ムギちゃんの幼なじみが軽音部に入部しました (孤独なバカ)
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入部!!

オレの名前は松井海斗。

今日から私立桜が丘高等学校に入学したばっかりの普通の高校生だ。この学校は去年までは女子高だったらしくほとんどが女子の生徒だ。オレがこの学校に入学したのは理由がある。それは

「かいちゃん待ってよ。」

「はぁムギ、お前相変わらずゆっくりしすぎだ」

とオレの幼なじみの琴吹紬が走ってくる。もともと両親が仲良しなのでよく遊びに行っていた。んで中学のときに進められてこの学校に入学したんだけど。

この学校本当に男子が少ない。感覚的に男子一に女子二十くらいの比率だ。男子はオレのクラスには二人しかいなかった。よく恋人に間違えられるが、オレたちはただの幼なじみであり、親友同士みたいなものだった。

「そう言えばムギはどの部活にするんだ?」

「合唱部にしようと思ってるの!どう、かいちゃんも入らない。」

「まぁ、いいけどな。歌歌うのは好きだし。」

正直に言ってオレは部活はどうでも良かった。小中と何にも部活入っていなかったので正直きっかけを作ってくれたことはうれしい。

「多分合唱部だから音楽室だよね。」

「んじゃね~のか?新歓もジャズ研と合唱部後吹奏楽部しかなかったからな。」

本当は軽音部があれば入りたかったんだけどな。ムギはピアノをやっていたけどオレはギターを少しやっていたから、ボーカルをやってみたかった。

そしてしばらく歩いていくと音楽室が見えてきた。

中に入ると二人の女の子がいた。黒髪のストレートな女の子と茶髪のショートカットに黄色いカチューシャをつけた女の子がいた。確か秋山と田井中だったはずだ。

「あのー見学したいんですけど…」

「軽音部の!?」

「いえ合唱部の…」

ちょっと待て

「おい、田井中。軽音部って言ったか?」

「確か松井だったよな?お前も見学したいのか?」

「そんなことはどうでもいい。けど軽音部なんて新歓のときなかったよな。」

「あれ、かいちゃん軽音部に興味あるの?」

「ギターはやったことあるからな。まぁバンドって言うのもやってみたかったし?」

すると田井中がオレの方を見る。

「まぁできるぞ。」

「なら軽音部に入りませんか?今部員が少なくて」

と手を握られると手はマメだらけだった。多分長い間ドラムを叩いていたのだろう。

「こら!!そんな強引な勧誘したら迷惑だろう!!」

「おい、秋山」

と秋山の手を取る。すると指の先っぽが固い。

「えっ、松井君?」

「ふーん、秋山はベースかギターで田井中はドラムってところかな?」

と手を放す。するとこっちを見る秋山

「えっ、どうしてわかったの?」

「手の先が固かったからな。田井中はドラムスティックの持ちすぎで手にマメだらけだったし、ずいぶん昔から楽器を触ってきている証拠だろ。オレはいいぜ。軽音部に入っても。」

「えっ、いいの?」

と秋山がオレの方を見る。

「まぁな。少しなら楽曲も作ってあるし、それでもいいんだったらな。」

「ありがとー!これで後一人入部すればっ」

「ってことでごめん。オレこっち入るから。」

とムギに言うけど

「なんだか楽しそうだから、キーボードくらいしかできませんけど入部させてください。」

とムギが言う。

「よっしゃー…これで部員が揃ったぞー。」

と田井中は両手をあげ喜ぶ。やるからには、本気でやりたい。そう思える部活にしたかった。

「でもさすがに4人じゃあ少なくないか?せめてリズムギターかほしいよな。」

「あぁ、確かにな。でもまずこのメンバーでどれくらいできるのか確かめるのが最初じゃあないのか?」

とわいやいしながらこれからのことを話し合う。ここからオレは一生の宝物になることは予想もできなかった。

 

そして部活動勧誘期間の終わる直前、

「えっ、もう一人入部希望者がいるのか?」

ともうなじんできた秋山からオレは聞き直す。

「そうらしいよ。入部届けが出されたんだって。」

「まじか。それならボーカルもう一人ほしいよな!オレだけだったらこのメンバーの良さがでないだろうし。」

オレたちが練習しているメロディーは女子向けのメロディーなのでできれば女子に歌ってもらいたかった。

「みんなー!!入部希望者がきたぞ!!」

「本当か」

と歓声が上がる。田井中が手を引いている相手は、茶色のセミロングに黄色い髪留めをしている女の子だった。

「ようこそ軽音部へ」

入っている。さっき手のひらを見たところ初心者だろう。

「歓迎いたしますわ~」

「ちょっと待て、お前本当に軽音部希望者なのか?」

するとみんながこっちを見る。

「何言ってるんだよ~!部室の前にいるんだぞ。」

「例えばさ間違えて入部したとかな。」

するとその女の子がびっくりしていた。

「そうです。間違えて入部したんです。」

オレは苦笑してしまう。

「えっと軽音部だから簡単な楽器を使った音楽だと思っていたんですけど。」

確かに軽音ってバンドのことだとわかってない人もいるけどな。

「も、もっと違う楽器をやるんだと思って…」

「えっ?じゃあ何ならできるの?」

「カスタネ…ハ、ハーモニカ。」

「あっハーモニカあるよ?吹いて見せ」

「ごめんなさい吹けません。」

「あっオレ吹けるけど」

「「「「ふけるのかよ」」」」

昔ムギに吹いてっていわれた時に練習したんでからな。

「でも、うちの部に入ろうと思ったってことは音楽には興味あるってことよね。」

まぁ多分そうだろうな。

「他に入りたい部活とかあるの?」

「ううん、特には…」

「それならさ私たちの演奏一度聞いてから入部するか判断しない?」

「え?演奏してくれるの?」

「もちろんいいわよっ!」

「んじゃ最初だし翼をくださいでいいか?」

とギターを準備してあるので用意してから言う。

「いいんじゃないかな?」

「んじゃいくよ。ワン、ツー ワンツー」

とメロディーを載せて歌う。最初だけあってまだメロディーもぐちゃぐちゃだ。

そしてひきおわる。するとパチパチと一人だけの歓声が聞こえてくる。

「えへへ…どうだった?」

「なんていうか…すごく言葉にしにくいんだけど…あんまりうまくないですね!!」

すごくばっさりだな。

「でも歌はとてもうまいし、楽しそうな雰囲気が伝わってきました。」

おっいい流れじゃないか

「私この部に入部します!!」

軽音部に一人メンバーが入った瞬間だった。

「ありがとう。これから一緒にがんばろう。」

「あっでも私楽器全然できないし。」

「んなもんやっていったら覚えていくよ。オレたちも教えていくし。」

「そうだね。さっきの演奏聞いてたら私でもできるかもって思えてきた。」

「それはよかった。」

田井中はイラついていたがオレは正直楽しみだった。このメンバーとバンドを組んでどこまで行けるかやってみたい。自然とそう思った。



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自己紹介!!

「おい、海斗お前部活決まったか?」

クラスで唯一話しかけてくる男子生徒。いや、クラスでオレ以外の唯一の男子の金沢一星が話しかけてくる。

「あぁ軽音部に入ることにしたよ。」

「軽音部?」

「まぁバンドって言えば分かるかな?」

「んじゃお前ドラムかギター弾けるのか?」

「まぁ、それなりにはな。一星はどうなんだよ?」

「オレは帰宅部。この学校男子少なすぎるしな。まったく運動部も女子ばかりだしな。」

あぁ確かに男子が入りずらい奴ばかりだな。バレー部なんて初めて見たしな。

「そういやー海斗今日暇か?」

「わりー今日部活。」

オレはカバンをかつぐ。

「いいよな~お前は。部活決まって。」

「お前なんかやりたいんだったら生徒会でも入ればいいんじゃないか?男子の設備とかも増えるだろうし。」

と適当なことを言ってみる。すると

「そっか。そういう考え方もあったな!」

「はい?」

「ちょっと生徒会見てくるわ!」

一星はカバンをかつぎ生徒会室がある方向に走っていった。また余計な一言だったと苦笑しながら。」

 

オレたち軽音部は5人で活躍している。

ギター志望の平沢唯。かなりの天然でドジッ子性質だ。この中で唯一の初心者だった。

「ねぇかいちゃん、なんでギターをやろうと思ったの」

平沢が言ってくる。なんか知らないけどかいちゃんかかいで呼び名は統一されたらしい。

「まぁムギに弾いてみてっていわれたからかな?」

「ふーん。そういえばムギちゃんと仲良いけど付き合ってるの?」

「付き合ってないよ。よく言われるけどな。」

苦笑してしまう。

「ただ幼なじみじゃなく親友みたいなもんだ。家族よりも一緒にいる時間は長いしな。」

そういえば

「秋山、お前なんでベースやっているんだ?」

オレは秋山の方を向く。

「だってギターは……はずかしい」

「「はずかしい!?」」

意外すぎる言葉にオレと平沢が声を合わせる。

「ギターってバンドの中心って感じで先頭立って演奏しなきゃならないし、観客の目も自然と集まるだろ?」

「あぁ、確かにな。」

基本的にボーカルもギターがやることが多いしな。

「自分がその立場になるって考えただけで」

少し考え始める秋山。すると少しずつ顔が真っ赤になり始めて

シュー

「秋山!?」

「みおちゃんっ!?」

秋山は少し繊細であった。

「みなさんお茶が入りましたよー。」

ムギの声が聞こえてくる。

「そういえばずっと疑問に思っていたんだけど、この部活ってやけに物がそろっているよね。最近の学校ってこんな感じなのかな?」

「あぁそれな。それはな」

「私の家から持ってきたのよ。」

「自前!?」

平沢が驚いていた。まぁ確かにこんな高級なものを学校に持ってくる方が驚くよな。

「りっちゃんはドラムって感じだよね。」

「んなっ私だってちゃんと始めた理由があるのよ?」

「へーどんなどんな」

と純粋に聞いてくる平沢

「それはえーっと…あれよ」

と困ったようにしている田井中。

「………かっこいいから」

「ないんじゃん。」

「だと思ったよ」

お茶を飲みながら苦笑する。

「だ、たってさー!!ギターとかベースとかキーボードとか指がちまちまするのを想像するだけで」

頭をかき始め

「キーッ…ってなんのよ。」

「まぁ楽器選びでも人の性格が出るってことだな。オレみたいにどこでもいいってやつもいるし。」

「そういえばずっと疑問だったんだけど、何でかいちゃんは皆のことを苗字で呼ぶの?」

平沢が言う。

「普通男子が女子を呼ぶ時は苗字だろ。」

「だけどムギちゃんは名前で呼んでいるじゃん。」

「幼なじみで仲良いしな。それに10数年一緒にいて名前で呼ばない方がおかしいだろ。」

幼稚園のころからムギちゃんって行っていたしな。

「でもメンバーどうしが苗字っておかしいと思うけどな。」

田井中が言う。確かにそうだけど。

「んじゃ名前で呼ぼうか?」

「それがいいわよ。」

とムギも賛成らしいのでそうさせてもらうか。

「んじゃそうさせてもらう。そういや、唯ギターってもう買ったのか?」

「ん、ギター?」

えっと、もしかして唯忘れてたのか。

「あーそっか私ギターやるんだっけ!」

「…軽音部は喫茶店じゃあないぞ。」

澪のいうとうりだった。

「ギターってどれくらいするの?値段」

「安いやつだと一万円代、でもちゃんとしたやつの方がいいだろう。うちのやつでも安くて三万だな。」

「さんまんえん!?」

と唯がびっくりしている。

「オレが弾いているやつは三十万するけどな。」

「部費で落ちませんか?」

「落ちません。」

まったくしょうがない。

「唯、オレの家ギター売ってあるけど少しくらいなら安くしてやるけど来るか?」

「え?」

「一応楽器屋なんだよ。オレの家。んで少し売れないやつとかあまり物くらいなら半額くらいならいけるけど。来るか?」

「行く!!」

即答だった。一応心配で親父に言っといて正解だった。

「そういやかいとの家ってどこなんだ?」

「商店街近くの楽器店だよ。一階と地下が店で二階が家になってる。」

「なら今度の週末皆で商店街に集合だな。」

まぁそうなるよな。でも絶対に学校のやつにはばれないようにしないとな。



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買い物!!

週末オレとムギは商店街の前まで来ていた。

「イヤーお待たせ」

「まったく律が遅いから、そういえば唯は?」

「さっきメールでもうつくって送ってきたんだけど?」

すると反対側の歩道に唯が見えた。

「あっ唯~っこっちこっち」

「あっみんな~ってうゎー」

人にぶつかる唯

「あっ危ない!」

とムギは心配そうに見守る。すると謝ってから次は散歩している犬をなで始める。

「後数メートルなのにたどり着けない」

「フリーダムなやつだなー」

と少し笑ってしまう。

「それでお金は用意できた?」

「お母さんに無理いって五万円前借りさせてもらった。」

「それなら十分足りるさ。修理とかの保証はできないから大切に使うことが条件だけど。」

「うん。でもお金っていつ必要になるかわからないよね…これからは計画的につかわなきゃ!」

と目の前に洋服屋がありワンピースが飾ってある。

「いけないんだけど。」

「こらこらこら」

「まぁいいさ。どうせ楽器は逃げないんだし。少しくらい回るか?」

その一言がきっかけで色々商店街を歩き始める。近くにショッピングモールもあるしちょうどいいか。

 

服屋、デパ地下などを回っていく。唯以外は服や気に入ったおかしなどを買っている。唯も食べ歩きや軽い物を買って楽しんでいるらしい。

「んじゃ次ゲーセン行こうぜ!」

まぁ本来の目的は完全に忘れているらしいけど。楽しそうだからいいか。

ゲーセンにつくとクレーンゲームのいくつかに目がとまる。昔弟が好きだったアニメのフィギュアだった。小さい男の子がとろうとしているがうまくいってない。

久しぶりにとってみるか。

男の子はあきらめたらしくクレーンゲームから離れようとする。オレはそこにコインをいれてレバーを動かす。そしてフィギュアの後ろ側に引っかけてそして

ガタン

と音がする。フィギュアは見事にとれた。

「ほら、そこの少年。」

オレはそのフィギュアを小学生くらいの男の子に渡す。

「え?」

「やるよ。オレいらないから。」

もともと小学生くらいを対象にしたアニメだ。高校生が持っても何も意味ないしな。

「ありがとうございます!」

と嬉しそうにフィギュアを持っていく。とったかいがあったもんだ。

少し遅れてしまったので少し小走りで追いかけるとどうやら女子もクレーンゲームをやっているようだった。唯や律はうまくとれている。ムギはもともと見るほうが好きだったのでやろうとはしてない。だけど

「あっ」

極端にヘタだったのが澪だった。多分あまりやったことがないのだろう。

「なぁ澪もう行こうぜ。」

「後一回だけだから。」

しょうがないか。

「なんか欲しいやつがあるのか?」

「うん、あのぬいぐるみなんだけど。」

指さす先には確かたまごっちのぬいぐるみがあった。あれくらいなら

「澪ちょっと貸してみろ。」

「えっ、いいけど。」

オレはコインをいれ、レバーを動かす。そして

ガタン

とぬいぐるみが落ちる。するとみんなから驚きの声があがる。

「かいちゃん上手いね!」

「ゲーセンは昔よく行ってたからな。コツがあるんだよ。ついでにこれはあげる。」

とぬいぐるみを澪に投げる。危なげなくキャッチすると

「えっいいの?」

「別にオレはいらないし、とろうと思えばとれるし。」

「ありがとう。かい!!」

と珍しく笑う澪に少しドキッとしてしまう。

よく考えてみると軽音部の中で一番かわいいと思うのはダントツで澪だ。オレの学年の男子はオレ含め8人そのうち、3人が澪のことを気になるらしい。(オレは黙秘権を使ったけど)

「どうしたのかな~かい?」

とニヤニヤとこっちを見てくる律。こいつ絶対にからかってるだろ。

「……なんでもない。ところでもうそろそろ楽器屋行かねーか?」

「あー忘れてた。」

……本当に言って良かったよ。

 

「んじゃここがオレの家の店、一応地下がギター売っているところだから見ていってくれ。」

「うわーっ!!すごーいギターがいっぱい。」

「そりゃ楽器屋だからな。ついでにドラムは一階にあるけどキーボードとベースはこの階にあるから自由に弾いていっていいぞ。」

「そういえば、私この店でベース買ったなぁー」

澪が懐かしそうに言う。まぁ中古品も売っているし初めて買う人は多いからな。

しばらく唯は一人でギターを眺めている。そして

「うーん…いろいろありすぎて、どれがいいのかわかりませーん。」

確かになオレも最初はまったくわからなかったし。

「何か選ぶ基準とかあるのかな?」

「もちろんあるけど。」

唯に言ったところで聞かないような気がするんだけど。

「ギターって音色はもちろん、重さやネックの形や太さもいろいろあるんだ。」

澪が説明を続けているけどやっぱり唯は

「あっこのギターかわいいー。」

聞いていなかった。でも唯が選んだのは、確かにいいものなんだけど。

「それ割り引いても十万はするぞ?」

「えっ?」

六割引きでしてもいいっていわれているけどなぁ。原価が十五万円のやつだから厳しいんだよ。

「原価十万くらいだったら半額くらいにしてやったけど…」

「なんとかならないのかいちゃん。」

ムギは言うけど…

「厳しいな。一応話してみるけど。」

「そっか…」

「ちょっと親父に聞いてみるわ。」

オレは一階に行く。すると親父が暇そうにしていた。

「親父、気に入ったギターが予算全然足りないんだけど。」

「あぁ部活の仲間のやつか。別に三分の一くらいにしてやれ。」

「いいのか?売上とか。」

「さっき凡矢理中から吹奏楽部の大量受注が入ったから大丈夫だ。簡単にはつぶれないぞ。」

なるほど、そういうことか。

「ならそうさせてもらう。サンキュー親父。」

「貸一な」

急いで下に戻り

「OKだって!」

「ま、マジで!?」

「何!?何かやったの?」

「ただ、大量受注が入って利益に困らなくなっただけだから。」

するとすごく喜んでいた。まぁこれでよかったんだと思う。



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ギター!!

