東方深意伝 (ただのみらの)
しおりを挟む

第1章~言葉の意味~
1,彼から始まる物語。~言葉の意味~


本日から、『東方深意伝』を執筆させていただく、ただのみらのです。拙い文ですが、よろしくお願いいたします。
自分は他の有名な投稿者の『東方Project』の作品を見て、「自分も書いてみたい」と興味本位で始めました。
長い前書きでしたが、本編、プロローグですが、、どうぞ!(再編集)


 ?「はっ…」

 

 目が覚めた、と思う。確信を持てないのは、目を開けてる感覚があるのに、見えてるのは暗闇だから。

 

 ?「あれ?俺っていつも通り寝てただけだよな?」

 

 思わず独り言を言ってしまう。

 

(でも、ホントに何があった?やばい薬とか飲まされた!?と、某少年探偵と同じことをさせられたとか想像してみる。)

 

 ?「一人でこんな事考えてるとか、何か虚しいな。」

 

(とりあえず、なんかできるかな?)

 

 暗闇の中で、自分の体も見えないが、体が『ある』というのは分かる。

 

 まずは、手を握ったり、開いたり。

 

 ?「できる」

 

 次に、足を動かす。

 

 ?「うおっ!何だ!」

 

 なんか空で足を動かしてるみたいな感じだ。ここは空中?

 

 

 

 

 

 おそらく、数十分後

 

 

 

 

 

 他にも色々やってみたが、この場所については分からなかった。

 

 ?「まあ、俺『だけ』があるっていうのは分かったけど。」

 

 とりあえず、俺は『男』のままで、今ここにいる。

 

 ?「にしても!一人でこんなとこにいるとか!暇すぎっ!」

 

(まじで暇すぎる。あー、こんなとこに送るくらいなら俺に『不思議』な力くらいくれよー、神様ぁー。)

 

 と、ファンタジーな世界にある様な展開を期待して、神様にお願いしてみる。

 

 ?「さっきから言ってる言葉何となくしか意味がわからない…。」

 

(何か、色々頭から抜けてる気がする。)

 

 ?「俺に『何』が『あった』。」自分に問いかけるように話してみた。

 

(なるほど、新しい世界に生まれ、何もない、世界である場所にいると、、)

 

 ?「お?答えが、、分かった?」

 

 どうやら、不思議な力を自分は手にしていたらしい。

 

 ?「よし!ならまず、、、『この世界』を『維持』する『神様』をここに『生み出す』!」

 

(自分だけの世界とか嫌だし、『人』いたほうが、時間潰せるし)

 

 と寂しがりな僕だったり。

 

 

 

 ?×四人「「「「こんにちは。」」」」

 

 ?「こんにちは。」

 

(後はどんなのがいる?あっ、そうだ!地球とか太陽とか作らないと!)

 

 ?「ここに、俺の知ってる『宇宙』を『創る』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう叫んだ途端、宇宙できました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やば、、、俺神様じゃん!)

 

 ?「おっしゃー!他にも色々、、、。あれ?君たちいつからここに?」

 

 ?×四人「「「「あなたが私たちを生み出した時からいましたけど!?」」」」

 

 ?「あっ,,,ごめん!挨拶も返してたのに気づかなくって!」

 

(神様的な力に感動しすぎて、この子達に気づけなかった…。)

 

 ?「ところで、君たちの名前は?」

 

 ?×四人「「「「私たちは、この世界の維持人(いじびと)」」」」

 

 

 

 時雨(しぐれ)「時の維持人(いじびと)、此世界 時雨(しぐれ)

 

 空間(そらか)「空間の維持人(いじびと)、此世界 空間(そらか)

 

 人命(ひとめ)「生命の維持人(いじびと)、此世界 人命(ひとめ)

 

 運命(さだめ)「運命の維持人(いじびと)、此世界 運命(さだめ)

 

 

 

(この娘たちみんな可愛いのな、それより、、)

 

 

 

 ?「維持人(いじびと)?何それ?神様みたいなやつ?」

 

 時雨(しぐれ)「いえ、違いますよ。あなたが私たちに与えた、維持する役割を持った人です。」

 

 ?「へぇ~。あれ?でも俺神様つくるっ、て叫んだけど?」

 

 時雨(しぐれ)「そうなのですか?まぁ私たちは生み出されたので、詳しくはわかりませんが」

 

 ?「知らないか~、ま、いいか。それより、まずは『此世界』を一緒に作ろう!俺だけじゃ何もできないし、一緒の方が楽しいでしょ!」

 

 時雨(しぐれ)「分かりました!」

 

 空間(そらか)「頑張りましょー!」

 

 人命(ひとめ)「が、頑張りますっ!」

 

 運命(さだめ)「オッケ~」

 

 

 

 こうして、俺の新たな人生が幕を開けた。

 

 




こんな感じですかね、、、、。1353文字!少ない!笑笑
まあお話がちゃんと始まれば4000くらい目指します!いや、書きますから!許してください、、、。
週一話目標にして頑張っていきますので、よろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2,たくさんの意味。

こんばんわ。ただのみらのです。
3000字書くだけでもきついんですね、、、まあ何事も経験ですが。
それでは、東方深意伝二話目をどうぞ!(ルビふりしました)


 ?「ふぅ~、これである程度できたかな?」

 

 

 

 

 

 此世界(このせかい)の娘たちと一緒に、古代?の生物の基礎的なのを作ってきた。

 

 なんで古代?からかと言うと、進化の過程が見たいから!ただそれだけ!

 

 人命(ひとめ)「やっと終わりましたねー、へゃあ!何するんですか!?」

 

 ?「いやいやー、頑張ってくれたからご褒美だよ!」と言いながら人命(ひとめ)を抱っこする。

 

 この子は四人の中でも、落ち着きがあって、がんばり屋だ。

 

 

 

 宇宙を作ってから、彼女達と自己紹介をしあった。そこで分かったこと。

 

 まず、彼女達は神同等の力を持っているが、神ではないらしい。その理由として、信仰を得られないかららしい。なんでも、神様は信仰を得て、はじめて生まれる。だから、信仰してくれる人が少ない、この新しい世界では神でいられないので、人になっているということだ。

 

 

 

 そして、次からが大事、俺も持っているこの『能力』について。簡単にまとめると、、、、

 

 時雨(しぐれ)の能力は、「時を司る」

 

 空間(そらか)の能力は、「空間を司る」

 

 人命(ひとめ)の能力は、「生命を司る」

 

 運命(さだめ)の能力は、「運命を司る」運命(さだめ)の能力は、物事の進む先をある程度決めれるらしい。

 

 他の皆は聞いた通りだった。あやふやなのは、運命自体簡単に変わるからいくら変えてもまたずれるかららしい。

 

 あと司ってはいるけど、「維持するのが私たちの役目ですから、神のように色々変えたりしませんよ。」とのこと。彼女達はあくまで俺の補助役をメインにするみたいだ。

 

 

 

 そしてメインの俺の能力。その『名』を、

 

 

 

『意味を司る能力』

 

 よくわからないと思うが、これには色々効果がある。まぁその説明は長いので省くが。

 

 まぁ、此世界(このせかい)達を生み出したのは、『この世界』『維持』『神様』という言葉の『意味』を強く持たせて、『生み出す』という言葉の『意味』を表したからだ。

 

 これは色々実験したからあってるはず。それに、この力を意識してから、話す言葉の意味は何となくつかめるようにはなった。

 

 あと、此世界(このせかい)達はみんな小さい。ロリコンには堪らn))、、、ごほん。

 

 

 

 まあともかく、自分達のことが分かったのは良いことだろう。

 

 こんな事を思っている間ずっと抱っこしてた人命(ひとめ)は、「トマトかっ!」てツッコミを入れたくなるくらい顔を赤くしていた。

 

 人命(ひとめ)「も、もう無理~///」

 

 どうやら恥ずかしがり屋らしい。

 

 時雨(しぐれ)人命(ひとめ)とイチャイチャしすぎですよ!」

 

 時雨(しぐれ)は俺を見上げてぷんすかしている。

 

 運命(さだめ)「お?嫉妬してるの?時雨(しぐれ)?」すると、横から運命(さだめ)がにやけながら時雨(しぐれ)に話しかける。

 

 時雨(しぐれ)「嫉妬なんてしてません!そ、その、ひ、人命(ひとめ)がかわいそうだからです!」

 

 ?「かわいそうって、そんな、ひどいよー(棒)」

 

(普段しっかりしている時雨(しぐれ)がこんな風になるなんて、何か、面白い!)人命(ひとめ)を下ろしながら、そんな感情のこもってない台詞をいう。

 

 時雨(しぐれ)「ご、ごめんなさい、その、人命(ひとめ)を下ろしてくれれば、いいです。」俺が悲しんでる(演技)を見て時雨(しぐれ)は謝ってくる。

 

 空間(そらか)「あははー!時雨(しぐれ)何か変っ!」と言いながら空間(そらか)が笑う。

 

 人命(ひとめ)「や、やっと地面に降りた、、」

 

(よく分からない場所だけど、楽しいな。ここ。)

 

 俺はただ、「この何もなかった世界」から、「此世界(このせかい)達といる世界」になっただけで心がわくわくしてきた。

 

(この四人と過ごす時間もいいけど、やっぱり気になるな、、)

 

 ?「あのs「あの!」っと、どうした?」

 

 時雨(しぐれ)「その、私たちには名前があるけど、あなたには名前がないのでみんなで名前を決めたんですけど、、」

 

 どうやら、考え事をしている間に四人で話し合っていたらしい。

 

 運命(さだめ)「それで」

 

 空間(空間)「あなたにあげる」

 

 人命(ひとめ)「あなたの名は」

 

 時雨(しぐれ)「私たちの名前を使い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「「「「此世界 此世界(このせかい)言葉(ことは)にしました!」」」」

 

 

 

 言葉(ことは)言葉(ことは)、か。ありがとう!人命(ひとめ)空間(そらか)運命(さだめ)時雨(しぐれ)!この名前大切に使うよ!」

 

此世界(このせかい)達がつけてくれた、この名、『絶対』に『忘れない』、『大切』にしていこう…!)

 

「「「「どういたしまして!」」」」

 

 

 

 そこからは皆でたくさん話をしたり、能力を使ってトランプを作って、それで遊んだりした。トランプの作り方は簡単だ。

 

 まず、水に『氷』を与えて、氷に『板』を与えて、板に『分割』を与えて枚数を揃えて、その板達に『紙』を与えて、『トランプ』を与えた。与えた物は全て意味だ。試しにやってみたが、案外簡単に意味を与えれた。ただ少し疲れたが、、、。そして、色々してる内に、ある疑問が生まれた。

 

(この世界にどこまでこの『能力』が通じるんだ?)

 

 言葉(ことは)「皆、ちょっと集まってー!」追いかけっこをしている此世界(このせかい)達を集める。

 

 時雨(しぐれ)「どうしたんですか?」

 

 言葉(ことは)「ちょっと試したいことがあってね。空間(そらか)、俺を中心にこの世界に影響がでないような空間を作ってくれない?」

 

 空間(そらか)「分かったー!そーれっ!」その合図と共に、俺の周りが少し青くなってきた。恐らくこれで隔離されただろう。

 

 言葉(ことは)「よし、それじゃあまず。この土に『人』を『与える』!」そう言った瞬間、土が爆発した。

 

 言葉(ことは)「うわっ!びっくりした!」爆発して宙に浮かんだ土達が人の形を作り、表面から土が皮膚になり始めた。

 

(トラウマになりそう…。)

 

 恐らく、体内でも同じように臓器や骨が作られているだろう。

 

 その状態が数秒続いたあと、俺に似た姿をした、もう一人の人ができた。しかし、うごかない。

 

 ?「…」

 

 言葉(ことは)「何でだ?『人』を与えたのに…。」

 

 空間(そらか)言葉(ことは)!それすごい!」空間(そらか)が隔離された外の世界で驚いていた。

 

 空間(そらか)「それ!中身も外も全部『人』の『形』そっくり!」

 

(人の形にはなるだろう、そりゃあ、だって『人』を与えたから。ん?でも『形』だけ?なるほど、命が足りなかったのか。)

 

 言葉(ことは)「よし!原因もわかった事だし、やってみるか!こいつに『命』を『与える』!」

 

 しかし、なにも変わらない。

 

 言葉(ことは)「あれ?意味を与えたのに変わらない?」

 

 能力が効かないのはおかしいと、そこから色々実験した。此世界(このせかい)達はまた遊び始めた。

 

 それで分かったこと、『生きた人間』だけができることは、できなかった。

 

 そして、機械などができる『動き』はできた。

 

 何とも言えない結果だけの実験だったけど、まあ何もしなかった、というよりは有意義な時間だっただろう。

 

 それに、空間(そらか)に隔離してもらわなくても、世界崩壊!とか、超爆発!とか起こらなかったから良かった。

 

(まあ、意味を持たせて『消滅』させるけど)

 

 言葉(ことは)空間(そらか)ー!これ戻してー!」

 

 遠くで遊んでる空間(そらか)に叫ぶ。

 

 空間(そらか)「?あ、分かったー!」

 

 遊びに夢中になってたのか、少し首をかしげた後に隔離を解いてくれた。

 

 言葉(ことは)「てかもう日が沈みそうじゃん!」

 

(どんだけ悩んでたんだよ、、、)

 

 言葉(ことは)「まあ日が沈みそうでも、腹空かないし、そんな損ではないか。」

 

 運命(さだめ)「だね。まあ腹が空くという感覚はよくわからないけど」

 

 こんな感じで、俺らは空腹にならず、ある程度寝なくても、水を飲まなくても、不調になることはなかった。

 

 そのお陰で三日間くらいぶっ通しで世界の基礎的なのをつくれた。

 

 時雨(しぐれ)言葉(ことは)ー、食べ物ってどんなの?」

 

 時雨(しぐれ)が問いかけてくる。

 

(空腹にならない=食べ物知らないになるのか?不思議だな)

 

 言葉(ことは)「分かった教えてやる!人命(ひとめ)、起きて。今から面白いの作るから。」

 

 俺の作った寝床(仮)で休んでる人命(ひとめ)を起こす。

 

 人命(ひとめ)「んー、、わかったぁ、、」

 

 まだ寝起きで眠そうに返事をする。

 

 人命(ひとめ)「また人つくるの?」

 

 言葉(ひとめ)「いや、今からご飯作るから、人命(ひとめ)にも食べてほしくてね。」

 

 人命(ひとめ)「ご飯?私たち食べなくてもいいからそんなのいらないのに、、」

 

 言葉(ことは)「そうだけど、、味は楽しめるからね、ちょっと待ってて」

 

 俺は泥を固めて器にしたり、土を白ご飯にしたり、草を色んな野菜にしたり、色んなものを準備して料理を始めた。

 

 そして、数十分後、、、

 

 

 

 言葉(ことは)「料理なんてしたことないから適当にやったけど、、。まあ、いっか!皆!これが食べ物だ!」

 

 俺が作ったのは、グラタン、のようなものだ。

 

 何となく自分が好きだったものだろう食べ物だ。

 

 何で好きだっただろう、と思ったかは自分でも分からない。

 

 運命(さだめ)「おおっ!何かいいにおいだな!」

 

 空間(そらか)「ほんとだねー!いいにおい!」

 

 人命(ひとめ)「ほんと、なぜだかお腹がこの食べ物を欲します!」

 

 時雨(しぐれ)「ん~っ!言葉(ことは)っ!早く食べたいです!」

 

 言葉(ことは)「わかったわかった!まず、その前に!」

 

 時雨(しぐれ)「その前に何するんですか?早く食べたいです!」

 

 言葉(ことは)「いや、時雨(しぐれ)落ち着け、クールなお前はどこいった!」

 

(時雨(しぐれ)がこんなに食べ物に興味示すなんて、驚きだな)

 

 言葉(ことは)「んじゃ!皆手を合わせて!それで、いただきますだ!」

 

 空間(そらか)「わかったよー!」

 

 一同「「「「「いただきます!」」」」」

 

 

 

 

 

 世界を作った後のご飯はとてもおいしかった。

 

 

 

 言葉(ことは)「皆、おいしかったか?」

 

 時雨(しぐれ)「ええ!とても!また食べたいです。」

 

 人命(ひとめ)「美味しかったです。これを食べてると幸せになれるんですね!」

 

 人命(ひとめ)はまだテンションが高い。

 

 運命(さだめ)「食べ物って面白いな!また別のも食べてみたいよ。」

 

 空間(そらか)言葉(ことは)っ!またつくってね!」

 

 あまり上手くできたつもりはなかったが、喜んでくれてよかった。

 

 言葉(ことは)「喜んでくれてなによりだ!皆、また手を合わせて。次はご馳走さまな?」

 

 一同「「「「「ご馳走さま!」」」」」

 

 

 

 この世界ができて、一番濃厚だった1日だろう。

 

 この世界がこれから辿っていく『道』がどんなものか、とても気になって仕方がない。

 

 どうか、とても楽しい世界になりますように。

 

 どうか、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前の世界のように、人々が殺し合うことがないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




能力については、文中にあったとおり、のちのち載せていきます。結構複雑、な設定にしてるので。
読んでいたただきありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3,地球探検家 言葉

おはようございます。ただのみらのです。
たった数時間でUAが25ですって、嬉しい((o(^∇^)o))
あと、ルビふりました。色んなとこに。
此世界(このせかい)の名前とかは全部ふってます。
色々ややこしい話になりますが、読んでください!
それでは、東方深意伝三話目をどうぞ!


 世界を創ってから、今は大体2万年くらいかな?多分そのくらい。

 

 その間は、此世界(このせかい)達と一緒に、何気ない生活を送っていた。

 

 人命(ひとめ)はまったりと、

 

 時雨(しぐれ)は真面目に

 

 運命(さだめ)は皆をからかいながら

 

 空間(そらか)は元気に遊びながら

 

 そして、俺、言葉(ことは)は、能力について実験し、宇宙空間に此世界(このせかい)の家を作りながら、

 

 ほんとに、何気ない生活を送っていた。

 

 唯一変化があったのは、地上、まあ地球全体に、『不思議』な力を持った動物が出始めたということだ。

 

 人命(ひとめ)に聞いてみると、

 

 人命(ひとめ)「あれは獣ですよ。よく分からない力を持ってますが。」

 

 どうやら獣らしい。不思議な力については人命(ひとめ)も分からないらしいが。

 

 しかし、気になってしまうと後に回せない。

 

 言葉(ことは)「皆!俺ちょっと獣達のこと見てくる!」

 

 そうして俺は家を飛び出し、地上へ降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 言葉(ことは)「あちち、やらかした!大気圏のこと考えずに降りたのは馬鹿だった、、」

 

(降りて早々やっちゃったなー)

 

 周りを見ると、辺り一面クレーター+焼野原

 

 俺は大気圏で燃え始めた火を消すのに必死で勢いを消すのを忘れてた。

 

 能力?咄嗟に出てこなかったんだよ。ちくしょーめ!

 

 言葉(ことは)「まあ今更色々言ったって意味ないしな。」

 

 ぶつぶつと独り言を言いながら地面を能力で元通りにし、探索を始めた。

 

 

 

 

 

 言葉(ことは)「獣がいたところってこの辺じゃなかったっけ?落ちてるときに場所ずれたかな?」

 

 湖畔を歩いているが、今のところ爬虫類的なやつしか見れてない。

 

 言葉(ことは)「もーいいや。のんびりと探そう。」

 

 早くも諦めてまったり探索することを心に誓った。

 

 しかし、その誓いは早くも破られた。

 

 

 

 

 

 言葉(ことは)「な、何なんだこいつらー!」

 

 俺今、獣の集団に追いかけられてます。

 

 ただいま、全力疾走してます。

 

 おかしいでしょ!何で湖のそばにある森に入ったただけでこんなに獣いんの!?

 

 言葉(ことは)「もう!キリがない!こうなったら…。俺の『速さ』と『逃走』を『強化』!」

 

 実験で手に入れた能力の使い道。『能力強化』

 

 どうやらこの能力には人や物にある言葉の意味を強化して、その人や物自体を強化できるらしい。

 

 しかし、強化の意味を付与しないといけないので、若干手間がかかる。

 

 一言分だけだが。

 

 そこで俺は、今自分の『速さ』と『逃走』(逃げてること)を『強化』したのだ。

 

 言葉(ことは)「でも!ここまでしてもあいつらまだ追ってくる!」

 

 正直体力が限界に近い。

 

 しかも、森の中は意外と入りくんでて、走りにくい。

 

 能力で強化するのもいいが、もう1つこの能力について、分かったことがある。

 

 それは、能力に使う言葉の数だけ、何かしら代償があるのだ。

 

 しかし、代償はある程度消せる。だって自分から『代償』という言葉を抜けばいいから。

 

 それでも、無理な強化や能力の使い方をすると、その分代償を負う。

 

 割と複雑な能力らしいのだ。

 

(体力じゃなくて、何か別のことに能力を使えないか!?)

