デュラリールドロップアウト!? (タキオンのモルモット)
しおりを挟む

1章:ダラーズ開幕
最硬の男


やってしまった、後悔はしていない。反省はしています。

メインはジョジョの方なので更新ペース遅いけどごめんなさい。


「いや、俺は何もしてないんです。彼等が勝手に俺を殴って怪我しただけ。」

 

「いや、嘘ではないですよ?なんならクラスメイトとかその辺に聞けばいいじゃないですかこのど低脳が。」

 

「ん?いやど低脳だろお前は。碌に俺以外の人間に話を聞かずに俺が悪いなんて決めつけているんだから。寧ろ脳があると認識されているだけマシだと思え。」

 

「ていうか、そもそも何もしてねえのに殴ってくる方を怒れよ。────え?お前は人間じゃない化け物?」

 

「────いや、認めますよ?自分で化け物とは自覚していますから」

 

 

────4tトラックに轢き潰されても生きてる人間なんざ俺くらいでしょうしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池袋────ここには絶対に敵対しちゃダメなやつというような線引きをされるような人間が何人かいる。

 

特に『喧嘩』というカテゴリには集団以外、カラーギャングとかではなく、個人が強いからという理由で敵対してはいけないと言われているのが三人ほどいる。

 

まず1人目。露西亜寿司という寿司屋で働いているサイモンという男。

 

まあ、この人間は温厚な人物なので特に喧嘩売っても負ける程度で大した問題はないかもしれない。

 

2人目。平和島静雄。自動販売機をぶん投げ、車を持ち上げてぶん投げ、道路標識をへし折り、振り回す。膂力、腕力、瞬発力全てにおいて人間を凌駕している、そんな人物。

 

因みにサイモンはこの平和島静雄を宥めているから「強いんじゃね?」と言われているのだが、真実は分からない。

 

そして3人目────

 

 

 

 

 

 

池袋駅で電車を待つ。

 

目的地は秋葉原。特典を手に入れる為に行かなければならない。って言っても面倒くさい。

 

どうしてやろうかと思っていた時

 

 

突如最前列にいた金髪碧眼の女の子がホームに突き飛ばされた。

 

目の前には丁度、電車が迫ってきている。

 

 

咄嗟に身体が動きその女の子の手を掴む。俺の身体も投げ出されるが些細な問題じゃない。

 

女の子の腕をつかみそのままジャイアントスイングのように思いっきりホームにぶん投げる。

 

女の子が手を伸ばして絶望に染まった顔をしているが、もう遅い。それよりも────

 

 

「そういや、まだ俺は電車に轢かれたこと無かったなぁ······」

 

 

そしてそのまま一人の人間が電車に轢かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全治1週間、打撲と手首の捻挫ですね。」

 

「────まじかよ。」

 

「マジです。大マジです。」

 

後から駆けつけた警察の人間も、助けられた少女も、本人もただただ驚く。

 

「······防犯カメラの映像を見る限り、常人なら即死の筈なんですがね······どんだけタフな身体してるんですか君は······」

 

「······まあ、ほら俺の話くらいなら聞いたことあるでしょ?4tトラックに轢き潰されても生きてるのが俺ですぜ?」

 

「ああ······やはりそうでしたか······名前を聞いた時から何となく想像はついていましたが······」

 

3人目である彼の名は叶歩《かのうありく》。

 

この世で最も硬い鉄のような身体を持つ、池袋で喧嘩をふっかけてはいけない人間である。

 

 

 

 




ああ、なんていうか、やっちまった(白目)
思いつきでやってるんで色々見逃してください()



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最硬の男と未来の駄天使


やっちまった(2回目)


 

叶歩が他の人間と違うと気づいたのは小学1年生の時だった。

 

集団で登下校する学校だった。歩もとうぜんその列に加わっていた。

 

とある日の事だった。その集団下校の列に居眠り運転で車が突っ込んできたのだ。

 

その時、叶歩は反射的に周りの人間を押し飛ばし自分だけが轢かれた。

 

その時叶歩は住宅の塀と車のサンドイッチにされたのだが、腕の骨折で済んでしまったという。

 

この事件以降彼の人生はネジ曲がるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、助けていただきありがとうございます!!」

 

医者から「もう帰ってもいい」と言われた後。当初の目的を果たそうとも思ったがよく良く考えたら人身事故のせいで電車止まってるはずだしどうでもいいや、と思い帰ろうとした時。突き飛ばされた被害者の女の子が呼び止めてお礼を言ってきた。

 

「あー······気にしなくていいよ?ご覧の通り俺はほぼ無傷だしな。」

 

「そ、そういう訳にはいきませんよ!下手したら死んでたかもしれないのに!!」

 

「死なない死なない、タンクローリーに潰されても死ななかった俺があの程度の速度の電車に轢かれたくらいで死ぬ訳がないじゃん。」

 

「タッ、タンクローリー!?」

 

「あ、言っておくけど俺はれっきとした人間だからね?」

 

「そ、そうなのですか······」

 

池袋には人外いるけどね。俺は人間だからね。

 

「んじゃ、俺この後色々用があるから。ま、お礼云々は気にしなくていいよ。本当に。んじゃ、また何処かで」

 

「えっ?ちょっ······」

 

少女の返答を聞かずに俺は走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、確かに俺はあの時「また何処かで」とは言ったよ。うん。だけどさぁ······

 

「ううっ······ここは何処なんでしょうか······」

 

まさか数時間でまた会うなんて思わなかったよ······。

 

 

「······つまり、下宿先のアパートが分からなくなってここで途方に暮れていたと。」

 

「はい······そうなんです。もう全くわからなくて······」

 

「いや、人に聞くとかそういう選択肢は無かったのかい?」

 

「さ、最初はそうしようかと思ったんですが······この辺人通りが少ないのか、居たとしてもお年寄りの方々とかだったので······」

 

うん。ついでに言うなら夜になるとたまにカツアゲしてるやつとかいるしね。

 

「とりあえず見せてみ?俺六年ここに住んでるから大体はわかるよ?」

 

「あ、はい!こ、ここなんですけど······」

 

ふむ、どれどれ··················

 

「······俺ん家と同じじゃねえか!?」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう······中学を外国で卒業してこっちにきたと······はぁ、大したもんだなぁ······」

 

「あ、はい。そんな感じ······ですね。」

 

「······この辺の高校って言うと······来良学園くらいしかねえからひょっとしてそこ?」

 

「はい!もしかして······来良学園の生徒さんなんですか?」

 

「多分同い年だよ?俺も今年から通うんだ。」

 

「そうだったんですか!?」

 

年上だと思われていたようだ。

 

そんなに老けて見えるのだろうか。

 

「······ついたぞ、ここだ。」

 

見た目は結構ボロいがこれでもかなり優良物件である。2LDKなのでそこそこの広さもあるし、家賃も安い方である。

 

「ほへー······なかなかいい所ですね。······ところで······その······あれは?」

 

敢えて目を逸らしていたことを聞くんじゃないよ君······。

 

彼女の視線の先、そこには何処ぞの某音楽ソフトのキャラクターの描かれた痛車に何かブツブツ呟きながら洗車をしているオッサンがいた。そして言い難い事なのだが────

 

「······あれが、大家さんで俺の叔父さんだ。」

 

「そ、そうなのですか!?挨拶しないと······」

 

「あー······今はやめておいた方がいい。『洗車の邪魔すんじゃねえ!!』って逆ギレするから」

 

「え!?」

 

「いいかい?世の中にはね?車に興奮したり紙に書かれている架空の可愛い人物を本気で好きな人とかいるんだよ······」

 

「そ、そうなのですか······凄いんですね?」

 

「因みに、あれならまだまともな方だからな?」

 

「ええ!?」

 

うん、まだマトモだ。もっとおかしい人とか普通にいるから。

 

 

そのまま洗車作業が終わるまで約1時間。雑談していたら漸く終わったらしくこちらに気がついた。

 

「おう、歩。なんだ?お前ナンパでもしたのか?」

 

「違うわ、今日来る予定の入居者の人だよアホ」

 

「アホっ!?」

 

アホで十分だよ。うん。

 

「あ、天真=ガヴリール=ホワイトって言います。今日から宜しくお願いします。」

 

「大家の佐藤延伸だ。部屋は······歩の隣だな。」

 

「マジかよ······ああ、名乗ってなかったな、叶歩だ。歩で構わん。宜しく天真さん。」

 

「なら私のこともガヴリールで構いませんよ!宜しくお願いします!!」

 

 

 

こうして、一人の天使と一人の化け物が出会った。

 

因みにこの後、池袋で起きる様々な事件に二人は巻き込まれるのだが、それはまだ当分先の話である。

 

 

 

 

 





キリのいい所できったら短くなる不思議だね!!(白目)

次回:駄天への第1歩


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

駄天への第1歩

CHUNITHMでぶいえすらいばるやったら腕つって死ぬかと思った(白目)




田中太郎:実は私、明日から池袋に住むことになりまして

 

セットン:へえ、おめでとうー。一人暮らし?

 

田中太郎:はい。池袋は今何が面白いですかね?

 

セットン:アバウトな質問だなあ(^_^;)

 

 

────甘楽さんが入室されました────

 

────あるくさんが入室されました────

 

あるく:ばんわー。一人暮らしおめでとー。

 

甘楽:今池袋っていったら『ダラーズ』ですよう

 

田中太郎:こんばんわー甘楽さん、そしてありがとうございますあるくさん

 

セットン:ばんわー『ダラーズ』って最近噂のチームの?

私は見たことないんですよね

 

甘楽:地下に潜ってるぽいですからねー

でもネットとかでも凄い噂になってますよ!

 

あるく:ダラーズなら見たことあるよー。

この前名乗ってるやつ見た

 

田中太郎:あるくさんと甘楽さん池袋詳しいんですね

 

甘楽:それほどでもないですよう!

あ、じゃじゃあ

昔からある都市伝説なんですけどー

 

あるく:あれ都市伝説に入るの?

 

セットン:あれは都市伝説でもなんでもないですよ

 

田中太郎:すいません、話が見えないのですが······

 

甘楽:あれー?田中太郎さん知らないんだー

 

田中太郎:??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒バイクのことですようー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······池袋を案内してほしい?」

 

入学式間近。というか、明日が入学式の日なのだが。

 

部屋を訪れたガヴリールがそんな事を言ってきた。

 

「はい、今までゴタゴタしてましたけど漸く落ち着いたので、良かったら案内してくれませんか?······1人だと迷ってしまいそうで······」

 

「ああ、気持ちは凄くわかる。」

 

いや、ホントになんであんなに出口も入り口も多いんだよ、新宿よりはマシだけど。

 

「まあ、暇だから別に構わんけど······明日の準備出来てるの?」

 

「あの······その······その為に案内してほしいというか······」

 

「なるほど、店の場所がわからんのか······いいよ、行こうか」

 

「ありがとうございます!」

 

こうして、ガヴリールは初めて池袋の町に本格的に関わることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが60階通りな。あと他にもサンシャイン通りってのもある。」

 

「······すごい人ですね······」

 

「······顔色悪いね?ひょっとして人混み苦手か?」

 

「······少々······。」

 

「んじゃ、今日は60階通り出て一人暮らしに便利な雑貨屋とかスーパーを案内してあげよう。」

 

「ありがとうござ」

グキュルルルルルル······

 

なにか盛大な音がガヴリールの方から聞こえた。

 

気になって時間を確認してみる。

 

丁度昼時だった。

 

「······とりあえず飯食べる?」

 

「······はい///」

 

ガヴリールは真っ赤な顔をしてボソリと呟いた。

 

可愛かった」

 

「ななな、何言ってるんですか!!///」

 

あ、やべ。声でちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと······歩さん。ここって······寿司屋さんですよね?」

 

「うん。そうだよ?」

 

「······寿司屋なのに露西亜なんですか?」

 

「うん、店員さんが露西亜人だから露西亜寿司。」

 

いや、俺も最初はビックリしたよ?でももう慣れた。

 

「あの······その、私お金あまり無くて······」

 

「いいよ、これくらい奢るから······」

 

この程度なら痛くも痒くもねえしな。日頃色々やってたし。

 

「でも、まだ私助けられた時のお礼もしてないのに」

 

「いーいーのー。人の好意は素直に受け取りなさい。」

 

「で、でも」

 

「······なら俺が困ってた時に助けてくれりゃいいよ······それでいいだろ?」

 

「······歩さんがそう言うなら······」

 

ふむ、押しに弱いと見た。楽でいいや。

 

 

 

 

「という訳でサイモンにデニスさん久しぶり〜」

 

「オー、カノウ久ブリネー。」

 

「久しぶりだな······そっちのは彼女かい?」

 

「違いますよ、最近引っ越してきた隣人なんです今日は街の案内をしてました。」

 

ていうか、なんで隣にいる人=彼女という思考になるのだろうか。

 

「じゃあ、取り敢えず食べようか。好きなの頼んでいいよ?」

 

「あ、はい!」

 

こうしてそのまま昼食を満喫した。

 

 

······因みに財布の中から諭吉さんが1枚とんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······で、まあ一通り案内したわけだけど······どう?他に行ってみたいところってある?」

 

あれから数時間後、そろそろ夕方になる時間帯。

 

一通り池袋を紹介し終わってしまった。

 

「ありがとうございます······そうですね······あ、あの建物はなんでしょうか?」

 

そう言って彼女はあっちです。と指をさす。そこにあったのは────

 

 

 

 

 

 

 

「これが娯楽の一種アニメというものですか!」

 

「1階から最上階まで、全部アニメとマンガで埋め尽くされてるのがここだからねぇ。」

 

すごいですねー、と言いつつガヴリールはラノベコーナーに辿り着くと1冊持ってきた。

 

「これはなんなのでしょうか?」

 

······ああ、ラノベがわかんなかったのね。

 

「ライトノベルって言って······まあ、軽い気持ちで読める本って感じかな?」

 

「······と、言いますと?」

 

「普通の本にある、デカイ、重い、読むのに疲れる、読んでて疲れるっていう感じをとっぱらったような本のことだよ。人気が出るとアニメになる。」

 

まあ、こんなもんだろ。というか、どう説明しろと。

 

「お、はが〇いかぁ、懐かしいねぇ」

 

「ひゃうっ!?」

 

「あ、狩沢さんじゃないですか」

 

この人が居るってことは────

 

「因みに僕は〇鳩ちゃん派っス」

 

「遊馬崎さんはロリコンだった────だと?」

 

「ちょっ!?違いますよッ!?」

 

「え、えっと······どちら様で······?」

 

······紹介しなきゃいけねえかんじだね、これ。

 

「あー······知り合いの遊馬崎さんと狩沢さん。」

 

「ありくっち何その子!彼女!?」

 

「なっ······ち、ち違いますよ」

 

「そうっスよ!叶君はゆ〇〇フト「その話はやめようぜ遊馬崎さん?」すんませんっす(震え声)」

 

全く、おれはちゃんと法律守ってんだよ。

 

「俺と同じアパートの隣に引っ越してきた人ですよ。」

 

「天真=ガヴリール=ホワイトです!よ、宜しくお願いします!!」

 

その自己紹介を聞いた遊馬崎さんは首をかしげる。

 

「あ、あの私何か変なことを言ったでしょうか······?」

 

「······ペンネーム?」

 

「なんで女子高校生がペンネーム名乗るのよ。外人さんなんでしょ?本名でもおかしくないじゃない。」

 

「確かにそうっすね!!アレっスかね?アニメの天使とかに居そうな名前っすよね!!」

 

「ギクッ」

 

······ん?

 

「あー······ガヴリールってなんとなく居そうだよね!」

 

「あ、あはははは······」

 

······まさか、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······んじゃ、そろそろ夜も遅いし帰ろうか······ガヴリール?どうしたの?なんか遊馬崎さんたちとあった辺りから調子悪い?」

 

「あ······いえ、ちょっと疲れてしまって······」

 

何とか誤魔化せただろうか······。

 

内心、ガヴリールは焦っていた。まさかいきなり自分の正体を言い当てる(本人達的には冗談のようなものだったが)人間がいるとは思わなかったのである。

 

(恐るべし······人間界······これからはもっと気をつけないと······)

 

「ガヴリール?本当に平気?」

 

「は、はい、大丈夫です。」

 

なんにせよ、もう帰るのだからいいのだが。

 

 

 

 

············R

 

「······?」

 

「どうしたの?」

 

「いえ······なにか聞こえませんか?」

 

············RRRRR

 

「······あーこれはこれは······ついてるな、ガヴリール。」

 

「······え?」

 

BRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR

 

目の前に突然現れたのは、圧倒的な「黒」。

 

一切の光すら通さないバイク、ライダースーツ。

 

馬の嘶きの様なエンジン音。

 

 

 

そしてなにより、自分と同じ、人外の気配。

 

 

 

 

「本当についてるなぁ······日本に来てわずか1週間だろ······?」

 

 

 

────こんな間近で都市伝説を見れるなんて、本当についてるよ?ガヴリール。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、歩さん、ありがとうございました!」

 

「いやいや、気にすることはないよ、久々に人と歩くのは楽しかったしね。」

 

あの後。そのままスーパーに行って夜ご飯を買って帰ってきた。

 

にしても────

 

「ガヴリール本当に平気?主に料理。」

 

「だ、大丈夫です!多分!」

 

本当に大丈夫なのだろうか?野菜の善し悪しの見分け方とか見てるとすごく不安なんだがな。

 

「そ、それではまた明日。」

 

「入学式だもんな。折角だ、一緒に行こうぜ?」

 

「はい!では、おやすみなさい」

 

「おう、おやすみー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人になったガヴリールは考える。

 

あのバイクに乗った私達の同類、人外は何者なのだろうと。

 

「······悪魔でもなく、かと言って天使でもない······あれは一体······?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田中太郎:聞いてください!今日見ましたよ例の黒バイク

 

セットン:それってもしかして夜の7時頃?

 

田中太郎:え!もしかしてセットンさんも?

 

あるく:俺も見たぜー?

 

田中太郎:本当ですか!?

うわっ、じゃあ

知らない内にすれ違ってたり

してたのかもしれませんね!

 

セットン:そうかも

 

────甘楽さんが入室されました────

 

甘楽:こんばんわ☆ログ見ました。

で、どうでした?例の黒バイク?

 

田中太郎:こんばんわ。本当に黒かったです!

何ていうか────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······あー······クソねみぃ······入学式めんどくせえな······」

 

昨日夜遅くまでチャットやってたからマジで眠い。

 

「歩さーん?起きてますかー?」

 

······ああ、そういえば昨日ガヴリールと一緒に行く約束してたっけ······

 

「今行くよー······」

 

 

 

「······おはようガヴリール」

 

「おはようございます、歩さん。って、どうしたんですか?目の下のクマすごいですよ?」

 

「······そういうガヴリールこそ。どうしたの?そんな眠そうにして。」

 

昨日とは違い、髪の毛が若干整ってなくて、目の下に薄らとクマがみえる。

 

「あー······昨日遊馬崎さんたちに勧められたアニメ見てたら面白くてつい······」

 

······大体同じ理由かあ。

 

「ま、取り敢えず学校行こうぜ?」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

こうして(まだ出てきていないけど)天使二人と悪魔二人、そして化け物が一人の高校生活が幕を開けたのだった。

 




ガヴリールのオタク度と駄天度?が原作以上に酷くなる予感!!

因みにチャットルームのあるくは歩君です。まんまだね

次回:最強vs最硬!!気が向いたらね!←

P.S.主人公歩君はオカン属性があります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

池袋の日常

静雄さんと戦わせたかったけど長さ的に次回になってしまった······すまない······




「えー皆さんにはこれから来良学園の生徒として────」

 

······眠い。入学式ってクソ眠い。

 

いや、確かに昨日遅くまでチャットやってた俺の自業自得なんだけども。

 

······これホームルームで意識飛びそうだなぁ······。

 

 

 

 

 

 

入学式が終わり出席番号順に席に座る。

 

これからホームルームなのだが、正直起きていられる気がしない。

 

「はい、それじゃあ前の男子から自己紹介してくれー」

 

······なんでそんな面倒なことを······

 

「じゃあ、次。叶」

 

「叶歩です。宜しくお願いします。」

 

ただ簡素に自己紹介しただけでクラスのほぼ全体がザワつく。

 

まあ、そりゃそうか······中学時代に静雄さんとの大喧嘩で有名になっちまったからなぁ······。

 

何だっていうんだ本当に。

 

そんなことを考えながら、列の最後尾の席だったので何も考えずにただ寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きてください歩さん!」

 

「······あー······HR終わった?」

 

「十分前に終わりましたよ!?」

 

まじか······どんだけ眠かったんだよ俺。

 

というか号令で起こされないあたり俺らしいと言えば俺らしいなぁ······。

 

見ろ、チラホラ残っているやつがめっちゃビビりながらこっちを見てるぞ?「あいつに話しかけるとか勇者なのかあの人」って感じで見てるぞ?

 

「あのねぇ、ガヴリール?学校で俺に話しかけるのはやめておいた方がいいよ?俺はこの辺でいい意味でも悪い意味でも有名だから······」

 

因みに、いい意味というのはマジ切れした静雄さんを止められるという意味で。悪い意味ってのは静雄さんと同じレベルで強い化け物として。

 

「······?それに私とどう関係が······?」

 

普通怖がるもんだけどな······

 

「······ガヴリール?その方は······?」

 

「なによ、ガヴリール。······知り合いなの?そのA級悪魔的行為をしていた奴と······!?」

 

「え?何?悪魔的行為?」

 

なんじゃそりゃ。中二病?

 

「······何、ガヴリールの友達?」

 

「えーと······友達?と友達の友達?······です?」

 

「何故疑問形なのさ······」

 

赤い髪の子は置いておくにしても黒髪(?)の娘は「え?私達友達······だよね······?」って感じでこっち見てるぞ?

 

「······えーと······ところで君たちは?」

 

「あ、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです!」

 

「将来の大悪魔!!胡桃沢=サタニキア=マクドゥエルよ!!」

 

······おう······

 

「大分中二病が進行しているようですね······?」

 

「中二病じゃないわyモゴゴゴー」

 

「黙りなさいサターニャ!!正体は隠さないと!!(小声)」

 

「モゴゴゴー!!モゴー!」

 

「······なんというか······個性的な友達だね?」

 

「あははは······」

 

にしても······マクドウェル······ねえ······。

 

「確かに名前だけは悪魔っぽいよな。マックスウェルからもじった様な名前だし。」

 

「あ、あはははははは······」

 

あ、でもコ〇エースには「下手したら物理とか科学関連の教科書で殴られたら消滅する」って書いてあったな。弱そう······。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな······叶歩だ、よろしく。月乃瀬さんに胡桃沢さん?」

 

「ヴィーネでいいわよ。」

 

「私もサターニャでいいわよ?てかせめてサタニキアと呼べばいいのに」

 

「日本人だからなぁ······癖で」

 

「あ、この際だから私もガヴでいいですよ?」

 

「おう、楽でいいなガブ」

 

「あの、ガヴです。」

 

「発音しにくい!!」

 

「ええ······」

 

「なるほど、確かに言い難いな!!だが俺なら発音できるぜ!!」

 

「おうそうか······誰だお前!?」

 

誰だお前!!いつから居た!?

 

「酷くない!?初対面じゃないだろ!?」

 

ん?よく見たら見覚えがあるな······えーと確か······

 

「······誰だっけ??」

 

「紀田正臣だよ!!忘れたのか!?」

 

ああ、そうだそうだ。

 

「中学時代に独身の美人の先生にみんなの目の前で告白してふられた紀田正臣君じゃないか。」

 

「やめろおおおおおお!?あれは若気の至りってやつでええええええ!!」

 

いやー、中一のあの出来事が一番笑った。

 

まあ、「あの先生お前に気があるかもよ?」って煽って告白させたのは俺なんだけどね!

 

「······で?何しに出てきたのお前は?」

 

「いやぁ······友人を池袋案内するついでにナンパしようかと思って頭数を揃えようかと?でもそしたらお前が美少女3人侍らせて喋ってるからこれは介入せざるおえないだろ!!!?」

 

「うわぁ······」

「うわぁ······」

「あ、はは······」

 

上からヴィーネ、サターニャ、ガヴの順である。

 

「あれ!?引かれてる!?なんで!?」

 

「当たり前じゃんか······何してるのさ紀田くん······」

 

さらにそこにいかにもいい人って感じの男子が来た。

 

「おお、帝人!!」

 

······もっとすげえ名前のヤツいた······

 

 

 

 

 

 

 

 

「りゅ、竜ヶ峰帝人っていいます!よ、よろしく!!」

「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルよ、長いからヴィーネで構わないわ」

「胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ!!サターニャでいいわ!!」

「天真=ガヴリール=ホワイトです。ガヴでもガヴリールでもどちらでもいいですよ。」

「紀田正臣!!サインは1人1枚までな!!」

「叶歩だ。よろしく······なにこの凄い名前の軍団」

 

改めて自己紹介するととんでもない名前ばかりだった。外人(?)組はまだしも竜ヶ峰帝人のインパクトが半端ない。俺の名前も少々変わっているし······。

 

まあ、自己紹介は置いといて。現在、帝人とサターニャとヴィーネのためにさっきの6人で池袋散策である。

 

取り敢えず帝人が漫画を買いたいと言ったので俺達はアニ〇イトに来ていた。

 

「何ここすごいわね!!」

「上から下まで全部漫画と······何これ?ライトノベル······?」

「あ、これ面白いですよ?前に優しい方に勧められまして······」

 

そこで帝人は新刊コーナーにある漫画を手に取る。

 

「女の子の麻雀漫画かぁ······」

 

「この店の特典はステルスモモのミニ色紙とらの〇なでは風越女子のキャプテン、ちゃんと検討したっスか?」

 

「!?」

 

「私はコンプリートをオススメするわ」

 

「······遊馬崎さん、狩沢さん。多分こいつそこまでのレベルじゃないですよ?」

 

漫画を漁っていると遊馬崎さんと狩沢さんが帝人に絡んでいた。

 

「お、歩君!!紀田君も久しぶりー」

 

「何その制服高校生?おめでとー」

 

「どうもどうも」

 

「こいつ幼馴染みで今日から一緒の高校になったんすよ」

 

「りゅ、竜ヶ峰帝人っていいます」

 

「······ペンネーム?」

 

まあ、そうなるよね。

 

「なんで高校生がペンネーム名乗るのよ······あ、ラジオとか投稿の?」

 

「······一応本名です(年上にからかわれた······)」

 

帝人だし竜ってのもまたすげえんだよなぁ······

 

「うっそぉ本名!?かっこいー!!」

 

「右代宮家みたいっす!!」

 

うみ〇こかあ······俺ひ〇らしの方が好きなんだよなぁ······

 

「んで?そっちの2人は何者!?」

 

「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです、ヴィーネと呼んでください。」

 

「大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ!!サターニャと呼んでもいいわ!!」

 

「悪魔!?」

 

「何この娘痛可愛い!!」

 

完全に中二病患者と思われてるね、サターニャ。

 

「なんかマックスウェルの悪魔みたいな名前っスね!!」

 

同じ事考えてたよこの人······。

 

 

 

「やーそれにしても今日もすごい荷物っすね」

 

「電撃文庫の新刊が出たもんで30冊くらい買ったんすよ」

 

「あ、やべ、買わなきゃ」

 

完全に忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー······すごい品揃え感動したよー」

 

「まぁ、あそこが本店だしなぁ······そういや、ガヴは何を勧められたんだ?」

 

「あ、これです!!面白いですよ!!」

 

どれどれ············?

 

『這い〇れ! ニャ〇子さん』

 

ああ······これは面白いよね。

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、久しぶりだね紀田正臣君と······うげ······」

 

「あ、臨也さん。おひさー」

 

と、そんな感じで雑談をしていたら臨也さんと出会った。

 

「うげえ······君はシズちゃんよりは好きなんだけどあくまでシズちゃんよりマシって程度だからなぁ······あまり会いたく無かったんだよねぇ······」

 

「俺何か臨也さんにしましたっけ?」

 

「君だって駆け引きも理屈も通じない奴の1人だからね?青酸カリ盛ったのに下痢だけで済むとか頭おかしいよ?」

 

「やはりお前の仕業だったのか!?あの後三日三晩腹痛すぎて暫く何も出来なかったんだぞ!?葛根湯飲んでも治らねえし!!」

 

「だから何でそれで済むんだよ!?通常の人間が即死する量の二倍入れたんだぞ!?」

 

 

 

「······紀田くん、彼らは何を話しているの?」

 

「な、なんかとんでもない言葉聞こえなかった······?青酸カリとか······」

 

「······あまり深く気にしない方がいい······」

 

 

 

 

中学時代に歩と平和島静雄が喧嘩して以来、折原臨也はそれに絡むようになった。

 

平和島静雄と違って歩は話の通じる人間だったが結局化け物性能を目にしてから平和島静雄を殺す為の練習台に使っていた。

 

だが、彼は別の理由で駆け引きも理屈も通じなかった。

 

身体の頑丈さだけは平和島静雄よりも上だったのだ。

 

仕方なく、彼は物理で歩を殺すことを諦めた。

 

「この手だけは使いたくなかったが······」

 

折原臨也は平和島静雄を殺すにあたって毒を使うつもりはなかったから、歩にも使うつもりは無かった。

 

だが、中学時代の歩は結構荒れていた。普段は優しいのだが、折原臨也に何度も殺されかけた時についこう言ってしまった

 

「は?あんだけ俺のこと殺す殺す言っておいて諦めるとかwwwざっこwww」

 

と、まぁ、こんな感じで煽ったのである。

 

その結果臨也に毒物を使わせるまでになったのだが────────結果は先述の通り。まず睡眠薬から試したのだが、全く効かず、ヤケになって常人の致死量の倍の青酸カリを盛ったジュースを飲ませたが三日三晩の腹痛の症状が出ただけで特に命の危険とか何も無かった。

 

そして臨也は、考えるのをやめた────

 

 

 

 

「······そんな事があって、あいつらの仲はあんな感じだ。」

 

「······あの······失礼だけど歩さんて······人間?」

 

「······一応家族は常人だからな······身体的には」

 

「······悪魔より強いんじゃないの······?」

 

 

 

その後自己紹介をして、そのまま帰路についた。

 

因みにガヴとサターニャ、そしてヴィーネは歩が人間じゃないことを視野に入れつつ『取り敢えず正体は隠しておきましょう』という事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────田中太郎さんが入室されました────

 

田中太郎:こんばんわー

 

セットン:ばんわー

 

あるく:おっすおっす

 

田中太郎:あの、オリハライザヤって人知ってます?

友達に近づかないほうがいいって

言われたんですけど

 

セットン:······田中太郎さんの友達って、その筋の人?

