言ったらいいのかわかんないよ……」

菖「ヨクバール、ルビィ・パッショナーレ、レモネード、ドリームコレット……」

りん、あかね「「って、まだ続くの/んかい?!もういい加減にしてぇ/してぇな!!」」




あとがき代わりのおまけの話(スキット風)

~カラオケ組~
つぼみ「荒れ果てた大地に、咲いてしまった花よ……どうして君は、そんなに……♪」
えりか「スペシャル・カラフル!夢、色、とりどり♪」
いつき「導こう、魂たちを……わたしの腕の中で♪」
ゆり「銀色の月が光る、悲しみさえ、包みこんで♪」
真琴「心を込めて、わたしは歌おう♪」
ゆうこ「いただきますとごちそうさま、笑顔が膨らむ合言葉♪」
あおい「突き進め、Oh Year!今を歌おう、All Right!!♪」

咲「み、みんなすごいなり……」
舞「持ち歌がある人って、ほんとうまいわね……」
マナ「んぐ~!!むぐ~~~~~っ!!」
めぐみ「って、なんでマナが簀巻きにされてるの??!!」
六花「こうでもしないと、この子絶対歌うもの」
いおな「あの歌は……もうこりごりよ……」
終了した人『うんうん』


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みんなでHappy New Year!

作者「新年、あけまして」
全員(作者含む)『おめでとうございます!』
作者「旧年中はたくさんのお気に入り登録、評価、本当にありがとうございました」
菖「今年もより一層、皆様に楽しんでいただけるよう、邁進していく所存にございます」
作者「とはいえ、仕事と一次創作も抱えている身の上。どうしてもこちらばかりというわけには参りませんが」
菖「どうぞ、変わらぬごひいきお引き立てのほどを」
作者「隅から隅まで、ずずずいぃっと!」
菖「御願い」
作者、菖「「あげたてまつりまする!!」」


~四葉財閥所有、某ホテル~

ありす「それではみなさま。今年も新しい歳を無事、迎えることができました」

みなみ「本年も、よろしくお願いいたします」

あおい「それでは、乾杯の音頭を春川菖さん、お願いいたします!」

菖「……なぜに俺……えぇっと、ご指名によりまして、僭越ながら乾杯の音頭をとらせていただきます」

えりか「ひゅーひゅー!」

ゆり「……えりか、あとで少しお話(O・HA・NA・SI)、しましょう?」(-ω-メ

えりか「ひぃっ??!!」( □ lll

菖「……えぇ、こうしてみんなで新年を迎えられたことを、とても喜ばしくおもいます。今年も何事も……」

いつき、いちか「……あるんだろうなぁ……」

つぼみ、ひまり「「あるんでしょうねぇ……」」

あきら「あははは……」

ゆかり「うふふ♪」

菖「あるんだろうけれども、平穏に過ごせることを願います!それでは、みなさん、グラスを……新年、おめでとう!乾杯!!」

全員『乾杯!』

----------------------------

なぎさ、咲、のぞみ、ラブ、みゆき、マナ、めぐみ『あけましておめでとう/なり~~っ!』

つぼみ「おめでとうございます!」

みらい「みんなで新年パーティー!めちゃくちゃわくわくもんだ~~~~っ!!」

ことは「は~~~っ!!」

はるか「う~ん……!!すてきすてき!すてきすぎるよ~~~~ぅ!!」

いちか「……むむっ!!きらっとひらめいた!!」

シルフィ「Oui!なら、さっそく」

ひまり「レッツ・ラ・クッキング!です!!」

 

えりか、ひめ「「わっはは~いっ!ハッピーニューイヤー!!」」

美希「あなたたちはもうちょっと落ち着きなさいよ」(^^;

りん「まぁ、はしゃぎたい気持ちはわかるけどねぇ」

舞「こんなときくらいはいいんじゃないかしら?」

あかね「せやせや!せっかくの祝い事(ハレの日)なんやさかい!どんちゃん騒ぎといこうや!」

六花「けど、あんまりはしゃいで羽目を外し過ぎると痛い目を見るわよ?」

リコ「まったく……今から頭が痛いわ……」

くるみ、奏、いおな「「「同感……」」」

祈里、やよい「「あははは……」」

 

エレン、真琴、あおい「「「わたし/あたしたちの歌を聞けーーーーーーっ!!」」」

アコ「……なにあれ」

亜久里「でも、なんだか楽しそうですわ」

ひかり「はい!」

 

みなみ「今年は、どんな年になるのかしらね?」

ほのか「さぁ?未来のことは誰もわからないから」

こまち「けれど、だからこそ面白いと思うわ」

かれん「そうね♪」

ありす「うふふ♪今年も楽しい一年になりますよ、きっと」

 

菖「……あっちはあっちでけっこうな持ち上がりだなぁ」

ゆり「そうね……菖、お疲れ様」

あきら「やぁ、お疲れ様。さっきはなかなかかっこよかったじゃないか」

ゆかり「お疲れ様、かっこよかったわよ」

菖「……来年はあきらに代わってもらおうかな」

あきら「そ、それは……」

ゆかり「うふふ、来年が楽しみね♪」

ゆり「うふふ……それじゃ、改めて」

菖、ゆかり、あきら「「「あぁ/えぇ/うん」」」

高校生組『今年もよろしく』(カツンッ




あとがき(スキット風)

~新年あいさつ(まえがき)終了後~
えりか「ちょっ?!最後の最後で菖さんと作者がおいしいとこ持っていった??!!」
いちか「ず、ずるい!!」
くるみ「これはお仕置きが必要ね……」
ゆかり「うふふ♪」
菖「……作者」
作者「……おぅ」
菖、作者「「逃げるんだよ~~~~っ!!あばよ~、プリキュア~~~~~!!」」
オールスターズ『逃がさない/わ/しません/すかっ!!』

----------------------------

改めてまして、今年もよろしくお願いいたします!
あ、本日は元旦ということで、特別に二話連続で投稿させていただきます!


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時を超えるセイバー~序章:神隠しは突然に~

連続投稿~。
アンケートにお応えして、ちょっとしたファンタジーなお話を。
といっても、枠組みとしてはオールスターズ編に組まさせていただくわけですが。
今回はその序章ということで。
次回以降、のんびり気まぐれにやっていきます。
なお、シリーズとしてはタイトルの通り、「時を超えるセイバー」としておきます。
……セイバーってみると、なぜかFate/の最優のサーヴァントクラスを思い浮かべてしまうあたり、私はFateにはまってしまっているのだろうか……

あ、あとがき代わりのスキットはありませんのでご容赦を。


とある休日の夕方近く。

その日も、菖は遺跡探検をしていた。

希望ヶ花市の近くの山中にある洞窟の中にある遺跡で、昔、それこそ幼少時代にも訪れたことがあるうえに、地形的に何かトラブルの種になるようなものは見当たらなかったため、無事に終わると思っていた。

だが、不可思議なことというものは、いつ、どこで発生するかわかったものではない。

一通りの調査を終わらせ、帰ろうとしていた菖はいま、ブラックホールのような穴に吸いこまれようとしていた。

「くっそ!!冗談じゃないぞ!!なんなんだよ、これは!!」

射出ワイヤーを近くにあった岩に巻きつけ、この現象が収まるまで待機しようと考えた。

緊急避難としては、当然のことなのだが、今回の菖は不運が重なる日だったようだ。

ワイヤーを巻きつけた岩が濡れていて滑りやすくなっていたのか、ワイヤーが外れてしまい。

「なっ??!!」

菖は空中に放り出され、穴の中へ吸いこまれていった。

「ちょ、ま……嘘だろーーーーーーっ??!!」

穴に吸いこまれ、その中へ消えていった菖の絶叫が、洞窟の中に響いた。

だが、その叫びとともに、穴は忽然と消え、後に残ったのは菖が調査資料として持って来ていた書籍と、いくつかの調査道具だけだった。

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人が忽然と消えていなくなる、という怪奇現象がある。

その現象を、日本では「神隠し」、イギリスでは「取り替え子(チェンジリング)」と称し、古来、人はその突然の失踪を、こことは異なる世界に連れていかれた、と考えていた。

その世界へ足を踏み入れた人間がどうなったのか、それは誰も知らない。

いや、戻ってきた人間がいないのだから、知る由もない。

消えてしまった人間がどうなるのか、それはまさに「神のみぞ知る」というところだ。

 

これより語るは、大樹の騎士(ユグドセイバー)が体験した「神隠し」の物語。

不可思議な穴に吸いこまれ、時を超え、幼き日の彼女(仲間)たちに出会う、菖にとってもまた信じられない話である。

そして同時にそれは、菖にとって忘れられない経験でもあった。

もっとも、落ちた先で出会った彼女たち――プリキュアたちは、その時の記憶がほとんど抜け落ちてしまっているため、覚えていないのだが。

それでも、記憶の奥底に、その時に出会った青年のことは刻まれている。

菖と同じ、歴史や伝承が好きで、遺跡についての見識が深く、穏やかな青年と過ごした時間が。

これは、プリキュアたちの過去の物語。

彼女たちの記憶の底に眠る、一人の青年との物語。



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時を超えるセイバー~希望ヶ花市:幼きあの日~

半分適当(汗
なかなか思い浮かばないのはつらい……
タイトルの通り、今回はハートキャッチ組のエピソード……といっても、登場するのは関係が深いゆりだけですが。
口調は現代をベースにしてます。
それから、このシリーズでは、菖は「旅人さん」あるいは「お兄さん」とさせていただきまして、幼い日の菖を「菖」と記載されていただきます(ややこしいなぁ……


自分の記憶の奥底に眠っている、ある一場面がある。

それは、いつだったか、幼馴染のあの子と一緒に近くの山に入り、探検していた時のこと。

急な雷雨で身動きがとれなくなり、二人して洞窟の中で立ち往生してしまっていた。

父や母と一緒に、洞窟の中やもっと薄暗い、古代人の墓に入ったことがあったから、怖くもなんともなかったけれど、幼馴染はそんな経験なんてない、普通の女の子だった。

だから、とても怯えてしまって、手が付けられなかった。

どうしたらいいのかわからなくて、困っていたら、一人のお兄さんが助けてくれた。

そのお兄さんも、父や母と同じで遺跡が好きで、この洞窟に遺跡がないか調べにきたらしい。

――思えば、そのお兄さんは……。

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菖が目を覚ますと、そこは自分が調査をしていた遺跡がある洞窟だった。

周囲を見渡しすが、菖はある違和感に気づいた。

――調査道具を積んだ荷物と照明がない……なんでだ?

幸い、所持金や貴重品の類は、普段からポーチに入れているので心配はない。だが、調査のために持って来た刷毛やブラシなどの道具や照明器具を詰めたリュックだけなくなっていたのだ。

菖はそこに疑問を覚えつつ、菖は洞窟の外へと向かっていった。

すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「うっ……ひっぐっ……」

「あぁ……頼むから泣くなよぉ……」

その声は、幼いながらも、いつもすぐ近くで聞いている少女の声。

幼馴染であり、力になりたいと願った少女。月影ゆりだった。

――なんで……子供の頃のゆりが?てことは、隣にいる男の子は、俺??

菖は目の前に広がっている光景に、ふと、記憶の奥底に眠っていた光景がよみがえってきた。

その記憶が正しければ、この後、洞窟の奥から一人の青年が声をかけてくるはずだ。

だが、もし目の前にある光景が、自分の記憶の奥にあるものと同じものだとしたら。

――もしかして、俺があの時、この洞窟で会った人って……俺、なのか?

ありえない、と菖はその可能性を否定しようとした。

だが、できなかった。

その仮説が正しいことは、自分の記憶が証明しているのだ。

――となると……ここで俺が出ていかなかったら歴史が改ざんされてしまうわけか……

そうなった場合、未来の存在であるはずの自分がどうなるか、そして、自分が帰るべき世界がどうなってしまうのか、わかったものではない。

そのため、歴史改変が起きてしまうような接触の仕方は避けるべき、という結論が出てくるのは当然のことだった。

逆を言えば、ここで未来から来た自分と遭遇しなかった(自分の記憶を再現しない)ことが未来にどのような影響を与えるか、わかったものではない。

となれば、菖が取るべき選択は一つだった。

----------------------------------

菖がなかなか泣き止まないゆりをなだめながら、早く雨が止まないか、せめて、雷が収まらないかと祈っていた。

そんなとき、洞窟の奥の方から男の人の声が聞こえてきた。

「うわぁ、こりゃまた……」

「「……え?」」

「おっと、驚かせちゃったか。ごめんな」

声がした方へ振り向くと、そこには高校生くらいのお兄さんが苦笑を浮かべながら立っていた。

菖はゆりを守るように、そのお兄さんの前に立った。

その様子を見て、お兄さんは苦笑していた。

「別に君たちをどうこうするつもりはないから、安心しなって」

「……信用できない」

「……疑い深いなぁ……」

お兄さんはそう言って座り込んだ。

疑われているというのに、その顔はにこやかで、特に不快な想いを抱いているようには思えなかった。

「……なんでそんな顔ができるんだよ?」

「うん?……まぁ、そうだね。疑われても不思議じゃないし、何より、後ろにいる子を守るためなんだろ?だったら、何も言うことはないさ」

「……っ!!」

どうやら、図星だったらしい。

「まぁ、けどそうだな……さすがにちょっと暇だから、俺がここにいる理由だけでも聞いてかない?そっちの子はともかく、君はたぶん、興味があると思うから」

そう言って、お兄さんは勝手に自分がここにいた理由を話し始めた。

なんでも、このお兄さんは考古学者の卵で、様々な伝承を調べては、こうしてフィールドワークに出かけ、単身で調査をしているのだとか。

実際にそうした活動で見つけた遺跡は数知れず、歴史的価値はなくても、宝探しのようで面白いと話してくれた。

菖はその話に、自然と引きこまれていき、いつの間にかゆりをほったらかしにして、お兄さんと遺跡探検についてあれこれ質問を始めていた。

そんなことをしていると、いつの間にか雨が止んだらしく。

「お、あがったな……それじゃ、そろそろ出ようか」

「「え?」」

なぜ、出ようかと提案してきたのか、わからなかったゆりと菖は同時に首を傾げた。

その様子がおかしかったのか、お兄さんはくすくすと微笑みを浮かべ、理由を答えてくれた。

「だって、君たちだけで行かせるには少し遅いからね。家まで送っていくよ」

どうやら、送っていってくれるらしい。

ほんのちょっと前だったら、そのまま誘拐されるのではないかと疑ったが、遺跡探検が好きな人間に悪い奴はいない、という、他人からしたらわけのわからない指標が菖の中にあったため、疑うことなく送ってもらうことにした。

もっとも、このお兄さんを完全に信用したのは菖だけであり、ゆりはというと、まだほんの少しだけ疑っていた。

そのため、もし何かあったら自分が菖を守らなければ、と少し意気込んでいた。

もっとも、それは杞憂に終わったのだが。

なお、送ってもらったついでに、お兄さんの名前を聞こうとしたのだが。

「俺はただの遺跡好きの旅人だよ。だから、呼ぶなら旅人さんでいいよ」

と言われてしまい、どこかはぐらかされたような気がした。

----------------------------------

その夜。

ゆりは自分の部屋にあるベッドに横になり、天井を見つめながら、今日会った不思議な旅人のことを思い出していた。

なぜか、気になる。旅人さんの遺跡に向ける情熱や口調もそうなのだが、何より、あの笑顔が、いつも見ているような気がしてならないのだ。

だが、誰の笑顔なのか、それがいまいち思い出せない。

――誰の笑顔なのかしら……

彼でもない、あの子でもない、と思考を巡らせるうちに、ゆりの意識はまどろみの中へと落ちていった。

ふと、完全に意識が落ちる前に、ゆりは旅人の笑顔が誰の笑顔に似ているのか、いや、そっくり同じなのか、思い至った。

――あ、そうか……菖の笑顔に似てるのね……

だが、そこから思考を深めることなく、ゆりの意識はまどろみの中へ落ちていった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~翌日~
ゆり「菖、ちょっといい?」
菖「うん?どうした?」
ゆり「昨日会った旅人さん、もしかして菖のお兄さんとかじゃない?」
菖「え?なんでそう思うんだ??」
ゆり「だって、笑った顔があなたにそっくりなんだもの」
菖「そうだった?」
ゆり「えぇ……わたしが一番好きな笑顔だったもの」
菖「ふ~ん……でも、それはないかなぁ、たぶん」
ゆり「……そう」


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A few years after story~ふと思いついたifストーリー~

ここ最近のエピローグを見て、思いついたお話です。
まぁ、題名の通り、完全にifの話なので気にせず読んでいただければと。


某国。

そこに一軒の、まるでおとぎ話に出てくるようなかわいらしいパティスリーがあった。

パティスリーの扉が開き、中からパティシエが出てくると、元気な声で、パティスリー開店を告げた。

「キラパティへようこそ!!」

そのパティシエこそ、かつてイチゴ坂を舞台にみんなの「大好き」を守るために戦った伝説のパティシエ、プリキュアとなった少女の一人。

宇佐美いちかだった。

自分のやりたいことをようやく見つけたいちかは、中学生卒業後、パティシエの資格を取得し、こうしてキラパティを手に、世界各地を旅しながらスイーツを振る舞っていた。

そんなある日。

キラパティの前に、一人の青年が倒れていた。

それを見つけたいちかは、当然。

「ちょっ??!!だ、大丈夫ですか??!!」

困惑しながら、どうしたらいいのかわからず、慌てふためいていた。

が、それも青年の一言ですぐに落ち付いた。

「……腹、減ったぁ……いちか、なんでもいいから、食べさせてくれぇ……」

「は、はい!!……って、なんでわたしの名前……」

いちかは、青年が自分の名前を知っていたことに驚愕した。

だが、そこで終わりではなかった。

いちかは、青年の顔を見た瞬間、さらに驚愕の声を上げた。

「しょ、菖さん~~~~~~~っ????!!!!」

倒れていた青年は、先輩プリキュアであるハートキャッチ組とともに戦った、プリキュアと同等の力を持つ戦士である大樹の騎士(ユグドセイバー)だった。

----------------------------

「いやぁ、助かった助かった。ありがとな」

「それにしても、驚きましたよ。まさか菖さんが行き倒れてるなんて」

いちか特製のカレーを食べ、菖はどうにか生き返ったらしい。

すっかり元気を取り戻した様子で、いちかに礼を言うと、いちかのほうはまだ驚きが覚めないらしい。

「あぁ、このあたりの遺跡調査にね……そういや、ここに」

菖は何かを思い出したかのように、そう口にした瞬間、キラパティの入り口が開いた。

「あ、いらっしゃいませ!」

「いちかちゃん!久しぶり!!」

「あぁ!みらいちゃん!!」

扉の向こうにいたのは、同じく先輩プリキュアである魔法使い、朝日奈みらいだった。

久しぶりの再会に、いちかとみらいは花のような笑みを浮かべ、喜びあった。

その様子に、菖は温かな笑みを浮かべながら。

「噂をすればってやつかな」

とつぶやいていた。

なお、みらいは菖がこの国にいることを知っていたため、再会を喜ぶことはしなかった。

しなかったが、頼れるお兄さんである菖に会えたことはやっぱりうれしいらしく。

「菖さん!昨日振りです!!」

と満面の笑みを浮かべて挨拶していた。

「あぁ、そうだな。どうだ?仕事の方は」

「良くもなく悪くもなく、って感じです。あ、でもでもいろんな面白いもの見られて、すっごくワクワクもんですよ!!」

「そりゃよかった」

みらいの好奇心旺盛ぶりに、菖は安堵したような笑みを浮かべた。

高校を卒業し、戦いから身を引いて数年。

それぞれの道を選び、オールスターズメンバーとは一部を除き、疎遠になりはじめていたため、あの頃から何かしらの変化があるのではないか、と少しばかり不安になっていた。

だが、それはいらぬ心配だったらしい。

その証拠に。

「でね、でね!」

「な、なんですとっ?!」

和気あいあいと、二輪の花の笑顔が咲き誇っているのだから。



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A few years after story~ふと思いついたifストーリー2~

今回はリクエストにお応えして。
さてさて、いよいよ来週はエトワール登場ですな
……そろそろ、HuGっと!組の顔合わせスキット、書かないとなぁ……


その日、菖はイギリスにある遺跡に来ていた。

その遺跡は、すでに調査済みで特に重要な遺構も存在していないため、一般公開されているのだが、なぜか菖は気になって仕方がなかった。

なぜだか、まだ何か調べていない場所がある、と直感が告げていた。

――けど、いったい、どこに……

どこに疑問を覚えたのか、それを気にしながら周囲を見回していると、ふと、一つの石の壁に視線がいった。

どうにも、その壁が気になって仕方がない。

菖は、その好奇心が赴くままに、石壁へと近づいていった。

すると、石壁は何かに反応するように光だし、左右に開けた。

開いた壁の間に出来た道は、まるで菖が知っている後輩たちのように明るい桃色の光を放ちながら、まっすぐ、一つの場所を示すように続いていた。

ひとまず、菖は好奇心が赴くままに、その道を歩いていった。

----------------------------

一本道をどんどん進んでいくと、やがて町の裏路地に出た。

だが、菖はその裏路地にまったく見覚えがなかった。

――ん?こんな場所、あったかな……

困惑しながらも、菖はひとまず、町へ出ることにした。

すると、そこは商店街だったらしく、かなりのにぎわいを見せていた。

そのにぎわいを見て、菖はいま自分がいる場所が、自分の知っている場所ではなく、異世界であることを確信した。

なぜなら。

「……空飛ぶ絨毯に、箒……まるっきり幻想世界(ファンタジー)じゃんよ、ここ……」

加えれば、町を歩く人たちが着ている服はいかにも、魔法使いでござい、と言っているような、ローブに三角帽子というものであった。

そのいでたちに、菖は思わず、三人の後輩を思い出し、懐かしさに目を細めた。

すると。

「もしかして、菖さん?!」

「もしかしなくても菖さんだけど……久しぶりだな、リコ」

声を掛けられ、目を向けると、そこには紫の髪の毛をポニーテールにまとめたスーツの女性が目を丸くしていた。

その女性こそ、菖の後輩の一人、十六夜リコであった。

「お久しぶりです……じゃなくて、どうしてここに?!というか、どうやってここに来たんですか?!」

「いやぁ、それが俺にもさっぱり」

何があったのかを簡単に説明すると、リコも納得できたようで、またか、とため息をついた。

どうやら、ことはが頑張っているおかげで、魔法界(リコが生まれた世界)ナシマホウ界(菖たちの世界)が時折、一本の道でつながることがあるらしい。

だが、その道ができる場所も時間もまだ解明されておらず、ことは自身も調整できないらしい。

そのため、時折、こうして迷いこんでくる人がいるのだという。

もっとも幸いなのは、その道が今のところ、プリキュアだった少女たちと、特殊な才がある人間だけにしか見ることができないというところだろう。

なお、菖がその道を見つけることができたのは、心の大樹の加護が宿っているためと、菖自身に見鬼の才があるためのようだ。

「なるほど……てことは、俺は現在、神隠しにあっているようなもの、と」

「えぇ、まぁ……というか、やけに冷静ですね、菖さん……」

「なんというかねぇ……驚きすぎて逆に落ち付いた感じ?一周回って冷静になったってところかな?」

「あ、あはははは……」

自身が見鬼であることを自覚しているためか、菖は不思議なことに耐性があるらしい。

それを思い出したリコは、苦笑を浮かべるのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~魔法学校でお茶会を~
リコ「そういえば、菖さん、今度はどこの遺跡に行ってたんですか?」
菖「イングランドだよ。あそこには環状列石だけじゃなくて、いろんな遺跡や遺物があるから、何度行っても飽きないね」
リコ「そ、そうですか……ほんと、お父様にそっくり……」
菖「お父様といえば、リコ。この間、リアンさんと一緒に調査したぞ」
リコ「そ、そうですか……何か、言ってました?」
菖「なかなか帰ってこれなくてごめんって。それと、無茶せずに仕事がんばれってさ……よかったじゃないか、応援されて」
リコ「え、えぇ……何も菖さんに伝言お願いしないで、自分の口でいえばいいのに……」
菖「そう言ってやるなよ」(^ω^;


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A few years after story~ふと思いついたifストーリー3:輝く未来、その先に~

なんだか久しぶりの投稿のような気がしますが……
タイトルの通り、Hugっと!の未来編です
いやぁ、はなのことを「はな」と呼ばず「ママ」と呼び続けていたから、なんとなぁく、そうなんじゃないかなぁとは思ってましたけど……(-▽-;

なんというか、設定がはかどるね!(執筆ははかどらないけど!

まぁ、それはどうでもいい
本編へどうぞ

あ、ちなみにちょぉっとだけ、本作のネタバレしてます
え、ネタバレヤダ!って人はブラウザバックしてどうぞ
……まぁ、あんまり影響しないと思うけども


西暦2043年。

 

アカルイアス社のカリスマ社長、野々はなの愛娘、はぐみが生まれてから13年の時が経った。

はぐみは周りの人々に見守られながら、元気に健やかに成長した。

その元気のよさは、まさに13歳のはなそのものであり、家族だけでなく、はなの「友達」のみんなから、あの頃のお母さんと同じ、とよく言われていた。

だが、はぐみは基本的にお母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんもひいおばあちゃんも小鳥おばさんも大好きなので、むしろ喜んでいた。

 

そんなはぐみが、今日も元気に学校へむかっていたその時だった。

ふと、一人のコートを着た男の人とすれ違った。

はぐみはそのコートと見覚えのある髪の色に引かれ。

 

「……あれ?もしかして、菖おじさん?」

「……おじっ?!……って、なんだ、はぐみか。久しぶりだな」

 

思わず、声をかけてしまった。

するとすれ違った人物は、はぐみの「おじさん」という一言にショックを受けたような反応を示したあと、気を取り直したのか、振り返り、はぐみの顔を見ると破顔した。

おじさん、とは言われ、普段ならばかなり長い時間、不機嫌になっているところだったが、まさに姪のような存在にそれもあっさりと許していた。

 

「おじさん、これから仕事?」

「あぁ。これから、特別講師をすることになっててな」

 

ちなみに、菖は大学を卒業してからは大学院へと進み、そのまま大学教授として研究棟と講義の毎日を過ごしているが、時折、こうしてプリキュアが住んでいた町に特別講師として招かれることがある。

 

なお、余談であるが、菖は幻影帝国討伐に協力した時の功績が認められ、ブルースカイ王国の名誉貴族としての称号と身分を得ており、高校生の頃に好意を寄せられていたプリキュアたち全員を生涯のパートナーとして迎え入れたのだが、それはまた別の話。

 

「あれ?おじさんがここにいるってことは、もしかして今日の歴史の授業って!!」

「ん?あぁ、そういやラヴェニール学園の中等部で歴史の特別講師の依頼があったな」

 

なお、菖はフィールドワーク中心の講師であるため、フットワークが軽く、両親と同様、世界各国の大学や時には高校や中学で教鞭を取ることが多い。

なお、高校や中学での特別講師に関しては、卒業生である大物作家や演奏家、俳優、アイドル、有名医師、あるいは総理大臣の強い意向があった、ということがないわけではないのだが。

 

閑話休題(それはともかく)

 

「やっぱりそうなんだ!もしかしたら、おじさんの講義、受けられるのかな?!」

「んなの知ったこっちゃないよ……つか、早くしないと、本格的に遅刻するぞ?はぐみ」

「へ?……めちょっく!!おじさん、あとでね!!」

 

母親譲りの口癖を口にしたその一瞬後、はぐみは全速力でラヴェニール学園へと向かっていった。

 

----------------------------

 

「というわけで、今日一日、特別講師として呼ばれました。春川菖です。よろしく!」

 

三十路を迎えたとはいえ、端正な顔つきは健在であり、そのさわやかな笑みに、教室の女子達は黄色い悲鳴を上げた。

だが、その笑みに唯一なびかなかった生徒が。

 

「みんな!先生がイケメンなのはわかったけど、静かにしないと、先生困ってるよ!」

 

と、教室全体に響くような元気な声をあげた。

その声の主がはぐみであることに気づいた菖は、申し訳なさそうに微笑んでいた。

だが、その微笑みは一瞬で消え、まるでスイッチを入れ替えたかのように真剣な表情へと変わると、菖の特別授業が始まった。

 

菖の授業は時代区分こそ、現在、ラヴェニール学園の教師に教えてもらっている範囲だったが、学校の先生よりもわかりやすく、当時のエピソードや小話を交えての話し方に惹かれ、自然と集中できるものだった。

そうこうしていると、授業でやる予定だった内容全てが終わり。

 

「さて、みんなが勉強熱心だからか、俺が用意した資料が尽きてしまったな。少し早いが、授業は終わりにして、ちょっとだけ、聞いてほしい話がある」

 

授業そのものは終わった。だが、まだ授業時間が残っているためか、菖は授業とはあまり関係のない話をしようとしているらしい。

自習にならなかったことを残念がる声がちらほらしたが、それでもこの先生の個人的な話に興味があるらしく、ざわめきは収まった。

教室のざわめきが収まると、菖は教室を見回し、口を開いた。

 

「みんなは勉強熱心な子たちが多いから、あんまり心配はしてない。けど、いつかはこう思う日が来るはずだ。『なぜ、過去を学ぶ必要がのか』って」

 

それは、菖がこうして特別講師としての仕事を受けるとき、必ず最初にいうことだった。

だが、これは生徒たちだけに向けた言葉ではない。

いつの間にか、学校関係者の名札を下げて教室の後ろで見学をしていた四人の女性と、一人の少女にも向けている言葉だった。

 

「たしかに、生きていくうえで必要なのは今を考えることと未来を見る目だ。過去を振り返っても、無意味かもしれない。けれど、忘れないでほしい」

 

それは、菖が考古学の師として敬愛する一人の男が、その師から受け継いだ言葉。

たとえ、学校という場所がなくとも、机といすが、何かを教えてくれる先生がいなくとも、忘れないでほしいという願いから生まれた言葉。

 

「歴史を学ぶことは、過去を振り返ることじゃない。過去を学び、未来を、今の人類を乗り越えて進化するための力を身につけること。だからこそ、『学ぶ』ということを忘れないでほしい!これは、俺が、おそらく生涯、一番お世話になった先生の恩師の言葉だが……」

 

向上心を忘れ、学ぶことを放棄すれば、それは敵国の思うつぼ。だからこそ学び、殺し合い、憎しみあう、愚かしい人間の性を乗り越え、新たな文明を築くべきである。

その言葉に、プロフェッサー・キートンはこう続けた。

 

殺し合い、憎しみあうことが人間の性ならば、それを乗り越えることが、人間の使命といえるのではないか。

 

菖自身、愛する妻たちを守るために隣で戦い続けた。

だが、生来の優しさからか、それとも、両親の学友であるキートン氏の言葉からか、憎しみあうことを乗り越え、戦わず、血を流さずにすむ方法を見つけたいと、思うようになっていた。

そのヒントを求め、好奇心からではなく、使命を果たすため、考古学を本格的に学ぶようになたのだが、それはいまはどうでもいい。

 

だが、これからさらに国際化が進み、違う価値観、思想、生活文化や風習がぶつかり合い、問題となることが目に見えているこの世の中で、大量の血が流されることを回避する方法を見出すためにも、目の前にいる、輝く未来が待っている生徒たちにこそ、学んでほしいと切に願っているのだ。

 

「これは、俺の個人的な後輩のお子さんにも向ける言葉だが……これから先、君たちの前にはいろんな問題が立ちふさがるだろう。けれど、どうか、愚かな行為に至らないでほしい。そのためにも学び、憎しみあい、傷つけあう、人間の性を乗り越える、その使命を忘れないでほしい……以上をもって、俺の特別授業を終わりにしたい」

 

そう語った瞬間、授業終了を告げる鐘が鳴り響いた。

それと同時に、生徒たちだけでなく、教室の後ろに並んでいた保護者四人と見学者の少女、そして、母親と彼女の二人の親友から愛され、見守られてきたはぐみは、盛大な拍手を菖に送っていた。




あとがき代わりのその後の話

~いつのまにかプチ同窓会~
ルールー、はぐみ以外『菖さん!ご無沙汰しております/しているのです!』
菖「おぅ!みんな、久ぶり。元気に……なんて、無粋な問いかけだな」
えみる「はい!」
はな「もっちろん!今日もめちゃはぐ元気ですよ!!」(>▽<
はぐみ「だからって、いきなり娘の授業参観に来ないでほしいよ……すっごく緊張した」(-□-;
はな「めちょっく!はぐみがいつの間にか反抗期に……」( □ lll
ほまれ「いやいや」
さあや「ちょっと違うんじゃないかなぁ?」
菖「……なんというか、変わらないな、お前ら」


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A few years after story~ふと思いついたifストーリー4:事実上のファーストコンタクト~

実のところ、スター☆トゥインクルの最終回を見た時点で思いついてたんですが、なかなか進まなかったです(白目

まぁ、最後の方はわりと適当な終わらせ方になってますが、そこは気にしないでほしいです
なお、菖とラバーズは結婚したあと、という設定になってますのでご了承を


西暦2035年某日。

その日は、日本初の国産ロケットの搭乗員たちが帰ってくる日だった。

帰還する搭乗員たちを出迎えるため、家族や友人たちがその場所に集まっていた。

その中には、菖とゆり、ふたば、小百合の姿があった。

 

「姉さん、そろそろでしょうか?」

「まだもうちょっとかかるんじゃないかな?」

 

ふたばと小百合は搭乗員、というよりも大好きな姉と義姉の登場を、今か今かと目を輝かせながら待っていた。

その様子を微笑みながらながめ、ゆりはふと思い出したように菖に問いかけた。

 

「そういえば、今回のフライト、ひかるも一緒だったわよね?」

「あぁ。ララとユニに会いに行くんだ~ってつぼみと一緒に宇宙飛行士を目指して猛勉強して、まどかの計らいで同じチームに配属されることになったらしい」

 

菖はゆりの質問に、じゃれついてきているふたばと小百合の頭をなでながら返した。

どうやら、つぼみが宇宙空間でも開花する植物の研究開発を行っていることを知ったまどかが、今回のロケット打ち上げのメンバーに選んだようだ。

むろん、ひかると一緒に宇宙へ行けることに一番驚いていたのはつぼみ本人だったことは言うまでもない。

だが、改善してきたとはいえ、人見知りの激しいつぼみにとって、同じプリキュアであるひかるがいてくれることは非常に心強いことだったらしく、打ち上げ当日まで楽しみで仕方がない、という顔をしていた。

 

「ふふふ、ちょっとしたサプライズですよ」

「噂をすれば。久しぶりだな、まどか」

「お久しぶりね、まどか」

 

そんなことを話していると、突然、背後からスーツを着た長髪の美女が近づいてきた。

彼女こそ、宇宙開発特別調査局の若き女局員、香久矢まどかである。

今回の国産有人ロケット打ち上げのプロジェクトリーダーでもある。

 

「えぇ、お久しぶりです。お二人とも。えれなも来ているのですが、通訳の仕事があるので、今はあそこの施設にいますよ」

「なら、終わったころに顔を出してみるか」

「そうね。つぼみとひかるも一緒に」

 

ちょっとしたサプライズのつもりなのだろう。

ゆりがいたずら小僧のような笑みを浮かべながらそう提案すると、菖もまどかも笑みを浮かべて同意した。

すると、傍らにいたふたばが突然、空を指出しながら大声をあげた。

 

「あ!見てください!!」

「あの光……もしかして、あれかしらね?」

「え?でも、なんで光が二つも??」

 

ふたばの指摘で顔をあげると、そこには赤い光が二つ、こちらに降りてきていた。

だが、本来ならば一つだけであるはずのその赤い光が二つあることに、小百合が不安そうな顔でそうつぶやいた。

そのつぶやきに、菖もゆりもまどかも、たしかに、と首をかしげていた。

 

ロケットに限らず、宇宙空間から地球に飛来してくる物体は、地球の大気と摩擦を生じることになる。

その摩擦によって生まれた摩擦熱で物体は溶けてしまい、よほどの質量、あるいは耐熱性がなければ地表に届くことなく、空中で消えてしまう。

 

いま彼らの上空にある赤い光は、ロケットが摩擦熱で真っ赤になっているために発生しているものだということは想像に難くなかった。

だが、問題はその数だった。

 

打ち上げられたロケットは一台のみ。

本来なら、その光も一つだけのはずなのだが、なぜか二つあった。

それも、ぱっと見ただけではわからないが、目視で確認する限り、同じ高度、同じ速度で降りてきているようだ。

 

「……まさか、セミみたいな宇宙人とかケロンな宇宙人に鹵獲された、なんてことないよな?」

「なんでそうなるのよ?」

「まぁ、冗談はさておいて……ロケットが空中で大破した、って様子じゃなさそうだな?」

「えぇ……念のため、皆さん、避難……」

 

してください、と言いかけたその時だった。

まどかが耳につけていたインカムに、突如、通信が入ってきた。

その通信に応答すると、まどかの目は見開き、徐々に潤み始めた。

どうにか泣くことをこらえながら、まどかはなんどもうなずいていた。

 

「わかりました。では、のちほど」

 

そう言って通信を切ったまどかは、菖たちの方へ向き直り、衝撃の告白をしてきた。

 

「菖さん、ゆりさん。ララが、ララとユニが!!」

「……え?まさか、あの光は」

「そういうことかもしれないわね……ふふ、これはとんだサプライズね」

「はい!」

 

まどかが泣きだしそうになっていた理由。

それは、十数年前に別れた、遠い星に住んでいる友人、サマーン星のララとレインボー星のユニが、ひかるたちが搭乗しているロケットと一緒に地球を目指しており、間もなく、着陸予定であるという連絡が入ったからだった。

 

----------

 

それから数十分後。

ロケットは無事に地球に着陸し、搭乗員たちが次々に降りてきた。

その隣には、まどかとひかる、そして今も施設で通訳を行っているえれなにとって、懐かしい形をしたロケットがあった。

 

突然、地球に着地したロケットに、見物客たちは好奇の視線を向けたり、不安そうな表情を浮かべたりと、様々な反応を示していた。

だが、帰還したつぼみとともに施設に入っていった菖たちは、同じく帰還したひかると、今回のプロジェクトのチームリーダーであるまどか、そして休憩にはいったえれなとともに、久方ぶりに地球にやってきた遠い星の友人たちとの再会をよろこんでいた。

 

「久しぶりだな、ララ、ユニ」

「久しぶりルン!!菖、ゆり!!」

「ふふ、ララもユニも相変わらずのようね」

「そう簡単に変わるものじゃないニャン」

 

呆れた、と言いたそうな顔でユニがそう返してきた。

その返答に菖たちは、たしかに、と苦笑を浮かべていた。

なお、フワとプルンスは現在、小百合とふたばに確保され、モフモフされたりなで回されたりしていた。

 

一応、菖たちは結婚する際、家族にだけは自分たちがプリキュアとユグドセイバーであることを話していたため、フワとプルンスのことはすんなりと受け入れられているようだ。

もっとも、この二人に関しては、幼少期からシプレたちにおもちゃ代わりの遊び相手、もとい、面倒を見てもらっていたこともあるのだろうが。

 

ちなみに、言葉が通じ合っているのは、ララとユニが地球の言葉を勉強し続けていたということもあるが、フワの力が戻ってきたからということもあるのではないか、というのがプルンスの見解だった。

本当のところはどうなのかはわからないようだが。

 

そんなことも忘れて、少しの間、談笑を交わした六人だったが、まどかが不意にララとユニの二人に真剣な表情で話を持ち出してきた。

その表情に、ララとユニもその表情を真剣なものへと変えた。

 

「ララ、ユニ。わたしは現在、日本にある宇宙開発特別調査局に所属しています」

「もしかしなくても、異星人のわたしたちのことを検査するのかしら?」

「えぇ。とはいえ、お二人は十年前に地球に滞在していたので、さほど時間はかかりません」

 

さらに、首相となった父に相談し、正式に二人を宇宙開発特別調査局の対異星人の外交顧問として迎え入れたいと話した。

まどかの申し出に、ララとユニは二つ返事でうなずき、細かな調整を行うため、まどかとともに別室へと向かった。

 

「それじゃ、あたしもそろそろ仕事が始まるから」

「えぇ、お疲れ様」

「あぁ。Adios amigo」

「ふふ、Adios amigo」

 

スペイン語で「またね」と挨拶を交わし、えれなは再び通訳者が使用する部屋へと戻っていった。

残ったひかるは、このまま菖たちと一緒に食事に行こうとしていたのだが、つぼみにつかまってしまった。

 

「ひかるさん、一緒に食事に行きたいのはわたしも一緒ですが、まだ報告と健診が残ってます」

「え……えぇ……」

「ほら、行きますよ?菖さん、ゆりさん。もう少しかかりますから、待っててもらってもいいでしょうか?」

「あぁ、大丈夫だ」

「えぇ。フワとプルンスのこともあるしね」

 

菖とゆりがつぼみのお願いにそう返すと、つぼみはお礼を言って、ひかるとともにロケット搭乗員たちが待っている部屋へと向かっていった。

 

「……しかし、これが事実上、地球人と異星人のファーストコンタクトになるのか」

「そうね……うまくいくといいのだけれど」

「まぁ、行かなかったら行かなかったで……プリキュアが立ち上がるだけだろ」

 

あるいは、次期首相としてもっとも人気が高い後輩か、世界経済を動かすことができるほどの力を持っている財閥の会長を務める後輩が動くことになるだろう。

そうならないことを祈りつつ、菖とゆりはつぼみたちが戻ってくるまでまつこととなった。




~おまけ~

~その頃のフワとプルンス~
フワ「ふわ~!くすぐったいふわ~!!」(>▽<
プルンス「ぬわ~!!そ、そこは触らないでほしいでプルンス~~~っ!!」( □ ;
小百合「フワ、もふもふで気持ちい~!」
ふたば「おぁ……このすべすべ感、たまりません!!」

菖、ゆり「「二人とも、ほどほどにな/ね?」」( ▽ ;

~そういえば……~
菖「あ、言い忘れてた」
ゆり「え?……あぁ、そうね」
つぼみ「……?」
菖、ゆり「「おかえりなさい、つぼみ」」
つぼみ「は、はい!春川つぼみ、ただいま戻りました!!」

ララ「オヨ?つぼみの名字って花咲だったはず……」
ユニ「もしかして」
ひかる「うん!二年くらい前に菖さんと結婚したよ!!ゆりさんや舞ちゃん、ひかりちゃん、いおなちゃんも一緒に」
ララ「オヨ~……あ、そういえば多重婚容認法なんてのがあったルン」
ユニ「へ~……あぁ、そういえば同性愛者の結婚も認められてるんだっけ?」
えれな「うん」
まどか「地球も変わり始めている、ということですね」


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10 years after story~ふと思いついた未来の話~

正確には10年じゃなくて、9年ですが……まぁ、いいですよね
てわけで、Go!プリの10年後話です
ていっても、はるかとトワ、カナタとアロマの四人(三人と一匹?)がメインなので、菖さんやほかの子は出てきませんが
あと、子ども向けアニメだったら絶対に言及しないようなことに触れてますが、そこはご容赦を

では本編どうぞ


 希望に満ちた王国、ホープキングダム。

 かつては絶望の魔女を名乗るディスピアによって、王族のみならず民草も絶望の檻に閉じ込められ、滅亡の危機に瀕していた。

 だが、過去にディスピアを封じた『伝説のプリンセス』たちの力を受け継ぎ、プリキュアとなった四人の少女たちによって救われ、今はディスピアの影響を残しながらも平和で穏やかな日々が流れている。

 その王国で、一つの喜ばしいニュースが流れた。

 ホープキングダムの王族であり王太子プリンス・ホープ・グランド・カナタが、ディスピアからホープキングダムを救ったプリキュアの一人、キュアフローラと婚約したというのだ。

 むろん、ホープキングダムと縁戚を結び、あわよくばホープキングダムないしは自国での地位向上を目論んでいた貴族たちからは反発の声もあった。

 だが。

 

『我が国が、そして民がディスピアの災いにより動くことができなかったとき、王太子カナタを支援してくれた国があったか? ホープキングダムを支援しようと動いていた国があったか? 何もせず、静観を決め込んだ貴国らの貴族たちよりも、我が国ばかりか世界を絶望の森から守ったグランプリンセスはるかこそ、我が国の未来の王妃として迎えるにふさわしい』

 

 一歩間違えれば侮辱としてとられかねないが、嘘偽りない事実をホープキングダム国王が唱えたことにより、その反発の声は収まった。

 なおも反対しようとする勢力がなかったわけではないが、パルミエ王国やメイジャーランド、メルヘンランド、トランプ王国、ブルースカイ王国、ハルモニア、パンプキン王国にクッキングダムと。プリンセスではないがはるかたちと同じくプリキュアとして戦った少女たちや、彼女たちとともに戦う光の戦士によって救われた国家が背後(バック)についている。

 さらに、噂ではプリキュアたちの中にはとてつもない財力を有している家の生まれのものも多数いるという。

 仮に、はるかに何かをしようものなら、その背後にある事実を調べ上げられたうえ、政治経済、世論など、あらゆる方向からの攻撃を受けることは必至。

 はるかの友人たちからの攻撃だけならばまだしも、さらには外交問題も発生する。

 そうなってしまえば、責任追及は免れない。

 ならば、はるかとカナタの婚姻を認めるほかないと、反対勢力に属しているほとんどの貴族が自身の利益と安全を天秤にかけた結果、沈黙することを選んだようだ。

 

「まったく、助けることもしないで文句ばかり言ってきて、本当に調子のいいことだロマ」

「そういってあげるな、アロマ。彼らとて、自分の国の民を護ることで手いっぱいだったのだろう。それに、陛下の言葉が事実であったからこそ、あれ以来、僕とはるかとのことで文句を言ってくる貴族は減ったんだ。それなら、僕らがこれ以上、目くじらを立てても仕方がないさ」

 

 ディスピアの侵攻がホープキングダムを飲み込むだけにとどまった理由は、ディスピアを封じる鍵であるプリンセスキーを破壊するため、はるかたちのいる世界を侵攻することに注力していたためだ。

 だが、仮にそれがなければ、ディスピアはホープキングダム周辺国の侵攻にも着手していた可能性がある。

 その対策に手いっぱいで、カナタを支援することができなかった。

 それを理解していたカナタが、専属の執事として正式に配属されたアロマに告げる。

 

「それはそうですがロマ……」

「それよりも、早く今日の仕事を終わらせよう。トワがいてくれているとはいえ、慣れない環境ではるかが不安になっているかもしれないからね」

 

 まだ何かを言いたそうなアロマをなだめ、カナタは一日の職務を終わらせようと声をかける。

 本音のところは、ホープキングダムへ帰還することになってからの十年。はるかがどのように過ごしていたのかを知りたい。離れていた間の時間を、少しでも埋めたいというところだろう。

 アロマもそれをわかっているため、それ以上は何も言わず、カナタとともに王城へと戻っていった。

 

 

 

 

 カナタとアロマが王城へ戻っていたちょうどそのころ。

 王城の一室では、はるかとトワが机に並べられた資料とにらめっこを繰り広げていた。

 

「う~ん、と。この人があの国の王族で、この人が……」

「あら? お義姉(ねえ)さま、こちらをごらんください」

「え?……って、トワちゃん。やっぱりその呼び方なの?」

 

 カナタと婚約する以前から、トワははるかを『お義姉さま』と呼んでからかう節があった。

 だが、婚約してからというもの、彼女が自分を『お義姉さま』と呼ぶ回数が増えているような気がしているようだ。

 はるかにとって、たしかにトワは義理の妹ということになる。だが、はるかにとってトワは同じグランプリンセスを目指し、ともにディスダークの脅威を退けたプリンセスプリキュアの仲間であり、同級生なのである。

 いつまでも『お義姉さま』と呼ばれることに、むずがゆさと寂しさを感じるらしい。

 

 閑話休題(それはともかく)

 

 トワが指摘した参列予定者の一覧を見て、はるかの目はキラキラと輝きだす。

 そこには、自分たちより以前から世界を闇の勢力から守るために奮闘した、心強い先輩プリキュアたちの名前が連なっていたのだ。

 

「もしかして、なぎささんたちだけじゃなくて、いちかちゃんたちも来てくれるの?!」

「そのようですわね。それにご覧ください。菖さんも奥様方と一緒にいらっしゃるようですよ?」

 

 菖さんの奥様方、というのは、第一正妻であるゆりを筆頭にした五人のプリキュアたちだ。

 菖と彼女たちははるかとカナタの婚約が正式発表される少し前に結婚し、現在はそれぞれの夢であった仕事や活動に精を出しつつ、愛を育んでいるそうな。

 

「ほんとだ。てことは、久しぶりにみんな集まるってことかな?」

「そうなりますわね。そういえば、めでたい席で皆様が集まることができたことって……」

「あ~……あんまりないかも? ほら、わたしたちが集まるときって何か事件とか厄介事が起きた時だし」

「思い返せば、そうですわね……」

 

 はるかの言葉に、トワはため息交じりにそう返す。

 なぜか、プリキュアと光の戦士たちが全員集合すると闇の勢力による襲撃や事件が発生するという現象が見舞われている。

 全員ではなくとも、いくつかのチームが一緒になっただけでも結構大きな事件に巻き込まれたり、合流した時点で大きな事件が発生したりすることが何度となくあった。

 その時期が、特に春や秋に集中しているため、毎回必ず、というわけではないのだが、それでも及び腰になってしまう。

 

「さ、さすがに大丈夫だよ!……あんまり自信ないけど」

「はるか……いえ、そうですわね。あまり悲観的になってもいけませんわ」

 

 はるかの言葉にトワも賛同し、ひとまず、悲観的になることはやめた。

 が、念には念を、という言葉がある。

 

「ですが、念のため、警備はある程度厳しくしたほうがいいですわ。来賓の中には、王族の方もいらっしゃいますし、何より、主役であるはるかが飛び出さないようにしなければ」

「そ、そうだね……うん、花嫁が飛び出しちゃだめだよねぇ……」

「……はるか? まさかとは思いますが、もしもの時は自分も飛び出すおつもりでしたの?」

「……」

「目をそらさないでくださいまし!」

 

 まさかとは思っていたが、本当に主賓である自分が飛び出すことも視野に入れていたことに呆れ、ため息をつくトワだったが、同時に十年が経っても変わらないはるからしさに、少し微笑ましいものを感じてもいた。




~おまけ~

結婚式当日:婚儀中

菖「お。新郎新婦の入場だ」
ひかり「わぁっ……」
つぼみ「はるかさん、すっごく綺麗ですっ!!」
いおな「さすが、花のプリンセスね」
舞「ふふ、いおなさん。正しくはグランプリンセスでしょ?」
ゆり「ふふふ……次は、きららの番かしらね?」
きらら「え……えへへへへ……」
みなみ「ふふふ。きらら、顔、にやけてるわよ?」
きらら「そりゃにやけるっしょ。大好きなダーリンとの結婚式なんだし♪」
菖「あぁ、そっか。明と婚約したんだっけ? おめっとさん」
きらら「にっししし♪ ありがとう、菖さん」


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・オトナな飲み会

オトナプリキュア終わってしまった後に出すという……
賛否両論あったけど、私は好きだったなぁ
魔法使い組がオトナになったらどうなるのか、楽しみではありますけど、やっぱり寂しさが……


「それでは! プリ……ティーだったわたしたちと、セイ……悍になった菖さんとの再会に!」

乾杯(かんぱ~い)!』

 

 サンクルミエール市。かつて、五人の中学生がプリキュアとなって、二度も闇の勢力と戦った町。

 その町の一角にあるカフェバーに、小学校教師となったのぞみと、中学校教師となったれいか。そして、特定の大学に籍を置かず、考古学の非常勤講師として教鞭をとる菖がいた。

 

「しかし、こういうこともあるんだな」

「えぇ。まさか、研究授業と反省会でお二人とお会いするなんて」

「ね。ほんとびっくりだよ!」

 

 三人とも別の場所に住んでおり、中学生や高校生の頃はともかく、大学を卒業してからはほとんど交流がなかったのだが、のぞみの職場で行われた学校間合同研究授業でばったり再会したのだ。

 その流れで、そのままのぞみとりんが行きつけにしているカフェバーで食事をしようということになり、今に至る。

 なお、妻帯者である菖はすでにゆりたちに連絡をしていたのだが、妻たちからは『ずるい』という文句のメッセージが届いており、少ししたら合流すると言ってきていた。

 のぞみの方も同じらしく、りんたちも遅れて合流するそうだ。

 

「みゆきさんたちが来られないのは、少し残念ですが」

「まぁ、今回はたまたまが大きいからな。次の機会ってことで」

「そうそう! まぁ、わたしは今も時々、咲ちゃん舞ちゃんと飲んでたりしてますが」

「……え、それ初耳」

「ふふ~ん。まぁ、ほんとのところは舞ちゃんから折を見て話すって言われてたから、黙ってました」

 

 たははは、と苦笑しながらのぞみは弁明する。

 のぞみ曰く、咲と舞は数か月ほど前からこの店を時折利用しているらしい。

 そのときにのぞみたちと再会し、仕事終わりにこの店でお酒と食事を楽しむようになったそうだ。

 その話を聞いて、菖は。

 

「あぁ~、そういやここ数週間、ちょっと帰りが遅くなるようなことあったな……咲と一緒だから別に大丈夫かなぁって思ってたけど」

 

 あっけらかんとした態度で返してくる。

 その言葉に、のぞみはにやにやと少しばかり意地悪そうな笑みを浮かべ。

 

「え~? 菖さん、それ旦那さんとしてどうなんですかぁ?」

 

 と、菖をからかってきた。

 だが、そんなのぞみの言葉にも。

 

「あんまり干渉するのはよくないだろ? 結婚したといっても、相手も一人の人間なんだから」

 

 と、笑みを浮かべながら返してくる。

 この態度は菖が高校生だった頃からのものではあるが、当時とまったく変わらない優等生な回答に、のぞみは。

 

「うわぁ、あいかわらず気障なセリフをポンポンと……」

「いや、ほんとに思ってることなんだけど? てか、そういうのぞみはどうなんだよ?」

「どうって??」

「小々田先生とのこと」

「ギクッ??!!」

 

 仕返しとばかりに、菖はのぞみが一番つつかれたくはないであろう話題について、あえてつついていた。

 一応、大学受験の時期は家庭教師をしてくれたり、大学生になってからも勉強を見てくれたり、隣の部屋に住んだりしていた時期もあり、現役中学生の頃よりも親密な付き合いをしていたのだが、関係が進展したという報告は受けたことがない。

 これはもしやからかいのネタになるか、と菖は期待を込めて聞いてみたのだが。

 

「じ、じつは……数か月前にココと結婚しまし、た」

 

 顔を真っ赤にするのぞみから告げられた答えは、二人を驚愕させるに十分なものだった。

 

「け、結婚っていつのまに??!!」

「お、おめでとうございます!!」

「あ、ありがとう……えっと、お知らせしなかったのはすみません」

 

 どうやら、気恥ずかしさというよりも、交流が少なくなってしまったために菖やれいかに結婚したことを報告することが遅れてしまったらしい。

 おそらく、このことを知っているメンバーはりんやうらら、こまち、かれん、くるみの五人だけで、しばらく一緒に行動していた咲と舞も知らないはずだ。

 そうでなければ、舞の夫である菖が知らないはずがない。

 

「これはあれだな、改めてお祝いしないといけないかもな」

「そうですね……みゆきさんたちにも声をかけてみます」

「ちょ、そ、そこまでしなくても」

「いんや、するね。やっとゴールインしたんだから、そりゃ祝わせてもらうに決まってんだろ」

 

 断ろうとするのぞみに、菖はそう続ける。

 なにせくっつきそうでくっつかず、なかなかじれったい状態が長く続いた二人だ。

 ようやくのゴールインにお疲れ様といままでのもやもやをぶつける意趣返しという意味で、お祝いをするつもりらしい。

 なお、このメンバーのもとに届いた結婚報告は、いまのところ、はるかとカナタ、はなからのものだけであり、学生の頃からじれったい空気を流していた未来とあゆみ、めぐみと誠司、結と拓海からはまだ報告が来ていないということも手伝っているのだろう。

 そうこうしているうちに。

 

「らっしゃい!」

「いらっしゃいませぇ」

 

 店主と奥様が入店してきた客に挨拶をする威勢のいい声が聞こえてくる。

 ちらりと、視線を向けると。

 

「すみません、5人で待ち合わせているんですけれど」

「あ、ゆりさん。いましたよ!」

 

 見知った黒髪と桃色の髪の毛をした美女が目に入る。

 二人を目にした瞬間、菖は入店してきた二人とその背後にいるほかのメンバーに向けて。

 

「マスター、奥さん。俺の連れです。ゆり、つぼみたちも。こっちこっち!」

 

 やってきたメンバーは菖と結婚した、自分たちと同じ、かつてプリキュアだった少女たちだった。

 

「のぞみさん、お久しぶりです!」

「れいかも、ご無沙汰ね。元気そうで何よりだわ」

「つぼみちゃん、ゆりさん!」

「ひかりさんもいおなさんも、お久しぶりです」

 

 久方ぶりの再会に、しばらくの間、菖たちが座っていたテーブルの一角は賑やかな笑い声で満たされる。

 なお、それから数分後、たまたま帰り時間が重なったりんたちと舞が入ってきたため、その賑わいは、さらに大きくなっていくのだった。



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ポッキーゲームをするよ?!(ラバーズ限定、スキット風)

11/11、ポッキーの日……てことで、ポッキーゲームっす!(唐突

これは何かの伏線か?
いや、伏線というか、もうあれっすわ……ハーレムタグ、付けます宣言ってことでこの話ですわ
だって、ひかりにしても舞にしてもつぼみにしても、他に誰か相手を、って思っても思い浮かばんのですもん!(実力不足ですよ!それがどうした?!

ホントは純愛ロマンス貫きたいよ?!けどしょうがないじゃん!!これ以上、キャラ作れないもん!!

というわけで、ハーレムタグをつけました!
なので、できれば、ひかりと舞が菖に恋するようになった話とか、菖がゆり以外の子も好きになっちゃうエピソードとか、盛り込んでいければと思ってます!

それはともかく、本編どうぞ!!(やけっぱち

……あ、はるかとカナタの場合も考えはしましたけど、高貴な人ってそういうこと、しないよね?ってことで、やめました(苦笑


~ひかりの場合~

ひかり「~~~~~~っ」(/// ///

菖「……無理しなくていいぞ?」(  ;

 

なぎさ「あはははっ!ひかり、顔真っ赤!!」

ほのか「なぎさだって、藤村くんが相手だったらひかりさんと同じになるわよ?」(^^

 

~舞の場合~

舞「どうぞ!」(ぐいっ!!

菖「……舞のこういうとこ、俺、尊敬するよ」

 

咲「おぉっ!舞ってばだいたん!!」

満「咲にもあれくらいの度胸があれば……」

薫「……無理があるんじゃない?」

 

~つぼみの場合~

つぼみ「~~~~~~~~っ???!!!」

菖「あ~……つぼみ、無理するなよ?」

つぼみ「……い、いえ!!ここで逃げたら女が廃ります!!」

 

えりか「……それ、響のセリフじゃ……」(  lll

いつき「あははは……って?!またゆりさん??!!」Σ( □ ;

ゆり「……」(-言-メ

 

~ゆりの場合~

ゆり「……」(  ///

菖「……」(  ///

ゆり「……どうしたの?早く来なさい、菖?」

菖「……思うんだけど、ゆり。お前、乙女の恥じらいとか、ないの?」

ゆり「……っ??!!……こ、こんなことするの、あなたが相手のときだけなんだからっ!!」

 

つぼみ「ゆ、ゆりさんが大胆ですっ!!」

えりか「つぼみも十分、大胆だと思うけど?」(-▽-;

いつき「二人とも、本当に菖さんのこと、大好きだもんね♪」

 

----------------------------

 

~湊とあゆみの場合~

あゆみ「み、みなと、くん……」(/// ///

湊「あ、あゆみ……む、無理、するなよ?」(/// ///

あゆみ「してないよ?こんなことするの、湊くんだけなんだから……」(/// ///

 

みゆき、やよい「「お~~~~っ!!」」(キラキラ

なお「頑張れ!あゆみちゃん!!」(>▽<

あかね「……つか、うちら、立派に出っ歯亀しとるな……」(  ;

れいか「本来、覗きは人の道を外れた行為……ですが!やはり、気になります!!」

あかね「あ、あかん……れいかが冷静さを失っとる……」

 

~誠司とめぐみの場合~

誠司「……」(/// ///

めぐみ「……せ、誠司……早くして?さ、さすがに恥ずかしい……」(/// ///

 

ひめ「お~~~~っ!!これは記念撮影ですぞーーーーっ!!」

ゆうこ「はいはい、ひめちゃん。ちょっと落ち着こうね?」

いおな「……甘酸っぱいわね……って、お姉ちゃん?!」Σ( □ lll

まりあ「……ふふふ……うふふふふふふふ……」(^言^メ

 

----------------------------

 

~明とももかの場合~

ももか「……(じーっ)……」

明「……」

ももか「……どうしたの?早く来て?ダーリン♪」

明「……俺の理性のタガが飛びそうだ……」(白目

 

菖「……いや、別に飛んでもいいんじゃね?」

君尋「恋人同士なんだもんな」

小狼「……」(/// ///

静「……李、お前大丈夫か?」

ゆり「うふふ♪ももかったら、やることが大胆ね♪」

さくら「……はへ~……」(/// ///

ひまわり「あら?さくらちゃんには刺激が強かったかしら?」

 

~小狼とさくらの場合~

小狼、さくら「「……(ボムッ!!)……」」(/// ///

 

菖「……いま、爆発音が聞こえたような……」(-▽-;

ゆり「聞こえたわね、確かに」(-▽-;

ももか「うふふ♪小狼くんもさくらちゃんも可愛い!!」

明「がんばれよ~、小狼!」

静「頑張れ」

君尋「……明、お前、今日で一番いい顔してやがるな……」(  ;

ひまわり「うふふ♪二人とも可愛いんだから~!」




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~結末~
○ひかり
ひかり「……(きゅ~っ)……」(ぱたん
菖「おっと?!」

なぎさ「あ、ひかりが倒れた!」
ほのか「きゅ、救急車……は必要なさそうね……」

○舞
舞「……(ぽりぽり)……」
菖「……(ぽりぽり)……」
舞「……(か、顔、ちか……きゅ~っ)……」(/// ///
菖「おっと!」

咲「……ま、舞~~~~っ??!!」Σ( □ lll
満「気絶したみたいね」
薫「応急手当、したほうがいいかしら?」

○つぼみ
つぼみ「……(も、もう無理ですぅ!!)……」(ぱたん
菖「……だから無理するなってのに……」

えりか「あ~、おしい!もうちょっとで菖さんのくちb……」
いつき「えりか?!それ以上はだめだよ??!!」Σ( □ llll
ゆり「うふふふふふふ……わたしが見てる前で、いい度胸じゃない?菖、つぼみ?」(^言^メ

○ゆり
ゆり「……(ぽりぽり)……」(/// ///
菖「……(ぽりぽり)……」(/// ///
(ちゅっ)
ゆり、菖「「……っ??!!」」(ボムッ

ハートキャッチ組「「「……っ??!!きゃーーーーーーーーっ??!!」」」Σ(///□///


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集合!プリキュアオールスターズ!!

よっしゃ200話到達!
というわけで200話目でやりたかったネタです
ぶっちゃけ、Hugっと!本編ですけども
まだまだこっから頑張りますよ~

まぁ、私の意思表明はこれくらいにして、本編どうぞ
あ、あとがき代わりはありませんのでご了承を


イチゴ坂。

そこはいちかたち、ア・ラ・モード組が守った町であり、彼女たちの故郷である。

この日、それぞれの道を歩み、別れ別れになった彼女たちが再び集まっていた。

和気藹々と、楽しい時間を過ごすはずだったその時。

 

「ごきげんよう、プリキュアの諸君」

 

シルクハットを被り、片眼鏡(モノクル)をつけた一人の壮年の男が突如、宇宙服のようなスーツとともに出現した。

彼こそは、いちかたちの後輩プリキュアであるはなたち、Hugっと!組が戦っているクライアス社の技術顧問、Dr.トラウム。

彼は、先日、はなたちと交戦した際、あるアイデアが閃き、それを実行するためのアイテム、自称「びっくり!ドンドンメカ」を開発し、その試運転にやってきたのだ。

 

「せっかく集まったところ、申し訳ないが、君たちにはここで消えてもらうよ」

 

これ以上ないほどはっきりとした敵対宣言を受け、いちかたちは身構えた。

それが、Dr.トラウムが開発したメカと全プリキュア(プリキュアオールスターズ)の戦いの幕開けとなった。

 

----------------------------

 

一方、こちらはわれらがハートキャッチ組が住まう希望ヶ花市。

そこにある植物園の温室では、四百年前、地球侵略を目論んで侵攻してきた砂漠の使徒と戦い、勝利した伝説の戦士たち『ハートキャッチ・プリキュア(つぼみ、えりか、いつき、ゆり)』と、彼女たちの最大の助っ人であり心の大樹を守護する騎士『ユグドセイバー()』が優雅なティータイムを楽しんでいた。

 

「にしても、ここ最近、平和っしゅねぇ~……砂漠の使徒たちとの戦いが嘘みたいっしゅ」

「いいことじゃないですか」

「わたしたちが戦っていたのは、この平和を守るためなんだから」

 

すっかりだらけているえりかに、つぼみといつきが苦言を呈した。

もっとも、親友二人からのその言葉はあまり堪えないらしく、えりかは相変わらず。にへらにへらとしていた。

 

「……ほんとにそうなら、いいんだけどな」

「あら?どういうこと??」

「平和とは、次の戦いに備えるための準備期間である……って、誰かが言ってた」

「……事実だけれど、そう考えると少しだけ不安ね」

 

中学生三人組の目の前に位置する場所に座ってた菖は、えりかの言葉を受けて、そんな反応を示した。

事実、人間の歴史は戦争の歴史である、と多くの学者が評しているように、国の内外を問わず、世界のどこかで必ず戦争が起きている。

考え方によっては、自分たちがかつて参加した砂漠の使徒との戦いもまた、侵略されるのが国ではなく、地球である、という規模の違いこそあるが、戦争であったことに間違いはない。

 

そして、菖の言葉を証明するように、最近でも幻影帝国と呼ばれる帝国が世界征服を目論み、動きを見せていた。

もっとも、こちらは後輩チームであるハピネスチャージ組の活躍でその野望は打ち砕かれたのだが。

 

「けどまぁ、もし何かあってもあたしらがいる限り大丈夫っしょ!それに、プリキュアはここにいるあたしたちだけじゃないんだしね♪」

 

お気楽なえりかは、相変わらずへらへらとした顔でそう話していた。

実際、これまで菖たちは何度となく、危険な局面に立ち会ってきた。

 

憎悪や悪意が宇宙で融合した究極の闇"ブラックホール"、友達となってくれた女の子の願いを叶えるために暴走した"フュージョン"、妖精の世界に伝わる禁断の宝珠"影水晶"、自分の子どもを寂しさから救うために暴走したバクの妖精マームが生み出した"アクム"。

そして、世界を無に帰そうとした闇の魔獣"トラウーマ"。

 

だが、それらはすべて、世界を守護する伝説の戦士"プリキュア"たちの手によって葬られてきた。

むろん、そこには菖の姿もあった。

ハートキャッチ組(自分たち)だけではとても太刀打ちできる相手ではなかった。

けれど、仲間たちがいたから、こうしてピンチを乗り越えることができたのだ。

それはたしかに間違いではない。

だが。

 

「その想いが隙を生むんだg……」

 

菖がそうつぶやいた瞬間。

植物園の、いや、希望が花市が突如、静寂に包まれた。

まるで、時間が止まってしまったかのように。

そして、それを知覚できたものは、その場には誰一人としていなかった。

 

----------------------------

 

何が起きたのか、今どうなっているのか。

菖もゆりも、コロンたち妖精でさえもわからなかった。

意識はあるのだが、何も見えない、何も聞こえない。

それが、Dr.トラウムによる時間停止の結果であるということなど、当然、菖たちが知る由もない。

 

体が動かない……いったい、何があった……?

 

体を動かすことも、声を出すこともできないこの状況に、さすがの菖とゆりも打つ手がなく、あきらめかけたその時だった。

 

――……レ……キュ……フレ……キュア……

 

心に響く、小さな声が聞こえてきた。

 

――……フレフレ!……リキュア!……レフレ!プリ……!!

 

声はだんだん、大きくなってきた。

同時に、胸の奥に暖かい何かが、ゆっくりと広がっていく感覚があった。

菖たちはその感覚に覚えがあった。

砂漠の使徒、ブラックホール、影水晶、トラウーマ。数々の強敵との戦いの中で、絶望の淵に立たされ、諦めかけたとき、いつも、妖精たちが、友達が、そして、名も知らない多くの人々が、自分たちに声援を送ってくれていた。

 

――……そうだ、まだ……

――……まだ、終わりじゃありません!

――まだ……こんなところで

――終われるわけが、ないっしゅ!!

――わたしたちに送られてくる、この想いに応えるまで!

 

そう心に思った瞬間、菖たちの体を、柔らかい光が包み込んだ。

 

――わたしたちは!

――俺は!

 

『フレッフレッ!プリキュアーっ!!』

 

――プリキュアだから!!

――あいつらの守護騎士だから!

 

心がそう叫んだ瞬間、体を包んでいた光がはじけた。

 

----------------------------

 

はぐたんの、いや、はぐたんだけではない。

ハリーやタルト、長老にペコリン、モフルンが一斉に、プリキュアに声援(エール)を送り続けた。

すると、その声に応えるように、トラウムが生み出したトゲパワワのドームから、光があふれだした。

 

その光の中から、ハリーがサポートしているプリキュアチーム「Hugっと!プリキュア」と、長老とペコリンがサポートしたプリキュアチーム「キラキラ!プリキュア!ア・ラ・モード」、モフルンがサポートしていたプリキュアチーム「魔法使いプリキュア」。

そして、「プリキュア5」のリーダー、キュアドリームと「フレッシュプリキュア」のリーダー、キュアピーチ。さらには、プリキュアオールスターズの原点にして頂点である三人、「ふたりはプリキュアMax Heart」チームが姿を現した。

 

だが、同時に大量のオシマイダーも出現した。

オシマイダーたちは、敵意をむき出しにしたまま、一斉にプリキュアたちの方へと走ってきた。

さすがの数の多さに、ひるみそうになったが。

 

「……大丈夫。わたしたちは、一人じゃない!!」

 

エールが身震いを抑えながら、天に向かって声を上げた。

 

「フレッフレッ!わたし!フレッフレッ!」

 

プリキュア!!

 

エールの声援が響き渡ると、上空から、いくつもの光が降り注いだ。

すると、大量にいたオシマイダーが浄化されていった。

浄化されたオシマイダーの群衆の中を見ると、おとぎ話のお姫様(プリンセス)のように、スカートの裾をつまみ、お辞儀をする四人のプリキュアがいた。

 

「冷たい時に閉ざされた夢!返していただきますわ!お覚悟は、よろしくて?」

 

花がデザインされているティアラを身につけたプリキュアが、オシマイダーにそう問いかけた。

その姿を、ミラクルとマジカル、そしてフェリーチェは知っていた。

 

「「「キュアフローラ!」」」

「わたしだけじゃないよ!」

 

フローラがそう言うと、今度は上空から凛とした声が響いてきた。

 

「ラブリービーム!!」

 

その瞬間、一筋の光線がオシマイダーたちを貫き、一掃した。

見上げればそこには、ぴかりが丘で幻影帝国と戦ったチーム「ハピネスチャージプリキュア」がいた。

いや、彼女たちだけではない。

周囲を見れば、歴代のプリキュアたちが姿を現していた。

さらには、時間を止められてしまっていたドリームの仲間たちとピーチの仲間たちも姿を見せていた。

圧巻とも言える、いや、そうとしか言いようのないその光景に、ハリーは啞然としながら。

 

「まさか、これもはぐたんが?」

「いや!これは、プリキュアみんなの奇跡や!!」

 

アスパワワと呼ばれる力を使い、数々の奇跡を起こしてきたはぐたんが何かしたのか、疑ったハリーだったが、それをタルトが否定した。

奇跡を起こすのは、はぐたんや妖精だけではない。

強い想いと覚悟があれば、誰でも奇跡は起こせる。

その奇跡を起こした女の子たち。

 

「「集合!」」

『プリキュア!オールスターズ!!』

 

総勢五十五人のプリキュアと、彼女たちと同じ力を持つ、一人の騎士がここに集結した。



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オールスターズ高校生組、全員集合!!(スキット風)

さぁ、やってまいりました、栄えある201話目!
タイトルでお察しの方もいらっしゃると思いますが、オールスターズ編の「集合!」と同じ時間軸、高校生組の皆さんの威風堂々の歩みのシーンです

いや、あのシーンもでしたけど、ほかのシーンもかなりネタつっこんできましたよねぇ……個人的に花のプリキュア二人の演出がつぼでしたw

まぁどうでもいい
本編どうぞ


~猛オシマイダー襲撃中~

 

セイバー「なんというか。ここだけ見事に年上組が集まったな……エースは微妙だけど」

エース「お兄様、それは言わないお約束ですわよ?」

ムーンライト「言ってる場合?来るわよ!」

五人『はぁっ!!』

猛オシマイダー『オシマイダー?!』

 

~MH組~

ブラック「まさに衣装堂々って感じ……」 ゚д゚)

ホワイト「それを言うなら、威風堂々……でも、たしかにその通りね」(-▽-;

ルミナス「お、大人の雰囲気全開です……」 ゚д゚)

 

~S☆S組~

ブルーム「あそこだけ近寄りがたいなり……」

イーグレット「あそこだけ、不思議なオーラが見える気がするわね」(-▽-;

 

~5GoGo!組~

ドリーム「おぉっ!!」(0▽0

ルージュ「うわぁ……けどあの五人なら納得かなぁ……」

レモネード「やっぱり、みなさんすごいですっ!!」

ミント「うふふ♪これはあとでインタビューしないとよね」

アクア「ミント……あなた、ほんとにぶれないわね……」

ローズ「うんうん」(-▽-;

 

~フレッシュ組~

ピーチ、パイン「「おぉ/わぁっ!!かっこいい!!」」

ベリー「あの五人、時々思うけれど、本当に反則よね……」

パッション「ま、まぁ、年上だし……仕方ないんじゃないかしら?」(-▽-;

 

~ハートキャッチ組~

ブロッサム「ムーンライトとセイバー……素敵です!!」(>▽<

マリン「ちょっ?!ブロッサム??!!こっちにも集中して!!」( □ ;

サンシャイン「あ、あははは……」(-▽-;

 

~スイート組~

メロディ「うわぁ……知ってたけど、やっぱり雰囲気違うよねぇ……」

リズム「セイバー……」(うっとり

ビート「こらこら、リズム!こっちに集中して!!」( □ ;

ミューズ「……エースだけ、ずるい……」

 

~スマイル組~

ハッピー「はっぷっぷ~?!」

ピース「お~っ!!戦隊ヒーローみたい!!」

サニー「いやぁ、あの五人、やっぱ絵になるわぁ……」

マーチ「って、ピース!見惚れてないで集中して!!」

ビューティー「……あゆみさんと湊さんがこの場にいないのが残念です……」

 

~ドキドキ組~

ハート「おぉっ!!セイバーたちかっこいい!!」

ダイヤモンド「さすがの貫禄ね……」

ロゼッタ「うふふ♪」

ソード「というか、エース……そっちに混ざったんだ……」

 

~ハピネスチャージ組~

ラブリー、プリンセス「「すごごごごーーーーーーいっ!!」」

ハニー「さすがだよね~」

フォーチュン「……わたしもまだまだね……」

 

~プリンセス組~

フローラ「すごっ?!」

マーメイド「さすがに、圧巻というべきか……」

トゥインクル「今更ながら、味方でよかったぁ……」

スカーレット「皆様、さすがですわ!」

 

~魔法使い組~

ミラクル「知ってたけど、やっぱりすごいよねぇ」

マジカル「なんだか、あそこだけすっごく余裕って感じよね……」

フェリーチェ「セイバーお兄様もムーンライトお姉様もさすがです!」

 

~ア・ラ・モード組~

ホイップ「知ってた……知ってたけど……」(  ;

カスタード「はわわわわ……」( □ ;

ジェラート「ほんと、あの人たち集まると雰囲気変わるよなぁ……」(-□-;

パルフェ「あそこだけ、別世界なのかしらね?」(-▽-;

 

 

~Hugっと!組~

エール「おぉぉぉぉぉぉぉっ!めっちゃいけてる!!」Σ(0□0

アンジュ「これは……なんだかすごく絵になってる……」

エトワール「なんか、あそこだけ雰囲気違うよねぇ……けど、いけてる♪」

マシェリ「は、はわわわわわ!戦隊ヒーローなのですっ!!」

アムール「わたしたちも負けていられません!行きましょう、マシェリ!!」




あとがき代わりのその後の話

~そういえば……~
えりか「そういえば、菖さん」
菖「ん?」
えりか「さっきの集合の号令、一緒にやってなかった??」
菖「やったぞ?」
つぼみ、えりか、いつき「「「えっ?!つ、ついに折れたんですか?!あそこまで意地になってたのに!!」」」
ゆり「いつまでも意地を張っていられなかったわけね?」
菖「そういうこと……まぁ、なんだかんだ、付き合いも長いしさ。いい加減、諦めようかなって」
えりか「やったぁ!」
つぼみ「やっと菖さんと本当の仲間になれた感じがします!」
いつき「大げさだよ、つぼみ」
ゆり「うふふ♪三人ともうれしいみたいね?」
菖「はははは……」(-▽-;


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プリキュア大集合! ヒーローの出番です!!

次週、いよいよキュアバタフライ登場と聞いて
すでにリタイアしたカバトンが出てきてる理由ですが、ストーリーの性質上、カバトンのほうが都合がよかったので(苦笑

というわけで、バタフライは登場しませんが、一足先にプリキュアオールスターズ大集合ストーリーです
バタフライとの合流は……顔合わせスキットで行いますのでご容赦を
てわけで、本編どうぞ


 世間が大型連休を間近に控えたある休日。

 ソラシド市にあるヨヨ邸宅の大広間に、『スカイランド』と呼ばれる異世界から迷い込んだ赤ん坊エルと、ヒーローを目指す少女ソラ。いつか大空へはばたく夢を持っている、プニバード族と呼ばれる種族の少年つばさ。

 ヨヨの孫でソラと同棲している中学生ましろ。ましろの幼馴染で最強の保育士を目指して勉強中のあげはが、連休の計画を練っていた。

 

「うーん……車を出せばもう少し遠くまでいけるし、せっかくだからソラシド市から少し離れた場所に行ってみない?」

「そういえば、ソラシド市の外にはわたしもあまり行ったことがないかも」

「わたしも、ソラシド市の外には出たことがないので、楽しみです!!」

「僕も楽しみです!」

「エーウ!」

「なら決まりだね!」

 

 満場一致で、ソラたちはソラシド市の外へ出かけることが決まった。

 さらに、どうせ連休ならばと、五人は泊りがけで横浜市のみなとみらいへと向かうことを決め、そこから旅行計画を練り始める。

 横浜という、日本でも人気の観光スポットへ向かうということもあり、ましろとあげはは異世界人であるソラとつばさ、エルの三人に特に見せたいスポットをピックアップし、宿泊する場所や予算など、次々と決めていった。

 ソラやつばさも、ましろとあげはが取り上げた場所について、ある程度の説明を聞き、実際に目で見てみることが楽しみで仕方ないという様子だ。

 そうして迎えた、横浜への旅行当日だったのが。

 

「カモン! ランボーグ!!」

 

 なぜかエルを狙うアンダーク帝国からの刺客カバトンが現れ、遊びに来ていたちびっ子が持っていた怪獣のソフビ人形を巨大なランボーグへと変えてしまった。

 

「あぁもうっ!! なんであなたがここにいるんですかっ??!!」

「プリンセス・エルのいるところ、カバトン様あり! なのネン!!」

「うっわ、なんというか……」

「完全に追っかけというか、ストーカーというか」

「もはや犯罪者ですね……」

「うっさいのネン!!」

 

 狙ったお宝は必ず盗み出す。世界で最も有名な怪盗の三代目を逮捕せんと日夜追いかける国際警察(I.C.P.O)の日本人刑事ではないが、彼女たちが現れるところに必ずといっていいほど現れる。

 その行動はもはやストーカーであり犯罪行為と言っても過言ではないのだが、本人は呼ばわりされることが気に入らないらしく。

 

「さっさとプリンセスを渡せば、ランボーグは暴れさせないでおいてやるのネン! それとも、ほかのモブキャラたちがどうなってもいいのねん?」

 

 早速、ランボーグを暴れさせようとしていた。

 いままでも未確認飛行物体(U.F.O)や列車、重機といったものをランボーグへと変えて町を攻撃してきたが、今回使用しているものは怪獣のソフビ人形。

 その元ネタとなった怪獣を模してか、それともカバトンがそれほどのエネルギーを注いでいるからか、今回のランボーグはみなとみらいのシンボルともいえる観覧車の直径と同等の大きさになっている。

 そんなサイズのものが暴れたりしたら、みなとみらいへの被害は計り知れない。

 だが、だからといってエルを渡すという選択肢は、ソラたちにはなかった。

 

「あげはちゃん、エルちゃんをお願い!」

「わかった。三人とも、気を付けてよ」

 

 ましろに言われるまでもなく、あげははエルを抱き上げ、急いでその場から離れていく。

 二人が離れていく様子を背中越しに見守り、ソラはスカートのウェストから下げているペンに手を伸ばす。

 

「みなさん!」

「えぇっ!!」

「はいっ!!」

「ヒーローの出番です!!」

 

 ソラの合図で全員がペンを取り出す。

 ペンの羽が二つに割れ、その中から光の球が出てくると、ソラたちはそれをつかむ。

 

「「「「スカイミラージュ! トーンコネクト!!」」」」

「スカイ!!」

「きらめきホップ!」

「さわやかステップ!!」

「晴れ晴れジャンプ!!!」

「無限に広がる、青い空! キュアスカイ!!」

「ふわり広がる、優しい光! キュアプリズム!!」

「天高く広がる勇気! キュアウィング!!」

「Ready……Go!!」

「「「ひろがるスカイ! プリキュア!!」」」

 

 スカイミラージュとスカイストーンが放った光の中で、ソラたちは青、白、(オレンジ)を基調としたそれぞれの衣装(コスチューム)へと変身する。

 変身が終わると同時に。

 

「あくまでも抵抗するってんなら……やっちまうのネン! ランボーグ!!」

「ランボーグっ!!」

 

 カバトンが怪獣のランボーグに命令すると、特撮に登場する怪獣のように、ランボーグは口から火球を吐き出す。

 火球は当然、スカイたちに狙いを定めていたのだが、そうやすやすと命中してやるほど、スカイたちは優しくない。

 地面を蹴って跳びあがって火球を回避すると、ウィングはそのまま上空へと舞い上がっていく。

 

「ひろがる! ウィングアタック!!」

 

 そのまま怪獣ランボーグに向かって上空から急降下し、体当たりを仕掛ける。

 だが、スカイストーンの力をもってしても体格の差を埋めることはできなかったようで、ランボーグはあまりダメージを受けていないようだ。

 

「ヒーローガール! スカイパーンチッ!!」

「ヒーローガール! プリズムショット!!」

 

 プリズムとスカイも追撃を行うが、自分たちの十倍以上ある体格のランボーグには通用していなかった。

 その様子に、カバトンは目じりに涙を受けべながら爆笑する。

 

「ダーッハハハハハ!! そんな小さな攻撃じゃ、このランボーグは倒せないのネン! さぁ、やっちまえ、ランボーグ!!」

「ランボーグ!!」

 

 ランボーグが咆哮をあげて暴れ始める。

 少し歩くだけで、少し身動きをするだけで、ランボーグは建物を、町を破壊し、人々に恐怖の悲鳴をあげさせる。

 

「諦めてプリンセスを渡せば、こいつを引っ込めてやっても……」

「まだです!」

 

 降伏勧告を行おうとするカバトンの言葉を遮り、スカイは毅然とした態度を向ける。

 スカイだけではない。

 プリズムもウィングも、まだ諦めていない。まだ戦える。

 その強い意思がこもった瞳を、ランボーグとカバトンに向けていた。

 

「どんなに絶望的でも、決して諦めない! それが――」

 

 ヒーローです!

 

 その言葉が響くと、ランボーグの足元から虹色の光の柱が上る。

 

「「デュアル・オーロラウェーブッ!!」

 

 光の柱の中から、二人の女の子の声が響く。

 突然出現したその柱にひるみ、怪獣は半歩、後ろへと下がる。

 その瞬間を狙ったのか、それともタイミングが重なっただけか。柱から爆風が巻き起こり、その中から、黒い衣装を身にまとった明るい茶髪の少女と、白い衣装を身にまとった黒髪の少女が姿を見せ。

 

「光の使者! キュアブラック!!」

「光の使者! キュアホワイト!!」

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

 ポーズを決めて、自らを『プリキュア』と名乗った。

 

「闇の力のしもべたちよ!」

「とっととおうちに、帰りなさい!!」

 

 ビシッ、とランボーグとカバトンを指さし、決め台詞を口にするが。

 

「「「な……」」」

「な……」

『なんですってーーーーーっ?!/なんだとーーーーーっ?!』

 

 おそらく、ここ数日で一番の衝撃から出た叫びにかき消された。

 

「プ、プリキュアって……」

「わたしたち以外にも……」

「いたんですか?!」

「こんなところで予想外の増援?! インチキもいい加減にしてほしいのネン!!」

 

 スカイたちからすれば自分たち以外にプリキュアがいたという事実。カバトンからすれば突然の増援。

 それぞれに違いはあるものの、その衝撃に思わず叫びをあげてしまっていた。

 だが、その声にブラックとホワイトは驚く様子もなく。

 

「まだまだ!」

「わたしたちの――スカイたちの仲間は!」

 

います/いるっしゅ/いるぞ!!

 

 上空から声が響き、カバトンとランボーグ、そしてスカイたちも上空を見上げる。

 ビルの屋上、観覧車のゴンドラの上。街灯のランプや電信柱の上に、様々の色の衣装に身を包んだ少女たちの姿がそこにはあった。

 

「な……な……なんだってんだよ、お前らぁっ!!」

 

 うろたえるカバトンに答えるように。

 

「「集合!!」」

 

 ブラックと薄桃色の髪を両サイドでお団子にしている、チアリーディングを思わせるへその出た衣装をまとう少女が号令をかける。

 その号令に合わせ。

 

『プリキュアオールスターズ!!』

 

 その場にいた少女たちが同時にそう名乗る。

 総勢七十四名。

 ひそかに迫ってくる闇の勢力から、地球を、人々を守るために戦う少女たちがいま再び、この場に集合した瞬間だった。




~おまけ~

 一方、少し離れた場所では、怪獣ランボーグの火球が燃え広がっていた。
 ある程度の知性はあっても、ランボーグは周囲の被害などお構いなしに攻撃してくる。
 そのため、周辺にも被害が出るわけだが、ランボーグで手いっぱいのプリキュアたちは対処できない――のだが。

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)! アクリア・ユグドフォルテウェーブ!!」
「うぉらぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁっ!!」

 不思議な文様が描かれた白い外套をまとう青年と白銀の鎧をまとった青年、そして銃士隊のようなつばの広い帽子をまとった青年が向かってくる炎に光弾や光の矢、朱色の槍を向け、破壊する。

「てか、でかいな……」
「いつぞやのフュージョンみたいだな……いや、あれよりもでかいか?」
「デリシャスフィールドで戦った方が周囲の被害は少ないんだが……ないものねだりだな」
「あぁ……けど」
「だからといって」
「俺たちに退却って選択肢はない!」

 プリキュアたちとあまり変わらない年齢の青年たちもまた、巨大な敵へと向かっていく。
 その姿を見ていたものは、残念ながらこの場にはいなかったが。


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プリキュア大集合! 男の子だけで合体技?!

というわけで続編……みたいなもの
以前、感想に書かれたことがありましたので、それにお答えするという形で
まぁタイトルの通りですw、


~ここまでの経緯~

 

大型連休を利用して、みなとみらいにやってきたソラ、ましろ、ツバサ、あげは、エルたちだったが、ストーカーのようにエルを付け狙うカバトンと遭遇し、戦闘になってしまう。

カバトンが呼び出した怪獣ランボーグに苦戦するスカイたちだったが、その現場に歴代のプリキュアたちが大集合。

プリキュアオールスターズと怪獣ランボーグの戦闘となり、プリキュア同士がチームを超えてのコラボレーション技を決める中。

 

セイバー「アステア、ブラックペッパー! 俺たちもいくぞ!」

ブラペ「いや、いくってなんだよ?」

アステア「いくっていったら、あれしかないだろ」

セイバー「あぁ!」

セイバー、アステア「「合体技だっ!!」」

ブラペ「お、おぅ!!」

ウィング「ぼ、僕もご一緒します!!」

セイバー「おっしゃ! やったるぞ!!」

アステア、ブラペ、ウィング「「「おうっ!/あぁっ!/はいっ!」」」

 

~セイバー&アステア、ブラペ&ウィングの場合~

セイバー、アステア「「刹那は無限! その一瞬に俺たちの全てをかける!! 翔破裂光!! 双牙刃!!」」

ウィング「広がる!! ウィング!」

ブラペ「ペッパーミル!」

ウィング、ブラペ「「ダブルアタック!!」」

 

ミップル、フィナーレ「「な、なんだか覚えのある技が聞こえてきたような気がするミポ/な……」」

 

~セイバー&ブラペ、アステア&ウィングの場合~

セイバー「集まれ、花の(パワー)!」

ブラペ「負けるものかっ!!」

セイバー、ブラペ「「ユグドパワー・スパイシーウェイブ!!」」

ウィング「行きます!!」

アステア「やったれ!!」

アステア、ウィング「「スターダストレイン! ウィングアタック!!」」

 

ブロッサム「セイバーとブラックペッパー! まさかの合体技ですっ!!」

プレシャス「……なんだか、複雑な気分……」

ムーンライト「ふふふふ……」

スカイ「うぃ、ウィングの周りにも何かたくさんありますよっ??!!」

エコー「アステアの槍って、あんなことできたんだ……」

 

~セイバー&ウィング、ブラペ&アステアの場合~

セイバー「いくぞ、ウィング!!」

ウィング「はいっ!!

セイバー「セイバー!!」

ウィング「広がる! ウィング!!」

セイバー、ウィング「「ダブルストライク!!」」

ブラペ「受け取れ、アステア!!」

アステア「よしきたっ!!」

ブラペ、アステア「「ペッパーミル・コメットっ!!」」

 

マリン「セイバーが突進技っ?!」

スカイ「意外、なんですか??」

プレシャス「ていうか、ブラペの力って武器にくっつけることできるの?!」

エコー「なんか、ちょっと意外……」

 

~全員一緒に~

セイバー、アステア、ブラペ、ウィング「「「「コラボレーションキーックっ!!」」」」

 

ピース「ライダーキックッ!!??」

サニー「いや、ちゃうやろ……」

ハッピー「ていうか、これ……」

ブラック「わたしたちのコラボレーションパンチと同じなんじゃ……」

ルミナス「そ、それは言っちゃいけないんじゃ……」

 

カバトン「ちょ、ちょっと待つのネン!! 合体技で連続攻撃なんてちょっと卑怯なのネン?!」

セイバー「やっかましいっ!!」

ランボーグ「ランボーグっ??!!」

アステア「ちっちゃな女の子一人、いつまでもねちっこく狙ってんじゃねぇ!!」

ランボーグ「ラ、ランボッ??!!」

ブラペ「ついでにこんなデカイもの呼び出しやがって! 町の人たちに迷惑だろうが!!」

ランボーグ「ランボッ?!……グゥッ?!」

ウィング「プリンセスは、絶対に渡しません!! それに、卑怯なことをしてプリンセスをさらおうとするお前には言われたくない!!」

カバトン「お、お前らには関係ないのネン!! さっさとやっちまえ、ランボーグ!!」

ランボーグ「ランボーーーグっ!!」

セイバー、アステア、ブラペ、ウィング「「「「だから、させないっていったんだよ!/言ってるだろうが!/言ってるでしょうっ!!」」」」




~クライマックス~

決めるのはやっぱり……

スカイ「スカイブルー!」
プリズム「プリズムホワイト!」
スカイ、プリズム「「プリキュア! アップドラフト・シャイニング!!」」
ランボーグ「……スミキッター……」
カバトン「ぐぅぅぅぅぅぅ……覚えてろよ! カバトントン!!」
セイバー「やっぱり決めるのはプリキュアなんだよなぁ」
アステア「まぁ、俺らの浄化技はプリキュアほどの威力ないからなぁ」
ブラペ「適材適所ってことだろ」
ウィング「え、えぇと……そういうものなんですか?」


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プリキュア大集合! チームを超えた合体技?!

いよいよ今日からですねぇ……
というわけで、もはや叶うことはないだろうという想いとともにチームを超えたプリキュアの合体技です
ぶっちゃけ、ネーミングは適当だったりしますがご了承を


~ここまでのあらすじ~

 

 いつものように、特に示し合わせたわけでもないのに集合していたプリキュアオールスターズ。

 だが、彼女たちが集まるときは、地球を狙う闇の勢力が魔の手を伸ばすときでもある。

 突如として現れた謎の敵に立ち向かうプリキュアオールスターズだったが、あまりの数の多さにチームは分断され、慣れないメンバーで戦うことを余儀なくされていた。

 

マリン「あーーーーーっ! もうこうなったら!!」

プリズム「ど、どうするの?!」

ホワイト「マリン、この状況をどうにかする案が浮かんだの?」

マリン「こういうときはもうお約束のあれっしゅ!」

アクア「あれ?」

オーシャン「あれってなによ?」

 

メロディ「みんなの技を合体させるよ!」

ブロッサム、フローラ「「が、合体技ですかっ??!!」」

ミラクル「いま、合体技って言いました?!」

スカイ「できるもの、なんでしょうか?」

ハート「できるもんなのかなぁ?」

ドリーム「試しにやってみよう!!」

サマー「よぉしっ!! なんか上がってきたぁ!!」

 

ルージュ「とか言ってそうだよねぇ……」

フラミンゴ「あははは……」

パパイア「否定できない」

サニー「せやけど、このままやとジリ貧なんは目に見えとるしなぁ……」

レモネード「試す価値はあると思います!」

ロゼッタ「為せば成る、ですね」

スパークル「ダメもとでやってみるのもありっしょ!」

ニャトラン「だなっ!」

 

ローズ「というか、セイバーたちができてわたしたちができない、なんて理屈はないわよね?」

フォーチュン「そうね。試すだけ試してみましょう」

ムーンライト「こういうことは男の子たちだけでやってほしいわね」

マカロン「あら? けっこうおもしろいと思うけれど」

アース「物は試し、まずはやってみましょう」

 

~ブルーム、ブロッサム、フローラの場合~

ブルーム「花の力っ!!」

ブロッサム「集まれ! 花のパワー!!」

フローラ「モードエレガント!」

ブルーム、ブロッサム、フローラ「「「プリキュア! フローラル・トライストリーム!!」」」

 

~ピーチ、ラブリー、スター、プレシャス、スカイの場合~

ピーチ「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

ラブリー「プリキュア! パンチング・パーンチ!!」

スター「プリキュア! スターパーンチっ!!」

プレシャス「1000KCal(キロカロリー)パーンチっ!!」

スカイ「ヒーローガールっ! スカイ・パーンチっ!!」

ピーチ、ラブリー、スター、プレシャス、スカイ「「「ペンタゴラプリキュアパーンチっ!!」」」

 

~アクア、ビューティー、プリンセスの場合~

アクア「プリキュア! サファイア・アロー!!」

ビューティー「プリキュア! ビューティーブリザード・アロー!!」

プリンセス「プリンセスゲンコツツインマグナム!!」

アクア、ビューティー、プリンセス「「「プリキュア! アイシクル・ゲンコツショット!!」」」

 

~マリン、フォンテーヌ、ラメールの場合~

マリン「マリン・シュート!!」

フォンテーヌ「プリキュア! ヒーリング・ストリーム!!」

ラメール「プリキュア! くるくるラメールストリーム!!」

アクア、マリン、フォンテーヌ「「「プリキュア! アクアスプラッシュ!!」」」

 

~レモネード、ピース、ミルキー、スパークルの場合~

レモネード「プリキュア! プリズムチェーンっ!!」

ピース「プリキュア! ピースサンダーっ!!」

ミルキー「プリキュア! ミルキーショック!!」

スパークル「プリキュア! ヒーリング・フラッシュ!!」

レモネード、ピース、スパークル「「「プリキュア! サンダーボルト!!」」」

 

~ルージュ、サニー、スカーレット、ソレイユの場合~

ルージュ「プリキュア! ファイヤーストライク!!」

サニー「プリキュア! サニーファイヤーっ!!」

スカーレット「モードエレガント! フェニックス!!」

ソレイユ「プリキュア! ソレイユシュートっ!!」

ルージュ、サニー、スカーレット、ソレイユ「「「「プリキュア! バーニングストライクっ!!」」」」

 

~ローズ、ムーンライト、マカロン、フォーチュン~

マカロン「マカロン・ジュリエンヌ!!」

ローズ、ムーンライト、フォーチュン「「「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」

ローズ、ムーンライト、マカロン、フォーチュン「「「「プリキュア! コメットパンチ!!」」」」




~おまけ~

《各チーム全員合体》
ピンクチーム『プリキュア!! ピンクコラボレーション・パーンチっ!!』
ブルーチーム『集え! みんなの光の力!!』
イエロー・レッドチーム『集まれ! プリキュアの力!!』
パープルチーム『プリキュア! プリフィケートフラッシュ!!』

《やっぱりこれは外せない》
オールスターズ『プリキュア!! コラボレーションパンチ!! オールスターズ!!』

《一方その頃の男子チーム》
セイバー「いやぁ……すごいな、こりゃ」
アステア「俺たちの出番、ないっすねぇ」
ブラックペッパー「まぁ、それにこしたことはないんでしょうけど……」
ウィング「僕らは僕らで襲ってきた連中と戦ってましたしねぇ……」


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男の子だけで集合!

タイトルの通り
でもってバッタモンダ初登場なんですが……セリフ回し、こんなんで大丈夫なのかな……


~ここまでの経緯~

GWを満喫しようと、誘い合ったわけでもないのに集合したプリキュアオールスターズ。

だが、彼女たちの前にエルを狙うアンダーグ帝国の使者、バッタモンダによる襲撃を受ける。

今まではスカイたちがその襲撃を退けてきたが、それ以上の攻撃でバッタモンダはプリキュアオールスターズを追い詰めていた。

 

バッタモンダ「ふふ。僕が本気を出せばこんなもんさ……伝説の戦士といってもこの程度とはね」

ブラック「何を、言ってるの!」

ホワイト「わたしたちはまだ」

エール「諦めてない!!」

スカイ「まだまだ、ここからです!!」

バッタモンダ「ふ~ん……あれ? そういえば、一人足りないけど……まぁいいか。ランボーグ! このままいっきに……」

????「「「「ちょーっとまったーっ!!」」」」

バッタモンダ「なにぃっ?!……って、なんだプニバード族と観客か。何しに来たんだい?」

菖「お前を止めに、だよ!」

湊「さんざん好き勝手やってくれやがったんだ!」

拓海「そろそろ、おいたの時間だぜ!」

つばさ「これ以上、お前の好き勝手にはさせないぞ、バッタモンダ!!」

バッタモンダ「はっ! プニバード族はともかく、他の三人にそんなことができるわけ……」

マリン「いやぁ、できちゃうんだよなぁ、これが……」

ハッピー「うんうん」

サニー「せやな」

ピース「皆さん、やっちゃってください!!」

菖「なぁんか、一人だけノリが違う気がするけど……」

湊「いまはそれどころじゃないし」

拓海「やりますか!」

つばさ「はい!!」

 

菖「心力解放! ユグドセイバー、スタートアップ!!」

湊「来いっ! 白銀の鎧!!」

拓海「頼む、デリシャストーン!!」

つばさ「スカイプリズム! トーンコネクト!! ウィング!! きらめきホップ! さわやかステップ!! 晴れ晴れジャンプ!!!」

 

セイバー「大樹の騎士、ユグドセイバー!!」

アステア「守護騎士、アステア!!」

ブラペ「ブラックペッパー、参上!!」

ウィング「天高く広がる勇気! キュアウィング!!」

全員「「「「集合! ヒーローナイツ!!」」」」

 

~MH組~

ブラック「おぉっ??!! てか、わたしたちの真似?!」

ホワイト「ふふふ」

ルミナス「というか、なぜ"騎士(ナイツ)"なんでしょうか?」

 

~S☆S組~

ブルーム「おぉっ?! なんだかかっこいいよ!!」

イーグレット「……ブルーム? みんなそれぞれ大事な人がいるんだから、横取りはだめよ?」(アルカイックスマイス

満「イーグレットが笑っていないわ……」

薫「えぇ……こんな顔もできたのね……」

 

~ハートキャッチ組~

ブロッサム「せ、セイバー?!」

ムーンライト「なんだか、はしゃいでるわね……」

マリン「煽ってて言うのはあれだと思うんだけど……なんか、そんな感じするっしゅ」

サンシャイン「あははは……」

 

~スマイル組~

ハッピー、ピース「「きたーーーーーっ!!」」

サニー「いや、えらい興奮しとるやないかい……」

マーチ「あはははは……」

ビューティー「しかし、なぜ"騎士団"なのでしょうか?」

エコー「え、気になるところそこなの??」

 

~ハピネスチャージ組~

ラブリー、プリンセス「「かっこいい~~~~~っ!!」」

ハニー「なんだが、セイバーがいつも以上にはしゃいでいるような……」

フォーチュン「はしゃいでるわね……まぁ、なんとなく察しはつくけれど」

テンダー「うふふふ、やっぱり男の子だものね」

 

~デリパ組~

プレシャス「待ってました!!」

スパイシー「なんだが、先輩が少し堂々としてる気が」

ヤムヤム「そういえば、わたしたち、ブラペが変身してるところみたことがなかったような」

フィナーレ「言われてみれば、そうだな」

 

~ひろスカ組~

スカイ「やっちゃってください! つばさくん!!」

プリズム「ていうか、ちゃっかり先輩たち巻き込んでない?!」

バタフライ「なんというか、思い切ったねぇ。少年……けど、めっちゃアガる!!」




~おまけ~

~掟破りの……?~

セイバー、アステア、ブラペ、ウィング『コラボレーション合体パンチっ!!』
ランボーグ「ランボーグッ?!」
セイバー「ウィング!」
ウィング「はいっ!! 広がる! ウィングアタック!!」
ランボーグ「……スミキッター……」
バッタモンダ「ふっざけんなっ!! 遅れてきたくせしやがって……」
セイバー「水の執行者(アクリア・ルズローシブ)!! 蒼い雨は天をも穿つ(蒼雨天穿)!!」
バッタモンダ「ひぎゃあっ??!!」
セイバー「外野がギャーギャー言ってんじゃねぇ! 文句あるなら自分からかかってこい!!」
バッタモンダ「ひっ!!……ば、バッタモンモン!!」
アステア「あ、逃げた」
ウィング「まったく……」
ブラペ「てか、セイバー……こういう場で攻撃するか、普通……」
アステア「ある意味、掟破りだよなぁ……」


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プリキュアたちとの日常編
横浜中華街のマーボーカレーまん


タイトルがどこか「孤○のグルメ」風ですが(苦笑
正直、やりたくなったので書きましたw
少しばかり反省はしていますが、後悔は微塵もしていません!
こういう、日常編もちょいちょい出していければと思います。
では、どうぞ。


その日、菖は一人、みなとみらいに来ていた。

彼は横浜近辺にある遺跡の探索に来ていたのだが、以前にも何度か見たことのある形式の遺跡だったため、興味を失ってしまい、ふらふらとここまで来てしまったのだ。

――目的もなしに来ちゃったけど、どうしようかな……

遠い目をしながら、これからのことを考えていると、くぅ~、という音が聞こえてきた。

その音が、菖の腹の虫が鳴いた声だということはすぐにわかった。

――そういえば、昼飯、まだだったなぁ。あぁ、思い出したら……腹が、減った

食いしん坊な某美術商の男性ではないが、菖は空腹を自覚するやいなや、素早く行動に移った。

何か腹に入れないと気がすまない。

空腹への我慢はすでに限界突破(オーバーリミット)を迎えそうな状態だ。

――とにかく、飯だ!飯を探そう!!