そして数日後、パチパチと手を叩く俺たち。なぜかといわれるとやっと唯がギターを持ったのだ。

「ギターを持つとそれらしく見えるね。」

「ねぇ何か弾いてみてよ!」

すると頷いたけど多分何もやってないから

チャラリララー

「チャ◯メラ!?」

だろうな。

「唯、家でギター練習しないの?」

「家じゃほったらかしなんじゃないの?」

「そ、そんなことないよー!!」

珍しく本気で唯が否定している。

「すっごい大事にしてるんだよ?ほこりがついたらふいたり、鏡の前でポーズとってみたり、添い寝したり、写真とってみたり」

大事にしているベクトルが全然違う。

「ボーッと眺めてて1日が終わっちゃうこともしょっちゅう」

「「弾けよ」」

と俺と律は突っ込んだ。

「いやー、ギターってきらきらぴかぴかしてるからなんか触るの怖くて…」

「あーなるほどわかるなー」

「ああわかるわかる」

オレも最初はカバーを外せなかったしな。

「そういやギターのフィルムもはずしてないもんね。」

「もしかしたらなんだけど携帯がモニタのフィルムもはがしてないんじゃあ。」

「すごいなんでわかったの?」

だろうと思ったよ。

「まぁ勘かなぁ」

すると

「えーいっ!!」

「あぁーっ」

数秒間空気が凍る。そして

「……」

ぷるぷる

「な…なんちゃってー…」

すると座りいじける唯

「ご、ごめんっほんの出来心だったんだ。」

するとオレは苦笑してしまう。

「律これ。」

「えっあっほーらムギが持ってきたお菓子だぞー!!」

「そんなんで機嫌がなおるわけ」

するとお菓子を真剣に食べ始める。本当に扱いやすいからな~唯は。

「後律これオレが持ってきたきたお菓子だぞ。」

「あっそうなのか?」

「あまりものだから持ってきた。いつも余らせるほどあるからな~。」

よく売り込みの人からもらうから余るんだよな。

「そうだよね…やっぱりギターって引くものだよね…」

とお菓子を食べ終わったのか正論を言う唯。

「ただ大事にしているだけじゃギターもかわいそうだよね。ありがとうりっちゃん。私やる気でてきたよ。」

「お?…おおそ、そうか?」

一応やる気になったけどもうそろそろテストだけど大丈夫か?

「うん!唯がギター練習するきっかけになると思ったんだ!さすがわた…」

「「調子にのるな。」」

オレはチョップを頭に澪はわき腹に肘をぶつける。

「そういや澪、オレが作った歌詞見てくれないか?メロディーはiPadで保管してあるから聞いていいし。」

「そういえば、曲作ってあるんだよな。」

「一応聞いてみてくれないか?ムギたちはあんなんだし。」

律は気絶しているし、唯とムギは話してお菓子を食べている。

「いいよ。」

「ほらイヤホン。」

イヤホンを渡すと耳に付ける。

そして数分間聞き続けている。そして曲が終わったのかイヤホンが外した。

「どうだった。作曲はムギに任せていたけど。」

「すごくいいと思うよ。かっこいいし!!」

「そっかーよかったよ。」

少しほっとする。

「私も聞いてみたい!!」

「私も」

律と唯イヤホンに手を伸ばす。ムギは聞いているし任せてもよさそうだな。

「そういえばどうやって作ったの?」

「パソコンのサイトで楽譜は決めた。けど歌詞は全部考えたやつだから。」

そして楽譜を渡していく。

「すげーじゃん。かい。」

「でも、弾けるかな?」

「練習すればな。それにいつも弾いていたやつもあるからそっちはお願いしていいか?どちらかと言うと女性向けのメロディーだし。」

「それくらいならいいぜ。多分澪がやってくれるから。」

「少しは、律が考えろよ。」

とため息ながら考えていた。

「そういえば題名は?」

「Crow Song 訳したらカラスの歌だな。」

「まあいいんじゃないか?」

「うん。私もいいと思うけど。」

どうやら賛成らしい。まぁ良かった。

「んじゃ練習な。唯はコードとかわかるか?」

「ま…まずは楽譜の読み方から教えてください。」

「そこから!?」

「まあ音楽初心者は知らない方が多いと思うぞ。じゃあ」

説明していく。でもこの状況がすごく楽しかった。

ずっとバンドを組みたい。

自然とそう思えた。




AngelBestsよりcrow songを使いました。本当にいい曲なので聞いてみてください。


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テスト!!

すみません!大学入ってから忙しくて書く暇がありませんでした!


テスト期間が終わった翌日オレ達は部活に来ていた。

「うーんっやっとテスト終わったぜー!!」

「高校入ってから急に難しくなって大変だったわ?」

「そうか?あまり難しいとは感じなかったけど。」

「それはかいちゃんだけだと思うわ。」

そうか?難しいとは思わなかったけど

「それよりも、唯大丈夫か?」

唯を見ると魂がぬけたような顔をしていた。

「そ…そんなにテスト悪かったのか?」

おそるおそる澪が言う。

「クラスで一人だけ追試だそうです。」

マジかよ。

「大丈夫よ!今回は勉強の方法が悪かっただけじゃない。」

「そうそう!ちょっとがんばれば追試なんか余裕余裕!」

「勉強は全くしてなかったけど。」

「励ましの言葉返せコノヤロウ。」

「勉強せずに何やってたんだよ。」

ため息を吐く。まぁオレもノート見直しただけだけど。

「いや~しようと思ってたんだけど…なんか試験勉強中ってさ勉強以外のことに集中できたりしない?」

「あーそれはあるな」

もともと勉強しないから分からないけどそうなのか。

「勉強の息抜きにギターの練習したら抜け出せなくなって、結局勉強できなかったの。おかげでギターのコードほとんど弾けるようになったよ」

嬉しそうに言うけど

「その集中力を少しでも勉強に回せば…」

「そう言うりっちゃんとかいちゃんはどうだったの?」

「オレは全部100点だが。」

「「「えっ?」」」

「一応学年主席」

ムギは知ってるけど基本オレは一度見たものは忘れない。だからテストとかはあまり勉強しなくてもいいのだ。

「かいちゃんは頭いいのよ。私もテスト前はノート見させてもらってるし。」

「てか正直授業しっかり聞いてれば余裕だろ。あれほとんど中学の時に出てきていたからな。律はかなりギリギリじゃないのか?」

「んあたし余裕ですよ!この通り!!」

と89の文字が見える。

「「…こんなの律(りっちゃん)のキャラじゃない(よ)」」

唯と同じことを思っていた。

「なんだとどういう意味だ。」

「そういう意味だよ。」

と澪の方を見るとニヤニヤと笑っている。もしかして

「もしかして律に勉強教えてあげたのか?」

「律がテスト前日に泣きついてきたんだよ。」

あいかわらず仲いいよな~。

「それでこそりっちゃんだよ!」

「赤点取ったやつに言われたくね~」

めちゃくちゃいい顔で言うよな~。まぁオレも同じこと考えていたけど。

 

そして数日後

とりあえず練習の合間休んでいる。

「あっ今日はようかん」

と先生に呼ばれていた唯が音楽室に入ってきた。

そして一口食べてから

「追試の人は合格点とるまで部活禁止だって。」

………

「「「「えっ!!」」」」

とびっくりしてしまう。さすがに課題か何かはあると思っていたけどそこまで厳しいとは思わなかった。

「えっ!?そしたら部室にいるのもまずいんじゃ!?」

「大丈夫だよお菓子食べに来てるだけだし。」

なにが大丈夫なんだよ。それってヤバいよな。

「そっか。それなら安心だね!ってなんでやねん」

唯にヘッドロックをきれいにきめる律。すげー痛そうだな。

「というわけで澪ちゃん助けて」

「え…私?」

「うんこのメンバーだったら澪だろうな。」

頼りがいがあって面倒見もいいかなな~。このメンバーだったら澪かムギだろう。

「仕方ないな…今日は勉強会するか!」

「本当!?」

ということで

「ただいまー」

と唯の家に来ていた。

「おじゃまします。」

「みんなあがってあがって」

するとガチャっと扉が開く。するとポニーテールの女の子がいる。

「お姉ちゃんお帰り~。……あれ?お友達?」

すると頭を下げ

「はじめまして妹の憂です。姉がお世話になってます。」

できた子だなー。

そして唯の部屋に入ると

「……いやー…姉妹でこんなに違うもんかね。」

「何が?」

「妹さんに唯のいい所全部とられたんじゃないの?」

「ひどーい」

するとドアからノックの音が聞こえる。

「…あのーみなさんよかったらお茶どうぞ!」

本当にできた子だ!!

「とりあえず勉強しようぜ。澪たちも聞きたいことあったら教えてやるし」

「そうだな。」

勉強を始める。

澪とオレ、ムギは勉強を教えている。澪とムギが交代してオレに勉強を教わる。んで余ったやつが唯に教えるようにしていた。ただ律は

「あははは」

「あーもうっ!!」

楽しそうに漫画を読んでいた。その後も足が痺れている唯の足を触って邪魔をしていた。

「律!!」

と澪に頭をたたかれて追い出されていた。

そして十分後

「だめだ~やる気が続かない!」

「早!!」

「おいおい…まだ三十分も経ってないぞ。」

と机に伏せてる唯を見てため息をつく。

「ムギよろしく!」

「唯さん、ケーキ持ってきたから後で食べよう?だからもう少し頑張って!」

するとすぐに元気いっぱいになる。

「流石ムギと海」

澪は小さな声で言った。

そして数時間後

「できた!!」

「まぁよくやったんじゃね。」

「これだけ解けたら大丈夫だろ。」

「これで追試もバッチリね。」

「それじゃ私たちはそろそろ。」

まぁ居すぎだよな。

「そうだな。」

「…あれ?律は?」

完全に、忘れてたな。ケーキ食べに呼んだきりだな。あいつ何してるんだよ。

オレたちは下に下りると

「うお、負けそう!」

ピコンピコンと音が聞こえる。

「律馴染みすぎだろう!」

けっきょく律は唯の妹と遊んでいた。まぁ誰とでも馴染めるのはある一種の才能だろうけど…

 

そして追試当日

「大丈夫かな唯…」

「流石に大丈夫だと思うけどな」

がらっと扉が開く。

「「ど、どうだった!?」

「かいも心配してたのかよ」

律が言うが無視する。

「ど…どうしよう澪ちゃんとかいちゃん」

「えっまたダメだった?」

「ひゃ、100点取っちゃった…」

「「極端な子」」

すげーよ。あの状態でなんで100点とれるんだよ。

「なにしろ一安心だな。」

「そうだな。」

「そうですね!」

「みんなのおかげだよ。本当にありがとう!!」

「いやーそれほどでも」

「「お前は何もしていない」」

澪とオレが突っ込む。

「んじゃ追試祝いにカラオケでもいくか!!」

「おごってくれるの?」

「ねーよ」

……もしかして

「ギター復帰させるまで一苦労だな」

するとムギと澪は頷いた。



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合宿!!

ザバーン

潮の香りがして、太陽がまぶしい。

「あちぃ。」

今オレたちは海にいた。正直あの時から始まったんだろう。

夏休み前のある日

「合宿をします!!」

……はっ?

澪が急にそう言った。

「え?合宿!?」

「まじで!?海!?川!?」

なんでこいつらは遊びだと思うんだ。

「お前ら楽器の練習に決まってるだろ」

「そうだぞ。遊びで行くんじゃありません。バンドの強化合宿!!朝から晩までみっちりと練習するの!!」

オレと澪が注意するが

「うわー着ていく服買わなきゃ!」

「水着も買わないとな。」

聞いちゃいねーな。しかも海に行くことは確定かよ。

「唯が軽音部に入って数ヶ月たつのに未だまともにバンド練習したことないだろ。」

「それはそうと…何で急に?」

「夏休み明けたら学園祭あるだろ?」

そういえばあったな~

「学園祭……!?」

律も知らなかったのかビックリしていたが

「はいはーい!!メイド喫茶やりたーい!!」

「私お化け屋敷ーっ」

「お前ら」

ため息をつく。

「そんなこと言ってたら澪が」

「ここ軽音部!!ライブやるのー!!」

律にげんこつを落とす。うわー痛そう。でも自業自得だからカバーはしないぞ。

「まぁ根詰めすぎても仕方ないし少しなら遊んでもいいとは思っているけど、普通はバンド練習だろうけどな。」

「でも澪ならメイド衣装とか似合いそうだな。」

「なっ!?」

澪のメイド服?

……

「ふふ。」

「おいムギなんで笑ってるんだよ。」

「かいちゃん澪ちゃんのメイド服姿想像してたでしょう。」

……やっぱりバレてた。でも

「……普通にかわいいんじゃねーのか?。澪普通にかわいいし。」

「……本当?」

なぜかムギのところに抱きついている澪が言う。自然と上目づかいになっていてなんていうか。

……こいつ自覚はしてないけど、かなりかわいいな。

「かい?」

「いや、なんでもねぇ。」

「かいちゃんはね澪ちゃんに」

オレはおもいっきりムギの頭にげんこつを落とす。

「かいちゃん痛い!!」

「……これ以上言ったらもう三発いくぞ。」

「……ごめんなさい。」

素直に謝ってくるムギ。こいつはなぜか怒っている時にげんこつを落されたいらしくこれをしたら絶対に謝ってくる。

「まぁ合宿やるんなら金とかどうするんだよ。部費に余裕ないぞ。」

「うっ。」

澪が目をそらす。何も考えてなかったな。

「かいちゃんあそこ開いてないの?海近くの別荘あったよね。」

「夏休み中はほとんどイベント入れているんだよ。稼ぎどきだから。海近くのライブハウスとしてだけど。」

「じゃあ私のところ聞いてみようか?」

「あっそういえばあったな~。皆合宿するならそこだけど大丈夫か?」

すると皆がオレたちの方を見ていた。

あれなんか変なこと言ったかな?

 

そして数日後、

「うわーっすごーいっ」

「で、で、でけー」

「本当にこんなところに泊まっていいの?」

「何を驚いているんだよ。ここ普通だろうが?」

「本当はもっと広いところに泊まりたかったんだけど…一番小さいところしか借りれなかったの。ごめんなさい。」

これで一番小さいのはおかしいけどな。オレでも同じサイズくらいしか持ってねーぞ。

「んじゃオレはいつもの部屋でいいか?」

「でもかいちゃんは徹夜でギター弾くんでしょ。」

「荷物置きだよ。着替えとかさすがに女子と混ざるのはヤバいだろ。」

ってかこの状況がヤバいからな。女子と泊まることなんて

「ちょっと待って、かいは来たことあるの?」

「年に2、3回来てるぞ。防音してあるところなんてめったにないからな。」

夜中でもおもいっきり弾けるからいい練習ができるんだよな。

「まぁせっかく来たんだから遊んでこれば。その間少し楽器や機材のメンテやるから。」

「いいよ。悪いし。」

澪が遠慮しているけど、

「あいつらは遊ぶ気満々らしいぞ。」

ムギと律、そして唯はいつの間にか水着に着替えていた。

「はやっ」

「まぁいいんじゃねーの。遊んでこいよ。オレは少し寝るから。」

「かいは行かないのか?」

「まぁ夜はギター弾きたいからな。今のうちに寝とかないと。それに楽器のメンテとかもあるし。」

「かいちゃん」

笑顔でムギに肩をつかまれる。これは

「……どうしてもか?」

「うん」

「はいはい。わかった。行くから。」

幼なじみだから分かる。断ったら機嫌が悪くなる。こいつが機嫌悪くなるとムギの家の人たちがかわいそうになってくるので仕方ない。

そして最初に戻る。オレは焼きそばを食べながら皆を見守る。元々運動するのはあまり得意じゃなく見ている方が多かった。海の家で一人で見守る。

でもさすがにこの状況は気が引ける。なんでオレは女子ばっかりと海に行かないといけないのだろうか。女子たちは平気なんだろうか?気にしているオレがおかしいのか?