 

田中太郎:え?いえいえ 普通の奴ですけど······

 

セットン:そうですか。すみません。

折原臨也には関わらない方がいいよー

マジでやばいっす

 

あるく:あいつ遠目から見ても

頭おかしいって分かるからなぁ······

 

────甘楽さんが入室されました────

 

甘楽:こんばんわ☆そういえば田中太郎さんって

東京に来てるんですよね。オフで歓迎会でも

やりましょうよー

 

あるく:お、それいいね、カラオケとか行こうぜ

 

田中太郎:えー、そんなお構いなく

でもオフ会はやりたいですねぇ

 

甘楽:そうそう オフ会って言えば

自殺オフってあるじゃないですかぁ

 

田中太郎:あー、昔流行りましたね。ネットで

知り合って心中とか

でも最近はあまりニュースになりませんよね

 

セットン:未遂で終わっているのか、あるいは珍しく

なくなってニュースに出ないのかも

 

甘楽:まだ死体が見つかってないのかも☆

 

あるく:サイト消されることが多くなったからじゃね?

最近色々うるさいし

 

セットン:すみません 私用事ができたので

今日はこれで失礼しますねー

 

甘楽:お疲れ様でっス!

 

田中太郎:おやすみなさい

 

あるく:*-ω-)ノ" オヤスミー

 

────セットンさんが退出されました────

 

甘楽:でも本当に最近失踪事件多いみたいですよ

 

あるく:うわぁ、物騒だなぁ······

 

田中太郎:そんなニュースが?

 

甘楽:えーと、不法入国の外国人とか家出中の子とか

池袋から渋谷あたりで多いみたいですー

 

田中太郎:やっぱり東京って怖い······

黒バイクがさらっているとか······?

 

甘楽:『ダラーズ』の連中がとって食ってるって噂も

ありますよ

 

あるく:まさかの食用!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······ダラーズが人攫いねぇ······」

 

それはなさそうな気がする······でもまぁ······

 

「折角まともに喋ってくれる友人が出来たんだ。······できる限り守ってやるか······」

 

 

 

 

 

 

 




主人公をチートにしすぎた感がする?

大丈夫、弱点がちゃんとあるから!!←

次回はちゃんと静雄さんとのバトルだよ!!

······臨也さんがなんかキャラ崩壊したなぁ······

お気に入り登録が十人もいてビックリしました。
ありがとうございます。これからもちょくちょく更新するのでよろしくです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いーざーやーくーん

あー······ヒロインどうしようかなぁ······

サターニャかガヴにしたいけどヴィーネも捨てがたいんだよなぁ······え?ラフィ?ラフィは······書きにく((





「そうだ、ナンパに行こう!」

 

··················うん?

 

「なんでお前がここに居る?」

「紀田君B組でしょ」

 

おかしいな、俺達は今委員決めてる最中だった筈なのに紀田が帝人の後ろにいるなんて······。

 

「えー······まだクラス委員が決まってないのですが誰かいませんか?」

 

「はー」バァン

「もう!やめてよ!!」

 

「······てかガヴは何かやったりしな······寝てやがる······」

 

しかし真面目なコイツが寝るとは······何があったんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

「······すいません······昨日遊馬崎さんに誘われてネットゲームというものをやろうとしたんですが······パソコンの使い方がわからず······朝まで勉強していたら······」

 

「······変なところで、マジメだねお前······確かに初心者にはキツイ······かもなぁ」

 

「あんたそんなA級悪魔的行動を······!?」

 

「だから知らねえって言ってんだろ!」

 

「え?何が?」

 

「いや、サターニャじゃないと思うわよ?」

 

······あれは······確か園原とかいう女子と······矢霧だったか?

 

なぜ言い争ってるんだろうか?

 

「俺ちょっと見てくるわ。」

 

 

 

「────で、────から───本当に────ないんですか?」

 

「だから知らないっての。突然ぱたっと来なくなっちゃっただけだって」

 

ふむ······修羅場かな?

 

「おうおう!入学そうそう痴話喧嘩とはカッコイイことしてくれるじゃん!」

 

······そういう空気を壊していくスタイルは普通に尊敬するわ······紀田······

 

「······なんだお前?今のはそんなんじゃねえよ」

 

「ええと、矢霧君だよね、僕はその、同じクラスの竜ヶ峰帝人、よろしく」

 

「ああ、知ってるよ。覚えやすい名前だからさ」

 

同じクラスの委員の顔を見て矢霧誠二は緊張を緩ませる。

しかし、そのフォローを台無しにする、それが紀田正臣という男である。

 

「······お前いいガタイしてるなぁ。よし、ナンパに行こう!!歩もな!!」

 

「「「はぁ?」」」

 

何言ってるんだコイツ······

 

「ちょっと何言ってるのさ!?」

 

「あのなぁ、ナンパってのは背の高いやつが居れば絶対有利なんだよ!!」

 

「俺がいるだけで多分誰も寄ってこなくなると思うがな?」

 

「あのさ······」

 

矢霧が先刻までのピリピリとした雰囲気はなく、呆れたような目で俺たちを見ている。

 

「悪いけど────俺、彼女がいるんだ」

 

ナンパ以前の問題だった。がそれで引き下がる紀田ではない。

 

「関係ねえって!!」

 

「「いや、大アリでしょ!!」」

 

帝人と2人でツッコミを入れるがコイツの耳には届かない。

 

「このさいあんたの彼女の有無はいい、ナンパで引っ掛けた時点ではまだ彼女とは言わないから浮気にはならねっての!!」

 

「そ、そうなの?」

 

「んなわけねえだろ······」

 

「······だめだ、他の女を気にかける事は、裏切りだ。」

 

「ほう、深い愛情だね······彼女は裏切れないと?」

 

「いや、歩······だっけか?裏切るのは彼女じゃない。」

 

「は?じゃあ誰だよ?」

 

紀田の問に対し、矢霧誠二は宙を仰ぎながら、強い眼差しを持って言い切った。

 

「愛だよ」

 

「はい?」

 

「それは俺自身の放つ彼女への愛を裏切る事になる。彼女は裏切れても、俺は愛は裏切れない!!」

 

 

 

沈黙

 

 

 

 

「お、おう······そうか······頑張れ!!」

 

俺は戸惑いながら拳をガッと突き出すと、矢霧誠二は満面の笑みでそれに答える。

 

「ああ、ありがとう!」

 

············なんというか············

 

「············あいつ、ああいう奴だったのか······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、サターニャとヴィーネと別れてガヴと帰っている途中。

 

「あんたさ、張間美香がいなくなったのに随分とでかい顔してるみたいじゃない?」

「クラス委員になったんだって?何優等生ぶってんの」

「なんとか言えよ、中学の時は美香の腰巾着だったくせしてよー······」

 

 

「······あれは?」

 

「うわ、まだあんな化石みたいな奴いたのか······見ろ、ガヴ。あれがもう殆ど見なくなった絶滅危惧種の様なイジメだ。」

 

「い、イジメ!?」

 

「あれをイジメと呼ぶかは少し微妙だけどなぁ······まだ金属バットで殴られたり燃やされそうになったり車に轢かれないだけマシだと思うけど······?」

 

「それイジメの域を超えてませんか!?完全に殺しにきてますよねそれ!?」

 

「いやいや、本当のイジメというのはね?例えば······クラスで結託してものを盗みボロボロにして捨てたり、複数人で暴力ふってカツアゲしたりとか······そーゆー陰湿なものを言うんだよ?」

 

「······だとしてもあれは止めさせないと······!!」

 

「止めときなよ、聖人君子かなにかか貴様は。今いっても集団でリンチされるだけだって······」

 

「······で、でも······!!」

 

しかし困った。園原がクラスメイトじゃなかったらスルーしていたが流石に同じクラスの顔見知りだからなぁ······かと言って俺やガヴが出ても根本的解決にはならないし······

 

 

「いやぁ、良くないなぁ······イジメカッコ悪い実に良くないねぇ」

 

······あれ?臨也さん?なんで池袋に······この前もいたけど······てか、あそこにいるのは竜ヶ峰?何でここに······

 

「おっさんには関係ないだろ?」

 

「そう、関係ない」

 

······あー············これは······

 

「関係無いから、君たちがここで殴られようが野垂れ死のうが関係ない事さ。俺が君たちを殴っても俺が君達を刺しても、逆に君達がまだ23歳の俺をおっさんと呼ぼうが、君達と俺の無関係は永遠だ。全ての人間は関係していると同時に無関係でもあるんだよ」

 

「······はぁ?」

 

「人間って希薄だよね」

 

意味の解らないことを言いながら臨也は女達に一歩近づいた。

 

「まあ、俺に女の子を殴る趣味はないけどさ」

 

次の瞬間────臨也の右手の中には小柄なバッグが納められていた。

 

「あれ?え?」

 

······相変わらずナイフの技術はすげえなあの人。

 

いつナイフを取り出して切ったのか分かりにくかったなぁ······。

 

そのまま、臨也はニコニコと笑いながら、そのバッグの中から携帯電話を取り出す。

 

「だから、女の子の携帯を踏み潰す事を新しい趣味にするよ。」

 

「は!?ちょ返せ!!」

 

女は手を伸ばすが、それよりも速く臨也が携帯電話を地面に落とす。

 

女はそれでも携帯電話に手を伸ばそうとするが

 

バキィッ!!

 

それよりも一瞬はやく、臨也は携帯電話を踏み潰す。

 

「ああーっ!?」

 

バキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッ!!

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

携帯を踏み潰しながら臨也は笑う。

 

「ちょ、ヤバいってコイツ!!」

「クスリキメてるんじゃないの!?」

「はやく逃げよう!!はやく!!」

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ────飽きちゃった。女の子の携帯を踏み潰す趣味はもうやめよう。」

 

「······あいかわらず趣味悪いですねぇ······臨也さん?」

 

「······なんだ、歩くん。君見てたのか······」

 

「臨也さんが出てきた時点で面倒事になりそうなのでスルーしてました。」

 

ガヴはショックを受けたのか呆然としている。ほら、この時点で割と面倒だ。こいつ本当にろくな事しない

 

「······まあいいや、俺は君を探してたんだよ、竜ヶ峰帝人君。」

 

「え?」

 

「······臨也さん、その前に────」

 

「なんだい?俺は竜」

 

臨也さんが言葉を発した瞬間、コンビニのゴミ箱が文字通り()()()()()

 

そのゴミ箱は臨也に直撃する。

 

「······右方向注意······って遅かったか。」

 

「イーザーヤーくーん······」

 

「······シズちゃん······」

 

さて────これはイザとなったら俺が止めなきゃいけねえパターンか。

 

 

 

 

 

 

「池袋には二度と来るなって言わなかったけかー?いーざーやー君よぉー」

 

「シズちゃん······君が働いているのは西口じゃなかったっけ?」

 

「とっくにクビんなったさーそれに 」

 

そういって平和島静雄は二つ目のコンビニのゴミ箱をひょいっと持ち上げる。

 

「その呼び方はやめろって言ったろーいざやぁあ!!」

 

そして思いっきり振りかぶり、まるで野球ボールのようにぶん投げた。

 

しかし、折原臨也は最小限の動きでそれを回避する。

 

ドゴッ!!

 

コンビニのゴミ箱はアスファルトに直撃し無惨に砕けた。

 

「相変わらず馬鹿力だねーシズちゃん」

 

「だから······それやめろって······何回言わせんだ?

 

俺には、平和島静雄って名前があるってよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

────平和島静雄、池袋最強の男。

 

────時に自動販売機を投げ、冷蔵庫を投げ、教卓を投げ

 

「やだなぁ、シズちゃん。君に俺の罪をなすりつけたことまだ怒ってんの?」

 

「怒ってない······怒ってないぞぉ······だだ!!てめぇを!!ぶん殴りたいだけさぁ!!」

 

ガァン!!

ギギギ······

 

────時にこの様に道路標識を殴り歪ませ

 

「シズちゃんの暴力ってさー、理屈も言葉も道理も通じないから苦手なんだよねー」

 

折原臨也は流れるような動作でナイフを構え平和島静雄を挑発する。

 

「困ったな、見逃してよ」

 

「見逃す?勝手に逃げりゃいいじゃねえか」

 

ボゴォ

 

────時に道路標識を引っこ抜き

 

「逃げてもぶっとばすけどなああああああ!!」

 

軽々と道路標識をぶん投げる!!

 

この馬鹿力が池袋最強の理由!!

 

「ハズレ♪」

 

当たらなきゃ意味無いが。

 

そしてその道路標識は────

 

「────え?」

 

呆けて見ていたガヴリールの顔面へと飛んでいった。

 

 

 

 

バキャッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、流石にシャレになんねーぞおい」

 

「あ、歩さん······!!」

 

道路標識が当たる直前。咄嗟に歩が拳を突き出し、道路標識をぶち壊した。

 

「おいこら、静雄さん。それ以上は一般人に被害が出るからやめようか。」

 

「······ああ?なんだてめえ歩よぉ······邪魔すんじゃ······ねえよ!!」

 

鉄をも軽々砕く、静雄の本気の拳。しかし────

 

ガキィン!!

 

池袋最硬の男は余裕で掌で受け止める。

 

掌で受け止めたとは思えない音が響いたが。

 

そしてそのまま池袋の最大戦力の2人組は両手で取っ組み合いを始める。

 

「流石にクラスメイトが危ない目にあうのはアウトなんだよね······という訳で!!一回止まれ静雄さん!!」

 

「てめえ歩いい加減に······!!」

 

「わざわざアーチで見逃してくれるなんてシズちゃんはやさしいなぁー」

 

「あっ!?いざやてめっっ!?」

 

「じゃ、俺はこの辺で♡」

 

「待てコラァ!!歩放せ!!」

 

やなこった、ガヴに謝るまで放すのをやめない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや······本当に済まなかった······」

 

「い、いえ、だ、大丈夫でしたから!!」

 

臨也さんがさった後。

 

JKに深々と頭を下げるバーテンダーがいた。

 

ちなみにここは静雄さん行きつけのカフェである。

 

本来女子だとかOLだとか、その辺がこぞって来る様なカフェに静雄さんは一人で通うほど甘党なのである。

 

「······普段はいい人なんだよ······臨也さんが来なければ······俺も静雄さんとよくここに来るし。」

 

「そ、そうなのですか?」

 

「すまん、詫びにここで奢ってやるから······」

 

「そ、そんな!!ぶ、無事でしたし大丈夫ですよ!!」

 

「いや、そういう訳にもいかねぇだろ······」

 

「······ここは奢られときなよガヴ。折角の好意だ。受け取ればいいと思う。それに────」

 

「それに?」

 

「······ここ、意外と高いんだよ。」

 

「······ご馳走になります。」

 

この後、メチャクチャパフェ食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······ふぅ······静雄さんご馳走様でした」

 

「おう、今日は済まなかったな。んじゃ!」

 

と、そんな会話の後。ガヴリールとそのままアパートに帰ると────

 

「······竜ヶ峰?」

 

「え、いや、こ、こ、これは······その······」

 

向かいのアパートに竜ヶ峰が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────女を連れて。

 

 

 

 

 

 

 

「りゅ、竜ヶ峰お前ナンパしてきたの?」

 

「違うから!!違うから!!」

 

 

 




簡易的強さランキング!!



平和島静雄>>>>>>>叶歩>>>越えられない壁>>>サイモン、以下略


防御的な

叶歩>>>>>>>>>平和島静雄>>>越えられない壁>>>>サイモン、以下略

薬物関連

叶歩>>>>>>>>>>>>>>>>>>セルティ・ストゥルルソン>越えられない壁>他の人類

なんだこのバケモノ。

次回、恐らくデュラララ!!第1巻最終回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダラーズ開幕

友人1「お前ヒロイン決まってないってまじ!?ガヴにあんだけフラグ立てといて!?」

俺「あ、うん。まだ決まってない。てか立ててた?」

友人1「命の危機を救うこと2回。その他の助けも含めて4回だぞ!?ここまでフラグ立てまくったならガヴでいいだろ!?」
友人2「いや、ここはヴィーネで!!」
友人3「いや!(ポンコツ)大悪魔のサターニャ様だろ!!」
友人4「は!?ラフィ様に決まってるだろ!?」
友人5「タプリスなんだよな?そうだろ?(威圧)」

────別にこいつらの意見を反映しようとか思ってないけどここまで綺麗に割るもんなんだな······

······タプリス?最低でも青葉登場する季節までは多分来ないよ?

そんなこんなで、デュラリールドロップアウト始まります!!

いつかヒロインアンケートをしなきゃならないかもしれないなこれじゃあ······

因みに作者はガヴとサターニャ推しです←



「······つまり?その女の子と曲がり角でぶつかるという今時もう見ないであろうマンガ的出会いをして黒バイクに追われてたと。」

 

「う、うん。決してナンパじゃないから!!」

 

なんて会話をしている時。

 

その女の子の顔を()()()()()女。黒バイクことセルティ・ストゥルルソンは困惑していた。同居人の岸谷新羅が割と心配する勢いで。

 

『そもそも何で私の首に私以外の身体があるんだ?』

 

「······まあ、実際に見ていない私が何を言っても白川夜船、つまりは知ったかぶりにしかならないからねえ。その程度の推測でもよければ話をさせてもらうけど?······体格の合いそうな女の子を見つけて適当に首をすげ替えたんじゃないかな?」

 

その答えはセルティも想像していたが、その通りならどうしようもない。

 

「まあ、国のどこか────より大袈裟にするならば、軍の研究機関が手に入れて不死の軍団作ろうぜ的なノリでくっつけたとか?」

 

『ゴールデンラズベリー賞は間違いなしだな』

 

どこかの研究所は大いにありえる話だが。

 

「まあ、クローンは飛躍しすぎだとしても、適当に死体と繋ぎ合わせたりはしたかもしれないね。あるいは、生きた人間を攫ったりして、殺した直後なら生き続ける首を繋げたら身体の方も生き返るんじゃないか、とかね。論理的には馬鹿馬鹿しい話だけどそもそも君と君の首自体が論理的にありえない存在なんだ。死人の身体を乗っ取ることだってありえるかもしれない」

 

『反吐が出る。だが、いくら何でもそこまではしないだろう』

 

「確かに、まともな人間のやる事じゃあない。だけど────きっかけさえあれば人間はなんでもするよ。例えば、可愛い娘が死んで、せめて身体だけでも永遠に生かし続けたいとか────あるいは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『とにかく────あの『首』と、一度話をしてみようと思う』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

矢霧誠二は回想する────

 

今日の昼間。ついに自分の運命の人を見つけた────が

 

その運命の人の手を引き去って行った、クラスメイトの竜ヶ峰帝人。そしてその2人を追った黒バイク

 

「何でだよ······なんでだよ畜生!!何でみんな俺の恋の邪魔するんだよッ!俺が何かしたのかよ!彼女がなにかしたのかよっ!!畜生おおおおお────ッ!!」

 

 

 

 

その後、部屋の隅に座って誠二は何かをブツブツ呟きながら蹲っていた。そんな様子の彼を落ち着かせるように、姉の波江が弟の身体を優しく抱きしめる。

 

「大丈夫よ、私たちに任せて。絶対に彼女を取り戻してみせるから······だから、安心しなさい」

 

 

 

「で?解ったの?」

 

「はい、誠二さんの言っていた竜ヶ峰という奴の住所ですが────池袋駅の側にあるボロアパートです」

 

「そう······それならとっとと下の連中を使って回収しなさい。いい?『下』の連中全員にすぐに連絡を回して。誰でも構わないし────生死は問わないわ。場合によっては、そのまま処理してしまいなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「······矢霧が欠席?」

 

張間美香は今学期最初からずっと欠席しているがここに来て矢霧も休みか······。

 

────そういえばあの竜ヶ峰が保護した首に傷のある少女······高校生くらいでしかもあのスカートここの学校のやつに似てたな······まさか、な。

 

「あ、コイツだよタカシ!」

 

「······ん?」

 

女子の一人が、竜ヶ峰と杏里の方に向かって指をさしていた。

 

「お前、俺の彼女の携帯ぶち壊したやつと知り合いなんだってな」

 

「知り合いってほどでは······」

 

「で、どこよ、てめえと一緒にいたって野郎は────」

 

それ以上その男は言葉を発することが出来なかった。

 

音もなく現れた黒バイクがその男を踏み潰し────

 

ゴシャッ

 

倒れたところに更に臨也が上から落ちてきた。

 

「ありがとう」

 

放心する周り全員の目の前で臨也は恭しく一礼してみせた。

 

「君は────俺が女の子を殴る趣味が無いからって、わざわざ男を用意してくれるとは!なんて殊勝な女の子なんだろう。彼女にしたいけどごめん、君、全然タイプじゃないから帰れ」

 

「うわヒデェ······」

 

ちなみに女は「ごめん、」のあたりで彼氏を見捨てて逃げている。

 

見捨てる以外の選択肢は多分なかっただろうが。

 

「ふう、前回はシズちゃんという邪魔が入ったからね、かと言って住所調べて先に家の前で待ってても失礼だと思ったから校門で待たせてもらったよ······にしてもさ、なんで黒バイがいるの?」

 

(それはこっちのセリフだ)

 

「あんたこそ何でいるんだ······ 」

 

臨也さんが表の人間、しかも一介の高校生に関わることはほとんど有り得ない。

 

······それにセルティさんがいるのも気になる······

 

「······取り敢えず竜ヶ峰。とっとと帰ろうぜ。ガヴもな。」

 

「そうですね······目立っていますし······」

 

「······そ、そうだね!それじゃあ園原さん!!また明日!!」

 

「あ······はい······」

 

そして竜ヶ峰が歩き出す。

 

帰り道が同じなのでその後ろを俺とガヴが歩き出す。

 

そしてその後ろをセルティさんがバイクを押しつつ歩き

 

その後ろをガードレールの上を臨也さんが歩く。

 

 

「······アヒルの行進か何かかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええと······僕の部屋はここの1階にありますけど······いい加減説明してください。貴方がたは一体何者なんですか?」

 

『行方不明になっていた知り合いの娘を見つけたが何故か逃げてしまったんだ』

 

「すみませんが、その話を信じることはできません。」

 

ですよねー。

 

セルティさんもわかっていたのか、竜ヶ峰をアパートの裏に連れ込んで正体を見せるらしい。

 

まぁ、そうしなきゃダメだよなぁ······

 

「で?臨也さんは何でここに?」

 

「ん?私用。気になることがあったからね」

 

······?

 

そんな会話をしていると竜ヶ峰とセルティさんが戻ってきた。

 

「僕が先に行って彼女に話してきます。事情を説明するより先にセルティさんの姿を見られて僕が誤解されるのは嫌ですから」

 

『了解した』

 

 

 

 

「······ところで運び屋。俺あんたの名前初めて聞いたよ外国人だとは思わなかったな」

 

「嘘つけ」

(嘘つけ)

 

「ば、バイクさん外国の方だったのですか!?」

 

『いや、どちらかと言うと君たち天 』

 

「······遅いな竜ヶ峰······」

 

もう5分も経っている。

 

ふと、アパートの前を見る。

 

────清掃サービスの······ワゴン車?アパートに?

 

まさか!!

 

────瞬間

 

セルティさんが同じ考えに至ったのか竜ヶ峰の部屋まで駆け出す。

 

そして手を伸ばした瞬間、部屋から作業着の二人の男が出てきた。

 

男二人はセルティさんを突き飛ばし、逃げようとする。

 

セルティさんは追おうとするが

 

「追う必要はないよ、バンに見覚えが」

 

「そうだな、追う必要はないな。俺の目の前来たからな〜」

 

「え?」

(え?)

 

「ひっ······か、叶歩!?」

 

それじゃあ、拳を握って〜

 

 

 

ゴッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······あのさぁ、歩くん?君自分が化け物って自覚してるよね?してるよね?」

 

「······いやー、加減間違えちった?」

 

「君の体はシズちゃんより硬いんだよ?そんな奴の拳とかマジで危ないんだからね?」

 

「大丈夫!死んでないからセーフです!!」

 

「その考えはどうかと思いますよ、歩さん?」

 

「ごめんなさいガヴリールさんお許しください(震え声)」

 

ガヴが怖かったです。

 

 

 

 

「······吐かせたら矢霧製薬の奴らだったよ」

 

「ああ、最近落ち目で、外資に吸収される寸前の木偶会社か。やっぱりね。」

 

「矢霧······製薬······?」

 

いなくなった首の女。デュラハン。矢霧。製薬会社。行方不明。張間美香。園原杏里の話。矢霧誠二。人買い。

 

帝人の頭の中に様々な『断片』が思い浮かんでは消えてゆく。

 

そして帝人はパソコンを立ち上げる。

 

「ははっ······正直、疑い半分だったんだが────」

 

臨也がそこまで言ったところで、帝人は立ち上がったばかりのパソコンから即座にネットに接続し、もの凄い指さばきで即座に何かのパスワードを入力し────何かのページにログインした。

 

「······帝人ってこんなやつだったのか······」

 

「お願いです。少しの間だけ────私に協力してください。」

 

いつもとは違う有無を言わせぬ口調で

 

「駒は、私の手の内にあります」

 

ハッキリ、そう言った。

 

 

 

「────大当たりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日の午後11時 池袋

 

 

 

「······なんで君たちがいるんだい?ガヴは俺についてきただけだけどさ······ヴィーネとサターニャ。」

 

「?良く分からないけどだらーず?とかいうネット掲示板みたいなのにここに集まれみたいな事が書いてあったからよ!!」

 

······まさかサターニャがダラーズに(無自覚に)入っていたとは······てことは

 

「私も無理矢理サターニャに登録されてね······」

 

「来なくても良かったのに······」

 

「だ、だって集合って言われてたし······」

 

「律儀すぎやしませんかね!?」

 

「でも今日何するのかは全くわからないわ!!」

 

でしょうね。

 

「······まあ······集会だし、楽しめばいいと思うよ?」

 

バケモノがひと暴れするだけだからね

 

 

 

そして────

 

 

 

piriririririri

トゥルルルルル

プルルルルル

コロコロコロコロロン

 

一斉に皆の携帯が鳴り出す。

 

「「「!?」」」

 

「お前ら、集会開始の合図だ。メールの指示に従えばいい。」

 

 

 

そんなダラーズ初集会のど真ん中

 

「何······これ······?何なのよ······何なのよ······何なのよこいつらあああアッ!!」

 

矢霧波江は絶叫をあげることしか出来なかった。

 

その直後────

 

BRRRRRRRRRRRR!!

 

黒バイクが東急ハンズの壁を垂直に降りてきた。

 

────そして、一方的な戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

1人の男が私のヘルメットを飛ばす。

 

────そこには何も無い

 

「うわあああああああ!!」

「く、首なしだ!!」

「本物の首無しライダーだ!!」

 

ああ、そうだ。私には首がない、私は化け物だ

 

多くを語る口も、相手に情熱を訴える瞳も持たない

 

 

 

 

 

だが、どうした?それがどうしたというのだ!!

 

私はここにいる、確かにここに存在する!!

 

目が無いというならば、我が行状の全てを刮目してみるがいい!!

 

化け物の怒りに触れた者の叫びを存分に耳にするといい

 

 

私はここにいる!!ここにいる、ここにいるんだ!!

 

 

 

 

 

 

「······ど、同類······なのかしら?ヴィネット······あれは」

 

「デュラハンね、私達悪魔とは似て非なるもの······みたいなものかしら?」

 

「どちらかと言うと······私達天使に近いのかと······お迎えすると言いますし。」

 

「どうなんだろうねぇ······この世界にゃ吸血鬼とかデュラハンすら超える化け物みたいな人間がいるしねぇ、俺みたいに」

 

「そうで··················え?」

「「············え?」」

 

「よお、お前ら楽しそうなこと話してんじゃん、俺も混ぜてよ」

 

「「「あ、あ、歩うううううううう!?」」」

 

俺だよ!!

 

「あ、歩さん」

「こ、これは違うの、違うのよ歩」

「そうよ、私は大悪魔「いや何言ってるのサターニャ!?」あっ······」

 

シリアスもなし。本当に特に無し。

 

イザコザも何もなく、彼女達は正体がバレた。

 

「いや、まさかマジもんだとは思わなかったよ。セルティさんから聞いた時は半信半疑だったけどね。『同じ人外の気配がする』って言ってたけど······」

 

「······その······このことはほかの誰にも······」

 

「言わねえよ、安心しろ。」

 

そう言ってホッと胸をなで下ろす3人。

 

「······というか、大悪魔である私が怖くないのかしら?」

 

何言ってるんだ今更

 

「·····あのさぁ······首無しライダーと平然と喋る人間が今更悪魔とかでビビる訳ねえだろ······それに見た目可愛い女の子にどうビビれと?」

 

「なっ······///」

「何言ってるのよあんたは!!」

 

ん?変な事言ったかな······?

 

「まあ、それよりも早く帰りなよ。もう11時だし。」

 

 

 

 

 

────そんな────た

────おい、何やってんだ!?

 

「······ん?」

 

何やら騒がしい。

 

ふと声のした方を見る。

 

そこには────

 

 

「愛の力は!!誰にも止められないんだよ!!」

 

丁度矢霧誠二が竜ヶ峰帝人にカッターナイフを振り下ろしたところだった。

 

「なっ!?竜ヶ峰!?」

 

ガッ!

 

セルティが間一髪のところで助ける。

 

「俺の愛はっ、この程度じゃ砕けない!!」

 

セルティが影で作った鞭で矢霧の腕を叩く。が。

 

「効かない!!」

「こいつ薬か何かキメてんのか!?」

 

「痛みはあるが忘れる!!俺とセルティの!!彼女との生活に痛みは必要ない!!だから今、この場で受ける痛みに痛みを感じない!!」

 

「無茶苦茶な野郎だなおい!!」

 

そう思いつつ拳を握りぶん殴る準備をする。

 

矢霧誠二に拳が届くまであと少し!!

 

「やめてえええええええ!!」

 

「「「!?」」」

 

拳があと一歩動けば届くというところで首に傷のある女が割って入ってきた。

 

「やめてください!!誠二さんは私を助けてくれた人です!私と杏里ちゃんを助けてくれて······」

 

······杏里ちゃん······ってことは、まさか、本当に────

 

「お前、張間美香か?」

 

「え······?」

 

「そうなんでしょう?貴方は矢霧君に殺されたはずの張間美香さんなんでしょう?」

 

「う、嘘だろ······?」

 

「······ごめんなさい······誠二さん······」

 

そして真実が語られた。

 

矢霧誠二の部屋に侵入してバットで殴られた際、まだ死んでいなかったこと。

 

矢霧波江に「あの首の顔になりたくないか?」と提案を受けたこと。

 

そして────とある医者がその顔に作り替えたこと。

 

セルティさんの本名を知っていて。顔も知っている人物。

 

────岸谷新羅。

 

 

「でも、波江さん、それだと生温いって、薬を使って記憶を消すって······でも、忘れたくなかった。誠二さんに想いを伝えたかったから、私は────」

 

「······そんな······じゃあ、俺は······一体なんのために······」

 

「まぁ、君は本物と偽物の区別すらつけられなかったわけで、ぶっちゃけた話をしてしまえば······」

 

────あんたの首に対する愛はその程度ってことだね

 

臨也のトドメの一撃を喰らい、矢霧誠二はそのまま沈黙した。

 

「ご苦労さん······プ······フフ······あっははははははは!!!」

 

高笑いして何処かへ行く臨也を見て、そして、ショックを受けている矢霧誠二を見て。帝人は思ったことを口にした。

 

 

「ええと······矢霧君は偽者を見破れなかったけど彼女を命をかけて守ったのはすごいと思う」

 

「······!?」

 

「それと僕は張間さんの話を聞いて誤解してました」

 

「え?」

 

「確かに、性格に問題はあるけど、ストーカーじゃないです。ストーカーの行動原理は所有欲だと思う。でも彼女は矢霧君のために命をはった、それは身勝手な欲だけじゃ出来ないんじゃないかな?······まぁ、殺されかけた相手をまだ好きってすごいなぁと思うよ。色々な意味で」

 

────つまりさ、張間さんと矢霧君はすごく似てるんだと思う

 

 

 

 

 

 




次回!!エピローグの後、ガヴドロ何話かやって罪歌編!!