 

 言葉(ことは)「あっ、良い手があった!てかはじめからこうすればよかった!」

 

 頭にある作戦を実行するため、言葉を紡ぐ。

 

 言葉(ことは)「俺の『跳躍』を『強化』!」

 

 瞬間、世界から音が消えた、いや、俺が音の速さを越えた。

 

 言葉(ことは)「って!これはやばすぎ!」

 

 この能力について、思う強さによって能力の働く強さが変わる。

 

 言葉(ことは)「それに、これがやりたかった事じゃないしね!」

 

 軽く木が点に見えるくらいまで高く飛んでいた俺は、下で俺を見上げている獣達を視界に入れる。

 

 言葉(ことは)「俺は『視界内』を『操る』!」

 

(よし!後は!)

 

 言葉(ことは)「獣達、追うのをやめろ!」

 

 獣達に向け命令する。

 

 すると、獣達はせっせと追ってきた道を戻っていった。

 

 ちなみにこの様子が見えたのは、実験中に視力を強化したから。

 

 言葉(ことは)「成功した!やったぜ!」

 

 素直に思い通りにいったことを喜んだ。

 

 そして、落下する感覚を楽しんだ。

 

 楽しんだ?

 

 言葉(ことは)「って勢い消さないといけな」

 

 ドォォォォォォォォォォン!

 

 

 

 

 

 ...クレーター直しを終えた後。

 

 言葉(ことは)「にしてもあの獣、体力多すぎだな」

 

 俺は追いかけられてる時に感じてることを、近くの木を切って作った切り株の上で整理する。

 

(まず)

 

 言葉(ことは)「あの獣が使っていた『力』は『何』だ?」

 

(なるほど、妖力、か)

 

 言葉(ことは)「妖力をもってるから、獣ってよりかは別の生き物な感じがする。あいつらは『何』だ?」

 

(妖怪かぁ)

 

 言葉(ことは)「まあ、これくらい分かればそれなりの収穫でしょ!早く家に戻って料理しないと時雨(しぐれ)が暴れちゃう!」

 

 そんな黄昏時(たそがれどき)のこと

 

 こうして俺の地球探検は一時幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 その夜、、

 

 人命(ひとめ)「それで、あの獣について何か分かりましたか?」

 

 言葉(ことは)「ああ、色々と分かったことがある。」

 

 そして人命(ひとめ)に分かったことを全て語った。

 

 まず、獣ではなく妖怪、そして持ってる力は妖力。

 

 妖力についてはさっき調べたばかりだが、攻撃的な使い方が一番扱いやすいらしい。

 

 そして次に、俺の能力について。

 

 何で自分の能力について話したかというと、何となくだ。

 

 ただ、此世界(このせかい)達には話しとくべきだと感じただけ。

 

 後は地球の環境とかその他諸々を教えてあげた。

 

 人命(ひとめ)「へぇ~、地球も大分変わりましたね!楽しそうです。」

 

 運命(さだめ)「だな、私は言葉(ことは)の開けた穴を見てみたいが」

 

 と運命(さだめ)は俺の失敗をにやけながらいじってくる。

 

 空間(そらか)「私も見てみたい!言葉(ことは)もっかいやって見せてよ!」

 

 とそこへ空間(そらか)からの追撃。

 

(俺の精神は半分ぼろぼろだよ、トホホ、、)

 

 とまあこんなことがあった後に、我が家は久しぶりに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、俺だけは違った。

 

 言葉(ことは)「何だここ?」

 

 白い部屋、壁は何となく見える。

 

 しかも、とても広い。

 

 言葉(ことは)「これは部屋というよりも、空間?」

 

 若干反響する自分の声を聞きながら、色々と推測しようとしてみる。

 

 ?「君は見届けるべきだ、此世界(このせかい)の行く末を、そして確かめるんだ、自分の意味を、世界の意味を、全ての意味を。」

 

 言葉(ことは)「…!?誰だ!」

 

 ?「僕は『世界』さ、君の世界。」

 

 言葉(ことは)「俺の、、、世界?」

 

 俺は声だけの誰かと会話する。

 

 ?「そうさ、君の世界、そして僕は」

 

 

 

 

 

 君の、、、、

 

 

 

 

 

 何か言いかけていた、しかしその前に意識がとんだ。

 

 なんだったのかは分からない。

 

 でも、何故か落ち着くような雰囲気だった。

 

 そして、決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの声の言うとおり、意味を探そう、と。この世界の意味を。




今回は少し少なめですね。
さて、能力について色々とわかってきた今回、どうでしたでしょうか?能力については前回書いた通り、複雑です。しかし、ちゃんと全容はのせます!待っててください!
あと、できればですが、ここをこうしたらいい、ここが変。とかアドバイスがあれば嬉しいです。
コメントの方に何か書いていただければ直していきますので、よろしくお願いします!
それでは、また次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4,新たな『命』、新たな『夢』

どうも!ただのみらのです!改名しますた。
連続投稿してますが、春休みの間だけです!
学校始まったら週一話くらいになります。
まあ置いといて、四話目どうぞ!

(内容がすこし変だったので変更した部分があります。)



 in 此世界(このせかい)

 

(変な夢見たなぁ、まあやること見つかったからいっか)

 久々に寝たからか、数日ずっと寝てたみたいだ。

 

 言葉(ことは)「今は寝始めてから『何日』くらい『経った』?………。ひゃっ、百日か、、、。」

(数日ってレベルじゃねぇな)

 自分の睡眠欲に引いた。

 

 ちなみに俺の部屋は和室だ。何か落ち着きがあって気に入ってる。

 障子を開け、此世界(このせかい)達の部屋に向かう。

 

 言葉(ことは)「てか廊下寒っ!いつも太陽出てるときだったから気づかなかった…。」

 廊下を能力で暖めていると、

 時雨(しぐれ)「あ、言葉(ことは)おはよう…」

 どうやら時雨(しぐれ)も目が覚めたらしい。

 言葉(ことは)「おはよう、時雨(しぐれ)

(にしても、寝癖すごいな。俺も人のこと言えないけど。)

 さすがに百日も寝ていたからか、髪が大爆発していた。

(この体、此世界(このせかい)達には少し不便かな?)

 女の子は髪の毛の手入れとか難しそうだから、そんなことを考える。

 

 言葉(ことは)「おし、みんな揃ったな!」

 まあ、リビングに集まるまでに既に数時間経っている。

 運命(さだめ)が布団から中々離れないので、皆で引っ張ったり、誘惑したり、色々と試していた。

 最終的に能力を使って起こしたが、

(これからは1日のリズムの中に睡眠時間を入れないとな。)

 今後の課題が見つかった。

 

 人命(ひとめ)言葉(ことは)?どーしたの?」

 色々と振り返ってたらまたぼーっとしてたみたいだ。

 言葉(ことは)「あ、ごめん。色々と考えててな。それより、皆を集めた理由なんだけど、、、」

 

 夢の中で出会った、俺の世界、なも知らぬ誰かとの会話で見つけた、俺のなすべきこと。

 

 言葉(ことは)「俺は、これから地球に降りて生活していく。その上で皆に頼まないといけないことがある。」

 空間(そらか)「私たちに?」

 時雨(しぐれ)「頼み事?」

 言葉(ことは)「ああ、俺が地上に降りている間、維持だけじゃなくて、世界を管理してほしいんだ。そのために、、、」

 

 

 実はこの世界、俺が能力でずっと管理してきた。

 例えば、妖怪達が急激に増えないようにとか、水が完全に枯渇しないようにとか。

 今この世界は、俺と維持人(いじびと)っていう支えだけじゃ不安定だった。

 

 言葉(ことは)「でも、俺と此世界(このせかい)達だけじゃ世界は不安定だ。だから、新しく『神』を作る。」

 運命(さだめ)「でも、神は信仰する奴らがいないと存在できないんじゃないのか?」

 確かに、運命(さだめ)達は神にはなれなかった。信仰する者達がいないから。

 言葉(ことは)「ああ、そうだ。だから……

 

 

 

 

 

 俺は人を生み出す。

 

 

 皆驚いた顔をする。そりゃそうだ、だって俺は人を作ることに失敗している。

 

 人命(ひとめ)「でも言葉(ことは)は人を作ることができないんじゃ……」

 言葉(ことは)「ああ、俺はできない。でも、維持人(いじびと)の力があるだろ?」

 運命(さだめ)「まさか、人命(ひとめ)を使うのか?」

 運命(さだめ)は机の向かい座ってにいる俺を睨む。

 

 前に人命(ひとめ)の能力で作った人は、妖怪になってしまった。そのとき以来、生命を安定させる以外、使わないように皆で決めたのだ。

 

 言葉(ことは)「でも、人を作る、という事に能力は使わないよ。それに、人っていっても『形』を作るだけだし、そして俺の作った形に『命』を埋め込んでもらう。」

 

 皆はまた驚いた。その後にやることをたくさん話したが、軽くまとめてみる。

 まず、俺の作った形に神の力、此世界(このせかい)達も持つ、いわゆる『神力』を馴染ませる。

 神力は、信仰だけで作られる『神』という存在を、

 信仰が強くないと、相応の力を持てない存在に変える為のものだ。これを形に馴染ませることができれば、この世界に存在することができる。

 そして、人命(ひとめ)の能力を使い、命を埋め込み、形、神力だけの物を『神』にする。

 他にも外見やら名前やらあったが、皆で一日中頭を捻って考えた。

 

 

『神作り』は成功した。

 今目の前には布団ですやすや眠っている、『角』の生えた小さな神がいた。

 人命(ひとめ)「可愛いですねぇ~」

 人命(ひとめ)は、始めは不安がっていたが、いざ成功するとこの神を我が子のように眺めていた。

 ?「むにゃ、、、あれ、ここどこ?」

 言葉(ことは)「おはよう。神様」

 ?「だれ?」

 

 まだ少し存在が不安定なようで、話す言葉が幼稚だった。

 言葉(ことは)「俺は言葉(ことは)。よろしくね。」

 俺はそっとその娘に微笑む。

 空間(そらか)「私は空間(そらか)だよ!」

 運命(さだめ)「私は運命(さだめ)

 時雨(しぐれ)時雨(しぐれ)です!」

 人命(ひとめ)「私は人命(ひとめ)

 皆新しい『命』が生まれたことに興奮しながらも自己紹介をした。

 そして、、

 

 

「「「「よろしくね!世界(せかい)!」」」」

 

 

 

 言葉(ことは)「……!?」

(まさか『世界』って、こいつの事か!?いや、でもこいつは生まれたばかりだ、関係無い、、はず、、)

 空間(そらか)言葉(ことは)、どーしたの?」

 言葉(ことは)「っ!ごめん、また考え事してた。それより、世界(せかい)、改めてよろしくね!」

 世界(せかい)「うん!よろしく!」

 

 

 こうして、此世界(このせかい)家に家族が増えた。

 でも、何で女の子ばかり産み出しちゃうかなぁ?

 これを調べるために実験しないといけないかもな。

 

 

 

 

 言葉(ことは)「さて、神も生まれたことだし、皆に役目を与えるね。」

 

 ここから長い長い説明が始まった。いつものように軽くまとめようか。

 まず、人命(ひとめ)、彼女には生き物の生態と、食う食われるの関係を管理してもらうことにした。

 地球にはもちろん妖怪以外にも生き物はいるからね!

 そして、空間(そらか)、彼女は空間が崩れないように管理するのと、この家を俺たちだけの『空間』にする事、後はその他諸々の空間事情を支えてもらう。

 時雨(しぐれ)には、流れる時間が今のまま一定になるように管理してもらうことにした。

 運命(さだめ)はこれらを管理してる中で、悪い運命に片寄らないように、ある程度その運命をいじってもらう。

 しかし、これらはひとりだけじゃ難しい。ここで世界(せかい)の番だ。

 世界(せかい)はみんなの力に自分の能力である『世界にある程度干渉する』能力で、空間、時間、命、を管理するのを補助してもらう。

 後は、状況に応じて自分達で対応して欲しい、一応の通信手段を残す。この二つについて伝えた。

 

 

 言葉(ことは)「ひとまずこんなところかな?」

 人命(ひとめ)「い、色々とあって大変そうです…」

 時雨(しぐれ)「だねー。もう聞いてるだけて疲れちゃった。」

 言葉(ことは)「あはは、まあ少しずれた部分があったら、俺も管理するのを手伝うし、頑張ってね!

 」

 空間(そらか)「それより、これでどーやったら話すことができるの?」

 空間(そらか)はさっき渡した小さなカプセルを見ながら俺に問いかける。

 言葉(ことは)「それは飲めば使えるようになるよ。」

 そう、このカプセルは俺が考案した画期的な通信機器なのだ!

 …。まあ、このカプセルに体に作用する効果をつけて通信できるようにしただけなんだけど。

 言葉(ことは)「心に念じるようにすれば、相手を選んで話すことができるんだ。」

 空間(そらか)「ほぇー、すごいね~。」

 運命(さだめ)「なあなあ、言葉(ことは)。」

 言葉(ことは)「どうした運命(さだめ)?」

 運命(さだめ)「私だけそこまで仕事がないが何でだ?まあ能力の使い道があまり無いのが関係してるんだろうけどさ。」

 言葉(ことは)「ん~それもあるけど、他にも生き物の運命とか、この先の地球の運命とか管理してほしいけど、情報量がすごいでしょ?そんなのをずっと頭に流しているとパンクしちゃうからね、仕方ないよ。」

 運命(さだめ)「なるほど。そういうことか。」

 運命(さだめ)は少し残念そうな表情を見せた。

 

この一連の会話をしている間、世界(せかい)は何もない空をポケーッとみていた。が、急に俺らを見てこう言った。

 

 

「ここは、独りぼっちなんだね!」

 

 

 意味がわからなかった。はじめは、俺ら家族だけがいるから、家族が1つだけと思った。

 でも、何でか、違う。そう思った。そう感じてしまった。

 

 

 

 

 時雨(しぐれ)はどこにいるかって?話してる途中に出した料理に夢中で話せてなかったよ……。

 本人は仕事については問題ないといってたし、後から文句来ても知らんぷりしとこう。そうしよう。

 

 

 

 in ???

『世界』「また変わった……何でだ!このままじゃ……もう交われない……!」

 誰かが焦る。そして急ぐ。

 

 世界を救うために。

 しかし、世界は残酷だ。求めるものを、与えてはくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございます。
ここから、ようやく東方Projectの世界に触れていきます。
それと、この小説の主人公の能力はあまり多用されません。しかし、主人公はチート級の強さになります。
そこまでの変化を楽しんでいただければいいかなぁと思っております。それでは、また次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5,言葉、旅に出ます。

ただのみらのです!
もう一日中小説書いてますね。……。嘘です。貯めてました。
まあそんなことはどうでもいいです。
それよりも!UA70ですって!最高に嬉しいです。
前書きが結構難しいと思いながら書いてたわけですが、、、まあなれていきます。
それでは、五話目どうぞ!


 in 此世界(このせかい)

 

 さて、世界(せかい)が生まれてからかなりの年月が経った。

 何、別に変なことがあったわけじゃない。

 いつも通り平穏な日常を過ごしていた。でも、やっぱり変わったことはある。

 

 まず世界(せかい)についてだが、存在が安定するまで、今日まで時間がかかった。なんでも信仰するのが俺たちしかいないからか、時折力がなくなってしまうらしい。そのため色々と試して、世界(せかい)を今の状態までもってきた。

 

 言葉(ことは)「よし、これで一通り準備は終わったか。」

 俺は今、旅に出る準備をしている。前に地球に行ったときは日帰りだったが、今回は地球で色んな場所を点々としながら旅をするつもりだ。まあ、準備するものは服だけでいいんだけど。

 

 時雨(しぐれ)言葉(ことは)ー!早く来てー!」

 リビングの方から時雨(しぐれ)の呼ぶ声が聞こえる。

 何で呼んでるんだろう?

 言葉(ことは)「はーい!ちょっと待っててー!」

 俺は自分の部屋に荷物をまとめて置いた後、リビングへ向かう。

 

「「「「「言葉(ことは)ー!」」」」」

 リビングに入った途端に皆が抱きついてきた。

 言葉(ことは)「うおっ!どうした!?」

 世界(せかい)言葉(ことは)がもう地球に行くって行ってたから、いってらっしゃいするの!」

 ああ、そっか。永遠のお別れとかじゃないけど、長い間いなくなるのは分かるか、家族だし。

 言葉(ことは)「そっか~、何かグッとくるな。」

 少し上を向いた後に、もう一度みんなの方を見る。

 言葉(ことは)「みんな!ありがとう!それじゃあいってきます!」

「「「「「いってらっしゃい!言葉(ことは)!」」」」」

 

 去り際に見た彼女たちの笑顔は、これから始まる果てのない旅の支えになるだろう。

 

 in地球

 

 言葉(ことは)「うん、今回は上手くいった。」

 俺は地球の中でも一番広い大陸の隅の方に降りた。クレーターは作らずに。

 言葉(ことは)「にしてもここ、霧が少し濃くないか?前が全然見えないんだが、、」

 降りた場所は隅っこの方だが、これじゃ方角やらが分からない。しかし、能力を使って調べるのも味気ない。どうしよう……。

 言葉(ことは)「まあいい、とにかく歩こう。」

 俺は霧の中を歩き始めた。

 

 言葉(ことは)「ん~にしても、前より妖怪が見えなくなった?」

 濃い霧を抜けて、湖のそばにきてからようやく気づいた。

 前に地球に来たときは、獣型妖怪がわんさかいたのに。

 言葉(ことは)「それに、妖怪はいるにはいるけど、簡単には襲ってこないな。」

 ちょこちょこ何体かの妖怪の群れを見るが、縄張りを持ってるらしく、その中に入らない限り襲われることはなさそうだ。

(うん、妖怪たちもちゃんと進化してるんだな。)

 早速新しい発見をし、うきうきした気分のまま俺はまた歩き始めた。

 

 

 言葉(ことは)「はぁ、はぁ!何なんだよ!何でまた追っかけられなきゃいけないのさ!」

 はい。やってしまいました。

 ルンルン気分のまま、速度をあげて走っていると、大きな妖怪の群れの縄張りに入ってしまい、追いかけっこしてます。

 言葉(ことは)「しかも前より速いし!攻撃してくるし!」

 妖怪達は恐らく妖力で作ったであろう球を、俺目掛けて投げてきた。

 言葉(ことは)「キリがねぇ!しかも、木がいちいち高いから前と同じように跳ぶこともできないし!」

(くそっ!何か良い案がないか!?良い案、良い案……)

 言葉(ことは)「待てよ、俺にもアレを加えれば!」

 とてつもなくグッドなタイミングで案を思い付く。

 

 言葉(ことは)「俺に『神力』を『与える』!んでもってとりゃあ!」

 俺は神力を妖怪達と同じように球のようにして

 後ろに投げる。

「グェ……!」

 ボンッ!という音がなると同時に妖怪の呻き声が聞こえた。

 

 言葉(ことは)「当たった!上手くいってよかった!」

 もちろん球を作るのははじめてだ、でも体が勝手に球を作るように動いてくれた。

(能力を使えばある程度補助されるのかな?)

 能力について、また新たな謎ができた。

 

 in近代都市

 

 あらかた妖怪を片付けた後、森を抜けたら近代的な街があった。

 言葉(ことは)「あれ、もうそんなに時間過ぎてたっけ?……?」

 

(まず俺は地球に降りて、追いかけられてた。寝てはいない、眠らされてもいない。ん?ならこれはどういうことだ?)

 何が起きたか分からないので混乱してしまう。しかも、

(ここから『神力』を感じる)

 言葉(ことは)「とりあえず入ってみるか!」

 俺は街の中に一歩足を踏み入れた。

 ビィービィービィー!