「……はぁ。」

ため息をつく。せめて一星がいたら話相手になりそうだけど。いや、愚痴られるか。

「ギター弾きたいな。」

そう呟いた。

 

「ふう~遊んだな~」

「練習忘れんなよ。」

「「「「あっ?」」」」

皆の顔がこおる。もしかして

「…今なら怒らないから素直に忘れていたやつ挙手」

すると全員が忘れていたらしく目をそらしながら手を挙げる。

「……はぁまぁいい先飯作っておくからシャワーだけでも浴びてこい。砂落とさないいけないしな。」

結局オレは歌詞を考えてそれを歌っていた。こういうことは好きだし、女子に混ざるのは苦手だからな。

そして飯を作る。まぁ焼き肉っぽいし野菜を切るだけの簡単なお仕事だけども。

そして飯を食べ終わり

「うわー立派なスタジオだなーっ!!」

「だろ、機材もそろっているからオレにとったらいい練習場所だからな。」

やっと楽器を触れることが嬉しい。自然とテンションが上がった。

「もう今日はやめにしようぜ。遊び疲れた。」

律が弱音を吐くけど。

「……そういえばさっき海で遊んでた時思ったんだけど律…太ってないか?」

「そういえば、最近ドラム叩いてないからな。その影響もあるんじゃね。」

すると急にドラムを叩き始める律、まぁ計画どおりか。

「うーもうギター持てない。」

「はやっ!!」

唯以外は。唯はペタンと座りこむ。

「だってこのギター重いんだもん!!」

「だから軽いやつ買えって言ったのに…」

「誰だこのギター買うって言ったの!!」

「「お前だ。」」

澪とオレが突っ込む。

……あっそうだ。

「ムギ、澪、合わせられるか?ちょっと面白いことやらせてやろうぜ。」

すると全員が肩をかしげた。

そして庭に出て、準備する。

「澪サブボーカルたのめるか?本当はドラムも頼みたかったんだけどさすがに持ってくるの面倒だからな。」

「んじゃ私は火つけたらいい?」

オレは頷く。

「んじゃ行くぞ。さてんじゃ最後の曲、Rising hopeいくぞ。」

するとムギのキーボードの音色が聞こえてくる。

リズムがいい音楽、練習もあまりしてないのになぜか合う。

ヤバい凄く楽しい。

一人で弾いている時とは桁違いに楽しい。

唯も歌詞とコードは渡してあったので歌うことはできている。途中からはギターとして入ってきた。しかもほとんど完璧に近い。こいつ何時の間に練習してたんだよ。

そしてサビに入れると同時に

バーン

背後から花火があがる。そしてそれが合図となり一気に盛り上がる。そして、一曲弾き終わると。

「あ~楽しかった。」

自然に声を出していた。

「うん!そうだね。」

唯も楽しそうだった。ってか

「お前うまいな。ほとんど完璧だったぞ。」

「うーんでもみょーんってところが分からなくて。」

みょーん?なんかあったかな

「あっそれってチョーキングのことじゃないかな?」

「あぁなるほどな。」

「チョーキング?」

唯にヘッドロックを仕掛ける律。

「「違う。」」

オレと澪が同じように言う。

「チョーキングって言うのは音を出しながら弦を引っぱるのそうすると音程があがるんだ。」

「こんな風にな。」

試しに弾いてみる。

「おぉ~っ!!」

そして唯がギターを持ち何度も弾いている。

「そうそう」

すると

「あはははは」

「え!?そんなにつぼるところ。」

唯の感覚がわからない。そう思った。

 

そして皆が寝室に向かって寝ている時、オレは一人でギターを弾いていた。せっかく来たからギリギリまで練習していきたかった。

でもかなり楽しかったな~。

オレは弾きながら考える。いろんなことがあったけど楽しかった。

そしてCrow song ,Rising hopeの順に弾いていた。

ずっとこの全員でいられたらいいな。

そう思える合宿だった。



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顧問!!

「あいたっ!!」

 ギターを弾いていた唯が呟く。

「どうした?」

「うー手の皮がむけちゃった。」

「うわぁ痛々しい。」

 律もちょっと同情している。

「まぁ、最初のうちはよくあるんだよ。だんだん指が固くなってむけないようになるけど。澪もそうだろ。」

 澪の方を向くと座りこんで、耳をふさいでいた。

「……みおちゃん?」

「見えない。聞こえない。」

「あー澪は痛い話はだめなんだよ。」

 なるほどな。だからぶるぶる震えているのか。

「……」

「とりあえず、唯は手を出せ。消毒とばんそうこうはるから。」

「うん、ありがとう。でもみおちゃん大丈夫かな?」

 ケガされたやつに心配されてる。被害はないけど律にいじられてるな。

「でも今は仕方ないぞまだ始めたばっかりだしな。自然とやっていくなかで、かたくなるさ。」

「そうなんだ。」

「律もそこまでにしとけ。」

「はーい。相変わらず澪にあまいよな。」

「そうか?気にしたことなかったけど。」

 あまり気にしなかったけどそうなのかな。

「てかいじられキャラだからだろ。かなりの不器用でもあるしな」

「でも最近部活が終わってから少し残ってるよね。なにしてるの?」

「新曲を作ってるんだよ。澪から見て欲しいって頼まれてるからな。今は唯がボーカルの曲。」

「えっ?」

「女子のほうが多いのに俺だ歌うのはおかしいだろ。それに俺が歌うには歌詞がちょっと……」

「へーどんな曲?」

 こそこそとムギが入ってくる。

「あムギじゃん」

「どうしたの?」

 すると顔を真っ赤にして「な、なんだか入りづらくて…Hな会話してるのかと。」

「ほぇ?」

「……こいつ少し百合成分入ってるから。」

 オレはため息をつく。こいつのことが好きになれないのはたぶんここからだろう。これさえなければいいのになぁ~。

「かいちゃん?なんか失礼なこと考えてない?」

「気のせいだろう。」

 そういえば澪話に入ってこないけど、どうしたんだ?

 そしてもう一度見ると

 ぶるぶる

 まだ怯えていた。

「……大丈夫か?」

「……」(ぶるぶる)

 耳をふさいでいるので聞こえないのだろう。しょうがない。澪の頭をを軽く叩く。すると澪はキョロキョロと見回し、こっちを見る。

「とりあえず落ち着け。今日は文化祭のミーティングするんだろ。早めに済ませて曲仕上げるぞ。」

「あっうん。」

「まったく、お前がいないと何もできねーからフリーズしてもらったら困るんだよ。」

 ため息をつく。

「……えっ?」

 すると顔を真っ赤に染めた澪。

「どうした?」

「えっと、どういうこと?」

「どういうことと言われてもな。正直澪がいなかったらこいつらの暴走止められないんだよ。」

 唯、律、ムギは自由すぎて一人相手ならなんとかなるけどああなったら俺でも止められない。だから澪みたいなやつがいてくれて本当に助かった。まぁ時々澪も暴走するけど。

「あぁ、なるほど。」

「ってことだよ。まぁ楽しいからっていうのが一番の理由だけどな。」

 俺は澪の肩をたたく。

「ほら、さっさと練習して終わらせるぞ。ムギそれで、学園祭のステージの使用許可とれたか?」

「ううん、軽音部はまだ正式な部じゃないからってことわられちゃった。」

「……は?」

 少しの間固まる。

「そうらしいんだよ。」

 律がうなづく。でも

「……じゃあこの音楽室にこんなに私物持ってきてよかったのか?」

「「「「………」」」」

 全員が目線をそらす。てかそういえばこの部活おかしなところが多すぎるな。

 顧問はいないし、やりたい放題な気がするんだが。まぁとりあえず

「生徒会室に行こうか。何か分かるかもしれないし。」

「まぁそれが妥当だろ。知り合いいるし聞いてみるか」

 唯一のクラスの男子もいるからな。だから少し話してみたいし。

「おや?もしかして彼女が生徒会にいるのかな?」

「ちげーよ。一星って知っているだろう。オレがよく話してる奴が生徒会に最近入ったんだよ。」

「へぇ。じゃあその人に聞けば大丈夫だね!!」

 唯が言う。まぁとりあえずそうするしかないか。

 「よかったな。澪。」

「ちょっと律」

 少し小さな声で二人が残っているけど

 

「おい、一星いるか?」

 生徒会室に入ると数人がこっちを見る。

「えっと、金沢君なら、今いないわよ。」

 メガネをかけた女の子が話しかけてくる。

「あれ和ちゃん?」

「唯?」

「知り合いなのか?」

「うん。幼なじみなの。」

「へぇー」

 唯にも生徒会の友達がいたのか?じゃあ任せたほうがいいのかな?

「和ちゃんって生徒会役員だったんだね。」

「今まで知らなかったのかよ。」

「本当に友達?」

 オレと律が突っ込む。まぁそれはともあれ

「なぁ、えっと真鍋だったよな。一星からメガネの女の子ってことは知ってる。それなら軽音部のこと知らないか?なんか部活動申請されてないらしいんだよ。できれば調べてもらえると嬉しいんだが。」

「ええ、いいけど。」

 するとすぐに書類を見ている。多分講堂の使用許可の手続きに必要だったのだろう。

「やっぱりリストにはないわね。部活動申請用紙を出していないんじゃないの。」

「……」

 すると空気が固まる。

「あ…忘れてた。」

 律が思い出したようだった。

「やっぱりお前のせいか!!」

 澪は律の頬を引っ張っている。

「なんというか……軽音部って唯にぴったりだと思うわ。」

「ほえ?」

 否定はできないな。

「そういえば律、顧問は誰なんだ?オレ知らないんだけど。」

「えっ、顧問?」

 おいこら

「忘れてたのか。」

「……ごめん。」

 軽音部の顧問探しをしないとまず部活動申請用紙書けないし。

「……探しに行こうか。」

「そうだな。じゃあ音楽の先生からあたろうか。」

 えっと確か

「山中さわ子先生だよな。正直オレ行きたくないなぁ。」

「えっどうして?」

「だってあの先生表向きは人気先生だけど、なんか裏がありそうなんだよな。なんかムギの臭いがするっていうか……」

「ほえ?」

 ムギがさっきの唯の真似をしていた。なぜか気にいったのだろう。

「んじゃ、他に案あるの?」

「……ねぇよ。」

「んじゃ決定!!」

「じゃあ唯、行こうぜ!和ありがとうな!!」

「あっうん。」

廊下に走って行く律と唯。

「……オレは戻っとくわ。」

「あっうん。」

オレは後は部室でギターを弾いとこう。

 

部室に戻ると

「……本出しっぱなしじゃねぇか。」

いつもお茶を飲むところに本が出しっぱなしになっていた。そして手をとると

「……アルバム?」

オレはページをめくると

「いつの時代のバンドだよ!!」

やけにワインドな女の人が歌っている写真があった。だけどこれ

「……山中先生じゃねぇか。」

オレはアルバムをじっくり見る。多分出してあると言うことは、律と唯も見たってことで

「……山中先生終わったな。」

ほぼ強請られることは確定だった。そしてしばらくすると、バタバタと廊下から誰かが走ってくる。

「……どこなのよ。」

その人は山中先生で焦ったようだった。

「あっやっぱりこれ山中先生だったのか。」

オレはアルバムをイスの下から出す。

「あっそれは」

「やっぱり裏があると思っていたけどこれはこれは」

ニヤニヤと山中先生の方を見る。

「うぅ。」

「まぁとりあえずこれはあいつらがくるまで持っておこう。先生お茶いりますか?」

「それよりもそれ返しなさい。」

「だが断る。」

オレは自分のカバンに入れる。これは大事にしとかないと脅す時に使えないしな。

「かいちゃん返してあげたら。」

いつの間にか軽音部のメンバーが戻ってきていた。

「それよりも律ほら。」

オレは律にアルバムを投げる。すると床に落ちると律が拾った。

「ほら、この人」

「……よく分かったな。唯。」

「てかかいも気づいていたんだな。」

「まぁな。」

すると山中先生はガクッとうなだれる。

「よく分かったわね。そうよ。私は昔軽音部にいたの。」

「い、意外でした。」

「んじゃ、ギターも弾けるんじゃねーの?」

写真にはギターを弾いている山中先生がいるしな。

「そうだ。弾いて、弾いて!!」

「いや、ちょっと。」

オレはスマホの携帯の動画撮影機能を使い録画の準備をする。そして山中先生に唯がギターを渡した瞬間

何か山中先生の目つきが変わり

「しゃーねーな。」

「「「「目つき変わった!!」

そして早弾き、タッピング、歯ギターの順に弾いている。さすが経験者、どれもすごくうまかった。

「あぁ、私のギター。」

唯は少し涙目になっていたが。

「おめーら音楽室を自由に使いすぎなんだよ!!」

「「「「ごめんなさい」」」」

見事な土下座を4人はやっていた。

「まぁ皆落ち着けって、お茶いれるから。」

「私も手伝うね。」

ムギも手際よく棚からティーカップを出す。

よかった。今日はクッキーを持ってきてたので先生の分も分けられる。

そして戻ってきたころには

ぐずぐず

山中先生は泣いていた。まぁおしとやかなキャラでとうそうとしたらしい。そしてオレは律の方を見る。するとオレと同じことを考えていたのか頷く。

「「先生」」

とニコニコオレたちは近すぎ。

「「他の皆にバラされたくなかったら顧問やってください。」」

その瞬間山中先生が軽音部の顧問になることが決まった。



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ボーカル!!

「さぁ顧問も決まったことだし後は本番に向けてがんばるだけだね。」

「といいながらあいかわらず、お茶ばかりしてるけどな。」

オレは苦笑してしまう。ムギもお茶の準備しているし、オレ以外は基本的に楽器を引く時間よりお茶を飲む時間の方が長いよな。

「本当よ。」

もはやあきらめたのか愚痴を言っている山中先生。でも

「……お菓子食べながら言っても説得力ありませんよ。」

唯達と一緒にお茶しててもなぁ…。

「そういえば学祭でやる曲は決まったの?」

この先生話そらしやがった。

「一応オリジナル曲三曲ですかね。一応オレがボーカルするやつは仕上がっているんですけど……」

「先生、私たちの演奏見てくれませんか?」

「……仕方ないわぇ」

しぶしぶとこっちを見ると急に目つきが変わり、

「なんならついでに演奏中のパーフォーマンスも教えてあげる。」

「それはいいです。」

律が断ってくれて本当によかった。

「んじゃとりあえず完成してる、Crow Songからでいいか?澪、サブよろしくな。ついでにオレのやつは全部澪がサブボーカルだから。」

「……えっ?」

澪の顔が引きつる。

「……ゴメン。サブボーカルできるの今のところ澪しかいないんだよ。今回の学園祭はせっかくだし練習している相手の方がいいし。」

「そうだね。みおちゃんとかいちゃんの歌う曲いいしみおちゃんがサブボーカルでいいんじゃないかな?」

唯のあとあしが入る。

「で、でも恥ずかしいし。」

「基本目立つのはオレだろう。この曲はボーカルなんだし。それに澪がサブボーカルやっていると一番楽しいからな。」

「えっ?」

すると顔が赤くなる澪。思いだしただけでそんなに恥ずかしいのだろうか?

「まぁ、無理矢理ってことじゃあないから。とりあえず今日はサブボーカルしてくれ。」

オレはギターを持ち律の方を見る。

律のペース配分は正直バラバラで唯はまだ弾けないところもある。

なのに、なんでこんなにいい曲になるんだろう。

ずっと弾いていて、疑問だった。一人一人はたぶんオレ以外はバンドを組んだことのない。初心者の集まりなんだろう。でもこのメンバーは他の人と組んだときよりいい曲になっていた。

そして演奏を三曲弾き終わる。

「……」

山中先生は少し考えてから

「もう全部あなたがボーカルすればいいんじゃないの?」

大盛況だった。

「あなたバンドやってたの?」

「中学まではのらで少しですね。適当に集まって元々ある曲を弾いていたので。」

「ふーん。なるほどね。だから慣れているのね。」

すると考えて

「そういえば最後の曲はボーカルやらないの?」

「やりませんよ。なんで女子ばっかりの部活なのにオレだけが歌わないといけないんですか?」

元々楽しんでもらおうと入った部活なのにオレだけが楽しんでいたら仕方ないしな。

「それに、その曲歌うにはオレには恥ずかしすぎるんで」

「かい歌っているじゃん。」

不思議そうに律が言うけど

「歌詞がちょっとオレには歌えないんだよ。」

「えっ!もしかして歌詞できたの?」

唯の言葉にオレは頷く。すると女子3人は澪の方を見る。まだ見せてなかったのか

「わー!見せて見せて!!」

「えっ…でも恥ずかしい…」

「先に謝るけどごめん。」

「……かいが謝るってどんな歌詞書いたんだよ。澪」

律が気になってきたのか澪に聞きだそうとするが澪は防いでいる。

「楽しそうね。」

「そだな。」

オレとムギはその光景をただ見ていた。この部活メンバーはいつもこうなんだけど…

「はよ見せんかい」

まぁ最近来た山中先生はイライラするよな。

「どれどれ」

笑顔で言うけれど笑顔が数秒で固まった。

それもそのはず澪が書いた歌詞はメルヘンチックでどうしてもオレが歌えるはずがなかった。

「……かいは歌詞見てたんだろ、なんで反対しなかったんだ?」

覗き見していた律が凄くかゆそうな顔をしている。

「……ちょっとな。色々あるんだよ。」

律から自然と目を逸らす。

「……わ 私としてはいい感じに書けたと思うんだけど…やっぱりダメかな~」

「うっ。」

山中先生が言いづらそうな顔をしている。

「……なるほど、そういうことか。」

「そういうことだよ。」

涙目の澪相手にダメだなんて言える訳なかった。

「ダメっていうかその…ねぇ?」

「ほら、唯からもなんか言ってよ!」

焦りながら律は唯の方を見るが

「すごくいい…」

だろうな。元々かわいらしい歌詞が好きな唯だ。昔オレの曲よりも澪が書いた歌詞の方がいいと思っていそうだな。

まぁ律も山中先生も驚いていだけど。

ムギはどうせこの2人を見て、うっとりしているだろうし。

こりゃボーカル探し大変になるかな。

俺は苦笑するしかなかった。

「それじゃあもうこの歌詞で行くか。」

結局山中先生も賛同してしまったので律も認めざるをえなかった。

「んじゃどうすんのボーカル。」

「作者の澪だろうな。」

「えっ!?」

すると顔を真っ赤にさせて

「わっ私は無理だよ。」

「なんで?」

「こんな恥ずかしい歌詞なんか歌えないよぉ!」

「「おい作者」」

さすがに俺も突っ込むしかなかった。

「澪がだめとなると…」

「唯やってみるか?」

「わっ私!?」

うれしそうにオレに言う。

「で…でも私そんなに歌うまくないし…私なんか」

「んじゃムギやるか?」

「ごめん!歌う!!歌いたいです!」

「かいも唯の扱いうまくなってきたよな。」

おかげさまでな。

「それじゃあちょっと歌ってみよう!」

「らじゃーっ!!」

するとギターを弾かずに歌い始める唯。

「唯ちょっとちょっと。ギター弾きながら歌わないと」

「あ忘れてたー」

もしかして唯

今度はギターを弾いていて歌っていない。

「今度は歌忘れてるぞ。」

「てか練習なしに普通ギター弾きながら歌えないぞ。」

「えっ?そうなの?」

ため息をつく。けっこう弾きながら歌うって言うのは難しい物であるのだ。

「うぅ、どうしよう…」

かなり絶望的だな。この状態。俺も教えられるけど流石に後10日では無理だし。

「仕方ないなぁ…」

山中先生が唯のにかけより

「先生が一週間つきっきりで特訓してあげるわ。」

「先生っ!!」

あっそうだった。一応山中先生もボーカルやったことあるんだった。

 