······終わりませんでした(白目)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ


次回からほのぼの日常ガヴドロ編!!


 

────ネブラとの合併は既に決定したことなんだよ

 

────向こうの要望はあの首だ、首をどこへやった!?

 

「私には分かりかねます。失礼します!!」

 

 

矢霧製薬を飛び出し、三十分後。とあるビル。

 

プルルルルル

 

『主任!たった今黒バイクが首を取り戻しに研究所に────』

 

そこまで聞こえれば十分だ。電話を切る。

 

「危なかったわ」

 

(デュラハンの手に首が渡れば、誠二はその身体ごと運命の相手だと言い出しかねない······)

 

誠二の目を私に向けさせるには、首の主導権は私が握っていなければならない────

 

そして考えた、首の安全な隠し場所────

 

「直接会うのは初めてだよね、人体実験用の不法入国者リストは役に立ったかな?矢霧波江さん?」

 

その部屋の住人、折原臨也は将棋盤でオセロをしながらそう答えた。

 

(何やってるのかしらコイツ······)

 

 

 

 

「しかしアンタも馬鹿なことしたねぇ······弟の歪んだ恋心のために全てをフイにして······いや、弟への歪んだ恋心かな?」

 

そう言いつつ臨也はオセロの駒の間に歩兵を挟み「はい、ナリっと」裏返す。

 

どんなルールだ。

 

「でもやばいんじゃないの?ネブラなんてアメリカの大企業敵に回して。マフィアとか来ちゃうんじゃないの?もしくは凄腕のスナイパーがアンタの眉間を

 

パーンッ!!

 

ってね。」

 

矢霧波江は冷たい目で折原臨也を見る。

 

「············例のものは?」

 

この空気に耐えられなかった臨也は本題に入る。

 

波江は何も言わず、持ってきたケースを開けて臨也の眼前につき出す。

 

「······きっと君の伯父さんも俺と同じだったと思うんだ。あの世を誰よりも信じてなくて、誰よりも死を恐れ、誰よりも天国を渇望する。······だけどね、確信したよ」

 

そう言ってケースの中身を取り出し宙に掲げる。

 

ケースの中身は────デュラハンの首。

 

「あの世はある。そういうことにしておこう」

 

そのまま臨也は語る。

 

「波江さん、デュラハンは基本的に女性しかいないと言われているんだ。何でだかわかる?」

 

「いいえ」

 

波江は即答する。今まで弟のことばかり考えて生きていて、勉学の方も理数系得意の彼女はそんなファンタジックな話題にはあまり興味無いのである。

 

無論、研究に必要だったので最低限の知識はあるのだが。

 

「北欧神話にこんな話がある。ヴァルキリーという鎧を纏った女の天使が、勇敢に戦った戦士達の魂をヴァルハラと呼ばれるオーディンの宮殿······天国のような場所へと導くんだ。一説によるとヴァルキリーが地上を彷徨う姿がデュラハンと言われている。この首が生きているのに目を覚まさないのは今この日本が戦場じゃないからさ」

 

臨也は口調を強くし、続ける。

 

「そう、この首は待っているんだよ!目覚めの時を!戦の時を!!」

 

狂ったような笑顔で臨也は叫ぶ。

 

「だけどこの首を中東に持っていっても俺は活躍できそうもない。だったら俺はどうすればいい?」

 

 

「戦を起こすしかないんだよなぁ、俺にしか出来ない、俺にしか活躍できない戦を!!この東京なら────池袋なら────ここで政治も軍もかかわらない戦争を起こしたとすれば────」

 

 

「俺は生き残る自信はある!!!」

 

こうして、臨也の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダラーズの初集会翌日。来良学園にて────

 

「······んー······もう昼休みか······ガヴとヴィーネはどうする?」

 

「あ、実はヴィーネさんと一緒に購買へ行こうという話になりまして」

 

「珍しいね、ヴィーネが昼ごはん作ってないなんて。」

 

弁当常に持ってきてたのに。

 

と言っても本格的に授業が始まってまだ3日なのだが。

 

「······昨日の集会のせいで寝るの遅くなって······起きたのがギリギリだったのよ······」

 

「······だから行かなくても良かったのに······」

 

ホントに律儀だなぁ······悪魔っぽくない。

 

「んじゃ、昼飯買って屋上行こうぜ」

 

「おっけー、買いに行きましょう。」

 

 

 

購買へ行く途中、ふと外の中庭を見てみる。

 

矢霧誠二と張間美香が腕を組んで座っていた。

 

 

「俺はお前を愛していない、だがお前がいる限り俺は“ 彼女”への愛を忘れることはない。

 

だから俺は、お前の愛を受け入れる」

 

いつか────俺が彼女を取り戻すまでは────

 

 

「私は貴方を愛してる、私は貴方のためなら他の全てを犠牲にしてもかまわない。

 

だから私は、自分があの『首』になる」

 

首を見つけ出し、彼の目の前で粉々に砕きすり潰し、私の口内へと注ぎ込み私の血肉と一体化させよう。

 

全ては彼のために彼のために彼のために────

 

 

そして二人は見つめ合い、微笑んだ。

 

 

 

 

 

「······凄いわね。あの二人。」

 

「············あれで良かったのでしょうか?」

 

「ガヴ······お前からしたら納得いかないかもしれないけど······本人達は喜んで、満足して笑っているんだ。口を出すのは野暮ってもんだ。」

 

「······そう······です······ね。」

 

天使として、彼女はこの結末に納得いっていないのだろう。

 

天使として、人間を導くのが彼女の仕事。

 

だけど────その導きは当人にとって正しいとは限らないのだ。

 

「このご時世······天使でも人間一人一人のニーズに答えて導いていかないとダメなのかもしれねえな。」

 

「······なんというか、めんど······大変な世の中になったものですね······」

 

────あれ、今こいつめんどくさいって言おうとしなかった?

 

 

 

 

今思えば────ここでガヴのことをもっと気にかけておけば、ゴールデンウィークにあんなことになっていなかったんじゃないか、と俺は後悔することになるのだが────それはまた次回の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────田中太郎さんが入室されました────

 

田中太郎:こんばんわ

 

あるく:バ━ヾ(*´∀`*)ノ━ンチャ☆

 

田中太郎:あるくさんの顔文字がどんどん進化していく······!!

 

セットン:ばんわー。

 

田中太郎:甘楽さんは······まだみたいですね。

 

セットン:あ、すいません

なんか急用が入ってしまったみたいです

 

田中太郎:あれ、そうでしたか

 

セットン:すいません、お先に失礼します

 

あるく:((ヾ(・д・。)マタネー♪

 

田中太郎:どうやったらそんなに顔文字を早く打てるんですか!?

 

 

 

 

 

 

 

「悪いね、お楽しみのところ」

 

同居人の岸谷新羅が話しかけてくる。

 

「今日の仕事は結構ヤバめらしいから気をつけて」

 

ヤバめなのか、と思いつつ。セルティはたった一言

 

『まかせて』

 

と打ち込み外に出た────

 

 

 

 

 

 

パトカー5台。テレビ局の車が2台。

 

私を追って来ている。

 

「ご覧下さい!!皆様!今!生ける都市伝説をカメラにおさめています!」

 

(······映すなら映せ晒すのならば晒せ)

 

そう思い、私はヘルメット脱ぐ。

 

 

 

この化け物の姿を脳裏に焼き付けろ

 

これが私の人生だ

 

私が長い間歩んできた道だ

 

恥じることなど何も無い

 

 

嗚呼······あの夜以来────

 

己の全てを晒して以来、私を取り巻く何もかもが恋しいと思える

 

いつも通りの日常、好奇に満ちた人々の目、理解してくれる友人、心を掻き乱す悪人、なくしてしまった自分の首

 

────大切な······人。

 

そして何よりその全てを抱擁み込むこの池袋を────

 

愛してる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、今日はこんな事があったんだよ、銀夜。」

 

「ふふっ······お兄様が楽しそうで銀夜は嬉しいです」

 

「······さて、そろそろ飯にしようか。何がいい?」

 

 

 

「そうですね────久しぶりに」

 

────歩兄様のハンバーグが食べたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······えーとヴァルハラオンライン······これですね、遊馬崎さんが勧めてくれたオンラインゲームは······」

 

 

 

 

 





次回:ゴールデンウィークの後悔


·····の前に登場人物紹介かな?簡単なやつだけど。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1章の時点での簡単な登場人物紹介!!(もしくは登場させたかった人紹介)

WARNING!!WARNING!!WARNING!!

かなりテキトー!!ネタバレ注意!!

あと容姿の説明で他作品キャラの名前を出すので「わかんねーよこの野郎!!」という方は申し訳ない。ググってください。全てはお洒落とか髪型に疎い私のせいだ!!


ごめんなさい_○/|_ 土下座




オリ主、オリキャラ

 

叶歩(かのうありく)

 

身長175cm 体重60kg

 

年齢:15

 

誕生日:6/6

 

容姿:めだかボックスの鶴喰鴎(最終回Ver.)

 

髪の色:黒

 

特技:家事全般

 

趣味:釣り

 

好きなもの:唐揚げ、甘味

 

嫌いなもの:カレー

 

備考:結構オタク

 

池袋最硬の男。

平和島静雄ですらトラックに撥ねられたら踏ん張っても何mか飛んでいくのに踏ん張るだけで軽トラまでなら軽々止められる耐久力。

 

また薬の類もほとんど効かない。青酸カリを常人の致死量の2倍摂取しても三日三晩の腹痛で終わる。

 

だが、物理面での耐久力には弱点があるらしい。(その辺は後々の物語で)

 

恐らく寿命以外で死なない。

 

 

 

蕪木銀夜(かぶらぎぎんや)

 

身長143cm 体重38kg

 

年齢:14

 

誕生日:5/28

 

容姿:fateのエウリュアレ(胸は身長や体型の割にでかい方)

 

髪の色:白

 

特技:株、ハッキング、プログラミング

 

趣味:歩のために動くこと

 

好物:歩のすきなもの

 

嫌いなもの:歩以外の人間、人混み、漬物

 

備考:ヤンデレ

 

歩の義妹。本編ではセリフでしか登場していないが罪歌編で大暴れする予定。

 

目の色は赤。

 

日頃からゴスロリを着ている。

 

先天性色素欠乏症で外に出る時は日傘必須。

 

過去になんやかんやあって歩以外の人間が大嫌いに。ただ、歩が話したりしている人間は普通に会話ができる。結局全ては歩基準。

 

現在絶賛ひきこもり。中学生なのに通信制の学校に通うレベル。しかし頭は全国模試で一位取れるレベル。

 

歩に全てを捧げ生きることが今の生きがい。歩の命令なら「死ね」でも何でも言うとうりにするし、ぶっちゃけレ〇プとかされても普通に受け入れる。

 

戦闘能力は空手の黒帯を一撃でノックアウトする程度の強さ。

 

因みに株でかなり稼いでそれら全てを歩に(勝手に)献上している。

 

 

以下、原作に登場している人物

 

折原臨也:何かあったら大体こいつのせい、って言われるレベルで色々やってるやつ。

何かあったら真っ先に疑われる。

過去に歩を静雄を殺す前の練習台に使うも、静雄より耐久力があったため挫折した過去を持つ。

 

平和島静雄:普段は甘いもの大好きなお兄さん。

歩と過去にたけのこかきのこで大喧嘩した過去がある。

因みにそこだけは意見が割るものの基本的には歩とも普通に仲がいい。

 

遊馬崎ウォーカー:歩をオタクに引きずり込んだやつ。

普段は彫刻家。それも氷像。しかしアニメの美少女キャラしか彫らないらしい。

 

狩沢絵理華:歩をオタクに引きずり込んだやつその2。

服を作るのが大好きでアニメキャラのコスプレだのなんだの全て自作できる。(尚、裁縫力は歩に負けている模様)

因みに銀夜のゴスロリは狩沢がデザイン(アニメキャラの服装を元にしただけ)して歩が縫った。

 

門田京平:出番を全カットされた可哀想な人。罪歌編で出番はかなり増えるけど。

 

渡草三郎:出番を全カットされた可哀想な人その2。この作品ではセルティさんに名前を覚えてもらえるように出番を増やしてあげる予定。

 

岸谷新羅:ゼロにはならなかったけどかなり出番をカットされた人。一人称が安定しないという公式設定があるから書くのがかなり難しく、ガヴドロサイドの話に出てくることが果たしてあるのだろうか。

過去の歩と静雄の大喧嘩と歩が毒物を盛られた時に治療をしたことがある。何れ歩の身体の特異体質はこの人が解説してくれます。

 

セルティ・ストゥルルソン:デュラララの主人公。なのに出番をかなりカットされた。新羅の治療を受けに来た歩とゲームの話で意気投合して仲良くなった。

 

竜ヶ峰帝人:ダラーズの創始者の1人。というのも現在創始者として残っているのは帝人だけ。二重人格かお前ってくらい変貌する時がある未来のラスボス。歩の住んでいるアパートが自分のアパートの目の前にあったことにめっちゃビックリした。

 

園原杏里:罪歌編で出番が増える子。帝人君のヒロイン。妖刀を宿している。

 

紀田正臣:中学時代、転校してきた歩と仲良くなる。歩に唆され、中学で一番美人だった先生に告白したら玉砕した。

 

矢霧誠二:当分出番がないから1章で超ハッスルした。めちゃくちゃ一途だから結構いいやつ······愛しているのは首だけど。

 

張間美香:臨也さんを盗聴したりとか純粋にすごいと思う。主に度胸が。彼女も一途なので現実にいたら良さげな子だよね。盗聴とかピッキングがなければの話だけど。

 

天真=ガヴリール=ホワイト:通称ガヴ。もしくはガヴリール。帝人達は基本天真さんよび。1章では駄天してないものの1.5章ではどうなる事やら······。

 

月乃瀬=ヴィネット=エイプリル:通称ヴィーネ。もしくはヴィネット。月乃瀬が1発で変換できないから作者が地味にフルネームを書く度にケータイをぶん投げそうになる。Si〇ejiでも出ない。どうなってんだよ!!キャラ的には大好きですよ。はい。

悪魔らしくない常識人枠。というかデュラララで常識人って珍しい気がする······。

 

胡桃沢=サタニキア=マクドゥエル:通称サターニャ。何故かサタニキアと呼ばれない。帝人たちも胡桃沢さんと呼ぶだろうから本当にガヴドロキャラでなかなか本当の名前を呼ばれることは少ない。原作ではポンコツ悪魔として書かれているが······?

 

自殺サークル参加者の少女:後々物語の根幹に関わってくるのに出番を全カットされた。作者は今絶賛後悔中。

 

 

 

 




実際書いてみたところ······大分カットしてるな俺!!

次回から夏休みまでガヴドロ編かな。

その後多分罪歌編前の3way standoff─alley─かなぁ······。

静雄さんが大活躍するゲームオリジナルストーリーだから私は意外と好きな話だったんだけどね。ゲームはやったことないけど()漫画で読んだら書きたくなった。

······あれをやった人居るのだろうか?


???「あのー私の出番は?まだなんですか?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1.5章 日常〜息抜きドロップアウト〜
ドロップ☆アウト人(?)生


タイトルで察してね☆


────どうしてこうなってしまったんだろうか。

 

何が、何が、いけなかった!?

 

なんで、なんでなんでなんでなんでなんで!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、歩ー。学校今日休むわー」

 

なんでこうなった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールデンウィーク初日2日間。一応実家に顔を見せると約束したため1回1泊2日で帰省し、再び池袋に戻ってきた。

 

俺の実家は千葉県にあり、落花生とか梨とか美味しいものがあるためお世話になっている人達にお土産を配り歩き、1日が過ぎた。

 

そして帰ってきた頃には夜11時を回っていたためガヴには後で渡そうと思い、そのまま帰宅し寝る。

 

そして翌日午前10時。

 

ピーンポーン······

 

ガヴの部屋を訪ねた······のだが······。

 

「······流石にゴールデンウィークだから帰省してるのかな······?」

 

返事がなかった。

 

まあ、元の世界とかに帰ってる可能性が高いな。と思い仕方なく諦めたのだが────

 

ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン

 

ガヴの部屋にピンポンラッシュしている人物が居るのか物凄いチャイムの音が聞こえてきた。

 

そこに居たのは────

 

「······ヴィーネ?どうしたの?」

 

「あ、歩。ガヴ何処に行ったか知らない?」

 

「いや、知らん。ゴールデンウィークだから故郷(天界)に帰っているのかと······」

 

「え?今日は私と外出する予定が······」

 

··················え?

 

 

 

 

 

 

 

「緊急事態かもしれねえから合鍵持ってきたぜ」

 

もしかしたら何らかの事件に巻き込まれているかもしれないと思いつつ、ドアを開け────

 

 

「······なんだこの匂い!?」

 

「なにこれ······ゴミ?······ガヴー?いるなら返事してー!!」

 

部屋の中に突入すると、ゴミだらけで足の踏み場がなかった。一体何があったのだろうか。

 

ゲシッ

 

何かに躓いた

 

足元を見てみると────

 

金髪の髪の毛のようなものが足に絡みついていて────

 

さらに前を見ると

 

「うーん······サーバーメンテとかマジないわー······ムニャムニャ」

 

寝言を言っているガヴリールがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたガヴ!!頭でも打ったのか!?品行方正で善人の塊のようなかつてのお前は何処に行ったんだ!?」

 

「ガヴ!?どうしたの!?なにか悪いものでも食べたの!?」

 

「いや何言ってんのお前ら少し落ち着けよ。」

 

「落ち着けるか!?お前ゴールデンウィークで何があった!?」

 

「んあ?あー······それはねー······」

 

 

 

 

 

 

 

 

────ゴールデンウィーク初日────

 

「これが遊馬崎さんの言っていたヴァルハラオンラインですか······」

 

ガヴリールはゴールデンウィーク前にパソコン環境が揃ったものの、パソコン関係のイロハが何一つとしてわからず、遊馬崎さんたちに相談したらしい。

 

そして一通り覚えたあと遊馬崎さんからとあるオンラインゲームをやってみないかと誘われた。

 

そして────────

 

1日目

 

「なるほど、ここをこうして······」

 

「ああ······そう言えばもうアニメの時間だなー······」

 

「確か深夜の方が人多いんだっけ······」

 

2日目

 

「んあ······やべえ、もう10時か······」

 

「やべえこれおもしれえなぁ······」

 

「お、1時じゃん。人が多くなるらしいし入ってみよ」

 

 

 

 

 

そして、今日、俺達が踏み込むまで寝ていたのだという。

 

 

「······遊馬崎さんェ······」

 

「ちょっ、あんた最初にあった時『全ての方を幸せにするのが夢なんです』って言ってたじゃない」

 

「はぁ?そんなこと知らないよ、人類とか勝手に滅んでくださいって感じ?」

 

((こいつ本当に同一人物か!?))

 

2日で変わりすぎだろ!?

 

「私は人間達の娯楽に触れて気づいたんだ······天界にいたころの優等生な私は偽りだった······自分を押し殺していたって······本当の私は怠慢でぐーたら救いようのない駄目天使だってことにね!!」

 

((言い切ったああ!?))

 

「······取り敢えずヴィーネ。ガヴを風呂に入れてこい。ゴミに突っ込んで寝てたせいで汚れてやがる······その間にゴミだけは片付けておくから、俺が片付けられねえ下着類とかは任せるぞ。」

 

「ええ······わかったわ······」

 

 

あの時······アニメイトに連れていかなければ······こうはならなかっただろうなぁ······

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······なるほど、それであんなにゴミ袋が溢れたのですか······」

 

「まさか2日でゴミ袋3つ満タンにするまで汚すとは······」

 

「······にしても······隣の方はガヴリールさんでしたっけ?似たような名前をゲームで見たような······」

 

「お前もゲームは程々にしろよ?」

 

こいつも割とゲームやってるからなぁ······

 

「······何となくですが、私、ガヴリールさんとは仲良くできそうです。」

 

「······珍しいな?お前がそんなこと言うなんて······」

 

本当に珍しい話だ。俺を通して1回会ってからじゃないとどうでもいいなんて言ってた位だからなぁ······

 

「是非とも会ってみたいですね······本当に······」

 

 

 

 

 

因みに、ゴールデンウィーク明け────

 

「ほら、ガヴ。学校ついたぞー」

 

「ん、サンキュ。帰りも頼むわ」

 

「······歩、何してるの?」

 

「ん?いや、ガヴが学校まで歩くのだるいって言うから······」

 

「だからといっておんぶして学校来る奴がいるか!?」

 

この日以来、ガヴリールをおぶって登校するのが俺の日課になった。

 

 

背中の感触は割といい具合に柔らかいです。女の子だもんね。

 

 




活動報告にてヒロインアンケートに関するアンケートを実施しています。良かったらコメントください!!お願いします!!

次回、デュラララキャラを何人か出して料理回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

楽しい☆調理実習!!

原作通りにいかない調理実習!!

これからは暫定ヒロイン候補と1人1人平等にフラグ立てていく予定。

???「あのー私は────」

調理実習回終わったら出るんじゃないかな☆

???「またお預けですか!?」




「えー······調理実習が週明けにありますので、各班どの食材を誰が持ってくるかを決めてください。基本3人1組でお願いします。」

 

叶歩は一人余った!!

叶歩は5のダメージを受けた!!

 

「······歩、私達の班、入っていいわよ······原則って言ってたし、一人増えても大丈夫でしょ。」

 

「······ありがとう······ヴィーネ······」

 

ヴィーネの優しさが心に染みるなぁ······

 

 

 

 

 

 

「······お前······イジメでも受けてるの?」

 

昼休み。いつも通り────ではなく調理実習の班で一緒になってくれたガヴとヴィーネとサターニャと一緒に飯を食ってる途中。

 

ガヴが唐突にそんなことを質問してきた。

 

「いやいや、あれはイジメじゃねえよ。」

 

「いや、無視や仲間外れも立派なイジメに入るわよ!?」

 

「そうよ!!魔界でもSS級悪魔的行為よ!?」

 

「んー······毒も盛られてないし、車で撥ねられた訳でもないし······イジメは無いね!!」

 

「「それただの殺人未遂!!」」

 

いや、結構鬱陶しいよ?車で何度も撥ねられるの、イラッとくるよ?

 

「······それは······ドンマイ······」

 

ああ、ガヴの心遣いが染みる······。

 

────それは置いといて

 

「誰がどの食材持ってくるんだ?ここ4人だからどこかに2人割り振らねえとダメだろ」

 

作るものは······ご飯と味噌汁と鯖の味噌煮だつけ?

 

「お米は私が持っていくわ、この前セールの時に買いすぎちゃったのよね」

 

とヴィーネ。

 

「なら私は野菜かなぁ。魚とか全くわからないし。」

 

とガヴ。

 

「なら私が魚ね!!」

 

とサターニャ。

 

「────俺はどこを手伝えばいい?」

 

「「サターニャ。」」

 

即答だった。

 

「なんでよ!?」

 

「サターニャは無自覚に何かやらかしそう」

 

「魔界の魚とか持ってきそうなのよねー······」

 

「なんで私のやろうとしていたことがわかるのよヴィネット!?」

 

「「「やるつもりだったのかよ!?」」」

 

危ねぇ、もう少しで腹痛になるかもしれなかった!?

 

「朝1で魔界の湖から取ってこようかと思ってたのに!!」

 

「······何でそんなことするのよ······」

 

「え?拘りたいじゃない!!鮮度とか!!」

 

まあ、確かに魚って鮮度が大事ってのはわかるけども。

 

「オッケー、魚を持ってくればいいんだな?」

 

「ええ、お願いね歩。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後────

 

「歩!!止まりなさい!!」

 

「どうしたサターニャ·····」

 

何だろう······って考えるまでもねえな

 

「調理実習の話か?」

 

「そうよ、魔界の魚禁止されちゃったからね、魚とかわからないから教えてくれる?」

 

「······それは別に構わんが······」

 

あ、そうだ。

 

「サターニャ。素材に拘りたいならいい方法があるぞ?」

 

「本当!?教えなさいよ!!」

 

んー······ぴょこぴょこ飛び跳ねる度に胸が揺れてる······目のやり場に困るなぁ······

 

「まあいいや、んじゃあ、取り敢えず日曜の午前から、開けておけよ?下準備とか手伝って欲しい」

 

「────え?」

 

ごめん、ヴィーネ。色々と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「············にしても何をするのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、日曜、午前10時。

 

いけふくろう前。

 

「よお、サターニャ。」

 

「ごめんなさい、待たせたわね。」

 

「いや、しょうがねえだろ。むしろ迷わない方がおかしい。」

 

「······どういう事よそれ?」

 

「俺は自分が迷うことを見越して待ち合わせ30分前に池袋駅に来て時間ギリギリだからな!!」

 

「あんた本当に中1からここに住んでるの!?」

 

という、やりとりの後。そのまま電車に乗り────

 

 

 

 

 

 

 

「·····ここ?」

 

「うん、ここだよ。」

 

そこには『加藤釣具店』と書かれていた。

 

 

 

「いや、サターニャが鮮度に拘りたいって言ってたじゃん?だから釣ればいいんじゃねえかなと思って。」

 

「なるほど、確かにこっちの魚なら大丈夫ね。······盲点だったわ!!」

 

「鯖はちゃんと市販のものも買っていけばいいだろう。釣れたらそのまま釣れたのを持っていけばいい。ちゃんとあっちの要望も聞いている。だから俺は悪くない!!」

 

「な、なんて悪魔的行為なのかしら!!」

 

ふう、これでサターニャも満足できるしヴィーネの求めているものも買える、完璧だ。

 

「······でもこれ高いんじゃないの?釣竿とか······」

 

「安心しろ、どこから入金されたのかわからない金が大量にあるから、ここは俺が出してやる。友達にプレゼントだ。」

 

「······え?あ······ありがと!!」

 

 

 

 

 

 

歩の家────

 

「······ふう、お兄様······1日ウン十万ちょっとしか稼ぐことの出来ない愚妹をお許しください······代わりにお兄様に全てを捧げます、私が自由に使える金など1円もいらない······お兄様に全て献上致しますね······フフフ······」

 

 

 

 

────いやー本当にわからないんだよね、気がついたら溜まってるし。贈与税に引っかからないレベルで毎度毎度済んでるのが怖い。

 

「さて、取り敢えずこんなもんだろ······」

 

「おおお〜!!」

 

凄い目がキラキラしてる。可愛いなこいつ······

 

「んじゃ、早速行こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「船に乗るとか聞いてないんですけどおおおおおお!?」

 

「悪ぃ、素で、言うの忘れてた!!アハハハハハ!!」

 

 

 

知り合いの船に乗せてもらって約10分の沖の方。

 

「うぇ······」

 

「······酔い止め飲むか?」

 

「飲むぅ······」

 

どうやら船酔いしてしまったようだ。

 

「アッハッハ、しかしあの歩が女の子連れてくるとはな!!なんだ?彼女か?」

 

「違いますよ、クラスメイトです。たまたま調理実習で魚が必要になったんですよ。」

 

「······それで釣りに、しかも知り合いの船に便乗して船釣りするか普通······」

 

残念ながら普通じゃないんだよ。特にこいつは······

 

「んじゃ、始めようか。」

 

 

「······えっと······この餌をつけてぶん投げればいいのね!!」

 

「おう、んで後はじっくり待つ。」

 

「······その間暇ね······」

 

「···········まあ、これも釣りの醍醐味だよ。」

 

まあボーッと待つしかねえんだよなぁ······

 

 

────10分後────

 

「か、かかかか、かかったわよ歩!!」

 

「おし、落ち着け。······結構でけえなおい!?」

 

いやなんかとんでもねえレベルで曲がってるんだけど!?

 

「ちょ······引っ張られ······!!」

 

「あ、こりゃやばいな······よっと······」

 

「ひゃあっ!?ちょ、ああああ、歩!?」

 

「後ろで支えておいてやるから集中しろ!!持ってかれるぞ!!」

 

「お、オッケーわかったわ······ふん!!」

 

サターニャはただ力む、それだけで。

 

どでかい魚は宙に舞った······

 

「嘘おおおおおおお!?」

 

さっきまでの拮抗状態は何だったのさ!?

 

「大悪魔である私にかかればよゆーよ!!」

 

こ、こいつ······悪魔の力を使いやがったのか······!!

 

「······ってか、いつまで私のカラダ触ってんのよ!?」

 

「あ、ばか。俺のこと殴ったら────」

 

ゴキィン!!

バキッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていうことがあって鯖を市販で買ってきた。」

 

「最初から市販で買ってきなさいよ!?」

 

「酷いなぁ······メバルは釣れたよ?10匹くらい。」

 

まあ、鯖なんて釣れるわけないと思ってたし。てかどうだったかなぁ······まあ犯罪にはならねえけど。多分。

 

「それで?市販の鯖は?」

 

「ほれ。」

 

「············市販?1尾丸ごとが市販?」

 

「うん。」

 

「······まあ持ってきてくれただけ感謝ね······サターニャひとりに任せたら魔界の魚コースだったし············どうやって捌くのよ!?」

 

「安心しろ、俺が捌く。」

 

「······あ、そう······まあそれならいいわ······ガヴはちゃんとお豆腐と若布持ってきてくれた?」

 

人参、玉葱、じゃがいもをガヴは引っ張り出してきた。

 

「······いや、昨日スーパーいったらカレーが食べたくなって······買ってきた!」

 

「もうやだこの班······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······なあ、ヴィーネ。ひとつ聞きたいことがあるんだが。」

 

魚を捌きながら、一つ。気になることがあったので質問してみた。

 

「ん?なに?どうしたの?」

 

「いやぁ······実は昨日さ?悪魔の力を解放したサターニャに殴られたんだが······」

 

「······それで平然としている貴方ってホントに凄いわね。普通なら全身骨折してておかしくないわよ?」

 

「うん?平然とって訳ではないんだよね。」

 

「······それはどういう事?」

 

捌くのを止めて、ワイシャツを少しだけ上にずらす。

 

「ちょ、なななな、何やって────」

 

そこでヴィーネの言葉が止まった。

 

────そこには痣が出来ていた。

 

「······びっくりしたよ、俺に一撃で痣を作るレベルの強さがあるとは······静雄さん以来だ。」

 

「······」

 

────いや、痣程度で済ませるお前は一体何者だ。

 

ヴィーネはそうツッコミたかったが声には出さず、心に留めておく。

 

「······まあ、サターニャって身体能力だけは大悪魔と言っても過言ではないから···」

 

「へえ、そうだったのか······」

 

なるほど、つまり普通の悪魔ではこうはならないと。

 

「······この池袋《まち》には大悪魔並の人間が二人もいるってことね······」

 

まあ、池袋じゃあ、日常だけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

────そして、10分後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······取り敢えず出来たぞ······だが······これは······」

 

鯖の味噌煮は特に問題ない。鯖の味噌煮は。

 

「············なにこれ?」

 

「······味噌汁?」

 

え?この真っ黒な液体が味噌汁?え?え?

