家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ (R0)
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VSロヴィーノ教団編
新たな戦いの前兆


とある暗闇に2人の男がいた。

 

「こんなものなのか」

 

ひとりは黒い髪に黒いコート、黒いズボン、黒いネクタイ、そして黒い石がはまっている指輪、全体的に黒く、唯一血のように真っ赤なワイシャツを着ていて、その場に立っていた。

 

「ぐっ……!」

 

もうひとりは髪も服も全体的に血のように真っ赤な男……いや、本物の血で真っ赤になっていた男がその場に倒れていた。

血まみれの男は黒づくめの男に言った。

 

「まさか、ここまでの実力の持ち主だとは……。私が手も足も出ないなんて……」

 

「念のためにと、俺が出てきたのだが…。杞憂だったか…」

 

「くっ……!」

 

「まぁ、いい。計画に支障を来たさないからな」

 

「……いったい、君たちの目的はなんだ!!」

 

血まみれの男は黒づくめの男に睨み付けながら叫んだ。すると、黒づくめの男は冷めた表情で言った。

 

「俺たちの目的?まぁ、強いて言うなら復讐かな?」

 

「復讐だと……!?」

 

「そう。そのために必ず邪魔をしてくるだろうお前を先に潰しに来たっていうわけ。まぁ、これ以上詳しくは教えられないがな」

 

「くっ…、今更……何をするつもりだ……」

 

と血まみれの男が苦虫を噛み潰したような顔で呟いたとき

 

ピーッピーッ

 

「ん?悪い、同僚から連絡が来た。なんだ」

 

と男は通信機に出た。

 

『よう。俺だ』

 

「お前か。何の用だ?」

 

『いや、そっちの様子はどうだと思ってな』

 

「こっちの様子か?それなら……「うっ……!」……といった感じだ」

 

と血まみれの男のうめき声を通信機の向こうの男に聞かせた。

 

『ふうん。ちゃんと生かしているんだ』

 

「当然だ。もともと、そういう予定だっただろ。まぁ、四肢はもう使えないからさしづめ九割殺しといったところか」

 

『ハハッ!!半殺しよりもひどいなそれ!!まぁ、生きていてもう俺たちの邪魔できない状態なら何でもいいや。そいつはギャラリーとして必要だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』

 

「まぁな」

 

『それにしても、そいつを九割殺しまでにするとはさすが《人類至上サイキョウの人間》だな』

 

と通信機の向こうの男が言うと黒づくめの男は眉をひそめて嫌そうな顔で言い返した。

 

「そんなことはどうでもいい。それよりもお前らのほうはどうなんだ?」

 

『ああ。俺たちも計画の準備に取り掛かるぜ』

 

「なら、いい。あれらが無くてはそもそも話にならないからな」

 

『そうだな。そっちはこれからあの連中のところへ行くのだろ?』

 

「ああ。お前は確かあいつらと()()か?」

 

『そこだけじゃないがまぁ確かに主にそこだな』

 

「そうか。ヘマするなよ」

 

『ハ!俺がそんなことするかよ』

 

「……いつも通りの傲慢ッぷりだな。まぁ、いい。じゃ、切るぞ」

 

『ああ』

 

ピッ

 

通信機を切ると黒づくめの男は血まみれの男に声をかけた。

 

「というわけで、俺はこれから行くところがあるのでな。どうする?俺を止めるか?その使い物にならなくなった四肢で?」

 

「くっ…」

 

そう、通信機での会話の中にもあったとおり血まみれの男の四肢は黒づくめの男に戦いで潰され使い物にならなくなっていたのだ。神経を潰され、痛みを感じないがもう二度と動くことはない。

 

「おまけに俺の《炎》で決定的だしな」

 

と男は言った。

 

「ふっ。確かに私ではもう無理だ。しかし、他のものがお前らを止めるはずさ」

 

「《地球最強の人間》であるお前ですら無理だったのにか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「ふうん。まっ、確かに生かしておくと面倒なやつはいるが。お前、2つ勘違いしているぞ」

 

「勘違いだと?」

 

「そう。1つは別に殺しておきたいやつは最悪生きていても問題無い。そして、もう1つは……」

 

と男は間を空けるととんでもない事実を言った。

 

「俺はお前相手に一割程度しか出していないぞ」

 

「!!!」

 

男は驚愕した。

 

「そんな…馬鹿な……!?」

 

「まぁ、お前はそこで俺たちの計画を見ているといいさ」

 

そう言って、男は反対の方向へと向き直り別れの言葉を言った。

 

「じゃあな。()()()()()()()()()

 

血まみれの男、チェッカーフェイスは立ち去っていく男を見ているだけしかできなかった。

その男の右手の中指にはめられていた指輪の黒い石は鈍く光っていた。

 

 




誤字、脱字あったら報告お願いします。


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最後の平和な日常

黒づくめの男とチェッカーフェイスとの会話より数時間前のとある民家では。

 

 

「起きろ!ダメツナ!!」

 

「ぐふっ……!!!」

 

黒いスーツにボルサリーノを身にまとっている赤ん坊がベッドで寝ていた茶髪のツンツン頭の少年を蹴り起こしていた。

 

「く~っ…。いきなり、何するんだよ!!リボーン!!」

 

「いつまでも寝ているオメーが悪い。ほら、とっとと着替えろ。ママンが呼んでいるぞ」

 

と赤ん坊、リボーンは部屋から出ていって降りていった。

 

「は~…。わかったよ…」

 

と茶髪の少年、沢田綱吉、通称ツナは着替え始めた。

 

沢田綱吉、勉強も運動もダメダメでついた渾名は『ダメツナ』。そんな彼には大きな秘密があった。

彼の曾曾曾祖父が作り上げた自警団、その組織が成長し、今では世界最大のマフィア『ボンゴレファミリー』。彼はその10代目候補なのである。

9代目が送り込んだ家庭教師(かてきょー)である、世界最強のヒットマンであり(元)晴のアルコバレーノのリボーンと頼りになる仲間たちとともに様々な修羅場をくぐり抜けてきた。そして、ついには、リボーンたちアルコバレーノの呪いを解くことに成功したのだった。

 

「ガゥ?」

 

「あ、ナッツ、おはよう」

 

とツナが声をかけた炎の鬣をもつ猫のような生き物は『天空ライオン(レオネ・ディ・チェーリ)Ver.X』のナッツ 。

 

「ほら、戻りな」

 

「ガゥ」

 

ツナはナッツを『ボンゴレギア 大空のリングVer.X』に戻した。

そして、着替え終わったツナは部屋を出て降りていった。

 

「あら、ツッ君。おはよう」

 

「ツナ、おはよう」

 

「ガハハ、ツナ、お寝坊さんだもんね!!」

 

「ツナさん、ニーハオ」

 

「ツナ兄、おはよう」

 

とツナにあいさつしたのは、

 

ツナの母親、沢田奈々

 

リボーンの愛人でポイズンクッキングの使い手『毒サソリ』ビアンキ

 

ボヴィーノファミリーのヒットマンでツナの《雷》の守護者、ランボ

 

香港生まれのヒットマン、イーピン

 

今は失ったがあらゆるものにランキング付けすることができる能力をもつ『星の王子』フータ・デッレ・ステッレことフゥ太

 

「おはよう、みんな」

 

ツナはあいさつを返し、椅子に座った。

そこでいつも通りの朝食をとるのだった。

 

「ガハハ、()ね~。リボーン!」

 

とランボは頭のモジャモジャから手榴弾を取りだしリボーンに投げつけた。

すると、リボーンは自分のペットである『形状記憶カメレオン』のレオンをラケットに変えて手榴弾を打ち返した。

 

「ぐぴゃ!!」

 

打ち返された手榴弾はランボに当たり、開いていた窓から外へ出てそのまま…

 

ドカン!!

 

と爆発した。

そう…、いつも通りの騒がしい朝食を…。

 

「ちょっ、ランボ!あ~もう、リボーン、何やってるんだよ!!」

 

「ふん、俺に歯向かったあいつが悪い」

 

「あ~、リボーン、そんなところも素敵///」

 

「あ~、いつも、いつも~」

 

とツナが頭を抱えていると

 

「それよりもツナ、お前、そろそろ学校行く時間じゃねぇのか?」

 

とリボーンが時計を指すと

 

「げっ!やばっ!!」

 

ツナはそのまま鞄を取りに行って

 

「それじゃ、行ってきます」

 

「は~い、行ってらっしゃ~い」

 

奈々の返事を聞き、靴を履いていると

 

ゾクッ

 

「っ……!!!」

 

急にとてつもない悪寒を感じた。

 

「どうした?ツナ?」

 

と後ろからリボーンが声をかけてきた。

 

「あ、リボーン…。いや、急に嫌な感じがしたのだけど、多分気のせいだと思うよ」

 

「そっか、それならいいが。ほら、とっとと行かねえと遅刻すんぞ」

 

「うん。じゃぁ、行ってきます」

 

とツナは出ていった。

その場に残ったリボーンは

 

(嫌な感じか…。《超直感》が何か感じたのか?それに…)

 

実はリボーンも似たようなものを感じていたのだ。それはヒットマンとしての勘なのだが、全てを見透かす力《超直感》とは違ってそれが当たっているかどうかわからない。ただ、

 

(気のせいだといいのだがな…)

 

リボーンはこう思うしかなかったのだ。

 

 

 

 

ツナが学校へ向かって歩いている途中

 

「おはようございます!!10代目!!」

 

「よっ!ツナ!」

 

「ツナ君、おはよう」

 

ツナに声をかける少年が三人

 

「おはよう。獄寺君、山本、炎真」

 

ツナに声をかけた三人は

 

一人はビアンキの異母弟で自称『ツナの右腕』のツナの《嵐》の守護者『スモーキン・ボム』こと獄寺隼人

 

一人はツナの親友であり、『時雨蒼燕流』の使い手、ツナの《雨》の守護者、山本武

 

最後の一人は『シモンファミリー』10代目ボス、古里炎真

ツナたちと炎真たちはかつて、ある男の策略により敵対していたが、今では和解し、親友と呼べる間柄になった。

 

ツナは三人と一緒に学校へ向かい、たわいもない話をしていると、

 

「あ、ツナ君に獄寺君、山本君、古里君。おはよう」

 

「はひっ!こんなところで会えるなんて運命です~」

 

「ボス、おはよう…」

 

三人の少女と会った。

 

ツナの憧れの少女、笹川京子

 

自称ツナの妻候補、三浦ハル

 

ツナの《霧》の守護者の片割れ、クローム髑髏

 

「あ、おはよう。(今日も京子ちゃん、かわいいな///)」

 

「よっ!」

 

「おはよう」

 

「けっ…」

 

四人はそれぞれ、あいさつした。(一人まともにあいさつしていないが)

そのあと七人は一緒に登校し、学校が違うハルとは途中で別れ(その時に少し色々あったが)、残りの六人が学校に着いたときだった。

 

ゾクッ…!!!

 

「っ……!!!(まただ…!!!)」

 

再びツナにとてつもない悪寒を感じた。

 

「ボス…?」

 

「ツナ君?」

 

「どうしたんだ、ツナ?」

 

「お顔が優れないようですが…」

 

「大丈夫?ツナ君?」

 

周りにいた五人は様子がおかしくなったツナを心配していた。

 

「あ、うん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

 

とツナはみんなに謝った。

 

「本当に大丈夫ですか?どうか、無理になさらず」

 

「うん、本当に大丈夫だから。それよりも早く行こう?」

 

と言ってツナたちは校舎に入って行ったが

 

(……家のときよりも酷かったけど…、本当に大丈夫だよね?)

 

ツナは内心、心配していた。

 

このとき、誰も気づいていなかった。

 

ツナとリボーンの心配が当たることを…。

 

そして……、平和な日常が崩れ去ることを……。



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新たな敵来る!

ツナたち一向が学校へ登校してから数時間後、並盛のとある場所にある公園に三人の人物がいた。

 

「おい、いつまで寝てんだ」

 

そう声をかけたのはオレンジと白のメッシュの髪に赤いスーツを着ていた170㎝後半の20代半ばの覇気のある男。

男の右手の中指にはオレンジ色の石がはまっている指輪、右手の甲には赤、青、紫、黄、緑、藍の石がはまっている手甲がある。

 

「ふぁ~…。ん…?……もう……、……終わったのか…?」

 

そう言って起きたのは水色のボサボサした髪に額にアイマスクを付けていて、まるで死んだ魚のような目をした、こちらは逆に覇気を全く感じられない180㎝前半の20代前半の男。

男の右手の中指には青い石、人差し指にはオレンジ色の石がはまっている指輪がある。

 

「1つは終わったけど、まだ全部は終わってないわ。むしろ、これからメインよ」

 

そう答えたのは桃色の長い髪を軽く巻いていて、全身にレザースーツを着ていてファスナーを全開して、豊満な胸やへそが見えている160㎝後半の20代前半の妖艶な女。

女の中指には藍色の石、人差し指にはオレンジ色の石がはまっている指輪がある。

 

「………なんだよ…。………それなら……、………もっと寝かせろよ…。………そのメインだって……、………お前らだけで…………十分だろ………」

 

アイマスクの男が怠そうに言うと

 

「ああ、確かに俺たち、もっと言うなら俺だけで十分だ。でも、お前の《力》を使えばより安全に早く終わるんだ」

 

「安全ね~…。…それなら………、あそこに…行かせたあいつは……どうなんだ…?…あいつ、……そういうの…気にしない馬鹿だろ…?…っていうか……、……今回の任務……、……そもそもあいつには………不向きじゃないのか…?」

 

「むっ……。確かに……。だが、あいつがどうしてもあそこに行きたいってうるさかったからな…」

 

「ああ~、確かに、あそこって彼にとって、とてもそそるところだったわね」

 

「………やめろ………。もっと他の言い方が………あっただろ……。……お前が…そう言うと変な意味に………聞こえる……」

 

「ああ、俺も一瞬変な想像してしまったじゃないか。おかげで気分が悪い」

 

と男二人がうんざりしていると

 

「知らないわよ!そんなこと!これがわたしなんだから!!」

 

と女は言い返した。

 

「それよりも……。まぁ、最悪の場合、あいつがなんとかするだろ」

 

「………なら、別に……これも……俺が…いなくても…問題ないだろ…」

 

「お前な~…」

 

とアイマスクの男はどうしても動こうとしないことにメッシュの男がため息すると、女が

 

「それなら、頑張ったらご褒美にお姉さんがいいことしてあ・げ・る」

 

と自分の胸をよせて色っぽく言った。

 

「「黙れ、クソビッチ(…)」」

 

男二人はそれを一蹴した。

 

「ちょっ、二人とも酷っ!?しかも、さっきからわたしの扱いが酷くない!?」

 

と女は男二人に文句を言うと

 

「知るか。お前がつまらないことを言うからだ」

 

「………だいたい…、……何が…お姉さんだ……。………お前……、俺よりも年下だろ……」

 

男二人はそっけなく返した。

 

「あ~もう。なんで、うちの幹部連中はこんなにつまらない反応するのかしらぁ~。昔はもうちょっとおもしろい反応してたのにねぇ~」

 

「それは、主にお前のせいだな。あんなにしょっちゅうやられると慣れてくる。おまけに()()()()だとな…」

 

「む~」

 

女がふてくされているのを横目にメッシュの男はアイマスクの男に向き直った。

 

「そんなことよりも…。お前、俺たちの目的を忘れたわけではないだろ?」

 

「………」

 

「俺たちの目的に失敗は許されないんだ」

 

「………」

 

「なんたって。これはそれほど大きいものだからだ」

 

「………」

 

「確実に成功するためにはお前の《力》が必要なんだ」

 

「………」

 

「だから、お前も協力しろ」

 

メッシュの男はアイマスクの男にこう言うと

 

「…………は~…、わかったよ……」

 

アイマスクの男は動くことにした。

 

「まぁ…、確かに…、俺も………目的は……成功してほしいと……思っているしな…。怠いけど…」

 

アイマスクの男はそう言って立ち上がると

 

「……んで?これから俺たちは…どうするんだ…?」

 

「ああ、実はここに戻ってくる前にあの連中に向かっていたあいつから連絡が来て、無事に終わったらしい」

 

「ふ~ん…。さすがはあいつだな…。で…?」

 

「俺はあそこに行くから、お前はこいつと一緒にもう一方のほうを頼む」

 

メッシュの男は自分が向かう場所を指差しながら説明した。

 

「ふ~ん…。わかったよ……」

 

「それなら、わたしたちは行ってくるわ」

 

「………はぁ~…。……怠いなぁ………」

 

アイマスクの男と女はそう言って消えた。

そして、その場に残ったメッシュの男は

 

「くくっ、それじゃ俺も行くとするか。あいつら、これを見せたら驚くかな?」

 

男はそう言って、()()()()()()()()()()()()をいじりながら、己の行く場所へ向かった。

 

その場所は

 

『並盛中学校』




次回から戦闘シーンが入る予定です。
これを読んでくれているみなさん、ありがとうございます。


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新たな敵、襲撃!

すみません。戦闘シーンまで行くことができませんでした。

今回、ツナたちの新たな敵の詳細の一部が発覚します。


「ここが、《並盛中学校》か…」

 

『並盛中学校』の校門前に立つメッシュの男。男は校門を通って中に入った。

 

「さて、どこに行けば会えるのかな」

 

男は自分の目的に必要なものを探していた。しかし、具体的な場所まではわかっていなくて、手詰まりになっていた。

 

「こりゃあ~、参ったな~」

 

男は頭を掻きながら、どうしようか考えていた。別にどうしても急がなくてはならないわけではない。しかし、なるべく早めにした方がいいのも事実。

 

「……ここでひと暴れすれば、誰か出てくるかな?」

 

男には『誰かに尋ねる』という考えはないみたいだ。まぁ、それもそうだろう。今の男は紛れもない不審者だ。まともに聞いてもらえるはずがない。そのうえ、男の周りには誰もいない。

 

「み~ど~り~、たな~びく~。な~み~も~り~の~♪」

 

「ん?」

 

すると、いきなり歌う声が上から聞こえたため、メッシュの男は空を見上げた。そこには黄色い小さな丸っこい鳥が空を飛びながら歌っていたのだった。

 

「だ~いな~く、小~なく~、な~み~が~いい~♪」

 

「なんだ、あの鳥?ヒヨコか?それとも人の言葉を話すからオウムか?」

 

メッシュの男が自分の来た目的を忘れて、その鳥を観察していると………

 

「ねぇ…」

 

1人の少年が声をかけた。

 

「君、どう見ても、並中の関係者じゃないよね?不法侵入で咬み殺すよ?」

 

メッシュの男にそう言ったのは、黒い髪に切れ目で学ランを肩に羽織って、学ランの左腕の袖に『風紀』と書かれた腕章を付けていて、左手首にはブレスレットを付けた少年だった。少年は男に向かってトンファーを構えていた。

 

「と~も~に~歌~お~う~、な~み~も~り中~♪」

 

そして、歌を歌っていた鳥は歌い終わるのと同時に少年の肩に止まった。

 

「………」

 

一方で少年に声をかけられた男は黙っていた。

 

「ねぇ、何無視しているの?」

 

少年は不機嫌そうに言った。それに対し男はうつむいて…、

 

ニヤッ

 

薄く笑っていた。

 

「?」

 

少年は何故笑っているのかわからなかった。それに少年は気づいてなかった。うつむいたことで前髪によって隠れた目は

 

まるで獲物を見つけたような目をしていたことに…。

 

 

 

 

ほぼ同時刻

 

ツナはいつも通りに授業を受けていた。しかし、朝にあった悪寒が学校に着いてからも治まることはなく、むしろ、悪寒が来るたびにそれが酷くなっていくのであった。休み時間になるたびに獄寺たちに心配されるが、ツナは全て「大丈夫だよ」と返した。

 

そして、今は昼休みが終わり、午後の授業の最中である。

 

(本当に今日はどうしたんだろう…?)

 

授業中、ツナはそんなことを考えていた。

 

(こんなこと初めてだよ…。いままでも嫌な感じはあったけど、これはその比じゃないよ…)

 

教卓で黒板に書かれていたことを説明する教師の声をツナは聞き流していた。

 

(獄寺くんたちに心配かけているし、帰ったら、リボーンに相談しようかな…。『気のせいだろ』って言われそうだけど…)

 

リボーンも似たようなものを感じていたことを知らないツナはそう思い苦笑いしていると…、

 

ゾクッゾクッ

 

(っ……!?まただ!!しかも、いままでで一番だ!!)

 

「……だ」

 

(いったい、なんなんだよ…。本当に…)

 

「…わだ」

 

(やっぱり、リボーンに相談しよう!ちゃんと説明すればあいつも…)

 

「沢田!!」

 

「は、はい!!」

 

考え事に夢中だったツナは教師に名前を呼ばれていることに気づかず、思わず立ち上がった。

 

(ヤバッ、全然話聞いてなかった。ああ、立たされるの嫌だな~。…ってあれ?)

 

気がつくと周りの生徒たちはツナのほうを向いて心配そうな顔していた。

 

「沢田、大丈夫か?顔色悪いが」

 

「え?」

 

ツナが驚いていると

 

「ツナ君、先生の言うとおりだよ。朝よりも顔色酷いよ」

 

隣の席の京子がツナに向かってそう言った。

 

「え、そう?」

 

「うん、保健室に行ったほうがいいよ」

 

「笹川の言うとおりですよ。俺がシャマルの野郎に言っておくので10代目はしっかり休んでください」

 

「でも……」

 

「無理すんなって、ツナ」

 

「山本……」

 

「ここで無理して、あとで倒れたら、そっちのほうが大変なのな」

 

「……うん。わかった」

 

「それなら、さっそく行きましょう!」

 

とツナと獄寺が保健室へ向かおうとすると

 

ガララッ

 

「授業中失礼する!!」

 

そう言って教室に入ってきたのは、学ランにリーゼントに葉っぱをくわえた男、並中風紀委員副委員長の草壁哲矢だった。

 

「ど、どうしたのですか?」

 

教師がそう聞くと

 

「急だが本日の授業は全て中止だ!!教師、生徒は全員ただちに帰宅するように!!」

 

草壁がそう言うと周り騒いだ。すぐに教師は尋ねた。

 

「いったい、何があったのですか?」

 

すると草壁は

 

「ここに不審者が侵入した」

 

と答えた。

 

ゾクッゾクッゾクッ

 

(っ……!?これは……!?もしかして、その不審者がこの嫌な感じの原因…?)

 

ツナがそう思っているのをよそに周りの生徒たちは

 

「不審者?」

 

「雲雀さんがいるから大丈夫じゃないのか?」

 

「それに鈴木先輩もいるし」

 

と混乱していた。

 

すると、

 

ヒュー……

 

ガシャン!!

 

『!!!』

 

何かが窓のほうから飛んできて教室へと突き破ってきて、ツナたちの目の前で止まった。その何かとは…

 

「雲雀さん!!」

 

「委員長!!」

 

「ヒバリ、ヒバリ」

 

並中風紀委員委員長でツナの《雲》の守護者、雲雀恭弥だった。彼の飼っている鳥、ヒバードも雲雀の名前を言っていた。

 

しかし、彼の格好は普段学校で来ているものではなかった。背中に『風紀』と刺繍された改造学ランだった。しかも、ボロボロだった。

 

「ひ、雲雀さん…?」

 

「な、なんで、雲雀さんが飛んできたの?」

 

「そ、それに、雲雀さんのあの格好なんだ?しかも、なんで、ボロボロなんだ?」

 

周りの生徒たちは先程よりも騒いでいた。その中でツナは雲雀に近づいた。

 

「雲雀さん?いったい…「ねぇ、小動物」は、はい!!」

 

「あれ、また君たちに関係してるの?」

 

と雲雀は自分が突き破った壁に指さした。

 

「あれ?」

 

とツナたちが雲雀がさしたほうへ向くと

 

トン…

 

メッシュの髪した男がオレンジ色の炎が纏っている戦斧と槍を合わせた武器を担いで空いた穴から教室に入ってきた。

 

「お、ラッキー♪一気に目的の場所についた♪」

 

とメッシュの男が何か言っていたがそんなのは関係なかった。

 

(あいつだ!!あいつがこの嫌な感じの原因だ!!)

 

ツナは自分の悪寒の原因を確信した。

 

「な、なんだよ…、あいつ!?」

 

「え、あいつ、今、外から入ってきたよな?ここ、3階だぞ!?」

 

「それに、手に持っている武器…。あれ、燃えているよ!!」

 

生徒たちはもう収拾がつかないぐらい騒いでいた。その生徒たちを止めたのは

 

「ねぇ、君たち?」

 

雲雀だった。雲雀の声を聞いた生徒たちはみんな黙った。

 

「副委員長の言葉、聞いてなかったの?臨時休校だからすぐに帰宅するようにって?」

 

『い、いえ!しっかり、聞いてました!!』

 

「それなら、早く帰りなよ」

 

『は、はい~!!』

 

生徒たちや教師はみんな急いで出ていった。

 

「ツナくん…」

 

京子は心配そうにツナを見た。

 

「京子ちゃん、俺なら大丈夫だから早く逃げて」

 

「う、うん…。気をつけてね」

 

「京子、早く!」

 

そう言って、京子は親友の黒川花と一緒に出ていった。

 

「副委員長、そっちは君に任せたよ」

 

「はい!!委員長!!」

 

そう言って、草壁も出ていった。

 

今、教室に残っているのは、ツナ、獄寺、山本、雲雀、クローム、炎真、炎真の《沼》の守護者、SHITT・P!の7人

 

獄寺はふとツナのほうへ向くと

 

「10代目、お体は…」

 

心配そうに声をかけた。ツナは獄寺を安心させるように言った。

 

「大丈夫だよ、獄寺君。あいつが今回の体調不良の原因でもあるからね」

 

ツナはメッシュの男へ向いた。すると、

 

「沢田!!極限に無事か!!」

 

「炎真!!」

 

「結局、これはどういうことだ!!」

 

「炎真、山本…」

 

「炎真にみんな、大丈夫かい?」

 

「アララ~。これは酷いなぁ~」

 

と教室に入ってきたのは、

 

京子の兄でツナの《晴》の守護者、笹川了平

 

炎真の《氷河》の守護者、鈴木アーデルハイト

 

同じく、《森》の守護者、青葉紅葉

 

同じく、《川》の守護者、水野薫

 

同じく、《山》の守護者、大山らうじ

 

同じく、《砂漠》の守護者、加藤ジュリー

 

ちなみにジュリーはパチンコでさぼろうとしていたのをアーデルに無理矢理連れてこられていたのだ。

 

「おぉ~、ボンゴレもシモンも、並中にいるやつ全員集合だな」

 

メッシュの男は飄々と言った。それに対し、獄寺が怒鳴った。

 

「テメー、何者だ!!それから、どこのファミリーのものだ!!」

 

「俺が何者でどこのファミリーかって?そうだな、取りあえず自己紹介しようか」

 

そう言って男は担いでいた武器を下ろした。そして、男は名乗った。

 

「俺は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『大空の大罪』、《ルシフェル》だ」

 

メッシュの男、ルシフェルはそう言って自分の武器、ハルバードをツナたちに向けた。

 

「教団?マフィアじゃないのか?」

 

アーデルが代表して尋ねると

 

「ああ、俺たちの組織が何かって言われたら、宗教団体だな」

 

とルシフェルは答え、皆は驚いた。次に獄寺がぼろぼろの雲雀を見て尋ねた。

 

「マフィアでも宗教団体でもどっちでもいいが、テメーみたいな雲雀の野郎をここまでボロボロにするやつがいるなんて聞いたことねえぞ!!」

 

獄寺の言葉に雲雀がムッと顔をしかめたが、そんなことは気にせず、

 

「まぁ、そりゃそうだろうね。むしろ、知っていたら、こっちがびっくりだよ」

 

ルシフェルは素っ気なく返した。ほかにも色々と聞きたいことはあったが、今、一番聞きたいことをツナが尋ねた。

 

「…お前の目的はなんだ?」

 

そう言うとルシフェルは薄く笑い、

 

「雲雀恭弥に一回、言っているが…まぁ、もう一度言ってやるよ。俺の目的はまず、お前だ」

 

とルシフェルが指差したほうは…

 

「俺!?」

 

ツナだった。皆が驚いているなかルシフェルは続けた。

 

「そう。沢田綱吉と、そして、お前らの()()が欲しいんだ」

 

そう言って、ルシフェルはスーツのポケットからあるものを取り出した。

 

『!!!』

 

雲雀以外の皆、特にクロームが驚いた。

 

ルシフェルが取り出したものは三本の嘴のような刃があるイヤリングだった。

 

「そ、それは……」

 

クロームは上擦った声でそれが何かを答えた。

 

「骸様のVG(ボンゴレギア)!!」

 

そう、ツナのもう一人の《霧》の守護者でクロームの大切な人、六道骸が持っている筈の《ボンゴレギア 霧のイヤリングVer.X》だった。

 




ルシフェルが持っていた骸のボンゴレギア。何故、彼がそれを持っているのか?そして、ツナたちとルシフェルの初戦闘が始まる。

※次回こそは戦闘シーンに入ります。

※ちなみに薫の属性は『川』で特性は『貫通』にしています。


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初戦闘 ボンゴレ&シモンVS大空の大罪

戦闘シーン書くの難しいですね。とりあえず、今回はツナたちVSルシフェルです。


突如、現れた『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『大空の大罪』、《ルシフェル》と名乗る男が取り出したのは、骸が持っている筈の《ボンゴレギア 霧のイヤリングVer.X》だった。

 

「ど、どうして…、あなたがそれを持っているの…?」

 

クロームはそうルシフェルに聞いた。

 

「ん?どうしてって…、そりゃ、六道骸から奪ったからに決まってるだろ」

 

ルシフェルはあっけらかんに言った。

 

「!!骸様は!?犬、千種、みんなは!?」

 

クロームは骸たちの安否を心配した。

 

「ああ~、そう心配しなくても、六道骸たちなら全員ちゃんと生きているよ。まぁ、軽くない怪我は負っているけどね」

 

ルシフェルは馬鹿にしたように言った。

 

「っ……!!」

 

「クローム…、骸たちのことが心配なのはわかるけど…」

 

「こいつの目的は10代目と俺たちのVG(ボンゴレギア)だ!!」

 

「そう、おとなしく渡してくれるなら、俺もおとなしく帰るけど」

 

とルシフェルが周りを見渡して言うと

 

「誰がお前なんかに10代目と俺たちのVG(ボンゴレギア)を渡すもんか!!」

 

「そうなのな!!」

 

「極限に渡さん!!」

 

「君、ふざけてるの?」

 

「骸様のVG(ボンゴレギア)、返してもらう…」

 

「僕たちシモンファミリーもお前を倒す!!」

 

獄寺たちがそう言ったあとでツナが前に立った

 

「ルシフェル、俺はお前に連れていかれる気もないし、俺たちのVG(ボンゴレギア)を渡す気もない…。だから…ここでお前を倒さなきゃ、俺は…」

 

そう言うとツナは27と書かれたミトンをはめ、青い丸薬を二錠、呑み込んだ。すると、

 

ボウッ

 

ツナの額からオレンジ色の炎、《大空》の炎が灯り、目は茶色からオレンジ色に変わり、ミトンは赤色のグローブ、《Xグローブ》に変わった。

そして、ツナは言った。

 

「死んでも、死にきれねえ!!!」

 

「死んでも、死にきれねえ……か…」ボソッ

 

ツナがそう言ったあと、ルシフェルは何か呟いた。しかし、そんなことは気にせず、他のメンバーも戦闘準備に入った。

 

「瓜!」

 

「次郎!小次郎!」

 

「漢我流!」

 

獄寺は《ボンゴレギア 嵐のバックルver.X》から《嵐猫(ガット・テンペスタ) Ver.X》の瓜。

 

山本は《ボンゴレギア 雨のネックレスver.X》から《雨犬(カーネ・ディ・ピオッジャ) Ver.X》の次郎、《雨燕(ローンディネ・ディ・ピオッジャ) Ver.X》の小次郎。

 

了平は《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》から《晴カンガルー(カングーロ・デル・セレーノ) Ver.X》の漢我流。

それぞれのギアアニマルを呼び出した。そして、

 

「「「形態変化(カンビオ・フォルマ)!!」」」

 

獄寺たちはそれぞれのギアアニマルと合体した。

 

獄寺はサングラスをかけ、パイプ型の発火装置をくわえ、大量のダイナマイトを装備していた。

 

山本は和服を身にまとい、二振りの日本刀が装備していた。

 

了平はヘッドギアとボクシンググローブを装備していた。

 

雲雀は既に《ボンゴレギア 雲のブレスレットVer.X》から呼び出した《雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ) Ver.X》のロールを形態変化させているため持っていた仕込みトンファーを構えた。

 

クロームは三叉槍を構えた。

 

炎真たちシモンファミリーもシモンリングを形態変化させた。

 

炎真は額に《大地》の炎を灯し、両手に籠手を装備させた。

 

アーデルは両手に手甲と頭にヘッドホン型のリモコンを装備させた。

 

紅葉は両手の手首部分にナイフがついた籠手、両足に装甲を装備させた。

 

SHITT・P!は背中に蜘蛛の足のような銃を装備させた。

 

らうじはマントのような鎧を装備させた。

 

薫は左腕に肩に装備された盾がついた槍を装備させた。

 

ジュリーは両手にクローがついた籠手を装備させた。

 

全員の戦闘準備が完了した。

 

「ま、こうなっちゃうか…」

 

ルシフェルは肩をすくめながら言った。

 

「OK。それじゃ、俺は別にこのままでいいんだが、お前らにとっちゃ、ここじゃ狭すぎて全力を出せないだろうから、場所を変えるか」

 

「あ、待て!」

 

呼び止める声を無視してルシフェルは外へ出た。

 

「あの野郎、嘗めやがって…」

 

悪態を吐きながらもツナたちは追いかけた。

 

 

学校のグラウンド

 

 

異様なほど静かだった。

 

その中、ルシフェルとツナたちが向かい合っていた。

 

「ここなら、お互いに全力を出せるか…。じゃ、始めますか」

 

と今、戦闘開始のベルが鳴った。

 

「おー!!極限に先手必勝だー!!」

 

「結局、負けんぞ!!」

 

そう言って真っ先に飛び出した了平と紅葉

 

「了平!」

 

「紅葉!」

 

「あの馬鹿…!」

 

周りの声を気にせず、二人は攻撃を始めた。

しかし、ルシフェルは二人の攻撃をハルバードで巧く捌いて、

 

「うっ…!?」

 

「がっ…!?」

 

ハルバードの柄でカウンターを決めて、二人を吹っ飛ばした。

 

「二人とも大丈夫か!!」

 

「ああ…」

 

「大丈夫だ…」

 

「どうする?あいつ、かなり、強いぞ。しかも、おそらく、全然本気を出していないだろう…」

 

「連携で行くしかないだろ。隙を作らないように攻撃して、あいつの動きを封じ、止めをさす」

 

「よし、ならそれでいくか」

 

と作戦会議を終えるとまずはツナが特攻をかけた。

 

キンッ

 

「次はお前か」

 

「嫌、俺だけじゃない」

 

「!!?」

 

ルシフェルは後ろから攻撃してきた雲雀に気づいて、かわした。

 

「その程度の不意打ちで俺を倒せるとは思っていないよな」

 

「まさか」

 

雲雀は仕込みトンファーの鎖を飛ばした。それをルシフェルはハルバードで捌いた。ふと上を見ると大量のダイナマイトがあった。

 

「《3倍ボム》!!」

 

ルシフェルはハルバードを思いっきり地面に叩きつけ、跳んだ土砂で防いだ。次に了平が仕掛けた。

 

「おおー!!《極限(マキシマム)コンビネーション》!!」

 

了平のラッシュをルシフェルはまた巧く捌き、先程よりも強力なカウンターを決めた。

 

「がっ…!?」

 

しかし、今度は吹き飛ばされず持ちこたえ、そのまま構えた。よく見ると了平のバングルは炎が3つ溜まっていた。

 

「《サンシャインカウンター》!!」

 

了平もカウンターを放った。

 

「くっ……!」

 

まずいと思ったのかとっさにかわしたが了平の攻撃を掠めてスーツが少し破れた。

 

(ちょっと、油断したかな?まぁ、まだ全然大丈夫だけどな)

 

破れたスーツを見てルシフェルはそう思ったがツナたちの攻撃はまだ続いた。

 

「《Xストリーム》!!」

 

ツナがルシフェルを炎の竜巻に閉じ込めた。ルシフェルはそれを耐えて、炎の竜巻がおさまると周りの光景が異常になっていた。

 

「《霧のカーテン(コルティーナ・ネッビア)》」

 

クロームの技とジュリーの《砂漠》の炎で景色は歪み、紅葉の《森》の炎による有刺鉄線に囲まれ、そして、

 

「行け!《ブリザードロイド》!《無敵の攻撃隊(グルッポ・アタッコ・インヴィンチービレ)》!!」

 

三百を越えるアーデル似の《氷河》の炎で作られた人形がいた。その人形たち、《ブリザードロイド》がルシフェルに向かって攻撃を開始した。

 

しかし、それでもルシフェルのほうが実力が上なのか、次々にブリザードロイドを突いたり、斬ったり、吹き飛ばしたりと減らしていった。

 

そして、最後の一体を斬り倒すと

 

(思ったよりなかなかやるな…。でも、俺を倒すにはまだまだ無理だがな)

 

と考えていた。しかし、いざ動こうとすると、

 

(っ…!?足が動かないだと!?……!!これは…!!)

 

ルシフェルは自分の足を見ると足が地面に沈んでいるうえに、隆起した地面が自分の足を押さえつけていた。

SHITT・P!の《沼》の炎、らうじの《山》の炎の力だ。クロームとジュリーの幻術に五感を狂わされ気づかなかったのだ。そしてそのうえ、

 

「はっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

炎真の《大地》の炎の重力により身動きが取りにくくなった。

 

「山本くん!いまだよ!!」

 

「おお!!」

 

炎真の呼び声に答えた山本がルシフェルの真正面から攻撃を仕掛けた。

 

「時雨蒼燕流、攻式一の型 《車軸の雨》」

 

強力な突きがルシフェルに襲ったが…。

 

ガキンッ

 

ルシフェルは《大地》の炎の重力に抗い、ハルバードで山本の突きを防いだ。

 

「惜しかったな…。あともうちょっとで俺に攻撃できたのになぁ…」

 

「嫌、仕方ねえさ。俺は囮だからな…」

 

「囮だと…?」

 

「ああ。いまだ!!薫!!」

 

「おおー!!」

 

「!!?」

 

ルシフェルの後ろから薫の雄叫びが聞こえた。全てはこのための作戦だったのだ。

 

『行けー!!』

 

仲間たちが薫を応援した。ルシフェルの背中はがら空き、このまま行けば、薫の槍がルシフェルを貫いただろう。

 

そう、このままだったのなら……

 

ニヤッ

 

シュンッ

 

ジャキンッ

 

『!!!』

 

薫の槍がルシフェルに届く前にルシフェルはハルバードの柄の先の部分を引き抜き、そこから生まれた炎の刃で防いだのだ。

 

「はあ~っ…。はあっ!!」

 

「「ぐっ…!?」」

 

ルシフェルは《大地》の炎の重力なんて無かったかのように山本と薫を吹き飛ばした。

 

「炎の重力を破るなんて…」

 

炎真は驚愕した。そして、それよりも

 

「何なんだ、その槍は!?ただの槍じゃないのか!?」

 

獄寺がみんなの疑問を代表して聞いた。

 

「これは槍じゃなくて、ハルバードだっつーの!まぁ、ただのというのは確かに違うな」

 

と言ってルシフェルは自分の武器の説明をし始めた。

 

「これは俺が改造に改造を重ねた《仕込みハルバード》だ。こいつには()()()を組み合わせたことで死ぬ気の炎を自由自在に形を変えて固定化することで今のような炎の剣ができたっていうわけだ」

 

ルシフェルの説明に驚くしかなかった。そして、気になる言葉があった。

 

「ある炎だと?」

 

ツナは疑問に思ったがルシフェルはその疑問に答えず…。

 

「あ~。悪いがもうそろそろ終わらせたいんだ。さすがに時間かかっているしな…。というわけでこの技で終わらせてやるよ」

 

そう言って、ルシフェルはハルバードを元の一本に戻して上段に構えた。すると、ルシフェルの指輪からは《大空》の炎、手甲から《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎が灯りだした。どうやらあの手甲はリングと同じ働きがあるようだ。すると、ハルバードの穂先から《大空》の炎が伸び、全長五メートルの大剣になった。その大剣には《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎が纏っていた。

 

「あいつ、まさか、大空の七属性、全部の波動が流れているのか!?」

 

ルシフェルに驚かされっぱなしのツナたちだがすぐにいままでで一番の驚愕を味わうことになる。

 

ルシフェルは大剣を勢いよく地面に叩きつけた。

 

「《七属性の一撃(コルポ・セッテ)》」

 

ドーーーン!!!!!

 

『うわー!!?』

 

「キャー!!?」

 

ルシフェルが叩きつけた場所から大爆発が起き、有刺鉄線や幻術を全て破壊して、ツナたちも全員吹き飛ばされた。

 

…………………………

 

爆発が治まり、粉塵が晴れるとグラウンドはルシフェルを中心に巨大なクレーターが生まれ、全体的に見る間もなくぼろぼろだった。ルシフェルは爆発によって足の拘束が外れたのを確認すると、ハルバードを大剣から通常状態に戻した。そして、持ち前の跳躍力でクレーターから脱出して、周りを見た。

 

「うっ…」

 

「ぐっ…」

 

「クソッ…!」

 

全員、あれだけの爆発を受けたはずなのに意識を保っていた。

 

「!!驚いた!!死なないように手加減したとはいえ、まさか誰一人気を失っていないとはなぁ。…でも、もう、立てるやつはいないか…」

 

「まだだ…!」

 

ルシフェルがそう言ったのを反論するかのようにツナが立ち上がった。

 

「……なるほどな。あの時、お前、とっさに他の連中の前に移動して、そのグローブから炎の壁を作り、仲間を守ったんだな」

 

そう、ツナは『超直感』で察し、爆発に巻き込まれる前にルシフェルが言ったことを実行したのだ。炎の壁は爆発に耐えきれず壊されたが…。

 

「おかげで他の連中は気を失わずにすみ、必然的に炎の壁が厚かった場所にいたお前は立ち上がることができたっていうわけか……。ふん、それはそれでこちらに好都合だ。出来るだけお前を傷つけずに連れて帰りたいしな…」

 

「誰がお前に連れて行かれるものか…!!」

 

ツナはまだ諦めていなかった。たとえボロボロでも戦うつもりだった。

 

二人がお互いの得物を構えた。

 

そのときだった。

 

「ちょっと、ルシフェル!!いつまで、かかってるのよ!!」

 

レザースーツを着た女が声をかけてきた。



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奪う者、奪われる者

「ちょっと、ルシフェル!!いつまで、かかってるのよ!!」

 

ツナとルシフェルが第2ラウンドを始めようとしたとき、突如声がかかった。

声の主はレザースーツを着た妖艶な美女だった。

 

「なんだ、お前か」

 

「『なんだ、お前か』じゃないよ!回収するのにどんだけ時間かかっているの!!」

 

「あ?そんなに時間たってんのか?」

 

「たってるわよ!!」

 

ルシフェルと女は言い争っていた。(ほとんど、女が一方的だが)

 

ツナたちは新たな敵であろう人物に警戒を怠らなかった。

 

「いや~。すまん、すまん。こいつらと遊んでいるのに時間かかっていることに気づいてなかったみたいだ。一応、気をつけていたんだが…」

 

「あなたは、本当に時間にルーズね!あなたが最初から本気出せばすぐに終わっているものをその傲慢が無意識に手を抜いて、時間がかかるのでしょ!それ、何とかならないの!!」

 

「無理だな。それ、お前のそのビッチを直せって言っているようなもんだ」

 

「それ、今は関係ないでしょ!!」

 

と女は怒鳴っていたが、まだまだ女の小言は続く。

 

「そのスーツだって破れる必要なかったのに…。は~、仮にもあなたは《ロヴィーノ教団》の()()()()2()の実力をもつ人間だっていうのに…」

 

「おい、仮にってなんだ。仮にって。それに俺は()()()を超えるつもりだからな」

 

「そんな時間があるのかしら?」

 

「…………うるせーっ」

 

2人はそう言い争っていたが、2人の言い争いの中に聞き逃せない言葉があった。

 

「ナンバー2だと…!?」

 

「あいつよりも上がいるのかよ!?」

 

「それに結局あいつ自身、まだ本気を出していないのだろ?」

 

「うそだろ…」

 

ツナたちは今自分たちが戦っていた相手の強さからルシフェルがトップだと思っていたのだ。

おまけにルシフェルが自分のことを『大空の大罪』と名乗ったためになおさらそう思ったのだ。

ツナたちが呆然としているなか、二人はまだ話し合っていた。

 

「…っていうか、あいつはどこに行ったんだ?一緒にいたはずだろ?またどこかで昼寝か?」

 

「ああ、彼なら……」

 

「……俺なら……、ここだ……」

 

と急に声がすると

 

「がっ……!?」

 

『10代目/沢田/ボス/ツナ(くん)!!?』

 

ツナが何者かに地面へと押さえつけられた。

そいつはアイマスクの男だった。

 

「ああ、いたのか」

 

「…ああ…、結構前からな……」

 

ルシフェルはそのアイマスクの男に声をかけた。

 

「い、いつの間に……」

 

ツナたちは誰一人、この男の存在に気がつかなったのだ。

 

「あなたたちの()()()()()()()()だけよ」

 

女はなんでもないように言った。

 

「『感覚が鈍くなっただけ』とか、わけわからないこと言いやがって…」

 

「あなたたち2人も《ロヴィーノ教団》のものなのか?」

 

とアーデルは2人に聞いた。その質問に二人は答えた。

 

「ええ、私は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『霧の大罪』、《リリス》よ」

 

「……同じく…、『雨の大罪』…、《スロウス》…」

 

女、リリス、アイマスクの男、スロウスは自分のことをそう名乗った。

 

(また、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》だと…。……ちょっと待てよ。この2人はルシフェルと別行動をしていたんだよな…。ということは…!!)

 

ツナは自分が気がついたことをリリスとスロウスに言った。

 

「お前ら!!ランボは無事なのか!!?」

 

「ランボさん?」

 

「アホ牛がどうしたのですか?10代目?」

 

ランボと仲のいいらうじと獄寺がツナに尋ねた。

 

「ちょっと考えれば、すぐにわかることだったんだ。ルシフェルは骸のVG(ボンゴレギア)を持っていた。そして今、俺たちのVG(ボンゴレギア)を狙ってきたんだ。それなら、当然ランボも狙われるはずだ!」

 

『!!?』

 

ツナの説明に皆気がついた。

 

「で、でも、アホ牛のほうはきっとリボーンさんと姉貴が何とかしてくれたはずですよ…」

 

「た、確かに小僧が守ってくれたに決まっているさ」

 

「ランボさんは無事だよね!?」

 

皆それぞれ心配していた。するとルシフェルが

 

「そうだな。ちょうど、俺もそれ聞きたかったところだ。リリス、スロウス、そっちはちゃんと目的達成したのか?」

 

その言葉でやはりランボのVG(ボンゴレギア)も狙っていたことがわかった。

 

「ウフフ、これを見てもらいましょうか?」

 

とリリスは色っぽく笑うと

 

パチンッ

 

と指を鳴らした。すると、彼女の足元が霧で覆われ、再び晴れると、そこには自分たちが予想していた最悪のものと予想外のものがあった。それは……

 

『リボーン/小僧/(さん)!!?』

 

ランボの『ボンゴレギア 雷のヘルムVer.X』とグッタリした様子で縛られていたリボーンだった。

 

これには雲雀ですら驚きを隠せなかった。

 

まさか、あのリボーンが敵に捕まっていることに…。

 

皆が言葉を失っている中、ルシフェルは

 

「どうやら、目的のちゃんと獲得していたようだな」

 

「もちろん♪リボーンも牛の子も一家団欒で買い物しているところを狙ったからね♪」

 

リリスの言葉にツナと獄寺の血の気が引いた。

 

「お前ら!!母さんたちに何をした!!!」

 

「姉貴たちは無事なのか!!?」

 

スロウスに押さえつけられたツナと元から動くことができなかった獄寺はリリスたちに向かって怒鳴った。

 

「落ち着け!ツナ!!獄寺!!」

 

「そうだよ!もし、本当にツナくんのお母さんたちが襲われているなら復讐者(ヴィンディチェ)が出てくるはずだよ!!」

 

山本と炎真は2人を宥めた。リボーンとランボのVG(ボンゴレギア)がここにあるかぎり気休めにしかならないが、確かに一般人である奈々を襲えば復讐者(ヴィンディチェ)が出てくるはずだ。そのことに二人は多少頭が冷えたのか落ち着いた。すると、スロウスが二人に言った。

 

「……そう、心配するな…。沢田綱吉、獄寺隼人……。お前らの母親も姉もガキ共も危害を加えていない……」

 

スロウスの言葉に2人は安堵した。しかし、そのあとにスロウスが呟いた言葉を聞き逃してしまった。

 

「…まぁ、仮に襲ったとしても……復讐者(ヴィンディチェ)()()()()だろうけどな……」

 

そのあと、リリスがこう言った。

 

「確かに危害は加えていないけど、リボーン以外のあの一家の人たちを全員眠らせて人質にさせてもらったわ」

 

「!!…まさか!!」

 

「そう!そのまさか!その人質を使ってリボーンを捕らえたっていうわけ♪あ、心配しないで、人質は解放しているから♪」

 

そう言うと、リリスは急に真面目な顔して

 

「そう、()()()()()…」

 

と言った。

 

「え?」

 

ツナたちはものすごく嫌な予感がした。

 

パチンッ

 

リリスがまた指を鳴らした。すると、リボーンがいる場所とは別の場所が霧で覆われた

 

「ここに来る前に拾ってきたんだよね~♪」

 

とリリスはまるで捨て犬を拾ってきたかのように言った。霧が晴れるとそこには…、

 

「!」

 

「京子!!」

 

「ハルちゃん!!」

 

了平とクロームが叫んだ。そこにはリボーンと同じく、グッタリとして縛られた京子とハルだった。

 

「京子に何したんだー!!」

 

了平はリリスに向かって大声で叫んだ。

 

「さっきの一家と同じで眠らせただけよ。命に別状はないわ。それよりも…」

 

とリリスは一息つくと

 

「沢田綱吉君?人質を解放してほしかったら私たちと一緒に来てくれるかしら?」

 

ツナたちに脅迫した。

 

「なっ…!?」

 

「卑怯だぞ、テメーら!!」

 

「落ち着きなさい。あの女は2人に何もできないはずよ。なぜなら…「ねぇ」…な、何かしら?」

 

アーデルの言葉をリリスが遮った。

 

「あなたは『復讐者(ヴィンディチェ)が出てくるから無理だ』と思っているみたいけど…。私たちが今更、そんなことで躊躇すると思っているの?」

 

「くっ…」

 

リリスの言うとおりだ。この三人なら復讐者(ヴィンディチェ)すら撃退させてしまうだろう。

 

「くっ……。わかった…」

 

「ツナ!!」

 

「10代目!!」

 

ツナは3人についていくことを決めてしまった。

 

「すまない、皆…。だけど、二人を傷つけることはできない…」

 

「ツナくん…」

 

「沢田…」

 

ツナは覚悟を決めた顔だった。確かに、全員が手負いの状態でこの三人相手に京子とハルを救出するのは不可能だった。

 

「…決まりだな…」

 

「そうね」

 

「ああ。じゃあ、スロウス、始めるぞ。リリス、用意しろ」

 

「了解♪」

 

「…わかった…」

 

3人はリングを構えた。

 

すると、

 

「うっ…!?」

 

「体が…!?」

 

「急に怠く…!?」

 

ドサッ、ドサッ、ドサッ

 

ツナたちは全員その場に倒れた。

 

 

 

 

5分後

 

VG(ボンゴレギア)、全て回収し終えたぞ」

 

「…やっと、帰れる…」

 

「本当ねぇ~。それにしても…、いつ見てもあなたの《怠惰の炎》はすごいねぇ~。彼ら、全員寝ちゃっているし…」

 

「リングを構えて炎を出していなければ、俺たちも巻き込まれるからな…」

 

ルシフェルとリリスはツナたちを見てそう言った。

 

「…なぁ…、そんなことより…早く帰ろうぜ…。…ちょうど…、向かえが…来たしさ…」

 

「ああ、そうだな。アジトに帰るとするか」

 

そう言って3人は寝ているツナとリボーンを抱えて、7つのVG(ボンゴレギア)を持って、()()()()を潜り抜けた。

 

そこに残ったのは深い眠りに入っている14人の少年少女だけだった。



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最悪の現状

ロヴィーノ教団の襲撃から2日後

 

「…っ……うっ…!?……ここは?」

 

「並盛中央病院よ」

 

「姉貴……」

 

「起きたようね、隼人…」

 

目を覚ました獄寺に声をかけたのはゴーグルをかけたビアンキだった。

 

「なぜ、俺はここにいるんだ…?」

 

横を見ると山本と了平が寝ていた。

 

「あなたたちが倒れていたところをトマゾとナンパから帰ってきたシャマルが運んできたのよ。クロームや雲雀恭弥、シモン、それから黒曜のメンバーも他の部屋にいるわ…。とりあえず、全員無事よ…」

 

「あいつらが…」

 

獄寺たちを運んだのはトマゾファミリー、8代目ボス、内藤ロンシャンとそのファミリー、獄寺のダイナマイトの師でもある「トライデント・シャマル」のシャマルのようだ。

 

「笹川とハルは?」

 

「あの2人も運ばれたけど、彼女たちはただ眠らされただけでほかに外傷は無かったから、すぐに退院したわ…」

 

「そうか…」

 

獄寺は安堵したがそれも一瞬だった。

 

「!!10代目とリボーンさんは!?」

 

「あなたがツナを二の次にするなんて珍しいわね…」

 

「うっ…。い、今はそんな場合じゃねえだろ!10代目たちはどうなったんだ!?」

 

「落ち着きなさい、隼人…」

 

問い詰めようと起き上がろうとする獄寺をビアンキは落ち着かせた。そして、ビアンキは首を横にふって言った。

 

「わからないわ…。シャマルたちがついた頃にはすでにあなたたちを襲った連中もリボーンたちも、そして、あなたたちのVG(ボンゴレギア)も何もなかったわ…」

 

ビアンキに言われて気づいた。自分のVG(ボンゴレギア)がないことに…。

 

「瓜…」

 

自分の相棒を想っていると

 

ガララッ

 

「あら?獄寺君、目を覚ましたのね~。良かったわ~」

 

奈々が病室に入ってきた。

 

「10代目のお母様…」

 

獄寺がそう言うとビアンキが近づいて

 

「ママンにはツナたちのことで心配させないように上手く誤魔化しているわ」

 

と言った。すると奈々はこう言った。

 

「それにしても、獄寺君たちが大変だと言うのに、ツッ君とリボーンちゃんは家光さんと一緒に石油掘りに行くなんてねぇ~」

 

(いや、どこが上手く誤魔化しているだよ!!そして、お母様はなぜ気づかないのですか!!?)

 

奈々の天然発言に獄寺は心の中で突っ込んだ。

 

そのあと、獄寺たちはしばらく談笑した。

 

「それじゃぁ、ビアンキちゃん、私は一度帰るわね。獄寺君、体気をつけてね」

 

「はい!」

 

「わかったわ、ママン」

 

そう言って、奈々は病室を出た。すると、

 

「うっ…。あれ?ここはどこなのな?」

 

「ぐっ…。極限に俺はどうしたのだ?」

 

山本と了平が目を覚ました。獄寺とビアンキは2人に同じ説明をした。

 

「そうっすか…」

 

「京子が無事で極限に良かったが…」

 

2人とも、目に見えて落ち込んでいた。

 

「なぁ、姉貴……」

 

獄寺がビアンキに声をかけた。

 

「一体、そっちで何があったんだ?」

 

「!!」

 

「あのボサボサ頭と破廉恥女が姉貴たちのところに行って、姉貴たちを眠らせて人質にとってリボーンさんを脅して、アホ牛のVG(ボンゴレギア)とリボーンさんを手にいれたと言ってたんだ」

 

そう、あの時、リリスが言っていた。

 

『もちろん♪リボーンも牛の子も一家団欒で買い物しているところを狙ったからね♪』

 

『確かに危害は加えていないけど、リボーン以外のあの一家の人たちを全員眠らせて人質にさせてもらったわ』

 

『そう!そのまさか!その人質を使ってリボーンを捕らえたっていうわけ♪あ、心配しないで、人質は解放しているから♪』

 

「いったい、どうやって、眠らされたんだ?」

 

獄寺がそう言うとビアンキはまた首を横にふって言った。

 

「わからないわ…」

 

「わからない…っすか…?」

 

山本が呆然として言った。

 

「ええ、ごめんなさい…。本当にわからないのよ…。あの時、私たちはリボーンとママンたちと一緒に買い物に出ていたのよ。商店街にいたときにママンを含めた一般人たちが次々に倒れていったのよ」

 

「一般人たちが倒れた…?」

 

獄寺たちが驚いて聞き返すとビアンキは頷いて言った。

 

「そしたら、子供たちも倒れて、私とリボーンは周りを警戒していたけど、私もだんだん怠くなって、いつの間にか気を失っていたのよ…」

 

「俺たちのときと極限に似ているな」

 

「あの時、あいつらリングを構えていたのな。ってことは死ぬ気の炎の力なのな?」

 

「可能性があるとしたら《雨の大罪》って名乗ってた、あのボサボサ頭だが…」

 

「確かに《雨》の炎の特性は《鎮静》で一番近そうだけど…。動きを鈍くさせることはできても、相手を気絶させることってできるのかしら?」

 

4人は考えたが答えは出なかった。

 

「考えてもわかんねえな…。まぁ、それは置いといて姉貴は本当に何も知らないんだな…」

 

「ええ、私たちを襲った連中がボサボサ頭と破廉恥女だというのも、今、初めて知ったわ…」

 

ビアンキがそう言い終わると、ふと山本が聞いた。

 

「あれ?そういえば、ロンシャンたちはどうして骸たちを病院へ運べたんだ?」

 

「どういうことだよ、野球馬鹿?」

 

「いや、だってさ、骸たちも襲われたということを知っているのは並中にいた、気絶した俺たちだけだろ?それなのに、一昨日には全員病院に運ばれたのな」

 

「それは、一昨日のうちに気がついた誰かがそいつらに教えたのではないのか」

 

了平がそう答えるとビアンキが否定した。

 

「いいえ。一番早くて、昨日、雲雀恭弥が目を覚ましたわ。ちなみにあなたたちが一番最後よ」

 

「おっ!ということは全員目が覚ましたのな」

 

「何のんきなことを言っているんだ、野球馬鹿!雲雀の野郎に負けるなんて、くそッ…」

 

「落ち着け、タコヘッド。それよりも、なぜ、そいつらは知っていたのだ?」

 

了平が改めて聞くとビアンキは答えた。

 

()()()が9代目に連絡をいれたの。その連絡は『VG(ボンゴレギア)が狙われる』といったものよ。そして、それを聞いた9代目はまずはリボーンやあなたたちに連絡をいれるつもりだったのよ。でも、その連絡は繋がらなかった…。オマケにシモンもね…。だから仕方なくシャマルやトマゾに連絡をいれたのよ。ツナとトマゾ8代目が仲いいから今ではボンゴレとトマゾは敵対関係じゃないからね…」

 

ビアンキは今のボンゴレとトマゾの関係を思い出しながら言った。

 

「だから、あなたたちと同じくVG(ボンゴレギア)を持っている六道骸のところに向かったってわけ。……でも、彼らが着いた頃には……」

 

「俺たちは全員倒れていたうえに10代目とリボーンさんは連れていかれたあとだったってわけか…」

 

「…ええ、そうよ。今思えば、連絡が繋がらなかったのはすでに遅かったからかもしれないわね…。9代目の超直感も嫌な予感があったみたいし…」

 

ビアンキの説明で3人は納得したがひとつだけ気になることがあった。それを山本が聞いた。

 

「ある男って、誰っすか?」

 

「それは――――」

 

「私だよ、山本武君」

 

そう言って2人の男が入ってきた。1人は病衣を着ていて灰色の髪に丸メガネを掛けて、四肢全て包帯に巻かれていて、車椅子に乗っていた男。もう1人はその男の車椅子を押していたチェッカー柄の鉄帽子にスーツを着た七三分け、落ち窪んだ目、削がれたような鼻が特徴の男だった。

 

その2人を見て3人は驚いた。

 

「テメーらは…、チェッカーフェイスに尾道!!」

 

そう、病室に入ってきたのはかつてリボーンたちに呪いをかけたチェッカーフェイスとその部下、尾道だった。

すると、また獄寺たちの病室に1人の少年と1人の赤ん坊が入ってきた。

 

「獄寺殿!山本殿!笹川殿!」

 

「やっと目を覚ましたか、コラ!」

 

「バジル!」

 

「コロネロ師匠!」

 

入ってきたのはツナの父親、沢田家光の部下、バジルと元《雨》のアルコバレーノのコロネロだった。

2人とも所々怪我をしているのか、包帯や絆創膏があった。

怪我をしている3人のことが気になったのか獄寺は質問した。

 

「テメーら、その怪我はどうしたんだ?」

 

「ああ、これか…。皆、聞いてくるね」

 

「ホホッ、仕方ありませんよ。誰もチェッカーフェイス様が怪我しているところなんて想像できませんからね」

 

「確かに、自分でもこれほどの大怪我するとは思ってもいなかったよ…。ああ、この怪我どうしたんだ、だっけ…。私のところにも来たんだよ。《ロヴィーノ教団》が…」

 

「「「!!?」」」

 

「テメーのところにも来たのかよ!!?」

 

「私や君たちのところだけじゃないよ」

 

とチェッカーフェイスは言葉を続けた。

 

「何となく予想はついているだろうけど…まずはCEDEF(チェデフ)。それから、ヴァリアーにミルフィオーレ、カルカッサ、ヴェルデ君のいるファミリー、そして、復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄だよ」

 

チェッカーフェイスの言葉にまたもや3人は驚いた。

 

復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄まで襲われたのかよ!?」

 

「ああ、そして……」

 

3人はチェッカーフェイスから最悪の現状を聞くことになった。

 

「君たちからは、《沢田綱吉》君に《リボーン》君、7つの《VG(ボンゴレギア)》、CEDEF(チェデフ)からは《ラル・ミルチ》君、ヴァリアーからは《マーモン》君、ミルフィオーレからは《ユニ》に《白蘭》君、7つの《マーレリング》、カルカッサからは《スカル》君、ヴェルデ君のファミリーからは言わずもがな《ヴェルデ》君、コロネロ君からの連絡に出ないことから恐らく《(フォン)》君も、そして、復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄からは《バミューダ》君に《アルコバレーノのおしゃぶりの代わりとなった7つの器》…。それらを全部()()()()




リアルのこともあって、ペースが遅れます。どうか、ご了承ください。


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~追憶~ チェッカーフェイスVS人類至上サイキョウの人間

並盛中央病院の多目的ホール

 

雲雀の名を使って貸し切りにしたそこにいたのは、獄寺、山本、了平、クローム、雲雀……の代理の草壁、炎真をはじめとするシモンファミリー、骸をはじめとする黒曜メンバー、バジル、コロネロ、チェッカーフェイス、尾道だった。

 

彼らは今、ある人物たちを待っていた。

 

すると、

 

バンッ

 

勢いよく扉が開かれた。そこにいた人物たちは中へと入ってきた。

 

「ゔぉおおおおい!!邪魔するぜえー!!」

 

「失礼するわよ~ん!」

 

「ちっ、うるさい連中だ…」

 

「ハハン、全くですね」

 

「すまない、遅れてしまった!」

 

「動けないこいつを連れてくるのに手間取ってな…」

 

「………」

 

入ってきたのは、

 

ボンゴレ独立暗殺部隊《ヴァリアー》の《雨》の守護者、S(スペルビ)・スクアーロ。

 

同じく、《晴》の守護者、ルッスーリア。

 

ミルフィオーレファミリー、6弔花の《電光》のγ。

 

同じく、(リアル)6弔花のリーダー、桔梗。

 

キャバッローネファミリーの10代目ボスでツナの兄弟子、《跳ね馬》ディーノ。

 

同じく、ディーノの部下、ロマーリオ。

 

復讐者(ヴィンディチェ)最強のイェーガー。

 

スクアーロとルッスーリアはバジルとコロネロと同様、怪我をしていた。ただでさえボロボロな状態のイェーガーはさらにボロボロになっていて、ディーノとロマーリオの肩を借りなきゃ、動けそうになかった。まぁ、イェーガーたち復讐者(ヴィンディチェ)のエネルギー源であるバミューダが連れ去られたため必然的にそうなってしまうわけだが。しかし、襲われていないディーノたちはともかく、襲われたはずのγと桔梗には()()()()()()()()()()()()

 

「おっ!スクアーロ、久しぶりなのな♪」

 

「ゔぉおおおおい!!山本!!テメエ、腕は鈍っていないだろうなぁ!」

 

「あはは、勿論なのな♪」

 

剣士2人はそんな会話をしていた。

 

全員が席に座ると

 

「これで全員揃ったね」

 

チェッカーフェイスがそう言うと

 

「おい、チェッカーフェイス!今何が起きているのか本当に話すのだろうな!?さっきは『全員揃ってから話す』って言って逃げやがって…!!」

 

「クフフ、そうですよ。僕なんて昨日から待たされているのですから」

 

獄寺と骸の言うとおり、チェッカーフェイスはこの事態の詳細をまだ誰にも言っていないのだ。

 

「勿論だよ」

 

と言ってチェッカーフェイスは周りを見渡した。

 

「それなら、色々聞きたいことがあると思うが、まずは私の身に起こったことを話そうか。あれは…」

 

とチェッカーフェイスは話し出した。

 

 

 

 

それはいつも通りの日だった。虹の代理戦争で(トゥリニセッテ)の命運をバミューダたちに譲ってから、チェッカーフェイスはとくにやることが無く、ラーメン屋巡りをしていた。その日もラーメン屋に行こうとしていた。そのときだった。

 

ドカンッ

 

突如、爆発が起きた。

 

チェッカーフェイスは驚いて爆発したほうを見た。するとそこにいたのは

 

「………お前が、チェッカーフェイスだな…」

 

黒い髪に黒いコート、黒いズボン、黒いネクタイ、そして黒い石がはまっている指輪、全体的に黒く、唯一血のように真っ赤なワイシャツを着ていた170㎝後半の20代後半の男だった。彼の右手は何かを掴んでいた…。

 

「!尾道!!」

 

そうチェッカーフェイスの部下の尾道だった。彼はぐったりとした様子で男に首を掴まれていた。

 

「彼を放したまえ!!」

 

「ああ、いいぞ」

 

チェッカーフェイスが男に言うと、男は尾道をチェッカーフェイスに投げつけた。チェッカーフェイスは尾道の様子を見た。尾道は気を失っていたが、命に別状はなかった。チェッカーフェイスは安堵すると、男に向かって言った。

 

「君はいったい何者なんだ?どうして、ここがわかった?私に何の用だ?」

 

「いっぺんに聞くな。1つずつ聞け。まずは俺が何者かだっけ?俺は《ロヴィーノ教団》の者だ」

 

「!?《ロヴィーノ》だと!?」

 

チェッカーフェイスはその名に聞き覚えがあった。

 

「それと…」

 

そう言うと

 

シュッ

 

ツー

 

男は自分の指を切って、血を1滴垂らした。そして、それを…

 

ビュンッ

 

ベチャッ

 

チェッカーフェイスに向けて飛ばして、彼の頬に当てた。チェッカーフェイスはその血に何かを感じた。

 

「!!?馬鹿な!!?なぜ……!!?」

 

チェッカーフェイスが驚いているのをよそに男は続けた。

 

「次にどうしてここがわかった、だっけ?」

 

そう、チェッカーフェイスには気配を遮断することができる《ヘルリング》の《気配(セーニョ)リング》を持っているのだ。居場所が突き止められるはずが無かった。

 

「まぁ、それに関してはお前が思っている通りだ」

 

「馬鹿な…。ありえん…」

 

チェッカーフェイスは信じられない、という顔をしていた。

 

「そして、最後の質問だが、それは…」

 

男はそう言うと目を鋭くして言った。

 

「お前を動けないようにすることだ」

 

「くっ…!やはり、そうか…!!」

 

チェッカーフェイスは尾道を安全な場所へと移動させて、身構えた。

 

そして、2人の戦闘が始まった。

 

「……はっ」

 

チェッカーフェイスは虹の代理戦争で見せた《死ぬ気の到達点》状態のツナの数十倍の炎よりも威力のある炎を前方に放った。

 

それを男は

 

シュンッ

 

その場から消えてかわした。

 

「!!」

 

チェッカーフェイスは驚いた。かわしたこともそうだがそれよりも気になることがあった。

 

「君、バミューダ君たちと()()()を使えるのかい?」

 

そう、男はバミューダたち復讐者(ヴィンディチェ)が使える《夜》の炎を使ってかわしたのだ。

 

「ああ、そうだ。この炎を使って、こうやって……」

 

と男はまた消えて、

 

「お前の背後をとることができる」

 

とチェッカーフェイスの真後ろから声をかけた。

 

「ぐっ…!!

 

とっさに杖を振り、男に攻撃をした。男はまた消えてかわした。この男の今の移動はチェッカーフェイスですらわからなかったのだ。

 

チェッカーフェイスは思った。

 

(この男、私より強い…!このまま続けていたら私が負けてしまう…!……仕方ない、私の最速最強の技で倒すしかない…)

 

チェッカーフェイスは杖を高く上げた。すると、杖に《大空》《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎が集まった。どうやら、チェッカーフェイスにも大空の七属性全ての波動が通っているみたいだ。

 

杖に集まっている炎は先程放った炎よりも数十倍の量だった。それが収束し終えると、男に向けて放った。

 

「《地球の裁き(ヴェルデット・オルベ)》!!」

 

放った炎は光速を越えて男に向かった。男はそこから一歩も動かなかった。そして、そのまま……、

 

ドカンッ

 

大爆発が起きた。

 

……粉塵のせいで前が見えないがチェッカーフェイスは勝利を確信していた。

 

「……終わったか……」

 

チェッカーフェイスがそう呟くと

 

「誰が終わったって?」

 

「!!?」

 

チェッカーフェイスが驚いて、粉塵のほうを見た。粉塵が晴れると、そこには、自分で切った指以外()()()()()()()()()()()()()

 

「馬鹿な…!!?」

 

チェッカーフェイスは驚愕した、自分の最強の技でダメージ無いことに…。

 

「……これで終わりか?なら、次は俺の番だ」

 

そういうと男はコートの懐から漆黒色の匣を取り出した。そして、自分の中指にはめているリングに()()()()()を灯して、匣を開匣した。匣から取り出した2つの武器を持った。しかし、チェッカーフェイスはそれが何かわからなかった。確認する前に男が消えたのだ。チェッカーフェイスはすぐに警戒したが男はなんと彼の目の前に現れた。そして、男はそのまま……、

 

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!?」

 

チェッカーフェイスを連続で斬りつけたのだ。主に四肢を、そして最後に胴体を袈裟懸けにした。

 

 

…………………

 

「こんなものなのか…」

 

「ぐっ……!」

 

血まみれになったチェッカーフェイスに男はそう言った。それに対しチェッカーフェイスは男に言った。

 

「まさか、ここまでの実力の持ち主だとは……。私が手も足も出ないなんて……」

 

「念のためにと、俺が出てきたのだが…。杞憂だったか…」

 

「くっ……!」

 

「まぁ、いい。計画に支障を来たさないからな」

 

「……いったい、君たちの目的はなんだ!!」

 

チェッカーフェイスは男に睨み付けながら叫んだ。すると、男は冷めた表情で言った。

 

「俺たちの目的?まぁ、強いて言うなら復讐かな?」

 

「復讐だと……!?」

 

「そう。そのために必ず邪魔をしてくるだろうお前を先に潰しに来たっていうわけ。まぁ、これ以上詳しくは教えられないがな」

 

「くっ…、今更……何をするつもりだ……」

 

とチェッカーフェイスが苦虫を噛み潰したような顔で呟いたとき

 

ピーッピーッ

 

「ん?悪い、同僚から連絡が来た。なんだ」

 

と男は通信機に出た。

 

『よう。俺だ』

 

通信機に連絡したのはルシフェルだった。

 

「お前か。何の用だ?」

 

『いや、そっちの様子はどうだと思ってな』

 

「こっちの様子か?それなら……「うっ……!」……といった感じだ」

 

とチェッカーフェイスのうめき声をルシフェルに聞かせた。

 

『ふうん。ちゃんと生かしているんだ』

 

「当然だ。もともと、そういう予定だっただろ。まぁ、四肢はもう使えないからさしづめ九割殺しといったところか」

 

『ハハッ!!半殺しよりもひどいなそれ!!まぁ、生きていてもう俺たちの邪魔できない状態なら何でもいいや。そいつはギャラリーとして必要だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』

 

「まぁな」

 

『それにしても、そいつを九割殺しまでにするとはさすが《人類至上サイキョウの人間》だな』

 

とルシフェルが言うと男は眉をひそめて嫌そうな顔で言い返した。

 

「そんなことはどうでもいい。それよりもお前らのほうはどうなんだ?」

 

『ああ。俺たちも計画の準備に取り掛かるぜ』

 

「なら、いい。あれらが無くてはそもそも話にならないからな」

 

『そうだな。そっちはこれからあの連中のところへ行くのだろ?』

 

「ああ。お前は確かあいつらと《並盛》か?」

 

『そこだけじゃないがまぁ確かに主にそこだな』

 

「そうか。ヘマするなよ」

 

『ハ!俺がそんなことするかよ』

 

「……いつも通りの傲慢ッぷりだな。まぁ、いい。じゃ、切るぞ」

 

『ああ』

 

ピッ

 

通信機を切ると男はチェッカーフェイスに声をかけた。

 

「というわけで、俺はこれから行くところがあるのでな。どうする?俺を止めるか?その使い物にならなくなった四肢で?」

 

「くっ…」

 

そう、通信機での会話の中にもあったとおりチェッカーフェイスの四肢は男に戦いで潰され使い物にならなくなっていたのだ。神経を潰され、痛みを感じないがもう二度と動くことはない。

 

「おまけに俺の《炎》で決定的だしな」

 

と男は言った。

 

「ふっ。確かに私ではもう無理だ。しかし、他のものがお前らを止めるはずさ」

 

「《地球最強の人間》であるお前ですら無理だったのにか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「ふうん。まっ、確かに生かしておくと面倒なやつはいるが。お前、2つ勘違いしているぞ」

 

「勘違いだと?」

 

「そう。1つは別に殺しておきたいやつは最悪生きていても問題無い。そして、もう1つは……」

 

と男は間を空けるととんでもない事実を言った。

 

「俺はお前相手に一割程度しか出していないぞ」

 

「!!!」

 

チェッカーフェイスは驚愕した。

 

「そんな…馬鹿な……!?」

 

「まぁ、お前はそこで俺たちの計画を見ているといいさ」

 

そう言って、男は反対の方向へと向き直り別れの言葉を言った。

 

「じゃあな。チェッカーフェイス」

 

チェッカーフェイスは立ち去っていく男を見ているだけしかできなかった。

その男の右手の中指にはめられていたリングの黒い石は鈍く光っていた。

 

そして、男が《夜》の炎のワープホールを通っていくのを見て気を失う前にチェッカーフェイスは思った。

 

そういえば、男が匣を開匣したときに使っていた炎は《夜》の炎とは()()()()()()()と。



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~追憶~ 復讐者VS人類至上サイキョウの人間

チェッカーフェイスの話を聞いて、皆開いた口がふさがらなかった。

 

一番最初に口を開いたのは炎真だった。

 

「《人類至上サイキョウの人間》……!?」

 

「そいつが結局、あのナンバー2の男よりも強い男か……」

 

「チェッカーフェイス……。あなたがボンゴレ9代目に連絡をいれたのは、通信機の会話にルシフェルたちが『並盛に向かう』という言葉を聞いたからかしら?」

 

「クフフ、あのルシフェルという男が『並盛だけじゃない』という言葉を聞いたからこそ、あなたは『VG(ボンゴレギア)が狙われる』と報告したのですね。確かにVG(ボンゴレギア)の1つは黒曜にいる僕が持っていますからね」

 

アーデルと骸がチェッカーフェイスにそう聞いた。

 

「ああ、その通りだよ。沢田綱吉君やリボーン君たちまで狙われていたとは予想外だったけどね…」

 

すると獄寺が急に立ち上がって言った。

 

「おい!!チェッカーフェイス!!テメー、あいつらの何知ってんだ!!あいつらは何者なんだ!!?復讐って何なんだ!!?」

 

「獄寺、落ち着けって!!」

 

「落ち着くんだ、タコヘッド!!」

 

そんな獄寺を山本と了平が落ち着かせた。そして、チェッカーフェイスは言った。

 

「落ち着きたまえ、獄寺隼人君。君の言いたいこともわかるが、とりあえず今は自分たちに起きたことを共有しなければならない。実を言うと《ロヴィーノ教団》に関して、私にもわからないことが多いからね…」

 

「……ちっ……」

 

チェッカーフェイスの言葉に獄寺は舌打ちをしながら渋々と席についた。

 

「さて、次なのだが私を襲ったあの男はいったい、あの後、どこへ向かったんだろうか?」

 

「……恐らく、俺たちだろう……」

 

チェッカーフェイスの疑問に答えたのはここに来てからずっと黙ってたイェーガーだった。

 

「そっか……、それなら、そっちに何があったか教えてくれないだろうか?」

 

「………お前の指図に乗るのは癪だがいいだろう……」

 

そう言ってイェーガーは話し出した。

 

 

 

 

 

虹の代理戦争で憎きチェッカーフェイスから(トゥリニセッテ)の命運を奪ったバミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン率いる復讐者(ヴィンディチェ)たち。その日もいつも通り、バミューダは(トゥリニセッテ)を機能させるために《夜》の炎を灯し続けて、イェーガーたちはマフィア界の法の番人の仕事をしていた。すると、

 

ボウッ

 

『!!?』

 

急に自分たちが使っている炎と同じワープホールが出てきた。バミューダたちは警戒した。ワープホールから出てきたのは血のように真っ赤なシャツを除いて全身黒づくめの男だった。

 

「君はいったい何者なんだい?」

 

バミューダがそう聞くと男はチェッカーフェイスのときと同じように答えた。

 

「俺は《ロヴィーノ教団》の者だ」

 

「《ロヴィーノ教団》?聞いたことのない組織だね。君の名前は?」

 

バミューダの質問に男は顔をしかめて言った。

 

「………名乗る名前など無い」

 

「………そう。それなら、君の目的は何かな?」

 

「俺の目的はお前とそれらだ」

 

と男が指を指したのはバミューダと(トゥリニセッテ)の器だった。

 

「ふーん、何となく予想はしていたけど、ここに来たのが運の尽きだよ。いくら、君が僕たちと同じ炎を持っているからと言ってもね……」

 

バサッ

 

バミューダがそう言うとイェーガーたち7人の復讐者(ヴィンディチェ)は包帯とローブを脱いだ。

 

男の復讐者(ヴィンディチェ)と女の復讐者(ヴィンディチェ)が地面に鎖を仕込み、男の足下に現れて、男の四肢を縛った。2人は高くジャンプした。それにつられて男も空中へと移動させられた。そして、2人は着地して男を地面に叩きつけようとした。しかし、男は空中で体勢を直して、自分も上手く着地し、縛られた鎖を逆に利用して振り回して2人を壁に叩きつけた。

 

「ぐあっ……!?」

 

「ギャッ……!?」

 

2人が立ち上がろうとすると短距離瞬間移動(ショート・ワープ)した男に頭を掴まれ、そのまま地面へと叩きつけられた。

 

「「………」」

 

そして、2人は戦闘不能になった。

 

「これで2人…」

 

次にジャックが竜巻となって襲いかかった。男はぶつかる前にジャンプしてかわした。男の四肢を縛っていた鎖は竜巻に当たり砕けた。

 

「……俺の竜巻を利用するとは……」

 

ジャックはそう言った。違う場所では、

 

「行ってこい。私の可愛い子供たちよ…」

 

アレハンドロが2つの鞄に向かって言った。すると鞄から飛び出した。それは…

 

「「あま~いあま~い ばあっ☆ 」」

 

魔導師の人形(マジシャンズドール)》、ジンジャーブレッドだった。

 

「「あま~いあま~い ばあっ☆ 」」

 

2体は箒から無数の刃を男に向けて放った。男はそれを僅かな動きで全てかわしていた。

 

「ヒャッハー!!」

 

真上から巨大な耳掻き棒みたいな武器、《脳掻き》を持ったスモールギアが襲いかかった。男はジンジャーブレッドの刃を両手の指の間に挟み止め、鉤爪のようにしてスモールギアの脳掻きを受け止めた。

 

「やるじゃねーか」

 

スモールギアは感心した。その後、男はスモールギアを蹴り飛ばし、再び襲ってきたジャックをかわしたり、刃の雨をかわしたり、スモールギアを迎撃したり、と防戦一方だった。

 

イェーガーに守られていたバミューダはこれに疑問に思った。

 

「なぜ、彼は短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でかわさないんだ?イェーガー君たちと違って制限があるというわけではないはずなのに……」

 

バミューダがそう思っているのをよそにジャックたちのほうは佳境を迎えていた。

 

ジンジャーブレッドの刃をかわすためにジャックとスモールギアとは離れた場所に飛んで着地した際に男はよろけたのだ。それを見逃す復讐者(ヴィンディチェ)たちではなかった。

 

「ビッグピノ、9時の方向に砲撃だ!!」

 

「ピピ プピピッ」

 

スモールギアの指示にビッグピノは大砲で砲撃しようとした。その時だった。

 

シュンッ

 

ガンッ

 

ドーン

 

『!!!?』

 

男が短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でビッグピノの前に移動して大砲を蹴り、向きを変え、そのまま、発射させた。その発射させた方向にはジャックがいた。

 

「なっ…!!?」

 

そして、そのまま……、

 

ドカーーーーン

 

砲撃はジャックに直撃した……。

 

「「ジャック!!?」」

 

男はそこからさらにビッグピノの顎に強烈な蹴りを入れて、脳に振動を与え、戦闘不能にして、ビッグピノが持っていたスモールギアの巨大なマラカスを2つ持ってそれら同士をぶつけ…、

 

ドカーーーーン

 

大爆発を起こした。周りは粉塵で見えなくなった。

 

「あの野郎、俺の武器を勝手に使いやがって……」

 

スモールギアが悪態を吐くと、

 

ザシュッ

 

「ぐぁあっ……!?」

 

後ろから短距離瞬間移動(ショート・ワープ)で移動した男がビッグピノが持っていたスモールギアの斧でスモールギアを斬りつけた。そして、次に2体のジンジャーブレッドの近くに移動した。

 

「「!!?」」

 

これはまた、ビッグピノが持っていた脳掻きで2体の服に引っ掛けて、1ヵ所に集めて、斧で2体一気に斬った。

 

「馬鹿な……!!?」

 

アレハンドロが驚いている間に目の前に男が現れて、斧で斬った。

 

「がっ………!!?」

 

粉塵が晴れるとそこに立っていたのはバミューダとイェーガーと男の3人だけだった。

 

「くっ………。(そういうことだったのか……。この瞬間を狙っていたのか……。彼、状況判断が早い)」

 

バミューダは先程の自分の疑問の答えを知った。

 

(それに、彼、戦闘のセンスがかなり高い。スモールギア君のあのヘンテコな武器を自由自在に操れるなんて……)

 

バミューダがそう思っているのをよそに男は斧を構えながら言った。

 

「あとはお前らだけだ」

 

「くっ……」

 

「……バミューダ、俺が行く……」

 

「イェーガー君……。わかっていると思うけど……」

 

「あぁ……。早急に終わらせる……」

 

バミューダ以外の復讐者(ヴィンディチェ)はバミューダから送られた《夜》の炎を使って動いている。自分で炎を生成することができないのだ。イェーガーの短距離瞬間移動(ショート・ワープ)も全身で2回だけなのだ。だから、その2回のうちに決めなければならない。

 

「行くぞ……」

 

イェーガーはそう言うと高く飛んだ。そして、自分の四肢を切り離し、男に向かって動く隙を与えないように攻撃させた。男は斧でイェーガーの手刀や蹴りを捌いていた。

 

それが何度か続いた後だった、残りの炎の量も考え、イェーガーが勝負を仕掛けた。

 

シュンッ

 

イェーガーが1回目の短距離瞬間移動(ショート・ワープ)で男の背後に移動して構えた。男は当然、気づいていた。振り向いたと同時に斧をおもいっきり振った。イェーガーはそれを2回目の短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でかわしてそのまま再び男の背後に移動して構えた。男はそれなりに大きさのある斧をおもいっきり振ったため体が傾いていた。今から戻すには遅すぎだ。イェーガーはそのまま、男に向かって突きを入れて男の体を貫通した………………………が、手応えが全く無かった。

なぜなら、

 

「「!!!?」」

 

男はイェーガーが突きを入れた場所に《夜》の炎のワープホールを作っていたのだ。それによりイェーガーの突きが男の体をすり抜けたのだ。

 

短距離瞬間移動(ショート・ワープ)を2回したな?こうすればお前はもう動けない」

 

男はイェーガーの腕を掴み、そう言った。

 

「くっ……離せ…!!」

 

男はイェーガーの腕を掴みながら回転して体をすり抜けさせながら腕を出した。そして、そのまま斧で斬りつけた。

 

「ぐぁぁあっっっ!!?」

 

イェーガーはその場に倒れた。意識はまだあったがもう戦える力は残っていないだろう。

 

「あとはお前だけたが……」

 

男はバミューダのほうへ向いてそう言うと……、

 

シュンッ

 

「お前は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よな?」

 

「くっ……!?」

 

バミューダのすぐそばに移動して、(トゥリニセッテ)の器を指してそう言った。図星だったバミューダは言葉が詰まった。すると、男はコートの懐から何かを取り出した。そして、それを……

 

ブスッ

 

「うっ………!!?」

 

バミューダに刺した。それは注射器だった。注射器の中には青とオレンジが混ざった色の炎だった。

 

「な、何だ……?ち、力が抜ける……?」

 

「………バミューダ…………」

 

バミューダはガクッと落ちた。

 

「あいつから借りた注射器にスロウスの《炎》が入っているからな。これでお前はまともに動けない」

 

男はそう言った。そして、通信機を取り出して、誰かに連絡を入れた。

 

『よう、誰だ』

 

「ルシフェル、俺だ」

 

『おう、お前か。連絡を入れたということは復讐者(ヴィンディチェ)たちは終わったのか?』

 

「ああ。今、終わった。これから、部下どもを呼んで運ぶところだが……、その前にお前らに並盛襲撃の許可を出そうと思ってな」

 

『それは助かるぜ。とりあえず、こっちも黒曜にいる六道骸からVG(ボンゴレギア)を1つ奪ってきたぜ』

 

「そうか」

 

『ああ、これから公園のベンチで寝てやがるスロウスを起こして並盛中学校へ向かうわ』

 

「わかった」

 

………それが気を失う前にイェーガーが聞いた言葉だった。次に目を覚ましたときにはバミューダも男も(トゥリニセッテ)の器もなかった。そこにいたのは自分を含めた倒れた仲間たちだけだった。




次回、《~追憶~ 黒曜VS大空の大罪&霧の大罪》

何か、感想があったらお願い致します。


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~追憶~ 黒曜VS大空の大罪&霧の大罪

今回、オリジナル炎の1つの詳細がわかります。

作者は心理学の知識がありませんので完全に想像です。


イェーガーの話を聞いてまた周りは静かになった。チェッカーフェイス、復讐者(ヴィンディチェ)たちの強さは自分たちが知っている。そんな連中をたった1人の人間が倒したのだ。それも無傷で……。

 

「………だから、テメーらは一般人の目の前で並盛が襲撃されても、来れなかったって訳か。一般人を傷つけてないからだと思ったが違ったのか」

 

「ああ、その通りだ。あの時、俺たちは動けなかったのだ……」

 

獄寺の質問にイェーガーは答えた。

 

チェッカーフェイスが話を進めた。

 

「それでは、次は六道骸君、君たちが話してくれないか?」

 

チェッカーフェイスの言葉に皆、納得した。イェーガーの話の中にルシフェルたちが黒曜で骸たちを襲ったことが出てきたから。

 

「クフフ、わかりました。では、話します……」

 

骸は少し顔をしかめながら話し始めた。

 

 

 

 

 

六道骸、城島犬、柿本千種、M・M、フランが根城にしている『黒曜ヘルシーランド』。そこにクロームや差し入れをするツナ以外の珍しい見知らぬ客人がきた。それは2人の男女だった。

 

「よく、こんな廃墟に住めるわね~」

 

()()()()よりはマシだろ」

 

「それもそうね~」

 

2人は話しながら入ってきた。

 

「ししょ~、誰か来ましたよ~」

 

「あいつら、誰なんらぴょん?」

 

「あの女の格好、何なの?」

 

「めんどくさそう……」

 

フラン、犬、M・M、千種が2人についていろいろ言っていた。

 

「クフフ、いったいどちらさまでしょうか?こんな場所に来るなんて……。度胸試し………というわけではないですね」

 

骸が2人に聞いた。

 

「ああ、自己紹介するよ。俺は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『大空の大罪』、ルシフェルだ、六道骸」

 

「同じく、『霧の大罪』、リリスよ」

 

ルシフェルとリリスは自己紹介した。

 

「『ロヴィーノ教団』?『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』?聞いたことありませんね」

 

「そりゃそうよ。()()()()で本格的に行動し始めたのは今日からなんだから」

 

「『この地球で』とはずいぶん大きな言い方をしましたね。……まぁ、それよりも新興グループですか。その新興グループが僕たちにいったい何の用ですか?」

 

骸は2人に目的を聞いた。

 

「俺たちの目的は六道骸、……お前のVG(ボンゴレギア)を頂くことだ」

 

ルシフェルの答えに骸は笑った。

 

「クフフ、僕のVG(ボンゴレギア)ですか。僕がそう簡単に渡すと思いですか?」

 

「いや、全く」

 

ルシフェルはそう言うとリングに《大空》の炎を灯して保存用匣に注入した。すると中からルシフェルの愛用の武器、《仕込みハルバード》が出てきた。

 

「クフフ、でしょうね」

 

骸たちも戦闘準備に入った。

 

骸は三叉槍を構えた。

 

「《コングチャンネル》」

 

犬は牙状のカートリッジを歯にはめ込み獣人化した。

 

千種はヘッジホッグを構えた。

 

M・Mはクラリネットを構えた。

 

フランは怠そうに構えた。

 

お互いに緊張感が高まっていざ、やろうとしたときだった。

 

「はい、ちょっと待った」

 

リリスが止めたのだ。

 

「何だよ、リリス……。これからってときに……」

 

ルシフェルがジト目でリリスを見た。

 

「あなたがやると、手を抜いて時間がかかってしまうじゃない」

 

「ああ?別にこんな奴らに本気出すこともねえだろ?」

 

「そりゃそうけど…。それとこれとは別よ!」

 

と2人は口論になった。一方の黒曜メンバーは

 

「ミーたち、嘗められてますねぇ~」

 

「ふざけるんじゃないわよ!!」

 

「ぶっ潰してやるぴょん」

 

「いいから、早く終わらせてシャワーを浴びたい」

 

4人はこう言っていた。しかし、骸は違うかった。

 

「ですが、気をつけなければなりません。あの2人、口論しているというのに全く隙がありません。復讐者(ヴィンディチェ)たちとやり合ったときの気持ちで行った方がいいかもしれません」

 

そう、骸の言う通りだった。2人は口論していても警戒は全く怠っていなかったのだ。骸がそう言うと4人は驚きながらも気を引き締めた。すると口論が終わったのかリリスが言った。

 

「とりあえず、私が最低3人やるわ」

 

「ちっ……。わかったよ……」

 

「クフフ、いったい何をするつもりですか?」

 

「こうするのよ♪」

 

パンッ

 

骸の質問にリリスは手拍子1つしながら返した。すると、

 

「「「っ!!?」」」

 

骸、犬、千種の3人の様子がおかしくなった。まるで何かに怯えているかのようだった。

 

「ちょっ、骸ちゃん?あなたたち、どうしたのよ!?」

 

「ししょ~、頭の房が心無しか萎れてますよ~」

 

フランの毒舌にも返そうとしない骸と他2人にM・Mとフランは困惑した。

 

「……や……め……て……」

 

「やめるんらぴょん!!!」

 

千種はヘッジホッグを放り投げて、膝をついた。犬もカートリッジを外して、頭を抱えて暴れ出した。

 

「……………………」

 

骸は黙ったまま、千種と同じように膝をついて、何かに耐えようとしていた。

 

「ちょっと、あんた!!骸ちゃんたちに何をしたのよ!!?」

 

M・Mは元凶であろうリリスに聞いた。

 

「彼らは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の痛みをもう一度味わってもらっているのよ♪」

 

「「!!?」」

 

リリスの言葉に2人は驚いた。

 

「エストラーネオファミリーでの人体実験、この3人にとって、トラウマだわ。人間、トラウマを乗り越えたって言う人はいるけど、実際はその時の痛みを忘れることで乗り越えたって思い込んでいるだけなのよ。だから、私がそれを全部思い出させてあげてるってわけ♪」

 

リリスの説明に2人は呆気にとられていた。

 

「ミーの知識だと、確かに幻術でトラウマを再現することができま~す。しかし、ししょ~たちのは再現とかそんなレベルじゃありませ~ん。これは完璧に現実(リアル)として受け取っていま~す。人のトラウマを知っているのはその人自身で~す。他人でしかない人がその人のトラウマを現実(リアル)にするなんてできるわけ………」

 

「できるんだよ。こいつの《色欲の炎》ならな」

 

「えっ?」

 

フランの言葉を遮ってルシフェルが言った。聞いたことのない言葉と一緒に……。

 

「《色欲の炎》?」

 

「ええ、私には《霧》以外に《大空》の波動が通っているのよ」

 

そう言って、リリスはリングに炎を灯した。中指のリングからは藍色の《霧》の炎、人差し指のリングからはオレンジ色の《大空》の炎が出てきた。

 

「その2つの炎を()()()の力で融合して、新しい炎《色欲の炎》が生まれるってわけ♪」

 

リリスがそう言うとリングの《霧》と《大空》の炎が消えて中指のリングから藍色とオレンジ色が混ざった炎が出てきた。これが《色欲の炎》らしい。

 

「《霧》の構築の幻術に加えて《大空》の調和によって自身と他人の境界線が無くなり、矛盾が無くなる。だから、トラウマを現実(リアル)にすることができたのよ♪」

 

《色欲の炎》初めて聞いた炎の存在に2人は恐怖した。骸は相変わらず膝をついて黙っていたが犬と千種は自傷行為を始めた。

 

「……そういえば、フラン。お前、ミーの知識がどうのこうの言っていたが……」

 

「はい?」

 

フランはルシフェルが急に言い出したことに困惑した。

 

「お前の知識でどこまで知っているんだ?全て知っているわけじゃないだろ?お前は全知全能の神じゃないんだから?それなのに、偉そうに自分が何でも知っているかのように言うなよ」

 

「えっ……?何なの、この人?……電波?」

 

急に何か言い出したルシフェルにフランは引いていた。しかし、M・Mはそんなことを気にせずにリリスに言った。

 

「………つまり、あなたを倒せば、骸ちゃんたちは正気に戻るっていうわけね……」

 

「その通りだけど、あなたにできるかしら?」

 

「できる、できないじゃない、やってやるわ!!!」

 

とM・Mはクラリネットを構えた。そして、吹こうとする……その前に、

 

シュルッ

 

ビュンッ

 

「あっ!私のクラリネット!!」

 

リリスが自分の武器の《棘付き鞭》でM・Mのクラリネットを奪った。

 

「意気込んでいたところ、ごめんなさいね。でも、あなたのクラリネットってたしか、特殊な音波を飛ばして、分子を振動させて沸騰させ、あげくのはてに対象物を爆発させる《バーニングビブラート》だったわね?さすがに喰らいたくないからね……。こうさせてもらうわ」

 

そう言ってリリスはクラリネットを地面に叩きつけて壊した。

 

「あっ…!?」

 

「さぁて。私の番、行かせてもらうわよ」

 

リリスは棘付き鞭を構えながら言った。

 

「うっ……」

 

「じゃあ、始めるわよ♪」

 

ビシッ

 

「キャアッ!」

 

ビシッビシッ

 

「……うっ……うっ……」

 

ビシッビシッビシッ

 

リリスは棘付き鞭でM・Mを叩きつけた。制服がどんどん破れていって傷もだんだん増えていく。マイペースなフランもこれはまずいと思って助けに行こうとしたが

 

「おっと、お前の相手は俺だ」

 

「うっ……!?」

 

ルシフェルにハルバードを突きつけられ行けなかった。M・Mとリリスのほうは……

 

「……うっ…………うっ……………うっ………」

 

最初よりも制服が破れて、肌が見えているところには血が流れていた。

 

「さぁて、これで終わりよ♪」

 

とリリスがM・Mに向かって最後の一撃と棘付き鞭を降り下ろしたときだった。

 

ジャキンッ

 

「「「「!!?」」」」

 

棘付き鞭がM・Mに当たる前に三叉槍に防がれたのだ。

 

「クフフ……」

 

不気味な笑い声と共に来た男の名は

 

「舞い戻ってきましたよ、輪廻の果てより……」

 

「………骸………ちゃ……ん……?」

 

「ししょ~~~~~~!!!」

 

六道骸




思ったより長くなったので今回はここまでです。

次回、
《~追憶~ 黒曜VS大空の大罪&霧の大罪 ラウンド2》


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~追憶~ 黒曜VS大空の大罪&霧の大罪 ラウンド2

リリスの棘付き鞭を防いだのは、リリスの幻術に捕らわれていたはずの骸だった。骸は棘付き鞭を弾いた。そして、リリスも1回距離を取った。

 

「……む…骸……ちゃ……ん……?」

 

「ええ、そうですよ」

 

M・Mの質問に骸は答えた。

 

「その頭の房、間違いなく師匠ですねぇ~。幻術の類いではありません。しかも、房が生き生きとしています」

 

「お黙りなさい」

 

「あっ……」

 

フランの毒舌に骸はフランの被り物のリンゴに三叉槍を突き立てた。

 

「ふーん。自力で脱出できたんだ…」

 

リリスが骸に向かってそう言った。

 

「ええ、なかなか高度なものでした。おかげさまで僕でも時間がかかりました」

 

「もっと、早く来てくださいよ~。この変態パイナッポー!」

 

「お黙りなさい」

 

「あっ」

 

と再びフランは骸に突き立てられた。

 

「………さすがはエストラーネオファミリーを壊滅させた男ってかしら……。あなたは真の意味でトラウマを克服しているみたいね……。……あの2人がいつの間にか気絶して、幻術を受け付けないようにしたのもあなたの仕業ね」

 

リリスの視線の先には自傷行為を止めて気絶していた犬と千種がいた。

 

「クフフ、その通りです。僕はあの幻術から脱出したあと、まず先に2人を眠らせました」

 

そう言って、骸はM・Mに近づいて言った。

 

「遅れて申し訳ありません。あとは僕に任せてください」

 

「………うん……」

 

そう言って、M・Mは気を失った。骸は立ち上がってルシフェルとリリスのほうに向いた。

 

「………どうやら、思ったよりも手強いですね。僕も本気で行きますか。………舞え、《ムクロウ》」

 

骸は『ボンゴレギア 霧のイヤリングVer.X』から『霧フクロウ(グーフォ・ディ・ネッビア)Ver.X』のムクロウを呼び出した。

 

形態変化(カンビオ・フォルマ)

 

骸がそう言うとムクロウは三叉槍と合体して、先端に無数の刃がある錫杖に変わった。

 

「フラン。気を引き締めて行きなさい。………あの2人は強い……。下手すれば、イェーガー以上だと思いなさい………」

 

骸の言葉にフランは驚いた。

 

「……えっ……………?ししょ~、そんな大げさな~」

 

「大げさなんかではありません。あのリリスという人物はこの僕を短い時間とはいえ、強力な幻術に嵌めたのです。それから、あのルシフェルという人物はおそらく、リリスよりもはるかに強いと思われます」

 

骸の言葉でフランは恐怖のあまりに青リンゴになってしまった。

 

「《色欲の炎》……。とてつもなく恐ろしい炎です。その炎があれば《有幻覚》の弱点である『実体以上の力は出ない』というのが無くなるというわけです」

 

「ふふっ、察しがいいわね♪その通りよ♪私の有幻覚は実体以上の力を出すことができるわ」

 

「それにルシフェルにも僕たちの()()()()()があるかもしれません。ヴェルデ博士の装置を使うべきでしょう」

 

「りょ……了解でーす」

 

骸とフランは虹の代理戦争でヴェルデが作った『幻術を実体化する装置』を手に嵌めた。

 

「フラン、君はサポートをお願いします」

 

「了解でーす」

 

「それなら、六道骸は俺がやる。リリス、お前がサポートしろ」

 

「はいはい、わかったよ……」

 

4人はそれぞれ構えた。そして、今、第2ラウンドが始まる。

 

ジャキンッ

 

骸の錫杖とルシフェルのハルバードが交わった。骸は右目の六の字を四に変えて、右目に《霧》の炎を灯して、戦闘能力向上の《修羅道》でルシフェルに向かった。

 

ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ

 

錫杖とハルバードが交差している中、

 

「はっ!!」

 

フランがリンゴ型の爆弾をルシフェルに投げつけた。しかし、

 

バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ

 

ドカ、ドカ、ドカ、ドカ、ドカーン

 

リリスが地面から出した巨大な蔓の有幻覚で爆弾を全て弾いた。

 

ジャキンッ

 

「なかなか、やりますね」

 

「お前もな」

 

今度は骸は右目の字を一に変えて、ルシフェルの下から《地獄道》によって生まれた上にヴェルデの装置によって実体化した火柱がルシフェルを襲った。

 

ルシフェルはジャンプして空中で体勢を変えて頭が下に向くようにして、手甲から《雨》の炎を出して、ハルバードに炎を纏わせて回して、《雨》の炎の鎮静により火柱を抑えた。そして、

 

カチンッ

 

リリスの幻術により凍らせた。

 

そして、再び、

 

ジャキンッ

 

骸とルシフェルがぶつかった。何度かのぶつかり合いの内にルシフェルが急に首を横に傾けた。すると、

 

「!!?」

 

傾けたと同時にルシフェルの頭があった場所の後ろから棘付き鞭が襲ってきた。

 

ガンッ

 

棘付き鞭が骸の顔に当たる前にフランが鋼鉄のカバーで守った。骸は後ろに下がってリリスに言った。

 

「……教団ともあろうものが、まさか、()()()()()()()()()()なんて……。クフフ、おかしな話ですね」

 

そう、今のリリスの攻撃は一瞬でもルシフェルが首を横に傾けるのが遅れたら、棘付き鞭に貫かれていたのだ。しかし、攻撃をしたリリスも攻撃を受けそうになったルシフェルもなんでもないように答えた。

 

「別に、それがどうしたの?」

 

「俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ。もし、今ので俺が殺されたとしても、それは俺の実力が足りなかっただけの話だ」

 

「クフフ、僕が言うのも何ですがあなたがた、イカれていますね」

 

「本当にししょ~が言うのも何なんだって話ですねぇ~」

 

「お黙りなさい。それよりもおかしいですね」

 

「何がだ?」

 

「あなたがたは新興グループだったはずです。それなのに、まるで今までも活動していたのような言い方ですね」

 

そう、先程リリスはこう言っていたのだ。

 

『そりゃそうよ。()()()()で本格的に行動し始めたのは今日からなんだから』

 

しかし、ルシフェルが言っていた言葉

 

『俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ』

 

確かに矛盾を感じる。しかし、2人はこう言った。

 

「ふふっ、さぁ?自分で考えてみたらどうかしら?一応、言っておくけど、私たちは嘘は言ってないわよ」

 

「今は、そんな場合じゃないだろ?」

 

骸の疑問に2人は答えなかった。

 

「クフフ、確かにそうですね。今は、戦闘中でしたね」

 

そう言うと骸は、

 

ダッ

 

走り出して、再び《修羅道》に入って攻撃した。しかし、先程と違って錫杖の刃を伸ばしたり、縮んだりしての無差別攻撃だった。どうやら、1人でルシフェルとリリスの2人を相手にするつもりだ。2人は骸の無茶苦茶な無差別攻撃をハルバードと棘付き鞭で捌いていた。それが続くと骸の隙を見つけたルシフェルがハルバードで斬りつけた。斬りつけられた骸は血を噴き出して倒れる…………筈だった。

 

「「!!?」」

 

斬りつけられた骸が霧となって消えたのだ。

 

「これは幻術!?」

 

「本物はどこだ!?」

 

2人は本物を探すとそこには

 

「どうやら、時間を稼ぐことに成功したようですねぇ~」

 

「ええ、そうですね」

 

大技の準備が完了していた骸とフランがいた。

 

「行きますよ、フラン」

 

「了解でーす」

 

「「《限現幻獣(げんじゅう) 喰骸鴉(ががいあ)》!!」」

 

2人は奥義を放った。クロームとの《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》よりは威力が落ちるが従来のそれよりは威力がかなり高い。

 

たくさんの鴉がルシフェルとリリスの周りを群がって襲って、そして………、

 

ドカーン

 

大爆発が起きた。これで終わったと2人は思った。しかし………、

 

ビュンッ

 

「「!!!?」」

 

粉塵が吹き飛んだ。そこにいたのは、

 

大量の有幻覚の茨に守られていたリリスと

 

斧の部分から《大空》の炎が伸びてまるで大鎌みたいになったハルバードを振り回していたルシフェルだった。

 

そんな2人の共通点はどちらも()()()()()

 

「なっ!!?」

 

「そんな馬鹿な~~!!?」

 

2人は驚いていた。しかし、それで終わらなかった。

 

シュンッ

 

「「!!!?」」

 

2人の目の前にルシフェルが現れた。そして、そのまま………

 

ザシュッ、ザシュッ

 

「グハッ……!!?」

 

「ギャーーッス!!?」

 

2人を斬りつけた。

 

ドサッ、ドサッ

 

2人はそのまま倒れた。2人から血が流れていた。

 

「今度こそ、幻術をやったわけではないな」

 

「そのようね」

 

「ググッ………」

 

フランは気を失っていたが骸はまだ意識が残っていた。しかし、指1本動かすことさえ難しそうだった。

 

「さて、じゃあ、頂くとしますか」

 

「くっ……」

 

ルシフェルがVG(ボンゴレギア)を奪おうとするのを抵抗する力も無かった。

 

ピーッ、ピーッ

 

「ん?通信機が鳴っている」

 

ピッ

 

「よう、誰だ」

 

『ルシフェル、俺だ』

 

「おう、お前か。連絡を入れたということは復讐者(ヴィンディチェ)たちは終わったのか?」

 

『ああ。今、終わった。これから、部下どもを呼んで運ぶところだが……、その前にお前らに並盛襲撃の許可を出そうと思ってな』

 

「それは助かるぜ。とりあえず、こっちも黒曜にいる六道骸からVG(ボンゴレギア)を1つ奪ってきたぜ」

 

『そうか』

 

「ああ、これから公園のベンチで寝てやがるスロウスを起こして並盛中学校へ向かうわ」

 

『わかった』

 

ピッ

 

ルシフェルと通信機の向こうの男の会話を聞いて骸は

 

(復讐者(ヴィンディチェ)まで襲ったのか!!?)

 

と思った。しかし、骸がそう思っているのをよそにルシフェルとリリスは話し合っていた。

 

「さすがは彼ね」

 

「ああ、そうだな。それなら、俺たちは並盛に向かうぞ」

 

「そうね。それにスロウスを起こさなくちゃいけないし」

 

そう言って2人は骸たちに目もくれずに出ていった。そんな2人を骸は見ていることしかできなかった。




次回は新しい《大罪の7人》が登場します。


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~追憶~ もう一人の憤怒

骸たちの話を聞いて、獄寺たちが一番驚いたことは……

 

「《色欲の炎》…………」

 

「あの女、そんな炎を持っていやがったのか……!?」

 

リリスの持つ炎《色欲の炎》に関してだった。未知の炎に様々な感情があった。

 

「ルシフェルとスロウスにもおそらく彼らだけの炎があると考えていたほうがいいでしょ……」

 

「僕たちが気絶したのも僕らの知らない炎のせいかな……」

 

「おそらく、そうだろう………」

 

皆、それぞれの意見を出していた。そんな中、チェッカーフェイスが次に進めた。

 

「それでは、次はボンゴレにシモンの諸君、君たちの番だ」

 

「わかった……」

 

そして、獄寺たちは知らない人のために話した。

 

授業中に雲雀が吹っ飛ばされてきてルシフェルがやって来たこと。

ルシフェルと戦ったこと。

ルシフェルに敗れたこと。

リリスとスロウスが来たこと。

リボーンが囚われていたこと。

京子とハルが人質に取られていたこと。

急に怠くなって気を失ったこと。

気づいたらツナとリボーンとVG(ボンゴレギア)が奪われたこと。

 

それらを全て話した。

 

獄寺たちが話終わると

 

「オメーら、13人もいて、何負けてるんらぴょん!!」

 

「そうよ!情けないわね!!」

 

犬とM・Mが突っ掛かって来た。

 

「なんだと、テメーら!!」

 

「結局、負けたのはお前たちも同じはずだ!!」

 

獄寺や紅葉などの血の気が多い連中が返した。

 

「犬、M・M、落ちつきなさい」

 

そんな中、骸が言った。

 

「実際、僕も彼と戦ったので、わかります。彼はとてつもなく強い……。彼らが負けるのも無理ありません」

 

「骸しゃん……」

 

「……わかったわよ」

 

そう言って2人は落ち着いた。

 

「君たちも落ちつこうか。今はお互いに争っている場合ではない」

 

チェッカーフェイスが獄寺たちにそう言った。

 

「……チッ…。……わかったよ」

 

「……すまない」

 

こちらも落ち着いたようだ。落ち着いたとたんに山本がスクアーロとルッスーリアに向かって口を開いた。

 

「そういえば、ずっと気になってたのだけどX()A()N()X()U()S()()()()()()()?」

 

ヴァリアーのボス、XANXUS、彼がここにいないのが山本は疑問だった。彼の性格の問題かもしれないけどそれでも、疑問は疑問だった。

 

「「……!?」」

 

スクアーロとルッスーリアは少し顔を青ざめていた。

 

「ゔぉおおおおい……。今は、そいつのことを言うな……」

 

「今、ボス、機嫌悪いのよ~~……」

 

「機嫌悪い?」

 

「まぁ、マーモンが連れていかれたってことは、負けたってことだから、機嫌も悪くなるな……」

 

周りはそれで納得したけど、ルッスーリアは続けた。

 

「それもあるのだけど………」

 

「まだ、あるのか?」

 

「ええ、実は……」

 

そして、ルッスーリアは言った。

 

「……ボスと同じ、()()()()()()()()()()()()のよ~~……」

 

『なっ……!!?』

 

獄寺たちは驚いた。

 

「ふむっ……、それなら、次はヴァリアーの諸君、君たちが話してくれないか」

 

チェッカーフェイスはスクアーロたちに話をするように言った。

 

「わかったぜぇぇぇ……」

 

「わかったわ~~……」

 

そして、スクアーロたちは話し始めた。

 

 

 

 

ボンゴレ独立暗殺部隊、ヴァリアーの本部、そこのとある部屋にいたのは、スクアーロ、ルッスーリア以外だと、

 

《嵐》の守護者、《切り裂き王子(プリンス・ザ・リッパー)》ことベルフェゴール。

 

《雷》の守護者、レヴィ・ア・タン。

 

《霧》の守護者で元《霧》のアルコバレーノ、バイパーことマーモン。

 

そして、ヴァリアーのボス、XANXUS。

 

いつも通りの騒々しい日々を過ごしていた。そんなある日、

 

「た、大変です」

 

急に下っぱがノックもなしに部屋に入って来たのだ。

 

「ゔぉおおおおい!!何なんだ、テメー!!?」

 

「シシッ、何の用なの?」

 

「貴様、ボスがおられるのに、ノックもないとは何事だ!!」

 

幹部たちに色々と言われ、少し怖じ気づいた下っぱだったがそれでも、報告した。

 

「し、侵入者です!ヴァリアー本部に侵入者が入りました!!」

 

「侵入者だとぉぉぉ……!?」

 

「このヴァリアー本部にかしら~~?」

 

「そいつ、馬鹿なの?」

 

「シシッ、自殺志願者?」

 

「フン、愚かな…」

 

幹部たちは次々にそう言った。

 

「んで?そいつはどこなの?」

 

「そ、それは……」

 

ベルの質問に下っぱが答えようとすると……

 

ドカーーーン

 

「ぐあっ……!!!?」

 

『!!!?』

 

急に扉が爆発して、下っぱはそれに巻き込まれた。全員、警戒した。粉塵が晴れるとそこには……

 

「やっと、見つけたぞーーーー!!!!」

 

ワインレッドのジャケットを着た銀髪の髪をドレッドヘアーにして、顎髭が生えた、色黒の筋骨隆々の30代の2メートル越えの巨漢の男だった。男の右手の中指には赤い石がはまっている指輪、人差し指にはオレンジ色の石がはまっている指輪があった。そして、男の首にはロケットが下げられていた。男は怒号をあげながら部屋に入って来た。

 

「テメーが侵入者かぁぁぁ……」

 

「あら、いい筋肉じゃない~~」

 

「シシッ、オカマに気に入られてやんの」

 

「……同情するよ……」

 

「自らやってくるとは愚かな」

 

と幹部たちは言った。そして、

 

「……おい」

 

この男、XANXUSが言った。

 

「いったい、何の用だ、ドカスが……」

 

すると、男は言った。

 

「俺は、『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『嵐の大罪』、《ジャバウォック》だーーーー!!!!」

 

男、ジャバウォックは聞かれてもないことを怒号で言って、

 

「俺の目的は、テメーを頂くことだーーーー!!!!」

 

マーモンを指して、これはまた、怒号で言った。

 

「えっ?僕?」

 

マーモンは驚いた。

 

「シシッ、何でマーモンを頂こうとするんだ?」

 

ベルはジャバウォックに聞いた。

 

「俺たちは()()()()()()()()共を回収しているんだーーーー!!!!」

 

「元アルコバレーノ?ってことはマヌケチビたちも狙っていること?」

 

「ああ、そうだーーーー!!!!」

 

「ゔぉおおおおい!!!!つか、テメー、さっきからうるせえぞーーーー!!!!」

 

スクアーロが怒号をあげ続けるジャバウォックに大声で怒鳴った。すると、

 

ガシャンッ

 

「グハッ!!!?」

 

スクアーロはXANXUSが投げた机とぶつかった。スクアーロはすぐに起き上がって言った。

 

「このクソボスーー!!テメー、何しやがるんだーーー!!!」

 

「うっせえ。カス鮫……」

 

「うるさいのはあいつだろうがぁぁぁーーー!!!」

 

「嫌、どっちもどっちよ……」

 

「うるさすぎでしょ……」

 

「耳の鼓膜が破れるかと思ったよ……」

 

「貴様ら!!少しはボリュームを下げろ!!!」

 

と皆から責められるスクアーロだった。

 

「テメーら!!俺のことを無視してんじゃねえぇぇぇーーーー!!!!」

 

ジャバウォックはそう言って、匣を取り出して、中指のリングに《嵐》の炎を灯して、匣に差し込み中から武器を取り出した。ジャバウォックの武器は自分の身長ぐらいの大きさがある鎖に繋がれた《錨》だった。ジャバウォックは鎖を持って錨をXANXUSたちに振り回した。

 

XANXUSたちはそれをかわした。XANXUSたちが居たところには巨大な穴ができた。

 

「テメー、怒りながら、錨を振り回すんじゃねえぇぇぇーーーー!!!!」

 

とスクアーロはジャバウォックに怒鳴った。すると、

 

()()()ながら()()()を振り回すなって……」

 

「寒いオヤジキャグ言わないでよ……、スクアーロ……」

 

「オヤジはこのムッツリだけで十分だっつーの」

 

「うむ……。ん?俺は関係無いだろうがーー!!?」

 

「テメーら、さっきからうるせえぞーーーー!!!!」

 

また、皆から責められるスクアーロだった。

 

「だから、俺を無視してんじゃねえって言ってんだろうがーーーー!!!!俺の目的はテメーをぶっ潰すことでもあるんだからなぁぁぁーーーー!!!!」

 

と怒号をあげながらジャバウォックが指したのはXANXUSだった。

 

「フン、俺をぶっ潰すだと?ドカスが……」

 

「ああぁぁぁ、俺はテメーが気にくわねえぇぇぇ。()()()を持つ者としてなぁぁぁーーーー!!!!」

 

そう言って、ジャバウォックはリングにある炎を灯した。

 

『!!!?』

 

ヴァリアーの皆は驚いた。XANXUSですら目を見開いた。

 

ジャバウォックが灯した炎はXANXUSのよりは赤いが、紛れもなく《憤怒の炎》だった。

 

「何度も言うが俺は同じ炎を持つテメーが気にくわねえぇぇぇ。だから、ぶっ潰すっ!!!!」

 

ジャバウォックがそう言うと、

 

「……奇遇だな」

 

そう言って、XANXUSは掌に自分のオレンジ色の《憤怒の炎》を出した。

 

「俺もテメーをかっ消してぇと思っていたところだ……」




次回、《~追憶~ ヴァリアーVS嵐の大罪》


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~追憶~ ヴァリアーVS嵐の大罪

向かい合った2人の《憤怒の炎》の使い手、XANXUSとジャバウォック。XANXUSの後ろでは幹部たちも戦闘準備をしていた。

 

そして……、

 

「かっ消す!!!」

 

「おりゃあぁぁーーーー!!!!」

 

始まった。

 

ドカーーーーン

 

2人が放った《憤怒の炎》ぶつかり、大爆発が起きて、粉塵が舞い上がった。粉塵の中からジャバウォックが振り回した錨が飛んできた。XANXUSたちはそれをかわした。XANXUSは懐から自分の愛用のXの文字が入った2丁拳銃を取り出して、ジャバウォックに向けて撃った。

 

バーン、バーン、バーン、バーン

 

ジャバウォックは鎖を引っ張って錨を戻して撃ってきたところを円になるように振り回して……、

 

ビュンッ、ビュンッ、ビュンッ、ビュンッ

 

ドカン、ドカン、ドカン、ドカン

 

全てを弾き止めた。今度はジャバウォックが錨に《憤怒の炎》を纏わせてXANXUSに飛ばした。XANXUSは床に向けて撃って空中へ移動した。

 

「隙だらけわよ~ん♪」

 

「シシッ、大チャンス♪」

 

「これで、終わりだ!!!」

 

ルッスーリア、ベル、レヴィは隙ができたジャバウォックに攻撃した。

 

「《太陽膝(ジノッキアータ・ソラーレ)》!!」

 

「《紅蓮の炎(フィアンマ・スカルラッタ)》!!」

 

「《電気刺し(アッフォンド・フールミネ)》!!」

 

3人の大技がジャバウォックに当たる……その前に、

 

シュンッ

 

「「「!!?」」」

 

ジャバウォックが見た目に合わない速さでかわした。そして、

 

「おらぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックが3人に向けて錨を飛ばした。

 

「「「がっ………」」」

 

錨は3人に直撃して、吹っ飛ばされた。

 

ガシャーン

 

ガシャーン

 

ガシャーン

 

「レヴィ、ルッスーリア!!」

 

「ベル!!」

 

スクアーロとマーモンは3人の身を案じた。3人は命に別状は無かったが気絶して戦えることができなくなった。

 

「たった一撃で……」

 

マーモンは言葉を失った。しかし、そんなことは関係無いと

 

バーン、バーン、バーン

 

XANXUSは狙撃を続けた。そして、それをジャバウォックが……

 

ビュンッ、ビュンッ、ビュンッ

 

ドカン、ドカン、ドカン

 

錨で振り払った。そんなのが何度も続いた。すると、突如、XANXUSたちが増えた。そのうえ、

 

グラリッ

 

景色が歪んだ。

 

「チッ、幻術かぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは叫んだ。ジャバウォックは錨を振り回して、増えたXANXUSたちに当てていった。しかし、どれも、マーモンの作った幻術だった。すると、

 

「僕の作った幻術空間はどう?」

 

と声がした。

 

「ふざけやがってーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは時折に飛んでくる砲撃やスクアーロの爆弾を全て弾いているが少しずつ押されていった。

 

「もう、我慢ならねえーーーー!!!!」

 

とジャバウォックは錨をまるでツルハシを持つようにして

 

「《怒りの鉄槌(マルテーロ・ディーラ)》!!!!」

 

地面に打ち付けた。すると

 

ドカーーーーン

 

大爆発が起きた。その大爆発によってマーモンの作った幻術空間が一気に壊れた。

 

「!?嘘でしょ!!?」

 

マーモンは驚いた。しかし、それで終わらなかった。

 

シュンッ

 

「!!?」

 

マーモンのすぐそばにジャバウォックが移動して、錨を構えていた。そして、

 

「おりゃあぁぁーーーー!!!!」

 

「ギャッ!!!?」

 

錨で直接、マーモンを殴り付けた。

 

ドカーン

 

「マーモン!!!?」

 

マーモンの様子は先程のルッスーリアたちと同様生きていたが3人よりも重傷だった。そもそも、術者は身体的ダメージに弱いために尚更だ。

 

これで残りはXANXUSとスクアーロの2人だけだ。

 

「……ベスター」

 

XANXUSは匣に《大空》の炎と《憤怒の炎》を注入して、《(アルマ)(トゥー)(ラ・デ)(ィ・プラ)(ティノ・)(リグレ・)(テンペス)(タ・デ)(ィ・チ)(ェーリ)》のベスターを呼び出した。

 

形態変化(カンビオ・フォルマ)……」

 

そう言うとベスターがXANXUSの銃と合体して、

 

「《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》」

 

Xの文字の部分にベスターの顔がついた銃になった。そして、強化した銃を使って、

 

バーン

 

XANXUSが飛んで、ジャバウォックの上空の周りを飛行していた。そして、

 

「《炎の蕾(ボッチョーロ・ディ・フィアンマ)》!!」

 

ジャバウォックに向けて砲撃した。

 

ジャバウォックは錨を振り回して鎖のドームを作って防いだ。

 

「ゔぉおおおおい!!これならどうだ!!!《鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)》!!!」

 

スクアーロは剣を高速に振るいながら床を抉ってジャバウォックに特攻を仕掛けた。ジャバウォックは振り回していた錨をその勢いを利用してスクアーロに向けて飛ばして言った。

 

「《憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)》!!!!」

 

《憤怒の炎》を纏った錨が真っ直ぐスクアーロへと向かった。そして……、

 

ガキンッ

 

ぶつかった。しかし……、

 

「ぐあっ………」

 

力が拮抗するまでもなく、スクアーロが押し負けて飛ばされた。先程までXANXUSの《炎の蕾(ボッチョーロ・ディ・フィアンマ)》を防ぐために振り回していた錨。その勢いをそのまま使って真っ直ぐに飛ばしたため、貫通力が上がったのだ。

 

「ぐっ……。クソぉぉぉ……」

 

スクアーロは意識があったが、もう戦える余力は無かった。

 

「チッ、役立たず共が!」

 

XANXUSは敗北したスクアーロたちに悪態を吐いた。

 

「フン、テメーもその役立たず共の1人に入るんだぜーーーー!!!!」

 

とジャバウォックは《憤怒の炎》を纏った錨を振り回していた。

 

「あん?」

 

その言葉にXANXUSにキレた。XANXUSは銃を構えて《憤怒の炎》を込めた。

 

その場にはジャバウォックの錨を振り回す音しか聞こえなかった。そして、ついに……

 

「《決別の一撃(コルポ・ダッディオ)》!!」

 

「《憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)》!!!!」

 

銃弾と錨がぶつかった。2人共、全力の一撃だった。そして、

 

ドカーーーーーーン

 

大爆発した。大爆発は2人を巻き込んだ。

 

「クソッ!どうなったぁぁぁ」

 

粉塵で見えなくなったことにスクアーロは勝負の行方が気になった。そして、しばらく経って粉塵が晴れた。そこには、

 

「!!!?」

 

倒れたXANXUSと立っていたジャバウォックだった。しかも、ジャバウォックはジャケットがボロボロになっていて、全体的に煤だらけだったが()()()()()()()()()()()()

 

「こ……この、……ド……カス………が」

 

「そのドカスにテメーは負けたんだぁぁぁーーーー!!!!」

 

悔しそうにしているXANXUSにジャバウォックは言った。

 

「……嘘………だ…………ろ………」

 

スクアーロは驚いて言葉が出なかった。XANXUSが負けたこと、ジャバウォックに怪我らしい怪我が無かったことなど、それら全てが信じられなかった。

 

「俺は元々、頑丈なんだぁぁぁーーーー!!!!」

 

どうやら、純粋にジャバウォックはタフのようだった。

 

「じゃあぁぁぁ、こいつは頂いていくぜぇぇぇーーーー!!!!」

 

そう言って、ジャバウォックは錨を匣に直し、重傷で気を失っていたマーモンを片手に持って部屋を出ていった。XANXUSとスクアーロはそんなジャバウォックを見ていることしかできなかった。



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~追憶~ CEDEFVS雲の大罪

今回、完全に独自解釈がありますがご了承ください。

あと、今回はいつもより長いです。


スクアーロとルッスーリアの話が終わった。新たな《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》についての話は皆に大きな衝撃を与えた。

 

「あの後、あのクソボスは荒れまくっていたぜぇぇぇ……」

 

「レヴィとベルに任せたけど大丈夫かしら~~?」

 

おそらく、大丈夫じゃないだろう、皆はそう思ったが口に出さなかった。

 

「それにしても、《憤怒の炎》が使えるやつが居るとはな………」

 

「おそらく、それがリリスの《色欲の炎》にあたる炎でしょう」

 

とジャバウォックのことを多少話すと

 

「それでは、次は誰が話そうか?」

 

チェッカーフェイスはそう言った。残っているのはバジルのCEDEFとγ、桔梗のミルフィオーレについてだった。どっちを話させるか悩んでいると

 

「ちょっと、いいか?」

 

「何かね?笹川了平君」

 

了平が質問をしてきた。

 

「ジャバウォックとやらは元アルコバレーノたちを狙ったと言っていたな」

 

「「!?」」

 

「ええ、言っていたわよ~」

 

「ああ、テメーの言いてえことがわかったぜぇぇぇ。俺たちも気になっていたところだからなぁぁぁ」

 

「うむ、それが本当なら……、何故コロネロ師匠は無事なんだ?それから、何故ラル・ミルチが連れて行かれているのだ?」

 

「………」

 

「くっ………」

 

そう、スクアーロたちの話ではジャバウォックは言っていた。

 

『俺たちは元アルコバレーノ共を回収しているんだーーーー!!!!』

 

それなのに、同じ元アルコバレーノなのに、なりそこないだったラルが連れて行かれて、れっきとしたアルコバレーノだったコロネロが残っている。これは矛盾している。

 

「ふむ、実をいうと私も気になっていたのだ。コロネロ君、これはいったいどういうことかな?」

 

「…………」

 

チェッカーフェイスの質問にコロネロは黙ったままだった。

 

「コロネロ師匠、いったいどうしたんだ!」

 

「コロネロ君、これは大事なことなんだ。言ってくれないかな?」

 

「…………」

 

「コロネロ殿……」

 

それでも、コロネロは黙っていて、事情を知っている感じであるバジルがコロネロを心配そうに見ていると

 

「クソッ………!!」

 

バンッ

 

コロネロが急に机を叩いた。

 

「コロネロ師匠……?」

 

「すまねえ……。迷惑をかけたぜ、コラ」

 

コロネロはどうやら、落ち着いたようだった。

 

「ふむ。たしか、コロネロ君は当時にCEDEFにいたのだな。それなら、コロネロ君にバジル君、君たちのことを聞かせてもらえるかな?」

 

「わかったぜ、コラ」

 

「わかりました」

 

そう言って、2人は話し始めた。

 

 

 

 

 

イタリアにある、とある一般企業、その正体はボンゴレファミリー門外顧問チーム《CEDEF》。そこの社長室に4人の人物がいた。

 

ツナの父であり、ボンゴレの実質No.2、CEDEFのトップ、沢田家光。

 

家光の部下、本名はバジリコン、バジル

 

同じく、家光の部下でコロネロの元上官であり婚約者である、元アルコバレーノのなりそこないだった、ラル・ミルチ。

 

そして、マフィアランドでの仕事は休暇のため、遊びに来ていた元《雨》のアルコバレーノ、コロネロ。

 

今は昼休みのため、4人は談笑していた。

 

「しかし、お二人さんはいつになったら結婚するんだ?」

 

家光がコロネロとラルにそう言った。

 

「そうですよ。数ヶ月前にお二方が結婚すると聞いたと思ったら、喧嘩で結局、中止になったきりではないですか!」

 

バジルにそう言われ、コロネロとラルはばつが悪い顔をした。

 

「いや………、それは………」

 

「まぁ、今は恋人として過ごすってことで……、コラ」

 

とコロネロが誤魔化した。

 

「そっか、それなら、恋人としてなら今はどうなんだ?」

 

家光がそう聞いた。

 

「それは順調だぜ。この間、一緒にデートした時とかよかったぜ、コラ!」

 

とコロネロが惚気出した。それにラルは顔を真っ赤にしていた。

 

コロネロとラルのデート、ラルが呪いが完全に解けたことで大人の姿になったため2人が並ぶと恋人というよりも親子に見えるが、まぁ、それは置いておこう。

 

「いいね~。俺も奈々とは若い頃よくデートしたな~」

 

と家光も惚気出した。

 

「それなら、里帰りはちゃんとしたらどうだ?それでなくとも連絡の1つや2つはしたらどうだ?沢田には只でさえ疎まれているんだからな」

 

「うっ……。ラル、キツイこと言ってくれるな」

 

といった感じで談笑が続いていた。そんな時だった……、

 

ドカーーーン

 

『!!!?』

 

急に扉が破られて何か部屋に飛んできた。

 

「オレガノ!?ターメリック!?」

 

飛んできたのは家光の部下であるオレガノとターメリックだった。

 

「どうしたんだ!?2人共!?」

 

家光は2人に駆け寄って声をかけた。

 

「……お……親方……様……」

 

「……し……侵入……者……です……」

 

2人はそう答えて気を失った。

 

「侵入者だと!?」

 

「いったい、何者なんだ、コラ!?」

 

コロネロたちは警戒をした。すると、

 

「あ、ここにいたんだ」

 

そう言って、中に入って来たのは、ブカブカの上の服に短パンを着た紫色の髪をした10歳ぐらいの少年だった。

 

「お前が侵入者か?」

 

家光は少年に聞いた。

 

「うん。僕は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『雲の大罪』、《ベルゼブブ》だよ」

 

少年、ベルゼブブは自らのことをそう名乗った。

 

「《ロヴィーノ教団》?」

 

「聞いたことがないぞ、コラ!」

 

「いったい、何の組織でしょうか?」

 

コロネロたちはそんなことを言っていた。

 

「お前の目的は何だ?」

 

家光はベルゼブブに目的を聞いた。

 

「僕の目的?僕の目的は元アルコバレーノの回収だよ」

 

ベルゼブブは答えた。

 

「元アルコバレーノの回収だと!?」

 

「つまり、貴様の狙いはコロネロか!?」

 

とラルが言うと

 

「あ、違うよ。僕の狙いは君だよ」

 

とベルゼブブは指を指した。その時に袖で隠れていた中指には紫色の石がはまっている指輪、人差し指にはオレンジ色の石がはまっている指輪があったが、それよりもベルゼブブが指を指した先には……

 

「ラルだと、コラ……!!?」

 

ラルだった。その場にいた全員が驚いた。なぜなら、

 

「確かに、俺もなりそこないとはいえ元アルコバレーノの1人だ……。だが、何故俺なんだ?」

 

そう、なりそこないだったラルが狙われて、正式だったコロネロが狙われない、その事に疑問だった。その疑問にベルゼブブは答えた。

 

「僕たちが欲しいのは《選ばれし7人(イ・プレシェル・ティ・セッテ)》なんだ。つまり、《ラル・ミルチ》、《リボーン》、《風》、《マーモン》、《スカル》、《ヴェルデ》、《ルーチェ》。まぁ、ルーチェはもういないから代わりに《ユニ》。その7人なんだよ。そうじゃないのはいらないよ」

 

いらないという言葉にコロネロは多少のショックがあった。しかし、コロネロは挫けなかった。

 

「テメーにラルは連れて行かせねえぞ、コラ!!」

 

「コロネロ!?」

 

コロネロはそう言ってライフルを構えた。そして、

 

バーン

 

撃った。相手は子供だが襲撃してきた以上遠慮はいらなかった。弾丸がベルゼブブに当たると思った時だった。

 

シュルッ

 

ガンッ

 

「「「「!!!?」」」」

 

4人は驚いた。ベルゼブブの腰から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「おぬしのそれはいったい……」

 

バジルは現れた大蛇を指で指しながら言った。

 

「こいつ?こいつは《大蛇丸》。昔、人体実験で付けられたんだ。」

 

「人体実験、骸たちと同じ……」

 

「うん、そうだよ。でもエストラーネオファミリーじゃないけどね。それに憎んでないしね」

 

「憎んでないだと……?」

 

「うん、むしろ、感謝しているんだ。僕にこんな力をくれたことにね。まぁ、その組織は僕が壊滅させたけどね」

 

平然に言うベルゼブブに4人は思った。イカれていると。

 

「それよりも早く終わらせよう。お腹すいたし」

 

とベルゼブブが言ったのを聞いて家光たちは戦闘準備した。家光は額から《大空》の炎を灯し、バジルは刀兼用のブーメラン兵器《メタルエッジ》を構えて、ラルはショットガンを構えて、コロネロは先程のライフルを構えた。

 

まずは、家光がベルゼブブに殴りかかった。しかし、

 

ガンッ

 

また、大蛇丸の胴体によって防がれた。次に大蛇丸が家光に噛みつこうとした。それを家光はかわした。

 

バーン、バーン、バーン

 

バンッ、バンッ、バンッ

 

コロネロとラルがベルゼブブに狙撃したが

 

ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ

 

また、大蛇丸の胴体に防がれた。そして、今度は2人に大蛇丸が襲った。それを2人はかわしたが後ろにあった机は噛み壊された。

 

「なんて顎の強さだ!!」

 

「牙も鋭いぞ、コラ!!」

 

ラルとコロネロはそれを見てより警戒しなければならないと思った。

 

「これなら、どうですか!?」

 

ベルゼブブの真上からバジルが襲った。大蛇丸は今ので伸びきっていた。これなら、いけると思った。しかし、

 

シュルッ

 

ガンッ

 

ベルゼブブの腰から伸びて、防いだ。

 

「まだ、伸びるのですか!?」

 

バジルは驚いた。そして、

 

バシッ

 

「がっ……!?」

 

バジルは弾かれてしまった。

 

「「バジル(、コラ)!?」」

 

「大丈夫か、バジル!?」

 

「はい……、大丈夫です……。親方様…」

 

バジルは立ち上がって、そう言った。どんな攻撃をしても大蛇丸に防がれる。いったい、どうすればいいのか?そう考えていた時だった。ラルが何かに気が付いたのか言った。

 

「あの大蛇、さっきよりもでかくなっていないか?」

 

ラルに言われて、見てみると、確かに先程よりも大蛇丸が大きくなっていた。

 

「確かにでかくなっているぞ、コラ!!」

 

「これはいったいどういうことでしょうか?」

 

「僕の《暴食の炎》の力だよ」

 

すると、ベルゼブブがラルたちの疑問に答えた。

 

「《暴食の炎》だと?」

 

「うん。僕の《雲》の炎と《大空》の炎が()()()の力で組み合わされできた炎なんだ」

 

そう言って、ベルゼブブは自分のリングを見せた。すると、中指のリングから紫とオレンジが混ざったような色の炎が出ていた。

 

「ほら、よく見て。大蛇丸の鱗、《暴食の炎》が纏っているでしょ?」

 

言われて見てみると、確かに大蛇丸の鱗に《暴食の炎》が纏っていた。

 

「君たち、大蛇丸に攻撃していたでしょ?その時に《大空》の調和でその時のダメージを《雲》の増殖のエネルギーに変えたんだ。つまり……」

 

とベルゼブブはある事実を言った。

 

「君たちが大蛇丸に攻撃すればするほど大蛇丸は大きくなって、大きくなればなるほど攻撃力も防御力もスピードも上がるんだ」

 

「「「「!!!?」」」」

 

ベルゼブブの言葉に4人は驚いた。しかし、それで終わりではなかった。

 

「さてと、じゃあ、そろそろ終わりにしよっか」

 

そう言ってベルゼブブは大蛇丸の顔を4人に向けた。すると、大蛇丸は口を開けて、そこに《暴食の炎》を収束し始めた。

 

「なっ!?」

 

「まさか!?」

 

「俺たちの攻撃を!?」

 

「そのまま、撃つ気か、コラ!?」

 

4人は止めようとしたが止めようと攻撃しても逆に攻撃力が上がる。そして、収束し終えた大蛇丸が放った。

 

「《蛇大砲》」

 

ドカーーーーン

 

「「「「ぐぁーーーー」」」」

 

大蛇丸の攻撃によって粉塵が舞い上がった。大蛇丸は最初の大きさに戻っていた。

 

「《蛇大砲》は使った直後に力が失うのが難点なんだよな」

 

とベルゼブブは呟いていた。それから、しばらく経って粉塵が晴れるとそこにいたのは

 

「っ……」

 

「くっ……」

 

「くそっ……」

 

バジル、ラル、コロネロが倒れていた。3人共怪我を負っていたがそこまで酷いものではなかった。なぜなら、

 

「………………」

 

「「「家光/親方様!!?」」」

 

家光が3人を庇って立っていた。怪我も3人よりも酷かった。そして、

 

バタン

 

倒れた。3人はすぐに近寄りたかったが立つことができなかった。すると、そんな4人を見て

 

「それじゃ、ラル・ミルチを貰おうかな」

 

とベルゼブブは言った。そう言って、ラルに近づくと

 

「待てよ……」

 

「ん?」

 

コロネロが呼び止めた。

 

「ラルは連れて行かせねえ!どうしても連れて行くなら俺を連れて行け、コラ!!」

 

「コロネロ……」

 

コロネロはそう言った。しかし、ベルゼブブは呆れたように言った。

 

「君、さっき僕が言ったこと忘れたの?《選ばれし7人(イ・プレシェル・ティ・セッテ)》じゃない君はいらないって」

 

「そんなの関係ねえ!!ラルじゃなくて俺が元アルコバレーノなんだ!!ラルは関係ねえぞ、コラ!!!」

 

コロネロは叫び続けた。その時、ベルゼブブが聞いた。

 

「ねえ、ラル・ミルチがなんでアルコバレーノのなりそこないになったのか知っているの?」

 

「は?それは《運命の日》に俺がラルを庇って呪いの光を浴びたが僅かにラルにも光を浴びたからだろう、コラ」

 

「うん。それは()()()()正解だよ」

 

「ほとんどだと、コラ」

 

「彼女、10年後の未来でジンジャーブレッドと戦っていた時におしゃぶりの力を使ったでしょ?」

 

なぜ、その事を知っているという疑問があったがそんなの関係なくベルゼブブは続けた。

 

「当時の(トゥリニセッテ)の力を持つおしゃぶりは全部で7つのはず。ボンゴレリングやマーレリングもそうだしね。それなのになんで、ラル・ミルチはおしゃぶりの力を使えたのかな?」

 

ベルゼブブの問いにコロネロは答えられなかった。しかし、嫌な予感はあった。ベルゼブブがコロネロに近づいて言った。

 

「正解はラル・ミルチのおしゃぶりも(トゥリニセッテ)の1つ、より正確に言うなら()()()()()()()()()()2()()()1()()だということ。つまり……」

 

そして、ベルゼブブは驚愕の事実を言った。

 

「コロネロ、君は他の6人と違い、ラル・ミルチと同じ()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

 

「「「!!!??」」」

 

ベルゼブブの言葉に3人は驚愕した。

 

「チェ……チェッカーフェイスはそんなこと1度も言ってなかったぞ、コラ」

 

「知らなかっただけだと思うよ。アルコバレーノが8人なんて今回が初めてだと思うし。なりそこないといってもコロネロが99%、残りの1%がラル・ミルチといった感じだしね」

 

事実を認められなかったコロネロは反論したがあっさりと論破された。

 

「それから、なぜ2人になったかに関してだけど、2人共光を浴びた。それだと僕が言ったことと矛盾が起きるの」

 

「矛盾だと、コラ……」

 

「うん。光を十分浴びたのは君を含めた7人。それなのに、他の6人と違って《雨》のおしゃぶりは2つできた。それはなんでか……」

 

この時のコロネロは物凄い不安があった。しかし、ベルゼブブは答えた。

 

「コロネロ、君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

 

「「「!!!??」」」

 

ベルゼブブの言葉にコロネロは鈍器で殴られた気分だった。

 

「コロネロ殿!!」

 

「コロネロ!!そいつの話に耳を傾けるな!!!」

 

バジルとラルが何か言っていたがコロネロには届かなかった。

 

「……俺……の……器……が………小さ……かった……だと……、……コラ……」

 

「うん。君の器が小さかったから、足りなかった分がラル・ミルチに回ったんだよ。おかげで彼女は中途半端な呪いがかかったってわけ。それにしても、そのせいでもしかしたら彼女、()()()()()()()()かもしれないね」

 

「!!!??……どう……いう……こと……だよ……、……コラ……」

 

この時のコロネロの心は既に折れていた。それにも関わらずベルゼブブは続けた。

 

「えっ?だって、彼女、中途半端に呪いがかかったせいで体にアザできたし、視力も悪くなったんだよ。他のアルコバレーノにはそんなこと無かったのにね」

 

「っ……!?」

 

「つまり、君はラル・ミルチを救うどころか………」

 

その後のベルゼブブの言葉が続くことは無かった。なぜなら………

 

「黙れ………!!!!」

 

憤怒の形相で殺気を込めてベルゼブブを睨んで立っていたラルが言葉を遮ったからだ。

 

「ラル・ミルチ、どうしたの?僕は事実を言おうとしたんだよ?」

 

「黙れって、言っているだろ!!それに俺は生きている!!お前の言おうとしていることなど全く関係ない!!」

 

「ラル………」

 

「俺が呪いにかかった時、そばにコロネロがいたから俺は救われたんだ。そんなコロネロを……お前みたいなガキが侮辱することなど……俺は絶対に許さん!!!」

 

そう言って、ラルはベルゼブブに殴りかかった。しかし、ベルゼブブは無表情で言った。

 

「冷静さが欠いているよ。そんな状態で僕が負けるはずがないよ」

 

「ラル殿!!上です!!」

 

「えっ?」

 

バジルに言われて上を見てみると大蛇丸が口を開けて迫ってきていた。

 

「なっ!!!?」

 

ラルはそれをかわせるはずもなく

 

ガブッ

 

大蛇丸に上半身をくわえられた。

 

「ーーっ、ーーっ!?」

 

「ラル殿!!」

 

「ラルーーーー!!!?」

 

バジルとコロネロは叫んだ。ラルは脱出しようと身をよじったり、足をばたつかせたりしていたが抵抗も虚しく……

 

ゴクンッ

 

大蛇丸に呑み込まれた。

 

「ラルーーーーーーー!!!??」

 

コロネロは大声でラルの名前を叫んだ。しかし、彼女の返事は無かった。

 

「ふ~。これで終わりだね。あっ、大丈夫だよ。ラル・ミルチは大蛇丸のお腹で無事に生きているし、消化されるなんてこともないから」

 

そう言ってベルゼブブは大蛇丸を従えて部屋から出ていこうとした。

 

「待てよ……、待てよ……、ラルを返せよ、コラ!!!」

 

しかし、コロネロの声を無視してベルゼブブは部屋から出ていった。

 

「ラルーーーーーーーー!!!!!」

 

その場に残ったのは荒れた部屋と気を失っている家光、オレガノ、ターメリック、悔しそうに唇を噛み締めていたバジル、そして、絶望した顔でラルの名前を叫ぶコロネロの姿だった。




後半、物凄く暗い話になってしまいました。


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~追憶~ ミルフィオーレと雷の大罪

バジルとコロネロの話が終わった。コロネロはその時のことを思い出したのか顔色が少し悪かった。そして、他のメンバーは新たな《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の登場、《暴食の炎》というまた聞いたことのない炎、そしてコロネロに関してのアルコバレーノの事実、それらが皆を黙らせていた。

 

「えっと……その……大丈夫か?コロネロ師匠」

 

了平が言いにくそうにコロネロに聞いた。

 

「ああ、あの後、家光やバジルたちに励ましの言葉を貰って何とか立ち直れたぜ、コラ」

 

コロネロは了平にそう返した。

 

「ラルは俺が必ず取り戻すぞ、コラ!!」

 

コロネロは決意したように言った。

 

「おお~~!!コロネロ師匠!!俺は極限に感動したぞ!!」

 

「うるせえよ!!芝生頭!!」

 

雄叫びをあげる了平に獄寺が怒鳴った。

 

「ところで、チェッカーフェイス。ベルゼブブが言っていたことはどうなんだ、コラ」

 

コロネロはチェッカーフェイスに自分のアルコバレーノに関してのことを聞いた。

 

「………コロネロ君。すまないがそれに関しては私も知らなかった。ベルゼブブとやらの言う通り、アルコバレーノが8人というのはあの時が初めてだったしね」

 

「そうか、コラ……」

 

チェッカーフェイスの言葉にコロネロは少し落ち込んだ。

 

「ところで、10代目のお父様は?」

 

獄寺が家光について聞いた。

 

「親方様は意識は取り戻していますが拙者たちを庇ったために怪我も酷く、今はボンゴレ本部で療養しています」

 

とバジルが言った。

 

「それでは、γ君に桔梗君。話してくれないかな」

 

「ああ……」

 

「ハハン、わかりました」

 

「そういえば、なんであんたらは怪我を負っていないのな?」

 

「ああ、ユニに白蘭、マーレリングを奪おうとしてきたならそれなりの戦闘があったはずだ。現に今まで話した連中は全員、戦って怪我を負っている」

 

山本と獄寺がγと桔梗に聞いた。

 

「ハハン、それも含めて全て話します」

 

「最初に言っておくが、俺たちのところにも《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》が現れた。だが、俺たちはそいつとは一戦も交えていない。………いや、交えることができなかったんだ」

 

そうして、2人は話し出した。

 

 

 

 

 

ミルフィオーレファミリー、現代でもジッリョネロファミリーとジェッソファミリーが合併してできたファミリー。ただ未来では白蘭がボスを務めていたが、現代ではユニがボスとなり白蘭はNo.2になった。まぁ、白蘭には監視をするという意味もあるが。そして、現代ではお互いに協定を結んだうえでできた。今はファミリーを安定させるために頑張っていて、順調だった。

 

そんなある日だった。

 

その日、ミルフィオーレファミリー本部のとある部屋にいたのは

 

ミルフィオーレファミリーボスであり元《大空》のアルコバレーノ、ユニ

 

ミルフィオーレファミリーのNo.2であり、マーレリングの適合者、白蘭

 

《雷》の6弔花、《電光》のγ

 

《雲》の(リアル)6弔花、桔梗

 

《嵐》の(リアル)6弔花、ザクロ

 

《雨》の(リアル)6弔花、ブルーベル

 

《晴》の(リアル)6弔花、デイジー

 

《霧》の(リアル)6弔花、トリカブト

 

そこでは今朝、ユニが見た予知について話し合っていた。

 

「それでユニちゃん。君の予知について話すってことだけど、大丈夫?物凄く、顔色が悪いけど」

 

「姫、休んだほうがいいのでは?」

 

白蘭とγの言う通り、ユニの顔色は優れていなかった。しかし、ユニは

 

「いいえ……。大丈夫です……。この予知はどうしても話さなければなりません……」

 

と言った。

 

「そっか……。それなら、早くしようか!ユニちゃんのためにもね♪」

 

「わかりました。それでは、話します。

『7つの大罪と闇夜』、『(トゥリニセッテ)の悪用』、『地球の危機』

この3つが私が浮かんだ予知です」

 

「『(トゥリニセッテ)の悪用』って、まさか白蘭、テメー!!」

 

「ちょっと、γ君落ち着こうよ」

 

「うるせえ!テメー以外に誰がいるんだ!!」

 

「ハハン、それは少々、横暴では?」

 

「にゅにゅ、そうだそうだ!!」

 

「前科があるからって疑ってくるんじゃねえぞ、バーロー」

 

「皆さん、落ち着いてください!!」

 

喧嘩になりそうだったところをユニの鶴の一声で収まった。

 

「γ、マーレリングが封印されているうえにおしゃぶりだったモノはバミューダたち復讐者(ヴィンディチェ)が守っています。それにボンゴレリングだったモノは今はVG(ボンゴレギア)として沢田さんたちが守っています。その状態では白蘭は何もできません。だから、落ち着いてください」

 

「すまない、姫……」

 

「ユニちゃん、僕の信用無いな~」

 

白蘭が何かぼやいていたが無視して進んだ。

 

「だが、それなら、『(トゥリニセッテ)の悪用』ってのは何なんだ?」

 

「わかりません……。それに他にもわからないことがあります」

 

「『7つの大罪と闇夜』だね?」

 

「はい。そうです」

 

「それにしても『地球の危機』って怖いね」

 

デイジーの言った言葉に全員顔をしかめた。

 

「確かにそうだね。これはユニちゃんの顔色が悪くなっちゃうのも無理ないね」

 

「はい。それから、実は感じとることができませんが悪い予知はまだ他にもあると思うのです」

 

「にゅにゅ、まだあるの!?」

 

「はい。……ですが、先程も言った通り感じとることができませんでした」

 

「ハハン、それは困りましたね。この3つだけだと何のことかさっぱりです…」

 

と議論が止まっていると

 

コンコン

 

誰かがノックしてきた。

 

「ん?誰だろ?」

 

「さあ?とりあえず、部屋に入れましょう。どうぞ、入ってください」

 

とユニが言うと部屋に入ってきたのは

 

「太猿に野猿じゃないか!どうしたんだ?」

 

γの弟分の太猿と野猿だった。

 

「………」

 

「γ兄貴………」

 

2人はγに歩いて近づくと

 

ジャキンッ

 

『!!!?』

 

2人はγに黒鎌(ダークサイズ)を向けた。

 

「!?おい、急にどうしたんだ!?なぜ武器を俺に向ける!!?」

 

「兄貴……」

 

「γ兄貴……、オイラたち体が自由に動かないんだ……」

 

「体が自由に動かないだと!?」

 

野猿の言葉を聞いて、γたちは驚いた。よく見てみると2人の顔色が悪かった。

 

「いったい、どういうことだ!?バーロー!?」

 

「にゅにゅ、何が起きているの!?」

 

ザクロとブルーベルがそう言うと、

 

「ふふふ、それは我輩の仕業でござる」

 

ふと、扉から声が聞こえて、そちらを見てみるとそこには、忍び装束を着た緑色の髪と目をした180㎝後半の20代後半の男がいた。男の両手には革製のグローブが嵌められており、その右手のグローブの上の中指には緑色の石がはまっている指輪、人差し指にはオレンジ色の石がはまっている指輪があった。

 

「お前は誰だ!?」

 

γは男に聞いた。

 

「ふふふ、我輩は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『雷の大罪』、《久与田(くよだ)(ごう)》と言うでござる」

 

男、豪は自分のことをそう名乗った。

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)!?《雷の()()》!?」

 

「《ロヴィーノ教団》?全平行世界(パラレルワールド)の知識を共有している僕でも聞いたことないよ」

 

豪が言ったことにユニは予知の内容の一部と当てはまっていることに驚き、白蘭は疑問に思った。

 

「ふふふ、それはおそらくこの世界だけのものだからではないでござるか?」

 

「あ~、確かにそれは言えてるね。綱吉君たちのボンゴレ匣もあの世界だけのものだったからね~」

 

白蘭と豪は暢気に話していた。

 

「テメーら!!何暢気に話してんだ!!おい、お前!!太猿と野猿に何したんだ!?」

 

γが豪に聞いた。すると豪はニヤリと笑いながら言った。

 

「何をしたかと?それは……………こうしたのでござる!!」

 

豪は右手を前に差し出した。

 

「うっ………!?」

 

「これは………!?」

 

「どうなってんだ!?」

 

「にゅにゅ………!?」

 

「体が動かないよ……!?」

 

「……………」

 

ユニと白蘭以外のγたち6人が太猿と野猿と同じようになった。

 

「皆さん!?」

 

ユニは周りを心配して叫んだ。すると白蘭が笑顔で言った。

 

「………()()()()か」

 

「え………?」

 

「ほら、ユニちゃん。γ君や桔梗たちをよく見てごらん」

 

白蘭に言われて、よく見てみると確かにγたちに細長いワイヤーが着いていた。そして、そのワイヤーの先は豪のグローブの指先だった。

 

「豪君、君はそのワイヤーを使って、γ君たちを操り人形(マリオネット)にしているんだね」

 

「ふふふ、ご名答でござる。さすがは白蘭でござる」

 

「あなたの目的はいったい………」

 

ユニは豪に目的を聞いた。

 

「我輩の目的はユニと白蘭の身柄、そして、マーレリングでござる」

 

「まさか、姫の言っていた『(トゥリニセッテ)の悪用』って………」

 

「ハハン、この事を言っていたのですね」

 

γたちはユニの予知について言っていた。

 

「そんなこと、この僕が許すと思う?」

 

そう言って、白蘭はγたちのワイヤーを切るために

 

「白龍!!」

 

自分の匣兵器を放った。白龍がワイヤーに噛みついて切れると思ったが………

 

ガキンッ

 

『!!?』

 

白龍が噛みついてもワイヤーは切れなかったのだ。

 

「ふふふ、我輩のワイヤーには《強欲の炎》が纏っているから切ろうにも無理でござるよ」

 

「《強欲の炎》?」

 

聞いたことない炎に白蘭は聞いた。

 

「そうでござる。我輩の《雷》の炎と《大空》の炎が組み合わさって生まれた炎、それが《強欲の炎》でござる」

 

と豪は言いながら右手の中指を見せた。そこには、緑とオレンジが混ざった色の炎が出ていた。

 

「《雷》の硬化と《大空》の調和、この2つが我輩のワイヤーをより頑丈にしているでござる」

 

「くっ………」

 

豪の説明に白蘭は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「そういえば、白蘭は『この僕が許すと思う?』と言っていたでござるが、許されないなら、我輩の人形たちで相手にするだけでござるよ」

 

豪はそう言って、γたちを操ってユニと白蘭に武器を向けた。

 

「くそっ、体が勝手に………」

 

「言うことを聞きません……」

 

すると、豪は何かを思いついたように言った。

 

「あっ、もしくは我輩の言うことを聞かないって言うなら………、我輩の人形たちを使って()()()()()()()()のもありでござるね♪」

 

『なっ…………!!!?』

 

豪の言葉に全員が驚いた。

 

「うむ。それがいいでござる。我輩は根っからの死体愛好家(ネクロフィリア)でござるからな。《強欲の炎》を扱う者、より強欲がいいでござる♪」

 

「ふざけないでください!!!!」

 

豪の言葉にユニが叫んだ。

 

「む?」

 

「ミルフィオーレファミリーの皆さんはあなたみたいな人に殺させません!!!!」

 

ユニははっきりとそう言った。

 

「それなら、どうするのでござるか?この者たちが我輩の人形である限り、おぬしらに何かできる思えないでござるが」

 

「っ………それは………」

 

豪に言われてユニは考え、そして苦渋の末に

 

「………白蘭………」

 

ユニは白蘭のほうを見た。それに白蘭は何か感じたのか、笑って言った。

 

「うん、わかったよ♪ユニちゃんがそう言うならね♪でもユニちゃんはいいの?」

 

「はい………。これ以外にミルフィオーレファミリーの皆さんを救う方法がありません………」

 

そう言ってユニは豪に言った。

 

「私達はあなたについていきます」

 

「姫!?」

 

「すみません、皆さん……。しかし、これしか無いのです……」

 

ユニはつらそうな顔で言った。

 

「ふむ。死体を手に入れることができなかったのは残念だが、まぁ、目的のものを手に入れることができたからそれでよしとするでござるか」

 

そう言って、豪は

 

シュルッ

 

「「!?」」

 

ユニと白蘭の腕をワイヤーで後ろ手で縛った。

 

「姫!?」

 

「白蘭様!?」

 

γたちは2人を心配して叫んだ。

 

「それではマーレリングの場所に案内して貰えないでござるか?」

 

「………わかりました」

 

そして、ユニは豪をマーレリングのところまで案内して貰って豪はそれらを回収した。そして、

 

「それでは、そろそろ行くでござるか。迎えも来たでござるからな」

 

そう言って、豪はある場所を見ると

 

ボゥッ

 

『!!!?』

 

《夜》の炎が出てきた。

 

「ほれ、ユニ、白蘭、行くでござる。この者たちを解放するのはおぬしらが行った後でござる」

 

「……はい」

 

「わかったよ」

 

そう言って、2人は炎を潜った。

 

「チクショー……!!」

 

γたちは見ていることしかできなかった。そして、豪も炎を潜るとγたちはようやく動くことができた。しかし、その時には《夜》の炎は消えていた。




次回、最後の《大罪の7人》が登場。


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晴の大罪

今回はちょっと短いです。


γと桔梗の話が終わり、もう何度目かわからない沈黙が続いた。話していけば話していくほど《ロヴィーノ教団》の恐ろしさが身に染みていくようだった。

 

「………これで、全員話したね」

 

チェッカーフェイスはそう言った。確かにこの場に居るものの話は全員聞いたが………

 

「待てよ。まだ、あるだろ」

 

「そうだよ!スカルのことを聞いてないよ!」

 

「クフフ、ヴェルデ博士のこともありますよ」

 

「風のこともあるのな」

 

と獄寺、炎真、骸、山本が言った。確かに、彼らについての話はまだしてなかった。しかし、

 

「風はいろんな所を修業して回っているから、目撃者がいないんだ、コラ」

 

「ただ、風殿とは連絡が繋がらないのでおそらく………」

 

とコロネロとバジルが言った。

 

「スカル君とヴェルデ君に関してだが、実は、こちらも大した情報が無いのだよ………」

 

「どういうこと?」

 

チェッカーフェイスの言ったことに炎真が聞いた。

 

「スカル君のいるカルカッサファミリーにヴェルデ君のいるファミリーにも侵入者は来たみたいだが、両方とも構成員の皆はその侵入者にやられて侵入者に関しての情報が無いんだ。その侵入者の名前も炎も戦闘方法もその人物が本当に《ロヴィーノ教団》の者なのかもね。その侵入者に関しての情報を持っているのはおそらくスカル君とヴェルデ君本人たちだと思われるんだ」

 

「そうだったのか………」

 

皆がそう言って黙った。すると、チェッカーフェイスが

 

「ただ1つ、その侵入者に関してわかっていることがある」

 

『!?』

 

「ゔぉおおおおい!!それを早く言いやがれぇぇぇ!!」

 

「それは何なの~~?」

 

スクアーロとルっスーリアがそう言うと

 

「ふむ。実は2つのファミリーの監視カメラに映っていた侵入者の容姿だよ」

 

そう言って、チェッカーフェイスは尾道にアイコンタクトした。それに気づいた尾道が

 

「ホホッ、これがその写真です」

 

皆に写真を見せた。皆がその写真を見てみると、そこに映っていたのは

 

金髪の白衣を着て眼鏡を掛けていた目付きの鋭い190㎝前半の20代後半の男だった。男の右手の中指には黄色の石がはまっていた指輪、人差し指にはオレンジ色の石がはまっていた指輪をつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

とある場所にある1つの部屋。そこには7人の男女がいた。

 

「まだ、始まらないのかぁぁぁーーーー!!!!」

 

そう叫んだのはジャバウォックだった。

 

「まだ始まらないのは、あなたがマーモンに重傷を負わせたからでしょ!!」

 

とジャバウォックに言ったのはリリスだった。

 

「この任務、モグモグ、やっぱり、モグモグ、ジャバウォックには、モグモグ、不向きだったじゃないの?モグモグ」

 

と御菓子を食べながら言ったのはベルゼブブだった。

 

「ベルゼブブ、食べるか、喋るか、どちらかにするでござる」

 

そんな、ベルゼブブに注意したのは豪だった。

 

「まぁ、ベルゼブブの言う通りだな。ジャバウォックに行かせるんじゃなかった」

 

ベルゼブブの言うことに賛同したのはルシフェルだった。

 

「………グーッ、………グーッ」

 

そんな中、アイマスクを目に被せて寝ていたのはスロウスだった。

 

どうやら、ここは《ロヴィーノ教団》のアジトらしい。

 

「うるせえぇぇぇーーーー!!!!捕らえてきたんだから、何でもいいだろうがーーーー!!!!」

 

とジャバウォックは逆ギレした。すると、

 

「…………ジャバウォック」

 

壁にもたれ掛かっていた黒づくめの男がジャバウォックに向かって言った。

 

「俺は何度もお前に言ったよな?『過度の越えた怪我を負わせるな』って」

 

「うるせえぇぇぇーーーー!!!!だから、捕らえてきたんだから、何でもいいだろうがって言ってんだろうが、ダ………」

 

「言ったよな…………?」

 

ギロッ

 

再び逆ギレしようとしたジャバウォックの言葉を遮りながら男はジャバウォックに睨み付けながら声を低くして言った。

 

「うっ………。すまねえぇぇぇ………。俺が、悪かった………」

 

男は何とあのジャバウォックを黙らせた。

 

「わかればいい。あとはあいつに頼むしかない」

 

男がそう言うと、

 

ガチャッ

 

キーッ

 

バタンッ

 

白衣を着た男が入って来た。

 

「あ、噂をすれば、やって来たわね」

 

「どうだったんだ?《エンヴィー》」

 

白衣の男、エンヴィーにルシフェルが声をかけた。

 

「……マーモンの傷はとりあえず治しました。全く、ジャバウォック、私の仕事を増やさないでほしいです」

 

「うるせえぇぇぇ」

 

「私も《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《晴の大罪》として、風、スカル、ヴェルデの3ヶ所に回って回収したというのに、そのうえに治療までやらなくてはならないとは………。あなた方は休むことができて羨ましいですね」

 

とエンヴィーは怨めしそうに他の皆を見た。それを男は無視してエンヴィーに聞いた。

 

「マーモンは目的に組み込むのにどれくらいかかるんだ?」

 

「そうですね……。明日にはいけるでしょう。とりあえず、他の者たちと一緒にしておきました」

 

「そっか…………」

 

男がそう言うとルシフェルが立ち上がって部屋を出ようとした。

 

「ルシフェル、どこへ行くのでござるか?」

 

豪はルシフェルに聞いた。

 

「ちょっと、()()()()に挨拶しようと思ってな♪」

 

そう言って、ルシフェルは出ていった。

 

「……………」

 

すると、ルシフェルが出ていった後で男も部屋を出ていった。

 

「それにしても、もうすぐわね♪」

 

リリスがそう言った。

 

「確かにそうでござるな」

 

「俺たちの怒りを見せてやるぜぇぇぇーーーー!!!!」

 

「私たちの嫉妬も含めて………」

 

「ここには美味しいものがたくさんあるから、ちょっと残念だけどね………」

 

豪、ジャバウォック、エンヴィー、ベルゼブブの4人はそれぞれ、そう言った。

 

「…………なら、………今のうちに、………食べればいいだろ」

 

「あら?起きてたの、スロウス?」

 

「………たった今な。………それよりも、………お前らも、………やり残しの無いように………しとけよ。………なぜなら………」

 

そう言って、スロウスは言った。

 

「………この計画が………成功したら、…………俺たちも………()()()()()()()




《大罪の7人》のメンバーと炎の紹介

大空の大罪 ルシフェル 《???の炎》

嵐の大罪 ジャバウォック 《憤怒の炎》

雨の大罪 スロウス 《怠惰の炎》

雲の大罪 ベルゼブブ 《暴食の炎》

晴の大罪 エンヴィー 《???の炎》

雷の大罪 久与田豪   《強欲の炎》

霧の大罪 リリス 《色欲の炎》


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怠惰の炎と嫉妬の炎

《ロヴィーノ教団》8人が会話するよりも前のこと。とある一室では。

 

「起きろ!ダメツナ!!」

 

「ぐふっ……!!!」

 

リボーンがツナを起こしていた。何かデジャブを感じるが今はそれは置いておこう。

 

「イテテ………」

 

「ようやく、起きたか。沢田」

 

「全くだぜ!」

 

「リボーン、もう少し起こし方というものがありませんか?」

 

「フン。ダメツナにはこれぐらいがちょうどいいぞ」

 

「ふ~。やれやれ……」

 

「大丈夫ですか?沢田さん」

 

「おはよう♪綱吉君」

 

ツナが起き上がるとラル、スカル、風、リボーン、ヴェルデ、ユニ、白蘭が言ってきた。

 

「あれ?ここは?」

 

「《ロヴィーノ教団》のアジトの地下牢だよ、沢田綱吉君」

 

声をしたほうを見たら、(トゥリニセッテ)の器に《夜》の炎を灯していたバミューダがいた。

 

「バミューダ!それに皆も!皆もあいつらに?」

 

「ええ。あなたとリボーン以外にもここにいる皆さんと(トゥリニセッテ)の全てが彼らの本拠地であるここに連れられて来ました」

 

(トゥリニセッテ)の全てって………、VG(ボンゴレギア)以外にもマーレリングにおしゃぶりの代わりも!?」

 

「まぁね、僕はそれらを灯し続けるために連れて来られたからね」

 

「マーレリングもVG(ボンゴレギア)もこことは別の部屋にあるよ」

 

バミューダと白蘭がそう言った。

 

「ここから出る方法は?」

 

「残念ながら………」

 

「この地下牢の壁や天井、床には武器どころか死ぬ気の炎に対する耐性があり、ひび1つ入らないのさ」

 

「それから、ここには強力な結界を張っているらしく、僕の《夜》の炎での脱出はできないよ」

 

とユニ、ヴェルデ、バミューダが言った。

 

「あれ?あれってマーモン!?」

 

「…………」

 

ツナが見たほうにはマーモンが包帯だらけで眠っていた。

 

「何があったの!?」

 

「俺たちもよくわからん。ただ、この中でバイパーが一番の重傷だった」

 

ツナの疑問にラルが答えた。

 

「ツナ、そっちでは何があったんだ?」

 

リボーンがツナにそう聞いた。

 

「えっ?」

 

「オメーのところにも《ロヴィーノ教団》という連中が来たんだろ?その時のことを話せ」

 

「う、うん。わかった……」

 

そして、ツナはリボーンたちに自分たちとルシフェルの戦いについて教えた。案の定、皆は驚いた。

 

「綱吉君たちを相手にほとんど無傷とはね~」

 

「しかし、それでもその男はナンバー2……」

 

「オイッ!リボーン!何、眠らされているんだ!!」

 

ギロッ

 

スカルの言葉にリボーンが睨んだ。

 

「ヒィ~~~~ッ!!」

 

「スカル………。リボーンは眠らされた人たちを人質にとられたのですよ……」

 

風は呆れたようにスカルに言った。

 

「………そうだ。リボーン!!そっちでは何があったんだよ!!母さんたちも巻き込まれたみたいだし………」

 

ツナがリボーンにそう言った。

 

「………そうだな。話しておくか。俺が捕まったのはスロウスの仕業だ」

 

「スロウスって、その正直に言ってあの覇気がなかった?」

 

「ああ、そして、その覇気の無さがあいつの武器だ」

 

「え?どういうこと?」

 

ツナはよくわからずリボーンに聞いた。

 

「あいつは覇気が無さすぎて、下手すれば一般人よりも低いものだった。言い換えれば、空気みたいな存在だ」

 

「空気みたいな存在……」

 

「ああ。俺たちは空気に一々、警戒なんてしない。人から出てくる殺気を感じ取って警戒するもんだ。どんな人間にも多少の殺気はあるからな。だが、あいつはそれが全く無かった」

 

「殺気が全く無かった……」

 

「そのうえ、あいつの《怠惰の炎》も原因の1つだぞ」

 

「《怠惰の炎》?」

 

ツナは聞いたことのない炎に疑問を感じた。

 

「俺も詳しくは知らねえし、聞いたこともねぇ。ただ、あいつの言うには、あいつの《雨》の炎と《大空》の炎が()()()()()で組み合わさってできたらしい。そして、《雨》の鎮静と《大空》の調和で体を怠くさせて気絶させたり、周りの意識を鈍らせてよりあいつの気配を消したんだ」

 

「あ、だから………」

 

ツナは並中での出来事を思い出していた。そして、リボーンは言った。

 

「あいつは誰よりも暗殺者に向いているぞ」

 

 

 

その後、マーモンが目を覚めて、それぞれの身に起こったことを話した。

 

バミューダは《人類至上サイキョウの人間》について。

 

マーモンはジャバウォックと《憤怒の炎》について。

 

ラルはベルゼブブと《暴食の炎》とコロネロのアルコバレーノの件について。

 

ユニと白蘭は豪と《強欲の炎》について。

 

それぞれが驚きの連続だった。元アルコバレーノの皆は特にコロネロとラルのおしゃぶりで1つだという事実に驚いた。ついでに白蘭も「え?じゃあ、仮に僕が(トゥリニセッテ)をコンプリートしてもラル君のおしゃぶりが無かったら僕は超時空の覇者になれなかったの?」と驚いていたが皆、そこは無視した。ちなみにその時のラルは不機嫌だった。

 

「あとは、私とスカルとヴェルデですね」

 

と風は言った。

 

「俺のところは、《エンヴィー》っていうやつが来たぞ!」

 

とスカルが言った。

 

「おや?君のところにもかね?私のところにもだよ」

 

とヴェルデが言った。

 

「実を言うと私のところにもです」

 

と風が言った。

 

「えっ?3人のところに同じ人が来たの?」

 

「《ロヴィーノ教団》には《夜》の炎が使えるやつがいるからな。そこはどうでもいいぞ。それより、エンヴィーってのはあの白衣の男のことだな?」

 

「白衣の男?」

 

ツナは疑問に思って聞いた。

 

「沢田さんは寝ていましたから知りませんね。実は先程、手当てされたマーモンをこの部屋に連れて来たのです」

 

「僕を?」

 

「彼はどうやら、医者みたいだからね。重傷だった君を手当てする必要があったのだろ」

 

「《ロヴィーノ教団》はどうやら、私たちが不要な怪我を負うことを恐れていたみたいです」

 

とユニとヴェルデと風が説明した。

 

「そういえば、その時、風君とスカル君とヴェルデ君は警戒していたね」

 

と白蘭は言った。

 

「風、お前が襲われたその時の様子を教えて暮れないか?」

 

とリボーンは風に言った。

 

「オイッ!リボーン!なぜ、俺様には聞かないんだ!?」

 

「私にも聞かないっていうのは納得できないね。私ならより論理的に説明できるよ」

 

とスカルとヴェルデがリボーンに文句を言った。

 

「オメーらよりも風のほうがより多く情報を持っていそうだからだ。エンヴィーってやつもおそらく戦闘力が高いはずだ。それなら、オメーら3人の中では風が一番戦闘力があるんだから、風に聞いたほうがいいに決まってんだろ」

 

とリボーンは言った。他の皆もそれで納得してスカルとヴェルデは渋々と引き下がった。

 

「わかりました。では、話します」

 

そう言って風は話し始めた。

 

 

 

 

 

その日、風はいつも通りに修業をしていた。その時だった、急に強い殺気を感じたのは。風が振り向くとそこにいたのは白衣を着た男だった。

 

「あなたは?」

 

風は男に聞いた。すると、男は名乗った。

 

「私は『ロヴィーノ教団』、『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』の『晴の大罪』、《エンヴィー》と言います」

 

「教団ですか……。そのような者が私に何か用ですか?」

 

風がエンヴィーに聞いた。

 

「あなたの身柄の確保です」

 

それをあっさりとエンヴィーは教えた。

 

「私の身柄の確保ですか……。なぜそのようなことをするかわかりませんが何か良からぬことを考えていますね」

 

と風は戦闘体勢に入った。

 

「まぁ、そうですね」

 

とエンヴィーも構えた。

 

そして、2人はぶつかった。まずは風がエンヴィーに正拳を入れた。それをエンヴィーは腕をクロスにして防いだ。次にエンヴィーがその状態から回し蹴りをした。それを風はかわした。風は純粋に驚いた。

 

「あなた、意外にも格闘術の心得があるのですね。私はてっきり、その姿から学者か何かでそのようなことは不得意だと思っていました」

 

そう、エンヴィーの回し蹴りは素人ではできないキレがあった。そこに風は格闘術の心得があると思ったのだ。

 

「………まぁ、確かに、私は医者です。しかし、それとこれとは関係ありません。自分なりに強くなろうと日々精進しているのです。それに人を見た目で判断するのは愚の骨頂ではないのですか?」

 

「確かにそうですね。これは失礼しました」

 

その後、2人は殴る、蹴る、防ぐ、かわすの連続だった。しかし、均衡はすぐに崩れ始めた。どうやら、格闘術は風のほうが上のようでだんだん押し始めていた。2人が1度距離を取ったときにエンヴィーが言った。

 

「…………羨ましいですね」

 

「はい?」

 

急にエンヴィーが言ったことに風は戸惑った。しかし、そんなの関係ないとエンヴィーは続けた。

 

「あなたの格闘術は本当に凄いですよ。平凡な私ではとても追いつけそうにありません。あなたも相当の努力をしているならなおさらですね………」

 

「いえ、そんなことありませんよ。あなたも努力を怠らなければ、いつか、私を越えることができますよ」

 

と何故か敵を励ましている風。だが、エンヴィーは風の言葉は聞いておらず、

 

「私はあなたに勝たなければならない。あなたに勝つためにはあなたより強くなければならない。でも、今の私は弱い。この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い。この考えに間違いはない。今だとあなたが強く、私が弱い。しかし、力を上手く使いこなせたほうが強い。この考えも間違いはない。だから、私は強くなる」

 

そう言って、エンヴィーは懐から注射器を出してリングから黄色とオレンジが混ざった色の炎を灯した。すると、注射器の中にも同じ炎が満たされていった。そして、エンヴィーはその注射器を自分の腕にさして、炎を注入した。注射器の中の炎が全て注入し終わると、

 

シュンッ

 

「!?グッ!!?」

 

ドカーン

 

エンヴィーは一瞬で風の目の前に移動して蹴りあげた。風の体は岩へとぶつかった。

 

「グッ……!身体能力が上がった?先程射った注射の影響ですか?」

 

「その通りです。私の《晴》の炎と《大空》の炎が組み合わさってできた炎。それが私の《嫉妬の炎》です。《晴》の炎の活性により私の身体能力をあげたのです」

 

「……つまりはドーピングですか………?」

 

「確かにそうですが、《大空》の調和で体への負担はありません」

 

とエンヴィーは言った。

 

「そういうことではありません!なぜ、努力をして上を目指そうとは思わないのですか!?」

 

と風は言った。

 

「私は私の《嫉妬の炎》を上手く使っているだけです」

 

「だからといって………」

 

「申し訳ないのですが、あなたの小言に付き合っている暇はありません」

 

と風の言葉を遮って、

 

シュンッ

 

風の近くに移動して

 

ブスッ

 

先程とは別の青とオレンジが混ざった色の炎が入っている注射器を風にさした。

 

「うっ………!?」

 

ガクッ

 

風はさされてすぐに気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「これが、私の身に起きたことです」

 

と風はツナたちに説明をした。

 

「《嫉妬の炎》……。ドーピングみたいなことができるうえに体への負担はないか……。厄介な炎だな……」

 

「全く………。どうして、自分で努力をしようと思わないのでしょうか?」

 

(風………。今もそうだけどなんで敵相手に励ましていたり、説教しているの?)

 

ツナは心の中で突っ込んだ。

 

「ところでスカルやヴェルデのほうはどうなんだ?」

 

「風先輩のとほとんど同じです」

 

「フン。私のところもだ………」

 

ラルの質問にスカルとヴェルデは答えた。

 

「あ、でも、俺様のところは俺様の不死身の肉体(アンデッド・ボディ)を羨ましいって言っていました」

 

「私のところは私の頭脳が羨ましいと言っていたな」

 

「ものすごく、嫉妬まみれだーー!!」

 

「《嫉妬の炎》の持ち主にぴったりだな」

 

スカルとヴェルデの言ったことにツナが突っ込み、リボーンは呆れて言った。

 

すると、

 

ギーッ

 

『!?』

 

誰かが地下牢に入ってきた。それは……

 

「よー。お前ら、調子はどうだ?あ、沢田綱吉に関しては2日ぶりだな」

 

「お前はルシフェル!?」

 

ルシフェルだった。

 

「こいつが…………」

 

「沢田さんたちを相手にたった1人で戦った人………」

 

「しかも、ほとんど無傷でね……」

 

他の皆は《ロヴィーノ教団》ナンバー2の実力を持つ男に警戒していた。

 

「いったい、何の用だ!」

 

ツナはルシフェルに言った。

 

「まぁ、落ち着けよ。俺は挨拶に来ただけだからよ」

 

「挨拶だと?」

 

とリボーンが言った。

 

「そう、挨拶。沢田綱吉以外にも会ってないやついるしな。まぁ、強いて言うならあとは……」

 

「まだ何かあるわけ?」

 

とバミューダが言った。

 

「たいしたことじゃねえよ。ただ、今日はもうゆっくり休んだらどうだ?って言おうと思っただけだ」

 

「どういうことですか?」

 

「それは……」

 

とユニの疑問をルシフェルが答えようとすると

 

ギーッ

 

また誰か入ってきた。それは………

 

「なっ!?」

 

バミューダは驚いた。なぜなら、

 

「ん?何だ?お前も来たのか?《ダークネス》」

 

ルシフェルが《ダークネス》と呼んだ相手はチェッカーフェイスやバミューダたち復讐者(ヴィンディチェ)を圧倒した黒づくめの男だった。



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《ロヴィーノ教団》

ツナたちのいる地下牢に《人類至上サイキョウの人間》ダークネスが入ってきた。

 

「………君、ダークネスって言うの?僕たちには『名乗る名前など無い』って言っていたよね?」

 

「……………」

 

バミューダの言った言葉にダークネスは無視した。

 

「オイッ。バミューダ、もしかして、こいつは…………」

 

「うん……。さっき、僕が言ったやつだよ……」

 

「こいつが………。(確かに超直感でもこいつはヤバイって言っている。………でも、何だか違和感を感じる?)」

 

とツナたちが話しているとルシフェルが言った。

 

「そう言えば、バミューダも含めてこいつの詳しいことを知らないんだっけ?なら教えてやるよ。こいつは《ロヴィーノ教団》団長の《ダークネス》だ。この《ロヴィーノ教団》でもNo.1の実力の持つやつだ。俺たちはこいつのことを《人類至上サイキョウの人間》って呼んでもいるぜ。まぁ、こいつ、自分のことは多く語らねえが………」

 

「…………」

 

ルシフェルが勝手に紹介していたのをダークネスは黙っていた。

 

「《人類至上サイキョウの人間》?随分と大袈裟なことを言うね♪」

 

白蘭は笑いながら言った。……目は笑っていないが。

 

「別に大袈裟じゃねえよ。そう言えば、お前ら、知らなかったっけ?こいつ、復讐者(ヴィンディチェ)以外にも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『!!?』

 

ルシフェルはツナたちが知らなかった事実を言った。

 

「チェッカーフェイスを!?」

 

「嘘だろ………」

 

「そんな………」

 

「嘘じゃないんだよな、これが。《地球上最強の人間》を倒した。これでこいつが《人類至上サイキョウの人間》だということをわかってくれたかな?」

 

とルシフェルが言うと

 

「どういうことだ?」

 

「リボーン?」

 

リボーンがルシフェルとダークネスに聞いた。

 

「そいつのことを《人類至上サイキョウの人間》って言っておきながら、チェッカーフェイスのことを《地球上最強の人間》って言ってやがる。オメーは()()()()()()()()()?」

 

リボーンが言ったことに皆、ハッとしてダークネスのほうに向いた。

 

「………いいだろう。話してやるよ、俺たちのことを」

 

 

 

 

 

一方、並盛中央病院の多目的ホールでは……。

 

「オイッ!チェッカーフェイス!いい加減、話しやがれ!あいつらはいったい、何者だ!!」

 

「クフフ、そうですね。もう、我々は全て話しました。そろそろ、話してもらえないでしょうか?」

 

獄寺と骸がチェッカーフェイスに言った。他の皆も口には出さないが同じ気持ちだった。

 

「まぁ、そうだね。そろそろ話すとするよ。まず、彼らが何者かって話だが……」

 

 

 

 

「俺たちは……」

 

 

 

 

「彼らは……」

 

 

 

 

そして、ダークネスとチェッカーフェイスは言った。

 

 

 

 

「「チェッカーフェイス(私)とユニと同じ、生粋の地球人の一族だ(よ)」」

 

 

 

 

『なっ!!?』

 

これには地下牢にいるメンバーも並盛総合病院にいるメンバーも全員が驚いていた。

 

 

「どういうことだ!?お前、生き残りはお前とユニしかいねえって、言ってたじゃねえか、コラ!?」

 

「私も襲撃してきたあの日に襲撃者である彼の血で初めて気づいたんだ。生粋の地球人の血は君たち新しい地球人のものとはオーラというものが違うのさ」

 

 

 

 

「ちょっと、待ってください。あなたの言い分が正しいとするなら、先程のリボーンの言ったことと矛盾しています」

 

「だって、俺たちはついこの間まで()()()()()()()()()()()

 

「えっ?」

 

風の疑問にルシフェルが答えた。

 

 

 

 

「あいつらは宇宙人だとでも言うのかあぁぁぁ!?」

 

「まぁ、そういうことになるね。彼らの先祖は大昔、大罪を犯して、(トゥリニセッテ)の力で地球から追放したのさ」

 

(トゥリニセッテ)にはそんな力もあるのかよ……」

 

「なるほど、あのときのリリスの言葉……」

 

骸は自分たちを襲撃してきたリリスの言葉を思い出していた。

 

『『ロヴィーノ教団』?『大罪の7人(ペッカート・セッテ)』?聞いたことありませんね』

 

『そりゃそうよ。()()()()で本格的に行動し始めたのは今日からなんだから』

 

「……あれは大袈裟に言ったわけではなかったのですね」

 

「おそらく、その通りだ。彼らは別の星で行動していたのだろう。そして、宇宙船を作ってこの地球に戻ってきたのだろう……」

 

 

 

 

「大罪を犯したっていったい何を……」

 

とユニは聞いた。

 

「それは、俺たちの目的にも繋がるな」

 

とダークネスは言った。

 

 

 

 

「あいつらの目的はいったい………」

 

炎真はチェッカーフェイスに聞いた。

 

「彼らの目的は(トゥリニセッテ)を集めていたことより、おそらくだが………」

 

 

 

 

「俺たちの目的は《ロヴィーノ》の復活だ」

 

「《ロヴィーノ》?」

 

ダークネスが言った言葉にツナたちは全員首をかしげた。

 

 

 

 

「チェッカーフェイス、《ロヴィーノ》って何なんだ?あの連中も《ロヴィーノ教団》って名乗っていたが………」

 

ディーノがチェッカーフェイスに聞いた。それは、この場にいた全員が思っていた。

 

「《ロヴィーノ》というのは簡単に言えば……」

 

そして、チェッカーフェイスは言った。

 

「今まで多くの異世界というものを滅ぼした。『破滅』を司る《神々至上サイキョウの邪神》のことだよ」

 

 

 

 

「邪神ですと!?」

 

「貴様らはその邪神を復活させようというのか!?」

 

スカルとラルが驚いて言った。

 

「ああ、そうさ。大昔、罪を犯した俺たちの先祖よりもさらに遠いアルコバレーノが生まれるよりも前の先祖も含めた生粋の地球人たちがこの世界を滅ぼそうと攻めてきたロヴィーノと戦って、最終的には(トゥリニセッテ)を使って封印したってわけ」

 

「その戦いで、多くの生粋の地球人たちは死んだと聞いているな」

 

そうルシフェルとダークネスが説明した。

 

 

 

 

「邪神……そんなものがいるのかよ……」

 

「ハハン、さすがに信じがたいですね」

 

γと桔梗がそう言った。

 

「だが、残念ながら事実だ。私もその場にいたからね」

 

チェッカーフェイスの言葉に『お前、何歳だよ……』と全員思ったが今はそれは置いといた。

 

「だが、そんな話は1度も聞いたことない。《ロヴィーノ》という名もな」

 

イェーガーがそう言った。

 

「それは勿論さ。彼はそれほど、恐ろしい邪神だった。正直に言って、封印ができたのも奇跡だったくらいだからね。だから、私たちは《ロヴィーノ》に関しての情報を徹底的に隠した」

 

 

 

 

「もしかして、君たちの先祖の犯した大罪ってのは………」

 

「ああ、《ロヴィーノ》の復活さ」

 

バミューダの質問にダークネスは答えた。

 

「!?なんでそんなことを!?」

 

「さあな。大昔すぎて、俺たちにもわからねえ。大方、巧く利用して世界を手に入れようと考えていたんじゃないのか?」

 

ツナの質問にはルシフェルが答えた。

 

 

 

 

「そんなことがあったのですか………」

 

「ウム。当時は処刑しようと考えていたが、それを行おうとしていたものはどいつも戦闘力が高い者ばかりでしたくてもできなかったんだ」

 

「だから、追放したのか………」

 

アーデルの言葉にチェッカーフェイスは頷いた。

 

 

 

 

「ところで君たちはその邪神を復活させて何をするの?ご先祖様と同じで世界を手に入れようとしているのかい?」

 

白蘭は2人に聞いた。

 

「まさか。《ロヴィーノ》を利用して世界を手に入れるなんて、《神々至上サイキョウの邪神》相手にそんなことはできるわけねえよ」

 

それをルシフェルが答えた。

 

 

 

 

「それでは、彼らは邪神を復活させていったい何をする気でしょうか?」

 

バジルがチェッカーフェイスに聞いた。

 

「……あの時に彼は『復讐』って言っていた。だから、おそらく……」

 

そして、チェッカーフェイスは言った。

 

「この()()()()()だと思われる」

 

 

 

『!!!??』

 

 

 

「地球の破滅だと!!?」

 

「何それ?ふざけているの?」

 

ヴェルデとマーモンが言った。

 

「ふざけていないさ。俺たちは《ロヴィーノ》を復活させて地球を滅ぼす」

 

「なぜ、そのようなことを……?」

 

ダークネスがそう言うとユニが聞いた。

 

「俺たちの先祖が追放され、着いた先の星はどんなだったかわかるか?」

 

ルシフェルはツナたちに言った。

 

「土地は荒れて、空気も水も汚れ、星のほとんどが腐っていた」

 

「その星の中でもほんの一部だけは豊かな場所はあった。だが、……」

 

「増えていく膨大な人口に対して、その場所は僅か、……わかるか?」

 

「その場所を求めて、戦争は何度も起きた」

 

ダークネスとルシフェルは自分たちのいた星について話した。ツナたちはそれに何とも言えなかった。2人はまだ話を続けた。

 

「だが、時間が経てば豊かな場所も廃れていく。俺たちは今後も苦しみながら生きていくしかなかった」

 

「俺たちはこのまま死ぬ運命ならその前にこの地球を滅ぼす!!」

 

とルシフェルは覚悟を決めた目で言った。

 

「お、おい。そんなことしたら、お前らも死ぬんじゃないのか?」

 

スカルが怯えた様子で言った。

 

「フンッ!そんなの、地球を滅ぼすことができるなら本望だ」

 

とルシフェルは何でもないように言った。

 

「ふざけるな!!」

 

ツナが立ち上がって言った。

 

「そんなことで、関係ない皆を、地球を、滅ぼさせるか!!」

 

他の皆も、覚悟を決めた目でダークネスとルシフェルを見た。

 

「それで?どうする気だ?」

 

「俺たちはお前らを止める!!」

 

「俺たちを止めるだと?」

 

そう言って、ダークネスは黙った。すると、

 

ゴォッ

 

『うっ!!!?』

 

ツナたちは全員膝をついた。

 

(な、なんて、威圧感だ…………!?)