山中先生に預けて一週間後

「みんな!待たせたわね!!」

歌の練習しているときに急に現れた。

「さぁ唯ちゃん」

すると頷いてギターを弾き始める。

「おおーっ!!ギター上達している。」

山中先生の指導はうまかったらしく基礎も応用もきちんとできていた。

そしてAメロに入るけど

「……」

唯が部室に入って一言も話さない理由が分かった。

声が枯れていたのだった。

「いやー練習させすぎちゃった。」

「声枯れちゃった」

「だめじゃん」

「…しょうがないだろ、それよりもボーカルをどうするか決めないと」

「りっちゃんどうするの?」

「うーん、」

少し考えてから

「…やっぱり歌詞を作った澪が歌うしかないんじゃないか?」

「へ?」

「……それしかないか。」

すると

プシュー

「うおおおい!!」

「……前途多難だな。」

恥ずかしさで倒れた澪を見てため息をつくしかなかった。



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学園祭!!

学園祭当日

オレはやることもないので音楽室で寝ていた。この数日間ずっと澪にボーカルの指導を夜遅くまでやっていたのでまったく寝ていなかった。

まぁ、恥ずかしがらなかったら普通にできるんだけどな。

本番に近づくほど失敗する確率が高くなっていた。

けっこう厳しいよな。

客観的にみてため息をつく。正直なところ成功した時はかなりいい演奏で歌もうまい。

たけどな。

「おまたせ。」

「うん?」

起きると澪がいた。

「どうした?午前中は当番当たってるやつがいるから午後から練習って言ってたよな。」

「えっ練習は?」

「仕方ないだろ。全員揃わないと個人練習しかできないし。」

「じゃあかいは?」

「ここで寝てた。友達も係入ってるからな。」

男子の少ない学校だと男手が必要らしいからな。俺のクラスは演劇らしいので買い出しとかに付き合わされたくらいですんだ。

「お前は少しでも学園祭楽しんでこいよ。気分転換になるしな。」

「でも練習。」

「はぁ、澪は固すぎるんだよ。緊張してたらまたミスるぞ。」

「で、でも。」

「……はぁ。澪じゃあ唯やムギの様子見に行くか。他の人と変われるんだったら変わってもらおうぜ。」

「えっいいの?」

「練習は俺もしておきたいからな。」

さっきから山中先生の姿が見えないし様子を見ておきたいしな

「うん。じゃあ行こう!!」

「おい澪」

澪に手を引かれ外に出る。よほど練習しときたかったんだな。

ただ周囲の目線がものすごく痛いのがきつかった。

「はーい。いらっしゃい。いらっしゃい。安いよ。安いよ!」

「この声は?」

「ちょっと澪。」

相変わらず俺の話を聞いていなかった。

「ちょっと唯。」

「あれ?澪ちゃんとかいちゃん。ヤキソバ?」

「違う。唯たちが係変わってくれる人がいそうだったら変わってもらおうと思ってたんだよ。」

すると急にブツンと言う音が聞こえ電灯が消える。ブレーカーが落ちたか。

唯のクラスメイトがまたと言っている限り頻繁になってるんだろう。

「なんか大変そうだな。」

「悪い邪魔したな。ついでにヤキソバ二つ。」

「まいど。」

「ちょっとかい。」

「邪魔したからな利益に貢献しないと。」

「600円だよ。」

俺は財布から金を取り出し唯に渡す。

「後澪手を離してくれないと。」

「ねえ。秋山さんと松井くんって付き合ってるの?」

「えっ?」

遅かったな。

女子たちに俺たちは囲まれてしまう。

その後誤解を解くのに数分かかった。

 

「あっ、澪とかい。」

「ねぇ、律。本番前の練習やっておかない?」

「ごめん、今無理。ほらこんなに並んでるだからさ?」

「他の人と変われないか?」

「うーん。一応この企画の言い出しっぺだからね。最初くらいはやっとかないと。」

やっぱり無理か。

「じゃあムギはどこ?」

「ん」

律が指差した先はクラスがやっているお化け屋敷だった。

「うーうぅ」

「澪大丈夫か?」

「この中」

「うん。クラスの人ならはいってもいいよ。」

「付き人ってことで入っていいか。こいつ結構きてるから。」

「はい。50円。」

「……ほらよ。」

50円を払う。

「暗いから気をつけてね。」

「了解。」

中に入ると真っ暗闇で前は数メートルしか見えず見える範囲にはお化けの装飾がある。

「へぇー雰囲気あるじゃん。」

「かいはこういうとこ平気なの?」

「あぁ。別に平気だけど。」

ムギが怒った時に比べたら全然怖くない。

「ほら行くぞ。」

「……うん。」

すると手を掴んでくる澪。

「澪?」

「ごめん。かい。」

微かに震えているのが分かる。

「別にいいよ。怖いなら出るか?俺がもう一回入ってムギと話してくるけど。」

「ううん。大丈夫だから。」

「ならいいけど。」

早めにムギを誘わないとかなり厳しいな。

そして少し少し歩き出す。

俺が前で澪が後ろ。

絶対律はこうなること分かってたな。

澪は怖いのか体を密着させてきている。気が動転しているらしい。

不謹慎かもしれないけど凄くドキドキしてしまう。

涙目と上目遣いの組み合わせは最強だと一星が言っていたことが分かる。

「ムギいるの?」

「ここにはいないらしいな多分もうちょっと先だと思うぞ。」

「うーもうやだー」

「ほらもうちょっとで出口だと思うからもうちょっと我慢しろ。」

「キャー」

「キャー」

「おい。澪!!」

女の叫び声に驚く澪は俺に抱きつく形になっていた。

「あっ、か、かい。」

「大丈夫だよ。他の人が驚いただけだから。」

あーしょうがない。

「澪出るぞ。もう限界だろうし。」

「う、うん。」

「澪ちゃんとかいちゃん私よ。」

ムギの声が聞こえる?

「澪振り向くな。」

「かい?どうして?」

「お化け屋敷のスタッフだからお化け役なんだろ。ムギ。」

「うん。だからこっち向いてくれたら嬉しいな。」

「あの澪もうそろそろ離してくれないか。ムギの方むけない。」

「う、うん。」

すると離れる澪。

ムギの方を向くと白い衣装を着たムギがいた。

「ムギは他の人と変われないか聞きにきたんだけど無理そうだな。」

「うんお化け役だから抜けられないんだ。」

「ふーん。あとムギ、ワサビかカラシ持ってないか?」

「持ってないけど?ひつようなの?」

「ちょっと仕返ししようと思ったけど持ってないんだったらいいや。」

まぁあの時に仕返ししようか。

「んじゃ二人で練習するか。その前に」

さっきから震えている澪の方を向き、落ち着かせることが先だよなぁ。

苦笑しながら澪のに話しかけた。

 

あれから一時間後

「今の良かったな。」

「本当。」

「あぁ、今までの中で一番じゃないか?」

指摘が全くない完璧な演奏だったと思った。

「でも少し休もうぜずっと弾いてたら腹減ってきた。」

「うん。でもいいの。」

「弁当さえ残ってたらよくないか?さっき買ってきたヤキソバでも食おうぜ。」

「うーんでも。」

と何かためらっている。俺は気にせず自分の分を開ける。

冷たくなっていたがソースと青のりの風味がして美味しい。

「そういえば、かいはライブしたことあるの?」

「ないぞ。こう言う場所では。よくて駅前で弾く程度。」

「駅前ライブしてたの?」

「あぁ、最近は一人で歌ってたり。」

「ひとりで!?」

「まぁちゃんと許可とってからだけどな。」

最初の頃は全然聞いてくれなかったけど最近じゃあ固定客も増えてきている。

「でもなれたら楽しいぞ。ちゃんと他の人からの意見も聞けるしな。」

「……かいは恥ずかしくないの?人前で歌うこと。」

「恥ずかしいに決まってるだろ。」

「じゃあ。どうしてボーカルをやろうと思ったの。」

「親父がかっこよかったから。」

シンプルだよな。あいかわらずだけど。

「親父もバンドくんでいたことは言ったよな。だからギターや色々習っていたんだけど昔はあまり好きじゃなかったんだよ。他の人がスポーツやっていた中で俺は音楽。みんなはギターとか弾けることがかっこいいと言っていたけど俺は野球とかサッカーをやりたかったんだよ。」

習い事でギター弾いていたけどずっと孤独だった。

習い事は週に6日。友達は親同士がよ仲が良かったムギだけだった。

「でも、昔親父が学生だった時のバンドを見てな。それがものすごくかっこいいと思ったんだよ。」

親父がボーカルしていた曲がとてもよかった。母さんがベースを弾き、ギターとドラムが親父の知り合いが弾いていたらしい。

「だから、俺も親父みたいにかっこいいと思えるボーカルになりたいんだよ。だからそのためなら恥ずかしさでもなんでも我慢するさ。それに恥ずかしいってよりも楽しいからな。」

かなりくさかったな。少し顔が熱くなる。

「まぁ、俺は親父の影響で音楽が好きになったし、ボーカルを目指したいと思ったんだよ。」

「えっとかい照れてる。」

「照れるに決まってるだろうが!!」

まぁ少し苦笑してしまう。

「恥ずかしいから忘れてくれると嬉しいけどな。」

「なんで?かっこいいと思うけど?」

「……休憩終わり。ほら練習するぞ。」

空になったプラスチック容器をゴミ箱に投げる。

ゴミ箱に入ったのをみてからギターを持った瞬間

「またせたな!澪!!」

「かいちゃんもごめんね。」

「私も練習するよ。」

と係に当たっていたみんなが戻ってくる。

「んじゃ、合わせようぜ。澪ステージで歌う順番でいい?」

「うん。いいよ。」

「んじゃいくか。」

俺たちは全体練習を始めた。

 

「うーしまぁまぁなんじゃないか。」

「そうか?普通に良かったと思うけど。」

「うん。ばっちりだった。」

すると少し笑顔が漏れる。

「みんないるわねー。」

山中先生が部室にはいってくる。

「先生どうしたんですか?」

「うふふ。不本意ながら軽音部の顧問になったことだしなにかできることはないかと思って衣装作ってきました。」

「のりのりだ!!」

しかも数種類あるし。しかも

「あの、山中先生?なんでナース服とスク水があるんですか?」

「えーと……趣味?」

「変態だ!!」

なんで学園祭でスク水やナース服を着させる教師がいるんだよ。

「あーもう。ちょっと待って。少し合わせるから。」

とりあえず露出が多いやつやあまりにも排除していく。

すると最初に先生が見せてきたやつと数着が残る。

「これくらいかまだ文化祭で着れそうなものは。」

基本先生も分かってて持ってきたと思うけど、かなり黒主体で可愛い服だった。

「これくらいかな。着ていいのはあとは却下。」

「仕方ないわね。」

「かい。でもこれ着て歌うの?」

涙目の澪が言う。

「正直言って生地も確かだしこれくらいが普通だぞ。」

「そ、そうなのか?」

「あぁ。しかも服が黒だから曲にもあってる。結構いいセンスしてると思うぞ。」

俺のやつも黒主体の少しだけ目立つけどかっこいいやつだし

「せっかくだし着たらどうだ?せっかく作ってくれたわけだし。」

「かいがいうなら……」

澪も折れてくれたらしいので衣装を一つ持つ。

「んじゃ俺ビラ配りしてくるな。機材運ぶ時になったら呼んでくれ。」

「分かった。」

「んじゃあな。またあとでな。」

俺は昨日刷っておいた生徒会承認付きのチラシを持つ。

できることは最後までやっておこうと思った。

 

「なんで呼ばなかったんだよ。」

気がついたら2時半を回っていて急いで着替えて舞台裏に行く。

「私たちも練習していたらすっかり。」

「唯ほっぺにクリームついてるぞ。」

「えっ、うそ。今日はクッキーだったからクリームは。」

「おい唯。」

こいつら俺がチラシ配っていた時にお茶してたのかよ。

「お前ら当分の間お茶とお菓子禁止な。」

「そ、それだけは。」

「はぁ。全く本番前に合わせられないって。まぁいいけど。」

ため息をつく。

「次は軽音部によるバンド演奏です。」

アナウンスが流れる。

「よーしみんな行くぞ。」

「「「おー」」」

すると澪が小声だったので見ると震えていた。

「澪大丈夫か?」

「う、うん。」

といいながら声が震えているのが分かった。

大丈夫じゃないな。見ただけで分かった。

「澪、最初はCrow Song,Rising Hope,ふわふわ時間の順だからな。」

「うん。」

「……澪、大丈夫だよ。」

「えっ?」

「澪は努力してきたのはずっと俺が見てきたから絶対に大丈夫だ。」

「そうだよ澪ちゃん」

唯が俺の言葉に賛同する。

「そうだよ澪。」

「澪ちゃん。」

律、ムギも続く。

「大丈夫俺たちがいるから。」

すると澪が笑う。

「うん。」

「じゃあ。いくか。」

ステージが開き観客がこっちを見る。

そして最初の学園祭が始まった。

歌は俺がメインボーカルはほとんど俺になっていたので精一杯歌った。

いつもはあんなにお菓子を食べ、雑談に花咲かせてるみんなが演奏する。

そして澪がサブボーカルで盛り上げてくれる。

一曲目が終わり二曲目、そして澪がボーカルの三曲目に移る。

俺は澪の横顔が見える。

すると今まで見たことのないような笑顔で歌っていた。

そして演奏が終わる。

少しの静寂すると

パチパチ

どこからか始まった拍手は講堂中に広がる。

俺は澪の隣に向かう。

「澪。」

すると頷き声を合わせ

「「みんなありがとー」」

すると歓声が聞こえる。

少し落ち着いてから一礼する。

「んじゃあ次あるから撤収しようか。」

「そうだね。」

するとマイクのコードが澪の足元にあった。

「澪危ない。」

「えっ。キャー。」

俺は近くにいたので澪の手を引くと重心がこっちに傾き俺にのかかってくる。

なんとか倒れないですんだけど澪が俺に抱きつくような形になる。

「ッ悪い。」

「あ、ううん。私が周り見てないのが悪かったんだし。」

空気が少し気まずい。

「あの、お二人さんそこでいちゃつかれると。」

「「いちゃついてない!!」」

律に突っ込む。

「でもお似合いだよ。二人とも。」

「えっ」

「くそー羨ましいぞ。」

「ちょっと」

「いやー青春だね」

「「だから違う!!」

講堂中に俺と澪の声が響きわたった。

 

翌日

「よう、みんな、昨日はお疲れさん。」

俺は放課後少し経ってから俺が部室に入る。

「かいちゃん遅かったね?どうしたの?」

「あーうん。ちょっとな。」

少しため息をつく。

「もしかして男子から何か言われたの?」

「男子はまだマシ。あの女子に囲まれて誤解を解いた後。ちょっと色々あって。」

「告白されたとか」

するとため息をつく。

「律ビンゴ。同級生からならマシだけど上級生の告白を断るのは結構きつい。」

「かいちゃん今日何人に告白されたの?」

「7人。」

「……」

「とりあえず澪は。俺もひどかったけどあいつもかなり言われているだろう。」

「澪はあそこで再起不能になってる。」

律が指指す先にはかなり沈んでいる澪がいた。

これは再起がたいへんだなぁ。

最初の文化祭は楽しかったけど、トラウマに残る結果となった。



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クリスマス!!

オリキャラ二人投入します!