 うるさいくらいにサイレンがなってり始めた。

 言葉(ことは)「あ、これやっちゃった感じだな。」

(こんな近代的な、いや、近未来的な場所なんだ、レーザーやら意味わからんロボットに殺されちゃうんだろーな、、、あはは。)

 もう諦めるしかなかった。

 

 in都市内部

 

 言葉(ことは)「いや、だから、俺は宇宙から来たの!そこら辺の妖怪じゃないって!何回言ったらわかるんだよ!」

 

 あのあと俺はレーザー光線とかに焼き消されず、捕縛されて都市の中の地下深くにある牢屋みたいなとこにいる。

 それで、周りに部下みたいなのを連れて来てる銀色の髪をしたお姉さんに色々情報を吐かされている。

 お姉さん「でもあなたからは確かに穢れを検知してます。あなたはそこら辺の妖怪と同じ反応を出してるんですよ?分かります?」

 

 さっきからこんな風に同じ事を繰り返し言い合っている。

 まったく、話が進まんぜ。

 言葉(ことは)「もういい!めんどくさいな!何したら解放する?何でもやるから早く解放してよ、旅の途中なんだ。」

 

 少し言いすぎだか、これくらい言えば少し考えてはくれるだろう。

 お姉さん「へぇ~、何でもやるのね?」

 言葉(ことは)「あ、ああ…。」

 

(少し嫌な予感がする…)

 お姉さん「あなた、私の実験道具になりなさい。」

 言葉(ことは)「はぁ!?」

 

 意味がわからん。周りの部下もそれぞれにこのお姉さんの意見を批判している。

 言葉(ことは)「なんで実験道具何かにするんだ?」

 お姉さん「あなたからは、穢れと一緒にツクヨミ様と同じ力が検出されたから、少し気になってね。色々と確認しないと。」

 

(力って、、神力か!まさかもう新しい神がいるなんて、、、まあ、知能が芽生えはじめてからなら、信仰するっていうのも普通にありえるか。)

 

 言葉(ことは)「まあ、死なないならいいよ。好きにしろ。」

 お姉さん「保証はできないけどね☆」

 

 お姉さんの笑顔は、可愛いというよりとても恐ろしかった。

 

 

 inお姉さんの部屋

 

 言葉(ことは)「あのぉ?」

 お姉さん「ん?どうしたの?」

 言葉(ことは)「なんで俺、あなたの部屋に入ってるんですかねぇ、いいんでしょうか?」

 お姉さん「あなたを監視しないといけないからね、仕方ないわ。それにこう見えて私はここの都市のトップ2よ。色々と融通が聞くの。」

 言葉(ことは)「襲われてしまうってていう意見はなかったんですか?」

 お姉さん「そんなことする前にあなたが死んでしまうわよ。」

 言葉(ことは)「さいですか。」

 

 というわけで、お姉さんの部屋に来てます。

 なんかフラスコやら複雑な機械、実験道具、とにかく科学者って感じがする部屋だ。

 

 言葉(ことは)「お姉さんって「八意 永琳(やごころ えいりん)よ。」…八意さんってどんな実験するんですか?」

 永琳「そうねー、薬を作ったり、そこらへんのガラクタを見てわかるだろうけど、機械を使った実験よ。」

 言葉(ことは)「やっぱそうですか。俺も実験(能力の)したりするんですけど、ここは色々と必要なものが揃ってますね。」

(これだけの物を用意するってことは実験好きなんだろうな)

 永琳「まあ百年もここで実験してたらこんなにも揃うわよ。」

 言葉(ことは)「百年!すごいですね。俺には無理そうだ。」

 

 まあ俺は実験はしてないが、2万年は生きてるんだけど。

 永琳「まあ妖怪風情には無理でしょうね。」

 言葉(ことは)「だから、妖怪じゃないですって…。」

 

 実験道具になる。そういう理由で解放されたのに、まるで今日からのクラスメイト、みたいな感じで話しかけられた。複雑。

 後はここでの注意すべき事とか、ここはどこなのかとか、色々と言われたが、正直あまり覚えていない。

 

 

(旅するはずだったのに、実験道具になるとか、、。何かこの先も不安だな……)

 

 




いやー、3000文字書くのは楽しいけど、肩こりますねぇ。まだ慣れてはないですがどうですかね?読みやすいですか?自分で書いたものを読んでも、中々分かりずらいので、教えていただければ嬉しいです。
では、また次回に!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6,『無限』から『有限』に

どうも、こんばんは。ただのみらのです!
ようやくこの物語が動き出します。
伏線はるのが苦手なのでバレバレかもですが、色々と仕掛けていきますよー!
それじゃあ第六話どうぞ!


 in 応接室

 

(やばい、、、今まで生きてきた中で一番やばい、、)

 えー、俺は今、ツクヨミ様と呼ばれる人の前に座っています。

 よく手入れされてるのが見てもわかるくらいに綺麗な長い黒髪に、パーツ一つ一つが整っている顔、見た目はものすんごく可愛いんだけど、何か威圧感がすごい…。まさしく『神』って感じ。

 

 言葉(ことは)「……」

 ツクヨミ「……。」

 永琳「……。」

 隣にいる八意さんも緊張している。

 

 ツクヨミ様っていう人は、この都市のトップ、しかも、この都市に住んでる全ての人の信仰対象だという。八意さんの話だとこの都市には大体五万人くらいの人が住んでるらしい。

 …そんなに信仰されればこんな威圧感も納得なんだが。

 

 言葉(ことは)「……。あの!」

 緊張しすぎて声が裏返ってしまう。

 ツクヨミ「…。」

 言葉(ことは)「えーっと、その、」

 あまりにも無反応なので、話始めていいのか分からず、戸惑ってしまう。

 言葉(ことは)「何でも、、ないです。」

(はぁ、何でこうなったんだろう……)

 

 

 数十分前……。

 

 in永琳の部屋

 

 言葉(ことは)「あのー、八意さん。」

 永琳「はい?なんでしょうか?」

 

 俺の能力や力について質問されてる中、俺は一つ疑問に思ったことがあった。

 

 言葉(ことは)「俺の中にある力って、その、『ツクヨミ』って人と同じ力なんですよね?」

 永琳「ええ、そうよ。ツクヨミ様と同じ『神』の力。あなたはそれを持ってるの。」

 言葉(ことは)「やっぱり、ツクヨミって人は神だったんだな……。」

 永琳「あなた、何でそう予測できていたの?」

 

 八意さんは少し険しい顔で俺を見る。

 恐らくまた妖怪のスパイなんじゃ?とか思ってるんだろう。

 

 言葉(ことは)「ここから俺の知ってる神様と同じ力を感じたもので。」

 永琳「あら、そうなの。」

 

 八意さんは興味を失ったのか、また俺の情報をまとめ始めた。

 永琳「あっ、そういえば今日、そのツクヨミ様のところに行くからね。」

 言葉(ことは)「分かりました。……ってえ!?何でですか!?」

 

(いきなりここの神様に会うとか、心の準備ができてない!もしかしたら、「私の都市に何故違う神が入ってきた!殺してやる!」みたいになるかも…)

 

 恐ろしい想像をしながら怯える俺を見て八意さんは笑っている。

 

 永琳「多分あなたが想像しているようにはならないわよ?ウフフッ。」

 言葉(ことは)「そ、それならいいですけど…」

(なんか不安になるなぁ…)

 永琳「情報もまとめ終わったし、行きましょうか。」

 言葉(ことは)「分かりました。」

 

 

 

 

 そして、応接室の様なところに通された途端、この威圧感。

(想像してた方が近かったじゃないか!何がそうならないわよ?だ!なりそうじゃんか!)

 

 俺は隣にいる八意さんに恨むような視線を送る。

 しかし、彼女も何が起こってるのか分からず、ずっと混乱している。

 

 ツクヨミ「座れ。」

 ビクッ(ひっ、ひぃ~っ!怖ぇよ、怖ぇよ!)

 言葉(ことは)「す、座らせていただきます。」

 

 自分でも意味の分からない言葉を発した後に、ビクビクしながら大きな革製の椅子に座る。

 

(座り心地はいいのに、居心地は良くない…)

 

 座ってからは、俺からもツクヨミさんからも、話始めることはなく、ずっとツクヨミさんに睨まれていた。

 

 

 そして今に至る。

 

(ううっ、もう家に帰りたいよぉ…)

 

 ホントに泣きそう。もう涙のダムが決壊しそうなその時。

 

「「プッ、アハハハハハッ!」」

 

 言葉(ことは)「え?」

 永琳「いやー、中々面白い顔してたわよ?あなた。」

 

(それより、これはなんだ?何かすごい疎外感。)

 

 ツクヨミ「いやーごめんねー。永琳が昨日『彼を少しおどかしてやりたいです!』と言ってきたもんで。」

 言葉(ことは)「はいぃ!?初対面の奴にそんな事しようとしたんですか!?何してるんですか!?八意さん!」

 永琳「ウフフッ、もうしたんだけどね。実はあなたに付いていた穢れがあなたのものじゃなかったから。安全ならもう何でもしていいやってなっちゃって。」

 言葉(ことは)「ひどいですよ!ツクヨミさんも!」

 ツクヨミ「いいじゃない、いいじゃない。楽しかったんだから。」

 

 ツクヨミさんはまだ笑っていた。

 

 言葉(ことは)「俺は怖かったんですよ、もう…」

 永琳「ごめんなさいね、それより、あなたここに住まない?」

 言葉(ことは)「えっ!?そんなまた急に…。どうしてですか?」

 永琳「何も害がなくて、しかも神と同じ力を持ってるなんて、都市にとっては手放したくない人材なのよ。」

 ツクヨミ「ということ!これからよろしくね!言葉(ことは)!」

 永琳「よろしく、言葉(ことは)。」

 言葉(ことは)「もういいや…。よろしくお願いします。二人とも。」

 

(とんでもないドッキリを受けた後にここに住まないか、という勧誘。たった一日でここまで環境が変わるとか…。)

 

 これからあんな事が起きるなんて、ここにいる誰も予想はできなかっただろう。神でさえも。

 

 

 Side ツクヨミ

 

 あの子、言葉(ことは)は自分の住む部屋へ部下と一緒に向かわせた。

 

 ツクヨミ「あの子は面白いねぇ~。色々と。」

 永琳「?」

 ツクヨミ「あ、何でもないよ~。」

 

(あの子の能力、永琳に聞かせてもらってけど、『アレ』に使える。必ず……成功させて見せる!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青年は知ることがないだろう、この都市の向かう未来を。

 この都市を統べるものが持つ野望すらも。

 

 

 Side 言葉(ことは)

 in 新居

 

 言葉(ことは)「あのー、これ、おかしくないですか?」

 部下「おかしくはありませんよ。ツクヨミ様のご友人と聞いておりますので、これくらいは当たり前でございます。」

 

 今、耳が頭から生えてる不思議な女の子に、自分の部屋まで案内してもらった。

 

(でも、ちょっと大きすぎじゃないかな?)

 

 俺の部屋は、他の周りにある部屋と違い、 何かよさげな場所にあった。

 入ってみればあら不思議。此世界(このせかい)家にある部屋より豪華!

 言葉(ことは)「まあいいや、案内ありがとう。」

 部下「どういたしまして。それでは。」

 

 女の子はせっせと去っていく。

 

 言葉(ことは)「ん~、とりあえず部屋の中見てみるか。」

 

 何もやらないでいるのは時間の無駄なので、適当に時間を潰す。

 

 

 言葉(ことは)「ん?書き置き?」

 

 机の上にある花瓶の下に紙が挟まっていた。

 〝後でもう一回さっきの部屋に来てね~。

  ツクヨミ〟

 

 言葉(ことは)「?これならさっきここに来る前に言っとけば良かったのに。まあいいや。行くか。」

 

  近くにいたさっきとは違う子を呼び止めて、応接室まで案内してもらうことにした。

 

 in応接室

 

 ツクヨミ「おっ、きたきたー!さっきぶり、言葉(ことは)!」

 言葉(ことは)「は、はぁ、それで何の用ですか?書き置き何かで呼び出して。」

 ツクヨミ「ん?いやね、君に相談したいことがあってさ。」

 言葉(ことは)「新入りの俺に相談ですか…。まあいいや。で、相談って?」

 ツクヨミ「君は、空に浮かぶもう一つの星を知っているかい?地球のすぐそばにあるあの星を。」

 言葉(ことは)「ええ、知ってますよ。『月』ですよね?日によって満ち欠けがある。」

 ツクヨミ「そう、あの月。実はあの星はね、光が満ちた、満月の時に妖怪に力を与えるんだ。」

 言葉(ことは)「そうなんですか、初めて知りました。でも、それがどうしたんですか?」

 ツクヨミ「…。少し長いけど聞いてくれる?」

 

 そう言ったツクヨミさんの顔は、元気な時とは違い、とても暗い暗い表情だった。

 

 日によって満ち欠けする月。

 それが満ちて満月になるとき、さっきいったみたいに地上にいる妖怪達に力を与えるの。

 それが何回も続くと、知能持ち始めた妖怪は、その月を信仰し始めた。

 自分たちを強くしてくれるんだもの、もちろんそうなるわ。

 するとその信仰は『月』に与えられるはずなの。

 でも月自体が持つ何らかの『力』でその信仰を受けれなかった。

 届かない信仰は地上で形を成して、『神』となった。

 それが私。ツクヨミ。

 生まれたばかりで、何をしていいのか分からなかった。

 私はただ、私を生み出した妖怪からずっと逃げてきた。

 ある日突然現れたある人に救われた。

 それが誰かは分からない。でも、その誰かのおかげで、日に日に私の周りには妖怪じゃなく、あの耳の生えた子達が増えてきた。

 そして、その子達と誰かはこの都市を与えてくれた。

 その後に誰かさんはいなくなっちゃったけど、

 その代わりに、永琳が現れたの。

 永琳がどうやって現れたのか分からないけど、とにかく周りにいてくれた皆のおかげで、今のこの都市がある。

 

 ツクヨミ「でもね、今この都市は無くなろうとしているの。」

 言葉(ことは)「…っ!何ですか?ここは安全そのものじゃないか。」

 

(八意さんに教えてもらったけど、警備自体もものすごい厳しいし。何か危ない状況ってわけでもないのに。)

 

 ツクヨミ「あなたも聞いたことがある。『穢れ』。これがこの都市に不治の病をもたらし始めたの。」

 

『穢れ』

 

 妖怪の持つ気質のようなものらしい。

 その穢れに憑かれると、年を重ねるごとに衰弱し、消えてしまう。そんな病が流行っているようだ。

 

 言葉(ことは)「それで、どうするんですか?」

 ツクヨミ「私たちは、この穢れから離れるために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『月』へ移り住む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、ようやく東方キャラが出ましたね。一人ですが。
後、ツクヨミさんの設定は少し適当です。また別の機会にプロフィールをまとめますが、よくわからなくなると思います。
それと第六話はまあまあ重要な話。という設定です。そこだけ覚えといてください。
それではまた次回に!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7,新たな『居場所』

どうも、ただのみらの、です。はい。
ここまでやっといてなんですが、しんどいっすね、連日投稿。やってる人のすごさが分かります…。
自分も頑張らないと!
そう思いながら書いてた第七話です。どうぞ!


 ツクヨミ「それでね、そのために必要な乗り物はできたんだけど、月が持つ力で着陸できないって科学者達が言っててね。それを防ぐために君に相談したかったんだ。」

 言葉(ことは)「……永琳さんから聞きました?能力の事?」

 ツクヨミ「そりゃもちろん、それが義務なんだから。」

 言葉(ことは)「はぁ、それで……月の力を消せと?」

 

 少なからずこの『世界』に関わっている力だ。消せば世界のバランスが崩れて時雨(しぐれ)達が管理できなくなるかもしれない。

 

 ツクヨミ「いや、そうじゃないよ。さっき言った乗り物がその力を『跳ね返す』ようにしてほしいだけさ。」

「それにしても面白いねぇ~、『意味を操る能力』なんて。何でも出来ちゃうじゃん。」

 言葉(ことは)「何でもは出来ませんよ…神様じゃないんですし。」

 

 能力の名前が違う?そりゃそうさ。『司る』何て言ったら信仰されて、神様になっちゃうもん。

 それが嫌だから少し説明を省いて能力名も少し変えた。

 

 ツクヨミ「ま、何でもできなくていいよ。さっきの通りやってくれればね。」

 言葉(ことは)「まあやれるだけやりますよ。」

 ツクヨミ「ありがとね~」

 言葉(ことは)「どういたしまして、それじゃあ部屋に戻りますね。」

 ツクヨミ「うん!待たねー!」

 

 ____________________________________

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

 言葉(ことは)「はぁ~、気持ちぃ~」

 部屋に帰ってすぐ風呂に入った。

 風呂は結構大きめ。何かシュワシュワしてるが、気持ちいいから良しとしよう。

 

 言葉(ことは)「にしても、月、かぁ。」

 

 月は、一応俺が生み出した星。まあ知識にあったものを『現した』だけだが。

 

(まさか、月自体が『力』を持ってるなんてな)

 

 言葉(ことは)「それにその『力』っていうのもどんなものか、能力使っても分からないなんて。」

(俺の能力も防がれてたりしてるのかな?)

 

 しばらくどうやってその『力』を跳ね返すか、風呂につかりながら考えていた。

 

 言葉(ことは)「やばい、のぼせそう」

 

(さすがに考えすぎてた。)

 

 ささっとあがって体を拭き始める。

 

 言葉(ことは)「また、やること増えたなぁ、少し、面倒だなぁ」

 

 ぶつぶつと今の自分の状況に愚痴りながら体を拭く。

 

 ___________________________________

 

 暖まりすぎた体を冷やすため、ベランダへ出た。

 部屋の中を見て回ったときに一番気になったところだ。此世界(このせかい)家の縁側とはまた別の良さがある。

 

 言葉(ことは)「ツクヨミさんは、あの月から始まったのか。そして、独りで逃げて、たくさんの人に出会って、ここを創りあげた。大変だっただろうな。」

 

(こんな風に言ってても、その時の恐怖を知れるわけじゃないのに。)

 

 言葉(ことは)「にしても、綺麗だ。」

 

 半分ほど満ちてきた月。満月も綺麗だったが、いつ見ても月は綺麗だ。つい呟いてしまうほどに。

 

 言葉(ことは)「……。久しぶりに寝るか。」

 

 部屋の中に戻り、寝室へ向かう。

 

 ピーンポーン

 寝室に入る前に呼び鈴がなる。

 

 言葉(ことは)「ん?誰だ?」

 ドアの横にある画面に向かうと、八意さんが映っていた。

 

 永琳〝言葉(ことは)、今部屋にあがってもいいかしら?〟

 

(まだそこまで遅くないし、別にいっか。)

 

 言葉(ことは)「いいですよ、今開けますね」

 

 そう言ってドアを開け、八意さんを部屋に入れた。

 

 永琳「ちょっと研究が行き詰まっててね、相手してくれないかしら?」

 

 八意さんはお酒の瓶と二人分のグラスを持ってそう言った。

 

 言葉(ことは)「俺、お酒飲んだことないんですけど…」

(世界(せかい)の前で飲むのは何か教育的に悪そうだったし。)

 

 永琳「あら?そうなの?まあいいわ。飲みましょ!」

 言葉(ことは)「お手柔らかにお願いしますね。」

 

 少しテンション高めだったが、大丈夫だろうか?

 

 

 そんな不安もすぐに忘れ月を見ながら、初めてお酒を飲んだ。慣れない感覚ではあったが美味しかった。

 

 しかし…

 

 永琳「あのねぇ~あいつらねぇ~、何度も何度も同じ失敗ばっかして、研究が進まないのよぉ~っ!」

 

 俺は今、酒を飲んでものすごく酔っている八意さんに絡まれてる。しかも、何度も同じ話を聞かされて。

 

 永琳「だからねぇ!いってやったのよ!お前らは研究しなくていいからどっかいって!って。そしたらあいつらおこりだすのよ!」

 

(も、もうだめだ、さすがにしんどい。この絡みはしんどい!)

 

 言葉(ことは)「八意さん!もう分かりましたから!もうお酒飲むのやめてください!寝ましょう!早く寝ましょう!」

 永琳「えぇ~、いいけど…運んで!部屋まで運んで!」

 言葉(ことは)「えぇっ!?そんなの無茶ですって!」

 永琳「能力使えば運べるじゃない!」

 言葉(ことは)「こんなことに使いたくはありませんっ!」

 永琳「こんなことってなによ!こんなことって!運ばないならここで寝るから!」

 

 と、八意さんは机に突っ伏す。

 

 言葉(ことは)「それも、困ります!それにそんな寝かたじゃ体を痛めますよ!せめて布団で寝てください!布団敷きますから!」

 永琳「ん~、めんどくさい!布団まで運んで!」

 言葉(ことは)「だから自分で!…もういいですよ、運びますから…」

 

 八意さんは寝室の隣にある和室に寝かせた。

 

 言葉(ことは)「はぁ、もう月が沈みそうじゃん…。まあいいや、寝るか。」

 

 もう八意さんにはお酒を飲ませてはならない!という使命感を持って、一日を終えた。

 

 _____________________________________

 

 

 言葉(ことは)「ふわぁ~っ、よく寝たー!」

 久しぶりの睡眠というのもあってか、ぐっすり眠れた。

 言葉(ことは)「今回はどれだけ寝ただろう。今は寝てから『何日』?…2日か。まあちょくちょく寝るようにしてたし、少なくもなるな。」

 

 布団から出て、リビングへ向かう。

 

 言葉(ことは)「あれ?永琳さん、何でいるんですか?」

 永琳「あらぁ~言葉(ことは)、やっと起きたのね。」

 

(あれっ?おかしいな、寒くもないのに体が震えてきた。震えて声も出せない!)