 

リボーンはダークネスの威圧感に驚いた。

 

()()()()()()()で膝をつくようじゃ無理だな」

 

「くっ………」

 

ツナたちは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「フン。もうここに用はないな」

 

「じゃあ、お前ら、今日はゆっくり休めよ」

 

そう言ってダークネスとルシフェルは出ていった。残ったのはダークネスの威圧から解放されて呼吸が荒かったツナたちだった。



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儀式

今回は長いです。


その日から次の日

 

ガチャッ

 

ツナたちがいる地下牢に再びダークネスとルシフェルが入ってきた。

 

「よう。元気か、お前ら?」

 

とルシフェルが入ってきた。

 

「次は何?」

 

とマーモンが返した。

 

「おっ!マーモン、怪我はどうなったんだ?」

 

「おかげさまで、バッチリ治ったよ。でもそっちが勝手にやったことで僕は頼んでいないからお金は払わないよ」

 

ルシフェルとマーモンの間でそんな話をしていた。

 

「それで何の用だ?」

 

今度はリボーンが聞いた。

 

「計画を始めようと思っている」

 

ダークネスがそう言った。

 

「!?そんなこと、させる………」

 

とツナが止めようとしたら、

 

シュッ

 

「うっ!?」

 

ガクッ

 

ダークネスがハンカチでマスクをしてツナの顔に何かのスプレーを使った。するとツナは急に体が崩れ落ちた。

 

「沢田さん!?」

 

ユニがツナに近づこうとしたがその前に

 

プシューッ

 

ダークネスが地下牢全体にスプレーを使った。いつの間にか、ルシフェルも口元をハンカチで押さえていた。

 

「うっ……!?」

 

「くそっ……!?」

 

「力が抜け……!?」

 

全員、次々に崩れ落ちた。

 

「スロウスの《怠惰の炎》のスプレーだ。純度が低いから意識を奪うことはできないが、相手の抵抗力を奪うことができる」

 

ダークネスがハンカチで押さえながら説明した。

 

「これで何もできないな。よし、お前ら!こいつらを連れていけ!」

 

『はっ!!』

 

とルシフェルが言うと次々に地下牢にガスマスクをつけた《ロヴィーノ教団》の部下たちが来て、《怠惰の炎》のせいで何もできないツナたちと(トゥリニセッテ)の器を持ち出した。

 

「くそっ……!!」

 

「くっ………!!」

 

ツナたちはそう呟くことしかできなかった。

 

「行ったな……」

 

「ああ……」

 

「それじゃ、俺たちも行くか。あいつらも待っているだろうしな♪」

 

とルシフェルは出ていった。

 

「……………」

 

ダークネスは黙ったまま、そこにいた。しかし、それもすぐに終わり、地下牢を出た。

 

 

 

 

部下たちに連れられたツナたち、着いた場所はとても広い広間だった。その中心には7つの台座が円を作るように並び、その内側にも7つの台座が円を作るように並んでいた。一番外側には普通の椅子2つと赤ん坊用の椅子が5つがこれはまた、円を作るように並んでいた。一番中心には台座が1つあった。そこにはツナたち以外にも

 

「やっと来やがったかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

「うふふ、待っていたわよ♪」

 

「こちらは待ちくたびれましたよ……」

 

「まあまあ、エンヴィー。そういうことは言わないでござる」

 

「もぐもぐっ、ゴクン。いよいよ、始まるんだね」

 

「………ああ……、………そうだな………」

 

ルシフェル以外の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のジャバウォック、リリス、エンヴィー、豪、ベルゼブブ、スロウスがいた。

 

「……ジャバウォック」

 

「あなたは………」

 

「あ、豪君じゃん」

 

マーモン、ユニ、白蘭はそれぞれ対峙した相手を見た。

 

「………………」

 

ラルはベルゼブブに向けて、殺気を込めて睨み付けていた。

 

「あら?ベルゼブブ、彼女、あなたのこと、ものすごく睨み付けているわよ?」

 

「たぶん、恋人のことを馬鹿にしたからだと思うよ」

 

「あらあら♪彼女、とても彼想いなのね♪」

 

リリスとベルゼブブはラルを見てそんな話をしていた。

 

「よう。全員いるな?」

 

「…………」

 

次にルシフェルとダークネスが入ってきた。

 

「ルシフェル、ダークネス。全員いるでござる」

 

「………はぁ~……。…………それにしても、……めんどくさい………」

 

「確かに(トゥリニセッテ)の全てが特殊な状態ですからね。ボンゴレリングとアルコバレーノのおしゃぶりはそれぞれVG(ボンゴレギア)、そのような器になっていますし。マーレリングはその力を封印されてますし……」

 

「それを今から何とかするって話だろうがあぁぁぁーーーー!!!!」

 

と豪、スロウス、エンヴィー、ジャバウォックが話していた。

 

「………いったい、何をする気ですか?」

 

《怠惰の炎》で動きづらそうにしていた風が聞いた。

 

「まずは、お前らのその器をおしゃぶりに戻す。バミューダがいなきゃ機能できないっていうのは不便だからな」

 

『!!?』

 

ルシフェルの言葉にツナたちは驚いた。

 

「リボーンたちに呪いをかける気か!?」

 

「俺たち、また呪いかかるのかよ~!?」

 

ツナとスカルがそう言った。《ロヴィーノ教団》が生粋の地球人ならチェッカーフェイスのように呪いをかける方法を知っていてもおかしくないとツナたちはそう思った。だが、

 

「別に呪いをかける必要はない」

 

『え?』

 

ダークネスの言葉にツナたちは一瞬何を言われたのかわからなかった。

 

「呪いをかける必要がないって……」

 

「そのままの意味だ。おしゃぶりをリングのようなものにする。だから、呪いをかける必要はない」

 

「おしゃぶりをリングのようなものにするって…どういうこと?」

 

ツナはよくわからず聞いた。

 

「……沢田綱吉」

 

「は、はい!」

 

「お前が未来で初めてリングに炎を灯したときどんな状態だった?」

 

「えっ……。それは……」

 

ダークネスに言われてツナは太猿との戦いを思い出した。

 

「あっ……。確か、チェーンを通して首にぶら下げていた。……って、なんで知っているの!?」

 

「つまり、そういうことだ。首にぶら下げてリングに炎が灯ることができるならおしゃぶりにも同じことが言える」

 

(無視された………)

 

「しかし、器をおしゃぶりに戻すなど、そんなことができるのか?」

 

ダークネスの話を聞いていたヴェルデが聞いた。

 

「そう言えば、昨日は言っていなかったな。俺たちがいた星ではな、戦争に勝つためにな文明は発達しているんだ。その中には死ぬ気の炎の研究もあったんだぜ」

 

「僕の大蛇丸もそうだよ」

 

そう言って、ベルゼブブは腰から大蛇丸を出した。

 

「ひ~~っ!ヘビ~~!?」

 

ツナはびびった。ラルはベルゼブブを睨んだ。

 

「それなら、土地を復活させる方法は……」

 

「それはないわ」

 

「あそこはいわば、死んだ土地。生き返らせるなんてそんな奇跡はできませんよ」

 

ユニの言葉をリリスとエンヴィーが否定した。

 

「そんなことよりも、とっとと始めるぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

「そうだな。オイッ!こいつらをあそこに運べ!」

 

『はっ!!』

 

ルシフェルがそう言うと部下たちがツナと白蘭以外のリボーンたちを運んだ。バミューダを除くリボーンたち元アルコバレーノは椅子に座らされて、拘束機具で拘束され、内側の7つの台座には器をバミューダを中心の台座に座らせた。

 

「くそっ……」

 

「くっ………」

 

「ムッ………」

 

「皆………」

 

ツナは心配そうに見た。そして、見ることしかできない自分が悔しかった。

 

「それじゃあ、始めるぞ」

 

そう言ってダークネスは外側の7つの台座に空のアルコバレーノのおしゃぶりを置き始めた。そして、最後の1つを置くと……

 

ボウッ

 

『っ……!?』

 

台座に置いたおしゃぶりが燃え上がり始めリボーンたちが苦しみ始めた。

 

「リボーン!?皆!?」

 

「ねぇ……。ユニちゃんたちに何したの?」

 

ツナはリボーンたちを心配し、白蘭はダークネスたちに聞いた。

 

「おしゃぶりに注ぎ込む炎は二種類、1つはあの器の炎、もう1つは《選ばれし7人(イ・プレシェル・ティ・セッテ)》の炎」

 

「「!?」」

 

「つまり、あいつらの炎を無理やり奪っている。バミューダに関してはあの器を機能し続けるために炎をいつも以上に使っているな」

 

ダークネスの言葉にツナと白蘭は止めようと動こうとしたが邪魔をされて、結局できなかった。

 

そして、しばらくたつと、

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ」

 

どうやら終わったらしくリボーンたちは息を荒くしていた。そして、器からは炎が感じられず、おしゃぶりは輝いていた。

 

「リボーン!皆!大丈夫!?」

 

「皆、顔色悪いよ」

 

ツナと白蘭は心配していた。

 

「大丈夫だ、心配するんじゃねえダメツナ。……って、言いてえところだがかなりの炎を持っていかれた」

 

「《怠惰の炎》が無くても動くのは難しいでしょう」

 

とリボーンと風が言った。

 

「く、くそっ………!!」

 

バミューダは悔しがっていた。チェッカーフェイスから奪い取ったものを盗られたため当然だ。

 

「………お前ら、ユニにお前らの炎を分けろ」

 

「了解」

 

「わかったわ♪」

 

「うん」

 

「わかりました」

 

「了解でござる」

 

「オオーーーー!!!!」

 

「……わかった……」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のメンバーはユニに《大空》の炎を与えた。

 

「どういうつもりですか?」

 

ユニがダークネスに聞いた。

 

「お前にはまだあとで沢田綱吉と白蘭と共にやってもらいたいことがあるからだ」

 

ダークネスはそう返した。

 

「なっ!?ユニにこれ以上何をさせる気だ!!」

 

「それはあとでわかる。今はその時まで僅かしかないがゆっくり休め」

 

ダークネスはそう言った。

 

「それよりも、次のマーレリングだ」

 

ダークネスはそう言って7つのマーレリングを右手に取り出した。

 

「っ!どんな手を使ってもマーレリングの封印は絶対にときません!!」

 

ユニが覚悟を決めた目で言った。マーレリングの封印をとくにはユニの力が必要だ。だから、絶対にさせないと。

 

「別にお前の力は必要ない」

 

「えっ?」

 

ユニはダークネスが言ったことが理解できなかった。

 

「今、なんて?」

 

「だから、マーレリングの封印をとくのに、お前の力は必要ないって言ってるんだ。()()()()()()使()()()な」

 

そう言うとダークネスは右手の中指にはめていたリングから漆黒の炎を出した。

 

『!!?』

 

ツナたちは初めて見る炎に驚いた。その炎は色は《夜》の炎に似ていたが《夜》の炎の禍々しさは無かった。形だけで言えば《大空》の炎に似ていた。

 

「いったい、何なんだ。お前の炎は………」

 

リボーンはダークネスに聞いた。

 

「この炎は《闇》の炎。俺の本来の炎だ」

 

「《闇》の炎?」

 

「ああ、この炎を使えば……」

 

そう言うとマーレリングは《闇》の炎に包まれた。

 

『!!?』

 

ツナたちは再び驚いた。そして、しばらくたつとマーレリングを包んでいた炎は消えた。すると、

 

「!?マ、マーレリングの封印がとけている!?」

 

『なっ!?』

 

ツナたちは三度目の驚きをした。

 

「ど、どういうことだ!?」

 

「それがお前の炎の力か……?」

 

リボーンがダークネスに聞いた。

 

「………そうだな………。厳密に言うとこの《闇》の炎の特性は正確には決まっていない」

 

「決まっていないだと……?」

 

「ああ、判明しているのは《強化》《融合》そして《無効》だ。ちなみにマーレリングの封印はこの炎で無効にした」

 

「そんなことが………」

 

ユニが驚いているのをよそに

 

「融合………!?もしかして……」

 

ツナは思い出した。

 

まずは自分たちとルシフェルの戦いを。

 

『これは俺が改造に改造を重ねた《仕込みハルバード》だ。こいつには()()()を組み合わせたことで死ぬ気の炎を自由自在に形を変えて固定化することで今のような炎の剣ができたっていうわけだ』

 

ラルの話にあったベルゼブブの言葉を

 

『《暴食の炎》だと?』

 

『うん。僕の《雲》の炎と《大空》の炎が()()()の力で組み合わされできた炎なんだ』

 

それにツナは直感した。

 

「お前らの言っていた()()()ってまさか!?」

 

「あっ、気づいた?そのまさかさ。ダークネスの《闇》の炎を俺の仕込みハルバードに《霧》と《雷》と一緒に組み込むことで炎の固定化ができたってわけ」

 

「私たちの炎も《大空》とそれぞれの炎を《闇》の炎で融合して生まれたの♪」

 

ルシフェルとリリスが説明した。

 

「《夜》の炎に《闇》の炎を使える………。もしかして、あなたが《闇夜》ですか?」

 

「《闇夜》って君の予知で出てきた『7つの大罪と闇夜』のこと、ユニちゃん?」

 

「はい。それでどうなんですか?」

 

ユニがダークネスにそう聞いた。

 

「まぁ、その通りだ。俺は《闇》と《夜》、この2つの炎を組み合わせて《闇夜》の炎を持つ」

 

ダークネスはそう言うと《闇》の炎の周りに《夜》の炎の禍々しさが加わった。どうやら、これが《闇夜》の炎らしい。

 

「それよりも、次の部屋に行くぞ」

 

「ん?ボンゴレリングはいいのでござるか?」

 

豪はダークネスに聞いた。

 

「ああ。ボンゴレリングはVG(ボンゴレギア)のままでも問題ない。だから、行くぞ」

 

そう言ってダークネスは奥の部屋へと出て行った。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》もあとを追い、ツナたちも部下に連れられて部屋を出た。

 

 

 

 

ツナたちが着いた次の部屋は先程の部屋よりも広かった。そこには7つの台座が円状に並びそれが3つ、三角形のように並んでいた。それぞれの円の中心には磔台があり、三角形の中心に向いていた。

 

「よし。それじゃ、お前ら、こいつらを運べ」

 

『はっ!!』

 

ルシフェルがそう言うと部下たちはツナ、ユニ、白蘭を磔台へと運び磔にした。台座にはツナがいるところにVG(ボンゴレギア)、ユニがいるところにおしゃぶり、白蘭がいるところにマーレリングを置いた。

 

「次はいったい、何をする気だ……」

 

ラルがそう言った。

 

「《ロヴィーノ》を復活させるための鍵を作るんだよ」

 

それをベルゼブブが答えた。その時のラルは顔を歪めた。

 

「どうやら、僕、随分彼女に嫌われたみたいだね」

 

ベルゼブブは肩をすくめて言った。

 

「《ロヴィーノ》を復活させるための鍵だと!?」

 

「そんなこと、絶対にさせません!!」

 

と皆は言っていたが

 

「炎を奪われたテメーらに何ができるってんだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

「っ……」

 

ジャバウォックの言う通り、リボーンたちには何もできなかった。そして、儀式は始まった。

 

ボウッ、ボウッ、ボウッ、ボウッ、ボウッ、ボウッ、ボウッ

 

全てのVG(ボンゴレギア)、おしゃぶり、マーレリングから炎が灯り出した。そして、

 

「う、うわあぁぁぁーーーー!!!?」

 

「き、きゃあぁぁぁーーーー!!!?」

 

「ぐっ…………………!!!?」

 

3人が苦しみ出した。先程のリボーンたちの比ではなかった。

 

「お前ら!?」

 

「ちょっ、これはヤバイですよ!?」

 

「確かに、これはまずいね」

 

「特にユニ君は連続だからね……」

 

皆、それぞれが心配していたが何もすることができなかった。そして、しばらくたつと、

 

「「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」」

 

「ゼェッ、ゼェッ、ゼェッ、ゼェッ」

 

VG(ボンゴレギア)、おしゃぶり、マーレリングから出ていた炎はおさまり、中心には強い力を感じる《剣》があった。儀式が終わり磔台から降ろされたツナたち3人もものすごく息を荒くしていた。どうやら、相当の炎を奪われたらしい。

 

「………その剣が鍵なのか?」

 

リボーンがそう聞いた。

 

「ああ、そうだ。………だが、まだ力が馴染んでいないから不完全な状態だ。(トゥリニセッテ)の全ての力だから当然か……。完全に力が馴染むまで2日ぐらいだな」

 

ダークネスがリボーンの質問に答えた。

 

(トゥリニセッテ)の全ての力だと!?」

 

ヴェルデがそう言うと皆、(トゥリニセッテ)のほうを見た。するとそこにはVG(ボンゴレギア)もおしゃぶりもマーレリングも()()()()()()()()()()

 

「ああ、《ロヴィーノ》を復活させるためには(トゥリニセッテ)の全ての力を使う必要がある。残ったそれらはAランクオーバーからせいぜいAランク程度になったな」

 

ダークネスは淡々と言った。皆がショックを受けている中、

 

「………そいつらは………どうするんだ………?」

 

スロウスがそう言った。

 

「確かに彼らはもう用済みですからね」

 

「いっそのこと、ここで殺すでござるか?別に我輩はそれでも構わないでござる」

 

とエンヴィーと豪がそう言ったのを聞いたツナたちは構えた。すると、

 

ドカーーーーン

 

『!!?』

 

ツナたちが入ってきた扉が急に爆発してツナたちも《ロヴィーノ教団》も驚いてそちらを見た。すると、そこには

 

「……ここにいやがったか、ドカス共」

 

「XANXUS!?」

 

「ボス!?」

 

XANXUSがいた。それ以外にも

 

「10代目、ご無事ですか!?」

 

「おっ!ツナに小僧、皆いるのな」

 

「極限によかったぞーーー!!」

 

「ボス……、よかった」

 

「クフフ、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》もいますね」

 

「……………」

 

「ツナ君、皆!」

 

「ゔぉおおおおい!!テメーらやっと見つけたぞぉぉぉーーーー!!!!」

 

「姫!!」

 

「ラル!無事か、コラ!!」

 

「沢田殿、皆さん!救援に参りました!」

 

獄寺、山本、了平、クローム、骸、雲雀、炎真、スクアーロ、γ、コロネロ、バジルがいた。

 

「お前ら、邪魔だ、コラ!!」

 

バンッ、バンッ、バンッ

 

『グハッ!?』

 

コロネロがツナたちのそばにいた部下たちを狙撃した。

 

「獄寺君に山本、お兄さん、クローム、骸に雲雀さんまで!?」

 

「炎真!?」

 

「隊長!?」

 

「γも!?」

 

「バジルに……コロネロ………!?」

 

「これは大勢と……」

 

「すごいね、これ♪」

 

「いったい、何が起きているのだ?」

 

「彼らはどうして、ここにいるんだい?」

 

「オメーら……」

 

ツナたちも驚いていた。

 

「テメーらーーー!!!!どうやって、ここまで、来やがったんだーーーー!!!!?」

 

ジャバウォックが獄寺たちに向かって言った。

 

「へッ!チェッカーフェイスがテメーらの場所を突き止めて、イェーガーたち復讐者(ヴィンディチェ)たちが残っている《夜》の炎を使ってここまで来たんだ」

 

獄寺が説明した。

 

「でも、ここまで来るのに部下たちがかなりいたはずよ?彼ら、私たちの足元にも及ばないけど決して弱くないわ」

 

リリスが新たな疑問を出した。

 

「そんなもん、全員ぶっ倒したに決まってんだろうがぁぁぁーーーー!!!!」

 

「群れていて、ムカついたから咬み殺したよ」

 

スクアーロと雲雀がそう言った。

 

「皆………。ありがとう」

 

ツナは皆に例を言った。

 

「そんな恐れ多い!!」

 

「ハハッ!親友として当然なのな!」

 

「ウムッ。京子たちにも頼まれたからな」

 

「えっ?京子ちゃんたちも?」

 

「京子ちゃんとハルちゃん、自分たちが人質にとられたせいでボスが連れ去られたって落ち込んでいた」

 

「そうだったんだ」

 

ツナは京子とハルに申し訳なく感じた。

 

「でも、皆無事でよかった」

 

「ええ。そうです!」

 

「姫、ご無事で……」

 

「ラル、よかったぜ、コラ……」

 

炎真とバジル、γ、コロネロがそう言った。

 

「γ……」

 

「コロネロ……」

 

ユニとラルはそれぞれγとコロネロを見て言った。

 

「クフフ、勘違いしないでください。僕はただリリスとルシフェルに借りを返したかっただけです」

 

「あのメッシュの男は僕の獲物だよ。邪魔するなら君から咬み殺すよ」

 

骸と雲雀がそんなことを言っていた。

 

「あいつは俺がかっ消す」

 

XANXUSはジャバウォックを見て言った。

 

「オメーら、再戦を望むのはいいが、ちょっとまずいことがある」

 

リボーンがそう言った。

 

「まずいことですか?リボーンさん」

 

「ああ。(トゥリニセッテ)の全ての力を奪われてその剣に集められた」

 

『!!?』

 

リボーンの言葉に獄寺たちは驚いた。

 

「おい、どういうことだ、コラ!!」

 

「話せば長くなる。今はあいつらを倒すしかねえ。俺たちは炎を奪われてろくに戦えねえ……」

 

リボーンがそう言うと

 

「わかりました!!」

 

「あいつらを倒せばいいのな?」

 

「極限にやってやるぞ!!」

 

「私も……」

 

「クフフ……」

 

「フンッ………」

 

「ツナ君たちは休んでいて」

 

「ここは俺たちに任せるんだ、コラ!!」

 

「拙者も助太刀いたします」

 

「そういうことなら、話が早いぜぇぇぇーーーー!!!!」

 

「ハッ…………!!」

 

「姫!!お下がりください!!」

 

獄寺たちは戦闘体勢に入った。

 

「お?やるのか?」

 

「うふふ♪たっぷりと可愛がってあ・げ・る♪」

 

「ぶっ潰してやるぞぉぉぉーーーー!!!!」

 

「返り討ちにしてやるでござる」

 

「僕もやるよ」

 

「ふーっ。やれやれ………」

 

「………怠いな………」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も戦闘体勢に入った。今ここで地球の運命をかけた戦いが始まる…………と思ったら

 

シュンッ

 

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ

 

『グハッ!!?』

 

『!!!??』

 

獄寺たちが何者かに斬られて倒れた。ツナたちも《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も驚いた。それを行ったのは………

 

「……ったく。くだらないことやってるんじゃねえよ」

 

ダークネスだった。ダークネスの両手には刃渡り20㎝の刃が付いて銃身の側面には銀のドラゴンが彫られていたまるで2振りの剣にも見える単発式拳銃の形状した漆黒の2丁拳銃、『ガンブレード』だった。

 

「ダークネス!?」

 

「………なんだ、ルシフェル?」

 

「イヤ、いったい何を?」

 

「別に、部下共が全滅しているんだ。そいつらの回復をさせとかなきゃ、後の計画に支障をきたす。ただ、それだけだ」

 

ダークネスは淡々と言った。

 

「皆!!」

 

「嘘だろ……!?」

 

「あいつらをたった一瞬で……!?」

 

「……僕でも見えなかった」

 

「バミューダでもか!?」

 

「あれが………」

 

「《闇》の炎で強化された《夜》の炎の力を持つ《闇夜》の炎の力か………」

 

ツナたちはそう言った。

 

「とりあえず、こいつらを追い出すとするか」

 

ダークネスはそう言って近づくと

 

「待て」

 

ツナが立ち上がった。

 

「何だ?」

 

ダークネスはツナにそう聞いた。

 

「俺は皆を傷つけたお前らを許さない!そんなお前らに(トゥリニセッテ)の力を渡さない!地球を滅ぼさせない!」

 

そう言って、ツナはXグローブをはめて、死ぬ気丸を飲み込んだ。

 

ボウッ

 

額に《大空》の炎を灯して言った。

 

「お前は俺が倒す!!」




最後、終わりかた微妙だった気がします(汗)。

こんな駄作を読んでいただきありがとうございます。

次回、『《大空》VS《闇夜》』


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《大空》VS《闇夜》

最後、残酷なシーンあるので気をつけて下さい。


「お前は俺が倒す!!」

ツナがダークネスに言った。

 

「俺をお前が倒すだと?ふざけたこと言ってんじゃねぇよ」

 

シュンッ

 

ダークネスはショート・ワープを使った。

 

ガキンッ

 

「!?」

 

ツナはグローブでダークネスのガンブレードの刃を受け止めた。

 

「嘘!?」

 

「ダークネスの攻撃を受け止めただと!?」

 

「マジかよぉぉぉーーーー!!!!?」

 

「信じられんでござる………」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も驚いていた。

 

「……グッ…10代目………」

 

獄寺がそう言った。どうやら、皆、意識はあったようだ。

 

「大丈夫ですか、皆さん?」

 

ユニが獄寺たちに声をかけた。

 

「ええ………。………ただ、……情けない話……戦えそうにありません」

 

γがそう答えた。他の皆も同じようだ。

 

「それにしても、よくあいつ、今の攻撃を受け止めることができたな」

 

ラルがそう言うと

 

「虹の代理戦争での《死ぬ気の到達点》に加えて、この数ヵ月の俺の修行で超直感がより研ぎ澄まされたんだろう」

 

リボーンが答えた。

 

「ふーん。やるじゃねえか」

 

ダークネスはそう言って1度ツナから離れた。

 

「お前ら、部下共の回復しろ。俺はここであいつとやる」

 

ダークネスはルシフェルたちに言った。

 

「あぁ!!!?ふざけんな!!!!俺たちも………」

 

ジャバウォックが文句を言おうとすると

 

ギロッ

 

「くっ……わかったぜぇぇぇ……」

 

ダークネスの殺気を込めた睨みでジャバウォックはコロネロに狙撃された部下を連れて出ていった。

 

「お前らもだ」

 

「……わかったわ」

 

「了解でござる……」

 

「回復の役目は基本的、私ですからね……」

 

「じゃあ、僕も……」

 

「……怠いけど………わかった……」

 

とルシフェル以外のメンバーが出ていった。

 

「ルシフェル……」

 

「別にいいだろ?同期のよしみでさ?この《ロヴィーノ教団》でお前との付き合いが一番長いんだから。それに……」

 

そう言って、ルシフェルはロヴィーノ復活の鍵となる剣に近づいた。

 

「こいつを守るのにも必要だろ?」

 

「…………ハァッ。好きにしろ」

 

「ああ。好きにさせてもらうぜ」

 

ルシフェルとの会話が終わるとツナに振り向いた。すると、

 

シュンッ

 

今度はツナが《大空》の炎の推進力でダークネスの背後に回った。ツナはそのまま、ダークネスに殴ろうとするが

 

ガンッ

 

「グハッ!?」

 

ダークネスが先にツナを蹴り飛ばした。

 

ガシャンッ

 

ツナは()()()()に飛ばされた。

 

『10代目/ボス/沢田/ツナ(君/さん/殿)!?』

 

皆、ツナのことを心配した。

 

「落ち着け、オメーら。ツナはわざと飛ばされたんだぞ」

 

「わざとだと、コラ?」

 

「ああ、今の状態じゃ、あいつに勝つのは難しい。だから、()()を回収する必要があったんだ」

 

「あれ?」

 

「あれを見てみろ」

 

リボーンに言われて見てみると

 

「あっ!VG(ボンゴレギア)!」

 

炎真の言う通り、ツナは自分の《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》を回収していた。ツナはそれをすぐにはめた。するとX(イクス)グローブは赤いガントレットに変わった。

 

「ナッツ!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!」

 

ツナはナッツを形態変化(カンビオ・フォルマ)させてX(イクス)グローブの肘側にも炎の噴射口を出した。それにより先程よりもスピードが上がった。しかし、

 

(くっ……。予想はしていたが、やはり威力が落ちている……)

 

そう、《ロヴィーノ教団》》に(トゥリニセッテ)の全ての力を奪われたことでVG(ボンゴレギア)の威力が落ちたのだ。しかし、この状態で攻めることしかできないツナはダークネスに攻めた。

 

ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ

 

ツナが殴ろうとするとダークネスがガンブレードで防いだり捌いたりして、ダークネスがショート・ワープで攻めようとするとツナは超直感で察知して、グローブで防いだり捌いたりした。

 

「このままじゃ埒が明かないな……」

 

そうダークネスが言うと

 

ブォッ

 

ガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせて日本刀並に刃を伸ばした。

 

「!?ルシフェルのときと同じ……」

 

「そう!俺のハルバードと同じ炎の固定化だ!!」

 

ルシフェルが説明した。そして、ダークネスは

 

「ギアをあげるか……」

 

そう言うと

 

シュンッ、シュンッ、シュンッ、シュンッ

 

「!?(まだ、スピードが上がるのか!?)」

 

ダークネスのショート・ワープのスピードが上がったのだ。ツナはそれでも捌けていたが、だんだんきつくなっていた。

 

「何だかツナの動きが悪いのな?」

 

山本がそう呟くと

 

「そりゃあ、当然だよ。綱吉君も僕たちと一緒に炎を大量に奪われているんだから」

 

白蘭がそう言った。

 

「!?それは極限にまずいではないのか!?」

 

「確かにそうだが……。ツナには()()がある。まぁ、俺たちはしっかりと見届けるぞ」

 

リボーンに言われて皆はツナとダークネスの戦いを見た。

 

ツナはダークネスの連続攻撃を捌くのがきつくなっていた。ツナに刃がだんだんとかすりかけていた。

 

(くっ……。そろそろ、ヤバイ……。くそっ、少々危険だがやってみるか……)

 

ツナは防いだり捌いたりしていたがダークネスの猛攻に耐えられなくなったのか、大きな隙ができた。その隙をダークネスはついた。

 

「10代目!?」

 

「ツナ!?」

 

獄寺と山本がツナの身を案じツナの名前を言った。そして、

 

ジャキンッ

 

「!?」

 

ダークネスは驚いた。ツナに刺さる前にツナは親指と人差し指で長方形を作るようにして、ガンブレードの刃を挟み止めていた。

 

「《死ぬ気の零地点突破・改 真剣白羽取り》!!」

 

《死ぬ気の零地点突破・改》の構えでの真剣白羽取り。これにより、ツナは相手の炎を吸収し始めた。

 

(ちっ……。これが狙いだったか……)

 

ダークネスは引き剥がそうとしたが急な脱力感のせいでなかなかできなかった。だが、それもすぐになんとかなり、ツナを引き剥がした。

 

(やはり、本来の力が無い分、全力は出せないが……、炎は十分に回復した!)

 

ツナはそう思いながら、ダークネスが離れるのを見ると次の技を放つため構えた。

 

「《超高速 X(イクス)カノン》!!」

 

バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、バンッ

 

X(イクス)グローブから大量の炎の弾丸を高速で放った。ダークネスはガンブレードを構えて、

 

バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、バンッ

 

《闇夜》の炎の弾丸を放った。そして、

 

ドカンッ、ドカンッ、ドカンッ、ドカンッ、ドカンッ

 

お互いに相殺した。しかし、ツナの攻撃はまだ続いた。

 

「《(ハイパー)X(イクス)ストリーム》!!」

 

X(イクス)ストリーム》の強化版でダークネスを取り囲んだ。それをダークネスは

 

「《漆黒の竜巻(トルナード・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

1回転しながら両手のガンブレードを振るった。すると、《闇夜》の炎の竜巻がツナの《大空》の炎の竜巻を弾き飛ばした。ダークネスは周りを見たがツナが見当たらなかった。

 

「!?」

 

すると、物凄い炎圧を感じた。ダークネスがそちらを振り向くと

 

『ゲージシンメトリー!《X(イクス) BURNER(バーナー)》、発射スタンバイ!』

 

無機質な機械の音声が聞こえた。そして、ツナが大技の準備を完了していた。ダークネスが止めようと動くには遅すぎた。

 

「《X(イクス) BURNER(バーナー)》!!」

 

膨大な《大空》の炎がダークネスに襲い掛かった。誰もが決まった、っと思った。ダークネスとルシフェル以外は……

 

ジャキンッ

 

ドカンッ

 

『!!!?』

 

なんと、ダークネスはツナの《X(イクス) BURNER(バーナー)》を()()()のだ。そして、そのまま後ろの壁に激突して爆発した。

 

「……嘘……だろ……?」

 

「沢田の《X(イクス) BURNER(バーナー)》を……」

 

「斬っただと……?」

 

獄寺たちも信じられなかった。

 

「忘れたのか?あいつの《闇夜》の炎には《無効》があるってこと?それで沢田綱吉の《X(イクス) BURNER(バーナー)》を斬れたんだよ」

 

ルシフェルがそう説明した。しかし、獄寺たちは追いつけていなかった。そして、戦いのほうはダークネスが仕掛けた。

 

グサッ、グサッ

 

ガンブレードを床に突き刺した。そして、

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ

 

ダークネスが言うとツナの下の床から大量の《闇夜》の炎の槍が出てきた。

 

「!!!?」

 

ツナは急いで回避した。しかし、それで終わらなかった。

 

「出てこい。《ドレイク》」

 

ダークネスはそう言うと漆黒の匣を取り出して《闇夜》の炎で開匣した。すると、中から

 

「グオォォォッーーー!!!」

 

体長3、4メートルの鋭い爪と牙を持って背中には翼が生えて鍬形の角に真っ赤な目をした全身、真っ黒のドラゴンだった。

 

「なんなんだ、あれは?」

 

リボーンがそう言うと

 

「あれはダークネスの相棒の匣アニマル、《漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)》の《ドレイク》だ」

 

ルシフェルが再びそう説明した。

 

ダークネスはドレイクの背中に乗って、空中へと飛行してツナに向かって攻撃を始めた。

 

ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ

 

再び、2人の得物での戦闘になった。しかし、今度は空中戦となった。しばらく続いてツナは攻めあぐねていた。近づくとガンブレードで攻撃するか、ドレイクの爪と牙が来る。かといって、離れるとガンブレードの炎の弾丸とドレイクの口から吐く炎が襲い掛かる。

 

(このままじゃ、いつかやられる……。一か八か、やるしかない……)

 

ツナは1度、ダークネスとドレイクから思いっきり離れた。すると、ダークネスはガンブレードの炎の弾丸を放ち、ドレイクは口から炎を吐いた。

 

バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、バンッ

 

ボオォォォォウゥゥゥッ

 

ツナはX(イクス)グローブから剛の炎を出して、真っ正面から向かった。

 

「まさか、特攻かぁぁぁ!!」

 

「無茶です、10代目!!」

 

ツナは獄寺たちの声を無視して、弾丸と炎をかわし、ダークネスに目掛けて剛の炎を纏った左手の拳をぶつけようとしたが……

 

「ガハッ!!?」

 

ツナの拳が当たる前にダークネスの蹴りがツナの腹に直撃した。

 

「そんな特攻で俺に当たると思っていたのか?」

 

ダークネスがそう言うとツナは

 

「……いや。思っていないさ!!」

 

そう言って左手の拳をダークネスに向けて開いた。よく見たら、左腕のカウンターバーナーと右腕のグローブから柔の炎を出していた。

 

「なっ!!?」

 

ダークネスは何かに気づいたのか初めて焦った顔をした。でも、もうなにもかも遅かった。

 

「《零距離 X(イクス) BURNER(バーナー)》!!」

 

ドカンッ

 

零距離で放った《X(イクス) BURNER(バーナー)》がダークネスに直撃した。バランスは考えていなかったのでツナも後方へと飛んだ。

 

「これが狙いだったのか!!」

 

「これなら、避けることも斬ることもできねえぞ!!」

 

ツナは起き上がって、ダークネスのいる方向に向いた。そこには、黒づくめの格好だったので殆どわからなかったが、顔と真っ赤なワイシャツが煤で汚れていて、とっさにかわそうとしたのか、()()()()()()ダークネスだった。ダークネスは傷口を《闇夜》の炎で塞いでいた。

 

「ちっ……!!」

 

ダークネスは舌打ちをした。

 

「ダークネス。お前は左腕を失った。これでお前の戦力は減った」

 

ツナはダークネスに向けてそう言った。すると、ダークネスは

 

「………減った?それがどうした?」

 

シュンッ

 

ツナの背後にショート・ワープで移動した。ツナは超直感で察知して、振り返ってすぐに防御に入ったが

 

シュンッ

 

再び、ショート・ワープをしてツナの背後に移動した。そして、右手に持っていたガンブレードで斬りつけた。

 

「ぐっ………!!」

 

ツナはとっさに前へ飛んで直撃は避けたが刃がわずかに当たったらしく顔を歪めた。しかし、それで終わらなかった。

 

シュンッ

 

「がっ………!?」

 

ダークネスは今度はツナの前へと移動してツナの腹を膝蹴りした。そして、膝蹴りしたことで上がったツナの体を

 

グルンッ

 

ドカッ

 

「がっ………!!?」

 

回し蹴りをして飛ばした。飛ばされたツナは

 

ヒューッ

 

ドカンッ

 

ガラッガラッガラッガラッ

 

勢いよく壁に激突して瓦礫に埋もれた。

 

「沢田さん!?」

 

「おいツナ、大丈夫か!?」

 

獄寺たちはツナのことを心配した。

 

「………終わりだな…」

 

そう言ってダークネスはドレイクに近づいた。

 

「それは、どうだろうな?」

 

とリボーンが言った。

 

「…………何?」

 

ダークネスはリボーンにどういうことか聞こうとすると

 

ドカーーーンッ

 

『!!!?』

 

急に瓦礫が爆発して、ダークネスもルシフェルも獄寺たちも驚いた。そこには、

 

復活(リ・ボーン)!!」

 

着ていた学校の制服のベストだけが破れていて、白目をむいていたツナが立っていた。

 

「死ぬ気でお前を倒す!!!」

 

とツナはダークネスに人差し指を突きつけながら言って

 

ガキンッ、バキンッ、ゴキンッ

 

VG(ボンゴレギア)を外した。

 

カッ

 

ツナは目を見開いて

 

ゴオォォォォォッ

 

体から死ぬ気の炎を噴き出した。

 

「………《死ぬ気の到達点》…か」

 

ダークネスはそう言って

 

(なるほどな。さっき、俺が蹴り飛ばしたときにそこのリボーンが0.05秒以下の早撃ちで沢田綱吉に《死ぬ気弾》を与えたのか………)

 

リボーンを見てそう思った。よく見るとリボーンの手には銃口から硝煙が出ている拳銃を持っていた。

 

「……俺の細胞の全てがお前を倒すのに死を覚悟した」

 

ツナがそう言った。

 

「………ふんっ。死を覚悟したか……。……だが、いくら《死ぬ気の到達点》が武器をいらないからって、それで俺に勝てるって思ってるのか」

 

シュンッ

 

ダークネスはツナの背後に移動した。ツナは背後にいるダークネスを殴ろうと振り返ったが再びダークネスがツナの背後に移動した。そこでガンブレードで斬りつけようとしたが……

 

「がっ……!!」

 

ツナが先にダークネスの頬を殴った。ダークネスは飛ばされた。

 

「……思ってるさ。なぜなら、俺が死ぬ気だからだ」

 

ツナはそう言った。

 

「グオォォォッーーー!!!」

 

すると、次はツナの上からドレイクが牙で噛みつこうと襲いかかってきた。ツナはそれをかわし、ドレイクの腹を殴り飛ばした。

 

「グオォォッー!?」

 

ドレイクは壁に激突してそのまま動かなかった。

 

「!?ドレイクを一発KOだと!?」

 

ルシフェルが驚いていた。

 

シュンッ、シュンッ、シュンッ、シュンッ、シュンッ

 

ダークネスがツナに先程よりも速い連続攻撃をした。しかし、ツナはそれを全て捌いていた。

 

「全て捌いているぞ、コラ!!」

 

「さすがっす!10代目!!」

 

「《死ぬ気の到達点》に入ったことでさっきよりも超直感が鋭くなっているからな」

 

「僕と戦ったときよりも、さらに強くなっているね、彼。さすが、リボーン君って言ったところかな?」

 

獄寺たちはいろいろと言ってツナに感心していた。ツナとダークネスのほうはというと、ダークネスの連続攻撃を全て捌いていたツナがダークネスの右腕を掴んだ。

 

「しまった!?」

 

ダークネスはそう言った。ツナはそのままダークネスを殴り飛ばした。ダークネスは壁際まで飛ばされた。右手をついて起き上がろうとしていたが、あと一発決まれば勝てる。

 

「今です!!10代目!!」

 

「チャンスなのな!!」

 

「決めろ、沢田!!」

 

「クフフ、終わりですね」

 

「ボス!!」

 

「ツナ君!!」

 

「沢田殿!!」

 

「………咬み殺しなよ。小動物」

 

「これで、綱吉君の勝ちだね♪」

 

「全く、ボンゴレはすげえな」

 

「はい!沢田さんは凄いです」

 

と獄寺たちが言っていた。

 

「助けには行かせねえぞ、ルシフェル」

 

「そうだぞ、コラ!!」

 

「沢田の邪魔はさせないぞ!!」

 

「………ドカスが」

 

「ゔぉおおおおい!!動くとかっ捌くぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

とリボーンたちは自分たちの得物をルシフェルにつきだして助けに行かせないようにした。

 

「………………」

 

ルシフェルは黙ったままだった。

 

ツナはダークネスに止めをさそうと飛び出そうとした…………………………………時だった。

 

グサッ

 

「ガハッ………!!!??」

 

『!!!??』

 

急にツナの背後から()()が飛び出して、ツナを貫いた。

 

「ガハッ…、ゴハッ……!!」

 

『10代目/沢田/ボンゴレ/ボス/ツナ(君/さん/殿)!!!??』

 

ツナは左胸を押さえて、膝をつき、口から大量の血を吐いた。ツナは左胸を見た。そこには、何も無かった………。本当に何も無かった。ツナの左胸は()()()()()()()()()()()()。ダークネスのほうに向くとそこには………、

 

消し飛ばしたはずのダークネスの左腕がダークネスに何も無かったかのようにくっついてあり、その手には……

 

ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ

 

ツナの()()があった…………。



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《大空》死す

シュ~~ッ

 

「ガハッ…、ゴハッ……、ゴハッ…!!」

 

死ぬ気化が解けたツナは血を吐きながら、驚愕の顔でダークネスを見た。それは、リボーンや獄寺たちも同様だった。

 

「………テメーッ、何で……何で……左腕が…戻っているんだ!!?し、しかも、……そ、それ……は、……じゅ、10代……目の……」

 

獄寺がダークネスに聞いた。それは、他の皆も同じ気持ちだった。ダークネスの左腕はツナの《X(イクス) BURNER(バーナー)》で消し飛んだはずだった。

 

「…………俺は沢田綱吉のX(イクス) BURNER(バーナー)に当たる前に俺自身の手で《闇夜》の炎の刃で斬り落とした」

 

「…………そういうことか……」

 

バミューダが言った。

 

「君は《闇夜》の《夜》の炎の力で分裂させたんだね………?」

 

「ああ、その通りだ。お前ら、復讐者(ヴィンディチェ)も同じ戦闘方法があるだろ?」

 

ダークネスの言う通り、バミューダとイェーガーが虹の代理戦争で似たようなものを見せていた。

 

「あとは、斬り落とした腕は《闇夜》の炎で異空間に飛ばしていただけだ」

 

「異空間だと?」

 

「そんなものがあるのかよ!?」

 

「信じがたい話ですね……」

 

ヴェルデとスカル、風が言った。

 

「…………獄寺隼人、山本武、雲雀恭弥。お前ら、D(デイモン)・スペードに飛ばされただろ?あれだ」

 

「………ちっ……」

 

「………あれか…」

 

「……………………」

 

獄寺、山本、雲雀はD(デイモン)・スペードに飛ばされたことを思い出した。

 

「………沢田綱吉が心臓を抉り取られたって言うのに生きているのも同じ理由か?ドカス」

 

XANXUSが聞いた。

 

「ああ、そうだ。心臓を抉り取る際に血管の切断面には《闇夜》の炎が纏っている。だから、沢田綱吉は生きている」

 

「それなら、なぜ僕の幻術が効かないのですか?」

 

今度は骸が聞いた。

 

「えっ……?どういうこと?」

 

炎真がわけわからず聞いた。

 

「沢田綱吉の心臓の有幻覚を作ろうにも拒絶されるんだよ……」

 

「私も急いでボスの心臓を作ろうとしているけど……、何故かできないの………」

 

マーモン、クロームがそう説明した。

 

「それは、《闇夜》の《闇》の炎の力だ。血管の全てが《闇夜》の炎で纏っている。それによりお前らの有幻覚は全て無効とされている」

 

ダークネスがそう説明した。

 

「そんな………!?」

 

「沢田綱吉を何とかしたいなら、俺から心臓を奪い返すことだな」

 

ダークネスがそう言うと……

 

ギュッ

 

心臓を握った。

 

「ガハッ!?」

 

「10代目!!」

 

「ツナ!!」

 

「沢田さん!!」

 

ツナが苦しみだし、獄寺たちは駆け寄った。

 

「おいっ、テメー今すぐやめろ!!」

 

γがそうダークネスに叫んだ。

 

「わかった」

 

ダークネスは意外にもあっさりと心臓を握るのをやめた。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ………」

 

ツナの息は荒かった。

 

「10代目………。おいっ!!10代目の心臓を返しやがれ!!!」

 

獄寺がダークネスに向かって睨み付けながらそう言った。他の皆も睨み付けながら言った。

 

「返すわけないじゃん」

 

それをルシフェルが言った。

 

「なっ!?ふざけんな!!それは10代目の心臓だぞ!!!」

 

「いや、そんなこと、わかってるから……。沢田綱吉はどっちみち、殺すつもりだしな」

 

『!!!??』

 

ルシフェルの言葉に皆、驚いた。そして、並盛総合病院での会議に参加した者には心当たりがあった。

 

チェッカーフェイスの話にあった、ダークネスとルシフェルの通信機での会話、その中にこんなのがあった。

 

『そいつはギャラリーとして必用だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』

 

ルシフェルがこう言っていたのだ。

 

「御主たちが、チェッカーフェイス殿との戦闘後での通信機で言っていた。殺しておきたい人物というのは………沢田殿のことだったのですか!?」

 

バジルがそう言うと、知らないメンバーは気になった。

 

「どういうことだ!?」

 

ラルが聞くと、

 

「どうやら、チェッカーフェイスがダークネスと戦って敗れたあとにルシフェルと通信機で話していたみたいなんだ、コラ。その会話の中に『計画前に殺しておくやつはたった1人だけだ』ってあったみたいなんだ、コラ」

 

「そして、それが綱吉君って言うことになるわけね………」

 

とコロネロが答えて、白蘭が言った。

 

「その通り♪沢田綱吉だけはこの儀式が終わったら殺すつもりだったのさ」

 

ルシフェルはあっさりと認めた。

 

「…………どう……して……、………俺…だけ…な…の……?」

 

ツナが途切れ途切れに聞いてきた。

 

「クフフ、確かに沢田綱吉だけを殺すというのは不自然ですね。他にも殺しておきたい人物とかはいなかったのですか?」

 

「そうだよ。リボーン君とか厄介だよ?」

 

「おいっ。バミューダ、さりげなく、俺を出すんじゃねぇ」

 

と他のメンバーもなぜ、ツナだけを殺すのかわからなかった。本当は真っ先にツナの心臓を取り返したかったがうかつに攻めるとツナの心臓に危害が及ぶためにできなかった。

 

「それは、沢田綱吉の本質にある」

 

とダークネスが言った。

 

「ツナの本質?」

 

山本が繰り返して聞いた。

 

「ああ、今まで沢田綱吉はいろいろな戦いを経験した。それら、全て言うなら、

『六道骸率いる黒曜との戦い』、

『XANXUS率いるヴァリアーとのリング争奪戦』、

『白蘭率いるミルフィオーレファミリーとの10年後の未来の戦い』、

『古里炎真率いるシモンファミリーとの誇りをかけた戦い』、

その後に起きた『D(デイモン)・スペードとの戦い』、

そして、『バミューダ率いる復讐者(ヴィンディチェ)との虹の代理戦争』。この6つだ」

 

ダークネスの言葉に骸、XANXUS、白蘭、炎真、バミューダの顔つきが変わった。そして、ダークネスは続けた。

 

「新しい戦いに入る度にお前らは敵だった沢田綱吉に協力している」

 

ダークネスの言葉に皆言いたいことがなんとなくわかってき始めた。

 

「リング争奪戦では六道骸、お前はクローム髑髏の体を借りて、沢田綱吉の《霧》の守護者としてマーモンに勝った」

 

「クフフ、あれはただ、そのほうが沢田綱吉との契約が行いやすいからですよ」

 

骸が何か言ったがダークネスはそれを無視して続けた。

 

「ミルフィオーレとの未来での戦いでは、XANXUS、お前は死闘を繰り広げた沢田綱吉に加担している」

 

「………フンッ、ドカスが。内部にどのような抗争があろうと外部のドカスによる攻撃を受けた非常時においてはボンゴレは常に1つ!……それだけの話だ」

 

XANXUSの言葉も無視してダークネスは続けた。

 

「白蘭、お前は水野薫に重傷を負わされた山本武を助けた。それが結果的に沢田綱吉の助けとなった」

 

「あれはただ、なんとなくだったんだけどね~」

 

「古里炎真、お前たちは沢田綱吉を含むボンゴレを憎んでいたにもかかわらず、D(デイモン)・スペードとの戦いでは今までにない絆を出していた」

 

「ツナ君たちがいてくれたから今の僕があるんだ!!」

 

「バミューダ、お前はチェッカーフェイスに復讐したかったのに、最終的には沢田綱吉の案に乗った」

 

「あれでも、十分、チェッカーフェイスへの復讐になるからね」

 

白蘭、炎真、バミューダはダークネスの言葉にそう言い返した。

 

「何より、虹の代理戦争。ボンゴレ、黒曜、ヴァリアー、CEDEF、ミルフィオーレ、シモン、アルコバレーノ。沢田綱吉が協力を求めた結果、格上の相手だった復讐者(ヴィンディチェ)に打ち勝った。その時のお前らは沢田綱吉を中心に一致団結していた」

 

ダークネスは1度、間を空けて言った。

 

「お前らがなんと言おうと、結果的に沢田綱吉に加担しているのは事実だ。むしろ、無自覚の方が厄介だ」

 

ダークネスはまっすぐツナの方を見た。

 

「『全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空』とは言ったものだ……。沢田綱吉、お前は紛れもない《大空》だ」

 

とツナに向けて、はっきり言った。

 

「お前という存在がいるだけで、厄介なことになる。全員、一団となっているやつらと戦わなくてはならない。敵対するものとして望んでいない……」

 

とダークネスが再び間を空けると

 

「だから、お前を殺す!!」

 

ギューッ

 

そう言って、ツナの心臓を握り潰そうとした。

 

「ッーーーーーーーーーーーー!!!!??」

 

ツナの声にならない悲鳴が上がった。

 

『10代目/沢田/ボンゴレ/ツナ(君/さん/殿)!!!!??』

 

獄寺たちがツナの側に寄ろうとしたがツナは風穴があいた左胸を押さえて暴れまわった。これはヤバイと思ってリボーン以外はツナから離れてダークネスを止めようとした。

 

『やめろ(やめて)ーーーーーー!!!!!!』

 

獄寺たちは叫んだ。

 

……………………………だが、遅かった。

 

グシャッ

 

「え?」

 

誰が言ったのかわからなかった。だけど、そんなことはどうでもよかった。とりあえず、嫌な音が聞こえたと思ったら静かになった。ダークネスの左手は着ているワイシャツと同じくらい真っ赤だった。下にはポツポツと滴り、真っ赤な水溜まりがあった。その中には何かの個体がいくつかあった。

 

「……お、おいっ……。10代目の心臓……は、どこに…やったんだ?」

 

獄寺が顔を青くし、声を震わして聞いた。他のメンバーも何人かは除いて、全員、顔を青くしていた。外れてほしい、そんな思いがあった。

 

「あ?お前ら見てなかったのか?今、ダークネスが握り潰したじゃねぇか」

 

しかし、ルシフェルの言葉で裏切られることになった。

 

「う、嘘……なのな……。そんなの……」

 

「ウ、ウム。……極限に……ありえんぞ……」

 

「そ、そんなの………信じられないよ……」

 

皆、信じることができなかった。

 

「それなら、沢田綱吉を見たらどうだ?」

 

とルシフェルが指を指して言った。獄寺たちはそっちの方へ向くとそこには………

 

ボルサリーノを目深に下げたリボーンと………

 

()()()()()()()()()()()()()()()()姿()だった。

 

「じゅ、10代目………?」

 

「ツナ………?」

 

獄寺と山本がツナの名前を言った。しかし、ツナの返事はなかった………。

 

「ボス………?」

 

「ツナ君………?返事して………」

 

「沢田殿………?どうしたのですか………?」

 

「沢田さん………?皆さん、呼んでいますよ………?」

 

「沢田ーーーーーー!!極限に起きんかーーーーーー!!京子たちが待っているんだぞーーーーーー!!」

 

クロームとユニは目に涙をためて、炎真とバジルは茫然と了平は大声で叫んでツナに呼び掛けたが返事はなかった。

 

「いくら、呼んだって無駄だって。沢田綱吉は()()()んだから」

 

ルシフェルが残酷な現実をつきつけた。

 

「……う……そ……だ……。……嘘……だ……。……嘘だ……。……嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だーーーーーー!!!!」

 

獄寺が叫んだ。一部を除いたメンバーも顔を青くして、現実を受け入れることができなかった。パニック状態になっているものもいた。

 

(っ………。これはマズイ。………彼の言う通り沢田綱吉君は彼らにとって、中心とも言える人物だったか………。でも、このままじゃ、全滅を迎えてしまう………。………しかたない)

 

とバミューダが思うと

 

ゴォォォォッ

 

キューーーン

 

『!!?』

 

巨大なワープホールを作り出し、自分やツナの遺体を含めた味方全員を吸い込み脱出した。ダークネスとルシフェルは吸い込まれないようにと剣を守りながら耐えた。

 

 

 

 

………………………

 

その場に残ったのはダークネスとルシフェルだけだった。剣は吸い込まれずにすんだようだ。

 

「………逃げたか」

 

ルシフェルがそうつぶやいた。

 

「………あれだけ、時間が経っているんだ。炎も回復しているはずだ。それに、沢田綱吉との戦闘で結界が壊れたからな。ワープホールを使うことができたんだ」

 

ダークネスが淡々と答えた。

 

「おまけに、大半のメンバーがパニックを起こしてまともな状態じゃなかったからな………。バミューダのあの判断は正しかったな。………何気に、抜け殻となった(トゥリニセッテ)も吸い込んでいるし……」

 

とルシフェルは何も残っていない台座を見て言った。そう、バミューダは味方と一緒にVG(ボンゴレギア)、マーレリング、おしゃぶりも吸い込んでいたのだ。

 

「それにしても、沢田綱吉強かったな………。()()()()()()()()とは言え、お前をあそこまで追い詰めるとはな」

 

「ああ……」

 

「やっぱり、あいつは殺しておいて正解だったな」

 

「……そうだな」

 

「……どうしたんだ?」

 

「何がだ?」

 

「いや、お前、何だか上の空だぞ」

 

「そっか?お前の気のせいだろ」

 

「………まぁ、いいか。それよりも、この剣が完全に馴染むのは2日後だから、《ロヴィーノ》復活はその次の日の3日後になるな」

 

「ああ、それまでは待つしかない」

 

「それじゃ、俺は部屋に戻るかな」

 

そう言って、ルシフェルは出ていった。その場に残っていたダークネスはしばらくの間、何かをするわけでもなく居続けた。そして、ツナが死んだ場所に近づくとそこで()()を拾ってその部屋から出ていった。

 

 

 

 

この世界から《大空》が消えた。

 



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《大空》の残された想い

ツナが死んで2日経った。ツナの遺体は並盛中央病院ではなくひとまずリング争奪戦に使われた廃病院の病室の1つに置かれている。

 

母親である奈々にはまだ伝えていなかった。『自分の息子が死んだ』、本来なら真っ先に話さなければならなかったことだろう。しかし、ツナが死んだ理由を話すにはずっと隠していたボンゴレについて話さなければならなかった。

 

ツナの死について、ずっと隠すつもりは無い。ただ、今は時期が悪かった。《ロヴィーノ教団》の《ロヴィーノ》復活の地球滅亡計画の件があったからだ。まずはこれを何とかしなければツナも報われない、落ち着いて葬儀に出せなかった。

 

現在、ツナの死を知っているのは、その場にいたものを除けば、マフィア関係者だと、ボンゴレファミリー、骸を除く黒曜、XANXUSとスクアーロを除くヴァリアー、白蘭とユニとγを除くミルフィオーレファミリー、炎真を除くシモンファミリー、バミューダを除く復讐者(ヴィンディチェ)、ディーノ、ビアンキ、チェッカーフェイス、そして、バジルとラルを除くCEDEF、当然、ツナの父親、家光も知っている。

 

家光はツナが死んだという報告を聞いて、報告した部下に詰め寄って一騒動があった。その時の家光は憤怒と悲哀が混ざった顔だったらしい。

 

一般人だと京子とハルの2人が知っている。2人共、ツナの訃報を聞いて、その場で絶望した顔で泣き崩れた。今2人はツナの遺体の側にいる。ツナと話がしたいらしい。リボーンたちは2人をそっとしておいた。

 

一番の問題は戦闘員のメンバーだった。その中でも、獄寺、山本、了平、クローム、炎真、バジルとあの場にいてツナと特に仲のよかったメンバーが意気消沈していた。話しかけても、ずっと黙ったままだったり、引きこもってしまったりと………。

 

他のメンバーも何かに苛立ったりと落ち着きが無かったりと、まともな状態ではなかった。ユニは自分はミルフィオーレのボスだからと気丈に振る舞っているが、誰が見ても無理しているのがバレバレだった。ダークネスの言う通り、ツナの存在は大きかったみたいだ。

 

しかし、そうは言ってられない。ダークネスの言葉では今日には《ロヴィーノ》復活の鍵となる剣に(トゥリニセッテ)の力が完全に馴染むらしい。早く何とかしなければならなかった。リボーンたちは無理矢理、獄寺たちを並盛中央病院の多目的ホールに連れていった。

 

 

 

 

並盛中央病院 多目的ホール

 

そこには、前回の会議と比べて参加者が多かった。それはそうだ。今回は前回の会議に参加しなかったメンバーも全員参加しているのだ。雲雀でさえ、離れたところで1人ポツンといた。

 

「それでは、《ロヴィーノ教団》の対策についての話し合いをしようか」

 

チェッカーフェイスがそう言ったが参加者の人数に反比例して、皆の反応が薄かった。まるで、お通夜みたいな空気だった。

 

「君たち、確かに沢田綱吉君に関しては残念だが、今は《ロヴィーノ教団》を何とかしなければならない」

 

チェッカーフェイスの言うことは最もだったが、頭ではわかっていても、体が言うことが聞かなかった。

 

「シシッ、お前ら馬鹿じゃないの?」

 

とベルが言った。

 

「何だと………?」

 

それを獄寺が怒りを込めた声で聞き返した。

 

「俺たちはマフィアだぜ?人1人死んだくらいでいちいち、そんなの気にしてたらキリがないっつーの!」

 

「ウムっ。ベルの言う通りだ」

 

レヴィが便乗した。

 

「聞けば、相手はダークネスという《人類至上サイキョウの人間》の男らしいではないか。敗北する可能性はあった。()()()()()よりも……」

 

とレヴィが言うと

 

「………そんなこと?」

 

山本がポツリと言った。

 

「……ツナが死んだのが………そんなことだというのか!!!!」

 

山本が怒鳴った。

 

「そうだ!!!貴様らには沢田を失った喪失感というものが極限にわからんのか!!!!」

 

了平も叫んだ。他のツナとの仲のいいメンバーがベルとレヴィを睨んでいた。

 

「事実を言ったまでだ」

 

「シシッ、やるの?」

 

レヴィとベルも喧嘩腰だった。

 

「上等だ!!」

 

「ボスを侮辱した……。許さない………」

 

獄寺たちも臨戦態勢に入った。

 

「オイッ、お前ら!?」

 

「ちょっと、炎真!?皆もやめなさい!!」

 

「お前ら、気持ちはわかるが、仲間で争ってる場合じゃねぇだろ!?」

 

「ベルとレヴィもやめなさいよ~~!?」

 

γ、アーデル、ディーノ、ルッスーリアが落ち着かせて止めようとしたがお互いに止まらなかった。お互いにぶつかると思われたときだった。

 

「オメーら、やめろ!!!!!」

 

『!!!?』

 

リボーンが珍しく大声を上げて止めた。獄寺たちは驚いて止めた。

 

「リボーンさん………?」

 

「オメーら、こんなときに争ってる場合じゃねぇだろ……」

 

「だ、だけどよ、小僧……」

 

「今、敵意をぶつける相手はこいつらか?違うだろ、相手は《ロヴィーノ教団》だ。そして、地球滅亡を防ぐことだろうが!!」

 

『…………』

 

リボーンに言われて、獄寺たちは黙った。

 

「それに、それがツナの願いでもあるからな………」

 

『えっ………?』

 

リボーンの言葉に皆が驚いた。

 

「どういうことだ、コラ?」

 

コロネロが尋ねると

 

「俺がツナの最期の言葉を聞いているんだぞ」

 

とリボーンは当時のことを話した出した。

 

 

 

 

ダークネスが本気でツナの心臓を握り潰そうとして、獄寺たちがそれを止めようと走り出した。リボーンも最初はそうするつもりだった。でも、できなかった。なぜなら…………

 

「………リ………ボー………ン…………ウッ……」

 

顔を青くしながら心臓を握られ苦しんでいるツナが呼び止めたからだ。リボーンがどうしたのか聞く前にツナが言った。

 

「………お……ね…………が…………い……………。………()……()……()()………()………()()………()………()()………()………」

 

ツナがそう言った後に

 

グシャッ

 

「ガハッ!!!??………………………………………………………」

 

ツナの心臓をダークネスに握り潰されて、そこで息を引き取った。リボーンはボルサリーノを目深にかぶって、

 

「……………馬鹿ツナが……………」

 

と呟いた。

 

 

 

 

……………………………

 

多目的ホールは静かだった。その中で最初に声を出したのは、獄寺だった。

 

「…………10代目が………」

 

他のメンバーも信じられないという顔をしていた。

 

「わかるか?ツナは最期の最期で自分の死を覚悟して、俺たちに地球の運命を託したんだぞ!」

 

『……………』

 

リボーンの言葉に黙っていた。ツナがリボーンに残した最期の言葉、最期の想いが獄寺たちの中に響いていた。

 

「今、俺たちがやるべきことはここで味方同士で争うことか?違うだろーが!!!俺たちがやるべきことはこの場にいる味方全員で《神々至上サイキョウの邪神》である《ロヴィーノ》の復活を阻止することだろーが!!!地球の滅亡を企てている《ロヴィーノ教団》を止めることだろーが!!!」

 

リボーンが大声で叫びながら、そう言った。その顔には怒りが混じっていた。リボーンもツナが殺されたことを許せないのだ。だが、ここで怒りをぶつけたり、後悔しても仕方がない。それらは、全て《ロヴィーノ教団》にぶつけるつもりだ。

 

「…………そうだな。ここで争っても仕方ねえな」

 

「…………そうなのな。ツナはこんなこと望んでいないのな」

 

「…………ウムッ。極限に沢田の想いは無駄にせんぞーーーー!!!!」

 

「…………ボスのお願い。無駄にしない」

 

「…………僕たちのやることは地球の滅亡を防ぐこと」

 

「…………それが沢田殿の望み」

 

獄寺たちは次々に覚悟を決めた顔をした。他のメンバーも多少の違いはあれど、ツナが残した想いが彼らに落ち着きを取り戻させたようだ。

 

「………フンッ」

 

リボーンは口元を薄く笑わせた。けど、すぐに引っ込めて言った。

 

「何としてでも、地球の滅亡を阻止するぞ!!!!」

 

『オオーッ/はいっ/うんっ!!!』

 

 

 

 

この世界から《大空》が消えた。しかし、《大空》の想いは彼らの中に残り続けていた。



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決戦目前

リボーンの叱咤により立ち上がった獄寺たち。

 

そして、ようやく皆が落ち着いたところでチェッカーフェイスが話し出した。

 

「皆が落ち着いたのはいいが、状況は最悪だ」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンたちの顔はしかめたがその通りだった。

 

「《ロヴィーノ教団》は(トゥリニセッテ)の力を全て奪って、《ロヴィーノ》復活のための鍵を作り出した。そして、リボーン君たちの話だと、今日にはその鍵に(トゥリニセッテ)の力が馴染むらしい。もう、我々には時間が無い………」

 

『………………』

 

チェッカーフェイスの言う通りだった。リボーンたちは黙った。チェッカーフェイスは自分たちのやるべきことを言った。

 

「そこで、我々がやるべきことは、直接、《ロヴィーノ教団》とぶつかって、勝利をつかみとって、《ロヴィーノ》復活を阻止することだ!!」

 

これもまた、チェッカーフェイスの言う通りだった。

 

「だが、奴等はどこにいるのか、わかっているのか?私たちが囚われていたところからは既にいないと聞いているが?」

 

とヴェルデが聞いた。リボーンたちが囚われていた場所は白蘭の平行世界(パラレルワールド)を共有する能力を持ってしてもいまだに発見されていなかった無人島を《ロヴィーノ教団》が独自に改造していたものらしい。あの後、確認でもう一度行ってみたら、そこはもぬけの殻だった。

 

「それなら、問題ない」

 

「奴等の居場所がわかっているのか?」

 

「いや、残念ながら、それはわかっていない」

 

「それなら、どういうことだ、コラ?」

 

とコロネロが聞いた。他の皆もどういうことか気になった。

 

「彼らの目的は《ロヴィーノ》の復活だ。それなら、必ず彼らは《ロヴィーノ》が封印されているところに行くはずだ」

 

チェッカーフェイスの言葉に皆、納得した。

 

「それなら、どこに封印されているのですか」

 

風が当然の質問をした。それにチェッカーフェイスは答えた。

 

「北緯25度、西経70度にある島だよ」

 

チェッカーフェイスの言葉に知る者は驚いた。しかし、

 

「……ってどこなのな?」

 

「極限にわからん!!」

 

「結局、僕もだ!!」

 

と山本、了平、紅葉たち3馬鹿トリオがわかっていなかった。

 

「この………、脳筋ども……!!」

 

「紅葉………」

 

獄寺と炎真は呆れたように言った。

 

「《魔の三角地帯》、《バミューダトライアングル》って聞いたことあるか?」

 

とリボーンが聞いた。

 

「ウムッ、それなら、極限に聞いたことがあるぞ!!」

 

「結局、飛行機や船が行方不明になる場所だな!!」

 

「そこに、封印されているのか?」

 

「その通りだよ。《バミューダトライアングル》の中心にあるのさ」

 

とチェッカーフェイスが肯定した。

 

「でも、そこに島なんてあるの?」

 

バミューダが聞いた。

 

「ああ、《ロヴィーノ》が再び復活されるのを恐れて、島の存在を隠したのさ。さらに、その島には周りには見えないように結界も張っている。…………彼らはおそらくそれらを何とかしてしまうだろうがね………」

 

とチェッカーフェイスは浮かない顔をして言った。

 

「ということは、そこに入った飛行機や船が行方不明になるのも、その結界のせい?」

 

と白蘭が聞いた。すると、チェッカーフェイスはさっきよりも浮かない顔をして首を横に降った。

 

「いや、それは、《ロヴィーノ》の仕業だよ………」

 

「?しかし、あなたは《ロヴィーノ》は封印されていると言っていたけど?」

 

とアーデルが言った。他の皆もどういうことか、わからなかった。チェッカーフェイスは説明した。

 

「《ロヴィーノ》の力は全てを封印することができなかった。封印しきれず、溢れた力が島の周りを覆ったのさ。それが《バミューダトライアングル》ができた原因なのさ。そこに入った飛行機や船が行方不明になったのも《ロヴィーノ》の溢れた力がそれらを破滅に追い詰めたからなのさ」

 

『!!!?』

 

リボーンたちは驚いた。《バミューダトライアングル》が《ロヴィーノ》の力の仕業だということに……、《ロヴィーノ》はそれほど恐ろしい邪神だということを……。

 

「《ロヴィーノ》の恐ろしいところはそこだけではない」

 

とチェッカーフェイスが言った。そして、《ロヴィーノ》の最も恐ろしいところを言った。

 

「あの邪神は、()()()()()()()1()()()()()()()()のさ」

 

『なっ!!!!??』

 

チェッカーフェイスの言葉に皆が驚いた。

 

「傷1つ付かなかっただと!!?」

 

「ああ、その通りだよ………。我々がどんなに攻撃しても平然と受け止めて、無傷でいたのさ。前にも言ったと思うが本当に封印できたのが奇跡だったのさ…………」

 

チェッカーフェイスが当時のことを思い出して、辛そうな顔をしていた。しかし、すぐに顔を引き締めて言った。

 

「だからこそ、我々は何としてでも復活を阻止しなければならない。《ロヴィーノ》の復活を許すことは、この世界だけではない。他の世界、いわゆる異世界をも滅ぼされてしまうということだ」

 

チェッカーフェイスの言葉に全員、顔を引き締めた。

 

その時だった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッ

 

「うわっ!?」

 

「じ、地震!?」

 

「しかも、でかいぞ!?」

 

急に部屋全体を揺らす大地震が起きたのだ。しかし、その地震はすぐに治まった。

 

「………止まったか?」

 

「………みたいだな」

 

「それにしても、すごい揺れだね。もう、机とかメチャクチャだね」

 

白蘭の言う通り、部屋の惨状は酷かった。

 

「…………この地震。まさか!!尾道!!この地震はどれくらいの規模で起きたんだ」

 

「えっ?え~と。………!?チェッカーフェイス様!!この大地震、世界全体で起きたようです!!」

 

『!!!??』

 

尾道の言葉に皆、驚いた。

 

「世界全体でだと!?」

 

「いったい、どういうことだ!?」

 

皆が混乱しているとチェッカーフェイスが言った。

 

「おそらく……………、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()………」

 

『なっ!!!??』

 

「もう、始めたのか!?」

 

「遅かったの!?」

 

皆が絶望しかけたがチェッカーフェイスが否定した。

 

「いや、復活には《ロヴィーノ》が封印されている島にある祠に剣を突き立てる。その時に(トゥリニセッテ)の力が流れる。だが、すぐに《ロヴィーノ》が復活するわけではない。約12時間、剣を突き立てなければならないはずだ」

 

「つまり、12時間以内に剣を壊せば………」

 

「おそらく、復活を阻止することができるはずだ」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンたちは自分たちのやるべきことがわかった。

 

「今、地震が起きたということは………」

 

「残り12時間をきっているってことか」

 

「そういうことだ。各自、急いで準備に取りかかってくれ!皆の準備ができ次第、攻めこむ!!」

 

チェッカーフェイスの言葉に全員、準備に取りかかった。

 

 

 

 

リボーンたちが決戦に向けて準備に取りかかったところで、とある場所では………。

 

「いよいよ、始まったぜーーーー!!!!」

 

「うるさいですね。しかし、その通りですね」

 

ジャバウォックとエンヴィーがそんな話をしていた。そう、ここは《神々至上サイキョウの邪神》、《ロヴィーノ》が封印されている島だった。ダークネスと《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の7人、《ロヴィーノ教団》の構成員たちがいた。

 

()()()の言う通りだったな」

 

「ええ、そうね。嘘をつく理由が無いから信じてなかったわけじゃないけど………」

 

「剣を祠に突き立てたら、まさか、地球にこれ程の影響を与えるとは、さすがに驚いたでござる」

 

「………《ロヴィーノ》の………復活が…………近いって………ことだ………」

 

「そうだね。明日には全てが終わるんだね」

 

とルシフェル、リリス、豪、スロウス、ベルゼブブが言った。

 

「…………お前ら、準備しとけ」

 

祠の近くにいたダークネスがこちらに近づいて言った。

 

「準備?いったい、何の?」

 

とリリスが聞き返した。

 

「連中がここに来るはずだ。奴等にはチェッカーフェイスがいる。ここの情報は聞いているはずだ」

 

「なるほど。確かに用心した方がいいですね」

 

「ああ、そして、お前らに渡す物がある」

 

「渡す物?」

 

「これだ」

 

そう言って、ダークネスは掌に持っていた物を差し出した。それに《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》全員が驚いた。

 

「それ、どうしたのでござるか?」

 

()()()の言うには、もう必要ないみたいだからな、こうする方が有効活用できるだとよ」

 

とダークネスが言った。

 

「………確かに………、……これは……使える………」

 

「こいつはいいなーーーー!!!!」

 

「ありがたく使わせてもらいましょう」

 

「僕も、僕も!」

 

「うふふ♪それなら、私も♪」

 

「《強欲の炎》の使い手である我輩がいただかないわけないでござる」

 

と6人はそれをそれぞれ取った。そして、ルシフェルが最後に取って

 

「これなら、()()()有効に活用できるな」

 

「ああ、そうだな」

 

「よし、それなら、ダークネス、お前は休め!!」

 

「………はっ?」

 

ルシフェルの言った言葉にダークネスは理解できなかった。

 

「どういうことだ?」

 

「そのままの意味さ。あいつらの相手は俺たちがするからお前は休めって」

 

「それはわかっている。なぜ、俺が休まなければいけないのかを聞いているんだ」

 

「あいつらの相手は俺たちで十分だからだ。お前からもらった()()と俺たちの()()があるからにはな、それに………」

 

とルシフェルは間を開けて言った。

 

「お前は沢田綱吉と戦っているんだ。俺たちにも獲物を寄越してもらってもいいだろ?」

 

「………………はぁ。勝手にしろ」

 

「おお♪そう、させてもらうわ♪」

 

ルシフェルがそう言うとダークネスはどこか行った。

 

「いや~、よかった、よかった。ダークネスがバトルマニアじゃなくて」

 

「彼って、どうしても勝ちたい理由、もしくはどうしても負けたくない理由、そのどちらかでもあるなら勝ちに行くけど、どちらも無かったら、別に負けてかまわないって言うほど、戦いに意欲的じゃないのよね」

 

「そのせいか、彼ってよく模擬戦でもわざと降参しますね」

 

「まぁ、今回は我輩たちがいるから、自分は必要ないと思ったのではないでござるか?」

 

「俺たちがあいつらをぶっ潰すだけだーーーー!!!!」

 

「うん。そうだね」

 

「………正直、………怠い………」

 

とスロウスの言葉に呆れて、ルシフェルが提案した。

 

「仕方がねえな……。それなら、こういう風にするか?」

 

そう言って、他のメンバーに説明した。

 

 

 

 

2時間後

 

再び、多目的ホールに集まった。その中にいた人物に山本とスクアーロが声をかけた。

 

「ん?おっ!幻騎士じゃん!!」

 

「ゔぉおおおおい!!テメー、いやがったのかーーーー!!!!」

 

ミルフィオーレファミリーの《霧》の6弔花の幻騎士だった。10年後の世界では自分が所属していたアリアやユニのジッリョネロファミリーを裏切り、白蘭に忠誠を誓っていたものの、その白蘭に裏切られ、桔梗に殺された。現代ではお互いに和解して、ミルフィオーレの一員として、ユニと白蘭に忠誠を誓っている。その時に、γたちといろいろと揉めたが………。

 

「…………山本武にスクアーロか」

 

幻騎士が2人の方へ向いて、そう言った。

 

「今回、幻騎士には対構成員の部隊の隊長をお願いしようと思っているんだ♪」

 

すると、白蘭が3人に近づいて言ってきた。

 

「対構成員?」

 

「そう♪山本君もスクアーロ君も僕たちを助ける際に彼らの構成員たちと戦ったでしょ?今回もおそらく、そんな感じになると思うからね」

 

「確かに、あいつら、そこらへんのカス共よりは腕が立っていたぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

山本とスクアーロは当時のことを思い出した。

 

「だから、その構成員たちを相手するのにはこちらもそれなりの手練れじゃなきゃダメなわけ。スクアーロ君、ヴァリアーからも多くの構成員が来ているんじゃない?」

 

「ああ、そう言えば、来てたぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「僕たちミルフィオーレ、君たちボンゴレの構成員で《ロヴィーノ教団》の構成員の相手をするんだ」

 

「その隊長を幻騎士がするんだな」

 

「そういうことだ」

 

「向こうの構成員たちも相当の手練れだと思うけど……、一番ヤバイのは………」

 

「《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》とダークネス………」

 

山本は自分たちが戦った相手のルシフェルと目の前でツナが戦った相手のダークネスを思い出した。《ロヴィーノ教団》のツートップ、それ以外にもそれに準じる幹部が6人もいる。山本がそう考えて俯くと何かに気づいた。

 

「あれ?白蘭、それって………」

 

「ん?あっ、これ?マーレリングだよ♪」

 

白蘭の指には《大空》のマーレリングがはまっていた。

 

「相手が相手だからね。ユニちゃんから許可貰っているよ♪」

 

「そうなのな」

 

「他のマーレリングも(リアル)6弔花とγ君が持っているよ」

 

白蘭に言われて山本とスクアーロは見てみると確かに6人の指にマーレリングがはまっていた。

 

「でも、(トゥリニセッテ)の力を奪われているからか、全力を出せないのよね~。山本君のVG(ボンゴレギア)もそうでしょ?」

 

白蘭に言われて、山本の顔が曇った。

 

「ああ、次郎と小次郎が戻ってきたのは嬉しいが……」

 

と言って黙った。

 

「ゔぉおおおおい!!何黙っているんだ!!そんなもん、奪い返せばいい話だろうがーーーー!!!!」

 

「スクアーロ………。ああ、そうなのな♪」

 

山本がやる気を取り戻した。

 

 

 

 

一方、こちらでは

 

「入江にスパナ、ジャンニーニじゃねぇか」

 

「テメーらもいたのか」

 

リボーンと獄寺が声をかけたのは10年後の世界ではミルフィオーレの《晴》の6弔花の入江正一。同じく、メカニックのスパナ。ボンゴレ専属の武器チューナーのジャンニーイチの息子、ジャンニーニ。

 

「やぁ、2人共」

 

「んっ」

 

「これはこれは、リボーンさんに獄寺さん」

 

3人も2人に気づいて挨拶した。

 

「僕らもメカニックとして、協力することになったんだ」

 

「地球が滅ぼされるなんて、ウチやだ」

 

と入江とスパナが言った。

 

「入江とスパナはともかく、ジャンニーニって大丈夫なのかよ………」

 

獄寺は以前、ジャンニーニにダイナマイトを改悪されたこと思い出した。

 

「ちょっ!!獄寺さん!!私も10年後の記憶を引き継いでいるのです!!大丈夫ですよ!!」

 

とジャンニーニが言った。すると、

 

「皆、いいかね?」

 

チェッカーフェイスが全員に声をかけた。

 

「いよいよ、島へと攻めこむ。まず、メンバーに関してだが、ヴェルデ君、ユニ、入江正一君、スパナ君、ジャンニーニ君、念のために護衛として太猿君、野猿君、バミューダ君以外の復讐者(ヴィンディチェ)にはこちら側にいてもらおうかな」

 

とチェッカーフェイスは言った。

 

「イェーガーたちはこっち側じゃねえのか?」

 

「今回、おそらく長期戦になると思われるから、イェーガー君たちにはきついね」

 

獄寺の質問にチェッカーフェイスが答えた。確かに自分で炎を生成することができないイェーガーたちにはきついことだ。

 

「そして、他のメンバーが……」

 

「島へ攻めこむメンバーってわけだな」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンが続きを言った。

 

「いよいよだな」

 

「ああ、10代目の想いは無駄にしねえ」

 

「極限にやるぞーーーー!!!!」

 

「ボス………」

 

「クフフ………」

 

「………………」

 

守護者たちはこんな感じだった。

 

「太猿、野猿、姫を守れよ」

 

「おお!!」

 

「任せてくれよ!γ兄貴!!」

 

γの言葉に太猿と野猿が答えた。

 

「γ、白蘭、皆さん、気をつけてください……」

 

ユニが皆にそう言った。

 

「大丈夫だよ、ユニちゃん♪」

 

それを白蘭が代表する形で答えた。

 

「それでは、バミューダ君、頼むよ」

 

「………わかったよ」

 

チェッカーフェイスの頼みにバミューダは渋々と《夜》の炎のワープホールを作った。これをくぐり抜けたら、目的地に着く。

 

「よし、それじゃ、オメーら、行くぞ!!」

 

『オオーッ/うん/はい!!!』

 

リボーンたちは全員、ワープホールをくぐり抜けた。

 

 

 

 

リボーンたちがワープホールをくぐり抜けたのとほぼ同時刻、中山外科医院のある部屋

 

『………………』

 

ものすごく、静かだった。そこにいたのは京子、ハル、ビアンキ、そして、……………ツナの遺体だった。ツナはまるで寝ているかのようだった。京子とハルは目を真っ赤に腫らしていた。

 

「ツナ君…………」

 

「ツナさん…………」

 

リボーンにはツナと話すとは言ったものの来てから、ずっと泣きっぱなしだった。

 

「………………(リボーンや隼人たちは今頃、攻めにいった頃合いでしょうね)」

 

ビアンキは2人のことはもちろん、リボーンたちのことも心配していた。

 

「………ナッツちゃんにももう会えないですね………」

 

ハルがツナの遺体の傍にある《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》を見てポツリと言った。

 

「………パパンや9代目が炎を灯せばまた、会えるわよ」

 

ビアンキが励まそうと言ったが

 

「……………でも、ナッツ君も相棒のツナ君に会えないってことですよね」

 

「………………」

 

京子の言葉にビアンキは黙った。どうやって、2人を励まそうかとビアンキが考えていたときだった。

 

ガララッ

 

『!!?』

 

自分たちしかいない廃病院の病室の扉が開いたのだ。ビアンキは2人を守るようにして警戒した。中に入ってきたのは………

 

「えっと………、ごめんなさい……」

 

セミロング位の長さの茶髪をしたフゥ太と同じ位の年の少女だった。少女の首には何かぶら下げているみたいだが、服の中に隠れて見えなかった。ビアンキはそれを見て警戒を解いた。京子とハルも涙を拭いて少女に話しかけた。

 

「君、どうしたの?」

 

「ここには、ハルたち以外誰もいませんよ?」

 

「え、えっと………」

 

少女は京子とハルに聞かれて困っていた。

 

「あなた、名前は?」

 

ビアンキに名前を聞かれた。

 

光城(こうじょう)明聖(あみ)………」

 

少女、明聖は自分の名前を言った。

 

「明聖ちゃんね?」

 

「う、うん…………」

 

「ここには、どうしたの?」

 

「え、えっと………」

 

そう言ってまた明聖は困ったような顔をした。

 

「迷子かな?」

 

「うーん。どうでしょうか?えっと、お父さんかお母さんは?」

 

ハルがそう聞くと

 

「えっと、パパが………」

 

明聖はそう答えた。

 

「パパンがいるのね。パパンの名前は?」

 

今度はビアンキが父親の名前を聞いた。

 

「えっと…………、パパのお名前は……お姉ちゃんたちも………知っていると思う」

 

と明聖が言って、京子たち3人は顔を見合わせた。

 

「ハルたちも知っているですか?」

 

「うーん。でも、光城って言う苗字の人、聞かないよね?」

 

「私もよ。………ごめんなさい。あなたのパパンの名前教えてくれないかしら?」

 

ビアンキに言われて、明聖は何か迷っていたけど、意を決したように自分の父親の名前を言った。

 

「……………ダークネス」



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決戦開始

《ロヴィーノ》が封印されている島に着いたリボーンたち。

 

「ここが………」

 

「例の島か…………」

 

リボーンたちは島の端にいた。どうやら、例の結界のせいでこれ以上《夜》の炎のワープホールでの移動は無理なようだ。端から見てもそれなりの広さのある島のようだった。

 

「何て言うか、殺風景だね」

 

白蘭の言う通り、ここには大きな岩山ばかりだった。動物どころか、植物もあまり見かけられない。

 

「…………チェッカーフェイスから聞いた話だと、大昔は自然が生い茂っていて、動物もけっこういたって話だが…………」

 

「そのような、様子はありませんね………」

 

「これも《ロヴィーノ》ってやつの仕業なのか?」

 

「おそらく、そうだろうね。ここ、なんだか嫌な感じするし……」

 

と皆がいろいろ言っている中、

 

「ところで、リボーンさん………」

 

「なんだ、獄寺?」

 

「ずっと、聞きたかったのですが………」

 

と獄寺は間を開けて、

 

「なんで、アホ牛がここにいるのですか!?」

 

「ここ、どこだもんね~?」

 

となぜかいたランボを指さして言った。

 

「ランボは《雷》の守護者だ。いて、当然だぞ」

 

「だからといって、アホ牛には今回の戦い、無理に決まってます!!」

 

と獄寺が言うものの、

 

「ふんふん、ランボさんは最強だもんね~。負けるはずないもんね~」

 

と呑気に言っていた。

 

「この、アホ牛………!!」

 

「まぁまぁ、獄寺」

 

「うむ。ランボのことは極限に俺に任せろ!!」

 

とランボに怒鳴りかけた獄寺に山本が宥めて了平がそう言った。

 

「この野球馬鹿に芝生………」

 

獄寺は恨めしそうな目線を送った。

 

「貴様ら、警戒しろ!」

 

幻騎士がそう言うのを聞いて、リボーンたちは警戒した。目の前の大きな岩山にあった洞窟から多くの気配を感じた。

 

「おいっ!これってまさか………」

 

「そのまさかだぞ、コラ!!」

 

コロネロが言うと

 

ドドドドドドッ

 

大量の足音が聞こえてきた。そして、こちらに向かってきたのは、

 

「いたぞ!!」

 

「やはり、来たか!!」

 

「団長の言う通りだったな!!」

 

「ここから先へは行かせねえぞ!!」

 

大勢のロヴィーノ教団の構成員たちがやって来た。

 

「来たーーーーー!!!??」

 

スカルがパニックになっていた。

 

「これでもくらえ!!」

 

と一番先頭に居た者が持っていた剣で斬りかかろうとすると

 

ジャキンッ

 

幻騎士が防いだ。

 

「「幻騎士!!!」」

 

山本とスクアーロが叫んだ。

 

「………白蘭様。ここは我々に任せてください」

 

と幻騎士は白蘭に言った。

 

「うん、わかったよ♪それじゃあ、ここは君たちに任せたよ、幻騎士♪」

 

「はっ!!」

 

と白蘭は幻騎士たちに任せた。

 

「それじゃあ、僕たちは先に行こうか♪幻騎士たちの頑張りも無駄にしないためにもね?」

 

「………そうだな」

 

「よし、行くぞ!!」

 

「おう!!」

 

「幻騎士、頑張れよ♪」

 

と守護者、黒曜、ヴァリアー6人、白蘭、γ、(リアル)6弔花、シモン、バジル、ラル、ディーノ、元アルコバレーノ5人、バミューダは洞窟の先に行った。

 

「あ、テメーら、待ちやがれ!!」

 

とロヴィーノ教団の団員の1人が追いかけようとすると

 

ドドドッ

 

『!!?』

 

巨大な蔓が洞窟をふさいだ。

 

「貴様らは俺たちが相手だ」

 

どうやら、巨大な蔓は幻騎士の幻術のようだ。後ろにはボンゴレ、ヴァリアー、ミルフィオーレの構成員たちがいた。

 

「相手が相手だ。白蘭様の許可もいただいている。こちらも全力で行かせてもらう!」

 

そう言うと幻騎士は2つの匣を取り出して開匣した。

 

「《幻剣(スペットロ・スパダ)》!!《霧の2番(ネッビア・ヌーメロ・ドゥエ)》!!」

 

幻騎士が取り出したのはヴェルデ、イノチェンティと共に匣の開発を行ったケーニッヒの最高傑作と言われている《幻剣(スペットロ・スパダ)》と《霧の2番(ネッビア・ヌーメロ・ドゥエ)》だった。幻騎士はそれらを装備した。

 

(……………未来の俺だったら、このような役目に不満を持っていただろうな………)

 

幻騎士はそんなことを考えていた。未来の幻騎士は自分が前座だということに不満を持っていた。

 

(………だが、不思議と今はそんなことは思わない。今の俺には()()()も無いのにな……)

 

幻騎士は自分自身に呆れたって顔をした。

 

(ユニ様が私を変えてくれたのか?………いや、ユニ様だけでない………。()()()の目も俺を変えるきっかけを作っていたのかもしれないな………)

 

幻騎士は今は亡き男の目を思い出した。

 

(ふっ…………。惜しい男を亡くしたもんだな)

 

幻騎士は目を瞑って薄く笑った。そして、すぐに顔を引き締めて、

 

「貴様らに白蘭様たちの邪魔はさせない!!」

 

ロヴィーノ教団に向かった。今、ここで地球の存亡をかけた戦いの幕が開けた。

 

 

 

 

一方、リボーンたちは、洞窟を進んでいた。

 

「この洞窟、いったい、どこまで続いてんだ?」

 

「急がなきゃ、《ロヴィーノ》が復活するよ!!」

 

「あっ!見てください!出口が見えてきました!!」

 

バジルの言う通りに光が見えてきた。出口が近いようだ。リボーンたちはその先に出ると…………

 

「なんだ、ここは?」

 

そこは、外に出れたわけではなく、広い空間だった。そこの上の方に明かりがついていて、それで明るくなっていたみたいだ。

だが、それよりも、気になることがあった。その空間には奥へと続く道が無く、そのかわりに扉が6つあった。その扉の内、4つはそれぞれ、《嵐》、《雲》、《晴》、《雷》、の紋章が描かれていて、残りの2つの内の1つは《雨》と《霧》の紋章が描かれていた。そして、最後の1つはドラゴンが爪で切り裂く様子の絵の下に《ROVINO》と書かれていたロヴィーノ教団の紋章みたいのが描かれていた。

 

「この扉はなんなんだ?」

 

「奥へと続く道がねえな………」

 

「どれが正解なんだ?」

 

と話していると………

 

ブォッ

 

『よう!よく来たな!!』

 

『!!?』

 

急に上の方から画面が現れた。そこには、ルシフェルが映っていた。

 

「テメーは………!!?」

 

「ルシフェル……!!?」

 

「何の用だ?」

 

『何の用だって……、お前らがその場所に着いたところを確認したから、こうやって連絡をいれようと思っただけだ』

 

ルシフェルがそう言った。

 

「連絡だと………?」

 

『そう!お前ら、目の前に6つの扉があるだろ?その中のどれか1つにお前らが探している剣があるぜ』

 

ルシフェルが重要なことを言った。

 

「なっ、どこの扉なんだ!?」

 

『それは言えないな~。それに、どっちみち、全部の扉を通らなければいけないしな』

 

「どういうことかしら?」

 

アーデルがルシフェルに聞いた。

 

『たとえ、その扉の奥の部屋に剣があったとしても、その剣には結界を張っている。それを解くには他の5つの扉の奥の部屋にある装置を壊さなければならない』

 

とルシフェルが説明した。

 

「だから、全ての扉を通らなければならない、か………」

 

『そう言うこと。でも、全ての部屋の装置と剣をそう簡単には壊させないぜ。全ての部屋には俺たち《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》がいる』

 

「………?ダークネスは………?」

 

とリボーンが聞いた。

 

『ああ、心配するな。あいつは、今回、参加しない』

 

「参加しないだと………!?」

 

『そう、あいつは、沢田綱吉を戦ったからな……』

 

ルシフェルの言葉にリボーンたちは顔をしかめた。

 

『別にあいつはバトルマニアじゃねえしな。だから、今回は俺たちでやることになった。俺たちだけで十分だしな♪』

 

とルシフェルは笑いながら言った。

 

「なめやがって………!!」

 

「ドカスが………!!」

 

「彼、調子に乗っているね……」

 

と獄寺たちはいろいろ言った。

 

『ハハッ!なんたって、こっちには()()があるからね』

 

そう言ってルシフェルは自分の右手の中指を見せた。そこには、アルコバレーノのおしゃぶりと同じような形に翼が生えて、ボンゴレの紋章が描かれていたオレンジ色の指輪だった。

 

「なんだ、その指輪は?」

 

リボーンが代表して聞いた。

 

『こいつはお前らから奪った(トゥリニセッテ)の全ての力を7つに分けた内の1つ、《大空》の《(トゥリニセッテ)リング》だ』

 

『!!!??』

 

ルシフェルの言葉にリボーンたちは驚いた。ダークネスからもらったのはどうやら、この《(トゥリニセッテ)リング》のようだ。

 

『まぁ、話を戻すけど………。大体、お前らも予想はしていると思うが、《嵐》の紋章の扉にはジャバウォック、《雲》の紋章の扉にはベルゼブブ、《晴》の紋章の扉にはエンヴィー、《雷》の紋章の扉には豪、《雨》と《霧》の紋章の扉にはスロウスとリリス、そして、ロヴィーノ教団のシンボルの扉には俺がいる。………あっ!スロウスとリリスだけ、なぜ2人かと言うと、スロウスがめんどくさがっていたから、いっそのこと2人にしようという話。まぁ、安心して、スロウスとリリスは俺たち《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の中では弱い部類に入るからな』

 

と説明すると

 

『それじゃあ、頑張れよ♪』

 

「あっ!待ちやがれ!!」

 

獄寺の言葉を無視して一方的に切った。

 

…………

 

「えっと……、どうする?」

 

静かになったそこで炎真が聞いた。

 

「どうするも何も行くしかねえだろ!!」

 

「ですが、どの扉から行きますか?それに、あまり時間をかけられませんよ」

 

風の言葉に一同黙った。すると、バミューダが

 

「それなら、手分けして行くしかないね。問題は誰がどの扉を行くかだけど………」

 

と言った。それに対して

 

「クフフ、僕はルシフェルのところに行きますよ。リリスにも借りはありますが、それよりも、ルシフェルのほうが大きいので……」

 

「前にも言ったけど、あれは僕の獲物だよ………」

 

「ハッ!俺はあのドカスをかっ消す!!」

 

「ん~。僕は豪君のところに行こうかな?」

 

「俺はあのガキをやる!コロネロを侮辱したことは許さない!!」

 

と周りの皆がいろいろ言っていた。それをリボーンが役割を決めた。

 

「それなら、ルシフェルのところは守護者7人、ジャバウォックのところはヴァリアー、ベルゼブブのところは俺たち元アルコバレーノ、久与田豪のところはミルフィオーレ、そして、スロウスとリリスのところはバジル、ディーノ、残りの黒曜だぞ」

 

リボーンの言葉に反対意見が飛んだ。

 

「ちょっと、待つらぴょん!!なんれ、俺たち、骸しゃんと別の班らぴょん!!?」

 

犬がそう言った。

 

「骸がルシフェルのところがいいって言っていたからだ」

 

リボーンがあっけらかんと言った。

 

「それなら、俺たちもルシフェルのところに行けばいい話らぴょん!!」

 

「いや、戦力から考えてこのほうがいい。それにお前らは1度リリスと戦っているしな」

 

「ぐっ………」

 

犬はリボーンに言い負かされた。

 

「ですが、ししょ~がいないなんて、ミーたち心配で~す」

 

フランが弱気なことを言っていた。

 

「クフフ、大丈夫ですよ。フラン、これらを渡しておきます」

 

「あ!それじゃあ、僕もフラン君にこれらを渡しておくよ♪」

 

と骸と白蘭はフランに何かを渡した。それに対してフランは

 

「えっ………。こんなもの、渡されても困るんですけど~」

 

困っていた。というよりも何かに恐れている感じがする。

 

「大丈夫です。さらに策はありますので」

 

「策………?」

 

骸の言う策が何かわからなかったが骸は教えてくれなかった。

 

「大丈夫です、皆さん。拙者たちも頑張ります!」

 

「ああ、死ぬ気でやればなんとかなるって!」

 

バジルとディーノがそう言った。とりあえず、こちらは終わった。次に

 

「リボーン。別に私たちがエンヴィーを相手にするのは構わないけど………。実際に戦った風とスカルを入れなくていいのかしら?」

 

今度はアーデルがそう聞いた。

 

「ああ、そっちはシモンだけで何とかしてくれ。その方が連携を組みやすいだろ?」

 

「そういうことね、わかったわ」

 

「うん!エンヴィーは任せて!!」

 

アーデルは納得して、炎真がそう言った。

 

「あっ。あと、バイパー。お前はこっちだぞ」

 

とリボーンがマーモンに向かってそう言った。

 

「えっ!?なんで!!?」

 

マーモンは当然、聞き返した。

 

「ジャバウォックは幻術をそのまま、ぶち壊すみたいだし、ベルゼブブの大蛇丸という蛇は厄介だからな。こっちに幻術師が必要だ」

 

「だからって!!」

 

「XANXUS、いいか?」

 

リボーンはXANXUSに聞いた。

 

「好きにしろ」

 

「ちょっ、ボス!!?」

 

マーモンはこれでリボーンたちと一緒に行くことになった。

 

「他に文句あるやついるか?」

 

リボーンがそう聞いたがどうやら誰もいないみたいだ。

 

「よし、それじゃあ、オメーら、行くぞ!それぞれ、しっかり、やるんだぞ!!」

 

『オオッ/はい/うん/ああ!!!』

 

リボーンたちはそれぞれの扉に入って行った。



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~再戦~ ヴァリアーVS嵐の大罪

6手に別れたリボーンたち。その内の1つ、《嵐》の紋章の扉に入ったXANXUS、スクアーロ、ルッスーリア、ベル、レヴィのヴァリアー5人。

 

「扉に入ってからも続くわね~、この道………」

 

「シシッ、さすがに王子、飽きたよ」

 

とルッスーリアとベルがうんざりしたように言った。

 

「貴様ら!気を引き締めんか!!」

 

それを咎めるレヴィ。

 

「ゔぉおおおおい!!レヴィの言う通りだぞおぉぉぉーーーー!!」

 

それに同意するスクアーロ。

 

「…………………」

 

黙って走っていたXANXUS。

 

「あっ!あそこに光っているところがあるわよ~!」

 

ルッスーリアの言う通り、奥に光っている場所があった。そこをXANXUSたちが潜り抜けたら………

 

先程の空間と同じような場所に出た。そして、そこにいたのは………

 

「待っていたぞおぉぉぉーーーー!!!!テメーらあぁぁぁーーーー!!!!」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《嵐の大罪》のジャバウォックがいた。ジャバウォックの右手の中指には《(トゥリニセッテ)リング》がはまっていた。ルシフェルのとは違って嵐の紋章が描かれていて、赤い指輪だった。おそらく、《嵐》の《(トゥリニセッテ)リング》だろう。

 

「ゔぉおおおおい!!ここに剣はあるかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

スクアーロが大声でそれを聞くと

 

「ハッ!!!!ここにはねえよ!!!!ここにあるのは装置だけだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

とジャバウォックが大声で答えた。

 

「本当にうるさいわね~」

 

「何とかならないの、これ?」

 

「貴様ら、いい加減にしろ!!」

 

とルッスーリア、ベル、レヴィは自分の耳を押さえて言った。

 

すると、

 

バーン!

 

ジャバウォックに向けて、《憤怒の炎》がとんだ。ジャバウォックはそれをかわした。そして、《憤怒の炎》はそのまま、壁に向かって

 

ドカーン!!

 

当たって、崩れた。

 

「テメー、いきなり撃ってくるとは何なんだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックがそう言った相手は

 

「うっせ、ドカスが………」

 

既に自分の匣アニマルであるベスターを形態変化(カンビオ・フォルマ)させて《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》にしていて、それを持っていたXANXUSだった。

 

「俺はテメーをかっ消せれば、それでいいんだよ!!」

 

すると、XANXUSの顔に痣が浮かび上がった。それは、昔、XANXUSたちヴァリアーがボンゴレ9代目に対して起こしたクーデター、《ゆりかご》。その時に9代目に《死ぬ気の零地点突破》をくらわされてできた古傷だった。

 

「装置のことはいいのかしら~?」

 

「シシッ、いいんじゃね?王子もあいつ、ハリセンボンにしたかったし」

 

「うむ。装置はあいつを倒してから壊せばいい」

 

3人はそれぞれ、そう言いながら、戦闘体勢に入った。

 

「ゔぉおおおおい!!俺もやるぜえぇぇぇーーーー!!!出てこい、アーロ!!!」

 

スクアーロはそう言って、ヴァリアーリングに炎を灯して自分の匣から《暴雨鮫(スクアーロ・グランデ・ピオッジャ)》のアーロを呼び出した。

 

形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!!」

 

スクアーロがそう叫ぶとアーロはスクアーロの左腕につけてある剣と合体した。

 

「《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》!!!!」

 

前の剣の刀身の周りに鮫の牙のような刃が付き、剣の側面も鮫肌のような模様があった。

 

「いいぜえぇぇぇーーーー!!!!やってやるぜえぇぇぇーーーー!!!!」

 

とジャバウォックも自分の武器である鎖付き錨を取り出した。

 

これでお互いの戦闘準備は完了した。

 

最初に攻撃を仕掛けたのは

 

「ゔぉおおおおい!!!!くらいやがれ!!!!《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》!!!!」

 

スクアーロだった。スクアーロはその場で剣を何度も降った。すると、剣の側面の鮫肌の模様によって空気が切り裂かれ、カマイタチを生み出した。それだけでなく、剣に仕込んでいた爆弾がカマイタチと同時に飛び出した。つまり、爆発するカマイタチの大群がジャバウォックに襲いかかった。

 

「しゃらくせえぇぇぇーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは錨に《憤怒の炎》を纏わせて、それを振り回した。そして、そのまま、カマイタチとぶつけた。

 

ドン!キンッ!ドン!キンッ!ドン!キンッ!ドン!キンッ!ドン!キンッ!ドン!キンッドン!キンッ!ドン!

 

金属音と爆発音が鳴り響いた。ジャバウォックはスクアーロの《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》を全て防いでいた。

 

「《怒りの暴発(スコッピオ・ディーラ)》!!」

 

ジャバウォックが防いでいる間にXANXUSが2丁拳銃から《憤怒の炎》を連射して超極太のレーザーのようなものを撃った。

 

「ちっ………!!!!」

 

ジャバウォックはそれを飛んでかわした。その際、ジャバウォックは錨をスクアーロに向けて投げつけた。スクアーロは技を放つのを止めて、錨をかわした。その際、ジャバウォックが飛んでいる隙を狙って、

 

「《SUPER LEVI VOLTA(スーペル・レヴィ・ボルタ)》!!!」

 

あらかじめ、呼び出していた《雷エイ(トルペディネ・フールミネ)》のリヴァイアにレヴィが乗り、背中の8つの電気傘(パラボラ)とリヴァイアに付属していたパーツを展開して、ジャバウォックに《雷》の炎を放出した。

 

「グアァァァァッ…………!!!!??」

 

ジャバウォックは空中にいたため、かわすことができず、直撃をくらった。ジャバウォック地面に着地すると、そのまま地面に膝をついた。

 

「今よ~♪」

 

それをチャンスと思ったのか、ルッスーリアがジャバウォックにメタルニーで攻撃を仕掛けようとした。しかし、

 

ガシッ

 

「えっ?」

 

ジャバウォックはルッスーリアのメタルニーを掴み、投げつけた。

 

「イヤ~ン!?」

 

ジャバウォックはそのまま立ち上がって

 

「テメーら………、やりやがったなあぁぁぁーーーー!!!!」

 

そして、怒鳴った。

 

「シシッ、まだ終わりじゃねえよ!!」

 

すると、ベルがジャバウォックにナイフを投げつけた。

 

「こんなもん、くらうかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは錨に《憤怒の炎》を纏わせて、今まで以上にそれを振り回した。すると、

 

ゴオォォォォォォッ!!!

 

ジャバウォックの周りに《憤怒の炎》による竜巻が生まれた。

 

「《憤怒の竜巻(トルナード・ディーラ)》!!!!」

 

ベルが投げたナイフは竜巻によって全て弾かれた。

 

「ちっ………!!」

 

ベルは舌打ちした。

 

「《炎の鉄槌(マルテーロ・ディ・フィアンマ)》!!」

 

XANXUSが先程の《怒りの暴発(スコッピオ・ディーラ)》よりも連射速度が速い《憤怒の炎》の超極太のレーザーを撃った。それは、ジャバウォックの《憤怒の竜巻(トルナード・ディーラ)》に当たった。

 

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 

2人の《憤怒の炎》の使い手の技がぶつかり、何度も爆発音がした。そして………

 

ガキンッ!!

 

「何だと!!!!」

 

XANXUSの《炎の鉄槌(マルテーロ・ディ・フィアンマ)》がジャバウォックの《憤怒の竜巻(トルナード・ディーラ)》を撃ち破った。どうやら、XANXUSの怒りの方が上のようだった。そのまま、ジャバウォックに《憤怒の炎》のレーザーが当たるかと思ったけど………

 

「ちっ!!!!」

 

ジャバウォックは舌打ちをしながら、それをかわした。そこに真上から

 

「ゔぉおおおおい!!」

 

スクアーロが《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》を振りかぶってきた。ジャバウォックはとっさに錨を構えた。

 

ガキンッ!!

 

スクアーロの《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》とジャバウォックの錨が衝突した。激しい火花が散った。ジャバウォックはスクアーロを弾き飛ばそうと思ったが………

 

「なっ!!!!??(体が動かねえだと!!!!??)」

 

ジャバウォックは体を動かすことができなかった。その理由はスクアーロがジャバウォックの錨とぶつける前に《鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)》を使ったからだ。《鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)》は強烈な衝撃で相手の神経を麻痺させる技である。その衝撃波は相手の腕を金属バットで殴られるよりも強力と言われている。

 

「オラアァァァーーーー!!!!」

 

スクアーロはそのまま、ジャバウォックを斬りつけた。

 

「グハッ!!!」

 

ジャバウォックは血を吐いた。

 

「シシッ、これならどうだ!!」

 

そこにベルがナイフを投げつけた。ジャバウォックは先程のように錨を振り回すことができず、何とか防いでナイフを弾いていた。しかし、途中でジャバウォックは気づいた。自分の周りに何か細い糸みたいな物がはりめぐされていた。

 

「これは…………豪と同じワイヤーかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

「シシッ、ご名答♪」

 

ベルが投げたオリジナルのナイフにはワイヤーがついてあり、ジャバウォックがそれを弾いていたため、周りにはワイヤーがはりめぐされていたのだ。しかも、ジャバウォックは巨体のために余計に脱出が難しかった。

 

「今だ!!《電気刺し(アッフォンド・フールミネ)》!!」

 

「《太陽膝(ジノッキアータ・ソラーレ)》!!」

 

ワイヤーの隙間を通って、レヴィとルッスーリアがジャバウォックに攻撃をした。ジャバウォックは周りにワイヤーがあるために動けなかった。そして、

 

「グアァァァァッ!!!!??」

 

2人の技が当たった。しかし、それで終わらなかった。

 

「シシッ、出番だよ。ミンク」

 

ベルはヴァリアーリングに炎を灯して、自分の匣アニマルである《嵐ミンク(ヴィゾーネ・テンペスタ)》を呼び出した。ミンクはジャバウォックの方へ飛んだ。ジャバウォックに自分の体毛をこすり摩擦熱で《嵐》の炎を発火させた。

 

「グアァァァァッ!!!?」

 

ジャバウォックが燃え始めた。しかし、まだ終わらなかった。ミンクはジャバウォックの周りにあるワイヤーにまで《嵐》の炎を発火させた。

 

「《二重の紅蓮の炎(ドッピオ・フィアンマ・スカルラッタ)》」

 

自身の炎とワイヤーの炎でジャバウォックを燃やした。

 

「グアァァァァッ!!!!??くそがあぁぁぁぁーーーーー!!!!」

 

ジャバウォックが叫んだ。そして、錨を持った。本来ならベルのこの技は全てを燃やし尽くすはずだが、ジャバウォックは持ち前のタフさで体を動かした。そして、

 

「《怒りの鉄槌(マルテーロ・ディーラ)》!!!!」

 

ドカーン!!

 

以前にマーモンの幻術を吹き飛ばしたのと同じ方法で《嵐》の炎を吹き飛ばした。

 

「ちっ……!どんだけ、頑丈なんだよ!!」

 

ベルはそう言った。しかし、ジャバウォックはボロボロだった。自分のジャケットは燃え尽きて、上半身は裸になっていた。

 

「ハァ………、ハァ………、テメーらぁ……!!!!どういことだぁぁぁぁ!!!!?前とは違うじゃねぇかあぁぁぁーーーー!!!!?」

 

以前は自分が圧倒していたのに今回は最初から押されっぱなしだった。

 

「フンッ、ドカスが………」

 

「ゔぉおおおおい!!ふざけてんじゃねえぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

「シシッ、王子たちが同じ相手に2度もやられないって」

 

「そういうことだ!!」

 

「私があとでたっぷりと可愛がってあげるわ~~♪」

 

XANXUSたちはそう言った。

 

「ふざけんじゃねえぇぇぇ……」

 

それに対しジャバウォックは何か言っていた。

 

「ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇ、ふざけんじゃねえぇぇぇーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 

ジャバウォックはキレ出して、赤と黒が混ざった色した匣を取り出した。

 

「これで、テメーらをぶっ潰してやる!!!!」

 

そう言って、ジャバウォックは《(トゥリニセッテ)リング》に大量の《憤怒の炎》を灯して匣に注入した。注入していた炎があまりにも膨大なため、匣にヒビが入った。そして、そのまま……

 

バキンッ

 

匣が割れた。そして、匣の中身は……

 

グサッ

 

『!!!?』

 

赤い光となってジャバウォックの胸元を突き刺さった。そして、突き刺さった胸元から赤い光が溢れて、ジャバウォックを包んだ。

 

「まさか!!?」

 

「修羅開匣か!!?」

 

修羅開匣、ミルフィオーレが改造して人間の肉体と匣兵器を合体して匣アニマルの特殊能力を人間自身の死ぬ気の炎でより強力に発動できるものだ。しかし、赤い光の中にいるジャバウォックが否定した。

 

「修羅開匣だーーーー!!!!??そんな、人間が堕ちる程度のものじゃねえぇぇぇーーーー!!!!こいつは……」

 

赤い光が晴れると、そこにいたのは、全身に鱗があり、両手両足には獣のような鋭い爪が生えて、口には鋭い牙があり、尾も生えて、頭はドラゴンの頭のようになっていた。銀髪のドレッドヘアーと着ていたズボンが人間としての面影が残っていた。そして、何より、目に入ったのは、《(トゥリニセッテ)リング》がジャバウォックの胸元に埋まっていた。

 

そして、ジャバウォックは言った。

 

「人間を食い殺す鬼、《羅刹開匣》だあぁぁぁーーーー!!!!」



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《羅刹開匣》

(トゥリニセッテ)リング》の力で匣を開匣して、ほとんど獣の姿となったジャバウォック。

 

「《羅刹開匣》だあぁぁぁーーーー!!!!?」

 

スクアーロがジャバウォックにそう聞いた。

 

「ああ、そうだあぁぁぁーーーー!!!!テメーらの言う修羅開匣よりも格段に上回る性能を持つ力だあぁぁぁーーーー!!!!俺はこの俺の名前と同じ《天空嵐(ジャバウォック・)ジャバウォック(テンペスタ・ディ・チェーリ)》の力を得たんだーーーー!!!!」

 

ジャバウォックがそう説明した。

 

「ジャバウォックって《鏡の国のアリス》に出てくる怪物のことよね~?」

 

「シシッ、空想上の生き物と合体したってこと?」

 

「しかも、《(トゥリニセッテ)リング》が胸元に埋まっているぞ!!そんなことがありえるのか!!?」

 

ルッスーリア、ベル、レヴィはそれぞれ言った。

 

「ゔぉおおおおい!!テメーら、そんなこと言っている場合じゃねぇぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

スクアーロが皆に警戒するように言った。

 

「……………………」

 

XANXUSも黙って警戒していた。相手の《羅刹開匣》は能力が未知数なため当然かもしれない。

 

「オラアァァァッ!!!!テメーら、いくぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

そう言って、ジャバウォックは大きく空気を吸い込んだ。

 

「《憤怒の咆哮(ルッギオ・ディーラ)》!!!!」

 

すると、ジャバウォックは口から《憤怒の炎》を吐いた。

 

「《憤怒の炎》を吐いただと!!?」

 

「こいつ、マジで怪物じゃねぇの!!?」

 

レヴィとベルはそう言った。XANXUSたちはそれをかわした。

 

「でも、隙だらけわよ~ん♪」

 

ルッスーリアがそう言って、ジャバウォックの背後に回り、

 

「《太陽膝(ジノッキアータ・ソラーレ)》!!」

 

先程使った技でジャバウォックに攻撃した。

 

ガンッ!!

 

それは直撃した。………だが、

 

ジューッ

 

何か燃える音がして、

 

「!!!??熱い!!熱いわ!!!??」

 

ルッスーリアが地面に倒れた。ルッスーリアの膝から焦げた匂いと黒煙が出ていた。ルッスーリアのメタルニーもよく見たら溶けていた。

 

『!!!??』

 

「ルッスーリアのメタルニーが溶けているだとおぉぉぉーーーー!!!!」

 

「シシッ、どうなってんの?」

 

スクアーロとベルがそんなことを言っていると

 

「ハッ!!!!俺の鱗には《憤怒の炎》が纏っているんだぜえぇぇぇーーーー!!!!触れたら、火傷じゃすまねぇぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

ジャバウォックがそう説明した。そして、ジャバウォックは側に置いていた錨を持って《憤怒の炎》を纏わせて、

 

「オラアァァァッ!!!!」

 

ドガンッ!!

 

「ギャッ!!!??」

 

雄叫びをあげながら、地面に倒れていたルッスーリアをぶっ飛ばした。ルッスーリアはそのまま……

 

ドガンッ!!!

 

壁に激突した。

 

「「「ルッスーリア!!!?」」」

 

スクアーロ、ベル、レヴィは叫んだ。ルッスーリアは意識は残っていたが戦える余力は残ってなさそうだった。

 

「ちっ!!ミンク!!《二重の紅蓮の炎(ドッピオ・フィアンマ・スカルラッタ)》!!!」

 

「リヴァイア!!《SUPER LEVI VOLTA(スーペル・レヴィ・ボルタ)》!!!」

 

ベルはナイフを投げて、ミンクに《嵐》の炎を発火させた。レヴィはジャバウォックに《雷》の炎を放った。

《嵐》と《雷》の炎がジャバウォックに直撃した。しかし……

 

「こんなもん、効くかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ブンッ!!

 

バァッ!!

 

「「!!!?」」

 

《羅刹開匣》のおかげか、耐久力も上がったみたいだ。ジャバウォックは錨を一振るいして、《嵐》と《雷》の炎を払った。

 

「オラアァァァッ!!!!」

 

ジャバウォックはジャンプして、リヴァイアのところまでいって、

 

「《怒りの鉄槌(マルテーロ・ディーラ)》!!!!」

 

今まで、マーモンの幻術やベルの《嵐》の炎を吹き飛ばすために使っていた技で、今度は、攻撃のために使った。

 

ドガーーーンッ!!!

 

直撃を受けたリヴァイアはそのまま勢いよく地面に激突した。リヴァイアはピクリと動かなかった。

 

「リヴァイア!!!?」

 

レヴィは自分の匣アニマルの名前を叫んだ。しかし、そんな場合では無かった。いつの間にか、空中で鎖を掴み錨を振り回していたジャバウォックが

 

「《憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)》!!!!」

 

以前の戦いでスクアーロとXANXUSを倒した技をレヴィに向けて放った。

 

「「レヴィ!!!」」

 

スクアーロとベルの言葉に気づいたが遅かった。

 

「グォッ!!!!??」

 

直撃したレヴィは吹っ飛ばされて、ルッスーリアと同様、戦闘不能になった。

 

バーンッ!!

 

錨を飛ばした隙を狙ってXANXUSが《憤怒の炎》を放った。それを、ジャバウォックは

 

「ふ~っ。ハァぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

再び、《憤怒の咆哮(ルッギオ・ディーラ)》で防いだ。

 

「ちっ!!ドカスが………!!」

 

XANXUSは舌打ちをしながら言った。

 

「シシッ、次はこれだ!!」

 

ベルがワイヤーを操って、大量のナイフを空中に浮かばせた。それらをジャバウォックの周りを取り囲んだ。そして、それらを一気にジャバウォックに向けて飛ばした。

 

「今更、そんなのが通じるかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは錨を振り回してナイフを全て弾いた。全て弾いたら、ジャバウォックは錨をベルに向けて飛ばした。

 

「シシッ、その言葉、そっくりそのままお前に返すよ♪」

 

ベルはそう言って、飛んでくる錨をジャンプしてかわした。しかし…………、

 

「それなら、これはどうだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

「!!!??」

 

ジャバウォックが《羅刹開匣》で強化された身体能力を使って一瞬でベルの側に移動した。そして、ジャバウォックは右手を握りしめた。その右手には《憤怒の炎》が纏っていた。そして…………、

 

ドガッ!!

 

「グハッ!!!??」

 

鈍い音がしてベルはぶっ飛ばされた。ぶっ飛ばされたベルはそのまま…………、

 

ドガンッ!!

 

ガラガラッ

 

壁に激突した。

 

「ベル!!!??」

 

スクアーロは叫んだ。ベルもルッスーリアとレヴィと同様、意識は残っていたが戦える状態ではなかった。これで残っているのはXANXUSとスクアーロだけだった。

 

しかし、《羅刹開匣》の力は思いのほか、すさまじかった。

 

「………………」

 

「ちっ………!!」

 

XANXUSは顔をしかめて、スクアーロは舌打ちをした。

 

「ガハハハハハハッ!!!!これが、《(トゥリニセッテ)リング》の力で開匣された《羅刹開匣》の力だあぁぁぁーーーー!!!!そして、これが俺の、俺たち、ロヴィーノ教団の《怒り》だあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは高笑いしながら、そう言った。

 

「るっせ………。ドカスが………」

 

「ガハハハハハハッ………あぁぁぁ?」

 

XANXUSの呟きにジャバウォックが高笑いするのをやめた。

 

「XANXUS……?」

 

スクアーロもXANXUSの呟きに戸惑った。

 

「テメーらドカス共が、どんな怒りを持っていようが知ったこっちゃねぇ……。俺は………」

 

そう言うと、XANXUSの体には痣が先程よりも浮かびあがった。体中のほとんどが痣で覆われた。そして、どす黒い闘気があふれでた。

 

(!!!?…………初めて見たぜぇぇぇ。XANXUSの痣がここまで、浮かびあがるところをよぉぉぉ……。それに、この闘気も………。こいつは………)

 

「テメーは当然………、俺がかっ消すつもりだった沢田綱吉を殺したあのドカスも………」

 

(怒り!!それも………、今までに無いくらい………!!!)

 

XANXUSは鋭い目付きをして、紅い瞳をジャバウォックに向けて言った。

 

「かっ消す!!!それだけだ!!!」



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憤怒の暴君&傲慢の鮫VS憤怒の大罪

《羅刹開匣》によって強化されたジャバウォック。それにより、ルッスーリア、レヴィ、ベルの3人が戦闘不能になった。

 

しかし、XANXUSはより強い怒りを抱いて、ジャバウォックとダークネスをかっ消すことを宣言した。

 

「俺とダークネスをかっ消すだとおぉぉぉ?ふざけてんのかあぁぁぁーーーー!!!!?そんなこと、できるわけねえだろうがあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックはそう叫んだ。

 

「ハッ!!それは、どうだろうな!!」

 

XANXUSはそう言って、《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》を地面に向けて、撃って空中へと飛んだ。ジャバウォックはXANXUSに向けて錨を飛ばした。XANXUSはそれをかわした。

 

「ゔぉおおおおい!!俺を忘れてんじゃねぇえぇぇぇーーーー!!!!」

 

今度はスクアーロがジャバウォックに《雨》の炎が纏った《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》で斬りつけようとした。

 

ガキンッ!!

 

それをジャバウォックが腕で防いだ。

 

「!!!?」

 

スクアーロは驚いた、強化された剣が防がれたことに………。

 

「オラアァァァッ!!!!」

 

ジャバウォックは腕をなぎはらって、スクアーロを飛ばした。スクアーロは同時に後ろに飛んだためにそこまで衝撃は無かった。

 

「《炎の蕾(ボッチョーロ・ディ・フィアンマ)》!!」

 

XANXUSがジャバウォックの上空を徘徊しながら、撃った。

 

「前と同じやつじゃねぇかあぁぁぁーーーー!!!!その技、前に俺が全弾、防いだよなあぁぁぁーーーー!!!!?」

 

そう言って、ジャバウォックは錨を振り回して、《憤怒の炎》の弾丸を全て弾いた。しかも、以前の戦いよりも速く。

 

「………まずいわよ~」

 

「ぬっ…………」

 

「シシッ………、あの錨と鎖のドームはボスもスクアーロもどうしようもないし………」

 

戦闘不能になって、ろくに動けないルッスーリア、レヴィ、ベルはそう言った。

 

「ゔぉおおおおい!!それなら、隙を狙ってやるだけだあぁぁぁーーーー!!!!《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》!!!!」

 

スクアーロが再び、先程使った、カマイタチと爆弾の連続攻撃をジャバウォックに向けて放った。

 

ガキンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!

 

再び、金属音と爆発音の連続だった。

 

バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!バーンッ!!

 

XANXUSも《憤怒の炎》の弾丸を連続で撃った。そして、それをジャバウォックが錨を振り回して、スクアーロのカマイタチと爆弾と一緒に防いだ。

 

ガキンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!ガキンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!

 

XANXUSの《憤怒の炎》の弾丸、スクアーロのカマイタチと爆弾とジャバウォックの錨と鎖にぶつかる音が鳴り響いた。その中、ベルが何かに気づいた。

 

「なんか、あいつの錨と鎖のドーム、デカクなってね?」

 

ベルに言われて、ルッスーリアとレヴィはジャバウォックのほうを見た。すると、確かにジャバウォックの錨と鎖を振り回している範囲が広くなり、それに比例してドームも大きくなっていた。

 

「これは…………、ジャバウォックがボスたちを押しているのか!!?」

 

レヴィの言う通り、XANXUSとスクアーロはジャバウォックの錨に押されていた。

 

「そろそろかあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックがそう言って、錨をさらに大きく一降りした。

 

「《憤怒の嵐(イーラ・テンペスタ)》!!!!」

 

錨をさらに大きく一降りしたことで風圧と共に、《憤怒の炎》が嵐を巻き起こすかのように襲いかかった。

 

バンッ!!

 

「「グハッ!!!!?」」

 

XANXUSとスクアーロはジャバウォックの《憤怒の嵐(イーラ・テンペスタ)》の《憤怒の炎》の強風に直撃した。2人は同じ方向に飛ばされて、そして、そのまま、

 

ドガッ!!

 

壁に激突した。

 

「「「ボス!!!!スクアーロ!!!!」」」

 

ルッスーリアたち3人は、そんな2人を心配して、2人を呼び叫んだ。

 

「ガハハハハハハッ!!!!どうだあぁぁぁーーーー!!!!俺をかっ消すなど、無理な話なんだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックが高笑いしながら、そう言った。

 

「チクショゥーーーーッ……………」

 

「…………………ドカスが」

 

しかし、XANXUSとスクアーロはぼろぼろになりながらも、フラフラと立った。

 

「まだ、やる気かあぁぁぁーーーー!!!!?無駄なことしてんじゃねぇぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは立ち上がったXANXUSとスクアーロに向かってそう叫んだ。

 

「うるせぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

スクアーロはジャバウォックに叫び返した。しかし、スクアーロはそう言いながらも、どうすればいいか考えた。

 

(このまま、不用意に攻めても、駄目だぜぇぇぇ……。いったい、どうすればいいんだぜぇぇぇ……)

 

スクアーロがそんなことを考えていると、

 

「……………………カス鮫」

 

XANXUSがスクアーロを呼んだ。

 

「あぁ、なんだあぁぁぁ?」

 

スクアーロがそう聞き返すと、

 

「…………1分だ。1分、時間を稼げ」

 

と誰かに頼むという、XANXUSらしくないことを言った。当然、スクアーロは驚いた。

 

「あぁ!!!!?いったい、どういうつもりなんだあぁぁぁーーーー!!!!?」

 

「るっせ……。1分、時間あれば、()()()()()()()

 

「ッ……………!!」

 

スクアーロはXANXUSの目を見て、言葉に詰まった。覚悟を決めた本気の目だったからだ。

 

「(このクソボスが戦闘で誰かに協力を求めるなんてなあぁぁぁ…………。()()()()の影響かあぁぁぁ?………まぁ、いい。何をするか知らねえが、俺もそれにかけるぜえぇぇぇーーーー!!!!………不思議と俺も嫌な気分じゃねぇしなあぁぁぁ……………)わかったぜぇぇぇーーーー!!!!」

 

スクアーロはそう言って、ジャバウォックに《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》を向けた。

 

「ゔぉおおおおい!!テメーは俺が斬り刻んでやるぜえぇぇぇーーーー!!!!」

 

そう言うと、スクアーロは技を放った。

 

「《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》!!!!」

 

スクアーロはカマイタチと爆弾を何度も放った。

 

「ハッ!!何度も同じ技で俺を倒せるわけねぇだろうがあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックは錨を振り回して、スクアーロのカマイタチと爆弾を防いだ。

 

「それなら、これは、どうだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

スクアーロは《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》を放ちながら、ジャバウォックに向かって走った。

 

「!!!!無茶よ、スクアーロ!!!!?」

 

ルッスーリアがそう叫んだ。

 

「いったい、何するつもりか知らねぇが、ぶっ潰すだけだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

とジャバウォックが錨をスクアーロにぶつけようと鎖を操ろうとしたが、その前に

 

「《(ザンナ・デ)(ィ・スクア)(ーロ・グラ)(ンデ・ピ)(オッジャ)》!!!!」

 

スクアーロが連続で突きを放った。《鮫の牙(ザンナ・ディ・スクアーロ)》の強化版の技だ。スクアーロの連続突きがジャバウォックに向かった。

 

「ちっ………………!!!!」

 

ジャバウォックはさすがに当たったらまずいと思い、錨をスクアーロにぶつけようとするのをやめて、自分に引き寄せた。そして、錨を持ち、それで防いだ。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

何度もの金属音が鳴り響いた。

 

「オラアァァァッ!!!!」

 

ジャバウォックは錨を力強く凪ぎ払い、スクアーロを払った。

 

「ぐっ…………!!!?」

 

スクアーロは離れた場所に飛ばされた。しかし、空中で体勢を直して、上手く着地した。

 

「何度、攻撃してこようが無駄なんだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォックはそう叫んだ。

 

「それなら、これならどうだあぁぁぁーーーー!!!!」

 

そう言うと、スクアーロは《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》に《雨》の炎を纏わせて、何度も振るった。

 

「こいつは《鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)》の強化版!!!!《(スコントロ)(・ディ・ス)(クアーロ・)(グランデ・)(ピオッジャ)》!!!!」

 

そう言って、スクアーロは《雨》の炎の壁を作って地面を抉りながら、ジャバウォックに向かって走った。

 

「ハッ!!そんな技、これでぶっ潰すだけだあぁぁぁーーーー!!!!《怒りの槍(ブロッチョ・ディーラ)》!!!!」

 

ジャバウォックはそう言って、錨を振り回して、それの勢いをそのまま利用して、スクアーロに向けて放った。以前の戦いでは、スクアーロの《鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)》はこれで、防がれた。

 

「ハッ!!何度も同じ技で俺を倒せるわけねぇだろうがあぁぁぁーーーー!!!!」

 

スクアーロは先程、ジャバウォックが言っていた言葉をそっくり、そのまま言った。スクアーロはジャバウォックの錨を体を上手く捻らせて、かわした。しかも、それで終わらなかった。

 

「オラアァァァッ!!!!」

 

ガキンッ!!

 

スクアーロはジャバウォックと錨を繋いでいる鎖に《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》をぶつけて、斬った…………いや、かじり斬ったと言ったほうが正しいかもしれない。錨の先に《憤怒の炎》を集中していたために鎖には炎は纏っていなかったのだ。

 

「これで、錨はもう使えねぇぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

「ちっ!!!!なら、これでどうだあぁぁぁーーーー!!!!《憤怒の咆哮(ルッギオ・ディーラ)》!!!!」

 

ジャバウォックは息を大きく吸い込み、口から《憤怒の炎》を吐き出した。その炎はスクアーロを飲み込んだ。

 

「「「スクアーロ!!!!」」」

 

ルッスーリアたち3人はスクアーロの名前を叫んだ。

 

(ぐぁっ…………!!!!?あちぃっ!!!!?)

 

《雨》の炎の壁により、ダメージは多少抑えられているが、勢いは凄まじかった。スクアーロは《憤怒の炎》の中で走るのを抑えられた。

 

ジュ~~~ッ

 

スクアーロの髪から燃える音が聞こえた。

 

(髪が燃えていやがるのかあぁぁぁ!!!ちっ…………!!!まだ、あいつの計画を達成していねぇっつうのによぉぉぉ)

 

スクアーロは自分に時間稼ぎを頼んだ男のことを考えた。

 

(…………まぁ。ここで、あいつを倒さなきゃ、計画も達成できねぇかあぁぁぁ………。………いいぜえぇぇぇ。こいつは前払いだあぁぁぁーーーー!!!!)

 

スクアーロは再び《憤怒の炎》の中で歩を進めた。

 

(それになんだぁ?この炎、落ち着いて考えてみれば、全然、たいしたことねえじゃねぇかあぁぁぁーーーー!!!!あいつの炎のほうが凄まじいぞおぉぉぉーーーー!!!!)

 

スクアーロは再び走り出した。そして、ジャバウォックの近くまで移動した。

 

「なんだとおぉぉぉーーーー!!!!?」

 

「ゔぉおおおおい!!これでも、くらいやがれえぇぇぇーーーー!!!!」

 

ザシュッ!!ザシュッ!!

 

《憤怒の炎》に焼かれて、昔の髪型に戻ったスクアーロがジャバウォックを斬りつけた。

 

「グハッ!!」

 

ジャバウォックは血を吐いたがまだ倒れなかった。

 

「ちっ………!!(これでも、まだ、倒れねえのかあぁぁぁ………。…………だが)ゔぉおおおおい!!1分、稼いだぞおぉぉぉーーーー!!!!」

 

スクアーロはXANXUSにそう言った。

 

「でかした!!カス鮫!!!」

 

そう言ったXANXUSは、左の拳銃をジャバウォックに向けて、右の拳銃をジャバウォックとは反対側のほうに向けていた。左の拳銃には《憤怒の炎》を右の拳銃には《大空》の炎をどちらも今までよりも膨大に込めていた。

 

「《憤怒の炎》がいつもよりも込められているわ!!!?」

 

「だが、あれだとボスも吹っ飛ばされるぞ!!!!」

 

「シシッ、それを防ぐために右の拳銃に《大空》の炎を込めて支えにするつもりだろ?………でも、確か、あれって………」

 

ベルはXANXUSの構えが()()と同じだと思った。しかし、それを言う前にXANXUSは両方の拳銃を撃った。

 

「《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》!!!!」

 

XANXUSは後方には《大空》の炎を、前方には《憤怒の炎》を今までで一番の威力で放った。

 

「クソがあぁぁぁ………、《憤怒の咆哮(ルッギオ・ディーラ)》!!!!」

 

ジャバウォックも先程、スクアーロに使ったときよりも倍以上ある威力で放った。

 

ドカンッ!!

 

2人の《憤怒の炎》がぶつかった。

 

「「オラアァァァーーーー!!!!」」

 

2人とも雄叫びながら、技を放っていた。しかし、XANXUSが押していた。

 

「なんだとおぉぉぉーーーー!!!!」

 

「これで、終わりだ!!!!ドカス!!!!」

 

XANXUSの《憤怒の炎》がジャバウォックの《憤怒の炎》をかき消して、ジャバウォックを飲み込んだ。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」

 

ジャバウォックはXANXUSの《憤怒の炎》に叫んだ。

 

バキンッ!!

 

ジャバウォックの胸元にあった《嵐》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

 

 

 

…………………………………

 

《憤怒の炎》が収まるとジャバウォックは元の姿に戻って気絶していた。

 

「やったわ~~~~~~!!!」

 

「シシッ、すげっ」

 

「さすがボス!!!」

 

ルッスーリアたちはそう言った。

 

タッ、タッ、タッ、タッ

 

スクアーロがXANXUSに近づいた。

 

「………久しぶりにその髪型見たぞ、カス鮫」

 

「ハッ!!また、伸ばすさあぁぁぁーーーー!!!!」

 

 

 

 

ヴァリアーVS嵐の大罪

 

勝者、ヴァリアー




ヴァリアーVS嵐の大罪、決着!!

次回、《ミルフィオーレVS雷の大罪》


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ミルフィオーレVS雷の大罪

《雷》の紋章の扉を進んでいるのは、白蘭、γ、桔梗、ザクロ、ブルーベル、デイジー、トリカブトのミルフィオーレファミリーの7人だった。

 

7人は長い洞窟を進んでいた。

 

「いつまで、続いてやがんだ?」

 

「にゅにゅ、ブルーベル疲れたよ~~~」

 

ザクロとブルーベルがそんなことを言っていた。

 

「テメーら、しっかりしやがれ!!」

 

γがそんな2人を叱咤した。…………ヴァリアーのメンバーのときと似ているが、それは置いておこう。

 

「あそこ、光っているよ」

 

「ハハン、おそらく出口ですね」

 

デイジーと桔梗がそう言った。

 

「ということは、あそこに豪君がいるのかな?」

 

「………気を引き締めなくてはいけないな」

 

白蘭とγがそう言った。そして、7人は光っている場所に入った。

 

そこは、先程の扉があった場所と白蘭たちは知らないだろうがヴァリアーが入ったジャバウォックのいた場所と似たような空間だった。そして、そこには…………

 

「やーやー。これは、これは、待っていたでござるよ」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人、《雷の大罪》、久与田豪だった。

 

「久与田………豪………!!」

 

「やぁ、豪君♪」

 

γは恨めしそうに、白蘭は気軽に豪の名前を言った。

 

「おぬしらがここに来るのは予想できたでござる。だが、残念ながら、ここには剣は無いでござる」

 

と豪は説明した。

 

「ハハン、つまり、この部屋には装置があるということですね?」

 

と桔梗が豪に聞いた。

 

「えぇ、そうでござる」

 

そう言って、豪はある壁に向かって歩いた。

 

「この壁の裏側に装置はあるでござる」

 

と豪は装置があるという壁を触りながら説明した。

 

「あれ?いいの?装置の場所を教えて?僕たちが君を無視して装置を狙うかもしれないよ?」

 

と白蘭は意外そうな顔で言った。

 

「構わないでござる。そんなこと、できないでござるから」

 

「にゅにゅ?できない?」

 

豪の言葉にブルーベルは疑問に思った。

 

「えぇ、この壁には我輩の《強欲の炎》が纏っているでござる。どんなに頑張っても壊れないでござる。我輩を倒さない限りは…………」

 

と豪の説明に以前の白蘭の白龍が豪のワイヤーをちぎることができなかったことを白蘭たちは思い出した。

 

「ところで、豪君。君の指につけているリングって、もしかして、《(トゥリニセッテ)リング》?」

 

と白蘭は豪の右手の中指にはめているリングを指さして言った。

 

「あぁ、これでござるか。どうやら、ルシフェルから聞いているみたいでござるね。えぇ、そうでござる。これは《雷》の《(トゥリニセッテ)リング》でござる」

 

そう言って、豪は自分の右手の中指にはめているリングを白蘭たちに見せた。緑色のおしゃぶりの形をした石にマーレリングの翼がついていて、おしゃぶりには《雷》の紋章があった。どうやら、これが《雷》の《(トゥリニセッテ)リング》のようだ。

 

「そう言うおぬしらは全員、《マーレリング》をつけているではないでござるか」

 

と白蘭たちの右手の中指にはめている《マーレリング》を見ながら豪が言った。

 

「ダークネスが《闇》の炎で《マーレリング》の封印を解いたとしても、それらには《(トゥリニセッテ)》の力を失っているはずでござる。それに、《マーレリング》を悪用しようとした白蘭がそれを使うというのも驚きでござる」

 

「ああ………、姫が許可してくれたんだ。テメーらを相手にするには《(トゥリニセッテ)》の力が失っても、これらを使うべきだとな………」

 

そう言って、γはこの島に来る前のことを思い出した。

 

 

 

 

作戦会議に皆が集まっているときだった。

 

「白蘭、γ、皆さん。来てください」

 

ユニが白蘭たち7人を呼んだ。

 

「ユニちゃん、どうしたの?」

 

「姫、どうしたんだ?」

 

白蘭とγがそう聞いた。

 

「…………このあとの戦い。今までで一番の戦いになると思います……………」

 

ユニが重苦しそうな顔でそう言った。

 

「まぁ、確かにそうだね」

 

「相手は姫やチェッカーフェイスと同じ生粋の地球人。その中でも戦闘能力の高い者たちの子孫ですからね」

 

白蘭とγもそれに同意した。

 

「だからこそ、これらを使ってください」

 

そう言って、ユニは1つの箱を取り出した。その中には………

 

「にゅにゅ!!?」

 

「ボバッ!!?」

 

「マジかよ、バーロー!!?」

 

「ハハン、これは驚きました」

 

「………………!!?」

 

「姫、これは!!?」

 

(リアル)6弔花とγは驚いた。白蘭も驚いた表情で言った。

 

「ユニちゃん、これって、《マーレリング》だよね?」

 

そう、ユニが取り出したのは7つの《マーレリング》だった。

 

「はい、そうです」

 

「姫、なぜ、それを白蘭に渡すんだ!!?こいつがそれを使って何をしたか忘れたのか!!?」

 

とγがユニに言った。

 

「ロヴィーノ教団はそれほど、あの時の白蘭よりも恐ろしい敵です。彼らの計画を阻止するためにも《(トゥリニセッテ)》の力を失っているとしても《マーレリング》は皆さんの力になってくれるはずです」

 

「しかし……………」

 

γがユニに異議を申し立てようとしたが

 

「…………………」

 

「っ!!」

 

ユニの覚悟を決めた目を見て、

 

「………わかった。それじゃあ、俺は《雷》の《マーレリング》を使わせて貰うぞ」

 

《マーレリング》を使うことを決めた。

 

 

 

 

「そういうわけだから、テメーを倒して、装置を壊させて貰うぞ!!!」

 

そう言って、γは自分の武器であるビリヤードのキューとボールの《エレットロ・ビリアルド》を取り出した。

 

「そういうこと♪」

 

白蘭も背中から白い翼をはやした。(リアル)6弔花のメンバーも戦闘態勢に入った。

 

「我輩を倒すでごさるか………。おぬしら、以前のミルフィオーレ本部での出来事を忘れたわけではないでござるな?」

 

豪は自分のワイヤーでγや太猿たち、(リアル)6弔花のメンバーを操ったことを言い出した。

 

「おぬしらは我輩に攻撃も防御もできないはずでござるよ!!!」

 

豪はそう言うと指を動かした。

 

「!!皆、今だよ!!!」

 

白蘭がそう叫ぶと白蘭も含めた7人はそれぞれ移動した。ある者は走って、ある者はF(フレイム)シューズを使って空中へと飛んで、全員が豪のワイヤーをかわした。

 

「何ですとでござる!!?」

 

豪は驚いた。まさか、自分の細いワイヤーをかわしたことに。

 

「…………どうして、我輩のワイヤーをかわすことができたでござるか?」

 

豪は白蘭たちに聞いた。

 

「フフッ。それは、僕があらかじめ、()()()()()()()()()()()()()()さ♪」

 

白蘭がそう言った。白蘭は平行世界(パラレルワールド)の自分と知識を共有できる能力を持っている。その能力を使って相手の攻撃パターンを分析してシミュレーションすることができる。10年後の未来の戦いでもこれでツナたちボンゴレは苦戦していた。しかし、豪には理解できなかった。

 

「シミュレーションしていたでござるか?しかし、シミュレーションも何も、白蘭。我輩はおぬしにこれを見せたのはミルフィオーレ本部でのあの1回だけでござるのはずでござるだが?」

 

豪にはそれが疑問だった。しかし、すぐに気づいて驚いたのか叫んだ。

 

「!!?まさか…………、あの1回だけでシミュレーションできたと言うのでごさるか!!?」

 

豪はそう言って白蘭に聞いた。

 

「うん、その通りだよ♪まぁ、厳密に言えば、あのときが映っている監視カメラを何度も見たんだけどね♪」

 

白蘭がそう言った。

 

「信じられないでござる…………。いくら、監視カメラで何度も見たからと言って、同じパターンで来るはずが無いのに、わずか1パターンで完璧にかわせるなんて…………、そんなことできるはずがないでござる………」

 

豪はいまだに信じられない様子だった。それに対して白蘭が言った。

 

「う~ん。それの理由は大きく言って2つかな?1つは僕が心理学者だった世界の知識を持っていること。そして、もう1つは僕の分析能力が高かったからかな?」

 

「…………分析能力が高かったでござるか?」

 

白蘭の言った言葉に豪は聞き直した。

 

「うん♪ほら、豪君もミルフィオーレ本部で言っていたでしょ?君たちロヴィーノ教団はこの世界にしか存在していないって」

 

白蘭に言われて、豪は当時のことを思い出した。

 

 

 

 

『《ロヴィーノ教団》?全平行世界(パラレルワールド)の知識を共有している僕でも聞いたことないよ』

 

豪が言ったことにユニは予知の内容の一部と当てはまっていることに驚き、白蘭は疑問に思った。

 

『ふふふ、それはおそらくこの世界だけのものだからではないでござるか?』

 

『あ~、確かにそれは言えてるね。綱吉君たちのボンゴレ匣もあの世界だけのものだったからね~』

 

 

 

 

「ロヴィーノ教団のことに関してもそうだし、綱吉君たちのボンゴレ匣もそうだけど、その世界にしか存在していないものはたくさんあるんだ。だから、そのわずかな情報で分析しなければいけないんだ」

 

白蘭はそう説明した。

 

「…………だから、おぬしには高い分析能力が身につき、我輩の行動パターンがわかったというわけでごさるか?」

 

豪がそう聞いた。

 

「うん♪その通りだよ♪だから、もう君のそれは通じないよ」

 

「…………そんなことがあるのでごさるか?」

 

白蘭の言葉に豪は呆然とした。

 

「ハハン、ボーッとしている暇はありませんよ。さぁ、行きなさい!!《雲ヴェロキラプトル(ヌーヴォラ・ヴェロキラプトル)》!!」

 

「《太陽サイ(リノチェロンテ・デル・セレーノ)》!!」

 

「《雷ウミヘビ(セルペンテ・ディ・マーレ・フールミネ)》!!」

 

桔梗は《雲ヴェロキラプトル(ヌーヴォラ・ヴェロキラプトル)》、

デイジーは《太陽サイ(リノチェロンテ・デル・セレーノ)》、

トリカブトは《雷ウミヘビ(セルペンテ・ディ・マーレ・フールミネ)

と自分の匣アニマルを出した。しかも、それで終わらずさらに

 

「《ウミヘビ方眼(レーペ・センペルテ・ディ・マーレ)》!!」

 

トリカブトが《雷ウミヘビ(セルペンテ・ディ・マーレ・フールミネ)》を使って、豪の周りを取り囲むように檻を作った。これで豪は逃げられない。しかも、だんだんと檻が豪に迫った。

 

「ハハン、チャンスです」

 

「行って」

 

「…………哀しき者よ」

 

3人は自分の匣アニマルを豪に向けて攻撃をさせた。

 

「これで終わりだ!!」

 

「ちっ、俺の出番無しかよ、バーロー」

 

「にゅにゅ、桔梗たちだけずるい~~~!!」

 

γ、ザクロ、ブルーベルがそんなことを言っていたが、誰もが終わりだと思った。

 

3人の匣アニマルが檻の中にいる豪を潰そうとしたときだった。

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

『えっ?』

 

誰が言ったかわからなかった。もしかしたら、全員だったかもしれない。とにかく、それぐらい、驚いた。なぜなら、《雲ヴェロキラプトル(ヌーヴォラ・ヴェロキラプトル)》も、《太陽サイ(リノチェロンテ・デル・セレーノ)》も、《雷ウミヘビ(セルペンテ・ディ・マーレ・フールミネ)》も、《ウミヘビ方眼(レーペ・センペルテ・ディ・マーレ)》の檻も()()()()()()()()()()()のだ。

 

「おいおい、いったい、どうなってんだ!!?」

 

「バーロー!!どう言うことだ!!」

 

「ボバッ!!?僕チンの《太陽サイ(リノチェロンテ・デル・セレーノ)》が………」

 

「ハハン、私の《雲ヴェロキラプトル(ヌーヴォラ・ヴェロキラプトル)》もあれだけの数を………」

 

「………………………」

 

「にゅにゅ!!?一気に全部斬れたよ!!?」

 

「…………これは驚いたよ」

 

皆がそれぞれ、そう言って、白蘭は豪のほうを見た。

 

「………ねぇ、豪君?いったい、何したの?」

 

「何したも何も、我輩のワイヤーで全てを斬り裂いただけでござる」

 

白蘭の質問に豪はそう言った。よく見ると、豪の両手の全ての指にワイヤーがついていた。どうやら、その10本のワイヤーで桔梗たちの匣アニマルを斬り裂いたらしい。

 

「確かに我輩は人間などを操って戦うほうが得意でござるが、別に我輩は人間を操ることしかできないとは一言も言ってないでござる」

 

「だからといって、全く見えなかったぞ…………」

 

γがそう言って、他の皆も含めてこの男に恐怖を抱いた。しかし、だからと言って、負けるわけにはいかない。

 

「…………………桔梗、ザクロ、ブルーベル、デイジー、トリカブト。()()を使って。そうでないと、彼には勝てないよ………」

 

と白蘭が(リアル)6弔花に言った。

 

「……………わかりました、白蘭様」

 

そう桔梗が言って、(リアル)6弔花は匣を取り出した。

 

「「「「「修羅開匣!!!!」」」」」

 

ボウーーーーーッ!!

 

5人が匣を開匣すると5人は光に包まれた。光が晴れるとそれぞれの体が変化した。

 

桔梗は《雲スピノサウルス(スピノサウロ・ヌーヴォラ)》と合体して、髪から無数のスピノサウルスの頭部を生み出した。

 

ザクロは《嵐ティラノサウルス(ティランノサウロ・テンペスタ)》と合体して、鋭い爪や尾が生えてティラノサウルスのような容姿になった。

 

ブルーベルは《雨ショニサウルス(ショニサウロ・ピォッジャ)》と合体して人魚のような容姿になった。

 

デイジーは《晴トカゲ(ラチェルト・セレーノ)》と合体して、トカゲのような容姿になった。

 

トリカブトは《霧蛾(ファレーナ・ネッビア)》と合体して、背中から蛾のような羽が生えた。

 

「…………これが修羅開匣でござるか」

 

「うん、そうだよ♪」

 

「ハハン、先程の私たちと同じとは思わないでください」

 

「にゅにゅ!!お前の頭蓋骨、ひん剥いてやる!!」

 

「はっ、消し炭にしてやるぜ、バーロー!!」

 

「僕チンも頑張るよ」

 

「哀しき者よ……」

 

「お前は倒させてもらうぞ!!」

 

第2ラウンドが今、始まろうとする。



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死の人形遣い

豪の戦闘能力に対抗するために修羅開匣した桔梗たち(リアル)6弔花5人。

 

「コルル!!ビジェット!!」

 

γは匣から《黒狐(ネレ・ヴォールピ)》のコルルとビジェットを取り出した。

 

白蘭も構えた。

 

第2ラウンドが今、始まる。

 

 

 

 

「ハハン、行きなさい!!」

 

桔梗は自分の髪から伸びたスピノサウルスに豪を襲わせた。

 

ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

 

豪はそれをかわして、

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

スピノサウルスをワイヤーで斬った。しかし、斬った場所からスピノサウルスが増えた。

 

「……………厄介でござるね」

 

豪がそう呟くと背後からデイジーが殴りにきた。それも豪がかわして、

 

ザシュッ!!

 

デイジーの腕を斬った。しかし、

 

「無駄だよ!!」

 

デイジーがそう言うと斬られた部分から《晴》の活性で腕が一瞬で生えた。

 

「斬っても、増えたり、生えたりと本当に厄介でござるね…………」

 

豪が再びそう呟いたがミルフィオーレの攻撃はまだ終わらなかった。

 

「にゅにゅ!!《雨カタツムリ(キオッチョラ・ピオッジャ)》!!」

 

ブルーベルがカタツムリ型の爆弾を豪に向かって放った。豪はジャンプしてそれをかわした。

 

ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!

 

豪が飛んだところを狙ってγが技を放った。

 

「召されな!!《エレクトリック・タワー》!!」

 

複数のボールを空中でスパークさせて、炎を網状に連結させた。そして、《雷》の炎の網は豪を捕らえた。

 

ビリリリリリリリリリリッ!!!

 

「グアァァァァッ!!!!」

 

初めて、豪にダメージを与えることができた。豪は地面につくと膝をついて、顔を俯かせた。しかし、すぐに顔を上げた。顔を上げるとそこはトリカブトを中心に空間が歪んでいた。

 

「か弱きものよ………」

 

「!!?」

 

豪は驚いた。地面に上手く立つこともできず、自由を奪われた。それを期に、それぞれ、攻撃を放った。ちなみにトリカブト以外の6人はトリカブトの羽の模様を見ようとしなかったために平気だった。

 

「《ショットプラズマ》!!」

 

γはキューでボールを突き、スパークさせた。

 

「ハハン!これでもくらいなさい!!」

 

桔梗はスピノサウルスを豪に向かわせた。

 

「《烈火マグマ(マグマ・インフィアンマート)》!!」

 

ザクロは右手に《嵐》の炎を収束して放った。

 

「《ボンバ・アンモニーテ》!!」

 

ブルーベルは巨大なアンモナイトの殻を作り出して、豪に向かって投げつけた。

 

「《白指》!!」

 

白蘭は死ぬ気の炎を指先に集中して放った。

 

5人の攻撃がろくに動けない豪に向かった。そして……………………………、

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーン

 

豪に直撃した。粉塵が舞い上がった。

 

「にゅにゅ、やったーーーーーー!!!!」

 

「どうだ、バーロー!!!!」

 

ブルーベルとザクロはそう言った。粉塵が晴れるとそこには、ボロボロの姿の豪がいた。

 

「くっ……………………」

 

「ボロボロだね、豪君?」

 

一度トリカブトが幻術を解いて白蘭が豪にそう言った。

 

「ぐっ………………。確かにそうでござるね…………………」

 

それに対して豪はそう返した。

 

「ハハン、降参したらどうですか?」

 

「まさか………。降参なんてするわけないでござる…………」

 

桔梗の言葉に豪はそう返した。

 

「でも、僕チンたちには勝てないよ」

 

「にゅにゅ、そうだそうだ~」

 

ブルーベルとデイジーがそう言った。

 

「……………確かにそうでござるね。()()()()だと勝てないでござるね」

 

豪がそう周りに聞こえないように呟くと白蘭たちに聞いた。

 

「おぬしらは我輩たち、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の強弱がどのようになっているかご存じでござるか?」

 

白蘭たちは急に何を聞いているのだと思ったがとりあえず答えた。

 

「どのようにって……、ルシフェルが一番強くて……」

 

「リリスちゃんとスロウス君が君たち7人の中では弱い部類だって、ルシフェル君が言っていたよ」

 

γと白蘭がそう答えた。

 

「……そうでござるか。そこまで知っているでござるか………。それなら、ついでに教えるでござる。我輩はリリスとスロウスに次いで弱いでござる」

 

そう、豪が言った。

 

「えぇ~~!3番目に弱いの~~!!ブルーベル、がっかり~~~……」

 

「全くだぜ、バーロー!!」

 

ブルーベルとザクロが文句を言った。自分たちの相手がどちらかというと弱いことにがっかりしたのだ。

 

「それは、すまなかったでござる。お詫びに…………」

 

と豪は間を開けると

 

「圧倒的な力で相手してあげるでござる!!!」

 

豪はそう言って素早く懐に手を入れて、緑と黒が混ざった色をした匣を取り出して、《(トゥリニセッテ)リング》に《強欲の炎》を灯して、匣に注入した。白蘭たちは知らないがジャバウォックのときと同じように注入していた《強欲の炎》が膨大なために

 

バキンッ!!

 

匣が割れた。そして、これもまた、ジャバウォックのときと同じように匣の中身は……………

 

グサッ!!

 

『!!!!?』

 

緑色の光となって、豪の胸元に突き刺さった。そして、突き刺さった胸元から緑色の光があふれ出して豪を包んだ。

 

「ぐっ!!これは、まさか!!!」

 

「ボバッ!!僕チンたちと同じ修羅開匣!!!?」

 

桔梗とデイジーがそう言ったが、緑色の光の中にいた豪が否定した。

 

「いや、少し違うでござる。これは、修羅開匣よりも強く、恐ろしく、凶暴である………」

 

豪がそこまで言うと光が晴れた。そして、そのまま豪は続きを言った。

 

「《羅刹開匣》でござる」

 

そう言った豪の容姿は腕が6本に増えて、額には6つの緑色の小さい目があった。彼の体には大量の匣がついたベルトが巻かれていた。そして、彼の胸元には《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

「にゅにゅ!!!キモッ!!!」

 

ブルーベルはそんな豪を気持ち悪がっていた。

 

「………………6本の腕、いや、8本の手足に8つの目……………。豪君、君のその《羅刹開匣》というもののモデルは蜘蛛かな?」

 

白蘭は冷静に分析して豪にそう聞いた。

 

「そうでござるね。まぁ、具体的に言うとこれは《天空雷アトラナート(アトラナート・フールミネ・ディ・チェーリ)》でござる」

 

そう豪は答えた。

 

「ハハン?アトラナート?クトゥルフ神話に出てくる蜘蛛の神性を持つ神、アトラク=ナクアのことですか?」

 

「おい!!それって、どういうことだ!!?匣アニマルは実在する動物のはずだろうが!!それを神話の神だなんてことが…………」

 

「……………それだけ、彼らの文明が発達しているってことだと思うよ、きっと…………」

 

と桔梗、γ、白蘭が話していた。

 

「ふふふ、それよりも始めるでござるか」

 

豪がそう言うと6つの手から大量の糸、いや、ワイヤーが飛び出した。

 

『!!!!?』

 

白蘭たちは驚いた。豪の手から飛び出したワイヤーは壁や天井に突き刺さり、ついにそこには大量の蜘蛛の巣が白蘭たちと豪の8人を取り囲んで張り巡らされていた。

 

「ふふふ、これでもう逃げられないでござる」

 

豪が笑いながらそう言った。

 

「それがどうしたのかな?トリカブト!!」

 

「御意!!」

 

白蘭がそうトリカブトに言って、トリカブトは再び修羅開匣の力を使って空間を歪ませた。

 

「これでもう君はまともに動けないね♪」

 

白蘭がそう言った。

 

「それはどうでござるかな?」

 

そう言うと豪は再び手からワイヤーを飛び出させて、蜘蛛の巣に絡ませた。

 

「《電撃蜘蛛の巣(エレットゥリコ・ランニャテーラ)》!!」

 

豪は手から《強欲の炎》が流れて張り巡らされていた蜘蛛の巣に流れて放電した。

 

『!!!!?』

 

白蘭たちは急いで回避したが、

 

「ぐぁ……………!!!!?」

 

「「「「トリカブト!!!!?」」」」

 

放電された《強欲の炎》がトリカブトに直撃した。それと同時にトリカブトの幻術が解けた。そのまま、トリカブトは戦闘不能になった。

 

「これで幻術はもう使えないでござるね」

 

「くっ……………」

 

豪の言葉に白蘭たちは顔を歪めた。

 

「さて、邪魔な幻術が無くなったことでござるし、そろそろ()()()()()でござるか」

 

「なっ……………!!!まだ、本気じゃなかったのか!!!?」

 

豪の言葉に驚いてγは豪に聞いた。

 

「そうでござるよ。先程も言ったでござるが、我輩は人間を操らせて戦うことのほうが得意でござる。だから、我輩は()()()()()を使って戦わせてもらうでござる」

 

そう豪が言うと胸元にあった《(トゥリニセッテ)リング》に《強欲の炎》を灯した。すると、豪の体が《強欲の炎》に包まれた。そして、体中に巻かれていた匣が全て開匣された。匣から飛び出てきたものに白蘭たちは驚いた。

 

「なんだ………………、あれ………………?」

 

「人間………ですか…………?」

 

ザクロと桔梗がそう言った。匣から飛び出したのは100を超える人間だった。しかし、普通の人間とは違った。どれも生気が無く、つぎはぎだらけで腕に剣やガトリングガンが付いていて、まるで改造されているかのようだ。

 

「………………もしかして、これ、全て()()()()()()()?」

 

「「「「「なっ………………!!!!?」」」」」

 

冷静に分析していた白蘭の言葉にγたち5人は驚いた。

 

「そうでござる。よくわかったでござるね?」

 

「豪君、ミルフィオーレファミリーの本部で言っていたよね?自分は根っからの死体愛好家(ネクロフィリア)だって」

 

そう、白蘭の言うとおり、

 

『うむ。それがいいでござる。我輩は根っからの死体愛好家(ネクロフィリア)でござるからな。《強欲の炎》を扱う者、より強欲がいいでござる♪』

 

ミルフィオーレ本部で豪はこう言っていた。

 

「あれって、自分の手で死体を改造するのが好きだって意味だったんだ」

 

「ふふふ、そうでござる。我輩は死体を改造して我輩の戦闘人形にすることが大好きなのでござる♪だから、我輩は死体を集めるのでござる♪」

 

「……………いかれているぜ」

 

豪の嬉しそうに言う姿にγが嫌そうな顔で言った。しかし、豪はそんなγを無視して続けた。

 

「特にこの死体たちは素晴らしいでござる♪なんたって、()()()()でできた死体たちでござるからね♪とことん、機能美を追求できたでござる♪」

 

「あの事件?」

 

豪の言葉に白蘭が疑問に思った。

 

「あぁ………。すまないでござるね。おぬしらには関係無い話でござる」

 

しかし、豪は白蘭の疑問に答えなかった。

 

「そんなことよりも、そんな我輩はロヴィーノ教団でもこう呼ばれているでござる。…………《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》」

 

豪の言葉に白蘭たちは緊張感を持った。

 

「さて………………、雑談もそろそろ終わりにして、始めるでござるか」

 

豪がそう言うと手からワイヤーを出して全ての死体につけて、動かした。

 

「にゅにゅ!!!あれだけの量を動かせるの!!!?」

 

ブルーベルは驚いた。他の皆も口には出さなかったが驚いていた。しかし、驚いてばかりもいられなかった。豪の死体たちが白蘭たちに襲いかかったからだ。

 

「くっ………………!!皆、あの死体を何とかするんだ!!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

「にゅにゅ、わかった!!!」

 

「わかってる!!!」

 

白蘭たちは散開して、それぞれ、死体たちの相手をした。

 

 

 

 

デイジーは殴る、蹴るで死体たちを相手していた。しかし、1体1体の戦闘能力が高くて攻めあぐねていた。

 

「くっ…………。強いうえに数が多すぎる………………」

 

デイジーは苦い顔をして言った。すると、剣を持った死体がデイジーに襲いかかってデイジーの腕を斬った。

 

「くっ………………!!これなら、どうだ!!」

 

デイジーは斬られた腕を伸ばして死体を絞めつぶした。

 

「よし!!」

 

デイジーはその調子で殴り飛ばしたり、絞めつぶしたりと死体たちを倒していった。すると、

 

ガシッ!!

 

1体の死体がデイジーに抱きついた。

 

「ボバッ!!いったい、なに!!?」

 

デイジーは驚いた。死体を引き離そうとしたが力強かったために引きはがせなかった。すると、

 

グサッ!!

 

「ボバッ!!!!?」

 

死体の腹から大量の剣が飛び出してデイジーを刺した。しかも、それで終わらなかった。

 

「なに………?力が…………抜け………る………?」

 

そう言って、デイジーは倒れた。

 

「ふふふ、その死体の剣にはスロウスの《怠惰の炎》が纏っているでござる。いくら、斬っても再生する体とはいえそうなってはもう戦えないでござる」

 

豪が倒れているデイジーを見てそう言った。

 

 

 

 

ブルーベルに死体たちが攻撃してきた。

 

「にゅにゅ!!《クラゲ・バリア(バリエーラ・メドゥーサ)》!!!」

 

ブルーベルは死体たちの攻撃を巨大な《雨》の炎の防御壁で防いだ。しかし、死体たちの猛攻は続き、防御壁が破れそうになった。

 

「にゅにゅ~~!!」

 

ブルーベルは慌てた。そして……………、

 

バキンッ!!

 

防御壁が破られた。死体たちはそのままブルーベルに攻撃しようとしたが…………

 

ピタッ

 

死体たちの動きが止まった。

 

「にゅにゅ、な~~~んて♪」

 

防御壁の内側にはブルーベル自身が纏っている純度100%の《雨》の炎のプールがあった。それにより、死体たちは動かなくなった。

 

「バ~イ、にゅ♪」

 

ドカンッ!!

 

ブルーベルがそう言うと死体たちは爆散した。すると……………

 

シュルッ

 

ガシッ!!

 

「にゅ!!!」

 

死体たちが爆散してできたプールの穴に別の死体が豪のようにワイヤーを出して凄いスピードでブルーベルの体に巻き付けた。そして、その死体は

 

「にゅにゅ~~~~!!!!?」

 

ワイヤーを引っ張ってブルーベルをプールから引きずり出した。そして、その死体はワイヤーを操ってブルーベルを……………

 

「にゅにゅ~~~~!!!!?」

 

「あ?がっ…………!!!?」

 

他の死体と戦っていたザクロにぶつけた。

 

「っ痛~~~~……………。おい!!テメー!!!いきなり、なにすんだ、バーロー!!!!」

 

「にゅにゅ!!!ブルーベルは悪くないもん!!!そんなところに突っ立っていたザクロが悪いもん!!!!」

 

「何だと、テメー!!!!」

 

ザクロとブルーベルが仲間割れを始めた。そんなところを狙って死体が大砲を撃ち出した。撃ち出されたのは《憤怒の炎》であった。それが2人に襲いかかった。

 

「にゅ!?にゅにゅ~~~~~~~!!!!?」

 

「ぐっ……………!!!?」

 

攻撃が当たった2人、ブルーベルはそれで戦闘不能になった。ザクロは《恐竜の皮膚(ダイナソースキン)》で耐えていた。

 

「はっ!!こんなもん、効くか、バーロー!!!」

 

ザクロがそう言ったが

 

ジュ~~~~ッ

 

何か焼ける音がした。

 

「なっ!!!?」

 

ザクロは驚いた。それは、ザクロの《恐竜の皮膚(ダイナソースキン)》だったのだ。

 

「どうなってんだ!!!?ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

恐竜の皮膚(ダイナソースキン)》が効かず、ザクロも()()()()()()()()()()《憤怒の炎》のダメージを喰らい、戦闘不能になった。

 

「ふふふ、ワイヤーを持っていた死体にはベルゼブブの《暴食の炎》が、大砲を持っていた死体にはジャバウォックの《憤怒の炎》を装備していたでござる。さらに、それぞれにエンヴィーの《嫉妬の炎》が纏っていたため、より速く、より強力に効果が出たのでござる」

 

豪は戦闘不能になったブルーベルとザクロを見て、そう言った。

 

 

 

 

桔梗はスピノサウルスを使って、死体たちを相手していた。攻撃するたびに増えていくスピノサウルスの頭によって、何とかこちら側が優位だった。

 

「ハハン、それにしても、厄介ですね…………。久与田豪、百を超える死体を改造した人形を1人で操り、我々6人を相手に互角以上に戦うことができるとは……………。これで、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》で5番目の実力者ですか……………」

 

桔梗は豪のことをそう評価した。すると、新たな死体が桔梗に襲いかかった。桔梗はそれをスピノサウルスで撃退しようとしたが………………

 

ドカンッ!!

 

「!!!?」

 

急に死体が爆発した。桔梗はそれに驚いた。いったい何事だと思っていると

 

「大丈夫かい、桔梗?」

 

そう言われて、桔梗は声がしたほうへ向くと

 

「白蘭様!!」

 

白蘭がそこにいた。

 

「はい!!ご心配ありません!!白蘭様は?」

 

「そう、なら良かった。僕も大丈夫だよ。でも、念のために背中は任せたよ」

 

「はい!!」

 

そう言って、桔梗は白蘭に背中を向けると…………

 

ザシュッ!!

 

剣を持った白蘭に斬りつけられた。

 

「ガハッ!!?…………白蘭……様…………、………これは…………いったい…………!!!!?」

 

桔梗が後ろを振り返るとそこにいたのは、白蘭には似ても似つかない死体だった。

 

「こ、これ…………は…………、ま、まさ………か………………げ、幻………術……………」

 

桔梗はそう言って倒れた。

 

「ふふふ、今、爆発した死体にはリリスの《色欲の炎》が入っていたでござる。それにより、幻術を見せられたのでござる」

 

豪は倒れた桔梗を見て、そう言った。

 

 

 

 

これで、(リアル)6弔花は全滅した。



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白と黒の悪魔&電光vs死の人形遣い

豪の改造死体によって、戦闘不能になった桔梗、ザクロ、ブルーベル、デイジーの4人。

 

「桔梗!!ザクロ!!ブルーベル!!デイジー!!」

 

「あの死体、他の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の炎が仕込んでいたのか!!?」

 

4人が倒れる姿を見て、白蘭とγはそう言った。

 

「くっ………、しかも、よく見てみたら、この死体たち、どれも鍛えられている………」

 

「あっ?つまり、なんだ?こいつらは生前は兵士とかそんなものだったってことか?」

 

「おそらく、そうだろうね………。豪君の言っていた《あの事件》にも関係していると思うよ………。それに……、豪君、どうやら、死体の予備があるみたいだね」

 

と白蘭とγは話していた。白蘭の言うとおり、死体には予備があるらしく、次々に出していった。おかげで一向に減らなかった。

 

「ふふふ、よそ見に無駄話をしている場合でござるか?」

 

豪がそう言うと

 

ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ!!

 

ドカンッ!!

 

ガトリングガンを装備した死体とザクロとブルーベルを倒した大砲を持った死体が発射した。しかも、ガトリングガンの弾丸には、《嫉妬の炎》が纏っていたために、不規則に

速くなっていた。

 

「くっ………!!?」

 

「《10連白指》!!」

 

γはマーレリングで《雷》の炎の盾を張って防ぎ、白蘭は両手の全ての指に炎を集中して、撃って、ガトリングガンの弾丸を撃ち落とした。しかし、まだ大砲の《憤怒の炎》が残っていた。

 

「《白拍手》!!」

 

白蘭が前に飛び出して、掌の圧力で《憤怒の炎》をかき消した。

 

「コルル!!ビジェット!!久与田豪を狙え!!!」

 

γは2匹に指示を聞いて、体を丸くして、豪に向かって体当たりをした。

 

「ふふふ、当たらないでござるよ」

 

豪はそう言って、1本の指からワイヤーを出して、上方の蜘蛛の巣に絡ませて、上に跳んでかわした。豪はそのまま、蜘蛛の巣に掴まった。

 

「それなら、これならどうだ!!《ショットプラズマ》!!」

 

γは先程よりも速く、キューで全てのボールを突いた。その分、突かれたボールも速く豪に向かった。

 

「あまいでござるよ!」

 

豪はそう言って、ワイヤーを操り、2体の巨体の死体が豪とボールの間に飛び込んだ。

 

ビリリリリリリリリリリッ!!

 

2体の死体はボールを受け止めた。

 

「なっ………!!?」

 

γは驚いた。自分の攻撃を受け止められたことに。

 

「ふふふ、我輩の死体たちは全て、《強欲の炎》が纏っているでござる。その中でも、この2体は1番、純度が高い炎をたくさん纏っているでござる。よって、この2体は鉄壁の防御力を持っているでござる」

 

と豪が説明した。

 

「くそっ………!!」

 

とγが悔しがっていると

 

ドガッ!!

 

「ガッ!!」

 

いつの間にか、近づいていた死体に棍棒でγの腹を打たれて飛ばされた。

 

「γ君!!!」

 

「他人の心配している場合でござるか?」

 

γに呼びかけた白蘭に斧や剣などの刃物を持った死体が白蘭に襲いかかった。

 

「くっ……………!!?」

 

白蘭はそれを翼で飛んでかわした。しかし、それを狙って、

 

「確かに人間を操って戦わせるのが我輩の戦闘スタイルでござるが、我輩自身も戦えることを忘れていないでござるか?」

 

豪が蜘蛛の巣から白蘭のほうへ跳んで、白蘭に近づいた。そして、1本の腕を構えて、白蘭に斬りつけた。

 

「うっ……………!!!?」

 

ザシュッ!!

 

それに気づいた白蘭が何とかかわそうとしたが、完全にかわすことはできず、左側の翼が斬られた。

 

「はっ!!」

 

しかし、それではめげずに白蘭はいつの間にか出していた白龍を右手に装備して、豪に殴りかかった。

 

ガキンッ!!

 

「!!!?」

 

しかし、豪がワイヤーを操って、例の巨体の死体を白蘭と豪に移動させて、白蘭の白龍を防いだ。そして、巨大なメイスを持った死体が白蘭を殴り飛ばした。

 

「ガハッ………………………!!!?」

 

殴り飛ばされた白蘭は思いっきり、地面にたたきつけられた。

 

「白蘭!!!?」

 

γは白蘭に呼び叫んだ。

 

「クッ……………」

 

どうやら、意識は残っていたようだ。

 

「ふふふ、これで、わかったでござるか?おぬしらには我輩を倒すことはできないでござる。まぁ、予備の分を全て出させたことは褒めるでござるが。おとなしく、我輩たちと一緒に《ロヴィーノ》に地球が滅ぼされるのを待てばよかったのでござる」

 

豪が笑いながら、白蘭とγに話しかけた。

 

「ふざけるな!!!!そんなことは絶対にさせるか!!!!」

 

γはそう叫んだ。

 

「ほうほう、たいした意気込みでござる。しかし、おぬしら、ボロボロではないでござるか?そのような状態で我輩を倒すことができると思っているのでござるか?」

 

「グッ……………!!!?」

 

豪の言葉にγが詰まった。確かに今の状態では豪に勝つのは難しい。そうγが思っていると。

 

「ハハッ……」

 

白蘭が笑った。

 

「むっ?何でごさるか?」

 

「白蘭……………?」

 

豪とγが不思議そうに白蘭を見た。すると、

 

「ハハッ……、ハハハッ………、ハハハハッ………。アーハハハハッハハハハッハハハハッハハハハッ!!!!!」

 

白蘭は右手で顔を押さえながら、顔を上げて笑い出した。

 

「何なんだ!?」

 

「いったい、何でごさるか?」

 

γと豪は急に笑い出した白蘭を訝しげに見ていると、白蘭が豪に向かって話し出した。

 

「いや~、すごいよ、豪君!!!今の僕はものすごい高揚感でいっぱいだよ!!!こんな気分は10年後の未来での綱吉君との戦い以来だよ!!!虹の代理戦争では、綱吉君を守るために負けたり、イェーガー君にあっさりと負けたから、本当に久しぶりだよ!!!!いや~、僕は嬉しいよ!!!!何が嬉しいかって?久々に全力で戦うことができるからだよ!!!!!」

 

そう言うと白蘭は斬られた左側の翼から未来でツナとの戦いに出てきたどす黒い血のような翼を出した。今の白蘭は白い翼と黒い翼を持った悪魔だった。

 

「テメーは翼を失ったら、毎度そんな性格になるのか!!?」

 

そんな白蘭を見て、γはつっこんだ。

 

「『全力で戦うことができる』でござるか?つまり、今まで、全力ではなかったということでござるか?」

 

対して、豪は白蘭の言った言葉にそう聞いた。

 

「もちろん、今までも自分が出せる力は全て出していたさ!!でも、僕は楽しくなればなるほど力が上がるのさ!!!だから、さっきの僕とは一味も二味も違うよ!!!それから、君に勝って地球を滅ぼされるのを防ぐために僕も()()()()を出すさ!!!!」

 

「秘密兵器でござるか?」

 

白蘭の言葉に豪がそう言った。

 

「ああ、そうさ!!!白龍!!!!黒龍!!!!」

 

そう、白蘭が言うと、白龍と白蘭の黒い翼から黒い白龍、黒龍が舞い上がった。

 

形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!!」

 

白蘭の言葉に白龍が白蘭の右腕に、黒龍が左腕に合体した。

 

「《白黒龍の頭》!!!!」

 

すると、出てきたのは、白蘭の右手には通常の白龍よりも一回り大きいサイズの白龍の頭部、右腕は白龍の胴体、右肩から外側に白龍の尾があった。対して、左手には通常の黒龍よりも一回り大きいサイズの黒龍の頭部、左腕は黒龍の胴体、左肩から外側に黒龍の尾があった。

 

「それが秘密兵器でござるか?先程、我輩に攻撃したときの状態と大して変わらないように思うでござるが?」

 

豪が白蘭の白龍と黒龍の形態変化(カンビオ・フォルマ)を見てそう言った。

 

「ハハッ!!今すぐにわかるさ!!!」

 

それに白蘭はそう返した。

 

「そうでござるか。しかし、それにしても、おぬしが地球を滅ぼされるのを防ぐと言うとは驚きでござるよ」

 

豪がそう言うと白蘭は顔をしかめて、そう言った。

 

「…………確かに、未来の僕は《(トゥリニセッテ)ポリシー》を完遂させて、超時空の覇者になるつもりだったさ…………。…………でも、今の僕は、そんなことに興味が無いよ」

 

「興味が無いでごさるか?」

 

「うん、そうだよ」

 

豪の疑問に白蘭はそう答えて話を続けた。

 

「あのときの僕はこの世界に飽きていたんだよ。どこもかしこも、景色に見えて、つまらなかったのさ。そんな中、チェルベッロが僕の前に現れて、僕がマーレリングの正当後継者だと教えてくれたのさ。その時に僕はようやく、このつまらない世界を楽しめるゲームができると思ったんだよ」

 

「白蘭…………!!」

 

白蘭の言葉にγが睨み付けた。しかし、白蘭はそれを無視して続けた。

 

「でも、結局、僕は綱吉君に負けた。そういえば、あのとき、チェルベッロが言っていたけ?僕以外にも2人の大空、2人のプレイヤーがいるって………。あれは、ユニちゃんと綱吉君のことだったんだね…………。………まぁ、今はそれはいいか。綱吉君に負けて消し飛ばされた僕だけど、未来の記憶を引き継いだ僕は、決して嫌な気分じゃなかったんだ。むしろ、いい気分だったんだ♪」

 

「………どういうことでごさるか?」

 

「あのときの綱吉君は僕と違って、この世界を気持ち悪いとはこれっぽっちも思っていない目をしていたんだ。きっと、そんな彼に影響されたんだと思うよ♪それから、僕は、この世界がただの景色とは思わなくなった。なんだか、これでも楽しめそうな気がしたんだ♪だから、今、この世界を、この地球を滅ぼされることを僕は望んでいないんだ」

 

白蘭はそう言って、豪を見た。

 

「そう言うわけで、ここから、大逆転が始まるよ♪」

 

「…………戯れ言でござる」

 

豪はそう言って、死体を白蘭に向かって襲わせた。剣を持った死体が白蘭に斬りかかろうとした。

 

ガキンッ!!

 

白蘭はそれを黒龍の胴体となった左腕で防ぎ、

 

ドガッ!!

 

白龍の頭部となった右手で殴り飛ばした。殴り飛ばされた死体はそのまま、壊れた。

 

「なにでござる!!?」

 

豪はそれを見て驚いた。死体には最低限の自分の《強欲の炎》が纏っているはず。他のメンバーも壊すことはできても一撃で倒すことはできなかったのだ。それを白蘭は一撃で倒したのだ。

 

「ハハッ♪どうだい?これが《白黒龍の頭》の力だよ♪豪君が言っていたさっきの状態と違って、これは僕と一体化していることで僕の力を100%以上、上乗せすることができるんだ♪」

 

白蘭はそう説明した。

 

「くっ…………。だから、どうしたのでござるか!!」

 

豪はそう言って、ワイヤーを操って、死体を白蘭に集中させた。

 

白蘭はそれを防いで、カウンターを決めたり、白龍と黒龍の牙で噛み砕いたりたりして、死体を壊していった。

 

(よし、こちらが有利になったぞ!!だが、まだ死体がたくさん残っている…………。しかも、久与田豪の側には例の頑丈な死体、2体がいる………。あまり、時間もかけられないのに………、クソッ!!何かいい手は無いのか!!!?)

 

そう、考えて、γは周りを見渡した。γ、白蘭、豪、たくさんの改造死体たち、γの匣アニマルのコルルとビジェット、倒れた(リアル)6弔花、張り巡らされたワイヤーの蜘蛛の巣。

 

「(そうだ!!この手なら………)おい、白蘭!!!あの2体を倒せるか!!!?」

 

γは豪の側にいる2体の巨体の死体を指で指して、そう言った。

 

「うん。それはいけるけど……………。周りの死体たちがそれを邪魔するんだよね…………」

 

「そいつらは俺に任せろ!!コルル!!!ビジェット!!!」

 

γは2体を呼び、白蘭の周りの死体の相手をした。

 

「くっ…………!!?長くはもたねえぇ!!!早くしろ!!!」

 

「!!うん、わかったよ!!」

 

白蘭はγに何か考えがあると思い、2体の巨体の死体に向かった。

 

「ふっ、愚かでござる」

 

豪はそう言って、2体を構えさせた。

 

「それは、どうかな?《白黒龍牙》!!!」

 

白蘭は白龍と黒龍の牙に《大空》の炎を纏わせて、死体にぶつけた。

 

ギギギギギギギギギギギッ!!!!

 

2体の死体の肉体と2体の龍の牙がぶつかった。そして……………

 

バキッ!!!バキッ!!!

 

死体の肉体が砕けた。

 

「馬鹿なでござる!!!?」

 

豪は驚いた。自慢の死体が敗れたことに。

 

「いくら強化していても、死体は死体。僕の覚悟には勝てないってこと♪」

 

「クソッ!!!!」

 

白蘭の言葉に豪が怒り、ワイヤーを振るった。白蘭は当然、それをかわした。

 

「今だよ、γ君♪」

 

「ああ、サンキュー。召されな、久与田豪!!!《ファイナルショット》!!!!」

 

白蘭の合図でγはボールにかなりの量の炎をチャージさせて、キューで突いた。それが、豪に向かった。

 

「ふっ。そんなもの当たらないでござるよ!!!!」

 

豪はそう言うと、手からワイヤーを出して蜘蛛の巣に絡ませて、跳んでボールをかわした。

 

「ふふふ、残念だったでござるな!!あの死体たちがいなければ我輩に当たると思ったでござるか!!!?」

 

豪は蜘蛛の巣に掴まりながらγに向けてそう言った。

 

「………いや、狙い通りだ!!」

 

しかし、γは決して残念がっていなくて、むしろ笑っていた。

 

「何だとでござる…………?」

 

豪はそんなγに疑問に思った。すると………

 

カンッ!!カンッ!!カンッ!!カンッ!!カンッ!!カンッ!!

 

何かがぶつかる音がした。

 

「何の音でござるか?………なっ!!!?」

 

豪は驚いた。音の正体はγが突いたボールが跳ね返って、他のボールと接触した音だった。いや、ボールだけではない。丸まっていたコルルとビジェットも接触した。そして、全てのボールとコルルとビジェットは蜘蛛の巣にぶつかった。それらは、全て放電していた。

 

「なっ………!!!?まさか!!!!?」

 

「そのまさかさ!!!テメーの技、応用させてもらうぜ!!!《ファイナル・エレクトリック・タワー》!!!!」

 

バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!!!!!!!

 

全てのボールとコルルとビジェットがスパークした。ワイヤーでできた蜘蛛の巣にも電流が流れて放電した。これは豪の《電撃蜘蛛の巣(エレットゥリコ・ランニャテーラ)》をγなりにアレンジした技だ。

 

「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!?」

 

蜘蛛の巣を掴んでいた豪は当然のこと………

 

バリリッ!!バリリッ!!バリリッ!!バリリッ!!

 

ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!

 

豪とワイヤーでつながっていた死体たちにも流れて、さらに蜘蛛の巣からの放電にも当たり、一気に全ての死体を倒した。

 

ドサッ!!

 

「ぐっ……………!!クソッ…………!!我輩は………まだ終わらないで…………ござる…………!!」

 

地面に落ちた豪はまだ息があった。なんとかして立ち上がろうとした。しかし……………、

 

「残念だけど豪君、君はもう終わりだよ」

 

白蘭がそう言った。

 

「もうγ君、もうちょっと手加減してよ。僕にも当たりそうだったじゃないか!」

 

「うるせー!!いいから、とどめをさせ!!!」

 

「それも、そうだね♪」

 

白蘭がそう言うと

 

ブクブクブクブクブクッ!!

 

ブスブスブスブスブスッ!!

 

足から根っこのようなものを出して体を固定させた。そして、白龍には白い光、黒龍には黒い光を集中させた。

 

「………まだでござる。我輩は負けられないのでござるーーーー!!!!」

 

何とか立ち上がった豪は6つの手から大量のワイヤーの束を出して、白蘭に向けて串刺しにしようと放った。

 

「楽しかったよ、豪君♪《白黒龍破》!!!」

 

白蘭は両手の光を放った。2つの光は途中で混ざり、2色の光となって豪に向かった。光はワイヤーを吹き飛ばして、豪に向かった。

 

「なっ…!!?そ、そんな、あ、ありえないでござる!!?ぐ、ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!?」

 

光は豪に直撃した。

 

バキンッ!!

 

豪の胸元にあった《雷》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

 

 

 

…………………………………

 

豪は元の姿に戻って気を失っていた。そして、ワイヤーの蜘蛛の巣も崩れて、装置がある壁にかけていた炎も解けたようだ。

 

「ハハン、やりましたね………」

 

「さすがだぜ、バーロー………」

 

「にゅにゅ~~~………」

 

「すごいよ…………」

 

「………………」

 

どうやら、桔梗たち(リアル)6弔花も意識を取り戻したようだ。

 

「やったね、γ君♪さっきは、ああ言ったけどすごい攻撃だったよ♪」

 

「ふんっ……!!」

 

笑顔でそう話しかけた白蘭にγはそっぽを向いた。

 

 

 

 

ミルフィオーレファミリーvs雷の大罪

 

勝者、ミルフィオーレファミリー



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シモンファミリーvs晴の大罪

ヴァリアー、ミルフィオーレと続いて、次は《晴》の紋章の扉を進んだ、古里炎真、鈴木アーデルハイト、青葉紅葉、SHITT・P!、水野薫、大山らうじ、加藤ジュリーの7人、シモンファミリーを見てみるとしよう。

 

 

 

 

扉をくぐった先はやはり、長い洞窟が続いていた。7人はそれを走り続けた。

 

「はぁっ………、はぁっ………」

 

巨漢の男、らうじは息切れをしていた。らうじの体型では長時間、走り続けるのはきつかったかもしれない。

 

「大丈夫、らうじ?」

 

「結局、だらしないぞ!!」

 

「そんなことを言うな。らうじも頑張っているんだ。無理するなよ」

 

「……はぁっ………うん、ありがとう。……はぁっ……大丈夫だよ」

 

そんな、らうじを炎真が心配して、紅葉が叱咤して、それを薫が宥めてらうじを励ました。それに対してらうじは皆に心配かけないように言った。

 

「俺も疲れたな~。ちょっと、休もっかな~?」

 

「あなたは、疲れてないでしょ!!それに、休んでる暇はないわよ!!」

 

バシッ!!

 

「痛っ!!」

 

こんな時にサボろうとしていたジュリーをアーデルが鉄扇ではたいた。

 

「そうだよ、ジュリー!!僕たちはこの先にある剣か装置を破壊しなければいけないんだよ!!そうじゃなきゃ、地球が滅ぼされるんだよ!!!」

 

「ちぇっ……、わかったよ………」

 

炎真の言葉にジュリーも動くことにした。

 

「でもでも、見て見て、あそこ、光っているよ♪」

 

SHITT・P!がピョンピョンと跳ねながら洞窟の奥を指していた。そこには、SHITT・P!の言うとおり、光っていた。出口が近い証拠だ。

 

「本当だ!しとぴっちゃんの言うとおり、結局、あそこが光っているぞ!!」

 

「ということはあそこに…………」

 

「皆…………」

 

全員が出口に注目していると炎真が皆に話しかけた。皆は炎真のほうに向いた。

 

「あそこには、絶対に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》が待ち構えている…………。皆、覚悟はいい?」

 

「結局、無論だ!!」

 

「うん!!」

 

「ああ!!」

 

「OK♪」

 

「まぁ、いいよ♪」

 

炎真の質問に紅葉、らうじ、薫、SHITT・P!、ジュリーが答えた。

 

「私も、もちろん、できてるわ。…………でも、炎真…………。あなたは大丈夫なの?だって、あなたは…………」

 

アーデルはツナの死でふさぎ込んでいた炎真のことを心配していた。

 

「うん。もちろん、大丈夫だよ。僕たちはツナ君の想いを受け継いでいるんだから!!」

 

そう、言った炎真の目は覚悟を決めた目をしていた。

 

「そう………」

 

アーデルは安心したかのように言った。

 

「それじゃあ、皆、行くよ!!」

 

『おお/うん/ええ/OK!!』

 

炎真の言葉にシモンファミリーは出口に向かった。

 

出口を通るとそこはシモンファミリーは知らないがジャバウォック、豪のときと同じで扉が集まっていた空間と似たような場所に出た。そして、そこにいたのは…………

 

「……………待っていましたよ。あなた方が来たのですね、シモンファミリー」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人、《晴の大罪》、エンヴィーだった。

 

「エンヴィー…………」

 

シモンファミリーの中で唯一、面識があった炎真がそう言った。

 

「なぜ、あなた方なのですか?」

 

「えっ?」

 

エンヴィーの質問の意味がよくわからず炎真は間抜けな声が出た。

 

「私は監視カメラを見て知っているのです。ルシフェルのところにはボンゴレの守護者、ジャバウォックのところにはヴァリアー、豪のところにはミルフィオーレ、リリスとスロウスのところには黒曜にバジル、跳ね馬ディーノ、ベルゼブブのところには元アルコバレーノが行ったことを……………。スロウスは回収したのがリボーンだけだったからともかく、なぜ、他の者はそれぞれ、何人かは自分が一度戦った相手のところに向かったというのに……………。なぜ、私のところには一度も戦ったことがない相手なのですか?なぜ、私が相手した風、スカル、ヴェルデではないのですか?」

 

と長々とエンヴィーは愚痴を言った。

 

「え、えっと………、なんか、ごめん………」

 

「炎真!!結局、謝る必要がないぞ!!!」

 

「戦力を均等に分けるためにこうなったんだよな~~~」

 

と炎真、紅葉、ジュリーがそう言った。

 

「それよりも、ここには、剣と装置、どちらがあるのかしら?」

 

アーデルがエンヴィーにそれを聞いた。

 

「ああ、この部屋には装置のほうがあります」

 

とエンヴィーは右手の中指でメガネを上げながらあっさりと教えた。

 

「!!?それは………まさか!!?」

 

炎真たちは右手の中指にあるものを見て驚いた。

 

「ああ、これですか………。ええ、お察しの通り、《(トゥリニセッテ)リング》ですよ」

 

エンヴィーの右手の中指にあったものは黄色いおしゃぶりに翼が生えていて、おしゃぶりには《晴》の紋章がある《晴》の《(トゥリニセッテ)リング》だった。

 

「私はこの《(トゥリニセッテ)リング》で(トゥリニセッテ)の力を得ました。あなた方は私に勝てると思いですか?」

 

エンヴィーはそう言って炎真たちを見た。

 

「そんなの関係ない!!僕たちはお前を倒して、装置を破壊する!!!」

 

そう言うと炎真はシモンリングを形態変化(カンビオ・フォルマ)させて、額に《大地》の炎を灯した。他の皆もシモンリングを形態変化(カンビオ・フォルマ)させて戦闘態勢に入った。

 

「……それでは、私も戦闘準備に入りますか。私はルシフェルのように手を抜きません。最初から本気でいきます」

 

そう言うとエンヴィーは《嫉妬の炎》が入った注射器を取り出して、自分の腕に射した。

 

これで、お互いに戦闘態勢が完了した。

 

「では、行きますよ」

 

シュンッ!!

 

エンヴィーは《嫉妬の炎》のドーピングで強化された脚力で一気に近づいた。そして、そのまま、先頭にいた炎真を殴り飛ばそうとした。

 

ガキンッ!!

 

しかし、それは、急に現れた鋼鉄の壁によって防がれた。

 

「なにっ!!?」

 

エンヴィーは驚いた。そして、すぐに状況を判断するために離れた。

 

「どうかな~?俺の幻術は?いや~、それにしても、ヴェルデの発明品、本当にスゲーな~、幻術を実体化しちまったよ!!」

 

鋼鉄の壁はどうやら、ジュリーの幻術のようだった。しかも、虹の代理戦争で骸たちが使っていた装置をジュリー用にブレスレット型にして、装備していた。それにより、鋼鉄の壁は実体あるものとして現れた。

 

「………まさか、そのような物を持っていたとは………」

 

「今回の戦いのためにヴェルデ、入江たち、科学者やメカニックが用意していたのよ」

 

「俺たち、術者はみ~んな、持っているぜ♪」

 

エンヴィーの言葉にアーデルとジュリーがそう返した。そう、ジュリーの言うとおり、骸、クローム、フラン、マーモン、トリカブト、幻騎士、ジュリーたち術士は皆、持っているのだ。しかし、豪との戦いでは、トリカブトはそれを使うこともなく、敗れてしまったが……………。

 

「次は、僕たちの番だ!!」

 

「いくぞ!!」

 

紅葉と薫がエンヴィーに向かって飛び出した。

 

「いけ!!ブリザードロイド!!」

 

アーデルも《氷河》の炎でブリーザードロイドを出して、エンヴィーに向かわせた。

 

エンヴィーは紅葉と薫、ブリザードロイドたちの攻撃をかわしていった。そして、

 

「はっ!!」

 

「ぐっ………!!」

 

「がっ………!!」

 

エンヴィーは回し蹴りで紅葉と薫を飛ばした。ブリザードロイドたちもエンヴィーの殴りや蹴りなどの猛攻に壊れていった。

 

「くっ………!!」

 

アーデルは悔しそうにした。

 

「《大地の重力(グラヴィタ・デッラ・テラ)》!!」

 

炎真は球状の《大地》の炎を出して、重力でエンヴィーを引きつけようとした。

 

「ぐっ!!」

 

エンヴィーの体は浮き上がり、球状の《大地》の炎に近づいた。これで、動きを封じられると思った。しかし、

 

「はっ!!」

 

エンヴィーは懐から《嫉妬の炎》が纏っているメスを取り出して、球状の《大地》の炎に投げた。

 

「《嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)》!!」

 

エンヴィーが投げたメスが球状の《大地》の炎に当たると

 

ドカンッ!!

 

『なっ!!!?』

 

球状の《大地》の炎が爆発した。それに炎真たちは驚いた。エンヴィーは襲ってきた爆風を腕をクロスして、防ぎ、地面に着地した。

 

「いったい、なにが起きたの!!?」

 

炎真は事態を把握できなかった。それをエンヴィーが説明した。

 

「あなたの炎を私の炎で暴走させたのですよ」

 

「暴走だと?」

 

「ええ。あなた方もご存じだと思いますが…………、私の《嫉妬の炎》は《晴》と《大空》をダークネスの《闇》の炎で融合されてできたものです。つまり、なにが言いたいかというと、古里炎真、あなたの炎を《大空》の調和で性質を無くして、《晴》の活性で暴走させた。だから、爆発したのです」

 

エンヴィーの説明で炎真たちは驚いた。しかし、だからといって、攻めないわけにはいかない。

 

「はっけよ~い、のこった!!」

 

らうじが《山》の炎で作ったクワガタのような岩のアゴでエンヴィーに向かって、突進した。

 

「は~…………。私は相撲をやりに来たのではありませんよ…………」

 

エンヴィーはそう言って、らうじの懐にもぐり込み、らうじの腹に正拳を突いた。

 

「ガハッ…………!!」

 

らうじはエンヴィーにその巨体で吹き飛ばされた。

 

「らうじ!!?くっ…………。結局、これでもくらえ!!」

 

紅葉は《森》の炎による葉のカッターをエンヴィーに向かって放った。

 

「ふん。こんなもの、当たりませんよ」

 

エンヴィーはそれらをたやすく、かわしていった。しかし、紅葉の《森》の炎の葉のカッターをかわしていると……………

 

ズボッ!!

 

「!!!!?」

 

エンヴィーの足がいつの間にかぬかるんでいた地面にはまったのだ。

 

「これは、まさか!!《沼》の炎で発酵された地面ですか!!?」

 

「Yes♪」

 

エンヴィーの言葉にSHITT・P!が肯定した。

 

「だが、なぜ、気づかなかったのですか!!?」

 

「それは俺の仕業だね~♪」

 

エンヴィーの疑問にジュリーが答えた。どうやら、ジュリーの《砂漠》の炎の幻術で地面が発酵されていたのを隠していたようだ。

 

「ふん……………!ですが、こんなもの、私ならすぐに脱出できますよ」

 

とエンヴィーは発酵された地面から脱出しようとした。

 

「そうはさせない!!」

 

それを阻止しようと、らうじが《山》の炎で地面を操作して、エンヴィーの足を押さえた。

 

「くっ……動けない!!」

 

「まだだ!!」

 

すると、次はアーデルが《氷河》の炎でらうじが操作した地面とSHITT・P!が発酵させた地面を凍結させた。

 

「さらに、これでどうだ!!」

 

そして、炎真が《大地》の炎の重力でエンヴィーを押さえた。

 

「ぐっ……………!!」

 

エンヴィーは動けなくなった。

 

「これでどうだ!!」

 

そこを狙って、薫が槍でエンヴィーを突き刺そうとした。しかし………………、

 

ガシッ!!

 

「!!!?」

 

《嫉妬の炎》で強化された肉体で炎の重力に抗って槍を掴んだ。

 

「…………惜しかったですね………、もう少しで私に攻撃を当てられたのにですね…………」

 

「……………いや、構わない………」

 

そう、薫が言うと

 

ガシッ!!

 

槍を持っている手とは反対の手で槍を掴んでいるエンヴィーの手の手首を掴んだ。

 

「!!?いったい、なにを………!!?」

 

「今だ、紅葉!!!」

 

「ああ!!」

 

薫がそう叫ぶとエンヴィーの後ろから()()()()()()()紅葉がエンヴィーを連続で殴った。

 

「ぐぅあぁぁぁぁぁ!!!!?」

 

エンヴィーは悲鳴をあげた。紅葉はただ殴ったわけではない。紅葉はメガネを外すことで彼の目には鍛錬では補えない弱点《キラースポット》が見えるのだ。紅葉はそこを狙ったのだった。

 

「くっ…………、はっ!!」

 

エンヴィーは《キラースポット》を殴られて倒れる前にメスを取り出して、薫と紅葉に向けて投げた。

 

「ぬっ……………!!」

 

「くっ……………!!」

 

2人はそれをかわして、一旦、エンヴィーから離れた。

 

「ぐっ……………!!!」

 

エンヴィーは炎の重力に押されて、両足をとられているために地面に仰向けに倒れた。

 

「ぐっ……………、まさか、ここまでやりますとは…………」

 

エンヴィーはそう言って、炎真たちシモンファミリーを見た。

 

「エンヴィー、君はさっき、どうして僕たちが君のところに来たか、疑問に思っていたよね?それは、ジュリーの言っていた『戦力の均等に分けるため』なんだけど、スカルたちがここに来なかったのは他にも理由があるんだ」

 

「………他にも………理由が………ある………ですか………?」

 

エンヴィーはそう炎真に聞き返した。

 

「うん。それは、僕たちシモンファミリーとしての力だよ!!スカルも大切な仲間だけど、ともに過ごしたファミリーの絆が君をここまで追い詰めたんだ!!!」

 

炎真は力強くそう言った。

 

「…………なるほど…………どうりで………強いわけです…………」

 

対して、エンヴィーは静かに答えた。

 

「…………それで、どう、降参する?」

 

炎真はエンヴィーに聞いた。

 

「まさか、そんなことするはずがありません………。私にも譲れないものがあるのですよ。………………しかし、このままでは勝てそうにありませんね…………」

 

そう、エンヴィーがそう言うと懐から黄色と黒が混ざった色をした匣を取り出した。そして、《(トゥリニセッテ)リング》には膨大な《嫉妬の炎》を出した。

 

「!!!?結局、何かまずいぞ!!!!」

 

「早く、とどめをささないと!!!!」

 

紅葉とアーデルがそう言ったが遅かった。エンヴィーが《嫉妬の炎》を匣に注入した。注入された匣は炎が膨大なためにヒビが入り……………

 

バキンッ!!

 

割れた。匣の中身は黄色い光となって

 

グサッ!!

 

エンヴィーの胸元に刺さった。そして、刺された胸元から黄色い光に包まれた。その際、炎真の炎の重力が破られた。

 

「What's!!!?」

 

「いったい、なにが起きてんだ!!!?」

 

「くっ…………!!!?僕の炎が破られた!!!!?」

 

炎真たちは状況をうまく把握できなかった。そして、光が晴れてきた。光が晴れるとそこにいたのは…………

 

着ていた白衣は破れて、白衣の下に着ていたワイシャツも前がはだけていた。全身、毛皮に覆われて、両手と沼から抜け出すことができた両足には鋭い爪、口には鋭い牙、肩からは鋭い角のようなもの、両手首両足首には鎖がついた枷があった。その姿はまるで狼男だった。エンヴィーの胸元には《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

そして、エンヴィーは言った。

 

「これが、《(フェン)(リル)(・デル)(・セ)(レーノ)(・ディ)(・チェ)(ーリ)》と《羅刹開匣》した私の姿です」




シモンファミリーの能力がうろ覚えのために正確ではありませんが、どうか、ご了承ください。


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晴の大罪の全力

(トゥリニセッテ)リング》で《羅刹開匣》したエンヴィー。

 

「……なに……あれ?」

 

「結局、狼男ではないか!!!」

 

「彼、変身したよ!!!?」

 

「…………ヤバイのは、確かだな……」

 

「あぁ~、確かにこれはまずそうだな~……」

 

らうじ、紅葉、SHITT・P!、薫、ジュリーがそれぞれ、そう言った。

 

「この状態になった私にあなた方では、勝てませんよ」

 

エンヴィーが見た目に合わない口調で炎真たちにそう言った。確かに、今のエンヴィーからはとてつもないオーラが出ていた。

 

「………確かに、今のあなたはとても強そうだわ。でも、私たちが負けられないのに変わりはないわ」

 

「そうだよ!!僕たちはこんなところで負けられないんだ!!」

 

しかし、アーデルと炎真がエンヴィーに向かって、そう言った。

 

「うむ、結局、そうだな!!それに、どんな姿になっても、お前の《キラースポット》が見えているぞ!!」

 

そう言うと紅葉はエンヴィーに殴りかかろうと飛び出した。

 

「お前を結局、逃がさないぞ!!」

 

紅葉がそう言うと、自分とエンヴィーの周りを有刺鉄線で取り囲んだ。さらに、自分に《森》の炎の葉の竜巻を纏わせた。

 

「これで、どうだ!!!」

 

そして、紅葉はエンヴィーに殴ろうとした。

 

「ふん、そんなもの、当たりませんよ」

 

しかし、それをあっさりとエンヴィーはかわして、

 

ザシュッ!!

 

「ガッ………!!?」

 

《嫉妬の炎》が纏った爪で紅葉を切り裂いた。

 

『紅葉!!!?』

 

炎真たちはそんな紅葉を心配した。しかし、それで終わらなかった。

 

「グゥアァァァァーーーー!!!!?」

 

『!!!!?』

 

紅葉が目を押さえて苦しみ出した。いったい、何が起きたんだ、と炎真たちが思っていると

 

「…………確かに、《キラースポット》が見える目はとても厄介なものです。………ですが、膨大な量の情報を消費するために自分の目や脳に負担をかけて、オーバーヒートを起こします。それを防ぐために普通の人には全く見えないメガネをかけているぐらいですからね」

 

エンヴィーがそう説明した。

 

「でも、まだ時間があるはずよ!!!」

 

それをアーデルが反論した。そう、エンヴィーの言うとおり、紅葉は目を使うとオーバーヒートを起こしてしまうが、それが起きるまでの時間はあるはずだった。

 

「ええ、確かにそうですね。…………()()()()()()()()()()()ですが」

 

「どういうこと………?」

 

炎真がそう言ったが、心当たりがあった。

 

「まさか!!?」

 

 

 

 

ザシュッ!!