 

「······味付け担当は······?」

 

「私よ!!」

 

「「お前かよおおおおお!?」」

 

あれ?味噌汁はヴィーネがやってたはずなのに!?

 

「さ、サターニャあんたいつの間に!?」

 

「さっきヴィネットと歩が話してる時に」

 

「あの時かああああああああ!!」

 

「············取り敢えず食べようぜ······?」

 

ガヴの言葉により取り敢えず食べ始める。······これは────

 

 

「次からは、教科書通りに作ろうって話だな。」

 

(······今度からは別の班に入れてもらおう······)

 

「鯖は美味いのになぁ············」

 

「?味噌汁も美味しいわよ?」

 

(((どんな味覚してるんだコイツは!?)))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、これは完全な余談だが────

 

「あ、あのお兄様?」

 

「どうした?銀夜」

 

「────この大量の魚はどうするんですか?」

 

「······炊き込みご飯にしようか!!」

 

結局鯖以外の魚はすべて余ったので叶家の食卓は1日限りだが3食炊き込みご飯(魚入り)になった。

 

 




平和島静雄>>>>サターニャ

······何れこのマッチングも話の流れ的にあるけどサターニャを強くしすぎた気がするなぁ······。

以下、今回のモブキャラなどの紹介

『加藤釣具店』
多分後半の方で色々やらかす釣具店。どうなるかは未定。

船を出した知り合いのオジサン
実はロシア人のハーフ。露西亜寿司に魚を持ってったりしてる。


次回!!満を持してアイツ登場なるか!?

???「疑問形なんですか!?」

あ、活動報告のアンケートもヨロシクね!

あと釣れる魚についてつっこまないでください←


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

まるでアイツがいるような────


ラフィエルファンの皆さん────

待たせたな!!

あ、やめて!!石投げないで!?



 

下界、というのは非常に退屈だ。

 

最初こそ胸を踊らせる(比喩にあらず)くらいには楽しみにして喜んでいたが、いざ生活を始めてみると暇の極みである。楽しいことなんて何も無かった。

 

いや、東急ハンズ······だっただろうか?そこに人が大量に集まった時はなかなか面白いものが見れたが。

 

久々に同じような存在を見た────首を無くしていたようだが。

 

だけど、ただそれだけ。

 

(結局、退屈に逆戻りですねー······何か面白いことはないでしょうか······)

 

「ちょっと!やめなさいよ!いつもいつも私の大切なものを持っていって!」

 

そんなことを考えながら歩いていると曲がり角から声がする。

 

(なんでしょう?)

 

「はーなーせー!!」

 

そこには隣のクラスの悪魔────サターニャが犬と喧嘩していた。

 

····································

 

面白そう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······とられた······犬に······メロンパン······」

 

「······え?また?」

 

「これで何回目だよ、お前の脳に学習機能は付いてないの?」

 

「犬ってメロンパン食べるの?」

 

「え?そこ?」

 

いや、パン食べる犬なんて聞いたことないんだけど?

 

ていうかコイツ本当に普段は残念だな······。

 

「今回は私のせいじゃないんだからっ!なんか変な奴にはめられて······」

「私のことですか?」

 

······いつの間に来てたんだこの女?

 

「ちょっ、なんでアンタがここにいるのよ!?」

 

「なんでと言われましても同じ学校の生徒ですので······隣のクラスですが······」

 

「······ん?てことは······紀田と同じクラスか?」

 

「あ······ああ、俺と同じクラスの人だな、うん。」

 

「お前いつからいた?」

 

「さっきからずっと居たわ!!」

 

「なんだ、ラフィエルじゃないか。」

 

「ガヴの同期か何か?」

 

「そう、同級生。」

 

ふーむ······なんだろう······なんか雰囲気が誰かに似ているような······。

 

「あ、歩。俺教室戻るわ!!じゃな!!」

 

「?おう。わかった。」

 

なんだ?······美人の域に入るヤツを目にして紀田の反応がおかしいな······いつもならいの一番にナンパしてるのに······。

 

「にしても、優しそうなひとじゃない」

 

「全然優しくない!!こんな奴野放しにしてるなんて天界どうかしてるっ!!」

 

「そこまで?」

 

「······あのー······一般の方の前で天界云々って宜しいのでしょうか?」

 

「あ、大体知ってるから大丈夫大丈夫。」

 

「てか歩って一般人か?逸般人の間違いだろ?」

 

「ガヴ、てめーどういう意味だ······!?」

 

酷いな、俺は人間だよ?

 

「······???」

 

「あー······この街を知らない顔してる······」

 

「まあ、歩のことは知らない人がいないレベルだものね······」

 

······あれ?俺の知名度そこまで高いの?

 

(んー······サターニャが言うほど変な人には見えないんだけどなぁ······いい子そうだし友達になりたいなぁ)

 

「あ、そういえば────来るときに犬がこんなものを持っていたのですが······」

 

······メロンパン?

 

「それ私のメロンパンっ!!!」

 

オメーのかよ!?

 

「あら、そうなんですか?ですがお名前が書いていないようですが······」

 

「パンに名前書く奴なんていないわよっ!!かえしなさいよ!!」

 

······んー······誰かに······誰かに似てるんだよ······

 

「そうですねー······では······

 

 

跪いて犬のように足を舐めたらお渡ししますよ」

 

「何いってんの!?」

 

「だって得意ではないですか······イ・ヌ・の・マ・ネ♡」

 

「得意じゃないわっ!!」

 

············なるほど······こりゃ紀田が逃げるわけだ。

 

「······コイツ······カタチは違うが臨也さんにそっくりだ······!!」

 

特に人で遊ぶのが得意なあたり······サターニャが乗せられやすいのもあるかもしれんが······。

 

「······こりゃ紀田が逃げるわけだ······」

 

本能的に苦手と感じているのか······あいつ色々すげえな

 

そして────

 

取り敢えずヴィーネは話しかけるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、ここがサンシャインシティですか······すごい人混みですね······!!」

 

「まあ、ここは若者に人気のものが色々あるからな。」

 

放課後。俺はラフィエルに池袋を案内していた。

 

因みにサターニャは誘おうとしたら逃げ帰って、ヴィーネは今日の夕飯を買いにスーパーへ、ガヴはネトゲのイベントがあるからパスだそうだ。紀田や竜ヶ峰も誘おうとしたんだが、竜ヶ峰は園原と委員会。紀田は逃げた。

 

「······そういえば歩さん。」

 

「······どうした?ラフィエルさん?」

 

「あ、ラフィエルで構いませんよ?ラフィでもいいですし、敬語もいりません。」

 

「あっそう······じゃあラフィで。」

 

呼びやすいし。

 

「ふふふ、宜しくお願いしますね?」

 

「あー······うん。で?何かあったか?」

 

「先程、ヴィーネさんが申し上げていた『知らない人がいないレベル』とガヴちゃんの『逸般人』の件、あれどういう意味なのでしょうか······?」

 

「······あー······池袋にはな?絶対に敵に回しちゃいけないやつってのが居るんだ。」

 

「へぇ、そんなものが?」

 

「ああ······それは────」

 

丁度説明しようとした時

 

「いーーーざーーーやーーーああああああああああああああああああああ!!」

 

「全く、シズちゃんたかが服1枚ちょっと傷つけただけなのに怒りすぎでしょー。」

 

「るせえええ!!よくも幽から貰った服を!!ぶっ殺してやらあああああ!!」

 

静雄さんと臨也さんが喧嘩していた。

 

いつものように自動販売機が飛び交っている。

 

「············え?」

 

「······いいか?池袋には絶対敵に回しちゃいけない奴がいるんだが······あの2人がその筆頭だ。」

 

「······?なんですかそれ?そんなのあるんですか?」

 

「この街色々おかしいから······。」

 

改めて考えると色々中二臭いよなこれ。

 

「まあ、でも。真面目に敵対しちゃやばいからね?」

 

「は、はぁ······」

 

「そして、誠に遺憾であるが────」

 

と、そこまで言ったところで、思いっきり自動販売機がこっちに飛んでくる。

 

「────え?」

 

このまま行くとラフィに直撃するだろう。

 

だから俺は、ラフィの前に出た。

 

「────歩さん!!」

 

普通の人間ならば、潰されて終わりだろう。だが────

 

 

 

 

「誠に遺憾であるが、俺もその中の1人だ。」

 

 

自動販売機を額で受け止めた。

 

自動販売機は俺の頭に当たった瞬間無残に凹む。

 

「────────!?」

 

しかし、俺はビクともしない。

 

「と、まあ。こういう事だ。俺の事を知らない奴は池袋に居ない────というレベルで有名なんだよ、悪い意味でな。」

 

本当に悪い意味だ。どんな攻撃もほとんど通さない化け物のことを悪く言うなという方が難しいがな。

 

「··················」

 

「どうした?ボケーッとして、危険だから逃げるぞ?」

 

主に、静雄さんではなく臨也さんが。正しくは臨也さんとコイツがコンタクトを取ることが、だが。

 

あの人は人外嫌いだが、ラフィエルが影響を受けるかもしれん。

 

「ほれ、はよ起きろ。行くぞ?」

 

そう言って俺はラフィエルの手を取り、走り出した。

 

 

「······自らの身を犠牲に人······いや、天使を守るとは────随分優しい化け物さんですね?」

 

そう言って笑うラフィエルの笑顔は、なるほど、確かに天使のようだった。

 

取り敢えず

 

「犠牲にはならねえよ、痛くも痒くもねえんでな。」

 

照れ隠しにそう答えておこう。

 

······褒められ慣れてないから恥ずかしいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに後日────

 

「俺の名前は折原臨也、情報屋さ。よろしく!」

 

「あ、ラフィエルと申します。よろしくです。」

 

俺の努力は無駄になった。

 

 

 

 

 

 





混ぜるな危険。さて、ラフィはどうなることやら······

次回:クーラー死す!!

あと4日でアンケートも終わるので活動報告見てくださいね〜

ラフィ「てか、私の出番少なくないですか!?初登場なのに!?」

そんなもんじゃね(すっとぼけ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エアコン無しじゃ生きていけない


やっべえ、遅れたごめんなさい!!

あと活動報告のアンケートは締め切りました。結果?活動報告見ようか←


まあ······なんていうか······予想通りだったよ?

次こそはヒロインアンケートやるぜ!!


 

 

数日前────

 

────駄目天使さんが入室されました────

 

甘楽:おや?新顔さんですか!?

 

駄目天使:あ、はい。あるくに紹介されてきました。

駄目天使といいます。よろしく。

 

甘楽:そうですか!!ここの管理人の甘楽です!!

よろしくね☆

 

セットン:よろしくー

 

田中太郎:宜しくお願いします

 

────あるくさんが入室されました────

 

あるく:おっ、来ましたか駄目天使。

 

駄目天使:おう、凄いなここ。

ネトゲのチャットより凄いじゃん。

 

甘楽:当たり前ですよぅ!!私が管理してるんですよ!?

 

あるく:え?それ関係あるの?

 

甘楽:私みたいな美少女が管理してるんですよ?

それだけで凄いでしょう?

 

あるく:ないな

 

田中太郎:ないですね

 

セットン:ないわー

 

甘楽:あれぇ?古参に味方がいないぞー?(泣)

だ、駄目天使さんはどうおもいますかー?

 

駄目天使:······ないですね♡

 

甘楽:あァァァんまりだァァアァ!!

 

あるく:美少女ってそんな風に大泣きするんですかw

 

甘楽:え!?しませんか!?

 

セットン:普通しませんよ?

 

駄目天使:普通しないよなぁ

 

田中太郎:しないと思いますよ?

 

あるく:しないと思うなぁ

 

甘楽:味方の霊圧が······消えた────

 

あるく:今日はネタ多めですねwww

 

駄目天使:にしても最近暑いよなぁ

 

甘楽:まあ、もう初夏ですしねぇ。

 

あるく:エアコン付けないと辛いよなー

 

セットン:わかりますわー

わたしの家もここ最近はずっと

ついてますからねー

 

田中太郎:私のところもそうですね

 

駄目天使:なんかつける度に変な音するんだよなー

 

あるく:大丈夫なのか?それ······

 

駄目天使:まあ大丈夫でしょ。

 

あるく:何かあったら相談乗るから連絡しろよ?

 

甘楽:あれー?もしかして駄目天使さんとあるくさん

恋人同士か何かですかー?(・∀・)

相談(意味深)ですかぁ?(*/ω\*)キャー!!

 

駄目天使:友達ですよ。ただの。

 

あるく:友達です。ただの。

 

甘楽:ほんとうですかー?(・∀・)

 

あるく:顔文字ウザいなぁwww

 

甘楽:1番顔文字使用率高い人に言われた!?

 

────

────────────

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······なるほど、あれはフラグだったか。」

 

そう言いながらガヴリールはエアコンのリモコンのスイッチを連打し続ける。

 

だが、エアコンはうんともすんとも言わない。

 

「··················まじかよ······この暑さでエアコン無しは死ぬぞ······取り敢えずパソコンはシャットダウンしねえとな······しかし業者呼ぶのは確定としてどうするか······」

 

ヴィーネの家に行くのも選択肢としてはあるが遠い。却下だ。同じ理由でラフィエルも。サターニャ?面倒くさいしあいつの家知らない。

 

 

······そうだ、隣を頼ろう。

 

 

 

 

 

 

「······で、俺の家に?」

 

「おう、頼むよ歩。ヴィーネとラフィエルの家は遠いしサターニャの家は知らねえし頼れるのは歩だけなんだよ。」

 

休日の真昼間、チャイムで叩き起されて玄関を開けると目の前にガヴが立っていた。

 

「あー······別に構わないけど······」

 

「······?······あー、そうか。男子だもんな?女子に見られたら困るものとかあるんだろ?」

 

突如、ニヤニヤするガヴ。

 

何言ってるんだこいつは······。

 

「だが、私はそれを隠す暇を与えない!!」

 

ガヴは一瞬の隙をつき、俺の部屋に侵入する。

 

その動きはいつもよりも機敏な動きだった。

 

無駄のない動きでリビングに突撃、扉を開ける────

 

「······うにゅ······?どちら様でしょうか······?」

 

そこには当然、俺の義妹の銀夜がいる訳で······因みにガヴ達には紹介していない。

 

ついでに言うなら、銀夜は寝相がかなり悪い。パジャマははだけて肩が露出している。

 

そして、見た目は──── 一部を除いてロリ。

 

その光景から、ガヴが出す結論は────

 

「············歩、誘拐は犯罪だぞ?ロリコン。」

 

「誰が誘拐犯でロリコンだゴルァ!!」

 

初夏の土曜日の朝に怒号が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様の義妹の蕪木銀夜と申します。宜しくお願いしますね、ガヴリールさん」

 

「驚いた······歩に妹がいたとは······しかも義妹かよ······これなんてエロゲ?」

 

あの後、銀夜が自己紹介して誤解を解くことに成功した

今はリビングで談笑している最中である。

 

ガヴと銀夜は(同じ半ひきこもり同士)相性がよかったのか普通に談笑している。銀夜が初対面と仲良く出来るなんてなかなか無いことだから少し驚いた。

 

「にしても、私はどこで寝りゃいいんだ?ぶっちゃけ私はリビングでも構わないが······」

 

「銀夜、お前の部屋でいいか?」

 

「え······べ、別に構いませんが······」

 

いや、なぜ言い淀む?男の部屋に泊まらせるのは問題だろ。

 

「そうか······悪いな銀夜、世話になるぞ」

 

「え、ええ。宜しくお願いしますガヴリールさん。でも······本当によろしいのですか?」

 

「ん?何が?」

 

「いえ······私はてっきり······お兄様の恋人なのかと······」

 

「「何でそうなった!?」」

 

本当に何でそうなった!?

 

「え······だって、幾ら遠いからって同性の人の家ではなく男の部屋に泊まりに来るってことは······そういう事なんじゃないかと······」

 

「銀夜、こいつをなめない方がいい、常に楽な方を選ぶからなコイツは。同性も異性も関係ないよ、知り合いだったら誰でも良かったんだろう······」

 

「うん、歩の言う通りだ。この炎天下の中歩くのは辛い!!」

 

「ええ······」

 

まあ、疑う気持ちはわからんでもないけど。

 

「······まあ、それはいいとして······本当に私の部屋ですか?」

 

「大丈夫だろ、あの程度なら······多分。」

 

「ちょっと待て、何があるんだ?一体······」

 

不安そうにガヴリールが聞いてくる。

 

「中見た方が早いと思うぞ?銀夜の部屋は······あそこだ。」

 

ガヴリールは息を飲み、部屋を恐る恐る開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────その部屋には歩の写真が壁一面に飾られていた。

 

「············は?」

 

ガヴリールは思わず、間抜けた声を出す。

 

「相変わらずだなお前の部屋は······」

 

「だって、何かを集中してやりたい時って誰かに見られてた方が早く終わりません?」

 

「え、ちょっと待って?······え?」

 

ガヴリールは相当混乱しているようだ······無理もないだろう。ストーカーかよお前、とつっこみたくなるほどの写真の数。はっきり言おう、ヤバイ。どう考えてもそれ以外の用途で使ってるだろう絶対。というかなんで歩は何も言わねえんだよお前危機にさらされてるぞ。

 

「······因みに歩、お前の部屋は······?」

 

最悪の可能性を考える。兄である歩の部屋も義妹の写真でいっぱいなんじゃないか、と。

 

「俺の部屋······?別に普通だけど······」

 

そう言って歩は反対側の部屋の扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

────そこにはアニメキャラクターのポスターが壁一面に飾られていた。

 

デー〇・ア・ラ〇ブの四〇乃、琴〇、〇罪、精霊〇いの〇舞のエ〇トとレス〇ィア、ら〇☆す〇の柊〇が〇、etc..

 

更に、どう考えてもR指定を受けそうな抱き枕まである。

 

「························」

 

開いた口が塞がらないというのはまさにこの事だろう。

 

中の光景を見て、ガヴリールは立ちつくした。

 

ロリ系のアニメキャラクターのグッズが多いことを考えると、こいつマジでロリコンなんじゃねえのか、と言いたくなる。

 

さて、どうするか。ストーカー気味の義妹の部屋か、ロリコン気質を持っているであろう友達の部屋か。

 

三十分ほど悩み、その結果────

 

「────銀夜、よろしく頼むわ」

 

襲われる可能性を考慮して、彼女は義妹を選んだ。

 

────正直、どっちを選んでもアウトな気はするが。今更ヴィーネたちの家に行くのも面倒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、何故かどっと疲れたガヴリールはネトゲをやることなく寝てしまい、いつもよりも早く寝たからか、いつもよりもかなり早く目が覚めてしまった。起きたのは午前3時。

 

「······トイレ行くか············」

 

その途中、なにかに躓く。

 

「うおっ······」

 

それが、ガヴリールの命を救った。

 

ダァン!!

 

と何かがガヴリールの頭を掠めて突き刺さる。

 

「!?」

 

そこには、刃渡り30センチ程のナイフが突き刺さっていた。

 

「······なっ······!?」

 

「っち······外しましたか······」

 

そこには銀夜が立っていた。

 

「な、何してるんだお前!?危うく死ぬところだったぞ!?てかなんで殺そうとするんだお前は!?」

 

「······え?お兄様を夜這いしようとする雌なんて殺すに決まっているでしょう?」

 

「よよよ、よっよよよ夜這い!?違うわ!!」

 

「······え?違うのですか?」

 

「昼間にそういう関係じゃないって否定したよね!?私はトイレに行こうとしただけだよ!!」

 

そう言うと銀夜は漸く正気を取り戻したのだろう。

 

「あわわわわわわ、だ、大丈夫ですか?ガヴリールさん!!!?」

 

と、殺気を霧散させ、ガヴリールを気遣う。

 

「お前のせいで危なかったよ!!大丈夫だったけど!!」

 

────こいつヤバイ!!頭がおかしい!!

 

そのへんは心の中に留めたものの、あまりの恐怖に腰が抜けて、立てなくなった。

 

そんなガヴリールを見て心配する銀夜を見て────

 

(······早くエアコン換えて家に戻ろう······。)

 

そう、心の中で呟いた後、恐怖から解放されたことに安堵して意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに、休み明け。

 

「ういーす」

 

「あ、おはようガヴ、歩······あれ?今日はガヴのことおぶってないのね?」

 

「あ、ああ······偶には自分の足で歩かないとと思ってな······ハハハ······」

 

ガヴリールは暫くの間、自分の足で登校し続けた。

 

 

 

 





因みに歩の部屋の元は私の部屋です←

次回、海だーーーーー!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海とナンパ


突然の夏休み!!

因みに作者はゴールデンウィークが履修と学校の都合上十連休←


前回のオマケ

ガヴ「寄るなロリコン!!」

歩「落ち着けガヴリール!!ロリってのは二次元だから良いんだよ!!」

ガヴ「それはそれでムカつく!!」

歩「なんでさ」





 

「海に行きます!!」

 

「······勝手に行けば?」

 

期末テスト間近、つまりもうすぐ夏休み。

 

ヴィーネが突然海に行くと言い出した。

 

「海のしおりも作成済みっ!」

 

「テンション高いっすね」

 

まあ、俺が誘われることはないだろう、男子だしな。

 

「あ、歩も一緒に行きましょう!!」

 

解せぬ。

 

「よくもまあ、女子の集団に男を誘うなお前は!?」

 

「?別にいいじゃない······友達でしょ?」

 

「······そういう問題なの?」

 

「······それとも、私達と行くの······嫌だった?」

 

「そういう訳ではないけど、肩身狭いんだけど!?」

 

女子の集団に男子1人って本当に肩身狭いんだよね。

 

······今更感はあるけど。海はなぁ······。

 

「大丈夫よ、今更じゃない!!」

 

あ、それ言っちゃいます?

 

「じゃあ、歩も決定!!」

 

あれ?俺の意思は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日、埼玉県近くの海岸────

 

天気:雨

 

「「······帰ろっか!!」」

 

「なんで二人して晴れやかなのよっ!?」

 

「もともと乗り気じゃなかったし中止ならそれはそれで」

 

「この薄情天使!!」

 

「この雨じゃなぁ······もっとひどくなる前に帰りたい」

 

「この薄情人間!!このやり場のないイルカはどうすればいいのよ!?」

 

「「片付けろ」」

 

いや、天気はどうしようもないだろ。

 

この中で釣りする気は流石に起きないしなぁ

 

「ねえ!ちょっと空見て空!!」

 

「ん?······ラフィ、お前今どこに電話してたんだ?」

 

「ちょっと知り合いの方に······」

 

次の瞬間、突然雨が止んだ。それはもうかなり不自然に。

 

··················まさか

 

「「お前天界に手を回しただろ」」

 

「皆さんの想いが天に届いたんですよ」

 

「「リアルに届けるなよ!?」」

 

「さあ、のろま共!!早く行くわよ!!」

 

────もうなんでもありなんだなぁ······。

 

 

 

 

 

 

 

 

────と、言うわけで。

 

「「「海だー!!」」」

 

「じゃあ、楽しんでらー私今日はパラソルの影から出ないから」

 

いつの間にかパラソルを広げ、シートを引いたガヴはパソコンをいじり始めた。

 

「えー!?」

 

そして俺もこっそりと離脱

 

「歩さんどこへ行くんですかー?」

 

「······ちょっとそこまで釣りに行こうかと······」

 

くそう、ラフィに見つかった。

 

「ちょっ······アンタら正気!?」

 

「百歩譲って歩はまだ海に関係あるけど、ガヴはいつも通りじゃないの!!」

 

「ネットやってるほうが楽しいしー」

 

「釣りの方が楽しいしー」

 

「こ、この2人はっ······」

 

ある意味似たもの同士。基本やりたいこと以外は殆どやらない2人だから自然とこうなることが多いのである。

 

「てか暑いよマジで······日陰にいねえと死にそう······」

 

「だよなー······日に焼けるどころか溶けちまう」

 

「あ、ヴィーネ、飲み物買ってきてー俺ミネラル麦茶」

 

「私はアクエリで」

 

「アンタ達ねぇ······!!」

 

「でも熱中症とかを考えると買っておいた方がいいかもしれませんね。」

 

珍しくラフィがこちらの意見に賛同する。

 

現在の気温をケータイで見てみると······33度。

 

「······ぐぅ······ラフィの言うことも一理あるわね······でもせめて買いに行く人をジャンケンで決めましょうよ」

 

「んじゃやるか。」

 

「「「「「ジャーンケーンポン!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────何でこうなったのかしら」

 

言い出しっぺの法則。なにかを決める時に決まって提案したやつがやらなきゃいけなくなる。そんな法則は見事適用された。

 

先程のジャンケンで物の見事に一人負けしたヴィーネは5人分の飲み物を買いに行くハメになったのである。

 

「はぁ······」

 

さて、そんな感じで1人で水着の女の子が歩いていたらどうなるか。

 

「なーなー、君暇なの?」

「俺たちと遊ばない?」

 

こうなるのは火を見るより明らかだった。

 

ナンパである。

 

この男2人に特別なことがあるとしたら、なにやら長い服を着ていることくらいだろうか。

 

「え、いや、私友達と来ているので······」

 

ヴィーネは断ろうとするが······

 

「別にいーじゃんよー」

 

腕を掴まれて無理やり連れてかれそうになる。

 

「やっ······離して!!」

 

しかし、悪魔の力を出してない今、素で解くことが出来ない。

 

「まあまあ、あっち行って俺たちといいことしようぜ?」

 

ここまで古典的な事を言うやつがほかにいるだろうか、 いやいないだろう。

 

連れていかれそうになったその時────

 

「······何これ、ヴィーネ、お前宇宙人だったの?」

 

叶歩(空気の読めないバカ)があらわれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありのまま起こったことを話すぜ!!ジュースを買いに行ったっきり戻らないヴィーネを迎えに行ったら、NA〇Aに連れ去られる宇宙人のようなポーズで不良に連行されかけてるヴィーネがいた。何を言ってるのかわからな以下略。

 

「なんだよ、お前。この娘の彼氏?」

 

「いいえ、友達です。」

 

······しかしまあ······特攻服······ねえ······

 

「お前らTo羅丸だっけ?お前らのシマは埼玉だろ?ここギリギリ埼玉じゃないよ?」

 

「県境すぐそこだからセーフだろ」

 

いや、確かにちょっと(バイク基準)走れば埼玉だけども。

 

「でもTo羅丸の総長って確か女好きだよな、いいのか、そんな無理矢理引っ張るような真似して······」

 

「······バレなきゃ犯罪じゃないんですよ······」

 

「うわぁ······」

 

「まあいい、この女に手を出されたくなかったら手え出すなよ!!今から絶対に手え出すなよ!!ボコボコに殴ってやる!!手え出したらこの女は無事じゃすまねえぞ!!」

 

······え?

 

「そんな事でいいの?」

 

「ちょ、やめときなさい、悪いことは言わないわ」

 

普通ならヒロインが逃げて!!とか何とか叫んで男の方がカッコつけるシーンが台無しである。ヒロインが敵に忠告するなんて初めて見た。

 

「何言ってんだァ?取り敢えず女の子といる時点でてめえはぶっ殺すって決めたんだ!!」

 

「「私怨丸出しかよ!?」」

 

「いいか?絶対に手え出すなよ?今からボコボコにしてやるぜぇ!!」

 

そして、俺の顔面に拳が当たって────

 

ベキッ!!

 

「お、お、俺の手がああああああああ!?」

 

「まあ、こうなるわね。」

 

当然の如く、相手の手の方が砕け散る。

 

「ひっ······な······」

 

もう1人、ヴィーネを捕まえていたやつはそのままヴィーネの手を離してしまった。

 

「あ······」

 

「······やけにあっさり脱出出来たわ········」

 

なんてロマンスの欠片もないシーンだろうか。

 

「さて······まだ俺のこと殴るの?殴るなら来いよ、受け止めてやる。」

 

「······っ!!ふざけんなてめええええ!!これならどうだああああああ!!」

 

そう言ってもう1人の方がどこから取り出したのか鉄で出来ている警棒のようなものでぶん殴ってくる。が

 

「俺の方が硬いわ、アホ。」

 

ゴンッ!!

 

と鈍い音がして警棒のようなものの方がへし折れる。

 

「う······嘘だろ······っ!!」

 

「······まだやるか?」

 

そう言って威圧する。

 

「すすすすす、すいませんでしたああああ!!」

 

しかし、恐怖したのだろうか、彼はダッシュで逃げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったじゃない、ヴィネット、歩!!助けて!!」

 

「············何してんの?」

 

砂浜に帰ってきたらサターニャが埋まっていた。頭だけ出して。

 

「あ、歩さん、これからスイカ割りをするのですよ」

 

「スイカ?スイカなんて何処に······あっ…(察し)」

 

「ちょっ、歩!!助けなさいよ!!」

 

「いや、もう無理だ······だって······」

 

目線をサターニャに向ける、正確にはサターニャの後ろでバットを嬉嬉として構えているガヴリールの姿。

 

「いくらなんでもこの距離を詰めるのは無理。」

 

「え?何のはなギャン!?」

 

ゴッ、という鈍い音とサターニャの奇声が砂浜に響いた。

 

 

 

 

 

 

その後は、特に何事もなく

 

「俺にトス持ってこぉぉぉい!!」

 

「や、普通にやって?お願い。」

 

ビーチバレーをしたり

 

「ちょ、サターニャ!!なにしやがる!!」

 

「アッハッハッハッハッ!!似合ってるわよガヴリール!!そのマッチョボディ!!」

 

ガヴリールを埋めてイタズラしたり

 

「「············っつ────!!」」

 

「歩とサターニャ息ぴったりね······」

 

かき氷とかフランクフルト食べたり。

 

そんな、平和なひとときを過ごし、帰宅────

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、お前が今日うちのメンバーが迷惑かけちまったやつらか?」

 

できませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······えーと······どちら様ですか?」

 

「あー······六条千景、To羅丸の総長やってるんだ、よろしくなお嬢ちゃん方?」

 

見た目は完全にチャラ男、ていうか言動もチャラ男。

 

細身で、イケメンの部類に入る様な顔立ち。カジュアルな服。

 

これで特攻服羽織ってなかったら良かったのに、と思うくらいだった。

 

「んでよー、メンバーが結構悲惨な目にあったって聞いたからさ?どんなことしたんだって殴りながら聞いたら無理矢理女の子を引っ張ろうとしたって言うから······まあ謝罪させに来たんだよ」

 

そう言って、六条千景はバイクの影から顔がボコボコに腫れている男達を首根っこ掴んでぶん投げる。

 

「······おい、お前ら。お前らが引っ張ったのはあの中の誰だ?」

 

2人は震える手でヴィーネを指差す、が。

 

バキィッ!!