と、意気込んで歩いてはいるものの、自分の腹はいま、何を求めているのか、それがまったくわからない状態だった。

――横浜といえば、中華街か……中華……う~ん、いまはそんな気分じゃないしなぁ

気分ではない、という単純ではあるが重要な理由から、中華はパスしようか、と考えたとき、ふと、中華まんが頭の中に浮かび上がってきた。

本来、中華まんは「点心」と呼ばれる、お菓子の部類に入るものだが、数さえあれば、腹も見たされるだろう。

それに、中華まんならば、慣れ親しんでいるということもあり、なんとなく、中華料理という気分ではないという今の状態でもちょうどいいかもしれない。

そこまで考えがまとまったら、菖の行動は早かった。

すたすたと、菖は早足で中華街へ向かい、店頭販売されていた中華まんを数個買い、海が見える公園へと足を運んだ。

適当なベンチに腰かけ、菖は買った中華まんを頬張り始めた。

「はふっはふっ……うん、うまい……」

できたてほかほかの肉まんを頬張り、中の餡の熱さに苦戦しながら、菖は十分をかからず、一個目を食べ終えた。

だが、感想は。

――結局、どこまで行っても、"肉まん"なんだよなぁ……なんか、こう、もっとインパクトがほしい気も……

普段慣れ親しんでいる味であることに、菖はどことなく不満そうではあったが、それでもうまいことに変わりはないらしい。

さて、二つ目を、と袋に手を伸ばした時、後ろから菖を呼ぶ声が聞こえてきた。

「あの……菖さん、ですよね??」

取りだした中華まんを口にくわえたまま振り返ると、そこには亜麻色の髪をしたツインテールの少女がいた。

背丈や顔立ちは、つぼみやえりかと同い年といった印象だ。

そして、ジーンズ生地のシャツの胸ポケットには、リボンの形をしたデコルが飾られていた。

その子を見た菖は、くわえていた中華まんを外し、人懐っこい微笑みを浮かべた。

「や、久しぶり。元気だった?あゆみ」

「はい!お久しぶりです、菖さん!!」

にっこりと愛らしい笑顔を浮かべて、あゆみはそう返した。

ふと、あゆみの肩に下げられているカバンがもぞもぞと動いていることに気づいた菖は、座っているベンチの空いている場所を、ポンポン、と叩いて座るように示した。

あゆみはその意図を察し、ぱたぱたと歩み寄って菖の隣に腰かけた。

そして、周囲に人がいないことを確認すると。

「……エンエン、グレル。出てきて大丈夫だよ」

優しく声をかけると、熊のようなぬいぐるみと狐のようなぬいぐるみが同時に顔を出した。

「は~、息苦しかったぜ……」

「次はもうちょっと、大きいカバンにしてほしいな……あ、菖だ!」

「久しぶりだな、二人とも」

息苦しかったことに文句を言っていたグレルとエンエンだったが、菖の姿を見つけると、ぐったりとした表情から一転して笑顔になった。

「あれ?なんでここに??」

「そういえば、そうだよね??」

「……あの、菖さん。どうしてここに?もしかして、何かのイベントで呼ばれたとか……」

みなとみらいには、多くのイベント会場が存在していて、イベントも一年に何度か行われている。

そのイベントの中には、知っている人と似たような声をしている人達によるイベントも存在している。

なお、あゆみはそのイベントに参加したことはないが、二十年前にデビューを果たした二人組のフォークソングアーティストのイベントには参加したことがあるらしい。

もっとも、菖はそんなイベントには興味はなく。

「残念。用事があったのはイベント会場じゃなくて、遺跡のほう」

「あ、あははは……相変わらずですね……」

すっぱりきっぱりと答えた菖に、あゆみは苦笑を浮かべた。

すると、くぅ、と可愛らしい音が三つほど聞こえてきた。

菖は、ちらり、とあゆみたちの方を見ると、あゆみは顔を真っ赤にしてうつむき、グレルとエンエンは気恥ずかしそうに苦笑を浮かべていた。

「……食べる?」

「「「ありがとうございます!」」」

「……仲いいな、ほんと」

三人同時に声をそろえてお礼をいう姿に、菖は苦笑を浮かべながら、中華まんを一つ取りだした。

ふと、その中華まんを買った店で売り子をしていた赤い髪の少女から、これはお勧めだからぜひ買っていけ、といわれ、半ば押しつけられるようにして買ったカレーまんがあった思い出し、それを入れた袋を取りだした。

「はい」

「あ、ありがとうございます……これって、カレーまん?」

「おすすめされて買ったんだ。マーボーカレーまんだって」

麻婆豆腐とカレーを足して二で割ったようなネーミングの料理に、あゆみたちは思わず顔を引きつらせた。

「ま、マーボーカレー、ですか……」

「どんなカレーだよ……」

「なんか、いかにも辛そう……」

名前だけでも、十分、辛そうであることは理解できる。

だが、菖はそんな三人に、あっけらかんとした顔で返した。

「いや、けっこううまかったよ?まぁ、辛かったのは否定しないけど……カレーだけに、ね」

「……カレーだけに」

(かれ)ぇって?」

「……菖、言ってて寒くならないの?」

「そうかなぁ?ゆりとかじぃじはけっこう笑うけど?」

あゆみたちの反応に、菖は顎に指を添えながら返した。

なお、ゆりはプリキュアメンバーのなかでも、笑いの沸点が低いと言われているが、菖から言わせれば、ギャグのレベルが高すぎてつぼみたちがついていけていないだけなのだが。

もっとも、それを言ったら、特にえりかがうるさいので、菖は特に何も言わないのだが。

------------------------

そのあと、結局、空腹に負けてマーボーカレーまんをもきゅもきゅし始めたあゆみとグレルとエンエンだったが、辛さの奥にあるうまみに、夢中になっていた。

「もきゅもきゅ」

「もきゅもきゅ」

「もきゅもきゅ」

「「「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……」」」

「……すごい集中力……」

三人が夢中で食べている姿を見て、菖は苦笑を浮かべたが、自分も手にしているマーボーカレーまんをもきゅもきゅし始めた。

実のところ、菖が立ち寄る店には、なぜかほぼ必ずマーボーカレーにまつわる料理が存在している。

咲の両親が経営している「PANPAKAパン」は知らないが、希望ヶ花市の隣町にあったパン屋では、小学生くらいの身長で、なぜか片手にフランスパンを持っている女の子が売り子をしながら、マーボーカレーパンを売っていた。

他にも、近所のカレー屋では、特徴的な前髪をしたブロンドの美女が夢中になって何杯もマーボーカレーをおかわりしている様子を見たことがある。

なお、彼女の声がなぜかトワに似ているような気がしたのだが、菖は気のせいだな、ということで片付けていた。

――それを考えると、俺ってけっこうマーボーカレーに縁がある……のか??

結ばれていることに喜んでいいのかどうか迷う縁ではあるが。

そんなことを思いながら、菖はマーボーカレーまんを口にした。

――あつっ!けどうまい!!辛さはカレーと麻婆豆腐の組み合わせで倍増しなのに、なんだ、このうまさは!!

どこかのグルメリポーターのようなナレーションをしながら、菖は二口、三口、とマーボーカレーまんをほおばっていった。

燃えるようなカレーの辛さと、しびれるような麻婆豆腐の辛さが菖の口の中を支配し、麻薬のように夢中にさせた。

口の中は、もはや中国とインドが競争しているような状態だ。

――こんな競争だったら、俺はどっちも応援するなぁ……

とわけのわからないことを思いながら、菖は最後の一口を放りこみ、買ってきていた烏龍茶を口にした。

『はぁ~~~~~……ごちそうさまでした』

四つの声が同時に響くと、四人は目を丸くした。

どうやら、まったく同時に同じ行動をとっていたようだ。

あゆみの手にも菖が買ってきた烏龍茶が握られているところまで同じなのだから、おかしくならないのも無理はなかった。

誰からとなく笑い始め、その日のプチ昼食会はお開きとなった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ももか・えりか「「で、お土産は?」」
菖「遺跡に行っただけでそういうこと言うの、お前らだけだと思うぞ……」
つぼみ・いつき「「あ、あのぉ、実は……」」
菖「……まさか?」
ゆり「えぇ。あゆみから、電話があったの。わたしは微塵も期待していないけれど、何か償いのようなことはしてほしいわね?」
えりか「そーだそーだー!二人だけで本格中華まん食べちゃってー」
ももか「うらやましいぞー」
つぼみ「ふ、二人だけ?!」
ゆり「……菖、あとでじっくりO・HA・NA・SI、しましょうか?」
菖「いや、他に二人いたんだけどなぁ……はぁ……わかったよ、今度、中華街行ったら買ってくるから」
えりか「やった!菖さんのおごりっしゅ!!満漢全席食べるぞーーーっ!!」
ももか「……えりか、さすがに調子乗りすぎ」(ペシッ
えりか「いたっ!」
つぼみ「親しき仲にも礼儀あり、です」(ペシッ
えりか「あふっ!」
いつき「えりかは少し、遠慮することを覚えようね?」
えりか「……叩かれはしないけど、ものすごく怖いっしゅ……」
ゆり「それに、菖は"買ってくる"といっただけで、"おごる"とは一言も言ってないわよ?」(デコピン
えりか「いったぁっ!……うあ~ん、コフレ~みんながいじめるっしゅ~」
コフレ「……えりかの自業自得ですっ!僕はフォローできないですっ!!」
えりか「しょ、しょんにゃ~……」
菖(ここまで四面楚歌だと、逆に哀れだな……まぁ、まだ助けなくて大丈夫かな)


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大空の樹の下で

そういえば、心の大樹と大空の樹って、同じ大樹なんですよねぇ……
S☆Sに出てくる妖精も、正確には精霊らしいですし……そのうち、やるかなぁ、ミ○さまが迷いこむ話とか。
いうだけ言ってやらないのがおちですけどw


さわさわと、そよ風に揺れる木の葉の音が心地よい森の中。

その中でもひときわ大きい大樹の下にある看板の前に、菖がいた。

そこには、目の前にある"大空の樹"と呼ばれて親しまれている大樹の謂れが書かれていた。

休日のほとんどを遺跡探索に費やす菖は、この日は夕凪市に来ていた。

だが、このあたりの遺跡巡りは午前中で終わらせ、近くを通ったついでに咲と舞に顔を見せに行くことにしたのだ。

そう決めたのはいいのだが、ふと、気になる森があったため、ふらふらと足を運んでしまい、こうしてこの大樹の前に来たのだ。

――心の大樹も圧倒されたけど、大空の樹も心の大樹と負けず劣らずって感じだなぁ

そんな感想を抱きながら、どちらかといえば、大空の樹のほうが荘厳な雰囲気をまとっている気がするけど、と心のうちで付け加えると、大樹がさわさわと揺れ始めた。

「……お礼なんていいよ。思ったことを素直に言っただけだからさ」

心の大樹と会話することができるとはいえ、それは騎士としての契約を交わしたことで得られた能力であり、心の大樹に限定されるものだ。

だが、菖はもともと"視える"体質の人間であり、幼いころから人ならざるものと意思を交わすことができていた。

そのため、物言わぬ植物たちの気持ちが、なんとなくではあるがわかるのだ。

もっとも、それは菖の推測であり、正しいか間違っているかはわからないのだが、菖にとってそれはどうでもいい。

重要なのは、目の前に在るこの大樹が荘厳であり、美しいと感じる感性。

それがあるかないかなのだから。

――さてと、せっかくここまで来たんだから、咲たちの顔を見ていくかな

そう思い立ち、大空の樹に背を向けると、再び、大空の樹はさわさわと木の葉をゆらした。

まるで、また来てね、とでも言っているかのように。

その意図を察したのか、菖は振り返って微笑みを浮かべた。

「あぁ、また来るよ」

大樹に別れを伝えて、菖は再び、夕凪市にむけて、足を運んだ。

------------------------

菖が夕凪市に到着すると、黒い髪をポニーテールにした少女と、青い髪を伸ばしている少女が並んで絵を描いている姿が目に入った。

どうやら、二人の目の前で寝そべっている野良犬のスケッチをしているらしい。

ふと、野良犬が菖の気配に気づき、ぽてぽてと菖の足もとに歩み寄り、尻尾を振りながら、かまってくれ、とでもいいたそうに後ろ足で立って、菖に寄りかかってきた。

「お?随分、人懐っこいわんこだな」

寄りかかられながら、菖は野良犬の頭をわしゃわしゃとなでると、野良犬は気持ち良さそうに目を細め、もっとやってくれ、と顔をこすりつけてきた。

菖も野良犬の要望に応えて、わしゃわしゃと撫でていると、それまでスケッチしていた対象がいなくなったことに気づいた二人が、不思議そうに首を傾げた。

「あら?」

「あの犬、どこに……」

「おーい、こっちこっち」

「「え?」」

菖が野良犬をなでながら二人に声をかけると、咲と薫が振り向いた。

野良犬に懐かれながら、片手を上げている菖の姿を見た二人は、知り合いの突然の来訪に驚きながらも、笑顔を向けた。

「菖さん?!」

「どうしてここに??」

「ヒント、俺の趣味」

薫の問いかけに、菖が素早く返すと、薫は眉をひそめ、真剣に考え始めた。

だが、薫は咲や舞と違い、他のプリキュアたちと一緒に過ごしたことがあまりないため、必然的に、菖のことをあまり知らないのだ。

だが、舞はわかったらしく、苦笑していた。

薫も、わからない、と答えを考えるのを諦め、舞に正解を尋ねた。

「菖さんの趣味は、いろんな遺跡を見学することなの」

「……もしかして、近くの遺跡の見学が予想以上に早く終わったから、暇つぶしがてらこっちにきた、って感じですか?」

「そ、正解」

「……あの、わたしと咲や他のみんなだったらともかく、薫は菖さんとお話する機会があまりなかったから、わからないのも当然だと思うんですが……」

あっさりと正解を引き出した舞に指摘されて、菖は苦笑を浮かべながら薫に謝罪した。

「……かもしれない。ごめん、薫」

「い、いえ……けど、遺跡見学が趣味なんて、ちょっと変わってますね……」

首を傾げ、不思議そうに菖を見つめながら、そんな感想を漏らした薫に、今度は菖が首を傾げた。

「そうかなぁ?」

「少なくともわたしたちの同級生にはいませんよ?遺跡が好きな男の子って」

「う~ん……まぁ、俺がちょっと特殊なのかもしれないけど」

「そうなんですか?」

「うん。俺の両親は考古学者だからさ。絵本代わりに考古学の本とか叙事詩とか、伝承をまとめた本とかを読んでたら、いつの間にか遺跡に興味が湧いてたから」

ちなみに、小学生のころは、夏休みや冬休みになれば家族総出で実地調査へ赴くこともあったため、遺跡への好奇心はとどまることなく、今ではもう立派な考古学者の卵となっていた。

「それより、こんなところで立ち話もなんだし、どっか落ち着けるとこに行かない?」

話している間もじゃれついてきていた野良犬をなでながら、菖は二人に問いかけると、舞は何かを思い出したかのように、そういえば、と口を開いた。

「今度、新作のパンを作ったから試食してくれっていわれてたわね」

「それじゃ、菖さんにも一緒に来てもらいましょ?」

「お、いいの?それじゃ、遠慮なく」

菖は人懐っこい野良犬にお別れを言って、二人と一緒に咲の実家「PANPAKAパン」へ向かうことにした。

------------------------

歩くこと数分。

菖たちの鼻に、焼きたてのパンの香りが漂ってきた。

どうやら、目的地に近づいてきたらしい。

ふと、店先を見ると、三角巾を頭に巻いた咲と満が店先を掃除していた。

「咲~、満~」

舞が手を振りながら、二人に声をかけると、二人は手を振ってそれに応えた。

三人は小走りでお店に近づくと、咲と満は笑顔で応対してくれた。

「舞、薫。いらっしゃい……あれ?菖さんも??」

「お久しぶりです!」

「うん、久しぶり」

菖は笑顔で挨拶してくる二人に、菖も笑顔で返した。

「はい!お久しぶりです!!今日はどうしたんですか?」

「このあたりの遺跡を見に来たんだけど、午前中で終わっちゃったから顔を見せに、ね」

「そうだったんですか……って、相変わらずの遺跡好きなり……」

菖の説明に苦笑を浮かべながら、咲が返すと、舞も薫も満も苦笑を浮かべた。

この場にいない仲間たちも、菖と同じように、それぞれに夢中になれるものを持っている。

だが、自分が夢中になれるものと菖の夢中になれるものがまったく違う。

いや、そもそも、遺跡探索(菖の趣味)というもの自体、かなり特殊なものに分類されるため、理解することそのものが咲たちにとっては難しいものだ。

「まぁ、いいや!それより、菖さん。今度、お店に出そうと思ってるパンがあるから試食していてくれませんか?」

「お?いいの?それじゃ、遠慮なく……どうせなら、咲たちも一緒に食べない?」

「いいんですか?」

菖の提案に、舞は嬉しそうな、遠慮しているような、複雑な表情を浮かべながら返した。

だが、菖は、もちろん、とうなずいて返した。

「うん、どうせ一人で食べても味気ないしさ」

「そういうもの、なのかしら?」

「そういうもんだよ。遺跡発掘の時も、他のスタッフの人と一緒に食べた方がおいしいからね」

満が首をかしげていると、菖は人懐っこい笑みを浮かべながらそう話した。

他の誰かと一緒に食事する方がおいしく感じられることは、満と薫も最近になって実感できるようになってきたことなので、納得している様子だった。

「……それじゃ、お言葉に甘えようかしら。どうする?薫」

「そうね……わたしもご一緒させてもらおうかしら」

「なら、決まり!お父さんに話してくるから、ちょっと待っててほしいなり!!」

いうが早いか、咲はぱたぱたとPANPAKAパンへ入っていった。

ふと、舞の意見を聞いていないことを思い出した菖は、舞に視線を向けた。

「ごめん。舞の意見、聞かないでいたけど……」

「だ、大丈夫です!わたしも、ご一緒したいですから!」

「そっか。よかった」

舞からの返事に、菖は人懐っこい笑みを浮かべて、そう返した。

なお、このときの舞の頬が若干、赤くなっていたことに気づいたのは、一緒に行動することの多い薫だけだった。

------------------------

咲が試食してほしいという試作パンと一緒に戻ってきてから、どこで食べようか、という話になったが、咲と舞の提案で、大空の樹の下へ向かうことになった。

大空の樹は、菖たちがやってくると、風もないのにさわさわと木の葉を揺らした。

まるで、菖たちが来たことを歓迎しているかのようだった。

大樹の根に腰かけ、菖は咲から手渡されたパンを手に取った。

「これは……カレーパン?こっちは、デザートパンってところかな??」

「そ!マーボーカレーパンと、プリンパン!」

「マーボーカレーかぁ……って、知ってたの?」

いつぞや、横浜の中華街でマーボーカレーまんを食べたことを思い出しながら、菖は咲がマーボーカレーを知っていたことに驚愕した。

だが、咲は、違うよ、と首を横に振った。

「あたしは知らなかったんだけど、舞が教えてくれたの!おいしいカレーがあるから、パンにしてみたらどうだって」

「へぇ~……けっこうマイナーな料理だと思ったけど、舞ってけっこうもの知りなんだな」

優しい笑みを浮かべながら、舞の方へ視線を向けると、舞は恥ずかしそうにうつむいていた。

その心中では。

――い、いえない……いつきから菖さんの大好物って聞いて、食べてみたらパンにもあうかもって思ったから紹介してみたなんて、いえない……

と、マーボーカレーの存在を知ることになった経緯を隠すことに必死にだった。

薫と満は、舞のその様子があまりにも愛らしいと感じ、思わず、くすくすと笑みを浮かべてしまっていた。

「か、薫?満??い、一体、何がおかしいの??!!」

「「別に?なんでもないわよ??」」

「ごまかさないで!!」

顔を真っ赤にしながら反論する舞だったが、薫は意地悪な笑みを浮かべたまま、ほんとになんでもない、と返し、満は鼻歌のようなものを歌ってごまかしていた。

あからさまにごまかされていることに、舞は顔を余計に真っ赤にして、叫んでいた。

なお、こうなるきっかけを作った菖は、パンをもきゅもきゅと食べながら、隣に腰かけてい咲と一緒にその様子を眺めていた。。

「なんというか……」

「舞、いつもとちがうなり……」

「舞だけに舞い上がってる、って?」

「あ、それうまいなり!」

ふいに出てきたダジャレに、咲は笑いこそしなかったが、菖のダジャレを称賛していた。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

咲「それで、菖さん。感想は?」
菖「マーボーカレーパンはこれでいいと思う。ただ、もうちょっと辛さがあったほうが好きって人も出てくるだろうから、中辛とか甘口とか種類をそろえられるなら、そろえてみてもいいかもしれないね」
咲「ふむふむ!」
満「あ、ちなみにそれ焼いたの、わたしです」
菖「へぇ?!咲と一緒に働いてるっていうのは知ってたけど……」
満「まだまだ修行中です。パンを焼くにしても、まだまだブレが大きくて……ブレッドだけに」
菖「お、うまい!!」
咲「うん??なにがうまいのかまったくわからないなり……」
舞「パンは英語でbread(ブレッド)っていうのよ?あ、菖さん、お隣、いいですか?」
菖「うん?大丈夫だよ」
舞「ありがとうございます!」

~希望ヶ花市では~

つぼみ&ゆり「「うん?!」」
えりか「うぉ?!どうしたの二人とも」
つぼみ「なんだか……」
ゆり「えぇ。抜け駆けされたような気がするわ」
えりか「……???」


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ブーケ作りで波乱の予感?

思いついたから書いたのはいいんですけど、少し長くなりそうだったので、前後編に分けました。
もしかしたら、別の話でまた5GoGoとの話は書くかもしれません。
まぁ、ひとまず、本編どうぞ。


その日、菖はサンクルミエール市の町を歩いていた。

その脇には、やや厚めの封筒が挟まれていた。

そこに入っているのは、いままで菖が発掘作業に同行した遺跡に関する資料と自分なりの見解を書き記したレポートが入っている。

なぜ、そんなものを持っているのかというと、仲間(プリキュア)の一人に渡すためだった。

その仲間というのが、将来、小説家を目指しているこまちだった。

――半分、冗談のつもりで言ったんだけど、まさかこまちから連絡がくるとは思わなかったなぁ

以前、紅葉狩りへ行った際に初めて先輩プリキュアの存在を知ったのだが、こまちが小説家を目指していると知り、自分が持っている遺跡の資料を見せようか、と提案したことがあった。

その言葉をこまちが覚えていたらしく、新しい小説の舞台の参考にしたいから、と連絡が入ってきたのだ。

ちなみに、その隣には。

「はぁ……なんだか、すごいです」

と、町並みに感動しているつぼみがいた。

なんでも、りんが実家の花屋のことで相談したいことがあるとのことだったので、一緒にいくことになったのだ。

「う~ん、この町並み、日本って感じじゃないよなぁ。ヨーロッパの……あぁ、フランスとかイングランドみたいな感じなんだ」

「行ったことがあるんですか?」

サンクルミエールの和洋折衷、というよりもいかにもヨーロッパの町並みを模倣しました、という景観に、菖がそんな感想をもらうと、つぼみがきょとんとした顔で問いかけてきた。

その問いかけに、菖は苦笑しながら、俺の趣味、とだけ言うと、なぜか納得したようだ。

余談だが、いまでこそ祖父の仁頼と二人暮らしだが、菖の両親は健在だ。

考古学者という職業柄、世界各地の遺跡を研究するため、海外へ向かっているのだが、菖も長期休暇で時間があれば両親のいる国へ飛び、一緒に発掘作業を手伝うことがある。

そのため、サンクルミエールの町並みにどこか懐かしさを覚えてもいた。

「さて、ここでいつまでも時間をつぶすわけにはいかないし、行こうか」

「はい!」

菖がそう言うと、つぼみは元気よく返事をして菖の隣を歩き出した。

二人のその様子が、カップルのように見えなくもなかったため、この後、ちょっとした事件になるのだが、それはまた別の話。

------------------------

こまちとりんが集合場所として指定してきたアクセサリーショップ「ナッツハウス」の前に来た二人は、なんのためらいもなく、中に入っていった。

「「こんにちは」」

「いらっしゃ……あぁ、君たちか。久しぶりだな」

店に入ると、褐色肌で金髪の青年に変身したナッツが出迎えてくれた。

「お久しぶりです、夏さん」

「久しぶり。ところで、こまちとりんに用事があったんだけど……」

「二人なら、こっちだよ」

菖が二人がいるかどうかを問いかけると同時に、上から別の声が聞こえてきた。

そちらへ目をやると、今度は茶髪で爽やかな印象を受ける青年が顔を出していた。

その隣には、りんとこまちが顔をのぞかせていた。

「あ、来た来た」

「こんにちは、菖さん。つぼみちゃんも」

「こんにちは。りんさん、こまちさん、小々田さん」

「や、三人とも。久しぶり」

りんとこまちに笑顔で挨拶を返した二人は、ナッツに許可を取って、二階へとあがった。

そこには、のぞみとうららとくるみがうんうんとうなっている姿があった。

「……何があったの?」

「あぁ、あたしのうちにきた仕事で、今度、結婚式のブーケを作ることになったんですけど、そのデザインが今一つ決まらなくて」

「わかります!悩みますよねぇ、あれ……」

「わかる?そうなんだよねぇ……せっかくの晴れ舞台だから、思い出に残るものにしたいけど、あんま派手派手しいのは花嫁に失礼だし、かといって地味なのにはしたくないからさぁ」

りんの口から出た愚痴に、つぼみは同意するように大きくうなずいた。

つぼみも、結婚式のブーケを作る経験をしたことがあるため、その大変さは理解しているようだった。

「で、のぞみたちにも手伝ってもらったんだけど」

「……行き詰ったんだ?」

「はい」

菖の言葉に、こまちがため息をつきながら返した。

どうやら、こまちとかれんも手伝っているようだが、それでもアイデアがまとまらず、困っているようだ。

「それで、餅は餅屋ってことでつぼみにも協力してもらおうってことになったの。ごめんね、変なことに巻きこんで」

「いえ!お役に立てるのなら、この花咲つぼみ、全力で協力いたします!」

りんが申し訳なさそうにつぼみに謝罪すると、つぼみは握りこぶしを作って、高らかに宣言した。

その様子を微笑みながら見守っていた菖は、思い出したかのように、脇に挟んでいた封筒をこまちに手渡した。

「はいこれ、この前言ってた遺跡の資料。中に、俺なりの見解をまとめたレポートも入ってるから」

「あ、ありがとうございます」

「どういたしまして……さてと、俺の用事は終わ……」

「ええぇぇぇぇ?!帰っちゃうんですかぁ?!」

つぼみが突然、大声でそう問いかけてきたので、菖は苦笑を浮かべながら、反論した。

「……いや、帰らないから。俺一人ならともかく、暗くなるまでかかるかもしれないのに、女の子一人を置いていけないでしょ」

さすがに、暗い中で女の子一人を帰らせるつもりはない。

第一、つぼみが付いてくると言った時点で、こうなることは大体予測していたため、最初からそのつもりだったのだ。

もっとも、それをやろうものなら、ゆりとももかに何をされるかわかったものではないので、選択の余地というものが、菖の頭の中には最初からなかったわけでもあるのだが。

「まぁ、けど俺はそこまで詳しいわけじゃないから、陣中見舞いする程度にしか役に立たないと思うけど」

「いえ、正直、そのほうが助かります……なにせ、あたしら全員、まともな料理作れそうにないし……」

「……あぁ……」

りんの言葉に、菖は苦笑を浮かべてしまった。

つぼみとえりかから聞いた話でしかないが、のぞみたちプリキュア5のメンバーは、りんとくるみ以外はまともな料理を作れないらしい。

こまちはなんでも羊羹を、うららはカレーを入れようとしてしまうし、かれんは最近は改善されつつあるものの、適量などの意味がわからなかったり、高級食材を意味もなく入れようとしてしまう傾向がある。

のぞみに関しては論外で、鍋をひっくり返すわ、調味料を間違えるわ、もうしっちゃかめっちゃかになってしまうのだそうだ。

そのため、りん(ツッコミ役)は、彼女たちが台所に立つと気が気ではなくなってしまうらしい。

「なので、お願いします。あたしの心の平穏のために、台所を守ってください」

「……いまちゃっかりぶっちゃけたよね?」

りんからの言葉の端々に、自分の心の平穏を保ちたいという欲求が見え隠れしていることに気づいた菖は、苦笑しながらそう返した。

もっとも、深く追求するつもりはなく、快く承諾したのだが。

とは言うものの、つぼみが加わってまだ時間もそれほど経っていないため、菖は店の中を見学させてもらうことにした。

「へぇ……こうして見ると、けっこう色々あるもんなんだな」

「あぁ。特に、りんのデザインは人気が高いな」

夏がカウンターで菖の背中を見ながらそう返した。

その言葉に、菖は微笑みながら、そうなんだ、と返し、笑みを浮かべた。

ふと、菖は思い出したかのように夏に問いかけた。

「そういえば、かれんとシローの姿が見えないけど?」

「シローはいま配達の仕事だ。かれんも生徒会関連の用事で遅くなるといっていたが、そろそろ……」

と夏が言っていると、店の入り口に備えつけられているベルが、カランカラン、と涼しい音を響かせた。

見ると、玄関にはちょうど噂になっていた二人がいた。

「噂をすれば、かな」

「そうだな。おかえり、二人とも」

「ただいま……って、なんだ菖も来てたのか」

「ごめんなさい、遅くなって……あら、菖さん。いらっしゃい」

菖が来ていたことに驚いたのか、シローとかれんは目を見開いていた。

俺は珍獣か、という感想を呑みこんで、菖は笑みを浮かべながら、二人に挨拶を返した。

「久しぶり。にしても、珍しいな。かれんとシローの組み合わせって」

「そういえば、そうだな」

なお、シローとよく一緒にいる場面を目撃されるメンバーは、今も二階で難しい顔をしてうなっているうららである。

かれんは親友のこまちか、くるみが一緒にいることが多いのだが、今回の組み合わせは珍しい。

それはそれで新鮮なので、特に無粋なことは言わないのだが。

「すぐそこで合流できたのよ。それより、菖さんはどうしてここに?」

「あぁ、こまちに頼まれて遺跡の資料を渡しにね。あとは、りんの用事で呼ばれたつぼみのボディガードってとこかな?」

「ボディガードって、そんな大げさな……」

菖の説明に、シローは苦笑しながら返した。

だが、菖は首を横に振って否定した。

「いやいや、つぼみの花好きが度を越していることを忘れたか?」

「……あぁ……」

菖のその一言に、シローとかれん、そして夏も納得できてしまった。

ともすれば、時間が経つのも忘れて花を眺めているほど、つぼみは花が好きなのだ。

かくいう、菖は遺跡や石碑などの歴史遺物を見つけると、自制はできるものの、時間も忘れて調べ始めることがある。

その意味では実に似たり寄ったりな二人なのだ。

「それで、つぼみは?」

「二階でのぞみたちと頭抱えてるよ」

「あぁ、例の……菖さんは参加しないんですか?」

「俺が参加したところでどうなるってこともないでしょ?だったら、甘いものでも作って、やる気を出してもらうくらいしか、俺に出来ることはないよ」

菖は微笑みを浮かべながら、かれんの問いかけに返した。

かれんは苦笑しながら、それもそうですね、と答えた。

「あの、何か、お手伝いしますか?」

「お、お願いできる?ちょっと作ったことがないやつを作ってみようと思ってるから、ちょっと手伝ってほしいんだ」

「わたしで良ければ、よろこんで」

菖の頼みであれば断る理由がないかれんは、優しい笑みを浮かべながらうなずいた。

「ちなみに、何を作る予定だ?」

「ん~、結婚式のブーケを作ってるからねぇ、ゲン担ぎとは違うけど、ストロベリーパイでも作ろうかなと思って」

イチゴの花言葉は「幸福な家庭」。

ブーケを作っているのぞみたちも、新郎新婦が幸福な家庭を築くことを望んでいるはず。

なら、差し入れでゲン担ぎというのも悪くはない。

それはかれんも同意のようで。

「それなら、パイ生地だけ買いに行けば大丈夫ですね。ご一緒します」

「ありがとう。それじゃ、早速行こうか」

「はい」

菖の提案に、かれんは若干、頬を赤く染めてうなずいた。




あとがき代わりのその頃の話(スキット風)
~菖とかれんがパイ生地を買いに出かけた頃~

のぞみ「う~ん……決まらないよぉ……」
うらら「……ブーケ作りって、難しいです……」
りん「そりゃ、簡単にできたらあんたらに意見求めないって……」
つぼみ「でも、綺麗な花嫁さんが持っているブーケを作るのって、難しいですけど、ちょっとドキドキしませんか?」
のぞみ/うらら「「あ、わかるわかる!!/わかります!!」」
りん「あぁ……ロマンチックなほうのドキドキじゃなくて、うまくまとまってるかのほうでドキドキもんだわ」
くるみ「そうねぇ……そりゃ、仕事として請け負ってるんだもん。抱いて当然の想いだと思うわ」
のぞみ「え~……りんちゃんもくるみも、ロマンないなぁ」
りん「うっさい!」
くるみ「万年おめでたなあなたに言われたくないわ!」
こまち「うふふ……そういえば、つぼみちゃん」
つぼみ「はい?」
こまち「菖さんとはうまくいってるの?」
つぼみ「……はい?……ふ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??!!ど、どどどどどういう意味ですかぁ??!!」
こまち「そのままの意味よ?それとも、まだ告白してなかったのかしら?」
のぞみ「なになに?!つぼみちゃん、菖さんと付き合ってたの??!!」
うらら「ぜひ!ぜひ聞かせてください!!」
りん/くるみ「「あんたら/あなたたちは落ち着け/落ち着きなさい!!」」
つぼみ「ま、まだ告白もしてないですよぉ……」
こまち「あらあら……(なら、かれんにもまだチャンスはあるのかしらね)」
りん「……こまちさん、なんか言いました?」
こまち「いいえ、なにも?」(ニッコリ
くるみ「……こまちの笑顔、なんか怖いわ……」


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菖さんのストロベリーパイは、甘酸っぱい恋の味?!

なぁんか、似たようなタイトルになってしまったな……。
というわけで続編。
ぶっちゃけ、かれんのキャラが少しぶれている感じがしますが、まぁ、そこはご愛敬ってことで。


ブーケ作りのアイデアを出しあっているつぼみたちの陣中見舞いに、ストロベリーパイを作ろうと考えた菖は、かれんを伴わなって買い出しに出ていた。

だが、運の悪いことに。

「パイ生地が……売り切れ、だと……?!」

「さすがに、わたしも驚きました……」

常連であるかれんも、目を丸くしていた。

「ごめんなさいねぇ。今日はなぜかパイ生地がよく売れちゃって……ほんとのこと言うとね?店長が発注をミスして、いつもより少なくパイ生地を注文しちゃったのよ」

「それは……なんとも……」

パート店員のおばさんが、困ったわねぇ、といいたそうな顔でため息をつきながら、ひそひそと教えてくれたことに、菖は苦笑を浮かべながらひそひそと返した。

その様子に、かれんは何がおかしかったのか、くすくすと微笑していた。

「ところで、パイを作るつもりだったのかい?」

「えぇ。ちょっとストロベリーパイを作ろうかと」

「あら?随分、珍しいものを作るのね?……もしかして、おたく、スイーツ男子?」

「そんな大げさなものじゃないですよ~……まぁ、自作できるものは自作しますが」

立派なスイーツ男子の端くれである。

なお、菖がそう返すと、おばさんはかれんにこっそりと近寄って、耳元でこそこそと話し始めた。

「お料理できるなんて、あなたの彼氏さん、いい物件じゃない?」

「……かっ?!……か、かかかかか彼氏……って、そんなんじゃ……あ、でもそれもいい、かな……」

珍しいことに、おばさんの言葉を真に受けて、顔を真っ赤にして動揺してしまった。

もっとも、かれん本人はまんざらでもないようだったが。

なお、噂されている菖本人は代用となるものを探して、その場から離れていたため、気づくことはなかった。

------------------------

材料を買って戻ってきた菖とかれんはナッツハウスにある台所に立っていた。

「菖さん、手際いいですね」

「家だと、基本的に作るのは俺だからね。じぃじはあんまり作らないし」

「そうなんですか?」

「料理は作るんだけど、お菓子の類は作らないなぁ……作っても、おしることかだし」

「……それ、作るっていうんですか?」

基本的に、出来合いの煮豆に砂糖を入れつつ煮込み、焼いた餅を器にいれるだけである。

作る、とは言い難いのだが、仁頼曰く、食材をある程度の過程を経て調理しているのだから、これも立派な料理だ、らしい。

「だから菖さんはお菓子とか作るですね……というか、わたし、必要でした?」

自分が手伝う必要性はどこにいったのか、とかれんはすこししょんぼりした様子で呟いた。

それが聞こえた菖は、苦笑を浮かべて、ごめん、と返した。

おしゃべりしている間に、ストロベリージャムはパイ生地に包まれ、あとは焼くだけとなっていたようだ。

もっとも、菖の場合、焼くというよりも揚げるという感じなのだが。

なお、油がひかれたフライパンを見たかれんは苦笑しながら。

「……カロリー、多そうですね」

とつぶやいていた。

それが聞こえていた菖は、そうなんだけどね、と前置きしてから、反論した。

「そう見えるけど、使ってる油は低カロリーのものだし、揚げるというよりも油で焼くって感じだから、そこまで高くはならないはずだよ?」

加えて、しっかり油抜きをしてから出すつもりでいる。

「まぁ、それなら大丈夫だと思いますけど……」

「本当なら、ジャムも手作りの方が良かったんだけどねぇ」

「そこまでこだわるんですか?」

「普通なら、砂糖を使うけど、俺の場合、ステビアシロップを使うから、すこしカロリーをおさえられるんだよ」

ステビアとは、ハーブティーに用いられるハーブの一つで、強い甘味が出るのだが、糖分は含まれていない。

そのため、糖尿の傾向がある人に進められている。

また、カロリーを気にして、甘いものを満足に食べることが出来ないという人には、ステビアを煮だして作られたシロップを砂糖の代わりに使うことが勧められている。

かくいう菖も、祖父の体を気遣い、砂糖の代わりに蜂蜜やステビアシロップを使うことが多い。

ふと、菖は背後に気配を感じ振り向いた。

そこには、まるでのぞき見るかのようにして菖とかれんを見ているくるみとつぼみがいた。

「……いい匂いがするとおもったら」

「菖さん、何を作ってるんですか?」

「うん?ストロベリーパイ」

「いちごの花言葉にちなんで、ゲン担ぎだそうよ?」

かれんの説明に、つぼみは納得したようだが、くるみは首を傾げていた。

その様子に、つぼみは少し照れたような笑みを浮かべた。

「いちごの花言葉は「幸福な家庭」ですしね……たしかに、ゲン担ぎにはもってこいかもです!」

「……って、かれんが手伝って大丈夫なの?!」

くるみは真っ青になって叫んだ。

その反応に、かれんは顔をしかめたが、くるみはそれに気づくことはなかった。

「ん?まぁ、ほとんどの工程は俺一人でやったし、あとは焼くだけだから。まぁ、おかしなものになりそうだったら全力で止めるし、たぶんだいじょ……」

「いいえ!菖さんはお人よしですから、心配です!ここはわたしもご一緒させていただいきます!!」

大丈夫、と言おうとした瞬間、つぼみが大声でそれを遮った。

心なしか、つぼみとかれんの間に火花が飛び散っているような気がしないでもない。

もっとも、それに気づかない菖は。

「いや、つぼみはりんたちの仕事があるでしょ?」

とツッコミをしていた。

だが、聞き入れていないことを察すると、菖は仕方がないとため息をついて、妥協案を出した。

「なら、かれんもりんの仕事、手伝ったらどうかな?俺一人でも十分な量を作れそうだし」

「そうしたほうがいいわね……というか、そうしてほしいわ。りんとあたしの心の平穏のためにも……」

「……似たようなこと言ってるなぁ……」

その妥協案を是としたくるみが、げんなりとした顔でそう話すと、菖はどこかで聞いたような言葉に、冷や汗を伝わせながら、苦笑した。

------------------------

数分して、菖が焼きあがったパイを持って二階に上がってきた。

備えつけられているテーブルを見るに、どうやら、無事にまとまったところらしい。

「お?終わった感じかな??」

「はい!ちょうどまとまりました!!」

「いやぁ……長かった……ありがとね、つぼみ」

りんは疲れた表情でつぼみにお礼を言ったが、どこか満足そうにしていた。

つぼみもまた、にっこりと笑いながら、お役に立ててなによりです、と返していた。

傍から見れば、親友同士のように見えなくもない二人の様子に、菖はほほえましさを覚え、薄く笑みを浮かべた。

「それじゃ、仕事終わりのティーブレイクといこうか?」

「おぉ~!菖さん御手製のスイーツ??!!」

「ぜひいただきます!!」

菖のその一言に、のぞみとうらら(大喰い二人)が食いついてきた。

その口の端には光るものがちらりと。

どう考えても、年頃の乙女としてははしたないのだが、この二人にはまだそのあたりは早かったようだ。

その反応の速さに、菖は思わず身を引いてしまったが、りんとかれんが同時に、少しは落ち着け、とツッコミを入れられ、静かになった。

「……ここに置いたら、のぞみとうららに持って行かれそうだな……ほんとは紅茶も用意しておきたかったけど」

「言うと思って、僕たちで用意しておいたよ」

ふと、階段の方を見ると、ティーポットとカップをお盆にのせて持っている小々田と夏、そして、お皿とフォークを持っているシローがいた。

「お、ごめん。三人とも」

「これくらいはさせろ。どうせ、俺たちの分も焼いたんだろ?」

「まぁね」

「なら、これくらいはさせろ」

無愛想な様子で夏がそう口にするが、彼なりに申し訳ないと思っているのか、何か手伝わないと気がすまないのだろう。

素直じゃない態度に、菖たちは苦笑を浮かべながら、パイを切り分け、皿に盛っていった。

「なんだか、パイっていうより、包み焼きみたいな感じですね?」

「フライパンで揚げ焼きしたから、必然的にそうなるわね」

「それじゃ、早速!いただきま~す!」

口々に感想が漏れる中、のぞみが手を合わせ、フォークを手にした。

シローものぞみに倣い、手を合わせた。

「この世のすべての食材に感謝を込めて、いただきます」

どこかの青い髪の冒険家をコンビを組んでいる料理長のようなセリフを口にして、シローもフォークを手にし、パイを口に運んだ。

菖はパイを口にすることなく、二人の感想が口から飛び出てくるのを待った。

「おいしーーーーーっ!」

「うまいな、これ」

どうやら、好評のようだ。

りんたちもご満悦のようで、目じりが下がっていた。

うまくできたことに安堵した菖は、ほっとため息をついて、自分も食べ始めた。

ふと、くるみは何かに気づいたらしく、菖の方へ視線を向けた。

「これ、パイ生地つかってないですよね?もしかして、小麦粉を練って生地を作りました?」

「あ、よくわかったね?」

「なんとなく、いままで食べてきたパイはサクッて感じだったんですけど、これはどっちかというと、パリッて感じの食感なので」

どうやら、食感のわずかな違いに気づいたらしい。

もっとも、そんなことはまったく気にしていないのもいるようで。

「ん~、おいし~~」

「……のぞみ、あんたもうちょっと味わって食べなさいよ……」

「うふふ……のぞみったら、頬っぺたがリスみたいになってるわよ?」

のぞみは満面の笑みで、パイを頬張り、その様子に呆れながらりんが文句を言い、こまちはのぞみの頬がリスのように膨れている様子を面白がっていた。

ふと、小々田の正面に座っていたのぞみが何かに気づいたらしく。

「ココ、口にジャムがついてるよ?」

「え?どこ??」

「ここ」

そういって、のぞみは身を乗り出し、小々田の口元に指を伸ばし、ジャムをぬぐい取った。

のぞみはそのままぬぐったジャムがついた指をそのまま口に運び、なめとった。

その行為に、やられた小々田と純粋なつぼみは顔を真っ赤にしてしまった。

「あぁ……見せつけてくれるねぇ、お二人さん」

「ちょ!のぞみ!!またうらやま……じゃなくて!!失礼なことを!!」

半分、日常茶飯事になっていることなのか、りんはため息をつきながら茶化し、くるみは顔を真っ赤にしながら興奮した様子で怒鳴った。

一方、その光景を見せつけられたこまちとうらら、そしてかれんとつぼみはというと。

――あんなことを……ナッツさん/シロップ/菖さんにやられてみたい/みたいです

自分の意中の相手に同じことをやられてみたいという願望と妄想で、顔を紅くしていた。

もっとも、その原因となっている三人の二枚目たちはまったく気づいておらず。

「なぁ、なんであいつら、顔を真っ赤にしてんだ?」

「さぁ?」

「俺がわかると思うか?」

わけがわからず、紅茶を口にするのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ゆり「それで?つぼみ、わたしたちに何か言うことはないかしら??」
つぼみ「え?」
えりか「菖さんとデートしたんでしょ?ちゃんと感想、聞かせてよ!」
いつき「内気だったつぼみが、僕たちより先に大人の階段を上るのかぁ……」
つぼみ「ふぇ……ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!ち、ちちちちちち違いますよぉ!」
ゆり「あら?すでにネタは上がってるのよ??二人でサンクルミエールの町を散策したんでしょ?」
つぼみ「お互いのぞみさんたちに用事があっただけです!」
えりか「理由はともかく、「サンクルミエールの町を散策した」って事実は否定しないんだ?」
つぼみ「うぅ……」
ゆり「まぁ、これくらいにしておいてあげましょう?けど、つぼみ?」
つぼみ「……なんでしょうか?」
ゆり「抜け駆けは許さないわよ?もちろん、他の子もだけど」(ボソッ
つぼみ「……っ!!??」
えりか「な、なんかゆりさんが怖いっしゅ……」
いつき「う、うん……なぜか背中に寒気が……」


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ひかりのおもてなしは、特製手作りたこ焼き

リクエストにお答えして、菖とMH組の日常エピソードです。
というわけで、さっそくどうぞ。


その日、菖は小泉学園の小高い丘に来ていた。

その理由は、もはや語るまでもない。

午前中から心ゆくまで遺跡を探検した後、お昼近くになってなり始めた腹の虫を静めるため、なぎさたちの行きつけの店であるタコカフェを訪れていたのだ。

少し歩くかと思いきや、菖がいた遺跡からあまり距離が離れていなかったため、すぐに見けることができた。

もっとも、菖が声をかける前に。

「あれ?もしかして、菖さん?!」

「あ!ほんとだ!!おーい!!」

なぎさとほのかに捕捉されてしまったようだ。

菖は相変わらず元気のいい二人に苦笑を浮かべながら、ひらひらと手を振って返した。

テーブル席につくと、タコカフェのエプロンを来たひかりがメニューを持って菖のところまで小走りでやってきた。

「いらっしゃいませ、菖さん。今日はどうしたんですか?」

「いや、すぐ近くの遺跡を探検してたんだ。ちょうどここの裏手」

「え?!そんな近くに遺跡が??」

「初耳です!」

「そりゃそうでしょ。俺が読んだ研究書と説話や伝説から分析と推察を重ねてたどり着いた場所だもん」

どうやら、菖が研究し、発見した遺跡のようだ。

だが、ゆりから聞いた話だと、菖は一度、遺跡に入ると少なくとも一日は出てこないことがあると聞いていたほのかは、そのことを問いかけた。

すると、菖は苦笑を浮かべた。

「といっても、規模はかなり小さいし、探検する場所も少ないから、すぐ切りあげて来たんだよ」

「あ、そうなんですか……」

「なんというか……ほんとに好奇心に忠実なんですね、菖さん」

褒めているのか、けなしているのか。

いや、そのどちらでもなく、純粋にそう思ったから出てきたつぶやきに、菖は苦笑するしかなかった。

しばらく談笑していると、キッチンカーからエプロンをつけた女性が姿を見せた。

「おや……いらっしゃい、菖くん」

「どうも、アカネさん……あ、忘れてた。たこ焼きください」

菖は苦笑しながら、店主のアカネに挨拶すると、小腹が減ったことを思い出し、アカネに注文した。

すると、アカネは満面の笑みで、あいよ、と威勢のいい返事をしたかと思うと、ひかりの方へ視線を向けた。

「ひかり!ちょっと手伝ってちょうだい!」

「は、はい!」

ひかりは返事を返し、アカネの方へと駆け寄っていった。

その背中を見送ったなぎさとほのか、菖の三人は再び談笑を始めた。

一方、キッチンカーの方へむかったひかりとアカネは、いつになく真剣な表情だった。

「さぁ、ひかり。男の人のハートを射止めるにはまずは胃袋!ひかりがいま作れるとびきりおいしいたこ焼きを作ってあげな!」

「はい!!」

気合十分、といった具合で、ひかりが返事をすると、さっそく、たこ焼きの生地を作り始めた。

いつになく真剣な表情をしているひかりに、アカネは気になったことを問いかけた。

「そういえば、ひかり。なんで菖くんに惚れたんだい?」

「ふぇっ??!!」

突然のアカネの質問に、ひかりはボウルを取り落としてしまった。

幸い、あまり高いところに持ち上げていなかったため、中身をこぼさなかったが。

「どうなんだい?」

「え、えっとですね……」

ひかりは頬を赤くしながら、自分が菖に好意を抱くようになった理由を話し始めた。

----------------------------------

それは、ひかりが珍しく一人で小泉学園から出て、渋谷に遊びに来たときのことだ。

理由は、なんとなくそんな気分になったから、というだけで、ひかりにしては珍しく自分本位なものだった。

だが、それがいけなかった。

ひかりは、というよりも、プリキュアに選ばれた少女たちはみな、雰囲気や印象はそれぞれ違っても『美少女』として分類される子たちばかりだ。

むろん、ひかりもその例に漏れていない。

そのため、女の敵(ナンパ)に遭遇することもまれにあった。

普段はなぎさかアカネが追い払ってくれるのだが、今回は自分一人だけ、しかも悪いことに、ナンパ男のしつこく迫ってきて、振り払うことができずにいた。

そんなときだった。

ナンパ男とひかりの間に、一枚の紙切れが飛んできたのだ。

「すみません!それ、取ってもらえますか?!」

反対の通りに、手を振りながら一人の青年がそう叫んでいた。

ひかりが飛んできた紙切れを拾い上げると、青年はお礼を言ってこちらの方へ走ってきた。

「いやぁ、ありがとう……て、ひかり?どうしてここにいるんだ?」

「え?菖さん??菖さんこそ、なんでここにいるんですか?!」

「近くで俺がお世話になった先生の講義が行われることになっててさ。それの見学」

驚愕しているひかりに、菖はにっこりと笑いながら返した。

だが、その笑顔はすぐに冷めて、ところで、とナンパ男に視線を向けた。

「俺の友達に、なにか用でも?」

「い、いや……そ、それじゃ君、またね!」

あまりに冷ややかな菖の視線と殺気に怖気づいてしまい、ナンパ男はさっさとその場を立ち去っていった。

その背中を見送りながら、ひかりはほっとため息をついた。

どうやら、自分でどうやって振り切ったらいいのか、わからなかったらしい。

「あ、ありがとうございます、菖さん」

「ん?まぁ、お役に立てて何より」

菖のあまりに屈託ない笑顔に、ひかりはつられて笑顔になった。

----------------------------------

「へぇ~……つまり、ひかりにとって菖くんは騎士(ナイト)ってわけか」

「菖さん本人は、騎士なんてかっこいいものじゃないっていいそうですけど」

アカネの素直な感想に、ひかりは苦笑しながらたこ焼きをひっくり返した。

その手つきは素人のそれではなく、プロのそれに近かった。

手早くすべてのたこ焼きをひっくり返し、次々に船に乗せ、ソースと青のり、かつお節をかけていった。

「できました!」

「おっし!いっておいで!!」

「はい!!」

アカネに背中を押され、ひかりは自分で作ったたこ焼きを菖に届けに向かった。

キッチンカーを出て、ひかりは菖たちが座っている席へ向かって、走っていった。

だが、一秒でも早く食べてほしいという気持ちが、ひかりを逸らせてしまい、足もとにあった石に気づかず、躓いてしまった。

「きゃっ!」

さらに悪いことに、ひかりの手からたこ焼きを乗せた船が離れ、たこ焼きがこぼれ落ちてしまった。

地面に倒れたひかりは、目の前にひっくり返った船がある光景を見てしまった。

一生懸命、菖に食べてほしくてつくったたこ焼きが、自分のほんのちょっとのミスで台無しになってしまったことに、ひかりは泣きそうになってしまった。

「ふぅ……ギリギリセーフ、かな?」

「しょ、菖さん……いったい何したの?」

「早すぎて見えませんでした……」

安堵したようなため息をつく菖の声と、魂消てしまっているなぎさとほのかの声だった。

顔を上げると、八本のつまようじにたこ焼きを突き刺して立っている菖の姿がすぐ近くにあった。

てっきり、地面におとしてしまったと思っていたひかりは、たこ焼きが無事であったことにほっとため息をついたのだが、ぎょっと目を見開いて、もう一度、菖を見た。

「な、何で全部、つまようじに刺さってるんですか??!!」

「え?うん、まぁ……修練の賜物?」

「なんで疑問形?」

「ていうか、ぶっちゃけありえな~い!!」

簡単に説明すれば、手にしたつまようじを剣に見立て、空中に飛びだしたたこ焼きに突き刺しただけなのだが、どう考えても八回連続でたこ焼きを突いて一つも落とさないということはありえない。

だからこそ、菖は修練の賜物と称したのだろう。

だが、それ以外にどう説明したらいいのかわからなかったため、菖は疑問形で返したようだ。

もっとも、納得のいかないほのかとなぎさから同時にツッコミを入れられたのだが。

その光景がおかしくて、ひかりは泣きそうな顔から一点、花のような笑顔を咲かせた。

「さ、冷めないうちに食べちゃおうか」

賛成(さんせ)~!」

「こら、なぎさ!あんたにはこっち!!」

菖が提案すると、なぎさが満面の笑みを浮かべて菖からたこ焼きを受け取ろうとした。

が、なぎさの背後に突然、アカネが現れてきて、その頭にげんこつを降らせた。

もう片方の手には、たこ焼きの箱が四つほど乗っていた。

どうやら、こちらがすべてなぎさのために作られたたこ焼きのようだ。

見慣れたほのかとひかりは、特に何の反応も見せなかったが、菖は頬に冷や汗を伝わせながら、なぎさに問いかけた。

「なぁ、なぎさ。これ、全部食べるの?一人で?」

「へ?……うん、まぁ」

「……ぶっちゃけ、ありえな~い……」

なぎさから返ってきた答えに、菖は半眼になり、なぎさの口癖をまねた。

その様子がおかしかったのか、なぎさと菖以外のその場にいた全員が腹を抱えて爆笑したのだが、まねされた本人は面白くなかったのか、頬を膨らませてむくれるのだった。




あとがき代わりのそのあと話(スキット風)

菖「……はふ、はふ……(もぐもぐ)」
なぎさ、ほのか「「……」」(ごくり)
ひかり「……ど、どうですか?菖さん」
菖「うん、うまい」
ひかり「よかったぁ……ちょっと焼きすぎちゃったかもって思ったんですが」
菖「皮がカリカリしてるから、俺はこっちのほうが好きだな」
ひかり「ふふ、それじゃ今度菖さんが来た時はわたしが焼きますね!」
菖「ありがとう、ひかり」
アカネ「やれやれ……うちの看板娘から大事なもの盗んでいきやがったねぇ」
なぎさ「へ?ひかりの大事なもの??」
ほのか「ふふ……もしかして」
アカネ「そ、あの子の心」
なぎさ、ほのか「「ですよねぇ……」」
なぎさ「ていうか、菖さん。いったいどれだけの人の心を盗んだのよ……」
ほのか「まさに、ハートキャッチ、ね」(苦笑
なぎさ「ぶっちゃけ、ありえな~い……」


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高校生四人組の休日

いやぁ……暑い……
そして、FGOも熱い(苦笑
……課金するかなぁ……


その連絡は突然やってきた。

休日、菖は普段通り、自室で次に探検に向かう遺跡がある地域の伝承や古地図を紐解いていた。

そんな時、手もとに置いていた携帯電話が着信音を鳴らした。

ちょうど書類から目を離していた菖は、それに気づき、誰からの着信か確認することなく、電話に出た。

「もしもし?」

『あ、菖くんかい?久しぶり、剣城です』

電話の相手は、最近になって知り合った剣城あきらだった。

彼女(・・)もまた、つぼみたちと同じ、プリキュアに変身する少女なのだが、彼女は菖とゆりと同じ高校二年生だ。

つまり、菖とゆりにとって、他のプリキュアたちとは違い、自然体でいられる仲間の一人ということでもある。

「あぁ、あきらか。うん、久しぶり」

『ごめんね、急に電話して。いま、大丈夫かな?』

「大丈夫じゃなかったら出てないさ。どうしたんだ?」

『うん、実はゆかりからの誘いでね。ゆりと菖とわたしたちとでどこかへ出かけないかってことになってね』

「なるほど。それであきらが電話してきたわけか」

実のところ、菖はゆかりには苦手意識を抱いている。

何しろ、捕食者の目をして菖との距離を詰めようとしてくるだけでなく、やたらとスキンシップを取ってくるのだ。

そんな彼女からの電話であれば、いくら菖でも断るだろうと考えたから、わざわざあきらが電話してきたのだろう。

「……もし断ったら?」

『ははは……わたしとしては、君の意思を尊重したいけども』

「まぁ、無理だわな……わかった。で、いつだ?」

逃げることを早々に諦め、菖はあきらに出かける予定の日を問いかけた。

『来週の日曜ってことになっているよ。すまないけれど、よろしく』

「了解。それじゃ、来週な」

菖がそう返すと、あきらはそのまま電話を切った。

通話が切れたことを確認すると、菖は携帯電話を机に置き、そっとため息をついた。

「……来週、俺、生きて帰れるかな……」

ふと、胸中によぎった不吉な予感のまま、菖はそんなことをつぶやきながら、天井を仰いだ。

----------------------------------

翌週。

菖とゆりはあきらとゆかりと待ち合わせしている、いちご坂駅に来ていた。

二人は、特に会話をすることなく、自分が持ってきていた文庫本に目を通していた。

数分すると。

「お待たせ」

「待たせてしまったかしら?」

商店街へ向かう方面から、紅い髪の顔立ちが整った青年(・・)とつば広の白い帽子をかぶった紫の髪の美少女が歩いてきた。

それにいち早く気づいた菖は、文庫本を閉じて、二人に手を振った。

「よっ」

「……あら、来たのね。待ってたわ、二人とも」

菖の声に気づいたゆりも、文庫本を閉じて、顔を上げた。

なお、菖は青いシャツに黒のカーゴパンツ。ゆりは紫のワンピースの上に白いシャツを着ている。

菖は普段の恰好なのだが、ゆりの恰好は普段よりも少しばかり女性らしさを意識しているようだった。

加えて、心なしか、ゆかりに敵意の視線を向けているようにも思えた。

ゆかりもまた、ゆりからの視線に挑戦的な視線を向けていた。

「「……」」

「……なぁ、あきら。俺が思ったこと、言っていいか?」

「……奇遇だね。わたしも同じことを思っていると思うよ」

ゆりとゆかりの静かなにらみ合いを見ながら、菖とあきらは陰鬱なため息をつきながら、同時に同じことをつぶやいた。

「「喧嘩はよそでやってくれ/くれないかな……」」

だが、基本的に争いを好まず、他人の意見を優先する菖とあきらは、ゆかりとゆりに強く言うことができず、二人の気が収まるまで待つことにした。

待つことにしたのはいいのだが、にらみ合いが始まってから十分。

いまだにゆかりとゆりはにらみ合いを続けていた。

「……あ、あの、二人とも、そろそろ……」

あきらもいい加減、しびれを切らし、やめるように声をかけようとしたが、それを遮るように菖の怒号が響いた。

(かーつ)っ!!」

「「「……っ??!!」」」

「お前ら、いい加減にしろ!にらみ合いをするためだけに俺らを呼んだのか?!違うよな?!だったらじゃれ合いはそこまでにしろ!!」

ただでさえ研究に没頭できる貴重な休日を削っているのだから、無駄なことに時間を省きたくないのだろう。

だというのに、犬猿の仲同士(ゆりとゆかり)のせいで無駄な時間が過ぎ始めているのだ。

怒らない方がおかしい、というものだ。

「「ご……ごめんなさい」」

「わかればよろしい」

にらみ合っていたゆりとゆかりは、菖のあまりの形相に、少しばかり顔を青くして、素直に謝罪した。

二人の謝罪の言葉を聞いた瞬間、菖の怒りは収まり、普段通りの温和な顔立ちに戻った。

なお、この時の菖を見ていたあきらはのちに。

「背後に今にも飛び掛かってきそうなライオンの顔が見えた」

と、いちかたちに語ったそうな。

----------------------------------

菖がゆりとゆかりを一喝してからしばらくして。

四人は一緒に商店街を歩きながら、ショッピングをしていた。

もっとも、主に荷物を持つのは男である菖の仕事なのだが。

ちなみに、ゆかりはさきほど菖に一喝されたことへの腹いせか、次々に店をはしごして、そのたびに何かを買い、菖に持たせていた。

「し、菖くん?わたしもいくつか持とうか??」

「いや、大丈夫だ。気遣いありがとう」

さすがに見かねたのか、あきらは苦笑しながら、菖の手伝いを申し出てきたが、菖は顔色一つ変えずにやんわりと断った。

だが、ここで引かないのがア・ラ・モードチーム随一のイケメンであった。

「いや、けど……」

「女の子の買い物で荷物持ちをするのは男の仕事……あきらに押し付けられないって」

あきらだって、女の子なんだからさ。

苦笑しながら、菖はそう返した。

一見すれば、あきらも青年なのだが、よく見れば、着ている服はすべてレディースで統一されているため、見る人が見れば、あきらが女性であることは一目瞭然なのだ。

だが、中性的な顔立ちと、ボーイッシュな格好を好むあきらの性格から、あきらが男性であると勘違いする人は少なからずいる。

ちなみに、つぼみと奏は初対面のときにあきらを男性と勘違いして、あきらと最初に出会った時、ときめいてしまったというエピソードが存在している。

なお、菖が最初にあきらを見たときは同性と勘違いしそうになったが、体の輪郭の違いに気づき、下手にスキンシップを取ることはなかった。

閑話休題(それはともかく)

あきらは、同世代の男子に、女の子扱いされたことに慣れていないのか、菖からの一言で少しばかり顔を紅くした。

その様子を遠目でみていたゆかりは、面白くなさそうな顔で、あきらに近づき。

「あきら、ちょっとこれを持ってもらっていいかしら?」

と、荷物を菖ではなく、あきらに押しつけてきた。

「え?!ちょ……」

「さ、次に行きましょう」

あきらが抗議する間も与えず、ゆかりはさっさと次の店へと向かい始めた。

その背中を、あきらはあわただしく追いかけていった。

「……うわぁ、お嬢様が不機嫌だ……」

「そうね。さ、わたしたちも行きましょう?……あ、菖。これもお願いね」

「了解」

菖のつぶやきに、いつの間にか近づいていたゆりが返し、買ってきた荷物を押しつけ、あきらの後を追いかけていった。

菖は、まだ続けるのか、とため息をついて、ゆりの後を追いかけた。

----------------------------------

それからも数件、店をはしごして、菖たちはようやく、公園に到着した。

今回の散歩の最終目的地である『キラキラ・パティスリー(いちかたちの店)』までの中間地点なのだが、菖が休憩も惜しんで動いてくれていたので、一休みしよう、ということになったのだ。

なお、菖は現在、公園内に併設されているお手洗いに向かっているため、荷物はゆりとゆかり、そしてあきらの足もとに置かれている。

「それにしても、今日は買ったねぇ……」

「えぇ。素敵なものがいっぱいあったんですもの」

「つい、財布のひもがゆるんでしまったわ……少し、反省ね」

苦笑を浮かべるあきらの一言に、ゆりとゆかりはそれぞれ対照的な反応を示していた。

ゆかりは、モデルとしても活躍しているだけでなく、茶道の家元の生まれでもあるため、そこそこ経済力があるのだが、ゆりは父親が植物園の研究者であるといっても、給金は一般的なサラリーマンと同じくらいであるうえに、長いこと不在だったこともあり、一般的な高校生よりも財布のひもをきつく締めている。

だが、こうして同い年のプリキュアと一緒にどこかへいくということがいままでなかったためか、つい、羽目を外してしまったらしい。

ため息をついてはいるが、その顔はあまり後悔はしていないようだった。

そんなこんなで、菖が来るまでの間、歓談をしていると。

「ねぇ、君たち。もしかしなくても暇?」

「よかったら、俺たちと遊ばない?」

「俺たちも暇だからさぁ」

典型的なセリフで、ナンパ男の三人が声をかけてきた。

いい加減、この手の男たちを相手することに飽きてきたゆりは、そっとため息をついて、文庫本を開き、そこに目を落とした。

徹底して無視するつもりのようだ。

だが、ナンパ男どもが諦めるはずもない。

「ねぇ?どう??」

「黙ってないで、何か答えてほしいな」

「どうせ暇なんだし、いいでしょ?」

一方的に暇であると決めつけられ、さすがにゆりは苛立ちを覚え、顔を上げた。

それは、ゆかりとあきらも同じだったようで、ゆりと一緒になって抗議してきた。

「……なら、一言だけ。さっさとどこかへ行ってくれないかしら?わたし、あなたたちのような無粋な人は嫌いなの」

「いい加減にしてくれないかしら?」

「こちらが迷惑なんだ。帰ってくれないかい?」

「「「わぁお!厳しぃ~」」」

しかし、ナンパ男たちは同じような反応を返し、一向に引き返す気配がない。

その後も、ナンパ男たちはゆりたちと行動しようとしていたが、その顔は徐々に青ざめていった。

その変化に気づいたゆかりとあきらが振り返ると、そこには笑顔を浮かべている菖の姿があった。

だが、その笑顔の裏には、威圧感が流れていることに、ゆりたちは気づいた。

「俺の連れに、何か用か?」

「え……いや、その……」

「何か、用か??」

「「「し、失礼しました~~~!!」」」

菖の笑顔の裏にあった威圧感に気圧され、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

その背中を見送ると、菖から放たれていた威圧感はなりをひそめた。

「……まったく、どこにでもいるんだな、無粋な連中ってのは」

「そうね……ところで、何かあったの?ずいぶん、遅かったじゃない」

「どこかの誰かさんたちが、休む間もなく大量に買い物をするもんだからねぇ」

「あら……それはごめんあそばせ」

ゆりの文句に、菖がそう返すと、今度はゆかりが悪びれずにそう返した。

その様子を、あきらはただ苦笑を浮かべて眺めているだけだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~キラパティにて~
いちか「そんなことがあったんですか……」
ひまり「大変でしたね、あきらさんもゆかりさんもゆりさんも……」
あおい「一番大変だったのは、菖さんじゃない?」(-▽-;
あきら「そうかもね……菖くん、すまなかった」
菖「いや、俺もけっこう楽しかったよ。誘ってくれてありがとう、あきら」(^^*
あきら「……あ……うん……」(・・///
ゆかり「あら?どうしたの、あきら?少し顔が赤いわよ?」
あおい「……もしかして、菖さんの笑顔に照れちゃった?」
あきら「そ、そんなことないよ!!」
いちか「ま、まさかあきらさんが菖さんに……」
ひまり「ふぉ、フォーリンラブですかぁっ??!!」
中学生組「「「キャーーーーーーーーーッ!!」」」(///▽///
あきら「な?!そ、そんなこと……」
ゆかり「あらあら……それじゃ、あきらに取られる前に、わたしが菖をいただいちゃおうかしら?」(^^
ゆり「あら、そんなことさせると思っているの?」(^言^
ゆかり「うふふ……」
ゆり「ふふ……」
あきら「……ね、ねぇ、菖くん……止めなくていいのかな?」(^^;
菖「ほっときゃいいでしょ、もう……つか、俺のどこがいいんだよ、ほんとに……」(--;


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騎士のおもてなし~執事姿の騎士は突然に~

リクエストにあったので、菖に執事喫茶でバイトの代をしてもらうことに、という話なのですが……
メイド喫茶はともかく、執事喫茶って、調べたら予約制のところとかあったりでわけわからなくなってきたので、完全にイメージです。
(というか、メイド喫茶にも行ったことないぞ、私は(--;
それはそれとして、前後編の二部でお送りします。
一週間、という作中時間の都合上、複数チームが一緒に来店なんてことになってますが、ご了承を。
では、本編どうぞ。


とある日の放課後。

「頼む!!もう頼れるの、春川しかいねぇんだ!!」

「っていわれてもなぁ……」

「バイト代、はずむように交渉するから!」

「……はぁ……わかったよ、しゃあない」

菖は、一人のクラスメイトにバイトの代打を頼まれていた。

なんでも、どうしても外せない用事があるため、バイトを休まなければならないのだが、一週間も休むことはできない、ということで、菖に代打を頼んだようだ。

最初こそ、菖は断っていたのだが、明堂学園高等部では、『困ったときの神頼み』ならぬ、『困ったときの春川頼み』という格言が存在しているほど、菖は人がよかったりする。

そのため、最終的に折れることにしたようだ。

「……で?仕事の内容は?」

「あぁ、それな……」

菖の問いかけに、クラスメイトは自分の仕事の内容を説明し始めた。

この時、菖はまさか自分が一週間、最も売り上げに貢献した臨時スタッフとして密かな伝説になるとは、思いもよらなかった。

----------------------------------

菖がアルバイトの代打を引き受けた翌日。

ゆりとももかは希望ヶ花市にある、喫茶店に来ていた。

ももかが少しばかり多めに給金をもらえたため、普段、世話になっているゆりと菖にごちそうすることにしたそうだ。

もっとも、菖は用事があると言い、また今度の機会ということになったのだが。

「ほんと、残念。ここのアップルパイ、美味しいのに」

「ふふ、それなら、お土産に買っていきましょうか?」

「それもいいわね!」

と、女子高生らしい会話をしながら喫茶店に入っていくと、いらっしゃいませ、とさわやかなウェイターの声が聞こえてきた。

だが、その声に聞き覚えがあるゆりとももかは、ウェイターの方へ視線を向け、目を見開いた。

そこには、用事で来られない、と言っていたはずの菖の姿があったのだ。

「え?……しょ、菖くん?!」

「しょ、菖?!な、なんであなたがここにいるのよ??!!」

ゆりとももかは思わず、菖にそう問いかけたが、菖は答えることなく、メニューを手渡し、そそくさと立ち去っていった。

自分たちの勘違いだったのかしら、と首を傾げながら、ゆりとももかはおすすめの欄にあった紅茶とアップルパイを注文することにして、ウェイターを呼んだ。

すると、先ほどと同じウェイターがやってきて、注文を受けてくれた。

「……ね、ねぇ、やっぱり菖くんなんじゃ……」

ももかが恐る恐るといった感じで声をかけると、ウェイターはにっこりと笑みを浮かべ、メニューを回収し、代わりに冷水が入ったボトルを置いていってくれた。

ふと、ゆりがボトルの近くに視線を落とすと、一枚のメモが置かれていることに気づいた。

ゆりがメモに手を伸ばすと、そこには確かに菖の文字で短い文章が書かれていた。

「……バイト、代打、一週間、不本意……そういうことね」

「なになに?やっぱり、菖くんなの??」

「そうよ。不本意ながら、一週間、バイトの代打で来ているそうよ」

「へぇ……けど、不本意なんてもったいないなぁ。せっかくにあってるのに」

なお、この喫茶店は店長の趣味なのかどうかはわからないが、ウェイターの衣装は執事服、ウェイトレスの衣装は正統派のメイド服となっている。

ちなみに、菖の現在の恰好は、髪の毛をオールバックでまとめ、単眼鏡(モノクル)を左目につけ、執事服をまとっている状態だ。

普段のラフな格好からは想像できない、魅惑的な雰囲気が醸し出されていた。

もともと顔立ちは整っているほうであるためか、少しばかり格好を整えるだけでがらっと印象が変わってしまうのが、菖の恐ろしいところともいえるのだが。

「お待たせいたしました、アップルパイとアールグレイティー、フルーツタルトをお持ちしました」

「……あら?わたしたち、フルーツタルトは頼んだ覚えはないのだけれど?」

「こちらのタルトは、わたくしめのサービスでございます」

ゆりが疑問をはさむと、菖は優しく微笑みながらそう返した。

口止め料、というわけではなく、ももかからなにか無理な注文がこないようにけん制する目的があってのことなのだろう。

もっとも、菖は真相を話すことなく。

「それでは、ごゆるりと」

と優雅に一礼して、そそくさとその場を立ち去っていった。

一連の無駄のない動きに、ゆりもももかも思わず。

「「……かっこいい……」」

とときめいてしまったことは言うまでもない。

なお、ももかよりも惚れた弱みというところなのか、ゆりの方が重症で、店を出てからしばらくしても顔の赤みが取れることがなかったそうな。

----------------------------------

その日の夜。

ゆりは菖に電話をかけていた。

「菖?」

『よ、ゆり。どうしたんだよ、急に」

「えぇ……昼間のこと、ちょっと聞きたくて」

『あぁ……クラスメイトに頼まれてな……一週間、代打をやることになった……』

「そう……よかったら、わたしも手伝う?」

ゆりのその提案は、別に他意があるわけではないのだが、本人が不本意ながら、と言っている以上、放っておくこともできないという気持ちからだろう。

『気持ちはありがたいけど、大丈夫……ももかが余計なことを言わないようにだけ注意しておいてくれれば』

「そう……わかったわ。なら、困ったときは言ってちょうだい。手伝うから」

菖が苦笑している姿をありありと思い浮かべながら、ゆりがそう告げると、菖は、ありがとう、と礼を言ってきた。

『それじゃ、おやすみ』

「えぇ、おやすみ……あ、菖」

『うん?』

「……かっこよかったわよ、今日のあなた……それじゃ」

不意打ちで今日の菖の恰好をほめて、ゆりは電話を切った。

その顔は、してやったり、とでも言いたそうな顔であった。

その様子を見ていたコロンは、自分に火の粉がかからないように、ゆりには聞こえない程度の声で。

「……やれやれ、菖。君も大変だね……」

とつぶやくのだった。

----------------------------------

翌日の放課後(アルバイト代打、二日目)

菖は再び、喫茶店でウェイターとして働いていた。

ふと、来客を告げる鈴の音が軽やかに響き、菖は入り口の方へと向かっていった。

「お帰りなさいま……せ……」

「おぉ~!もも姉ぇの言ってたとおりだ!菖さんが執事やってる!!」

「え、えりか!す、すみません!菖さん……」

「ごめんなさい!ももかさんから伺って、少しでもお手伝いしようと思ったんですが……」

やってきたのは、つぼみたちだった。

どうやら、えりかを経由してももかから聞いたらしい。

だが、菖はあえて無視する姿勢を見せて。

「それでは、お嬢様方。奥の方へ」

と、平静さを装ってつぼみたちを奥の席へと案内した。

お嬢様呼ばわりされたことに、えりかは上機嫌になり、るんるん気分で奥の席へとむかっていき、つぼみは意中の相手の普段とは違う格好に当てられてしまい、真っ赤になってうつむきながら、えりかのあとに続いた。

だが、いつきは普段から門下生にお嬢様と呼ばれているため、慣れているのか、平然としながら、案内された席へとむかっていった。

席につくと、えりかはさっそくメニューを受け取り、何を注文しようか考え始めた。

が、その前に、と菖はえりかの耳もとでそっと忠告した。

「……えりかお嬢様、念のために言っておきます。あまり調子に乗られますと、いくら温厚な執事でも激昂いたしますので、ご理解とご容赦いただけますでしょうか?」

「……は、はいっしゅ……」

言葉遣いは丁寧ではあるが、あまりに威圧感のあるつぶやきに、えりかはいつになくしおらしくなって返した。

その答えに満足すると、菖はにっこりと笑みを浮かべて。

「つぼみお嬢様、いつきお嬢様。それではわたくしは奥の方へ控えておりますので、何かございましたら、ベルでおよびください」

そう告げると、菖はそそくさとその場から立ち去っていった。

菖の背中を見送ると、いつきはつぼみとえりかの変化に気づいた。

つぼみは顔を紅くしたまま、菖が立ち去っていった方に視線を向けたままだったが、えりかは若干、青ざめた顔で震えていた。

つぼみに関しては、いつものことなので、放置しても大丈夫だと判断したいつきは、えりかにどうしたのか問いかけた。

「や……やばいっしゅ……こ、ここで菖さんを怒らせたら何が起こるかわからないっしゅ……」

どうやら、菖を怒らせてしまったらしい。

一体、何を言われたのだろうか、と気にしながらも、いつきはメニューを開くのだった。

----------------------------------

つぼみたちが訪ねてきた日の翌日。

三日目となるこの日は、なぎさとほのかとひかり(MH組)、そして咲と舞(S☆S組)が訪ねてきた。

どうやら、彼女たちはえりかから話を聞いてやってきたらしい。

「……それでは、お嬢様方。奥の席の方へ……」

顔をひきつらせそうになりながら、菖はできる限り平静さを保ちつつ、なぎさたちを奥の席へと案内した。

案内する菖の背中を追いかけながら、ひかりと舞はつぼみとまったく同じ反応を示し、ほのかがそれを見てくすくすと笑みを浮かべ、なぎさと咲は何を頼もうか検討しあっていた。

席まで案内されると、なぎさたちは席につき、置かれていたメニューを開いた。

「それでは、わたくしは奥に控えております。何かありましたら、お呼びください」

「は、はい……あ、あの」

「はい、何かございましたか?」

ひかりがおろおろとしながら、菖の背中に話しかけると、菖はにこりと笑みを浮かべながら用件を問いかけた。

「い、いえ……あんまりかっこよかったので、つい……すみません。決まったら呼びます」

「ふふ、お嬢様にお褒めいただき、光栄でございます。それでは、わたくしはこれにて」

ひかりの感想に、菖は笑みを浮かべながら返し、そそくさと立ち去っていった。

その様子に、なぎさと咲は呆然としながら、同じようなことをつぶやいていた。

「……なんか、いつもの菖さんじゃない……」

「男の人って、あそこまでかっこよくなれるんだ……」

「あ、あはははは……」

そのつぶやきに、ほのかは何と返していいのかわからず、苦笑を浮かべるしかなかった。

なお、このあと、なぎさと咲は大量のフルーツタルトを注文したため、この日、一番の売り上げになったそうな。

もっとも、その料金は菖に立て替えてもらうつもりだったらしいが、菖はバイト中はあくまでも他人として接するつもりであるらしく、料金は立て替えないの一点張りであったことはここに明記しておく。

----------------------------------

アルバイト代打、四日目。

今度はのぞみたちがやってきた。

もっとも、小々田と夏、シローは店があるからとのことで、純粋に乙女六人での来店だった。

さすがに、えりかとなぎさ、咲で慣れた菖は、もはや驚かずに普通の客としてのぞみたちを奥の席へと案内した。

だが、のぞみとうららは感嘆しながら周囲を見まわし、見たことのない調度品を見つけては手で触れようとして、かれんとくるみにたしなめられたり、こまちは立ち止まって何かのメモを取り始めたりと、案内するまでの間に体力と精神力をごっそりと持っていかれてしまった。

どうにか、席まで案内した菖は、苛立ちをおさえながら、メニューを手渡し。

「……それでは、わたくしは奥に控えておりますので」

と、断りを入れて、そそくさとその場を立ち去ろうとした。

そうでもしなければ、いくら、温厚な菖でも何をしでかすかわからなかった。

一度、クールダウンする必要があったのだが、のぞみとうららがそれを許さなかった。

「執事さん!これと、これとこれを持ってきて!」

「わたしは、これとこれをお願いします!!」

「……かしこまりました。お持ちいたしますので、お待ちください」

顔を引きつらせながら、菖は注文を受けるとすぐに奥の方へと下がっていった。

その様子に、のぞみは首を傾げて。

「あれ?菖さん、なんか焦ってた??」

「焦っていたというより……」

「早くこの場から離れたがっていたような」

のぞみの疑問に、こまちとくるみがそう返した。

その返答に、のぞみの頭にはさらに疑問が浮かびあがってきた。

「え?なんで??」

「……あんたとうららのせいでしょ」

なんとなく、理由を察することができたりんは、そっとため息をついてそう返し他が、当の本人たちはまったくわかっておらず。

「「……??」」

首をかしげながら、疑問符を浮かべるだけであった。

その様子を見たりんは、これ以上、説明することを諦め、ため息をつきながら。

「……はぁ……あとで菖さんに謝っておこう……」

とぼやくのだった。

だが、菖の受難はまだ続くのだった。




あとがき代わりその頃話(スキット風)

~つぼみたちの帰り道~
えりか「ねぇ、思ったんだけどさ」
つぼみ「はい」
えりか「あたしらで菖さんの売り上げに貢献できるんじゃない?」
いつき「……まさかと思うけど、みんなを呼ぶの?」(^^;;
えりか「そ!けっこうな売り上げになると思うよ~」(^^♪
つぼみ「……えりか、もしかして菖さんに恩を売るつもりですか?」(--;
えりか「にっしし~♪まぁ、その通りなんだけど!」
シプレ「えりか、悪い顔してるですっ」
コフレ「けど、菖さんの素敵な姿をみんなに見せるのは賛成ですぅ!」
いつき「つぼみはすっかり赤くなってたもんね」(^^*
つぼみ「あ、あうぅ……」(///□///
えりか「そうと決まればさっそく皆に連絡っしゅ!!」
いつき「……あとで大変なことにならないといいんだけど」(^^lll


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執事姿の騎士の受難

裏側で何があったのか?
それは私も知りたいです(´-ω-`)
あ、ちなみにあとがき代わりスキットは没案です。


クラスメイトの頼みで、一週間、喫茶店のバイトを代打で行うことになった菖は、四日間でなぜか数名のプリキュアたちの相手をしていた。

つぼみたち(ハートキャッチ組)なぎさたち(MH組)、そして咲と舞(S☆S組)はまだよかったのだが、四日目にやってきたのぞみたち(5GoGo組)のせいで、精神に相当なストレスがかかってしまった。

だが、菖はここで一つ、疑問を抱いた。

なぜ、プリキュアたちがこぞって喫茶店に来るのだろうか。

地元に住んでいるゆりたちはまだわかる。

だが、離れている場所に住んでいるなぎさたちまでここにやってきたのか。

その疑問を解く鍵は、ハートキャッチ組きってのお調子者であるえりかにあった。

「……それで、えりか?なにか弁明は?」

「菖さんがいる間、お店の売り上げに貢献してあげようかと思って、プリキュアのみんなに連絡回したっしゅ……」

昼休みの屋上。

ゆりは昨晩のうちに菖からつぼみたちだけでなく、なぎさたちやのぞみたちまで来たことを聞いていたため、どういうことなのか、つぼみたちを問い詰めることにした。

ゆりの尋問に、えりかはすっかりしおらしくなって返した。

予想通りといえば予想通りの返答に、ゆりはため息をつくしかなかった。

「……はぁ……まったく……」

「け、けどゆりさん。売り上げが上がるのはいいことなんじゃ……」

フォローしようと、つぼみが恐る恐るといった感じでゆりに問いかけた。

だが、ゆりは冷たい視線をつぼみに向けて、きっぱりといいはなった。

「そうね、お店に(・・・)とっては(・・・・)、それがいいのかもしれないけれど、菖の精神的負担は考えなかったのかしら?」

「え?」

「……つぼみやいつきはともかく、えりか。あなた、お店で調子に乗って変なことしてないでしょうね?」

「そ、そりは……釘刺されたのでなにもしなかったっしゅ」

ゆりからの問いかけにそう返したえりかだったが、ゆりは普段の行いからあまり信用していないらしく、視線でつぼみといつきに問いかけた。

問われた二人は、本当に何もなかった、とジェスチャーで伝えると、ゆりはうなずいた。

「そう。それならいいのだけれど、果たしてなぎさたちはどうなのかしら?」

「へ?」

出入り禁止(出禁)をもらうほど食べたり、菖が執事姿だってことをいいことに無理難題を押しつけたり……もしかしたら、学校を辞めて執事の修行をさせられるかもしれないわよ?そうなると逆に菖に迷惑がかかるとは思わなかったの?」

いずれも、可能性としてはなくはない話だ。

いや、一番最初に出てきたものは、菖が代打とはいえバイトをしていることを知れば、奢ってもらえる、という期待をする子たちもいるだろうから、起こりうる事態として、可能性は最も高い。

加えて、ありえない、と思いたいのだが、大企業の令嬢がいる以上、執事の人員補給という意味で、菖をスカウトするかもしれない。

「そ、それは考えてなかったっしゅ……」

ゆりからの指摘に、えりかは少しばかり顔を青くした。

もしかしたら、自分がしたことで、菖の未来を変えてしまうかもしれない。

そのことに思い至ったのだ。

だが、時すでに遅し。

「こうなってしまった以上、あとは菖の運に任せるしかないわ」

それが、直接、関わることのできない自分たちにできる、唯一のことだった。

----------------------------------

ゆりがつぼみたちに尋問をした日の放課後。

アルバイト代打の五日目である。

この日、菖の目の前にはラブたち(フレッシュ組)みゆきたち(スマイル組)がいた。

何でいるのさ、と問いかけたくなる衝動を抑えて、菖は穏やかな笑みを浮かべながら。

「お帰りなさいませ、お嬢様方。奥の席が空いております。まずはそちらでごゆるりと」

と、なぎさたちも座った席へと案内した。

その道中、みゆきがあまりにも落ち着きなく、周囲を見まわすものだから、案の定。

「ふべっ??!!」

盛大に、顔から床にダイブした。

それを見た、というよりも見てしまった菖は、みゆきの前で片膝をついて、そっと手を差し伸べた。

「大丈夫ですか?みゆきお嬢様。さぁ、お手を」

「……は、はい……」

穏やかな微笑みを浮かべながら差し伸べられた菖の手を取り、みゆきは顔を赤く染めた。

当然、年頃の乙女である周りもそれにつられて顔を紅くして、黄色い悲鳴をあげたのだが。

「……お嬢様方、お屋敷の中ではお静かに。淑女(レディ)たるもの、場をわきまえてくださいませ」

と、菖がそう忠告する羽目になってしまった。

忠告された少女たちは、言葉を詰まらせ、すみません、と謝罪するのだった。

その謝罪を聞き入れた菖は、微笑みを浮かべてメニューを取り出し、ラブたちが座ったテーブルに置いた。

メニューを開いたラブたちは、どれを注文しようか、和気あいあいと話し合っていたのだが、菖はなおとラブの二人に近寄り。

「なおお嬢様、ラブお嬢様。節度をわきまえたご注文をお願いいたします……度を越した注文をされては、わたくしも対応に困ってしまいますので」

と、耳元でやんわりと忠告されたため、ラブとなおはあまり注文することができなくなってしまったらしい。

なお、二人の顔は赤くなっていたのだが、それが自分たちの大喰いのことを指摘されたからか、それとも、普段と違う低い声に驚いたからなのかは、定かではなかった。

----------------------------------

それからして、今度は、響たち(スイート組)マナたち(ドキドキ組)の九人が菖の前に現れた。

だが、響たちはともかく、なぜかマナたちは来るような気がしていた菖は、あまり動揺することなく、ゆりとももかが来店して以来の穏やかな気持ちで席へ案内することができた。

なお、ありすの傍らにはセバスチャンがいたのだが、喫茶店に入った以上、彼も客人であるため、菖はセバスチャンにも席を勧めた。

だが、案の定、断ってきた。

「いえ、わたくしは……」

「セバスチャン殿。貴方様もまた、当屋敷のお客人でございます。なれば、たとえ仕える主が同席している場であっても、その方と同等に扱うことが礼儀と心得ます」

そう言われてしまっては、セバスチャンも座らざるを得なくなってしまい、ありすたちとは少し離れたテーブルに座ることとなった。

その様子を見ていたマナたちは、目を輝かせながら感嘆のため息をついていた。

「すごいね、菖さん……セバスチャンさんを丸めこんじゃった……」

「さすが、菖兄さん……このまま考古学者の道を歩かせるのは惜しいかも」

響の感想に、アコは口をへの字に曲げてつぶやいていた。

実のところ、アコは以前、菖とゆりを専属の近衛騎士として雇おうかどうしようかと真剣に悩んでいた時期があった。

だが、二人から。

『焦って決めることじゃないし、本当に自分たちに近衛騎士としての資質があるかどうか、アコがもう少し大きくなってから考えてみてほしい』

と言われたため、無理に勧誘することは控えることにしていた。

「けど、執事として雇ってくれそうなところって……」

「あははは……ないない」

「似たようなところだと、マネージャーだろうけど……わたしのところは無理よ?ダビィがやってくれてるし」

「ありす、いっそのこと、菖兄様をセバスチャンさんの後継者として雇い入れたらいかがでしょう?」

マナの一言に、六花は苦笑しながら返し、真琴は少しばかりずれた観点からそう返した。

すると、亜久里がありすに視線を投げ、そう問いかけてきた。

問われたありすはというと。

「あらあら……それもいいかもしれませんわね♪」

と、微笑みながら返していた。

だが、本気でそう言っているのかは、付き合いの長いマナたちでさえ、わからなかった。

それを聞いたレジーナは。

「ね、いっそあたしとパパと亜久里の専属執事として雇わない?!」

と亜久里に投げかけたが、亜久里はそっけなく。

「そんな余裕はございません。何より、お父様もできる限り、自分のことは自身で行いたいとおっしゃっていました」

と、きっぱりと言い放ち、却下した。

ちなみに、亜久里とレジーナ、それにアコは注文したケーキに加えてもう一品、お勧めのアップルパイが添えられていたことに、菖へ疑問を投げたら。

「わたくしめのサービスにございます」

と優しい笑みで返され、遠慮なく、おいしくいただいたそうな。

----------------------------------

菖の執事姿を見て、将来的に執事として雇うかどうか、という話題は、なぜか翌日にも出てきた。

アルバイト代打、六日目。

ありすたちの次に訪れたのは、はるかたち(プリンセス組)めぐみたち(ハピネスチャージ組)だった。

最初、はるかが菖の執事姿に興奮して。

「菖さん、すごい!!素敵すぎるよ~~~~~~っ!!!」

と大はしゃぎしてしまった。

菖は、その反応を見てはるかに。

「……はるか様、姫君(プリンセス)たるもの、いついかなるときも淑やかになさるものです。どうかお心をお静めください」

と注意されてしまった。

その対応の速さと言葉遣い、そして態度に、ひめとみなみ、そしてトワ(ご令嬢と本物の王女殿下)はすっかり感心してしまった。

「菖さんって、実はものすごく高スペック?」

「もうどこに執事として雇っても問題ないレベルかもしれないわね……」

「……いっそ、ホープキングダムの王家専属の近衛兼執事として雇ってみましょうか……」

「お?トワっち、もしかしなくても菖さんを雇っちゃうの?」

トワの発言にきららが反応し、にやにや、といたずら小僧のような笑みを浮かべて問いかけた。

だが、トワは恥ずかし気に頬を赤く染めて。

「べ、別に本気ではございませんわ!あくまでも、一考の余地あり、というだけであって……」

「ふ~ん?……なら、わたし専属の執事として雇っても問題ないかしら?もちろん、永久就職って方向で」

トワに返してきたのは、きららではなく、同席していたまりあだった。

まりあに永久就職、というのが何を意味しているのかを理解できてしまった少女たちは、一斉に驚愕の声を上げた。

むろん、まりあは冗談で言っているのだが、さすがに冗談がすぎるため、菖から。

「まりあお嬢様、お戯れがすぎます。御冗談はその程度にしてくださいませ」

と冷静に返されてしまった。

だが、菖が近くにいることをいいことに、今度はきららから。

「だったら、うちのサブマネージャーとしてなら問題ない?もちろん、永久就職も視野に入れて、だけど」

「御冗談を。わたくしめにはとてもきららお嬢様の輝きにはついていけません」

と、ちゃっかりスカウトしようとしてきてのだが、菖はそっけなく返したことは言うまでもない。

なお、みなみが菖を海藤グループの専属秘書として雇うべきかどうすべきか、悶々と考えていたことは誰も知らない。

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アルバイトの最終日。

菖にとって、この日さえ乗り越えれば、あとは普段通りの生活が待っているという希望を持てる日であった。

この日に訪れたのは、みらいたち(魔法使い組)いちかたち(ア・ラ・モード組)だった。

「お帰りなさいませ、お嬢様方。どうぞ、奥のお席へ」

菖はこの一週間で身につけたポーカーフェイスと言葉遣いで案内を始めた。

席に到着すると、みらいたちといちかたちはそれぞれ、椅子を引いて自分から腰をかけたが、ゆかりだけは、立ったままだった。

「……ゆかり?」

「ゆかりさん?早く座りません?」

座る気配がないゆかりに、あきらといちかが首をかしげながら問いかけると、ゆかりはいたずら小僧のような笑みを浮かべたまま、菖に問いかけた。

「うふふ……わかっているでしょ?菖」

「……はい、ゆかりお嬢様」

ゆかりの問いかけに、菖は返事しながら、椅子を引き、ゆかりに席を促した。

それに満足したゆかりは、ありがとう、と小さく呟き、椅子に腰かけた。

「こちらが、本日、わたくしどもがご用意いたしました軽食の一覧にございます」

菖はそういいながら、メニューを配った。

だが、ゆかりだけはメニューを開かず、菖に直接。

「今日、用意したなかで一番自信があるものは?」

「はい。蜂蜜とレモン汁で煮込んだアップルジャムをふんだんに使ったアップルパイと、アップルティーでございます」

「それじゃ、それをお願い」

「かしこまりました。みなさまは、いかがなさいましょう?」

いつもの菖とは思えないゆかりとのやり取りに、みらいたちは呆然としてしまった。

だが、立神コンツェルンの娘であるあおいは、慣れているのかあまり動揺している様子はなかった。

なお、全員が注文したものは、ゆかりが注文したものと同じ、アップルティーとアップルパイのセットで、かなり好評だった。

好評だったのはいいのだが。

「ねぇ、あなた。せっかくだから、このまま琴爪家の執事にならない?」

「いやいや、立神コンツェルンの新人執事として……」

などと、菖を執事としてスカウトしようとする二人が口々にそんなことを言い始めていた。

もっとも、菖は誰につくつもりがないということはわかっているため、本気ではないようだが。

----------------------------------

みらいたちといちかたちが帰っていって、一時間が経過したころ。

ゆりとつぼみが再び執事喫茶に訪れた。

もちろん、出迎えたのは、菖だった。

「お帰りなさいませ、お嬢様方。奥の席へどうぞ」

平静を装い、菖は二人を以前、案内した席へと案内した。

二人は席につくと、開口一番、同じ注文をした。

「「アップルパイとアップルティーのセットを」」

「かしこまりました。すぐにお持ちいたします……ところで」

と、菖はつぼみとゆりに近づき、彼女たちの耳元でそっとささやいた。

「なぜ、今日、お二人がここに?」

基本的に、ゆりもつぼみも喫茶店を利用することはない。

金銭的な側面もあるが、下手な紅茶よりも薫子が出してくれる紅茶の方が断然美味しいから、下手な喫茶店に行くよりも、そちらのほうが落ち着くためだ。

そんな二人がこうして喫茶店に来たのだ。

何かある、と感じないほど、菖は鈍感ではない。

「あぁ……うふふ」

「はい!今日を最後に、菖さんが暇をいただくとお伺いしたので……」

とつぼみは一拍置いて、カバンから小さな花束を取りだした。

「お疲れ様とお世話になったお礼を兼ねて、持って来ました!」

「わたしたち、二人からよ。受け取ってくれるとうれしいわ」

「これは……ありがとうございます」

菖は穏やかに笑いながら、つぼみの花束を受け取った。

花束を受け取ってもらえたつぼみとゆりもまた、同じように笑みを浮かべるのだった。

 

それから一週間。

菖は代打を依頼してきたクラスメイトに呼びだされた。

また依頼か何かだろうか、そう考えていた菖だったが、クラスメイトの様子がどこかおかしかった。

「春川……お前、なにやったんだよ?」

「へ?」

「店長、俺の代わりに春川に働いてもらいたいって言うんだよぉ……」

どうやら、代打を頼んだはずだったのに、その代打の方が優秀だったために入れ替えを願われたらしい。

「なぁ、春川!まじで何やったの?!お前が代わってくれた一週間の売り上げが今月でダントツだったんだよ!!先輩たちも同期も後輩も、『最強の執事長』なんてあだ名つけてるしよぉ!!」

「知らんて……つか、なんだよ、そのあだ名……」

菖はげんなりとしながら、そう返し、クラスメイトから逃げていった。

なお、菖が『最強の執事長』と呼ばれた理由は、売り上げ貢献だけでなく、プリキュア以外のメンバーの客人に対する態度やその整った顔立ちから、リピーターが増えたためでもあるのだが。

菖はそんなことは知ったことではなかった。




あとがき代わりのもしもの話(スキット風)

~退職祝いが花束でなかったら~
菖「なぜ、今日、お二人がここに?」
ゆり「あぁ……うふふ」
つぼみ「はい!今日を最後に、菖さんが暇をいただくとお伺いしたので、お疲れ様とお世話になったお礼を兼ねて……」
ゆり「わたしたち二人からよ。受け取ってくれるとうれしいわ」
つぼみ、ゆり「「……チュ……」」
菖「……お、お嬢様??!!」Σ(///□///
ゆり「……言っておくけれど、これがわたしの"初めて"だから」(///_///
つぼみ「わ、わたしも同じくです……」(///_///
ゆり、つぼみ「「せ、責任、取りなさいよ/取ってくださいね?」」
菖「……えぇ~……」(-□-;;


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町に響くは雅なる笛の音

響とのストーリーにするつもりだったんだけど、なぜかスイート組とのエピソードになってしまった……
……あれれ~?おかしいぞ~??(某少年探偵風



その日、菖は加音町に来ていた。

だが、用事は遺跡探検ではない。

加音町には、ある楽器を探しに来たのだ。

「……さて、来たのはいいけど……あるかなぁ、篠笛」

実は、菖が普段使っている篠笛が、えりかの不注意で壊れてしまい、希望ヶ花市では修復不可能となってしまったのだ。

小学生のころから使っていたため、かなりの思い入れがある一品だったのだが、えりかはそうとは知らず、いたずらをして壊してしまったのだ。

その時の菖の落ち込み具合は、付き合いの長いゆりでも、ここ数年どころか、もしかしたら今まで見たことがないかもしれない、と言わしめるほどのものであった。

そのあまりの落ち込み具合に、ゆりだけでなく、つぼみといつき、そして事情を聞いたももかも加わり、えりかへの大説教会が開かれたのだが、それは割愛。

その後、菖は壊れた篠笛の代わりとなる笛を探すため、音楽の町としても知られている加音町に来たのだ。

――ひとまず、ものがどこにあるか、だよなぁ……今の時間なら、訪ねていっても問題はないだろうから、奏に聞いてみるか

加音町には不案内であるため、どこに笛を扱っている楽器屋があるかなど知らない菖は、唯一知っている場所である奏の実家、「Lucky Spoon」へと向かっていった。

----------------------------------

その頃、「Lucky Spoon」では。

「こらーっ!響に奏太ーーっ!!」

「「逃っげろ~!!」」

「はぁ……相変わらずね、二人とも」

「馬鹿っぽい」

響と奏の弟、奏太が、奏の作ったケーキこっそりつまみ食いしている現場を奏におさえられたことで、追いかけっこが始まり、その様子をカップケーキを食べながら、エレンとアコが呆れ顔で眺めていた。

ふと、アコの視界に身慣れた色のシャツを着た青年の姿が目に入ってきた。

「あれ?菖兄さん?」

「え?……あ、ほんとだ。お~い、菖さ~ん!!」

アコがそうつぶやくと、エレンはアコが見ていたほうへ視線を向け、手を振った。

エレンとアコの存在に気づいたのか、菖もこちらに手を振って応えてくれた。

だが、アコもエレンも、その顔が微妙に暗いことに気づいた。

「菖さん、なにかありました?」

「なんだか、暗い顔してるけど」

「ん?……あぁ……実は」

と、菖は自分が加音町に来た事情を説明した。

それを聞いたアコは、大きくため息をついていた。

「……ほんと、馬鹿っぽい……というか、救いようがないわね、これはもう」

「それで、篠笛を探しに加音町(ここ)に来た、と……確かに楽器ならここに並ぶ街はないだろうけど」

「あ、ならわたしたちが案内しましょうか?」

追いかけっ子を終わらせてきた響と奏の声がしたほうへ振り向いた。

よく見れば、響の口もとにはホイップクリームと思われる白いものがついていた。

どうやら、走っている途中で奏のケーキを一口食べたようだ。

「ん?……あぁ、響と奏か。できればお願い……その前に、響は口元拭こうな?」

「……へ?」

「ここ、クリームついてるよ」

菖が自分の口元に指をさして、クリームがついている場所を響に教えた。

示されるまま、響は口元をぬぐうと、クリームがついていたことにようやく気づき、顔を真っ赤にしてしまった。

「ははは、響は相変わらず、食いしん坊さんだな」

「うっ……うぅ……」

菖に笑われて、響は顔を真っ赤にしながら、うずくまってしまった。

----------------------------------

それから数分して。

ようやく復帰した響と奏、それからエレンとアコに連れられて、菖は加音町にある楽器屋にやってきた。

幸いにして、笛はすぐに見つかった。

だが。

「……う~ん……」

「やっぱり、しっくりきませんか……」

「えぇ……さすがに、子供のころから使ってたものが馴染んでしまっていますから……」

なかなか、納得のいくものが見つからずにいた。

その様子を見守りながら、響たちは普段なら、遺跡関係のこと以外ではあまり見ることのない、菖の真剣な表情に呆然としていた。

「菖さん、遺跡以外のことでもあんな表情するんだ」

「これは意外よね……」

少しばかり失礼なようではあるが、菖の考古学や遺跡への熱意は、付き合いが深いつぼみたち(ハートキャッチ組)以外のメンバーも嫌というほど知っているため、仕方がない反応である。

呆然としている響たちをよそに、菖はなおも真剣な表情で笛を吟味していた。

一時間ほどしてようやく。

「これにします」

「ありがとうございます!」

菖はようやく、新しい笛を決めた。

「よ、ようやく終わったみたい……」

「な、長かった……」

「二人とも、情けないわね」

待ちくたびれた響と奏は、店員が用意してくれた椅子の背もたれに、ぐでっ、と疲れた様子でもたれかかっていた。

その様子を、アコが半眼で睨みつけていた。

一方、エレンは菖が買った笛に興味が湧いているらしく、菖の手にしている笛をじろじろと至近距離で見つめていた。

時折、鼻を近づけて、すんすん、と笛の匂いをかいでいるあたり、猫のようであった。

その様子を間近で見ていた菖は、苦笑を浮かべながら見守っていた。

----------------------------------

店を出た菖は、響たちに案内されて、加音町の名所である「調べの館」へとやってきた。

初めて入った菖が出した、最初の発言は。

「パイプオルガンでかっ!!」

だった。

日本にも一応、パイプオルガンが設置されているオペラホールがあるのだが、目の前にあるパイプオルガンはそれよりも大きいのではないかと思ってしまうほどだ。

なぜ、響たちが菖をこの館に案内したのか。

それは。

「「「「菖さん/菖兄さん!笛を聞かせてください!!」」」」

「……え、ここで?」

菖の笛の音が聞きたいからだったのだが、案内された本人は、わざわざここに呼ばれた理由がまったくわからなかった。

もっとも、響たちに聞いても、大した理由はなく、単にここが自分たちのたまり場だからということらしい。

身勝手といえば身勝手な理由に、菖は苦笑を浮かべたが、リクエストに応じないほど意地悪ではない。

「それじゃ、リクエストに応じまして……」

菖はそう言って、早速、新しい笛を手に取り、吹き口にそっと唇を当て、息を吹きこんだ。

ほぅ、ぴぃ、ひぃ、と様々な音階の音を出してから、菖は一度、笛から唇を離して、背を伸ばし、大きく息を吸った。

そして、再び、吹き口に唇を当てた。

「~~♪~♪~~~♪」

澄んだきれいな音が、菖の篠笛から漏れ出てきた。

祭囃子を奏でるのかと思っていた響たちだったが、奏でられる旋律が祭囃子のようなにぎやかなものではなく、神社で行われる儀式や神楽舞で奏でられるような、静かで荘厳な、しかし美しい旋律であることに驚愕した。

だが、響たちは驚愕の声さえあげることなく、静かにその音色に聞き入っていた。

しばらくの間、調べの館に響いていた菖の篠笛の音色は、最後の旋律を奏でると静かに、余韻すら残すことなく、消えていった。

「「「「……」」」」

しばらくの間、響たちは演奏が終わったことに気づくことなく、ただ静かに座っていた。

「……お~い、みんな~?」

あまりに長い間、だんまりが続いていたので、菖は心配になって、思わず四人に声をかけた。

すると、菖に呼ばれたことに気づいた響たちは、小さく体を震わせて、同時に返事を返してきた。

「「「「は、はいっ?!」」」」

「どうだった?俺の笛」

笛を持ったまま、菖は響たちに問いかけた。

「とってもきれいでした!」

「この前のお祭りの時の笛よりもすっごくきれいでした!!」

「もう一度、吹いてください!!」

「……お兄ちゃん。わたし、もう一度、聞きたい」

感想は様々であったが、とても気に入ったということだけは伝わってきた。

菖はアコのアンコールに応じて、もう一曲、奏で始めた。

だが、ここにいる誰も気づいていないことが一つあった。

調べの館の入り口。

そこに、この館の管理人であるアコの祖父、音吉が腕組をして菖の笛の音を聞いていたのだ。

「ふむ……ずれておらんな。使い手も、笛も」

顎に指を添えながら、音吉はそんな感想を漏らしていた。

もっとも、そのことは、菖はおろか、孫娘であるアコにすら明かされることはないのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~数十分後の「Luckey Spoon」にて~
響「菖さん、これ食べてみてください!!」(^^*
菖「ん?これって、カップケーキ?」
奏「はい。うちの厨房つかって、響が作ったんです」
菖「へぇ……そんじゃ、遠慮なく(パクッ)」
響「……」(・ω・;<ドキドキ
エレン「響、緊張しすぎ」(^_^;
菖「うん、うまいと思うよ」
響「よかったぁ……」ε-(´∀`*
アコ「練習した甲斐があったわね、響」(-_-
響「うん!なんかほっとしたらお腹減ってきちゃった」(^_^;
菖「おいおい……そんなに緊張するものなのか?」
エレン「菖さんにおいしいって言ってもらうんだ~、って必死に練習してましたから」
奏「ほんと、付き合わされるこっちの身にもなってほしいわ。いくら菖さんに褒めてほしいからって、ねぇ?」(・∀・
響「うっ……」(///_///
菖「ん?なんで俺に褒めてもらいたいのさ?」
アコ「……兄さん、朴念仁……」(-_-;
エレン「……菖さん、そこは気づきましょうよ……」
菖「……ん??」


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えぇっ?!菖さん、リコのお父さんを知ってたの??!!