 

『ガッ………!!?』

 

 

 

 

「あの時に何かしたのか!!?」

 

「ええ、そのとおりです。あの時の私の爪には《嫉妬の炎》が纏っていました。それで切り裂いたことで、炎が青葉紅葉に流れて、彼の目に負担をかけたのです。理屈としては《嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)》に似ていますね」

 

とエンヴィーが淡々と説明した。そして、

 

「もう、その状態ではあなたは戦えませんね」

 

ゲシッ!!

 

「ガッ………!!!?」

 

エンヴィーは紅葉を蹴り飛ばした。紅葉は自分が張った有刺鉄線を突き破り、そのまま………

 

ドガンッ!!

 

壁に激突した。

 

『紅葉!!!!?』

 

炎真たちは紅葉を心配した。その紅葉は意識はあったがオーバーヒートを起こした目と背中に刺さった、有刺鉄線により、もう戦えない状態だった。

 

「他人の心配している状態ではありませんよ」

 

そこを、エンヴィーが一瞬で近づいた。

 

「はっ!!」

 

ドガッ!!

 

「ガッ……!!?」

 

そして、エンヴィーがらうじを殴り飛ばした。

 

ドガンッ!!

 

らうじは紅葉と同様に壁まで飛ばされて激突した。

 

「らうじ!!!?」

 

らうじはこれも紅葉と同様、意識はあったがもう戦えない状態だった。しかも、エンヴィーはまだ、攻撃をしようとしていた。

 

「くっ………」

 

それに、ジュリーが幻術で鋼鉄の壁を作り出した。

 

ガキンッ!!

 

エンヴィーの攻撃は鋼鉄の壁によって防がれた。

 

「《ダイヤモンドキャッスル》!!」

 

続いて、アーデルが《氷河》の炎で死ぬ気の炎はおろか、どんな物理攻撃も効かない、あげくにはツナの《X(イクス) BURNER(バーナー)》をも防ぐ氷の城を自分たち5人を守るように作り出した。

 

「《無敵の防御壁(ムーロ・ディフェーザ・インヴィンチービレ)》!!」

 

アーデルはそう言った。

 

「だから、どうしたのですか?」

 

エンヴィーはそれに構わず、《ダイヤモンドキャッスル》を殴り続けた。

 

ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

 

「くっ………!!?何て衝撃なの!!?《ダイヤモンドキャッスル》にここまでの衝撃を与えられるなんて…………!!?」

 

アーデルはそれに驚いた。

 

「なら………!!?《超重力BH(スーペル・グラヴィタ・ブラックホール)》!!!」

 

炎真はエンヴィーの後方にブラックホールを作り出した。

 

「ぐっ………!!?」

 

エンヴィーはブラックホールに引っ張られ、《ダイヤモンドキャッスル》から離れた。しかし、完全にブラックホールへ引きずり込むことができず、《ダイヤモンドキャッスル》からある程度離れた場所で踏みとどまった。

 

「よし!!アーデル、俺を出せ!!!」

 

「!!わかったわ!!!」

 

アーデルは言われた通りに薫を《ダイヤモンドキャッスル》から出した。《ダイヤモンドキャッスル》から出た薫は炎真のブラックホールの引力に引っ張られて、まっすぐ、エンヴィーに向かった。

 

「!!まさか!!?」

 

エンヴィーは薫が何をしようとしていたのかわかった。薫は槍に《川》の炎を纏わせていた。そのまま、エンヴィーに槍で突き刺そうとした。

 

「ぐっ!!?」

 

エンヴィーはブラックホールの引力で動けない体を動かして直撃は免れたが、横っ腹を槍でかすった。

 

「ほらよっと!!」

 

薫がそのまま、ブラックホールに吸い込まれないようにジュリーがクッションを作り、防いだ。さらに、巨大な植物の蔓を生み出して、薫を安全圏に運んだ。

 

「ふん、さらにこれよ♪」

 

SHITT・P!が《沼》の炎をエンヴィーに向かって照射した。

 

「グゥアァァッ!!!?」

 

それが、エンヴィーに当たり、さらにエンヴィーの手首と足首についていた鎖がついている枷にも当たり、解けた。

 

「やった♪」

 

「よし!!!」

 

「いいぞ!!!」

 

「ひゅ~、やるね~♪」

 

「このまま、行くよ!!!」

 

と炎真たちは言った。状況はこちらが優勢だ。

 

「………結局、………こちらが有利だ」

 

「………がんばれ、皆」

 

紅葉とらうじも自分たちが勝てると思った。

 

「……………ふふふふふ」

 

エンヴィーが小さくだが笑っていた。炎真たちは驚いた。今まで、エンヴィーが笑っているところを見たことが無かった。そして……………、

 

「ふふふふふ………、あーははははははははははーーーーー!!!!!!」

 

ブラックホールに引っ張られているにも関わらず、急にエンヴィーが大きな声で笑い出した。

 

「な、何なんだ、いったい?」

 

「なんで、彼は笑っているのよ………?」

 

薫とアーデルがそう言った。

 

「しとぴっちゃんの炎に当てられて、おかしくなっちゃった?」

 

「No~!!私の炎にそんな力はないよ!!!」

 

ジュリーとSHITT・P!がそんなことを言い合っていた。

 

「………でも、嫌な予感がする」

 

炎真はそんなエンヴィーに対して、そう言った。

 

「ははははははははははっ………、は~っ………、SHITT・P!………。いえ、あなたはこう呼ばなければ、反応しなかったですね………。しとぴっちゃん、あなたには感謝してますよ………」

 

笑うのをやめたエンヴィーがSHITT・P!に向かってそう言った。

 

「What's?感謝?」

 

SHITT・P!が不思議そうに言った。炎真たちも何の事か、わからなかった。

 

「ええ、あなたが《沼》の炎で溶かした鎖付き枷、これが何かわかりますか?」

 

エンヴィーがそう聞いてきた。しかし、SHITT・P!も炎真たちもわからなかった。ただ、アーデルは心当たりがあったのか答えた。

 

「あなた、自分が《(フェン)(リル)(・デル)(・セ)(レーノ)(・ディ)(・チェ)(ーリ)》と《羅刹開匣》したって言っていたわね………。もしかして、《グレイプニル》?」

 

アーデルがそう言うと炎真が聞いた。

 

「《グレイプニル》?」

 

「北欧神話でフェンリルを捕らえるのに使われた足枷のことよ」

 

そうアーデルが説明した。

 

「ええ。これは、《グレイプニル》と呼ばれるものです」

 

それに、エンヴィーが肯定した。

 

「でも、だから、どうしたのかな~?それが、外れたからって、そちらさんの状況が変わるのかな?今、絶賛、ブラックホールに吸い込まれてかけているというのにさ~」

 

そう、ジュリーが言った。

 

「変わりますよ、この通りにね!!!」

 

エンヴィーがそう言うと、《嫉妬の炎》を纏わせた爪を地面にぶつけた。すると、ブラックホールへのほうへと衝撃が飛び、ブラックホールをかき消した。

 

『なっ!!?』

 

これには、全員が驚いて、目を見開いた。

 

「ははは、《グレイプニル》が外れたことで私の体には今まで抑えていた《嫉妬の炎》が巡り、さらに肉体を強化することができるのですよ!!!!これで私は本当の意味での全力を出せます!!!!」

 

エンヴィーがそう説明した。どうやら、《グレイプニル》はそれを抑える枷のようだった。

 

「それでは、行きますよ!!!」

 

そう言うとエンヴィーは………

 

シュンッ!!

 

「ガッ!!」

 

一瞬で薫に近づいて、蹴り飛ばした。薫はそのまま、

 

ドガンッ!!

 

壁に激突した。

 

『薫!!!?』

 

皆は薫を心配したがそんな場合ではなかった。エンヴィーがこちらへと向かってきた。急いで、アーデルが《ダイヤモンドキャッスル》を構えた。そして、エンヴィーが《ダイヤモンドキャッスル》を殴った。すると…………、

 

バキッ!!ピキピキピキピキピキピキピキッ!!

 

エンヴィーが殴ったところから《ダイヤモンドキャッスル》に大量のヒビが入った。

 

「そんな!!?《ダイヤモンドキャッスル》にヒビをいれるなんて!!?」

 

アーデルは驚いた。無理もない。衝撃に弱い内側からではなく、衝撃に強い外側に一撃入れて大量のヒビをいれたからだ。雲雀との誇りをかけた戦いでも、雲雀は外側からではなく、内側に仕込んだ球針体を増殖させて、アーデルの《ダイヤモンドキャッスル》を壊したのだ。

 

バキンッ!!!

 

そして、エンヴィーは《ダイヤモンドキャッスル》を壊した。

 

「今更だけど、医者が格闘術を使って1人で戦うとか無しだろ!!!?」

 

ジュリーが本当に今更なことを言いながら、エンヴィーの周りを鋼鉄の壁で覆った。しかし……………、

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

ドッカンッ!!!

 

僅か十数秒で鋼鉄の壁を壊した。

 

「嘘だろ!!!?」

 

ジュリーは驚いた。他の3人もそうだ。しかし、エンヴィーはそこを狙って…………、

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「きゃっ!!?」

 

「ガッ!!?」

 

「No~~~~!!?」

 

「くっ………!!?」

 

アーデル、ジュリー、SHITT・P!、そして、炎真を爪で切り裂いた。

 

「アーデル!!?ジュリー!!?」

 

「しとぴっちゃん!!?炎真!!?」

 

紅葉とらうじが4人を心配したが……………、

 

バタッ!!バタッ!!バタッ!!バタッ!!

 

4人はその場で倒れた。



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《大地》の誇りと覚悟

エンヴィーの《羅刹開匣》で紅葉とらうじを倒して、《グレイプニル》を外した正真正銘の全力で残りの5人を地に伏せさせた。

 

「ふん、これで終わりですね。《グレイプニル》を外した私には勝てませんよ。あなた方は、そこでロヴィーノが復活して、地球が滅びるところを見ていてください」

 

エンヴィーが倒れた炎真たちに背中を向けて、離れようとした。すると…………、

 

「…………ま、まだ……だ………!!」

 

「!?」

 

声がして、エンヴィーは後ろを振り返ると炎真が立ち上がっていた。よく見ると、炎真の傷は思っていたよりも浅かった。

 

「……なるほど、古里炎真、あなたは、私に切られる前に《大地》の炎の重力で後ろに引っ張られて、避けたのですね………。………他のメンバーも全員、意識があることから………、どうやら、似たような方法を使ったみたいですね………」

 

「くっ………」

 

「うっ………」

 

「ぐっ………」

 

「くっ………、え、炎真……」

 

エンヴィーの予測通りだった。炎真は切られる前に《大地》の炎の重力で後ろに引っ張って避けたのだ。そのために炎真は立つことができた。アーデルたちにも似た方法を使ったが4人の場合は少し遅かったらしく、意識はあるみたいだが、戦える状態ではなかった。

 

「しかし、鈴木アーデルハイトたちは、もう戦えそうにありませんね。残るは古里炎真、あなただけですよ?どうですか、降参しますか?」

 

とエンヴィーは先程、炎真が自分に聞いてきたことを聞き返した。

 

「ふざけるな!!僕は絶対、降参なんてしない!!!」

 

それに対して、炎真は怒鳴った。

 

「やれやれ………、わからない人ですね……。あなた1人だけで何ができるのですか?私に傷を負わせたのは、青葉紅葉、水野薫、SHITT・P!の3人であなた自身は重力を操って、私を足止めするだけでした。それで、私に勝てると本気で思いですか?」

 

エンヴィーに言われて、炎真は顔をしかめた。エンヴィーの言うとおり、この戦いで炎真は足止めしかしていなくて、攻撃に参加していない。………いや、この戦いだけではない。最初のルシフェルとの戦いも炎真は足止めしかしていなかった。ツナたちを救出しに行ったときも、ダークネスに一瞬で倒されて、何もできなかった。炎真はロヴィーノ教団相手にせいぜい、下っぱを倒したぐらいで《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》以上の相手にはサポートしかしていなかった。

 

「………だから、なんだ!!!そんなことは関係ない!!!僕はお前を倒す!!!倒さなければならないんだ!!!」

 

しかし、炎真は覚悟を灯した目でエンヴィーを睨み付けながら言った。

 

「…………古里炎真、いったい、何があなたを動かすのですか?」

 

エンヴィーにはわからなかった。炎真は傷こそは浅かったが使った炎はシモンファミリーの中で一番多かった。残っている炎もそう多くないだろう。炎真がエンヴィーに勝てる可能性は限りなく低い。それなのに、決して諦めなかった。何かが炎真を突き動かしているように見えた。炎真はエンヴィーの疑問に顔を俯かせながら言った。

 

「…………僕は、………僕たちはD(デイモン)・スペードに騙されて、ツナ君たちに酷いことをした…………」

 

炎真の言葉にアーデルたち6人も顔を俯かせた。

 

「でも、ツナ君たちはそんな僕たちを救ってくれた。ツナ君は僕のことを友達だって言ってくれた」

 

 

 

 

シモンファミリーの聖地

 

『………ツナ………ヨシ、………コロス………』

 

当時はまだ、ボンゴレへの復讐を持っていた炎真。それに加えて、仲間たちが誇りをかけた勝負で負けたことで復讐者(ヴィンディチェ)に連れていかれてしまったことにより、心が弱り、覚醒したシモンリングに食われて、壊れてしまった。

 

『炎真!!助けに来た!!』

 

それをツナが助けに来た。ツナの呼び掛けにより炎真は正気に戻った。しかし、先程の暴走で炎真自身がブラックホールになってしまった。炎真はツナたちに逃げるように言ったがツナは諦めず炎真を助けようとした。

 

『絶対に助ける!!俺の誇りにかけて!!』

 

そう言って、ツナは《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》で炎真を救いだした。そのあと、いろいろありながら、D(デイモン)・スペードを撃破した。

 

 

 

 

炎真がそう言うとエンヴィーはため息をつきながら言った。

 

「…………つまり、何ですか?あなたをここまで動かしているのは、あなた方の恩人である沢田綱吉を殺した復讐心ですか?それは、私にではなく、ダークネスに向けてほしいですね」

 

エンヴィーの言葉に対して、炎真は首を横に振って言った。

 

「いや、違う。………確かに、ツナ君が殺されたことに全く憎んでいないと言ったら、嘘になる。でも、その時に一番許せなかったのは僕自身だ!!」

 

「はっ?」

 

エンヴィーは炎真の言っていることがわからなかった。

 

「………僕はツナ君やスカルたちを助けにいこうとしたとき、こう思っていたんだ。『あの時の恩を返すことができる』ってね………」

 

炎真は辛そうな顔で言った。それを見てアーデルたちも似たような顔になった。人数制限が無かったら、アーデルたちも行くつもりだったからだ。

 

「………でも、僕たちは……僕はツナ君を死なせてしまった!!!救えなかった!!!助けに来たのに、ダークネスにあっさりとやられて、ツナ君1人に戦わせてしまった!!!」

 

炎真は悲痛な声で叫んだ。それを聞いて、アーデルたちも目を伏せたり、唇を噛みしめたりとしていた。しかし、エンヴィーには何も響かなかった。

 

「だから、何ですか?それは、あなた方が弱かっただけに過ぎません。所詮、弱者は全てを失ってしまうのですよ。強者のくだらない考えによってね………」

 

とエンヴィーは自分たちのことを棚に上げながらも何かを思い出すように言った。

 

「………そうだね。僕たちが弱かったから、ツナ君を死なせてしまった。それは、僕たちもわかっていたよ。だから、僕たちは絶望の底に堕ちたんだよ………」

 

「炎真…………」

 

そう言った炎真をアーデルが心配そうに見た。しかし、次の瞬間、炎真は顔をあげて言った。

 

「でも、僕たちはツナ君からこの地球の滅亡を阻止するように頼まれたんだ!!!僕たちはツナ君の想いを引き継いでいるんだ!!!」

 

そう、《ツナの想い》、これを引き継いだことで生まれた《覚悟》。そして、今の炎真の《誇り》である《ファミリーの皆と友達》。この2つが炎真を突き動かしているものだった。

 

「だから、僕は、なんとしてでも、お前を倒して、装置を破壊するんだ!!!僕たちの大切なものがあるこの地球をお前たちなんかに滅ぼさせてたまるか!!!」

 

炎真はエンヴィーに指を指しながら、力強く言った。それに反応したかのように額の炎も大きくなった。

 

「炎真……!」

 

「結局、その通りだ!!」

 

「ああ!!」

 

「うん!!」

 

「Yes ♪」

 

「まぁ、あの時は俺チンのせいでもあるしな~。ボンゴレには本当に迷惑かけたな~」

 

アーデルたち6人も倒れていながらもそう言った。

 

「………あなた方が何を言おうと勝手ですが、私たちの計画の邪魔はさせません!!!」

 

そう言って、エンヴィーは炎真に近づいた。

 

「はっ!!!」

 

炎真は《大地》の炎で大量の岩を持ち上げて、エンヴィーに投げつけた。

 

「こんなものが効くと思っているのですか!?」

 

エンヴィーは飛んできた岩を壊したり、かわしたり、した。すると、

 

「!!?(古里炎真がいない!!?)」

 

エンヴィーの視界から炎真の姿が消えたのだ。

 

「(どこにいったのですか?スンスン!!)そこですか!!!」

 

エンヴィーはフェンリルの嗅覚を使って、先程、炎真が投げた岩の1つを殴った。

 

ドガッ!!

 

岩が崩れるとその物陰には炎真が隠れていた。その炎真はエンヴィーに殴ろうと構えていた。

 

「…………わかっていたよ。お前なら、僕の居場所をすぐに特定することができるってことぐらいね!!!《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》!!!」

 

そう言って、炎真はエンヴィーに殴った。

 

「ガハッ!!!」

 

殴られたエンヴィーは飛ばされた。

 

「よしっ!!!」

 

「いいぞ!!!」

 

アーデルたちも称賛をあげた。炎真はただ殴ったわけではない。自分の拳に《大地》の炎を纏わせていた。殴ったときに炎の重力がエンヴィーにかかるように。これにより、炎真の拳には重力の重さが加わったのだ。

 

「くっ………。なかなか、やりますね………。ですが、こちらも負けてはいられません!!!」

 

そう言って、エンヴィーは立ち上がり、どこからともなく、大量の《嫉妬の炎》が纏ったメスを取り出して、炎真に投げつけた。

 

「《嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)》!!!」

 

強化された肉体で投げられたメスはものすごいスピードで炎真に向かった。

 

「くっ………!!!?」

 

炎真は重力を操って、反らすことは難しいと思い、空中へと飛んでかわした。炎真を素通りしたメスはそのまま、壁に向かって、………、

 

ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!

 

大量の爆発が起きた。

 

「ッ………!!(あのメスに当たったら、まずい!!)」

 

炎真はそう思いながら、次の技を使った。

 

「《大地の重力(グラヴィタ・デッラ・テラ)》!!!」

 

炎真は再び球状の《大地》の炎を出して、エンヴィーを宙に浮かせた。そして、そこを狙って………

 

「はっ!!!」

 

炎真は先程の岩をエンヴィーの周り360度に配置して、一気にエンヴィーに向かって集中攻撃した。

 

「ぐっ!!がっ!!ごっ!!がっ!!」

 

エンヴィーはその岩に当たり、岩に固められた。そこには1つの岩でできた星ができた。しかし………、

 

ガシッ!!ゲシッ!!ゲシッ!!ガシッ!!ドカンッ!!!

 

エンヴィーは力ずくでそこから脱出した。エンヴィーはまた、メスを球状の《大地》の炎に投げつけた。

 

ドカンッ!!!

 

そして、それは再び爆発した。エンヴィーは、脱出した際に弾けとんだ岩に乗って、飛び移って、炎真に近づいた。

 

「!?」

 

炎真はそれに気づいて、すぐに離れようとしたが、

 

シュンッ!!

 

一瞬で炎真のすぐ近くまで移動してきた。しかも、エンヴィーは炎真を殴る体勢に入っていた。

 

「これでも、くらいなさい!!!」

 

「!!?《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》!!!」

 

炎真も重力の重さを乗せた拳でエンヴィーに対抗した。

 

ガキンッ!!

 

2人の拳がぶつかり合った。

 

「ぐぅあっ!!!」

 

「わあっ!!!」

 

ドカンッ!!!

 

2人はお互いに後ろの壁にぶつかった。

 

『炎真!!?』

 

アーデルたちは炎真のことを心配した。

 

ガララッ……

 

2人は立ち上がった。そして、お互いに向き合って…………

 

「「はっ!!!」」

 

2人は同時に、飛び出した。

 

ドン!!ガン!!ドン!!ガン!!ドン!!ドン!!ガン!!ガン!!ドン!!ドン!!ドン!!ガン!!

 

2人はお互いに片方が殴ろうとしてはかわしたり、捌いたりして、もう片方が殴ろうとしては、同じようにかわしたり、捌いたりしていた。そんな中、炎真は不思議に思った。

 

(なんだか…………、エンヴィーの攻撃が単調になってきている?それに、何か焦っている気がするような?)

 

炎真の言うとおり、エンヴィーは攻撃が単調になり、何かに焦っていた。それにより、炎真はなんとかエンヴィーに食いつくことができたのだ。

 

(…………まさか!!?)

 

炎真が何か思いついたのと同時に、2人は1度、攻防の応酬を終わらせて、離れた。

 

「はぁっ………、はぁっ………、はぁっ………、はぁっ………」

 

「ゼェッ………、ゼェッ………、ゼェッ………、ゼェッ………」

 

2人共、息が荒かった。そして、炎真が口を開いた。

 

「はぁっ………、………エンヴィー。もしかして、お前は………、()()()()()んじゃないの?」

 

「!!?」

 

炎真の言葉にエンヴィーは驚いた。

 

「限界?」

 

「結局、どういうことだ!?」

 

「What's?」

 

「あいつの《嫉妬の炎》のドーピングによる肉体強化は確か…………」

 

「《大空》の調和で後遺症とか起きないんじゃなかったよね?」

 

「おかしくね?」

 

アーデルたちはどういうことかわからなかった。

 

「………さっきまでの《羅刹開匣》だったら、そうだったかもしれない………。でも、《グレイプニル》を外した状態は《大空》の調和でどうにかすることができないんじゃないのかな?」

 

『なっ………!!?』

 

「くっ………」

 

炎真の言葉にアーデルたちは驚き、エンヴィーは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「《グレイプニル》はそれを抑える役割もあったんだ」

 

「まるで、紅葉のメガネみたいだな~」

 

炎真の言葉にジュリーがそう言った。

 

「………………ええ、確かにその通りです」

 

エンヴィーはそれを認めた。

 

「確かに、今の私は限界が近く、もう時間がありません。………しかし、時間をかけてはいられないのはあなたもですよね?古里炎真」

 

「っ!!」

 

今度は炎真が驚く番だった。

 

「あなたに残っている炎も残り僅かのはずです」

 

エンヴィーがそう言うと………

 

「………うん、そうだよ。僕の炎もほとんど残っていない」

 

炎真もそれを認めた。

 

「ということは、実質………」

 

「これが、最後のぶつかり合いだよ………」

 

2人はそう言うとお互いに構えた。アーデルたちも黙って見守った。2人はしばらく、向き合っていた。そして…………

 

ダッ!!

 

2人は同時に飛び出した。炎真は《大地》の炎を、エンヴィーは《嫉妬の炎》を拳に纏っていた。2人が近づいて、先に殴ったのは……………

 

「ガッ………!!!?」

 

『炎真!!!?』

 

エンヴィーだった。エンヴィーは炎真の腹に殴ったのだった。アーデルたちは炎真のことを心配して、叫んだ。

 

「どういうことですか?」

 

しかし、エンヴィーは疑問に思った。エンヴィーは炎真を殴り飛ばすつもりだったのに、炎真は飛ばされなかった。

 

「!!!?」

 

その疑問はすぐに解決した。エンヴィーと炎真の間に炎の重力があった。炎真はそれに引っ張られて離れなかった。

 

「……………確かに、……僕の炎は………残りが少ない………。………でも………」

 

そう言うと、炎真は答えた。

 

「皆の炎がある!!!!」

 

炎真はそう言うと、

 

「アーデル!!!!紅葉!!!!らうじ!!!!薫!!!!しとぴっちゃん!!!!ジュリー!!!!皆の炎を貸してくれ!!!!」

 

アーデルたち6人にそう言った。

 

「炎真!?」

 

「結局、何がなんだかわからないが」

 

「わかった!!!」

 

「俺たちの炎を使ってくれ!!!」

 

「OK♪」

 

「持ってけ、ドロボー!!っ的な♪」

 

そう言って、アーデルは《氷河》、紅葉は《森》、らうじは《山》、薫は《川》、SHITT・P!は《沼》、ジュリーは《砂漠》の炎を炎真に向けて放った。6つの炎は炎真の《大地》の炎の重力により、炎真の拳に纏った。

 

「なっ!!?」

 

「くらえ、エンヴィー!!!!これが、僕の誇りと覚悟の力だ!!!!」

 

そう言って、炎真は大地の七属性の炎を纏った拳をエンヴィーの胸元、《晴》の《(トゥリニセッテ)リング》にぶつけた。

 

「《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》!!!!」

 

ガンッ!!!

 

「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!??」

 

エンヴィーは悲鳴をあげた。

 

バキンッ!!

 

《晴》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

「オオォォォォォーーーー!!!!!」

 

そして、炎真はエンヴィーを殴り飛ばした。

 

ヒューッ………

 

ドカンッ!!

 

エンヴィーは壁に激突して、気を失った。それと同時にエンヴィーは元の姿に戻った。

 

「炎真…………!!」

 

「結局、やったぞ!!!!」

 

「すごいよ、炎真!!!!」

 

「うむ………」

 

「Wao!!!!」

 

「ハハッ、すっげ♪」

 

アーデルたちは炎真を讃えた。

 

「…………ツナ君、やったよ」

 

炎真はシモンリングを見ながら言った。

 

 

 

 

シモンファミリーVS晴の大罪

 

勝者、シモンファミリー



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黒曜&跳ね馬&バジルVS雨の大罪&霧の大罪

ジャバウォック、久与田豪、エンヴィーが撃破された。次は、《雨》と《霧》の紋章の扉を見てみよう。

 

《雨》と《霧》の扉に入ったのは城島犬、柿本千種、M・M、フラン、ディーノ、バジルだった。彼らは長い洞窟を潜り抜けていた。

 

「あ~~~、ミー、疲れました~~~」

 

「正直、めんどい……」

 

「フラン!!柿ピー!!しっかりするんらぴょん!!」

 

「そうよ!!もっと、シャキッとしなさいよ!!」

 

疲れたやめんどくさいと言うフランと千種に犬とM・Mが叱咤した。

 

「しかし、長い洞窟ですね………」

 

「あぁ、だが、気を引き締めろよ………、この先にいるのは…………」

 

「リリスとスロウス………、2人の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》ですね………」

 

「そうだな、ルシフェルはその2人が7人の中で弱い部類って言っていたが………それが、イコール弱いって言うわけではない。寧ろ、2人共強いはずだ。しかも、2人一緒に来るとなると、ある意味、一番厄介かもしれない………。………ったく、リボーンの奴も面倒なことを頼んだな…………」

 

バジルとディーノは走りながら2人で話していた。ディーノはそう言ったが、負けるつもりは毛頭も無いという顔をして言った。

 

「………だが、俺たちは負けられない!!」

 

「………そうですね。地球を滅ぼさないためにも………、そして……………」

 

そう言うと、バジルはこの島に来る前の家光との電話での会話を思い出した。

 

 

 

 

ロヴィーノ教団がロヴィーノを復活させようと世界規模の大地震を起こして、各自、準備をしているときに、バジルは家光に電話で話していた。

 

「………そういうわけで、拙者たちは、ロヴィーノ教団の計画を阻止するために出ます」

 

『…………そうか』

 

電話の向こうから聞こえる家光の声に生気を感じられなかった。当然だ、息子のツナが死んだのだ。

 

『……………こんなことになるんだったら、ラルの言うとおり、ツナと連絡しておけばよかったな……………』

 

「親方様………」

 

バジルは心を痛めた。バジルは炎真と同様、ツナたちを救いに行ったのに、結果的にツナを死なせてしまった。それにより、バジルも絶望に堕ちてしまっていた。

 

『俺は情けないな………。この怪我のせいで息子の敵討ちにも行けないからな………』

 

「……………」

 

『…………バジル』

 

「!!はい!!!」

 

『頼む………。俺の代わりに………、ツナの想いに………応えてくれ………』

 

家光はだんだんと嗚咽混じりになりながら言った。

 

「!!わかりました!!必ず、拙者たちが沢田殿の想いに応えてみせます!!!」

 

バジルは家光にそう言った。

 

 

 

 

「…………沢田殿の想いに応えるためにも…………」

 

「!!あぁ…………」

 

2人がそう話していると、目の前から光が見えた。

 

「出口らぴょん!!」

 

「あの女………、次は倒して見せるわ………!!」

 

「あ~~~、ミー、帰っていいですか~~~」

 

「駄目だよ、フラン…………」

 

黒曜メンバーがそう言いながらも、全員、出口を通った。

 

出口を通るとそこは、やはり、ジャバウォック、豪、エンヴィーがいた場所と同様、扉があった場所と似たような空間だった。そして、そこにいたのは………

 

「うふふ、待っていたわよ♪」

 

《霧の大罪》、リリスと

 

「Zzz…………、Zzz…………」

 

アイマスクをつけて寝ていた、《雨の大罪》、スロウスだった。

 

「………って、ちょっと、スロウス!!いつまで寝ているの!?敵が来たわよ!!!」

 

そんな、スロウスを起こそうと、リリスが叫んだ。

 

「…………何やっているんですか?」

 

「なんか、あのボサボサ頭、柿ピーに似ているぴょん!!」

 

「怒るよ?犬」

 

「あいつらがリリスとスロウスか…………。リリスはともかく、スロウスっていう奴、本当に覇気を感じられないな………」

 

「えぇ、ですが、リボーンさんの話では、その覇気の無さが彼の強さ………」

 

フラン、犬、千種、ディーノ、バジルがリリスとスロウスを見て、そう言った。

 

「そんなのどうでもいいわよ!!攻撃するなら今がチャンスよ!!」

 

そう言って、M・Mは修理してもらったクラリネットを2人に向けて吹こうとした。

 

「ちょっと待て、M・M!!それは早計だ!!」

 

ディーノが止めようとしたが、遅く、M・Mはクラリネットを吹いた。クラリネットから出た特殊な音波はリリスとスロウスの2人に襲いかかった。ところが………

 

ドンッ!!

 

『!!?』

 

2人に襲いかかる前に巨大な植物の蔓が地面から出てきて、2人の代わりに音波を受けて………

 

バンッ!!

 

爆発した。

 

「もう~、不意打ちなんて酷いじゃないの?」

 

リリスがリングを構えながらこちらを見て、そう言った。どうやら、今の巨大な植物の蔓はリリスの有幻覚のようだ。

 

「くっ………!!」

 

M・Mは悔しそうにしていた。

 

「それは………!!?」

 

バジルがリリスのリングを見て驚きの声をあげた。

 

「あら?これのことを言っているのかしら?ふふ、あなたたちの想像通り、《(トゥリニセッテ)リング》よ♪」

 

リリスはそう言うとリングをディーノたちに見せた。そのリングは藍色のおしゃぶりの形をした石に翼が生えていた。そして、おしゃぶりには《霧》の紋章があった。どうやら、それが《霧》の《(トゥリニセッテ)リング》のようだ。

 

「それにしても、M・M、さっきも言ったけど、人が寝ている人を起こしているときに不意打ちなんて酷くないかしら?」

 

リリスはM・Mに向けてそう言った。

 

「ふん!前回はあんたに私のクラリネットを壊されたからね、もう、とっとと決めようと思っただけよ!!」

 

M・Mはリリスにそう言い返した。

 

「うふふ、強気なことね♪」

 

「ふん!そう強がっているのも今のうちよ!!()()()()!!」

 

とM・Mがそう言うと

 

ピキッ……

 

「誰がおばさんよ!!?私はまだ22よ、小娘!!!」

 

リリスが青筋を浮かばせながら、M・Mに怒鳴った。

 

「十分におばさんじゃない!!」

 

「何ですって!!?」

 

M・Mとリリスの間に女の戦いという名の口論が始まってしまった。

 

(((((入れない…………)))))

 

ディーノたち、男性陣はその迫力に入り込めなかった。そんな口論を止めたのは…………

 

「…………おいっ………」

 

スロウスだった。どうやら、起きたらしく、アイマスクを外して、M・Mに向かって言った。

 

「………M・M、…………お前は………その()()()()に………手も足もでずに………負けたんだぞ………」

 

「ッ………!!」

 

スロウスの言葉にM・Mは言葉が詰まり、黙ってしまった。

 

「ちょっと、スロウス!!なに、あなたまで私のことをおばさん扱いしてるのよ!!?私のことをおばさん扱いするなら、私よりも歳上で24のあなたはおじさんってことになるわよ!!!」

 

「そうだな」

 

「なんで、そういうのは即答で答えるのよ!!?いつものあなたは、必ず間を開けて話すくせに!!!しかも、否定じゃなくて、肯定だし!!!っていうか、いつから起きていたのよ!!?」

 

「…………お前が………『うふふ、待っていたわよ』…………って、………言ったときから」

 

「それ、最初からじゃない!!!なんで、起きなかったのよ!!!?」

 

「………怠かったから………」

 

「あ~~~~~、もう~~~~!!!」

 

今度はリリスとスロウスで口論を始めた。ほとんどリリスが一方的に言っているだけだが………。

 

「あいつら、本当になにやっているらぴょん?」

 

「仲間割れだね………」

 

「何だか、ミー、馬鹿らしくなってきました」

 

「……本当ね、何だか、あんな女に負けたのが余計に納得できなくなったわ」

 

「ですが、気をつけたほうがいいです。ほら、スロウスにも《(トゥリニセッテ)リング》が………」

 

バジルの言うとおり、スロウスの右手の中指には青色のおしゃぶりの形をした石に翼が生えていた。そして、おしゃぶりには《雨》の紋章があった。どうやら、それが《雨》の《(トゥリニセッテ)リング》のようだ。

 

(あれ?その理屈でいくと…………俺もおじさん…………?)

 

とバジルたちがそう言っているのをよそに、リリスと同い年のディーノがショックを受けていた。

 

「そんなことよりも、ここには、剣と装置のどちらがあるのですか!?」

 

バジルが2人に聞いた。

 

「……あぁ、………それなら、………装置が………あるぞ………」

 

「スロウス!!私の話を聞きなさい!!」

 

スロウスがリリスの小言を無視して、言った。

 

「………どうでもいいだろ、………そんなこと………。………今、………大事なことは…………こいつらの………()()だろ………?」

 

スロウスがそう言うと10個の爪状のアーマーリングを両手の全ての指先に嵌めた。

 

「ッ!!(………まさか、その武器を使うなんてね…………。普段はナイフなのにね…………。スロウスなりに本気ってことね………)………そうね、その通りね……。私たちはこの計画を成功しなければならないものね……」

 

リリスがそう言うと、ディーノたちに振り向いた。

 

「まずは、2人、戦闘不能にするわ」

 

パンッ!!

 

リリスはそう言うと、手拍子を1つした。すると………

 

「「グッ!!」」

 

犬と千種が苦しみだした。

 

「犬!!千種!!」

 

M・Mが叫んだ。

 

「M・Mとフランは知っているわよね?この2人には過去のトラウマを思い出させているのよ。………っていうか、なんで、私たちのところに城島犬と柿本千種が来たのよ?以前の戦いでこうなることわからなかったのかしら?まぁ、これで2人、戦闘不能ね」

 

リリスが呆れたように言った。

 

「それは、どうなんでしょうか~~~」

 

とフランが言った。

 

「何ですって?」

 

フランの言葉にリリスがそう言うと、

 

「……こ、こんなもん………もう………効くかぴょん!!!」

 

「……ハァッ!!」

 

犬と千種がリリスの幻術を打ち破った。

 

「嘘!!?」

 

リリスは驚いた。

 

「ここに来る前のししょ~たちとの特訓で犬先輩と千種先輩はトラウマを克服したんですよ~」

 

フランがリリスにそう説明した。

 

「………悪いけど、それはもう効かないよ………」

 

千種がそう捕捉した。

 

「どうよ!!あんたのお得意のそれは私たちには使えないわよ!!お・ば・さ・ん♪」

 

「くっ…………」

 

M・Mの言葉にリリスが青筋を浮かばせながら悔しそうにしていた。

 

「へっ!!……………!!?跳ね馬!!後ろらぴょん!!」

 

「!!?おっと!!!」

 

犬の言葉にディーノがすぐにそばから離れた。そこには、スロウスがディーノの後ろから爪で攻撃しようとしていた。

 

「……………なぜ、…………俺の………居場所が…………わかった?」

 

スロウスは犬にそう聞いた。

 

「へっ!!俺の勘をなめんじゃねえぴょん!!」

 

「厳密に言えば、野生の嗅覚っていうやつで~す。犬センパイはいろいろな動物の能力を得たことで五感も優れたのですよ~。……………馬鹿ですけど」

 

「おい、フラン!!テメー、何言ってんらぴょん!!!」

 

それをフランが説明した。

 

「まぁ、そういうわけだから、お前ら相手の対策はしているのさ」

 

ディーノがリリスとスロウスの2人にそう言った。

 

「次は、こちらの番です!!アルフィン!!」

 

「スクーデリア!!」

 

バジルが匣から《雨イルカ(デルフィーノ・ディ・ピオッジャ)》のアルフィン、ディーノは《天馬(カヴァッロ・アラート)》のスクーデリアを出した。

 

「…………かなり………精度の………高いリングを………使っているな…………」

 

スロウスがディーノたちのリングを見て言った。

 

「ああ、俺たちは(トゥリニセッテ)もヴァリアーリングもシモンリングも持っていないからな。9代目がタルボ爺に依頼して、俺たち用のAランクのリングを用意してもらったんだ」

 

ディーノがそう説明した。

 

「まぁ、無駄口もそれぐらいにして行かせてもらうぜ!!」

 

ディーノがそう言うと、《大空》の炎が纏った鞭をスロウスに向けて振るった。

 

「…………」

 

ビシッ!!

 

スロウスは爪に《怠惰の炎》を纏わせてディーノの鞭を防いだ。

 

「次はこれです!!」

 

超死ぬ気モードに入っていたバジルが《雨》の炎を纏わせたメタルエッジで攻撃してきた。

 

「……………」

 

ガキンッ!!

 

しかし、これもまた、スロウスは爪で防いだ。

 

「…………」

 

すると、スロウスがポケットから石を取り出して、上に放り投げた。

 

「「?」」

 

ディーノとバジルはスロウスが何をしようとしているのか、わからなく、放り投げられた石を見た。しかし、

 

「「!!!」」

 

視線を戻すとスロウスの姿が消えた。2人はスロウスを探した。

 

「バジル!!後ろらぴょん!!!」

 

いつの間にか、《ウルフチャンネル》に入っていた犬がより強化された嗅覚でスロウスを見つけて、バジルに言った。

 

「!!?くっ………!!?」

 

ガキンッ!!

 

バジルのメタルエッジとスロウスの爪がぶつかった。2人はすぐに距離を取った。

 

「……………《視線誘導(ミスディレクション)》か」

 

「ミスディレクション?」

 

「手品とかでも使われる相手の視線を誘導するテクニックのことだ。さっき、あいつが投げた石、俺たちはあれに無意識に気をとられて、スロウスから注意がそれた。その間にスロウスは移動した。ただでさえ存在感が薄いあいつだから戦闘で使える方法だな………」

 

ディーノがバジルたちに説明した。

 

「…………だけど、………いくら…………消えても………城島犬の…………嗅覚が……………ウザイ………」

 

スロウスが犬のほうを見ながら言った。

 

「へっ!!そう簡単にテメーの思い通りにはさせねえぴょん!!!」

 

それに対して、犬が言った。

 

「とにかく、俺たちはスロウスをなんとかするぞ!!」

 

「はい!!」

 

「わかったぴょん!!」

 

ディーノ、バジル、犬はスロウスの相手をすることになった。そして、激戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

一方、こちらは、千種、M・M、フランとリリス。

 

「あなたの相手は私たちよ!!おばさん!!!」

 

「だから、私はおばさんじゃないって言っているでしょ!!!」

 

「何だか、ミーたち、置いてきぼりですね……」

 

「……めんどい………」

 

…………戦いが始まろうとしていた。

 

「これでも、くらいなさい!!小娘!!!」

 

リリスは棘付き鞭をM・Mに向かって振るった。

 

「ふん!!こんなもの、効かないよ!!!」

 

M・Mはクラリネットをヌンチャクにして、棘付き鞭に対抗した。

 

ビシッ!!バシッ!!ビシッ!!バシッ!!ビシッ!!バシッ!!ビシッ!!バシッ!!ビシッ!!

 

棘付き鞭とクラリネットがぶつかり合った。

 

「千種!!フラン!!今よ!!」

 

「あ。ミーたちに頼るという冷静さは残っていたのですか………」

 

「…………わかった」

 

M・Mに言われて、フランはヴェルデの装置を使ってリンゴ型の爆弾、千種はヘッジホッグから毒針をリリスに向かって放った。

 

「こんなもの、当たらないわよ!!」

 

ドンッ!!ドンッ!!

 

ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!

 

リリスは《色欲の炎》で巨大な蔓を2つ出して、爆弾と毒針を防いだ。

 

「次はこれよ!!」

 

そして、リリスはそのまま、蔓を3人にぶつけようと動かした。

 

「「「!!?」」」

 

3人はさすがにまずいと思ってかわした。

 

ドカンッ!!

 

「………これでも、まだくたばらないのね……」

 

リリスはかわした3人を見て言った。

 

「ハッ!!」

 

すると、千種がヘッジホッグを直接ぶつけようとリリスに放った。

 

「ふん!!」

 

リリスはそれを棘付き鞭で弾いた。

 

「~♪~♪」

 

次は、M・Mがクラリネットを吹いた。

 

「!?」

 

リリスもM・Mの《バーニングビブラート》はまずいと思って蔓で防いだ。

 

ドカンッ!!

 

蔓は爆発した。

 

「なかなか、やるじゃない、M・M!!」

 

「ふん!!あんたもね、リリス!!」

 

こちらも激戦が始まろうとしていた。




ディーノに関して、おかしいところがあったと思いますがとりあえず今のところは気にしないでください。


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救援

ディーノ、バジル、犬はスロウスを、千種、M・M、フランはリリスを相手にすることになった。

 

 

 

 

「スクーデリア!!《天馬超翔(ペガソ・スーペル・サルト・ヴォランテ)》!!」

 

「ヒヒーン!!」

 

ディーノはスクーデリアにそう命じた。スクーデリアは《大空》の炎で形成された翼を生やして、スロウスを切り裂こうとした。

 

「………………」

 

ギギギギッ!!

 

スロウスは爪に《怠惰の炎》を纏わせて、スクーデリアの翼を押さえた。そして、その後、翼を飛び越えてかわした。

 

「ガーッ!!!」

 

そこを狙って、犬が同じように《晴》の炎を纏った爪で切り裂こうとした。

 

「……………」

 

ガシッ!!

 

ドンッ!!

 

「ガッ!!」

 

犬はスロウスに腕を掴まれて、蹴り飛ばされた。

 

「犬殿!?」

 

バジルが心配したが………

 

「人のこと、心配している場合じゃねえぴょん!!来るぴょん!!」

 

「ッ!!?」

 

ガキンッ!!

 

犬に言われて、いつの間にかスロウスが近づいていたのに気づき、メタルエッジでスロウスの爪を防いだ。

 

「バジル!!」

 

ディーノはすぐに鞭をスロウスに向けて振るった。

 

「………………」

 

スロウスは後ろに跳んで、ディーノの鞭をかわした。とりあえず、1度お互い、攻めるのを止めた。

 

「っつうか、なんで、あいつはずっと黙っているらぴょん!!?」

 

犬がずっと気になっていたことを言った。正直、ディーノとバジルも気になっていた。それに対してのスロウスの答えは、

 

「……………だって、……………戦闘中に……………しゃべるの…………怠いから………」

 

怠いからという理由だった。

 

「そんな理由かぴょん!!!」

 

「………本当に《怠惰の炎》の使用者にピッタリなやつだな…………」

 

「ハハハ………」

 

そんなスロウスに対して、犬はツッコミ、ディーノは呆れたようにそう言って、バジルは苦笑いしていた。

 

「…………だが、こいつ、思ったよりもできるな………」

 

しかし、ディーノが真剣な顔つきで言った。

 

「ええ、先程のディーノ殿の匣アニマルの技も犬殿の攻撃もうまく体を使っていました。見た目の雰囲気に似合わず、身体能力が高いと考えたほうがいいですね………」

 

それにバジルも冷静に分析していた。

 

「だから、なんなんらぴょん!!あいつをぶっ潰すらけらぴょん!!!」

 

そう、犬が言った。

 

「ああ、その通りだな!!!」

 

「ええ、彼らに地球を滅ぼされてはなりません!!!」

 

それに対して、ディーノとバジルがそう言った。

 

「………………マジで………怠くなってきた………」

 

そんな3人に対して、スロウスがウザそうに言った。

 

 

 

 

一方、千種、M・M、フランとリリスの戦いでは、

 

「ハッ!!」

 

リリスが巨大な蔓を3人にぶつけようとした。

 

「「「!!」」」

 

ドンッ!!

 

3人はそれをかわした。

 

「これは、どうですか~?」

 

フランが同じように巨大な蔓を出した。

 

「それなら、こっちもこれよ!!」

 

リリスはそれを自分の巨大な蔓で対抗した。

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

巨大な蔓同士のぶつかり合いが始まった。

 

「ふん!!」

 

千種がヘッジホッグから毒針をリリスに向かって放った。

 

「くっ!!」

 

パシッ!!パシッ!!パシッ!!パシッ!!

 

リリスはそれを棘付き鞭で全て弾いた。

 

「ハーッ!!」

 

M・Mが叫びながら、リリスにクラリネットをぶつけようとした。

 

「くっ!!」

 

リリスはそれをかわした。

 

「《限現幻獣(げんじゅう) 喰骸鴉(ががいあ)》!!」

 

フランはヴェルデの装置を使って、以前のルシフェルとリリスの戦いで骸と使った技を使った。1人でやっているために当時よりも攻撃力も防御力も落ちているがそれでも、高いほうだった。

 

「また、この技ね………。1度、私が防いだでしょ!!!」

 

リリスはそう言って、《色欲の炎》の有幻覚でリリスの周りに大量の茨を出して、それらを動かして、フランの《 喰骸烏(ががいあ)》を蹴散らした。

 

「同じ手なわけないじゃないですか~~」

 

「何ですって?」

 

フランの言葉にリリスが怪訝そうな顔をすると………

 

ドカンッ!!

 

「!!?」

 

リリスの周りにあった茨が爆発した。

 

「うっ……………!!?」

 

茨の中心にいたリリスは爆風を受けた。そして、リリスの周りに粉塵が舞った。

 

(………そういうことね。さっきの鳥たちはこの状況を作るための陽動だったのね………)

 

リリスがそう分析していると、粉塵から人影が出てきた。それは、女の姿だった。

 

(M・Mね……。でも………)

 

リリスはそう考えると何も動かずにじっとした。すると、人影はリリスをすり抜けた。

 

「(これは幻術)本物はそこよ!!」

 

リリスはある場所に棘付き鞭を振るった。

 

ガキンッ!!

 

そこには、本物のM・Mがいた。M・Mはクラリネットで棘付き鞭を防いだ。

 

「チッ!!」

 

M・Mは舌打ちした。

 

「ふん!!」

 

そこを千種がヘッジホッグから毒針を飛ばした。

 

「くっ………!!」

 

リリスはそれをかわした。そして、1度3人から離れて、お互いに態勢を整えた。

 

「チッ!!やっぱり、強いわね!!」

 

「ミーたち、勝てるんでしょうかね~?」

 

「…………」

 

3人はそんな感じで話していた。

 

「でも、あれから、そんなに時間経っていないのに、随分強くなったわね。正直、こっちもてこずらせてもらっているわよ………」

 

リリスはそんな3人に対してそう言った。すると、

 

「………リリス……」

 

ディーノたちと戦っていたスロウスがリリスに近づいて声をかけた。

 

「スロウス?何かしら?」

 

「…………()()を………使うぞ………」

 

「!!?私もそうしようと思ったけど…………。まさか、あなたがそれを言うなんてね………。あれは、使った後、ものすごく怠くなるから嫌だって、あなた、いつも言っていたのにね………」

 

スロウスの言葉にリリスが驚きながら言った。

 

「…………別に………ただ………このまま…………長引かせるほうが………怠い…………。………それだけだ………」

 

「成る程ね………、あなたらしい理由ね。でも、確かに、あれを使ったほうがいいわね……」

 

スロウスの答えにリリスが納得すると、リリスは藍色と黒色が混ざった色した匣、スロウスは青と黒が混ざった色した匣を取り出した。

 

「いったい、なにする気なんだ、あいつら?」

 

「わかりません………、ただ………」

 

「ものすごく嫌な予感がしますね~」

 

「これ、やばくない?」

 

「めんどいことになりそう……」

 

「早く止めるらぴょん!!!」

 

ディーノたち6人はそれぞれ、そう言った。しかし………

 

ボウッ!!

 

ボウッ!!

 

遅かった。リリスは《(トゥリニセッテ)リング》から膨大な量の《色欲の炎》を灯して、スロウスは同じように膨大な量の《怠惰の炎》を灯した。そして、2人はそれぞれ、炎を匣に注入した。

 

バキッ!!

 

バキッ!!

 

注入した炎が膨大なために2人の匣が割れた。そして、匣の中身は………

 

グサッ!!

 

グサッ!!

 

『!!!?』

 

リリスには藍色の光が、スロウスには青色の光が自分の胸元に刺さった。そして、リリスとスロウスの2人の刺された胸元からそれぞれ藍色と青色の光に包まれた。

 

「くっ!!これは、まさか………」

 

「修羅開匣!!?」

 

ディーノとバジルがそう言ったが………

 

「残念だけど、違うわ♪ミルフィオーレの現代種や古代種よりも、さらに上のランクよ♪」

 

藍色の光に包まれたリリスが否定した。そして、光が晴れると、そこにいたのは………。

 

「うふふ♪」

 

「……………」

 

リリスは頭に山羊のような角、背中には黒い翼が生えていた。胸元には《霧》の《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

「これは《天空霧バフォメット(バフォメット・ネッビア・ディ・チェーリ)》との《羅刹開匣》よ♪」

 

スロウスは全身に鱗があり、首もとにはえら、背中と腕にはヒレがついていた。胸元には《雨》の《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

「……………《天空雨ケートス(ケートス・ピオッジャ・ディ・チェーリ)》との………《羅刹開匣》………」

 

とリリスとスロウスは自分の《羅刹開匣》の説明をした。

 

「《羅刹開匣》~~?」

 

「バフォメット………キリスト教で出てくる悪魔の名前………」

 

「対して、ケートスはギリシア神話に出てくる魚の名前だよな………」

 

「ちょっと、どういうことよ!!なんで、そんなものが出てくるのよ!!!」

 

「よくわからないぴょん!!!」

 

「……………」

 

6人はそれぞれ、そう話していた。しかし、そんな暇は無かった。

 

「うふふ♪呑気にお話をしている場合かしら?」

 

そう言うと、リリスは空中に《色欲の炎》で作った大量の剣を浮かばせた。もともと精度の高かった有幻覚が《羅刹開匣》を使用したことでより精密な完成度になっていた。

 

『なっ!!?』

 

ディーノたちはそれを見て驚いた。

 

「これでも、くらいなさい!!!」

 

リリスは大量の剣をディーノたちに放った。

 

「くっ………!!」

 

ディーノたちはそれをかわしていった。そして、それらを全てかわした。

 

「ハッ!!どうらぴょん!!全てかわしたぴょん!!!」

 

犬は強気でリリスに言った。しかし、彼らは忘れていた。

 

ザシュッ!!

 

「グハッ!!」

 

『犬(殿/センパイ)!!?』

 

スロウスの存在を………。犬はスロウスに爪で切られた。

 

「な………ぜ………!!?…………俺の嗅覚………でも……わからな………かった………ぴょん………!!?」

 

バタンッ!!

 

そう言って、犬は倒れた。意識はあったが、戦闘不能になった。

 

「…………《羅刹開匣》により………俺の………《怠惰の炎》も………上がったからだ………」

 

スロウスがそう説明した。

 

「くっ………!!」

 

犬が悔しそうに顔を歪めた。

 

「犬から離れろ!!」

 

千種がヘッジホッグから毒針をスロウスに向けて飛ばした。

 

「……………」

 

すると、スロウスはヒレに《怠惰の炎》を纏わせて振るい、《怠惰の炎》の壁を作った。毒針がその壁を通ると止まった。

 

「なっ!!?」

 

千種は驚いた。

 

「あの《怠惰の炎》でできた壁を通り抜けたことで止まったようにさせたのか!!」

 

「山本殿の《時雨之化》以上の静止能力です!!!」

 

ディーノとバジルがそう言った。

 

「私のこと忘れていないかしら?」

 

リリスがそう言うと……

 

ボコッ!!

 

ドカンッ!!

 

「ガハッ!!」

 

地中から蔓が絡まった鉄球が出てきて、千種の腹に当てた。千種はそのまま、飛ばされた。犬と同様、意識はあったが、もう戦えそうになかった。

 

「千種!!」

 

M・Mが心配して千種の名前を叫んだが…………

 

「………他人の………心配している………暇は………ないぞ……」

 

「!!?」

 

後ろからいつの間にか移動していたスロウスが…………

 

ザシュッ!!

 

「キャーーーーッ!!」

 

M・Mを爪で切った。M・Mはそのまま倒れた。先程の2人と同様、意識はあったが、戦えそうになかった。

 

「M・Mセンパイ!!」

 

「あなたもよ♪」

 

「!!?」

 

M・Mを呼んだフランにリリスが鋼鉄のカバーを纏わせた蔓でフランをぶっ飛ばした。

 

「ギャッ!!?」

 

ぶっ飛ばされたフランはそのまま壁にまで飛ばされて、

 

ドガンッ!!

 

「ギャッ!!?……………」

 

頭をぶつけたのか、先程の3人とは違い、気を失ってしまった。

 

「フラン殿!!?」

 

「くっ……!!」

 

バジルとディーノがそう言うと、

 

「「!!?」」

 

何かに気づいたのか離れた。そこには、スロウスがいた。

 

「…………かわしたか………」

 

ディーノとバジルは何とか気づいて、かわしたが

 

「くっ……」

 

「うっ……」

 

完全にかわすことはできず、2人共、スロウスの爪にかすってしまった。

 

「でも、これでおしまいよ♪」

 

そう言うリリスの周りには、また大量の剣を浮かばせていた。

 

「そんなもの、またかわすだけだ!!………なっ!!?」

 

「そうです!!………えっ!!?」

 

そう言って、かわそうとした2人だが動けなかった。

 

「何してるんらぴょん!!!」

 

「早くしないとあなたたち、串刺しになるわよ!!!」

 

事情を知らない犬とM・Mはそう言ったが、それでも2人は動けなかった。

 

「…………無駄だ………」

 

そんなときにスロウスが言った。

 

「………そいつらは………俺の………《怠惰の炎》を………かすってしまった………。…………それにより………短時間だけだが…………動けなくなる………」

 

『なっ!!?』

 

スロウスの言葉にディーノたちは驚いた。

 

「それはスロウスの《怠惰の時間(マルヴォレーレ・アッティモ)》という技なのよ♪」

 

リリスが補足説明をした。

 

「くそっ!!」

 

「体が動かない!!」

 

ディーノとバジルは何とか体を動かそうとしたができなかった。

 

「ヒヒーン!!」

 

「キュイキュイ!!」

 

スクーデリアとアルフィンが自分たちの主を助けようと近づいたが何もできなかった。

 

「あらあら、主人想いの匣アニマルなこと♪でも、まぁ、その技の時間切れになる前にいかせてもらうわよ♪」

 

リリスがそう言ってディーノとバジルと2人の匣アニマルに大量の剣を放った。

 

「「「跳ね馬!!!バジル!!!」」」

 

犬たちは2人に呼び掛けたが2人は動けなかった。このままでは、ディーノたちは串刺しになってしまう。

 

……………そんなときだった。

 

「《暴蛇烈覇》!!!」

 

ゴオォォォォォォォッ!!!

 

キンキンキンキンキンッ!!

 

『!!!??』

 

突然、横方向に飛んできた竜巻が大量の剣を全て弾いた。これには、ディーノたちはもちろん、リリスとスロウスも驚いた。

 

「いったい、なんなの!!!??」

 

リリスがそう叫んだ。竜巻が治まると、そこには、いくつものの蛇の形に彫られた鎖付き鉄球があった。

 

「これって、確か…………」

 

「まさか!!!?」

 

心当たりのあったディーノたちは自分たちが入ってきた入口を見た。すると、そこにいたのは…………

 

「どうやら、何とか、間に合ったみたいだな………」

 

顔に2本の切り傷があった長身の男だった。

 

「「ランチア(殿)!!!??」」

 

それは、かつて骸に操られてツナたちと敵対した北イタリア最強の男、ランチアだった。

 

「………ランチア………?……まさか、………そのような………男が………来るとはな…………」

 

スロウスも驚いたようだ。

 

「お前ら、大丈夫か?」

 

ランチアは串刺しにされそうになったディーノとバジルに近づいた。

 

「あ、ああ………。ちょうど、スロウスの炎の効果も切れたみたいだ………」

 

「しかし、ランチア殿、どうしてここに?」

 

バジルが当然の質問をした。

 

「ああ、骸に呼ばれたんだ」

 

「骸ちゃんに!!?」

 

「まじかぴょん!!?」

 

「………そういえば、あのとき………」

 

千種は別れる前の骸のあの言葉を思い出した。

 

 

『大丈夫です。さらに策はありますので』

 

 

「そうか、あれは、お前のことだったのか」

 

千種が言った骸の言葉にディーノがランチアが聞いた。

 

「おそらく、そうだろうな。骸から事情は全て聞いている。ロヴィーノ教団のことも、そいつらの目的も、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のことも、そして、()()()()のこともな…………」

 

『………………』

 

ランチアの最後の言葉にディーノたちは全員黙った。

 

「しかし、落ち込んでいる暇はない。ここからは、俺も助太刀する!!」

 

「はい!!」

 

「助かるぜ!!さすがにきつくなってきたからな」

 

そう言って、ランチア、バジル、ディーノの3人はリリスとスロウスのほうを見た。

 

「1人、増えたわね………」

 

「…………それでも…………俺たちのやることに変わりは無い………」

 

「そうね………」

 

リリスとスロウスはそう話しながら、ディーノたち3人のほうを見た。

 

今、戦いが再開する。




ランチア、登場!!


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地獄の獣

今回、今までで一番長いです。


ディーノとバジルの絶体絶命を救ったのは骸に呼ばれたランチアだった。

 

そして今、ディーノ&バジル&ランチアVSリリス&スロウスの戦いが始まる。

 

「《千蛇列覇》!!!」

 

ランチアが巨大な鎖付き鉄球、《蛇鋼球》を振り回して、勢いをつけた状態で片手の掌底で飛ばした。しかも、

 

「くっ!!?」

 

「…………!!?」

 

リリスとスロウスはそれをかわそうとしたが、蛇鋼球に彫られたいくつもの蛇が、気流を生み出して、2人を引き寄せた。しかも、蛇鋼球には《雲》の炎を纏わせていた。

 

「それなら!!」

 

リリスは地面から鋼鉄のカバーを纏わせた巨大な植物の蔓を出した。

 

「………………」

 

スロウスはヒレから《怠惰の炎》を出して、蔓の後ろに炎の壁を作った。そして、蛇鋼球と蔓がぶつかった。

 

ガキキキキキンッ!!

 

ガキンッ!!

 

「嘘!!?」

 

蛇鋼球と鋼鉄のカバーを纏わせた蔓はぶつかって、火花が散った。しかし、均衡はすぐに崩れた。蛇鋼球は蔓を打ち破った。それにリリスは驚いた。

 

ギギギギギ…ギ…ギッ!!

 

次に、蛇鋼球は炎の壁とぶつかった。蛇鋼球は《怠惰の炎》により、威力が弱まった。

 

「くっ……………!!俺の覚悟をなめるな!!!」

 

ランチアがそう言うと、指に嵌めていたリングの炎が大きくなり、それに比例して、蛇鋼球に纏っていた炎も大きくなった。《雲》の増殖により威力が増した。そして、炎の壁も突き破れそうだった。

 

「…………!!」

 

スロウスは驚いた。リリスとスロウスの2人は《怠惰の炎》で気流が弱まった隙に側を離れた。

 

ギギギギギギギッ!!

 

ドカンッ!!

 

蛇鋼球は炎の壁を破った。

 

「…………まさか………、…………俺の………《怠惰の炎》の………壁を………破るとは…………」

 

スロウスはそう言った。

 

「そうね……」

 

リリスも驚いたらしく、そう言った。すると、

 

「俺たちを忘れるなよ!!スクーデリア!!」

 

「そうです!!アルフィン!!」

 

ディーノとバジルがそう、自分たちの匣アニマルに呼び掛けると………

 

「「匣間コンビネーションシステム!!!」」

 

そう言った。

 

《匣間コンビネーションシステム》、《雨イルカ(デルフィーノ・ディ・ピオッジャ)》にのみ、搭載されている他の匣アニマルとの連携ができるシステム。

 

アルフィンがヒレから《雨》の炎の刃が出てきて、それがスクーデリアの翼に纏った。

 

「「《太炎天雨翼(たいえんてんうよく)》!!!」」

 

《大空》と《雨》の炎が纏った翼でスクーデリアはリリスに攻撃しようとした。

 

「《色欲の輪舞曲(ルッスリオーソ・ロンド)》!!!」

 

リリスは植物と金属で構成された人形をいくつも出した。そして、人形たちは一斉にスクーデリアに向かった。

 

「ヒヒーン!!」

 

スクーデリアは先に人形たちを相手にした。翼で攻撃した。

 

ザシュッ!!!

 

スクーデリアは人形の1体を斬った。だが………

 

シュルルルルルルッ!!

 

「ヒヒーン!!?」

 

斬られた人形から蔓が伸びて、スクーデリアに絡まり、自らの体でスクーデリアを固定した。

 

「スクーデリア!!!」

 

ディーノは叫んだ。

 

「その人形たちは植物の柔軟さと金属の硬さの両方を兼ね備えているのよ♪」

 

リリスはそう説明した。そして………

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「ヒ、ヒヒーン…………!!」

 

他の人形たちに持っていた剣で斬られた。

 

「スクーデリアーーーーッ!!!!」

 

ディーノは叫んだ。スクーデリアはそのまま、倒れた。そして、人形たちは今度はディーノとバジルに向かった。

 

「くっ!!」

 

「よくも、スクーデリアを!!!」

 

ディーノは鞭に《大空》の炎を纏わせて、何度も振るった。

 

「《(サルト・ヴォ)(ランテ・ヴェ)(ローチェ・コ)(メ・ルーチェ)》!!!」

 

ディーノは自分の技で人形たちを全て蹴散らした。スクーデリアの敵をとることができた。しかし、気を抜いている暇はなかった。

 

「「!!?」」

 

ディーノとバジルは後ろからスロウスが近づいていたことに気づき、すぐ離れた。

 

「いつの間に!!?」

 

「くそ!!ちょっと目を離した隙にすぐにいなくなるぜ!!!」

 

バジルとディーノは《怠惰の炎》で存在感を消されたスロウスに対してそう言った。

 

「あれ、なんとかならないの!?」

 

「………無理だよ。犬の嗅覚でも感知できないとなると………」

 

「ッ…………!!」

 

M・M、千種、犬もスロウスに対してそう説明した。

 

「バジル!!跳ね馬!!そこから、離れろ!!!《剛蛇列覇》!!!」

 

ランチアがディーノとバジルにそう言うと、蛇鋼球を両拳で押し出した。蛇鋼球はそのまま、スロウスにぶつかる。…………そう思われたが………………

 

スカッ………

 

『なっ!!?』

 

蛇鋼球はスロウスを通り抜けた。そこにいたスロウスは霧となって消えた。

 

「残念♪それは私の幻術よ♪本物は………」

 

「………ここだ………」

 

とリリスの言葉を遮って、本物のスロウスがランチアのすぐ後ろから爪で刺そうとしていた。

 

「くっ!!!?」

 

ガキンッ!!!

 

ランチアはすぐに振り向いて、蛇鋼球の鎖でスロウスの爪を防いだ。

 

「………ちっ…………」

 

スロウスは小さく舌打ちをした。そして、いったん離れようとした方が………

 

「逃がさないぞ!!!」

 

すぐに存在が消えるスロウスを逃がさないとランチアは鎖をスロウスの片手の手首に巻き付けた。

 

「なっ!?」

 

スロウスは驚いた。

 

「どうやら、驚く際にあげる声には間を開けないみたいだな、お前は………」

 

ランチアは割とどうでもいいことを言って、スロウスを逃がさないように鎖を握りしめた。

 

「バジル!!跳ね馬!!今だ!!!こいつをやれ!!!」

 

ランチアはバジルとディーノにそう言った。

 

「はい!!!」

 

「わかったぜ!!!」

 

バジルとディーノもチャンスだと思い、バジルはメタルエッジで、ディーノは鞭でランチアには当たらないように攻撃した。しかし、…………

 

バシッ!!

 

ドガッ!!

 

「ガハッ!!?」

 

スロウスは鎖で縛られていないもう片方の手の爪でディーノの鞭を防ぎ、メタルエッジに当たる前にバジルの腹を蹴り、飛ばされた。

 

「バジル、大丈夫か!!?」

 

ディーノはバジルを心配して叫んだ。

 

「………はい。大丈夫です!!」

 

バジルはそう返事した。

 

「なら、どんどん攻めろ!!!いつまで持つかわからない!!!」

 

とランチアが言った。すると、

 

ピョンッ

 

スロウスが縛られている手首を軸として跳んだ。いったい、どういうつもりなのかとランチアは考えたが、それは一瞬だった。なぜなら…………

 

グサッ!!

 

「!!?ガハッ!!!?」

 

『ランチア(殿)!!?』

 

スロウスが跳んだ真後ろから鋼鉄のカバーを纏わせた蔓が襲ってきたからだった。ランチアはすぐにかわそうとしたが、遅くて、致命傷は避けられたが横ッ腹から血が出ていた。その時に鎖が緩み、スロウスは脱出して、蔓を出したリリスのところまで下がった。

 

「ランチア殿!!!」

 

「大丈夫か!!?」

 

バジルとディーノがランチアに駆け寄ってきた。

 

「………ああ……、大丈夫だ………。ただのかすり傷だ。………それよりも、あの女、今、味方ごと殺そうとしてこなかったか?」

 

ランチアはそのことに疑問を持っていた。今のリリスの攻撃はスロウスが跳んでいなければ、ランチアと一緒に串刺しになっていたからだ。

 

「そういえば、ロヴィーノ教団には嫌な信条がありましたね………」

 

「信条だと?」

 

バジルの言葉にランチアは疑問に思った。

 

「どうやら、骸は重要なことしかお前に教えてなかったみたいだな……」

 

そう言って、ディーノは教えた。以前、骸たちがルシフェルとリリスと戦ったときのことを。

 

 

 

 

あの時も、リリスはルシフェルごと骸を殺そうと棘付き鞭を振るったのだ。それに対して、骸が皮肉を込めて云うとルシフェルが言った。

 

『俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ。もし、今ので俺が殺されたとしても、それは俺の実力が足りなかっただけの話だ』

 

 

 

 

「本当に嫌な信条だな………」

 

とランチアは顔をしかめて言った。

 

「だから、何かしら?私たちは共通の目的のために協力しているのよ。そのためなら、自分の命を捨てる覚悟でね」

 

とリリスは何とも思わない顔で言った。

 

「本当にどうかしているぜ、こいつら………!!!」

 

「………今の言葉、沢田殿が聞いていたら、怒っていたでしょうね………!!!」

 

ディーノとバジルが怒りを込めて言った。

 

「…………リリス………」

 

「何かしら?スロウス………って、あなた!!!それって!!!」

 

スロウスに呼ばれて、リリスはそっちのほうを見ると、リリスは慌てた。スロウスの胸元の《(トゥリニセッテ)リング》に《怠惰の炎》を灯していて、スロウスの両腕のヒレには膨大な《怠惰の炎》が纏っていた。

 

「………怠い………。………早く………終わらせたい………。………だから………()()を………使う………」

 

「ちょ、ちょっと、待って!!それだと、私まで巻き添えくらうわよ!!?さすがに、あなたのそれをくらうのは嫌よ!!!」

 

「…………それなら…………とっとと…………下がれ………」

 

「わ、わかったわよ!!!」

 

そう言って、リリスは慌てて、翼を羽ばたいて飛んだ。

 

「いったい、なんだ?リリスの慌てっぷりは?」

 

「わかりません………。ただ………」

 

「嫌な予感がするな………」

 

3人はそれぞれ、そう言った。すると、スロウスはヒレに纏っていた《怠惰の炎》を思いっきり振るった。そしたら…………

 

ドバアァァァァァァァァァァァァッ!!!!

 

『!!!!??』

 

すると、纏っていた炎は海となって、ディーノたちに襲いかかった。

 

「なっ、マジかよ!!?」

 

「くっ!!?」

 

「アルフィン!!犬殿たちを安全な場所に!!!」

 

「キュイーーーーッ!!!!」

 

「キャッ!!?」

 

「うっ!!?」

 

「!!?」

 

ディーノとランチアは驚き、バジルはアルフィンに言って、犬、千種、M・M、そして、気絶しているフランの4人を連れて、飛んだ。

 

ドバアァァァァァァァァァァァァッ!!!

 

「「「くっ……!!!?」」」

 

ディーノたち3人はスロウスの引き起こした海にのみ込まれた。海はどういうわけか、入口より外には出ていかなくて、この空間全体にある程度の深さができた。

 

「跳ね馬!!バジル!!ランチア!!」

 

「ちょっ!!まずいぴょん!!」

 

「………………」

 

アルフィンに乗っていたM・M、犬、千種は焦っていた。

 

「………《怠惰の海(マルヴォレーレ・マーレ)》。まさか、これを出すなんてね…………。これは、()()()()()()()()()()()()()技なのよね~………」

 

とリリスは呟いた。

 

「………あれ、息できる?」

 

「えっ?ほんとです!!拙者たち息ができます!!!」

 

「どういうことだ?」

 

ディーノたちは海の中なのに息ができることに驚いた。ところが…………

 

「!!?体が………」

 

「う、動かない………!!?」

 

「こ、これは、………い、いったい………!!?」

 

なんと、ディーノたちは動かなくなっていた。

 

「いったい、どうなっているんらぴょん!!?」

 

犬がそう叫ぶと

 

「あの海は純度の高い《怠惰の炎》でできた海よ。窒息することはないけど、あれに少しでも触れたら、金縛りにあったかのように、動けなくなるわ」

 

リリスがそう説明した。しかし、まだ、終わりではないらしく、続けた。

 

「たった1人、()()()()()()()()()

 

『!!!?』

 

リリスの説明に全員、スロウスのほうを見た。スロウスは《怠惰の炎》の海に浮いていた。そして、次の瞬間、

 

シュンッ!!

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「「「グアッ!!?」」」

 

スロウスが一瞬でディーノたち3人を爪で切った。

 

「な、なんらぴょん!!?」

 

「全く見えなかったわよ!!?」

 

「速い………」

 

犬たち3人も驚いた。

 

「彼のケートスはあの海の中でも、《怠惰の炎》を持つものとは思えないほどの速さで移動できるのよ。まぁ、あの海の中だと、どうしても、攻撃力が下がってしまうのが欠点だけどね………」

 

とリリスが言った。確かにリリスの言うとおり、ディーノたちはそんなに深い傷は負っていないみたいだ。

 

「でも、そんなことは関係ないわよ。スロウスはものすごく動けるのに対して、あの3人は動けない。動けないならかわすことも防御することもできないわ」

 

「「「!!!?」」」

 

リリスの言うとおりだった。そして、その言葉の通りに………

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「ぐっ…………!!!」

 

「がっ…………!!!」

 

「うっ…………!!!」

 

3人はスロウスにどんどん切られた。いくら、一つ一つの傷が浅くても、それを繰り返せば、大きな傷になってしまう。犬たちも何とか助けようとしたが、《怠惰の炎》の海に触れると動けなくなるためにできなかった。そして………

 

「…………もう、…………そろそろだな…………」

 

スロウスがそう言った。

 

「「「ハァッ………ハァッ………ハァッ………ハァッ………」」」

 

ディーノたちはボロボロだった。3人共、あと一撃で終わりそうだった。

 

「………これでおしまいだ…………」

 

そうスロウスが言って、ディーノたちに攻撃をしようとすると………

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………!!!!

 

『!!?』

 

急に地震が起きた。全員、何事かと思った。すると…………

 

ビキッ!!!バキッ!!

 

『!!!??』

 

地面にヒビが入って、崩れた。地面が分列して、浮いていた。

 

ドバアァァァァァァァァァァァァーーーー

 

それにより、《怠惰の炎》の海は下に流れた。

 

「ハァッ………ハァッ………ハァッ………、動けるぞ!!」

 

「しかし、いったいこれはなんでしょうか?」

 

「ああ………」

 

ディーノたちも動けるようになって、そう話した。すると………

 

トンッ!!

 

「いや~~、間に合ってよかったですね~~~」

 

「「フラン(殿)!!?」」

 

いつの間にか、気を取り戻していたフランがアルフィンからディーノたちのそばに飛び降りた。

 

「これは、お前のしわざか!!?」

 

「そうで~す。あの海の中だと動けなくなるみたいですが、外側は自由に動けたので、ミーの幻術で海を無くしました~」

 

とフランは説明した。

 

「おい、フラン!!テメー、いつ気がついたんらぴょん!!!」

 

犬たちもアルフィンから降りてきた。

 

「え?そりゃ~、ついさっきですよ~~。いや~~、気がついたらびっくりしましたよ~~。一面、水浸しですし~~、跳ね馬たち、やられていましたし~~、知らない人がいるし~~」

 

そう言ってランチアを見た。

 

「ん?そういえば、あいさつがまだだったな。ランチアだ」

 

「あ、これはご丁寧にどうも、フランです」

 

とあいさつしていると………

 

「…………ねぇ」

 

近くの岩場に降りたリリスが声をかけてきた。

 

「はい。なんでしょうか~?」

 

「あなた、どうして、一気に幻術の腕が上がっているのかしら?」

 

とリリスがフランに聞いた。

 

「………どういうことだ…………?」

 

スロウスが質問の意味がわからず、リリスにそう聞いた。

 

「フランの幻術の精度がさっきよりもかなり上がっているのよ」

 

「………それは………急激に………成長した………というわけでは…………ないのか………?」

 

「それは普通ないわよ。術師は才能とかに左右されるけど、その人自身の幻術の精度を上げるには経験が必要なのよ。つまり、経験と成長は比例するのよ。だから、こんな短時間に精度がここまで上がることはあり得ないのよ………」

 

とリリスが言うと、フランのほうを見た。そして、フランは答えた。

 

「それは、ミーが一気に1()0()()()の経験を得たからで~す」

 

『はっ?』

 

フランの言葉にリリスとスロウスだけでなく、ディーノ、バジル、ランチアも意味がわからなかった。しかし、黒曜メンバーには心当たりがあった。

 

「10年の経験って………まさかぴょん!!?」

 

「フラン!!あなた、記憶を取り戻したの!!?」

 

犬とM・Mがそう言った。

 

「そうで~す。先程、頭をぶつけたときに、ミーがししょ~の元で修行していたことも、10年後にはヴァリアーに所属していたことも全て思い出しました~~。あ、ついでに犬センパイとM・Mセンパイの恥ずかしい過去、いや、未来も思い出しました」

 

「「そんなことは思い出さなくていい(ぴょん)!!!」」

 

「えっ?どういうことだ?」

 

フランたちの会話にディーノはついていけなかった。

 

「フランはチーズの角に頭をぶつけて、10年後の記憶を失っていたんだ………」

 

と千種が説明した。

 

「「「チーズの角に頭をぶつけて、記憶を失ったって………」」」

 

それに、ディーノ、バジル、リリスは呆然としていた。

 

「まぁ、とにかく、ミーはパワーアップしたというわけで~す」

 

とフランがそう言った。

 

「ふ、ふん。いくら、記憶を取り戻したからといって、あなたたちはボロボロなのよ!!私たちに勝てるのかしら?」

 

とリリスが言った。確かに、全員ボロボロだった。すると、フランが……

 

「そうですね~。さっきのミーは怖くて使いませんでしたが、今なら大丈夫な気がするのでししょ~と白蘭から預かったこれらを使いますか~~」

 

そう言って、ポケットから何かを取り出した。それらを見て、スロウスとリリスは驚いた。

 

「!!?」

 

「それは、まさか…………《ヘルリング》!!?しかも、5つも!!?」

 

フランが取り出したのは《(マロッキョ)リング》、《(アルマ)リング》、《残像骨(オッサ・インプレッショーネ)リング》、《(コルナ)リング》、《666(セーイ・セーイ・セーイ)リング》だった。ここに来る前に骸と白蘭から渡された物はこれらだったのだ。スロウスとリリスが驚いていると………

 

「いや、6つだ!!!」

 

と入口のほうから声がした。全員、そちらのほうへ向くと

 

「ロマーリオ!!?」

 

ロマーリオがいた。ディーノはそれに驚いた。

 

「なんで、お前がここにいるんだ!!?しかも、いつからいたんだ!!?」

 

「最初からだぜ、ボス!!!チェッカーフェイスから()()()を借りていてな」

 

とロマーリオが見せたのは《気配(セーニョ)リング》だった。

 

「マジかよ!!?そう言えば、お前、霧属性だったな………」

 

とディーノが言った。

 

「…………なるほどね。部下がいないと何もできない跳ね馬があそこまで動くことができたのはそういうことね」

 

とリリスは納得していた。

 

「まぁ、それよりも、ボウズ!!受けとれ!!!」

 

そう言ってロマーリオは《気配(セーニョ)リング》をフランに投げた。

 

「!!?そうはさせないわ!!!」

 

とリリスは蔓を出して、フランの手に渡るのを防ごうとした。しかし、

 

バシッ!!

 

ディーノが鞭で邪魔をした。

 

「くっ………跳ね馬!!」

 

リリスは悔しそうな顔をした。そして………

 

「は~い。しっかりと受け取りました~~。では、使っていきますか~~」

 

気配(セーニョ)リング》を受け取り、6つのヘルリングを自分の両手の人差し指、中指、薬指に嵌めた。

 

「見てくださ~い。これが地獄の獣、《地獄獣 六無夢()現限幻(げん)()》で~す」

 

そう言って、フランがヘルリングの力とヴェルデの装置を使って出したのは………

 

「「「グオォォォォォッ!!!!!」」」

 

巨大な、一見すれば地獄の門番、ケルベロスだが、ケルベロスの体には無数の目玉と角と触手があった。

 

「………………!!!??」

 

「な、何よ、これ…………!!!??」

 

スロウスとリリスは言葉が出なかった。

 

「スゲエぴょん…………!!!??」

 

「これが…………」

 

「ヘルリングを全て使った力………」

 

「………………」

 

「とてつもないな…………」

 

「すごすぎます……………」

 

ディーノたちも驚いていた。

 

「では、行ってくださ~い」

 

フランがそう言うと、ケルベロスはリリスに向かった。

 

「!!!??くっ……、《色欲の大輪舞曲(ルッスリオーソ・グランデ・ロンド)》!!!!」

 

リリスはケルベロスと同じくらいの大きさの先程と同じ植物と金属で構成された人形を出した。

 

「行きなさい!!!!」

 

人形はケルベロスに攻撃しようとしたが

 

シュン………

 

スカッ………

 

「なっ!!!??」

 

ケルベロスが消えた。それにより人形の攻撃も通り抜けた。

 

「ど、どこに行ったの!!!??」

 

リリスは慌てて探した。すると、フランが言った。

 

「どこって、お前のすぐ後ろにいるじゃないですか~~」

 

「えっ???」

 

フランに言われて、リリスが後ろを見ると…………

 

「「「グルルルルルルルッ……!!!」」」

 

ケルベロスがリリスのすぐ後ろでリリスを見て、唸っていた。

 

「ひ、ひぃっ!!!!」

 

リリスは恐怖のあまりに悲鳴が出た。

 

「「「グオォォォォォォッ!!!!」」」

 

ケルベロスが前足を上げて、リリスに向かってぶつけようとした。

 

「い、いや…………」

 

リリスは後退りしたが………

 

ドカンッ!!!!

 

ケルベロスの前足が当たった。

 

「キャアァァァァァァァーーーー!!!!」

 

リリスは吹っ飛ばされて、

 

ドカンッ!!!!

 

リリスの巨大な人形にぶつかり、人形と共に壁に衝突した。

 

バキンッ!!

 

リリスの胸元に埋まっていた《霧》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

「リリス!!!??」

 

スロウスは叫んだ。すると……………

 

シュルルルッ!!

 

「!!!??」

 

スロウスの両腕に何かが巻き付いた。

 

「へっ!!!捕まえたぜ!!!!」

 

「逃がさない………!!!!」

 

それはディーノの鞭と千種のヘッジホッグだった。

 

「フランばっかにいい格好はさせないよ!!!!」

 

「そうらぴょん!!!!」

 

「俺もやるぞ!!!!」

 

M・Mと《コングチャンネル》になっていた犬とロマーリオもディーノと千種を押さえて、スロウスを逃がさないようにした。しかも、それで終わらなかった。

 

グサッ!!!

 

「グッ…………!!!??」

 

スロウスは何かに背中を刺された。後ろを見るとそこには《雨》の炎を纏ったメタルエッジで刺したバジルがいた。

 

「………い、いつの間に………」

 

「ディーノ殿の《大空》と拙者の《雨》の即席の《怠惰の炎》です!!!!使える時間は短いですが、これでお主を捕まえることができました!!!!」

 

そう、バジルの《雨》の炎でスロウスは動けなくなったのだ。バジルはメタルエッジを引き抜いて、その場から離れて言った。

 

「今です!!!!ランチア殿!!!!」

 

「おお!!!!」

 

ランチアは蛇剛球を連続で殴り付けた。そして、最後に両手の掌底で飛ばした。

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!!」

 

飛ばされた蛇剛球は《暴蛇烈覇》よりも鋭い竜巻となってスロウスに真っ直ぐ飛んでいった。そして………

 

ドカンッ!!!!

 

「ガアァァァァァーーーー………!!!??」

 

スロウスは蛇剛球に直撃した。スロウスは鞭とヘッジホッグが外れて飛ばされた。

 

バキンッ!!

 

スロウスの胸元に埋まっていた《雨》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

 

 

 

…………………………

リリスとスロウスは元の姿に戻って、気を失っていた。フランとリリスの幻術も解けて、元の空間に戻った。

 

「やったぴょん!!!!」

 

「勝ったよ!!!!」

 

「早くシャワー浴びたい………」

 

「ふ~~、さすがにヘルリング6つ同時使用は疲れますよ~~」

 

「やったな、ボス」

 

「ああ!!」

 

「親方様、沢田殿、勝ちました」

 

「ふん…………」

 

 

 

 

黒曜&跳ね馬&バジルVS雨の大罪&霧の大罪

 

勝者、黒曜&跳ね馬&バジル




ランチアは雲属性、ロマーリオは霧属性ということにしました。

また、ヘルリングの名称は想像です。


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アルコバレーノVS雲の大罪

今回はアニメのアルコバレーノ編に出てきた技が出ます。
ちなみに、名称はwikipediaを参考にしています。


ジャバウォック、豪、エンヴィー、リリス、スロウスが倒された。残っている《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》はベルゼブブとルシフェルの2人だった。今回はその内、ベルゼブブのほうを見てみよう。

 

 

 

 

《雲》の紋章の扉に入ったのは、リボーン、コロネロ、スカル、マーモン、風、ラル、バミューダの7人だった。7人は扉の後の長い洞窟を通っていた。

 

「長い洞窟ですねぇ………」

 

「全くだよ………」

 

スカルとマーモンが洞窟の長さに愚痴っていた。

 

「まぁまぁ、2人共。これから、決戦です。ここは心を落ち着かせましょう」

 

と風が2人を宥めた。

 

「しかし、《夜》の炎を使えればいいんだけどね………。おそらく、次の部屋にも例の結界が張っているのかもね……」

 

「まぁ、走っていくしかねぇぞ」

 

とバミューダとリボーンが言った。すると………

 

「おい………!!!」

 

青筋を浮かべていたラルが言った。

 

「走っているのは俺だけで、コロネロ以外は俺が運んでいるのだろうが!!!!」

 

そう、ラルの右脇にはスカル、左脇にはマーモン、右肩には風、左肩にはバミューダ、頭の上にはリボーンが乗っていた。ラルは5人の赤ん坊を運んでいたのだ。ちなみに、コロネロは自分のペットのファルコに頭を掴まれて飛んでいた。

 

「仕方ねぇぞ。だいたい、俺たちが走っていたら、遅いって言ったのはオメーだぞ」

 

「っ…………!!!」

 

リボーンに言われてラルは黙った。まぁ、大人と赤ん坊では走るスピードが違うのは無理ないかもしれない。

 

「それよりも、オメー、冷静になったらどうだ?それで以前、蛇に食われたんだからな」

 

「くっ……………!!わかってる!!!」

 

「……………………」

 

ラルの言葉にリボーンは何とも言えない顔になった。

 

「おい!!あそこ、光っているぞ、コラ!!!」

 

とコロネロが言った。出口が近いみたいだ。

 

「いよいよだね………」

 

「よっしゃーーー!!やってやるぞーーー!!」

 

「ふ~、しっかりと心構えなくては」

 

「ロヴィーノ教団………なんとしてでも、(トゥリニセッテ)を返してもらうよ」

 

マーモン、スカル、風、バミューダがそう言った。

 

「あのガキ………!!」

 

「絶対、俺が倒すぞ、コラ!!」

 

「……………………」

 

ラルとコロネロがそう言って、リボーンはそんな2人を何とも言えない顔で見ていた。

 

7人が出口に出るとそこは、今までの5人のときと同様の扉があった空間に似ていた。そして、そこにいたのは…………

 

「モグモグ……ゴクンッ!!……ふ~、やっと来たね」

 

お菓子を食べていた《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雲の大罪》、ベルゼブブだった。お菓子を食べるのに使っていた右手の中指には紫色のおしゃぶりに翼が付いていて、おしゃぶりには《雲》の紋章があった。おそらく、《雲》の《(トゥリニセッテ)リング》だろう。

 

「ベルゼブブ……!!!」

 

ラルはベルゼブブを睨んだ。すると、

 

ドガッ!!!

 

「グッ!!?っ~~……。何するんだ!!?リボーン!!?」

 

頭の上にいたリボーンに蹴られた。ラルはリボーンに怒鳴った。リボーンはラルの頭から降りて言った。

 

「落ち着けって言っているだろうが、そんなに睨んでも仕方ねぇぞ」

 

「チッ………!!わかってる!!!」

 

「…………………」

 

リボーンとラルがそう話している間にバミューダたちもラルから降りた。

 

「僕の相手は歴代アルコバレーノたちか………。2()()なりそこないがいるけどね」

 

「くっ…………」

 

「…………………」

 

ベルゼブブの言葉にコロネロが顔をしかめて、ラルがますます睨んだ。

 

「…………ところで、あなたのところには《ロヴィーノ》復活の鍵となる剣はあるのですか?」

 

風がベルゼブブに聞いた。

 

「ううん、ここには装置しかないよ。君たちの探している剣はルシフェルのところにあるよ」

 

とベルゼブブは風の言葉を否定して、剣の場所をリボーンたちに教えた。

 

「ルシフェル君のところにあるだって?」

 

「ということは剣は獄寺たちに任せるぞ」

 

「俺たちは装置の破壊だな!!」

 

「そうなるね………」

 

とバミューダ、リボーン、スカル、マーモンが言った。

 

「そんなことはさせないよ」

 

ベルゼブブがそう言うと、腰から大蛇、《大蛇丸》を出した。

 

「行きなよ、大蛇丸」

 

「シャーーーッ!!!」

 

ベルゼブブがそう言って、大蛇丸をリボーンたちに向かわせた。

 

「ど、どうするんだ!!?」

 

スカルが慌てていた。

 

「お前、さっきの勢いはどこいったんだ、コラ!!」

 

「オメーが何とかしろ」

 

「えっ?ギャッ!!?」

 

そんなスカルにコロネロがそう言って、リボーンはスカルを大蛇丸に向かって蹴り飛ばした。

 

「シャーーーッ!!」

 

「ギャーーーー!!?ア、《アーマード・マッスルボディ》!!」

 

大蛇丸が近づいて来るのを見て、スカルは自分の筋肉を隆起させた。

 

ドガンッ!!

 

「グフッ!!?」

 

大蛇丸とぶつかって吹っ飛ばされたスカルだったが大蛇丸も反動で止まった。

 

「何するんだ!!リボーン!!」

 

「無事だからいいだろ」

 

「《アーマード・マッスルボディ》を使ってなきゃ、食われていたぞ!!」

 

「あ?」

 

「イイエ、ナンデモアリマセン……」

 

「でも、チャンスだよ」

 

とリボーンとスカルが話している間に………

 

シュンッ!!

 

バミューダが《夜》の炎を使って、ベルゼブブの背後にまわっていた。

 

「本体に当たれば、ダメージが与えられるはずだよ」

 

とバミューダは攻撃しようとした。《夜》の炎での不意打ち、当たると思ったが…………

 

ガンッ!!

 

ベルゼブブが後ろに向いて、腕をクロスして防いだ。

 

「確かに、僕自身に当たればダメージがあるけど、こっちにはダークネスがいるんだよ?《夜》の炎の不意打ちの対策ぐらい、心得ているよ」

 

「くっ…………」

 

「それなら、これはどうですか?《爆龍拳》!!」

 

すると、風がベルゼブブの背後から《嵐》の炎を龍状にして、飛ばした。

 

「当たらないよ、そんなの」

 

ドカンッ!!

 

しかし、ベルゼブブはそれをジャンプしてかわした。

 

「あなた、なかなか動けますね」

 

「感心している場合じゃないでしょ」

 

と風が感心して、マーモンがつっこんだ。

 

「そりゃそうだよ。大蛇丸と《暴食の炎》だけで《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》にはなれないよ。それに、僕、こう見えても、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の中でもルシフェルの次に強いよ」

 

『!!?』

 

ベルゼブブの言葉に皆が驚いた。

 

「ルシフェルの次に強いって………」

 

「じゃあ、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のNo.2で…………」

 

「ロヴィーノ教団のNo.3ってことかよ、コラ!!」

 

スカル、マーモン、コロネロがそう言った。

 

「君って、まだ子供だよね?」

 

バミューダがそう聞いた。

 

「赤ん坊にそんなことを聞かれるのも違和感あるけど、そうだよ。僕は11でロヴィーノ教団の最年少だよ」

 

とベルゼブブは答えた。そして、続けた。

 

「でも、そんなことは関係ないよ。この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い。ただ、それだけだからね」

 

「…………エンヴィーも同じことを言っていましたね」

 

風が以前、対峙したときにエンヴィーが同じことを言っていたことを思い出した。

 

「ロヴィーノ教団の教えの1つだからね。エンヴィーだけじゃなくて、全員が知っているよ」

 

「地球を滅ぼすとか、イカれた考えしている連中にしては的を射ているな」

 

とリボーンが言った。

 

「そんなことはどうでもいい!!」

 

ラルが叫んだ。

 

「お前がどんなに強かろうが俺たちはお前を倒すだけだ!!」

 

そう言うとラルは匣を取り出して、《雲》の炎を注入した。

 

「ザムザ!!」

 

ラルは匣から《雲ムカデ(スコロペンドラ・ディ・ヌーヴォラ)》のザムザを出した。

 

「行け!!ザムザ!!」

 

ラルの言葉にザムザがベルゼブブに向かった。ベルゼブブは大蛇丸を向かわせた。ザムザは大蛇丸に巻き付いた。すると………

 

ボゥッ!!

 

大蛇丸から《暴食の炎》が灯り、ザムザはそれを吸収して、さらに体を伸ばして大蛇丸に纏わりついて、拘束した。

 

「よし今だ、コラ!!《マキシマム・バースト》!!!」

 

「これでも、くらえ!!!」

 

「待て、オメーら!!?」

 

リボーンの静止の声を聞かず、コロネロがスナイパーライフルから鳥の形をした《雨》の炎のショットを、ラルが(ネッビア)ガントレットから《霧》の炎を照射した。2人の攻撃が向かったが…………

 

「………そんなの当たると思っているの?」

 

ベルゼブブがそう言うと………

 

ピキッ………

 

大蛇丸に纏わりついていたザムザが石化した。

 

「ザムザ!!?」

 

ラルが叫んだが………

 

ピキッ、ピキッ、…………バキンッ!!

 

「シャーーーッ!!!」

 

大蛇丸がザムザの拘束を破った。しかも、大蛇丸の体が大きくなっていた。ザムザが炎を吸収したつもりが、大蛇丸がザムザの炎を吸収したみたいだ。そして、

 

バシッ!!バシッ!!

 

コロネロとラルの攻撃を大蛇丸が胴体で防いだ。そして、さらに大きくなった。

 

「「なっ!!?」」

 

コロネロとラルは驚いた。

 

「くっ…………」

 

リボーンは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「ありがとうね。大蛇丸に炎を与えてくれて」

 

「「くっ…………!!!」」

 

コロネロとラルは失敗したと思った。これで、ザムザの炎、コロネロとラルの攻撃を大蛇丸に与えてしまった。

 

「それじゃあ、次はこっちの番行くよ」

 

ベルゼブブがそう言うと大蛇丸が口に《暴食の炎》を収束し始めた。

 

「あれは!!?」

 

「以前、使ったやつか、コラ!!?」

 

ラルとコロネロはその技を知っていた。しかし、《(トゥリニセッテ)リング》の力のせいか、大蛇丸に与えたダメージ以上の力が収束していた。そして………

 

「《蛇大砲》」

 

大蛇丸の口から放った。《暴食の炎》がリボーンたちに襲いかかった。

 

「ぐっ………、これは!!?」

 

「前よりもパワーが上がっているぞ、コラ!!!」

 

「これはまずいね………」

 

「僕だけならかわせるけど………」

 

と皆がいろいろ言っていると

 

「あ~~~、もう!!!俺がやってやるぞーーー!!!」

 

スカルが叫びながら飛び出した。

 

「いくら、あなたでも無茶ですよ、スカル!!?」

 

風が叫んだが遅かった。

 

ドカンッ!!

 

「グッ!!!?」

 

スカルが《蛇大砲》を受け止めようとした。

 

ドカーーーンッ!!!

 

「グハッ!!?」

 

『スカル(君)!!?』

 

爆発が起きてスカルが吹っ飛ばされた。それに皆が叫んだ。

 

「っ~~!!?痛ってーーー!!!」

 

しかし、スカルは多少の傷ができたものの、立ち上がることができた。

 

「!!?驚いた!!まさか、今のを直撃して、立ち上がれるなんて………!!さすが、元アルコバレーノって、言ったところかな?」

 

それにベルゼブブが驚いていた。

 

「へっ!!!死神に嫌われたスタントマン、スカル様の不死身の体(アンデッド・ボディ)をなめるな!!!」

 

「調子に乗ってんじゃねーぞ」

 

「ゲフッ!!?」

 

とスカルが言っていたところをリボーンに蹴られた。

 

「でも、まぁ、でかしたぞ。次はこっちの番だぞ。バイパー!!」

 

「はいはい、わかっているよ…………。《バイパーミラージュ》」

 

とマーモンが巨大な幻影を展開した。

 

ゴオォォォォォッ!!

 

すると、巨大な津波が出てきて、ベルゼブブに襲いかかった。

 

(これは幻覚?いや、有幻覚の可能性もあるからここはかわそう)

 

とベルゼブブは大蛇丸を天井にまで伸ばして、大蛇丸に引っ張られる形で津波をかわした。

 

ゴオォォォォォ…………

 

すると、津波は消えた。どうやら、幻覚のようだった。ベルゼブブは1度降りた。すると、周りには誰もいなかった。マーモンの幻術に隠れたようだ。すると、

 

「「「「「どう?僕の幻術空間は?」」」」」

 

複数のマーモンが現れた。

 

「「「「「本物はどれか、わかるかな?」」」」」

 

マーモンはベルゼブブに聞いた。

 

「わからないから全て蹴散らすよ」

 

そう言って大蛇丸を複数のマーモンに向かわせた。しかし、どのマーモンに攻撃しても全て幻覚だった。そして、マーモンを倒そうと大蛇丸を向かせているときだった。

 

シュンッ!!

 

「!!?」

 

ガンッ!!

 

後ろから気配がして、ベルゼブブは振り向くと《夜》の炎のショートワープで移動したバミューダと一緒に移動した風がいた。2人共に攻撃をしようとしていたので、ベルゼブブは腕をクロスして防いだ。

 

「………惜しかったね」

 

ベルゼブブがそう言うと

 

「いえ、別に構いません」

 

「そうだね。僕たちの役目は君の注意を引くことだしね」

 

と風とバミューダが言った。

 

「?」

 

ベルゼブブが疑問に思っていると

 

シューーーーッ

 

何か音がした。音がした方へ向くと

 

「!!?」

 

ベルゼブブは驚いた。そこには、リボーンがレオンをスケボーに変えて、大蛇丸の胴体を滑っていたのだ。

 

「ここからだと、大蛇丸は関係ねぇだろ?」

 

そう言ってリボーンは滑りながらベルゼブブに近づいて、近くなったところでジャンプしてレオンをスケボーから拳銃に変えた。その時にバミューダと風は離れた。

 

「《カオスショット》!!」

 

リボーンの拳銃から枝分かれする光弾が放たれた。

 

ドガンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!

 

「グッ………!!?」

 

それはベルゼブブに直撃した。しかし、それで終わるつもりが無かったのか、ベルゼブブは体を1回転させて、大蛇丸をぶつけようとした。しかし、リボーンはそれをかわした。そして、1度離れた。それと同時にマーモンの幻術も解いた。

 

「ハァッ………ハァッ………」

 

正真正銘のダメージを負ったベルゼブブは息を荒くしていた。

 

「どうだ!!このやろう!!」

 

「本当の肉体的ダメージはどう?」

 

「とっとと、降参しやがれ、コラ!!!」

 

「そんな状態では俺たちには勝てないぞ!!!」

 

とスカル、マーモン、コロネロ、ラルがそう言うと、

 

「ハァッ………ハァッ………。………確かに、このままじゃ、勝てないね………。本当にすごいよ、アルコバレーノ。《蛇大砲》は防がれるし、僕にダメージを与えるし………」

 

とベルゼブブは言った。そして………

 

「だから、()()を使うよ」

 

ベルゼブブは紫と黒が混ざった色をした匣を取り出した。

 

「なんだ、あの匣は?」

 

リボーンは疑問に思った。しかし、何か得体の知れないものを感じた。それに答えるかのようにベルゼブブは《(トゥリニセッテ)リング》に膨大な《暴食の炎》を灯した。そして、匣に注入した。注入した炎が膨大なために………

 

バキンッ!!

 

匣が割れた。匣の中身は………

 

グサッ!!

 

『!!?』

 

紫色の光となって、ベルゼブブの胸元に刺さった。そして、刺された場所から紫色の光が溢れて、ベルゼブブを包んだ。

 

「な、なんですか!!?これは!!?」

 

「わかりません………。しかし、これは…………」

 

「嫌な予感がするね………」

 

「まだ、秘策があったのか、コラ!!?」

 

「チッ!!忌々しすぎるガキだ!!」

 

「……………」

 

「さて、いったい、何が出てくるのかな?」

 

と7人はそんな感じで話していた。すると、紫色の光が広がってきた。そして、その光が治まるとそこには、上の服が破れて、身体中に鱗があり、胸元に《雲》の《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。それでも驚きだったが。一番目についたのは、角が生えていて、通常よりも一回りも二回りも大きい大蛇丸が8()()もいた。

 

「これが《天空雲(セルペ・オット)ヤマタノオロチ(・ヌーヴォラ・ディ・チェーリ)》と《羅刹開匣》した僕だよ」

 

ベルゼブブは驚くリボーンたちを見てそう言った。



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大蛇の絶対防壁

投稿が遅くなって、すみません。ネットの調子が悪くて、いつものように投稿できませんでした。今後も、投稿のペースが遅くなるかもしれませんが、どうかご了承ください。


(トゥリニセッテ)リング》の力で《羅刹開匣》したベルゼブブ。それにより、ベルゼブブの腰から8体の角が生えた大蛇丸が現れた。

 

「な、な、な、なんだありゃーーー!!!!」

 

スカルが叫んだ。他の皆も同じ気持ちだった。

 

「《羅刹開匣》?修羅開匣とは違うのか?」

 

リボーンがそう聞いた。

 

「少し違うね。これは、匣アニマルの力に加えて、リングを体に埋めることで、リングの力も100%、効率良く使えることができるんだ。今回が《(トゥリニセッテ)リング》なだけに、なおさら、強い力が得られるよ」

 

とベルゼブブが説明した。

 

「でも、このリングが強すぎるせいで匣が壊れたな~……。まぁ、いいや、どうせ使うのは今回が最後のつもりだし」

 

とベルゼブブが言った。おそらく、もうすぐ地球が滅びるから使う機会が無いという意味だろう。

 

「…………ああ、それを使うのは今回が最後だ」

 

とラルが呟いた。

 

「お前は俺たちに倒されることでな!!!」

 

そう言ってラルは飛び出した。

 

「ああ、そうだぞ、コラ!!!」

 

コロネロも一緒に飛び出した。

 

「2人とも!!?」

 

「あんなにデカイ蛇が8体もいるのに不味くないですか!!?」

 

「何も考えずに突っ込むのは愚策だよ…………」

 

風とスカルとマーモンがそう言った。

 

「でも、いくら、あの蛇が増えたって、本体が弱点なのは変わらないはずだよ」

 

バミューダがそう言った。

 

「…………………」

 

リボーンは黙っていた。

 

「グゥオォォォォォーーーー!!!!」

 

大蛇丸がコロネロとラルに襲いかかった。コロネロはファルコで空を飛び、ラルはジャンプしてかわした。その際、ラルは大蛇丸の胴体に乗った。

 

「「「「「「「グゥオォォォォォーーーー!!!!」」」」」」」

 

他の7体の大蛇丸が2人に襲いかかった。2人はそれをかわし続けた。そして、ベルゼブブを狙うタイミングを見つけたのか………

 

「《マキシマム・バースト》!!!」

 

「《サバイバルブラスト》!!!」

 

コロネロは《雨》の炎のショットを、ラルはショットガンから連続で銃撃をした。

 

ドカンッ!!!ドカンッ!!!

 

2人の攻撃はベルゼブブに直撃した。ベルゼブブ付近に粉塵が舞った。

 

「よっしゃーーー!!!」

 

「なんだ、たいしたことないじゃん」

 

スカルとマーモンがそれを見て、そう言った。

 

「…………いや、まだだ」

 

しかし、リボーンがそれを否定した。

 

「どういうことですか?」

 

「そうだよ、リボーン君。コロネロ君とラル君の攻撃はベルゼブブ君に直撃したんだよ」

 

それに風とバミューダがそう聞いた。

 

「あれを見てみろ」

 

リボーンはそう言うと、ベルゼブブの方へ指を指した。他の皆もそちらへ向くと、ちょうど、粉塵が晴れた。そこには、()1()()()()()()()()ベルゼブブが立っていた。

 

『なっ!!?』

 

リボーン以外のメンバーは驚いた。

 

「残念だけど、もう僕の体は弱点じゃないよ。《羅刹開匣》の力で僕自身にも《暴食の炎》の鱗がついたんだ。だから、僕に攻撃を当てても、大蛇丸が成長するよ」

 

とベルゼブブが説明すると

 

「「「「「「「「グゥオォォォォォーーー!!!」」」」」」」」

 

8体の大蛇丸の体が大きくなった。

 

「嘘だろーーー!!!?」

 

「ムッ。これはまずいね………」

 

スカルが叫び、マーモンがそう言った。

 

「それなら…………」

 

とバミューダがそう言うと、

 

シュンッ!!

 

ベルゼブブの背後には大蛇丸たちがいるので、正面に移動して、すぐに、

 

「心臓に直接狙えば!!」

 

ベルゼブブの左胸に向かって突きを入れた。しかし…………

 

ガキンッ!!

 

「なっ!!?」

 

突きはベルゼブブの左胸に直撃したが、《暴食の炎》が纏っていた鱗は思いのほか、固くて、鱗に阻まれて、心臓に当てることはできなかった。

 

「グゥオォォォォォーーー!!!」

 

すると、バミューダの攻撃でさらにパワーアップした1体の大蛇丸がバミューダを狙って襲い掛かってきた。それと同時に、他の2体の大蛇丸がコロネロとラルを狙って襲い掛かってきた。

 

「「くっ………!!?」」

 

「…………………」

 

3人はそれをかわして、一旦離れた。

 

「逃がさないよ。大蛇丸」

 

ベルゼブブがそう言うと、大蛇丸たちは全員、口を開いて《暴食の炎》を収束し始めた。

 

「先程の技ですか!!?」

 

「そうだよ。でも、さっきよりも威力があるし、8体いるから、8倍だよ」

 

風の言葉にベルゼブブが肯定して、補足説明をした。そして、8体の大蛇丸たちが炎を収束し終えた。

 

「行け。《八連大蛇大砲》」

 

ベルゼブブの言葉に8体の大蛇丸たちが口から炎を放った。

 

「「「「「「「「グゥオォォォォォーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

 

8本の極太の炎がリボーンたちに襲いかかった。

 

「おい、どうするんだ、コラ!!!?」

 

「これは、いくら俺様でも無理!!!?」

 

「くっ………!!!?」

 

「バイパー、ヴェルデの装置を持っているだろ?それを使って何とかしろ」

 

コロネロたちがいろいろ言っているとリボーンがマーモンにそう言った。

 

「えっ!!?いくら何でも…………わかった」

 

マーモンは何かを察したのか、ヴェルデの装置を使って実態を持つ巨大な鋼鉄の壁を作り出した。

 

ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!

 

炎が鋼鉄の壁に直撃した。何とか防いでいると思われた。しかし…………

 

ビキッ……ビキッ……ビキッ……

 

炎の方が威力が高いのか、鋼鉄の壁にヒビが入り始めた。そして………

 

ドカンッ!!!

 

壁を破った。

 

ドカーーーーンッ!!!

 

その後、爆発が起きた。大蛇丸たちが最初のサイズに戻っていく途中、

 

「……………なるほどね。今の壁は全員が避けるための時間稼ぎだったってわけか」

 

と大蛇丸たちが縮んでいく際にできた隙間からベルゼブブは鋼鉄の壁から離れたところにいたリボーンたちを見てそう言った。ベルゼブブの言うとおりだった。マーモンの作った鋼鉄の壁で炎を防いでいる間にバミューダの《夜》の炎で全員、場所を移動してかわしたのだ。

 

「でも、それじゃあ、僕には勝てないよ。君たち、攻撃手段も失っただろうしね」

 

『くっ…………』

 

ベルゼブブに言われて、元アルコバレーノの皆は困ってしまった。ベルゼブブ自身に当てても、ダメージが与えることができず、それどころか、大蛇丸たちをパワーアップさせてしまうからだ。

 

「でも、ダメージや傷が無いとは言っても、攻撃をくらうと痛いんだよね…………。だから、それを防ぐために……………。大蛇丸、《大蛇の絶対防壁(ブリンダ・アッソルート・セルペントーネ)》だよ」

 

「「「「「「「「グゥオォォォォォーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

 

ベルゼブブがそう言うと、8体の大蛇丸たちはベルゼブブを取り囲むかのようにとぐろを巻き始めた。

 

「いったい、なにをする気だ?」

 

リボーンがそう呟いた。それに答えるかのように大蛇丸たちはとぐろを巻き続けた。そして、ベルゼブブを守るかのように大蛇丸たちによるドーム状の壁ができた。

 

「どう?これが《大蛇の絶対防壁(ブリンダ・アッソルート・セルペントーネ)》だよ」

 

ベルゼブブが大蛇丸の胴体の隙間からリボーンたちを見ながら、そう言った。

 

「《暴食の炎》を纏っている大蛇丸たちの鱗の壁。ただでさえ僕への攻撃手段が無いのに、この壁でどんな攻撃も効かないよ」

 

とベルゼブブが言った。

 

「そんなもん、その隙間から狙えばいいだけだ、コラ!!!」

 

バンッ!!!

 

とコロネロは言って、狙撃をした。しかし……………

 

バシッ!!

 

大蛇丸の胴体がその隙間を防いだ。

 

「僕がそんなヘマすると思った?」

 

「くっ……………!!!」

 

壁の中から聞こえるベルゼブブの言葉にコロネロは悔しそうに顔を歪めた。

 

「そんな壁、僕には関係無いよ」

 

シュンッ!!

 

バミューダがそう言って、《夜》の炎のショートワープで壁の中に入った。確かに《夜》の炎には壁など無意味かもしれない。そして、バミューダはそのままベルゼブブに攻撃をしようとした。

 

「まぁ、そう来ると思ったよ」

 

しかし、ベルゼブブはとくに驚かずにバミューダに対抗した。

 

バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!

 

2人はそれぞれ、ぶつかり合った。しかし、壁の中は思ったよりも狭くて、バミューダは思うように動けなかった。しかも、大蛇丸たちがどんどん、壁の中を狭めていくため、余計に動きにくくなっていた。

 

「くっ…………」

 

シュンッ!!

 

バミューダはこのままではまずいと思い、一度、壁の外に出た。

 

「クソッ!!」

 

「オメーでも、だめか…………」

 

バミューダの呟きにリボーンがそう言った。

 

「君たちがどんなにがんばっても、僕には勝てないよ」

 

ベルゼブブが壁の中からそう言った。

 

「クソッ…………!!!」

 

「このクソガキが…………!!!」

 

コロネロとラルが顔をしかめて、ベルゼブブに向かってそう言った。しかし、ベルゼブブは2人の言葉を聞いて無視したのか、聞こえなかったのか、返答は無く、こう言った。

 

「でも、僕もお腹が空いたから、早く終わらせたいな~。まぁ、そういうわけで、攻めさせてもらうよ」

 

「「「「「「「「グゥオォォォォォーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

 

ベルゼブブがそう言うと大蛇丸たちをリボーンたちに攻めさせた。

 

「ど、ど、ど、どうするんだよーーーーーーー!!!?」

 

「どうするって……………」

 

「かわしていくしかありませんね……………」

 

スカルとマーモンと風がそう言った。

 

「かわすだけでは、あいつには勝てないぞ!!!」

 

「そうだぞ、コラ!!!」

 

それをラルとコロネロが反論した。

 

「それなら、オメーは攻撃する方法があるって言うのか?」

 

「ぐっ…………!!!それは…………」

 

「…………無いぞ、コラ…………」

 

リボーンにそう言われて、ラルとコロネロは言葉が詰まった。

 

「あぁ、そうだ、ねぇぞ。だから、あいつの攻撃をかわしてかわして、弱点を見つけるんだぞ」

 

「くっ……………。わかった…………」

 

「わかったぜ、コラ……………」

 

リボーンの言葉にラルとコロネロは同意した。

 

リボーンたち、元アルコバレーノは《羅刹開匣》したベルゼブブの弱点を見つけるために8体の大蛇丸たちから逃げることにした。



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アルコバレーノの底力

《羅刹開匣》したベルゼブブの8体の大蛇丸たちの猛攻をかわし続けるリボーンたち元アルコバレーノ。マーモンの幻術で防いでいるが、こちらが不利なことに変わりはない。ただでさえ、《暴食の炎》で攻撃が通じないのに《大蛇の絶対防壁(ブリンダ・アッソルート・セルペントーネ)》でベルゼブブをしっかりと守っているのだ。バミューダが《夜》の炎で壁の中に入っても、ベルゼブブの戦闘能力と壁の狭さにより、攻めあぐねるのだ。

 

「ギャーーーーッ!!!!来るなーーーー!!!!」

 

スカルが迫ってくる大蛇丸に追いかけられながら、そう叫んだ。

 

「厄介すぎるよ、これ……………」

 

マーモンが幻術の分身を作って逃げながらそう言った。しかし、その分身もすぐに大蛇丸に撃破される。

 

「何か方法はないのでしょうか?」

 

風がそう言った。大蛇丸たちに攻撃を与えると、大きくなり、スピードも上がるので、不用意に攻撃ができないでいた。

 

「あのガキめ!!ずっと、そこに居座るつもりか!!?」

 

「だとしたら、本体に攻撃できないじゃねぇか、コラ!!!」

 

ラルが壁の中にいるベルゼブブを見て、そう言った。

 

「けど、本体に攻撃できたとしても彼には通じないよ……」

 

バミューダが冷静にそう答えた。そう、ベルゼブブ自身にも《暴食の炎》の鱗が纏っているために攻撃できたとしても、ダメージは与えられず、大蛇丸たちをパワーアップさせてしまう。

 

「じゃあ、どうすればいいんだ、コラ!!!」

 

「それを今考えているんだよ。全く…………、下手すればチェッカーフェイスよりも面倒だよ………」

 

コロネロの言葉にバミューダがそう言った。そして、ため息をつきながら、そう呟いた。

 

「…………………」

 

リボーンは黙ってかわし続けながら何かを考えていた。

 

「もう、ずっとかわされていたら、いつまでたっても終わらないじゃないか」

 

ベルゼブブが壁の中からそう言った。

 

「うるせーーーー!!!!ってか、なんで、俺たちの状況を知っているんだ!!!?」

 

スカルが壁の中にいるはずなのにこちらの状況を知っているベルゼブブに叫びながらそう聞いた。

 

「だって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もん」

 

『!!!?』

 

ベルゼブブの言葉に元アルコバレーノの皆は驚いた。つまり、ベルゼブブは大蛇丸たちの16個の目で、ずっとリボーンたちの行動を見ていたことになる。それは同時にベルゼブブには死角がないことになる。

 

「そんなことよりも、僕は早く地球が滅ぶ前の最後のご飯を食べたいんだけど~」

 

ベルゼブブがリボーンたちに向かってそう言った。

 

「ふざけんな、コラ!!!!」

 

「そうですね、あなたがたに地球を滅ぼさせませんよ」

 

コロネロと風がそう言った。他の皆も口には出さなかったが、同じ気持ちだった。

 

「フーン。…………まぁ、いいよ。君たちがなにを言おうが関係無いよ。この技で終わらせるだけだから。大蛇丸」

 

ベルゼブブがそう言うと……………

 

ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!

 

大蛇丸たちの鱗に纏っていた《暴食の炎》が激しく燃え始めたのだ。

 

「《八連大蛇特攻》」

 

「「「「「「「「ぐぅおぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」」」」」」」」

 

ベルゼブブがそう言うと大蛇丸たちは激しく燃えている《暴食の炎》を纏って、リボーンたちに今までよりも速く突撃し始めた。

 

「んなーーーー!!!?」

 

「ちょっと、どうするの、これ!!!?さっきの僕の幻術もすぐに壊れるよ!!!!」

 

「僕の《夜》の炎で全員移動する暇もないよ……………」

 

「くっ…………、こんなガキに2度も……………」

 

とスカル、マーモン、バミューダ、ラルがそう言った。全員が技を受ける覚悟をすると…………

 

「《エレットリコサンダー》!!!」

 

ビリリッ!!!

 

「「「「「「「「ぐぅおぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!?」」」」」」」」

 

「ぐっ…………!!!?」

 

突如、緑色の電撃がベルゼブブと大蛇丸たちに襲いかかった。その急な電撃により、大蛇丸たちの攻撃は止まった。

 

「今の技は…………?」

 

リボーンがそう呟くと皆は入口のほうを見た。

 

「あれは…………!!!?」

 

「モスカ!!!?」

 

「虹の代理戦争で見たのと似ているね…………」

 

ラル、マーモン、バミューダがそう言った。入口には虹の代理戦争で使われた《G(グリーン)モスカ》に似ている機体があった。すると、モスカににた機体は腕を上げて……………

 

プシューーーーー

 

腕から煙を出した。

 

「!!?煙幕か!!?」

 

ベルゼブブがそう言った。煙は一瞬でその空間を包んだ。

 

「こんなもの………、大蛇丸!!」

 

ベルゼブブはそう言うと、大蛇丸たちは大きく息を吸い込み吐き出して煙を入口のほうに吹き飛ばした。煙が晴れるとそこには……………

 

「なっ!!!?」

 

リボーンたちもモスカもいなかった。ベルゼブブは驚いた。

 

「どこに行ったの?」

 

入口から出て行ったとは考えにくいため、必ずどこかにいるはずだった。ベルゼブブは大蛇丸たちを使って探し始めた。

 

 

 

 

ベルゼブブが大蛇丸たちを使って探している頃…………

 

「ぜぇ、ぜぇ、もう大丈夫なのか…………?」

 

「えぇ、ベルゼブブは私たちに気づいていません」

 

スカルと風がそう言った。リボーンたちは今、ベルゼブブの頭上にいる。煙幕が広がっている間にマーモンが幻術で足場を作り、そこに移動したのだ。

 

「さて………、いい加減、出てきたらどうだ。()()()()

 

リボーンがモスカのほうに向きながら言った。すると、モスカのハッチが開いた。

 

「フン!ずいぶんと偉そうだな、リボーン。私のおかげで命拾いしたのにもかかわらずな…………」

 

中からヴェルデが出てきた。

 

『!!!?』

 

ヴェルデの姿に全員が驚いた。ヴェルデは赤ん坊の姿ではなく、呪われる前の大人の姿だった。

 

「なんで、お前、元の姿に戻っているんだ!!!?」

 

「そうだよ!!!!どうしてなんだよ!!!?」

 

スカルとマーモンが叫んだ。

 

「声がでかい!ベルゼブブに場所がばれる!それで、その質問の答えだが、これを使ったのさ」

 

そう言って、ヴェルデが取り出したのは、《雷》のおしゃぶりの形をした注射器だった。

 

「なんだ、それは?」

 

「これは、エンヴィーの《嫉妬の炎》が込められている注射器だ」

 

「エンヴィーの《嫉妬の炎》をですか?」

 

リボーンの疑問にヴェルデが答えて、それに、風がさらに聞いた。

 

「フン!私もただでは連れて行かれたわけではない。私は研究所にエンヴィーの《嫉妬の炎》のデータを残していたのだ。それを解析して、私たちの体が15分だけだが戻れる発明品を作ったのだ。しかも、この状態でもう一度胸元を刺すと、赤ん坊の状態に戻って、温存ができる」

 

そう言って、ヴェルデは自分の胸元に注射器を刺すと赤ん坊の状態に戻った。

 

「これが、この発明品の特徴だ。ほら、お前らの分もあるぞ」

 

そう言って、ヴェルデは赤、青、紫、黄、藍、透明のおしゃぶり型の注射器を取り出した。

 

「これは、これは……」

 

「すげーぞ、コラ!!」

 

「よっしゃーーー!!!これで、戻れるぞーーーー!!!!」

 

「15分だけってヴェルデが言っていただろうが、パシリ!!それとうるせーー!!」

 

「あでっ!!!?」

 

「でも、使えるね………」

 

「僕の分も用意してくれたんだ」

 

皆がそれぞれ、そう言った。スカルはリボーンに蹴られたが………。

 

「お前たちにあらかじめ渡していた通信機で状況は知っていた。だから、このおしゃぶり型の注射器といくつかの入江たちとともに改良した機械をいくつか、匣に入れて持って、この改良した《G(グリーン)モスカ・改》で救援に来たというわけだ。この《G(グリーン)モスカ・改》は私の《エレットリコサンダー》を使えるようにしたんだ。(トゥリニセッテ)の力が失っているからおしゃぶりの力も落ちているがな…………」

 

とヴェルデは説明した。あの後、(トゥリニセッテ)の力を失ったおしゃぶりはひとまず、リボーンたちが持っているのだ。《雨》のおしゃぶりはコロネロが持っている。コロネロは最初、ラルに任せようとしたが、ラルが「正式なアルコバレーノはお前だ」と言って、コロネロに任せたのだ。

 

「フム…………。ヴェルデ、いったいなにを持ってきたのだ?」

 

「あぁ、それは――――――」

 

リボーンの疑問にヴェルデは答えた。それを聞いてリボーンはニヤリと笑った。

 

「あいつを倒す作戦をおもいついたぞ」

 

リボーンの言葉に周りの皆が驚いた。

 

「本当ですか!?」

 

「さすがだね、リボーン君」

 

「いったい、どんな作戦なんだ?」

 

「それは――――――」

 

ラルの言葉にリボーンが作戦を説明した。

 

「―――――というわけだ。」

 

「なるほど。………ですが、うまくいくのですか?」

 

「確かに、そこも効かない可能性があるよ」

 

「あぁ、それはわかっている。だが、他に手が無いのも事実だ」

 

風とマーモンの言葉にリボーンがそう言った。それに皆は黙った。リボーンの言うとおりだったからだ。皆が早速、作戦を実行しようとすると…………

 

「ラルにコロネロ、お前らは出るな」

 

リボーンが2人にそう言った。

 

「なっ!!!?リボーン、どういうことだ!!!?」

 

「そうだぞ!!!なんで、俺たちが出たらだめなんだ、コラ!!!!」

 

ラルとコロネロは当然、納得ができず反論した。それに、リボーンは淡々と答えた。

 

「今のオメーらだと足手まといだからだ」

 

「「なっ!!!?」」

 

リボーンの言葉にラルとコロネロが絶句した。周りの皆は戸惑う者もいれば、黙って見ている者もいた。

 

「今のオメーらは、冷静さに欠けている。さっきから、オメーらは考えもなしに無鉄砲にあいつに突っ込んでいる。そんな状態じゃ、はっきり言って邪魔だ。スカルでさえ、あいつの技を受け止めて、役に立っているんだぞ。まぁ、オメーらが何でそんなに冷静さを失っているのかは予想はついているが…………。今、オメーらは何のために戦っているんだ?」

 

「何のためにだと…………」

 

「そりゃあ…………」

 

リボーンの質問にラルとコロネロは答えようとしたが、答えることができなかった。それを見てリボーンが言った。

 

「それじゃ、だめだな。オメーら、行くぞ!!」

 

そう言ってリボーンは飛び降りた。他のメンバーも戸惑ったがリボーンに続いた。ヴェルデはひとまず、モスカに乗って降りた。降りるだけなら、赤ん坊の状態でも操作はできるみたいだ。

 

「「…………………」」

 

その場にはラルとコロネロが残った。2人は黙って、リボーンたちのあとを見続けた。

 

 

 

 

ベルゼブブが探しているとリボーンたちが上から降ってきた。

 

「ふ~ん。そんなところにいたんだ。どうりで探しても見つからなかったわけだよ。あれ?ヴェルデが来たのは知っているけど、ラル・ミルチとコロネロは?」

 

ベルゼブブは当然の質問をした。それにリボーンが答えた。

 

「フン!あいつらは来ないぞ。その必要が無いからな」

 

「ふ~ん。そうなんだ。…………でも、本当のところは戦力外通告したんじゃないの?」

 

とベルゼブブは真実を言い当てた。何人かは顔を歪めたが、リボーンはポーカーフェイスを続けて言った。

 

「どうなんだろな?まぁ、それはおいといて、さっきまでの俺たちだと思うなよ。いくぞ、オメーら!!」

 

リボーンがそう言うとリボーンたち6人はおしゃぶり型の注射器を持った。

 

「?」

 

ベルゼブブはそれが何かわからなかった。そして、6人はそれを胸元に刺した。

 

「「「「「「プレゼント・プリーズ!!!」」」」」」

 

虹の代理戦争で言った言葉を言うと、リボーンたちの体は成長し始めた。そして………

 

「よっしゃーーー!!!やっぱり、元の体はいいぜーーーー!!!!」

 

「はしゃぎすぎですよ、スカル」

 

「でも、確かに元の体はいいよ」

 

「フン!!どうかね、私の発明品は?」

 

「まさか、また、この体に戻れるとはね…………」

 

「CHAOSだな」

 

6人が大人の姿になった。バミューダは包帯とローブが外れていた。

 

「これは、驚いたよ!!」

 

ベルゼブブは純粋に驚いていた。こういうときは年相応だった。

 

「驚くのはまだ早えぞ!!」

 

そう言うとスカルが匣を取り出して、開匣した。中から出てきたのは……………

 

「……………バイク?」

 

そう、ベルゼブブの言うとおり、バイクだった。しかし、ただのバイクではなかった。10年後の未来でツナたちがチョイスで使われたレーサーバイクだった。しかも、メカニックたちがいろいろと改造して、馬力もスピードも上がっている。元スタントマンだったスカルなら、十分に使いこなせるだろう。

 

「確かに、いろいろと驚かされたけど…………。それで、なにが変わるの?」

 

ベルゼブブがそう言うと…………

 

「フン!!すぐにわかるさ。オメーら、行くぞ!!」

 

リボーンがそう言うと、6人は散開した。ベルゼブブはまた逃げるのかと思ったが…………

 

バーン!!バーン!!

 

リボーンが大蛇丸に発砲したのだ。リボーンだけではない。他のメンバーも大蛇丸たちに攻撃を始めたのだ。ちなみに、スカルはバイクに搭載されていたガトリングガンで攻撃をしている。

 

「!!!?」

 

ベルゼブブは驚いて理解ができなかった。大蛇丸たちに攻撃をしても、ダメージは効かず、大蛇丸たちをパワーアップさせてしまう。それにも関わらず、リボーンたちは攻撃を続けた。

 

「は~~~っ…………」

 

風は《爆煉疾風拳》の構えをとった。

 

「《爆龍炎舞》!!」

 

風は《爆煉疾風拳》の技の一つで、巨大な龍のような演出が見られて、複数の大蛇丸たちに威力の高い攻撃を与えた。しかし、やはりダメージは与えられず、攻撃を受けた分、パワーアップした。

 

「《濃緑色(エメラルド)メーザー》!!」

 

次にヴェルデがモスカから、緑色のメーザーを放った。それは、大蛇丸たちに直撃したが、やはり変わらなかった。

 

「なにを考えているのかわからないけど、君たちからもらった力を使わせてもらうよ」

 

ベルゼブブがそう言うと、大蛇丸たちの口に《暴食の炎》を収束させた。

 

「《八連大蛇大砲》」

 

大蛇丸たちの口から収束させた炎を吐き出した。

 

「!!!かわせ、オメーら!!!!」

 

リボーンの言葉に6人はそれぞれの方法でかわした。大蛇丸たちは炎を吐き出したことで元のサイズに戻ろうとしていた。それにより、隙間からベルゼブブが見えた。

 

「今だ!!《カオスショット》!!!」

 

リボーンは拳銃から光弾を放った。目指すはベルゼブブの胸元、《雲》の《(トゥリニセッテ)リング》だった。

 

「!!!?」

 

ベルゼブブはリボーンたちの狙いを察した。リボーンたちの狙いはこうだった。敢えて、大蛇丸たちに攻撃することで大蛇丸たちの胴体は太くなる。そして、大蛇丸たちが《八連大蛇大砲》を放つことで、大蛇丸たちの胴体は元のサイズに戻ろうと細くなる。その際に、隙間ができてベルゼブブが見える。そのときにベルゼブブの《(トゥリニセッテ)リング》を壊すことだった。そこが、唯一、《暴食の炎》が纏っている鱗とは関係無い場所だったからだ。

 

そして、リボーンの光弾が《(トゥリニセッテ)リング》に当たる、誰もがそう思った。しかし……………

 

ドガン!!

 

『!!!??』

 

リボーンの光弾が先程のベルゼブブの攻撃ではじけ飛んだ瓦礫に防がれたのだ。これには、リボーンたちも、ベルゼブブも驚いた。誰も予想ができなかったからだ。

 

「…………!!大蛇丸!!!」

 

ベルゼブブは急いで、大蛇丸たちに命令して自分を取り囲んだ。

 

「君たちの狙いがわかったよ。でも、もう同じ手はくらわないよ」

 

ベルゼブブがそう言った。

 

「クソッ…………!!」

 

「まさか、あのタイミングで瓦礫が飛んでくるとはね…………」

 

「これは、私も計算ができなかったよ…………」

 

「運が悪いですね……………」

 

「それに、ベルゼブブ君に作戦がばれたよ。彼、《(トゥリニセッテ)リング》を必死に守るよ…………」

 

スカル、マーモン、ヴェルデ、風、バミューダがそれぞれ、そう言った。

 

「フン!!確かに、あそこで瓦礫が飛んできたのは予想外だったが……………攻め続けるぞ!!地球を滅ぼさせないためにもな!!!」

 

そう言って、リボーンは再び攻め始めた。他の皆もこのままでは終われないと攻め始めた。

 

「無駄なことを…………」

 

ベルゼブブがそう呟いた。

 

「はーーー!!!」

 

バミューダがベルゼブブと大蛇丸たちの周りにいくつもの《夜》の炎のワープホールを作った。バミューダはそのワープホールを連続で通った。そして、バミューダは光速の速さとなった。

 

「これでも、くらえ!!!」

 

バミューダは光速の速さで《夜》の炎で真上から大蛇丸たちに強烈な一撃をぶつけた。そして、やはり攻撃を吸収した。

 

「………わかっていたけど、致死率100%の奥義を防がれるとはね…………」

 

バミューダはそう呟き、すぐに次の行動へと移した。

 

「《七属性固形砲弾》!!!」

 

ヴェルデはモスカからミサイルを放った。それは、大蛇丸たちに当たり、大蛇丸たちはそれを吸収して、パワーアップした。そのような状況がしばらく、続いた。

 

「同じ手は通じないよ。君たちの体力がきれるまでこのままで行かせてもらうよ」

 

ベルゼブブがそう言うと…………

 

コキン

 

その場にいた全員にそのような音が聞こえた。すると…………

 

「うわあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!?」

 

ベルゼブブの体に無数の傷ができて、血が噴き出した。

 

「………いったい、………何が………」

 

ベルゼブブは息を荒くして、言った。

 

「《バイパー・ミラージュ・R》。僕の奥義だよ」

 

マーモンがそう言った。《バイパー・ミラージュ・R》、相手に特定の音を聞かせることで脳にルールを与える奥義。これを破ると、その人物は肉体的ダメージを負ってしまう。

 

「特別にルールを教えるよ。『攻撃が当てられたと思ったら、自爆する』だよ」

 

「なっ………!!!?」

 

マーモンの言葉にベルゼブブは驚いた。

 

「いくら、物理的ダメージが通らないからって、幻術によるダメージは別みたいだね。このルールだと、今の君はその蛇たちのデカさのせいでかっこうの的だからね」

 

マーモンの言うとおりだった。ベルゼブブは思った。このまま長引かせたら、自分がやられると

 

「それなら、すぐに終わらせる!!!!大蛇丸!!!!」

 

ベルゼブブは大蛇丸たちを地中に潜らせた。そして………

 

ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!ドバッ!!

 

リボーンたちの行く手を塞ぐかのように飛び出した。

 

「オワッ!!?」

 

スカルは驚いて、叫んだ。他の皆も似たような感じだった。

 

「今だ!!!《八連大蛇大砲》!!!!」

 

ベルゼブブはすぐに大蛇丸に口に収束させていた《暴食の炎》を吐き出した。

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

それは、リボーンたちに直撃した。そして、粉塵が舞った。

 

「よし!!!」

 

ベルゼブブはすぐに大蛇丸たちを自分を守るように周囲を固めた。その際、ベルゼブブの頭上は覆われなくなったが、ベルゼブブは気にせず喜んだ。しばらくすると、粉塵が晴れて、ベルゼブブは大蛇丸たちを通して、リボーンたちの亡骸を見ようとしたが…………

 

「なっ………!!!?」

 

ベルゼブブは驚いた。なぜなら………

 

「人形………!!!?」

 

リボーンたち6人は全員、虹の代理戦争で使われた人形だったからだ。どうやら、いつの間にか、全員、入れ替わっていたみたいだ。

 

「ふん!!どんなに強くても、まだまだガキだな。勝負を急ぎすぎたからな」

 

と別の場所にいた本物のリボーンがそう言った。すると………

 

ボコッ、ボコッ

 

ベルゼブブの足元から地面が盛り上がった。

 

「足元、気をつけろよ?《CHAOS SHOT》!!!」

 

リボーンがそう言うと、ベルゼブブの足元の地面から2発の弾丸が飛び出してきた。目指すはベルゼブブの胸元にある《(トゥリニセッテ)リング》だった。

 

「ぐっ!!!??」

 

ベルゼブブは驚異の反射神経で上体を後ろに反らしてかわした。

 

「惜しかったね、もう少しだったのにね」

 

ベルゼブブはリボーンに向かってそう言った。しかし、リボーンは

 

「ふん!!別に構わねえさ。最後の締めは()()()()に譲るさ」

 

と言った。

 

「あいつら?…………まさか!!!?」

 

ベルゼブブはリボーンの言葉に疑問を持ったが何かを察して、上のほうを向いた。そこには………

 

いつの間にか、大人の姿になっていたコロネロとラルがヴェルデたちの改造で強化されたライフルを持って、ベルゼブブを狙っていた。

 

 

 

 

遡ること、数分前

 

リボーンに残れと言われて、ラルとコロネロは残っていた。2人は悔しかった。確かに、自分たちが足を引っ張っていた。だからって、ここで一緒に戦えることができないことにリボーンたちを見ながら無力感を感じた。

 

そして、リボーンの『なんのために戦っているのか』その言葉がずっと、頭の中に反芻していた。

 

リボーンたちのほうでは、リボーンの放った技が飛んできた瓦礫によって、防がれて、失敗したところだった。2人もそれを見て慌てた。でも、2人は何ができるかわからなかった。

 

「フン!!確かに、あそこで瓦礫が飛んできたのは予想外だったが……………攻め続けるぞ!!()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

リボーンがベルゼブブに向かって言った言葉、それが2人の目を覚ました。そうだ、自分たちは地球を滅ぼさせないために戦っていたのだ。それなのに、自分たちは『コロネロを侮辱したことが許せない』、『次は必ず自分が倒す』と自分勝手な理由で戦っていたのだ。もちろん、それがけっして悪いことというわけではない。しかし、それによって、2人は冷静さを失っていたのだ。ツナも死ぬ前に言ったではないか………

 

『皆で地球の滅亡を防いで』

 

と。

 

「………何をしているのだろうな、俺たちは………」

 

「……そうだな、コラ…………」

 

2人はそう言って、先程までの自分たちの行動を反省した。そして、2人は決意した。

 

「俺たちも地球を滅ぼさせないためにやるぞ、コロネロ!!!」

 

「ああ!!!わかったぜ、コラ!!!」

 

そのあと、コロネロは大人の姿になり、2人はベルゼブブに注意を向けられていないために、ヴェルデたちが改造したライフルを持って、狙撃のチャンスを伺った。

 

 

 

 

そして、今に戻る。

 

「くっ!!!?」

 

ベルゼブブはラルとコロネロに気づいて、急いで防御しようとしたが………

 

「遅いぜ、コラ!!!《マキシマムストライクライフル》!!!!」

 

「くらいやがれ!!!《サバイバルライフル》!!!!」

 

コロネロとラルはそれぞれ、ライフルから極細の《雨》の炎を放った。ベルゼブブは防御に間に合わず、それは………

 

ドガンッ!!!ドガンッ!!!

 

《雲》の《(トゥリニセッテ)リング》に当たり、

 

バキンッ!!!

 

割れた。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!??」

 

ベルゼブブはマーモンのつけたルールもあり、ダメージをくらい、元の姿に戻った。大蛇丸も1体に戻った。

 

スタッ………

 

「!!!??」

 

ベルゼブブの目の前にラルが飛び降りた。ラルは拳を構えていた。

 

「…………ベルゼブブ。最後にコロネロを侮辱した分だ!!!!」

 

そう言って、ラルはベルゼブブに向かって殴った。

 

ドガッ!!!

 

「グフッ!!!?」

 

頬を殴られたベルゼブブは吹っ飛ばされて、そのまま気を失った。大蛇丸もピクリと動かなくなった。

 

 

 

 

ベルゼブブを倒したあと、リボーンたちは赤ん坊の姿に戻った。

 

「よっしゃあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「何とか勝てたね」

 

「これも、残り時間5分を残すことができましたね」

 

「やったな、ラル、コラ!!」

 

「あぁ、そうだな」

 

「ふん。これは、なかなか、いいデータが取れたな」

 

コロネロたちはそれぞれ、喜んだ。

 

「リボーン君、君はわかっていたのかい?ラル君とコロネロ君があそこで動くことを」

 

バミューダがリボーンに聞いた。

 

「ふん。どうだろうな?」

 

リボーンはそれを素っ気なく返した。

 

 

 

 

アルコバレーノVS雲の大罪

 

勝者、アルコバレーノ

 

残る《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》、1人




リボーンの技はカタカナかアルファベットで違います。

《カオスショット》:アニメで出てきた技。

《CHAOS SHOT》:漫画で出てきた技。


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大空の大罪

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の6人を倒して、残り1人なった。最後にロヴィーノ教団のシンボルが描かれていた扉の先を見てみよう。

 

 

 

 

ロヴィーノ教団のシンボルが描かれていた扉、そこを潜ったのは、獄寺、山本、了平、ランボ、雲雀、骸、クロームのツナの守護者7人だった。7人は扉の先の長い洞窟を通っていた。ちなみに雲雀は群れるのが嫌か、他の6人よりも少し先を走っていた。ランボは了平が抱えて走っていた。

 

「う~~~む………」

 

その了平は何かを考えていた。

 

「おい、芝生。テメー、何さっきから悩んでいやがんだ?」

 

それを見て、獄寺は了平に聞いた。

 

「いや、極限に何か大事なことを忘れている気がするんだが…………」

 

「あ!先輩もっすか!?俺も何か大事なことを忘れている気がするんす」

 

了平の言葉に山本が同意した。

 

「大事なことって、こんな時に忘れ物したのか?」

 

獄寺は2人を呆れた目で見た。

 

「いや、物じゃないと思うのな………」

 

と山本が言った。

 

「まぁ、なんでもいいが、そんなもんはあとにしろ」

 

「あぁ」

 

「うむ」

 

獄寺に言われて、山本と了平はとりあえず1度保留にすることにした。

 

「長いトンネルだもんね~~~」

 

了平に運ばれていたランボがそう言った。

 

「ったく。呑気なやつだぜ………。しかも、これから、戦う相手はあいつだって言うのによ………」

 

獄寺がそんなランボを見て、そう呟いた。

 

「あ、あそこ」

 

すると、クロームが前のほうを指で指した。そこには、光っている場所があった。出口が近い証拠だ。

 

「…………」

 

「クフフ、いよいよですか」

 

雲雀は黙って、骸がそう言って出口のほうを見た。

 

「よし、テメーら、気を引き締めろよ!!!」

 

獄寺が鼓舞するためにそう言うと、

 

「んおーーーーー!!!!」

 

了平が叫んだ。それにより、雲雀や骸も含めた全員が止まって、了平のほうを見た。

 

「なんだよ、芝生、うるせーぞ!!!」

 

獄寺が了平にそう言うと、

 

「うむ!!極限に思い出したぞ!!俺たち、円陣を組んでいないではないか!!!」

 

「あー!!!そう言えば、そうっすね!!!」

 

了平がそう言って、山本も同意した。

 

「大事なことって、それかよ!!?」

 

獄寺がうんざりとした様子で叫んだ。

 

「これが無くては気が引き締まらないではないか!!!」

 

「そうそう。さっさっ、時間が無いから早くしようぜ♪」

 

「俺っちもやるもんねー!!!」

 

と了平、山本、ランボがそう言った。

 

「テメーらな………」

 

獄寺が止めようとすると………

 

「………私もやる……」

 

クロームが言った。

 

「なっ!!?」

 

「おう、いいぜ♪」

 

「うむ、クロームもこっちに来るがいい」

 

「うん……」

 

とクロームが円陣に加わろうとした。

 

「ちょっと待て!!クローム!!?テメー、そういう柄じゃねぇだろ!!!」

 

獄寺がクロームにそう言った。

 

「うん……。……でも、私も気を引き締めたい。ボスの想いに答えるために………」

 

「うっ………!!………チッ、わかったぜ……俺もやってやるぜ!!!10代目の想いに答えるためにな!!!」

 

クロームに言われて獄寺も参加することになった。

 

「ハハッ♪あっ、お前らはそこにいたら、一緒に入っていることになるから、大丈夫なのな♪」

 

山本は雲雀と骸にそう言った。

 

「いったい何をする気ですか、彼らは?それに、クロームまで………」

 

「…………知らないよ」

 

何も知らない骸とリング争奪戦で見たことある雲雀がそう言った。そして、5人は円陣を組んでいた。

 

「よし!!!いくぞ!!!!ボンゴレ~、ファイト!!!!」

 

「「「「オーーーーッ!!!!」」」」

 

了平の掛け声で4人が叫んだ。

 

「ハハッ♪やっぱり、これがないと、しっくり来ないっすね♪」

 

「うむ!!極限に気が引き締まったぞ!!!!」

 

「ガハハッー!!!」

 

山本、了平、ランボは機嫌が良くなったが………

 

「………やっぱり、萎えるぜ…………」

 

「……………////」

 

「恥ずかしがるなら、参加するなよ…………」

 

獄寺はうんざりしていて、クロームは顔を赤くしていた。

 

「何やっているんだ、お前ら?」

 

『!!!?』

 

すると、出口のほうから声が聞こえて、獄寺たち7人はそっちのほうへ向くと、そこには…………

 

『ルシフェル!!!?』

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》、《大空の大罪》、ルシフェルがいた。ルシフェルの右手の中指には先程の扉があった空間での映像で見た、《大空》の《(トゥリニセッテ)リング》を嵌めていた。

 

「よっ!!俺のところにはお前らが来たのか」

 

ルシフェルが片手を上げて、挨拶をしながらそう言った。

 

「テメー、そんなところで何してやがんだ!!?」

 

獄寺がルシフェルにそう聞いた。

 

「いや、それはこっちのセリフなんだが………。この先で、お前らを待ってて、気配が近づいてきたって思ったら、お前らが急に立ち止まって、こっちに全然、来なかったから、気になって様子を見に来たんだよ」

 

とルシフェルが答えて、

 

「で、もう一度聞くが何をやっていたんだ?」

 

先程の質問をもう一度聞いた。それを………

 

「極限に気を引き締めていたのだ!!!!」

 

「ああ、そうなのな!!!お前らを倒して、地球を滅亡させるのを阻止するためにな!!!!」

 

了平と山本が答えた。

 

「へ~~。それが、地球流の気の引き締め方なのか?」

 

ルシフェルがそう聞くと………

 

「「そうだ!!!」」

 

「違う!!!」

 

同時に了平と山本が肯定、獄寺が否定して言った。

 

「いや、どっちだよ………」

 

ルシフェルが呆れていると………

 

「ねぇ………」

 

雲雀がトンファーを構えてルシフェルに向かって言った。

 

「そんなことはどうでもいいよ。君には、並中の不法侵入、校舎破壊、それから、僕の個人的理由で咬み殺させてもらうよ……」

 

「クフフ………。そうですね。僕たちの目的はおしゃべりをしに来たわけではないのですからね」

 

骸も三叉槍を構えて言った。他の皆も警戒した。

 

「…………まぁ、それもそうだな。でも、ここじゃ狭いから、奥へ行こうか?」

 

そう言ってルシフェルは出口へ向かった。

 

「なっ!!?待ちやがれ!!!」

 

獄寺がそう言って、皆、ルシフェルを追いかけた。

 

 

 

 

出口を通ると、そこは、他の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》とは違った。完全に外へ出たのだ。そこには、広大な土地と空が広がっていた。

 

「さて、ここで戦おうか」

 

ルシフェルがそう言った。そして、ルシフェルの側には………

 

「なっ!!?それは!!?」

 

「剣なのな!!?」

 

「ピカピカだもんね~」

 

《ロヴィーノ》を復活させる剣があった。剣の周りには結界が張られていた。

 

「予想はしていましたが、やはり、あなたのところにあったのですね………」

 

骸がそう言った。

 

「まぁな。リリスや他の連中のところには、この結界を作っている装置があるぜ」

 

ルシフェルがそう言った。

 

「まぁ、それよりも始めるか。お前らもこの剣を壊したいみたいだしな」

 

そう言って、ルシフェルはハルバードを構えた。すると………

 

「ねぇ………」

 

雲雀が声を掛けてきた。

 

「ん?なんだ?」

 

ルシフェルがハルバードを下ろして、雲雀に聞いた。

 

「君も他の肉食動物たちみたいな、特別な炎を持っているんでしょ?それ、使いなよ」

 

雲雀がそう言った。確かに、今までの皆の話で、ジャバウォックは《憤怒の炎》、スロウスは《怠惰の炎》、ベルゼブブは《暴食の炎》、エンヴィーは《嫉妬の炎》、豪は《強欲の炎》、リリスは《色欲の炎》、そして、ダークネスは《闇夜》の炎を持っている。しかし、ルシフェルだけはいまだに判明していなかった。

 

「ふ~ん。お前、バトルマニアか。それで全力の俺と戦いたいわけか」

 

「そうだよ」

 

ルシフェルの言葉に雲雀は肯定した。

 

「おい、雲雀!!テメー、こんなときに何言ってんだ!!!」

 

「うむ。しかし、気持ちはわかるぞ!!」

 

獄寺はそんな雲雀に怒鳴り、了平は同意した。

 

「まぁ、お前らの気持ちはわかったが………。悪いが、そのお願い断るぜ。お前ら相手に使う必要ねぇからな」

 

ルシフェルの言葉にクロームとランボ以外の5人がムッとした。全員が全員、バトルマニアというわけではないが、全員負けず嫌いのところがあった。しかし、ルシフェルはそんな獄寺たちを無視して続けた。

 

()()も、使う必要ねぇかな?」

 

ルシフェルがそう言うと、ポケットからオレンジと黒が混ざった色した匣を取り出した。

 

「何なのな、それは?」

 

山本が聞いた。

 

「これは、《羅刹開匣》用の匣だ」

 

「《羅刹開匣》?」

 

それにルシフェルが答えて、クロームがおうむ返しで言った。

 

「ミルフィオーレファミリーに《修羅開匣》ってものがあるだろ?これは、それをより恐ろしく、凶暴に強化されたものだ」

 

「《修羅開匣》よりも………」

 

未来や虹の代理戦争で戦ったことのある者はより警戒した。

 

「こいつはミルフィオーレのような、トカゲや蛾のような現代種、ティラノサウルスやショニサウルス、スピノサウルスのような古代種とは違う。ジャバウォックにはその名の通りジャバウォック、豪にはアトラナート、エンヴィーにはフェンリル、リリスにはバフォメット、スロウスにはケートス、ベルゼブブにはヤマタノオロチ。怪物、神、悪魔、そう言った伝説上の生物との合体ができる」

 

ルシフェルがそう説明した。

 

「なんだそれ!!!スゲーじゃねぇか!!!!」

 

UMAなどの不思議が大好きな獄寺は興奮した。

 

「あ~、獄寺………?」

 

そんな獄寺に山本が引きぎみに声を掛けた。

 

「はっ!!そうだった。……テメー、それを使うつもりはねぇってどういうことだ!!!?俺たちを嘗めているのか!!!?」

 

我に帰った獄寺はルシフェルに怒鳴った。他のメンバーも同じ気持ちだった。

 

「いや、純粋なお前らの実力は俺も認めているぜ。ただ、それでも、俺には勝てないって言っているだけだ」

 

「それを嘗めているって言うんだろうが!!!!」

 

ルシフェルの言葉に獄寺が突っ込みながら怒鳴った。しかし、ルシフェルはそれを無視して続けた。

 

「それに、お前ら……………そのVG(ボンゴレギア)じゃ、()()()()()()だろ?」

 

『っ!!!?』

 

ルシフェルの言葉に獄寺たちは言葉が詰まった。(トゥリニセッテ)の力を奪われたことでVG(ボンゴレギア)も力が失っているのだ。

 

「ただでさえ、俺に勝てる可能性が低いっていうのに、VG(ボンゴレギア)がそんな状態ならなおさら無理だって話だ」

 

ルシフェルの言う通り、今の獄寺たちは全力で戦うことができない。しかも、前回では、並中ではルシフェル1人相手に服を少し破ることしかできなかった。骸もルシフェルに傷一つつけることができなかった。確かに、それで、ルシフェルと戦うのはきつい。しかし…………

 

「だから、なんだ!!!そんなことは関係ねぇ!!!!」

 

「そうなのな!!!!」

 

「俺たちは極限に負けられぬ!!!!」

 

「あなたたちに地球は滅ぼさせない………!!!!」

 

「へへ~ん!!!ランボさんは最強だもんね~~!!!」

 

「クフフ、僕はこれの力が無くても、あなたを倒せますよ」

 

「僕は君を咬み殺すだけだよ。それから、君の炎と匣を無理矢理でも使わせるよ」

 

7人はそれぞれそう言った。そして、戦闘体勢に入った。

 

「は~……。強がりなガキ共だぜ………」

 

ルシフェルが呆れたように言いながら、自分の武器であるハルバードを構えた。

 

今、戦いが始まる。



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守護者VS大空の大罪

今、ルシフェルとの戦いが始まる。

 

「《球針態》!!」

 

雲雀は《ボンゴレギア 雲のブレスレットVer. X》から刺付き球体、《球針態》をいくつも出した。それはルシフェルの周りを取り囲んだ。

 

「こんなもの、全て弾くだけさ」

 

ルシフェルがそう言ってハルバードに《大空》の炎を纏わせて振り回した。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

そして、《球針態》を弾いていった。

 

「果てろ!!《3倍ボム》!!」

 

「くらうもんね~~!!」

 

獄寺がダイナマイト、ランボが手榴弾をルシフェルに投げつけた。

 

「ふん!!」

 

ルシフェルはハルバードに今度は《雨》の炎を纏わせて、ダイナマイトと手榴弾に向けて、炎を放った。

 

シュ~~ッ………

 

ダイナマイトと手榴弾は火薬がダメになり不発になった。

 

「チッ!!」

 

獄寺は舌打ちをした。

 

「んおーーーー!!!《極限太陽(マキシマムキャノン)》!!!」

 

「時雨蒼燕流 攻式 八の型 《篠突く雨》!!」

 

ルシフェルの両側から《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》から《(セレーノ)グローブ》を取り出して、装備していた了平が強烈なパンチを繰り出して、山本は《時雨金時》で振るった。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!

 

ルシフェルはハルバードを分裂させて、2人の攻撃を防いだ。

 

「遅いな………。ハッ!!!」

 

ドガン!!!

 

「グッ!!?」

 

「ガッ!!?」

 

ルシフェルは2人を力づくで吹き飛ばした。

 

「芝生!!!野球馬鹿!!!」

 

獄寺が2人を心配して叫んだ。

 

ダッ!!

 

ガキンッ!!

 

雲雀が飛び出して、トンファーと先端の部分は《嵐》の炎が纏っていて柄の部分は《雷》の炎が伸びていた二槍流となったハルバードがぶつかり合った。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

何度も金属音が鳴った。

 

ゲシッ!!!

 

「ガハッ!!?」

 

しかし、ルシフェルが雲雀に鋭い蹴りを腹に入れて、吹き飛ばした。

 

「!!?」

 

そんなときに、何か気配を感じて、ルシフェルはハルバードを構えた。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!

 

ルシフェルのハルバードは2つの三叉槍とぶつかった。すると、霧が出てきて、晴れると

 

「クフフ、さすがですね」

 

「惜しかった………」

 

骸とクロームが出てきた。そして、2人はそう言うと、1度離れた。

 

「あいにく、こっちにはクソビッチ(リリス)という凄腕の幻術士がいるからな」

 

ルシフェルがなんでもないようにそう言った。そして、ルシフェルはハルバードを1つに戻すと……

 

「それじゃあ、次は俺が行かせて貰おうかな?」

 

ブオォッ!!

 

ハルバードの斧の部分から《雲》の炎を出して、大鎌のようにした。そして………

 

「オラーーーッ!!!」

 

ルシフェルはハルバードを思いっきり振るった。すると………

 

ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!

 

無数の《雲》の炎の刃が飛び出した。

 

『なっ!!?』

 

炎の刃は獄寺たちに向かった。

 

「ぐぴゃあぁぁぁーーーー!!!?」

 

ランボが叫んだ。

 

「チッ!!《SISTEMA C・A・I》!!!」

 

「時雨蒼燕流 守式 七の型 《繁吹き雨》!!!」

 

「《球針態》!!!」

 

「クローム、行きますよ!!!」

 

「はい、骸様!!!」

 

獄寺は《ボンゴレギア 嵐のバックルVer.X》から匣開発者の1人、イノチェンティが作った。骨状のシールドを出した。

 

山本は時雨金時に《雨》の炎を纏わせて、それを回転するように巻き上げた。

 

雲雀は先程と同じように《球針態》を出した。

 

骸とクロームはヴェルデの装置より鋼鉄の壁を出した。

 

ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!

 

炎の刃は5人のそれで防いだ。

 

タタタタタタタッ

 

すると、いつの間に移動したのか、ルシフェルが後ろからやって来た。そして、攻撃しようとしてきた。

 

「んおーーーー!!!これでもくらうのだ!!!!」

 

「!!?待ちなさい、笹川了平!!!」

 

骸が静止の声をかけたがそれを聞かず、了平がルシフェルに対抗しようとパンチを繰り出したが…………

 

スカッ………

 

「なっ!!?」

 

了平の攻撃はルシフェルをすり抜けた。そして、ルシフェルが霧となって、消えたのだ。

 

「残念♪それは俺の幻術だぜ。リリスほどではないが俺も幻術使えるんだよ」

 

すると、上のほうからルシフェルの声が聞こえた。全員、上を向くと、そこにはハルバードの穂先から《大空》の炎が伸びて、大剣になっていた。そして、大剣には《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎が纏っていた。ランボと骸以外は見覚えがあった。

 

「まさか!!?」

 

「そのまさかさ♪《七属性の一撃(コルポ・セッテ)》!!!」

 

ルシフェルは地面に落ちながら大剣となったハルバードを思いっきり地面に叩きつけた。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

「「「「「グッ………!!!?」」」」」

 

「キャッ!!!?」

 

「ぐぴゃっ!!!?」

 

並中で見たように、ルシフェルが放った衝撃が獄寺たちに襲いかかった。獄寺たちはさっきのときと同じように防御していた。しかし、さっきの炎の刃よりも威力があるためにきつかった。

 

しばらくすると、衝撃は治まった。何とか、耐えきることができたみたいだ。そして、ルシフェルを中心に巨大なクレーターができていた。

 

「………話には聞いていましたが、凄まじい威力ですね……」

 

「大きな穴が空いたもんね~~~」

 

骸とランボがルシフェルの技に関してそう言った。

 

「それも、驚きだが…………。見てみろ!!!剣の結界にヒビ1つ、ついてないぞ!!!」

 

獄寺の言う通り、剣の周りに張っている結界は、今のルシフェルの技の衝撃を受けたはずのに、何ともなかった。

 

「まぁ、それほど、強度な結界だということだ。そんなやわな造りはしていないさ」

 

それをクレーターから出てきたルシフェルが説明した。

 

「…………ってか、俺も驚いたんだが。まさか、今の俺の攻撃を防ぎきるとはな………」

 

ルシフェルが感心したように言った。

 

「ハッ!!!2度も同じ技でやられるか!!!」

 

「そうなのな!!!」

 

「極限に負けんぞーーーー!!!!」

 

「なめないでくれる?」

 

「………私はやられない」

 

1度、ルシフェルの技を受けた5人がそれぞれ、そう言った。

 

「あっそ。でも、気力は使ったみたいだな」

 

ルシフェルは獄寺たちを見て、そう言った。獄寺たちは言葉が詰まったが………

 

「そんなの関係ねぇ!!!」

 

「あぁ、お前に負けてたまるか!!!」

 

それでも、めげずに戦おうとした。そして、山本が飛び出した。

 

「ハッ!!!」

 

山本は時雨金時をルシフェルに振るった。

 

「当たらないぜ、そんなの」

 

ルシフェルはハルバードで防ごうとしたが山本が振るった手には()()()()()()()()()()()()()

 

「!!?」

 

山本は振るったときに時雨金時を放したのだ。そして、山本は時雨金時を反対の手に持った。

 

「時雨蒼燕流 攻式 五の型 《五月雨》!!!」

 

山本はタイミングをずらして、ルシフェルに斬りかかった。

 

「チッ!!」

 

ルシフェルは舌打ちをしながら、後ろへ跳んでかわした。そして、そのまま、山本に向かってハルバードで突きを入れようとした。

 

「攻式 五の型から守式 二の型 《逆巻く雨》!!!」

 

山本は時雨金時で《雨》の炎を巻き上げて、身を隠した。

 

バシャッ!!

 

ルシフェルのハルバードは炎に当たり、山本には当たらなかった。そのルシフェルの後ろから山本が斬りかかろうとしていた。

 

「ふん!!」

 

ルシフェルはハルバードを分裂させて、山本に斬りかかった。しかし……

 

スカッ………

 

「!!?」

 

斬ったのは《雨》の炎の水面に映った山本だった。

 

「守式 二の型から攻式 九の型 《うつし雨》!!!」

 

本物の山本がルシフェルの後ろから斬りかかった。

 

「くっ!!?」

 

ルシフェルはそれを前のほうに跳んでかわした。そして、すぐに体勢を変えて、ハルバードに《晴》の炎を纏わせて、連続で突きを入れようとした。《晴》の活性により、不規則にスピードが上がった。

 

「攻式 九の型から特式 十一の型 《燕の嘴(ベッカタ・ディ・ローンディネ)》!!!」

 

山本がスクアーロの《鮫の牙(ザンナ・ディ・スクアーロ)》をヒントにして編み出した技で同じように連続で突きを入れてルシフェルに対抗した。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

時雨金時とハルバードの金属音が鳴り響いた。すると、ルシフェルの足元が熱くなった。それと同時に山本は後ろへ跳んでルシフェルと離れた。

 

「!!?」

 

ルシフェルは何かを察して、横に跳んだ。すると………

 

ドーーーーーーンッ!!!

 

火柱が起きた。

 

「クフフ、惜しかったですね」

 

「私たちを忘れないで………」

 

骸とクロームの有幻覚のようだ。

 

「んおーーーー!!!極限にくらうのだ!!!《極限(マキシマム)イングラム》!!!!」

 

隙を与えないように了平がルッスーリア並のフットワークでルシフェルに3連続パンチを繰り出した。

 

「グッ!!?」

 

ルシフェルは腕をクロスして、了平のパンチを受け止めた。しかし………

 

「ガッ!!?」

 

ルシフェルの背中に激痛が起きた。そして、ルシフェルは膝を地面についた。

 

「ねぇ、僕のことを忘れないでくれる?」

 

雲雀がトンファーを構えながら、言った。《ボンゴレギア 雲のブレスレットVer.X》 から出した小さい《球針態》をトンファーで弾いたみたいだ。それが、ルシフェルの背中に直撃したみたいだ。

 

「これで、果てやがれ!!来い!!!《赤炎の矢(フレイムアロー)》!!!」

 

獄寺は《ボンゴレギア 嵐のバックルVer.X》から髑髏をあしらった腕固定型火炎放射機を取り出して、装備した。

 

「手加減しねぇぜ!!!《嵐》+《雷》、《赤炎の雷(フレイムサンダー)》!!!」

 

獄寺は《雷》属性のカートリッジを《赤炎の矢(フレイムアロー)》に差し込み、《雷》の炎を纏って硬化により破壊力の上がった《嵐》の炎を放射した。炎はまっすぐ、ルシフェルに向かった。

 

ボオォォォォォッ!!!

 

炎はルシフェルを包んだ。

 

「よし!!!」

 

「やったか!!?」

 

山本と了平がそれを見て、そう言った。しかし………

 

ブオォンッ!!!

 

『!!!?』

 

ルシフェルを包んでいた炎が振り払われた。獄寺たちはそれにも当然驚いたが、一番驚いたことは炎を振り払われた際に使われたと思われるハルバードに纏っている炎だった。ハルバードに纏っている炎はややオレンジを基調とした虹色だった。

 

「………驚いたぜ」

 

ルシフェルは静かに言った。

 

「使う必要はないと思っていたんだが、まさか俺の《傲慢の炎》を使わなくてはならないとはな………。少し、甘く見ていたか?」

 

ルシフェルは無意識に目を鋭くして、獄寺たち6()()を見た。



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《雷》の覚悟

「使う必要はないと思っていたんだが、まさか俺の《傲慢の炎》を使わなくてはならないとはな………。少し、甘く見ていたか?」

 

獄寺の《赤炎の雷(フレイムサンダー)》を防いだルシフェルがそう言った。ハルバードと《(トゥリニセッテ)リング》にはオレンジを基調とした虹色の炎が灯っていた。

 

「《傲慢の炎》だと………」

 

「それが君だけの炎ってわけ?」

 

獄寺と雲雀がルシフェルにそう聞いた。

 

「あぁ、そうさ。俺の《大空》をメインとして、《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》、の《大空》の七属性をダークネスの《闇夜》の炎で融合した炎、それが《傲慢の炎》だ。この炎1つに《大空》の七属性の性質、全てが含まれているぜ」

 

ルシフェルは自分の《傲慢の炎》に関して、そう説明した。獄寺たちは《大空》の七属性の性質、全てが含まれていることに驚いた。

 

「クフフフフ。しかし、《傲慢の炎》とは………。あなたの名前は《ルシフェル》。これは、()()()()()()()悪魔、《ルシファー》の別名………。これはまた浅はか単純、工夫のないことですね」

 

骸がそう感想を言った。

 

「シンプルでまっすぐ、潔いって言ってほしいぜ………」

 

ルシフェルが骸の感想に対して、そう文句を言った。

 

「………まぁ、いいや。そんなことよりも、俺にこの炎を使わせるとは、お前ら6()()、スゲェぜ。褒めてやるよ」

 

ルシフェルが獄寺たちに笑いながら、そう言った。

 

「あれ?6人じゃなくて7人だもんね!!」

 

ルシフェルの言葉にランボが訂正した。

 

「いや、6人だぜ。ランボ、お前は数にいれてない」

 

ルシフェルはランボにそう言った。

 

「なっ!!?なんでなんだもんねーーーー!!!!」

 

ランボがルシフェルに文句を言った。

 

「あいにく、お前には眼中にないんだ」

 

ルシフェルはあっけらかんに言った。

 

「ムキーーーーッ!!!ランボさんを馬鹿にするなーーーー!!!!」

 

「ランボさん、落ち着いて………」

 

クロームがランボを落ち着かせようとしたが………

 

「これでも、くらうもんねーーーー!!!!」

 

クロームの言葉を聞かずに、頭の中から手榴弾を取り出して、投げた。

 

「は~っ………」

 

ルシフェルは呆れたようにして………

 

ブンッ!!!

 

ドカンッ!!!

 

『!!!?』

 

ランボだけではなく、他の6人も驚いた。なぜなら、ルシフェルはランボが投げた手榴弾を()()()()()()使()()()に腕を振るって、風圧で手榴弾を吹き飛ばした。

 

「………言っておくが、俺は別にお前がガキだからって理由でこんなことを言っているわけじゃねぇ。所詮、この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い。ただ、それだけの話だ。ベルゼブブもロヴィーノ教団、最年少にして、俺の次に強いからな」

 

ルシフェルの説明でまだ子供であるベルゼブブがロヴィーノ教団、No.3だということを知って、獄寺たちは驚いた。

 

「でも、お前はただ単に弱い。だから、お前のことは眼中にないんだ」

 

「ぐぴゃっ………」

 

手榴弾を武器を使わず、腕で吹き飛ばされたところを見て、ランボは呆然とした。

 

「それに、お前らだって、わかっているはずだ。そいつが、俺の足元にも及ばないことをな」

 

「くっ………」

 

「っ…………」

 

「ムッ…………」

 

「「「……………」」」

 

ルシフェルが追い討ちを掛けて、獄寺たちも言葉が詰まった。確かに、これは死ぬ気でやればどうにかなるという話ではなかったからだ。それほど、ルシフェルの《傲慢の炎》の恐ろしさを直感で感じていた。

 

「まぁ、そいつをそこに置いたらどうだ?俺は弱者を痛めつける趣味はねぇからな」

 

とルシフェルは興味無さそうに言った。

 

「………チッ!!おい、アホ牛!!!行くぞ!!!」

 

獄寺がランボにそう言った。

 

「!!?いやだもんね!!!ランボさんもやるもんね!!!」

 

ランボが駄々をこねた。

 

「うるせー!!!テメーが居ても邪魔なんだよ!!!!」

 

「ひっ!!?」

 

獄寺がランボに怒鳴り、ランボは小さく悲鳴をあげた。

 

「…………ガ・マ・ン……」

 

ランボはそのあと、目に涙を浮かべながら、とぼとぼと壁際まで歩いて行った。

 

「………獄寺、いくらなんでも言い過ぎじゃねぇのな?」

 

山本が獄寺にそう言った。

 

「………うるせー。そんなことはわかっている。………だがな、あいつはランボが相手にするには、荷が重すぎる……」

 

獄寺が山本にそう答えた。

 

「獄寺………」

 

「………もう、これ以上、仲間を死なせるわけにはいかねぇ…………」

 

獄寺がルシフェルを見て言った。それを聞いて、山本もルシフェルを見た。

 

「それじゃあ、始めるか?」

 

ルシフェルはようやく、始めると思い、そう言った。

 

「あぁ、そうだな…………。まずは、これでも、くらいやがれ!!!《嵐》+《雨》!!!」

 

獄寺は《雨》属性のカートリッジを《赤炎の矢(フレイムアロー)》に差し込み、貫通力の上がった《嵐》の炎を放った。

 

「こんなもの、かわすだけさ」

 

ルシフェルは炎をかわした。

 

「次郎!!!」

 

山本は《ボンゴレギア 雨のネックレスVer.X》から次郎に預けている小刀3本を取り出した。

 

「小次郎!!!」

 

今度は小次郎を呼び出した。

 

「時雨蒼燕流 特式 十の型 《燕特攻(スコントロ・ディ・ローンディネ)》!!!」

 

山本は小次郎を前衛に構えて、水をえぐりながら巻き上げるように突進した。

 

ガキンッ!!!

 

それをルシフェルはハルバードで防いだ。

 

ダッ!!!

 

そこを狙って、雲雀と《修羅道》に入っていた骸がルシフェルの背後から襲いかかった。

 

ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

ルシフェルはハルバードを分裂させて、《傲慢の炎》の刃を出して、雲雀のトンファーと骸の三叉槍を防いだ。

 

「んおーーーー!!!!《極限太陽(マキシマムキャノン)》!!!!」

 

3人の攻撃を防いでいるルシフェルの背後から了平が殴ろうとしていた。

 

スカッ………

 

ルシフェルはそれをしゃがんで、かわして、3人の攻撃をいなした。

 

ドンッ!!!ガンッ!!!ドンッ!!!ガンッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

「グッ!!?」

 

「ッ!!?」

 

「くっ!!?」

 

ルシフェルはそのまま、逆立ちをして、回転しながら4人を蹴り飛ばした。

 

「骸様!!?くっ………!!!《限現幻獣(げんじゅう) 喰骸鴉(ががいあ)》!!!」

 

クロームはヴェルデの装置でたくさんの鴉を出して、ルシフェルに向かわせた。

 

「黒曜で見たやつだな」

 

ルシフェルはそれを見て、そう言い、ハルバードを繋ぎ、斧の部分から《傲慢の炎》を伸ばして大鎌にした。

 

「おらっ!!!」

 

ルシフェルはハルバードを振り回した。

 

ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!

 

大鎌から飛び出た《傲慢の炎》が喰骸烏を全て、蹴散らした。

 

「嘘………!!?」

 

クロームは驚いた。

 

「チッ!!複数の炎を使えるのはテメーだけじゃねぇぞ!!!《五赤炎の矢(チンクェ・フレイムアロー)》!!!」

 

獄寺はヴェルデが開発した新たなカートリッジを《赤炎の矢(フレイムアロー)》に差し込み、炎を放った。

 

ドンッ!!!

 

その炎はいくつも分裂して不規則にスピードが上がった。

 

「お前の《嵐》に《雨》《雲》《晴》《雷》が混ざっているのか。確かに強力だ」

 

ルシフェルはそう分析した。あの炎にはおそらく、貫通力も破壊力も上がっていることだろう。

 

「でも、俺は七に対してお前は五、残念ながら、差があるぜ」

 

ルシフェルがそう言うと、大鎌を振るった。そして、炎の刃をいくつも出した。

 

ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!

 

それは、獄寺の炎を全て、撃ち落とした。

 

「なっ!!?」

 

獄寺は驚いたが、そんな暇は無かった。ルシフェルの炎の刃が獄寺に向かっていた。シールドで防ぐにも遅かった。

 

ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!

 

「っ………?なっ!!?」

 

獄寺は攻撃をくらわなかったことに疑問を持ったが、すぐにその理由がわかり、驚いた。《球針態》が獄寺を守っていたのだ。

 

「雲雀!!?」

 

獄寺は雲雀を見たが、雲雀は驚愕した顔で自分の《球針態》を見ていた。獄寺がいったいなんだと思い、《球針態》を見てみると………

 

「なっ!!?」

 

驚いた。なぜなら…………

 

ボロッ………ボロッ………ボロッ…………

 

《球針態》が崩れていたからだ。《球針態》の防御力は高いはずだった。いくら能力が落ちているとはいえ、そう簡単に崩れるものではなかった。

 

「気を取られている場合じゃねぇぜ」

 

そう言うとルシフェルは再び、大鎌を振るって炎の刃をいくつも出した。

 

「ッ!!!小次郎、形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!」

 

山本の言葉で小次郎は時雨金時と合体して、長刀になった。

 

「《朝利雨月の変則四刀》!!!」

 

初代《雨》の守護者、朝利雨月の武器をモチーフにした武器を山本は持った。

 

「時雨蒼燕流 総集奥義 《時雨之化》!!!」

 

山本は変則四刀で炎の刃に《雨》の炎をぶつけた。そして、炎の刃を停止に近いスピードで止めた。

 

「よしいいぞ、山本!!!」

 

了平が叫んだ。

 

「それは、どうかな?」

 

すると、ルシフェルはハルバードを大鎌から大剣にして、静止に近いスピードで動く炎の刃に近づいた。

 

「こいつは《七属性の一撃(コルポ・セッテ)》の強化版、《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルは《傲慢の炎》の大剣で炎の刃を思いっきり、叩きつけた。

 

ドーーーーーンッ!!!

 

叩きつけられた炎の刃は山本の技の効果を無かったかのようにものすごいスピードで獄寺たちに向かった。

 

『なっ!!?』

 

獄寺たちは驚いた。そして、それぞれ急いで、防御にまわった。

 

ドカーーーーーンッ!!!

 

炎の刃は獄寺たちに目掛けて飛び、粉塵が舞った。粉塵が晴れるとそこには……………

 

『ハァッ………ハァッ………ハァッ………ハァッ………』

 

何とか防御は間に合ったが技の威力に体力をかなり、持っていかれた。

 

「ハハハ、がんばったけど、ここまでだな。お前ら、俺が《傲慢の炎》を使ってから攻撃が当たっていないし、さっき、お前らが当てた攻撃もそこまでの深手は負ってねぇしな」

 

ルシフェルの言うとおりだった。雲雀と了平が当てた攻撃はそこまで効いてないかのように動いていた。

 

「だからって、なんだ………そんなの………関係ねぇ………」

 

「そうなのな………。ツナは………《人類至上サイキョウの人間》のダークネスを1人で互角に戦ったのな。それなのに、俺たちがダークネスよりも弱いお前に負けてたまるのな!!!」

 

「極限にそうだ!!!俺たちは沢田の意思を受け継いでいるんだ!!!」

 

獄寺、山本、了平がそう言った。雲雀、骸、クロームは何も言わなかったが負けられないという思いは同じだった。

 

「……………!!?」

 

ルシフェルは驚いた顔をしていた。すると…………

 

「………くくく、ハーハッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハハハ、ハーハッハッハッハッハッハハハハハハハハハ!!!!」

 

思いっきり笑い出した。

 

「な、何が、おかしいんだ!!?」

 

獄寺がルシフェルにそう言った。

 

「ハハハハハハッ………、……あぁ……、いやぁ、すまん、すまん。あまりにもおかしくてな。………お前ら1つ勘違いしているぜ………」

 

「勘違いって、何?」

 

ルシフェルの言葉にクロームが聞いた。

 

「ダークネスと沢田綱吉が互角だったって話だ」

 

「クフフ、それのどこがおかしいのですか?」

 

今度は骸が聞いた。それにルシフェルは答えた。

 

「あの時のダークネスは()()()()()()()()()()()()()ぜ」

 

『!!!??』

 

ルシフェルの言葉に獄寺たちは驚いた。

 

「本気を出していないって?」

 

雲雀がそう言った。

 

「あぁ、扉があった場所でも言ったが、あいつはバトルマニアじゃねぇ。あいつが本気を出すなんて滅多にねぇな。沢田綱吉のときもそうだ。あいつは精々、三、四割程度しか出していねぇな」

 

ルシフェルの言葉で獄寺は言葉が出なかった。それは、つまり…………

 

「まぁ、三、四割程度しか出していないとはいえ、互角に戦っていたから確かにすごかったな………。だが、それでも三、四割程度で、沢田綱吉は負けて死んだんだ。だから、あいつが十割、本気を出していたら、瞬殺だったぜ」

 

《人類至上サイキョウの人間》ダークネスのあまりにも高すぎる実力を思い知らされることになった。

 

「………えっ?死んだ?ツナが?」

 

すると、壁際にいたランボがそう言った。

 

『!!?』

 

獄寺たちはまずいと思った。ランボ、イーピン、フゥ太にはツナが死んだことを伝えていなかったのだ。

 

「ツナが死んだ?どういうことだもんね?」

 

ランボがどういうことかわからず、聞いた。

 

「なんだ?お前、知らなかったのか?沢田綱吉は2日ほど前に死んでいるぜ」

 

「テメー、やめろ!!!」

 

獄寺が止めようとしたがルシフェルはランボにそう言った。

 

「ツナが………死んだ………。………嘘………だもんね………」

 

ランボは信じることができなかった。なんだかんだ言って自分たちの面倒を見てくれた兄のような存在だったツナが死んだことにどうしても信じられなかった。

 

「嘘じゃねぇって、沢田綱吉は死んだって言ってるだろ」

 

しかし、ルシフェルは無慈悲に言った。

 

「ツナが…………死んだ………。……うっ………うっ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーん!!!!」

 

ツナが死んだショックでランボが泣き出した。

 

「くっ………!!!」

 

獄寺たちは悲痛な顔をしていた。

 

「………………」

 

ルシフェルは興味無さそうに見ていた。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーん!!!!ツナーーーーーーーーー!!!!」

 

すると、ランボは頭のもじゃもじゃから《ボンゴレギア 雷のヘルムVer.X》を取り出した。

 

「牛ーどーーーーん!!!!」

 

そこから、《雷牛(ブーファロ・フールミネ ) Ver.X 》の牛丼を呼び出した。

 

「モオォォォォーーーーー!!!!」

 

すると、牛丼は緑色の光になって、ランボと合体した。牛丼が《形態変化(カンビオ・フォルマ)》したようだ。牛丼は初代《雷》の守護者、ランポウの武器をモチーフにした《ランポウの(シールド)》になった。盾は《雷》の炎を放っていた。

 

(《雷の角(コルナ・フールミネ)》か。その程度の速さはかわせる)

 

ルシフェルはそんなことを考えていた。

 

「ツナーーーーーーーーー!!!!」

 

ランボは泣きながら、《雷》の炎をルシフェルに向けて放った。

 

ビュンッ!!!!

 

「ッ!!?(速い!!?)」

 

ランボの《雷》の炎が雷光の速さでルシフェルに向かった。そして…………

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

「ガハッ………!!?」

 

「《雷光の角(コルナ・ランペッジャメント)》!!!」

 

ランボの技がルシフェルの体をいくつも貫いた。



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傲慢を捨てた大空の大罪の力&《ロヴィーノ》の恐ろしさ

「ガハッ………!!?」

 

ランボの《雷光の角(コルナ・ランペッジャメント)》を受けたルシフェルは膝をついて、口から血を吐いた。初めて、ルシフェルに深手を負わせたのだ。

 

「よっしゃーー!!!でかしたぞ、アホ牛!!!!」

 

「ハハッ、すげぇのな♪」

 

「うむ、極限にやったぞ!!!!」

 

「ふん……」

 

「すごい…………!!」

 

「クフフフフ………」

 

獄寺たちはルシフェルに深手を負わせたランボを賞賛した。

 

「このガキ………!!!」

 

しかし、ルシフェルは重傷のはずなのに、なんでもないように立ち上がった。

 

「嘘だろ!!?どんだけ、タフなんだあいつ!!?」

 

獄寺はそう叫んだ。

 

「これでも、くらいやがれ!!!」

 

ルシフェルはハルバードを大鎌にして、ランボに向かって斬撃を放った。

 

「ぐぴゃあぁぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

それに気づいたランボは慌てた。

 

ガキンッ!!!

 

しかし、ランボの前に突如現れた鋼鉄の壁により、ランボは守られた。

 

ズボッ!!!

 

シュルルルッ……

 

ポイッ!!

 

「ぐぴゃっ!!?」

 

そして、ランボはこれもまた、突如現れた蔓により、投げられた。

 

「クフフ、まさか、このような子供があのルシフェルに深手を負わせるとは………」

 

投げられたランボを骸がキャッチした。どうやら、鋼鉄の壁と蔓は骸の有幻覚のようだ。

 

「我々も負けていられませんね」

 

と骸がランボを降ろしながら言うと

 

「あぁ!!アホ牛なんかに負けてたまるか!!!瓜!!!《形態変化(カンビオ・フォルマ)》!!!」

 

「ニャアァァァァァーーーー!!!」

 

獄寺は《ボンゴレギア 嵐のバックルVer.X》から瓜を呼び出して、《赤矢の炎(フレイムアロー)》と合体した。

 

「《Gの弓矢(アーチェリー)》!!!」

 

初代《嵐》の守護者、Gの武器をモチーフにした武器に変わった。ランボがルシフェルに深手を負わせたことで気合いが入ったみたいだ。獄寺以外も全員、気合いが入っているようだ。

 

「果てろ!!!《ガトリング・アロー》!!!」

 

獄寺は小型の《嵐》の炎の矢を連射した。

 

「当たるか、そんなもの!!!」

 

ルシフェルはハルバードを回転させて、防いだ。

 

「調子に乗らせるか!!!」

 

ルシフェルはそう言うと、幻術を使って姿を消した。

 

『なっ!!?』

 

獄寺たちは驚いて、すぐにルシフェルを探した。しかし、ルシフェルの幻術の腕は高いみたいでなかなか見つからなかった。すると………

 

「山本武、後ろにいます!!」

 

「!!ハッ!!!」

 

骸に言われて、山本は長刀を後ろに振りかざした。

 

ガキンッ!!!

 

すると、金属音が鳴り響いた。長刀とハルバードが交差したようだ。

 

「チッ………!!六道骸………!!!」

 

ルシフェルが姿を現して、骸を見た。

 

「クフフフフ…………」

 

すると、骸の右目にはムクロウを《形態変化(カンビオ・フォルマ)》させたことで、変化した初代《霧》の守護者、D(デイモン)・スペードの武器をモチーフにした、《D(デイモン)・スペードの魔レンズ》をつけていた。それで、ルシフェルの位置を把握していたようだ。

 

「くっ……………!!?」

 

ルシフェルは次の行動へ移そうとしたが、動くことができなかった。

 

「《鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)》………」

 

山本がそう言った。ルシフェルのハルバードを受け止める際にスクアーロの技を使っていたようだ。さらに《雨》の炎を使っているためにより強力になった。

 

「隙、ありまくりだよ」

 

「んおーーーー!!!極げーーーーん!!!!」

 

ドカッ!!!ドカッ!!!

 

「ガハッ………!!?」

 

そんな状態のルシフェルを雲雀と了平がトンファーと拳で殴り飛ばした。

 

「今だ!!!《赤竜巻の矢(トルネード・フレイムアロー)》!!!!」

 

「行きますよ、クローム」

 

「はい!!骸様!!!」

 

「「《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》!!!!」」

 

獄寺が巨大な《嵐》の炎の矢を回転させながら放ち、骸、クロームがヴェルデの装置で6羽の狂暴な鴉を生み出した。それぞれ、最大の技でルシフェルに追い討ちをかけた。

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

3人の攻撃がルシフェルに直撃した。

 

「よっしゃーー!!!」

 

「どうなのな!!!」

 

「極限に参ったか!!!!」

 

「これで終わりかい?」

 

「クフフ、いくらなんでも、これらの攻撃を耐えきれるわけがありません」

 

「ランボさんたち……勝ったもんね?がんばったもんね?」

 

「うん、がんばったよ」

 

獄寺たちがそれぞれ、そう言った。

 

「……ハァ………ハァ………ハァ………」

 

ルシフェルはボロボロになって、膝をつきながら、息を荒くしていた。誰が、どう見ても、戦えそうにない状態だった。獄寺たちは勝ったと思った。しかし………

 

ギロッ!!!

 

『ッ!!?』

 

突如、強烈な殺気が襲われた。

 

「…………前言撤回だ。…………認めてやるよ」

 

ルシフェルが小さく呟いた。獄寺たちはなんだと思った。

 

「………お前ら、7人は強ぇよ。……久し振りだな。………本当に久し振りだよ。………こいつを使って全力で戦うのは………ダークネス相手に使った以来かな?」

 

そう言うと、ルシフェルは《羅刹開匣》用の匣を取り出した。

 

『!!!?』

 

獄寺たちはまずいと思った。止めようとしたが遅かった。

 

「お前らには、傲慢抜きで戦ってやるよ!!!!」

 

ボウッ!!!

 

ルシフェルがそう言うと、《(トゥリニセッテ)リング》から膨大な《傲慢の炎》を灯して、匣に注入した。注入した炎が膨大なために………

 

バキンッ!!!

 

匣が割れた。匣の中身は………

 

グサッ!!!

 

オレンジ色の光となって、ルシフェルの胸元に突き刺さった。突き刺さった胸元からオレンジ色の光が溢れて、ルシフェルを包んだ。

 

「くそっ!!いったい、なんなんだ!!?」

 

「なんなんもんね!!?」

 

「あれが………!!?」

 

「《羅刹開匣》というやつか!!?」

 

「骸様………」

 

「…………確かに《修羅開匣》よりも強い力を感じられますね…………」

 

「……………」

 

獄寺たちはそれぞれ、そう反応した。

 

「………これでお前ら全員、ぶっ潰してやる!!!」

 

光の中にいたルシフェルがそう言った。そして、光が晴れると、そこには、ライオンのような鋭い爪が両手両足にあり、尻尾と翼が生えて、顔には鳥のような仮面をつけていた。

 

「《傲慢グリフォン(グリフォーネ・スペルビア)》。これが、俺の《羅刹開匣》だ!!!」

 

とルシフェルが言った。

 

「もう、お前らを相手に手は抜かねぇ………」

 

そして、ハルバードを獄寺たちに向けて、そう言った。

 

「へっ!!!言ってろ!!!《赤竜巻の矢(トルネード・フレイムアロー)》!!!!」

 

獄寺は再び、先程の技を放った。それをルシフェルは翼で羽ばたいて、飛んでかわした。

 

「同じ技を2度くらうか!!!」

 

ルシフェルはそう言って、獄寺にものすごいスピードで向かった。

 

「ッ!!?」

 

「任せろ!!!時雨蒼燕流 守式 二の型《逆巻く雨》!!!」

 

獄寺を庇うように山本が《雨》の炎を巻き上げた。

 

「悪いが、俺の狙いはこいつだ」

 

ルシフェルがそう言うと、一瞬でランボの後ろに移動した。

 

「えっ!!?」

 

「俺は、もうお前のことを弱者とは思っていない。だから、全力でぶっ飛ばす!!!」

 

そう言って、ルシフェルはハルバードを全力でランボにぶつけた。

 

ドンッ!!!!

 

「ぐぴゃっ!!!?」

 

《ランポウの(シールド)》を持っていたにもかかわらず、ぶっ飛ばされたランボはそのまま………

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

壁に激突した。そして、粉塵が舞った。

 

『アホ牛/ランボ(さん)!!!?』

 

獄寺、山本、了平、クロームが叫んだ。

 

ガキンッ!!!!

 

すると、金属音がした。音がしたほうへ向くとルシフェルのハルバードと雲雀のトンファーと骸の三叉槍が交差していた。

 

「何しているの、君たち?」

 

「気を抜かないでください」

 

雲雀と骸がそう言った。

 

「ふん!!!」

 

ルシフェルが1度離れた。獄寺たちも今度はしっかりと気を引き締めた。すると…………

 

「やれやれ………」

 

大人の男の声がランボが吹き飛ばされた場所からした。獄寺たちもルシフェルも声がしたほうへ向くと粉塵が晴れようとしていた。そこにいたのは…………

 

「やっと、呼ばれましたか………」

 

牛柄のシャツを着た天然パーマの男だった。頭にある角はランボの面影があった。

 

「大人ランボ!!?」

 

それは、ランボの10年後の姿だった。

 

「……………なるほどな。さっき、ぶっ飛ばしたときに、《10年バズーカ》の弾が当たったのか………」

 

ルシフェルがランボの足元に落ちている《ボンゴレギア 雷のヘルムVer.X》 と紫色のバズーカ、《10年バズーカ》を見て、そう分析した。ランボは辺りを見回していると………

 

「!!?懐かしい……。なんて懐かし……い……面……々……なん………だ……」

 

獄寺たちを見て、嗚咽し始めた。

 

「い、いったい、なんなんだ?何があったんだ?」

 

獄寺がそう聞いた。

 

「………そうですね。このそばに落ちていた紙によると、10年バズーカは効果が5分から10分に改造されているみたいですが、どちらにしろ時間がありませんので簡単に説明します」

 

と結構重要なことをさらりと言ったが、今はそんなことは関係無いとランボは涙を拭きながら、説明した。

 

「10年後の世界はもう、()()()()()に変わりません」

 

『!!!?』

 

ランボの言葉に獄寺たちは驚いた。

 

「滅んでいる……だ……と……!!?」

 

「いえ、厳密に言えば、まだ完全に滅んではいません。………しかし、俺たちは《ロヴィーノ》復活の阻止を失敗して、《ロヴィーノ》を復活させてしまいました………。その《ロヴィーノ》はとても恐ろしいやつでした………。俺たちでは、手も足も出ずに負けてしまいました………。………そして、幸か不幸か俺だけが生き残り、《ロヴィーノ教団》も含めた他の皆は…………」

 

ランボが言葉を詰まらせたことで獄寺たちは察した。そのときの自分たちがどうなったのか………。

 

「おい!!完全に滅んではいないとはどういうことだ?」

 

すると、ルシフェルがランボにそう聞いた。

 

「…………《ロヴィーノ》は気紛れな性格なのか、すぐに滅ぼそうとはしなかったのです………」

 

「………なるほどな」

 

それをランボが答えて、ルシフェルはなぜか納得したように言った。

 

「………しかし、《ロヴィーノ》は本当に恐ろしいやつです……。《神々至上サイキョウの邪神》とは言ったものです………。たった半日でこの地球の人口の9割を殺して、ほとんどの土地なども使い物にならないようにしたのですから………」

 

『なっ!!!??』

 

「………(10年後)の世界はもう地獄です……。《ロヴィーノ》には勝てないと諦めて、生存者たちは使える土地を巡って、あっちこっちで戦争が勃発しています…………」

 

「………まるで、俺らが元々いた、あそこみたいだな………」

 

ルシフェルが何か言っていたがそんなことは気にすることもできず、ランボの悲痛そうな言葉に獄寺たちも《ロヴィーノ》に畏怖を感じた。

 

「………俺は、もうこんなのは嫌なんだ……!!………だから、この時代での《ロヴィーノ》の復活を阻止してみせる!!俺はそのために鍛えたんだ!!!《サンダーセット》!!!」

 

ゴロゴロッ……

 

ピカーッ!!!

 

ビリビリッ!!!

 

ランボは覚悟がこもった目をして、角に電流を溜めた。

 

「くらえ!!!《電撃角+(エレットゥリコ・ コルナータプラス)》!!!」

 

ランボは自分の特異体質、《電撃皮膚(エレットゥリコ・クオイオ)》を持っているからこそできる技を使った。《電撃角(エレットゥリコ・コルナータ)》の最大の弱点であるリーチの短さを補うために電撃を伸ばした。

 

「あれは、20年後のアホ牛が使っていた!!?」

 

「へぇ~。10年後のお前にはできなかったはずだが?」

 

「言ったはずだ!!俺は、あれから鍛えたって!!!俺は《電撃皮膚(エレットゥリコ・クオイオ)》を完成させているんだ!!!」

 

ランボはそう言って、ルシフェルに向かって突進した。

 

「確かに、スゲェ技だが………」

 

シュンッ!!!

 

ゲシッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

「………角に当たらなきゃ、意味が無いのは変わらないだろ?」

 

ドーーーンッ!!!

 

ルシフェルが一瞬でランボの懐に潜り込み、ランボの腹を殴って飛ばした。

 

「ランボ!!?」

 

「くっ………。んおーーーー!!!」

 

そこで了平が飛び出した。

 

「極限にくらえ!!!」

 

了平は《(セレーノ)グローブ》でルシフェルに何度もパンチを繰り出していたが………

 

「熱くなりすぎだな……。そんな状態で本気の俺には当たらないぜ」

 

《羅刹開匣》の影響か、反射神経も上がって、全てかわされていた。

 

ドガッ!!?

 

「グハッ!!?」

 

ルシフェルはハルバードの柄を使って、了平を吹き飛ばした。

 

ガキンッ!!!

 

「次は、お前の番か………、雲雀恭弥……」

 

「ふん……。君は僕が咬み殺すよ」

 

了平が飛ばされたタイミングで雲雀がトンファーをぶつけようとしたがハルバードで難なく防がれてしまった。

 

ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

ハルバードとトンファーのぶつかり合いで金属音が何度も響いた。しかし………

 

ゲシッ!!!

 

「グッ!!?」

 

隙を見つけたのか、ルシフェルが雲雀の腹を蹴り、飛ばした。しかし、雲雀はすぐに体勢を立て直して、地面に立った。

 

「これで、おしまいだ」

 

だが、ルシフェルがハルバードを大鎌にして、《傲慢の炎》の刃をいくつも飛ばした。

 

「ッ!!?」

 

雲雀はまずいと思った。しかし、かわすひまも防御するひまも無かった。

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

炎の刃は雲雀に直撃したと思われた。しかし…………

 

「!!?」

 

雲雀は骨で組まれたシールドによって、守られていた。

 

「これで、借りは返したぜ!!!」

 

獄寺がそう言った。

 

「おぉぉぉぉーーーー!!!時雨蒼燕流 攻式 八の型《篠突く雨》!!!」

 

山本が小刀で飛びながら、ルシフェルに向かって、長刀を振るった。

 

ガシッ!!

 

「なっ!!?」

 

しかし、長刀はルシフェルに素手で掴まれた。

 

「そんな攻撃、今の俺には通じないぜ」

 

ルシフェルがそう言うと、ハルバードで山本を貫こうとしていた。

 

「!!?その手を離しやがれ!!!」

 

獄寺が《嵐》の炎の矢をルシフェルの腕に向かって放った。

 

パッ!!

 

ルシフェルは長刀から手を離して、炎の矢をかわした。

 

「クローム、もう一度行きますよ」

 

「はい!!骸様!!」

 

「「《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》!!!!」」

 

骸とクロームが再び、ヴェルデの装置を使って、6羽の鴉を出した。そして、6羽の鴉たちはルシフェルに向かった。

 

「鳥が……!!!」

 

ルシフェルは翼を羽ばたいて、空中へ飛び、

 

ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!

 

ハルバードで6羽の鴉を全て、斬り裂いた。

 

「!!?」

 

「嘘!!?」

 

骸とクロームは驚いた。

 

「………もう、めんどうだ。一気に終わらせる」

 

そう言うと、ルシフェルは空高く飛び、吹き飛ばされていたランボと了平を含めた7人を見た。

 

バサッ!!!