 

 永琳「いやぁ、あのね、私言葉(ことは)と飲もうとしたことまでは覚えてるんだけど、そこからは記憶がなくてね…。起きたら布団に寝かされたっていうのしか分からないの。だから何かあったか聞くためにあなたを起こそうとしても、まるで無反応!何しても起きなかったから、『ちょっと』、不機嫌なの♪」

 

 八意さんは早口で俺の睡眠欲への皮肉を言ってくる。

 

(ってそう言われても起きれないもんは起きれないのに…)

 

 

 その後もたっぷり説教されました。

 

 

 永琳「もう、そうならそうって早くいってくれたら良かったのに…あんなに起こった意味ないじゃない…。てっきり無視して寝てるのかと…」

 言葉(ことは)「いや、だって怒ってる時の八意さん、体が震えるくらい怖いんですもん…」

 永琳「そ、そんなに!?ご、ごめんなさいね…」

 言葉(ことは)「いや、もういいですけど…」

 永琳「そ、そう?ありがとう。」

 

  (お互いに謝りあうと微妙な空気になるな…)

 

 永琳「ああ、それと、私の事は永琳って呼んでね。他人行儀みたいに呼ばれるのは何かむず痒いし。」

 言葉(ことは)「了解です。永琳さん。」

 永琳「フフッ、これからよろしくね、言葉(ことは)

 

 軽くハプニングがあったが、彼女とはずっと仲良くしていきたいと思った。

 




あまり変化はないところでしたねぇ。
書いてる本人が言うのも何ですが、面白くn))ゲフンゲフン
はい、ちゃんとそうならないよう頑張ってますよ。この話も。
戦闘シーンがないのでまだ盛り上がりませんが、ちゃんとこの章で主人公は戦わせます。期待はしないでください。いや、別に自信がないわけじゃないですよ!なんなら今からでも!…。強気に出るのはよくないですよね……。
馬鹿長い後書きですいません。それじゃまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8,心に届く、幸せからの贈り物。

どうも、ただのみらのです。
ちょっと体調を崩しまして、連続投稿どころか、執筆自体あまり捗りませんでした。何とか書きましたが3000文字にも満たないくらい少ないです。
それでも楽しんでいただければ幸いです。
それでは第八話をどうぞ!


 in研究室

 

 永琳「じゃあ今日も6個にしましょうか。」

 言葉(ことは)「分かりました。」

 永琳「この水にここに書いてることを加えてみて。」

 紙を渡された後、息を、心を整え、能力を行使する。

 

「この水に『浮遊』と『発光』と『丸さ』と『制御』と『自在』を『与える』。」

 

 すると水は浮かび上がり、流れるように形を変えながら光り、綺麗な丸になった。

 

 言葉(ことは)「ってぇ~!」

 永琳「ん~、やっぱり5個が限界かしら?」

 言葉(ことは)「いてて…そうみたいですね。」

 

 俺は先程作った水球を操りながら答える。

 

 永琳「やっぱり何ともできないのね、代償については。」

 言葉(ことは)「ええ、能力使っても完璧には消せないですし。それに出来ることは全部やってしまったので……」

 

 都市に来てからもう半年がたった。俺は今永琳さんの部屋で能力についての情報を集めたりまとめたりしていた。ここ1ヶ月こういうことをやっている。

 主に代償について。

 その代償について新たに分かったことは、能力を反映させる言葉の数によって、代償を負う可能性も増えるということ。

 永琳さんの考察だと、能力自体が強力すぎて、言葉一つ一つに能力を使うと俺の中での何かが乱れて、その結果代償を負ってしまうのでは?とのこと。

 

 言葉(ことは)「自分でも能力の全容が把握できてないとか、ちょっと情けないです…」

 永琳「まあここまで複雑だとそれもできないわよ。むしろここまで分かったのはすごいわ。」

 

 研究の記録を残しながら、落ち込む俺を励ましてくれる。

 

(やっぱいい人だな、この人。)

 

 永琳「あっ、そういえば軍隊の方に顔出しに行くって言ってたわね?今から行くの?」

 

 本当は昼になるまでに行きたかったのだが、代償について色々とやってたら、もう日が昇りきりそうだった。

 

 

 言葉(ことは)「いや、夕方近くに挨拶だけしに行こうかと思います。話もそこまで長くはならないでしょうし。」

 永琳「あらそう。なら少し話し相手してくれない?今日は会議もないし暇なの。」

 

 ここ最近会議ばかりだったのか、研究の時間も時折疲れた表情を見せていた。研究は自分のためにもなってる。恩返しとまではいかないが、付き合うべきだろう。

 

 言葉(ことは)「別にいいですけど…まず昼飯でいいですかね?」

 永琳「そうね、そうしましょうか!私いいとこ知ってるから、行きましょ!」

 

 少しテンションが高くなっている永琳さん。

 

(何かいつもと違う雰囲気だけど、いいな。)

 

 ちょっと活気な彼女に思わずドキッとしてしまった。

 

 言葉(ことは)「てか、こんなところでそれはちょっと違うか」

 

 永琳「?どうかした?言葉(ことは)?」

 言葉(ことは)「いえ、何でも。行きましょうか!」

 

 彼女と過ごした少しの時間は、此世界(このせかい)家で過ごした時間とは違う楽しさがあった。

 時間を忘れてずっと話していたいくらいに。

 

 

 日がだいぶ傾いてきた頃……

 

 言葉(ことは)「もうこんな時間か」

 

 外で傾く日を見て焦ってしまう。話が盛り上がって話しすぎてしまっていた。

 

 永琳「あらほんと、今日はありがとね、言葉(ことは)

 言葉(ことは)「いえ、こちらこそありがとうございました。ではまた明日。」

 

 急いで軍隊の人達が集まっている区画の方に向かう。

 

 

 

 in訓練所

 

 訓練所につくと、耳の生えた子達が少数のグループを点々と作り、広場のような場所で談笑していた。恐らく訓練が終わったのだろう。

 

(普通訓練が終わっても、こんな気を抜かないと思うんだけど……)

 

 ここの軍隊は都市の防衛がメインなので、いつ襲ってくるか分からない外の妖怪に警戒してピリピリしてるものかと思ってたが、意外と和やかだ。

 

 言葉(ことは)「確か奥の方に教官の部屋があるって永琳さんが言ってたな。」

 

 前に案内された時の記憶を引き出してその部屋へ向かう。

 

 言葉(ことは)「すいませーん、誰かいますかー?」

 

 ドアをノックしながら呼び掛ける。

 

 言葉(ことは)「誰もいない?」

 

 教官室に誰もいないということは、指導者なしの訓練を行っていたということだ。

 

(あの様子じゃ大した訓練もしてないだろうけど…。誰もいないなら部屋に戻るか。)

 

 ちょっとした不安を抱えながらも部屋へ戻るため引き返す。

 

 in 廊下

 

 言葉(ことは)「にしても、あれで軍隊なのか?防衛どころか出撃すらできなさそうなのに…」

 永琳「さすがに出撃はできるわよ。」

 言葉(ことは)「そうですね、さすがに言い過ぎました……。あの、急に話しかけるのやめてください、びっくりします!」

 

 いつの間にか横にならんでいた永琳さん。気配が全く感じられなかった。

 

 永琳「別にいいじゃない。それにたまたま言葉(ことは)を見かければいじりたくもなるわ。」

 言葉(ことは)「見かけたら驚かす考えはしまってくださいよ…。永琳さんはどうしてここに?訓練所に用はなかったんじゃないんですか?」

 永琳「ちょっとした会議を開いてたのよ。まあ話を伝えておくだけだったから、いつもよりは楽だったわ。」

 

 ここの都市の会議は位はあまり関係しないらしい。誰でも平等に発言できるというモットーのもと行っているから、だそうだ。

 そのため会議は自分のやりたいことを無理矢理通そうとする輩ばかりで意味があまりないそうな。

 まあ形だけそうしておかないとそいつらがうるさいらしいから、仕方ないんだと。

 

 言葉(ことは)「毎回お疲れ様です。それより、訓練所にいる子達何もしてないように見えたんですけど、いいんですか?」

 永琳「まあ仕方ないわよ。さっきの会議には軍の方にも出席してもらってたし。一応話しておかないといけないことがあったから。でも普段は真面目に訓練してるわよ?」

 言葉(ことは)「そうなんですか、それでも何か不安です…」

 永琳「大丈夫よ、あの子達よりも強い上の人達がいるから。多分簡単にはここは落とされないわ。それもこの世が終わりそうなくらいの災害が来ない限り。」

 言葉(ことは)「それはすごいですね…。」

 

その後は、彼女と他愛もない話をしながら部屋向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




先に言っときます。ヒロインはまだ未定です。そういう描写がありますが、まだそうなるとは限りませんから!
後々話の流れで合わせていきますのでお待ち下さい!
それじゃまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9,望んでない『未来』

最近3000字書くのが苦じゃなくなってきたただのみらのでございます。、がないと読みにくいけどありすぎても読みづらいよね!と、自分の小説の悪いところをいってみる。
はい、昨日は3000字いかなかったので、今回は4000字近く書きました。どうかお楽しみください。
それでは第九話をどうぞ!


 in言葉(ことは)の部屋

 

 言葉(ことは)「……。またやっちゃった……」

 

 今俺は久しぶりの睡眠を終えたところだった。

 そして能力を行使して寝ていた期間を調べたところ、

 

 言葉(ことは)「2日、か。どうしてこんな寝てるんだよー!」

 

 思わず叫んでしまうくらいに悔しい。この頃は何日も寝続けないように2日に一回は寝ていたのだが、今日は何でかこんなに寝てしまっていた。

 

(はぁ…やっぱ変なところで不便だ、この体。)

 

 お腹は空かず、睡眠も中々しなくていいが、たまに疲れをとるために寝れば、何日も寝てしまう。ホントに不便。

 

 言葉(ことは)「まあいいや、2日寝てた分今日は頑張ろうか。」

 

 身支度をして、いつもの場所へ向かう。

 

 in研究室

 

 永琳「も~やっときたのね、言葉(ことは)

 

 少し不機嫌な様子の永琳さん。今回は自分のせいでこうなっているので心が痛い。

 

 言葉(ことは)「すいません…、ついつい寝すぎてしまって…」

 永琳「ちゃんと体調管理しなさいよ!ずっと寝なくていい体ってわけではないでしょ?ほら、これ今日の課題よ。」

 言葉(ことは)「ホントすいません…。それじゃ準備してきます。」

 

 ここ2ヶ月の研究では、俺の体の情報も取っている。代償がもたらす体の変化を知りたいらしい。体がだるくなったり、腹が痛くなったりするだけなのに取る必要はあるのかは俺には分からない。

 

(はあ、寝起きでだるい。少しはだるさが『とれてほしい』ものだ。)

 

睡眠の割りに疲れのとれない体への不満をこぼす。すると体の中をまさぐられるような感覚が起こる。

 

(何だ今の感覚...。少し体が軽くなった?いや、気のせいだろう。)

 

 言葉(ことは)「永琳さん、機械つけましたよ。」

 

 機械は手首と頭に巻き付けるだけの簡易的なものだ。

 

 永琳「計測始めたから、やっていいわよ。」

 

 言葉(ことは)「ふぅーっ、」

 

 

(えっと、今日の課題はっと。)

 

 本日の課題。

 最近ある程度内容が掴めてきた『意味を操る能力』。その中でも新たに分かったこと、〝思いの強さ〟についての実験を行う。

 

 鉄の塊を温かくする。これだけに能力を行使して鉄の塊を熱くする。

 これが課題です。

 

(でも、思いの強さとか、操るの難しいんだよ…)

 

 言葉(ことは)「それじゃやってきます。」

 

「この鉄を『温める』」

 

 今回は『温める』だけの情報なので『与える』ことはしない。情報が多ければ多いほど能力も強化される。これも分かってきたことの一つだ。まあ限界があるからそこまでだけどね。

 

 

 実験を始めて数十分……

 

 言葉(ことは)「はぁ…疲れた…」

 永琳「お疲れ様。にしても体温と同じ熱さが限界だなんて、少し驚きだわ。」

 

 さっきの課題の際、500回くらい能力を行使していた。それでもこの結果だ。もちろん思いの強さに焦点をあわせている。

 

 言葉(ことは)「思いの強さとか、操るの難しいんですよ。それに連続で使うと代償関係なしにそれなりに疲れますから…」

 永琳「そうねぇ、100回越えた辺りから体に不調の反応があったし。回数もちゃんと考えないときつそうね。」

 

(100回からって…だから途中集中が切れそうだったんだ…)

 

 言葉(ことは)「そうですねぇ、今日の課題はこれで終わりですかね?」

 永琳「終わりだけど、少し話があるわ。」

 

 さっきとは違う真剣な面持ちで彼女は言う。

 

 言葉(ことは)「話、ですか。」

 

 何となく内容は分かる。始めてツクヨミさんに会ってからもたまに部屋に呼んでもらって色々と話をしていた。何気ない会話や、例の月の話やら。

 最近、その月の話を実行するために動く。そうツクヨミさんから言われた。今から永琳さんが話すのもその類いだろう。

 

 永琳「多分ツクヨミ様から聞いてるだろうけど、月に行く計画を実行段階に移すことにしたの。それでそのために」

 言葉(ことは)「俺の能力を使う、と。まあそのためにやってきた研究でもありますしね。」

 永琳「まあそうね。それともうひとつ。あなたにやってもらいたいことがあるの。その計画のために。」

 言葉(ことは)「俺に?」

 永琳「ええ、ちょっと申し訳ないんだけど、能力を使えば格段に成功率は上がるから。」

 言葉(ことは)「また能力関係ですか…。まあいいですよ、色々とお世話になってますし。」

 永琳「ありがとう、早速だけど応接室に行ってくれる?研究の途中に連絡があって、今そこにさっきの件の責任者が来てるって。」

 言葉(ことは)「上の人って、緊張するなぁ…」

 永琳「緊張なんてしなくていいのに、一応親しみやすい人よ。」

 言葉(ことは)「…。またびっくりさせようとかは、」

 永琳「しないわよ、今回はホントに大事な話なんだから。それに疑いすぎ。」

 言葉(ことは)「疑われるくらいびっくりさせてきたのに…。まあ気張らずにやってきますよ。それじゃ行ってきます。」

 永琳「ええ、いってらっしゃい。」

 

 軽く会話を交わして応接室へ向かう。

 

 

 in応接室

 

 ツクヨミ「おっ来てくれたか、言葉(ことは)。」

 ?「はじめまして。言葉(ことは)殿。」

 

 部屋にはツクヨミさんと、金髪の男の人がいた。ちなみに耳は生えていない。

 

 言葉(ことは)「はじめまして。えっと、あなたの名前は?」

 ?「ああ、すまない。名乗るのを忘れていた。私の名は、刀華(とうか)。しがない武神だが、よろしく頼む。」

 

 言葉(ことは)「か、神様でしたか!すごいですね、ここの都市は二人も神様がいるなんて…」

 刀華「いえいえ。私はツクヨミ様の足元にすら及ばない小さな神です。戦いに勝ちたいと望む野心から生まれた。そんな神ですから。」

 

 刀華さんは少しうつむいて暗い表情を見せる。

 

(戦いとかそういうの苦手なのかな?それで軍隊のトップを任されてるなんて…)

 

 ここは安全といってもそれなりに妖怪はせめてくる。多分あの子達が願ったんだろう。『妖怪何かに負けたくない。勝ちたい』と。

 

 言葉(ことは)「それでも信仰の力は強いじゃないですか。そんなに信頼されてるなら、いい神様ですよ。」

 

 そっと刀華さんに微笑みかける。

 

 刀華「ありがとうございます、言葉(ことは)殿。励ましてもらうなんて、自分はまだ未熟ですね。」

 ツクヨミ「あのー、私のこと見えてる?さっきから空気なんだけど…」

 言葉(ことは)「あ、すいません!ツクヨミさん!」

 刀華「申し訳ございません!ツクヨミ様!」

 

 二人揃って謝る。

 

 ツクヨミ「ハハッ、二人とも何処か似てるね~、兄弟だったり?」

 言葉(ことは),刀華「「似てますかね?」」

 

 お互いに向き合って首をかしげる。

 

 ツクヨミ「似てる似てる、っく、アハハっ」

 

 ツクヨミさんはそこからずっと笑っていた。

 

 

 ツクヨミ「ふぅ、お腹痛い…。さて!本題に入ろうか!」

 言葉(ことは)「やっとですか…。それで話っていうのは?」

 ツクヨミ「私たちがこの都市から月へ移り住むっていうことは知ってるよね?」

 刀華「ええ」

 言葉(ことは)「知ってますよ。」

 ツクヨミ「うん、それでね。私たちが移り住む前の日に妖怪の大群。それもこの都市の周りすべての妖怪がここに攻めてくるらしい。」

 いつもより真剣な表情でツクヨミさんは言う。

 

 言葉(ことは)「!!」

 刀華「…。それで、我々はどうすれば?」

 

 俺はだいぶ驚いたが、刀華さんは落ち着いてツクヨミさんに問う。

 

 ツクヨミ「君たちには出発の準備が済むまでこの都市を防衛してもらう。ただそれだけさ。でもね、言葉(ことは)は戦い慣れしてないから、刀華に稽古をつけてもらおうと思って。」

 言葉(ことは)「は、はぁ。でも何で稽古なんか?俺は能力だけで何とかできると思うんですけど?」

 ツクヨミ「君の能力は持久戦には向いてないだろう?その戦いは一日以上かかるかも知れないんだ。得物を使った戦い方を学ぶべきだ。刀華、いいかい?」

 刀華「ツクヨミ様の命令であれば。私はそれに従うまでです。」

 ツクヨミ「そうかい…。それじゃ頼む。言葉(ことは)も頑張るんだよ?」

 言葉(ことは)「分かりました。刀華さん、よろしくお願いします。」

 刀華「こちらこそよろしく頼む。」

 

 お互い礼をした後、ツクヨミさんと別れの言葉を交わしてそれぞれの部屋へ向かう。

 

 ちなみに上の位についてない人達は集団生活をしてるそうな。やっぱ俺って優遇されてるんだなぁと思った。それだけ。

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

 言葉(ことは)「にしても、稽古かぁ。日課が増えたな。」

 

 ソファー(前にいってた革製の椅子)に寝転びながら振り返る。

 

(刀華さん戦い苦手そうだったのに。やっぱ武神としての力があるから任されてるのかな?責任感もあったし。)

 

 言葉(ことは)「妖怪の大群。都市を囲むすべての妖怪。それが攻めてくる、か。」

 

 近頃聞く妖怪は、怪力をもつ角の生えた妖怪。

 翼をもつ妖怪。素早い妖怪。皆独自の変化を遂げ、尚且つそれぞれに強力な能力を持つ「長」と呼ばれる者たちも出てきている。

 正直守りきれるか不安だが

 

(守って見せる、少しでも世話になったんだ。少しは恩を返さないと。)

 

 言葉(ことは)「そのためにも、また自分で能力を調べて見るか。」

 

 

 これから起こる戦いに向け、全てが動き出した。

 

 起こす側、妖怪と。

 

 守る側、都市。

 

(正直、争いは起きてほしくなかった。でも)

 

 妖怪、知性が未だに低いため、無差別に生命を襲う存在。時には同族で争うこともあるらしい。

 

(あいつらがいる限り、争いが消えることはないだろうな。仕方ないと割りきるしかないだろう。)

 

 自分の世界での争い。目を背けることは許されない世界の通る『道』。

 

(俺は一体、この世界をどうしたいんだろうな。)

 

 感情が次々に変わり、気分が落ちてきた。

 

 

(もういいや……やることもないし、寝てしまおう。)

 

 

 いつもよりだいぶ早めの就寝だった。

 能力を行使しすぎ、疲れたのもありすぐに意識は落ちていった。

 

 




えー、次の話で少し戦闘シーンだします!やっとです!
後、刀華についてですが、神様って設定ですけどそこまで凝ってはないです、言うならサブです。
まずこの話の神様の設定もそこまで作り込んでないので、ん?と思うところがあっても無視してください。気になるなら2章からちゃんとまとめますので。
長くなりましたが!それでは次回で!