もはや、タイトルは適当です。
今回はリクエストに応じて、リコパパことリアン氏と菖のお話。
といっても、菖がリアンと接触したときのエピソードってだけですが。
なお、今回のあとがき代わりのスキットは後日改めて執筆します。
……だって、浮かばなかったんだもの(´・ω・`)

2017/8/11 あとがき追記


その日、菖はリコの誕生日パーティーに招かれ、四葉グループのホテルに来ていた。

パーティーと言っても、公式のものではないし、身内(オールスターズ)だけで執り行うため、フォーマルな格好をする必要はなかった。

が、それでもやはりパーティーなので、いつもの青いシャツの上に、紺色のジャケットを着ていた。

なお、ゆりたちも同じようなもので、フォーマルドレスではないが、少し上品な格好になっていた。

「それでは、ちょっと早いけど!」

「リコ!!」

「誕生日!!」

『おめでとう~~~~!!』

リコ以外の面々からの祝福の言葉と同時に、クラッカーが鳴り響いた。

祝福されたリコは、少しばかり照れたように顔を伏せて、ありがとう、とか細い声で返した。

そこからは無礼講となり、みんなそれぞれに別れて談笑を始めた。

菖は出された料理に舌つづみを打ちながら、寄ってきたことはとみらいの相手をしていた。

「はーっ!菖お兄ちゃん、久しぶり~っ!」

「菖さん、お久しぶりです!!」

「うん、二人とも久しぶり」

元気いっぱいに挨拶してくる二人に、菖は微笑みながら返した。

少しの間、二人と談笑しているとみらいが、そういえば、と思い出したように問いかけてきた。

「菖さんって世界中にある遺跡を探検したことがあるんですよね?」

「世界中ってわけでもないけど、海外の遺跡も見てきたことはあるよ」

「それじゃ、もしかしてリアンさん……リコのお父さんに会ったことありますか?!」

「……へ?リコのお父さんって、魔法(マホウ)界にいるんじゃ……」

みらいからの突然の質問に、菖は目を丸くした。

「実は、校長先生の依頼で、ナシマホウ界(こっちの世界)にあるプリキュアに関する遺跡を調査してたんです」

「……もしかして、モノクルをかけた口ひげがダンディな人?」

「「はい!」」

菖は「プリキュア」という自分たちにとってのキーワードから、一人の男性を思い出し、みらいに確認した。

案の定、みらいとことはは満面の笑みを浮かべてうなずいて返してきた。

「……あるな、確実に」

「その話、本当ですか?!」

まさかの菖の返答に、みらいは目を丸くした。

その反応を無視して、菖はリアン氏との出会いを語り始めた。

----------------------------------

それは、菖とゆりがユグドセイバーとキュアムーンライトとして復活するより少し前のことだ。

コロンを失って以来、菖はどうにかしてコロンを蘇らせることができないか、プリキュアのパートナーとなった妖精について何かわからないか、必死に考えていた。

そのとき、ふと、「Precure」とアルファベットに似ている古代文字が記された石碑のことを思い出し、もしや、そこに何かのヒントがあるのではないかと思い至り、世界各地の遺跡を巡ろうと決意した。

むろん、普段は自分が今まで集めた資料での検証や、心の大樹の力を借りての実地調査を行う必要があったのだが、基本的には長期休みに両親の調査に同行する形をとっていた。

その日、菖は両親とともに砂漠地帯にある遺跡に来ていた。

だが、菖はいま、両親がいる場所から少し離れた場所にある壁画の前にいた。

――まただ……この壁画にも「Precure」とも読める文字が書かれてる……それに、この配列、やっぱりローマ字に似てる

以前にも、菖はアルファベットに似ている文字が刻まれた壁画や石碑を見かけたことがあった。

そして、そこには必ずローマ字と思われる配列がされた文字や「Precure」とも読める文字列が存在していた。

そこか考えられるのは、いままで見てきたそれらの遺跡はすべて一つの文明とつながっているということだ。

だが。

――けど、ここにある遺跡と前に見た遺跡は海を隔てたうえに、かなり離れた場所にある……この遺跡の時期から考えても、航行技術があったとも思えない

今でこそ、世界中を飛行機で行き来することができるが、科学技術が発達する以前の人間の移動手段はごく限られていた。

その中には船舶での移動も含まれている。

だが、現代ならばともかく、古代では船の旅というのは、死と隣り合わせの危険なものだった。

そして、現代ならばともかく、古代の船旅はかなりの時間を有するものだ。

それこそ、年単位という長い時間だ。

加えて、この地域と菖が発見した遺跡があった地域の間に交流があったという歴史的証拠は存在しない。

だというのに、まるで昔から交流があったかのように、この文字が存在しているのだ。

「……う~ん?これはいったいどういう……」

「おぉ、ここにも……うん?君は??」

ぼそぼそとつぶやいていると、背後からモノクルをかけた青い髪の男性が声をかけてきた。

菖は一度振り向いて会釈はしたが、すぐに壁画の方へ向き直った。

だが、男性の口から出てきた言葉に、菖は再び男性の方へ向き直ることになった。

「……もしや、君もこの文字が読めるのかい?」

「読めるかどうか、といわれても……アルファベットに似ているし、配列がローマ字だから、なんとなくは読めるんですが、本当にそれが合っているかどうかなんて俺には……」

「ふむ、そうか……ひとまず、ここは私が調べるので、君はあちらの方を」

「いえ。俺も同行させてください。この文字は俺も何度か見たことがあるんで、気になっていたんです」

菖は男性をまっすぐ見てそう返した。

何か、この壁画に関して隠したいことが、この男にあるのかもしれないということは、さきほどからのやりとりで察していた。

だが、だからといって、引き下がるわけにはいかない。

もし、菖の予想が正しければ、この壁画に記されているものは、自分とも関わるものだ。

ならば、関わらない理由がない。

「……わかった。ただ、これから起こることは他言無用で願うよ」

「無論です」

菖の瞳に根負けした男は、そっとため息をついて、同席を許可した。

同時に、菖は男が他言無用と言ったわけを理解した。

「キュアップ・ラパパ!メモ!」

突然、男は杖のようなものを取りだして、突然、奇妙な言葉を口にした。

その瞬間、男の目の前にメモ帳と羽ペンが出現し、さらさらとひとりでにメモを取り始めた。

その光景に、菖は目を丸くした。

いわゆる、視える体質であるため、大抵のことには動揺しない自信がある菖であるが、さすがに「魔法」や「魔術」と呼ばれる類のものをお目にかけたことはない。

「……まさか、魔法、ですか?」

「うむ……まぁ、だから他言無用で願いたい」

「えぇ、それはいいんですが……一つ、聞いても?」

「何かね?」

壁画の方から視線をそらすことなく、男は菖の問いかけに応えた。

菖はその態度を気にすることなく、男に問いかけ続けた。

「壁画にある文字の一節、もしかしてこれは「プリキュア」と読むんじゃないですか?」

「……っ??!!」

菖の問いかけに、男は目を白黒させた。

その眼はまるで、なぜその言葉を知っている、とでも問いかけたそうだった。

その表情を見て、菖はようやく、自分の願いを叶える手がかりを得た、と思った。

----------------------------------

それから少しして、日陰になっている部分で男と菖は「Precure」と記された石碑や壁画についての議論を始めた。

菖が期待していたプリキュアのパートナーについての情報は一切得ることはできず、結局、なぜ、あの壁画に「Precure」と書かれていたのか、そして、それらが世界各地に散らばっているのはなぜなのか。

謎が深まるばかりだった。

だが、収穫がなかったわけでもない。

「ふむ……なるほど。つまり、君がプリキュアの存在を知っているのは、四百年前から続いている戦いのただなかにいて、プリキュアの隣で戦っていたから、なんだね?」

「はい。けど、俺が知っている伝承とかなりのずれがあるんです」

「数千年以上の差がある、という点だね」

「えぇ」

菖が知る限り、プリキュアが初めて登場したのは四百年前。

だが、目の前にある壁画や以前に発見した石碑は、紀元前のものだ。

周囲の遺跡の年代から、それは間違いない。

「……推察するに、プリキュアが誕生したのは四百年前であり、それ以前からプリキュアという言葉自体(・・・・)は存在していた、というところではないかな?」

「ということは、プリキュア、というのはあくまで概念的なものであった、というですか?」

「そう考えるのが自然だろう」

菖と男は長い時間、この謎の石碑や壁画に記された文字列について議論を交わし合った。

この議論は、菖にとってとても有意義なものとなった。

なにせ、長年の間、気にかかっていた文字列が魔法文字と呼ばれるものであり、アルファベットと同じ扱いであることがわかったのだ。

これだけで、今まで見つけた石碑や壁画に記された文字を日本語に翻訳することが出来る。

むろん、そこから解釈をしていかなければならないのだが、菖にとって、まず翻訳することが第一だった。

だが、時間は有限であるため、長い間議論を交わしていると。

「……む。いかんな、すっかり日が暮れてしまった」

「わ、ほんとだ……すみません、長々と」

「いやなに、私も有意義な時間を過ごさせてもらったよ。ありがとう」

謝罪する菖に、男は笑顔を向けて握手を求めた。

菖は右手をぬぐい、男と握手を交わし、その場を離れていった。

それ以後、菖はその男と会うことはなかった。

----------------------------------

「これが、俺とその考古学者さんの話だ」

菖が話し終わると、みらいとことはは苦笑を浮かべていた。

どうやら、時間を忘れるほど議論を交わしていたことに呆れてしまったらしい。

もっとも、菖の遺跡好きと考古学への情熱はプリキュアたちはすでに知っていることだし、自分たちも菖と同じく、それだけ熱い情熱を傾けることができるものがあるので、あまりとやかく言うことはないのだが。

「みらい、はーちゃん。どうしたのよ?菖さんと随分話し込んでたみたいだけど」

「あ、リコ。実は、菖さんにリアンさんと会ったことがないか聞いてたの」

オールスターズのメンバーとの話が一段落したのか、リコがみらいたちのもとへとやってきて、不思議そうに首を傾げていた。

みらいが事情を説明すると。

「あぁ……お父様が話していた若い考古学者さんって、やっぱり菖さんのことだったんだ……」

どうやら、リコもリアンから菖のことを聞いていたらしい。

「リコ、リアンさんは菖お兄ちゃんのことなんて言ってたの?」

「わたしたちとあまり年は離れてないのに、熱心な若者だったって言ってたわ。ナシマホウ界の人間でなかったら、ぜひとも弟子にしたかった、って言って残念がってたわ」

「ははは……光栄だけど、俺は師事したい人がいるから、誘われても断ったと思うよ」

菖はリコの言葉に、申し訳なさそうな笑みを浮かべて、そう返した。

その反応に、リコは目を丸くして、なぜなのか問いかけた。

「そうなんですか?」

「あぁ……恩義を感じてないわけじゃないんだ。リアンさんの紹介で、俺はある魔法使いにコロンを蘇らせる方法を教えてもらうことができたんだ。といっても、世界の理をゆがめることはできないから、黄泉返りっていうのとは違うけど」

忘れがちだが、コロンはプリキュアのパートナーとなる妖精の中で唯一、死を経験している。

いまは実体を持って行動しているが、それは菖がリアンに紹介してもらった魔法使いに、その方法を教えてもらったからだ。

死んではいないが、生きているわけでもない。

そんな中途半端な存在が、今のコロンというわけだ。

「へぇ……会ってみたいわね、その人」

「ははは……」

リコの反応に、菖は苦笑を浮かべながら、心のうちで、無理だろうな、と思っていた。

その魔法使いは菖と同い年であるにも関わらず、なぜか人間を毛嫌いし、嫌悪感すら抱いているような印象を受けた。

菖がリアンと同じ、特殊な人間であることを知ると、ややその態度は軟化したのだが。

――そのうち、お礼参りに行かなきゃかなぁ……

リアンと同じく、もう一人の恩人のことを思い出しながら、菖はそんなことを思うのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

リコ「そういえば、お父様が菖さんに会ったら伝えてほしいことがあるって言ってたわ」
菖「へぇ?で、リアンさんはなんて?」
リコ「今度、ぜひ遊びに来てほしいって。案内はわたしたちが頼めばいいって……ちゃっかり、人をこき使おうとしてるんだから、まったく……」
菖「ははは……」
----------------------------------
リズ「そういえば、お父様。以前、ナシマホウ界に行ったときに出会ったっていう人はどんな方なのかしら?」
リアン「ふむ。リコとあまり年は変わらないというのに、なかなか見どころのある青年だった……ナシマホウ界の人間でなければ、ぜひとも弟子にしたかったよ」
リズ「あらあら……そういえば、"彼"を紹介したそうね?」
リアン「うむ……なんでも、どうしても助けたいものがいたそうでね。つい、気圧されてしまったよ」
リズ「……うまくいったんでしょうか……」
リアン「さて……そのあたりは、リコが彼を連れてきたときに聞くとしようか」


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氷川道場と明堂院流道場の合同練習試合!菖さんと誠司さん、激突です!!

やっとできた……
夏になるとどうしてもやっぱり思い出すのは夏合宿……
いやぁ、当時から猛暑日が連続で続いていたから、死にかけたのなんのって……よく生きてたな、私。


菖の目の前には、道着姿で身構えている誠司がいた。

菖もまた、道着姿で身構え、いつでも誠司と戦える体勢を整えていた。

「始め!」

審判役の門下生の合図で、誠司は床を蹴り、菖へと突進し、拳をつきだしてきた。

だが、菖はその拳をいなし、誠司の攻撃を受け流した。

「くっ!せやぁっ!!」

「甘い!」

その後も続く連続の突きに蹴りを受け流し、的確に掌底を誠司のわき腹や胸に叩きつけていた。

だが、誠司はひるむことなく、再び構え、菖と対峙した。

――やるな、誠司……それに、いい目をするようになった

対峙する誠司の顔を見ながら、菖は心中で呟き、静かに身構え、誠司を迎え撃つ準備を整えた。

----------------------------------

なぜ、菖と誠司が試合をすることになったのか。

それは数日前にさかのぼる。

その日、菖とゆりはいつきに呼ばれ、明堂院流道場に顔を出していた。

「それで、いったいどんな用事かしら?」

「俺とゆりだけで、つぼみたちには頼めないことなのか?」

菖とゆりは、自分たちが呼ばれた理由がわからず、いつきにそう問いかけると、いつきは深々と頭を下げてきた。

「お願いします!ゆりさん、菖さん!!明堂院流に力を貸してください!!」

だが、いきなりそんな風に頼まれても、菖もゆりも事情がまったく飲みこめていなかったため、困惑した。

「いや、一から説明してくれ」

「そうよ。いきなり力を貸してほしいなんて言われても、わたしたちが困るだけよ?」

「あ……はい。すみません」

いつきは少し顔を紅くして、謝罪し、事情を説明し始めた。

いつきによると明堂院道場とぴかりが丘にある氷川道場が交流試合を行うことになったのだが、氷川道場からの選手が、誠司といおな、そしてまりあなのだという。

三人とも氷川道場内ではかなりの使い手であり、明堂院道場のメンバーでは太刀打ちできないと判断したいつきは、流派が違う菖と元々は門下生ではないゆりに助力を願ったのだ。

「わたしは別に大丈夫だけれど……菖は大丈夫なの?」

「じぃじに聞いてみないとわからないけど、たぶん、大丈夫じゃないかな?」

ゆりの問いかけに、菖は顎に指を添えて返した。

菖は明堂院流ではなく、先祖から細々と受け継いできた古流武術、泉地流の使い手であり、次期後継だ。

そのため、他流試合となると慎重にならざるを得ないのだが、そのあたりについて仁頼は寛容で、よほど仁頼が気に入らない流派出ない限り、許可が下りないということはない。

「なら、決まりね」

「だな」

「ありがとうございます!」

菖とゆりからの返答に、いつきは深々と頭を下げて、お礼を言った。

----------------------------------

それから一週間後。

菖とゆり、いつきはぴかりが丘にやってきた。

もっとも、応援部隊として、つぼみとえりかがついてきたので、結局いつものメンバーでぴかりが丘にやってくることになるのだが。

閑話休題(それはともかく)

氷川道場に到着すると、門の前には門下生代表として、氷川姉妹(まりあといおな)と誠司、めぐみとひめ、そして応援団としてゆうこが待っていた。

「えりか~っ!お会いしたかったですぞ~っ!!」

「ひめ~!あたしもだよ~!!」

珍獣コンビ(似た者同士)が互いの姿を見つけると、まるで数年越しに再会した親友同士のように抱き合った。

その様子に苦笑を浮かべながら、いつき、ゆり、菖の三人は、試合相手となるであろう門下生たちと挨拶を交わした。

「久しぶりだな、誠司」

「いおなちゃん、久しぶり!!」

「ご無沙汰してます、まりあさん」

「久しぶりです、菖さん!」

「久しぶり、いつき!」

「えぇ、久しぶりね。ゆりちゃん」

六人は六人とも、笑顔で挨拶を交わしあったが、その眼は決して笑ってはいなかった。

残されたつぼみとゆうこは、その様子に苦笑を浮かべながら、他の門下生たちの案内で道場内へ入っていった。

道場主であるいおなとまりあの祖父に挨拶を交わし、氷川道場の門下生たちと一緒になって軽く体を動かし、慣らした後、いよいよ合同練習試合が開始された。

対戦カードは、いおな対いつき、まりあ対ゆり、誠司対菖となった。

第一試合となる、いおなといつきの対決は、互いに次代の道場の顔というだけあり、激しいものとなった。

いや、おそらく、互いの道場の名誉のためというよりも、互いに武道家ということもあって、いつか全力で戦ってみたいという願いが叶ったためだろう。

拳を組み交わし合う二人の顔は、楽しそうな笑顔を浮かべていた。

が、あまりに楽しかったためか、試合時間すべてを使いきってしまい、決着がつかなかった。

「う~ん……ちょっと残念だなぁ」

「そうね。けど、次は勝つわ」

「僕だって負けないよ」

試合終了後、いつきといおなは笑顔で握手を交わしたが、その眼は決して笑っていなかったし、交わしている言葉もどこか好戦的であったことは言うまでもない。

続く第二試合。

まりあとゆりの対決もまた、熾烈という形容詞が似つかわしいものとなった。

もともと、ゆりは明堂院流の門下生ではないが、薫子から学んだ空手の基礎と、キュアムーンライトとして戦い続けて磨き上げた戦闘のセンスでまりあと互角に渡り合っていた。

突き出されるまりあの拳をいなしたゆりは、反撃にまりあの頭を狙い蹴りを入れたが、まりあは身をかがめて回避すると同時に、足払いをかけられた。

だが、ゆりは軸足で床を蹴って跳び上がり、そのまま、まりあの腹めがけて蹴りを入れようとした。

だが、まりあはそれを受けとめ、ゆりの足をひねり、バランスを崩した。

「くっ!」

どうにか体勢を立て直そうとしたゆりだったが、その瞬間を狙ったように、まりあの手刀の切っ先が、ゆりの鼻先に向けて突き出された。

「……参り、ました」

ゆりは、悔しそうに顔をゆがめて、まりあに降伏宣告をした。

これで結果は一敗一引き分け。

勝負の行く末は、誠司と菖の試合に持ち越しとなった。

「「「頑張れーっ!誠司~っ/誠司く~んっ!」」」

「「菖さん、ファイトですっ/っしゅ!!」」

応援部隊の声援を聞きながら、菖と誠司は試合場に入っていき、所定の位置まで歩いていった。

そして。

「始め!」

審判からの試合開始の合図と同時に、身構え、互いの隙を虎視眈々と狙い始めた。

----------------------------------

「こうして冒頭のシーンに戻るっしゅ!」

「えりか、誰に説明しているんですか……」

えりかの突然の謎の発言に、つぼみは頬に汗を伝わせながら、えりかに問いかけた。

だが、えりかはその問いかけを無視して、いまも続けられている菖と誠司の試合の実況を開始した。

「さぁ、試合開始からにらみ合いを続けていた二人ですが、間合いを詰めたかと思うとまりあさんとゆりさんばりの激しい格闘だぁ!」

「ですが、戦況は菖さんのほうが有利!誠司から繰りだされる正拳突きをいなし、カウンターとばかりに腹や腕に掌底を繰りだす!!」

「誠司ーっ!頑張れーっ!!」

「菖さん!頑張ってください!!」

かたや実況をするひめとえりか、かたや、必死に応援するめぐみとつぼみであった。

そんなやかましい観客をよそに、菖と誠司の激しい打ち合いは続いた。

誠司から繰りだされる拳を、菖が手刀で軌道をそらし、カウンターの要領で腹や脇に拳や掌底を突き出した。

が、誠司は突き出されたそれらをもう片方の手で受け流し、右足を軸にして独楽のように回転し、左足を蹴り上げた。

その蹴りを菖は紙一重で回避し、その反動で腹にむかって蹴りをお返しした。

今度は誠司がその蹴りを受け流し、菖のそでをつかみ、投げ飛ばした。

だが。

「うわっ……とっ!!」

『なっ?!』

投げ飛ばされた菖は空中で体をひねり、着地した。

その芸当に、ゆり以外の全員が目を丸くした。

「「「ちょ……そんなのあり??!!」」」

「菖さん、すごく器用です……」

「な、なんかもう、なんでもありね。菖さんって……」

「あらあら、すごい芸当ね」

「……なんか、菖さんだったら納得できるけど……」

「……いや、納得したくないわよ」

「遺跡探検は伊達じゃないってことね」

口々に観客と化していたゆりたちがそう話している間にも、菖は床を蹴り、誠司との距離を詰めた。

その右手は、張り手とも掌底ともつかない開き方をしていた。

それをみたつぼみとえりかは。

「「でましたっ/出たっ!!」」

と一斉に叫んだ。

一方、ゆりといつきは。

「出た、菖さんの必殺技!」

「これで決まりね」

と、小さく笑みを浮かべていた。

一方、必殺の構えをした菖は。

「轟っ!!」

踏みこみと同時に吼え、右手を誠司に向けてつきだした。

誠司はその右手を受け流そうとしたが、ぎょっ、と目を見開いた。

その右手に、一瞬ではあるものの、牙をむけてきている青白い獅子の姿が見えたのだ。

その一瞬の怯えが、勝敗を分けた。

誠司は菖の右手を捌くことができず、両腕をクロスさせて受け止めた。

だが、菖のその掌底は予想以上に重く、勢いがあったため、誠司は吹き飛び、背中を床に叩きつけられた。

「ぐっ!!」

「そこまで!!」

起き上がろうとする誠司だったが、その眼の前には突き出された菖の拳があった。

それをみた審判はこれ以上は試合の度を超えると判断し、菖の勝ちとして判定した。

こうして、氷川道場と明堂院流道場の合同練習試合は、一勝一敗一引き分けという結果となった。

なお、試合の後、氷川道場の面々、特に誠司といおなから、菖が使った技についてあれこれ聞かれたことは言うまでもない。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~試合終了後~
ゆうこ「みなさ~ん!大森弁当の差し入れですよ~!」
門下生一同『押忍っ!いつもありがとうございます!!』
ゆうこ「いつきちゃんたちも、どうぞ」
ハートキャッチ組、菖「「「「ありがとうございます/ありがとう。いただきます!」」」」
いつき「あれ?そういえば、誠司くんは??」
ひめ「誠司だったら、あっちにめぐみと一緒に」
えりか「ほほぅ?」(・∀・
菖「えりか、出歯亀はやめろよ?」
ゆり「そうね。覗きは感心しないわよ?」
えりか「え~……けど気になるっしゅ!!」-3-)
つぼみ「そ、それは……たしかに」
いつき「う、うん……」
ゆり「いいから、早くいただきましょう」
つぼみ、えりか、いつき「「「……はーい」」」
菖「ははは……」(^_^;
----------------------------------
誠司「痛ぅ……」
めぐみ「誠司、大丈夫?」
誠司「あぁ、だいぶ楽になった。サンキューな」(^^
めぐみ「ぜんぜん!けど、強かったね、菖さん」
誠司「あぁ……もっと俺も頑張らないと」
めぐみ「うんうん!それじゃ、わたしも誠司に負けないように頑張る!!」p(-ω-)q
誠司「……お前の場合は頑張りすぎて暴走しないかが心配だ」(-_-;
めぐみ「うっ……返す言葉もごじゃいません……」
誠司「……ま、そんなお前だからほっとけないんだけどさ……」
めぐみ「……?なんか言った??」
誠司「なんでもない」


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菖さん、いちかのお母さんとも知り合いだった??!!

この前のア・ラ・モードを見て、ふと思いついたので。
よくよく考えたら、いちかのお母さんって国境なき医師団の人ってことになるんですかね?
まぁ、そのあたりを勝手に妄想して、私が個人的に日本史上最強の刑事ドラマと思っている『相○棒』から、懐かしいあの人を出させていただきました。
……え?菖の両親?今回は出しませんので、ご了承を。
では本編どうぞ。


その日、菖はイチゴ坂にあるキラパティに来ていた。

なんでも、いちかが菖に用事があるということだったのだが。

「……で、俺個人に用事って何?」

「うん。この前、お母さんが帰ってきた時にちらっと聞いたんだけど……菖さん、もしかしなくても、わたしのお母さんに会ったことある?!」

「……会ったことはあるな、サルウィンで」

いちかの母は世界を巡って治療を行う、国境なき医師団のような活動をしている女医だ。

菖もまた、長期休暇であれば、両親に呼ばれ、海外の遺跡の発掘調査を手伝うこともある。

いちかはおそらく、母親から高校生くらいの考古学者がいた、とでも聞いたのだろう。

それを確認することと、海外での母親の様子を知りたくて、菖を呼んだのではないだろうか。

と、勝手に予測して、菖は記憶を掘り起こし、いちかから聞いた特徴をしている女医と、その時に訪れた国のことを思い出し、そう返した。

「やっぱり!!ね、ね!その時のお母さんのこと、教えてください!!」

よほど母親が大好きなのか、いちかは目を輝かせながら、菖にそう頼んできた。

その勢いに気圧されそうになりながらも、菖は自分がサルウィンに渡ったときのことを思い出しながら、いちかに語り始めた。

----------------------------------

つい数週間前の夏休み、菖は両親と共にサルウィンの集落付近にある古代の集落跡の発掘を行っていた。

遺跡の周囲には、大学が雇った警備員が周辺の警戒を行っていた。

サルウィンは日本に比べ、治安が悪く、麻薬が横行しているだけでなく、誘拐がビジネスとなっているとすら言われている。

そのため、遺跡発掘隊に被害者が出ないよう、警備員を雇い入れてくれていたのだ。

だが、警備員の中に、短髪でたくましい体をしている日本人男性がその中に混ざっていることに菖と菖の両親は気づいていた。

なぜ、日本人がこの国にいるのか。それが気になった菖は、休憩時間に好奇心で尋ねてみることにした。

「こんにちは」

「―――、って、日本語か。こんにちは」

「いえ。現地の言葉も慣れてはいますけど……わかるってことはやっぱりあなたも日本人なんですね?」

挨拶をすると、現地の言葉で返され、苦笑を浮かべながら菖は返した。

その笑顔から、悪い人ではなさそうだ、と菖は推測した。

話しかけられた男性は人懐っこい笑みを浮かべたまま、菖の問いかけに肯定した。

「えぇ、まぁ。といっても、もうここに住んで十年くらいですけど」

「十年ですか……長いですね」

十年間もこの地に住んでいることを聞き、菖は目を丸くした。

が、ふと、大事なことを忘れていたということを思い出し、遅くなりましたが、と謝罪した。

「俺、春川菖って言います。日本人の高校生です」

「高校生?!で、遺跡の発掘か……すごいな。俺は亀山、亀山薫。よろしく」

互いに自己紹介をした二人の男は握手を交わした。

ふと、菖は握った手のたこ(・・)に奇妙な癖のようなものがあることに気づいた。

「……変わったたこですね。なにかされていたんですか?日本にいる間に」

「え?わかるの??」

「なんとなく」

菖の問いかけと返答に、薫と名乗った男性は苦笑を浮かべ、参った、とつぶやいた。

「まさか、右京さん以外にもこんな人がいたなんてな……」

「右京さん?」

「あぁ、俺の元上司で……かけがえのない、相棒だった人さ」

何かを懐かしむように、薫は空を見上げながら、菖に自分の身の上話をしてくれた。

どうやら、薫は元々日本で警視庁の警察官をしていたらしい。だが、同級生の死が絡んだ事件をきっかけに、エルドビアの子どもたちに日本語と「正義(正しいこと)」を教えるため、こちらに移住してきたようだ。

薫が語る一つ一つの話を、真剣に聞いていると、菖の耳に悲痛な叫び声が聞こえてきた。

「っ?!」

「な、なんだ??!!」

声がした方向には、遺跡の発掘現場がある。

そして、この類の声が聞こえてきたということは、発掘調査時、最悪(事故)の可能性が存在していた。

「……まさか!」

菖は顔を青くして、悲鳴が聞こえた方向へ走っていった。

発掘現場に到着すると、そこは菖の予想通り、落石事故で発掘チームの何人かが巻きこまれ、怪我をしていた。

「すぐ助けます!おい、菖くん!手伝ってくれ!!」

「はい!!」

薫の言葉に、菖は手早く返して、発掘隊の救助を行った。

救助自体は特に問題なく行われたのだが、問題はその後だった。

「まずいな。この人、骨が折れてる……適切な処置をしないと、後遺症が……」

「けど、このあたりに医者なんて……いや、俺が世話になってる集落に、確か女医さんがいたはず!!」

薫はこの近くにある集落に身を寄せていて、そこにはいま、国境なき医師団から派遣された女医さんがいることを思い出し、乗ってきたジープで集落まで行き、話していた女医さんを連れてやってきた。

「先生!お願いします!!」

「えぇ!任せて!!」

薫がそう頼むと、女医さんは返事を返すが早いか、ジープから飛び下りてすぐに患者のもとへと駆けていった。

「もう大丈夫ですよ、安心して」

女医さんは怪我をした調査員に声を掛けながら、適切な処置を施していった。

数分して処置が終わり、しばらく入院生活を余儀なくされることを話すと、菖のほうへ向き直った。

「あなたが応急処置をしてくれたおかげで、早く処置ができました。ありがとう」

「いえ、できることをしただけです。それに、亀山さんがいなかったら、先生の到着ももっと遅かったでしょうし」

お礼を言いながら差しだされてきた右手を握り、菖と女医は握手を交わした。

「そういえば、さっきから日本語で話してるけれど」

「あ、俺、日本人です。春川菖っていいます」

「そう。わたしは宇佐美さとみよ。よろしくね」

「はい……ん?」

菖は女医さんの苗字に聞き覚えがあり、首を傾げた。

そして脳裏に浮かんできたのは。

『わたし、宇佐美いちか!スイーツ大好き!中学生二年生!!』

キラパティの制服を着てブイサインをしながら、自己紹介するいちかの姿だった。

そういえば、母親が世界中で活躍しているお医者さんだ、と言っていたことを思い出し。

「……もしかして、宇佐美いちかさんのお母さん?」

「……あら?娘を知ってるの?!」

問いかけてみたらどんぴしゃりだった。

それから少しして、菖たちが身を寄せている集落では、さとみと薫、菖がたき火を囲んで談笑していた。

「まさか、いちかのお友達と会うなんてねぇ……いちか、元気にしてた?」

「えぇ。友達と一緒にパティスリー開いてますよ」

「へぇ……スイーツ作るなんて、今どきの中学生にしちゃ珍しい」

「これもわたしの教育の賜物ね!」

薫の感想に、えっへん、と胸を張りながらさとみがそう返すと、菖はその明るさと笑顔に、やはり親子だな、と笑みをこぼした。

「日本に帰ったらいちかに何か伝えておきますか?よかったら、亀山さんも伝言預かりますけど」

「俺は……いいかな。右京さんに伝言って思ったけど、また事件に首突っ込んで忙しくしてるだろうし」

「それなら、わたしはお願いしようかしら?体に気を付けて、元気で頑張りなさいって伝えてくれないかしら?」

「わかりました。伝えておきます」

薫は、元上司と話していた刑事への伝言を頼もうかと思ったが、忙しくしてるだろうからという理由でそれをやめ、さとみはいちかに、親らしい伝言をお願いしてきた。

菖は心よくそれを引き受け、翌日、日本へ帰国したのだった。

----------------------------------

「やっぱりお母さん、かっこいいなぁ……」

「……あんまし無理すんな?俺も経験したことあるけど、親が家にいないのって、けっこう堪えるもんだからさ」

菖の話を聞き終え、いちかは微笑みながらそう呟いたが、菖はその微笑みに寂しさがにじみ出ていることに気づいていた。

中学生の頃から、菖の両親も海外での講義や発掘調査に赴くことが多くなり、甘えたいときに甘えられないことがあった。

もっとも、菖の場合は祖父と一緒にいたし、なにより、甘えたいと思うほどつらいこともなかったため、それほど寂しいとは思わなかったのだが。

「……うん、でも大丈夫!わたしにはひまりんやあおちゃん、ゆかりさんにあきらさんにシエル、それに仲間のみんながいるもん!」

「……そっか」

笑顔でそう返してきたいちかに、菖はそれ以上何も言わず、ティーカップに残っていた紅茶を飲み干して、お土産用のスイーツをいくつか買ってパティスリーを後にした。

なお、この数日後、希望ヶ花市の植物園に亀を象ったスフレが送られてきたのだが、なぜ亀なのか、ハートキャッチチームの面々は疑問符を浮かべていた。

その理由を知っているのは作ったいちかと、インスピレーションを与えた菖の二人のみだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~菖帰宅後~
いちか「う~ん……」
あきら「珍しく悩んでるね」
あおい「浮かびそうか?」
いちか「う~ん……今日の出来事……菖さん……」('-ω-'
ひまり「え?!しょ、菖さん来てたんですか??!!」Σ(0ω0
ゆかり「あら、教えてくれてもよかったじゃない?というか、菖も菖ね。顔出してたのなら、呼んでくれればいいのに」(^言^メ
あきら「ゆかり、目が怖いよ」(^ω^;
いちか「お母さんの話、亀山さん……亀?」
あおい「お?これは……」
いちか「キラッとひらめいた!!」
シエル「こんどはどんな動物にするのかしら?」
いちか「亀さんでスフレにしようかなって!メロンシロップを使えば甲羅の色ができるし!!」
シエル「そうね(Oui)!それじゃ、さっそく!」
いちか「うん!レッツ・ラ・クッキング!!」


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舞と菖、大空の樹の下でのひととき

今回もリクエストにお応えして、菖ラヴァーズの一員、舞さんと菖のエピソードです。
いよいよア・ラ・モード、映画公開ですねぇ……スイーツがテーマだからしゃあなしですけど、ハートキャッチの舞台再びとは……
まぁ、見に行けるかどうかわからんのですけどね(苦笑


ある日、菖は夕凪市に来ていた。

夕凪市周辺の遺跡はほぼ調べつくしてしまったのだが、両親からその遺跡についての資料と写真、そして名物である「大空の樹」がある森の写真を撮ってきてほしいと頼まれ、こうして再び夕凪市を訪れたのだ。

現在、遺跡の写真はすべて撮影を終わらせ、残るは大空の樹とその森の様子を写真に収めるだけだった。

それだけだったんだけどな、と大空の樹の根っこに腰かけ、心中でつぶやき、菖は文庫本を手にしながら、自分の膝の方へ視線を移した。

そこにはいつのまにか眠っている舞の愛らしい寝顔があった。

なぜ、菖がこのようなうらやま……もとい、珍しい状況になってしまったのか、それは時計を少し巻き戻す必要がある。

----------------------------------

~三十分ほど前~

菖は両親からの頼まれごとで、大空の樹がある森へと来ていた。

森の木々は、まるで菖を歓迎するかのように優しい風をさわさわと森中に吹かせていた。

菖もこの森の木々にもう一度会えたことがうれしいのか、にっこりと微笑みを浮かべ、大樹のもとへと向かっていった。

歩くこと数分。

菖は無事に大空の樹のもとへたどり着くことができたのだが、そこにはすでに先客がいた。

大空の樹の根元に腰かけ、スケッチをしているポニーテールをしたつり眼の少女。

その姿が舞のものであることは、菖はすぐに認識できた。

「お~い、舞~」

「……え?……しょ、菖さん??!!な、なんでここに??!!というか、いつから??!!」

「両親からこの大空の樹とこの森の写真を撮ってきてほしいって頼まれてね。ここに来たのはついさっき」

顔を真っ赤にしながら問いかけてくる舞に、菖は淡々と返して、そういう舞は、と逆に問い返した。

「わ、わたしはいつも通り、絵を描きに……ね、チョッピ?」

あたふたしながら舞がパートナーの妖精(チョッピ)に同意を求めると、そうチョピ、と傍らにいたチョッピが同意した。

が、すぐに大きなあくびをして、そのままうつらうつらと眠ってしまった。

「ははは、気持ち良くて寝ちゃったのか」

「……みたいです。ごめんなさい、なんだか」

「気にしない気にしない……ここはそれだけ、優しい場所ってことなんだからさ」

謝罪する舞に、菖は微笑みながら返し、隣に座ってもいいか問いかけた。

舞はすぐにうなずき、少し体を動かし、スペースをつくった。

「ありがとう」

「い、いえ……けど、森の写真も撮ってきてほしいなんて、変わったこと頼むんですね」

「たぶん、日本に生息している樹木が恋しくなってるんじゃないかな?いま、二人ともアフリカの砂漠地帯にいるみたいだから」

「へ、へぇ……」

菖の両親が考古学者で、世界中あちこち飛び回っていることはすでに知っているのだが、まさかアフリカまで行っているとは、さすがの舞も想像できなかったようだ。

そうこうしている間に、菖はデジカメを取りだして、大空の樹の根元からの風景を次々に写真に収めていった。

――さてと、森の様子はだいたいこんな感じで大丈夫かな……あとは、大空の樹の写真を

と思った瞬間、菖の肩に重みがのしかかってきた。

まさか、と思い、ゆっくりと肩の方へ視線をむけると、そこには可愛らしい寝顔で静かに寝息を立てている舞の姿があった。

――よっぽど疲れてたんだろうな……ん~、けどこのままここに置き去りってのも薄情だし、どうしたもんかなぁ……

眠っている舞を放っておくわけにもいかず、かといって起こすのも可愛そうだと思っている菖は、ひとまず、舞の頭を肩から自分の膝に移し、なるべく舞が起きないように気遣いながら、持ってきていた文庫本を取り出し、眠り姫が起きるまで読書にいそしむことにした。

----------------------------------

そして現在。

あれから舞が目を覚ます様子はなく、かといって、持ってきた文庫本は読み終えてしまったため、さて、どうしたものかと思案していると。

「……ん……あれ?わたし……」

「おはよう、眠り姫」

舞が目を覚まし、寝ぼけ眼であたりを見まわす姿を眺めながら、菖が口を開いた。

「……え?……えぇっ??!!しょ、菖さん??!!」

「おいおい、寝ぼけてるのか?さっきから一緒にいただろ」

「……あっ!そうだった、わたしいつの間にか寝ちゃって……ご、ごめんなさい!!」

「別に謝ることないよ。寝てる女の子を一人にしておくわけにいかないからな」

慌てふためいている舞の様子に苦笑を浮かべていると、舞は顔を真っ赤にしてうつむき、ありがとうございます、と小さくつぶやいた。

「ははは。それよか、舞」

「は、はい!」

「俺の両親に送る写真を撮りたいんだけど、スケッチ、続ける?もしかしたら写っちゃうかもだけど」

さすがに、人が写りこんでしまう可能性がある以上、事前に言っておく必要があると判断したのか、菖は舞にそう頼んできた。

舞はその頼みに微笑みながら、大丈夫ですよ、と返した。

「ありがとう。それじゃ、ちょっと失礼するよ」

菖は舞にお礼を言って、デジカメを手に立ち上がり、大空の樹から少し距離を取った。

そんな菖の様子を眺めながら、舞はスケッチブックにペンを走らせ、スケッチを再開した。

ふと、舞は自分が眠っている間のことを思い出した。

――そういえば、寝ちゃってた間、なんだかあったかい感じがしたような……あったかい?……ま、まさかわたし、菖さんに膝枕してもらってたの??!!

そう推測した瞬間、舞は首筋まで真っ赤になってしまった。

その様子に気づいたチョッピは、心配そうに舞の顔をのぞき込んできた。

「舞、大丈夫チョピ?顔が真っ赤チョピ」

「だ、大丈夫よ、チョッピ……」

口では大丈夫と返したが、本当のところはあまり大丈夫ではない。

あまりの照れくささで、菖の顔をまともに見ることができないどころか、いまなら菖のことが話題に上がった瞬間、顔が真っ赤になってしまうという謎の確信が舞にはあった。

もっとも、そうさせてしまった本人はまったく気づくことなく、写真撮影に没頭するのだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

~『PANPAKAパン』にて~
咲「そういえば、舞」
舞「何?咲」
咲「最近、菖さんのことが話題になるとすぐ顔真っ赤になるけど、なにかあった?」
舞「な、なななな何もない!!何もないわよ!!」Σ(///□///
咲「ふ~ん?」(・∀・
満、薫「「ほんとに~?」」(・∀・
舞「も、もう!!ほんとに何にもないったら!!……ただ、ちょっと膝枕してもらっただけで……」
咲、満、薫「「「ほぉほぉ、菖さんに膝枕を」」」(・∀・
舞「はっ!!……はうぅぅぅぅぅぅぅぅ」(/// ///
----------------------------------
菖「へっくしっ!!」
ゆり「あら、どうしたの?菖」
ももか「風邪?」
菖「いんや……この感じ、誰か噂してるな……」


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ルールーがハロウィンの仮装について質問があるようです(スキット風)

先日のHugっと!を観て、つい
まぁ、毎年、思うことではあるんですけどね(-▽-;

あ、ちなみに投稿場所は、オールスターズが絡まないので、ここにしました


菖「……で?俺に用事って珍しいな?ルールー」

ルールー「はい。是非とも伺いたいことがありまして」

ゆり「聞きたいこと?」

ルールー「ハロウィンは死んだ祖先の霊が会いに来る日、とさあやから聞きました」

菖「うん」

ゆり「まぁ、間違いではないわね」

ルールー「ですが、なぜ仮装をする必要があるのでしょうか?それも、お化けやゾンビといったものに」

菖「あ~……なるほど、祖先の霊を迎えるだけなら、仮装をする必要はないし、まして、ゾンビや妖怪になる必要はないはずなのに、なんで仮装するのかってことか」

ルールー「はい」

菖「それはさあやの説明不足だな」

ルールー「そうなんですか?」

菖「あぁ。さあやの説明だと、日本のお盆とほとんど同じってことになるけど、ハロウィンだけはちょっと違くてさ」

ゆり「そういえば、そうよね?たしか、古代ケルトでは祖先の霊に混ざって、よくないものも一緒にやってくるって」

ルールー「よくないもの、ですか?」

菖「信じないだろうけど、悪霊の類とか、ね」

ルールー「悪霊……非科学的ですね」

菖「俺から言ったら、プリキュアもユグドセイバーも十分、非科学的なんだけど……」(-▽-;

ゆり「それは言わない約束でしょ?」

ルールー「それで、その悪霊と仮装とどういう関係が……」

ゆり「やってきた悪霊になりきることで、害を受けないようにするため、だったかしら?」

菖「その通り」

ルールー「なるほど。変装して敵の中に紛れる、ということですか」

菖「……間違っちゃないけど、なんでそんな物騒な発想に……」(白目

ゆり「……案外、的を得てはいるけど」

ルールー「……はっ!ということは、えみるとわたしとほまれとはぐたんは、もしかしたら悪霊に何かされていたかもしれないのでしょうか?!」

菖「……参考までに、どんな格好だったんだ?」

ルールー「わたしとえみるは海賊、ほまれはカウボーイ、はぐたんはプリキュアの格好を」

菖「あ~……増えてるよなぁ、そういうの……」

ゆり「まぁ、ゾンビがぞろぞろ通りを歩いているなんて光景、見たくはないけれども……」

ルールー「こうしてはいられません!急ぎ、戻ってみなさんの無事を確認し……」

菖「いや、大丈夫だろ」

ルールー「なぜ言い切れるのです?!」

菖「だって、海賊にしてもカウボーイにしても、現代にはいないんだから。亡霊と大差ないでしょ」

ルールー「……たしかに!」

ゆり「ものは考えよう、ってことかしら?」

菖「そゆこと」

ルールー「ちなみに、仮装をしたくない、という時はどのように対応したのでしょう?」

菖「詳しくは知らないけど、たしか、柊の葉を胸に差して、リンゴを食べてたらしい」

ルールー「柊とリンゴ、ですか?」

ゆり「たしか、柊の葉は魔よけの力があると考えられていたのよね?」

菖「あぁ。それと、リンゴは知恵の実と考えられていたから、魔女がよく口にしていた、と伝えられるな」

ルールー「なるほど……勉強になりました」

菖、ゆり「「どういたしまして」」(^^




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ルールー「……と、いうことのようです」
はな「めちょっく??!!ハロウィンって楽しいイベントじゃなかった??!!」Σ( □ lll
さあや「ま……まぁ、行事の過ごし方が時代が経つと変わっていくのはよくあることだから」(-▽-;
ほまれ「……ていうか、菖さん……なんでそんな怖い話を……」(((  lll)))
えみる「た、た……大変なのです!仮装のチョイスを間違えたら、悪霊に憑りつかれて悪いことをたくさんしてしまって、最後には警察に捕まってしまう可能性も……」( □ lll
ルールー「えみる、さすがにその可能性は0.001%もないかと」(  ;


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高校生組、進路を語る

斗真「進路、な……」
菖「どうしたんだ?斗真」
ゆり「何か嫌なことでも思い出した?」
斗真「いんや、人生、どうなるかほんとわかったもんじゃないな、と思ってな」

小説家目指してたはずが、いつの間にか教師を目指すようになり、挫折して新聞社の営業マン……
ほんと、人生どうなるかわからない

あ、ちなみにこの話を書き上げたのが12/20なので、ゆかりさんの将来についてはノーコメントとさせてください


菖「進路かぁ……」

ゆり「進路ね……」

あきら「う~ん……」

ゆかり「困りものね……といっても、菖とゆりはもう決めてるんでしょ?」

菖、ゆり「「まぁな/そうね」」

あきら「へぇ?ちなみに、参考までに聞かせてもらっていいかい?」

菖「俺は考古学者!といっても、神主の資格も取得して、最終的にじいじの跡を継げる準備はしとくつもりだけどな」

ゆり「植物研究よ。お父さんが果たせなかった、心の大樹の研究プロジェクトを引き継ぐつもり……プリキュアであるわたしなら、それが可能だもの」

あきら「……そっか」

ゆかり「あきら?」

菖「なんかあったのか?」

あきら「うん……みくが、ね」

菖、ゆり「「妹さんがどうかしたのか/したの?」」

ゆかり「自分のせいであきらの将来を縛ってしまったと思ってしまっているみたいなのよ」

菖「……なるほどなぁ」

ゆり「それは……」

菖「けどさ、あきら、ちゃんと妹さんに"君のためだけじゃない"って伝えたのか?」

あきら「……え?」

菖「妹の病気を治すために医者になる、医療研究のチームに入る。そこだけなら、"妹のため"ってことになるよな?」

あきら「う、うん……」

菖「けどさ、なら、あきらの夢は妹の病気を治したらそれで終わりなのか?」

あきら「そんなことはない!!」

ゆかり「あきら?」

あきら「たしかに、美玖の病気は治したい。けど、それ以上に、みくと同じ病気で、いや、それ以上に重い病気で苦しむ人達を笑顔にしたい!!それが果たせるまで、わたしの夢は終わるはずがない!!」

菖「わかってんじゃんか」

あきら「……っ!!」(/// ///

ゆり「……ふふ♪やっぱり、素敵な人ね?ゆかりの彼」

ゆかり「えぇ♪わたしの自慢の人よ」

菖「そ。夢なんてのは一つ叶ったら次の夢、というか目標が出てくる。人生なんてそんなもん……って、誰かが言ってた」

あきら「って、受け売りなのっ?!感動してちょっと損しちゃったよ?!」

菖「はははははは!!」

ゆかり「……あなたの彼は、少し食えないわね。ゆり?」

ゆり「……代わってあげましょうか?ゆかり」

ゆかり「遠慮するわ♪」

菖「……ま、俺の場合、別の夢を追いかけるようになった人や、夢を抱えたまま人生を終わらせちゃった人とか知ってるから、言えることなんだけどさ……」(ボソッ

あきら「……うん??何か言った??」

菖「いんや、なにも?」

ゆり「……ところで、ゆかりはどうするの?」

ゆかり「ふふふ♪そんなの決まっているでしょ?」

ゆり「……そうね。どうせあなたのことだから……」

ゆかり「えぇ……」

ゆり、ゆかり「「な・い・しょ」」

ゆり「……だと思ったわ」

ゆかり「うふふ♪にゃ~お♪」

菖「……毎度思うんだけどさ」

あきら「うん……」

菖「あきらの彼女、ほんとに気ままというかなんというかだよな」

あきら「あははは……」




あとがき代わりのおまけ(スキット風)

女医・剣城あきら(言わせたかっただけ)
菖「論文の手伝い」
あきら「いたしません」
ゆり「病院運営に関する会議」
あきら「いたしません」
ゆかり「理事長へのご機嫌とり」
あきら「いたしません。医療と手術に関すること以外、一切、いたしません」
菖「手術の成功率は?」
あきら「わたし、失敗しませんので」
いちか「名言、キターーーーーーっ!!」(>▽<*
あきら「……自分で言っててあれだけど、なんでわたしなの?」

~マスター・菖~
ゆり「菖、考古学で食べていけると思う?」
菖「……それを聞くなよ」(--;
ゆかり「まぁ、きっとあなたのことだから、考古学にいそしむ傍ら、ロイズの保険調査員(オプ)になっていろんな事件を解決しちゃうんじゃないかしら?」
あきら「そのうち、S.A.TやS.A.Sに所属してサバイバルの教官(マスター)になったりして」
菖「……なぁんか、聞いたことある経歴」(--;;
-某所-
???「はっくっしょん!!……うぅ……誰か噂でもしてるのかな?」


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みなみと海中デート?!

海の季節にゃまだまだ早いですが(-ω-;
まぁ、タイトルの通り、みなみとの日常編です。
海中遺跡ってなんぞ、って方もいらっしゃると思いますが、実在しますよ、まじで。
日本でも、いつだったか沖縄付近の海にある海中遺跡の特集が組まれたことがあったと記憶してますし。
まぁ、ここまで話せば誰が出てくるかはわかると思います。
答え合わせは本編どうぞ!

……あ、ティナの天敵がいるのになんで襲われないの、とか野暮な質問はなしですよ?
そういう設定だから、ってことでご理解ください


その日、菖はみなみに呼ばれ、港に来ていた。

だが、ゆりやつぼみたちの姿はどこにもない。

なぜなら、今回、菖が呼ばれたのはパーティーやイベントに参加するためではなく、海中遺跡の調査への同行を頼まれたからなのだ。

「菖さ~ん!」

同行することになっている発掘調査チームの到着を待っていると、海の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

声がしたほうを見ると、小型船に乗ったみなみが手を振っている姿が目に入った。

船の傍らには、イルカかシャチのような背びれが見え隠れしている。

おそらく、いつだったか話してくれた、みなみと仲のいい野生イルカのティナだろう。

菖はみなみの方にむかって手を振ると、みなみは手を振り返し、ティナもまるで挨拶するかのように水面から飛び上がり、空中一回転を披露してくれた。

それから十分もせずに船は港に到着し、みなみが船から降りてきた。

「やぁ、みなみ。今回はお招きありがとう」

「いいえ、今回はよろしくお願いいたします」

「ははは、そんなかしこまらなくて大丈夫」

上品にお辞儀しながらお礼を言ってくるみなみに、菖は苦笑を浮かべながら返した。

正直なところ、みなみの力になりたいからということもあったのだが、それは言ってしまえばもののついでだ。

菖としては滅多に行ける場所ではない海底遺跡の調査のほうに興味があり、そちらのほうがメインになっている部分がある。

とはいえ、せっかく招待してもらったのだから、自分の趣味の追及だけでなく、しっかりとみなみの力になってやらなければ、と思う兄貴分であった。

----------------------------

それからしばらくして、船に乗り込んだ菖とみなみは調査チームのメンバーと合流し、問題の海域へとやってきた。

なお、調査チームのメンバーの中には、舞の母親である可南子と、なぜかリコの父親であるリアンもいた。

なお、リアンと菖はすでに顔見知りだったのだが、可南子とは初対面だったので、挨拶をしようとしたら。

「あら?もしかして、春川先輩の息子さん?」

「え?あぁ、はい」

「やっぱり!目元が先輩そっくりだから、そうなんじゃないかって思ったわ!」

どうやら、母親の後輩だったらしい。

たしかに、菖はよく母親に似ていると言われる。特に、目元と髪の色はそのまま母親のものを受け継いでおり、生き写しではないかと言われることもあるくらいだ。

「って、母をご存知で?」

「えぇ!先輩には色々教えてもらったし、あっちゃこっちゃ連れまわされたこともあるわ」

「そ、それは……なんか、ごめんなさい」

思わず、菖は謝罪してしまった。

だが、可南子はからからと笑いながら、そんなことはいい、と言ってくれた。

「あれはあれで、いい経験だったわ……それよりも、早く調査に行きましょう?リアンさんと海藤さんがお待ちかねみたいだし」

視線をリアンとみなみのほうへ向けると、そこにはいつになったら終わるのかな、という表情を浮べているリアンとみなみがいた。

すでにウェットスーツに着替えているところから、もうそろそろ、潜水を開始しようとしていたらしい。

待たせてしまったことを謝罪し、菖は準備を整えるのだった。

----------------------------

それからしばらくして、調査チームは海中での調査を終わらせ、港に戻ってきていた。

そんな中、菖とみなみは二人だけで海中に潜っていた。

というのも、みなみからスキューバダイビングをしないかと誘われたからであったのだ。

まぁ、もともと調査が終わったらのんびりしようと思っていたため、ちょうどいいかと思い、付き合うことにしたのだ。

ふと、みなみのほうを見ると、彼女の周囲にはティナだけでなく、様々な種類の魚たちが集まってきていた。

どうやら、ここいらの海域に住んでいる魚たちが集まってきたらしい。

それだけ、みなみはこの海に好かれている、ということなのだろう。

――海のプリンセス、か……まさにその通りだな

幻想的なその光景を見ながら、菖はそんな感想を抱いていた。

ふと、菖は自分の背中をつんつんとつつかれていることに気づき、背後を振り向いた。

そこには、まるで甘えるようにすり寄ってくる一匹のシャチがいた。

本来、肉食であり、海のギャングという異名をもつシャチが、ここまで人懐っこいだろうか、と疑問を抱きながら、菖は甘えてきたシャチの頭をなでくりまわした。

――ずいぶん人懐っこいけど……これもみなみの力なのか?

いやまさかな、と思いつつも、菖は変身していなくてもマーメイド然としているみなみのあの様子を見ていたため、完全に否定しきることができずにいた。

だが、そんなことはどうでもいいと思えるほど、幻想的なみなみとティナ、そして海に住まうものたちの共演に菖と懐いてきたシャチは身惚れていたのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~可南子、帰宅後~
舞「お帰りなさい、お母さん!」
可南子「ただいま、舞……あ、そうだ。そういえばこの前の海中遺跡の調査で、あなたのお友達にあったわよ」
舞「え?」
可南子「たしか海藤みなみさんと、春川菖くんだったわね?」
舞「え、えぇ??!!お、お母さん、菖さ……二人にあったの?!」
可南子「あらあら、海藤さんよりも菖くんの方が先に出てくるなんて♪」
舞「……っ!!」Σ(///□///

~みなみと菖、浮上後~
菖「いやぁ、いいもの見せてもらったよ。ありがとう、みなみ」
みなみ「い、いいえ……あの、菖さん」
菖「ん?」
みなみ「も、もしよかったら、また一緒に泳いでくれませんか?……そ、その……ティナもティナのお友達も、菖さんのことを気に入ったみたいなので」
菖「え?」
ティナ「キュキュイ~♪」
シャチ「クワワワワ♪」
菖「う~ん……まぁ、確約はできないけど、構わないよ」
みなみ「……っ!あ、ありがとうございます!」


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とある日の菖とひかり

まぁ、お察しの通り、ひかりと一緒に過ごす一幕って感じです
とはいえ、かなり短めですが
ひかりと舞は短めになってしまいそうだな、これ……

あ、なんか甘い雰囲気になってそうだけど、付き合ってませんので悪しからず

まぁ、ひとまず本編どうぞ


その日、菖とひかりは珍しく一緒に行動していた。

二人の遭遇は、本当に偶然だった。

たまたま、ひかりがアカネのお使いで小泉学園を離れて、たまたま、ひかりの目的地に菖がいた、という。

もはや作為的な何かすら感じるほど偶然が重なった結果なのだが、ひかりはどこか、その結果に満足そうだった。

 

「ご機嫌だな?ひかり」

「はい♪だって、菖さんと一緒に知らない街を歩くのがとっても楽しいですから♪」

 

満面の笑みを浮かべながら、ひかりはそう答えた。

なぎさのような明るく元気な笑顔でも、ほのかのように静かで穏やかな笑顔とも違う、ひかりだからこその無邪気な愛らしい笑顔に、菖は優しいまなざしをひかりにむけていた。

そんなことには気づかないまま、ひかりは菖の隣を歩いていた。

ふと、なにか気になるものでも見つけたらしく、ひかりはぱたぱたとそちらの方へ走っていった。

その後ろを、優しい微笑みを浮かべながらゆっくりと追いかけた。

 

「菖さん!見てください、この子たち!」

「ん?」

 

はしゃいでいるひかりが指さす方へ目を向けると、そこには子猫や子犬がじゃれ合う姿があった。

その奥では、お茶を飲みながら、動物たちと戯れている人たちの姿があった。

いわゆる、ふれあいカフェ、というものらしい。

 

「……入ってみるか?」

「え?い、いいんですか?!」

「あぁ。てか、なんか、すごく触りたそうな顔してたぞ?」

「うぅ……はうぅぅぅぅ……」

 

恥ずかしそうに顔を赤らめ、ひかりはうつむいてしまった。

そんなひかりの頭を、優しく撫でながら、菖はひかりと一緒にふれあいカフェへと入っていった。

 

----------------------------

 

店内に入り、指定された席に座ると、その瞬間に元気のいい子猫や子犬たちがぞろぞろとひかりの方へ集まってきた。

 

「はわわわわ……」

「ははは、大人気だな、ひかり」

「ちょっ?!わ、笑い事じゃ……きゃっ?!ま、待って!!く、くすぐった……あははははは」

 

光のクイーンの生まれ変わりであるためか、それとも、ひかりが本来まとっている穏やかな雰囲気に引き寄せられているためか。

いずれにしても、カフェにいる動物たちの大半がひかりの下へ集まっていった。

くすぐったそうに微笑むひかりの様子を、愛おしそうに見守りながら、菖はティーカップを口元に運ぼうとした。

 

「……うん?」

 

足元に違和感を覚え、視線を足元に向けた。

そこには、ひかりの方へむかっていった子猫たちよりも、明らかに成長している猫がうずくまっていた。

 

「……来るか?」

 

菖は猫に問いかけながら、膝を軽く叩いた。

すると、猫はするりと菖の膝の上に乗っかり、うずくまって寝息を立て始めた。

 

「お、おいおい……」

「うふふふ……やっぱり、菖さんのそばって安心するんですね」

「ひかりのそばもそうなんじゃないか?」

「え?……そ、そうでしょうか?」

 

予想もしなかった返しに、ひかりは若干照れながらすり寄ってきた猫をなでていた。

なお、二人の様子を見ていた他の客が。

 

――なんか、あっちのほうが癒される……

 

と思っていたことは言うまでもない。




あとがき代わりのその頃の話

~なぎさとほのか~
なぎさ「あ~ぁ、今頃、ひかりは菖さんとデートかぁ」
ほのか「なぎさ、もしかして藤村くんとしてみたい、とか思ってるでしょ?」(-▽-
なぎさ「なっ??!!ほ、ほのか!そういうのはわかってても言わないでよ!!」Σ(///□///
ほのか「うふふふ♪」

~咲と舞~
舞「……はぁ……」
咲「舞、いくらひかりと菖さんがデートだからって落ち込まなくても……」
舞「……だってぇ……咲だってお兄ちゃんがほかの女の子とデートしてるって思ったらショックで凹むじゃない。それと同じよ」
咲「うぐっ……ご、ごめんなり……」(-ω-;

~ゆりとつぼみ~
つぼみ「菖さんとひかりさん、今頃はどうしているでしょう?」
ゆり「さぁ?案外、ふれあいカフェとかでのんびりしているかもね?」
つぼみ「ゆりさん、ちなみにゆりさんだったら過ごします?」
ゆり「そうね……図書館デートも楽しそうだし、森林浴なんてのもいいかもね……つぼみ、あなたの場合、お花畑巡りかしら?」
つぼみ「はいっ!」
ゆり「うふふ♪なら、菖にお弁当作ってもらえるかもしれないわね?」


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ある日の菖とつぼみ

クリスマスも過ぎて、年越し迎える時を待つばかり
クリスマスネタはやらなかったけど、年明けネタはやるかも?
まぁどうでもいいかな
今年中にもう一本出せるように頑張りたいなぁ……

ともあれ、本編どうぞ


「菖さん!お、お願いがあります!!」

「ん?どうした??」

 

ある日の放課後。

菖とつぼみが並んで下校していた。

ちなみに、ゆりは来海姉妹(ももかとえりか)とひまわり、さくらに連れられてどこかへ行ってしまったため、この場にはいなかった。

 

「こ、こここ、今度の日曜日に、わたしとお、おおおおおおでかけしてくだしゃい!!」

「ん?いいよ」

 

意外にあっさりと、菖はつぼみのお願いを承諾した。

あまりに簡単に承諾されたため、つぼみは唖然としていたが、次の日曜日は菖と二人きりになれることを大いに喜び、小躍りしていた。

 

----------------------------

 

そして日曜日。

菖とつぼみは近所の花畑に来ていた。

咲き誇る花々に、菖はすっかり圧倒されていたのだが、つぼみはその光景に元気をもらっているらしく、ご機嫌な笑みを浮かべていた。

いや、あるいはその理由は、想い人を独占できているから、なのかもしれないが。

 

閑話休題(それはともかくとして)

 

「すっかりご機嫌だな?つぼみ」

「はい!こんなにたくさんのお花さんたちに囲まれてるんですよ!!もう素敵すぎですっ!!」

「……それ、はるかのセリフなんじゃないかなぁ?」

 

聞いたことがあるようなセリフに、菖は苦笑を浮かべつつ、花を折らない場所にレジャーシートを敷き、持ってきていた携帯ガスコンロや、やかん、水が入ったペットボトル、紅茶の葉を置き始めた。

 

「さてと……こんな開けた場所でってのもなかなかないからな」

 

心なしか嬉しそうに微笑みを浮かべながら、菖は携帯コンロに火を入れ、お湯を沸かし始めた。

つぼみが花畑の中をくるくると一人で踊っている光景を、いとおしそうに眺めながら、傍らにいくつかの瓶を広げ、鼻歌交じりにその蓋を開けた。

ふわり、と花畑を駆け抜ける風に乗って、瓶の中に入っているものの香りがふわりと香ってきた。

 

どこか心が落ち着く感じがする優しい香りは、ラベンダー。

リンゴのような甘い香りは、カモミール。

甘いが、どこか辛さのようなものを感じる香りは、シナモン。

すっと鼻の奥を突き抜けていくすっきりとした香りは、ペパーミント。

そして、レモンのようだが酸っぱさを感じない香りは、レモンマートル、レモンバーベナ、レモンバーム、そしてレモングラス。

 

すべて、菖が気に入っているハーブだった。

普段は緑茶や紅茶、あるいはコーヒーを飲んでいるのだが、こうした外出時はハーブティーを飲むことの方が多い。

その主な理由がハーブの薬効にあった。

持ってきているものは、どれも鎮静効果があったり、精神をリラックスさせる効果があるもので、趣味である遺跡探検で、いつもとはまったく違う環境に身を置くことが多い菖にとって、うまくストレスをコントロールするために必要な効能のものばかりだった。

 

とはいえ、今回の場合はつぼみと一緒にいることにストレスを感じているというわけではなく、つぼみが菖が淹れたハーブティーを気に入っているから持ってきたのだが。

ちなみに、ゆりも菖が淹れるハーブティーを気に入っているが、気に入っているブレンドはつぼみのものとは違い、甘い香りが強いものなのだが。

 

閑話休題(それはいいとして)

 

菖はハーブをブレンドし、ポットに入れて、沸いたばかりのお湯をその中に注ぎ込んだ。

その瞬間、ベースとなっているレモンマートルやレモングラスの香りがふわりと漂い始めた。

その香りに気づいたのか、つぼみは花畑から戻ってきて、菖の隣に腰かけた。

 

「菖さん!今日のブレンドはなんですか?」

「レモンマートルを中心に、グラス、バーベナ、バームをちょっと多めに。そこにカモミールとほんのちょっとのシナモンを混ぜた感じだから……ちょっと甘めかな?」

「この間、ごちそうになったのはちょっと辛かったですもんね……」

「あれは冬用のブレンドだよ。ジンジャーにシナモンをたっぷり使って、そこに隠し味程度にペパーミントとフェンネル、レモングラスをくわえたんだ……ちなみにこのブレンドは発汗作用を持っているだけじゃなくて、消化不良の改善や脂肪燃焼の補助もしてくれるぞ」

 

要するに、ダイエットには心強い味方となるブレンド、ということである。

もっとも、一番よく食べるえりかですら、細い体をキープしているのだから、おそらく彼女たちにはしばらくの間、無縁のブレンドなのだろうけれども、と菖は勝手に思っていた。

いくつかのハーブの混ざり合った香りを楽しみにながら、菖はティーポットにお湯を注ぎ入れ、小さな砂時計をひっくり返した。

 

「あとは、砂が落ちるまで待てばいいんですよね?」

「そういうこと。おいしい料理とお茶は時間が大事!慌てず、焦らず、じっくり構えることが大切なんだ」

 

いつだったか、ハートキャッチ組の面々にハーブティーを淹れたときは、えりかが待ちきれずにポットを揺らしてしまったため、本来の半分もおいしさを引き出すことができなかった。

だが、今回はえりかがいないため、ハーブのおいしさを百パーセント引き出すことができるはず。

何より。

 

――ゆりとつぼみには、美味しいやつを淹れてやりたいからな

 

祖父の仁頼といつきはどちらかと言えば緑茶が好きだし、えりかは紅茶やコーヒーよりもジュース一択な性格をしているため、滅多にハーブティーの腕を振るうことができないでいた。

そのため、少なからず興味があるゆりとつぼみにはおいしいものを、と思うのも当然のことだった。

 

「さて、そろそろかな?」

「菖さん、まだあとちょっとです!」

 

わくわくしている気持ちを抑えながら、つぼみが菖にそう告げてきた。

むろん、菖もそれをわかっていると考えなかったわけではないのだろうが、言わずにはいられなかったのだろう。

それだけ、つぼみは菖の淹れたハーブティーを楽しみにしている、ということだった。

 

「さて、と。それじゃ、注ぐよ」

「はい!」

 

こぽぽ、と優しい音を立てながら、つぼみの持っているカップにお茶が注がれていった。

つぼみのカップにお茶を注ぎ終えると、菖は自分のカップにお茶を注ぎ始めた。

少しして、カップにハーブティーを注ぎ終えると。

 

「それじゃ」

「はい!ちょっと作法は違いますけれど……乾杯、です♪」

 

カップをぶつけあうことはなく、互いにカップを掲げ、菖とつぼみはささやかなお茶会を始めるのだった。




あとがき代わりのその頃の話

~アカネとひかり~
アカネ「へ~?てことは、今日は愛しの騎士様はほかの女の子のお相手をしてるってことかい?」
ひかり「き、騎士様って!……しょ、菖さんはそんなカッコイイ感じじゃ……」
アカネ「にしても、許せないねぇ……うちの看板娘っていい女がいるってのにさ」
ひかり「あ、あの!わたしはあんまり気にしてないので……というか、菖さんはみんなの菖さんですから!!」

~咲と舞~
舞「…………はぁ…………」
咲「これで何度目のため息なのよ……はぁ……なぎささんじゃないけど、ぶっちゃけありえないなり~」

~ゆりとももか~
ももか「あれ?今日つぼみちゃんは」
ゆり「菖とデート」
ももか「あらら……ゆり、もしかして失恋?」
ゆり「なんでそうなるのよ?個人的に、つぼみとなら浮気してもいいって思ってるわよ?わたしは」
ももか「おっとまさかの愛人公認宣言……ていうか、ゆり」
ゆり「…………あによ?」
ももか「ぶっちゃけ、菖くんもつぼみちゃんも大好きだからよね?そういうこと言えるってことは」
ゆり「……(ぷいっ)……」
ももか「ふふふっ♪照れちゃって、かわいい~♪」


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やよい、希望ヶ花に来る

今回はpixivに掲載されてた漫画をネタに
(元ネタURLはこちら↓
https://www.pixiv.net/artworks/27939180)

まぁ、こちらの世界軸では、英明氏は生きて戻ってきてるのですが、そこを気にしてはダメっすよ~?


その日、やよいはゆりに呼び出され、希望ヶ花市に来ていた。

言われた住所に向かう途中、やよいは始終、びくびくしていた。

 

――わ、わたし、何かゆりさんを怒らせるようなことしちゃったかなぁ……

 

実のところ、やよいはゆりが大の苦手だ。

その理由が、『自分が変身したときの名乗りがふざけている』とこっぴどく怒られたから、というものだった。

その勢いたるや、アカオーニも慌てて逃げだすのではないかというほどで、やよいが怒られている間、同じメンバーのみゆきたちはびくびくしながら菖の背後に隠れていた。

助け舟を出してくれてもいいじゃないか、と仲間たちの薄情さに文句を言いたくなったが、その迫力を真正面から受けていたので、仕方がないことだったと受け入れているが。

 

そんなゆりに、あろうことか呼び出されてしまったのだ。

基本的にやよいは七色が丘から外に出ることはないため、横浜での一件以来、ゆりとの接点はない。

かといって、ストレス解消に誰かをいじめるようなことをする性格ではないことは、菖が説明してくれていた。

そのため、なぜ自分が呼ばれたのかまったくわからなかった。

わからないから、何をされるか不安でたまらないのだ。

だが、呼び出されるときに菖とつぼみが一緒にいることを聞いていたので、何かあればフォローしてくれるのではないかという淡い期待もあり、ひとまず、やよいはゆりに呼び出された場所へと向かっていった。

 

--------------

 

呼び出された場所、植物園に到着すると、出迎えてくれたのは菖だった。

いきなりゆりと対面しなかったことに安心したやよいだったが、これから何をされるのかわからないため、かなりびくついていた。

 

「……大丈夫か?」

「ひゃひっ??!!だ、だだだだだだ、だいだいだい、大丈夫、です」

「いや、そうは見えないんだけど……まぁ、この間のこと気にしてるなら、大丈夫だぞ?」

「……へ?」

「あいつ、あのあと『すこし言い過ぎたかしら』って落ち込んでたしな」

 

菖の口から出てきた意外な事実に、やよいの目は点になっていた。

 

「誤解してるみたいだけど、ゆりは優しいやつだぞ?つぼみほどじゃないが、植物たちの心もわかるみたいだし」

「へぇ……」

「っと、ここだな」

 

話しながら歩いていると、二人は植物園の裏手にある丘に着いた。

そこは、希望ヶ花市を一望できる高台で、隠れた穴場スポットだった。

その絶景に、やよいは目を奪われていると、少し離れたところから声をかけられた。

 

「やよいさ~ん!こっちです~!!」

 

声がした方を見ると、そこにはレジャーシートを敷き、お弁当を広げて座っているつぼみとえりか、いつき、そしてゆりの姿があった。

ゆりを見つけてしまったやよいは、一瞬、びくり、と震えたが、ゆりがまとっている雰囲気が怒っているものではないことに疑問を抱き、恐る恐る、近づいていった。

 

「よく来たわね」

「え、あ、はい……」

「この間はごめんなさいね。わたしも言い過ぎたわ」

「え?あ、い、いえ、そんな……」

 

突然のゆりの謝罪に、やよいは少し困惑した様子で返していた。

あまりに困惑してしまい、菖のほうに視線を向けると、菖はただ黙って、ゆりの隣に座るよう、手で促すだけで、何も返してくれなかった。

 

「今日はゆりさん、やよいちゃんのためにお弁当作ってきたんだよ?」

「え?そ、そうなんですか?!」

「えぇ。いつも頑張っているみたいだからね」

「あたしは頑張っても全然こんなことしてもらったことないっしゅ!」

「えりかは優しいお義兄さんにいろいろしてもらってるだろ?主にお菓子とかスイーツとか作ってもらったり、勉強教えてもらったり……」

「うっ……ま、まぁ、明義兄ぃならあんましお返しとか気にしないで甘えていいかなぁ、と……」

 

明義兄ぃとは、いわずもがな、えりかの姉ももかと絶賛熱烈恋愛中の御剣明のことだ。

やたらとイケメンでハイスペックであり、『みんな振り向くあん畜生』とまで呼ばれる男である。

ナイスガイであり、頼れる兄貴分であり、紳士である反面、戦闘狂で超がつく甘党であることが玉に瑕である。

そんな明だから、お返しなどあまり気にしなくてもいいだろうが、それでも受けた恩は何かの形で返すのが人間としての在り方だ。

今までのお返しというかお礼をしていないことに、菖もゆりも白い目を向けてきたので、えりかはひそかに、今度何かお返ししよう、と心に誓うのだった。

 

「さ、そんなことより、早く食べちゃいましょ?」

「それもそうだな」

「あ、は、はい!それじゃ、お言葉に甘えて……」

 

ゆりの言葉と、それに同意する菖の言葉に、やよいはようやくレジャーシートに座った。

その後、つぼみといつきが紙皿と割りばしを、菖がお茶を注いだ紙コップを全員に配ると、誰からとなく手を合わせて、いただきます、の大合唱となった。

やよいは、菖とつぼみの勧めでゆりが持ってきた弁当箱に入っていたおかずをもらい、恐る恐る食べてみた。

 

「…………」

「どう?」

「おいしいです!すっごくおいしいです!!」

 

ゆりの問いかけに、やよいは目をキラキラとさせながら返してきた。

返ってきたその答えに、ゆりは心なしか安堵したような表情を浮かべていた。

それに気づいた菖だったが、特には何も言わず、ゆりが持ってきたもの以外のおかずに手を伸ばすのだった。




おまけ

~数日後~
あかね「や、やよい、どないやったん?!」
なお「やよいちゃん、ゆりさんに呼ばれたって聞いただけど、何かされなかった?!」
やよい「大丈夫だよ?菖さんもいたし、ゆりお姉ちゃんも優しかったし」
あかね、なお「「よかったぁ……って、ゆり『お姉ちゃん』?!」」

--------------

菖「そーいや、この間やよいを呼んだ時、ずいぶん懐かれたな」(-▽-
ゆり「な、なによ?」(/// ///
菖「別に~?」


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ララ、大ピンチ?!

世の中、もう夏休みだけど、思いついたから書いてみた

てか、書いてて思ったけれど、AIに思考をゆだねるって結構怖いことじゃないかね?
自分で考えることをやめるのは、たとえ科学が発達したとしてもやっちゃいけないことのような気がするよ……


「オヨ~~~~~~~~ッ!!!」

 

もう間もなく、夏休みという頃。

ロケットの中で、ララが悲鳴を上げていた。

 

《ララ、なぜ悲鳴を上げているのです?》

「期末試験が……期末試験がもうすぐ始まっちゃうル~~~~~~~ンッ!!」

 

ララが悲鳴を上げていた理由、それは、現在、羽衣ララとして通っている観星中学で行われる期末試験が迫っていることにあった。

ララの故郷である母星では、より効率的な生活を送るために、思考の大半をAIに委ねてしまっている。

そのため、そもそも言語体系が異なる星である地球語の科目(国語と英語)や社会科はもとより、二桁を超える計算を行うことができないため、数学や理科も中々苦労している。

ひかるやえれな、まどかの他にもクラスメイトたちの助けを借りて、どうにか平均より少し上くらいのところまで行くことはできるのだが、一学期中に学んだすべてが試されると聞いて、頭がパンクしそうになってしまったのだ。

 

だが、地球ではまだ未成年であるが、母星では成人として扱われているララは、文句を言っていたらそれこそ補習を受けることになりかねないことも、補習を回避するためにやらなければならないことはわかっっていたため、すぐに行動しようとしていた。

 

《なるほど……現状でララが期末試験で補習を受ける可能性を計算……》

「そんな計算、しなくていいルン!!と、とにかく勉強しないとルン!!」

 

AIから出てきそうになっていた、やる気がそがれそうな言葉を遮り、ララは教科書とひかるやえれな、まどかから借りた昔のノートを開き、勉強を開始した。

その努力のおかげで、ララは赤点という不名誉を回避することができていた。

ただ一つの科目を除いては。

 

「……社会科……わからないルン……」

 

地球の社会システムとララの母星の社会システムの違いからか、それとも全く知らない歴史があるからなのか、社会科だけはどうしても赤点を取ってしまっていた。

こればかりは、AIに頼んで教えてもらったほうがいいだろうか。

そう思った時だった。

 

「ララ~」

「一緒に勉強しよう!」

「お邪魔します」

 

ユニを除く、いつもの三人が声をかけてきた。

プリキュアになってから、ユニとも交流する機会は増えているのだが、彼女の自由奔放な本来の気質があってなのか、一緒に勉強する、ということはあまりない。

そもそも、いまだに普段はどこで何をしているのかをなかなか明かしてくれないのだ。

そのため、学校に通っているのかどうかもわからない。

とはいえ、いまはそれよりも大切なことがある。

 

「ルン!ひかる、えれな、まどか、ちょうどよかったルン!!」

 

まさに天からの助け、とばかりに、ララは三人に泣きついた。

 

「社会科を、社会科を教えてほしいルン!!」

 

だが、残念なことにララのこの魂の叫びは彼女たちには届かなかった。

いや、届いてはいた。届いてはいたのだが、彼女たちもララに社会科、特に歴史を教えるほどの自信がなかった。

生徒会長であり観星中学でトップの成績を修めるまどかですら、歴史は鬼門なのだ。

かといって、仲間を見捨てるようなことはしたくはない。

どうしたものか、と考えていると、まどかが一つ、妙案を思いついた。

 

「それならば、あの方にお願いしてみましょう」

「「あの方?」」

「それって、誰ルン?」

 

まどかが突然口にした、あの方、という人物が誰なのか、まったく見当がつかない三人だったが、まどかの口から出てきたその人の名前に、妙に納得できるものがあった。

その名前は、自分たちプリキュアの先輩であり、頼りになる兄貴分であった。

 

------------

 

「……で、俺を呼んだ、と?」

「そうルン!」

「「「お願いします!!」」」

 

いかにも不機嫌そうな顔で、菖は目の前で深々とお辞儀している、ユニを除いたスター☆トゥインクル組を見ていた。

ゆりや明といったトップ勢に食い込んでいる仲良し八人組の中で、菖は特に歴史と英語の成績が高く、同級生たちから教えてほしいとせがまれることが多い。

そのため、せんせー、と呼ばれるのだが、本人はそれをものすごく気に入らないでいる。

本職の教員を差し置いて、自分に聞きに来る同級生も、よく知りもしない後輩も、そこに加えて、質問されないのは自分たちが悪いというのに理不尽な嫉妬を向けてくる教師たちも、何もかもが気に入らないのだ。

 

気に入らないのだが、ひかるたちは菖にとって後輩というだけでなく、妹分でもある。

そのため、一部を除いた後輩たちと同じような態度をとることはなかった。

 

「……はぁ……わかった。ひとまず、植物園に来てくれ。どうせなら、ゆりやつぼみたちも巻き込んだほうがいいだろ」

 

断られると思っていたのだが、案外、あっさりと引き受けてくれたことに魂消(たまげ)たらしく、ひかるたちは呆然としていた。

中でも、ララが一番驚いたらしく、ぽかんとしながらも、口を開いていた。

 

「オヨ~……なんか聞いてた話と違うルン」

「……お前はどんな話を聞いていたんだよ……」

 

大体予想はできるのだが、問いかけずにはいられなかった菖は、ため息をつきながら、準備を整え、ひかるたちを引き連れて植物園の温室へとむかっていった。

ちなみに、温室ではつぼみたちハートキャッチ組以外にも、明たち(いつものメンバー)とファッション部の後輩たちが勉強していたため、そこに菖とララたちが加わり、いつもより少しにぎやかな勉強会になったのだが、その様子は割愛。




あとがき代わりのその後の話

~試験結果~
ララ「オヨ~……物凄く不安ルン……」
ひかる「あたしも……け、けど、菖さんやゆりさんたちに教わったから、きっと大丈夫!!」
ララ「大丈夫であることを祈るルン……」
(掲示板前)
ひかる「え~っと、あたしは……あ、あった!!」
ララ「どこルン?」
ひかる「三十位!!キラヤバ~ッ!最高記録だよ!!」(>▽<
ララ「オヨ~……わたしは……あ、あったルン!」
ひかる「どこどこ?!……って、十五位?!」
ララ「やったルン!ひかるに勝ったルン!!菖たちのおかげルン!!」
ひかる「……てか、教えてもらうだけで成績アップって……今思うとそれってきらやば~なんじゃ……」


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とある日の菖といおな

最近、いおなもハーレムに加えようかどうしようか、割とまじで思案中だったりしてます
思案中とかいうけど、もう加えちゃおうかなってわりと本気で思っていたりいなかったり……というか、作者の意思はこの話を読んでいただければお察しいただけるかと(-ω-;

まぁ、そんなことはどうでもいい
本編どうぞ


幻影帝国を倒し、地球の神を自称していたブルーと、かつてブルーと共に戦った最初のプリキュアであり幻影帝国の元首あったキュアミラージュが、すべての元凶であった地球の兄弟星、惑星レッドへと向かってから数週間。

戦う必要があまりなくなったハピネスチャージ組だったが、いおなは鍛錬を続けていた。

 

理由としては、単純に憧れである姉、まりあに一歩でも近づきたいがためだった。

だがここ最近になって、いおなは氷川道場での稽古だけで強くなることは難しいのではないか、と感じるようになっていた。

 

――お姉ちゃんの強さに追い付くには、どうしたらいいんだろう……

 

それを考えながら、いおなは空手の型をなぞっていた。

強くなるのに一番手っ取り早い方法は、実戦経験を積むこと。

となると、他流試合ということになるのだが、個人的事情で他流試合をしてくれる道場はあっただろうか。

そこまで思い至ると、一人の青年の顔が浮かんできた。

 

「……そうか、菖さんに稽古をつけてもらえばいいんだ!」

 

口にしたのは、ハピネスチャージ組だけではなく、自分たちにとって頼れる兄貴分であり、一部では恋心を抱く相手である光の戦士の名前だった。

以前、幻影帝国の攻撃が続いていた時に、稽古をつけてもらった経験から、もしかしたら、と思い至ったようだ。

善は急げ、とばかりに、いおなは次の休みに希望ヶ花市へ向かう計画を立てた。

むろん、突撃訪問などという無礼な真似はせず、ちゃんと菖の都合を聞くことは忘れていなかった。

 

------------

 

次の休みの日。

いおなは一人、希望ヶ花市に来ていた。

理由は言わずもがな、菖に稽古をつけてもらうためだ。

 

「すぅ……はぁ……たのもーっ!!」

「いや、そんな気合い入れなくていいから」

「す、すみません、つい……」

 

春川家の玄関で、いおなが道場破りにでも来たのか、と突っ込まれそうな勢いで声を上げ、それに対して菖が半ばあきれ顔になっていた。

突っ込まれたいおなは顔を赤くしてうつむいてしまった。

苦笑を浮かべながら、菖はいおなの頭をなでて、上がっていいよ、といおなを招き入れた。

一方、頭をなでられたいおなは。

 

――あ、あ、あ……頭、なでなで、された……

 

久方ぶりに異性から頭をなでられたことに、若干、いや、かなり混乱してしまい、少しの間、その場でフリーズしていた。

なお、少し遅れてやってきたゆりとつぼみに声をかけられて、ようやくいおなのフリーズは解除されたのであった。

 

玄関からリビングに三人がやってくると、テーブルには四人分のティーカップが置かれていた。

どうやら、菖が用意してくれていたらしい。

一刻も早く稽古をつけてほしいいおなだったが、せっかくの厚意をむげにはできないため、ひとまず、お茶をいただくことにした。

 

「……あ、おいしい……」

「ふふふ、今日もいい腕ね」

「はい、とても和みます」

「おほめにあずかり光栄……さてと、それじゃ、いおな。お茶を飲んだら始めようか」

「は、はい!!」

 

謎の緊張感を覚え、答えながら、いおなはティーカップを手に取り、中に注がれていたお茶に口をつけた。

 

------------

 

お茶会が終了して、いおなは菖とともに春川家の裏にある道場にいた。

道場といっても、ちゃんとした建物ではない。

芝生や雑草に覆われ、極力、石が取り除かれているだけの庭のような場所だった。

その光景に、いおなは唖然とした。

 

「こ、ここが?てっきり道場があるものかと……」

「逆に、泉地流は道場の中だと危ないことがあるんだ。壁があったりすると特に、ね」

 

忘れがち、というよりも、目をそらしていることではあるが、武道とその大元となった武術は、元々は効率よく命を刈り取るための技術だ。

故に、柔道の投げ技や絞め技には、一つ違えれば相手の命を奪いかねない危険な所作も存在している。

その意味で、現代の武道は非常にぬるい(・・・)と言わざるを得ない。

 

一方、泉地流はそういったぬるさ(・・・)を極力排除し、その源流となっている狩猟に近い環境で稽古をつけることにしているのだ。

だからこそ、実戦でも活きる強さがあり、海外の遺跡探検で荒くれ者たちに襲われても無事に帰還することができている。

 

「……あ、あの、大丈夫、なんですか?」

「大丈夫、ある程度なら手加減するし、板張りの床よりもずっと柔らかいからね、ここの地面は」

「い、言われてみれば……」

 

はだしの状態で、いおなは足踏みすると、多少、ちくちくするがそれでも菖の言う通り、板張りの床よりも柔らかい感触をあった。

これなら確かに、よほどのことがない限り、大怪我をすることはないだろう。

 

「んじゃ、軽く準備運動してから始めようか」

「押忍っ!」

 

その言葉に、両手の拳を握り、腰に添えるようにして引き寄せ、いおなは一礼した。

もっとも、この時のいおなは菖の意外な一面を目の当たりにすることになるとは、思ってもみなかった。

 

------------

 

一方、遊びに来ていたゆりとつぼみは、包帯や湿布薬を用意していた。

用意しているつぼみの顔は、若干、何かを心配しているようだった。

 

「あ、あの、ゆりさん」

「何かしら?」

「いおなさん、大丈夫でしょうか?」

 

何が、というのは聞かずともわかる。

慣れない環境、慣れない場所、何より、慣れない相手との一対一での実戦稽古だ。

怪我もそうだが、精神的に追い詰められるようなことはないか。

つぼみはそれを心配していた。

 

「大丈夫だと思うわよ?」

「相手が菖さんだから、ですか?」

「それもあるけれど、なによりいおなはまりあさんを目指しているんだもの。ここで折れたら女が廃る、とか思うんじゃないかしら?」

「……あの、それは響のセリフかと……」

 

つぼみは、ゆりの言葉に苦笑を浮かべながらそう返したが、心中では、なるほど一理ある、とも思っていた。

ハピネスチャージ組のなかでも、いおなはかなりの努力家でしっかり者だ。それだけでなく、頑固な一面もあり、ブルーから恋愛禁止令を出されていても、納得いかないことには従いたくない、と反発していた。

それくらい頑固な部分があるのなら、何かをつかむまでは菖に食らいつくだろう。

そしてなにより。

 

「最近、いおなの菖を見る目がなんとなく、つぼみに似ている気がするのよね」

「わ、わたしにですか?!」

「もっと言うと、ひかりと舞も同じかしら?」

 

自分やひかり、舞と同じ目、ということが何を意味しているのか、つぼみはすぐに察した。

ゆりも同じことなのだが、要するに、恋する乙女の視線、と言いたいわけだ。

菖も朴念仁、もとい朴念神というわけではないし、ゆりたちが自分に向けている感情をわかっていないわけではない。

が、趣味が趣味なので、万が一、ということがある。

その結果、自分たちを悲しませたくない、という優しさから、敢えて朴念仁のふりをしているというのは、公然の秘密だ。

かといって、このままの距離で満足するようなつぼみたちではない。

 

「……今度、ひかりと舞といおなも巻き込んでお茶会しませんか?」

「あら、お茶会という名の作戦会議ね?いいわよ」

 

単語だけならば女子会のような雰囲気なのだが、二人そろってメガネを光らせていたため、パートナー妖精たちはそのお茶会がただの女子会ではないことをすぐに察した。

察したのだが、そこに突っ込むほどの勇気はない。

沈黙は金、とばかりに二人は黙ってその様子を見守るにとどめた。

 

それから数十分して、菖とボロボロになったいおなが戻ってきたため、呆れ笑いを浮かべながら、治療したことは言うまでもない。

なお、その間のいおなは、ゆりの予想通り、何度倒されようともあきらめずに菖に向かっていったが、一撃を当てるどころかかすらせることもできなかったことに、ふくれっ面を浮かべていた。

 

「ははは、けど慣れない場所でよくここまでやれたと思うよ、俺は」

「けど一発も当てられてないです!菖さん、休憩が終わったらもう一本お願いします!」

 

ここまでくると頑固というよりもはや意地っ張りだ。

菖はいおなの頭に手を置いて、優しくなでながら諭すように語り掛けた。

 

「焦ってもいいことないぞ?特にこういうのは一歩一歩をしっかり踏みしめないと、あとが大変なことになるからな」

「うぅ……」

「さっきの試合だって、前の時と比べたら格段に良くなってるんだ。いおなはまだまだこれからなんだから、あせらずじっくりやればいい」

「……はい……」

 

頭をなでられながら、いおなは顔を少し赤らめ、素直にうなずいた。

わかればよし、と菖はいおなの頭から手を放し、台所の方へと向かっていった。

いおなは、なでられた部分に手を添えながら、少しばかりだらしない微笑みを浮かべていたのだが、それに気づいたものはいなかった。




あとがき代わりのおまけの話(スキット風)

~いおなの変化~
いおな「……ふふふ……えへへへ……」(///▽///♪
つぼみ「い、いおなの顔がだらしなくなってます……」( Д ;
ゆり「これはもう確定ね……まさかいおなも菖の虜になるなんて……」
つぼみ「ゆりさん、これはお茶会決行ですね!」
ゆり「えぇ……菖に恋する乙女がどれほど強いか、思い知らせてやりましょう」

~無自覚?~
(ぴかりヶ丘、ブルースカイ王国大使館)
ゆうこ「へ~……だから一人で菖さんのところに?」
いおな「えぇ。それだけよ」
まりあ「うふふ、本当にそれだけかしら?いおな」
いおな「へ?」
まりあ「だって時々頭、触って"えへへ~"なんてだらしない笑顔を浮かべてたじゃない」
いおな「そうだった?」
まりあ「えぇ♪」
ゆうこ「(……ねぇ、ぐらさん。もしかしてだけど)」
ぐらさん「(もしかするかもだけど、いまはそっとしとこうぜ。いおなが自覚したらどうなるか、そっちのが見ものだ)」
ゆうこ「(むふふ、ぐらさんは悪ですのぉ)」(-言-
ぐらさん「(ゆうこほどじゃないぜ)」(-言-
ゆうこ、ぐらさん「「ふふうふふふふふふ……」」


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恋する乙女の座談会(スキット風)

今回、菖は出てきません
ラヴァーズだけの座談会です


つぼみ「ゆりさん、お茶の準備、できました!」

ゆり「こっちも、お茶請けの準備万端よ」

舞「あ、あのぉ……」(・ω・;

ひかり「突然呼び出されたので、何が何だか……」(・ω・;

いおな「……なんでわたしまで?」(-ω-;

つぼみ「たまにはいいじゃないですか」(^ω^

ゆり「そうね……同じ人を好きになったもの同士なんだもの」(-▽-

ひかり、舞、いおな「「「…………っ??!!」」」Σ(///Д///

ゆり「うふふ、図星のようね?」

つぼみ「ゆりさん、やっぱりちょっと意地悪になってるんじゃ……?」(-Д-;

ゆり「うふふふ♪」

 

------------

 

ゆり「それで、落ち着いたところで聞きたいのだけれど、菖のどんなところが好きになったのかしら?」

ひかり「い、いきなりそんなことを聞かれても……」(/// ///

舞「え、えぇと……その……」(/// ///

いおな「……」(/// ///

ゆり「ふふ、それなら、つぼみからのほうがいいかしらね?」

つぼみ「へ?……え、えぇと、あの、その……こ、ここはやっぱり幼馴染のゆりさんからなんじゃ……?」

ゆり「あら?語り始めたら止まらないわよ?」

いおな「そ、それもどうかと……」

ひかり「わ、わかりました!わたしから話します!!」

舞「ひ、ひかり?!」

ひかり「恥ずかしがっていても仕方ありません!ここは、わたしの想いの強さをゆりさんにぶつけて見せます!!」

ゆり「あら、いい度胸ね?」

つぼみ「ゆ、ゆりさん?なんだかすごく喧嘩腰に……」( Д ;

舞「それだけ、ゆりさんも本気、ということ?」

いおな「……上等よ、こうなったら素直になろうじゃないの!!」( Д メ

ひかり「い、いおなさん。それはもうやけっぱちというものでは??!!」Σ( Д ;

 

----------------------------

 

ゆり「それで?ひかりはなんで菖が好きになったのかしら?」

ひかり「わたしは、一度、一人で出かけた時に怖い人たちにナンパされそうになったんですけど」

舞「菖さんに助けてもらったの?」

ひかり「はい……それから、事あるごとに一緒にお出かけしてもらって、親切にしてもらって……」

つぼみ「ひかりも、菖さんの優しいところが好きになったんですね?」

ひかり「……は……はい……」(/// ///

ゆり「……ほんと、何度、あの人はフラグを建てれば気が済むのよ……」(-□-;

舞「あははは……けど、わかる気がします」

いおな「舞も、やっぱり?」

舞「えぇ。菖さんの隣にいると、大空の樹のそばにいるような気がして、ほっとするの」

ゆり「彼、基本的に穏やかだからそうなのかもしれないわね」

ひかり「それで、つぼみさんは?」

つぼみ「わ、わたしも菖さんの優しさと穏やかさが好きで……」

舞「ふふ、それじゃ、わたしたち、似た者同士なのかしら?」

つぼみ「はい!」

 

ゆり「それで、いおなは?」

いおな「わ、わたしは、その……つ、強いけど優しくて、けどそれだけじゃなくてちゃんと厳しいところは厳しいし、何が悪かったのか的確にアドバイスしてくれたり、わたしが悩んでるときに無理に聞き出さないで言い出すまで見守ってくれるところとか……」

つぼみ「す、ストップ!いおな、ストップです!!」( Д ;

舞「な、なんだかすっごく惚れこんでるってことがわかったわ……」( ▽ ;

ひかり「あ、ある意味、ゆりさん以上の強敵かもです……」( ▽ ;

いおな「……はっ!わ、わたしは何を……」

ゆり「菖への愛を衝動のままに全部語っていた、という感じかしら?」

いおな「~~~~~~~っ??!!」(/// ///

つぼみ「あははは……それで、ゆりさんはいつから菖さんを好きになったんですか?」

ゆり「そうね……きっかけは、いつだったかしら?だいぶ小さいころに菖に誘われて遺跡探検に行ったことがあるの」

舞「もしかして、ゆりさんが足を怪我して動けなくなったのを慰めてくれたとか?」

ゆり「うふふ、近いけど違うわよ?」

つぼみ「そうなんですか?」

ゆり「えぇ。突然の大雨で足止めを食らったのだけれど、その時に居合わせた見習い考古学者の人に出会ったの」

ひかり「もしかして、その時に前に出てかばったとか?」

ゆり「えぇ。わたしの前に出て仁王立ちしたのよ」

いおな「そ、それは……」

舞「たしかに好きになってしまってもしかたない、のかしら?」

つぼみ「つ、吊り橋効果、というやつですか?!」

ゆり「ありていに言えば、そうね。けれど、それだけじゃないわよ?」

いおな「……もしかして、一緒にいる時間が長すぎて、いないと落ち着かないから、とかですか?」

ひかり「一緒にいるのが当たり前……は、はわわわわ」(///□///

舞「な、なんだか、絶対勝てない気がしてきた……」

ゆり「あら?わたしは何も菖を独占しようなんて思わないわよ?」

ひかり、舞、つぼみ、いおな「「「「え?」」」」

ゆり「だって、ハーレム法が成立しそうなのだもの。それに、ほかの子ならいざ知らず、あなたたちなら、別に構わないわ」

ひかり、舞、つぼみ、いおな「「「「え?……えぇぇぇぇぇぇっ??!!」」」」

ゆり「その代わり、あなたたち以外の子は認めないけれどね?」(^言^

ひかり、舞、つぼみ、いおな「「「「……(ぞぞわぁっ)……」」」」( Д lll

ゆり「うふふ……はたして、菖はどうするのかしらね?」




おまけ

~そういえば……~
ひかり「そういえば、ゆりさんとつぼみさんは菖さんと何かなかったんですか?」
つぼみ、ゆり「「え?」」
舞「あ、もしかして、映画みたいなラブロマンス?」
いおな「そ、それは興味深いかも」
つぼみ「わ、わたしは……散歩でお花畑巡りをしていたときに雨に降られて、近くの洞くつで一緒に雨宿りを(『日常編:とある雨の日の菖とつぼみ』参照)」(/// ///
ゆり「わたしのほうは……それこそ思い出し始めたらきりがないわね」
いおな「……そ、そんなにですか……」
ひかり「やっぱりちょっと……」
舞「ずるいです……」


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オイシーナタウンを訪れた、孤独に空腹を満たす男

これが年内最後の投稿となります
というわけで、やってみたかったクロスオーバーで今年を占め来らせていただきます!


