借り物の黒で本物の白を目指す (折遠)
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起動

はい、短編です。
連載の方?ち、近い内にあげますよ?メソラシ


取り敢えず、仮面ライダーエグゼイドのゲームエリアってメタフィールドと同じような認識でいいんですよね?
ネクサスもあんまり知らないですが…


あと、この短編は原作の2巻の途中からの介入です。


では短編の方をどうぞー!


 

 

 

 

 

 気がついたら【彼】は、雨の降るボロボロの町にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな【彼】が最初に感じたのは『戸惑い』であった。

 自分は()だ?と思う程度には、【彼】は自分のことが分からないらしい。

 

 町を見回してみると、所々に凍っている箇所があった。しかし、変である。今は雨が降っている上に、気温もそんなに低くはない。

 

 

 

 ふと【彼】が視線を下に向けると、変な服を着ているな、と感じた。

 3色のコードがぐるりと一周しているコートを、立っている襟の部分のみで止めていて、襟からは紫色のテープが伸びていた。そして珍しい作りだと思うが、コートの一部だったピンク色のリブ袖に腕を通していた。リブ袖には親指を出す為の穴が空いている。コートの丈は、前身は腰の辺りまでしか無いが、背面は膝よりも下まである。

 シャツはブルーが基調となっていて、中にグレーのシャツを重ね着しているようなデザインだった。襟と裾は左右で揃っておらず、緩い印象を与えている。

 立ち襟なので見にくかったが、紐に色とりどりのブロックを数個通してあるだけのネックレスを首から下げていた。

 ズボンは7分丈程度で、カラフルなブロックが不規則にプリントされている。

 履いていた靴は黒いロングブーツ。

 どうやら【彼】は、この服が非常に気に入っていたらしい。

 

 

 

 ちら、と【彼】の頭の中に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の姿が(よぎ)った。青年との違いといえば、この伸びきった髪位のものだろう。

 しかし、映った青年の姿は直ぐに、水面に波紋を広げたように掻き消されてしまった。

 

 

 

 

 

 仕方無く【彼】が、自分はここで何をしていたのだろうか、と思考するよりも早く、普通であれば有り得ない様な光景が【彼】の目に飛び込んできた。

 

 

 

 兎耳がモチーフになっていると思われる、緑色のフードを被った少女が、"パワードスーツの様なモノを身に纏って殺気を放つ集団"_____この時の【彼】には知ることが出来なかったが、対精霊部隊(Anti Spirit Team)…3つの頭文字を取り、"AST"と呼ばれている_____に囲まれていた。

 正確に言えば、ASTは全員空を飛んでいたし、完全に包囲しているという訳では無かった。だが、確かに少女に向けている武器は本物だと【彼】は感じた。

 少女の方は、端的に言えば不安定だった。遠目からでも分かる位には動揺していて、(しき)りに()()()()()()()()左手に視線を移していた。

 

 

 

 

 

 その光景を見た【彼】は、()()()()()()()()()()()()()()()()歩き出していた。

【彼】は、何故自分がこんな行動をとったのかよく分からない。

 ただひとつ言える事は、【彼】はこの状況に怒りを感じていた。それを隠すかの様に、【彼】は無表情であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまらないなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____気が付けば【彼】は、自然と言葉を紡いでいた。

【彼】の声と、もうぼんやりとしか残っていなかった筈の()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦う気が無い相手にワンサイドゲームなんて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声を聞き、一斉に【彼】を見たフードの少女とAST。その全員が、まるでその場に縫い付けられたかの様に動けなくなった。

 

【彼】は、無表情でASTの隊員達を見つつ、歩いていた。そして、フードの少女とASTの隊長格の女性との直線上に立って止まった。

 

 

 

 

 フードの少女、と【彼】に呼ばれている少女…四糸乃は、"精霊"_____隣界と呼ばれる異界に存在する、人によく似た生命体。霊力という力で創られた、"霊装"(最強の盾)"天使"(最強の矛)を持ち合わせている。本人の意思に関わらず、人類に災いをもたらす存在として討伐対象に指定されている_____であり、今まで人間から向けられる感情は怒りや殺意等、好意的なものでは到底無かった。