追記、タイトル忘れてました……テヘペロっ!
色々と忘れてすいません。_(._.)_


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10,世界への『願い』

んー、戦闘は難しい。どうも、ただのみらのです。
最近携帯の予測変換にキャラ名やら技名が溢れています。そのくらい書いてるんだなぁと思いました。
後、あとがきで報告ありです!それでは!
第十話をどうぞ!


 in 訓練所

 

 言葉(ことは)「ふっ!ふっ!ふっ!」

 刀華「剣がまたブレ始めていますよ。言葉(ことは)さん。」

 言葉(ことは)「そうっ!言われましてもっ!ずっとっ!振ってるからっ!集中がっ!」

 刀華「だから能力を使っていいとさっきからいってるんですが…」

 言葉(ことは)「それじゃっ!稽古のっ!意味がっ!無いじゃっ!ないですかっ!」

 

 俺は今、刀華さんに稽古をつけてもらっている。

 まずは真剣を振ってみて様子を見てみることになった。時間がないので竹刀は使わない。

 

 刀華「何か、変なところで負けず嫌いそうですね。言葉(ことは)さん…。おっと、もう1000回終わりですよ!」

 

 言葉(ことは)「はぁはぁっ…。能力ばかりに頼ってちゃ、いつか後悔しそうで…。それに、こうやって自分で高めていくからこそ、掴めるものもあるはずだから。」

 

 この稽古の習慣は2日前から始まっている。

 計画までに時間があまりないこともあり、一日みっちりと稽古をつけてもらってる。訓練を続けていく内に、刀華さんからの「殿」呼びが、今じゃ「さん」になるくらいは親しくなった。

 

 刀華「まあ私も能力があるからこその、自分の剣って感じですけどね…。でもその考えは正しいものだとおもいますよ!それでは、次は流れで練習しましょうか。」

 

 刀華さんの能力は武神らしい能力だ。その名も、『刀を操る能力』。

 自由自在に剣を振るい、両手だけでなく、宙に浮かせたままの剣も操れる。

 その様子を見たときはもうびっくりしすぎて言葉が出てこなかった。

 見せてもらったときは竹刀だったが、それぞれが上下左右、前後ろ、斜め、様々な方向から様々な角度で暴れまわっていた。

 

 しかし、能力だけでなく、彼は我流の剣術も持ち合わせている。

 稽古では主にその剣術を習っている。まあ簡単に『刀華流』とでも言おう。

 

 言葉(ことは)「分かりました。ふぅーっ、」

 

 刀華流の基本は、『攻め』である。

 様々な方向から攻めて、相手を押していき、体勢を崩す。簡単に言えばこんな感じ。

 この流派には、基本である2本の剣技が存在する。

 それと8つの切り方を混ぜ合わせたのが『流れ』だ。

 剣技は『力』を使った切り方なので、力無きものには会得できない。

 

(流れの基本、攻撃は素早く……)

 

 シュッと上から下へ一閃。素早く、尚且つ力強く振り下ろす。

 すぐさま持ち変えて次の攻撃に移る。

 

(力を刀から噴出して、回転から切り上げるっ!)

 

 心の中でイメージしながら剣を振るう。

 さっき振った状態から体勢を低くし、足元を切るように剣を持ち回る。

 するとブォンと音を立て自身と刀が高速で回転する。

 そこから正面をみて力の噴出を止めないまま刀を振り上げる。が、

 

 言葉(ことは)「うわっ!」

 

 勢いあまって空中で体勢を崩してしまった。

 力を抑える事ができずにそのまま地面に急降下。

 

 

 刀華「やっぱり剣が2本目でぶれていますよ。」

 

 地面に開いた人型の穴に呼び掛ける刀華。

 

 言葉(ことは)「心配くらいしてくれないですかねっと。」

 

 穴から這い出てきたのは俺。

 

 言葉(ことは)「にしても、『円閃』。やっぱり切り上げるときが難しい…。切り上げてすぐに戻ることが出来ないし……」

 

(それどころか、こうなっちゃうもんな…)

 

 俺は毎度『円閃』を練習するたびこうなっているのだ。

 

 刀華「切る目標がないっていうのも原因かも知れませんね。一度私と手合わせしてみますか?」

 言葉(ことは)「えっ、でもこんなんじゃ瞬殺されちゃいますよ?」

 刀華「流石に手加減はしますよ、ククッ。」

 

 俺を小馬鹿にするように刀華さんは笑う。

 

 言葉(ことは)「あーもう!やりましょう!手合わせ!絶対にとってやる!」

 刀華「それは楽しみです。では、始めましょうか!」

 

 後、稽古をしてて分かったのだが、刀華さんは別に戦いが嫌いなわけではなく、戦っているときの自分が少し嫌なようだ。

 

 刀華「それでは、始めっ!」

 

 合図と共に二人とも駆け出す。

 一手目、刀華さんから仕掛けられる。右から左へ流れるような一閃を放ってくる。

 俺はそれを刀で受け、上へと弾く。

 

(よし!何とか一撃防げた!次に追撃!)

 

 教えてもらった流派の通り動く。

 しかし、次に襲いかかってくるのは無数の斬撃。刀華さんは弾き返された状態から自身も上へと跳ね、俺が認識できないスピードで一撃一撃を放ってきたのだ。

 しかし、負けてはいられない。

 絶対にとってやる。

 そう宣言したからには。

 次に俺が放ったのは、基本の剣技のもうひとつを使った『流れ』。

 

 円を描くように剣を振るい、無数の斬撃の内の半分を弾き残りは躱す。そして、空いた隙間に相手へと届かせる突きを放った。

 

(円突!)

 しかし、その突きは、攻撃を止めた刀で防がれる。

 

(力を込めながら撃ったのに!?)

 

 その後、お互いに常人の為せる速さを越えた攻撃を繰り返す。

 しかし、それもすぐ終わる。

 互いに剣が弾かれあって、数瞬、間が空く。

 そこへすかさず俺は『円閃』を打ちにいく。

 近づきながら上から下へ一閃、刀から力を噴出させながら振るう。

 しかしこれは横へとかわされる。

 体勢を低くし、足元を切るように刀と共に円を描く。

 これは跳ばれることでかわされた。

 そして、その空中にいる刀華さんに、上から下への斬撃を放つ。

 

(決まった!)

 

 そう確信出来るほど上手くいった。

 だが、攻撃が当たる前に刀華さんは体を翻し剣を躱し、その勢いを使い俺の首元へ刀を伸ばす。

 

(死ぬっ!)

 

 そう感じさせられるくらい、鋭く殺気のこもった一撃だった。

 

 が、届く前にその刀は止まる。

 

 刀華「うん。やっぱり実践になると使えるんですね!円閃!」

 

 先ほどの攻撃を放ったとは思えない声色で俺に言葉を投げ掛ける。

 

 言葉(ことは)「……。あ、そうみたいですね。でも、やっぱり流れ自体はきれいに決めれませんでした…」

 

 あまりの変わりように驚き、話すのを忘れていた。

 

 刀華「こっちもその型を知ってますから、仕方ないですよ。でも剣技の方はきれいに行きましたね。」

 言葉「力を込めて放つ。ただそれだけですから…。」

 刀華「まあ、力を込めるのも大分難しいんですけどね…」

 

 その後も、ずっと流れの練習を続けた。

 

 ______________________________

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

(やっぱ難しいわ、剣術)

 

 もう日が暮れるまで練習していた。

 

(にしても、最近は永琳さんもツクヨミさんも『計画』について忙しいから全然会えないなぁ)

 

 それなりに親しい仲なので少し寂しい。

 

(後1ヶ月か…)

 

 1ヶ月。

 それがこの都市が安全でいられる期間。

 俺が剣を学べる時間だ。

 計画についても、1ヶ月後の方が月に行きやすいやら何やら。

 

(で、1ヶ月後は、満月。)

 

 満月の方が行きやすい。これが科学者の間で出た結果らしい。

 まあその中に永琳さんがいることをつい最近刀華さんに聞いたのだが。

 

 満月。

 妖怪が一番力を持つ日。そして、計画が実行される日。

 

(何事も起きなければ、それでいいや)

 

 言葉(ことは)「後は、『アレ』についてだけだな。」

 

 俺がほんとつい最近に気づいた事。それが『アレ』。

 

(どうかこの世界、無事でありますように。)

 

 青年はただ願う、自分の世界の無事を。その民の無事を。

 

 

 Side ツクヨミ

 

 ツクヨミ「……。今宵も月がきれいですね。名も知らぬ導きの人……。」

 

 神はただ願う。彼と作り上げたこの都市に住む、まるで我が子のような存在の無事を。

 

 そして、自分の野望が叶うことを、ただただ願う。

 

 

 Side 此世界

 

 

 運命(さだめ)「……。無事でいるかな、言葉(ことは)……。」

 

 

 彼女はただ願う。巡り続ける運命の渦中で、暗きに飲まれそうになるその青年の無事を。

 

(私にしか見えない、この世界の運命(みち)は。)

 

 

 世界は何処の誰の願いを聞き、どんな願いを叶えるのか。

 知り得るものは、ただ一人もいない。

 

 

 




えー、報告です!
UA数が300を突破してました!パチパチ!
自分ではとても届かない数字だと思ってました。
実際十話くらいで百いけばいいかな?とかそんな感じ。
後ですね、一話のPVも100を突破してました。
素直に嬉しいです。
まあ投稿者の気持ちは置いといて。
ようやく戦闘の部分書きましたが、剣術とかその辺りはもうぶっちゃけ適当です。もう変でも見逃してください。原作入ったら弾幕重視するんで。
後、此世界家達は2章からしかもうでません。色々と事情がありまして。
まあこれくらいですかね?報告は。
それじゃっ!また次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11,内に秘める『輝き』

どうも、ただのみらのです。
今日は早めに執筆を始めれたので、早くあげることができました!
昨日の投稿からお気に入りがなんと!6件になってましたね!びっくりです。まさかお気に入りしてくれるなんて……。これからも頑張っていきます!
それでは第十一話をどうぞ!


 Side 刀華

 

 刀華「我流 疾剣」

 

 音を立てず、また人の確認できる速度を越えた突きを人を模した木に放つ。

 パキッと音を立て、突きが当たったところから半分に割れる。

 

 私は今、自分の剣を磨いている。

 1ヶ月後に来る計画のために。

 言葉(ことは)さんも同じように鍛練に励んでいる。彼は元々のセンスがいいのか、『力』を使う『剣技』についてはすぐ会得していた。

 

『剣技』力を使った剣術。力を込めて威力を高めたり、力を放出して速さを高める。

 これは私の我流剣術の基礎だ。

 そして、これを使っているものが『流れ』である。

 言葉(ことは)さんは流れは分かるが、すぐに攻撃に移ることができないため、今その切り替えについて稽古をしている。

 

 言葉(ことは)「…。それが手合わせの最後の攻撃ですか…。」

 刀華「ええ、単純な力の使い方ですが、確実に敵を仕留める。そんな技です。」

 

 私がさっき放ったのは流れではない。

 私の技だ。

 剣を操れるからこそ放てる『殺し』の一撃。

 音を消し近づき、素早く確実に撃ち抜く。

 私の我流のある意味最終点だ。

 私はこの殺しが最終点だと知ってから、戦う自分に嫌悪感を抱いていた。

 

 言葉(ことは)「恐ろしいですが、確かに力にはなります。そんな暗い顔をしないでください。」

 

 言葉(ことは)さんに言われて初めて気づいた。自分のひどく落ち込んだ顔に。

 

 刀華「すいません…。」

 言葉(ことは)「んー、よし!刀華さん!流れの稽古しましょう!また色々と教えて下さい!」

 刀華「!はい!では始めましょうか!」

 

 彼はいい人だ。たった数日関わっただけでも分かる。彼は人のことをよく考えている。

 そんな彼に気を使わせているのは、甘えなのだろう。

 

(でも、今はこのままでいたい。私は少し我が儘だな。)

 

 彼のおかげでどこか気が楽になった。そんな気がする。

 

 Side 言葉(ことは)

 

 言葉(ことは)「やっぱり『円閃』をまず完璧にしたいですね。一番納得いかないままの技ですから。」

 刀華「分かりました。いつでも振り始めていいですよ!」

 

 俺は今稽古中だ。大体一週間続けているこの稽古。もう教えてもらうことはなく、技の調整に入っていた。

 

(イメージイメージ……。刀華さんのように、素早く鋭く…)

 

 いつものようにイメージしながら剣を振り始める。

 まず一閃。上から下への振り。前とは違い音はほとんどない。

 そこから体勢を出来るだけ低く、視界から外れるくらい低くする。

 そして刀から力を噴出させ、回転する。

 回る速さが上がったため、上からみれば円のようになっている。

 もちろん音はほとんどない。

 最後に、

 

(そのまま切り上げる。)

 

 音はなった。しかし確実に撃ち抜く攻撃ではあった。

 最後は体勢を整えて着地し、構える。

 

 言葉(ことは)「ふぅー、」

 

(今のは結構いけてたかな?)

 

 言葉(ことは)「どうでしょうか?」

 刀華「驚きですね、ほとんど完成形ですよ!」

 言葉(ことは)「よかった~。稽古の成果を出せた~!」

 刀華「でも、何でそんなに上手くなったんですか?昨日までは速さも振りもまだ足りなかったのに…。」

 言葉(ことは)「ちょっとした自己暗示ですよ。稽古中、ずっとこう思ってたんです。」

 

 〝風になれ、素早く力強い突風のように〟

 

 言葉(ことは)「こんなことをずっと思いながら振ってたら、いつの間にか。」

 

 もちろんだが能力は一切使用していない。

 思いながらといっても、イメージだけだ。

 

 刀華「やっぱり才能がありますね。言葉(ことは)さんには。この調子ならすぐ抜くされそうで怖いです。」

 

 軽く笑いながら刀華さんは言う。

 

 言葉(ことは)さん「流石にそこまで成長てきるとは思いませんよ。ただ目標はそこですけどね。」

 

 笑い返しながら俺は答える。

 

 言葉(ことは)「それと、今日の稽古は終わっていいですかね?永琳さんに呼ばれてて…。」

 刀華「分かりました。計画についてですかね?」

 言葉(ことは)「ええ、能力が関係してまして…。それでは行ってきますね。今日もありがとうごさいました。」

 刀華「こちらこそ、ありがとうごさいました。」

 

 互いに軽く礼をし別れの言葉をのべる。

 向かう先は、技術研究室。

 

 

 in技術研究室

 

 永琳「あら、もう来たのね。言葉(ことは)。」

 言葉(ことは)「早く来てっていってじゃないですか。だからですよ。」

 永琳「そうだったかしら?最近忙しくてあまり覚えて無いわ…。」

 言葉(ことは)「ちゃんと休んでくださいよ…」

 

 永琳さんと何気ない会話をした後、部屋の奥へ案内される。

 

 永琳「この鉄の板に、月の力を弾く意味を持たせてくれないかしら?」

 言葉(ことは)「分かりました。他にやることはないんですかね?」

 永琳「無いわ、これだけ。ただ能力をたくさん使うから、しんどくなったらすぐ言ってね?」

 言葉(ことは)「了解です。じゃあ始めてきますね。」

 

(たくさんっていっても、500回は能力使えるし、大丈夫だろう。)

 

 言葉(ことは)「この板は『月の力』を『弾く』」

 

 最近能力の効率的な使い方も分かってきたので、さらに回数は増えてると思うが。

 

 数時間後……

 

 言葉(ことは)「あ~、頭痛い。」

 

(流石に5000回は堪えた…)

 

 板に意味を与えること数時間、ただいまソファーでダウン中の俺である。

 

 言葉(ことは)「流石に多すぎですよ、永琳さん…」

 

 対面のソファーに座っている永琳さんに話しかける。

 

 永琳「それはごめんなさい。でも5000回まで回数が増えてることが驚きよ。いつの間に増えたの?能力使った?」

 言葉(ことは)「いえ、ただ最近自分でも能力について色々とやってたらコツを掴んで、回数が増えたんですよ。流石に5000回はきついですけどね…」

 永琳「なるほどねぇ、まあお疲れ様。それに、2日分(・・・)の仕事を一日でこなすなんて、大したものだわ。」

 言葉(ことは)「へ?」

 

(今なんて言った?2日分?)

 

 言葉(ことは)「何でそんなにやらせたんですか!?」

 永琳「だって本当は休憩を挟みながら、1日2500回こなしてもらおうと思ったのに、あなた全然止まらないもの。そのまま全部やらせてみたら、まさかの終了。私だって渋ってたんだからね?」

 言葉(ことは)「……。」

 

 自分の頑張りっぷりに驚く。

 

 言葉(ことは)「もういいや……しばらく寝る……」

 永琳「分かったわ、おやすみなさい。」

 能力多用により精神的にも疲れが来ていた。

 仕方がないので眠りに落ちる。

 

 

 Side永琳

 

 永琳「やっぱり、あなたはいい人なのね。」

 

 私は気づいた。今日彼を見てすぐに。

 

(神力が格段に跳ね上がっている。人の身なのに。)

 

 恐らく彼が接している人達は、彼の優しさに惹かれ、思わず心を開いたり、彼を信じてみたりしているのだろう。

 

 永琳「もうこれじゃ、神様って言った方が信じられるくらいよ…」

 

 彼の持つ神力の多さに呆れてしまう。

 

(何事もなく、このまま力が溜まれば本当になりそうだけど。)

 

 

 Side言葉(ことは)

 

 

 夢の中なのだろう。

 

 そう感じる。だって体があるのに、そこにある感覚しかないから。

 

 でも、ここは何処だ?真っ白な場所なんて記憶にある限り行ったことはないのに。

 

 ここは何もない。ただの空間。空間であるかすらも、分からないが。

 しばらくすると、なにか見えてくる。

 

 あれは…青い色の何か?

 

 それは、青い色の球。燃えるような薄い青色の炎がまとわっている。

 

 何だろうこれ。

 

 興味深い。なのでひとまず触ってみる。

 すると触れた途端、力強く引き込まれる感覚に襲われる。

 

 っく!何だこれ!逃げ出せない!

 

 必死に抗うが、それも虚しく、その球に吸い込まれていく。

 

 意識が、無くなりそうだ……

 

 まあそれでも不安はなかった。

 夢の中で意識を失うなら、次に目覚めるのは現実だろう。そう思っていたから。

 

 

 でも目覚めるのは全く現実とはかけ離れている。目覚めたそこは別の空間だった。

 不気味。

 そんな言葉が似合う空間。

 その中にはどこか感じたことのある力がたくさん感じられた。

 

 

 ここは、一体何処なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに、能力の使用回数が増えたのは神力の増加のおかげです。
後、心の描写はその場面での主観の位置にいる人の心情であることが多いです。たまに例外がありますが。
まあこれくらいでしょうかね?この話については。
それじゃっ!また次回で!



追記。またタイトル忘れてましたね。ほんとすいません。ボケすぎで。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12,美しい彼女に『贈り物』を。

どうも、ただのみらのです!
明日から学校です!今までの毎日投稿が続けられないかも知れません。まあそのときそのときでできるかも知れませんが。
今回はそこまで進展ないですが、少し恋愛要素を入れたつもりです。
それでは第12話をどうぞ!


 in???

 

 主よ、目を覚ませ。

 

 その声で意識がはっきりとした。

 すると、真っ白で体の感覚しかなかっただけの空間が、ちゃんと自分の体も見えるような場所になってきた。

 

 ?「おはよう、主。」

 言葉(ことは)「ああ、おはよう。」

 

 先ほどと同じ声で挨拶された。

 しかし、姿は見えない。

 

(体しか見えない…。声の主も見当たらないし…。俺が(あるじ)?)