学園祭が終わりいつも通りオレがギターを引き女子がティータイムを楽しんでいる中。

「みんなークリスマス会のチラシ作ったよー!」

するとみんなが律の方を見る。

「あれ?クリスマス会ってやることになってたの?」

「聞いてないぞ。」

「私も聞いてませんでしたけど…」

「誰にも言ってないからね。」

「「言えよ。」」

澪とオレが突っ込む。ってか

「クリスマスってムギの家って空いているのか?今年はオヤジたちが使うんじゃなかったか?」

「うん。確かそのはず。1ヶ月前に予約入れてたから。」

「ということで無理だぞ。ムギの家は。」

オレもギターを置きケーキを掴む。

「かいちゃん。行儀悪いわよ。」

「別に男子は結構するぞ。こういうの。」

オレはフィルムをはがしてそのまま一口食べる。

「そんなこと言い出す。律の家はどうなんだよ。」

「あーダメダメ。律の家は汚くて足の踏み場もないから。」

「なんだとー!?」

反応しているから事実なんだろう。

「澪の部屋は服が脱ぎ散らかってるくせに。パンツとか。」

「ゴフッ」

「ちょっとかいちゃん。」

「かいちゃん大丈夫?」

おもいっきりケーキで蒸せてしまう。

オレは常用してある緑茶をペットボトルから取り出し一気に飲み干す。

「あー苦しかった。まさか地雷が近くにあるとは思わなかった。」

「じゃあ、かいちゃんの家は?」

「今年弟が受験控えているから、俺んちで友達呼んで勉強会だから無理。唯の家は?」

「別にいいよ?」

あっさりOKをもらう。

「でも、クリスマスに大人数で押しかけて大丈夫なの?」

「うん。その日は両親いないから。」

「ふーん共働きか?」

「あ、いやそういうのじゃなくて…うちの両親よく二人で旅行するんだ…クリスマスにはドイツ行くんだって。」

「あーそっちの方か。」

うちと同じようにラブラブカップルの方だな。いまだにいちゃいちゃするのを恥ずかしがらないタイプだ。

「料理の準備は任せて。」

唯が強く言うけど

「大丈夫かぁー。」

律と同じく不安でしかなかった。

「大丈夫。憂が作ってくれるから。」

「……オレが作るよ。一応受験生だろ。憂ちゃん。」

ため息をつく。

「……海って料理できるのか?」

「できるよ。両親が共働きだからな。弟と妹の分作らないといけないし。」

「へぇー。海ちゃん妹と弟がいたんだ。」

「かいちゃん料理うまいけど……それじゃ唯ちゃんの家はやめた方が。」

「いや。勉強の気休めにはなるから別にいいだろう。どうせうちの弟も勉強会と言うなの男で傷を傷つけ合うむなしいクリスマスパーティーだしな。」

「「うわぁ」」

唯たちが凄い嫌そうに見ている。

あの雰囲気は嫌いだし妹も嫌だろう。

「そうだ。ちょっと待って妹も呼んでいい?さすがに男子がエグい数来るのに女子いないのはかわいそうだし。」

「えっ。春ちゃん呼ぶの?」

ムギがびっくりしている。あっそうか。

「あいつもう推薦でここの合格きめてるんだよ。憂ちゃんと仲良くなったら好都合だから。アキもここ受験するらしいし。」

「へぇー。アキちゃんもここの学校くるんだ。私はいいよ。」

「うん。別に私もいいよ。そのかわり会費は。」

「あぁ。オレが払う。んじゃ。ほいっと。」

妹にメールを送る。すると携帯を閉じた瞬間ラインの通知音がなる。

「「「早!!」」」

「そういうやつだよ。ついてくるってさ。」

オレは携帯をしまう。

「後真鍋とか誘えば?あいつ誰かさんのおかげで迷惑かけてしまったしな。んじゃ料理はこっちで準備するよ。」

どうせアキの分用意しないといけないしな。

「他は頼む。でも憂ちゃんには気使わせたら悪いからケーキ作りくらいならやらせた方がいいだろうな。」

「なんか、かいちゃん気使いすぎじゃない?」

「使いすぎっいうか。ただ居やすくしてるっいうか。」

なんか女子ばっかりのところにオレだけ行くの気まずいし。

「でも、憂料理作るの好きだから大丈夫だよ。」

「……ならいいか。他どうする?」

「あっあれやろうよ。プレゼント交換」

「……えっ?」

ますますオレに対する包囲網できてないか?

「やろうやろう。」

「やろうやろう。」

ちょっと頭が痛くなってきた。プレゼント交換についてはハルに頼むか。

「……ムギだったら安くつくのになぁ。」

「かいちゃん?なんか言った?」

「別に。」

オレはため息をつく。

「でも楽しみだわ。クリスマス会。」

「そうだな。」

オレは笑う。最近、ムギは学校でいつもオレが見てきた自然に笑うことが増えてきた。

「よかったな。ムギ。」

「かいちゃんもね。」

 

「まったく。なんでお兄ちゃんの買い物なんか付き合わないといけないのよ。」

茶髪のポニーテールの妹がぶつぶつ言っている。今クリスマス会用のプレゼントを買うために商店街に来ていた。

「うっさい。ほんとに面倒くさい状況になったから言ってるんだよ。アキはバカだし少しアレだろ。」

「……確かにアキには任せてられないわね。」

あいつは少し変人だからな。絶対唐辛子チョコとか選びそうだし。

「まぁとりあえずお前の合格祝いでもあるんだから。」

「……まぁ今回はいいけど。お兄ちゃんに女の子の友達いたんだね。」

「……ムギにはあったことあるだろう。まぁ軽音部のメンバーばかりだし。」

「……ふーん。で女の子ばかりの部活で彼女はできたの。」

「ゴフッ」

オレは咳づいてしまう。

「ハル。そういったやつじゃねーよ。ただギター弾くのが楽しくてやってるんだよ。」

「嘘つき。お兄ちゃん最近前よりも楽しそうにギター弾いているじゃん。それに文化祭でボーカルしてたし。」

あれ?

「お前文化祭来ていたのか?」

「学校見学でね。最初は合唱部に行きたかったけど軽音部に入りたくなってきた。」

まぁあの時の学園祭は最後のがなければいい演奏だったしな。

「ねぇ、お兄ちゃんの部活ってレベル高いの?」

「うーん。レベルは多分低いほうじゃねーか。練習は本番前だけやること多いし。何より放課後に毎回お茶会するしな。」

「お兄ちゃん。それ軽音部なの?」

ただだべって帰るのが基本なんだよなぁ。

「でも、あのお兄ちゃんとベースの人とギターの人うまかったよね。ドラム走っていても自分のペースに合わせてたし。まぁ。ムギちゃんは変わりなかったけど。」

「お前、よく見てるな。まぁ一人はマイペースだからあまり気にしないのが現実だし。」

と妹と話していると基本音楽の話になる。

まぁ恋愛相談とかされても戸惑うだけだしな。兄妹なかが悪いわけじゃないしいい妹だと思う。

「まぁ、最後にお兄ちゃんがベースの人に抱きしめたことが一番驚いたけど。」

「あれは事故だ!」

一口多いのは余分だけど。

しばらく歩くと妹が行きつけの雑貨屋につく。女性向けの店じゃないがいろいろなものが売っているらしい。

店の中に入るとぬいぐるみや小道具などの女の子向けのものからマラカスやお面などのパーティーグッズまであった。

「はぁ。まぁ探してくるよ。」

「頑張ってね。私も探してくるから。」

「了解。」

オレはため息をつき少し探し始める。

とりあえず一通り探し始める。すると見知った顔が見える。

「あれ?律と澪じゃん。」

クリスマス会の買い出しか。終業式終わってから会ってないし挨拶しとこうか。

「澪、律、久しぶり。」

「あっ海、お久しぶりだな。」

「海じゃんクリスマス会の買い出しか?」

と律を見るとオバケのお面みたいなものを被っていた。

絶対澪を驚かせようとしているな。

「澪、後ろ見たらダメだぞ。」

「?どうして?」

「なんか。この後のオチが見えてるから。」

絶対抱きつかれて春に見られてからかわれるしな。オレは一歩後ろに下がる。

「お兄ちゃん。決まった?」

春が走ってくる。すると二人を見て

「あれ?確か、お兄ちゃんに抱きついた人とドラムを弾いていた人ですよね。」

「えっ?」

すぐに顔が真っ赤になる澪、

「お前どんな覚え方してんだよ。」

「違った?」

「合ってるけどさぁ。ほら澪起きろ。」

俺は澪の目の前で一回手を叩く。

「海?もしかして妹?」

「違います。お兄ちゃんの彼女です。」

「どうどうと嘘をつくな。」

春の頭にげんこつを落とす。

「痛い。お兄ちゃん何で殴ったの?

「妹の春奈だよ。ほら自己紹介。」

「ちょっと無視しないでよ。」

「うっさい。いきなり失礼な挨拶をしたあげくに嘘をつくからだろう。さっさと挨拶しろ!」

もう一発げんこつを落とす。すると、痛いと叫ぶが手加減はしているので大丈夫だろう。

「……なんか。大変そうだな。」

律がこっちを見てるがお面をして表情がまだ見えない。

「……こいつはまだマシ。弟の方がきつい。」

オレはため息をつく。

「ハル。こっちはドラム担当の田井中律。一応これでも軽音部の部長。」

「これでもって言うなー!!」

律を指指して紹介する。

「んでそっちの」

オレが澪を見るとまだ顔を真っ赤にしていた。

「……ポンコツ化しているのは秋山澪だ。」

オレは軽く秋山の頭を叩く。

「いたっ。」

「お前、最近壊れすぎだ。しかも叩いたら治るって昔のテレビかよ。」

「ごめんってキャー。」

澪がまた抱きついてくる。後ろを見るとニヤニヤしながら律と仮面を付けたハルがいた。いつの間にか仲良くなってるな。

「……お前わざとやってるんじゃないだろうな。」

「ご、ごめん。かい。」

「……はぁ。」

とりあえずオレは澪を離す。

「……とりあえず、買うもん探しに行くから。お前らハルのこと見といてくれ。」

オレはため息をつく。何でプレゼント買いにきただけでこんなに疲れるんだ?

けっきょく自分で決めるしかなさそうだった。

買い物を済ませて戻ると顔が真っ赤になった澪とそれをニヤニヤしながらいじっているハルと律の姿があった。

「おい。ハル、クリスマスプレゼントは買ったのか?」

「うん。大丈夫。買ってあるから。」

すると袋をオレに見せてくる。

「なら、俺たち帰るわ。後これやる。」

オレはさっき店でもらった福引き券とポケットの中に入れていた秋山にはミルク味のチロルチョコ律には一見イチゴ味のチロルチョコを渡す。

「じゃあな。またクリスマス会で。」

「じゃあね。」

オレたちは少し歩いてから

「……もしかしてお兄ちゃん怒ってる?」

「なんのことだ?」

ハルは気づいたようだったがなるべくポーカーフェイスで答える。

怒るに決まってるだろう。すると数秒後律の叫び声が聞こえてきたが天罰が当たったのだろう。

 

「あーまだひりひりする。」

「私も……」

「自業自得だ。」

さすがアキ特製の唐辛子チョコ。あれから日にちが経っていても効果はあった。

「かいちゃん。あれやったのね。」

「まぁ、律の奴はまだ唐辛子しか入っていないから大丈夫だろう。オレでもなんとか食えるから。」

「チョコを食べたら騒ぎ出すから心配したよ。」

澪には伝えればよかったかな。

しばらく雑談していると唯の家が見えてくる。

「そういえば山中先生呼んだっけ?」

「彼氏居るって前言ってたから誘ってないけど……」

「彼氏と別れたってオレ前聞いたけど……」

すると春以外の笑顔が凍る。

「それ本当?」

「ほんと。」

すると全員の顔を見合わせる。

……まずいな。

「後から適当にごまかそう。」

「「「賛成。」」」

全員の意見が一致した。

それで何もなかったように唯の家に急ぐ。

唯の家につきインターフォンを律が押しドアが開く。

「「「「おじゃまします。」」」」

「はい、どうぞ。」

憂ちゃんが出迎えてくれる。

「ヤッホー唯来たぞ。」

「おーい。みんな上がって!!」

二階から唯が顔を出す。その前に

「憂ちゃん。家に余ってたものだけど。勉強の合間にどうぞ。」

オレはクッキーを出す。一応ちゃんとしたところのだから

「あっ。ありがとうございます。」

「ついでに唯の分はちゃんとあるから。それは憂ちゃんが食べなよ。」

オレはもう一つのクッキーをテーブルに置く。

「かいちゃん。早く。」

「悪い。すぐ行くから。後憂ちゃん身体は気をつけろよ。勉強も家事もやりすぎないようにな。」

オレは階段を登る。

そして入ると

「うわぁーすげー豪華。」

料理が豪勢に置かれていた。

「すごいね。お兄ちゃんのよりもおいしそう。」

「はいはい。どうせオレの料理は美味しくないですよ。明日からは自分で作ってな。」

「ごめん。謝るから作ってください。」

「はいはい。」

「……なんか。唯と憂ちゃんも仲いいけど、かいとハルも仲いいよな。」

律がオレたちの方を見て話す。

「別に兄妹仲が悪くないし。てか兄妹と言うよりも友達に似てるってか。」

「そうだね。喧嘩することは多いけどお兄ちゃんとは仲いいよ。」

「……こいつとアキは仲悪いけどな。」

オレはアキとも仲はいい。仲いいけどただ感覚がまったく違うのだ。

「まぁとりあえず真鍋は?」

「和ちゃんさ遅れるって。じゃあ始めよう!!」

唯がドリンクを持つ。するといつの間にか山中先生が目の前に座っていた。

「……いつからいた?」

「さぁ?」

ハルに聞くがまったく分からない様子だった。忍者かよこの先生。

「メリークリスマス!!」

「「「「メリークリスマス!!」」」」

オレとハルがポカンとしている中クリスマス会が始まる

「いやー今年も終わっちゃうねー。」

「あっという間だったな。」

「やーねぇ。親父くさい。」

とチキンを食べる山中先生。

「ってさわちゃん。」

「これ、おいしいわ。おかわりもらえる。」

「あんたは忍者かなにかか。」

オレは軽く突っ込む。

「失礼ね。私のことをなんだと思ってるの。全く、顧問を呼ばないってどういうこと?」

「あっ。うん」

「いやー。忘れてたわけじゃないんですけど。」

オレたちが気まずそうにしていると。

「先生は彼氏と予定があると思って呼びませんでした。」

全員が固まる。

「そんなこと言うのはこの口かぁぁぁー!!」

唯の頬を引っ張る山中先生。

「天然はすごい。」

「しかも全然悪気はないってところがまた凄い」

「「うん」」

そして

「罰として唯ちゃんはこれに着替えなさい。」

山中先生はクリスマスコスチュームをとり出した。

「何でそんなの持ってるんですか?」

「あーオレトイレ行ってくる。」

「あっトイレなら…」

「……知ってるから大丈夫だよ。」

オレは廊下に座り込む。今頃中ではコスプレ会みたいなものが開かれているだろう。

多分ハルも巻き込まれてるけど。まぁ気にしないでおこう。

まぁ最後は多分澪だけど。

オレはポケットの中のミルクチョコをとり出す。

口の中に入れるとちょっと今じゃ甘すぎる感覚が残る。

やっぱり気使うな。

女子とクリスマス会(ムギの除く)するのはこれが初めてだからなぁ。さすがに緊張するって言うか。

「ひぃーー」

扉を開けと澪が飛び出してくる。

「澪、大丈夫か?」

「……あれ?かいなんでこんなところに」

「待ちなさい!」

「いいかげんにしろ。山中。」

「す、すいませんでした。」

オレは堀込先生の声真似をすると一気に正気を取り戻し戻っていく。

「えっ?」

「似てただろ。堀込先生に。山中先生の元担任だから聞くんだよなぁ~」

堀込先生から暴走した山中先生を止められるように言われている。そのときは呼び捨てにしてもいいとも。

「さて戻ろうぜ。」

「ありがと。かい!」

オレが部屋に戻る。

するとインターフォンがなる。真鍋が来たし少しはカオスじゃなくなるだろ。

 

「さて、和もきたしプレゼント交換でもするかぁ。」

「オー!!」

全員が集まったのでプレゼントを取り出す。

「あっでも先生は?」

真鍋が聞く。そういえば山中先生は知らなかったよな。

「私も持ってきてるわよ。……本当は今日彼氏に渡すつもりだったんだけど。」

重たい。

「それじゃ、始めるわよ。」

「ヤケクソになってませんか?先生。まぁいいですけど。」

携帯をそうさして赤鼻のトナカイを流す。

「曲が終わるまで回して止まった人のものだな。」

とりあえず一端全員の集めて適当に回し始める。

そして数分後曲が終わる。

「はいおわりっと。」

「あっ。これ私が買った奴だ。」

「じゃあ。交換交換」

正方形の箱を山中先生と長い長方形の箱を交換する。

律の正方形の箱。それって

「ねぇ、お兄ちゃん。律さんのプレゼントってアレだよね?」

「多分な。」

すると山中先生がプレゼントを開けた瞬間

中身の丸いものが飛び出して山中先生のおでこに当たる。

「「くっ。」」

オレとハルは笑いをこらえる。

「あはははは最高のクリスマスだわーっ!!」

「先生が壊れた!!」

「発狂したな。」

結局先生をなだめるまで数分使った。

オレがプレゼントの封をきると

「……なにこれ?ホラー映画?」

「はいはい。それはわたしのね。」

「うーん…なんか反応に困るな。これ。個人的に映画は見る方だから嬉しいけど。」

クリスマスではもらうものじゃないな。

「まさかこれを彼氏に上げようとしたんですか?」

唯の天然発言part2

「えぇそうよ。悪かったわねぇ。」

「天然って怖いね。えっと私のは。」

ハルの長方形の箱からは焼き海苔が出てくる。

「あっ、それわたし。」

「和ちゃんお歳暮じゃないんだから。」

「なんか唯の突っ込みって新鮮だな。ムギは?」

ムギが開けるとマラカスが入っていた。

「あっそれわたしが買った奴。」

どうやら澪が買ったものらしく普通に当たりのようだった。

「じゃあ私って。」

律が開けるとすごくかわいらしいカチューシャが入っていた。

「あっ、それわたしです。」

ハルが手をあげる。

「わーかわいい!!」

「へー律よかったじゃん。」

「うん。ありがとーハルちゃん。」

そして真鍋が開くと

「わーおいしそう。」

「ムギだな。お菓子持ってきたのか?」

「うん。」

まぁはずれようがないな。

「じゃあわたしはえっと。」

「あっそれオレ。写真立て。」

スイートピーの絵が描かれている写真立て

「女子が使う小物系が分からなかったけど。」

「大丈夫だよ。ありがとう。かい。」

それを鞄に入れる。最後は

「後プレゼント開けてないのは唯ちゃんと憂ちゃんだけよね。」

「まぁ姉妹同士で交換しあうことになるけどな。」

残っているのも唯と憂ちゃんだけだ。

そしてプレゼントを開くと唯は手袋、憂はマフラーが入っていた。

「憂、前にマフラーなくしたっていってたから。」

「お姉ちゃん、前に手袋片方なくしたっていってたから。」

なるほど、お互いにあげたいものをプレゼント交換に出したのか。

「お互いのプレゼントが当たってなかったらどうするつもりだったんだ?」

「まぁ、結果よければ全てよしって感じじゃねーか?」

でもオレたち兄妹よりも仲がいいのはちょっとうらやましいな。

そうしてその後も一発芸やボードゲームで盛り上がり、高校初めてのクリスマスは思い出に残るものとなった。



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お正月!!