 その男は、とにかく腹が減っていた。

 オイシーナタウンのゲストハウスのインテリアに使用する招き猫を頼まれたのだが。

 

――正直、あれ以上増やしてどうするんだろうな……何年か前に亡くなったお隣のおばあさんが愛用していたら、いつの間にか街の住人全員が好きになったってことだけど、あれ以上あったら置き場に困るんじゃないかなぁ……

 

 もっとも、他者の趣味趣向について、第三者の自分が口出しすることでもない。

 好きな料理を注文し、好きなように食べる。

 自分のその主義に対して口出しをされるいわれがないことと同じだ。

 

――好きな食べ物やこだわりは、他人が口出ししていいもんじゃない。それぞれの楽しみがある

 

「それに口出しするのは野暮ってもんだよな……なんて、小難しいこと考えてたら、腹が減ったなぁ」

 

 とりあえず、飯を探そう。

 そう考えた矢先、男の鼻をおいしそうな匂いがくすぐる。

 匂いがしてきた方へ視線を向けると、そこには『なごみ亭』という看板が。

 

――この定食屋、たしかさっき話で出てたおばあさんが経営してたって定食屋だよな。ほかのところで目移りするより、ここで食べちゃおう

 

 即断即決。

 どこかの女子中学生ならば『腹ペコった~』とお腹を抱えながら言っていそうな状況であるこの男にとって、鳴り出しそうな腹の虫を大人しくさせることが最優先事項だ。

 ならば、と男はなごみ亭の中へと入っていく。

 それなりに人気の店らしく、男と同じ、サラリーマンや学生が昼食を楽しんでいる光景を目にしていると。

 

「いらっしゃいませ~。お好きな席へどうぞ~!」

 

 中に入ると、中学生くらいの少女がそう声をかけてくる。

 この店の娘だろうか、と思いつつ。

 

――まぁ、終業式も終わった頃だろうし、娘さんが手伝っていてもおかしくはないか

 

 と結論を出した男は、少女が言った通りに空いている窓際の席へと移動し、備え付けられていたメニューに目を通す。

 

――和食がメインで、ハンバーグやエビフライ、オムライスみたいな洋食がちらほら……なるほど、大衆食堂っぽい。こういうの、俺大好き

 

 メニューにそんな感想を抱きながら、自分がいま何を食べたいのか、胃袋と向き合いながら思考する。

 だが、どれもおいしそうであるためだけでなく、空腹が加速していることも相まって、なかなかまとまらない。

 

――どうしたもんかなぁ……腹の虫も玄界灘、ここはおすすめを選ぼう

 

 情報が少なすぎるため、無難で堅実な手段に出る。

 おすすめにあるメニューは、定食屋らしく、肉じゃがや豚の生姜焼きといった人気メニューにご飯とみそ汁、小鉢をつけたセットが多い。

 

――ん? おでん……おでんかぁ。そういや、静岡に行った時、汁なしのおでんを食べそこなったことがあったなぁ

 

 おでんとご飯のセットを見つけた時、男は静岡県へ仕事で向かったときのことが脳裏に浮かんでくる。

 あの時は、静岡おでんと黒はんぺんを食べようと思っていたのだが、飛び込んた店が提供するおでんは、汁がからしになっているおでんであった。

 

――あのおでんもうまかったけど、ほんとは粉をかけるおでんが食べたかったんだよなぁ……なんだか、無性におでんを食べたくなってきたぞ

 

 つい、過去のことを思い出していたら、おでんを食べたくなってしまった。

 

「すみません」

「はーい」

 

 注文をしようと手をあげると、さきほど案内をしてくれた少女がやってくる。

 男はおでんの定食と飲み物としてウーロン茶を注文すると。

 

「うちのおでん、おいしいですよ! 少々お待ちくださいね」

 

 満面の笑みを浮かべながら、少女は厨房の方へと下がっていく。

 

――娘さんがおすすめするおでんか。楽しみじゃないか

 

 心中でそんな感想を抱き、男はおでんがくるまで店内を見回す。

 カウンター席には、褐色肌でコートを肩掛けしている特徴的な人物が薄桃色の長髪をしている少女と並んで肉じゃがを口にしており、そのすぐ近くのテーブル席では、とび色の髪をしている青年が談笑しながら黒く長い髪の少女と食事をしている。

 

――なんだかのんびりした光景だなぁ……いかにも平和そうな町って感じだ

 

 家族や友人、あるいは一人で、のんびりと空腹を満たす。

 それもまたいいが、男は一人で気軽に腹を満たしたい。

 時間や社会にとらわれず、つかの間の自分勝手で自由な時間の中で空腹を満たす。

 その行動に、男は最高の「癒し」を見出していた。

 

――家族か。身を固めることなんて、俺には想像できないが、そういうのもいいのかもしれない

 

 などと色々と考えていると。

 

「お待たせしました! おでん定食です!!」

 

 男の目の前に、おでん定食が運ばれてきた。

 ほかほかと湯気を立てているごはんとおでん、それに味噌汁。

 小鉢のおひたしと漬物が彩りを演出している。

 いかにも「定食」という感じの定食だ。

 そんな感想を抱きながら、男は箸を手に取り。

 

「いただきます」

 

 食事を開始する。

 ほくほくと、中までだし汁が染み込んだ大根やちくわ。

 時折、箸休めに手を伸ばすおひたしや漬物もいい仕事をしている。

 何より。

 

――この味噌汁、うまい。ご飯にぴったりとはまってくる。この米にはまるように作られてるって感じだ

 

 味噌汁だけではない。おひたしや漬物も、そしておでんさえも米とうまくかみ合うよう、調理されている。

 それだけ、この定食屋が丁寧に料理をしているということなのだろう。

 その証拠に自分以外のこの定食屋の客人の顔すべてが笑顔に満ちている。

 

――なんていうか、安心して帰ってこれる場所なんだろうな。この人たちの笑顔がそれを物語っている……猫に招かれてやってきたのは客じゃなくて笑顔のほうだったってか?

 

 くすり、とかすかな笑みを浮かべて、男は残ったおでんと米を平らげる。

 

「ふぅ……ごちそうさまでした」

 

 丁寧にお辞儀をして、男は立ち上がる。

 すると、再び入り口が開き新たな客人が入ってくる。

 

「いらっしゃいま……あ、拓海!」

「よ、ゆい。昼飯、食いに来た」

「ちょうど、マリちゃんも来てるよ。カウンター席にどうぞ~」

 

 拓海と呼ばれた高校生くらいの年齢の茶髪の少年を、ゆいと呼ばれた少女が案内する。

 どうやら、友人らしいが、ただの友人関係というわけではなさそうだ。

 男はなんとなく、甘酸っぱい空気を感じながら、会計をすませ、店を出た。

 

――招き猫に招かれてこの町にやってきたおかげでいい店に会えたな……さて、明日から北海道か。年末だってのに、どうしてこうも忙しいのやら……いや、自営業の人間には忙しいくらいがちょうどいいか

 

 やれやれ、とため息をつきながら男は歩いていく。

 彼の脳裏には、これから向かう土地に何があるのか。何を食べようか。

 そのことが頭に浮かんでいるのだった。




おまけ

~本日注文したメニュー~
菖「焼き鮭定食」
ゆり「煮魚定食よ」
ローズマリー「オムライスよ。コメコメも同じもの頼んだのよね?」
コメコメ「そうコメ!」
拓海「俺、オムライス定食」
あきほ「本日もご利用、ありがとうございました♪」


というわけで、前書きでも申しました通り、この話が今年最後の投稿と相成ります
新年一発目のお話の投稿予定は未定ですが、できれば一月中には出したいなと考えております
お待ちいただけると幸いです
それでは皆様、よいお年をお迎えください


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ネタ集
やりたいからやった、中の人ネタ集~オールスターズも妖精も敵も友達も家族も、みんなまとめててんこ盛り~


タイトルの通りです。
やりたいからやりました、後悔はしてません。(反省は少ししてますが)
なお、人によってばらけさせているのは気分です。
出したネタは作者が好きだから、この一言に尽きます。
(まぁ、中の人ネタと色々クロスオーバータグつけてるから、大丈夫とは思いたいというのが本音ですが……)


~その1~

ハミィ「ムーンクリスタルパワー!!」

ゆり・やよい「「マーキュリーパワー!!」」

ももか「ヴィーナスパワー!!」

響「ジュピターパワー!!」

ハミィ・ゆり・やよい・ももか・響「「「「「メイク・アップ!!」」」」」

ハミィ「月に代わって、お仕置きよ!!」

やよい「水でもかぶって!」

ゆり「反省なさい!!」

ももか「愛の天罰、落とさせていただきます!!」

響「木星に代わって、ヤキいれてやるよ!!」

**

菖「……ゆり、ももか……」

ゆり「……聞かないで、自分でも恥ずかしいんだから……」

ももか「……さすがに、これはちょっと恥ずかしいわ……」

菖(まぁ、かわいいとは思ったけど、口には出さないでおこう)

 

~その2~

ココ「負ける……ものかぁぁぁぁぁ!!」

シフォン「時を統べる神の御業を、ここへ!タイムストップ!!」

レッド「見よ!真の召喚というやつを!!自然を司る四大精霊よ、今こそ我が前に具現せよ!!イフリート!シルフ!ノーム!ウンディーネ!!」」

ペコリン「出でよ!創世の輝き!!ビッグバン!!」

シプレ「これで終わりです!忍法・児雷也!!来い!!」

 

メップル「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!負けられないんだ!!皇王天翔翼!!」

アイちゃん「本気にさせたわね!すべてを癒す導きを示さん……悠久の海に集え!ライフディスチャージ!!」

デューン「目障りなんだよ!僕の前から……消えてしまえ!!魔神煉獄殺!!……貴様らに何がわかる!!」

シャーキンス「見せてやろう!ただでは済まさん!!裂衝蒼破塵!!」

ベニーギョ「許しません!悪しき魂に神の裁きを!!セイクリッド・ブレイム!!」

 

コロン「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!極光壁!!」

フローラ「火龍炎舞!!燃えろぉぉぉぉぉぉっ!!」

**

作者「いやぁ、ここまでプリキュアのプの字も出てこないとは……」

菖「ある意味、驚きだな……」

フレッシュチーム『シフォンがしゃべったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ??!!』

菖「って、驚くところ、そこなの?!」

**

先代ユグドセイバー「見せてやる!くらえ!!天翔蒼破斬!!」

つぼみ「御許に仕えることを許したまえ、響けんそうれ……あれ?間違えちゃった……失敗、失敗♪……あれ??」

いつき「これで……終わりです!緋炎滅焦陣!!……時は戻らない、それが自然の摂理」

薫「我が内なる心に住まいし友よ……出でよ、ヴェリウス!!……力を貸しとくれ、コリン……!!」

ムシバーン「逃さん!受けてみよ!!牙連絶襲撃!!これで、最後だぁ!!」

亜久里「癒しの神よ、立ちあがりし者に祝福を!邪悪を退ける、正義の力を与えたまえ!!レイディアント・ロアー!!」

**

えりか「あたしだけ仲間外れじゃん!!ブーブー!!」

コフレ「コフレとポプリも出てないですっ!文句言わないですっ!!」

ゆり「あら?わたしと菖もいないわよ??」

えりか「うっ……ごめんなさい」

**

サウラー「逃がすかよ!殺撃!幻竜陣!!沈めぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

みなみ「覚悟を決めよ!荒ぶる心よ……無風なる水面の如く静まれ……斬る!!」

**

きらら「みなみん、格好いい~」

菖「"学園のプリンセス"が女騎士に早変わり、か……さしずめ、『リ○ンの騎士』かな?」

みなみ「……菖さん、それは少し古いかと……」

**

ギリンマ「絶対なる終焉、それが貴様の運命だ!絶氷の剣!!その身に刻め!奥義!!セルシウス・キャリバー!!」

フラッピ「この炎から逃れられるか?今だ!!俺は鳥になる!!紅蓮天翔ぉぉぉぉぉぉっ!!」

ミップル「浄化の扉、開かれん!許しません……必殺!龍虎滅牙陣!!」

 

ほのか「穢れなき風よ、我に仇なすものを包みこまん!イノセント・シャイン!!」

スコルプ「旋律の戒めよ!ネクロマンサーの名のもとに具現せよ!ミスティックセージ!!」

オレスキー「天光満つるところ我は在り、黄泉の門開くところ汝在り!出でよ、神の雷!!これで終わりです!インディグネイション!!」

ウェスター「気高き紅蓮の炎よ!燃え尽くせ!!鳳凰天翔駆!!」

 

ゆかり「貫け!荘厳なる神槍!!(ウオニスラン!ノグオセクナル!!)トドメ!インペリアル・スピア!」

**

ゆかり「あら、わたしだけなのね」

あきら「みたいだね。独壇場でよかったじゃないか」

ゆかり「わたしだけ目立ってしまうのはなんだか申し訳ないわ」

ゆり「あら?全然、そんなことを思っていないようにみえるのだけれど?」

ゆかり「そうかしら?うふふ……」

**

ゆり「来たれ、雷!裁きを受けよ!!煌華月衝閃!!……いかがかしら?」

レジーナ「全身全霊で叩く!!一ぉつ!二ぁつ!!……豪覇連刃、インパクトぉぉぉぉぉぉ!!」

クモジャキー「この命を賭ける!轟け鼓動!ブラスト・ハート!!……死ぬかと思ったぁ……」

 

なお「舞い踊れ!桜花千爛の花吹雪!!彼岸!八重!枝垂!霞!!これがわたしの!!殺劇舞荒拳!!」

ももか「安心して、気持ちよ~く行かせてあげる……ただし、行き先は地獄の底よ!!ネプティーヌレイジ!!」

**

菖「……ももかがこんなキャラだとは思わなかった……」

ももか「違うわよ!失礼ね!!」

ゆり「けれど、ファンの中にはこんな風に言われてみたいって人もいるんじゃないかしら?」

菖「業界ではご褒美、ってやつ?」

**

ジョー岡田「終わらせてやる!すべてを切り裂く!!獣破轟衝斬!!」

パンプルル「解放します!必中必倒!!クリティカル・ブレード!!」

クマタ「一瞬で決める!剣閃よ唸れ!疾風のように!!ヴァーテクス・ローズ!!」

 

トワ「始まりの力、手の内に!我が導となりて、こじ開けろ!!スプリーム・エレメンツ!!」

ことは「ぶっとべ!ぐるぐるぐる~!!お母さん直伝!活神棍・神楽!!パーフェクト!!」

番「心得よ!我が剣は王の牙!!六道の悪行を浄滅せん!闢!魔神王剣!!……成敗!!」

 

菖「剣よ、吠えろ!雷迅双豹牙!!」

みゆき「跪け!這いつくばるのがお似合いね!ヴェネレイト・マイン!!」

**

あかね「み、みゆき。めっちゃキャラが壊れてるで……」

やよい「みゆきちゃん……」

なお「みゆき、ぐれちゃダメだよぉ!!」(汗

れいか「みゆきさん、悩みがあるのなら相談してください!!」

みゆき「む~、そんなんじゃないのに~~!!はっぷっぷ~!」

菖「見事にからかわれてるなぁ……というか、ここでも男は俺だけなのね……」

**

響「参ります!奥義!!スパイラル・ヘイル!!」

ブラックファング「覚悟はいいか?かわせるもんなら、かわしてみな!ウェイストレス・メイヘム!!」

 

~その3~

ロレッタ「束ねるは星の息吹、生命(いのち)の奔流……受けるがいい!!約束された(エクス・)勝利の剣(カリバー)!!」

ウォープ「体は剣でできている。(I am the born of my sword.)――体はきっと、(So as I play,)剣でできていた(Unlimited Blade Works)!!」

メップル「裁きの時だ!世界を割く我が乖離剣!受けよ!天地乖離す(エヌマ・)開闢の星(エリシュ)!!」

マーモ「術理、摂理、世の理……その万象、一切を原初に還さん!破戒すべき全ての符(ルール・ブレイカー)!!」

ムシバーン「遠征は終わらぬ……我らに彼方への野心、ある限り!!勝鬨を上げよ!!王の軍勢(アイオリオン・ヘタイロイ)!!」

みらい「其れは全ての疵、全ての怨恨を癒す、我らが故郷……顕現せよ!いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!!」

サソリーナ「アタシの名を覚えて逝きな!テメロッソ・エル・ドラゴ!"太陽を落とした女"ってな!!」

トワ「此れこそは、わが父を滅ぼせし邪剣!我が麗しき(クラレント・)父への反逆(ブラッドアーサー)!!」

ジョー岡田「星の内海、物見のウテナ、楽園の端から君に聞かせよう……君たちの物語は祝福に満ちている。罪なきもののみ通るがいい、永久に(ガーデン・)閉ざされた(オブ・)理想郷(アヴァロン)!」

やよい「海にレムリア!空にハイアラキ!そして地には、このわたし!!金星神・火炎天主(サナト・クマラ)!!」

ことは「愛を知らない哀しき竜……ここに。星のように!タラスク!!はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!鉄、拳、聖、裁っ!!」

オレスキー「両目、脇腹、膝、脊髄。設置完了~!微睡む爆弾(チクタク・ボム)!あひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

バッティ「神々の王の慈悲を知れ!絶滅とは、これ、この一刺し!インドラよ、括目しろ!!焼きつくせ!日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・サクティ)!!……是非もなし」

ガメッツ「聴くがよい……晩鐘は汝の名を指し示した。告死の羽、首を断つか……死告天使(アズライール)!!」

**

菖「おぉ~~~~~~っ!!」

つぼみ「しょ、菖さんの目がすごくキラキラしてます……」

ゆり「彼、伝承とかそういうの、好きだから。特にロレッタ先生のものとかは、ね」

めぐみ「というか、オレスキー……」

いおな「キャラが変わりすぎてるわね……」

なぎさ「メップルもだいぶ変わってるわよ……つか、本性出てるんじゃない?」

メップル「そんなことないメポっ!!」

菖「……○心王……」

メップル「図に乗るな、雑種!……って、何言わせるメポ!!」

 

------------------------

 

キャンディ「私は!優しい王様になるのだぁぁぁぁぁぁっ!!」

亜久里「心の奥から湧きあがるこの感じ~~~~あ~ら~た~な~芽~生~え~~~~~~!!」

シフォン「メルメルメ~!!」

ヤモー「おいらはビョ……/菖「言わせねぇよっ?!」

サソリーナ「誰だ?俺をあいつと勘違いする奴は……」

**

キャンディ「キャンディは王様じゃないクル!女王クル!!」

マナ「あ、亜久里ちゃん、落ち着いて!!」

六花「いつもの亜久里じゃないわ!!どうしたのよ??!!」

シフォン「キュア~?」

タルト「シフォンはん、またいつもと違うこと口にしとりますわ……」

 

------------------------

 

コロン・なお・ひかり・あゆみ・リコ/クマタ・メップル・響・フラッピ・亜久里・シロップ/つぼみ・チョッピ・キャンディ・いおな『ペルソナッ!!』

パンプルル「それじゃ、今日も一日、が~んばってねっと」

**

はるか「なんだか、パンプルル姫の性格がまったく違うような……」

みなみ「はるか、それはいったらだめよ?」

 

------------------------

 

シロップ「誰が豆粒ドちびじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

奏「大佐!雨の日は無能なんですから、下がっていてください!!」

サラマンダー「お前ら、俺の娘に手を出してみろ?眉間に風穴あけるぞ」

ウェスター「大好きっす!ボイン!!」

アラクネラ「ブリッグス流を見せてやる!」

ベニーギョ「ふふふふ……さすが、イシュバールの英雄……容赦ないわね」

ヤモー「……ねぇ、あのおっさん、食べていい?」

**

ラブ「……ウェスターってこんなキャラだっけ?」

せつな「違う、はずなんだけど……」

オリヴィエ「男爵もなんかすごいことに……」

男爵「……私はここまで子煩悩なつもりはないんだがね……」

うらら「だ、大丈夫ですよ。シロップは小さくないですから」

シロップ「ここで慰められても困るロプ……」

 

------------------------

 

六花「わたしの氷はちょっぴりCOLD!あなたの悪事を完全HOLD!!」

うらら「ほぉ~……あたぁっ!!」

バッティ「冥界神(タナトス)の声を聞け!」

サバーク博士「うし!」

**

やよい「きゃ~~~~~~っ!!」

菖「すっげぇ、目をキラキラさせてる……」

ゆり「あなたも人のこと言えないじゃない?」

菖「ははは……そうでした」

みゆき「やよいちゃん、ヒーロー好きだから」(苦笑

マナ「六花、ここでも氷なんだ……」

ゆり「……ところで……お父さん?」

サバーク博士「……」(視線そらし

 

------------------------

 

星空博司「最初から最後までクライマックスだ!いくぜいくぜいくぜぇ!!」

バッティ「お前、僕に釣られてみる?」

日野大悟「俺の強さに、お前が泣いた!涙はこれで拭いておけ!!」

サウラー「お前、倒すけどいいよね?答えは聞いてない!!」

キングジコチュー「最初に言っておく!俺の顔は飾りだっ!!」

**

やよい「……はふぅ~……」

みゆき「お、お父さんがなんか変……って、や、やよいちゃん??!!」

あかね「うちのお()んもや……って、あかん!魂みたいなもんが抜けとるで??!!」

なお「やよい?!」

れいか「やよいさん!!気を確かに!!」

菖「満足しすぎて昇天しかけてるのか……」

みらい「……バッティって、普段、こんなキャラなの?」

リコ「普段は違うけれど……どうなのかしら?」

レジーナ「パパが何言ってるのか、全然わかんない……」

 

------------------------

 

先代「しっかりしてくれよ、晴明の孫」

クロロ「孫、言うな!!」

菖、パンプルル、やよい「「……バカ虎……」」

バッティ「理事長。特別手当、はずんでもらいまっせ?」

**

クロロ「僕たちはどんなつながりなんだロロ?」

パンプルル「さぁ?見当もつきません……」

バッティ「どうやら、作者の趣味……いや、専門に共通しているらしい。まぁ、私はともかく、他の方のものは、わかる人にはわかる、と言っていたな」

菖「……結局それなんだ……」




あとがき代わりの会話(スキット風)

菖「で、作者(ナレーター)。何かいい残すことは?」
作者「ないな、あえていうなら、僕満足!」
ウォープ「ならばその想いを抱いたまま溺死しろ!!」
ゆり「よりによって、プリキュアと妖精以外も出すなんてどうかしてるわ……お仕置きが必要ね?」
作者「……へ?」
(オールスターズ変身)
ブラック「というわけで、作者さん?」
プリンセスチーム「「「「お覚悟はよろしくて?」」」」
作者「……あ、これやばい」
(各チーム必殺技命中)
セイバー「……やりすぎたかな?」
ムーンライト「大丈夫でしょう?あれくらいでどうにかなってたら、今頃、こんなことしてないわよ」
コロン「……だと、いいんだけどね」


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MH~ア・ラ・モード、オールスターズ全員集合でみんなまとめて変身!

タイトルの通り、単に全員まとめて変身させたかっただけです。
最後の方はセイバーの切実な想いが込められていたりいなかったり。
あ、今回のあとがきは私が純粋に思ったことですので、悪しからず。
まぁ、子供向けだからあぁなるんだろうけど、超人秘密結社の人達とか、英霊の活躍を見ていると、つい思ってしまうんですよねぇ。
……そんだけ、毒されてるのか、はたまた、感情移入しすぎなのかはわかりませんが。


MH「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆S「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート「「「「レッツプレイ!プリキュア!!モジュレーション!!」」」」

スマイルパクト『Ready?』

スマイルチーム『プリキュア!スマイルチャージ!!』

スマイルパクト『Go!!Go,Go!Let's Go!!』

あゆみ、グレル、エンエン「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!」」」

ドキドキ「「「「プリキュア!ラブリンク!!」」」」

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ「「「「L・O・V・E!!」」」」

亜久里「プリキュア!ドレスアップ!!」

アイちゃん「キュピラッパー!」

ハピネスチャージ「「「プリキュア!くるりん、ミラーチェンジ!!」」」

いおな「プリキュア!きらりん、スターシンフォニー!!」

プリンセス「「「「プリキュア!プリンセス・エンゲージ!!」」」」

みらい、リコ「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

ことは「キュアップ・ラパパ!エメラルド!フェリーチェ・ファンファン!フラワーレ!!」

ア・ラ・モード『キュアラモード・デコレーション!!』

いちか「ショートケーキ!元気と、笑顔を!」

ひまり「プリン!知性と、勇気を!」

あおい「アイス!自由と、情熱を!」

ゆかり「マカロン!美しさと、ときめきを!」

あきら「チョコレート!気品と、強さを!」

シエル「パフェ!!夢と、希望を!」

ア・ラ・モード『レッツ・ラ・まぜまぜ!!』

ブラック「光の使者、キュアブラック!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)!熱血パワー!!キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々!直球勝負!!キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け!キュアエコー!!」

ハート「(みなぎ)る愛!キュアハート!!」

ダイヤモンド「英知の光!キュアダイヤモンド!!」

ロゼッタ「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」

ソード「勇気の刃!キュアソード!!」

エース「愛の切り札!キュアエース!!」

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛!キュアラブリー!!」

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!!」

ハニー「大地に実る、生命の光!キュアハニー!!」

フォーチュン「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!!」

フローラ「咲き誇る、花のプリンセス!キュアフローラ!!」

マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス!キュアマーメイド!!」

トゥインクル「煌めく、星のプリンセス!キュアトゥインクル!!」

スカーレット「深紅の、炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」

ミラクル「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法!キュアマジカル!!」

フェリーチェ「普く生命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

ホイップ「キュアホイップ!できあがり!!」

カスタード「キュアカスタード!できあがり!!」

ジェラート「キュアジェラート!でっきあがり!!」

マカロン「キュアマカロン!できあがり!!」

ショコラ「キュアショコラ!できあがり!!」

パルフェ「キュアパルフェ!出来上がり!!」

セイバー以外『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』

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セイバー「……どっかの魔女じゃないけど、いつの間にかすごい数だなぁ……」

ムーンライト「そうね……もうどこかの戦隊ヒーローなんじゃないかしら?」

セイバー「というか、戦隊ヒーローも真っ青だろ、この人数は」

マカロン「うふふ、面白いわね♪」

ショコラ「ははは……」

セイバー「そしてこの中に男は俺一人……これから気苦労が絶えなさそうだなぁ……」

ルージュ「って、それ言っちゃいます?!」

サニー「それは言っ(ゆう)たらあかん思います!」

ハッピー「そうそう!」

ドリーム「そうですよ!!」

セイバー「ふ~ん?……して、その心は?」

セイバー以外『わたし/あたしたちの心強い味方(ヒーロー)がいなくなっちゃうじゃない/ですか』

セイバー「……俺、いますっごくこの立ち位置を誰かに押しつけたくなった……」




あとがき代わりの"そういえば"の話(スキット風)

~今日のア・ラ・モードについて(それを言っちゃおしまいよ)~
斗真「……思ったこと、正直に言っていい?」
ア・ラ・モード組『ごくり』
斗真「今度ばかりはビブリーが正しいし、正直、甘々だわ」
パッション、ムーンライト、セイバー以外『えぇ~~~~っ??!!』
斗真「戦いたくないなら、動けないように拘束すりゃいいだろ。なにもぶん殴るだけが戦いってわけじゃないんだしよ」
ホイップ「そ、そうはいいますけど!!」
ショコラ「……それを言われると反論できないね……」
マカロン「そうね……」
斗真「ついでに言わせてもらえば、誰でも彼でも操られているからとか、本心は別にある、とか思うのが間違いなんだよ」
セイバー「あぁ……それは言えてるなぁ」
ムーンライト「そうかしら?」
セイバー「……いるんだよ、世の中には。良心なんてもの、欠片も持ち合わせてない奴が」
斗真「そういうこった……一度、戦場に立ったら自分の仲間以外はすべて敵。倒すべき相手。そんな心構えでいないと、いつかきついしっぺ返しくらうぞ。つうか、お前ら、町の人全員が操られたくらいで絶望してどうすんのさ?妹の視力も自分の目も元に戻せる可能性が塵一つ分すらないのに諦めずに前に進もうとする、ごくごく普通の一般的な男がいるんだぜ?そいつと比べたらお前らの置かれた状況は抜き打ち試験レベルだろうが」
セイバー「……いや、どんな例えだよ……」

いや、わりとまじでそう思いました。
あとジュリオ復活おめでとう!


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~Hugっと!組まで みんなまとめて変身ですっ!!

キュアドリーム、キュアラブリー、魔法使い組、ア・ラ・モード組の再登場記念ということで、久方ぶりの変身回です
あ、あとがきはないので悪しからず


MH「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス!シャイニング・ストリーム!!」

S☆S「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo『プリキュア!メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ「「「「チェンジ!プリキュア!ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート「「「「レッツプレイ!プリキュア!!モジュレーション!!」」」」

スマイルパクト『Ready?』

スマイルチーム『プリキュア!スマイルチャージ!!』

スマイルパクト『Go!!Go,Go!Let's Go!!』

あゆみ、グレル、エンエン「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!」」」

湊「来い、白銀(しろがね)の鎧よ!!」

ドキドキ「「「「プリキュア!ラブリンク!!」」」」

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ「「「「L・O・V・E!!」」」」

亜久里「プリキュア!ドレスアップ!!」

アイちゃん「キュピラッパー!」

ハピネスチャージ「「「プリキュア!くるりん、ミラーチェンジ!!」」」

いおな「プリキュア!きらりん、スターシンフォニー!!」

プリンセス「「「「プリキュア!プリンセス・エンゲージ!!」」」」

みらい、リコ「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

ことは「キュアップ・ラパパ!エメラルド!フェリーチェ・ファンファン!フラワーレ!!」

ア・ラ・モード『キュアラモード・デコレーション!!』

いちか「ショートケーキ!元気と、笑顔を!」

ひまり「プリン!知性と、勇気を!」

あおい「アイス!自由と、情熱を!」

ゆかり「マカロン!美しさと、ときめきを!」

あきら「チョコレート!気品と、強さを!」

シエル「パフェ!!夢と、希望を!」

ア・ラ・モード『レッツ・ラ・まぜまぜ!!』

Hugっと!『ミライクリスタル!ハート、キラっと!!は~ぎゅ~っ!!』

 

ブラック「光の使者、キュアブラック!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!」

ブルーム「輝く金の花!キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」

ドリーム「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉!キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)!熱血パワー!!キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン!じゃんけん、ぽん!キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々!直球勝負!!キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け!キュアエコー!!」

アステア「守護騎士!アステア!!」

ハート「(みなぎ)る愛!キュアハート!!」

ダイヤモンド「英知の光!キュアダイヤモンド!!」

ロゼッタ「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」

ソード「勇気の刃!キュアソード!!」

エース「愛の切り札!キュアエース!!」

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛!キュアラブリー!!」

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!!」

ハニー「大地に実る、生命の光!キュアハニー!!」

フォーチュン「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!!」

フローラ「咲き誇る、花のプリンセス!キュアフローラ!!」

マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス!キュアマーメイド!!」

トゥインクル「煌めく、星のプリンセス!キュアトゥインクル!!」

スカーレット「深紅の、炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」

ミラクル「二人の奇跡!キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法!キュアマジカル!!」

フェリーチェ「普く生命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」

ホイップ「キュアホイップ!できあがり!!」

カスタード「キュアカスタード!できあがり!!」

ジェラート「キュアジェラート!でっきあがり!!」

マカロン「キュアマカロン!できあがり!!」

ショコラ「キュアショコラ!できあがり!!」

パルフェ「キュアパルフェ!出来上がり!!」

Hugっと!組『輝く未来を、抱きしめて!!』

エール「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!!」

アンジュ「みんなを癒す、知恵のプリキュア!キュアアンジュ!!」

エトワール「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!!」

マシェリ・アムール「「みんな、大好き!愛のプリキュア!!」」

マシェリ「キュアマシェリ!」

アムール「キュアアムール!」

セイバー、アステア以外『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』

 

----------------------------

 

マリン、プリンセス、マシェリ「「「なんでセイバーとアステアは合わせてくれないっしゅ/の/んですか??!!」」」Σ( □ 

セイバー、アステア「「だって、俺、プリキュアじゃないし」」

マリン、プリンセス、マシェリ「「「納得いかないっしゅ/いきませんぞ/いきません!!」」」

セイバー、アステア「「うぉ~い……」」(-□-;

ムーンライト「なんだか、見たことのある反応ね……」

ブロッサム「あ、あははは……」

エコー「な、なんだかごめんなさい……」

ソード「なにも謝る必要はないと思うけど?」

アンジュ「プリキュアじゃないっていう、理屈はあってるはずだけれど……」( ▽ ;

エトワール「さすがに徹底してる気が……」

マカロン「突っ込むだけ無駄よ?」

ショコラ「彼ら、こういうのは一切譲らないから」

マリン、プリンセス以外のブルーチーム『あはははは……』



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~ひろスカまで プリキュアオールスターズ、大集合です!

キュアバタフライ、ようやくの参戦記念ということで
久しぶりの大集合です


MH「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

ひかり「ルミナス! シャイニング・ストリーム!!」

S☆S「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

5GoGo『プリキュア! メタモルフォーゼ!!』

くるみ「スカイローズ・トランスレイト!!」

フレッシュ「「「「チェンジ! プリキュア! ビート・アップ!!」」」」

ハートキャッチ「「「「プリキュア! オープンマイハート!!」」」」

菖「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!」

スイート「「「「レッツプレイ! プリキュア!! モジュレーション!!」」」」

スマイルパクト『Ready?』

スマイルチーム『プリキュア! スマイルチャージ!!』

スマイルパクト『Go!! Go,Go! Let's Go!!』

あゆみ、グレル、エンエン「「「みんなの想いを守るために、心を一つに!」」」

湊「来い、白銀(しろがね)の鎧よ!!」

ドキドキ「「「「プリキュア! ラブリンク!!」」」」

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ「「「「L・O・V・E!!」」」」

亜久里「プリキュア! ドレスアップ!!」

アイちゃん「キュピラッパー!」

ハピネスチャージ「「「プリキュア! くるりん、ミラーチェンジ!!」」」

いおな「プリキュア! きらりん、スターシンフォニー!!」

プリンセス「「「「プリキュア! プリンセス・エンゲージ!!」」」」

みらい、リコ「「キュアップ・ラパパ! ダイヤ! ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

ことは「キュアップ・ラパパ! エメラルド! フェリーチェ・ファンファン! フラワーレ!!」

ア・ラ・モード『キュアラモード・デコレーション!!』

いちか「ショートケーキ! 元気と、笑顔を!」

ひまり「プリン! 知性と、勇気を!」

あおい「アイス! 自由と、情熱を!」

ゆかり「マカロン! 美しさと、ときめきを!」

あきら「チョコレート! 気品と、強さを!」

シエル「パフェ!! 夢と、希望を!」

ア・ラ・モード『レッツ・ラ・まぜまぜ!!』

Hugっと!『ミライクリスタル! ハート、キラっと!! は~ぎゅ~っ!!』

スタートゥインクル『スターカラーペンダント! カラーチャージっ!! 煌めく、星の力で!! 憧れの"わたし"描くよ!! トゥインクル、トゥインクル、プリキュア! トゥインクル、トゥインクル、プリキュア! スター☆トゥインクル……スター☆トゥインクルプリキュア!♪』

ラビリン、ペギタン、ニャトラン、ラテ「「「「スタート!!」」」」

ヒーリングっど『プリキュア! オペーレーション!!』

ラビリン、ペギタン、ニャトラン、ラテ「「「「エレメントレベル、上昇! ラビ/ペェ/ニャ/ラテ!!」」」」

ヒーリングっど『キュアタッチ!!』

トロピカル~ジュ『プリキュア! トロピカルチェンジ!! レッツメイク! キャッチ!!』

さんご「チーク!」

みのり「アイズ!」

あすか「ヘアー!」

ローラ「ネイル!」

まなつ「リップ!」

トロピカル~ジュ『ドレス!!』

デリパ『プリキュア! デリシャスタンバイ!! パーティー・ゴーっ!!』

ゆい「にぎにぎ♪」

コメコメ「コメコメ♪」

ゆい「ハートを♪」

コメコメ「コメコメ♪」

ここね「オープン!」

パムパム「パムパム♪」

ここね「サンド!」

パムパム「パムパム♪」

らん「くるくる♪」

メンメン「メンメン♪」

らん「ミラ・クル♪」

メンメン「メンメン♪」

あまね「フルーツ! ファビュラス・オーダー!!」

デリパ『シェアリン・エナジー!』

コメコメ「コメーっ!」

パムパム「テイスティーっ!」

メンメン「ワンターンっ!」

拓海「俺も、俺にできることを!!」

スカイ『スカイミラージュ! トーンコネクト!!』

ソラ「スカイっ!」

ましろ「プリズムっ!」

つばさ「ウィングっ!」

あげは「バタフライっ!」

ソラ「きらめきホップ! さわやかステップ! 晴れ晴れジャンプ!!」

 

 

 

ブラック「光の使者、キュアブラック!」

ホワイト「光の使者、キュアホワイト!」

ルミナス「輝く生命、シャイニールミナス!」

ブルーム「輝く金の花! キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼! キュアイーグレット!」

ドリーム「大いなる、希望の力! キュアドリーム!!」

ルージュ「情熱の、赤い炎! キュアルージュ!!」

レモネード「弾けるレモンの香り! キュアレモネード!!」

ミント「安らぎの、緑の大地! キュアミント!!」

アクア「知性の青き泉! キュアアクア!!」

ミルキィローズ「青い薔薇は秘密の印! ミルキィローズ!!」

ピーチ「ピンクのハートは愛ある印! もぎたてフレッシュ! キュアピーチ!!」

ベリー「ブルーのハートは希望の印! 摘みたてフレッシュ!キュアベリー!!」

パイン「イエローハートは祈りの印! 採れたてフレッシュ!キュアパイン!!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証! 熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

ブロッサム「大地に咲く、一輪の花! キュアブロッサム!!」

マリン「海風に揺れる、一輪の花! キュアマリン!!」

サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花! キュアサンシャイン!!」

ムーンライト「月光に冴える、一輪の花! キュアムーンライト!!」

セイバー「大樹の騎士! ユグドセイバー!!」

メロディ「爪弾くは、荒ぶる調べ! キュアメロディ!!」

リズム「爪弾くは、嫋やかな調べ! キュアリズム!!」

ビート「爪弾くは、魂の調べ! キュアビート!!」

ミューズ「爪弾くは、女神の調べ! キュアミューズ!!」

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽燦燦(さんさん)! 熱血パワー!! キュアサニー!!」

ピース「ピカピカ、ピカリン! じゃんけん、ぽん! キュアピース!!」

マーチ「勇気凛々! 直球勝負! !キュアマーチ!!」

ビューティー「深々と降り積もる、清き心! キュアビューティー!!」

エコー「想いよ届け! キュアエコー!!」

アステア「守護騎士! アステア!!」

ハート「(みなぎ)る愛! キュアハート!!」

ダイヤモンド「英知の光! キュアダイヤモンド!!」

ロゼッタ「陽だまり、ぽかぽか! キュアロゼッタ!!」

ソード「勇気の刃! キュアソード!!」

エース「愛の切り札! キュアエース!!」

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛! キュアラブリー!!」

プリンセス「天空に舞う、蒼き風! キュアプリンセス!!」

ハニー「大地に実る、生命の光! キュアハニー!!」

フォーチュン「夜空に煌めく、希望の星! キュアフォーチュン!!」

フローラ「咲き誇る、花のプリンセス! キュアフローラ!!」

マーメイド「澄み渡る、海のプリンセス! キュアマーメイド!!」

トゥインクル「煌めく、星のプリンセス! キュアトゥインクル!!」

スカーレット「深紅の、炎のプリンセス! キュアスカーレット!!」

ミラクル「二人の奇跡! キュアミラクル!!」

マジカル「二人の魔法! キュアマジカル!!」

フェリーチェ「普く生命に祝福を! キュアフェリーチェ!!」

ホイップ「キュアホイップ! できあがり!!」

カスタード「キュアカスタード! できあがり!!」

ジェラート「キュアジェラート! でっきあがり!!」

マカロン「キュアマカロン! できあがり!!」

ショコラ「キュアショコラ! できあがり!!」

パルフェ「キュアパルフェ! 出来上がり!!」

Hugっと!組『輝く未来を、抱きしめて!!』

エール「みんなを応援! 元気のプリキュア! キュアエール!!」

アンジュ「みんなを癒す、知恵のプリキュア! キュアアンジュ!!」

エトワール「みんな輝け! 力のプリキュア! キュアエトワール!!」

マシェリ・アムール「「みんな、大好き! 愛のプリキュア!!」」

マシェリ「キュアマシェリ!」

アムール「キュアアムール!」

スター「宇宙に輝く、キラキラ星! キュアスター!!」

ミルキー「天にあまねく、ミルキーウェイ! キュアミルキー!!」

ソレイユ「宇宙を照らす、灼熱の煌めき! キュアソレイユ!!」

セレーネ「夜空に輝く、神秘の月明かり! キュアセレーネ!!」

コスモ「銀河に光る、虹色のスペクトル! キュアコスモ!!」

ヒーリングっど『きゅんっ!!』

グレース/ラビリン「「重なる二つの花!」」

グレース「キュアグレース!!」

ラビリン「ラビ!!」

フォンテーヌ/ペギタン「「交わる二つの流れ!」

フォンテーヌ「キュアフォンテーヌ!!」

ペギタン「ペェっ!!」

スパークル/ニャトラン「「溶け合う二つの光!」」

スパークル「キュアスパークル!!」

ニャトラン「ニャアっ!!」

アース/ラテ「「時を経てつながる、二つの風!」」

アース「キュアアース!!」

ラテ「ワンっ!!」

サマー「ときめく常夏! キュアサマー!!」

コラール「きらめく宝石! キュアコラール!!」

パパイア「ひらめく果実(フルーツ)! キュアパパイア!!」

フラミンゴ「はためく翼! キュアフラミンゴ!!」

ラメール「ゆらめく大海原(オーシャン)! キュアラメール!!」

プレシャス「アツアツご飯で、みなぎるパワー! キュアプレシャス!! おいしいご飯で、満たしてあげる!」

スパイシー「ふわふわサンドde心にスパイス! キュアスパイシー!! 分け合うおいしさ、焼き付けるわ!」

ヤムヤム「きらめくヌードルエモーション! キュアヤムヤム!! おいしいの一人占め、許さないよ!」

フィナーレ「ジェントルに、ゴージャスに! 咲き誇るスウィートネス!! キュアフィナーレ!! 食卓の最後を、この私が飾ろう!!」

ブラペ「ブラックペッパー、参上!」

スカイ「無限に広がる、青い空! キュアスカイ!!」

プリズム「ふわり広がる優しい光! キュアプリズム!!」

ウィング「天高く広がる勇気! キュアウィング!!」

バタフライ「アゲて広がるワンダホー! キュアバタフライ!!」

ブラック、エール、スカイ「「「集合!!」」」

オールスターズ『プリキュアオールスターズ!!』



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みんなの持ち歌

正直に、やりたいからやったとだけ
誰がどれだったかなんて、覚えてません、すみません(--;
あ、あとどこか間違ってたら、ご一報いただけるとありがたいです。


~MH組~

なぎさ「Country load, take me home……♪」

ほのか「トゥエ、レイ、ズェ、クロア、リュオ、トゥエ、ズェ……♪」

ひかり「み~どり、たなびく~、並盛の~♪」

 

~S☆S組~

咲「咲かせよう!この胸に!わたしだけの色を!!」

舞「遠い夜空に光る、小さな星……」

満、薫「「走れ!高速の帝國華撃団!!」」

 

 

~5GoGo組~

のぞみ「星、きらきら!」

りん「無限大な夢のあとの、何もない世の中じゃ、そうさ、愛しい想いも負けそうになるけど!!」

うらら「ぷに~ぷに~、柔らかくて~♪」

こまち「ちょっとあなた、どこを見てるの?ボインを見なさい?」

かれん「シャララ!光のプリズム、キラキラ、輝く♪」

くるみ「でっかく生きろよ、男なら!横道それずにまっしぐら!!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「足跡のない、風になるまで!風になるまで!!」

美希「聞こえた気がした!感じた気がしたんだ!!震え出す、いまこの胸で!!」

祈里「Answer must be somewhere!わたしのこと、誰よりも知ってる!」

せつな「勇気のその奥に夢が息づいてる!重なる力を信じて!!」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「光と闇とをそっと結んで……夜明けが来れば、愛の音楽で満ちていく!!」

えりか「潤んだ瞳の奥に、変わらぬ、君の姿……」

いつき「強がることだけ、知りすぎていたわたし……だけどあの時から、迷いは消えたよ」

ゆり「十五夜に、生まれ変わる僕ら。一番とびきりな、ものを探して!」

 

~スイート組~

響「鏡よ鏡、わたし、世界を変えたいの!!」

奏「Destiny!Destiny!戦い続けて……Dear friend!Dear friend!心を壊した……あなたを救って、あの日に帰ろう!!」

エレン「うまくいったね、ハイタッチ!へこんじゃっても元通り!!」

アコ「あなたのことを、独り占めしたいの……素直になれないの、だけど手。つないでいい、からね?」

 

~スマイル組~

みゆき「見上げる空は、心に、つもる願いの色!」

あかね「逃げる場所さえなかったんだ、窓から見上げるだけで……」

やよい「羽を汚し、強く地を蹴って、君の元へはばたくRavens!!」

なお「その耳、澄ませば……ねぇ、聞こえるでしょう?ほら、森の声が、呼んでいる!!」

れいか「止まらない、未来を目指して……譲れない、願いを抱きしめて!!」

あゆみ「君はね、確かにあの時、わたしのそばにいた!いつだって、いつだって、いつだって、すぐ横で笑っていた!」

 

~ドキドキ組~

マナ「君と、一緒が一番♪好きよってもっとぎゅっとね♪」

六花「君はチャンスを拾った!次へLet's Let's Go!!」

ありす「すべてを守り抜けるような、すべてを薙ぎ払えるような!」

真琴「1!2!3!4!Fly!!Fly!!」

亜久里「重なる心でつながる、一つの未来!」

レジーナ「ケロッケロッケロッ、いざ進め~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「君は誰とKissをする?」

ひめ「だから友よ!老いてくためだけに生きるのは、まだ、早いだろ?」

ゆうこ「いただきますと、ごちそうさま。笑顔が膨らむ合言葉」

いおな「君と夏の終わり、将来の夢、大きな希望。忘れない。十年後の八月、また出会えると信じて……」

まりあ「守りたい、信じたい、笑顔の訳をすべて!」

 

~プリンセス組~

はるか「so,everything that makes me whole!今、君にささげよう……」

みなみ「またどこかで、思い出して……きっと、僕らは同じ雨に、うたれているのさ」

きらら「早起きはしても、早寝はNon!Non!Non!!」

トワ「いつも通りの寄り道♪家に帰るその前に~♪」

 

~魔法使い組~

みらい「わたしが見てる未来は一つだけ!永遠など、少しも欲しくはない!!」

リコ「神様へ!ずっと百年後も、君とだけ過ごせますよう……My Love Story!予約するから!」

ことは「大丈夫!信じることが、Power!今は少し照れたりしても、ちゃんとわかってる」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「Thank you for love!想いを込めて、Cooking for you!受け取ってね♪」

ひまり「お菓子作りましょう!レッスンしましょう!Sweetは科学です!!」

あおい「突き進め、Oh Year!今を歌おう、All Right!!」

ゆかり「焦らして、惑わせて、でも嫌いじゃないわ♪」

あきら「たくさんの幸せを、混ぜて固めたら……君に贈るよ、Sweet Magic Chocolat♪」

シエル「だから、ぽいって!ぽいって、しないでね!今日をぽいってしないでね?」

 

~HuGっと組~

はな「Get across the wall!What's awaits, and what can it show me now?」

さあや「Flora!ここから、わたしと行こう!」

ほまれ「回レ!回レ!回レ!回レ!回レ!回レ!回レ!髪を振り乱すように!!」




おまけ
~高校生たちの持ち歌~
小狼、さくら「「時の流れは、二人を変えてゆくけれど……」」
君尋「自分を、世界さえも変えてしまえそうな!」
静「絶好のゴールデンタイム!その手でつかめ!渾身のポーカーフェイス、決めて仕掛けるよ!イリュージョンの世界へひきずりこんで……」
ひまわり「君はまだまだ、恋が何かもわからないような顔してるけど……」
ももか「この広い世界で、君と巡り合う、奇跡レベルって言えそうな確率!」
菖「懐かしい、顔に向けて、ほんの数行ノスタルジーを」

~わたしたちの歌を聞けーーーーっ!!~
なお、ことは、リコ、いつき「「「「魂よ叫べ!この世界中に!!」」」」
ひまわり、ももか、ゆり「「「ごめんね、素直じゃなくって、夢の中なら言える」」」
ほのか、うらら、エレン、やよい、リコ「「「「「空に、木霊する明日への鼓動!雲間に閃く、虹のように!!」」」」」


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中の人ネタ:えりかとひめのファッションショー Part1

というわけで、久しぶりに中の人ネタ。
今回はえりかとひめが作った衣装を着てもらった、という感じです。

なお、元ネタはこんな感じ。

・テイルズオブシリーズ
・シャイニングブレイド
・魔物ハンター妖子
・ペルソナ3~5
・閃の軌跡
・銀の匙
・あっちこっち

なお、Part1ということは……あとはわかるな?
というわけで、本編どうぞ


えりか「ふふふふふ……ひめ、準備はよろしいかな?」

ひめ「もちろんですぞ、えりかどの……」

菖「あぁ……なぁんか嫌な予感が」

ゆり「……そうね。けどこればどうしようもないような気がするわ」

ひめ「というわけで!!」

えりか「あたしとひめの力作!!」

ひめ、えりか「「とくと堪能していっちゃってください!!」」

 

----------------------------

 

~ファンタジー~

<世界再生の神子と仲間たち>

つぼみ「なんだか、セイバーのマントにそっくりですね」

いつき「はい……でも、似合ってると思います」

薫「って、いつき。あんた、どうしてそんな抑揚のない声になってんだい?」

亜久里「薫さんも人のこと、言えないんじゃない?」

つぼみ「亜久里ちゃんもなんか、口調変わって……きゃぁっ?!」

いつき「……大丈夫ですか?つぼみさん??」

薫「……なんでなんにもないところでこけるかねぇ……」

 

<ギルド「凛々の明星」>

ゆり「……ちょっと、露出が多くないかしら?」

レジーナ「……なんでわたしが男の子の恰好しないといけないのよ?」

ゆり「あら、似合ってるわよ?レジーナ」

 

<精霊の主と活発女子>

トワ「着替えはしたが……これは、肌の露出が多くないだろうか?」

ことは「そう?でもなんだかトワにすっごくしっくり来ると思うけどなぁ」

トワ「ふふ、ことはのその姿も似合ってるぞ」

ことは「ほんとっ?!やった~♪」

 

<導師とその一向>

菖「なんか、俺の恰好、セイバーに近くないか?」

満「やはり、菖さんにはその姿がお似合いということなのでしょう」

みゆき「まったくね。まぁ、服に着られていないだけましってとこかしら?」

菖「おいおい、満もみゆきもなんか口調変わってないか?」

 

<聖剣の歌姫(ローレライ)

つぼみ「なんだか、ドレスみたいで素敵です!」

なお「ちょ、ちょっとこのスカート短くない?というか、なんでわたし銀髪になってるのよ?!」

ことは「なんだか、わたし、この恰好はしっくりくるような……」

いつき「な、なんでわたしだけ鎧の姿なの?!」

リコ「それを言ったら、わたしだけ制服なんだけれど……」

 

<チャイナドレス>

ゆり「な、なんでわたしがチャイナドレス?!そ、それに……少し、スリットが深くないかしら?!」

つぼみ「は、恥ずかしくて死にそうです……」

 

~学生服~

<士官学院>

リコ「魔法学校の制服とはまた違うわね……というか、スカート短くない?」

ことは「そ、それは言ってはいけないかと……け、けどたしかに恥ずかしいですね……」

やよい「そう?」

うらら「まぁ、スパッツか短パンでも履けば、多少は変わるのだろうが……」

リコ「というか、みんな口調変わってない?!はーちゃんはフェリーチェみたいな口調になってるし??!!」

 

<普通の(?)高校生>

アコ「普通の制服っぽいわね?」

マナ「お~、アコさんお似合いですにゃ~」

アコ「……マナは御団子と白衣なのね?」

マナ「ふふふ~♪」

 

<農業高校>

菖「……よし!決めた!!お前の名前はベーコンだ!!……って、なんでさ?!」

 

<絆をつないだものたち>

なお「あ、ひかりとあゆみちゃんとお揃いだ!」

ひかり「はい」

あゆみ「そうだね……て、なおちゃん。ピンクも着るんだね?」

なお「あ……そういえば、そうか」

シロー「で、こっちはこっちでお揃い、と」

響「亜久里ちゃんとわたしは女子服で、シローくんが男子服と……ふむふむ」

亜久里「って、響先輩、なにがふむふむなんですか?」

つぼみ「なんか、お揃いので三つに分かれちゃった感じね」

いおな「そうね……って、つぼみさん。なんだか口調、いつもと変わってない?」

つぼみ「そう?」

 

----------------------------

 

参加者『つ、疲れた~』

えりか「ふふふ……ひめ!!」

ひめ「ふふふ……えりか殿!!」

お騒がせ二人組「「これは大成功っしゅ/ですぞ!!」」

菖「って、最後はともかく、前半は単なるコスプレじゃないか!!」

ゆり「しかもあんな恥ずかしい恰好……覚悟はできてるんでしょうね?!」

えりか、ひめ「「ひぃっ!!て、撤退!!」」

ゆり「待ちなさい!!」




あとがき代わりのその後の話

~追いかけっこの後~
えりか「うぅ……ゆりさん、ひどいっしゅ……」
ひめ「まぁ、調子に乗りすぎた感じはありましたがなぁ……」
ゆり「ふんっ!」
えりか「ちなみに、あのチャイナ服、ちょっと衝撃を受けると破れる仕様に……」
ひめ「ほうほう、ちなみにどこが?」
えりか「主に胸元と足」
ゆり「へぇ?……いいこと聞いたわね」
えりか「ひぃっ?!」


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中の人ネタ:えりかとひめのファッションショー Part2

最近、なかなか作れないなぁ、お話……
いっそネタを書きためてからにしたほうがいいかなぁ……

……あ、今回はFa○te/ネタです
本来なら出さないんですけど、今回は明さんに特別出演してもらいました
ハートキャッチ組以外の面々には菖とゆりの友達ということで説明済みということで
……要はそういうところにツッコミなんて野暮なことはしないでってことで


菖「サーヴァント、セイバー!召喚に応じ、参上!!本来、真名は秘するものなれど、しかしあえて!我が真名を解放する!!我が真名()はシャルルマーニュ!!どうかその胸に刻んでほしい、我がマスターよ!!」

さくら「サーヴァント、セイバー。ネロ・クラウディウスである!うむ!!そなたが余のマスター(奏者)であるな?」

明「アーチャー、ロビン・フット。召喚(お呼び)により推参しましたよっと……あぁ、戦闘力はあんま期待しないでくだせぇよ?マスター。なんせ、俺は搦め手が専門なんでね」

アコ「シャルルマーニュ十二勇士、アストルフォ!ライダーとしてはせ参じたよ♪よろしくね、マスター!」

みゆき「……アサシンの刑部姫でーす……ねぇ、もう帰っていいでしょ?……だめ?……あ、そう」

やよい「アーチャーインフェルノ、召喚に応じ参上しました。真名を名乗らぬ無礼、お許しいただきたく」

あゆみ「影の国の女王、スカサハ。ランサーとしてはせ参じた……ふむ、貴様がマスターか」

亜久里「第六天魔王、織田信長である!……うむ!!おぬしが儂のマスターとなることを許そう!!」

トワ「サーヴァント、セイバー。召喚に応じ、参上……問おう、お前が俺のマスターか?」

みらい「サーヴァント、シールダー……マシュ・キリエライトです。ご命令を、マスター」

ことは「わたしはマルタ、ただのマルタです」

 

----------------------------

 

~MH組~

なぎさ「しょ、菖さんがノリノリって……ありえな~い!!」

ほのか「あ、あゆみちゃん……ちょっと、体のライン、出過ぎなんじゃ……」

ひかり「菖さんも明さんもかっこいいです!!」

 

~S☆S組~

咲「おぉ!なんだかみんなかっこいいなり~!」

舞「菖さんとアコちゃん、それにトワちゃんが並んだらいい絵ができそう♪」

満「なんだか、わたしはトワと戦ってみたくなってきたわ」

薫「あら、奇遇ね?わたしはあゆみとだけれど」

 

~5GoGo組~

のぞみ、うらら「「わぁっ!菖さんも菖さんのお友達さんもかっこいい/です!!」」

りん「なんか、菖さん、無理してるような……」(-▽-;

こまち「遍歴の騎士とその従者は五月(さつき)の王と出会い……」

かれん「気のせいかしら?アコがいつもよりノリノリな気が……」

くるみ「あ、それあたしも思った!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「わぁっ!菖さん、かっこいい!!」

美希「あの緑の外套かぶってるお兄さんもすっごくいい!!」

祈里「は……はわわわわ!!」(/// ///

せつな「祈里、ちょっと落ち着いて」(^^;

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さんも明さんもさくらさんもかっこいいです!!」

いつき「あ、あゆみちゃん?!そ、その恰好は??!!」

ゆり「あら?ももか、明くんのかっこよさに見惚れてるのかしら?」(/// ///

ももか「あら?それはゆりも同じじゃないの?」(/// ///

 

~スイート組~

響「な、なんだか普段のアコとギャップが……」

奏「激しいわね、たしかに」

エレン「……なんだか、すごく残念な感じに……」

 

~スマイル組~

あかね「なんや、みんなえらいノリノリやな……つか、あゆみ、えらい艶っぽい恰好になりおって……みゆきもやよいも、雰囲気めっちゃ変わっとるし……」

なお「あ、あぁぁぁぁぁぁあゆみちゃん?!」

れいか「ちょ……ちょっと……いえ、かなり破廉恥なような……」(/// ///

湊「……ちょっ??!!……」(/// ///

 

~ドキドキ組~

マナ「なんか、アコちゃんも亜久里ちゃんも、イメージと真逆な感じがする」

六花「そ、そんなことより、あゆみちゃん!あなたなんて恰好を?!」(/// ///

ありす「あらあら♪」

レジーナ「なんか楽しそう♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉ~!菖さんもお兄さんもかっこいい!!」

ゆうこ「あらあら♪」

いおな「あ、あ、あゆみちゃん!?なんて恰好してるのよ!ものすごく破廉恥よ!!」

まりあ「あら、みんな楽しそうね♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉ~!菖さんとトワちゃんが騎士様に!!」

みなみ「そ、そんなことより!あゆみさん!!なんて恰好してるのよ?!」Σ(///□///

きらら「お~!トワっち、恰好いい♪」

 

~魔法使い組~

リコ「ちょ?!はーちゃんがおしとやかに?!というか、みらいもキャラ変わりすぎじゃない??!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「おぉ~!みなさん、ものすごくかっこいいでs……って!あゆみちゃん、なんて恰好を??!!」

ひまり「あ、あぁぁぁぁぁぁあゆみさん??!!」Σ(///□///

あおい「おぉぉっ!みんなかっこいいぜ!!」

ゆかり「あら、面白そうなことやってるわね♪」

あきら「結構、雰囲気変わるんだね」

シエル「オ~ララ……あゆみ、あなたなんて恰好してるのよ」( □ ;

 

~Hugっと組~

はな「お~っ!みんなかっこいい!!」

さあや「け、けど、あゆみちゃんの恰好はちょっと刺激が強いんじゃ……」(/// ///

ほまれ「へぇ……みんなかっこいいじゃん♪」

えみる「ちょ?!は、破廉恥なのです!!」Σ(///□///

ルールー「突然の性格の変貌……解析不能」




あとがき代わりのスキット集

~赤面~
あゆみ「ちょ、ちょっとえりかちゃん、ひめちゃん……こ、こんな格好……」(/// ///
さくら「ほ、ほえぇぇっ?!え、えりかちゃん、ひめちゃん、これちょっと恥ずかしいよぉ!!」
えりか「むっふふふ~」
ひめ「よいではないか~よいではないか~♪」
あゆみ「は、恥ずかしいよぉ……」
さくら「は、はうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ」

~赤面その2~
湊「お~い、あゆみ……て、なんじゃその恰好?!」(/// ///
あゆみ「み、みみみみ湊くん?!あんまり見ないでーーーーっ!!」(/// ///
小狼「さくら、どうし……って?!」(/// ///
さくら「しゃ、しゃしゃしゃしゃ、小狼くんっ??!!」Σ(///□///


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中の人ネタ:えりかとひめのファッションショーpart3~They're HERO~

……終わっちゃったねぇ、Hugっと……
いや、最初はどうなるかと思いましたけど、色々メッセージが込められた良作でしたな……
スター☆トゥインクルがこの流れでどこまでのびるか、ちょっと気になるところですが(-▽-;

まぁ、それはそれとして
題名の通りです。何が出るかは……お楽しみ!ww


菖「どうも!タイ○ガー&バ○ニーのひげの方、虎徹です!」

明「Hi!タイガ○ー&バニ○ーの眼鏡の方、バーナビーです」

 

~MH組~

なぎさ「二人がヒーロー?!ぶっちゃけ……ありえなくもないかな」

ほのか「うふふ♪」

ひかり「菖さん、なんだか渋いです!」

 

~S☆S組~

咲「ナイスミドルとナイスガイのヒーローなり!」

舞「わたしたちだって、無敵のコンビです!」

満「できることなら、本物と戦ってみたいわね」

薫「我慢しましょう。五分しか楽しめなさそうだもの……ひげのほうは一分だけど」

 

~5GoGo組~

のぞみ「な、なんかわからないけどカッコイイ!!」

りん「って、菖さんなんで付けひげ……」

こまち「うふふ……これは小説だけじゃなくて、薄い本も……」

かれん「こ、こまち?あなたは何を言っているのかしら??」(-ω-;

くるみ「う~ん?なんだか、普段の菖さんと明さんのほうが好きなんだけど……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!特撮じゃないけど、これもまた!!」

美希「二人とも完璧にノリノリね……」

祈里「けど、なんだか二人とも楽しそう♪」

せつな「これが本当のバディヒーロー……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「しょ、菖さん……渋くてカッコイイです!」

いつき「明さんも色気が増してるような……」

ゆり「変に色気振りまいてるわね……ももかをどうするつもりかしら?」

 

~スイート組~

響「おぉっ!!二人ともカッコイイ!!」

奏「……はふぅ……」(///▽///

エレン「って、奏が倒れちゃった?!」

アコ「……バカっぽい……」

 

~スマイル組~

みゆき「お~!絵本のヒーローじゃないけど、カッコイイ!!」

あかね「こら、やよいがぶっ倒れるのは確実やな……」(-▽-;

やよい「……はふぅ~……」(≡▽≡

なお「あかねの予想通りになったね……」

れいか「……あのお二方はいったい、どのようなヒーローなのでしょう?」

あゆみ「み、湊くん?」

湊「かっけぇなぁ、兄貴……俺も隣に並びたかった……」(´・ω・`)

 

~ドキドキ組~

マナ「……あれ?六花は??」

ありす「あちらでお着換えしていますわ」

真琴「どうしたのかしら、いったい?」

亜久里「しょ、菖お兄様も明お兄様もどうしてこう……」

レジーナ「菖お兄ちゃんも明お兄ちゃんも何やってんのか全っ然わかんない!!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!これは!!」

ゆうこ「……ちょっと、違う、かなぁ?」

いおな「ヒーローっていっても、異色なほうだからねぇ……」

まりあ「うふふ♪二人とも、楽しそうね♪」

 

~プリンセス組~

はるか「しょ、菖さんにおひげが?!」

みなみ「付けひげね……けど、まさか本当につけるとは思わなかったわ」

きらら「にっしし♪もしかしてこれ、からかうチャンス?」

トワ「もぅ、きららったら……知りませんわよ?菖お兄様にお仕置きされても」

 

~魔法使い組~

みらい「おぉっ!二人がヒーロー!ワクワクもんだ!!」

リコ「べ、別に渋くてかっこいいとか思ってないし!」

ことは「は~!菖お兄ちゃん、おひげだ~!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「と、虎と兎ですとっ?!」

ひまり「い、いちかちゃん、びっくりしすぎ……」

あおい「まぁ、自分が兎だからなぁ」

ゆかり「二人がバディヒーロー……うふふ♪なんだか、面白い組み合わせね」

あきら「ははは、菖くん、珍しくノリノリだね」

シエル「Oh、これがジャポーネのヒーロー……ですか?」

 

~Hugっと組~

はな、えみる「「フレッ、フレッ!ヒーロー/なのですっ!!」」(>▽<

さあや「菖さんはわかるけど……明さんって」

ほまれ「どっちかっていうと、ダークヒーロー系だよね?」

ルールー「……菖さんはなぜマスクで顔を隠しているのでしょうか?」




あとがき代わりのその後の話

~女の子だって、ヒーローです!~
うらら「ほぉ~、あたぁっ!!」
六花「わたしの氷はちょっぴりCold……あなたの悪事を完全Hold!!」

菖「あ、変身しなかったんだ?」
うらら「えりかさんとひめさんがどうせならって」
六花「あ、あの……ちょっと、これ、派手じゃないですかね?」
明「ん~?けど、六花は氷のプリキュアなんだろ?似合ってるんじゃないか?」
六花「え?!……え、えぇっと……あ、ありがとうございます……」

~色気にやられて……~
ももか「……ぽ~……」
菖「……ももかの奴、どうしたんだ?」
ゆり「明くんの色気に充てられてみたいね」
菖「あぁ……あはははは……よかった、俺、渋いやつで」
つぼみ「で、でも……なんというか……」
ひかり「大人の魅力がむんむんでした!」
舞「ふふふ♪菖さんだからこそ、かもですね♪」
菖「……俺、そんな色っぽくないのに……めちょっく……」


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中の人ネタ:えりかとひめのファッションショーpart4~軌跡の英雄たち~

なんか、間違って別の話を投稿してしまっていたようなので、出し直し

……はい、タイトルの通り、英雄伝説からです
中古のPS4買って閃の軌跡3と4(前から買ってはいたけど、やれなかった)プレイしてたら、リビドーを抑えきれなくて書いてしまったよ……

あ、おまけコーナーはおふざけ半分です


リコ「……って!なんかやけに体のラインが出るんだけど?!」

ほのか「うふふ♪お似合いですわよ、お嬢様」

ことは「あ……あははは……」

やよい「たしかに……リコの服、ちょっと派手かも?」

うらら「ふむ……ほのか殿はメイド服なのだな。これはこれで新鮮な気がするが……」

エレン「まったく。あんたたち、ほんと賑やかよね」

響「ふふふ、そういうエレンさんも、楽しそうですよ?」

亜久里「みんな、楽しそう!」

ゆり「……甲冑というのも、なかなか悪くはないわね」

 

~MH組~

なぎさ「ほ、ほのかがいつもと違う……てか、ゆりさんが案外ノリノリ?!」

ひかり「ゆりさん、なんだか凛としてて素敵です!」

 

~S☆S組~

咲「おぉっ!みんな個性的な格好なり!!」

舞「ゆりさん、いつも綺麗だけど甲冑姿も凛として素敵です!」

満「なぜかしら……あの格好しているとうららとゆりさんと戦いたいって衝動が……」

薫「武の極致のようなものを感じるからじゃないかしら?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「あれ?うらら、なんだか雰囲気が……」

りん「さすが女優……衣装が変われば雰囲気も変わる、ってんあわけあるかぁっ?!」

こまち「とある帝国の皇子が貴族と平民の垣根を越えて、新しい風を吹かせるために集めた士官学院の生徒たち……いける、いけるわ!!」

かれん「こまちったら、また暴走を……」

くるみ「はぁ……」(-ω-;

 

~フレッシュ組~

ラブ「うわ~!みんなかっこいい!!」

美希「……なぜかしら、いま、誰かに完璧に負けた気が……」

祈里「き、気のせいじゃないかなぁ?」

せつな「けど、みんなかっこいいし、素敵よね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「ゆりさんが騎士様になっちゃいました!」

いつき「なんだか、いつも以上の覇気を感じる……」

菖「わぁ……明がいなくてよかったよ、割とマジで」(白目

 

~スイート組~

奏「ひ、響も参戦?!」

アコ「……なんかちょっと新鮮かも?」

 

~スマイル組~

みゆき「あれ?やよいちゃん、なんかいつもと……」

あかね「雰囲気ちゃうな……もしかせんでも、女優の才能あるんとちゃうか?」

なお「けど、なんだか圧倒されるような……」

れいか「これほどの衣装をそろえるとは……さすが、えりかさんとひめさんです」

あゆみ「う~ん、なんというか、みんな綺麗だったりかっこよかったり……」

湊「いやしかし、ゆり姐さん……ちと怖いんだけど?」

 

~ドキドキ組~

マナ「ノリノリなゆりさんと亜久里ちゃん、初めて見たかも……」

六花「たしかに……」

ありす「これは……うふふ♪亜久里ちゃんの写真集を作ってみたい気もしますね♪」

真琴「ありす、なんか少し悪い顔してない?」

レジーナ「む~!なんであたしが仲間はずれなのよ?!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!みんなかっこいい!」

ゆうこ「ゆりさんの甲冑姿……凛々しくてかっこいいなぁ♪」

いおな「さすが、女優……うららからもすごいオーラを感じるわ」

 

~プリンセス組~

はるか「わぁっ!ゆりさん、素敵すぎる~~~っ!!」

みなみ「騎士とも、姫とも取れる気品……さすがですね」

きらら「う~ん、これは菖さんがどんな格好するか、楽しみだね♪」

トワ「きらら、また悪い顔をしていますわ……」

 

~魔法使い組~

みらい「リコもはーちゃんも素敵っ!わっくわくもんだーっ!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「おぉっ!みなさん、個性的な姿ですぞっ!!」

ひまり「ゆ、ゆりさんとうららちゃん、なんだかかっこいいですっ!」

あおい「……なんか、ゆかりさん、怖くない?」

ゆかり「うふふふ♪」

あきら「ゆ、ゆかり?」

シエル「Oh……なんだか、修羅場な予感」

 

~Hugっと組~

はな「おぉっ!みんなイケてる!!」

さあや「衣装が変わるだけで雰囲気が一変……みなさん、さすがですっ!」

ほまれ「さあや、見るとこ、そこなの?」

えみる「おぉ……皆さんからプリキュアとは違う、"強さ"を感じるのですっ!」

ルールー「コスチューム変化による口調、行動の変化の因果関係……やはり、解析不能です……」




おまけ

~黒髪と赤髪の教官~
明:ランディ、菖:リィン(閃軌3ver.)

明「ふむ……俺がランディで」
菖「俺がリィンと……なんでさ?どっちかってと明のほうがリィンじゃね?」
明「いやぁ、さすがの俺でもあいつほど誑しじゃねぇぜ?」
菖「まぁ、不真面目さならランディと張る……か?」
明「なぜに疑問形?」

~感想~
ゆり「しょ、菖……どうかしら、この格好」
菖「……正直に言っていい?」
ゆり「え、えぇ……」
菖「普段のゆりも凛としててかっこいいってより、綺麗なんだけど、そっちの格好はさらに磨きがかかったというか……うん、正直、惚れる」
ゆり「……っ??!!」Σ(///□///


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中の人ネタ:えりかとひめのファッションショーpart5~菖だけファッションショー~

みなさん、明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

さて、新年早々、コスプレ話を投稿することになってしまいましたが(苦笑
今回は菖だけです
元ネタは、紅白でも活躍……したのかなぁ?(見てないからわからない)……まぁ、そのはずの刀剣○乱舞から、和泉守○兼定です


菖「御用改めである!神妙にいたせい!!」

 

~MH組~

なぎさ「おぉ!新撰組!!」

ほのか「菖さんってほんと、和装が似合うわね♪」

ひかり「か、カッコイイです!!」

 

~S☆S組~

咲「お~!お侍さんなり!!」

舞「お侍様、ちょっと寄って行ってくんなまし……なんてね♪」

満「菖さんからこれまで感じたことがないほどの覇気を感じる……」

薫「これが、サムライ……」

 

~5GoGo組~

のぞみ「おぉぉっ!お侍さんだぁ!!」

りん「あたしはむしろあんなノリノリな菖さんにびっくりだわ」

うらら「もしかしたら、菖さんに時代劇のオファーがっ!」

こまち「そうなったら、うららさんと共演というのも面白いかもしれないわね♪」

かれん「……(ぽーっ)……」

くるみ「へぇ、これが侍……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「あ、お侍さんだ!」

美希「なんか、完璧になりきってるわね」

祈里「珍しいといえば、珍しいよね?」

せつな「でも、なんだかすごくしっくりくるというか……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さんがお侍さんになっちゃいました!」

いつき「なんだか、いつも以上の覇気を感じる……」

ゆり「普段からあぁだったらいいのだけれど……」

 

~スイート組~

響「おぉっ!新撰組だ!!」

奏「もしかしなくても、土方歳三?」

エレン「これが、壬生の狼……音吉(以下ry)」

アコ「……かっこいい……」

 

~スマイル組~

みゆき、やよい「「おぉっ!!おさむらいさんだぁっ!」」

あかね「そういや、うちらも和装コスプレしたことあったな……うち、蜘蛛やったけど……」(´・ω・`)

なお「あ、あははは……」

れいか「なお……」

あゆみ「いった、なにが?」

湊「おぉっ!兄貴、かっこいいぜ!!」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!お侍さんだ!!」

六花「あれは……壬生の狼と怖れられた、新撰組鬼の副局長!」

ありす「お似合いですわよ、菖さん♪」

真琴「……(うずうず、うずうず)……」

亜久里「なぜ、真琴さんはうずうずしているのでしょう?」

レジーナ「なんか、今の菖お兄ちゃんと戦ってみたいなぁ♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!お侍さん!!」

ゆうこ「お侍さん、稽古のあとの休憩にはちみつはいかがですか?」

いおな「……(うずうず、うずうず)……」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!菖さんがお侍さんになってる!」

みなみ「なかなかお似合いですよ?菖さん♪」

きらら「にっしし、このままいっそトワっちに仕えてもらったら?」

トワ「……きららはこんなときはいつも意地悪ですわ」

 

~魔法使い組~

みらい「おぉっ!お侍さん!わくわくもんだ~!!」

リコ「べ、別にかっこいいとか思ってないし!!」(///□///

ことは「は~っ!お侍さんだ~!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか、ひまり、あおい「「「お、お侍さん~~っ??!!」」」Σ( □ 

ゆかり「あら♪」

あきら「へぇ?似合ってるじゃないか」

シエル「Oh!これがジャポーネのサムライね!」

 

~Hugっと!組~

はな「お、お侍さんですと~っ?!」

さあや「なんだか、すっかり役に入り切ってる感じが……」

ほまれ「へぇ?さあや、時代劇で共演してもらったら?」

えみる「おぉっ!おおおおお、お侍さんなのです!!」

ルール-「……検索終了。衣装から、江戸時代末期に活動していた新撰組という組織に属する人間と推定します」




あとがき代わりのその後の話

~菖の感想~
えりか「それで、菖さん!」
ひめ「あたしたち二人の力作、いかがでしょう?!」
菖「……まぁ、悪くないんじゃないかな?」
ひめ「や、やりましたぞ!えりか殿~!!」
えりか「やったね、ひめっち~!!」

~スマイル組と共演~
やよい「おゆきちゃん、お団子、お待たせ」
みゆき「今日もお団子おいしよ~!ウルトラハッピー♪」
なお「くノ一なお、見参!」
れいか「わたしがお姫様なんて……不釣り合いのような気が」
あかね「なに()うとん……うちなんてまた妖やで……」
湊「あゆみ、その格好、似合ってる」
あゆみ「あ、ありがとう……湊くんも、かっこいいよ」
菖「へ~?みんな似合ってるじゃないか」

~うずうずしてた理由~
・真琴の場合
ソード「正義の刃!」
菖「誠の旗のもとに!!」

マナ「刀と(ソード)で共演したくてうずうずしてたみたい?」
六花「みたいね」
ありす「うふふ♪」
亜久里「な、なぜ共演を……意味が分かりませんわ」
レジーナ「う~ん、やっぱりいつもより強そうに見えるなぁ、菖お兄ちゃん」

・いおなの場合
いおな「幕府の犬め!!天誅を受けなさい!!」
菖「幕府に弓引く逆賊が!成敗してくれる!!」

めぐみ「って、菖さん意外にノリノリ?!」
ひめ「これはちょっと予想外ですぞ!」
ゆうこ「うふふ♪ケガしないようにね~?」


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えりかとひめのファッションショーpart6~仮面の者(アクルトゥルカ)~

ふと、懐かしくなってYouTubeで見返してたら思いついたネタでござい……
てか、最近こっちのほうが書けなくなってきてるという……
しばらく、お休みしようかな……あるいは、投稿期間を長くするか……って、タグに超亀投稿とか、不定期投稿とかつけてるからあまり関係ないかな?

とりあえず、本編どうぞ!

……あ、今回は中の人ネタとか関係ないので、ご了承をお願い致します
それと、今回についてはファッションショーの反応をする子たちは、ハートキャッチ組と弟分が所属してるチーム、ラヴァーズ&シスターズと中の人ネタが被る人だけにさせていただきます(書ききれないて……無理……)


菖「……ヤマトの國と民を、姫殿下を、頼む……この、帝より与えられし仮面で…………」

明「……オシュトル……自分は……………」

菖「…………頼んだ、ぜ…………あん、ちゃん…………」

明「…………バカ野郎…………」

 

~ひかりの場合~

ひかり「しょ、菖さんっ!!そ、そんなの噓ですっ!!」

 

なぎさ「ちょっ?!ひ、ひかり?!」

ほのか「だ、大丈夫よ!これ、演技だから!!」

 

~舞の場合~

舞「……いや……そんなの…………」(;△;

 

咲「ちょ?!ま、舞??!!」

満「……たとえ演技でも」

薫「えぇ……わたしたちの大切な友達を泣かせるなんて……」

満&薫「「絶対。許さない!!」」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「……しょ、菖さん…………そ、そんなの、いやです!!」(ブワ

ゆり「……馬鹿……ほんとに…………ばか……なんだから……」

 

えりか「ちょっ?!つ、つぼみ??!!てか、明義兄もノリノリ?!」

いつき「…………ごめん…………これ、無理…………」(ぽろぽろ

小狼「……お、おいおい………」

君尋「……あの二人、かなりノリノリじゃないか……?

静「あいつら、劇団でやっていけるんじゃないか?」

ももか「……わぁ、二人とも、すっごい演技派……でも、こんなエンディング、わたしは絶対、絶っっっっ対!認めないわよ!!!」

ひまわり「…………な、なんだか……こっちも泣きそうに……」

さくら「…………ふぇ………ふぇ~ん……こんなの、こんなのないよぉ……っ!!」

 

~シスターズ~

亜久里「…………お…………お兄様ぁぁぁぁっ!」(ブワッ

レジーナ「菖お兄ちゃん……菖お兄ちゃ~~~~~んっ!!」(ブワッ

ことは「わーーーーーーんっ!!菖お兄ちゃーーーーーーーんっ」(;□;

 

マナ「ちょっ?!亜久里ちゃんにレジーナ?!」Σ( □ ;

六花「す、すごい演技力……」

ありす「ふふふふふ…………お二人とも、ぜひともわが財団がスポンサーをしている劇団に…………いえ、それ以前に、このキャスティングでこの配役を」

真琴「…………なんだろう、本業として負けている気が…………け、けど!!こんな、こんなエンディング、わたしは、認めたく、ない!!」

みらい「うぇ…………ちょっ??!!こ、こんな展開、わたし全っ然、わくわくもんじゃないよ~っ!!わたし、やだよ~~~~~っ!!」(;△;

リコ「こ、こんな結末………認めない…………………認めないわよ!わたしは、絶対!!こんな悲しいエンディング、認めない!!!!」

 

~弟分たち~

湊「兄貴……………………兄貴の……………………ばっかやろーーーーーーーっ!!」(号泣

誠司「そんな…………兄貴……………………菖の兄貴……………………」

 

あゆみ「……………………湊くん……………………」

めぐみ「こんな……………………こんなのって、ないよ……………………」

ひめ「こんな終わり方、ないよっっ!!」

ゆうこ「こんなの、誰も幸せにならないよ!!」

いおな「……………………菖さんの覚悟、受け取ったわ……………………けれど、わたしはこんな結末、認めない!!」




おまけのその後の話

~やっぱり怒られました~
ラヴァーズ&シスターズ、ついでに弟分『…………』(じと~~~~~~
菖「…………えぇっと…………あのぉ……………………」
ラヴァーズ&シスターズ『…………』(じと~~~~~~
菖「…………お詫びに何かごちそうさせていただきます…………」

明「この一言で惚れた連中と兄妹分はご機嫌を直しましたとさ……………………てか、俺にも奢れ、あんな面倒な役どころさせたんだからよ」


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えりかとひめのファッションショーpart7~2000の技を持つ男~

タイトルの通り、そろそろ平成も終わりに近づいてきてるからね……
なんというか、まだ中年にもなってないうちに改元をむかえるとは思わなかったよ。
まぁ、色んな転換点とも言うべき事件がここ数年起きてるから、今更、なんだろうけども。

本編どうぞ


菖「こんな奴らのために!もう誰かの涙は見たくない!!みんなに、笑顔でいてほしいんです!!だから見ててください!俺の、変身!!」

 

~MH組~

なぎさ「なんだろう、すごく親近感が……」

ほのか「平成ライダーの原点だから、じゃないかしら?」

ひかり「そういえば、わたしたち、プリキュアのなかでは最古参でしたよね……」

 

~S☆S組~

咲「五代雄介さんなりっ!」

舞「笑顔と言ったらやっぱり五代さんよね」

満「無性に戦ってみたくなるわね……」

薫「けれど、あまり戦いたくない気も……」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「今度は仮面ライダーになりきってる!」

りん「なんかもう……菖さん、意外に役者なんじゃないかって思えてきた……」

うらら「う~ん……共演のオファー、出ないでしょうか?」

こまち「超古代の遺跡に封印された怪人を、同じ力で再度封印する青年……」(サラサラ

かれん「五代雄介なら、菖さんにぴったりかもしれないわね」(無視

くるみ「なんだか、いかにもヒーローって感じのセリフよねぇ」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!!クウガだ!!」

美希「なんだか、いつも以上に気合が入ってるような……」

祈里「けど、なんだかぜんぜん違和感がない……」

せつな「みんなの幸せを守るために、わたしは戦う!」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さんが雄介さんです!」

いつき「なんでだろう?まったく違和感がない……」

ゆり「なんでかしらね?」

 

~スイート組~

響「わ、わたしだって!!」

奏「って、なんで音叉を出してるのよ、響?」

エレン「みんなの笑顔を守るため……その志は、プリキュアと変わりない」

アコ「やっぱり、菖兄さんは菖兄さんね」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!!今度は五代雄介さん!!」

やよい「貴様は、クウガ(ビガラ・ザ・クウガ)!」

あかね「笑顔ゆうたら、うちらも一家言持ちやで!!」

なお「すごい……戦うことへの覚悟が伝わってくる」

れいか「笑顔を守るため、望まない争いに身を投じる……それもまた、道」

あゆみ「れ、れいかちゃん??」

湊「ん~……兄貴だからそこまで違和感ないのか?」

 

~ドキドキ!組~

マナ「みんなの愛を守るため、わたしも戦うよ!」

六花「あなたはちょっとは自分のことも大切にしなさい!」

ありす「うふふ……やはり四葉芸能にスカウトを……」

真琴「む……義兄さんのほうがかっこいいもん!!」(プクー

亜久里「皆の笑顔を守るために戦いに身を投じる……これもまた、愛」

レジーナ「亜久里、何言ってんの?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!!平成ライダー最初の男!!」

ゆうこ「優しいところは菖さんも同じかしらね?」

いおな「心の強さも、ね」

誠司「さすが兄貴……全然、違和感がない……」

まりあ「あらあら♪」

 

~プリンセス組~

はるか「はわわわっ?!」

みなみ「すっかりなり切ってるわね……」

きらら「あはは!やっぱり菖さんも役者だねぇ!!」

トワ「笑顔を守るために戦う、心優しき戦士、ですか」

 

~魔法使い組~

みらい「お~っ!今度は2000の技を持つ男だ!!」

リコ「そ、そんなにたくさんの技を……け、けど、魔法だって負けてないし!!」

ことは「はーっ!どんな技なのか楽しみ~っ!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんですとぉっ?!」

ひまり「菖さんが五代さんになっちゃいました!」

あおい「へぇ……けどなんで違和感ないんだろ?」

ゆかり「菖と性格が似てるからかしら?」

あきら「そっか、二人とも優しいもんね」

シエル「へぇ……これがジャポーネヒーローなのねぇ……」

 

~Hugっと!組~

はな「めちょっく!」

さあや「すごい演技力……これは、わたしも負けていられない!!」

ほまれ「さあや、なんか感心する方向、違くない?」

えみる「笑顔を守る戦士……これもまた、ヒーローのあるべき姿なのです!」

ルール-「……やはり解析不能。しかし、えみるの言葉の意味は理解できます」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「ヒーロー、きらやばっ!」

ララ「こ、これが地球のヒーロールン?!」

えれな「ていうか、菖さん、すっごくなり切ってない?!」

まどか「そこにちょっと驚いてます……」




おまけスキット

~集合?~
菖「大丈夫!だって、俺、クウガだもん!!」
明「天の道を行き、総てを司る男。ゆえに、天道総司だ」
響「自分、鍛えてますから!」
湊「約束する。俺が、最後の希望だ!」
一真「人を守るために、俺は戦う!」

やよい「おーーーーっ!!」
奏「なんで、響がそっちに……」
つぼみ「響鬼(名前)つながり、でしょうか?」(-▽-;

~集合?part2~
明「いくぜ、相棒」
菖「あぁ、相棒」
「Cyclone!」
「Joker!」
明/菖「「変身!」」
「Cyclone!Joker!」
明/菖「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

やよい「今度は二人で一人の仮面ライダー!!」
さあや「ガイアメモリ……メモリドライバー……うふふふふふ……」
ほまれ「さ、さあや……」
はな「めちょっく……ミデンの時と同じスイッチが入っちゃったよ……」


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えりかとひめのファッションショーpart8~陸自のサボり魔(実はかなりすごい人)~

ちょっと懐かしいGA○TEから
個人的にこの主人公の考え方、好きですw(いや、わりとマジで

ひとまず本編どうぞ
あ、今回はあとがきありませんのでご了承を


作者(ナレーター)「陸上自衛隊所属、春川菖一尉はうそぶく」

菖「俺はね、趣味のために仕事をしてるんです!だから、仕事と趣味、どっちかを選べって言われたら迷わず、趣味を選びます!」

 

~MH組~

なぎさ「え~?!自衛隊の人がそれ言っちゃうの?!ありえない!!」Σ( □ メ

ほのか「あ、あはははは……」( ▽ ;

ひかり「けど、菖さんなら、趣味を仕事にしちゃいそうな気がします……」

 

~S☆S組~

咲「な、何を言ってるなりか~~~~~っ??!!」Σ( □ メ

舞「もう、菖さん!お仕事もちゃんとしてください!!」( □ ;

満「というか、菖さんの場合……」

薫「えぇ。間違いなく、趣味を仕事にしちゃうわね」

 

~5GoGo組~

のぞみ「え?……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ?!」

りん「うわぁ、一番言わなさそうなセリフ……」

うらら「じ、自衛隊の人として、それはどうなんでしょう?」

こまち「異世界に転移させるストーリーがいいかしら?それとも……」

かれん「自衛官の任務が過酷なのは知ってるけれど、これは……」

くるみ「なんというか、ぐーたらなのがわかるわね……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「って、趣味を仕事にしないの?!」

美希「か、完璧にオタクだわ……いや、菖さんも遺跡オタクだけど」

祈里「あ、あはははは……」

せつな「こ、これはどう反応したらいいのか……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ、ゆり「「むしろ趣味を仕事にしたほうがいいのでは/んじゃない?」」

いつき「いや、ちゃんと仕事をしましょうよ……」

 

~スイート組~

響、奏「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ???!!!」」

エレン「しょ、菖さんがそんなこと言うって、なんか、すっごく違和感が……」

アコ「この人は菖兄さんじゃない!本物の菖兄さんをどこにやったの??!!」(錯乱

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~っ?!」

あかね「いや、あかんやろ!ちゃんと仕事しぃや!!」

やよい「いっそ、趣味を仕事に……」

なお「しょ、菖さんが筋の通らないことを……」

れいか「これは……正しい道へ戻さなければなりません!」

あゆみ「え?え???」

湊「おーおー、あゆみが混乱中……俺もだけど」(-▽-;

 

~ドキドキ組~

マナ「……え?……え??」

六花「マナが珍しく混乱してるわ……」

ありす「あらあら……これは、ちょうk……こほん、修正しないとですわね♪」(^言^

真琴「……いま、調教って言いそうになってなかった?」(  ;

亜久里、レジーナ「「こんなの菖お兄様/お兄ちゃんじゃありませんわ/ない!!」」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「……え?……えぇぇぇぇっ??!!」

ゆうこ「ど、どうしちゃったの?菖さん?!」

いおな「な、なにが菖さんの身に?!」

まりあ「あら……これはちょっと重症かしら??」

 

~プリンセス組~

はるか、きらら「「えぇぇぇぇっ??!!しょ、菖さん、いったいどうしたの??!!」」

みなみ「普段は仕事熱心なのに……」

トワ「こ、これがOTAKUというものなのでしょうか……」

 

~魔法使い組~

みらい「な、なんか全然ワクワクしないセリフ……」

リコ「ちょ、ちょっと普段とは考えられない発言ね……」

ことは「菖お兄ちゃん、大丈夫?」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、な、な……なんですとーーーーーーーーーーーーーーーーーっ?!」

ひまり「い、いつもの菖さんじゃないです!!」

あおい「な、なんかさぼりたい菖さんってのも新鮮だな……」

ゆかり「あら?つまらないこと言うのね」

あきら「え、えっと……」

シエル「Oh……いったい、どうしたのよ?」

 

~Hugっと組~

はな「めちょっく!!」

さあや「え、演技とはいえ、なんだか……」

ほまれ「あははは……」

えみる「こ、これは重症なのです!早く治療しないと趣味ばかりに走って全然仕事をしないダメ人間になってしまうのです!!」

ルールー「さすがにそこまではいかないかと……むしろ、菖さんなら趣味を仕事にしてしまいそうな気もしますが」

 

~スタートゥインクル組~

ひかる「え~~~~~~~~っ??!!」

ララ「ルンっ??!!」

えれな「い、いったい、どうしたのさ?!」

まどか「あ、あの……失礼ですが、本当に菖さんですか?」



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えりかとひめのファッションショー~part9.二人の騎士、決闘一歩手前?!~

今回は明さんに、葵つばめさん作『花を護る騎士 ブレイドナイト』の格好をしてもらって、セイバーと並んでもらうんですが……
まぁ、タイトルで予想していただけてるかと
実際に戦闘にはなりませんので、ご了承ください


明(ブレイドナイト)「くっくっく……なるほど、黒騎士か……面白れぇ、博士、ちょいと相手してくれや」(^言^

菖(ユグドセイバー)「うぇっ??!!……………って、なんでさ!!」(-□-;

 

~MH組~

なぎさ「あ、明さん……ものすごく怖い顔してる……」

ほのか「い、一触即発、ね……」

ひかり「あ、あわわわわわ……け、喧嘩はだめですよ!!」

 

~S☆S組~

咲「い、いままでコスプレしてなりきってたことはあったけど……」

舞「一触即発になったのは、始めて、ね……」

満「明さん……ふふふ、なんだか血がたぎるわね」

薫「やめておきなさい、満……一分と持たない気がするわ」

 

~5GoGo組~

のぞみ「ちょ?!な、なんか雰囲気が……」

りん「うわぁ、まさに一触即発……」

うらら「なんだか、りんさんとかれんさんを見ているような……」

こまち「黒騎士と白騎士……うふふふ、これは壮大なストーリーができそうね♪」

かれん「うらら、何を言ってるのかしら?」

くるみ「わぁ……なんというか、見たことがあるようなないような……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「も、もしかしなくても、ももかさんとゆりさんをめぐるバトルが……?!」

美希「いや、完璧にありえないから」

祈里「やめて!わたしのために争わないで!!」

せつな「祈里、何を言ってるの?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「あ、あわわわわわ……」

いつき「こ、これは……さすがに止めないとまずい?」

ゆり「……はぁ……ももかを呼んでくるわ」

 

~スイート組~

響「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ????????!!!!!!!!!!」

奏「あ、明さんがバトルマニアなのは知ってたけど……」

エレン「まさか、ひかりと舞とゆりさんをめぐる争いが……?!」

アコ「なにこれ、バカっぽい」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~~~っ?!」

あかね「あ、あかん!みんな、避難するんや!!」

やよい「に、二大ヒーローの対決……」(///▽///

なお「やよいちゃん、わくわくしないの……」

れいか「ぶれませんね、やよいさんは」

あゆみ「と、とめなくて大丈夫なの?」

湊「今行ったら確実にまずい。そんな気がする……」

 

~ドキドキ組~

マナ「喧嘩はダメーーーーーーーッ!!」

六花「あぁ……もぅ……」

ありす「あらあら」

真琴「こ、これが女性をめぐる戦い……」

亜久里「それは違うと思いますが……」

レジーナ「面白そう♪わたしも混ぜて~!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「ちょ、え?!け、喧嘩はだめだよ!!」

ゆうこ「喧嘩、というより、戦争になりそうな……」

まりあ「うふふ、こういうときはこのセリフかしらね?……………わたしのために争わないで!」

いおな「お姉ちゃん?!何言ってるのよ??!!」

 

~プリンセス組~

はるか「ふぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」

みなみ「一触即発……みんな、避難するわよ!」

きらら「あらら、これはさすがにまずいわね」

トワ「いったい何が原因で……」

 

~魔法使い組~

みらい「う、うわぁ……」

リコ「こ、これは止めに入った方が……」

ことは「何してるの?にらめっこ??」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんですとー?!」

ひまり「け、喧嘩です!!」

あおい「一触即発かよ……逃げた方がいいんじゃ?」

ゆかり「うふふ♪おもしろいことになりそうね?」

あきら「ちょ?!と、止めなくていいの??!!」

シエル「Oh……これは早く逃げた方がいいわね……」

 

~Hugっと!組~

はな「めちょっく!!」

さあや「ま、まさに一触即発……」

ほまれ「というか、明さんのほうが菖さんに喧嘩売ってるように見えるけど……」

えみる「は、はやく逃げるのです!ここは戦場になってしまうのです!!」

ルールー「えみる、慌てなくても大丈夫かと」

 

~スタートゥインクル組~

ひかる「きらやばぁ……これ、逃げた方がいい?」

ララ「逃げるべきだと思うルン」

えれな「ちょ、ちょっと??!!」

かぐや「急ぎ避難を!巻き込まれてしまいます!!」




その後の話

~勝負……?~
明「王手」
菖「むむ……いや、ここをこうすれば……どうだ!」
明「……やるじゃねぇか、せんせー」
菖「せんせーいうな」

はな「なぁんだ、勝負って将棋だったんだ」
えみる「心配して損したのです……」
ゆり「まったく、人騒がせね……ももかにきつくお説教しておくように言っておこうかしら?」
つぼみ「ほんとです!」

~勝負……?part2~
菖「レイズだ」
明「なら俺もだ」
菖「いいのか?もう後がないぞ?」
明「へっ!ここで引いたら男が廃るってな」

かれん「今度はポーカー……」
みなみ「な、なんというか……」
ひかり「心配して損した、というべきでしょうか……」
舞「それとも大事じゃなくてよかったって安心するべきなのか……」
あきら「あははは……」

~お説教~
ももか「明くん!!めっ!なんだからね!!」( ω メ
祈里「あ、あの……できれば危ないことはしないでほしいかなぁと……」(; ;メ
まりあ「いくら暴れたい年頃でも、ちゃんと節度は守らないと、ね?お姉さん、心配したんだから」(-▽-メ
明「お、おっす……って、ももかはともかく、なんで祈里とまりあさんに叱られてるんだ?俺……」


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えりかとひめのファッションショー~part10.その少年、安倍晴明の後継~

タイトル見ていただければ分かると思いますが、今回は陰陽師ネタです
ちなみにハリーと先代セイバーとまりあさん、それからひかりと奏、ジュリオは中の人ネタになります(ほかの子たちはぶっちゃけ、着せたかったから着せました!(オイ

あとがきのほうにいくつか主要キャラも書きましたが……
どんな格好かはググってみてください(苦笑


ハリー(ハムスター状態)「おいおい、しっかりしてくれよ?晴明の孫」

菖「孫言うな!!」

 

~MH組~

なぎさ「菖さん、やっぱり神主さんの恰好が似合うね」

ほのか「あれは狩衣と言って、平安時代に貴族が着ていた装束の一つなの。ちなみに、現代で言うところのスーツにあたるものが直衣と言って……(うんたらかんたら)」

 

~S☆S組~

咲「おぉ……なんだか、平安時代の貴族って感じがするなり!」

満「あの服、動きづらそうね」

薫「途中で転ばないのかしら?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「菖さんがひな祭りのお内裏様になっちゃった!」

りん「いや、お内裏様じゃないから」

うらら「それなら、わたしは十二単でお姫様です!」

こまち「平安時代の闇にうごめく妖怪を相手に、一人の少年陰陽師が相棒の物の怪と共に大活劇……」(サラサラ

かれん「平安時代の貴族様……ふふ、菖さんなら引く手あまたかしらね?」

くるみ「まさか、天皇に失礼な態度をとるような人には……ならなさそうね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉ、今度は平安時代の貴族だ!」

美希「なぜかしら?少し大人げないような」

祈里「けど、やっぱりぜんぜん違和感がない……」

せつな「神社の手伝いで着慣れているからかしら?」

 

~ハートキャッチ組~

いつき「やっぱりまったく違和感がない……あれ?つぼみとゆりさんは??」

シプレ、コロン「「あっちで着替えてるですぅ/よ」」

 

~スイート組~

響「今度は陰陽師だ!」

エレン「あら?奏は??」

アコ「えりかとひめに連行されてったわ」

 

~スマイル組~

みゆき「今度は平安時代の貴族様!」

やよい「闇にうごめく妖怪をばったばったとなぎ倒し……」

あかね「ほぉ?ちゅうことは妖怪蜘蛛女の復活やな!……ってなんでやねん!!」Σ( □

なお「あ、あかねちゃん……」(  ;

れいか「ちなみに、いま菖さんが着ているのは狩衣と言って、平安時代の貴族たちの平時の服装です」

 