 しかし【彼】からは、四糸乃への負の感情が感じ取れず、本質的に【彼】は優しいのだと四糸乃には分かった。

 しかし四糸乃の目には、表情のない【彼】の顔が、とても不気味に映った。

 

 

 

 

 

 ASTの隊員達は、少なからず困惑していた。

 "空間震"_____文字通り、空間の地震と称される突発性広域災害。発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発、振動、消失、その他諸々の広域振動現象の総称…というのが一般的な認識だが、実際は精霊が隣界から顕現する際の余波_____の余震が確認された後、空間震警報はしっかりと鳴らしたし、その証拠に町は閑散としている。

 

 

『大方、友人と遊んでいた所でシェルターに入り損ねたんだろう』

 

 

 その様な考えが頭に浮かんだが、それは有り得ないと即座に断定していた。【彼】の言葉には、確かにAST隊員に対する怒気が含まれていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「代わりに_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____おれが遊び相手になってやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 表情を一転させてこう言い放った【彼】。先程とは違い、無邪気な笑みを浮かべている。それを、感情も加味して例えるとするならば、()()()()()()()()()()()()()()…という表現が1番近いであろう。

 

 

 

 

 

 AST隊員達の中には、もう恐怖しかなかった。【彼】のプレッシャーが、随意領域(テリトリー)越しであっても痛い程感じ取れる。なのに、【彼】の楽しそうな表情や、弾むような声色とは全く噛み合っていない。

 

 

 

 

『コイツは本当に人間なのか?』

 

 

『もしかしたら、精霊並み…下手をすれば精霊以上に危険な存在なんじゃないのか?』

 

 

 

 

 そんな考えが、どの隊員の中にも現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

【彼】は、左手に持った"大きな丸いダイヤルの付いた、厚みのあるゲームカセット"_____正式名称を、"ガシャットギアデュアル"_____を左胸の辺りにまで持ち上げた。

 ダイアルに描かれている絵柄は真ん中で分かれている。

 右側には『PERFECT(パーフェクト) PUZZLE(パズル)』、左側には『KNOCK OUT(ノックアウト) FIGHTER(ファイター)』というロゴとキャラクターが載っている。

 

 

 

【彼】が右手でダイヤルを右側に回す。すると、ゲーム名のコールと同時に、ゲームのタイトル画面が【彼】の背後に出現した。変身待機音が流れ始める。

 ゲーム画面の表示から少し遅れて、"ゲームエリア"_____"ライダーガシャット"により展開される、ライダーが十全に戦うことの出来る空間_____が広がり、空中に無数の"エナジーアイテム"_____取得したライダー、若しくはバグスターに様々な効果を与えるメダル型のアイテム_____がばら撒かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 《PERFECT PUZZLE!》

 

 

 《What's the next stage?》

 

 

 

 

 

 今の【彼】には、ガシャットギアデュアルがどうやって使う物なのか分からなかった。

 だが、ダイアルを回した瞬間に【彼】の中にある()()()()()()()

 

 流れる様に右の方へと左手をスライドさせた【彼】は、ヒーローに有りがちな………誰かを救える力に(勇気をくれる言葉を)手をのばした(静かに呟いた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《DUAL UP!》

 

 

 

 《Get the glory in the chain

 

 

 

 

 

PERFECT PUZZLE!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___変化は劇的だった。

 周りから見れば、【彼】はスイッチを押しただけだ。

 しかしその次の瞬間、大きな青いパネルが現れて【彼】を通り抜けたと思うと、【彼】の姿はガラリと変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 白と黒で構成された"デュアルギアスーツ"に、大半をブルーが占めるアーマーパーツ。

 両肩についている大きな"マテリアライズショルダー"には、ゲームエリア内のあらゆる物質を自在に操ることが出来る能力を持つ、"マテリアコントローラー"が備わっている。

 金色のプロテクター、"P-メックライフガード"に保護されている胸部の"セレクテッドモニター"には、今回選択した『PERFECT PUZZLE』を意識したジグソーパズルの様なグラフィックが描かれている。