 

その指を六条千景は思いっきりへし折った。

 

「女の子に指さしてんじゃねえよおい。」

 

「「────っづああああああああ!!」」

 

指をへし折られて、絶叫をあげる2人。

 

······ダメだ、これ以上ガヴ達に見せちゃいけねえ。

 

「おい、えーと。六条千景って言ったか?女の子の前でそういうショッキングな事するのはどうかと思うんだが?」

 

「······それもそうか。んじゃ後で根性焼きでもしとくわ······すまないなぁ、見苦しいもん見せちまって。」

 

「あ、······いえ、気にしてないので······」

 

ガヴリールが答えると3人も苦笑いをする。

 

「いやいや、それじゃあ俺の気が済まない。どうだい?今度お茶でも」

 

「「「「さり気なくナンパしてきた!?」」」」

 

なるほど、女好きという噂は本当のようだ。

 

でも、多分それだけじゃない。

 

「······っと、まあそれは置いといて、だ。そこのお前名前は?」

 

「······叶歩。よろしく。」

 

「そうかそうか······なぁ、叶。お前、コイツらに手を出してないって本当か?」

 

「ああ、出してない。勝手にそっちが俺の事を殴って勝手に怪我しただけだ。ヴィーネという証人も居るが?」

 

そう言うと、六条千景はふむ、と考え込む。

 

「いやな?俺一応リーダーだしよぉ······やられっぱなしってのもダメなんだわ。こっちに非があるとはいえ、一方的になじられて終わりってのは、な?」

 

「────なるほど、つまり俺は、喧嘩を売られているのか?」

 

「────わかってるじゃん。それに殴っただけで逆に拳が砕けるってのも気になるしよ!!」

 

······なるほど、喧嘩したいだけですねわかります。

 

「つーわけで!!早速!!」

 

そして、六条千景は足を振り上げて強烈なかかと落としを俺の顔面に繰り出し────

 

 

踵からバキッ、と嫌な音が聞こえた。

 

「いっ────づうううう!?」

 

「······お前馬鹿なの?」

 

そんな言葉しか出ない。

 

メンバーが殴っただけで骨割れたという事実を聞いてなかったのだろうか?

 

「────っ、ただただ硬いだけかっ!!なんだお前!!身体鉄で出来てるのか!?」

 

「あー······なるほど。拳が砕ける原因は昔の不良よろし鉄板でも入れてたと思ってたの?」

 

「いや、殴った場所とかも聞いてたからその可能性は捨ててた。······ただ正直、なめてた。」

 

「これからは慢心捨てた方がいいよ?」

 

まあ、人伝に聞いたんじゃ完全に信じられないのも無理はないだろうけど。

 

「······で?どうするよ?まだ続ける?······出来れば9時までには帰りたいんだけど······」

 

「ん?安心しろ、時間はこれ以上取らせねえよ。次の攻撃でお前は倒すからな!!」

 

「「「「え!?」」」」

 

「······ほう······?」

 

俺に勝利宣言って······相当自信あるな?

 

「行くぞ!!お前の攻略法は思いついた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────約二年前。

 

『新羅、一つ聞きたいことがあるんだが』

 

「ん?どうしたんだい?僕に質問してくるなんて珍しいじゃないか。何?薬関係?それとも録画のやり方?」

 

『どれも違う、歩君と静雄の喧嘩の事だ。』

 

この日、静雄と歩は出会って初めて喧嘩した。

 

原因はキノコとタケノコ、どっちがいいかで。

 

某お菓子では無く、ご飯の話だが。

 

「え?あれ喧嘩だったの?じゃれあいじゃなくて?あの2人が本気で戦ったら町一つ潰れてるような気がするんだけど?」

 

茶化してるわけじゃない、割と本気で言っている。そんな口調。よく見ると冷や汗を流している。

 

セルティもある意味納得した。確かに、それを想像すると、じゃれあいに思えてくる。まあ、喧嘩した理由が理由なだけあって。ガチ喧嘩ではないだろうというのは想像ついていたが。

 

静雄も歩も大した外傷は無く、と言うか外傷があったのは静雄だけでそれもただのアザ程度である。

 

だがしかし、それが不自然だ。

 

『歩君って、静雄を倒す程強かったのか?』

 

そこだ。そこがわからない。

 

叶歩の特異性は“硬さ”だ。平和島静雄の様に“強さ”ではない。

 

いやまあ、硬いから殴られてもただじゃ済まないから普通の人間よりは、はるかに強いのだが。それでも例えばの話、平和島静雄みたいに道路標識やガードレールを引っこ抜ける様な力があるわけじゃない。

 

だから、パワーがある訳では無い叶歩が平和島静雄に勝つには防御に徹するとか、高い所から攻撃とか、工夫を凝らすしかない。だが、今回の喧嘩は室内だったため、そんな工夫は凝らせない。よって、叶歩が平和島静雄を倒すのには防御に徹する必要がある。

 

なのに今回、外傷は平和島静雄にしかなく、叶歩にはない。

 

叶歩が更に硬くなったのか、それとも叶歩は本当は強かったのか。

 

と、いうことを考えていたのだが────

 

「?今日勝ったのは静雄君だよ?」

 

『······は?』

 

そもそも叶歩が勝った、という前提が間違っていると岸谷新羅はそう告げた。

 

「あのね、セルティ。男子のじゃれあいレベルの喧嘩っていうのはね?基本とある技を頻繁に使うんだよ。そしてそれは歩君を殺せる唯一の手段かもしれない。」

 

そうそれは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これだああああああ!!」

 

そう叫ぶと、六条千景は後ろに回り込み、足で叶歩の腕を固定し、腕で首を絞めにかかった。

 

「「「「なっ······!?」」」」

 

「······俺の弱点に気づくとはなかなかやるな······っ!!」

 

「技とかは好きじゃねえが、こうでもしねえと勝てねえからな!!」

 

首を絞める。扼殺。それが叶歩の攻略法。

 

叶歩だって人間だ、息ができなくなれば死ぬ。

 

 

 

 

 

だが、しかしそれは────

 

 

 

 

 

 

 

 

『······ん?でも、その方法で殺せるなら臨也に殺されてるよな、歩君。』

 

「······あー······それはね?」

 

「歩君だよ?静雄君並みのパワーじゃないと絞めることすら出来ないさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「褒めてやるよ、俺の弱点を見破ったのは、な!!」

 

「んなっ!?」

 

全く、手応えがない。

 

平然と息をする事が出来る。()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

「だけど、俺の首絞めるならパワー不足だ!!俺の首絞めたきゃ、静雄さん並みのパワー持ってから来るんだな!!」

 

そしてそのまま、叶歩は拘束を力ずくで無理矢理突破した。

 

無理矢理外された六条千景は数メートル吹っ飛び、地面に着地する。

 

「首絞めるのもダメなのかよ······」

 

「万策尽きた?」

 

「まさか!!まだ策はある!!」

 

六条千景はダッシュでこちらへ向かってくる。

 

狙うは、下。つまり

 

「男なら共通の弱点!!そう!!金的じゃあああ!!」

 

バキィッ!!

 

「────いってえええええええええ!?嘘だろお前!?」

 

「······いや、これに関してはしょうがない。グラ〇プ〇ー刃〇読んで金玉中に仕舞う技があったからやってみたら出来たんだよ。」

 

これに関しちゃ、趣味の域でちょっと極めた。まあ、色々役に立ったんだよね。

 

「んで、今度こそ万策尽きた?」

 

「────完敗だ、クソッタレ······」

 

項垂れる六条千景に近づく。

 

そしてそのまま拳を顔面にめり込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、お前ら先に帰っても良かったのに。」

 

「そういう訳にもいかないわよ······」

 

「そうそう、おぶってもらわなきゃいけないしな」

 

「その理由はどうなのよアンタ······」

 

「面白いものも見れたので······ふふふ♪」

 

······はたして面白かったのだろうか、あれは。

 

「にしても疲れたー······もう明日から筋肉痛だろこれ······」

 

「貧弱ね!私なんてまだまだ遊べるわよ!」

 

「だけど、ガヴも来てよかったでしょ?」

 

ヴィーネがそう言うと、ガヴは少し照れくさそうに

 

「······まあ、それなりに······ね」

 

と、そういうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────因みに帰り道。

 

 

 

「······え?お前ら全員寝るの?もう着くよ?まじで?」

 

このあと、頑張って四人全員ガヴリールの家に運んで寝かせておいた。

 

 

 

 

 

 





いやー······いろんな妄想が止まらなくてここまで時間かかった(震え声)

俺ガイルと人間シリーズのクロスで“零崎八識の人間観察”とかBLEACHの自己満作品とかFate/Grand Orderと伝説シリーズのクロスで“番外特異点 隔絶魔境四国”とかFateシリーズの何かとダカーポで初音島聖杯戦争譚とか

うん、ジョジョとこっち頑張りますね(震え声)

次回、漸く3day standoff alley


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2章:罪歌編
────プロローグ────


罪歌です。

────イヤホンとスンマセン(震え声)


チャットルーム

 

田中太郎:妖刀?

 

甘楽:そうです!妖刀!知ってますか太郎さん?

 

セットン:妖刀ですかー。村正みたいな?

 

甘楽:違いますようセットンさん!

あれは持ってると不幸が押しかかるっていうタイプのやつじゃないですかぁ。

ああいうのとは別のヤツです!

もうマンガみたいに持ったらその刀に操られて

人をズバズバーっと斬っちゃうのですよう!

 

────あるくさんが入室されました────

 

あるく:幼刀?

 

田中太郎:字が間違ってませんか!?

 

セットン:幼い刀って······あるくさんそっちの趣味が?

 

あるく:失礼な······ちょっとゲームやってたから

打ち間違えちゃっただけですよ~

 

────駄目天使さんが入室されました────

 

駄目天使:やはりロリコンかあるく······

 

あるく:違うから!!劣〇生では雫が推しキャラだから!!

 

セットン:あれ?ギリギリアウトっぽくないですか?

 

あるく:なん…だと…てか知ってるんですか〇等生

 

甘楽:ああんもう、脱線しないで下さい!

いいですか!今、池袋は妖刀の噂で持ちきりなんです!夜な夜な現れては路地裏で共刃を振るう、謎の殺人鬼!まだ死人は出てませんけど、日本刀を使って人の身体をばっさばっさと袈裟斬りに!

 

田中太郎:いや、袈裟斬りだと普通に死ぬんじゃ······

 

甘楽:手加減した浅さで切るらしいですよ!

中には腕とか刺された人もいるらしいです!

 

セットン:ただの通り魔じゃないですか

 

甘楽:もう!そんなんじゃないんですって!

人間離れした動きでズバズバと斬られちゃうらしいんですよ!

 

あるく:だからってなんで妖刀······?

 

甘楽:ここだけの話ですけど······被害者の1人が見たらしいんですけどね?自分を斬ったやつの顔を見たらー、目が赤く光っちゃって意識が何かに乗っ取られてるみたいで、もー吸血鬼に噛まれて支配された人間みたいだって!

 

駄目天使:月〇とかHE〇L〇INGとか読んだことあるから言える。吸血鬼じゃない、何かしらの寄生虫かなんかじゃないの?

 

セットン:でも吸血鬼かも知れませんねw

 

甘楽:やっだなあセットンさん!吸血鬼なんてこの世にいるはずないじゃないですか!

 

セットン:············

 

甘楽:うそですよ、う・そ☆セットンさん、怒らないで!

 

セットン:いや、怒ってませんよー(怒)

 

田中太郎:怒ってる怒ってるw

でも首無しライダーが実在するんですから、妖刀もいるかも知れませんねえ

 

あるく:幼刀······じゃなかった、妖刀かぁ······一本欲しいな

 

甘楽:欲しいんですか!?

 

あるく:マンガみたいじゃん?

 

駄目天使:お前は中身が幼女な事に期待してるんだろ?

 

セットン:うわぁ······

 

甘楽:うわぁ······

 

田中太郎:うわぁ······

 

あるく:違うから!!確かに付き合うなら身長低い女子が好みですけど!!年齢は1・2歳離れてるのがストライクですから!!同年代も可!!

 

甘楽:年上は?

 

あるく:ダメですわ( ´•ω•` )

 

駄目天使:やっぱりロリコンじゃないか!!

 

あるく:あァァァんまりだァァアァ!!

 

甘楽:ま、いじるのはこれ位にして······皆さんはそういう話とかありますぅ?

 

田中太郎:一人暮らしなのでないですねー

 

あるく:義妹と2人暮らしって駄目ですかね?

 

駄目天使:私も1人だけどあるくがお世話してくれるが······これは介護になるかなぁ······?介護される年じゃないけど、まだ若いけど。

 

あるく:そう思うなら少し改善して?

 

駄目天使:そっれっはっ♪☆無☆理☆

 

あるく:ですよねー(゚¬゚*)

 

甘楽:そのやり取りが最早カップルっぽいんですけど!?

やっぱり2人はカップルじゃないんですかあ!?

 

あるく:(ヾノ´°ω°)ナイナイ

 

駄目天使:(ヾノ´°ω°)ナイナイ

 

セットン:息ぴったりじゃないですかw

 

あるく:むう······そういうセットンさんは?

 

セットン:へ?私ですか?

 

甘楽:あ、それ私も気になりますー!!

 

セットン:いやまぁ······確かに相方の男と一緒に暮らしてますけど······

 

甘楽:同棲ですか!?キャー!

 

セットン:相方ってだけでどうして恋人になるんです······

っていうか、もしかして私の性別わかってます?

 

田中太郎:え、女性······ですよね?

 

駄目天使:え?女性の方でしょう?

 

あるく:女性でしょ?

 

甘楽:話し方で丸判りですよー。女性らしいけど、ネカマほど露骨じゃないですしー

 

田中太郎:もしかして、いままで気付かれてないと思っていたんですか?

 

セットン:さてと。明日は早いんでそろそろ寝ますー。

じゃ、おやすー

 

────セットンさんが退室されました────

 

田中太郎:あ、逃げた。

 

あるく:逃げたな。

 

駄目天使:逃げたね

 

甘楽:逃げましたねー

 

内緒モード田中太郎:······あなたがネカマっていうと、ただのギャグですよ。臨也さん

 

甘楽:いやあああああ!太郎さんが内緒モードで私にセクハラしてくるぅ!

 

田中太郎:誤解です!誤解です!

 

駄目天使:うわぁ······

 

田中太郎:ちょっ!?引かないでくださいよ!!

 

あるく:ははははっ······貴様もその苦しみをたっぷり味わえ······!!

 

田中太郎:なんか大変なことになってる!?

 

内緒モード田中太郎:いやいや、まじめなは、セットンさんってどなたなんですか?私の知ってる人ですか?狩沢さんとか?

 

内緒モード甘楽:んー、内緒

 

甘楽:それじゃ、私もそろそろ落ちますねー。妖刀に心を乗っ取られないようにして下さいね☆

 

────甘楽さんが退室されました────

 

あるく:(^o^)ノ おやすみー

 

駄目天使:(^o^)ノ おやすみー

 

田中太郎:はい、お休みなさいー······本当に誤解ですから!

 

────田中太郎さんが退室されました────

 

あるく:あらら、じゃあ俺も落ちるわ、どうするヴァルハラオンラインやる?

 

駄目天使:お、いいね、レイドボスやろうよ

 

あるく:おっけ、んじゃ後で~

 

駄目天使:了解~

 

────あるくさんが退室されました────

────駄目天使さんが退室されました────

 

───現在チャットルームには誰もいません───

───現在チャットルームには誰もいません───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:人 愛 違 弱 望 愛 望 望

 

 

 

────罪歌さんが退室されました────

 

───現在チャットルームには誰もいません───

───現在チャットルームには誰もいません───

 

 

 

 

 

 

 




という訳で罪歌編!!

────まさかこっちが先だとは······調べておくべきでしたすいません······。

さあ、静雄さんと歩がウォーミングアップを始めますよ?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

恐らく初めてのS級悪魔的行為


最近とある絵師さんの影響でサターニャに傾いてきた()

よし、罪歌編はサターニャ回にしようふへへ······

因みに原作との変更点↓↓↓

罪歌編→二月下旬、その後すぐに黄巾族

本作→罪歌編11月下旬、3daystandoffalley12月上旬→ガヴドロ回年明けと少し→デュラララ!!Relay→黄巾族原作通り

これでどうにかなるはず(震え声)




 

夏休みが明け、約3ヶ月、11月下旬。

 

「······お前等が時々悪魔だってこと忘れそうになるんだけど······」

 

「なんでよ!?私ほどの大悪魔なんて早々いないわよ!?」

 

「······大悪魔が先生の頼みで仕事するか?断った方が余程悪魔的だと思うんだけどな······」

 

来良学園ではこの時期文化祭、来光祭がある。

 

当然文化祭実行委員というものがある、今回はその実行委員が休んだからクラスの誰かが代理として行かなければならなくなって······どういう訳かサターニャに白羽の矢が立った。そして二つ返事で引き受けた。引き受けやがった。

 

それを見たヴィーネはかなり心配し、しかし自分に予定があったために、俺に頼み込んできた。

 

最初は断ろうかと思ったが、最近有名なケーキ屋のチョコレートケーキを奢ってくれるというのでしょうがなく引き受けた。

 

そして現在、終わったのでようやく帰宅準備である。

 

そして自分達の教室に戻ったその時────

 

「······ん?あれは園原······と那須島?」

 

那須島隆志。来良学園の教師の1人。

 

「歩······?どうしたの?」

 

「いや······」

 

あの那須島という男は評判が悪い。

 

確か生徒に手を出したって話を聞いたな······なんだっけ?贄川春奈······だったか?確か10月くらいに転校していったんだよなぁ······。

 

ふむ······

 

「サターニャ、ケータイであれ録画しようぜ?」

 

「······は?何するのよ?」

 

何するのよって······んなもん

 

「お前の言う悪魔的行為ってやつ?」

 

 

 

 

 

 

 

そして────

 

「あっれー?那須島センセーセクハラっすかぁ?わぉ!いたいけな眼鏡委員長に声まで出させて」

 

「────っと、サターニャ、ここまででOKだ。」

 

「え?ここまで?」

 

「おう、んでちょっと着いてこい。」

 

「え?あ、うん。」

 

さて、期末試験の為に頑張るか~

 

 

 

 

「いよいよ本格的なセクシャルハラスメントってやつっすか?」

 

「き······紀田!!」

 

「なるほど、いやー先生も中々凄いですねぇ、生徒をナンパするなんて!!」

 

「え?マジなの?ないわー······」

 

「か、叶に胡桃沢!?······じょ、冗談だからな園原!!勘違いして変な噂流さないでくれよ、な?」

 

狼狽する那須島を見て紀田が言う。

 

「いやいや、杏里がそんな軽薄な女に見えますか?」

 

「そ、そうだな······」

 

その言葉にほっとする那須島、しかし────

 

「「「寧ろ変な噂は俺(私)が流すんで安心してください(しなさい)!!」」」

 

「なっ······!!」

 

俺達3人で那須島を追い詰める。

 

「お、お前達!そういうくだらないことをしている暇があったら······」

 

「さっきの映像と音声バッチリレコーディングしてあるんですけど······」

 

「あ、没収しても無駄ですよ?家にデータ送りましたし。」

 

「勿論私もよ?さて、どうするのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後────

 

「イエーイ、期末試験の問題一部ゲット~♪」

 

「ああ、なんて悪魔的行為······っ!!」

 

「まさかこんなに上手くいくとは思わなかった!!」

 

3人揃って物凄くあくどい顔をしていた。

 

因みに根は優しいサターニャは最初罪悪感を覚えそのまま立ち去ろうとしたが、歩の「これやっとけば大悪魔の第一歩だぜ?」との言葉に釣られた。ちょろい。

 

「······さて、帰りますか······じゃ、紀田、俺ら帰るわ。サターニャ?期末前にそれ暗記しておけよ?せっかく手に入れたんだから。」

 

「そうね······それまで別のやっとかないと······」

 

「お前中間ボロボロだったからな······」

 

それはもう悲惨なまでに。特に理系科目。

 

そしてそのまま帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜8時。サターニャは夜ご飯の後のデザートを買いにコンビニまで来ていたのだが、知り合いとエンカウントした。

 

「······あれ?歩?」

 

「ん?サターニャか。今日はよく会うねぇ」

 

その、帰り道────

 

「にしても、歩は何でコンビニに?」

 

「ん?ジャン〇SQ.買い忘れちゃってさ~」

 

雑談をしながら帰っていた。

 

「······ところで歩?家こっちだっけ?」

 

「いや、女の子が一人で夜遅くなんて危ないだろ?送るよ?」

 

「ふぇっ!?い、いいわよ······面倒でしょ?」

 

「いやいや、送ってくって······ここまで来ちゃったし······なにより義妹に何も言わずに出たから殺されそうなんだよね······」

 

「アンタの妹怖すぎるわよ!?内緒で出てきたくらいで殺されるの!?」

 

「殺されかけるが正しいな。俺がたかがその程度で殺されるかよ······」

 

何かとバイオレンスな家庭にサターニャの背筋が凍る。

 

「あんた身内に殺されそうになるのね······怖すぎるでしょ······」

 

「まあ、殺せないことがわかってるあたりじゃれあいのつもりなんだろうな、俺もそれがわかってるから止めないけどね」

 

────いや、止めなさいよ

 

と声に出して突っ込みたくなるのをぐっと堪える。

 

「······っと、お前ん家ここだっけ?」

 

「あ、ここよ。悪いわね送ってもらっちゃって······」

 

いつの間にか家に着いていたようだ。

 

「それじゃ、また明日────どうしたの歩?」

 

部屋に入ろうとした時、歩が道路のほうをじっと見つめている。

 

「······あれは······」

 

歩の見ている方を見ると、一人男がフラフラと歩いているのが見えた。

 

目は真っ赤になっている。

 

「?酔っ払いかしら?」

 

「酔っ払いなのにあんなの持ってるかよ?」

 

歩の指した手元を見てみる。手に持ってるのは

 

ナイフ。

 

 

 

 

男は歩とサターニャ視認するととんでもない早さで襲いかかってきた。

 

「······っ速っ!?」

 

人間の速度を超えた一閃。

 

常人なら絶対に避けることの出来ない速度。しかし!!

 

()()()()()()()()()()()

 

その凶刃は、歩の頑丈な身体に止められる。

 

ガキィッ!!

 

という人体にナイフが当たったとは思えない音がして

 

パキィン!!

 

ナイフが折れた。

 

「────!!」

 

相手も今のには驚いたのか、動きが完全に止まる。

 

「この程度で一々ビビって動き止めてるんじゃねえよマヌケ!!」

 

歩の鋼鉄以上の身体による、全力の蹴り。

 

しかし、蹴られるとわかった瞬間、男はその場で跳び、避ける。

 

そしてそのまま真っ二つに裂けてしまったナイフで切りかかる。

 

「刺さらねえっつうの、その程度じゃ。」

 

タダでさえ真っ二つになって耐久力の減っているナイフで歩にダメージを与えるという思考が間違い。そのまま更にナイフが砕ける。

 

「────っがっ!?馬鹿なぁっ!?なぜ傷つかないのよ!?」

 

「喋れたのかよお前!?てか女口調!?」

 

「っち、こうなったらそっちの女を······」

 

歩に刃が刺さらないと理解した男はサターニャに狙いを定める、が。

 

「私がなんだって?」

 

それは、あまりにも遅かった。

 

「な、······なによそれ······!?」

 

サターニャが構えていたのは、巨大な鎌。

 

いつの間にか頭の角まで出ている。

 

「そっ、その角は!!あなた!!人間じゃないわね!!」

 

「だから何だってのよ······まあいいわ、よく聞いておきなさい。私の名は胡桃沢=サタニキア=マクドゥエル」

 

そしてサターニャは容赦なくその鎌を振り下ろす。

 

ゴツン!!

 

「大悪魔よ?覚えておきなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?そういう使い方するの?」

 

「峰打ちみたいなもんよ、殺すのはまずいでしょう?」

 

「······まあ、そうだけど······にしても身体能力は凄かったな······静雄さんよりは遥かに劣るが。」

 

「蹴りよけられてたもんね?」

 

「身体能力は大したことないからな俺は······」

 

人並み以上ではあるけども、静雄さんみたいに強くはない。ただ硬いだけの人間。それが俺だ。

 

「······いや、ナイフ刺さって傷一つつかないで逆にナイフが砕け散るって本当にどういうことなの?」

 

「······こんな百均で売ってるようなの使うのが悪いんだよ······ちゃんとした職人が作った包丁とかなら流石の俺も1ミリくらい傷つくぞ?お前のデスサイズなら······んー······下手したら5ミリくらい?」

 

「頑丈すぎるわよ!?私の鎌は鉄程度なら切り裂けるのに!?」

 

「鉄以上に硬い俺に何を言っているんだお前は?」

 

というか、俺に傷をつけられるほどの刃物なんてそうそうないと思うがな。

 

「悪魔の力を解放したらもっと凄いわよ?多分······」

 

「自信はないんだな······」

 

「あなたのせいなのだけどね······まあいいわ、それより、こいつどうするの?」

 

そう言ってサターニャは襲ってきた男を指さす。

 

「んー······テキトーに手足縛って捨てるか······警察の目の前でいいだろ。」

 

「そう、1人で大丈夫?」

 

「男1人なら持ってけるよ、大丈夫大丈夫。」

 

「······そう、じゃ、また明日!!おやすみ!!」

 

「おう、おやすみ~」

 

サターニャと別れ、そのまま交番の近くに男を捨てる。

 

「しかし······赤い目、常人離れした身体能力······うーん、妖刀······か?ホントにあったんだな······」

 

とはいえ、あれじゃあ脅威にはならない。

 

日本刀と聞いたがナイフだったので少し驚いたが、問題じゃない。寧ろかすり傷を負うリスクが無くなったことを喜ぶべきだろう。

 

尤も、次に会うことがあるのかどうかは不明だが。

 

「······にしても、口調的に幼くは無かったなぁ······少しばかり幼刀に期待してたんだけどなぁ······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘楽:聞きましたー?今夜とうとう来良学園の生徒が斬り裂き魔にやられたって!

 

田中太郎:え?マジですか?

 

セットン:物騒ですねえ

 

甘楽:マジマジの大マジンですよー!一年生の女子生徒だって!

 

田中太郎:すいません、ちょっと電話するんでROMります

 

内緒モード甘楽:安心しなよ、君の彼女じゃないらしい

 

内緒モード田中太郎:あ······どうも。でも一応心配なんで

 

セットン:んー、どの辺かわかりますか?

 

甘楽:えっと、南池袋の都電の雑司ヶ谷から少し離れたとこですけど。あの辺に行けば、まだパトカーとか集まってるからすぐわかると思いますよ?

 

セットン:そうですか······。あ、すいません。ちょっと落ちますね

 

甘楽:やっだー!セットンさん、野次馬ですかー?

 

セットン:いや、そんなんじゃないですよ、とりあえず、またー

 

────セットンさんが退室されました────

 

────あるくさんが入室されました────

 

あるく:切り裂き魔に襲われたけど容赦なく返り討ちにしました(知り合いが)どうもありくです☆昨日日本刀で袈裟斬りしてくるなんて言った誤情報持ってきたヤツって誰だったっけ( ^∀^)

 

甘楽:え!?大丈夫だったんですか!?て、誤情報?

 

あるく:目が充血してるのはあってたけど日本刀で袈裟斬りにしてくるとか全然違ってましたよ?普通にナイフでした!!by友人

 

田中太郎:電話終了して浮上してみたらとんでもないこと言ってる人がいる!?

 

田中太郎:あ、私もちょっと落ちますね

 

あるく:(・ω・)ノシ

 

────田中太郎さんが退室されました────

 

甘楽:ありゃ、行っちゃいましたね

 

────駄目天使さんが入室されました────

 

駄目天使:あるく大丈夫か!?

 

あるく:大丈夫だ(俺は)問題ない!!

 

駄目天使:あー······まあお前が大丈夫ならいいや

 

甘楽:やっぱり駄目天使さんはあるくさんのこと好きなんじゃないですかぁ?

 

駄目天使:(ヾノ´°ω°)ナイナイ

 

あるく:そう、俺達は戦友です、ヴァルハラ王国を救うために頑張ってるんですよ

 

甘楽:の割には距離が近いような······てかさっきの話マジなんですか?

 

あるく:え?嘘ですよ?

 

駄目天使:暇を持て余した

 

あるく:神々の

 

駄目天使:遊び!!

 

あるく:遊び!!

 

甘楽:やっぱりこの2人仲良過ぎですよー!因みにどこか本当の所ってあります?

 

あるく:日本刀じゃないらしいです。知り合いが目撃したのはマジなんですよ······ナイフだったそうです。

 

甘楽:へぇ~ただの便乗犯かもですね!

 

あるく:その可能性は捨てきれませんねー

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:かた

 

甘楽:おや?

 

あるく:んん?

 

駄目天使:おおお?

 

罪歌:今日

 

罪歌:斬た

 

甘楽:あーっ、昨日も来てた荒らしの人ですね!ダメですよ!プンプン!

 

罪歌:斬るた

 

罪歌:斬るった

 

罪歌:斬った

 

あるく:何だ、ただの荒らしか

 

駄目天使:どこにでもいるんだなこういう奴

 

甘楽:どうやってここのアドレス探したんですか?

 

罪歌:愛、足りない、愛

 

甘楽:なんか、他の池袋関係の掲示板も荒らしてるでしょ、あなた

 

罪歌:愛、したい、人間

 

罪歌:斬った、だけど、違った、足りない

 

甘楽:えいっ!······強制アク禁しちゃいました。テヘッ☆

 

あるく:わお

 

甘楽:いやーやっちゃったぜ☆

 

駄目天使:ナイス甘楽d('∀'*)

 

内緒モードあるく:んで、まじナイフだったんですが

 

内緒モード甘楽:やっぱり襲われたのは君だったのね、今度3枚で詳しい事教えてあげるよ

 

内緒モードあるく:了解~明日行くわ

 

駄目天使:あるくー、レイドイベントそろそろ始まるぜ

 

あるく:え?うわ、まじじゃん。んじゃ落ちますねー(・ω・)ノシ

 

駄目天使:じゃ、私も(・ω・)ノシ

 

────あるくさんが退室されました────

────駄目天使さんが退室されました────

 

甘楽:あらら、じゃあ私も落ちちゃおうっと!