~ドキドキ!組~

マナ「え~っと……お内裏様の恰好?」

六花「あれは狩衣よ。それとお内裏様は天皇のことだから」

ありす「うふふ♪やはり菖さんは狩衣がお似合いですわ♪」

真琴「え~と、平安時代の貴族の恰好だっけ?」

亜久里「ならばわたくしは十二単を……」

レジーナ「亜久里ばっかりずる~い!あたしも着る~!!」(>□<

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉ、なんだか菖さん、神社の神主様みたい!」

ゆうこ「そりゃ神社のお手伝いしてるからね~」

いおな「けれど、今はそんな雰囲気を微塵も感じないような……」

誠司「あぁ……どっちかというと、無理矢理着せられてる感じがするな……いや、似合ってるんだけど」

 

~プリンセス組~

はるか「菖さんが平安時代の貴族になっちゃった!」

みなみ「神社のお手伝いをしてるからかしらね?あまり違和感を感じないわ」

きらら「トワっち、十二単着て菖さんと並んでみて?」(ニッシシ

トワ「……やっぱりきららは意地悪ですわ」(ぷくー

 

~魔法使い組~

リコ「みらい、陰陽師ってナシマホウ界の魔法使いなの?」

みらい「うん!悪い妖怪や悪霊を退治したり、占いをしたり、呪いを跳ね返したり(以下省略)」

ことは「はー!わたしもお姫様の服着たーい!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「そういえば、あおちゃん、立神家の御令嬢だったよね?」

ひまり「い、いちかちゃん?もしかして、あおいちゃんに十二単着せようとか考えてません?」

あおい「い、いやだからな!あんな動きづらい服!!」Σ( □ ;

ゆかり「あきらは十二単よりも直衣か狩衣かしら?」(-▽-

あきら「ゆ、ゆかり?なんだか目が怖いよ??」Σ(-□-;

シエル「Oh……ゆかりはいつもと同じなのね……」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!菖さんの狩衣姿、めちゃイケてる!!」

さあや「ハリーもいい演技するのね……」

ほまれ「いや、感心するとこ、そこなの?」

ルール-「そういえば、えみるはどこに??」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「おぉっ!菖さんの狩衣姿、キラやばっ!!」

ララ「かっこいいルン!」

えれな「なんかこの間、撮影した映画を思い出すね」

まどか「えぇ……ララさんも天女の姿で混ざったらどうでしょう?」

ユニ「って、なにあのネズミ?!なんでしゃべってんの??!!」




おまけ

~十二神将~
先代セイバー「十二神将、火将騰蛇……参るっ!」
ひかり「お初に御目文字(おめもじ)(つかまつ)ります、わたくしは安倍晴明が配下、十二神将が一人、天一と申します」
ジュリオ「同じく、十二神将、玄武」
友護「十二神将、六合(りくごう)……おい、なんで俺がこんな茶番に付き合わなければならん?」(-言-メ
えみる「あたしは太陰!風の神将よ!よろしくね♪」

なぎさ「こっちはこっちでまたなんというか……」
ほのか「本格的なコスプレって感じね?」
いつき「まぁ、十二神将って神様だし……?」
いちか「おぉっ!リオくん、いつの間に??!!」
シエル「ピカリオ!こっちに視線頂戴!!」
リコ「というか、友護さん……強制連行されてきたの?」(-▽-;

~十二単と狩衣姿~
ゆり「お、おかしくないかしら?」(  ///
つぼみ「ま、まさかほんとにお雛様になるなんて……」(/// ///
舞「へ、変じゃないかしら?」
菖「大丈夫、三人ともよく似合ってるよ」
ゆり、つぼみ、舞「「「…………っ??!!あ、ありがとう/ございましゅ……」」」(/// ///
あゆみ「い、意外に重い……」
湊「大丈夫か?あゆみ」
ももか「あ~きくん♪どう?」
明「似合ってるぜ。ほんとにお姫様って感じだ」

~寸劇~
菖「来年の夏になったら、一緒に蛍を観に行こう」
まりあ「…………っ!!約束ね!」
菖「あぁっ!約束だ!!」

マナ「わ~っ!キュンキュンするよ~~~っ!!」(>▽<
めぐみ「うんうん!すっごくラブだね!」
つぼみ「うぅ……まりあさん!そこ、代わってください!!」(>□<
ゆり「…………ちょっと、いえ、かなり妬けるわね……………」(-言-
いおな「………………………」(○言○

~こんなのも……~
奏「……こ、これはいくらなんでも肌が……」(/// ///
菖「なんというか……うん、どっからどう見ても、くの一だわ」
アコ「案外、これで王子さんもイチコロだったり?」
奏「………っ??!!」(/// ///


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えりかとひめのファッションショーpart11~赤き光のカードバトラー~

知ってる人いるかどうかは知らないけど、思い浮かんだんだから仕方がない
というわけで、10周年を迎えて現在YouTubeで新作の公式配信がされている『バトルスピリッツ サーガブレイブ』から"帰ってきた彼"になってもらいました
誰なのかは、うん、YouTubeを見てくださいどうぞ

ちなみに、個人的にやりたかったのであとがきに衝撃的なことやらかさせました


菖「ゲート、オープン!界放(かいほう)!!」

 

~MH組~

なぎさ「な、なんだかいつになくクールというか……」

ひかり「なんだか、少し怖いです……」

 

~S☆S組~

咲「い、いつもより迫力が……」

舞「そうかしら?」

満「いつもより肌にびりびりとくるこの雰囲気……」

薫「間違いなく強者ね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉ……なんだかわからないけど、かっこいい!!」

りん「なぁんか、いつもと雰囲気違くない?」

うらら「優しさから一転、厳しさと憂いあふれる表情に……」

こまち「カードゲームの主人公、って感じね?」

かれん「あら?珍しくペンとノートを持ってないのね?」

くるみ「え、ツッコミどころそこ?!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!!ヒーローじゃないけど、なんかカッコイイ!!」

美希「な、なんでだか完璧に負ける気が……」

祈里「な、なんかちょっと怖い気もする……」

せつな「この肌にびりびり来る感じ……殺気?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「今度はカードバトラーです!」

いつき「なんだか、最近、菖さんもノリノリだよね……」

ゆり「もしかして、楽しくなってきたのかしら?」

 

~スイート組~

響「なんかわからないけど、カッコイイ!」

奏「いかにも主人公って感じね」

エレン「なんだか、菖さん、慣れてきてない?」

アコ「……かっこいいって思ったのは否定しない」

 

~スマイル組~

みゆき、やよい「「おぉぉぉぉぉっ!」」

あかね「な、なんやかっこいいやないか……」

なお「カードゲームかぁ。けいたやこうたと一緒にやったなぁ……くぅっ!なんだか熱くなってきた!」

れいか「落ち着いてください、なお?」

あゆみ「なんだろう?普段の菖さんからは感じないものを感じる……」

湊「なんか、こっちのほうが主人公してる感じしないか?兄貴」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!!何だか知らないけど、かっこいい!!」

六花「なんだか、こっちのほうが主人公って感じがするのは気のせいかしら?」

ありす「これなら、四葉がプロデュースしているカードゲームのCMに出演していただくことも……」

真琴「そうなったら、わたしと菖さんが共演することになるかしら?」

亜久里「いつもの菖お兄様とは違いますが、とても強い意志を感じます!!」

レジーナ「あたしも遊びたーい!!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!なんかわからないけど、かっこいい!!」

ゆうこ「鎧、というかパワードスーツ?」

いおな「菖さんがそんなの身につけるなんて、ちょっと意外ね」

誠司「兄貴に鎧って、あんま想像できないもんな」

まりあ「うふふ、なんだかかっこいいわね♪」

 

~プリンセス組~

みなみ「あら?はるかは??」

きらら「えりえりとひめっちに連れてかれたよ?」

トワ「もはやパターンですわね」

 

~魔法使い組~

みらい「もしかして魔法界への入り口も……」

リコ「開かないわよ、さすがに」

ことは「はーっ!なんだか菖お兄ちゃん、かっこいい!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「おぉっ!なんかかっこいい!!」

ひまり「す、少し怖い気もしますが……」

あおい「おぉ、なんか熱い歌が出てきそうだぜ!」

ゆかり「うふふ♪面白そうね?」

あきら「カードゲームかぁ……」

シエル「ん~?」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!なんだかわからないけど、めっちゃイケメン!!」

さあや「あのプロテクターはどんな機構になってるのかしら?」(キラキラ

ほまれ「さ、さあや……」

えみる「目がものすごくキラキラしているのです……」

ルール-「カードゲーム……負ける気がしません!」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「きらやばぁっ!!かっこいい!!」

ララ「スタープリンセスたちとはまた違う力を感じるルン!」

えれな「カードゲームかぁ、弟たちが好きそうだなぁ……」

まどか「熱さの中に、確かな信念と覚悟を感じますね」

ユニ「もしかして、プリンセス・スターカラペンとは違う、十二星座の力を持つアイテムが……」




おまけ

~カードバトラーじゃないけど……~
はるか「背中が隙だらけだ……って、なんでこんな格好?!」
ほのか「わたし、目覚めたのがこの時代でよかった……争いの終わりを見ることが出来るもの」

みなみ「は、はるかの格好、ちょっと不気味さがあるわね……」(  ;
きらら「にっしし、みなみん、もしかして怖いとか?」(-▽-
トワ「きらら、少し意地悪ですわよ?」
なぎさ「ほ、ほのかの衣装、ちょっと大胆なんじゃ……」

~ララが感じた力の正体~
菖「十二宮Xレアをここに!龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!!《光龍騎神サジット・アポロドラゴン》召喚!!」

プルンス「い、射手座のスタープリンセス??!!」
ララ「ルンっ??!!全然違うルン!!」Σ( □ ;
ユニ「これのどこがプリンセスなのよ?!」
えれな「いや、全然違うでしょ……」
まどか「プリンセス・スターカラーペンと同じく、十二星座の力を持つカード……」
ひかる「きらやばぁっ!かっこいい!!」

~バトルフィールドでの一幕~
ムーンライト「菖っ!!」
菖「……?」
ムーンライト「あなたが好き!愛しているの!!」
菖「…………っ!!??」
ムーンライト「だから、あなたを最後の戦いに行かせたくない!……わたしに負けてよ、菖!!」(;□;
菖「…………アタックステップ!サジット・アポロドラゴン、征けっ!!」

ラヴァーズ以外の全員『きゃーーーーーーーーっ!!!』(///▽///
つぼみ「ム、ムーンライトの姿で大胆告白ですっ!!」(///□///
ひかり「す、すごい……」
舞「さ、さすがゆりさん……で、でもわたしたちだって!」


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えりかとひめのファッションショーpart12~誠之旗の下に~

以前、だんだら羽織はやりましたが、あれとはまた違うバージョンです
より正確に言うなら、ぐだぐだに出てきた人です

……これでわかる人はわかるんだから、ほんと恐ろしい(-▽-;


菖「抜刀……突撃……!うおぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁっ!!ここがぁっ!新っ!撰っ!――――組だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」(○Д○#

 

~MH組~

なぎさ「あ、あ、あ……ありあえな~~~~~~~いっ!!」Σ( □ ;

ほのか「ま、まさに狂戦士(バーサーカー)……」(  ;

ひかり「し、菖さんに狂戦士の適性があったなんて……」(・□・;

 

~S☆S組~

咲「こ、怖っ……あれ?舞は??」

満「えりかとひめに連れていかれたわよ?」

薫「あぁ……もしかして?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「ねぇ、りんちゃん」

りん「あぁ、はいはい、説明するからおとなしくしてなさい……」

うらら「ま、まさかの狂戦士……」(○□○;

こまち「普段の菖さんからは考えられないわね……」

かれん「てっきり、剣士(セイバー)かと思ったのに……」(○□○;

くるみ「案外、弓兵(アーチャー)もいけるんじゃないかしら?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「土方歳三??!!」

美希「というか、なんで狂戦士?!」

祈里「剣士じゃないの??!!」

せつな「なんだかツッコミが多いわね……」(-▽-;

 

~ハートキャッチ組~

いつき「な、なんで狂戦士……あれ?つぼみは??」

ゆり「さっきえりかに連れていかれてたわよ」

 

~スイート組~

響、奏「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」」(○□○;

エレン「……正直、近づきたくない迫力ね……」

アコ「というか、剣士とか弓兵とかじゃないんだ?」

 

~スマイル組~

みゆき「ハップップ~??!!」Σ(-ε-;

あかね「あ、あれはあかん……近づいたらただじゃあかんで……」(○Д○lll

やよい「まさかの狂戦士……」(○□○;

なお「てっきり、剣士だと思ったんだけどなぁ……」

れいか「弓兵、ということもありますよね?」

あゆみ「案外、暗殺者(アサシン)もいけるんじゃ……」

湊「むしろ、エクストラクラス以外ならなんでもいけるんじゃ?案外、裁定者(ルーラー)もいけそうだけど」(-ω-;

 

~ドキドキ!組~

マナ「新撰組?!」

六花「御用改めである!!ってやつね」

ありす「えぇ……それにしても、狂戦士ですか……」

真琴「てっきり、剣士かと思ったけれど……」

レジーナ「……あれ?亜久里は??」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「って、狂戦士??!!」Σ(○□○;

ゆうこ「いちばんあり得ないチョイスね……」

いおな「案外、明さんだったら……」

誠司「兄貴が狂戦士ってのはちょっと想像できないよな……」

まりあ「あら?意外性があっていいんじゃないかしら?」

 

~プリンセス組~

はるか「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」Σ(○□○;

みなみ「い、一番あり得なさそうな……」( Д ;

きらら「……やばい、今からかうようなことしたら確実に痛い目に遭う……」

トワ「こんな時でもからかおうという勇気があることに、ある意味感心しますわ……」(-Д-;

 

~魔法使い組~

みらい、リコ「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」」( □ ;

ことは「は~……」(○Д○;

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、な、な……なぁんですとぉぉぉぉぉぉぉぉっ??!!」Σ(○□○;

ひまり「ま、まさかの狂戦士ですっ!!」

あおい「いや、ありえねぇだろ?!」

ゆかり「あら、ちょっと遊んでみたいかも?」

あきら「やめときなって、ゆかり……」

シエル「Oh……これはちょっと……」

 

~Hugっと!組~

はな「メガめちょっくっ??!!」

さあや「ま、まさかの狂戦士……」

ほまれ「うわぁ……いや、前にも新撰組やったけどさ……」

えみる「ひぃっ??!!こ、怖いのです、まさに鬼なのです!!」(;□;lll

ルール-「菖さんのことなので、剣士か弓兵、あるいは暗殺者、裁定者のいずれかと思っていたのですが……」(○Д○;

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「いぃぃっ??!!」Σ(○Д○lll

ララ「オヨ~~~~~っ??!!」Σ(○Д○lll

えれな「こ、これは……」

まどか「菖さんが暴走??!!」

ユニ「いや、暴走じゃないでしょ、これ??!!」




おまけ

~武者乙女三人組~
舞(桜セイバー)「新撰組一番隊隊長、沖田総司、推参……あなたがわたしのマスターですか?」
つぼみ(長尾景虎)「我こそは毘沙門天の化身、長尾景虎!弱く強きものよ、そなたの為さんとする大業、わが身をかけるにいささかの不足なし!!」
亜久里(ノッブ)「魔人アーチャーこと第六天魔王、織田信長じゃ!」

ゆり「あら、大集合ね」
みらい「はい!ぐだぐだ次元の皆さんが大集合です!!」
リコ「って、それ言っちゃいけないんじゃないの??!!」
いつき「というかつぼみ、なんだかすっごく凛々しくなってる……」(○Д○;

~宝具、解放!!~
ひかり「裁定者(ルーラー)の名の下に、令呪を以て命じます!この場に集いしサーヴァントたちよ、宝具を解放せよ!!」
舞「我が秘剣の煌めき、受けるがよい!!」
菖「新撰組っ!……出陣()るぞ!!」
つぼみ「我が敷くは不敗の戦陣!!」
亜久里「是非もなしっ!!」

ゆり「一斉解放はやめなさい!!」Σ( □ ;
湊「ここら一帯が更地になっちまう!!」( □ ;
ユニ「って、どんだけよ??!!」(-Д-;


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えりかとひめのファッションショーpart13~疾走決闘者(D-ホイーラー)~

※ルビは漫画版準拠です

菖「そういや、斗真はリアルでも一応(・・)決闘者(デュエリスト)なんだよな?」
斗真「基本、ガスタか霊獣しか使わないけどな~……てか、周囲に決闘者がいないから、決闘(デュエル)する機会も減ってきちゃってなぁ……」(´・ω・`

元々展開力に問題あるからソリティアされたら終わりなんです……もしかしなくても、バトスピのほうが戦術に左右されるところ大きいから、純粋なカードゲームとしてはそっちのほうが楽しめるのかなぁ……

ちなみに、菖はブレイブのライダースーツを着用中です
あとがきのおまけは、ぶっちゃけ筆者のおふざけです


菖、湊「「疾走決闘(ライディング・デュエル)!加速開始(アクセラレーション)!!」」

 

~MH組~

なぎさ「今度はバイク?!」

ほのか「なんだか、もうなんでもありになってきたような……」

ひかり「けど、カッコイイです!!」

 

~S☆S組~

咲「ば、バイク??!!」

舞「あのライダースーツ、少し変わってるわね」

満「レース勝負、というわけではなさそうね?」

薫「えぇ」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「うわぁ、バイクだ!!」

りん「て、菖さん免許持ってんの??!!」

うらら「たぶん、普通のバイクではないのかと……」

こまち「北欧神話の神が宿るカードを操るカードゲーマが世界を救うためのゲームに挑み……」(サラサラ

かれん「菖さん、ライダー姿が意外に似合ってるわね」

くるみ「湊もね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!かっこいい!!」

美希「完璧な着こなしね……」

祈里「……もし明さんがライダースーツを着てたら……うぅ(もじもじ)……」(/// ///

せつな「……い、祈里?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「今度はバイクに乗ってます!」

いつき「ビ○トチェイサー2000じゃないんだ?……あれ?ゆりさんは??」

 

~スイート組~

響「おぉっ!バイクに乗ってるよ!!」

奏「颯爽と駆け抜ける姿……かっこいい……」

エレン「音楽じゃないけど、なんだか熱くなってくるわね!」

アコ「……二人乗り……でも、あのスピードはちょっと怖いかも」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!!湊くんも菖さんもかっこいい!!」

あかね「あはは……あゆみ、顔真っ赤やで?」(-▽-

やよい「二人ともかっこいいもんね!」

なお「早さだったら、わたしも負けないよ!!」

れいか「な、なお?!なぜそこで張り合うんですか??!!」Σ(○□○

あゆみ「湊くん、かっこいい……」(/// ///

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!!ライダースーツだぁ!」

六花「けど、わたしたちは一真さんのライダー姿で慣れてるのよね」

ありす「うふふ♪今度はライダースーツのモデルとしてオファーを出してみましょうか♪」

真琴「ありす、その時はわたしも呼んで!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!今度はバイクだ!」

ゆうこ「大森食堂の配達、お願いしちゃおうかしら♪」

いおな「案外、相楽くんがバイクに乗ったらめぐみが乗せてほしいってねだるのかしら?」

誠司「おぉっ!すっげぇ!」

まりあ「うふふ♪目をキラキラさせちゃって♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!!バイクだ!!」

みなみ「なかなか絵になってるわね」

きらら「トワっち、もしかして菖さんと二人乗りしたかったり?」

トワ「思ってません!」(-H-

 

~魔法使い組~

リコ「わたしたちだって!」

みらい「箒だって負けないわよ!!」

ことは「はー!お兄ちゃんと湊くんと競争だぁ!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「ば、ば、ば……バイクですとーーーーーーーっ??!!」Σ(○Д○;

ひまり「お二人とも乗れたということにびっくりです!」

あおい「おっ!なんか熱い展開になってるじゃねぇか!」

ゆかり「うふふ、あきら?もしかして菖と二人乗り……」

あきら「ゆ、ゆかり?」

シエル「ん~……ピカリオと二人乗り……」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!二人ともめちゃイケだぁ!!」

さあや「D-ホイール、決闘盤(デュエル・ディスク)幻影立体映像(ソリッド・ヴィジョン)システム……うふふふ、再現する日が待ち遠しいわね!」

ほまれ「さ、さあや?」(  ;

えみる「ルールーならすぐにプロ決闘者(デュエリスト)になれるのです!」

ルール-「はい。カード効果のインプット、コンボの成功率演算、戦況のシュミレーション、すべて完了しています。わたしに死角はありません!」(・ω・’

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「おぉっ!かっこいい!!キラヤバ~ッ!」

ララ「これが、地球の乗り物ルン?」

えれな「バイクかぁ……かっこいいね!」

まどか「ですが、あのスピード……事故を起こさなければいいのですが……」

ユニ「なんかもう、カードのことを覚えるだけでいっぱいいっぱいよ……」




おまけ

~シグナーズドラゴン~
菖「集いし願いが、新たに輝く星となる!光差す道となれ!!」
ゆり「冷たい炎が、世界のすべてを包み込む!漆黒の華よ、開け!!」
明「王者の鼓動、今ここに列をなす!天地鳴動の力を見るがいい!!」
湊「黒き疾風よ!秘めたる想いをその翼に現出せよ!!」
亜久里「聖なる守護の光!今交わりて、新たな命となる!!」
レジーナ「世界の未来を守るため、勇気と力がレボリューション!!」

全員『シンクロ召喚!!』

菖「飛翔せよ!スターダスト・ドラゴン!!」
ゆり「現れよ、ブラックローズ・ドラゴン!!」
明「我が魂!レッド・デーモンズ・ドラゴン!!」
湊「舞い上がれ!ブラックフェザー・ドラゴン!!」
亜久里「降誕せよ、エンシェント・フェアリードラゴン!!」
レジーナ「進化せよ、ライフストリーム・ドラゴン!!」

ラブ、やよい「「お~~~~~~~~っ!!」」(感動

~極星神~
湊「星界の扉が開くとき、古の戦神がその魔鎚を振り上げん!大地を揺るがし、轟く雷鳴とともに現れよ!!」
菖「星界より生まれし気まぐれなる神よ!絶対の力を我らに示し、世界を笑え!!」
明「北辰の空にありて、全知全能を司る皇よ!今こそ星界の神々を束ね、その威光を示せ!!」

全員「「「シンクロ召喚!!」」」

湊「光臨せよ、極神皇トール!!」
菖「光臨せよ、極神皇ロキ!!」
明「天地神明を統べよ!最高神、極神聖帝オーディン!!」

やよい「………はふぅ………」(ぱたり
みゆき「や、やよいちゃん??!!」Σ(○Д○;
なお「だ、大丈夫??!!」
あかね「って、またこのパターンかいな!!」


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えりかとひめのファッションショーpart14~世界最高峰の名探偵~

タイトルの通りです
誰になるかは、皆さん、予想できてるような気がしますが……タイトルとコスプレの内容はあくまでも私個人の意見ですので、不平不満はご遠慮ください
(まぁ、大多数の人が同じことを思っているからこういうことになってるんだと思いたいんですが……)

ちなみに、今回は都合上、湊に人類史最後のマスターを、誠司にもう一人の裁定者(ルーラー)を演じてもらっています


それと、回答期限が過ぎましたので、アンケートは削除させて頂きます
皆様の御協力、誠にありがとうございました
アンケート結果をもとに、ストーリー描写を行いますので、いましばしお待ちください!


菖「……自己紹介が必要かな?私は探偵だ。英雄を望んでいたのならば残念と言うほかないが……探偵や推理家を所望なら、君は最高のカードを引き当てた」

 

~MH組~

なぎさ「おぉ、いかにもイギリス紳士な感じだ!」

ほのか「周りのあれは、レンズかしら?」

 

~S☆S組~

咲「探偵……ってことは、ホームズ?!」

舞「探偵や推理家で最高のカードを引き当てたって言ってるものね」

満「……強いのかしら?」

薫「バリツという武術を使うらしいわよ?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉっ!『真実はいつも一つ!』の人?!」Σ(○▽○

りん「いやそれは『見た目は子ども、頭脳は大人』の名探偵だから」(-Д-;

うらら「ということは、ワトソンさんは……」

こまち「ふふふ、この名探偵こまちとどちらが上か……」(-ω-

かれん「比べるまでもない気がするわ……」ε-(-Д-;

くるみ「ほんとね……」ε-(-Д-;

 

~フレッシュ組~

ラブ「へぇ、今度は探偵さんかぁ」

美希「なぜかしらね?菖さんだったらホームズというよりも銭形平次とか八丁堀のほうが似合いそうな……」

祈里「あはははは……」

せつな「探偵……なぜかしら、すべてを見透かされていそうなあの目は……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「今度はシャーロック・ホームズです!」

いつき「そういえば、菖さん、ホームズ好きだったよね?」

ゆり「好きだけれども、シャーロキアンを名乗るのは恐れ多い、と話してたわね」

 

~スイート組~

響「どこに隠れていようと、痕跡は必ず残るもの……」

奏「って、またその格好?」

エレン「響、案外、それにはまったんじゃ?」

アコ「バカっぽい」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!!探偵さんだ!!」

あかね「最高のカードを引いたて、あんたどんだけ自分に自信あんねん?!」

やよい「わぁ~!!」(○▽○*

なお「あの周りにあるのって、レンズ、だよね?」

れいか「そのようですが……」

あゆみ「なんだか、ものすごく落ち着いた菖さんって感じがする」

 

~ドキドキ!組~

マナ「シャーロック・ホームズ?!」

六花「世界最高峰の探偵……確かに、その通りね」

ありす「はい。時のロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)がその捜査手法を教本にした、とされているほどですし」

真琴「へぇ……」

亜久里「イギリスといえば紳士淑女の国、まさに菖さんにぴったりですわ!」

レジーナ「なぁんか強そう♪ねぇねぇ、遊んでよ!」

 

~ハピネスチャージ組~

リボン「たたたた、探偵!変わルンルン!!」

めぐみ「わたしたちも!」

ゆうこ「探偵になって捜査を……」

いおな「いや、手伝わないほうがいいと思うけれど……あれ?相楽くんは?」

まりあ「さっき、ひめちゃんとえりかちゃんに連れていかれたわよ?」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!探偵さんだ!!」

みなみ「案外、きららのいたずらをすぐに見抜いてしまいそうね?」(-▽-

きらら「むむっ!けど、それはそれでいたずらのし甲斐が……」(-ω-*

トワ「もう、きらら?知りませんわよ?」ε-(-Д-;

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「た、探偵ですとぉっ??!!」

ひまり「わ、わたしたちも似たようなものに……」

あおい「……なんのこっちゃ?」

ゆかり「さぁ?うふふふ♪」(-ω-

あきら「いや、全然違うと思う……」

シエル「むぅ~!なぜデュパンではないのかしら?!」(-H-

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!探偵、めちゃイケてる!!」(○▽○*

さあや「ふふふ、はなったらはしゃいじゃって」

ほまれ「ふふっ、まぁけど、いけてるのはほんとだよね」

えみる「た、探偵……かっこいいのです!」

ルール-「アンドロイドが相棒の探偵、というのはありなのでしょうか?」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「おぉっ!シャーロック・ホームズ?!これはキラヤバだ~ッ!」

ララ「誰ルン?」

えれな「地球で一番有名な探偵だよ」

まどか「もしかしたら、ブルーキャットと対決、なんてこともありえるかもしれませんね?」

ユニ「ふふ、でもわたしだって負けないニャン!」




おまけ

裁定者(ルーラー)大集合~
ひかり「サーヴァント、裁定者(ルーラー)。ジャンヌ・ダルク。お会いできて、本当に良かった!」
誠司「サーヴァント。裁定者、天草四郎時貞……誰かに似ています?他人の空似というやつですよ」
ことは「マルタ、改めて参りました。どんな姿でも、私は私です――迷いなく、あなたと共に世界を救います」
ももか「天秤の裁き、星の正義をここに。常世全ての善なる一端、アストライアと申しますわ。マスターたるあなたも、秤られる覚悟はよろしくて?」

みらい(オルテナウス・マシュ)「す、すごいです!裁定者クラスのサーヴァントの皆さんが大集合です!!」
リコ(ルネサンス期の天才)「ふふん♪これも君のこれまでの行動のなせる業、ということだろうさ、マスターくん♪」
湊(人類史最後のマスター)「な、なんというか、カオスだな……」

~やっぱりやりたくなる~
湊「令呪を以て命じる!宝具を解放し、勝利への道を開け!!」
菖「始めるとしよう――初歩的なことだ、友よ……《初歩的なことだ(エレメンタリー)()友よ(マイ・ディア)》」
ひかり「主の御業を此処に!――旗よ、我が同胞を守り給え!!《我が神は此処にありて(リュミノジテ・エテル・ネッル)》!!」
誠司「セット――ヘブンズフィール、起動!万物に終焉を……《双腕(ツインアーム)()零次収束(ビッグクランチ)》!!」
ことは「主よ、しばし目をおつむりください――愛を知らない哀しき竜よ、ここに……星のように!《荒れ狂う哀しき竜(タラスク)》!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!逃げ場はないわ!鉄・拳・聖・裁!!」
ももか「判決の(とき)ですわ!星の声を聞きなさい!!――裁定を下します。これはあなたの善の軽さ、そして、あなたの罪の重さ!さぁ、覚悟はできて?《裁きの時はいま(クストス)()汝の名を告げよ(モルム)》!!」

みらい、リコ「「って、えーーーーーーーっ??!!はーちゃん??!!カメさんになんてことを??!!」」Σ(○Д○;
ゆり「あら、元に戻ったわね」
明「てか、ももかのやつ、何言ってんだ?」(-ω-;
あゆみ「むぅ……わたしだって湊くんに命令されたいのに……」(-H-
みゆき「はっぷっぷ~??!!」Σ(○Д○;
あかね「あ、あゆみ?その発言、ちと危ないで?」(-Д-;


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えりかとひめのファッションショーpart15~獅子の瞳~

タイトルだけじゃわからないかもなので、ヒント

「ウルトラな8人兄弟の中で唯一、出身星が違う人」

これだけでわかる人はわかる(-▽-;
ちなみに今回は湊と誠司にも出てきてもらっています


あ、それとセリフはメビ○ウスで再登場したときのものになります


誠司「くっ……」

湊「ぐっ……」

菖「どうした?その程度か?」(-ω-

誠司「く……くそぅ……」

湊「……こ、これ以上、は……」

菖「その顔は何だ?!その目は?!その涙は何だ?!お前たちの涙で奴を倒せるのか……彼女たちを守れるのか?!」(○Д○#

 

~MH組~

なぎさ「き、厳し~……」( Д ;

ほのか「ふ、普段の菖さんだったら絶対あり得ないわね……」

ひかり「でも厳しい菖さんも……」

 

~S☆S組~

咲「ふ、普段だったら絶対ありえないナリ……」( □ ;

舞「けど、それだけ二人に期待している、ということかしら?」(-▽-;

満「スポ根ね」

薫「えぇ、まごうことなく」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「す、すっごく厳しい……」

りん「そうかな?」

うらら「もう少し厳しい人もいますよ?」

こまち「そこはやっぱり菖さんだからじゃないかしら?」

かれん「そういうものかしら?」

くるみ「さぁ?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「こ、このセリフは!!」

せつな「知っているの?ラブ」

美希「完璧にスポ根ね」

祈里「ちょ、ちょっと厳しいような……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「し、菖さん??!!」Σ( Д ;

いつき「い、いつも以上に厳しい?!」( □ ;

ゆり「時々、あぁなるのよ、菖は……」ε-(-Д-

 

~スイート組~

響、奏「「き、厳しい~……」」( □ ;

エレン「こ、これがスポ根……音吉(ry」

アコ「だ、大丈夫なの?あの二人……」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~??!!」Σ( Д ;

あかね「い、いきなしスポ根やな……」

やよい「お~っ!このセリフはおおと○げん!!ウル○ラマンレオだっ!!」(○▽○*

なお「け、けど大丈夫なの?あの二人……」

れいか「こればかりは……誰もが通る道なので……」

あゆみ「湊くん、がんばって!!」(>□<

 

~ドキドキ!組~

マナ「うわぁ~……これは厳しい……」

六花「なんだか、メランや最初にあったころのエースを思い出すわね……」

ありす「おそらく、その数段は厳しいかと」(^ω^

真琴「……ありすがなんで笑っていられるのかわからない……」(-ω-;

亜久里「む~っ!わたくしはあそこまで厳しくありませんわ!!」( H メ

レジーナ「……なんか菖お兄ちゃんこわい」( Д lll

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「がんばれ~っ!誠司~~~っ!!」(>□<

ゆうこ「うふふ♪」

いおな「い、いつもの菖さんだと考えられないスパルタ……」

まりあ「あらあら♪」

 

~プリンセス組~

はるか「き、厳しい~……ミス・シャムール以上だよ~」(・Д・;

みなみ「きらら、念のために言っておくけれど」(--;

きらら「しないって、さすがにこの状況でやったら何やられるかわかんないもん」

トワ「この状況でなかったら何かするつもりでしたのね?」(-ω-;

 

~魔法使い組~

みらい「き、厳しい……」

リコ「きょ、教頭先生ほどじゃ、な、ないし……」((((○Д○;)))

ことは「は~……」(○Д○;

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「うわぁ……厳しすぎなんじゃ……」

ひまり「い、いつもの感じじゃないです……」

あおい「うへぁ……」

ゆかり「うふふ、ちょっとからかってこようかしら?」(-ω-*

あきら「やめなって、ゆかり」( ω ;

シエル「Oh……こ、これは……」( □ ;

 

~Hugっと!組~

はな「メガめちょっく!!」Σ(○Д○;

さあや「す、すごいスパルタ……」

ほまれ「そうかな?……いや、まぁ、確かにそうかも?」

えみる「フレフレ、湊さん!」

ルール-「フレフレ、相楽さん!」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「き、キラヤバ~……」

ララ「……?あのリング、どこかで見たことがあるような……?」

えれな「すっごいスパルタ……」

まどか「えぇ……ここまでスパルタなのも今時珍しいです」

ユニ「ん?あのリングはもしかして……」




おまけ

~何があったの?~
ゆり「それで?なんで二人がボロボロな状態だったの?」
菖「いやぁ、厳しめに稽古をつけてほしいって言われて、つい熱が、ね……」
つぼみ「け、結構スパルタになるんですね……」
ひかり「正直、すごく意外です……」
舞「普段の菖さんじゃ絶対やらなさそうですもんね」
いおな「むしろ、何か逆鱗に触れることしたのかって思ったくらいですし……」
菖「おいおい、俺はそこまで危険人物じゃないぞ?」(-▽-;

~稽古のそのあと:湊とあゆみ~
湊「うあぁ……つ、疲れた……」
あゆみ「大丈夫?」
湊「あんまり大丈夫じゃない……厳しめに頼むっては言ったけど、ちと厳しすぎだろ……」
あゆみ「あはは……お疲れ様、少し寝てていいよ?膝、貸す?」
湊「……できればお願いします……」(/// ///
あゆみ「うふふ♪はい、どうぞ」

みゆき、あかね、やよい「「「お~~~~~っ!!」」」(○▽○*
なお「いや、だから覗きは……」
れいか「なお?わたしもあなたも人のことを言えませんよ?」(-▽-;

~稽古のそのあと:誠司とめぐみ~
めぐみ「大丈夫?」
誠司「……あんまり大丈夫じゃない……」
めぐみ「誠司が弱気なんて、ちょっと珍しいかも?」
誠司「言うなよ……」
めぐみ「あはは、むくれちゃって。かわいい♪」

ゆうこ「うふふ♪甘々ね♪」
いおな「めぐみに素直に甘える相楽くんというのも、珍しいわね」
まりあ「あらあら♪これぞ青春ね♪」


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えりかとひめのファッションショーpart16~鬼の大旦那~

ハロウィンということで仮装回
といっても、あやかしになるわけですが
ちなみに、元ネタは「かくりよ○の宿飯 あや○しお宿に嫁入りします」でござい

なお、今回は中の人ネタだったりします


菖「ハロウィンらしくって言われて"(これ)"か……」

パフ(人間状態)「パフは旅館の女将さんパフ!」

菖「ははは、小さい女将さんだな」

 

~MH組~

なぎさ「菖さんが鬼になっちゃった?!」

ほのか「でも、優しそうな鬼よね?」

ひかり「……むぅ~……」(-H-

 

~S☆S組~

咲「これがほんとの鬼主人?!」

舞「もぅ、咲ったら……」(-▽-;

満「でも、鬼武者とはまた違う雰囲気なのね」

薫「あれもあれで強そうな気がするわ」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「しょ、菖さんが鬼になっちゃったぁっ??!!」Σ( Д ;

りん「いや、コスプレだから!」

うらら「でも、いつぞやの鬼武者よりも優しい雰囲気がします!」

こまち「妖怪の世界に迷い込んでしまった女子大生は、おじいさんと縁があったという鬼が主人として働く旅館の女将として働くことに……」(サラサラ

かれん「そういえばいつだったかのハロウィンパーティーも……」

くるみ「鬼だったわね、菖さん」

 

~フレッシュ組~

ラブ「もしかしなくても、菖さんって鬼が好きなのかなぁ?」

美希「案外そうなのかもしれないわね」

祈里「そうだとしても、優しい鬼だよね?」

せつな「そんな鬼もありなのかしら?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「む~……」(-H-

ゆり「つーん」

いつき「あははは……菖さん、早く戻ってきてくださいお願いしますほんとに」(;▽;lll

 

~スイート組~

響「菖さんが鬼かぁ……よぉし!わたしも!!」

奏「だからなんで音叉を出すのよ?」

エレン「菖さんが鬼ならわたしは……って、姫様?」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~?!」

やよい「アカオーニみたいな感じにならなくてよかったぁ……」

あかね「やよいちゃん、アカオーニにめっちゃ泣かされてたしなぁ」

なお「そういえばそうだったね~」

れいか「いまの菖さんを見たら、オニニンはなんて言うんでしょうね?」

あゆみ「なんでこう、菖さんって和服が似合うのかな?」

湊「着慣れてるからじゃね?」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉ、菖さんが鬼さんになっちゃった!」

六花「でも雰囲気が優しそうだから、あんまり怖くないわね?」

ありす「うふふ♪ハロウィン限定で従業員に妖怪やお化けのコスプレをさせるというのも面白そうですわ♪」

真琴「……なんというか、ありすってほんとありすよね……」

レジーナ「あれ?亜久里は??」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「あはは、菖さんが鬼になってる!!」

ゆうこ「けれど、優しそうな鬼でよかったわね」

いおな「……よかった、鬼武者じゃなくてほんとによかった……」

誠司「ひ、氷川?なんかすっげぇ震えてっけど大丈夫か?」

まりあ「それだけ菖くんとの稽古が厳しいってことなのかもしれないわね~」

 

~プリンセス組~

はるか「し、菖さんが鬼になっちゃった……」

みなみ「怒ると角が生えることがあったから、まさかとは思ったけども……」

きらら「……さて、どんないたずらしよっかな~」(-▽-

トワ「知りませんわよ、きらら?」

 

~魔法使い組~

みらい「菖さんが鬼なら!」

リコ「わたしたちはこの格好ね!」

ことは「はー!魔法学校の制服だし~!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「お~……なぜかしっくりくる!」

ひまり「うぅ……なんで鬼なんですかぁ……」

あおい「いや、たしかに似合ってるけどさ」

ゆかり「うふふ、わたしはさしずめ化け猫かしら?」

あきら「いや、そのまんまだよね?」

シエル「Ulala……それならわたしは……」

 

~Hugっと!組~

はな「お~!菖さんが鬼さんになっちゃったよ!!」

さあや「でも、菖さんって普通の鬼よりも鬼武者のほうが似合ってる気が……」

ほまれ「あ~、それ言えてるかも」

えみる「ルールー!今年もやりましょう!!」

ルール-「はい!」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「お~!鬼だぁ!!」

ララ「あれもUMAルン?」

えれな「UMAじゃなくて、妖怪かな」

まどか「カッパードやテンジョウとある意味同じなのでしょうか?」

ユニ「それ言ったら、わたしなんて化け猫にゃん」




おまけ

~あやかしお宿にようこそ~
菖「俺が大旦那で」
パフ「パフが女将さんパフ!」
アコ「なんでわたしがこんな格好を…」(座敷童
亜久里「しなければならないのですか!」(カッパ

エレン「姫様、かわいい!!」
マナ「亜久里ちゃんがカッパさんに??!!」
六花「な、なんというか、すごく珍しいこともあるのね……」
ありす「あらあら、うふふ♪」

~鬼武者~
菖「……で、鬼武者か」
ゆり「あら、よく似合ってると思うわよ?」
つぼみ「はい!こんな鬼さんなら頼もしいです!!」
ひかり「こっちのほうがしっくりします!」
いおな「たしかにこっちのほうが見慣れてるわね」

~鬼勢ぞろい~
菖(鬼武者)「第二封印(セカンドシール)解除(パージ)!!」
先代セイバー(鬼の大旦那)「ほぉ?これはまた……」
やよい(インフェルノ)「旭とともに!!」
オニリン(アカオーニモード)「悪い子は、いねがぁぁぁっオニ!!」

ひかり「これはこれで圧巻です……」
つぼみ「お、鬼が勢ぞろいです!!」
ゆり「……えりかとひめはあっちで燃え尽きてるみたいだけども」
いおな「大丈夫じゃないですか?満足そうな顔してますし」


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えりかとひめのファッションショーpart17~仙界に住まう修行者~

みなさん、藤崎竜先生の「仙界大戦 封神演義」をご存じだろうか……
覇穹を全部見れなくて若干、落ち込んでたりします、私は

あ、今回から最新話のタイトル前に「・」をつけることにしました

菖「……消し忘れ、注意だな」
斗真「消し忘れるからいままでやりたくなかったんだけどね……」


菖「なるほど、俺が普賢真人で」

明「俺が太公望ってわけか……かっかっか!こりゃ面白い組み合わせだのぉ!!」(-▽-

菖「なんか、さっそく乗ってるね、望ちゃん」(-▽-;

 

~MH組~

なぎさ「穏やかな菖さんとどこかつかみどころのない明さん……」

ほのか「まさにあの二人そのものね♪」

ひかり「……もしかして、明さんの正体って仙人だったりするんでしょうか?」

 

~S☆S組~

咲「え??誰?」

舞「太公望は封神演義に登場する道士で、普賢真人は崑崙山に住まう十二人の仙人の一人よ」

満「強いのかしら?」

薫「強いんじゃないかしら?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「な、なんか明さんが宇宙人みたいな恰好してる……」

こまち「そ、それはないんじゃないかしら……」(^^;

かれん「疑いたくは……なるけどもね」(^^;

くるみ「否定できないのは明さんだからかしらね?」(-▽-;

 

~フレッシュ組~

ラブ「え~と……あ、そうだ。仙人だ!」

美希「というか、明さん、あれは完璧にはまり役ね……」

祈里「うふふ、だって明さんは普段おちゃらけてるけど、実はいろいろ考えてるもの」

せつな「……そのせいで宇宙人なんじゃないかって疑いたくなることがあるけどもね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「な、なんだかいつも以上に明さんの考えが読めないです……」

いつき「明堂院流の中でもかなりのトリックスターなんだけど、余計に読めない……」

 

~スイート組~

響「お~い、奏~?」

奏「読めないイケメンとふわふわ系イケメン……じゅるり……」(^q^

エレン「……だめね、これは」

アコ「ほんと、イケメン大好きよね、奏は」

 

~スマイル組~

みゆき「なんだかわからないけど、絵本に出てきそうな雰囲気の人たちだね~」

あかね「って、あの二人はまたなにやっとんねん……コミケにでも行くつもりなんか?」

やよい「今度は本格的なコスプレだぁ!!」

なお「な、なんか反応に困るなぁ……」

れいか「えぇ……」

あゆみ「なんというか、もうコスプレじゃないかな……」

湊「あははは……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「崑崙十二仙と道士だ!」

六花「崑崙一の怠け者道士とその同期だったわね」

ありす「あらあら♪」

真琴「剣を使う仙人はいないのかしら?」

亜久里「そもそも、仙人と言われてもあまりイメージがわかないのですが……」

レジーナ「同じく~」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「仙人っておひげのおじいちゃんじゃなかったっけ?」

ゆうこ「けど楊戩(ようぜん)とか黄天化(こうてんか)は若い姿で描かれていたような……」

いおな「たしか、那吒太子(なたたいし)もそうだったような気がするけど……」

誠司「ゆうこといおなが詳しいのは、ちょっとびっくりだな」

 

~プリンセス組~

はるか「せ、仙人?」

みなみ「見えないわね、ちょっと……」

きらら「てか、明さん、宇宙人っぽい……?」

トワ「それを言ったら、菖さんの頭の上にある光の環は……」

 

~魔法使い組~

リコ「仙人?……陰陽師と同じで、ナシマホウ界の魔法使いみたいなものなの??」

みらい「う~ん……陰陽師とは違って、不老不死で水をお酒に変えたり動物になったり……」

ことは「は~……?」(○Д○

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「仙人?」

ひまり「仙人、ですよね?」

あおい「なんでひげ面じゃないんだ?」

ゆかり「ふ~ん?若い仙人というのもあるのね?」

あきら「仙人は不老不死だっていうから、若いのは当然なんじゃ……」

シエル「というか、明さん、なんかぬいぐるみみたいになってる……」

 

~Hugっと!組~

はな「な、なんか明さんがぬいぐるみみたいになってる……」

さあや「これはちょっと反応に困るというか……」

ほまれ「むしろなんでこうなったの?」

えみる「はっ!もしや菖さんと明さんの正体は仙人で、何千年も昔から生きてきたのでは……」

ルール-「時折、身体能力及び知力からそう疑いたくはなりますが……その可能性はかなり低いですよ、えみる」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「仙人?!」

ララ「何ルン?」

えれな「中国で修行した人がなれるすごい人、だったっけ?」

まどか「えぇ。不老長寿を達成した方々を総じて仙人と呼ぶそうです」

ユニ「ふ~ん?(……あれ?明さんの今の姿、なんかどっかで見たような……)」




あとがき代わりのおまけ

~仙界一の仙女ver1~
ゆり「な、なんでわたしが竜吉公主なのよ?!」
菖「いや、ゆり以外考えられなかったし。竜吉公主って言われたら」
ゆり「……な……な……な……」(///□///
明「お~お~、月影の顔がトマトになってらぁ」(-▽-

~仙界一の仙女ver2~
みなみ「で、今度はわたしなんですね?」
はるか「みなみさん、素敵です!」
きらら「みなみん似合ってる~♪」
トワ「まったく違和感がありませんわ!」
菖「まぁ、公主ってのは中国語で「姫」に相当する言葉だからなぁ……海の公主(プリンセス)なわけだし、ピッタリなんじゃない?」
みなみ「……うぅ……」(/// ///

~悪の仙女三姉妹~
まりあ「あらん?わたしが妲己なのねん♪」
りん「で、あたしが王貴人で」
うらら「わたしが胡喜媚なりっ☆」
菖「うららとりんはともかく、なんでまりあさんが……」
明「……いかん、俺、いまのまりあさんに魅惑(テンプテーション)されたら勝てる気がしねぇ……」
菖「おいおい……」

~好敵手~
明「申公豹か……ピエロみたいな格好だが、こういうのもわるくねぇな」
菖「面白そうだからって首突っ込まれたりひっかきまわされたりする側はたまったもんじゃないけどな」
明「気に入りませんねぇ、私の美学に反します」(・言・
菖「えぇい雷公鞭をかかげるでない!!」( Д ;

~始まりの人~
菖「で、王奕(おうえき)、もとい伏羲(ふっき)の姿、と」
ゆり「あら、黒だなんて珍しいわね?」
菖「そうか?」
ゆり「えぇ。でも似合ってるわ♪」
菖「……ん、ありがとう」


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えりかとひめのファッションショーpart18~遠い昔、遥か彼方の銀河系で~

今月、ラストエピソード公開という発表を聞きつけて、ついやってしまいますた
すでにつばめさんが行いましたが、私の方でも二人セットで(許可はもらっています)


菖(オビ=ワン・ケノービ)「和装ってわけじゃないけど、シンプルでいいな、こういうの」

明(アナキン=スカイウォーカーEp3ver.)「あぁ、俺も嫌いじゃないぜ♪」

 

~MH組~

なぎさ「菖さんと明さんがジェダイの騎士になっちゃった!」

ほのか「ふふふ、二人ともとても似合ってるわね」

ひかり「そういえば、ジェダイの服装って和服に似てますよね?」

 

~S☆S組~

咲「ジェダイの騎士なり!」

舞「二人とも絵になるわね♪」

満「……わたしは明さんと」

薫「……なら、わたしは菖さんと勝負かしら」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉっ!!ジェダイナイトだ!!」

りん「って、ここでも白と黒かい!!」

うらら「これはこのまま映画出演でしょうか?!」

こまち「……ふ……ふふ……ふふふふふふ……」(サラサラ

かれん「こ、こまち……」

くるみ「火がついちゃったみたいね……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「絶対、この二人がジェダイになったら……」

祈里「明さんなら暗黒面からも復活しそう」(^ω^;

せつな「言えてるわね……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「今度はジェダイです!」

いつき「二人がジェダイになったら絶対最強だよ……」

ゆり「むしろ、御剣くんが菖に迷惑をかけそうね……」

 

~スイート組~

響「おぉ……二人ともカッコイイ!!」

奏「あぁ……もうだめ……」(くらぁ

エレン「奏……」(-ω-;

アコ「いつも思うけど、ほんと奏は……」(-ω-;

 

~スマイル組~

みゆき「お~っ!!ジェダイナイトだぁ!!」

やよい「わ~っ!!いいな~っ!かっこいいな~っ!!」

あかね「あん二人やったら、もう「最強のジェダイマスター」名乗ってももえぇのんとちゃう?」

なお「いやぁ、明さんはわかるけど菖さんって……」

れいか「どちらかというと途中で倒されてしまう方、でしょうか?」

あゆみ「で、でもひょっこり復活しそうな感じはするよね?」

 

~ドキドキ!組~

マナ「明さんと菖さんがジェダイマスターだ!!」

六花「明さんはダークサイドに堕ちかねない恰好してるわね……」

ありす「そうなっても、明さんなら戻ってきそうな気はしますわ♪」

亜久里「お二人ともブラボーですわ!!」

レジーナ「んふふふ……面白そう!ちょっと戦お(遊ぼ)っかな~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!!今度はジェダイ?!」

ゆうこ「明さんだったらダークサイドに堕ちても戻ってきそうね♪」

いおな「それなら菖さんはさしずめジェダイ最後のマスターかしら?」

まりあ「あらあら、二人とも大活躍しそうね♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!今度は白と黒のジェダイの騎士!!」

みなみ「なぜか見慣れているような気がしないでもないわね……」

きらら「菖さんは同じカラーリングだからじゃない?」

トワ「まったく違和感がないのが不思議ですわ……」

 

~魔法使い組~

みらい「今度はジェダイの騎士!」

リコ「なぜか不思議な雰囲気がする服装ね……」

ことは「わたしも着てみた~い!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「ジェダイですとぉっ!」

ひまり「お二人ともすごく似合ってます!」

あおい「てか、明さん、暗黒面に墜ちたりしないよな?」

ゆかり「あら?堕ちても戻ってきそうだけれど?」

あきら「否定できないね、なぜか」

シエル「Ulala……ここでも明さんははまり役なのね……」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!二人ともめっちゃいけてる!!」

さあや「ライトセイバー、R2-D2、ヒューマノイド、アンドロイド……うふふふふふ」

えみる「ルールーもヒューマン型アンドロイドなのですが……」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「キラやば~っ!!」

ララ「星空連邦にも似たような団体がいたような……」

えれな「なんだか和服っぽいね?」

まどか「えぇ。ですが、洗練されたデザインです」

ユニ「……あの二人には絶対挑戦できないわ……」




おまけ

~集う騎士たちと従者~
美希「着てはみたけど……」
真琴「これ、どういう基準なの?」
ほまれ「てか、なんでわたしまで……」
ルールー(P3-PO)「わたしに至ってはなぜこの姿に?首だけは元のままですが……」

菖「えぇっと……えりかからの手紙だと、『ジェダイと言えば、やっぱりライトセイバー。ライトセイバーは剣っしゅ!あとはわかるよね?!』だそうだ」
真琴「あぁ……(ソード)、ね」
美希「……やめて、わたしを見ないで……」(;▽;
ほまれ「……ん?じゃあわたしは??」
菖「技が"斬る(スラッシュ)"だからじゃね?」
ほまれ「……なんというか、こじつけだよね、それ……」(-□-;
菖「ははは……で、ルールーは……ヒューマノイドだからじゃね?」(-▽-;
ルールー「おぉ……なんて適当な理由なんでしょう……(わたくし)の扱いって、いったい……」
菖「おいおい……」

~暗黒面~
誠司(暗黒卿)「兄貴たちがジェダイだから」
湊(ダースベイダー)「俺たちがシス、と?……なんかそれもそれでなんだかな(シュコー……シュコー……)」
明「なら、俺は思いっきりやっていいってことだよな?」(^言^
菖「やめい!」(-□-;


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えりかとひめのファッションショーpart19~入れ替え~

いやはや、もう一年も終わりですか……
次回作のタイトルもタイトルデザインも発表されましたし、さてさて、タイミングを考えなければですな……

まぁそれはともかく、忘年会的なノリでチーム内の特定メンバーとの入れ替えとものまねです
誰が誰をやるかは見てからのお楽しみ!
てなわけで本編どうぞ


~MH組~

なぎさ→キュアホワイト

ほのか→キュアブラック

ほのか「光の使者!キュアブラック!!」

なぎさ「光の使者!キュアホワイト!!」

なぎさ、ほのか「「ふたりはプリキュア!!」」

 

ひかり「お二人とも、そっくりです!」

 

~S☆S組~

舞→キュアブルーム

咲→キュアイーグレット

舞「輝く金の花!キュアブルーム!!」

咲「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!!」

咲、舞「「ふたりはプリキュア!!」」

 

満「二人とも、楽しそうね」

薫「気持ちはわからないでもないけれどね」

 

~5GoGo!組~

うらら→キュアドリーム

のぞみ→キュアレモネード

うらら「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」

のぞみ「はじけるレモンの香り!キュアレモネード!!」

 

 

りん「のぞみがレモネードってのもなんか違和感が……」

こまち「あら、でも二人とも楽しそうよ?」

かれん「そういう問題かしら?」

くるみ「そういう問題じゃないと思うけど」

 

~フレッシュ組~

ラブ→キュアパッション

ラブ「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

 

美希「さすが、せつなに一途なラブ……完璧だわ」

祈里「あははは……」

せつな「な、なんだか少し恥ずかしいわね……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ→キュアムーンライト

ゆり→ユグドセイバー

つぼみ「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」

ゆり「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」

 

いつき「つぼみがムーンライトかぁ……」

菖「で、ゆりがセイバーと……」

 

~スイート組~

響→キュアリズム

奏→キュアメロディ

奏「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

響「爪弾くは、嫋やかな調べ!キュアリズム!!」

 

エレン「ただ入れ替えただけね……」

アコ「でも息ぴったり」

 

~スマイル組~

なお→キュアビューティー

れいか→キュアマーチ

れいか「勇気凛凛!直球勝負!!キュアマーチ!!」

なお「深々と降り積もる、清き心!キュアビューティー!!」

 

みゆき「え?え??れいかちゃんがマーチで、なおちゃんがビューティー??」

あかね「あ~、幼馴染コンビなだけあって、ほぼ完ぺきやね」

やよい「なおちゃんが奥ゆかしいっていうのは……」

あゆみ「なんか、ねぇ?」

湊「青木が勇気凛凛ってのも、なんかだがな」

 

~ドキドキ!組~

レジーナ→キュアハート

レジーナ「みなぎる愛!キュアハート!!」

 

マナ「レジーナかわいい!!もうキュンキュンだよ~!!」(>▽<

六花「落ち着きなさい、マナ……」(-Д-;

ありす「うふふ♪」

真琴「なんというか……よく見てるわね」

亜久里「まったくですわ……」

 

~ハピネスチャージ組~

いおな→キュアテンダー

まりあ→キュアフォーチュン

まりあ「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!!」

いおな「え、えっと、えっと……あ、あふれる慈愛の光!キュアテンダー!!」

 

めぐみ「いおなちゃんがすっごくてんぱってる……」

ゆうこ「あら?テンダーのセリフはオリジナルかしら?」

誠司「かもしれないな」

 

~プリンセス組~

はるか→キュアスカーレット

トワ→キュアフローラ

トワ「咲き誇る、花のプリンセス!キュアフローラ!!」

はるか「真紅の炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」

 

みなみ「あら……なんだか意外ね」

きらら「へぇ~、トワっちもはるはるもお互いのこと結構よく見てんだね~」

 

~魔法使い組~

みらい→キュアモフルン

みらい「モフモフ、モルフン!キュアモフルン!!」

 

リコ「意外なチョイスだわ……」

ことは「はー!モフルンだ~!」

 

~ア・ラ・モード組~

あきら→キュアマカロン

ゆかり→キュアショコラ

あきら「キュ、キュアマカロン!出来上がり!!」

ゆかり「キュアショコラ!出来上がり!!」

 

いちか「ふ、二人が入れ替わったですとぉ??!!」Σ(○Д○;

ひまり「しかもゆかりさん、ショコラになりきってます!!」

あおい「つか、楽しんでないか?ゆかりさん」

シエル「あきらはちょっと恥ずかしがってる感じね」

 

~Hugっと!組~

えみる→キュアアムール

ルールー→キュアマシェリ

えみる、ルールー「「みんな大好き!愛のプリキュア!!」」

ルールー「キュアマシェリ!」

えみる「キュアアムール!」

 

はな「おぉっ!めっちゃイケ……てるけど、ただ入れ替わっただけだよね?」

さあや「あははは……」

ほまれ「なんか、小さくなったルールーと大きくなったえみるを見てる感じがする」

 

~スター☆トゥインクル組~

えれな→キュアセレーネ

まどか→キュアソレイユ

まどか「宇宙を照らす、灼熱の煌めき!キュアソレイユ!!」

えれな「夜空に輝く、神秘の月あかり!キュアセレーネ!!」

 

ひかる「キラヤバーッ!!」

ララ「観星中の月と太陽が入れ替わったルン!」

ユニ「これはこれで貴重ね」




おまけ

~ユニ百面相~
ユニ「ふっ……レインボー星人のわたしなら……」
ひかる「……へ?」
ソレイユ(ユニ)「チームみんなの変装なんて」
えれな「わ、わたし?!」
セレーネ(ユニ)「朝飯前、です!」
まどか「こんどはわたしです!?」
ミルキィ(ユニ)「どうルン?」
ララ「ルン??!!」
スター(ユニ)「キラヤバーっ!でしょ?」
ひかる「キラヤバーッ!……しっぽ以外は全部完璧だね」
ユニ「なっ……」(///□///
菖「頭隠してしっぽ隠さず?」
ゆり「言いえて妙ね」
ユニ「……恥ずかしいニャン……」


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えりかとひめのファッションショーpart20~人類史、最後のマスター~

いつのまにやら20回……
てわけで、意図せずして20回記念になってしまいましたが、タイトルの通り、マスターに扮してもらうことにしました

なお、本文よりもおまけのほうに力が入ってる感じがするのは気のせいです……えぇ、気のせいですとも……
代弁させましたが、おまけについて野暮なツッコミはなしということで(だってあくまでコスプレですしおすし

なお、これが年内最後の投稿になります
年明け一発目は……ふむ、これだけ言わせていただこう
明けてすぐに出します

では、みなさま、よいお年をお迎えください


菖「俺は藤丸立香。印象的な自己紹介じゃなくて、申し訳ない」

 

~S☆S組~

咲「なんだか、いかにも平凡って感じなり」

満「けれど、なんでかしら?戦ってはいけない気がするわ」

薫「というより、戦って無傷ですむ保証がなさそうね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「あたし、夢原のぞみです!」

うらら「春日野うららです!女優を目指してます!」

りん「って、何自己紹介してんのよ、あんたらは!!」(-□-;

こまち「2016年以降、人類の存在が保障されないことを知った国際機関が急きょ人員を徴収し……」(サラサラ

かれん「なんというか、すごく穏やかそうな感じね?」

くるみ「けど、あんまり強くなさそうな気がするのはなんでかしら?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「なんというか……」

美希「完璧に一般人ね」

祈里「これが明さんだったらもっとかっこいいのかな?」

せつな「祈里、それは菖さんに失礼よ」

 

~スイート組~

響「なんというか……すっごく普通!」

奏「いつもの菖さんのような気がするわね?」

エレン「たしかに、あんまり変わらないわよね?……あら?姫様は??」

 

~スマイル組~

あかね「なんや今までの中で一番(いっちゃん)変わりあらへんような気ぃするんやけど?」

なお「気のせい、じゃなさそう?」

れいか「ですが、芯の強さのようものは感じます」

 

~ドキドキ!組~

マナ「なんだかちょっとかっこいいかも?」

六花「そうかしら?わたしにはごくごく平均的な人に見えるけど」

ありす「うふふ♪」

真琴「な、なぜかありすの顔が怖いわ……」

レジーナ「あれ?亜久里は??」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「わたし、愛野めぐみです!」

ゆうこ「大森ゆうこです」

誠司「だからなんで自己紹介してんだよ……」

まりあ「うふふ♪」

 

~プリンセス組~

みなみ「そうね……なんだか、逆に意外だわ」

きらら「あれ?そういえば、はるはるとトワっちは??」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「あたし、宇佐美いちか!スイーツ大好き!中学二年生!!」

ひまり「な、なぜ自己紹介を?」

あおい「さぁ?」

ゆかり「うふふ、なんだか面白そうね♪」

あきら「そ、そうかなぁ?」

 

~Hugっと!組~

はな「わたし、野々はな!十三歳!!」

さあや「さあやです」

ほまれ「ほまれ」

えみる「えみるなのです」

ルール-「ルールーです……ところで、なぜみなさん、自己紹介を??」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「わたし、星奈ひかる!宇宙と星座が大好きな中学二年生!!」

ララ「羽衣ララルン!」

えれな「な、なんで自己紹介してるのかな?」

まどか「さぁ?」

ユニ「意味が分からないわ……」




おまけ

~いなかった人たちも……~
なぎさ(パリス)「わ、わたしも?!ぶっちゃけありえな~い!!」Σ( Д ;
ほのか(北斎)「おぅおぅ、何を今更、初心なこと言ってんだい?」(-▽-
ひかり(ジャンヌ)「ま、またジャンヌ・ダルクですか?!」
舞(沖田さん)「わたしこの格好、嫌いじゃないのよね♪」
ゆり(エレシュキガル)「お、おかしくないかしら……」(/// ///
つぼみ(景虎)「とってもお似合いです!ゆりさん!!」
いつき(デオン)「お、おかしくないかな?」
アコ(アストルフォ)「大丈夫大丈夫!似合ってるよ、いつき♪」
みゆき(刑部姫)「も~、まーちゃんのばかーーーっ!!」(///H///
やよい(インフェルノ)「また、鬼……」
あゆみ(ブリュンヒルデ)「あぁ……困ります……なぜ、湊くんがシグルドに……」
湊(シグルド)「……仮面だからといって、これはどうなんだ?」
亜久里(ノッブ)「……また信長であるか……ま、是非もないネ☆」
いおな(源頼光)「……こ、このピッチピチな服はどうにかならないんですか?!」
はるか(アマゾネスC.E.O)「そう、アマゾネス・ドットコムならね」
トワ(2019年のサンタサーヴァント)「では、参りましょう。すべての疾病を撲滅しに!」
みらい(マシュ)「マシュ・キリエライト、全力を尽くします!」
リコ(たわわのアサシン)「一生懸命頑張りますけど、失敗したらごめんなさいね?」
ことは(メルト)「せいぜい、楽しませてちょうだい?」
シエル(ライネス)「いやはや、騒がしいことこの上ないねぇ」

菖「おぅ……」
えりか「正直、かなりカオスっしゅ……」
ひめ「まぁ、面白いからいいんじゃない?」
えりか「そだね!」
菖「いいのか、それで?!」

~専属サーヴァントは……~
ひかり、舞、ゆり、つぼみ、いおな『わたしです/よっ!!』
菖「まぁ、そうなるよなぁ……いいぞ、ばっちこいだ!」

なぎさ「ぜ、全員を専属に?!」
咲「な、なんという大胆さ……」
いつき「まぁ、菖さんだし」
めぐみ「うんうん、ラブだね!」
みらい「……あ、あの……魔力供給は大丈夫なんでしょうか?」
リコ「つっこむだけ、野暮だと思うわよ……」

~契約~
菖「略式版で申し訳ないが……告げる。我が命運は汝ら(・・)の剣に、汝らの身は我がもとに。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ!我に従い、我が言葉に応えよ、汝らが命運、われに預けるか否か!」
舞「剣士(セイバー)の名に懸けて」
ゆり、つぼみ「「槍兵(ランサー)の名に懸けて」」
いおな「狂戦士(バーサーカー)の名に懸けて」
ひかり「裁定者(ルーラー)の名に懸けて」
ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな『その誓いを受けよう!我らが主は汝/貴方/そなたであり、我らは貴方のサーヴァントなり!!』

なぎさ「ぜ、全員まとめて契約しちゃった??!!」
咲「ぶっちゃけ、ありえないなり~!!」
いつき「それ、なぎさのセリフじゃ……」


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えりかとひめのファッションショーpart21~蟲師~

知ってる人はいるのだろうか?と思いつつ、菖の特性を活かしたコスプレを一つ
今回、思い浮かばなかったのでおまけはありません、ご了承ください


菖「なんか、今回は服装よりもウィッグとかに力入れたのか?これ……」

 

~MH組~

なぎさ「く、くわえたばこ?」

ほのか「ふふ、少し不思議な雰囲気ね」

ひかり「ミステリアスな菖さんも……」

 

~S☆S組~

咲「なんだかミステリアス……」

舞「けど、なんだか惹かれるわね」

満「それは舞が菖さんに……」

薫「満、それ以上は藪蛇よ?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「あれ?この人、だれ??」

りん「って、なんでそうなんのよ?!」

うらら「白髪と翠の瞳……カツラとカラーコンタクトでしょうか?」

こまち「およそ遠しとされるもの、奇妙にして奇怪……」(サラサラ

かれん「あら、意外にこういうのも……」

くるみ「ミステリアスな雰囲気というのも、珍しいわね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「あ、あれ?菖さん、いつの間に白髪に……」

美希「いや、かつらだから、あれ」

祈里「けどなんだか妙にしっくりくるような……」

せつな「何故かしらね?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「な、なんで白髪なんでしょうか……」

いつき「けど、雰囲気が似てるというか……」

ゆり「まぁ、菖も言ってみれば探求者だものね」

 

~スイート組~

響「し、白髪?!」

奏「けど、白髪の菖さんもまた……」

エレン「これは……もしかして行商さん?」

アコ「言いえて妙?」

 

~スマイル組~

みゆき「な、なんかすっごく怪しい……」

あかね「あかん、あのまま歩かせたら浮浪者か不審者のどっちかや……」

やよい「おぉぉぉぉぉ……こ、これはまさか蟲師のギンコさん?!」

なお「む、虫ぃっ??!!」

れいか「な、なお……」

あゆみ「へぇ~。なんだか不思議な雰囲気」

湊「兄貴、白髪もいけるんだ……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「し、白髪?」

六花「な、なんだか意外ね……」

ありす「そうでしょうか?けっこうお似合いかと思いますが」

真琴「案外、いけなくもない?」

亜久里「……菖お兄様が……白髪に……」

レジーナ「なんか、いつもと雰囲気が違う?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「し、菖さんが白髪に??!!」

ゆうこ「あら?でもけっこういい感じじゃないかしら?」

いおな「悪くはないと思うわよ?」

誠司「ちょっと意外だけどな」

まりあ「うふふ♪」

 

~プリンセス組~

はるか「し、し、白髪ぁぁぁぁぁっ??!!」

みなみ「い、意外というか、なんというか……」

きらら「ふ~ん?案外いけてるんじゃない?」

トワ「皆さん、なぜ驚いているのでしょうか?」

 

~魔法使い組~

みらい「おぉっ、なんかすっごく不思議な感じ!!」

リコ「まさか魔法使い……なんてことはないわね」

ことは「髪の毛真っ白~っ!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「し、白髪、ですと……」

ひまり「やっぱりインパクトありますよね……」

あおい「いやいや、インパクトありすぎじゃね?」

ゆかり「あら?いつもと違う感じでミステリアスね?」

あきら「そうかな?」

シエル「わからないわ」

 

~Hugっと!組~

はな「し、白髪?!」

さあや「なんだかホラー映画とかに出てきそうな雰囲気ね♪」

ほまれ「ちょ、や、やめてよ……」

えみる「まさか、そのままお年を召されて、なんてことは……」

ルール-「ないと思いますよ」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「おぉっ!なんだか知らないけど雰囲気出てる!!」

ララ「なんで髪の毛が白いとびっくりするルン?」

えれな「まぁ、そりゃね……」

まどか「わたしたちと同年代で髪の毛が白いということにびっくりするのは当然かと……」

ユニ「いや、地球人の常識を言われても困るわよ」



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えりかとひめのファッションショーpart22~地獄先生~

ちょいと懐かしいのを
そういえば、封印を解くときの経文。原作とアニメとで違うですよね
原作だと白衣観音経なんですが、アニメだと完全オリジナルになっているそうです

個人的にはアニメ版のほうが好きなんですがね


菖「俺の生徒に、手を出すなぁっ!!」( □ #

 

~MH組~

なぎさ「こ、声大きすぎ!ありえない!!」Σ(・Д・;

ほのか「せ、生徒想いの先生、みたいね……」(-▽-;

ひかり「ちょ、ちょっと怖いかもですが……」

 

~S☆S組~

咲「おぉ~、なんだかものすっごく怒ってるなり……」

舞「でも、生徒を大切にしてるのがすっごくわかるわ」

満「強い、のかしら?」

薫「さぁ?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉ、なんだか熱血な先生だ!」

りん「助けを呼べばすぐに飛んできそうだけど……なんか、幸薄そう」

うらら「でも、いい先生みたいです」

こまち「霊能力をもつ小学校の先生が周辺地域で跋扈する妖怪を相手に……」(サラサラ

かれん「でも、菖さんだから先生っていうのもなんだかなっとくできるわね」

くるみ「あぁ、言えてるかも」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉ!今度は先生だ!!」

美希「な、なんか完璧にはまり役な気がするわね」

祈里「菖さん、確か視えるもんね」

せつな「でもあの格好……なんだか、二枚目半か三枚目の役になりそうな……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「今度は先生です!」

いつき「なんか、あんまり代わり映えしないような?」

ゆり「菖だからかしらね?」

 

~スイート組~

響「な、なんかすっごく熱い!」

奏「体育会系のさわやかイケメン……じゅるり♪」

エレン「か、奏?なんか目が怖いわよ??」

アコ「もうイケメンだったらなんでもいいのね、奏は……」

 

~スマイル組~

みゆき「お~!なんだかかっこいい!!」

あかね「いかにも熱血教師って感じやなぁ」

やよい「わ~!かっこいい~!!」

なお「や、やよいちゃん、目がすっごくキラキラしてる……」

れいか「うふふ♪」

あゆみ「なんだかかっこいいね♪」

湊「さすが、兄貴だぜ」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉ~!熱いハートの先生だ!!」

六花「バリバリ最強な感じね」

ありす「うふふ♪」

真琴「ありすの意味深な笑顔……これはまさかドラマ制作の流れ?」( ω ;

亜久里「ブラボーとは言い難いですが、熱いハートは伝わってきますわね」

レジーナ「にっしし、からかって遊んじゃおっかな~?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉ!すっごくかっこいいセリフ!!」

ゆうこ「うふふ、めぐみちゃんったらはしゃいじゃって」

いおな「けど、菖さんって、案外、教師が似合ってるのかも?」

誠司「なんか、普段の兄貴とずれてる気が……」

まりあ「けど、熱血なのもたまにはいいんじゃないかしら?」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!」

みなみ「ふふっ、かっこいいセリフね♪」

きらら「でもお金にだらしなさそうだよね~」

トワ「ふふ♪」

 

~魔法使い組~

みらい「お~!なんかかっこいいこと言ってる!!」

リコ「べ、別に守ってほしいわけじゃ……ちょっとは守ってほしいけど……」

ことは「はーっ!菖お兄ちゃん、かっこいい~」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「お~!」

ひまり「な、なんか熱いです」

あおい「へぇ~?なかなかロックじゃねぇか!」

ゆかり「ふふ、いたずらしたら面白い反応しそうね?」

あきら「ゆかり、やめなって……」

シエル「Ulala……なんだかいつもの菖じゃない感じね……」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!なんかイケてる気がする!!」

さあや「あの左手、もしかして……」

ほまれ「え?義手とかってオチじゃないよね?」

えみる「……まさか、左手だけロボットアームということが?」

ルール-「解析不能。少なくとも、機械の類ではないようです」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「熱血教師、キラヤバーッ!」

ララ「かっこいいルン!」

えれな「頼りになりそうだけど……」

まどか「頼りにならなさそうな気も……」

ユニ「暑苦しいにゃん……」




おまけ

~封印解放~
菖「宇宙天地、與我力量、降伏群魔、迎来曙光!我が左手に封じられし鬼の手よ、今こそその力を示せぇっ!!」
いおな「いや、鬼の手ってより……」
ゆり「……獅子の顔ね」
つぼみ「なんでここでその技を使っちゃうんですか?!」

~妖怪大集合~
ゆり(雪女)「なんでこんな長けの短い着物を?!」(//////メ
つぼみ(眠鬼)「な、なんでこんな恥かしい格好をーーーーっ??!!」(赤面涙目
舞(仙狐)「コ、コ~ン……は、恥かしいです……」(//////
いおな(人魚)「な、なんでこんな格好を……」(//////
ひかり(座敷童)「え~と?なんか、妖怪とはかけ離れた格好のような気が……」(-▽-;

菖「……」(//////
あかね「ん?なんや、菖さん??顔真っ赤にしt……」
菖「……(ばたり)……」
あかね「ちょっ??!!なんでや?!」
アコ「菖お兄ちゃん?!」
亜久里「鼻血の海に沈んでいますわ……」
咲「え~……」( □ ;
ほのか「五人の色気にやられちゃったかしら?」(-▽-;
なぎさ「え~……ぶっちゃけ、ありえない……」(-□-;


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えりかとひめのファッションショーpart23~慢心しない方の王様~

慢心+王様でだいたい誰かわかる(苦笑
とはいえ、金ぴかの方じゃなくて、術のほうの王様ですが

あ、おまけはありません
思い浮かばなかったんだから、是非もないネ!

さて、ヒーリングっどもひとまず勢ぞろいしたし……301話目あたりにでも顔合わせ回をつくらないとなぁ……


菖「……ふむ……王が眠りから覚めると、そこは冥府の底であった……などとぼけておる場合か!本当に死んでいるではないか、我ぇ!!」Σ( □ #

 

~MH組~

なぎさ「ちょっ?!な、なんか今までのなかで一番露出が!!」

ほのか「メソポタミア文明のころだから、これが当たり前だと思うけど……」

ひかり「~~~~~~っ!!??」(//////

 

~S☆S組~

咲「ま、舞?大丈夫??」

舞「……だ、だめ……」(//////

満「あらら、真っ赤ね……」

薫「今までのなかで一番露出が多いもの」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「な、なんかお腹出してる……寒くないの?」

りん「いや、そこなの?!突っ込むとこそこなの??!!」

うらら「し、菖さん……自分のことを『我』って……」

こまち「シュメール文明のころの人みたいだから、この衣装が普通みたいね?」

かれん「け、けど、あの……上半身裸に近いのは……」(//////

くるみ「し、しっかりして、かれん?!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「寒くないのかな?」

美希「完璧にキャラが違うわね……」

祈里「あ、うぅぅ……明さんのだって見たことないのに……」(//////

せつな「い、祈里?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「お、おへそが……おへそがぁっ!!」(///□///

いつき「つ、つぼみ?!」Σ( □ ;

ゆり「つぼみ、興奮しすぎよ……でもたしかに大胆ね」(//////

 

~スイート組~

響「うわぁ、すっごい露出……寒くないのかな?」

奏「イケメンのおへそ……はふぅ……」(ぱたり

エレン「いつになく露出が多いわね、今回」(無視

アコ「お腹冷やさないのかな?」(無視

 

~スマイル組~

みゆき「お腹冷えないのかな?」

あかね「って、突っ込むとこそこなん?!」

やよい「わぁっ!わぁっ!!キャス王だぁ!!」

なお「ちょ、ちょっとお腹……おへそ……っ!!」(///□///

れいか「うふふ、なおは意外に乙女ですね♪」

あゆみ「……れ、れいかちゃん?」

湊「いや、そういう青木はどうなのさ」(白目

 

~ドキドキ!組~

マナ「王様だ!」

六花「王様ね……」

ありす「王様ですわね♪」

真琴「いや、なんで上半身の露出があんななの?!」

亜久里「すこしはしたない気もしますが……古代人ということならばこれが普通なのでしょうか?」

レジーナ「王様ってことはわがまま言い放題?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「なんかいつもより露出が……っていおなちゃん?!」

ゆうこ「あらあら♪」

いおな「し、し、菖さん?!なんて格好してるんですか??!!」Σ(///□///

誠司「いや、古代人だし?」

まりあ「うふふ♪」

 

~プリンセス組~

はるか「今度は王様?!」

みなみ「古代メソポタミアの王、英雄王ギルガメッシュね」

きらら「ふ~ん?トワっち……」

トワ「お見合いなら致しませんわよ?きらら?」(^言^

 

~魔法使い組~

みらい「今度は王様!」

リコ「って、露出が激しくない?!」

ことは「……お腹冷えないの?」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんでおへそ出してぇっ?!」

ひまり「あぅ、えぅ……」(//////

あおい「おいおい、いつになく大胆じゃねぇか?」

ゆかり「あら、あきらどうしたの?顔が真っ赤だけど?」(-▽-

あきら「な、なにをっ??!!」Σ(///□///

シエル「Ulala……あきらってば意外に初心なのね……」

 

~Hugっと!組~

はな「メガめちょっくっ?!」

さあや「あの腕につけてるのはただの籠手かしら?それとも義手かしら?」

ほまれ「……って、上半身!裸と同じじゃないその衣装!!」Σ(///□///

えみる「ルールー?なぜ目をふさぐのです?見えないのです」

ルール-「えみるにはまだ早いと判断しました」(-ω-;

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「し、菖さんのおへそ……きらやばぁ」

ララ「オヨ~……」

えれな「ちょっ?!お、おへそ!!」

まどか「は、ははははハレンチです!!」

ユニ「そうかしら?」



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えりかとひめのファッションショーpart24~二人で一人の探偵~

今回は明さんにも出てもらいます
そういえば平成から続いた新作ライダー(あえてそう呼ぶ)も20年突入……
まぁ、ライダーの皮被ったコメディとか、無理やりライダーにさせられちゃったとかもありますけども(^^;


菖「こいっファング!」

明「オーケー、付き合ってやるぜ、相棒!!」

菖《Fang!》

明《Joker!》

明、菖「「変身!!」」

明、菖《Fang!Joker!!》

明/菖「「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

~MH組~

なぎさ「白と黒の最強タッグ!」

ほのか「やっぱりこの組み合わせが最強ね♪」

ひかり「で、でも大丈夫なんでしょうか、あれ……」

 

~S☆S組~

咲「明さんがハーフボイルドで、菖さんが悪魔の相棒なり!」

舞「な、なんだか危険な感じがするけれど……」

満「いつもより激しくなりそうね」

薫「ふふふ、楽しみだわ」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「だ、大丈夫なのかな……?」

りん「あ~、今のうちに避難する?」

うらら「これじゃどっちがストッパーなのかわかりません!」

こまち「どっちかというと、明さんが楽しくて狂っちゃう方だものね……」

かれん「むしろ逆のような……」

くるみ「でもこれはこれで面白い……?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!平成2期最初のライダー!!」

美希「なんだか完璧に逆のような気が……」

祈里「明さん、戦闘狂だものね……」(-▽-;

せつな「まぁ、これはこれでありなんじゃないかしら?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「し、ししし菖さんが暴走してます?!」Σ( □ ;

いつき「暴走するならむしろ明さんなんじゃ??!!」

ゆり「たしかに普段なら逆なのだろうけど……」

 

~スイート組~

響、奏「「え~~~~~っ??!!菖さんがファングメモリーを??!!」」Σ( □ ;

エレン「逆のような気がするのだけど……」

アコ「菖お兄ちゃんだって暴れたいってことかしら?」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~~~??!!」Σ( □ ;

あかね「な、なんで明さんがスットパー役なんっ?!むしろ一緒になって大暴れする方なんと違う??!!」Σ( □ ;

やよい「わぁぁぁぁぁっ!!ファング/ジョーカーだぁっ!!」( ▽ *

なお「や、やよいちゃん……」

れいか「だ、大丈夫でしょうか……」

あゆみ「あんまり大丈夫じゃない、かも?」

湊「……逃げるか」

 

~ドキドキ!組~

マナ「えぇぇっ?!……大丈夫なのかなぁ」( □ ;

六花「大丈夫じゃないでしょうね、これは……」

ありす「あらあら♪」

真琴「なんでこんな時でもありすは楽しそうなのよ?!」

亜久里「逆ではありませんか?!」

レジーナ「おっもしろそ~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「うぇぇっ?!」Σ( □ ;

ゆうこ「あらあら……」

いおな「いつもなら菖さんがストッパーなのに……」

誠司「おいおい、これ避難した方がよくないか?」

まりあ「うふふ♪明くん、おイタはめっ、よ?」(^言^

 

~プリンセス組~

みなみ「こ、これは……」

きらら「うわぁ……逃げないとかな、これ」

トワ「そうですわね……あら?はるかは??」

 

~魔法使い組~

みらい「し、菖さんが大暴走……」

リコ「あ、ありえないしっ?!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、な、なんですとーーーーーーっ??!!」Σ( □ ;

ひまり「ひ、避難しましょう!!」

あおい「あの二人が大暴れしたらあたしらも危ねぇぜ!」Σ( □ ;

ゆかり「そうかしら?ちょっと面白そうだけれど」

あきら「やめなよ、ゆかり」

シエル「Ulala……これはもう逃げるしかないわね……」

 

~Hugっと!組~

はな「メガめちょっく!!」Σ( □ ;

さあや「い、いつもなら菖さんがストッパーなんじゃ……」

ほまれ「うわぁ……これは……」

えみる「に、逃げなければなりません!きっと、ストッパーがいなくなった明さんが戦闘狂の血を目覚めさせてあたり一面焼け野原にしてしまうのです!!そうなる前に逃げるのです!!」Σ( □ ;

ルール-「えみる、そのような可能性は……否定しきれませんね……」( ω ;

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「き、キラやばぁ……」( □ ;

ララ「こ、これは逃げるべきルン?」

えれな「逃げた方がいい、よね?」

まどか「逃げの一手しかないかと……」

ユニ「迷わず逃げるわよ」




おまけ

作品(せかい)を超えて、大暴走~
はるか(アマゾネス)「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」( □ #
ことは(黒アタランテ)「うあぁぁぁぁぁっ!!」( □ #
明/菖「「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
はるか、ことは、明/菖「「「~~~~~~~~~っ!!!!!!!(言語化不可能)」」」

つぼみ「ひぃぃぃぃぃっ??!!」(;□;
きらら「うわぁ……もう収拾がつかないよ、これ」
ゆり「………………はぁ………………」ε-(-□-
まりあ「うふふふ………………」(^言^メ

~もしかしなくても、最強は……~
ゆり「どう?落ち着いた?」
菖、ことは、はるか「「………………はい………………」」
ゆり「まぁ、今回は大目に見るけど、次はないわよ?」
菖、はるか「「………………イ、イエス、マム!」」
ことは「は~い……」

ありす、まりあ以外『さ、さすがゆりさん……』( □ ;
明「……で、まりあさんはいつになったら俺を抱き枕の刑から解放してくれるんで?」
まりあ「うふふ、まだだめよ?」
明「へーへー……(背中にマシュマロが……)」


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えりかとひめのファッションショーpart25~月下の奇術師~

正直、やらなさそうなんですがね……
やらせました(^^;

ぶっちゃけちょっとしたおふざけです
おまけ部分もおふざけです
「奥さん」発言も、おふざけと言えばおふざけですが、まぁ、周知の事実ですし?


『二人の旅人が同じ場所で終わりと始まりを示すとき、『月光の(ムーンライト・)白百合(リリス)』をいただきに参上します 月下の奇術師』

 

おバカ組『二人の旅人?終わりと始まり??』

優等生組『……あ、もしかして』

リボン「ポポポポ、ポリス!変わルンルン!!」

いおな「狙いと予告時間はわかったわ!さぁ、気合入れるわよ!!」

 

--------------

 

菖「予告通り、『月光の白百合』は頂戴いたします!」

いおな「くっ!おのれキッド!!」(-A-メ

菖「それでは皆様、ご機嫌よう!」

ゆり「ちょ、し、菖!!恥ずかしいから離してっ!!」(//////

 

~MH組~

なぎさ「まさかの怪盗キッド?!」

ほのか「『月光の白百合』……やっぱりゆりさんのことだったのね!」

ひかり「なんだか菖さん、ちょっとはしゃいでる感じがします」

 

~S☆S組~

咲「怪盗キッドなり!!」

舞「やっぱり狙いはゆりさんね!」

満「本当は舞も狙われたかったり?」

薫「さぁ?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉ、なんかおしゃれな泥棒さんだ!」

りん「泥棒じゃなくて怪盗!」

うらら「なんだか、あんな気障な菖さんも珍しいですね」

こまち「どこかの怪盗の三代目よりまともだと思うけれど」

かれん「あの人はあの人で……」

くるみ「あっちが出てきたらそれはそれで問題じゃない?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「ゆりさんが菖さんに……さらわれちゃっていいんじゃないかな?」

美希「うふふふ♪」

祈里「……わ、わたしも、明さんに……」(真っ赤か

せつな「ふふふ、祈里ったら、かわいい♪」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「ゆりさんがさらわれ……ちゃって大丈夫ですね、正直」(-▽-;

いつき「菖さんだからねぇ~……」(-▽-;

コロン「それを言ったら、ブロッサムがさらわれても問題ないね」(-▽-;

 

~スイート組~

響、奏「「なんか気障っぽい!」」

エレン「あら?奏はあぁいうの嫌いじゃないでしょ?」

アコ「むしろさらわれたいんじゃない?」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~?!ゆりさんが白い人にさらわれちゃう!!」

あかね「いや、あれ菖さんやから問題あらへんて」

やよい「待てぇっ!キッドーっ!!」(>▽<*

なお「やよいちゃん、楽しんでない?というか、人をさらうなんて筋が通ってないよ!!」

れいか「うふふ♪」

あゆみ「ゆりさん、文句言ってるけどまんざらでもなさそう?」

湊「あ~、だな」

 

~ドキドキ!組~

マナ「えぇっ?!って、菖さんだったらさらわれても問題ないね」

六花「というか、さっさとさらってあげればいいのに」

ありす「うふふふ♪」

真琴「……いいなぁ、ゆりさん。わたしも義兄さんにさらわれたい……」

亜久里「これは、ブラボーなのでしょうか?」

レジーナ「わかんな~い」

 

~ハピネスチャージ組~

リボン「ポポポポ、ポリス!変わルンルン!!」

めぐみ「よ~し、わたしたちもいおなちゃんを援護するよ!!」

ゆうこ「けど、ゆりさん、まんざらでもなさそうね♪」

誠司「てか兄貴に怪盗って似合わないような……」

まりあ「わたしも明くんにさらわれたいな~♪」

 

~プリンセス組~

はるか「うぇぇぇぇぇっ?!」

みなみ「不思議と菖さんならゆりさんをさらっても違和感がないのよね……」

きらら「そりゃ夫婦だし?」

トワ「そういうものですの?」

 

~魔法使い組~

みらい「怪盗キッド?!わっくわくもんだ~っ!!」

リコ「いや、ワクワクしちゃダメでしょ?!」

ことは「ゆりお姉ちゃん、なんかちょっと嬉しそう??」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「なんですとぉっ?!」

ひまり「菖さんがゆりさんをさらっちゃいました!!……え?」

あおい「いや、別におかしくないんじゃないか?」

ゆかり「うふふ♪わたしは誰にさらわれちゃうのかしらね?」(チラリ

あきら「ゆ、ゆかり……」(//////;

シエル「こっちもこっちでなにやってんだか……」ε-(-□-;

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ?!真っ白な怪盗?!じゃなくて!ゆりさんが誘拐されちゃった?!」

さあや「けど、ゆりさん、まんざらでもなさそうね♪」

ほまれ「てか、菖さん、なんかいつもと雰囲気違くない?」

えみる「人のものを盗むのはいけないことですっ!ここは正義の味方、キュアエミールが……」

ルール-「ですが、ゆりさんはものではありません。それに、ゆりさんは菖さんの奥さんだったはずですが……」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「おぉっ!真っ白な怪盗だぁっ!キラヤバ~ッ!」

ララ「……怪盗、ルン?」(ちらり

えれな「怪盗、ね」(ちらり

まどか「怪盗、ですね」(ちらり

ユニ「……なんでわたしのほうを見るのかしら?」(-Д-;




おまけ

~優等生組による謎解き~
ほのか「まず、注目するのは『二人の旅人が示す』って部分ね。普通なら、最初に時刻を表すから、この場合、二人の旅人っていうのは時計の長針と短針のことをいうと思うの」
かれん「そして、『同じ場所』ということは、少なくとも二つの針が離れていないことになるわ」
れいか「そして『終わりと始まりを示す』ということは、一日の終わりと始まりを指すことになります」
六花「つまり、午前零時が予告時間ということね」
みなみ「そして『月光の(ムーンライト・)白百合(リリス)』というのは……まぁ、これはそのままゆりさんのことね」
つぼみ「なので、解読すると『午前零時に月影ゆりをいただきに参上します』ということです」

おバカ組『なるほど~!』

~別バージョン:ひかり~
菖「予告通り、『慈愛の光』は頂戴いたします!」
ひかり「ふぇぇぇぇぇぇっ??!!た、助けてください!!……あ、でもこれはこれで……」(//////

なぎさ「あははは、ひかりってば乙女な顔してる!」
ほのか「うふふふ、そりゃね?」

~別バージン:舞~
菖「予告通り、『白銀(しろがね)煌翼(こうよく)』は頂戴いたします!」
舞「え、あ、あの……菖さん……恥ずかしいですよ、こんな格好……」(//////

咲「お~、舞が真っ赤なり~」
満「なるほど、『煌めく銀の翼』ね」
薫「うまいこと言うわね」

~別バージョン:つぼみ~
菖「『未来の花』、たしかに頂戴します!」
つぼみ「~~~~~~~~~~~っ???!!」(//////

いつき「あらら、つぼみの顔が真っ赤に……」
ゆり「ただでさえあがり症なのに、あんなに密着したらそれはそうなるわよ」

~別バージン:いおな~
菖「それでは、『希望の(フォーチュン・)星明かり(スターライト)』は頂戴いたします!」
いおな「……あ、あの……さすがに少し、恥ずかしいんですけど……」(//////

めぐみ「お~……いおなちゃんが乙女顔に……」
ゆうこ「うふふ♪」
誠司「そりゃあれだけ密着すりゃな……」
まりあ「あらあら、うふふ♪」

~vs.ブルーキャット:開幕~
ブルーキャット「さぁ、どっちが真に優れた怪盗か勝負しましょう!」
菖「ふっ……望むところですよ、お嬢さん!」

ひかる「あははは……」
ララ「やっぱり張り合ったルン」
えれな「まぁ、ユニも怪盗だし、ね?」
まどか「ですが、肝心のお宝は……」

~vs.ブルーキャット:決着~
『「一つ十億キランのドーナツ」はいただいた 怪盗ダーク』
菖、ブルーキャット「「や、やられた……」」
明(ダーク・マウジー)「けっけっけ♪(もきゅもきゅ)」


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えりかとひめのファッションショーpart26~伝説の大泥棒~

part25に続き、再び泥棒さん
今度はワルサーを使う、緑とか赤とか青のジャケットを着てる彼です(テレビスペシャルだと黒でしたけど)
そして、今回盗まれるのは……誰でしょうね?