 

ルシフェルは翼を大きく広げた。そして、胸元の《(トゥリニセッテ)リング》に《傲慢の炎》を灯すと翼に《傲慢の炎》が纏った。

 

「《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルは翼を羽ばたいて、大量の《傲慢の炎》を纏った羽を獄寺たち7人に放った。大量の羽はものすごいスピードで獄寺たちに向かった。

 

『!!!!?』

 

獄寺たちは驚いた。そして…………

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

獄寺たちを巻き込んで大量の爆発が起きた。



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守護者の覚悟

ルシフェルが《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》で大量の《傲慢の炎》を纏った羽を獄寺たち7人に放った。そして、それにより粉塵が舞った。しばらく経つと粉塵が晴れてきた。

 

「………うっ………」

 

「……くっ…………」

 

「っ……………!!」

 

「……………んっ!!」

 

獄寺たち7人はルシフェルの攻撃に当たったらしく、全員、地面に倒れていた。

 

「…………《羅刹開匣》を使わせたことは誉めるがここまでだな………」

 

ルシフェルは獄寺たちを見て、そう言った。

 

「…………まだだ」

 

しかし、獄寺がそう言って、ふらふらとなりながらも立ち上がった。

 

「まだ、俺たちは…………負けていない………」

 

「…………あぁ、そうなのな。……俺たちはこんなところで負けられないのな」」

 

すると、山本もふらふらとなりながらも立ち上がった。山本だけではない。了平も雲雀もランボも骸もクロームもふらふらとなりながらも立ち上がった。

 

「………極限に………そうだ……」

 

「………君は…………僕が咬み殺す………」

 

「………もう、………あんなことは繰り返させない………」

 

「………クフフ、………あなたに2度も負けるのはごめんですね………」

 

「………私たちは、…………ボスの想いを引き継いでいるから…………」

 

5人はそれぞれ、そう言った。

 

「…………あれを受けてまだ立てることには驚いたが…………さっきも言っていたが沢田綱吉の想いっていうのはなんだ?」

 

ルシフェルは何気にずっと気になっていたことを聞いた。

 

「………10代目が亡くなられる前に、リボーンさんに遺言を残されていたんだ」

 

「………『皆で地球の滅亡を防いで』って………」

 

ルシフェルの質問に獄寺とクロームが答えた。

 

「…………あのときに、沢田綱吉はそんなことを言っていたのか………。それで、お前らは今、俺たちに立ち向かっているというわけか………」

 

ルシフェルがそう言うと………

 

「なに勘違いしているの?」

 

「クフフ、沢田綱吉の言葉は関係ありませんよ。少なくとも、僕は僕の意志で動いているだけです」

 

「えっと………、俺は、ボンゴレがそんなことを言っていたなんて、今初めて知ったからなんとも言えないです………」

 

雲雀、骸、ランボがそう言った。

 

「おい!!!会議に参加していなかったアホ牛はともかく……。雲雀に骸!!!テメーら、それはどういうことだ!!!」

 

「まぁまぁ、落ち着けって獄寺」

 

「うむ。しかし、極限にお前らも沢田の言葉に反応していた気がするのだが?」

 

「私もそう見えた」

 

獄寺が文句を言って、それを山本が宥めて、了平が雲雀と骸の状態について言って、クロームが同意した。

 

「うるさいよ、君たち」

 

「お黙りなさい」

 

それに対して、雲雀と骸はそう言った。

 

「まぁ、理由はいろいろあるけど、お前に絶対負けられないってわけなのな」

 

山本がそう皆の気持ちを纏めて、そう言って、ルシフェルを見た。他の6人も同じように見た。

 

「………あっそ。………だがな、今ので俺とお前らの実力の差というものを知ったはずだ。いくら死ぬ気の炎が個人の覚悟に影響されるとは言え、精神論でどうにかできるってレベルじゃないだろ?」

 

『っ………!!?』

 

ルシフェルの言うとおりだった。今の獄寺たちの状態とでは、ルシフェルとかなりの差があった。

 

「まぁ、そう言うことだ。お前らは俺には勝てない」

 

ルシフェルがそう言うと、《傲慢の炎》を伸ばしてハルバードを大鎌にした。

 

「今度はこれも上乗せして、終わらせるか。《傲慢の羽と刃(ピゥーマ・エ・ラーマ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルは先程と同じように翼を羽ばたいて出した大量の《傲慢の炎》を纏った羽と大鎌を降って出した大量の《傲慢の炎》の刃を獄寺たちに向けて放った。

 

『ッ!!!』

 

獄寺たちはルシフェルの攻撃に急いで防御に回った。しかし、威力が高すぎるためにだんだんと押されてきた。そして…………

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

たくさんの爆発音が鳴り響いた。それと同時に粉塵が舞い上がった。

 

「終わったか…………」

 

ルシフェルがそう呟いた。そして、粉塵が晴れてきた。

 

「!!?」

 

ルシフェルは驚いた。なぜなら、獄寺たちは突如現れた《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎の結界に守られていて、無傷だったからだ。

 

「これは………!!?」

 

「いったい、なんなのな!!?」

 

「極限に何が起こっているんだ!!?」

 

「俺たち、これのおかげで無事なのですか?」

 

「でも、この結界、どうして出てきたのでしょうか、骸様?」

 

「クフフ、これは不思議なことが起こりましたね………」

 

「……………」

 

獄寺たち7人も何が起こっているのか理解できていないみたいだ。

 

「ッ!!?おい!!!VG(ボンゴレギア)が!!!」

 

獄寺がそう言って、皆、VG(ボンゴレギア)を見てみると石の部分が光っていた。

 

「!!?力が…………!!?」

 

「んおーーーー!!!極限にVG(ボンゴレギア)に力が戻って来るぞーーーー!!!」

 

「でも、いったいどうしてでしょうか?」

 

「骸様、これはいったい?」

 

「む………」

 

「……………」

 

しかも(トゥリニセッテ)の力を奪われて、能力が下がったはずのVG(ボンゴレギア)に力が戻って来るのを感じられた。

 

「ッ!!?まさか!!?あいつらがやられたのか!!!?」

 

ルシフェルはそれを見て、リリスたちがやられたことを察した。《(トゥリニセッテ)リング》が割られたことで、VG(ボンゴレギア)に力が戻ってきたのだ。マーレリングとおしゃぶりにも同様に力が戻っている。そして、力が戻ったVG(ボンゴレギア)が獄寺たちを守ったのだ。

 

「リボーンさんたちがやってくださったのか!!!」

 

「スクアーロに薫、やったのな♪」

 

「んおーーーー!!!!コロネロ師匠ーーーー!!!!」

 

「フランたちも頑張ったみたいですね」

 

「皆…………」

 

「ふん…………」

 

獄寺たちはリボーンたちがルシフェル以外の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》を倒したことに歓喜した。

 

「ッ!!!ってことは、まさか!!!?」

 

ルシフェルは《ロヴィーノ》復活の鍵となる剣を見た。

 

 

 

 

~同時刻《嵐》の間~

 

剣の周りを張っている結界の装置の前にXANXUSが立っていた。XANXUSは《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》を構えた。左の銃には《憤怒の炎》を、右の銃には《大空》の炎を込めた。

 

「かっ消えろ!!!!《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》!!!!」

 

XANXUSはそれぞれの銃から炎を放った。《憤怒の炎》は装置に向かった。

 

 

 

 

~同時刻《雷》の間~

 

装置の前に白蘭が立っていた。白蘭は《白黒龍の頭》を構えた。右手には白い光を、左手には黒い光を収束させた。

 

「《白黒龍破》!!!!」

 

白蘭は両手の光を装置に向かって放った。

 

 

 

 

~同時刻《晴》の間~

 

装置の前に炎真が立っていた。炎真の右手のガントレットにはアーデルたちの炎を《大地》の炎で集中させていた。

 

「《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》!!!!」

 

炎真は装置に向かって、《大地》の七属性の炎が纏った拳をぶつけた。

 

 

 

 

~同時刻《雨》&《霧》の間~

 

装置の前にランチアが立っていた。

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!!」

 

ランチアは蛇剛球を連続で殴って、最後に両手の掌底で装置に向かって飛ばした。

 

 

 

 

~同時刻《雲》の間~

 

装置の前にリボーンが立っていた。リボーンはレオンを拳銃に変えた。

 

「《カオスショット》!!!!」

 

リボーンは拳銃から光弾を装置に向かって発砲した。

 

 

 

 

『『『『『ドカーーーーーーーンッ!!!!』』』』』

 

5つの装置は5人の技で破壊された。

 

 

 

 

~同時刻《大空》の間~

 

パキーーーンッ!!!!パキーーーンッ!!!!パキーーーンッ!!!!パキーーーンッ!!!!パキーーーンッ!!!!

 

剣の周りを張っていた結界が割れた。

 

「よっしゃーーーー!!!結界も割れたぞ!!!」

 

「クフフ、これであとはその剣を壊すだけですね。わざわざ、ルシフェルを相手にする必要はありませんね」

 

獄寺と骸がそう言った。

 

「あの剣を壊させることだけは絶対にさせない!!!!」

 

すると、ルシフェルは剣に向かって《傲慢の炎》を放ち、剣に纏わせた。

 

「これで、俺を倒してからでないと剣は壊せないぞ」

 

ルシフェルは獄寺たちに向かって、そう言った。

 

「チッ!!めんどうなことを………」

 

「まぁまぁ、俺たちのVG(ボンゴレギア)に力が戻ったわけだしいけるのな♪」

 

舌打ちしながら文句を言う獄寺に山本が宥めた。

 

「ふん!!たとえ、お前らのVG(ボンゴレギア)に力が戻ったとして、何が変わるんだ!!!俺とお前らにはデカイ実力の差があるんだよ!!!」

 

ルシフェルが山本の言葉にそう返した。すると…………

 

『ふん。それはどうだろうな』

 

急に男の声が聞こえてきた。

 

「な、なんだ?」

 

ルシフェルは声の主を探した。しかし、どこを探しても見つからなかった。

 

「どこだ!!どこにいる!!!」

 

ルシフェルが大声で叫ぶと………

 

『俺たちはここだ』

 

ピカーーーーッ!!!ピカーーーーッ!!!ピカーーーーッ!!!ピカーーーーッ!!!ピカーーーーッ!!!ピカーーーーッ!!!

 

獄寺たちの6つのVG(ボンゴレギア)から光が出て、それぞれから、人の姿が映し出された。

 

「あんたらは!!?」

 

『ふん。少しはまともな面になったじゃねぇか』

 

《ボンゴレギア 嵐のバックルVer.X》からは獄寺似の赤い髪の顔から首にまで刺青を入れた男。

初代《嵐》の守護者、G。

 

「どうして、ここに!!?」

 

『あの時も言ったでござるが、私たちはお主らのことをずっと見守り続けていたでござる』

 

《ボンゴレギア 雨のネックレスVer.X》からは山本似の烏帽子と狩衣を着た男。

初代《雨》の守護者、朝利雨月。

 

「極限に久しぶりだな!!!」

 

『あぁ、究極にそうだな!!!』

 

《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》からは了平似の黒髪の神父。

初代《晴》の守護者、ナックル。

 

「あなたは………!!?」

 

『あ、牛の子供じゃないんだものね』

 

《ボンゴレギア 雷のヘルムVer.X》からは大人ランボ似の緑色の髪に右頬に雷のマークが入った男。

初代《雷》の守護者、ランポウ。

 

「君の出てくる幕じゃないよ。彼は僕が咬み殺すから」

 

『今の君には、無理だよ。………まぁ、僕には関係無いことだけどね』

 

《ボンゴレギア 雲のブレスレットVer.X》からは雲雀似のプラチナブロンドの髪をした男。

初代門外顧問兼

初代《雲》の守護者、アラウディ。

 

「どうして、あなたも………?」

 

「クフフ、確かにクロームの言うとおりですね」

 

『ヌフフ、あの後、私はここに戻りましてね』

 

《ボンゴレギア 霧のイヤリングVer.X 》 からは骸似の、かつてツナや炎真たちと敵対した男。

初代《霧》の守護者、D(デイモン)・スペード。

 

「初代ボンゴレ守護者…………」

 

それを見て、ルシフェルがそう言った。ルシフェルの言うとおり、VG(ボンゴレギア)から出てきたのは初代ボンゴレ守護者たちだった。

 

「意識体でしか存在できない、死人同然のお前らがいったい、何の用だ?」

 

ルシフェルが初代守護者たちに向かって、そう聞いた。

 

『死人同然とは酷い言い草でござるな』

 

『しかし、我々は究極に死んでいるからな』

 

『究極に死んでいるって、なんだか言い方おかしいものね……』

 

『どうでもいいよ、そんなこと』

 

『俺たちはこいつらに力を貸しにきた』

 

ルシフェルの言葉に雨月、ナックル、ランポウ、アラウディがそう言って、質問にはGが答えた。

 

「力を貸しにきただと………?」

 

『あぁ、そうだ。テメーらみたいな連中に地球を滅ぼされるなんてごめんだからな』

 

『ヌフフ、私は今のボンゴレを壊そうとはしましたが、地球を滅ぼすというイカれた考えはありませんからね。それに、エレナはそのようなことは望んではいませんからね………』

 

GとD(デイモン)がそう言った。そして、初代守護者たちは10代目守護者に向いた。

 

『こいつは俺たちからの餞別だ』

 

『お主らはX世(デーチモ)の想いを引き継いでいるでござる』

 

『究極にお前たちならできるはずだ!!!』

 

『あのウザい牛の子供に戻る前に終わらせるんだものね』

 

『………まぁ、僕には関係無いことだけど。せいぜい、がんばりなよ』

 

『ヌフフ、私が何か言ったところであなた方を不快にさせるだけなので何も言いません』

 

そう言うと初代守護者たちは消えた。すると………

 

ボウッ!!!ボウッ!!!ボウッ!!!ボウッ!!!ボウッ!!!ボウッ!!!

 

『!!!?』

 

VG(ボンゴレギア)から凄まじい炎圧の炎が灯り出した。

 

「くっ………!!?なんて炎圧だ!!?」

 

ルシフェルはそれを見て驚いた。

 

「これは………!!?」

 

「あの人たちの炎なのな!!?」

 

「極限に凄まじいぞ!!?」

 

「すごいもんね!!?」

 

「……………」

 

「すごい…………!!?」

 

「クフフ、さすがは初代ボンゴレ守護者たちって、言ったところですか………」

 

獄寺たち7人も驚いた。初代守護者たちはVG(ボンゴレギア)を通して10代目守護者に自分たちの炎を分け与えたのだ。それにより、獄寺たちはパワーアップしたのだ。

 

「よっしゃ!!!あいつらがくれた炎であいつを果たしてやる!!!」

 

「あぁ!!!俺たちはツナの想いを引き継いでいるのな!!!」

 

「んおーーーー!!!!極限にやってやるぞーーーー!!!!」

 

「…………確かに、子供の俺に戻る前に終わらせなくては………」

 

「……………まぁ、せっかくだし、使ってあげるよ」

 

「クフフ、クローム。お前は我々のサポートをお願いします」

 

「はい!!!骸様!!!」

 

7人はそれぞれ、鼓舞した。

 

「瓜!!!」

 

「次郎!!!小次郎!!!」

 

「漢我流!!!」

 

「牛丼!!!」

 

「ロール」

 

「ムクロウ」

 

6人は自分のギアアニマルを呼び出した。そして、叫んだ。

 

「「「「「「形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!!」」」」」」

 

今、最終(ファイナル)ラウンドが始まる。




次回、決着!!!!


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~決着~ 守護者VS大空の大罪

(トゥリニセッテ)の力がVG(ボンゴレギア)に戻り、初代守護者たちに炎を分け与えられた獄寺たち。それを使って、獄寺たちはルシフェルに立ち向かおうとしていた。

 

「「「「「「形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!!」」」」」」

 

獄寺たちは自分たちのギアアニマルを形態変化(カンビオ・フォルマ)させた。獄寺、山本、了平、雲雀はそれぞれ、並中でルシフェル相手に使った形態だった。骸は黒曜ヘルシーランドで使った形態だった。ランボは牛丼と合体したことでコイル状に巻かれた角を持った兜と鎧を装備した。

 

「うっ……!!?やっぱり、重い………」

 

ランボは兜と鎧の重さに少しふらついていた。

 

「しっかりしやがれ、アホ牛!!!」

 

それを見て、獄寺が怒鳴った。

 

「わ、わかってますよ……。俺だって、あいつに勝ちたい。地球を滅ぼさせたくないから………」

 

ランボはそう言って、覚悟の籠った目でルシフェルを見た。

 

「ふん。それならば、まずは、パワーアップしたお前らの力というものを見せてもらおうじゃねぇか………」

 

ルシフェルがそう言うと、ハルバードから《傲慢の炎》を伸ばして大鎌にした。

 

「これでも、くらいやがれ!!!!」

 

ルシフェルはそう言って、大鎌を降った。しかし、先程までと違って、たくさんの炎の刃ではなく、1つの巨大な炎の刃だった。凄まじいパワーが感じられた。

 

「来るぞ!!!」

 

「極限にすごいパワーだ!!!?」

 

獄寺と了平がそれを見て、そう言った。

 

「俺に任せろ!!!」

 

そう言って山本が前に出た。

 

カチャッ………

 

山本は腰に着けていた刀を鞘に入ったままの状態で持ち、構えた。

 

「あれは、居合いの構えですか………」

 

それを見て、骸がそう言った。巨大な炎の刃が山本に向かってきた。

 

「時雨蒼燕流 守式 六の型《驟雨》!!!!」

 

山本がそう言うと、刀を鞘から引き抜いた。すると、巨大な《雨》の炎の塊が出てきて………

 

ドカンッ!!!!

 

ルシフェルの炎の刃と相殺した。

 

「!!?あれを防いだの!!?」

 

それを見て、クロームがそう言った。

 

「………リボーンさんから聞いた話だと、《驟雨》は本来、勢いよく降った刀が水を巻き上げながら飛ばして相手の攻撃を防ぐ技で、その威力は大砲をも防ぐと言われているらしいぜ……」

 

「なるほど…………。そして、今回はVG(ボンゴレギア)の刀に纏わせた《雨》の炎を鞘の中で溜めることで、刀を引き抜く際により強力になったというわけですか」

 

山本の技に獄寺が説明をして、骸が補足した。

 

「それだけじゃないぜ。雨月さんが分けてくれた炎のおかげでもあるぜ♪」

 

山本がニカッと笑いながら言った。実際、雨月の炎が無かったら、ルシフェルの技を防ぐことはできなかっただろう。

 

「チッ!!!」

 

ルシフェルはそれを見て、舌打ちをした。すると…………

 

ジャラッ………

 

シュンッ!!!

 

ジャキンッ!!!

 

突如、分銅の付いた鎖が勢いよく飛んできて、ルシフェルはハルバードで防いだ。

 

「へぇ……。悪くないね、この炎………」

 

雲雀はアラウディが分けてくれた炎に感心していた。仕込みトンファーの鎖もいつも以上に速く伸びたからだ。

 

「こんなもの、効くか!!!」

 

ルシフェルはそう言って、ハルバードで鎖を弾いた。すると、次は………

 

「んおーーーー!!!!《極限(マキシマム)コンビネーション》!!!!」

 

了平がナックルの炎で活性化された肉体でルシフェルにラッシュをした。ルシフェルはそれを並中のときと同様にハルバードで捌いていたが…………

 

(くっ…………!!?速い上に重い!!?)

 

了平のラッシュを捌くのがきつくなっていた。

 

「ふん!!!!」

 

ドガッ!!!!

 

「ガハッ!!?」

 

そして、了平のパンチの1つがルシフェルに直撃した。

 

ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!ドガッ!!!!

 

それにより、ラッシュが決まるようになった。

 

「チッ!!!オラァッ!!!!」

 

ドガッ!!!!

 

「ぐっ………!!?」

 

ルシフェルは殴られながらも、舌打ちをして、ハルバードの柄で了平をぶっ飛ばした。

 

「果てろ!!!《ロケットボム Ver.X》!!!」

 

すると、今度は獄寺がGの炎でスピードと威力がより向上された《ロケットボム》を放った。

 

「《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》!!!」

 

それに対して、ルシフェルは《傲慢の炎》を纏った羽で対抗した。

 

ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!

 

ダイナマイトと羽がぶつかった。どうやら、これは互角のようだ。

 

「《ワイドホーン》!!!」

 

すると、ランボが胸のレバーを操作して、角の幅を広げた。

 

「《電撃コイル角(コルナ・モッラ・エレットロ・ショック)》!!!」

 

ランボはコイル状の角にランポウの《雷》の炎を通して、電磁石のように砂鉄を引きつけた。

 

「《エレットゥリコ・アイアンホーン》!!!」

 

そして、ランポウの炎で砂鉄を溶かして硬化させて、より超鋼鉄の角を6本作り出した。

 

「ハッ!!!」

 

ランボは《エレットゥリコ・アイアンホーン》をルシフェルに向かって飛ばした。

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

《エレットゥリコ・アイアンホーン》はルシフェルの周りを取り囲むのように地面に突き刺さった。

 

「ふん!!!どこを狙っているんだ!!!」

 

ルシフェルがそう言うと、

 

「まだだ!!!《サンダーセット》!!!」

 

ゴロロッ……

 

ピカッ!!!

 

ビリリッ………

 

ランボは雷を呼び出して、膨大な電流を溜めた。

 

「《エレットゥリコ・リバース》!!!」

 

ランボは20年後のランボが使っていた技を使って、体内の電流を地面に流した。すると、電流は地面を通して、刺さっていた《エレットゥリコ・アイアンホーン》に伝わった。

 

ビリリッ………

 

「なっ!!?」

 

「くらいやがれ!!!」

 

ビリリッ……

 

バリバリバリバリバリッ!!!!

 

「グァァァッ!!!?」

 

《エレットゥリコ・アイアンホーン》から放電した電撃がルシフェルに直撃した。

 

「でかしたぞ、アホ牛!!!!」

 

獄寺がランボに称賛した。

 

「クフフ……。では、我々も行きますか」

 

「はい、骸様!!!」

 

骸の言葉にクロームがうなずいた。

 

「…………《羅刹開匣》。あなたが人間を喰らう羅刹だと言うなら、僕は敢えて、()()として戦いましょう」

 

骸がそう言うと、右目の瞳に映っていた六の文字が五に変わった。

 

「………《人間道》」

 

骸は六道のスキルの自分が嫌っているスキルを使った。すると、骸から黒いオーラが出てきた。しかし、ツナと戦ったときと比べて、禍々しさは感じられなかった。

 

「クフフ………。沢田綱吉の炎に浄化された影響か、この《人間道》から嫌な感じがしませんね………」

 

「ボスはすごい人です。骸様」

 

「クフフ、そうですね。そして、不思議な男でした………」

 

骸とクロームは感傷に浸っていた。しかし、そんな場合ではないとすぐに向き直った。

 

「クフフ、まぁ、今はあの男を倒すことが先ですね」

 

「はい、ボスの想いに答えるためにも………」

 

「「《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》!!!!」」

 

そう言って骸とクロームは協力して、ヴェルデの装置を使って強力な幻術を作り出した。しかも、D(デイモン)の炎により、さらに強力になった。6羽の鴉はルシフェルに向かった。

 

「くっ………!!?そっちが幻術なら、こっちも幻術だ!!!!」

 

そう言うとルシフェルは幻術を使って消えた。それで六無夢骸鴉(むがいあ)をかわした。

 

「逃がさないぜ……。時雨蒼燕流 特式 十二の型 左太刀 《霧雨》!!!」

 

山本は左太刀で斬撃を飛ばして空間を嗅ぎ分けた。それにより、空中にいたルシフェルを見つけた。

 

「そこか!!!時雨蒼燕流 特式 十二の型 右太刀 《斬雨》!!!!」

 

山本は今度は右太刀で斬撃を飛ばして、《霧雨》で嗅ぎ分けたルシフェルを正確に捉えた。

 

「グッ………!!?」

 

ルシフェルは呻き声をあげた。

 

「クフフ、それだけではありませんよ。行きなさい、 六無夢骸鴉(むがいあ)!!!」

 

骸に言われて、 六無夢骸鴉(むがいあ)が追い討ちをかけた。

 

「ガッ………!!!??」

 

ルシフェルは血を吐いた。ルシフェルは空から落ちていった。

 

「極限に決まったぞ!!!!」

 

了平がそう叫んだ。他の6人も勝利を確信した。

 

(敗ける?俺が……?)

 

落ちながらルシフェルはそう思った。

 

(ここまでなのか、俺は………)

 

ルシフェルは諦めかけていた。その時、走馬灯が見えた。

 

 

 

 

『ダークネス!!』

 

『…………なんだ?』

 

『認めてやるよ。お前は俺よりも強い。《人類至上サイキョウの人間》だ、って認めてやるよ』

 

『別に俺は《人類至上サイキョウの人間》という肩書きなんかに興味無いが………それよりも何が言いたい』

 

『ハッ!!さすがだな。気づいていたか………。………俺は、これから先、お前以外のやつに負けない。たとえ、相手が100人、1000人、いや、1億人以上いたとしてもだ!!!そして、最後には必ずお前を倒す!!!!覚えていやがれ!!!!』

 

『…………好きに言ってろ』

 

『あぁ、そうさせてもらうぜ』

 

 

 

 

(…………そうだ。そうじゃねぇか。俺はダークネス以外のやつなんかに敗けてたまるか!!!あの宣言から俺はダークネス以外のやつに敗けたことがない。俺はお前らを認めたが、お前らに敗けてもいいなんて思ってない!!!意地でもお前らは俺が倒す!!!!)

 

ルシフェルがそう思うとハルバードを大剣にした。

 

「《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》!!!!」

 

ルシフェルは落ちる寸前に大剣を地面に叩きつけた。そして、大爆発が起きた。

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

『なっ!!!??』

 

獄寺たちはルシフェルがまだ動けることに驚いた。しかし………そんな場合ではなかった。ルシフェルはハルバードを手放して、その爆発の爆風を利用して、獄寺たち7人へ向かって………

 

ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!

 

『グァッ!!!??』

 

《傲慢の炎》を纏わせた爪で獄寺たち7人を切り裂いた。獄寺たちは倒れそうになったが、何とか持ちこたえた。

 

「…………今ので、持ちこたえるのか」

 

ルシフェルがそう言うと、

 

「………クフフ………、……それは………こちらのセリフでも………ありますよ………」

 

骸がそう言った。

 

「別に、俺は意地でもお前らに敗けられない。………それだけだ」

 

ルシフェルはダークネス以外の人物には敗けないということは言わず、そう言った。

 

「意地でも敗けられないっていうのは、俺たちも同じだ!!!」

 

「あぁ、そうなのな!!!」

 

「極限にそうだ!!!」

 

「君は絶対に咬み殺すからね………」

 

「俺たちはお前を倒す!!!」

 

「私たちは諦めない!!!」

 

「クフフ、僕もかなり諦めが悪いですよ」

 

獄寺たちも強い意志でそう言った。

 

「…………どうやら、そうみたいだな。…………いいだろ。俺の最強の技で今度こそ終わらせる!!!」

 

ルシフェルがそう言うと、胸元の《(トゥリニセッテ)リング》から膨大な《傲慢の炎》を灯した。それとともに爪から膨大な《傲慢の炎》が灯り、10本の巨大な刃になった。

 

「死に晒せ!!!《傲慢の爪刃(ラーマ・ウンギア・スペルビア)》!!!!」

 

ルシフェルは巨大な炎の刃となった爪を地面にぶつけた。すると、10本の巨大な炎の刃は地面を抉り、獄寺たちに向かった。

 

『!!!!??』

 

獄寺たちはその威力に驚いた。急いで、防御をした。そして…………

 

ドカーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!

 

大爆発が起きた。それと同時に粉塵が待った。ルシフェルは終わったと思った。しかし……………

 

「!!!!??」

 

粉塵から7つの人影が出てきた。すると、ボロボロになりながらも、防御しきった獄寺たちがルシフェルに向かって走っていた。ランボも重い鎧を着けているにも関わらず、走っていた。

 

「果てやがれ、ルシフェル!!!《3倍ロケットボムVer.X》!!!!」

 

「時雨蒼燕流 攻式 八の型・改 《二連・篠突く雨》!!!!」

 

「《極限(マキシマム)サンシャイン太陽(キャノン)》!!!!」

 

「《電撃鉄の角(フェッロ・コルナ・エレットロ・ショック)》!!!!」

 

「咬み殺す!!!!」

 

「堕ちろ、そして巡れ!!!!」

 

「これで、終わりよ!!!!」

 

獄寺は通常の3倍の量の自分とGの炎を纏わせた《ロケットボムVer.X》を放った。

 

山本は自分と雨月の炎を纏わせた二振りの刀で《篠突く雨》を使った。

 

了平は《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》にフルチャージした炎を全て使って、自分とナックルの炎を纏わせた拳で《極限(マキシマム)太陽(キャノン)》を放った。

 

ランボは《エレットゥリコ・アイアンホーン》を操作して、さらに溶かして硬化させて、2本の巨大な槍に収束して、さらに自分とランポウの炎を纏わせて、自身の突進と共に打ち放った。

 

雲雀は仕込みトンファーから鎖を伸ばして、自分とアラウディの炎を纏わせて、振るった。

 

骸は《人間道》の状態で自分とD(デイモン)の炎を纏わせた錫杖を振るった。

 

クロームは自分の炎を纏わせた三叉槍を振るった。

 

そして、7人の攻撃がルシフェルに直撃した。

 

『《守護者の7連撃(プロテットーレ・ウルト・ベル・セッテ)》!!!!』

 

「グアァァァーーーーーーーーッ!!!!!!??」

 

バキンッ!!!!

 

《大空》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

 

 

 

守護者VS大空の大罪

 

勝者、守護者



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《ロヴィーノ教団》の憎しみ

ルシフェルを撃破した獄寺たち。

 

「………うっ……。……………クソッ!!!」

 

ルシフェルは元の姿に戻っていて、意識はまだあった。しかし、もう戦えそうになかったので、一先ず、大丈夫なようだ。

 

ボフンッ!!

 

すると、ランボから煙が出た。どうやら、ちょうど10分経って、10年バズーカの効力が消えたようだ。

 

「うわあぁぁぁぁーーーーん!!!!」

 

5歳児のランボが泣きながら、クロームに飛び込んだ。

 

「!?どうしたの、ランボさん?」

 

クロームは驚きながらもランボを抱きしめて、尋ねた。

 

「怖かったもんね!!!怖かったもんね!!!」

 

それに対して、ランボは怖かったと連呼していた。

 

「いったい、どうしたのな?」

 

山本が疑問に思っていると

 

「…………10年後の彼が言っていたではないですか。10年後の世界は地獄のようだと………。10年バズーカは弾が被弾した者と10年後の自分と入れ替わるもの。つまり、その子供は10年後の世界に行っていたことになります」

 

骸の説明によって皆が納得して、ランボに同情した。そんな世界、5歳児にはきつかっただろう。

 

「極限に大変だったな………」

 

了平がランボの頭を撫でながらそう言った。すると…………

 

「オメーら、やったみたいだな」

 

入口のほうから声がして、獄寺たちがそちらへ向くと

 

『小僧/赤ん坊/リボーン(さん)!!』

 

そこには、リボーンがいた。いや、リボーンだけではない。

ヴァリアーからはXANXUS、スクアーロ。

ミルフィオーレからは白蘭、γ、ロヴィーノ教団の構成員たちの相手をしていた筈の幻騎士。

シモンからは炎真1人。

黒曜からはフラン1人で、それから一緒にリリスとスロウスの相手をしたバジルとディーノ、ランチア、ディーノの付き添いのロマーリオ。

アルコバレーノからはリボーンを含めて、コロネロ、スカル、マーモン、風、ラル、バミューダ。

 

「「「「「「「………………………」」」」」」」

 

「あぁ?なんだあぁぁぁぁ?」

 

獄寺たち7人がスクアーロをじっと見ていたので、スクアーロが苛立った様子で聞いた。

 

「「「「「「「お前/テメー/あなた/君、誰(だ/なのな/だもんね/ですか)?」」」」」」」

 

「ゔぉおおおおい!!!!テメーら、3枚におろすぞおぉぉぉぉーーーー!!!!」

 

獄寺たちの言葉にスクアーロがキレた。

 

「あ。その叫び方、もしかしてスクアーロか?」

 

「テメー、その髪どうしたんだ?いつものロン毛じゃないじゃねぇか」

 

獄寺の言うとおり、スクアーロは今、いつもの長髪ではなく、ジャバウォックの《憤怒の炎》に燃やされて短くなり、昔の髪形になっていたのだ。なので、獄寺たちにとって誰なのかわからなかったのだ。

 

「どうやら、ジャバウォックの炎に燃やされたらしいぞ」

 

「ったく、どいつもこいつもなんでわかんねぇんだあぁぁぁぁ…………」

 

リボーンが獄寺たちに説明して、スクアーロが呟いた。実は先程も、扉があった空間で合流した際に、ヴァリアーメンバーと昔、同級生だったディーノ以外のメンバーに同じことを言われたのだ。ディーノには「懐かしいな」と言われた。

 

「………って、テメーはランチア!?テメー、なぜここにいるんだ!?」

 

「骸に呼ばれてな。救援に来た」

 

「おかげで助かったぜ」

 

獄寺が最初はいなかったランチアに気づいて、尋ねるとランチアはそう答えて、ディーノが先程のことを思い出していた。

 

「それよりも、すごいよ!!あのルシフェルを倒すなんて!!!」

 

「そうですよ!!皆さん、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》最強の男を倒すなんて、すごいことですよ!!!」

 

「全くですね~~~。あの化け物を倒すなんて、ししょ~は、ナッポーの化け物になりましたか~~」

 

「お黙りなさい、いつも以上に口が過ぎますよ」

 

「あ」

 

炎真、バジルが獄寺たちを賞賛して、フランが毒舌で骸のことを馬鹿にして、骸に錫杖で頭のリンゴを刺された。

 

「あぁぁぁぁ、六道骸………。フランのやつ、どうやら、戦闘の最中に未来での記憶を取り戻したみたいなんだぜえぇぇぇ…………」

 

「…………それは本当ですか?それなら、あなたに譲りますよ」

 

「いらねぇぇぇぇ」

 

スクアーロと骸がフランの押しつけ合いをし始めた。

 

「そう言えば、極限に紅葉がいないぞ」

 

「らうじもいないもんね!!」

 

「犬や千種、他の皆は?」

 

了平、ランボ、クロームが最初よりも人が少ないのを見て、尋ねた。

 

「あぁ、ここにいないメンバーは、皆、並盛総合病院に戻っているぜ、コラ」

 

「彼らは中でも、怪我が酷かったですからね」

 

「だが、安心しろ。全員、命に別状はない」

 

コロネロ、風、ラルがそう説明して、獄寺たちはホッとした。

 

「ロヴィーノ教団もそこのルシフェル以外の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と構成員は全員、拘束して、あちらに送った」

 

「彼らは全員、僕たちの牢獄に幽閉されるだろうね。それも、ことがことだからね。最下層よりもさらに下の層を作り、そこで幽閉するよ」

 

「あの人数を相手に勝つなんて、さすが幻騎士なのな♪」

 

幻騎士とバミューダがそう言って、山本は幻騎士を賞賛した。

 

………タッ………タッ………タッ………タッ………タッ………

 

「………………何の………用だ、………白蘭」

 

倒れていたルシフェルに白蘭が近づいてきた。

 

「いや~~。君が敗けてくれたおかげで、僕のマーレリングも力が戻ったよ♪」

 

そう言って、白蘭はルシフェルにマーレリングを見せながら言った。

 

「…………俺に嫌味を言いにきたわけじゃないだろ。いったい、何の用だ」

 

「…………冗談が通じないね。君の性格なら乗ってくれるかなと思ったけどね………」

 

白蘭はルシフェルの言葉に肩をすくめながら言った。

 

「…………まぁ、いいや。僕は()()()について聴きたいのさ」

 

そう言って、白蘭が取り出したのは、2つの匣だった。

 

「白蘭、それは!!」

 

「……………」

 

「なんだそれは?」

 

それを見て、γは驚き、ルシフェルは黙っていて、リボーンが聞いていた。

 

「これらは、豪君が持っていた匣だよ。2つ共、中には死体が入っていたよ」

 

『!!!?』

 

「死体だと!!!?」

 

白蘭の言葉に白蘭とγ、ルシフェル以外が驚いた。そして、スカルがそう言った。

 

「………奴は死体を独自に戦闘用に改造して、自分の操り人形として使っていたんだ」

 

「なんてヤローだ!!!」

 

「アレハンドロのジンジャーブレッドも人形だけど………。彼のは、死体なんて使っていないよ」

 

γの説明に獄寺が怒鳴り、バミューダがそう言った。

 

「ですが、白蘭はルシフェルに何を聴きたいのですか?」

 

「いやさ。豪君、戦闘中で『全ての死体を出した』って、言っていたのに、彼のそばに開匣していないこれらが落ちていたんだよ。なぜ、これらを使わなかったのかなって、思ってね。豪君は気を失って聞けなかったしね」

 

骸の質問に白蘭が答えた。そして、全員、ルシフェルのほうを見た。

 

「………………具体的にどんな死体だったんだ?」

 

「男の人と女の人が1人ずつだったよ。でも、2人共、どこか、豪君に似ていたんだよね………。まぁ、見せたほうが早いか」

 

ルシフェルが白蘭にそう聴いて、白蘭はそれに答えた。そして、マーレリングに炎を灯して、2つの匣を開匣した。中から、白蘭の言うとおり、男の人と女の人が1人ずつ出てきた。男の人のほうは黒髪で顔立ちが豪に似ていた。対して、女の人のほうは髪の色が豪と同じ緑色だった。そして、どちらも20代ぐらいだった。

 

「…………やはりな。そいつらは、()()()()だ」

 

『!!!?』

 

豪の言葉に、再び驚いた。白蘭とγは予想していたのか、そこまで驚いてなかった。

 

「両親って…………」

 

「あの男は自分の両親を殺して、操り人形にしたのですか!!!?」

 

炎真とバジルがそう言った。皆、そのことに怒りを感じていると………

 

「…………お前ら、勘違いしているぞ」

 

ルシフェルがそう言った。

 

「勘違いだと…………?」

 

「あぁ、そうだ。確かに、死体だったそいつらを操り人形にしたのは豪だが、殺したのは豪じゃない」

 

「久与田豪じゃないですって?」

 

「あぁ。…………俺たちの故郷では大きく2つに分けられた。力があり、豊かな土地に住める貴族、王族。それ以外の弱い平民、貧民だ。豪の両親はその貴族に殺された」

 

ルシフェルが豪のことを説明し始めた。リボーンたちも黙って聞いた。

 

「そして、2人の遺体を当時から人形作りの才能があった豪がいじった。そもそも、操り人形にしたのも戦闘用のためじゃねぇ。当時7歳だったあいつが寂しさを紛らわすためだ」

 

『!!!?』

 

「だが、操り人形にしたところで、所詮、死体は死体。話しかけても答えないし、自分の名前を2度と呼ばれない。虚しさだけが残る」

 

『……………』

 

「その虚しさは時間が経つにつれて、憎しみに変わった。だから、あいつは自分の両親を戦闘用に改造して、その貴族共に復讐した。自分と両親の憎しみを思い知らすためにな。おかげで、その貴族は幽霊だって、思ったらしいな。ふん。ザマァねぇな」

 

ルシフェルはそう言って、黙った。ルシフェルの話に皆、何とも言えなかったが………

 

「僕の質問に答えてないけど?」

 

白蘭がその空気を破った。

 

「…………確か、前に聞いたときに、『優しかった自分の両親をこれ以上、貴族(ゴミ)の血で汚したくないでござる』って、言っていたな」

 

それにルシフェルは答えた。貴族をゴミと言うところから、豪は相当、貴族を嫌っていたようだ。

 

「……………なぁ。なんで、貴族たちはその人たちを殺したのな?」

 

今度は山本が聞いてきた。

 

「…………知らねぇよ。貴族(ゴミ)の考えることなんてな。大方、暇潰しとかくだらない理由だろうな」

 

『!!!?』

 

ルシフェルの言葉に本日、何度目かわからない驚きがあった。そして、ルシフェルもどうやら、貴族のことを嫌っているようだ。

 

「暇潰しって…………そんなことで殺すのか!!!」

 

ディーノが叫んだ。

 

「トップの王族が元々腐っていたからな。だから、貴族たちも同様にな」

 

ルシフェルがそう答えた。

 

「…………俺たちロヴィーノ教団は理由は様々だが全員、そんな王族、貴族(ゴミ共)を憎んでいた。全員が王族、貴族(ゴミ共)から幸せを掴むために戦っていたんだ!!!」

 

ルシフェルは黙ったかと思ったら、叫んだ。

 

「それなのに、長い月日をかけて、あいつらに勝てたと思ったら、土地は使い物にならなくなっていた…………。何の成果も得られなかった俺たちには、喜びなど無く、ただ憎しみだけが残った。だから、俺たちはこの世をこの世界を憎むことにした!!!俺たちが何をしたんだ!!!俺たちはなぜこんな最悪な人生を送らなければいけなかったんだ!!!何もかもが許せなかった!!!そのために、俺たちはこの命を使って、この世界を復讐という破壊を行うんだ!!!!」

 

ルシフェルが自分の想いをさらけ出していると………

 

「黙れ、ドカスが」

 

バンッ!!!

 

「がっ………!!!?」

 

XANXUSがルシフェルに向かって、銃弾を放った。

 

「………ぐっ………XANXUS………!!!」

 

「チッ!!!しぶといドカスだ」

 

しかし、それでも生きていたルシフェルにXANXUSが悪態をついた。

 

「テメー、なにやってんだ!!?」

 

「るっせ………」

 

獄寺がXANXUSの行動を咎めて、それに対してXANXUSが素っ気なく言った。

 

「落ち着け、オメーら」

 

「リボーンさん」

 

「今は()()を壊すのが先だ」

 

そう言ってリボーンは剣を指で指した。

 

「獄寺、オメーが壊せ」

 

「リボーンさん………。わかりました!!」

 

リボーンに言われて、獄寺は《赤炎の矢(フレイムアロー)》を装備した。

 

「いよいよだな………」

 

「あぁ………」

 

「これで地球が守られる………」

 

「そうですね…………」

 

皆がそう言っている中、獄寺が《赤炎の矢(フレイムアロー)》にミサイル弾を込めて放った。

 

「果てろ!!《フレイムミサイル》!!!」

 

ミサイルはそのまま、剣へと向かい……………

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

直撃して爆発した。全員、これで終わったと思った。

 

…………………………………………

 

………………………………

 

………………………

 

………………

 

………しかし………

 

『!!!?』

 

粉塵が晴れると、そこには《闇夜》の炎で纏われていたおかげで()()()()()()()()()があった。

 

「あれは、《闇夜》の炎!!?」

 

「ってことは、まさか!!?」

 

ラルとマーモンがそう言うと……………

 

バサッ………バサッ………

 

上空から羽ばたく音が聞こえて、全員が上を向くと、そこには…………

 

「…………無様だな、ルシフェル」

 

自分の匣アニマル、ドレイクに乗っていた、ロヴィーノ教団No.1であり、《人類至上サイキョウの人間》、ダークネスがいた。



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マフィア連合VS人類至上サイキョウの人間

リボーンたちの前に突如現れたのは、ツナを殺した男、ダークネスだった。全員、その場から後ろに下がって、警戒した。

 

タッ……………

 

ダークネスはドレイクの背中から飛び降りて、倒れていたルシフェルに近づいた。

 

「………………無様だな。俺以外の奴には敗けない。そして、最後には俺に勝つって言ってた奴の体たらくかよ」

 

ダークネスがルシフェルを見下した目でそう言った。

 

「…………ハッ!!………興味無さそうに………していたくせに…………覚えてくれていたのか…………」

 

「まぁな…………。………まぁ、今はそんなことよりも………」

 

ダークネスがそう言うと……………

 

「邪魔だ」

 

ゲシッ!!

 

「がっ!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!

 

ルシフェルを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたルシフェルはそのまま、壁のほうへ飛んでいき、激突した。

 

「なっ!!?あいつ、仲間を!!?」

 

獄寺がそう言うと…………

 

「仲間?何を勘違いしているんだ?俺はそいつらのことを共通の目的を持つ同僚や味方だとは思っていても、情で繋がった仲間だとは1度も思ったことがねぇぞ」

 

『なっ!!?』

 

淡々と言うダークネスにほとんどの者が驚いた。

 

「………それは………お互い様だ…………」

 

壁にもたれ掛かっていたルシフェルが呟くように言った。

 

「そんなことよりもお前ら、俺に対する殺気が充満しているぞ」

 

『……………………』

 

ダークネスの言うとおり、リボーンたちはダークネスに殺気を放っていた。ツナを殺したダークネスに対して、どうしても許せなかったのだ。

 

「………まぁ、いいか。それでどうするんだ?この剣には俺の《闇夜》の炎を纏わせた。これで、どんな攻撃も無効化されて、壊すことができないぜ?」

 

ダークネスがそう言うと………

 

「そんなもん、オメーを倒して、剣を壊すだけだ」

 

とリボーンが言って、全員、戦闘体勢に入った。

 

「…………そう言うと思ったよ」

 

そう言って、ダークネスもガンブレードを構えた。

 

「………さすがにあいつを相手にするのは、アホ牛にはきついか………。ディーノ」

 

「あぁ、ロマーリオ。ランボを頼んだぜ!!」

 

「わかったぜ、ボス!!」

 

ディーノに言われたロマーリオはランボを抱えて、入口付近まで下がった。

 

「リボーンさん、あいつ、10代目のときも3、4割程度しか出していないみたいです!!」

 

獄寺がルシフェルから聞いたことをリボーンに伝えた。

 

「そうか…………。………なら、俺らも最初から()()を使うか………」

 

「そうみたいだな、コラ!!」

 

「しかたないね………」

 

「やってやるぞ!!」

 

「わかりました」

 

「そうでないと勝てそうにないしね………」

 

リボーンの言葉にリボーンとコロネロ、マーモン、スカル、風、バミューダはおしゃぶり型の注射器を取り出した。

 

「「「「「「プレゼントプリーズ!!!」」」」」」

 

そう叫ぶと、リボーンたちアルコバレーノ組は注射器を胸元に刺した。すると、リボーンたちは呪われる前の大人の姿になった。

 

「よっしゃーーーー!!!これで、テメーを――――」

 

スカルがダークネスに向かって叫ぼうとしたができなかった。なぜなら…………

 

ドガッ!!!

 

「ガハッ!!?」

 

ドカンッ!!!

 

ショートワープしてきたダークネスがスカルを思いっきり、蹴り飛ばしたからだ。

 

『スカル!!?』

 

スカルは壁に激突して、そのまま気を失った。

 

「スカル!!?」

 

「嘘だろ、コラ!!?」

 

不死身の体(アンデッド・ボディ)を持つスカルを1発KOですか!!?」

 

「しかも、最も防御の高い腹を蹴られてだよ!!僕でさえ、弱点の頭を狙ったのに…………」

 

炎真、コロネロ、風、バミューダがそう言った。

 

「………俺にはそれだけの力がある。それだけだ」

 

それに対して、ダークネスがそう言った。

 

「ふん!!」

 

ガキンッ!!

 

すると、雲雀がトンファーでダークネスに攻撃して、ダークネスは右手のガンブレードで防いだ。

 

「その程度の不意打ちが俺に当たると思ったか?」

 

そう言って、ダークネスはもう片方のガンブレードで雲雀に斬りかかろうとした。

 

シュルルッ!!

 

「!?」

 

すると、ディーノがダークネスの左腕に鞭を巻き付けて、阻止した。

 

「大丈夫か、恭弥!!」

 

「………ふん」

 

「大丈夫そうだな。皆!!今のうちに離れろ!!」

 

ディーノに言われて、取り敢えず雲雀を含めた全員がダークネスから距離を取った。

 

「なら、先に跳ね馬、お前をやるか」

 

そう言うと………

 

ザシュッ!!

 

ダークネスは右手のガンブレードの刃から《闇夜》の炎の刃を出して、自分の左腕を斬った。

 

「なっ!!?」

 

その光景を初めて見たディーノは当然、驚いたが、自由になったダークネスがガンブレードで突き刺そうとしていた。

 

ガキンッ!!

 

すると、今度は雲雀がトンファーから鎖を出して、ガンブレードを防ぎ、ディーノを守った。

 

「これで、借りは返したよ」

 

「妙に律儀な奴め!」

 

ディーノはそう言って、ダークネスから離れた。

 

「ふーん。なかなか、連繋が取れているな」

 

ダークネスが左腕を体につけ直して、関心したように言った。

 

「ゔぉおおおおい!!!!なめんじゃねぇ!!!!《鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)》!!!!」

 

「時雨蒼燕流 特式 十二の型 右太刀 《斬雨》!!!」

 

「《幻剣舞(ダンツァ・スペットロ・スパダ)》!!!」

 

スクアーロは《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》でカマイタチと爆弾を――――

 

山本はVG(ボンゴレギア)で斬撃を――――

 

幻騎士は《幻剣(スペットロ・スパダ)》と《幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)》により、《霧》の炎でできた斬撃とミサイルを――――

 

三剣士の遠距離攻撃をダークネスに向けて放った。

 

ガチャッ!!

 

ダークネスはガンブレードを構えた。

 

「《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

バババババババババババババババババババババババババババンッ!!!

 

すると、ガンブレードから無数の《闇夜》の炎の弾丸を撃ち出した。炎の弾丸は3人の斬撃や爆弾、ミサイルに当たると、それらは消えて、そのまま山本たちに向かった。

 

「「「なっ!!?」」」

 

山本たちは驚いた。炎の弾に当たったら、爆発することもなく、こっちに向かってきたからだ。

 

「………《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》。《闇夜》の炎でできた弾丸により、攻撃が無効化される、攻防一体の技」

 

ダークネスの技に関して、ルシフェルがそう説明した。

 

「まずい!!?時雨蒼燕流 守式 四の型 《五風十雨》!!!」

 

山本は《ボンゴレギア 雨のネックレスVer.X》から小刀、3本取り出して、その推進力により相手の呼吸に合わせてかわした。しかし…………

 

「「がっ!!?」」

 

スクアーロと幻騎士はかわすことができず、炎の弾丸が直撃した。それにより、2人は戦闘不能になった。

 

「スクアーロ!!?幻騎士!!?」

 

「隊長!!?」

 

「幻騎士!!?」

 

山本、マーモン、γが叫んだ。

 

「チッ!!!カス鮫め、あっさりやられやがって!!!」

 

XANXUSがスクアーロに悪態をつくと、《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》を構えた。

 

「かっ消えろ!!!《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》!!!」

 

XANXUSはダークネスに向かって、膨大な《憤怒の炎》を放った。

 

「沢田綱吉の《X(イクス) BURNER(バーナー)》の真似事か?」

 

とダークネスが言うと、ガンブレードの銃口に膨大な《闇夜》の炎を溜めた。

 

「《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

ダークネスはガンブレードから極太の漆黒のレーザーを放った。それは、《憤怒の炎》を呑み込んで、XANXUSに向かった。

 

「!!?チッ!!!」

 

XANXUSは《憤怒の炎》を地面に撃って、空へ飛びかわした。

 

「かわしたか」

 

ダークネスがそう呟くと……

 

ボコッ、ボコッ

 

ダークネスの足元の地面が膨らんだ。

 

「余所見している暇は無いぞ。《CHAOS SHOT》!!!」

 

いつの間にか、リボーンが地面に撃っていた弾丸がダークネスの頸動脈を狙って放たれた。

 

「…………」

 

しかし、ダークネスは上体を後ろに反らしてかわした。そして、そのままバク転して………

 

グサッ、グサッ

 

ガンブレードの刃を地面に突き刺した。

 

(あれは、沢田綱吉に使っていた《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》という技ですか。足元から無数の《闇夜》の炎の槍が出てくるために足元を気をつけなければ………)

 

と風が思って、足元に目を向けると………

 

「残念だが、《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》じゃないぜ」

 

「!!?」

 

ショートワープで移動してきたダークネスが風の目の前で殴ろうとしていた。よく見ると、ガンブレードは地面に突き刺さったままだった。

 

(っ!!?まさか、あれは私たちに目線が足元へ向かわせるためにやった陽動ですか!!?)

 

と風は考えた。そして、それは正解だった。しかし、今、気づいても遅かった。

 

ドガッ!!!

 

「グフッ!!?」

 

風はダークネスに頬を殴られた。しかも、それだけでは終わらなかった。

 

クルッ

 

ゲシッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ダークネスは殴ったときの勢いを利用して、1回転して、風の腹に回し蹴りして、追い討ちをかけた。

 

「拳法の達人には、これぐらい、やらなくてはな」

 

ダークネスがそう言った。そして、風は地面に打ち付けられて、戦闘不能になった。

 

「風!!?」

 

「クソッ!!!《マキシマムストライクライフル》!!!」

 

「チッ!!!《サバイバルライフル》!!!」

 

コロネロとラルがダークネスに向かって極細の《雨》の炎を狙撃した。

 

「ハッ!!」

 

すると、ダークネスはリングの力で《闇夜》の炎の壁を作り、2人の炎はその壁に通って…………

 

ドカーーーーーーンッ!!!

 

別の場所で爆発した。

 

「くっ………!!?《闇夜》のショートワープで俺たちの攻撃を逸らしたのか、コラ!!!」

 

「何て奴だ!!!」

 

コロネロとラルはダークネスの戦い方に驚いた。

 

「それなら、これはどうだ!!!召されな!!!《ファイナルショット》!!!」

 

すると、γがダークネスの後ろからボールに膨大な《雷》の炎をチャージさせて、キューで突いた。突かれたボールは放電しながらものすごいスピードで、まっすぐ、ダークネスの背中に向かった。ダークネスに当たると思われたが…………

 

シュルルルルッ………

 

ガシッ!!

 

ガキンッ!!!

 

ほぼ同時に飛んできた物をダークネスが掴んで、それで防いだ。

 

「あれは!!?」

 

「ルシフェルの仕込みハルバード!!?」

 

了平と獄寺の言うとおり、ダークネスに飛んできた物はルシフェルの仕込みハルバードだった。ダークネスはそれを分裂させて、《闇夜》の炎の刃を出して、γのボールを防いだのだ。

 

「あいつ、勝手に俺のハルバードを使いやがって………」

 

ルシフェルがダークネスに悪態をついた。

 

「《闇夜》の炎で俺に攻撃が当たらないように抑えて………。そして、まだ威力が残っている状態で…………。ハッ!!」

 

そう言うと、ダークネスはボールを弾き飛ばした。飛ばされた先には…………

 

「えっ?」

 

マーモンがいた。

 

「ギャーーーーーーッ!!?」

 

ボールはマーモンに直撃した。

 

「「バイパー!!?」」

 

「マーモン君!!?」

 

「くっ!!すまねぇ…………!!」

 

それを見て、コロネロとラルとバミューダが叫び、γが謝った。

 

「謝っている場合じゃねぇぞ」

 

すると、ダークネスがハルバードを《闇夜》の炎の刃を持つ大鎌にして、γに近づいた。そして………

 

ザシュッ!!!

 

「ガハッ!!?」

 

「γ君!!?」

 

γはダークネスに斬られた。それを見て、白蘭が叫んだ。今の短い間にマーモンとγが戦闘不能になった。

 

「だが、なんであれが飛んできたんだ?あれは確か、あそこに…………なっ!!?」

 

獄寺はハルバードが飛んできた理由がわからず、もともと突き刺さってあった場所のほうへ向いて、驚いた。なぜなら、そこは、先程、コロネロとラルの技によって爆発した場所だからだ。

 

「まさか…………、先程の炎の壁はアルコバレーノ2人の攻撃を逸らすだけではなく、ルシフェルのハルバードを自分のほうへと弾き飛ばすためだったのですか!!?」

 

「なっ!!?俺たちの攻撃を利用したってことか、コラ!!?」

 

「そんなことが………!!?」

 

骸の分析にコロネロとラルが驚いた。

 

「ご名答だ、六道骸。俺は、γのボールを弾き飛ばして、マーモンに当てるためにルシフェルの仕込みハルバードが必要だった」

 

とダークネスが言った。しかし、その言い方だと………

 

「まるで、こうなることがわかっていたような言い方ですね………」

 

そう、バジルの言うとおり最初からそのような結果になることがわかっていたような言い方だった。

 

「…………あいかわらず、一手、二手先を読んでいるな」

 

それをルシフェルが答えた。

 

「一手、二手先を読んでいるって…………」

 

「あいつはこうなることを読んでいたのか!!?」

 

クロームとディーノがそう言った。

 

「あぁ、そうだ。あいつは、相手の心理、癖で次の行動を瞬時に予想したり、誘導して、戦う」

 

それに対して、ルシフェルがそう言った。

 

「ルシフェルの言うとおりだ。今回はマーモンをなるべく早く倒したかった。そいつの《バイパー・ミラージュ・R》は俺も避けたかったからな。だが、そいつは幻術師だから、ショートワープで攻めても、幻術の可能性があった。だから、予想外の攻撃で倒す必要があったというわけだ」

 

とダークネスが言った。そして、皆、ダークネスに改めて畏怖した。しかし、諦めるわけにはいかなかった。

 

「それなら、こうだ!!!」

 

「ぐっ!!?」

 

炎真が《大地》の炎の重力でダークネスを押さえつけた。ダークネスも当然、抗おうとしていた。

 

「くっ!!僕が押さえている今のうちに!!!」

 

「でかしたぞ、古里!!!」

 

獄寺がそう言うと、遠距離攻撃ができる者、全員が一斉に攻撃を放った。

 

「《カオスショット》!!!」

 

「《マキシマムストライクライフル》!!!」

 

「《サバイバルライフル》!!!」

 

「《3倍ロケットボムVer.X》!!!」

 

「《決別の一撃(コルポ・ダッディオ)》!!!」

 

「《白黒龍破》!!!」

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!

 

リボーン、コロネロ、ラル、獄寺、XANXUS、白蘭、ランチアがそれぞれ技を放った。

 

「クローム、フラン、僕たちもやりますよ」

 

「はい、骸様!!!」

 

「了か~いで~す!!!」

 

「「「《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢喰骸鴉(むががいあ)》」」」

 

骸、クローム、フランの3人はフランの6つのヘルリングの力も加えて、《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》の強化版を出した。10人の技がダークネスに向かった。《大地》の炎の重力で動けないダークネス。今度こそ、当たると思われたが……………

 

「………あいにく、俺1人で戦っているわけじゃないんだよ」

 

ダークネスがそう言うと………

 

「グオォォォォォーーーーッ!!!」

 

「グッ!!?」

 

ドレイクがショートワープして、炎真に攻撃した。大した傷ではないが、それにより、《大地》の炎の重力が解けた。

 

シュンッ!!!

 

そして、ダークネスは今度は自分がショートワープして、リボーンたちの攻撃をかわした。しかも、地面に突き刺さったままになっていたガンブレードのところまで移動して…………

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

今度こそ、ダークネスはその技を使った。

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

リボーンたちの足元から、無数の《闇夜》の炎の槍が出てきた。

 

「グッ!!?」

 

「んおっ!!?」

 

「くっ!!?」

 

ほとんどの者はは何とかかわしていったが……………

 

「ガハッ!!?」

 

「うっ!!?」

 

「ッ!!?」

 

ディーノ、コロネロ、ラルが直撃した。

 

「ボス!!!?」

 

「コロネロ師匠!!!?」

 

「ラル殿!!!?」

 

ロマーリオ、了平、バジルが叫んだ。これで残りはリボーン、獄寺、山本、了平、雲雀、骸、クローム、フラン、バジル、ランチア、XANXUS、白蘭、炎真、バミューダの14人になった。最初は23人いたのに、僅かな時間で9人もやられた。

 

「くっ………!!今まで手を抜いていたのは本当みたいだね………」

 

「…………それに、まだあいつが本気を出しているとは思えないぞ」

 

バミューダとリボーンがそう話していると…………

 

「いい加減、諦めたらどうだ?」

 

とダークネスが聞いてきた。

 

「ふざけるな!!!誰が諦めるか!!!」

 

「そうなのな!!!俺たちは諦めないのな!!!」

 

「極限にコロネロ師匠の分までやるのだ!!!」

 

ルシフェル(そこの男)もそうだけど、ふざけているの?咬み殺すよ」

 

「クフフ、僕たちが諦めると本気で思いですか?」

 

「私たちは頑張る!!!」

 

「正直、帰りたいですけど………。地球を滅ぼさせるわけにはいきませんからね~~」

 

「拙者も微力ながら、やります!!!」

 

「貴様は必ず倒す!!!」

 

「ドカスが…………かっ消す!!!」

 

「あまりふざけていると…………殺すよ?」

 

「僕たちの覚悟を嘗めるな!!!」

 

「せっかく、チェッカーフェイスから(トゥリニセッテ)の運営権を奪えたのに、すぐに終わりなんて嫌だからね」

 

「そう言うわけだ、ダークネス。俺たちは誰一人諦める気はないぞ」

 

とリボーンたちが覚悟に満ち溢れた顔でそう言った。

 

「……………あっそ。それなら、もうそんな減らず口を叩けないようにしてやるよ」

 

ダークネスは腑に落ちない顔を一瞬したが、すぐに顔を引き締めて、そう言った。

 

バサッ!!!

 

そして、ダークネスは真っ黒なコートを脱ぎ捨て、ドレイクに向けて言った。

 

「ドレイク、形態変化(カンビオ・フォルマ)

 

『!!!?』

 

「グオォォォォォーーーーッ!!!!」

 

ダークネスがそう言うと、皆は驚いた。そして、ドレイクはダークネスに向かって飛び、黒い光、いや闇となってダークネスと合体した。ダークネスの周りには闇に包まれた。

 

「……………まさか、あれを使うとはな…………」

 

ルシフェルがそれを見て、そう呟いた。

 

「ッ!!?なんて威圧感だ!!!?」

 

「まだ、こんな力を残していたとは………!!!?」

 

リボーンとバミューダがそれを見て、そう言った。他の皆も驚いた顔をして、見ていた。そして、闇が晴れるとそこには…………

 

「この状態の俺に、お前らは傷1つつけることできない」

 

顔を含めた全身を覆う漆黒の鎧。両手には鋭い爪がついていたガントレット、両足には同じように鋭い爪がついていたブーツ、額にはドレイクと同じ鍬形の角、腰からは黒い尾、背中には翼がついていた。全身が漆黒に対して、唯一、両目だけが血のように真っ赤な色だった。そして、側には、自分の体と同じくらいの大きさがある1つのガンブレードがあった。

 

「《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》」

 

ダークネスは静かに言った。




ダークネスの形態変化は《ハイスクールD×D》の二天龍の禁手みたいな感じだと思ってください。


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(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)

「《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》」

 

全身、ドラゴンを思わせるような鎧を着たダークネスがそう言った。

 

「けっ!!ごつい鎧なんか着やがって………!!」

 

獄寺がそんなダークネスに対して、悪態をついた。

 

「ただのこけおどしだよ」

 

雲雀がそう言うと、トンファーから鎖を出して、ダークネスに向かって放った。それは、まっすぐダークネスに向かった。しかし、ダークネスはかわそうとしなかった。

 

「どういうつもりだ?」

 

ランチアがそう言った。他の皆も疑問に思った。そして……………

 

カキン…………

 

鎖はダークネスの鎧に当たったが、全くダメージが無かった。

 

『なっ!!?』

 

全員、その事に驚いた。

 

「…………無駄だ。その状態のあいつには()()()()()()()よ………」

 

ルシフェルがボソッと呟いたが誰も聞いてなかった。

 

「んおーーーー!!!!《極限(マキシマム)イングラム》!!!」

 

今度は了平がダークネスに向かって、3連続のパンチを繰り出した。しかし…………

 

ドガッ……………、ドガッ……………、ドガッ……………

 

ダークネスは微動だにしなかった。

 

「なっ!!?」

 

「効かねぇよ、そんな攻撃」

 

ゲシッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

了平はダークネスに蹴り飛ばされた。

 

「笹川殿!!!」

 

「ん………。大丈夫だ………。………しかし、なんて極限に硬い鎧だ」

 

バジルがかけよって、了平がそう言った。

 

「…………なら、バジル、芝生。《匣間コンビネーションシステム》だ!!!」

 

獄寺がバジルと了平にそう言った。

 

「わかりました!!!アルフィン!!!」

 

「うむ!!!我流!!!」

 

「瓜!!!」

 

「「「《匣間コンビネーションシステム》!!!」」」

 

了平は1度、漢我流と分裂して、漢我流が腹の袋から《晴》の炎のエネルギーを放った。アルフィンはドルフィンエッジを放った。瓜は漢我流の炎を受けたことで《嵐猫(ガット・テンペスタ)》から《嵐豹(パンテーラ・テンペスタ)》に成長した。さらにアルフィンのドルフィンエッジを纏って、ダークネスに突進した。

 

「「「《太炎嵐空牙Ver.X》!!!」」」

 

「ガオォォォォーーーー!!!!」

 

瓜はまっすぐダークネスに向かった。

 

ドカーーーーーンッ!!!

 

爆発が起きて、粉塵が舞った。今度こそ、ダメージが入ったと思われたが……………

 

「……………この程度か?」

 

粉塵が晴れるとそこには、瓜を片手で押さえていたダークネスがいた。

 

「まだだ!!!瓜!!!」

 

獄寺が瓜に叫んだ。

 

ジリリリリッ…………

 

「!?」

 

よく見ると、瓜の尻尾は導火線のように燃えていた。

 

「果てやがれ!!!《瓜ボムVer.(パンテーラ)》!!!」

 

ドカーーーーーンッ!!!

 

嵐豹(パンテーラ・テンペスタ)》の状態で瓜が爆発した。しかも、《匣間コンビネーションシステム》により、《嵐》だけでなく、《晴》と《雨》の炎も混ざっている3重の攻撃だった。

 

「どうだ!!!」

 

「これなら…………」

 

皆がそう言っていると……………

 

「…………だからなんだ?」

 

『なっ!!!?』

 

しかし、それでもダークネスは無傷だった。

 

「嘘だろ……………」

 

「今のを……………」

 

獄寺たちは信じられないって顔をして言った。

 

「この猫もずいぶん小さくなったな」

 

「!!?瓜!!!」

 

「ニャァ…………」

 

ダークネスに掴まれている《瓜ボム》の影響で小さくなった瓜を見て、獄寺が叫んだ。

 

「別にこんな弱りきった猫に何かしようとは思ってねぇよ」

 

ダークネスはそう言って、瓜を放り投げた。

 

「瓜!!!」

 

獄寺はそれを見て、滑り込んでキャッチした。

 

「くっ…………」

 

獄寺は瓜をキャッチしたあと、ダークネスを睨み付けた。

 

「くっ………。なら、ダメージが当たるまで攻撃を続けるだけなのな!!!時雨蒼燕流 特式 十二の型 右太刀《斬雨》!!!」

 

「《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》!!!」

 

「《白黒龍破》!!!」

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!」

 

山本、XANXUS、白蘭、ランチアがダークネスに向かって、それぞれが強力な技を放った。そして、それらはダークネスに向かった。

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

そして、直撃して大爆発した。しかし……………

 

「いい加減に学習してほしいな…………」

 

「「「「なっ!!!?」」」」

 

やはり、ダークネスは無傷だった。しかも、ランチアの蛇剛球を片手で受け止めていた。

 

「ハッ!!!」

 

ビシッ!!!ビシビシッ!!!

 

ドガンッ!!!

 

ガラガララララッ!!

 

ダークネスは握力と爪の力で蛇剛球を砕いた。

 

「!!?俺の蛇剛球を!!!?」

 

ランチアは驚いて、そう叫んだ。

 

「おいおい、マジでどうなってんのな!!?」

 

山本がそう言った。ダークネスはその場から1歩も動いておらず、《闇夜》の炎のショートワープを使った形跡も無かった。それなのに、今までの攻撃を全て受け止めて、無傷だった。

 

「……………まさか!!?」

 

すると、リボーンが何かに気がついたか、そう呟いた。

 

「何かわかったの?リボーン君」

 

白蘭がそれを聞いて、リボーンに聴いた。

 

「………………あぁ。…………だが、だとしたらまずいな」

 

リボーンはそう言って、自分の考えを言った。

 

「あの鎧には強力な《闇夜》の炎を纏っている。それによって、俺たちの攻撃を()()()()()()()()()()んだぞ…………」

 

『なっ!!!?』

 

リボーンの言葉を聞いて、全員驚いた。

 

「……………全て無効化されるなら、外側の攻撃は通じないことになる。まさしく、無敵の防御を誇る鎧だ………」

 

リボーンがダークネスのことをそう評価した。

 

「……………でも、だからって攻めないわけにはいかないよ!!!」

 

炎真がそう言うと、ダークネスに《大地》の炎の重力をかけた。

 

「もう、君の匣アニマルは使えない!!!だから、この炎を邪魔する方法は無い!!!」

 

「ついでに、これで君を逮捕するよ」

 

そう言うと、雲雀はダークネスに《アラウディの手錠》を投げつけた。

 

ガシャンッ!!!

 

ダークネスの腕に手錠が嵌まった。

 

「これだけじゃないよ」

 

そう言うと、ダークネスに嵌まっている手錠が増殖し始めて、ダークネスを拘束した。

 

「ナイスだよ、古里炎真君、雲雀恭弥君」

 

炎真と雲雀の行動を賞賛したバミューダがショートワープでダークネスの背後に回った。

 

「外側がダメなら、内側から攻めるだけだよ!!!」

 

バミューダがそう言うと、手刀で突きをいれた。《夜》の炎で鎧を無視して、直接体に当てるはずだった。しかし……………

 

スカッ…………

 

「なっ!!!?」

 

バミューダは驚いた。なぜなら、手刀は体を貫通したことは貫通したが、何も無かったかのように通り抜けたからだ。

 

「残念だが、内側は弱点じゃない」

 

ダークネスがそう言うと、《大地》の炎の重力なんて無かったかのように体が動き、手錠を通り抜けて、バミューダの腕を掴んだ。

 

「なっ!!!?まさか、炎の重力も無効化にしたの!!!?」

 

「しかも、手錠を通り抜けただと!!!?」

 

炎真とランチアが驚いて叫んだが、ダークネスはそんなことは関係無しにガンブレードでバミューダを斬りかかろうとしていた。

 

「くっ!!!?」

 

バミューダは捕まれた腕を切り離して、ショートワープでかわした。そして、すぐに腕もショートワープさせて、元に戻した。

 

「…………かわしたか。…………まぁ、いい。俺の鎧は外側は《闇夜》の《闇》で無効化にして、内側は《闇夜》の《夜》で通り抜かす。ベルゼブブの大蛇丸の《暴食の炎》のような相手から受けた攻撃を自分の力にするっていうのはないが、この鎧に死角は無い」

 

ダークネスは淡々と自分の鎧について、説明した。

 

「マジかよ…………」

 

「なら、どうやって攻めればいいのな………?」

 

獄寺と山本が絶望したかのように、言った。

 

「…………ならば、幻術です!!!クローム!!!フラン!!!」

 

「はい!!!骸様!!!」

 

「了か~いで~す!!!」

 

骸の言葉にクロームとフランは骸と一緒に幻術を使った。

 

「確かに肉体的ダメージは通じなさそうですが、精神的ダメージはどうですか!!!」

 

骸たちはダークネスに恐ろしい悪夢を見せているようだ。

 

「………………嘗めているのか?」

 

「「「!!!?」」」

 

しかし、それでもダークネスには通じていないみたいだ。しかも、少し苛ついているかのように言った。

 

「嘘!!!?」

 

「ミーたち自身でも、気分が悪くなる悪夢ですよ!!!?普通の人なら発狂ものですよ!!!?」

 

クロームとフランが顔を青ざめながら言った。

 

「…………まさか、ダークネスはこのような悪夢は平気だと言うのですか!!!?」

 

骸も気分が悪そうに言った。

 

「あぁ、他の連中は知らねぇが、こんなの俺にとっては悪夢でも何でもねぇよ」

 

ダークネスは骸たちに向かって、そう言った。

 

「くっ…………!!?(彼らの故郷はどれくらいの地獄だったのですか!!!?)」

 

骸はダークネスを見て、そう思った。

 

「…………チッ!!いい加減、うざくなってきたな。…………これで、終わらせるか」

 

そう言うと、ダークネスはガンブレードを構えた。

 

「!!?全員、気をつけろ!!!」

 

リボーンはそう言って、皆、身構えた。

 

「《逆鱗乱舞》」

 

ダッ!!!

 

ダークネスがそう言うと、一気に前へ飛び出した。

 

バンッ!!!ゲシッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ゲシッ!!!ザシュッ!!!ドガッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドガッ!!!

 

『ガッ/グハッ/ガハッ/ッ/キャアッ!!!』

 

撃つ、斬る、蹴る、殴る、そう言った行程をダークネスはリボーンたちの間を通り抜ける一瞬で行った。そして、全員が倒れた。

 

「………グッ………クソボス…………」

 

「………白蘭…………」

 

「………いったい、………どうなっているのですか………?」

 

どうやら、先程ダークネスにやられた者が気がついたようだ。しかし、戦いに参加できる余力は残っていなかった。そして、風がダークネスの動きに疑問を出した。

 

「……………《逆鱗乱舞》。対大人数の技。相手の隙間を縫って通り、その間に状況によって撃つ、斬る、蹴る、殴る、といったことを一瞬で行う技。…………しかし、あの状態でやるのは、俺も初めて見たぜ。よくも、まぁ、あんなでかいガンブレードであんな動きができるもんだ…………」

 

風の疑問にルシフェルが答えて、ルシフェルはどこか呆れたように言った。

 

「ぐっ……………」

 

「っ………………」

 

「これで、終わりだな…………」

 

意識は残っているものの戦えそうになかった皆を見て、ダークネスがそう呟くと………………

 

「……………ふん。それはどうだろうな…………」

 

バンッ!!!

 

ダークネスに向かって急に銃弾が飛んできた。ダークネスは体をずらしてそれをかわした。

 

「…………かわす必要なんかないはずなのにな。………条件反射か……………?」

 

リボーンがフラフラとなりながらも立ち上がった。

 

「…………よく立てたな」

 

「…………俺の読みを甘く見るなよ………」

 

そうリボーンは最強のヒットマンと呼ばれている由縁の読みを使って、何とか傷を浅くすることができたのだ。しかし…………

 

「うっ!!!?」

 

リボーンは急に苦しみだすと、体が縮んで、大人から赤ん坊に戻った。どうやら、時間切れのようだ。他のバミューダなどのアルコバレーノも赤ん坊に戻っていた。

 

「………どうやら、ここまでみたいだな」

 

ダークネスはリボーンの様子を見て、そう言った。

 

「…………いや、まだだ。どうやら、戦えるのは俺だけだからな。最後まで諦めるわけにはいかねぇ」

 

とリボーンはそう言って、ダークネスを見た。

 

「…………わからないな」

 

ダークネスはポツリと言った。

 

「沢田綱吉は死んだというのに、なぜお前らはここまで戦えたんだ?ルシフェルたち《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》を全員倒すし………。沢田綱吉がお前らの中心人物だという考えは間違いだったのか?」

 

ダークネスはそう疑問をリボーンにぶつけた。ダークネスはわからなかったのだ。ツナが死んだことで、バラバラになると思っていたからだ。

 

「いや、確かにあいつは俺たちの中心人物だったぞ」

 

それをリボーンが答えた。

 

「オメーがツナを殺したことで、こいつらは一触即発になろうとしていたんだぞ」

 

「…………あぁ、リボーンさんの言うとおりだ………」

 

すると、獄寺が倒れながらも言った。

 

「……俺たちは10代目が亡くなられたショックで塞ぎこんでしまった。………一緒に戦うべき仲間とも険悪になりかけた………」

 

「…………だがな、…………小僧がそんな俺たちを叱咤して、小僧が聞いたツナの遺言を俺たちは1つになれたんだ…………」

 

今度は山本が獄寺の後に続けて言った。

 

「沢田綱吉の遺言だと…………?」

 

「あぁ、そうなのな。ツナの遺言が無かったら、俺たちはここまで来ることはできなかったのな」

 

山本がそう言った。

 

「だからな、ダークネス。ツナはダメツナだが、居なくてはならない中心人物だった。オメーの言うとおり、バラバラになりかけた………。だがな、それを繋げたのもツナだぞ!!!」

 

最後にリボーンがそう言って、締めた。

 

「……………………」

 

ダークネスはしばらく黙っていた。顔が覆われているために表情はわからなかった。

 

「……………そうか、そういうことか」

 

ダークネスがそう呟くと…………

 

シュンッ!!!

 

ゲシッ!!!

 

「グッ!!!?」

 

ガシッ!!!

 

『小僧/リボーン(君/さん)!!!?』

 

リボーンの前まで一瞬で移動して、リボーンを蹴りあげて、片手で掴んだ。

 

「グッ……………」

 

「どうやら、俺たちは1つ勘違いしていたみたいだ。厄介な存在は沢田綱吉だけではなかったみたいだな。……………お前だよ、リボーン」

 

ダークネスがリボーンを見ながら、そう言った。

 

「よく考えてみれば、そうだな。お前は沢田綱吉に発破をかけたりして、やる気を起こしている。それによって、勉強も運動も不得意だった普通の中学生があそこまで強くなったからな。しかも、今回はお前の発破で他の連中が奮起している。つまり、お前が今の中心人物になっているわけだ」

 

ダークネスが淡々と言った。

 

「……………復活まであと少しだが………。どうやら、お前も消す必要があるみたいだな」

 

そう言って、ダークネスはガンブレードをリボーンに向けた。

 

「グッ!!!?」

 

「!!!?やめろ!!!」

 

リボーンは顔をしかめて、獄寺たちは叫んだ。しかし、ほとんどの者が怪我で動けず、戦いに参加していなかったロマーリオやランボでも今から助けにいくには間に合わない。

 

「じゃあな、リボーン。お前の仲間もしばらくすれば、そっちへ行くが、それまで教え子と一緒に待っていろよ」

 

そう言って、ダークネスがリボーンに向かってガンブレードを斬りかかった。

 

『小僧/リボーン(君/さん)!!!!』

 

獄寺たちは叫んだ。

 

…………………………………

 

…………………………

 

…………………

 

…………

 

その時だった。

 

ビュンッ!!!!

 

ドガッ!!!!

 

「ガハッ!!!!?」

 

ズザザザザッ!!!!

 

突如、入口からものすごいスピードで現れた何者かが全ての攻撃を無効化させる鎧を装備していたダークネスを殴り飛ばした。その時にダークネスは手を開いて、リボーンは解放された。

 

『!!!!??』

 

リボーンも獄寺たちもルシフェルも驚いた。ダークネスを殴り飛ばしたことも、そうだが、何より殴り飛ばした人物だった。その人物の登場に全員が信じられなかった。

 

「…………どういうことだ…………?」

 

ダークネスも立ち上がりながら、信じられないように言った。

ダークネスを殴り飛ばした人物は両手に赤いガントレットを装備していて、右手の中指と小指に小さな鎖で繋がった指輪をしていた。両目の瞳は金色に輝き、額にはオレンジと金色が混ざった色した炎が灯っていた。

 

「なぜ、お前がここにいる!!!()()()()!!!!」

 

それは、ダークネスに殺されたはずのツナだった。



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復活《大空》、進化《光天》

突如、現れたのは殺されたはずのツナだった。

 

「なんだ、ツナ生きているもんね。あいつ、嘘つきだもんね!!」

 

ランボがルシフェルに文句を言っていたが、ルシフェルも含めて、全員、それに対応している余裕はなかった。

 

「10代目………?」

 

「ツナ…………なのか?」

 

獄寺と山本も信じられないように言った。他の皆も獄寺たちと同様、信じられないという顔をしていた。

 

「あれからは幻術の気配がありませんね………」

 

「ミーも同じくですね~」

 

「僕もだよ…………」

 

「ってことは、やっぱり……………!!」

 

骸、フラン、マーモンが分析して結果を言い、その結果を聞いたクロームが目に涙をためて言った。

 

「………………お前はツナなのか?」

 

リボーンがそう聞いた。

 

「………あぁ。俺は、お前の生徒の沢田綱吉だ。リボーン」

 

『!!?』

 

皆はその声色を聞いて、ツナだと確信した。

 

「10代目……………」

 

「ツナ………………」

 

「んおーーーー!!!沢田ーーーー!!!!」

 

「ツナ君………………」

 

「沢田殿………………」

 

「やっぱり、君はおもしろいよ。小動物」

 

「…………っ!!…………っ!!」

 

「ハハッ。もう、君は凄すぎるよ♪」

 

喜ぶ者、泣き叫ぶ者、すすり泣く者、興味を持つ者、さまざまな反応だが、ツナが生き返ったことに雰囲気が良くなった。

 

 

 

 

~並盛中央病院~

 

そこでは、ロヴィーノ教団を拘束して、負傷者の手当てを行っていた。そして、そこの多目的ホールでは、何人かの人物が話していた。

 

「……………まさか、彼が生き返るとは…………」

 

チェッカーフェイスが信じられないように言った。

 

「私も信じられません…………。沢田さんはあの時に……………」

 

ユニがツナが死んだときのことを思い出しながら、そう言った。

 

「だが、謎にも沢田は生き返って、私たちのところに来た。そして、あいつらのところに向かった」

 

それをベルゼブブとの戦いから戻っていたヴェルデが言った。

 

「でも、大丈夫かな………。綱吉君、まだ寝かしておいたほうが良かったんじゃないかな?」

 

入江が心配そうに言った。

 

「…………私たちは信じて待つしかない」

 

それに、チェッカーフェイスが淡々と言った。

 

「そうですね………。私たちは信じていましょう。皆さんを、沢田さんを…………」

 

ユニが祈るように言った。彼らは無事に戻ってくることを願った。

 

 

 

 

~大空の間~

 

「…………なぜだ!!?なぜ、お前が生きているんだ!!!?お前はダークネスに左胸を貫かれて、心臓を握り潰されたはずだろうが!!!?」

 

皆の雰囲気が良くなっていく中、ルシフェルが叫んで聞いた。確かに、ツナがなぜ生き返ったのか、わからなかった。すると、ツナは微笑みながら言った。

 

「明聖のおかげだ」

 

「!!!?」

 

「明聖?………あの小娘の仕業だと!!?姿を見ないと思ったら、あいつ…………」

 

ツナの言葉にダークネスは驚き、ルシフェルは悪態をついた。

 

「明聖?誰だ、そいつは?」

 

すると、リボーンが当然の質問をした。他の皆も同じ気持ちだった。

 

「明聖はダークネスの娘だ」

 

それにツナは答えた。

 

『!!!?』

 

「ダークネスの娘だと!!?」

 

「あいつ、娘がいたのかよ!!?」

 

「でも、そのダークネス君の娘さんがいったい、どうやって君を蘇らせたの?綱吉君」

 

案の定、皆は驚き、白蘭が生き返った方法を聞いてきた。

 

「明聖の持っていた炎、この炎の力で俺は生き返ったんだ」

 

そう言うと、ツナは片手を胸ぐらいの位置にまで上げると………

 

ボウッ!!!

 

その手に嵌めているグローブから金色に輝く炎が灯り出した。

 

「なんだ!!!その炎は!!?」

 

「見たことのない炎だね」

 

リボーンたちは初めて見る炎にいろいろと言った。しかし、ダークネスとルシフェルは反応が違った。

 

「そいつは…………!!?」

 

「《光》の炎!!?」

 

「《光》の炎?」

 

ダークネスが言った炎の名前にリボーンたちは聞き返した。

 

「そう。明聖の持っていたこの《光》の炎の力のおかげだ」

 

「クフフ、父親のダークネスが《闇》の炎で娘が《光》の炎とは………、ずいぶん、おかしな話ですね」

 

「………………」

 

骸が感想を述べて、それに対してダークネスは黙っていた。

 

「それで《光》の炎も《闇》の炎と同じで複数の特性を持つんだ。それは、《闇》と同じ《強化》、《融合》、そして、《光》の炎だけが持つ《奇跡》だ」

 

「《奇跡》?」

 

ツナが言った《光》の炎の特性に想像つかなかった。

 

「……………光の炎の《奇跡》の力はどんなに邪悪な物でも浄化したり、不治の病や怪我を癒したり治したりする力を持つ。………………そして、運が良ければ死からの蘇生をも可能にする」

 

『!!?』

 

《光》の炎の説明をダークネスがして、その力に全員が驚いた。

 

「………よく知っているな。やっぱり、自分の娘の持つ炎だからか?」

 

「……………あぁ、そうだな。その炎の力は俺が()()()()()()()

 

ツナの言葉にダークネスが肯定した。

 

「それよりも、その《光》の奇跡でお前は蘇ったというわけか」

 

「あぁ、そうだ。俺は明聖の炎の奇跡の力で新たな心臓を生み出されて、こうしてお前と向かい合っているんだ」

 

今度はダークネスの言葉にツナが肯定した。

 

「そして、この炎は唯一、《闇》の無効の影響を受けない」

 

「そうか。だから、あの鎧を着ているダークネスを殴り飛ばせたというわけか」

 

ツナの言葉にリボーンたちはダークネスを殴り飛ばせた理由がわかり、納得した。

 

 

 

 

~中山外科医院~

 

「ツナ君…………」

 

「大丈夫でしょうか……………」

 

京子とハルが心配そうに話していた。2人もツナが生き返ったところを見て喜んだが、現状を知ったツナがすぐに《ロヴィーノ》が封印されている島へ向かおうとしたのだ。京子たちは当然、止めようとしたが、ツナは頑なに自分の意志を曲げず、()()()()により、結局、ツナは行ってしまったのだ。

 

(………………それにしても、あの子にこんな力があるなんてね)

 

そばで2人の話を聞いていたビアンキが椅子に座っていた明聖を見て、先程のことを思い出しながら、そう考えていた。

 

 

 

 

場面は明聖が自分の父親がダークネスだと言ったところだった。

 

「!!?ダークネスですって!!?」

 

「ダークネスって…………!!?」

 

「ツナさんを殺した…………!!?」

 

3人はそれを聞いて、先程と違い、明聖に警戒した。

 

「ダークネスの娘がいったい、何の用かしら?」

 

ビアンキが先頭に立って、明聖に聞いた。

 

「えっと…………、沢田綱吉さんに………」

 

明聖がそう言うと………

 

「ツナ君に………?」

 

「ツナさんの用って、何ですか!!?ツナさんはあなたのお父さんに!!?」

 

京子は声に怒りを込めて、ハルは叫んだ。

 

「ヒッ!!?」

 

明聖はそれに小さく悲鳴をあげた。

 

「………………」

 

すると、明聖は黙ってしまい、そのまま自分たち、いや、ツナに向かって歩き出した。

 

「!!?ちょっと待ちなさい!!!」

 

ビアンキが明聖を止めようと、手を伸ばすと……………

 

ピカ一ーーーッ!!!

 

「っ!!?」

 

「「キャッ!!?」」

 

明聖の服の中から眩しい光が出てきて、3人は急なことに驚き、目を瞑った。しばらく経つと光が治まり、3人は目を開けると明聖はツナが眠っているベッドのすぐ側まで移動していた。よく見ると、服に隠れて見えなかったが、明聖の首にはチェーンに通された金色の石が嵌まっているリングをぶら下げていた。

 

(今の光は死ぬ気の炎なの!!?この子も私たちの知らない炎を持っているの!!?)

 

ビアンキがそう考えていると………

 

「……………ごめんなさい」

 

明聖がそう呟くと、リングを自分の中指に嵌めた。

 

「…………お願い、成功して…………」

 

明聖が再びそう呟くと………

 

ボウッ!!!

 

リングから金色の炎が灯り出した。

 

「「「!!!?」」」

 

3人は見たことのない炎に驚いた。3人が驚いているのをよそに、明聖はその炎をツナの空いた左胸に向けた。すると……………

 

ボウッ!!!!

 

「「「!!!?」」」

 

ツナの体が金色の炎に包まれた。3人は驚いたが炎から嫌な感じは無かった。むしろ、どこか安心感があり、癒される感じがあった。しばらく経つと炎が治まった。

 

「うっ……………!!?」

 

すると、明聖がフラフラとなりながら、その場に倒れた。

 

「!!?」

 

「大丈夫ですか!!?」

 

急なことに驚き、つい先程まで警戒していたにも関わらず、京子とハルは明聖に駆け寄った。

 

「…………っ………」

 

「「「!!?」」」

 

すると、ベッドのほうから聞き覚えのある、しかし、2度と聞くことがないであるはずの声に3人は驚き、ベッドのほうを見た。

 

「…………っ…………ここは………?」

 

ツナが目を覚まして、そう呟いた。

 

「…………良かった…………成功した………」

 

それに対して、明聖も小さく呟いた。

 

 

 

 

(…………とりあえず、この子はツナの恩人だとしても、ダークネスの娘と言うことで様子見ね。それにこの子が言っていたダークネスのことも気になるしね。それが本当なら、とんでもないことだからね………)

 

ビアンキは明聖を見ながら心の中でそう思った。

 

(隼人…………、リボーン…………、それからツナ…………。どうか無事に戻ってきて………)

 

そして、皆の無事を願った。それは京子とハルも同じだった。

 

 

 

 

~大空の間~

 

「…………だが、なぜ、その《光》の炎をオメーは使えてんだ?ツナ」

 

リボーンがツナのグローブに灯っている《光》の炎を見ながら、そう尋ねた。

 

「明聖に《光》の炎で蘇生してもらったことで体質変化が起きて、俺の中に《光》の波動が流れるようになったんだ」

 

「なるほどな。ありえる話だ」

 

「確かにそうだね」

 

中途半端な呪いで《雲》と《霧》の波動が流れるようになったラルと死の絶望から《夜》の炎を生み出したバミューダが納得した。

 

「そして、これが俺の《大空》の炎と《光》の炎が融合して生まれた《光天》の炎だ!!」

 

そう言うと、ツナはグローブの《光》の炎を額と同じオレンジと金色が混ざった色した炎を灯した。どうやら、これが《光天》の炎らしい。ダークネスの《闇夜》の炎とは真逆のイメージをさせる炎だった。

 

『!!?』

 

全員、その炎に安心感と優しさを感じた。

 

「…………しかし、お前もずいぶん、ふざけたやつだな」

 

すると、突然ルシフェルがツナに向かって言った。

 

「あ?テメー!!!10代目にふざけてるとはなんだ!!!」

 

それに対して、獄寺がルシフェルに文句を言った。

 

「そのままの意味だ。お前らから聞いた話だと沢田綱吉に地球の運命とやらを任されたみたいだが………。沢田綱吉は生き返った途端にこの死地に来やがった。お前らを信用していなかったんじゃねぇのか?」

 

「なっ!!?ふざけんな!!!」

 

「ツナがそんなことを思っているわけないのな!!!」

 

ルシフェルの嫌味な言葉に獄寺と山本が言い返した。

 

「それなら、病み上がりならぬ死に上がりな状態でなぜ来たんだ?」

 

ルシフェルはツナに向かって、そう尋ねた。

 

「…………確かに、俺は生き返って、ビアンキから皆がロヴィーノ教団と戦いに行ったことを聞いて、自分だけベッドで寝てるなんてできなかった。…………でも、それは皆を信じていなかったわけじゃない!!!現に皆はお前を含めた《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》全員を倒したじゃないか!!!!」

 

「…………チッ」

 

「それに俺がここに来た理由は地球滅亡の阻止だけじゃない…………」

 

ツナがそう言うとダークネスに向いて言った。

 

「ダークネス!!お前を()()()ためだ!!!」

 

『はっ?』

 

ツナの言葉に全員が疑問に感じた。

 

「ツナ君、何言ってんの!!?」

 

「そうだぜ、ツナ!!!」

 

「そのドカスはテメーを殺したやつだぞ………」

 

「ハハッ…………。さすがに理解できないかな………」

 

炎真、ディーノ、XANXUS、白蘭がそれぞれ、そう言った。確かに自分を殺した人物を助けるとは理解できない。いくら、その人物の娘が命の恩人だとしてもだ。

 

「明聖から聞いた。お前は本当はこんなことするつもりなんて無かったんだろ?初めてお前に会ったときに違和感を感じたが、お前は()()()()()()()()()()()()()()、こんなことをすることになったんだろ?」

 

ツナが周りの皆の言葉に構わずダークネスに向かってそう言った。しかし、再び気になる言葉があった。

 

「ロヴィーノに人格を操作された?」

 

「ロヴィーノって、封印されているんだろ、コラ」

 

「それをどうやって操作されたって言うんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

スカル、コロネロ、スクアーロがそれぞれ、そう言った。

 

「……………いや、ロヴィーノは完全には封印していなくて、魂の状態でロヴィーノ教団に協力しているみたいなんだ」

 

とツナがそう言うと…………

 

「あぁ、その通りだ!!!」

 

ルシフェルが肯定した。

 

「ロヴィーノは魂の状態で存在している!!!だが、あいつは魂の状態でも、スゲェ力を持っている!!!復活の方法を教えてくれたのも、俺たちの《羅刹開匣》とダークネスの《漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)》のサンプルや《(トゥリニセッテ)リング》を用意したのも、全てロヴィーノだ!!!」

 

『!!!?』

 

ルシフェルの言葉に全員が驚いた。ロヴィーノが完全に封印されているわけではないこともそうだが、魂の状態でそこまでのことができることに驚いた。

 

「だが、ダークネスの人格が操作されているっていうのは、信じられないな。長いこと、そいつと一緒にいるがそんな様子は見受けられなかったぜ」

 

「ルシフェルの言うとおりだ。俺はロヴィーノに人格を操作されてなんかいない。お前と明聖の勘違いだ」

 

しかし、ルシフェルとダークネスがツナの言葉を否定した。

 

「…………他人に認識されないようにされていると思われるが、今、どれだけ言っても通じなさそうだな」

 

ツナがそう言うと、《光天》の炎がより燃え出した。

 

『お願い!!パパを助けて!!』

 

ツナはあの後、明聖に泣きながらお願いされたことを思い出した。

 

「明聖にも頼まれたからな………。俺はお前を死ぬ気で助ける!!!」

 

今、《大空》から進化した《光天》と《闇夜》の最後の戦いが始まる。



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《光天》VS《闇夜》

50話になって、ちょっとスランプ気味です。


ツナが《光天》の炎を激しく燃やしながら、ダークネスに向かった。

 

「……………まぁ、どのみち復活の邪魔をするなら消すまでだ」

 

ダークネスもガンブレードに《闇夜》の炎を激しく燃やしながら、ツナに向かった。

 

「「…………………」」

 

ツナとダークネスがお互いに向かい合っている。静かな時間がしばらく流れた。そして…………

 

ダッ!!!

 

ガキンッ!!!

 

ドーーーーーンッ!!!

 

ツナとダークネスは同時に飛び出して、グローブとガンブレードがぶつかった。2人を中心に強い衝撃が周りにも与えた。

 

「ッ!!?」

 

「なんて衝撃だ、コラ!!」

 

周りにいた皆は驚いた。

 

(くっ!?やはり強い!!あの時のは全力では無かったのか)

 

(前よりもかなり強くなっているな。………だが、《光》の炎だけでここまで強くなれるはずがない。なぜだ?)

 

ツナとダークネスもお互いに驚きながら、そう思った。そして、ダークネスはあることに疑問を感じながら………。

 

バッ!!

 

ツナとダークネスは1度離れた。

 

バンッ!!

 

今度は2人は上空へ飛んだ。

 

バンッ!!!ドンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドンッ!!!バンッ!!!

 

2人は上空で何度もぶつかった。地上からはオレンジと金色が混ざった色した炎と黒い炎が何度もぶつかりあっているように見えた。

 

「ハッ!!!」

 

ツナはダークネスに向かって殴ろうとした。

 

ガンッ!!!

 

しかし、ダークネスはガンブレードで防いだ。ツナの拳はガンブレードの側面に当たった。

 

「ふんっ!!」

 

ツナはその拳を軸にして、縦に回転して、ダークネスの上を飛び越えて、後ろに回り込み、そのまま裏拳しようとした。

 

「!!?」

 

しかし、ツナは超直感で何かに直感して、咄嗟に防御の構えをとった。

 

ガンッ!!!

 

ダークネスは腰についていた尾でツナを薙ぎ払った。ツナは咄嗟に防御したためにたいしたダメージは無かったがかなりの距離を飛ばされた。

 

「くっ…………!!?」

 

ツナは呻き声を少しあげたが、ダークネスはツナに向かってガンブレードを構えていた。

 

「《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!」

 

ダークネスはガンブレードから極太の《闇夜》の炎を放った。

 

「…………………」

 

ツナは両手を前に出した。

 

「《死ぬ気の零地点突破 初代(ファースト)エディション》」

 

すると、《闇夜》の炎がツナのグローブに当たると、だんだんと凍り始めた。ボンゴレⅠ世(プリーモ)、ジョットが生み出した死ぬ気の炎を封じるボンゴレの奥義だ。

 

「チッ………」

 

ダークネスはそれを見て、小さく舌打ちした。

 

ビュンッ!!!

 

すると、ツナは一瞬でダークネスの背後に回った。

 

「速い!!?」

 

「《夜》の炎のショートワープと大差ないよ………」

 

「これが《光天》の炎の力か………」

 

地上から見ていた者たちがツナの動きを見て、そう言った。

 

「!!?」

 

ダークネスは驚きながらも尾をツナに向けて左側から振るった。ツナは身を屈めて、それをかわした。そして、立ち上がるのと同時に右手を手刀の形にした。

 

「ふんっ!!」

 

すると、ダークネスはそのまま体を回転させてガンブレードをツナに向けて振るった。

 

ガキンッ!!!

 

それをツナは手刀にしていない左手の指に《光天》の炎を纏わせて、その間にガンブレードを挟ませた。

 

「!!?」

 

ダークネスはそれに驚いた。そして、ツナは……………

 

「《X(イクス)ナイフ》!!!」

 

ドガッ!!!

 

「ぐっ………!!?」

 

《光天》の炎を纏わせた手刀でダークネスの首筋に当てた。しかも、それで終わらなかった。

 

「《X(イクス)フォーク》!!!」

 

ツナはガンブレードから左手を抜いて、指先に《光天》の炎を集中させて突きを入れた。

 

「がっ…………!!?」

 

鎧を壊すことはできなかったが衝撃を与えることはできたみたいだ。

 

「まだだ!!」

 

ツナはそのまま、また右手の炎を纏わせた手刀で攻撃をしようとしたが……………

 

「チッ…………」

 

シュンッ!!!

 

ダークネスは《闇夜》の炎のショートワープでツナから離れた。

 

「くっ…………」

 

ツナは悔しそうに顔を歪めた。

 

「…………お前、なぜそこまで強くなったんだ?《光天》の炎だけじゃないはずだ」

 

ダークネスがツナに向けて、強くなった理由を聞いた。それにツナは答えた。

 

「俺は―――――」

 

 

 

 

「……………今のは」

 

その頃、地上でリボーンがツナの戦い方を見て、呟いた。

 

「どうしたんですか?リボーンさん」

 

耳の良い獄寺がリボーンの呟きが聞こえて、尋ねた。

 

「…………今のツナの動きは3代目と4代目の戦い方に似ていたぞ」

 

「3代目と4代目って………。ボンゴレボスの3代目と4代目ですか!!?」

 

リボーンの言葉にバジルがそう聞いた。

 

「あぁ、3代目はナイフを使って相手を斬り、4代目はフォークで相手の剣などを隙間に挟ませて防いだり、突き刺したりして攻撃をしていたんだぞ」

 

「まるで、さっきの綱吉君の攻撃みたいだね」

 

リボーンの説明に白蘭がそう言った。

 

「まさか、あいつ……………」

 

リボーンはある1つの考えが浮かんだ。

 

 

 

 

「俺はお前に殺されて、意識が()()()へ飛んだんだ」

 

ツナはそう言って、《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》を見た。

 

「まさか…………」

 

ダークネスもロヴィーノから聞いたことがあった。ボンゴレギアもといボンゴレリングには歴代のボスや守護者たちの意識が入っていることを。現に獄寺たち守護者とルシフェルの戦いでも初代守護者たちが出てきたのだ。つまり、ツナは死んだことでボンゴレギアに意識が入ったのだ。

 

「俺の意識がボンゴレギアに入って、自分にはできることがもうないと思っていたら、初代が言ったんだ。『X世(デーチモ)、まだお前は終わっていない』ってな。きっと初代は超直感で俺が生き返ることを察したんだろうな。そこで俺は歴代ボスたちと死ぬ気で修行をしたんだ」

 

ツナはそう説明した。

 

 

 

 

「歴代ボスたちと修行ですか!!?」

 

獄寺が大きな声で叫んだ。他の皆も驚いていた。

 

「あぁ。だから、あいつは3代目と4代目の戦い方ができたんだ。おそらく、他のボスの戦い方もできるかもな。まぁ、さすがに2代目の《憤怒の炎》はできないだろうがな」

 

「当然だ」

 

リボーンの言葉にXANXUSがそう言った。

 

「だが、歴代ボスたちと修行なんてスゲェぜ、コラ!!」

 

「そうだな。だから、沢田もあそこまで強くなったのか」

 

コロネロとラルがそう言った。

 

「クフフ、しかし皮肉な話ですね。殺したと思っていた人物が蘇り、さらに強くなったとは………」

 

骸がさらにダークネスに顔を向けて、そう言った。

 

「これなら、ダークネスに勝てるよ!!」

 

炎真がそう言うと……………

 

「それはどうだろうな…………」

 

いまだに壁にもたれ掛かっていたルシフェルがツナとダークネスを見ながらそう言った。

 

「あん?なんだと?テメー、10代目が負けるって言うのか!?」

 

それが聞こえた獄寺がルシフェルににらみつけながら、そう言った。

 

「あぁ、そうだな。()()ダークネスの不利になっているところは想像できても、負けるところは想像できないな」

 

「今の?」

 

ルシフェルの言葉にリボーンが疑問に思った。あの鎧を着ている今かと思ったが何か違う気がした。しかし、ルシフェルはそれを気にせず、続けた。

 

「お前らも知っているがあいつは《人類至上サイキョウの人間》って呼ばれている。それを名付けたのはロヴィーノだ」

 

ルシフェルの言葉に周りの皆は驚いていた。そして、ルシフェルは続けた。

 

「9年前、俺たちが元々いた場所であいつは二大国の戦争を1人で終わらせて、その国を2つとも滅ぼした。しかも、わずか1時間で両軍、10万人ずつの合計20万人の復讐者(ヴィンディチェ)やアルコバレーノクラスの兵士たち全員を殺してな。その大事件をそこら中に死体が転がっているところから『死体の大地事件』って呼ばれている。あいつの真っ赤なシャツはその時の返り血で染まったって言われているぜ。………………まぁ、それは完全なデマだけどな」

 

ルシフェルは最後に冗談を言ったが、全員そんなことを気にしている余裕は無かった。わずか1時間で復讐者(ヴィンディチェ)やアルコバレーノクラスの兵士たち20万人を皆殺ししたということに信じられなかった。

 

「…………もしかして、豪君が言っていた『あの事件』って…………」

 

白蘭が何かに気がついて、そう言った。

 

「あぁ…………。豪の使っている改造死体はその時の事件の兵士たちだ」

 

白蘭の言葉にルシフェルが答えた。

 

「まぁ、そんなことはどうでもいい。ようはその時の事件であいつは《人類至上サイキョウの人間》って呼ばれることになったんだ。地球にはこんな言葉があったな。『井の中の蛙、大海知らず』。だが、それをつけたロヴィーノは平行世界(パラレルワールド)、異世界という名の大海を全て知っている。ダークネスはそれらの全ての人間の中からそう二つ名が与えられた。しかも、あいつなら、ある程度の階級なら神でも余裕で殺せる。さすがにロヴィーノは無理だろうがな」

 

ルシフェルがそう言うと、ツナとダークネスに向けていた視線をリボーンたちに向けた。

 

「お前ら《人類至上サイキョウの人間》のサイキョウってどういう意味かわかるか?」

 

「えっ?それは、最も強いという意味だろ?」

 

「うむ。最強は極限に強いという意味だ!!」

 

山本と了平がルシフェルの質問にそう答えた。

 

「………確かに、そういう意味もある。だが、完璧な答えじゃない」

 

とルシフェルが言った。皆はどういうことだと思った。

 

「《人類至上サイキョウの人間》。このサイキョウは最も強く、最も恐ろしく、最も凶暴という意味だ。3つのサイキョウ(最強・最恐・最凶)を持っている。これが《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》だ。同じくロヴィーノも3つのサイキョウ(最強・最恐・最凶)を持っている。それが《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》だ」

 

ルシフェルは《人類至上サイキョウの人間》の意味を説明した。

 

 

 

 

一方、ツナとダークネスでは…………

 

「ハッ!!!」

 

ダークネスがおもいっきりガンブレードを投げつけた。ものすごいスピードだったがツナにとってはたいしたことのないスピードだった。ツナはそれをかわそうと動こうとすると…………

 

シュンッ!!!

 

「!!?」

 

ガンブレードが突如、消えたのだ。ツナはどこに行ったんだと思っていると…………

 

ドガンッ!!!

 

なんと、ツナが先程、凍らせて、落ちた氷の下からガンブレードが出てきた。《闇夜》の炎でガンブレードを氷の下へとショートワープさせたようだ。飛んできたガンブレードにより氷は砕けた。

 

シュンッ!!!

 

そこでダークネスがショートワープで移動して、ガンブレードを掴んだ。

 

ドガンッ!!!

 

そして、そのままダークネスはガンブレードを振り回して、氷にぶつけた。氷はさらに砕けて、散弾銃のようにツナに向かった。

 

「!!?ナッツ!!形態変化(カンビオ・フォルマ) 防御モード(モード・ディフェーザ)!!!」

 

ツナは《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》からナッツを呼び出して…………

 

「《Ⅰ世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレプリーモ)》!!!」

 

ナッツを裾が《光天》の炎で燃えているマントに変えて…………

 

ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!ドンッ!!!

 

氷の散弾銃を防いだ。

 

シュンッ!!!

 

すると、後ろからダークネスがツナに近づいた。それに気づいたツナはマントで防御の体勢をとった。

 

ドンッ!!!

 

ガンブレードとマントがぶつかった。

 

(ぐっ…………重い!!?)

 

ツナはマントでダークネスの攻撃を防ぎながら、そう思った。ツナは気づいていなかった。ただ後ろから攻撃するだけなら、離れた場所ではなく、すぐ背後から攻撃をすればいい話だ。ダークネスがなぜそのような行動に出たかというと、ダークネスはツナの後ろ側の離れた場所にショートワープして、ツナに近づく際に何十層もある《闇夜》の炎のワープホールを連続で通ったのだ。バミューダが《夜》の炎のワープホールを相手の周りに展開して、それらを連続で通って、光速の速さで相手に攻撃する技をダークネスは直線で行ったのだ。それにより、光速の速さで突っ込んできたダークネスは高い攻撃力でツナに攻撃したのだ。ツナはそれを防ぐのに手一杯だった。そんなときだった…………

 

ドガッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

『10代目/沢田(殿)/ボス/ツナ(君)!!?』

 

ツナはマントの隙間からダークネスの蹴りをくらったのだ。しかも、足には爪がついているためにさらにダメージが追加した。

 

 

 

 

ツナがダークネスからの蹴りをくらい、叫んだ獄寺たち。そんな中、2人の戦いを見ていたリボーンがルシフェルに言った。

 

「ルシフェル」

 

「あ?なんだ?」

 

「確かに、あいつはとんでもねぇ奴だ。そこら辺にある物を利用して、いろいろと応用しながら戦ってやがる。俺にも想像がつかねぇぐらいだぞ。…………だがな………」

 

そう言うとリボーンはニヤリと笑った。

 

「俺の生徒をあまりなめんじゃねぇぞ」

 

ルシフェルはどういうことだと思い、2人の戦いを見た。

 

 

 

 

ダークネスがツナの腹を蹴ったとき、ツナが言った。

 

「…………ナッツ………。形態変化(カンビオ・フォルマ) 攻撃モード(モードアタッコ)!!」

 

ツナはそう言うと、マントが光だして…………

 

「《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》!!!」

 

ナッツをマントからガントレットに変えた。マントに隠れて見えなかったが、ガントレットを装備していた手と反対の手でダークネスの足を掴んで逃がさないようにしていた。

 

「!!?」

 

ダークネスは狙いに気づき、急いでガンブレードで足を切断しようとするがツナのほうが早かった。

 

「《バーニングアクセル》!!!」

 

ドカーーーーンッ!!!

 

至近距離からの《光天》の炎の球がダークネスに直撃した。



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リミッター解除

すみません。言い訳になってしまうのですが、課題やテストで更新がだいぶ遅れてしまいました。今後もペースを落としてしまうかもしれませんがご了承ください。


ドカーーーーンッ!!!

 

ツナの《バーニングアクセル》がダークネスに直撃した。

 

「よっしゃ!!」

 

「いいぞ!!」

 

地上にいる仲間たちも称賛した。

 

「………ハァ………ハァ………」

 

粉塵が晴れるとダークネスは息を荒くしていた。しかし、鎧は傷1つついていなかった。

 

(くっ………!?これでも、まだその鎧を壊すことはできないのか!?)

 

ツナは心の中で悔しがっていた。

 

(だが、衝撃とかは確実に通っている。それなら、このまま攻めるぞ!!)

 

ツナはそう考えて、ダークネスに向かって飛び出した。

 

「チッ………!!」

 

ダークネスは舌打ちしながらショートワープを使って離れた。

 

「ナッツ、戻ってくれ」

 

ツナはそう言ってナッツをガントレットからVG(ボンゴレギア)に戻した。

 

「ハッ!!!」

 

すると、ツナは右手の人差し指をダークネスに向けた。《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》から《光天》の炎が灯った。

 

「《X(イクス)ボウガン》!!」

 

バンッ!!!

 

ツナは人差し指から《光天》の炎の矢を放った。ボンゴレ8代目の武器をモチーフにした技だ。

 

「フンッ!!」

 

ダークネスはそれをガンブレードで弾いた。

 

「まだだ!!」

 

バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!

 

ツナは《光天》の炎の矢を連続で放った。

 

「ふん…………。ばか正直に全て弾くと思ったか?」

 

シュンッ!!!

 

ダークネスはそう言うと、ショートワープでツナの背後に回った。そして、ガンブレードを構えていた。

 

「くっ!!?」

 

ツナは超直感で察し、しゃがんでダークネスのガンブレードをかわした。

 

「くらえ!!」

 

バンッ!!!

 

ツナはその後、すぐに後ろに向き、炎の矢を放った。

 

グサッ!!!

 

「グッ……!!?」

 

炎の矢はダークネスの左腕の脇腹に刺さった。

 

「ツナのやつ、考えたな」

 

それを見て、リボーンが言った。

 

「どういうことですか?リボーンさん」

 

それを獄寺が聞いた。

 

「ああいう全身の鎧は動きやすくするために関節部分の装甲がどうしても薄くなるんだぞ。中世の甲冑とかも脇腹や膝の裏、あとは股関節が薄いぞ。まぁ、俺たちの場合はその薄い装甲も《闇夜》の炎で纏われているおかげで、結局、攻撃を与えることはできなかっただろうがな」

 

「でも、綱吉君は《光天》の炎を持っているおかげでその弱点が使えるって言うわけだね♪」

 

リボーンが説明して、白蘭が補足した。

 

「チッ………!!」

 

ダークネスは舌打ちしながら脇腹に刺さった炎の矢を引き抜いた。

 

シュンッ!!!

 

それと同時にツナが《光天》の炎の推進力により一瞬でダークネスの背後に回った。

 

「!!?」

 

「ナッツ!!もう一度、頼む!!」

 

ツナはナッツを再び、《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》に形態変化(カンビオ・フォルマ)させた。

 

「………………」

 

ツナはジョットとの修行を思い出していた。

 

 

 

 

ドガンッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

ジョットと修行のために戦闘していたツナが吹き飛ばされた。

 

「ハァ………ハァ………ハァ…………。今の技は………?」

 

ツナはガントレットを装備していたジョットを見ながら、そう言った。

 

「これが俺の技だ、Ⅹ世(デーチモ)。お前にはこの技を習得してもらう」

 

「俺に…………今の技を………」

 

ジョットの言葉にツナは呆然とした。

 

「そうだ。この技は大切なものを守るために作った技だ。ロヴィーノ教団、その中でもダークネスは強敵だ。そいつが敵として立ちはだかるかぎり、簡単にはいかない。あいつの中にある闇は我々の想像を越えるだろう」

 

「………………」

 

「《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》という者たちは他の者に任せればいいだろう。しかし、ダークネスはそうはいかない。あの者をどうにかすることができるのはお前しかいない。そのためにも、この技を習得して、損はない」

 

「……………」

 

ツナはその後、死ぬ気で修行して、その技を習得した。

 

 

 

 

「くらえ!!初代直伝!!」

 

ボウッ!!

 

ツナはそう言うと、ガントレットに膨大な《光天》の炎を凝縮させた。

 

「なんて炎圧だ!!?」

 

「極限に行くんだ、沢田!!!」

 

地上にいた者たちは驚いたり、応援したりしていた。

 

「《王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)》!!!」

 

ドガンッ!!!

 

バキンッ!!!

 

「ぐぁっ!!!?」

 

ドカーーーーンッ!!!

 

ツナは《光天》の炎が凝縮されたガントレットはダークネスの背中を直接殴り付けた。頑丈な鎧から破片がこぼれた。そして、そのままダークネスは地面に激突した。

 

「スゲーぞ!!!」

 

「いいぞ、ボンゴレ!!!」

 

仲間たちも称賛した。

 

「嘘………だ………ろ………?」

 

ルシフェルは信じられなさそうに言った。

 

スタッ…………

 

ツナが地面に降りた。

 

(これで終わってくれたらいいんだが…………)

 

ツナは明聖に頼まれているためになるべく傷つけたくないのだ。しかし……………

 

「…………ハァ…………ハァ………ハァ………ハァ………」

 

粉塵の影に人が立つところが見えた。

 

「くっ………(やはり、まだか…………)」

 

ツナは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「………ハァ………ハァ……………やってくれたな………。沢田綱吉…………」

 

粉塵が晴れるとダークネスは息を荒くしながら、ツナに言った。

 

「どこまでタフな奴だあぁぁぁ!!!?」

 

「だけど、破片がこぼれたよ!!!このままなら、いけるよ!!」

 

スクアーロと炎真がそう言った。

 

「…………………このまま、させる…………って思うか?…………ハァ…………使うつもりなど無かったがな…………」

 

ダークネスがそう言うとガンブレードを地面に突き刺して…………

 

ゴウッ!!!!

 

『!!!?』

 

ダークネスの体から《闇夜》の炎が吹き出した。

 

「まさか、あれは《死ぬ気の到達点》か!!!?」

 

「……………でも、彼が《夜》の炎を持っているなら、僕や沢田綱吉君と同じ境地に達していてもおかしくないよ」

 

皆の驚きをよそに、バミューダが冷静に分析していた。

 

「それだけじゃない。……………リミッター解除」

 

ダークネスがそう言うと…………

 

シュウゥゥゥゥッーーーー…………

 

吹き出した炎が鎧に収束していった。

 

「いったい、何をする気だ………」

 

ツナがそう言った。

 

「ドレイク。俺と融合しろ!!」

 

ダークネスがそう叫ぶと…………

 

バキッ!!!…………バキッ!!!………バキッ!!!

 

ダークネスの鎧がだんだんと膨張を始めた。翼や角、尾までも膨張し、顔の口の部分が横にヒビが入り割れて、そこから牙が現れ、口のようになった。そして、最終的に……………

 

『グォォォォーーーー!!!!』

 

ダークネスは体長30メートルほどの巨大な漆黒のドラゴンになった。

 

『!!!?』

 

「な、なんだ、あれは…………!!?」

 

「あいつ、ドラゴンになったのな!!?」

 

ツナたちは驚いた。

 

「あ、あんなの…………見たことねぇぞ…………」

 

ルシフェルも驚いていた。どうやら、ルシフェルも知らなかったみたいだ。

 

『これは、《死ぬ気の到達点》の炎を《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》に注ぎ込み、俺とドレイクが《闇夜》の炎で融合した力だ!!』

 

ドラゴンとなったダークネスがそう説明した。その力は圧倒的なものが感じられた。

 

(か、勝てない。……………ハッ!!?俺はいったい、何を考えているんだ!!このまま諦めるわけにはいかないんだ!!)

 

ツナは一瞬、弱気になったが、すぐに自分を奮い立たせた。

 

「クフフ、しかし、人間の面影がありませんね。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》の名折れですね」

 

骸がダークネスの姿を見て、そう感想を言った。

 

『………………ふん。くだらないな。俺はそんなものは興味無いのさ。それを自分で名乗ったことは1度も無いしな』

 

ダークネスは興味無さそうに答えた。

 

『そんなくだらない二つ名のことなんかよりも、とっととお前を潰す』

 

「っ!!?」

 

ダークネスの言葉にツナは警戒した。

 

『これでも、くらいやがれ!!!』

 

ダークネスは爪をツナに向けて、攻撃してきた。

 

「っ!!?」

 

ツナはグローブから炎を噴出して、かわした。

 

(よし!!体がでかくなったぶん、スピードが落ちている!!これなら、かわせる!!)

 

ツナがそう考えていると…………

 

『その程度でかわせると思うなよ』

 

ダークネスがそう言った。すると…………

 

ズンッ!!!

 

「!!?」

 

ツナの目の前から先程の爪が襲いかかってきた。《闇夜》の炎のワープホールで攻撃してきたようだ。

 

「くっ!!?」

 

ツナはすぐに別のほうに飛んでかわした。しかし…………

 

『まだだ』

 

今度は尾を振って、攻撃してきた。

 

「くそ!!?」

 

ツナはまた、炎を噴射してかわした。

 

「(くっ…………!!?かわしても、かわしても、《闇夜》の炎の力で何度も攻撃してくる!!だが…………)隙ありだ!!!」

 

ツナはがら空きとなったダークネスの背中に突っ込んだ。

 

「くらえ!!!《王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)》!!!」

 

ツナは《光天》の炎を集中させたガントレットでダークネスの背中に攻撃した。

 

ドガンッ!!!

 

それは直撃したが……………

 

「なっ!!?」

 

先程の人間サイズのときは破片がこぼれたにもかかわらず、今回はそれがなかった。

 

『あいにくだが、この状態は防御力もさっきのよりも格段に上がっている』

 

ダークネスが背中にいるツナに向けて言った。そして………

 

『ハッ!!!』

 

ドカンッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

ダークネスの背中から《闇夜》の炎のワープホールで爪が襲いかかってきた。近距離にいたためにかわすことができず、ツナに直撃した。

 

 

 

 

「10代目!!?」

 

「極限にむちゃくちゃだぞ!!?いろんなところから手が出てくるぞ!!!」

 

「まぁ、《夜》の炎って、そんなものだよ………。それよりも、問題はダークネス君の体の防御力が上がっていることだよ。さっきの沢田綱吉君の攻撃が効かなくなっているよ」

 

獄寺がツナのことを心配して叫び、了平がダークネスの力を見て驚いた。それに対してバミューダが軽く説明して、ダークネスの防御力を懸念していた。

 

「…………まずいな」

 

「リボーン?」

 

リボーンの呟きにディーノが反応して、尋ねた。そして、リボーンは答えた。

 

「ツナじゃ、あいつには勝てない」

 

『!!?』

 

「小僧、どういうことなのな!!?」

 

リボーンの言葉に真っ先に山本が反応した。

 

「そのままだぞ。あそこまで、ばかでかい敵は初めてなうえに、ツナの攻撃が全然効いていない。この感じ、初めてイェーガーと対峙したとき、いや、それ以上だぞ。かと言って、ツナ以外にあいつを倒すことができるやつがいないのも事実だ…………」

 

『………………』

 

リボーンの言葉に獄寺たちは深刻そうな雰囲気を出した。そして、ツナを心配そうに見守ることしかできなかった。

 

 

 

 

『ふ~~~っ…………。ハァ!!!』

 

ダークネスは今度は大きく息を吸い込むと口から《闇夜》の炎を吐き出した。

 

「っ!!?」

 

ツナは《光天》の炎を噴射してかわしたが…………

 

ズンッ!!!

 

「!!?」

 

ドガッ!!!

 

「ガッ!!?」

 

まるで狙っていたかのように、爪が出てきて、ツナに襲いかかった。

 

「ぐっ………!!!」

 

ツナはすぐに体勢を整えた。

 

「ナッツ、戻れ」

 

ツナは《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》を解いて、そのまま…………

 

「《X(イクス)ボウガン》!!!」

 

《光天》の炎の矢を連続で放った。何本もある炎の矢がダークネスに向かった。

 

『グォォォォーーーー!!!!』

 

バサッ!!!バサッ!!!

 

ビューンッ!!!

 

「!!?」

 

しかし、ダークネスが翼を羽ばたいたことで、炎の矢を全て吹き飛ばした。

 

「ぐっ!!?」

 

しかも、それだけではなかった。羽ばたいたことによる風圧がツナに襲いかかった。その風圧があまりにも強力なためにツナは吹き飛ばされないように炎を噴射した。しかし、それはツナの身動きを封じたことに等しかった。

 

『これで終わりだ』

 

ダークネスは腕を振るって、ツナに攻撃した。しかも、腕を《闇夜》の炎のワープホールに連続で通らせて、スピードを上げた。

 

「ッ!!?」

 

ツナは風圧に耐えるのに必死でかわすことができなかった。

 

ドガッ!!!

 

「ガハッ!!?」

 

ダークネスの腕に直撃したツナはそのまま……………

 

ドカーーーーンッ!!!!

 

地面へと叩きつけられた。



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絶対王者

ドカーーーーンッ!!!!

 

巨大なドラゴンと化したダークネスの攻撃にツナは地面に叩きつけられた。

 

「ツナ君!!?」

 

「沢田殿!!?」

 

炎真とバジルがツナの名前を呼んだ。

 

「…………ハァ…………ハァ…………ハァ…………」

 

ツナがボロボロになりながらも立ち上がった。

 

『………………まだ、続ける気か?』

 

そんなツナにダークネスが尋ねた。

 

「…………ハァ…………ハァ…………当然だ!………俺は諦めない!!ここで諦めたら、ロヴィーノが復活して、地球が滅ぼされる!!……………それに、明聖に頼まれたからな。お前を助けるってな!!」

 

『…………ハァ……。まだ、そんな戯れ言を言っているのか…………。俺はロヴィーノに操られていないって言っているだろ』

 

まだ諦めないって言うツナの諦めない理由にダークネスはため息つきながらあきれていた。

 

「…………お前が何と言おうと俺はお前を助ける!!」

 

そんなダークネスにツナは負けじと言い返した。

 

『……………好きにしろ』

 

ブゥン!!!

 

ダークネスがそう言うと、いきなり尾をツナへと振り回した。

 

「!!?」

 

ツナはとっさに炎を噴射して、上空へと飛び、かわした。

 

ブオォン!!!

 

すると、次は、ツナがかわした先にダークネスの爪が襲いかかってきた。

 

「くっ!!?」

 

ツナは超直感をフルに使って察してかわした。

 

「オペレ―――」

 

『させるか』

 

ツナが《X(イクス) BURNER(バーナー)》を放とうとしたのをダークネスが再び《闇夜》の炎のワープホールで爪をワープさせて、邪魔した。

 

「くっ………(あの体にダメージを与えられるのは《X(イクス) BURNER(バーナー)》ぐらいなのに…………)」

 

『《X(イクス) BURNER(バーナー)》は撃たせないぞ』

 

ダークネスはツナにそう言うと…………

 

『ふぅ………ハァ!!!』

 

口から《闇夜》の炎を吐き出した。しかも、先程のよりも強力な炎だった。ツナに向かって広範囲で襲いかかってきた。

 

「ッ!!?ハァッ!!!」

 

ボゥ!!!

 

ツナはXグローブを前に出して、《光天》の炎を噴射した。それで、ダークネスの《闇夜》の炎に対抗した。2人の炎はぶつかり合った。しかし……………

 

「ぐっ!!?(押されている!!?)」

 

ダークネスの《闇夜》の炎のほうが威力が強く、ツナの《光天》の炎が押され始めた。

 

 

 

 

「10代目!!?」

 

「ツナ!!?」

 

獄寺と山本が心配そうに叫んだ。他の皆も苦い顔をしていた。

 

「沢田殿はなぜ、かわさなかったのでしょうか?沢田殿なら問題なくかわせれたはずです…………」

 

そんな中、バジルがふと疑問に思ったことを呟いた。確かに《光》の炎で強化された《大空》の炎の推進力なら容易にかわせたはずだった。

 

「……………俺たちを守るためだろうな」

 

バジルの疑問にリボーンが答えた。

 

「どういうことだ、コラ?」

 

「ツナがあのままかわしていたら、あれだけの広範囲の炎だ。炎は俺たちに当たっていただろうな。しかも、今から離れても遅いぐらいだ。悔しい話だが《光》の炎を持たない俺らにはあれを防ぐ方法が無い。防御すら無効化されるだろうな………………」

 

リボーンは苦虫を噛み潰したような顔をして言った。

 

「10代目は俺たちを守るために………………」

 

「生き返っても甘い男ですね………………」

 

「チッ!!ドカスが!!」

 

獄寺たちはツナの行動に驚いた。

 

 

 

 

一方、ダークネスの攻撃を防いでいるツナは…………………

 

「くっ………(このままでは、後ろの皆にも当たってしまう…………。どうすれば…………)」

 

ツナがそう悩んでいると……………

 

『その心配は無用だ』

 

ブンッ!!!

 

「!!!?」

 

《闇夜》の炎からダークネスの腕が伸びてきた。

 

ガシッ!!!

 

『この炎はお前を逃がさないためのものだからな』

 

「グァッ!!!?」

 

『10代目/ボス/沢田(殿)/ツナ(君)/ボンゴレ!!!?』

 

そして、伸びてきた手にツナが掴まれた。掴まれたツナは苦しんだ。

 

「グゥゥゥァッ!!!?」

 

『このまま、あの時のお前の心臓みたいに握り潰しても構わないが、二度と生き返られないように強烈な一撃で終わらせる』

 

握られて苦しんでいるツナにダークネスがそう言うと……………

 

ブンッ!!!

 

ダンッ!!!

 

ツナを掴みながら、上空高く飛び上がった。

 

「ぐっ……………!!!?」

 

『もう、そろそろか………………』

 

ダークネスがそう言うと………………

 

ぱっ…………………

 

ツナを手を開いて離して……………………

 

『これでも、くらいやがれ』

 

ダークネスはその場で前に1回転して…………………

 

ドガンッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

その勢いを利用して、尾をツナにぶつけた。尾にぶつけられたツナはそのまま勢いよく…………………

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

島の地面の()()()()に激突した。激突したことでものすごい粉塵が舞い上がった。

 

『10代目/ボス/沢田(殿)/ツナ(君)/ボンゴレ!!!?』

 

獄寺たちはツナの安否が気になり叫んだ。

 

ユラッ…………………

 

すると、粉塵の中から人影が立ち上がったところが見えた。

 

「10代目!!!」

 

「極限に無事だったのか!!!」

 

「よかった……………」

 

獄寺、了平、クロームがそれぞれ、ツナの無事に安堵した。

 

「………………?」

 

しかし、リボーンを含めた何人かは違和感を感じた。

 

『チッ。しぶといガキだ。それならば、今度こそ終わらせる』

 

普段なら気づいていたであろうダークネスだが上空高く飛んでいたために遠すぎて、違和感に気づいていなかった。ダークネスはそのまま、ツナにとどめをさそうと急降下した。そして、ツナに攻撃しようとしたときだった。

 

キンッ!!!

 

『!!!?』

 

『ッ!!!?(なんだ?このただならない殺気は?)』

 

急に鋭い殺気がとんできてダークネスは攻撃を止めた。

 

「…………もう、そろそろだと思ったよ」

 

粉塵の中から声がした。しかし、その声はツナと比べて、かなり低かった。

 

「えっ?今の声って誰なのな?」

 

「あそこにいるのはツナ君のはずだよね?」

 

山本と炎真が粉塵の中から聞こえた声に疑問を感じた。そして、それは他の皆も同じだった。

 

「……………ねぇ」

 

そんな中、ずっと黙っていた雲雀が声を上げた。

 

「小動物が飛ばされた場所って、そこの牛の変なバズーカが落ちていた場所じゃなかった?」

 

「「「「「「!!!?」」」」」」

 

雲雀に言われて、獄寺たちとルシフェルは思い出した。今、ツナが激突した場所はランボの10年バズーカが転がっていた場所だった。

 

「ってことはまさかあれは……………」

 

誰かの呟きとともに粉塵が晴れてきた。そこにいたのは黒いスーツに外套を身に纏っていた身長180センチメートルの男だった。男の右手の中指と小指には見覚えのある指輪をしていた。そして、その男はそこにいるはずの人物の面影があった。足下には今の衝撃で壊れていた10年バズーカの残骸があった。

 

「10年後のツナ!!!?」

 

それは10年バズーカで呼び出された10年後のツナだった。ノーマルモードにもかかわらずその姿は絶対王者としての風格があった。

 

「ハハハッ。皆のその姿、懐かしいよ♪」

 

リボーンたちに気づいたツナがそちらを向いて、笑っていた。この状況で笑っていられるとは、10年でそうとう強かな性格になったようだ。

 

「ほんとにツナなのか……………?」

 

「10年後の10代目…………、初めて見ました……………」

 

山本と獄寺が驚いて、そう言った。

 

「あっ!大きいツナだもんね!!」

 

何度も10年バズーカで未来に行ったことのあるランボがツナを指さしながら、そう言った。どうやら、本当に10年後のツナのようだ。

 

「フッ…………、ちったぁ、ましな面になったじゃねぇか」

 

それを見て、リボーンは薄笑いをしていた。

 

「ハハハッ!せっかく、懐かしい姿の皆に会えたから話したいけど…………………、そんな場合じゃないね」

 

笑っていたツナは真剣な顔つきになって、ダークネスのほうを見た。

 

『………………お前がやるのか?』

 

ダークネスは10年後のツナに向かって言った。

 

「そうだね。たしか明聖がこの時代の俺に頼んでいたからね。『パパを助けてほしい』ってね」

 

ツナはそう言いながらミトンをはめた。

 

「でも、この時代の俺では今の状態のお前には勝てない」

 

ボウッ!!!

 

ツナはそう言いながら額に《大空》の炎を灯して、ミトンをXグローブに変えて、死ぬ気丸なしで(ハイパー)死ぬ気モードになった。それだけでさらに威圧感が高くなるのを感じられた。

 

「だから、俺がやってやる!!!」

 

ボゥッ!!!

 

そして、《大空》の炎を《光天》の炎に変えた。

 

『フン。ならば、俺に勝ってみろ』

 

ダークネスはそう言って、爪をツナにぶつけようと攻撃し始めた。

 

「ああ!!!言われなくてもそうするさ!!!」

 

ツナはグローブに《光天》の炎を灯しながらそう言うと………………………

 

シュンッ!!!

 

ドガッ!!!

 

『ガハッ!!!?』

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

一瞬でダークネスの顔近くまで移動して、あの巨体を殴り飛ばした。それによって、ダークネスは地面に倒れた。

 

『!!!?』

 

「あの巨体を殴り飛ばすのかあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

「………………10年後の沢田綱吉君はこの時代の彼とは比べものにならないくらい強くなっているよ」

 

スクアーロとバミューダが今のを見て、10年後のツナに対して驚いていた。それは他のメンバーも同様だった。

 

『くっ……………。それなりにやるみたいだな………………』

 

ダークネスはそう言って起き上がると……………………

 

『フゥ…………ハァッ!!!』

 

口から《闇夜》の炎を吐き出した。

 

「はっ!!!」

 

それに対抗してツナもグローブから《光天》の炎を噴射した。

 

ボオオォォォゥ!!!!

 

2人の炎がぶつかった。しかし……………

 

『なに!!!?』

 

すぐにツナの炎が押し始めて、ダークネスの炎が押され始まった。

 

「ハアァァ!!!!」

 

『チッ!!!』

 

ダークネスは舌打ちをして、上空へ飛んだ。そして、そのままツナに攻撃しようとした。

 

シュンッ!!!

 

しかし、ツナはそれを10年経ったことによって、さらに研ぎ澄まされた超直感で察してかわした。

 

『くっ……………!!!?』

 

ダークネスは読みでツナの移動先を察して《闇夜》の炎のワープホールで攻撃した。しかし、それよりもツナの直感のほうが上らしく、全てかわしていた。

 

「あれを全てかわすとは……………!!?」

 

「すごいよ、綱吉君!!!!」

 

「いいぞ、沢田!!!!」

 

仲間たちもこの時代のツナが手も足も出せなかったドラゴン化したダークネスを圧倒した10年後のツナに賞賛した。

 

「はっ!!!」

 

『ガッ!!!?』

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

そして、ダークネスの隙をつき、ツナはダークネスの背中に強烈な一撃を加えた。それによって、ダークネスは地面にたたきつけられた。

 

「ナッツ!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!」

 

ツナはさらに追い打ちと自分のナッツを形態変化(カンビオ・フォルマ)させて、Xグローブの肘側に炎の噴射口をつけた。

 

「《(ハイパー)Xストリーム》!!!」

 

ツナはダークネスの周りを超高速で飛び、《光天》の炎の竜巻でダークネスを取り囲んだ。

 

『ぐあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!?』

 

「ダークネス!!!?」

 

炎の竜巻にダークネスが苦しみ、それをルシフェルが叫んだ。

 

『……………ハァッ……………ハァッ……………』

 

炎の竜巻が治まると、ダークネスは疲弊していた。

 

「これで終わりだ!!!《オペレーションXX(ダブルイクス)》!!!」

 

ツナがそう言うと腕をクロスして、肘側の噴射口から柔の炎を噴射した。

 

『……………ハァッ……………まだだ……………。これでもくらえ!!!!』

 

ダークネスは疲弊しているにもかかわらず、口から今までで一番の《闇夜》の炎を吐き出した。

 

「これでどうだ!!!《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》!!!!」

 

ツナのグローブからナッツの顔を模した膨大な《光天》の炎が放たれた。

 

ドカーーーーーーーーーンッ!!!!!

 

2人の炎(光天と闇夜)がぶつかった。2人の炎は周囲に衝撃波を生みながら均衡していた。

 

「『おおおぉぉぉぉーーーー!!!!』」

 

2人は雄叫びをあげた。その均衡はずっと続くかと思われた。しかし………………

 

『なに!!!?』

 

ツナの炎が押し始めた。ダークネスはそれに驚いた。そして………………

 

「おおおぉぉぉぉーーーー!!!!」

 

『ぐあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!?』

 

ツナの炎がドラゴン化したダークネスを呑み込んだ。



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暴走《闇夜》

『ぐあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!?』

 

10年後のツナの炎を受けたダークネスは苦しんだ。

 

ガラッ……………ガラッ……………ガラッ……………

 

何かが崩れる音が聞こえてきた。

 

「ダークネス!!!?」

 

ダークネスの身を案じて、ルシフェルが叫んだ。

 

「……………ハァ……………ハァ……………ハァ……………」

 

ツナの炎が治まると、そこにはドラゴンの姿から人間の姿に戻っていたダークネスが両手両膝を地面についていた。しかも、その姿はボロボロだった。《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》は額の鍬形の角、背中の翼、腰の尾、両手の手甲、両足のブーツ以外はがれ落ちていた。ダークネスは息を荒くつきながらツナを睨みつけていた。

 

スタッ……………

 

「……………もうそろそろか……………。この時代の皆と話したかったな……………」

 

ツナが地面に降りるとそう言った。すると………………

 

ボフンッ!!!

 

「うっ…………戻ってきたのか?」

 

10年後のツナがいた場所から急に煙がたち、それが晴れるとこの時代のツナがいた。

 

「あれ?ランボのときは10分だったのにツナのときは5分しか経っていないのな?」

 

「あいにく、10分の効果を持つ弾は1つしか用意できなかったんだぞ」

 

山本の疑問にリボーンが答えた。それにより、ルシフェルと戦った者たちは納得した。

 

「未来の俺がやったのか………………?」

 

この時代のツナは10年後のツナが自分が手も足も出なかったドラゴン化したダークネスを倒したことを信じられないと目を見開いていた。

 

「……………ハァ……………ハァ……………沢田……………綱吉……………!!」

 

ダークネスはフラフラになりながらも立ち上がって、ツナを睨みつけていた。

 

「……………まだやるのか?」

 

そんなダークネスを見てツナは哀れんだような目でダークネスを見た。

 

「当然だ……………!!俺は……………まだ負けたわけじゃない……………!!!」

 

ダークネスはそう言って腕を伸ばすと手に《闇夜》の炎が灯り出して、それは大剣の形になり、炎が弾くと先程、ドラゴン化する前に地面に刺していたガンブレ-ドを握っていた。どうやら、《闇夜》のショートワープで呼び出したようだ。

 

シュンッ!!!

 

すると、ダークネスはショートワープして、ツナの背後に回った。そして、そのままツナにガンブレードで攻撃しようとしていた。

 

ドガンッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

しかし、攻撃を与える前にツナが炎を纏わせたグローブでダークネスの腹を殴りつけた。それにより、ダークネスは吹き飛ばされた。

 

「……………まだ………だ……………」

 

ダークネスは再び立ち上がると……………

 

グサッ!!!

 

ガンブレ-ドを地面に突き刺した。

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》!!!」

 

「っ!!?」

 

ボゥッ!!!

 

ツナはとっさにグローブから炎を噴射して上空へ飛んだ。

 

グサグサグサグサグサグサッ!!!

 

すると、地面から無数の《闇夜》の炎の槍が飛び出した。ツナは炎の推進力でそれらを何とか全てかわした。

 

シュンッ!!!

 

すると、今度はダークネスが先読みして再びショートワープでツナの背後に回って、先程よりも早く攻撃しようとしていた。

 

「っ!!?」

 

ガキンッ!!!

 

ツナは振り返って、グローブで受け止めた。

 

「フン!!!」

 

ツナは受け止めた衝撃を利用して後ろへ移動した。そして、ダークネスがガンブレードを振り下ろした際にできた隙を狙って、前方へ直進して、炎を纏わせたグローブで攻撃した。

 

「ガハッ!!!?」

 

防御ができなかったダークネスは鳩尾を殴られて苦しんだ。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》でも人体の急所である鳩尾はかなり効くみたいだ。

 

「……………フン!!!!」

 

しかし、そんな苦しみは関係無いと言わんばかりにすぐにダークネスはツナに蹴りをいれようとした。

 

シュンッ!!!

 

しかし、ツナは超直感で察して後ろに飛んでかわした。

 

「《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!!」

 

それを読んでいたのか、ダークネスはガンブレードを構えて、ツナに向かって極太の漆黒の炎のレーザーを放った。

 

スッ…………

 

ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!

 

ツナは両手の親指と人差し指で四角形を作った。そして、額の《光天》の炎はノッキングしていた。

 

「《死ぬ気の零地点突破・改》!!」

 

ツナはダークネスの炎を吸収して自分の力にしてパワーアップした。

 

「チッ!!!」

 

それを見たダークネスは舌打ちした。

 

「ナッツ!!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!」

 

ツナは本人は知らないだろうが、10年後のツナと同じようにナッツとXグローブを合体させて、グローブの肘側に噴射口をつけた。

 

シュンッ!!!

 

今度はツナがパワーアップしたXグローブで《光天》の炎を噴射して、その推進力でダークネスの背後に一瞬で移動した。

 

「!!!?」

 

ダークネスはすぐに気づき、急いで防御しようといたが………………

 

ドカッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

先にツナの振り返りの勢いを利用した裏拳がダークネスの背中に直撃した。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

そして、そのままダークネスは地面に激突した。

 

「よっしゃ!!!」

 

「あのばかでかいドラゴンのときにかなりの力を消耗したみたいだな」

 

「いけるぞ、コラ!!!」

 

仲間たちもダークネスを圧倒しているツナに喜んだ。

 

「………………ハァ………………ハァ………………ハァ………………」

 

しかし、ダークネスはそれでも立ち上がった。そして、ツナに攻撃をしようとガンブレードを構えたが…………………

 

スタッ……………

 

「!!!?」

 

いつの間にかツナが目の前に立っていた。

 

「……………すまない。明聖にたのまれたんだ。しばらく、寝ていてくれ」

 

ツナはダークネスだけに聞こえるように静かに言った。よく見るとツナの右手のグローブに炎が込められていた。そして、ツナは右手のグローブをダークネスに向けた。

 

「《X(イクス)カノン》!!!」

 

ツナは至近距離でグローブから今までで一番の《光天》の炎の弾丸を放った。

 

ドカンッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ダークネスはそれをかわすことができず直撃して吹き飛ばされた。

 

ドサッ……………

 

ダークネスは吹き飛ばされるとそこから少し離れた場所に仰向けに倒れた。2人からかなり離れた場所ではツナの仲間たちの賞賛が聞こえた。

 

 

 

 

遠くで自分が戦っていた相手の仲間の声が聞こえた。その中には自分を倒すと豪語した同僚の声も混ざっていた気がした。

 

(………………俺は負けたのか………?)

 

だが、そんなことは関係無いと言わんばかりにダークネスは自分の状態を確認した。

 

(………………やばいな。まともに動けない)

 

ダークネスは指1本動けない体に自嘲した。

 

(……………まぁ、いいか。このまま、戦うのをやめても……………)

 

ダークネスがそう思って、気を失おうとした。

 

………………………………………………………

 

………………………………………

 

…………………………

 

……………

 

……

 

『それでいいのかい?』

 

すると、ダークネスの頭の中に男の声が聞こえてきた。それにより、ダークネスは完全に気を失うことができなかった。ツナたちは今のダークネスの状態に気づいていなかった。

 

(!!?お前か………。いったい、なんの用だ?)

 

ダークネスは突如聞こえた声に一瞬驚いたがすぐに平静を保たせて声の主に聞いた。

 

『別に?ただ、このまま戦うことをやめてもいいのかなって思っただけど』

 

(あいにくだな。お前にとってはまずい話だろうが、俺としてはどうでもよくなった)

 

声の主に対してダークネスは興味を無くしたって答えた。

 

『本当にいいのかい?』

 

(しつこいな…………。もういいって言っているだろ)

 

何度も聞いてくる声の主に対してダークネスは苛つきながら返した。

 

『でも、貴様はこの世界を憎んでいたはずだよね?()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

(ッ!!!?)

 

声の主の言葉にダークネスは内心、顔をしかめながら、動揺した。

 

『ハハッ♪やっぱり、その時の憎悪を忘れていないみたいだね♪』

 

ダークネスの様子に気づいた声の主は笑いながらダークネスに声をかけた。

 

『当然だな。光を失った貴様はこの世の中に絶望して、『死体の大地事件』を引き起こしたんだからな』

 

(………………)

 

『あの時の貴様は凄まじい鬼気を感じたからな』

 

(………………)

 

『だけど、今の貴様にはそのようなものを感じられないな』

 

(………………)

 

『ずっと、黙っているしね……………。いっそのこと、今の貴様の光である()()()()()()()()かな?』

 

(!!!?ふざけるな!!!!そんなこと絶対にさせるか!!!!)

 

声の主の言葉にダークネスは怒り、声の主に怒鳴った。

 

『ハハッ。そんなに怒るなよ。ちょっとした、冗談だよ。…………でも、以外だな。幼少の頃から冷酷で闇にふさわしい貴様が()()()()()()()()()()()()()()()()()にそこまで必死にになるなんてね』

 

(っ…………)

 

声の主の言葉によると、ダークネスと明聖は実の親子ではないみたいだ。それにより、ダークネスは言葉が詰まった。

 

『私には理解できないね。光と闇は相反するもの同士。決して、混ざらないもの同士。それなのに片方が片方を求めるなんてね』

 

(………………)

 

声の主の言葉にダークネスは再び黙った。

 

『まぁ、話がだいぶそれたね。ようは、貴様の大事なものを奪った世界への復讐はそんなものでいいのかって言いたいのさ』

 

声の主が声を低くして言った。声の主の言葉がダークネスの体に染み込んでいく。それは、相手の命を奪う毒のように。もしくは全てを呑み込む闇のように。

 

『貴様はこの世界を憎み嫌っていたはずだよね?そのことを忘れたことは一瞬たりとも無かったはずだよね?貴様にとってあれは最も大切なものだったんだからね』

 

 

 

 

『――、僕たちは君のことを――――――よ』

 

『あなたと私たちはもう――だからね』

 

 

 

 

(うっ…………)

 

声の主の言葉にダークネスはたじろいだ。何か思い出しているようにも見えた。

 

『ご先祖の身勝手な行動のせいでなぜ自分たちがこのような地獄を味わなければならないんだろうね?』

 

(うっ…………、うっ…………)

 

『素直になりなよ、自分の感情に。貴様は根っからの闇なんだ。しかも、光など一切ない闇夜なんだ。一般論の悪を行うべき存在なんだ』

 

(うっ…………、うっ…………、うっ…………)

 

声の主は徹底的にダークネスを潰しにかかった。ダークネスは嫌な記憶、トラウマを思い出したのか、反撃する余裕が無かった。そして、とどめにかかった。声の主は今までで一番、声を低くして言った。

 

『もう、全てを破滅に追い込みなよ。そうすれば、なにもかも台無しになって忘れるよ』

 

 

 

 

『…………僕たちは…………君を…………恨まないよ……………』

 

『…………だから…………自分を…………憎まないで…………――……』

 

 

 

 

(自分を憎むな?できねぇよ…………、そんなこと…………。だって…………俺は…………オレは……………オレハ……………。ウッ…………、ウッ…………、ウッ…………、ウアァァァァーーーーーーーー!!!!!!!)

 

声の主によって壊されたダークネスの頭の中が真っ白に染まった。

 

 

 

 

「ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

『!!!?』

 

倒れたと思われていたダークネスが急に叫び、ツナやリボーンたち、ルシフェルが驚いた。

 

「な、なんだ?」

 

皆の気持ちを代表して獄寺が呟いた。

 

「……………」

 

それに答えるかのようにダークネスはフラフラと立ち上がった。

 

「!!!?まだ戦えるのかよ!!!?」

 

(いや、違う。何か様子がおかしい)

 

スカルの叫びにツナが内心否定してそう考えたときだった。

 

シュンッ!!!!

 

「!!!?ぐっ!!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

『!!!?』

 

立ち上がったダークネスが一瞬でツナの懐に潜り込み、ツナにガンブレードを振るって攻撃した。攻撃されたツナは超直感で察してとっさに腕を交差して防御に回ったが均衡することもなく、吹き飛ばされた。そして、そのまま壁に激突した。

 

「くっ……………」

 

ツナは背中に来る痛みを我慢しながらダークネスを見た。

 

「……………」

 

ダークネスはまるで何かに取り憑かれたようにだらりとしながら立っていた。

 

「…………ス」

 

すると、ぼそりと何か呟いた。ツナたちは何を言ったのかしっかり聞こうとした。

 

「………壊ス、俺ハコノ世ノ全テヲ壊ス!!!」

 

『!!!?』

 

ダークネスがそう言うと、黒い髪が真っ白に染まって、黒い目が赤く光った。

 

「壊ス、壊ス、壊ス、壊ス、壊ス、壊ス!!!!」

 

ダークネスは壊れたかのように「壊ス」と連呼した。ツナたちはそれに戸惑った。しかし、これで終わりでは無かった。

 

「ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

ボオウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!!!!

 

『!!!!?』

 

ダークネスが雄叫びを上げた途端、ダークネスの体から今まで使っていた漆黒の炎とは真逆の純白の炎が噴き出した。

 

「!!!!?また、俺たちの知らない炎か!!!!?」

 

それを見てラルがそう叫んだ。他の皆も同じ考えだった。しかし、数人は違った。

 

「いや………。この炎の感じはまさか………」

 

そのうちの1人だったリボーンがそう呟いた。そして、ツナがリボーンの言葉に続けるかのように言った。

 

「白い《闇》の炎?」

 

『!!!!?』

 

ツナの言葉にほとんどのものが驚いた。死ぬ気の炎は色によって区別されるものだった。それが色が違うのに同じ性質を持っていると言われたら誰でも驚くだろう。

 

「あの炎…………まさか!!!?」

 

ダークネスから噴き出した炎を見て、ルシフェルは何かに気づいたようだ。しかし、そんなルシフェルに他の皆は気づいていなかった。

 

「…………まぁ、あの炎がなんなのかは今はいいだろ」

 

リボーンはそう言うとツナのほうを向いた。

 

「今のあいつはある意味さっきのドラゴンよりもまずいぞ。あの炎のせいか知らねぇが、心が完全に壊れちまって暴走していやがる」

 

「……………」

 

リボーンの言うとおり、今のダークネスは凶暴性が増していて危ない状態だった。

 

「はっきり言って、正気に戻すのは困難だぞ。それでも、あいつを助けるって言うつもりか?」

 

「ああ」

 

リボーンの質問にツナは当然だと言わんばかりに短く即答した。それを聞いたリボーンはニヤリと笑った。

 

「それなら、とことんやってみせろ」

 

「ああ。俺は死ぬ気でダークネスを救ってみせる!!!」

 

ダークネスの白い《闇》の炎に対抗するかのようにグローブに純度の高い凄まじい《光天》の炎を纏わせて、ツナは力強く宣言した。




次回、決着!!!


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~決着~《光天》VS《闇夜》

急に全身から白い《闇》の炎が噴き出して、ただ壊すことだけが目的になり、暴走状態になったダークネス。今、ツナとダークネスの最終ラウンドが始まろうとしている。

 

「…………………」

 

「ウゥゥゥーーーー……………!!!」

 

ツナは静かに金色の瞳でダークネスを見ていた。それに対してダークネスはうめきながら赤色の瞳でツナを見ていた。

 

静と動。《大空》と《夜》。《光》と《闇》。そして《光天》と《闇夜》。この2人はまるで対極のようなもの、コインの表と裏のような存在だった。

 

そんな2人がお互いにお互いを見ていた。そして……………

 

シュンッ!!!

 

「!!!?」

 

「ウラァァァァァーーーー!!!!!」

 

ドガンッ!!!!

 

ショートワープで一瞬でツナの目の前にダークネスが現れて、ガンブレードを構えていた。ツナはとっさにグローブから炎を噴射して上空へ逃げた。そして、そのままダークネスのガンブレードは壁に激突した。激突した壁は広範囲で壊れて崩れた。

 

「!!!?(なんてパワーだ!!!?)」

 

ツナたちはその破壊力に驚いた。しかし、ダークネスの猛攻はまだ終わらなかった。

 

「ウラァァァァァーーーー!!!!!《虚無の刃(ラーマ・ディ・ヌッラ)》!!!!!」

 

ダークネスはガンブレードに中心部分が白くなった《闇夜》の炎を纏わせて、それを振るって巨大な《闇夜》の炎の刃を放った。

 

「っ!!!?」

 

ツナは炎の噴射で体を横にずらしてかわした。炎の刃はそのまま上空へ行き…………………

 

ドカーーーーーーーーンッ!!!!

 

島を覆わせるほどの大爆発が起きた。

 

「!!!?(やはり、あの炎の影響か、かなり威力が上がっている!!!あの技を下にいる皆に当てないようにしなくては………………)」

 

ツナは今の大爆発を見て、警戒を高めた。すると………………

 

シュンッ!!!!

 

「!!!?」

 

ガキンッ!!!!

 

ショートワープで一瞬でツナの目の前に現れたダークネスがガンブレードで攻撃してきた。ツナはそれをグローブで掴んで受け止めた。

 

「っ……………フン!!!!」

 

「ガッ!!!!?」

 

ツナはその体勢からサマ-ソルトキックをしてダークネスを蹴り上げた。それにより、ダークネスはツナから結構離れた場所まで飛ばされた。

 

「ウゥゥゥゥーーーーー!!!!!」

 

しかし、ダークネスはすぐに空中で体勢を立て直した。

 

ビュンッ!!!!

 

それをわかっていたのかツナはダークネスが体勢を立て直すとすぐにグローブから炎を噴射してダークネスに真正面から近づいた。

 

「ウラアァァァァァーーーーー!!!!!」

 

ダークネスはそれに対抗するようにショートワープを使わずにこちらも真正面からツナに近づいた。

 

「はっ!!!!」

 

ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!

 

ツナは右手に炎をためて、右手を連続で振るって今度はツナが《光天》の炎の刃を複数回転しながらダークネスに向けて放った。

 

「ウゥゥゥゥーーーーー!!!!!」

 

しかし、ダークネスは呻き声を上げながら、容易くツナの炎の刃をかわした。

 

「ウラァァァァァーーーーー!!!!!」

 

「くっ!!!!」

 

ガキンッ!!!!

 

2人の得物がぶつかり合った。2人の得物がぶつかり合った際に生まれた衝撃は凄まじく、地上にいるリボーンたちにも届いた。しかし、衝撃は凄まじかったがだんだんツナが押され始めた。

 

「っ!!!?(暴走しているおかげか、動きが単調になっているが、攻撃力やスピードが今までと比べものにならないくらい上がっている!!!だが…………)今だ!!!《X(イクス)ブーメラン》!!!!」

 

「ダークネス!!!後ろだ!!!」

 

ツナがそう言うと地上にいたルシフェルが叫んだ。しかし、ダークネスにはまともな思考が残っていなかった。そのために行動を起こすことができず……………

 

ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!

 

「ガッ!!!!?」

 

先程、ツナが飛ばした炎の刃が戻ってきてダークネスの背中に直撃した。これはボンゴレ6代目の武器をモチーフにした技だ。先程の炎の刃はこのためのものみたいだった。しかも、ツナの攻撃はまだ終わらなかった。ツナはダークネスのガンブレ-ドを受け止めている手と反対の手に炎を纏わせて構えた。

 

「くらえ!!!!」

 

ツナがそう叫ぶと肘側の噴射口から炎が勢いよく噴き出して、そのタイミングと同時にダークネスに殴りかかった。

 

ドガッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ズザザザザザザッ!!!!

 

殴り飛ばされたダークネスは地面に激突した。

 

「ダークネス!!!目を覚ませ!!!!」

 

地面に倒れたダークネスにツナが呼びかけた。

 

「ウゥゥゥゥーー………………。壊ス、壊ス、壊ス、壊ス!!!!」

 

しかし、ダークネスは正気に戻らず、立ち上がった。

 

「俺ハコノ世ノ全テヲ壊ス!!!!」

 

ガチャンッ!!!!

 

ダークネスがそう叫ぶとガンブレ-ドを銃のように構えた。そして………………

 

バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!

 

ガンブレードから連続で白い《闇夜》の炎の弾丸をツナに向けて放った。

 

「くっ!!!?」

 

ツナは左手を前に突き出して炎を噴射してドーム状の炎のバリアを展開した。そして、右手を後方に回して、炎を噴射して前に進んだ。

 

バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………、バシュッ………

 

炎の弾丸は《光天》の強化された調和と奇跡の浄化の力で無効化した。

 

「ハアァァァァーーーーー!!!!!」

 

「!!!!?」

 

ガキンッ!!!!

 

ツナはそのまま炎を噴射してダークネスに殴りかかった。ダークネスはガンブレ-ドを盾にして、ツナの拳を防いだ。

 

「いい加減、目を覚ませ!!!!ダークネス!!!!明聖は………お前の娘はお前の帰りを待っているんだぞ!!!!」

 

ツナはダークネスに向かって、そう叫んだ。

 

「………ア………ミ………?………俺ノ………娘………?…………ウ…………ウ…………ウ、ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

バンッ!!!!

 

「ぐっ!!!?」

 

ダークネスは何かを一瞬、思案すると、叫びだし、力尽くでツナを吹き飛ばした。

 

「くっ…………。駄目か……」

 

吹き飛ばされたツナは空中で体勢を立て直すと、ボソリと呟いた。

 

シュンッ!!!!

 

すると、ダークネスがショートワープで移動してきた。

 

「ウラアァァァァ!!!!!!!」

 

「ぐっ!!!?」

 

移動してきたダークネスはガンブレードを振るった。しかし、何度も見た同じ攻撃に加えて、暴走状態のために単調になっていることで、ぎりぎりだったがかわすことができた。

 

ガチャンッ!!!!

 

「《白き咆哮(ルッギオ・ビヤンコ)》!!!!」

 

しかし、かわされたとわかるとダークネスはすぐにガンブレードを構えて、白い《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》をツナに向けて放った。

 

「くっ!!!?」

 

ツナはそれをさらにかわした。

 

(やはり、あの武器は厄介だ…………。それなら!!!)

 

ツナはそう思うと炎のレーザーをかわしながら、ダークネスに向かった。

 

「!!!!?ウラアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

ツナが近づいて来るのを見たダークネスは炎を撃つのをやめて、ガンブレードを剣のように振るった。

 

ガシッ!!!!

 

ツナはそれをグローブで掴んで受け止めた。

 

「今だ!!!《死ぬ気の零地点突破 初代(ファースト)エディション》!!!!」

 

ピキッ!!!!ピキッ………ピキッ!!!!………ピキッ…………ピキピキッ!!!!

 

ツナは掴んでいたガンブレードをグローブが触れているところから凍らせた。そして、だんだんと氷がガンブレードを侵食し始めた。

 

「チッ!!!!」

 

グィッ!!!!

 

「うわっ!!!?」

 

ダークネスがそれを見て舌打ちすると、急にガンブレードを引っ張った。それを掴んでいたツナも一緒に引っ張られた。

 

ドガッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

すると、ダークネスはガンブレードから手を離して、その体勢から開いていた手を握りしめてツナを殴り飛ばした。殴り飛ばされたツナはそのまま地面に激突した。

 

「10代目!!!?」

 

「ツナ!!!?」

 

「……………暴走状態でも多少、冷静さが残っているか……………。だが、これであいつはあの武器を使うことができねぇな」

 

それを見た獄寺と山本が叫び、リボーンは冷静にダークネスを分析していた。そして、ニヤリと笑ってそう言った。殴られた際にツナはガンブレードを掴んでいたので一緒に飛ばされたのだ。今は2人から離れた場所…………しかもロヴィーノの封印を解く鍵となる剣の側に落ちていた。しかも、大半が凍りづけになっていたために使い物にならなくなっていた。炎を使えば氷を溶かすことはできるが、そんな余裕はツナと対峙しているダークネスには無かった。これで《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》や《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》などの技は使うことができなくなった。

 

「…………ハァ…………ハァ…………これで多少は戦いやすくなった…………」

 

ツナはフラフラと立ち上がりながらそう呟いた。そして…………

 

ビュンッ!!!!

 

「!!!!?」

 

ガキンッ!!!!

 

ツナはすぐにダークネスに向かって突撃した。ダークネスは自分の手甲でツナのグローブを受け止めた。

 

ギギギギッ!!!!

 

「オラァッ!!!!」

 

ダークネスはツナの攻撃を防ぎながら、蹴りかかった。

 

「フッ!!!」

 

それに対してツナは上体を反らしてかわした。そして、その勢いを利用してダークネスにサマーソルトキックを入れた。

 

「くっ!!!!?」

 

ダークネスは後ろに飛んでかわした。そして、かわすとすぐにツナに殴りかかった。それを見たツナもダークネスに殴りかかった。

 

ドガンッ!!!

 

2人の拳がぶつかり合った。2人の拳の間から凄まじい衝撃波が生まれた。

 

「うわぁっ!!!?」

 

「グゥッ!!!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

2人はその衝撃波によりお互いに反対方向に吹っ飛ばされた。

 

「くっ…………!!!」

 

「クソッ!!!壊ス壊ス壊ス壊ス!!!!」

 

2人共、立ち上がりながらお互いを見た。ダークネスは「壊ス」を壊れたように連呼していた。

 

ビュンッ!!!!

 

シュンッ!!!!

 

ガキンッ!!!!

 

すると、すぐに2人はお互いを攻撃しようと、ツナは炎の推進力を、ダークネスは炎のショートワープを使って移動した。そして、グローブと手甲がぶつかり合った。

 

「ダークネス!!!!お前がやっていることは無意味だ!!!?」

 

「黙レ!!!!俺ハ許セナイ!!!!()()()()()ヲ殺サセタコノ世界ヲ俺ハ壊ス!!!!ソレニ、俺ノコトヲ『()()()()()()()()()()!!!!」

 

ツナは必死にダークネスに呼びかけた。しかし、ダークネスは聞く耳を持とうとしなかった。最後に謎の言葉を言って…………。それにリボ-ンたちは理解できなかった。ルシフェルと明聖から事情を聞いたツナ以外は…………。

 

「(『あの人たち』………、『ダークネスって呼ぶな』…………。明聖の言っていたとおりだ…………。理性が失いかかっていることで、ダークネスの本心がわかってきた………)………いいのか!!!?この世界が滅んだら、俺たちやお前だけじゃない!!!!明聖も死ぬんだぞ!!!!」

 

「!!!!?………明聖ガ………死ヌ??…………ソ、ソレダケハ…………ウ、ウ、ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

ツナの言葉に動揺したダークネスだったが、体から噴き出していた白い《闇》の炎がさらに勢いを増して、ダークネスのパワーを上げた。それでツナを吹き飛ばそうとした。

 

シュンッ!!!!

 

「ナッ!!!!?ガッ!!!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

しかし、吹き飛ばされる前にツナは《光天》の炎の推進力でダークネスの背後に回り、それに気づいたダークネスの振り向きざまに頬を思いっきり殴り飛ばした。

 

(明聖が死んでしまうって言ったら、かなり動揺していた。やはり、ダークネスは地球の滅亡なんて望んでいなかったのか。…………だが、あの炎がダークネスを正気に戻すのを邪魔してくる…………)

 

ツナは今のダークネスの様子を見て、そう分析していた。そして、どうすればいいのかと考えていた。

 

「………俺ハコノ世界ヲ壊…………イヤ…………明聖ヲ死ナセルワケニハ…………イヤ………俺ハ許セナインダ…………俺ハ…………俺ハ…………ドウスレバ……………ア、ア、アァァァァァーーーーー!!!!!」

 

ドンッ!!!!

 

ダークネスはフラフラと立ち上がりながら、悲痛な顔で何かに迷いながら、ぶつぶつと呟いていた。そして、最後には叫びだした。それと同時に地面に思いっきり踏み込んでツナに向かって飛び出した。

 

(それなら!!!)

 

ビュンッ!!!!

 

ツナは何かを思いつくとグローブから炎を噴射してダークネスに突っ込んだ。

 

ガシッ!!!!ガシッ!!!!

 

2人はお互いの両手を掴んだ。2人のグローブと手甲にはそれぞれの炎を纏わせていた。

 

「うおぉぉぉぉ!!!!」

 

「ウオォォォォ!!!!」

 

ゴツンッ!!!!

 

2人は雄叫びを上げながら、お互いに頭突きをした。

 

「うおぉぉぉぉーーーーー!!!!」

 

「ウオォォォォーーーーー!!!!」

 

2人はお互いにまだ雄叫びを上げながら全力でお互いを押していた。

 

「ナッツ!!!!」

 

すると、急にツナが自分の相棒の名前を呼び上げた。ナッツはツナの考えを汲み取り………………

 

ゴオォォォォォッ!!!!

 

肘側の噴射口から柔の炎が勢いよく噴き出した。

 

「ナッ!!!!?」

 

柔の炎とは言え、勢いよく逆噴射しているためにツナはダークネスを押し始めた。しかも、肘側の噴射口から出てくる炎はまだまだ勢いが増していった。そして…………………

 

「うおぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」

 

「グッ……………!!!!?」

 

ズザザザザザザッ!!!!!

 

ツナはダークネスを地面に押し倒した。さらにそのまま押した。それによりダークネスと地面の間から擦れる音が聞こえた。

 

「ふっ!!!」

 

ツナはダークネスを押し切ると肘側の噴射口から炎を噴き出したままダークネスから離れた。

 

「その炎が正気に戻すのを邪魔するというなら………俺がその炎を消し飛ばす!!!《オペレーションXX(ダブルイクス)》!!!!」

 

ツナはそう言うと腕をクロスして両手に剛の炎をため始めた。

 

「そうか!!!このときのためにあらかじめ柔の炎を出していたのか!!!」

 

ディーノがツナの様子を見て気づき、そう言った。ディーノの言うとおりだった。あらかじめ柔の炎を出していたことにより技の発動が早くなったのだ。

 

「…………フザケルナ……………フザケルナ……………フザケルナ……………フザケルナ!!!!!」

 

シュンッ!!!!

 

ダークネスはそう叫ぶと剣の側に落ちていた凍りづけになったガンブレードまでショートワープで移動した。ダークネスは移動すると凍りづけになったガンブレードを持つと………………

 

ボゥッ!!!!

 

自分の体から噴き出していた炎を利用してガンブレードに纏っていた氷を一瞬で溶かした。

 

「!!!?あの氷を一瞬で溶かしただと、コラ!!!?」

 

それを見てコロネロが驚き叫んだ。他のメンバーも驚いていた。

 

「そう来ると思った!!!!」

 

ツナは大して驚いてなく、冷静に狙いをダークネスに定めていた。ツナはダークネスが自分の攻撃の要であるガンブレードを拾いに行くことを予測していたようだ。そして、ツナはそろそろ技を放つ準備が完了するようだ。

 

「これで終わりだ!!!!《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 超爆発(ハイパーイクスプロージョン)》!!!!」

 

「全テ消シサッテヤル!!!!!《虚無の刃(ラーマ・ディ・ヌッラ)》!!!!!」

 

ツナはグローブから10年後のツナが放ったものよりも威力の高い《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》を、ダークネスも今までで1番純度の高い《闇夜》の炎をガンブレードに纏わせて、それを振るい巨大な炎の刃を放った。

 

ドーーーーーーーンッ!!!!!

 

2人の技がぶつかり合った。

 

「うおぉぉぉぉーーーーー!!!!!」

 

「ウオォォォォーーーーー!!!!!」

 

2人は雄叫びを上げた。お互いが全力で負けられないという覚悟を表していた。

 

ドンッ!!!!

 

「ナニ!!!!?」

 

しかし、自分の意思から来る覚悟と他人に無理矢理されることによる覚悟では前者に分があった。ツナの炎(光天)ダークネスの炎(闇夜)を打ち破った。ツナの炎がダークネスに向かった。

 

「グ、グアァァァァァァーーーーー!!!!!?」

 

そして、ツナの炎が後ろにあった剣を巻き込んでダークネスを呑み込んだ。

 

「必ず助け出す!!!!俺の誇りにかけて!!!!」

 

ツナはダークネスに向かってそう叫んだ。

 

ジュウゥゥ~~~~ッ……

 

(…………炎ガ…………溶ケテ…………いく……………?)

 

炎の中、ダークネスは自分から噴き出していた炎と内側にある白い炎がツナの炎によって溶けていくのが感じられた。どうやらツナは殺傷力の無い炎を使っているようだ。

 

(……………何でお前がそんな顔しているんだ?)

 

ダークネスは悲痛な顔をしているツナを見て、理解できないと思った。

 

(俺はお前を殺したやつだぞ……………。……………だが、この炎、温かいな……………)

 

ダークネスはツナの表情に呆れながらも、ツナの炎にそう感じていた。

 

(まるで、あの人たちと明聖みたいだ……………)

 

ダークネスはツナの炎に懐かしさを感じていた。

 

(これが、沢田綱吉の炎か…………)

 

そう思い、ダークネスは意識を手放した。

 

 

 

 

それと同時に………………

 

ピキッ………ピキッ…………ピキピキッ!!!

 

ダークネスと一緒に炎に巻き込まれた剣にヒビが入った。殺傷力の無い炎にもかかわらずだ。それは邪悪なものを打ち消すための調和(大空)奇跡()の浄化だろうか。そして……………

 

パキーーーーーンッ!!!!

 

剣は粉々に砕け散った。



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《闇夜》の本質

シュ~~~~~ッ……………

 

「ハァッ…………ハァッ…………ハァッ…………」

 

(ハイパー)死ぬ気モードを解いたツナが荒々しく息をついていた。そんなツナの視線の先には……………

 

「…………………」

 

(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》も完全に解けていて、髪の色が白から黒に戻っていたダークネスが気を失って仰向けに倒れていた。そのダークネスの付近には剣の破片と思われるものが散りばめられていた。

 

「………………」

 

ツナはそんなダークネスを難しい顔して見ていると……………

 

『10代目/ツナ(君)/沢田(殿)/ボス!!!』

 

後ろから仲間たちの自分を呼ぶ声が聞こえた。

 

「え?わぁ!!?」

 

それを聞いて振り返ると、結構近くまで来ていて、それによりツナは驚いた。

 

「ツナ、すごかったのな!!!」

 

「うむ!!極限によくやったぞ!!!!」

 

「お見事です、沢田殿!!!」

 

「あの《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》のダークネスを倒すなんて!!!」

 

「おまけに剣を壊して、ロヴィーノの復活をよく阻止したな。ツナ!!!」

 

山本、了平、バジル、炎真、ディーノがそれぞれツナにそう言った。ツナに近寄っていない人たちも笑っていた。中には仏頂面している者もいたが悪い雰囲気では無かった。……………ただ1人、ルシフェルはダークネスが負けたことか、剣が壊れたことのどちらかわからない、もしかしたら両方かもしれないが信じられないという顔をしていた。

 

「……………………」

 

そんな中、獄寺が黙ってうつむいていた。

 

「………あれ?…………獄寺君?」

 

こういうときに1番、ツナをたたえそうな獄寺が黙っていることに疑問を持ち、ツナが声をかけると……………

 

バッ!!!

 

「わ!!?どうしたの、獄寺君!!?」

 

急に獄寺が顔を上げた。それだけでも、かなり驚いたがそれよりも獄寺の顔に驚いた。

 

「10代目~~ッ…………!!!」

 

獄寺の顔が大量の涙で濡れていたのだ。

 

「どうしたのな、獄寺!!?」

 

「タコヘッド!!!?」

 

そんな獄寺に周りの皆も驚いていた。

 

「あ~。アホ寺、泣いているもんね~~。泣き虫だもんね~~~!!」

 

「うるせーーー!!!テメーだけには言われたくねぇ!!!……………仕方ねぇだろ。……………あの時にお亡くなりになられた10代目が今、こうして俺たちとお話しているんだからな…………」

 

『!!!?』

 

ランボに冷やかされた獄寺は怒鳴り返すと神妙な顔つきになると静かに言った。獄寺の言葉に山本たちはハッとした。ツナがダークネスに勝ったことと剣を壊したことで浮かれていて忘れていたが本来ならツナはここにいないはずだったのだ。

 

「…………そうだな」

 

「うむ!!!沢田!!!よく、戻ってきたぞ!!!!」

 

「わっ!!?」

 

山本が静かに獄寺に同意して、了平はツナの両肩をガシッと掴んだ。ツナはそれに驚いた。

 

「…………ボス…………戻ってきて……………嬉しい…………」

 

「僕もだよ…………ツナ君………」

 

「拙者もです……………」

 

クローム、炎真、バジルも涙を流しながらツナにそう言った。

 

「えっと…………俺、かなり迷惑かけた?」

 

「当然だぞ。ダメツナ」

 

ツナが自分の頬をかきながら、そう呟くとリボーンがツナに近づいてそう言った。

 

「オメーが1度死んだことでこいつらはショックで塞ぎ込んじまったんだぞ。おまけに他の連中と喧嘩を起こしそうになってこっちは大変だったんだぞ」

 

「あはは……………なんだか……………ごめん……………」

 

リボーンに言われて、ツナはばつが悪そうな顔をした。ツナ以外にも喧嘩をしそうだったメンバーも同じような顔をした。

 

「………………だが、まぁ……………」

 

リボーンはそう言うと口元が緩み………………

 

「……………よく戻ってきたな、おかえりだぞ。ツナ」

 

ツナにそう言った。

 

「!?……………うん……………ただいま!!」

 

ツナはそれに驚いたが、すぐに笑って皆に返事した。そして、ツナの言葉に皆、笑顔になった。すると……………

 

「……………うっ!!?……………う…………」

 

ダークネスから呻き声が聞こえた。どうやら気がついたようだ。

 

「………………ダークネス」

 

「…………………………なんだ、沢田綱吉……………」

 

ダークネスが目を覚ましたことに気がついたツナはダークネスに近づいた。

 

「(よかった…………。違和感や嫌な感じが完全に無くなってる………。正気に戻ったんだ…………)えっと……………気分はどう?」

 

ツナは超直感でダークネスが正気に戻ったことを直感して、その後に戸惑いながら、ダークネスにそう聞いた。

 

「………………ハァ………」

 

「なんで!!?」

 

それを聞いたダークネスは呆れてため息をついた。そんなダークネスの態度に対してツナは驚き、ツッコんだ。

 

「…………ため息もつきたくなるさ。敵の…………しかも、お前を1度殺したやつの心配なんてするか?普通、お前の仲間みたいに俺に対して警戒するものだろ…………」

 

ダークネスは呆れながらツナにそう言った。そして、ダークネスの言うとおり、ツナのすぐ側には獄寺たちがそれぞれ自分たちの武器を持って、ダークネスを警戒していた。しかも、わずかに殺気を出しながら……………。

 

「あ~~~っ…………。でも、あれはロヴィーノに人格を操られていたからで、ダークネスの意思とは関係ないよね?もしかして、まだ自分は操られていない、お前の勘違いって言うつもり?」

 

「…………………いや、確かにお前の言うとおり、俺はロヴィーノに人格をいじられた。そして、それを周りに悟らせないように俺自身の口からは言えない状態にされた。地球を滅ぼすっていう気も無かった。……………だが、敢えて否定するなら、俺が王族や貴族、この世界を嫌い憎んでいるっていうのは本当だ。ロヴィーノはそんな俺の負の感情を助長させた。そして、それがこの地球を滅ぼすという計画に参加するはめになった」

 

ツナは頬をかきながら、そう言って、ダークネスに尋ねた。それに対してダークネスは途中で憎悪に満ちた目をしながらも答えた。しかし、それもすぐにやめてツナに尋ねた。

 

「……………まぁ、そういうわけだから、ロヴィーノに操られていたっていうのは俺にとっても言い訳にはならないし、お前にとっても俺を気遣う理由にはならないぞ」

 

そう尋ねてきたダークネスにツナは困ったような顔をして、ダークネスに答えた。

 

「えっと……………別にたいした理由は無いんだけど……………。敢えて言うなら、明聖のおかげで俺は生き返ったわけだし、それにその明聖に頼まれて約束したからね…………」

 

「!!?そうか…………。明聖…………」

 

ツナの理由を聞いて、ダークネスは一瞬驚いたがすぐに顔を無表情に戻して、自分の娘の名前を呟いた。

 

「……………明聖はいい子だね。短い時間しか話していないけどなんとなくわかったよ」

 

「……………あぁ。明聖はまさしく光だ。優しくていいやつだ。………………俺とは似ても似つかないぐらいな」

 

ツナの明聖に対する感想にダークネスは同意した。最後には自分を卑下する言葉を付け加えて……………。

 

「え?そうかな?俺はダークネスもいいやつだと思うんだけど……」

 

『は?』

 

ツナの言葉にダークネスだけでなく周りの皆も疑問に思った。

 

「ちょ、ちょっと、10代目!!なにを…………」

 

「落ち着け、獄寺」

 

獄寺がツナにどういうことか聞こうとしたがその前にリボーンに止められた。

 

「なに言っているんだ?俺は自分のことを極悪人だとは思っていても善人だとは1度も思ったことないぞ!」

 

「確かに操られていたとはいえ、お前たちがやろうとしたことはひどいと思うし許せない」

 

「ならば、なぜそんなことが言えるんだ!!!」

 

「明聖がお前の娘だからだ!!!」

 

「!!?」

 

叫んだダークネスに対してツナははっきりと答えた。

 

「…………明聖が俺の娘だから…………。あぁ…………そういうことか…………。あまり、こういうことは言いたくねぇが…………俺と明聖は…………」

 

「実の親子じゃないでしょ?明聖から聞いているよ」

 

「っ!!?」

 

ダークネスが言おうとしたことを悲痛な顔をしたツナに遮られて先に言われて閉口した。周りにいたメンバーも新たな事実に驚いたが口を挟めるような状況ではないことを察して黙った。

 

「…………あぁ、そうだ。俺と明聖は血の繋がりの無い赤の他人だ。親って言っても育ての親っていう話だけだ。……………だから、あいつがいいやつなのはあいつの実の親がいいやつらだったからだ…………」

 

「…………確かにそれもあるかもしれないけど、それだけじゃ無いよ!!お前が明聖を赤ん坊の頃から面倒を見ていたから明聖はいい子に育ったんだよ!!お前がいなかったら、明聖は今、生き続けることはできなかったんだよ!!」

 

ツナは仰向けになっていたダークネスの胸ぐらを掴んで自分のほうへ引っ張り、そう叫んだ。

 

「うっ……………。だが、俺は……………」

 

 

 

 

『パパなんて知らない!!!』

 

『明聖!!!?』

 

 

 

 

「俺は…………明聖を傷つけた…………。俺が悪人なばかりに……………」

 

ダークネスは何かを思い出したかのように悲痛な顔で呟いた。そんなダークネスにツナは声をかけた。

 

「……………明聖も後悔していたよ。『私、パパにひどいことを言っちゃった』って」

 

「え?」

 

ツナの言葉にダークネスは間抜けな声を出した。

 

「明聖はこうも言っていたよ。『パパと仲直りしたい。パパが私の本当のパパじゃなかったとしても、パパは私のたった1人の大切な家族だから』ってね」

 

「!!!?」

 

「…………まぁ。そういうわけだから。こんなに想われているのに悪いやつなんておかしいからね」

 

「………………」

 

明聖とツナが言った言葉にダークネスは信じられないと呆然していた。

 

「ふん。残念だったな、ダークネス。ツナはそういうやつだ」

 

すると、リボーンがダークネスに話しかけた。

 

「ツナのそういう人を見る目はツナの数少ないいいところだぞ。そのツナにいいやつって言われたなら、そういうことだろ。…………ハァ~~~………。それにしても1度死んでも、その甘ちゃんのままか………。こりゃ、もう2度と変わることはないな…………」

 

「なんだよ、リボーン…………」

 

リボーンはダークネスにそう言うと、今度は呆れたようにツナに言った。それに対して、ツナはリボーンに不満を言った。

 

「………………いい加減、離せ」

 

パシンッ

 

「あっ!?」

 

ドサッ!!

 

すると、ダークネスはまだ自分の胸ぐらを掴んでいたツナの手をはたいた。支えを失ったダークネスの体はそのまま、再び仰向けに倒れた。

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫!!?()()()()()!!?」

 

ツナはいきなり倒れたダークネスを心配した。しかし、ダークネスはそんなツナを無視して言った。

 

「…………()()

 

「え?」

 

「…………《光城(こうじょう)輝夜(てるや)》。ダークネスはとっくの昔に捨てた名前だ。あいつらはそのことを知らないから、ずっとそう呼んでいただけだ。今の俺の名前は光城輝夜だ」

 

ダークネス、いや、輝夜はツナたちに改めて自己紹介をした。

 

「…………そうなんだ。それじゃあ、明聖に会いに行こうか、輝夜!!」

 

「…………いきなり、下の名前呼びかよ………」

 

「え!?だ、だって、光城じゃ、明聖とかぶるし…………」

 

輝夜に言われて、ツナはあたふたと言い訳を始めた。それを見た輝夜はため息をはきながら言った。

 

「……………まぁ、いい。それよりも……………どこまで、お人好しなんだよ、お前は………。明聖も………あの人たちも…………」

 

「あ………はは………」

 

輝夜は呆れながら、最後は誰にも聞こえないぐらい小さくそう言うと、ツナたちから顔を背けた。ツナはそれに対して苦笑いをしたが、その時に彼は見た。輝夜の目から一筋の涙が流れるのを……………。

 

 

 

 

「それじゃ、俺たちもそろそろ帰るか」

 

「そうっすね!!」

 

「だな♪」

 

輝夜との話も終わり、皆で並盛に帰ろうとした。

 

………………………………………………………

 

………………………………………

 

………………………

 

…………

 

その時だった。

 

 

 

 

ビキッ!!ビキビキッ!!!

 

 

 

 

剣が刺さっていた場所を中心に地面にヒビが入り始めた。



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《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》ロヴィーノ

ダークネスもとい光城輝夜との戦いも終わり、輝夜とルシフェルを連れて、ツナたちは並盛に帰ろうとした時だった。

 

ビキッ!!…………ビキビキッ!!!ビキビキビキッ!!!!

 

剣が刺さっていた場所を中心に大きな音を鳴らしながら地面がひび割れを始めた。

 

「なっ!!?なんで地面が割れ始めたの!!!?」

 

「まさか!!?間に合わなかったのか!!!?」

 

それを見て、ツナと獄寺が叫んだ。他の皆も全員どういうことだと驚いてひび割れた地面のほうを見た。

 

「……………いや。まだ、時間があったはずだ…………」

 

「あぁ。ダークネスの言うとおりだぜ。だから、俺はショックを受けていたんだからな」

 

しかし、それを輝夜とルシフェルが否定した。輝夜は自分のことをまだダークネスというルシフェルを横目で睨んでいた。

 

「………それでは、いったい何が起きているのでしょうか?」

 

それに対して、骸が2人に聞いた。

 

「あいにく、わからないな」

 

「…………俺もだ」

 

骸の問いに対して、2人がわからないと答えると……………

 

ピキッ……………ピキッ…………ビキビキッ………ビキビキビキッ!!!!

 

……………………

 

ゴオオオオオォォォォォォッ!!!!!

 

ひび割れた地面がさらに割れて、剣が刺さっていた場所から()()()()()()()が勢いよく噴き出した。

 

「この炎は…………!!!?」

 

「白い《闇》の炎だと!!!?」

 

「いったいどういうことだ、コラ!!!?」

 

ラルの言うとおり、地面から噴き出したのは先程、ツナと戦っていた輝夜が暴走状態になったときに全身から噴き出した炎と同じ炎だった。

 

「この炎に………この感じ………まさか!!!?」

 

「ハハッ!!………どうしてこうなっているかわからないが…………こちらとしては願ったり叶ったりな状況だぜ!!!」

 

それを見て、輝夜とルシフェルは状況を察したようだ。輝夜は最悪だという表情を、ルシフェルは最高だという表情を、と2人はお互い反対の表情をしていた。

 

ビュンッ!!!!

 

『わっ!!!?』

 

すると、炎が噴き出している場所から急に周りにものすごく強い突風が噴き出した。近くにいたツナたちはあまりにも強すぎる突風の風圧に全員、壁際まで吹き飛ばされた。もともと壁際にいたメンバーの何人かは心配して近づいた。

 

「うっ…………。何だ、今の突風は……?………っ!!!?」

 

「本当だよ…………。…………っ!!!?」

 

ディーノや炎真が今の突風に対して疑問を持ちながら立ち上がると他の吹き飛ばされたメンバーも壁際にいたメンバーも気づいた。突風が噴き出したタイミングから白い《闇》の炎から()()()()()()()を感じた。いつも仏頂面な雲雀やXANXUSも絶えない笑みを浮かべている白蘭もアルコバレーノの中でも最強クラスのリボーンとバミューダも《人類史上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》の輝夜も含めた全員があまりのおぞましさに顔を青ざめた。先程まで喜んでいたルシフェルですら顔を引きつらせた。全員がそれに黙っていると……………

 

「ふぅ~~。久しぶりにこの体を動かすことができるよ……………」

 

白い《闇》の炎からそのような声が聞こえた。すると……………

 

バンッ!!!!!

 

勢いよく噴き出していた白い《闇》の炎が弾けた。その炎のところに立っていたのは前髪も含めた全ての髪が異様に長い170後半の見た目は20代後半の男だった。その男は髪も服も肌も全て白かった。唯一、目だけが血のように真っ赤だった。しかも、その男の顔立ちは輝夜と瓜二つと言っていいほど似ていた。髪が長いという点を除けば、先程の暴走状態みたいだった。しかし、輝夜は基本、無表情に対して、その男は人を食ったような笑みを浮かべていた。

 

「……………この感じにこの声…………」

 

()()()()()か!!?」

 

輝夜とルシフェルが顔色を悪くしながらも、その男の正体、

 

《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》

 

ロヴィーノ

 

の名前を言った。

 

「ん?あぁ。この姿で会うのは初めてだな。ダークネス。ルシフェル」

 

ずっと封印されていた体の感触を確かめるためか、自分の手を開いたり閉じたりしていたロヴィーノは今、気づいたかのように輝夜とルシフェルのほうを向いて、2人の名前を言った。

 

『………………………』

 

しかし、ロヴィーノが声をかけても皆は言葉を発さなかった。

 

「あれ?無視?これが人間の中で起きている『いじめ』っていうやつかな?ひどいな…………。まぁ、でも私は気にしないよ。私は邪神。そんなやつを好きになる物好きなんて少なくとも、この中にはいないからね。私もそんなことは理解しているよ」

 

『………………………』

 

ロヴィーノは両手を広げながら、どんどん声をかけたが、それでも皆は言葉を発さなかった。いや………………

 

「んーー。これでも、反応がないな…………。ん?そういえば、貴様ら、顔色悪いな。もしかして、病を患っているのか?……………って、そんなわけないか。さっきまであんな激闘を繰り広げていたんだからな」

 

全員、言葉を発さなかったのではない。

 

「……………まさか、()()()()の威圧で怖じ気づいたわけかい?私としては()()()()()()()()()なんだけどな……………」

 

言葉を発することができなかったのだ。ロヴィーノ自身は別に威圧感でツナたちを押さえつけようとも、自分の力を見せつけようとも考えていなかった。ロヴィーノの言うとおり、本人はただ普通に立っているだけだった。それなのに、ツナたちはそのわずかな威圧感で言葉を発することができず、体を動かすこともできなかった。

 

「……………どうやら、そうみたいだな。全く、仕方ないな……………」

 

ロヴィーノは呆れたようにそう呟くと自分の手を胸に置いた。すると………………

 

『っ!!?ハァッ…………ハァッ…………ハァッ…………』

 

ツナたち全員は金縛りが解けたような感じになった。どうやら、威圧感が消えたようだ。全員、荒く息をついていた。

 

「ハァッ………ハァッ………こいつが…………ロヴィーノ…………」

 

「………ハァッ………ハァッ………こいつは…………やばいな…………。…………輝夜がかわいく見えるぞ……………」

 

ツナとリボーンがロヴィーノに対する印象を言って戦慄していた。他の皆も同様に戦慄していた。

 

「ゔぉおおおおい……………。今の状況もやばいが………なんで復活してやがんだあぁぁぁぁ…………」

 

「そうだよ!!!剣は壊したし…………時間的にもまだ余裕があったはずだよ!!!」

 

戦慄しながらスクアーロとマーモンがそう言った。確かに先程の輝夜とルシフェルの話でもまだ時間があったような感じであった。

 

「時間?あぁ。そんなもの、意味ないよ」

 

すると、ロヴィーノが答えた。

 

「意味ないだって…………?」

 

それに対して、バミューダがロヴィーノに聞いた。

 

「そうさ。まぁ、(トゥリニセッテ)を使っているだけあって、あの封印はかなり強固なものだったよ。私も魂の状態で抜け出すのが精一杯だったよ。だけど……………」

 

ロヴィーノはそう言って黙るとツナたちに言った。

 

「あの剣が突き刺さった時点で封印にヒビが入った。その状態になれば、時間が来るのを待つことなんてしなくても自力での脱出はいつでも可能だったんだよ」

 

『!!!!?』

 

ロヴィーノの言葉に全員が驚いた。死んでいたツナは知らないことだが、あの大地震が来た時点でロヴィーノの復活は成功したということになる。全員、いったい何のために戦っていたのかと悩んでしまった。

 

「おい!そんな話、俺もダークネスも聞いてないぞ!!」

 

そんな中、ルシフェルがロヴィーノにそう言った。確かに2人がそのことを知っていたら、先程のことを知らないとは言わないだろうし、何よりマフィア連合とロヴィーノ教団との正面衝突などしなくてもよかったはずだ。

 

「あぁ。それはごめん、ごめん。()()は悪気は無かったんだ。ほら、よく言うでしょ?『敵を騙すならまずは味方から』だって」

 

それに対してロヴィーノが笑いながら謝った。

 

「それに私は貴様らの戦いに興味を持っていたんだ。だから、敢えて自らの脱出は今になるまでしなかったんだ。……………でも、まさか《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》のダークネスにそれに準ずる《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》を含めた全員が負けるとは驚いたよ」

 

「くっ……………!!!」

 

「………………」

 

ロヴィーノの言葉にルシフェルは苦虫を噛み潰したような顔をして、輝夜は正気に戻った今だと勝利にも敗北にも興味ないのか無表情のままだった。

 

「んーーー。数多くの世界を見てきた私が認めるほどの最強の集団だったけど、それを打ち負かすとは…………。ハハッ!!この世界は強者ばかりが暮らす世界だったってことかな?いや~~、本当に世界って何が起きるかわからないな………」

 

ロヴィーノがそう言った。ロヴィーノの言葉に対して「邪神とはいえ、神が何を言っているんだ」と何人かが思っていると…………

 

「神のくせになぜそんなことを言うかだって?」

 

まるで、話が聞こえたかのように答えた。全員が驚いて、声を出せずにいるのをロヴィーノは無視して続けた。

 

「何か勘違いしているみたいだけど、神が全知全能の存在だと思っているなら、それは大間違いだよ。この世界だけじゃなく、全ての世界、全知全能に近いものはあっても、全知全能そのものは存在しない。物事には『矛盾』が存在するからね。世界……………とまぁ感情というものは単純であり、複雑であり、単純のようで複雑であり、複雑のようで単純であるんだ。そういった矛盾が矛盾と交わり、さらにそれに矛盾が交わる。そういった矛盾の重なり合いでそれらは成り立っているんだ」

 

「……………いやになるほど聞いた言葉だな」

 

ロヴィーノの言葉に対してルシフェルがそう言った。どうやら、これはロヴィーノに教えられたことがあるみたいだ。この様子だと、ルシフェルも含めた何人かが言っていた『この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い』もロヴィーノに教えられたことだろう。

 

「神の中には人間のように頭の残念なやつや軟弱なやつもいる。まぁ、私は全知全能ではないが全知全能に近い存在だけどな」

 

とロヴィーノはクククッと笑いながら言った。ツナたちはなんとも言えない空気になると………………

 

「おい」

 

輝夜がロヴィーノに声をかけた。

 

「ん?何かな、ダークネス?」

 

「その名で呼ぶな。そんなことよりもどういうことだ?」

 

「何がだい?」

 

「とぼけるな。お前はさっき『今回は悪気は無かった』って言った。それじゃあ、まるで悪気があって俺たちを騙したことがあるみたいな言い方だな」

 

「!!!?」

 

輝夜の言葉にルシフェルはハッとして、ロヴィーノのほうを見た。

 

「俺はお前に洗脳を受けて好き勝手にやられたことはあるが、騙された覚えは無い。いったい、お前は俺たちに何を騙したんだ」

 

輝夜はそう言って、ロヴィーノをじっと見た。ルシフェルも気になってロヴィーノをじっと見た。

 

「……………………ククッ。クククッ、ハハハハハハッ!!!!」

 

すると、ロヴィーノは手を額に当て、笑い出した。

 

「ハハハハハハッ。……………私が貴様らに何を騙したかって?」

 

ロヴィーノは狂気の目をしながら答えた。

 

「ベネスタンテ星、そのものだよ」

 

「「は?」」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜とルシフェルは訳がわからないという顔になった。

 

「ベネスタンテ星?」

 

「……………俺たちの生まれ育った故郷と言うべき場所だな。地球から何百万光年離れた場所にある」

 

ツナの疑問に輝夜が答えた。

 

「………そんなことよりも、あんな腐りきった星の何を俺たちに騙したんだよ?」

 

ルシフェルはロヴィーノにそう聞いた。

 

「…………貴様らは知らないだろうが、あの星はお前らの先祖たちが飛ばされる前はそれはそれは豊かな星だったんだ」

 

「は?なら、なんであの星はあんな風になったんだよ」

 

「クククッ。なんでだろうね?」

 

ルシフェルの疑問に対して、ロヴィーノは疑問で返した。それに輝夜は何かに気づいたかのか答えた。

 

「まさか……………()()()()()()()()()()のか?」

 

「なっ!!!?」

 

輝夜の言葉にルシフェルは信じられないという感じにロヴィーノを見た。それに対してロヴィーノは…………

 

「クククッ………ハハハハハハッ!!!!大正解だよ、ダークネス!!!!あの星は私があそこまで破滅に追い込んだんだ!!!!」

 

大笑いしながら肯定した。それを聞いたルシフェルはあることを思い出した。

 

 

 

 

『たった半日でこの地球の人口の9割を殺して、ほとんどの土地なども使い物にならないようにしたのですから………』

 

 

 

 

先程、10年後のランボが言った10年後の世界の状況だった。それに対して、ルシフェルも自分たちがいた場所に似ていたと答えたのだ。ルシフェルは上擦った声でロヴィーノに声をかけた。

 

「………お前が…………あの星を…………?」

 

「あぁ。そうだよ」

 

「…………お前が……………俺たちを苦しめた元凶………だと言うのか?」

 

「あぁ………。否定できないね。………いや、むしろ思い切って肯定するよ!!」

 

「っ!!!?」

 

「私が貴様らを苦しめた元凶っていうのは確かに合っているね。貴様らの怒りを利用しようと考えていたのは事実だしね」

 

ロヴィーノはそう言って、ベネスタンテ星を壊滅状態に追い込んだ理由を話し出した。簡潔にまとめると輝夜たち平民、貧民が苦しい生活を強いられるこの世を恨み、地球を復讐しようという想いを利用して、自分の復活を狙っていたらしい。ロヴィーノがそれの説明を続けようとした時だった。

 

「黙れ!!!」

 

ルシフェルが殺気を込めた目でロヴィーノを睨みながら怒鳴った。

 

「お前のせいで俺たちは…………くっ!!!俺はお前を殺す!!!!」

 

「ルシフェル!!!落ち着け!!!!」

 

輝夜がルシフェルを止めようとしたがつい先程までツナと戦っていた時の疲労があり、それに対してルシフェルは2人の戦いの間に体力が回復して、止めることができなかった。ルシフェルは先程の突風で一緒に吹き飛ばされていたハルバードを掴み、ロヴィーノに向かって走った。

 

「くらえ!!!《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》!!!!」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

ルシフェルは、砕けた《(トゥリニセッテ)リング》のかわりに《大空》のリングをはめて、そこから《傲慢の炎》を灯して、ハルバードから《傲慢の炎》の刃を出して大剣にした。そして、それをロヴィーノにぶつけた。それにより、大爆発が起きて、粉塵と爆風が起きた。

 

「くっ!!!?」

 

「やっぱり、強力だぜ!!!」

 

「こんなものをくらえばあいつも一溜まりもないだろう!!!」

 

それを見て、ツナたち、特にルシフェルと戦った守護者たちは決まったと思った。しかし、粉塵が晴れると……………。

 

『!!!?』

 

ルシフェルの攻撃は確かにロヴィーノの体に直撃していた。それにもかかわらず、ロヴィーノは()()だった。

 

「……………!!!?」

 

ルシフェル自身もそれに驚いていた。

 

「……………あのさ~~。確かに私は貴様らに『様付けとかしなくていい』とか『相手が神だからって、別に身をわきまえろって言わない』とか言ったけどさ……………。さすがにこれはひどくない?」

 

するとロヴィーノが自分の首筋に《傲慢の炎》の刃の根元の部分が当たっているにもかかわらず平気に話しかけていた。

 

「……………まぁ、悪いのは私のほうだから仕方ないか」

 

ロヴィーノは肩をすくめながら、そう言った。

 

「………………だけどね、攻撃してきたってことは当然攻撃されるってことはわかってるよね?」

 

「っ!!!?」

 

薄ら笑いを浮かべながら言うロヴィーノにルシフェルがゾッとすると…………

 

バキッ!!!!

 

ドガッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ロヴィーノは腕を振るい、ルシフェルのハルバードを真っ二つに折って、ルシフェルの腹を殴って、ルシフェルを殴り飛ばした。

 

ドカンッ!!!!