 

 ?「ああ、すまない。発現させるのを忘れていた。『発現』」

 

 その呟きと同時に、さらに視界がはっきりとする。

 俺の目の前には、俺と容姿がよく似た人が、椅子に座りくつろいでいる。

 

 ?「はじめまして、主。急に呼び出して悪いね~。つい話したくなってね。」

 

 どうやら、あの球の中に引きずり込んだ本人のようだ。

(だが、)

 

 言葉(ことは)「嘘ですね、そんなおぞましい感情向けといて、何が話したい、ですか?」

 ?「っ、カッハハハハ!」

 言葉(ことは)「いや、何で笑うんですか…」

 

 ちょっとした指摘で笑われるのは、心が痛い。

 

 ?「いや、ごめんごめん。ただのガキかと思っていたから、少し試してみただけさ。」

 

 口調が変わった。何だかなまけた雰囲気になっている。

 

 ?「まあそれだけ殺気に対して反応できるなら問題ないね」

 言葉(ことは)「どういうことですか?というか、さっきから一人で話進められてよく分からないんですけど。」

 ?「ん~、簡単に説明すると、自我が芽生えてので、自分の主に挨拶をしたい。だけどただ挨拶するだけじゃつまらないので、ちょっと主を試してみた。で、今に至るわけ。」

 言葉(ことは)「なるほど~。でも急にこんなとこに呼び出すなんて、びっくりするからやめてくださいよ。これからも。」

 ?「ああ、了解した。」

 

(にしても、俺は何で人にいじられ易いんだよ…)

 

 ?「そういえば、自己紹介がまだだったね。」

 

 唐突に自己紹介を始めようとする、もう一人の俺。

 

 ?「僕は主の中にある『力』。名を…そうだな。発果(はつか)としよう。先ほどの発現の行動から名をとってみた。どうかな?」

 言葉(ことは)「別にいいんじゃないか?悪くはないと思うよ。」

 発果「そうか、ありがとう。」

 言葉(ことは)「それと、俺の『力』ってどういう意味だ?」

 発果「さあ?僕も自我を持って分かったことはお前の『力』だってことだけだから。ここに主を引き込んだのもぶっつけ本番だったし。」

 言葉(ことは)「そうか…。まあいいか。それじゃそろそろ帰してくれないかな?今大事な時期なんだ。」

 発果「分かった。それじゃ頑張ってきてくれよ。」

 言葉(ことは)「ああ。じゃ頼む。」

 発果「『夢』から『現実』へ『送る』……」

 

 発果がそう呟いた後、引き込まれた時と違い、体が一気に浮き上がる感覚が伝わってくる。

 

 

 in技術研究室

 

 言葉(ことは)「んあ、今「何時」だ?」

 

 今じゃ起きてすぐに時間を知るのは習慣となっていた。

 

 言葉(ことは)「10時か、もう昨日が終わってる…」

 

 謎の空間での発果との出会い。その時流れた時間は、寝始めてから大体13時間後。

 

(多分夢の中でも意識が落ちてたからだろうな。)

 

 永琳「あら、今日は早起きなのね、言葉(ことは)。」

 

 ドアの方から永琳さんがあらわれる。

 

 言葉(ことは)「何日も寝てなかったわけじゃないですしね。それと、おはようございます、永琳さん。」

 永琳「おはよう、言葉(ことは)。」

 

 挨拶を交わした後、ソファーから体を起こして体を伸ばす。

 

 永琳「起きてすぐで悪いんだけど、ちょっと頼まれてくれないかしら?」

 言葉(ことは)「いいですよ。何したらいいですか?」

 永琳「私の武器を作るから、ちょっと手伝ってほしいの。」

 言葉(ことは)「永琳さんが、武器?」

 

 俺が疑問に思うのも仕方ない。

 だって永琳さんは能力持ちでない上に、神力も戦えるレベルまでの物ではないと聞かされていたからだ。

 それでは、いざ戦い!となったときに身を危険に晒すだけの自殺行為だ。

 

 言葉(ことは)「危ないですから、そんなの作りたいとは思いませんよ。それに、永琳さんは発明でこの都市を支えているんです。戦場にまで出る必要はありません。」

 永琳「発明だけ。それだけしかない。それに、私の発明は、何も全てを守り、全てを殺すことができるわけじゃないの。だから私は自分で戦場に出て、さらに発明の精度を昇華させたいの。」

 

 真剣な眼差しで俺に語る。ただその瞳には本気だけでなく、研究者としての欲もあるだろう。

 

 言葉(ことは)「なら、約束してください。自分は必ず死なないと。」

 永琳「ええ、もちろん。それに、作る武器も私の得意な物だし。死ぬことはないと思うわ。」

 

(へぇ、意外だった。永琳さんが得意な武器があるなんて)

 

 普段研究ばかりしている彼女には、頭がいい研究者。ただそれだけのイメージしかなかった。

 そのためさっきも武器を持たせることを拒んだ。

 武器だけ持ってても、戦場では何もできない!そう思ったから。

 

 言葉(ことは)「得意な武器って、想像つかないですね。」

 永琳「まあついてきて。見せてあげる。」

 

 そういって永琳さんは、別の部屋へ向かう。

 

 

 

 in道場

 

 今目の前にいる永琳さんは、いつもの雰囲気とは違う。

 目の前の的を、大きな目を細め狙う。

 動きの一つ一つが洗練されてるように美しかった。

 右手には矢。左手には弓。

 

 彼女が得意とする武器。それは弓だった。

 

 その姿に見とれていると、ひゅっと音をたて矢が放たれる。

 それは吸い込まれるように的の中心へ向かい、そこを穿つ。

 

 その後も彼女は矢を放つ。

 全ての矢は放たれると同時に必ず的の中心へ当たった。

 的に残された矢をも貫きながら。

 百発百中。その意味通りの結果。

 

 言葉(ことは)「すごいですね、永琳さん。」

 永琳「少しは認めてくれるかしら?戦場に向かうことを。」

 言葉(ことは)「認めるも何も、もう俺より強かったじゃないですか。それにこの結果を見れば首を横には触れませんよ。」

 永琳「あら、それはよかったわ。」

 

 いつものように微笑む永琳さん。

 でもその笑みはいつもより清々しいものだった。

 

 

 in研究室

 

 永琳「久し振りにやったから、少し疲れたわ」

 

 額ににじむ汗をタオルで拭いながら彼女はいう。

 

 言葉(ことは)「久し振りで、あの命中率ですか…」

 

 先ほどの結果を思い出しながら彼は苦笑する。

 

 永琳「さて、早速作っていくわよ。といっても私は何もしないのだけれど。」

 言葉(ことは)「え?俺に全部作れと?」

 永琳「そうじゃないわよ。あなたにはもちろん!」

 言葉(ことは)「ああ、能力ですか。」

 永琳「そう!それじゃ持ってくるから待っててね。」

 

 永琳さんは奥の倉庫へ向かう。

 

 言葉(ことは)「はあ、結局能力か。」

 

 技術室でのことがあった後なので、また同じようなことをするのは正直飽きている。

 

 永琳「はいこれ、これが私の弓よ。」

 

 彼女の持ってきた弓は、綺麗。その言葉が似合うものだった。

 

 形はさっき使ってたものと同じだが、色は薄い黄色。所々に紋様が彫ってある。弦が張っているその弓は、

 まるで半月のようだった。

 

 永琳「この弓は少し呪いをかけてあるの。ここの紋様が呪いを使うためのもの。」

 

 どうやら所々にある紋様は、『穢れ』に触れた後に訪れる衰弱を、呪いによって、弓から放たれた矢に当たった時に同じ効果をさらに強めたものを与えるとか。

 

 言葉(ことは)「もうそんなに強いなら、俺が能力を使うところは無いんじゃ?」

 永琳「あるわよ。あなたの能力をお守りみたいにしたいの。あなたからの贈り物としてね。」

 

 彼女は少し照れながら言う。

 

 永琳「やっぱり、戦場に行くのに不安は少しはあるの。だから、親しくなってきたあなたからの何かがあれば、安心できるじゃない?」

 言葉(ことは)「あれだけ行きたいと言って、不安なんですね…。まあ贈り物ですか。いいですよ。最高のものを贈ります。」

 

(弓に与える、意味か……)

 

 必ず当てる百発百中の矢。

 弓を放つまでの美しい動き。

 半月を思わせる弓。

 

(こんなに素晴らしいのに、他に何かあるか?)

 

 悩んでしまう。今まで世話になっているのもあるが、彼女からの『願い』だ。ちゃんと叶えないといけない。

 

(彼女に贈る、最高の贈り物……)

 

 弓自体には何も与えられそうにないので、彼女に贈るものを考える。

 

 後頭部でまとめられた銀色の髪。

 今まで見た女性の中でも整っているその容姿。

 彼女自身に見合う贈り物、中々の難題である。

 

(アクセサリーなら能力も込めれるし、考えやすいな)

 

 指輪、ネックレス、ピアス、ミサンガ、ブレスレット、その他色々。能力を使って参考例を出す。

 

 

 

 アクセサリーの種類を知るときに、

「弓につけるものがいいわ。やっぱり戦場での支えにしたいから。」

 といわれた。

 

 戦場に出てしまう美しい存在。

 彼女が傷つかないでほしい。

 戦場でも、美しくあってほしい。

 

 彼女を守る。そんなものがいいだろう。

 

 

 言葉(ことは)「よし、じゃあやるか。」

 

 早速製作に取りかかる。

 弓につけるなら、同じ色がいいだろう。

 目の前に薄い黄色をした塊が現れる。

 

 守るなら、彼女を包む盾にしよう。

 その塊は丸みを帯びる。

 

 そして、『守護』『即時』『展開』『対象』を与える。対象は永琳さんだ。

 意味を与えられたると球は軽く点滅した。

 

 最後に、『不滅』。

 彼女を守る弓と、この球は消えてはいけない。

 決して滅びぬよう、その意味を込める。

 

 言葉(ことは)「できました。最高の贈り物かは永琳さんが決めてください。僕からの贈り物です。」

 

 彼女に先ほど作ったものを渡す。

 

 永琳「貴方からの贈り物。ただそれだけでいいのよ。ありがとう!言葉(ことは)!」

 

 彼女の笑顔は、今日も美しい。

 




新キャラばかりで、原作のキャラが出てこないという……。まあ今後必ず出てくるのでお楽しみを。
永琳の容姿とかについては原作と同じ部分もありますが、少し変える部分も出てきます。他のキャラについても同じです。ただその描写を書くのが自分は苦手なので、後々キャラ情報にて乗せます。
それではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13,自我を持つ己の中の凶器

どうもただのみらのです。
今日で毎日投稿は一旦終了にさせていただきます。
これからは週一の定時に投稿します。夜の11時です。

早めですが、13話をどうぞ!


 贈り物をした日から三日たった。

 計画まであと、2週間。

 

 この日は、計画前に関わらず月では小さな宴が行われようとしていた。

 なぜかって?それはねぇ……

「「ツクヨミ様(さん)お誕生日おめでとうございます!」」

 

 ツクヨミ「はぇ?もう誕生日だっけ?」

 言葉(ことは)「ええ!?本人なのに?!」

 ツクヨミ「色々と忙しくて覚えてなかったよ…」

 永琳「それより、これをどうぞ。」

 ツクヨミ「おお、プレゼントまで!ありがとう、二人とも!」

 

 今日は見ての通り、ツクヨミさんの誕生日。

 永琳さんとツクヨミさんは上司と部下。という関係よりも友達、親友での関わりが多かった。

 本当は毎年祝っていたのだが、最近は不治の病や、計画について練っていたりしてそれもできず、久しぶりにやろうと俺から提案した。

 もちろんツクヨミさんには秘密で。

 

 永琳さんからのプレゼントは、簪。

 シンプルな物だが、この都市の職人に頼むと、「ツクヨミ」と彫りを入れてくれた。

 中々にかっこいい代物だ。

 

 ツクヨミ「…。どうかな?似合う?」

 

 早速つけてくれたみたいだ。

 

 言葉(ことは)「とても似合っていますよ、ツクヨミさん。」

 永琳「髪がまとめられるだけで、印象が大分変わりますね~。」

 

 ツクヨミ「そ、そうか…」

 

 そう言われたのが余程嬉しいのか、顔を赤くしながら返事をしていた。

 

 永琳「今は計画のこともあるのでここまでしかできませんが、また落ち着いたら盛大に祝いましょう。」

 言葉(ことは)「そうですね、そのためにも今頑張りましょうね!」

 ツクヨミ「必ず、成功させよう。」

 

 

 誕生日兼計画成功を願う小さな宴。

 少し騒がしくなる都市の一角。

 これから起こる想像もつかない『災害』があるのにも関わらず、宴を行うものたちは皆幸せそうだ。

 

 

(あ、永琳さんにお酒飲ませたら!)

 

 気づくのが遅かった。既にべろべろである。

 彼女の横には空になった瓶が何本か転がっている。

 

 永琳「ことはぁ~、きいてよ~」

 言葉(ことは)「また研究者達の愚痴ですよね…後で聞きますので、待っててください!」

 

 席を立ち、ツクヨミさんの横へ向かう

 

(うう、誓ったのにぃ……。ツクヨミさんと飲もう…。)

 

 言葉(ことは)「隣失礼しますね、ツクヨミさん。」

 

 しかし、返事が返ってこない。

 

 言葉(ことは)「あれ?ツクヨミさん?大丈……」

 

 横を見ると、キラリと光る簪が。ツクヨミさんは爆睡していた。

 

 言葉(ことは)「二人とも、お酒飲ませちゃダメなのか…。」

 

 また今後気を付けなければならないことが増えたようで、気が滅入る。

 

 永琳「こらぁ~言葉(ことは)!ちゃんと私の話をききなさぁい!」

 

(また、長い夜になるんだろうなぁ。)

 

 都市の一角では宴が行われていた。

 一人は爆睡。

 一人は愚痴り始め。

 残った一人は、酒を飲みながら愚痴の相手をしながら。

 

 それはそれは楽しい宴でしたとさ。

 

 

 

 Side言葉(ことは)

 

 言葉(ことは)「はぁ、結局寝れないかった。」

 

 昨日、飲み会と化した誕生日会。

 最後は延々と永琳さんの愚痴を聞いていたのだ。

 二人が寝落ちした時間はもう朝と言ってもいいくらいの時。

 寝ることなんてできなかった。

 

 言葉(ことは)「ひとまず、訓練所まで行くか。」

 

 廊下を歩いている時の冷気は、まだ残っている酔いをさますには丁度よいものだった。

 

 

 in訓練所

 

 言葉(ことは)「おはようございます、刀華さん。」

 

 朝早くから稽古をしている刀華さん。今日も先に訓練所で剣を振っていた。

 

 刀華「おはようございます。今日は早いですね、言葉(ことは)さん。それに顔色も少し悪いようで。」

 言葉(ことは)「昨日夜遅くまでツクヨミさん達と飲んでいたから…。」

 刀華「それは…。お疲れ様です。」

 

 恐らく立場上一緒に飲む機会があったのか、分かってくれたようだ。

 

 刀華「まあ飲み過ぎの体でも少しは素振りができるでしょう。」

 言葉(ことは)「すいません、お酒にまだ慣れきってないもので…。それじゃ始めますね。」

 

 始めの頃とは違い、力を入れすぎずに振ることができてきた。素振りではもう刀華さんと同じような振りができてる。と自負している。

 

 言葉(ことは)「ふっ!ふっ!ふっ!」

 刀華「うん。大分綺麗なものになってきました。」

 言葉(ことは)「ありがっ!とう!ございます!」

 

 10分後……

 

 言葉(ことは)「はぁはぁ、素振りでもこの様何て、情けないですね…」

 刀華「まあ仕方ないですよ、あれはかなりきついですから。」

 

 素振りを終えた後は、これからどんな稽古をするかとか、最近はこんなことが趣味なのだ。とか。何気ない会話を続けていった。

 刀華さんとはここまで話すことがあまりなかったのだが、彼との会話はかなり楽しかった。

 

(また今度時間を作って話してみよう。)

 

 彼との距離は、また近くなった気がする。

 

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

 刀華さんとは、また少し話して別れた。

 1日ぶりに自分の部屋へ戻ってきた。

 

 言葉(ことは)「せっかく部屋をもらったのに、あんま使ってないな。もったいない…」

 

 せっかく少し豪華な部屋を貸してもらってるのに使わないのは、何か遠慮しすぎているような気がする。

 

 今は昼になったばかり。

 

(たまにはずっとゴロゴロしておくか、今日くらいいいだろう。)

 

 寝室へ向かい、布団を敷く。

 そして布団へ飛ぶ。

 もふっとして衝撃を和らげてくれる。

 そのまま右へ左へ、ゴロゴロ~ゴロゴロ~と転がる。

 

(何か、幸せ~)

 

 転がる度に反発してくる布団の上は最高の転がり心地(?)である。

 

(ああやばい、眠くなってきた……)

 

 何分かそうしていると眠気が襲ってくる。

 

(まあ、いっか……)

 

 意識を手放して眠りにつく。

 いつもよりも早く眠りにつけた。

 

 in???

 

 寝たはずだった、はずだったのに、

 

 発果「おはよ!主!」

 言葉(ことは)「……。」

 

 無言で発果をにらむ。

 

 発果「お、おはよ?」

 言葉(ことは)「……。」

 

 発果「あの、ごめんなさい。」

 言葉(ことは)「はぁ、いいけど、どうした?何か問題でもあった?」

 発果「ん~、そこまで大きいものではないけど、一応ね。」

 言葉(ことは)「そうか…内容は?」

 発果「主の中にある、僕とは違う力。主風に言うと『神力』がさらに力を持ち始めたってことかな?」

 言葉(ことは)「神力が増えた?いつ信仰されるような場面があった?まあそれはいい。でも問題ではないんじゃないか?」

 

 神力が増えただけで問題にはならないはずである。

 

 発果「それがね…神力も同じように自我を持ち始めたんだよ…。まだ赤ん坊の状態だから警戒ってところだけど。」

 言葉(ことは)「自我ぁ!?発果以外にも!?何でだよ……」

 

 俺の中には住人が自身を含め三人になった。

 おかしすぎだ。

 永琳さんが聞けば笑いだしそう。何でかは分からないが。

 

 発果「原因は分からないよ、でも僕が自我をもつきっかけと同じなんだと思う。」

 言葉(ことは)「きっかけ?なんだそれ」

 発果「あれ?言ってなかったっけ?えっとね、僕が自我をもつきっかけは、力が急に強くなって、その力自体に『何か』が働くことだっとんだよ。で、赤ん坊も同じように自我をもったんだと思う。」

 言葉(ことは)「なるほどねぇ、でも発果が俺と同じ容姿で同じように考えれるのに、なんで神力は赤ん坊なんだ?」

 発果「多分だけど、神力は能力によって生成されてたから、一から成長を始めてるんだとおもうよ。僕はそもそもどんな力か分からないから判断できないけど。」

 言葉(ことは)「ややこしいな、これは。一度調べてみるか。」

 発果「あ、ここでは能力は使えないからね。」

 言葉(ことは)「ん?そうだったのか、どうりで前も一人で出られなかったんだ。」

 発果「勝手に出ようとしないでよ…。」

 

(いや、勝手に連れてこないでよ!)

 

 言葉(ことは)「まあ調べる前に一応その赤ん坊を見に行くか、気になるしな。」

 発果「いいけど、輝きから移動するよ?別の力の中だから。」

 言葉(ことは)「分かった。行こうか。」

 発果「じゃあ開くね。」

 

 

 発果がぶつぶつと言いながら手を壁にかざす。

 すると小さな穴が空き、徐々に広がっていき、やがて人一人入れる穴となる。

 

 発果「主?」

 

 その穴の先から感じるのは、何とも言えない強大な力。その威圧感。

 

(少しの問題じゃすまされないぞ、これ)

 

 

 計画まで2週間を切ったこの日。

 

 

 

 

 俺の中で異変が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




言葉の中にある輝きは『力』なんです。
それと、発果がどんな力かは多分最後にしかでません。
何か色々と置き去りにしてますが、ほっといてくださいね。またどっからか出てきますので。
それではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14,大変なんだよ!たいへんなんだ!

お久しぶりです。ただのみらのです。
前書きはいつも後にかいているので、言います……。

遅れてすんませーーーーーーん!23時とか言いながら過ぎてますねぇ。これは犯罪、逮捕、首ちょん……。
はい。
まあ置いといて。それでは14話をどうぞ!


 in神力の部屋

 

 発果「なんか、不思議なところですね~」

 言葉(ことは)「なんでそんなにのんきでいられるのかが不思議なんだが…」

 

 神力の中に入って少し移動した。

 さすが神の力というべきか、その中で感じる威圧感は気分に害を与えるくらいのものだった。

 発果は同じような力を持っているからなのか、不思議な感覚がある。としか違和感がないらしい。羨ましい限りだ。

 

 言葉(ことは)「にしても、どこにいるんだ?その『赤ん坊』は?」

 発果「分からないよー?だって存在を感じた程度だから。」

 言葉(ことは)「ん?なら何で赤ん坊って言った?見てないんじゃ?」

 発果「存在が微弱だったから、そうかな~って思ったの!全くそれくらい察してよね~主!」

 言葉(ことは)「言葉足りずなんだよ、発果は。」

 発果「はいはーい。それより、ここに入ってからは存在を感じないんだけど、主はどう?」

 言葉(ことは)「俺には威圧感しか感じなかったから分からん。」

 発果「そっか~。」

 

 軽口を叩きながらも少しずつ歩を進めていく。

 

(さすがにここまで変化ないとめんどくさくなってくるなぁ…)

 

 そう思った途端、視界が暗転する。

 

 発果「主、捕まって。」

 

 発果が背中を叩いて自分の位置を知らせてきた。

 

 言葉(ことは)「これはなんだ?急に何も見え…」

 発果「しっ…」

 

 静かにすることを強要される。

 

(今強い力が働いたんだよ。少し警戒して)

 

(!? 了解。)

 

 急に内に響いてきた声に驚きつつも、辺りに何かいないか警戒する。

 

 

 〝 誰?〟

 

 しばしの沈黙の間があったあと、幼い男の声が聞こえてくる。

 

 言葉(ことは)「…言葉(ことは)。お前の持ち主だ。」

 

 一応返事を返す。

 それと、自分の中の力なので、この解釈はあっているだろう。

 

 〝なら、何で僕の中に入ってるの?〟

 

 言葉(ことは)「少し気になったから、一目見るだけってことでここに来た。」

 

 〝ふぅん、まあ持ち主とか、そーゆーの興味ない。邪魔。〟

 

 少年の声がぽつり呟いた後に、体に衝撃がはしる。

 

 言葉(ことは)「カハッ……!」

 発果「主っ!」

 

 

 どこかに打ち付けられたあと、視界が少しずつ晴れてくる。

 

 どうやら壁に飛ばされたらしい。

 そして、目の前には俺がさっき立っていたであろう場所で拳を振り抜いた少年がいた。

 

 

 発果「このガキっ!フッ!」

 

 発果が少年に拳を放つが、それは届かない一撃。

 

 〝同じ仲間だと思ってたのに、残念。〟

 

 発果も同じようにして壁に飛ばされた。

 少年は口を動かさずに話し、俺たちが認識できない速さで攻撃を放った来た。

 

 〝弱いんだね、僕の持ち主なのに〟

 

 少年は嘲笑しながら俺を見る。

 

(言い返したいけど、体がきしんで声を出せない…)

 

 先ほどの一撃は体にかなり響いている。

 今は何も対抗できない。

 

 〝一つ、答えてもらえるかな?〟

 

 発果「主は、今答えることができないっ!だから僕が答えるよっ…!」

 

 体の痛みに顔をしかめながらも言葉を発する発果。俺の状態は見ただけでやばいと感じれるのだろう。心の会話なしで察してくれた。

 

 〝僕は普通に生まれてないんだ、ぽっとそこにでてきて、強くなって、こうなった。それは何故?〟

 

 発果「それは主が作ったからだよ、能力を使って。」

 

(何で知ってる?)