『色と欲望の神ブルー キュアフォーチュンを頂戴する。近日参上 ルパン三世』

 

めぐみ「また手の込んだことを……」(-▽-;

ゆうこ「キュアフォーチュンを、ということは狙いは……」(-▽-

まりあ「あらあら、大変ね♪」(-▽-*

いおな「~~~~~~~~~~~~~っ!!」(//////

誠司「……ブルー、大丈夫か?」

ブルー「……色と、欲望……」orz

鏡介「ほんとのこと言われて傷ついてるな。ざまぁない」(^言^

ファンファン「ふっ、言いえて妙だな。さすが菖だ」(^言^

ミラージュ「自業自得ですよ、ブルー?うふふ♪」(^言^

 

--------------

 

リボン「ポポポポ、ポリス!変わルンルン!!」

めぐみ「さぁ、どっからでもかかってきなさい!」

ゆうこ「いおなちゃんは守ってみせるわよ!」

いおな「え、えっと……ありがとう?」(-ω-;

鏡介「……ん?!あそこに怪しい人影が!!」

誠司「もう来たのかよ?!」

めぐみ「行くよ!誠司、ゆうゆう!!」

誠司、ゆうこ「「おぅっ!/えぇっ!」」

鏡介(?)「…………さて、と」

いおな「……まさかとは思ってたけど、そう来るんですね?菖さん」

鏡介→菖(赤ルパン)「ぬっふふ~、しょゆこと♪……お迎えにあがりましたよ、お姫様」

いおな「ふふっ、それじゃエスコートはお願いしますね?泥棒さん」

 

~MH組~

なぎさ「……なに、この小芝居……」

ほのか「あははは」(―▽―;

ひかり「でもいおなさん、楽しそうです」

 

~S☆S組~

咲「な、なるほど、ルパン……」

舞「ふふふ、心まで盗まれちゃいそうね?」

満「舞はとっくに盗まれてるでしょ?」

薫「ある意味、ルパン以上に質が悪いわね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「い、いおなちゃん?!泥棒さんについてっちゃだめだよ!!」

りん「だぁかぁらぁ!あれは菖さんだって言ってるでしょうが!!」

うらら「いつもながら演技が上手です!」

こまち「ふふふ♪誰かさんも心を奪われちゃったりしてね?」

かれん「……なんでこっちを見るのかしら?」

くるみ「なんか胡散臭いわねぇ……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ?!今度はいおなちゃんをさらうのか!!」

美希「……いや、だからさらわれても問題ないんじゃないの?」

祈里「あははは……」

せつな「というか、いおな、もう身も心もあなたのものですって顔してるわ……」

 

~ハートキャッチ組~

いつき「正直に思ったけど、菖さんに泥棒って似合わないような気が……」

ゆり「噓がつけないからね、彼……そういえばつぼみは……?」

 

~スイート組~

響「今度は伝説の大泥棒?!」

奏「顔はお猿さんなんだけど、心はイケメンなのよねぇ……」

エレン「やっぱり顔がよくないとなびかないのね」

アコ「みたいね」

 

~スマイル組~

みゆき「い、いおなちゃん?!だめだよ、知らない人についていっちゃ!!」

あかね「せやから、あれは菖さんやゆうとるやろ!!」(-Д-;

やよい「待て~!ルパン!!逮捕(たぁいほ)だぁっ!!」(>▽<*

なお「またやよいちゃん……」

れいか「うふふ♪」

あゆみ「な、なんかいつもの菖さんじゃない……」

湊「真逆だもんな、兄貴とルパンって」

 

~ドキドキ!組~

マナ「ってまた誘拐?!」

六花「でもやっぱり菖さんだから問題ないわよね?」

ありす「うふふ♪」

真琴「……わたしもお義兄ちゃんさらわれたい……」

亜久里「胡散臭さがにじみ出てますわね……菖お兄様らしくありませんわ!」

レジーナ「なんか胡散臭~い」

 

~プリンセス組~

はるか「泥棒……オドレンとウタエンっていたような……」

みなみ「菖さんはへっぽこコンビって言ってたけども……」

きらら「まぁ、そりゃ、ね?」

 

~魔法使い組~

みらい「心も盗む泥棒さんだ!」

リコ「泥棒は悪いことでしょ?!」

ことは「泥棒はとっても悪いことです、早くやめましょ~」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「また泥棒?!」

ひまり「今度は心も盗む泥棒さんです!!」

あおい「なんだそりゃ……」

ゆかり「うふふ♪それじゃ、わたしの心が盗まれないように、あきらに守ってもらおうかしら?」(^^♪

あきら「ゆ、ゆかり……」(//////

シエル「Ulala……ここでも桃色空気が……」

 

~Hugっと!組~

はな「こ、今度はあのルパン……」

さあや「菖さんとは正反対のはずなのに……」

ほまれ「よく演じられるよね」

えみる「菖お兄様は俳優さんなのです!」

ルール-「それには同意しますが……心は盗めるものなのですか?」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「また怪盗だ」(ちらり

ララ「怪盗ルン」(ちらり

えれな「怪盗だね」(ちらり

まどか「うふふ♪」(ちらり

ユニ「だからなんでわたしの方を見るのよぉっ!!」Σ( □ ;




~おまけ~

~仲間~
明(次元)「裏切らねぇ女がいるってんなら、是非ともお目にかかりてぇぜ……なんてな?」
鏡介(五右衛門)「……仕事だ……」
トワ(不二子)「な……なんなんですの、この格好はぁぁぁっ??!!」Σ(///□///

つぼみ「明さんが次元さんになっちゃいました!!」
ももか「明くんしぶ~い!かっこい~~~~!!」(///▽///
はるか「と、トワちゃん??!!」Σ(///□///
みなみ「は、はしたないわよ?!」Σ(///□///
きらら「あっはは!トワっち真っ赤~♪」

~盗まれちゃいました~
めぐみ「彼は大変なものを盗んでいきました!……あなた方の心です!!」
ひかり、舞、ゆり、つぼみ、いおな「「「「「……っ!……はい!」」」」」

鏡介「そうか、お前、俺の妹分の心を盗んだか……」
菖「…………」(  ;
鏡介「ちゃんと幸せにしろよ」

~vsもう一人の怪盗~
つぼみ(パンサー)「さぁ、どっちがより優れた怪盗か……」
菖「ん~、俺ゃかわいこちゃんとは戦いたくないんだけっどな~?」
パンサー「……っ??!!か、かわ……??!!」
菖「というわけだから、さいなら~♪」

ゆり「すっかり真っ赤っかね」
いつき「というか、つぼみ……あんなに体のラインが出る衣装を……なんか、すっごくセクシーだし……」(//////


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えりかとひめのファッションショーpart27~湿原に住まう一族~

というわけで、通算302話目にして菖とラヴァーズ+aそろってのコスプレ回
どんな格好になるかは……まぁ、本編をどうぞ

そろそろヒーリングっど!出さないとなぁ……


菖(ガスタの賢者ウィンダール)「フードに杖……なんか魔導師っぽい?」

舞(ガスタの巫女ウィンダ)「けど、わたしは好きですよ、こういうの」(^^♪

ひかり(ガスタの神裔ピリカ)「……あ、あの……おかしくないでしょうか?」(//////

つぼみ(ガスタの静寂カーム)「い、いおなさん?!ゆりさん??!!」Σ(///□///

いおな(ガスタの疾風リーズ)「お、おへそが……」(///□///;

ゆり(ダイガスタ・スフィアード)「な、なんでへそ出しなのよ?!」(//////

いつき(ガスタの希望カムイ)「な、なんで男の子の格好を……」(苦笑

 

~MH組~

なぎさ「おぉ~!みんなおそろいの衣装!!」

ほのか「まるでどこかの民族みたいね♪」

 

~S☆S組~

咲「おぉ~!舞、すっごく似合ってる!!」

満「風のプリキュアだからかしらね?」

薫「そうかもしれないわね?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉっ!!みんなお揃いの格好だぁ!!」

りん「なんか民族衣装って感じだね」

うらら「ちょっと興味あります!」

こまち「うふふ、どんな民族でどんな歴史を持っているのかしらね?」

かれん「やっぱりこまちはそっちに興味を持ったのね」

くるみ「またこまちの小説のネタが……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「なんか、魔法使いって感じの衣装だね?」

美希「感じ、じゃなくて完璧に魔法使いだと思うわよ?フード付きローブとか」

祈里「そうかな?」

せつな「そうかしら?」

 

~スイート組~

響「おぉ、なんだか魔法使いっぽいよ?!」

奏「なんだか神秘的ね」

エレン「これがペアル……」

アコ「ックじゃないと思う」

 

~スマイル組~

みゆき「お~!みんなお揃いだ!!」

あかね「いわゆる、民族衣装っちゅうやつやな、たぶん」

やよい「わぁっ!わぁっ!!ガスタの精霊さんたちだぁっ!!」

なお「い、いおなちゃんとゆりさんがお腹を出す衣装を……」

れいか「……お腹、冷やさないのでしょうか?」

あゆみ「……え、心配するのそこなの?」

湊「意外なところを心配してるな……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!みんなお揃いだぁ!!」

六花「まるで家族みたいね……あ、家族だったわ」

ありす「うふふ♪」

真琴「民族衣装、というものかしらね?」

亜久里「ある意味、ブラボーですわね」

レジーナ「でもあんまり強くなさそう」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「い、いおなちゃんがへそ出しスタイル?!」

ゆうこ「ずいぶん大胆ね……」

誠司「てか、アコも混ざってるのか……」

まりあ「あらあら、いおなったら♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!!みんなおそろいだぁ!!」

みなみ「まるで民族衣装ね」

きらら「あぁいうのでファッションショーやるのもいいかもね」

トワ「不思議な衣装ですね」

 

~魔法使い組~

みらい「なんだか魔法使いみたい!」

リコ「あんな格好の魔法使い、いたかしら?」

ことは「は~……魔法使いの家族かなぁ??」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「なんだか魔法使いっぽいね」

ひまり「見た目は魔法使いですね」

あおい「てか魔法使いじゃね?」

ゆかり「あら?あぁいう民族衣装なのかもしれないわよ?」

あきら「コメントしづらいなぁ……」

シエル「Ulala……まぁ、それは同意だけれど」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!!みんなお揃い!!」

さあや「ふふふ、なんだか家族そろってお揃いの服を着ている感じね」

ほまれ「まぁ、その認識で間違っちゃないのかな?」

えみる「あの紋章、気になるのです」

ルール-「風車、でしょうか?」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「民族衣装きらやば~!」

ララ「見たことのない衣装ルン」

えれな「なんだか、そのまんま魔法使いって感じだね」

まどか「魔法使いの一族……?」

ユニ「なんだか、どこかで聞いたことがあるようなないような……」



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えりかとひめのファッションショーpart28~彼の者、怪獣を狩るもの~

タイトルは適当ですが、今回はモンハンのユクモ装備です
正直、初期装備の中で一番気に入ってるデザインなんですが……MHWで予約特典だったってこともあって、入手できんかったです(´・ω・`

まぁ、そんな事情はどうでもいいので、本編どうぞ

あ、おまけ部分ですが、わりと適当です


菖「番傘……和風だな、今回」

 

~MH組~

なぎさ「やっぱり菖さんは和服が似合うね」

ほのか「ふふ、そうね」

ひかり「はい!」

 

~S☆S組~

咲「おぉ!なんだかお侍さんって感じがする!!」

満「……薫」

薫「止めないから、思う存分やってきたらいいんじゃない?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉ!お侍さん再び!!」

りん「番傘って……なぜ?」

うらら「さぁ?」

こまち「巨大なモンスターが跋扈する世界、そのモンスターから取れる鱗や皮を……」(サラサラ

かれん「こまちの筆がまたはかどってるわね……」

くるみ「ほんと、こまちはよく思いつくわよね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉ!なんかカッコイイ!!」

美希「完璧にお侍さんね……」

祈里「明さんだったら……」

せつな「祈里……いえ、もう何も言わないわ……」

 

~スイート組~

響「おぉっ!番傘だ!!」

奏「流浪人って感じね」

エレン「流浪人というより、なんだか狩りに行きそうな……」

アコ「それ以上はいけないわよ?エレン」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!なんかカッコイイ!!」

あかね「せやけど、お侍とはなんや雰囲気違う気ぃするな」

やよい「こ、これはまさか……ユクモ装備!!」

あゆみ「あははは……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「侍さん、じゃないよね?」

六花「雰囲気が侍じゃなさそうだけど……」

ありす「あらあら♪」

真琴「何故かしら、この姿の菖さんに親近感を覚える……」

亜久里「プリキュアや光の戦士とは違う強さを感じますわ……」

レジーナ「にっししし、面白そう♪ちょっと戦お(あそぼ)うっかなぁ~?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!侍だ!!」

ゆうこ「お侍さん、お茶でもどうぞ♪なんてね」

まりあ「あらあら♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!侍だ!!」

みなみ「けど、なんだか雰囲気が違うわね?」

きらら「新撰組の恰好を何度かした後だとね」

トワ「そういうものなのでしょうか?」

 

~魔法使い組~

みらい「なんだか、今にも冒険に出そうな感じの雰囲気がする」

リコ「菖さんだったら遺跡探検の冒険もするのだろうけれど」

ことは「は~!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「お侍さん、ですとぉっ?!」

ひまり「新撰組のときもいれれば三回目です!」

あおい「なんか菖さんって侍の恰好、似合うよな」

ゆかり「それなら、あきらは騎士か王子様かしら?」

シエル「Ulala……って、あきらは??」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!今度はまた違うタイプのお侍さん!!」

さあや「ここで会ったのも何かのご縁、遊んでいっておくんなまし……なんてね、ふふふっ♪」

ほまれ「さ、さあや?」

えみる「さあやさんが小悪魔笑顔を……」

ルール-「解析……これまでの衣装の中で、菖さんの性格、言動も変貌が最も少ないものと思われます」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「お侍さんだ!キラヤバ~っ!!」

ララ「これが地球の戦士ルン?」

えれな「というか、昔の日本の偉い人?」

まどか「偉い人、というより、偉い身分、というのが正しいです」

ユニ「ふ~ん?」

 

~ヒーリグっど組~

のどか「おぉっ!なんだかカッコイイ!!」

ちゆ「まさに侍って感じね」

ひなた「お~!!めっちゃいけてるじゃん!!」




~おまけ~

~ほかのみんなの装備は……~
舞(オドガロンβ装備)「これって、狐?」
つぼみ(リオレイア亜種β装備)「なんだか、ドレスみたいな感じですね」
いつき(フルドレス装備)「な、なんか男の子のような恰好……」
ゆり(キリンβ装備)「……なんでへそ出しなのかしら?というか、これ露出が……」
なお(ナルガα装備)「くの一なお、見参!……なんちゃって」
れいか(レイギエナ装備)「なんだか、いつもより弓の調子がよさそうな気が……」
いおな(パピメル装備)「……なんか、こういう恰好、お姉ちゃんがしていたような……」
あきら(ローゼ装備)「ふふ、宝塚の衣装みたいだね」

菖「鎧っぽいのから際どいのまで……お前ら二人のアイデアの多さに正直感服なんだが……」
えりか、ひめ「「えっへへへへ~♪それほどでも……あるっしゅ/ありますぞ!!」」(-H-


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えりかとひめのファッションショーpart29~焔の大佐~

まぁ、誰になるかは予想できると思いますが
ぶっちゃけ、娘Loveな中佐さんにしようか、シンの行き倒れ王子にしようか迷ったんですがね(-▽-;


菖「今夜の火力はちょっとすごいぞ……なんてな」

 

~MH組~

なぎさ「今度は軍人?!」

ほのか「ふふ、階級は大佐かしら?」

ひかり「菖さんだったら、眼鏡の中佐さんも似合いそうです!」

 

~S☆S組~

咲「まさか焔の錬金術師?!」

舞「なんだか、菖さんのイメージに合わないわね」

満「何かしら……なんだか、うずうずするわね」

薫「止めないから、好きなようにすればいいんじゃない?」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉっ?!なんか、カッコイイ!!」

りん「焔だったら、あたしも負けてないよ!」

うらら「なら、私は菖さんをサポートする女軍人です!!」(ふんすっ

こまち「ふふ、ふふふふ……ふふふふふふふふ……」(サラサラ

かれん「な、なんというか、気障な感じのする軍人さんね。というかりん、なんで張り合ってるの?」

くるみ「なぁんか、雨の日は無能そう」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ?!炎の大佐さん!!」

美希「完璧に気障な男ね……」

祈里「な、なんというか、らしくない、かなぁ……」

せつな「ふふふ」

 

~スイート組~

響「焔の大佐さんだ!!」

エレン「あら?奏は?」

アコ「……知らない。というか兄さん、気障っぽい」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ?!」

あかね「なんや、やたら気障やないかい」

やよい「おぉぉぉっ!!!焔の錬金術師だぁぁぁっ!!」

なお「なんというか……すっごく胡散臭い感じが……」

れいか「ナンパな印象が強いのですが……」

あゆみ「なんだろう、何か隠しているような……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「な、なんか、胡散臭い気が……」

六花「ナンパ野郎な気がするわね……」

ありす「ふふふ♪」

真琴「でも、頭が切れそうね」

レジーナ「あれ?亜久里は??」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!!手袋付けた軍人さんだ!!」

ゆうこ「ふふふ、その焔でバーベキューしたり」

誠司「マッチかよ!」

まりあ「ふふふ♪雨の日は無能になりそうね」

 

~プリンセス組~

はるか「軍人さんだ!」

みなみ「あの手袋に書かれてる紋章はいったい……」

きらら「案外、女性関係のことでからかったら面白いかも?」

トワ「もぅ、きらら?知りませんわよ」

 

~魔法使い組~

みらい「リコ、魔法界にも錬金術師っているの?」

リコ「もちろん、いるわよ!」

ことは「はー!軍人さんだー!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「ぐ、軍人さん?!」

ひまり「なんで軍人さんなんでしょう?」

あおい「さぁ?」

ゆかり「ふふふ♪火遊び、したくなっちゃうわね♪」

あきら「ゆかり、やめておきなよ……」

シエル「Ulala……」

 

~Hugっと!組~

はな「おぉっ!軍人さんだ!!」

さあや「あの手袋からの発火現象……いったい、どういう仕組みに……」

ほまれ「さ、さあや……」

えみる「な、謎の現象なのです……」

ルール-「解析不能です……」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「軍人さんだ!」

ララ「自衛隊とは違うルン?」

えれな「自衛隊は軍隊じゃないから、違うかな」

まどか「えぇ」

ユニ「ふ~ん?てか、なんで指パッチンで焔が出てくるのよ……」

 

~ヒーリングっど組~

のどか「はわぁ~!格好いい!!」

ちゆ「けど、水には弱そうね」(-▽-

ひなた「ち、ちゆちー、なんか怖いんだけど……」




~おまけ~

~頼れる補佐官~
奏(女中尉)「大佐!雨の日は無能なんですから、下がっててください!!」
菖「無能!!」Σ( Д lll
湊(くわえたばこの少尉)「……あ~、たしかにこんな雨じゃ火花は出せないっすねぇ」

えりか「作っておいてあれだけど、湊に金髪似合わないっしゅ!」(-Д-
ひめ「たばこもですぞ~」(-Д-
あゆみ「ならなんで着せたの……?」(-□-;

~ドリームカーニバル~
シロップ(鋼の金髪)「誰が!ミジンコ豆粒どチビじゃあぁぁぁぁぁっ!!」( □ メ
亜久里(鎧の弟)「に、兄さん!!そこまで言ってないよ!!」Σ( ω ;
いつき(技師の幼馴染)「帰ってくるなら事前に電話しろっていつも言ってるでしょ!!」
ゆり(色欲)「な、なんでこんな格好を……」(//////
つぼみ(仮面の忍者)「……どうしよう……若様に怒られる……」
いおな(世界最強の主婦)「……主婦だっ!!」

ありす「すごい光景ですわね♪」
えりか「がんばったっしゅ!」(-H-
ひめ「わたしたちの渾身の作品群ですぞ!!」(-H-
まりあ「あらあら♪」


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えりかとひめのファッションショーpart30~ブライダルフォーム?~

ジューンブライド、ということで思い切ってラヴァーズの皆さんと菖にブライダルコスチュームをしてもらいます♪

なお、ウェディングドレスはプリキュアのコスチュームをウェディングドレス化させた感じをイメージしていただければ
(こんな感じです↓)

https://www.pixiv.net/artworks/82067454

なお、菖に関しては、TOVのスレイの正装をイメージしてください


ひかり「菖さん」(//////

舞「どう……ですか?」(//////

つぼみ「素直な感想を」(//////

ゆり「聞かせてほしいわね」(//////

いおな「お、お願いします!!」(//////

菖「……あ、うん……みんなきれいだし、似合ってる……よ」(//////

 

~MH組~

なぎさ「おぉ、菖さんが真っ赤っかだぁ……」(゚д゚

ほのか「ふふふ♪」

 

~S☆S組~

咲「舞がすっごく乙女な顔してるなりぃ」

満「みんな真っ赤ね」

薫「ふふふ、ごちそうさま♪」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉっ!!みんなすっごく綺麗!!」

りん「……うらやましい……」

うらら「みなさん、すごくお似合いです!!」

こまち「まさに五人の花嫁ね♪」

かれん「こまち……」

くるみ「わたしもいつかココ様と……きゃっ♪」(///▽///

 

~フレッシュ組~

ラブ「幸せゲットだよ!!」

美希「ふふふ、これは完璧に花嫁さんね♪」

祈里「……わ、わたしも……」(//////

せつな「い、祈里?」

 

~ハートキャッチ組~

いつき「わぁっ!わぁっ!!いいなぁ!いいなぁっ!!!」

ポプリ「いつきが着たらもっとかわいいでしゅ!!間違いないでしゅ!!!」

コロン「さ、サンシャインもポプリも、落ち着こうね?」

 

~スイート組~

響「わぁっ!!」

奏「菖さん……カッコイイ……じゅるり」

エレン「な、なぜか奏が肉食獣の目に……」( □ ;

アコ「奏、だめだからね?お兄ちゃんはゆりお姉ちゃんたちのなんだから」

 

~スマイル組~

みゆき「ウルトラハッピーだよぉっ!!」

あかね「おぉおぉ、こらぁえぇ雰囲気やないか♪」

やよい「いいなぁっ!花嫁さん!!」

なお「みんなすっごくきれい……」

れいか「ふふふ♪」

 

~ドキドキ!組~

マナ「みんなきれいすぎてキュンキュンするよぉっ!!」(>▽<

六花「はいはい、マナは落ち着きましょうね~」

ありす「ふふふ♪」

亜久里「……う、うらやましいとか、思ってませんわ!」

レジーナ「わたしも着たーい!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!いおなちゃんが真っ赤だっ!!」

ゆうこ「ふふふ、珍しい光景ね♪」

誠司「……」(ぽ~

まりあ「あら?誠司くん、どうしたの?」(-▽-

 

~プリンセス組~

はるか「素敵素敵!!素敵すぎるよぉっ!!」

みなみ「ふふふ♪」

きらら「……やば……」

トワ「あら?どうかしたのかしら、きらら?」

 

~魔法使い組~

みらい「お嫁さん!!ワクワクもんだーーーーっ!!」(>▽<

ことは「はーっ!わたしも着てみたーいっ!!」(>▽<

リコ「二人とも、ちょっと興奮しすぎよ?」(-▽-;

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「ウェディングケーキはお任せですぞぉっ!!」

ひまり「最高のスイーツに仕上げて見せます!!」

あおい「……結局、あたしらはそっちなんだよなぁ……」

ゆかり「ふふふ♪」

あきら「ゆかり……なんでこっちをじっと見てるのかな?」

シエル「ふふふ♪こっちにも甘い空気が流れてきてるわね♪」

 

~Hugっと!組~

はな「お嫁さん!!めっちゃイけてるぅ!!」(>▽<

さあや「ふふふ♪」

ほまれ「……やば……かわいい……」

えみる「おぉ……か、かわいいのです……」

ルール-「ふふふ♪」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「お嫁さんもお婿さんもキラやばー!!」(>▽<

ララ「およぉ……よく見たらプリキュアのコスチュームみたいルン……」

えれな「それをベースにしてるって言ってたしね」

まどか「ふふふ♪」

ユニ「ふ~ん?」

 

~ヒーリングっど組~

のどか「うわぁ~!みんな綺麗~!!」

ちゆ「ふふふ♪のどかったらはしゃいじゃって」

ひなた「いいじゃんいいじゃん♪みんな可愛いし、菖さんもカッコイイ!!」




~おまけ~

~もう一組……~
あゆみ「み、湊くん……ど、どうかな?」(//////
湊「すごく似合ってる……きれいだよ、あゆみ」(//////
あゆみ「……ふふふ♪」(//////

みゆき「こっちもウルトラハッピー??!!」
あかね「そらこうなるわな」
やよい「ふふふ♪二人とも幸せそう♪」
なお「うぅ……なんだか涙が……」
れいか「なお。ちょっと泣きすぎです……」

~さらにもう一組~
真琴「義兄さn……一真さん、どう、ですか?」(//////
一真「あぁ、すごく似合ってるよ、真琴」

マナ「キュンッキュンするよぉぉぉぉっ!!!!」
六花「だから、あなたは落ち着きなさいって……」
ありす「あらあら♪」
亜久里「な、なぜでしょう?お二人の姿を見ているとわたくしまで顔が熱く……」
レジーナ「おぉ……いつもクールな真琴が真っ赤になってる……」

~お誘い~
ありす「ふふふ♪えりかさん、ひめさん。よろしければ、今度の四葉で執り行う、デザイナー発掘のコンテストに応募してみませんか?」
えりか「おぉっ?!」
ひめ「つ、ついにあたしたちもデビューの機会が?!」
ありす「うふふふ♪」


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えりかとひめのファッションショーpart31~誰がために戦う、九人の戦士~

はたして、この題名でわかる読者さんが何人いるのだろうか?
そしてだんだんネタがなくなってきた……
ほかに休止してる連載もあるし、もうちょっとしたらこっちを休止するのもありかなぁ……
とか思ってる風森です

あ、あとがきはないのでご了承を


はぐたん「みんなおしょりょい~♪」

菖「ははは、たしかにそうだな~、はぐたん」

明「……なんか懐かしい感じのスーツだな」

君尋「まさか、俺たちも巻き込まれるとは……」

小狼「はははは……」

ゆり「なんだかもう……」

さくら「ほ、ほえぇ~……」

ひまわり「ふふふ、さくらちゃん似合ってるよ♪」

ももか「ふふふふ♪」

 

~MH組~

なぎさ「なんか、みたことあるような?」

ほのか「そうね……」

ひかり「みなさん、かっこいいです!!」

 

~S☆S組~

咲「九人の戦士……う~ん?」

舞「なんだかどこかで見たような感じね」

満「……強い、のかしら?」

薫「組まれたら厄介そうね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ、うらら「「お~!なんだかみんな/みなさん、かっこいい/です!!」

りん「一昔前のヒーローって感じだねぇ」

こまち「死の商人により拉致された若者たちがサイボーグとなって、世界平和のために……」(サラサラ

かれん「こまち……それはやめたほうがいいと思うわ……」(  ;

くるみ「そうね、いろいろと危ない気がするわ……」(  ;

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!かっこいい!!」

美希「子供向けのアニメって感じね」

祈里「明さん……かっこいいです!」

せつな「祈里……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「みなさんお揃いです!」

いつき「珍しいね、こういうのも」

 

~スイート組~

響「おぉっ!なんだかかっこいい!!」

奏「そうかしら?」

エレン「まぁ、戦隊ヒーローみたいな感じはするわね」

アコ「なんではぐたんまで?」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!みんなお揃いだぁ!!」

あかね「なんや、戦隊ヒーローっぽいな」

やよい「わぁっ!わぁっ!!まさかまさかのサイボーグ009(ゼロゼロナイン)だぁっ!!」

なお「サイボーグ?」

れいか「サイボーグというのは、改造人間のことで……(以下略)」

あゆみ「というか、高校生の皆さんなんだね……」

湊「巻き込まれたんだな……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!みんなお揃いだぁ!!」

六花「よく用意したものね……」

ありす「ふふふ、えりかさんとひめさんの底力ですわね♪」

真琴「そういうもの?」

亜久里「夕日にたなびくマフラー……一昔前のヒーローのようですわね」

レジーナ「なんかカッコイイ!!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!みんななんかかっこいい!!」

ゆうこ「たしか、一人、中華料理店のコック兼店長がいたような」

いおな「ゆうこ、結局そこなのね……」

誠司「一昔前のヒーローって感じだな」

まりあ「ふふふ、明くんかっこいいわね♪」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!みなさん、おそろいだぁ!!」

みなみ「たしか、サイボーグ戦士の……」

きらら「……やば、明さん、かっこいい……」

トワ「うふふふ♪」

 

~魔法使い組~

みらい「わぁっ!みなさんおそろいだぁ!!」

リコ「へぇ……でも、おそろいだったらわたしだちだって!」

ことは「はぁ~!魔法学校の制服~!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「おぉ、みなさんお揃いとは……」

ひまり「えりかさんとひめさん、頑張ったんですね……」

あおい「え、そこなの?」

ゆかり「ふふふ、彼らが正義の味方なら」

あきら「……ゆ、ゆかり?」

シエル「Oh……ゆかりの笑みが怖いわね……」

 

~Hugっと!組~

はな「はぐたんかわいい!!!」

さあや「ふふふふ♪」

ほまれ「はぐたん、こっち!こっち見て!!」

えみる「はなさんとほまれさん、母親スイッチ入ってるのです……」

ルール-「サイボーグ……アンドロイドに通じるところがありますね……」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「サイボーグ?!」

ララ「サイボーグって、何ルン?」

えれな「改造人間って言った方がわかるかな?」

まどか「サイボーグとは、人間と機械を融合した存在で……」

ユニ「要するに、人の体に機械を埋め込んでるってことニャン?病気でもないのに??」

 

~ヒーリングっど組~

のどか「ふわ~!みなさん、かっこいい!!」

ひなた「おぉ~!みんなイケてる♪かっこいい~!!」

ちゆ「ふふふ、ふたりともはしゃいじゃって」



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えりかとひめのファッションショーpart32~誰かを守るために~

ほんとに最近、ネタが浮かばない……
というか、ほかの子の反応が困る……

あ、このお話から、関係してるチーム以外のコメントはあまり出さないようにします
あしからず


明「護衛対象は蒼乃美希、来海ももか、天ノ川きらら、剣崎真琴の四名」

一真「蒼乃美希は未来、来海ももかは御剣、天ノ川きららは氷川、剣崎真琴は俺が担当」

まりあ「剣崎、御剣、氷川、未来の順にG1からG4を担当」

湊「各員、立ち位置が均等になるよう、事前承諾は得ています。何かあればフォローします」

菖「G5、観客席側の警護に当たります」

小狼「G6、会場と関係者通用口に入ります。何かあればバックアップします」

一真「現在時刻、8時30分00秒」

明「誤差なし」

まりあ「誤差なし」

湊「誤差なし」

菖「誤差なし」

小狼「誤差なし」

一真「各自、健闘よろしく!」

 

~MH組~

なぎさ「あ、ありえな~い……」

ほのか「すごい連携ね……」

ひかり「はい……」

 

~S☆S組~

咲「舞、もしかして菖さんに守ってもらいたかったり?」

舞「それはそうよ」

満「恥ずかしげもなく返したわね」

薫「まぁ、婚約したものね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!みんな黒スーツだぁ!!」

祈里「……(ぷくぅ~)……」( H #

せつな「祈里ってば、明さんに守ってもらえなくてむくれてるの?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「むぅ~……」( H #

ゆり「つぼみ、菖に守ってもらいたいのはわかるけど、我慢なさい?わたしだって我慢してるんだから」

いつき「あははは……そういう意味じゃ、ももかさんときららは役得だよね……」

君尋「てか、小狼、けっこう板についてるんじゃ……」

静「ある意味、天職だな」

ひまわり「残念。今日の小狼くんはさくらちゃんだけのBGじゃないのね」

さくら「ほえ?……ほ、ほえぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」Σ(///□///

 

~スマイル組~

みゆき「あれ?湊くんが美希ちゃんのBG??」

あかね「あ~、こらあきまへんなぁ~……」

やよい「修羅場?ねぇ、もしかしなくても修羅場??」(ワクワク

なお「や、やよいちゃん……ワクワクしないの」

れいか「とか言っているなおも、本当は少し楽しみにしているのでは??」

あゆみ「……(ぷくぅ~)……」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉっ!!お兄さんがまこぴーのBGに?!こりゃわたしたちも手伝わないと!!」

六花「素人が勝手に手伝ったら逆に迷惑よ!!」

ありす「うふふ♪マナちゃん?わたくしが信頼して雇ったBGを信頼してくださいな♪」

亜久里「あ、ありすの笑顔がいつになく怖いですわ……」

レジーナ「おもしろそう♪あたしも手伝う~!!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!!六人ともカッコイイ!!」

ゆうこ「腹が減っては戦はできぬ。大森弁当の差し入れしようかしら?」

いおな「ゆうこ、邪魔しないの!」

誠司「おぉ……なんか、氷川が珍しく必死に止めてる……」

 

~プリンセス組~

はるか「きららちゃんが護衛対象だ!!」

みなみ「それも、明さんに守られる立場なのね♪」

トワ「うふふふふ♪これはあとでインタビューですわね♪」



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えりかとひめのファッションショーpart33~座に登録されし英霊~

ネタが……ないんじゃ……
時間も、ないんじゃ……(真っ白

てわけで、一週間ぶりの投稿です
いや、まじでネタがない……ラヴァーズにコスプレさせらいいんじゃって意見もあるかもだけど、やるタイミングは決めてるんですよねぇ……
……まじでどうしよう


えりか「今回は菖さんのお嫁さんたちの分も作ってみたっしゅ!!」(-H-

ひめ「自信作ですぞぉっ!!」(-H-

菖、ラヴァーズ(……あ、なんか嫌な予感……)

 

~MH組~

ひかり:アイリスフィール

 

ひかり「な、なんだかちょっと恥ずかしいです……」(//////

 

なぎさ「おぉ~……なんというか、思わず膝まづいちゃう……」

ほのか「ふふ、ひかりさんの雰囲気にぴったりだからじゃないかしら?」

 

 

~S☆S組~

舞:アルトリア・ペンドラゴン[オルタ]

 

舞「マスター!空腹だ!!ハンバーガーを所望する!!……なんてね♪」

 

咲「な、なんか舞がちょい悪……いや、真っ黒になっちゃった感じが……」(○Д○;

満「否定したいけれど、できないわね。雰囲気が」

薫「えぇ……いつも以上のプレッシャーを感じるわね……早く、いつもの舞に戻ってほしいわ……」

 

~ハートキャッチ組~

菖:シャルルマーニュ

つぼみ:ブラダマンテ

ゆり:パールヴァティー

 

菖「なんというか……すっげぇしっくりくる」

つぼみ「ど、どうでしょうか?!なんだか、ちょっと落ち着かないのですが……」

ゆり「ちょっとこのスカート……スリットが深くないかしら??」(//////

 

いつき「わぁっ!!いいなぁ!いいなぁっ!!つぼみもゆりさんも可愛いなぁ!!!」( ▽ ///

ポプリ「いちゅきはそのままでも十分可愛いでしゅ!!」

明「ふむふむ、こいつぁ……けっけっけ、月影さんや、そんな深いスリットのスカートで大丈夫か?まぁ、、そんくらいしねぇと博士は誘惑できそうにねぇけどな?」(-▽-

ももか「む~!!明くん!!いくらゆりが美人さんだからって、ほかの女の子の足をじろじろ見ちゃいけません!!!」( H #

小羽「ももかさん、嫉妬してる?」

小百合「おぉぉ……お姉ちゃんが女神様みたいだ!!!」

ふたば「ねぇね!ねぇね!!」

小狼「はははは……なんというか、王子様みたいだな、菖の恰好」

君尋「月影のは……あぁ、インドの衣装にそっくりなのか」

静「なら、花咲は女騎士か」

さくら「ほえぇぇ……」

ひまわり「ふふふ♪三人とも、とっても似合ってるね♪」

 

~ハピネスチャージ組~

いおな:マルタ

 

いおな「わたしはマルタ、ただのマルタです……って、なんでわたしまで……けど、この恰好、嫌いじゃない、かも?」(  ///

 

めぐみ「おぉっ!なんかいおなちゃんがいつもと違う感じがするよ!!」

ゆうこ「ふふふ、聖女様みたいね?」

誠司「……めぐみがあんな恰好……いや、似合わないな」

まりあ「うふふふ♪誠司くん?何を想像しているのかしら?」(-▽-




おまけ

~その後の明さん~
ももか「む~!!」
明「あ?どした、ももか?」
ももか「む~~~~~っ!!!」
明「……あぁ、なるほどな。わぁったわぁった。今度一緒に遊びに行こうぜ」
ももか「二人っきりで!」
明「当たり前田のクラッカーってな♪」

~その後のゆりさん~
ゆり「ちょ、ちょっとやっぱりスリットが深いんじゃ……」
菖「確かにな……似合ってるけど、俺以外の野郎にゆりの足を見せるのはすっげぇ癪だ」
ゆり「……へ?……」(//////


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えりかとひめのファッションショーpart34~情熱の導師と正義求める剣士~

そういややったことなかったかな、と思い……
なお、明さんの恰好は聖騎士の衣装ではなく、デフォルト衣装ですので悪しからず


菖(スレイ)「俺がスレイで」

明(ユーリ)「俺がユーリか。へっ、悪くねぇな!」

菖「……言っとくけど、誘惑するのはももかと祈里とまりあさんときららだけにしてくれよ?」

明「わぁってるよ、導師様を嫉妬で穢したら大変だからな」(-▽-

菖「……本当にわかってんのかな……」(--;

 

~MH組~

なぎさ「おぉ、二人とも似合ってる!!」

ほのか「ふふふ♪」

ひかり「菖さんの恰好、なんだかセイバーにそっくりなような……」

 

~S☆S組~

咲「あれ?菖さんの恰好、セイバーの恰好じゃ??」

舞「偶然、かしら?」

満「……(うずうず、うずうず)……」

薫「……満、止めないから行ってらっしゃい」

 

~フレッシュ組~

ラブ「あれ?菖さんの恰好、そのまんまセイバーだよね?……って、ブッキー、どしたの?」

美希「ふふふ、完璧にゆでだこね♪」(-▽-

祈里「……うぅ~……」(//////

せつな「ふふふ♪あとでヒーローインタビューかしらね?」(-▽-

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「なんというか、菖さんはいつもと変わらない気が……」

いつき「うん、セイバーの恰好そっくりだからね。だから見慣れてるって思うのかな?」

ゆり「ふふ、そうかもしれないわね……ところで、ももか?顔を真っ赤にしてどうしたのかしら?」(-▽-

ももか「……うぅ……ゆりの意地悪っ!!」(//////

小狼「なんというか、明のコスプレは少し派手、かな?」

君尋「派手、ではないだろうが、胸元出してるからなぁ」

静「下手をすると、女子が悩殺されるのも時間の問題だな。まぁ、すでに一人撃沈しているが」

さくら「ほえ?」

ひまわり「ふふふふ♪さくらちゃんは気にしなくて大丈夫だよ~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「あれ?なんか、菖さんの衣装、見たことがあるような?」

ゆうこ「ふふふ♪そりゃね?」

いおな「だって、菖さんの恰好、セイバーにそっくりなんだもの……というか、お姉ちゃん……」

誠司「あぁ、そりゃ見たことあるわけだ……てか……まりあさん?ニヤニヤしてどうしたんですか?」

まりあ「うん?なに?別に明くんがカッコイイからってニヤニヤしてないけど??」(///▽///

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!!白と黒の剣士!!素敵すぎるよぉ!!」

みなみ「ふふふ、きらら?どうしたの?顔が真っ赤だけれど」(-▽-

きらら「……うぅっ……な、なな、なんでもないしっ!!」(///Д///;

トワ「あらあら♪これは、星のプリンセスを射止めた、悪い殿方がいらっしゃるのでしょうか?」(-▽-



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えりかとひめのファッションショーpart35~銀河を貫く伝説の刃~

はい、お久しぶりです
生きてますよ?
一次創作の執筆やら仕事やらでてんやわんやしてたんですっかり離れてましたが
……どうすっかな、トロピカル~ジュとの合流会、やらないといかんよねこれは……(白目


明「いくぞ、せんせー!」

菖「あぁ!!というか、せんせー言うな!!」

菖、明「「炎の!たてがみ!!」」

 

~MH組~

なぎさ「民族衣装みたい!」

ほのか「ふふふ、ネイティブ・アメリカンみたいな気がするわね」

ひかり「ふふふ♪」

 

~S☆S組~

咲「民族衣装?」

舞「星の民の衣装、だったかしら?」

満「強いのかしら?」

薫「気迫は感じるのだけれどね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「おぉ、なんかカッコイイ!!」

りん「民族衣装みたいな感じねぇ……」

うらら「なんだか新鮮な感じがします!」

こまち「星の守護者、銀河を貫く刃……ふふふふ」

くるみ「またこまちは……あら?かれんは……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!!ギンガレッドと黒騎士だぁ!!」

美希「民族衣装みたいな感じね」

祈里「やっぱり明さん、黒が似合う!!」

せつな「祈里、なんだか幸せそうね」(-▽-;

 

~ハートキャッチ組~

いつき「明さんはともかく、菖さんもノリノリですね……」

ゆり「すっかりはしゃいじゃってるわね……まぁ、そこが可愛いのだけれど」

 

~スイート組~

響「おぉ、戦隊ヒーローだぁ!!」

奏「二人のイケメン戦士……あぁ……めまいが♪」

エレン「何をやってるのかしら?」

アコ「馬鹿らしい……」

 

~スマイル組~

みゆき「おぉっ!!かっこいい!!」

あかね「こりゃやよいちゃん、大興奮とちゃうの……って、あれ?」

れいか「やよいさんもなおも、えりかさんとひめさんに連行されていきましたよ?」

あゆみ「なんというか、珍しくはしゃいでるのかな?」

湊「かもしれんな」

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉ、なんか息ぴったり!」

六花「なんというかもう、最強コンビって感じね」

ありす「うふふ♪」

真琴「たしかに……」

亜久里「いつも思うのですが、明さんは本当に何者なのでしょう?」

レジーナ「さぁ?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!カッコイイ!!」

ゆうこ「うふふ、菖さん、珍しくはしゃいでるわね」

いおな「ほんとに……珍しいこともあるわね」

誠司「明さんの雰囲気につられたんじゃないか?」

まりあ「うふふ♪明くんはわんぱくさんだもんね」

 

~プリンセス組~

はるか「おぉっ!ふたりとも 息ぴったり!!」

みなみ「これは驚きね」

きらら「にっしし、明さんの雰囲気に引きずられちゃったかな?」

トワ「なんだか、いつもよりはしゃいでいるようですわね?」

 

~魔法使い組~

みらい「なんか、菖さんいつもよりはしゃいでいるかも?」

リコ「普段の様子からしたらそう見えるわね」

ことは「はーっ!わたしも一緒に遊ぶ~♪」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「おぉ……って、手から火炎放射?!」

ひまり「あ、ありえないです!!」

あおい「いやいや……」

ゆかり「あら、二人してはしゃいでるわね♪」

あきら「ゆかり、なんか悪いこと考えてない?」

シエル「あははは……」

 

~Hugっと!組~

はな「って、手から炎が?!」Σ( □ ;

さあや「炎のたてがみ……もしかして、星獣戦隊ギンガマン?」

ほまれ「なんで知ってんの?」

えみる「おぉっ!こ、これはスーパーヒーローの予感なのですっ!!」(キュピーン

ルール-「えみる、少し落ち着いてください」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「か、かっこいい!!」

ララ「ま、まさかあれは伝説の……」

えれな「え?ララ、何か知ってるの?」

まどか「設定上、もしかしたら似通ったものがあるのかもしれませんね」

ユニ「少なくとも、わたしは興味ないニャン」

 

~ヒーリングっド組~

のどか「はわぁ~!」

ちゆ「スーパー戦隊……戦隊……銭湯……温泉……」

ひなた「ち、ちゆちー?何、言ってんの??」

アスミ「ふふふ。何か閃いたのかもしれませんね」




菖「ギンガ転生!!」
明「騎士転生!!」
菖「ギンガレッド!ショウ!!」
なお「ギンガグリーン!ナオ!!」
かれん「ギンガブルー!カレン!!」
やよい「ギンガイエロー!ヤヨイ!!」
つぼみ「ギンガピンク!ツボミ!!」
明「黒騎士!アキ!!」
菖「銀河を貫く、伝説の刃!!星獣戦隊!!」
全員『ギンガマン!!』

りん「って、なんで変身までしてんの?!」
六花「もう、どこからつっこんでいいのかわからないわ……」
あゆみ「あ、あはははは……」


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えりかとひめのファッションショーpart36~粉砕☆玉砕☆大っ喝采!! な社長~

久しぶりの更新
最近、またマスターデュエルにはまりまして、なぜか唐突に浮かんできたのでこの人を……
いや、誰なのかはタイトル見れば一目瞭然ですわ(^^;;


菖「決闘(デュエル)開始の宣言をしろ! 磯野ぉっ!!」

湊「決闘開始!!」

 

菖「俺のプライド、そして俺の魂! 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!!」

拓海「こ、攻撃力3000?!」

菖「終わりだぁっ!! 青眼の白龍でプレイヤーへ直接攻撃(ダイレクトアタック)! 滅びの疾風爆裂弾(バースト・ストリーム)!!」

拓海「がぁぁぁぁぁっ?!」

菖「粉砕☆玉砕☆大っ喝采!! ははっ! ははっ‼︎ わぁっはははははははっ!!」

 

~MH組~

なぎさ「な、なんか菖さん、一気に性格変わっちゃったんだけど……ぶっちゃけありえなぁぁぁぁいっ!!」

ほのか「変わりすぎ、じゃないかしら?」

ひかり「ちょ、ちょっと怖いです……」

 

~S☆S組~

咲「性格、変わりすぎぃっ!!??」

舞「なんというか、菖さん。衣装に引っ張られているような……」

満「けど、普段からこの二割くらい、傲慢になってもいいんじゃないかしら?」

薫「傲慢、なのかしらね?」

 

~5GoGo組~

りん「な、なんか聞いたことがあるような……」

のぞみ「そうなの?」

うらら「気のせいじゃないでしょうか?」

かれん「というか、菖さん……」

こまち「テンションがすごいことになってるわね」

くるみ「なんでこまちは楽しそうなのよ……いや、確かに聞き覚えはあるんだけども」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「か、変わりすぎですぅっ!!」

いつき「普段の菖さんからは考えられないよね……」

ゆり「まったく……何をやっているのかしら?」

 

~スマイル組~

やよい「海馬社長!! わたしと決闘してください!!」

みゆき「や、やよいちゃん?!」

あかね「やよい、また偉く気合入っとるなぁ……」

なお「この前、負けたことがよっぽど悔しかったのかな?」

れいか「あの、皆さんそれよりも菖さんの変貌ぶりに驚かれた方が……」

あゆみ「あ、あははは……」

キャンディ「クルゥ? なんだか女王様の顔が浮かんだ気がするクル……どうしてクル?」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「すごごごごーいっ!」

ゆうこ「いおなちゃん、あんな状態の菖さんも嫌いじゃなかったり?」

いおな「と、突然何を言い出すのよ?!」

まりあ「あらあら、うふふ♪」

誠司「てか、兄貴……はっちゃけすぎだろ……」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんかお父さんが酔っ払っちゃったときのテンションに似てる気が……」

あきら「そうなのかい?」

ゆかり「あら、面白そうね」

あおい「いや、ゆかりさん。まさか一服盛る、なんてことないよね?」

ひまり「そ、それはだめだと思いますっ!!」

シエル「ゆかりならやりかねないわね……」



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ブライダル・ファッションショー

えりか「むふふふ……ひめ、用意はよろしいか?」
ひめ「もちろんですぞ、えりかどの」
菖「……なんか、前にもあったなぁ、こんなの……」
湊「そうなのか?兄貴」
菖「あぁ……」
えりか「というわけで!」
ひめ「ジューンブライトファッションショー!」
えりか、ひめ「「スタートっしゅ/ですぞ!」」
菖「あぁ……やっぱり……」

----------------------------
どんな恰好というかデザインなのかは、各々、脳内補完でお願いします(汗


~MH組~

なぎさ「こういうの、フィッシュテイルっていうんだっけ?……ちょっと、前のほうが短くて恥ずかしいかも……ていうか、ここでも黒とか、ぶっちゃけありえない!!」

ほのか「わたしのは、オーソドックスなタイプなのね……シンプルでいいと思うわ!」

ひかり「なんだか、光の園のクィーンのような?」

 

~S☆S組~

咲「……いつか、この恰好で和也さんと……」(/// ///

舞「……いつか、この恰好で菖さんと……」(/// ///

満「なんだか、動きづらいわね?」

薫「でも似合ってるわよ?満」

 

~5GoGo組~

のぞみ「わぁっ!お姫様みたい!!」

りん「ん~、あたしら、ドレス着る機会、けっこうあったから、もう慣れっこって感じだけど」

うらら「でも、いつかこういう恰好、してみたいです!」

こまち「純白のウェディングドレスをまとう花嫁、でもその表情はどこか悲しげで……」

かれん「……ほんと、ぶれないわね、あなたも……」

くるみ「……い、いつか、この恰好でココ様と……キャーーーッ!!」(///▽///

 

~フレッシュ組~

ラブ「……(ボンッ!)」

祈里「……(ボンッ!)」

美希「あらら、二人とも顔が真っ赤になっちゃって」(-▽-;

せつな「これが、幸せの出発点……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「あ、あの……嫁入り前にこんな恰好は……」

いつき「お嫁に行き遅れるって言われてなかったっけ?」

ゆり「……いつか、この恰好で菖と……えりか、今度だけはいい仕事したわね」

つぼみ、いつき「「……っ??!!」」Σ( □

 

~スイート組~

響「この恰好でピアノ弾くのもいいかもしれないなぁ……」

奏「ふ、ふふ、うふふふふふ♪」

エレン「か、奏?」

 

~スマイル組~

みゆき「あれ?」

あかね「……なんや、既視感が?」

やよい「この恰好、もしかして?」

なお「う、うん」

れいか「プリンセスモード、ですよね?」

あゆみ「……い、いつか、この恰好で湊くんと……(ボンッ!)」(/// ///

 

~ドキドキ組~

六花「へぇ?わたしは青なんだ??けど、なかなかいいんじゃない♪」

ありす「わたくしは黄色ですね♪さすが、えりかさんにひめさんですわ♪」

真琴「やっぱり紫なんだ……けど、この恰好……前に仕事でしたような……」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「う~~~~~……誠司には見られたくないよぉ……」

ゆうこ「あらあら、めぐみちゃんったら、恥ずかしがっちゃって。かわいい♪」

いおな「……お、お姉ちゃん?」(--lll

まりあ「……そう……えりかちゃん、ひめちゃん……行き遅れてるわたしに喧嘩を売ろうってのね……」( ▽ #

 

~プリンセス組~

はるか「……ぽわ~ん……」

みなみ「あらあら……はるかったら、幸せそうな顔しちゃって♪」

きらら「そういうみなみんも♪にっしし~」

トワ「……気のせいでしょうか?なぜか、グラン・プリンセスの衣装にそっくりなような……」

 

~魔法使い組~

みらい「お嫁さん!わっくわくもんだーっ!!」

リコ「べ、べつに恥ずかしくなんかないし!!」

ことは「はーっ!お嫁さん、ワクワクもんだしーっ!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「わたし、むしろウェディングケーキを作る側になりたいんだけど……」

ひまり「は、はわわ……はわわわわわわ!」(///□///

あおい「……こういう恰好、好きじゃないんだけどなぁ……」

ゆかり「うふふ♪似合ってるわよ?あきら」

あきら「ゆかりもキレイだよ」

シエル「Oui!みんなParufeな出来栄えよ♪」

 

~Hugっと!組~

はな「い、いきなり花嫁ですとぉっ?!で、でもいけてるかも……」

さあや「……(ボムッ!)」

ほまれ「二人ともめちゃいけてるじゃん♪」




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~参加できなかった理由~
アコ「で?」
亜久里「どうして、わたくしとアコ、それからマナの衣装はなかったのです?」
アコ「納得のいく説明を」
亜久里「要求しますわ!!」
えりか「だって、マナはもうおばあちゃんの代からのドレスを着るって決めてるんでしょ?だったら、それ以外のデザインのドレス作ったって面白くないもん」-3-
ひめ「ちなみに、二人のドレスがなかったのは、単純にサイズの問題ですぞ!」
アコ、亜久里「「誰がおチビですって?!」」

~一面の赤~
なぎさ「い、いつか藤P先輩と……ぬぁ~~~~~~っ!!恥ずかしい~~~~~っ!!」
咲「い、いつか和樹さんと……は、恥ずかしすぎるなり~~~~~っ!!」
ひかり、舞、つぼみ、ゆり「「「「……い、いつか菖さん/菖とこんなドレスで……(ボムッ!!×4)」」」」(/// ///
あゆみ「み、湊くん、このドレス、どう思ってくれるかな……」
めぐみ「うぅ~……誠司、このドレスみてなんて言うかなぁ……」
えりか「見事に赤面だらけっしゅ」
ひめ「一面の赤ですなぁ……」

~男性陣の反応~
菖「みんな似合ってるな」
湊「うん……」
誠司「だ、だな……」
菖「……ちなみに、誰が一番綺麗だと思う?」
湊「そりゃ」
誠司「もちろん」
湊、誠司「「あゆみ/めぐみだろ……え?」」
菖「なるほど、なるほど♪」
湊、誠司「「あ、兄貴~~~~~っ!!」」


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ネタ、というより備忘録?

DXとかNSとかは着手してはいるんですが、大まかな展開を忘れそうなので、備忘録代わりに。
基本はこれをベースに作っていきます。
なお、オールスターズ映画のお話は本編終了後を予定しているので、しばらくの間、お預けです(汗
要望があれば、一足先どころか百足先に出すかもですが(^^;


~DX2~

海外の遺跡調査を行っていたため、日本にいなかった。

よって、群衆にもいなかった。

 

~DX3~

ゆりと一緒につぼみたちのファッションショーの見守り。

変身後、イエロー組(ギャク組?)と一緒にすごろく参戦。

----------------------------------

『スーパーもぐらたたき』

ムーンライトと同時に飛びだして、飛び掛かってきた敵を殴る。

なお、ハンマー以外も使った模様。

 

ムーンライト「とにかく叩きなさい!そうすれば出られるわ!!」

セイバー「止まってたって何にもならないぞ!だったら、行動あるのみだ!!」

 

『野球対決』

ムーンライトとともにバッターとして出場。

ホームランまではいかないものの、持ち前の俊敏さで盗塁。

 

『それぞれの対決』

パッション「ダンス対決!」

ルミナス「お菓子作り対決!」

レモネード「カラオケ対決!」

サンシャイン「武道対決!」

パイン「動物仲良し対決!」

ムーンライト「お勉強対決!」

セイバー「……土器修復対決?」

 

手早く土器を完成させたセイバーに、ムーンライトはあきれ顔をしていたが、他の面々は目を輝かせながら感心していた。

なお、相手をしていたザケンナーはなかなか完成せずに、頭を抱えて消滅。

 

オールスターズと合流し、サラマンダー男爵と対決したときは、飛翔状態になり、ムーンライトとともに竜化した男爵を牽制。

ブラックホールからの攻撃に気づくと、プリキュアたちをかばうように前に出て、単身、ブラックホールの攻撃を迎え撃つが、吹き飛ばされ、変身も強制解除され、変身アイテムの手袋が灰になって消し飛ぶ。

再び変身するために支払う代償を聞いても、動揺することはなかったが、ゆりに抱きしめられているコロンの頭に手のひらを置く。

 

菖「……未来を決めるのは、現代の選択("今"、選ぶこと)……みんながどんな選択をするにしても、俺は反対しない……けど、俺は未来をあきらめたくない」

 

その一言と、響の言葉でプリズムフラワーの力を使って最後の変身をする。

プリズムフラワーの力を借りて、レイディアントシルエットに変身。

ブラックホール消滅後、菖は手袋とエターニアハートを失う。

立ち位置はゆりの隣。

涙こそ流さなかったものの、どこか寂しそうな表情を浮かべる。

お花見でコロンが帰ってきたときは、何もいわず、拳を突き出しただけ。

コロンは微笑みを浮かべながら、その拳に自分の手を(本人は拳と言っていたが)ぶつけた。

なお、手袋とエターニアハートはコロンが持って来てくれた。

 

~NS~

フュージョン出現時、初撃の火炎放射を迎え討ち、相殺したため、観覧車にはいなかった。

その後、オールスターズと一緒にフュージョンを撃退。

合流後、ムーンライトたちと一緒に囮役になる。

 

~NS2~

プリキュアパーティーの招待状を受け取り、響たちと合流後、ハミィを抱きかかえた状態で先行。

襲撃を受けるといち早く変身し、応戦し、ゆりたちが逃げる時間を稼ぐが、すぐに結晶化させられてしまう。

解放後、学校の崩落から妖精たちを守る。

助けてくれたことにお礼を言われるが、

「応援もいいけど、自分の安全も確保してくれよ?」

と言って、安全な場所へ行くよう、指示する。

解決後、力仕事を中心に後片付けのお手伝い。

 

~NS3~

何もできずに夢に囚われる。

夢の内容ははっきりとは覚えていないが、ユグドセイバーと同じマントを着た青年と、左腕に包帯を巻いた黒い長髪の女性から、自分の信じた道を往け、と言われたらしい。

なお、夢であることはすぐに気づいた模様。

夢から覚めると、大乱闘に参加。

大量のチビ悪夢に囲まれるが、獅子戦吼や飛翔状態の刃を駆使して全滅させる。

 

~春のカーニバル~

つぼみたちとともにハルモニアへ。

オドレン、ウタエンから事情を説明されるが。

「いや、なんやかんやってなんだよ、なんやかんやって!」

と突っ込む。

その後、歌だけなら参加可能か問いかけ、つぼみたちとは別で出番を用意してもらう。

ハートキャッチ組の出番終了後。

 

ウタエン「そういえば、ハートキャッチプリキュアのみなさんには、もう一人、メンバーがいらっしゃるんっすよね?」

つぼみ「はい!わたしたちの頼れる味方です!」

えりか「その名も!大樹の騎士、ユグドセイバーっしゅ!!」

オドレン「ほぉ、そりゃなんとも大層な」

菖「だから、そんな恰好いいもんじゃないって」

 

と、謙遜。

その後、休憩時間中に、オドレンとウタエンの計画を聞きつけ、どうしたものか、とおもいつつも、放置することにする。

ただし、何をされるかわからないため、変身アイテムの無事を確認してから手袋をはめておく。

ハピネスチャージ組の出番が終わり、オドレンとウタエンが正体を現すと、菖も変身し、応戦。

はるかたちが諦めそうになったとき、その姿を見て。

 

セイバー「そう簡単に、諦めるな!仮にも、俺たちの後輩なら!最後まで!足掻いて!見せろ!!」

 

戦いながら叱咤。

なお、最後の最後に獅子戦吼でドロボーンたちを全部吹き飛ばす。

プリキュアたちの復帰後、ハートキャッチ組と一緒に大乱闘へ。

 

マリン「海より広い、あたしのこころも……って、まだ言ってる最中~~~~~!!」

セイバー「……しまらないなぁ、ほんと……」

ムーンライト、サンシャイン「「……はぁ……」」

 

解決後、プリンセス組が歌い終わると、そのままパーティーへ、と思いきや。

ゆりから。

 

ゆり「あら?まだセイバーが歌ってないじゃない」

えりか「はっ!!そういえば!!」

アコ「……菖兄さん、もしかして、逃げるつもりだった??」

菖「……ちぇ、ばれたか」

オールスターズ『って、ほんとに逃げるつもりだった/だったんですか/だったの??!!』

 

気づかれて歌うことに。

ちなみに、曲は『風ノ唄』と『INNOSENSE』の二曲。

本当は『風ノ唄』だけのつもりだったらしいが、ひめとえりかが中心になって、アンコールをしてきたため、やむなく二曲歌った。

なお、その後、ひめとえりかをこってり絞ったことは言うまでもない。

 

~奇跡の魔法~

ブロッサムを逃がすためにムーンライトたちと一緒に爆発に巻きこまれる。

 

ブラック「で、で」

ブルーム「でら、でら」

ドリーム「出られない~」

セイバー、マリン、ムーンライト以外『(お・り)!』

マリン「あほか~~~~~~っ!!」

セイバー「マリンの突っ込み……ある意味、新鮮だな」(-ω-

ムーンライト「あなたも大概のんきよね……」(-_-;

セイバー「動けない以上、仕方ないだろ?」

ルミナス「そういえば、セイバーの攻撃で檻を壊せないですか?」

セイバー「壊れる前に俺の拳が砕けると思う。エターニアハートはそもそも"斬る"ことができないし」

イーグレット「だめですか……」

ムーンライト「おとなしく、救援を待つしかないわね」

 

なお、各種拷問(スカンク以外)は昼寝で乗り切った。

スカンクのへっぴりには。

 

セイバー「臭ぇっての!!」

 

と文句を言いながら、檻を殴るがあまりの痛さに悶絶。なお、涙は流さなかった模様。

檻崩壊後、飛翔状態に変身して、ソルシエールをキャロットミサイルから守ったり、サニーを運搬したり。

最後の最後はムーンライトとメロディの手をつなぐ。

全部が終わってお花見になり、みらいたちの秘密を暴露されても、ペースを崩さず、のんびりと桜を見上げながら徳利を傾けていた。

 

ゆり「……菖?未成年なんだから、お酒はだめよ?」(-言-

菖「ん?あぁ、これの中身は水で薄めた梅シロップだよ。飲んでみるか?」

ゆり「……それじゃ、一献」

せつな「そこだけ空気が違うわね」(^^;

トワ「まさに、大人の空気ですわ」




ちなみに、作者はDX3の最後のシーンが結構好きです。
あれは何度見てもじーんときます。泣きませんが。


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突如、思いついたネタ(備忘録)

備忘録とは書きましたけど、書くかどうかは未定です。
正直、プロット書くだけで辛くなってきたので書かずにしばらくしたら消去しようかなとか考えてます。
まぁ、しばらくはおいとくつもりですけども。

あ、ちなみにブレイドナイトは葵つばめさんの作品からの登場です。
許可は頂いとりますが、もしかしたら、この内容じゃなくて別の内容での登場になるかもわからないです(仮面ライダー大戦的な感じになればいいんですけどね、ほんとは)


<流れ>

~序盤~

心の大樹に呼びだされ、世界の危機が迫っていることを知り、菖は単身、調査を行うことに。

だが、プリキュアたちにそれを伝えようとしたら、突然、襲撃された。

ハートキャッチ組だけでなく、全てのオールスターズメンバーが菖を敵として認識し、襲撃。

一度、総力戦となり、敗北する。

 

「世界をめちゃくちゃにしようとするなんて、許せない!」

「あなたがどんな力を持っていようとも!」

「この世界は、わたしたちと黒の剣士が」

『守ってみせる!!』

「なっ?!ちょ、いったいなにが……?!」

「残念だが、そういうことだ。消えてもらうぞ、白の剣士!!」

 

~襲撃後~

辛くも一命を取り留め、心の大樹の根元で目を覚ます。

そこには、先代騎士ともう一人、同級生の友護がいた。

彼らの話では、友護が仕留めそこねた妖魔が、宇宙に散らばったブラックホールの力を吸収してしまったらしい。だが、妖魔の意識はより強大な意識であるブラックホールのものに呑みこまれ、再び地球を闇に染めようと画策していた。

そんな中で、彼はプリキュアを味方につける、という策を思いつき、自分に立ち向かい、変身する力を失ってなお、立ち上がろうとするもう一人の戦士をベースに自分の仮初の姿を造り、プリキュアたちの意識操作を行おうとしたらしい、という真実を知る。

 

「じゃあ、俺があのとき心の大樹に呼ばれたのは……」

《ブラックホールの意識からお前の存在を隠すためだったんだ……ブラックホールに気づかれないよう、呼びかけを最小限に抑えてしまったせいで、妖精(シプレ)たちは気づくことができなかったみたいだがな》

「……まったく、普段から絆だの友情だのと謳っていた割に、ころっと忘れちまうとはな……これだから、人間の心なんてのは信用できないんだよ」

《まぁ、あいつらもまだまだ道半ばだからな……》

「そう言ってやるなよ。人間の心ってのは、もともと曖昧で、不完全で……だからこそ愛おしいんじゃないか」

 

~異世界からの助っ人参上~

プリキュアたち自身が闇の力を退ける力を持っていることを信じて、菖は再び、セイバーとして戦うことを決意する。

そんななか、再び返り討ちに合いそうになったところを、突然現れた黒騎士に救われる。

セイバーは最初、黒騎士も敵なのではないかと疑い、身構えたが、自分もまた心の大樹に呼ばれた存在だ、という言葉を信じ、共闘することを選ぶ。

 

「おいおい、そう身構えんなよ。疑心暗鬼になっちまってんのはわかるけどよ」

こちらの味方だ(俺の敵じゃない)っていう証拠は?」

「あぁ……そうだな、俺も心の大樹に呼ばれた戦士だって言えば、信頼してくれるか?といっても、別の世界の心の大樹だけどな」

「……信頼はしない。けど、その言葉だけは信じる」

「へっ、素直じゃねぇのな……俺はブレイドナイトだ」

「……ユグドセイバー」

「おっし!セイバー!いっちょ、暴れてやろうじゃねぇか!!」

 

~反撃開始~

ブレイドナイトの助太刀もあって、どうにかプリキュアたちの洗脳を解除することに成功。

その後、黒の剣士とセイバーの一騎打ちとなる。

だが、世界中の悪意をまとめ上げた存在でもあるブラックホールの意思に苦戦を強いられる。

オールスターズメンバーも一緒に戦おうとするが、「魔法使い」を名乗る友護に呼び止められてしまう。

洗脳されていたとはいえ、一度、セイバーに刃を向けた事実は消えない、そして、そのことで受けたセイバーの心の傷は、おそらく生涯残る。

原因はどうあれ、結果を作ったお前たちにいまさら一緒に戦う資格があるのか。

友護のその厳しい問いかけに、オールスターズは戸惑い、足を止めてしまう。

 

「お前たちにセイバーと戦う資格があると思うのか?」

「な、なにを言ってるの?!」

「セイバーはわたしたちの仲間だよ!一緒に戦うのはあたりま……」

「ほぉ?!仲間?!一緒に戦うのが当たり前?!……そのセイバーを攻撃しただけじゃあきたらず、あろうことか話をしようとしていたのに聞く耳もたず、全員で攻撃をしかけたのは、どこのどいつだったかな?」

「そ、それは……」

「け、けどそれはあたしたちが操られてたからで……」

「はっ!原因はどうあれ、お前たちがセイバーを傷つけたことに変わりはないっての!そんなことにすら気づかない脳たりなんだとは思わなかったな!!」

「の、脳たりん……?」

「だ、だからって、一緒に戦う資格がないなんてこと……」

「……自分の心に傷を負わせた人間を信じるほど、あいつはバカじゃねぇぞ。まして、お前らに、信じていた仲間に()()()()()んだ。おそらく、その傷は生涯残るだろうなぁ」

『……っ……』

「戦っている最中に疑問すら覚えなかったお前たちに、果たしてセイバーと一緒に戦う資格が、本当にあるのか?もう一度、それをじっくり考えることだな……脆弱な戦士、プリキュア」

『……っ!!』

 

~ブラックホール封印、その先に待つ別れ~

ブラックホールの意思との戦いに苦戦を強いられるセイバーだが、必死に食らいついていく。

その中で、ようやく、自分たちも戦うことがセイバーに対する償いになると結論付けたプリキュアたちが参戦。

だが、予想以上に強くなったブラックホールの意思に、オールスターズも敗北してしまう。

そんな中で、セイバーはこれ以上の被害を出さずに済む方法を思いつき、誰にでも話すことなく、実行する。

その策が功を奏し、ブラックホールは無事に封印できた。

だが、同時に、セイバーの姿もなくなっていた。

ブラックホールの意思を自分の中に取りこみ、封印する。それが、セイバーの思いついた方法だったのだ。

普段なら決して、犠牲になるようなことはしないと知っていたムーンライトとブロッサムは、その方法を取らせるほど、セイバーが自分たちを信じられなくなってしまっていたことを思い知り、涙を流すのだった。

 

「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

《な、なにっ?!》

『きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ?!』

「……べっ、うえぇぇ、すごい爆発……」

「ブラックホールは?!」

「い、いない?」

「勝った、の?」

「や、やったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「……セイバー?」

「ムーンライト、セイバーは?!」

「……ま、まさか……」

「ムーンライト?……ま、まさか、嘘ですよね?」

「……」

「そんな……なんで……」

「わたしたちのせいよ……原因がどうあれ、わたしたちは、セイバーを傷つけてしまった……誰にも自分の考えを話さないようになるほど……」

「……っ……」

「……ごめん、ごめんなさい、セイバー……う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!」

 

~後日談:数週間後~

なんとなく、心の大樹の前にやってきたゆりとつぼみ。

なぜか、ここにいればいつか菖が戻ってくるのではないか、と思っていたのだが、そんなことはなく、すでに数週間が過ぎた。

やはり、自分たちが抱いた夢想にすぎないのか、そう諦めて帰ろうとしたとき、二人の間を風が吹き抜けた。

風が止むと、草を踏む音が聞こえ、恐る恐る振り返ると、そこにはセイバーの後ろ姿があった。

 

「「せ、せいばー……セイバー!!」」

「……」

「……ご、ごめんなさい。セイバー……」

「……」

「……操られていたとはいえ、わたしたちはあなたを傷つけてしまった……その事実は消えないわ、けれど……けれど」

「「これだけは言わせて/ください……おかえりなさい、セイバー」」

「……ただいま、二人とも」




思いついたので追加
~その後(オールスターズ(一部除く)による謝罪:スキット風)~

オールスターズ(エコー、テンダー除く)『ごめんなさい、セイバー!!』
セイバー「なにが?」
ブラック「え……だ、だって、わたしたち……」
ドリーム「あなたのことを敵だと疑って……裏切って……」
セイバー「別に気にしてないぞ?」
ミラクル「え?」
ラブリー「ほ、ほんとに??」
マリン「なぁんだ、よかったぁ」
プリンセス「おしおきかとひやひやしましたぞ……」
ハッピー「よ、よかったぁ……」
マーチ「ほ、ほんとに気にしてない?」
セイバー「あぁ……多勢に無勢だってのに一斉にかかってきたこととか、話をしようとしてるのにまったく攻撃をゆるめなかったこととか」
ソード「うっ……」
ベリー「うぅ……」
セイバー「こっちが攻撃してないことに一切の疑問を抱かなかったこととか」
フォーチュン「うぐっ……」
サンシャイン「……」
ハニー「あ……あははは……」
セイバー「どうにか対話に持ちこもうとしても、時間稼ぎだって、一方的に決めつけて聞く耳持たなかったこととか」
ホワイト「あぅ……」
ミント「うぅ……」
ビューティー「くっ……いまさらですが、悔やんでなりません……」
マジカル「うぐっ……」
セイバー「正体を知ったら知ったでいきなり攻撃してきたこととか」(ジロリ
マカロン「……」
ショコラ「あ……い、いや、その……」
セイバー「でもって俺の方から攻撃してこないのをいいことに一方的にフルボッコにした挙句、一斉に必殺技使ってきたこととか」
ローズ、ホイップ「「うぐっ!!」」
ジェラート「あ、あはは……」
パルフェ「Wow……」
セイバー「まずするべきことがあるはずなのに、いきなり隣に来て『一緒に戦おう』なんてほざきやがったこととか」(-▽-メ
ブラック「あ、あうぅぅぅぅ……」
ブルーム「……うぅ……」
ドリーム「……」
セイバー「そういうの、一切、まったく、これっぽっちも、塵一つぶんも気にしてないから、安心しろよ?いままで通り、普通に接してくれて、ぜんっぜん構わないぞ?」(-▽-メ
パッション、ビート、サニー、ダイヤモンド、トゥインクル、マジカル、ジェラート、ショコラ「「「「「いや、してます/るよね?めちゃくちゃ気にしてます/しとる/るよね?!」」」」」Σ( □ ;;
ルミナス、イーグレット、アクア、パイン、ブロッサム、ムーンライト、リズム、メロディ、ミューズ、ピース、ハート、エース、フローラ、マーメイド、スカーレット、フェリーチェ、カスタード『ご……ごべ/めんなざ/さい……ほんど/とにほんど/とにごべ/めんなざ/さい!!』(;△;lll


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オールスターズとの一幕~菖と一緒に料理~

連続投稿〜
というか、こっちが本命。

秋といえば色々ありますなぁ……読書、スポーツ、食欲、芸術、勉強……みなさんはどの秋でしょうか?
てなわけで、今回は食欲の秋、ということで菖とオールスターズが一緒に料理をしている場面をスキット風でお送りします。
なお、「聞いてみた」シリーズじゃないので、「一幕」とさせていただきまして、独立したもう一つのシリーズとさせていただきます。


~MH組~

なぎさ「……」(こそこそ)

菖「……ほのか、ひかり。捕獲」(--

ほのか「なぎさ」

ひかり「つまみ食いは」

ほのか、ひかり「「ご法度よ/です!!」」

なぎさ「そ、そんなぁ……」(´・ω・`

 

~S☆S組~

菖「舞、転がって危ないから、根菜は半分に切って、平面を下にして切ったほうがいいぞ」

舞「は、はい!」

咲「なんだか入っていけないなり」

満「夫婦みたいね」

薫「むしろ、夫婦なんじゃ?」

 

~5GoGo組~

菖「カレー粉はしまいなさい、羊羹は出すな!って、なんで高級食材が出てんだ??!!」Σ(-□-メ

うらら「そ、そんなご無体な!!」(;ω;

こまち「あら、ばれちゃったわ♪」

かれん「ありだと思うんですが……」(´・ω・`

りん「あぁ……菖さんのツッコミは今日も全力全開」

くるみ「ほんと、菖さんがいるとわたしたちの負担が減るわぁ」

のぞみ「うわぁっ??!!」Σ(0□0;

菖「……のぞみ、お前は味見役だから、おとなしくしててくれ」(--;

 

~フレッシュ組~

菖「……ラブ、こっそり嫌いな野菜を抜こうとするな」(--#

ラブ「ギクッ??!!」Σ( □ lll

美希「食事はバランスよく!栄養バランスが整った、完璧な食事にしてみせるわ!!」

祈里「~♪~~♪」(^^♪

せつな「え、えっと、これは……どうすればいいのかしら?」(-ω-;

 

~ハートキャッチ組~

菖「さすがにつぼみといつきは手際いいな」

つぼみ「はい♪」(^^*

いつき「慣れてますから」

えりか「……なんだろう、菖さんのエプロン姿見てると……」(-ω-

ゆり「お父さんのような、かしら?」

えりか「そう!それっしゅ!!」

 

~スイート組~

奏「こらっ!響!!」( 言 メ

菖「つまみ食いする悪い子は野菜だけスープにしちゃうぞ~?」(^^#

響「そ、それだけは勘弁して!!」Σ(0□0;

エレン「ここでも響はぶれないのね……」

アコ「馬鹿よね、ほんと」(--;

 

~スマイル組~

菖「……俺の出番、ないんじゃないか?」

あかね「そらうちはお好み焼き屋の看板娘やで?」

やよい「わたしも、お母さんと二人暮らしだから、お料理はするほうですし」

なお「弟たちの面倒をみないといけないから、たまに作りますよ」

れいか「わたしも、お母様から色々教わっていますので……」

みゆき「……ウルトラはっぷっぷ~」-3-)

あゆみ「みんな、すごいねぇ……」(^^;

 

~ドキドキ組~

真琴「えっと、食材は洗剤で洗わない。包丁を使うときは猫の手……」

マナ「そうそう!まこぴー、うまくなってきた!!」

六花「最初にあった時と比べたら、大進歩よねぇ……」

ありす「あらあら♪」

亜久里「こら、レジーナ!つまみ食いはいけませんわよ!!」( □ #

レジーナ「いいじゃん!ケチー!!」#-3-)

菖「これこれ、喧嘩するない」(--;

 

~ハピネスチャージ組~

リボン「ココココ、コック!かわるんるん♪」

めぐみ「さぁ!いつでも準備オッケーですよ!!」

ひめ「めぐみ、やけに気合入ってるわねぇ……」(0ω0;

ゆうこ「相楽くんに食べてもらうんだって♪」(^^♪

いおな「へぇ……だからなのね」(^ω^;

まりあ「あらあら♪これじゃ菖くんの出番、ないかもしれないわね」(^^*

菖「だったらなんで俺はここに呼ばれたんでしょうか?」(--;

 

~プリンセス組~

菖「包丁を持つときは、手をこうして……」

トワ「は、はい!」(/// ///

きらら「おやおや、トワっち。顔が真っ赤ですぞ~♪」(・∀・

はるか「きららちゃん……」(^^;

みなみ「あまりからかって遊ばないようにね?」(^^;

ゆい「菖さん、まるで料理教室の先生みたい……」

シャムール「まさにトレビア~ンね♪」

 

~魔法使い組~

みらい「みんなでお料理!わくわくもんだ~っ!!」(>ω<♪

ことは「は~っ!わくわくもんだし~っ!!」(^ω^*

菖「……リコ、フライパンが少し小さいぞ。というか、いまから作る料理、フライパン使わないんだけど?」

リコ「……っ!!べ、べつに間違えたわけじゃないし!必要になるかと思って出しといただけだし!!」Σ(///□///

リズ「あらあら♪」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「みんなでレッツ・ラ・クッキング!!」(>ω<*

シエル「仕上げはParfait(パルフェ)!」

菖「……あの、ゆかりさん?あきらさん??これはいったい、どういう……」(^^;;

ゆかり「あら?せっかく作ったんだもの、味見をしてもらおうと思って♪」(^^*

あきら「ご、ごめん。けど、ちょっと味をみてほしいんだ」(/// ///;

ひまり「は、はわわわわっ!!」(///□///

あおい「なぁんか、あっちだけ桃色のオーラが……」




あとがき代わりのおまけの話(スキット風)

~高校生組(同級生含む)とレッツ・ラ・クッキング!~
菖「そういえば、フランベってなんでやるんだっけ?」(・ω・?
明「うまみを閉じ込めるのと、あとは臭み消しだったか?」
さくら「臭いものには放火しろってこと?」
ももか「……そういえば、四月一日くん、ちょっと汗臭いと思わない?」
四月一日「……ちょっと待て、そのセリフはどんな展開を望んでるんだ?!」Σ(-□-;
明「四月一日に火を……」
菖「……放つのか」
さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇぇっ??!!」Σ(@□@;
ももか「四月一日くん((もえ))」
四月一日「燃、じゃねぇよ!!燃、じゃあ!!」( □ lll
----------------------------------
小狼「楽しそうだな、あっちは……百目鬼、塩取ってくれ」
百目鬼「ん」 --)つ(塩)
ゆかり「ふふふ、楽しい人たちね♪」(^ω^*
あきら「ははは、そうだね……って、ゆりっ??!!」Σ( □ lll
ひまわり「どうしたの?剣城さ……って、月影さん??!!」Σ( □ lll
ゆり「……」カカカカカカカカカカッ
あきら「そ、その速度の包丁さばきでよそ見はやめて??!!」
ひまわり「けがじゃ済まないわよ??!!」


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オールスターズとの一幕~菖と一緒に勉強会~

受験シーズン後半……この頃になると、私はすでに志望校に合格してややゆとりがあったような記憶がありますね。
まぁ、それはともかく。
てなわけで、久方ぶりの「オールスターズとの一幕」。テーマはそのままずばり。
なお、今回、ア・ラ・モードから二人ほど、初登場してもらってます。


~MH組~

なぎさ「……」(こそこそ)

菖「……ほのか、ひかり。捕獲」(-ω-

ほのか「なぎさ」

ひかり「逃げるのは」

ほのか、ひかり「「ご法度よ/です!!」」

なぎさ「そ、そんなぁ……」(´・ω・`

菖「……あれ?なんか似たようなことなかった??」

 

~S☆S組~

菖「つまり、この時代は……」

咲「おぉ、なるほど!!」

舞「……(ぷく~)……」( △ #

薫「珍しく、舞がふくれてるわ……かわいい……」

満「なまじ、勉強できるというのも考えものね」

 

~5GoGo組~

菖「ここの一文に、この接続があるだろ?」

のぞみ「なるほど!!」

りん「あんたね、ほんとにわかってんの?!」

かれん「菖さんが来ても、りんのツッコミ役は変わらないのね……」

こまち「あらあら♪」

くるみ「さ、わたしたちも頑張りましょ」

うらら「のぞみさんいいなぁ~……わたしも家庭教師してほしいです!」

 

~フレッシュ組~

菖「……ラブ」

ラブ「ハグアッ??!!」Σ( □ lll

美希「寝てたわね、完璧に」

祈里「ラブちゃん……」

せつな「こればかりはかばえないわよ?ラブ」

 

~ハートキャッチ組~

菖「で、ここの部分はこの文法を使うと……」

えりか「おぉっ!!なるほど!!」Σ(0◇0

いつき「……なんだか、菖さん、すっかり先生役だなぁ……」( ▽ ;

つぼみ「ゆりさん、ここの数式は……」

ゆり「ここはね、この公式を使って……」

 

~スイート組~

響「……」(そろ~)

奏「……響、菖さんから逃げようなんて、らしくないわね?」

響「うっ……」Σ( □ lll

菖「頑張ってここ終わらせたら手製のアップルパイ、作ってやるよ」

響「ほんとっ?!」Σ(^▽^

エレン「食べ物につられてる……」( ▽ ;

アコ「馬鹿っぽい」

 

~スマイル組~

あかね「え、英語を……」

やよい「数学……」

なお「歴史……」

みゆき「全部……」

れいか、あゆみ以外「「「「教えてくださいっ!!」」」」

菖「……」( □ メ

れいか「あ、あの菖さん。わたしも及ばずながらお手伝いしますので……」

あゆみ「わ、わたしもお手伝いします!!」

 

~ドキドキ組~

菖「……俺、することなくない?」

マナ「あははは……」(-▽-;

六花「それはたしかに……」(-ω-;;

ありす「それなら、お茶でも飲んでゆっくりしませんか?」(^ω^

真琴「え?あ、あの、これ教えてほしいんだけれど……」(・ω・;

亜久里「レジーナ!先に宿題を!!」

レジーナ「え~?!」(-A-

 

~ハピネスチャージ組~

菖「めぐみはむしろ俺より誠司に教わったほうがいいんじゃないのか?」

めぐみ「うぇっ??!!」Σ(///□///

ひめ「おぉ~、一瞬でゆでだこですぞ~!」

ゆうこ「あらあら、うふふ♪」

いおな「……どうしたの、姉さん?なんだか、すごく怖いんだけれど……」( ω lll

まりあ「そう……めぐみちゃんにはもう決まった相手が……それなのにわたしは……(ぶつぶつ)」(  lll

 

~プリンセス組~

菖「さすが、お姫様(プリンセス)たちは教養が違うな……って、なんで俺呼ばれたのさ?!」

はるか「それは……ねぇ?」

きらら「にっしし~♪みなみんとトワっちのお茶会のお相手、菖さんにしてもらおうかなぁなんて!」

みなみ、トワ「「き、きらら?!聞いてない/ですわよ、そんなこと!!」」Σ(///□///

ゆい「ふ、二人とも顔真っ赤……」

 

~魔法使い組~

みらい「うへぁ……」

菖「おいおい……このレベルでか……どんだけ数学嫌いなんだよ……」

リコ「でも、最近頑張ってるんですよ?」

ことは「は~♪みらい、頑張って!!」

 

~ア・ラ・モード組~

菖「で、ここの訳は……」

いちか「なるほど!!」

シエル「菖!こっちも教えて!」

ひまり「菖さん、大人気です」

あおい「そりゃ、あの二人にとっちゃ大先生だもんなぁ……」

あきら「そうだね……ところで、ゆかり?なんでわたしの服の裾を??」

ゆかり「あら?あなたがあっちに行って、菖の邪魔にならないようにするためよ?」

リオ「……逆じゃないのか?」

ビブリー「はぁ~、付き合ってられないわ」

あきら「うふふ……にゃ~お♪」




あとがき代わりのおまけスキット

~高校生組の勉強会~
ももか「明く~ん、ここ教えて?」
明「んぁ?……あぁ、ここか」
さくら「小狼くん、ここってこれで合ってるかな?」
小狼「どれどれ?」
ひまわり「みんなそれぞれ集中してるわね」
ゆり「そうね……」
静「……あぁ……」
菖「だからって……」
君尋「あぁ……」
菖、君尋「「なんで俺らが差しいれ作らないといけないんだよ?!」」
ゆり「あら、いいじゃない。あなたたち、あまり勉強しなくてもいい成績取れるんだから」
静「脳みそ使うと甘いものが欲しくなるんだよ」(-ω-
君尋「お前は頭使ってないだろうが!むしろ欲してるのは脳みそじゃなくて、お前の胃袋だろうが!!」( □ メ
菖「……はぁ……それ言ったら、ゆりだってかなりいい成績取れるじゃないか……」
ゆり「あら、わたしはあなたの差し入れが楽しみなだけよ?」
ひまわり「あら?それって……」
ゆり「な、なによ?ひまわり……」
ひまわり「うふふ♪なんでもない」


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オールスターズとの一幕~菖と一緒に農作業~

ぶっちゃけ、この間の鬼太郎を見ていたら思いついたやつです
てか、菖の中の人、農業高校の生徒役(誰とは言うまい)もやってますからね……彼は酪農ですが


~MH組~

なぎさ「おいしそ~♪」

ほのか「もぅ、なぎさったら」(^▽^;

ひかり「あ、菖さん。ほっぺに泥が」

菖「ん?そういうひかりも顔に泥ついてるぞ」

ひかり「ふぇ?!ど、どこですか?!」Σ(///□///

 

~S☆S組~

舞「咲~、満さ~ん、薫さ~ん、菖さ~ん!お茶にしましょ~!」

咲「待ってたなり~♪」

満「あら?もうそんな時間?」

薫「早いわね……わたしはまだ大丈夫だけど」

菖「水分補給と塩分補給はちゃんとしないと、ぶっ倒れるぞ?」

 

~5GoGo組~

のぞみ「か、かえる~~~っ?!」Σ( □ lll

うらら「く、蜘蛛~~~っ?!」Σ( □ lll

りん「あんたらね、そりゃ畑にいるんだから虫やかえるくらい……」(-◇-;

かれん「これが採れたてトマトの味……」

こまち「ノイローゼになってしまった中学生が受験したのは農業高校、そこで少年はいまま出会ったことのない色んな人や出来事に出会い……」

菖「なんか、いつでもお前らはブレないから、逆に安心するよ」

くるみ「な、なんかすみません……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「もぎたてフレッシュ!」

美希「摘みたてフレッシュ!」

祈里「採れたてフレッシュ!」

せつな「え?えぇっと……」

菖「あわせんでいい、あわせんでいい」(-□-;

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「わぁっ!このトマト、しっかり熟してます♪」(^ω^*

えりか「うぎゃ~~~~っ?!か、かかかか、かえる??!!」Σ( □ lll

いつき「えりか、ちょっと騒ぎすぎなんじゃ……」

ゆり「このすいか、しっかり中身が詰まってるわね」

菖「んじゃ、そこの川で冷やして、あとで食べてみるか」

 

~スイート組~

響「うぅ……た、食べてみたい……」

菖「食欲全開かっ!」Σ( □ ;

奏「な、なんだかごめんなさい」

エレン「これが野菜の収穫……音吉さん(以下略)」

アコ「案外、こういうのも楽しいものね」

 

~スマイル組~

みゆき「田舎のおばあちゃんの畑、思い出すなぁ~♪」(^^*

あかね「あぁ、あんときか」

やよい「いろいろ楽しかったよねぇ~」

なお「うぅ……早く食べてみたい……」

れいか「なお、少し我慢です」

あゆみ「あ、湊くん。泥ついてるよ?じっとしてて」

湊「あ、悪い。あゆみ」

菖「~~♪」(黙々と作業中

 

~ドキドキ組~

マナ「う~ん!色んな野菜がいっぱ~い!!」

六花「別に珍しい野菜があるってわけじゃないみたいだけど……」

ありす「ですが、どれも大切に育てられていますわ♪」

真琴「人参の収穫はやったことあるけど、他の野菜は初めてかも」

亜久里、レジーナ「「菖お兄様/お兄ちゃん、これは?」」

菖「そことそこは大丈夫。それは採らないでくれ」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「誠司!見てみて!!こんなに大きいのが採れた!!」

誠司「へぇ、やるじゃん」

ひめ「お、おいしそう……」

ゆうこ「新鮮採れたてはやっぱりおいしそうだよね♪」

いおな「なぜかしら、ひめがだんだんゆうこに毒されていってるような……」

まりあ「菖く~ん、これみて~?」

菖「まりあさん、野菜で遊ばないでくださいよ……」(-□-メ

 

~プリンセス組~

はるか「お野菜いっぱ~い!」

みなみ「こうやって自分で収穫するのって、なんだか新鮮ね」

トワ「きらら、これ見てくださいな」

きらら「うん?……って、わぁぁぁっ??!!か、かえるぅ??!!」Σ( □ lll

菖「意外だな、きららがかえる苦手なんて」

 

~魔法使い組~

みらい、ことは「「野菜/お野菜の収穫!わくわくもんだ/だしーっ!!」」(>∀<

リコ「ナシマホウ界の野菜ってこんなふうになってるのねぇ……」

菖「逆に魔法界の野菜はどんな風になってるんだ?」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「新鮮なお野菜……きらっと閃いた!」

ひまり「野菜をスイーツとして活用するには……」

あおい「野菜の収穫ってやったことないからなぁ」

ゆかり「あきら、顔に泥ついてるわよ?」

あきら「え?どこ??」

シエル「菖、これは採っても大丈夫かしら?」

菖「それはまだだな。その隣のやつなら大丈夫」

 

~Hugっと!組~

はな「はぐたんの畑デビュー!」

はぐたん「は~ぎゅ!パーパ、パーパ♪」

ハリー「なんや、うちとはぐたんの分まですまんな」

菖「あまりもんだ。気にすんなよ」

さあや「や……野菜……」

ほまれ「あぁ、そういえばさあや、野菜姫だったっけ」

えみる「……(ごくり)……おいしそうなのです」

ルールー「気温上昇確認。こまめに水分補給を行うことを推奨します」




おまけスキット

~顔の泥をぬぐってもらったら……~
菖「ほら、顔に泥ついてるぞ?ちょっとじっとしてろ」
----------------------------
ひかり「ひゃ……ひゃい!!」Σ(///□///
舞「は、はい……あ、あの、優しくしてください」
かれん「は、はい……」
つぼみ「はっ?!は、ははははははははいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」(/// ///
ゆり「え、えぇ……は、恥ずかしいからさっさと終わらせてちょうだい?」(/// ///

湊「ん?あゆみ、鼻のここんとこ。泥ついてるぞ?」
あゆみ「へっ?!」
湊「ほら、取ってやるから、じっとしてろ」
あゆみ「う……うん……」(/// ///

~収穫した野菜のお味は?~
全員『おいし~~~っ!』
菖「だろうな」
ゆり「あら?自信たっぷりね」
菖「大地と風と水が育てて、星の力を受けた野菜たちだからな」
ゆり「星の力?」
菖「霊脈ってやつだよ……って言っても、わからないだろうけど」


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オールスターズとの一幕~プリキュアが小っちゃくなっちゃった?!(ラバーズ&一部限定)~

ラバーズと一部のプリキュア限定でベビィプリキュアネタです
二番煎じと言われればそうですけど、先方からは許可をもらってます!

……あぁ、可愛かったなぁ……ベビィプリキュア……(-ω-


~ひかりの場合~

ひかり「お兄ちゃん!たこやきどーぞ!」

菖「お、ありがとう。ひかり」

ひかり「えへへ~」(にぱー

 

なぎさ「なんだか本当の兄妹みたい」

ほのか「微笑ましいわね♪」

 

~舞の場合~

舞「お兄ちゃん!見て見て!!」

菖「ん?……おぉ、よく描けてるな!!」

舞「えへへ~♪」(にぱー

 

咲「なんだかすっかり兄妹してるなり!」

満「……これ、和也さんが見たら……」

薫「どんな反応をするのかしらね?」

 

~かれんの場合~

かれん「お兄様、お茶が入りました!」

菖「あぁ、ありがとう。かれん」

かれん「あ、あのあの!お兄様の御膝に座ってもよろしいですか?」

菖「うん?あぁ、大丈夫だよ」

かれん「うふふ♪それでは、失礼します♪」

 

のぞみ、うらら「「小さいかれんさん可愛い/です!!」」

りん「こうして見ると、本当の兄妹みたいよねぇ……」

こまち「……わたしも、あんなお兄さんほしかったなぁ……」

くるみ「うぅ……菖ばっかりずるいっ!!」

 

~つぼみの場合~

菖「今は昔……」

つぼみ「……(真剣なまなざし)……」

 

えりか「おぉ~……菖さんの膝の上に……小さいころのつぼみはこうも大胆になるとは」

いつき「ある意味、すごく新鮮……って、ゆりさん?!」Σ( □ ;

ゆり「……(イライラ)……」(--#

 

~ゆりの場合~

ゆり「……(ぎゅ~)……」

菖「……あ~、ゆり?そんなにきつく抱き着かなくても、どこにもいかないから」

ゆり「……やだ……ずっとこうしてる」

 

つぼみ「は、はわわわわわ……」

えりか「やっぱ小さくなると大胆になるもんなんだねぇ……写真撮っておこう♪」

いつき「……えりか、あとでゆりさんに見つかってお説教になっても知らないよ?」(-□-;

 

~アコの場合~

アコ「~~♪~~~♪」

菖「やっぱ、アコのオカリナは上手だな」

アコ「……(てれりてれり)……」( ω ///

 

響、奏「「アコかわいい~♪」」(>w<

エレン「照れてる姫様かわいい~!!」(>w<

 

~なおの場合~

なお「おにいちゃ!パースッ!!」(>▽<

菖「おっ!ほっ!……よっ!!」

 

みゆき「お~っ!菖さん、上手っ!!」

あかね「傍から見たらすっかり兄妹やな……」

やよい「わ~!楽しそう!!」

れいか「うふふ♪なお、可愛いです」

あゆみ「……わたしも小さくなったら、湊くんに甘えさせてもらえるのかな……」(ボソッ

湊「……うん?」

 

~亜久里・レジーナの場合~

亜久里「お兄(ちゃま)!スイーツを作ってくだしゃい!」

レジーナ「おにいちゃ!レジーナと(あちょ)んで!!」

菖「よーし、それじゃレジーナ、パティシエごっこしようか!!」

 

マナ「ちっちゃいレジーナも亜久里ちゃんもかわいい~!!キュンキュンだよ~!!」(>▽<

六花「スイーツ作りと遊びを両立させてる……」

ありす「考えましたわね、菖兄様♪」

真琴「孤児院にも、あぁいう先生がいたらよかったのに……」

 

~いおなの場合~

いおな「もう!しっかりしてよ、お兄ちゃん!!」

菖「すまんすまん」(  ;

 

めぐみ「あらら~、菖さん、怒られてる……」

ひめ「いおなって、昔からあぁだったのかな?」

ゆうこ「うふふ、菖さんもこれじゃ形無しね♪」

まりあ「ふふふ♪懐かしいわね、この頃のいおな♪」

 

~あきらの場合~

あきら「お兄ちゃん、大丈夫?手伝うこと、ある?」

菖「大丈夫だよ、ありがとうな……あきらは優しくていい子だ」

あきら「……ん」(てれりてれり

 

いちか、ひまり「「あ、あきらさんが照れてる??!!」」Σ( □ 

あおい「へ~?ちっちゃいあきらさん、かわい……って、ゆ、ゆかりさん??!!」Σ( □ lll

ゆかり「……うふふふふふふ……」( 言 

シエル「オ~ララ……何かに火がついちゃった感じね、これは」( ω lll




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

元に戻ったあと……
~ラバーズの場合~
ひかり、舞、つぼみ「「「~~~~~~~~っ???!!!」」」(真っ赤っか)
ゆり「……(ち、小さくなってたとはいえ……な、なんて大胆なことをっ??!!)……」(/// ///

~妹組の場合~
アコ、亜久里、レジーナ「「「楽しかった~/ですわ!」」」(>▽<
かれん「な、なんだか小さくなっていたとはいえ、すごく恥かしいことを……」
なお「う~ん……たまには、甘えるのも悪くない、かなぁ」
いおな「……やっぱり甘えるならお姉ちゃんのほうがいいなぁ……」
あきら「うぅ……も、元に戻っても、頭、なでてもらえるかなぁ……」(  ///

~菖の場合~
菖「……(ゆりもつぼみも、舞もひかりも可愛かったなぁ……そろそろ、俺も腹くくらないとかな)……」

~えりか、自業自得~
えりか「むっふふふ~これをもも姉ぇに……」(-▽-
ゆり「あら?何をももかに送るのかしら?」
えりか「ん?そりゃ、ゆりさんが菖さんに抱き着いてる写真……って、ゆ、ゆりさん??!!」Σ( □ ;
ゆり「えりか、選びなさい?大人しくその写真を渡すか、ハイクを読むか」(^言^メ
えりか「は、はわわ……はわわわわわわわ……」(((((((( □ ;)))))))


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オールスターズとの一幕~(一部限定)プリキュアの姉弟(あるいは兄妹)と出会ったら~

二番煎じ?そんなの気にしない!
思いついたので、書いてみました
今回はチャット風です
それから、真琴の義兄(別シリーズで掲載予定)に一足先に登場してもらいました

……まぁ、名前を見れば察することもできるかと(苦笑
とりあえず、本編どうぞ

……あ、ちなみにもも姉ぇと小百合、ふたば、まりあさんは今回はご遠慮してもらってます
……いやだって、いつも日常編とかでしょっちゅう出てきてるし、ねぇ?


~亮太の場合~

亮太「初めまして!姉ちゃんがいっつも迷惑かけてごめんな?」

菖「はははっ!そんなことはないぞ?」

 

なぎさ「りょ、亮太!あんた、何言ってんの??!!」( □ #

ほのか「うふふ♪亮太くん、なんだか嬉しそうね」

ひかり「もしかして、年上の男の人があまりいないからでしょうか?」

 

~みのりの場合~

みのり「は、初めまして!」(/// ///

菖「あぁ、初めまして」

 

咲「おぉ、みのりが真っ赤になってるなり!」

舞「年上のお兄さんってそんなにいないからかしら?」

満「……薫、落ち着いて?」

薫「……満、わたしは落ち着いてるわよ」(鼻血たら~り

 

~和也の場合~

和也「舞と母さんから聞いてるよ、よろしく」

菖「こちらこそ」

 

咲「和也さんと菖さんのツーショットなり!」

舞「も、もう……お兄ちゃんったら!」

満「なぜ、そこで顔を真っ赤にするのかしら?」

薫「さぁ?」

 

~まどかの場合~

まどか「へぇ?こまちから聞いてたけど、結構いい線行ってるねぇ?」

菖「お褒めにあずかり、光栄……です?というか、ほんとに妹さんそっくりですね」

 

こまち「お、お姉ちゃん?!」

かれん「な、なんだか菖さんが狙われていそうな……」

くるみ「こ、これは……まさかの修羅場?!」

りん「いやいや、ないから」

のぞみ、うらら「「……へ?」」

 

~和希の場合~

和希「姉から時々、お話伺ってます。いつも姉がお世話になっております」

菖「いやいや、こちらこそ」

 

ラブ「おぉ、なんかけっこう打ち解けてる?」

美希「うふふふ♪さっすが、和希!」

祈里「さすが、カズくん」

せつな「何故かしら?和希くんから嫉妬のようなオーラが……」

 

~奏太の場合~

奏太「兄ちゃん!サッカーやろうぜ!!」

菖「お?いいぞ、ばっちこい!!」

 

響「おぉ……奏太が生き生きしてる……」

奏「そりゃ、年上の男の人ってそんなにいないしねぇ……」

エレン「なんだか、ほんとの兄弟みた……って、姫様?!」Σ( □ lll

アコ「……奏太、楽しそう……わたしといるより、楽しそう……」(0言0

 

~緑川弟妹の場合~

ゆうた、こうた、ひな「「「おぉ/わぁ!年上の兄ちゃん/お兄ちゃんだぁ!遊んで!!遊んで!!」」

けいた「こら!ゆうた、こうた、ひな!一斉にとびかかったら迷惑だろ?!」

はる「弟と妹がごめんなさい!」

ゆい「ちゃい」

菖「あはははは……気にせんでいいよ?」

 

なお「あぁ……菖さん、ほんとごめんなさい……」

みゆき「な、なんだろう……いつかの悪夢が……」

あかね「あかんて、みゆき……思い出したらあかんて、それは……」

やよい「あ、あははは……」

れいか「なおの弟たちは相変わらず元気いっぱいのようですね♪」

あゆみ「うわぁ……なんかちょっと羨ましいかも……」

湊「けど、こんだけいると大変だわなぁ……なおがオカンって呼ばれてる理由、なんとなくわかったわ……」

 

~淳之介の場合~

淳之介「れいかがいつもお世話になってます」

菖「いや、こちらこそ。妹さんには大変お世話になっております」

 

みゆき「はっぷっぷ~?!」

あかね「い、イケメン二人のツーショットや……」

やよい「う~ん……これで淳之介さんがヒーローだったら……ダグ○キリ?」

なお「いや、意味わからないから」

れいか「な、なんだか少し恥ずかしいです……」

 

~一真の場合~

一真「真琴が世話になっているようだ。ありがとう」

菖「いえいえ……(なんだろう?この人……人間よりも妖に近い気配がする……)」

 

マナ、六花「「ま、まこぴー/真琴、お兄さんがいたの??!!」」

真琴「え?うん、血はつながってないけど」

ありす「あら?専属のSPとして雇っていることを話してませんでしたか?」

亜久里「な、なぜでしょう?真琴のお兄様からただならぬ気配が……」

レジーナ「なんか、戦ったら面白そうなお兄さんだね♪」

 

~真央の場合~

真央「さ、相楽真央です!よ、よろしくおにぇがいしましゅ!!」

菖「ははは……落ち着け、落ち着け」

 

めぐみ、ひめ、ゆうこ「「「真央ちゃん、可愛い~~~~~っ!!」」」(>▽<

誠司「なぁに緊張してんだ?」

いおな「そりゃ相楽くん以外の年上のお兄さんと接する機会があんまりないからでしょ?」

まりあ「うふふ♪可愛いわね、真央ちゃん」

 

~ももかの場合~

ももか「ごきげんよう、春野ももかです。姉がいつもお世話になっております」

菖「お?……ごきげんよう、小さなお嬢さん(リトルレディ)。こちらこそ、姉君には元気を頂いております」

 

はるか「も、ももか?!いつの間にノーブル学園式のあいさつを??!!」

みなみ「あらあら、お姉さんのまねかしら?」(^▽^

きらら「可愛いじゃん♪」

トワ「うふふ♪もしかしたら、ももかさんも未来のプリンセスになるかもしれませんわね」

 

~わたるの場合~

わたる「みなみから聞いているよ。色々と協力してくれて、ありがとう」

菖「いえ、こちらこそ」

 

はるか「おぉ……なんだかあそこだけ雰囲気が違うような」

きらら「なんというか、菖さん、もしかしなくてもこういうこと、慣れてるんじゃない?」

みなみ「ほんと、見習うべきかしらね」

トワ「お二人とも、まさに王子(プリンス)の立ち居振る舞いですわ……お兄様には敵いませんが」

 

~リズの場合~

リズ「初めまして。お父様とリコから、色々聞いてるわよ」

菖「初めまして。こちらも、リコが素晴らしい女性だと言っておりました」

 

リコ「お、お姉ちゃん??!!てか、菖さんもなに言ってんの??!!」

みらい「お~……なんだか、素敵な二人の取り合わせだ!」

ことは「はぁ~っ!」

 

~みくの場合~

みく「こ、こんにち、は……」

菖「初めまして、みくちゃん。俺は菖。お姉ちゃんの友達だよ」

 

いちか「み、みくちゃん、すごく緊張してる……」

ひまり「そりゃ、いきなり年上のお兄さんに会えばあぁなるかと」

あおい「まぁ、あとは……もしかしたら、あきらさんのお婿さ……ひぇっ??!!」( □ lll

ゆかり「うふふ♪あおい、面白い冗談ね?」(^言^

あきら「ゆ、ゆかり?」(^ω^;

 

~ことりの場合~

ことり「初めまして、野々ことりです。姉がいつもご迷惑をおかけしております」

菖「初めまして、ことりちゃん。お姉さんはあれくらいでちょうどいいと思うよ?」

 

はな「めちょっく?!」

さあや「やっぱり、ことりちゃん、しっかりしてる」

ほまれ「ほんと、はなの妹とは思えないというか」

えみる「さすがわたしのお友達なのです!」

ルールー「さすがことりです」

 

~正人の場合~

正人「初めまして、愛崎正人です。妹がお世話になっているようで」

菖「いや、そんなことはないさ」

 

はな「……あ、あれ?なんか、菖さん、ちょっととげとげしいような?」

さあや「もしかして、えみるちゃんの夢を否定し続けてたから?」

ほまれ「可能性、あるかも?」

えみる「ま、まずいのです!このままではお兄様と菖さんが殴り合いの喧嘩を……」( □ lll

ルールー「えみる、菖さんの性格から察するにそうなる可能性は、かなり低いと思われます」




あとがき代わりのおまけ(スキット風)

~リズとの会話~
菖「あぁ、そういえば。リズさんは、友護って名前に心当たりは?」
リズ「ユーゴ?……えぇ、あるわ」
菖「そいつから、今度会ったらよろしくって、伝言を預かってました」
リズ「あら……ありがとう(直接、会いに来てくれてもいいのに……バカ)」

~正人との会話~
菖「はなたちから色々聞いたけどさぁ……」
正人「……(ごくり)……」
菖「いくらなんでも、女の子はヒーローになれない、はないわぁ」
正人「……はい……」
菖「というか、ヒーローって「主人公」ってこと?まぁ、それだったらたしかに女の子ならヒロインだけど、それでも主役にはなれるよな?というか、ヒーローの語源は「ヘラ」だぞ?ギリシャ神話の女神が語源なのに、なんで女の子を……(くどくど、くどくど)……」

Hugっと!組「「「「……やっぱりあの時のこと、まだ怒ってた……」」」」( □ lll


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オールスターズとの一幕~(ラバーズ&シスターズ限定)菖と寒い日に一緒に~

寒い日が続きますのぉ……あたしゃ喉をやられましたぜ……
皆さんもお気をつけて!

というわけで、寒い日に合いそうな話題です
まぁ、いずれにしてもの結末はあとがきで(-▽-;

ひとまず、本編どうぞ!