 

「ぐっ………………!!!?」

 

吹き飛ばされたルシフェルはそのまま、壁に激突した。そして、ルシフェルは地面に倒れた。ルシフェルは悔しそうにロヴィーノを見ると………

 

「あとは、これでとどめを刺そうかな?」

 

ロヴィーノはそう言って……………

 

ブスッ!!!!

 

背中から1本の白い触手を出した。しかも、その触手には白い《闇》の炎が纏っていて、先はとがっていた。

 

『!!!!?』

 

それを見て、全員が驚いた。すると……………

 

ビュンッ!!!!

 

触手はルシフェルを串刺しにしようともの凄いスピードで向かった。

 

ガキンッ!!!!

 

「!!!?」

 

しかし、それを輝夜が黒い《闇夜》の炎を纏わせた小型のガンブレード2つで防いだ。

 

「…………なぜ、俺を助けたんだ?お前は俺たちのことを仲間だとは思っていなかったはずだろ!!!?」

 

それを見たルシフェルが大声で叫びながら輝夜に尋ねた。

 

「あ………?………知るか!!!体が勝手に動いたんだから仕方ねぇだろ!!!!」

 

「っ!!!?」

 

ロヴィーノの攻撃を防いでいた輝夜はそう叫んで答えた。それに対して、ルシフェルは驚いていた。

 

「…………邪魔するなら、先にダークネス、お前からやるよ?」

 

そんな2人のことを知らずか、ロヴィーノがそう言うと…………

 

バシンッ!!!!バシンッ!!!!

 

「くっ!!!?」

 

輝夜のガンブレードを2つとも触手で弾いた。それに輝夜は顔をしかめた。触手はガンブレードを弾くと1度下がり…………

 

ビュンッ!!!!

 

今度は輝夜に向かって突きだした。そして…………

 

グサッ!!!!

 

血が噴き出した。

 




ラスボス、登場!!!

ロヴィーノの髪型はダンガンロンパのカムクライズルのような感じです。


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ロヴィーノの本質

ロヴィーノの触手が輝夜に向かってもの凄いスピードで突きだした。

 

グサッ!!!!

 

「ガハッ……………!!!?」

 

ロヴィーノの触手が直撃した。しかし………………

 

「ルシフェル!!!?」

 

触手が直撃したのはルシフェルだった。どうやらルシフェルは立ち上がると輝夜の肩を掴み、自分のほうへと引き寄せて後ろに追いやったみたいだ。それにより、触手はルシフェルの横っ腹を抉って、輝夜を外した。ルシフェルの横っ腹から大量の血が溢れ出ていた。

 

「なぜ、俺を助けた!!!?」

 

輝夜がそれを見て大声で叫び、尋ねた。

 

「……………知……る………か…………。…………体が…………勝……手に………動い……た………んだ……………よ………………」

 

ドサッ…………

 

ルシフェルは先程、輝夜が言ったことと同じことを言ってそのまま倒れて、気を失った。

 

「ん~~?ダークネスは外したか……………。まぁ、いいか。元々の狙いはルシフェルだったし」

 

ロヴィーノがルシフェルの血がベッタリとついた自分の触手を見ながら、そう言った。

 

「…………ねぇ。何なの、それは?」

 

すると白蘭がロヴィーノの触手について聞いた。

 

「あぁ、これ?見ての通り、触手だよ。まぁ、私の武器だね。自由自在に使えるから便利だよ」

 

ロヴィーノは白蘭の質問に簡単に答えた。

 

「え!!?ちょ、ちょっと、や、やばいよ!!!?ど、どうするの!!!?」

 

ツナはルシフェルの横っ腹からどんどん出てくる血を見て慌てていた。

 

「落ち着け、ダメツナ。………こいつをまだ死なせるわけにはいかないからな……………」

 

そんなツナをリボーンが宥めて、瀕死の状態のルシフェルを診た。

 

「………ふむ。これなら、《晴》の活性で何とかなるかもな…………」

 

「それならば、極限に俺に任せろ!!!我流!!!!」

 

「ガアァ!!!!」

 

リボーンの言葉を聞いた了平が《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》から漢我流を呼び出した。

 

「最大出力だ!!!《極限(マキシマム)ヒーリング》!!!!」

 

「ガアァァ!!!!」

 

了平の指示で漢我流は口から《晴》の炎をルシフェルに向けて、放射した。しかし……………

 

バンッ!!!!

 

『!!!?』

 

《晴》の炎が弾かれたのだ。

 

「どういうことだ!!!?」

 

「なぜ弾かれたんだ!!!?」

 

周りが混乱していると……………

 

「あの触手には《闇》の炎が纏っていたから、傷口にも炎がついて無効化されたんだ」

 

輝夜が理由を説明した。

 

「そっか!!!それなら、俺の《光》の炎を使えば!!!」

 

輝夜の説明で納得したツナが(ハイパー)死ぬ気モードになろうとすると………………

 

「待て。沢田綱吉」

 

輝夜がツナを止めた。

 

「なんで、止めるの!!?ルシフェルが危ないんだよ!!!」

 

「けっ!!!テメーの命の恩人が死んでもいいってか!!?」

 

止めてきた輝夜にツナが叫び、獄寺が悪態をついた。

 

「そうじゃない。沢田綱吉、お前はかなり《光》の炎を使ったはずだ」

 

「え?う、うん………そうだけど……………」

 

冷静に話しかけてくる輝夜に戸惑いながらうなずいた。

 

「なら……………俺がやる」

 

輝夜がそう言うと、ズボンのポケットから金色の石が填まったリングを取り出して、自分の指にはめると……………

 

ボウッ!!!

 

そのリングから《光》の炎が灯りだした。

 

『!!!?』

 

それを見て、全員が驚いた。

 

「御主も《光》の炎が使えたのですか!!!?」

 

「ですが、それならば、どうして沢田綱吉との戦いのときに使用しなかったのでしょうか?」

 

「……………今はそんなこと、どうでもいいだろ。おい、笹川了平。お前も早く用意しろ」

 

「う、うむ。極限にわかったぞ!!!我流!!!!」

 

輝夜は風の疑問を軽く流して、ルシフェルの傷口に炎を当てた。その上に漢我流の炎が放射された。今度は炎が弾かれることは無く、治療ができた。そして、ルシフェルの傷口から出血が止まった。

 

「…………ハァ…………ハァッ…………これで、応急処置は大丈夫だ。あとは病院で診せれば何とかなるだろう」

 

荒く息をつきながら、輝夜が言った。

 

「そっか、よかった……………」

 

「…………………………」

 

輝夜の言葉にツナは胸を撫で下ろした。そして、そう言ったツナを輝夜はじっと見た。

 

「え、えっと…………何かな?」

 

「…………いや、なんでもない。それよりも………………」

 

じっと見つめられているのに気づいたツナが輝夜に問いかけたが、輝夜は軽く流して、いつの間にか触手を直していたロヴィーノのほうを向いた。

 

「よくもまぁ、俺たちがルシフェルの手当てをする邪魔をしなかったな」

 

「まぁ、私はあの攻撃で満足だからね。気分的にルシフェルを破滅させようとも思わなかったしね。だから、私としてはルシフェルが死のうが生きようがもうどうでもいいわけなのさ」

 

輝夜の言葉にロヴィーノは飄々と答えた。

 

「……………オメーの目的はなんだ?」

 

すると、リボーンがロヴィーノにそう問いかけた。その質問は他の皆も気になっているのかロヴィーノに注目した。

 

「ん?私の目的?そんなこと、わかりきっているよね?」

 

ロヴィーノはそう言うと邪悪な笑みを浮かべた。そして、答えた。

 

「地球の破滅さ」

 

『!!!!?』

 

ツナたちは予想していたとはいえ、実際にロヴィーノの答えを聞いて、ゾッとした。

 

「貴様らは私がどういう存在か知っているはずだよね?《破滅》を司る邪神だよ?物事の破滅こそが私の存在意義なのさ!!私の本質なのさ!!!」

 

ロヴィーノは両腕を広げながら、高らかにそう言った。

 

「そんなことのために………………!!!」

 

「そのそんなことのために私は全力で考えているのさ!!!私は今までこの世界とは違う、いわゆる異世界を多く滅ぼした!!!完全に滅ぼしていなくても、ベネスタンテ星や10年後のランボがいた世界のようにある程度滅ぼして、そこから人間共に争いを起こさせるように仕向けた!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと、今度は薄ら笑いを浮かべて………………

 

「今度はこの地球をどのように破滅に追い込もうかな?」

 

まるで「次は何して遊ぼうかな?」という感覚で言った。

 

「なっ!!!?ふざけるな!!!そんなことはさせない!!!!」

 

ロヴィーノの発言にツナが叫んだ。他の皆もロヴィーノを睨んでいた。

 

「そんなことはさせない………………か。正義感が満ちあふれているいい言葉だね」

 

ツナの言葉にロヴィーノは笑いながら、そう言った。しかし、心にこもっていないのが丸わかりだったために………………

 

「テメー!!!ふざけてんのか!!!」

 

「極限にプンスカだぞ!!!!」

 

「咬み殺すよ」

 

「クフフ、巡らしますよ?」

 

「カッ消す!!!」

 

「ゔぉおおおおい!!!3枚におろすぞおおおおぉぉぉぉーーーーー!!!!」

 

獄寺、了平、雲雀、骸、XANXUS、スクアーロといった、沸点の低いメンバーの神経が逆なでされてしまい、今にもロヴィーノに攻撃しそうだった。

 

「攻撃したければしていいよ。そのかわりにこっちは()()で耐えて、貴様らに攻撃しかえすだけだからね」

 

『っ………………!!!?』

 

ロヴィーノが薄ら笑いしながら言った言葉に獄寺たちは先程のルシフェルの状態を思い出して、渋々と攻撃の態勢を解いた。しかも、ロヴィーノの『無傷』という言葉にツナ、ランボ、ランチア、輝夜以外はチェッカーフェイスから聞いたことを思い出した。

 

 

 

 

『あの邪神は、()()()()()()()1()()()()()()()()のさ』

 

『我々がどんなに攻撃しても平然と受け止めて、無傷でいたのさ。前にも言ったと思うが本当に封印できたのが奇跡だったのさ…………』

 

 

 

 

先程の一連を見て、チェッカーフェイスの言葉を今、改めて実感した。

 

「さてと、冗談もこれぐらいにして、そんなことはさせないって、どうするつもりかな?私に攻撃が効かないっていうのはさっきのでわかったよね?」

 

「うっ……………」

 

ロヴィーノの言葉にツナたちは言葉が詰まった。

 

「それなら、私をまた封印するのかな?でも、それも無理だよね」

 

「チッ…………!!確かにユニとヴェルデがいねぇ…………」

 

「桔梗たちもいないからね…………」

 

「おまけに封印の仕方もわからないしね…………」

 

ロヴィーノの言葉に対してリボーンと白蘭とバミューダがそう言った。そう封印しようにもユニとヴェルデの《大空》と《雷》のおしゃぶり、桔梗たち、(リアル)6弔花の《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《霧》のマーレリングと(トゥリニセッテ)が全て揃っていないうえに封印の方法もわからないためにできないのだ。

 

「…………………」

 

すると、ロヴィーノがなんとも言えないという顔をしていた。

 

「なんだ、その顔は?」

 

それに気づいたランチアがロヴィーノに声をかけた。

 

「……………いや、なんでもないよ。…………………私にとってはたいしたことではないしね」

 

その声にロヴィーノはすぐに表情を戻して、そう言った。最後に何か呟いていたが誰も聞こえなかった。

 

「まぁ、それよりも、たとえ攻撃が通ったとしても、封印の準備が整っていても、貴様らは今までの戦いで疲労がたまっているよね?そんな状態でそのどちらかを成し遂げることはできるのかな?」

 

『っ……………!!!?』

 

ロヴィーノの言葉にまたまた、ツナたちは言葉が詰まった。ツナたちはロヴィーノ教団の構成員に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》、そして輝夜と戦っていたのだ。確かに疲労がたまっている。そんな状態で《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と戦うのは、たとえ全員でかかっても、いささか無理だろう。

 

「この通り、貴様らがどうにかすることなんて何1つ無いのさ」

 

正論ばかりを言うロヴィーノにツナたちは悔しそうに見ていた。しかし………………

 

「そして、何よりも………………」

 

これで終わりではなかった。ロヴィーノがそう言うと空高く飛んだ。

 

「私の力に貴様らは太刀打ちできないということさ!!!」

 

ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!

 

ロヴィーノがそう言うと、背中から16本の触手が出てきた。16本の触手にはそれぞれ違う色の炎が纏っていた。

 

「なっ!!!?《大空》に《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》、大空の七属性を使えるのかよ!!!?」

 

「それだけじゃないよ!!!僕と同じ《大地》にアーデルたちと同じ、《氷河》、《森》、《山》、《沼》、《川》、《砂漠》の大地の七属性もあるよ!!!?」

 

「しかも、僕たちが持っている《夜》の炎まで………………」

 

そう、獄寺、炎真、バミューダの言うとおり、ロヴィーノの触手には16本の内、1本が白い《闇》の炎であること以外にも残りの15本にそれぞれ《大空》・《嵐》・《雨》・《雲》・《晴》・《雷》・《霧》・《大地》・《氷河》・《森》・《山》・《沼》・《川》・《砂漠》・《夜》の炎が纏っていた。ロヴィーノは16属性の炎が使えるようだ。

 

「驚くにはまだ早いさ!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと16本の触手を伸ばして、触手の先にそれぞれの炎を送り込み、それらが混ざり合い、自分の体の何倍もの大きさのある巨大な炎の球になった。

 

「!!!?なんて炎圧だ、コラ!!!?」

 

「こんなもの、くらったら一溜まりもないぞ!!!?」

 

「やばい、やばい、やばいですよーーーー!!!?」

 

「ミーたち、大ピンチーーーー!!!?」

 

「ど、どうしよう………………」

 

それを見て、コロネロとラルが驚き、スカルとフラン、クロームが慌てていた。

 

「ふっ…。もう、遅いよ」

 

ロヴィーノはそう言うと、炎の球を放った。

 

「放ってきたぞ!!!?」

 

「あんなの防御のしようがないよ!!!?」

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ!!!?」

 

それを見て、皆パニックになった。

 

「バミューダ!!」

 

「何!!?」

 

そんな中、輝夜がバミューダに話しかけた。

 

「――――――――――――――――――――――――――――」

 

輝夜はバミューダに何かを言った。そして………………

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!!!

 

島全体を包み込む大爆発が起きた。爆煙が晴れるとそこには()()()()()()()()()()()()()かのように何も無かった。そこには巨大な穴ができ、そこに海水が流れていた。

 

「………………………逃げたか」

 

それを見て、上空に浮いていたロヴィーノが呟いた。ロヴィーノは大爆発が起きる前にツナたちの炎が島から消えたのを感じた。

 

「おそらく、ダークネスとバミューダの仕業だな…………………」

 

ロヴィーノはそう考えた。そして、それは正しくて、あの時、輝夜はバミューダにこう言ったのだ。

 

『俺の《闇》の炎でお前の炎を強化する。それで俺の炎も使って全員で脱出するぞ!!』

 

そして、それに了承したバミューダは輝夜に《夜》の炎を強化してもらい、輝夜の《闇夜》と一緒に使って気絶しているルシフェルとともにツナたちは全員、島から脱出したのだった。

 

「クックックッ…………。やっぱり、面白いよ、ダークネス……………」

 

仕留め損ねたロヴィーノは悔しがるわけでもなく、面白がっていた。

 

「さてと、あいつらがどうするのかも気になるけど、私はどうやって、この地球を破滅させるかを考えようか」

 

そう言って、ロヴィーノは顎に手を当て、考え始めた。

 

「ん~~~。どうしようかな?今の攻撃でもわかったけど、()()()()()()()()()()()んだよな~~」

 

ロヴィーノは手を開いたり閉じたりして確かめながら言った。

 

「ん~~~。いっそのこと、趣向を変えて…………。ふっ…………。これにしようか……………。すぐに実行できないから、ある意味ちょうどいいな」

 

ロヴィーノは邪悪な笑みを浮かべながら、そう言った。ロヴィーノは考えを思いつくと、いまだに海水が流れ込んでいる穴を背に向けて移動した。

 

「さてと、それじゃあ、用意でもするか。……………()()()()()()()()()()()()()()のな」



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表も裏も関係ない破滅のショー

バミューダと輝夜のおかげでロヴィーノの攻撃から逃れたツナたちは並盛中央病院に向かった。そこで全員、一通り怪我の手当てを受けて、先に手当てを受けに戻っていたメンバーも含めて、多目的ホールに集まった。その中には輝夜もいて、武器、リング、匣を全て取り上げて、手錠をつけて拘束していた。ルシフェルは重傷のために監視の中、治療室に送り込んだ。そして、今は………………

 

「うわあぁぁぁーーーーーーーん!!!!」

 

チェッカーフェイスがビアンキに連絡を入れて、一緒にやってきた明聖が多目的ホールの端に立っていた輝夜に抱きついて泣き叫んでいた。

 

「明聖……………」

 

輝夜はそんな明聖を見て、普段は無表情なのに対して、今は優しく微笑みながら、手錠でつながれた手で明聖の頭をなでていた。

 

「パパ……………パパが……………戻ってきて…………ぐすっ……………本当に……………よかった…………」

 

「あぁ、俺もこうして明聖に会えてよかったよ…………」

 

1度輝夜から離れて泣きながらそう言う明聖に輝夜は明聖の頭をなでながらそう言った。

 

「………………明聖。あの時はすまなかった」

 

すると、輝夜は顔を暗くして、明聖に謝った。

 

「ううん。パパは悪くないよ………。むしろ、私のほうこそ、ひどいことを言って、ごめんなさい…………」

 

今度は明聖が輝夜に謝った。すると、輝夜はその場でしゃがみ込み、右手は明聖の頭に、左手は明聖の右肩に置いて、目線を明聖に合わせた。

 

「気にするな。お前は何も間違っていないからな。それよりも、お前が無事で俺は本当によかったよ」

 

「パパ…………!!」

 

「おっと!?……………………明聖……………」

 

輝夜がそう言うと明聖が再び輝夜に抱きついた。その勢いに輝夜は後ろに倒れそうになったが何とか踏みとどまった。輝夜は手錠でつながった腕の輪を明聖に通して、優しく抱きしめた。2人になにが起きたのかわからないが、どうやら和解したようだ。

 

「……………………………………すまないが、話は終わったかい?」

 

そんな中、空気を読めていない声が1つかかった。

 

「あぁ、すまない。時間をとらせてしまった。そいつらから事情は聞いたのか?チェッカーフェイス」

 

しかし、輝夜は笑顔から無表情に戻したが嫌な顔をせずに明聖を抱きかかえてチェッカーフェイスたちに近づいた。輝夜と明聖が話す少し前からチェッカーフェイスやユニたちはツナやリボーンたちに事の顛末を話してもらっていたのだ。

 

「あぁ、まさか、ロヴィーノに操られていたとは驚いたよ」

 

「…………その……………すまなかったな………」

 

輝夜は車椅子に座っているチェッカーフェイスから目をそらして、襲撃したことについて謝った。

 

「まぁ、過ぎたことだから仕方ないさ。……………………それよりもロヴィーノが復活してしまったとは……………」

 

「それも、あの地震のときにすでに………………」

 

チェッカーフェイスは輝夜のやったことを苦笑いしながら許して、ロヴィーノが復活したことに頭を悩ませた。ユニも顔をうつむかせて、そう言った。

 

「姫!!すまない!!!」

 

ユニの様子を見て、γが謝った。

 

「いえ、謝る必要はありません。皆さん、無事に戻って来てくれましたし、沢田さんもこの通り、生き返ってくれました……………」

 

「ユニ……………」

 

それに対して、ユニはそう言った。それを聞いて、ツナがそう呟いた。すると、ツナは何かを思い出したように輝夜に抱き抱えられている明聖に向いた。

 

「そう言えば、お礼を言うのがまだだったね。ありがとうね、明聖」

 

「私もありがとう!!パパを助けてくれて!!」

 

ツナは明聖に礼を言い、明聖もツナに対してお礼を返した。

 

「…………………………沢田綱吉」

 

「ん?何、輝夜?」

 

輝夜に呼ばれて、何かを聞こうとしたら………………

 

「グフッ!!?」

 

リボーンに後ろから蹴られた。

 

「っ~~~…………。何するんだよ、リボーン!!!」

 

「今は無駄話なんかしている場合じゃねぇぞ」

 

ツナは蹴られたところをさすりながらリボーンに怒鳴ったがリボーンは軽く流して、ツナたちにそう言った。

 

「………………そうだな。悪かった、沢田綱吉。後で話す」

 

「え!?あ、う、うん…………」

 

輝夜にそう言われて、ツナはうなずいた。

 

「…………さてと、とりあえずチェッカーフェイス…………。オメーらはどうやって、あいつを封印したんだ?(トゥリニセッテ)を使ったというのはわかっているが…………………」

 

全員が席に着くと、リボーンがチェッカーフェイスにそう聞いた。

 

「……………そうだね。……………あの時はまだたくさんいた私の仲間たちがロヴィーノと戦っている間に私たちは当時はまだ7つの石だった(トゥリニセッテ)を使ってロヴィーノを取り囲むように最大出力の炎を灯して、その炎の力で封印したのさ。……………しかし、その時に囮を引き受けてくれた者たちは全員………………」

 

『………………』

 

チェッカーフェイスはツナたちに封印の方法を教えた。そして、最後には嫌なことを思い出したという顔をした。

 

「……………悪かったな。嫌なことを思い出させてしまって……………」

 

「…………いや、別に構わないさ」

 

謝るリボーンにチェッカーフェイスはそう言った。

 

「………これで封印の方法はわかったけど、問題のロヴィーノがどこに行ったのかわからないよね?たしか、ロヴィーノのあの攻撃で島は消え去ったんだよね?」

 

とバミューダがチェッカーフェイスに問いかけた。

 

「あぁ、そうさ。君たちが手当てを受けている間にイェーガー君たちに島の様子を見に行ってもらったけど、そこには巨大な穴しかなくて島の影も形も無かったのさ」

 

それにチェッカーフェイスが答えた。イェーガーたちもうなずいていた。

 

「おまけに、彼の炎や気配が察知できなくて、今どこにいるかわからないのさ…………」

 

「……………仮にあいつを見つけたとしても、そう簡単に封印させてくるとは思えないぞ。あいつも、封印に警戒するはずだからな」

 

「…………あぁ。…………そうだろうね。ハァ……………。問題は山ほどあるよ………………」

 

輝夜の言葉にチェッカーフェイスがため息をつきながらそう言うと………………

 

ゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!

 

ロヴィーノ教団がロヴィーノを復活させるために剣を刺したときに起きたものと同じくらいの大地震が起きた。

 

「うわっ!!?」

 

「キャッ!!?」

 

「くっ!!?」

 

「大丈夫か!!?」

 

その大地震に倒れそうになる者、倒れる者、それを支える者、持ちこたえる者、様々の者がいた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴッ……………

 

地震事態はすぐに治まったが安心できる者はこの場にはいなかった。

 

「くっ………………またか!!」

 

「これもロヴィーノの仕業なのか!!?」

 

「今度はなんなんだ!!?」

 

地震が治まるとすぐに皆はそう言った。この中のほとんどの者がロヴィーノの仕業だと思っていた。そして、それは……………

 

『ごきげんよう。全人類の皆さん』

 

正しかった。

 

『!!!?』

 

急に外からロヴィーノの声が聞こえてきたためにツナたちは急いで窓際へと駆け寄った。すると、そこには……………

 

『なっ!!!?』

 

空中にいくつものホログラムの画面が浮かび上がっていた。そして、そこには全て、どこかの島で王様が座るような豪華な椅子に座っているロヴィーノが映っていた。ツナたちは全員、開いた口がふさがらなかった。

 

「チェッカーフェイス様!!!今、調べたところによると、世界中にあのホログラムが浮かび上がっており、テレビやパソコンといった物は全てあの映像が流れているようです!!!」

 

「なんだと!!!?」

 

尾道の報告により驚きの声を上げた。それはつまり、世界中のほとんどの人間があれを見ていることになるだろう。

 

「いったいどうなってんだ、あれは………………?」

 

「………………おそらく、《霧》と《砂漠》の構築で作り上げた画面を《夜》の炎で世界中に張り巡らしたんだろう………」

 

「まさか、それほどの力を……………!!?」

 

「信じられない……………!!?」

 

「いやいや!!!さすがにやばすぎるっしょ!!!?」

 

獄寺の疑問に輝夜がそう答えて、それに対して骸、クローム、ジュリーがそう言った。

 

『私は()()、ロヴィーノ』

 

「ストレートに自分のこと、邪神って言っちゃったよ!!!?」

 

ロヴィーノの自己紹介にツナがツッコんだ。

 

『………………って言っても、この世界は神を信じる者と信じない者がいるから、『いきなり、何言ってんだこいつ?』って思っている者がいるだろうな』

 

(あ…………。そこら辺は理解しているんだ…………)

 

ロヴィーノの言葉にツナは心の中でそう思った。

 

『……………だから、私が邪神であるという()()を見せてあげようと思う』

 

『!!!?』ゾクッ!!!!

 

邪悪な笑みを浮かべながら言うロヴィーノにツナたちは全員、寒気がした。いったい、何をするつもりだとそこにいた全員が思った。そして、画面の中のロヴィーノが椅子から立ち上がり、口を開いた。

 

『それでは、見せてあげよう!!!』

 

ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!ブスッ!!!!

 

ロヴィーノはそう言うと背中から6本の触手を生やした。触手には全て白い《闇》の炎を纏わせていた。そして、それらは全て空に向けていた。すると…………………

 

バーーーーーーーーーーンッ!!!!

 

6本の触手から炎が放たれて、炎はそれぞれ別々のほうへと飛んでいった。

 

「ハハン。いったい、何をするつもりだったのでしょうか?」

 

「全く別のほうへ飛んでいったわね~~~~」

 

映像を見て、桔梗とルッスーリアがそう言った。それは他の皆も同じ気持ちだった。そして、その心情を読み取ったのかロヴィーノが言った。

 

『これを見ている者たちの中には何をしたのか、わからない者たちもいるだろうからね。これを見てもらおうか』

 

ロヴィーノがそう言うとロヴィーノが映っている画面が6つに分けられたそれぞれ別の場所が映っている画面に切り替わった。

 

『!!!!?』

 

それらを見たツナたちは全員、驚愕した。なぜなら、6つの画面、全てが白い炎による地獄絵図だったからだ。白い炎は燃え盛り、建物が建っていたと思われるものは全て瓦礫と化して、人の死体と思われるものがいくつも転がっていた。血塗れで泣き叫ぶ人もかなり見られた。しかも、それはかなり広範囲で起きているようだ。

 

『今、私が放った炎はそれぞれ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、北アメリカ、南アメリカといったところのそれなりに人口が多い町に飛ばした。私の攻撃範囲に惜しくも届かなかったところにも町があったはずだから、すぐにニュースというもので貴様らもこれが現実に起きていることだって知るはずだよ』

 

すると、また画面が切り替わってロヴィーノがそう説明した。

 

『彼らは私が邪神であるという証明の()()()になってくれて、私は感謝するよ!!』

 

ロヴィーノの生け贄という言葉にツナたちは怒りを感じた。しかし、画面の向こうのロヴィーノはおそらく気づいているだろうがそんなことは気にしないと言うふうに話し続けた。

 

『さてと、私が邪神であるということも証明できたところで本題に入ろうか』

 

ロヴィーノはそう言うと、腕を広げながら宣言した。

 

『私はこの度、《表も裏も関係ない破滅のショー》を行おうと思っている!!!』

 

「表も裏も関係ない……………?」

 

「表社会も裏社会も関係ないって意味だろ。現にあいつは死ぬ気の炎を使いやがった。沈黙の掟(オメルタ)なんか無視してな………。…………………まぁ、俺も含めたロヴィーノ教団の連中もマフィアじゃないから守る気なんてないがな」

 

「なんかさらりと最後にとんでもないこと言ったよ、この人!!!?」

 

炎真の呟きに輝夜が説明して、そのついでと言わんばかりに自分も含めたロヴィーノ教団はマフィアじゃないから沈黙の掟(オメルタ)を守る気はないって言った。そして、それにツナがツッコんだ。そんなことを知っているか知らないかわからないが、ロヴィーノは恐ろしい話を進めた。

 

『ちなみにどんなショーかというと…………。とてもわかりやすいよ!!明日の正午に私が……………()()()()()()。………………それだけだよ♪どうやって滅ぼすかはそのときのお楽しみに♪』

 

ロヴィーノは邪悪な笑みで地球を滅ぼすと言い、そのあとに白々しいほどに爽やかな笑顔で言った。皆、それにふざけるなと言いたかったが、ロヴィーノのあの邪悪な笑みに圧倒されて、何も 言えなかった。そして、再びそんなことは関係ないとロヴィーノは話を続けた。

 

『…………って言っても、貴様らも地球を滅ぼされるのは嫌だろうからチャンスをあげるよ』

 

ロヴィーノがそう言うと画面が人工衛星から映された地球に切り替わった。

 

『私はここにいるから、明日の正午までに私を倒せば、地球が滅ぼされることはないよ。あ!安心しなよ。私は逃げも隠れもしないから』

 

ロヴィーノの声が響く中、画面の地球は拡大されていった。それは、日本に近い太平洋にある岩山だらけの広い無人島だった。そこには確かにロヴィーノがいた。ロヴィーノは白々しくカメラ目線で笑顔で手を振っていた。

 

『………………まぁ。そういうわけだから、人類の皆さん。残りの余生を楽しんでください!!』

 

プツリ…………

 

再び、画面が切り替わるとロヴィーノはそう言って、締めた。締め終わると、画面は明日の正午までのタイムリミットが表示されていた。ロヴィーノの放送が終わると、世界中が喧騒に包まれ、ツナたちは痛々しいほどに静寂に包まれた。



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最終決戦、前日

ロヴィーノの世界中への『地球の滅亡』の放送の後に元に戻ったテレビのニュースの速報によると、ロヴィーノが放った攻撃により6つの町が壊滅したようだ。それにより、死傷者も多数出たらしい。そして、その事実が余計に世界中を混乱に追い込んだ。世界中の軍事施設では『対ロヴィーノ』についての会議が開かれているらしい。ツナたちも急いで、会議を再開した。

 

「……………それでロヴィーノは確かにあの無人島にいるんだね?」

 

「はい。衛星写真で確認したところ、ぎりぎり日本の領海の外側にある島に未確認の無人島がありました。そして、そこには確かにロヴィーノがいました」

 

チェッカーフェイスの質問に尾道が報告した。

 

「未確認の無人島……………そのような場所にですか?」

 

「あんな目立つ場所にあんな大きな島があったら、僕の能力が無くても見つかりそうだけど?」

 

未確認の無人島について、ユニと白蘭がそう言った。確かにロヴィーノ教団が潜んでいた島もロヴィーノが封印されていた島も見つかりにくい場所にあった。それなのに、ロヴィーノがいた場所は本来、そこには島など無かったはずだった。

 

「………………さっきの地震はそういうことか」

 

「パパ?」

 

輝夜が何かに気がついたようだった。

 

「どういうことだ?」

 

「おそらく、あの島はロヴィーノが《山》の炎の地形操作の力で海底から土地を隆起させてできたものだろう。さっきの地震はその時の影響で起きたんだろう…………」

 

「そんなことが!!!?」

 

「オイラでもそんなことはできないよ!!!?」

 

輝夜の説明にアーデルとらうじが驚いて、声をあげた。他の皆も同様な反応だった。

 

「あいつは《闇》の炎を持っているんだ。それで俺と同じように《夜》を強化したり、《霧》、《砂漠》、《山》を強化したりしたから、あんなことができるようになったんだろ」

 

顔をしかめながらも輝夜は冷静に言った。色こそ違えど、同じ《闇》の炎を持っている身として、ロヴィーノがやったことについてわかったのだ。

 

「あいつの戦闘力も問題だけど、どうやってあいつに攻撃するのな!!!?あのルシフェルの攻撃でも傷1つ付かなかったのな!!!?」

 

すると、山本がそう言った。確かにルシフェルの《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》でもロヴィーノは無傷だった。それどころか、攻撃を受けても平気な顔をしていた。

 

「あぁ。それなら、問題ない」

 

それに対して、輝夜が素っ気なく答えた。

 

「問題ない…………とは極限にどういうことだ!!!?」

 

「結局、その通りだ!!!!」

 

輝夜の言葉に了平と紅葉が噛み付いた。他のメンバーも何人かがどういうことだという風に怪訝な顔をしていた。それに輝夜が答えた。

 

「確かにあいつはサイキョウ(最強・最恐・最凶)だ。……………だが、たとえ、あいつがサイキョウ(最強・最恐・最凶)だったとしても無敵ではない」

 

「にゅにゅ!!もっと、わかりやすく言ってよ!!!」

 

輝夜の説明にじれったく感じたのか、ブルーベルがそう言った。それに対して、輝夜は呆れてため息をつきながら言った。

 

「他の奴も何人かは気づいているみたいだが…………要はあいつにも()()()()()ってことだ」

 

『!!!?』

 

輝夜の言葉に気づいていなかった者は驚いた。その弱点について聞こうとしたが、輝夜が話を変えた。

 

「まぁ、いろいろと話し合ったが、おそらく、多くの作戦を考えたとしても、あいつはほとんど破滅させるだろうな。チェッカーフェイス。お前のときもそうだろ?」

 

「……………あぁ、そうだね。こちらも、多くの作戦を考えて実行しても、騙し討ちを試しても、ロヴィーノはあざ笑いながらしながら、台無しにしたよ…………」

 

「……………つまり、あいつ相手にできることは限られるっていうわけだ」

 

チェッカーフェイスの話を聞き、予想通りと思った輝夜はそう言った。

 

「それじゃあ、オメーは何か思いついているわけか?」

 

それにリボーンが尋ねた。

 

「………………まぁな。………………だが、これも決して得策とは言えない。むしろ、愚策って言ってもいいほどだ」

 

「じゃあ、駄目じゃねぇか!!!!」

 

輝夜の言葉に獄寺が叫んだ。

 

「落ち着け。確かに愚策かもしれないが、他にまともな手もないんだ」

 

それに対して輝夜がそう言った。

 

「だからってな!!!………………って、なんでテメーが仕切ってんだ!!!!ロヴィーノに操られていたって言ってもな、テメーは10代目を―――」

 

「続けろ、輝夜」

 

獄寺が輝夜に怒鳴っているとリボーンが遮って、輝夜に続きを促した。

 

「な!!!?リボーンさん!!!!」

 

「落ち着け、獄寺。確かにこいつがやったことは許せねぇが今は状況が状況だ。それにこいつは俺たちよりもロヴィーノに近い場所にいたからロヴィーノの考えが誰よりもわかっているし、ロヴィーノが認めた《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》でもあるから戦闘力も申し分ないからな」

 

「………………わかりました」

 

「……………………」

 

リボーンの言葉により獄寺は渋々と引き下がった。そして輝夜の隣に座っていた明聖はリボーンたちの会話を聞いて、仕方ないとはいえ父親のことを悪く言われてふてくされていた。それに気づいた輝夜は苦笑しながら明聖の頭を撫でた。それにより明聖は幸せそうな顔をして機嫌を直した。明聖の機嫌が直るのを確認すると、輝夜は顔を引き締めて口を開いた。

 

「この作戦には1段階と2段階がある。うまくいけば、1段階目で決着がつく」

 

「それで、その作戦って……………?」

 

「それは――――」

 

ツナに聞かれて、輝夜はその作戦について説明した。その作戦に関して、反対する者もいたが、他にいい作戦も無かったためにその作戦を行うことになった。そして、そのあとは明日のために休憩をとるために解散になった。

 

 

 

 

作戦会議が終わって、ツナは病院の廊下を歩いていた。

 

「この地球はいったいどうなるんだ!!?」

 

「お、落ち着いてください!!」

 

「もう終わりなんだーーー!!!」

 

病室から患者と看護師がそう話しているのが聞こえた。その病室だけではなかった。他の病室からも罵倒や怯える声が聞こえた。

 

(………………皆、落ち着いていられないんだ。…………そりゃそうだよね。明日には地球が無くなるかもしれないんだから……………)

 

ツナはそう考えていると自分の腕が震えていることに気がついた。

 

(……………震えが止まらない。俺も怖いんだ…………。…………大丈夫なのかな?これに失敗したら……………)

 

ツナは震えを止めようと腕を抑えていたが止まらず、だんだんと悲観的に考えていた。すると…………

 

「ツナくん!!!」

 

誰かがツナを呼ぶ声がした。ツナはその声に振り替えると…………

 

「京子ちゃん!!!」

 

そこには、京子がいた。

 

「……………大変なことになったね」

 

「う、うん…………」

 

沈んだ表情でそう言う京子にツナはうなずくしかなかった。

 

「…………………」

 

「…………………(気まずい!!!)」

 

それっきり、お互いに黙ってしまい、気まずくなった。

 

「……………ねぇ、ツナくん。……………やっぱり、行っちゃうの?」

 

「え?」

 

すると、京子はツナにそう聞いた。ツナは一瞬、何のことかわからず、そんな返事しかできなかった。

 

「さっき、お兄ちゃんと会ったんだ……………。そしたらお兄ちゃん、こう言ったんだ。『大丈夫だ、京子!!!お兄ちゃんと沢田が極限に何とかしてみせるぞ!!!』って……………」

 

(お兄さん………………)

 

京子から聞かされた了平の行動にツナは心の中で苦笑いした。しかし、京子の顔色は晴れなかった。

 

「………………私はいやだよ」

 

「え?」

 

「…………お兄ちゃんたちのことも心配だけど、せっかく戻ってきてくれたのに…………また、危ないところに行くなんて……………。私もハルちゃんも本当は()()()も止めたかったのよ………………」

 

「京子ちゃん……………」

 

京子の泣きそうな顔にツナはなんとも言えなかった。あの時というのは生き返ってすぐにロヴィーノ教団と戦いに行こうとした時のことだろう。あの時はロヴィーノに人格を変えられて操られている輝夜を助けてほしいという明聖の願いが響いてツナは生き返ってすぐに向かったわけだが、本当は京子もハルもこれ以上、危ない目に遭って欲しくなかったみたいだった。

 

「…………………京子ちゃん。ごめんね。それでも、俺は行かなくちゃいけないんだ」

 

「!?」

 

「このまま、何もしなかったら明日にはロヴィーノに地球が滅ぼされるんだ。それだけはなんとしてでも阻止しなくちゃならないんだ」

 

「…………………」

 

「それができるのは俺たちだけなんだ。だから、ごめん!!俺は戦いに行かなくちゃいけないんだ!!!」

 

「…………………やっぱり、行っちゃうのか………」

 

ツナの言葉に京子が諦めたように笑った。

 

「本当にごめんね?」

 

「ううん、いいよ。なんとなく、わかってたからね。………………でも、1つだけ約束して」

 

「ん?なに?」

 

「………………無事に帰ってきて」

 

「!!?………うん、約束するよ。必ず無事に帰ってくるよ」

 

ツナと京子はお互いに笑いながら約束した、必ず帰ってくると。

 

「……………え~~と、京子ちゃん?」

 

すると、ツナが困ったような顔をして京子に話しかけた。

 

「ん?なに?」

 

「その…………京子ちゃんに謝りたいことがあるんだ…………」

 

「謝りたいこと?」

 

「うん………実は………京子ちゃんからもらったお守りを…………落としちゃったみたいなんだ…………」

 

ツナは京子にリング争奪戦の大空戦が始まる前にもらったお守りを落としたみたいだ。

 

「最初に輝夜と戦ったときには確かに持っていたんだけど…………。さっき、確認してみたらどこにも無くて…………ごめん!!!」

 

ツナはそう言うと深く頭を下げた。

 

「ううん。別にいいよ。ツナくんが戻ってきてくれたんだから。お守りはまた作ってあげるからね♪」

 

「京子ちゃん……………ありがとう…………」

 

それに対して京子は笑って許して、ツナは礼を言った。

 

「あ、いた!!綱吉さん!!」

 

すると、明聖がツナたちに走って近づいてきた。

 

「あれ?明聖、どうしたの?」

 

ツナは明聖にこちらに来た理由を聞いた。

 

「うん。()()を渡しに来たの」

 

そう言って、明聖がポケットから取り出して、ツナに渡したものは魚が刺繍されたお守りだった。

 

「これは!?」

 

「ツナくんのお守り!?」

 

それを見て、ツナと京子は驚いた。先程、話していたお守りが今、こうして目の前にあるから当然かもしれない。

 

「見つかってよかったね、ツナくん」

 

「う、うん…………。でも、これ、どうしたの?」

 

京子に言われてツナはうなずいたが、なぜ明聖が持っているのか気になって聞いてみた。

 

「えっと、パパがこれを綱吉さんに渡してきてくれって頼まれたの」

 

「輝夜が?」

 

明聖の答えにツナはそう言った。

 

「(そういえば、いろいろあって忘れていたけど、輝夜と話があったんだ)明聖、輝夜のところに連れて行ってくれないかな?」

 

「うん、いいよ」

 

「ありがとう。それじゃあ、京子ちゃん、またね」

 

「うん、またね」

 

ツナは京子と別れて、明聖に案内してもらって、輝夜のところに向かった。

 

 

 

 

ツナと明聖は輝夜を軟禁している病室に向かった。見張りの人に頼んで2人は病室に入れてもらった。窓には鉄格子がはめられている病室にはベッドで寝そべっている輝夜がいた。

 

「ただいま、パパ!!」

 

「おかえり、明聖」

 

病室に入ると、明聖が輝夜に駆け寄った。輝夜は自分に近づいてくる明聖に微笑みながら起き上がり、明聖の頭をなでた。

 

「え~~と、輝夜、いいかな?」

 

それを見て、ツナが声をかけた。

 

「あぁ、構わない」

 

それに対して輝夜は無愛想な顔に戻して、そう言った。

 

「それじゃあ、これ、どうしたの?」

 

ツナはお守りを見せながら、そう尋ねた。

 

「あぁ、それか。拾った」

 

「え?拾った?」

 

素っ気なく答えた輝夜にツナは戸惑った。

 

「で、でも、よく俺のだってわかったね」

 

「………………そりゃあ、お前の遺体から落ちた物だからな」

 

「え?」

 

「お前らが俺たちから逃げたときにそれが落ちたんだ。それを俺が拾った」

 

ツナの問いに輝夜がそう答えた。

 

「え?でも、そのときってまだロヴィーノに操られていたよね?」

 

「…………まぁ、そうだな。俺もなんで、あんなことをしたのかわからないな………」

 

「え!?自分のことなのに!!?」

 

ツナと輝夜がそう話していると………

 

「きっと、パパがロヴィーノの洗脳に負けていなかったんだよ!!」

 

明聖が大声で言った。

 

「あ!そういうことか!!」

 

「は?どういうことだ?」

 

明聖の言葉にツナは納得したが輝夜はわかっていなかった。

 

「えっと、だから、輝夜はロヴィーノの洗脳に負けていなかったから自分の意思で動くことができたってことで―――」

 

「それがどうしたんだ?俺は自分勝手でお人好しなんかじゃないんだぞ。お前のそれを拾った理由には―――」

 

「そんなことないよ!!!」

 

輝夜の言葉を遮って、明聖が叫んだ。

 

「パパは本当は優しいんだって私は知っているよ!!」

 

「明聖…………」

 

「だって、パパはずっと明聖のことを守ってくれたもん!!!」

 

「うん。俺もうまくは言えないけど、さっき言ったとおり、輝夜がいい奴だって信じているから!!」

 

「……………はぁっ。もう、それでいいよ」

 

ツナと明聖の言葉に輝夜はため息をつきながら諦めて言った。それにツナと明聖は笑っていた。

 

「えっと、それで輝夜は?俺に何か用があったね?」

 

ツナは笑っていた顔を困ったような顔にして、輝夜に聞いた。

 

「あぁ…………別に難しい話じゃない…………。謝罪と礼が言いたかっただけだ」

 

「謝罪と礼?」

 

「そうだ。……………お前を殺して、すまなかったな。……………それから、俺をロヴィーノの闇から解き放ってくれてありがとうな」

 

輝夜はそう言うと、顔をツナから背けた。だけど、わずかに顔が赤くなっていたのが見えた。それが見えたツナと明聖は再び微笑ましそうに笑った。

 

「別にいいよ。明聖のおかげでこうして生きているし、俺が助けたかったからね」

 

ツナは笑いながらそう言った。

 

「………………俺の用はそれだけだ。お前も明日のためにとっとと休め」

 

「え!?あ、う、うん…。じゃあ、明日、必ずロヴィーノの計画を阻止しよ!!」

 

輝夜は半ば、ツナを追い出すような言い方をしたが、輝夜の言い分も最もだったためにツナも一言、言って出て行った。

 

 

 

 

午後8時

 

それぞれが、それぞれの大切な人と一緒に最後かもしれない夜を過ごしていた。そして、輝夜と明聖は病室にいた。すると、明聖が何か気がついたのか、窓に駆け寄った。

 

「見て、パパ!!月が真っ赤だよ!!!」

 

明聖に言われて、輝夜も窓のほうによると確かに普段は薄い黄色の光を放つ月が赤く光っていた。

 

「……………これは、『皆既月食』っていうやつだな」

 

「かいきげっしょく?」

 

聞いたことのない言葉に明聖は首をかしげた。それに苦笑を浮かべながら輝夜は説明した。

 

「月はな、その星が光っているわけではなく、太陽の光が反射して、光っているように見えるんだ。それが地球の影に完全に隠れたら、ああなるんだ」

 

「へ~~。でも、どうして、赤色なの?影に隠れたら、真っ黒になって何も見えなくなるんじゃないの?」

 

「ん~~。そこからは光の波長とかで明聖にはまだ難しいから、とりあえず今はそうなるってことで覚えといてくれないか?」

 

「はーい」

 

輝夜の言葉に明聖は返事して、こんな状況にもかかわらず赤い月に夢中だった。そんな明聖を横目に輝夜は物思いにふけた。

 

(……………()()()のベネスタンテ星の月も赤かったな)




最終決戦に入る前に次回から、《闇夜の追憶編》という、輝夜たちベネスタンテ星の住人の過去を投稿します。


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~追憶~ 闇夜の過去編
ダークネス


~20年前~ベネスタンテ星

 

そこは、日本語に直したら『豊かな星』という名前とは裏腹に数万年前から9割近くの土地が荒廃していた星だった。しかし、その星の大きさは恒星と同じくらいあるために、豊かな土地もいろんな場所にそれなりの広さがある。その土地には王族や貴族といった力を持った人々が暮らしていた。そして、それ以外の荒廃した土地には平民、貧民といった人々が暮らしていた。そこは生きていくだけなら困ることはないが、時折、暇を持て余した貴族たちが嫌がらせをする。平民たちはそれに抗うために軍隊を作って、貴族たちと戦争を起こすことがよくある。だが、貴族たちはいかんせん、過去に土地の争奪戦で勝ち抜いた者たちの集まりだったために力があり、資源もそちら側が有利であり、おまけに平民たちの中にいる腕のある兵士を交渉して引き抜いているために、平民たちはいつも貴族たちに敗北してしまう。戦争で負けた平民の兵士たちは奴隷として扱われたり、見せしめとして処刑された。そんなことが長い間、続いた場所だった。

 

そして、そんな平民たちが暮らす土地の中でもより貧相な場所では………………

 

ドガッ!!!!

 

「ぐっ……………!!?」

 

すでにボロボロの6歳ぐらいの黒髪の少年が少年の父親と思われる灰色の髪の男に殴られていた。側には少年の母親と思われる黒色の長髪の女が冷めた視線で少年を見ていた。少年は殴られて、床に倒れた。

 

「こんな簡単な仕事もできないとは、本当に役に立たないガキだな!!!」

 

「本当ね…………ただでさえ、()()()()()()()()を持っていて気持ち悪いのにね…………」

 

男は少年に罵声を浴びせて、女は気味が悪そうな目で見ながら、そう言った。

 

「……………………」

 

少年は何も言わず無表情で立ち上がった。

 

「ちっ!!今日もテメーは飯抜きだ!!!納屋で寝てろ、()()()()()!!!」

 

その少年は齢6歳のダークネスだった。このときはまだ、輝夜と呼ばれていないようだ。

 

「………………わかった」

 

男に言われて、少年もといダークネスはフラフラとなりながらも部屋から出て行った。

 

 

 

 

ダークネスは親から虐待を受けていた。ダークネスの家は平民の中でもより貧しい貧民だった。父親は働いていた仕事場で問題を起こしてクビになり、酒を飲んでばかりの生活を送っていた。母親も浪費癖があり、苦しい状況にもかかわらずお金を使ってしまう。そんな家での収入源は家の傍にある畑の僅かな作物と()()だった。たまに父親が店から品物を奪ったりするが、基本はまだ6歳のダークネスにそれをやらせている。しかし、当時のダークネスはまだ6歳のために盗みを失敗することがほとんどだった。そして、捕まったダークネスはその店の店主に痛めつけられてボロボロになり、帰ってきたら失敗したということで今のように怒鳴られながら殴られるのだ。仮に盗めたとしても、できて当然だと言わんばかりの態度をとられるのだ。

 

しかも、ダークネスが虐待される理由はそれだけではなかった。母親が言っていた『得体の知れない炎』………。これは《闇》の炎のことだった。この星では、死ぬ気の炎は一般的に流通していた。しかし、知られていたのは《大空》・《嵐》・《雨》・《雲》・《晴》・《雷》・《霧》の大空の七属性、それよりも少ないが《大地》・《氷河》・《森》・《山》・《沼》・《川》・《砂漠》の大地の七属性の合計14の炎だった。《夜》・《闇》・《光》は世間には知られていなかった。ダークネスの両親も父親が《雷》、母親が《雨》の炎を持っていた。しかし、ダークネスはそのどちらの炎も持っておらず、黒い炎の1種類だけだった。産まれてすぐに体が燃え上がって判明した謎の炎にダークネスの両親は性質を調べた。見たことの無い炎に不気味さを感じるがこの炎が自分たちの今後の生活に役に立つならば、という考えにより期待していたが、その時に調べた結果は普通の炎と同じように対象物を燃やし尽くしたり、強化したりするぐらいだった。それぐらいなら、前者は《嵐》の炎、後者は《晴》の炎で何とかなるため、2人はがっかりした。そして、残ったのは不気味さだけだった。一応、自分達の子だということで両親は育てていたが、ある程度成長するとだんだんと粗雑に扱うようになり、今の状態になった。

 

 

 

 

「……………………」

 

ダークネスは納屋の中で痣だらけの体を手当てしないまま、膝を抱えて、座っていた。包帯などは、家のほうにあるためにできないのだ。

 

ぐ~~~っ

 

「……………………」

 

ダークネスの腹の虫がなった。もう、ここ数日、何も食べていなかった。近くにある川の水で腹を満たしているだけだった。しかし、ダークネスはそんなことは気にならないと言わんばかりに黙っていた。

 

「…………………どうすればいいかな?」

 

ダークネスはポツリと光のこもっていない目でつぶやいた。それは、盗みに成功する方法なのか、虐待されずにすむ方法なのか、どうすれば家族仲良くなれるのか、この腐った世界が平和になる方法か、それとも全部か、つぶやいたダークネス自身もわかっていなかった。ただ、痛む体も空腹も我慢して何かを考えていた。

 

『いっそのこと、あの2人を殺したらどうかな?』

 

すると、ダークネスの耳にそんな声が聞こえた。ダークネスは顔を上げて、周りを見渡した。しかし、周りには自分以外誰もいなかった。

 

「……………だれ?どこにいるの?」

 

『私が誰なのか、どこにいるのか、そんなことはどうでもいいさ。それよりも、貴様はいいのかな?』

 

「…………何が?」

 

ダークネスは聞こえてきた声に何者なのか、どこにいるのか聞いたが、聞こえた声は答えてくれず、逆に問いかけた。

 

『貴様の現状に決まっているさ!!いつも、いつも、父親に暴力を振るわれて、母親は見てみぬふりして気味悪そうに見る。このままだと、貴様死ぬぞ?』

 

「………………………」

 

『私はそうなる前にあの2人を殺すことをおすすめするけど?』

 

声はダークネスにそう声をかけた、自分が殺される前に自分が殺せと。確かに、この状況が続いたら、ダークネスの命は危ない。だからと言って、聞こえてきた声の言う通りに実の両親を殺すのはまずい。はたして、ダークネスの答えは……………

 

「……………………いやだ」

 

殺さないだった。

 

『何?』

 

聞こえてきた声は訝しげそうに言った。

 

『あのクズの2人を殺さないだと?いいのか?貴様死ぬぞ?』

 

「大丈夫だよ。確かに、あの2人はぼくのことを殴ったり、悪口言ったりするけど、全部、ぼくが悪いんだ。ぼくがしっかりしていたら、ちゃんとごはんも食べれるし、家の中で暖かい布団で寝かしてくれるから…………」

 

『………………………』

 

「それに悪いのは貴族だよ。貴族がくだらないことをしなかったら、こんなことにならなかったんだ………」

 

『!!』

 

ダークネスは気づいていなかったが、声の主は驚いた。無意識にダークネスは何もこもっていなかった目にどす黒く見えて、純粋な闇を宿していることを………。

 

『くっくっくっ』

 

「なにがおかしいの?」

 

姿が見えないためにダークネスは声の主にそう言った。

 

『いや、なんでもない。まぁ、貴様がそう言うなら、私もこれ以上は何も言わないさ。せいぜい、生き延びることだな』

 

声の主がそう言うと、もうダークネスの耳には何も聞こえなかった。

 

「………………なんだったんだろう?」

 

ダークネスは首をかしげて、そう言った。いつも通りに暮らしていたら、急に謎の声が聞こえたのだ。そう思ってしまうのは当然だ。ちなみにダークネスの目は元の何もこもっていない目に戻っていた。

 

「父さんと母さんを殺すか………………」

 

ダークネスは誰にも聞こえないぐらい小さく呟いた。少し思案すると、こう言った。

 

「…………………くだらないな」

 

 

 

 

ここは何もない真っ暗の空間。

 

ボウッ!!!

 

そこに、周りの空間とは真逆の真っ白の炎が燃え上がった。

 

『クックックッ。なかなかおもしろい子供だったな』

 

その白い炎から笑い声が聞こえた。

 

『殺さないって言った時は期待外れかと思ったが、あの目は……………』

 

声の主はその時のダークネスの目を思い出していた。

 

『クックックッ。あの子供は私とは似ているようで全く違う闇を持っている。まさしく、ダークネス()だ』

 

声の主は笑いながら、そう言った。

 

『これは楽しみだ。あの子供には私から()()()()でもいれようかな?その差し入れを手にした、あの子供はいったいどうするのやら?』

 

声の主は楽しそうに言った。この先、何が起きるのか、このときはまだ誰もわからなかった。

 

 

 

 

ダークネスが納屋で不思議な体験をした日から数日経ったある日。

 

ガシャンッ!!!!

 

「待ちやがれ!!!このクソガキ!!!!」

 

「ハァッ……………ハァッ…………」

 

平民たちが暮らす町の中でダークネスが盗みを働いていた。ダークネスが盗んだいくつかの物を取り返すために店主が追いかけていた。ダークネスも捕まるわけにはいかないと必死に逃げた。今回、盗んだものはそれほどの価値があると思っている。

 

「くそ!!!どこに行きやがったんだ、あのガキ!!?」

 

ダークネスを見失った店主はそう言って辺りを見渡すと、ダークネスを探しに移動した。

 

「……………行ったかな?」

 

物陰に隠れていたダークネスが顔を出して、辺りを見渡した。そこには、もう店主の姿は無かった。

 

「……………よし。今のうちに……………」

 

ダークネスはそう呟いて、我が家に帰った。

 

 

 

 

「よく、やったぞ!!!ダークネス!!!」

 

「えぇ!!本当よ!!がんばったわね、ダークネス!!」

 

父親と母親は珍しくダークネスを褒めていた。ダークネスが奪ってきた物は刃渡り20㎝の刃がついている銃身の側面には銀のドラゴンが彫られていた拳銃が2丁、漆黒の石がはめられているリング、そして。漆黒の色をした匣だった。この星では地球より匣の開発が進んでいるために戦争でも使われているのだ。

 

「この武器もリングの彫金も見事だな…………。売れば、高い値がつくぞ!!!おい、お前!!!ダークネスに飯を食わしてやれ!!!」

 

「えぇ。わかったわ。ほら、ダークネス、ご飯にしましょう」

 

「うん」

 

その日、ダークネスは久しぶりに両親と一緒に温かい食べ物を食べた。その時のダークネスは年相応に笑っていた。そして、"やっぱり、あの声が言っていたことはくだらないことだったな"とダークネスは思っていた。そして、ダークネスはその後、風呂に入り、これもまた、久しぶりに家の中で温かい布団の中で寝た。

 

 

 

 

その日の夜

 

「…………う、う~ん」

 

ダークネスは夜中に尿意を感じて、起きた。そして、ダークネスは用を足そうとトイレに向かった。トイレに向かっている途中、暗い廊下の中で部屋から光が漏れていた。おそらく、両親が起きているのだろう。そう思い、あまり気にせず、トイレに向かおうとすると……………

 

「それであの子はどうするの?」

 

「!?」

 

部屋を通り過ぎる前に聞こえた母親の言葉にダークネスは思わず立ち止まった。ダークネスは気になって、トイレに行く気にもならず、扉の隙間から覗いた。

 

「どうするってなんだ?」

 

父親が酒を飲みながら、母親に尋ねた。

 

「もう!!ふざけないで!!確かにあの子が盗ってきたものは今までで1番よかったわ…………。でも、これらって、ちょっと困ったのよね…………。武器のほうはグリップに炎を込めれば炎の弾丸を放つことができる仕組みだから、自分の炎がきれるまで弾切れが起きないっていう凄い物だけど、リングと匣に関しては属性がわからないわ………」

 

「…………………」

 

母親の困った声にダークネスは黙って聞いていた。

 

「確かに、このリングと匣は俺の《雷》でもお前の《雨》でも無かった」

 

「そうよ!!このリングと匣が何の属性かわからなかったら、売りようがないのじゃないかしら?」

 

「まぁ、確かにな。だが、そんなもん、明日、鑑定に出せば、すぐにわかるだろ?」

 

「そうかもしれなけど…………。それにしても、このリングと匣の色……………」

 

「…………あぁ。あいつの炎みたいな色だったな。それが不気味でいやだったな」

 

「…………………」

 

父親の言葉にダークネスはいつも言われているためにあまり気にしていなかった。

 

「まぁ、どっちにしろ、このリングはAランクオーバーな上に彫金も見事だし、匣はそれだけで便利な物だ。これらを()()()()()どもに売れば、大金が手に入るだろう!!!」

 

「!!?」

 

ダークネスは自分が盗ってきたものをまさか、自分の憎んでいる貴族たちに売ることに驚いた。しかし、両親はぞんなダークネスに気づかずに話を続けた。

 

「そうね。あの人たちは嫌いけど、金払いはいいからね」

 

父親の言葉に母親が肯定した。

 

「それで、話を戻すけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()はどうするの?」

 

「!!!?」

 

母親の言葉にダークネスは先程よりも驚いた。

 

「あ?そんなもん、売るに決まってんだろ」

 

「!!!?」

 

父親の言葉にダークネスはさらに驚いた。

 

「確かに今回はいい物を盗ってきたがたまたまだ。次からは、また失敗が続くだろうな。もう、面倒を見てられないぜ、まったく」

 

「そうね。それなら、いっそのこと、あの子を売って、お金になったほうが有効活用できるわね。でも、そしたら、あの子はどうなるのかしら?」

 

「さぁな?奴隷として扱われるか、人体実験の被検体として扱われるかのどっちかだな。まぁ、どっちにしろ、あいつにそんなの耐えきれず死んでしまうだろうな」

 

「ひどいわね…………。あの子の父親でしょ?かわいそうとか思わないわけ?」

 

「はっ!!そんなの全く思わないな!!!だいたい、お前もそうだろ?」

 

「まぁ、そうね♪」

 

「「アハハハハハハハ!!!!」」

 

両親はそう言うと、2人とも笑い出した。

 

「…………………………」

 

それに対して、ダークネスは黙って離れて()()()()に向かった。

 

「…………………………」

 

その時のダークネスの表情からは何も感じられなかった。

 

 

 

 

それから、両親も寝ようと寝室に向かって、2人は寝た。

 

……………………………………

 

…………………………

 

………………

 

………

 

 

その時だった。

 

グサッ!!!!

 

「がはっ!!!?」

 

父親の腹に急な激痛が伴い、眠りから目を覚ました。父親はいったい何事だと自分の腹部を見た。そこには…………

 

「貴様……………、どういうつもりだ……………()()()()()!!!!」

 

「……………………」

 

包丁を実の父親の腹に突き刺していたダークネスがいた。ダークネスは無表情のまま、父親を見ていた。

 

「誰のおかげで、生きてこられたって思っているんだ!!!!」

 

父親は白々しいことを言って怒鳴り、ダークネスを捕まえようとしたが…………

 

グサッ!!!!

 

その前にダークネスが包丁を引き抜いて、父親の心臓に突き刺した。

 

「がっ…………はっ……………!!!?」

 

父親はそのまま、血を吐きながら倒れて、絶命した。

 

「あなた!!!?」

 

すると、隣の喧噪に目を覚ましたであろう母親が今の光景を見て、驚愕していた。

 

ダッ!!!

 

グサッ!!!!

 

ドサッ!!!!

 

それに気づいたダークネスが包丁を父親から引き抜き、母親に勢いよくぶつかった。ダークネスの勢いに母親はそのまま後ろに押し倒された。

 

「な、なにするのよ!!!?……………ひっ!!!!」

 

文句を言おうとした母親だったが、ダークネスの顔を見て、まるで化け物でも見たかのように小さく悲鳴を上げた。その時のダークネスは何の感情もこもっていない表情をしていた。そしてダークネスは包丁を振り上げていた。

 

「ご、ごめんなさい!!!私たちが悪かったから!!!もう、あなたにひどいことなんてしないから!!!!だから、お願い!!!!命だけは!!!!」

 

母親は実の息子が何をしようとしているのか察して、命乞いをした。しかし、ダークネスは聞く耳を持たず………………

 

グサッ!!!!

 

母親に包丁を突き立てた。

 

「キャアァァァァァァーーーーー!!!!!」

 

激痛に耐えきれず母親は悲鳴をあげた。

 

グサッ!!!!グサッ!!!!グサッ!!!!グサッ!!!!グサッ!!!!

 

ダークネスは包丁を引き抜いては突き立てて、引き抜いては突き立ててを繰り返して行った。

 

「…………や………やめて…………」

 

母親は途切れ途切れにそう言ったがダークネスは聞く耳を持たずに包丁を突き立てていた。

 

「……………………」

 

そして、しばらく経つと母親がすでに絶命していることに気づき、ダークネスは包丁を突き立てることをやめた。

 

「……………………」

 

そこに残ったのは両親の死体とその両親の返り血を浴びたダークネスだった。

 

「………………くだらなかったのは……………ぼくの考えだったのかな………………?」

 

ダークネスの呟きが静かな部屋に響いた。その時のダークネスは自分を利用しようとしたことに対する怒りも実の両親が死んだことに対する悲しみもこれ以上自分がひどい目に遭わなくてすむという喜びも感じられない、恐ろしいぐらい無表情でダークネスの目は今までで1番、何もこもっていない無機質な目だった。



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リヴォルッツィオーネ

ダークネスが実の両親を殺してから、一晩が経った。

 

「…………………………」

 

ダークネスはあれから一睡もせずに両親の死体が転がっている寝室に座り込んでいた。

 

グ~~ッ……………

 

「…………………………」

 

すると、ダークネスの腹の虫が鳴り、とりあえず立ち上がって、食料を求めて、寝室から出た。

 

 

 

 

「ムシャッ…………ムシャッ……………」

 

ダークネスは椅子に座って、返り血を落とさずにパンを食べていた。しかし、その時のダークネスはパンの味を感じなかった。味覚を失ったわけではない。だが、それにもかかわらず、パンの味がしなかった。

 

「………………………」

 

パンを食べ終えて、ダークネスは動く気にならず、じっと椅子に座ったままだった。そんな時間がしばらく続いた。

 

「………………………」

 

すると、ダークネスは今気づいたと言わんばかりに、机の中心に置かれた物を見た。そこには、昨日、自分が盗ってきた武器やリング、匣があった。

 

「………………………」

 

ダークネスはなんとなく、リングを手に取り、自分の右手の中指にはめた。

 

ボウッ!!!

 

「!!?」

 

すると、リングから黒い炎が灯りだした。まさか、自分の炎が灯るとは思っていなかったため、それにダークネスは驚いた。

 

「……………もしかして」

 

ダークネスはそう呟くと、一緒に机に置いてあった漆黒の匣を手に取った。

 

「………………………」

 

そして、ダークネスはリングに灯っている炎を匣の穴に注入した。

 

パカンッ!!!

 

すると、匣が開匣した。どうやら、この匣はダークネスの炎で開匣するようだった。中から出てきたのは…………………

 

「グルッ?」

 

漆黒の体に血のように真っ赤な目をした鍬形の角を持った、体長50㎝のドラゴンだった。そのドラゴンはまるで寝起きのような反応した。

 

「ドラゴン……………?」

 

それに対して、ダークネスは少し目を見開いて驚いていた。当時の匣アニマルはベネスタンテ星の技術でも、現代種や古代種は数多くあっても、ドラゴンなどの伝説の動物という幻獣種は数が少なくて、超レア物だったからだ。

 

「グルッ?………ガウッ!!」

 

「わっ!!?」

 

すると、ドラゴンはダークネスを見て、飛びついた。さすがのダークネスもこれには驚き、後ろに倒れた。

 

「痛てて…………。いったい、なんなんだ?」

 

そう言って、ダークネスは自分の体の上にいるドラゴンを見た。

 

「グルル♪グルル♪」

 

ドラゴンはダークネスの体に嬉しそうに寄り添っていた。それは、まるでダークネスになついているようだった。

 

「お前……………」

 

ダークネスはそう言うとなんとなく、ドラゴンの頭をなでた。

 

「グルル♪」

 

それに対して、ドラゴンは気持ちよさそうにしていた。

 

「………………ふっ」

 

それを見て、ダークネスは薄く笑った。

 

「お前、ぼくと一緒に来る?」

 

ダークネスがドラゴンにそう問いかけると………………

 

「ガウッ!!!」

 

ドラゴンは嬉しそうにうなずいた。

 

「………………そうか。それなら、これから、よろしくね……………『()()()()』」

 

「グルッ?」

 

『ドレイク』と急に呼ばれて、ドラゴンは首をかしげた。それに気づいたダークネスがドラゴンに声をかけた。

 

「お前の名前だよ。名前が無かったら不便だからね。………………それとも、嫌だった?」

 

「グルルッ!!!ガウッ♪」

 

ダークネスの言葉にドラゴン、ドレイクは首を横に振り、嬉しそうに尻尾を振った。どうやら、気に入ったようだ。

 

「それじゃあ、改めて、よろしくね。ドレイク」

 

「ガウッ!!!」

 

今、このとき、1人と1匹の友情が結ばれた。………………………………しかし、このときのダークネスの目は少しマシになったが相変わらず光がこもっていなかった。ドレイクは《闇》の炎で動く《漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)》のためにダークネスの相棒になることはできても、光にはならなかったみたいだ。

 

 

 

 

「……………………さて、これからどうしようかな」

 

ダークネスはあの後、返り血を洗い流して、家の中にあった食料やお金などの荷物をリュックにまとめて、家を出た。その荷物の中にはダークネスがリングと匣以外に盗ってきた2丁のガンブレードも入っていた。もちろん、リングと匣も持って行くつもりだ。ちなみにドレイクは炎切れのために匣に戻った。

 

「……………………とりあえず、適当に移動するか」

 

ダークネスはフードをかぶりながら、そう呟いて、今まで自分が住んでいた家から離れた。

 

 

 

 

ダークネスは町に着くと、片隅で休憩することにした。そこで、ダークネスはこれからどうするのかを考えていた。貧乏だったために食料もお金もそこまで多くない。すぐに底をついてしまうだろう。おまけにダークネスは寝床を探さなくてはならない。今はまだいいが、これからだんだん寒くなってくる。とても、野宿で耐えきれるような環境ではなくなっているのだ。ダークネスは元の家に帰るつもりはなかった。だから、なおさら、何とかしなければいけなかったのだ。

 

「…………………()()()に入ろうかな」

 

ダークネスはポツリと呟いた。『革命軍』、それは平民、貧民たちが王族、貴族たちの横暴に抗うために設立された軍隊だった。それはダークネスのような子供が所属することは別におかしなことではなかった。子供を育てる余裕がない家庭などは革命軍に売ったりするのだ。革命軍も人数不足を補うために受け入れるのだ。売られた子供はそのまま革命軍で育てられて兵士になり、貴族たちと戦うことになるのだ。しかし、革命軍に入れば少なくとも衣食住は確保することができる。今のダークネスの状況にはピッタリだった。

 

「………………でも、どこに入ろうかな」

 

革命軍は複数ある。ダークネスはそれのどこに入るのか迷っていた。

 

「おい。最近の革命軍の動きはどう思うんだ?」

 

すると、ちょうど男2人が革命軍について話していた。ダークネスはその話に耳を寄せた。

 

「どうって言われてもなぁ。革命軍たちと貴族たちの戦いって、長い間起きているけど、ずっと革命軍が負けているよな………。ほら、この間も革命軍の1つがたいした戦果を上げることも無くて負けて、そこに所属していた連中は全員処刑されただろ?」

 

「まぁ、そうだな…………。はぁ……。俺たちはいつまで、貴族たちに怯えて暮らさなくちゃいけないんだ?」

 

「悔しいが貴族たちの技術はピカイチだからな……………」

 

男2人は落ち込みながら、そう話していた。それを聞いてダークネスも悩んだ。

 

「あ。でも最近、どっかの革命軍が力をつけているって噂が無かったか?」

 

「あぁ。そういえば、そんな噂があるな。確か『リヴォルッツィオーネ』って名前だっけ?でも、それはいい噂だよな?悪い噂だと、そこのボスは臆病者だから、貴族たちに攻め込むことができないっていうのがあるじゃん」

 

「ま。どっちの噂が正しいかなんて俺らにはわからないさ」

 

「それもそうだな」

 

2人はそう言って、移動していった。

 

「……………………『リヴォルッツィオーネ』か」

 

そう呟くとダークネスも移動していった。

 

 

 

 

「………ここが、リヴォルッツィオーネか」

 

あの後、ダークネスは人に聞き込みをして、リヴォルッツィオーネの本部に着いた。思ったよりも近くにあったのが幸いだった。聞かれた人々は怪訝な表情を一瞬したが、何か事情があると察したのか深くは聞いてこなかったのも幸いだった。

 

「あ?なんだ、お前は?」

 

見張りの男がダークネスに気づいて、声をかけた。

 

「ここに入りたいんだ」

 

男の問いにダークネスが簡潔に答えた。

 

()()か……………」

 

「また?」

 

「あぁ。さっきもな、お前と同じくらいのガキがここに入りたいって来やがったんだ」

 

「そうなんだ。それよりも入れてくれるの?」

 

男の自分と同年代の子供が来たという言葉よりも自分が入れるのか気になったダークネスが男に聞いた。

 

「あぁ。うちは別にガキだからっていう理由で断ったりしないから、ここに入ることは問題はないがお前もいつかは戦場に出てもらうから、明日から厳しい訓練を行うことになるぞ。それでもいいのか?」

 

男の問いにダークネスは……………

 

「うん。いいよ」

 

了承した。

 

「そっか。それじゃあ、ついてこい」

 

男がそう言うと、移動し始めて、ダークネスもそれについていった。

 

 

 

 

男に連れてこられたダークネスが着いたのはどこかの待ち合わせ室だった。椅子が2つあり、ダークネスはその内の1つに座らされた。

 

「それじゃあ、ここで待ってろ。今、担当の人を呼んでくるからな」

 

男はそう言うと、部屋から出ていった。

 

 

 

 

しばらく待っていると…………

 

「待たせたわね」

 

1人の女性が入ってきた。女性はダークネスの前の椅子にダークネスと向き合うように座って話しかけてきた。

 

「あなたがうちに入りたいって子?」

 

「はい」

 

「そう。それじゃあ、まずはあなたの名前は?」

 

「……………ダークネス」

 

女性に名前を聞かれて、ダークネスは少し間を開けて答えた。それが気になったのか、女性は尋ねた。

 

「今、なぜ間を開けたのかしら?」

 

「………この名前が好きじゃないから」

 

「好きじゃない?それはなんでかしら?」

 

「…………………嫌いな人たちがつけたから」

 

「そう…………」

 

ダークネスの言葉に女性は少し考えた。

 

「先程ね、とある民家でね、夫婦の遺体が発見されたの」

 

「!!」

 

女性の言葉にダークネスは身に覚えがあった。

 

「そして、そこの1人息子が行方不明なの。………………それって、もしかして…………」

 

「はい…………。ぼくです……………」

 

ダークネスは素直に答えた。

 

「そう…………。事情を話してくれないかしら?」

 

「……………わかりました」

 

女性にそう言われて、ダークネスは昨日の出来事を話した。

 

「そう………………。そういう事情ね。まぁ、それなら、仕方ないわね」

 

ダークネスの説明を聞いて、女性があっけからんにそう言った。ダークネスはそれに驚いて、女性に尋ねた。

 

「ぼくを警察に突き出さないのですか?」

 

「あぁ、大丈夫だよ。確かにどんな理由があっても君のやったことは許されるものじゃないし、本来はそうするべきだろうけど、君には情状酌量の余地があるからね。それに私としては、あなたが貴族たちの回し者かどうかわかればよかったからね」

 

「ぼくをあんな連中と一緒にするな!!」

 

女性の最後の言葉にムッと顔をしかめたダークネスが叫んだ。

 

「ごめん、ごめん。でも、あなたにそんな心配はなさそうだからね。いいわ。うちに入ることを認めるわ」

 

女性の言葉によりダークネスがリヴォルッツィオーネへの所属が決まった。

 

「それじゃあ、あなたの使える死ぬ気の炎の属性を教えてもらえるかしら?」

 

女性にそう言われて、ダークネスは戸惑ったが自分の指に嵌めているリングを見せた。

 

「えっと………名前はわからないのですが、こんな炎だけです」

 

ボウッ!!

 

そして、ダークネスがそう言うと、リングに黒い炎を灯した。

 

「!?」

 

見たことのない炎に、これには女性も驚いたようだった。

 

「この炎は!?(そういえば、大空の七属性でも大地の七属性でもない未発見の炎があったって噂で聞いたことはあるけど、まさか実在するなんてね)」

 

女性は驚きながら、内心、そんなことを考えていた。

 

「えっと、ぼくが産まれた際にすぐにこの炎が噴き出して、両親がすぐに調べたのです」

 

「そ、そう、それで結果は?」

 

「それが《嵐》と《晴》の炎みたいな特性で、そんな大したことは……………」

 

ダークネスはそう言うと、顔をうつむいた。両親にさんざん気味が悪いって言われたことを思い出したみたいだ。

 

「そう。……………まぁ、いいわ。それじゃあ、その炎をこのバッテリー匣に注いで。うちの構成員は必ずそれをする決まりだから」

 

そう言って、女性は蓋が開いた匣をダークネスの目の前に置いた。

 

「…………わかりました」

 

ダークネスはその匣に自分の炎を注ぎ込んだ。

 

「…………うん。それでいいわ。それじゃあ、次は――――」

 

そのあと、ダークネスが持っているリングや武器を確認したり、書類にサインしたり、この組織の説明を聞いたりした。リングとドレイクが入っている匣、ガンブレードはそのまま持っていいということで、ダークネスが持つことになった。まぁ、リングと匣に関してはダークネスにしか使えないからという理由もあるが………。そして、それらが終わると、これから自分が泊まる寄宿舎に連れていかれた。

 

「それじゃあ、ここがあなたが泊まる部屋よ。あなた以外にも1人、あなたと同い年の子がいるから、仲良くするのよ。その子にはあなたのことは話しておいたから」

 

「わかりました」

 

「うん。それじゃあ、これが部屋の鍵ね。無くさないでね」

 

女性はダークネスに鍵を渡した。

 

「ありがとうございます。それでは」

 

ダークネスは鍵を受け取ると女性に礼を言って、部屋に入った。

 

「……………ふぅ。今日はすごい日ね」

 

ダークネスが部屋に入るのを見届けると女性はため息をついた。

 

「今日、うちに入ってきた子…………。1人は得体の知れない炎を持っていて、もう1人は()()()()()()()()()()()()()()んだから」

 

女性はそう言って、今日起きたことを思い返していた。

 

「それにしても…………」

 

すると、女性はダークネスの炎が入っている匣を取り出して見つめた。

 

(あの炎はいったい何なのかしら?本人は大したことないって、言っていたけど。1つの炎に2つの特性があるなんて、普通ありえないわ。研究チームにも話したほうがいいわね………。この炎にはまだ秘密があるかもしれないし………)

 

女性はそう考えて、部屋から離れた。

 

 

 

 

一方、ダークネスが部屋に入るとそこには、二段ベッドや机、椅子など必要最低限の物が置いてあった。そして………

 

「お!お前が今日から俺と一緒にこの部屋で泊まるっていうやつか!!」

 

そこには、オレンジの髪に白のメッシュが入ったダークネスと同い年くらいの少年がいた。

 

「うん。そうだけど………」

 

「そっか!俺は()()()()()!!お前は?」

 

「………ダークネス」

 

「ダークネスか。よろしくな!!」

 

そう言うと少年、ルシフェルは手を出した。それに対して、ダークネスも手を出して、2人は握手をした。

 

「なぁ、ダークネス。お前はなんでここに入ったんだ?」

 

握手が終わり、ダークネスが荷物を下ろすとルシフェルがそう聞いてきた。

 

「……………行くところが無かったから」

 

「………そうか」

 

ダークネスの言い方にこれ以上は聞いてはいけないと思ったのか何も言わなかった。

 

「………俺も他に行く宛が無かったんだ。……………あの貴族たちのせいでな!!」

 

すると、ルシフェルは聞かれていないにもかかわらず、話し出した。

 

「俺の父さんはな、他の革命軍の幹部だったんだ。でも、その革命軍はこの前の戦争で負けたんだ………」

 

ルシフェルの言葉にダークネスは先程の男2人の会話を思い出した。

 

『この間も革命軍の1つがたいした戦果を上げることも無くて負けて、そこに所属していた連中は全員処刑されただろ?』

 

その時の男の言葉が正しいとすると、ルシフェルの父親は………………。

 

「俺の父さんはそこで処刑された…………。母さんは俺が産まれてすぐに病気で死んだ………。1人になった俺は今、こうしてリヴォルッツィオーネに入ったんだ!!」

 

ルシフェルは顔をしかめて、言い続けた。

 

「俺は貴族たちを許せない!!母さんの病気も父さんの話だと貴族たちが平民たちに流通しないように薬を買い占めていたんだ!!あいつらがそんなことしなかったら母さんも生きていたんだ!!!」

 

「…………ぼくも許せない。あいつらが好き勝手する理由なんてどこにも無いのに…………」

 

ルシフェルの言葉にダークネスも相変わらず光のこもっていない目で同意した。

 

「そうか。ダークネス!!絶対にあいつらに勝とうな!!」

 

「うん!!」

 

このとき、ダークネスとルシフェルは貴族たちに勝つことを誓った。自分たちの幸せのために……………。



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リヴォルッツィオーネのとある日常

すみません。特にネタが思いつかなかったので、一気に8年後に飛びます。


ダークネスがリヴォルッツィオーネに入って、8年が経った。その日からいろいろあった。ダークネスはルシフェルや多くのリヴォルッツィオーネに所属した子供たちとともに訓練に励んだ。格闘術や剣、銃などを使った戦闘の訓練はもちろん、リングや匣、戦術などの知識も教えられた。それだけじゃない。馬術やコンピュータなどの技術も教えられた。そのうち、バイクなどの乗り物の訓練もあるらしい。しかし、どれもとてもきつい訓練だったためにリヴォルッツィオーネをやめる子供たちも少なくはなかった。だが、ダークネスもルシフェルもそのつらい訓練を耐え抜いた。

 

「ハァ~~。やっと、今日の訓練、終わったぜ……………。早く、食堂に行って飯を食おうぜ」

 

「そうだな」

 

「グルッ………」

 

その日もまた、厳しい訓練を乗り越えたルシフェルとダークネスがそう話しながら、食堂に向かって廊下を歩いていた。ドレイクはダークネスの頭の上に乗っかっていた。ちなみに、この8年の間にドレイクは自由に体長3、4メートルの戦闘態勢の姿になれることが判明した。

 

「ダークネス!!ルシフェル!!」

 

すると、後ろから誰かに呼ばれて、2人は立ち止まって後ろに振り返るとそこには緑色の髪をした2人よりも年上の男が走ってきた。

 

「なんだ、()か」

 

その人物は後に《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれることになる久与田豪だった。豪は6年前、つまりダークネスとルシフェルが入ってから2年後にリヴォルッツィオーネに入った。豪はリヴォルッツィオーネに入る前に自分の両親を殺した下級貴族を壊滅させたみたいだった。下級とはいえ貴族が壊滅したことに当時は大騒ぎだった。その大事件から数日経った日に豪がリヴォルッツィオーネに現れた。そして、その時に豪は『我輩が貴族を滅ぼしたでござる。どうか、我輩をここに入れてほしいででござる』と言った。事実確認のために豪自身から聞いた情報とリヴォルッツィオーネの情報網で手に入れた情報を照らし合わせてみると豪が犯人であるということが事実として認められた。そして、貴族たちと戦う覚悟を見せてもらったためにリヴォルッツィオーネの所属が認められたのだ。

 

「『なんだ』とはひどいでござるな~~」

 

ルシフェルの言葉に豪は苦笑いしながら、そう言った。3人と1匹はそのまま、食堂に向かって歩き出した。

 

「見て見て!!ダークネス君とルシフェル君よ!!」

 

「たった1人で貴族を壊滅させた豪さんもいるわ!!」

 

「この前の筆記試験で1位だったダークネスに戦闘で1位だったルシフェル、10歳で貴族を壊滅させたという実績を持っている豪。その3人がそろっているなんて~~!!」

 

そんな3人を見て、近くにいた女訓練兵たちが話していた。中には目がハートマークになっている者もいた。実はこの3人はリヴォルッツィオーネの女訓練兵たちの間では人気があった。3人とも、顔がよくて成績がいいために当然といえば当然かもしれない。そして、3人以外の男訓練兵たちは嫉妬の眼差しをしていた。

 

「毎度毎度、何なんだ?この視線は?」

 

「確かにな。なぜ俺たちにこんな視線が来るんだ?」

 

「ハァ~~…………。全く、おぬしらは……………」

 

「グルル…………」

 

しかし、ルシフェルとダークネスはこの状況に全く気づいていなかった。それを見た豪とドレイクは呆れながら、ため息をついた。

 

「おぬしらは本当にこういうことは鈍いでござるな……………。他のことには鋭いでござるのにね…………」

 

「「なんか言ったか?」」

 

「別に何でもないでござるよ。それよりも早く食堂に行くでござる」

 

豪は独り言を呟き、ダークネスとルシフェルはそれに尋ねたが豪は笑ってごまかした。2人は早く貴族を滅ぼしたいがために恋愛には興味がなかったのだ。まぁ、それは豪にも同じ事が言えるのだが…………。3人と1匹は周りの視線をスルーして、そのまま食堂へ向かった。

 

 

 

 

ダークネスたちは食堂につくとそれぞれ食べ物を持って椅子に座り食べ始めた。

 

「それにしても、いつになったら俺らは戦場に出られるんだ?」

 

食べ始めて、しばらく経つとルシフェルが口を開いた。それを聞いて、ダークネスと豪は一旦手を止めて、ルシフェルのほうを向いた。

 

「いきなりなんだ?」

 

「いや、さぁ。俺たちもここに入って8年経つじゃん?そろそろ戦場に出て、貴族たちを壊滅させたいなぁって」

 

ダークネスの質問にルシフェルは苦笑いしながら答えた。

 

「まぁ、そろそろ()()が出るのではないでござるか?古兵の皆も数年前から戦っているでござるが……………」

 

「負けてはないが勝ててもいない…………って状態だからな…………」

 

「それで戦士がどんどん減っている…………。………確かに選抜で補充してもおかしくないな…………」

 

3人はお互いにそう話していた。『選抜』、それは訓練兵たちの中から上層部たちが優秀な戦士を選んで正式な戦士に任命されることである。それの時期は決まっておらず、いわば抜き打ちであった。しかし、訓練兵たちはそれが戦士不足の補充であることに気づいていた。だが、誰もそのことに不満はなかった。ここに所属する者は皆、貴族たちを倒そうという強い覚悟を持った者たちばかりだからだ。

 

「選ばれるとしたら、お前ら2人は間違いないだろうな」

 

すると、ダークネスがポツリと呟いた。

 

「なんでござるか?」

 

それが聞こえた豪がダークネスのほうに向いて尋ねた。ルシフェルも気になってダークネスのほうを向いていた。

 

「別に…………貴族たちを滅ぼしたという実績を持っている豪と戦闘の成績で主席であるルシフェルは選ばれるだろうなって、思っただけだ」

 

それに対して、ダークネスはあっけらかんと答えた。

 

「ふ~~ん。だけど、お前はどうなんだ?」

 

「俺か?」

 

「そうでござるよ。おぬしも筆記試験では毎回1位ではないでござるか」

 

「…………確かにそうだが、肝心の戦闘の成績が中の上だとな…………」

 

ルシフェルと豪に言われて、ダークネスは顔をしかめて答えた。このときのダークネスの戦闘センスは普通よりも少し上なぐらいで微妙なところだったのだ。実を言うと、ダークネスが模擬戦でルシフェルと豪に勝ったことが今のところ1度もないのだ。

 

「あぁ、確かに戦士になるのはまだ無理かな?お前の頭脳なら軍師になることはできそうだがな………」

 

ルシフェルの言うとおり、正式な兵士となるには戦闘の能力が高くなくてはいけないのだ。

 

「俺は軍師としてじゃなく、戦士として戦いたいんだ」

 

「まぁ、その気持ちはわかるでござる。我輩も誰かに指示するよりは自分で戦うことが好きでござるからな」

 

「でも意外だな。バトルマニアじゃないお前がそんなことを言うなんてな」

 

「……………別に、貴族を壊滅させたいって気持ちは変わらないが()()()についてもっと知りたいって思っただけだ」

 

「グルッ?」

 

ダークネスはそう言って、自分の右手の中指にはめられている黒いリングとテーブルに座っていたドレイクを見た。

 

「なるほど。確かにダークネスの炎はよくわからないものだからな」

 

「しかも、おぬしの両親は持っていなかった炎でござるか」

 

ダークネスの視線の先を見て、ルシフェルと豪は気づき、そう言った。ダークネスの炎に関して、最初はルシフェルやリヴォルッツィオーネの教官も含めた全員が驚いていた。ついでに言うと、ルシフェルが大空の七属性全ての炎を持っていることについても驚かれた。それで、見たことのない炎がために研究員がダークネスの炎を詳しく調べてみると、ダークネスの炎には他の炎と並行して使ってみると炎の力がさらにパワーアップするというダークネスに聞かれたとおりの結果だったがもう1つの対象物を燃やし尽くすという力は「燃やし尽くす」というよりは「無効となり無に帰している」みたいだった。そして、それ以外にも《炎の融合》という性質があることが判明した。しかし、これに関してはまだ詳しくはわからなかった。なぜなら、炎の融合の成功例はルシフェルの《大空》、《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》の大空の七属性全てを融合して生まれた《傲慢の炎》と豪の《雷》と《大空》を融合して生まれた《強欲の炎》だけだった。それから2人はその炎の特訓に励んだ。

 

「ドレイクとそのリングがなぜ存在するのかも気になるでござるな」

 

続いて、豪がそう言った。それにダークネスとルシフェルもうなずいた。ダークネスのリングと匣アニマルのドレイクはダークネスの炎で使える物だった。だから、誰が、なぜ、どうやって、その2つを生み出したのかわからなかった。さらに、ダークネスの武器であるガンブレードも今の技術では作ることができない物だった。これには上層部も首を捻った。

 

「たしか、どれもお前がガキの頃に盗んだ物だったな?」

 

「あぁ」

 

ルシフェルの問いにダークネスはうなずいた。当時のダークネスは深く考えていなかったが、今考えるとおかしいことだった。その後、3人は食事を続けながら、話し合ったが答えは出なかった。

 

 

 

 

その一方、リヴォルッツィオーネ本部の会議室では中年の男7人が囲むように座っており、その傍らで秘書と思われる女性が立っていた。男7人は皆立派な黒いコートを着ていた。そして、その女性は8年前にダークネスがリヴォルッツィオーネに入る際に担当した女性だった。

 

「それでは、これから《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》での会議を開こうと思う」

 

上座に座っていた男が口を開いた。その言葉に他の6人もうなずいた。これは革命軍、リヴォルッツィオーネのボスと最高幹部、通称、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》で行われる会議だった。そして上座に座っている男こそがリヴォルッツィオーネのボス、《大空の大罪》と呼ばれる男だった。

 

「これからの戦いのために戦士を補充するために選抜を行う。今回の議題はそれの人選についてだ。君!」

 

「はい」

 

男がそう言うと傍らにいた女性が持っていたホッチキスで留められていた紙の束を配った。その紙には1枚1枚違う人物の写真とプロフィールがあった。その中にはダークネス、ルシフェル、豪のもあった。どうやら、訓練兵のプロフィールみたいだった。

 

「やはり、ルシフェルは確実なのではないか?」

 

「戦闘の成績が主席のあの男か…」

 

「以前、私も訓練兵たちの訓練の様子を見に行ったがあの動きは素晴らしかった!」

 

「状況判断も筆記試験での成績も悪くない」

 

「大空の七属性全ての炎にそれら全ての性質を持つ《傲慢の炎》を扱えるという点でもなかなかの人材だ」

 

「もう、この男は確実だな」

 

《大空の大罪》以外の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》がルシフェルのことを推していた。そして《大空の大罪》も手を顎に当てて、うなずいた。

 

「ふむ。確かにこの男ならその内、私の代わりに《大空の大罪》を引き継いでくれるのにも申し分ないだろう。……………よし!!まずはこの男を採用しよう!!」

 

これにより、ルシフェルが正式な兵士に加入されることが決まった。それを聞いて女性はメモに書き込んだ。その後も豪が選ばれたり、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》で厳正な審査が行われた。彼らも無意味に同士を減らしたくないのだ。そして、審査は進み、終わりも近づいた。

 

「最後の1人か………」

 

「この男か………」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の7人は1枚の訓練兵のプロフィールを見ていた。

 

「名前はダークネス…」

 

「筆記試験では毎回主席を取っている男…」

 

「しかし、戦闘の成績では中の上か………」

 

「軍師としては申し分ないが………」

 

「今は必要ではないな………」

 

「それならば不採用か?」

 

6人がそれぞれそう言った後《大空の大罪》のほうを向いた。

 

「…………確かに今まで通りだったら、不採用だが………。この男は、得体の知れないところが多い」

 

《大空の大罪》の言葉に他の6人もうなずいた。

 

「確かにこの男は今まで見たことのない炎を扱う」

 

「しかも、その炎は未知が多い」

 

「ルシフェルの《傲慢の炎》に久与田豪の《強欲の炎》を生み出すきっかけとなった炎」

 

「それだけじゃない。あの男のリングと匣、武器も不明な点が多い」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちはいろいろと話した。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちもダークネスの存在が気になるみたいだ。

 

「おい。君から見て、この男はどう思うんだ?」

 

その内の1人が女性に意見を求めた。

 

「私ですか?」

 

「あぁ、そうだ。何でもいい。もともと、この男の炎の研究を薦めたのは君なのだからな」

 

「それでは、僭越ながら……。私は8年前にこの少年と面談をしました。その時の第一印象なのですが……………実を言うと怖かったのです」

 

そう言った女性はポーカーフェイスを保っていたが一筋の冷や汗が流れていた。

 

「怖かった………だと?」

 

「はい。その資料にも書かれていますが彼は両親に虐待されて、貴族に売られそうになりました。そしてそれを防ぐために実の両親を殺害。それから、数時間後に我が軍に所属するために来ました」

 

「ふむ。確かにそう書いているな。それで何が言いたい?」

 

「はい。この写真や今の彼だと多少落ち着いているみたいですが、当時の彼の目には一切の光がこもっていませんでした」

 

「光が?」

 

「はい。自分でも曖昧な表現だというのは承知ですが彼には私たちでは計り知れない闇を持っていると思うのです」

 

「まぁ、両親に虐待されていたとなると、別におかしな話ではないがな………」

 

「ここにはそれに似た境遇の者はいくらでもいる。我々もその内の1人だ。何を怖がる必要がある?」

 

「それが………………すみません。私の言い方に間違いがありました。彼はまるで…………」

 

女性は少し迷った態度を取ったが覚悟を決めて答えた。

 

()()()()()だと思いました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なかなか、おもしろい考えだね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性の言葉に感想を答えるかのように突如、謎の声が会議室に響き渡った。




この後、すぐに最新話を出します。


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革命の軍隊から破滅の教団へ

『なかなか、おもしろい考えだね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『!!!?』

 

女性の言葉に突如、誰かが答えて、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も女性も驚いた。

 

「何者だ!!」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは立ち上がって警戒した。女性も同様に警戒した。すると……………

 

ボウッ!!!

 

『!!!?』

 

机の中心で見たことのない白い死ぬ気の炎が燃え上がった。

 

『まぁ、落ち着きなよ。私は貴様らの敵じゃないからさ』

 

すると、白い炎から声が聞こえた。それに8人は驚いた。しかし、そんなことは気にしないと話し出した。

 

『初めまして、私は《ロヴィーノ》』

 

白い炎、ロヴィーノが自己紹介した。

 

「ロヴィーノだと?ふざけるな!!!ロヴィーノは大昔に地球で封印されたはずだ!!!」

 

1人の男がそう言うと武器を構えた。それに伴い、他の6人も女性も武器を構えた。

 

『だから、落ち着きなよ』

 

ロヴィーノがそう言うと、小さな白い炎を飛ばした。

 

『っ!!!?』

 

8人はそれを自分の武器で受け止めた。すると…………

 

『なっ!!!?』

 

武器は白い炎によって塵1つ残らず燃えた。8人はそれに驚いた。

 

『まぁ、確かにいきなりそう言われて、はい、そうですかって信じる者なんていないだろうね。それなら…………』

 

ロヴィーノがそう言うと……………

 

キンッ

 

『!!!?』

 

8人はとんでもない殺気に当てられて、膝をついた。

 

『……もういいかな?』

 

ロヴィーノはそう言って、殺気を治めた。それと同時に8人は息を荒くついていた。

 

『これで認めてもらえたかな?』

 

ロヴィーノはそう聞いてきた。

 

「…………ハァッ…………ハァッ…………ハァッ……………まだ、納得できない部分があるがとりあえず信じるとします………」

 

《大空の大罪》の男がそう言ったためにひとまず全員、この白い炎がロヴィーノだということを信じることにした。

 

『う~ん。完全に信じてくれたわけじゃないのは残念だけど、まぁ、それで妥協するよ。あ!それから、別に敬語は使わなくていいよ。私はそういうの気にしないしね』

 

とロヴィーノは言った。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》はお互いに顔を見合わせてうなずき、口を開いた。

 

「それではいろいろと聞きたいことあるが貴様の目的はなんだ?さっき、私たちの敵じゃないって言っていたが………」

 

『お?いきなりだね。まぁ、いいよ。私の目的は貴様らの協力だよ』

 

「私たちの協力だと?」

 

「《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれているあなたに手を貸してもらうのはこちらとしても嬉しい限りだが……………」

 

「それで貴様にどんな得があるんだ?」

 

男たちは怪しんでロヴィーノを見た。

 

『ふっ………。私にどんな得があるかって?そんなもの、愚問だね。貴様らに協力したら、今この世界を形成している貴族社会の破滅を見られるからさ!』

 

「貴族社会の破滅だと………?」

 

『そうさ!私は破滅(ロヴィーノ)!破滅こそが至上!!それが快楽であり生きがいでもあるのさ!!』

 

ロヴィーノの言葉に8人はなんとも言えなかった。ある意味、目の前にいる人物?が自分たちがひどい目にあっている元凶でもあるために当然といえば当然かもしれない。しかし、ロヴィーノはそんなことを気にせず、話を続けた。

 

『まぁ、そういうわけだから貴様らに協力するのさ。それに貴様らは自分たちの幸せのために邪魔となるものと戦っているのであって、貴様らも別に世界を自分たちの手で支配しようと考えているわけではないだろ?』

 

「それは、そうだが……………」

 

『それならば、問題ないだろう。いくら私でも肉体がなければさっきのようなことはできても、それより大きなこと、破滅に追い込むということはできないからな』

 

ロヴィーノの言ったことは嘘だった。その気になれば、いつでも破滅に追い込むことなどできるのだから。しかし、それが嘘だという証明するものはなく、肉体がなければなにもできないというのは当然のことだと思い、8人は納得した。

 

「わかった。私たちは貴様のことを同士と認めよう」

 

『フッフッフッ。それは礼を言おうか。それならば、早速、提案なのだが―――――』

 

ロヴィーノはそう言って、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と女性に話し出した。

 

 

 

 

~次の日~

 

大広間にダークネスたちが集まっていた。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちの招集で集まったみたいだ。皆、整列して待っていた。

 

「いったい、なんなんだ?」

 

「選抜の発表ではないでござるか?」

 

「選抜の発表なら教官が言うだろ。わざわざ、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》直々にやるものじゃない。それに、この招集は俺たち訓練兵だけじゃないみたいだぞ」

 

ダークネスの言うとおり、すでに戦場に出たことのある戦士たちも招集されていた。他の皆も何のために招集されたのか見当もつかず、小声で話していた。すると……………

 

「待たせたな」

 

リヴォルッツィオーネのボス、《大空の大罪》がマイクを持って、構成員たちの前に立って話し始めた。それにより、皆は静かになった。

 

「今回、集まってもらったのはお前らに重大な発表があるからだ!」

 

《大空の大罪》の言葉に構成員たちはざわめきだした。

 

「静粛に!!」

 

それを《大空の大罪》はすぐに静かにするように言った。そして、静かになったところを見計らって、発表の内容を言った。

 

「ふむ。それでは発表する!!本日より――――――」

 

『!!!?』

 

《大空の大罪》の発表に構成員たちは皆、驚愕した。

 

 

 

 

~1週間後~

 

ドカーーーーーーーーン!!!!

 

とある貴族の屋敷で爆発が起きた。

 

「敵襲だ!!!」

 

「相手はどこだ!!?」

 

「リヴォルッツィオーネか!!!?」

 

貴族が自分の兵士に敵が誰か尋ねた。

 

「い、いえ。それが…………。あの旗をご覧ください!!」

 

「いったい、なんだ?」

 

兵士にそう言われて、貴族は双眼鏡で敵の旗を見た。その旗にはドラゴンが爪で切り裂く様子の絵の下に《ROVINO》と書かれていた。

 

「《ロヴィーノ》?《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれた、あの?そして、自分たちはその教徒だと?フン!ばかばかしい!おい!!とっとと、撃退しろ!!!」

 

『ハッ!!!』

 

貴族に言われて、兵士たちは迎撃に向かった。

 

「ふん、愚かな。《ロヴィーノ教団》だか何だか知らないが、下等な平民ごときが我々に敵う者か。まぁ、また新たな奴隷が手に入るから良しとしよう」

 

貴族はそう言って、余裕の態度のつもりか、ワインを飲み始めた。しかし、この男は知らなかった。この日が自分の最期の日になることを………。

 

 

 

 

その一方………。

 

「いたぞ!!殺せ!!」

 

兵士の1人がロヴィーノ教団の者を見つけて、10人ぐらいの人数で突撃した。そして、その内の1人が斬りかかった。

 

ザシュッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

しかし、それよりも先にロヴィーノ教団の者に戦斧と槍を合わせた武器で斬りつけられた。斬られた兵士はそのまま絶命した。

 

「お前!!!?よくも!!!」

 

兵士の1人が敵討ちしようと攻撃しようとしたが…………

 

グサッ!!!

 

「ガハッ!!!?き、貴様………どういう…………つもりだ…………!!!?」

 

別の兵士に剣を背中から刺されたのだ。

 

「おい!!!?どういうつもりだ!!!」

 

当然、その兵士に別の兵士が叫んだが、その兵士は訳がわからないという顔をしていた。

 

「わ、わかりません!!か、体が勝手に!!!?」

 

「なに、訳わからんことを…………」

 

ドンッ!!!!

 

兵士の言葉を遮って、これはまた別の兵士が撃った。

 

「な、なんでだ…………!!!?」

 

撃った兵士は戸惑った。いや、撃った兵士だけではない。その場に立っていた兵士たち全員が体の自由を奪われていたのだ。

 

「………………………」

 

ロヴィーノ教団の男は興味なさそうに兵士たちを素通りした。

 

「あ!!!貴様、待ちやが………ぐあっ!!!?」

 

兵士の1人が止めようとしたがその前に別の兵士に殺された。

 

「う、うわぁぁぁーーー!!!」

 

「や、やめろーーーーー!!!」

 

「く、くそーーーー!!!」

 

そして、それに続くように兵士たちで殺し合いを始めた。彼らは気づいていなかった。自分たちの体に細いワイヤーがくっついていたことを。

 

 

 

 

「くっ!!!まだ、敵を撃退できないのか!!!?」

 

「は、はい!!!思いの外、敵の戦力が高くて…………」

 

「馬鹿者!!!なに、寝言を言っているんだ!!!これを何とかしなければ、俺たちはあの人に制裁されるんだぞ!!!いいから、匣でもなんでもいい!!!それを使って撃退しろ!!!!」

 

「はい!!!わかりました、隊長!!!!」

 

隊長に言われて、兵士たちは匣を開匣した。中から、様々な匣アニマルが出てきた。しかし…………………

 

ゴオオォォォォウ!!!!

 

「「「「ぐおおおぉぉぉぉ!!!!?」」」」

 

「「「「!!!!?」」」」

 

突如、空から黒い炎が襲いかかってきて、匣アニマルを燃やし尽くした。

 

「何なんだ!!!?今の黒い炎は!!!?」

 

「匣アニマルたちを燃やし尽くしただと!!!?」

 

「た、隊長!!!!あれを!!!!」

 

驚いている中、兵士の1人が空を指さした。そして、全員が指さしたほうへ向くと、そこには体長3メートルぐらいの漆黒のドラゴンが空を飛んでいた。そのドラゴンの背中には男が乗っていた。

 

「ドラゴンだと!!!?」

 

「馬鹿な!!!?なぜ、平民の革命軍にあのようなものがあるのだ!!!?」

 

兵士たちはそれを見て、混乱した。しかし、そんなことは関係無いとドラゴンは口に黒い炎をため込んだ。兵士たちはまずいと思ったが遅かった。

 

「やれ」

 

「グオオオォォォォ!!!!」

 

男の命令にドラゴンは口から炎を吐き出した。炎はそのまま、兵士たちに向かって………………

 

「「「「ぐあぁぁぁぁーーーー!!!!?」」」」

 

兵士たちを1人残さず、燃やし尽くした。男とドラゴンはそれを見届けると移動を始めた。

 

「これがあいつの言っていた俺が持っている《闇》の炎か……」

 

その際、男はポツリと言った。

 

 

 

 

 

時間が経っていく内に次々と兵士がやられていく中…………

 

「くそっ!!!たかが、平民ごときに何をやっているんだ!!!?」

 

貴族が余裕のない表情で悪態をついた。

 

ドカーーーーーン!!!!

 

「!!!?」

 

すると、部屋の扉が吹き飛んだ。

 

「どうも~~~。ロヴィーノ教団で~す」

 

間延びした、いかにも馬鹿にしていますという声で入ってきたのは、ハルバードを担いだルシフェルだった。ルシフェルの体には兵士のものと思われる返り血があった。

 

「貴様!!!私を誰だと思っての行動だ!!!」

 

「ゴミ」

 

「!!!?」

 

貴族のことをゴミと一言で返したルシフェルに貴族は青筋を浮かばせた。

 

ガシャーーーーン!!!!

 

「!!!?」

 

すると、今度は窓から誰かが入ってきた。

 

「………………」

 

「遅かったな、ダークネス」

 

「うるさい」

 

それは、ドレイクに乗っていたダークネスだった

 

「ドラゴンだと!!!?」

 

貴族もドレイクを見て、驚いていた。

 

「いや、そんなことはどうでもいい。……我々にこのような態度を取るとは………無礼者め!!!」

 

「ゴミに礼をかける必要なんて、ないだろ」

 

「!!!?」

 

また貴族のことをゴミと呼ばれたことに貴族は我慢ができなかった。

 

「ゴミは貴様らだ!!!」

 

貴族は自分の指にはめていたリングに《嵐》の炎を灯して、匣を開匣した。貴族は中から《嵐》の炎が纏った巨大な砲弾をダークネスとルシフェルに放った。

 

ドカーーーーーン!!!!

 

ドカーーーーーン!!!!

 

そして、直撃して爆発が起きた。

 

「ハハハハハッ!!!私を馬鹿にするからこんな目に遭うんだ!!!!愚かな愚民共め!!!!ハハハハハッ!!!!」

 

貴族はこの様子を見て高笑いをした。

 

「まぁ、革命なんてやっているし、正義の味方面しているわけじゃないから、別に愚民でいいんだけどさ。その愚民を生み出しているのがお前みたいな貴族(ゴミ)だから、お前らだけには言われたくないんだよな」

 

「同感」

 

「ハハハハハ…………は?」

 

ダークネスとルシフェルの声が聞こえて、貴族は信じられないという顔をして、2人のほうを見た。粉塵が晴れるとそこには無傷の2人がいた。

 

「馬鹿な!!!?あれをどうやって防いだ!!!?」

 

「これを使ったのさ」

 

貴族の質問にルシフェルは《傲慢の炎》をダークネスは《闇》の炎を見せた。

 

「い、いったい、な、なんだ……………その…………炎は…………!!!?」

 

貴族は見たことのない炎に恐れていた。

 

「悪いが答えるつもりはない」

 

「そうだな。お前は俺たちに殺されるんだからな」

 

「!!!?」

 

ダークネスとルシフェルの言葉に貴族はハッとして、必死に命乞いをした。自慢の匣兵器が破られたことで抵抗する意欲がなくなったのだ。

 

「い、命だけは!!!金ならいくらでもやる!!!!だから命だけは!!!!私はまだ死に―――――」

 

ドカンッ!!!

 

「ガハッ…………!!!?」

 

バタンッ…………

 

貴族が必死に命乞いをしている中、ダークネスがガンブレードで貴族の心臓を撃ち抜いた。おかげで貴族は即死だった。

 

「おいおい。なにいきなり撃ってんだ?」

 

「耳が腐りそうだったから、そうなる前に殺した」

 

「お前な~。まぁ、確かに聞くに堪えられなかったが、それだけが理由だけじゃないだろ?」

 

「!?……………そんなことはない」

 

ダークネスは否定したがルシフェルの言うとおりだった。ダークネスにとって、今の貴族の命乞いは8年前にダークネスが殺した大嫌いな両親の母親のほうがしていたものと似ていたからだ。それにむかついて、ダークネスは手を出したのだ。ダークネスはそのことを口に出さなかったが、ルシフェルは気にしてないらしく、こう言った。

 

「………まぁ、いいや。それじゃあ、ボス………じゃなかった、団長に連絡するか」

 

ルシフェルは通信機を取り出して、ロヴィーノ教団の団長、《大空の大罪》と連絡を取った。

 

「こちらルシフェルです。ターゲットの始末終わりました。今、ダークネスと一緒にいます」

 

『そうか。よくやった!それならば他の者が奴隷となっていた者たちを解放するから、お前らは直ちに戻ってこい』

 

「わかりました」

 

短い会話を終わらせて、通信を切った。

 

「戻ってこいってさ」

 

「聞こえた」

 

2人は短くそう言うと、ドレイクに乗って、窓から外へ出た。

 

「これから忙しくなるな」

 

「あぁ。だが、わざわざ《リヴォルッツィオーネ》から《ロヴィーノ教団》に名前を変えた()()が出るってことだ」

 

「あぁ、そうだな」

 

2人はドレイクの背中の上でそう話していた。ダークネスが言った《意味》、それはまた次回に。

 

 

 

 

~ダークネスとルシフェルがそう話している頃~

 

「やったーーーーーーー!!!!」

 

「俺たちは自由だーーーーーー!!!!」

 

「もう、あいつらのいいなりにならなくてすむんだ!!!!」

 

ロヴィーノ教団が襲撃した貴族に囚われた元奴隷たちが自分たちの自由に喜んでいた。

 

「…………………」

 

そんな中、奴隷の証の粗末な服を着た水色の髪のダークネスとルシフェルよりも年下の少年が自分たちを解放しに来たロヴィーノ教団の団員を見て、呟いた。

 

「…………ロヴィーノ教団…………か…………」

 

「おい!()()()()!!お前も喜べよ!!俺たち、自由なんだぞ!!!」

 

「…………うん。……………そうだね……………」

 

同い年くらいの元奴隷の少年にそう言われて、水色の髪の少年、スロウスは間を開けながら答えた。



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ダークネスの悩み

リヴォルッツィオーネからロヴィーノ教団に変わって、2年。ベネスタンテ星の社会バランスが変わり始めていた。ロヴィーノ教団が最初に襲撃した貴族は世界的に見れば小さいが、ある区域では1番の貴族だったために、そこが墜ちたことで周りにいた地位の低い貴族たちが混乱した。その混乱に乗じて、ロヴィーノ教団は攻めこんで、その区域は完全に貴族たちは手放すことになった。それは豪が下級貴族を壊滅させたことと比べものにならない、平民たちにとって本当の意味での革命軍の初の勝利だった。

 

ロヴィーノ教団が与えた影響はそれだけではなかった。貴族に勝ったことでロヴィーノ教団の名前は瞬く間に世界中に広がった。そして、ロヴィーノ教団という名前により、《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》のロヴィーノが平民たちの味方をしてくれているという噂も広がった。邪神とはいえ3つのサイキョウ(最強・最恐・最凶)を持っているために、戦うことを諦めていた平民たちは心強く思い、勇気づけられて、他の革命軍はロヴィーノ教団と同盟するようになり、今まで戦うことを諦めていた革命軍に入っていない平民たちも貴族たちにばれないように革命軍に物資などの協力をするようになった。中には、協力しない平民たちもいたが、それでも大半の平民が協力するようになったので傾向としてはいい方向に進んでいる。それに対して、貴族たちはプライドが高いために、同盟を結ぼうとしていなかった。それどころか、戦力の強化をしようと貴族たちで領地の争いを行っていた。余談だが、これを知ったダークネスたちはもの凄く呆れていた。それに関しては、自分たちの関係無いところでつぶし合いしてくれるなら好都合だということで放置した。

 

さらに、最初の貴族への襲撃でダークネスとルシフェルが最深部に乗り込んだことで、「ロヴィーノ教団は見たことのない炎を扱う」という噂も広まっていた。ダークネスの《闇》の炎とルシフェルの《傲慢の炎》、その後の貴族への襲撃で豪の《強欲の炎》、そして、最初の貴族への襲撃後にロヴィーノ教団に入団したスロウスの《雨》と《大空》を《闇》の炎で融合して生まれた《怠惰の炎》がそれを象徴した。大地の七属性よりも珍しい炎に平民たちは期待を寄せていた。

 

 

 

 

そんなある日の訓練所では………………

 

ドーーーーーン!!!!

 

「がっ!!!?」

 

ダークネスが壁に激突して、呻き声をあげた。

 

カチャッ…………

 

「はい。終わり」

 

「くっ…………」

 

ルシフェルにハルバードを突きつけられて、ダークネスは悔しそうに顔を歪めた。今、2人は模擬戦をしていたのだ。そして、結果は見ての通り、ルシフェルの勝利でダークネスの敗北だった。

 

ウィーン………

 

「ん?模擬戦は終わったのでござるか?」

 

ルシフェルが武器を納めて、ダークネスが立ち上がると豪が入ってきた。

 

「……………まぁな」

 

「お前はまた、貴族たちの死体を改造でもしていたのか?」

 

「そうでござる♪」

 

ルシフェルの言うとおり、豪は貴族たちの戦いが始まってから、貴族たちの死体を回収して武器を取り付けたりして、戦闘用に改造するようになったのだ。ロヴィーノ教団のメンバーは全員、そのことを知っていた。というのも、豪がリヴォルッツィオーネに入る前に自分の両親の改造死体で貴族を壊滅させたり、模擬戦で改造死体を使ったりしているので、最初は驚きはしたもののだんだん慣れたのだ。しかも、ロヴィーノがどんどんやるように薦めたために豪も調子に乗って死体を改造していくのだった。(余談だが、ロヴィーノは上層部、下っ端、関係なしにロヴィーノ教団の団員たちと自由に交流しているのだ。)そして、それにより豪は《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれるようになった。

 

「ふふふ。貴族たちは無駄に名誉にこだわるでござるからな。死後も人として扱われないのは、奴らにとっては最大の屈辱になるでござる♪」

 

「確かにな♪」

 

「…………お前ら、いい趣味してるな」

 

「ふふふ。褒め言葉として受け取るでござる♪」

 

ダークネスの皮肉を豪は受け流した。それを見て、ダークネスは呆れてため息をついた。しかし、ダークネスも否定する気はなかった。豪が死体を改造する相手は貴族か革命軍にスパイとして入っていた裏切り者だったりで、同じ革命軍や平民たちだと、寂しさをまぎわらすために改造した豪の両親以外はいなかった。非人道的だということはわかっていたが、そんな奴らがどうなろうとダークネスの知ったことではなかった。

 

「それよりも、模擬戦の結果はどうだったのでござるか?」

 

「あぁ。俺の勝ち」

 

「…………………」

 

豪の質問にルシフェルが答えて、それを聞いたダークネスがムスッと顔をしかめた。

 

「またでござるか……………。ダークネスも動きは悪くないと思うのでござるが………………。やはり先輩を超えてロヴィーノ教団で1番の実力を持っているルシフェルとの模擬戦は無理だったのではないでござるか?」

 

「ま、おまけに俺は半分、手を抜いていたしな」

 

「チッ………」

 

ルシフェルの言葉にダークネスが舌打ちをした。ダークネスもわかっていた。今、自分と戦っていたルシフェルが本気を出していないことがわかっていたのだ。

 

「そもそも、炎の純度も俺とお前とでかなり違っていたからな」

 

「…………………」

 

「純度でござるか?」

 

「あぁ。俺の《傲慢の炎》は純度が高いが……………、ダークネスの《闇》の炎はそういうのが低かったんだよな………。それも、かなりな……」

 

「ダークネスがいくら損得のない戦いにやる気が起きないとはいっても、模擬戦の最中でそんなことがあるのでござるか?」

 

「………………《闇》の炎は………そこまで特殊なのか……………?」

 

ルシフェルの言葉に豪がそう言うと、もう1人、誰かが声をかけてきた。

 

「スロウス、いつから起きていたんだ?」

 

ルシフェルはスロウスにそう聞いた。実はスロウスはずっと前から、ダークネスとルシフェルの模擬戦の最中も訓練所の片隅で昼寝をしていたのだ。

 

「……………つい、さっき……………。……………それより………………俺の質問は…………?」

 

「あぁ。…………いや、さすがにそこまではいかないだろう。《闇》の炎も死ぬ気の炎の1つだ。やっぱり、()()が左右されると思うぜ」

 

「…………………俺には覚悟が足りないって言うのか?」

 

ルシフェルの言葉にダークネスは顔をしかめて、そう言った。

 

「あぁ。そうだが?」

 

あっさりと言うルシフェルにダークネスは少し顔を引きつらせた。

 

「容赦なく言ってくれるな……」

 

「俺はそういうの気にしないしな。お前もそうだろ?」

 

「……………否定はしない」

 

「やれやれでござる………」

 

「………………………」

 

ルシフェルとダークネスの言葉に豪は呆れて、スロウスは興味なさそうにしていた。

 

「それで、なぜお前の覚悟が足りないかというと……………」

 

「………………………」

 

「単純に貴族たちへの()()()()()()()()からだと思うぜ」

 

「………………は?」

 

ダークネスは訳がわからないという反応をした。

 

「憎しみが足りない………だと?」

 

「あぁ。そうだ。俺はあのゴミ共にお袋の病気を治す邪魔されて、親父を殺された。豪は両親を殺された」

 

「………………………」

 

ルシフェルの言葉に豪が当時のことを思い出して、顔をしかめた。

 

「それから、スロウスは奴隷として理不尽に働かされたときの憎しみがある。………………………そうは見えないが………」

 

「見えないな……………」

 

「見えないでござるね………………」

 

「……見えないだろうね………………」

 

ルシフェルの言葉にダークネスと豪だけではなく、スロウスまでもが同意した。ここに、クソビッチとダークネスたちに呼ばれる女がいたら、「いや、自分のことでしょ!!?」とツッコんでいたが、あいにく彼女はまだ入団していなかった。そのおかげでこの中にはツッコミ役がいなかった。それは置いといて、ルシフェルの言うとおり、スロウスは物心がついた頃から親というものはいなくて、いわば孤児だった。他の子供たちと一緒に孤児院にいたがある日に貴族にさらわれて、奴隷として働かされるようになった。碌な休憩も許さず、何か失敗するたびに必要以上に責めるのだ。中には体罰というのもあった。それで死んだ奴隷や孤児院の仲間もいた。だから、スロウスの内心は貴族たちの憎しみがあったのだ。解放されてから、ロヴィーノ教団に入ったスロウスはやる気の無さに問題はあったが、ルシフェル、豪に次いでダークネスの《闇》の炎の融合に成功した人物であり、覇気の無さと《怠惰の炎》を並行して使った事による暗殺に特化した人物であることですぐに正式な団員として認められた。

 

「まぁ、ともかく、俺らはそう言った感じで貴族たちへの憎しみがある。俺らはその憎しみを覚悟に変えて、いつでもあいつらと戦えるようにしている。………………だけど、お前はどうなんだ?」

 

「俺は………………」

 

ルシフェルに言われて、ダークネスは考えた。ダークネスには確かに貴族たちへの憎しみというものを明確に持っているわけではなかった。もちろんダークネスも貴族たちを憎んでいる。しかし、むしろ自分の両親への憎しみのほうが強かった。そして、ダークネスの両親は10年前に自分自身が殺したのだ。

 

「…………………部屋に戻る」

 

ダークネスはそう言って、訓練所を出て行った。

 

「……………行っちゃった……………」

 

「まぁ、仕方ないか……」

 

それを見て、スロウスが呟き、ルシフェルは肩をすくめた。

 

「…………しかし、ルシフェル。おぬしの言うとおり、我輩たちの覚悟は憎しみから来ているのでござろう。そこは、否定しないでござるが………。今更、ダークネスに貴族に憎しみを向けろというのも無理な話ではないでござるか?」

 

すると、豪が疑問に思って聞いたみた。

 

「あぁ~~~~……………。まぁ、そこはダークネス自身が何とかするだろ。あいつ、頭いいし…………。それに覚悟の全てが憎しみから来ているわけじゃないしさ!」

 

それに対して、ルシフェルは投げやりに答えた。

 

「さっきと言っていることが変わっているでござる…………」

 

「………要は……何も考えていなかった…………………」

 

ルシフェルの答えに呆れる豪とスロウスだった。

 

「う、うるせーな!!おら!!それよりも、例の改造死体のテストをするために来たんだろ!?俺が相手してやるから、とっとと用意しろ!!!」

 

「やれやれ、仕方ないでござるね…。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうでござる」

 

「ふぁぁぁ~~っ………………」

 

そして、この後、ルシフェルと豪で模擬戦することになり、スロウスは部屋まで移動するのも面倒くさいのか再び、訓練所の片隅で寝始めた。

 

 

 

 

~その日から数日後~

 

バーーーーン!!!!

 

ドカーーーーン!!!!

 

バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!

 

ロヴィーノ教団がまた、貴族たちに攻め込んでいた。辺りは武器や匣兵器による爆炎などで戦場と化していた。

 

「待ちやがれ!!!」

 

「逃がすもんか!!!」

 

たくさんの貴族の兵士たちが必死に追いかけていたのは………………

 

「あいつが例の黒い死ぬ気の炎を使う奴だ!!!絶対に逃がしてはならんぞ!!!!」

 

『ハッ!!!!』

 

ダークネスだった。

 

バンッバンッ!!!

 

(これほどの多くの兵士を連れてこられたなら十分か……)

 

ダークネスは後退しながら、ガンブレードで炎の弾丸を撃っていた。そして、心の中でそう考えていた。兵士たちは知らないが今回はダークネスは囮として活動していた。今までの戦いでダークネスの知名度が上がっていた。ダークネスの持つ得体の知れない炎が平民たちとは逆に貴族たちは警戒していたのだ。だから、ダークネスを消そうと奮起したのだ。それを呼んでいたロヴィーノ教団はそのダークネスを囮に使うことにしたのだ。他の場所では《傲慢の炎》を持つルシフェルと《強欲の炎》を持つ豪が囮になっていた。この貴族でのとどめはスロウスが行う手筈になっている。

 

「………………………」

 

ダークネスは黙って、両手のガンブレードに炎を込め始めた。相手の兵士たちはダークネスが何をするのか気づいていなかった。

 

「《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

バババババババババババババババババババババババババババンッ!!!

 

『なっ!!!?』

 

ダークネスはガンブレードから無数の《闇》の炎の弾丸が撃ち出した。兵士たちはその量に驚いた。そして、兵士たちはかわすことができず、無数の弾丸が襲いかかった。

 

『ぐあぁぁぁぁーーーー!!!!?』

 

兵士たちは無数の《闇》の炎の弾丸を受けて、悲鳴を上げた。そして、しばらく経つと……………

 

『………………………………』

 

兵士たちは物言わぬ屍となった。

 

「………………………………」

 

ダークネスは多くの兵士の死体を気にせずに自分の手を見ながら、数日前のことを思い出していた。

 

(覚悟が足りないか………………)

 

ダークネスはあの後から周りに迷惑をかけないようにずっと考えていた。ダークネスは全ての覚悟が憎しみから来るものではないというのは、わかっていた。しかし、それでも、ダークネスは何一つ、覚悟に成り代わるものが思いつかなかった。

 

「……………ハァ…」

 

ダークネスはそんな自分に嫌気がさして、ため息をついた。

 

…………………………………………ダークネスが油断している、そんなときだった。

 

グサッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

急に背中から何者かに刺されて、ダークネスは血を吐いた。

 

ジュウウウウウウッ…………

 

「ガアァァァァ!!!!?」

 

しかも、内側から焼けていく痛みにダークネスは悲鳴を上げた。自分の腹を見てみると《嵐》の炎が纏ったナイフの先が見えた。《嵐》の分解でダークネスの体内を分解しているのだろう。続いて、後ろを見てみると、そこには…………………

 

「ハァッ………ハァッ………ハァッ…………」

 

荒く息をついていた貴族の兵士がいた。どうやら、ダークネスが倒した兵士たちとは別に他の場所にいたみたいだった。

 

「くっ!!!」

 

ドガッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

ダークネスはその兵士を後ろに蹴り飛ばした。その時に刺さっていたナイフも一緒にダークネスの体から抜けた。

 

バンッ!!!

 

そして、そのままダークネスは炎の弾丸を撃って、兵士の眉間を撃ち抜いた。

 

「………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………」

 

ダークネスはナイフが抜けたことで腹と背中から止めどなく、血が流れていた。

 

「………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………チッ!!!」

 

ダークネスは傷口を手で押さえて、このままこの場所にいたらまずいと思い、移動を始めた。

 

 

 

 

 

「…………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………」

 

ダークネスは荒く息をつきながら、森の中を逃げていた。

 

「…………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………もう大丈夫………か……………?」

 

ダークネスは敵地から離れたことを確認して、近くにあった木にもたれかかった。しかし、安心したのもつかの間だった。

 

「………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………(……………やばい………………血を…………流しすぎた……………)」

 

ダークネスは自分の傷口から流れ出た血の量からそう感じた。しかも、体内を分解されたために、さらにひどい傷になっていたのだ。そして、それと同時に目がかすんできた。最悪なことに近くに味方はおらず、通信機は逃げている最中にどこかに落としたみたいだった。

 

「…………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………(…………俺は……………死ぬのか…………?)」

 

ダークネスは自分の死期を悟った。

 

「…………ハァッ………ハァッ………ハァッ…………(…………こんな………わけわからない形で…………死ぬなんてな…………)」

 

ダークネスは自嘲気味にそう思った。

 

―………………か―

 

(…………やべ……もう何も見えないうえに……幻聴まで…聞こえ始めやがった…………)

 

ダークネスがいるのは普段だれも寄りつかない森だった。作戦前に近くにそのような森があると聞いていたためにダークネスは幻聴だと思ったのだ。

 

「(………まぁ、………何でもいいや…………。………ただ…………)………まだ…………生きたかったな……………」

 

ダークネスはそう呟いて、息を引き取った。



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光の一族

「………………………う………………うん…………………」

 

ダークネスがうめきながら、目を覚ました。

 

「……………………ここは?」

 

ダークネスは辺りを見渡すと、ロヴィーノ教団の本部の自分が寝ている部屋ではなく、知らないどこかの家らしかった。自分はベッドの上で寝ていたみたいだった。

 

(まさか、これが『あの世』っていうところか………………?)

 

ダークネスは自分が死んだことで、あの世に来たのかと思った。ちなみにダークネスは天国や地獄などのあの世の存在というものは、あろうがなかろうがどっちでもいいと思っていた。ロヴィーノなら知っていそうだが、いずれ自分が死んだことでわかることだと思い、聞かなかったのだ。さて、それは置いといて、ダークネスのあの世に来たという予想は周りを注意深く観察したことで、違うとわかった。自分は今、上半身裸の状態で傷口のある腹部と背中を覆うように包帯が巻かれていた。そして、自分が寝ていたベッドの側にある小さな机の上に自分の服が折り畳まれた状態で置いてあり、さらにその上にドレイクやガンブレードが入っている匣にリングが置いてあった。これらのことから、自分は()()()()()と推測することができた。

 

(誰かが俺を見つけて、治療でもしたのか…………?……………いや、それはない。俺はあの時に……………)

 

ダークネスは一瞬そう考えたが、すぐに否定した。自分の体は自分が1番よくわかっていた。あの時のダークネスは大量出血のうえに体内を《嵐》の炎で分解されて、助からないほどの重傷だった。それによって、ダークネスは間違いなく死んだはずだった。それなのに、なぜダークネスは生きているのか、ダークネスは考えていた。

 

ギィッ…………

 

「!?」

 

すると、部屋の扉が開いた。ダークネスは驚いて、扉のほうに顔を向けると………………

 

「あら?起きていたのね」

 

160㎝ぐらいのストレートの長い茶髪の20代のスタイルのいい、清楚で美人な女性が入ってきた。

 

「………………あんたは?」

 

ダークネスは女性に何者か聞いたが…………

 

「ふふ。ごめんなさい。少し待っていてくれるかしら?今、主人を呼んで来るから」

 

そう言って、女性は部屋から出て行った。

 

「…………………………………」

 

ダークネスは扉をじっと見て、それをやめると再び考え始めた。

 

(ここはあの女とあの女の旦那の家か………………。それなら、あの2人が俺を?…………だが、どうやってだ?)

 

ダークネスは必死に考えたが何も思いつかなかった。

 

ギィッ……………

 

すると、再び扉が開き、ダークネスが扉のほうに顔を向けると………………

 

「お!良かった!本当に目が覚めたんだな!」

 

「ね。だから、言ったでしょ?」

 

さっきの女性と170㎝後半の女性と同じ茶色の髪の20代の男性が入ってきた。

 

「体の調子はどうだい?」

 

男性はベッドの上にいるダークネスに近づいてきて、そう聞いた。

 

「…………………別に何ともない。……逆におかしいぐらいにな。…………それよりもあんたらは?」

 

「あぁ!そういえば、自己紹介がまだだったね」

 

ダークネスが素っ気なく言ったことを気にせずに男性はそう言った。

 

「僕は光城(こうじょう)聖輝(まさき)って言うんだ。聖輝って、呼んでいいよ」

 

「私は光城(こうじょう)明夜(あや)よ。明夜でいいわ」

 

男性、聖輝と女性、明夜がそう自己紹介した。

 

「……………その名前、あんたらは()()()()()なのか?」

 

『東洋の一族』、それはベネスタンテ星の住人の先祖がまだ地球にいた頃、東洋に住んでいた連中のことをそう呼ばれている。漢字で表記できる名前を持っている者はたいてい、その一族である。豪もその一族の1人であった。

 

「まぁ、そうだね。でも、君もそうじゃないのかい?」

 

「そうね。あなたの髪のその色、東洋の一族並に黒いわよ?」

 

聖輝と明夜はダークネスの髪を見て、そう言った。その質問にダークネスは目を閉じて答えた。

 

「………………確かに俺のお袋のほうの先祖はその一族出身だったって、話を聞いたことがある。だから、その遺伝だろ」

 

ダークネスは自分の母親の髪の色が自分と同じくらい黒かったのを思い出していた。

 

「そうなのか。それで君の名前は?」

 

ダークネスの答えを聞いた聖輝は今度はダークネスの名前を聞いた。

 

「……………………ダークネス」

 

「「…………………………」」

 

嫌そうに自己紹介したダークネスに聖輝と明夜は怪訝な表情した。

 

「えっと……………。……………どうして、そんなに嫌そうに言うのかな?」

 

それが気になって、明夜がダークネスに聞いた。

 

「………………俺の嫌いな奴らがつけた名前だからだ」

 

「「…………………………」」

 

ダークネスの答えに聖輝と明夜はなんとも言えないという顔をした。

 

「俺の名前なんかよりも、こっちは聞きたいことが山ほどあるんだが………」

 

この微妙な空気を何とかするためか、そもそも気にしていないのかわからないが(おそらく、後者だと思われる)、ダークネスは話を変えた。

 

「…………そうだね。確かに君には僕たちに聞きたいことが山ほどあるだろうね………」

 

とりあえず、聖輝はこの話を置いておくことにした。隣にいる明夜もうなずいた。

 

「まず、なぜ俺はここにいる?俺は確か森の中にいたはずだが?」

 

ダークネスが最初の質問をした。ある意味、当然の質問だった。

 

「あぁ。それは、たまたま僕が君を見つけたからさ」

 

「たまたま見つけた?」

 

ダークネスはそう呟いて、そういえば死ぬ前に誰かの声が聞こえたのを思い出した。ダークネスはてっきり自分の幻聴だと思っていたがどうやら違うかったみたいだった。

 

「……だが、なぜあんなところにいたんだ?確か、あの森は貴族の土地じゃないから貴族はもちろん、平民も立ち寄らない森だと聞いていたんだが………」

 

「そうね。でも、あそこは珍しい薬草が生えていたりするから、私たちは結構あの森に入っているのよ」

 

ダークネスの質問に今度は明夜が答えた。

 

「…………………なら、俺が今、ここで生きているのはその珍しい薬草っていうもののおかげなのか?俺は間違いなく死んだはずなんだ。それなのに、今こうして生きているのはおかしい。………………どうなんだ」

 

ダークネスはここで1番気になっていたことを聞いた。それに対して、2人は顔を見合わせて、それから答えた。

 

「確かに、僕が見つけたときには、君はすでに息を引き取っていた」

 

「………………………」

 

聖輝の言葉にダークネスはやっぱりと思った。

 

「でも、あなたが今こうして生きているのは薬草の力ではないわ。確かにあなたが生き返ってからは傷口に薬草を塗ったりしたけどね」

 

「は?」

 

てっきり薬草の力だと思っていたダークネスは間抜けな声が出た。

 

「それなら、なんで俺は生きているんだ?」

 

訳がわからないとダークネスは2人に聞いた。

 

「それは僕たちの()()()だよ」

 

それに聖輝が答えた。

 

「あんたらの…………炎………?」

 

ダークネスがそう呟くと2人は自分の右手の中指に金色の石がはまったリングをはめた。そして……………………

 

ボウッ!!!

 

ボウッ!!!

 

「!!!?」

 

2人のリングから見たことのない金色の炎が灯りだした。それを見て、ダークネスは驚いた。

 

「それは…………?」

 

「これはね《光》の炎って言うのよ」

 

「《光》の炎……………?」

 

見たことも聞いたことのない死ぬ気の炎にダークネスはオウム返しした。

 

「この炎はね、僕たちも全部はわからないけど…………、炎の《強化》と《融合》ができるのさ」

 

「!!?(俺の《闇》の炎と同じ力を!!?)」

 

ダークネスは自分が持っている炎と同じ性質を持っていることに驚いた。しかし、次の明夜の言葉でダークネスはさらに驚くことになるのだった。

 

「そして、もう1つ。これが《光》の炎の最大の特徴と言ってもいいわ。それはどんなに邪悪な物でも浄化したり、不治の病や怪我を癒したり治したり、さらには運が良ければ死からの蘇生をも可能にする力、《奇跡》よ」

 

「なっ!!!?」

 

「僕たちはこの《光》の炎の奇跡の力で君を蘇らせたのさ」

 

聖輝と明夜の話にダークネスは驚いた。そんな炎が存在することに、そして、その炎の力で自分は生き返ったことに。

 

「手を貸して」

 

すると、明夜がダークネスの右手を取って、自分のリングをダークネスの右手の中指にはめた。

 

「何を…………」

 

「いいから炎を灯して」

 

明夜に言われて、ダークネスは渋々と炎を灯そうとすると………

 

ボウッ!!!

 

「!!!?」

 

ダークネスの指にはめているリングから《光》の炎が灯ったのだ。

 

「何で………!!?」

 

「蘇生すると対象者は体質変化が起きて《光》の波動が流れるようになるのさ。そこまでしないと、ただでさえ可能性が低い蘇生が成功しないのさ」

 

驚くダークネスに聖輝が説明した。

 

「でも、この炎はできるだけ使わないことをおすすめするよ。見た感じ、あなたも私たちの知らない炎を元から持っているみたいしね。その上にこの炎が悪用でもされたら大変だわ」

 

机の上に置かれている漆黒の匣とリングを見て、明夜はダークネスに忠告した。

 

「…………………なら、なぜ俺に言った?」

 

「「え?」」

 

ポツリとダークネスの口から出た言葉に思わず聞き返した。

 

「なんで、俺に言ったんだ?そこは、薬草の力だとかごまかせただろ。俺が他の連中にしゃべるかもしれないだろ。あんたらも同じ炎を持っているんだ。そしたら、あんたらの身に危険が及ぶじゃねぇか。いや、そもそも、なんで俺を助けたんだ?あのまま、ほっといたら、あんたらは余計な心配しなくてすんだんだ。なんで俺を助けたんだ!?」

 

ダークネスは何が何だか訳がわからず口からそう叫んだ。

 

「なんでって、あの時に君が言ったからさ。『まだ、生きたかったな』って」

 

「!?」

 

聖輝の言葉にダークネスは確かに自分がそんなことを言ったことを思い出した。

 

「だけど…………それが俺を助ける理由にはならないだろ。さっきも言ったが俺があんたらのことをしゃべってしまうかもしれないんだぞ」

 

「う~ん。でも、何だかあなたのことほっとけなかったのよね………」

 

「は?」

 

「なんだかあなた寂しそうな雰囲気出しているからね………」

 

「それに、もし君が言ったところで僕たちは自分がやったことに後悔はしないし、そう言って僕たちを心配してくれるってことは少なくとも君は言わないってことだからね」

 

明夜は心配そうに聖輝は笑ってそう言った。

 

「なっ!!?誰があんたらの………!!?」

 

それを聞いてダークネスは動揺した。

 

「「ぷっ。あはははは!!!」」

 

それを見て、聖輝と明夜は吹き出した。

 

「……………チッ!!」

 

それに対してダークネスは舌打ちをした。しばらく、2人は笑っていた。ダークネスはなんだかはぐらかされた気分だったがこれ以上聞くのも億劫な気がして、やめたのだった。

 

 

 

 

2人が笑い終わってから、ダークネスはリングを明夜に返して、聖輝に傷を診られて、大丈夫だと判断された。診察が終わって、ダークネスは洗われたのか血が落ちていて、破れたところが縫われた服を着て、匣とリングを直した。

 

「…………………もう1つだけ、聞きたいことがあるんだが」

 

ダークネスは2人にそう言った。

 

「何かしら?」

 

「何でも聞いてくれ」

 

2人はそれに対して、嫌な顔1つせずにそう言った。

 

「あんたらは自分の炎を理解していた。いったい、どうやって知ったんだ?」

 

ダークネスは蘇生の理由ほどではなかったが気になった。自分の《闇》の炎は性質はロヴィーノ教団の研究員が名前はロヴィーノが教えてくれた。だから、見たことのない炎をどうやって知ったのかダークネスには気になることだったのだ。

 

「あぁ。それは僕たちが()()()()だからさ」

 

「光の一族?」

 

「えぇ。私たちは東洋の一族でもあるけど、同時に光の一族でもあるのよ」

 

ダークネスの質問に2人は答えた。

 

「その光の一族ってのは何だ?」

 

ダークネスは今度は聞いたことのない一族の名前について聞いてみた。

 

「光の一族っていうのはね。大昔、ご先祖様が地球でロヴィーノを復活させようとした罪で追放する際に彼らの監視をするために、一緒に地球を出た一族のことよ。その一族が《光》の炎を使うから光の一族って呼ばれるの」

 

「と言っても、地球にいた頃から《光》の炎の存在は隠していたし、その一族の血縁者が皆、《光》の炎を使えるっていう訳じゃないから。一族のメンバーもそう呼んでいるのも、今じゃ僕と明夜の2人だけだけどね」

 

それに対して、明夜が説明して、聖輝が苦笑しながら補足説明した。

 

「そんな一族がいたとはな………………。だが、関係無い子孫をこんな地獄のような場所に巻き込むって、いったいどんな神経しているんだ?」

 

「ん~。それは僕らも気になっていたんだよね」

 

「私たちのご先祖様は何より家族を大切にする人たちだったって聞いたけど、矛盾しているのよね………」

 

ダークネスが呟いた疑問も2人にはわからなかったみたいだった。その真実は彼らの先祖たちは豊かな星に行くつもりだったが、ロヴィーノによって着く前に壊滅状態に追い込まれたからなのだが、当然ダークネスたちは知らない。

 

「…………まぁ、いいや。それよりも聞いた俺が言うのも何だが……………それ言って良かったのか?」

 

「あぁ。大丈夫さ!!」

 

「あなたならその心配なさそうだからね♪」

 

「……………その謎の信頼は何だよ」

 

2人の言葉にダークネスは呆れていた。だが、なぜか嫌な気分にならなかった。

 

「それじゃあ、俺は帰る。世話になった。ありがとうな」

 

ダークネスはロヴィーノ教団本部に帰ることにした。

 

「あら、もう少しここにいてもいいのよ?」

 

「いや、そういうわけにもいかない」

 

明夜の誘いをダークネスは断った。実を言うとダークネスが死んだ日からもう2日経っていたのだ。だから、急いで帰る必要があったのだ。

 

「そうか…………、それなら、いつでも遊びに来ていいよ!」

 

「………………まぁ、気が向いたらな」

 

「ふふ♪楽しみにしているわ♪」

 

その後、ダークネスは今の場所を聞いて、少し食料を分けてもらい、光城宅を出た。

 

 

 

 

ダークネスの姿が見えなくなるまで見送った聖輝と明夜は真剣な顔つきになった。

 

「……………ねぇ、あなた」

 

「なんだ?」

 

「私たちであの子を支えましょう」

 

「……………………」

 

「たぶん、あの子、私たちとは真逆の存在だと思うの。私たちを光とするならあの子は闇。だからきっと、実の両親にもひどい扱いをされて、あんな風になっちゃったのよ…………」

 

「……………………」

 

「だからこそ、私たちがあの子の光になってあげるべきだと思うの」

 

「………うん、そうだね。僕も同じことを考えたよ。今のあの子は脆い。誰かが支えなくちゃいけないんだ」

 

静かに聞いていた聖輝も明夜の言うことに同意した。それを聞いた明夜は顔を輝かせた。

 

「あなた!!」

 

「ふふ。僕たちでがんばろうか」

 

「ええ!!」

 

1組の《光》の夫婦が《闇》を支えることを決意した。

 

 

 

 

一方、ここは何もない空間

 

『……………あいつは光の一族と接触したか。………………まぁ、いいや。私にとって得にはならないが損にもならないからね。とりあえず、何も知らないふりして、様子見でもするか』

 

白い炎の中で呟く声は誰にも聞かれることはなかった。



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光城輝夜&光城明聖

驚くことにたった1度だけですが、この作品、ランキングに入りました!

これも読者の皆さんのおかげです。ありがとうございます!

今後も頑張っていきます!


あの日からダークネスは時々、休暇のときに光城家へ足を運ぶことが増えた。なんとなく、そこで過ごす時間を悪くないと感じていた。ルシフェルたちには以前の戦いで怪我の手当てなどをしてくれて世話になった家へ言っている。ちゃんと《光》の炎や光の一族に関することは伏せておいた。しかし、なぜか露骨に驚かれたことにダークネスはイラッとした。ルシフェルたち曰く他人など興味ないという雰囲気を出しているダークネスが誰かと一緒にいようとしていることに驚いたらしい。まぁ、それは置いといて、ロヴィーノ教団の団員が全員、天涯孤独というわけではない。中には家族の元に里帰りする者もいるために、そこまで不振に思われることはなかった。

 

ダークネスはそこで何か特別なことをするわけではなく、ただ雑談したり、一緒に食事をしたりする程度だった。また、2人にドレイクのことも紹介した。聖輝と明夜の2人が笑っているのに対して、ダークネスは無愛想で過ごすことが多かったが悪くない時間を過ごしていると感じていた。

 

ロヴィーノ教団でも順調に貴族たちに攻め込んでいくことができている。ダークネスも同じミスをしないようにどんなときでも油断をしないように心がけた。また、致命傷となった腹と背中の傷も《光》の炎の力で完治した。おかげで、ダークネスは問題なく戦いに参加できて、大きな怪我をすることがなかった。

 

 

 

 

そんなある日の昼過ぎことだった。聖輝は例の森で薬草を採集に行って、部屋の中にはダークネスと明夜の2人だけのときだった。

 

「あなた革命軍なのよね」

 

明夜が皿洗いの手伝いをしていたダークネスが声をかけた。

 

「あぁ。そうだけど、今更なに言ってんだ?」

 

それに対して、ダークネスは答えた。そして、前からわかっていたことだろうって思って聞いてみた。

 

「貴族と戦っているのね」

 

しかし、ダークネスの問いに無視してさらに質問してきた。

 

「そうだが、それがどうしたんだ?」

 

ダークネスが眉をしかめて聞いた。

 

「いえね。どうして今、戦いが起きていると思う?」

 

すると、明夜はまた質問を返した。

 

「……………貴族たちの傲慢が俺たち平民の憎しみを生み出して、それが戦いを生み出す」

 

それに対してダークネスは答えた。

 

「そうね、確かに今の貴族たちがやっていることは許されることじゃない。誰かが止めなくちゃいけないわ。……………でも、それだけじゃないと思うのよ」

 

「は?」

 

ダークネスはどういうことだと思った。

 

「もともと、こんな戦いが起きている理由は豊かな土地が少ないからだと思うの………。ご先祖様たちがその土地を求めて争いが始まった。この星がもっと豊かだったら、こんなことにならなかったと思うの…………」

 

「………………確かにな。でも、そんなの今更だろ。たらればを言ったところで何かが変わるわけでもないし」

 

明夜の言葉にダークネスは素っ気なく答えた。

 

「ふふ。そうね。たらればを言ってもしょうがないわね。………………実はね、私たち、この世界の廃退した土地を豊かな土地に復興したいと思っているの」

 

「は?」

 

明夜の言葉にダークネスはわけがわからなかった。

 

「………どういうことだ?」

 

「そのままの意味よ。私と聖輝さんは荒れた土地が豊かな土地になったら争う理由が減るって考えているの。だから、そのために《光》の炎を研究しているの」

 

「《光》の炎を?」

 

「えぇ。《光》の奇跡の力で何とかならないかなって思っているの」

 

「……………そう、簡単な話じゃないだろ」

 

明夜の話を聞いて、ダークネスがポツリと呟いた。

 

「この荒れた世界の広さもそうだし。憎しみで動いている奴に理屈なんか、関係無いし。確かに争いが起きないなら、それがいいに決まっているさ。だけど、そんなのただの綺麗事だろ」

 

ダークネスは今まで何度も貴族たちと戦ってきた。それらをずっと見てきたことで聖輝と明夜が考えていることは無理だと思っていた。

 

「…確かに綺麗事だね」

 

すると、いつの間にか薬草採集から帰ってきた聖輝が呟いた。

 

「……………いつからいたんだ?」

 

「ついさっきだよ。君に復興についての話をするつもりだったから、わかったんだ。それよりも、確かに君の言うとおり、僕たちのやろうとしていることは綺麗事かもしれない…………。でも、僕たちはその綺麗事を貫き通そうと思っているんだ!」

 

「は?」

 

「綺麗事を貫き通すことができたなら、綺麗事って言うぐらいなんだ。いいことが起きるに決まっているさ!」

 

「だから、それができる状態じゃないから――――っ!?」

 

言いかけて、ダークネスは気づいた。聖輝と明夜の目が本気だということに。

 

「そうね。確かに難しいわ。何も成し遂げずに口先だけの結果になっちゃうかもしれない………。でも、だからって諦めるわけにはいかないわ」

 

「そうだね。このまま、革命軍が貴族たちに勝っても、しばらくしたら、また新しい戦いが起きてしまう。それを防ぐためにも僕たちがやらなくちゃいけないんだ!」

 

「………………あんたらはこの世界の闇を知っていて、そんな綺麗事を吐くのか?」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

「………………そんな覚悟があるなら、俺からとやかく言えねぇよ」

 

2人の言葉にダークネスが呟いた。

 

「……………俺には、そんな真似できねぇな」

 

「別にしなくていいよ」

 

「……………は?」

 

ダークネスの呟きに思いもよらぬ答えにダークネスは驚いた。

 

「………いや、てっきり『そんなことはない』って返すと思ったんだが」

 

「ふふ、そう。でも、これはあくまで私たちの考えだからね。私たちは私たち。あなたはあなた。そこは自由なの」

 

「君がどこで何をしようと基本、僕らは何も言わないさ。ただ、自分の信念に従えばいいだけさ」

 

「………俺の信念」

 

聖輝にそう言われて、ダークネスは考えたが何も思い浮かばなかった。それを見た聖輝は苦笑しながら言った。

 

「まぁ、そうすぐに思いつくものじゃないから、ゆっくり考えればいいよ」

 

「…………そうさせてもらうよ」

 

その後、皿洗いが終わり、雑談することになった。

 

「そういえば、君の誕生日っていつなんだ?」

 

すると、聖輝が聞いてきた。

 

「俺の誕生日?急になんだ?」

 

「いや。ただ、僕たちが君のことを知りたいだけだよ。ほら!君はあんまり自分のことを話さないでしょ?」

 

「そうね!私も知りたいわ!」

 

2人に言われて、ダークネスは渋々と答えた。

 

「俺の誕生日ねぇ………………あぁ。()()だ」

 

「「え?」」

 

「だから、今日だって言っているだろ」

 

「「………えええぇぇぇーーーー!!!?」」

 

ダークネスの答えに2人は驚いた。

 

「ちょ、今日!!?」

 

「何で今まで言わなかったの!!?」

 

「聞かれなかったから」

 

「だ、だからって………」

 

「言ってくれたら、こっちもいろいろと準備したのに………」

 

「別にいいよ。そんなの」

 

「そういうわけにもいかないよ!自分が生まれてきた日ぐらい大切にしなきゃ!」

 

「はぁ………(それ、1度死んだ奴に言ってもしょうがない気がするんだが………。………ってか、誕生日って俺が産まれた日でいいよな?死んでから蘇った日じゃなくていいよな?)」

 

聖輝と明夜が相談しているのを余所にダークネスはそんなことを考えていた。すると、相談が終わったのか2人がダークネスに向いた。

 

「えっと………とりあえず、悪いんだけど、今から準備しようとすると間に合わないからパーティーは無理なんだ…………」

 

「だから、いいって、言っているだろ………」

 

「それで、とりあえず今、考えたプレゼントをあげようと思うの!」

 

ダークネスの言葉を無視して、明夜はそう言った。

 

「プレゼント?」

 

「ああ、そうさ。といっても、物じゃないけどね」

 

聖輝は苦笑いしながら、そう言うとプレゼントの内容を言った。

 

「………………《輝夜(てるや)》、光城輝夜。君の新しい名前だよ」

 

「は?」

 

ダークネスは何を言われたのかわからなかった。それを察して聖輝は説明した。

 

「君はダークネスって名前が嫌いなんだろ?だから、新しい名前をあげることにしたんだ」

 

「私たちの名前から1文字ずつ取ったのよ。あなたも東洋の一族の血が流れているし、別におかしいことじゃないわ」

 

「それに僕もいい加減、君じゃなくて名前で呼びたいからね」

 

「そうね。私もあなたのことを名前で呼びたいわ」

 

「……………………」

 

2人に言われて、ダークネスは思い出していた。そういえば、この2人に自分のことをダークネスって呼ばれたことがなかったことを。

 

「…………だが、名前を変えるなんて、そんな簡単な話じゃないぞ。特にロヴィーノ教団には―――――」

 

「それなら、僕たちがいるときだけでいいから」

 

「そうそう♪それ以外なら別にどっちを使ってもいいから♪」

 

ダークネスの言葉を遮って、聖輝と明夜はそう言った。ダークネスには心なしか2人の目が輝いているように見えた。

 

「………ハァ………。………初めて、会ったときから思っていたが………、あんたらって結構、自分勝手だな」

 

「まぁな♪」

 

「この世の正義も悪も自分勝手みたいなところあるしね♪」

 

「開き直るなよ………」

 

2人の言葉に呆れるダークネスだった。

 

「ハァ…………。もう好きにしろよ………」

 

「そうさせてもらうよ、輝夜♪」

 

「改めてよろしくね、輝夜♪」

 

「……………………」

 

2人に輝夜と言われて照れたのか、ダークネスはそっぽを向いた。なんだかんだ言って、気に入ったみたいだ。その後、明夜が今ある物で作ったご馳走を食べたりして、その日は泊まり、翌日の朝にロヴィーノ教団、本部に帰った。

 

 

 

 

その日から、1ヶ月以上過ぎたある日。ダークネスはまた、光城宅に向かった。

 

「…………邪魔する」

 

ダークネスはそう言って、扉を開けて、光城宅に入った。

 

「「………………………」」

 

すると、いつもは「いらっしゃい」って笑顔で言って歓迎してくれる2人が、今回はどこかそわそわしていた。

 

「どうしたんだ?」

 

2人の様子が気になったダークネスが尋ねた。それを聞いた2人は顔を見合わせて、改めてダークネスの方に顔を向けて、明夜が口を開いた。

 

「輝夜………。驚かないで聞いて……………」

 

「……………あぁ」

 

「実は………………私、妊娠したの!」

 

「!!?」

 

明夜の言葉にダークネスは驚いた。

 

「…………そうか、おめでとう」

 

それを聞いて、ダークネスはお祝いの言葉をあげた。

 

「「それだけ!?」」

 

しかし、なぜか2人は不満そうに叫んだ。

 

「いきなり、何だよ…………。ってか明夜、あんたは妊婦なんだから無茶するな。聖輝も一緒に叫ぶな」

 

それに対して、ダークネスは顔をしかめて、そう言った。注意というおまけ付きで。

 

「いやさ。もう少し、『ええぇぇぇーーー』って感じでオーバーに驚いてほしかったなぁって思っただけだよ」

 

「そうそう」

 

「俺はそんなキャラじゃないだろ……………。くだらない…………」

 

2人曰く、以前の誕生日のときの仕返しという子供みたいな理由でダークネスを驚かそうとしたらしい。それを聞いてダークネスは呆れていた。ちなみに妊娠したのは本当みたいだ。

 

「………で何ヶ月なんだ?」

 

「4ヶ月よ」

 

「…………そうか」

 

「そう。つまり、あとだいたい半年ぐらいで輝夜の弟か妹が産まれるってことだ!」

 

「…………そうか。……………って、ちょっと待て!」

 

ダークネスは聖輝の言葉に一瞬流そうとしたが、内容が内容のために踏みとどまった。

 

「どうしたんだ?」

 

「『どうしたんだ?』じゃねぇよ!俺の弟か妹って、何の話だ!?」

 

「何の話って、あなたは私たちの子だから、そうなるんじゃないの?」

 

「いつから、俺はあんたらの子供になったんだ!?年の差から考えてもおかしいだろ!?」

 

「あなたの誕生日に『光城輝夜』って名前をつけたときからよ。それで私たちは名付け()になったからね♪」

 

「それに確かに10歳わずかぐらいの差しかないが、そんなの関係無い!」

 

「……………やっぱり、あんたら、自分勝手だろ……………」

 

堂々と言う2人にダークネスは頭が痛み出して、そう呟いた。

 

「ハハ!確かにそうだね!でも…………」

 

「?」

 

聖輝が言葉を区切ったのに、ダークネスは内心、首をかしげた。

 

「輝夜、僕たちは君のことを大切に思っているよ」

 

「そうよ。あなたと私たちはもう家族だからね」

 

「!」

 

2人の言葉にダークネスは心を撃たれたような感じになった。

 

「……………くっ!!それよりも今後について話すぞ!!」

 

「ハハ!」

 

「ふふ」

 

照れ隠しのつもりか、ダークネスはそう言って、そっぽを向いた。それを見て、聖輝と明夜は笑った。

 

その後は、これからどうするかについて、話し合った。なるべく、明夜の負担にならないようにしなければいけない。それで基本は夫の聖輝が家のことをやるという話になった。ダークネスも休暇などの日は手伝うことにした。明夜には体調が悪くなったら、すぐに聖輝かダークネスに言うことを約束した。そして、その後は、明夜のために体にいい料理をダークネスと聖輝が作って、その日もまた談笑して過ごした。

 

 

 

 

その日から、半年、ダークネスは休暇の日は必ず、光城宅に向かって、2人の手伝いをした。明夜の体調を気遣ったりもした。出産の時期が近づいてくると、明夜は入院することになった。そんなときは聖輝が付き添っていた。ダークネスも見舞いに行った。

 

そして、そんなある日、ダークネスは光城家にの目の前にいた。本当はとっくに出産していたのだ。しかし、あいにくその日はロヴィーノ教団での長期任務と重なって、行くことができなかった。そして、その任務が終わり、ダークネスはこうして来たのだ。来る前に連絡を入れたとき、聖輝が出てきて、快く了承したが、ダークネスは負い目を感じていた。出産に立ち会うことができなかったことはもちろんだが、何より自分みたいな人殺しが会ってもいいのかと………。そう悩みながら、やってきたのだ。

 

「…………ハァ~~~、フゥ~~~………」

 

ダークネスは深呼吸を1つすると、覚悟を決めて、扉を開けて家の中に入った。

 

「おかえり、輝夜!」

 

「おかえりなさい!」

 

ダークネスが入ると、聖輝と明夜が出迎えてきた。ちなみに半年くらい前からダークネスが家に入ると「おかえり」と言われるようになった。そして、それよりもダークネスは明夜が腕に抱えている赤ん坊に目が向いた。その赤ん坊はどこか聖輝と明夜の面影を感じた。

 

「その子が…………」

 

「ああ、そうだよ。この子が産まれてきた僕たちの子供、《明聖(あみ)》だよ」

 

ダークネスがその赤ん坊を見ていると、聖輝がそう言った。

 

「明聖?」

 

「そう、僕と明夜の名前のまだ使っていないほうを取ったのさ」

 

ダークネスの疑問に聖輝が答えた。

 

「ほら。明聖ちゃん、お兄ちゃんだよ」

 

すると、明夜が明聖をダークネスに近づけた。

 

「………………………」

 

「あれ?どうしたんだい?」

 

無反応だったダークネスが気になって、聖輝は尋ねた。

 

「…………………いや。汚れた人殺しの俺が触ってもいいのかと思って…………」

 

「もう!そんなこと、気にしなくていいの!ほら、この子も待っているよ」

 

「バブ?」

 

「………………………」

 

明夜にそう言われて、ダークネスはおそるおそる明聖に手を伸ばした。

 

ギュッ!

 

「!?」

 

「キャハハ!」

 

すると、明聖がダークネスの指を掴んで、笑った。それにダークネスは驚いた。

 

「あ!笑った笑った!」

 

「どうやら、もう懐いたみたいだね。ちょっと、嫉妬するな~」

 

明夜と聖輝がからかい気味でそう言った。しかし、ダークネスはそんな2人を無視して笑っている明聖を見た。

 

「キャハハ!」

 

「………………ふっ」

 

それを見たダークネスは光がこもった目をして、珍しく優しく微笑んだ。



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《闇》にとっての光

ダークネスが明聖と邂逅してから数日後、ロヴィーノ教団の本部ではダークネスとルシフェルが訓練の休憩の途中に重要な話をしていた。ちなみに豪は新たな戦闘用の改造死体作り、スロウスは自分の部屋で昼寝だった。

 

「グレム帝国とアルミダ帝国が戦争を起こすだと?」

 

ダークネスがルシフェルに信じられなさそうに聞いた。グレム帝国とアルミダ帝国とはこのベネスタンテ星でも上の部類に入る、世界でもかなり知名度の高い大国だった。その大国は力の強い貴族たちの連盟でできていた。

 

「あぁ、そうみたいなんだ。《霧》と《砂漠》の偵察部隊たちの話によると俺たちがさんざん暴れたせいか、お互いがお互いを潰して、戦力を手に入れようとしているみたいだぜ」

 

ルシフェルはダークネスにそう説明した。

 

「…………別にあんな連中の味方するわけじゃないんだが、あいつらには協力って言葉は知らないのか?下級や中級貴族たちが治めている国は自分の立場に遅くながらも気づいて、ようやく同盟を組んだりしたんだぞ」

 

「まぁな。連中、無駄にプライドが高いからな………。貴族って、自分たちの手で何とかするって考えを持っているやつばかりだし………」

 

「で、いざ、自分がやばくなったら、みっともなく喚くんだろうな…………。貴族って、自分よりも強い奴が現れたら一気に臆病者になる連中だな………」

 

「そうだな………。現に今まで見てきた貴族たちも皆、そんな感じだしな」

 

ダークネスとルシフェルはお互い、貴族に呆れながら話していた。

 

「………それで、その戦争に関しては俺たちはいつも通り、傍観だとさ」

 

「…………まぁ、そうだろうな。俺たちが首を突っ込んでも意味はないし、このままつぶし合いしてくれる方がこっちも都合がいい」

 

「そうだな。仮にもあの2つの国はベネスタンテ星でも1番ではないにしても、有数の大国だ。戦力も強大に違いない………。不用意に攻めても、俺たちがやられるだけだ」

 

ルシフェルの言うとおり、ベネスタンテ星の大国の住人になったら、アルコバレーノや復讐者(ヴィンディチェ)クラスの力を持つ者がぞろぞろいるのだ。ちなみにダークネスたちベネスタンテ星の住人はアルコバレーノや復讐者(ヴィンディチェ)の存在は知らない。なぜなら、ダークネスたちの先祖が地球を追放されたときはまだ(トゥリニセッテ)は7つの石だったのだ。だから、ベネスタンテ星の住人は(トゥリニセッテ)の生贄となったアルコバレーノもそれの成れの果てとなった復讐者(ヴィンディチェ)を知らないのだ。そして、それと同時にアルコバレーノのおしゃぶり以外の(トゥリニセッテ)であるボンゴレリングとマーレリングの存在も知らないのだ。彼らがその存在を知るのはまだ先の話だった。

 

「…………傲慢な考えを持つことが多いお前にしちゃ、珍しいな」

 

「…………俺だって、ちゃんと相手を判断するさ。必要のない無謀な戦いなんか、したくないしな」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

ダークネスの言葉にルシフェルはジト目で睨んだ。それに対して、ダークネスはどこ吹く風のように受け流した。

 

「チッ!…………まぁ、いい。この状態だと、俺たちはしばらくは何かするってことはなさそうだな」

 

「あぁ。せいぜい、連中が攻め込んでこないか警戒するぐらいだな」

 

「……………ってことは明日の休暇も例の家に行くのか?」

 

「まぁな」

 

「ふ~ん………。まぁ、気をつけな」

 

ルシフェルは質問しておきながら、興味なさそうに言った。

 

「あぁ、そうさせてもらうよ」

 

ダークネスも特に気にせずにそう言った。そして、2人はその後、訓練に戻った。

 

 

 

 

翌日、ダークネスは昨日、ルシフェルに言ったとおり、光城家に向かった。

 

ガチャッ

 

「お!おかえり、輝夜」

 

ダークネスが入ると、たまたま玄関近くにいた聖輝に声をかけられた。

 

「……………ただいま」

 

それに対して、ダークネスは照れくさそうに返事した。

 

「明夜と明聖なら、リビングにいるよ」

 

「あぁ」

 

そう言って、2人はリビングに向かった。そこにはベビーベッドで寝転んでいる明聖の面倒を見ていた明夜がいた。

 

「あら、おかえりなさい」

 

ダークネスに気づいた明夜が声をかけてきた。

 

「……………ただいま」

 

そして、ダークネスは聖輝のときと同様に照れくさそうに返事した。

 

「バブ!」

 

すると、ダークネスに気づいた明聖が嬉しそうに笑って、手を伸ばしていた。

 

「フッ…………」

 

それを見たダークネスは優しく微笑んで、自分の手を伸ばして、明聖をじゃれつかせた。

 

「私たちでもなかなか、あんな優しい顔つきにできなかったのに明聖だと1発よ。さすが、私たちの子供ね」

 

「そうだな。………でも、ちょっと悔しい気持ちもあるな…………」

 

「あ。それ、わかるわ。でも、かわいいは正義だから仕方ないよ!」

 

明聖をじゃれつかせていたダークネスの背後では聖輝と明夜(お節介な2人)が何か話していたが、ダークネスはガン無視した。

 

「そうだ、明聖。今、こいつを呼ぶからな」

 

そう言って、ダークネスは自分のリングに《闇》の炎を灯して、ポケットに入れていた匣に注入した。

 

「ガウッ!」

 

すると、小型サイズのドレイクが匣から飛び出した。ドレイクは飛び出すとベビーベッドの中に入って、明聖に向かい合った。

 

「キャハハ♪」

 

「ガウッ♪」

 

すると、明聖とドレイクはじゃれつき始めた。実は明聖とドレイクはダークネスが明聖と初めて会った日に既に紹介していたのだ。最初は小型とはいえ明聖がドレイクを怖がって泣き出さないか心配だったが、それは杞憂だった。明聖はドレイクと対面すると自分の体と同じくらいの大きさのドレイクを見ておもちゃができたと思ったのか喜んだのだ。ドレイクも明聖の遊び相手を快く引き受けたのだ。ドレイクは自分の爪などで明聖を傷つけないように気をつけて、明聖を楽しませていた。

 

「……………………」

 

そんな1人と1匹にダークネスは微笑ましく見ていた。ロヴィーノ教団でのダークネスしか知らないルシフェルたちが見たら、絶対、驚くだろう。

 

「………………ん?あれは?」

 

ダークネスが明聖とドレイクから視線をそらすと棚の上にあった物に目がついた。ダークネスはそれを手に取ってみると、それは写真立てだった。

 

「…………もうこの写真を飾っているのか」

 

その写真には明聖を抱きかかえた明夜と聖輝とダークネスとドレイクが写った写真だった。聖輝と明夜とドレイクがカメラのほうに向いているのに対して、ダークネスは視線をそらしていたが…………。

 

「当然よ!せっかくの家族写真なんですもの!飾らなきゃ、損よ!」

 

「まぁ、欲を言えば、輝夜もカメラのほうに向いてほしかったがな…………」

 

「…………うるさい」

 

実はこの写真もダークネスが明聖と初めて会った日に撮ったものだった。その時のダークネスは気遣ったつもりか自分は写るつもりがなかったのか(おそらく後者だろう)、「自分が撮ってやる」と言って、カメラを持ったが聖輝と明夜が「輝夜も写ろう!」と言って、カメラをダークネスから取り上げて、いつの間にか用意した三脚に取り付け始めた。ダークネスはそれを見て諦め、渋々と撮られることになったのだ。

 

「………………それにしても、あなたも雰囲気が柔らかくなったわね」

 

「は?」

 

「そうだな。初めて会ったときは少なくとも今よりはもっと暗い雰囲気を纏っていたように見えたな。それも、他の革命軍たちとは比べものにならないものをね…………」

 

「…………………」

 

聖輝と明夜が当時のことを思い出しながら話して、ダークネスは黙って聞いた。2人から見て、当時のダークネスは何か闇に包まれていて、ダークネスの目も一切何もこもっていないように見えた。態度とかではなく、直感的にそう感じたのだ。だが、今のダークネスはその雰囲気が柔らかくなり、目も僅かながらも光がこもっているように見えたのだ。

 

「………………まぁ、あんたらがそう見えるって言うなら、それはあんたら一家のおかげだろ」

 

それを聞いてダークネスが呟いた。

 

「ドレイクは俺にとっても大事な相棒だが、あいつは《大空》の匣みたいに主に影響されるみたいだから、ある意味、俺みたいなものだ。だから、闇である俺にとって光にならなかった」

 

ダークネスは明聖と遊んでいるドレイクに目を向けて、そう言った。

 

「だが、あんたら一家に関わって、あんたらの自分勝手に振り回されることも、正直に言ってムカつくこともしばしばあったが、なぜか胸が温かくなったように感じたんだ」

 

すると、次は聖輝、明夜、そして明聖に目を向けて、ダークネスは言った。さらりと毒を混ぜて………。

 

「輝夜って、たまに毒舌だよね………」

 

「そうだな…………」

 

それを聞いて、明夜と聖輝は顔を引きつらせた。

 

「……………まぁ。それに悪くないって感じた。だから、感謝する。………………ありがとう。俺にとって、あんたらは光だ」

 

そして、最後にダークネスは照れくさそうに礼を言った。

 

「輝夜…………」

 

「………………」

 

そんなダークネスに2人は優しい目で見た。

 

「………………それなら、いい加減、僕のことを『父さん』って呼んでほしいな」

 

「あ!私も『明夜』じゃなくて、『母さん』って呼んでほしいわ!」

 

「断る」

 

最後の最後で聖輝と明夜は雰囲気をぶち壊して、ダークネスは即答した。その後、いつも通り、明聖の面倒を見たり、談笑したり、一緒に食事をして過ごした。

 

 

 

 

その後、夜になり、ダークネスは光城家に挨拶して別れて、ロヴィーノ教団の本部に向かって帰っていた。そんな道の途中だった。

 

「そこのあなた、待ってください」

 

背後から誰かに呼び掛けられて、ダークネスは立ち止まった。振り返るとそこにはトレンチコートを着ていた20代の長い金髪を後ろに1本に纏めていた女性が立っていた。

 

「あなたはロヴィーノ教団のダークネスさんですね」

 

「そうだが…………。誰だ、お前?」

 

「これは失礼しました。私は『アジェンテ』のエレオノーラと言います」

 

「アジェンテ…………」

 

女性、エレオノーラの所属する組織の名前にダークネスは思い当たる節があった。『アジェンテ』、それはロヴィーノ教団とは同盟を組んでいない数少ない革命軍の1つだった。ちなみに同盟を組んでいない理由は定かではなかった。アジェンテは戦闘方面はそこまでではなかったが情報操作と研究はお手の物だった。その分野に関してはロヴィーノ教団を上回ると言っても過言ではなかった。同盟を組んでいないにしても、ロヴィーノ教団はアジェンテに依頼することは少なくなかった。そして、彼女が来ていたコートの胸の部分にはアジェンテのシンボルがあった。それにより、ダークネスは嘘ではないと思った。

 

「そのアジェンテの者が俺に何の用なんですか?」

 

同盟を組んでいないとはいえ、自分が所属する組織との仲を拗らせるわけにもいかなかったので敬語を使って話した。

 

「単刀直入に言います。私たち、アジェンテに入ってほしいのです」

 

「は?」

 

エレオノーラにそう言われて、ダークネスは一瞬、理解できなかった。

 

「…………いったい、どういうことですか?」

 

「はい。最初から説明させてもらいます。実は先程、お昼前にロヴィーノ教団から我々、アジェンテに同盟を申し込んできました」

 

ロヴィーノ教団が情報操作に優れているアジェンテと同盟を結びたかったことは知っていたので、別におかしい話ではなかった。

 

「そこで、我々はある1つの条件で同盟することを約束しました」

 

「条件………ですか。それで、その条件は俺への勧誘と関係があるのですか?」

 

「はい、そうです。我々が提示した条件は『ダークネスを我々、アジェンテの一員として迎える』というものです」

 

「!?」

 

アジェンテが提示した条件にダークネスは驚いた。

 

「……………それで、あなたがここにいるということはロヴィーノ教団の答えはそれを了承したということですか?」

 

「………いえ、半分は合っていますが半分は違います。厳密には『その答えはダークネスに任せる』というものです」

 

(俺に責任を全て負わせたな、あのじじい共)

 

エレオノーラの言葉にダークネスは心の中で上層部に毒づいた。

 

「(……まぁ、俺の意思が尊重されているだけ、まだマシって考えるか)………そうですか。……しかし、なぜ俺なんですか?」

 

ダークネスは心の中で上層部にフォローを入れて、気になったことを聞いた。

 

「はい。ご存じの通り、我々は情報操作と研究は優れていると自負していますが、その代わりに戦力が乏しいのです」

 

「それで、俺に入ってほしいってことですか?」

 

「はい、そうです。同盟してくれるとはいえ、やはり、こちらも戦力は上げたいので………」

 

「それなら、なぜ俺ですか?俺は確かに戦場に出ていますが、他にも適した人物がいたのでは?」

 

「それは、あなたの《闇》の炎に興味を持ったというのが1番の理由ですね。あなたの炎は今まで見たことのないものです。だからこそ、研究のしがいがあるというものなのです」

 

「…………………」

 

ダークネスはエレオノーラの説明に辻褄も合っていると思い、納得した。しかし、だからといって、アジェンテに転属することに悩んだ。別にロヴィーノ教団にいなければいけない特別な理由があるわけではない。しかし、ただ、なんとなく、そう思ったのだ。それを見て察したのかエレオノーラが声をかけてきた。

 

「もちろん、受け入れてくれるならば、それなりの待遇はします」

 

「……………あいにく、俺は富も地位も名誉も興味ないんです」

 

これはダークネスの本心だった。ダークネスはそんなもののために戦っているわけではなかった。これはルシフェル、豪、スロウスにも同じことが言えた。

 

「……………そうですか。それなら、あなたが仲良くされている()()()()()()()はどうでしょうか?」

 

「!?」

 

エレオノーラの言葉にダークネスは驚いた。そして、それと同時に警戒もした。

 

「……………なぜ、あなたがそれを………?」

 

「……………失礼ながらも私たちはあなたが仲良くされているご家族について調べさせてもらいました。まさか、そのような一族がいたことに我々も驚きました」

 

エレオノーラはその時のことを思い出している様子だった。

 

「それで、この条件はどうですか?あのご家族が持っている炎は貴族たちに知られたら、きっと狙われます。しかし、我々ならその情報を隠すことができます」

 

「……………………」

 

エレオノーラの言葉にダークネスは考えた。確かにアジェンテの情報操作は一流だった。それであの一家を守ることができるなら、その方がいいかもしれない。もし、万が一、アジェンテの者があの一家を利用しようとするなら自分が守ればいい話だ。そう考えて、ダークネスはエレオノーラに向き直った。

 

「………………わかりました。その条件、飲みます」

 

「ありがとうございます」

 

エレオノーラはそう言って頭を下げた。そして、頭を上げるとこう言った。

 

「それでは、早速で夜分にすみませんがついてきてくれませんか?こういうのは一刻でも早く、手続きを行ったほうがいいので」

 

「わかりました」

 

そう言って、エレオノーラは後ろに振り向き、ダークネスは彼女の後ろをついていった。…………………………しかし、ダークネスは気づいていなかった。

 

「………………………」

 

エレオノーラの口がニヤリと歪めていたことに………………。



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《闇》から《闇夜》へ

ダークネスはエレオノーラについていって、アジェンテの基地に向かった。そして、今はアジェンテの基地がある森の中を進んでいた。その森の中にアジェンテの基地があることは知っていたので、ダークネスは別におかしいとは思っていなかった。………このときまでは。

 

「……………どういうことですか?」

 

ダークネスはエレオノーラに尋ねた。

 

「何がですか?」

 

当然、エレオノーラは立ち止まりダークネスのほうに振り向いて、なんのことだかわからず、そう返事した。

 

「そこの木々に俺に殺気を向けている連中が何人もいます。とても、歓迎ムードとは思えないのですが」

 

そう言って、ダークネスは周りに視線を向けながら、エレオノーラを訝しげに見た。

 

「………………ふ~ん。下等で下劣な平民の癖に気づいたんだ~」

 

すると、エレオノーラの口から敬語がなくなり、ダークネスを見下すような目をした。そして、それと同時に……………

 

ザザザザザザッ!!!!

 

ガチャッ!!!!

 

森の茂みの中からおよそ30人ぐらいの貴族の兵士が現れて、ダークネスに武器を構えた。ダークネスはその兵士の服についている紋章を見て、驚いた。

 

「!?それは、グレム帝国とアルミダ帝国の紋章!?なぜ敵対している者同士の兵士がここに!?」

 

そう、そこには、戦争をするはずのグレム帝国とアルミダ帝国の兵士がだいたい半分ずついたのだ。

 

「ふん!馬鹿なあんたに特別に教えてあげるわ。あんたたちが手にいれた情報はあんたたちを油断させるための嘘!本当は私たちは同盟関係にあるのよ」

 

「!?」

 

「そして、私はアルミダ帝国の国王の娘よ!本来ならあんたみたいな野蛮な平民の男が私に会う資格なんてないのよ!あ~もう、やだわ!任務のためとはいえ、こんな安物のコートを着なくちゃいけないなんて!」

 

そう言って、エレオノーラは顔をしかめて、アジェンテのコートを脱ぎ捨てた。そして、近くにいたアルミダ帝国の兵士からアルミダ帝国の紋章が入った、いかにも貴族が着そうな豪華なコートを受け取り、それを着た。

 

「グレム帝国とアルミダ帝国が同盟関係…………?」

 

ダークネスはその情報に信じられなかった。なぜなら、グレム帝国とアルミダ帝国ほどの大国が同盟を結んだならば、それは世界中にビッグニュースとして報道されていたはずだからだ。しかし、そんな報道はなく、むしろ、戦争を起こすという情報が入ったのだ。

 

「えぇ、そうよ!私たちもね、いい加減、あんたたちみたいな礼儀知らずに煮え湯を飲まされるのは嫌なのよ!この世界は私たち貴族たちで成り立っているの!あんたたちは私たちのもとで奴隷として働くのがお似合いなのよ!!仲良くするとかもってのほかよ!!」

 

「…………」

 

エレオノーラの最後の言葉にダークネスは顔を思いっきり歪めた。自分もあまり人のこと言えないが、それはダークネスにとって大切な人たちの侮辱に感じたからだ。だから、ダークネスにしては珍しく感情的に顔に表情が出たのだ。

 

「…………何その顔?平民の分際で私に文句あるの?」

 

それを見て、エレオノーラは気を害した様子だった。

 

「…………別にそれよりもお前らの目的はなんだ?」

 

「『お前ら』じゃなくて『あなた方』!『なんだ』じゃなくて『なんですか』でしょ!!………まぁ、いいわ。私たちの目的?そんなもの、あんたたちみたいな無礼者の始末に決まっているでしょ!!だから、グレム帝国と同盟を組んだ!!そして、真っ先にアジェンテを壊滅させたわ!!」

 

「なっ!?」

 

ダークネスはアジェンテが壊滅したことに驚いた。

 

「馬鹿な!アジェンテが壊滅しただと!?そんな情報は来ていないぞ!!」

 

ダークネスはすぐさま反論した。もしアジェンテが壊滅したならば、ロヴィーノ教団もそれを知るだろうし、そうなったら、休暇中のダークネスにも連絡が来るはずだった。しかし、そんな連絡は全くなかったのだ。

 

「そりゃそうよ!あいつらの情報操作を利用してばれないようにしたんだから!」

 

「!?」

 

ダークネスの反論にエレオノーラは答えた。しかし、確かにそれならば納得できる話だった。アジェンテの情報操作技術を使えば、隠蔽など容易であり、エレオノーラがアジェンテのコートを持っていたことにも理由がつく。

 

「…………お前らの目的はわかったが、なぜロヴィーノ教団と同盟を組むために俺を勧誘しに来たっていう嘘をつきやがったんだ?やっぱり、俺を消すためか?」

 

ダークネスは冷静にそう言った。

 

「あら?確かにロヴィーノ教団と同盟を組むっていうのは嘘だけど、あんたを勧誘しに来たのは本当よ」

 

「何?」

 

「あんたの《闇》の炎は私たちも興味あるのよ。だから、おとなしくついてきてくれるなら、痛い目に合わずにすむわよ?」

 

「はっ!!冗談言うな!どうせ、ついていったところでひどい目に遭わされるってわかるうえに、誰がお前らみたいなゴミの犬になるか!!」

 

ダークネスの言葉にエレオノーラも兵士たちも顔を歪めた。

 

「………ゴミとは言ってくれるわね…………。…………でも、あんたは私たちにまんまと騙されて罠に引っ掛かったのよ!!つまり、あんたはあんたの言うゴミ以下なのよ!!」

 

「くっ………!!」

 

エレオノーラの言葉が事実だったためにダークネスは顔をしかめた。

 

「それにあんたの答えなんて誰も聞いていないのよ。どっちみち、力づくで連れ去る予定だったしね」

 

エレオノーラの言葉に同調するように周りの兵士たちは武器を構えた。

 

「チッ!」

 

ダークネスは周りの敵の多さにイラついて舌打ちした。

 

「あぁ、そうそう。あんたをここに連れてきた目的はもう1つあるのよ」

 

「何?もう1つの目的だと?」

 

エレオノーラの言葉にダークネスはどういうことだと思った。

 

「それはね、…………()()()()()()()よ」

 

「なっ!!?」

 

エレオノーラの言葉にダークネスは驚愕した。

 

「なぜ、あの人たちを殺そうとするんだ!!あの人たちは革命軍じゃないんだぞ!!!」

 

それを聞いてダークネスは思わず叫んだ。

 

「だって、あいつらのやろうとしていることが気に入らなかったんだもん」

 

「気に入らなかった………だと………?」

 

「そう!《光》の炎の力を使って、荒れた土地を豊かな土地にするって、ふざけているの!?そんなことしたら、私たち貴族の立場がなくなるだけじゃない!!さっきも言ったけど、この世界は私たち貴族たちで成り立っているのよ!!それを仲良く平等なんて許せないわよ!!!」

 

「……………」

 

エレオノーラの言葉にダークネスは当然、怒りもあったが、それよりもまず先に疑問のほうがあった。

 

「…………なぜ、知っているんだ。そのことを…………」

 

そう、聖輝も明夜もその話を言い回したりしていないし、自分も他の連中には誰1人しゃべっていなかったのだ。

 

「さぁ?具体的な理由については私たちも知らないわ。その情報もアジェンテが持っていたものだしね」

 

「アジェンテが…………?」

 

ダークネスはエレオノーラの言葉にアジェンテの情報収集がそこまであったことに驚いた。

 

「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。つまり、あんたがここにいるおかげであそこは今、手薄だから他の部隊に向かわせているわ」

 

「!!?」

 

ダークネスはそれを聞いて慌てた。

 

「さて、話すこともこれぐらいかしら?それじゃあ、あんたたち、あとは頼んだよ。私はアルミダ帝国に戻るから」

 

『はっ!!!』

 

「いい返事ね。それじゃあ、頑張りなさい。………あ~、早くこんな汚いところから去りたいわ」

 

「待ちやがれ!!」

 

エレオノーラが去ろうとするのを見て、ダークネスは叫んで追いかけようとしたが、グレム帝国とアルミダ帝国の両軍の兵士に阻まれた。それにより、エレオノーラはどこかに行ってしまった。

 

「エレオノーラ様のもとには行かせないぞ!!下等な平民め!!」

 

「ここから先は俺たちが相手だぜ!」

 

「チッ!!」

 

ダークネスは周りの兵士たちを見て、匣からガンブレードを取り出した。

 

「あん?まさか、俺たちと戦う気か?」

 

「俺たち1人1人とお前の実力の差がわからないのか?」

 

「おまけにこの人数も見えないのか?」

 

「お前に勝ち目なんてないんだよ!!」

 

戦おうとするダークネスを見て、兵士たちは馬鹿にした様子で言った。

 

「黙れ!!!勝てる、勝てないじゃないんだ!!!俺は早くあそこに向かわなきゃいけないんだ!!!」

 

ダークネスはそう言って、飛び出した。

 

「速い!!」

 

ザシュッ!!

 

「グアッ!!」

 

兵士の1人がダークネスに斬られた。

 

「この!!」

 

それを見た、他の兵士がダークネスに後ろから斬りかかった。

 

バンッ!!

 

「ガハッ!!」

 

しかし、ダークネスはガンブレードの先を後ろに向けて、炎の弾丸を放った。そして、その弾丸はその兵士に直撃した。

 

「くそ!!なんだ、こいつは!!」

 

兵士はダークネスの動きを見て、悪態をついた。

 

「……ちんたら、お前らに時間かけてる暇はないんだ!!ドレイク!!」

 

ダークネスはそう叫ぶと、匣から戦闘形態のドレイクを呼び出した。

 

「グオォォォォォーーーー!!!!」

 

呼び出されるとドレイクは咆哮をあげた。

 

「時間がないんだ!!!ドレイク!!!一気に片付けるぞ!!!」

 

「グルル!!!」

 

ダークネスの言葉にドレイクは了承すると、ドレイクは兵士たちに向かった。

 

「くそ!!攻撃しろ!!!」

 

兵士のリーダーと思われる人物が他の兵士たちに命令した。それに伴い、兵士たちも攻撃を始めた。

 

「グオォォォォォーーーー!!!!」

 

しかし、ドレイクはそれをかわして、鋭い牙で噛みついたり、爪で斬り裂いたりした。

 

『グアァァァァァーーーー!!!!』

 

兵士たちはそれに悲鳴をあげた。

 

ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!

 

『グアッ!!!』

 

また、ダークネスもガンブレードで斬ったり撃ったりして、兵士たちを倒していた。そして、1人と1頭の力で兵士たちは全滅した。

 

「………どういう………ことだ………。………我々が………こんな………平民………1人と………その匣………ごときに…………」

 

最後の1人がそう言って、絶命した。実はダークネス自身も気づいていないがロヴィーノ教団に入ってから、今までで1番いい動きをしていたのだ。だからこそ、実力の高い兵士たちを大勢相手に倒すことができたのだ。

 

「おい、ドレイク!!急いであの人たちのところに戻るぞ!!!」

 

しかし、今のダークネスはそんなことを気にしている余裕はなく、ドレイクの背中に乗り、光城宅に向かった。

 

 

 

 

ドレイクの背中に乗ったダークネスが光城宅に近づくと驚いた。

 

「なっ!!?」

 

光城宅はなんと、ボロボロになっており、そこには先程のと同じグレム帝国とアルミダ帝国の両軍の兵士たちがいた。

 

「ドレイク!!!突っ込め!!!」

 

「グオォォォォォーーーー!!!!」

 

ダークネスの指示に従い、ドレイクは上空から兵士たちに突っ込んだ。

 

「なんだ?」

 

それに気づいた兵士の1人が上を向いたがお構い無しに突っ込んだ。

 

ザシュッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!

 

『グアッ!!!』

 

そして、ドレイクは爪でダークネスはガンブレードで攻撃した。一切の攻撃をする隙も与えずにその場にいた兵士たちを全滅させたのだ。

 

「ハァッ………ハァッ………ハァッ………クソ!!!」

 

兵士たちの返り血を浴びたダークネスは倒した兵士たちに目もくれず、自分の返り血も気にせずに光城宅に慌てて入った。ドレイクはサイズ的に家に入ることができないので外で待ってもらうことにした。

 

「オギャーッ!!!オギャーッ!!!」

 

「!!明聖!!!」

 

家の中に入ると明聖の泣き声が聞こえて、ダークネスは急いで、明聖の泣き声が聞こえる部屋に入った。

 

バンッ!!!

 

扉を開けるとダークネスは顔を青ざめた。そこには、血まみれで床に倒れていた聖輝と明夜、泣いている明聖、その明聖に刃物を突きつけていたグレム帝国の兵士が1人いた。

 

「なんだ、貴様は!!?さっき、仲間の悲鳴が聞こえたが貴様の仕業か!!?」

 

兵士は驚いてダークネスに聞いた。

 

「………………」

 

しかし、ダークネスは黙ったままだった。

 

「おい!!聞いているのか!!?」

 

それに対して、兵士はダークネスに怒鳴った。

 

「……………ねぇ」

 

「は?なんだって?」

 

すると、ダークネスが何か呟き、それが聞こえなかった兵士がダークネスに聞いた。

 

「………そいつに近寄るんじゃねぇーーーー!!!!」

 

ダンッ!!!

 

ダークネスはいきなり、そう叫ぶと勢いよく床を踏み込み、飛び出してガンブレードを兵士に突き立てた。

 

グサッ!!!

 

「ガハッ!!?」

 

兵士はあまりの速さに驚く暇もあらず、ガンブレードが突き刺さり、壁に吹き飛ばされた。そして、そのまま絶命した。

 

カランッ………

 

明聖に向けていた刃物は床に音をたてながら落ちた。

 

「ハァッ………ハァッ………ハァッ………」

 

ダークネスは荒く息をついていた。ダークネスは明聖のほうを見た。明聖には特に傷はなかった。ダークネスはそれに安堵して、明聖を泣き止ました。

 

「………輝……夜………」

 

「!!?」

 

すると、誰かが自分を呼び掛ける声が聞こえた。ダークネスは声が聞こえたほうに顔を向けるとかすかに息があった聖輝と明夜がいた。

 

「聖輝!!!明夜!!!」

 

ダークネスは明聖を抱えて、2人の近くに寄った。そして、明聖を側に降ろして、2人に声をかけた。

 

「聖輝!!!明夜!!!大丈夫か!!!?」

 

ダークネスは2人の心配をした。どうか無事でいてほしいと願いながら………。

 

「…………輝夜………ごめん………なさい………」

 

「………どうやら………僕たち………もう長くは………生きて………いけなさそうだ………」

 

しかし、2人の言葉によりダークネスの願いは無情にも壊された。

 

「ど、どういうことだ!!」

 

ダークネスはどうしても信じられずについ叫んでしまった。

 

「………輝夜………君にも………身に覚えがあるはずだよ………」

 

「!!?」

 

聖輝の言葉にダークネスは理解した。昔、自分も致命傷を負って、もう死ぬんだと直感したときがあった。

 

「………私たち………2人とも…………致命傷を……負ったの……」

 

「………本当なら………既に………死んでいたんだけど………《光》の炎の力で………延命していたんだ………。……でも………そろそろ………炎がつきそうだ…………」

 

「もう、しゃべるな!!!それなら、俺が!!!俺もあんたらからもらった《光》の炎があるんだ!!!それであんたらを助ける!!!」

 

ダークネスはそう言って、棚に入っていたはずの予備の《光》のリングを取りに行こうとしたが………。

 

「ダメ…だ………!」

 

しかし、聖輝がダークネスの足を掴んで止めた。

 

「なんで止めるんだ!!?このままじゃ、あんたらは!!!」

 

「ダメよ………。………そんなことしたら………明聖が………ひとりぼっちに…なるよ………」

 

「!!?どういうことだ………?」

 

明夜の言葉にダークネスは戸惑った。

 

「………まず………僕たちの傷は………深すぎて………回復じゃ………とても追いつくことは………できない……。………だから………僕たちが……生き延びる方法は………死んでからの蘇生………だけ……なんだ………」

 

「………でも……私たちのように………生まれつき《光》の炎を……持っているなら………ともかく………、あなたのように………蘇生による体質変化で………後付けで…手に入れた場合………蘇生の成功の確率は………元よりもかなり下がるの…………」

 

「………おまけに………そのときの…使用者は………負荷に耐えきれず………()()()()んだ………」

 

「なっ!!?」

 

初めて聞く情報にダークネスは驚愕した。ダークネスが《光》の炎を使って、蘇生を試みようとしても、失敗する可能性が高く、ダークネスは必ず死んでしまうということだ。それはつまり、赤ん坊の明聖を1人にしてしまうかもしれない、ということだ。

 

「………だ、だが、明聖にはあんたらが必要だ!!俺の命で助けることができるなら………!!」

 

ダークネスはそう言いながらも頭の中では悩んでいた。別に死ぬことに恐れているわけではない。元々、死ぬ運命にあったのが奇跡的に生き延びただけだったのだ。ダークネスが悩んでいる理由は2つ。1つは蘇生が成功するかどうか。失敗すれば、明聖がひとりぼっちになってしまうからだ。しかし、これは必ず成功してみせると意気込んでいるので、まだ大丈夫だ。問題はもう1つだった。話から考えるとダークネスの命を使って生き返らせることができる人物は1人だけだった。つまり、聖輝か明夜のどちらかだった。ダークネスにはどちらかを選ぶなんてできなかった。

 

「…………そのことだけど………輝夜………。………あなた………私たちの………代わりに………親を………やってくれないかしら………?」

 

「は?」

 

「……本当は……君には………兄として………一緒に…いてほしかったけど………僕たちが…この様……だからね………。……父親の座…を……奪われる……のは……ちょっと悔しいけどね………」

 

すると、明夜が急に提案して、聖輝は冗談混じりにそう言った。

 

「な、何を……」

 

『何を言ってるんだ!!』そう言おうとしたダークネスだったが、2人の目を見て、何も言えなくなった。2人のこの目はなにがなんでも譲らないという目だった。しかも、自分たちがもうすぐ死ぬという状況のためにより力強く感じた。

 

「…………本当、自分勝手で意味わからない人たちだよ。こんな奴に自分たちの娘を任せるとか………」

 

ダークネスは静かにそう呟いた。しかし、否定する気はなかった。2人の自分勝手はなんだかんだ言って、プラスになることが多かったからだ。現にダークネスも彼らと一緒にいる時間はとてもいい気分だったから。

 

「…………わかったよ。明聖の父親、俺が引き受けるよ」

 

だから、ダークネスはこれに了承するのだった。

 

「そうか………」

 

「ありがとう…………」

 

2人はそれを聞いて、優しく微笑んだ。

 

「……………礼を言われる資格なんてねぇよ」

 

「「……え……?」」

 

すると、ダークネスがそう言って、2人はどういうことだと思った。

 

「俺の……せいで……俺が騙されたせいで…………あんたらは………こんな目に……あったんだ………。………全部………俺のせいなんだ…………」

 

ダークネスはそう言うと、手を床につき、目から涙をこぼし始めた。

 

「あんたらは俺にとって光なんだ!あんたらは俺にとって恩人なんだ!………それなのに………それなのに……俺は…………」

 

ダークネスの顔には怒り、悲しみ、憎しみ、悔しさ、負の感情が全て混ざったような顔をしていた。ダークネスは後悔していたのだ。自分のせいで2人が死ぬ運命になったことに、最近産まれたばかりの赤ん坊がいるにも関わらず。もし、エレオノーラの悪意に気づいていたら、2人は無事だったかもしれない。そんな後悔がダークネスにつきまとっていた。

 

「………輝夜………」

 

すると、聖輝がダークネスに声をかけた。

 

「………君に………何が……起きたのか………僕たちには………わからない………。………でも………君が……ここに…来てくれなかったら………明聖は………殺されていた………」

 

「……だけど……あなたが………来てくれた………おかげで………明聖は………助かったわ………。………それに………誰にだって……ミスの1つや2つ……するわ………。………あなたの……気にすること……じゃないわ…………」

 

聖輝と明夜がダークネスに優しくそう言った。それに対して、涙を流し続けるダークネスは信じられなさそうに2人を見た。

 

「………だから………僕たちは…………君を…………恨まないよ……………」

 

「…………だから…………自分を…………憎まないで…………輝夜……」

 

「………()()()………。………()()()………」

 

2人の言葉を聞いて、ダークネスは無意識に呟いた。

 

「…………やっと…………言って…………くれ……た………ね………」

 

「…………嬉しい………わ………。…………ありが………と……う……」

 

ダークネスの言葉に2人は一瞬驚いたがすぐに嬉しそうな顔をして礼を言い、…………息を引き取った。

 

「……あ……あ………あぁ………」

 

ダークネスはそれを見て、絶望した顔をした。

 

ドンッ!!!