「相変わらず寒い日が続くな。」

「うん。寒いわね。」

オレとムギは寒がりながら朝の道を歩く。

今日は軽音部で初詣に行くことになっており、クリスマス以来に会う。

「でもムギが私服で来るってけっこう久しぶりだよな。いつも袴着てくるのに。」

オレとムギは初詣来るのは、1日以来二回目である。まぁハルとアキもムギのこと好きだからなぁ。ムギもハルとアキのことが友達として好きらしいけど。

「着て来ようとは思ったんだけど、三が日はずっと晴れ着着てたから。」

「オレの家に遊びにこればよかったじゃん。私服でいられるし挨拶周りとか面倒くさいこととか抜け出して。」

「さすがに昔はそうだったけど挨拶周りくらいはちゃんとやらないと。」

「お前は真面目だな。」

オレなんか面倒くさくて隣街のイ○ンまでアキとハルを連れてゲーセンで遊んでいたのにな。

「かいちゃんはやさしいからハルちゃんたちに付き合っていたんじゃかいの?」

「なんで分かるんだよ。」

実際にはアキが面白くないからどこか連れて行ってと言うのが原因だった。

「だって、一番近くで見てきたんだもの。かいちゃんのことならなんでも分かるわ。」

「お前な。」

オレはため息をつく。

こいつはこんな恥ずかしい台詞を簡単に言える。

自分自身に素直なやつは見たことがない。

「やっぱりお前はすげーよ。」

恋愛対象として好きになれないし、性格も真逆。

だけどムギのことはオレも多分ムギも分かり合っていて、一番近く、そして尊敬しあっている。

「ありがとうね。かいちゃん。」

「お互い様だろ。」

後はムギの愚痴にずっと付き合う。こういうのも幼なじみの特権だろう。

家族でも、友達にも、部活動仲間にも明かさない面。こういうのも悪くない。いつかこいつに彼氏ができるまではずっとすぐ愚痴や相談を聞いていこうか。

 

そして待ち合わせ場所の駅に行く。

「「「「「あけましておめでとう!」」」」」

軽音部が全員が集まることもかなり久しぶりだった。だけど

「澪、気合いが入っているな。」

「うるさい!」

そう澪だけが袴を着ていた。

「んでなんで着てきたんだ?」

「律が明日晴れ着着ていくの?って聞くから、皆着ていくのかなって。」

「私は着てくんの?って聞いただけだぜ。」

「なぁにぃ。」

澪は怒っているけど、

「別に気にしなくていいんじゃね。似合ってるし。」

「……えっ?」

「てかいつもならムギも着てくるから普通だろ。オレの感覚がこいつのせいでずれているのかは知らないけど。別に似合っているから今日はそのままでいいんじゃないか?」

「……うん。ありがと。かい。」

「別に。ほら行こうぜ。なんか後ろでニヤニヤしてる3人が面倒くさいし。」

後ろから目線が痛い。

ってか周辺からの目線がオレに集まっていた。

でも正直事実だった。

恥ずかしがるが澪は華やかな服はかなり似合っていると思う。特に、袴や去年の文化祭の服はかなり似合っている。男子からはかわいいし女子からはかっこいいお姉さん的存在なのに。

「でもムギは絶対晴れ着着てくると思ったのに…」

「……聞かないでやってくれ、あいつも大変なんだよ。」

挨拶周りとかな。

「……でも唯は1日中ゴロゴロしてそうだなぁ。」

「あー、一日中コタツの中とかな!」

「まぁ、さすがにそれはないだろうけど。」

オレと澪と律が笑いあっていると

「えっ?なんで分かったの?」

「「「本当なのかよ!!!」」」

羨ましすぎるだろ。

「てか絶対憂ちゃんが全部やってくれるからだろう。」

「そうだよ。」

「……さすがに甘やかしすぎるだろ。」

オレはため息をつく。

「憂ちゃんいなかったら唯は生きていられないかもな。」

「うん!」

「そこは堂々と言うなよ。」

憂ちゃんも大変だよなぁ。

「でも唯この正月で太ったんじゃないか?」

「なんで?」

不思議そうにしているけど体重の話を男子がいる前でしないで欲しいんだけど。

「なんでって…そんなに食っちゃ寝してたら。」

「あぁ、私いくら食べても体重増えないんだ~」

「「そんなわけないだろ!!」」

「ムギちゃんまで。」

「パーティーが多いからだろ。旨いもん食っているしそりゃ増えるだろ。」

オレはため息をつく。

「かいちゃんはどうなの?」

「オレは家事やってからハルとアキの買い物とかに付き合っていたから普段通りかな?」

「へぇー。私も弟がいるからそんなもんだな。」

律も弟がいるらしく弟の世話をしていたらしい。

「まぁ、とりあえず唯。」

オレはムギと澪を指さす。

「あいつらに謝っておけ。」

澪とムギは太ったことでいじけていた。

オレはため息をつく。

てかなんで女子って体重のこと気にするのかふしぎだよな。

 

神社につくと少し時間が開いたためか人通りが少なく、辺りは閑散としていた。

そして雑談しながら歩いて行く。

すると

「あれさわちゃんじゃね?」

するとそこには本堂でお祈りしている山中先生がいた。

「本当だ。」

するとその後一分ほどお祈りしていた。

お祈りなげぇ

その後山中先生はおみくじ何回も引き直していた。

あの人必死だな。

オレたちはその後本殿でお祈りをする。

アキの受験が無事成功しますようにそして

今年も軽音部のみんなと一緒にいられますように



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バレンタイン!!

「かいちゃんこれ。」

いつも通りムギと登校していると小さな袋を渡される。

「ん?なに?」

「今日ってバレンタインでしょ。だからいつものお礼にって。」

そういや、今日はバレンタインか。

「ありがとさん。でも軽音部のみんなでお金だしあってチョコ買えばよかったんじゃねーのか?」

「それじゃあお礼にならないでしょ。」

「なんか律儀だよなぁ。お前。」

俺は欠伸をする。

「まぁありがたくもらっとく。」

「うん。でも軽音部のみんなで買ったものもあるんだよ。」

「あーでも律にそのこと黙ってて言われなかったのか?」

「……あっ!」

「アホ。」

律哀れだよな。まぁ先週澪ちゃんたちと遊びにいくって言っていたからわかりきってたけど。

それからはいつも通りいつもの愚痴を聞きながら学校へ向かった。

これから予想外なことが起こるとはしらずに。

 

「これ、受け取ってください。」

「あ、うん。ありがと。」

キャーと叫びながら走り去っていく花井さん。

「お前今日何個目だよ。」

「さぁな。」

と一星にチョコを包みから開けて食べる。さすがに食べないのは失礼だから今のうち食べるのがいいだろう。

それに何個もらってようが、好きな人からもらえなかったら意味ないのだ。

「お前もそこそこもらってるじゃねーか。」

見ると一星のカバンにはチョコらしきラッピングされたものがあった。

「まぁな。でも俺彼女いるから。」

「……は?え、嘘。」

「ほんとだよ。夏実ちゃんと先週から。」

すると照れていた。こいつやることはやってやがった。

「うっわ。うざ。」

「ひどくないか?なら海斗も彼女作ればいいじゃん。」

「はぁ、そんな簡単に作れるわけないだろ。」

「たとえば琴吹は?いつも一緒にいるだろう。」

「ムギはねぇよ。ただの幼馴染だ。」

「じゃあ秋山は?」

言葉に詰まる。しかし

「おれじゃあ釣り合わないだろうあいつは。」

今や男子からも女子からも人気者になっているのを理由に逃げる。いつもなら追求してこなかったのだが

「そうか?秋山と海斗はけっこうお似合いだと思うんだけど。」

今日は逃げきれなかった。

「そうか?」

「てか海斗は気がついてないのか?」

「言わないといけないか?」

「あぁ。フェアじゃないだろう。」

なにがフェアじゃないのかわからないが

「気づかないわけねぇだろう。あんな露骨な態度を取られたら。」

そう気づいているんだ。気づいているからこそ逃げた。

「だろうな。俺が気づいてて海斗が気づかないはずないもんな。」

「おれは鈍感系でも難聴系でもないからな。知ってるよ。でもファンクラブっていうのがなぁ。」

「あぁなるほどそれに軽音部のこともあるだろしな。」

本題を言わなくてもたぶん通じているだろう。一星は俺の方を見て

「じゃあ海斗はそのままの関係で居られると思うか?」

思った以上に踏み込んできたのでくる。

「それは」

言おうとしたが何も言えなかった。言葉では言い表せない何かもやもやする気持ち。苦しくて辛くて泣きそうになる。

「冗談だよ。でも秋山さんも人気だから優柔不断だと新入生や他の男子に取られる可能性があるんだぞ。」

「……」

本当のことを言われて少し気落ちしてしまう。

「……俺は勇気を出したぞ。」

「わかってるよ。」

俺はチョコの袋をカバンに入れる。

ほんと嫌なタイミングで聞いてくる。

気持ちから逃げようとしていた。変わりたくない場所だった。

唯がボケて、律がそれに突っ込み、澪が笑い、ムギがお茶を淹れる。

俺はいつのまにか居心地がよかったのだ。

でも向き合わないといけない時が絶対くる。

だからこいつはうざいけれど

「ありがとな。」

俺は立ち上がり自販機へ向かう。

せっかくきっかけをえたんだ。しっかり考えよう。

 

「はぁ。」

考えた結果全く授業に集中できなかった。ノートを書く教科がなかったもののそのかわり先生からの呼び出しを受けた。

「失礼します。」

「あら、松井くんこっち。」

山中先生が俺を呼び寄せる。六時間目の授業は音楽で悩んで居たのでまったく上の空だったため先生の話を聞いてなくて呼び出しをくらってしまったのだ。

俺が山中先生の方へ向かうと椅子に座るように促される。それに失礼しますと椅子に座る。

「……どうしたの?松井くんが悩み事なんて珍しいけど。」

なるほど、お見通しだったわけか。

一瞬大丈夫かと考えたが相談できそうな人がいない中で先生に相談するのは一般的だろう。

「まぁ。少し」

「もしかしてみおちゃんのこと?」

図星だったので先生の方を見てしまう。

「……俺そんなにわかりやすいですか?」

「えぇ。もしかして告白されたの?」

「違いますよ。……ちょっといいですか。すこし長くなりますけど。」

「別に遠慮することはないわよ。」

「なら実は。」

と昼休憩にあったことを説明する。

「ってことがあって。」

「へぇ。まずひとつ確認していい?」

「なんですか?」

「松井くんはみおちゃんが好きなの?」

「たぶんですけど。」

「たぶん?」

「……俺こういうこと初めてなんで。わからないんです。」

俺は少し下を向く。

「文化祭の練習の時に澪と俺だけ部活終了時間ギリギリまで残っていたんじゃないですか。」

「えぇ。たしか唯ちゃんが喉潰しちゃったからね。」

「本音をいうと絶対無理だと思っていたんですよ。本番に近づくたびにひどくなっていくので。でも本番になると本当に急に良くなってすごくかっこよくてなんていえばいいのか分かんないですけど。」

おれは頭を搔く。

「でもいつのまにか目で追ってしまって。話しているのが楽しいのに胸が痛くて。症状をインターネットで調べたら恋って出てきて。なんか怖くなったんですよ。」

「軽音部のこと?」

「はい。今までの関係が全部崩れてしまうんじゃないかって。」

「だから気づかないふりをしていたと。」

すると山中先生が少し羨ましそうに見る。そして

「本当にそう?」

「えっ?」

「本当に君はそう思ってるの?」

 

どういうことだ。

さっき山中先生に聞かれたことを考える。

あのあと山中先生は青春はいいわねといい。あとは自分で考えなさいといわれた。

わからない。

こんなことは初めてだった。

「……部活行くか。」

俺はカバンとギターを持ち部室へ向かう。

正直部活にあまり行きたくなかった。

今澪にあったらどんな顔すればいいのかわからない。

「はぁ。」

重い足取りで部室に向かう。

しかし嫌な時間は早く訪れいつのまにか部室前についていた。

俺は一回深呼吸をして落ち着かせる

早く部活動を終わらせて帰りたかった。

そして意をけっして俺はドアを開ける。

するといつもの通りお茶会している澪達がいた。

「よう。」

「あれ?かいちゃん遅かったわね。」

とお茶を入れ始めるムギがいた。

「ちょっと授業中に考え事してて山中先生に捕まってた。」

「ふーん。もしかして好きな人でも考えていたのか。」

「そんなわけないだろ。」

と律の頭を軽く叩く。

うん大丈夫だ。隠せるだろう。そしてムギがいれた紅茶を飲む。

「へー。てっきりみおちゃんのことを考えているのかと思ってた。」

「ゴフッ。ってあちぃ」

「「「かい(ちゃん)!?」」」

動揺で咳き込んでしまい、さらに紅茶を手にこぼしてしまう。さらにパリンとティーカップが割れガラス片が飛び散る。

「わ、わりい。」

「大丈夫?」

「珍しいわ。かいちゃんがそんなに動揺するなんて。はいハンカチ。」

「わりぃ。これいくらだった。」

「別にいいわよ。でも大丈夫?」

「あぁ。少し驚いただけだから。」

「かいちゃんごめん。」

「べつに大丈夫。」

ちょっとヒリヒリするけど別にどういったことではない。

「かい本当に大丈夫か?」

「あぁ。大丈夫。ちょっとほうき取ってくる。」

「それよりもかいちゃんは手を冷やしてきて。火傷痕残るから。」

「あぁ。」

俺はお言葉に甘え水道に向かう。水を出してを冷やす。そこまでひどくないのでしばらくしたら大丈夫だろう。

「……ここまで俺ダメなのかよ。」

恋愛関係はもともとダメだと思っていたけどここまでダメだとは思わなかった。

「……帰ろ。このままだったら多分もっとひどくなるだろうし。」

少しの間顔見れないだろうしちょうどいいか。

「かい?大丈夫?」

「……」

タイミング悪すぎだろ。澪が来る。

「大丈夫だよ。軽い火傷だから。」

「そっか。よかった。」

と笑う澪に少し目を逸らす。

「かい?」

「どうした?」

「私なんかしたかな?」

「えっ?」

「さっきから避けられているから。」

あ〜なるほどな。

「なんにもしてねぇよ。ちょっと一星にいわれたことをひきづっているだけだから。」

「何言われたの?」

「まぁ、いろいろと。恋バナとか。」

水道の水を止めて歩き出す。すると澪がびっくりしていた。

「どうした?」

「男子って恋バナするの?」

「あ〜けっこうするぞ。今日はほとんどのろけ話を聞かされただけだけどな。」

「へぇ〜。じゃあかいも好きな人の話するの?」

「するけど?」

「えっ?」

意外そうにしている澪。

「おかしいか?俺だって好きな人はいるぞ。」

「そ、そうなんだ。」

「ってか好きなやつくらいいるだろうよ。普通は。」

「そうだよね…」

俺がいうと澪は下を向いていた。

「それってムギのこと?」

「なんでみんな真っ先にムギをいうんだよ。あいつは幼馴染でかわんねぇよ。これまでも、これからも。」

「そうなの?」

「あぁ。好きなやつは別にいるから。」

俺がいうと澪はまた落ち込む。なんかこいつ見てると悩んでくるのもバカバカしくなってくる。

「はぁ。澪ちょっと帰り時間空いてるか?」

「えっ?うん。おかあさんに連絡すれば」

「なら少し空けておいてくれないか?ちょっといいたいことがある。」

 

「かいちゃん大丈夫?」

「あぁ。全然平気だから大丈夫。」

部室に戻ると唯が心配そうに俺の手を見てきた。

「わりぃ。今日用事あるから先帰っていいか?」

「あっ私も用事ある。」

「あれ?かいちゃん今日なにかあった?」

「アキの合格祈願。明日入試だろ。」

「澪は、ってそういうことか。」

ニヤニヤしながら律がこっちを見る。

「じゃあかいこれ。」

律は3つのラッピングされた袋を渡される。多分唯、律、澪のだろう。

「あぁ、サンキュー。」

俺は受け取りカバンの中に入れる。

「んじゃ帰るわ。」

「じゃ。また来週。」

「じゃーね。みおちゃん、かいちゃん」

俺たちは部室から自分のギターとベースを持ち出し外に出る。

まぁなるようにやってみようか。



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ラブレター!!