~ひかりの場合:マフラーシェア~

ひかり「……さ、寒いですっ!!」

菖「たしかに、寒いなぁ……ひかり、マフラー使うか?」

ひかり「ふぇっ?!……あ、ありがとう、ごじゃいましゅ……」(///□///

菖「ん……はい、半分こ」(  ///

ひかり「……ふぇ?……は、はわわわわわ」Σ(///□///

 

なぎさ「あっはは!ひかりが真っ赤っかだ!」(^▽^

ほのか「もう、なぎさ!なぎさだって藤村くんに優しくされたらひかりさんみたいになるわよ?」

 

~舞の場合:密着~

舞「寒いですね……」

菖「だな」

舞「……あ、あの、菖さん……もうちょっとくっついても、いいですか?」

菖「ん?……どうぞ」(  ///

舞「はい♪」(/// ///

 

咲「お~!舞が積極的なり!!」

満「あら?菖さんもなんだか……」

薫「えぇ、少し赤いわね……もしかして、心境に変化が?」

 

~つぼみの場合:ポケットシェア~

つぼみ「さ、寒いぃ……寒いですぅ……」((( □ lll)))

菖「だな……つぼみ、どうせならこっちのポケット、使う?」

つぼみ「……へ?……い、いいんですか??!!」Σ(///□///

菖「よくなかったら言わないよ」(  ///

つぼみ「……そ……それじゃあ、遠慮なく……」(/// ///

 

えりか「おぉ?!しょ、菖さん、何か悪いものでも食べた??!!」Σ( □ ;

いつき「え、えりか……さすがにそれは……」

ゆり「あら……うふふ♪」

 

~ゆりの場合:コートシェア&密着~

ゆり「ふぅ……寒いわね、さすがに……」

菖「だな……ゆり、もうちょっとこっちに」

ゆり「え?」

菖「ほい」

ゆり「……え?……あ、あの……菖?ちょっとこれは……」(/// ///

菖「……たまには、さ……」(  ///

ゆり「……なら、遠慮なく……ねぇ、もうちょっと寄ってもいい?」(/// ///

菖「……御随意に」(/// ///

ゆり「……なら、遠慮なく」(ピトっ

 

つぼみ「は、はわわわわわ!!」(///□///

えりか「しょ、菖さんがゆりさんと自分のコートをシェアして、密着してるっしゅ!!」Σ(///□///

いつき「ま、まるでほんとの恋人みたい……ちょ、ちょっと羨ましいかも……」(/// ///

 

~アコの場合:コートイン~

アコ「……寒い……」(ブルッ

菖「だな……アコ」

アコ「……なに?菖兄さん」

菖「入るか?」

アコ「……ん」

菖「……やけに素直だな?」

アコ「……寒い方が、やだ」(  ///

菖「ははは……そっか」

 

響「おぉっ!アコが珍しくデレてる!!」

奏「菖さんのコートに収まったアコ……可愛いっ!!」(>▽<

エレン「……なんか、あとで奏太くんに何か言われそうね……」(-▽-;

 

~亜久里の場合:密着~

亜久里「うぅ……寒いですわぁ……」

菖「だなぁ……」

亜久里「……菖お兄様、もうちょっと、くっついても大丈夫ですか?」

菖「ん?いいぞ」

亜久里「では、遠慮なく」(ぴとっ

 

マナ「おぉっ!亜久里ちゃんが菖さんに甘えてる!」

六花「これは……ちょっと意外ね」

ありす「あらあら♪可愛らしいですわ」

真琴「ふふふ、こうして見てると、ほんとの兄妹みたい」

レジーナ「むぅ!亜久里ばっかずるい!!」

 

~レジーナの場合:コートイン~

レジーナ「寒いぃ……」

菖「だなぁ……って、レジーナ?なにやってんだ?」

レジーナ「ん?菖お兄ちゃんの背中、あったかいからおんぶしてもらおうかなぁって」

菖「だからって、コートの中に入る必要、あるか?」

レジーナ「……だめ?」

菖「ダメとは言わないけど、ちょっと待ってな」

 

マナ「今度はレジーナが菖さんのコートの中でおんぶされてる!」

六花「なんで、わざわざコートの中に?」(-▽-;

ありす「まるで二人羽織りのようですわ♪」(^ω^

真琴「……わたし、義兄さんにあんなことやってもらった記憶、ないなぁ……」(´・ω・`

亜久里「もう、レジーナ!あまり菖お兄様に迷惑をかけてはいけませんわよ?!」




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~菖に訪れる結末~
菖「……」
周辺『……(じとーっ)……』
菖「…………」(--;
周辺『……(じとーっ)……』(◎言◎
菖「……はぁ……逃げるかっ!」
周辺『待ちやがれ!!』

ひかり「な、何事でしょう?」
舞「あ、あははは……」
つぼみ「しょ、菖さん、大丈夫でしょうか……」( ゚д゚)
ゆり「大丈夫、とは思うけれど……あとで慰めてあげましょう……みんなで、ね?」
ひかり、舞、つぼみ「「「……っ!は、はい!」」」


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オールスターズとの一幕~(ハートキャッチ組以外)菖とゆりの友達と初顔合わせ~

なぜかできちゃった連続投稿

カミングアウトはしてないけど、まぁ、何かの伏線にできたらなぁ、と
一斉に顔合わせしたわけではなく、最初に会った時の反応、と思っていただければ(途中で、ストーリー考えることをやめた

そのうち、このメンバー合わせて中の人ネタやるかも?
あ、ちなみに、あとがきは今回ありませんので、ご了承を


明「菖とゆりの親友兼悪友の御剣明だ。よろしく頼むぜ?」

ももか「えりかの姉の来海ももかでーす♪えりかがいつも迷惑かけて、ごめんね?」

君尋「明と同じく、菖と月影の友達の四月一日君尋だ。よろしく」

静「……百目鬼静」

ひまわり「同じく、九軒ひまわりです。よろしくね?」

小狼「李小狼、香港人だ。よろしく頼む」

さくら「木之本さくらです。よろしくね」

 

~MH組~

なぎさ「こ、こここ、こちらこそ、よろしくお願いします!」

ほのか「もう、なぎさってば動揺しすぎ!」(-▽-;

ひかり「こちらこそ、よろしくお願いします!」(お辞儀

 

~S☆S組~

咲「おぉ~……美男美女ぞろいなりぃ……」( ゚д゚)

舞「咲ったら……」

満「四月一日って人はともかく、他の男の人たち、強そうね?」

薫「えぇ……ちょっと手合わせしてほしいかも」

 

~5GoGo組~

のぞみ「おぉぉっ!」

りん「うわ、みごとにイケメンぞろい……これ、増子さん、大興奮じゃないかなぁ……」

うらら「あ!ももかさん、お久しぶりです!!」

こまち「あら?うららさん、ももかさんと知り合いだったの?」

かれん「芸能界つながりじゃないかしら?」

くるみ「ふ~ん?……ココ様ほどじゃないわね!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉぉっ!美男美女パラダイス!!」

美希「あら、ももかさん。お久しぶりです!」

祈里「は、はわわわわわ……」Σ(///□///

せつな「祈里……イケメンな人が多いからってそんなに緊張しなくても……」(-▽-;

 

~スイート組~

響「……奏?」

奏「……はふぅ~……」

エレン「あらら……」

アコ「バカっぽい」

 

~スマイル組~

みゆき「わぁ……なんか、王子様みたい……」

あかね「なんや、イケメンパラダイスやな……こんなん囲まれて、つぼみたち大丈夫なんか?」

やよい「な、なんかあのポニーテールの男の人、目つきが悪くてちょっと怖い……」

なお「あれ?なんか、ももかさんとひまわりさん、声似てない??」

れいか「なお、それは気にしたらダメなのでは?」

あゆみ「な、なんか、明さん目つき鋭くて、こわい……」

湊「……強いな、明さん……これが、強者のオーラってやつか……」(  ;

 

~ドキドキ!組~

マナ「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!みんなカッコイイ!みんな可愛い!!もうキュンキュンだよーっ!!」(>▽<

六花「こらこら、落ち着きなさいって、マナ」(-▽-;

ありす「あらあら♪」

真琴「え?ももかさんって、菖さんたちの友達だったの??!!」Σ( □ ;

亜久里「みなさん、強い心をお持ちのようですわ……特に、明さんと小狼さんという方は……」

レジーナ「……んふふ♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「初めまして!」

ひめ「は、はははははh……はひめまひて!!」(///□///

ゆうこ「初めまして、みなさん。ハニーキャンディーをどうぞ♪」

いおな「ぶれないわね、ゆうこ……で、ひめはなんで緊張してるのよ?」

まりあ「あらあら♪イケメンぞろいね♪」

 

~プリンセス組~

はるか、みなみ、トワ「「「ごきげんよう」」」

きらら「ごきげんよう、お久しぶりです、ももかさん♪」

 

~魔法使い組~

みらい「はじめまして!」

リコ「ま、魔法界の代表として、ちゃんとした挨拶をしないと……」

ことは「リコ、そんなに考えなくてもいいんじゃない?」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「び、美男美女ぞろいですぞーーーーーー?!」Σ(///□///

ひまり「は、はわわ……はわわわわわ!!」

あおい「ひまり、緊張しすぎ……」

ゆかり「うふふ♪面白そうな人たちね」(にゃ~ぉ♪

あきら「ゆかり、あんまり遊ばないようにね?」

シエル「Enchanté(アンシャンテ) de(ドゥ) vous() connaître(コントレ)!」

 

~Hugっと!組~

はな「はじめまして!野々はな、十四歳です!!」(>▽<

さあや「ふふ、はなったら」

ほまれ「興奮しすぎ……でも、みんないけてる♪」

えみる「は、はははは、はじめましてなのです!!」

ルールー「えみる、それほど緊張する必要はないかと……」



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オールスターズとの一幕~アコースティックギターを弾いている菖~

つばめさんのある話に触発されて作ってしまいました(-▽-;
ぶっちゃけると、スーパー戦隊で記憶に残ってるのって、オーレ○ンジャー、ギンガ○マンとゲキレ○ンジャー、シンケ○ンジャーくらいなんですよねぇ……
まぁ、他のをしらないというわけじゃないんですが、なぜか興味がわかず……

作者「ちなみに俺が一番腹立ったのはゴーオ○ンジャーだな」
菖「そらまたどうして?」
作者「簡単な話だ。相○オマージュ作品を作りやがったから。しかもかなり低レベルなの」
菖「おいおい……」

日本の刑事ドラマにおける最高峰と言っても過言ではない刑事ドラマをオマージュするまではいいけど、せめてクオリティをどうにかしてほしかったよ、東映さん……

ひとまず、本編どうぞ


菖「太陽にまっすぐ立ってみろよ、哀しい影が大きくなったら……♪」

 

~MH組~

なぎさ「へ~、菖さん、ギターも弾けるんだ」

ほのか「篠笛がほとんどだから、ちょっと意外ね」

ひかり「なんだか、ほっとします」

 

~S☆S組~

咲「おぉ、菖さん、かっこいい!!」

舞「菖さん……」(ポワーン

満「これが……ギターの音色……」

薫「なんだか……とっても安らぐ……」

 

~5GoGo!組~

のぞみ、うらら「「おぉぉっ!!」」

りん「へぇ?菖さん、ギター弾けたんだ?」

こまち「かれん、ヴァイオリンでコラボしてみたらどうかしら?」

かれん「……ヴァイオリンとギター……なんだか、ちょっと妙な組み合わせね」

くるみ「篠笛だけじゃなかったのね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉっ!この曲は!!」

美希「へぇ……てっきり篠笛だけかと思ってたけど」

祈里「か、かっこいい……」(ぽわーん

せつな「ハープと共演……は無理ね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「しょ、菖さん、ギター弾けたんですかっ?!」

えりか「意外!それはギター!!」

いつき「えりか、それ、ちょっと違くない?」(-▽-;

ゆり「うふふ♪聞いてて気持ちのいい曲ね」

 

~スイート組~

響「……うぅ~!!我慢できない!!わたしもピアノで共演する!!」

奏「しょ、響?!」

エレン「それなら、わたしも!!」

アコ「……わたしだって、ハーモニカくらい……」

 

~スマイル組~

みゆき「お~!なんかかっこいい!!」

あかね「弾き語りする姿も様になっとるなぁ……さすがっちゅうところか?」

やよい「大地にどっかり寝転んでみろよ、涙が急に大きくなったら♪」

なお「や、やよいちゃん……乗ってるね……」

れいか「もしかして、やよいさんの好きなヒーローものに関係のある曲なのでしょうか?」

あゆみ「湊くんも並んで弾いたら……」

湊「あぁ……横浜出身のあの二人か?」(-▽-;

 

~ドキドキ!組~

マナ「むぐ~~~~っ!!」

六花「マナ、歌っちゃダメ」

ありす「うふふ♪」

真琴「こ、今回は早かったわね……」

亜久里「物凄い早業ですわ……」

レジーナ「あたしも歌う~!」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!!菖さんがギター弾いてる!!」

ひめ「すごごごごーい!!」

ゆうこ「うふふ、ハニーの歌も弾いてもらえるかしら?」

いおな「って、弾いてもらう気、満々じゃない、ゆうこ……」

まりあ「あらあら♪」

 

~プリンセス組~

はるか「菖さん、ギターも弾けたんだ!」

みなみ「ちょっと驚きね」

きらら「でもいいんじゃない?けっこうさまになってる感じだし♪」

トワ「これがギターの旋律……どこか、落ち着く、優しい音ですわ」

 

~魔法使い組~

みらい「ギターだ!」

リコ「笛だけじゃなかったのね……」

ことは「はーっ!弾きたーい!!」(>▽<

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんですとぉっ!!」

ひまり「か、かっこいいです……」

あおい「……うずうず……うずうず」

ゆかり「あら?どうしたの、あおい?」

あきら「もしかして、セッションしたくてうずうずしてる、とか?」

シエル「なんだか、優しい感じの曲ね」

 

~Hugっと!組~

はな「お~~~っ!!めっちゃいけてる!!」

さあや「この曲……どこかで聞いたことがあるような……」

ほまれ「へぇ……って、えみる?ルールー?!」Σ( □ ;

えみる「負けてはいられないのです!行きましょう、ルールー!!」

ルールー「もちろんです!えみる!!」

 




あとがき代わりのおまけ(スキット風)

~共演してみました~
○エレンの場合
菖「う~ん、やっぱエレキとアコースティックじゃ勝手が違うなぁ……」
エレン「でも、けっこう弾けてると思いますよ?」

○湊の場合
菖、湊「「いくら、背伸びをしてみても!相変わらず、地球はじっくり回ってる♪」」
あゆみ「ほ、ほんとにあの二人と同じ感じがする……」

○真琴の場合
真琴「心を込めて、わたしは歌おう!大事な人が、そこに、いる限り♪」
菖「……ん~?やっぱ、もうちょっとスピードというか、トーンを下げた方が合うのかな?」
真琴「そうでしょうか?」

○ゆうこの場合
菖「~~~~♪~~~♪……こんな感じか?」
ゆうこ「はい!そんな感じでお願いします!!」

○あおいの場合
菖「うへぁ……やっぱちょっと勝手が違くて分かりにくい……」
あおい「何言ってんだよ!バンドはエレキ一択だぜ!!」
菖「……いや、俺、バンド組むつもりないんだけど?」

○えみる、ルールーの場合
えみる「ぎゅい~んと、ソウルが!」
ルールー「シャウト……」
菖「……いや、俺の場合、シャウトさせるよか語る方なんだけど……」


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オールスターズとの一幕~イケメンバンド~

実は少し前からあっためてはいたのですが……
あ、今回はちょっと変則的です
だって人数多くて……(白目

次回か次々回あたりにスター☆トゥインクル組も参戦させるかなぁどうすっかなぁ……と思案中です
いっそ、スター☆トゥインクルは入れないで、プリンセス組以降のシリーズで新しいのを作るってのも手ではありますけども……

まぁ、ともあれ、本編どうぞ


明(ベース)「~~♪~~~♪」

湊(ドラム)「~~♪~~~♪」

菖(アコースティック)「重い荷物を枕にしたら……深呼吸、青空になる……♪」

 

~MH組~

ひかり「……(ぽ~)……」(/// ///

 

なぎさ「うふふ、ひかりってば真っ赤」

ほのか「かっこいいものね、菖さんも明さんも♪」

 

~S☆S組~

舞「……菖さん……」(うっとり

 

咲「な、なんか舞、スイッチが入っちゃった?」

満「うふふ、恋する乙女の顔、かしらね?」

薫「えぇ……まさにそれね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さん……やっぱりかっこいいです」(うっとり

ゆり「篠笛も映えるけど、どうしてギターも似合うのかしらね……」(  ///

 

えりか「つぼみもゆりさんもすっかり夢中っしゅ……」

いつき「ももかさんもだけどね?」

 

 

~スマイル組~

あゆみ「……湊くん……かっこいい……」(  ///

 

みゆき「おぉっ!三人がバンドしてる!!」

あかね「まさにイケメンバンドやな♪」

やよい「こ、これは……平成仮○ライダーの原点、ク○ガのエンディング!!まさか菖さんが歌ってくれるなんて!!」

なお「や、やよいちゃん、そこなの?」

れいか「ある意味、ぶれてませんね♪」

 

~シスターズ~

アコ「菖お兄ちゃんもだけど、ほかの二人も映えるわね」

亜久里「さすが、菖お兄様に明お兄様ですわ!」

レジーナ「ん~……あたしも一緒に演奏したい~!!」

ことは「なんだか優しい曲だね~」

えみる「……わたくしも負けていられません!すぐにルールーと練習を!!」

 

~アーティスト組~

響「おぉ!菖さんも明さんも湊くんも様にな……って奏??!!」

奏「……はふぅ~……」(パタリ

エレン「あまりのかっこよさに気絶したのかしら?」(-▽-;

真琴「うぅ~……なんでわたしも誘ってくれなかったのよぉ!!」

トワ「さすがはみなさん……それにこの曲、とても心が和みますわ」

あおい「ん~……いつか、こういう曲もやってみたいな!」

ルールー「これは……わたしたちも負けていられませんね……えみる、すぐに練習しましょう!」

 

~高校生組~

ゆかり「あら……こんどは湊も参戦なのね?」

あきら「へぇ……イケメンバンドって感じかな?」

小狼「はは、やっぱり絵になるな」

君尋「あぁ、明も菖も顔面偏差値高いからな」

静「……否定はしない」

ももか「……明くん……」(ぽ~

さくら「ほえぇ……ももかちゃん、お顔が真っ赤……」

ひまわり「うふふ♪」

 

~そのほか~

ラブ「おぉっ!これはまさか、平成仮面ラ○ダーの原点!!」

さあや「昭和から続く三大特撮シリーズのひとつで、平成に入ってからリメイクされた作品、だったかしら?たしか、テロップに時間と場所を入れることで……(以下略)」

はな「め、めちょっく……」

ほまれ「ま、まぁ、さあや女優目指してたし、これくらいは……」

はぐたん「おうた~♪」

ハリー「くっ……な、なんやえらいイケメンオーラが出とるやないか……」

ありす「あらあら♪……これはぜひ、四葉で新しいバンドを」

マナ、六花「「ありす、笑顔が怖いよ……」」




おまけ

~研ぎ澄まされた勇気~
真琴「風にめくられたCard!占うように笑う!迷わない、はずもない……それでも!明日を探せ!!」

菖「俺らのとまったく別方向のテンポだな……なぁんかいつもと違う感じもするけど」
一真「問題ないだろ」
ありす「問題ありませんわ♪」
マナ「まこぴーーーーっ!!」(>▽<
菖「……異議なし」(-▽-;

~豪快な海賊……?~
ルールー「すすめ!勇気の旗掲げ、七つの海を駆け抜けろ!!」
えみる「いちかばちか、無敵な風、君を導く……!!」

やよい「おぉっ!今度はゴーカ○ジャー!!」
菖「……豪快に暴れるのか?」
やよい「当たらずとも遠からずです!」
菖「……いつもオシマイダーとか相手に大暴れしてる気がするんだけどなぁ……」


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オールスターズとの一幕~イケメンパラダイス~

n番煎じ感が否めないですが
さぁ、来週でHugっと!最終回ですか……長かったような、短かったような……
けど、今回のプリキュアも面白かったですねぇ
さて、次回のスター☆トゥインクルはどうなるやら……

まぁ、本編どうぞ
あ、ちなみに5GoGoとフレッシュ、スイーツは抜いてます(思い浮かばなかったから)


~藤村くんと談笑中~

藤村「で、その時の美墨さんってばさ」

菖「ははっ!そりゃ確かに、なぎさらしい!」

 

なぎさ「おぉ……イケメン二人……って!なんでわたしの話で盛り上がってるの?!ぶっちゃけ、ありえな~い!!…………ちょっと、うれしいけど……」

ほのか「もう、なぎさったら」(-▽-;

ひかり「ふふふ♪」

 

~和也と~

和也「そういえば、日向さんのところでパン作りの講習があるんだけど、菖も一緒にどうだい?」

菖「お?それじゃせっかくだし、参加しようかな?」

 

咲「やった!和也さんが来るなりっ!!」(フンスッ

舞「菖さんも一緒に!!」(フンスッ

満「二人とも、気合が入ってるわね」

薫「好きな人が来るから余計に、なんじゃないかしら?」

 

~いつものメンツ~

明「今日はどうするよ?」

小狼「いつも通り、菖のところでいいんじゃないか?」

君尋「おいおい、菖の許可もとらずに……」

静「いいか?」

菖「いいぞ」

君尋「って、あっさりか!」Σ( □

明「はっはっは!こうなっちゃ、君尋も形無しだな」

 

つぼみ「なんだか、いつものメンバーですよね?」

えりか「タイプの違うイケメンぞろいだけど、いつも会ってるからなんとも言えないっしゅ」

いつき「まぁ、なんだかんだ、いつも一緒にいるしねぇ」

ゆり「あら?けれど、男の子だけで集まっているというのもなかなか珍しいものよ?」

ももか「そうかなぁ?あ、でも男子だけでからんでるのは見たことないかも??」

 

~義兄弟その1~

湊「~~♪~~~♪……こんな感じか?兄貴」

菖「そうそう、なかなかいい筋してるぞ」

 

みゆき「あ!菖さんと湊くんが笛吹いてる!!」

あかね「祭囃子の練習やろか?」

やよい「……(さらさら、さらさら)……」

なお「やよいちゃん、すごい集中力……」

れいか「それだけ、お二人が絵になる、ということでしょうか?」

あゆみ「……(ぽ~)……」(  ///

 

~ジョナサン=クロンダイクと剣崎義兄と~

ジョナサン「一真、町の警備体制について、ちょっと確認してくれないか?」

一真「わかりました」

ジョナサン「それから、マナ。例の目安箱にあった意見書なんだが……」

マナ「はい!まとめてあります!」

ジョナサン「よかった。それから、菖。今、トランプ共和国の学校で行っている歴史教育のカリキュラムなんだけど」

菖「ちょっと拝見……なんで、俺が事務仕事手伝ってんの??」(-□-;

一真「……すまない、人手が足りないばかりに……」

マナ「あははは……さすが、断れない男ですね」(-▽-;

 

六花「一真さんはともかく、菖さんが巻き込まれて……あぁ、ほんとごめんなさい」( □ lll

ありす「よろしければ、四葉財閥で事務職員を紹介しましょうか?」

真琴「……わたしも、義兄さんのお手伝い、できればよかったんだけど……」(´・ω・`

亜久里「文句を言いながらもそつなく仕事をこなす……さすが菖お兄様とマナです!」

レジーナ「む~!菖お兄ちゃんも一真兄ちゃんも遊んでくれないからつまんな~い!」

 

~義兄弟その2~

誠司「はっ!せりゃっ!!」

菖「甘いっ!!」

 

めぐみ「頑張れ、誠司!!」(>□<

ひめ「フレ、フレ!ですぞ~!!」(>□<

ゆうこ「うふふ♪けがの治療は任せてください♪」

いおな「相楽くんもだけど、菖さんも相変わらずの技の切れ……」

まりあ「あらあら♪男の子はやっぱり元気が一番、かしら♪」

 

~カナタと~

菖「どうした?もうギブアップか?」

カナタ「くっ!……城の近衛兵より強いんじゃないか?」

 

はるか「ちょっ?!しょ、菖さん??!!」

みなみ「いくらカナタ王子が稽古をつけてほしいって頼んだからって……」

きらら「あらら……これ、大丈夫だよね?」

トワ「お、お兄様!頑張ってください!!」

 

~リアン氏と~

リアン「なるほど……しかし、そうなると……」

菖「……あの、魔法界の常識とナシマホウ界(俺らの世界)の常識、ごっちゃにしてません?」

 

みらい「な、なんかすっごく難しそうなお話してる……」

リコ「どうせ、考古学の話でしょ……」

ことは「は~……リコ、もしかして寂しい?」

 

~リオと~

菖「……こんなんでどうだ?」

リオ「どれどれ……うん、完璧(パルフェ)!」

 

いちか「おぉ!リオくんと菖さんのイケメンツーショット!!」

ひまり「それも、お二人ともスイーツづくりの真っ最中です!」

あおい「これはこれでレア、なのか?」

ゆかり「うふふ♪」

あきら「なんだか、リオくん楽しそうだね?」

シエル「む~!……菖さん!そこ、変わってください!!」

 

~ハリーとチャラリートと~

チャラリート「俺の方がイケメンっしょ!」

ハリー「いいや、俺の方や!!」

菖「……なに、このくだらない戦い……なぁ、はぐたん?」

はぐたん「はぎゅ?」

 

はな「めちょっく!」

さあや「あ、あははは……」

ほまれ「……って、何やってんの、あの二人は……」

えみる「この戦いに意味はあるのでしょうか?」

ルールー「理解不能です」




あとがき代わりのその後の話

~練習の成果~
湊「~~♪~~~♪」

あゆみ「……(ぽ~)……」(/// ///
みゆき「……ねぇねぇ、あゆみちゃん、顔真っ赤にしてるけど、もしかして」
やよい「もしかする?」
あかね「間違いない、あれは恋する乙女の顔や!!」
なお「おぉ!てことは、やっぱり湊くんに?」
れいか「それしか考えられませんが……とにかく、応援しましょう!」
菖「……その前にお前ら、出歯亀はやめぇや」(-▽-;

~稽古の後は その1~
誠司「……ぜぇ……はぁ……」
めぐみ「誠司、大丈夫?」
誠司「……大、丈夫……くっそ、やっぱ兄貴の強さは遠いな……」
めぐみ「大丈夫!せいじなら届くよ!」

ひめ「おぉ、これが伝説の『幼馴染の膝枕』!」
ゆうこ「うふふ♪」
いおな「菖さん!次はわたしと稽古してください!!」
まりあ「あら、いおな?まずはわたしとしましょう?」
菖「……少し、休ませて……」

~稽古の後は その2~
カナタ「……はぁ……はぁ……」
はるか「カナタ、大丈夫?」
カナタ「あぁ、大丈夫だよ、はるか」
はるか「もぅ……無理しないでね?」

きらら「にっししし~♪なぁんか、いい雰囲気じゃない、あの二人」
みなみ「もう、きらら」
トワ「うふふ♪お兄様とはるかには、是非うまくいってほしいですわ♪」
菖「……さぁて、コーヒーでも淹れるかなぁ……」


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オールスターズとの一幕(ラバーズ、シスター&ブラザーズ限定)~セイバーのコピー~

今話題の、『ミュウツ○の逆襲 EVOLUTION』のオマージュです
……てか、おまけのほうが本編っぽくなってる気がするな……気にしたら負けだけど(オイ
まぁ、お遊びなのであまりに気にしないでいただけるとありがたいです
ちなみに、再登場の予定はありません、悪しからず

……そういえば、ミュ○ツーとダークプリキュアって通じるところ、ありますよね……


セイバー?「……ここはどこだ?……私は誰だ?……誰が生めと頼んだ?誰が造ってくれと願った?!……私は、私を生み出したすべてを恨む!故にこれは、攻撃でも宣戦布告でもなく、私を生み出したお前たちへの……逆襲だ!!」

 

~MH組~

ブラック「あ、ありえな~~~~いっ!!」Σ(○□○;

ホワイト「せ、セイバーが憎しみにとらわれるなんて……」

ルミナス「セイバー!自分を強く持ってください!!」(;□;

 

~S☆S組~

ブルーム「な、なんかものすごく怒ってるなり……」(-□-lll

イーグレット「あんなセイバー、見たことがない……お願い、いつものセイバーに戻って!」(;□;

満「これは……まずいわね」(  ;

薫「えぇ……勝てるかしら?」(  ;

 

~ハートキャッチ組~

ブロッサム「セイバー!しっかりしてください!!」Σ( □ ;

マリン「ちょっ??!!セイバーが憎しみで戦うとかありえないっしゅ!!」

サンシャイン「自分を取り戻して!!」

ムーンライト「あなたが憎しみのままに戦うというのなら……わたしは……」

 

~スイート組~

メロディ、リズム「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!」」Σ(○□○;

エレン「こ、これは……ノイズ以上の強い憎しみを感じる!!」

アコ「しっかりして、セイバー!!」

 

~スマイル組~

ハッピー「ウルトラハップップ~??!!」Σ(-ε-;

サニー「どこの誰や?!セイバー怒らせたんは??!!」(-□-;

ピース「というか、あれ、ほんとにセイバー?」(;ω;lll

マーチ「な、なんかいつも以上に迫力が……」

ビューティー「こ、これが……これがセイバーだというのですか??!!」

エコー「……感じる……とても深い憎しみと悲しみを……」

アステア「くっ!しっかりしてくれ、兄貴!!」( □ ;

 

~ドキドキ!組~

ハート「愛をなくした哀しい剣士さん!このキュアハートが、あなたのドキドキ、取り戻して見せる!!」

ダイヤモンド「このキュアダイヤモンドが、あなたの頭、冷やしてあげる!」

ロゼッタ「世界を制するのは愛のみです。わたくしに、あなたの愛を取り戻すお手伝いをさせてくださいな」

ソード「このキュアソードが、あなたの憎しみ、断ち切ってみせる!!」

エース「あなたに、憎しみの力は似合いませんわ!」

レジーナ「なんか、いつものセイバーより強そう♪」

 

~ハピネスチャージ組~

ラブリー「憎しみで戦うなんて、そんなの全然、ラブじゃない!!」

プリンセス「あ、ありえませんぞーーーーっ!!」

ハニー「みんなで一緒にご飯を食べれば、きっと分かり合える!」

フォーチュン「いや、ハニー。もうその段階、飛び越えてると思うわ……」(-□-;

テンダー「そう……あなたが憎しみで戦うというのなら!!」

誠司「しっかりしてくれ、兄貴!!」

 

~魔法使い組~

ミラクル「作られた命……けれど、憎しみですべてを壊すなんて悲しすぎるよ!!」

マジカル「つながる魔法と巡り合う奇跡、そこから育まれるよろこびを!!」

フェリーチェ「あなたに教えて差し上げます!!」

 

~Hugっと!組~

エール「憎しみで全部を壊したって、なんにもならないよ!!」

アンジュ「あなたのその憎しみで染まった心、癒しみせる!」

エトワール「させないよ、この世界を壊すなんてことは!!」

マシェリ、アムール「「わたしたちの愛で、その憎しみ、ズッキュン打ち抜いてみせます!!」」




おまけ~その後の顛末~

~真相~
セイバー?「私はダークセイバー……貴様ら人間に作られた、ユグドセイバーの、コピーだ」
マリン「セイバーの……」
サンシャイン「コピー……?!」
ブロッサム「まさか、ダークプリキュアと同じ……?!」
ムーンライト「だとしても、あなたの好きにさせるわけにはいかない!!」
ブラック「あなたの身勝手で、世界を壊させたりなんて」
オールスターズ『絶対させない!』
ダークセイバー「……身勝手、か……それは貴様らも同じことだろう?」
オールスターズ『……?』
ダークセイバー「お前たち人間の身勝手で私を作り、勝手に道具にして、勝手に捨てた……これ以上の身勝手があるか?!」
ドリーム「そ、それは……」
ダークセイバー「私は何だ?!私は誰なんだ?!なぜ生まれてきた?!何のためにここにいる?!お前たちの身勝手を満足させるためか?!ならば、私はお前たちに私の怒りを、憎しみを味わせやる!!」
セイバー「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ダークセイバー「っ??!!」

~本物とコピー~
ダークセイバー「そうか、貴様が……」
セイバー「心の大樹から聞いてはいたけど……お前が、俺の……」
ダークセイバー「……ユグドセイバー、確かに私はお前から作られた!だが強いのは私だ!!本物は、この私だ!!」
セイバー「たとえ作られた存在だとしても、たった一つの命であることに変わりないだろう?!なぜそれがわからない!!」
ダークセイバー「わかるものか!!頼みもしないのに勝手に生み出された私のこの怒りを、貴様がわかることができぬように!!」
セイバー「あぁ、わからないさ!けれど、同じ生き物である以上、お前に俺たちの縄張り(居場所)を明け渡すわけにはいかない!!」
ダークセイバー「いいだろう……ならば戦争だ!!」
オールスターズ『だめーーーーーーーっ!!』

~結末~
ダークセイバー「私は……この世界に生きていていいのか……?」
セイバー「この世界に、存在しちゃいけない命なんてない!それはお前も同じだ!!」
ダークセイバー「……そうか……」
ブラック「あ、ダークセイバーが……」
ホワイト「飛んでいく……」
ルミナス「いったい、何処へ……?」
ダークセイバー「……私は生まれた……生きている。生き続ける!この世界の、どこかで……」

菖「……あれ?俺たち、なんでここに??」
つぼみ「何か、大切なことを忘れているような……?」
えりか「ん~??」(-ε-?
いつき「なんだったっけ??」
ゆり「さぁ……」


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オールスターズとの一幕~呼ばれてみた~

斗真「……暑い……」
菖「北国なのにな、お前が住んでいるとこ」
斗真「海沿いだから湿気が強いのもあるんだろうけど……」

いや、まじでどうなってんのって感じですわ……


~ひかりの場合~

ひかり「お、お父さん……」(/// ///

菖「ん?なんだい?母さん」

ひかり「~~~~~~~~っ!!!」(/// ///

 

なぎさ「あははは、ひかり顔真っ赤!」

ほのか「うふふ♪」

 

~舞の場合~

舞「あなた♪」

菖「ん?どうした、舞?」

 

咲「おぉ、舞と菖さんが夫婦してるなり!」

満「ほほえましいわね」

薫「えぇ、特に舞の笑顔、すごくかわいい」

 

~こまちの場合~

こまち「に~いさん♪」

菖「どうした?」

こまち「うふふ♪なんでもない♪」(^ω^♪

 

かれん「こまちったら」ε-(-▽-;

のぞみ「なんか、こまちさん、すっごくいい笑顔してる」

りん「そりゃまどかさんがあぁだからねぇ」

うらら「菖さんみたいな優しいお兄さんが欲しかったって、話してましたし」

くるみ「ふ~ん?」

 

~せつなの場合~

せつな「お、お兄ちゃん」(  ///

菖「どうした?せつな」

 

ラブ「おぉっ!せつなが真っ赤だ!!」

美樹「これは完璧に甘え顔だわ」

祈里「せつなちゃん、かわいい♪」

 

~つぼみの場合~

つぼみ「……だ、旦那様……」(/// ///

菖「……お、おぅ……」(/// ///

 

えりか「お~、つぼみも菖さんも真っ赤っかっしゅ!!」

いつき「旦那様、って……つぼみも随分と古風な……」

ゆり「うふふ♪」

 

~ゆりの場合~

ゆり「あなた♪」(^ω^♪

菖「なんだい?」

ゆり「呼んだだけよ♪」

 

つぼみ「ゆ、ゆりさんと菖さんが甘々な雰囲気に!!」

えりか「てか、ゆりさん……普段とのギャップがすごいっしゅ!!」

いつき「あははは……」

 

~響の場合~

響「兄さん、兄さん!」(>▽<

菖「ん?どした、響」

 

奏「ふふ、響ったら菖さんにすっかり甘えたになってるわね」

エレン「行かなくてよかったんですか?姫様」

アコ「なんのことかわからないわ」(ツーン

 

~なおの場合~

なお「お兄ちゃん……」

菖「どうした、なお?」

なお「……な、なんでもない」(  ///

 

みゆき「お~!なおちゃんが甘えたさんになってる!!」

あかね「普段、甘えられへんからと違うか?」

やよい「甘えん坊ななおちゃん……ちょっと新鮮かも」

れいか「うふふ♪」

あゆみ「なおちゃん、かわいい♪」

湊「ははは」

 

~ありすの場合~

ありす「お兄様♪」

菖「……なぜだろう、ありすにそう呼ばれるとなんか無茶な要求をされそうな……」( Д ;

ありす「うふふふふ♪」(^言^

 

マナ「あははは……」

六花「まぁ、ありすだし……」

真琴「あははは……」

亜久里「うぅ……わたくしが行きたかったです……」

レジーナ「むぅ~……」(-ε-メ

 

~いおなの場合~

いおな「お……お兄ちゃん!」(  ///

菖「いや、なんでそんなに気合い入れる必要があるのさ?」

 

めぐみ「お~……なんか照れてるいおなちゃん、すごく新鮮」

ひめ「ある意味、レアシーンじゃない?」

ゆうこ「うふふふ~♪」

まりあ「あらあら?もしかしなくても、いおなったら……」(-▽-

 

~みなみの場合~

みなみ「お……お兄、様」(/// ///

菖「……それ、本人が聞いたら泣いちゃわない?」(-Д-;

 

はるか「み、みなみさんが真っ赤に……」(○Д○

きらら「これは、もしかしなくてももしかする?」

トワ「もしかする、というのはどういうことでしょう??」

 

~リコの場合~

リコ「お、お兄様!」

菖「ん?どうした、リコ」

 

みらい「おぉ、リコの顔が真っ赤だ!」

ことは「リコ、風邪ひいちゃったの?」

 

~あきらの場合~

あきら「に……兄さ、ん……」

菖「同い年に兄さんいわれるのはちょっと複雑だなぁ」(-▽-;

 

いちか「さらっと返し過ぎですぞ!」

ひまり「けど、それが菖さんです!」

あおい「なんつうか、つまんねぇなぁ」

ゆかり「うふふ、ならわたしはお姉さまといわせようかしら?」

シエル「ゆかり、あなたね……」

 

~はなの場合~

はな「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」(>▽<*

菖「おぅ。今日も元気だな、はな」

 

さあや「ふふふ、はなったら」

ほまれ「はしゃぎすぎ」

えみる「でもいい笑顔なのです!」

ルールー「はなが菖さんをお兄ちゃんと呼ぶのなら、わたしもお兄さんと呼んだ方がいいのでしょうか?」

 

~えれなの場合~

えれな「兄さん!」

菖「どした、えれな?」

 

ひかる「えれなさん、なんだかすっごくいい笑顔!」

ララ「今まで見た中で一番あったかいルン!」

まどか「きっと、甘えることができる人が目の前にいるからなのでしょうね」

ユニ「甘えられる人、か……」




おまけ

~ユニの場合~
ユニ「に……兄さん」
菖「珍しいな、ユニが甘えたなんて」
ユニ「ニャッ??!!……た、たまにはいいじゃない!!」

ひかる、ララ「「ニヨニヨ、ニヨニヨ」」(-▽-
えれな「あはは……まぁ、甘えたくなるのも無理ない、かな?」
まどか「菖さんの優しさは、まさに宇宙一ですものね」

~いおなのその後~
いおな「…………」
まりあ「いおな?」
いおな「…………菖、お兄ちゃん…………うふふふふふ♪」
まりあ「あら……うふふ♪」


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オールスターズとの一幕(ラバーズ限定)~あの子がハグてしてきた~

唐突に思いついたので
ちなみに、ハピチャ組はありません(お互いにやりそうにないし)
あと、場面が思い浮かばなかったのと、リビドーが抑えられなくてR指定の展開になりそうだったので、小狼とさくらも省略してます

そしてここにきて、いおなをラバーズに加えるか、それともハピチャ組に新キャラを加えるかどうしようか考え中……
アンケート取ろうかな?(おい
海藤くん?知らない子ですね(ハピチャはあまり見ていない


~ひかりの場合/背中からいきなり~

ひかり「菖さん!ぎゅ~っ♪」

菖「どうした?ひかり」

ひかり「少し、こうさせてください♪」

菖「……?まぁ、いいけど」

 

なぎさ「あははっ、ひかりが大胆だ!!」

ほのか「もぅ、なぎさ!あんまりからかったらだめよ?」

 

~舞の場合/正面から許可をもらって~

舞「あ、あの、菖さん」

菖「ん?」

舞「ぎゅ~って、してもいいですか?」(/// ///

菖「いいよ」

舞「そ、それじゃお言葉に甘えて……」(ぎゅ~

 

咲「おぉっ!舞が大胆になってるなり!!」(○▽○

満「ほほえましいわね」(-▽-

薫「えぇ、これは絵になるわ」(-▽-

 

~つぼみの場合/背中からいきなり~

菖「うぉっ?!って、つぼみ?」

つぼみ「…………」(ぎゅ~

菖「どうした?いきなり」

つぼみ「……すみません……少し、このままでいさせてください」(/// ///

菖「まぁ、構わないけど」

 

えりか「おぉっ!!つぼみ、あんたいつの間にそんな大胆に!!」Σ(○▽○

いつき「こ~ら、えりか!出歯亀はよくないよ?」

ゆり「えりか、いつき?覗きはやめなさい?」

明「とか言いながら、お前らものぞいてるけどな?」(-▽-

ももか「うふふ、わたしたち、人のこと言えないわね?」(-▽-

 

~ゆりの場合/正面からいきなり~

ゆり「…………」(ぎゅ~

菖「……え~っと、ゆりさん?」

ゆり「…………少し、このままでいさせてちょうだい」(/// ///

菖「……ん、わかった」(/// ///

 

つぼみ「ゆ、ゆりさんが大胆です!!」(///□///

えりか「いけっ!そのままぶちゅ~っと!!」

いつき、ももか「「えりか、はしたない」」(-□-;

明「ケッケッケ、せんせーもやるじゃねーか!」(-▽-

 

------------

 

~ももかの場合/背後からいきなり~

ももか「あ~きくん♪ぎゅ~♪」

明「おっと、おいおい、いきなり甘えん坊か?」

ももか「えへへ~」(///▽///

 

つぼみ、えりか、いつき「「「いつもの光景ですね/っしゅ/だね」」」

菖「ほんと、あいつら飽きないな」ε-(-Д-

ゆり「飽きても困るけれどね」ε-(-Д-

 

 

~あゆみの場合/正面から許可をもらって~

あゆみ「湊くん、ぎゅ~、ってしてもいい?」

湊「ん……どうぞ」(/// ///

あゆみ「うん♪」(ぎゅ~

湊「……急に甘えただな、あゆみは……」(/// ///

あゆみ「えへへ~」(///▽///

 

みゆき、やよい「「ウルトラハップップ~っ??!!」」Σ(///ε///

あかね「お~お~、あゆみ、積極的やな~♪」

なお「なっ?!うぇ、え、ちょ……」(///□///

れいか「なお、落ち着いて……」

 

~真琴の場合/背後からいきなり~

真琴「………………」(ぎゅ~

一真「どうした?真琴」

真琴「……………ん、なんとなく………………」

 

マナ「キュンキュンだよ~っ!」(>▽<*

六花「マナはちょっと落ち着きなさい……」

ありす「うふふ♪やはりお二人は絵になりますね♪」

亜久里「これぞ、愛の形ですわ!」

レジーナ「いや、意味わからないわよ、亜久里」




おまけ

~はるかの場合/背後からいきなり~
はるか「カ~ナタ♪」(ぎゅ~
カナタ「うん?どうしたんだい、はるか?」
はるか「なんでもな~い♪」

みなみ「あらあら、はるかったら甘えたさんね♪」
きらら「にっしし~、はるかってば大胆♪」
トワ「うふふ♪」

~四人一度に~
ひかり、舞、つぼみ、ゆり「「「「……(ぎゅ~)……」」」」(/// ///
菖「………えぇと………どゆこと、これ?」(/// ///

なぎさ「こ、今度は四人同時……」( Д ;
ほのか「うふふ♪」(^▽^
咲「というか、よく喧嘩にならないよね~」(-ω-
えりか「そこはそれ、菖さんの性格を知ってるからじゃない?」(-ε-
いつき「あぁ、それはあるかも」

~未来の義妹~
小百合「菖お兄ちゃん!ぎゅ~♪」
菖「ん?あぁ、小百合か……そら!」
小百合「わ~い♪肩車~♪」(>▽<*

ゆり、つぼみ、いつき「「菖/さん!そこを代わって/ください!!」」
えりか「おぉ、小百合ちゃんの笑顔がまぶしいですぞ~」
ほまれ「きゃわたん!!」


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オールスターズとの一幕~妖精はーちゃんとの一幕~

ふと思いついたので書いてみました
そういえば、ちびっ子だった頃のはーちゃんのこと、書いてなかったなぁ……
まぁ、今更ですが(苦笑


妖精はーちゃん「はーっ!たっのし~っ!!」(>▽<

菖「お~い!あんまり遠くに……あ~、だから魔法は使っちゃダメだって!!」(-Д-;

 

~MH組~

なぎさ「な、なんかすっかり振り回されてる……」

ほのか「完全に保父さんね♪」

ひかり「お、お手伝いに行った方がいいんでしょうか……」

 

~S☆S組~

咲「はーちゃん、大暴れなり……」

舞「菖さんを助けにいかないと!!」

満「さすがの菖さんも小さい子には形無しなのね」

薫「ふふふ、けど菖さんらしいわね」

 

~5GoGo!組~

のぞみ「わ~!なんか楽しそう!!」

りん「こらこら、あんたは行かないの……」

うらら「なんだか菖さんが保父さんに見えてきました……」

こまち「妖精の保父さん……うふふ、これはこれでありね」

かれん「あぁ……あんなに魔法でいたずらして……」

くるみ「かなりのやんちゃっ娘ね、あれは……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「おぉ……なんだか大変そうだ……」

美希「完璧に振り回されているわね、あれは……」

祈里「な、なんか動物の赤ちゃんを相手にしている人みたい……」

せつな「傍から見ているとほほえましい光景なのだろうけれども……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「し、菖さん?!お、お手伝いします!!」

えりか「あ~、こりゃ完全に振り回されてるね~」

いつき「わたしたちも手伝いに行った方がいいのかな?」

ゆり「そうしましょうか」

 

~スイート組~

響「ふ、振り回されてる……」

奏「た、大変そうね……」

エレン「助けてあげないの?」

アコ「……頑張れ、お兄ちゃん!」

 

~スマイル組~

みゆき「はっぷっぷ~?!」

あかね「あちゃぁ……見事に振り回されとるわ」

やよい「まぁ、相手がはーちゃんだし?」

なお「て、手伝います!!」

れいか「うふふ、なおのお母さんスイッチ、入っちゃいましたね♪」

あゆみ「なんで楽しそうなのかな?」

湊「さぁ?」

 

~ドキドキ!組~

マナ「あっははは、これじゃ菖さんも形無しだね~」

六花「笑い事じゃないでしょ!手伝いに行くわよ!!」

ありす「うふふ♪これはこれでいい絵がとれそうですわ♪」

真琴「だからなんで笑ってるのよ?」

亜久里「まったく……幼いとはいえ、そんなにやんちゃでは一流のレディには程遠いですわ!」

レジーナ「楽しそ~!あたしも混ぜて~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「すっかり保父さんだよね~」

ひめ「……リボンよりも菖さんがお世話役だったらよかったなぁ……」

ゆうこ「ひめちゃん、そんなこと言ったらだめよ?」

いおな「というか、菖さんだったらもう少し厳しかったんじゃない?」

誠司「あぁ~、ありえそう」

まりあ「うふふ♪」

 

~プリンセス組~

はるか「わ~……なんか大変そう……」

みなみ「手伝いに行った方がいいわね」

きらら「あはは、なんか大変そう……」

トワ「笑い事じゃありませんわよ?きらら」

 

~魔法使い組~

みらい、リコ「「あぁ……菖さん、うちのはーちゃんがごめんなさい……」」( □ lll

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、な、な、なんですとーっ?!」

ひまり「ことはちゃんが大暴れです!!」

あおい「うわぁ、大変そう……」

ゆかり「うふふ、楽しそうね♪」

あきら「手伝いに行った方がいいかな?」

シエル「Oui!行きましょう!」

 

~Hugっと!組~

はな「なんか、はぐたんが小さかった頃を思い出すね~」

さあや「ほんとね」

ほまれ「小さいことはちゃん……きゃわたん!!」(///▽///

えみる「お、お手伝いにいきましょう!!」

ルール-「そうですね」

 

~スター☆トゥインクル組~

ひかる「妖精さん、キラヤバーッ!」

ララ「こ、これには驚きルン!」

えれな「大変そう……手伝いに行こう!」

まどか「そうですね」

ユニ「まったく……フワみたいなのがまだいたなんてね……」




~おまけ~

~お母さんいっぱい~
はーちゃん「は~♪楽しかった~」
ゆり「満足したみたいね?」
はーちゃん「うん♪」
つぼみ「それじゃ、帰りましょうか」
はーちゃん「は~い♪」
舞「帰ったらおやつにしようね?」
ひかり「何がいいでしょう?」
はーちゃん「はーちゃんね、イチゴメロンパン食べたい!」
いおな「それじゃ、帰り際に買っていきましょうか」
はーちゃん「わ~い♪」

菖「こうしてみてると、みんなお母さんみたいだなぁ」
なぎさ「それじゃお父さんは……」
ほのか「うふふ、誰でしょうね♪」
菖「……なぜに俺のほうを見て言うかね?」

~怒らせたら怖いお母さん~
ゆり「はーちゃん、そこに座りなさい」
はーちゃん「……はー……」
ゆり「魔法を使ったら危ないから、お外で使っちゃダメっていつも言ってるわよね?」
はーちゃん「うぅ……」
ゆり「楽しくなって約束を忘れちゃったのは仕方ないわ。けど、はーちゃん、約束を破ったのはわかるわよね?」
はーちゃん「うん……」
ゆり「それなら、言うことがあるんじゃないかしら?」
はーちゃん「ごめんなさい、ゆりお母さん」

つぼみ「ゆ、ゆりさん、いつになく怖いです……」
いおな「い、いま背筋が凍ったわ……」
ひかり「さ、さすがです」
菖「はははは……さて、どうフォローしようかねぇ……」


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オールスターズとの一幕(一部限定)~一緒にホラー映画を見ていたらどうなる?~

ちなみに、筆者が見たことがあるホラー映画は

・『学校の怪談』シリーズ
・『ダンウィッチの怪』
・『ネクロノミコン』
・『インスマウスを覆う影』
・『パラダイム』

……なんだろう、見事にクトゥルフ寄りになっている気がする……(-ω-;
ん?『ハムナプトラ』?あれはモンスターアクションでしょ?
『バイオハザード』?ソンビパニックの間違いじゃござぁません??
『The Nightmare Before Cristmas』?『Corpse Bride』??ティム・バートン作品はもはやホラーにあらずって思うのは私だけ?

まぁ、そんなことはどうでもいい
本編をどうぞ


テレビ『キャーーーーーーーーーーーーッ!!!!』

 

~ひかりの場合~

ひかり「ひぃっ??!!」Σ( Д lll

菖「おっとと……大丈夫か?」

ひかり「だ、大丈夫じゃないです……て、手を握っててもらってもいいですか?」(;Д;lll

菖「ん、どうぞ」

 

A.手を握ってもらう

 

~舞の場合~

舞「………………」(((( Д lll))))

菖「……えぇっと……舞?」(-ω-;

舞「……あ、あの……ぎゅっとしてて、いいですか?」(;Д;lll

菖「あ、あぁ……いいけど」

 

A.腕にしがみつく

 

~つぼみの場合~

つぼみ「………………」((((;Д;lll))))

菖「……そんなに怖いなら、見るのやめる?」

つぼみ「……ご、ごめんなさい……」((((;Д;lll))))

菖「いや、全然大丈夫だよ」(-▽-;

 

A.菖の優しさで途中から見るのをやめる(その間、菖の背中に顔を押し付けていた)

 

~ゆりの場合~

ゆり「昔だったら、怖くて背中に顔を押し付けたり手を握ったりしてたのに、不思議と怖くないわね」

菖「まぁ、ほら、砂漠の使徒とかフュージョンとか、いろいろやりあってたし?」

ゆり「うふふ♪そうかもね」

菖「(とかいうけど、手を握ってきてるあたり、ほんとは怖いんじゃ……?)」

 

A.なぜか昔話に花が咲く(ただし、手を握ってきている)

 

~なおの場合~

なお「………………」((((;Д;lll))))

菖「……あ~……なお?」

なお「ひぃっ???!!」((((;Д;lll))))

菖「……うん、俺が悪かった。これ見るのはもうやめよう」(-ω-;

 

A.菖の優しさで途中から見るのをやめるpart.2(その間、菖の背中に隠れていた)

 

~いおなの場合~

いおな「……(ビクッ)……」Σ( ω ;

菖「ん?どした??」

いおな「な、なんでもない、です」

菖「……うん、そういうことにしておこうか(なんで俺の右手に手を置いてるのやら)」

 

A.半ば無意識に菖の手を握る

 

~みなみの場合~

みなみ「………………」((((;Д;lll))))

菖「……あ~……みなみ?大丈夫か?」

みなみ「…………全然、大丈夫じゃn……ひぃぃぃぃぃっ???!!!」((((;Д;lll))))

菖「……うん、見るの、やめようか」(-ω-;

 

A.菖の優しさで(以下省略)part.3(その間、菖の背中にしがみついてガタガタブルブルしていた)

 

~ほまれの場合~

ほまれ「ひぃぃぃぃぃぃっ??!!」((((;Д;lll))))

菖「……大丈夫、じゃなさそうだな」

ほまれ「正直、こういうの無理なんですってば!!」((((;Д;lll))))

菖「うん、それじゃ消すから、腕、離してくれない?」

 

A.菖の優しさ(以下ry)part.4(その間、腕にしがみつく)

 

~えれなの場合~

えれな「ひぃぃぃぃぃぃっ??!!」((((;Д;lll))))

菖「……え?そんなに怖いか、これ?」

えれな「こういうのは無理なんです!!」((((;Д;lll))))

菖「んじゃ、消すから……ちょっと離してくれない?」(-ω-;

 

A.菖の(ry)part.5(その間、正面から抱きついて胸に顔をくっつける)

 

------------

 

~ももかの場合~

ももか「キャーっ!明くん、こわ~い♪」

明「いや怖がってないだろ……」

 

A.笑顔で正面から抱きつく

 

~さくらの場合~

さくら「ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」((((;Д;lll))))

小狼「大丈夫、じゃなさそうだな……消すか?」

さくら「うえぇぇぇぇぇぇん、お願い、小狼くーーんっ」((((;Д;lll))))

 

A.小狼の優しさで途中から見るのをやめる(その間、正面から抱きつく)

 

~あゆみの場合~

あゆみ「…………(びくっ)…………」Σ( ω lll

湊「……大丈夫か?」

あゆみ「……う、うん……ぎゅってしてていい?」( ω lll

湊「大丈夫だ、問題ない(う、腕に柔らかい感触が……)」

 

A.腕にしがみつく




おまけ

~祈里の場合~
祈里「ひぃっ!!」((((;Д;lll))))
明「……あ~、祈里さんや。。怖いのはわかったから、ちと離してくれない?」
祈里「や、やですぅっ!!(ぎゅ~)」((((;Д;lll))))
明「…………(やべぇ、俺のSAN値がゴリゴリ削れる……耐えてくれ、俺の鋼メンタル……)…………」

A.腕に胸を押し付ける形でしがみつく(その間、明は絶えずSANチェックを行っていたそうな)

~まりあの場合~
まりあ「いや~ん、こわ~い♪」(ぎゅ~)
明「……全然、怖がってないですよね?」
まりあ「あら、ばれた?」

A.明にしがみついて遊ぶ

~そういえば……~
つぼみ「菖さん、見てて怖くないんですか?ホラー映画」
菖「ん~、そりゃほぼ毎日SANチェック状態だからねぇ……体質的に」
ゆり「あぁ……それじゃ慣れちゃったから怖いとは」
菖「まぁ、基本、思わないかな?パニックホラーのほうが怖いって思うけど」

~その後(しがみついた組)~
舞、つぼみ、さくら、あゆみ「「「「こ、怖かったのは事実だ/ですけれど、あ、あんな大胆な……」」」」(/// ///
みなみ、ほまれ、えれな「「「ちょ、ちょっと大胆なことしちゃったような……」」」(/// ///;
ももか「うっふふふ~♪たまにはこういうのもいいかな~♪」

~その後(抱きつかれた側)~
菖「………(柔らかかったなぁ……どこが、とか言わないけど)………」(  ///
小狼「………………」(/// ///
湊「……心頭滅却、心頭滅却……」(/// ///
明「ったく、急に甘えたになりやがって……かわいいやつだよ、ほんと」


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オールスターズとの一幕~宝具解放~

まぁ、ちょっとしたおふざけです
唐突に思い浮かんだこともあって、おまけはありませんので、ご容赦を


セイバー「永続不変の輝き、千変無限の彩りをここに!万夫不当の騎士たちよ、我が王勇を指し示せ!!"王勇を示せ(ジュワユーズ)()遍く世を巡る十二の輝剣(オルドル)"!!」

 

~MH組~

ブラック「あ、あ、あ……ありえなーーーーーいっ!!」

ホワイト「セイバーの技って、あんなのだったかしら?」

ルミナス「な、なんだかセイバー、いつもと違ういます……」

 

~S☆S組~

ブルーム「えぇぇぇぇぇぇっ??!!」

イーグレット「もぅ、セイバーったら……はしゃぎすぎじゃないかしら?」

満「形状変化であんなこともできるのね……」

薫「あの剣、全部エターナルハートだったのね……」

 

~5GoGo!組~

ドリーム「おぉっ!なんかわからないけど、すっごいよ!!」

ルージュ「って、そんな技だったっけ?」

レモネード「いつも以上にカッコイイです!!」

ミント「……っ!!閃いたわ!!」

アクア「ネタが思い浮かぶのはまだいいけど、せめて終わってからにしてね?!」

ミルキィ「というか、よくこんな時に思い浮かぶわね」

 

~フレッシュ組~

ピーチ「おぉっ!なんかカッコイイ!!」

ベリー「なんかもう、完璧にセイバーのサーヴァントよね」

パイン「で、でもわたしは明さんのほうが……」

パッション「パイン、のろけはいいから……」

 

~ハートキャッチ組~

ブロッサム「か、完全にシャルルマーニュです……」

マリン「ていうか、セイバー……こういうこともするんだね」

サンシャイン「ちょっと、というかかなり意外……」

ムーンライト「珍しいこともあるわね……」

 

~スイート組~

メロディ「おぉっ!なんかカッコイイ!!」

リズム「というか、あぁいうのって明さんとかの役目じゃ……?」

ビート「な、なにを言っているのかわからないわ……」

ミューズ「安心して、ビート。わたしもだから」

 

~スマイル組~

ハッピー、ピース「「カッコイイ!!」」

サニー「いや、何言うてんのかぜんぜんわからへんわ……」

マーチ「というか、セイバーがこういうことするのって……」

ビューティー「珍しいですね……あら?エコーとアステアは……??」

 

~ドキドキ!組~

ハート「おぉっ!!なんかいつもと違ってカッコイイ!!」

ダイヤモンド「普段、必殺技の名前なんてあんまり言わないものね」

ロゼッタ「なにかあったのでしょうか?」

ソード「え、気にするのそこなの?」

エース「さすがセイバーですわ!」

レジーナ「おぉ~!なんかわかんないけどかっこいい!!」

 

~ハピネスチャージ組~

ラブリー、プリンセス「「すごごごごごごーいっ!!」」

ハニー「なんだかめずらしくはしゃいでるみたいね?」

フォーチュン「あんなセイバー、珍しいわね」

テンダー「心なしか、いきいきしている気はするけれどね?」

 

~プリンセス組~

フローラ「おぉっ??!!」

マーメイド「な、なんだかいつもよりはしゃいでいるような気が……」

トゥインクル「てか、はしゃいでるよね?」

スカーレット「珍しいこともあるんですわね……」

 

~魔法使い組~

ミラクル「おぉっ??!!」

マジカル「な、なんかいつもよりはしゃいでる感じが……」

フェリーチェ「な、なぜかいつものセイバーではないような気が……」

 

~ア・ラ・モード組~

ホイップ「な、なんですとぉっ??!!」

カスタード「い、いつになくはしゃいでいると言いましょうか……」

ジェラート「おぉっ!!なんかわかんねぇけどかっこいい!!」

マカロン「あら?珍しいこともあるのね?」

ショコラ「たしかに、珍しいよね」

パルフェ「でも、かっこいいからいいんじゃない?」

 

~Hugっと!組~

エール「おぉっ?!」

アンジュ「珍しいこともあるのね?」

エトワール「でも、イケてると思うよ?」

マシェリ「い、いつになくセイバーがはしゃいでいるのです……」

アムール「唐突です……」

 

~スター☆トゥインクル組~

スター「おぉっ??!!なんかかっこいいよ?!」

ミルキィ「そうルン?」

ソレイユ「けど、珍しいよね?」

セレーネ「えぇ。普段、あそこまではしゃぐことはないと思うのですが……」

コスモ「そうなの?」



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オールスターズとの一幕~ガンダム、行きます!!~

実はこつこつ書いていた
いやぁ、ガンブレ3をプレイしてたらやらせたくなってしまいまして……反省はしているけど後悔はしてない!!
なお、登場している機体は私がガンブレ3でカスタムした、いわゆる「俺ガンダム」というやつです
機体説明についてはあとがきに(まぁ、別に読まなくても構いませんが……)

というわけで、まずは本編どうぞ


菖「春川菖、ウィングゼロ・サジッタ!出撃()る!!」

ラブ「桃園ラブ、ガンダムガオー!出るよ!!」

明「御剣明、壬生狼士(みぶろうし)!発進する!!」

やよい「黄瀬やよい、アテナ!行っきま~す!!」

はな「野々はな、ガトリングJK!行きまーす!!」

ひかる「星奈ひかる、タウラス!行きます!!」

 

~MH組~

なぎさ「きょ、巨大ロボット?!」

ほのか「本当に動かせてるのかしら?」

ひかり「む~っ!!」(プクー

 

~S☆S組~

咲「お~……なんかわからないけどかっこいい」

舞「そうね」

満「……舞、さっきからなんだか不機嫌じゃない?」

薫「たぶん、ラブとやよいが隣にいるのが気に入らないんじゃない?」

 

~フレッシュ組~

美希「って、ラブ?!」

祈里「ラブちゃんがロボットに?!」

せつな「いや、乗ってるだけよ?あれは」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「きょ、きょ……巨大ロボットですかぁぁぁぁぁっ??!!」

えりか「ガンダムキタコレ!」

いつき「どれも個性的なものばかり……」

ゆり「番くんが夢中になりそうね」

ももか「明くんだけずる~い!!」

小狼「何がずるいんだ?」

君尋「さぁ?」

静「知らん」

ひまわり「自分も乗りたかったってことじゃない?」

さくら「ほえぇぇぇ……」

 

~スマイル組~

みゆき「きょ、きょ、きょ……巨大ロボットだーーーーーっ!!」(>▽<

あかね「そういや、みゆきが巨大ロボットになったこと、あったな」

なお「あぁ……あったね……」

れいか「うふふ。ありましたねぇ、そんなことも」

あゆみ、湊「「え?」」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「きょ、巨大ロボット?!」

ひめ「すごごごごごーーーーーーいっ!!」

ゆうこ「めぐみちゃんもひめちゃんも、興奮しすぎよ?」

いおな「それに乗っかる菖さんもどうかと思うけれど……明さんならともかく」

誠「まぁ、兄貴と明さんだし……」

 

~Hugっと組~

ほまれ「巨大ロボット?!てか、ガトリングとJK(女子高生)って……」

さあや「機動戦士ガンダムね!四十年くらい前に放送されたロボットアニメで、その設定や機体の造形だけでなく、作中の人間ドラマがとてもよく作りこまれていて……」

えみる「ま、まさかルールーも巨大ロボットに変形が……」

ルールー「えみる、さすがにわたしでもそれは不可能です……」

 

~スタートゥインクル組~

ララ「こ、ここまで大きなロボットは見たことがないルン……」

AI「サマーン星でも見かけることのない規模です」

えれな「というか、ひかる……ノリがいいのね……」

まどか「これほど巨大なロボット……現実で製造が可能になるのは何十年後なのでしょう?」

ユニ「地球の科学力だと、あと百年はかかるんじゃない?……あ、でもありすのところの実家がやらかしそうな気がするニャン……」




~機体説明~

○ウィングゼロ・サジッタ
頭:EW版ウィングガンダムゼロ
腕:ガンダムエクシア
ボディ:ストライクフリーダムガンダム
足:ストライクフリーダムガンダム
バックパック:EW版ウィングガンダムゼロ
メイン武装:GNソードⅡ
シールド:バックパックウィング
説明:作者が愛用している機体の一つ。「バトルスピリッツ」の十二宮Xレア「光龍騎神サジット・アポロドラゴン」をイメージし、赤・黄色・橙・白でカラーリングしてある。
大剣としてのみではなく、ロングライフルとしても使用できるGNソードⅡをメイン武装とすることで、サジット・アポロドラゴンが使用する武器の可変性を再現している。

○ガンダムガオー
頭:デスティニーガンダム
腕:ライジングガンダム
ボディ:ジンクス
足:ブルーデスティニー3号機
バックパック:Zガンダム
メイン武装:なし
シールド:なし
説明:巨大ロボットといえばガンダム、マクロス、マジンガーZなど様々な作品があげられるが、やはり忘れてはいけないのは「勇者王ガオガイガー」だろう。
ということで、作者がどうにかガオガイガーを再現できないかと模索した結果、生まれた機体。
カラーリングはガオガイガーを意識し、黒と赤が中心。

○壬生狼士
頭:EW版ウィングガンダムゼロ
腕:ストライクフリーダムガンダム
ボディ:ダブルオークアンタ
足:ウィングガンダム
バックパック:ガンダムデュナメス
メイン武装:ガーベラストレート
シールド:ABCマント
説明:作者が愛用している機体の一つ。射撃武器を一切使用せず、近接武器、それもビーム兵器ではなく実体武器のみで戦うことをコンセプトとしている。
そのため、高速機動を行うことができるトランザムはもちろん、射撃攻撃への対策のためGNフィールドを展開できるよう、ガンダムデュナメスのバックパックを使用している。
なお、名前は新撰組の前組織「壬生浪士組」をモチーフとし、カラーリングも新撰組のだんだら羽織をイメージして浅黄色にしている。

○アテナ
頭:ノーベルガンダム
腕:アルトロンガンダム
ボディ:ノーベルガンダム
足:EW版ウィングガンダムゼロ
バックパック:EW版ガンダムエピオン
メイン武装:GNランス
シールド:シールド(パラス・アテネ使用)
説明:「聖闘士星矢」の女神アテナが聖衣をまとった姿を作者が再現した機体。
カラーリングは当然、聖衣をまとった女神アテナをイメージしている。

○ガトリングJK
頭:ノーベルガンダム
腕:ノーベルガンダム
ボディ:ノーベルガンダム
足:ノーベルガンダム
バックパック:ガンダムデュナメス
メイン武装:コンパインシールド(シールド付属武装)
シールド:コンパインシールド
説明:作者がガンブレ3に登場する女性キャラクターを搭乗させる機体として設計。コンセプトは名前の通り、「女子高生と機関銃」。
カラーリングは女子高生の制服をイメージしている。なお、スカートは灰色を下地としたチェックとなっている。

○タウラス
頭:スタークジェガン
腕:ガンダムAGE-1タイタス
ボディ:ガンダムAGE-1タイタス
足:デスティニーガンダム
バックパック:ビルドバーニングガンダム
メイン武装:なし
シールド:ABCマント
説明:「聖闘士星矢」に登場する黄金聖闘士「おうし座(タウラス)」を再現した機体。
黄金聖闘士を再現したシリーズはほかにも存在し、いずれも「てんびん座(ライブラ)」を除き、メイン武装はなく、格闘での戦闘が基本となる。
なお、タウラスは頭部と肩パーツに角パーツが取り付けられている。


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オールスターズとの一幕(ラバーズ&シスターズ限定)~菖に犬耳犬尻尾が生えたら~

思いついてしまったのだから仕方がないシリーズ
猫でもいいかなぁって思ったんですが、モデルがスレイなのでね、わんこにしました(-▽-


菖「な、なんで犬耳としっぽが……」(○Д○;

 

~ひかりの場合~

ひかり「あ、あの、菖さん……そ、その、失礼とは思うんですが……」

菖「うん?」

ひかり「み、耳としっぽを触ってもいいでしょうか?!」

菖「あ~……うん、どうぞ」

ひかり「あ、ありがとうございます!!」

 

A.照れながらもふもふする

 

~舞の場合~

舞「………………」(サラサラ)

菖「………………」

舞「………………」(サラサラ)

菖「………………」

舞「………………」(サラサラ)

菖「………え~と……舞、さん?……」

舞「……あ、そのまま、動かないでください」

菖「……あ、はい」

 

A.デッサンを始める

 

~つぼみの場合~

つぼみ「あ、あの、菖さん……お願いがあるんですが……」

菖「ん?……あぁ……しっぽと耳、どっちがいい??」

つぼみ「し、しっぽでお願いします」

菖「はいよ、どうぞ」

つぼみ「あ、ありがとうございます」

 

A.しっぽをもふもふする

 

~ゆりの場合~

ゆり「だ、大丈夫なの?それ……」

菖「わからん」

ゆり「わ、わからんって……と、とりあえず、誰に相談したら……」

菖「いや、落ち着けって……心配してくれてるのはありがたいけどさ」(--;

 

A.突然のことにおろおろし始める

 

~いおなの場合~

いおな「だ、大丈夫なんですか?」

菖「ん~……まぁ、大丈夫じゃないかな?」

いおな「ま、また随分と適当な……」(-□-;

菖「あはは……心配するのかもふもふするのかどっちかにしてほしいんだけどなぁ、俺は」(-▽-;

 

A.もふもふしながら心配する

 

~アコの場合~

アコ「……もふもふ……」

菖「……触るか?」

アコ「いいの?」

菖「ん、どうぞ」

 

A.もふりたくてうずうずする

 

~亜久里の場合~

亜久里「し、菖お兄様?!そ、それはいったい……」

菖「なぜか起きたらついていた、としか」(-ω-;

亜久里「す、すぐにトランプ王国の医者を!!」

菖「まぁまぁ、落ち着けって」

 

A.医者に行こうとする

 

~レジーナの場合~

レジーナ「ねぇねぇ、菖お兄ちゃん。これ、どうなってるの?」

菖「それが俺にもさっぱり」

レジーナ「ふ~ん……えいっ!」(グイッ!!

菖「いっだだだだだだっ!!!」Σ(○Д○lll

レジーナ「あ、ごめんなさい……なんだ、服にくっつけてるわけじゃないんだ」

 

A.興味本位で尻尾を引っ張り痛がられる

 

~ことはの場合~

ことは「は~っ!菖お兄ちゃんがわんこになった~!触っていい?」

菖「ん、どうぞ」

ことは「わ~い!もふもふ~♪モフルンみた~い♪」

モフルン「モフルンももふもふしたいモフ!」

 

A.モフルンと一緒にもふる

 

~えみるの場合~

えみる「た、た、大変なのです!このまま菖お兄様がわんこになってしまってペットショップに連れていかれて誰とも知らない人に一生飼い犬として……」(○Д○;

菖「いや、ないから……あ、けどなんでだろ、わりとありそうで怖くなってきた……」

 

A.ものすごく心配される




おまけ

~我慢できなかった二人~
いつき「し、菖さん……」(///Д///;
ほまれ「も、もう我慢しなくて、いいですよね?」(///Д///;
菖「………」( Д lll
いつき。ほまれ「「わたし/あたしにも、そのしっぽと耳をもふらせてください!!」」
菖「アーーーーーーッ!!」( Д lll

ゆり「何か聞こえてはいけない悲鳴が聞こえたような……」
つぼみ「は、はい……」
ひかり「だ、大丈夫でしょうか?菖さん……」
舞「……あとで慰めに行った方がいいかしら?」

A.これ以上ないほどもふられる

~どうしてこうなった~
マジョリン「ないっ!ないっ!ないっ!!ないんだわさーーーーっ!!」
ウルルン「どーしたんだよ、マジョリン?」
オニニン「何がないんだオニ?」
マジョリン「この前発明した薬、『イヌニナール』がなくなってるだわさーっ!」
ウルルン「あ、もしかして茶色い瓶に犬のラベルが貼ってあったやつか?」
オニニン「それだったら、キャンディが持ってたオニ。みゆきたちに見せるクル~って、遊びに行ったオニ」
マジョリン「な、なんちゅうこっただわさ……急いで『モトニモドール』を渡さないとだわさ~~~~~!!」

~結末~
菖「あぁ、元に戻れてよかった……サンキューな、マジョリン」
マジョリン「これくらい、当然なのだわさ!」
菖「さぁて……事故とはいえこんないたずらしちゃった悪い子には……」(-言-
キャンディ「く、クルゥ……」
ポップ「お仕置きでござる!」
キャンディ「ク~ル~~~~~!!ご、ごめんなさいクル~~~~~~~っ」(T□Tlll
菖「いつき、ほまれ。キャンディーを存分にもふれ!俺が許す!!」
いつき、ほまれ「「遠慮なく!!」」
キャンディー「い~~~~~や~~~~~~っ!!」


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オールスターズとの一幕(ラバーズ限定)~子猫になったら~

犬耳犬尻尾はやったので、今度は猫耳猫尻尾ですw
どんな格好か?
オールスターメモリーズのチビキュアに猫耳猫尻尾ついたような感じです
まぁ、『にゃんこでぃず』のにゃんこたちみたくなった、と思っていただければ

ちなみに、今回も犬耳の時と同様の原因なので、「どうしてこうなった」は省かせていただきます(アンチじゃないよ!ほんとだよ!!)


ひかり「にゃ~ん」

舞「み~み~♪」

つぼみ「ふみゅあ~」

ゆり「にゃ~」

いおな「みゅぅ、みゅぅ」

菖「……なんでさ……」(-Д-;

 

~ひかりの場合~

ひかり「菖さん菖さん」

菖「ん?どした??」

ひかり「お膝を借りてもいいですか?」

菖「……ん、どうぞ」(-ω-

 

A.膝に乗る

 

~舞の場合~

舞「菖さん、菖さん!遊んでください!!」

菖「ん~……じゃ、これ(ねこじゃらし)でどうかな?」

舞「わ~い♪」(>▽<

 

A.遊んでもらう

 

~つぼみの場合~

つぼみ「……すぅ……すぅ……」

菖「明じゃないけど、なんてこった……動けねぇ」(-△-;

 

A.膝の上で昼寝される

 

~ゆりの場合~

ゆり「……すぅ……すぅ……」

菖「……なぜ、こうなった?いかん、腕しびれてきた……」(-△-;

 

A.腕をがっちりつかんで昼寝

 

~いおなの場合~

いおな「…………」

菖「……いつまでついてくるんだ?」(-ω-;

 

A.足元にぴっとりとついてくる。その間、何度も顔を摺り寄せる

 

------------

 

祈里「み~み~」

ももか「うみゃ~ん♪」

まりあ「にゃ~お♪」

明「おーおー、かわいい猫が三匹も……って何がどうなってんだよ」

 

~祈里の場合~

祈里「あ、あああああの、明さん」

明「ほいほい、どうした?」

祈里「構ってください!撫でてください!お腹モフモフしてください!!」

明「……いや、いつもの羞恥心はどうした……」(-ω-;

 

A.ものすごくかまってちゃんになる。羞恥心は蒸発したらしい

 

~ももかの場合~

ももか「あ~き~く~ん~っ!」

明「おーおー、どうした?」

ももか「構って構って構って構って構って構って構って~~~~~!!」(>□<

明「……なんかいつも通りな気が済んだが、気のせいか?」(-□-;

 

A.超かまってちゃんになる(ある意味、いつも通り)

 

~まりあの場合~

まりあ「明くん、明くん、どこ行くの?」

明「スイーツバイキングですよ、まりあさん」

まりあ「わたしも連れていってほしいな~♪」(-ω-♪

明「……いや、動物はダメですってば」

まりあ「あら?わたしは猫じゃないわよ?」

明「いや、その姿はどう見ても……どうなんだ?」

 

A.わがままを言って困らせる

 

------------

 

あゆみ「にゃ~……にゃ~ん……」

めぐみ「な~ぉ♪」

湊「……え?」

誠司「な、なんで??」

 

~あゆみの場合~

あゆみ「……ゴロゴロ……」

湊「……あの~、あゆみさん?」

あゆみ「……ゴロゴロ……ゴロゴロ……」(-ω-

湊「だめだ、完全にリラックスモードだ……」

 

A.湊の膝の上でリラックス(ただし、湊は動けなくなる)

 

~めぐみの場合~

めぐみ「にゅ~ん、にゃ~ん♪」

誠司「え~と……めぐみ?」

めぐみ「うみゃ~、ゴロゴロ」(≡^ω^≡

誠司「……なりきってやがるな……」

めぐみ(だって、誠司に堂々と甘えられるタイミング、こんなとこしかないじゃない!)

 

A.これ見よがしに甘える




おまけ

~無理に抜け出そうとすると……~

菖「そ~っと……そ~っと……」
ゆり「……や~!行っちゃや~だ~!!」
菖「うっ……」
ゆり「だ~め~!ここにいるの~!!」
菖「……わかったから、爪立てるのはやめて?正直、痛いです」(;ω;

A.がんじがらめにして離さない

~元に戻ったら戻ったで……~
猫になった全員『……』(真っ赤か~

えりか「いや~、もも姉ぇもゆりさんもつぼみも見事に甘えた状態だったっしゅね~」(-▽-
いつき「うぅ~……猫だったみんな、かわいかったなぁ……」
ほまれ「わかる……はぐたんより劣るけどめちゃきゃわたんだった……」
あかね「で?あゆみちゃん、湊のひざはどないやったん?」(-▽-
なお「ぜひ、感想を!!」
ラブ「ブッキーブッキー、明さんにもふられた感想聞かせて!!」
せつな「ラブ、少し自重してあげなさい?……どうだったの?」
美希「いや、せつなも自重しなさいよ……」(-▽-;


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オールスターズとの一幕(ラバーズ&シスターズのみ)~菖が笛を吹いていたら~

そういややったことなかったなぁ、と思ったので
ちなみに、神社の祭事とかで使われる笛は本来「龍笛」と呼ばれるもので、祭囃子とかで使われる「篠笛」とは別物です
作者が普段、民俗芸能保存団体で使ってるのは後者のほうです


菖「~~♪~~~♪~♪~~~♪」

 

~MH組~

ひかり「菖さん……素敵です……」(/// ///

 

なぎさ「あらら……」(-▽-;

ほのか「スイッチはいっちゃったみたいね♪」

 

~S☆S組~

舞「…………(サラサラ)…………」

 

咲「こ、声かけづらいなり……」

満「すごい集中力ね」

薫「ふふっ、舞らしいわね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さん、いつになく真剣な表情ですね?」

ゆり「お祭りが近いからかしらね?」

 

えりか「なぁんか、慣れちゃってるからロマンスのかけらも感じないっしゅ」(-ε-

いつき「あははは……」(-▽-;

明「お?せんせーが練習中だ」

小狼「見慣れた光景だな」

君尋「だなぁ。ギターとかだったら珍しいんだけど」

静「そういえば、四月一日は三味線を弾けたな」

ももか「あれ?菖くんが笛の練習してる」

ひまわり「珍しいわね」

さくら「この間、お祭りが近いから練習したいって言ってたよ?」

 

~スイート組~

響「前にも聞いたことあるけど、やっぱり、菖さんには篠笛だね!」

奏「月下で笛を吹く貴公子……素敵……」(ぽわわわ~ん

エレン「奏、それ違うと思う……」

アコ「相変わらずバカっぽい」

 

~ドキドキ!組~

マナ「…………」

六花「め、珍しい……マナが歌いだそうとしないなんて……」(・Д・;

ありす「うふふ♪さすがに、菖さんの笛の音に魅了されてしまったようですわね♪」

真琴「盆踊りの曲とか、弾いてくれないかしら?」

亜久里「お兄様、やっぱりブラボーですわ!」

レジーナ「む~……お兄ちゃん、構ってくれないからつまんなーい!」(-Д-

 

~ハピネスチャージ組~

いおな「…………(ぽ~)…………」(  ///

 

めぐみ「……ねぇ、ひめ、ゆうゆう。もしかしていおな」

ひめ「かもしれませんぞ!」

ゆうこ「うふふ♪これはラブロマンスの香りね!」

まりあ「あらあら♪うふふ♪」

誠司「ま、まりあさん??」

 

~魔法使い組~

みらい「いつ聞いても、いいもんですな~」

リコ「もう、みらい!ちょっとだらしないわよ?」

ことは「は~……きれいな音~」(≡▽≡

 

~Hugっと組~

はな「お~!これはすごく絵になる!!」

さあや「狩衣を着てたら、まさに平安時代の貴族ね」

ほまれ「へ~……案外、『ツインラブ』のギターコラボしたりして?」

えみる「それはやってみる価値ありなのです!!むしろ、菖お兄様とコラボできれば!!」

ルールー「『ツインラブ』の人気がうなぎ登りになる可能性、大いにありです!さっそくオファーしに行きましょう!えみる!!」




おまけ

~セッションしてみた:君尋と三味線で~
四月一日(三味線)「~♪~~♪~~~♪」
菖(篠笛)「~♪~~♪~~♪」

ひまわり「君尋くんも菖くんもよく似合ってる♪」
明「なんでだろうな?まったく違和感ないんだが」
ゆり「そうね。まったく違和感がないことが不思議で仕方ないわね」(-▽-;
ももか「それだけ笛と三味線が似合ってるってことだよね~」

~セッションしてみた:『ツインラブ』の二人と~
菖「~~♪~~~♪~♪」
えみる、ルールー「「Love&Peace!Music Love!!♪」」

はな「あ、あれぇ?」(-ω-;
さあや「笛の音が二人の声に負けてる……?」
ほまれ「まぁそりゃエレキと笛じゃ、ねぇ……」


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オールスターズ(シスターズ+aのみ)との一幕~頭なでなで~

そういややったことなかったな、と思って
まぁ、世の中バレンタインだし、ちょっと毛色の変わったものでもいいよね?
答えは聞いてない!


~アコの場合~

菖「…………」(なでなで

アコ「……あによぅ……」

菖「いや、なんとなく」

 

響「あははは、アコ、照れてる!」

奏「ほんと、可愛い♪」

エレン「ふふふ、シャッターチャンスは逃さないわよ!!」

 

~亜久里の場合~

菖「…………」(なでなで

亜久里「……菖お兄様?」

菖「……ん?」

亜久里「菖お兄様に頭を撫でられるのはまったく構わないですわ。ですが、淑女(レディ)の頭は気安く触れていいものではありませんわ!」(///H///

菖「あ、うん、ごめん」

 

マナ「あぁは言ってるけど」

六花「本当はうれしいのよね~」

ありす「うふふ♪ツンデレというものですわね♪」

真琴「そういうものかしら?」

レジーナ「む~!亜久里ばっかりず~る~い~!!」( H メ

 

~レジーナの場合~

菖「…………」(なでなで

レジーナ「んふふふふ~」(///▽///

菖「満足?」

レジーナ「もっとーっ!」

菖「はいはい……」ε―(-▽-;

 

マナ「~~~~~~~っ!!!」(声にならない悲鳴

六花「マナ、少しは落ち着きなさい……」

ありす「うふふふ♪」

真琴「ほんと、マナってレジーナのことになるとこうなんだから……」

亜久里「レジーナ!あまりわがままを言ってはいけませんわよ!!」

 

~ことはの場合~

菖「…………」(なでなで

ことは「はーっ!!」(>▽<

菖「……もう満足か?」

ことは「ん~……もっとーっ!」

菖「……なんでさ……まぁいいけど」

 

みらい「はーちゃん……あんまりわがまま言っちゃだめだよ……」( Д ;

リコ「菖さん、ごめんなさい……ほんとにごめんなさい……」( Д lll

モフルン「はーちゃん、すっごくうれしそうモフ」

 

~えみるの場合~

菖「…………」(なでなで

えみる「…………」(//////

菖「満足したか、えみる?」

えみる「……はっ!……は、はい!も、もう大丈夫なのです!これ以上、なでなでされたら頭から煙が出てぼっと火が出て火事になってしまうのです!!」

菖「…………いやいや、なんだよそれ?心配しすぎじゃね??」

 

はな「えみる、また変なところで心配性が……」

さあや「頭を撫でるだけで火を出す……どれだけの摩擦熱が……」

ほまれ「いや、さあや。そこなの?」(-▽-;

ルールー「えみるの心配事が的中する可能性……ゼロパーセント。えみる、やはり心配のしすぎです」

 

--------------

 

~小百合の場合~

菖「…………」(なでなで

小百合「んふふふふ~♪」(^ω^♪

菖「満足したか?」

小百合「もっとなでなでして~!」

菖「あ~……はいはい」

 

つぼみ「は~……小百合ちゃん、きゃわたんです……」(ほっこり

えりか「かわいいよね~」(ほっこり

いつき「いいなぁ~、小百合ちゃんの頭なでなで……」(´・ω・`

ゆり「…………」

 

~ふたばの場合~

菖「…………」(なでなで

ふたば「きゃっきゃっ♪」(>▽<

菖「もう満足かな~?」

ふたば「あぅ!」(がしっ

菖「……なんと……まだ満足しないか、小姫は……」

 

つぼみ「うぅ……」

えりか「『わたしだってふたばの頭なでなでしたいです。ですがわたしはお姉さん、我慢しないとです!』と思うつぼみであった」(-ω-

いつき「ふたばちゃん、催促してる……かわいいな~」(ほっこり

ゆり「うふふ♪さすがの菖もふたばちゃんにはタジタジね」(-▽-



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オールスターズ(ラヴァーズ限定)との一幕~頭なでなで~

連続投稿~

バレンタインというわけで、ある意味こちらが本命
というか、そろそろ300話が見えてきちゃったよ……書かないとなぁ……

あ、今回もおまけはありませんのでご容赦を


ひかり、舞、つぼみ、いおな『し、菖さん!頭なでなでしてください!!』(///Д///

ゆり「……あ、頭を、な、なでてくれないかしら?」(//////

菖「……お、おぉぅ……」

 

~ひかりの場合~

菖「…………」(なでなで

ひかり「……(ぽ~)……」(//////

菖「……ひかり?」

ひかり「……ひゃ、ひゃいっ?!」Σ(///□///

菖「大丈夫か?続けるか?」

ひかり「つ、続けてください!大丈夫です!!」

 

なぎさ「……いいなぁ~、好きな人に頭なでなでしてもらえて……」(´・ω・`

ほのか「うふふふ♪」

 

~舞の場合~

菖「…………」(なでなで

舞「……ん……」(//////

菖「……続けるか?」

舞「は、はい……もっと、撫でてください」(//////

 

咲「……うらやましいなぁ~……」(´・ω・`

満「うふふ♪」

薫「咲もだけど、舞もかわいいわね♪」

 

~つぼみの場合~

菖「…………」(なでなで

つぼみ「……(ぽわわわわ~ん)……」

菖「……なんか、浄化されてるけど、大丈夫か?」( ω ;

つぼみ「大丈夫です~……続けてください~」

 

えりか「すっかりとろけてるっしゅ!」

いつき「すごく幸せそうな顔してるよねぇ」

ゆり「ふふふ、それはそうね。だって菖だもの」

 

~ゆりの場合~

菖「…………」(なでなで

ゆり「…………♪」

菖「……まだ続ける?」

ゆり「……えぇ、お願い♪」

 

つぼみ「ゆりさん、とっても幸せそうです!」

えりか「……はっ!まさか、菖さんの頭なでなでにはセラピー効果が?!」Σ( □ 

いつき「いや、ちょっと違うんじゃないかなぁ?」(-▽-;

 

~いおなの場合~

菖「…………」(なでなで

いおな「……ん……ふふ……」

菖「……満足した?」

いおな「はいっ!」

 

めぐみ「おぉ~!いおなちゃんの笑顔がかわいい!!」

ひめ「これぞ、愛のなせる技!!」

ゆうこ「うふふ♪」

まりあ「あらあら♪……わたしも、誰かさんになでなでしてもらおうかな~?」

 

--------------

 

―触発された人たち―

 

あゆみ「み、湊くん……」

めぐみ「誠司ぃ……」

ももか、祈里、まりあ「「「明くん/さん……」」」

『あ、頭をなでなでしてください/ちょうだい!!』

湊、誠司「「お、おぅ!」」

明「けっけっけ、お安い御用ってな」

 

~あゆみの場合~

湊「…………」(なでなで

あゆみ「……ん……な、なんだか、照れるね。こういうの……」

湊「なら、やめるか?」

あゆみ「ううん。続けて?」

 

みゆき「はっぷっぷ~?!」Σ(///□///

あかね「おーおー、めちゃくちゃ甘々やないかい」(-▽-

やよい「いいなぁ、いいなぁ……」

なお「だから覗きは……」

れいか「なお。ここにいる時点でわたしたちも同罪ですよ?」

 

~めぐみの場合~

誠司「…………」(なでなで

めぐみ「……えへへ……」

誠司「どうした?」

めぐみ「うん、なんかちょっとうれしいなぁって……誠司だからかな?」( ▽///

誠司「し、知るか!」(//////

 

ひめ「ゆうこ!これはお赤飯案件とみましたぞ!!」

ゆうこ「うふふ♪準備はできてるわよ?」

いおな「うふふ♪めぐみじゃないけどラブね」

まりあ「あらあら、幸せそうね、二人とも」

 

~ももかの場合~

明「…………」(なでなで

ももか「んふふふ~」

明「続けるか?」

ももか「お願い!」

 

えりか「もも姉ぇ、すっかり骨抜きっしゅ!」

小狼、君尋、静「「「いつもの光景だな」」」

さくら、ひまわり「「いつもこんなだけれどね」」

 

~祈里の場合~

明「…………」(なでなで

祈里「…………んぅ…………」(//////

明「……なぁ、祈里」

祈里「……は、はひぃ……」

明「変な声、出すなよ?」

祈里「だ、出しません!!」Σ(///□///;

 

ラブ「いやぁ~、どうかな~?ブッキーだしね~?」(-▽-

美樹「そうね。祈里だしね?」(-▽-

せつな「狙わなくてもそうなっちゃうかもね?」(-▽-

 

~まりあの場合~

明「…………」(なでなで

まりあ「……うふふふ♪たまにはいいものね?」

明「満足していただけました?」

まりあ「とっても♪」

 

めぐみ「おぉ~!大人の雰囲気!!」

ひめ「なんかちょっとうらやましい……」

ゆうこ「うふふふ♪」

いおな「…………」(´・ω・`



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オールスターズ(ラヴァーズ&シスターズのみ)との一幕~一緒に料理~

似たようなことやりましたが、今回はラヴァーズとシスターズ限定です
なお、本編だけで力尽きたのでおまけはありません、ご容赦を

……最近、ネタがなくなってきたなぁ……


~ひかりの場合~

菖「油跳ねるから、気を付けてな?」

ひかり「は、はい!!」

 

なぎさ「おぉ……なんか夫婦してる……」

ほのか「なぎさ、夫婦だからね?まだ婚約者だけど」

 

~舞の場合~

舞「菖さん、こんな感じで大丈夫ですか?」

菖「どれどれ?……うん、おいしい」

舞「やった!」(にぱー

 

咲「うぅ~……おなか減ってきた……」

満「咲ってこんなキャラだっけ?」

薫「匂いにつられたんじゃないかしら?」

 

~つぼみとゆりの場合~

菖「あ、あのぉ……」

つぼみ「菖さんは座っててください!」

ゆり「菖?台所は女の子にとって戦場なの。安易に踏み入らないで」

菖「いやいや、なんだよそれ……」

 

えりか「菖さんが締め出されてるっしゅ……」

いつき「珍しいこともあるもんだね……」

コロン「セイバーに自分たちの手料理を食べてほしいんだってさ」

シプレ「二人とも張り切ってたですぅ」

 

~いおなの場合~

いおな「あ、菖さん。下味をつけるなら真空パックを使った方が調味料が少なくてすみます。それから、出汁粉もいれたほうがお醤油を使う量が少なくて済みます。あと……」

菖「おぉう……我が嫁は倹約家だなぁ……」

 

めぐみ「い、いまちゃっかり「我が嫁」って……」

ひめ「言いましたぞ!!」

ゆうこ「言ったわね~♪うふふふ♪」

誠司「兄貴もちゃっかりしてるよなぁ……」

まりあ「うふふふ♪」

 

------------

 

シスターズの場合

 

~アコの場合~

アコ「菖兄さん、こんな感じでどう?」

菖「どらどら?……うん、いいんじゃないかな?これなら奏太も喜ぶよ」

アコ「……っ?!べ、別に、奏太に食べてほしいわけじゃ……にゃ、にゃいわよ……」(//////

菖「顔を真っ赤にして何を言うておりますやら」(-▽-

アコ「……っ!!!!ふ、フカーーーーーっ!!」

 

響「ふふふふ、アコが真っ赤だ♪」

奏「ふふふふ、可愛い♪」

エレン「姫さま~っ!!こちらに視線ください!!」

 

~亜久里とレジーナの場合~

亜久里「お兄様、これで大丈夫でしょうか?」

菖「ん?……お、いい感じじゃないかな」

レジーナ「ね~え~、二人とも~、まだ~?」

菖「いや、なんでレジーナはぐうたらしてるのさ……」

 

マナ「亜久里ちゃん、割烹着なんだね……」

六花「これは少し意外ね……」

ありす「そうでしょうか?」

真琴「わたしはあまり違和感ないけど……」

 

~ことはの場合~

菖「ことはよ……」

ことは「うん?何?お兄ちゃん??」

菖「頼むから……魔法で料理をしようとしないでくれ……」

 

みらい「あはははは……便利だと思うだけどなぁ……」

リコ「菖さん、なんで魔法で料理させたがらないのかしら??」

みらい「たぶん、将来、魔法が使えない場所で料理することになったときに困るからじゃないかなぁ?」

リコ「あ、なるほど!!」

 

~えみるの場合~

菖「えみる、指切らないように気を付けろ?」

えみる「わ、わかっているのです!り、料理は危険がいっぱいなのです!!だから十分に注意するのです!!」

菖「……気を付けすぎて何もできなくなってもこまるけどな」

 

はな「フレッフレッ!えみるちゃん!!」

はぐたん「ふえふえ、えみりゅー!」

さあや「ふふふ、微笑ましいわね♪」

ほまれ「にしても、あの量……絶対、ルールーのためでしょ、作るの……」

ルールー「えみる、おいしい料理を待っています!!」

ハリー「いや、ルールー、よだれよだれ……」



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オールスターズ(一部のみ)との一幕~年の初めに餅つきを~

というわけで、年明けて第二作目は餅つきでござい
最近はホームベーカリーとかでお餅を作る人が多いようで……かく言う私も実家ではホームベーカリーで作ったお餅を食べてましたw

ま、そんな身の上話はどうでもいいので、本編どうぞ

……え?おまけの言い回しで似たようなことやってる?
ふむ……そこに気づいたあなたにはこの一言

気にするな!(ズドン


菖「よ~し、それじゃやってこうか!」

 

~ひかりの場合~

ひかり「はいっ!」

菖「よっ!」(ぺったん

ひかり「はいっ!」

菖「よいしょっ!」(ぺったん

 

なぎさ「おぉっ!息ぴったり!!」

ほのか「ふふ、さすがね♪」

 

~舞の場合~

菖「よっ!」(ぺったん

舞「どうぞっ!」

菖「ほいきたっ!」(ぺったん

舞「もう一つ!」

 

咲「おぉっ!って、なんか舞が先導している気がするのは、気のせいなり?」

満「気のせいじゃないわ」

薫「でもいいんじゃない?息ぴったりだし」

 

~つぼみの場合~

つぼみ「だ、大丈夫でしょうか?」(;ω;lll

菖「大丈夫大丈夫、ゆっくりやるから」(-▽-;

つぼみ「は、はいぃぃ……」(;ω;lll

菖「……これ、俺がこねたほうがいいのかな?」

 

えりか「あ~、つぼみ、すっかり怯えちゃってるっしゅ」

いつき「まぁ、無理もないんじゃないかな?」

ゆり「実際、慣れてないと怖いものね」

 

~ゆりの場合~

菖「はい」

ゆり「(ぺったん)」

菖「はい」

ゆり「(ぺったん)」

 

つぼみ「お二人ともさすがです!」

えりか「お~!息ぴったりっしゅ!!」

いつき「さすが、幼馴染だよね」

 

~小百合の場合~

菖「せ~の」

小百合「ぺったん!」

ゆり「はい」

菖「せ~の」

小百合「ぺ~ったん!」

 

いつき「小百合ちゃん、きゃわたん!!」(>▽<

つぼみ「ふたばももう少し大きくなったら、やりましょうね?」

ふたば「あいっ!」(>▽<

えりか「なんかもう、家族だね、あの三人」(-ω-

 

~アコの場合~

アコ「よいしょっ!」

菖「ほいっ」

アコ「ん~……よい、しょ!!」

菖「ほれ、もういっちょ」

 

響、奏「「アコ~!頑張れ~!」」

エレン「姫様!もう一息です!!」(カメラ構え

 

~亜久里の場合~

菖「よっ」

亜久里「はいっ」

菖「よいせっ」

亜久里「菖お兄様、もっと力を込めてくださいまし!」

 

マナ「あ、亜久里ちゃん、本気だ……」

六花「おしるこ作るんだって張り切ってたもんね」

ありす「甘いは正義、ということでしょうね♪」

真琴「それ、明さんなら言いそうだけど……」

レジーナ「亜久里~!ファイト~!」

 

~レジーナの場合~

レジーナ「そーれっ!」

菖「ほいきたっ」

レジーナ「もう一つ!」

菖「それよっ」

 

マナ「レジーナ~!頑張れ~!!」

六花「マナ、少しは落ち着きなさい」

ありす「うふふ♪和やかですわね」

真琴「なんか、菖さんの掛け声、変わってない?」

亜久里「そうでしょうか?」

 

~いおなの場合~

いおな「はいっ」

菖「よっと!」(ぺったん

いおな「はいっ」

菖「ほっ!」(ぺったん

 

めぐみ「おぉっ!二人とも息ぴったり!!」

ひめ「ゆうこ、なにやってるの?」

ゆうこ「きな粉とあんこ、それから大根おろしに納豆……うふふ、どうしようかな~♪」

まりあ「あらあら♪」

 

~えみるの場合~

えみる「ちゃ、ちゃんと持ち上げたままでいてくださいなのです!妙なタイミングで降ろされたらわたくしの手が折れてしまうのです!!」

菖「心配しすぎじゃね?」

えみる「で、ですがかといって振り上げすぎてもそのまま菖お兄様が後ろに転んで頭を打って記憶をなくしてしまう可能性も……」

菖「いや、だから心配しすぎだから」(-Д-;

 

はな「い、いつになったら始まるのかな?」

さあや「さぁ?」

ほまれ「えみるらしいといえばそこまでだけど……」

ルールー「えみるの懸念が的中する可能性……ほぼゼロです」

 

~はぐたんの場合~

菖「せ~の」

はぐたん「ぺ~ったん」

ゆり「はい」

菖「せ~の」

はぐたん「ぺ~ったん」

ゆり「はい」

 

ゆり以外のオールスターズ全員『きゃわたん!!』(>▽<




おまけ

えりか「おいひ~」(>▽<
ゆうこ「(もきゅもきゅ)ん~!幸せ~♪」
ひかる「菖さんとみんなが心を込めてついたから、美味しいよね~」
プルンス「……つまり、このお餅は菖たちの心の結晶ということでプルンスかね?」
めぐみ「あるいは愛の結晶かもね♪」
ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな『あ……愛……』(//////
菖「……」(//////
トワ「……ということは、わたくしたちはいま、愛を食べている、ということでしょうか?」
あかね「つまり、愛を食い(もん)にしとる、いうことか……って、んなあほなことあるか!」(-□-;


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オールスターズ(一部のみ)との一幕~男の意地~

不意に思い浮かんだので書いてみました
主役は彼女たちとはいえ、戦う力を持っているのにただ黙っているだけってのはできないもんですよ、男の子ってのは……たぶん
まぁ、結局……あとがきみたいなことになるんですがね(苦笑

なお、投稿日は「ひろがるスカイ!プリキュア」の初放送日なのですが、スカイ!チームの登場は、いつも通り、しばらくお待ちください

てわけで本編どうぞ


~プリキュア到着前、男性陣のみで敵幹部と戦闘中~

 

セイバー「かはっ?!」

アステア「がっ?!」

ブラペ「ぐぅっ?!」

敵勢力幹部「ふっ、プリキュアと肩を並べる戦士というから期待していたが、この程度か……大人しく、そこでプリキュアたちが到着する時を倒れて待っていればいいのではないか?」

セイバー「ふっ、ざけんなっ!!」

アステア「できっかよ、そんなこと!」

ブラペ「俺たちは、確かにプリキュアじゃない。けれど! 心の強さは負けちゃいない!!」

敵勢力幹部「男の意地、というやつか……漢じゃねぇか」

セイバー「やかましいっ!」

アステア「言ってろ!!」

ブラペ「俺たちだって!」

セイバー、アステア、ブラペ「「「諦めるかっ!!」」」

 

~MH組~

ひかり「せ、セイバー! 無茶しないでください!!」

 

なぎさ「わぁ、なんか菖さんが熱血してる……ぶっちゃけ、ありえない」

ほのか「なぎさ、言ってる場合? 早く援護にいきましょう!」

 

~S☆S組~

舞「咲っ! 変身よっ!!」

 

咲「う、うんっ!! ……なんか、舞から言われると調子狂うなり」

満「まぁ、普段こういうのは咲からだし」

薫「舞はどっちかというと、冷静なパートナーだしね」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「シプレ!」

ゆり「コロン!」

つぼみ、ゆり「「変身です/よっ!!」」

 

シプレ「は、はいですぅっ!!」

コロン「わ、わかった!!」

えりか「ここまで必死なつぼみは初めてみるっしゅ……」

いつき「そりゃ菖さんがピンチだからねぇ……」

 

~スマイル組~

あゆみ「みんな、お願い!! 力を貸して!!」

 

みゆき「もちろん!」

あかね「いや、あそこまで啖呵切られてんやし、うちらが手だしするんは無粋っちゅうもんなんやないかなぁ……」

やよい「何言ってるのあかねちゃん! このタイミングで助けに入らなかったらヒーローじゃないよ!!」

なお「そうだよ! ここでやらなきゃ女が廃るってもんだよ!!」

れいか「なお、それは響さんのセリフでは……」

 

~ハピネスチャージ組~

いおな「菖さん! 今行きます!!」

 

めぐみ「わたしたちもいくよ!!」

ひめ「ていうか、菖さんも湊も拓海さんもクールな方だと思ってたんだけどなぁ……」

ゆうこ「いおなちゃんも結構必死ねぇ……」

まりあ「うふふ♪ まぁ、愛しの旦那様のピンチだものね」

 

~デリシャスパーティー組~

ゆい「拓海! 今行くからそれまで頑張って!!」

 

蘭「はにゃっ?! 拓海先輩だけじゃなくて菖先輩やミナトンもピンチっ!!」

ここね「急ごう!」

あまね「あぁ!」

ローズマリー「男の子の意地ねぇ……不謹慎だけど、嫌いじゃないわ! そういうの!!」





~おいしいところ持っていかれた~
ブラック、ホワイト「「エクストリーム!!」」
ルミナス「ルミナリオっ!!」
ブルーム、イーグレット「「プリキュア! スパイラスハート! スプラッシュ!!」」
ブロッサム、ムーンライト「「プリキュア! フローラルパワーフォルテッシモ!!」」
エコー「想いよ、届け! ハートフルエコー!!」
フォーチュン「プリキュア! スターダストシュートっ!!」
プレシャス「プリキュア! 2000Kcalパンチっ!!」
敵幹部「ぐあぁぁぁぁぁっ!!」
菖「あぁ~終わったかぁ……」
湊「みたいだなぁ……なんか、おいしいところ持ってかれた気がする」
拓海「……なんか、情けないっすね。俺たち」
菖「はははは……言ってくれるな、拓海」

~無茶してほしくない理由はそれぞれに~
ゆり「まったく……そろいもそろって無茶して」
つぼみ「菖さんに何かあったら……」
あゆみ「湊くんに何かあったら……」
ゆい「拓海に何かあったら……」
菖ラヴァーズ、あゆみ『うっ……ひぐっ……』
菖「あ~……うん、ごめん」
湊「わ、悪かったって。あゆみ」
ゆい「世界中の招き猫、一緒に見に行く約束はどうなるの!」
拓海「……いやお前、ここでそれ言うのか?」
ゆい「だって大事なことだもん!! みんなと一緒に見に行きたいけど、拓海も一緒じゃなきゃ嫌なんだもん!!」
拓海「……なんか、素直に喜んでいいのかわかんねぇなぁ……」
ローズマリー「まぁ、ゆいはそういう子だから……」


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オールスターズとの一幕~決闘!~

『決闘』と書いて『デュエル』と読む
決闘者(デュエリスト)ならば常識だ!
『霊使い』ストラク販売でデッキ以外のカードを売り払おうかどうしようか考えている今日この頃です
(カードバトラーでもあるんだよね、困ったことに!)
なお、今回、やよいはジャック・アトラスのコスプレで、菖は以前にもやりました、ファッションショーのネタの格好をしています
気になった方は『part27』をどうぞ!(露骨な宣伝



菖「俺のターン、ドロー!!魔法(マジック)発動、『ガスタの交信』!墓地の「ガスタ」モンスター2体をデッキに戻し、フィールド上のカード1枚を破壊する!相手フィールドの伏せ(リバース)カードを破壊!!」

やよい「えぇぇぇぇっ??!!だ、だったらチェーン発動!『和睦の使者』!このターンの間、戦闘ダメージは0となり、わたしのモンスターも戦闘では破壊されないよ!!」

菖「……カードを二枚伏せて、ターンエンド」

やよい「わたしのターン!チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚!召喚成功時、墓地からレベル2以下のモンスターを特殊召喚!『スピード・ウォリアー』を復活!!さらに、(トラップ)カード『エンジェルリフト』!!『チューニング・サポーター』を墓地から復活させます!!」

菖「『チューニング・サポーター』……来るか!!」

やよい「『チューニング・サポーター』はシンクロ召喚の素材となるとき、レベル2として扱うことができる!レベル2となった『チューニング・サポーター』に、チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』をチューニング!!集いし星が、新たな力を呼び起こす!!光差す道となれ!!シンクロ召喚!!いでよ!ジャンク・ウォリアー!!」

菖「やはりか!」

やよい「バトル!ジャンク・ウォリアーでダイガスタ・ガルドスを攻撃!!」

菖「(トラップ)発動!カウンター罠『攻撃の無力化』!!相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!!」

やよい「うぅっ!!……た、ターンエンド!!」

菖「俺のターン!!『ガスタの神裔ピリカ』を召喚!そして、ピリカが召喚に成功した時、自分墓地から風属性チューナーモンスターを特殊召喚する!甦れ、『ガスタ・ガルド』!!」

やよい「ま、まさか?!」

菖「チューナーモンスター『ガスタ・ガルド』にレベル3の『ガスタの神裔ピリカ』をチューニング!風をまとう麗しき防人よ、湿原の加護と星の力を交え、仲間を守るため、立ち上がれ!シンクロ召喚!!駆けろっ!『ダイガスタ・スフィアード』!!」

やよい「げぇぇぇっ??!!」

菖「さらに『ダイガスタ・ガルドス』のモンスター効果!墓地の『ガスタ』モンスター2体をデッキに戻すことで、相手フィールドに表側表示で存在するカード1枚を破壊!『ガスタ・イグル』と『ガスタの静寂カーム』をデッキに戻し、『ジャンク・ウォリアー』を破壊する!!『ガスト・ボルテクス』!!」

やよい「きゃーーーーっ??!!」

菖「バトル!『スフィアード』!『ガルドス』!!直接攻撃(ダイレクトアタック)!!」

やよい「わーーーーーーーんっ!!!」

 

------------

 

~MH組~

 

なぎさ「ちょ、ちょっと大人げないんじゃ……」

ほのか「そうかしら?」

ひかり「わぁっ!!菖さん、すごいです!!」

 

~S☆S組~

咲「わぁ……容赦ないなり~」

舞「うふふ♪」

満「舞はなんで満足そうなのかしら……」

薫「さぁ?」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さん大勝利です!」

ゆり「うふふ♪」

いつき「なんだろう?デジャビュが……」(※えりかとひめのファッションショー第27話より)

 

~スマイル組~

みゆき「わわっ?!やよいちゃん、大丈夫?!」

あかね「いや、んな心配する必要あらへんて」

なお「……」

れいか「なお?なんだか、不満そうですが……」

あゆみ「なんでだろう?」

湊「もしかせんでも……」(※えりかとひめの(以下略))

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「おぉっ!菖さんみごとに大勝利!!」

ゆうこ「うふふ♪決闘(デュエル)のあとは、大森弁当をどうぞ!」

いおな「ほんと、商魂たくましいわね……」

まりあ「あらあら♪」



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オールスターズとの一幕~ゲートオープン!~

お久しぶりです(いや、まじで)
引っ越しやらなにやらもそうですが、何より、ネタが浮かばなくてですね……
これ出したら、またネタがなくなる……(白目

まぁ、それはともかく。本編をどうぞ
バトルスピリッツの詳しいルールについては、公式サイトをご覧ください


やよい「メインステップ!太陽よ、炎まといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴンXをレベル2で召喚!アタックステップ、ジーク・アポロドラゴンでアタック!レベル2の効果で水瓶竜アクエリジャードラゴンを指定!」

菖「フラッシュタイミング!マジック「アドベントスター」を使用。手札にあるコスト7以下の「神星」または「光導」の系統を持つスピリットをノーコスト召喚する。龍星皇メテオヴルムXをレベル2で召喚!」

やよい「こっちもフラッシュタイミング!マジック「ライジングサン」!アポロの名のついたスピリットに手札の輝竜シャインブレイザーを合体直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!そして回復!」

菖「アクエリジャードラゴンの破壊により、バースト発動!「天星12宮風星士キャンザムライ」、旋風Lv2を発動!相手スピリットまたはアルティメット2体を重疲労させる!ジーク・アポロドラゴンXと月紅龍ストライク・ジークヴルム・サジッタを重疲労!その後、キャンザムライをレベル1でノーコスト召喚!」

やよい「ふ、増えちゃった?!これ以上できることがない……た、ターンエンド……」

菖「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ……メインステップ!龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!「光龍騎神サジット・アポロドラゴンX」、レベル2で召喚!そして、メテオヴルムをレベル3へ。アップアタックステップ!メテオヴルム、激突X!!」

やよい「ふぇぇっ?!ブ、ブレイドラXでブロック!!」

菖「フラッシュタイミング!メテオヴルムに煌臨せよ!「超神光龍サジットヴルム・ノヴァ」!」

やよい「え、Xレア?!け、けどまだ……」

菖「メテオヴルムが煌臨元になった時、メテオヴルムをノーコストで召喚!さらにサジットヴルムの煌臨時効果でBP20000以下の相手スピリット1体を破壊!!ライジング・アポロドラゴンを破壊!!」

やよい「えぇぇぇぇっ?!ぼ、防御できるスピリットがいないっ?!ら、ライフで受ける!!」

菖「続けて、キャンザムライでアタック!」

やよい「ら、ライフで受ける!!」

菖「メテオヴルム、サジット・アポロドラゴン!ダブルアタック!!残るすべてのライフを打ち砕け!!」

やよい「うわ~ん!!」

 

~MH組~

なぎさ「うわぁ、容赦ないなぁ……」

ほのか「けれど、ひかりさんは菖さんのそういうところが好きなのよね?」(ー▽ー

ひかり「はい」(//////

 

~S☆S組~

咲「うわぁ……やよいちゃん、なんかちょっと可哀想……」

舞「あははは……」(ー▽ー;

満「なんというか、本気の菖さんを見た気がするわね」

薫「えぇ……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「しょ、菖さん……」

えりか「大人げないっしゅ……」(ー□ー;

いつき「あははは……」(ー▽ー;

ゆり「まったく……少しは手加減してあげたらどうなのかしら?」εー(ー□ー

 

~スマイル組~

みゆき「や、やよいちゃん?!」Σ( □ ;

あかね「うっわ、ぼっこぼこやん……菖さん、容赦あらへんなぁ……」

なお「ちょっとは手加減を……」

れいか「それとも、やよいちゃん、何かしてしまったのでしょうか?」

あゆみ「さ、さぁ?」(^^;;

湊「まぁ、兄貴が大人げないってのは確かだな」(^^;;

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「うわぁ……」

ひめ「しょ、菖さん。大人げありませんぞ!!」

ゆうこ「おなかが減ってるからかしら?」

いおな「なんでそうなるのよ……」

まりあ「あらあら」

誠司「あ、兄貴……もうちょっと手加減してやったらいいのに……」



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オールスターズ(一部のみ)との一幕~プロポーズ~

6月のジューンブライド企画!
というわけで、プロポーズ回です!!(唐突

さぁ、菖以外の誰が誰にプロポーズするのか!
本編にどうぞ!!