 

「………くそっ!!!………くそっ!!!………くそっ!!!」

 

すると、ダークネスは頭を床に打ち付けて、涙を止めどなく流して、そう言い続けた。その側では、嗚咽をもらすダークネスをそっとしておくかのように明聖は静かに眠っていた。その家の窓から見えるベネスタンテ星の月は血のように真っ赤だった。

 

そして、そのダークネスの体には《闇》の炎とは違う()()()()()()()が纏っていた。

 

 

 

 

『これはさすがの私も予想外だよ。《闇》がさらなる進化して《闇夜》になるとはね………。あの女、なかなか良い働きするね。でも、残念ながら今回は私は不干渉だからご褒美はあげれないんだよね………。むしろ、このあとの彼女の運命はね…………』

 

何もない空間でしゃべる声の主の言葉はそれ以上続かなかった。



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《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》による《死体の大地事件》

「…………………………」

 

それから、一晩が経った。ダークネスはその間、しばらく涙を流し続けて、それが終わると、少し冷静になることができた。グレム帝国とアルミダ帝国の兵士の死体を集めて、自分の《闇》の炎で塵1つ残さず燃やし尽くして、処分した。その際、自分の炎がいつもと違って、周りに禍々しい黒い炎が追加されていることに気づいたが、とりあえず後回しにした。それにより、ダークネスの嫌う貴族(ゴミ)がなくなり、きれいになったとダークネスは思った。そのあとは聖輝と明夜、2人の遺体を綺麗に清めてから、この家の庭に埋葬して、簡易的な墓を作った。

 

「………………………」

 

今、ダークネスはぐっすり眠っている明聖を抱きかかえて、2人の墓の前に立っていた。ダークネスの目元は真っ赤に腫れていた。ちなみにドレイクはダークネスが泣いている間に炎が切れて、匣に戻っていた。

 

「………………………」

 

ダークネスは2人の墓の前でこれからどうするのか考えた。そして、その考えた結果は本人もあまりやりたくないものだった。

 

「………父さん、母さん。たぶん、これから俺がやることはあんたらにとって、望まないものかもしれない」

 

なぜなら、それは聖輝と明夜が望んでいないことをダークネスがわかっているから。

 

「俺はあいつらに復讐しようと思っている」

 

それは聖輝と明夜を殺したグレム帝国とアルミダ帝国への復讐だった。

 

「これが自己満足だってことはわかってる。…………でも、このまま、あいつらを放っておいたら、明聖に危険が及ぶことも事実なんだ………」

 

エレオノーラの話によると、ダークネスの身柄も目的の1つだった。しかし、ダークネスはその場にいた兵士たちを皆殺しにした。しかも、光城宅にいた兵士たちも皆殺しにした。それにより、グレム帝国とアルミダ帝国はいつまでも戻ってこない兵士たちに不振に思うだろう。そして、いつかは任務が失敗したと気づき、新たな兵士を送り込んでくるかもしれない。だから、早めに何とかしなければならないのだ。

 

「…………でも、俺は復讐の言い訳に明聖を守るために戦うとは言わない。もちろん、こいつを死ぬ気で守るっていうのは本気だが、今回ばかりは俺の自分勝手な我が儘にさせてくれ………。俺にはあんたらみたいな綺麗事を貫く勇気も覚悟もないんだ…………」

 

ダークネスは目を伏せながら、そう言った。

 

「……………これらは持っていくよ」

 

そう言って、ダークネスが取り出したものは前に撮った家族写真が入った写真たてと聖輝と明夜の形見である《光》のリングだった。

 

「…………それじゃあ、またな…………」

 

ダークネスはそう言って、2つの墓に背を向けて、離れていった。

 

 

 

 

ベネスタンテのとある場所、そこでは戦争が起きていた………………()()()()()()。それは革命軍に偽の情報を与えて騙すためにグレム帝国とアルミダ帝国の幻術師たちが作った巨大な幻術なのだ。本物の兵士たちはそれぞれの持ち場についていた。本格的に騙すためなのか、両軍10万人ずつ、装備も充実だった。

 

「ふん!これほどの用意でもしておけば、馬鹿な革命軍どもも騙されるだろう!」

 

その戦場の端にある建物の中で幻術師や持ち場についている兵士たちを抜いた残りの兵士たちの前でそう叫んだのはアルミダ帝国の国王、つまりエレオノーラの父親だった。

 

「アジェンテが壊滅したことで奴らに正確な情報が届くことはない。しかも、連中はアジェンテが壊滅したことを知らない!」

 

国王は高笑いしながら、そう言った。

 

「我々が戦争をしていると思えば奴らは、自軍の強化のためにこちらを警戒する可能性は低いだろう。よって今日が終わってから明日、革命軍に攻め混むぞ!!!」

 

『は!!!』

 

国王の言葉に兵士たちは敬礼した。どうやら、グレム帝国とアルミダ帝国の目的は両軍が戦争をしていると勘違いさせて、油断しているときに攻め混んで一気に倒そうという作戦のようだ。

 

「ロヴィーノ教団とか言う愚か者共も明日で最期だ!!もう、下等な平民共に好きなようにさせてたまるか!!」

 

宝かにそう言うが国王の内心は自分の生活のためという自己中心的な考えだった。そして、それは兵士たちもグレム帝国側も同じ考えだった。

 

 

 

 

「ここか……………」

 

そんな幻術の戦争が行われている外れではダークネスがいた。ダークネスの側には明聖がいなかった。ここに来る前に離れた場所に置いてきたのだ。そこにはドレイクが一緒に一緒にいるので守ってくれるから問題ないだろう。

 

「…………すぐに終わらせてくる」

 

だが、ドレイクの炎の量のこともあるので早めに終わらせることにした。ダークネスはガンブレードを持って、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

一方、ここはアルミダ帝国の幻術師たちが幻術を張っていた。……………そんなときだった。

 

ザシュッ!!!

 

「グアァァァァ!!!?」

 

『!!!?』

 

急に1番後ろにいる兵士の1人が悲鳴を上げた。周りにいた他の兵士たちがその兵士のほうへ向くと、そこには既に息のなく倒れている血塗れの兵士と刃に血がついたガンブレードを持って立っていたダークネスがいた。

 

「貴様!!何をしているんだ!!!」

 

「そのコートの胸の紋章………貴様、ロヴィーノ教団の者か!!?」

 

「なぜ、このことを知っているんだ!!!」

 

「そんなことはどうでもいい!!それよりもこいつを始末するぞ!!!」

 

『はっ!!!』

 

隊長と思われる兵士が他の兵士たちにそう言って、それぞれリングに炎を灯して、炎を纏わせた自分の武器を持って、ダークネスに攻撃を始めた。

 

「…………さっさと終わらせなければいけないんだ。…………《逆鱗乱舞》」

 

ダッ!!!

 

ダークネスがそう言うと、一気に前へ飛び出した。

 

バンッ!!!ゲシッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ゲシッ!!!ザシュッ!!!ドガッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドガッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

『グアァァァァ!!!?』

 

撃つ、斬る、蹴る、殴る、そう言った行程をダークネスは兵士たちの間を通り抜ける一瞬で行った。聖輝と明夜というダークネスの逆鱗に触れてしまった兵士たちはダークネスに蹂躙されてしまった。その姿はまさしく荒々しく暴れるドラゴンそのものだった。そして、その場にいた兵士たちは全員倒れて、その大半はもう死んでいた。

 

「ぐっ………!!……急いで……報告を…………」

 

バンッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

まだ息のあった兵士の1人が報告しようとしたがその前にダークネスに撃ち殺された。

 

ババババババババババンッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

そして、ダークネスは他のまだ息のあった兵士たちに炎の弾丸を撃って止めをさした。

 

「…………次、行くか」

 

ダークネスは兵士たちの遺体に目もくれず、その場から一瞬で離れた。

 

 

 

 

「どういうことだ?」

 

一方、こちらはグレム帝国の幻術師たち。アルミダ帝国の幻術師たちと協力して作っていた幻術が歪み始めていた。

 

「アルミダ帝国は何やっているんだ!!!」

 

グレム帝国の兵士の1人がそう言った。よりリアルに見せるために完璧な幻術を張らなければいけないのだ。その負担がこちらに来るために、グレム帝国の兵士たちはアルミダ帝国に悪態ついたのだ。

 

「もう、三流芝居なんかやらなくていいぞ」

 

『!!!?』

 

すると、後ろから声が聞こえて、グレム帝国の兵士たちは驚き、後ろを振り返ると、ダークネスが地面にガンブレードを突き刺していた。

 

「貴様!!!そこで――――」

 

「お前の話を聞いている暇はないんだ。この試したい新技の実験台にさせてもらうぞ。《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

ダークネスに声をかけようとした兵士の言葉を遮って、ダークネスはガンブレードの引き金を引いた。

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

『ガハッ!!!?』

 

すると、地面に無数の漆黒の炎の槍が現れて、大半の兵士たちを串刺しにした。

 

「な、なんだ、この技は!!!?」

 

「いや、それよりも、この炎……まさか貴様は―――」

 

何とか避けて生き残った兵士たちはダークネスの技を見て驚いて、その中の1人が何か言おうとしたが…………

 

「言ったはずだ。話を聞いている暇はないと。《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

ババババババババババンッ!!!

 

ダークネスがまた兵士の言葉を遮って、ガンブレードから無数の漆黒の炎の弾丸を豪雨のように真横へと動揺して動けなかった兵士たちに降り注いだ。

 

『ガッ!!!?』

 

炎の弾丸は生き残っていた兵士たち全員を貫いた。

 

「………初めてにしてはこんなもんか。………まだ、よくわからねぇな、この炎は…………」

 

ダークネスは自分のリングに灯している2種類の漆黒の炎が混ざったような炎を見ながらそう言って、その場に大量にある死体をそのままにして、消えた。

 

 

 

 

ここは、仮の戦場のアルミダ帝国とは反対側にあるグレム帝国の本拠地。そこでは、既に地獄絵図と化していた。

 

「ガッ!!!?」

 

「ぐっ!!!?」

 

ダークネスがそこに移動してすぐに、攻撃を始めたのだ。《逆鱗乱舞》、《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》、《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》を使い分けて、ダークネスはグレム帝国の本拠地にいる兵士たちを攻めていた。

 

「くそっ!!!?何をしているんだ!!!!敵はたった1人だぞ!!!!」

 

「しかし、この男、何度も瞬間移動してきて、我々の不意をつかれます!!!!」

 

兵士たちは攻撃しても瞬間移動でかわされて、不意をついて攻撃してくるために手こずっていた。

 

「…………………」

 

兵士の1人の言葉を聞いて、ダークネスは何かを考えていた。

 

(いや、今はどうでもいい。それよりも………、やはり、さっきの幻術師たちと比べて多いな………)

 

ダークネスはすぐに考え事をやめて、今の状況を観察していた。先程の幻術師たちもものすごい人数だったが本拠地にはそんなのと比べ物にならないくらい多かった。さすがはベネスタンテ星で有数の大国だ。兵士の数が多いとダークネスにしては珍しく、大嫌いな貴族に感心していた。

 

(だからって、こんな奴ら(ゴミ)に負ける理由にはならないがな)

 

ダークネスはそう考えながら顔を引き締めて、周りにいる兵士たちを見た。

 

「《漆黒の竜巻(トルナード・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

ダークネスはその場で1回転しながら両手のガンブレードを振るった。

 

ブオォォォォォォッ!!!

 

すると、ダークネスを中心に巨大な漆黒の炎の竜巻が起きた。

 

『うわあぁぁぁぁぁーーーーっ!!!?』

 

ダークネスの周りにいた兵士たちはその竜巻に巻き込まれて、吹き飛ばされた。

 

「あいつらが待っているんだ。これ以上、俺の我が儘を長引かせるわけにはいかないんだ!!!」

 

竜巻が治まると脳内に自分の娘と相棒の姿を思い浮かべたダークネスがリングの炎を増大させながら、グレム帝国のまだ多く残っている兵士たちに向かって突撃した。

 

 

 

 

それから、十数分後。アルミダ帝国の本拠地では。

 

「うちとグレム帝国の幻術師たちが全滅しただと!!!?」

 

国王が兵士の報告を聞いて、驚愕していた。周りにいた他の兵士たちも信じられないという顔をしていた。

 

「は、はい。確認しに行ったら、この通り………」

 

その兵士も信じられないという顔をしながら、撮影した写真を国王に見せた。

 

「…………どうやら、事実みたいだな………。クソッ!!!ということはグレム帝国の救援要請の理由も真実か!!!」

 

国王は苛つきながら、そう言葉を吐いた。

 

「ロヴィーノ教団の黒い炎を扱う男…………ダークネスという男か………。身柄を確保するように命じたはずなのに失敗していたとは………!!!役立たずめ!!!」

 

国王は自分の部下の身を案じず、罵倒した。ダークネスを捕らえ損ねたことで自分たちの作戦が瓦解しているために怒り心頭だった。

 

「グレム帝国も何やっているんだ!!!たった1人の男に戦況を左右されるとは!!!…………だが、可能性は低いだろうがグレム帝国がやられるのはまずい。………すぐに、増援を送れ!!!」

 

国王は事態を冷静に考えて、兵士たちに命じた。兵士たちもそれを聞いて、行動しようとしたが………

 

「その必要はない」

 

1人の男の言葉に全員が止まった。

 

『!!!?』

 

その場にいた全員が声のした方向に向くと驚愕した。それは、グレム帝国の本拠地にいるはずのダークネスが扉の前に立っていた。そのダークネスの手にはなぜか、何かが入っている袋を持っていた。

 

「貴様!!!なぜ、ここにいるんだ!!!?」

 

国王は怒鳴った。グレム帝国の本拠地からアルミダ帝国の本拠地までかなり離れていた。さっきまで、ダークネスはグレム帝国の本拠地で暴れていたと聞いていた。それなのに、ここにいるのはおかしい。しかも、ここは本拠地の最深部。ここに来るまでも多くの兵士たちがいたはずだ。こんなに早くここまで来ることは不可能だった。

 

「俺がここにいることが信じられないか?それなら、()()を見せてやるよ」

 

ダークネスはそう言って、持っていた袋の中身を出した。中身はそのまま床に落ちて、少し転がって止まった。

 

『なっ!!!?』

 

国王たちは全員、驚愕した。なぜなら、それは()()()()()()()()()()だったからだ。グレム帝国の国王の顔は恐怖に彩られていた。国王が死んだことにより、グレム帝国は実質、壊滅したことになるだろう。国王たちはそれを見て、信じられないという顔をしていた。

 

「ついでにもうひとつ」

 

バンッ!!!

 

するとダークネスがそう言うと、後ろにあった扉を乱暴に蹴り破った。

 

『なっ!!!?』

 

扉の先を見た国王たちは再び、驚愕した。そこには、この部屋にはいない兵士たちの死体が転がっていたからだ。

 

「これで、納得できたか?」

 

ふてぶてしく、ダークネスは訊いてきた。国王たちはグレム帝国の国王と自軍の兵士たちの死体を見て、信じざるを得なかった。

 

「ここへ移動してきた方法に関してはノーコメントだ。そんな暇はないからな」

 

ダークネスはそう言うと、ガンブレードを構えた。

 

「くっ………!!!生死は問わん!!!こやつを何とかしろ!!!」

 

それを見て、ダークネスの危険性を感じたのか国王は兵士たちに命じた。兵士たちはそれを聞いて、武器に炎を纏わせて戦闘態勢に入った。

 

「《逆鱗乱舞》」

 

それを見たダークネスは飛び出した。

 

バンッ!!!ゲシッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ゲシッ!!!ザシュッ!!!ドガッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドガッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

ダークネスはここでも、兵士たちの間を縫いながら兵士たちに様々な攻撃した。

 

「嘗めるな小僧が!!!」

 

「我々がその程度の攻撃でやられるものか!!!」

 

すると、ダークネスの攻撃を受けたはずの巨体の兵士2人が平気そうな顔をしながら、そう言った。

 

「これでもくらいやがれ!!!!」

 

「オォォォォーーーー!!!!」

 

そして2人はそれぞれ巨大なメイスを振りかぶって、ダークネスに強力な攻撃をした。

 

グサッ!!!

 

シュンッ!!!

 

『!!!?』

 

「「なっ!!!?」」

 

すると、攻撃が当たる前にダークネスは床にガンブレードを刺して消えた。それを見て、全員、特に巨体の兵士2人が驚いた。

 

「確かにお前らは頑丈そうだな。だが、これならどうだ?」

 

すると、2人の頭上付近からダークネスが現れた。そして…………

 

ゴキッ!!!ゴキッ!!!

 

そのまま思いっきり2人の側頭部を蹴った。それにより、2人の首が折れて、絶命した。

 

「嘘だろ!!!?」

 

「あの2人がやられただと!!!?」

 

「俺らの中でもかなりのパワーと頑丈さを持っているんだぞ!!!?」

 

それを見て、全員信じられないという顔をしていた。そして、その隙を見て、ダークネスは床に刺さっているガンブレードに移動した。

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

『ガハッ!!!?』

 

床から大量な漆黒の炎の槍が現れて、驚いて隙を見せていた国王を含めた全員を串刺しにした。

 

 

 

 

炎の槍を納めて、ダークネスの目の前にはアルミダ帝国の国王や兵士たちの死体が転がっていた。

 

「…………呆気なかったな。いくら、俺がこの新しい炎に使()()()()()()()とはいえな………」

 

ダークネスは興味無さそうにたくさんの死体を眺めて呟いた。そして、この場から移動しようとした。

 

バンッ!!!

 

「!?」

 

すると、急に銃声が聞こえて、ダークネスに銃弾が飛んできた。ダークネスは一瞬、驚いたが冷静に体を少し動かせて、銃弾をかわした。

 

「……………お前か、()()()()()()

 

ダークネスが銃弾が飛んできたほうへ向くとそこには拳銃を構えて憤怒の顔に満ちていた長い髪を下ろしたエレオノーラがいた。

 

「よくも…………よくも…………父上を!!!」

 

バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!

 

エレオノーラがそう言うと、拳銃から銃弾を連続で撃った。

 

「……………………」

 

しかし、ダークネスは冷静に銃弾をかわしながら、エレオノーラに近づいた。

 

ガシッ!!!

 

「っ!!?」

 

カシャン………

 

ダークネスエレオノーラのすぐ側まで近づくと、彼女の両手首を片手で掴んで頭上に上げた。エレオノーラは掴まれた際の痛みで拳銃を落とした。そして、その拳銃はそのままダークネスが踏み壊した。

 

「この!!離しなさい!!!」

 

「復讐か?」

 

エレオノーラの言葉を遮って、ダークネスが話しかけた。今のエレオノーラの感情を見て、ダークネスは国王を殺した復讐だと直感した。

 

「っ………」

 

「別に復讐を否定する気はないさ。俺も今、やっているからな。ただ……………」

 

ダークネスがそう言葉を止めると……………

 

ギュッ!!!

 

「っ!!!?」

 

エレオノーラの両手首を掴んでいる右手に力を込めた。エレオノーラはさらなる痛みで顔を歪めた。しかし、そんなエレオノーラの様子を無視して、ダークネスは光のこもっていない目で睨み付けた。

 

「お前も俺の復讐の対象に入っていることわかってるのか?」

 

「!!!?」

 

「しかも、個人的にはお前が1番憎い。理由は言わなくてもわかるよな?」

 

「ひっ!!!?」

 

ダークネスの目と言葉により、エレオノーラは憤怒の顔から恐怖に満ちた顔になり、悲鳴を上げた。そして、それと同時にダークネスはエレオノーラの両手首を掴んでいる手と反対の手に持っている刃に黒い炎が纏っているガンブレードを振るった。

 

ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!

 

ボトッ…………ボトッ…………ボトッ…………

 

「え?」

 

エレオノーラは自分の身に何が起きているのかわからなかった。エレオノーラはダークネスに頭部、四肢、胴体を3等分と文字通りの八つ裂きにされた。それにも関わらず、エレオノーラは()()()()()()()()()()()()()()

 

「ど、どういうこと!!!?何が起こっているの!!!?」

 

エレオノーラは周りに転がっている自分の体のパーツを見て訳がわからず混乱した。体の切断面には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……………………」

 

すると、ダークネスはエレオノーラの頭部を掴んで目線を自分に合わせた。

 

「あいにく、俺は性格が悪いからな。お前は楽には死なせねぇ。それと、これは俺の炎の力だ」

 

「あなたの炎の力ですって!!!?嘘よ!!!こんなわけわからない力、聞いたことないわ!!!」

 

「お前に俺の炎の何を知っているんだ?………………って言いたいところだが、俺も知らなかったな。この力は数時間前に生まれたものだからな」

 

「え…………?」

 

ダークネスの言葉にエレオノーラはどういうことだと思った。

 

父さんと母さん(あの人たち)が死んだことで俺は絶望して、俺の体に新たな炎の波動が生まれた。名付けるなら《夜》の炎って言ったところか。この炎の性質は《空間操作》。それで瞬間移動やお前をそんな姿にすることができるようになったのさ」

 

ダークネスは淡々と説明した。

 

「そんなことが…………」

 

「皮肉だな、お互いに………」

 

エレオノーラは信じられないという顔をして、ダークネスは冷めた笑みを浮かべた。

 

「話はここまでだな。もう言い飽きたが俺は早く帰らなくてはいけないからな」

 

そう言うと、ダークネスはエレオノーラの頭部を床に置いた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!!私をどうするつもりよ!!!?」

 

エレオノーラは慌てて、そう言った。今の自分の体はバラバラにされて、抵抗ができない状態だった。

 

「別に何もしないが?」

 

「え?」

 

ダークネスの言葉にエレオノーラは間抜けな声が出た。

 

「確かに楽に死なせないって俺は言ったが、これ以上お前に武器を向けるつもりはない。あぁ、でも、その前に…………」

 

ダークネスがそう言うと、ポケットからハンカチを取り出した。

 

「舌を噛んで自殺されるのはつまらないからな」

 

ダークネスはそのハンカチを猿轡として、エレオノーラの口に結んだ。それにより、エレオノーラは言葉を発することができず、より惨めな姿になった。

 

「んーーーー!!!?んーーー!!!」

 

「その炎もいつかは効果が切れる。その時が来るまで、死への恐怖を味わっておくことだな」

 

「!!!?」

 

「先に効果が切れて死ぬか、他の革命軍に見つかって殺されるか、どっちだろうな?」

 

「んーーーー!!!んーーーー!!!!」

 

「まぁ、これ以上は興味ないからな。俺は帰る」

 

「んーーーー!!!!んーーーー!!!!」

 

ダークネスはそう言うと、エレオノーラに背を向けた。エレオノーラは必死に助けを乞いていた。だが、ダークネスにそんな望みは届かず、ダークネスは消えた。

 

「んーーーー!!!!んーーーー!!!!んーーーーーーーー!!!!!!!」

 

その場に残ったのは体がバラバラになって、このあとの結末に絶望した顔で涙を流して喚くエレオノーラとその周りに転がっているおびただしい数の死体だった。

 

そして、二大国の兵士たち20万人が殺された事件はそこら中に死体が転がっていることから後に《死体の大地事件》と呼ばれるようになった。

 

 

 

 

「ドレイク。今、戻った」

 

「グルル……」

 

ダークネスは明聖とドレイクのもとに戻った。

 

「お疲れ様だな。ゆっくり休め」

 

「グルル…………」

 

ダークネスはドレイクを労い、匣に戻した。

 

「キャハハ!」

 

「…………ただいま、明聖」

 

ダークネスに気づいた明聖は嬉しそうにした。それを見て、ダークネスは明聖を抱きかかえた。ちなみに返り血はダークネスの炎でそれのみを燃やして落とした。

 

「…………それなら、行こうか」

 

ダークネスは明聖をかかえたまま、ロヴィーノ教団の制服であるコートを()()()、その場から消えた。そして、ダークネスは行方不明として扱われた。

 

 

 

 

『あの小娘の影響のせいで中途半端な絶望にも関わらず、《夜》の炎が生まれたことにも驚いたけど、それを短時間で使いこなしたことに驚いたね。それにあの連中を相手に1人で1時間以内に終わらせるなんて、彼を《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼んでもいいかもしれないね。あいつの今後の行動は気になるけど、放って置いても問題はなさそうだね』



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8年 前編

ダークネスが去った後、アジェンテが壊滅したことを戦場に攻め込む前に報告をしたダークネスによって知ったロヴィーノ教団を含めた革命軍たちはグレム帝国とアルミダ帝国の戦場の跡地に行って、そこで20万人の兵士たちが全員殺されていたところを発見した。その中でも、アルミダ帝国の本拠地の中にあった女性のバラバラ死体が目を引いた。そして、そのことを知った革命軍たちはすぐにその二大国を攻めた。トップを失った2つの大国は成す術もなく壊滅した。

 

その際、ロヴィーノ教団は待機を命じたはずのダークネスの行方を捜したが、見つかったのは彼のコートだけだった。そして、そのまま彼は行方不明になった。

 

 

 

 

その日から約8年の年月が過ぎた。ロヴィーノ教団を含めた革命軍たちはその後、着実に貴族たちを倒していった。もう下級や中級の貴族では歯が立たないぐらいの存在となった。

 

そして、ここはロヴィーノ教団の会議室。そこには《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と秘書がいた。彼らはそこで会議をしていた。

 

「ふむ。実に戦況はこちらが有利だな」

 

「8年前にグレム帝国とアルミダ帝国が墜ちた影響はでかかったな」

 

「あれらは有数の大国だからな」

 

「おかげでこちらの戦力も増えた」

 

「もちろん油断はできないが、もうそこらの貴族たちは敵ではないな」

 

「残っている中で我々が警戒するべきなのは《スペルラティーヴォ帝国》のみだな」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のメンバーはそう話し合っていた。《スペルラティーヴォ帝国》、それはグレム帝国とアルミダ帝国を超えるベネスタンテ星で1番の大国だった。そこにはグレム帝国とアルミダ帝国よりも実力を持っている貴族たちが多くいる。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》もさすがに今、攻めても無駄だということがわかっていた。

 

「むぅ…………」

 

そして、そんな中、《大空の大罪》が悩んでいた。

 

「どうしたのだ?」

 

それを見て、他のメンバーが声をかけた。

 

「いや、今後のことを考えて、少し思ったことがあったんだ」

 

「思ったことだと?」

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは首をかしげた。

 

「うむ。実はこの際だから我々は引退して《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の肩書きも若い者たちに譲ろうと思っているのさ」

 

『!!!?』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーや秘書も驚いた。しかし、《大空の大罪》は冷静に周りに説明した。

 

「よく考えてくれたまえ。君たちもわかっているはずだ。彼らの実力は我々を遥かに上回っていることを。そんな彼らを言い方は悪いが我々が上手く使いこなせると思うか?」

 

『………………』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは閉口した。確かに彼の言う『彼ら』は自分たちよりも実力が上だと言うことを自覚していた。

 

「しかも、その中の3人は経験もある。今すぐにはまだ無理かもしれないが、我々が《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》としての教育を行って彼らが《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》になれば、きっとスペルラティーヴォ帝国を打ち倒すことができるだろう」

 

『………………』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは考え込んだ。彼の言葉は利にかなっていると思ったからだ。

 

ボウッ!!!

 

『まぁ、確かに貴様の言う通りだね』

 

すると、急に白い炎が燃え上がってロヴィーノが声をかけてきた。

 

「毎回、急に出てくるな。ロヴィーノ」

 

「しかも、いつもどこから聞いているんだ?」

 

ロヴィーノの登場に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と秘書は呆れていた。実はロヴィーノは毎回神出鬼没に出てくるのだ。これは構成員、全員が知っていることで新入り以外は慣れてしまったのだ。

 

『別にいいじゃないか。貴様らの邪魔をしているわけでもないんだからさ』

 

「まぁ。別に構わないが、それよりも君は私の意見に賛成するのかね?」

 

『まぁ、そうだね。はっきり、言わせてもらうが貴様らではスペルラティーヴォ帝国を打ち倒すことは無理だな。仮にもあれは世界最大の大国だからね』

 

『………………』

 

ロヴィーノの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は顔をしかめたがロヴィーノは続けた。

 

『その点、あいつらなら可能性があるな。まぁ、貴様らも時間をかけたら可能性はあるがそうも言ってられないだろ?』

 

「……………確かになるべく早いほうがいいな」

 

「その意見に賛成しよう……」

 

『お?随分、話が早いじゃないか』

 

「ふん!無駄に意地を張っても無意味だからな!」

 

『ハハハ!貴族たち(あの連中)を反面教師として見習ったのか!』

 

「あぁ、そうだ」

 

ロヴィーノの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは肯定して、これにより、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は後継されることが決まった。

 

『それで誰に引き継がせるんだ?…………って言っても、ほとんど決まっているか』

 

「あぁ。リリアーナ君」

 

「はい」

 

《大空の大罪》の言葉に秘書、リリアーナが持っていたプリントを配った。配られたプリントを他のメンバーは見始めた。

 

「ふむ。予想はしていたがやはり彼らか」

 

「はい。そうです」

 

そう言って、リリアーナは説明を始めた。

 

「まずは《大空の大罪》候補のルシフェル。独自に改造したハルバードを使っての戦闘をします。彼は大空の七属性の全ての炎を持っていて、それらが《闇》の炎で融合した《傲慢の炎》を使うことができます。おそらく、このロヴィーノ教団で1番の戦士でしょう」

 

リリアーナはルシフェルのプロフィールを示しながら説明した。

 

「次に《雷の大罪》候補の久与田豪。彼は無数にあるワイヤーを使って攻撃したり、敵や戦闘用に改造した死体を操ったりするという戦闘方法を持っています。8年前の《死体の大地事件》の多くの死体も戦闘用に改造されています。そして、その戦闘方法から彼は《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれるようになりました。また、彼は《雷》と《大空》が融合して生まれた《強欲の炎》を持っています」

 

次に豪のプロフィールを示しながら説明した。

 

「次は《雨の大罪》候補のスロウス。彼は普段はやる気がなく、覇気もありませんが、その覇気の無さを逆に利用して相手に気づかれずに一撃で仕留めるという暗殺に特化した人物です。戦闘能力も高く、《雨》と《大空》が融合して生まれた《怠惰の炎》もあります。その炎も彼の暗殺の能力を上げます」

 

次はスロウスのプロフィールを示しながら説明した。

 

「続いて、この方たちが《死体の大地事件》以降に入った有能なメンバーです」

 

そう言って、リリアーナは3()()のプロフィールを出した。

 

「まずは《嵐の大罪》候補のジャバウォック。ロヴィーノ教団の中でも、随一のパワーの持ち主です。《嵐》と《大空》が融合した《憤怒の炎》を組み合わせたら、並の防御では太刀打ちできません」

 

そう言って、リリアーナはジャバウォックのプロフィールを示しながら説明した。

 

「続いて、《晴の大罪》候補のエンヴィー。彼は戦闘の技術だけではなく医療の技術も優れており、医者でありながら前衛を任せることができます。しかも、《晴》と《大空》を融合した《嫉妬の炎》は後遺症の起きないドーピングも回復もできます」

 

次にエンヴィーのプロフィールを出しながら説明した。

 

「そして、最後に《霧の大罪》候補のリリス。彼女は他の5人と比べたら戦闘能力は劣りますが高く、何より幻術の腕はロヴィーノ教団で1番です。彼女の《霧》と《大空》を融合した《色欲の炎》の力でオリジナルと遜色ない有幻覚を作り出すことができます」

 

そして最後はリリスのプロフィールを示しながら説明した。

 

「以上、それぞれ性格に難がありますが6人が次の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》にふさわしいと思います」

 

「ふむ。確かにこの6人なら問題ないだろうな」

 

「だが、《雲の大罪》になり得るものはいないのか?」

 

リリアーナの説明に1人が訊いた。それに対して、リリアーナは困った顔をした。

 

「それが………《雲》を持つ構成員の中にも実力のあるものはいるのですが……彼らと同等のレベルとなると………」

 

「…………そうか」

 

リリアーナの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も困った顔をした。

 

『それなら問題ないよ。《雲の大罪》にふさわしい子はすぐに入って来るからね』

 

そんなときにロヴィーノがそう言った。

 

「すぐに入って来るだと………?」

 

『そうそう。まぁ、それはすぐにわかるとして、()の情報はないのかな?もうあれから8年経つけど』

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人が怪訝そうに聞いたのを軽く流して、リリアーナに訊いた。

 

「はい。ダークネスのことですね。…………残念ながら、いまだに………」

 

リリアーナはそう言った。8年前の《死体の大地事件》からダークネスが行方不明になって、いまだに見つかっていないのだ。ダークネスの炎はサンプルとしていくつか保管しているため、リリスたちの炎を融合することはできたがそれにも限りあるためにいち早く見つけたかったのだ。

 

『そうか。私も探しているけどなかなか、見つからないね』

 

「《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれた貴様がか?」

 

『そうだね。彼は《闇》の炎を上手く使っているよ。あ!でも、貴族に捕まったや寝返ったということはないから安心していいよ』

 

「そういう問題ではない!なぜ、あいつはうちを抜けたんだ!」

 

『それはやっぱり、《死体の大地事件》が原因じゃないかな?』

 

「!?」ピクッ

 

『あの事件はダークネスの怒りを買ったことで起きた事件だからね。貴様らにも前に教えたと思うけど、彼が消えた際に一緒に消えたものがある』

 

「…………《光》の炎という特別な炎を扱える赤子か」

 

『そう。おそらくだけど、彼はその赤ん坊を利用されないために一緒に消えたんだろうね。人間はつい力を求めてしまう生き物だからね』

 

『………………』

 

ロヴィーノの言葉に思うことがあったのかその場にいたメンバーは黙った。

 

『あ!でも、ダークネスに恨みがあるんじゃないのかな?なんたって、あの事件で家族を殺されたからね。しかも、妹はバラバラにされた状態でね。どうかな、()()()()()()()()()()()()?』

 

すると、ロヴィーノが思い出したようにリリアーナに向けて言った。実はリリアーナはアルミダ帝国の王族の生まれでエレオノーラとは実の姉妹だったのだ。貴族や王族の平民たちに対するやり方に納得ができず、家出して、当時はまだリヴォルッツィオーネに入ったのだ。最初は警戒されて、監視がつけられたりとほとんど軟禁状態だったが、しばらく経って貴族とはもう繋がっていないことがわかり、信頼を得ることができた。今では、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の秘書という仕事を得たのだ。このことはダークネスやルシフェルたちは知らないが、もちろんここにいる《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は知っている。

 

「……………いえ。別に恨んでいません」

 

それに対して、リリアーナは淡々と返した。

 

『へぇ。家族が殺されたのにかい?』

 

「はい。酷い人と思われると思いますが、もう、あの人たちとは縁を切っています。私が失踪した際も彼らは私のことを気にかけなかったみたいですからね。ろくに探してこなかったのですから。だから、私も別に何とも思いません。彼らがあんな目にあったのは自業自得の因果応報というものです」

 

リリアーナはそう言うと、顔に笑みを浮かべた。

 

「今の私の居場所はここ、ロヴィーノ教団です。その敵になるものがいたら、私は全力で戦います。それとダークネスには彼らのやったことで私が彼らの代わりに殴られるのを覚悟で土下座して謝罪します。縁を切ったとはいえ、血の繋がりがありますし、私が貴族だった頃に止めていればこんなことにならなかったのですからね………」

 

リリアーナはだんだん沈んだ顔をしながら、そう言った。

 

『ふ~ん。まぁ、貴様がそう言うなら私からは何も言えないね』

 

ロヴィーノはもう自分には関係ないという風に言った。その後、彼らは今後について話し合った。

 



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8年 後編

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》が会議している頃、訓練所では…………………

 

ドカーーーーン!!!!

 

「ふぅ…………」

 

ルシフェルがハルバードを肩に担ぎながら息をついた。そんなルシフェルの周りには瓦礫の山があった。

 

「ちょっとルシフェル!!やりすぎよ!!」

 

それを制服を胸の谷間やへそを出すというきわどい着方をしたピンク色の髪の美女が注意した。

 

「………うるさいな。別にただの有幻覚なんだからいいだろ」

 

それに対して、ルシフェルは不機嫌そうに言った。今、ルシフェルがやっていたのはリリスの《色欲の炎》を導入して、作った仮想空間での特訓だった。そこで様々な地形で様々な敵を相手に戦ったりするのだ。

 

「あなたが、いちいち全壊にするから、それを直すために炎を提供する私の身になりなさいよ!!」

 

「まぁまぁ、落ち着くでござるよ。リリス」

 

「おい!!!!ルシフェル!!!!俺にもやらせろぉぉぉぉ!!!!」

 

「やれやれ、本当に騒がしい人ですね」

 

「グーッ………グーッ………」

 

それを聞いて、怒ったリリスにそれを宥める豪、ルシフェルに便乗するジャバウォック、呆れるエンヴィー、寝ているスロウスがそれぞれ、そんな反応した。

 

「もう、本当にあなたたちの相手をするのは骨が折れるよ…………。そうだわ!!」

 

すると、リリスが何か思いついたのか、ルシフェルに近づいた。

 

「ねぇ………、そんな暑苦しい特訓よりも私と2人っきりでいいことしよう………?」

 

リリスは谷間を強調して、上目遣いしながらルシフェルに話しかけた。普通の男ならこれでイチコロだろうが……

 

ガチャ………

 

ルシフェルは顔色1つ変えずにリリスにハルバードを突きつけた。

 

「2度とアホなことを言えないように本当に顎の骨を折ろうか?」

 

「え、遠慮します………」

 

それを見て、リリスは顔を青ざめて、両手を上げて、ルシフェルから離れた。

 

「ハァ………。俺はもう上がる」

 

リリスが離れると、ルシフェルはハルバードを匣に直して、訓練所を出ていった。周りにあった瓦礫の有幻覚もいつの間にか消えていた。

 

「…………ちょ、ちょっと、どういうことなの!?なんで!?昔は顔を赤くするとか、かわいい反応していたのに!?」

 

ルシフェルが出ていくと、恐怖からか涙目になりながら、このメンバーの中で1番ルシフェルと長いつき合いである豪に訊いた。

 

「いや~~、ルシフェルはもともとそういうのは枯れているでござるからな~~……。慣れたでござろう。女子の好意というものも全く気づいてないほど鈍いでござる………」

 

「…………男として、それはどうなんですか?」

 

豪の説明にエンヴィーがツッコんだ。

 

「そういうあなたは………って、そうか……」

 

リリスがエンヴィーに尋ねようとしたがやめた。

 

「なんですか?」

 

「ううん。なんでもないわ。(エンヴィーは昔、恋人だった貴族の女に身勝手に捨てられたんだっけ…………。それ以来、私………というより女相手にいろいろと警戒するようになったのね………)」

 

リリスはエンヴィーについて、そんなことを考えていた。

 

エンヴィーは昔、若くして、ある平民の町の診療所の医者をやっていた。そのときは目付きは鋭くなく穏やかで、腕はあり、町の評判は良かった。

 

そんなある日に近くの貴族の令嬢がエンヴィーの評判を聞いて、訪ねてきた。訪れてきた理由としては病気の治療であった。当時のエンヴィーは貴族に何かをされたというわけでもなかったので、貴族たちに憎悪などはなく、快く引き受けた。そして、何度かの出会いで貴族の令嬢はエンヴィーに惚れたらしく、告白した。エンヴィーも相手の令嬢が自分の知っている貴族たちと違うと思ったので、それに了承して、2人は恋人になった。その日からはエンヴィーにとっても幸せな時間を過ごしていた。

 

しかし、ある日、貴族の令嬢から別れ話が出された。これに驚いたエンヴィーは理由を聞くと、自分と同じで顔のいい、医術の腕を持つ貴族の男と出会ったからというものだった。当然、納得のできなかったエンヴィーは説得したが聞き入れてもらえず、手酷く捨てられたのだった。自分とその男はどちらも似たようなものだった。ただ自分は平民だから捨てられて、その男は貴族だから選ばれたのだった。エンヴィーはそのことに絶望して、貴族を憎むようになった。それからはエンヴィーの目付きが鋭くなり、女嫌いってほどではなかったが女に対して警戒するようになったり、嫉妬深くなった。医学の勉強の合間には格闘術の特訓も行い、ロヴィーノ教団に所属することになった。

 

「そうだわ。ジャバウォックはどうかしら?」

 

すると、次にリリスはジャバウォックに近づいて、声をかけた。

 

「俺は()()()()を裏切ることはしねぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「っ!?(意外にも一途なんだよね…………昔の奥さんに…………)」

 

ジャバウォックの大声に耳を押さえながら、リリスは思った。

 

ジャバウォックはロヴィーノ教団に入る前は今では想像がつかないぐらい穏やかな性格でごく普通の平民の人生を送っていた。産まれてから普通に優しい両親に育てられて、大人になったら普通に仕事をして、普通にある女性と知って恋人になって、結婚して、子供が産まれて、子供も赤ん坊から成長していって、そんな普通の幸せな人生を送っていた。

 

しかし、そんなある日に貴族たちの理不尽な仕打ちで愛する妻と息子を殺された。理由は特に無い。本当に理不尽な理由だった。これに絶望したジャバウォックは貴族たちと守れなかった自分に怒り、性格も180度変わった。それから、しばらくしてロヴィーノ教団に入った。

 

(………ってか、これを見ていると本当に穏やかな性格だったなんて信じられないんだけど)

 

リリスは遠い目をしながら、ジャバウォックを見た。

 

(…………でも、家族を大切にしていたのは本当みたいね)

 

リリスはジャバウォックの首にぶら下がっている家族の写真が入ったロケットを見て、そう思った。

 

(…………私にはわからないものね)

 

それを見て、リリスはそう感じた。

 

リリスは物心がついた頃から両親の顔を知らず、孤児院にいた。しかし、その孤児院は裏で貴族と繋がっており、リリスや他の孤児たちはある程度育つと貴族に売られたのだった。その中でリリスは同年代に比べて、発育が良いために、貴族の酒の相手など遊女をやっていた。リリスは貴族に内心、いい顔しなかったが生きていくために必死にがんばった。それにリリスは貴族に無理矢理とはいえ、奴隷よりもマシな立場にいると思い、それができる自分の体を誇りに思っていた。

 

しかし、ある日、酒で酔っぱらっていた貴族が要約すると『奴隷はまだ人間だが、遊女は人間じゃない』という話をしていたのをリリスは盗み聞きした。それを聞いたリリスは誇りを壊されて、絶望し、貴族により強い憎悪を抱くようになった。その後、ロヴィーノ教団が襲撃してきたことで開放されたリリスはそのまま、ロヴィーノ教団に入った。

 

(ここにいる奴らは私のことを『クソビッチ』とか馬鹿にするけど、人間扱いしてくれるからまだマシね)

 

リリスは豪たちを見ながら、そう思った。

 

「……………どうした…………リリス…………?」

 

「いえ、別に何でもないわ…………………って、いつの間に起きていたのよ、スロウス!!?」

 

声をかけてきたスロウスにリリスは驚きながら訊いた。

 

「…………今…………」

 

「そ、そう…………(スロウスは性欲よりも睡眠欲のほうが勝っているから論外なのよね……………。豪は死体改造で女性の死体も改造しているから耐性があるからね……………)」

 

「……………今、絶対くだらないことを考えているでござるね」

 

「……………同感…………」

 

「性欲塗れの馬鹿な女ですね」

 

「全くだぜぇぇぇぇ!!!!」

 

「ちょっと皆して酷いわよ!!?」

 

豪たちの罵詈雑言にリリスはツッコんだ。

 

「そんなことよりも、「そんなことよりも!!?」リリスは黙ってください。前から気になっていたのですがルシフェルの特訓、かなり過剰の気がしますね」

 

エンヴィーが豪にそう訊いた。

 

「あぁ、それはきっとダークネスに対抗にしているからだと思うでござる」

 

「ダークネス?8年前の《死体の大地事件》の実行犯ですか」

 

「なぜ、ルシフェルがそいつと対抗しているんだぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「…………ルシフェルと…ダークネスは……幼馴染み………」

 

「ほぼ同時にここに入ったでござるからね。きっと、《死体の大地事件》を引き起こしたダークネスにほとんど一方的にライバル意識を持っているのでござろう」

 

エンヴィーとジャバウォックの質問にスロウスと豪が答えた。

 

「ねぇ。そのダークネスってどんな人なのかしら?」

 

すると、リリスが興味津々に訊いていた。

 

「あぁ、少なくとも、ルシフェルと同じかそれ以上に枯れているでござるから、色仕掛けは効かないでごさるよ」

 

「えぇ~~!?つまらないわね~~~……………」

 

「つまらないってあなたって人は…………」

 

リリスの言葉にエンヴィーは呆れていた。

 

「そこまで枯れているなんて、もしかしてそのダークネスって………………オカマ?」

 

「……………ダークネスが…聞いていたら…………問答無用で…………九割殺しだな…………」

 

「やだねぇ、冗談に決まっているでしょ……………って、九割殺し!?半殺しよりも酷いわよ!!?ほとんど殺しているし!!?」

 

スロウスの言葉にリリスは再び、ツッコんだ。

 

「そんなことよりも、「また、そんなことよりも!!?」リリス、うるさいでござる。我輩たちの知っているダークネスは頭が良かったが戦闘はそこまで高くないでござる」

 

「そこまで高くない?それなのに《死体の大地事件》を引き起こしたのですか?」

 

「そうでござる。だから、我輩たちも聞いたときは驚いたでござる」

 

エンヴィーの言葉に豪は肩をすくめながら、そう言った。その後、5人はそれぞれダークネスについて話していた。

 

 

 

 

一方、訓練所から出たルシフェルは部屋に戻っていた。

 

「…………………」

 

ルシフェルはそこでベッドに寝転がり、8年前のことを考え込んだ。

 

当時、ルシフェルたちもグレム帝国とアルミダ帝国の戦争跡地に行った。そこの惨状を見て、言葉を失った。ベネスタンテ星でもかなりの実力者であるグレム帝国とアルミダ帝国の兵士たち、合計20万人が僅か1時間でダークネスに殺された。

 

「《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》か……………」

 

ルシフェルはポツリと呟いた。後にロヴィーノがその時のダークネスにつけた二つ名。ロヴィーノがつけた、この場合の人類はベネスタンテ星だけではない。地球はもちろん、平行世界、異世界の全ての人類に対するものだった。ダークネスはその全ての人類の中で最も強く、最も恐ろしく、最も凶暴の人間だということになった。

 

「ふっ………。俺より弱かった奴が1つの()()()でまさか、あんなに強くなるなんてな」

 

ルシフェルは薄く笑うと、そう呟いた。ルシフェルはダークネスがなぜ1人で2大国に攻めに行ったか、わかっていた。ダークネスは自分の世話になった人たちを殺した2大国に復讐しに行ったのだ。ルシフェルがその人たちの家に行ってみると、家は荒らされていて、庭には2つの墓が建っていた。

 

「……………だが、どういう理由があっても、俺たちの前から消えたことには納得できないな」

 

すると、ルシフェルの顔から笑みが消えた。

 

「俺はお前と戦ってみたいぜ、ダークネス。今のお前となら互角以上の戦いができそうだ。お前にやる気があろうがなかろうが関係ない。ないなら、無理にでもやる気を起こさせる」

 

ルシフェルはベッドから起き上がって呟いた。ルシフェルはどうやら、ダークネスと戦う機会がなくなったのに不満があるみたいだ。

 

「あいつの性格上、貴族側に寝返ることはない。それならば、必ずお前を見つけて連れ戻す。それで、お前に勝って、俺が《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》になってみせる」

 

そう呟いたルシフェルの目はまるで獲物を見つけたかのように鋭かった。

 

 

 

 

その頃のとある平民の町の喫茶店

 

「クシュン!………なんだ?風邪か?」

 

喫茶店の片隅の席でフードを被ったローブの男が呟いた。

 

「…………まぁ、いいか。それよりも…………」

 

男はそう呟いて、持っていた新聞に目を向けた。

 

「『貴族の所有する研究所、全壊!!犯人は被験者の少年!!』か…………」

 

男が読んでいた記事は先日、とある貴族が所有していた人体実験が行われていた研究所が被験者の10歳ぐらいの少年1人に破壊されたのだ。そこの研究員は皆殺しにされて、研究データは全て奪われて、他の被験者の少年少女たちも逃げられたのだ。監視カメラの映像でその少年が犯人だということが判明した。そして、新聞には載っていなかったが犯人であるその少年はその研究所の対革命軍の最高傑作らしく、貴族たちは目を皿にして探しているみたいだ。

 

そのこととは別に、その研究所を所有していた貴族は人体実験のことの責任を追及されていたことも載っていた。

 

貴族たち(ゴミ共)も白々しいが表向きは自分たちのことを善人のフリしているからな…………」

 

その部分を読んでいた男は呆れていた。しかし、男はそれよりも気になることがあった。

 

「この研究所の場所…………()()()()()()()()()()()()な………」

 

男が気になった部分はそこだった。男は被験者たちがこのまま、うまく逃げ切れるとは思っていなかった。逃げ切れる唯一の方法は貴族たちには居場所を隠しているロヴィーノ教団本部に逃げ込むことだった。

 

「ガキ共がロヴィーノ教団に入るかもしれないってことか…………。…………まぁ、俺にはもう関係ないことだな」

 

男はそう呟くと新聞を畳んで直した。

 

「パパ~~!!」

 

すると、男に少女が近づいてきた。

 

「トイレはもういいのか?」

 

「うん。それよりも、早く行こうよ!!」

 

「わかった、わかった。すぐにこれを飲むからな」

 

少女に急かされて男は机にあったコーヒーを飲み干した。

 

「それじゃあ、行こうか。()()

 

「うん!!」

 

少女が頷くのを見ると、男は伝票を持ってレジに向かった。少女の名はこの8年で成長した光城明聖だった。そして、明聖が『パパ』と呼ぶこの男は8年前にダークネスの名前を完全に捨てた光城輝夜だった。

 

 

 

 

輝夜と明聖が喫茶店から出ていこうとする頃、ロヴィーノ教団本部前では………

 

「おい!ガキ共!ここにいったい、何の用だ!!」

 

見張りの男が急にやってきた少なくない子供たちにそう言った。

 

「僕たちをここに入れてほしいんだ」

 

その子供たちのリーダーかと思われる紫色の髪をした少年が前に出て見張りの男にそう言った。

 

「なんだと?」

 

男がそれを聞いて、怪訝な顔をした。

 

「あ。他の皆はまだまだ、発展途上だけどそれなりに実力はあるし、僕に関しては大丈夫だよ」

 

それを見て、少年は聞いてもいないことを話し出した。そして、それと同時に………

 

シュルッ!

 

「シャーッ!!」

 

少年の腰から大蛇が出てきた。

 

「なっ!!?」

 

男はそれに驚いた。

 

「僕の名前は()()()()()でこいつは大蛇丸。昨日の貴族の研究所を破壊した犯人は僕だよ。これで証明になったかな?」

 

少年、ベルゼブブは自分のことをそう説明した。



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ロヴィーノの暗躍

ベルゼブブたちがロヴィーノ教団に入って、数日が経った。ベルゼブブ以外の子供たちは訓練兵として入団したが、ベルゼブブは最初のテストで並の戦士を遥かに上回る戦闘能力を持っていることが判明したので、入ってすぐに最年少の正式の戦士となった。

 

そして、そのことについて、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちとリリアーナ、ロヴィーノが話し合っていた。

 

「ベルゼブブ…………」

 

「この前、起きた研究所の壊滅の犯人か……」

 

「彼のテストを見させてもらったが、あの年であれほどの実力を持っているとはな………」

 

「しかも、彼は《雲》と《大空》の波動を持っています。そして、彼の2つの波動をダークネスの《闇》の炎の力で融合してみると………」

 

「融合は成功したのか…………」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人がそう言うと、リリアーナは頷いた。

 

「はい。《雲》と《大空》が融合した炎、《暴食の炎》が誕生しました」

 

「《暴食の炎》………」

 

「はい。《暴食の炎》はルシフェルたちの《傲慢》、《憤怒》、《怠惰》、《嫉妬》、《強欲》、《色欲》とはまた違う恐ろしい炎です」

 

「ふむ。どう恐ろしいのだ?」

 

《大空の大罪》が《暴食の炎》について、リリアーナに説明を求めた。

 

「はい。ベルゼブブはその《暴食の炎》を自分の体内にある大蛇丸の鱗に纏わせているのですが………。もともと大蛇丸の鱗の防御力は高く、《暴食の炎》を纏わせたことでさらに防御力が上がりました。しかも、それだけではありません。恐ろしいのはここからです」

 

「ふむ。と言うと?」

 

「それは、相手の攻撃を《暴食の炎》を纏った鱗で防御すると、その攻撃で受けた衝撃は全て、調和されて、自分の力へと増殖するのです」

 

『!!?』

 

リリアーナの説明に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは驚いた。

 

「つまりは攻撃が全く効かないどころか、そいつをパワーアップさせてしまうってことか?」

 

「はい、そうです。実際に攻撃してみると、ダメージは全く効かなく、大蛇丸の攻撃力もスピードもかなり上がりました」

 

『………………………』

 

リリアーナの説明を聞いて、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは思案の顔をした。

 

「ベルゼブブはこの《暴食の炎》の性質を数日で理解して、使いこなせるようになったのか………」

 

『残っていた《雲の大罪》の候補としてはふさわしいな』

 

すると、ロヴィーノが口を挟んだ。

 

「《雲の大罪》の候補って………あいつはまだ、子供だぞ!いくら、研究所を破壊したとはいえ、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》にはまだ早い!」

 

ロヴィーノの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人が反対した。しかし、ロヴィーノは声を低くして、言った。

 

『子供だから何?私は貴様らに言ったことがあるよね?『この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い』って、そのベルゼブブは年齢という差を無視して、貴様らよりも実力は上なんだ。そして、ルシフェルたちに近い。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》という名は中途半端では意味がないんだよ。多少の差はあっても、実力を合わせなくてはいけない。私の言っていることは間違っているかな?』

 

『…………………』

 

ロヴィーノの言葉にその場にいた全員、反論ができなかった。確かに、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》という名は7人揃って意味があるものだ。1人でも欠けたり、実力が絶望的に離れていたら意味がない。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》はロヴィーノ教団の中心とも言える部分だった。それのバランスが崩れたら、少なくともスペルラティーヴォ帝国を打ち倒すことはできない。だから、現状、ルシフェルたちに実力が近いベルゼブブを《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人にするという考えは正しかった。

 

ちなみに、ロヴィーノが言った『この世の強弱は年齢も性別も身分も種族も関係ない。強いやつが強い。弱いやつが弱い』という話はリヴォルッツィオーネからロヴィーノ教団に変わったときにロヴィーノが構成員、全員に話したことだ。その言葉の意味も教えられて全員が理解していた。当然、抜けた輝夜も知っていて、理解していた。その後のスロウスやリリスたちみたいな後で入ったメンバーも教えられていた。それは数日前に入ったベルゼブブたちも同様だった。

 

『見た感じ、あいつの覚悟もなかなかのものだから、足手纏いになる可能性は低いだろうな』

 

「……………そうだな。ベルゼブブを《雲の大罪》の候補として考えよう」

 

《大空の大罪》はロヴィーノの言葉を受けて、そう言った。

 

「お言葉ですが団長。子供や新入りだからという理由でベルゼブブを認めないという者が現れるのではないのでしょうか?」

 

すると、リリアーナが心配そうに言った。

 

『大丈夫さ。ここの連中は私の教えもここが実力至上主義だということも、貴族たちに勝つためにそうしたほうがいいということも理解しているからね。もし、不安なら、私の名前を出せばいいさ。それで連中は納得するはずだよ』

 

リリアーナを安心させるかのように、ロヴィーノはそう言った。

 

「そうですか。それなら、私から言えることはありません」

 

それを聞いたリリアーナはまだ、どこか納得してなさそうな感じを出しながらもこれ以上は何も言わず引き下がった。これで会議が終わりそうになったときだった。

 

「…………ロヴィーノ、お前はこうなることがわかっていたのか?」

 

《大空の大罪》が今まで以上に真剣な顔つきでロヴィーノが聞いた。

 

『あぁ、数日前に私が『《雲の大罪》候補はすぐに来る』って言ったから、そんなことを聞いてくるんだね?』

 

「そうだ」

 

『ふっ………その答えはとりあえずイエスかな?そうなるって確信したのはベルゼブブが研究所を破壊したときだね。もし、ベルゼブブが破壊せずに貴族たちの味方になったら、その時は無視するさ』

 

「………………ベルゼブブたちがここの居場所を知っていたのは貴様が…………」

 

『お?勘がいいね。そうだよ、私があいつらに教えたのさ』

 

「貴様!!貴族の被害者とはいえ、ここの居場所を教えるとは何事だ!!」

 

「いくら、貴様とはいえ勝手が過ぎるぞ!!」

 

《大空の大罪》の質問に答えたロヴィーノは《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の他のメンバーが怒号を上げて攻め立てた。それに対して、ロヴィーノはどこ吹く風のように受け流して、軽く謝罪した。

 

『あぁ、それは悪かったね。でも、彼らの能力はロヴィーノ教団で使ったほうがいいからね。だから、いち早くあいつらの身柄を保護するために居場所を教えたのさ』

 

「………………まぁ、確かにベルゼブブたちは我が軍の有力な戦力になったから、このことはこれ以上は不問にしよう」

 

『ククク、感謝するよ。あ!それと、せっかく《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》候補が全員、揃ったんだ。私から提案があるんだけどさ』

 

「提案だと?」

 

『そう。まぁ、詳しくはこれを見てみなよ』

 

ロヴィーノはそう言うと、白い炎から《霧》と《砂漠》の炎を出して、8人に幻術で何かを見せた。

 

『!!!?』

 

それを見て、8人は驚愕した。

 

「これは………!!?」

 

『私が考えた新生《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》専用の匣さ。これを作るのに必要なサンプルなどは私が既に用意しているよ』

 

ロヴィーノは常識はずれなことを言ったがロヴィーノならできると思い、受け流した。

 

『これに名付けるなら《羅刹開匣》だね』

 

ロヴィーノは人を越えた鬼の匣を《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちに説明した。

 

 

 

 

『クククッ。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も、羅刹開匣を気に入ってくれて何よりだ』

 

会議が終わり、解散して、周りに誰もいなくなったところでロヴィーノが呟いた。あの後、本人たちの意思を確認するということで保留されたが、ロヴィーノはわかっていた。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは羅刹開匣を気に入ったということを。

 

『ルシフェルたちはこれを断るはずがない。今まで以上にない力を手に入れることができるんだからな』

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちがルシフェルたちの意思を確認するというのは嘘ではないだろう。だが、ルシフェルたちは二つ返事で了承するだろう。ルシフェルたちはそれぞれ理由は違うが貴族を憎んでいる。ベルゼブブも力をくれた貴族には感謝していると言うが無意識では自分や仲間たちに苦痛を与えた貴族たちを憎んでいる。だから、貴族たちを復讐できる方法があるなら、それを使うまでだった。

 

『あいつらは羅刹開匣のリスクを考えていないだろうな。………いや、そのリスクを全て受け止める気か』

 

羅刹開匣はその強大な力の反面、かなりの負荷が体にかかる。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちはそのことをルシフェルたちに説明するだろうが、きっと、だからなんだという感じでそのリスクを受け止める気だろう。

 

『あいつらは力を過信して馬鹿を起こす奴らじゃないから、余計な心配は必要ないか。羅刹開匣もすぐに使いこなせるだろうな』

 

ロヴィーノはルシフェルたちと羅刹開匣について、考え終わると、今度は別のことを考えた。

 

『新生ロヴィーノ教団を完成させるにはあと()()()()1()()必要だな』

 

ロヴィーノは珍しく深刻そうに呟いた。

 

『この時代は逸材だらけ。特にあいつは私に似ている。私の()()()()()のために必要だがな………。………しかたない。このまま、放っておいても、状況は好転しないからな。………私、自らアプローチしに行くか』

 

ロヴィーノはそう言うと、姿を消した。

 

 

 

 

その日から数日経ったある日、とある平民の町で輝夜と明聖は歩いていた。

 

「ねぇ、パパ」

 

すると、明聖が輝夜に声をかけた。

 

「どうした、明聖?」

 

「パパはどうして目、悪くないのにメガネをかけているの?」

 

明聖は輝夜の容姿について尋ねた。今の輝夜は伊達メガネをかけていて、髪は8年前のと比べて、少し伸びた状態で後ろにヘアゴムで1本に縛っていた。

 

「これはおしゃれだよ」

 

「へぇ~、そうなんだ~」

 

(……………悪いな、明聖)

 

輝夜の答えに明聖は納得したが、輝夜は嘘をついたことに心の中で謝罪した。輝夜がメガネをかけている本当の理由は変装のためだった。ローブのフードで隠すだけでは、不審者と思われて、逆に目立つためにメガネをかけて髪を伸ばすという軽い変装をしているのだ。これだけで案外、周りには気づかれないものなのだ。

 

(8年前のあの事件で俺はいろんな意味で有名になったからな。俺だけならともかく、明聖(こいつ)には危険な目に遭ってほしくないからな)

 

8年前の事件で輝夜もといダークネスは平民や革命軍たちからは英雄としての尊敬、貴族たちからは怒りを買って、世界中に『ダークネス』という名前が広がった。そして、あの後、聖輝と明夜という両親を失った明聖を守るために輝夜はロヴィーノ教団から失踪した。明聖が持つ《光》の炎はかなりの価値がある。特に死者の蘇生の奇跡が《光》の炎の最大の特徴だった。これを知られたら、明聖は必ず狙われる。もし、死者の蘇生を強いられたら、明聖の命が危ない。死者の蘇生の奇跡は使うたびに自分の命を削る。生まれつき持っている明聖でもそう何度も使われたら一溜まりがない。だから、貴族たちはもちろん、戦いで死者が多く出る革命軍からも逃げたのだ。

 

(この8年間、面倒ごともあったが、たいした問題はなかったな)

 

失踪した輝夜はまず、裏社会にいる偽造戸籍を取り扱う者に依頼して、ダークネスの名前を完全に捨てて、『光城輝夜』の戸籍を作った。その後は、賞金稼ぎとして、賞金首を捕まえて、賞金を手に入れて、それを資金にしてた。移動は人の目につかない場所で《闇夜》の炎のワープホールを使って遠くに移動している。それで、追っ手からも巻いている。そして、そのようにして、世界中をまわって、大きな問題もなく8年間過ごした。明聖も世界中を旅するのに楽しんでいた。

 

(ロヴィーノ教団も貴族たちも俺のことを探しているんだろうな…………。だが、俺は捕まるわけにはいかない…………。なんとしてでも、明聖を守ってみせる!)

 

輝夜は覚悟のこもった目をして、目の前で楽しそうに歩いている明聖を見て、そう思った。

 

「…………………」

 

すると、次の瞬間、輝夜の顔が暗くなった。そして、輝夜は懐に手を伸ばして、何かを取り出した。

 

(…………明聖にもいつかは話さなくてはな……………)

 

輝夜が取り出したのは輝夜にドレイク、聖輝と明夜、そして、まだ赤ん坊の明聖が写った写真が入っている写真立てだった。明聖には聖輝と明夜のことも自分のことも何も話していなかった。いつかは話すべきだということはわかっていたが、明聖にこの話をするにはショックが大きいために、もう少し明聖が成長したときにするつもりだった。

 

「パパ~!!早く早く!!」

 

「あぁ、わかった」

 

明聖に呼ばれると輝夜は写真立てを懐に戻して、明聖のほうへと歩いた。

 

「………………………」ニヤリ

 

その2人から離れたところで謎の人物が2人を見て、怪しい笑みを浮かべた。



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堕ちる《闇夜》

その日の夜、輝夜と明聖は宿を取って、部屋にいた。

 

「スーッ…………スーッ……………」

 

「……………寝たか」

 

輝夜はベッドで寝ている明聖の頭をなでながら、呟いた。すると、輝夜は立ち上がって、机の上に置いていた昼間に買っておいた花束を持って部屋から出た。

 

バタンッ!

 

「ん………。……パパ?」

 

すると、扉が閉じた音で明聖が目を覚ました。近くにいない輝夜が気になって、明聖は扉を開けて、廊下を見た。そこには花束を持って、階段で下に降りていく輝夜の姿が見えた。

 

「パパ、花束なんて持って、どこに行くんだろう?」

 

明聖はそれを見て呟いた。昼間に花屋で花束を買った輝夜に尋ねたが輝夜は言葉を濁して、教えてもらえなかった。

 

(そういえば、去年も一昨年もこの時期に花束を買って、次の日にはなくなっていたっけ…………?)

 

明聖は去年も一昨年もその前の年も花束を買っていたことを思い出した。その年は明聖が花が欲しいと言って、輝夜が買ってくれて、それとは別に花束を買っていた。しかし、次の日にはその花束は消えていたので聞いてみると『渡したい人に渡した』と答えた。明聖はそれが誰なのか聞いたが輝夜は教えてくれなかった。

 

(もしかして、パパの恋人!?)

 

その時、明聖はハッとして、そう考えた。結構、ませているようだ。しかし、実際、輝夜は明聖から見ても顔立ちが整っている。明聖が側にいないときは女性から逆ナンパしてくることは1度、2度ではなかった。輝夜はそのことに鈍く、なぜ、自分を誘っていたのか、わかっていなかったがとりあえず誘いを全て断っていた。しかし、そんなことが起きているなら、恋人の1人や2人いてもおかしくないと明聖は考えていた。

 

ちなみに、明聖は輝夜に自分の母親のことについて尋ねたことがあったがその時の輝夜は悲しそうな顔をして、『亡くなった』と答えた。その時から、明聖は母親のことについて訊かないようにした。

 

(パパの恋人がどんな人か見分けなくちゃ!!)

 

明聖は真剣な顔つきして、そう考えた。まだ、輝夜が恋人に会いに行くと決まったわけでもないのに、どうやら明聖は少々、ファザコンのところがあるみたいだ。そして、明聖は輝夜の後をついていった。

 

 

 

 

「あ、あれ?」

 

しかし、宿の外へ出ると輝夜の姿はなかった。見失ったようだ。確かに、明聖は輝夜が外に出て行くのを見た。それから、すぐに明聖は外に出たので、信じられなかった。

 

「もしかして、《闇夜》の炎で?」

 

明聖は輝夜が《闇夜》の炎で移動したことを考えた。今の状況を考えるとおそらく、それが正解だろう。

 

「うぅ………ど、どうしよう…………」

 

それにより、明聖は途方に暮れた。輝夜が《闇夜》の炎を使われたなら、明聖に追いかける手段はない。明聖は諦めて部屋に戻ろうとした。

 

「どうしたのかな、お嬢ちゃん?」

 

すると、誰かに声をかけられて、明聖は声がしたほうに向くと、そこには白髪の赤い目の青年がいた。

 

「えっと………実はパパがここから出ていくのを見たんだけど、見失っちゃって………」

 

明聖は驚きながらもその青年に事情を説明した。

 

「う~ん。君のパパか………。もしかして、君のパパって、黒い髪を後ろで結んでいて、メガネをかけている男かな?」

 

「!!はい、そうです!!」

 

青年が言った特徴が輝夜と当てはまり、明聖は頷いた。すると、青年はそれを見て、微笑みながら声をかけた。

 

「そっか、それなら、私が見たから一緒に行こうか」

 

「え………でも、パパが知らない人についていったらダメだって………」

 

青年の提案に明聖が困ったような反応した。

 

「ハハッ。君のパパはしっかり教育をしているみたいだね。でも、大丈夫だよ。()()で君のパパの近くに案内するから」

 

「え?」

 

「ほら、目を瞑ってみて」

 

「う、うん………」

 

一瞬で輝夜の近くまで案内するという青年の言葉に驚いて、明聖は青年の言うとおりに目を瞑った。すると、自分の両肩に何かが置かれた。おそらく、青年の両手だろう。

 

「はい。もういいよ」

 

「う………ん………えっ!!?」

 

青年に言われて、明聖は目を開けると、驚愕した。そこは宿の前ではなく、どこかの空き家の前だった。

 

「ここはど―――」

 

「シーッ。ほら、その空き家の庭から声が聞こえない?」

 

明聖の言葉を遮って、青年がそう言った。青年の言葉に明聖は空き家の庭のほうに耳を傾けると、誰かの声が聞こえた。

 

「!!パパだ!!」

 

明聖はそれが輝夜のものだとわかった。

 

「ほら、パパのところに行ったら?」

 

「うん!ありがとう、お兄さん!」

 

「ハハッ。どういたしまして」

 

明聖は青年にお礼を言うと、声のするほうに向かった。そして、明聖の姿が見えなくなると、青年は口を歪めて笑った。

 

「………さてと、これからどうなるのか楽しみだな。()()()()()

 

 

 

 

明聖が声のするほうに足を運ぶと、だんだん、声が大きくなった。

 

「パパの恋人って、誰なんだろう………?そういえば、パパはどうして、こんなところにいるんだろう?」

 

明聖の頭にはそんな疑問が浮かび、不安そうに呟いた。そして、そんな疑問を余所に輝夜の声がすぐそばまで近づいた。輝夜の声は曲がり角を曲がったところから聞こえる。明聖はその曲がり角の物陰に隠れて、覗いた。

 

「………いた」

 

そこには、確かに、輝夜の姿があった。しかし、輝夜の前には恋人と思われる人物は無くて、代わりにあったのは…………

 

「…………お墓?」

 

2つの墓だった。その墓のすぐ側に輝夜が昼間に買った花束が置いてあった。輝夜が渡したかった相手というのはおそらく、この墓に向けてだろう。恋人に向けてじゃないというのはわかったが明聖にある疑問が浮かんだ。

 

「………誰のお墓だろう?」

 

明聖は輝夜の目の前にある墓が誰のものなのか気になった。すると、輝夜はその墓に話しかけた。

 

「………………もうあれから、8年が経ったな……。あの時はまだ赤ん坊だった()()()()()()、明聖も大きくなったよ」

 

「え…………」

 

輝夜の言葉に明聖は言葉を失った。母親はともかく、父親はずっと、輝夜だと思っていた。しかし、今の輝夜の言葉だと輝夜は明聖の実の父親じゃないということになる。

 

「あんたらは憎んでないのかもしれないが俺があんたらを殺してしまった」

 

「!!!?」

 

明聖が聞いているとも知らず、輝夜は墓に話しかけて、その内容に明聖はさらに驚愕した。

 

(…え?…………どういうこと?………パパが………私の両親を殺した…………?)

 

明聖はあまりのことに壁にもたれかかって座り込んだ。その間、輝夜が何か話し続けていたが明聖の頭に入ってこなかった。

 

(…………パパはずっと、騙していたの?…………そんなの……………ひどいよ…………)

 

そう考えて、明聖は泣きそうになると……………

 

「明聖?なぜ、お前がここにいるんだ?」

 

「!!?」

 

いつの間に話し終えたのか、輝夜が戻ってきていて、見つかった。明聖は驚きながらも、立ち上がって、輝夜に尋ねた。

 

「……………ねぇ、パパ。……………今のって……………」

 

「!!?………………すまない」

 

「!!?」

 

輝夜の言葉に明聖は、今の謝罪は明聖の本当の両親を殺したことに対してのものなのか、今までその事実を隠してきたことに対してのものなのか、明聖にはわからなかった。というよりも、考える余裕がなかった。明聖はできれば否定してほしかった。しかし、今の謝罪によって、輝夜が話していたことを肯定したことがわかった。

 

「……………どうして」

 

「明聖………」

 

「どうして……………私を騙していたの?」

 

「……………………」

 

「何で……………答えないの…………」

 

「………………すまない」

 

「嫌だよ!!謝らないでよ!!私はそんなのを聞きたくないよ!!」

 

輝夜が謝罪すると、明聖がボロボロ涙をこぼしながら答えた。

 

「……………もういいよ。パパなんて知らない!!!!」

 

「明聖!!!?」

 

明聖がそう叫ぶと後ろを振り返って、走り出した。輝夜も追いかけようとしたが足がすくんで走り出すことができなかった。

 

(俺にあいつを追いかける資格なんてあるのか………………?)

 

そういう考えがあったせいで輝夜は動けなかった。しかし、そんなときだった。

 

「キャーーーーー!!!?」

 

「!!!?明聖!!!!」

 

すると、明聖の悲鳴が聞こえて、輝夜はさっき考えていたことを忘れて、走り出した。

 

「明聖!!!!」

 

輝夜が追いつくとそこには明聖を連れてきた青年がいて、彼の足下には倒れている明聖がいた。

 

「お前!!!そいつに何をした!!!?」

 

輝夜は青年に警戒しながら怒鳴った。

 

「安心しなよ。こいつの命は奪っていないからさ」

 

青年はそれに対して、そう言った。

 

「パパ……………」

 

よく見てみると明聖の命に別状はなさそうだった。輝夜はひとまず、そのことに安堵した。

 

「さて、そんなことよりも私のことを気にしてほしいね。ダークネス」

 

「!!?」

 

輝夜は自分のことを『ダークネス』と言った青年に対して、さらなる警戒をした。

 

「お前、何者だ?」

 

輝夜は青年の素性を聞いた。

 

「何者かって?貴様も知っている()()さ」

 

青年がそう言うと………………

 

ボウッ!!!

 

「「!!!?」」

 

青年の体が白い炎で燃え上がった。それを見て、輝夜と明聖は驚いた。特に、輝夜はその白い炎に見覚えがあった。輝夜は青年の面影もなく、ただ白い炎となったものに叫んだ。

 

「お前………ロヴィーノか!!!」

 

「ロヴィーノ…………?」

 

『その通りだよ、ダークネス』

 

輝夜に言われて、明聖は意味がわからず、そう呟き、ロヴィーノは肯定した。

 

「さっきの姿がお前の本当の姿か?」

 

輝夜はさっきの青年の姿がロヴィーノの本当の姿なのか訊いてみた。

 

『いいや、違うよ。わかっていると思うけど、さっきの姿は私の幻覚で作ったものさ。でも、私の本来の姿になるには今の魂の状態ではできないんだよね。私の本当の姿を見たら、きっとお前は驚くだろうな』

 

「俺が驚くだと?」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は怪訝な顔をした。ロヴィーノの本当の姿は色と髪の長さを除いて輝夜と似ているため、後にロヴィーノ復活直後は驚く暇はなかったが、落ち着いて、よく考えてみたら驚くことになるのだった。

 

『まぁ、私の本当の姿なんて、どうでもいいじゃないか』

 

「……………そうだな、それよりもお前に訊きたいことがあるんだ」

 

『へぇ、何かな?』

 

輝夜の疑問にロヴィーノは興味津々に訊いてみた。一方で、明聖は状況について行けなかった。

 

「単純な話だ。いったい、何の用だ?」

 

『なんだ、そんな話か…。それこそ、単純な話だよ。貴様を連れ戻しに来たに決まっているだろ。もうそろそろ、家出もやめたら、どうなんだ?』

 

「そんなことだと思ったぜ。だが、なぜ今更そんなことするんだ?お前なら、俺の居場所なんか、すぐにわかるだろ」

 

『今回は状況が違うんだよね。もうすぐ、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の世代交代するんだよ。その新生ロヴィーノ教団には《闇夜》の炎を持つお前の力が必要なんだよね。ちなみに《大空の大罪》がルシフェル、《雷の大罪》は豪、《雨の大罪》はスロウスだよ』

 

「………………あいつらがな」

 

『そう。あ。あとの4人はお前が抜けた後に入った連中だから』

 

「ご丁寧に教えてくれて、どうも」

 

「え?ちょっと待って!!どういうことなの!?」

 

輝夜とロヴィーノの話に明聖が理解ができず、叫んだ。

 

『ん?貴様、こいつに何も話していないのか?』

 

「……………………」

 

『どうやら、そうみたいだな。それなら、私が教えてやるよ。そこの男、ダークネスは元ロヴィーノ教団の戦士の1人なのさ』

 

「パパがロヴィーノ教団の戦士…………?…………って、ちょっと待って!!ダークネスって何!?パパの名前は輝夜だよ!!」

 

明聖はロヴィーノの話に間違いがあることに気づき、それを指摘した。

 

『本当に何も話していないんだな……………。貴様の父親は8年前に改名したのさ。まぁ、正規の方法じゃないから、戸籍上はまだ、ダークネスの名前があるんだけどね』

 

「そっちのほうが逃走に使えるからな。だが、今の俺は光城輝夜だ。ダークネスという名前はとっくに捨てたんだ。(というよりも、ダークネスはあの時に死んだんだ)」

 

輝夜は自分が死んだ時のことを思い出しながら、そう言った。

 

『それよりも、訊きたいことはもう終わったのかな?それなら、ロヴィーノ教団に戻ってきてくれないかな?』

 

「……………断るって、言ったら?」

 

『その時は光城明聖(こいつ)を人質にでも取って、言うことを聞かせようかな。個人的にも光の一族は気に入らないしね』

 

「ひっ!?」

 

ロヴィーノにそう言われて、明聖は小さく悲鳴を上げた。輝夜は明聖が寝た深夜に賞金首を捕まえている上に、その時は顔を隠して、正体をばれないようにしていたために、明聖は争いごとと無縁だった。

 

「させるか!!」

 

輝夜はそう叫ぶと、《闇夜》のショートワープで明聖を急いで回収し、ロヴィーノから離れた。

 

「パパ……………」

 

明聖は輝夜に横抱きされながら、輝夜の顔をじっと見た。

 

「無事か、明聖?」

 

「う、うん。えっと………これって…………」

 

「…………………終わったら、全て話す。だから、少し待ってくれないか」

 

「うん………わかった………」

 

輝夜は明聖の返事を聞くと、明聖を下ろした。

 

「下がってろ」

 

「うん………」

 

輝夜にそう言われて、明聖は輝夜とロヴィーノから離れた。

 

「…………………」

 

それを確認すると、輝夜はメガネを外して、それを捨てた。それから2つの匣を取り出した。

 

「…………開匣」

 

「グオォォォォーーーー!!!!」

 

そして、輝夜はそれぞれガンブレードとドレイクを匣から出した。

 

『気が早いな。私とやるつもりか?』

 

ロヴィーノはそれを見て、呆れたように言った。

 

「どうせ、ここで逃げても、お前は執拗に追いかけてくるんだろ?それなら、わかりやすく、意思表示するだけだ。それにお前は明聖を狙っている。そんなやつを放っておけないんだよ」

 

『なるほどね。ずいぶん、その光の一族の小娘を大事にしているんだね』

 

「パパ…………」

 

ロヴィーノの話を聞いて、明聖は目を見開いて、輝夜を見た。先程のこともあり、明聖はわからなくなっていたのだ。

 

『でも私には理解できないな。そんな溢れんばかりの光を持つ小娘を必死に守ろうするお前をな……』

 

「別に理解してほしい、とは思わないな。所詮、俺とお前は他人なんだ。考え方が違うことぐらい、あるに決まってんだろ」

 

『まぁ、それもそうなんだが、お前だと話は別なんだよな』

 

ロヴィーノの話に輝夜は顔をしかめた。

 

「どういうことだ?」

 

『いや。なんでもない。このことはまたゆっくり話すさ。とりあえず、今は…………』

 

ボウッ!!!

 

『貴様を連れて帰ることだけを考えようか!!』

 

ロヴィーノは激しく燃え盛りながら、そう言った。

 

「チッ!結局はそうなるのか!だが、お前に負けるわけにはいかないんだ!!いくぞ、ドレイク!!」

 

「グオォォォォーーーー!!!!」

 

そう言って、輝夜とドレイクはロヴィーノに向かって飛び出した。

 

 

 

 

数十分後

 

「ガハッ…………!!?」

 

「グルル………………」

 

輝夜とドレイクはボロボロで倒れていた。惨敗だった。つけていたヘアゴムもちぎれて、輝夜の髪は下ろされた状態だった。

 

「パパ!!!ドレイク!!!」

 

それを見て、明聖は叫んだ。

 

「くっ…………。強すぎる………………。攻撃が全く通じない………………」

 

輝夜は悔しそうに呟いた。相手の体は炎の状態だった。だから、輝夜は《闇夜》の炎の無効の力で攻撃した。しかし、ロヴィーノは平然と受け止めたのだ。

 

『まぁ、そんなに落胆することはないよ。今の貴様の実力は8年前のときと比べて、比べものにならないくらい強くなっているからさ。私がつけた《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》の名に恥じない実力だったよ』

 

「…………いつの間にか変な異名がついていると思ったら……………お前がつけたのかよ………………」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は顔をしかめて、呟いた。

 

『さてと、そんなことよりも、もう終わりだね。ロヴィーノ教団の連中を呼んで連れてくるか』

 

ロヴィーノはそう言って、消えようとしたが…………

 

「まだだ…………!まだ、終わってない!」

 

輝夜がフラフラとしながら、立ち上がった。

 

「パパ!!」

 

『まだ、やるのかい?もう、わかっているだろ?貴様に勝ち目ないってこと』

 

ロヴィーノはそれを見て、そう言った。しかし、輝夜はそんなことは関係無いと言わんばかりに言い返した。

 

「だから、なんだ?俺はこいつを守れるなら勝ち目があろうがなかろうが関係ないんだよ!」

 

『へぇ………。貴様がその小娘を守るためにロヴィーノ教団を抜けて、8年間逃げ続けていたことは知っていたけど、そこまで覚悟を持っていたとはな……………』

 

「パパが私を……………?」

 

ロヴィーノの話を聞いて、明聖は呟いた。

 

『その小娘の実の両親を自分の失態で殺してしまったことに対する罪悪感から来ているのか?』

 

「………………否定はしねぇよ。俺があの時にエレオノーラの悪意に気づいていたら、あの人たちが死ぬことはなかった。俺が明聖の両親を殺したようなものだ」

 

輝夜は当時のことを思い出しながら、話し出した。

 

「俺はそのとき、絶望したよ。俺も、あの人たちは親のように感じていたからな。あの人たちは気にするなって言っていたがそれで納得できるほど、俺はできた人間じゃねぇ。だが、そんなときに明聖が救ってくれた」

 

「私が………?」

 

「あぁ、そうだ。あの時、涙が枯れて途方に暮れた俺に明聖が優しく微笑んでくれた。まるで、俺を励ましてくれたかのようにな………。その時に、俺は改めて思った。『俺にはまだ、明聖がいるんだ』ってな」

 

輝夜は哀しみと懐かしさを混ぜたような顔をしていた。すると、次の瞬間、覚悟がこもった目をして、言った。

 

「だから、せめて俺にとっての光である明聖だけは俺の命に代えてでも守ってみせる!!」

 

「パパ………………」

 

輝夜の話を聞いて、明聖はまた涙を流していた。それは、先程の涙とは違う。輝夜がこんなにも自分のことを想ってくれていたという嬉しさの涙とそれに対して、酷いことを言ったという後悔の涙だった。明聖は輝夜に謝りたいと思った。しかし……………

 

『ふ~~ん。それなら、貴様の覚悟がどんなものか見させてもらおうか』

 

「ガッ!!?」

 

「パパ!!?」

 

ロヴィーノがそう言うと、輝夜はまるで金縛りにあったかのように固まった。それを見て、明聖は輝夜のことが心配になり、叫んだ。

 

『安心しな。逃げられないように《大地》の炎の重力で貴様を押さえつけただけだ』

 

「何を………する気だ………!?」

 

輝夜が苦しそうにしながらも、ロヴィーノに訊いた。

 

『別に、このままやったら、貴様が使い物にならなくなりそうだから、少し手を加えるだけさ』

 

ロヴィーノはそう言って、白い炎を輝夜に飛ばした。

 

「くっ…………!!?」

 

輝夜はかわそうとしたが、炎の重力のせいでできなかった。そして、炎は輝夜の体内に入り込んだ。

 

ボオオウッ!!!!

 

「ぐ、ぐあぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!?」

 

「パパ!!!?」

 

すると、輝夜の体から白い炎が燃え上がった。輝夜はその炎のせいで苦しみ出した。それを見た明聖が心配して、輝夜に近づいたが思いの外、炎の勢いが凄まじく、近づけなかった。そして、しばらく経つと、炎が治まり…………

 

ドサッ………

 

いつの間にか、炎の重力も解いていたのか、輝夜はその場に倒れた。

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、明聖は輝夜に駆け寄った。

 

「パパ!!!パパ!!!お願い!!!起きて!!!」

 

明聖は輝夜に必死に呼び掛けた。どうか、無事でいてほしいという願いを込めながら………。

 

「…………大丈夫だ、明聖」

 

すると、輝夜はそう言って、起き上がった。

 

「パパ………。………っ!!!?」

 

それを見て、明聖は一瞬喜んだが、輝夜の顔を見て、明聖の顔がひきつった。

 

今の輝夜が自分の知っている輝夜とは()()()()()()見えたのだ。

 

『さてと、ダークネス。今ここで尋ねるがロヴィーノ教団に戻ってくれるかな?』

 

そんな明聖の心情を無視して、ロヴィーノが尋ねた。それに対して、明聖は断るだろうと思っていた。

 

「あぁ、いいだろう」

 

「!!!?」

 

しかし、その考えは裏切られた。

 

「だが、明聖の安全を保証しろ。それが条件だ」

 

『ふ~ん。これでも、そんなこと言えるんだ。………………まぁ、いいか。わかったよ、ロヴィーノ教団の連中には忠告しておくよ』

 

「感謝する」

 

輝夜とロヴィーノがそんな話をしていたが、明聖は頭が追いついていなかった。

 

(どうして……?パパのはずなのに、まるでパパじゃないみたい…………。というかパパが怖い…………)

 

明聖は今の輝夜を見て、恐怖を抱いていた。それもそうだ。後に判明することだが、ロヴィーノは《闇》の炎で輝夜の中にある貴族や世界への憎しみを助長させたのだ。それによって、今の輝夜はより冷酷な性格になったのだ。正の感情には影響がたいしてなかったのがせめてもの救いだった。おかげで、人格を変えられても明聖のことを気にかけることができたのだから。

 

「明聖、とりあえず今日は宿に戻るぞ。明日、ロヴィーノ教団に向かう」

 

「え!?あ、うん……………」

 

明聖が考え事している間に輝夜が声をかけてきた。明聖は突然声をかけられたことに驚いたが、すぐに返事した。周りを見てみると、いつの間にかロヴィーノが消えていて、ドレイクは匣に戻っていた。

 

(パパがなんで、変わっちゃったのかわからないけど、私が何とかしなくちゃ!今のパパは嫌だ!!元のパパに戻ってほしい!!)

 

明聖は移動するために輝夜と手を繋ぎながら、そう決心した。そして、2人はその場から消えた。



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帰還

「ここがロヴィーノ教団……………(昔、パパがいたっていう…………)」

 

明聖がロヴィーノ教団の本部の前に立って驚いていた。今まで、争い事に無縁だった明聖にとって、ある意味、新鮮な場所だった。………もちろん、悪い意味で。

 

「…………まさかここに戻ってくる日が来るなんてな」

 

明聖の隣にいた輝夜が同じようにロヴィーノ教団の本部の前に立って、懐かしそうに、だが憂鬱そうに呟いた。

 

「………………」

 

そんな輝夜を明聖はじっと見つめていた。

 

「どうしたんだ、明聖?俺の顔に何かついているのか?」

 

それに気づいた輝夜が明聖にそう尋ねた。

 

「…………ううん。パパ、髪切ったんだって、思って」

 

それに対して、明聖はごまかすように言った。しかし、実際、後ろに束ねることができるほど長かった髪がバッサリと切られていた。今の輝夜の髪型は8年前の時のと同じものだった。明聖が物心ついた頃から輝夜の髪は長かったので、明聖にとって、新鮮な感じだった。……ちなみに、今回はいい意味で。

 

「あぁ、まぁな。もともと、変装のために伸ばしていただけだし、正体を隠す必要がないなら、ただ邪魔なだけだからな」

 

「そうなんだ…………」

 

髪を弄りながら、そう言う輝夜に明聖は別のことを考えながら、そう言った。

 

(…………やっぱり、いつものパパに見えるけど、何かが違う。どうすれば、元のパパに戻るの…………?)

 

明聖は不安そうに、そう考えた。しかも、明聖の不安要素は輝夜の豹変だけではなかった。

 

(パパって、私を守るために、ここを勝手に辞めたんだよね。ひどいこと、されないかな……………)

 

明聖のもう一つの不安要素は自分と輝夜が何かされないかだった。明聖にとって、革命軍は怖いイメージがあった。一応、自分は輝夜から聞いた話だと自分の身の安全は保証されているみたいだけど、安心はできず、しかも輝夜のことについては何も言っていなかった。だから、明聖は心配だった。

 

「待っていたわよ、ダークネス」

 

「!?」

 

明聖が考え事していると誰かから声をかけられた。それに明聖は驚いて、声がしたほうを向くとそこにはリリアーナがいた。

 

「…お久しぶりですね。リリアーナさん」

 

「まったくね…………。あなたが無断でここを抜けたから、ロヴィーノ教団は大パニックよ。結果的に問題はなかったから良かったけどね………」

 

「……………それはすみませんでした」

 

リリアーナの小言に一応の謝罪はするが、輝夜は後悔も()()もしていないことをリリアーナは察した。

 

(貴族たちの憎しみが残っているとはいえ、今のあなたにとって、ロヴィーノ教団は()()()()()()()()()()ってなったわけね。ロヴィーノの話だと、この子を傷つけたら、あなたは容赦なくここを潰すって話だったわね。それほど、この子は大切な存在ってことかしら?)

 

リリアーナは輝夜の後ろに隠れている明聖を見て、そう感じた。

 

「……………………」

 

そして、明聖のほうもリリアーナをじっと見ていた。というよりも少し睨んでいた。

 

「?………どうしたのかな、君?」

 

それに気づいたリリアーナは明聖に声をかけた。それを聞いて、明聖は答えた。

 

「………お姉さん………パパと仲いいけど………もしかして、パパの恋人?」

 

「え?」

 

明聖の言葉にリリアーナは一瞬、理解できなかったが、すぐに理解して、否定しようとしたが…………

 

「いや、それはない」

 

輝夜が顔色1つ変えずに即答した。

 

「あ、そうなんだ」

 

それを聞いた明聖は安心したように息をついたが………

 

「………ダークネス………今の答え方は……少し傷つくわよ………」

 

輝夜の答え方のせいで乙女心にダメージを受けたリリアーナが輝夜を睨みながら言った。

 

「はぁ………。それならば、どう答えればよかったのですか?」

 

それに対して、輝夜は困ったように訊いた。

 

「そうね………。例えば、もう少し慌てたりしたらとか………」

 

「そんなことしたら、逆に誤解される可能性があります。そうなるぐらいなら、きっぱりと否定したほうがいいと思います。そのほうが()()()()()()()とかに迷惑が関わらないのですから」

 

「それもそうね…………って、なんで私が結婚していること知っているの!?私が結婚したのはあなたが抜けている間のことよ!(それと、あれで一応、気遣っていたのね………)」

 

「お姉さん、結婚していたんだ!でも、どうしてわかったの?」

 

輝夜の言葉にリリアーナと明聖が驚き訊ねた。それに対して、輝夜は説明を始めた。

 

「別にたいした理由ではありませんよ。あなたの左手の薬指にリングの跡が残っています」

 

輝夜に言われて、2人はリリアーナの左手の薬指を見てみると確かに薄くだが、細い跡がいくつも残っていた。

 

「それにより、跡が残るぐらいリングを着けていたことが証明されます。しかし、死ぬ気の炎を灯すリングにしては細い。だから、そのリングである可能性はない。そう考えると残りは…………まぁ、もともとその指に着けるリングといえば結婚指輪なんですがね」

 

輝夜の説明に2人は驚いたが、何となくムキになってリリアーナが訊ねた。

 

「私が離婚したという可能性は考えなかったのかしら?」

 

「…………自分で何言っているんですか?………まぁ、その可能性はありませんね」

 

リリアーナの言葉に呆れながらも輝夜は説明した。

 

「いくつも跡が残っているということは、何度も取り外しをしたということです。あなたは公私混同する人ではありませんし、仕事の際は外しているんじゃないのですか?そして、そのリングはあなたの服の首元からはみ出ているチェーンに通して、服の中に入れているんじゃないのですか?」

 

輝夜の説明にリリアーナは首元に手を当てて、明聖はそれを見た。確かに服の首元からチェーンがはみ出ていた。

 

「ハァ………。あなたの言う通りよ。私には主人と子供が1人いるわ」

 

リリアーナは観念したかのように息をつくと、チェーンを手繰り寄せて、チェーンに通してあったシンプルな結婚指輪を2人に見せた。

 

「相変わらずの観察眼ね。あの僅かな時間でそこまで見ていたとはね」

 

「ありがとうございます。………しかし、そろそろ中に入りませんか?」

 

輝夜は礼を言うと、リリアーナにそう言った。

 

「……それもそうね。それじゃあ、2人共、私についてきて」

 

「は、はい!」

 

「わかりました」

 

そんな感じで3人はロヴィーノ教団本部の中に入った。

 

 

 

 

中に入った後、3人はそれぞれの目的地に向かって歩いていた。そして、3人は雑談していた。

 

「一般人の平民と結婚したのですか?」

 

「えぇ、そうよ。休日に町に出たら会ってね。私のことを全て知っても、受け入れてくれてね。そこに惹かれて結婚したのよ」

 

「へぇ、そうなんですか~~!おめでとうございます!」

 

「ふふっ♪ありがとうね♪」

 

明聖に祝いの言葉を言われて、リリアーナは嬉しそうにお礼を言った。

 

「しかし、大丈夫なんですか?あなたは《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の専属秘書ですよ。そんな重要な人物のご主人とお子さんが人質に取られるなんてことがあったら………」

 

輝夜はリリアーナのことを心配してそう言った。

 

「それなら大丈夫よ。そこら辺の情報は規制されるし、ここの団員の家族は皆、保護対象に入るようになるのよ。だから、貴族たちに狙われるってことはないのよ」

 

それに対して、リリアーナは説明した。

 

「へぇ………。俺がいない間にそんなのができていたのですか」

 

それを聞いて、輝夜が感心したように言った。

 

「……………」

 

輝夜の言葉を聞いて、リリアーナは顔を暗くした。そして、2人に言った。

 

「………というのも、同じ悲劇を繰り返さないためなのよ」

 

「え!?同じ悲劇って………誰か犠牲になったのですか!?」

 

「え、えぇ………」

 

明聖の言葉にリリアーナは罰が悪そうな顔して、そう言った。

 

(…………まさか)

 

それを見て、輝夜は何かを察した。

 

「リリアーナさん?その人たちが言っていた人たちですか?」

 

すると、幸か不幸か、3人に若い女性団員が声をかけてきた。その女性団員に呼ばれたリリアーナはすぐに答えた。

 

「え、えぇ、そうよ。悪いけど、あなた、この子を大広間に連れていってくれないかしら?私は彼を団長たちのところに連れていくから」

 

「え!?」

 

急に、言われた明聖は驚いた。

 

「はい。それは構いませんが彼、もともと、ここの団員ですよね?案内の必要があるのですか?」

 

「ここから、逃げないようにという監視の意味もあるのよ」

 

「そうですか。わかりました」

 

「………………」

 

2人の話に輝夜は黙って聞いていた。

 

「ちょ、ちょっと、待ってください!」

 

それに対して、明聖は叫んだ。

 

「パパとどうして、別々なのですか!?一緒だとダメなのですか!?」

 

明聖は今の輝夜と離れることに不安があった。だから、別々になるのに抵抗したのだ。

 

「明聖」

 

すると、輝夜が明聖の頭を撫でながら、声をかけた。

 

「大丈夫だから。俺もお前も別に何かされるってことは無いからな」

 

「パパ…………」

 

「だから、少し待っててくれないか?」

 

「……………うん」

 

輝夜に言われて、明聖は渋々と頷いた。

 

「それじゃあ、行こっか」

 

「……はい」

 

そして、明聖は女性団員と大広間に向かった。

 

「………………それで?」

 

2人きりになったところで輝夜が切り出した。

 

「それでとは?」

 

「監視………というのも嘘ではないと思いますが、俺に何か話があったのではないのですか?」

 

「!?」

 

「そして、それは、さっき言っていた『悲劇』っていうのは俺と明聖に関係あるものですよね?」

 

「ッ!!?」

 

輝夜の話にリリアーナは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「…………そうよ。光城聖輝と光城明夜。あなたたちの関係者である2人が貴族たちに襲撃を受けたことで亡くなった………。それ以来、関係者を保護対象にするというものが生まれたのよ」

 

「……………」

 

「失念だったわね………。関係者が狙われることを微塵も考えていなかったんだから…………」

 

「……………仕方ありませんよ。俺も予想していなかったんですから」

 

輝夜は当時のことを思い出して、顔を歪めた。

 

「…………ダークネス。謝りたいことがあるのよ………」

 

すると、リリアーナはそう言った。

 

「なんですか?対策を練っていなかったことはもういいですと………」

 

「そっちじゃないわ。………エレオノーラって、覚えてる?」

 

「!?」

 

輝夜の言葉を遮って、言ったリリアーナの言葉に輝夜は思い出した。自分を引き抜こうとしてエレオノーラが勧誘してきたこと、それが嘘だったこと、それのせいで聖輝と明夜が死んだこと、それがきっかけで《死体の大地事件》が起きて二大国が滅んだこと。

 

「………………思い出したくも聞きたくもない名前ですね」

 

「そう…………」

 

輝夜の言葉にリリアーナは覚えていると感じた。

 

「それで、なんで、そいつの名前が出てきたのですか?」

 

そして、輝夜はリリアーナにそのことを訊いた。

 

「……………実は…………エレオノーラは………私の妹なの」

 

「!?」

 

「私はここに入る前は、アルミダ帝国の令嬢だったの………」

 

「………………」

 

リリアーナの話に輝夜は黙って聞いていた。それが逆にリリアーナに恐怖を煽っていた。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼ばれるようになった男の怒りがどんなものなのかリリアーナには想像ができなかった。しかし、リリアーナは謝るしかなかった。たとえそれが、自分の身に危険が及ぶことになっても……。

 

「私の妹と父が、あなたたちに酷いことをして、ごめんなさい………」

 

「!?」

 

リリアーナの行動に輝夜は驚いた。リリアーナは床に膝と手をつけて、頭を下げた。つまり、リリアーナは前にロヴィーノや《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》に言った通り、輝夜に土下座したのだった。幸い、周りに人はいないし、近づいてくる気配もなかったが、輝夜は一瞬、戸惑った。だが、すぐに冷静になって、リリアーナに声をかけた。

 

「……………顔を上げてください」

 

「…………………」

 

輝夜に言われて、リリアーナはゆっくりと顔を上げた。

 

「別にあなたが謝る必要はないじゃないですか」

 

「!?」

 

顔を上げた途端に輝夜に言われた言葉にリリアーナは驚いた。てっきり、罵詈雑言を浴びせられるか殴られるかと思ったからだ。その驚いた表情に輝夜は呆れた表情を見せながら言った。

 

「……………なんですか?まさか、あなたがあのエレオノーラの姉だからという()()()()()()()であなたを軽蔑すると思ったのですか?」

 

「くだらない……って……………」

 

「くだらないですよ。あなたが元アルミダ帝国の令嬢だからなんですか?別にあんたがあの人たちを殺したわけじゃないんだろ?それとも、あんたはあの一件に関わっているのか?」

 

「か、関わっていないけど…………」

 

「それなら、別にいいじゃないですか。俺はあの一件に無関係の者に手を出す気はありません」

 

「………………あなたは貴族が憎くないの?」

 

とりあえず、自分に何もする気は無いとわかったリリアーナは立ち上がって、訊いてみた。その理由は今の輝夜の発言がまるで、貴族たちをどうとも思ってないみたいな感じだったからだ。

 

「は?もちろん、憎んでいるに決まっているじゃないですか」

 

「!?」

 

「あぁ…………でも、正確には貴族を憎んでい()ですかね」

 

「憎んでいた………?」

 

「えぇ。昔、ルシフェルが言っていたんです。『憎しみが強さの理由』だとね。俺は別にそのことに関しては否定する気はありません。8年前のあれもそれが理由ですからね。だけど、グレム帝国とアルミダ帝国を滅ぼしたことで憎しみをぶつける相手はいなくなったんです」

 

「…………まぁ、それは当然かもね」

 

輝夜の言葉にリリアーナは同意するかのように呟いた。そして、そのまま輝夜は話を続けた。

 

「あいつらなら、その憎しみを体に覚えさせたまま、戦うことができるでしょう。豪とかがその例です。あいつはとっくに自分の親を殺した貴族を壊滅させています。それにもかかわらず、あいつは新たな《雷の大罪》になろうとしています。それに比べて俺は気分屋なのでそういうことができないのです」

 

「でも、あなたは今では《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼ばれているわ」

 

「……………別に俺はそんな肩書きを名乗ったことはないのですが……………まぁ、いいか。それよりもここで話、変わりますが俺はくだらない差別はしないんですよ」

 

「差別をしない?」

 

「えぇ。年齢も性別も種族も身分…………は貴族が嫌いなので微妙なところですが一応、向こうから何もしなかったら、俺は何もしません。敢えて差別すると言うなら、敵か味方かそのどちらでも無いかですね」

 

「ずいぶんとわかりやすい差別ね」

 

「そうですね。でも、だからこそ俺は敵には容赦なく叩き潰すだけですよ」

 

(………………単純に見えるけど、複雑に考えてみたらとんでもないこと言っているわね。しかも、それを自覚しているみたいだから質が悪いわ。彼を敵に回すことだけは絶対に避けた方がいいわね。初めて会ったときは《闇》だって思ったけど、もう彼はそんな生温いものじゃないわ)

 

そう言った輝夜にリリアーナは少しの畏怖を感じながら、そう思った。

 

「ふぅ………。そう。なら、そろそろ、団長たちのところに向かいましょうか」

 

「それもそうですね」

 

リリアーナに言われて、輝夜も同意して、2人は歩き出した。

 

 

 

 

「そういえば、あなた……………途中で敬語、抜けていたわよ」

 

「え?………あぁ、そういえばそうでしたね。すいません」

 

「まぁ、別にいいんだけどね」



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《闇夜》VS《傲慢》 前編

ロヴィーノ教団の訓練所、そこの《色欲の炎》を応用して作った、擬似フィールドの荒れた土地が広がっている岩山では2人の男がいた。

 

1人は漆黒の石がはまったリングを指に装着していて、両手には漆黒のガンブレードを2丁持っていた。

 

もう1人はオレンジ色の石がはまったリングを指に、赤、青、紫、黄、緑、藍の石がはまった手甲を手の甲に装着していて、ハルバードを持っていた。

 

その2人はお互いがお互いを睨んでいた。そして…………

 

ダンッ!!!!

 

ガキンッ!!!!

 

ドカーーーーーン!!!!

 

『!!!?』

 

2人は勢いよく地面を踏み込んで、飛び出した。そして、そのまま、2人はそれぞれの自分の武器で攻撃して、交差した。その途端、凄まじい衝撃が走り、周りに大量の粉塵が舞った。その場から離れた場所にいた観客たちはその威力に驚愕した。

 

 

 

 

これが起きる数時間前……………

 

明聖は女性団員に連れられて、大広間に入った。そこには7人の男女がいた。

 

「お待たせしました。次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の皆さん」

 

女性団員はその7人にそう言った。

 

「あら?もしかして、その子が例の子かしら?」

 

すると、その7人の中の紅一点、リリスが話しかけてきた。

 

「はい。そうです」

 

「ダークネスはどうしたのでござるか?」

 

今度は緑の髪の男、豪が女性団員にそう訊いた。

 

「彼はリリアーナさんと一緒に団長たちのところに向かいました」

 

「なるほど、そうでござるか。ありがとうでござる」

 

「そんな!たいしたことでは無いので!では、私はこれで失礼します」

 

女性団員は次期《雷の大罪》の豪に礼を言われたことに慌てながら、そう言って大広間を出ていった。

 

「………………(この人たち、皆、キャラが濃そう………パパ、早く来てぇ…………)」

 

大広間に入ってから黙ったままだった明聖だったが内心ではこう思って輝夜が早く来てくれることを願っていた。

 

「ねぇ。君、名前、何て言うの?」

 

すると、7人の中では1番の年下で明聖よりは年上の少年、ベルゼブブが明聖に近づいて尋ねてきた。

 

「あ。えっと……光城明聖………です……」

 

「ふ~ん。そう。光城明聖ね」

 

ベルゼブブは確認すると、明聖から離れた。

 

(それだけ!?)

 

特に反応が無かったことに明聖は内心、僅かだがショックを受けた。

 

「もう!ベルゼブブ!他人(ひと)の名前を訊くときは自分の名前から言うのが礼儀よ!」

 

「まぁ、礼節を忘れていたとしても、せめて自己紹介するものでござる」

 

そんなベルゼブブにリリスと豪が注意した。

 

「ハァ…………。わかったよ。僕はベルゼブブ」

 

「それでいいのよ!あ、私はリリスよ。よろしくね、明聖ちゃん」

 

「我輩は久与田豪でござる。よろしくでござる」

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

2人に言われて、ベルゼブブは渋々と自己紹介して、それに続いて、リリスと豪が自己紹介した。

 

「ほら!あんたたちも!」

 

すると、リリスはまだ自己紹介していない4人にそう言った。そして、その中で2人が近づいてきた。

 

「俺はジャバウォックだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「!!?」

 

「うるさいですよ、ジャバウォック。私の名前はエンヴィーと言います。……………《光》の炎を持つ光の一族…………羨ましいですね…………」

 

「え………え!?」

 

ジャバウォックの大声による自己紹介に明聖は驚き、エンヴィーの最後の妬みを含めた言葉に明聖は戸惑った。

 

「あぁ、気にしなくていいでござる。それよりも、そこで寝ているのがスロウス、壁にもたれ掛かってじっとこっちを見ているのがルシフェルでござる」

 

そんな明聖を落ち着かせて、残りのメンバーを紹介した。スロウスは相変わらず、アイマスクをつけて床で寝ていて、ルシフェルはじっとこちらを何も言わずに見ていた。

 

(この3人が昔のパパを知っている人たち…………パパを戻すヒントになるかな…………)

 

明聖はルシフェルと豪、スロウスを見ながら、そう考えていた。あの時のロヴィーノの話だとこの3人は輝夜と知り合いみたいだった。だから、輝夜を元に戻すヒントでも無いかと思っていたのだ。

 

(…………ってか豪さんとリリスさん以外にまともな人がいなさそう……………)

 

この場にいる7人を見て、明聖を見てふと思った。そんな明聖を余所にエンヴィーたちはルシフェルについて話していた。

 

「それにしても、ルシフェルはずいぶんと大人しいですね」

 

「全くだぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「今朝からずっと、こんな感じだよね」

 

「えぇ、私が色仕掛けしても、いつもなら『クソビッチ』とか言ってあしらわれるのに、今回は無反応だったのよね………」

 

(…………訂正、豪さんだけみたい…………)

 

リリスの言葉に明聖はそう思った。その豪も死体改造が趣味というある意味、1番ヤバい奴だということを知らないのは幸いだっただろう。

 

「…………寂しいのか………………?」

 

「そうね…………いつもの罵倒がないと……………って、違うわよ!?何、私がMみたいなことを言ってくれるの!?」

 

「リリス…………あなたって人は…………」

 

「呆れて、話にもならねえぜえぇぇぇぇ………」

 

「まったくでござる………」

 

「だから、違うって言っているでしょ!!って、それよりも、スロウス!!いつの間に起きていたのよ!!」

 

いつの間にか起きていたスロウスの口車に乗ってしまったリリスは失言をしてしまい、ベルゼブブと明聖の子供コンビを除くメンバーに冷たい視線を向けられた。ちなみにベルゼブブと明聖は咄嗟に察したジャバウォックと豪がそれぞれの耳をふさいだので聞こえなかったみたいだ。

 

「……………ついさっきだ……………。…………それよりも…ルシフェルの…態度の…理由は…豪が…知っている…………」

 

スロウスはそう言って、自分からは話そうとせずにその場に座り込んだ。そして、ルシフェルとスロウス以外のその場にいた明聖も含めたメンバーは豪のほうを見た。

 

「ハァ…………、説明丸投げでござるか………。まぁ、いいでござる。ルシフェルは―――――――」

 

ルシフェルを無視して、豪が説明しようとすると……………

 

ギィィ…………

 

扉が開いて、そこから誰かが入ってきた。

 

「パパ!!」

 

その人物を見て明聖は大きな声を出した。その人物は輝夜だった。輝夜を見て、明聖は駆け寄った。

 

「パパ………?彼はこの子の父親ですか……」

 

「ってことは、あの人が話に出ていた………」

 

「《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》のダークネスかあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「あら♪なかなか、いい男じゃない♪」

 

明聖の言葉にエンヴィーたちはそれぞれ、そう言った。

 

「明聖、待たせたな」

 

「ううん。大丈夫」

 

駆け寄ってきた明聖に頭を撫でながら、声をかけた。

 

「久しぶりでござるね………ダークネス………」

 

「……………久しぶり……………」

 

そんな輝夜に豪とスロウスが声をかけてきた。それを聞いた輝夜は2人に顔を向けた。

 

「………あぁ、久しぶりだな」

 

「ここに来る前に団長たちのところに行っていたみたいでござるがどうだったでござるか?」

 

「かなり絞られたさ」

 

豪の質問に輝夜は肩をすくめながら答えた。

 

「…………自業自得だな…………」

 

「そうでござるね。それなら――――――」

 

豪が次の質問に移ろうとすると……………

 

「!?」

 

ガシッ!!

 

「えっ!?」

 

ボウッ!!!!

 

ドンッ!!!!ドンッ!!!!ドンッ!!!!ドンッ!!!!

 

『!!!?』

 

輝夜が何かに気づき、明聖を庇うように左腕で抱きかかえた。突然のことに明聖は驚くが、それを余所に輝夜は自分の右手のリングから《闇夜》の炎のバリアを張った。そして、その炎のバリアにややオレンジを基調とする炎の刃がいくつも飛んできて、ぶつかり爆発した。

 

「…………大層なご挨拶だな。ルシフェル」

 

炎のバリアのお陰で無傷だった輝夜が《傲慢の炎》の刃を持つ大鎌にしたハルバードを持ったルシフェルにそう言った。だが、ルシフェルはそれを無視して、ハルバードを大鎌の状態から普通の状態に戻して、輝夜に突きつけて言った。

 

「………俺と勝負しろ。ダークネス」

 

ルシフェルの言葉を聞いた輝夜は明聖を下ろして、ルシフェルのほうを向いた。他のメンバーは口を出せる状況じゃなかった。

 

「……………いきなりだな」

 

「こういうのは、早いほうがいいからな」

 

あっけらかんと言うルシフェルにため息つきながら、輝夜は訊いた。

 

「………なんとなく予想はつくが、理由はなんだ?」

 

「もちろん、《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》って呼ばれるお前を倒したいからに決まっているだろ」

 

「…………だろうな。俺は自分でその異名を名乗ったことは1度も無いんだがな…………」

 

「知るか。お前が名乗っていなくても、周りはそう見ているんだからな」

 

「ハァ…………。まぁ、いい。…………だが、お前も知っているだろ。俺は―――――」

 

「興味ない理由での戦いに全力でなれないんだろ?それなら、いいのがあるぜ」

 

「……………なんだ?」

 

輝夜の質問を聞くとルシフェルはポケットからオレンジと黒が混ざった色した匣を取り出して、輝夜に見せた。それを見て、他の次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は驚いた。

 

「なんだ、その匣は?」

 

「ロヴィーノが提案して、ここの技術スタッフが汗水流して作った次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》専用の匣だ。お前はこの匣の性能テストにつきあってもらう」

 

「なるほどな。だが、俺以外じゃなかったらダメなのか?たとえば、豪とか他の次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》とかな」

 

「悪いが、俺がこの匣を使うと、正確な性能がわからなくてな……………」

 

ルシフェルの言葉に次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は思い出した。ルシフェルが取り出した匣、羅刹開匣の匣はとっくに全員分、作られていた。それの性能テストも当然行った。ほとんどの者はそれを使いこなしていて、問題は特になかった。しかし、問題が1つだけあった。それはルシフェルの匣だった。ルシフェルはもともとが強いために匣を使うと相手がいなくなるのだ。他のメンバーが匣を使っても、同じだった。強すぎるために正確なデータを取る前に終わってしまうのだ。このままだと改善点などを見つけることができないのだ。

 

「…………わかった。やってやるよ」

 

すると、輝夜が了承した。それに、その場にいたメンバーが驚いた。ルシフェルも例外ではなかった。

 

「ずいぶん、素直だな」

 

「俺もお前の匣に興味を持っただけだ。それよりもどこでやるんだ?」

 

「あぁ、訓練所でやるから、先に行ってくれ。申請は俺がやっておくから」

 

ルシフェルはそう言うと、ハルバードを直して大広間を出て行った。

 

「………………」

 

「……………パパ」

 

黙ってルシフェルの後ろ姿を見ていた輝夜に明聖が近づいて声をかけた。それに気がつくと輝夜は明聖の頭を撫でた。

 

「ちょっと、行ってくる」

 

「…………………うん」

 

本当は戦いに行って欲しくなかった。明聖は輝夜が傷つく姿をこれ以上見たくなかったのだ。それは、輝夜が戦う姿を今まで見たことがなかったことからの感想だった。しかし、昨日のロヴィーノとの戦いで輝夜は戦闘力が高いというのは素人の明聖でもわかった。だから、輝夜なら大丈夫だという思いがあった。それにより、止めることができないと思ったのだ。

 

そして、それとは別に明聖にはがっかりしたことがあった。

 

(この人たちじゃ、パパを戻すヒントにならないかも…………)

 

ルシフェル、豪、スロウス。この3人は昔の輝夜を知っている人物だが輝夜の様子がおかしいことに誰1人、微塵も気づいていないみたいだった。それにより、明聖はこう思ってしまったのだ。

 

その後、明聖は不安要素を抱えたまま、他のメンバーと一緒に移動した。

 

 

 

 

そして、時は過ぎて……………

 

2人が戦う前に輝夜が《色欲の炎》でできた仮想空間に目を少し見開く程度だったが驚いたり、ロヴィーノ教団最強のルシフェルと《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》のダークネスが模擬戦することをどこから聞いたのか、次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と明聖以外にも現《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》やリリアーナ、ほとんどの構成員が集まっていたりというのがあった。しかし、その場にロヴィーノの姿は見当たらなかった。だが、2人はそこまで気にしていなかった。そして、ルールを確認して2人は模擬戦を始めたのだ。

 

2人が定めたルールは『降参、武器の制限なし。どちらかが戦闘不能になるまで続行』だった。ちなみに最初の『降参なし』は輝夜がルシフェルの羅刹開匣のデータをある程度取り終わったところで降参してやめるのを防ぐための予防策だった。

 

 

 

 

そして、今では最初は様子見だということで《羅刹開匣》を使わずに戦うことになったが、最初から凄まじい戦いになった。それから、少し時間が経って、2人共、互角の戦いを見せていた。

 

ガキンッ!!!!

 

日本刀ぐらいの長さの《闇夜》の炎の刃になっているガンブレードと《傲慢の炎》を纏わせたハルバードがぶつかり、金属音が鳴り響いた。

 

「「くっ!?」」

 

2人はそれぞれの衝撃を確認すると、1度離れた。

 

「ハッ!!」

 

すると、先にルシフェルがハルバードを大鎌にして、それを振るい、無数の炎の刃を放った。

 

「《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!」

 

それに対して、輝夜はガンブレードを銃の状態に戻して、そこから無数の炎の弾丸を放った。炎の弾丸は炎の刃ぶつかるとそれを呑み込んでルシフェルに向かった。

 

「チッ!!!」

 

ルシフェルはそれを見ると、ハルバードに《傲慢の炎》を纏わせて、それを回転して防いだ。

 

グサッ!!!グサッ!!!

 

すると、輝夜は撃つのをやめると地面にガンブレードの刃を刺した。

 

「!」

 

それを見てチャンスだと思ったルシフェルは輝夜に近づこうと飛び出した。

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》!!」

 

「!?」

 

しかし、何かがまずいと直感して、その場から離れた。

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

すると、ルシフェルがいた場所から大量の炎の槍が突きだしてきた。

 

(こんな技、あいつがロヴィーノ教団にいた頃は無かったぞ!!?新しく手に入れた《夜》の炎の力か?なかなか、厄介な技を作りやがって!!)

 

ルシフェルは炎の槍を見て、そう思った。

 

シュンッ!!!

 

すると、輝夜がショートワープでルシフェルの背後に移動してきた。

 

「よそ見している暇はないぞ」

 

「!!?」

 

輝夜はそう言うと、ガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせた。

 

「《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》!!」

 

「っ!!?」

 

ガキガキガキンッ!!!!ガキガキガキンッ!!!!

 

輝夜は両手に持っているガンブレードでルシフェルに攻撃した。それは周りからは両手のガンブレードがそれぞれ3つずつ増えて、爪で引っ掻くように見えた。それをルシフェルはハルバードで防いだ。

 

「っ……………ハッ!!!」

 

「くっ!!?」

 

ルシフェルはそれを押し返して、輝夜はショートワープで離れた。そして、2人はそれぞれの得物で再び、ぶつかった。

 

 

 

 

それを見ていた観客は驚いていた。相手が《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》とはいえ、ロヴィーノ教団№1の実力の持ち主であるルシフェルが押されていることに信じられなかったのだ。特に輝夜とルシフェルの2人とつきあいの長い豪とスロウスは目を見開いて驚いていた。

 

「ダークネス………………しばらく見ぬ間に強くなったでござるな………」

 

「………………あぁ……………少なくとも…………ルシフェルが…押される…ところ…………初めて見た…………」

 

「そうでござるな…………」

 

2人は模擬戦を見ながら、そう話していた。

 

「ダークネスって、強いね」

 

「確かにそうですね。…………その強さ羨ましいですね」

 

「はいはい。僻まないの。…………でも、珍しい炎を持っていることは聞いていたけど、実力も高いなんてますます堕としてみたいわ♪」

 

「俺もぶっ潰してみたいぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

ベルゼブブたちもそれを見て、それぞれそんな感想が出ていた。

 

「団長。いかがでしょうか?」

 

「うむ。ルシフェルの羅刹開匣のデータを取るための名目だったが………これはこれでおもしろい。ダークネスが戻ってきたことで戦力が戻った………いや、さらなる力を手に入れたと考えるべきだな。リリアーナ。この模擬戦のデータは取っているのか?」

 

「はい。しっかりと」

 

リリアーナと団長は今後のロヴィーノ教団のためにそんな話をしていた。

 

(パパ………………)

 

明聖は1人、輝夜を心配していた。

 

そして、こことは別の空間ではロヴィーノが2人の戦いを見ていた。

 

『ルシフェルもなかなかの実力の持ち主だが、ダークネスはそれを上回っているというだけの話だな。まぁ、ダークネスは私のお気に入りだから当然だな。それよりも、ダークネスめ。《夜》の炎の性質をしっかりと使いこなしているな。何百年前に手に入れた地球にいるアルコバレーノの死に損ないよりもな』

 

ロヴィーノはわかっていた。輝夜の《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》と《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》は《闇夜》の《夜》の性質が要であることを。

 

『この模擬戦の結果はわかりきったことだが………今後がますます楽しみになってきた。クククッ………』

 

ロヴィーノは何も無い空間で怪しく笑っていたのだった。




もうそろそろ、この章も終わりが近いので、この際に名前が出ている主要なオリキャラのイメージCVを発表します。

光城輝夜(ダークネス)/ロヴィーノ:杉山紀彰

ダークネス(幼少期):鈴木真仁

光城明聖:花澤香菜

ルシフェル:梶裕貴(幼少期:大谷育江)

ジャバウォック:安本洋貴

スロウス:小野賢章

ベルゼブブ:井上麻里奈

エンヴィー:石田彰

久与田豪:下野紘

リリス:日笠陽子

光城聖輝:緑川光

光城明夜:折笠富美子

エレオノーラ:豊口めぐみ

リリアーナ:石川由依


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《闇夜》VS《傲慢》 後編

ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

輝夜とルシフェルはガンブレードと分裂させたハルバードで激しい攻撃をしていた。どちらとも引けを取らない戦いだった。

 

ガキンッ!!!!

 

「ダークネス!!!楽しいな!!!まさか、お前とこんな傲慢抜きでの熱い戦いができるなんてな!!!」

 

「俺はやっぱり、戦いを楽しむっていうのはわからないがな!!!」

 

ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

短い会話を終えると2人は再び激しい攻撃を始めた。

 

(さて、ああ言ったものの、少々、まずい事態だな。ダークネスのガンブレードは遠近両用の武器だ。俺のハルバードもそうだが、炎の相性で分が悪い。特に遠距離はな)

 

激しい攻撃の中でルシフェルはそう考えていた。特に遠距離攻撃は先程のことで通用しないことがわかった。

 

(………ならば、こうするか。これもあまり長くは持たなさそうだがな………)

 

ルシフェルはそう思うと、ダークネスから離れた。すると…………

 

シュウゥゥゥ…………

 

その場でルシフェルは霧となって消えたのだ。

 

「チッ!幻術か」

 

それを見て、輝夜は舌打ちしながら呟いた。

 

「っ!!?」

 

すると、何かに気づいた輝夜がその場から離れた。

 

ドカンッ!!!ドカンッ!!!ドカンッ!!!ドカンッ!!!

 

輝夜が離れたところにいくつもの爆発が起きた。おそらく、ルシフェルの攻撃だろう。次々に輝夜に向けて、攻撃が飛んできた。しかも、ショートワープ程ではないがもの凄いスピードで移動しているのか、ご丁寧に様々な方向から攻撃が飛んでくる。おかげで輝夜はどこにルシフェルがいるのか判断しかねていた。

 

(《大空》が主の癖になかなか巧妙な幻術を使いやがって…………)

 

それを見て、輝夜はショートワープなどを使って逃げながら、そう思った。ルシフェルの幻術はリリス程ではないが、かなり精度の高いものだった。しかも、8年前よりもさらに上がっていたために輝夜は顔に出さなかったが驚いていた。

 

(だが、これも長くは続かないことは、あいつもわかっているはずだ。いったい、どうする気だ?)

 

事実、輝夜はそろそろルシフェルのパターンを掴み、ルシフェルの居場所がわかりそうだったのだ。だからこそ、輝夜は警戒した。すると、周りからの攻撃が治まってきた。

 

(何をする気だ?……………っ!!?上か!!)

 

そのことに、より警戒した輝夜は自分の頭上にもの凄い炎圧を感じて、上を見た。そこには、ルシフェルが大剣にしたハルバードを振りかぶっていた。そして、それは輝夜のすぐ近くまで来ていた。

 

「くらいやがれ!!《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルはハルバードを輝夜に振るった。輝夜はショートワープでかわす暇は無く………………

 

ドカーーーーーーーンッ!!!!

 

大爆発が起きた。

 

 

 

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、真っ先に叫んだのは明聖だった。今の攻撃の威力は並の人間では耐えられるものではないことはないのは見て、誰もがわかった。だからこそ、明聖は輝夜のことが心配だった。

 

「うわぁ。すごい威力……………」

 

「あら?そういえば、ベルゼブブもルシフェルのこれは初めて見たかしら?」

 

「うん。さすが、ロヴィーノ教団№1だね」

 

ベルゼブブとリリスはルシフェルの《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》について話していた。

 

「彼、無事でしょうか?」

 

「あれは、俺でもきついぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「それなら、これで終わりかもしれませんね。ジャバウォックと比べるのもあれですが、ジャバウォックできついなら彼は難しいでしょう」

 

エンヴィーとジャバウォックは輝夜の様子について話していた。

 

「…………それは……どうかな……………」

 

「そうでござるな」

 

2人の会話を聞いていたスロウスと豪がそう言った。それが聞こえた周りの皆が2人を見て、どういうことだと聞いたが……………

 

「見ればわかるでござる」

 

豪はそう言って、擬似フィールドのほうを向いたので他の皆もそっちを向くと、豪とスロウス以外の全員が驚いた。

 

 

 

 

一方、擬似フィールドでは…………

 

「へぇ~」

 

ルシフェルが感心したように声を漏らした。ルシフェルはハルバードの先を見ていた。そこには…………

 

「グルルッ!!!」

 

ドレイクがいた。攻撃をくらう前に輝夜は匣からドレイクを呼び出したのだ。ドレイクの鱗には《闇夜》の炎が纏っており、それを防御として使うことで、ルシフェルの攻撃を防いだのだ。ルシフェルは1度離れた。ルシフェルが離れるのを見ると輝夜はドレイクを労った。そして、すぐにルシフェルに話しかけられた。

 

「まさか、ドレイクを使うとはな…………」

 

ドレイク(こいつ)を使ってはいけないっていうルールは無かった筈だが?」

 

「まぁ、そうだな。それはそうと久しぶりだな、ドレイク」

 

「グルルッ………」

 

ルシフェルは模擬戦の途中にも関わらず、ドレイクに挨拶して、ドレイクも返事した。

 

「悪いがここからはドレイクと一緒に戦わせてもらうぞ」

 

「あぁ、いいぜ。それなら、こっちも()()を使ってやるよ。もともと、この模擬戦はこれが目的だからな」

 

ルシフェルはそう言って、羅刹開匣の匣を取り出した。

 

「!?」

 

輝夜はそれを見て、警戒した。

 

「それじゃ、いくぞ!!!」

 

ボウッ!!!

 

ルシフェルはそう言うと、リングに《傲慢の炎》を灯して、匣の穴に注入した。

 

グサッ!!!

 

すると、中からオレンジ色の光が、ルシフェルの胸元に突き刺さった。突き刺さった胸元からオレンジ色の光が溢れて、ルシフェルを包んだ。

 

(いったい、何が起きるんだ!?)

 

輝夜はその光の眩しさに腕で目元を隠しながら、そう思った。すると、その光が晴れてきて、ルシフェルの姿に輝夜は驚いた。

 

「!!?…………何なんだ、その姿は?」

 

まるで、獣が合わさったような姿に輝夜は目を丸くした。ちなみに観客席にいた明聖も同様だった。

 

「ロヴィーノが持ってきた幻獣種のアニマルのサンプルを体に取り入れることでそいつらの力を人間の体で発揮できるものだ!俺の場合は《傲慢グリフォン(グリフォーネ・スペルビア)》。つまりはグリフォンの力を使えるというわけだ」

 

ルシフェルは輝夜にそう説明した。

 

「…………特徴はそれだけじゃないだろ?例えば、その胸元に埋まっているリングとかな」

 

「ふっ………。さすがだな。そうだ。このリングを直接、体に埋め込むことでリングの力を100%、効率よく使うことができる。これが羅刹開匣の主な特徴だ!!」

 

「羅刹開匣って言うのか………それ………」

 

何気に初めて聞いた名前に思わず、輝夜は呟いた。

 

「…………だが、油断はできないな」

 

「グルルッ…………」

 

輝夜の呟きに肯定するかのようにドレイクは唸り声をあげた。

 

「さてと、それじゃあ再開するか…………」

 

「………!?」

 

ガキンッ!!!!

 

ルシフェルの呟きが聞こえたのと同時に輝夜は防御の体勢をとるといつの間にか攻撃して来ていたルシフェルがいた。

 

「くっ!!?(なんてスピードとパワーだ!!?)」

 

輝夜は防御しながら、羅刹開匣の力に驚いた。

 

(へぇ~。これを防ぐか。他の連中なら、これで終わるんだがな)

 

それに対して、ルシフェルは輝夜のことを感心していた。

 

「チッ!!!」

 

輝夜は舌打ちするとショートワープを使って、その場から移動した。その際、ドレイクも一緒になって移動した。

 

「どこ行った?」

 

ルシフェルは輝夜たちを探すために、辺りを見渡していると…………

 

「!!?」

 

何かに察したルシフェルはその場から離れた。

 

ダダダダダダダダン!!!!

 

ボオオオオォ!!!!

 

すると、ルシフェルがいた場所に無数の炎の弾丸と《闇夜》の炎が降ってきた。飛んできたほうをルシフェルが見ると、ドレイクの背中に乗っていた輝夜がいた。

 

「そう来たか。………ならば、《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルは胸元のリングに《傲慢の炎》を灯すことで自身の翼に《傲慢の炎》を纏わせた。そして、その翼を羽ばたいて、大量の《傲慢の炎》を纏った羽を輝夜とドレイクに向けて放った。

 

「っ!!?ドレイク、かわせ!!!」

 

「グオォッ!!!」

 

それを見て、輝夜はドレイクに命じて、ドレイクはかわした。

 

「っ……《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!!」

 

ババババババンッ!!!!

 

そして、輝夜はルシフェルに対抗して、移動しながら無数の《闇夜》の炎の弾丸を放った。

 

バンッ!!!

 

ルシフェルは空へ飛んでかわした。

 

「ハッ!!!」

 

すると、ルシフェルは《傲慢の炎》を纏わせた羽だけではなく、大鎌にしたハルバードを振るって無数の炎の刃を放った。

 

「っ!!?」

 

あまりの量の多さに輝夜は驚いた。《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》では、無数の《傲慢の炎》の羽と刃を全て、かき消すことはできなかった。

 

「ドレイク!!!」

 

「グルッ!!!」

 

輝夜の意図を飲み込んだドレイクはそれらをかわすことに専念した。輝夜は振り落とされないように気をつけながら攻撃を続けた。それに対して、ルシフェルも輝夜の攻撃をかわしながら、攻撃を続けた。

 

 

 

 

「ルシフェルの羅刹開匣を相手にあそこまで粘るなんて…………!!!」

 

「さすがは《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》って、ところですか」

 

2人の戦いを見ながら、リリスとエンヴィーが感心したように呟いた。周りの皆も同様だった。リリアーナを通じて、団長の指示でロヴィーノ教団の研究員は必死にデータを取っていた。

 

「………だが………、………ダークネスが…………不利…………」

 

「確かにそうだぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「2人の攻撃の量に歴然の差があるからね」

 

スロウス、ジャバウォック、ベルゼブブの3人がそれぞれ、そう話していた。輝夜は弾丸に対して、ルシフェルは羽と刃。ベルゼブブの言うとおり、数に歴然の差が生まれてしまう。しかも、輝夜はドレイクに乗っているために、不安定であるのに対して、ルシフェルは自分の翼で飛んでいるために動きに無駄がないのだ。

 

「……………………」

 

3人の会話を聞いて、明聖は輝夜をますます心配していた。先程、ドレイクの加勢で安心したが、ルシフェルの羅刹開匣の人間離れで再び心配になったのだ。

 

(パパ…………、ドレイク…………無事でいて…………)

 

明聖はそう願わざるを得なかった。

 

「しかし、ダークネスはなぜ、ショートワープでかわさないのでござろうか?」

 

2人の戦いを見て、豪がそう呟いた。

 

「どういうことかしら?」

 

「そのままの意味でござる。《闇夜》のショートワープを使えば、あれらをかわすことなど造作もないことでござるのに」

 

リリスの質問に豪がそう答えた。それを聞いた周りの皆も首をかしげた。確かに輝夜なら、ショートワープを使うことを思いついていない筈はないのに、それをしていないのは疑問だった。

 

ボウッ!!!!

 

『それは、ダークネスに考えがあるからさ』

 

すると、急に白い炎が燃え上がった。それはもちろん、ロヴィーノだった。

 

「「「「「「ロヴィーノ!!?」」」」」」

 

「!!?……………………」

 

周りの皆は驚いていた。その中で明聖だけは一瞬、驚きながらもすぐにロヴィーノを睨んでいた。ロヴィーノは当然、気づいていたがどこ吹く風と気にしていなかった。

 

「ロヴィーノ。ダークネスに考えがあるというのはどういうことでござるか?」

 

その場にいた全員を代表して、豪がロヴィーノに尋ねた。

 

『あぁ。それなら、説明するよりも見たほうがわかりやすいね』

 

しかし、ロヴィーノはそれに説明せずに、模擬戦を見るように言った。それを聞いて、全員、しかたなく疑似フィールドのほうを見た。

 

『(どうせ、この模擬戦はもうそこまで長引かないからね)』

 

ロヴィーノは誰にも悟られないようにそう考えた。

 

 

 

 

一方、輝夜とルシフェルはお互いに攻撃を続けていた。状況は輝夜のほうが不利だった。先程のスロウスたちの話の通りの展開だった。

 

「チッ………」

 

この状況に輝夜は顔をしかめていた。今のところ、上手くかわしていたが、それも時間の問題だった。

 

(もう、そろそろなんだが………)

 

輝夜はロヴィーノの言う考えについて考えていた。

 

ドカンッ!!!!

 

「グオォ!!?」

 

「っ!!?ドレイク!!?」

 

すると、ルシフェルの攻撃がドレイクに当たったみたいだ。輝夜はドレイクの身を心配したがそんな暇はなかった。

 

ドカンッ!!!ドカンッ!!!

 

「グオォォーー!!!?」

 

「ぐっ!!!?」

 

1度当たったことで次々に他の攻撃も当たるようになった。それにより、背中に乗っていた輝夜はバランスが崩れた。

 

「今だ!!!」

 

そのタイミングを狙って、ルシフェルが斬りかかった。

 

「!!!?」

 

輝夜はそれに気づいたが手遅れで……………

 

ザシュッ!!!!

 

ハルバードで斬られた。

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、観客席で明聖が叫んだ。

 

「ふっ…………」

 

ルシフェルは自分が勝ったと思い、笑みを浮かべた。しかし………………

 

シュウゥゥゥ…………

 

斬られた輝夜は霞となって消えたのだ。

 

「なっ!!?」

 

そのことに当然、ルシフェルは驚いた。観客席にいたメンバーも同様だった。ただ1人、ロヴィーノだけは予想していたかのような態度だった。

 

「いったい何が………っ!!?」

 

ルシフェルが考えようとした矢先に後ろから殺気を感じて、ルシフェルは振り替えった。そこには、輝夜がいた。空中にいたが、おそらく、ショートワープで移動したのだろうとルシフェルは思った。その輝夜はガンブレードで攻撃しようとしていた。

 

「くっ…………はっ!!!」

 

それよりも先にルシフェルがハルバードで輝夜を斬りつけた。

 

シュウゥゥゥ…………

 

しかし、斬りつけられた輝夜はまた霞となって消えたのだ。

 

「なっ!!?どういう――――ガッ!!?」

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

ルシフェルが驚いている隙にドレイクが自分の尾でルシフェルを叩きつけた。叩きつけられたルシフェルはそのまま、地面に激突した。

 

「グ、グオォ………」

 

しかし、ドレイクも受けたダメージによる限界があったみたいで地面に落ちた。これ以上の戦闘は見込めなさそうだった。

 

「くそ!!!いったい、何なん……なっ!!!?」

 

しかし、たいしたダメージは入っていないみたいでルシフェルすぐに起き上がった。だが、起き上がってすぐに見た光景にルシフェルは驚愕した。そこには、()()()()()()()輝夜がルシフェルに向かって攻撃しようと近づいて来ていたのだ。

 

「くっ!!!」

 

ルシフェルは何が起きているかわからなかったが、すぐに対応するために動いた。

 

 

 

 

「どうなってやがんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

2人の戦いを見て、ジャバウォックが叫んだ。今、ルシフェルは何十人にも増えた輝夜を1人ずつ片付けているが、そのどれもが霞となって消えるのだ。その現象にこの場のほとんどが疑問に思っていた。

 

「リリス、あれはいったい、なんでしょうか?」

 

そこでエンヴィーがリリスに尋ねた。

 

「少なくとも、幻術ではないわね。もともと、彼は《霧》も《砂漠》も持っていないみたいしね」

 

リリスはそれを見て、幻術である可能性を否定した。しかし、リリスもそれ以上はわからなかった。

 

『あれは単純にショートワープを使って生まれた残像さ』

 

すると、ロヴィーノがあっさりと今起きている現象の答えを言った。

 

「残像でござるか!!?」

 

「そんなことができるなんて!!?」

 

その答えに全員が驚いた。

 

「だけど、残像を残す程って相当なスピードだよ?」

 

「…………しかも………、あれほど…鮮明に…………」

 

「それをショートワープでできるのでしょうか?」

 

しかし、そのことに疑問を持つ者たちはロヴィーノに尋ねた。

 

『それは《死ぬ気の到達点》を使っているからさ』

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの答えに全員が驚いた。だが、同時に疑問があった。ベネスタンテ星の住人は全員が生粋の地球人だった。《死ぬ気の到達点》を身につけている者はほとんどいなかったが、それについては当然知っていた。しかし、今の輝夜からは《死ぬ気の到達点》特有の全身から噴き出す死ぬ気の炎がなかった。その疑問を察したのかロヴィーノが答えた。

 

『ダークネスは《死ぬ気の到達点》で噴き出される炎を体に馴染ませていたのさ。噴き出す炎は派手だけどはっきり言って無駄だからね。それにより身体能力とかも通常の何倍も上がり鮮明な残像が残ることが可能になるのさ。そうするために攻撃は仕方ないがなるべく無駄な炎の消費をあいつは減らしていたのさ』

 

ロヴィーノの説明に全員が驚きながらも納得した。

 

『さて、私の説明を聞くよりも2人の戦いに注目しようか。もうそろそろ決着がつくだろうしね』

 

ロヴィーノの言葉に全員が戦いに注目した。

 

 

 

 

一方でルシフェルも今の現象を理解していた。

 

(要はさっき俺がやったこととほとんど同じだっていうことのはずだろ)

 

ルシフェルは次々来る輝夜の分身を蹴散らしながら、そう考えていた。

 

(だが……………それにしても厄介すぎる!!!)

 

ルシフェルは仮面で隠れているが顔を思いっきりしかめた。

 

『(ルシフェルは自分と同じことをしている筈なのに、自分以上に厄介だと思っているだろうな。それは当然だ。この作戦で最も重要なのは、冷静な状況判断だからな。ずっと筆記で主席を取っていて軍師向きだったダークネスのほうが有効に活用できる)』

 

そんなルシフェルを見て、ロヴィーノはそう思っていた。そして、今の状況は輝夜の数も残り3人だった。その3人も息切れしているように見えた。《死ぬ気の到達点》での炎の使いすぎが来たようだ。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

(分身ももう3人が限界か………。ならば、その中の1人が本物。こういう分身は減らしてもすぐに増えるから一気に畳み掛ける!!!!)

 

ルシフェルも最後の踏ん張りだと気を引き締めて、その3人に向かった。

 

「まず1人!!!」

 

ザシュッ!!!!

 

ルシフェルは3人の内の1人に斬りつけた。

 

シュウゥゥゥ…………

 

その1人は霞となって消えた。

 

「はずれか!!!」

 

そう叫ぶルシフェルの後ろからもう1人の輝夜が攻撃をしようとしていた。

 

「くらえ!!!」

 

「っ!!!?させるか!!!!」

 

ルシフェルはハルバードを分裂させて柄の部分で輝夜を突き刺した。

 

シュウゥゥゥ…………

 

しかし、その輝夜も霞となって消えた。

 

(これも外れ…………ならば残りは1人!!!それで終わりだ!!!!)

 

ルシフェルはそう考えるとハルバードの先のほうを持っていた手を離して、爪から膨大な《傲慢の炎》が灯り、5本の巨大な刃になった。

 

「(片手だと威力は半減だが、今回はそれで十分だ!!!)《傲慢の爪刃(ラーマ・ウンギア・スペルビア)》!!!!」

 

ルシフェルは巨大な炎の刃となった爪を地面にぶつけた。すると、5本の巨大な炎の刃は地面を抉り、輝夜に向かった。

 

「!!!?」

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

そして、直撃した。輝夜の体は吹っ飛んだ。

 

「よし!!!!…………なっ!!!?」

 

それを見て喜んだルシフェルだが、すぐに驚愕することになった。なぜなら…………

 

シュウゥゥゥ…………

 

最後の1人も霞となって消えたのだ。

 

「あれも偽物!!!?ってことは、本体は!!!?」

 

ルシフェルがそう叫ぶと…………

 

シュンッ!!!!

 

「ここだ」

 

輝夜が目の前に現れた。本当は分身は4人、作っていたのだ。その残りの最後の1人はずっと岩陰に隠れていたのだ。ルシフェルも長い時間の羅刹開匣は初めてなので疲労がたまって、集中力を欠いてしまって、気づかなかったのだ。そして、分身を作ることをやめた輝夜は右手のガンブレードに炎を集中させて、ルシフェルに突きを入れた。

 

「《龍の角(コルナ・ディ・ドラゴーネ)》!!!!」

 

ガキンッ!!!!

 

ガンブレードの刃はルシフェルの胸元のリングに防がれた。ルシフェルはそれに安堵したが………

 

「まだだ!!!!」

 

輝夜はそう叫ぶと、ガンブレードの引き金を引いた。

 

「なっ!!!?」

 

ルシフェルは驚いたが至近距離のためにかわすことはできず…………

 

ドカンッ!!!!

 

爆発した。

 

「ガハッ!!!?」

 

ルシフェルは吹き飛ばされて、そのまま倒れた。

 

バキンッ!!!!

 

ルシフェルの胸元のリングも割れた。

 

「ハァ…………ハァ…………ハァ…………」

 

輝夜は荒く息をつきながらも、その場に立っていた。勝負がついた。




次回でこの章も終わりの予定です。


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そして、始まりへ

予告通り『~追憶~ 闇夜の過去編』、これで最後です。……思ったより長くなりました。


「ハァ…………ハァ…………ハァ…………」

 

模擬戦が終わって、輝夜は荒く息をつきながら、その場に座り込んだ。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

輝夜は荒く息をつきながら、ルシフェルのほうを見た。ルシフェルは羅刹開匣が解けていて元の姿に戻っていた。今は気を失っているようだ。命に別状はなさそうだなと思い、輝夜は考え事し始めた。

 

(あの分身………………体の疲労が半端ないな……………。まだまだ、改善の余地があるな………………。そもそも、この程度の技で《死ぬ気の到達点》を使うのもどうかな……………。もっと………鍛え………なくてはな………。………明聖を………守る……ため………に…………も…………)

 

「パパ、大――――!!!」

 

遠くで明聖の声が聴こえながら、輝夜は疲労がピークに来たのか、後ろに倒れて気を失った。

 

 

 

 

それから時間が経って……………

 

「うっ………うん…………」

 

輝夜は白いベッドの上で目を覚ました。

 

「パパ!!!目を覚ましたのね!!!」

 

すると、ずっと側にいたのか明聖が喜んでいた。

 

「明聖………。ここは………?」

 

「医務室だぜ、ダークネス」

 

「…………ルシフェル」

 

すると、隣のベッドに座っていたルシフェルが声をかけた。輝夜と同じように医務室に運ばれたようだ。

 

「あ!!私、先生、呼んでくる!!」

 

輝夜が目を覚ましたことを報告するために明聖は医務室を出ていった。

 

「「……………」」

 

明聖が出ていったことで医務室は静けさに包まれた。しかし、すぐにルシフェルが口火を切った。

 

「しかし………俺に勝った癖に、俺よりも起きるのが遅いとはな………」

 

「そんな軽口が叩けるなら、大丈夫そうだな」

 

「チッ!皮肉が通じねぇ奴だな………」

 

「誉め言葉として受け取っておくよ」

 

輝夜の言葉にルシフェルは再び舌打ちすると、ベッドに寝転がって悔しそうに言った。

 

「あぁ~!それにしても悔しいな!!これでも、今まで負けたことが無かったんだがな………」

 

「……………」

 

「おまけにロヴィーノが言っていたドレイクを形態変化(カンビオ・フォルマ)させた鎧を使わせることもできなかったしよ!!」

 

(……………ロヴィーノはどこまで知っているんだ?)

 

ルシフェルの言っていることは《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》だと思われるがそれは輝夜がロヴィーノ教団を抜けてから判明したものだった。もともと、ドレイクを提供したのがロヴィーノみたいだから知っていてもおかしくなさそうだったが、それを差し引いても輝夜は畏怖を感じた。

 

「ダークネス!!」

 

すると、急にルシフェルが起き上がって、輝夜に声をかけた。

 

「…………なんだ?」

 

寝転がったり、起き上がったり、忙しい奴だなと思いながら、返事した。

 

「認めてやるよ。お前は俺よりも強い。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》だ、って認めてやるよ」

 

「別に俺は《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》という肩書きなんかに興味無いが………それよりも何が言いたい」

 

「ハッ!!さすがだな。気づいていたか………。………俺は、これから先、お前以外のやつに負けない。たとえ、相手が100人、1000人、いや、1億人以上いたとしてもだ!!!そして、最後には必ずお前を倒す!!!!覚えていやがれ!!!!」

 

「…………好きに言ってろ」

 

「あぁ、そうさせてもらうぜ」

 

ルシフェルのこれからも挑んでやるという目に輝夜は呆れてため息を吐いた。

 

「あ!それともう1つ、お前に言いたいことがあったんだ」

 

「なんだ」

 

ルシフェルの言葉に輝夜が短く尋ねるとルシフェルは答えた。

 

「お前、ロヴィーノ教団の()()()()になれよ」

 

「…………は?」

 

ルシフェルの言っていることに輝夜は理解ができなかった。しかし、すぐに理解すると、ルシフェルに訊いた。

 

「………おい。どういうことだ?次期団長の座は次期《大空の大罪》のお前だろ。《大空》の波動を持っていない俺には無理な話だ」

 

「あぁ。それなら、俺が次期《大空の大罪》、お前が次期団長っていう風にするだけさ」

 

「…………そもそも、なぜ俺を団長にするんだ?」

 

「そんなの簡単な話さ。お前が俺に勝ったこととロヴィーノ教団って名前なら《闇》の炎を持つお前が団長になったほうがふさわしいからさ」

 

「たった1度だけの勝利だろ…………。それに俺は1度抜けて、戻って来たばっかりの奴だぞ。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》や他の連中が納得するのか?」

 

「大丈夫、大丈夫。俺が説得しておくし。それに、お前も知っているだろ?ここは実力至上主義だって」

 

「…………………」

 

「俺の場合も俺が1番実力があったからっていう理由で次期《大空の大罪》に選ばれたんだからな」

 

「…………………だから、俺が団長になるべきだと?」

 

「そういうことだ。(まぁ、それ以外にもあと1つ理由はあるがな)」

 

ルシフェルはふと、そう考えた。

 

「(こいつなら『死なれると俺の後味が悪くなる』とか、なんだかんだ適当な理屈を言って俺と違い、味方を死なせないようにするからな。まぁ、それよりも…………)それにお前にとっても都合がいいぜ」

 

「都合がいいだと……………?」

 

ルシフェルの言葉に輝夜が首をかしげた。輝夜は地位も名誉も興味なかった。だから何が都合がいいのかわからなかった。

 

「お前が団長になったら、お前が大事にしているあの小娘を守るのにも役立つと思うぜ?俺もお前もあまり好まないものだが権力っていうのは案外、馬鹿にできないものだぜ?」

 

「っ!!?」

 

ルシフェルの言葉に輝夜は言葉が詰まった。『権力』。この2文字は今まで貴族がさんざん使ってきたものだ。その恐ろしさは十分わかっていた。

 

(チッ!!卑怯な手を使ってくるな…………)

 

輝夜はルシフェルの意図に毒づいた。団長に就くことでその権力を使って明聖を守らせることができるとルシフェルは言っているのだろう。しかし、それには一理あると思った。明聖の持つ《光》の炎は死者の蘇生を可能にするものだ。利用されるのを防ぐためには団長になって注意を促しておけば、研究のために炎を提供されることはあるかもしれないが十分抑制になる。輝夜はそう考えて、ため息をついて、ルシフェルに話しかけた。

 

「…………わかったよ。だが、俺が団長になれる保証はねぇぞ」

 

「あぁ、それはわかっている。そこは俺に任せろ!」

 

「…………期待せずに待っといてやるよ」

 

その後、明聖が連れて来た医師に診てもらい、特に問題ないと判断された。それにより、輝夜は明聖と一緒に手配された部屋に向かって、その日は寝た。

 

 

 

 

そして、それから流水が流れるが如く過ぎていった。

 

数日輝夜の次期団長の推薦の話は、ルシフェルがあの日、すぐに《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》に輝夜が次期団長にするように薦めた。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちはそれに難色を示した。それは当然のことだった。輝夜は1度、ロヴィーノ教団を抜けた身で先程、改めて入団した者だったからだ。その時にロヴィーノが口添えをしたらしい。どう口添えしたのかわからないが、それによりルシフェルたちを次期《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》として、それとは別に輝夜が次期団長になることが決定した。いつの間にか、ロヴィーノ教団、全団員の耳に届いていた。もう、輝夜も諦めて、次期団長になることを了承した。

 

そして、その日から1週間後。輝夜は新団長、ルシフェルたちは新《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》に就任した。旧《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちはそのまま隠居する者、相談役や訓練兵たちの教官になる者と様々だった。リリアーナはそのまま、輝夜たちの秘書に残るようだった。

 

とりあえず、輝夜は当初の予定通り、明聖の身の安全を保証するようにした。これにより、明聖を不用意に利用する者はいなかった。

 

 

 

 

その日からさらに数ヵ月経った。

 

その間に地球では1人の中学生が赤ん坊の家庭教師(カテキョー)との出会いを果たし、騒がしい日々、戦いを送っていた。

 

そして、ベネスタンテ星では最後の戦いが起きていた。ロヴィーノ教団VSスペルラティーヴォ帝国だった。………………しかし、その戦いに均衡など起きていなかった。それは一方的な虐殺だった。

 

「う、うわあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「ぎゃ、ぎゃあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「く、来るなあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

スペルラティーヴォ帝国の兵士たちも当然、このときのために戦力をしっかりと強化していたのだ。しかし、彼らはロヴィーノ教団の猛攻に逃げ惑っていた。特に化け物のような体を持っている7人の男女から…………。

 

灼熱の熱さを持つ炎、100を超える死体の兵士たち、強靱な肉体を持つ狼男、本物(リアル)よりも精度の高い幻術、動きを鈍くさせる大海、8つの頭を持つ攻撃の効かない大蛇、そして鷲のスピードと獅子のパワーを兼ね備えた男。それぞれ、特殊な力を持つ7人にスペルラティーヴォ帝国の兵士たちは恐怖に染まって、逃げた。しかし、それは許されず、その兵士たちは数十秒も経たずに殺されてしまうのだった。

 

「手応えがねぇぞおぉぉぉぉーーーー!!!!」

 

「全くですね」

 

「…………怠い…………」

 

「早く帰って、ご飯、食べたいなぁ………」

 

「少しは我慢しなさいよ…………」

 

「ところでダークネスはどこに行ったのでござるか?」

 

「おそらく、メインに行ったんだろ。あいつなら問題ねぇよ」

 

全員が羅刹開匣の状態でルシフェルたち、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は話していた。すると……………

 

シュンッ!!!

 

ドラゴンを模した漆黒の鎧、《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を身に纏った輝夜が何か手に持っていて、7人のところに移動してきた。

 

「ほらな」

 

それを見て、ルシフェルがそう言った。

 

「どうだったのですか?」

 

「すぐに終わった」

 

エンヴィーの質問に輝夜はそう答えると、持っていたスペルラティーヴォ帝国の国王の首を地面に放り投げた。

 

「「っ!!?」」

 

死体はともかく初めて見る生首にリリスとベルゼブブは小さく声をあげて驚いていた。同様に初めてだったジャバウォックとエンヴィーも目を見開いていた。しかし、4人共、すぐに冷静になり、その生首を見て、自分たちが勝ったんだと実感していた。

 

「俺は帰る。後は頼む」

 

すると、輝夜ルシフェルたちにそう言うと、ショートワープを使ってその場から消えた。

 

「彼、行っちゃったわね……………」

 

「まぁ、ここから先は私たちで十分ですからね」

 

「スペルラティーヴォ帝国の国王が討たれたでござるからね。それを両軍に伝えれば、この戦争も終わりでござる」

 

「そうだな。それじゃ、行くぞ」

 

ルシフェルたちはそう話し合って、スペルラティーヴォ帝国の国王の生首を拾って、両軍の兵士たちに伝えに行った。

 

そして、ルシフェルたちがスペルラティーヴォ帝国の国王が討たれたことを公表した。これにより、スペルラティーヴォ帝国軍は投降した。この戦いで2時間とも経たず、ロヴィーノ教団の犠牲者は0人だった。最後の戦争にも関わらず、圧倒的結果で終わってしまった。

 

ベネスタンテ星で1番の王族、スペルラティーヴォ帝国が墜ちたことで、世界中の貴族が投降した。これにより、長きに続いた革命軍と貴族たちの戦いはこれで終焉を迎えた。平民たちはその事実に大いに喜んだ。貴族たちに奴隷にされていた者たちは皆、解放された。そして今後、貴族たち、彼らの土地や資源などをどうするかについて平民たち、貧民たち、革命軍の代表者たちが集まって話し合いが行われた。その中には輝夜も参加した。当の本人は興味なかったのだが立場上、渋々と参加することになったのだった。

 

 

 

 

…………………しかし、その話し合いは無駄になるのだった。豊かだった土地や資源が廃れていくのだった。その原因は不明であり、貴族たちやロヴィーノに聞いても対策がわからず、最終的にベネスタンテ星では世界中が生きていくだけで精一杯の星となってしまったのだった。

 

貴族、平民関わらず、住民たちはそのことに絶望した。そして、ロヴィーノ教団は先祖が犯した罪により、ベネスタンテ星へと追放されたことに逆恨みするのだった。ロヴィーノ教団はロヴィーノの協力のもと、今の地球で起きている出来事、(トゥリニセッテ)に関しての情報、そしてロヴィーノ復活の方法を聞いて、《地球の破滅》という計画を立てた。

 

そして、計画を移すために地球へ行くことになったロヴィーノ教団。肝心の地球に行く方法はロヴィーノの《夜》の炎だった。しかし、それにも限度があり、計画に参加するメンバーは輝夜や《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》、ロヴィーノ教団の戦士たちだった。リリアーナなどの非戦闘員はベネスタンテ星に残ることになったのだ。そして、輝夜は明聖もここに置いておくつもりだった。

後見人はリリアーナに頼んだ。明聖もリリアーナを慕っているので問題ないと判断したのだった。そして、リリアーナはそのことを快く受けた。しかし、このことに明聖は輝夜と喧嘩したのだった。明聖としては輝夜が死ぬのは嫌だったのだ。しかし、現実は虚しく輝夜は行くことになった。

 

見送りの場に明聖の姿が見当たらなかった。輝夜はそれに心なしか悲しみの雰囲気を出していた。輝夜としても喧嘩別れの状態で心残りがあったのだ。しかし、自分が悪いんだと諦めて、ロヴィーノの《夜》のワープホールをくぐり抜けた。それに続くようにロヴィーノ教団の団員たちはワープホールをくぐり抜けた。そして、最後の1人がくぐり終わって、ワープホールが閉じようとしたときだった。

 

ダッ!!!!

 

誰かが人混みの中から閉じようとしているワープホールに向かって走り出したのだ。それが誰か気づいたリリアーナはその人物の名前を叫んだ。

 

「明聖ちゃん!!!?」

 

その人物は明聖だった。明聖は自分を呼ぶ声を無視して、ワープホールが閉じきろうとする前に飛び込んだ。

 

シュン……………

 

明聖が飛び込んだのと同時にワープホールは閉じきった。その場は今の明聖の行動に静けさに染まった。

 

 

 

 

しかし、そんなベネスタンテ星の住人の心境とは関係無く、物語は始まりへと向かうのだった。




次回から、『最終決戦編』が始まります。


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最終決戦編
出陣


最終決戦編、スタートです!!この物語も終盤に向かっています。完結に向けて、頑張ります。


「ハッ!!!」

 

輝夜はベッドの上で目を覚まして、起き上がった。ここは並盛中央病院の病室だった。

 

「……………夢か」

 

ベッドの上で輝夜は呟いた。皆既月食を窓から見ていて、昔を思い出していたのだが、いつの間にか寝てしまって、昔の夢を見ていたようだ。時計を見てみたら、午前3時だった。まだ夜中だった。予定の時間よりもまだ早い。

 

「スー………、スー………」

 

ふと、横を見てみると明聖が輝夜と同じベッドでグッスリ寝ていた。

 

「……………」

 

輝夜は明聖の頭を撫でながら、地球に来た直後のことを思い出した。ロヴィーノの《夜》のワープホールが閉じきる直前に明聖が飛び込んできた。これには全員が驚いたが特に驚いたのは輝夜だった。すぐにロヴィーノに頼んでベネスタンテ星に戻すように頼んだが、肉体のない魂の状態では2度の何百万光年離れている星への移動はできないと言われた。明聖は必死に自分についていくと言って聞かず、仕方なく連れて行くことにしたのだ。その時、輝夜はロヴィーノの封印が解けたら、明聖をベネスタンテ星に戻すように頼もうと考えていた。その考えも今では無駄となったが……………。

 

「………仲のいいことだな」

 

「!?」

 

輝夜が思い出していたときに誰かが声をかけてきた。それを聞いて、輝夜が声のしたほうを向いた。

 

「リボーン…………」

 

そこにいたのは、リボーンだった。リボーンは輝夜のベッドの側にあった椅子に座って、輝夜と向かい合った。

 

「年寄りは朝が早いって言うがさすがに早すぎないか?」

 

すると、輝夜がリボーンに急にそう言い出した。

 

「オメーの監視で起きていたに決まっているだろ。…………ってか、今まで赤ん坊扱いはされまくったが、この格好で年寄り扱いは初めてだぞ」

 

「ふん。見た目はそうかもしれないが、ユニを除くお前ら、元アルコバレーノの実年齢はそこら辺のじいさんとばあさんと変わらないだろ」

 

リボーンの言葉に輝夜はそう返した。確かにユニの祖母、ルーチェはリボーンたちと同世代だ。ある意味当然かもしれない。

 

「まぁ、否定はしねぇがラルとかには言わねぇほうがいいぞ。鉄拳か銃弾が飛んでくるからな」

 

「その時は受け止めるなり、かわすなりするさ」

 

リボーンの言葉に輝夜はあっけらかんと答えた。

 

(………そういえばラル・ミルチの声って、ガキの頃の俺の声に似ているんだよな。…………まぁ、どうでもいい話だがな)

 

輝夜はふと、そんなことを考えたがすぐにやめたのだった。

 

「それよりもオメー、結構うなされていたがどんな夢を見ていたんだ?」

 

すると、リボーンが輝夜にそう尋ねた。

 

「いつからいたんだ…………?…………別に。昔の嫌な夢を見ていただけだが」

 

「そうか」

 

リボーンは輝夜の言葉を聞いて、それ以上聞いてこなかった。まぁ、聞かれても、輝夜は答えるつもりはなかったのだが…。

 

「で、俺の監視は構わないがお前は寝なくていいのか?」

 

「それはオメーもだろ。時間的に余裕は………ないが、予定の時間にはまだあるだろ?」

 

「俺はすぐにもう一眠りするからな」

 

「それなら、こっちもすぐに代わりの監視員が来るからな。…………逃げようと思うなよ」

 

「しねぇよ。…………まぁ、信用しろとは言わないがな」

 

「ふん」

 

その後、2人は明聖を起こさないようにしながら、少し話をした。そして、時間的にお互い、そろそろ寝なければならないということになったときだった。

 

「………輝夜。最後に1つ訊きたいんだが」

 

「………なんだ?」

 

「お前、死ぬ気じゃないだろうな?」

 

「………まさか。そんなことしたら、こいつが悲しむ」

 

輝夜は地球に行く際の明聖との喧嘩を思い出して、明聖を見ながら、リボーンの質問にそう答えた。

 

「………そうか。なら、いいぞ」

 

リボーンは輝夜の答えを聞いて、特に何も言わないで病室を出ていった。そして、リボーンが出ていったところを見て、輝夜ももう一眠りするのだった。

 

 

 

 

明け方になり、ロヴィーノがいる島の上空に某国のいくつもの戦闘機がやってきた。

 

「戦闘機ね………。現代の表社会の最新技術の結晶か………」

 

玉座に座っていたロヴィーノは飛んでいる戦闘機をまるで鳥のように眺めていた。

 

「ロヴィーノ!!!これでも、くらいやがれ!!!」

 

戦闘機に乗っていたパイロットたちが戦闘機からのたくさんのミサイルを撃ち出した。そのミサイルはまっすぐロヴィーノに向かった。ロヴィーノはそれを見て、一歩も動かなかった。

 

ドカーーーーーーーンッ!!!!

 

ミサイルは全て、ロヴィーノに直撃した。

 

「よし!!!ミサイルは直撃したぞ!!!これが耐えられるはずは―――――!!!?」

 

パイロットたちは直撃したことに喜んだが、それも一瞬のことだった。粉塵が晴れるとそこには無傷のロヴィーノがいた。しかも、驚くことはそれだけではなかった。なんと、ミサイルの1つを片手で掴んでいたのだ。相手が邪神だということはわかっていたがあまりにも常識はずれの出来事に驚かざるを得なかった。

 

「ハァ………。通常の死ぬ気の炎を使った攻撃ですら効かないのに死ぬ気の炎を纏っていない質量兵器なんか、なおさら私に効くわけないだろ………。……まぁ、沈黙の掟(オメルタ)があるから表社会の連中は死ぬ気の炎について、全く知らないから、仕方ないといえば仕方ないんだけどね」

 

ロヴィーノは興味無さそうに、左手で掴んでいるミサイルを見ながら、そう呟いた。

 

「でも、雑魚に全力で相手するのも馬鹿らしいし、疲れるからな。でも、鬱陶しいんだよね………」

 

ロヴィーノはそう呟いて、前に屈んでミサイルを持っている手とは反対の手でいくつかの小石を拾った。

 

「………ふん!!」

 

ブンッ!!!!

 

ロヴィーノはその小石を座りながら、思いっきり投げた。

 

ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!

 

すると、上空を飛んでいた戦闘機は全て爆発して撃墜された。どうやら、投げた小石が全て戦闘機のエンジンを貫いたようだった。ロヴィーノがいた場所から戦闘機まで上空何百メートルも離れている。それにも関わらず、戦闘機を全滅させたロヴィーノの身体能力には驚かざるを得ない。

 

「人間がハエや蚊を叩き潰す際の気持ちがわかった気がするな………」

 

撃墜した戦闘機が島に落ちてきている中、ロヴィーノは先程まで戦闘機を鳥のように見ていたのが今ではハエや蚊と評価していた。

 

「ハァ…………。このミサイルも捨てなくてはな………。それも有効活用して………」

 

ロヴィーノはそう言うと、目の前に《夜》のワープホールを出した。

 

「………………」

 

ブンッ!!!!

 

ロヴィーノはそのワープホールにめがけて、ミサイルを思いっきり投げた。

 

ドカーーーーーーーーーンッ!!!!

 

すると、ロヴィーノから離れた、しかし、そう遠くない海上で爆発が起きた。

 

「………イージス艦というのも、これで沈んだな」

 

ロヴィーノは爆発した地点をつまらなそうに見ながら呟いた。今、爆発した地点には某国のイージス艦が停まっていたのだ。そのイージス艦にロヴィーノはワープホールを通して、ミサイルを投げつけたのだ。

 

「このことは一応、全世界に報道しているけど、これで人類はより絶望しただろうな」

 

そう言って、ロヴィーノは上空のある一点に視線を向けた。今の戦闘機やイージス艦は世界中に知られている中では最強の兵器だった。それが破られたことで人類はより絶望したのだとロヴィーノは思った。

 

「私へ攻撃できる資格を持っているのは()()()()だけだからな。そいつらが来るまで私は掃除しながら、のんびり待っておこうか」

 

ロヴィーノは周りにある戦闘機の残骸を自分の白い《闇》の炎で燃やしながら、楽しみにしていた。

 

 

 

 

それから、時間が少し経って、並森総合病院の多目的ホール。そこには、ボンゴレ、黒曜、ヴァリアー、ミルフィオーレ、シモン、アルコバレーノ、復讐者(ヴィンディチェ)などの全員が揃っていた。その中には当然、輝夜と明聖もいた。

 

「皆、よく集まってくれた」

 

そんな中、チェッカーフェイスが口火を切り出した。皆、その声を聞いて、チェッカーフェイスに注目した。

 

「君たちも知っているだろうが、明け方、某国の軍隊がロヴィーノに攻め込んだ。しかし、ロヴィーノに傷を負わせることなく、軍隊は全滅した」

 

『……………………』

 

ロヴィーノの話に全員が沈黙した。今朝のニュースでもそのことは報道されていた。どうやら、ロヴィーノが戦闘機やイージス艦を破壊した場面は今も世界中に浮かんでいる画面に映し出されていたのだ。それにより、まだ寝ている人が多い日本はともかく、その時は昼間だったアメリカなどの国はその場面を目撃したのだ。これにより、日本人のほとんどの絶望したのだった。ツナたちは知らないだろうがロヴィーノの予想通りだった。

 

「その国以外の軍隊も突撃したみたいだが、その全てが駄目だったみたいだった…………」

 

「この世界の軍隊の設備は当然、馬鹿にできない」

 

「しかも、最先端の武器を使ったとも聞いたぜ、コラ!!」

 

元軍人のラルとコロネロがそう言った。

 

「あぁ、その通りだ。しかし、それでも、ロヴィーノには通じなかった………」

 

「しかも、ミサイルの1つは片手で受け止めたらしいな………」

 

チェッカーフェイスとリボーンがその時の出来事を語った。ロヴィーノの常識外れの力に皆、畏怖していた。

 

「……………それでも、俺たちはやるしかないんだ」

 

そんな中、ツナがそう言った。その言葉は多目的ホールに響いた。

 

「10代目………」

 

「ツナ…………」

 

獄寺と山本がツナの言葉を聞いて、口からそうこぼした。

 

「このまま、放っておいたら、ロヴィーノに地球が滅ぼされるんだ!!!この星には人間も動物も含めて、多くの生物がいるんだ!!!それを破滅させるのが生きがいとか、そんな理由で滅ぼすなんて絶対に許せない!!!」

 

ツナはそう叫んだ。それを聞いて、周りの皆もいろいろ考えはあるみたいだが、『地球を滅ぼす訳にはいかない』という点で皆、同意していた。

 

「ふっ……。言うようになったじゃねぇか」

 

ツナの決意の言葉にリボーンは自分の生徒の成長ぶりに感心していた。

 

「綱吉さん、すごい………」

 

明聖はツナの言葉で皆の気が引き締まったことに驚いて感心していた。

 

「敵に回すと厄介だが、味方にすると頼もしい男だな」

 

輝夜も同様に感心していた。

 

「沢田綱吉君の言うとおりだ。我々がやらなければならない。今、ボンゴレ9代目が政府を通して、世界中の軍事施設にロヴィーノに攻め込むのにストップをかけている」

 

「9代目が…………」

 

「チッ!!!あのジジイ!!!」

 

チェッカーフェイスの言葉にツナとXANXUSが反応した。ツナはともかく、XANXUSはなぜか思いっきり舌打ちしていた。

 

「へぇ~~。さすがはボンゴレ9代目だね」

 

「ふむ。おかげで、我々が踏み込むことができるということだ。それでは、早速行くとしよう。バミューダ君」

 

「はいはい。わかったよ」

 

チェッカーフェイスの言葉にバミューダは諦めたように言いながら、《夜》の炎のワープホールを出した。

 

「よし、それでは行くとしよう」

 

チェッカーフェイスがそう言うと、皆、次々にワープホールをくぐり抜けって行った。

 

「…………沢田綱吉」

 

皆がワープホールをくぐり抜けている間、輝夜がツナに声をかけた。

 

「え。何、輝夜?」

 

「パパ、どうしたの?」

 

それに対して、ツナと明聖が質問した。ちなみに輝夜の武器とリングと匣は全て返してもらっている。

 

「俺が提案しておいてなんだが、お前に確認する。このまま行けば、仮にロヴィーノを何とかしても、お前に()()()()()()()()ぞ。まぁ、これは他の連中にも言えることだが、お前はそれでいいのか?」

 

「………………うん。地球が滅ぼされるかもしれないなら仕方ないよ。それにこの作戦以外になかったんだからね」

 

輝夜の質問にツナは苦笑いしながら答えた。

 

「…………お前、絶対損する性格だな」

 

「ハハハッ。そうかな……………」

 

「そうだよ。……………悪いな」

 

輝夜は最後に謝罪を入れて、ワープホールを通った。

 

「えっと…………、その…………私もごめんなさい!!」

 

それに続くように明聖がツナに謝って、同じようにワープホールを通った。

 

「……………いいんだ。誰かがやらなくちゃいけないんだ。俺はそれができる数少ない1人だから…………」

 

ツナは少し悲しそうな顔をしたが、すぐに顔をを引き締めて、ワープホールを通った。そして、全員が通ったことでワープホールは多目的ホールから消えた。

 

 

 

 

それから、少し時間が経って……………。

 

「……………来たか」

 

玉座に座っていたロヴィーノが気配を感じて、そう呟いた。ロヴィーノのいる島は周りが一際高い岩山に囲まれているために外敵が来たかどうか判断するには、今のように気配を察知するほかにない。ロヴィーノにとっては朝飯前のことだったみたいだが。ちなみにロヴィーノの周りにあった戦闘機の残骸は《闇》の炎で塵1つ残さず、燃やし尽くしていた。

 

「さてと、ここから全世界、生中継だな」

 

そう呟いたロヴィーノは楽しそうにしながら立ち上がって、世界中に向けて、報道した。

 

「全人類の皆さん!!!いよいよ、タイムリミットももうすぐ3時間となる!!!」

 

ロヴィーノは真正面を見ながら、腕を広げて、高らかにそう言った。

 

「知っている者もいると思うが、日本時間で表わすと明け方も各国から戦闘機やイージス艦などが来たが私は呆気なく撃退した。正直に言ってつまらなかったね」

 

ロヴィーノは本当につまらなそうに言った。これを見ている人たちは怒りで頭に血が上った。しかし、そんなことはお構いなく、ロヴィーノは続けた。

 

「しかし!!!やっと、私も少しは楽しませてくれる者たちが現れた!!!お前ら、人類にとっても最後の希望と言うべき存在がね!!!」

 

ロヴィーノの言葉に見ている人たちは全員が驚いた。そして、僅かな希望を抱いた。

 

「クククッ。まぁ、最終的には私が勝って、滅ぼすのだがね。…………さてと、それでは紹介しよう!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと、浮かんでいる画面がある岩山に向けられた。その岩山の頂上には2人の人物がいた。

 

「私を倒せる資格を持っている人間!!!沢田綱吉とダークネスだ!!!」

 

その人物はツナと輝夜だった。2人はロヴィーノをにらみつけていた。地球の運命をかけた最終決戦が今、始まろうとしていた。



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最終決戦、開始!!

ロヴィーノが最後の希望と言った正体がツナと輝夜であるということに世界中の人間は困惑と失望が漂った。戦闘機やイージス艦でもロヴィーノに倒すどころか傷1つつけることができなかった。それにも関わらず、その最後の希望というのが人間2人だから、落胆するのも無理はないだろう。特に並盛で1番、動揺が走っていた。

 

「えっ?あれって、ダメツナだよな………?」

 

「そうだな…………、ってか、もう1人は誰だ?なんだか、ロヴィーノに似ているが…………」

 

「ってか、ロヴィーノのやつふざけているだろ!!!」

 

「そうよ!!人間2人だけで邪神に勝てる訳ないじゃない!!」

 

勉強も運動もダメダメのダメツナと知られているツナがロヴィーノと対峙していることに並盛の住人たちは信じられなかった。

 

「ツッ君?」

 

その中には当然、母親の奈々の姿もあった。

 

「ツナさん!?」

 

「ツナ兄!?」

 

奈々の側にいたイーピンとフゥ太も驚いていた。

 

「……………………」

 

そんな中、ビアンキは悲痛そうな顔をしていた。今回の戦いはロヴィーノが設置した画面により、ツナの顔が全世界に届けられた。ロヴィーノと戦うとなったら当然、死ぬ気の炎も使う。ツナがボンゴレ10代目候補だということもばれてしまうだろう。輝夜がワープホールをくぐり抜ける前にツナに謝った理由はこれだった。ツナの居場所を奪ってしまうということだった。しかし、ツナは自分の運命を受け入れて戦いに参加するのだった。

 

(ツナ…………しっかり、やりなさい)

 

ビアンキは心の中でツナを応援した。

 

「ちょっ!!沢田のやつ、馬鹿じゃないの!!あいつがあんな化け物に勝てる訳ないでしょ!!」

 

「ううん。ツナ君なら、きっと大丈夫………」

 

「そうです!!ツナさんはベリーストロングですから!!」

 

並盛のとある場所で叫ぶ花に京子とハルがそう言った。

 

「はっ?2人共、それどういうことよ?」

 

「花。とにかく、私たちはツナ君たちを信じようよ」

 

「はい!!ハルたちはツナさんたちが無事に戻って来てくれるように祈ればいいんです!!」

 

京子とハルはそう言うと、真剣な顔つきで空中に浮かぶ画面を見た。2人の顔つきを見た花は何も言えずに浮かぶ画面のほうに向いた。

 

ビアンキ、京子、ハル以外にもツナの実力を知っているシャマルやロンシャンも同様にツナのことを応援していた。

 

 

 

 

世界中が様々な反応をしている中、ツナと輝夜はロヴィーノと対峙していた。

 

「やはり、お前らが来ると思ったよ!!」

 

ロヴィーノは2人に向かって、そう言った。

 

「ロヴィーノ、俺たちが来ることを想定していたのか………」

 

「当然だ。あいつは自分の弱点を把握していない馬鹿じゃない」

 

「…………そうだね」

 

輝夜の言葉にツナはなぜ自分たちに白羽の矢が立ったのか、思い出した。

 

 

 

 

『《光》の炎がロヴィーノの弱点!!?』

 

昨日、作戦会議中に輝夜が言ったロヴィーノの弱点に気づいていなかった者たちがが驚いて叫んでいた。ちなみに、気づいていた者たちはやっぱりという顔をしていた。

 

「あぁ、あいつに攻撃が通じないのは視認できないほど薄くだが、あいつの体には常に《闇》の炎が纏っているからだ。ドレイクの《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》と同じようなものだと思ってくれたらいい」

 

輝夜の説明にツナを除く《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を装備した輝夜と戦った者たちは顔をしかめた。一切の攻撃が通じなかったあの鎧、ロヴィーノはそれを常に纏っているのだから。

 

「俺ならば幻術で人格を狂わせるっていう手もあったが、おそらくロヴィーノには通じないだろ。《バイパー・ミラージュ・R》も俺なら通じたがロヴィーノはそのルールすらも破滅という名の無効化をするだろうな」

 

「あぁ。実際に私たちのときも幻術を使ったが気にした様子がなかった」

 

「クフフ。そもそも、あなたもそんなに効いていませんでしたか…………」

 

「ルールを無効化するとか反則でしょ…………」

 

輝夜の説明にチェッカーフェイス、骸、マーモンが諦めたように言った。

 

「…………なるほどな。これで改めて《光》の炎があいつの弱点だということを理解したぞ」

 

「それにしても、《光》の炎か………。そのような炎があるなんてね………」

 

(…………チェッカーフェイスは光の一族のことを知らないのか)

 

輝夜は昔、聖輝と明夜が光の一族が地球にいた頃も存在を隠していたという話をしていたのを思い出していた。だが、すぐに頭を切り替えて説明を続けた。

 

「今、《光》の波動を持っているのは明聖、沢田綱吉、そして俺だ。だが、戦いに関わらせるつもりがなかったから明聖は戦うことができない。実質、ロヴィーノと戦えるのは俺と沢田綱吉だけだ」

 

「俺と輝夜だけ…………」

 

ツナは緊張した様子で呟いた。

 

「でも、それって僕たちに《光》の炎の波動を加えることはできないの?ほら、綱吉君みたいにさ」

 

すると、白蘭がそう提案した。

 

「そうだ!!ロヴィーノを相手するには《光》の炎が必要なのはわかったが、それなら、俺たちも10代目と同じように付け加えれば―――――」

 

「却下だ」

 

白蘭の提案に獄寺が立ち上がって賛同したが、輝夜は最後まで聞かずにそう答えた。。

 

「なっ!!?なんでだよ!!!」

 

当然、獄寺は聞き返した。他のメンバーも反対した理由を知りたかった。

 

「《光》の炎の波動を手に入れるには、1()()()()必要がある」

 

『なっ!!?』

 

輝夜の答えに全員が驚いた。ちなみに輝夜が《光》の炎を持っている理由は既に話していた。

 

「俺や沢田綱吉が《光》の波動を持っている理由は生き返らせるために体質変化が起きたから。要はそれほどの炎が必要だったってことだ」

 

「だから、1度死ぬ必要があるのか…………」

 

「そんなのダメだよ!!」

 

輝夜の説明にディーノとツナがそう言った。輝夜はそれを聞いて、説明を続けた。

 

「そもそも、《光》の炎の蘇生も成功率は低い。1割もないな」

 

「仮にやるとしても分の悪すぎる賭けですね…………」

 

「そのようなもの、認めることはできません!!」

 

輝夜の説明に今度は風とユニがそう言った。そして、輝夜はまだ説明を続けた。

 

「それに、生き返らせるのに炎を使う本人は多少、命を削ることになるんだ。そんなのは俺が許さない」

 

輝夜は殺気を込めながら、そう言った。その殺気に対象外の明聖以外の全員が気圧された。さすがは《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》だ。

 

「っ!!?わ、わかったよ………」

 

獄寺はそれに圧倒されて渋々と言った。

 

「………仕方ないから、僕も諦めるけどさ。それって、結局さ、僕たちにやることなくない?」

 

「確かにそうですね。それでは僕たちがつまらないです」

 

「僕にも何か咬み殺させてよ」

 

「おい、ドカス。何ならテメーをかっ消すぞ」

 

(皆、物凄く戦う気満々だーーーー!!!いや、俺もこうなったら、ロヴィーノと戦うつもりだけど!!!ってか、XANXUSに関しては輝夜に向けて言っているし!!!?)

 

白蘭、骸、雲雀、XANXUSがそれぞれ不満そうに言って、それに対してツナは心の中でツッコんだ。XANXUS はジャバウォックと戦っている際に言った輝夜をかっ消すというのをまだ考えていたようだ。だが、輝夜は涼しい顔をして、4人、いや全員に向けて言った。

 

「安心しろ。お前らにもちゃんと役目があるからな」

 

「役目?」

 

輝夜の言葉に炎真が聞き返した。

 

「あぁ、そうだ。これから、説明する」

 

そして、輝夜は全員に説明した。

 

 

 

 

そういうわけで、今、ツナと輝夜がここにいるのだ。ロヴィーノの言うとおり、この2人は人類の最後の希望なのだ。ツナは《光天》の炎を使えばいいのでリングは必要はないが、輝夜は必要のために人差し指に《光》のリングを2()()つけていた。

 

「おや?ダークネスはどうして、《光》のリングを2つつけているのかな?」

 

「黙れ。お前にいちいち言うことじゃない」

 

ロヴィーノの疑問に輝夜は突っ放した。ちなみに輝夜が2つつけている理由は2つある。1つは《光》の炎の出力を上げるためだ。10年後の未来で10年後の雲雀が《裏・球針体》を使うためにBランクとCランクのリングを計3つ消費して使ったのと同じ原理だった。しかも、今回は2つともAランクのリングのためにかなり出力が上がるのだ。そして、もう1つの理由は…………

 

(情けない話だが…………父さん、母さん、力を貸してくれ)

 

願掛けだった。輝夜が使っているリングは聖輝と明夜の形見のリングだったのだ。輝夜はその2つを使って、この戦いに挑んだのだ。

 

「まぁ、いいさ。それで貴様らが私の相手するのかな」

 

「そうだ!!」

 

「それ以外にあると思っているのか?」

 

ロヴィーノの質問にツナと輝夜はそれぞれ答えた。

 

「いやいや。確かに私に攻撃を与える資格を持っているのは貴様らだけだからな。それにお前らの敵である私がとやかく言う権利はない。…………だが」

 

輝夜の問いにロヴィーノが答えていったが途中で区切ると、邪悪な笑みを浮かべた。

 

「そう易々と私が戦ってあげると思ったかな?」

 

ロヴィーノがそう言うと、島のあちこちから巨大な《夜》のワープホールが出てきた。その全てのワープホールからは……………

 

「グオォォォォーーーーー!!!!」

 

「ギャアァァァァーーーース!!!!」

 

「ガアァァァーーーー!!!!」

 

「シャアァァァァーーーー!!!!」

 

様々な獣の雄叫びが聞こえた。すると……………

 

「グオォォォォーーーーー!!!!」

 

「ギャアァァァァーーーース!!!!」

 

「ガアァァァーーーー!!!!」

 

「シャアァァァァーーーー!!!!」

 

ワープホールから巨大な猛獣たちが何十体も現れた。しかも、ただの猛獣ではなかった。それは、ドラゴンやグリフォン、ヤマタノオロチなどの空想上の動物や幻獣たちだった。

 

「なっ!!?」

 

「………………」

 

それを見て、ツナは驚いていたが輝夜は表情を崩さず、冷静な態度を取っていた。ちなみに世界中ではツナと同様に驚いていた。こんな現実離れな出来事が起きたら、当然だが………。

 

「こいつらは私が異空間から呼び寄せた幻獣たちさ。私を倒したいなら、まずこいつらを倒すことだな」

 

ロヴィーノは笑いながら、そう言った。ドレイクや羅刹開匣はロヴィーノがサンプルを提供したという話だった。それならば、このような幻獣たちを手懐けることも可能だろう。すると、猛獣たちはツナと輝夜に襲いかかった。

 

「グオォォォォーーーーー!!!!」

 

「ギャアァァァァーーーース!!!!」

 

「ガアァァァーーーー!!!!」

 

「シャアァァァァーーーー!!!!」

 

多くの幻獣たちが2人に攻撃を仕掛けようとすると…………

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

ドドドドドンッ!!!!

 

ガンッ!!!!

 

バンッ!!!!

 

「グオォォォォーーーーー!!!!」

 

「ギャアァァァァーーーース!!!!」

 

「ガアァァァーーーー!!!!」

 

「シャアァァァァーーーー!!!!」

 

その前に幻獣たちが別方向から攻撃された。幻獣たちはその攻撃のせいで呻き声を上げた。

 

「…………何?」

 

それを見て、ロヴィーノは眉をしかめた。すると、攻撃が飛んできた方向から人影が見えた。

 

「オメーの思い通りにはさせねぇぞ。ロヴィーノ」

 

「10代目に手は出させないぜ!!!」

 

「お前らの相手は俺たちなのな!!!」

 

「極限にかかってこい!!!!」

 

「凶暴な肉食動物たちだけど、群れているから咬み殺す!!!」

 

「絶対、守る……!!!」

 

「ツナ君たちには指1本、触れさせない!!!」

 

「拙者も微力ながら!!!」

 

「ドカスが!!!」

 

「僕たちの役目は霞払いか………。まぁ、いいや♪どれも、なかなか楽しめそうだしね♪」

 

「ハァ…………。仮にもマフィアの掟の番人である僕たちが法を破るなんてね…………。まぁ、今回は仕方ないか」

 

そこから出てきたのは、ボンゴレ守護者、黒曜、CEDEF、ヴァリアー、ミルフィオーレ、シモン、復讐者(ヴィンディチェ)たちだった。ちなみに輝夜に壊されたランチアの蛇鋼球は別の同じものを使っている。その中の1人がロヴィーノに声をかけた。

 

「久しぶりだね。ロヴィーノ」

 

「あぁ、久しぶりだね。チェッカーフェイス」

 

それはチェッカーフェイスだった。チェッカーフェイスは輝夜に四肢を不随にされたはずなのに、どういうわけか、彼は普通に立って、杖をいじっていた。

 

「ダークネスにその四肢を使い物にされなくなったはずだけど…………そうか、《光》の炎か」

 

「あぁ、そうさ。彼女の炎は素晴らしいよ。使えなくなったはずの両腕両足が再び使えるようになったからね。おかげでラーメンを食べるのに困らなさそうだよ」

 

ここに来る前にチェッカーフェイスだけでなく、皆、ロヴィーノ教団との戦いによる怪我を明聖《光》の炎の奇跡の力で治療してもらったのだ。治療するだけなら大勢相手でも多少の疲れが出る程度なので特に問題なく、全員、全快したのだ。

 

「なるほどね。確かにすぐ近くにまだ炎の気配がするね」

 

ロヴィーノはある方向に視線を向けた。ロヴィーノが向けた方向には1隻のツナたちがシモンの聖地に向かったときに使ったのと同じ船が停まっていた。この船も9代目が用意してくれたものらしい。そこには、入江や明聖などの非戦闘員がそこで待機していた。

 

「皆、頼むよ…………」

 

「パパ………」

 

船内で空中に浮かぶ画面を見ながら、非戦闘員たちはそれぞれの想いを胸に呟いた。

 

「あぁ。だから、そういうわけで、私も遠慮なく参戦させてもらうよ。でも、私たちは《光》の炎を持っていないからね。そこの動物たちを相手にさせてもらうよ」

 

チェッカーフェイスはそう言って、杖に炎を灯した。

 

「ふぅ………。さっきのダークネスの態度から見ると、ダークネスは私が幻獣を呼び寄せることができることを予想していたみたいだな」

 

ロヴィーノは輝夜を見ながら、そう呟いた。ロヴィーノの予想通り、輝夜は自分の匣や羅刹開匣からそうなると予想していたのだ。

 

「相変わらず、頭がいいね。ならば、仕方ない。私が直々に相手してあげるよ!!」

 

ズボッ!!!!

 

ロヴィーノはそう言うと、背中から触手を生やした。その触手の先には《闇》の炎が凝縮していて、ツナと輝夜に向けていた。そして………

 

バンッ!!!!

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

その炎が2人に向けて発射された。その炎は2人がいた場所に直撃して、粉塵が舞った。

 

『10代目/沢田(殿)/ボス/ボンゴレ/綱吉/ツナ(君)!!?』

 

「パパ!!?」

 

それを見て、明聖や獄寺たちが叫んだ。しかし…………

 

ビュンッ!!!!シュンッ!!!!

 

「!?」

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

粉塵の中からツナが飛び出して、輝夜はショートワープを使ってロヴィーノの目の前まで移動してきた。ツナは両手にXグローブを装備して、額に《光天》の炎を灯して、《(ハイパー)死ぬ気モードVer.光天》になり、輝夜は《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を装備していた。しかし、輝夜の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》はいつもの全身装甲ではなく、暴走状態のときの形態だった。まぁ、それはともかく、2人はそれぞれ《光天》、《光》と《闇夜》を纏わせた武器でロヴィーノに攻撃を仕掛けた。それをロヴィーノは掌に炎を纏わせて防いだ。しかし、2人はそれにめげずに言った。

 

「ロヴィーノ!!!俺は死ぬ気でお前を倒す!!!」

 

「お前のくだらない考えもこれで終わらせる!!!」

 

今、最終決戦の火蓋を切った。



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2つの作戦

ドーーーーーーーンッ!!!!

 

リボーンたちが幻獣たちと戦っている中、ツナと輝夜がロヴィーノとぶつかった。それにより、すさまじい衝撃波が生まれた。

 

「っ……」

 

シュンッ!!!!

 

ロヴィーノは《夜》のショートワープで2人から離れた。

 

「……………」

 

ロヴィーノは攻撃を受け止めた手、特にツナの攻撃を受け止めた手を開いたり、閉じたりしていた。

 

「ふーん…………」

 

すると、ロヴィーノは何か考えながら、ツナのほうを見た。

 

「…………なんだ?」

 

その視線に気づいたツナがロヴィーノに尋ねた。

 

「いや、別に。それよりも、ダークネス。貴様、その鎧、全身装甲じゃないな。せっかくの無敵の防御を誇る鎧を使わなくていいのか?」

 

ロヴィーノはツナの質問に言葉を濁して、輝夜に《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》の装甲の面積について訊いた。

 

「ふん…………。白々しい奴だな。全身装甲にしても、お前の場合、無意味だろうが」

 

「クックックッ」

 

輝夜はロヴィーノに悪態ついた。輝夜はわかっていた。《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を全身装甲にしても、ロヴィーノの《闇》は鎧の無効化を無効にして、攻撃を通すことができるのだ。1年前のロヴィーノの魂との戦いでは輝夜は《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を全身に装備して戦ってはいない。正確に言うと、そんな暇が無く、敗北したからだ。しかし。今の輝夜が言った言葉に対するロヴィーノの反応を見て、それは間違っていないだろう。だから、輝夜は防御力が落ちるが、ショートワープのスピードと四肢の装甲への炎の集中による攻撃力の強化のほうにしたのだ。

 

「ふっ…………。まぁ、いいさ。初めて、少しは歯ごたえのある奴らと戦えそうだからな!!」

 

ズボッ!!!!ズボッ!!!!

 

すると、背中から触手を2本出して、2人に鞭のような攻撃を仕掛けた。

 

「「!?」」

 

それをツナは空中に飛んで、輝夜はショートワープを使ってかわした。

 

「ハッ!!そこだろ!!」

 

ロヴィーノは2人が移動した先を予想したかのように、触手を振るった。

 

「っ!!?」

 

「チッ!!」

 

2人はその触手をそれぞれの武器で防いだ。しかし…………

 

ドガンッ!!!!

 

「ガッ!!?」

 

「グッ!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

防ぎきることができず、弾かれてしまった。弾かれた2人はそのままロヴィーノから離れたところの地面に激突した。

 

「くっ………!!」

 

「くそっ!!まさか、ショートワープの先を読まれるとは…………」

 

2人はすぐに立ち上がって、ロヴィーノを睨み付けた。

 

「クックックッ。確かに1年前に見た全身装甲のときよりも動きが速かったな。だが、私にとってはたいした速さではない。…………………それに、()()()()1()()()()()()

 

ロヴィーノは2人に向かって、そう言った。最後に何か呟いたが2人や幻獣たちと戦っている者たちはもちろん、この戦いを目撃している世界中の人間たちには聞こえなかった。

 

「くっ!!」

 

輝夜は聞こえた言葉に対して、悔しそうにした。

 

「………さてと、触手を鞭として扱うのも飽きてきたし、久しぶりにこの使い方でやってみるか」

 

輝夜が悔しそうにしているのロヴィーノは一瞥すると……………

 

ザシュッ!!!ザシュッ!!!

 

手刀で自分の触手を2本とも切り落とした。

 

『!!?』

 

そのことに見ていた者たちは驚いた。自分の武器とも言える触手を切り落としたら、使えなくなると思ったからだ。

 

「クックックッ。驚くにはまだ早いさ」

 

ロヴィーノは笑いながら切り落とされた触手を手に持った。すると……………

 

グニャッ!!グニャッ!!グニャッ!!

 

触手が変形を始めて、西洋の剣の形になった。

 

『!!!?』

 

そのことに見ていた者たちは再び驚いた。

 

「触手が剣に………!!?」

 

「この触手は特別な細胞、《ロヴィーノ細胞》の集まりでできているからな」

 

驚いているツナにロヴィーノがそう言った。

 

「……………《ロヴィーノ細胞》?」

 

「………安直な名前だな」

 

「まぁ、適当につけただけだからね。でも、この細胞は形を変幻自在に変えることができるのさ。それにも関わらず硬度も《強欲の炎》を纏わせたダイアモンドなんかよりも比べものにならない。例えば、このように………」

 

ロヴィーノは言葉が途切れると…………

 

ブンッ!!!

 

2人とは別の方向に触手が変化した剣を振るった。すると、巨大な斬撃が生まれて飛んだ。

 

『なっ!!?』

 

その方向には幻獣たちの1頭と戦っていた者たちがいた。戦っていた皆はその斬撃をかわしたが……………

 

「ギャーーーーーーース!!!?」

 

そこにいた幻獣たちは巻き込まれて一刀両断にされた。

 

「ゔぉおおおおい!!!何しやが―――――なっ!!!?」

 

その幻獣と戦っていたスクアーロがロヴィーノに文句を言おうとしたが、すぐに別のことに驚くのだった。幻獣が斬られる際にその後ろにあった岩山と海、さらには空までもが斬られたのだ。ロヴィーノの常軌を逸した力に改めて、世界中の人間たちが驚いた。

 

「このように天・地・海を全て、一刀両断にすることができるのさ」

 

とロヴィーノは笑いながら言った。そして、ニヤリと笑って、ロヴィーノは言った。

 

「改めて教えるけど、ロヴィーノ細胞は貴様ら人間にとってはかなり特殊な細胞だということさ。そして、ロヴィーノ細胞が私の武器だって考えたほうがいいよ。その細胞は時には私の剣となり、時には私の鎧になる」

 

ロヴィーノはロヴィーノ細胞について説明を始めた。『ロヴィーノ細胞は鎧になる』、これは《光》の炎に関する攻撃以外は効かないことと関係があるのだろう。

 

「ちなみに、ロヴィーノ細胞が凝縮してできているこの触手は最大16本出せて、その全てが無限に伸びて、斬られても数秒で回復する」

 

そして、次には触手の説明をした。

 

「……………どういうつもりだ?敵にそんな情報を与えて………。長く生きたせいで頭がボケたのか?」

 

そんなロヴィーノに輝夜は怪訝な表情で尋ねた。

 

「ひどい言いぐさだね。まぁ、確かに私から見たら貴様らなんてただの若造だけどね」

 

「そんなことは訊いていない。俺の質問にとっとと答えろ」

 

「そんな怖い顔で言わなくても、ちゃんと言うさ。いわゆるハンデっていうやつだよ。これで少しは対等に戦うことができそうだからね」

 

輝夜の質問にロヴィーノはあっけらかんと答えた。

 

「舐めた真似を………」

 

「ルシフェル以上に傲慢な奴だな。それでお前の足元をすくわれるなら、いいんだがな」

 

ツナと輝夜はそれぞれ苦虫を噛み潰したような顔をして、そう言った。

 

「心配はご無用さ。確かに神というものは傲慢な奴が多い。私もその1人さ。しかし、相手を見下したり、手を抜いたりすることはあっても油断することはない。これはダークネス、貴様らに言ったことがあるね?」

 

「………………」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は黙っていた。どうやら、ロヴィーノ教団のメンバーは1度聞いたことがあるみたいだ。

 

「それよりも、そろそろ戦いを再開しようではないか!!」

 

ロヴィーノがそう言うと、両手に剣を持ちながら、2人に攻撃を仕掛けた。

 

「「っ!!?」」

 

2人はそれぞれ自分の武器で対抗した。

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!ドカンッ!!!!

 

3人の武器がそれぞれ交差した。武器と武器がぶつかって金属音が鳴り響いて、ときどき輝夜がガンブレードから発砲したがその炎の弾丸もロヴィーノは全てかわした。時間がだんだん経っていくとツナと輝夜はロヴィーノに押され始めた。しかし、2人はなんとか堪え忍んでいた。

 

「へぇ~。少しはやるみたいだな。それなら…………」

 

ロヴィーノは2人に感心すると、持っていた2つの剣を重ねた。すると……………

 

グニャッ………グニャッ……………グニャッ!!………グニャッ!!!!

 

2つの剣の形が変形して合わさり、1本の巨大な剣になった。

 

「ロヴィーノ細胞はこういう風に触手同士の融合も可能なのさ。そして、この剣は触手2本分の力がある」

 

2本に剣が1本の剣になったのを見たこととロヴィーノの説明に2人は驚いた。

 

シュンッ!!!!

 

すると、ロヴィーノはツナの後ろにショートワープしてきた。

 

「!!?」

 

「何を驚いているのかな?お前らは私の敵。ならば、排除するに決まっているだろ。まずは1人!」

 

ザシュッ!!!!

 

ロヴィーノはそう言って、ツナを切り裂いた。

 

「!?」

 

だが、切り裂かれたツナを見て、ロヴィーノは驚いた。

 

「これは…………人形だと!?」

 

今まで戦っていたツナは虹の代理戦争で使われていた人形をヴェルデたちの手でさらに改良されたものだった。

 

ガキンッ!!!!

 

「!!?」

 

ロヴィーノが驚いた隙を狙って、輝夜はロヴィーノの剣を弾き飛ばした。

 

シュンッ!!!!