(その辺りでは少し自我が芽生えていたから。)

 

 〝何で作ったの?『あの子』の中の力は普通に生まれたのに。僕も同じようにして生まれなければいけなかったのに。〟

 

 流石に詳しくは分からないらしく、俺に答えを求める発果。

 

(使わないと大変だったんだよ、仕方がなかった)

 

 発果「使わないと大変な状況だったんだって。」

 

 〝でも、今はこっちが大変なんだけどなぁ〟

 

 発果「どういうこと?」

 

 俺にも分からない、何故自我を持ち始めてすぐに大事がおこる?

 

 〝少し説明するよ、後言葉(ことは)もちゃんとしゃべって、不便。〟

 

 俺に手をかざす少年。俺の体が淡く点滅すると、痛みが引く。発果にも同じ事をしていた。

 

 〝さあ話してあげる、大変な事について〟

 

 そうなってからは時間は長くは経っていなかったと思う。でも、内容はとても興味深く、つい聞き入って時間の感覚が分からなくなるものだった。

 

 大変な事。それは単純、力の急激な増加だった。

 発果が感じた時の力はそこまで大きくなかったようだが、短期間で力は増幅。その原因は主に、

 俺が生み出した力であるということ。それと、

 信仰の受け方らしい。

 俺が生み出したから、俺の神力はいくつかの特異な性質を持っているらしい。

 一つ ある程度神力が蓄えられている。しかしそれはツクヨミさん以上のもの。それが信仰を受けていない状態での量だった。

 二つ 受けた信仰に対しての神力の増えかたが異常なのだ。簡単に言えば、足し算で増えるのがかけ算で増えるらしい。

 

 そして、信仰を直に受けているから、その質は高く、先ほどの性質とかけ合わさって異常な量の神力が出てきたらしい。

 

 〝だから、それを押さえるのが大変なんだよ、わかってくれた?〟

 

 言葉(ことは)「ああ、分かった、それは現実に戻ったときに何とかするよ。」

 発果「にしても、凄いね少年。あれほどの力を押さえていたなんて。」

 

 さっき力の一部()を見せてもらったが、入る前に感じた三倍以上はあったと思う。

 

 言葉(ことは)「それで、押さえていたせいで、成長は少し遅くなっていてその姿ってこと?」

 

 〝大体そんな感じ〟

 

 会話を交わしていると少し砕けた?感じに話してくれた。

 まあ俺の呼び方が「持ち主」「言葉(ことは)」で安定しないのだが。

 

 言葉(ことは)「てか、やっぱ俺の体がおかしくないか?力が自我を持つなんてさ。」

 

 〝おかしくはないよ、だってそれは言葉(ことは)の能力の影響だから。〟

 

 言葉(ことは)「?意味を司る能力のこと?」

 

 〝違うよ?詳しくは分からないけど、そんな感じではない気がする。それはあくまでも一部って感じ。〟

 

 発果「主、もうおかしいですよ。ちーとです、ちーと。」

 言葉(ことは)「俺がよく分かってるよ……。にしてもこの能力がまだ『一部』なのか…」

 

『アレ』について分かって、ようやく能力を使いこなしてきたと思ったのに、少し残念だ。

 

 〝ああそれとね、暫く起きれないと思うよ。言葉(ことは)。〟

 

 言葉(ことは)「分かった。」

 発果「また能力の研究始めるの?主。」

 言葉(ことは)「知ってたのか…ああそうだよ。」

 

(何か色々と見られてるなら怖いぞ…)

 

 ん?何か忘れてる気がするんだが……

 

 〝さあ、時間はたっぷりとあるしたくさんお話ししよう!〟

 

 たっぷりと時間がある……?俺は少し見に来るっていってたからそこまで長くはいないって分かるはず…。

 

 言葉(ことは)「っ!待って!?どんくらい帰れないの!?」

 発果「ヒッ!どうしたの主!?」

 

 〝大体1日くらい。元の居場所から離れすぎたんだよ。だからこれは代償なんだ。〟

 

 言葉(ことは)「ああ、また俺はぐだぐだ生活に戻るのか…」

 

 永琳さんと刀華さんにまた迷惑をかける。それなりに親切にやってもらってるので気分が落ちる。

 

 〝それと、ここは僕の空間だから、僕の思い通りになるんだ!だから早く帰ろうとしても僕が許可しないとね!〟

 

 悪い笑みを浮かべる少年。

 多分あの攻撃も空間を自在に操ったからこその技だろう。

 

 言葉(ことは)「早めに返してくれよな……。」

 

 また、長い長い1日が始まった。

 

 

 その間に、少年の名前を決めようという話になった。

 

 

 あれこれ悩んだ結果……

 

 

 発果「あっ!いいの思い付いた!それはねぇ…」

 

 俺にコソッと耳打ちをする。

 

 言葉(ことは)「いいな、その名前!」

 

 言葉(ことは)「今からお前は、乱華(らんか)だ。」

 

 名をこうした理由は、時折見せる笑顔が無邪気だから。それと、お世話になっている刀華さんからもらっているんだとか。

 発果にしては中々にいい名前をつけるじゃないか。

 

 

 また新しい仲間が増えた。大切な人が。

 

 




これからは、週の中のどこかで、23時にあげます。
もう早くあげたいので締めますね。

それではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15,紡いだ言葉

ただのみらのです。
風邪で学校休んで暇だった……。とにかく飯食ってこの話書いてました!
花粉症からの風邪って何か普通の風邪より辛い……。分かるかな?
まあ僕の事情とかほっといて。
15話をどうぞ!


 in乱華の部屋

 

 Side乱華

 

 こんにちは!乱華だよ!

 今日は僕の持ち主が遊びに来たんだ!弱かったけど…。

 でもね!名前をくれたんだ、乱華っていうかっこいい名前!それでねー今は何をしてるかというと~

 

 

 …………

 

 乱華「ねぇー、つまんない!」

 言葉(ことは)「我慢しろ、後少しだから…」

 発果「少し静かにしといてねー乱華……」

 

 今、言葉(ことは)と発果はこの部屋からの出口を作ってるんだ。何でかって?僕が間違えて壁を強くしちゃったから!テヘッ///やっちゃった!

 でも仕方ないんだよ!帰れる時間まで全然遊んでくれないんだもん!言葉(ことは)は「永琳さんにまた怒られるかも…刀華さんにも謝らないと…」とかブツブツ言ってるだけだし、発果はそれを見ながら笑ってるし、僕だけ仲間はずれしたからだもん!

 それで壁を強くしたらもとの世界への穴が開かなくなってこうなったんだ。

 

 Side言葉(ことは)

 

 言葉(ことは)「ここで能力使えるようにしてくれたのはありがたいけど、能力効かないのはほんと反則だ…」

 

 今、俺は帰り道を作ってる途中だ。

 ここの空間は発果がいれば出入り出来るはずだったのに、乱華の機嫌を損ねたらしく帰れなくなっている。今は壁を弱くする作業をしている。

 

 言葉(ことは)「ん~、後『必要』な『行動』は?」

 

 こんなことがあるので、あまり使ってなかった能力も多用している。懐かしすぎてやり方忘れちゃったよ……。

 

 言葉(ことは)「ん?詠唱?なんだそれ」

 乱華「詠唱!知ってるよそれ!」

 言葉(ことは)「おっ、じゃあ教えてくれないか?乱華」

 乱華「詠唱はね、神様の力をこの世界に強く表すための方法なんだ。普通神様は少しの恵み、良い方へ向かう可能性を表すだけなんだけど、詠唱を使うと自分の信仰対象の力を使うことができるんだ!」

 言葉(ことは)「へぇー、じゃあ俺もそれが出来るってことか?」

 

 俺の能力は基本俺に対する答えが返ってくる。なので、自分にできないことは返してこないだろう。

 ていうか乱華がもう言葉を話せるまでに成長していた。たった数十時間での成長だから驚きだ。

 

 乱華「でもね、信仰対象が分からないと詠唱はできないはずだよ?言葉(ことは)は自分で神力作ったからできないんじゃない?」

 言葉(ことは)「それはないと思うんだが…。ん~」

 

 何故作り出した神力で詠唱が出来ると能力は判断したか?これが今回の問題。

 まず確定事項。

 俺の能力は詠唱を使えると判断した。

 詠唱は信仰対象が分からないと使えない。

 俺の能力についてはもうどうしようもないので置いておこう。まず俺は使えるはず()なんだ。

 信仰対象の力を強く表す詠唱、なら俺は向けられた信仰がある。でもそれは都市の人たちの信頼。崇めるとかの部類じゃないから強く信仰を向けられている訳じゃない。

 

 能力を使って調べる手もあるが、依存していくのが怖いし、考えるのは楽しいので自分で考えてみる。

 

 信仰対象……発現……共通の部分はないな。

 信仰対象を何かで仮定してみよう。

 まず俺自身。でもそれじゃ俺の力を強く表すのが俺っていうよく分からない状態になる。混乱するので保留。

 次に俺の技量。

 刀華さんに習った剣術。それを見た兵士の人たちが信仰してきたかな?いや、ない。みんな憧れの目みたいな感じだったし。

 仮定してもずっとぐるぐる回るだけか。

 次は発現か。あ、

 

 言葉(ことは)「これってもしかして…」

 発果「あ、やっと戻ってきた~」

 乱華「何でずっと喋らなかったの?」

 言葉(ことは)「ごめん、考え事してると周りが見えなくて…」

 

 悪い癖だ、直しておこう。

 

 言葉(ことは)「さて、それじゃあはじめますか。」

 

 〝開け、力と力を繋ぐ扉よ。望む、行く先は我の住むべき世界へ〟

 

 詠唱

 

 それは俺個人で調べた能力の『アレ』と同じものだった。簡単だ。俺の能力も「発現」することができるんだ。詠唱も出来るだろう。それに直接能力を当てるわけじゃないから、壁にも効くはずだ。

 

 詠唱を唱えて数秒たった。

 すると、色々と苦労を重ねて弱めた壁に、来たときと同じ穴が開く。

 

 発果「やっと帰れる~!」

 乱華「……すごいね、言葉(ことは)

 言葉(ことは)「そーか?基準が分からないから何とも言えないけど。」

 言葉(ことは)「あ、それとお前らに渡すものがある。」

 

 そういった後に能力を使いあるものを作る。

 

 言葉(ことは)「やっぱできたな。これを飲んどいて。」

 

 渡したのは摂取型通信機。人命(ひとめ)たちに渡したのと同じもの。

 

 発果「えっと、これ飲んでたらいつでも会話できるってこと?」

 言葉(ことは)「そ」

 乱華「じゃあこれでいつでも遊ぶ約束できるね!やったー!」

 言葉(ことは)「遊ぶのは良いけど、今の時期は控えてくれよな…忙しいし」

 乱華「はーい」

 言葉(ことは)「んじゃ帰るな!行こうか発果。」

 発果「おっけー」

 乱華「またね!二人とも!」

 言葉(ことは)「ああ、また今度な!」

 

 俺の中でのちょっとした異変、せっかくだし何か事件っぽくしてみるか。

 んー、神力、増加、成長、乱華。

 おし!これにしよう!

 

 神乱成長異変

 

 何か微妙だが、名付けたことには満足満足!

 

 さて、戻りますか。

 

 ________________________

 

 

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

 

 言葉(ことは)「んあ…今は夜か……」

 

 乱華は1日は戻れないって言ってたから半日だけではなさそう。

 

 言葉(ことは)「はぁ……詠唱かぁ。自分で見つけたと思ったけど元から使えるとか…」

 

 自分の努力が少し無駄になったのでは?と考えてしまう。

 

 言葉(ことは)「考え事してたらまた時間過ぎるな。永琳さんのところに行こうっと。」

 

 良いことではないが、計画について忙しいのでいつでも永琳さんとは話せる。前にも眠らない日は夜通し話してたりした。

 

 言葉(ことは)「まずは…風呂はいるか」

 

 1日寝てたので体の至るところがパキパキになってる。それに、少し匂う。

 

(前にもらった石鹸使ってみよーっと)

 

 まあそれ以前にただ入りたかっただけなんだけどね。

 

 

 in永琳の部屋

 

 ピンポー ガチャ

 

 言葉(ことは)「ヒッ!早いですよ永琳さん!」

 永琳「早くないです。言葉(ことは)が遅いんです!」

 

 いつもの落ち着いた雰囲気とは違い少し和らいだ雰囲気。

 それをまとった彼女は頬を膨らませながら怒っている。

 

 言葉(ことは)「それはごめんなさい!でもこっちも大変だったんですよ…」

 永琳「言葉(ことは)は何かあると大変大変って、言い訳じゃないでしょうね?」

 

 疑惑の目をこちらに向けてくる。

 

 言葉(ことは)「嘘じゃないですって…。自分でも嫌なくらいに大変な事が起きるんですよ…」

 永琳「へぇー、まあいいわ。上がって良いわよ」

 言葉(ことは)「お邪魔しまーす」

 

 

 ソファーに隣り合わせになる形で座る。

 

 永琳「どう?調子は?」

 言葉(ことは)「まあまあ、ですかね」

 

 力の中だったとはいえ、かなり働いたので疲れた。

 

 永琳「ちゃんと整えときなさいよ、計画までには」

 言葉(ことは)「分かってますって。それと1つ聞いても良いですか?」

 永琳「何?」

 言葉(ことは)「ツクヨミさんって月の神様ですよね?なら能力はやっぱり月に関するものなんですか?」

 永琳「それは……分からないわ。」

 言葉(ことは)「どうして?」

 

 トップ2でも知らないって。凄い秘密だな。

 

 永琳「ツクヨミ様って能力について私には頑なに話そうとしないのよ。」

 言葉(ことは)「そうなんですか…ついでにもう1つ、詠唱って知ってますか?」

 永琳「ええ、もちろん。呪術の類いは一度研究してみたことがあったから。」

 言葉(ことは)「呪術?神様の力じゃないんですか?」

 永琳「それもあるわ。ツクヨミ様も使っていたから。ただの〝もどき〟よ。真似事をしてるだけ。」

 

 神の技を真似るって、この都市やばい。

 

 言葉(ことは)「真似事をするだけじゃ詠唱じゃなくてただの発言では?」

 永琳「ん~、色々と複雑なんだけど、簡潔にまとめると特別な発音をして言葉を発して術式を紡ぎ、紡ぎ終えたら力が働く。こんな感じよ。」

 言葉(ことは)「簡潔にまとめてそれですか…。さすが神様の力ってところですね。」

 永琳「そうね~、でもこれがどうかしたの?」

 言葉(ことは)「自分も神力を持ってるので、気になっただけです。」

 

 詠唱を使えるって話したところで何もないので軽く流す。

 

 永琳「そうなのね、まあいいわ。今日でちょうど計画の準備は終わったし、飲みましょ。」

 言葉(ことは)「飲むのはお酒じゃなくて、お茶とかにしてくださいね!」

 

 この後はお酒を飲もうとする永琳さんを止めるのに必死で、眠りにつくまでの出来事はほとんど覚えていなかった。

 

 まあ、誓いは守れたしいっか。

 

 

 




ああああああああああ乱華かわええええええええええ!
自分で作って何ですが主人公の次におきにです。前々から登場させるつもりでしたし、待てなくてもう出してしまったのです。なぁんてここではしゃいでどーするんだって話ですよ笑笑。
最近は3500文字を目標に書いてるので中々に時間がかかりますねぇ。まあ暇人なんで、関係ないですけど笑。
というか後書きとかって物語についてのこと書く場所だと思うけど、思う存分書きたいように書いちゃってますね、こらゃだめだ(ヾノ・∀・`)
ここら辺にしてっと、また次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16,人妖大戦開幕

どうもただのみらのです!今回は文章の書き方を変えてみました!意識して読んでみるとまあ、読みやすくなったと思います!
それと、週一ですいません!学校が意外と忙しくて…。
6月末からは毎日まではいきませんが、連投していきます!
それでは第16話をどうぞ!


「ックソ!何だよこの数は!」

「口ではなく手を動かしてください!押されますよ!」

 

互いに声を掛け合いながらも、その大群に剣を振るう。殺すことに躊躇なんてしてる暇なんてない。ただ斬っていくだけ。

 

「ハアアアアアッ!」

 

剣を地面と平行にして、力を込めて振り回す。

剣技や剣術などではないがむしゃらに放った攻撃。それは周りにいる生き物の足を折り、獣の体を二つに割っていく。

 

「|言葉さん!一度引いてください!」

「了解です!」

 

俺が引いてすぐに刀華さんが剣先を敵の方へ向ける。

 

「フッ!」

 

剣を後ろへ引き前へと突き出す。

力を込めて放ったその一撃は敵に当たらずとも目の前の形あるものを形なきものに変えるほどの衝撃波を飛ばす。

刀華流の流れ。『剣帝』

 

「刀華さん!後ろ!」

「っ!カハッ!」

 

咄嗟に振り返るが間に合わず背中に打撃を受ける。

 

 

今俺と刀華さんは『妖怪の大群』から都市を防衛している。

これは、計画より1週間も早く起きた。

誰も予想できなかっただろうその行動はある一体の妖怪によって起こされた。

その名は「悪鬼(あっき)」。怪力を持つ妖怪『鬼』の長。

戦いの中で分かったが、悪鬼は妖怪を束ね従え、そしてこちらの計画が準備段階の時を狙い攻めてきた。しかも全ての妖怪が互いに争わず協力し合うかのように。

妖怪は元は獣なので他種族。例えば鬼と翼の生えた『天狗』。こういった種族どうしで争うほどに凶暴なのだが、今回はそんなこともなく一団となって行動している。

妖怪の大群をここから1週間足止めし都市を守らないといけない。だが、俺と刀華さんがいる場所以外は別の兵士たちがギリギリで食い止めていて1週間持つかは分からない。

戦闘開始から8時間の出来事である。

 

10時間前……

 

「お疲れ様言葉。今日はこれで終わりよ。」

「お疲れ様です永琳さん。それじゃ稽古に行ってきますね。」

 

いつもの検査を終え、いつもの稽古へ向かう。

ここ二週間での習慣。いつも通りの1日。

 

のはずだった。

 

永琳さんの部屋からでるとサイレンが鳴り響く。

 

〝妖怪の大群接近。およそ二時間で到着する。全部隊出撃準備。上層部は会議室へ。〟

 

それを聞き飛び出してきた永琳さん。

 

「言葉っ!」

「はいっ!なんですかっ!」

「妖怪たちがどれくらい来てるのか調べて!」

「っ!了解です!『襲ってくる妖怪の数』…。」

「言葉?早く数を調べないと!」

「約100万体です……」

「……!分かったわ、ありがとう。」

 

永琳さんは会議室の方へと走って行く。

急に襲ってきた妖怪の大群。その数約100万体。

計画執行時に襲ってくると分かっていたはずなのに1週間も早く襲ってきた。

 

「刀華さんにも伝えに行こう…」

 

危機的な状況なのに、何故か落ち着いていられる自分を意識しないために行動をおこす。

 

 

「そうですか…そんなに」

 

やはり驚くだろう。100万体は雑魚ばかりでなく、強力な力を持った妖怪も含まれている。これは絶望的な事実。少しは張り合えても後半で大群に押しきられてしまうかもしれない。

 

「まあやれることをやりましょう。私たちのすべてをかけて。」

 

そう言った彼の顔は全てを断ち切った。そんな雰囲気を持っていた。

 

「まずは自分達で見に行きましょう。その大群を。」

 

黙ってうなずき都市の一番高い場所へ向かう。

 

「な、なんだアレ!」

 

思わず声を上げる。

視力を強化しているからこそ見えるが、遠くに見えるのは妖怪の波。あるものは飛びながらも群れをなし、あるものは地上でバラバラに歩を並べながらこちらへ向かってきている。

 

「私には黒い塊にしか見えませんけど、その顔だとかなり大変な物見たいで。」

「大変じゃないです。あれは天災ですよ。」「天災ですか…あと一時間後にはアレと戦うんですね。少し気が引けます。」

 

これから起こる戦いの辛さなど容易に想像できた。だがそれに怯むなんてことはしない。ただ立ち向かうだけ。

 

「行きますか、前線は前の方で持っといた方が良さそうですし。」

「そうですね、行きましょう。」

 

 

そして今に至る……

 

 

「っ!刀華さん!一時的に敵を止めるので一気に数を減らしましょう!」

「でもどうやって止めるんですか!?」

「能力を使います!その間敵をお願いします!」

「分かりました!」

 

そういい残し前線から離れ後方に行く。

 

(1週間もあるからそこまで使いたくなかったけど、仕方ない。)

 

〝時を支配し命ずるは妖を静し人を動とすることなり〟

 

自分でも分からんがすらすらとやりたいことを述べた。詠唱だ。

 

唱えた直後に妖怪たちの進軍が止まる。

 

「刀華さん!今です!」

「!分かりました。」

 

静まり返っていた戦場に突如無数の光が舞い始める。

刀華さんの操る刀達だ。

それらは意思を持っているかのように妖怪の首を的確にはねていく。

 

「これ俺らいなくて良いんじゃね?」

「でも功績あげたら昇進できるってよ」

 

兵士たちは雑談なんか始めている。あの強さを見て気が抜けているのだろう。しかし、それもほんの一時である。

 

「動きます!気を付けて!」

 

喚起した途端大群がまた暴れ始める。波となって押し寄せてきた。

 

「でもさっきより数は減ってます!このまま攻撃し続けて!」

「おっしゃー!やるぞー!」

 

皆の士気が上がってきた。1日目は持つだろう。

 

戦闘開始から12時間。

 

日が沈みかけ、月が昇ろうとするとき。

 

キィィィィィィィィィィィィィィィィィ……

 

と甲高く何かの叫び声が聞こえてくる。

すると妖怪の大群が一斉に引き始めた。

 

「やった!俺達が勝ったんだ!」

「計画前でびっくりしたけどやったぜ!」

 

兵士の皆は喜んでいるが、力ありし者たちには分かる。あの音の秘密が。

 

「言葉さん、また明日ですね。」

「…。それに、あれは悪鬼のですよね。」

 

頷いた後問いかける。

 

「ええ、恐らく。そしてあの鳴き声には『強制』するための力が働いていました。」

「やっぱり……。これは報告しておきましょう。それじゃあ先に戻ります。」

 

この先起こる戦いが今日よりも悪くなることが分かった。

 

in永琳のへや

 

「多分悪鬼は従えてる妖怪が暴走するのを防いでるんだと思うわ。」

「暴走?」

「ええ、知能のない妖怪は満月でない状態での月からの恩恵を受けただけで僅かにある理性がとぶの。だからそれを恐れて引いた、ということよ。」

「なら始めに攻撃するべきなのは知性をもつ長ってことですか?」

「その方が効率的ね。統率が取れなくなれば後の妖怪は時間との勝負だし。」

時間か…。数の少ない長といっても、100万もいる妖怪の中なら100以上はいるだろう。

「なるほど。また刀華さんにも伝えておきます。」

「あ、刀華にこう言っといてくれないかしら?〝出し惜しみをするな〟って。」

「?分かりました。それも言っておきます。」

「ありがとう。また朝に襲撃するだろうから、ちゃんと休んでおいてね。」

「ええ、それじゃあ戻りますね。」

 

部屋を後にして、自分の部屋へ向かっていく。

 

(主、今いいかな?)