 そして体の要所には、"P-メックライフガード"とはまた少し違う、"パラビルドガード"という金色のガードパーツが取り付けられていた。

 

 また、四糸乃の方からは、もう一つのゲーム『KNOCK OUT FIGHTER』の面を見ることが出来た。しかし、アーマーが180度回転することまで四糸乃に予測しておけとは酷というものであるが。

 

 

 

 

 

 

 

 姿の変わった【彼】は、"ガシャットギアデュアル"を右手に持ち替えて、腰のベルトに付けられていた"ガシャットギアホルダー"にセットした。

 

 

 

 

「お、お前は何なんだよ!?」

 

 

「あんな奴、聞いたこともないぞ…!?」

 

 

 

 

 AST隊員が、恐怖で声を震わせながらも口々にそう叫んでいた。

 当然だろう。簡単に殺せるはずだったただの少年(ガキ)が、自分達の理解の全く及ばない存在になってしまったのだから。

 

 ()()()【彼】ならば、先程の問いにも『そんなことは俺が知りたい』と返していただろう。

 しかし、今の【彼】は、分かり易く言うならば軽い興奮状態にあった。

【彼】の頭の中には、ASTとの戦闘(チュートリアル)全力でこなす(ルールに則り遊ぶ)ことしかなかったのである。

 

 

 

 

「仮面ライダーパラドクス。

 

 

 

 

Level(レベル) 50(フィフティ)

 

 

 

 大仰にそう名乗った【彼】は、仮面の下で口角を吊り上げた。

 

 

 

「心が踊るな!

 

 

 

 

さぁ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おれを楽しませてくれよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、エイプリルフールの一発ネタの筈でしたー。
1度はイベントのある日に乗っかってみたかった…!

原作2巻が帰ってきたので、今からプロットを作ります!

誤字などありましたら是非ご指摘ください!


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力技で解くパズルもある

誕生日に滑り込み投稿…!

短いですが、どうぞ!


「パーフェクト……」

 

「パズル…?」

 

「完璧な謎って、何だよそれ…」

 

 

見た目は余りにも貧弱そうではある。

しかし【彼】の放つ、鋭く刺さる様な威圧感が【彼】の事を軽視する事を決して許さない。

 

 

「パーフェクトパズルは、ゲームエリアのあらゆる物質を自在に操るパズルゲームだ。例えば…」

 

 

宝物を自慢する調子で語る【彼】は、そう言うと、手でパネルをスライドするように動かす。すると周囲を漂っていた"エナジーアイテム"が独りでに【彼】の指示に従う様に動き始める。

まずはこれだ、と【彼】が呟いた瞬間、一つの"エナジーアイテム"にパズルピースの様なエフェクトが踊る。

その"エナジーアイテム"がくるくると回転しながらアーマーに触れる。

 

 

《高速化!》

 

 

そして【彼】は力を抜くように腕や足を振った直後………

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

金属同士がぶつかり合う音に反射的に振り向くと、其処に居た筈の1人の隊員の姿が無かった。その代わりに居たのは、拳を振り切った【彼】。

随意領域(テリトリー)を展開しているとはいえ、認識できるような速度ではない。下手をすれば銃弾よりも遥かに速いであろう。

 

この時点で漸く、格の違いに()()()()()()()()()()が現れた。

 

『コイツは()()()()()()()()()

 

これが、AST隊員の【彼】……仮面ライダーパラドクスの評価である。

 

やられたままでは済まさないと攻撃したものは躱され、逃げようとした者は容赦無くぶっ飛ばす。

そして【彼】自身は"エナジーアイテム"の《挑発》を使う等をしてハンデを負った中でAST隊員達を圧倒していった。

 

 

 

「オイオイ、これで終わりかよ」

 

 

 

怒気の篭った声音で呟いた【彼】。

其処に急激に接近し、ただ機械的に近接ブレードを振るう存在がいた。

 

 

「これ以上、邪魔はさせない」

 

 

「おっと、真打の登場か?