 

そして、輝夜はすぐにショートワープでロヴィーノから離れた。いつの間にか、ロヴィーノは島の中心地にいた。

 

「!!?……………なんだ、この炎圧は?」

 

すると、島から3方向に少し離れた場所で凄まじい炎圧を感じた。

 

「あ~~~。とうとう、カバーと気配(セーニョ)リングで隠すのにも限界が来ました~~~」

 

その時にいつの間にか全ての幻獣たちを倒していたメンバーの中からフランがそう呟いた。

 

「ふむ。しかし、時間稼ぎには十分だ。もう解いてもいいだろう」

 

それに対して、チェッカーフェイスがそう言った。すると、リボーンや白蘭たち、現在(トゥリニセッテ)を持っている者たちが霧となって消えたのだ。

 

「……………幻術か」

 

ロヴィーノは無表情でそう呟いた。今まで幻獣たち相手に戦っていたリボーンたちはチェッカーフェイス、クローム、幻騎士、フランの有幻覚だったのだ。そのうえにフランがつけていた気配(セーニョ)リングの力で限りなく本物に近い形にしたのだ。

 

「…………頼むぞ」

 

「あとは頼んだよ、皆」

 

「骸様…………、ボス…………」

 

「白蘭様…………、ユニ様………」

 

「ミーたちの出番はここまでで~す」

 

輝夜やチェッカーフェイスたちはそれぞれ、そう言った。

 

 

 

 

島から少し離れた海の上の船にツナたち、VG(ボンゴレギア)組は自分のVG(ボンゴレギア)に最大限の炎を灯していた。

 

「皆、この調子だ!!!」

 

「はい!!10代目!!!」

 

「わかったのな!!!」

 

「極限にやるぞ!!!!」

 

「ランボさんもやるもんね~!!」

 

「ふん………」

 

「クフフ………」

 

7人の炎が巨大な虹色の炎の柱となった。

 

 

 

 

一方、ツナたちとは別の場所で白蘭たちマーレリング組もツナたちと同様のことをしていた。

 

「さて、僕たちもこの調子でがんばっていこうか♪」

 

「わかっている!!そんなこと!!!」

 

「ハハン。わかりました」

 

「わかりましたぜ。バーロー!!!」

 

「にゅにゅ~~。ブルーベルもがんばる~~~!!!」

 

「僕チンも!!!」

 

「御意………」

 

そして、マーレリング組のところからも巨大な虹色の炎の柱が生まれた。

 

 

 

 

そして、ツナ、白蘭たちとは別の場所でユニたちおしゃぶり組も同じことをしていた。

 

「皆さん!!もう少しです!!!がんばりましょう!!!」

 

「あぁ」

 

「わかったぜ、コラ!!!」

 

「よっしゃーーー!!!やるぞーーー!!!」

 

「世界が滅ぼされるなんて、嫌だからね!!!」

 

「バイパーも珍しく熱くなっていますね」

 

「やれやれ」

 

そして、アルコバレーノ組のところも虹色の炎の柱が生まれた。

 

 

 

 

今、島の周りには3本の巨大な虹色の炎の柱が立っていた。その柱の先を頂点として、虹色に輝く巨大な三角形の魔法陣が浮かんだ。

 

「これは…………まさか!?」

 

ロヴィーノは何かに気づいたのか、驚いた表情をしていた。

 

「そのまさかだよ。これは君を封印するための術式さ。大昔にやったものとは少し形は違うがね」

 

それにチェッカーフェイスが説明した。輝夜が考えた作戦の1つ目はこれだった。輝夜と人形のツナがロヴィーノの相手をチェッカーフェイスやチェッカーフェイスたちが作り出した有幻覚のリボーンたちで幻獣たちの相手をして、本物のツナたちは用意しておいた船の上で(トゥリニセッテ)に炎を灯していたのだ。皆が戦っている間に封印の準備をして、準備が終わったら、ロヴィーノをもう1度封印しようという計画だ。ちなみにさっきのロヴィーノの斬撃がツナたちに当たらなかったのは幸運だというべきだろう。

 

ロヴィーノも当然、封印に関して警戒すると予想していた。だから、あえて(トゥリニセッテ)を持ったツナたちの偽物を出して、戦わせて、警戒を薄めたのだ。ちなみに本物のツナたちの存在を隠すために特殊なカバーや気配(セーニョ)リングで気配を隠していたのだ。おかげでフランはかなり疲れているようだ。

 

空に浮かんでいた魔方陣はそのまま真下へと降りて、島の地面に合わさった。魔法陣の中心にちょうどロヴィーノに合った。どうやら、ツナの人形と輝夜が微調整したようだ。

 

「っ!!?」

 

ロヴィーノは逃げようとしたが体が動かなかった。チェッカーフェイスの話では大昔に(トゥリニセッテ)による魔法陣を完成させたときはこれでロヴィーノは動けなくなって、そのまま封印されたみたいだった。どうやら、その魔方陣は今回も成功したみたいだった。

 

「いったか!!?」

 

「魔法陣はしっかり、ロヴィーノを捕らえている!!!」

 

「ロヴィーノはこの魔方陣に手も足も出なかったんだよね!!?」

 

「それなら、いけるぞ!!!」

 

徐々に魔法陣から出ている大空の七属性の炎がロヴィーノに纏わり付いているのを見て、岩山の上にいる者たちはそう言った。全員が全員、『これで終わるのか?』って思った。しかし…………

 

「……………………ククッ。クククッ、ハハハハハハッ!!!!ハーーーーーハハハハハハハハッ!!!!」

 

ロヴィーノは急に笑い出した。全員、それを見て、警戒した。

 

「甘いな!!!私の最大の屈辱とも言えるこの封印に何の対策も練っていないと思ったのか!!!!」

 

ロヴィーノはそう言うと背中から16本の触手を出した。そして、ぎこちないが両腕を動かして、全ての触手を切り落とした。16本の触手は変形して合わさり、巨大な槌となった。

 

「触手16本分の………槌だと………?」

 

輝夜はそれを見て、呟いた。しかし、そんなことに構わず、ロヴィーノはその槌を持ち上げると、動きにくくなっている体で振り下ろした。

 

「《破滅の神槌(ロヴィーノズ・ミョルニル)》!!!!」

 

ドカーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!

 

バリンッ!!!!

 

動きに制限をかけられていたにもかかわらず、ロヴィーノの一撃は魔法陣を粉砕してしまった。

 

『なっ!!!?』

 

それを見て、全員が驚いた。これにより、封印は失敗したことになる。

 

「ハハハハハハッ!!!!残念だったな!!!!貴様らにとっては今の封印は最後の希望だったのにな!!!!それが失敗したことでもう貴様らに打つ手はないな!!!!」

 

ロヴィーノは槌を置いて、大声で笑いながら、輝夜たちにそう言った。事実、これを見ている世界中のほとんどの人々たちは今の封印が失敗したことで絶望に堕ちていた。しかし…………

 

「ハハハ………………………?」

 

ロヴィーノは笑うのをやめて怪訝そうに輝夜を見た。輝夜は先程、ロヴィーノが魔方陣を壊したことに驚いていたが、輝夜の目に絶望の色は見えなかった。周りを見ると、チェッカーフェイスたちも余裕はなさそうだが諦めたという感じがなかった。すると…………

 

「《X(イクス) BURNER(バーナー)》!!!!」

 

「!!?」

 

ロヴィーノに向かって《光天》の炎が襲いかかった。ロヴィーノはすぐにショートワープでかわしたが、触手で作った槌は置いていったために炎に燃やされた。

 

スタッ…………

 

炎が治まると輝夜の横にツナが降りてきた。

 

「…………沢田綱吉。…………今度は本物のようだな」

 

それを見て、ロヴィーノが呟いた。

 

「沢田綱吉、炎は大丈夫なのか?」

 

「あぁ。《零地点突破・改》で皆の炎をもらって回復してきた」

 

「そうか」

 

ツナと輝夜は短く会話を終わらせるとロヴィーノに向いた。

 

「ロヴィーノ!!お前が封印を破ることは予想していた!!だから、もう1つの作戦を使わせてもらう!!」

 

「………といっても愚策だがな」

 

ツナの言葉に対して、輝夜は呟いた。

 

「ほう……。それはいったい何なのかな?」

 

ロヴィーノは興味深そうに言った。

 

「それは………」

 

「もちろん………」

 

ツナはグローブを輝夜はガンブレードをロヴィーノに突きつけて言った。

 

「「お前を倒す!!!それだけだ!!!」」




活動報告にお知らせと質問募集があるので、よかったら見てください。


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似た者同士

ロヴィーノに武器を突きつけて、倒すと宣言したツナと輝夜。

 

「…………フ………ハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

ロヴィーノは一瞬驚いた顔をしたが次の瞬間に笑い出した。

 

「ハハハハハハハハハハハッ!!!!どんな作戦かと思ったら、私を倒すだと!!?ふざけているのか!!?」

 

「いや、大まじめだ」

 

「そもそも、封印が1度失敗したなら、お前に同じ手が通じるわけないだろ。そうなったら、世界の破滅を防ぐ手立てはお前を倒す。それだけしかないだろ」

 

額に手を当てて笑っているロヴィーノに輝夜はそう説明した。

 

「クックックッ…………。確かに正論だ……………。だが!!!貴様らにそんなことができるのか!!!」

 

「できる、できないじゃない!!!やるしかないんだ!!!」

 

ロヴィーノの言葉にツナはそう叫ぶと炎真のほうに向いた。

 

「炎真!!!シモンリングを貸してくれ!!!」

 

「わかったよ!!!ツナ君!!!」

 

ツナの頼みに炎真は自分のシモンリングをツナに飛ばした。シモンリングはそのままツナの《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》と合体した。

 

ボウッ!!!!

 

それと同時にツナの額の《光天》の炎の上に《大地》の炎が重なった。

 

「《大地》の炎が使えるようになったか。だが、それで私を倒せるかな?」

 

「やってみせる!!!」

 

「覚悟しろ!!!」

 

ツナと輝夜はそう言って、自分の武器に炎を灯して、ロヴィーノに立ち向かった。

 

 

 

 

「戦況はどうなってんだ?」

 

「リボーン………」

 

ツナと輝夜がロヴィーノとぶつかってから、しばらく経つと封印の準備をしていたメンバー全員と明聖がやってきた。

 

「あれ?どうして、明聖ちゃんもいるの?」

 

「あぁ。それはね、明聖ちゃんがどうしても行きたいって言っていたのを正ちゃんから聞いてね。連れて来ちゃった♪」

 

炎真の疑問に白蘭が答えた。

 

「ごめんなさい………。パパが心配で…………」

 

明聖は顔をうつむかせて、そう言った。

 

「まぁ、ここには幻獣はもういないから別に構わねぇが、それよりも戦況はどうなってんだ?」

 

「どうもこうもないよ。全然、好転していないんだから」

 

「沢田と光城輝夜の2人がかりでも、ロヴィーノに一撃を入れることすらできていない………」

 

「改めて思う。あれが《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》の強さだと………」

 

リボーンの質問にバミューダ、ラル、アーデルが答えた。それを聞いて、リボーンたちは戦場のほうを見た。

 

ガキンッ!!!!ドンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

そこでは、ツナと輝夜がロヴィーノに攻撃していた。しかし、ロヴィーノは2人の攻撃を難なくかわしたり、受け流していたりしていて、まともなダメージが通らなかった。逆にロヴィーノは触手を2本切り落として作った剣で2人に攻撃していた。2人は何とかかわしていたがいくつかは攻撃がかすっていた。

 

「「ハァ………ハァ………ハァ………」」

 

2人はロヴィーノから離れると、荒く息をついた。

 

「こんなものなのかな?」

 

ロヴィーノが息を乱さずにそう言った。

 

「くっ………、まだだ!!!」

 

ツナはそう叫ぶとシモンリングに炎を灯した。

 

ボウッ!!!!

 

「!?」

 

すると、ロヴィーノの周りに《大地》の炎の重力をかけた。しかも付与として《光天》の炎も纏わせているため、ロヴィーノにも通用する。

 

シュンッ!!!!

 

「ハッ!!!」

 

そして、ロヴィーノが動けないところを狙って、輝夜がショートワープでロヴィーノの背後に回り、ガンブレードを振るった。

 

ボウッ!!!!

 

ガキンッ!!!!

 

しかし、ロヴィーノが着ていた服に《闇》の炎が纏って、輝夜の攻撃を防がれた。

 

「くっ!!?」

 

「残念だったな。一部のロヴィーノ細胞に集中させれば、これぐらいのことは造作もないんだよ」

 

ロヴィーノはそう言うと炎の重力も打ち破り、剣を振るった。

 

「チッ!!!」

 

輝夜は舌打ちをしながらショートワープでかわして、ロヴィーノから離れた。

 

「…………………」

 

ツナも炎の重力が打ち破られたことに苦い顔をしていた。

 

「そんな顔をしても、私は知ったことじゃないよ。それよりも《大地》の炎の正しい使い方を教えてあげようか?」

 

ボウッ!!!!

 

ロヴィーノがそう言うと、手に《大地》の炎を纏わせた。ツナと輝夜はそれに警戒した。ロヴィーノは炎を纏わせた手を上げるとすぐに振り下ろした。

 

『……………………』

 

しかし、特に異変は感じられなかった。ツナも輝夜も《大地》の重力を受けている感じは無かった。

 

「おい。いったい何をしたんだ?」

 

輝夜はロヴィーノに尋ねた。

 

「クックックッ。上を見ればわかるよ」

 

「上だと?」

 

ロヴィーノの言葉にツナも輝夜もリボーンたちも上を見た。そこにはポツポツと小さい点が見えた。その点はだんだんと大きくなっていた。そして、その点の正体がわかった。

 

『なっ!!!?』

 

それを見て、ツナたちは驚愕した。それは20ぐらいある()()だった。たくさんの隕石は島にめがけて落ちてきていた。

 

「クックックッ。《大地》の重力で小惑星を引っ張ってきたのさ」

 

「そんなことが…………」

 

ロヴィーノの言葉に《大地》の炎を使う炎真が呆然としていた。

 

「それよりもいいのかい?あの隕石、世界を滅ぼす威力はないがこの島1つ消し去る威力はあるよ」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの言葉に全員がハッとした。ロヴィーノ自身はあの隕石を受けても生き延びることは可能だろうがツナたちは人間だからあれを受けたら間違いなく死ぬだろう。

 

「あぁ。ちなみにあの隕石は私の《闇》の炎が纏っているから」

 

『ッ!!!?』

 

ロヴィーノの言葉に岩山の上にいるメンバーが言葉が詰まった。それは《光》の炎が無くては何もできないことを意味している。

 

「早く行ったらどうかな?心配しなくても私は隕石の破壊の邪魔はしないよ」

 

「くっ!!!」

 

「チッ!!!」

 

ロヴィーノの言葉に2人とも顔をしかめながら、隕石を破壊しに飛んだ。

 

「《X(イクス)ボール》!!!」

 

ツナはX(イクス)グローブの掌に《光天》の炎を出して、《大地》の重力でボール状に圧縮した。そして、そのボール状の炎をツナは隕石に向けて投げた。その炎は隕石にぶつかった瞬間、炎の重力の枷が外れて、大爆発が起きて、隕石を破壊した。これはボンゴレ2代目が使っていた戦法だった。ツナは《憤怒の炎》の代わりに《大地》の重力でボール状にしたのだ。

 

「《虚無の刃(ラーマ・ディ・ヌッラ)》!!!」

 

輝夜はガンブレードに《闇夜》と《光》の炎を纏わせて、それを振るって巨大な《闇夜》と《光》の炎の刃を放った。炎の刃は隕石を切り裂いた。輝夜はそのまま連続で出して、隕石を破壊していった。

 

「くそ!!!我々には何もできないのか!!!」

 

「あぁ、俺たち、完全に足手纏いだぜ………!!!」

 

2人が隕石を破壊しているのを見て、ランチアとディーノがそう言った。そして、その気持ちはこの場にいる全員同じだった。皆、自分たちの無力さに歯痒かったのだ。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

隕石は《闇》の炎が纏われていること以外、たいした強度もなかったために破壊することに造作もなかった。そして、全ての隕石を破壊し終わった。2人はそれに息をつくと……………

 

シュンッ!!!!

 

「隕石の掃除、ご苦労さま。それなら、私も戦いを再開しようか」

 

「「ッ!!!?」」

 

ロヴィーノがショートワープで2人の側に移動してきた。

 

シュルルルッ!!!

 

すると、ロヴィーノは背中から触手を出して、2人の胴体に巻き付けた。

 

「ハッ!!!」

 

ロヴィーノはそのまま、触手を地面に向けて振り下ろした。

 

ドカンッ!!!!

 

「ガッ!!!?」

 

「ガハッ!!!?」

 

2人はそのまま地面に激突した。

 

『10代目/沢田(さん/殿)/ボス/ボンゴレ/綱吉/ツナ(君)!!!?』

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、明聖たちは叫んだ。

 

「「ハァ………ハァ………ハァ…………」」

 

しかし、2人は息を荒くつきながらも立ち上がった。

 

「ほう……。立ち上がれたか。…………だが…………クックックッ。やはり、貴様らに私を倒すことはできないみたいだな。それどころか、まともな攻撃をくらわせることもできていないしな」

 

「ぐっ………」

 

「くそっ……!!」

 

ロヴィーノの言葉にツナと輝夜は悔しそうにしながらロヴィーノを睨み付けていた。

 

「でも、まぁ………初めて、自分に攻撃が当たるんじゃないかというスリルを味わえることもできたし、特別に教えるつもりはなかったことを教えようではないか!!!」

 

2人の睨みもものともせずにロヴィーノは高らかに言った。そして、話し始めた。

 

「ダークネス。私が貴様に《闇》の炎で人格を無理やり変えたことを覚えているかな?」

 

「………あぁ、覚えているよ。人生最大の黒歴史として一生忘れることはないだろうな」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は嫌なことを思い出したという顔をしていた。輝夜が洗脳染みたものを受けたせいで明聖には心配をかけてしまったのだ。

 

「実はあれ、貴様だけじゃなくて、ルシフェルたち、ロヴィーノ教団のメンバーにもやっていたのさ」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの告白に関係者、全員が驚いた。特にルシフェルたちと繋がりのあった輝夜と明聖が信じられないという顔をしていた。

 

「ど、どういうことだ!!?」

 

輝夜は動揺しながら、ロヴィーノに尋ねた。

 

「クックックッ。貴様が一時ロヴィーノ教団を辞めていたときがあっただろ?その間に貴様に送ったのと比べると微量だが《闇》の炎をメンバー全員に送り込んだのさ」

 

「あいつらが…………」

 

輝夜は呆然としながら呟いた。

 

「貴様らが気づかなかったのも無理はない。さっきも言ったがあいつらに送った炎は微量だからな。沢田綱吉や光城明聖が貴様の豹変に気づいたのは膨大な炎を送り込んだからだ。さらに光城明聖に関してはずっと一緒にいた父親が目の前で変わったのだから当然だろうな」

 

『………………』

 

ロヴィーノの話に皆、黙っていた。そんな輝夜たちの様子を無視して、ロヴィーノは話を続けた。

 

「それにさ、よく考えてみなよ。私の仕業であることは置いといて、自分たちが住んでいた星が廃れてしまった。だから、地球を滅ぼそうって、どれだけ理不尽な逆恨みだって話だよ」

 

『…………………』

 

ロヴィーノの話に全員が共感するところがあった。ロヴィーノ教団の目的でもある地球の破滅はいろいろと無茶苦茶な部分が多かった。それの理由がロヴィーノに洗脳されたからだというなら全て納得できる。しかし、彼らとつきあいの長い輝夜はその事実に信じられなさそうにしていた。

 

「ふむ…………。どうやら、ダークネスはまだ信じることができていないみたいだな。それなら、もっとわかりやすい例をあげるとしよう。例えば、豪のことだよ」

 

「……………豪のやつがどうした?」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜が尋ねた。

 

「ミルフィオーレの者たちに訊くけど、豪は貴様らのところの構成員を改造死体の材料にしようとしていたよな?」

 

ロヴィーノは岩山の上にいる白蘭たちにそう訊いた。

 

「………確かにそうだね。豪君は本部で構成員を殺そうとしていたよ」

 

「………あいつが言っていたことを考えるとその構成員たちを改造死体にするつもりだったんだろうな」

 

「ですが、それがどうしたのでしょうか?」

 

白蘭がミルフィオーレ本部で初めて豪に会ったときのことをγが決戦の地で豪が言っていたことを思い出していた。そして、ユニがロヴィーノに尋ねた。

 

「それはおかしい…………」

 

すると、3人の話を訊いた輝夜が呟いた。

 

「何がおかしいんだ?」

 

それが聞こえたツナは輝夜に尋ねた。

 

「豪が改造死体にする対象は自分の両親を除けば、あいつ自身が許せない絶対悪だけだ。そう見境もなく死体を改造しようとは思っていないはずだ」

 

ツナの質問に輝夜はそう説明した。この場合の豪にとっての絶対悪とは自分たちを苦しめた貴族たちのことを指している。それでも倫理に反しているが、豪がミルフィオーレの構成員を改造死体にしようとしたことに輝夜は信じられなかったのだ。すると……………

 

「クックックッ」

 

ロヴィーノが笑い出した。その笑い声が聞こえて全員がロヴィーノのほうに向いた。

 

「要はそういうことだよ!私の炎の影響を受けて、豪はそんなことを言い出したのさ!!言っただろ!?連中は私の炎で人格を変えられたって!!それはつまり連中は私の駒だということなのさ!!!」

 

ロヴィーノは邪悪な笑みを浮かべながら、そう言った。

 

(…………豪、スロウス、ジャバウォック、エンヴィー、リリス、ベルゼブブ、リリアーナさん、…………ルシフェル…………)

 

輝夜は人格を操られたというロヴィーノ教団のメンバーの顔を1人1人思い出していた。輝夜はルシフェルたちに別に仲間意識は持っていなかった。明聖と比べたら、明聖のほうが大事だと即答することもできる。それでも、同僚としての情があって、その事実に呆然としていた。

 

「あぁ、そういえば言い忘れていたけど、今ここで起きていることはベネスタンテ星でも生中継されているよ」

 

「「!!?」」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜と明聖は驚いた。ロヴィーノは今、地球上に浮かんでいる画面がベネスタンテ星にもあると言ったのだ。実際、輝夜たちは知らなかったが昨日からベネスタンテ星でも画面は浮かんでいたのだ。そして、ロヴィーノの告白にリリアーナたち、ベネスタンテ星に残っている者たちは信じられないと驚いていた。

 

「それにしても、愚かだな!!!私は確かに敬語とかは使わなくていいと言ったが、それで対等の立場にいると思っているあいつらには笑える!!!」

 

ロヴィーノはそう言って笑い続けた。

 

「!!?ふざけるな!!!ルシフェルたちはやっていることは間違っているがお前を信頼していたんだぞ!!!」

 

それを聞いて、ツナがロヴィーノに叫んだ。

 

「ハハハッ!!!信頼?馬鹿馬鹿しい。私にとって、あいつらはただの駒に過ぎない!!!私を復活させるためのな!!!ハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

ロヴィーノはそう言うと、額に手を当てて大きく口を開け、邪悪な笑みを浮かべて笑った。

 

「……………許せない!!!」

 

ロヴィーノと笑い声を聞きながら、ツナがポツリと呟いた。

 

「輝夜!!!()()をやるぞ!!!」

 

ロヴィーノの話を聞いたことで怒りが頂点に達したツナは輝夜に言った。

 

「あれって…………おい!!ふざけるな!!!あれは秘策だと言ったはずだぞ!!!」

 

「今やる!!ナッツ!!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!攻撃モード(モードアタッコ)!!!」

 

正気に戻った輝夜の忠告に対して、ツナはそう言うと、ナッツを《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》に変化させた。

 

「行くぞ!!!」

 

ツナはガントレットに膨大な《光天》の炎を凝縮させた。《王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)》の構えだった。しかし、1つだけ違う点があった。それはガントレットの周りに《大地》の炎を纏わせていることだった。そして、ツナは技の準備を整えると輝夜に向かった。

 

「くそっ!!!覚えてろよ、沢田綱吉!!!」

 

輝夜はツナに悪態つくとガンブレードを持っている手とは反対の手の籠手に《闇夜》の炎を纏わせた。

 

「お?仲間割れか?」

 

ロヴィーノは2人の行動に面白そうに眺めながら呟いた。

 

「何してるんだ、あいつら!!!?」

 

「仲間割れしてる場合じゃないだろ!!!」

 

岩山の上にいる仲間たちも2人の行動に訳がわからないといった感じで言った。

 

「ハァァァァ!!!!」

 

しかし、ツナは輝夜に向かって攻撃した。輝夜はそれを防ごうと《闇夜》の炎が纏った籠手をつきだした。そして、ツナの攻撃が輝夜の籠手に触れた、その瞬間……………

 

シュンッ!!!!

 

ツナが消えたのだ。

 

「消え――――ガッ!!!?」

 

ドガンッ!!!!

 

ロヴィーノが驚いた一瞬にツナが背中にガントレットをぶつけていた。膨大な《光天》の炎を凝縮させたガントレットの攻撃にさらに《大地》の重力の重さを乗せた一撃だった。ツナが輝夜の籠手に触れた瞬間に輝夜は《闇夜》の力でツナをロヴィーノの背後に移動させたのだ。

 

「《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント)》!!!!」

 

背中にツナの《王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)》と炎真の《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》を合わせた強烈な一撃にロヴィーノは飛ばされた。

 

「ぐっ………!!!くそっ!!!……………っ!!?」

 

飛ばされたロヴィーノは目の前にショートワープで移動してきた輝夜に気づいた。輝夜は手に《闇夜》と《光》の炎を纏わせたガンブレードを振りかぶっていた。

 

(まずい!!!防御も回避も間に合わない!!!)

 

ロヴィーノは自分から輝夜に近づいているので、そう思った。そして………

 

「《龍王の爪(ウンギア・ディ・レ・ドラゴーネ)》!!!!」

 

ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!ザシュッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

輝夜はロヴィーノとすれ違いざまに《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》の強化版の技を使った。大きいガンブレードが3つ増えて、大きな爪で引っ掻くようにロヴィーノを斬りつけた。それにロヴィーノの体から血が噴き出した。どうやら、邪神にも赤い血が流れているみたいだ。ロヴィーノはそのまま地面に落ちていった。

 

「沢田綱吉!!勝手なことをしやがって!!!」

 

「お前も大概だがな!!」

 

輝夜の文句にツナはニヤリと笑いながら言った。

 

 

 

 

「ロヴィーノに攻撃が当たった!!!」

 

「さすがは10代目っす!!!」

 

「光城輝夜の攻撃も直撃した!!!」

 

「パパ……!!!」

 

「そのまま行け!!!」

 

ロヴィーノに攻撃が当たったことで岩山の上にいたメンバーたちは歓喜した。

 

「……………………」

 

その中でリボーンはそれを見て、昨晩のことを思い出していた。

 

 

 

 

昨晩、輝夜と明聖のいる病室でリボーンは輝夜に質問した。

 

「……………輝夜」

 

「何だ?」

 

「オメーはいったい何のために戦っているんだ?」

 

リボーンの質問を聞いて、輝夜はリボーンのほうに視線を向けた。

 

「いきなり、どうした?」

 

「なんとなく気になってな。お前は自分自身のために戦うってことはしなさそうだからな」

 

「…………別に俺は正直に言ってこの世界がどうなろうと知ったことじゃない」

 

輝夜はポツポツとしゃべり始めた。

 

「正義も悪も富も名誉も俺には興味ない。俺が今、全力で戦う理由はただ1つ」

 

「それは何だ?」

 

リボーンが尋ねると輝夜は隣で寝ている明聖のほうに視線を移した。

 

「………俺の大切なもの、つまり、明聖を守るためだ」

 

「………………」

 

輝夜の答えにリボーンは口をつぐんだ。輝夜の目は覚悟で満ちていたからだ。

 

「だから、俺が今回戦う理由は明聖がいる地球を守る。それだけだ。それ以外は火の粉を振り払う程度しかやる気がでねぇよ」

 

「そうか」

 

それを聞いて、リボーンはこの話を切り上げた。

 

 

 

 

「……………………」

 

その時のことを思い出して、リボーンは今度はツナのほうを見た。ツナが死ぬ気になって戦う理由は仲間や家族と一緒に平和な日常を過ごすために仲間を守るというものだった。そして、ツナ自身は自分のために死ぬ気になることはできなかった。リボーンはそう考えるとニヤリと笑ってこう思った。

 

(あの2人、ある意味、似たもの同士だな)

 

ツナは《光天》、輝夜は《闇夜》。それは全く逆の存在と言ってもいい。性格から言っても、ツナは他人に甘いが輝夜はいつもではないが時に非情になるというふうにまるで2人はコインの表と裏のような存在だった。しかし、表だろうと裏だろうと同じコインであるという共通点がある。それと同じように2人にも共通点があった。それは『大切なものを守るために戦う』という戦う理由だった。その共通点のおかげでリボーンはそう思ったのだ。そして、ツナと輝夜はそれぞれの大切なものを守るためにロヴィーノと戦うのだった。



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完全装備R

「ぐっ…………」

 

ロヴィーノはツナと輝夜の攻撃を受けながらも立ち上がった。

 

「見ろ!!今の攻撃でも致命傷になっていない!!もうあいつに同じ手は通じないぞ!!」

 

輝夜はそれを見て、ツナに文句を言った。

 

「…………確かに、今の攻撃は致命傷になっていない。だが、なぜかあいつ、辛そうな顔をしているぞ」

 

ツナの言うとおり、今のロヴィーノは苦しそうに荒く息をついていた。確かにツナと輝夜が使った技はどちらも強力だったが《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》であるロヴィーノならたいした傷にならないはずだ。それなのにロヴィーノは苦痛で顔を歪めていた。

 

「……………おそらくだが、今のが初めて受けた攻撃なんだろ」

 

輝夜はロヴィーノの様子を冷静に分析して、そう言った。ロヴィーノはロヴィーノ細胞に纏われている《闇》の炎でどんな攻撃も無傷ですました。ちなみに触手には痛覚を感じる神経が無いために切っても痛みを感じない。それを聞いて、ツナはポツリと呟いた。それはつまり…………

 

「つまり、痛みに耐性がないってことか…………」

 

少しの痛みもロヴィーノにとっては激痛になるということだ。このタイミングでロヴィーノは今までの驕りによるツケが回ってきたのだ。

 

「そういうことだ。なんか癪だが攻めるなら今だ」

 

「わかった!!!」

 

ツナはそう言うとグローブから炎を噴射して、ガントレットをロヴィーノにぶつけようとした。

 

「ッ!!!」

 

ロヴィーノは苦痛で顔を歪めながら、掌に炎を纏わせてガントレットを受け止めた。

 

「くっ………」

 

ツナは攻撃を与えることができず顔をしかめたが…………

 

「ッ!!?」

 

何かを察したのか、ツナは頭を下げた。すると………

 

ブスッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

ツナが頭を下げた瞬間にガンブレードが飛んできて、ロヴィーノの肩に突き刺さった。ロヴィーノはさらなる苦痛に顔を歪めた。

 

「輝夜!!!今、俺ごと狙っただろ!!!」

 

ガンブレードをかわして、ロヴィーノから離れたツナは文句を言った。

 

「あ?お前なら超直感でかわせるだろ?今のをかわすことができないやつに俺はやらない」

 

それに対して、輝夜はあっけらかんと答えた。そして、ツナに向けていた顔をロヴィーノに移して、輝夜は言った。

 

「これはお前が教えたことだぞ。ロヴィーノ」

 

「くっ…………」

 

ロヴィーノは顔を歪めながら、輝夜を睨み付けた。

 

 

 

 

一方、岩山の上にいる獄寺たちは今の輝夜の行為に憤慨していた。

 

「今、あいつ、10代目ごと刺そうとしやがったな!!!」

 

「やっぱり、あいつもロヴィーノ教団の1人だったんだな!!!」

 

皆、次々にそう言った。ロヴィーノ教団の信条に『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』というものがある。それにより、ロヴィーノ教団の者たちは味方がいてもお構いなく攻撃をするのだ。

 

「…………………」

 

皆の文句を聞いて、明聖の表情は何とも形容しがたいものになっていた。

 

「どうしたんだ、明聖?」

 

それに気づいたリボーンが明聖に尋ねた。それに対して、明聖は答えた。

 

「うん……。昔、私も他の人たちが模擬戦であれをやっているのを見て、納得ができなくて、パパに訊いたの。『どうして、あんなことをするの?』って」

 

「そしたら、何て?」

 

明聖の話をいつの間にか、全員が何人かが聞いていて、その中で炎真が尋ねた。

 

「えっと………『敵の予想外の急襲ができるから』って」

 

「確かにそういう利点がありますね」

 

「あぁ………不愉快な話だがな………」

 

明聖の話を聞いて、実際にその戦闘方法を受けたことのある骸とランチアがそう呟いた。ランチアは顔をしかめていた。そして、明聖は話を続けた。

 

「それで『パパも同じことをするの?』って訊いたら、パパは『俺の攻撃をかわせる奴が味方だったらするかもな。それ以外はする気にならない』って、言っていた………」

 

「それは………つまり、光城輝夜は沢田殿なら自分の攻撃をかわせると思って攻撃をしたと……?」

 

「ハハッ。輝夜君は綱吉君を信頼しているんだね♪」

 

「かなり歪んだ信頼ですがねぇ~~~」

 

明聖の話を聞いて、今度はバジルと白蘭がそう言って、フランが辛口のコメントをした。

 

この場にいる者たちは知らないだろうが、輝夜はロヴィーノ教団の団長に就任したときに無駄な犠牲を減らすために構成員に自分たちと同レベルの者が味方のとき以外はやるなと命令したのだ。おかげで、これによる犠牲者はいなくなり、戦闘もスムーズに進むようになったのだ。

 

「………まぁ、事情はどうあれ、ロヴィーノに効いているみたいだな」

 

それらを全て聞いたリボーンは戦場のほうを見ながら、そう言った。

 

 

 

 

「ぐっ………。くそ!!!」

 

ロヴィーノは背中から触手を出して、輝夜を突き刺そうとした。

 

「ナッツ!!!」

 

ツナはナッツをガントレットから動物の形態にした。

 

「グルル――――」

 

ナッツは呻き声を上げると

 

「――GAOOOOOOOOO!!!」

 

大人のライオンには及ばないが百獣の王として恥じない咆哮を上げた。

 

「くっ………!!?」

 

《光天》の炎によりさらに強化されたナッツの咆哮はロヴィーノの触手を調和により石化された。

 

ガキンッ!!!!

 

輝夜はガンブレードを振るって、石化した触手を破壊した。

 

「輝夜、どいていろ!!!《X(イクス)ボール》!!!」

 

ツナは触手が破壊されたのを見計らって、ロヴィーノに《大地》の重力で圧縮したボール状の《光天》の炎を投げつけた。それを見て、輝夜もショートワープで離れた。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

「ぐぁっ!!?」

 

ボール状の炎はロヴィーノに直撃して炎の重力の枷も外れて、爆発した。ロヴィーノはそのまま吹き飛ばされた。

 

「よし、いいぞ!!!」

 

「こっちが優勢だぞ、コラ!!!」

 

「その調子でいけ!!!」

 

岩山の上にいるメンバーは流れがこっちに来ていることに喜んでいた。それが聞こえている訳ではないがツナと輝夜はロヴィーノに攻撃をしようと飛び出した。そして、2人はお互い自分の武器を倒れているロヴィーノにぶつけようとした。

 

ガシッ!!!!ガシッ!!!!

 

「「!!?」」

 

しかし、ロヴィーノは倒れたままで2人の武器を掴んで防いだのだ。

 

「ハッ!!!」

 

ロヴィーノは武器を掴んだまま、2人を投げた。

 

「くっ………!!!」

 

「ッ!!!」

 

しかし、2人はすぐに空中で体勢を立て直して、地面に着地した。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………。どうやら……少し嘗めていたようだね」

 

ロヴィーノは荒く息をつきながら、立ち上がった。よく見るとロヴィーノの傷口には《雨》と《晴》の炎が纏っていた。それにより痛みを沈静化して、傷を回復させたのだ。

 

「……………少し本気出して戦おうか」

 

「「!!?」」

 

すると、ロヴィーノはそう言い出した。それを聞いて2人は警戒した。

 

「さてと、まずは…………」

 

ロヴィーノがそう呟くと…………

 

「「「「「「「私の体を増やすとするか」」」」」」」

 

『!!?』

 

ロヴィーノが7人に増えたのだ。これに全員が驚いた。

 

「これは…………《色欲の炎》か!!!」

 

輝夜はロヴィーノが増えた理由がリリスのと同じ《色欲の炎》の有幻覚であることに気づいて、驚いた。

 

「クックックッ。何がおかしいのかな?私は《色欲の炎》の元である《大空》と《霧》、それからその2つを融合させる《闇》の炎を持っているんだ。できて当然なのさ。それよりも次の段階に進むよ」

 

ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!

 

ロヴィーノの1人がそう言うと7人のロヴィーノの体が白い炎で燃え上がった。

 

「くっ!!?いったい、何をする気なんだ!!?」

 

「わからねぇが………ろくでもねぇことは確かだな………」

 

ツナと輝夜はそれを見て、そう話していた。すると、炎の中からロヴィーノの声が聞こえた。

 

「クックックッ。沢田綱吉。貴様が古里炎真と共にD(デイモン)・スペードと戦ったことがあるよな?そのときのD(デイモン)・スペードが使っていたのを参考にしたのさ」

 

ロヴィーノがそう言うと、7人全員の炎が治まった。

 

『なっ!!?』

 

ロヴィーノ7人の姿に全員が驚愕した。ロヴィーノの姿は1人1人違っていた。そして、その姿は………

 

1人は両腕にはX(イクス)グローブ、体中にダイナマイトが巻かれて、腰には二降りの刀、頭にはコイル状の角、手にはトンファーと錫杖があった。右目の赤い瞳には《六》の文字が浮かんでいた。そして、VG(ボンゴレギア)7つを全て装備していた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.V(ボンゴレ)》」

 

1人は右手には《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》を持っていて、左手の指にはベルが使うものと同じナイフを挟んでいて、左手の甲には《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》をつけていて、背中には8つのパラボラ、膝にはメタルニーを装備していた。そして、右手の指にはヴァリアーリング7つをつけていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.V(ヴァリアー)》」

 

1人は両腕が《白黒龍の頭》になっていて、白龍の口にはビリヤードのキューがくわえられていて、背中に蛾の羽と右側に白い翼、左側にどす黒い血のような翼が生えていた。ロヴィーノの長く白い髪はさらに伸びて無数の白いスピノサウルスの頭が現れていて、下半身はショニサウルスの下半身になっていた。所々の皮膚はティラノサウルスとトカゲの皮膚になっていた。頭には《霧の2番(ネッビア・ヌーメロ・ドゥエ)》の兜を被っていて、腰には《幻剣(スペットロ・スパダ)》をぶら下げていた。そして、白龍の額にはマーレリング7つが見えていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.M(ミルフィオーレ)》」

 

1人は右手に炎真が使うものと同じ籠手にクローと手首部分にナイフがついているものを、左腕には肩に装備された盾がついた槍を、頭にはヘッドホン型のリモコンを、背中にはマントのような鎧があり、さらにその上に蜘蛛の足のような銃を装備していた。そして、右手の指にはシモンリング7つをつけていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.S(シモン)》」

 

1人は獣のような歯になっていて、爪も鋭くなっていて、鞭、ヘッジホッグ、クラリネット、ブーメラン型の刀、蛇剛球を装備していた。そして、両手の指にはヘルリングがそれぞれ3つずつつけていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.α(アルファ)》」

 

1人は他のロヴィーノと比べて特に変わったところはないが拳銃やライフルなどを装備していて、首にはオレンジ、赤、青、紫、黄、緑、藍、灰色、透明のアルコバレーノのおしゃぶりをぶら下げていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.A(アルコバレーノ)》」

 

そして、最後の1人は1番異形だった。腕は6本に増えて、6本の内2本はライオンやオオカミのような腕、1本はドラゴンのような真っ赤な鱗があって3本とも鋭い爪が生えていた。もう1本は腕にひれがついていて、指先には爪状の武器を装備していた。残る2本は特に変わりは見当たらなかったが全ての指先には細いワイヤーがついていた。背中から悪魔、鷲、黒いドラゴンのような3対6枚の翼が、腰からは8体の角の生えた巨大な白い大蛇丸が生えていた。頭には鍬形の角と山羊のような角が生えていた。そして、ワイヤーがついている手以外の手にはハルバード、ガンブレード、錨と言った武器を持っていた。そして、6本の腕のそれぞれの中指には《大空》を除く(トゥリニセッテ)リングがつけられていて、胸元に《大空》の(トゥリニセッテ)リングと《闇》のリングが縦に埋まっていた。

 

「《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)Ver.R(ロヴィーノ教団)》」

 

7人のロヴィーノはそれぞれ自分の状態のことをそう言った。

 

「これは体全体のロヴィーノ細胞を変形させて実現した状態なのさ」

 

7人いるロヴィーノの内、1人がそう言った。

 

「あれは、D(デイモン)のと同じ!!?」

 

「いや。それ以上だ」

 

炎真がロヴィーノの使うそれらがD(デイモン)の《完全(アルマメント)装備(コンプレート)D(デイモン)》と同じと言ったが、リボーンはそれを否定した。当時のD(デイモン)はツナと炎真を除く、12人の力を使っていたが7人のロヴィーノは現状、考えられる最強の人物たち全員の力を使えるからだ。しかも、当時のD(デイモン)と比べて、ロヴィーノたちは恐ろしい力を持っていると感じていたのだ。

 

「僕の目までも使えるということなのか………!!!」

 

骸はVer.V(ボンゴレ)のロヴィーノが自分と同じ目を持っていることに驚きながら呟いた。

 

「武器も俺たちが使っているものと同じだぜ………」

 

「それに見た感じ………修羅開匣と羅刹開匣の力も使えそうだね………」

 

「ちょっと待てよ!!!それって、ベルゼブブの野郎の能力もあるってことじゃないか!!!」

 

獄寺がロヴィーノたちの武器を、白蘭はVer.M(ミルフィオーレ)とVer.R(ロヴィーノ教団)の姿を見て、そう呟いた。そして、それを聞いたスカルが叫んだ。確かにベルゼブブの《暴食の炎》を持っていることは厄介だ。

 

「ってか、Ver.α(アルファ)ってなんらぴょん!!!」

 

すると、犬が自分たちの能力と武器を持っているロヴィーノに名前について訊いた。

 

「+αのαだが?」

 

それが聞こえていたVer.α(アルファ)のロヴィーノがあっけらかんと答えた。

 

「俺らはおまけかぴょん!!!」

 

「納得できないわよ!!!」

 

それを聞いて、犬とM・Mが文句を言った。

 

「仕方ないだろ。貴様ら、まとまりがないんだから」

 

ロヴィーノはそう言った。確かに、ディーノ、バジル、犬、千種、M・M、フラン、ランチアのリリスとスロウスと戦ったメンバーは特にこれと言った全員の共通点は無かった。

 

「Ver.K(黒曜)でよかったじゃないの!!!」

 

「いや、俺、黒曜じゃないから………」

 

「拙者もです………」

 

「俺は元だな………」

 

M・Mの言葉にディーノ、バジル、ランチアがそう言った。

 

「まぁ、そんなくだらない話は置いといて、こちらの準備が整ったんだ。戦いを再開しようではないか」

 

「「ッ!!!」」

 

7人のロヴィーノは邪悪な笑みを浮かべながら、ツナと輝夜にそう言った。そして、今、本領を発揮したロヴィーノとの戦いが再開されるのだった。



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圧倒的な力

こちら側が優勢だったがロヴィーノは有幻覚で自分を7人に増やして《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)》という状態になり、それぞれVer.V(ボンゴレ)、Ver.V(ヴァリアー)、Ver.M(ミルフィオーレ)、Ver.S(シモン)、Ver.α(アルファ)、Ver.A(アルコバレーノ)、Ver.R(ロヴィーノ教団)となった。そして、今、戦いが再開する。

 

「「それでは行くぞ」」

 

まずVer.M(ミルフィオーレ)とVer.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノがそれぞれ、スピノサウルスと大蛇丸で2人に襲いかかった。

 

「ッ!!!」

 

「チッ!!!いきなり厄介なものを………」

 

襲いかかってきたスピノサウルスと大蛇丸に対して、2人は空を飛んでかわした。しかし、スピノサウルスも大蛇丸も2人を追いかけた。

 

「チッ!!!ならば………」

 

輝夜はそれを見て、大蛇丸に《闇夜》と《光》の炎を使った攻撃をした。しかし、大蛇丸はその攻撃にびくともせず、巨大化と攻撃とスピードが上がった。

 

「ッ!!?(俺の《闇夜》の攻撃でも効かないのか!!?…………ベルゼブブの大蛇丸とは別格と考えたほうが良さそうだな)」

 

輝夜がパワーアップした大蛇丸を見て、そう考えていると…………

 

「輝夜!!!」

 

ツナの呼ぶ声が聞こえて、何事かと思ったら…………

 

「ッ!!?」

 

ガンッ!!!!

 

急に銃弾が飛んできた。輝夜は咄嗟にガンブレードを盾にして防いだ。銃弾が飛んできた方向を見てみると、Ver.A(アルコバレーノ)のロヴィーノがライフルを持っていた。Ver.A(アルコバレーノ)のロヴィーノはリボーンやコロネロ、ラル並かそれ以上の狙撃能力があるみたいだ。

 

「ッ…………」

 

「マジかよ、コラ!!!」

 

「あの中での命中度………信じられん……!!!」

 

リボーン、コロネロ、ラルは無数のスピノサウルスと8体の大蛇丸が漂っていて、視界が悪い中から輝夜を狙って撃ったことに驚いた。

 

「ナッツ!!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!」

 

ツナがそう叫んで、ナッツをX(イクス)グローブと合体させて、噴射口をつけた。

 

「ハッ!!!」

 

ツナは強化したX(イクス)グローブでVer.A(アルコバレーノ)のロヴィーノに急接近して、殴りかかった。

 

ドンッ!!!!

 

ツナの攻撃はVer.A(アルコバレーノ)のロヴィーノの腹に直撃したが………

 

「………ふっ」

 

「なっ!!?」

 

全然、ダメージが通っていなかった。

 

「へぇ~~~、凄い防御力だね。これがスカルの不死身の体(アンデッド・ボディ)か。多少の痛みはあるけど、これぐらいなら、もう慣れたものだ。そして…………」

 

Ver.A(アルコバレーノ)のロヴィーノがそう呟くと……………

 

ブンッ!!!!

 

「ガハッ!!?」

 

ドカンッ!!!!

 

鋭い蹴りをツナの腹に入れて、反対側の岩山に飛ばされた。

 

「沢田さん!!?」

 

「あいつ!!!俺様の不死身の体(アンデッド・ボディ)も使えるのかよ!!!?」

 

「しかも、あの構えと蹴り………私と同じ《爆煉疾風拳》…………」

 

ツナが飛ばされたのを心配してユニが叫び、スカルと風がVer.A(アルコバレーノ)のロヴィーノの能力と動きを見て、驚いていた。

 

「くっ………」

 

飛ばされたツナは起き上がった。

 

「ッ!!?」

 

すると、超直感で何かを察したのか、咄嗟に腕をクロスした。

 

ガキンッ!!!!

 

腕をクロスした瞬間、Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノが錫杖とトンファーで攻撃してきた。

 

「今度は私の番だ」

 

Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノはそう言うと、右目の瞳を四の文字に変えて、《闇》の炎を灯した。

 

「ッ!!?(修羅道か!!?)」

 

ツナはそう思うと、Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノと戦いだした。

 

「やはり、僕の目と同じ能力を使えるのか………」

 

「ボス………」

 

Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノが修羅道を使ったのを見て、骸とクロームが呟いた。

 

「…………ってか、僕の武器と六道骸の武器が一緒に使われるの、なんか嫌なんだけど」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!!!」

 

雲雀はVer.V(ボンゴレ)のロヴィーノが右手に骸の武器と同じ錫杖、左手に雲雀の武器と同じトンファーでツナに攻撃をしているの見て、嫌そうな顔をしていた。それに対して、獄寺が怒鳴った。

 

一方、輝夜はVer.V(ヴァリアー)のロヴィーノと戦っていた。

 

ガキンッ!!!!

 

輝夜のガンブレードとVer.V(ヴァリアー)のロヴィーノの《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》がぶつかった。お互いがお互いに斬りかかって、金属音が鳴り響いて、火花が散った。しかし、時々、Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノは《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》で《憤怒の炎》を撃ったり、メタルニーで蹴ろうとしたり、ワイヤー付きナイフを投げたりしていた。輝夜はそれら全て、ショートワープでかわしたり、防御したりして、何とかダメージを負わずにすんでいた。しかし、輝夜は何かを気にしているのか、目の前のロヴィーノに集中できずに劣勢だった。

 

「どうしたのかな?何か他に気にしていたら、私には勝てないよ?」

 

「チッ!!(こいつ、俺がそうしなければいけない理由をわかっている癖に白々しいことを言いやがって………)」

 

輝夜が舌打ちしながら、そう考えると………

 

「ッ!!?」

 

輝夜は何かに気づいて、その場からショートワープで離れた。

 

「外したか………」

 

輝夜が気にしていたところにはVer.α(アルファ)のロヴィーノがクラリネットを持っていた。ロヴィーノは《バーニングビブラート》を使ったのだ。さすがの輝夜も全身装甲の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》ならともかく装甲が薄かったら防ぐことはできず、ロヴィーノが使う《バーニングビブラート》なら全身装甲の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》でも意味が成さないと思ったのだ。だから、輝夜は《バーニングビブラート》を警戒していたのだ。

 

シュンッ!!!!

 

輝夜はそのまま、ショートワープを使って、Ver.α(アルファ)のロヴィーノ背後に回って、斬りかかった。

 

スカッ………

 

しかし、攻撃はロヴィーノを通り抜けた。そして、そのまま霧となって消えた。

 

「!!?これは幻術!!?」

 

「おかしい話ではないよね?私は《霧》に《砂漠》、さらには《色欲の炎》を使えるのだからさ」

 

輝夜が驚くと輝夜から少し離れた場所で本物のVer.α(アルファ)のロヴィーノが《コングチャンネル》の状態でいた。

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!」

 

そして、そのままロヴィーノは《コングチャンネル》の状態で蛇剛球を連続で殴ってから、両掌で飛ばした。《コングチャンネル》のパワーで飛ばされた蛇剛球は無数に彫られた蛇の形した溝によって生まれた気流は巨大な竜巻となって、輝夜に襲いかかった。

 

「ぐっ…………!!!………ガッ!!?」

 

輝夜はショートワープでの回避が間に合わないと思い、ガンブレードで防御したがパワー負けして吹き飛ばされた。

 

「パパ!!?」

 

「あの蛇剛球の威力………俺以上だ………」

 

「犬の《コングチャンネル》を使っているからね………」

 

それを見て、明聖は叫び、ランチアと千種は顔をしかめながら、そう言った。

 

「くっ………(何てパワーだ………)」

 

吹き飛ばされた輝夜はそんなことを考えていた。すると…………

 

シュンッ!!!!

 

Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノがショートワープを使って目の前に移動してきた。そのロヴィーノは《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》を振るってきた。

 

「ッ!!?」

 

それに対して、輝夜は自分の体の一部分に《闇夜》の炎を纏わせた。すると、ロヴィーノが振るった《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》は纏われた《闇夜》の炎を通り抜けた。

 

「ハッ!!!」

 

そして、すぐに輝夜はガンブレードを振るった。

 

シュンッ!!!!

 

しかし、Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノはショートワープを使って、かわした。その後、輝夜は体勢を立て直して、Ver.α(アルファ)のロヴィーノやスピノサウルスと大蛇丸などの他のロヴィーノたちに警戒しながらVer.V(ヴァリアー)のロヴィーノに向かった。

 

 

 

 

一方、ツナはVer.V(ボンゴレ)のロヴィーノと戦っていた。ロヴィーノは錫杖とトンファーを使って攻撃してきて、ツナはそれを何とかグローブで防いだり捌いたりしていた。ツナも攻めていたが同様に防がれたり、捌かれていた。自分が戦っているロヴィーノ以外にも6人いるうえにタイムリミットもあるためにあまり時間をかけられなかった。

 

(くっ………。このままでは埒が明かない………。ならば………)

 

ツナはそう考えると、炎を噴射して、後方に下がった。

 

「《X(イクス)カノン》!!!」

 

ロヴィーノに向かって、《光天》の炎の弾丸を放った。炎の弾丸はそのまま、ロヴィーノに向かった。しかし、ロヴィーノはかわそうとせずに右手に持っていた錫杖を手放して、左側の腰にかかっている刀の柄を掴んだ。

 

「時雨蒼燕流 守式 六の型《驟雨》!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと、刀を鞘から引き抜いた。すると、巨大な《闇》と《雨》の炎の塊が出てきて………

 

ドカンッ!!!!

 

ツナの《光天》の炎の弾丸と相殺した。

 

「あいつ、時雨蒼燕流も使えるのか!!?」

 

それを見て、山本が驚いていた。

 

「くっ………!!!」

 

ツナもそれを見て、驚いていた。しかし、Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノは手を緩めなかった。

 

「《サンダーセット》」

 

Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノはそう呟くと、空から雷が落ちて、コイル状の角に留められた。

 

「ッ!!?(ロヴィーノはランボの《電撃皮膚(エレットゥリコ・クオイオ)》も使えるのか!!?)」

 

ツナは様々な能力を使えるロヴィーノに驚いていた。そして、ロヴィーノは攻撃の態勢に入っていた。

 

「《電撃角+(エレットゥリコ・ コルナータプラス)》」

 

ロヴィーノはコイル状の角から電撃を伸ばして、さらにVer.V(ボンゴレ)のロヴィーノの両手に装備しているX(イクス)グローブから炎を噴射して、その推進力で突っ込んできた。

 

「くっ!!?」

 

ツナは咄嗟にグローブから炎を噴射して、上空へ飛び、かわしたのだ。だが、ツナが飛んだ先には無数のダイナマイトが散っていた。

 

「ッ!!?」

 

それに気づいたツナはすぐに方向転換してかわした。

 

シュンッ!!!!

 

しかし、そんなツナの背後にVer.S(シモン)のロヴィーノがショートワープを使って現れた。

 

「なっ!!?」

 

ツナはそれに対して、驚いていた。Ver.S(シモン)のロヴィーノの籠手には大地の七属性の炎が全て纏っていた。

 

「《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》」

 

大地の七属性の炎が纏われた拳はツナの背中に直撃した。しかも、籠手の先についていたクローによって、さらなるダメージが与えられた。

 

「ガハッ!!?」

 

ツナはそのまま、もの凄い勢いで飛ばされた。しかも、飛ばされた先には運悪く、Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノと戦っていた輝夜がいた。

 

「何!!?ガッ!!?」

 

それに気づいた、輝夜だったがかわす暇もなく、2人は衝突した。Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノは2人が衝突する前にショートワープで離れた。

 

「くそ!!!いきなり、何だ――――ぐっ…!!?」

 

「ッ!!?」

 

輝夜が言葉を発している途中で何かに押さえつけられた。そして、それはツナも同じだった。

 

「2人とも、逃がさないよ」

 

Ver.S(シモン)のロヴィーノが《大地》の炎を操りながら、そう言った。2人は《大地》の炎の重力に押さえつけられたのだ。

 

(………いや、それだけじゃない。俺たちの体に()()()()がついている。しかも、《怠惰の炎》のおまけつきでな)

 

輝夜は自分とツナの体にワイヤーがついていることに気づいた。Ver.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノが仕組んだものだった。しかも、そのワイヤーには《怠惰の炎》が纏われているために、2人は動きを鈍くされた。

 

「さてと、なかなか楽しめたけど、そろそろ終わらせるか」

 

1人のロヴィーノがそう言うと、Ver.V(ボンゴレ)、Ver.V(ヴァリアー)、Ver.M(ミルフィオーレ)のロヴィーノが大技の準備に入った。

 

Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノは腕を交差して、グローブの肘側から《大空》の柔の炎を噴射して、グローブには膨大な《大空》の剛の炎と《闇》の炎を込めた。

 

Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノは《獣帝銃(ピストラ・インペラトーレ・アニマーレ)》を両手に持って、右手を後ろ側に向けて《大空》の炎を、左手を前側に向けて《闇》と《憤怒の炎》を込めた。

 

Ver.M(ミルフィオーレ)のロヴィーノは《白黒龍の頭》を構えて、右手には白い光を、左手には黒い光を収束させた。

 

3人のロヴィーノは全員、ツナと輝夜の2人に向けていた。

 

「まさか、ツナにXANXUS、白蘭の技を使う気か!!!?」

 

「あの3人の技にあの炎圧…………シャレにならないぞ!!!!」

 

それを見て、ディーノとラルが叫んだ。それは全員が畏怖していた。しかし、どうすることもできずに、準備ができたロヴィーノたちは技を放った。

 

「《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 超爆発(ハイパーイクスプロージョン)》!!!」

 

「《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》!!!」

 

「《白黒龍破》!!!」

 

Ver.V(ボンゴレ)のロヴィーノはグローブから《闇》と《大空》が混ざったナッツの形をした炎を放った。

 

Ver.V(ヴァリアー)のロヴィーノはそれぞれの銃から炎を放った。2人には膨大な《闇》と《憤怒の炎》が向かった。

 

Ver.M(ミルフィオーレ)のロヴィーノは両手から白色と黒色の光を放った。

 

3人の大技はそのまま2人に向かって、襲いかかった。炎の重力と《怠惰の炎》が纏われたワイヤーによって、拘束された2人はかわすことができず…………

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!

 

直撃して、大爆発が起きた。



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逆転のための一手

ドカーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!

 

Ver.V(ボンゴレ)、Ver.V(ヴァリアー)、Ver.M(ミルフィオーレ)の3人のロヴィーノがツナと輝夜に向かって、大技を放ち、それらが全て、直撃して、粉塵が舞った。

 

「10代目!!!?」

 

「パパ!!!?」

 

「極限に2人とも大丈夫なのか!!!?」

 

「綱吉君も輝夜君も綱吉君にXANXUS君、それから僕の最強の技をくらったからね……………」

 

「しかも、沢田綱吉はその前に攻撃をくらって、かなりのダメージが入っているはずです…………」

 

2人の心配している明聖たちに白蘭と骸が顔をしかめながら言った。

 

「「「「「「「…………………………」」」」」」」

 

しかし、なぜか7人のロヴィーノたちは浮かない顔をしていた。

 

「…………2()()()()()()()()な」

 

「これでも、まだか…………」

 

「でも、まだまだ楽しめそうだな」

 

ロヴィーノたちがそう話していると、粉塵が晴れてきた。ツナと輝夜がいる場所には《闇夜》と《光》の炎のドームがあった。炎が治まるとそこには、ツナと輝夜がいた。《闇夜》と《光》の炎のドームによって、ロヴィーノたちの攻撃を防いだようだ。

 

「あいつら、無事だったか!!!」

 

「よかった…………」

 

岩山の上にいるメンバーの何人かは2人が無事なことに安堵していた。

 

「………だが、ツナのやつ………さっきの攻撃がまだ効いているみたいだな」

 

そんな中、リボーンがそう呟いた。実際、ツナはVer.S(シモン)のロヴィーノの《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》によるダメージが残っていて、悲痛な顔をしていた。

 

「………………沢田綱吉」

 

当然、1番近くにいる輝夜も気づいていて、ツナに声をかけた。

 

「……………何だ?」

 

ツナはそれに対して、返事をした。

 

「お前、下がれ」

 

「!!?」

 

輝夜の言葉にツナは驚き、声を荒げながら問い詰めた。

 

「いきなり、何言ってるんだ!!?」

 

「だから、下がれって言ってるんだ。今のお前はさっき、ぶっ飛ばされたときのダメージが残っていて、まともに動けそうにない。どういうわけか、あそこに明聖がいる。一端、あいつに手当てしてもらえ。……………ったく、あいつ、船の中に居とけって、あれほど言ったのに………」

 

輝夜は最後のほうに明聖への文句をボソボソと呟きながら、そう言った。

 

「だからって―――――」

 

ツナは反論しようとするが………

 

「悪いがお前の反論を聞く気も暇もない」

 

輝夜はそれを遮って、《闇夜》の炎が纏った籠手をツナの体に当てた。すると…………

 

シュンッ!!!!

 

「わっ!!?」

 

「10代目!!?」

 

「ツナ!!?」

 

輝夜はツナをショートワープで明聖たちの側に飛ばした。そして、輝夜はロヴィーノたちにガンブレードを向けた。

 

「何?まさか1人で私たちの相手をする気なのかい?」

 

「沢田綱吉と一緒に戦っても劣勢だったにもかかわらずか?」

 

ロヴィーノたちはそれを見て、余裕そうに言った。

 

「お前も知っているだろ?俺は誰かと一緒に戦うっていうのよりも個人で戦うことのほうが得意だって」

 

「クックックッ。確かにそうだね。まぁ、それは貴様以外のロヴィーノ教団の連中にも言えることだけどね」

 

「しかし、私たち7人を相手にする気かい?」

 

「問題ないな。俺は昔、20万人の兵士を1人で倒したことがあるからな」

 

輝夜はふてぶてしく笑いながら、そう言った。

 

「減らず口を言うね」

 

「でも、おもしろい」

 

「確かにそうだな」

 

「本来なら、沢田綱吉を先に始末するつもりだったけど、気が変わった。ダークネス!!貴様の相手を先にするさ!!!」

 

そう言って、輝夜はロヴィーノたちを相手に1人で戦うことになった。

 

 

 

 

「輝夜!!!無茶だ!!!」

 

一方、輝夜に飛ばされたツナはそう叫んだ。他のメンバーも同じ気持ちだった。特に明聖が慌てていた。そんな中、チェッカーフェイスが声をかけた。

 

「落ち着きたまえ。沢田綱吉君、今の君はダメージが酷い。そのような状態では彼の足手纏いにしかならないよ。今は光城明聖君の治療を受けるのが先だよ。………幸いにもロヴィーノはこちらに興味なさそうだからね」

 

「……………わかった」

 

チェッカーフェイスの提案にツナは大人しく受け入れた。

 

「ふむ。というわけで、光城明聖君、お願いできるかな?」

 

「え!?あ、はい!!!」

 

チェッカーフェイスに言われて、明聖は慌てて、ツナの傷口に《光》の炎を当てた。そして、全員、輝夜とロヴィーノのほうを向いた。

 

「…………………」

 

ただ1人、リボーンだけはツナのほうに視線を向けていた。

 

 

 

 

「………さてと、あまり時間をかけるわけにもいかないからな。最初からいくか」

 

輝夜はそう呟くと…………

 

シュンッ!!!!

 

その場からショートワープを使って移動した。

 

「ふっ………。《夜》の炎を使った不意打ちか?………!!?」

 

そう呟いたロヴィーノだったが何かに気づき、咄嗟に防御の構えを取った。それは他の6人のロヴィーノたちも同じだった。なぜなら……………

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

輝夜が7人に分身して、ロヴィーノに襲いかかったからだ。

 

「チッ!!やはり、一撃で仕留めることはできなかったか………」

 

輝夜はロヴィーノに攻撃を防がれたとわかると、1度その場から離れて、そう呟いた。

 

「ハハハッ!!!ショートワープの連続による分身か!!!懐かしいなそれの特訓をしていたのは知っていたけど、戦闘で見たのは去年ぶりだよ!!!」

 

ロヴィーノは去年のベネスタンテ星のロヴィーノ教団本部での輝夜とルシフェルの模擬戦を思い出しながら、そう言った。

 

「そうだな。それなら、しっかり見てみろ。あれから、成長した俺をな」

 

そう言うと、輝夜は再び、ショートワープを使って、分身を作り、ロヴィーノたちに襲いかかった。ロヴィーノたちもそれぞれ防御の構えを取った。

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

(へぇ…………この分身、《死ぬ気の到達点》を使っていないね。生身の状態でこれ程の分身を作るとは驚きだね。確かに、成長しているようだ)

 

ロヴィーノは輝夜の攻撃を受け止めながら、感心していた。

 

「だが、それで私たちに勝てると思ったら、大間違いさ!!!」

 

そう言うと、Ver.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノは《憤怒の炎》を纏わせた錨を飛ばした。

 

「ッ!!?」

 

輝夜はそれを回避した。しかし、それで分身が乱れて、しかも追い打ちと言わんばかりにVer.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノは輝夜のと同タイプのガンブレードを向けた。

 

「《白き咆哮(ルッギオ・ビヤンコ)》!!!」

 

ロヴィーノは輝夜が暴走状態だったときに使っていた技を輝夜に向けて、放った。

 

「チッ!!!俺の武器と同じものを使いやがって!!!」

 

輝夜は顔をしかめて悪態をつきながら、かわした。

 

「やるね」

 

「だけど、まだまだだよ」

 

Ver.R(ロヴィーノ教団)とVer.M(ミルフィオーレ)のロヴィーノがそう言って、大蛇丸とスピノサウルスに襲わせた。

 

(あれらは攻撃しても、無意味だ。それならば、かわすしかないな。しかし、沢田綱吉を引かせたのは正解だったな。他の奴ならともかく、ロヴィーノ相手にこれを使った状態だと、あいつを巻き込む可能性が高すぎるからな)

 

輝夜はそう考えると、再び分身した。しかし、先程よりも人数を多くして、スピノサウルスと大蛇丸をかわしながら、攻撃を始めた。

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!

 

輝夜はロヴィーノたちにガンブレードで斬りかかったり、炎の銃弾を撃ったりした。しかし、ロヴィーノたちはそれをうまくかわしたり、防御していた。そして、ロヴィーノたちはロヴィーノたちで刀やトンファー、錫杖、拳、鞭、ハルバード、錨などの近接武器で攻撃してきたり、剣による斬撃や銃、ビリヤードの玉、雷などの遠距離攻撃で攻撃したり、幻術を使ってきたりした。それに対して、輝夜はぎりぎりだが、何とかかわしていた。しかし、軽傷程度のものだが何回か攻撃に擦っているものがあった。

 

「ハァッ…………ハァッ…………。チッ!!!厄介すぎるだろ、こいつら!!!」

 

輝夜は荒く息をつきながら、再び悪態をついた。実際、今のロヴィーノたちは輝夜やツナたちの能力を使えるためにある意味、約50人を相手にしているようなものだった。

 

(ふむ。こういう残像の分身は維持することはできないから、どうしてもヒットアンドアウェイになる。だが、さすがはダークネスだな。こちらの要所を的確に狙っている。………………だからこそ()()()()()()()()()んだよね)

 

ロヴィーノは輝夜を感心していたが同時に周りに気づかれないように落胆していた。

 

(まぁ、いいか。それよりも、少しでも動きを鈍らせるか)

 

そう考えると、Ver.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノはヒレに《怠惰の炎》を纏わせた。

 

「まさか、それは!!?」

 

「そのまさかさ。《怠惰の海(マルヴォレーレ・マーレ)》!!!」

 

輝夜が驚くのと同時にVer.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノはヒレを思いっきり振るった。すると、ヒレに纏っていた炎は海となって、広がった。

 

「ッ!!!」

 

輝夜は咄嗟に上昇した。炎の海はちょうどツナたちがいるところぎりぎりまで水位が上がった。

 

「あれはスロウスの!!?」

 

「そういえば、リリスが言っていたな………『ダークネスも受けたくない』と。確かにあの技なら納得だ」

 

Ver.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノが使った技を1度、見たことあるバジルとランチアがそう言った。

 

「くっくっくっ。この炎の海のせいで動ける範囲を狭めたよ」

 

「くっ…………!!?(あれは本当に厄介だ!!!何とかしなくては………)」

 

輝夜はそう言って、対処法を考えた。

 

「考え事している暇なんかないよ!!!」

 

そう言って、ロヴィーノは攻撃を仕掛けた。

 

「ッ!!?」

 

輝夜はそれをかわした。しかし、ロヴィーノの言うとおり、《怠惰の炎》の海のせいで、地面付近に降りることはできなくなり、少々不味い状況になった。

 

(くっ………。こうなったら、仕方ない………。本当はもう少し、取っておきたかったがそんな余裕はない)

 

輝夜はすぐに対処法を思いつき、それを実行した。

 

ボウゥゥゥゥゥゥッ!!!!

 

すると、輝夜の体から《闇夜》の炎が噴き出した。

 

「………《死ぬ気の到達点》か」

 

ロヴィーノはそれを見て、そう呟いた。

 

シュウゥゥゥゥゥゥ……………

 

しかし、今度は体から噴き出していた炎が逆に治まり始めた。

 

「どういうことだ?」

 

「なんで、炎が治まるんだ?コラ」

 

ラルとコロネロがそれを見て、疑問の声を上げた。明聖以外の他のメンバーも同じように感じた。

 

「ハッ!!!」

 

輝夜はリングに《闇夜》を灯した。すると、《怠惰の炎》の海が《闇夜》の炎に包まれて、消えた。

 

『なっ!!?』

 

それを見て、全員が驚いた。

 

「《死ぬ気の到達点》の炎を体に馴染ませて、自身を強化させ、《闇夜》の炎の力で炎の海を転移させたか」

 

ロヴィーノが感心しながら、そう呟いた。

 

「《死ぬ気の到達点》の炎を体に馴染ませた?」

 

「はい。《死ぬ気の到達点》のときに噴き出る炎。それらを体に馴染ませることで通常の何十倍の力も引き上げることができるみたいです。パパが一生懸命に修行して使えるようになったみたいです」

 

「そんなことができるのか…………」

 

「知らなかったね………」

 

明聖の説明に《死ぬ気の到達点》を使えるツナとバミューダがそう言って驚いていた。チェッカーフェイスも何も言わなかったが内心では驚いていた。

 

(しかも、1年前のルシフェルとの模擬戦では、それを使うのに時間がかかったのに、今回ではほぼ一瞬でそれができた。炎の使い方もかなり成長したみたいだね。………ハァ。これで()()()()()()()()()()()もっと良かったんだがね…………)

 

ロヴィーノはそう考えて、再び残念そうにしていた。

 

「何を考えているのか、知らないがロヴィーノ!!!邪魔な炎の海は消えたんだ!!!このまま、行かせてもらうぞ!!!」

 

輝夜はそう言うと、先程よりも多く分身を出して、ロヴィーノたちに襲いかかった。

 

「クックックッ。望むところだよ」

 

ロヴィーノたちはそれに慌てずに冷静に言って、迎え撃った。

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!バンッ!!!!バンッ!!!!ドカンッ!!!!ドカンッ!!!!ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

先程の時と似たような状況になったが、《死ぬ気の到達点》の炎のおかげなのか、先程よりも動きが良くなり、ロヴィーノたちの攻撃もくらわなくなった。逆に輝夜の攻撃は先程と変わらず、当たらないままだったが、惜しいところまで行っていた。それを見て、これを見ていた人たちはもしかしたら、行けるんじゃないかと期待していた。しかし、しばらく攻防が続くと…………

 

「うっ…………!!!?」

 

急に輝夜が動きを止めて、地面へと降りて、膝をついた。それにより、たくさんあった分身も消えた。

 

「おい!!!動きが止まったぞ!!!」

 

「いったい、どうしたんだ!!?」

 

岩山の上にいるメンバーはそれを見て、何が起きているのかわからず、動揺していた。そんな中、リボーンが今の輝夜の身に起きている理由を言った。

 

「…………おそらく、脳のオーバーヒートだな」

 

「脳のオーバーヒート………?」

 

リボーンの言葉にツナが聞き返した。

 

「あれほどの分身を連続で……しかも《死ぬ気の到達点》の状態で使ったんだ。目に見えるもの全ての情報の処理を行って、脳が追いつかなかったんだろ。最適な回避や攻撃の方法とか考えながらやったいたみたいだから当然だな。ほら、輝夜をよく見てみろ」

 

リボーンに言われて、全員、輝夜のほうを見ると、輝夜の両目から血が流れていた。

 

「ひぃっ!!!」

 

それを見て、明聖が小さく悲鳴を上げた。そして、今の輝夜の状態が不味いということを皆、感じた。

 

「クックックッ。このような絶好のチャンスを逃す筈がないだろう?」

 

そして、1人のロヴィーノがそう言って、7人のロヴィーノたちは全員、輝夜に襲いかかった。

 

「チッ!!!こうなったら!!!」

 

グサッ!!!

 

輝夜は襲いかかってくるロヴィーノたちを見て、そう呟くと、頭を押さえながらガンブレードを地面に刺した。すると……………

 

ブォンッ!!!!

 

地面から輝夜を取り囲むように後ろに1人分の間、左右にかなりの奥行きがある《闇夜》と《光》の炎の高い壁が出てきた。急に現れた壁にロヴィーノたちは動きを止めた。

 

「《闇夜》と《光》の炎による壁か」

 

「我々の大技を防いだのと同類のものか」

 

「確かに、これは厄介だ。私たちでもそう簡単に破壊することはできなさそうだからね」

 

その壁を見て、ロヴィーノたちは感心していた。

 

「しかし、逆に自分を追い詰めていることに気づいていないのかね?」

 

ロヴィーノたちはそう言って、横から《闇夜》と《光》の壁と壁の間に入った。輝夜は自分が設置した背後の壁により動くことができなかった。しかも、壁を作るために炎を回しているためにショートワープを使ってかわすこともできないのだ。しかし、間隔が1人分しかなくて、狭いために、1列に並んだ状態になって、輝夜に向かった。

 

「そっか!!!これなら、一気に7人を相手にしなくていい!!!」

 

「1対1に持ち込ませるってことか!!!」

 

その様子を空中に浮かぶ画面から見て、ディーノとγがそう言った。

 

「そんなことだろうと思ったさ!!!」

 

「そんなもの、こうすれば、問題ないさ!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと全員が飛び上がって、高さを変えてきた。これでは、1対1の状態に持ち込むことができない。

 

「………………」

 

しかし、輝夜はロヴィーノたちの行動に慌てずに冷静な顔つきをしていた。そして、輝夜はこう思った。

 

(逆転のための一手は打った。後は頼んだぞ)

 

シュンッ!!!!

 

「ん?」

 

ロヴィーノは後ろに気配を感じて、そちら側に視線を向けると、そこにはツナとツナの肩に乗っていたバミューダがいた。どうやら、バミューダのショートワープの力で一瞬で移動してきたようだ。

 

「助かる、バミューダ!!!」

 

「礼はいいから。早くしたらどうだい?」

 

ツナは自分を運んでくれたバミューダにそう言われた。

 

「あぁ、わかった!!!」

 

ツナは左手を後方に右手を《大地》の炎の重力を纏わせた状態で前方に向けた。ツナの右手の先には7人のロヴィーノが重なっていた。そして、ツナは先程、輝夜との会話を思い出した。

 

 

 

 

Ver.V(ボンゴレ)、Ver.V(ヴァリアー)、Ver.M(ミルフィオーレ)の3人のロヴィーノの攻撃を防ぐために《闇夜》と《光》の炎のドームの中にいたときに輝夜が話しかけてきた。

 

「沢田綱吉…………」

 

「…………何だ?」

 

「この攻撃を防ぎ終わったら、お前は1度下がれ」

 

輝夜の言葉にツナは驚愕した。

 

「なっ!!?どういうつもりだ!!?」

 

ツナは輝夜に掴み掛かったが輝夜は冷静に答えた。

 

「理由はいろいろあるが、主に2つだ。1つはお前がさっきのロヴィーノの攻撃のダメージが残っているから」

 

「だが、こんなもの、何とかなる!!!」

 

「あのロヴィーノ相手に半端な状態で行っても勝てるわけがないだろ。いいから、体を休めておけ。その状態じゃ、俺の足を引っ張るだけだ」

 

「くっ………!!!」

 

輝夜にそう言われて、ツナは悔しそうに歯を噛み締めた。

 

「それともう1つの理由はあの俺たちの能力を使えるロヴィーノたちを全て倒すためだ」

 

「!!?」

 

輝夜の言うもう1つの理由にツナは再び、驚いた。輝夜はそれに構わず、説明を続けた。

 

「沢田綱吉、お前もD(デイモン)・スペードが似たようなものを使って、戦ったことあるならわかるだろ?あれは1人でもきついのにそれが7人いる。1人1人相手していたら、きりが無い。一網打尽にするほかない」

 

「あ、あぁ………」

 

輝夜の言い分にツナは理解した。しかし、まだ納得できないところがあるためにツナは輝夜に尋ねた。

 

「だが、それが俺が抜けることとどう繋がるのだ?」

 

「俺が囮になるから、チャンスが来たら、タイミングを見計らって、お前が仕留める。そういうことだ」

 

「!!?だが、囮なら《大地》の炎を持っている俺のほうがよくないか!!?」

 

「《大空》が主であるお前が使っても、あのロヴィーノたちを一纏めにできるとは思えない」

 

「それは………そうだが………」

 

「悪いが時間が無い。簡単に説明するぞ」

 

輝夜はそう言って、説明を始めた。それを聞いて、ツナも渋々とそれを引き入れた。

 

 

 

 

そして、輝夜が言っていた、チャンスが来て、ツナは技を放つ用意をした。

 

「(射線上に一直線、今だ!!!)《超収束X(イクス)BURNER(バーナー)》!!!!」

 

ツナはシモンリングの力で収束させた《X(イクス)BURNER(バーナー)》を放った。

 

「!!?(まずい!!!)」

 

ロヴィーノたちはそう思ったが遅かった。

 

グサササササササッ!!!!

 

「「「「「「「ガハッ!!!?」」」」」」」

 

《光天》の炎のレーザーは一直線に並んでいた7人のロヴィーノたちの胴体を貫いた。



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白き炎

ツナの《超収束X(イクス)BURNER(バーナー)》によって胴体を貫かれた《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)》の状態の7人のロヴィーノたち。胴体を貫いたことでVer.R(ロヴィーノ教団)のロヴィーノにも攻撃が効いたのだ。

 

「よっしゃ!!!ロヴィーノ全員に一撃を与えたぞ!!!」

 

「それにしても、こんな作戦を考えていたとは…………」

 

「僕とツナ君でD(デイモン)を倒したときとは別の方法で一網打尽にしたね」

 

「沢田さんの説明を聞いたときには驚きました」

 

岩山の上にいるメンバーたちはそれぞれ、そう話していた。輝夜が《死ぬ気の到達点》を使っている間にツナはロヴィーノたちに聞こえないように皆に説明したのだ。大げさに驚くものもいたが幸い、ロヴィーノたちは何十人にも増えた輝夜と戦っていたために聞こえなかったようだ。そして、事情を知ったバミューダがツナを運んだのだ。

 

「全く、ダメツナが慣れない演技なんかしやがって………」

 

リボーンが呆れたように呟いた。ツナと輝夜はロヴィーノに作戦がばれないように演技をしていたのだ。さらに輝夜は注意がツナに向かないようにわざと挑発した。愉快犯のところがあるロヴィーノはまんまとその挑発に乗ってくれた。ちなみにツナがしばらく明聖たちにまで演技を続けていたのは(リボーンや何人かは気づいていたみたいだが)、輝夜が炎のドームの中で『敵を騙すならまずは味方からだ』と言っていたからだ。

 

ドサッ………ドササッ…………

 

ツナの《超収束X(イクス)BURNER(バーナー)》に貫かれたロヴィーノたちはそのまま地面に落ちた。そして、それと同時に《闇夜》と《光》の炎でできた壁が消えて……………

 

シュンッ!!!!

 

輝夜がショートワープを使って、ツナとバミューダの近くまで移動してきた。血涙は服で拭ったようだ。

 

「ったく、無茶のしすぎだ!!!」

 

ツナは真っ先に輝夜にそう言った。脳がオーバーヒートするぐらい酷使したことに怒っているのだろう。

 

「無茶の1つや2つ、仕方ないだろ。そうでもしなければ、ロヴィーノ(あいつ)は倒せない」

 

しかし、輝夜はあっけらかんと言った。

 

「ッ!!?それでお前が傷ついたら、明聖が悲しむんだぞ!!!」

 

それを聞いて、ツナはさらに怒鳴った。

 

「そんなことはわかっている。………だが、死んだら元も子もない」

 

「ッ………」

 

輝夜の言葉にツナは言葉が詰まった。

 

「そんなことよりも、気を引き締めろ。これぐらいでくたばるやつじゃない」

 

「!!!」

 

「バミューダも下がれ。ここからは俺と沢田綱吉の戦いだ」

 

「わかったよ」

 

輝夜に言われて、バミューダはショートワープを使って、リボーンたちのところに戻った。それを確認すると、2人はロヴィーノのほうを見た。ロヴィーノは7人中6人が霧となって消えていて、残りの1人も《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)》が解けていた。

 

「……………」

 

すると、ロヴィーノはゆっくりと立ち上がった。よく見てみると、ロヴィーノの胴体はツナの《超収束X(イクス)BURNER(バーナー)》で貫かれた筈なのに、体にも服にも穴が空いていなかった。おそらく、ロヴィーノ細胞で修復したのだろうと2人は予想した。

 

「「…………」」

 

2人が立ち上がったロヴィーノに警戒した。次はいったい何をする気なのか、見当もつかなかったからだ。

 

「………クッ………ククッ………クククッ…………アーーハッハッハッハッ、ハハハハハハッ!!!!」

 

すると、ロヴィーノはいきなり笑い出した。そのことにツナも輝夜も岩山の上にいるメンバーも戸惑った。そして、しばらく経つと、ロヴィーノの笑いが治まり始めた。

 

「ハハハハハハッ…………ハーッハッ………。いや~………。まさか、私の《完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)》をあんな方法で打ち破るとはね………。とても驚いたよ」

 

「それは、どうも」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は素っ気なく返した。しかし、ロヴィーノは気にせずに話した。

 

「クックックッ。このような奇想天外な作戦を思いつき、それを実行して、そして、成功させるとは、やはり、私が認めた人間とその人間を倒しただけのことはあるね」

 

ロヴィーノはそう言った。それに対して、輝夜は内心、『さりげなく自画自賛するな』と思ったが口には出さなかった。今はロヴィーノに警戒することのほうが大事だからだ。ツナも同様を警戒していた。

 

「そこまで、やってくれるなら私も久しぶりに()()()を使うとするか」

 

ロヴィーノがそう言うと、右手にいつもの白い《闇》の炎を灯した。

 

「?………何か、変わったか?」

 

それを見て、ツナがそう呟いた。

 

「クックックッ。気が早いよ」

 

ロヴィーノがそう言うと、背中から15本の触手を出した。その触手の先にはそれぞれ、《大空》、《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》、《大地》、《氷河》、《森》、《山》、《沼》、《川》、《砂漠》、《夜》の炎が纏っていた。

 

「なぜ、私の《闇》の炎が白いのか知っているかい?」

 

すると、急にロヴィーノがツナと輝夜にそう訊いてきた。

 

「お前の《闇》の炎が白い理由?」

 

「そうさ。ダークネスの《闇》の炎は漆黒の色をしているのに対して、私は白。この違いは何だと思う?」

 

「知るか。人それぞれじゃないのか?」

 

輝夜がそう言ったが、ロヴィーノは首を横に振った。

 

「残念ながら、違うね。私の《闇》の炎も最初はダークネス、お前と同じ漆黒の色だったのさ」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの言葉にその場にいたメンバー全員が驚いた。そして、同時に疑問に思った。『なぜ、ロヴィーノの《闇》の炎は白いのか?』と。

 

「クックックッ。どうやら、気になるようだね。それなら、教えてあげるよ」

 

ロヴィーノがそう言うと、15本の触手の先に纏っていた炎が右手に纏っていた炎に集まり出した。触手の先に纏っていた炎が全て右手に集まった。見た目は何も変わらなかったがその炎には凄まじい炎の感じがした。

 

「いったい、何だ?」

 

「光の三原色って、知っているかい?」

 

それを見て、ツナが呟くと、ロヴィーノがそう訊いてきた。

 

「赤、緑、青の3色の光を様々な割合で混合すると様々な色になる、あれか。それが、どうし――――ッ!!?そういうことか…………」

 

「どうやら、ダークネスは気づいたようだね。そうさ!!私の《闇》の炎が白い理由は16属性の死ぬ気の炎が全て融合したからなのさ!!!」

 

ロヴィーノは高らかにそう言った。

 

「炎が全て融合すると白くなるのか?」

 

「………少なくとも、光の三原色の場合は絵の具と違って、全て同じ割合で混ざると白くなるな」

 

ツナと輝夜はそう話していた。そして、ロヴィーノは話を続けた。

 

「今も私の《闇》の炎が白いのはその時の名残だからさ。おそらく、2度と元の色に戻ることはないだろうね。まぁ、そんなことは些細なことだから気にしないけどね」

 

ロヴィーノは本当に気にしてなさそうに言った。

 

「それで、今度はその炎を使って戦う気か?」

 

輝夜はロヴィーノにそう尋ねた。

 

「あぁ、そうさ。この白き炎には特に名前はないが―――――」

 

ロヴィーノがそう言って、区切ると…………

 

シュンッ!!!!

 

ツナと輝夜の間に一瞬で移動してきた。

 

「えっ?」

 

「はっ?」

 

それに気づいたツナと輝夜の口から間抜けな声が出た。そして、次の瞬間…………

 

ビュンッ!!!!

 

「ガッ!!!?」

 

「ぐっ!!!?」

 

「16属性の特性を使えるうえに通常の死ぬ気の炎の何十倍の効果もあるからね」

 

ロヴィーノがそう呟きながら、視認できないほどの速さで触手を振り回して、2人を吹き飛ばした。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

2人はそれぞれ、岩山に激突した。

 

「な、なんだ、あのスピードとパワーは!!!?」

 

「全く、見えなかったぞ!!!!」

 

「お2人はご無事でしょうか………?」

 

岩山の上にいたメンバーたちはロヴィーノの力に驚いたり、ツナたちを心配したりしていた。

 

「うっ………」

 

「くそっ………」

 

ツナと輝夜は崩れた瓦礫をどかしながら、起き上がった。それを見た明聖たちは安堵した。

 

「これが白き炎の力さ。《光》と《闇》の炎の特性の1つである融合の最終奥義と言ったところかな?属性の数に問わず完全無欠の融合は炎を白くさせるのさ。…………と言っても、私の知る限り、私以外にできる人物はいなかったがね」

 

ロヴィーノがツナたちが起き上がるのを見計らって、説明を始めた。

 

「ちなみにさっきのは説明のために演じただけでこの炎はいつでも出せるからね」

 

ロヴィーノは右手に白き炎を灯しながら、周りに見せた。

 

「まぁ、説明はこれぐらいかな?そろそろ、本気で戦うとするか」

 

ロヴィーノはそう言うと、背中から触手をもう1本出して、合計16本の触手を出して、全ての触手に白き炎を纏わせた。

 

「それじゃあ、やりますか」

 

ロヴィーノがそう呟くと、触手を8本ずつ、それぞれツナと輝夜に向けた。

 

「「ッ!!!?」」

 

2人とも、何かを察したのか、その場から急いで、離れた。すると……………

 

ガガガガガガガガガッ!!!!

 

まるで、ガトリング銃を撃ったかのような攻撃が行われて、岩山の一部が抉られた。

 

「へぇ~~~。よく、かわしたね」

 

ロヴィーノが触手をちらつかせながら、そう言った。今のは触手の連続突きの攻撃だった。しかし、先程も言った通り、今までと比べものにならないくらいの速さで行われたのだ。

 

「速い…………」

 

「《嫉妬の炎》で強化したっていうレベルじゃないぞ………」

 

それを見て、ツナと輝夜はそれぞれ、そう呟いた。今のロヴィーノの白き炎で強化した攻撃は2人を畏怖させた。しかし、2人はそれに屈するわけにはいかないと自分の武器を構えた。

 

(不用意に近づいたら、こっちが危ない………ならば!!!)

 

輝夜はそう考えると、ショートワープを使って移動しながら、ガンブレードから《闇夜》と《光》の炎の銃弾を放った。しかし、ロヴィーノはそれらを僅かな動きでかわした。

 

「ハッ!!!」

 

ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!

 

ロヴィーノが炎の弾丸をかわしている間にツナはグローブに炎をためて、連続で振るい、《光天》の炎の刃を複数、回転させながら飛ばした。しかし、ロヴィーノはそれさえもかわした。

 

「《X(イクス)ブーメラン》!!!」

 

すると、ツナがそう叫ぶと、炎の刃は回転しながら戻ってきてロヴィーノに向かった。

 

「ふっ………」

 

バキンッ!!!!バキンッ!!!!バキンッ!!!!バキンッ!!!!

 

しかし、ロヴィーノは触手を鞭のように振るって、炎の刃を破壊した。

 

「くっ………!!!?」

 

ツナは悔しそうに顔を歪めた。

 

「クックックッ。そんなものなのかい?それなら、次はこちらの番だよ」

 

ロヴィーノはそう言うと、全ての触手の先に白き炎を収束させて、それらをレーザーのように放った。

 

「「ッ!!!?」」

 

ツナたちは攻撃するのを止めて、炎の推進力やショートワープを使って、それを必死にかわした。

 

「遠距離も悪くないけど、個人的には近距離のほうが好きなんだよね」

 

シュンッ!!!!

 

すると、ロヴィーノの攻撃をかわしているツナたちの元に2()()のロヴィーノが現れた。そして、そのまま、ロヴィーノは触手を振るった。

 

ドガッ!!!!ドガッ!!!!

 

「ぐっ!!!?」

 

「ガッ!!!?」

 

ロヴィーノの触手の攻撃を受けたツナと輝夜はそのまま、地面に激突した。

 

「なっ!!!?また、さっきのか!!!?」

 

「いえ………さっきのも精度の高い有幻覚でしたが、今のはそれ以上のものでした」

 

それを見て、山本が驚いて言ったが骸がそれを否定して、顔をしかめながら、そう言った。

 

「2人とも、無事でしょうか……………?」

 

そして、ユニがツナたちのことを心配していた。

 

「うっ…………」

 

「くっ…………」

 

粉塵が晴れると、2人は無事のようだったが、今の攻撃が効いたようで、起き上がれそうになかった。

 

「ハァ…………やっぱり、この炎を使ったら、あっさりと終わってしまうか」

 

1人に戻ったロヴィーノが2人の様子を見て、残念そうに呟いた。

 

「まぁ、仕方ないか。なかなか楽しかったけど、そろそろ、この戦いも終わらせようか」

 

ロヴィーノはそう言うとツナのほうへ向いた。

 

「まず、貴様からだ。沢田綱吉」

 

「ッ!!!?」

 

ロヴィーノの言葉に周りに緊張感が高まった。

 

「あぁ、それと助けに行こうとしても無駄だよ。さすがにとどめを邪魔されるのは嫌だからね。そこから先は結界で入れないよ」

 

ロヴィーノが岩山の上にいるメンバーたちにそう言った。気がついてみれば、確かに透明な結界が張られていた。おそらく、これも白き炎の力だろう。

 

「くっ…………!!!?確かにいつの間にか例の結界が張られているせいでショートワープを使えない!!!」

 

「しかも、この結界は強固で破るのに時間がかかる!!!」

 

「マジかよ!!!?それじゃあ、10代目たちを助けに行けねえじゃねぇか!!!」

 

「そんなことを言っている暇はねぇ。この結界を壊すぞ!!!」

 

バミューダとチェッカーフェイスの言葉に獄寺たちは慌てたが、リボーンの言葉に全員が頷いて、結界に攻撃を仕掛けた。しかし、そんなことをしている間にもロヴィーノは技の準備に入ろうとしていた。

 

サイキョウ(最強・最恐・最凶)の技ではないけど、私が最も気に入っている技で決めてあげるよ」

 

ロヴィーノがそう言うと、16本の触手を両手の手刀で全て切り落とした。そして、それらを右腕に捻られた形で纏わり付いて、右手の部分はドリルのように尖っていた。これだけでも、不味いと直感できた。しかし、無慈悲にも右腕はツナに向けられていた。

 

「行くぞ!!!」

 

ロヴィーノはそう言って、ツナに向かって飛び出した。

 

「ぐっ…………」

 

ツナはそれをかわそうとして何とか立ち上がったが、今のダメージが残っているためにそれ以上動くことができなかった。そして、ロヴィーノの右腕がツナに直撃しそうになったときだった。

 

シュンッ!!!!

 

ドンッ!!!!

 

「ガッ!!?」

 

急に飛んできた何者かがツナを突き飛ばした。ツナは自分を突き飛ばした者の顔を見て、呟いた。

 

「輝夜…………」

 

ツナの言うとおり、その人物は先に動けるまで回復した輝夜だった。輝夜はショートワープを使って、ツナの近くに移動して、突き飛ばした。どうやら、結界の外側から内側に入ることは無理みたいだが、結界内なら自由に使えるようだ。しかし、そのせいでツナがいた場所に輝夜がいるために…………

 

ドガッ!!!!

 

「ぐっ………!!!?」

 

ロヴィーノの右腕が輝夜の胴体に直撃した。それを見て、ロヴィーノが呟いた。

 

「狙いが違うが………まぁ、いいか。《白睡蓮(はくすいれん)》!!!!」

 

ドスッ!!!!

 

バッ!!!!

 

「ガハッ!!!!?」

 

ロヴィーノの右腕は輝夜の胴体を貫き、輝夜の背中に1輪の白い睡蓮が咲いた。そして、輝夜の口から大量の血が吐き出された。

 

「!!!!?」

 

「パ、…………パパーーーーーー!!!!?」

 

それを見て、ツナは信じられないという顔をして、明聖が絹を裂くような悲鳴を上げた。



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相反するものと綺麗事

「ガハッ!!!!?」

 

ロヴィーノの技、《白睡蓮》が輝夜を貫いた。それにより、輝夜は口から血を吐き、傷口から血が止め処なく流れていた。

 

「い………嫌…………」

 

それを見て、明聖が涙を流しながら、膝をつき、うわごとを呟いた。

 

「………………」

 

ロヴィーノは黙ったまま、右腕を引き抜いた。すると、それと同時に輝夜の背中に咲いていた白い睡蓮の花が散った。

 

「輝夜から離れろ!!!!」

 

すると、ようやく体を動かすまで回復したツナがロヴィーノに殴りかかった。しかし、ロヴィーノは顔色1つ変えずにその場をショートワープで離れた。それを確認すると、ツナは輝夜に駆け寄った。よく見たら、輝夜の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》が解けていた。ドレイクもおそらく匣に戻ったのだろう。

 

「輝夜!!!大丈夫か!!!!」

 

「………ぐっ………沢田………綱吉………」

 

輝夜は辛そうな顔をしながら、ツナのほうを見た。ツナは傷口を見て、酷い傷だと思い、すぐに手当てをしなければならないと思った。すると…………

 

シュンッ!!!!

 

「パパ!!!!」

 

ツナと輝夜の側にショートワープしてきたバミューダとバミューダと一緒にいた明聖が来た。

 

「明聖!!!?バミューダ!!!?」

 

それを見て、ツナは驚いた。しかし、明聖はそんなツナを余所に輝夜に駆け寄った。

 

「パパ、大丈夫!!!?すぐに手当てするからね!!!!」

 

そう言うと、明聖はリングに《光》の炎を灯して、輝夜の手当てをしようとした。

 

「!!!?待て、明聖!!!!ここだと、ロヴィーノが――――」

 

「その心配はいらないみたいだよ。沢田綱吉君」

 

「え?」

 

ロヴィーノを警戒して、明聖に注意しようとしたツナだったがバミューダが途中で遮った。

 

「ほら、ロヴィーノを見てごらん」

 

バミューダに言われて、ツナはロヴィーノのほうを見るとロヴィーノは興味なさそうにこちらを見ていた。何かをしようという雰囲気でもなかった。

 

「僕たちがここに来られたのもロヴィーノが結界を張るのを止めたからなんだ」

 

「そうなのか………。………だが、なぜ………?」

 

「それは白けたからだよ」

 

ツナの呟きにロヴィーノが答えた。

 

「白けた………?」

 

「そうさ。だから、ダークネスを手当てするなら早くすれば?今、手当てすれば、この戦いに参加することはもうできないけど、今すぐに死ぬってことは無くなるからね。(あのとき、ダークネスは《闇夜》のワープホールを作っていた。だから、ダメージが低減して即死を免れたんだよね)」

 

ロヴィーノはそう言った後で当時の出来事を思い出していた。

 

「(おかげで、とどめを刺そうと思ったのに失敗して白けたんだよね…………)あ、それと邪魔する気も無いから、そこは安心していいよ」

 

ロヴィーノは付け足すようにそう言った。

 

『………………』

 

ロヴィーノにそう言われて、納得はできなかったが輝夜の命を救うには言われた通りにする他ないためにツナとバミューダがロヴィーノに警戒しながら明聖が輝夜の手当てを始めた。

 

「…………明聖、…………その顔は………どうした…………?」

 

手当てしてもらっている時に輝夜は明聖にそう尋ねた。よく見てみると明聖の左頬が赤く腫れていた。輝夜はそのことが気になって尋ねたのだ。

 

「あ、これ?実は私、パパがロヴィーノに刺されたのを見て、動揺してて、そんなときにリボーン君に叩かれたんだ。『今、あいつを助けることできるのはオメーだけだ。そんなオメーが動揺してどうするんだ』ってね。だから、気にしないで」

 

明聖は輝夜に笑いかけながら、そう言った。それに対して、輝夜は目を伏せながら、呟いた。

 

「そうか。…………俺が原因とはいえ…………人の()に……手を出すなよ…………」

 

「…………え?」

 

輝夜の呟きに明聖は思わず声を漏らした。すると、そんなときだった。

 

「もう、そろそろいいかな?これ以上の手当てはそこでもできるでしょ?」

 

ロヴィーノがリボーンたちのいるほうを指で指しながら、そう言った。

 

「…………いきなりだね。そんなに沢田綱吉君との戦いを再開したいのかい?」

 

それに対して、バミューダが尋ねた。

 

「まぁね。ダークネスに関してはもう完全に興味を失ったしね」

 

ロヴィーノはあっけらかんとそう言った。

 

「…………その言い方………まるで………最初から……興味なかったみたいな……言い方だな………」

 

ロヴィーノの言葉に言葉を途切らせながら、輝夜が言った。

 

「まぁ、そうだね。貴様には悪いけど、ダークネス。正直に言って、私は貴様のこと、()()()()()()()んだよね」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの言葉にその場にいた全員が驚いた。輝夜に《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》の二つ名をあげたのはロヴィーノだった。しかも、輝夜は他のメンバーと違って、ロヴィーノを倒すための炎、《光》の炎を持っている。それにもかかわらず、ロヴィーノは輝夜のことを眼中にないと言ったのだ。

 

「いや、個人的にはダークネスのことは気に入っているんだけど、沢田綱吉と違って、私の敵としては役不足なんだよね」

 

「どういうことだ?」

 

ロヴィーノの言葉に納得ができず、尋ねた。それに対して、ロヴィーノは輝夜のほうに向いて、言葉を発した。

 

「ダークネス自身は気づいているだろ?《光》の炎を使っているときはいつもより()()()していることに」

 

「ッ!!!?」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は図星という顔をして、輝夜以外のメンバーは再び驚いた。そんな輝夜たちを余所にロヴィーノは説明を続けた。

 

「確かに私を倒すには《光》の炎が必要だし、《光》の炎を持てば、普通なら強くなれる。だけど、私やダークネスのような《闇》の炎を持つ者は別なのさ。光と闇は相反するもの同士。決して、混ざらないもの同士。一緒に持つだけでも、互いが互いを打ち消そうとするから逆に弱くなるのに、一緒に使おうとしたら、余計に弱くなる。だから、私も死ぬ気の炎の中で唯一、《光》の炎を持っていないし、持つ気もない」

 

「だから、弱体化したということか…………」

 

ロヴィーノの説明を聞いて、バミューダがそう呟いた。輝夜も最初からわかっていたのか、特に反論はせず、岩山の上にいるチェッカーフェイスやリボーンたちもそれで納得していた。

 

「「………………………」」

 

しかし、ツナと明聖だけは納得していない顔をしていた。だけど、そんなことは関係無いと言わんばかりにロヴィーノは話を進めた。

 

「確かに私はダークネスに《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》という二つ名を与えた。だけど、ダークネスが《光》の炎を持っていなかったら、さらに強くなることができたし、あの戦いでも沢田綱吉に負けることはなかった。だから、本当に残念で仕方ないんだよね」

 

「でも!!!!《光》の炎がなかったら、パ………パパは死んでいたんだよ!!!!」

 

ロヴィーノの言葉に反論するかのように明聖が叫んだ。

 

「あぁ。でも、そのせいで弱くなるんだったら、死んだほうがマシだったね」

 

『!!!?』

 

「…………………」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜以外の全員が驚愕した。輝夜は何も言わずに黙っていた。輝夜は自分のせいで聖輝と明夜が死んだことにまだ負い目を感じていたのだ。

 

「ふざけるな!!!!」

 

すると、ロヴィーノの言葉を聞いて、ツナがキレた。

 

「この世に死んだほうがマシな奴なんていない!!!!全員が全員、何かしらの理由があって生きているんだ!!!!」

 

「全員が全員、何かしらの理由があって生きている…………確かにその通りだ。だけど、その理由は様々に存在する。その理由によってはそういう考えに当てはまる奴がいると思うのだが?例えば、私自身とかそうだ。私が生きる理由は物事の破滅。貴様らにとっては、そんなの許されないことだろ?間違っていることだろ?」

 

「ッ……………」

 

ロヴィーノの言葉にツナは言葉が詰まった。確かに、ロヴィーノの理由は庇いようのないものだった。

 

「クックックッ。どうやら、言葉にできないようだね」

 

ロヴィーノがクスクスと笑いながら、そう言った。

 

「…………許されないほど、間違っているなら、俺が止める」

 

そんなロヴィーノにツナは言った。それを聞いたロヴィーノは笑うのを止めて、無表情でツナのほうを見た。

 

「……………ふ~ん。それで止めて、どうする気だい?」

 

「お前が2度とこんなことをしないように罪を償ってもらう」

 

ロヴィーノの問いにツナはハッキリと答えた。

 

「罪を償うね…………。残念だけど、それは無理だね」

 

しかし、ロヴィーノはバッサリと切り捨てた。そして、その理由を語り始めた。

 

「人間である貴様たちにはどうがんばっても神である私を裁くなんて、無理な話だ。仮にそういうのできるのは同じ神だけだよ。だけど、知っているだろうと思うけど、私は《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれている。私を捕まえようとした神は何百人もいたが、全員殺したさ。おかげで私は同じ邪神からも敬遠される存在となったね。クックックックックックッ」

 

何がおかしいのか、ロヴィーノは笑みを浮かべて、笑いながら、そう言った。

 

「………………それなら」

 

ロヴィーノが笑っている中、ツナが呟くと、ロヴィーノのほうを向きながら、輝夜に声をかけた。

 

「…………輝夜、悪いが作戦を変更する」

 

「……………は?」

 

急に言ってきたツナの言葉に輝夜は間抜けな声が出た。しかし、そんなことは関係無いと言わんばかりにツナは自分が考えた作戦を言った。

 

「あいつを徹底的に弱らせてから改めて封印する」

 

『!!!?』

 

ツナがそう言うと、その場にいた全員が驚いた。そして、それが聞こえたのか、ロヴィーノは笑うのを止めて、ツナに声をかけた。

 

「……………へぇ~………。超直感で直感したのかな?確かに私を徹底的に弱らせた後で先程のような封印を仕掛けたら、私は今度こそ完全に封印されるだろうね。それこそ、魂の状態でも無理だね。そうなったら、他の神々たちも私を捕らえることなど容易だろうね」

 

ロヴィーノの言葉でツナが考えた作戦が有効だと証明された。

 

「でも、そもそも、それができるのかって話だよ。ダークネスはリタイア。封印には貴様のVG(ボンゴレギア)も必要になる。貴様の負担が尋常じゃないな」

 

「承知の上だ!!!!」

 

「クックックッ。意気込みは立派だよ。…………だけど………」

 

ロヴィーノがそう言うと、再び急に無表情になって、ツナに話しかけた。

 

「貴様の作戦はとても甘い綺麗事でしかないね。あまりにも甘すぎて、吐きたくなる程だよ」

 

ロヴィーノは本当に気分が悪そうに言った。そして、そのまま、ロヴィーノは話を続けた。

 

「この世界は綺麗事だけで生き抜くなんて、ほとんど不可能なんだよ。沢田綱吉。貴様が甘ったれた人間だが、そんなことは理解しているはずだよね?10年後の未来でもお前は白蘭を消し飛ばしたのだからさ」

 

「ッ!!!?」

 

「……………………」

 

ロヴィーノの言葉にツナはまた言葉が詰まって、白蘭は黙って見ていた。10年後の未来でツナは白蘭を《X(イクス)BURNER(バーナー)》で消し飛ばした。どんな理由があれど、ツナは白蘭を殺したのだ。ロヴィーノはそこがツナのトラウマだと思って、突いてきたのだ。

 

「…………それでも、俺は……………その綺麗事を貫く!!!!」

 

「!!?」

 

しかし、それでも気落ちすることがなかったツナにロヴィーノは驚いた。

 

「確かに俺は人を殺した。あの時はユニとγが死んだショックで我を忘れた。あの後、悩んだこともあった。白蘭を殺す必要は無かったのじゃないのかと。そこで俺は白蘭と話した」

 

ツナはそこで当時のことを思い出した。

 

 

 

 

虹の代理戦争が終わってからディーノとバジルのお見舞いに1度訪ねた後でツナは並盛総合病院に改めて訪れた。そこでツナは白蘭の病室に入った。ちなみに、前にいた病室は乱闘があったために半壊して、その病室とは別室である。

 

「やぁ、綱吉君♪いらっしゃい♪よく来てくれたね♪」

 

そこには白蘭だけがいた。白蘭はマシュマロを食べながら、ベッドで寝転がっていた。

 

「他の皆は?」

 

「正ちゃんはスパナと一緒にどこかに行って、桔梗たちは皆、僕の代わりに別件でここにはいないよ」

 

「別件?」

 

ツナが首をかしげると、白蘭は答えた。

 

「ミルフィオーレの再建だよ」

 

「なっ!!?ミルフィオーレを復活させるの!!?」

 

白蘭の言葉にツナは驚愕した。

 

「そうだよ。あ!安心して、ボスはユニちゃんだから」

 

「ユニが………?」

 

「そうそう。むしろ、これはユニちゃんから切り出したことだからね♪」

 

「えーーー!!!?なんで!!!?」

 

あまりのことにツナは驚きっぱなしだった。

 

「仮にも僕はマーレリングの適合者で平行世界(パラレルワールド)の自分と共有できる能力を持っているからね。いろんな人たちに狙われるわけ。だから、その保護って言ったところだね。ユニちゃんなら、しそうでしょ?」

 

「確かに……………」

 

白蘭の言葉にツナは納得した。心優しい性格のユニなら、白蘭や(リアル)6弔花のことを監視ではなく、保護すると言い切るだろう。

 

「さてと、それよりも綱吉君、僕に話があったんじゃないの?」

 

「あ!そうだった!!」

 

白蘭に言われて、ツナはハッとする。そして、ツナは白蘭にすぐに言葉をかけた。

 

「白蘭………、いろいろあって遅れたけど、あの時、俺を庇ってくれてありがとう」

 

まず、ツナは虹の代理戦争でコロネロの狙撃を庇ってくれたことに礼を言った。

 

「ハハハ。気にしなくていいよ。あの時、ユニちゃんが綱吉君を残したほうがいいって目で言っていたからね」

 

それに対して、白蘭は気にしていないと返した。

 

「うん。…………それと、もう1つ…………」

 

ツナがそう言うと、一息、深呼吸入れてから白蘭に言った。

 

「未来で10年後のお前を殺して、ごめん………」

 

「!!?」

 

ツナの言葉にさすがの白蘭も目を見開いて、驚いていた。

 

「まさか、あの時のことを謝るなんて、僕も予想外だよ………。でも、それに関しては、なおさら君が謝ることじゃないよね?あの時は僕が悪かったのだからさ」

 

「………確かにそうだけど…………、それでも俺は―――――」

 

「それを言ったら、僕も謝らなくちゃね」

 

「え?」

 

引けないツナの言葉を遮って、白蘭が言った。

 

「正ちゃんが特殊弾に変えていて、仮死状態だったとはいえ、僕も10年後の君に手をかけたからね。ごめんね」

 

白蘭の言葉にツナは慌てた。

 

「い、いや、やられたのは俺じゃなくて、10年後の俺であって――――」

 

「それを言ったら、君が消し飛ばしたのも10年後の僕だよ?」

 

「うっ………。で、でも、やったのは、10年後の俺の場合は10年後のお前だけど、10年後のお前の場合は俺だから……………」

 

そう言い淀むツナに白蘭は埒が明かないと思い、こう言った。

 

「それなら、いっそのこと、お互いが悪いということにしようか」

 

「え?」

 

「だって、こうでもしないと綱吉君、納得しないだろうしね。それでもうこれでいい?」

 

「あっ…………う、うん………」

 

白蘭の言葉にツナは渋々と頷いた。それを確認すると、白蘭は笑って、ツナに話しかけた。

 

「それにしても、綱吉君は優しいね。敵だった僕のことを気にかけるなんてね」

 

「そんなことは……………」

 

「…………ねぇ、綱吉君。あの時、10年後の僕が言っていたことを覚えているかな?『寄せ集めの偽善よりも個人のどす黒い欲望や執着のほうが強い』ってね」

 

「う、うん。覚えているけど…………」

 

10年後の未来での最終決戦で確かに白蘭はそんなことを言っていた。しかし、それがどうしたのかって、首を傾げていると、白蘭は答えた。

 

「あれは、今でも僕は正しいと思っているよ。薄っぺらい綺麗事の偽善なんかよりも欲望や執着のほうが覚悟が強いからね」

 

「……………でも、お前は負けた」

 

「そうだね。だから、綱吉君の綺麗事は偽善なんかじゃなくて、正真正銘の善だったんだね。ただの綺麗事なら、そこまでの力なんて無い。でも、君の綺麗事には力があった。だからこそ、僕は負けた」

 

白蘭は淡々とそう言った。

 

「もし、綱吉君があの時の行いを間違いだと思ったなら、次から気をつけたらいいさ。綺麗事を力にすることができる君なら大丈夫さ。幸い、あの時、10年後の僕がやられたことで全てがリセットされたからね」

 

白蘭はツナに向かって、そう言った。

 

「白蘭………。…………うん、そうだね。俺は周りから綺麗事だと馬鹿にされても、それを貫き通すよ!!!」

 

そう言ったツナの目は覚悟に満ちていた。

 

 

 

 

そして、その時と同じ目をして、ツナはロヴィーノを見た。

 

「俺は綺麗事を貫く!!!!それが険しき道だろうと関係無い!!!!綺麗事を貫き通した先にあるものを俺は掴む!!!!」

 

「!!!?」

 

ツナの言葉に輝夜は目を見開いて、驚いた。それは、昔、聖輝と明夜が言っていたことと似ていたからだ。それを余所にロヴィーノはツナをじっと見ていた。

 

「クックックッ。かなり無茶苦茶なことを言っているね。だが、面白い!!!!貴様の覚悟がどんなものか見てみようじゃないか!!!!」

 

「望むところだ!!!!」

 

今、《光天》と《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》の2人がぶつかる。



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死ぬ気と小言と覚悟

更新が遅れて、すみません。………それと、ロヴィーノの二人称を「貴様」に変更しました。


ロヴィーノに啖呵を切ったツナはじっとロヴィーノを見据えていた。そして…………

 

「行くぞ!!!!ロヴィーノ!!!!」

 

ツナはそう言って、グローブから炎を噴射して、ロヴィーノに向かった。

 

「ハァーーーーッ!!!!」

 

その勢いを利用して、ツナはロヴィーノに殴りかかった。

 

「クックックッ。その程度の攻撃なんて効かないよ」

 

しかし、ロヴィーノはツナの攻撃を片手で掴んで、あっさりと防いだ。

 

「ぐっ…………!!?」

 

ツナは悔しそうに顔を歪めた。

 

「今度はこちらの番だよ」

 

ロヴィーノはそう言って、ツナの手を掴んでいる手とは反対の手でツナに殴りかかった。

 

「ぐっ!!!?《X(イクス)フォーク》!!!!」

 

それに対して、ツナは空いている手に《光天》の炎を纏わせて、自分の手を掴んでいるロヴィーノの腕を狙って突きを入れた。

 

ドカンッ!!!!

 

ツナの突きはツナの手を掴んでいるほうのロヴィーノの腕に直撃した。腕にも白き炎が纏っていたためにたいしたダメージは無かったが衝撃によって、ロヴィーノも腕は弾かれて、ロヴィーノの拳の軌道上に入った。

 

「ッ!!!?…………なかなかやるね」

 

自分の腕が邪魔でツナに攻撃することができなかったロヴィーノはツナにそう言った。

 

 

 

 

「今のうちにここから退避しようか」

 

ツナとロヴィーノが戦っている頃、バミューダが輝夜と明聖の2人にそう提案した。

 

「………あぁ。そうだな…………」

 

「大丈夫かな………綱吉さん………」

 

バミューダの言葉に輝夜は同意して、明聖はツナのことを心配した。

 

「僕たちがここでいくら心配しても、何も変わらないよ。僕たちにできることは彼を信じることだけだよ」

 

「バミューダの言うとおりだ………。俺たちはとりあえず…………、あいつの邪魔にならないところに移動するのが先だ…………」

 

「……………うん。わかった」

 

バミューダと輝夜の言葉に明聖は頷いて、3人はリボーンたちのところにバミューダのショートワープで移動した。

 

シュンッ!!!!

 

「………来たか」

 

輝夜たちがショートワープしてきたのを見て、リボーンが呟いた。

 

「傷は大丈夫なのか?」

 

「あぁ………。とりあえずはな………」

 

輝夜はその場に座り込んで、リボーンの質問を返した。

 

「それよりも…………、沢田綱吉のほうはどうなんだ………?」

 

「見たほうが早い」

 

輝夜の問いにリボーンは素っ気なく返して、仕方なく、輝夜たちは戦場のほうを見た。

 

 

 

 

ガキンッ!!!!ガキンッ!!!!

 

ロヴィーノが触手を8本ずつ使って作り出したうえに白き炎が纏っている剣2本の攻撃はグローブの甲で受け止めた。

 

「ほう………。受け止めたか。ならば!!!!」

 

「ッ!!!?」

 

ロヴィーノは力尽くで2本の剣を押し出した。神と人間の離れすぎている力の差により、ツナは力負けして、地面へと飛ばされた。

 

「くっ!!!!」

 

だが、ツナは体勢を変えて、グローブから炎を噴射して勢いを殺し、地面への衝突を免れた。

 

シュンッ!!!!

 

「!!!?」

 

しかし、勢いを殺した瞬間にロヴィーノがツナの目の前にショートワープしてきた。

 

「ふっ………。ハッ!!!!」

 

そして、そのまま、ロヴィーノは2本の剣をツナに向けて、突き出した。

 

「ぐっ!!!?」

 

ガキキンッ!!!!

 

ツナは咄嗟に再び、グローブで防御したが………

 

ドンッ!!!!

 

「わっ!!!?」

 

今度はあっさりと吹き飛ばされた。吹き飛ばされたツナはそのまま、岩山の壁近くまで飛ばされた。

 

「クックックッ」

 

ロヴィーノは笑うと2本の剣を合わせた。

 

グニャッ………グニャグニャッ!!!!

 

すると、2本の剣は形を変えて、1本の槍に変わった。見た目はシンプルで特殊な装飾は無かったが16本の触手を使っているのか、とんでもないオーラを感じられた。しかも、その槍には白き炎が纏っていた。すると、ロヴィーノはその槍を持って振りかぶった。

 

「《破滅の神槍(ロヴィーノズ・グングニル)》!!!!」

 

そう言うと、ロヴィーノは白き炎が纏った自分の槍を投擲した。その槍は物凄いスピードでツナに向かった。

 

「ッ!!!?」

 

ツナはそれを見て、慌ててかわそうとした。

 

「くっ………!!!?」

 

ツナは何とか、ぎりぎりでかわすことができた。しかし…………

 

ドカーーーーーーーーンッ!!!!

 

『なっ!!!?』

 

ツナや岩山の上にいた輝夜たちは驚いた。なぜなら、ロヴィーノの槍はそのまま、ツナの後ろにあった壁に当たったのだが、その壁は巨大な風穴ができていた。ロヴィーノの槍は壁を抉った後はそのまま、遥か彼方の空へと飛んでいった。

 

「………ハァッ………ハァッ…………ハァッ…………」

 

ツナは荒く、息をつきながら、自分の服を見た。ツナの服は直撃しなかったとはいえ、その時の余波で一部分が破れていた。

 

 

 

 

「おいおい………。マジかよ…………」

 

誰かがポツリとそう言った。その言葉は全員が思っていた。

 

「これ………大丈夫なのか………?」

 

またもや、誰かがポツリと言ったが、この言葉に返す者はいなかった。改めて感じるロヴィーノの脅威。それに全員、言葉が出なかったのだ。

 

「………………」

 

そんな中、リボーンは何も言わずに戦いをじっと見ていた。

 

 

 

 

「まだまだ、行くよ。今度は趣向を変えて、殴り殺してみようかな?」

 

ロヴィーノはそう言うと、再び、背中から16本の触手を出した。しかし、触手の先は今までのように鋭く尖っていてなくて、まるで鈍器のような形だった。

 

「これをかわせるかな?」

 

そう言うと、ロヴィーノは上空から白き炎を纏わせた触手をガトリング銃のような速さでツナに向かって、殴りかかった。

 

「ッ!!!?」

 

ツナは急いで、炎を噴射して、かわした。

 

「逃がさないよ」

 

ロヴィーノはそう言って、触手の攻撃を続けて、ツナに追撃をした。

 

ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!

 

ロヴィーノの攻撃は見事に地面を陥没させていた。ツナは超直感をフルに使って、何とかかわしていたがロヴィーノがツナを上に逃がさないように攻撃していたために、防戦一方だった。

 

(何とかして………、この状況を脱して、あいつに攻撃しなくては………)

 

ツナはそう考えていたが現実は残酷で、ツナは上空に逃げることができず、ロヴィーノはそんなこと構わずに攻撃を続けた。そして…………

 

「ッ!!!?」

 

「クックックッ。残念だったね。私の攻撃をかわすのに精一杯だったのかね?」

 

ツナは壁に追い込まれて、逃げ場を失った。ロヴィーノがそうなるように誘導したのだ。そして、そのまま…………

 

ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!

 

「ガハッ!!!?ぐっ!!!?ゴホッ!!!?」

 

ツナに連続で触手で殴り続けた。

 

「ツナ!!!?」

 

「おいおい………、大丈夫なのかよ………」

 

岩山の上にいるメンバーはツナを心配そうに見ていた。しかし、彼らにはどうすることもできなかった。

 

「グハッ!!!?ぐっ!!!?くっ!!!?…………《X(イクス)カノン》!!!!」

 

「ッ!!!?」

 

ツナは殴られながらも、ロヴィーノに向けて、グローブから炎の弾丸を放った。ロヴィーノは急に飛んできた炎の弾丸に驚いて、ショートワープを使ってかわした。攻撃を当てることはできなかったが、ロヴィーノの攻撃を止めさせることができた。

 

「………ガハッ!!?…………ハァッ…………ハァッ…………ハァッ………」

 

ツナは今の攻撃を受けたにもかかわらず、フラフラになりながらも立ち上がった。

 

「へぇ……。あれを受けて、まだ立ち上がるんだ。(まぁ、私の攻撃を受ける前に炎の壁を作っていたみたいだけどね)」

 

ロヴィーノはそれを見て、感心しながら、そう思った。ロヴィーノが考えている通り、ツナはロヴィーノの攻撃を受ける前に自分の体を包むように炎の壁を張ったのだ。それに加えて、《光天》の奇跡の治癒力と並行して使うことで、攻撃をくらってしまったが、それが致命傷になることはなかった。

 

(だけど、それでも、全身に骨折を負ったか。………まぁ、それも《大地》の炎でコーティングして、補強しているみたいだな)

 

ロヴィーノはツナの体を観察して、こう思った。おそらく、ツナはまだ戦えるだろう………と。

 

「クックックッ。たいした根性だね。そこまで、ボロボロになりながらも立ち上がるとはね」

 

「ハァッ………ハァッ………。…………お前を倒すことできるのは、俺だけだからな………。俺しか世界を救うことができないんだ………」

 

ロヴィーノの言葉に対して、ツナは息を荒くつきながらもそう返した。

 

「クックックッ。確かにその通りだ。それなら、戦いを再開しようではないか!!!!」

 

「あぁ!!!!」

 

ロヴィーノとツナがそれぞれ、そう言うと、戦いを再開しようとした。

 

 

 

 

…………………そんなときだった。

 

 

 

 

 

「ツナ!!!!」

 

「!!!?」

 

「?」

 

岩山の上からリボーンがツナの名前を叫んだ。それを聞いて、ツナは動きを止めた。ロヴィーノも同様に動きを止めて、訝しげにリボーンを見た。

 

「下を見やがれ!!!!」

 

「下?」

 

リボーンに言われて、ツナは下を向くと…………

 

「《CHAOS SHOT》」

 

リボーンがそう呟いた。すると……………

 

ボコッ、ボコッ

 

地面が2カ所、膨れあがり…………

 

ドンッ!!!!ドンッ!!!!

 

そこから、赤い弾丸と銀色の弾丸が出てきた。そして、2発の弾丸はそのまま…………

 

ズガガンッ!!!!

 

「!!!?」

 

ツナの額を撃ち抜いた。額を撃ち抜かれたツナはそのまま、後ろにドサッと倒れた。

 

『なっ!!!?』

 

これを見た、リボーン以外の岩山の上にいるメンバーたちは驚愕した。

 

「リボーンさん!!!!何をやっているっすか!!!?」

 

それを見て、真っ先に獄寺がリボーンに叫んだ。いつの間に、銃弾を撃っていたのか、わからなかったが、とりあえず、訊きたいことはそこではなかった。他のメンバーもリボーンにどういうつもりだという目をしていた。それに対して、リボーンは答えた。

 

「……………今のツナには焦りがあった。そんな状態じゃ、ロヴィーノに勝つことなんかできねぇ…………。だから、落ち着かせるために…………それと思い出させるためにな」

 

「思い出させるために…………?」

 

リボーンの言葉に獄寺たちは首を傾げた。

 

「………………」

 

その中で輝夜は横目でリボーンの足元にあるものを見た。そこには今撃った弾丸のものと思われる2つの薬莢が転がっていた。その薬莢には2つとも、真ん中辺りに炎のマークが入っていた。

 

「………………だとしても、かなり物騒なやり方だな」

 

「ふん………。それが俺の教育だぞ」

 

輝夜の言葉にリボーンはそう返した。

 

「……………(今のは死ぬ気弾と小言弾だよな?)」

 

一方、ロヴィーノも今のツナを撃ち抜いた弾丸が何か見えていた。それはツナを《死ぬ気モード》、もしくは《死ぬ気の到達点》にさせるための死ぬ気弾と《(ハイパー)死ぬ気モード》にさせるための小言弾だった。しかし、ロヴィーノはなぜそれらが撃たれたのか、よくわかっていなかった。

 

(死ぬ気弾だけなら、《死ぬ気の到達点》のためにとわかるが、それと一緒に小言弾を使った理由がわからない)

 

それが、ロヴィーノの疑問だった。《死ぬ気の到達点》のためだけならば、死ぬ気弾だけで十分なのに、わざわざ、特殊弾を2発も撃つ理由がわからなかったのだ。

 

「………まぁ、いいか。どちらにしろ、生きているんだ。それならば、ここで倒せればいい話だからね!!!!」

 

そう言うと、ロヴィーノは再び、16本の触手を切り落として、先程と同じ槍を作り出した。

 

シュンッ!!!!

 

すると、次に倒れているツナの真上にショートワープしてきた。

 

「串刺しになりな!!!!」

 

そして、ロヴィーノがそう言うと、ツナに向かって、槍を突き出した。

 

ドカンッ!!!!

 

「!!!?」

 

しかし、ロヴィーノが突き出した槍はツナに当たることはなかった。当たる直前にツナはその場から瞬間移動並の速さで移動して、回避したのだ。ロヴィーノから少し離れた場所にツナは立っていた。

 

 

 

 

時は少し遡る………

 

 

 

 

リボーンの特殊弾に撃たれたツナは思考の海に入っていた。今のツナは《(ハイパー)死ぬ気モード》も解けていた。

 

(ここは………?そうか…………。俺はリボーンに撃たれたんだ…………)

 

ツナはそこで自分の身に何が起きたのか思い出した。

 

(この感覚………まるで、あの時みたいだ…………)

 

ツナは今の自分の感覚が虹の代理戦争での呪解したバミューダとの戦いで細身の長身の男(呪解したリボーン)に死ぬ気弾を撃たれたときのものと酷似していると思った。

 

(…………あれ?声が…………聞こえる………?)

 

すると、ツナの耳に誰かの声が聞こえた。

 

『立ち上がるんだ!!!!』

 

『がんばれ!!!!』

 

『負けないで!!!!』

 

それは、老若男女、様々な人々の応援だった。ツナはなぜ、『そんなものが聞こえてくるんだ?』や『誰に向けての応援なのだ?』と思った。しかし、後者の疑問はすぐに解決した。

 

『しっかりしろ!!!!()()!!!!』

 

『あんたがやらなきゃ、誰がやるのよ!!!!』

 

『この世界を何とかするのはもうお前だけなんだぞ!!!!』

 

(……………え?)

 

それは自分に向けてのものだった。そんなツナの脳裏には必死に空中に浮かんでいる画面に向かって、声をかけているたくさんの人々の姿だった。その中にはツナが見知っている者たちもいた。先程のツナに向けての言葉はツナと同じ並中生のものだった。

 

(………これ………皆の……?……あぁ………あの時と同じ…………)

 

ツナはふと、骸との戦いで初めて、《(ハイパー)死ぬ気モード》になったことを思い出した。小言弾は被弾者への小言がリアルタイムに聞こえるものだった。それによって、被弾者は自分の秘めたる意思に気づかせて、内側のリミッターを外すことができる。そして、ツナの知っている人物の中でも特に交流があった知り合いの声が聞こえた。

 

『ツナ君…………がんばって…………』

 

『ツナさん…………無事に戻って来てください………』

 

『沢田!!!!何しているのよ!!!!しっかりしなさい!!!!』

 

京子にハル、花………。

 

『沢田ちゃん!!!!がんばれ!!!!』

 

『もう、お前しかいねぇんだ………。ボンゴレ坊主…………』

 

ロンシャンにシャマル…………。

 

『ツッ君…………』

 

『ツナさん…………』

 

『ツナ兄…………』

 

『ツナ………お願い…………』

 

奈々にイーピン、フゥ太、ビアンキ…………。

 

『ツナ………頼む!!!!』

 

『綱吉君…………』

 

家光に9代目…………。

 

『綱吉君……。お願い………』

 

『ボンゴレ………』

 

『10代目…………』

 

入江にスパナ、ジャンニーニ………。

 

『10代目!!!!』

 

『ツナ!!!!』

 

『沢田ーーーー!!!!極限に踏ん張れーーーー!!!!』

 

『ツナーーーー!!!!立つもんねーーーー!!!!』

 

『何しているの?とっとと、あいつを咬み殺しなよ。小動物』

 

『クフフ。君はこんなところで倒れる人間ではないでしょう?』

 

『ボス…………』

 

守護者たち…………。

 

『がんばれ!!!!ツナ!!!!』

 

『しっかりしてください!!!!沢田殿!!!!』

 

『早く立つぴょん!!!!』

 

『とっとと、終わらせてよ…………』

 

『早くしなさいよ!!!!』

 

『早くしないとミーたちが危ないで~す………』

 

『貴様ならいける!!!!』

 

ディーノやバジル、黒曜のメンバー…………。

 

『ドカスが!!!!』

 

『ゔぉおおおおい!!!!いつまで、寝ていやがるんだあぁぁぁぁーーーー!!!!』

 

『シシッ。王子、キレるよ?』

 

『ボスの期待に答えろ!!!!』

 

『早くしないとお金取るよ?』

 

『がんばって~~~』

 

ヴァリアー…………。

 

『綱吉君、がんばりなよ』

 

『沢田さん………。お願いします…………』

 

『頼む!!!!ボンゴレ!!!!』

 

『ハハン。我々にはあなたしかいないのです』

 

『にゅにゅ~~………。しっかりしてよ!!!!』

 

『早く、あんな奴倒しやがれ!!!!バーロー!!!!』

 

『僕チンたち、応援するから………』

 

『強き者よ………』

 

『白蘭様とユニ様の期待に答えて見せろ』

 

ミルフィオーレ…………。

 

『ツナ君!!!!がんばって!!!!』

 

『しっかり、しなさい!!!!』

 

『結局、お前しかいないんだ!!!!』

 

『…………頼む』

 

『ファイト!!!!』

 

『がんばれ!!!!』

 

『俺チンたちにできることはないしね』

 

シモン…………。

 

『しっかり、しやがれ、コラ!!!!』

 

『立つんだ!!!!沢田!!!!』

 

『早く立ち上がれーーーー!!!!』

 

『あなたはここで倒れるような人物ではありません』

 

『フン。貴様がここで倒れたら、地球の滅亡を防ぐ確率が0%になるんだよ』

 

『君は僕を倒した人間なんだから、こんなところで倒れてもらっちゃ困るよ』

 

バミューダを含めた元アルコバレーノ…………。

 

『私たちの後始末をやらせているみたいで申し訳ないがもう君しか頼れる人物はいないんだ。頼む』

 

チェッカーフェイス…………。

 

他にも見知った顔の人たちが自分に向かって言葉をかけていた。そして…………

 

『お願い!!!!がんばって、綱吉さん!!!!』

 

明聖……………。

 

『お前も大切なものを守るために死ぬ気になるんだろ?それならば、今がその時だろ』

 

輝夜……………。

 

『いつまで寝ていやがるんだ。とっとと、起きろ。ダメツナ』

 

リボーン……………。

 

(……………って、撃ったのお前だろ!!!!他の皆も応援に混じって、罵倒が入っているし…………。…………でも、そうだね。こんなところで寝ている訳にはいかないんだ。俺は皆がいるこの世界を守りたいんだ。ただ、平和な生活を送りたかっただけなんだ………。…………でも、俺はそんな大層な人間じゃない)

 

ツナはリボーンたちに内心ツッコミを入れながら、思い出したように呟いた。リングに炎を灯す訓練でリボーンはツナに言った。ツナはヒーローに向いていない男だと。

 

(俺が死ぬ気で戦う理由はただ1つ………)

 

そんなツナがリングに炎を灯すきっかけは『仲間を守るため』だった。今のツナは自分にしかロヴィーノを倒すことができないというプレッシャー、それにより焦ってしまい、自分の本来の死ぬ気の根源を見失ってしまったのだ。

 

(でも…………もう大丈夫………。俺はちゃんと、俺自身本来の覚悟でロヴィーノと戦う!!!!)

 

ボウッ!!!!

 

そう思ったツナの額に《光天》と《大地》の炎が灯って《(ハイパー)死ぬ気モード》になった。

 

(…………でも、応援されるのは少し嬉しかったな………)

 

ツナはダメツナと呼ばれていた自分が応援されることに苦笑しながら、嬉しく思っていた。

 

(………さて、行くか!!!!)

 

そして、ツナは意識を現実に戻した。

 

 

 

 

ロヴィーノは目の前にいるツナを見て、考え事をしていた。

 

(…………今、どうやって、かわしたのだ?《光天》の炎の推進力は凄まじいが私の攻撃をぎりぎりでかわせるものではない……………。ならば、《死ぬ気の到達点》か?だが、それでも、かわせるとは思えない…………。残る可能性は…………まさか!!!?)

 

何かわかったのか、ロヴィーノはツナに尋ねた。

 

「貴様…………まさか、ダークネスと同じように《死ぬ気の到達点》の炎を体に馴染ませたのか?」

 

ロヴィーノの問いにツナは頷いた。

 

「死ぬ気弾で外側からの、小言弾で内側からのリミッターを同時に外して、瞬間的に《死ぬ気の到達点》の炎を出した。そして、その時に俺の《光天》の調和と融合で体に馴染ませた」

 

ツナはロヴィーノにそう説明した。

 

「ダークネスでも、それを完成させるのに時間がかかったのに、それを短時間で…………」

 

ロヴィーノは珍しく、驚いた表情でそう言った。そんなロヴィーノにツナは言った。

 

「俺は死ぬ気弾と小言弾の両方を受けて、大事なことを思い出した」

 

「大事なことだと………?」

 

ロヴィーノはすぐに表情を元に戻して、余裕綽々にツナに訊いた。

 

「あぁ。小言弾で皆の小言を聞いて、俺は皆が大事だということを思い出した。そして、死ぬ気弾で俺は皆を守らなくちゃ、死んでも死にきれない!!!!そう思っただけだ」

 

ツナはそれに対して、ロヴィーノにはっきりと言った。

 

「皆を守らなくちゃ、死んでも死にきれない………ね………」

 

ロヴィーノはそう呟いて、岩山の上にいる輝夜たちのほうに視線を移した。

 

『…………………』

 

輝夜たちの目はツナを信頼しきっている目をしていた。それを見て、ロヴィーノは視線をツナに戻した。

 

「…………それで?貴様は私を死ぬ気で倒すともう何度も聞いた言葉を言うのかい?」

 

ロヴィーノは少々、小馬鹿にした態度でツナに尋ねた。

 

「あぁ!!!!俺は何度でも言う!!!!俺はお前を死ぬ気で倒す!!!!」

 

それに対して、ツナは覚悟に満ちた目ではっきりと言った。

 

………………その時だった。

 

ピカーーーーーーーッ!!!!!

 

『!!!!?』

 

「なんだ!!!?」

 

VG(ボンゴレギア)が!!!?」

 

ロヴィーノもツナも今、急な出来事に驚いた。急にツナのVG(ボンゴレギア)が光り始めたのだ。……………いや、ツナのVG(ボンゴレギア)だけではない。

 

「俺たちのVG(ボンゴレギア)も光り出したぞ!!!?」

 

「僕たちのマーレリングも!!!?」

 

「おしゃぶりもです!!!?」

 

(トゥリニセッテ)が光っているのか、コラ!!!?」

 

「いや!!!!(トゥリニセッテ)だけじゃない!!!!」

 

「ヴァリアーリングも光っているぜぇぇぇぇーーーー!!!!?」

 

「シモンリングもよ!!!!」

 

「ヘルリングもで~す!!!?」

 

「パパ!!!!私たちのリングも!!!?」

 

「あぁ………」

 

「俺たちの普通のリングもか!!!?」

 

なんと、この場にいる全員の(トゥリニセッテ)やリングが光っていたのだ。今、何が起きているのか、神にも予想がつかない。




今回、ほぼ、全員分のセリフを考えるのに手間取りました…………。自分の語彙力の無さが恨めしいです…………。


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(リアル)(トゥリニセッテ)リング》

1週間以上も更新が遅れてすみません。次からはもう少し早く投降できるようにがんばります。


(トゥリニセッテ)やリングが急に光り出したことで、その場にいた全員が驚いて、戸惑っていた。

 

「リ、リングが急に…………!!!?」

 

「な、何が起こっている…………!!!?」

 

それはツナとロヴィーノも例外ではなかった。全員が混乱していると…………

 

ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!ボウッ!!!!

 

『!!!?』

 

急に(トゥリニセッテ)やリングからそれぞれの炎が激しく燃え始めたのだ。

 

「リングから炎が勝手に!!!?」

 

「おしゃぶりもだぞ、コラ!!!?」

 

しかも、これは全員、意図して行ったものではないようだ。勝手に死ぬ気の炎が灯りだしたのだ。そして、次の瞬間……………

 

ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!

 

『!!!?』

 

ツナを除く(トゥリニセッテ)やリングを持っているものたちが灯していた炎がツナに向けて、飛んでいった。そして、それらの炎はツナのVG(ボンゴレギア)に集まって、さらに激しく燃え始めた。VG(ボンゴレギア)に燃え盛る炎は17属性、全ての炎の色が見えた。

 

「…………チェッカーフェイス。何が起きているんだ?」

 

「………残念だけど私にもわからないよ」

 

誰もが、今起きている現象を理解できていない中でふと、輝夜が自分の近くにいる人間で、このことに関して、最も詳しいであろうチェッカーフェイスに尋ねたがチェッカーフェイスは首を横に振った。長いこと(トゥリニセッテ)を見守ってきたチェッカーフェイスにも今の現象がわからないみたいだ。

 

『それならば、俺が教えよう』

 

すると、ツナのVG(ボンゴレギア)から人の声がした。そして、それと同時にツナのすぐ側で人1人分の大きさがある《大空》の炎が灯り出した。

 

「この声は…………」

 

ツナは呆然としながら、聞き覚えのある声だと思い、そう呟いた。そして、炎はやがて、人の形となって姿を現した。

 

「………初代ボンゴレボス…………ジョット…………」

 

ロヴィーノはその人物を見て、そう呟いた。その人物の正体はジョットだった。

 

「あいつがボンゴレⅠ世(プリーモ)のジョットか………」

 

「綱吉さんにそっくり…………!!!?」

 

輝夜と明聖は初めて見るジョットに驚いていた。

 

「初代!!!!どうして、ここに!!!?」

 

ツナは突然出てきたジョットに声をかけた。そのジョットはツナのほうに向いて、言った。

 

『この戦いにもいよいよ佳境を迎えたからな………。Ⅹ世(デーチモ)が勝ってもらうために、先程も言ったが、今、起きている現象に説明するために出てきた』

 

「説明する………?元ボンゴレリングの適合者とはいえ、邪神の私や生粋の地球人であるチェッカーフェイスでも知らないことをそのどちらの存在でもない貴様がか?」

 

ジョットの言葉を聞いて、ロヴィーノは訝しげに見ながら、そう言った。

 

『長いこと、(トゥリニセッテ)の中にいたら、嫌でもわかるさ』

 

ジョットはロヴィーノの言葉に対して、苦笑しながら、そう言った。そして、そのすぐ後に顔を引き締めて、説明を始めた。

 

『今、起きている現象はこの世界中の人間、特にⅩ世(デーチモ)ユニ(セピラの子孫)白蘭(マーレの小僧)(トゥリニセッテ)の《大空》を司る3人の覚悟が1つになったことで起きたものだ』

 

「私たちの覚悟が…………」

 

「1つに…………」

 

ジョットの説明にユニと白蘭がそれぞれそう言った。

 

『この現象が起こると、この世界中の生物たちの死ぬ気の炎がⅩ世(デーチモ)に供給される』

 

「それが、さっき、沢田綱吉に向かって飛んだ炎か………」

 

「確かに、この炎から皆の想いを感じる…………」

 

ジョットの説明に今度はロヴィーノがさっきのことを思い出して、ツナが自分のVG(ボンゴレギア)に集まる炎を見て、そう呟いた。

 

『もちろん、供給した者の体調に不備はない。しかも、ボンゴレリングの縦の時空軸の奇跡により過去と未来の世界から、マーレリングの横の時空軸の奇跡により平行世界(パラレルワールド)の世界からの生物の炎も供給される』

 

「「「「それ、もういろいろと反則じゃねぇか!!!!」」」」

 

ジョットの言葉にツッコミを担当する者たちが叫んだ。ジョットの説明によると、ボンゴレリングとマーレリングの力により、ツナは無数の世界の炎を共有することができるみたいだ。10年後の未来で白蘭が平行世界(パラレルワールド)の自分であるGHOSTと炎を共有したのと同じ原理である。

 

ボウゥ………ボウウウウウゥゥゥゥッ!!!!

 

「うわっ!!!?」

 

『10代目/沢田(殿/さん)/ボス/ボンゴレ/綱吉(君/さん)/ツナ(君)!!!?』

 

すると、VG(ボンゴレギア)に灯っていた炎が急に広がり、ツナを包んだ。それを見て、岩山の上にいるメンバーたちの心配になって、叫んだ。しかし、ジョットはそれを落ち着かせるように言った。

 

『大丈夫だ。今、起きている現象がⅩ世(デーチモ)自身にも影響を与えているだけだ。害は無いし、直に治まる』

 

ジョットに言われて、とりあえず皆は落ち着いた。すると、ツナの先程のような叫び声は聞こえなくなって、それと同時に、ツナを包んでいる炎の色がだんだんと白くなり始めた。ジョットの言うとおり、ツナに影響を与えているようだ。そして、ツナを包んでいる炎が完全な純白の炎に染まったとき………………

 

パンッ!!!!

 

炎が弾け飛んだ。

 

「…………………」

 

そこにはツナがじっと佇んでいた。今のツナの姿はX(イクス)グローブが赤から純白に変わり、そのグローブと色と材質が同じブーツを履いていて、同じく純白の色の外套を羽織っていた。さらにツナの右目は《光》の炎を表す金色、左目は《闇》の炎を表す漆黒の色のオッドアイになっていた。そして、ツナの額の炎はロヴィーノのよりもさらに澄んだ純白の色をしていた。その姿は威風堂々していて、輝夜との戦いのときに現れた10年後のツナに勝るとも劣らぬ姿だった。

 

『……………………』

 

「私以外に………白き炎を使えるようになっただと………!!!?」

 

その場にいた全員が今のツナの姿を見て、言葉が出なかった。今のツナからは圧倒的な威圧感を感じるのと同時に、絶対的な安心感を感じた。ロヴィーノは自分と同じ白き炎を使えるようになったことに驚いていた。その様子を見て、ジョットはふっと笑いながら、言い続けた。

 

『そして、それが(トゥリニセッテ)の真の力を象徴して、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》が使っていた《(トゥリニセッテ)リング》を遥かに越えるリング』

 

ジョットの言葉と同時に、ツナのVG(ボンゴレギア)も姿を現した。今のリングの形態は《ボンゴレギア 大空のリングVer.X(イクス)》をベースにして、石の輪郭はアルコバレーノのおしゃぶりの形をしていて、そのおしゃぶりに乗るように、ナッツがいて、おしゃぶりの横側から《大空》のマーレリングと同じ翼が生えていた。石は虹色に輝いていて、一緒に合体していたシモンリングは形は特に変化は無かったが、石の色が大地の七属性の色が混ざりあった色して、輝いていた。そして、ジョットはそのリングの名称を言った。

 

『《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》』

 

ジョットの言葉を聞いて、ツナは右手を自分の胸元まで上げた。

 

「《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》……………」

 

ツナは《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》を見ながら、そう呟いた。そのリングからも凄まじい力を感じた。すると、ツナの肩にジョットが手を置いた。そして、未来での白蘭との最終決戦のようにツナの耳元に言葉をかけた。

 

『さぁ、Ⅹ世(デーチモ)。あとはお前の好きなようにロヴィーノを仕留めてみろ』

 

そう言うと、ジョットはふっと消えたのだった。

 

「クックックッ…………ハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

すると、急にロヴィーノが笑い出した。ツナは急に笑い出したロヴィーノのほうに顔を向けて、話しかけた。

 

「何がおかしい?」

 

「ハハハハハハハハハハハッ…………『何がおかしい?』かだって?そんなもの、それで貴様がパワーアップしたと思い込んでいることに決まっているだろ!!!!」

 

ロヴィーノは笑いながら、そう言った。ロヴィーノの言葉に周りのメンバーは動揺していた。

 

「何だと…………?…………まさか………あれで、パワーアップしていないというのか………?」

 

「そ、そんな訳ねぇだろ!!!!見ろよ、10代目のあの威圧感!!!!あれでパワーアップしていない訳ねぇ!!!!」

 

γの呟きに獄寺が否定した。しかし、それをさらに否定するものがいた。

 

「…………いや、ロヴィーノの言うとおりかもしれない」

 

「パパ?」

 

輝夜だった。輝夜の言葉を聞いて、周りのメンバーはどういうことだと聞こうとしたが、その前にロヴィーノが言葉をかけてきて、遮られた。

 

「ダークネスはわかっているようだな。…………沢田綱吉、貴様のその白き炎。《光天》と《大地》以外にも波動を感じる。しかも、14種類。おそらく、先程の死ぬ気の炎の供給のときに貴様に新たなる炎の波動ができたのだろう」

 

「…………………」

 

それはつまり、ツナが《光天》と《大地》以外にも全属性の炎を使えることになったということだ。それだけ聞けば、やはりパワーアップしているように聞こえた。

 

「当然、《闇》の炎もな?」

 

『!!!?』

 

「「…………………」」

 

ロヴィーノはそう言って、その意味に気づいた全員が言葉が詰まった。それに対して、ツナと輝夜は言葉を発さずに黙っていた。ただ、ツナは顔色を1つ変えず、輝夜は苦虫を噛み潰したような顔をしていたが…………。

 

「おそらく、先程の供給のときにダークネスの《闇夜》も供給されて、その時に《闇》の波動も手に入れたのだろう。……………しかし、私は言った筈だよね?《光》と《闇》の炎の2つを持っていると弱体化するって。それで、現にダークネスは弱くなった。確かに凄まじい威圧感な上に白き炎に至ったことには驚いたが……………、《光》と《闇》の2つを同時に持っているならば、本末転倒ではないか!!!!これは、おかしくてたまらない!!!!ハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

ロヴィーノはそう言うと、再び笑い始めた。輝夜はこれがわかっていたから、苦虫を噛み潰したような顔をしていたのだ。他の皆も今の状況が大して変わっていないことを察して、焦っていた。そんな中、当事者であるツナは相変わらず顔色を変えずにロヴィーノに声をかけた。

 

「………ロヴィーノ。言いたいことはそれだけか?」

 

「ハハハハッ………何?」

 

ツナの言葉にロヴィーノは笑うのを止めて、訝しげにツナを見た。すると……………

 

シュンッ!!!!

 

ドガッ!!!!

 

「消え――――――ガハッ!!!?」

 

ツナがその場から一瞬、姿を消したと思ったら、いつの間にか、ロヴィーノの左頬を純白の炎を纏った白いX(イクス)グローブで殴って、飛ばした。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

殴り飛ばされたロヴィーノは槍を持ったまま、向こう側の岩山までもの凄い勢いで飛ばされて、そこに激突した。それに伴って、粉塵も大きく舞い上がった。

 

「…………これでも、同じことが言えるか?」

 

ツナは拳を突き出したまま静かに、しかし、堂々とロヴィーノに言った。純白の外套はツナの存在を大きく示すように風に翻っていた。



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光と闇の奇跡

ツナは《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》の力で姿形が変わったがロヴィーノの理論にそこまでパワーアップしていないと思われたが、次の瞬間、ツナはロヴィーノでも視認できないほどの速さで移動して、ロヴィーノを岩山まで殴り飛ばしたのだった。

 

「嘘!!!?何、今の!!!?」

 

「ロヴィーノでも目に見えない程の速さで移動したのだろうけど…………、そんなことが可能なのか?」

 

「…………おそらく《光》の力で強化された《大空》の推進力による急激な初速度に加えて、《闇》の力で強化された何重ものの《夜》のワープホールを通り抜けたことで急加速をした。つまり、《光天》と《闇夜》の力を同時使用で今のようなスピードに至ったのだろうだが…………」

 

明聖、バミューダ、輝夜がそれぞれ、そう言って、驚いていた。他のメンバーもロヴィーノをこうもあっさりとぶっ飛ばしたことに驚いていた。しかし、皆の脳裏にはある疑問が浮かんでいた。

 

ガララッ………

 

すると、ロヴィーノが瓦礫をどかしながら立ち上がって、ツナを睨み付けながら、話しかけた。

 

「……………どういうことだ?なぜ………《光》と《闇》の両方を持っているにもかかわらず………、それほどのパワーアップが起きているんだ!!!?」

 

ロヴィーノは動揺して納得できないと言わんばかりに叫んだ。今のツナのスピードはとても弱体化したものが出せるものではなかった。それはロヴィーノの理論を否定するものだったからだった。だから、どうしても、ロヴィーノや輝夜たちは気になってしかたがないのだ。

 

「…………俺は、ある日、リボーンと出会って、マフィアのボス候補になった」

 

「は?いきなり、何のつもりなのさ…………?」

 

急に話し出したツナにロヴィーノは訳がわからないと言わんばかりに顔をしかめた。

 

「俺はマフィアのボスになんてなりたくなかったが、俺は裏社会の世界というものを垣間見た」

 

「ふん!!!!だから、なんだ!!!?言っておくが、裏社会というものは貴様ような生まれたときから表社会で暮らしていて平和ボケした者が少し首を突っ込んだ程度でその残酷さがわかるものじゃない!!!!」

 

ロヴィーノは苛立ちながら、そう叫んだ。ロヴィーノとしてはパワーアップしている理由を早く知りたかったのだ。しかし、ツナは涼しい顔で話し続けた。

 

「そんなことはわかっている。俺もボンゴレの試練で自分がどれだけ甘かったことを察したのだからな」

 

そう言って、ツナは10年後でのボンゴレの試練について思い出した。抹殺、復讐、裏切り。それらにより悲しむ者、怒り憎む者、様々な人たちの嘆きというボンゴレの災いをツナは見た。その時のツナは『俺がボンゴレをぶっ壊す』と宣言して、ボンゴレの証を継承した。

 

「あの時の俺は確かにボンゴレの災いという闇を否定した」

 

「ならば!!!!なおさら、貴様がパワーアップしたことに矛盾が起きる!!!!」

 

ロヴィーノはますます納得できないと叫んだ。その叫びにツナはすぐに返答した。

 

「だが、俺は裏社会という闇に生きている者たちまで否定する気はない」

 

「……………は?」

 

ツナの言葉にロヴィーノは訳がわからないろ間抜けな声が出た。

 

「裏社会という闇の中で一生懸命に生きていた者たちがいることを俺は知っている。そいつらを俺は否定する気はないと言ったんだ」

 

ツナはロヴィーノにそう言った。そして、そのまま、ツナは話を続けた。

 

「………確かに、闇は一見すると、受け入れがたいものかもしれない。だが、先程も言った通り、裏社会という闇の中で生きてきたものたちがいる。その闇のおかげで俺は友や仲間ができた」

 

リボーンがツナの家庭教師(かてきょー)となったのをきっかけにツナは山本や了平、雲雀、クロームなどの表社会の人たちはもちろん、獄寺やランボ、ビアンキたち居候組、骸たち黒曜組、ヴァリアー、ミルフィオーレ、シモン、アルコバレーノなどの裏社会にすむ者たちとも仲間になることができた。

 

「…………つまり、何が言いたいのさ?」

 

「つまり、俺は光と闇の両方を受け入れたということだ!!!!」

 

ツナがそう言うと、ロヴィーノはやはり訳がわからないという反応をして、ツナに言葉を返した。

 

「貴様…………自分が無茶苦茶なことを言っているのがわかっているのか………?」

 

「だから、なんだ?たとえ俺の言っていることが理に適っていなくて、滅茶苦茶だったとしても、そんなことは関係ない!!!!俺は光と闇の両方を受け入れた!!!!だからこそ、互いに拒絶することもなく、パワーアップすることができたのだ!!!!端から闇だけを受け入れて、光を徹底的に拒絶するお前には絶対にわからないことだろうがな!!!!」

 

「ッ!!!?」

 

ツナの言葉に輝夜はまるで雷に撃たれたような感覚にハッとした。その後に輝夜は顔を俯かせた。

 

「…………ハハッ。………ハハハハハハハハハ!!!!」

 

「パ、パパ………?」

 

すると、次の瞬間、輝夜は顔に手を当てて、上を向きながら、口を開けて、笑い始めた。その姿は狂ったように笑うロヴィーノと似ていたことは置いておいて、明聖はそんな輝夜の様子に戸惑っていた。今まで、輝夜は滅多に笑うことは無く、たまに笑うとしても、微笑む程度だった。そんな輝夜が口を開けて笑う姿を明聖は初めて見たのだ。周りのメンバーも怪訝な様子で輝夜を見ていたが、輝夜はそんなことを気にせずに考え事をしていた。

 

(何だよ………。そりゃあ、弱くなるわけだ………。俺は()()()から光に負い目を感じて、避けていたんだからな…………)

 

輝夜は笑いながら、自嘲気味にそう思った。聖輝と明夜が死んだあの日から輝夜は2人に負い目を感じ、自分が持っている《光》の波動を無意識に拒絶していた。それにより、輝夜の中の《光》と《闇》が反発して、弱体化した。

 

「あそこで笑っているダークネスは放っておいて、そんなふざけた理由でパワーアップして、私に勝てると思っているのか!!!?」

 

ロヴィーノはツナを睨み付けながら、そう言った。そして、ツナもロヴィーノに言い返した。

 

「それなら、試してみろ」

 

「ふん!!!!望み通りにしてあげるさ!!!!」

 

ロヴィーノはそう言うと、持っていた槍に膨大な白き炎を纏わせた。そして、それを持って、振りかぶった。

 

「風穴空けて、破滅しろ!!!!《破滅の神槍(ロヴィーノズ・グングニル)》!!!!」

 

そう叫ぶと、ロヴィーノは白き炎が纏った自分の槍を再び投擲した。その槍は先程よりも物凄いスピードでツナに向かった。

 

「…………………」

 

それに対して、ツナは自分の身に纏っていた純白の外套を前に寄せて、盾のように構えた。

 

「馬鹿め!!!!《Ⅰ世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレプリーモ)》でもあるまいし、そんな布きれで防げるものか!!!!」

 

ロヴィーノはツナに向かって、そう言った。しかし、ツナはそんなことに構わず、自分に向かってくる槍を待ち構えていた。そして、槍がツナの外套に触れた、次の瞬間……………

 

ピキンッ!!!!

 

ロヴィーノが投げた槍が完全に凍ったのだ。

 

『なっ!!!?』

 

これには、ロヴィーノはもちろん、岩山の上にいたメンバー全員、驚愕した。今、ツナが行ったのは、簡単に言えば、《死ぬ気の零地点突破 初代(ファースト)エディション》の冷気を外套に纏わせていたのだ。それにより、槍が外套に触れた瞬間に凍り付いたのだ。通常の死ぬ気の炎でもツナの純白の炎はとてつもない+の値を示していた。それにより、それと同等の絶対値を持つ-が生まれることができたのだ。今のツナの外套はありとあらゆる攻撃をその冷気で芯まで凍らせて無効化することができる。

 

「ハッ!!!!」

 

パキンッ!!!!

 

ツナは外套を振るって、氷付けになった槍を粉々に粉砕した。

 

「次はこちらの番だ」

 

ツナはそう言うと、ロヴィーノに向かって、一直線に飛んだ。片手のグローブの掌には《大地》の重力で圧縮して、球状になった純白の炎があった。

 

「くっ!!!?」

 

ロヴィーノはそれを見て、咄嗟に背中から16本の触手を出して、それらで壁を作るように配置した。

 

「《超暴発 X(イクス)ボール》!!!!」

 

ツナは掌のあった球状の炎をロヴィーノに向けて、投げつけた。球状の炎はそのまま、ロヴィーノの触手の壁にぶつかって、防がれると思われた。しかし……………

 

ジュワッ!!!!

 

「なっ!!!?」

 

球状の炎はロヴィーノの触手を溶かして、通り抜けたのだ。そして、そのまま、ロヴィーノに向かって……………

 

ドカーーーーーーーーンッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

直撃した。炎の重力の枷が外れて、爆発が起きた。しかも、ロヴィーノは今の攻撃で相当なダメージを負ったのか苦しそうにしていた。

 

 

 

 

「効いているわよ!!!!」

 

「さすがは10代目!!!!」

 

「マジかよ!!!!バーロー!!!!」

 

「Wow!!!!」

 

「シシッ。《嵐》の分解と《沼》の発酵の力であの触手の壁を突破したのか」

 

「それだけではありません。あれには《憤怒の炎》も感じました。もう、これは、まさしく、ボンゴレ2代目の技と遜色ありませんね」

 

M・M、獄寺、ザクロ、SHITT・P!、ベル、風がそれぞれ、そう言った。

 

 

 

 

「くそっ!!!!」

 

ロヴィーノは痛みに耐えながら、すぐに目の前にいるツナに攻撃を仕掛けようとした。

 

「!!!?」

 

しかし、ロヴィーノの目の前にツナの姿はなかった。どこに行ったのかと辺りを見渡そうとした瞬間…………

 

シュンッ!!!!

 

ツナがロヴィーノの背後に回っていて、ロヴィーノの背中に向けて、右手の人差し指を突きつけられていた。

 

「ッ!!!?」

 

ロヴィーノがそれに気づいたが遅かった。

 

「《超突貫 X(イクス)ボウガン》!!!!」

 

ツナの人差し指から放たれた純白の炎の矢がロヴィーノを貫いた。

 

 

 

 

「ロヴィーノを貫いた!!!!」

 

「ゔぉおおおおい!!!!マジかぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「にゅにゅ~!!!!」

 

「やったぞ、コラ!!!!」

 

「すごいです!!!!」

 

「《雨》の沈静と《川》の貫通力で貫いたか…………!!!!」

 

「それだけじゃない!!!!《怠惰の炎》の力も含まれているのか、奴の動きが鈍くなっている!!!!」

 

「これは、チャンスか…………」

 

山本、スクアーロ、ブルーベル、コロネロ、バジル、薫、ラル、千種はそれぞれ、それを見て、そう反応した。

 

 

 

 

ラルの言うとおり、ロヴィーノは《怠惰の炎》の力で動きが鈍くなっていた。そこに追い討ちをかけるように、ツナは左手を構えた。

 

「《超硬質 X(イクス)フォーク》!!!!」

 

ツナがそう言うと、ツナの足元から地面が勢いよく隆起してきて、その地面はツナの左手に覆われて鋭い形となり、ロヴィーノの背中に純白の炎を纏った強烈な突きを入れた。

 

「ガッ!!!?」

 

直撃したロヴィーノは前のほうに少し飛ばされた。

 

 

 

 

「飛んだもんね!!!?」

 

「ムッ!!!?」

 

「いつものと違うぞ!!!?」

 

「《山》の炎の力で地面を勢いよく隆起させて、その地面とグローブに《雷》と《強欲の炎》を纏わせて、より強固にしたのだろう」

 

「そんなことが…………!!!?」

 

ランボ、レヴィ、γ、ヴェルデ、らうじがそれぞれ、それを見て、そう反応した。

 

 

 

 

「くそっ!!!!」

 

飛ばされたロヴィーノは《怠惰の炎》の効力が無くなったのか、すぐに振り返って、背中から触手を出して、ツナに攻撃を仕掛けた。触手はツナを串刺しにしようと、勢いよく向かった。それに対して、ツナは迎撃しようと、右手に純白の炎を纏わせて構えた。

 

「《超高速 X(イクス)ナイフ》!!!!」

 

ツナは炎を纏わせたグローブを振るった。その勢いは視認することができず、ぞの手刀によって、ロヴィーノの触手は全て、切り落とした。切り落とされた触手は同時にツナの炎によって燃やされた。

 

「くっ!!!?」

 

それを見て、ロヴィーノは悔しそうに顔を歪めた。

 

 

 

 

「速いぴょん!!!?」

 

「極限に見えなかったぞ!!!?」

 

「ボバッ!!!?」

 

「結局、何が起きたのだ!!!?」

 

「《晴》と《嫉妬の炎》の力を腕に纏わせてスピードを上げて、さらに《森》の炎の葉のカッターも纏わせることで切れ味を上げたんだぞ」

 

「そういうことだったのね~~~」

 

犬、了平、デイジー、紅葉、リボーン、ルッスーリアがそれぞれ、それを見て、そう反応した。

 

 

 

 

「ハッ!!!!」

 

触手を切り落としたツナはそのまま、両手を振るって、純白の炎の刃を4つほど、ロヴィーノに向けて、回転させながら放った。

 

「フン!!!!こんなもの!!!!」

 

ロヴィーノは体を僅かに動かして、炎の刃を全て、かわした。

 

「それと、わかっているさ!!!!これは、《X(イクス)ブーメラン》だということは!!!!」

 

ロヴィーノはそう言って、自分に戻ってくるだろう炎の刃を見るために後ろに振り返った。

 

「なっ!!!?」

 

しかし、それを見た瞬間、ロヴィーノは驚愕した。その炎の刃はなんと、最初は4つだったのにもかかわらず、今では何十個にも増えていたのだ。炎の刃は今でも、増殖していて、ロヴィーノに向かって、反転した。

 

「フン!!!!こんなもの、かわすだけ…………ッ!!!?」

 

一瞬、驚いたロヴィーノだったが、すぐに冷静になって、かわすために動こうとしたがそれはできなかった。なぜなら、ロヴィーノの足元が凍っていて地面と繋がっているために、その場から動くことができなかった。

 

「ならば!!!!」

 

氷を壊す前に炎の刃が来ると思ったロヴィーノはその場から動くのを諦めて、背中から触手を出して、炎の刃を叩き落そうとした。しかし……………

 

「なっ!!!?」

 

炎の刃に叩き落とそうとしても、むしろ、巨大化してスピードが上がった。そして、そのまま…………

 

「《超多重 X(イクス)ブーメラン》!!!!」

 

大量の炎の刃がロヴィーノに襲いかかった。

 

「ガッ!!!?ぐっ!!!?」

 

避けることも防ぐこともできなかったロヴィーノは大量の炎の刃に直撃した。

 

 

 

 

「なんだ、ありゃあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

「ワオ」

 

「ハハン。《雲》の炎の力で増殖しましたか」

 

「それだけじゃない!!!!《氷河》の炎の力でロヴィーノの足元を凍らせて、動きを封じた!!!!」

 

「そして、《暴食の炎》の力でロヴィーノの攻撃を取り込んでパワーアップしたのか………」

 

スカル、雲雀、桔梗、アーデル、ランチアがそれぞれ、それを見て、そう反応した。

 

 

 

 

大量の炎の刃の直撃を受けたロヴィーノはそのダメージによって、動けなくなっていた。それをツナは見逃す筈も無く、こう言った。

 

「《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》!!!!」

 

ツナがそう言うと、既にナッツがグローブの肘側の噴射口に形態変化(カンビオ・フォルマ)しているにもかかわらず、右手のグローブに《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》が装着された。

 

 

 

 

「どうして、あれが出てくるの?ボスの匣アニマルは既に………」

 

「どういうことですか~~~?」

 

「………………」

 

「《霧》と《砂漠》の炎の力で有幻覚を作ったんだろうね」

 

「しかも、《色欲の炎》の力でより精密にできている」

 

「あ~~~。そういうことか~~~」

 

「クフフ。初めての割にはなかなかの精度ですね」

 

クローム、フラン、トリカブト、マーモン、幻騎士、ジュリー、骸はそれを見て、それぞれ、そう反応した。

 

 

 

 

Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》を装着させたツナはそれに純白の炎を纏わせた。

 

シュンッ!!!!

 

そして、《光天》と《闇夜》の力を使った移動でロヴィーノのすぐ側まで移動した。

 

「ッ!!!!?」

 

ロヴィーノはすぐ側まで来たツナに気づいたが大量の炎の刃のダメージが残っているために動くことができなかった。

 

「光を拒絶して、いくつもの世界を身勝手に滅ぼしたお前にはわからないだろうな!!!!この炎は過去、現在、未来、平行世界(パラレルワールド)の世界、皆の覚悟の炎!!!!!そして、これが光と闇の奇跡の力だ!!!!」

 

ツナが大声でそう叫ぶと、右手のグローブの肘側の噴射口から膨大な炎が噴き出した。その勢いを利用して、ツナはロヴィーノに殴りつけた。

 

「《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント) (ハイパー)BURST(バースト)》!!!!」

 

ドガンッ!!!!!

 

「ガハッ!!!!?」

 

《傲慢の炎》の力と噴射の勢いが加えられた《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント)》によって、ロヴィーノは勢いよく吹き飛ばされた。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

吹き飛ばされたロヴィーノはそのまま、岩山に激突した。しかも、先程のときよりももの凄く周りに響いた。

 

 

 

 

 

「いいぞ!!!!ツナ!!!!」

 

「ロヴィーノを圧倒しています!!!!」

 

「フン…………」

 

「あれが僕の欲しかった超時空の覇者になるための力か…………。…………ハハッ。それを使えるとか、さすがは綱吉君だね♪」

 

「ふむ」

 

「このまま、いける!!!!」

 

ディーノ、ユニ、XANXUS、白蘭、チェッカーフェイス、炎真がそれぞれ、そう反応して、賞賛していた。特に炎真の言葉に皆、共感した。ツナが純白の炎を手に入れた途端、ロヴィーノを圧倒していて、ロヴィーノはツナに手も足も出ないでいた。だからこそ、勝てると思った。

 

「………いや、まだだ」

 

いつの間にか、笑うのを止めていた輝夜が周りのメンバーに楽観視するなという感じで言葉をかけた。

 

「なっ!!!?まだだって、どういうことだ!!!!」

 

「そ、そうだよ!!!!あの人、もの凄い力を手に入れたんだよ!!!?」

 

それを聞いて、真っ先に獄寺と明聖が反論した。他のメンバーも同様な反応だった。しかし、それに対して、輝夜は冷静に皆に言った。

 

「だからこそだ。あれほどの力を使って、スタミナが持つか?」

 

「ま、無理だな」

 

輝夜の言葉にリボーンが即答した。

 

「今、ツナが使っているのは何十億の人間が住む、いくつもの世界の炎だ。それを初めてなうえにたった1人の人間がやっているんだ。ただでさえ、少なかった体力もほとんど、無いだろ。ほら、ツナを見てみろ」

 

リボーンに言われて、全員、ツナをよく見ると……………

 

「ハァッ………ハァッ…………ハァッ………」

 

ツナはとても苦しそうに荒く息をついていた。ロヴィーノを圧倒する純白の炎の負担がかなりのものみたいだ。

 

「ロヴィーノは苛立っているみたいだが、今の沢田綱吉の状態に気づいていないとは思えない。そして、あいつはあれでも、戦闘を楽しんでいる節がある」

 

「ってことは、ツナの体力のことも考えて、実質、次の一撃で全てが決まるだろうな」

 

輝夜とリボーンの言葉に明聖たちはツナとロヴィーノのほうに向いた。

 

 

 

 

「ハァッ………ハァッ…………ハァッ………」

 

ツナは相変わらず、苦しそうに荒く息をついていた。すると………

 

ガララッ…………

 

「ぐっ!!!?くそっ!!!!」

 

ロヴィーノが瓦礫を押しのけて、立ち上がった。そして、すぐにツナのほうを睨み付けながら、視線を向けた。そして、すぐに気づいた。

 

「貴様………もう限界が近いな?」

 

「ッ!!!?」

 

ロヴィーノの言葉にツナは言葉が詰まったがロヴィーノはそれを気にせずに話し続けた。

 

「それならば、こちらもいい加減、けりをつけたかったからな………。これで終わらせる!!!!!」

 

そう言うと、ロヴィーノは背中から16本の触手を出して、触手の先に白き炎を集めて、ロヴィーノの目の前に巨大な白き炎を圧縮した。輝夜とリボーンの予想通り、これで決着をつけるようだ。

 

「ッ!!!?これはあの時の!!!?」

 

それを見て、ツナは昨日、ロヴィーノが島を消し飛ばした技と同じと思った。

 

「あの時とは威力は桁違いだがな!!!!」

 

ロヴィーノはそう言って、膨大な炎を圧縮し続けた。

 

「くっ!!!!《オペレーションXX(ダブルイクス)》!!!!」

 

ツナはそれを見て、腕を交差させて、肘側の噴射口から純白の炎を噴出させた。ツナもこれで終わらせるようだ。

 

「…………………」

 

「パ、パパ?」

 

それを見て、岩山の上に運ばれてから座り込んでいた輝夜が立ち上がっていた。それに明聖が心配しながら、急に立ち上がった輝夜を疑問に思った。その輝夜はじっと、ツナを見ていた。そして、ツナとロヴィーノのほうはお互いに大技の準備ができたようだった。

 

「白き炎で破滅しろ!!!!これが私のサイキョウ(最強・最恐・最凶)の技!!!!《破滅の終焉(フィーネ・ロヴィーノ)》!!!!!」

 

「破滅なんて、するものか!!!!《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)》!!!!!」

 

2人とも、お互いがお互いに極太の白い死ぬ気の炎を放った。それが衝突して、周りに衝撃波が発生した。それは均衡しているように見えた。しかし…………

 

「くっ!!!!?」

 

ツナのほうが押され始めた。ツナの体力が無くなり始めたからか、ロヴィーノが全力を出したからかはわからないが、だんだんと攻撃がツナに寄せてきた。

 

「ハハハハハハハハハハハッ!!!!!このまま、破滅しやがれ!!!!!」

 

「ッ!!!!?」

 

ロヴィーノは笑いながら、そう言うのを聞いて、ツナは顔を歪めた。このままだと、ロヴィーノの言うとおり、破滅の道に進むことになるだろう。そんな時だった。

 

トンッ……………

 

「え?」

 

誰かがツナの背中を支えるように押されていた。ツナは急なことに驚いて、後ろを振り返ってみると、そこには……………

 

「輝夜!!!?」

 

「…………ダークネス。………どういうつもりだ?」

 

岩山の上にいたはずの輝夜がいた。ツナは驚いていて、ロヴィーノは輝夜を訝しげに輝夜を見た。そんな2人をよそに輝夜はツナの背中を押しながら、ツナに言葉をかけた。

 

「沢田綱吉………。お前の《X(イクス) BURNER(バーナー)》系の技は確かに強力だが、支えのために柔の炎が必要となる。そのためにこれはお前の全力の炎とは言い難い。だから、この炎も剛の炎に変えたら、勝機はある」

 

「だが!!!!そんなことしたら、支えが無くなって、なおさら、打ち負かされるぞ!!!!」

 

「だからこそ、俺が代わりにお前の支えとなる。それで問題ない」

 

ツナの反論に輝夜がそう言うと…………

 

「俺()()だ!!!!!」

 

「「!!!!?」」

 

さらにツナの背中を押す者たちが現れた。それは、輝夜と同じように岩山の上にいた獄寺たちだった。

 

「テメーなんかが10代目を支えられるわけねぇだろ!!!!こういうのは右腕の俺の役目だ!!!!」

 

「ハハッ。こういうのは皆で支えたらいいと思うぜ」

 

「んおーーーーー!!!!!極限にやるぞーーーーー!!!!!」

 

「ランボさんもーーーーー!!!!」

 

「ボス……。私たち、がんばるから……!!!!」

 

「早く咬み殺しなよ。小動物」

 

「クフフ。あなたはロヴィーノに集中してください」

 

「とっとと、あのドカスをカッ消せ」

 

「もう少しだから、がんばろうか。綱吉君♪」

 

「《光》の炎を持っていない、僕たちだけど!!!!」

 

「非戦闘員の私たちでも沢田さんを支えることができます!!!!」

 

「微力だが、俺も貴様を支えるぞ!!!!」

 

「沢田殿、お願いします!!!!」

 

「頼むぜ、ツナ!!!!」

 

「ここまで、やっているんだから、後は頼むよ、沢田綱吉君」

 

「私も…………がんばる!!!!」

 

「ふぅ。ここまで、普段バラバラな皆が強力するなんて、相当だね」

 

守護者、黒曜、ヴァリアー、ミルフィオーレ、シモン、復讐者(ヴィンディチェ)、アルコバレーノ、チェッカーフェイスや輝夜、明聖の皆がツナの背中を支えて、その者たちの背中をさらに支えてと、総合的にツナを支えるように押していた。しかも、アルコバレーノは全員がヴェルデの発明品を使って、呪解して大人の姿に戻っていた。確かにチェッカーフェイスの言うとおり、相当な出来事だ。これがロヴィーノ教団が恐れていたツナの人徳の力かもしれない。

 

「!!!?あなたは!!!?」

 

すると、ツナは呪解したリボーンを見て、そう叫んだ。それに対して、リボーンはツナにこう言った。

 

「たかだか、お前1人の全力を俺たちが支えているんだ。何の問題もない筈だ。決めろ、ツナ!!!!」

 

「!!!?わかった!!!!」

 

ツナは誰かに似ていると感じながらもそう返事して、ロヴィーノのほうを向いた。そして、肘側の噴射口から噴出していた炎を止めて、その炎を全て、剛の炎に変えた。

 

『ッ!!!!?』

 

全員が後方へと飛ばされるような感覚になったが、何とか耐えた。そして、その分、前方の威力が桁違いになった。

 

「なっ!!!!?」

 

ロヴィーノはその威力に驚愕した。せっかく、押していた攻撃もだんだんと逆に押され始めた。

 

「これが光と闇の奇跡の力だというのか…………?…………ふざけるな!!!!!そんなもの、認めてたまるか!!!!!」

 

ロヴィーノはそう叫んだがその想いとは裏腹にロヴィーノの攻撃は完全にツナ………いや、ツナたちの攻撃に押されていた。そして、とうとう…………

 

『行っけーーーーーーーーーーー!!!!!!』

 

ツナたちの叫びと同時にツナたちの攻撃はロヴィーノの攻撃を完全に振り切って、ロヴィーノを飲み込んだ。

 

「ぐぅわぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!?」

 

ツナたちの攻撃にロヴィーノは悲鳴が上げた。そして、ロヴィーノを飲み込んだ攻撃はそのまま、ロヴィーノの後ろにある岩山も飲み込んで、完全に削り抉った。




ついに決着!!!!この作品も残り2話です!!!!


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一時の平穏

テストなどいろいろあって、3週間も投稿できなくて、本当にすみませんでした!!

それと、前回で残り2話と言いましたが、思った以上に文字数が多くなって、分割することにしました。


ツナたちは全員で協力して、《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)》の最大出力で《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれるロヴィーノを倒した。ツナたちの攻撃が治まると、そこには、ロヴィーノの背後にある岩山も含めて、ロヴィーノ以外、跡形も無くなっていた。

 

『……………ハァッ……………ハァッ……………ハァッ…………………』

 

最後の攻撃に参加していた者たちは多少の誤差は有れど、全員が荒く、息をついていた。《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)》の柔の炎の代わりに支えたのは相当な負担だったようだ。そして、当然、それを支えていた者たちよりも…………

 

ドサッ……………

 

「10代目!!!?」

 

「ツナ!!!?」

 

強大な力を使っていたツナのほうが負担が大きかった。ツナは戦いが終わった途端に外套やブーツが解けて、《(ハイパー)死ぬ気モード》から《ノーマルモード》に戻って、その場に仰向けに倒れた。グローブも手袋に戻って、手袋に隠れて見えないが、《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》も解けて、VG(ボンゴレギア)に戻ったようだった。そして、それと同時に(トゥリニセッテ)の力も皆のところに戻ったようだった。しかし、そんなことを気にせずに、獄寺たちは倒れたツナに駆け寄った。

 

「…………ハァッ………ハァッ…………ハァッ………ハァッ…………ハァッ…………」

 

ツナは他の皆よりも荒く息をついていた。

 

「……………大丈夫か?沢田綱吉」

 

それを見て、輝夜は駆け寄っていないが一応、ツナの身を案じて声をかけた。

 

「………ハァッ…………ハァッ…………うん………指1本すら、まともに動かせないけど何とかね………。輝夜は…………?ロヴィーノに貫かれたけど………?」

 

息が切れながらも、ツナはそう返事した。それを聞いて、周りの皆は心配したが、ツナの身体を診ていたリボーンや風がとりあえず大丈夫だという言葉にほっとした。もちろん、明聖たちが《晴》や《光》の炎を使って、手当てをしていた。そして、ツナはさらに輝夜の状態を聞いた。

 

「…………万全とは言えないが、立って歩くぐらいならできる(《闇夜》で少し防いだとはいえ、あいつの攻撃、見た目に比べて、そこまでダメージを負っていないんだよな………。明聖の《光》の炎ですぐ治療できたし。難点があるなら、時々、立ちくらみがすることぐらいか………)」

 

「?………まぁ、無事なら良かったよ………」

 

輝夜はロヴィーノの《白睡蓮》を受けた時のことを思い出して、そんなことを考えていた。それを見て、ツナは内心、首を傾げたが無事ならいいやとそう返した。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「あぁ、大丈夫だ」

 

しかし、それでも心配だった明聖が輝夜に尋ねて、輝夜は明聖の頭を撫でながら、そう返した。そして、明聖にそう言うと、輝夜はロヴィーノのほうに視線を移した。ツナたちに敗れたロヴィーノは触手や四肢が失って、腰まであった長い髪も首筋ぐらいまで短くなって、服もボロボロになって、仰向けになって、気を失っていた。どうやら、死んではいなさそうだった。ついでに言うと、ロヴィーノが気を失ったせいか、昨日から空中に浮かんでいた画面が消えていた。この様子なら、ロヴィーノの封印も容易にできるだろう。

 

(………故意か偶然か知らないが、本当に弱らせる程度に留めやがった)

 

輝夜はロヴィーノを見て、ツナに半分呆れ、半分感心したような気持ちになった。

 

「それよりも………、ロヴィーノを倒したぞーーーーーーーー!!!!」

 

すると、了平が両手を腕に上げて、大声で叫んだ。

 

「うるせぇぞ、芝生!!!!」

 

「まぁまぁ、先輩の言うとおりだぜ」

 

「そうだね!!!あのロヴィーノを倒したんだよ!!!!」

 

それに対して、獄寺が怒鳴り、山本が宥めて、炎真が皆の気持ちを代弁した。ロヴィーノを倒したことで世界を滅ぼされることが無くなったのだ。喜ばずにはいられないのだろう。大なり小なり、皆が喜んでいた。

 

「………ツナ」

 

そんな中、未だに呪解姿だったリボーンがツナに近づいた。

 

「あ………」

 

ツナはリボーンが近づいてくるのを見て、声をかけようとしたが、その前にリボーンの体が縮み始めた。他の呪解したアルコバレーノたちも同様に体が縮み始めた。ヴェルデの発明品の効果が切れたのだろう。リボーンたちは赤ん坊の姿に戻った。

 

「よく、やったな」

 

そして、そのまま、ツナに労いの言葉をかけた。それに対して、ツナは…………

 

「えーーーーーーーーーーー!!!?あの滅茶苦茶強い人がリボーンになったーーーーー!!!?」

 

『………………』ガクッ

 

呪解した姿をリボーンに気づいていなかったツナが大声で叫び、それを聞いた皆は全員、ガクッとなった。

 

「ツナ……気づいていなかったのか、コラ………」

 

「どこまで、鈍い男なんだ………」

 

コロネロとラルが呆れたように呟いた。

 

「あの人って………リボーンが呪解した姿だったんだ………」

 

「綱吉さん………気づいていなかったのですか?」

 

「まったく、ダメツナが………」

 

そう呟くツナに明聖が戸惑いがちにそう言った。リボーンも額に手を当てて、そう言った。

 

「赤ん坊の姿のリボーンの()()()()()には気づいている癖にな………」

 

輝夜も呆れたようにそう呟いた。しかし、ツナはそれよりも輝夜の言葉の中で気になることがあったので思わず、訊いてみた。

 

「えっ!!?輝夜はリボーンのあの変装、見破れるの!!!?」

 

ツナはなぜか自分以外の人たちにはばれないリボーンの変装に輝夜が気づいていることに驚いた。

 

「は?普通に見破れるだろ。ってか、ロヴィーノからこいつの変装した姿の写真を見せて貰って、ロヴィーノ教団、全員すぐに気づいたからな。あんな、リボ山とかパオパオ老師とかの粗末で低レベルな―――――」

 

『変装』と輝夜が言おうとしたら…………

 

「グフッ!!!?」

 

リボーンがツナの腹をジャンプ台にして、輝夜に跳び蹴りした。

 

スカッ………

 

「変装。………ってか、仮にも重傷者2人に攻撃を仕掛けるなよ………」

 

しかし、それを輝夜はかわして、続きを言った。そして、今のリボーンの行動に呆れて、そう言った。ちなみに今の輝夜の言葉でリボーンの変装に気づいていなかったメンバーは驚いていた。特に了平は「パオパオ老師はリボーンだっただとーーー!!!?」と叫んでいた。

 

「うるせぇ。オメーは俺に喧嘩を売っているのか?」

 

「まさか。俺は事実を言っただけであって、喧嘩を売った覚えはないぞ」

 

「それが喧嘩を売っているってことに繋がっているんだぞ。それに俺の変装はツナ以外にはばれていねぇんだぞ」

 

「それなら、そいつらは全員、目が節穴だってことか?」

 

(この人、盛大に喧嘩を売ったーーーーーー!!!!)

 

輝夜の言葉を聞いて、ツナは心の中で叫んだ。実際、『目が節穴』という毒舌をかました輝夜に今までリボーンの変装に気づいていなかったメンバーはもの凄く睨んでいた。しかし、輝夜はそれに気づいているにも関わらず、どこ吹く風のような態度だった。

 

「パ……じゃなくて、()()()()()!!!なんで、そう周りに喧嘩売るの!!!ロヴィーノ教団にいた頃も皆に喧嘩売るだけ売って、うまく逃げていたし!!!皆さん、本当にごめんなさい!!!」

 

明聖が慌てて、輝夜に注意すると、謝る必要も無いのに、皆に頭を下げた。しかし、輝夜たちはそれよりも気になったことがあった。

 

「明聖………今、俺のこと、『お兄ちゃん』って言ったか………?」

 

輝夜は明聖が『パパ』から『お兄ちゃん』とわざわざ言い替えてまで言ったことが気になって、尋ねた。

 

「え?あ、うん。お兄ちゃん。さっき、私のことを『俺の妹』って、言ったよね?」

 

「…………そう言えば、言ったな」

 

輝夜は明聖がリボーンに叩かれたことで悪態をついた際にそれを言ったことを思い出した。

 

「うん。その言葉を聞いてから、ずっと考えていたんだけど、お兄ちゃんは私の本当のパパやママのことを気にしていたんだと思ったの」

 

「…………………」

 

輝夜は明聖の言葉に特に返答はしなかった。それは明聖の言うとおりだったからだ。輝夜は聖輝と明夜に頼まれて、明聖の親代わりをしていたが2人から明聖の親という立場を奪ったのではないかと気にしていたのだ。

 

「だから、私はこれからお兄ちゃんのことを『パパ』じゃなくて『お兄ちゃん』って、呼ぶことにしたの。それなら、お兄ちゃんはパパとママのことを気にしなくていいからね。それにパパでもお兄ちゃんでもお兄ちゃんは私の家族に変わらないからね♪」

 

明聖はそう言って、笑顔を見せた。

 

「……………そうか」

 

それに対して、輝夜は一瞬、呆然としていたがすぐに微笑み返した。きっと、内心では明聖の気遣いに嬉しく思ったのだろう。

 

 

 

 

そんな和やかな気分になっているときだった。

 

 

 

 

「うっ………!!?」

 

『!!?』

 

ロヴィーノがいるところから呻き声が聞こえた。それを聞いて、全員が警戒した。動けないツナも皆と同様にロヴィーノのほうを警戒した。

 

「うっ………これはいったい…………?」

 

どうやら、ロヴィーノが目を覚ましたようだ。それを見て、全員、さらに警戒した。

 

「…………そうか、私は負けたのか………。………初めて、戦闘で負けたよ。クックックッ」

 

状況を察したロヴィーノは何がおかしいのか、愉快そうに笑いながら、そう呟いた。それを見て、皆、少々戸惑った。なぜなら、ロヴィーノは悔しがる様子が全く無くて、むしろ、楽しそうにしていたからだ。その中で輝夜がロヴィーノに話しかけた。

 

「どうした、ロヴィーノ?急に笑いやがって………。負けて、悔しくないのか?」

 

話しかけられたロヴィーノは顔を輝夜のほうに向けながら、話しかけた。

 

「クックックッ。悔しくないのかだって?そんなもの悔しいに決まっているさ。私の産まれて初めての正真正銘の敗北だからね。だが、それよりも私がこれからどう破滅していくのかが気になってね。なぜなら、自分自身の破滅なんて経験は今後、2度と無いからね」

 

ロヴィーノの言葉に輝夜は顔をしかめた。物事の破滅を生き甲斐とするロヴィーノは自分の命をも破滅させることも考えているようだ。

 

「…………お前、本当にいかれているな」

 

「クックックッ。褒め言葉として受けておくさ」

 

輝夜の言葉にロヴィーノはそう返した。

 

「あぁ。それと、もうそんなに私に警戒する必要は無いよ。私はもう何もできないからね」

 

確かに今のロヴィーノは四肢を失って、疲れ切っていて、警戒する必要はなさそうだったが………。チェッカーフェイスが否定した。

 

「妙なことを言うね。君は私たちの敵だし、君の中からは膨大な炎を感じる。そんな状態で警戒を止めるなんて無理な相談だね」

 

チェッカーフェイスの言うとおり、ロヴィーノの中にはまだ自分たちを上回る炎が残っていた。その気になれば、四肢をロヴィーノ細胞で復活させて、再び、戦おうとするかもしれない。だから、警戒を止めることができなかった。

 

「あぁ、確かに炎はお前ら人間と比べたら、膨大にあるが、戦闘に参加するには圧倒的に足りない」

 

ロヴィーノの言葉を聞いて、どれだけの炎があったんだと皆、畏怖した。

 

「…………それに沢田綱吉とダークネスの攻撃を受けて、余計に体を動かすことはできなさそうだからね」

 

「?……どういうことだ?」

 

ロヴィーノの言葉に疑問を感じて、リボーンが尋ねた。他の皆もどういうことだと思った。

 

「どうこうも無いさ。沢田綱吉とダークネスの最後の攻撃で私の中にあった封印されたときの《光》の炎が再発したのさ」

 

「封印されたときの《光》の炎だと?」

 

「そう。私も先程気づいたが、私と戦っていた生粋の地球人の一族の中には光の一族がいた。そいつらは無自覚に他の炎と融合した《光》の炎があった。ごく少量だったために私も気づかなかったがね………。まぁ、つまり、私にとって、《光》の炎は病原菌みたいなものだから、ろくに動かすことができないのさ」

 

ロヴィーノはうんざりとした表情でそう言った。過去のチェッカーフェイスたち生粋の地球人たちとロヴィーノの戦いで明聖の先祖でもある当時は《光》の炎の存在を知らなかった光の一族が無意識に他の炎と一緒にごく少量の《光》の炎を使って戦い、その《光》の炎がロヴィーノの体に入り込み、蝕んだのだ。それにより、ロヴィーノはいつもより体の動きが鈍くなり、その隙を突かれて、封印されたのだ。そして、今回もその時の影響が残っていて、ロヴィーノは不完全な状態であることに気づかぬまま、ツナたちと戦闘を行ったのだ。そして、ツナと輝夜の《光》の炎が混ざった攻撃を受けて、過去の《光》の炎が再発したのだ。それにより、ロヴィーノの体は余計に蝕んで、全力を出すことができなかったらしい。

 

「…………なるほどな。確かに《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれているお前にしては、少し力不足だと思ったよ」

 

「………そうだね。私も改めて、思い出してみると、以前よりも弱くなっていた気がするよ。………それでも、とんでもない敵に変わりは無かったがね」

 

ロヴィーノの説明に輝夜とチェッカーフェイスが納得したようにそう言った。

 

「………だが、どんなに負け惜しみを言っても、お前の負けに変わりない」

 

そして、輝夜がそう言って、他のメンバーも頷いていた。

 

「クックックッ。負け惜しみ………、そう捉えたか………。まぁ、あながち間違いではないね。ところで、今は何時何分だい?」

 

すると、急にロヴィーノがツナたちに時間を尋ねた。それに皆、いきなり何だと思っていると…………

 

ビーーッ!!!!ビーーッ!!!!

 

『綱吉君!!!皆!!!返事して!!!!』

 

「正一君?」

 

「え?正ちゃん?」

 

ツナのヘッドホンから入江の連絡が入ってきた。なぜか、入江は慌てている様子だった。とりあえず、ツナは入江に返事をした。

 

「正一君、どうしたの?」

 

『!!!?良かった!!!!()()()、繋がった!!!!』

 

入江の『やっと』という言葉にツナたちは疑問に思った。ツナは別に戦闘の最中、通信を切っていた覚えは無いし、入江たちはツナたちがいる島の近くの海に浮かんでいる船にいる筈だ。それはツナたちの最後の攻撃を島の外側から見ることができるということだ。だから、あれから、そこまで時間が経っていないということもわかっているはずだ。それなのに、入江は『やっと』と言った。

 

『綱吉君の《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》が放たれてから1()()()()()()()()()()()のに、様子を見ることも連絡を取ることもできなかったから、心配したよ』

 

『!!!?』

 

入江の言葉にツナたちが驚愕した。なぜなら、ツナが《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)》を使ってから、まだ、そんなに時間が経っていない筈だった。だから、どうしてもおかしいのだ。

 

「ハハハッ!!!!そうか!!!あれから、1時間以上経っているのか!!!!」

 

入江の言葉が聞こえたロヴィーノは高笑いしながら、そう言った。そして、続きにとんでもないことを言った。

 

「ということは、今はだいたい1()2()()()()()()()()()()か!!!」

 

『なっ!!!?』

 

12時、それはロヴィーノが地球を滅ぼす時間だった。

 

「おい、入江。今は12時前なのか?」

 

『うん、そうだよ!!!だから、僕たちはどうなったのか気になったんだけど、連絡も繋がらないし、島に入ろうにも、見えない壁のせいで入れないんだ!!!』

 

リボーンは入江に確認を取ってみると、入江はそれを肯定した。しかも、見えない壁とか理解できない言葉を含めて………。

 

「クックックッ。それは私の仕業だね」

 

それの答えを言うかのように、ロヴィーノは言った。

 

「他の者たちがこの島に入れないのは、私がこの島に結界を張ったからだ。私が倒れようと倒れなかろうと関係なく張り続けて、壊れても、すぐに修復する結界をな」

 

ロヴィーノの説明にとりあえず、全員理解した。確かに、結界を張っているのならば、入江たちはこの島に入ることはできないだろう。しかし、まだ、タイムラグが起きている理由がわからなかった。全員、ロヴィーノの仕業だということは予想しているが何をしたのか、わからなかった。しかし、ロヴィーノはその理由も今、答えようとしていた。

 

「そして、タイムラグが起きている理由だが………。貴様ら、全員が降りてきたときにこの島全体に《怠惰の炎》を纏わせた」

 

『なっ!!!?』

 

ロヴィーノの説明に全員が驚愕した。《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)》の使用時にまさかロヴィーノがそんなことをしていたなど予想外だったからだ。

 

「《怠惰の炎》を纏った貴様らは体感時間が遅くなった。貴様らにとっての2、3分が島の外側では何十分も経っていることになるのさ。ちなみに、今はその効果も切れているようだがね」

 

ロヴィーノの説明に全員、信じられないという表情をしていた。まさか、そんなことをして、時間稼ぎをしていたということに信じられないでいたのだ。おかげで、ロヴィーノが指定したタイムリミットが来てしまったのだ。しかし、ロヴィーノはツナと輝夜との戦闘で動けなくなっていた。これ以上、何かできる筈がない。全員、そう思った。しかし、ロヴィーノは言葉を言い続けた。

 

「………さて、そろそろ良いかな?貴様ら、上を見てみな」

 

ロヴィーノの言葉に疑問を感じながらも、全員、上を見た。すると…………

 

『なっ!!!?』

 

もう何度目になるかもわからない驚きの声をあげた。なぜなら、上のほうには、何と、()()()()()()()()()()()()()()()があったからだ。




次の話は5分後に投稿します。


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別れと終焉

本日、2話目です。


ロヴィーノに言われて、上のほうを見てみると、空全体を覆いかねない巨大な隕石があることに驚愕するツナたち。しかも、いつの間にか、その隕石のせいで島全体は影で覆われていた。

 

「何だあの隕石は!!!?」

 

「さっきのよりも何倍の大きさだぞ!!!!」

 

「何で、こんなバカでかいもの、今まで気がつかなかったんだ!!!?」

 

全員、今の状況に混乱した。そして、ネタバレするかのようにロヴィーノが話しかけた。

 

「クックックッ。あの隕石は私が《霧》や《砂漠》、《色欲の炎》の力で存在を隠して、さっきのと同じで《大地》の重力で引っ張ってきたものさ。あの大きさは月より少し大きいよ。だから、あんなのがここに衝突すれば、間違いなく、地球は滅ぶね。まだ、ちょっと、時間はかかりそうだけどね」

 

ロヴィーノはそう言って、笑い始めた。

 

「お前………最初からこれを狙っていたのか………!!!この戦いでどんな結果になっても、地球を滅ぼすことを!!!」

 

「クックックッ。地球にはこんな言葉があるよね。『勝負に負けて試合に勝つ』というのがさ。私は沢田綱吉とダークネスの勝負に負けても、試合に勝ちたい(地球を破滅させたい)からね。ちなみに《怠惰の炎》を使ったのも、時間を守るためだからよ。こう見えて、私は自分の言ったことは守るからね」

 

ロヴィーノは愉快そうに言った。

 

「お前を倒せば、地球の滅亡は阻止される筈じゃなかったのか?」

 

輝夜はロヴィーノを睨み付けながら、そう言った。確かに昨日の予告でロヴィーノは自分を倒せば、地球の滅亡は阻止されると言っていた。そして、ロヴィーノはツナたちに倒された。もともと、ロヴィーノのことを信じている者はいなかったが、これは契約違反だった。しかし、ロヴィーノは悪びれもせずにこう言った。

 

「別に嘘を言った覚えはないよ。あの時の『私を倒す』というのは、イコール『私を殺すか封印する』ってことだからね。そうすれば、私の力は失って、隕石は地球に衝突することなんて、起きないよ。まぁ、ここまで来たら、もう手遅れだけどね」

 

つまり、貴様らの解釈違いだとロヴィーノは言いたいようだ。皆、歯を噛み締めて、ロヴィーノを睨んでいると、ロヴィーノは補足するかのように、言った。

 

「あぁ。それと言っておくけど、あの隕石を破壊するなら、しても構わないよ。…………まぁ、無理だけどね」

 

ロヴィーノがそう言うと、隕石を破壊しようと考えていたメンバーはなぜ、そんなことが言えるのだとロヴィーノを睨み付けた。それに対して、ロヴィーノは説明した。

 

「あの隕石には私の白き炎が膨大に纏っている。当然、《闇》の無効化の力もある。あれを破壊するには、少なくとも《光》の炎が必要だということだよ」

 

隕石を破壊するには《光》の炎が必要。《光》の炎を使えるのは、ツナと輝夜、明聖の3人だった。つまり、彼ら3人がやらなければいけないということだった。

 

「しかし、あの隕石に纏っている炎は私のもともとの大半を使っている。……まぁ、それが私の敗因の1つでもあるが、それは置いといて、それを破壊するには、それと同等の炎圧でなければいけない。だけど、全快の貴様らの全ての炎を使っても足りない」

 

ロヴィーノはそう言うと、事態の深刻さに悩んでいるメンバーの中から、ツナと輝夜のほうを見た。

 

「そもそも、沢田綱吉は見てのとおり、私と同じように、動けない体であるから不可能で、そして、ダークネスは私の《白睡蓮》を受けたから無理なのさ」

 

「………どういうことだ?」

 

ロヴィーノの言った意味がわからず、輝夜は尋ねた。それに対して、説明を始めた。

 

「《白睡蓮》は私の技の中でも特殊でね。これをくらった者は私が念じたものを自由に扱うことができる」

 

「自由にだと………?」

 

「そう。例えば、沢田綱吉なら超直感、白蘭なら並行世界(パラレルワールド)の記憶の共有、ユニなら予知能力を奪ったり、2度と使えなくすることができるのさ」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの《白睡蓮》に全員が驚愕した。そして、ロヴィーノの説明は続いた。

 

「そして、先程、ダークネスにしたものは《光》の炎の波動さ!!!それにより、ダークネスは《光》の炎をほとんど、使えなくなっているのさ!!!」

 

『!!!?』

 

(そういうことか………。このよく起きる立ちくらみの原因はそれだったのか………!!!)