 

────甘楽さんが退室されました────

 

───現在チャットルームには誰もいません───

 

 

 

 

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:もっと強い

 

罪歌:強い愛、望む

 

罪歌:愛したい、強い、人

 

罪歌:人間、強い、誰、聞く

 

罪歌:池袋

 

罪歌:望み、私、母、母

 

罪歌:母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母母

 

────罪歌さんが退室されました────

 

───現在チャットルームには誰もいません───

───現在チャットルームには誰もいません───

 

 

 

 





早速手を出してボコボコにされてますね()

まあ、最初はこんなものでしょう、静雄さんが原作より深い傷を負いそうですが気にしないでおきましょう。

次回は贄川親父の登場ですね。どうしよう、歩の所に行かせようかなぁ······



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

池袋最強

とある絵師さんの影響で最近サターニャがマジで可愛すぎて萌え死にそう

あ、ユーザーネーム変えました



通り魔に襲われた翌日の放課後。

 

「サターニャ、一緒に帰ろうぜ」

 

「歩が誘ってくるなんて珍しいわね、何かあるの?」

 

「いや、気になってる店があるんだが······なんでもメロンパンパフェというのがあるら「行くわ!!」お、おう」

 

と、いう経緯で俺達はその店に行ったのだが────

 

 

 

 

 

「貴方の思う池袋最強は誰ですか?」

 

────どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はただ知りたかっただけなのだ。

 

ゴシップネタばかり扱う三流雑誌記者として、というよりも純粋な好奇心からと言った方がいいだろう。

 

春先に起きた首無しライダーの騒動の時でさえ、ここまでの気持ちは湧き上がらなかった。

 

 

しかし、編集長から特集のテーマとして告げられた単語は私の歳をいささか若返らせた。

 

────最強。そう、最強だ。

 

この池袋という街で最強は誰なのか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──── 一般市民の場合────

 

「最強?っていうとやっぱあれだろ、黒いバイクに乗ってるやつ!!」

「その辺のヤーさんじゃないっすか?」

「やっぱサイモンだろ」

 

────居酒屋の店主の場合────

 

「素人は知らんだろうけど······今は新宿に行っちまってる折原臨也ってぇ奴がいてな······」

 

────カップルの場合────

 

「今の最強?ダラーズ創った奴じゃない?」

 

────ガラの悪い3人組の場合────

 

「こういう黄色いバンダナしてる奴ら見かけるっしょ?」

 

────中年男性の場合────

 

「警官だね、そこの交番にいる葛原ってのはスゲぇよ」

 

 

実に興味深い。

 

この街では、誰もが、何らかの形で「最強」をイメージしている

 

ならば、最強と呼ばれる人物は、自分ではどう思っているのだろうか?

 

 

 

 

───目出井組系 粟楠会幹部 四木氏の場合────

 

「喧嘩最強────素人さんも含めて、ですか······うーん」

 

そう言って四木さんは少し考える。そしてこう続けた。

 

「ここから先は記事にしないでくださいよ?」

 

「いえね?そりゃ、建前上は堅気に手ぇ出したりはしませんよ。ですが、さっきも言いましたけど、向こうから喧嘩を売ってきた場合は別です。······ただ、ねえ。いるんですよ、なるべく揉めたくない素人さんってのも」

 

「サイモン?あの寿司屋は気のいいやつですから揉めるってことはまずありません。まあ、喧嘩になったらそりゃ強いでしょうよ。まあ、負ける気もありませんけどね?」

 

「でも、遠くはないなぁ、そのサイモンとつるんでる奴なんですけどね······」

 

「────平和島静雄と叶歩。」

 

「こいつらには手を出すな、って若いもんには言ってます······まあ、ほかの人に聞けばわかりますよ、特に叶歩。あれには勝てないかもしれない。」

 

「平和島静雄ってのはね、かっこいい喧嘩をする奴なんですよ。でも叶歩は喧嘩にならない。」

 

「強すぎるんじゃなくて、硬すぎるんですよ。────まあ、これは街の方々に聞けばわかりますけどね······何も効かない人間なんです、ただ単に。」

 

「────あんたの娘さん、今高校生なんですって?」

 

「こっちにはこっちの情報網ってのがあるんですよ────先程の記事にしない件宜しくお願いしますね?」

 

結局、このテープの内容はほとんど使えなくなってしまった。

 

 

────露西亜寿司店員 サイモン氏────

 

「オー喧嘩ヨクナイヨー、セナカとオナカ癒着シテオショクジケンヨー、オショクジ寿司タベルイイヨー」

 

────ダメだこりゃ。話が通じない。

 

「お客さん?この辺で一番喧嘩の強いヤツって、平和島の大将のことかい?それとも叶のことかい?」

 

「サイモンに聞いたっていい奴としか言わない、本当に平和島と叶のことを詳しく知りないのなら────」

 

 

 

 

────情報屋 折原臨也の場合────

 

「······誰から聞いたんですか俺のこと······」

 

「住所まで知ってるって事はそうとうお得意さんなんですけど······あ、記事読ませてもらいましたよ」

 

「────ところで、高校生の娘さんはお元気ですか?」

 

「粟楠会の四木さん、いい人だったでしょう?」

 

────なんてことだ。粟楠会の言っていた情報網とはこの折原臨也の事だったのか、そうとも知らずに私は

 

「まあ、いいですけどね。」

 

へ?

 

「喧嘩最強かぁ······そうなるとやっぱシズちゃんと歩君かなぁ······」

 

「······シズちゃん?」

 

「平和島静雄。······つっても、俺アイツらのことあんまり語りたくないんだよね、シズちゃんは大嫌いだし歩君は苦手だし」

 

「いや、そこを何とか······」

 

「······あの2人と親しいヤツを紹介するからソイツにききなよ」

 

そして、折原氏は何処かに電話をかけ────

 

 

 

 

───運び屋 セルティ・ストゥルルソン氏の場合───

 

「初めまして、東京ウォリアーの贄川です」

 

『どうも、初めまして。セルティ・ストゥルルソンです。』

 

まさかこんな所で都市伝説の黒バイクと会えるとは思わなかった。しかし、意思疎通がとれるとは······

 

『池袋の喧嘩最強でしたっけ?······静雄でしょうね。』

 

────おや?叶歩の名前が出てこなかった。

 

『え?歩君?確かに喧嘩慣れはしてますけど······最強と言ったら静雄ですかね。歩君はめちゃくちゃ硬いというのもありますが······』

 

「······それはどういう事なんです?」

 

『どういう事か······と言われましても、言葉通りの意味ですよ。そうですね······三月の下旬だったかな?彼、電車に轢かれたんです。』

 

「······は?」

 

『その時の怪我が······確か手首の捻挫と軽度の打撲で全治1週間だったかな?』

 

────それはほぼ無傷ということになるのだが?

 

「えーっと······?」

 

『俄には信じられないでしょうけど、そのくらい硬いんですよ。彼は。それだけなんです。十分脅威ですけどね。』

 

「一部の人間は貴女が最強だと言う人もいらっしゃるのですが······」

 

そうするとセルティ氏は肩を震わせ少し俯く、笑っているのだろうか。

 

『ハハハッ、私が最強?ないない。それはこの格好にビビってるだけですよ』

 

『静雄の強さはそういうのじゃない······次元が違うっていうか······住んでる世界が違う。そう、あいつの強さは拳銃の強さだ。アイツに喧嘩で勝てるなんて、叶歩以外いないんじゃないかな?』

 

 

 

 

「────今日は、貴重な話をして下さりありがとうございました······あの、これは取材ではなく私の好奇心なのですが······」

 

そこまで言うとセルティ氏は察したのかヘルメットを指さし

 

『ああ!これ。いいですよ?これで私が何者かがわかると思います。』

 

そう伝えてきてヘルメットを外す。

 

そこには頭がなくゆらゆらとした影が蠢いているだけだった。

 

きっと、セルティ氏は奇術師なのだろう。そうだ。そうに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も取材を続ける────

 

「あー、平和島静雄、あのバーテンの?いつも自動販売機投げてるんだよ」

 

「平和島静雄って1回折原臨也に罪を擦り付けられてさぁ、その時もう無罪は証明されてたのにマジ切れして自動販売機パトカーに投げて器物破損と公務執行妨害で逮捕されたんだよ」

 

「叶歩?ああ、あの出鱈目なやつか、あいつ中学時代に金属バットで殴られたりする集団リンチ受けたことがあるらしいんだけど、アイツを殴った瞬間金属バットの方がへし折れたらしいんだよ······あいつが最強なんじゃね?」

 

「前にトリカブトだかその手の毒物が飲み物に入ってるのを飲んじまったらしいんだけど、三日三晩腹痛と下痢に襲われた程度で済んだらしいんだよね、後で警察が調べたら常人の致死量の倍くらいの量入ってたらしいよ?」

 

 

調べれば調べるほど出てくる突拍子もない話。

 

────会ってみたい。

 

そう思い聞き込みを続けると、

 

「叶歩なら見ましたぜ?さっき向こうに赤髪の美少女と歩いてましたよ?」

 

 

 

 

 

 

────叶歩氏の場合────

 

「······で、俺にインタビュー?マジで?」

 

「へー凄いじゃない歩」

 

この少年が叶歩?まだ学生じゃないか······

 

多少鍛えられているような体つき。目の下にはでかい隈があるがなかなか整っている顔をしている普通の学生。第一印象はそれだった。

 

「いや、別に構いませんけど······俺今からスイーツ食べに行こうと思ってたのになぁ······」

 

「あ、ならそこでも構いませんよ?路上で聞くのもあれですし······」

 

ぶっちゃけ、中年の体力的問題で少し休みたかった。

 

「······これ私は帰った方がいいかしら?」

 

「いいよ。大人しくしてるなら文句は言わねえよサターニャ。······あ、でも決めるのは俺じゃなかったか。」

 

「あ、いえ、私も別に構いませんので······」

 

「だとよ、んじゃ、すぐそこなんで行きましょうか。」

 

店に入ると赤髪の少女はメロンパンパフェ(豪華なパフェにメロンパンが丸々一個ぶっ刺さってた)を注文、叶歩氏はチョコレートバナナクリームアイスパフェ(一応もう冬なのだが、アイスである)とアイスカフェラテを注文した。(因みに私はブラックコーヒーである。見てるだけで胸焼けがするので無性に飲みたくなった)

 

「それで······幾つか質問があるのですが······」

 

「ええ、構いませんが······」

 

「では······噂を色々耳にしたのですが······揉め事にはよく関わられるのですか?」

 

「いいえ?揉め事がくるんです。自ら揉め事に関わるときは······あんまり無いですね、あったとしてもこちらからは手を出しませんよ?」

 

「······本当に?」

 

「?ええ。面倒くさいですし、そこまで強くもないんですよ俺。」

 

────これは······外れか?

 

「ここに来るまでに色々な話を聞いたのですが······貴方の知人からは『硬いだけ』と聞いたのですがそれはどういう意味で?」

 

「······あー······説明するより見てもらった方が早いかなぁ······どうしよう······んー············」

 

「······まあ、文字通り、刃も通さない、車が突っ込んできたら車の方が凹む、ナイフは当たった瞬間砕け散るし、拳を当てようものなら拳が砕ける。それが俺の身体なんです。はい。」

 

つまり────と、彼は続ける。

 

「相手が攻撃したら相手の方が壊れてしまう。結果、俺の勝ちになる。だから俺は今まで喧嘩は静雄さん以外に敗けたことがない。だから最強って言ってるんでしょーね。素手はあまり強くないのだがなぁ······────あ、すいません、バナナイチゴサンデー1つ」

 

「私はメロンパンチョコサンデー!!」

 

僅か5分でパフェを食べ尽くし、追加で注文する。

 

見てるだけで胸焼けがひどくなってきた。

 

「えーと······では貴方の思う池袋最強は?」

 

「静雄さん。」

 

二つ目のパフェを頬張りながら叶歩は即答した。

 

「いや、他にいないと思いますよ?あの人に勝てる人がいるとは思えません。はい。あ、すいません。クリーミープリン追加で」

 

「そ、そうですか······今日は貴重な話をありがとうございました」

 

「いえいえ、じゃ、お仕事頑張ってくださいね────あ、あとメロンパフェ1つ」

 

────同行者の赤髪の少女の場合────

 

「え?最強?······歩以外知ってる人が居ないからわからないわね。私は歩と思ってるわよ?────すいません、イカスミパフェ1つ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······はぁ、疲れた······」

 

「お疲れ様、雑誌に載るかもよ?」

 

「勘弁してくれよ······まあ、多分載らないだろうけど。静雄さんはあの手のやつ大っ嫌いだからね。ぶん投げられて怪我して書けなくなるんじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は暴力は嫌いだって言ってんだろうがああああああああああああああ!!俺に嫌いな暴力を使わせやがって何様のつもりだッ!!」

 

その呟きは物の見事に的中し、ぶん投げられたことを叶歩は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、サターニャ、スマンが俺は寄るところあるから、寄り道せず真っ直ぐ帰れよ?」

 

「ええ、歩も遅くならないようにね?」

 

そう言ってサターニャと別れ、新宿の臨也の拠点のマンションに向かう。

 

「ってな訳で臨也さん、切り裂き魔の情報よろしく」

 

「────まさか本当に来るとは思ってなかったよ······」

 

「言ったじゃないですか、明日行くって、3枚でいいんでしょ?ほれ。」

 

そう言って諭吉を3枚手渡す。

 

「······まあ、お金を貰ったからには話そうじゃないか······今回はね、魑魅魍魎の世界の話なんだよ」

 

「······ほう、つまりセルティさんの同類?」

 

「ついでに言うなら君が良くつるんでる女の子4人もだろ?······まあ今回はちょっと違うけど。」

 

────サターニャ達のことを話していないのに、知っているとは······まあ折原臨也ならありえる話と割り切る。

 

「罪歌って知ってる?」

 

「?チャットルームの荒らしの話?」

 

「いや、そっちじゃない······まあ、関係はあるけど。······罪歌っていうのはね、昔本当に池袋に存在した妖刀なんだよ。」

 

「······マジかよ」

 

それから以下の情報をもらう。

 

・罪歌という妖刀は心を持ち、人を乗っ取る伝承がある。

・被害者は全員『赤い目』を見たということ。

・ネットに『罪歌』というハンドルネームが出現する日は決まって通り魔の被害者が出た日の夜だということ

 

「ふーん······なるほど、聞くだけ無駄だったようだ······」

 

「あれ?昨日交戦したんだよね?」

 

「俺になまくらが通るとでも?」

 

「······ああ、なるほど······乗っ取られた人間まで日本刀を使うわけじゃないってことか······それじゃあ確かに君は乗っ取られる心配はないね······」

 

「······まあ、一応斬られたらゲームオーバーってのはわかったし、銀夜に夜の散歩を控えるように言えばいいか。サンキュー臨也さん。んじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······歩君を妖刀でどうにかするのも難しそうだなぁ······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······くっ······痛たた······」

 

先程、平和島静雄にぶん投げられた記者は静雄の上司である田中トムの忠告を聞き、

 

(これは完全に記事にしてやる······平和島静雄の友人関係、趣味趣向、全てを書き出してやる!!)

 

逆に燃えていた。

 

「全ての事実を手に入れろ!」

 

だからこそ気づかなかった。

 

後ろから、赤い目をした女が近づいていることに。

 

 

 

この記事が上手くいけば、全て上手くいく、きっとギクシャクしていた娘との仲も元通りになるだろう────上手くいけば、きっと────

 

 

そして振り上げられた腕が下ろされ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────チャットルーム

 

甘楽:知ってますか!今日の通り魔の被害者あの「東京ウォリアー」で東京災事記の記事書いてた人らしいですよ

 

あるく:まじで?

 

駄目天使:へぇー······

 

セットン:え、本当なんですか?······無事なんですか?

 

甘楽:なんかなんかー意識不明の重体らしいですよ!

刺傷以外にも体中に擦り傷があったって

 

セットン:そうですかー

 

田中太郎:?知り合いなんですか?

 

セットン:あ、いや···その記事のファンだったんですよー

 

────罪歌さんが入室されました────

 

甘楽:キタ━(゚∀゚)━!

 

あるく:キタ━(゚∀゚)━!

 

駄目天使:キタ━(゚∀゚)━!

 

セットン:罪歌さん、ばんわー

 

罪歌:人、斬った、でも、まだ、駄目

 

甘楽:無駄ですよセットンさん。こっちのレスには反応しないんですうー

 

田中太郎:プログラムかなんかですかねぇ。

なんだか不気味ですねぇ。

 

駄目天使:プログラムってこんな事出来んの?

 

あるく:やろうと思えば出来ると思うが······

 

セットン:他の掲示板も対応に苦慮してるみたいですねー。

 

田中太郎:でも、人を斬ったって······通り魔だったりして

 

罪歌:斬る、続ける、強く、なる

 

甘楽:そういえば私が新しい被害者が出たっていう日に必ず出てますよね。やっぱり妖刀ですよ!妖刀がキーボードカタカタ打ってるんですよ!

 

あるく:それこそ幼刀じゃないと出来ないだろ

 

セットン:化け物も幼刀もネットなんかやらないでしょ

 

罪歌:もっともっともっともっと、最後に近づく、斬る、私、愛する

 

罪歌:目的、見つけた、愛する、見つけた、静雄、歩、平和島、静雄、叶、歩

 

あるく:······え?

 

駄目天使:······は?

 

田中太郎:え?お二方の知り合いなんですか?

 

罪歌:愛する静雄斬る歩斬る平和島私が叶に斬る静雄愛する歩愛する

 

罪歌:愛の為に愛の為に愛の為に愛の為に愛の為に

 

罪歌:平和島平和島平和島平和島平和島平和島

 

罪歌:叶叶叶叶叶叶叶叶叶叶叶叶

 

罪歌:静雄静雄静雄静雄静雄静雄静雄静雄静雄

 

罪歌:歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩

 

内緒モード田中太郎:······臨也さん

 

内緒モード甘楽:ちっ、シズちゃんの関係者か······?いや、シズちゃんざこんなウザい奴を生かしておくわけないか······

 

あるく:すまん、落ちるわ

 

────あるくさんが退室されました────

 

駄目天使:私もだ、すまない

 

────駄目天使さんが退室されました────

 

田中太郎:これ落ち着くまで一旦チャットから退室した方が良さそうですね、じゃあ一旦落ちますー

 

セットン:じゃあ私もー

 

甘楽:今日はこれで解散ですねー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歩!!」

 

「落ち着けガヴ。慌ててもどうしようもない。」

 

「だけど!!」

 

「あのなぁ······静雄さん敵に回した時点で犯人も終わりだっての······」

 

あのチャットを見た後、ガヴが全力で入室してきた。

 

まあ、心配してくれるのは有難いし、少し嬉しいが。

 

「だけど、あの説明聞いて、落ち着いていられるか!!少しでも傷を負ったらアウトなんだろ!?」

 

ガヴに説明したのは失敗だったかな、と思う。まさかここまで心配性とは思わなかった。

 

「んー······罪歌が俺に傷をつけられるほどの武器が果たしてあるのだろうか······まあ、あったら駄目なんだが」

 

「元の形は日本刀なんだろ?流石にお前でも······」

 

「どうにかするさ······お前は来るなよ?多分逃げられるからな。それか手を出せない状況に追い込まれるか、だ。罪歌はどうも、人外は嫌いらしい。」

 

そこまで言うと、ガヴは宙を仰ぎ、何を言っても無駄か、と悟る。

 

「それに······一応保険はかけておくし大丈夫だろ。」

 

そう言って歩は自室の押し入れの中からあるものを取り出す。

 

「······歩、それって······」

 

 

 

それを出して歩は呟く。

 

 

 

 

 

 

「どいつもこいつも勘違いしすぎなんだよ······俺如きが()()()()()()()とか有り得るわけねえだろ······」

 

 

 

 




これを書いている時に、お気に入り44件、感想4件、総合評価44Pt

やべえ、なにか起きそう


さあ、歩君の取り出したものは一体何なのか!?




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

妖刀狗肉

ケータイがヤバイ(確信)

androidってこんな酷いの?まだ買ってから一年経ってないんだけど······。




 

 

平日の昼下がり。

 

門田京平、遊馬崎ウォーカー、狩沢絵理華、渡草三郎の4人はワゴンの中で駄べっていた。

 

『昨夜また、通り魔による犯行があり、これによる被害者の数は────』

 

「やばいよなぁ······」

 

「どしたのドタチン」

「なにかあったんですか?門田さん」

「え?なんかあったので?」

 

「昨日で通り魔の被害者50人超えたって······まて、何で歩がいる!?」

 

「学校サボりました☆そしたら門田さんたちを発見したのでたった今乗りましたとさ」

 

まあ、今までサボったことないし、テストの成績も良いから別に平気だろ。

 

「お前なぁ······」

 

「無遅刻無欠席無早退とかもうとっくに途絶えてるんで最低限登校すればいいですしねぇ······ようれん菌許すまじ」

 

「お前毒で死なないのに病気は普通になるんだな······」

 

そこまで人間離れしてないですからね。

 

「にしても50人かぁ······」

 

「お前そういや名指しされてるんだろ?大丈夫なのか?」

 

「んー······まあ、保険としてこれ持ってるんで大丈夫でしょ。」

 

「······そういやお前何持ってるんだ?それ。」

 

それは長い袋。ちょうど刀1本くらい入りそうな袋だった。

 

「······眼には眼を歯には歯を、武器には武器を······ってヤツです。」

 

「お、なに?歩くんひょっとしてC〇DE:BR〇AK〇R?」

 

「もしかして体の硬さは異能だったんすか!?」

 

「ロストしないから違うと思いますよー?」

 

まあ、その前に静雄さんが全部片付けてしまいそうだが。

 

「っつーかこの事件が最初に起きたのって······もう半年以上前っすよね?」

 

「ああ、確か夜道を歩いていたチンピラの頬が切られたことが始まりだった筈だ。被害者は「刀で斬られた」の一点張りだったが、よくある喧嘩沙汰の一つとして処理されて大したニュースにもならなかった。

だが2ヶ月後、喧嘩とは無縁そうなサラリーマンが、さらにその後クリスマスの夜に一組のカップルが切られたことと、この事件が前の事件と同一犯だという見解が発表されてからこの話題は一気に加速した······最近じゃ1日に一人ってペースで被害が増大してるって話だ。」

 

「······でも一人も死んでないんすよね?」

 

「渡草はなにか聞いたことないのか?」

 

「知らねぇっすよ······基本夜なんかに外に出ねえし······ルリちゃんのライブ以外は!!」

 

「······おい、狩沢と遊馬崎はなにか聞いてないのか?切り裂き魔とか被害者の話と······か······」

 

「だから俺は絶対ヒロインは髏々宮さんだと思うんすよ!」

 

「いーや御狐神くんだよ!」

 

「遊馬崎さんに賛同。髏々宮さんだと思いまーす」

 

悲しいかな、この3人にとって切り裂き魔より漫画談義の方が優先のようである。

 

「お前ら······人が心底憂いてる時にマンガやアニメの話で盛り上がってるんじゃねえよ!!······ったく、お前らみたいなのが捕まったら絶対マスコミに叩かれるぞ?アニメと現実の区別がつかなくなった者による犯行って」

 

ガッ!

 

その言葉を聞いた瞬間、遊馬崎さんが突然車のシートを掴み、立ち上がる。

 

その顔は珍しく怒りに染まっていた。

 

「いくら門田さんでも聞き捨てならないっスね······いいっすか!?マニアってのは二次元と三次元の区別をつけた上で!!堂々と二次元を選んでるんスよ!!三次元なんて自ら望んでゴミ箱にぽいっすよ!!二次元と三次元の区別がつかなくなるなんてマニアでも何でもないっす!!」

 

「ま、そんな奴じゃなかろうが出版社とかはそう取り上げますよ。そっちの方が稼げますし。」

 

「ぐうっ······今回の通り魔が時代劇好きだったらテレビ局は時代劇を放送中止にしてくれるんすよね!?」

 

「俺は時代劇好きだから勘弁しろや······」

 

と、雑談をしているとメールが来た。

 

「ん?メールか?」

「あれ?俺も来たっすね」

「俺も来たぞ」

「私もー」

 

どうやらこの場にいる全員に届いたようだ。

 

「······お前ら、いよいよ他人事じゃ無くなってきたぞ」

 

 

 

『切り裂き魔にダラーズのメンバーが襲われた

 

 

 

情報求む

情報求む

情報求む』

 

「────街が、壊れ始めやがった」

 

門田さんの言葉が、重々しく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(帝人のやつ······相当混乱しているのかな······)

 

同時刻、とある高層マンションの一室で、セルティ・ストゥルルソンは同じメールを受け取っていた。

 

(しかし······まだ死人が出ていないというのも不可解だ)

 

と、言うのもセルティ・ストゥルルソンは先日、切り裂き魔に日本刀で()()()()()()()のである。

 

尤も、首のないセルティには、なんの意味もなかったのだが。

 

だがしかし、首があったら恐らく死んでいた。

 

殺意を持った攻撃だった。なのに、まだ死人は出ていない。

 

(······初撃が腕に刺さった時、血が出なかったのを見て念のため首を撥ねたのか?······どちらにせよ、放ってはおけない。私の住む池袋の街で好き勝手なことはさせない)

 

「まあまあ、セルティ、そんなに気張ることないさ、案ずるより産むが易し。出来ることをやればいいんだよ」

 

と、悩んでいたところ、同居人の岸谷新羅が帰ってきたようだ。

 

『新羅帰ってたのか?』

 

「うん、ちょうどね······それにしても何かあてはあるのかい?まさか夜の街を毎日パトロールするわけにもいかないだろ?」

 

『まあな······タダでさえ私自身が斬り裂き魔との関連を疑われてるんだ』

 

「切り裂き魔か······そう聞くと5年前の辻斬り事件を思い出すね」

 

『······5年前?今回と同じように被害者が「日本刀のようなもので斬られた」っていうやつか?あれは2~3件で終わったんだよな?』

 

「でもあの時は2人くらい死人が出てるんだよね、他の人達は軽症で済んだのに······」

 

こうして、彼らの昼は過ぎてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー······しんどい······」

 

昼休み、机に突っ伏してガヴリールが唸っていた。

 

「······何があったのですか〜?」

 

「ラフィ!?いつの間にいたのよ······歩が休みだから登下校歩かなきゃいけないのが憂鬱なんでしょ?」

 

「え?歩さん休みなのですか?」

 

「アンタ······朝にこっち来たのに気づかなかったの?」

 

「サターニャさんを弄るのに夢中で······」

 

「アンタねえ······!!」

 

「歩くのめんどくさい······ヴィーネ、おぶってー······」

 

「嫌よ······たまには自力で帰りなさい······にしても歩が休みなんて珍しいわね······」

 

だがしかし、歩はようれん菌で休んだ事があるので別に珍しい話ではない。

 

······まさか風邪などを引くとは思わなかったが。

 

歩曰く、普通の風邪などは人並みにかかるらしい。

 

予防接種の度に針がなかなか通らないと愚痴を零していたのを覚えている。

 

「赤ん坊の頃は通ったらしいんだけどなぁ······ギリギリだったらしいけど······」

 

と、自分から言っていた。

 

「でもさー······銀夜も居ないっておかしくね?」

 

それは確かに思った。

 

ヴィーネがいつもよりも遅かったから迎えに行ったら、ガヴリールはまだ寝ていて、歩の家には誰もいなかったのである(歩が「俺にもし何かあったら銀夜の世話を頼む」と言ってヴィーネに合鍵を無理矢理渡していたからそれを使った)。

 

そう、あの半引きこもりの蕪木銀夜もだ。「海に行くなら引きこもりながらゲームしてた方がましです」と宣った蕪木銀夜すら家にいなかった。

 

「つーか······アイツ狙われてんのになんで行方不明になってんだよ······アホなの?」

 

「······え?狙われてる?」

 

「なんだ、ヴィーネ知らないのか?あいつ今流行りの斬り裂き魔にご指名されたんだぜ?」

 

「はぁっ!?」

 

「え?知らなかったの!?」

 

ほれ、とガヴリールはチャットではない、大手掲示板のページを見せる。

 

「······あのー······まさか歩さん······1人で決着をつけに行ったのでは?」

 

「「「··················」」」

 

「その兄を義妹は追っていったとか······」

 

「「「··················」」」

 

十分、ありえる話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、蕪木銀夜は折原臨也のマンションにいた。

 

「なるほど、つまりねずみ算式に増えていくんですね」

 

「うん······その認識で間違ってないね。」

 

厳密にはちょっとどころかかなり違うが。

 

訂正するのも面倒なので臨也はそう言った。

 

「にしても兄妹が同じ情報を買いに来るとは······ビックリだよ、色んな意味で······」

 

「昨日は体調悪くてぐっすり寝てしまっていたので······朝起きたらお兄様は当然いませんからね。それでネットサーフィンしてたらお兄様が狙われていたので······」

 

「まあ、半額に負けておくよ、どうせそろそろあの黒バイクも来るだろうし、お金には困ってないからねぇ」

 

「そうですか、ではこれで。」

 

淡々と言って蕪木銀夜は退室しようとする。

 

「君は────何で罪歌をどうにかしようとしているんだい?別に君は当事者じゃないだろう?」

 

が、出る前に臨也がそう質問した。

 

「────そんなの決まってるじゃないですか」

 

何を言ってるんだこいつは、と言わんばかりの目で銀夜は臨也を睨み、言った。

 

「お兄様に手を出した。それだけで万死に値する行為ですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蕪木銀夜の出ていった部屋で、臨也はポツリと呟いた。

 

「······これ裏で手を引いてるのバレたら確実に俺死ぬよね······?」

 

「自業自得でしょう?」

 

「いや、確かにそうだけどねぇ······っと、来たみたいだね、随分遅かったけど。」

 

蕪木銀夜と入れ替わりで入ってきたのはセルティ・ストゥルルソン。

 

『斬り裂き魔に心当たりは?』

 

「────3枚でいいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────夜11時────

 

「やめるんだ!!もう「瞬間」を何からナニまで「刹那」って言い換えてかっこいい文章だと思うのはやめるんだ!」

 

「そう言って色々斜めに構えて見たいお年頃なのかな?ゆまっちは」

 

「世の中の常識的な大人の意見を否定すれば反抗期の中高生に受けるだろう······とか思うのもやめるんだ······!」

 

「思想とか社会とかを批判すればなんでもかっこよくなると思う薄っぺらなお年頃なんだねー」

 

「······遊馬崎が本の悪口言うなんて珍しいな、何読んでんだ?」

 

「えっとね、昔ゆまっちが自費出版した小説だって」

 

「(´^ω^`)ブフォwww」

 

「歩君にまで笑われたっ!?」

 

いやーだいぶ笑わせてもらった。

 

「······はぁ······いろいろ突っ込みどころはあるが······お前ら真面目に斬り裂き魔の情報集めろよ、仲間がやられたんだからよ。カズターノが拉致られた時みたいに気合いれろ」

 

「でもさードタチン。カズターノくんは私達と仲いいからあれだけど、今度やられた人は会ったこともないんだよ?いくらダラーズの一員だからってさー」

 

「少しは他人のために泣く感性ぐらい持っとけ、歩なんかやる気満々じゃねえか」

 

「まあ喧嘩売られましたし?ぶっちゃけ他のメンバーなんざどうでもいいっすけどね〜」

 