「……」

「……」

無言のまま階段を降り顔を見合わせる。

「本当に良かったのか?部活サボって。」

「うん。最近お茶会ばっかりであまり練習もしてないし。」

「唯に限って見たら最近ギターすら触ってるところ見たことないぞ。なんか唯にみんな甘いような気がする。」

「あ〜まぁ唯はお菓子目当てに入ったところあるからなぁ。」

「ところでどこ行く?晩飯つくらないって澪の母さんがいってたんだろう。」

澪は電話してる最中澪が焦っているのをみて苦笑してしまった。

「でも春ちゃんたち大丈夫?」

「弟は友達と勉強会にいくって言ってたし、春も友達の家に泊まりにいくらしいから大丈夫だと思う。まぁ合格祈願だけはしときたいから初詣に行った神社辺りだと助かる。」

「じゃあファミレスに行く?」

「そだな。」

互いになんか距離感があるように感じる。

ってか澪とどこか二人きりで出かけるって初めてのことだよなぁ.

なんか緊張するっていうかこれデートじゃないのか。

互いに無言ながらもファミレスにはいりドリンクバーと適当に食べ物をたのむ。料理がきても気まずいままだしなにか話題ふるか。

「なぁ澪、」

「ひゃい。」

澪から変な声が聞こえる。

すると顔が真っ赤になっていく澪に

「ぷっ。」

「……」

「クスクス。アハハハ。」

つい笑ってしまう。

「かい、忘れて。」

「いや、無理だろ。こんな返事漫画でしか聞いたことねぇよ。」

「かい!!」

「わりぃ。なんか変だなって。」

俺は笑うのをやめ澪の方を向く。

「なんか意識しすぎっていうかなんでこんな緊張しねぇといけないんだよ。いつも軽音部で話してるのにさ。」

「かいも緊張してたの?」

「してた。ムギ以外の女子と二人きりで歩くことすら初めてだしな。」

少し笑う。

「律がいたら絶対にニヤニヤしていたから律をいじれたんだけどさすがに逃げ場ないしな。俺から言ったのもあるけど。」

「私も男子と二人きりになることパパ以外ないなぁ。」

「パパ?」

「お父さん!」

顔を真っ赤にする澪に苦笑する。

「でも、なんかこの一年楽しかったよな。」

「えっ?」

「律が作った軽音部にまず俺が入部して、その後にムギと澪、あと唯が入部して。合宿行ったり、学園祭は最後のなければかなり楽しかったよな。」

「だね。もう絶対ボーカルはしないけど。」

「……たぶん新歓ライブでやることになりそうだけどな」

唯最近ギター弾いてないからコード忘れてるだろうし

「それってかいだけボーカルっていうのは。」

「俺ボーカルの歌基本的にお前サブボーカルだぞ。」

「……」

「そんなに絶望したような顔するな。あんなこともう二度と起きないって。」

俺は澪の頭を軽く叩く。

「うぅ、やらないとダメ。」

「他のやつでもいいけど俺は澪がいいけどな。」

「えっ?」

「なんか歌いやすいんだよ。ムギと一回やってみたことがあるんだけど本当にひどくてさ。個別同士なら普通なんだけどな。なんかぎぐしゃくしてて両方に合わせようとして大変だったんだよ。」

俺は苦笑してしまう。

「唯も俺が書いた歌詞より澪が描いた歌を歌った方が生き生きしてるし、律は気に入ってるらしいけど、ドラムだと歌うことが難しいしな。澪は歌っているときすごく楽しそうに歌ってくれるからな。やっぱり歌詞を書いてると歌っている人が楽しそうに歌ってくれるのがいいよ。」

俺は苦笑してしまう。

「俺の勝手だけど澪にやっぱり歌って欲しいかな。」

「……そうなんだ。なら私も頑張ろうかな。」

「そうしろよ。どうせ次のライブで当分の間は5人で演奏することなんてほとんどないしな。」

「えっ?」

「次の演奏は新歓ライブだぞ。新入生が入って来たらさすがに5人だけで歌うってことはないだろうしな。」

「そっか。もう一年なんだね。」

「そうだな。」

あの時入部してなかったら今は俺は何をしていたのだろうか。

楽しくやってきたけど長くて後2年したらこの関係は終わる。

そしたら……

胸が急に苦しくなる。

「……いやだなぁ。卒業。」

ふと声に漏れる。

思った以上にあの空間が好きで居心地がいいと思ってるみたいだ。

「ずっとあのメンバーでお茶飲んだり、演奏したり、しゃべったりしたいよな。」

「……かいは卒業したら大学に行くのか?」

「たぶん行くな。一応N大の音楽学部志望。」

「凄い名門じゃん。」

澪がびっくりしたように言う。

「まぁ推薦枠で取れるからだけどな。」

「そうなんだ。凄いね。」

「澪は進路はどうするの?」

「N大は推薦とれないからK大しようと思ってる。」

「それでもレベルが高いな。」

俺が言うと澪が少し迷ってから

「ねぇ。かい。」

「なんだ?」

「かいのすきな人ってどんな人?」

「えっ?」

澪の問いに少し困る。まさか直接聞かれるとは思ってなかった。

俺が好きなのは澪だから本人を前にいうのはさすがにきつい。

……ってか告白になるしな。

「……悪い。さすがに。」

「そうなんだ。」

あきらさまにショックを受けている澪。

そんな顔されると

「あぁ。ここじゃあ無理ってこと。帰りに公園とか人気がないところで話すから。」

「あっごめん」

いくらなんでもここで告白とか雰囲気がなさすぎる。

「そういや私詞を書いたんだけど。」

「了解。」

ルーズリーフ一枚を渡してくる。いつも澪の詞を曲にするかは俺が決めていた。

チェックが入るようになったのは、まぁ過去に澪がメルヘンすぎる曲を書いてきたから律が俺に懇願してきたからだ。

俺はそれを受け取り詞を見ようと紙に目を通すが書かれていたのはたった二言

 

 

 

 

 

 

私は松井海斗くんのことが好きです。私と付き合ってください。

 

 

 

 

 

その文字を見た途端顔が熱くなる。

ルーズリーフの中心に小さく書いていた文字は今まで見て来た澪の文字だった。

澪の方を見ると顔が真っ赤になっている。しかしどこか不安そうな顔でこっちを見る。そのことから本心で書いたんだろう。

澪は告白するには勇気がなかったんだろう。だから紙に書いて気持ちを伝えた。

詞を書いたっていえば絶対俺は見るからな。

シンプルで簡潔なラブレターは何よりも嬉しかった。

「澪ありがとう。」

「うん。」

目を瞑り俺の答えを待つ澪、俺も言わないとな。

「俺も秋山澪さんのことが好きだ。だから俺でよければよろしくお願いします。」

「えっ?」

ありえないものを見るように俺を見て

「本当に?」

「本当だよ。たぶん文化祭のライブから。」

すると澪の目には涙が見えた。俺は席を隣に移り頭を撫でる。

これが正しいのかしらないがただ嬉し泣きをしている澪を見て幸せになる。

これから先もこんなしあわせが続いて欲しいと思った。

 

翌日の部活動。

「よう。」

「あら、かいちゃんお茶入れるわね。」

「あぁサンキュー。」

「かい、どうする?」

澪は俺に小声で聞いてくる。たぶんメールで報告したけどちゃんとみんなに言わないといけないだろう。

「全員が集まってからでいいんじゃないか?まだ唯が来てないし。」

「かい、澪と付き合うことになったんだって、おめでとう!!」

と眠そうな律が祝福してくる。

「律眠そうだな。」

「ちょっと澪ののろけに夜中の4時まで付き合わされたからな。」

「……律、ごめん。」

律が澪の幼馴染で本当によかったと思った。

「かいも眠そうだけどどうしたんだ?」

「ムギに徹夜で澪のことを根掘り穴掘り聞かれた。」

「……ごめん。」

似た者同士の幼馴染を持っている俺たちは同時にため息をついた。



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2年生!!

桜が舞い花が咲くこの季節。

俺たち軽音部も学年が一個上がり二年生に上がる予定だ。

そして、もう一人俺には不安なことがあった。

「おい、アキあったか?」

「……」

不安そうに見るアキ。

どうやら未だに見つけられないらしくずっと探している。

そしてしばらくして

「あっ!」

するとアキは小さくガッツポーズをする。

その態度で結果は丸分かりだった。

「よかったな。」

「あぁ、サンキュー。兄貴。」

軽く拳をぶつけ笑う。

「まぁハルもいるし心配することもないだろうけど。お前もう少し勉強しろ。いくらスポーツやってるからってそれがいつまでも通用すると思ったら間違ってるぞ。」

「うぅ。分かってる。」

俺は携帯を取り出しハルにメールを送る。すると意外にもすぐに返事は帰ってきた。

よかったね。

たった一言。

相変わらずの態度に苦笑してしまう。

そういえば憂ちゃんもも受験だったけどそっちの方は大丈夫かな?

アキが落ちてないのに、憂ちゃんが落ちてるわけないけど。

「うい〜!!」

まぁこの声も聞こえたし合格したな。

「んじゃ俺友達の家行くから。」

「あぁ、ご馳走作っておくから期待してろ。」

「あぁ。んじゃ〜な。」

と言って去ってくアキ

「俺もあいつらのところに行くか。」

といって後ろを見ると澪とムギ、律がいる。

目線の先には唯と憂ちゃんが抱き合っている。

俺は苦笑しながら軽音部メンバーのところに向かった。

 

新学期といえばクラス替え

俺は一星と自分のクラスを探していた。男子は10人しかいないので組み合わせは基本変わらない。つまり一星とは3年ずっと同じクラスになるのだった。

「おっ?あった1組だな。」

一星がガッツポーズをする。

まぁこいつの彼女の三浦 奈美の名前があるから当然のことだけども

俺も出席番号一番を見ると

秋山澪

と彼女の名前があることにホッとしてしまう。

「よかったな。」

「お互いにな。」

軽く笑い合う。他のメンバーを探すと真鍋がいるけど軽音部メンバー全員と離れていた。

「一星くん。」

「あっ。悪い」

「行ってこいよ。彼女が呼んでるぞ。」

「おう、また後でな。」

といいながら走っていく一星。

すると聞き慣れた声が聞こえてくる。

「さみしくなったらいつでも2組に遊びにきていいんだよ?」

「私ゃ小学生か」

いつものやりとりに笑ってしまう。

「律、澪騒がしいぞ。」

「あっ!かいちゃんおはよー。」

「おはよう。かいちゃん。」

「おはよう。ムギと唯。」

いつも通りの二人にホッとしつつため息をつく。

「かいちゃんは何組なの?2組の男子じゃなかったよね。」

「俺は1組だ。」

「えっ?」

澪が律から目線をそらし俺の方に向ける。

「澪一年間よろしくな。」

「かい!!」

「は?」

すると澪が抱きついてくる。

「お、おい!!澪!!」

「えっ?」

「嬉しいのはわかるけどやめろ!!視線が痛いから。」

さっきから嫉妬と微笑ましい目で見られてるから

すると顔を真っ赤にしてる澪。

「ご、ごめんかい。」

「いや、別に謝るほどじゃないけどさぁ。」

せめて二人っきりになったときにしてくれないかなぁ。

少し照れるしな。

「相変わらずいちゃついてますなぁ。」

「……」

何も反論できない。

「あっ?そういえば律、今日放送部と昼休みの放送の時に共同の企画で去年の文化祭についてで話すことになったから昼飯早めに食えよ。」

「ちょっと聞いてないけど。」

「だって俺もさっき聞いたしな。てか俺も急で驚いてるんだよ。」

俺と律がため息をつく。

「まぁ、本当は俺と澪が呼ばれたんだけどさすがに」

「新歓前に緊張させるわけにはなぁ〜」

とため息をつく。

俺と澪は今回の新歓でツインボーカルの曲が何曲かあった。なのでその効果だろう。緊張で俺に甘える回数が多くなったのだ。

「はぁ。澪。行こうぜ。ホームルーム始まるぞ。」

「うん。」

さっきまでと打って変わって嬉しそうにしている澪。

「澪いいなぁ。」

そんな声が聞こえたが俺たちはクラスへ向かった。

 

「はぁ、疲れた。」

「同感。」

律と俺は廊下を歩く。

放課後の

「なんであんな関係ないこと聞くんだよ。彼女がいますかとか関係ないだろう。」

「そうそう。私に彼氏がいるなんて聞かずにわかるよな。」

「律、言ってて虚しくないのかよ。」

俺はため息をつく。

「でも、かいは即答だったな。」

「まぁいるからな。いないって言ったらなんか澪を悲しませるような気がしたんだよ。」

ここでいないとか言ったら澪に泣きつかれるか責められるだろうし

「俺は澪が好きだからな。澪が嫌だと思うことをしたくないんだよ。」

「へぇ〜。本当にかいは澪のことが好きなんだな。」

前に言われたときなら多分わからないとか曖昧にしていただろうな。

でも今ならはっきりとわかる。

「あぁ。好きだよ。」

偽りも何もない言葉だった。

「悪いかよ。」

「いいや。そんなことない。でもさ、なんか複雑だよなぁ。」

「まぁ、少しわかるな。俺にとったらムギに彼氏ができたっていわれているもんだからなぁ。」

ムギの彼氏なんてどう接したらいいのかわからないぞ。

「でも、かいになら澪のこと任せてもいいけどな。」

という律の表情は笑いながらもどこか悲しそうに見えた。

 

「サッカー部にはいりませんか?」

「オカルト研究会です!!」

「うわー。勧誘すげぇな〜」

「もう人でいっぱいだぁ。」

「やっぱり大きな部活は規模が大きいわね〜。」

俺たちが行く頃にはもう人でいっぱいだった。

「軽音部だからってなめんなよ!!澪チラシは?」

「いちおう作ってきたけど。」

と律に手渡されたチラシを見ると

「「なんか、普通。」」

俺と律がいうとショックを受ける澪

「ってか売りがないんだよなぁ〜。」

「そうそうインパクトがないよなぁ。」

「でもかい?軽音部の売りって?」

澪がいうと

「うーん。ギターとかキーボードとか弾いて見たいけどわからない人とかいるんじゃないのか?男子だったらドラムなんかかっこいいと思うよなぁ。俺もそれで練習したし。」

「へぇ〜。かいも案外単純なんだなぁ〜。」

「うるせー。」

俺はため息をつく。

「まぁいいや。とりあえずインパクトつけるか。」

「えっ?どうやって?」

「澪、唯やるぞ。」

と俺はギターを取り出す。唯と澪にも持ってくるように言ってあったので大丈夫だろう。

「リズムは澪、ボーカルは俺で曲は、My Songでどうだ?」

「でも生徒会と先生の許可は?」

「一曲だけ許可とってる。憂ちゃんが友達連れて見学しにくるんだろう。出し惜しみせず一曲歌おうぜ。」

「うん。」

「ムギと律はさすがに許可出なかった。から悪いけど。」

「しょうがないなー。」

「チラシ配るわね。」

「悪い。んじゃやるか。」

全員顔を見合わせて頷く。

しかも数人の新入生がこっちを興味津々に見てるから大丈夫だろう。

そして一曲なのですぐに終わってしまう。すると

パチ

と一回手が叩かれる音が聞こえ

パチパチパチ

と大きな歓声に変わる。

いつのまにか広がって大歓声となる。

「ありがとうございました。俺たちは軽音部です。明日新歓ライブを開くことになっているのでもしよかったら聞きにきてください。」

「見学者も歓迎します。場所は音楽室なので興味のある人はきてくださいね。」

ムギも続きその間にチラシを配る。

「んじゃ戻ろうぜ。せっかくだから憂ちゃんにも何か聞かせてあげよう。その時は唯がボーカルな。」

「うん。まかせてください隊長!」

「隊長じゃねーよ」

と軽く唯の頭を叩く。

「てか唯ちゃん上手くなってるわねぇ。」

「そうだなぁ。練習してたのか?」

「うん。」

律たちは驚いてるけど

「澪ちゃんとかいちゃんも練習してるよね?」

「あぁ。1年の時は一星と話す時以外は基本ギターひいてたからなぁ。」

「私はかいに付き合っていただけだからなぁ〜」

「かい、もしかして。」

「律いうな。わかってるから。」

男子が少ない学校だから仕方ないだろう。

「ってかさっさと部活戻ろうぜ。5時からだろ。」

「あ〜それなんだけどかいちゃんは少し外で待ってて。」

「は?」

「うん。10分くらいでいいから。」

「……わかった。」

女子だけの会話をするのかしらないけど従っていたほうがいいな。

「はぁ。んじゃアキとハルでも連れてくるかきちんと紹介したほうがいいしな。」

「うん。じゃあわたしも。」

「澪ちゃんはこっち。かいちゃん憂ちゃんたちもつれてきてね。」

「あぁ、って雑用かよまぁいいけどさぁ。」

と俺はハルとアキにメールを送る。

「んじゃ20分ほどしたらそっちに向かうな。」

 