 

ロヴィーノの説明に全員が驚愕して、輝夜は納得した。ツナや輝夜のように《光》の炎によって蘇生された者は《光》の炎の波動が生命線といっても過言ではない。それを失ったら、その者は死んでしまう。輝夜はロヴィーノの攻撃を受けた際に炎の波動の大半を失ってしまったのだ。不幸中の幸いは輝夜《闇夜》のワープホールでロヴィーノの攻撃の威力を半減したことだった。これにより、炎の波動が全て奪われることは無く、一命を取り留めることができたのだ。

 

「炎を十分に持っているのは光城明聖だけ。だけど、それでも、あの隕石を破壊するには全然、足りないね。まぁ、どうするかは貴様らに任せるよ」

 

ロヴィーノはそう言って、黙って、ツナたちのほうを見つめた。

 

『…………………』

 

ロヴィーノの説明に全員が黙った。隕石が落ちてくるまで、もう時間が無い。しかし、だからといって、それに対抗する手段が見つからなかった。もう、ここまでなのかと、諦めた時だった。

 

「…………俺に任せてくれないか?」

 

「お兄ちゃん?」

 

輝夜がそう呟いた。それが聞こえて、全員、輝夜のほうを向いた。

 

「何か、考えでもあるのか?」

 

リボーンが輝夜に尋ねた。

 

「そうでなくては言わない」

 

「?(どうしたんだろう?)」

 

それに対して、輝夜は肯定したが、輝夜の顔は何かを思い詰めているようだった。もう後が無い今の状況なら、輝夜に頼んだ方がいいのはわかっているが、ツナは何だか、嫌な予感がした。

 

「沢田綱吉」

 

すると、輝夜はツナに声をかけた。

 

「頼みがあるんだが」

 

それを聞いて、ツナはなおさら、嫌な予感が高まった。

 

()()()()()()()()()()()()()?」

 

『!!!?』

 

「え!!?ちょっと、お兄ちゃん!!!どういうことなの!!?」

 

輝夜の言葉に皆、動揺して、特に明聖が動揺して輝夜に問い詰めた。

 

「……………」

 

しかし、輝夜は目を伏せて、何も言わなかった。

 

「!!?(まさか!!?)」

 

その嫌な予感の正体がわかったツナは輝夜に尋ねた。

 

「まさか………輝夜。お前、()()()なのか?」

 

『!!!?』

 

「えっ!!?そ、そんなの、嘘だよね………?」

 

「……………」

 

ツナの言葉に皆、驚いて、明聖が輝夜に尋ねたが、輝夜は相変わらず黙ったままだった。

 

「ね、ねぇ……。何か、言ってよ………。お兄ちゃんは死なないよね!!!?」

 

「……………すまない」

 

ようやく出てきた輝夜の言葉はたった一言の謝罪の言葉だった。

 

「!!?い、嫌だよ………。私、そんな………聞きたくない…………」

 

輝夜の言葉を聞いて、明聖は茫然自失してしまった。

 

「お前、死ぬつもりは無かったじゃないのか?」

 

リボーンが昨晩、輝夜に尋ねたことをもう一度、尋ねた。

 

「あの時とは、状況が変わった。ここで誰かがやらなければ、地球が滅ぶ。それに俺はロヴィーノに刷り込みされたとはいえ、地球滅亡に手を貸した罪人だ。罪を償わなければならない」

 

「だからって、お前が死んだら、明聖が悲しむだろ!!!!」

 

輝夜が淡々と答えるのに対して、ツナが地面に寝転びながらも叫んだ。

 

「お前がロヴィーノに刷り込みされたときも、明聖がどれだけ心配していたのか、わかっているのか!!!?」

 

ツナが輝夜にそう叫ぶと、輝夜は小さく呟き始めた。

 

「…………わかっているさ。明聖がどれだけ心配してくれたことを………、俺がやろうとしていることは独り善がりで自分勝手だということもな…………」

 

「なら――――――!!!」

 

「それでも!!!!」

 

ツナが再び叫ぼうとすると、輝夜が遮った。そして、大声で叫んだ。

 

「俺は、()()()()()この地球を滅ぼしたくないんだ!!!!」

 

「ッ!!?」

 

基本、他のことには興味を持たない輝夜が全力で戦う唯一の理由、それは明聖だった。輝夜は明聖を守るためなら、どんな手段も使う。矛盾しているが、その代償で多くの犠牲や世界が滅ぶことになっても、別に構わないと本気で思っている。それが、明聖の望むことではなくて、独り善がりの行動だったとわかっていてもだ。そして、今、輝夜は自分の命を代償に地球を、いや、明聖を守ろうとしているのだ。

 

「………明聖」

 

「!?」

 

すると輝夜はいまだに茫然自失だった明聖に近づいて、しゃがみ、抱きしめた。

 

「明聖。俺はお前を泣かせてばかりのダメ兄貴だ。だけど、そんな俺でもお前にはっきりと言えることがある」

 

そう言うと、輝夜は優しく、微笑んで、静かに囁いた。

 

「俺はお前のことを愛している。初めて、会ったあの日から」

 

「!?お兄ちゃん………」

 

そう言われて、茫然自失だった明聖は正気に戻って、明聖の目から涙が流れた。そして、明聖も輝夜に抱きついた。

 

「酷いよ………。いつも、いつも、大事なことには私を置いていって…………」

 

「……………あぁ」

 

「私………ずっと、………そんなの………嫌だったのよ………」

 

「……………あぁ」

 

「ずっと、ずっと、………悲しかったのよ………」

 

「……………あぁ」

 

「それなのに、そんなこと言われたら、嫌いになれないよ…………」

 

「……………」

 

「私も大好きだよ…………、お兄ちゃん…………」

 

「…………あぁ」

 

明聖が話し掛けて、輝夜は相槌をうった。

 

「どうしても、いっちゃうの?」

 

「あぁ、()()をできるのはもう俺だけだからな」

 

「お兄ちゃんって、頑固だからね…………。………でも、悔しいよ………。私はオリジナルの《光》の炎を持っているのに………。何もできないなんて…………!!!」

 

「……………」

 

「がんばって………」

 

「あぁ………」

 

輝夜と明聖の話し合いが終わると、2人は離れて、輝夜は立ち上がり、明聖に背を向けた。

 

「輝夜…………」

 

まだ、納得のできない、ツナが言葉をかけようとしたが、リボーンが止めた。

 

「諦めろ、ツナ。こいつの覚悟は固い。明聖で止められなかったなら、俺らには無理だぞ」

 

「でも!!!」

 

どうしても、諦めきれないツナに輝夜が声をかけた。

 

「1度、お前を殺した男によく気にかけてくれるな」

 

「そんなことは関係ないよ!!!輝夜!!!お前が死んだら――――――!!!」

 

「そんなお前なら明聖を任せられる。俺はそう思ったんだ」

 

「…………えっ?」

 

輝夜の言葉にツナは間抜けな声が出た。

 

「お前を殺した俺をお前は気にかけてくれている。そんな器のでかいお前なら、明聖を守ってくれる」

 

「そんな!!!俺はダメツナだし………」

 

輝夜がいきなり安心しきっている顔でそう言われて、ツナは輝夜を説得することも忘れて自分を卑下するようなことを言い始めた。

 

「お前は自分のことを過小評価しすぎだ。お前はマフィアのボスになりたくないみたいだが、お前ならこの腐った世界をいい方向に変えられる。俺は本気でそう思っている」

 

輝夜の言葉に対して、輝夜は純粋にそう考えていた。これには、『もし、沢田綱吉がベネスタンテ星を取り仕切っていたら、どれだけ、良かったのだろうか』という輝夜の願いもあった。ロヴィーノ教団が警戒していた《ツナの人徳》。これに輝夜も魅了されたようだった。

 

「輝夜………」

 

輝夜が自分のことをそこまで評価してくれていることに、驚いていた。しかし、そのせいで余計に輝夜を犠牲にさせたくなかった。

 

「沢田綱吉」

 

もう一度、説得を試みようとしたツナだったが、その前に輝夜がツナのほうに視線を移して、声をかけた。

 

「もう時間が無いから、最後にこれだけ言っておく。俺が言えることじゃないが、明聖を悲しませたら、呪いでも何でも使って、今度こそ、俺の意思でお前を殺す!!!」

 

「ッ!!?」

 

輝夜の言葉にツナは言葉が詰まった。それは、自分を殺すと言ったことではなかった。ツナの見た輝夜の目が絶対の覚悟に満ちあふれていた。この場にいる誰もが気がつかなかったが、その目はかつて、聖輝と明夜がベネスタンテ星を救いたいと輝夜に言った時の目と同じだった。そして、2人のと同じ目を見て、もう説得の余地が無いとツナは思った。

 

「…………わかった」

 

ツナはいろんな意味で了承の言葉を出した。

 

「ふっ………」

 

それを聞いた輝夜は薄く笑うとすぐに顔を引き締めて………

 

「出てこい!!!ドレイク!!!」

 

自分の匣からドレイクを呼び出した。

 

「グオオオォォォーーーーーーー!!!!」

 

ドレイクは凄まじい雄叫びを上げて、輝夜を背中に乗せて、隕石のほうに…………

 

「ん?」

 

行く前にロヴィーノの側まで飛び、輝夜は動けないロヴィーノの胸ぐらを掴み、拾い上げ、今度こそ隕石のほうに向かった。

 

『えっ?』

 

輝夜の行動にツナたちも疑問を浮かべた。

 

「やれやれ、茶番をずっと見せられていたと思ったら、いきなり、何だい?」

 

それはロヴィーノも例外では無く、輝夜に胸ぐらを掴まれながらも尋ねた。それに対して、輝夜はロヴィーノが茶番と言ったことに対して、顔をしかめたが怒りを抑えて、答えた。

 

()()()使()()()、隕石を破壊する」

 

輝夜の言葉を聞いて、ロヴィーノは納得したように、行った。

 

「なるほどね。そういうことか。貴様は私の体内の炎を暴走させて、誘爆を起こして、隕石を破壊する気か」

 

ロヴィーノの推測は当たっていた。ロヴィーノはまだ、膨大な炎が体内に残っていた。《闇》の炎を打ち消す方法は一般的に《光》の炎を使うことだが、その炎を上回る《闇》の炎でも可能である。実際にロヴィーノは輝夜の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を打ち破ることができたのだ。輝夜はロヴィーノの炎の爆発で隕石を破壊するという算段だった。

 

「あぁ。そして、お前の炎を爆発させるための起爆剤として、俺の炎を使う」

 

そう言うと、輝夜の《闇》のリングと聖輝と明夜の《光》のリングから炎が灯り出した。そして、その2種類の炎が融合して、()()()()()()()()

 

「!!?……この土壇場で貴様もその炎に至ったのか。沢田綱吉曰く光を受け入れたのか?」

 

「あぁ、そうだ。いい加減、受け入れなければ、あの人たちへの裏切りになると思ったからな」

 

そう言った輝夜の目に迷いは無かった。

 

「クックックッ……。そうか……。まぁ、私もそれに関してはどうでもよくなったよ。それよりも、いいのかな?貴様の考えは確かに成功すれば、地球の破滅は阻止できるよ。だけど、いくらその炎に至ったとしても私の炎を爆発させるための起爆剤としては、炎圧が足りなさすぎる!!!」

 

ロヴィーノはニヤニヤと笑いながら、そう言った。先程の戦いで消耗したために炎が足りないようだ。

 

「…………それはどうだろうな?」

 

しかし、輝夜は動揺した様子はなく、堂々とした様子でそう言い返した。

 

「何?」

 

ロヴィーノはそれがどういうことだと思うとすぐに気づいた。

 

「!!?炎圧がどんどん、膨れ上がっているだと!!?」

 

なんと、残り少ない筈の輝夜の炎圧がどんどん、膨れ上がっているのだ。驚くロヴィーノをよそに輝夜が淡々と説明し始めた。

 

「俺の白い炎は《光》と《闇》でできている。光が強ければ強いほどそれにより生まれる闇は濃くなり、逆に闇が濃くなれば濃くなるほど光はより際立つ。その無限の連鎖によって、この力は増大する!!!沢田綱吉の純白の炎があいつの本質である《大空》の調和による零の炎だとするならば、俺のは終わりなき、無限の炎だ!!!」

 

最後に輝夜がそう言うと、炎はさらに燃え上がり始めた。

 

「……………………」

 

ロヴィーノはそれに声が出ない様子だった。

 

「…………。ドレイク。隕石のすぐ近くまで来たら、俺とロヴィーノを放り投げて、お前は戻れ。沢田綱吉なら、お前のこと見てくれるだろ」

 

そんなロヴィーノを一瞥すると、輝夜はドレイクの身を案じて、そう言った。ツナは《闇》の波動も持つようになった。そんなツナなら大丈夫だと思って、言ったのだ。

 

「グルルッ」

 

それに対して、ドレイクは唸り声を上げた。

 

「!?…………物好きな奴め」

 

輝夜は20年間一緒にいたドレイクの言いたいことを理解していた。それは『俺の相棒は輝夜だけだ』というものだった。輝夜はそれに呆れながらも、内心、嬉しく思っていた。そう思うと、次に別のことを考えた。

 

(悔いはない………って、言ったら、嘘になるな………。明聖のことはもちろん、そうだし………、ルシフェルたちもな………)

 

輝夜はあの後、会っていないルシフェルたちのことが気になった。もう少し、話しておけばよかったと思っていた。しかし、すぐにそれを考えることはやめた。

 

(まぁ、俺の()()は、どいつもこいつも、殺しても死なない連中だし、大丈夫だろ)

 

ルシフェルたちのことを共通の目的を持つ同僚から信頼のできる仲間として、輝夜はそう思ったのだ。

 

「…………いよいよか」

 

そして、とうとう隕石のすぐ近くまで来た。ロヴィーノは特に抵抗していなかった。ひとまず、それに安堵しながら、いろいろと振り返った。

 

産みの親からの虐待。それから逃れるために産みの親の殺害。リヴォルッツィオーネへの入団。仲間の出会い。1度の死。本当に大切な2番目の親の出会い。妹の出会い。その大切な親の死。《死体の大地事件》。様々な者からの逃亡。邪神からの刷り込み。そして、地球での戦い。

 

これらが走馬灯のように流れた。輝夜はそれを噛み締めて、ロヴィーノを掴んでいる手とは反対の手に巨大化させたガンブレードを持った。それの刃には純白の炎を纏わせていた。

 

「行くぞ!!!!」

 

そう言うと、輝夜はロヴィーノを隕石のほうに放り投げた。そして、すぐに、そのまま、ガンブレードを構えた。

 

「(父さん……、母さん……。今、そっちに行くよ……)《龍王の角(コルナ・ディ・レ・ドラゴーネ) 光と闇の奇跡(インフィニート・ミラクロ)》!!!!」

 

輝夜は純白の炎を纏わせたガンブレードをロヴィーノに向かって、突きを入れた。

 

グサッ!!!!

 

ガンブレードの刃はロヴィーノを貫いて、ロヴィーノの後ろの隕石と衝突した。

 

「ぐふっ……!!!?…………クックックッ。本当に……、貴様には驚かせるよ………。………完敗だよ。………ダークネス、いや、光城輝夜……」

 

貫かれたロヴィーノは特に悔しそうな様子も無く、最期の言葉として、そう残した。

 

「ぐっ!!?」

 

それについて、輝夜は返事を返す余裕も無く、隕石の勢いに顔をしかめていた。だから、輝夜はすぐに最後の一撃を入れようとした。

 

(………ルシフェルにロヴィーノ教団の皆、沢田綱吉とその仲間たち、………そして、明聖。………さよなら)

 

輝夜は微笑みを浮かべながら、そう思い、ガンブレードの引き金を引いた。

 

カチッ………

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!

 

すると、ロヴィーノの暴発により隕石は誘爆による大爆発を引き起こし、輝夜とドレイク、ロヴィーノを呑み込んだ。その爆発の余波は世界中に広がって、金色と黒色の光る結晶が降ってきたが、爆発そのものに地球が巻き込まれることは無かった。輝夜の最後の攻撃の向きがそれを防いだようだった。この様子から、地球の滅亡は本当に阻止できたみたいだった。

 

『………………………』

 

その大爆発を明聖やツナたちは静かに見ていた。

 

コンッ……、コンッ………、コロンッ…………

 

すると、空から3つほど、小さい何かが落ちてきた。

 

「……………………」

 

それに気づいた明聖は落ちてきたものに近づいて、拾い上げた。

 

「これ……………」

 

明聖が拾い上げたものは漆黒の石が填まっていたリング1つと金色の石が填まっていたリング2つだった。それは輝夜の右手の指に填めていた《闇》のリングと聖輝と明夜の《光》のリングだった。

 

「……うっ………うっ………」

 

明聖はそれらを見て、目からポロポロと涙がこぼれた。

 

「……うっ………うっ……………うあぁぁぁーーーーーん!!!!」

 

そして、我慢できなくなった明聖は大声で泣き崩れた。そんな明聖の様子をツナたちは静かに見つめていた。

 

こうして、1人の《闇夜》の犠牲によって地球の滅亡は防がれ、後に『ロヴィーノ事件』と呼ばれる大事件は終焉を迎えることになった。




次回、最終回!!!


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日常編(最終回)
奇跡による元の日常


『家庭教師ヒットマンREBORN!~光と闇の奇跡~』、最終回!!!

92話、完結です!!!


『ロヴィーノ事件』から数ヶ月…………。

 

「起きろ!ダメツナ!!」

 

「ぐふっ……!!!」

 

沢田宅のツナの部屋でリボーンがツナを蹴り起こしていた。

 

「っ痛つつ………。何するんだよ、リボーン!!!」

 

「毎度毎度、いつまでも寝ているオメーが悪いんだぞ。ほら、とっとと起きろ。今日はあいつらの()()()()なんだからな」

 

「ハァ……、わかってるよ………」

 

ツナがそう言ったのを聞くと、リボーンは部屋から出て行った。それを見て、ツナは寝間着から制服に着替えて、部屋から出て、下の階に降りて、ダイニングに向かった。

 

「あら、ツッ君。おはよう」

 

「ツナ、おはよう」

 

「ガハハ、ツナ、お寝坊さんだもんね!!」

 

「ツナさん、ニーハオ」

 

「ツナ兄、おはよう」

 

既にダイニングにいた奈々、ビアンキ、ランボ、イーピン、フゥ太がそれぞれ、そう言った。リボーンは既にエスプレッソを飲んでいた。そして、もう1人…………

 

「ツナ兄さん、おはよう」

 

『ロヴィーノ事件』が終わった後、沢田家に居候することになった明聖がツナに挨拶した。最初は輝夜のことで塞ぎ込んでいたり、沢田家の面々に遠慮がちだったりだったが時間が経つにつれて、だんだん慣れていき、今では明るくなり、立派な家族の一員だ。ツナへの呼び名も『綱吉さん』から『ツナ兄さん』になった。そして、フゥ太の失ったランキング能力も明聖の《光》の炎の力で蘇ったのだ。これに関して、明聖への負担は特に無さそうだった。ついでに言うと『ロヴィーノ事件』の後、家光はボンゴレのことを奈々に話した。ツナが死んだ時に白状しようと考えていたらしい。明聖のおかげでツナは生き返ったのだが、1度決めたことを覆すというのもどうかと思って、結局、話したのだ。それに対して、奈々は驚きはしたもののそれが逆にロマンを感じて、むしろより仲が深まった。それにツナは呆れていた。ちなみにツナが1度死んだことは伝えていない。ツナの希望で奈々にこれ以上余計な心配をかけたくないという理由からだった。

 

「おはよう、みんな」

 

ツナも挨拶を返して、席に座って朝食を食べ始めた。

 

「ガハハ、()ね~。リボーン!」

 

とランボは頭のモジャモジャから手榴弾を取りだしリボーンに投げつけた。すると、リボーンはレオンをラケットに変えて手榴弾を打ち返した。

 

「ぐぴゃ!!」

 

打ち返された手榴弾はランボに当たり、開いていた窓から外へ出てそのまま…

 

ドカン!!

 

と爆発した。

 

「えっ!!?リ、リボーン君!!!何しているの!!?ランボ君は大丈夫なの!!?」

 

それを見て、ツナが突っ込むよりも先に明聖が突っ込んだ。

 

「ふん、俺に歯向かったあいつが悪い」

 

「あ~、リボーン、そんなところも素敵///」

 

「もう、ビアンキさんまで~~………」

 

そんなリボーンと様子に明聖は頭を抱えていた。

 

「………クスッ」

 

それを見て、ツナがクスッと笑った。

 

「ツナ兄さん………。笑い事じゃないよ……」

 

それが聞こえた明聖がツナを恨めがましい視線を送りながら、そう言った。

 

「ごめんごめん。………でも、元の日常に戻ったんだなって思って………」

 

ツナはしみじみと呟いた。ツナが今、目にしている光景は明聖がいることを除けば、ロヴィーノ教団が襲来してきた日の朝とほとんど、一緒だった。それをツナは感慨深く思ったのだ。

 

「ふん。今更だな」

 

それをリボーンは鼻で笑いながら、そう言ったが内心では、きっと、同じ気持ちだろう。

 

「そうなんだ………」

 

明聖も静かにそう言った。

 

「ほら、ツッ君。早く食べなさい。今日は了平君たちの卒業式でしょ?」

 

そこで、奈々がそう言った。そう実は今日は並中の卒業式なのだ。リボーンの言っていた『あいつらの大事な日』というのは、卒業式のことだったのだ。ちなみに了平だけではなく、雲雀も卒業するようだ。理由としては、『並高の風紀を整えておきたいから』らしい。並中の新しい風紀委員長は草壁がやるらしい。と言っても、OBとして、並中の様子をちょくちょく、見に来るらしく、あまり意味が無いが………。それは置いといて、なんとアーデルや紅葉たち至門中のメンバーもその式に出るのだ。本来なら至門中でやるものだが本人たち至っての希望らしい。そこからは雲雀とかがいろいろ根回しして、実現したらしい。そして、彼らは並中卒業後は並盛高校に進学するようだ。(了平や紅葉は必死に勉強して、ギリギリ合格したらしい。)雲雀が並高の風紀を整えておきたいのも、きっと、このためだろう。

 

「あ、うん。わかった」

 

奈々に言われて、ツナは急いで、朝ごはんを食べ始めた。そして、食べ終わると、ツナは鞄を持って、玄関に向かった。

 

「それじゃあ、ツッ君。母さんたちは竹寿司さんのところで、卒業パーティーの準備の手伝いしてくるからね」

 

「うん。わかった」

 

奈々がそう言って、ツナはそう返事した。卒業式が終わった後で、山本の実家である『竹寿司』を貸しきりにして、了平たちの卒業パーティーを皆で開くのだ。このパーティーには、緑中のハルやイタリアにいるバジルやディーノたちも来るみたいで、空港に着いた後はそのまま、直接、竹寿司に向かうようだ。一応、雲雀も誘ったが当然のごとく断られた。

 

「楽しみだね、フゥ太君♪」ニコッ

 

「う、うん///」

 

明聖が微笑みかけながら、フゥ太にそう言うと、フゥ太は顔を赤くして、そう返事した。

 

「あれ?どうしたの、フゥ太?顔、赤いけど?」

 

「な、何でも無いよ、ツナ兄!!!」

 

「やれやれ………」

 

そこをツナが指摘すると、フゥ太は慌てて、そう言って、リボーンは呆れていた。

 

「まぁ、確かに楽しみではあるな」ニヤリ

 

すると、リボーンがニヤリと笑うのを見て、ツナは寒気した。

 

「お、お前………。まさか、また、ボンゴレ式とかにするんじゃないよな……?」

 

「ふん。………どうだろうな?」ニヤリ

 

「ヒィッ!!?」

 

ニヤリと笑うリボーンにツナは情けない悲鳴を上げた。

 

「………と言っても、今回はやらないけどな」

 

「………えっ?」

 

リボーンの信じられない言葉にツナは呆然とした。

 

「それ……?本当……?」

 

「あぁ、もちろんだぞ。たまには、普通も悪くねぇと思うしな。それに普通のほうが明聖にとっては新鮮だろうからな」

 

「あ。それは確かに………」

 

リボーンの言葉にツナは納得したように頷いた。この数ヶ月間で明聖はかなりの世間知らずということが判明した。世間知らずと言っても、一般的なルールではなく、地球の文化についてだった。というのも、地球とベネスタンテ星では文化に違いがあるようで、地球に着いてすぐの頃は輝夜のこともあり、ゆっくり地球を見ることができなかった明聖はもの凄いカルチャーショックを受けていた。寿司もその1つらしく、初めて食べた時はもの凄く感動していた。他の食べ物や文化などもそうらしくて、ベネスタンテ星にもあるものもあるが、無いものもあるために明聖にとっては新鮮なことばかりだった。

 

「ということは、今回はボンゴレ式にはしないのか~~」

 

ツナがボンゴレ式のパーティーにしないことに安堵した。

 

「まぁな。だが、来年のオメーらの卒業パーティーは楽しみにしてろよ?」

 

「そ、そんな~~~!!?」

 

そんなツナにリボーンがそう言って、ツナは思わず絶叫した。それに笑う皆だった。

 

「ふふ。それなら、私も腕によりをかけて料理を作ろうかしら?」

 

「ゲッ!!?」

 

すると、急に言ってきたビアンキの言葉にツナは思わず、そう叫んだ。せっかくの卒業パーティーにポイズンクッキングを出すわけにはいかない。どうしようかと考えていると………

 

「ビ、ビアンキさん!!私、飾り付けの手伝いしたいんだけど、ビアンキさんに手伝って欲しいの!!ビアンキさん、手先器用そうだし!!料理は奈々さん(ママさん)や武兄さんのパパさんに任せれば大丈夫だと思うから!!」

 

明聖が慌てて、そう言った。明聖もビアンキのポイズンクッキングの恐ろしさを知っているようだ。明聖もポイズンクッキングを出さないためにそう提案したのだ。明聖はカルチャーショックによる天然があるが、それを除けば、ツナと同等の常識人みたいだ。

 

「そう?それなら、仕方ないわね。私は飾り付けのほうをするわ」

 

(明聖、グッジョブ!!)

 

ビアンキが飾り付けをすると言って、ツナは明聖に内心、賞賛した。

 

「ツッ君、時間、大丈夫なの?」

 

奈々がそう言って、時計を確認すると、そろそろ行かなければまずい時間だった。

 

「ゲッ!!?やば!!!じゃあ、いってきます」

 

『いってらっしゃい』

 

ツナはそう言って、家から飛び出して、学校に向かった。

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ………。これなら、間に合いそう……」

 

ツナは走りながら、そう呟いて、安堵した。そして、ふと、こんなことを思った。

 

(本当に元の日常に戻ったんだな………。()()()()()()()…………)

 

ツナはしみじみとそう思った。ロヴィーノが作り出した画面により、ツナたちのことは世界中に知れ渡った。死ぬ気の炎などを使ったためにツナたちは2度と表社会に出られないと思われたが、『ロヴィーノ事件』が終わった後でどういうわけか、ツナたちがマフィアと知っているメンバーを除いて、世界中の人々たちがツナたちがロヴィーノと戦っていたことに関する記憶を失っていたのだ。

 

これはどう考えてもおかしいと思い、調べてみると、大爆発が起きた際の世界中に降り注いだ金色と黒色の光る結晶、これが原因のようだった。これらの結晶はどうやら、《光》と《闇》の炎の力があるらしく、その《闇》の炎の力によって、世界中の人々の記憶が()()()()()()、ロヴィーノは某国の軍隊の特攻隊が倒したと書き換えられていたというツナたち表社会の住人にとって都合のいい出来事(奇跡)が起きたのだ。さすがに『ロヴィーノ事件』そのものの記憶を無効化することはできなかったが、おかげでツナたちは元の日常に戻れることができたのだ。しかし、見たときの衝撃が大きかったためか、ツナのことをダメツナと呼ぶ者や絡んでくる不良が激減したが、まぁ、それは嬉しい誤算だろう。

 

しかも、それだけでは無く、《光》の炎の力で、ロヴィーノが前日に見せしめとして殺された人々たちの怪我が治り、生き返ったのだ。この現象に世界中、パニックになって、連日、ニュースにもなった。しかし、一部の者たちを除いて、記憶を無効化にされた者たちは原因がわからなかったために迷宮入りとなり、ただ『奇跡が起きた』ということになった。この事件での死傷者は最終的にツナたちが島に来る前にロヴィーノに敗れた軍隊のみとなった。亡くなった軍隊の人々たちやその遺族たちには申し訳ないが輝夜のおかげで大多数の人々はロヴィーノ教団が現れる前の元の日常に戻ることができたのだ。

 

(皆も元の日常に戻ったんだよな…………)

 

『ロヴィーノ事件』が終わった後は、守護者たちはもちろん、黒曜もヴァリアーもミルフィオーレもシモンもアルコバレーノも皆、それぞれ、自分たちの元の日常に戻った。ランチアも贖罪の旅に戻った。少し変わったことと言えば、ミルフィオーレではマーレリングを再封印するのは止めて、白蘭たちが持つことになった。また、ロヴィーノ教団みたいな者たちが現れたときのための対策らしい。監視付きだがユニの目から見て、大丈夫だと判断したらしい。

 

しかし、その中で復讐者(ヴィンディチェ)とチェッカーフェイスは違った。というのも、アルコバレーノのおしゃぶりがロヴィーノ教団によって、ボンゴレリングやマーレリングみたいな着脱可能なものとなってしまったのだ。それにより、おしゃぶりを《夜》の炎を使った器にする必要が無いために、復讐者(ヴィンディチェ)(トゥリニセッテ)を扱う大義名分を失ってしまったのだ。他のメンバーは再び、復讐者(ヴィンディチェ)とチェッカーフェイスが(トゥリニセッテ)を巡って、争うのかと思われたが、チェッカーフェイスがある条件を受け入れてくれるならば、(トゥリニセッテ)の運営権を復讐者(ヴィンディチェ)に任せると言ったのだ。

 

それは輝夜を除くロヴィーノ教団の面談の許可だった。『ロヴィーノ事件』の後、ロヴィーノ教団のメンバーは全員、復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄に収監されることになった。そんなロヴィーノ教団のメンバーにチェッカーフェイスは面談したいらしい。しかも、1度や2度では無く、気が済むまでらしい。その理由は同じ生粋の地球人であるロヴィーノ教団のメンバーを気にかけてのものだった。あの時の戦いでロヴィーノが言っていた通り、ロヴィーノ教団のメンバーは全員、刷り込みをされていた。特に大きな変化があるという訳でも無かったが、全員、自分たちがやってきたことに多少の後悔をしているようだった。チェッカーフェイスはそれを見て、ベネスタンテ星へと追放して放置していたことが原因だと思い、ベネスタンテ星の住民たちを何とかしようと考えているみたいだ。ちなみに明聖も自分の故郷を何とかしたいという気持ちがあるらしく、今はまだ無理だが、将来的にチェッカーフェイスに協力しようと考えているみたいだ。

 

ロヴィーノの攻撃を受けて、重体だったルシフェルもあの後、目が覚めた。ルシフェルも他のメンバーと同様、ロヴィーノに刷り込みされていたらしく、ショックを受けていた。そして、輝夜の死を伝えると………

 

「………そうか」

 

と一言だけ言って、それ以上は言わなかった。リリスたちはそれにショックを受けていたがルシフェルはそこまで驚いた様子は無かった。ルシフェルは心のどこかでわかっていたのかもしれない。

 

そして、最終的にチェッカーフェイスの条件にバミューダたちは渋々ながらも了承して、ルシフェルを含めたロヴィーノ教団は牢獄に収監されて、チェッカーフェイスの面談に出るようになった。

 

(輝夜やルシフェルたちもロヴィーノの被害者だったんだよね………。悪いのは全部、ロヴィーノ。そいつから、元の日常に戻れたんだね………)

 

ツナは今までのことを振り返って、そう思った。ロヴィーノ1人によって、今回の大事件は起きたと言っても過言では無かった。そんな大事件からこうして、無事に元の日常に戻れたのは、奇跡って言っても、過言では無かった。

 

(これも、輝夜のおかげだよ。輝夜は明聖のためであって、俺たちはついでだと言うと思うけど、それでも言わせて、…………ありがとう)

 

ツナは心の中で輝夜に礼を言った。そして、ツナは並中に向かった。

 

 

 

 

卒業式の最中は今まで以上に緊張感があった。理由は言わずもがな、雲雀だった。雲雀が卒業するということで、居眠りする者はもちろん、小声で話す者も誰一人いない。卒業証書を渡す校長も…………

 

「ひ、雲雀恭弥」

 

「はい」

 

と言う風にものすごく緊張している様子だった。ちなみにさすがの雲雀も卒業式という場で群れていても咬み殺したりはしなかった。そして、それ以外に特に問題は起きずにスムーズに終わった。そして、式終了後は了平や紅葉はボクシング部、山本や薫は野球部の集まりがあるらしく、他のアーデルたち3年生も後輩たちと話すことがあるらしく、それ以外のツナたち在校生は一足先に竹寿司に向かった。

 

竹寿司についたら、そこには既にリボーンや明聖たちが準備をしていた。ディーノやバジルたちも既に来ていた。ランボが目を回して気絶していたが、おそらくリボーンがしたのだろう。ビアンキは朝に言っていた通り、明聖やイーピンたちと飾り付けをしていたところを見て、ツナたちは安堵した。ちなみにビアンキのことを聞いたら、獄寺たちも明聖を褒め称えた。そして、ツナたちもパーティーの準備を手伝った。

 

 

 

 

そして、準備が終わって、山本や了平たちも来て、パーティーが始まることになった。

 

「よし。じゃあ、ツナ。オメーが乾杯の音頭を取りやがれ」

 

「えっ!?俺が!?」

 

リボーンにそう言われて、ツナは驚くが、他の皆からも賛同して、渋々と引き受けた。皆、それぞれ飲み物を持ったのを見て、ツナは乾杯の挨拶を始めた。

 

「え~~~っと、ロヴィーノのことやそれ以外にも1年間いろいろありましたが、とりあえず今は、お兄さんたちの卒業に乾杯!!!」

 

『乾杯!!!』

 

乾杯すると、皆、それぞれ飲んだり食ったり、おしゃべりしたりなど様々な行動を取り始めた。中には喧嘩になったり、騒動を起こす者もいたが、皆、楽しそうだった。

 

「そうだ!皆で記念写真、撮りましょう!」

 

パーティーも佳境に入ったところで明聖が提案した。

 

「記念写真!いいですね♪」

 

「うん。そうだね♪」

 

「うん」

 

それを聞いて、ハル、京子、クロームが真っ先に賛同した。他のメンバーも反対する者は居らず、記念写真を撮ることになった。

 

「それなら、ほら。オメーら、とっとと並びやがれ」

 

そう言うと、リボーンがどこから取り出したのか、カメラを用意して、ツナたちに並ぶように促した。リボーンにツナたちはカメラの前に並んだ。

 

「よし。いいな?それじゃあ、撮るぞ」

 

リボーンがそう言うと、カメラのタイマーをセットして、リボーンも皆のところに移動した。

 

「行くぞ。せーの」

 

『はい、チーズ!!』

 

カシャッ!!

 

そして、リボーンの掛け声と同時に写真は撮られたのだった。

 

 

 

 

その写真のコピーの1枚は沢田宅の一室の棚の上にある光城家のメンバーが写っている写真と3つのリングの横に飾られるのであった。




この作品も完結しました。今まで、読んでくれた皆さん、応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。

次回からは、この作品の設定と活動報告にも載っている番外編をやります。質問はまだ、募集しています。ちなみに最初は輝夜を予定しています。

それでは、最後に皆さん、本当にありがとうございました。


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番外&設定編
光城輝夜(ダークネス)


長らくお待たせしました。番外&設定編です。今回は輝夜についてです。

もしかしたら、設定のほうは後に追加することもありますがご了承ください。


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

ハル「そして、この作品では特別に京子ちゃんも司会に参加してくれています!!」

 

京子「初めまして、笹川京子です。今日は皆、よろしくね♪」

 

ハル「いや~。この作品も無事に完結しましたね♪」

 

京子「そうだね♪」

 

リボーン「これも応援してくれた読者の皆のおかげだぞ。ありがとうな」

 

ハル「ありがとうございます!!」

 

京子「ありがとうね♪」

 

リボーン「それを記念して、この番外編では、作者が考えたオリキャラたちの裏話や活動報告で募集した質問をするぞ」

 

ハル「それでは早速、行きましょう!!」

 

京子「今回のゲストはこの作品のもう1人の主人公。ダークネスこと光城輝夜さんです!」

 

輝夜「光城輝夜だ。よろしく」

 

リボーン「オメー。何でここにいるんだ?死んだ筈だろ?」

 

ハル「はひ!?リボーンちゃん!!いきなり、何を言うんですか!!」

 

輝夜「ここのタグにもあるだろ?ご都合主義だ」

 

ハル「輝夜さん、メタイです!!」

 

京子「あっ。そうなんだ」

 

ハル「京子ちゃんも納得しないでください!!」

 

輝夜「三浦ハル。ここでは俺たちの裏話をするんだろ?それなら、メタくなるのも仕方がないだろ?」

 

ハル「いや!裏話って、皆さんがベネスタンテ星にいた頃の話や本文で語れなかった皆さんの秘密について話すのではないのですか!?」

 

京子「ハルちゃん……。本文って、ハルちゃんもメタイよ……」

 

リボーン「まぁ、このコーナー自体がメタイからな」

 

ハル「そ、それはともかく、どうなんですか!?」

 

輝夜「まぁ、確かにそれも無くはないが、主には俺たちやこの作品の設定を作者がどのように考えたかについて、話すみたいだぞ」

 

ハル「はひー!?何ですか、それ!?ハルはそんなの聞いていません!!」

 

輝夜「何でも作者曰く、このコーナーの後で俺たちの設定を書くみたいだから、それより、経緯について話したほうが書きやすいという、作者の文才の無さが原因だな」

 

ハル「作者さーーーん!!!」

 

京子「ハルちゃん、大丈夫?」

 

リボーン「まぁ、いつまでも、だらだらやるわけにはいかねぇからな。とっとと、始めるぞ。輝夜、早く言え」

 

輝夜「お前に命令されなくても、わかっている。……さてと、今回はまず、この作品のコンセプトについて話すが、この作品は『原作での総体集』やタイトルにもある『光と闇』をコンセプトにしている」

 

京子「あっ。確かに作者さん。花や内藤君たちの名前も出していたね」

 

ハル「普段、長編ものの二次小説では見ない人たちですね」

 

リボーン「原作でも、出番がかなり減っていたからな」

 

輝夜「さすがにマイナーすぎるキャラは無理だったらしいがな」

 

リボーン「『原作での総体集』って言えば、俺らが《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と戦ったこともそうか?」

 

輝夜「あぁ。作者としても、今まで敵だったもの、ずっと味方だったものが、協力するところはお薦めらしいな」

 

ハル「はひ~!でも、そういう絆を感じさせるものはとてもいいと思います!ベリーベリーグッドです!!」

 

京子「うん♪それと、ツナ君の最後の技も皆、協力していたね」

 

輝夜「それも作者にとっては、お薦めの1つらしいな」

 

リボーン「ふん……。それで、もう1つは『光と闇』か?」

 

輝夜「そうだな。《~追憶~ 闇夜の過去編》や《最終決戦編》を見たらわかると思うが、光と闇の両方の調和の大切さがある………らしい」

 

ハル「らしい………ですか?」

 

輝夜「あぁ。前者はともかく、後者は作者も曖昧なところがあるみたいだからな」

 

京子「そうなんだ」

 

リボーン「まったく、作者も困ったものだ………」

 

ハル「え、えっと、これでこの作品のコンセプトについて、終わりましたね?それなら、次は輝夜さんについて聞きましょう!!」

 

リボーン「輝夜たちオリキャラにはそれぞれモデルにしたキャラがいるみたいだな」

 

輝夜「あぁ。中には完全にオリジナルのキャラもいるが、俺にはモデルとしたキャラがいるな」

 

京子「それは誰ですか?」

 

輝夜「『ナルト疾風伝』の『うちは一族』だな。俺の能力で『写輪眼』系が多いからな。まぁ、別に目は変わらないが。(だが、俺の力の覚醒と写輪眼の開眼条件が似ているんだよな。ムカつくことに)」

 

リボーン「確かに《闇夜》の炎なら《神威》とかできるな。本編には出なかったが《天照》はどうだ?同じ漆黒の炎だが?」

 

輝夜「………できなくはないな。《闇夜》の《夜》の力で対象を狙って、《闇》の力で燃やし尽くせばな」

 

ハル「そういえば、輝夜さんのイメージCVも『うちはサスケ』さんと同じ人でしたね?」

 

京子「そうだったね」

 

輝夜「あぁ、そうだな。……まぁ。イメージCVについては作者の何となくがこの人がピッタリだというのがほとんどだな」

 

リボーン「全く、作者のそういう所には呆れるな」

 

ハル「それでは、次に活動報告で募集していた質問をやりましょう!!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です」

 

ハル「『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』というものです!」

 

輝夜「平和な世界で俺のやりたいことだと?」

 

リボーン「何か、ねぇのか?」

 

輝夜「って言ってもな………。今まで、明聖を守るためなら、手段なんて、何でも良かったからな。特にやりたいことなんて、思いつかねぇよ」

 

京子「あっ。それなら、私たちで何か、やりたいことを言ってみない?」

 

ハル「はひ!それはいいですね!」

 

京子「ふふ。ありがとう♪それなら、私から。輝夜さん、頭いいみたいですし、学校の先生とかはどうですか?」

 

輝夜「却下」

 

ハル「はひ!?」

 

リボーン「………即答だな」

 

京子「え、えっと、何でですか?」

 

輝夜「俺じゃ、学業を教えることができても、道徳を教えることできないからな」

 

ハル「道徳を……ですか?」

 

輝夜「あぁ。そもそも、俺みたいな裏社会の住人という、ろくでもなしが表社会の住人にまともなことを教えられる筈無いからな」

 

リボーン「………おい。それは俺に対する当てつけか?」

 

輝夜「ん?………あぁ。そんなつもりは無かったが、よく考えてみるとそうだな。お前は殺し屋(ヒットマン)だからな。あぁ……。()()()()()()に教えてもらっている沢田綱吉には同情するよ……」

 

リボーン「ブチッ  どうやら、いっぺん、死にたいみたいだな………」

 

輝夜「本編では死んだがな」

 

リボーン「減らず口を………!」

 

京子「2人とも?」

 

ハル「はひ!?2人とも落ち着いてください!というか、輝夜さん!!赤ちゃん相手に大人げないです!!」

 

輝夜「は?赤ちゃん?どこにいるんだ、そんなの?」

 

ハル「どこって………目の前にいるじゃないですか!!」

 

輝夜「あ?………あぁ。そういえば、お前、赤ん坊だったな」

 

ハル「今、気づいたのですか!?」

 

京子「それ以外に何に見えるのかな?」

 

リボーン「気にするな。こいつは俺を年寄り扱いする(そういう風に扱う)だけだからな」

 

ハル「どういう風に扱っているのですか!?」

 

リボーン「それよりも、輝夜………、覚悟はいいか?」

 

輝夜「覚悟?何の覚悟だ?」

 

リボーン「もちろん、俺様にぶちのめされる覚悟だぞ」

 

輝夜「あぁ。さっきのこと、まだ、根に持っていたのか。………器小さいな。それと、もちろん、お断りだ」

 

リボーン「オメーに拒否権はねぇぞ」ヒクヒク

 

輝夜「そういう言葉は格上が格下に向けて言うものであって、決して、格下が格上に言うものじゃないぞ」

 

リボーン「もういい。オメーはぜってー、潰す」

 

輝夜「やれるものなら、やってみな」シュンッ

 

リボーン「待ちやがれ!」シュンッ

 

ハル「え!?あ、ちょっと、2人ともどこ行くのですか!!?まだ、途中ですよ!!」

 

京子「行っちゃった………」

 

ハル「どうしましょう………。京子ちゃん………」

 

京子「えっと………打ち切るしかないんじゃないかな?ゲストの輝夜さんがいなくなっちゃったし………」

 

ハル「そうですね………。仕方ありません………。それでは、皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」

 

京子「ばいば~い」

 

結局、その後、輝夜はリボーンとの鬼ごっこから逃げ切って、リボーンはツナに八つ当たりすることになるのだった。そして、輝夜への質問の答えは最終的にこう答えた。『適当に小さくても何でもいいから店を開いて過ごす』というものだった。

 

設定

 

名前:光城輝夜(ダークネス)

イメージCV:杉山紀彰(幼少期:鈴木真仁)

年齢:26歳

一人称:俺

誕生日:8月28日

星座:乙女座

血液型:B型

身長:178㎝

体重:68㎏

好きなもの:自分に光を与えてくれる存在(明聖など)

嫌いなもの:貴族、詐欺的な勧誘をしてくる者、自分の光を汚す者

 

死ぬ気の炎

闇(メイン)、夜、光、(闇+夜→)闇夜、(闇+光→)純白の炎(無限)

 

人物像

ロヴィーノ教団の団長。旧名、ダークネス。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼ばれているが本人はその異名を気に入っていない様子。また、産みの親がつけた名前、ダークネスも気に入っていない様子。冷静沈着で基本、無愛想に過ごしている。自分のことも周りのこともほとんどなことに無頓着な性格であり、他人に悪く思われても気にしない。戦いにも意欲的ではなく、本気を出す理由が無ければ、本気を出す気もないし、負けても構わないと思っている。しかし、明聖などの自分にとって、必ず守りたいものを守るためなら、どんな相手でも寄せ付けない絶対的な力を発揮する。頭が良く、相手の一手も二手も先を呼んだ戦いをする。裏社会で生活していたため、残酷なやり方や考え方もするが、無自覚で不器用な優しさを持っている。かなりの毒舌家で周りの人物に喧嘩を売ることもあるが、輝夜はその怒りを難なくかわしたりする図太い神経の持ち主である。周りの様々なことには敏感だが唯一、自分への好意には鈍感である。本人曰くいい意味でも悪い意味でも差別しない主義らしい。本人は自覚していないがSッ気がある(特に個人的に気に入らない奴に)。少し天然染みた所があって、それによるボケもあるが、冷静なツッコミもする。明聖に関して、そこまで酷くないがシスコンなところがある。七つの大罪で表すなら(なんとなく)虚飾。

 

経歴

ベネスタンテ星のとある貧民の家で出生。しばらく経って、幼少の頃から生みの親から盗みを働くように命じられ、それを行い、失敗すると親から虐待を受けていた。ある日、ガンブレードとドレイクの匣を盗んできた日の夜、輝夜は両親から自分が貴族に売り飛ばされることを知った。輝夜はそれに恐怖して、その日の深夜に両親を殺害。そのあと、後にロヴィーノ教団となる、革命軍リヴォルッツィオーネに入った。その日から10年後、輝夜は敵の攻撃を受けて、致命傷を負い、1度死亡。しかし、そんな輝夜を聖輝が見つけて、明夜とともに《光》の炎で輝夜を蘇生した。その日から光城家と交流が始まった。その日から約1年後に明聖が誕生。しかし、しばらくすると、輝夜はエレオノーラに騙されて、そのせいで聖輝と明夜が殺された。それが原因で輝夜の力が覚醒して、《死体の大地事件》を引き起こした。その日から、父親代わりとして明聖を育てた。その8年後、ロヴィーノ教団に連れ戻しに来たロヴィーノと戦い、敗北。その後でロヴィーノに刷り込みされた。そして、明聖と共にロヴィーノ教団に戻り、ルシフェルの提案でロヴィーノ教団の団長に就任した。

 

技・使用武器など

《闇》の炎

輝夜が持つ死ぬ気の炎。形や色は《大空》の炎を漆黒の色に変わったもの。謎が多く、現在判明している性質は《無効》、《融合》、《強化》。輝夜の場合、体内にあったロヴィーノの炎が暴走することで、《闇》の炎は白くなる。

 

《闇夜》の炎

《闇》の炎と《夜》の炎が融合して生まれた炎。《闇》の炎に《夜》の炎の禍々しさが加わった。《夜》の炎の力も強化されて、視認できないくらいのスピードでショートワープを使うことができる。

 

《純白の炎》

《闇》の炎と《光》の炎が融合して生まれた炎。輝夜が光を受け入れることで使用が可能になった。炎圧の無限の強化が可能。

 

《死ぬ気の到達点》

原作のツナと同じもの。輝夜の場合、自力での発動が可能であり、その時に体から放出する炎を体に馴染ませることで身体能力を大幅に上昇することが可能となる。また、それにより、連続のショートワープによって生まれる残像の分身での戦闘も可能となる。

 

 

ガンブレード

ロヴィーノが輝夜用に作った(制作方法は不明)刃渡り20㎝の刃が付いて銃身の側面には銀のドラゴンが彫られていた単発式拳銃の形状した漆黒の2丁拳銃。特殊弾や普通の銃弾を撃つことはできないが、グリップを通して、掌から銃身に死ぬ気の炎を送らせて、炎の弾丸を体力が持つ限り何発でも連続で放つことができる。また、刀身を炎で伸ばして、2振りの刀のように扱うことも可能。そして、巨大化させることも可能。それにより、炎の消費も激しいが威力はかなり上がる。

 

漆黒の竜巻(トルナード・ネーロ・コルヴィーノ)

ガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせた状態で体を勢いよく、1回転させて、使用者を中心に炎の竜巻を起こす。参考は『ONE PIECE』のゾロの《黒縄・大龍巻》。

 

(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)

刃に《闇夜》の炎を纏わせたガンブレードを地面に突き刺し、相手の足元から大量の炎の槍を出す。この技は相手の足元の地面に《闇夜》のワープホールを作り出し、ガンブレードの引き金を引くことで足元からの攻撃を可能とする。

 

漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)

ガンブレードから無数の《闇夜》の炎の弾丸を撃ち出す技。《闇夜》の炎でできた弾丸に当たると攻撃が無効化される、攻防一体の技。

 

漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)

ガンブレードから極太の漆黒のレーザーを放つ技。XANXUSの《決別の一撃(コルポ・ダッディオ)》と酷似しているが、XANXUSの《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》を打ち消す程の威力がある。

 

白き咆哮(ルッギオ・ビヤンコ)

暴走状態の輝夜が使用。白くなった《闇夜》の炎で撃ち出された《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》。

 

逆鱗乱舞(げきりんらんぶ)

対大人数の技。相手の隙間を縫って通り、その間に状況によって撃つ、斬る、蹴る、殴る、といったことを一瞬で行う技。普段は小型のガンブレード2つ使って行われる。

 

虚無の刃(ラーマ・ディ・ヌッラ)

大型のガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせて、それを振るい、巨大な《闇夜》の炎の斬撃を飛ばす。

 

龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)

ガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせて、それを振るい、《闇夜》の炎のワープホールの力を使って、光速を超える速さで相手の体の三点を連続で斬りつける技。あまりの速さに周りからはガンブレードが3つに増えているように見えて、まるでドラゴンの爪で引っ掻くような攻撃をする。2つの小型のガンブレードを使うことで両手の爪で引っ掻いているように見える。

 

龍王の爪(ウンギア・ディ・レ・ドラゴーネ)

大型のガンブレードによって行われる《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》。威力も《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》より高く、周りからは巨大な3本の爪で引っ掻いているように見える。

 

龍の牙(ザンナ・ディ・ドラゴーネ)

作中では未登場の技。《龍の爪(ウンギア・ディ・ドラゴーネ)》の強化版。《闇夜》の炎のワープホールの力を使って、光速を超える速さで相手の体の三点を連続で挟み込むように斬りつける技。周りからはまるで牙で噛み付くように見える。

 

双龍の牙(ザンナ・ディ・ドッピオ・ドラゴーネ)

作中では未登場の技。2つの小型のガンブレードを使って、両手で行われる《龍の牙(ザンナ・ディ・ドラゴーネ)》。威力も倍以上になる。

 

龍王の牙(ザンナ・ディ・レ・ドラゴーネ)

作中では未登場の技。大型のガンブレードによって行われる《龍の牙(ザンナ・ディ・ドラゴーネ)》。威力も《龍の牙(ザンナ・ディ・ドラゴーネ)》や《双龍の牙(ザンナ・ディ・ドッピオ・ドラゴーネ)》より高く、周りからは巨大なドラゴンが噛み付くように見える。

 

龍の角(コルナ・ディ・ドラゴーネ)

ガンブレードの刃に《闇夜》の炎を纏わせて、相手に強力な突きを入れて、その直後にガンブレードの引き金を引いて、至近距離の攻撃をする二重攻撃の技。

 

双龍の角(コルナ・ディ・ドッピオ・ドラゴーネ)

作中では未登場の技。2つの小型のガンブレードを使って、両手で行われる《龍の角(コルナ・ディ・ドラゴーネ)》。威力も倍以上になる。

 

龍王の角(コルナ・ディ・レ・ドラゴーネ)

大型のガンブレードによって行われる《龍の角(コルナ・ディ・ドラゴーネ)》。作中では隕石を破壊するためにガンブレードの刃に純白の炎を纏わせた《龍王の角(コルナ・ディ・レ・ドラゴーネ) 光と闇の奇跡(インフィニート・ミラクロ)》を使用した。

 

(ボックス)兵器

漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)

イメージCV:浦和めぐみ(小型時)、草尾毅(大型時)

 

名称はドレイク。ガンブレードと同様、ロヴィーノが輝夜用に製作した《闇》属性のドラゴン型の匣兵器。炎の消費が少なく、長時間、行動可能である小型の形態と戦闘用の大型の形態の2種類ある。

小型時は明聖の遊び相手になったりする。ちなみに輝夜の頭上や肩がお気に入りの場所だったりする。戦闘時だと口から死ぬ気の炎を吐いたり、鋭い爪や牙で攻撃したり、背中に輝夜を乗せて、移動したりする。

 

 

 

(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)

ドレイクが形態変化(カンビオ・フォルマ)して、輝夜と合体して生まれる、ドレイクの面影を残した鎧。全身装甲の鎧と部分的な装甲の鎧の2種類ある。

全身装甲の鎧には《闇夜》の炎が纏っているうえに、鎧がない部分も《闇夜》の炎の薄い膜で覆われているために、どんな攻撃も無効化させてしまう絶対的防御を誇る鎧である。しかし、《光》の炎だけは《闇夜》の力も打ち消されてしまう。それに対して、部分的な装甲の鎧は全身装甲よりも防御は落ちるが、軽くなった分スピードが上がり、残っている装甲に炎が集中され、攻撃力も上がる。

全身装甲の鎧の参考は『ハイスクールD×D』の《赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)》や《(ディバイ)(ン・ディバ)(イディン)(グ・スケイ)(ルメイル)》である。

 

リミッター解除

《死ぬ気の到達点》の時に体から噴き出す炎を《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》に注ぎ込み、輝夜とドレイクが完全に融合した状態。戦い方はドラゴンのように口から炎を吐いたり、鋭い爪や牙で戦ったり、《闇夜》のワープホールを利用して、自分に死角ができないように攻撃したりする。参考は『ハイスクールD×D』の《覇龍(ジャガーノート・ドライブ)》である。




次回は明聖についてです。


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光城明聖

更新、待たせて、すみませんでした。今後も更新は遅れますが、ご了承ください。


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

ハル「今回は2回目です!!今回も張り切って行きましょう!!」

 

京子「うん。頑張ろうね♪」

 

??「おい」

 

リボーン「ん?どうしたんだ、輝夜?」

 

輝夜「なんで、俺がここにいるんだ?俺の出番は前回ので終わりの筈だろ?」

 

ハル「はい!輝夜さんはこの作品のオリ主的存在なので、このコーナーで私たちと一緒に司会をやってもらおうという作者の考えです!」

 

輝夜「ふ~ん。あっそ」

 

ハル「あ、あれ?思ったより、反応が鈍いですね……」

 

輝夜「別にそこまで執着することでもないからな。それより、とっとと今回のゲストを呼んだら、どうだ?」

 

京子「あ、はい。今回のゲストは光城明聖ちゃんです」

 

明聖「はい。皆さん、こんにちは。光城明聖です」

 

輝夜「今回は明聖。お前なのか」

 

明聖「うん。そうだよ。……ってか、お兄ちゃん!」

 

輝夜「なんだ?」

 

明聖「『なんだ?』じゃないよ!前回の番外編でのあれ、さすがに言い過ぎだよ!」

 

輝夜「前回のあれって、リボーンに言ったことか?」

 

明聖「それだよ!」

 

リボーン「チッ!俺も思い出したぞ。輝夜……。後で覚悟しておけよ……」

 

ハル「あの時は、大変でした……」

 

京子「アハハ……」

 

輝夜「言い過ぎって、言ってもな。俺は事実しか、言っていないぞ?」

 

明聖「いくら事実でも、言っていいことと悪いことがあるって、お兄ちゃん、言っていたじゃない!」

 

輝夜「それなら、聞くが、自分の生徒に食い逃げの責任を押しつけたり、一歩間違えれば、死んでしまいかねない修行、それに、こいつは問題を持ち込むが、それを全て何も教えずに沢田綱吉に押しつけて、何のフォローもしない」

 

リボーン「それが、俺のやり方だぞ」

 

輝夜「オマケにこうやって、開き直る。これがまともな家庭教師(カテキョー)のやることだと思うか?」

 

明聖「そ、それは………、………ごめんなさい。リボーン君が悪いです………」

 

ハル「はひ!?明聖ちゃんが謝っちゃいました!!」

 

リボーン「……………」←(『マフィアは女を大切にする』をモットーにしているために何も言えない状態)

 

京子「リボーン君も複雑そうな顔して黙っちゃった………」

 

輝夜「おい、リボーン。なに、変な顔して、黙り込んでいるんだ?」

 

リボーン「………オメーのせいだろ」

 

輝夜「(無視)それよりも、お前、そんな、教育で大丈夫なのか?」

 

リボーン「………何がだ?」

 

輝夜「ほら、他の二次小説とかで、沢田綱吉がお前や守護者たちに振り回された結果、怒りの沸点が低くなって、キレたら、零地点突破で凍りづけにするっていうのが、あるじゃねぇか?」

 

明聖「あっ。そういえば、そんなのあるね」

 

輝夜「おかげで、お前は沢田綱吉に頭が上がらなくなったっていうオチもあるな」

 

ハル「それで輝夜さんは、リボーンちゃんの今の教育でツナさんがそういう風になってしまうと言いたいのですか………?」

 

輝夜「そういうことだ。あとは、ボンゴレの怒りを買う真似をしないのかっていうことだが」

 

リボーン「ふん。俺様の教育は完璧だぞ。オメーの言うとおりになんか――――」

 

輝夜「あっ。ちなみに、俺と戦った10年後の沢田綱吉はさっき、言ったとおりの性格だという設定だからな」

 

リボーン「…………」

 

京子「えっ?それって………」

 

明聖「『絶対王者』で出てきた10年後のツナ兄さんは怒ったら、その怒らせた人を凍りづけにしたり、リボーン君が頭が上がらなくなるようになるってこと?」

 

輝夜「まぁ、そういうことだ。作者曰く、その時代の沢田綱吉は笑顔でキレることから、『笑顔の悪魔』とか言われているみたいだな」

 

京子「『笑顔の悪魔』………何だか、凄くてかっこいい異名だね♪」

 

ハル「いやいや、京子ちゃん!凄いはともかく、かっこいいは違う気がします!!」

 

明聖「それにしても………、ツナ兄さん………、悪魔って、呼ばれちゃっているんだ………」

 

輝夜「まぁ、砲撃が得意な某魔法少女も悪魔だとか魔王だとか、言われているからな。島を半壊したり、ブラックホールを破壊するX BURNER(砲撃)を使える沢田綱吉も悪魔って、呼ばれてもおかしくないだろ。………それよりも、リボーン。いつまで、黙り込んでいるんだ?」

 

リボーン「………いや、別に。それより、とっとと、今回のこの作品の設定の裏話について、話しやがれ」

 

輝夜「もう、話したぞ」

 

リ、明、ハ、京「はっ(えっ)?」

 

輝夜「いや、だから、今回は10年後の沢田綱吉について、話す予定だったから、もう既に話し終えたって言っているんだ。あとは明聖の設定と質問ぐらいだ」

 

ハル「そ、そうだったのですか……。それなら、明聖ちゃん、お願いします!」

 

明聖「はい!私はお兄ちゃんの心の支えになれるようにという設定を持った完全オリジナルキャラです!」

 

京子「それって、特に参考にしたキャラはいないってこと?」

 

明聖「はい、そうです。特徴もイメージCVも作者さんがなんとなくではありますが、一から考えた者です。ちなみに炎はお兄ちゃんの《闇》の対比として《光》です」

 

リボーン「なるほどな。オメーの設定はそんなものか?」

 

明聖「はい。そうですね」

 

京子「それじゃ、次は明聖ちゃんに質問でまずは、前回の輝夜さんにもした、ただの名の無いジャンプファンさんから『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

明聖「そうですね………。1度、学校に通ってみたいですね」

 

ハル「学校ですか!」

 

明聖「はい。ベネスタンテ星にも、学校というものはありましたが、地球と違って、義務教育じゃなかったし、その時はお兄ちゃんといろいろ旅していたので」

 

輝夜「………………悪い」

 

明聖「あっ!ううん!別にお兄ちゃんは悪くないから!お兄ちゃんと一緒の旅もすっごく、楽しかったから!え、えっと……、次の質問、お願いします!」

 

京子「あ、うん。えっと、次の質問はraphelさんの『将来結婚するとしたら、どんな男性が良いですか?』という質問です」

 

明聖「えっ!?///え、えっと………、それは………、優しくて、強くて、………お兄ちゃんみたいな男の人かな………///」

 

ハル「はひ~!そうなんですか~!」

 

京子「仲がいい兄妹だね」

 

ハル「そ、その答えも、違う気がしますが………、でも、確かに何だか、グッドな感じがします~!」

 

リボーン「(優しいはともかく………強いか………、フゥ太にも修行をつけさせるべきか?……まぁ、いい。それよりも今は……)輝夜。オメーはどうなんだ?」

 

輝夜「どうって、何がだ?」

 

リボーン「前回のオメーの設定にシスコンって、出ていたじゃねぇか。だから、『お兄ちゃんはその結婚を認めません!』的なことを言わねぇのか?」

 

輝夜「………お前は俺のことをどう思っているんだ?オマケにそんな頑固親父のコスプレまでしやがって………。別に何も。明聖の人生なんだ。俺なんかが、どうこう口出しする権利なんかねぇよ。普通に明聖が幸せになれるなら、それでいい」

 

京子「妹さん想いだね♪」

 

ハル「はい、そうですね♪」

 

輝夜「ただ………」

 

リ、明、ハ、京「?」

 

輝夜「明聖を不幸にさせるなら、そのゴミを無に帰するけどな」

 

京子「輝夜さん……?」

 

ハル「はひぃ~!?なんだか、怖いですぅ~!」

 

リボーン「………リングに《闇夜》の炎を灯してんじゃねぇよ」

 

明聖「アハハ…(でも……、お兄ちゃんが私のことを想ってくれているみたいで、少し嬉しいな………)」

 

輝夜「……まぁ、いい。それで、次の質問は?」

 

ハル「あっ、はい!最後の質問ですが、またraphelさんからの質問です。『輝夜さんに直して欲しいところはありますか?』というものです」

 

明聖「それは、もっと、自分を大切にしてほしいことと自分を卑下にしないことです!」

 

輝夜「はっ?前者はともかく、後者は何なんだ?俺はどこかの沢田綱吉(自己過小評価男)と違って、自分に自信はあるんだが?」

 

明聖「戦闘力とか家事の能力じゃないよ!お兄ちゃん、本編でも『自分は最低な人間だ』って、言っていたじゃない!」

 

ハル「はひ~!輝夜さん、家事もできるのですか~!」

 

京子「明聖ちゃんを幼い頃からずっと、育てていたとすると、そうなのかもしれないね」

 

ハル「もう、いろいろとパーフェクト人間です!」

 

リボーン(………ってか、さりげなく、ツナに変なあだ名がついたな)

 

輝夜「あぁ…。そのことか。あれは事実しか、言ってない。前回にも言ったが、裏社会にいる以上、まともではないからな」

 

明聖「でも、お兄ちゃん、なんだかんだ言って、私やロヴィーノ教団の皆さんなどの味方に優しくしていたよ!」

 

輝夜「お前には、ともかく、ルシフェルたち(あいつら)にそんなことした覚えはないが……、まぁ、あくまで味方だけだろう。敵には、情けをかける気はないからな。とりあえず、肝に銘じておくさ。それより、そろそろ、時間じゃないのか?」

 

明聖「むーっ。なんか、露骨に話、逸らされた………」

 

ハル「でも、確かに輝夜さんの言うとおりです。それでは、皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」

 

京子「ばいば~い」

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「じゃあな」

 

明聖「さようなら」

 

設定

 

名前:光城明聖

イメージCV:花澤香菜

年齢:9歳

一人称:私

誕生日:3月16日

星座:魚座

血液型:A型

身長:130㎝

体重:28㎏

好きなもの:輝夜やツナのような家族

嫌いなもの:洗脳などで無理矢理言うことを聞かせる者

 

死ぬ気の炎

 

人物像

聖輝と明夜の実の娘であり、輝夜の義妹。両親に似て、心優しい少女。この作品では常識人であり、ツッコミを担当することが多いが、天然なところもある。東洋の一族であり、光の一族でもあるために光の炎を強く受け継いでいる。義兄の輝夜のことが大好きで、ブラコンなところがある。輝夜にいろいろと教えて貰ったことがあるために頭は良い方であり、家事もそれなりにできる。

 

経歴

ベネスタンテ星のとある平民の家で誕生。しかし、物心のつく前に両親が貴族に殺され、輝夜と共に世界中を旅することになった。8歳の時にロヴィーノの策略に乗せられて、輝夜が人格操作されてしまった。そして、そんな輝夜を何とかしたいという気持ちでロヴィーノ教団に入団した。ロヴィーノ事件の後は、沢田家に居候することになって、沢田家のメンバーを輝夜以外の自分の家族だと思うようになった。

 

技・使用武器など

《光》の炎

金色に輝く死ぬ気の炎。《闇》の炎と同様に複数の特性があり、《強化》、《融合》、《光》の炎のみが持つ、邪悪な物でも浄化したり、不治の病や怪我を癒したり治したり、命を多少削る代わりに低確率で蘇生を可能にする《奇跡》。《光》の炎で蘇生されたものは体質変化が起きて、《光》の炎の波動を宿るが、オリジナルより質は劣り、その人物が蘇生の《奇跡》を行うと確実に死亡する。




次回はルシフェルです。質問はまだまだ、募集しています。


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ルシフェル

ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」

 

ハル「今回のゲストはルシフェルさんです!!」

 

ルシフェル「ルシフェルだ。よろしくな」

 

輝夜「………今回から《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のメンバーか」

 

ルシフェル「なんだ?その反応は?」

 

輝夜「別に」

 

リボーン「まぁ、このオリキャラの大半はそうだろ」

 

ルシフェル「……まぁ、いいか」

 

ハル「それでは、さっそく、行きましょう!輝夜さんとルシフェルさんは親友ですよね?」

 

輝、ル「「違う。ただの腐れ縁だ」」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「息、ぴったり」

 

ハル「京子ちゃん、そこじゃありません!……いや、確かにそこも驚くポイントですが……、それよりも、即答で否定したことです!」

 

ルシフェル「いや、別に俺とダークネスは仲は悪くないが、そこまで良いというわけでもないからな」

 

輝夜「ロヴィーノ教団にいる連中は敵と戦うためにいるんだ。必要以上の馴れ合いは不要だからな」

 

ハル「それは………」

 

京子「なんだか、寂しいね……」

 

ルシフェル「沢田綱吉たちのところと一緒にするな。俺たちは生きるため、自分たちの幸福のために、そうしているんだ」

 

輝夜「たった一つの貴族たちを倒すという(共通の)目的があれば、それだけで十分だ。完全な一枚岩にならなくても、ヒビの数をかなり少なくなる」

 

リボーン「…………」ニヤニヤ

 

ルシフェル「なに、ニヤニヤしているんだ、リボーン?」

 

輝夜「気持ち悪いぞ」

 

リボーン「………輝夜、オメー。ストレートに言い過ぎだ………。それよりも、そう言うなら、なぜ、『《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》ロヴィーノ』と『ロヴィーノの本質』でオメーらはお互いにロヴィーノの攻撃から庇ったんだ?」

 

輝夜「知るか。こっちが聞きたい」

 

ルシフェル「あの時、俺たちは体が勝手に動いただけだからな」

 

京子「それって、お互いがお互いを大事だと思っているんじゃないのかな?」

 

ハル「きっと、そうです!」

 

ルシフェル「まさか………って、言いてぇところだが、ダークネスや他の連中と一緒にいるのは悪くないと感じているな」

 

輝夜「…………………否定はしないが、…………もういいだろ。とっとと、本題に入るぞ」

 

リボーン「露骨に話を逸らしたな」

 

輝夜「(無視)今回は《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のオリジナル炎についてだ」

 

リボーン「オメー………」ヒクヒク

 

ハル「まぁまぁ、リボーンちゃん」

 

京子「オリジナル炎って、輝夜さんの《闇》の炎と明聖ちゃんの《光》以外のですか?」

 

輝夜「あぁ。………ここからはルシフェル。お前がやれ」

 

ルシフェル「は!?なんで、俺なんだよ?」

 

輝夜「当事者だからだ」

 

ルシフェル「チッ!一言で治めやがって……。ハァ、わかった。それじゃあ、話すが、この小説のオリジナル炎のメインは《闇》と《光》だが、俺たち幹部メンバーでの、オリジナル炎として『七つの大罪』の名を冠した炎を使うことになったんだ」

 

リボーン「XANXUSの《憤怒の炎》みたいなものか」

 

ルシフェル「そう。それで《憤怒の炎》があるなら、他の『七つの大罪』の名前の炎があってもいいだろうってことで、追加されたのさ」

 

輝夜「ヴァリアーのキャラは『七つの大罪』をモチーフにしているが、それとは別の『七つの大罪』に関係あるキャラが作りたいという作者の願いもあったみたいだ。それで生まれたのが《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》だ」

 

ハル「へぇ~、そうなんですか~」

 

京子「他の『七つの大罪』というと………、《傲慢》、《怠惰》、《暴食》、《強欲》、《嫉妬》、《色欲》ですね?」

 

ルシフェル「そう。それで《憤怒の炎》はXANXUSの《天空嵐ライガー(リグレ・テンペスタ・ディ・チェーリ)》から『《大空》+《嵐》→《憤怒の炎》』となって、《憤怒の炎》は《嵐の大罪》のジャバウォックのオリジナル炎になったわけ」

 

リボーン「その調子で《大空》と他の属性の炎を融合させて、他のオリジナル炎にしようと思ったわけだな」

 

ルシフェル「その通り。それで、《怠惰の炎》は《雨》の沈静から《雨の大罪》のスロウスに、《色欲の炎》は相手を誘惑させるイメージがあったから《霧の大罪》のリリスに、《暴食の炎》は《大空》の調和と《雲》の増殖を組み合わせるとそんなイメージがあったから《雲の大罪》のベルゼブブにしたのさ」

 

京子「そうなのですか」

 

ハル「はひ?ルシフェルさんの《傲慢の炎》、豪さんの《強欲の炎》、エンヴィーさんの《嫉妬の炎》はどうなるのですか?」

 

ルシフェル「あぁ……。俺の《傲慢の炎》は傲慢ってのが、1番上というイメージが作者にあったから、《大空の大罪》のオリジナル炎にしようと思ったわけで、あとの2つは消去法と適当なんだよな」

 

ハル「はひっ!?そうなんですか!?」

 

京子「びっくり………」

 

リボーン「まったく………。作者のそういう所は、本当に困るな………」

 

輝夜「まぁ、一応、エンヴィーの《嫉妬の炎》は嫉妬の力で活性させるから《晴の大罪》のオリジナル炎にしようと思っていて、豪の《強欲の炎》に関しては名前は余り物だがあいつのスタイル的に《雷の大罪》のオリジナル炎にしようと思っていたらしい」

 

リボーン「豪のスタイル的にだと?」

 

輝夜「あぁ。………まぁ、そこら辺は豪がゲストのときにまた話す。今はそれよりも《傲慢の炎》についてだ。他の6つの炎でもう《大空》と融合できる炎は無くなったがどうなんだ?」

 

ルシフェル「あぁ、それは、さっきも言ったが《傲慢の炎》は1番上というイメージがあったから、いっそのこと、大空の七属性全ての炎を融合させようということになったんだ」

 

ハル「はひっ!?確かにそれは最強という感じがします!」

 

京子「本当だね」

 

リボーン「だが、それ、捉え方によっては、そっちのほうが《強欲の炎》に近いと思いそうなんだが?」

 

ルシフェル「あぁ………。まぁ、そうなんだが………、そこら辺は作者がそうしたかったということで、納得してくれるとありがたいな」

 

輝夜「ハァ………。まぁ、今更、設定を変えるわけにもいかないから、仕方ないな。それで、これでオリジナル炎に関しては終わりか?」

 

ルシフェル「ん?まぁ、そうだな」

 

ハル「それじゃあ、次はルシフェルさんについて行きましょう!」

 

ルシフェル「俺についてか……。俺も別にモデルとなったキャラはいないからな……」

 

京子「そうなんですか。明聖ちゃんと一緒ですね」

 

ルシフェル「まぁ、俺たち《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》には、一応、作者が気にかけたところはあるな」

 

リボーン「それは、なんだ?」

 

ルシフェル「単純に性格と名前をできるだけオリジナル炎に合わせようってことだな。俺の場合、本編で六道骸も言っていたが傲慢を司る悪魔、『ルシファー』から来ているしな」

 

輝夜「ついでに言えば、お前の羅刹開匣のモデルのグリフォンも傲慢を司る動物だったな」

 

ルシフェル「まぁな。まぁ、俺に関してはこんな感じだな」

 

ハル「そうですか。それでは、最後に質問のコーナーです!!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

ルシフェル「あぁ………。ダークネスと同じ『適当に小さくても何でもいいから店を開いて過ごす』でいいや」

 

ハル「雑です!?」

 

ルシフェル「仕方ねぇだろ?俺はずっと、戦いの中で生きてきたんだから、平和な世界って、言われてもな………」

 

輝夜「わかる」

 

京子「そうなんだ……」

 

リボーン「やれやれ………」

 

ハル「えっと………、それでは、そろそろ時間なので、皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」

 

京子「ばいば~い」

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

ルシフェル「じゃあな」

 

設定

 

名前:ルシフェル

イメージCV:梶裕貴(幼少期:大谷育江)

年齢:26歳

一人称:俺

誕生日:7月13日

星座:蟹座

血液型:O型

身長:179㎝

体重:71㎏

好きなもの:強い奴と戦うこと

嫌いなもの:貴族、弱い癖に傲慢な考えを持つ者

 

死ぬ気の炎

大空(メイン)、嵐、雨、雲、晴、雷、霧、(大空+嵐+雨+雲+晴+雷+霧→)傲慢の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の№2であり、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のリーダー、《大空の大罪》を務める男。輝夜とは、ほとんど同時にリヴォルッツィオーネに入団したことで、幼馴染の関係である。しかし、本人たちは決して仲が悪いというわけではないにもかかわらず、お互いに腐れ縁だと思っている。戦闘狂のところがあるが、楽観的でマイペースなところもあるために相手のレベルに合わせて戦う。それにより、弱者でも時間が長引くことがある。しかし、自分が強者だと認めた相手には一切の慢心も無く、全力で戦う。特に『死体の大地事件』を引き起こして、《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼ばれるようになった輝夜に必ず勝つと思っている。輝夜同様、周りのことには敏感だが、自分のことに関しては鈍感である。

 

経歴

革命軍の父と父子家庭だったが、貴族たちの戦争で敗戦して、ルシフェルの父親は処刑された。それにより、天涯孤独になって、元々、母親の薬を手に入れる邪魔をされたこともあり、貴族を恨むようになった。その後にリヴォルッツィオーネに入り、戦闘能力で首席の成績を修め、座学でも好成績を修めていた。それにより、ロヴィーノ教団の次期団長になる予定だったが、輝夜との模擬戦で敗北し、その座を輝夜に譲ることにした。

 

技・使用武器など

《傲慢の炎》

ルシフェルが持つ死ぬ気の炎。《大空》、《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》の大空の七属性の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。この炎を一つだけで、大空の七属性の性質が全て含まれていて、通常の死ぬ気の炎よりも何倍も強化されている。

 

仕込みハルバード

ルシフェルの愛用の武器。輝夜のガンブレードを参考にルシフェルが独自に改造を行って、炎の固形化ができるようにした。それにより穂先から炎を伸ばして大剣に、斧から伸ばして大鎌に変形することができる。大剣の場合は攻撃力が高く、大鎌の場合は振るうことで炎の刃を飛ばすことができる。また、ハルバードの柄の先の部分を引き抜いて、炎を伸ばすことで、2本の武器として、扱うことができる。

 

幻術

リリスや骸たち程ではないが、精度の高いを幻術を使うことができる。

 

七属性の一撃(コルポ・セッテ)

自分の指に嵌めている《大空》のリングと手甲の6属性の石の大空の七属性を全て灯して発動する。ハルバードの穂先から《大空》の炎を伸ばして、全長5メートルの大剣にする。その周りに《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》の炎を纏わせて、その大剣を地面に叩き付けて、大爆発を引き起こす技。その大爆発は大規模のクレーターを作り出すほど。

 

傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)

七属性の一撃(コルポ・セッテ)》の強化版。《大空》のリングから《傲慢の炎》を灯すことで発動する。《大空》の炎の代わりに《傲慢の炎》を大剣の刃として扱う。威力、スピードは《七属性の一撃(コルポ・セッテ)》よりも上である。

 

《羅刹開匣》(傲慢グリフォン(グリフォーネ・スペルビア))

ロヴィーノが用意したルシフェル専用の匣。グリフォンをモデルにしている。ライオンのような鋭い爪が両手両足にあり、尻尾と翼が生えて、顔には鳥のような仮面をつけた姿をしている。全体的に身体能力が格段に向上している。爪や羽に《傲慢の炎》を纏わせて、それらでの戦闘が可能になった。

 

傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)

《羅刹開匣》使用時に使える技。無数の羽に《傲慢の炎》を纏わせて、相手に放つ技。

 

傲慢の羽と刃(ピゥーマ・エ・ラーマ・スペルビア)

《羅刹開匣》使用時に使える技。《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》に加えて、大鎌状態のハルバードの飛ぶ斬撃で攻撃する。《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》の倍以上の量の攻撃が襲いかかる。

 

傲慢の爪刃(ラーマ・ウンギア・スペルビア)

ルシフェルの最強の技。胸元のリングから膨大な炎を灯して、それと同時に爪から膨大な《傲慢の炎》が灯り、10本の巨大な刃になる。それらを地面にぶつけて、地面を抉りながら、相手に襲いかかる技。威力は半減するが片手での使用も可能。また、作中では未登場だが、その巨大な爪での直接攻撃も可能である。参考は『BLEACH』のグリムジョーの《豹王の爪(デスガロン)》。




次回は豪です。


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久与田豪

ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」 

 

ハル「今回のゲストは豪さんです!!」

 

豪「久与田豪でござる。よろしくでござる」

 

輝夜「今回は変態人形遣いか……」

 

豪「変態は酷い言い草でござるな……。変態はリリスのはずではないのでござるか?」

 

輝夜「それは否定しないが、お前も別方向でそうなんだよ。主にマッドなところが」

 

豪「……まぁ、いいでござる。我輩も世間とずれていることは、自覚しているでござるから」

 

ハル「はひ~!一波乱、あるかと思いました~!」

 

京子「2人って、仲が良さそうだね。ハルちゃん」

 

ハル「はひ!?今のを見て、どこがそうだったのでしょうか……?……っていうか、毎回、本題に入る前に何か、脱線していませんか!?」

 

輝夜「番外編なんだから、茶番があってもおかしくないだろ」

 

豪「ただ、淡々と本題を進めても、読者はつまらないでござるからな」

 

リボーン(さりげなく、リリスをディスっているのは、スル-なのか?………まぁ、別に構わねぇか)

 

豪「しかし、まぁ、確かにこれ以上、茶番に時間かけるわけにもいかないでござるな」

 

輝夜「なら、始めるか。今回は前回の続きだな」

 

ハル「前回の続きと言いますと……」

 

京子「ルシフェルさんのときのオリジナル炎についてですか?」

 

リボーン「そういえば、前回言っていたな。豪のスタイル的に《強欲の炎》を《雷の大罪》のオリジナル炎にするってな」

 

輝夜「あぁ、そうだ。ここからは豪、お前が言え」

 

豪「前回に引き続き、丸投げでござるか……。まぁ、いいでござる。我輩の《強欲の炎》はエンヴィーの《嫉妬の炎》とどちらをどちらの炎にするか、作者は迷っていたでござるが、結果的に我輩の戦闘スタイルから《強欲の炎》にしたのでござる。………まぁ、それを言ったら、エンヴィーが医者だから《嫉妬の炎》にしたというのもそうでござるが……」

 

リボーン「オメーの戦闘スタイルというと、ワイヤーを使って、人間を操るやつか……」

 

豪「そうでござる。本編での説明は無かったでござるが、我輩が生きた人間を操るときには、ワイヤーを身体につけた際にそのワイヤーに《強欲の炎》を流して、その対象に電気信号を送り込んで、脳に我輩の思い道理の動きをしてもらうのでござる」

 

ハル「なんだか………怖いです………」

 

京子「うん………」

 

豪「まぁ……我輩たちはこの作品の敵キャラなので、そこは大目に見て欲しいでござるな……」

 

輝夜「ちなみに、そんなことが可能なのかというツッコミは無しで頼む。作者の勝手な妄想だからな」

 

リボーン「やれやれ………。それで、これで話は終わりか?」

 

豪「そうでござるな」

 

ハル「それでは、次は豪さんのことについてです!」

 

京子「豪さんは誰か、モデルとか居るのですか?」

 

豪「我輩の場合はいるでござるよ。『ナルト疾風伝』の『サソリ』、『るろうに剣心』の『外印』、あとは『ONE PIECE』の『ドンキホーテ・ドフラミンゴ』でござるな」

 

リボーン「全員、糸を使って、操って戦うタイプだな」

 

輝夜「作者がそういったタイプの戦闘スタイルのキャラが好きみたいだからな。このリボーン作品でも、そういうキャラを出そうと思ったらしい」

 

豪「とくに『サソリ』は我輩の過去の参照にしたでござる」

 

京子「そうなんですか……」

 

ハル「えっと、確か、前回のルシフェルさんの話ですと………豪さんの名前と性格は強欲に関係しているのですよね?」

 

豪「えぇ。そうでござる。我輩の名前、『久与田(くよだ)(ごう)』はアナグラムさせると『強欲だ』になるのでござるよ。『だ』はオマケでござるな」

 

輝夜「豪はなるべく、日本人に近づけようとしたから、名前もそういう風にしたらしい」

 

リボーン「名前はともかく、性格のほうはどうなんだ?本編だと、一応、お情け程度のものはあったが、そこまで強欲というイメージは無かったぞ」

 

ハル「確かに、どちらかというと落ち着きがあって、遠慮とかしそうな雰囲気でした」

 

豪「そうでござるか?」

 

輝夜「……確かにお前は、貰えるものは貰うみたいなところはあっても、我慢できずに周りから奪うということは、していなかったな」

 

豪「ふむ………。まぁ、終わったことを考えても仕方ないでござる」

 

ハル「それもそうですね」

 

京子「うん、そうだね」

 

リボーン「…それなら、羅刹開匣はどうなんだ?ルシフェルのときは傲慢を司るグリフォンだったが、オメーの場合はアトラク=ナクアで強欲は関係ねぇだろ?」

 

豪「まぁ、そうでござるな。しかし、羅刹開匣はオリジナル炎とはそこまでこだわっていないのでござる」

 

ハル「えっ?そうだったのですか?」

 

輝夜「………一応、多少はこだわりがあったみたいだが、作者はそれよりも優先したものがある」

 

京子「それは何ですか?」

 

豪「『伝説』、それを前提に作者は考えているでござる」

 

輝夜「動物、神、悪魔、何でもいいから、そういう伝説の生物をモチーフにしている。オリジナル炎は二の次だ」

 

豪「ちなみに羅刹開匣の名称の由来は『落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)』の『黒鉄一輝』の『一刀修羅』の強化版の『一刀羅刹』から取ったらしいでござる」

 

リボーン「なるほどな」

 

輝夜「……ってか、何気に今回、裏話2つ話したな」

 

ハル「まぁ、いいじゃないですか。では、最後に豪さんに質問です!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

リボーン「もう、お馴染みだな」

 

豪「そうでござるな…。やはり、人形師でござるな」

 

ハル「やっぱり、そうですか!」

 

輝夜「予想通りだな。ってか、お前はそれしか、ないだろ」

 

京子「でも、いいと思います」

 

リボーン「だが、それは普通の人形だろな?人間の死体(変な材料)で作ったものじゃねぇよな?」

 

豪「当然でござる」

 

輝夜「まぁ、そんなものはとても、()()()()()でやるものとは言えないな」

 

ハル「はい!それでは、そろそろ時間なので、皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」 

 

京子「ばいば~い」 

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

豪「さようならでござる」

 

設定

 

名前:久与田豪

イメージCV:下野紘

年齢:28歳

一人称:我輩(ぶち切れた時は俺)

誕生日:12月6日

星座:射手座

血液型:AB型

身長:187㎝

体重:76㎏

好きなもの:人形作り、人形操作、美的センスのある人形

嫌いなもの:貴族、美的センスの無い人形

 

死ぬ気の炎

雷(メイン)、大空、(雷+大空→)強欲の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雷の大罪》を務める男。語尾に『ござる』を付けて、一人称が『我輩』である。温厚な雰囲気を出しているが、死体を戦闘用の人形に改造するという残忍な性格の持ち主でもある。そのために人形に活用できるいい死体を求める

死体愛好家(ネクロフィリア)であり、そのスタイルから《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれている。しかし、本来の豪は無差別に死体を選ばず、死体を改造する対象は極悪非道の人間や敵対した者のみであり、堅気の者にはする気がないという区別はする。死体を改造することできるというだけあって、人間の身体や武器などの仕組みを理解している幅広い知識や繊細な技術ができる手先の器用さを持っている。また、多くの改造死体を操るために視野が広く、状況判断も早い。他のメンバーに比べると、どちらかというと、常識人の類いに入るが、マイペースのために落ち着いた態度を取る。本編で描写は無かったが、完全にぶち切れると語尾の『ござる』は無くなり、一人称も『俺』に変わる。

 

経歴

ベネスタンテ星の《東洋の一族》の出身であり、豪はその一族と移民して来たものとのハーフである。両親が人形作りや人形操作に関しての仕事をしており、その影響で豪も人形に関することが趣味になった。才能もあり、人形作りも人形操作もすぐに上達して、両親に誉められるという幸せな生活を送っていた。しかし、豪が7歳のときに貴族の気まぐれにより、豪の両親は殺され、生き残った豪は孤独になった。孤独からの寂しさを紛らわすために、自分の両親を使って、初めての死体の改造を行った。しかし、死体を人形に変えても、空しさだけが残り、貴族に憎んだ。その日から、3年後に豪は自分の両親を戦闘用に改造して、両親を殺した貴族に復讐を行い、壊滅させた。その後で、リヴォルッツィオーネに入り、輝夜とルシフェルと知り合った。そして、その日から17年後に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雷の大罪》になった。

 

技・使用武器など

《強欲の炎》

豪が持つ死ぬ気の炎。《雷》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。《雷》の硬化と《大空》の調和の力により、《強欲の炎》に纏われたものは、より頑丈になる。

 

ワイヤー

グローブに仕込まれている超硬質のワイヤー。それを指先から伸ばして、相手の体に取り付けて、自分の操り人形にしたり、周りのものを切り刻んだりする。生きた人間を操る際は、取り付けたワイヤーを通して、《強欲の炎》による電気信号と併用して使って、操作する。

 

改造死体

豪がベネスタンテ星での戦争で手に入れた死体を戦闘用に改造したもの。さまざまな武器を取り付けたり、自分や他の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の炎も使用している。豪は特に輝夜が引き起こした《死体の大地事件》の死体がお気に入りである。

 

《羅刹開匣》(天空雷アトラナート(アトラナート・フールミネ・ディ・チェーリ))

ロヴィーノが用意した豪専用の匣。クトゥルフ神話に出てくる蜘蛛の神性を持つ神、アトラク=ナクアをモデルにしている。腕が6本に増えて、額には6つの緑色の小さい目があり、彼の体には大量の匣がついたベルトが巻かれている。体内でワイヤーが生成されて、それを6本の腕から自由に出すことができる。また、そのワイヤーを使って、自由に移動することも可能である。

 

電撃蜘蛛の巣(エレットゥリコ・ランニャテーラ)

《羅刹開匣》使用時に使える技。周りにワイヤーでできた蜘蛛の巣を張り巡らして、その蜘蛛の巣に《強欲の炎》を流して放電させる広範囲の技。




次回はスロウスです。


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スロウス

ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」 

 

ハル「今回のゲストはスロウスさんです!!」

 

スロウス「………………」

 

ハル「………あれ?スロウスさん?」

 

京子「どうしましたか?」

 

スロウス「………zzz」

 

ハル「って、何、寝ているのですか!!もう、始まっていますよ!!」

 

輝夜「まぁ、そんなことだろうと思ったよ」

 

リボーン「こいつ、いつも、こんな感じなのか?」

 

輝夜「あぁ、長いときは1日の20時間も寝ている」

 

ハル「ナマケモノですか!?」

 

京子「ものすごく、寝ているね……」

 

リボーン「そんなので、よく、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雨の大罪》になれたな…」

 

輝夜「こいつの実力は本物だからな。それに目的も同じだったし。だから、こいつの性格は多少、目を瞑れば、特に問題は無かったな。やるべきことはちゃんとやっていたしな」

 

スロウス「………怠かったけどな………」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「びっくりした……」

 

スロウス「………三浦ハル………」

 

ハル「はひっ!?な、なんでしょうか……?」

 

スロウス「………誰が………ナマケモノだ………」

 

ハル「今、それですか!?」

 

輝夜「その時には、起きていたみたいだな………」

 

リボーン「そうみたいだな。さて、茶番もそろそろ、これぐらいにして、そろそろ本題に入るぞ。輝夜、今回の設定の裏話は何だ?」

 

輝夜「あぁ、それなんだが………。今回は何も無い」

 

リ、京、ハ「「「はっ/えっ?」」」

 

スロウス「………どういうことだ……?」

 

輝夜「単純にネタ切れだな。一応、1つだけ残っているが、これは最後の番外編でやろうと思っているやつだからな……。前回の豪のときに一気に2つも使ったのはまずかったな………」

 

ハル「えっ……?それなら、今後はどうなるのですか!?」

 

京子「今回で予定のゲスト、半分、いったところですよね?」

 

輝夜「今後の場合は、まだ未定だな。とりあえず、作者がまた活動報告で質問を募集するみたいだし」

 

リボーン「質問だと?」

 

輝夜「あぁ。と言っても、今している俺たちオリキャラに向けての質問では無くて、この作品に関する質問を募集するみたいだ」

 

スロウス「………ふぅん………」

 

輝夜「まぁ、そんな感じで今後の設定の裏話は作者も考えておくみたいだから、今回は休みだ」

 

京子「そうですか」

 

ハル「仕方ありませんね、それでは次はスロウスさんについてです!」

 

スロウス「………モチーフ………『黒子テツヤ』………『潮田渚』…………」

 

輝夜「作品名、省略するな。今、言った名前の奴がどんな奴か、わからない読者が困るだろ」

 

スロウス「…………怠い………」

 

ハル「はひっ!?一言で切り捨てちゃいました!!」

 

輝夜「ハァ……、仕方ない。代わりに俺が言うぞ。スロウスは『黒子のバスケ』の『黒子テツヤ』と『暗殺教室』の『潮田渚』をモチーフにしている。前者は『存在感の無さ』と『視線誘導(ミスディレクション)』を後者は『自然な振る舞いからの暗殺技術』をな」

 

リボーン「ふむ……。ある意味、最強な組み合わせだな。《怠惰の炎》も組み合わせたら、敵は気づかないうちにやられるな」

 

スロウス「………暗殺はいい………。………すぐに………けりが…つくから………」

 

リボーン「………ここでも、その性格が影響されているのか」

 

ハル「なんだか、物騒な話です……」

 

京子「うん……」

 

輝夜「マフィアとこれからも関わり合いになるなら、残念だが慣れろとしか言えないな」

 

ハル「そ、そうですね……。マフィアのボス(ツナさん)の奥さんになるなら、こういうことには慣れないといけませんね……///」ボソボソ

 

輝夜「(無視)話を戻すが、その2人からスロウスの髪の色は2人と同じ水色にした」

 

京子「そういえば、スロウスさんのイメージCVは黒子テツヤさんと同じ小野賢章さんですね」

 

輝夜「あぁ。それと、羅刹開匣は《雨》は死ぬ気の炎の中で水のイメージがあったから、魚に関係する伝説上の生物として、ケートスが選ばれた」

 

リボーン「そうか……。羅刹開匣に関しちゃ、安直だな」

 

輝夜「それは作者に言え。まぁ、スロウスに関してはこんな感じだ」

 

ハル「はい、わかりました。それでは、最後にスロウスさんに質問です!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

スロウス「ニート」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「即答だったね……」

 

輝夜「豪のときといい、なんとなく、予想していたが……」

 

リボーン「さすがにそれはどうなんだ?」

 

ハル「そうです!それでは、ダメ人間にストレートにまっしぐらです!!」

 

スロウス「……じゃあ……、………睡眠仕事………」

 

ハル「何ですか!?その睡眠学習みたいなものは!?」

 

輝夜「諦めろ、三浦ハル。まずはこいつの意思を変えなきゃ、たいした答えは出ねぇよ」

 

ハル「うぅ………。悔しいですけど……、わかりました………」

 

リボーン「それじゃあ、終わりにするか」

 

京子「そういえば、スロウスさん、あまり喋っていないですけど、良かったのですか?」

 

スロウス「………いい……。………おかげで………楽できた………」

 

輝夜「ハァ…。本当に仕方ない奴だ……」

 

ハル「うぅ……、何だか、いろいろと納得できない部分はありますが……。そろそろ時間なので、皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」 

 

京子「ばいば~い」 

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

スロウス「……じゃあな………zzz」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「もう、寝ちゃった………」

 

リボーン「こいつ、寝て始めて、寝て終わりやがったな……」

 

輝夜「やれやれ………」

 

設定

 

名前:スロウス

イメージCV:小野賢章

年齢:24歳

一人称:俺

誕生日:5月20日

星座:牡牛座

血液型:B型

身長:183㎝

体重:69.5㎏

好きなもの:昼寝

嫌いなもの:貴族、奴隷制度、口うるさい人、キビキビ働くこと

 

死ぬ気の炎

雨(メイン)、大空、(雨+大空→)怠惰の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雨の大罪》を務める男。基本、ほとんどのことに興味を持たず、また、やる気も無く、いつも愛用のアイマスクを着けて寝ている。しかし、やる気を出せば、頼りになる。覇気が無く、存在感も薄い。それを逆に利用した暗殺が得意。また、身体能力も高く、肉弾戦もできる。口調は途切れ途切れで話す。口癖は『怠い』である。ときどき、鋭い指摘もする。

 

経歴

輝夜と同様、貧民の出身である。輝夜とは違い、両親からの虐待や犯罪の強要は無かったが、生活費を稼ぐために貴族に奴隷として、売り出された。その日から、食事と睡眠以外は休憩なしの労働を強いられて、食事も睡眠も少なかったり短かったりと、周りの仲間たちが過労死するという厳しい生活を送っていた。しかし、12歳のときに、ロヴィーノ教団が攻め込んで来て、その貴族を壊滅させたことで奴隷だったスロウスたちは解放された。その日から、2年経って、正式な戦士になった。そして、その日からさらに9年後に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雨の大罪》になった。

 

技・使用武器など

《怠惰の炎》

スロウスが持つ死ぬ気の炎。《雨》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。《雨》の鎮静と《大空》の調和で体を怠くさせて気絶させたり、周りの意識を鈍らせて、より自分の気配を消すことができる。

 

爪状のアーマーリング

鋼鉄でできたつけ爪。それが10個あり、スロウスはそれらを全ての指の指先にはめて戦う。普段はナイフを使って戦うスロウスが本気のときに使用する。爪に《怠惰の炎》を纏わせて、それに引っかかれると動きを鈍くしたりすることができる。

 

怠惰の時間(マルヴォレーレ・アッティモ)

爪に纏われた《怠惰の炎》を少しでもかすってしまうと、少しの間、動けなくなる技。

 

《羅刹開匣》(天空雨ケートス(ケートス・ピオッジャ・ディ・チェーリ))

ロヴィーノが用意したスロウス専用の匣。ギリシア神話のケートスをモデルにしている。全身に鱗があり、首もとにはえら、背中と腕にはヒレがついているという魚人のような姿をしている。陸上での戦闘能力の向上はもちろん、水中での戦闘能力は陸上と比べても、段違いなものとなる。

 

怠惰の海(マルヴォレーレ・マーレ)

《羅刹開匣》使用時に使える技。ヒレに膨大な《怠惰の炎》を纏わせて、それを振るうことで、純度の高い《怠惰の炎》の巨大な海を作り出す技。この海に浸かれていると、息はできるものの指1本動かすことすらできなくなる。スロウスのみ、この海中を自由に動けて、攻撃力が少し下がるものの動けない相手への連続攻撃を可能とする。輝夜ですら、『受けたくない』と言わせる程の技。




番外編にも書いたとおりに活動報告でこの作品に関しての質問を募集します。

次回はリリスです。


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リリス

更新、開けてしまい、すみませんでした!


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」 

 

ハル「今回のゲストはリリスさんです!!」

 

………………

 

ハル「………はひ?リリスさんは?」

 

輝夜「あぁ。悪いが、リリスは今日、来ないぞ」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「何でですか?」

 

輝夜「風邪ひいたらしい」

 

リボーン「風邪だと?」

 

輝夜「あぁ。何とかは風邪ひかないというのにな。まぁ、仕方ない。残念だが、今回の番外編はこれで――――」

 

???「ちょっと、待ちなさい!!」

 

輝夜「チッ」

 

ハル「はひっ!?リリスさん!?」

 

京子「風邪でお休みだったのでは?」

 

リリス「それは、どう考えても、ダークネスの嘘に決まっているでしょ!!」

 

輝夜「来たか……」

 

リリス「『来たか』じゃないわよ!!私が遅れたのは、あなたがさっき、私をロープで全身ぐるぐる巻きにして、倉庫に放り込んだせいでしょ!!有幻覚を使って、抜け出したから何とかなったけど!!」

 

リボーン「何しているんだ、オメーは………。マフィアなら女に優しくしろよ」

 

輝夜「俺はマフィアじゃねぇし、くだらない性差別はしない主義だ。………それに仕方ないだろ。こいつが出てきたら、この作品がR18作品になってしまう」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「そうなんですか!?」

 

リリス「そんなわけないでしょ!!あんたは私をなんだと思っているのよ!?」

 

輝夜「変態クソビッチ」

 

リリス「うん!!なんとなく、そう言うと思ってたわ!!前々回の豪のときもさりげなく、私のこと、『変態』って、言っていたしね!!それと、さりげなくで思い出したわ!!『何とかは風邪ひかない』って……、あんた!!私のことをバカ扱いにしないでくれる!?」

 

輝夜「(無視)時間が惜しい。茶番はこれぐらいにして、進めるぞ」

 

リリス「無視しないでくれる!?」

 

ハル「まぁまぁ、リリスさん。輝夜さんの言うとおり、時間がありませんので、どうか、落ち着いてください」

 

リリス「………ハァ…。仕方ないわね。それで、今回の裏話はどうするの?ネタ切れだったみたいだけど、作者は何か、考えてきたのかしら?」

 

京子「そういえば、そうですね」

 

リボーン「おい。作者から何か聞いていねぇのか?」

 

輝夜「あぁ、作者も一応、ちゃんと考えてきたみたいだ。それで、今回は俺たちの故郷、『ベネスタンテ星』についてらしい」

 

リリス「ベネスタンテ星について?」

 

リボーン「ふん……。確かに、オメーらの故郷は『~追憶~ 闇夜の過去編』の舞台ともなるし、話しておく必要があるな」

 

ハル「そうですね!ぜひ、聞きたいです!」

 

京子「うん。私も」

 

輝夜「……というわけで、リリス、あとは頼んだ」

 

リリス「丸投げ!?」

 

輝夜「何か、問題あるか?ベネスタンテ星の設定なら、お前も知ってるだろ?」

 

リリス「いや、まぁ、そうだけど……」

 

輝夜「今までだって、ゲストのルシフェルと豪に説明任していたし、問題無いだろ」

 

リリス「スロウスのときは自分で説明していた癖に……。はぁ……、仕方ないわね。どうせ、これ以上、言っても無駄みたいだし……。いいわ。説明してあげる」

 

ハル「それでは、お願いします」

 

リリス「作者が考えた設定だと、ベネスタンテ星は、貴族社会を前提に考えていたわね」

 

京子「貴族社会ですか?」

 

リリス「そうよ。当時、作者がはまっていた『ゼロの使い魔』の()()()()から参考にしたみたいよ」

 

ハル「二次小説のほうですか!?」

 

輝夜「あぁ。作者は『平賀才人の代わりに別の人間が呼び出された』ってのが好きで、原作やアニメのほうの知識は無いらしい」

 

リボーン「まったく、作者は……」

 

リリス「その作品で、参考にしたのは、『貴族と平民の差別』ね。『ゼロの使い魔』でも、平民を馬鹿にする貴族がいたしね。………ダメだわ。今、思い出しただけでも、腹が立ってきたわ」

 

輝夜「全くだ」

 

ハル「相当、お二人は貴族の方がお嫌いみたいですね………」

 

京子「そうみたいだね………」

 

輝夜「別に、俺とリリスだけじゃないのだがな」

 

リリス「そうね。少なくとも、ロヴィーノ教団は全員、貴族社会を嫌っていたわ。その点、この地球の『民主主義』って言うのは、いいわね。私、好きだわ、そういうの」

 

輝夜「あぁ、俺も嫌いじゃないな。この平等という感じがな」

 

ハル「そう言ってくれるとハルたちも嬉しいです!!」

 

京子「うん!私も同じだね♪」

 

リボーン「ふん……、オメーらの気持ちはわかった。それで、ベネスタンテ星の続きはどうなんだ?」

 

リリス「そうね……。あとは、本編でも言っていたけど、ベネスタンテ星の政治は貴族社会だけど、『ゼロの使い魔』と違って、文明は地球より上ね」

 

リボーン「………確かに、地球では10年後に主流だった匣兵器が、ベネスタンテ星ではその時代から30年前、つまり、今から、20年前にはあったみたいだからな」

 

輝夜「まぁ、それは、ご都合主義なところもあるが、ベネスタンテ星は文明が発達しているっていう設定があるのを理解してくれればいい」

 

ハル「はい!わかりました!」

 

リリス「ざっと、こんなものね」

 

京子「わかりました。では、次にリリスさんについて、お願いします」

 

リリス「わかったわ。……と言っても、私のモチーフキャラはいないのよね」

 

リボーン「明聖やルシフェルと同じか……」

 

輝夜「だが、お前の過去は、モチーフにしたキャラがいるだろ?」

 

リリス「えぇ。そうね。『るろうに剣心』の『駒形由美』っていう女よ。まぁ、あくまで過去だけだけどね………。あとは、私の名前は『デジモン』の色欲の魔王『リリスモン』から、羅刹開匣は色欲を司る悪魔、『バフォメット』から取ったのよ。こんなものね、私については」

 

ハル「わかりました。それでは、最後に質問にいきましょう!!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

リリス「そうね、私は――――」

 

輝夜「どうせ、遊女だろ」

 

リリス「ちょっと!!勝手に決めつけないでくれる!?」

 

輝夜「違うのか?」

 

リリス「違うに決まっているでしょ!!あれは生きるために必要だっただけで、平和な世界なら、別のことをやりたいわよ!!」

 

リボーン「で?それは、なんだ?」

 

リリス「そうね……。モデルとかやってみようかしら?」

 

京子「いいと思いますよ」

 

ハル「はい!リリスさんは美人ですし、スタイルもいいですし、ピッタリだと思います!!」

 

リリス「うふふ。ありがとう♪それじゃ、次の質問をお願いしても良いかしら?」

 

ハル「はい!わかりました!!」

 

京子「raphelさんからの質問です」

 

輝夜「お前がマゾヒストかどうかだと」

 

リリス「だ・か・ら、違うって言っているでしょ!!作者が私をいじられキャラとして成り立たせただけであって、私自身はMじゃないわよ!!」

 

輝夜「あっそ。それじゃ、最後の質問に行ってくれ」

 

リリス「素っ気なく、返さないでくれる!?」

 

京子「あはは……」

 

ハル「リリスさん、からかわれていますね……。それでは、切り替えて、最後に同じくraphelさんの質問です。『スリーサイズについて教えてください』って、何ですか!?これは!?///」

 

リリス「うふふ♪上から98、60、91よ♪」

 

ハル「リリスさんも何普通に、答えているのですか!?というよりも、何ですか、その格好は!?破廉恥です!!///」

 

リリス「いや、それ、今言う!?」

 

リボーン「確かに今更だな……」

 

輝夜「始まったときから、こいつはそんな格好していたぞ……」

 

ハル「そんなことはどうでもいいのです!!リリスさん!!女性はもっと、慎みを覚えるべきです!!///」

 

リリス「うふふ♪初ね♪女の体(これ)も武器の1つよ?男の1人や2人を落とすには覚えるべきね。あなたにも好きな男の子はいるのじゃないのかしら?」

 

ハル「そ、それは!い、いますけど……///」

 

リリス「うふふ♪それなら、私があなたに男を落とす方法を教えてあげるわ♪まず、服を脱――――」

 

輝夜「ふん!」

 

リリス「グフッ!?」

 

ハル「リリスさん!?」

 

輝夜「14歳のガキ共に何を教える気だ、こいつは?」

 

京子「あの……。リリスさん、目を回して、気絶していますけど……」

 

リリス「きゅう~~……」

 

輝夜「放っとけ。ハァ……。やはり、R18みたいな展開になりそうだったな………」

 

リボーン「やれやれ……。ゲストのリリスがこんな状態だし、そろそろ時間だからな。締めるか」

 

ハル「は、はい……。わかりました……。皆さん!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」 

 

京子「ばいば~い」 

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

リリス「きゅう~~………」

 

設定

 

名前:リリス

イメージCV:日笠陽子

年齢:22歳

一人称:私

誕生日:10月9日

星座:天秤座

血液型:O型

身長:166㎝

体重:56㎏

好きなもの:自分好みの男をからかったり、可愛がること

嫌いなもの:貴族、自分を牝扱いする者

 

死ぬ気の炎

霧(メイン)、大空、(霧+大空→)色欲の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の紅一点、《霧の大罪》を務める女。老若男女、認めるほどの美貌の持ち主。露出高めの服を好んで着て、相手を誘惑したりしていた。しかし、他の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》には、最初は効果があったもの、すぐに慣れられて、適当にあしらわれるようになった(輝夜に関しては、端から眼中にないという感じで素っ気なくされた)。そんなこともあり、輝夜や他の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》からはよくいじられている。戦闘能力は他のメンバーよりも多少、劣るものの、ロヴィーノ教団で1番の幻術の使い手。また、戦闘能力も他のメンバーより劣るというだけであって、基本的に高い。さらに過去の経験より、ピアノなど様々な芸や接待での情報収集も得意。そのため、貴族に対する自制心も他のメンバーと比べて、かなり高い。しかし、本編でそのような描写は無かったが、自分を牝呼ばわりすることだけは、我慢ができずに大暴れする。そのために、リリスにその言葉は禁句となった。我の強い周りのメンバーにツッコミをよくする。

 

経歴

リリスは物心がついた頃から両親の顔を知らず、孤児院で生活していた。しかし、その孤児院は裏で貴族と繋がっており、リリスや他の孤児たちはある程度育つと貴族に売られた。その中でリリスは同年代に比べて、発育が良いために、貴族の酒の相手など遊女をやっていた。リリスは貴族に内心、いい顔しなかったが生きていくために必死にがんばった。それにリリスは貴族に無理矢理とはいえ、死ぬまで働かされる奴隷よりもマシな立場にいると思い、それができる自分の体を誇りに思っていた。しかし、リリスが19歳のある日、酒で酔っぱらっていた貴族が要約すると『奴隷はまだ人間だが、遊女は人間じゃない』という話をしていたのをリリスは盗み聞きした。それを聞いたリリスは人間扱いされなかったことで誇りを壊されて、絶望し、貴族により強い憎悪を抱くようになった。その日からしばらく経ったある日にロヴィーノ教団が襲撃してきたことで開放されて、そのまま、ロヴィーノ教団に入った。その日から2年後に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《霧の大罪》に就任した。

 

技・使用武器など

《色欲の炎》

リリスが持つ死ぬ気の炎。《霧》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。《霧》の構築と《大空》の調和により、実体と同等以上の実力を持つ有幻覚を生み出すことができる。また、相手のトラウマを思い出させて、リアルに精神的苦痛を与えることができる。

 

棘付き鞭

リリスの近接戦闘用の武器。ディーノと同等の鞭裁きで相手に攻撃する。棘がついているため、通常の攻撃よりも威力が高い。

 

幻術

《色欲の炎》により、一段階上の幻術を使える。それは、一時的とはいえ、骸に精神的苦痛を与えるほど。

 

《羅刹開匣》(天空霧バフォメット(バフォメット・ネッビア・ディ・チェーリ))

ロヴィーノが用意したリリス専用の匣。キリスト教の悪魔、バフォメットをモデルにしている。頭に山羊のような角、背中には黒い翼が生えている姿をしている。身体能力の向上はもちろん、幻術の精度がさらに上がる。黒い翼で羽ばたくことで、飛行が可能になる。

 

色欲の輪舞曲(ルッスリオーソ・ロンド)

《羅刹開匣》使用時に使える技。リリスの《色欲の炎》の有幻覚で植物と金属で構成された人形の兵隊の軍隊を作り出す技。植物の柔軟さと金属の硬さの両方を兼ね備えていて、相手に巻き付き、締め付けることができる。

 

色欲の大輪舞曲(ルッスリオーソ・グランデ・ロンド)

《羅刹開匣》使用時に使える技。《色欲の輪舞曲(ルッスリオーソ・ロンド)》の強化版。巨大な植物と金属で構成された人形の兵隊を《色欲の炎》の有幻覚で生み出す技。《色欲の輪舞曲(ルッスリオーソ・ロンド)》はたくさんの兵隊を出せるのに対して、1体しか出せないが、ステータスは全てを上回る。




次回はジャバウォックです。


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ジャバウォック

投稿、遅れてすみません!!書く時間がなかなか取れません………。


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」 

 

ハル「今回のゲストですが……、その前に………リボーンちゃんに輝夜さん?」

 

リ、輝「……………」

 

ハル「リボーンちゃん!!輝夜さん!!」

 

京子「どうして、2人とも耳栓しているの?」

 

リボーン「………なんだ?……まぁ、だいたい、想像できるがな」

 

輝夜「………笹川京子の口の動きから察して、なぜ耳栓しているかだろ?」

 

リボーン「オメーらもしておいたほうがいいぞ」

 

京子「えっ?どういうこと?」

 

ハル「はひ………。なんだか、前にも似たようなことがあったような………」

 

???????「オラアァァァァーーーーーー!!!!」

 

京、ハ「キャッ!?」

 

輝夜「………耳栓しても、やかましいな。ジャバウォック」

 

ジャバウォック「テメーら!!!いつまで、待たせやがるんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

リボーン「女を怖がらせるんじゃねぇぞ!」

 

ジャバウォック「ぐっ!?テメー!!!何しやがるんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

リボーン「チッ!こいつ頑丈だな……。ツナやスカルなら、これで吹き飛ぶのだがな……」

 

輝夜「2メートル越えの大男を赤ん坊の体で蹴飛ばせる訳ないだろ。……三浦ハル、そろそろ進めろ。そうしないと、この馬鹿が手に負えなくなる」

 

ハル「は、はひっ!?わかりました!!今回のゲストはジャバウォックさんです!!」

 

ジャバウォック「オォォォォーーーー!!!!」

 

京子「ものすごく大きい声……」←耳栓している

 

ハル「確か、アニメの『ハルハルインタビュー』でスクアーロさんが出てきたときも、あの大きな声で思わず、耳をふさいじゃいました………」←耳栓している

 

リボーン「フゥ太のランキングでマフィア内での1番の大声の持ち主はスクアーロだが、全人類だとタイで2人が1位だぞ」

 

輝夜「そんなことはどうでもいい。さっさと、本題に入るぞ。最初の茶番がかなり長引いたからな」

 

ハル「はひっ!?わかりました!それで、今回の裏話ですが………」

 

ジャバウォック「いったい、何なんだあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

輝夜「今回の裏話は、沢田綱吉たち、原作キャラの強化案についてだ」

 

京子「ツナ君たちの?」

 

輝夜「あぁ。作者曰く本当はこの番外編が全部終わった後で書くつもりだったみたいだが、ネタも少なくなったことだし、この番外編で説明することになったんだ」

 

リボーン「全く……。それで全部説明するのか?」

 

輝夜「まさか。数が多すぎる。数人程度しか説明しないさ」

 

ハル「ハハッ……。そうですよね………」

 

京子「それで誰の何を説明するのですか?」

 

輝夜「ん?あぁ……。S(スペルビ)・スクアーロの《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》とXANXUSの《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》だな」

 

ジャバウォック「ハアァァァーーーー!!!?何でよりにもよって、そいつらなんだあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

輝夜「そりゃあ、()()()()()()()キャラだしな」

 

ブチッ!!

 

ジャバウォック「テメー………!!!」

 

ハル「はひぃ~~!!?ジャバウォックさん、ベリーベリーアングリーです~~!!?」

 

リボーン「オメー……。こいつにまで、毒を吐くなよ……。手のつけようがないのじゃないのか?」

 

輝夜「安心しろ。ほら」

 

ブスッ

 

ジャバウォック「うっ!!?ダークネス………テメエェェェー………!!!」

 

京子「ジャバウォックさんが大人しくなった……」

 

ハル「はひ?何をしたのですか?」

 

輝夜「スロウスの《怠惰の炎》入りの注射を刺した。これで、しばらくは大丈夫だろ」

 

リボーン「そうか、それなら、さっさと説明に入りやがれ」

 

輝夜「わかってる。それなら、まずはS(スペルビ)・スクアーロの《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》だが、あれの名前は『ナルト疾風伝』の『干柿鬼鮫』の愛刀、『大刀・鮫肌』から取ったものだ」

 

京子「同じ鮫から来ているね」

 

ハル「はい!そうですね!」

 

リボーン「しかも、同じ剣士だしな。確かにその2人は共通点があるな」

 

ジャバウォック「チッ!!!!」

 

輝夜「それで、XANXUSの《憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)》は沢田綱吉の《X(イクス) BURNER(バーナー)》を参考にしたものだが、この技はある意味、自分で自分に教えたようなものだ」

 

ジャバウォック「あぁ!!!?どういうことだあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

輝夜「沢田綱吉が《X(イクス) BURNER(バーナー)》を手に入れるきっかけは元々、飛行にしか使っていなかった自分の武器、《X(イクス)グローブ》の使い方を模索していたときだった」

 

リボーン「未来編でツナが10年後の雲雀に言われたことだな」

 

ハル「その時はハルたちはまだ、ツナさんたちが何やっているのか、よくわかっていませんでしたね」

 

京子「うん。そうだね」

 

輝夜「そんな中、沢田綱吉はXANXUSが自分の武器を飛行以外にも砲撃として使っていたことを思い出して、同じように砲撃に使うことにした」

 

ジャバウォック「ケッ!!!!だから、自分で自分に教えたって、言いやがったのかあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

輝夜「そういうことだ。それが無ければ、沢田綱吉は《X(イクス) BURNER(バーナー)》を思いつかなかったしな。…………まぁ、こんなところだ」

 

ハル「わかりました!では、次にジャバウォックさんについてです」

 

ジャバウォック「オォォォォ!!!!任せろおぉぉぉぉーーーー!!!!」

 

リボーン「いちいちでけぇ声を出さなくちゃいけないのか、こいつは?」

 

輝夜「………同感」

 

ジャバウォック「俺には、モデルとしたキャラはいねぇが、参考にしたキャラはいるぜえぇぇぇーーーー!!!!」

 

京子「それは誰ですか?」

 

ジャバウォック「『るろうに剣心』の『悠久山安慈』だぜえぇぇぇーーーー!!!!」

 

輝夜「……それは、お前の180度の性格改変の部分だろ?」

 

ジャバウォック「もちろんだあぁぁぁぁーーーー!!!!俺もそいつも大切なものを殺されて、絶望の憤怒を身につけたのだからなあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

ハル「輝夜さんや《大罪の7人(ペッカート)》の皆さん………、本当に辛い過去を持っているのですね………」

 

京子「うん……。そうだね………」

 

輝夜「別にお前らの気に病むことじゃない。それより、続きを言え」

 

ジャバウォック「テメーに命令されなくても、わかってるぜえぇぇぇーーーー!!!!俺の名前と羅刹開匣は憤怒っぽいものを選んだだけだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

リボーン「そうか。あとは性格だが、………言うまでもないな」

 

輝夜「そうだな……。で、それぐらいか?」

 

ジャバウォック「そうだぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

ハル「わかりました。それでは、最後に質問です!!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

ジャバウォック「そんなの、元の仕事に戻るだけだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

リボーン「元の仕事………、ロヴィーノ教団に入る前か」

 

輝夜「俺も知らねぇが、お前、何やっていたんだ?」

 

ジャバウォック「漁師だあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

リボーン「だから、武器が錨……なのか………?」

 

輝夜「あぁ……、そういえば言い忘れていたが、錨と怒りが洒落になっているのは、作者が決して狙っていたわけじゃなくて、設定決めた後で執筆している最中に気づいたみたいだ。そして、それを利用しようと思ったみたいだ」

 

京子「そうなのですか」

 

ハル「それでは、そろそろ時間なので絞めますね。皆さん――――」

 

?????「ゔぉおおおおい!!!!テメーらあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

ジャバウォック「あぁ?」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「今のは……!?」

 

リボーン「スクアーロだな」

 

輝夜「何の用だ?」

 

スクアーロ「『何の用だ?』じゃねぇーーーー!!!!ジャバウォック!!!!テメー!!!!さっきから、ギャーギャー、うるせぇんだよ!!!!」

 

ジャバウォック「あぁぁぁぁーーーー!!!?何だとおぉぉぉぉ!!!?テメーのほうがやかましいんだぜぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

スクアーロ「ゔぉおおおおい!!!!テメー、やるのかあぁぁぁぁーーーー!!!?」

 

ジャバウォック「上等だコラアァァァァーーーー!!!?」

 

輝夜「全く、この騒音鮫と騒音怪物が………」

 

リボーン「この2人の大声が合わさると、耳栓も意味ねぇぞ」

 

ハル「はひぃ~~!!?」

 

京子「どうすればいいのかな?リボーン君に輝夜さん?」

 

輝夜「放っとけ」

 

京、ハ「「えっ!?」」

 

輝夜「こいつらを止めることはできなくはないが、面倒くさいからな」

 

ハル「面倒くさいというかそういう状況じゃ、ありませんよ!!」

 

リボーン「そんなことよりも、ここにいたら、巻き込まれるぞ」

 

ハル「………あぁ、もう!!わかりました!!皆さん!!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!!」 

 

京子「ばいば~い!!」

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

スクアーロ「ゔぉおおおおい!!!!」

 

ジャバウォック「オラあぁぁぁぁーーーーーー!!!!」

 

設定

 

名前:ジャバウォック

イメージCV:安本洋貴

年齢:30歳

一人称:俺

誕生日:4月30日

星座:牡牛座

血液型:A型

身長:210㎝

体重:105㎏

好きなもの:甘いもの

嫌いなもの:貴族、苛立たせるもの

 

死ぬ気の炎

嵐(メイン)、大空、(嵐+大空→)憤怒の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《嵐の大罪》を務める男。2メートルを超える大男であり、筋骨隆々で頑丈な肉体の持ち主である。また、ロヴィーノ教団の中でも、随一のパワーの持ち主であり、たとえ冷静さを失っても全てを破壊し尽くす。短気な性格であり、捕獲任務などの細かいことには向いていない。また、頭も悪く、頭脳労働にも向いていない。いつも、家族の写真が入っているロケットを大事そうに首にかけている。亡き妻や子のことを今でも大事にしており、リリスの色仕掛けには、無反応だったらしい。作中では描写しなかったが、見た目に反して、甘党である。

 

経歴

ごく普通の平民の家で産まれ、普通に育って、漁師として働き、結婚して、子供が産まれて、幸せな家庭を築いていた。子供の頃からジャバウォックは背が高かったが、貧相ではなかったが、筋骨隆々でもなかった。また、貴族のことも嫌っておらず、性格も今では、想像ができないくらい穏やかな性格だった。しかし、そんなある日に貴族たちの理不尽な仕打ちで愛する妻と息子を殺された。これに絶望したジャバウォックは貴族たちと守れなかった自分に怒り、性格も180度変わった。その怒りからジャバウォックは自分を鍛えて、今のような筋骨隆々の肉体となった。そして、後にロヴィーノ教団に入団した。入団してから、妻と子を殺した貴族たちを相手にしたときは当時の怒りを思い出して、全てを破壊した。

 

技・使用武器など

《憤怒の炎》

ジャバウォックが持つ死ぬ気の炎。《嵐》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。XANXUSのものと比べて、《嵐》の炎の割合が大きいのか、赤みがかっている。

 

鎖付き巨大錨

ジャバウォックの武器。ジャバウォックの身長ぐらいの大きさのある巨大な錨。ジャバウォックはそれを自由自在に振り回して戦う。《憤怒の炎》を纏わせた錨の攻撃力は凄まじい。

 

怒りの鉄槌(マルテーロ・ディーラ)

錨に《憤怒の炎》を纏わせて、ツルハシのように持ち、振り下ろす技。地面に叩き付けて、衝撃波を起こしたり、直接、相手にぶつけたりする。

 

憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)

錨に《憤怒の炎》を纏わせて、鎖を掴んで振り回して、その勢いを利用して、錨を相手に向けて、飛ばす技。

 

憤怒の竜巻(トルナード・ディーラ)

憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)》と同じように振り回して、自分を中心に《憤怒の炎》の竜巻を起こす技。防御のときに使用する。

 

憤怒の嵐(イーラ・テンペスタ)

憤怒の槍(ブロッチョ・ディーラ)》と《憤怒の竜巻(トルナード・ディーラ)》と同じように振り回して、相手に《憤怒の炎》の強風を飛ばす技。

 

《羅刹開匣》(天空嵐(ジャバウォック・)ジャバウォック(テンペスタ・ディ・チェーリ))

ロヴィーノが用意したジャバウォック専用の匣。全身に鱗があり、両手両足には獣のような鋭い爪が生えて、口には鋭い牙があり、尾も生えて、頭はドラゴンの頭のようになる。鱗には《憤怒の炎》が纏っており、鉄をも簡単に溶かす程の熱を持っている。また、身体能力も強化されている。

 

憤怒の咆哮(ルッギオ・ディーラ)

《羅刹開匣》使用時に使える技。大きく息を吸い込み、口から《憤怒の炎》を吐き出す技。




次回はエンヴィーです。


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エンヴィー

本編は終わっていますけど、これで100話目です。


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」  

 

ハル「今回のゲストはエンヴィーさんです!!」

 

エンヴィー「初めまして。ロヴィーノ教団、《大罪の7人(ベッカート・セッテ)》、《晴の大罪》のエンヴィーと言います」

 

ハル「はひ~。何だか、久しぶりにまともな挨拶を聞きました~」

 

輝夜「そうか?」

 

ハル「そうですよ!スロウスさん、リリスさん、ジャバウォックさんのときのことを思い出してくださいよ!!」

 

リボーン「ってか、リリスのときはオメーのせいじゃねぇか」

 

輝夜「仕方ないだろ、それは」

 

エンヴィー「そうですね。リリスなら、それぐらいの対処をしなければいけませんね」

 

ハル「リリスさんのこの扱いの悪さは何ですか……?」

 

京子「あはは……」

 

輝夜「それよりも早く本題に入るぞ」

 

ハル「あっ、はい!それで輝夜さん、今回の裏話はいったい……?」

 

輝夜「今回の裏話は、前回のジャバウォックのときと同じように原作キャラの強化案について話すぞ」

 

エンヴィー「フム。前回のジャバウォックのときの流れから察するに、原作キャラの中でも戦った相手……、風、スカル、ヴェルデ、シモンファミリーの中からですか」

 

リボーン「その中で本編で出てきた原作には無い、強化案だったのは、炎真の《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》と《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》だけだな」

 

京子「ってことは、今回はその2つを?」

 

輝夜「そうだな。まぁ、《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》のほうは特別な理由というのは、あまり無いからな。基本的には、《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》のほうの説明で行く」

 

ハル「そうですか。わかりました!それでは、説明をお願いします!」

 

輝夜「だとよ、エンヴィー」

 

エンヴィー「……ここで、私に振るのですか?前回はダークネス、あなた自身が話していたではありませんか」

 

輝夜「いや。それは、仕方ねぇだろ。ジャバウォックにまともな説明ができるとは思えねぇし、それにあいつの声は喧しいし」

 

エンヴィー「ハァ……。というか、今更ですがそのネタの使い回し、少々酷くありませんか?」

 

輝夜「あぁ……、たしか、こういうのを地球だと、カツ丼って、言うんだよな」

 

エンヴィー「?マグロ丼では、ありませんでしたか?」

 

リボーン「ちげぇぞ。牛丼だぞ」

 

京子「親子丼じゃなかったですか?」

 

ハル「天丼です!!何ですか!!その『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』のギフトカードを受け取るシーンの丼物バージョンは!?それから、もう天丼の回数はとっくに越えていますから!!」

 

リボーン「ハル、オメー。ツッコミの才能あるな」

 

京子「ハルちゃん、すごい」

 

エンヴィー「そうですね。ただ、私にはツッコミなど興味がありませんから、別に妬ましいとか思いませんが」

 

輝夜「それに、その作品を知らない読者にとって、何のことか、さっぱりだがな」

 

ハル「いや~、それほどでも……じゃ、ありませんよ!?あぁ~、もういいですから、早く話してください!!」

 

エンヴィー「わかりました。それでは、私が話させていただきます。古里炎真の《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》は『ONE PIECE』の藤虎が使用する《猛虎》という真横に重力をかける技を参考にしたものです」

 

リボーン「フム。それから?」

 

エンヴィー「はい。それから、古里炎真の戦闘スタイルは拳打であるので、その拳に重力をかけて、自分が殴りたい方向に重力の重さを加えようと考えたそうです」

 

京子「そうなのですか」

 

輝夜「この技はいろいろと応用が効くな」

 

ハル「はひ?そうなのですか?」

 

エンヴィー「えぇ。その通りです。古里炎真の《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》や沢田綱吉が使っていた《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント)》では、他の炎の力も加わって、威力が上がっています」

 

輝夜「ちなみに、《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント)》の名前の由来は継承式編にあった沢田綱吉と古里炎真の誓いの炎から取ったらしい」

 

リボーン「ふん。原作を知っていた読者なら、もしかして予想していたかもな」

 

エンヴィー「ふぅ。ざっと、こんなものですね」

 

ハル「わかりました!それでは、次にエンヴィーさんについてお願いします!」

 

エンヴィー「私のことですか………。しかし、私には参考したキャラにはいません」

 

京子「そうですか」

 

エンヴィー「えぇ。名前に関してはスロウスの名前が怠惰を英語にしたのと同じように嫉妬を英語をしただけです」

 

リボーン「それなら、羅刹開匣はどうなんだ?オメーの羅刹開匣はフェンリルだが、フェンリルは……というよりも狼は憤怒に関する動物だろ?」

 

輝夜「あぁ。それなら、狼って、イヌ科の動物だろ?」

 

京子「?そうですけど」

 

ハル「まさか……狼はイヌ科の動物で嫉妬に対応する動物にも犬が入っているから、そうしようと考えたのですか………?」

 

エンヴィー「その通りです。作者がそのように決めました」

 

リボーン「全く……また、作者の適当さか………」

 

エンヴィー「それよりも、………三浦ハル」

 

ハル「は、はひ!?な、なんでしょうか………?」

 

エンヴィー「あなた、私のとは違う《嫉妬の炎》を使えるそうですね?」

 

ハル「はひ!?」

 

京子「そうなの、ハルちゃん?」

 

ハル「い、いえ!ハルには身に覚えがありません!!」

 

リボーン「………あれか」

 

ハル「リボーンちゃんは何か知っているのですか!?教えてください!!」

 

リボーン「それはだな……」

 

ハル「それは………」

 

リボーン「テレビアニメ『家庭教師ヒットマンREBORN!』の特別編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』クローム髑髏編パート1を見てくれだぞ」

 

ズコーッ!!

 

ハル「こんなところで宣伝はやめてください!!」

 

エンヴィー「なかなかのズッコケぷりですね」

 

輝夜「これが地球の漫才か」

 

ハル「違います!!あぁ、もう、リボーンちゃん!!なんで、教えてくれないのですか!?」

 

リボーン「時間がほとんど無いからだぞ」

 

ハル「バッサリ言われました!?」

 

輝夜「だが、その通りだな」

 

京子「あっ。じゃあ、質問タイムに入ったほうがいいですか?」

 

輝夜「そうだな」

 

京子「わかりました。ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

エンヴィー「ふむ。そう言われても、私は医者の仕事をやるだけですね」

 

ハル「はひ~。今までで、1番答えに想像がつきました………」

 

輝夜「まぁ、質問も終わったし、そろそろ終わりだな。………その前にエンヴィー」

 

エンヴィー「なんですか?」

 

輝夜「お前、のど渇いてないか?」

 

エンヴィー「………いきなりですね。確かに少し乾いていますが」

 

輝夜「なら、これ飲め」

 

エンヴィー「いきなりすぎて、怪しいのですが………」

 

輝夜「別に何も手をつけてないよ。そんなに疑うなら、俺が先に一杯飲ませてもらう。ゴクッ………ほらな。なにも無いだろ?」

 

エンヴィー「………そうですね。毒とかが入っているわけではないみたいですし。それなら、1杯だけいただきましょう」ゴクッ

 

京子「その飲み物は何ですか?トマトジュース?」

 

ハル「はひ~。それなら、ハルたちもいいですか?」

 

輝夜「ダメだ」

 

ハル「はひっ!?」

 

京子「何でですか?」

 

輝夜「これは『レッドアイ』という飲み物だからな」

 

エンヴィー「ぶっ!?」

 

リボーン「『レッドアイ』というのは、簡単に言えば、ビールにトマトジュースを加えた赤いカクテルのことだぞ」

 

京子「お酒だったんだ」

 

エンヴィー「ダークネス………」

 

輝夜「ん?どうしたんだ?」

 

エンヴィー「『どうした』じゃ……ありませんよ……。あなたも……知っているでしょ……。ヒック…私が………ヒック…///」

 

ハル「エ、エンヴィーさん……もしかして……」

 

京子「酔っ払っちゃった……?」

 

リボーン「おいおい……。レッドアイはアルコール度数が2.5度の低い酒だぞ。それを1杯で酔うとか、どれだけ弱いんだ……?」

 

エンヴィー「ヒック…そんらこと、どうれもいいじゃないれすか~ヒック///」

 

京子「呂律が回っていないし、もの凄く酔っ払っているみたい」

 

リボーン「ハァ……。めんどくせぇことになったぞ……」

 

ハル「輝夜さん!!なんで、エンヴィーさんにお酒を渡したのですか!?エンヴィーさんのさっきの口振りからするとエンヴィーさんがお酒に弱いことを知っていたみたいじゃないですか!!」

 

輝夜「ん?…あぁ、それはだな。おい、もう入ってきて良いぞ」

 

リ、京、ハ「「「?」」」

 

エンヴィー「ヒック///」

 

?「お邪魔します」

 

リボーン「オメー、風!なんでここに居やがるんだ?」

 

風「その質問に答える前に、読者の皆さん、初めまして。元《嵐》のアルコバレーノの風と言います」

 

ハル「はひ。ご丁寧にどうも」

 

輝夜「なんで、お前が礼を言っているんだ?」

 

風「それで、ここに来たわけですが、一言で言うならば、エンヴィーとのリベンジ戦を果たしに来たというところですね」

 

リボーン「リベンジ戦だと……?」

 

風「はい。本編で私は情けない話、彼に敗北しました。その後の決戦でエンヴィーと戦ったのはシモンファミリーですから。リベンジする機会が無くなったのです。そんなときに光城輝夜から自分がリベンジの舞台を整えてやるという誘いを受けて、ここに来たわけです」

 

輝夜「そういうことだ」

 

京子「でも、エンヴィーさん、輝夜さんが飲ませたお酒で酔っ払ているけど……」

 

風「大丈夫です。そのことについても聞いています。光城輝夜、エンヴィーは酒に酔うと酔拳使いになるのですよね?」

 

輝夜「あぁ。本編には出なかったが、酔っているときはいつもとは別段の強さになる。本人はあまり、使う気は無いみたいだがな」

 

リボーン「前から思っていたが、何なんだ。その後出しの設定の追加は……」

 

風「さて、そういうわけで私のリベンジ戦を受けてくれますか、エンヴィー?」

 

エンヴィー「ヒック……いいれしょう……ヒック……私もあの終わり方は不本意れすから……ヒック///」

 

風「ふぅ。ありがとうございます。それではいざ尋常に……」

 

ハル「はひ!?ま、まさか、ここで!?」

 

風「勝負!!」

 

エンヴィー「ヒック…望むところれす!!///」

 

ハル「はひ~~!?」

 

リボーン「やりやがったな……」

 

輝夜「これでオチはついたな」

 

京子「えっ!?まさか、そのために風君を呼んだのですか?」

 

輝夜「そうだが?」

 

ハル「何、やっているのですか!?この最後の乱闘でのオチは前回にもやりましたよ!!」

 

輝夜「こういうのをスタミナ丼――――」

 

ハル「もういいです!!そのネタは!!」

 

リボーン「ハァ…、もうこいつに何言っても無駄みたいだし、締めるぞ」

 

ハル「うぅ……、わかりました!!皆さん!!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!!」 

 

京子「ばいば~い!!」

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

風「プレゼントプリーズ!!」

 

エンヴィー「ヒック…羅刹開匣!!///」

 

ドカーーーーーーーーン!!!!

 

設定

 

名前:エンヴィー

イメージCV:石田彰

年齢:29歳

一人称:私

誕生日:11月17日

星座:蠍座

血液型:AB型

身長:191㎝

体重:79㎏

好きなもの:静かな場所での読書

嫌いなもの:貴族、平気に男を捨てる悪女、女の涙(特に嘘泣き)

 

死ぬ気の炎

晴(メイン)、大空、(晴+大空→)嫉妬の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《晴の大罪》を務める男。顔立ちは整っているが目付きが鋭く、自分には無くて、他人にはある優れた能力に嫉妬深い性格をしている。どんな相手にも丁寧語を使って会話をしている。頭が良く、優れた医療技術を持つ医者でありながら、戦闘スタイルは無手での格闘である。ロヴィーノ教団の中でも、1番の努力家であり、医学や格闘の勉強を怠らずに、行っている。過去のとある出来事により、女嫌いではないが、女性に対して不信な態度を見せる。作中では描写が無かったが酒にはものすごく弱く、1滴飲んだだけで酔っ払いだし、周りに絡んでしまう。また、その時の戦闘スタイルは酔拳になる。

 

経歴

エンヴィーは昔、若くして、ある平民の町の診療所の医者をやっていた。そのときは目付きは鋭くなく穏やかで、腕はあり、町からの評判は良かった。

 

そんなある日に近くの貴族の令嬢がエンヴィーの評判を聞いて、訪ねてきた。訪れてきた理由としては病気の治療であった。当時のエンヴィーは貴族に何かをされたというわけでもなかったので、貴族たちに憎悪などはなく、快く引き受けた。そして、何度かの出会いで貴族の令嬢はエンヴィーに惚れたらしく、告白した。エンヴィーも相手の令嬢が自分の知っている貴族たちと違うと思ったので、それに了承して、2人は恋人になった。その日からはエンヴィーにとっても幸せな時間を過ごしていた。

 

しかし、ある日、貴族の令嬢から別れ話が出された。これに驚いたエンヴィーは理由を聞くと、自分と同じで顔のいい、医術の腕を持つ貴族の男と出会ったからというものだった。当然、納得のできなかったエンヴィーは説得したが聞き入れてもらえず、手酷く捨てられたのだった。自分とその男はどちらも似たようなものだった。ただ自分は平民だから捨てられて、その男は貴族だから選ばれたのだった。エンヴィーはそのことに絶望して、貴族を憎むようになった。それからはエンヴィーの目付きが鋭くなり、女嫌いってほどではなかったが女に対して警戒するようになったり、嫉妬深くなった。医学の勉強の合間には格闘術の特訓も行い、ロヴィーノ教団に所属することになった。

 

技・使用武器など

《嫉妬の炎》

エンヴィーが持つ死ぬ気の炎。《晴》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。後遺症の起きないパワーアップや回復を可能とする。この炎をヴェルデが研究したことで、アルコバレーノの呪解を可能にさせた。

 

メス・注射器

基本、無手で戦うエンヴィーの武器。メスは炎を纏わして、敵を斬りつけたり、投げたりする。注射器は中に《嫉妬の炎》を入れて、自分に射すことで身体能力を上げたり、スロウスの《怠惰の炎》を中に入れて、相手に射すことで動きを封じさせる。この注射器は他のメンバーも重宝している。また、味方の治療をするためにも、メスや注射器を使用している。

 

嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)

メスに《晴》の要素を強めにした《嫉妬の炎》を纏わせて投げる技。このメスに直撃すると炎が暴走を起こして、爆発する。

 

《羅刹開匣》((フェン)(リル)(・デル)(・セ)(レーノ)(・ディ)(・チェ)(ーリ))

ロヴィーノが用意したエンヴィー専用の匣。全身、毛皮に覆われて、両手と両足には鋭い爪、口には鋭い牙、肩からは鋭い角のようなもの、両手首両足首には『グレイプニル』という鎖がついた枷があり、まるで狼男のような姿をしている。身体能力や五感が格段にパワーアップしている。また、『グレイプニル』が外れると《嫉妬の炎》が全身に流れ、さらなるパワーアップをするが、《嫉妬の炎》の調和を持ってしても、抑えきることができないほどの負荷が体にかかる。




皆さんはお酒は20歳になってから飲みましょう。ちなみに作者も今年で20歳になります。お酒についてはいろいろと気をつけたいと思います。


次回はベルゼブブです。


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ベルゼブブ

ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」 

 

輝夜「光城輝夜だ」  

 

ハル「今回のゲストはベルゼブブ君です!!」

 

ベルゼブブ「モグモグ…どうも。モグモグ……僕の名前はベルゼブブ…モグモグ」

 

輝夜「おい。もう、始まっているんだ。菓子食いながら、自己紹介してんじゃねぇぞ」

 

ベルゼブブ「モグモグ……わかったよ。あっ、それとこいつは大蛇丸」

 

大蛇丸「シャアァーー!!」

 

京、ハ「きゃっ!?」

 

リボーン「おい。女を怖がらせてんじゃねぇぞ」

 

大蛇丸「シャアァーー!!」

 

ドガッ!!

 

ベルゼブブ「もう、いきなり、蹴らないでよ」

 

リボーン「大蛇丸で防いでおいてよく言うぞ……」

 

輝夜「ジャバウォックのときと言い、お前の蹴りは不発で終わってばかりだな」

 

リボーン「うるせぇぞ、輝夜」

 

ハル「まぁまぁ、落ち着いてください、リボーンちゃん」

 

京子「そうだよ。ベルゼブブ君の大蛇丸君について知っていたのに驚いた私たちが悪いのだから」

 

ベルゼブブ「ほら。彼女たちもそう言っているんだから」

 

リボーン「チッ」

 

輝夜「腐るな。それよりも、次に進めるぞ」

 

ハル「はい、そうですね!」

 

京子「それで、今回は何をするのですか?」

 

ベルゼブブ「ジャバウォックとエンヴィーのときみたいに僕が戦った相手の強化案についての説明をするの?」

 

輝夜「いや。今回はそれはしない」

 

ハル「えっ?何でですか?」

 

輝夜「ベルゼブブが戦った相手の強化案と言えば、コロネロとラル・ミルチの技だが、あれには別に特別にこれといった考えがある訳じゃないんだ」

 

リボーン「要するに作者が何となく思い付いたやつだってことか。それなら、今回は何するんだ?」

 

輝夜「特にこれといった裏話ももう無いからな……」

 

京子「えっ?じゃあ、スロウスさんのときみたいにお休みですか?」

 

輝夜「いや、一応、作者がとっさに考えたネタがある」

 

ベルゼブブ「それは何?」

 

輝夜「今回のゲストであるお前が《暴食の炎》の使い手ということで今まで出てきたキャラの好みの味と嫌いな味について紹介する」

 

リボーン「おい。今まで出てきたキャラって、今さらすぎるだろ」

 

輝夜「仕方ねぇだろ。ネタがそれしか思い付かなかったんだからな。それよりも行くぞ」

 

ハル「はひっ!?いきなりですか!?」

 

輝夜「まずは俺、光城輝夜の好みは苦味のあるもので嫌いな味は特に無いが強いて言うなら甘ったるいものだな」

 

ハル「無理矢理ですね!?」

 

京子「でも、ちょっと気になるかも」

 

輝夜「明聖は逆に甘いものが好きで、苦いものが苦手だな」

 

リボーン「兄妹で逆だな」

 

京子「そう言えば、明聖ちゃん。ラ・ナミモリーヌのケーキ、美味しそうに食べていたね」

 

ハル「はい!とても、目が輝いていました!」

 

輝夜「……そうか。明聖のやつ、楽しそうで何よりだ」

 

ベルゼブブ「話を戻すけど、確かルシフェルは辛いもので好きで渋いものが嫌い。豪は逆に渋いものが好きで辛いものが嫌い。スロウスは塩辛いものが好きで辛いものが嫌い。リリスは酸っぱいものが好きで渋いものが嫌い。ジャバウォックは甘いものが好きで酸っぱいものが嫌い。そして、エンヴィーは酸っぱいものが好きで塩辛いものが嫌いだったはずだね」

 

リボーン「……この中だと、ジャバウォックの甘いものが好みだというのが、1番驚きだぞ。まぁ、ジャバウォックのプロフィールに載っていたんだがな、これ……」

 

ベルゼブブ「そして、僕と大蛇丸は美味しければ、どんなものでも好きで、嫌いな味は無いよ」

 

大蛇丸「シャアァ!!」

 

ハル「お、大蛇丸ちゃんも食べるのですか……?」

 

ベルゼブブ「何言っているの?当然でしょ?大蛇丸も生きているんだからさ」

 

輝夜「……厳密に言えば、ベルゼブブが食事を取っていれば、大蛇丸が何も食わなくとも生きていけるんだがな」

 

京子「ってことは、趣味みたいなものですか?」

 

ベルゼブブ「そんなものだね。あぁ、それと嫌いな味は無いって言ったけど、不味いものと毒料理はさすがに嫌だからね。だから、毒サソリのポイズンクッキングもお断りだから」

 

リボーン「……なぜ、ここでそれを言ったんだ?」

 

ベルゼブブ「あと、リボーン。毒サソリに言っといてよ。『今度から相手に料理を出す際はちゃんと味見をしてから出すように』って」

 

リボーン「それ、遠回しにビアンキに死ねって言っているだろ」

 

輝夜「まぁ、こんなものだな。そろそろ、次に行くか」

 

ハル「はい!わかりました!それでは、次にベルゼブブ君のことについてお願いします!」

 

ベルゼブブ「ん~。と言っても僕のモデルになった人物はいないよ?」

 

京子「そうなの……」

 

ベルゼブブ「うん。まぁ、大蛇丸の件に関しては、『東京喰種』の『喰種』の『赫子』みたいに体から何か出そうって考えた結果みたいだよ」

 

リボーン「それで、若干、(ぬえ)みたいな感じになっているのか……」

 

輝夜「ちなみに『鵺』って言うのは、サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビである化け物のことだ」

 

ベルゼブブ「それで僕の名前に関しては、暴食を司る悪魔のベルゼブブ、羅刹開匣は大蛇丸を強化するためにヤマタノオロチをモデルにした。……こんなところだね」

 

ハル「そうですか、ありがとうございます!それでは、最後に質問です!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

ベルゼブブ「そうだね……。世界中の美味しい料理を食べることかな?」

 

輝夜「お前らしいな」

 

リボーン「こいつ、かなりの大食いみたいだが……その体にどこに入るんだ?」

 

ベルゼブブ「大蛇丸が一緒だとすぐにお腹が空くからね」

 

大蛇丸「シャアァ!!」

 

京子「ふふ。よく食べるんだね」

 

ハル「えっと……、これで終わりでしょうか……?」

 

輝夜「は?他に質問無いなら、終わりだろ。何を警戒しているんだ?」

 

ハル「ジャバウォックさんやエンヴィーさんのときのようにまた、飛び入り参加してこないのか、心配しているんです!!」

 

京子「あの時は、それぞれスクアーロさんと風君が参加してきたね」

 

リボーン「風はオチのためにオメー自身が呼び出したんだろうが輝夜」

 

輝夜「あぁ……、そのことか。確かに、オチのためにラル・ミルチやコロネロを呼ぼうと考えたが……」

 

ハル「やっぱり、考えていたのですね!!」

 

ベルゼブブ「うん。その2人は間違いなく、僕と会ったら修羅場が起きるだろうね」

 

輝夜「あぁ……。だが、次回の番外編の最後のゲストがなぜかあいつだし、あまりここで無駄な体力を使いたくないだけだ」

 

ハル「はひ?」

 

京子「次回の最後のゲストって……」

 

ベルゼブブ「……なるほどね」

 

リボーン「確かにあいつを相手にするとなると体力を温存しておくべきだな……」

 

輝夜「だろ?」

 

京子「あの~?」

 

ハル「皆さんだけで納得していないで、ハルたちにも教えてください!!」

 

輝夜「あぁ。ちゃんと教えてやるよ。だが、今は締めるのが先だな」

 

リボーン「輝夜の言う通りだぞ」

 

ハル「うぅ……、わかりました……。皆さん!!今回の『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!シーユー、アゲインです!」 

 

京子「ばいば~い」

 

リボーン「チャオチャオ」

 

輝夜「またな」

 

ベルゼブブ「じゃあね」

 

大蛇丸「シャアァ!!」

 

設定

 

名前:ベルゼブブ

イメージCV:井上麻里奈

年齢:11歳

一人称:僕

誕生日:1月10日

星座:山羊座

血液型:B型

身長:146㎝

体重:42㎏

好きなもの:美味しいものを食べること

嫌いなもの:貴族、生物兵器に酷い実験させる者、不味いものを食べること

 

死ぬ気の炎

雲(メイン)、大空、(雲+大空→)暴食の炎

 

人物像

ロヴィーノ教団の最年少であり、幹部、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雲の大罪》を務める少年。その実力はルシフェルを次ぐものである。基本的に自分の体にいる大蛇丸を使役させて戦うが、本人の戦闘力も高いものである。マイペースに物事を考えて動く。かなりの大食漢であり、自分の体重を上回る程の量を食べても、平気である。また、他人に対して、かなり容赦のない一言を放つことがある。自分の体に大蛇丸を植え付けた研究員たちには、大蛇丸という相棒を得ることができたため、感謝していると本人は答えているが、無意識ながら内心では、酷い仕打ちを自分や同じ境遇の仲間たちに行い、道具扱いした研究員たちを憎んでいる。そのため、非道な研究や生物を道具扱いするものを嫌っている。しかし、一心同体の相棒である大蛇丸のことは心の底から大切に思っている。

 

経歴

ベルゼブブはリリスと同様、身寄りのない子供であり、孤児院の暮らしだが、その孤児院の院長にベルゼブブを含めた子供たちは貴族に売られた。その貴族の研究所でベルゼブブたちは、『人間と動物の融合』という名目で人体実験を行われた。苦痛に耐えられなかった仲間たちは次々に死んでいき、ベルゼブブは次は自分の番ではないのかという恐怖に見舞われていた。そんな中、ベルゼブブの体に大蛇丸が取り付けられ、研究員たちからは「最高傑作」だと持て囃された。しかし、それからすぐにベルゼブブは反乱を引き起こして、研究所を潰し、生き残った仲間たちと共にそのときにロヴィーノに教えてもらったロヴィーノ教団本部に行き、入団した。そして、その実力を認められて、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の《雲の大罪》に任命された。

 

技・使用武器など

《暴食の炎》

ベルゼブブが持つ死ぬ気の炎。《雲》と《大空》の炎を《闇》の炎の力で融合されて生まれた炎。《暴食の炎》で攻撃を受けると、受けた衝撃は全て、《大空》の炎の力で調和されて、《雲》の炎の力で自分の力へと増殖することが可能である。

 

大蛇丸

貴族の研究員により、ベルゼブブの体に植え付けられた巨大な大蛇の生物兵器。ベルゼブブの腰から伸びて、鋭い牙で相手に噛み付いたりして攻撃する。鱗に《暴食の炎》を纏わせることで攻撃を受けるたびに体が大きくなって、攻撃力とスピードが上がる。また、受けた分の攻撃をそのまま口から同等の攻撃力の炎を吐き出すことが可能である。しかし、鱗を持っていない本体が攻撃を受けるとダメージも受ける。また、ダメージは通らないが攻撃を受けたという感覚は残っている。さらにベルゼブブと大蛇丸は視覚を共有している。

 

《蛇大砲》

今まで受けた分の攻撃を同等の威力の《暴食の炎》を大蛇丸の口から吐き出す技。1度、使うと強化に使っていた炎を失い、大蛇丸の大きさやパワー、スピードは元の状態に戻ることが難点である。

 

《蛇特攻》

作中では未登場の技。大蛇丸の鱗に膨大な炎を纏わせて、相手に突撃する技。

 

《羅刹開匣》(天空雲(セルペ・オット)ヤマタノオロチ(・ヌーヴォラ・ディ・チェーリ))

ロヴィーノが用意したベルゼブブ専用の匣。身体中に鱗があり、大蛇丸が通常よりも一回りも二回りも大きい状態で8体に増えて、角が生えている。自身の体にも《暴食の炎》が纏った鱗があることで、本体で攻撃を受けてもダメージを受けず、大蛇丸たちをパワーアップさせる。しかし、唯一、鱗を覆っていない胸元に埋まっているリングだけ攻撃を与えてもパワーアップすることはない。また、精神的ダメージは防御ができない。

 

《八連大蛇大砲》

《羅刹開匣》使用時に使える技。《蛇大砲》の強化版であり、8体の大蛇丸の全ての口から《暴食の炎》を吐き出す。また、《蛇大砲》と同様、1度撃てば、大蛇丸たちのパワー、大きさ、スピードは元の状態に戻る。

 

大蛇の絶対防壁(ブリンダ・アッソルート・セルペントーネ)

《羅刹開匣》使用時に使える技。ベルゼブブを中心に8体の大蛇丸たちが取り囲んで、ベルゼブブを守る技。《暴食の炎》が纏っている鱗のおかげで攻撃を当てても、ダメージを与えることができない。

 

《八連大蛇特攻》

《羅刹開匣》使用時に使える技。《蛇特攻》の強化版。8体の大蛇丸たちの鱗に膨大な炎を纏わせて、攻撃するために《蛇特攻》の比ではない威力を持つ。




次回でこの番外編も最後です。


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ロヴィーノ

番外編はこれで最後です。本当にありがとうございました!!


ハル「皆さん、こんにちは!!『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』のお時間です!!司会の三浦ハルです!!」 

 

リボーン「ちゃおっす。リボーンだぞ」

 

京子「こんにちは。笹川京子です♪」

 

輝夜「光城輝夜だ」

 

ハル「今回のゲストは―――――」

 

輝夜「おい」

 

ハル「はひ?どうしたのですか、輝夜さん?」

 

輝夜「もう終わりにしよう」

 

ハル「はひっ!?何を言っているのですか、急に!!」

 

京子「そ、それはさすがに……」

 

リボーン「悪いが俺も輝夜に賛成だぞ」

 

ハル「リボーンちゃんまで!?今回でこの番外編も最終回なんですよ!!」

 

輝夜「それとこれとは別の話だ。最後のゲストは今までで1番めんどくさいことになりそうなんだ」

 

リボーン「そもそも、作者はなぜあいつなんかをゲストに選んだんだ……?」

 

?????「この番外編のゲストを考えているときのノリと勢いらしいみたいだよ?」

 

京子「そうなんですか………えっ?」

 

リボーン「ったく、本当に作者の奴は……はっ?」

 

?????「クックックッ」

 

京、ハ「「キャッ!?」」

 

輝、リ「「っ!?ロヴィーノ!!」」

 

ロヴィーノ「クックックッ。どうも、読者の皆さん。私が『破滅』を司る邪神、ロヴィーノさ」

 

ハル「び、びっくりしました………」

 

輝夜「お前……!!」

 

ロヴィーノ「ふぅ……。なかなか酷いね。私を無視して、この番外編を終わらせようとするとはね」

 

リボーン「オメーが今まで、やってきたことを思い出すんだな」

 

ロヴィーノ「ハッハッハッ!!これは手厳しいね!!だけど、私が参加した以上、番外編は続けさせてもらうよ」

 

輝、リ「「チッ!!」」

 

ハル「え、え~と……、どうやら、輝夜さんとリボーンちゃんは歓迎ムードじゃないみたいですが、改めて紹介します!!今回のゲストはロヴィーノさんです!!それでは、さっそく、裏話を―――――」

 

ロヴィーノ「おっと、少し待ってくれないかな?」

 

ハル「はひ?」

 

京子「どうしたのですか?」

 

ロヴィーノ「悪いけど、今回は裏話の代わりに重大発表を行うつもりなのさ」

 

リボーン「……重大発表だと?」

 

ロヴィーノ「光城輝夜。貴様なら知っているだろ?私の言いたいことが」

 

輝夜「………あぁ。スロウスのときに言った最後のネタのやつだからな。だが、あれ、重大発表になるか?」

 

ロヴィーノ「クックックッ。まぁ、いいじゃないか。それよりもそういうわけだから、この件に関しては最後に発表するという形にしたいのだが、構わないかな?」

 

ハル「は、はい。別に大丈夫ですが……」

 

京子「ということは、まずはロヴィーノさんについてでしょうか?」

 

ロヴィーノ「クックックッ。感謝するよ。そうだね、まずは私のことについての話するか」

 

輝夜「……好きにしろ」

 

ロヴィーノ「クックックッ。まず、私をモチーフにしたキャラは残念ながらいないのだが、容姿を光城輝夜に合わせようと思ったのさ」

 

京子「容姿を?」

 

ハル「はひ!!確かに輝夜さんとロヴィーノさんは瓜二つ」

 

リボーン「言われているな」

 

輝夜「黙れ」

 

ロヴィーノ「沢田綱吉や守護者たちとジョットや初代守護者たちも瓜二つだろ?そこから、容姿を合わせようとしたのさ。他の作品とかでも容姿が似ているというキャラもいるしね」

 

ハル「そうなんですか!!」

 

ロヴィーノ「あと、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》はそれぞれの炎に関する部分があるように、私の名前は『破滅』に由来している」

 

リボーン「………破滅はイタリア語でrovina(ロヴィーナ)って言う。それをもじったのか」

 

ロヴィーノ「そういうことさ。まぁ、私に関してはこんなものだね」

 

ハル「ありがとうございます!!それでは、次に質問です!!」

 

京子「ただの名の無いジャンプファンさんからの質問です。『平和な世界になったら、何をやりたいのでしょうか?』」

 

輝夜「いや、ちょっと待て」

 

ハル「はひ?どうしたのですか?」

 

輝夜「どうしたじゃねぇよ。こいつに『平和な世界でやりたいこと』だと?破滅に全身全霊をかけている奴にか?」

 

リボーン「似合わねーな」

 

ロヴィーノ「全くだ!!私自身、想像がつかないな!!」

 

輝夜「お前が言うな。それよりも、そういうわけだから悪いがその質問には答えることができない」

 

ハル「そ、そうですか。わかりました」

 

京子「ということは、あとは重大発表だけだね」

 

リボーン「おい。その重大発表とはなんだ?」

 

ロヴィーノ「クックックッ。それはだね………」

 

京、ハ「「それは……?」」

 

ロヴィーノ「この作品の設定の貸し出しがOKなことさ!!」

 

………

 

リボーン「………は?どういうことだ?」

 

輝夜「ほら。この作者が今、投稿している『デジモンリリカルX』は一応、リボキセの後に起きた出来事の話だろ?」

 

京子「うん。明聖ちゃんも出ていますしね」

 

ハル「あと、ツナさんが輝夜さんの《闇夜》の炎を使ったりしています!!」

 

ロヴィーノ「クックックッ。そういった感じで、この作品の設定を用いて、新たな小説を作ることがOKだということさ。キャラでも技でも自由に使って構わないのさ」

 

リボーン「……そのためのちょくちょくあった設定の後出しのやつか」

 

ロヴィーノ「さすがリボーン察しがいい!あとは過去編の空白の8年のことも自由に考えてくれても構わない!」

 

輝夜「さすがに小説を書く場合はメッセージか何かしらで一言欲しいがな。まぁ、それでも基本的言ってくれれば、たいていは大丈夫だ」

 

京子「なるほど、そうだったのですか」

 

リボーン「だが、こんな作品の設定を使ってくれる奴なんかいるのか?」

 

ハル「はひっ!?リボーンちゃん!!なんてことを言うのですか!?きっと、使ってくれる人がいますよ!!」

 

ロヴィーノ「まぁ、別に強制じゃないし、使わないなら使わないで構わないさ」

 

ハル「ロヴィーノさんまで!!」

 

輝夜「別にいいだろ。作者も今後はこのリボキセをベースに続編を出すみたいだしな」

 

京子「えっ?そうなんですか?」

 

輝夜「まぁな。まぁ、いつやるかは不明だが」

 

ロヴィーノ「とまぁ、こんな感じで終わりだね」

 

ハル「うぅっ……。この番外編もいよいよ終わりですか……」

 

京子「寂しいね……」

 

輝夜「こんな作品の番外編の質問を送ってくれた読者たちにも感謝だな」

 

リボーン「と言っても、たった2人だけだがな」

 

ハル「リボーンちゃん!!なんでそんなこと言うのですか!?」

 

輝夜「そうだな、いくら事実とはいえ、少しは空気を読め。KY赤ん坊」

 

リボーン「オメーもなかなか酷ぇこと言ってんぞ。いろんな意味で」

 

ロヴィーノ「クックックッ、まぁまぁ、少し落ち着いたらどうだい?」

 

輝夜「お前に言われるのは、癪だが仕方ないな」

 

ハル「そうです!!それでは最後に皆さん!!これで『家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~』番外編『ハルのハルハルインタビュー デンジャラス』は終わりです!!本当にありがとうございました!!シーユー、アゲインです!」 

 

京子「ありがとうね♪ばいば~い♪」

 

リボーン「サンキューだぞ。チャオチャオ」

 

輝夜「感謝する。じゃあな」

 

ロヴィーノ「クックックッ。さよならだね」

 

設定

 

名前:ロヴィーノ

イメージCV:杉山紀彰

年齢:?歳

一人称:私

誕生日:?月?日

星座:?座

血液型:?型

身長:178㎝

体重:70㎏

好きなもの:破滅、絶望、闇

嫌いなもの:光

 

死ぬ気の炎

大空、嵐、雨、雲、晴、雷、霧、大地、氷河、森、山、沼、川、砂漠、夜、闇(白)、傲慢、強欲、怠惰、色欲、憤怒、嫉妬、暴食、(大空+嵐+雨+雲+晴+雷+霧+大地+氷河+森+山+沼+川+砂漠+夜+闇→)白き炎

 

人物像

この作品の黒幕であり、ラスボス。《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれる『破滅』を司る邪神。容姿は髪の長さや色、肌や目の色以外は輝夜と瓜二つであるが、輝夜は無愛想に対して、ロヴィーノは人を喰ったような笑みを浮かべている。かなりの気分屋で物事の破滅に果てしない興味を持っており、今までいくつもの世界を滅ぼしたことがある。しかし、貴族社会の破滅のために輝夜たち、ロヴィーノ教団もとい旧リヴォルッツィオーネを手助けするというある意味親切?なところもある。輝夜のガンブレードとドレイクの用意やベルゼブブの勧誘、羅刹開匣のデータを用意するなど裏でさまざまなことを行っている。『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』などの教えをロヴィーノ教団の団員たちに言っている。

戦闘力、状況判断力、洞察力、全てにおいて、誰よりもはるかに上回る力を持っている。自身の行いを世界中に報道したり、地形を操作して島を作ったり、隕石を降らしたりなどの常識はずれなことも容易にできる。また、悪意を増長させるというなどの洗脳を行うことも可能であり、それにより輝夜やルシフェルたちはロヴィーノの思い通りにさせられていた。

「光と闇は混じり合わない」という考えを持っており、そのため、興味があった輝夜に《光》の炎の波動を持ったことで、次第に興味が失せたのである。

輝夜に興味を持った理由などは実は不明であり、謎多き邪神でもある。

 

経歴

出生の経緯などは不明である。はるか昔、地球をロヴィーノは滅ぼそうとした。それを防ぐためにチェッカーフェイスたち生粋の地球人の一族が戦った。戦況は圧倒的にロヴィーノが有利だったが、ロヴィーノの油断による隙を突き、封印に成功した。しかし、その封印は完璧なものではなく、ロヴィーノは魂だけの状態で脱出に成功した。その後、自分を復活させようとしたという生粋の地球人の一族が追放されて着く星、ベネスタンテ星に先回りして、ベネスタンテ星を半壊させて、争いの火種を作った。それから何百年以上も経った時。ロヴィーノは輝夜たち、逸材の人物を見つけた。ロヴィーノは輝夜たちに協力を行った。そして、戦争に決着がついた途端にロヴィーノはベネスタンテ星を完全に滅ぼした。そこで怒りや憎しみなどの負の感情を地球に向けさせて、自分の肉体の解放を目論んだ。

 

技・使用武器など

 

白き炎

ロヴィーノが《光》を除く16属性の炎を全て、自分の《闇》の炎の力で融合して生まれた白い炎。16属性の炎、全ての性質を持ち合わせている上に通常の死ぬ気の炎の何十倍の効果を持っている。ロヴィーノ曰く白い死ぬ気の炎は融合の性質を持つ《光》と《闇》の炎の最終奥義であり、属性の数に問わず完全無欠の融合は炎を白くさせることができる。その時点では、ロヴィーノのみにしか使うことができない炎だったが、最終決戦でツナと輝夜も使用可能になった。

 

ロヴィーノ細胞

ロヴィーノの体を形成している細胞。名称はロヴィーノが適当につけたものである。ロヴィーノ細胞は形を変幻自在に変えることができるにも関わらず硬度は《強欲の炎》を纏わせたダイアモンドなんかよりも比べものにならない程である。ロヴィーノはその細胞の集合体である触手を背中から出して、それを自在に操って戦闘を行う。その触手は最大16本出すことが可能であり、その全てが無限に伸びて、斬られても数秒で回復する。また、その触手は本体から切り離すことも可能であり、切り離された触手の形状を変えて、武器にすることもできる。さらに触手同士の融合も可能であり、触手の数の分、性能も上がる。また、ロヴィーノ細胞は《光》の炎以外のありとあらゆる攻撃を無効させる力もあり、ロヴィーノにとって、時には剣となり、時には鎧にとなるものである。

 

破滅の神槌(ロヴィーノズ・ミョルニル)

16本分の触手を融合して作られた巨大な槌で攻撃する技。ルシフェルの《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》やジャバウォックの《怒りの鉄槌(マルテーロ・ディーラ)》と同じ用途だが、威力は桁違いである。

 

完全(アルマメント)装備(コンプレート)R(ロヴィーノ)

D(デイモン)・スペードの《完全(アルマメント)装備(コンプレート)D(デイモン)》の強化版とも言うべき力。体中のロヴィーノ細胞を変化させて、ツナたちの武器を全て具現化させて変化した状態。武器だけではなく、修羅開匣や羅刹開匣、骸の右目、ランボの《電撃皮膚(エレットゥリコ・クオイオ)》、風の《爆煉疾風拳》などの特異体質や技も使用可能である。

 

白睡蓮(はくすいれん)

ロヴィーノが1番、気に入っている技。16本の触手を切り離して、腕に捻りながら巻き付けて、ドリルのように回転させながら、相手を貫く技。貫かれた者はドリルの先端から白い睡蓮の花が咲く。《白睡蓮》はロヴィーノの技の中で特殊な技であり、貫かれた者の力を奪うことなどができる(ツナの超直感、白蘭の並行世界(パラレルワールド)自分との記憶の共有の力、ユニの予知能力など)。モチーフは『魔界探偵脳噛ネウロ』の《魔界777ツ能力》の《花と悪夢(イビルラベンダー)》とロヴィーノのイメージカラーの白と花言葉が『破滅』という意味もある睡蓮。

 

破滅の神槍(ロヴィーノズ・グングニル)

16本分の触手を融合して作られた見た目は特別な装飾の無いシンプルな槍を投擲する技。凄まじい貫通力を秘めている。

 

破滅の終焉(フィーネ・ロヴィーノ)

ロヴィーノのサイキョウ(最強・最恐・最凶)の技。16本の触手の先端に膨大な死ぬ気の炎を凝縮させて、一気に前方に放つ技。全てを破滅させる程の威力を持っている。




番外編は終わりですが、これからはまだ書いていないキャラの設定などを書きます。


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設定(登場人物+α)

他の登場人物の設定と各種設定です。


登場人物

 

光城聖輝

 

名前:光城聖輝

イメージCV:緑川光

年齢:享年26歳

一人称:僕

誕生日:2月18日

星座:水瓶座

血液型:A型

身長:177㎝

体重:65㎏

好きなもの:家族

嫌いなもの:家族を大切にしない人、くだらない理由で犯罪を犯す人

 

死ぬ気の炎

 

人物像

輝夜の義父で明聖の実父。輝夜にとって大事な家族の1人。東洋の一族でありながら、光の一族である心優しい男性。妻の明夜との夫婦仲は良好である。輝夜曰く『自分勝手』だが、他人のために何が必要かをしっかりと考えている。山の中で薬草を集めている傍らで荒れたベネスタンテ星の土地を復活できないかと《光》の炎の研究を明夜と共に行っている。自分たちのやっていることが綺麗事だと周りに馬鹿にされても、それを貫き通す覚悟を持っている。当時のベネスタンテ星の貴族と革命軍の戦争に思うところがあったが、状況的に仕方ないかもしれないという現実をしっかりと見ているところもある。輝夜に父親呼びしてもらいたかったり、驚かそうとしたり、子供っぽいところもある。

 

経歴

とある光の一族の平民に生まれた。親から《光》の炎と光の一族について教えられた。そのことを世間には隠しながら、時は過ぎ、同じ光の一族の明夜と出会った。お互いに惹かれ合い、付き合って、そして結婚した。それから数年経ったある日に1度息を引き取った輝夜を見つけて、自分と明夜の《光》の炎で輝夜を蘇生した。当時、心に闇を抱えていた輝夜を見て、明夜と共に支えることを決めた。それから、しばらく輝夜が休みのときは共に時間を過ごし、その間に明聖が誕生。輝夜もだんだん心が晴れている感じがして、順風満帆な生活だった。しかし、聖輝と明夜のやっていることが気にくわなかったアルミダ帝国とグレム帝国の陰謀により、襲撃される。聖輝は自分の妻と娘を守ろうと奮闘したが、致命傷を負わされた。急いで駆けつけてきた輝夜に明聖のことを任せて、輝夜が自分のことを『父さん』と呼んでくれたことに嬉しく思いながら息を引き取った。

 

光城明夜

 

名前:光城明夜

イメージCV:折笠富美子

年齢:享年24歳

一人称:私

誕生日:9月23日

星座:天秤座

血液型:A型

身長:160㎝

体重:54㎏

好きなもの:家族

嫌いなもの:家族を大切にしない人、くだらない理由で犯罪を犯す人

 

死ぬ気の炎

 

人物像

輝夜の義母で明聖の実母。輝夜にとって大事な家族の1人。東洋の一族でありながら、光の一族である清楚な女性。明夜も輝夜曰く『自分勝手』だが、他人のために何が必要かをしっかりと考えている。基本は家事全般を担っているがベネスタンテ星の土地を復活できないかと《光》の炎の研究を聖輝と共に行っている。明夜も自分たちのやっていることが綺麗事だと周りに馬鹿にされても、それを貫き通す覚悟を持っている。また、当時のベネスタンテ星の貴族と革命軍の戦争に思うところがあったが、状況的に仕方ないかもしれないという現実をしっかりと見ているところもある。さらに輝夜に母親呼びしてもらいたかったり、驚かそうとしたり、子供っぽいところもある。これらにより輝夜に『似たもの夫婦』だと思われたことが何度かある。

 

経歴

とある光の一族の平民に生まれた。親から《光》の炎と光の一族について教えられた。そのことを世間には隠しながら、時は過ぎ、同じ光の一族の聖輝と出会った。お互いに惹かれ合い、付き合って、そして結婚した。それから数年経ったある日に聖輝が息を引き取った輝夜を連れて来て、自分と聖輝の《光》の炎で輝夜を蘇生した。当時、心に闇を抱えていた輝夜を見て、聖輝に輝夜を支えると提案した。それから、しばらく輝夜が休みのときは共に時間を過ごし、その間に妊娠して聖輝と輝夜のサポートの甲斐もあって、明聖を無事に出産した。輝夜もだんだん心が晴れている感じがして、順風満帆な生活だった。しかし、聖輝と明夜のやっていることが気にくわなかったアルミダ帝国とグレム帝国の陰謀により、襲撃される。聖輝が自分と明聖を守ろうと奮闘している後ろで明夜も明聖を傷つけまいと守っていたが、致命傷を負わされた。急いで駆けつけてきた輝夜に明聖のことを任せ、輝夜が自分のことを『母さん』と呼んでくれたことに嬉しく思いながら息を引き取った。

 

リリアーナ・アルミダ

 

名前:リリアーナ・アルミダ

イメージCV:石川由依

年齢:36歳

一人称:私

誕生日:6月3日

星座:双子座

血液型:O型

身長:165㎝

体重:55㎏

好きなもの:家族、ロヴィーノ教団の皆

嫌いなもの:身分が低い者には何をしても構わないという考え方

 

死ぬ気の炎

不明

 

人物像

ロヴィーノ教団の団長や《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》秘書を務める女性。公私混同しない性格であり、しっかり者であり、自他共に優しくも厳しくもする人物である。また、幼き輝夜と輝夜の炎の異様性にいち早く気づいた人物でもある。分析能力や情報処理が高く、先代《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のときから秘書の仕事を受けている。ちなみに戦闘能力は護身程度のものであり、ロヴィーノ教団の中ではそこまで高くない(それでも一般的には強い部類に入る)。元貴族の人間だが、貴族の平民に対する仕打ちに嫌気をさして、家出したという経歴を持つ。そのため、他の団員のように貴族を憎んでいるわけではないが貴族の考え方を嫌っている。また、《死体の大地事件》で自分の家族を殺した輝夜に憎しみの感情を抱いていない。むしろ、迷惑をかけたという申し訳なさを感じている。今では、とある平民の男性と結婚して子供も1人できている。周りから慕われており、輝夜も地球に向かう前に明聖のことを任せようとした。

 

経歴

アルミダ帝国の令嬢として、生まれた。幼い頃から何不自由の無い生活を送っていたが両親や2歳年下の妹であるエレオノーラなどの貴族たちが平民たちに非道なことをしていることに嫌気が差していた。そんな生活から逃げるためにリリアーナは家出をした。その後、何とか情報を集めて、当時のリヴォルッツィオーネに入った。しかし、敵であるアルミダ帝国の令嬢だったために最初は警戒されて、監視がつけられたりとほとんど軟禁状態だった。しかし、しばらく経って貴族とはもう繋がっていないことがわかり、信頼を得ることができた。最初は入団者の面接の係などの仕事をして、輝夜とルシフェルも彼女が担当を受けた。2人の入団から8年の間、実績を認められて、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の秘書となった。それから、4年後のある休暇の日にとある平民の男性と知り合い、自分が元貴族の令嬢であり、今は革命軍であることも含めて、受け入れてくれた彼に惹かれて、結婚した。その翌年には子供も出産した。『ロヴィーノ事件』の後は、家族や地球に行かなかったロヴィーノ教団の皆と共に荒れ果てたベネスタンテ星を何とかしようと頑張っている。

 

エレオノーラ・アルミダ

 

名前:エレオノーラ・アルミダ

イメージCV:豊口めぐみ

年齢:享年25歳

一人称:私

誕生日:8月12日

星座:獅子座

血液型:AB型

身長:163㎝

体重:53㎏

好きなもの:貴族社会

嫌いなもの:自分の身に合わない安物、成り上がり者、自分に刃向かう者

 

死ぬ気の炎

不明

 

人物像

アルミダ帝国の令嬢であり、リリアーナの妹である。今まで、甘やかされて生きたことで、かなりのわがままで傲慢な性格となった。家出をしたリリアーナに対して、異端者と軽蔑していた。帝国の令嬢であるために勉学や運動の才能はあり、周りからは天才だともてはやされていた。特に演技は群を抜いており、輝夜も騙されるほどのものだった。成り上がり者を嫌っており、聖輝と明夜のベネスタンテ星の土地の復活も気に入らなかった。

 

経歴

アルミダ帝国の令嬢として、生まれた。幼い頃から何不自由の無い生活を送っていた。姉であるリリアーナとは違い、エレオノーラはそのことに満足していた。また、親からの教えもあり、平民は自分の駒や奴隷という考えを持つようになった。家出したリリアーナに対して、自分の親の娘に対する悪口や自分の感情から異端者と見なして、それ以降興味を持つことも無かった。それから月日が経って、最近、頭角を示してきたロヴィーノ教団をエレオノーラは気に入らなかった。そのため、国王でもある父親にロヴィーノ教団の討つ方法を提案した。その過程として、アジェンテを滅ぼした際に聖輝と明夜がベネスタンテ星の土地を復活させようとしたことを知った。そんなことしたら、貴族の価値が無くなるため、2人の行動が気に入らなかったエレオノーラは2人の殺害を提案した。そして、殺害を実行しようとした日にちょうど《闇》の炎という特別な炎を持っている輝夜がいたため、輝夜を騙して、連れ去ろうとした。しかし、最終的に周りにいる部下たちの気配により輝夜に嘘がばれた。しかし、エレオノーラは輝夜に態度に苛つきながらも負け犬の遠吠えだと思い、部下たちに任せて、自分は帰った。

そんな日の次の日、輝夜の逆鱗に触れてしまったエレオノーラは既にグレム帝国とアルミダ帝国の兵士と自分の父親を皆殺しにした輝夜に《闇夜》の炎で八つ裂きにされたのに生きているという状態にされた。そして、猿轡された状態で必死に命乞いを輝夜にしたが無視され、そのまま、炎の効果が切れて、絶命した。

 

輝夜の産みの親

 

人物像・経歴

そのままの意味で輝夜の産みの親であり、輝夜にダークネスと名付けた者である。平民の中でもより貧しい貧民だった。父親は働いていた仕事場で問題を起こしてクビになり、酒を飲んでばかりの生活を送っていた。母親も浪費癖があり、苦しい状況にもかかわらずお金を使ってしまう。そんな家での収入源は家の傍にある畑の僅かな作物と盗みだった。たまに父親が店から品物を奪ったりするが、基本はまだ6歳の輝夜にそれをやらせている。しかし、6歳の輝夜にそれが上手くできるわけもなかったが、失敗すると殴ったり、食事を抜いたりなどの虐待を行う。また、輝夜の当時まだ詳しく判明していなかった《闇》の炎を気味悪がり、それが虐待を増長させた。そんな輝夜に嫌気をさして、貴族に売ろうとした。しかし、そのことを聞かれた輝夜に2人は深夜に寝ている時に殺害された。

 

各種設定

 

ベネスタンテ星

輝夜や明聖、ルシフェルたち《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の故郷となった星。彼らの先祖がロヴィーノを封印を解こうとした罰として、(トゥリニセッテ)の力を使い、地球から追放されてたどり着いた星。ベネスタンテ星は数万年前から9割近くの土地が荒廃していた星であった。しかし、その星の大きさは恒星と同じくらいあるために、豊かな土地もいろんな場所にそれなりの広さがある。その土地には王族や貴族といった力を持った人々が暮らしていた。そして、それ以外の荒廃した土地には平民、貧民といった人々が暮らしていた。そこは生きていくだけなら困ることはないが、時折、暇を持て余した貴族たちが嫌がらせをする。平民たちはそれに抗うために軍隊を作って、貴族たちと戦争を起こすことがよくある。しかし、貴族たちは、過去に土地の争奪戦で勝ち抜いた者たちの集まりであるために力があり、資源もそちら側が有利であり、さらに平民たちの中にいる腕のある兵士を交渉して引き抜いているために、平民たちはいつも貴族たちに敗北してしまっているのである。戦争で負けた平民の兵士たちは奴隷として扱われたり、見せしめとして処刑された。そんなことが長い間、続いた場所だった。また、20年前から匣兵器の技術があるほど地球よりも技術力が優れている。

ベネスタンテ星が荒廃していた理由としては、ロヴィーノが住民が辿り着く前に先回りして、半壊状態にしたためである。

 

ロヴィーノ教団

輝夜たちの所属しているベネスタンテ星一の革命軍。もともと、リヴォルッツィオーネという名前だったが、ロヴィーノが協力することでロヴィーノ教団という名前に改名した。また、もともと、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の7人で仕切っていたがルシフェルが団長の座を輝夜に譲ったため、8人で仕切ることになった。ロヴィーノの教えがあり、団員たちはそれを守っている。

 

光の一族

聖輝と明夜の一族。大昔、2人の先祖様が地球でロヴィーノを復活させようとした罪で追放する際に彼らの監視をするために、一緒に地球を出た。その一族が《光》の炎を使うために光の一族って呼ばれている。しかし、地球にいた頃から《光》の炎の存在は隠していたうえに、その一族の血縁者が皆、《光》の炎を使えるっていう訳じゃない。そのため、一族のメンバーもそう呼んでいるのは、今では聖輝と明夜の2人だけである。

 

アジェンテ

革命軍の1つ。戦闘方面はそこまでではなかったが情報操作と研究はお手の物であり、その分野に関してはロヴィーノ教団を上回ると言っても過言ではない。しかし、アルミダ帝国とグレム帝国の連合に滅ぼされていた。

 

アルミダ帝国

リリアーナとエレオノーラの故郷であるベネスタンテ星有数の大国。グレム帝国と同盟を組んで、革命軍を倒そうとしたが、輝夜の逆鱗に触れたことで滅ぼされた。

 

グレム帝国

アルミダ帝国同様、ベネスタンテ星有数の大国。この帝国も同様に輝夜の逆鱗に触れたことで滅ぼされた。

 

《死体の大地事件》

9年前に輝夜が引き起こした大事件。アルミダ帝国とグレム帝国が聖輝と明夜を殺したことがきっかけである。覚醒したばかりの《闇夜》の炎を用いて、わずか1時間で両軍、10万人ずつの合計20万人の復讐者(ヴィンディチェ)やアルコバレーノクラスの兵士たち全員を殺害した。そこら中に死体が転がっていることからそのように呼ばれている。

 

《羅刹開匣》

ロヴィーノが《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》に用意した匣。空想上の動物や神、悪魔をモチーフにしてあり、修羅開匣よりも格段に上回る性能を持つ力がある。また、修羅開匣よりも強く、恐ろしく、凶暴であると言われている。匣アニマルの力に加えて、リングを体に埋めることで、リングの力も100%、効率良く使えることができる。

 

スペルラティーヴォ帝国

ベネスタンテ星一の大国。1人1人の実力は本物であったが《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を使用した輝夜と《羅刹開匣》を使用した《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちにあっさりと滅ぼされた。




最後にツナたち原作キャラの強化案の設定を投稿します。


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設定(原作キャラの強化案・技)

《光天》の炎

使用者:沢田綱吉

説明:明聖がツナを蘇生するために使った《光》の炎により、ツナに体質変化が起き、《光》の炎の波動が宿った。その《光》の炎とツナの《大空》の炎が融合して生まれた炎。《大空》の炎を灯しているときよりも全てにおいて、能力が向上している。

 

王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)

使用者:沢田綱吉

説明:VG(ボンゴレギア)の中でジョットに教わった最強の技。《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》に膨大な炎を凝縮して、直接殴りつける。

 

X(イクス)ボール》

使用者:沢田綱吉

説明:シモンリングを装着時に発動が可能である。ボンゴレⅡ世(セコーンド)の戦闘スタイルをモチーフにした技。死ぬ気の炎を《大地》の重力でボール状に圧縮して投げつける技。攻撃が当たると炎の重力の枷が外れて、爆発する。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《嵐》と《沼》と《憤怒の炎》の力で攻撃力が向上した《超暴発 X(イクス)ボール》を使用した。

 

X(イクス)ナイフ》

使用者:沢田綱吉

説明:ボンゴレⅢ世(テールツォ)の戦闘スタイルをモチーフにした技。手刀に炎を纏わせて、相手に鋭く切りつける。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《晴》と《嫉妬の炎》でスピードを上げ、《森》の炎で切れ味を増した《超高速 X(イクス)ナイフ》を使用した。

 

X(イクス)フォーク》

使用者:沢田綱吉

説明:ボンゴレⅣ世(クアールト)の戦闘スタイルをモチーフにした技。指先に炎を集中させて、相手に鋭い突きを入れる。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《山》の炎の力で地面を勢いよく隆起させて、その地面とグローブに《雷》と《強欲の炎》を纏わせて、より強固にした《超硬質 X(イクス)フォーク》を使用した。

 

X(イクス)ブーメラン》

使用者:沢田綱吉

説明:ボンゴレⅥ世(セースト)の戦闘スタイルをモチーフにした技。炎を纏わせたグローブを素早く振り炎の刃を回転させるように放つ。かわされても、回転しているために戻ってくる。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《氷河》の炎で相手を足止めし、《雲》の炎で増殖した炎の刃に加え、《暴食の炎》で受けた攻撃を取り込んで自分の力に変える《超多重 X(イクス)ブーメラン》を使用した。

 

X(イクス)ボウガン》

使用者:沢田綱吉

説明:ボンゴレⅧ世(オッターヴォ)の戦闘スタイルをモチーフにした技。人差し指から炎の矢を放つ技。白蘭の『白指』に酷似している。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《雨》と《川》の炎で貫通力を上げ、《怠惰の炎》で動きを鈍らせる《超突貫 X(イクス)ボウガン》を使用した。

 

誓いの一撃(コルポ・ジュラメント)

使用者:沢田綱吉

説明:シモンリングを装着時に発動が可能である。《王者の一撃(コルポ・カンピオーネ)》と《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》の合わせ技である。《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》に膨大な炎を凝縮して、《大地》の重力の重さを加えて攻撃する。《(リアル)(トゥリニセッテ)リング》に覚醒した時は《霧》、《砂漠》、《色欲の炎》で作った《Ⅰ世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレプリーモ)》を装備して肘側の噴射口から炎を噴き出して、さらに勢いをつけた《誓いの一撃(コルポ・ジュラメント) (ハイパー)BURST(バースト)》を使用した。

 

(リアル)(トゥリニセッテ)リング》

使用者:沢田綱吉

説明:ツナ、ユニ、白蘭の(トゥリニセッテ)の大空を司る3人の覚悟が1つになることで発動する。発動すると、世界中の生物たちの死ぬ気の炎がツナに供給される。さらにボンゴレリングの縦の時空軸の奇跡により過去と未来の世界から、マーレリングの横の時空軸の奇跡により平行世界(パラレルワールド)の世界からの生物の炎も供給される。発動時のツナの姿はX(イクス)グローブが赤から純白に変わり、そのグローブと色と材質が同じブーツを履いていて、同じく純白の色の外套を羽織っている。さらにツナの右目は《光》の炎を表す金色、左目は《闇》の炎を表す漆黒の色のオッドアイになっている。そして、ツナの額の炎はロヴィーノのよりもさらに澄んだ純白の色をしている。その姿は威風堂々していて、10年後のツナに勝るとも劣らぬ姿である。《死ぬ気の到達点》よりも遙かに上回る能力が身につく。また、体質変化が起きて、全ての属性の波動を持ち、炎の使用が可能である。《死ぬ気の零地点突破 初代(ファースト)エディション》もとてつもない-のエネルギーがあり、瞬時に凍らせることが可能である。唯一の欠点は体力が長続きしないことである。

 

XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー) 光と闇の奇跡(ゼロ・ミラクロ)

使用者:沢田綱吉と仲間たち

説明:見た目は純白の炎を用いた《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》であるが、威力は今までの《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》よりも桁違いである。本編では、仲間たちがツナの背中を支えることで柔の炎に回していた炎を全て、剛の炎に変えたことで、正真正銘、全力の炎を出した。

 

五赤炎の矢(チンクェ・フレイムアロー)

使用者:獄寺隼人

説明:ヴェルデが開発した新たな《SISTEMA C・A・I》のカートリッジを《赤炎の矢(フレイムアロー)》に差し込み、炎を放つ技である。獄寺の持つ《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》の特性が全て入っており、炎はいくつも分裂して不規則にスピードが上がり、さらに貫通力も破壊力も上がっている。

 

《3倍ロケットボムVer.X》

使用者:獄寺隼人

説明:《ロケットボムVer.X》を《3倍ボム》と同様に投げる技。

 

《瓜ボムVer.(パンテーラ)

使用者:獄寺隼人

説明:《瓜ボム》の強化版。《嵐豹(パンテーラ・テンペスタ)》の状態で爆発することで威力も向上する。

 

《驟雨》

使用者:山本武

説明:時雨蒼燕流 守式 六の型の技。本来は、勢いよく降った刀が水を巻き上げながら飛ばして相手の攻撃を防ぐ技であり、その威力は大砲をも防ぐと言われている。しかし、山本はVG(ボンゴレギア)の刀に纏わせた《雨》の炎を鞘の中で溜めることで、刀を引き抜く際により強力になるようにした。

 

《二連・篠突く雨》

使用者:山本武

説明:時雨蒼燕流 攻式 八の型・改。二振りの刀を用いた《篠突く雨》。威力は倍以上になる。

 

極限(マキシマム)サンシャイン太陽(キャノン)

使用者:笹川了平

説明:《ボンゴレギア 晴のバングルVer.X》にフルチャージした炎を全て使って、《極限(マキシマム)太陽(キャノン)》を放つ技である。

 

雷光の角(コルナ・ランペッジャメント)

使用者:ランボ

説明:《雷の角(コルナ・フールミネ)》の強化版。技の速さが桁違いであり、雷光の速さで相手を貫く。

 

限現幻獣(げんじゅう) 六無夢喰骸鴉(むががいあ)

使用者:六道骸、クローム髑髏、フラン

説明:骸、クローム、フランの3人はフランの6つのヘルリングの力も加えた《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》の強化版。攻撃力も防御力も《限現幻獣(げんじゅう) 六無夢骸鴉(むがいあ)》の倍以上である。

 

初代守護者の炎

使用者:獄寺隼人、山本武、笹川了平、雲雀恭弥、ランボ、六道骸

説明:VG(ボンゴレギア)を通して、初代守護者たちが10代目守護者に炎を貸した。その炎を使用することで、全ての能力が向上した。

 

守護者の7連撃(プロテットーレ・ウルト・ベル・セッテ)

使用者:獄寺隼人、山本武、笹川了平、雲雀恭弥、ランボ、六道骸、クローム髑髏

説明:ツナの守護者7人がそれぞれの最大の攻撃で集中攻撃を行う技。

 

憤怒のBURNER(イーラ・バーナー)

使用者:XANXUS

説明:ツナの《X(イクス) BURNER(バーナー)》をモチーフにした技。左の拳銃を相手に向けて、右の拳銃を相手とは反対側のほうに向ける。左の拳銃には《憤怒の炎》を右の拳銃には《大空》の炎を膨大に込める。そして、バランスが取れたと思ったら、両方の拳銃を同時に撃つ。

 

鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)

使用者:S(スペルビ)・スクアーロ

説明:前の剣の刀身の周りに鮫の牙のような刃が付き、剣の側面も鮫肌のような模様がある。その模様は空気を切り裂くことが可能である。

 

鮫の大群(ヌーゴロ・ディ・スクアーロ)

使用者:S(スペルビ)・スクアーロ

説明:《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》を振るって、鮫肌の模様により空気を切り裂き、カマイタチを生み出し、同時に爆弾をも飛ばす技。

 

(ザンナ・デ)(ィ・スクア)(ーロ・グラ)(ンデ・ピ)(オッジャ)

使用者:S(スペルビ)・スクアーロ

説明:《鮫の牙(ザンナ・ディ・スクアーロ)》の強化版。《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》で攻撃するために攻撃力が増加している。

 

(スコントロ)(・ディ・ス)(クアーロ・)(グランデ・)(ピオッジャ)

使用者:S(スペルビ)・スクアーロ

説明:《鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)》の強化版。《(ザンナ・デ)(ィ・スクア)(ーロ・グラ)(ンデ・ピ)(オッジャ)》と同様に《鮫肌の剣(スパーダ・ペッレ・ディ・スクアーロ)》で攻撃するために攻撃力が増加している。

 

二重の紅蓮の炎(ドッピオ・フィアンマ・スカルラッタ)

使用者:ベルフェゴール

説明:相手の周りにワイヤーを張り巡らして、《嵐ミンク(ヴィゾーネ・テンペスタ)》の《紅蓮の炎(フィアンマ・スカルラッタ)》を発動する。その時に張り巡らしたワイヤーにも発火させて、二重攻撃を行う技である。

 

《白黒龍の頭》

使用者:白蘭

説明:白蘭が白龍と血のようなどす黒い羽から生まれた黒龍を形態変化(カンビオ・フォルマ)させた力。白龍が白蘭の右腕に、黒龍が左腕に合体して、白蘭の右手には通常の白龍よりも一回り大きいサイズの白龍の頭部、右腕は白龍の胴体、右肩から外側に白龍の尾があった。対して、左手には通常の黒龍よりも一回り大きいサイズの黒龍の頭部、左腕は黒龍の胴体、左肩から外側に黒龍の尾がある。白蘭と一体化していることで白蘭の力を100%以上、上乗せすることができる。

 

《白黒龍牙》

使用者:白蘭

説明:《白黒龍の頭》の技。白龍と黒龍の牙に《大空》の炎を纏わせて、相手に噛み付く技である。その威力は全てを噛み砕く程である。

 

《白黒龍破》

使用者:白蘭

説明:《白黒龍の頭》の技。未来編の白蘭の最後の技の強化版。白龍の口には白い光、黒龍の口には黒い光を集中させて放つ技。放たれた2つの光は途中で混ざり、2色の光となる。

 

《ファイナル・エレクトリック・タワー》

使用者:γ

説明:豪の《電撃蜘蛛の巣(エレットゥリコ・ランニャテーラ)》をγなりにアレンジした技である。豪が張り巡らしたワイヤーの蜘蛛の巣にビリヤードの球と丸まったコルルとビジェットがぶつかり合って、一気に放電する技。

 

大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)

使用者:古里炎真

説明:拳に《大地》の炎を纏わせて、相手を殴る際に、重力の重さをも加える技。

 

大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)

使用者:古里炎真たちシモンファミリー

説明:拳に大地の七属性の炎を纏わせて、相手を殴りつける技。

 

太炎天雨翼(たいえんてんうよく)

使用者:ディーノ、バジル

説明:《匣間コンビネーションシステム》の技である。スクーデリアの翼にアルフィンのドルフィンエッジを纏わせて、相手をその翼で切りつける技。

 

《地獄獣 六無夢()現限幻(げん)()

使用者:フラン

説明:ヘルリング6つ、同時使用で使える技。体に無数の目玉と角と触手がある巨大なケルベロスの容姿をしている。全てのヘルリングの特性を持っている。

 

《大紅蓮・暴蛇烈覇》

使用者:ランチア

説明:《暴蛇烈覇》の強化版。蛇剛球を連続で殴り付けて、最後に両手の掌底で飛ばす。そうすることで、より鋭い竜巻となって相手に襲いかかる。

 

《マキシマムストライクライフル》

使用者:コロネロ

説明:呪解時に使用する技。ライフルから極細の《雨》の炎を放つ貫通力に特化した技。

 

《サバイバルライフル》

使用者:ラル・ミルチ

説明:コロネロの《マキシマムストライクライフル》と同様、ライフルから極細の《雨》の炎を放つ貫通力に特化した技である。

 




活動報告にお知らせを入れました。よかったら、見てください。


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