「お前もかよ······」

 

「当事者じゃなきゃもう家帰ってますよ」

 

基本、叶歩は面倒くさがりなのである。

 

「······お、そういやこの辺だよな、来良の女子高生が斬られたのってよ······あーあー」

 

「どうしたんすか?」

 

「無用心なこった······ああいうのが狙われんだよな」

 

門田さんの向いている方向を見てみる。

 

「あれ?園原じゃねえか」

 

「ん?知り合いか?」

 

「クラスメイトですよ。ただの。────ん?」

 

園原の後ろに、1人男が後をつけている。

 

その手には、ナイフ。

 

「門田さん────」

 

「わかってる!おい渡草!!」

 

「······まさか────」

 

嫌な予感がして渡草は顔を青くする。

 

そして、予想通りの言葉が渡草を襲う。

 

 

 

 

「撥ねるぞ」

 

門田は笑顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

 

 

 

 




さて、次は義妹とか動かしますか······

あと2話位で罪歌編終わるかもしれない······


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

刀光赤影


ニュートンと林檎の樹のラビちゃん可愛かったぁ······


 

 

 

前回より時は戻り、午後10時。

 

「お兄様は一体どこへ行ってしまったのでしょうか······」

 

蕪木銀夜は一日中池袋を練り歩いていた。

 

いつもなら有り得ないレベルで歩き回っているので途中何度か休憩を挟みつつ、義兄である歩を探し回っていた。

 

最初は斬り裂き魔を探し、義兄より先にぶっ倒そうかと思い、歩き回っていたのだが、よく考えたら義兄を探した方が早いんじゃね?という思考になり、義兄を探していたのだ。

 

そして、探して探して探して探して────

 

六時間が経過した。

 

「疲、れ······た······」

 

六時間も歩いて、何の成果も得られなかったので心が折れかけていた。

 

「はぁ······本当に何処へ行ってしまったのでしょう······」

 

いくら歩が強いからと言って、家族だ。あんなに狙われてるなら大人しくして欲しかった。

 

そんな感じで公園で黄昏ていると。

 

「······ん?お前は······」

 

「へ?」

 

義兄の友達と遭遇した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあやっぱり歩は斬り裂き魔と戦いに行った?」

 

「はい······多分······」

 

某ファミリーレストラン。

 

ガヴリールとサターニャという異色の組み合わせは疲れ果てている銀夜と共に夕食を摂っていた。

 

「はぁ······あいつめ······」

 

「やっぱり男ってチャンバラとか好きだからこうなるのかしら?」

 

「いや······あまり関係ないかと······」

 

「······まあ、私たちを巻き込まないようにっていう歩なりの気遣いでしょ」

 

「いや、まあそうなんだろうけど······サターニャが言うとなんかムカつくな······」

 

「何でよ!?」

 

 

 

「しかし······あいつホントに居なきゃいけないって時に居なくなるからタチ悪いな······」

 

「え?何かあるのですか······?」

 

「······まさか何も聞いてないのか?」

 

こくり、と銀夜が頷くとガヴリールとサターニャは頭を抱えた。なんなのだろうか一体。

 

「······今月に来光祭があるのは知ってるよな?」

 

「?はい。」

 

「うちのクラスは演劇をやる事になったのよ······」

 

「······それで?」

 

「······歩主役なんだよ」

 

「······ゑ?」

 

超間抜けた声が出た。

 

「嘘でしょう?愚かな一般人から言い掛かりを付けられて恐れられているお兄様が?」

 

「お前意外と容赦ないな······まあ、劇が劇だからな、クラス全員の他薦で決まった」

 

「······因みに何を?」

 

「······巌窟王よ、あれは序盤主人公酷い目に合うでしょ?つまりそういう事よ」

 

「まあ、あいつノリノリだったけどな······この前とあるソシャゲでイベントあったから······かなりテンション上がってたし······それに所詮本気で殴ったら痛いのはあいつじゃねえし······あまり意味が無いような気はする······あ、でも主人公を罵るシーンとか殆どの人間がノリノリだったがな。ホント人間ってのは······」

 

「主人公を貶める人間の役が男子に一番人気だったわね······あの時ほど人間を殺してやりたいと思ったことは無いわ」

 

「ちょっとお兄様のクラスの屑を殺してやりたいのですが······」

 

「いや······本気で劇をやってるんだって言われて逃れられるのがオチだ······」

 

「······で、その主役が行方不明なのよ······今日は凄かったわ、色んな意味で。」

 

「·····主役がいなくて全く進まない、しかも本番まで後1週間ちょっとなのに。でもなんか嬉しい。そんな感じだったな······特に男子。」

 

「待ってください、お兄様そんなに嫌われているのですか!?」

 

色々と衝撃な話を聞かされて銀夜は頭がオーバーヒートしそうだった。

 

「最初はただの恐怖って感じだったのに何でかしらね?」

 

「······さあ?」

 

「ま、それはそれとして心配なんだよ、単純に、な。」

 

────閑話休題《それはともかく》────

 

「······で、お兄様は見つかったのでしょうか?」

 

「いいや······」

 

「代役立ててやってはいたけど暇でこっそり抜け出してかれこれ六時間······全く見つからなかったわ」

 

「······んー······手詰まりですね······」

 

「······歩くしかないでしょ?もう。」

 

「「ですよねー······」」

 

「······まあ、そうなるわよね······」

 

三人とも疲れ果てて半分諦めかけていた。

 

「本当に······どこへ行ったのでしょうか······」

 

「······取り敢えずヴィーネ達も探してるだろうから合流しよう」

 

「「異議なし」」

 

その後、ヴィネットとラフィエルと合流した彼女達は再び池袋の街を練り歩く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────午後11時──────

 

「んー······死んだかな?」

 

「そういや歩。お前ケータイさっきからなってるけどいいのか?」

 

「んー······いいんじゃないっすかね?」

 

「お前なぁ······」

 

「ま、それはともかく······よお、園原。無事?」

 

「あ······え、えっと······」

 

どうやら混乱しているようだ。まあ、無理もない。

 

「あー······日本刀と言うにはちょっと短いが、素人がパニックの中見たんなら間違えてもおかしくねえかもな」

 

斬り裂き魔が持っていたのは刃渡り30cmはあるであろうでかい包丁だった。

 

それを取り上げようとして門田は斬り裂き魔に近づく。

 

その瞬間、男の眼が勢いよく開き、ゆっくりと立ち上がった。

 

「······!?」

 

「おいおい······嘘だろ······?」

 

先程、車で撥ねたせいで腕が変な方向にねじ曲がっているにも関わらず、その腕で包丁を構える。

 

「······あら、叶歩じゃない······会いたかったわ」

 

「うわぁ······」

 

刀が女性人格なせいでカマ男の誕生である。

 

「······はぁ······まあいいや、とっとと包丁下ろして回れ右して帰れよ。今なら許してやるからよ。」

 

「フフフフ······そうはいかないわよ?」

 

「その程度の包丁で俺が傷つけられると思ってるのか?······できても薄皮1枚剥がれる程度だぜ?」

 

「それでいいのよ、貴方と私が愛し合うのは、薄皮1枚で十分なのよ······!!」

 

「······あー······そういうこと?」

 

そう考えている間に男は居合の構えをとる。

 

そして、男は攻撃態勢に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その嘶きが聞こえた瞬間、斬り裂き魔は突然現れたバイクに踏み潰された。

 

「く、首無しライダー······と、······静雄!?」

 

 

 

────三十分前、池袋の某公園────

 

「妖刀?」

 

『信じられないかもしれないけど······心を持った刀が人を乗っ取ってるっていうか······』

 

臨也から話を聞いた後、セルティは一度帰宅し、新羅に報告。その後マンションを飛び出して約束通り迎えに行ったのだが、静雄に協力を求めるからにはきちんと説明しておく必要があった。『妖刀』の二文字を出した瞬間、殴られるのではないかと内心ビクビクしていたのだが。

 

────いきなりこんな話をして信じる奴が────

 

「よし解った。行こうぜ」

 

────────!?

 

『······信じたのか?私だって、まだ完全には信じられないのに』

 

驚いてセルティが尋ねると、静雄は首を傾げながら言葉を紡ぐ。

 

「······その妖刀ってのは、首無しライダーが東急ハンズの壁をバイクで走るのよりも珍しいってのか?」

 

『······ゴメン、私が悪かった······』

 

別に非は無いのだが思わず謝ってしまうセルティ。

 

その時点で静雄は既にバイクの後部にまたがってセルティを待っていた。

 

「まあ、刀なら折りゃ殺せるだろ。死ななくても殺すけどな!!」

 

昼間、数少ない親友のセルティが首を切られた(首はないが)のを知り、今迄溜めに溜まった『殺意』が煮詰められているようだった。

 

そして、そのまま池袋を散策していた所、セルティが車の衝突音を感知して────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今に至る、と?」

 

『まあ、そんな感じだ。』

 

「静雄······あなたが、平和島静雄なのね?本当にあなたが······そうなのかしら?······会ってみたかったのよ、とってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても······ね······ウフ」

 

外見は男だが、完全に女口調で愛を呟く斬り裂き魔。違和感しかない。

 

しかし、それよりも違和感を覚えたのは、車とバイク、それぞれに撥ねられているにも関わらず、一切のダメージを感じさせない、という点だ。

 

(まさか、歩君までとは言わないが、相当の耐久を持っているんじゃないか?)

 

と、セルティが考えている間に、名前を問われた静雄はそのまま静かに言葉を返す。

 

「わかった、殺す。」

「嬉しいわ······とうとう会えたのね、私の愛する人達」

「嬉しいか、じゃあ殺す」

 

((······話、かみ合ってねえよ))

 

「愛してるわ、平和島────静雄、────叶歩」

 

そう言って居合の構えを取りながら徐々に躙り寄る。

 

「────俺は、真剣白刃取りなんざできねえ」

 

そして、静雄はこめかみに血管を浮かべ、()()()()()言葉を紡ぐ。

 

セルティと歩に至っては、その笑顔を見た瞬間、目的が『斬り裂き魔をぶちのめす』から『どうやって人死が出ないようにするか』に変化していた。

 

バイクで踏み潰しても、車に撥ねられても平然と立ちあがるタフネスは評価できる。だが、それを差し引いても斬り裂き魔が静雄に勝てるビジョンを、二人は浮かべることが出来なかった。

 

「そんな俺に包丁を振り回すってこたあ······殺されても文句は言えねえよなあ······」

 

そして、静雄は横に止めてあったバンに手を伸ばす。

 

斬り裂き魔は静雄が何をしようとしているのかわからなかったが、歪んだ自信に満ちた目つきで口を開いた。

 

「何をしても無駄よ。私の剣が避けられるとでも思ってるの?さっき叶歩にも言っておいたのだけど────薄皮1枚。かすり傷。貴方達と私が愛し合うのに、ほんの1ミリのかすり傷でもOKなのよ?」

 

「そうか!よくわからないけど、きっと切っ先に毒でも塗ってあるっすよ!一滴でドラゴンもお陀仏ってぐらい凄い毒を!」

 

「もしくはあれね。傷口さえ作ればそこに寄生虫とか花の種を植え付けてジワジワとオダブツってわけね!」

 

遊馬崎と狩沢がマニアの発想丸出しの事を告げるが、反応するものは誰もいない。

 

ただ、斬り裂き魔だけが意味ありげな笑いを浮かべ、歩は納得したような表情を浮かべた。

 

どうやら、当たらずとも遠からず、といったところのようだ。

 

つまり、ある程度の傷を覚悟しての『肉を切らせて骨を絶つ』方式は使えないということになる。

 

静雄が一番得意な戦法が封じられたと解り、セルティの心が僅かに揺らぐ。

 

しかし、それは杞憂に終わることになった。

 

「門田ぁ······ドア」

「?ドア?」

 

()()()()()()()

 

門田が返事をする前に、静雄はバンの後部側面にある開きかけのドアに手をかけ────

 

 

ベリッ!!

 

 

まるでチケットの半券をもぎ取るように、ドアを()()()()()()

 

 

 

 

 

────────────『は?』────────────

 

この場に居た、全ての存在の感想が揃った。

 

門田や遊馬崎達も。

セルティも。

杏里も。

歩も。

 

────そして、斬り裂き魔すらも。

 

片手で、文字通り『腕力』だけで車のドアを引き剥がしたのだ。

 

そして引き剥がしたドアを掴み、自分の身体を守るように前に持ってくる。

 

これで、斬り裂き魔の刃は届かない。

 

「あ······」

 

「俺は理不尽に生きてるからな······素手で闘うほどお人好しじゃあ······ねえっ!!!!!!!」

 

そして、静雄はドアを構えたまま斬り裂き魔に突っ込む。

 

斬り裂き魔は避けようとするが、あまりにも遅すぎた。

 

なす術なく、斬り裂き魔に静雄の体当たりが直撃する。

 

(······っ!?車よりも······重いっ!!!?)

 

その事実に気付いた時には既に遅く、そのままわずかに上を向いた盾に乗り上げた身体は勢いよく力の奔流によって運ばれ────

 

「······ご愁傷様、斬り裂き魔。ほんの少しだけアンタに同情するよ。」

 

斬り裂き魔は抵抗する暇もなく道の塀と盾の間に挟み潰された。盾越しに静雄の本気の拳のおまけ付きで。

 

 

 

 

「────これ、ドアの修理費はどこに請求すればいいんだ?」

 

渡草の悲痛な声でようやく我に返りはじめた。

 

「さて······これからこいつどうするよ?」

 

静雄はそう言いながら、塀に押し付けていたドアをゆっくりと引き剥がした。

 

その裏から、身体が半分にめり込んだ男の姿が見え、そのまま地面に崩れ落ちた。

 

「······死んでないよな······あれ······」

 

『死んでない······と信じたいな。とりあえずこいつが妖刀に操られただけなのか、それとも単なる斬り裂き魔なのかを判断しなきゃいけないから······武器を奪って目覚めるまでどっかに縛り上げないと』

 

「あ、多分操られてるだけだぜこいつ。」

 

『────え?』

 

「いや、この人前に池袋最強を道行く人に尋ねてた三流ルポライターだよ」

 

そう歩に指摘され顔を覗いてみる。なるほど、確かにあのオッサンだ。

 

その瞬間、男の目がカッと開き、赤く澱んだ眼球が顕になる。

 

「は!?まだ立つの!?」

 

まさか静雄の一撃(?)をくらって立ち上がるとは思っていなかったのか、歩が驚いた声を上げる。セルティも喋ることが出来たならほとんど同じ言葉を出していただろう。

 

「······甘く見てたわ······で、デタラメな奴ってのは聞いてたけど······!!······ならせめて!!()()()()()()()()!()!()

 

そう言って立ち上がり、斬り裂き魔は杏里の方へ突貫した。

 

「······え?」

 

まさかこちらに来るとは思っていなかったのか、呆然と立ち尽くす杏里。

 

そのまま斬り裂き魔の凶刃が杏里の胸に────

 

 

 

スパァン!!

 

 

届くよりも速く、歩の持っていた棒状の何かが入った袋の一撃により包丁が叩き落とされた。

 

「ガッ!?」

 

その瞬間を逃さずにセルティが影で男を拘束する。

 

そしてそのまま背中に乗り────

 

ボグッ

 

肩を外した。今度こそ、意識を失ったのかそのまま起き上がることは無かった。

 

「······なんかよ、完全にはすっきりしないんだよななんでだ?」

 

セルティが妖刀を回収している最中、突如静雄が呟く。

 

「······ああ!くそ!すっきりしねえ!!······ちょっと新宿行って臨也の奴をぶっとばしてくる。」

 

「あ、じゃあ俺も行きますわ。さっき門田さんにコンビニに寄ってもらった時に買った新発売の『タルタルソースコーヒー』がくそ不味かったんでおしつ······ゲフンゲフン実にエキセントリックな味だったから差し入れに行こうかと。」

 

そして、二人の男が池袋の街へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────オマケ、叶歩の皆の評価 男子生徒編────

 

男子生徒A「俺さぁ······天真さんが好きだったんですよ······こんな俺にも天使の様な笑顔で話しかけてきてくれて······でもあいつが関わってから······ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

男子生徒B「あいつこの前······白羽さんに胸を乗っけてもらってたんですよ······頭に······何であいつばかり······クソがあああああああ!!」

 

男子生徒C「胡桃沢さんに膝枕されてたあいつは死ねばいいと思います。ハイ。」

 

男子生徒D「ヴィネットさんと手を繋いで池袋の街を歩いているのを見かけた時に······こう、殺意が湧きました······」

 

 

 





疲れた(白目)

ちなみに最後の方に書いてあったオマケのほうのエピソードは番外編としていつか書きます。多分。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

殺意爛々

今年のFGO水着キャラもコンプしました、お金無いです(白目)

それと────遅れてごめんなさいm(_ _)m

いや、まさか自分がこんなにひ弱だとは思わなかったんです!!テストとか終わって教習所も区切りが良くなって「さあ書こう!!」と思ったら夏バテ扁桃腺炎熱中症のフルコンボになるとは······。


叶歩の身体の異常な硬さは生まれた時からの性質だった。

 

だから、両親は「これはまずい」と思ったらしい。

 

何がまずいか。それは()()()()()()()()()()

 

要するに、「この程度なら大丈夫だろう」という慢心だ。この時既に歩は車と塀のサンドイッチを経験(しかもほぼ無傷)していたので、まあ妥当な判断だろう。

 

つまり、死なないための措置。回避という概念を叩き込ませるための措置。

 

その一環で彼は、とある場所に通う事になる。

 

それは『実戦道場』。

 

つまり、型とか、そんなのではなく、本気で戦うことに重点をおいた道場。

 

そこで両親は避けるという事を覚えて欲しかった。

 

だから、その道場に入れたのだ。

 

ここから、彼の人生が大きく捻じ曲がることを知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時系列だと、丁度園原杏里の部屋に贄川春奈が襲撃したあたり。臨也のマンションのロビーにて。

 

「ッチ、やっぱ開かねえか······ぶっ壊すか?」

 

「また怒られますよ?それよりももっと実用的な悪戯をしましょう。このブラックコーヒータルタルソース味を臨也さんの部屋の番号のポストにぶちまけておきましょう。」

 

「いや入れないでくれない?てか何でここにいるんだよ君たち。というかどこに売ってるんだよそれ!?」

 

その辺の自販機ですが?と歩が答える。と同時にこの場をとんでもない怒気が支配する。当然の事ながらその怒気の発生源は静雄なのだが。

 

「お前を殴りに来たからに、決まってんだろ」

 

「なんで殴られなくちゃいけないのかな?」

 

「ムシャクシャしたからだ」

 

酷い暴論である、がこの程度なら日常茶飯事だ。静雄は他の人間には何もしない限り特に手出ししないのだが、臨也に対しては別。よってこの程度の暴論ならこの2人が同じ場所、正確には静雄が臨也を視認できる距離に限り、日常の光景、日常のやり取りである。

 

「んで、あえて言うなら手前が怪しいからだ」

 

「────は?」

 

がしかし、今回は違うようだ。

 

「怪しいって······何が」

 

臨也がそう問い返すと静雄はタバコを臨也へ向けながらこう言った。

 

「ブクロで騒いでる辻斬りの件()()()()()()()()()()()()()

 

「────なんで俺が絡むのさ」

 

「わけがわからねぇで物騒な事件は99%手前が絡んでるからだ」

 

それは確かに事実である。今までの事を考えると。

 

「······残りの1%を信じてくれないかな」

 

「1%でも手前が信じられる要素のある奴だったら多分、俺と手前はもっと上手くいってただろうよ······なぁ······イザヤ君よぉ」

 

更に静雄はこう続ける。

 

「辻斬りの件がなかったとしてもよぉ、最近のブクロはなんか変だ、手前が原因だろ、何を企んでやがる?」

 

「酷い言いがかりもあったもんだ」

 

この場面で、臨也はポケットからいつも通りに、ナイフを静雄へ向けて突き出した。

 

この行動により静雄の怒気はさらに高まる。

 

が、そこで静雄は今まで見たことのない行動を見せた。

 

「────······」

「!?」

 

そう、スルーである。臨也を無視して、外へ歩き出した。

 

そしてそのまま歩道の植木へ突っ込む。

 

ペキペキと枝の折れる音がする。

 

「────まさか······」

 

歩の口からそんな言葉が出たのも無理はないだろう。

 

そして臨也も歩と同じ結論に達したのか、化物を見るような目で静雄へ視線を送る。

 

そして、静雄は彼らの想像通りの行動をとった。

 

べキッ

 

と鉄の潰れる音。そして────

 

ギシギシギシッ────ギシギシ

 

ボコッ

 

更に鉄が歪む音に、何かが抜けるような音、更にボコボコっと抜ける音が聞こえる。

 

────静雄は()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「······マジで?」」

 

歩と臨也の声が被った。

 

相対する臨也は二本目のナイフを取り出し、静雄に向かってナイフを振りかぶりつつ突撃する。

 

それを見た静雄は凶暴な笑を浮かべつつ臨也の方へ振り向きガードレールを振り回し────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その間に、漆黒の影が割って入って静雄と臨也を静止させた。

 

「······セルティさん?」

 

「セルティ······なんだよ?」

 

若干イラつきつつ、静雄がセルティに問いかける。

 

無言でケータイの画面を見せるセルティ。そこには────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:平和島静雄と叶歩に愛を与えるの

静雄と歩を愛することができればきっと

この町の全てを、池袋という人間の営みを

愛することができるから

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:現れて私の前にもう一度現れて

 

────罪歌さんが入室されました────

 

罪歌:今度はみんなで一斉にあいしてあげるから

静雄 歩 待ってるから

現れないと私は他の人を愛するわ

池袋の人達を愛して愛して愛して愛して

待ってるから

南池袋公園で今晩ずっと待ってるから

 

警察も一般人もバケモノ達も 絶対に公園に近づけさせないから

 

囮はバッチリだから、安心して二人共

 

池袋は今夜混乱にまみれる

 

でも安心して あなたたちは私が愛してあげるから

私も愛してあげるから

 

 

 

 

 

「······なにこれストーカー?気持ち悪っ」

 

「······これもお前の計算か?」

 

「······セルティが偶然ここに来てくれることまで計算できるなら俺はとっくに君の家に隕石でも落としてるよ」

 

そりゃそうだ。

 

まだ何か言いたげな静雄だったが、暫く臨也と睨み合うと舌打ちをしてセルティの方へ歩いて行き、バイクの後ろに跨る。

 

「────ところで俺はどうやって南池袋公園まで行けばいいのかな?」

 

『任せろ、サイドカー作ってやるからそこに乗ればいいさ』

 

「セルティさん万能すぎない?」

 

軽口を叩きつつ、3人を乗せたバイクは南池袋公園へ向けて走り出した。

 

 

 

 

「────まったく、本当にあの男はやりにくい。単細胞のくせにどうしてあんなに鋭いんだろうねぇ」

 

───これだから、俺はシズちゃんのこと大嫌いなんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南池袋公園は静まり返っていた。

 

人っ子一人、もしかしたらこの時三人を除いて生物が存在しないのではないかと疑いたくなるくらいには。

 

だが三人が公園の中に入った瞬間から、ぽつり、ぽつり、と人影が現れ始めた。

 

「ひぃ······ふぅ······ざっと百人ちょいかな?」

 

サラリーマンから街のチンピラ、小学生らしき子供、主婦、女学生、黄色いバンダナを巻いた者が何人か。

 

共通しているのは────全員が刃物を持ち、目が誰一人例外なく血の色で赤く染まっていること。

 

ナイフ、ハサミ、高枝専用長バサミ、チェーンソーetc.

 

『犯人が捕まらないわけだ。被害者全員が罪歌に乗っ取られて偽証していたんだからなぁ······』

 

「会いたかったわ、平和島静雄さん、叶歩さん」

 

「······来良の制服か······そういや斬られたとか言ってたな······てめえのせいで全校集会なんてクソみてえに面倒臭い事になったんだぞおい」

 

「本当に素敵ね、あなた達が私の『姉妹』を倒した時遠くから見させてもらったけど······」

 

「無視かよ」

 

その後も延々と罪歌が喋る、喋る、喋る。

 

「さあ、愛し合いましょう、どこまでもどこまでも、貴方が疲れて動けなくなっても私達が一方的に愛してあげる、愛し続けてあげる!!そこの化け物以外誰の邪魔も入らないよ!ここから離れた場所で新しい姉妹を増やし続けるから、愛し続けてるから!!お巡りさん達はみんな大忙しだからね!」

 

嬉しそうに笑う少女に釣られて、周囲の『罪歌』達もケタケタと笑う。

 

「──── 一つ聞いていいか」

 

今まで黙っていた静雄が唐突に口を開いた。

 

「なにかしら?」

 

「お前らよ······なんで俺のことが好きなんだ?」

 

思い切り場違いな言葉に、セルティと歩は危うく転けそうになった。

 

────空気読めよ!んなこと聞いてる場合か!?

 

二人して心の中で突っ込んだ。

 

それに対し、少女が代表して答えを紡ぎ出す。

 

「強いからよ」

 

「······」

 

「あなたのそのデタラメな強さ······権力や金に頼らない人間の本能としての絶対的な、それでいて暴力的な徹底した強さ。それが欲しいの。」

 

「それに────あなたみたいな危ない人好きになってくれる人間なんかいないでしょう?怖いもんね。だけど────私達なら、貴方を、貴方達を愛してあげられるわよ?」

 

「私たちは人類全てを愛してるの。でももう愛するだけじゃ足りない。私と人類の間に子を増やすだけじゃ足りないの。愛しても愛してもたりないから────人間全てを支配したいの。その為に優秀な子孫を残したいの。人間でも優性遺伝を残そうとかしたりするんでしょう?」

 

────どこの独裁者だ

 

セルティも歩も呆れていた。そして静雄は────

 

「はは······ハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「笑ったァ!?」

 

『しっかりしろ静雄!駄目そうだったら何とかお前だけでも逃がしてやるから』

 

「いや······違うから······セルティ。歩。正直な、嬉しいんだよ俺は」

 

「え······?」

 

「俺はこの『力』が大嫌いで仕方なかった、俺を受け入れてくれる奴なんて誰もいないんだと思ってな。」

 

「だがよ······もういいんだよな······こんな俺を愛してるってやつが······いち······にぃ······まあ沢山いるわけだ、だから────もういいんだよな?」

 

「俺は自分の存在を認めてもいいんだよな、俺は自分を好きなってもいいんだよな?消したくて消したくて仕方なかったこの『力』をよ、俺は、認めてもいいんだよな?使ってもいいんだよな?」

 

 

「俺は、俺は────全力を出してもいいんだよな?」

 

そして次の瞬間、平和島静雄は生まれて初めて自分の意思で全力を出した。

 

いつものように、怒りに任せたものではなく────自分の『力』を愛してくれるモノが存在するという事実が嬉しくて。

 

「ああ、ちなみに、俺にとってお前らみたいなのは······全然、全く、これッッッッッポッチも好みのタイプじゃないからよ」

 

「まあ、取り敢えず────臨也の次くらいに、大嫌いだな。」

 

そして静雄が罪歌へ突っ込んでいくその瞬間────

 

「流れぶった斬るようで申し訳ないが罪歌よ、俺の質問にも答えてくれないかな?」

 

今まで殆ど発言しなかった叶歩が罪歌に話しかけた。

 

「······なにかしら?」

 

「······早めに終わらせろよ」

 

静雄も黙ってくれるらしい。

 

「······お前らさ、俺が頻繁に利用してるチャットルームに、こう書いてたよな『バケモノ達は近づけさせない』と······単刀直入に聞くぞ、サターニャ達に何をした?」

 

「何も?」

 

と、その問に罪歌は即答した。

 

「ただ、周りの人間と同じ目にあわせているだけよ?まあ、バケモノだから殺すことメイン。少数精鋭で実力者を操ってけしかけているのだけどね。」

 

あっさりと、何でもないことのように殺害予告を口にした。だが、歩は────

 

「────そうか、それを聞いて安心した。」

 

『!?』

 

セルティは再び驚いた。何故なら叶歩という人間は、間違ってもそんなことを言う人間ではないからだ。

 

「あー、セルティさん、勘違いしてるようだけど違うからね?別に俺はあいつらが死ねばいいなんて思ってないよ?ただ、これで闘う理由が出来たからさぁ。」

 

「······え?」

 

罪歌は呆然としている。

 

平和島静雄もただ、黙って歩を見ている。

 

「いやさ、今の話聞いてたら『俺必要?』って思っちゃってさー······静雄さんだけで充分じゃね?と。静雄さんも嬉しそうだし、静雄さんだけでお前らなんかぶっ倒されそうだし、寧ろオーバーキルに当たるんじゃないかな?と思ってさ。寧ろここで参戦したら静雄さんに恨まれそうだし······俺が闘う必要ないならあいつら探して土下座でもかまそうかと思ってたわけよ。」

 

「でもそんな事してるなら話は別だ。確かにアイツらは人間じゃない。一般的視点から見たら確かにバケモノなんだろう。だけど、それでも俺の友達だ。」

 

「友達が殺されかけてて、バケモノ呼ばわりされているのを見逃す程、俺はド畜生じゃない。」

 

 

 

スパァァアン!!

 

 

そして音が響いた瞬間、少女の隣にいた罪歌が5mほど、宙に舞った。

 

「────え?」

『なっ······!?』

 

「悪いが、手加減できるような精神的余裕はないから────取り敢えず死なないように気をつけてね?」

 

言葉の軽さに反して、彼の表情は憤怒に染まっていた。

 

だがそれよりも、手に持っている武器に、セルティも罪歌も釘付けになっていた。

 

叶歩の手には1本の竹刀が握られていた。

 

「ゴメン、静雄さん、そんなワケで半分────いや、四分の一でもいい、俺にコイツら吹っ飛ばさせてくれません?」

 

「······好きにしろ、そもそも、お前も愛されてたんだから、許可なんか要らねえよ。」

 

「······ありがとうございます。それじゃあ······」

 

 

「死ね!!」

「くたばれ!!」

 

こうして、池袋最強の男と池袋最硬の男が手を組んで、罪歌にとって地獄のような時間が幕を開けた。

 

 




最初から考えてた隠し設定:叶歩は戦闘においては武器を使った方が強い

次回、そこに至るまでの過去が明らかに────!!