俺はアキたちを呼び出したところに向かうと

「「兄貴(お兄ちゃん)どういうこと?」」

1−2の教室で待っていたのは問いただしてきたアキとハル、そして戸惑ったような憂ちゃんとハルをなだめてる一人の女子がいた。

「なんのことだよ?」

「兄貴彼女いたのかよ?」

「いるけど別にいうことじゃねぇだろ。」

「なんでよ!!」

「まぁまぁ二人とも落ち着いて」

「えっと、初めましてだよな。俺は松井海斗。軽音部副部長でボーカル兼ギター、ついでにハルとアキの兄だ。」

「えっと鈴木純です。えっと春奈と秋斗くんの友達です。」

へぇ〜相変わらず俺に似ず交友関係に関してはうまいよなぁ。

「憂ちゃんも久しぶりだな。」

「はい。お久しぶりです。かい先輩」

「今日は悪いな。憂ちゃん。」

「いいえ。大丈夫ですよ。」

と笑っている姿は本当問題なさそうだった。

「ならいいけどな。」

「はい。」

「まぁ二人ともアキたちとなかよくしてやってくれ。そういえば、後10分待たないといけないらしいんだよ。」

「えっ?なんでですか?」

「まぁだいたい顧問の企みでコスプレしてるんだろうな。」

「コスプレ!?」

「「自重しろバカアキ!!」」

と俺とハルがコスプレという言葉に過剰反応したアキを殴る。

「全くこいつは。」

「本当だよ。でも顧問がコスプレを強要するって。」

「……もう諦めてる。かなりおじさんくさいから。美人教師(笑)だし。」

「お兄ちゃん気持ちはわかるけど…先生じゃないの?」

俺はため息をつく。ハルは一度見てるから肯定しちゃってるし

「まぁ覚悟はしといてくれ。見ると本当に頭痛くなるから。」

「えっとお兄ちゃんもしかして結構苦労してるの?」

「俺たちの面倒だけでも大変なのに…」

「自覚があるんだったら手伝え。」

「仲良いね。」

鈴木が俺に言うけど

「普通だろ。仲良いの唯と憂ちゃんの方が仲良いぞ。そういやなんて呼べばいい?鈴木でいいか?」

「純でいいですよ。みんなからそう言われるとので。」

「そうか。ついでに一つだけ注意するけど。多分ウチの軽音部普通じゃあ無いから。」

お菓子食ったり雑談ばっかりしてるからなぁ。

最近やった学校で合宿くらいやるきだしてくれたらいいんだけど。



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新歓!!

 

「……お〜い。呼んで来たぞ。」

とりあえず音楽室のドアを開けると

「いらっしゃいませ。」

するとメイド服姿の唯が立っていた。

今日はメイドかよ。

「……はぁ。もうどこからツッコミ入れた方がいいのか分からねぇよ。」

本当にどうにかしてほしい。

「かい助けて!!」

……あ〜もう

「山中先生無理やりきせるのはやめろって。」

「え〜松井くんは澪ちゃんのメイド服姿見たくないの?」

「嫌がっているのに無理やり着させませんよ。」

「……兄貴見たいことはみたいんだ。」

当たり前だろ。澪のメイド服姿だぞ。絶対可愛いだろうし見たいに決まってるだろ

「ムギ。とりあえずお茶出してやってくれ。俺お茶請け出すから。」

「分かったわ。」

「とりあえず今は男子は俺だけ、後は部長は律で、ドラム。」

「よろしくな。」

と律が明るくこういうのは普通にスゲェよな

「それで、さっきのメイド服を嫌がっていたのがベース兼ボーカル担当の澪。」

「かい〜」

「……あの〜止めないでいいんですか?」

結局説明している間にも澪は山中先生の餌食になっているが

「こっちもしんどいんだよ。察してくれ。」

「……お兄ちゃん。」

かわいそうな目でこっちを見るハル

やめろ哀れみの目でこっち見るな

「んで出迎えていたのは唯。ギター兼ボーカル担当。んでお茶を用意してるのがキーボード担当のムギ。」

「「よろしくね〜」」

「は、はい。よろしくです。」

「吃るな、アキ。後お前ら、この後演奏するんだし着替えとけ。その服じゃ厳しいだろ。」

「「は〜い。」」

「なんか、お母さんみたいですねかい先輩。」

すると憂ちゃんがそういうけど

「慣れっこだよ。そこに面倒臭い二人がいるしな。」

「「誰が面倒な妹(弟)だ!!」」

「自覚あるんなら少しは家事を手伝えバカ兄妹!!」

つい怒鳴ってしまう。家に帰っても休まらないのが俺なのでもう慣れている

「仲いいんですね。」

「……変わろうか?真面目に大変だぞ。」

「「兄貴(お兄ちゃん)!?」」

「ううん。遠慮しときます。私はお姉ちゃんがいますから。」

「……そうだな。まぁ冗談だけど。そんなら仲良くしてやってくれ。馬鹿と超テキトーの奴だけど根はいい奴らだから。」

「辛辣ですね?」

「俺の苦労を知ればいい。」

軽くため息をつく。まだゴロゴロしてくれるほうがマシだけどこいつらは食っちゃ寝暴れ回るから余計に手間がかかる。

「まぁ、今さらだけどな。まぁいつもこんな感じだよ。まぁ、ぶっちゃけお菓子食ったり、ギター弾いたりどちらかというと同好会とか大学のサークルみたいだと思っていいんじゃないかな。俺が外バンしてた時の先輩の大学にお世話になってたときこんな感じだったから。だから純が思ってる部活動じゃないかな?顧問がポンコツだし。」

「だれがポンコツよ!」

「……反応してる時点で自覚はあるのか。」

アキが呟く

「まぁ。一応ケーキとお茶ぐらいは出すから。ハルとアキの分もあるから。えっと全員紅茶でいいか?」

「「「は〜い」」」

まぁ全員いい奴だから、困るけど

「……かい〜」

「いいかげんにしろ!!親父教師!!」

その後抵抗する澪にまだメイド服を着せようとしていたポンコツ教師に説教することになったが。

 

「最近頭痛薬の減りが早いんだが。」

「……かいも大変だなぁ。」

と俺は頭痛を抱えながらため息を吐く

新入生歓迎会の舞台裏で切実な悩みを俺は打ち明けていた

「まぁ。親父教師とバカ兄妹にあれだぞ?」

と言って澪を指すと

「ラーメンだけじゃ」

「やだ!!」

「ぎょうざもつかなきゃ。」

「やだ!!」

と凄い拒否反応をしている澪がいた

「俺のサブボーカルを頼むだけでもこれだったからな。メインなんて澪は嫌がるに決まっているだろ?」

俺はため息を吐く

てか一応練習はしていたからな。万が一の時は大丈夫だろうけど

「てか唯は大丈夫か?お前前みたいに声嗄れたとか譜面忘れたとかシャレにならねーぞ。今日お前メインはるんだから。」

前に俺と澪だけで歌ったからせっかくだから唯にもデビューしてもらおうと思ったんだけど。

「うん。任せといて。」

「……こいつの任せといてほど信用ならないものはないんだが。」

「ひどい!!」

といつも通りの俺たち緊張は澪以外はしてなさそうだし安心かな。

「律。コントロールだけ頼むな。唯にトーク任せてあるから。あいつグダグダになりかねないし。てか時間オーバーしたら。」

「また私たちが怒られるんだよな。」

去年の文化祭あの騒動で時間オーバーになり俺と律は真鍋に怒られたのである

「まぁ、今回は余裕持ってあるから曲数も3曲に絞ったし。楽しんでこーぜ。」

すると全員が頷く

「まぁ、今回はあの人の妨害もなかったことだし。」

「そういえばさわちゃんは?」

「ハルに絶対に舞台裏に入らせるなって見張らせてる。これ以上澪のメンタルがやられると。」

「まぁそうだよな。」

「自分で言っておいてなんだけど顧問が舞台裏には入れなくても納得する部長ってすげぇな。」

と軽口を叩いていると

アナウンスが流れる

「んじゃ。行こうか。」

「「「「おう(うん)」」」」

と俺たちは新歓に向かった



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新入部員!!

「……はぁ、唯お前って本当に何かやらかさないといけないのか。」

新歓後の放課後俺たちは部室にきていたのだが

新歓で見事に唯が歌詞を忘れ、澪がツインボーカル俺がサブボーカルをすることになった

「うぅ。ごめんなさい。」

「いや、初めてのボーカルだったからいいんだけどさ。……なんかお前って一番のトラブルメイカーだよな。」

「えっへん。」

「威張るところじゃないだろ。」

律の突っ込みに頷く。でも俺は三人に突っ込みたいんだが

「まぁ、それもそうなんだけどさ。ムギ。こいつらを見て一言。」

「そんなところで見ていたらくる人も来ないと思いますよ。」

とドア付近で見ている三人を見てため息をつく。

「…ほら、反省会というなのお茶会するぞ。席につけ。」

「「「は〜い。」」」

と膨れながら三人は渋々いつもの席に座る。

「すっかり保護者ね。」

「……そうだな。」

もう一年たっているのに結局は仕切ってるのは部長の律ではなく俺だった

「あっ!!このケーキ美味しい。」

「……まぁ、こんな日常もいいんじゃねーか?」

「そうね。」

クスクスと笑うムギに少しだけ笑顔になる

こいつが自然に笑うのって俺と話すとき以外なかったのにな

「本当によかったな。」

俺がいうと頷くムギ

すると

「……む〜。」

と頰を膨らませている澪がいる

「嫉妬してるの?」

「してない!!」

「いや、澪ちゃんそれは。」

と唯に突っ込まれる始末

「澪ちゃんかわいい!!」

「ちょっとムギ。」

「なんかいつも通りだなぁ。」

「そうだな。」

結局日常は変わらないのだろう

するとコンコンと音を聞こえる。

「……ん?」

「どうしたの?かいちゃん。」

「いや。今ノックの音が聞こえたような。」

するとドアが開きツインテールの女の子が入ってくる

「あの、軽音部ってここですか?入部希望なんですけど……」

「「「……」」」

俺たちは顔を見合わせる。そして

「「「確保!!」」」

「ぎゃー!!」

俺以外の全員がその入部希望者に抱きついた

まぁ、わかるけど

俺は手を二回叩き

「おい離れろ。いきなり飛びついたら迷惑だろ?」

と俺は冷静に判断する。

するとごめんと謝り離れていく

「すいません。ありがとうございます。」

「別にいい。一応紹介するか。俺は松井海斗。で一応副部長でギター担当。んでこっちが唯。同じくギター。そしてドラム担当で部長の律にベース担当の澪、最後にキーボード担当のムギだ。」

と簡単に紹介をすませる。

「それで次はお願いしていいか?」

「は、はい。一年2組の中野梓といいます。パートはギターを少し。」

とツインテールの女子が礼をする。

「ということはかいと唯と一緒か。」

「はい。唯先輩。松井先輩よろしくお願いします。」

「おう。よろしくな。それでギターどれくらい弾けるんだ?」

「とりあえず何か弾いてみせて。」

と自分のギターを渡す唯

「まだ初心者なので下手ですけど。」

すると弾き始めると確かにうまいけど

「やっぱりFコードで少し詰まるな。初心者だし省略コードで少し弾いてみて。」

「省略コードですか?」

「5弦と6弦を抑えずに弾くんだよ。このように。」

と俺は少しギターを取り出しさっきと同じコードで弾き始める。低い音は出ないけどそれでもFコードと似たような音なので初心者が完璧に弾けるようになるまではこのコードを使うように親父から習っていた

「こんな感じだよ。」

「……なるほど。」

「手が小さいから慣れるまではそれを引いとけば自然に覚えるからな。多分ギターがあっていないのもあるとは思うけど、でもこっちの方が今は弾きやすいと思うぞ。」

「はい。えっと。」

するともう一度弾いてみる中野に少しだけ感心する

というよりも決して初心者レベルではないな

「唯よりは確実に上手いな。」

「ガーン。」

「口にだすのかよ。……唯はムラがありすぎるんだよ。」

上手いときは俺よりもうまくなるし下手なときは最悪コード自体を忘れるときがある

でもなによりも真面目そうで手がかからなくて済みそうだ

「……本当真面目そうな奴でよかった。これ以上手にやける奴がきたら本当に頭痛が。」

「……すまん。」

と律が俺の肩をたたく

「そういえば入部してくれるの?」

澪の言葉に嬉しそうに頷く中野

「はい。新歓ライブのみなさんのライブを聴いて感動しました。これからよろしくお願いします。」

と礼をするけど普段の態度を見たらどう思うのか頭が痛くなってくる

「まぁ、入部届けは律に出せばいいから。」

「はい。分かりました。」

といい律に入部届けを渡す。もう書いてきてたのか

「俺たちも新歓の片付けして解散な。新歓のために下ろした道具持って上がってこいって生徒会から言われたから。」

「え〜」

というけど俺ばっか言われるの辛いからな

「それじゃあ入部届け受け取ったから明日からよろしくね。」

「はい。それじゃあ失礼します。」

と中野は入部届けを出して最後まで礼儀正しく礼をして去っていった

……さて

「……どうする?」

憧れが強すぎる後輩に今の現状を伝えるために俺は少しだけ後のことを考えるのだった



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同情!!

「お前ら。」

翌日、俺は呆れたようにこの状況を見る。

というのは俺は少し宿題を忘れていたので遅れてしまったのだが、いつも通りのティータイムをしている風景に呆れを通り過ぎて頭痛を覚えてしまう。

「あっ。松井先輩こんにちわ。」

「あぁ。中野も来てたのか。」

俺はため息を吐く。まぁこいつらは変わらないよな。

「それじゃあ、いつも通り弾くか。澪。お前今日どうする?」

「えっと、ケーキ食べ終えたら混ざっていいかな?」

「了解。」

と俺はギターを取り出すとワンフレーズを弾き始める

俺は弾きながら軽く歌い始めると弾き語りになるがだんだんペースがうまく掴めてくる

そして一つ弾き終えるとまた次の曲を今度は初めから弾き始めようとすると、

「上手いですね。」

すると感心したように俺の方を見ている中野がいた。

「まぁ、もう何年もギター弾いているしな。そういや中野も結構ギター触ってきているんだよな?お前初心者レベルじゃないし誰かいい教師がいたんじゃないのか?」

「はい?」

「いや、前の弾き方多分だけど小さいギターなら中級者か上級者レベルに当たるやつかなって思ってな。唯が初心者だったから俺が前回いったコードも知っていたようだし、十分即戦力に近いしな。」

経験は澪と律とムギを足して3で割ったような感じだったし

「それに小さいけど肉刺があったし自己流としては上手すぎる。その弾き方は経験者がいないと弾けないしな。」

「あの、先輩は探偵か何かですか?」

というがこんなことはすぐに分かるだろと思っていると

「まぁかいちゃんは推理漫画よく読んでいるからじゃない?普通は分からないわよ。」

「お前はエスパーかよ。ムギ。」

ため息を吐く。さすムギだな。

「まぁ、キレたかったらキレていいぞ。俺もしょっちゅう叱っているからな。」

俺が苦笑すると真剣な表情で中野は聞いてくる

「えっと、松井先輩はどう思ってますか?」

「まぁ、俺部活これが始めてだからな。あんまり分からないんだよ。俺は一応専門的な習い事として学ぶことはあったけど。」

「そうなんですか?」

「あぁ。まぁぶっちゃけ、練習はしないし、顧問は変態だし、気がつけばお茶会ばかり開いているメンバーだけど、なんというかいいところはちゃんとあるんだよ。」

一人一人にいいところがあるし、それを俺は知っている

「まぁ、理解は今のままじゃできないだろうし、理解したくないだろうけどな。」

俺は苦笑する。まぁ今のままじゃ理解は絶対無理だな。

するとガラガラと扉が開くと一番の問題児がやってくる

すると希望に満ちた顔で見ているが

「私ミルクティーね。」

「そいつが一番まともじゃないんだよなぁ。」

俺がぼそっと呟く。今日も相変わらず平常運転だなぁ

「一応、顧問の山中先生。綺麗だけど残念美人でクリスマスに彼氏にホラー映画を送りそうになるほどの残念さだから。」

「うわぁ〜」

「ちょっと!!」

「どうせ、また変なコスプレさせようと考えてたんでしょ?」

「うぐっ。」

「全く、あんた先生なんだからもっと威厳を持ってくれませんかね?」

と息を吐く。

「というよりもうかいが部長になれば?」

「律が作った部活だろ?てか部長まで任されたら本気で潰れるので勘弁してくれ。」

「なんか。先輩も大変ですね。」

「中野。同情だけはやめてくれ。」

とため息を吐く。

今日もけいおん部は平和に過ぎていった。



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