いいぜ、()()()()!」

 

 

AST(奴等)の援軍らしい白髪が割り込んできた。

それを見て楽しげな調子を取り戻した【彼】は、ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を取り出して、ダイアルを先程とは逆の方に180度回転させた。

 

 

 

 

 

《KNOCK OUT FIGHTER!》

 

 

 

《The strongest fist!Round1Rock & Fire!》

 

 

 

 

 

パーフェクトパズルの時とは真逆と言ってもいい程に違う待機音。自然と力が入るような()()音声(こえ)

同じ様にスイッチを押し、"ガシャットギアデュアル"をホルダーに戻すと同時、静かに叫んだ(心から嗤った)

 

 

 

 

「大変身」

 

 

 

 

《DUAL UP!》

 

 

《Explosion Hit!

 

KNOCK OUT FIGHTER!》

 

 

 

赤いパネルを通り抜けた【彼】は、まだ違う姿になっていた。

両肩にあった"マテリアルショルダー"は、特殊燃焼装置"マテリアバーナー"による炎を纏う拳"マテリアライズスマッシャー"に。

"セレクテッドモニター"には、パーフェクトパズルとは違い、燃え盛る炎が描かれている。

顔は先程まで後ろにあった、鉢巻をつけた赤い髪の武闘家をイメージした顔。

 

 

 

「また姿が変わった…?」

 

 

 

 

「"ノックアウトファイター"は、相手をKOするまで叩きのめす格闘対戦ゲーム。

 

 

 

 

 

 

 

第2ラウンドの開始だ」

 

 

 

【彼】の戦い方が変わった。"パーフェクトパズル"では、"エナジーアイテム"を用いた強化で圧倒してきた。"ノックアウトファイター"では、拳と炎による苛烈な攻撃をメインに据えて戦っている。

又しても姿が変わったという動揺が生まれたと同時に、今までのリズムを崩されたASTは先程よりも早く倒されていく。

 

 

 

「くっ………速い…!」

「オイオイ、折角本気を出そうと思ったのに…」

 

 

 

それは、援軍らしき白髪の少女にも当てはまった様だ。回避と受け流しに専念し過ぎて、攻撃が全く行えていない。

そんな彼女を見た【彼】は、一気にやる気を無くしてしまった。

 

そもそも、【彼】が戦闘を始めた理由はフードの少女を助ける為である。その少女は戦闘中に何処かに行ってしまったようなので、戦う理由が既に存在しない。それでも戦いを辞めなかったのは、相手にやる気があったからであろう。

しかし、誰一人として【彼】に食らいつく事も出来ずに敗北していったことで【彼】の興味は完全になくなった。

 

ホルダーから"ガシャットギアデュアル"を引き抜き、ダイアルを元の位置に戻してスイッチを押す。その動作で変身は解除され、【彼】は元の姿に戻った。

 

 

 

「あーあ、この程度か。期待しただけ、損だったかもな」

 

 

 

身構えているASTを前にして、謎のエフェクトとともに【彼】は消えた。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

空間震警報の発令により、無人となったあるビルの上。そんな光景を見ていた青年がいた。

その服装は【彼】と全く同じ。違うところといえば、髪型と顔つき位のものだろう。

 

 

「まさか、こんな世界(ところ)に居るとはな」

 

 

何かを確かめる様に、ココロを込めて呟く。その瞳に映るのは、純粋な()()()()()()

 

 

「今度はオレが___

 

 

___オマエを救う」

 

()()()()()()()青年を正そうとするものは、この場…正しく言うなれば()()()()()()居ない。

 

「其れがオマエの望みなんだろ、()()()()、………………」

 

最後の言葉は、口には出さなかった。

そんな青年は拳を握り、名前らしきものを呟き_____

 

 

 

 

 

 

_____【彼】のようにパズルピースのエフェクトと共に消えた。




最近執筆時間を取れていないので、少しおかしいところなどあるかもしれません…

こちらは今後もこのようなペースで進めていきます

御意見等ありましたらお気軽にコメントしてください。
では次回も、期待せずお待ちください!


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