あ、ちなみにifの話ですので、そこは悪しからず(とはいっても、ほぼ確定的なifですが……)
この世界線が本編に影響するかどうかは……秘密ですがねぇ♪


菖「ひかり、舞、つぼみ、ゆり……どうか、俺のお嫁さんになってください」

 

~ひかりの場合~

ひかり「…………っ!!??…………は、はい!よろこんで!!」(;▽;

 

なぎさ「な、なんでかな……涙が……」(; ;

ほのか「もぅ、なぎさったら……」

 

~舞の場合~

舞「はいっ!」(/// ///

 

咲「舞、おめでとう!!」

満「念願叶ったわね」

薫「それじゃ、今夜はお祝いかしら?」

 

~つぼみとゆりの場合~

つぼみ「…………っ??!!は、はいっ!!不束者ですが、末永くよろしくお願いします!!」(;▽;

ゆり「……………っ!………えぇ………よろこんで」(  ///

 

えりか「おーっ!ついにやったっしゅ!!」

いつき「おめでとう、つぼみ、ゆりさん!」

明「まさかの四人同時にプロポーズたぁ……やるじゃねぇか、せんせー」

ももか「明くんも、いいんだよ?わたし以外に気になる子いたら……」

君尋「まさか、四人同時とはなぁ」

静「まぁ、いいんじゃないか?」

ひまわり「泣かせたら承知しないからね~?」

小狼、さくら「「おめでとう、つぼみ/ちゃん、月影/さん!」」

 

---------

 

明「祈里、ももか、まりあさん。俺と結婚してくれないか?」

 

~祈里の場合~

祈里「は、はひっ!ふ、ふちゅちゅかもにょですが、よろしくおねがいしましゅ!!」(/// ///

 

ラブ「おめでとう、ブッキー!」

美希「ふふ、おめでとう」

せつな「ラブじゃないけど、幸せゲット!、かしらね?」

 

~ももかの場合~

ももか「……………っ!!も、もちろん……末永く、よろしくお願いします」(/// ///

 

えりか「ついに明義兄ぃがもも姉ぇにプロポーズっしゅ!!」(>▽<

つぼみ、いつき「「おめでとうございます!ももかさん!!」」

菖、ゆり、ひまわり、さくら、小狼「「「「「おめでとう、二人とも」」」」」

君尋「って、こっちは三人同時か!」

静「おめでとう」

 

~まりあの場合~

まりあ「はい。こちらこそ、末永くよろしくお願いします」

 

めぐみ「おめでとうございます!まりあさん!明さん!」

ひめ「おめでとうございます!!」

ゆうこ「うふふ、結婚式はぜひ大森食堂で♪」

誠司「商魂たくましいな、おい……」

いおな「…………(ぶわっ)…………」(;ω;

 

----------

 

~さくらの場合~

小狼「さくら、俺と結婚してください」

さくら「しゃ、小狼くん……はい!わたしを、小狼くんのお嫁さんにしてください!」

 

つぼみ、えりか、いつき「「「おめでとうございます!木之本先輩!!」」」

ゆり、ももか、ひまわり「「「おめでとう、木之本さん/さくらちゃん」」」

菖、静「「おめでとう、二人とも」」

君尋「おめでとう、さくらさん」

明「やったじゃねぇか、小狼。おめでとうさん!」

 

-----------

 

~あゆみの場合~

湊「あゆみ……俺と、家族になってください」

あゆみ「は、はい!」(/// ///

 

みゆき、やよい、なお「「「あゆみちゃん、おめでとう!!」」」

あかね「こらお祝いせんといかんな!」

れいか「お二人が歩く道のりに、幸多からんことを」

 

-----------

 

~めぐみの場合~

誠司「め、めぐみ……お、俺の、お嫁さんになって……ください」

めぐみ「……へ?!……………は、はい………末永くよろしくお願いします」(/// ///

 

ひめ「おぉっ!!おめでとう、めぐみ!誠司!!」

ゆうこ「あらあら♪おめでとう、二人とも!」

いおな、まりあ「「おめでとう、誠司くん!」」

 

------------

 

~のぞみの場合~

小々田「のぞみ。どうか、僕とずっと一緒にいてくれないか?」

のぞみ「………ココ……はい!もちろん!!」

 

りん「プロポーズ、なんだろうけど……のぞみがわかってるのか、ちょっと心配だわ」(-▽-;

うらら「おめでとうございます!のぞみさん!!」

こまち「うふふ♪おめでとう、のぞみさん!」

かれん「おめでとう、のぞみ!」

くるみ「ゴゴざま゛ーーーーっ!!」(T□T

 

------------

 

~はるかの場合~

カナタ「はるか。どうか、僕と一緒にホープキングダムの未来を築いてほしい」

はるか「……へ?……えぇぇぇぇぇぇぇぇっ??!!……あ、あの、あのぉ……ふ、ふちゅちゅかものですが、す、末永くよろしくお願いします……」(/// ///

 

みなみ「おめでとう、はるか!」

きらら「にっししし!これではるはるとトワっちは姉妹になったわけね~」(-▽-

トワ「もぅ、きらら!」




あとがき代わりのおまけ

~逆プロポーズ!そういうのもあるのか……~
○こまちの場合
こまち「ナッツさん、わたしのお婿さんになってください!」
夏「……俺でよければ」

のぞみ「おぉっ!こまちさん、大胆!!」
りん、うらら「「おめでとうございます!」」
かれん「おめでとう、こまち」
くるみ「ナッツ様、おめでとうございます!」

○真琴の場合
真琴「義兄さ……か、一真さん!わ、わた、わたし……わたしと!ほ、本当の家族になってください!!」(/// ///
一真「……っ!!??……あぁ……俺でよければ。末永くよろしくお願いします」

マナ「ま゛ごぴーーーーーー!おめでどう!!ほんどにおめでどう!!」(T□T
六花「あらあら……もう、マナったら」
ありす「うふふ♪これは一刻も早く式場を手配しなければなりませんね♪」
亜久里「これが……愛の終着点……」
レジーナ「真琴、一真お兄ちゃん、おめでとう!!」


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オールスターズ(一部のみ)との一幕~菖が普段見せない表情をしたら~

いつぞや投降した、日常編「ゲームをしよう!」の後日談的な立ち位置です
気になる方はそちらを読んでみてください


ももか「……むっ!その表現の仕方、怪しい!!何かあると見た!!」

菖「……なら、調べてみるかい?」

ももか「うん!」

菖「なら、<目星>よろしく」

ゆり「……念のため、わたしも」

明「……あ~、俺はパスだわ」

菖「オーケー、ならゆりとももかの二人で」

(10面ダイス、コロコロ)

ももか「ふぁっ?!」Σ( Д lll

ゆり「こ、ここでファンブル……」

菖「あら~……どうしよう、これ……あぁ、こうしよう」(○▽○

明「あぁ……こりゃ、KP、悪いこと考えてんな……」

ゆり、ももか「「……え?」」

 

~MH組~

なぎさ「な、なんか菖さんがいままで見せたことのないような表情してる……」

ほのか「そ、そうね……なんでだか背筋が……」

ひかり「あ、あはははは……」

 

~S☆S組~

咲「な、なんか菖さんが……」

舞「い、いままで見たことのない顔をしてるわ……」

満「これは……ちょっと驚きね」

薫「ちょっと、どころじゃない気がするけど……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「しょ、菖さんが……菖さんがぁ……」(((;Д; )))

えりか「つ、つぼみ、もちつくっしゅ!!」((( □ lll)))

いつき「えりか、それを言うなら、『落ち着く』ね?……気持ちはわかるけど」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「な、なんか、菖さんが今まで見せたことのない顔を……」

ひめ「こ、これは……もしかして恐怖回の予感?!」((( □ lll)))

ゆうこ「ひ、ひめちゃん。恐怖回って、そんな……」

いおな「た、たしかに菖さんが普段見せない顔だけれど、それは言い過ぎ……」

誠司「って、なんで氷川は顔引きつらせてんだよ?」

まりあ「あらあら♪菖くんもあんな顔するのね♪」

 

~高校生組~

小狼「あぁ……菖、いま悪い顔してるな」(-▽-;

君尋「だなぁ……明はわかってるみたいだけど」(-▽-;

静「わかってて黙ってるんだろうな。あいつ、そういうところあるし」

ひまわり「あらあら♪『二人の命運はいかに?!』かしら?」

さくら「ほぇ??」

ゆかり「あら?……なんだか、おもしろそうなことをしているわね♪」

あきら「ゆ、ゆかり?お願いだから、変なこと考えないでね?!」

 

~その後の二人~

菖「さぁて……どうするかなぁ~……」

ゆり「わたしが成功しているのだから、相殺することは……」

菖「クリティカルだったら考えたけど、ゆりは普通の成功だからねぇ……」

明「公式ルール的にはスペシャルだが……たしか、せんせーの卓じゃスペシャルは採用してないんだよな?」

菖「せんせー言うな!その代わり、大失敗も採用してないからなぁ……さぁ、どうするかなぁ」(○▽○

ももか「お……お手柔らかに……明くんだったら大歓迎なんだけど……」

明「ん?なんか言ったか?」

ももか「なんでもないよぉ!!」

菖「そうだな……そんじゃ、ももかは目の前にあるものが気になって、詳しく調べようとしたら、足を滑らせてしまった。1d3のダメージだ」

ももか「こ、これは……まだましな方?」

明「下手すると、SANチェックだからな。HPダメージはまだましなほうだぞ」

ももか「うぅ……甘んじて受ける!!」

 

(コロコロ……)

 

ももか「うぅ……3ダメージ……」

菖「なら、ももかは顔面を地面に激突させてしまったようだ」

ゆり「『……何をやっているの?ももか』」

ももか「うぅ……ゆりってばこんな時もロールプレイ(RP)なのね……」

菖「……ちっ……どうせならSAN値削りたかったなぁ……」

明「せんせー、すっげぇ残念そうな顔してんなぁ……」(-ω-;



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オールスターズ(ラヴァーズのみ)との一幕~菖に言われたいこと~

甘いのか酸っぱいのか、ちょうどいいのかわからないイチャイチャ話を一つ
……てかもう8月なのか……(汗


菖「俺に言われてみたいこと?……ここに書いてあることを言えばいいのか?」

ラヴァーズ『はい/えぇ』

菖「ん。わかった」

 

~ひかりの場合~

菖「命をかけて、お守りします」

 

ひかり「よ……よろしくおねがいしましゅ……」(真っ赤か~

つぼみ「ひ、ひかりさん……」

ゆり「自分で頼んでおいて、そうなっちゃうのね……」

舞「でも、言われてみたいです!」

いおな「そ、そうね……」(//////

つぼみ「それは……」

ゆり「わかるわね……」

 

~舞の場合~

菖「大丈夫!」

 

つぼみ「……え?それだけです??」

舞「うん!これだけで十分!」

ゆり「なんというか、あなたも無欲ね」

ひかり「けど、さわやかな笑顔でサムズアップなんてされたら……」

いおな「でも、一番言われて安心するのも確かよね」

ゆり「そうね」

つぼみ「はい♪」

 

~つぼみの場合~

菖「お嬢様、お迎えにあがりました」

 

ひかり「あの、つぼみさんも他人のことを言えないのでは……?」

舞「けど、こういうシンプルなのが一番言われてみたいのよね♪」

つぼみ「は……はひ……」

ゆり「ふふふ、つぼみ、顔が真っ赤よ?」

いおな「はははは……」

つぼみ「……はうぅぅぅ……」

 

~ゆりの場合~

菖「どんなことがあっても、君を手放すことはしない」

 

ひかり、舞、つぼみ「「「きゃーーーーーーっ!!!」」」(///▽///

いおな「い、今までのなかで、一番……」

ゆり「ふふふ、いいじゃない?わたしだって、乙女なのよ?」

つぼみ「た、たしかにそうですが……」

ひかり「わ、わたしたちにはちょっと刺激が……」

舞「ふふふふ♪これは絵になるわね♪」

ゆり「……だからって、デッサンはやめてもらいたいわね……」

 

~いおなの場合~

菖「君を、俺のものにしたい……」

 

ひかり、舞、つぼみ「「「きゃーーーーーーっ!!!」」」(///▽///

ゆり「……いおな、あなたも他人のことを言えないわね?」

いおな「……うぅ……だ、だって、言われてみたいじゃないですか!こういうこと!!」(///□///

ゆり「……それは、否定しないわ」(//////

ひかり「で、でもでも!大好きな人からなら、誰だって言われてみたいです!!」

舞「そうよね!そうよね!!」

つぼみ「はい!!」

いおな「うぅ……あんまりはしゃがないで……恥ずかしくて死んじゃいそう……」(//////

 

------------

 

菖「で?満足した??」

ラヴァーズ『はい/えぇ!』

菖「それは何より。それじゃ、お茶にしようか」

ゆり「ふふふ、それなら、お茶のお供が必要ね?」

つぼみ「ちょうど、いちかさんたちからいただいたクッキーが残ってます!」

舞「今度はどんな動物さんかしら?」

ひかり「あ!そういえば、パウンドケーキを炊飯器で作ってみたんです!」

いおな「それじゃ、それも持って来ましょうか」

菖「……我が嫁たちながら、仲の良きことで」(-▽-



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オールスターズ(ラヴァーズのみ)との一幕~巫女服を着てみたら~

まぁ年末年始ですし、おすし
クリスマス?知らんがな
八百万の神々をお迎えする準備をして、無病息災、家内安全を祈った方がいいんでねぇっすか?
喧嘩売るつもりは毛頭ないけど、私は最近、そう思うよ、まぢで


ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな『菖/さん、お/手伝いに来たわよ/ました』

菖「おぉっ、ありがと……うぅっ??!!」

 

~ひかりの場合~

ひかり「あ、あの、どうでしょうか?」

菖「あぁ、うん……びっくりした。化粧まで完璧だし、このまま、奉納演舞に出ても問題ないんじゃないか?」

ひかり「え?……えぇっ??!!」

菖「というかむしろ出てくださいお願いします」

ひかり「えぇぇぇぇっ??!!」

 

~舞の場合~

舞「ふふふ♪どうですか?菖さん」

菖「いやぁ、見違えた……うん、やっぱ舞はそういう恰好が似合うよなぁ……」

舞「ふふふ♪菖さんったら♪」

 

~つぼみの場合~

菖「それじゃ、つぼみはいつも通り、社務所の方をお願いしようかな」

つぼみ「はい!……あの、ところで」

菖「ん?」

つぼみ「わたしの恰好、どうですか?」

菖「よく似合ってるよ?」

つぼみ「むぅ~!なんだか反応が薄いです!!」(-H-

菖「いや、だって毎年手伝ってくれてるから、正直見慣れちゃったし」(^^;;

 

~ゆりの場合~

菖「そうだな、ゆりは俺とじぃじと一緒に祭事の手伝いをしてもらうかな」

ゆり「了解よ……ところで」(-▽-

菖「見慣れた格好だから、ノーコメント」

ゆり「あら?つぼみと同じ反応なのね?ちょっと寂しいわね」

菖「いや、だから……あぁもう。それだけ似合ってるってことだよ、二人とも」

ゆり「ふふふ♪ならいいわ」

菖「まったく、改めて言わせるなよ気恥ずかしい……」(  ///

 

~いおなの場合~

いおな「あ、あの……どうでしょうか?菖さん」

菖「う~ん……なんだろうか。こう、見慣れたようなけど違うような感じがするのは」

いおな「あの、もしかして、いつもの稽古着と重ねてるんじゃ?」

菖「あ、それはあるかも?」

いおな「な、なら、この格好はどうでしょうか?」

菖「それを俺に言わせるの?」(-▽-

いおな「え、えっと……な、なんか、やめておいた方がいいかなぁと……」

菖「ふふふふふ、一度火がついたら燃え尽きるまで止まらないぞ?」

いおな「あ、明さんみたいなこと言わないでください!!」

 

~全員を前にして~

ひかり「菖さん!」

舞「いい加減!」

つぼみ「正直なところを!!」

いおな「聞かせてください!!」

ゆり「この中で、誰が一番似合っているかしら?」

菖「いや、みんな似合ってるから、優劣なんか付けられんて」

ゆり「あら?随分と優柔不断な答えね?」

つぼみ「私たちがそのような答えで満足するとでも?」

舞「さぁ、菖さん!!」

ひかり「この中で!」

いおな「誰が一番似合ってますか?!」

ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな「「「「「白状してください/しなさい!!」」」」」

菖「だぁかぁらぁ!みんな似合いすぎてて比較なんてできないってばさぁ!ほんとに、巫女服の似合う子たちをお嫁さんにもらえて幸せだよ、こんにゃろう!!」(///□///

ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな『……(ボフンっ)……』(//////



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オールスターズ(ラヴァーズのみ)との一幕~イチャイチャ現場~

ジューンブライトってこともそうですけど、顔合わせの時に思いついたネタがあったので
さて、タキシード仮面もどき改めブラックペッパーも登場したことだし、そろそろデリパ組の顔合わせも書こうかなぁ……


~某日~

ひかり「というわけで、菖さん」

舞「わたしたちと」

いおな「デートしてください!」

菖「突然だな……」

ゆり「そうね」

つぼみ「けど、どうしてこのタイミングで?」

いおな「だってこの間、菖さん言ってたじゃない!」

菖「え?」

ひかり「つぼみさんとゆりさんだけで旅行に行った時の埋め合わせ、してくれるんですよね?!」

ゆり「言っていたわね、そういえば」

つぼみ「はい」

菖「……あぁ、そういや言ったな。そんなこと……え? いまでないとだめ?」

舞「今だから、です!」

いおな「今しかできない宿題を頑張らないでどうするんですかっ?!」

菖「おぉう。なんか、聞いたことあるような……わかったかわかった。一人ずつってことでいいのか?」

ひかり、舞、いおな「「「はいっ! もちろんですっ!!」」」

 

~ひかりと~

ひかり「どうぞ!わたし特性のたこ焼きと麦茶のセットです!」

菖「ありがとう……ほんとはビールとかなんだろうけど」

ひかり「お酒は二十歳になってから、ですよ? 菖さん!!」( ω #

菖「わかってますわかってます」(^^;

ひかり「もぅ! ほんとにわかってるんですか?!」( □ #

菖「わかってるって!その証拠に、ウーロン茶、追加でお願いします」

ひかり「は~い♪」

 

なぎさ「……え? ご機嫌取り?」

ほのか「そう見えなくもない、わね」(^^;

 

~舞と~

菖「あの~、舞さん? こんなんでいいの?」

舞「あ、動かないでください」

菖「ア、ハイ」

 

咲「なんかいつもと変わらない光景なり」

満「そうね」

薫「というか、素直に従う菖さんってもしかしなくてもマゾっ気があるの?」

咲「それはないと思うけど」

 

~いおなと~

菖「……結局、稽古なのね」

いおな「はいっ!」

菖「ちなみに聞くけど、なんで?」

いおな「守られてばかりの女が菖さんは好きですか?」

菖「ん?……あぁ、なるほど。そういうことなら」

いおな「はいっ!……参るっ!!」

 

めぐみ「うんうん、ラブだね!」

ゆうこ「ふふふ、誠司くんもおんなじこと思ってたりして♪」

誠司「はぁっ?! ちょ、どういう意味だよ、大森!!」Σ(///□///;

ひめ「え? つまり、どゆこと??」(・ω・?

 

~菖不在の間のゆりとつぼみ~

ゆり、つぼみ「「………………」」(ーHー

さくら「な、なんだかゆりちゃんもつぼみちゃんもすっごく機嫌が悪そう……」

ひまわり「ほら、菖くんがほかの子の所に行ってるからじゃない?」

静「浮気か?」

君尋「いや違うだろ! あいつにそんな甲斐性ないぞ。明と違って」

明「おいおい、なんでそこで俺の名前が出てくんだよ?」

小狼「自分の胸に聞いてみたらどうだ?」

明「……なんてこった。反論できねぇぜ」

ももか「ふふふ。明くん? ゆりたちの関係者以外との浮気は認めないわよ~?」

明「するわけねぇだろ? それとも、そんなに信頼ないのか?」

ももか「信頼はしてるんだけどねぇ~」

ひまわり「心配にはなるよね」

静、小狼、君尋「「「まぁ、御剣だし」」」

明「……泣けるぜ」

さくら「ほぇ?」



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オールスターズとの一幕~スキット集~その1

タイトルの通りです。
この作品でのキャラ同士の絡みをスキット風にまとめてみました。
思いつき次第、どんどこやっていくつもりですので、乞うご期待。
というわけで、あとがきのスキットはなしです。
ご要望があればメッセージお願いします。


~「同じもの好き同士」~

のぞみ「そういえば、つぼみのうちってお花屋さんなんだよね?」

つぼみ「はい。『HANASAKIフラワーショップ』っていいます」

のぞみ「やっぱり!実はり……」

りん「あ、あたしとおんなじ!」

つぼみ「そうなんですか?!」

りん「うん!ね、今度、遊びに行ってもいい?」

つぼみ「はい!ぜひいらしてください!!」

菖「内気なつぼみがめちゃくちゃ心開いてるよ……」(^^;

ゆり「えぇ。これにはちょっとびっくりね」(^^;

のぞみ「うぅ……わたしが言おうと思ったのに……」(T Tlll

 

~「視えるんです」~

菖「……うん?あぁ、それだったら……」

かれん「菖さんは一体、何に向かって話しているのかしら?」

つぼみ「さ、さぁ?……し、知らない方が身のためかと……」(^^lll

のぞみ「なになに??気になるよ!!」

ゆり「菖、実は"視える"体質らしいのよ」

こまちとハートキャッチチーム以外『……え?』

のぞみ/ラブ「「ん?見えるって、何が??」」

いつき「……幽霊」

ハートキャッチチーム以外全員『えーーーーーーーっ??!!』

こまち「それって本当ですか?!」

ゆり「本当らしいわ……実際、わたしも驚いたけれど、森や山とよく誰もいないところに声をかけていたりするわよ」

ひかり「……聞かなきゃよかったです」(^^lll

なぎさ/咲/のぞみ/うらら/祈里/せつな「「「「い、いやーーーーーーっ!!」」」」(@_@lll

ほのか/舞/美希「「「ま、まさかぁ……そんなことあるわけないじゃないですかぁ……」」」

それ以外『……』(バタン

えりか「気絶している人もいるっしゅ……」

いつき「そうでもない人もいるみたいだけどね?」(苦笑

こまち「ぜひインタビューしたいわね!!」

かれん「……そういえば、こまちは幽霊とか平気だったわね……」

 

~「ゆりさんのおしゃれ」~

えりか&美希『う~ん……』

ゆり「どうしたの?みんなして難しい顔をして」

えりか「ゆりさんをどうおしゃれに変身させようか考えてたっしゅ」

美希「やっぱり、髪の毛はバレッタでまとめるのもありかしら?」

えりか「いやいや、ポンパドールってのも手でしょ」

ゆり「……はぁ?」

美希「ま、まさかゆりさん……」

えりか「バレッタを、知らないと?!」

美希「知らないと?!」

ゆり「え?」

美希「ポンパドールを、知らないと?!」

えりか「知らないと?!」

ゆり「ちょ……」

えりか「前身頃を、知らないと?!」

美希「知らないと?!」

ゆり「……二人とも、ファッションのことになると怖いわね……」

 

~「乙女心をくすぐるのは……」~

つぼみ「……はぅ~……」

舞「つぼみ、顔が真っ赤だけど、どうしたの?」

えりか「あぁ、いつものことっしゅ」

ひかり「え?」

えりか「菖さんの笑顔を思い出してるんでしょ」

ひかり、舞「「あぁ……なんとなくわかります/わかるわ」」

えりか「そう?」

ひかり「だって、菖さんの笑顔、なんだかほっとしますもん」

舞「そうよね。なんだか、安心できるもの」

えりか「そうかなぁ?」

つぼみ「えりかは菖さんの魅力にまったく気づいていません!!菖さんの笑顔は乙女心をくすぐるんです!!」

ひかり「見ていてほっとする笑顔って、素敵じゃないですか?」

コフレ「えりかは色気より食い気、花より団子だから仕方ないんですっ!!」

えりか「……いや、あんたたちの乙女心っていったいどんなものなのよ……ていうか、コフレに言われたくない!!」

 

~「そういえば……」~

えりか「菖さん(セイバー)ゆりさん(ムーンライト)ってどっちが強いんだろう?」

いつき「う~ん……」

つぼみ「謎です……ムーンライトは間違いなく、心の大樹に選ばれたプリキュアでは、歴代最強のプリキュアなんでしょうけれども、セイバーはそもそも存在自体、知りませんでしたから」

コロン「心の大樹の話だと、いまのセイバーが二代目で、先代はキュアアンジェとともに戦っただけらしいからね。ただ、ムーンライトにはない強さが、セイバーにはあるよ」

つぼみ、えりか、いつき「「「ムーンライトにはない強さですか?/って?」」」

コロン「どんな相手でも、わかり合おう、歩み寄ろうとする心かな」

えりか「どんな相手でも、って……砂漠の使徒とも?」

コロン「そうだよ」

えりか「なによ、それ……」

つぼみ「けど、菖さんらしいです」

コロン「ムーンライトもそう言っていたよ……もしかしたら、ユグドセイバーに選ばれる人間は、みんな優しさで強くなる人なのかもしれないね」



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オールスターズとの一幕~スキット集~その2

斗真「……あかん……あかんあかんあかん……」
菖「どしたの?」
ゆり「一次創作のほうに何か問題でもできたのかしら?それとも、いつもの病気?」
斗真「病気のほうっす」
菖「……今度は何をやりたくなったんだよ?」
斗真「ガッシュの二次創作」
菖、ゆり「「……懐かしいな/わね、随分」」

金色のガッシュの電子書籍、まとめ買いしたら書きたくなってしまいました(オイ
あ、今回もあとがき代わりのスキットはありませんので、ご容赦を。


~あだ名をつけよう!その1~

きらら「う~ん……」

美希「きらら、どうしたのよ?唸ってるなんて珍しいわね」

きらら「うん、プリキュアのみんなのあだ名を考えててね~」

美希「……あ、そう……」

きらら「とりあえず、真琴は"まこぴー"、ことはは"はーちゃん"で決定として、他の子がねぇ……」

美希「ちなみに、決定している子はいるの?」

きらら「うん。ひかりは"ひかりん"、咲は"咲っち"、舞は"まいまい"、のぞみは"のぞみん"、りんは"りんりん"、うららは"うららん"、祈里は"ブッキー"、せつなは"せつなん"、つぼみは"つぼみん"、えりかは"えりえり"、響は"響っち"、アコは"アコっち"、なおは"なおなお"、ひめは"ひめっち"、ゆうこは"ゆうゆう"、いおなは"いおなん"、みらいは"みらっち"、リコは"リコリコ"って感じかなぁ」

美希「……それでも随分、集まってるのね……」

 

~あだ名をつけよう!その2~

えりか「そういえば、はるかはなんできららから"はるはる"って呼ばれてるの?」

はるか「わたしの本名、春野はるかっていうんだけど、『はるが二回だから、"はるはる"だ~♪』って……」

えりか「……なんとも安直な……」

みなみ「そういえば、ゆりさんと菖さんはどんなあだ名で呼ばれてたんですか?」

ゆり「わたしは普通に"月影さん"か"ゆりちゃん"ってしか呼ばれてなかったわね……今となっては、あだ名で呼んでもらえることもないわ」

菖「俺は"しょーてん"とか"はるしょー"とか呼ばれてたなぁ……ひどい時は"しょーべん"とかだったけど」

ゆり「……あったわね、そんなことも」

菖「今となっちゃ、バカなことやってる連中だなぁって思うよ」

つぼみ「ちなみに、今はなんて呼ばれてるんですか?」

菖「普通に"春川"かなぁ……あぁ、でも時々"せんせー"とか呼ばれたことがある」

いつき「……あぁ……なるほど……」

トワ「……?なぜ、菖さんが"せんせー"なのですか??」

つぼみ「菖さん、歴史の成績がダントツなんです。それで、友達から時々教えてほしいって頼まれることがあるらしくて」

ゆり「おまけに、学校の先生顔負けの授業をするもんだから、先生たちよりも先生らしいって言われるのよね」

えりか「この前に歴史の勉強会した時なんか、なんで菖さんが学校の先生じゃないんだろってみんなして言ってたし」

トワ「は、はぁ……」

 

~菖の行動範囲って……~

めぐみ「思ったんだけど、菖さんの行動範囲っていったいどうなってるの?」

菖「唐突だな」

ひめ「いやいや!世界中のプリキュアと顔見知りってどんだけなんですか?!」

ゆうこ「そういえば、そうよね……」

ゆり「そこはわたしも気になるところね。大方、心の大樹にお願いして瞬間移動しているんだろうけれど」

菖「なるほどな。移動方法はゆりが言ったことそのままかなぁ……行ったことがあるのは、イギリス、フランス、イタリア、バチカン、インド、アフリカ、エルドビア、ニュージーランド……数えきれないな」

いおな「まさかの世界一周旅行のレベル……」

菖「けど、やっぱり面白いのは人なんだよなぁ」

ゆり「そうなの?てっきり、遺跡とかのほうが面白いと思ったのだけれど」

菖「いや、変わった子供に会ってさ。『私は優しい王様になるのだーっ!!』って、大声で叫んでたな……」

ひめ「へ、へぇ……」

菖「……そういや、その近くに教授の息子さんがいたような……??」



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オールスターズとの一幕~スキット集~その3

久方ぶりにこっちができたので
中の人ネタがひとつだけはいってます


~宇宙も遺跡もワクワクもん!~

みらい「う~ん……」

ひかる「どしたの?みらいちゃん」

みらい「今度のお休み、どうしようかな~って」

菖「いつもみたく、リコやことはとでかけたりしないのか?」

みらい「リコはリズさんとお出かけ。はーちゃんは魔法界にある妖精の里に行っちゃってて……」

菖「珍しいな、置いてけぼりなんて」

みらい「…………」(´・ω・`)

菖「……なんか、ごめん」

ひかる「あ、あははは……」

菖「それじゃ、お詫びに」

ひかる「そうだ!一緒に宇宙に行かない?」

みらい「う、宇宙?!」

菖「おいおい、そりゃちょっとさすがに定員とか大丈夫なのか?」(-▽-;

ひかる「なんとかなるなる!!……そういえば、菖さんは宇宙に興味ないんですか?」

菖「ん~……シュメール人が地球外知的生命体だなんて説があるから、若干の興味はあるけど、どっちかというと異星人の文化のほうかな?」

ひかる「おぉっ!!そいつはきらやばだぁっ!!」(>▽<

みらい「シュメール人って、もしかして古代人ですか?」

菖「古代メソポタミア文明を築いた種族で、楔形文字を作ったり六十進法を作ったり、とにかく急激に文明を発展させた人々」

みらい「あ、それ授業で習ったかも」

菖「それらの当時としては先進的な文明をいきなり生み出したことと、突然、歴史から姿を消したことから、シュメール人=異星人説なんてのが生まれたんだ」

ひかる「ほえぇ~……」

みらい「おぉ~!!……やっぱり、宇宙も遺跡もわくわくもんだーっ!!」

 

~もしかして、菖も……~

ララ「……ん~……??」

プルンス「どうしたでプルンス?ララ」

ララ「なんだか、菖さんの雰囲気、どこかで見たことがあるような……」

プルンス「ん~???」

ララ「……あ!わかったルン!!なんとなく光の星の人に似てるルン!!」

ひかる「光の星?」

やよい「それってもしかしてウルトラ……」

菖「はい、ストーップ……んなわけあるかよ、俺はれっきとした地球人だ!」(-□-;

 

~異文化交流は食文化から?~

ララ「これが地球の保存食ルン?」

菖「正確には数ある種類の中の一つ、だな」

ララ「う~ん……」(パクっ

菖「どうだ?」

ララ「……なんというか、すっごくすっぱいししょっぱいし……正直、おいしくないルン……」(-△-;

菖「まぁ、そうだろうなぁ」(-▽-;

ララ「これはいったい、何ルン?おにぎりのほうがずっとおいしいルン……」

菖「忍者が考案、開発した保存食の一つ。水渇丸(すいかつがん)

シエル「うぅ~……すっごいよだれ出てくる……なんだかのど飴舐めてる感じがするぅ……」

菖「まぁ、のど飴みたいなもんだし。で、こっちが有名な兵糧丸」

ララ「……あ、こっちは美味しいルン」

シエル「シナモンと……はちみつかしら?」

菖「お?さすがカリスマパティシエール」



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ラバーズとの一幕~Stay Home~

まぁ、こんなご時世ですし
不謹慎かもですが、こう言う時だからこそ、お互いにこうやって作品で呼びかけあうことも重要なのかな、と思って書きました

……いや、まじでさ、症状出てないからって自分が感染してないとか考えてる人が多いよね
気づかないうちに移すかもしれない、とか考えないのですかね?

というわけで、初となる「ラバーズとの一幕」です


菖と一緒に

 

~ひかりの場合~

タコ焼きづくり

 

菖「ほっ!よっ!!」

ひかり「上手ですよ、菖さん!」

 

なぎさ「おぉっ!夫婦の共同作業!!」

ほのか「ふふふ、なぎさ。からかっちゃだめよ?」

 

~舞の場合~

お絵描き

 

菖「……こんな感じ?」

舞「はい♪ほんと、菖さんってデッサン上手ですよね」

菖「遺跡が撮影できないときはデッサンに残すこともあるからね」

 

咲「う~~~~~っ!わたしだって舞とパン作りしたいのに~~~~!!」

満「咲が珍しく嫉妬してるわね」

薫「これもこれで面白い、のかしら?」

 

~つぼみとゆりの場合~

お茶会

 

菖「今日はミントティーを淹れてみたよ」

つぼみ「は~……いい香りです~……」

ゆり「ふふ、つぼみったら、すっかりとろけ顔ね」

菖「ところで、このシフォンケーキは?」

ゆり「わたしとつぼみの合作よ」

菖「はは、そりゃ楽しみだ♪」

 

えりか「なんか、いつもと変わらない光景の気がするっしゅ!」

いつき「まぁ、僕たち、たいてい植物園の温室でお茶会してるしね」

 

~いおなの場合~

料理

 

いおな「こんな感じでしょうか?」

菖「どれどれ?……うん、いいんじゃないかな」

いおな「やった!」

 

めぐみ「おぉ、なんか、いおなちゃんが乙女な顔してる!!」

ひめ「あんな顔してるいおな、見たことないかも」

ゆうこ「ふふふ♪何を作ったのかしら?ご相伴にあずかりたいわね♪」

 

----------

 

明の場合

 

~祈里の場合~

読書

 

祈里「…………」(//////

明「おいおい、祈里?読書するんじゃなかったのか~?」

祈里「……え、えと、あの……その……」(//////

明「けっけっけ、明さんには構わず読書に集中していいんだぜ~~?」(-▽-

 

ラブ「あらら、祈里が真っ赤に……」

美希「完璧にからかわれてるわね」

せつな「けど、祈里らしいといえばらしいのよね……」

 

~ももかの場合~

二人でファッションショー

 

ももか「ふふん♪どう?」

明「さすがももかだな、明さんドキッとしちゃってどうにかなっちゃいそうだぜ」

ももか「むっふふふ~♪ならもっとドキッとさせてあげないとね~」

明「なんてこった」

 

つぼみ「とか言いながら、明さん、すごく余裕そうです」

えりか「まぁ、明義兄ぃが動揺するなんてこと自体、よっぽどの事態だからね~」

いつき「というか、ももかさん、わざと誘惑してない?」

ゆり「まったく、あの二人は……」

菖「あはははは……」

 

~まりあの場合~

料理

 

明「おーい、まりあさ~ん。俺はいつまで待ってりゃいいんですか~い?」

まりあ「ふふふ、だめよ?だって、あなたが来ちゃったらお姉さんが腕をふるえないじゃない」

明「なんてこった。俺の腕前はまりあさんを超えてしまっていたのか」

まりあ「あら?わかってて言ってるでしょ?」

明「けっけっけ、ばれちまったか」

まりあ「ふふふ、そんな悪い子は、わたしの料理で反省させてあげないとね♪」

 

めぐみ「……なんかこれ、夫婦の会話のような感じが?」

ひめ「な、なんかまりあさんの笑顔が怖いですぞ……」

ゆうこ「まりあさん!わたしもご相伴に……」

いおな「ゆうこ……」



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ラバーズとの一幕~合体技~

思いついちゃったんだからしかたがない!
というわけで、合体技です
ハートキャッチ組だけ、三つありますが、まぁ、それはそれということで


セイバー「いくぞ!!」

ルミナス、イーグレット、ブロッサム、ムーンライト、フォーチュン『はい/えぇっ!!』

 

~ルミナスの場合~

ルミナス「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」

セイバー「心よ、吠えろ!エターニア・ブレイドダンス!!」

 

ブラック「って、ただ動きを止めて必殺技当てただけじゃない?!」

ホワイト「『Simple is the best.』ということかもね?」

 

~イーグレットの場合~

イーグレット「セイバー!!」

セイバー「イーグレット!!」

イーグレット、セイバー「「ユグドパワー・スプラッシュ!!」」

 

ブルーム「わぁっ!!まさかの二人の合わせ技!!」

満「ちゃっかり『スプラッシュ』って入れてるわ……」

薫「案外、いいコンビになったりして?」

 

~ブロッサムの場合~

ブロッサム「プリキュア!ピンク・フォルテ・ウェーブ!!」

セイバー「水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!アクリアフォルテウェーブ!!」

セイバー、ブロッサム「「ツイン・フォルテウェーブ!!」」

 

マリン「なんか、前にも見たことがあるような」

サンシャイン「たぶん、いつだったか見せてくれたセイバーとムーンライトの合体技じゃないかな?」

ムーンライト「おそらくそうね。今回は弓を使ったフォルテウェーブでやってみたいだけど」

 

~ムーンライトの場合~

セイバー「約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!!」

ムーンライト「ムーンライト・リフレクション!!」

セイバー、ムーンライト「「無限まとい風!!」」

 

ブロッサム「セイバーとムーンライトの新しい合体技です!」

マリン「ムーンライト・リフレクションで敵を囲んだ?!」

サンシャイン「そして翼の形にしたエターナルハートを連続で反射させている……相手が細切れになるまで続くと思うと、ちょっと怖い技だね……」

 

~ブロッサムとムーンライトの場合~

ブロッサム、ムーンライト「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

セイバー「ユグドパワー・フォルテッシモ!!」

三人「「「ハートキャッチ・フォルテッシシモ!!!」」」

 

マリン「フォルテッシモの上なんてあったの??!!」

サンシャイン「滅多に見かけないけど、フォルテが三つ重なるとフォルテッシシモって記号になるんだけど……」

 

~フォーチュンの場合~

セイバー「水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!蒼き雨は天をも穿つ(蒼雨天穿)

フォーチュン「フォーチュン・スターアロー!!」

セイバー、フォーチュン「「スターライト・レイン!!」」

 

ラブリー「おぉっ!フォーチュンとセイバーの合体技だ!!」

プリンセス「まさに流星群……って、こっちにもぉっ??!!」Σ( □ ;

ハニー「あらあら、ちょっと範囲が広いのね」

テンダー「うふふ、二人とももうちょっと修行が必要なんじゃないかしらね?」




おまけ

~中の人ネタ~
ハッピー「ハッピーシャワー!!」
セイバー「早咲きの大地(ハクディム・ガリア)!!」
ハッピー、セイバー「「地神招来!アーステッパー!!」」

ブロッサム「へっ?!」
ムーンライト「……それ、合体技なのかしら?」
ピース「むしろ合体秘奥義です!!」


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オールスターズに聞いてみた~もし、結婚式を挙げるなら~

ジューンブライトということで、急きょ思いついたネタ。
ぶっちゃけ、適当です。
なお、5GoGoのメンバーについては、本編のネタを使わせてもらってます。


~なぎさの場合~

「やっぱり、教会で純白のドレスを着て……参列する人は少なくていいから、二人の友達とみんなが来てくれて、みんなに幸せをおすそ分けできたらなぁって思うな~。え?相手??……や、やっぱり藤Pせんぱ……あーーーーーーっ!ちょ!たんま!!今の聞かなかったことにして!!///」

 

~ほのかの場合~

「相手については、まだわからないけれど、白無垢を着て神式の結婚式なんて、ちょっといいかなぁって思うわ」

 

~ひかりの場合~

「わたしも、なぎささんと同じで教会でやりたいです!けど、白じゃなくて、ピンク色とか、黄色とか、いろんなドレスをたくさん着てみたいです!え?相手の人、ですか?……うぅ……////」

 

~咲の場合~

「普通に教会でウェディングドレス!やっぱりこれが一番なり~!え?お相手??……や、やっぱり和也さ……な、なんでもないなり!!」

 

~舞の場合~

「海辺の小さなチャペルでみんなに見てもらいたい、かな……あ、相手の人?そ、それはノーコメントで!!///」

 

~のぞみの場合~

「た~くさん、ドレス着るでしょ~……で、おっきなケーキを食べるの!!」

りん&あかね「て、結局、食い意地か!!」

 

~りんの場合~

「深い森の中にたたずむ、かわいいチャペル。純白のドレスを着て、二人で永遠の愛を誓い合う……憧れるなぁ……///あ、ブーケはつぼみに作ってもらおうかな?え、相手??……このさい、菖さんでもいいかなぁ、なんて!」

 

~うららの場合~

「やるなら、やっぱりコンサートみたいに派手にしたいです!もちろん、アンコールだって受け付けちゃいますよ!!」

 

~こまちの場合~

「チャペルで永遠の愛を誓い合うふたり……けど、花嫁の心にはどうしても忘れられない人が……」

こまち以外『脱線してる、脱線してる!!』(汗

 

~かれんの場合~

「わたしは……すべてを純白で揃える白無垢衣装。格調高く、日本の美を折りなして……え?あ、相手の人?!そ、それは聞かないのがマナーじゃないんですか??!!///」

 

~くるみの場合~

「結婚式のパレードで、ココ様のお隣に座りながら、町の中を馬車で回って……///」(トリップしたようである)

 

~ラブの場合~

「そりゃ、結婚式っていったら教会にドレスでしょ!でもって、わたしだけじゃなくて来てくれたみんなに、幸せゲットしてもらいたいな!!」

 

~美希の場合~

「わたしが一から完璧にプランニングして、最高に輝く結婚式にするわ!」

 

~祈里の場合~

「え、えぇ??!!///……う~ん、そんなに大きくなくていいから、教会で挙げたいなぁ、なんて……」

 

~せつなの場合~

「わたしは……自分が幸せになるより、まず他の人を幸せにしてあげたいから、ちょっと考えてなかったわ……」

 

~つぼみの場合~

「たくさんのお花さんで飾った教会で、りんさんに作ってもらったブーケを持ってヴァージンロードを歩いて、えりかにデザインしてもらったドレスを着て……え?あ、相手の方、ですか?!そ、それはやっぱり、菖さ……な、なななななななんでもないですーーーーーーっ!!///」

 

~えりかの場合~

「ん~……ブーケはつぼみに作ってもらうとして、ドレスはあたしがデザインしたやつを着るかなぁ?え?相手の人?イケメンだったら誰でもいいかな~」

 

~いつきの場合~

「向日葵畑が近くにある教会で、みんなに祝福されながら二人で並んでその中を歩く……なんて、ちょっと無理かな///でも、可愛いウェディングドレスもいいけど、白無垢もいいかなって思ってるよ!」

 

~ゆりの場合~

「そうね……一番オーソドックスな形で十分だと思うわ。でもどうするかは、その時になって二人で決めていくべきだと思うわ……え?相手の人??そうね……菖だったら、嬉しいとは思うわ///」

えりか「お~、ゆりさんが乙女だ~……」(呆然

 

~響の場合~

「みんなで楽器を持ち寄って、参加者全員でプチ音楽会!なんてなったら、楽しそうかなぁ……え?あ、相手の人??う~ん……菖さんしか思い浮かばない……///」

 

~奏の場合~

「~~~~~~~~っ??!!/////」(妄想したら赤面して答えられず)

 

~エレンの場合~

「白無垢とウェディングドレスを同じ日に一緒に着ても大丈夫なのよね?音吉さんの本に書いてあったわ!!」

菖「正確には、お色直しだな。まぁ、間違っちゃないけども……普通やるかなぁ……」

 

~アコの場合~

「調べの館を会場にして、ウェディングドレスで挙式かしらね……こっちの世界でなら、だけど。メイジャーランドに行ったら、お城でちゃんとやらないといけないけど……相手?にゃ、にゃにをいきにゃり聞いてくるにょかしら??!!///」

マナ「お~、アコちゃんが真っ赤に……」2828

アコ「ふ、フカーーーーーッ!!」

 

~みゆきの場合~

「お城みたいに大きな教会で、お姫様みたいなドレスを着て~……////」(トリップしてしまった模様)

 

~あかねの場合~

「そら教会でウェディングドレスが普通やろ!相手?……ま、まぁ、ブライアンやったら最高やろなぁ、思うけど///」

 

~やよいの場合~

「う~ん、教会にウェディングドレスもいいけど、白無垢も捨てがたい……う~ん……」(意外と真面目に思案中)

 

~なおの場合~

「ふぇっ?!わ、わたし??!!……う~ん、やっぱりウェディングドレスかなぁ。弟たちにも手伝ってもらって……あ、食事はバイキング形式で、みんなでわいわいしながら食べたいかも!」

あかね「単に自分が食いたいだけ食いたいからなんとちゃうんか?」(苦笑

 

~れいかの場合~

「わたしは、白無垢を着てみたいです。神社の荘厳な雰囲気と雅楽の音色に包まれて、粛々とした中で、これから歩む道を思い浮かべながら……」

 

~あゆみの場合~

「う~ん……教会で挙げたいですねぇ……できれば、海が一望できる場所で。そこなら、フーちゃんもよく見えると思うから」

 

~マナの場合~

「おばあちゃんとお母さんが着てたウェディングドレスを着て、教会で結婚式を挙げるって決めてるんです!!」

 

~六花の場合~

「そうねぇ……ウェディングドレスもいいけど、白無垢も捨てがたいわね。まぁ、その時になってみないとわからないけれど」

 

~ありすの場合~

「そうですわね……やはり、オーソドックスにいくのが一番だと思いますが、マナちゃんや六花さん、真琴さんと合同で挙式というのも、華やかで思い出に残るものになると思いますわ」

菖「本当にやりそうだから怖いな……」

 

~真琴の場合~

「あまりそういうことは考えたこと、ないわね」




菖さんに聞いてみた~もし、結婚式を挙げるなら~
菖「う~ん……たぶん、教会ってことになると思うよ?お世話になった人達がキリスト教圏の人達が主だし、そっちのほうが馴染み深いんじゃないかな?え?相手??……う~ん、ノーコメントで!」


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オールスターズに聞いてみた~七夕に何を願う?~

七夕ということで、第二弾です。
本来、七夕は芸事についての願いをするのが正しいので、色恋沙汰と自分の夢については原則としてノータッチです。(原則ということは例外もあるということなのだよ)
というか、あの子たちだったら、自分の夢は自分の力で叶える、とか素で言いそうなのよねぇ……。
まぁ、ひとまず、どうぞ。


~なぎさの場合~

「やっぱり全国大会優勝!」

 

~ほのかの場合~

「う~ん……特に願いはないのだけど……そうね。なぎさやみんなとこれからも仲良くいられるように、かしら?」

 

~ひかりの場合~

「もっとおいしいたこ焼きを焼けるようになりたいです!」

 

~咲の場合~

「う~ん……おいしいパンを焼けるようになりたいのと、ソフトボール部の全国大会優勝……どっちにすべきか迷うなり~~~~~!!」

菖「願うだけロハなんだから、どっちでもいいんじゃない?」(^^;

 

~舞の場合~

「もっと絵を描けるようになりたいです!」

 

~のぞみの場合~

「う~ん……お願いしたいことがいっぱいありすぎて……」

りん「あんたねぇ……」

小々田「ははは、のぞみらしいな」

菖「……まさに欲望()の乙女」

 

~りん~

「ん~……もっと上手くアクセサリーのデザインが作れるように、とか?」

 

~うららの場合~

「もっとたくさんの人に、わたしの歌を楽しんでもらえるようになりたいです!」

 

~こまちの場合~

「もっと面白い作品が書けますように、かしら?」

夏「それはお前次第だろうが……」

 

~かれんの場合~

「そうね……これといって、上達したい趣味もないし……医者になれますように、かしら?」

 

~くるみの場合~

「パルミエ王国にはそんな慣習ないから、なんとも……あ、でもココ様がわたしに振り向いてくれますようになんて願っても……」

 

~ラブの場合~

「次のダンス大会、みんなで優勝できますように!!」

 

~美希の場合~

「もっと完璧に仕事できるようになりたいわね(完璧なわたしが願い事なんてするわけないじゃない!)」

きらら「……美希っち、本音と建て前が逆……」

 

~祈里の場合~

「う~ん……みんなの願いが叶いますように、かなぁ?」

 

~せつなの場合~

「みんなが幸せになりますように、かしら?」

菖「祈里と似たり寄ったりな願いだな」(苦笑

 

~つぼみの場合~

「ほ、本来の作法とは違いますけれど……しょ、菖さんとカップルに……」

えりか「お~、ついにぶっちゃけた!!」

つぼみ「ひゃにゃ~~~~~~っ??!!え、えりか!今のは聞かなかったことにしてください!!」

 

~えりかの場合~

「え?そりゃ色々あるわよ。もっとかわいい服を作れるようになりたい、もも姉ぇみたいにモテモテになりたい、おいしいものをいっぱい食べたい……」

ゆり「……切りがないわね……」

 

~いつきの場合~

「う~ん……もっと武術の腕を磨きたい、かな」

 

~ゆりの場合~

「そうね……平穏無事、が一番なのだけれど、これじゃ初詣と変わらないわね?」

菖「ま、ゆりらしいといえばらしいけどな」

 

~響の場合~

「ピアノをうまく弾けるようになりたい!」

 

~奏の場合~

「おいしいカップケーキを作って、王子先輩と……キャッ!」(///▽///

アコ「愛欲に純粋ね、奏は」

 

~エレンの場合~

「ん~……考えたことないわね」

 

~アコの場合~

「……パパの親ばかが治りますように」

メフィスト「アコ?!なぜそんなことを!!」

アコ「自分の胸に聞いて」

 

~みゆきの場合~

「みんなでウルトラハッピーになれますように!!」

 

~あかねの場合~

「そらごっつうまいお好み焼きが焼けるように、やな!……あぁ、せやけど、バレーボール部の大会優勝も捨てがたい!!もうどないしたらえぇねん!!」

 

~やよいの場合~

「面白い漫画が描けますように、かなぁ?」

 

~なおの場合~

「う~ん……弟たちの願いが叶いますように、っていうのが一番なんだけど。欲を言うなら、サッカー部の全国大会、入賞かな」

 

~れいかの場合~

「己の道を見つける、です!!」

菖「……抱負?」

れいか「いえ、純粋にわたしの願いです」

 

~あゆみの場合~

「う~ん……友達がたくさんできるように……と思ったけど、やっぱり、一番は、フーちゃんに会いたい、かな?」

 

~マナの場合~

「みんなが幸せになりますように!」

六花「こんなときも他人のことなんだから……」

 

~六花の場合~

「次のかるた大会で優勝できますように!!」

 

~ありすの場合~

「マナちゃんや六花ちゃん、それに真琴さんや亜久里ちゃん、みなさんの願いが叶いますように、ですわ」

 

~真琴の場合~

「え?星にお願いするの??」

 

~亜久里の場合~

「そんなものはナンセンスですわ!夢は自分の力で実現してこそ価値があるのです!!」

 

~めぐみの場合~

「う~ん……みんなに幸せが届きますように、かなぁ?」

 

~ひめの場合~

「……いっぱいありすぎて、何をお願いしたらいいのかわかりませんぞ?!」

えりか「だよね~」(^▽^

菖、ゆり「「お前ら/あなたたちが欲張りすぎなだけだ/よ」」

 

~ゆうこの場合~

「みんながお腹いっぱい、幸せいっぱいになりますように、かな♪」

 

~いおなの場合~

「誰にも負けない空手家になれますように!」

いつき「ふふふ……いおな、張り切ってるね」

 

~はるかの場合~

「う~ん……バレエが上手にできますように!」

みなみ「はるかはバレエの練習、頑張ってるものね」

はるか「はい!だから早くみなみさんと一緒に踊れるようになりたいです!」

みなみ「あらあら」(^^

 

~みなみの場合~

「これといって特にはないのだけど……そうね。もっといろんな経験を積めますように、かしら?」

 

~きららの場合~

「そりゃ、スーパーモデルになれますように一択でしょ!!」

 

~トワの場合~

「お兄様の演奏に負けないくらい、立派なヴァイオリン奏者になりたいですわ!」

はるか「カナタとトワちゃんの二重演奏(デュオ)……聞いてみたいなぁ……」




菖に聞いてみた~七夕に何を願う?~

菖「う~ん……篠笛を上手に吹けるようになりたいとか、泉地流の技を極めたいとか、色々あるなぁ……けど、織姫と彦星の年に一度の逢瀬の日に願い事なんて、無粋な気もするからなぁ……」


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オールスターズに聞いてみた~海に行ったら~

夏ですね……
夏といえば海、というわけで、今回は海に行ったらというネタで。
なお、作者は現在、港町に住んでいる模様です。


~なぎさの場合~

「特訓もいいけど、やっぱり遊びたいなぁ~」

 

~ほのかの場合~

「砂浜で夕日を眺めるというのも、ロマンチックよね」

 

~ひかりの場合~

「なぎささんたちやポルンたちと一緒に遊びたいです!」

 

~咲の場合~

「海といえば砂浜!砂浜といえばランニングなり~っ!!」

 

~舞の場合~

「波をスケッチするのもいいけど、遊んでいる咲を描きたいかも」

 

~のぞみの場合~

「う~ん……海の家でいーっぱいかき氷食べたい!」

りん「って、結局食い気かい!!」

 

~りんの場合~

「そりゃ、特訓一択でしょ!」

 

~うららの場合~

「浜辺でのぞみさんたちと遊びたいです!」

 

~こまちの場合~

「浜辺を散歩している少女。その傍らにはいつも心にいる人が……」

りん「いや、脱線してる脱線してる!!」(^_^;;

 

~かれんの場合~

「海を眺めるのもいいけれど、やっぱりみんなと楽しみたいわね」

 

~くるみの場合~

「ココ様と二人きりで夕日の浜辺を……きゃっ」(///ω///

 

~ラブの場合~

「みんなで遊んで、幸せゲットだよ!!」

 

~美希の場合~

「この完璧なわたしが日焼けするわけにはいかないわ!」

 

~祈里の場合~

「みんなと一緒に楽しく過ごせたら、それでいいかなぁ」

 

~せつなの場合~

「みんなと楽しく過ごせたら、きっと幸せになれるわね!」

 

~つぼみの場合~

「わたしはみんなと遊べたら、それで満足です!」

シプレ「けど、本音はどうなんですぅ?」

つぼみ「菖さんと二人きりで……って、何言わせるんですか??!!」Σ(///□///

 

~えりかの場合~

「そりゃ、浜辺で遊びまくるに決まってるっしゅ!!」

 

~いつきの場合~

「遊ぶのもいいけど、鍛錬もしたいなぁ」

 

~ゆりの場合~

「あまり日に焼けたくはないから、浜辺を歩くだけにしておくわ」

ももか「それにゆりの美貌に男どもが寄ってきたら大変だしね~……ね、菖くん?」(・∀・

菖「いや、なんで俺に聞くの?」(^ω^;

ゆり「……バカ……」(///_///

 

~響の場合~

「浜辺を走る!」

菖「ピアニストはまず体力だもんなぁ」

 

~奏の場合~

「やっぱり、響たちと思いっきり遊びたい!」

 

~エレンの場合~

「……水には入りたくないわ……」(・ω・lll

菖「ここで出てくるのか、猫属性」(^_^;

 

~アコの場合~

「浜辺で遊ぶわ」

えりか「意外に普通っしゅ……」

アコ「それ以外に何をしろと?」(-_-

 

~みゆきの場合~

「みんなで遊んで、ウルトラハッピ……はっ?!い、いまあの夏の恐怖が……」(・ω・lll

れいか「……あれですか……」

菖「何があったし……」

 

~あかねの場合~

「ビーチバレーも楽しそうやな!けど、やっぱなおともいつかの決着(けり)つけたいわ!」

なお「望むところ!!」

みゆき「……またやるの……?」(-ω-;

 

~やよいの場合~

「う~ん、急に言われても……やっぱり、みんなと遊びたいとしか……」

 

~なおの場合~

「みんなで遊ぶのもいいけど、あかねと勝負したり、海の家の料理、食べてみたいなぁ……」

菖「その日のうちに、そこら一帯の海の家が売り切れ騒ぎになるぞ……」

 

~れいかの場合~

「みなさんと一緒に楽しく過ごせたら、それだけでわたしは満足です」

 

~あゆみの場合~

「やっぱり、みんなと遊びたいです!」

 

~マナの場合~

「みんなと遊んで、キュンキュンしたいよ~~~っ!」(>∀<

菖「……意味がわからない……」

 

~六花の場合~

「どうせ、マナが暴走するから、そのストッパーね……」(-_-;

菖「ご苦労様です……」(^ω^;;

 

~ありすの場合~

「みなさんと楽しく過ごせたら、それで満足ですわ♪」

 

~真琴の場合~

「……海や浜辺って、何するところなの?」(・ω・?

真琴以外全員『そこから??!!』Σ(◎_◎;

 

~亜久里の場合~

「やはり海といえば砂浜!トレーニングのための運動にもってこいですわ!」

六花「やりすぎてまた熱中症で倒れないようにね!」

 

~レジーナの場合~

「マナたちといっぱい遊ぶ~~!」(>∀<

マナ「おーっ!」

 

~めぐみの場合~

「夏といえば海!海といえば海水浴!!」

ひめ「誠司と一緒だったら?」

めぐみ「そりゃ、二人でいっぱい遊ぶよ?」

ひめ「……顔に動揺がまったく見られませんぞ……」(-ω-;

 

~ひめの場合~

「やはり海水浴に浜遊び、いろいろやりたいですぞ!!」

 

~ゆうこの場合~

「遊ぶのもいいけど、水分補給も大切に!」

ゆり「夏の基本ね」

菖「飲むなら、水じゃなくてスポーツドリンクな」

 

~いおなの場合~

「特訓っ!」

ひめ「そればっかじゃん!!」(-□-;

 

~まりあの場合~

「せっかくだから、こんがり焼けよようかしら?菖くんにオイル塗ってもらって♪」

菖「勘弁してくださいよ……」(-_-lll

ゆり「させませんよ?まりあさん」(-言-メ

いおな「……お姉ちゃんにオイル塗り……」(・言・

 

~はるかの場合~

「遊ぶのもいいけど、シュノーケリングとかも面白そう!」

 

~みなみの場合~

「ティナと一緒に泳ぎたいわ」

パフ「ティナとみなみは仲良しさんパフ!」

 

~きららの場合~

「日に焼けたくないんだけどなぁ……」

はるか「お仕事に支障がでるもんね」

きらら「そ。だから、オイルは念入りに塗らないと……菖さんにお願いしようかなぁ~?にっしし~♪」(^∀^♪

菖「……まじで勘弁して……」(-_-lll

 

~トワの場合~

「あ、あの……菖さん、泳ぎの練習に付き合っていただけないでしょうか?」(((;ω; )))

菖「俺じゃなくて、ゆりとかのほうがいいんじゃないか?」(^_^:

 

~みらいの場合~

「みんなと海!わくわくもんだーーーーっ!」(>▽<

 

~リコの場合~

「みんなと一緒なら、どこでも楽しいわ」

 

~ことはの場合~

「はーっ!みらいとリコと菖お兄ちゃんとゆりお姉ちゃんといっぱい遊ぶし~っ!」(>▽<

みらい、リコ「「だからってもう魔法は使わないでね?!」」Σ( □ ;

菖、ゆり「「……あれ?/あら?参加は確定?/確定なの?」」(^^;

 

~いちかの場合~

「スイカ割り一択ですぞー!!」

菖「……なぜかつまずいて砂浜に顔面ダイブの絵面が……」

いちか「ぐはっ?!」Σ( □ lll

 

~ひまりの場合~

「う、運動はあまり……」

 

~あおいの場合~

「海でライブってのも、面白そうだな!」

菖「……サザ○オール○ターズ?」

ゆり「あるいは、湘○の風かしら?」

 

~ゆかりの場合~

「星を見ながら、夜の散歩というのも乙なものよ?うふふ」

菖「そこでなんで俺を見る?」(-_-;;

 

~あきらの場合~

「……みくの体調が心配で楽しめるかどうか……」

ゆり「心配しすぎるのもよくないわよ?」

菖「あきららしいといえば、らしいけどな」




菖に聞いてみた~もし、海に行ったら~

ゆり「迷わず装備を整えて海底探査に行くのよね?」
菖「なんで確定?」(^^;
ゆり「海底遺跡、探しそうだもの」
菖「……探さない自信がない」(-ω-;
ゆり「ほらね?」(-_-


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オールスターズに聞いてみた~みんなにとって、菖はどんな人?~

アンケートにお答えしまして、今回はスキット風。
まぁ、約二名トリップしてますが(苦笑
なお、今回、シエルは出てきません。映画を見てから出そうか、それともまた別に機会を設けようか、検討中ではありますけども


~MH組の場合~

なぎさ「頼りになるお兄さん!」

ほのか「遺跡に詳しい、ちょっと変わった人です」

ひかり「優しい人……だと思います」

 

~S☆S組の場合~

咲「パンのことをほめてくれる優しい人なり!」

舞「え、えっと……え、笑顔が素敵な人、です」

満「いつか本気で戦いたい人ね」

薫「変わった人ね」

 

~5GoGo組の場合~

のぞみ「勉強教えてくれる優しい人!」

りん「ツッコミ役の相方?」

うらら「いい人だと思いますよ?」

こまち「小説の舞台設定のこととかアドバイスをくれる人です」

かれん「え?……の、ノーコメントでお願いできるかしら?」

くるみ「変わった人よね」

 

~フレッシュ組~

ラブ「ドーナツごちそうしてくれる人!」

美希「いい人だと思うわ。けど、完璧なわたしとはつり合わないけれどね」

祈里「優しいけど、ちょっと変わってるかなぁ」

せつな「すごく優しい人だと思うわ」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「それはもちろん、かっこよくて優しくて、知的で頼りになって……」

えりか「ん~……優しいとは思うけど、変わり者よねぇ」

いつき「いつか乗り越えたい、もう一人のお兄様かな」

ゆり「そばにいるのが当たり前になっているから、なんて答えたらいいかわからないわね」

 

~スイート組~

響「優しくてかっこいいお兄さん、かなぁ」

奏「優しくて笑顔が素敵で、ちょっと変わっているところがあるけどかっこよくて……」

エレン「音吉さんの本に書いてあることとか色々教えてくれる人」

アコ「優しくてかっこいいちょっと変わり者のお兄さん」

 

~スマイル組~

みゆき「絵本のことを色々教えてくれるお兄さん!」

あかね「ツッコミに事欠かへん人やな」

やよい「一緒にヒーローショー見てくれる人!」

なお「ちょっと変わったお兄さん、かな?でも、弟や妹の面倒を見るのを手伝ってくれるし、いい人だと思うよ」

れいか「遺跡のことに詳しく、自身の道を見据えている、素晴らしいお方だと思います」

あゆみ「や、優しいお兄さん、かなぁ……」

 

~ドキドキ組~

マナ「怒らせると怖いけど、面白い人」

六花「マナに真正面からお説教することが出来る人」

ありす「ぜひセバスチャンの後継として働いてほしいですわ♪」

真琴「歌に関してはちょっと厳しいけど、優しい人だと思う」

亜久里「遺跡が好きなのは変わっていますが、それ以外はまさにブラボーなお兄様ですわ♪」

レジーナ「面白い人♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「色々教えてくれるみんなのお兄さん!」

ひめ「色々と手厳しい人ですぞ」

ゆうこ「いつも残さず食べてくれる、いい人です♪」

いおな「お姉ちゃんと一緒で、いつか乗り越えたい人ね」

まりあ「ちょっと大人びた弟って感じかしらね?うふふ♪」

 

~プリンセス組~

はるか「優しくて面白い人!」

みなみ「頼りになる殿方だと思うわ。海藤グループの博物館研究員にほしいくらいに」

きらら「いじると面白い人♪」

トワ「わけ隔てなく、その人を見ることができる稀有なお人だと思いますわ」

 

~魔法使い組~

みらい「わくわくするお話をしてくれるお兄さん!」

リコ「頼りにはなるけど……お父様と同類の匂いがするのよね……」

ことは「優しいお兄さん!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「スイーツのアドバイスをくれる、優しい人!」

ひまり「か、かっこいいと思います」

あおい「歌には厳しいと思うなぁ」

ゆかり「そうね……見てて退屈しない人、かしら♪」

あきら「そうだね。同年代として頼りになるし、いい人だと思うよ」




菖に聞いてみた~菖にとって、オールスターズのメンバーはどんな子?~

菖「みんな個性的でいい子たちばかりだと思うよ?」
コロン「具体的には?」
菖「そうだな、つぼみ以外のピンクチームは、元気いっぱいで一生懸命な子たちばかりだし、えりか以外のブルーチームは知的だから頼りになる」
ポップ「ふむふむ」
菖「イエローチームは見てて飽きないな。主にひかりの天然さとうららとやよいのボケに突っ込むりんとあかねが、だけど。ゆりとゆかり以外の紫チームも似たような感じ、かな?」
シフォン「なるほどなぁ……ほかはどないなんや?」
菖「そうだな……えりかは推して知るべしだけど、つぼみはいい子だと思うよ、いろんな意味で。ゆかりは猫みたいだし、あきらは子犬みたいな感じだけど、一緒にいて不快じゃないな」
長老「……おや?ゆり殿についてはどうなんジャバ?」
菖「ゆりとは幼馴染だからなぁ……一緒にいるのが当たり前になってるから、今更、どう思ってるのかって聞かれても……」
ファントム「……もうちょっと、あるだろ。なにか……」


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オールスターズ(一部除く)に聞いてみた~ブルーからの恋愛禁止宣言、どう思う?~

リクエストにお応えして。
ぶっちゃけ、ブルーの恋愛禁止令をネタにいくつかフルボッコネタを書こうかなぁとか考えていた時期が私にもありました。(いや、いまもネタ帳に保管してますけど)
正直な話、私はまだまだブルーをぼこり足りません(黒笑
パラレルワールド的な何かでセイバーたちにフルボッコされるもの、書こうかな?


~MH組~

なぎさ「ぶっちゃけ、ありえないっ!!」(-△-#

ほのか「ちゃんとした理由を説明してください!!」

ひかり「そ、そんな……」Σ(゚д゚lll

 

~S☆S組~

咲「納得いかないなりーーーーーーっ!!!」(0□0#

舞「なんでなんですかっ?!」

 

~5GoGo組~

のぞみ「……(ガーン)」Σ(゚д゚lll

りん「ちょっと、あんた……ふっざけんじゃないわよ!!」( □ #

うらら「そんな……シロー()を好きになってはいけないというんですか?!」(;□;#

こまち、かれん「「……うふふふふ♪」」(^言^#

くるみ「納得いく説明を要求するわ!!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「わたしとせつなの幸せを妨害するの?!」

せつな「ちょっ?!ラブ、いきなりなにを??!!」(///□///

美希「……納得いかないわね」

祈里「な、なんでですかぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「たとえ禁断の恋だとしても、わたしはそのような脅しには屈しません!!」( □ #

えりか「はぁ?もう一回言って~?お姉さん、聞こえなかったなぁ~?」(^^#

いつき「……え?……えぇっ??!!」

ゆり「……そう、あなた、人の恋路を邪魔するというの?」(^言^#

 

~スイーツ組~

響「え?……な、なんで??」

奏「……(ガーン)」Σ(゚д゚lll

エレン「へぇ?いい度胸してるわね……」(^言^#

アコ「……」(-言-#

 

~スマイル組~

みゆき「ウルトラはっぷっぷ~!」#-3-)

あかね「なんでや!!乙女に恋愛の制限をかけるなんて、んなご無体なことありますん??!!」

やよい「え~~~~~~~~っ??!!」

なお「ちゃんと納得いく説明をしてくれるんでしょうね?」

れいか「あ、あの、理由をうかがっても?」

あゆみ「そ、そんなぁ……」

 

~ドキドキ組~

マナ「ちょっ?!な、なんでですか??!!」( □ ;

六花、亜久里「「納得いく説明を要求します/しますわ!!」」(-□-#

ありす「あらあら、うふふ♪」(^言^#

真琴「アイドルならわかるけど、なんでプリキュアも恋愛禁止なのよ!!」

 

~プリンセス組~

はるか、みなみ、きらら「「「……お覚悟は、よろしくて?」」」(^言^#

トワ「はるかとお兄様の恋路を邪魔するなんて……たとえ神でも許しません!さぁ、お覚悟を決めなさい!!」(-言-#

 

~魔法使い組~

みらい「なんで?!なんでっ??!!なんでなのよぉ??!!」

リコ「わたしとみらいはともかく、はーちゃんの恋愛まで禁止したら、許さない!!」

ことは「はー……でも、それだとみんな幸せになれないよねぇ?」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、な、な……なんですとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ???!!!」( □ lll

ひまり「す、スイーツへの愛は恋愛に入らないから、ノーカンですよね?!」

あおい「いや、ひまりそこなのかよ??!!」

ゆかり「うふふ♪どうやら、わたしととことん遊びたいみたいね♪」(^言^#

あきら「幸せな恋愛は応援して然るべきだと思うけれど?それすら禁止するというのかい??」(-言-#

シエル「フランス人ならこう言うわね……馬に蹴られて死になさい」( 言 #




~菖と先代ユグドセイバーに聞いてみた~

菖「前に話したからノーコメント……といいたいけど、もう一度、はっきり言う……ふざけてんのか?あんた」( 言 #
先代「……なるほど、こいつは確かに納得いく説明がほしいな」( 言 #
コロン「……気のせいかな?菖の額に角が生えているような……」
タルト「コロンはん、ここは触れへんのが身のためでっせ!」( □ lll
菖、先代「「プリキュアも普通の女の子となんら変わらないんだ。誰かに恋することを止めるなんて無粋な真似するんじゃねぇ!!」」


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オールスターズに聞いてみた~みんなの理想のお兄さんはどんな人?~

11月22日が「良い夫婦」の日だったら、本日11月23日は「良い兄さん」の日だ!(いや違うから。本当は「勤労感謝の日」だから
ということで、久々に「オールスターズに聞いてみた」です。
お題はそのまま、理想のお兄さんについてです。
まぁ、すでにお兄さんがいる人もいるんですが、そこは言わないお約束。


~MH組~

なぎさ「亮太のかじ取り手伝ってくれるなら、どんなお兄さんでもいいかなぁ?……あ、けど勉強とか宿題手伝ってくれたらありがたいかな~」

ほのか「わたしは……一人っ子だから、考えたことなかったけど、どんな兄さんでも大切な家族ってことに変わりはないと思うわ」

ひかり「優しいお兄さんがいいです!……え、えっと……菖さん、みたいな……」(/// ///

 

~S☆S組~

咲「う~ん……わたしは、やっぱりパン作りのアドバイスをくれるお兄さんがうれしいなり!!」

舞「わたしは……お兄ちゃんがいるけど、やっぱり、菖さんみたいなお兄さんもほしいかな」

満、薫「「考えたことなかったから、なんとも……」」

 

~5GoGo組~

のぞみ「う~ん……りんちゃんみたいに頼りになるお兄さんだったらいいんだけどなぁ」

りん「のぞみのかじ取り手伝ってくれるなら、どんな人でも……と言いたいけど、のぞみにも厳しくしてもらわないとだから、ちょっと意地悪なくらいがいいかなぁ」

くるみ「あぁ、それはわたしも同意だわ」

うらら「え~?わたしは優しいお兄さんがいいです!!」

こまち「そうねぇ……姉さんがちょっと意地悪な感じだから、優しいお兄さんのほうがバランス取れていいかもしれないわ」

かれん「わたしは考えたこと、なかったから何とも……」

 

~フレッシュ組~

ラブ「う~ん……お兄さんかぁ……考えたこと、なかったからなぁ……」

せつな「ちょっと意地悪なお兄さんも、それはそれで面白いと思うわ」

美希「う~ん……やっぱり、疲れた時とかは癒してほしいから、優しいお兄さんかなぁ……けど、ちょっと意地悪なお兄さんも捨てがたいような……」

祈里「優しいお兄さんがいいです!」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「菖さんみたいな優しくて素敵なお兄さんがいいです!!」

えりか「う~ん……お姉ちゃんがあんなだからなぁ……あたしのこと、ちゃんと見てくれるお兄ちゃんがいいなぁ……」

いつき「お兄様こそ、僕の目指す理想のお兄様だよ」

ゆり「そうね……あんまり意地悪がすぎるのはどうかと思うけれど、それもそれで魅力的だと思うわ」

 

~スイート組~

響「う~ん……やっぱり、家にいて『おかえりなさい』って言ってくれる優しいお兄さんかなぁ」

奏「奏太のかじ取り手伝ってくれる、ちょっと厳しめのお兄さんかしら?」

エレン「う~ん……わからないなぁ……」

アコ「……菖兄さんがいい……」(/// ///

 

~スマイル組~

みゆき「菖さんみたいなお兄さんがいいなぁ」

あかね「そらノリがよくてツッコミも忘れへん、察しのいい兄ちゃんが一番や!!」

やよい「一緒にヒーローショー見に行ってくれる、優しいお兄さん!!」

なお「……と、時々、甘えさせてくれる、優しい人が、いい、なぁ……」(/// ///

れいか「お兄様が一番の理想です」

あゆみ「う~ん……やっぱり、菖さんかなぁ?」

 

~ドキドキ組~

マナ「う~ん……考えたことないなぁ……」

六花「マナみたいにハチャメチャやる人じゃなければ」

ありす「そうですわね……やはり、自分の道をしっかりと見据えている方が理想かと」

真琴「……義兄さん……」

亜久里「菖お兄様ですわ!それ以外にわたくしの理想のお兄様はありえません!!」

レジーナ「菖お兄ちゃんがいいな~」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「う~ん……勉強、教えてくれる、頭のいいお兄さん?」

ひめ「一緒に遊んでくれる優しいお兄さんがいいですぞ!!」

ゆうこ「料理が上手で、いっぱい食べる人がいいかな♪」

いおな「お姉ちゃんより理想的なお兄さんなんていない!!」

まりあ「そうね……芯がしっかりした人だったらいいかな~♪」

 

~プリンセス組~

はるか「優しいお兄さん!」

みなみ「お兄様みたいな方が理想ね」

きらら「そりゃあたしやママのことを応援してくれる人っしょ!」

トワ「お兄様が一番ですわ」

 

~魔法使い組~

みらい、ことは「「菖さん/菖お兄ちゃん!!」」

リコ「す、少なくとも、お姉ちゃんとお似合いの人でないと認めないわ!!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「スイーツのアドバイスをくれる人がいいかな~」

ひまり「一緒にスイーツのことを勉強してくれる人がいいです!!」

あおい「う~ん……水島みたいなのは勘弁だなぁ」

ゆかり「からかって面白い人だったらいいわね♪」

あきら「う~ん……わからないなぁ、正直……」

シエル「Oui!スイーツに詳しくて、腕のいいお兄さんだったら、まさに完璧(パルフェ)ね」




~菖に聞いてみた~
菖「う~ん……難しいな」
つぼみ「そうなんですか?」
菖「いや、どんな兄さんだって、兄さんは兄さんだろ?」
れいか「たしかに、その通りですが」
えりか「え~、そんなのつまんないっしゅ」(-A-
あかね「なんや、つまらんなぁ」
菖「……ま、平気で人を傷つけたりするような人だったり良心の欠片もない人間じゃなければ、優しかろうが意地悪だろうが尻軽だろうが構わないよ、俺は」
ゆかり「要するに、人間的に問題がなければどんな人でもいい、ということね?」
あきら「さすが、菖くんってところかな?度量が大きいというかなんというか……」
ゆり「……さすがに、最後のは問題のような気がするのだけれど」
菖「いや、それはならないと思うぞ」
いつき「言い切れる根拠は?」
菖「だってじぃじがいるから」
全員『あ~……』


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オールスターズ(ハートキャッチ組以外)に聞いてみた~みんなの初夢はどんな夢?~

もうそろそろ、正月ネタから離れて通常運転に戻さないとなぁ……

菖「とかいいつつ、このネタ出してんじゃん……」(--;
ゆり「まぁ、これが最後でしょう、たぶん」
斗真「あははは……」



~MH組の場合~

なぎさ「ラクロスの大会に優勝して……ふ、藤P先輩と……な、なぁぁぁぁぁぁっ!!!!い、いぃぃぃぃぃ、今のは聞かなかったことにして!!」(///□///

ほのか「ゆりさんと同じ大学で講師をしている夢だったわ」

ひかり「そ、その……しょ、菖さんと……」(/// ///

 

~S☆S組の場合~

咲「か、和也さんと一緒にパンを……うあぁぁぁぁぁぁっ!!!めちゃくちゃ恥ずかしいなりぃぃぃぃぃぃぃっ!!」(///□///

舞「大空の樹の下で……し、菖さんと……その……(ゴニョゴニョ)」(/// ///

満「咲と一緒にパンを焼いてる夢だったわ」

薫「……みのりちゃんと……ふひひひ……」

咲「み、みのりになにするなりかーーーーーっ!!!」

 

~5GoGo組の場合~

のぞみ「こ、ココと……その……」(/// ///

りん「フットサル大会で優勝した夢だったよ」

うらら「女優になって、主演女優賞にノミネートされた夢でした!もちろん、シローからもおめでとうって言ってもらいましたよ!!」

こまち「わたしが書いた話が、芥川賞を受賞した夢よ。そのあと……そ、その……夏さんと……」(//////

かれん「お医者さんになって、そ、その……し、菖さんと一緒に……」(/// ///

ミルク「ココ様と結婚式のパレードをしている夢ミル!!」

 

~フレッシュ組~

ラブ「みんなとダンス大会に出場して、優勝した夢だったよ!」

美希「いつも通り、わたしが完璧に輝いている夢だったわ」

祈里「え、えっと、あ、あのその……」(///□///

せつな「ラブたちと一緒にご飯を食べてる夢だったわ」

 

~スイート組~

響「奏の作ったケーキをお腹いっぱい食べてる夢~♪」

奏「王子先輩と……えへへへへへ……」

エレン「ハミィと一緒に炬燵でぬくぬくしてる夢だったわ♪」

アコ「……そ、奏太と……その……ふ、ふかーーーーーーーっ!!」(/// ///

 

~スマイル組~

みゆき「みんな笑顔で、ウルトラハッピーな夢だった!」(^▽^

あかね「ふぇっ?!……あ、あんな、そ、その……ぶ、ブライアンと……」(/// ///

やよい「太陽マンとミラクルピースが共闘してる夢!忘れないうちに、アイデアノートに書き留めておいたよ!!」(’▽’*

なお「家族みんなでピクニックに行ってる夢だったよ」

れいか「そ、その……顔は覚えていないんですが、と、殿方と……うぅ……」(/// ///

あゆみ「フーちゃんと菖さん、それにグレルとエンエンと一緒にお散歩してる夢だったよ♪」

 

~ドキドキ組~

マナ「お母さんが着てたウェディングドレスを着て、結婚式に出てる夢!顔は覚えてないけど、すっごくキュンキュンしたのは覚えてる!!」(>▽<

六花「百人一首の大会で優勝した夢よ」

ありす「マナちゃんや六花ちゃん、真琴さんに亜久里ちゃん、それにレジーナさんと一緒にお茶会をしている夢でしたわ♪」

真琴「……あ、あの、その……」(/// ///

亜久里「スイーツ三昧の夢でしたわ……それはもう、ブラボーでしたわ~」

レジーナ「マナと一緒に遊ぶ夢~♪」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「そ、その……せ、誠司と……(ごにょごにょ)」(/// ///

ひめ「えりかと一緒にデザインしたドレスで舞踏会に出て、イケメンな王子様を射止めた夢でしたぞ~!」

ゆうこ「みんなで楽しく、ご飯を食べてる夢だったわ♪」

いおな「……お姉ちゃんがお嫁さんに行っちゃった夢……」( _ lll

まりあ「うふふ♪な・い・しょ♪」

 

~プリンセス組~

はるか「……(ボンッ)」(/// ///

みなみ「菖さんと一緒に海底遺跡の調査をしてる夢だったわ」

きらら「そりゃもちろん、トップモデルになった夢よ♪」

トワ「お兄様とはるかと一緒にバイオリンを弾いている夢でしたわ」

 

~魔法使い組~

みらい「覚えてないけど、リコとはーちゃんとモフルンと一緒にいたことは覚えてる!」

リコ「魔法学校の校長になって、ナシマホウ界と魔法界をつなげる方法を探している夢だったわ」

ことは「み~んなと一緒に笑ってる夢だったよ~!」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「お母さんとケーキを作ってる夢!」

ひまり「子供たちにスイーツの作り方をレッスンしてる夢でした」

あおい「武道館でライブやってる夢だったぜ!あやねさんともコラボしてて、最っ高のライブだったぜ!!」

ゆかり「海外留学中に菖と再会して、連れ去られる夢よ♪」

あきら「みくの病気が治って、元気に遊んでいる姿を見ている夢だったよ」

シエル「ピカリオと一緒に世界一のスイーツを作ってる夢だったわ♪」




菖とプリキュア以外の高校生組に聞いてみた

小狼「俺は……さくらと赤ん坊と一緒にいる夢だったな」(/// ///
さくら「しゃ、小狼くんともう一人、小さい子と一緒に川の字になってお昼寝してる夢だったよ」(/// ///
君尋「覚えてないんだよな、これが……ただ、なんていうか、楽しい夢じゃなかったってのは覚えてる」(--
静「四月一日と縁側で酒を飲んでる夢だったな」
ひまわり「さぁ?なんだったかしら♪」(^^♪
明「あぁ……誰かに膝枕されてる夢、だったような?」(-ω-
ももか「うふふふ♪明くんと……きゃっ♪」


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オールスターズ(Hugっと組以外)に聞いてみた〜女の子はヒーローに……〜

とりあえず、イラッとしたので書きました
後悔はないし反省もしない
あたしゃこういう考えする馬鹿が大っ嫌いなんで
(まぁ、悲しいかな、いまだ世界中に残る風習なわけですが)

ちなみに、Hugっと組は省略します


正人「ヒーローは男の子のためにある言葉だよ?女の子がヒーローになれるわけないじゃないか」

 

~MH組~

なぎさ「ぶっちゃけ!ありえない!!」

ほのか「男女差別もいいところね?」

ひかり「お、女の子だって男の子に負けません!!」

 

~S☆S組~

咲「なぎささんじゃないけど……ぶっちゃけ、ありえないなり~~~~~っ!!」

舞「女の子に守られる男の子だっているわよ!!」

満「弱い男でもヒーローなのかしら?」

薫「強い女の子でもヒーローになれないというのかしら?」

 

~5GoGo組~

のぞみ、うらら「「えぇ~?!」」

りん「へぇ?なら、女子フットサルの世界選手はヒーローじゃないっての?!」

こまち「あら?歴史上の女性偉人はヒーローじゃないのかしら?」

かれん「男女差別も甚だしいわね……」

くるみ「は?」

 

~フレッシュ組~

ラブ「えぇ~~~~っ?!女の子だってヒーローになれるよーっ!!」

美希「へぇ?あなた、完璧にわたしたちを敵に回したいのね?」

祈里「えぇ~~~っ?!」

せつな「そんなことないと思うけど……少なくとも、ウェスターとサウラー、わたしたちより弱いし……」

 

~ハートキャッチ組~

つぼみ「そんなことはありません!!」

えりか「あぁ~……もういいから、そういうの」

いつき「なんだか、悲しいことを言う人だね……」

ゆり「あら?安易にそういうことは口に出すべきではないと思うけれど?」

 

~スイート組~

響、奏「「はぁ~~~~~~っ?!」」

エレン「これがいわゆる、男女差別……音吉s(以下略」

アコ「……わたしにとって、響と奏とエレンはヒーローだもん……」

 

~スマイル組~

みゆき「ウルトラはっぷっぷ~~~~~っ!!」

あかね「はぁ?!あんさん、何言うてますのん?!」

やよい「お、女の子のヒーローがいてもいい……と、思うけどなぁ……」

なお「筋が通ってない!!」

れいか「……昨今の社会に、まだこのような発言をする方がいらっしゃったのですね……」

あゆみ「わたしにとって、プリキュアのみんなはヒーローだもん!」

 

~ドキドキ組~

マナ「そんなことは、ない!」

六花「まぁだそんなこと言ってる人がいるし……」

ありす「うふふふ……」

真琴「わたしのことをヒーローだって言ってくれてるファンの人がいるんだけど、それは……」

亜久里「まったく……呆れてものも言えませんわ」

レジーナ「何言ってんの?こいつ」

 

~ハピネスチャージ組~

めぐみ「そういうのは、ラブじゃない!!」

ひめ「女の子だって、ヒーローになれるんだよ!」

ゆうこ「あらあら」

いおな「わたしにとってのヒーローはお姉ちゃん!これは誰にも否定させない!!」

まりあ「あらあら?ずいぶん時代遅れな人ね?」

 

~プリンセス組~

はるか「そんなことないと思うけどなぁ?」

みなみ「……はぁ……」

きらら「……はっ?ばっかじゃないの?!」

トワ「そういうものなのでしょうか?」

 

~魔法使い組~

みらい「う~ん……でも、そういうのって全然ワクワクしないよ」

リコ「はぁ……くだらないわね」

ことは「うん??」

 

~ア・ラ・モード組~

いちか「な、なんですと~っ?!」

ひまり「まだそんなこと言ってる人がいるんですね」

あおい「はぁ……」

ゆかり「ほんと、つまらない人ね」

あきら「そんなことはないと思うけどなぁ」

シエル「つまらない人、くだらないわ」

 

~守護騎士の場合~

湊「くっだらねぇ、んなこと考えてる暇あったら別のことに時間使えっての」

菖「……はぁ……くだらん……まるで先土器時代の思考回路だな」




あとがき代わりのスキット

~菖の場合:Another~
「ヒーローってのは、もともと『英雄』って意味だ。なら、ジャンヌ・ダルクやナイチンゲールは英雄じゃないっての?西欧圏の歴史において、大きな転換点となり、歴史上の英雄として名高い女性(・・)たちだぞ?その二人だけじゃない。ヘレン・ケーラーにキュリー夫人(ミセス・キュリー)……日本人なら平塚らいてうや樋口一葉に和宮、もっと時代をさかのぼれば北条政子や巴御前は一部の分野じゃ英雄となっている女性だろうが……歴史上の偉人だから?彼女たちが生きていた時代じゃ、普通の人間だバカ野郎。俺たち現代の人間が勝手に偉人にしただけだろうが。だがそんな普通の女性が英雄になれて、今の時代を生きる女の子たちが英雄になれないなんて論理があると思うか?あるわけないよな、だったr……(くどくど、くどくど)……」

えりか「しょ、菖さんがマシンガンぶっぱなしてるっしゅ……」
つぼみ「な、なんだかすごく珍しいような……」
ゆり「まぁ、今回はそもそものところから来ているから、こうなったのでしょうけれども……あぁ、ちなみに、ヒーローの語源は古代ギリシャ語の『ヘーロース』。その大本はギリシャ神話の女神、ヘラだそうよ?」
いつき「ゆ、ゆりさん、詳しいですえ……」
ゆり「原因はそこの(考古学バカ)よ」
つぼみ、えりか、いつき「「「……あ、あははは……」」」


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ラヴァーズに聞いてみた~菖のどんなところが好き?~

というわけで早速、こまちが動きました♪(-▽-
なんというかもうね、こういうときの乙女の連帯感って凄いと思うんですよ
それこそ、「困るね、先生……とても!」ってくらい(B'○より)

ラヴァーズたちにインタビューってことは次回は……(察してる人は察してると思いますが)

あ、おまけはありませんのでご了承を


こまち「うふふ♪それじゃ、さっそく質問しますね」(^ω^♪

ひかり、舞、ゆり、つぼみ、いおな『お……お手柔らかに/お願いします……』(  ;

こまち「それで、みなさんは菖さんのどんなところに惹かれたのかしら?」

 

~ひかりの場合~

ひかり「え、えっと、あの……優しいところ、でしょうか。それこそ、さりげなく人を助けてくれるような」

 

舞「もしかして、ひかりさん……」

ゆり「えぇ。間違いないわね」

つぼみ「もしかしなくても、菖さんの優しさを目の当たりにしてます」

いおな「それも、本人が自覚してないものをね」

 

~舞の場合~

舞「一緒にいて安心できるところかしら」

 

ひかり「なんだかわかる気がします」

ゆり「そうかしら?」

つぼみ「はい!」

いおな「菖さんって、明義兄さんと違ってどこか柔らかい雰囲気しますし」

 

~ゆりの場合~

ゆり「そうね……もう長いこと一緒にいるからいないと安心できないのよね」

 

ひかり「……なんか、ちょっとずるい気がします」

舞「そうね……」

つぼみ「わたしはなんだかわかる気がしますが……」

いおな「それは一緒のチームの特権でしょ?つぼみ」

 

~つぼみの場合~

つぼみ「包容力、というのでしょうか?なんだか包み込まれているような優しさに安心してしまうんです」

 

ひかり「わかります!」

舞「ふふふ♪」

ゆり「菖はわたしたちの中でも包容力あるもの……ありすぎてなんでも許されそうな気がするけれどね」

いおな「さ、さすがになんでも許すことはないと思うんですが……」(  lll

 

~いおなの場合~

いおな「強いところかしら?肉体的にも精神的にも」

 

ひかり「肉体的にはどうだかわかりませんが……」

舞「精神的な強さはわかるわ♪」

ゆり「ともすればわたしだって負けてしまいそうだもの」

つぼみ「その強さゆえの包容力なんだと思います!」

 

~アンケートを終えて~

こまち「うふふ♪ありがとうございました!」

ゆり「ちなみに、参考までに聞くのだけれど」

ひかり「このインタビューって……」

舞「もしかしなくても……」

こまち「えぇ♪わたしが各脚本のネタにさせてもらいます♪」( ̄▽ ̄

つぼみ「……やっぱり……」(-ω-;

いおな「これは……菖さんの胃痛待ったなしって感じかしら?」(-ω-;

ゆり「かもしれないわね……」(-ω-;

ひかり「……わたしたちでケアしましょう!」

ゆり「それしかないわね」

つぼみ「はい!」

舞「精一杯、ケアします!!」

いおな「もちろん!!」

こまち「ふふふ♪まさに夫婦愛ですね♪」




先日、『花を護る騎士ブレイドナイト』の作者である葵つばめさんからもお知らせがありましたが、つばめさんの作品と拙作の設定、キャラクターを無許可で使用した作者さんがいらっしゃいました

すでにつばめさんからお知らせがあった通り、IDと作品はすでに削除されています
これが自主的なのかそれとも運営から抗議があったのかは知りませんが

つばめさんの作品や拙作を読んでいただき、自分も同じようなものをやってみよう、と思うのは個人的には歓迎します
そこから面白い作品を作り出す人が出てくるかもしれませんからね
ですが、使用するならばちゃんと許可は取ってほしいです


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菖にも聞いてみた~こまちの突撃インタビュー~

というわけで、今回は菖にインタビューです
これを聞いたラバーズの反応は……おまけをどうぞww


こまち「というわけで、こちらが菖さんと個別インタビューしたときの音声記録です」

ゆり「あら?私たちに聞かせてもいいの??」

つぼみ「そういうのって、情報漏洩になるんじゃ……」

こまち「いえ、ゆりさんたちなら聞かせても問題ないと言質は取ってましたので」

いおな「なんというか、抜け目ないわね……」

舞「あははは……」

ひかり「そ、それでどんなことを話してたんですか?」

こまち「ちょっと待ってくださいね……」

 

----------

~以下、こまちのボイスレコーダーの音声記録~

 

こまち「うふふふ♪菖さん、お覚悟はよろしいでしょうか?」

菖「……それ、はるかたちのセリフじゃない?」

こまち「細かいことは置いておきましょう」

菖「ははは……お手柔らかに。てか、そのレコーダー、もしかしなくても?」

こまち「うふふふ♪」

菖「……ゆりたち以外には聞かせないでくれよ?」

こまち「はい!約束します♪」

菖「言質は取ったからな?」

こまち「はい。では早速ですが……」

 

~ひかりについて~

菖「そうだなぁ……やっぱり、ゆりやつぼみとは違う意味で包み込んでくれるような安心感があるんだよな」

こまち「母たる光のクイーンだから、ですかね?」

菖「あるいは、あれがひかりの本質だからだろうな」

 

ひかり「…………」(//////

つぼみ「ひかりさん、顔が真っ赤ですよ?」

舞「うふふふ♪」

いおな「まぁ、こうなるわよね」

 

~舞について~

菖「そうだなぁ、やっぱりふとした時に見せる無邪気なところとかかな?」

こまち「咲さんの影響でしょうか?」

菖「かもしれないな。あと、あれで結構甘えたがりなんだよ。そこがかわいいって思うところかもな」

 

舞「……うぅ……」(//////

ひかり「舞さん、顔が真っ赤ですよ?」(-▽-

つぼみ「ひ、ひかりさん……笑顔が怖いです……」( □ ;

ゆり「さっきの仕返しかしらね?」

いおな「もしかしなくても、わたしたちの中で一番怒らせちゃいけないのって……」

 

~つぼみの場合~

菖「恥ずかしがり屋で人見知りなくせしてけなげに頑張るところがかわいいって感じるからかな」

こまち「随分とストレートに出てきますね」

菖「まぁ、付き合いが濃いからな」

 

つぼみ「うぅぅぅ……は、恥ずかしいです……」(//////

ゆり「ふふふ、顔はうれしいって言ってるけれどね」

ひかり「けれど、言っていることはわかる気がします」

舞「つぼみは私たちの中でも人一倍人見知りだものね」

いおな「……かわいいって言ってもらえてちょっとうらやましいかも……」

 

~ゆりの場合~

菖「え?ゆり?……ゆりは……う~ん……」

こまち「あら?どうしたんですか?」

菖「いや、一緒にいることが当たり前になってるから、あえて好きなところをあげろって言われても困るんだよな」

こまち「ということは、あえて言うなら、一緒にいるのが当たり前だから、いないと物足りない、ということでしょうか?」

菖「まぁ、そういう感じかな?」

 

ゆり「ふふふ、まったくもぅ……」

ひかり「いつだったかゆりさんも同じこと言ってましたよね?」

舞「えぇ。こういう関係、ちょっとうらやましいかも」

つぼみ「はわわわわ……これが幼馴染の余裕ですか……」

いおな「なんというか、めぐみと相楽くんとはまったく違う感じね」

 

~いおなの場合~

菖「つぼみとはまた違うけど、やっぱりけなげで頑張り屋なところかな?」

こまち「休日はいつも菖さんの道場に遊びに来るんですよね?」

菖「稽古な」

 

いおな「が、頑張り屋でけなげ……」(  ///

ひかり「いおなさん、顔が少し赤いですよ?」

いおな「そ、そんな風に褒められたこと、あんまりないから……その……」

つぼみ「いおなさんが照れてます!」

ゆり「ふふふ、珍しいものが見れたわね」

舞「ふふふ♪」




~おまけ~

~聞いた後……~
こまち「さて、記録はここまでなんですが……」
ひかり、舞、つぼみ、ゆり、いおな『………………』(//////
こまち「うふふ♪皆さん、見事に真っ赤ですね♪」
ゆり「それはまぁ、ね……」
つぼみ「菖さん、気恥しいからって何も言ってくれませんし」
舞「けど、菖さんがちゃんとわたしたちのことを好きだって思ってくれてることがわかってほっとしたかも」
いおな「そうね」
ひかり「はい!」
こまち「うふふふ♪あ、音声データはコピーを皆さんに差し上げますね」


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