まあ次回はガヴ御一行サイドの話メインですけど。

次回は────うん、早めに出します(震え声)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過大評価

すいません遅れました許して

ガヴ「何で遅れた?」

一月末、更新しようと思ったら親戚の法事が入り、親戚の相手をしている間、携帯を放置していたらシステムアップデート入って書いてた小説保存する前だったから全部消えた……(´;ω;`)

ガヴ「……ドンマイ」


 

 

 

「─────って、なんで何事も無くここにいるのよ!?」

 

それは至極真っ当な叫びだった。

 

さっき、自分は、叶歩にこう言ったのだ。

 

叶歩の関係者──ガヴ達に刺客を送ったと。

 

「その刺客はね、貴方を倒したことのある五人よ!!さぁ、これでも行かないのかしら!?」

 

叶歩を倒した、その事実にセルティは驚愕した。一体どうやって倒したのか。あんな鋼よりも硬い身体を持つ叶歩を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、勿論。」

 

即答。時間にして僅か0.5秒程で。

 

あっさりと、叶歩はそう答えた。何の問題も無い、といった風に。

 

「大体お前らも池袋の住人も、俺を過大評価しすぎなんだよ……俺はただ丈夫なだけ。それ以外は殆ど人並みだっての。」

 

確かに車に撥ねられてもびくともしない高校生……いや、人間は恐らく叶歩一人だろう。

 

「俺を倒したことのある五人……まあ、恐らく幼少期通ってた実戦道場の師範代なんだろうが……そりゃ負けるさ。剣以外は悉く凡人並みなんだから」

 

 

───実戦道場。文字通り、実戦を想定して体を鍛える道場へ、幼少期、叶歩は叩き込まれた。

 

それは自分の子供を厄介払いしたわけでもなく、只純粋に『なんとか社会に溶け込めるようにせめて回避という概念を教えてやってくれ』という親の懇願から。

 

当時、叶歩は車に轢かれそうになった友達を身を挺して助けた。

 

 

─────常人ならば咄嗟に飛び込んで突き飛ばして助ける、そんな解決方法をとるであろう場面で、友達を突き飛ばした後、自分は抵抗もせず撥ねられた。無傷だった。

 

それを見た両親はこう思った。「このままではダメだ。」と。

 

事実、それ以来叶歩は孤立した。

 

だからこそ、その道場に入れたのだ。

 

そしてその道場にて、五人の師範代が、叶歩を倒した。

 

柔術のスペシャリスト、古木弥太郎(ふるきやたろう)。

空手のスペシャリスト、日比谷蓮華(ひびやれんげ)。

剣術のスペシャリスト、佐々木亜門(ささきあもん)。

合気のスペシャリスト、神崎雅人(かんざきまさと)。

そして、総合格闘技のスペシャリスト、士門音糸(しもんねいと)。

 

五人とも、その世界で最強と呼ばれていた実力者。

 

その五人のうち、四人は叶歩が引っ越しのため、その道場をやめるまで終始圧倒し、また佐々木亜門も剣術方面に才能のあった歩に勝ち越していた。

 

そして、その実力は罪歌に操られても変わることは無く──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、びっくりした……何なのよコイツら……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

「────どういうこと!?今……赤髪の女に、ぜ、全員完膚無きまでに倒され……!?」

 

「……だーかーらー、俺はただ、丈夫なだけなんだってば、人外《サターニャ達》程力強くないし、静雄さんより力強くないし、何なら、力だけならその辺のごろつきに負けることがあるんだぜ?」

 

「だ、だからってまともに貴方に勝った人間がいくら何でもここまで弱いなんて────」

 

「いくら実戦とはいえあくまで道場!!ルールだってあるんだ。ルールさえなければあの五人なんて取るに足らない相手だよ」

 

実戦道場と名乗っておきながら、所詮は競技のスペシャリストが集い作られた道場、問答無用の喧嘩で石使ったら「卑怯者」とか言う奴らの集まりなのだ。

 

「お前は俺を過大評価しすぎた、その結果俺を倒した五人のことを更に過大評価しすぎた。……手に入れた情報の裏くらい調べとけよ、その程度別に面倒でもないだろう?」

 

まあ、唯一合っていることがあるとするなら、自覚が無いだけで叶歩は少なくとも一般人よりは遥かに強い力を持っている、ということだろうか。

 

少なくともその辺のごろつきに負けるほどでは無い。

 

「こっ、この……!!」

 

「……と、言うわけでちゃっちゃと終わらせるよ、この後恐らく、義妹からの折檻が待ってるからね、土下座の準備しないと……」

 

と、そこまで歩が言葉を紡いだ瞬間、一斉に立っている罪歌がバッ、と背を向けた。

 

───普通の人間なら、何事かと思い動きを止めるだろう。だが、歩はそんなことはしない。全力で歩は竹刀を振るい、その結果───────

 

 

 

 

 

 

 

 

「……思ったより早く終わりましたね、静雄さん。」

 

「……お前の容赦の無さとゲスっぷりのお陰でな……」

 

この二人に勝てるはずもなく、最終的に一人だけ正気を取り戻した人間を除いて、約百人で構成された人間の山が作られ、通り魔事件は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





短いけど次をエピローグ兼ネクストプロローグとして書きたいからここで切ります!!

久々の更新なのに短くて本当に申し訳ないです!!

エピローグ兼ネクストプロローグは近々でます、てかだしますはい。後Twitter始めました。フォローしてくれる心優しい方、もしくは奇特な方はタツ(幼女先輩)で検索かけるかiDをどっかに載せたのでそちらからどうぞ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ&ネクストプロローグ  蒼空己……死?

注意、独自解釈、設定がありますご注意下さい。…………今更?

因みに私はアビー引けませんでした、フォーリナーは北斎だけですくそうセミラミスは金に物言わせました



───────警察庁、官房長官室

 

「と、言うのが今回の顛末だよ、爺さん。」

 

「はー……妖怪だとかその辺の類があることは知っていたが……まさかこんなことになるとはなぁ……」

 

「大変なんじゃないか?こんな形とはいえ百……下手したらもっと、一人の人間が通り魔として切ったたと世間は認識してるぞ、後始末大変そうだねぇ」

 

心底同情する、そんな表情で叶歩は目の前の老人に語る。

 

「……いざとなったら銀夜の頭脳を借りたい、何とかして懐柔しておいてくださいお願いします……」

 

「まあ、多分スイーツでどうにかなると思うからやっておくよ、後、爺さん程の立場の人が頭を軽々と下げるんじゃない。しかも孫に。」

 

「だって……銀夜お前以外の人間の頼み余程のことが無い限り聴かないんだもん……」

 

そう言ってふて腐れるそろそろ七十行くかという位の老人───叶清司郎(かのうせいしろう)は机の上に突っ伏しながらカタカタと震えている。

 

「気付いてるか?歩。あいつお前以外の人間を人と思ってないぞ……そしてお前のこと変な目で見てるぞ絶対」

 

「つったって所詮兄としか見られてないからへーきへーきもーまんたい。」

 

「……知ってるか?お前らって血が繋がってないから結婚できるんだぜ?」

 

「いくら何でもガチ目のオタクにマジ恋するかよ、しかも義理とはいえ兄だぞ。それに────」

 

 

 

 

 

 

 

『お兄様、いくら何でも今回は許せません、許せませんよええ。幾ら死ぬことがほぼ無いからと言って可能性はゼロでは無いんですから、危険な真似はしないでください、お兄様が死んだら私はこれからどうやって生きていけば良いのですか!!それと───────────』

 

 

 

 

 

 

 

「昨日寒空の下、しかも深夜に冷たい地面に何時間も正座させられたんだぜ俺……嫌われてるやん……」

 

(……気付いてねえ……何故俺の孫はこうも鈍感なんだ……)

 

「どうした爺さん、そんな苦虫をかみつぶしたようなか顔して……」

 

「……いや、何でも無い……てかお前呼び出した張本人が聴くことじゃないかもしれないけど……文化祭じゃ無かったのか?今日。」

 

「あー、その件なら昨日……いや、今日の未明か。静雄さんと一緒にぶちのめした罪歌の中に来良生が多くいたせいで延期になったよ」

 

「あ、そう……」

 

「てか、事の顛末聴くために俺呼び出したの?要らなくない?帰って良いか?」

 

「まあ、半分くらい偶には孫と話したいって気持ちで呼び出したし……」

 

「職権乱用よくない」

 

「まあ、いざとなったら本当に銀夜の頭脳借りたいのは事実だからマジ頼む、マジ」

 

「解った解った。んじゃ俺は帰るぞ、延期になったのは一日だけ、明日本番だからな」

 

「おう、頑張れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します……官房長。お孫さんは……」

 

「もう帰ったよ、それより何か用事かね?」

 

「一ノ瀬長官から伝言です、『今日久々に飲みに行かない?』だそうです」

 

「何で態々口伝なんだよ……おっけー、って言っといて」

 

「承知しました……それともう一つ」

 

「なんだね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大悪魔がこの地に降り立ったそうです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が名は巌窟王、エドモン•ダンテス!!」

 

 

 

「いやー、一時はどうなるかと思ったけど、歩がノリノリで助かったな」

 

「てか、あいつ何であんなに嫌われてるのかしら……?」

 

「さぁ……?まあいいんじゃない?楽しそうだし……」

 

劇に関係の無いガヴリール、サターニャ、ヴィーネは舞台裏で雑談に興じていた。

 

「……そういや、ヴィーネ。一つ聴きたいんだが……」

 

「ん?何よ」

 

「いやさ、サターニャの事なんだけど……あいつひょっとして大悪魔とかあいつの自称じゃなくて事実だったりするのか……?」

 

あの日の夜────

 

 

 

 

 

南池袋公園に辿り着く前に、五人の男が行く手を阻んだ。

 

「古木弥太郎」

柔道着を着た、齢50位のがたいのいい中年。

 

「日比谷蓮華」

パーカーにジーンズ、手にメリケンサックを嵌めている30後半くらいのイケメン。

 

「佐々木亜門」

長い髪を束ね、日本刀を構えている40位の狐目。

 

「神崎雅人」

道着に袴を身につけている60後半くらいの爺。 

 

「士門音糸」

フードを深くかぶり、ファイティングポーズを取っている、がたいの良い男。

 

そんな共通点の無い五人の、唯一の共通点は全員目が赤く濁っている事だろう。

 

「……コイツらが罪歌ってやつか?」

 

「そうね、赤い目とか完全に一致してるわ、うん。まあ、人間だし、大したことは無いでしょ」

 

そう言ってサターニャは前に出る。

 

「ちょ、胡桃沢さん!!彼等はその世界で名の知れてる……」

 

銀夜が言い切る前に、日比谷蓮華が突っ込んでくる。

 

 

 

 

空手の達人の渾身の正拳突き。単調な軌道ではあるものの、かなり速く、普通の人間ならばまずよけられない速度だろう。──────普通の人間ならば。

 

サターニャはその正拳突きをギリギリ見極め、避けて突き出された腕に自分の左脚を絡ませ─────そのまま右膝でこめかみを抉った。

 

 

「「「「「「!?!?!?」」」」」」

 

 

 

一番長い付き合いのヴィーネ以外の面子、特に四人の男は驚いていた。

 

 

しかし、腐っても、操られていても実戦道場の達人達、次に襲いかかったのは佐々木亜門。

 

上段に日本刀を構え、目にも止まらぬ速さで日本刀を振り下ろす

 

 

 

 

──────が、そこに既にサターニャはおらず、それを認識した瞬間、佐々木亜門の視界は黒く染まった。

 

 

 

後ろに、いつの間に移動していたのか、サターニャが鎌を振り下ろしていた。

 

二人も瞬殺されたことに焦りを感じ、三人目、古木弥太郎。

 

柔道の達人である彼は、まず掴まないと始まらない、だが、競技なら兎も角、一対一でそれを行うのは難しいと解っていた為、誰かと共に攻めて、しっかりと襟と袖を掴むつもりだったが、鎌を振り下ろした後のサターニャが余りにも隙だらけだった為、特攻した。

 

それに気づき、サターニャが後ろを振り向いた瞬間、袖と襟を掴み、渾身の一本背負いを決めた────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

「……馬鹿な!?」

 

そこにあったのは、制服の上着のみだった。

 

それを認識した瞬間、腹に衝撃が走る。

 

 

─────サターニャの足が、鳩尾に刺さっていた。

 

 

まあ勿論、手加減はしているので本当に刺さってはいないが。

 

残りの二人がそれを見ていた瞬間、同時にサターニャが二人に向かって走り出した。

 

好機、と見たのは合気道の達人、神崎雅人。

 

敵の力を利用する合気道にとって突っ込んでくるような奴はカモでしかない。

 

─────尤も、それは神崎雅人に突っ込んできていればの話だが。

 

サターニャが狙っていたのは士門音糸だった。

 

目にも止まらぬ速さで接近して、鎌を振るい、士門音糸を気絶させる。

 

 

そして士門音糸の事を神崎雅人に投げつけた。

 

視界が士門音糸で塞がれる。その瞬間、足に衝撃。

 

宙に浮いたところにサターニャのヤクザキックがクリーンヒット。そのままの勢いで民家の壁に激突し、神崎雅人の意識もそこで途絶えた。

 

ここまで、僅か四十秒である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつメチャクチャな強さだったじゃねえか。ラフィがあれ以来サターニャからかうの控えてるんだぞ。」

 

「……まあ、実際サターニャは戦闘能力に関しては魔界トップクラスに入るからね……大悪魔にはなれないけど。」

 

「え?何でだ?あんなに強いのに?」

 

「……いや、だって悪魔って力は関係ないし。悪魔に必要なのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ?悪魔が純粋な力でどうこうなんて話は聞かないでしょ?そりゃ力だって必要ではあるけど……」

 

「……成る程、お前もサターニャも無理、と。」

 

「うぐ……何も言い返せない……!!」

 

基本的に善人のヴィーネ、アホが故逆に騙されそうなサターニャ。

 

どうあがいても無理だった。

 

「だから仕送りが基本額から増えないのよね……うう……」

 

「……まあ、それでいいんじゃないか?」

 

そんなことを気にすることが出来るのは平和だという証拠だ。

 

 

 

少なくとも、大悪魔が何か、現世でやらかしたら、今度こそ全面戦争が起きるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャットルーム

 

あるく:いやー、罪歌さんも大部馴染んできたなぁ

 

セットン:結局あの時の罪歌は切り裂き魔って事ですかね

 

田中太郎:そうなんじゃないですかね……?

 

駄目天使:あー、これで課金アイテムを夜でも買いに行ける……

 

あるく:いや、切り裂き魔は居なくなっても危険だからね夜は、課金やめろとは言わないけどせめて買うなら帰路にしなさい帰路に

 

駄目天使:お前は私のオカンか!!てか知ってるんだぞ!!お前も偶に夜に出かけて魔法のカード買いに行ってるくせに!!

 

あるく:ホントマジで、アビーが欲しかったんです。当てました。

 

駄目天使:ふあっく

 

甘楽:こらこら喧嘩しない!!

 

あるく:大丈夫大丈夫、今日リアルでこのやりとりやったから

 

駄目天使:目の前で当てやがって……

 

あるく:許してくれ給え

 

駄目天使:明日パフェ奢れ

 

甘楽:きゃー!駄目天使さんったら大胆!!こんなチャットルームでデートに誘うだなんて!!

 

あるく:パフェ奢るくらいでデート認定されたら俺は一体何又かけてることになるんだ……?

 

セットン:……あれ?あるくさん、そう言えばこの前ここで友達とパフェ食ってきたって言ってましたよね

 

あるく:あー、言いましたね

 

田中太郎:……あるくさん、大丈夫です、私はちゃんとあるくさんのこと友達だと思ってますよ

 

甘楽:なるほど、プレイボーイであるが故に男友達が居ないんですね!!

 

あるく:ぼぼぼぼ、ボッチちゃうわ!!あとプレイボーイでもない!!

 

駄目天使:とか言ってコイツクラスで私含めて四人の女ほぼ常に侍らせてるから

 

あるく:解った、要するにこれから俺は教室で只管寝続ければ良いんだな解ったよやってやるよぉ!!(´;ω;`)

 

駄目天使:安心しろ、私がずっと傍に居てやるから

 

あるく:駄目天使……

 

駄目天使:お前がいなきゃ誰が私の世話するんだよ

 

あるく:俺の感動を返せ

 

甘楽:あー!もう辞めです辞め!!なんでリア充のイチャイチャを見せつけられなきゃならないんですか!!

そうだ、選挙の話しましょう!!

 

駄目天使:うーわ、私達関係ない……

 

甘楽:いや、そーゆー感じじゃないですから!!なんか今回立候補した人がですね、カラーギャング根絶を謳ってるんですよ

 

あるく:そういや最近黄色のバンダナ付けてる奴増えましたよねー

 

甘楽:黄巾族が復活したみたいなんですよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある廃工場にて、紀田正臣の号令と共に、黄巾族は復活した。

 

ダラーズの中に、切り裂き魔が居ると勘違いしたまま。

 

園原杏里は望まぬ形で妖刀軍団を手に入れた。

 

しかし、それだけだ。

 

ダラーズ、妖刀軍団、そして黄巾族。この三つのリーダー達は互いの事を知らずに友情を保っていた。

 

─────その平和はきっと長くは続かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前のとあるビル。

 

政治家と警察官、そして悪魔の三人はこれからの計画について話し合っていた。

 

「まあ、これで上手く行くだろう」

 

「おお……ありがとうございます……!!」

 

「なぁに、貰える物さえ貰えれば俺はそれでいいさ。」

 

 

───────精々、頑張って俺の評価のために堕ちてくれ給え。

 

 

 

 

 

 




はい、次回からゲーム版デュラララ!!3way standoff ─alley─にオリジナルキャラぶっ込んでひっちゃかめっちゃか無茶苦茶やります!!

いや、デュラララ!!の話でガヴドロキャラに焦点当てるはなしを書きたかったんですはい。

後今後の展開的に人数増やさないと無理って悟った

それでは次回予告!!

ガヴ•サタ「な、何じゃこりゃああああああああ!?」

ガヴとサターニャに一体何が!?

吉宗「三好吉宗です、よろしくお願いします。」

転校生現る!!

そして黒バイクの偽物も!!

静雄「巫山戯んなああああ!!」

次回、デュラリールドロップアウト!?

『池袋へようこそ!!不幸な転校生!!』

一番ヤバかったのはこれのコミカライズが女性向け雑誌で連載されていたせいで買うのが凄く恥ずかしかった。by幼女先輩



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2.4章:姉と悪魔と超能力社会
プロローグ とあるジャーナリストの記録



リドルジョーカー取り敢えず茉優√だけ終わりました

……え?遅いって?気にするな!


 

被害者が百人を超えたリッパーナイトから約二週間。再び池袋でとんでもない事件が発生した。

 

『アストラル』を使える『アストラル使い』、そいつらを含む総勢三十名が逮捕されるという事件が発生した。原因は町中の喧嘩。それも多対一である。

 

今の世の中アストラル使いに対する偏見が強く、そしてその偏見はこの事件により、再び深まっていく、そう懸念されていた────のだが。

 

 

『え?平和島静雄にやられたのか……運がねえなぁ』

 

『叶歩も居たんだろ?勝ち目無いじゃん』

 

『何があったのかはよく知らんがあの二人なら仕方ない』

 

『アストラル使いよりやべえもんなあの二人』

 

世間の……というよりテレビなどでは大きく取り上げて問題にしていたが、ネットの意見は寧ろ、アストラル使いを擁護……ではないが、事件の起きた池袋の掲示板や他のサイトでも責める意見は一つとしてなかった。

 

そして、それは、記者である自分が興味を持つのに充分な内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー!!もう!!なんだよこれ!!巫山戯んなよおい!!」

 

叶歩は荒れていた。兎に角荒れていた。

 

「確かに!!俺は殆どの攻撃が効かないとも!!車に撥ねられても平気だし、何なら日本刀も通さねえよ、だけどなぁ……」

 

アストラル、それは大気中にあるもので、だからこそ、アストラルへのリンク値が高い人間は、超常の能力が使える……と、思えば良い。

 

その超常の能力とは様々で、風を起こしたり、身体能力をあげたり……まあ、様々だ。その中には水を使った能力者もいて──────

 

 

 

 

 

 

「てめえ今週のジャンプまだ読む前だったんだぞゴルァア!!」

 

「お兄様、それよりも洗濯の手間を考えてください」

 

濡れたり風の鎌鼬で服が破けたり……そんな被害は受けているのである。

 

 

 

「……今日だけで何人来たよ?」

 

「この間の一斉襲撃で三十人でしたね。今日はそれに比べたら少ないですよ、十人ほどです。」

 

「それでも多いな………静雄さんの方も何もないと良いが……」

 

「あの人の場合池袋の町の方がヤバいですよ」

 

「……確かにこの間街頭引っこ抜いてボロッボロにしてたけども……」

 

あの人の場合それは何時ものことだ。

 

「あの人だって一応ブルドーザーに轢かれたら怪我するでしょ?」

 

「お兄様、普通の人はブルドーザーに轢かれたら死にますよ?」

 

「そうなの?」

「そうです。」

 

等という会話をしつつ、公園に襲撃者を置き去りにして、帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時はまだ誰も気がついてなかった。

 

この連続襲撃事件が、一月後、町の全てが変わる程の出来事になるなんて。しかもその原因が自分自身など─────

 

叶歩は知るよしも無かった。





取り敢えずあやせ√やってきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お前本当に臨也か!?

引越しの作業してたらガヴドロ何処にしまったか忘れたマンです。


妖刀事件から何日か後、学園祭も無事に終わり、平和な日々が戻ってきた。⋯⋯はずだった。

 

その直後アストラルという不思議粒子の発見は全世界に広まった。

 

アストラル粒子という不思議粒子を見つけた科学者が東京近郊出身だからなのか。科学者がその結論に至るまでには時間がかからなかった。

 

『叶歩と平和島静雄はアストラル使いなんじゃないか?』

 

そこからの行動は速かった。アストラル粒子を操れる人間は超能力を使える(超意訳)ということが証明されてから、アストラル能力を使った犯罪は通常よりも重い。

 

だからこそ、これは警察等にとっては千載一遇のチャンスだった。あの平和島静雄をしょっぴける、若しくは行動を制限させる丁度いい要素だった。

 

すぐさま人がアストラルを使えるか否かを判別できる装置を開発した日本政府は速攻で二人を呼び出し検査した。

 

だが──────────

 

「⋯⋯お二人にはアストラル粒子を操れる因子は存在しませんでした。」

 

という結果に。そしてそれはより一層彼等の都市伝説のヤバさに拍車をかけることになり、結果として──────

 

 

 

 

 

 

「居たぞ!!平和島静雄と叶歩だ!!」

「アストラル使いといえどあいつを倒せれば英雄になれるって!!」

「唸れ俺の発火能力ぅ!!」

 

 

「連日連日襲ってきやがって人の都合考えろてめえらああああああああぁぁぁ!!」

 

「てめえら後で制服代請求するからなああああああああぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうしてこうなった』

 

 

ゴツッ、と鈍い音が露西亜寿司に響く。

 

流石の平和島静雄も叶歩も、連日の襲撃で疲れが溜まっていた。

 

「いやまあこの際俺達の化け物呼ばわりが加速するだけならまだ良いんだ。いや良くはないけど、それなら納得が行くんだ。アストラル能力は大多数の人間が使える訳じゃあないんだから、恐怖を感じる。それを持ってない俺達がそれを上回ることしてるんだから加速するのは納得が行くんだ」

 

「正直歩の理論もまあ不愉快極まりないが納得は行く。だがなぁ⋯⋯」

 

『なんで俺達を倒すことに繋がんの⋯⋯?』

 

「⋯⋯この二人がここまで疲弊してんの初めて見たぞ」

 

「まあ実際とんでもない事になってるからね⋯⋯」

 

今の池袋は魔境となっていた。

 

連日起こる叶歩と平和島静雄に対する襲撃。増える逮捕者。治安の低下。

 

一応アストラル能力者に関しては急拵えの法で厳しく裁かれ、例え俺達でも多少の物損やらは正当防衛の延長線上になっているのだが。

 

まあいざとなれば爺ちゃんに揉み消してもらえばいいし。

 

「⋯⋯つーかさ、コレお前ら殺そうとして躍起になってる奴がなんか起こしてるんじゃねえか?心当たりは?」

 

同席して大トロをぱくついているガヴがそんなことを呟いた。

 

はてさて、そんなやつ──────────

 

 

折原臨也とか折原臨也とか折原臨也とか折原臨也とか折原臨也くらいしか身に覚えがない。

 

「⋯⋯あのノミ蟲⋯⋯くらいだな⋯⋯?あのノミ蟲か⋯⋯」

 

「ねえガヴ、お前池袋滅ぼしたいの?静雄さんが割と激おこじゃん」

 

「⋯⋯正直すまんかった」

 

ガヴの失言により静雄さんのボルテージがどんどん上がっていく!

 

割とシャレにならないレベルで。

 

「やっほー、たいしょ⋯⋯」

 

「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいざああああああああぁぁぁやあああああああああぁぁぁ!!」

 

⋯⋯ああ、神様。なんで貴方はこうもトラブルが大好きなんですかね⋯⋯?

 

 

 

「まって、待って今回は本当に待ってシズちゃん、お願いだから待って!!」

 

「うるせえノミ蟲!!お前だろ!?どうせお前なんだろ!?連日の襲撃を裏で糸ひいてんのはお前なんだろぉ!?」

 

といういつものやり取りを終えて数十分、何とか静雄さんを抑え。⋯⋯なぜか臨也さんが俺らと同じ席に座ってきた。流石に隣り合わせにはせずに俺が臨也さんの隣に、ガヴが静雄さんの隣に座っているが。

 

「⋯⋯臨也さん今日はすぐ退散しないんすね?いつもならおちょくるだけおちょくってすぐ逃げるのに」

 

「今回逃げてない事が俺が今回に限っては誠実な証拠だよ。シズちゃんのこと大っ嫌いな俺が、今ここで正座をして君達と同じ席に座っている事が。」

 

「⋯⋯全っ然証拠になってねえんだが」

 

「落ち着いてください。今回に限っては、臨也さんが犯人だとは思えません。」

 

「⋯⋯なんだと?」

 

「よく考えてください。確かに今まで臨也さんは静雄さんと俺を色んな手を使って陥れ、どうにかしようとしてきました。そんな人が今更『超能力者ならこの二人殺れんだろ!!』とかいう思考に行き着くとは思えないんですよ」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ちっ、今回だけだ。今回だけはお前の言い分を聞いてやる」

 

 

「いや本当に助かるよ、まさか俺もこんな事になってるとは思ってなくてね⋯⋯真っ先に疑われるのが俺だと思ったから今回は君達にタダで情報提供しに来た⋯⋯という訳さ」

 

「──────────」

 

いやまあ。正直ありがたい。ありがたいのだがそれは⋯⋯

 

「良いんですか?情報屋がタダで情報をばら撒くって⋯⋯」

 

「タダじゃないさ。少なくとも身の安全という金では買えないものを手に入れられるからね。俺から仕掛けるならまだしも、とばっちりで君らにやられて死ぬのだけはゴメンだよ」

 

成程。確かに筋は通ってる。通っているのだが⋯⋯

 

「なんか⋯⋯お前らしくねえな臨也」

 

そう、臨也さんらしくない。臨也さんならその状況すらも利用して立ち回り、俺達、主に静雄さんを斃そうとする人だ。

 

「言うなよシズちゃん⋯⋯それは俺が一番わかってる⋯⋯でも本当に今回ばかりは俺もとばっちり⋯⋯いや、この言い方は正しくないな。正しく言うならば────」

 

 

 

「直接的なターゲットは、俺を含めたここの男三人なんだ」

 

 

「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は??」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ははっ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!素晴らしい!!素晴らしいですよ!!この『アストラル』という力は!!」

 

「そうかそうか、気に入ってくれたようで私も嬉しいよ」

 

とある高層マンションの最上階。小太りの中年男性の高笑いが響いていた。そしてその隣には()()()()()()()()が立っていた。

 

「流石大悪魔だ⋯⋯!!こんな素晴らしいモノを与えてくれるとは!!正直最初は『何言ってんだこいつ』と思ったが⋯⋯謝罪しよう、申し訳なかった⋯⋯!!貴方は本当の大悪魔だ!!」

 

「気にするな。私はただ人間の可能性を引き出しただけ。と言うよりは貴方の従兄弟に知識を与えただけで。つまり私は貴方の野望を叶えるための手札を用意しただけ。後は貴方次第だ。」

 

淡々と述べる悪魔に、中年男は握り拳を胸の辺りで掲げ、欲望にまみれた顔でこう叫んだ。

 

「絶対に勝ってみせますとも!!選挙にも!!あの憎き怪物二人にも!!あの情報屋にもね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『詳しくはここでは話せないし⋯⋯ひょっとしたら黒バイクにも関わる話になるかもしれないから日を改めて新羅の家で話したいんだが⋯⋯空いてる日はあるかい?』

 

そんな言葉を吐いた臨也さんに二人揃って空いている日を伝え、今週の土曜日に新羅さんの家で、という事になり。帰り道。

 

「⋯⋯珍しく人が居ねえな」

 

「お前めっっちゃ狙われてたからな、つかの間の日常って感じ半端ないんだけど」

 

言われてみれば、ガヴとこんな風に帰り道に駄べりながら帰れるのは本当に久しぶりだ。最近は駄べる暇もない程だったのだ。

 

「⋯⋯というか暫く俺に近づかん方が良いって言ったのに」

 

「良いんだよ、いざとなったら神速通で逃げられるし。それに、こんなことが起きてるってだけで友達から離れんのも違うだろ?」

 

────────はー⋯⋯本っ当にこいつは⋯⋯

 

「お前イケメン度上がってない?どうしたの急に。一瞬女の子になりそうだったよ?」

 

「何言ってんだお前は⋯⋯⋯⋯私は昔からこうだぞ?」

 

「嘘こけ」

 

何よりも怠惰を優先し、娯楽を優先するナマケモノ。それが今のガヴリールだ。

 

昔は品行方正で誰にも優しく、人を導く立派な天使だったんだけどな⋯⋯。いやその期間短すぎて本当にそうなのかは知らんけど。

 

「なんて言うか変わったねお前」

 

「⋯⋯そうか?別にそんなに変わってないと思うんだけどな?」

 

「⋯⋯まあお前がそう言うならそうなのかもな⋯⋯さて────そろそろ現実逃避の脊髄反射会話をやめようか」

 

いつの間にか家の前、というか部屋の前に着いていた俺達。思わず足を止めてそんな会話をしたくなるくらい、異様な光景が。目の前にある。

 

「⋯⋯ガヴ、なんでお前のポストに矢文入ってんの?」

 

「⋯⋯天界からの手紙⋯⋯だと思うけど」

 

そう。ぶっ刺さっていたのだ。矢文が。

 

もう一度言おう。矢文が。

 

「天界って時代錯誤なんだな。テレパシーとかないんか?」

 

「そんなのあったらプライベートもくそもなくて私はとっくに天界に送り返されてるよ⋯⋯どれどれ」

 

ズポッ、と矢を外し、そこに結んであった紙を見る。と、ガヴの顔がみるみる青くなっていく。

 

「おい、どうしたガヴ────」

 

「どうしよう⋯⋯歩⋯⋯」

 

まるでこの世の終わりかの如く顔色を悪くしたガヴは。今にも消えそうな声でこう呟いた。

 

 

 

 

 

「姉さんが⋯⋯人間界に⋯⋯来る⋯⋯」




絶対に書きあげてやる⋯⋯(ガウドロ熱が再燃した顔)

デュラララSH続編早く出てくれ⋯⋯


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。