 

帰りの廊下で通信が入る。

 

(いいけど、少し待ってて。)

 

近くにあった休憩所に入り、眠りにつく姿勢になる。

 

in精神世界

 

「っと、発果!」

「こんばんは、主。」

「乱華は?いないのか?」

「今は自分の部屋にいるよ。僕の部屋に居続けると存在が消えるからね。」

「そうなのか…それでどうしたんだ?」

「んーとね、今日詠唱使ったでしょ?それで色々と問題がね~。」

「問題?詠唱はデメリットが少ないはず…。」

「デメリットがあるって訳じゃないんだよ。ほら、主って色々と問題起きてるじゃん?」

「まあ、そうだな…。」

 

あまり良いことではないが、その通りだ。

 

「それで~、もう1つ問題が増えたってこと。それがこれっ!」

 

バッと目の前に紙を出してきた。

そこには〝世界に大きな影響を及ぼす詠唱があることが分かったのです!〟と書いてある。

 

「なんで、紙?」

「んー、なんとなく?イテッ」

「口で言えよ…。」

 

思わずデコピンしてしまった。

 

「まあそういうことなら対策はできる。今からやるよ。」

「おー、なら安心だね~。」

「んじゃそれやりにいくから、帰してくれ。」

「ん、開け!」

 

扉が目の前に現れる。

 

「それじゃあな、また今度くるよ。」

「うん、またね!」

 

扉をくぐると意識が引っ張られていく。

 

 

in休憩所

 

「ん、戻ったかな?おし。『周りに気配は?』。無しか。なら…」

 

〝世界に影響を及ぼす詠唱を察知可能にする感覚を付与。対象自分。〟

 

詠唱の後に体に何かが増えた感じがした。

 

「ついでに代償もやっとくか。」

 

〝自らに及ぼす代償が起きる原因となる行動時に体に軽く電流を流せ。〟

 

自分の脳にその指示を与える。

 

「これでいいか。『これを聞いたものはいるか?』。いないな。」

 

聞かれたらまずい。というわけではないが、独り言のようなものを聞かれるのは中々に恥ずかしいものだ。

 

「さてと、戻るか。」

 

また自分の部屋へと歩き始める。

夜空に浮かぶ月を見ながら。

 

今日は半月、上弦の月だ。

 

 

in言葉の部屋

 

「っあー!気持ちいいなぁ…。」

 

ほぼ半日戦ったので体がボロボロだ。

稽古をつけてもらってなければさらに酷かっただろう。

 

「んー、今日は早めに寝るか。」

 

いつもは詠唱の内容を考えたりして時間が過ぎていき、寝るのは真夜中になるのだが明日も戦いがあるのでそれに備えておきたい。

 

「何事も無事であることが幸せだな。」

 

今日の被害はゼロ。前線で兵士が隊を築きレーザーを放っていたので都市には損害はない。

軽症はあったが大事に至るものはなかったので良い結果だっただろう。しかし

 

(やっぱ争いが起きるのは気分がそこまで良くないな。)

 

例え妖怪との戦いであっても気分は良いものではない。刀華さんの無双状態の時も無意識に目を背けていた。

 

「明日はなるべく早く終わらせよう。」

 

1日の疲れがとれるまでしばらく湯船に浸かっていた。

 

 

「おっし、これでいいか。」

 

布団をしき、明日のための準備も済ませた。

 

「これでようやく寝れる…。」

 

準備してたのもあって結局寝たのはいつもと変わりない時間だった。

 

 

 




えーっと、書くことないっすね。後書きって。
あ、あるわ!感想を使った投票機能ってなんですかね?
ヘルプの部分で見て見たんですがなにもわからなくて……。教えてくださいまし(´ 3`)
ここらへんで終わりますか!それではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17,善きが消え悪が増え、心は淀む。

お久しぶりです!ただのみらのです!
GWだー!と言っても部活や山積みの宿題。町内の活動の手伝いでほとんど休みはありません……。ちゃんと小説はあげますよ!その時間は何としても取ります!
それでは第17話をどうぞ!


in都市防衛本部

 

「ふぁ~。朝早くからどうしたんですか?言葉さん?」

「少し相談したいことがあって。」

「相談?何か悩んでるんですか?」

「悩んではいませんよ。ただ言いたいことがあって」

「分かりました。でその話は?」

「それはですね…」

 

まだ日が頭を少し出したくらいの時間。

都市から少し離れた場所にある防衛本部にきている。

他の兵士も皆眠い目をこすりながら防衛本部で待機している。

少しでも戦線を前にあげて都市へ向かう距離を取るため、昨日戦っているうちに控えの兵士が建てていたとか。

 

「包囲作戦?流石にあの数には無理じゃ…」

「いえ、全てを囲むのではなくいくつかに分かれている群れを囲むんです。」

 

刀華さんへの相談は作戦。昨日は急な戦闘だったので統率がとりにくかった。なので何か工夫できないかと相談している。

そこで刀華さんは包囲作戦を提案してくれた。

昨日の戦闘でおおよそ40万体にはなっているだう妖怪の大群。それらはたくさんの種族で為されている。戦闘中もそれぞれの種族で固まっているのも見れたので、それらを迅速に囲み殲滅。これが包囲作戦。

 

「それらを囲んでいる間、他の兵士達には周りの群れの牽制をやらせます。そうすれば負担も幾分か減るので、こちらには有利な状況になる

、というわけです。」

「なるほど、ならこういう立ち位置になるということですかね?」

 

付近を表した地図を机に広げて指で示す。

 

「まず、ここに目標の群れがいる。」

 

石を置いて群れを作る。

 

「そして、これを囲む俺と刀華さん。」

 

色の違う石を二つ、その群れを挟むように置く。

 

「そして周りを牽制する兵士。」

 

周りに円を作るようにして小さな石を置く。

 

「これだと妖怪達に逆に包囲される形になるんですが?どうするんですか?」

「ああ、それですか。それは既に対策されたも同然です。」

「既に対策済み?どういうことですか?」

「気にしないでいいですよ。多分作戦を執行しているとわかります。それより、今日も頼みますよ。」

「はぁ……。分かりました。こっちに立ってください。」

「すいません。でもホントに大丈夫ですから。」

 

少し不安も残るが、ここまで言うなら大丈夫なのだろう。

 

「それじゃあ」

 

〝その身を汚す穢れを打ち払う鎧を与えたまへ〟

 

刀華さんに手を翳し唱える。

これは穢れを無効化する詠唱。昨日もつけていた。

 

「兵士の皆には後で掛けておきます。」

「ありがとうございます。それでは待ちますか。」

 

_____________________________________

 

一時間後……

〝妖怪接近、迎撃体制をとれ〟

 

本部の中に通信が入る。

その通信と共に皆が外へと向かう。

穢れを無効にする詠唱もかけ、先ほどの作戦も伝えておいた。

準備は万端。後は迷わず戦い続けるだけ。

 

「まずは残っている妖を囲めー!」

「「「おおおー!!!」」」

 

刀華さんが全体に指示を出す。

妖とは、知性を持たない妖怪の総称。昨日の戦いで多くの数を減らした群れの1つ。一番数が少なくなっているので、まず妖を叩く。

 

「皆ー!他の妖怪へ一斉射撃!」

 

兵士のリーダーが命令をだし、全体が動く。

ダンッという音とチュンという音。実弾とレーザーが放たれる。他の妖怪はそれを避けながら後退する。

 

「言葉さん!行きますよ!」

「刀華さん!了解です!」

 

俺達は一気に妖の群れの側面に張り付く。

互いに手に持つ刀をそれに振るう。

 

「「旋風」」

 

刀華流 旋風

 

自身を高速で回転させるだけの単純な攻撃。

しかし、その際の負荷を消すことができなければ自滅する。そのため力を十分に持っていなければいけない。

旋風を使い妖の数をどんどん減らしていく。

 

「グギャアアアアアアアア!」

 

反撃してくる妖。しかしその攻撃は高速に回転してできる刃の壁によって防がれ、切り刻まれていく。

数分もしてくると、辺りは元は形があったであろう肉と血でいっぱいだった。

 

「…。これが大戦ですか。酷いですね。」

「……。そうですね。刀華さん、目を瞑ってください。」

「はい。」

 

〝穢れし身を無に還せ〟

 

詠唱によってそれらの塊は消え、殲滅の後なんて分からないくらいに綺麗になった。

ただ塊が消えていく際見える幻影のようなものは残ったが。その幻影は吠えながら苦しみ、充血した目でこちらを睨む。死ね。殺してやる。そう訴えてくるように。

 

「終わりました。開けてください。」

「すいません。後始末なんてさせて…。」

「大丈夫ですよ、やらないといけないんですから。」

 

昨日の戦いでもこれを行った。刀華さんは幻影を見た途端吐き気を催した。何でかは分からないが、それからは目を閉じてから詠唱をやっている。

 

「にしても、ほんとに大丈夫でしたね。」

「ええ、これは奴らの特性のようなものです。」

 

その特性、実は妖怪も穢れを恐れている、というもの。穢れは妖怪にとっては害ではなく、むしろ強くなれる養分のようなものなのに、だ。

どうやら知性を持つ妖怪は、それ以上の力を持ち暴走するのを恐れているらしい。意外と保身的に動くので、殲滅している近くには寄ってこない。

 

「兵士たちもそれほど疲れてないようです。次に移りましょう。早く数を減らさないと数で押されます。」

「分かりました。次は……。天狗にしましょう。空からの攻撃は厄介です。」

「それでは。集合!次の目標は天狗!天狗!」

 

周りに指示を出し、自分達も目標の元へ向かう。

 

 

 

戦闘開始から1日と8時間。

戦闘時間は現在一時間。

 

 

同刻会議室……Sideツクヨミ

 

「だから!それは最悪の事態のみの対処です!現状ではその必要はないとさっきから言ってるでしょう!」

「最悪の事態になる前にてを打つべきだ!前からあなたは行動が遅い!移住の計画も早めにやっておけばこうはならなかったはずだ!」

「そうだ!我々の意見を全ておろしてまでこの都市を危険にさらすなど愚かだ!」

「成功もしない時期に移住なんてするほうがおかしいのです!そのあたりをしっかりと考えて……」

 

研究側と自分達の地位だけを見る側との論議。

はっきり言って後者が今枷となっている。

そのもの達は、都市が危険にさらされる前に月へ向かおう。兵士はそのために命を懸けて都市を守ったとして放置。こんなことをべらべらと平気でいっている。自分達が無事ならどうでもいいのだろう。

それに対して研究側、主に永琳が反発。放置など許されない。それに今から移住しなくとも現状都市へは被害は及んでいないので後5日待ってもいいだろう。こう言っている。

私としては長く付き合ってきた永琳の意見を尊重したいし、こっちの方が正しいと思っている。

ただ、この会議は都市を懸けてのもの。多数より少数を尊重なんてできない。残念ながら、研究側は少数だ。

 

(あの人なら、何とかしてくれたんだろうなぁ…)

 

今は自分がトップ。誰かに頼るなんてできない。それに一番頼りたい人は今はいないのだ。

 

 

「いい加減に人を駒として見るのをやめたら!?」

「駒として見てなんかいない!都市を守った英雄たちとして見ると言っているだろう!」

「上からそうやって眺めているその態度を何とかしなさい!」

 

(何だかいつもと違う言い合い。お互いに守りたいものを守るために言い合っている。)

 

片方は仲間、友。

もう片方は地位、自分。

 

互いが本音で話し合うので引くことは負け。そんな雰囲気が出てきている。

 

(早く決めてないとどちらも守れない、か。世界は残酷だなぁ。私なんかに大きな物の行く先を決めさせるなんて。ほんと、酷いよ。)

 

目の前で繰り広げられる言い合いよりも、世界に対する不満の方に気が向く。

どちらもいいものではないので心は沈む。

 

(この大戦のせいでこうなってるんだよね。なら……)

 

早く終わればいいのに、そう願う。

 

 

 

 

 

 

 

 




んー、やっぱり題名のセンスが……。
なんていってもなにも変わらないですけどね笑笑
やっぱり自分には3000文字が精一杯な現状です。
4000文字を書こうと思うと中途半端におわってしまうので、キリのいい3000文字でやっていきます!日々練習して4000文字を越えるように頑張ってはいるので、2章は楽しみに!ではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18,人妖大戦終結

お久しぶりです!ただのみらのです!
間違って投稿してしまい、自動保存が途中までしかできてなくて書き直してたら時間が……。ぱぱっとあげたので、18話をどうぞ!


「天狗の群れを視認しました!後退しています!」

(後退?こっちの動きを察した?)

 

妖を全滅させた後に出した指示は大声ではあったが、妖怪たちから離れたところで出しているので聞こえてないと思ったが。

 

「かなり耳がいいんですかね?この距離で聞こえていたということは。」

「でしょうね。まあ殲滅するまでですよ。」

「なら…。皆天狗の周りの妖怪に射撃!距離を取らせて援護させるな!」

 

レーザーと銃弾の壁から離れていくようにして天狗以外の妖怪はどんどん離れていく。

 

(よし、やるか。)

 

天狗。空を飛び風を操る妖怪。奴らはに地上に降りず空で行動することが多いので地上での活動はおぼつかないとか。ならこうするしかないだろう。

 

「隔壁展開」

 

宣言と共に神力で空間を遮断する壁を生成。

俺と天狗の群れだけを囲む。

天狗たちはそれを攻撃と見なし俺に反撃してくるが。

 

〝天地逆転〟

 

少し歪んだ声で言葉が紡がれる。

その直後天狗は地上に叩きつけられ、俺は空へと投げ出された。

 

「よしっ!成功!」

「キィィ…」

 

天狗はなれない地上で何とか立っている状態。

皆はこうできるなら何故はじめからこうしなかったか疑問だろう。理由は簡単。『天地逆転』は空に生きるものを地に、地に生きるものを空に。そうい う動きを起こす力だから。範囲を絞らないと何も変わらないし、慣れない空に送られても自分達すら戦えないから。

俺は空に慣れてるからそんなの関係ない。

なんで慣れてるかって?研究の一環だったからだよ。

こうなってしまえば後は楽だ。

 

「それっ!」

 

手を思い切り下に振る。それに合わせ神力で形成した球が地上に降り注ぐ。空が見えないくらい作られたそれらは一瞬の内に天狗を消す。血や肉を残さず完璧に。

 

「ふぅ…。詠唱解除。隔壁解除。」

 

この光景を二度も見ていると殺すことに恐怖を感じなくなってきた。感情が麻痺している。

 

(慣れるべきではなかったものだな。)

 

「お疲れ様です。皆!射撃体制を解いて妖怪から距離をとれ!」

 

(にしても、反撃してくるはしてくるがあまり好戦的ではない?あまりにも弱すぎる…。)

 

不安を抱えながら俺も後退する。

 

「言葉さん、具合でも悪いんですか?」

 

表情にでていたのか刀華さんが心配してくる。

 

「いえ、少し考え事を。心配かけてすいません。」

「なら良かったです。夜までまだ長いですし、頑張りましょう。」

 

刀華さんはまだ緊張している感じだ。

 

(いや恐怖、かな。さっきのはやらすぎだったし。)

 

あの光景を見て平然といられる人がすごい。自分の計り知れない力の大きさに自らが恐れを抱きそうなくらいだった。

 

(本気出せばすぐ終わりそうだけど、そうすれば何かが壊れそうだな。)

 

「次はどこを襲いますか?」

「そうですね…。次は…」

 

遠くにいる妖怪の中からどれを攻めるか選ぶ。

 

(遠く?何で詰めてこない?あっちが攻めてきているのに…。)

 

「言葉さん?どうし「刀華さん!一気に妖怪を叩きます!範囲は群れ全体です!」え?わ、分かりました!皆は援護を!」

 

(くそ!あっちも俺達と同じだったのかっ!)

 

妖怪達が計画より早く攻めてきた理由。

俺達を潰そうとせずにただ消され続け、力を少しずつ奪っていった。

 

(それは恐らく長と戦う時の力を極力奪うため!早めに気づけて良かった…。)

 

「言葉さん!接触します!」

「了解です!とにかく攻撃してください!」

 

今からは時間との勝負。遅ければ消耗した上回復の隙も無しに長との戦闘になり、早ければ体力を回復した上で戦える。

 

(頼む、早く終わってくれ!)

 

 

Side悪鬼

 

「ん?都市の奴ら気づいたか?」

と鬼は言い

 

「そうみたいですね。もう少し騙されてると思ったのですが。」

と狐は答える。

 

「まあ早く気づいたところでどうもならないんですけどね。カカッ!」

天狗は陽気に笑い

「おい、少し黙れ天狗。気づかれたのは問題ではないがこれだけ早く気づかれたんだ。早く対応するぞ。」

鬼は天狗を叱る。

 

「へいへい、分かりましたよ悪鬼。行くぞ妖狐。」

「分かりました。悪鬼様、行ってきます。」

天狗と狐は支度をし

 

「ああ。気をつけてな。」

「気をつけなくても大丈夫だっての!」

「せっかく心配してくださったのに。ほんとに天狗は。」

「何だよその目は!だってそうだろ?」

「はいはい。どうでもいいのでさっさと滅ぼしますよ。」

「ケッ、ほんと悪鬼にしか興味ねぇんだからよ。それと、どっちが多く殺せるか勝負しようぜ!」

「私の勝ちですね。」

「はぇよ。」

人を滅ぼしに歩を進める。

 

「あいつらが行くなら〝もどき〟は引かせていいだろう。むしろ邪魔だろうな。」

 

キィィィィィィィィィィィィィィィィィ…

 

鬼は自らの力を集めて強くなる。

妖しげな音を立て体を変形させていく。はじめは額から少し伸びていた程度の角が消え、こめかみから二本の長い角が生えてくる。

 

「フゥ……。ヤッパリコノカラダダナ。フンッ!」

 

不安定についている妖力を霧散させ体を整える。

 

「さてと、俺もいくかぁ。」

 

鬼は仲間の元へ行く。

 

 

Side言葉

 

「妖怪が、消えた?」

 

先程まで目の前にいた大群が一瞬にして見えなくなった。

 

「言葉さんの詠唱ではないんですか?」

「違います。それに奥の方に…っ!」

 

妖怪が消えて残っていた力が奥の方に引き寄せられていくのが見える。

 

「奥の方に?何かあるんですか?」

「刀華さんには見えないんですか!あれが!あの恐ろしい姿が!」

「っ!どうしたんですか!?落ち着いてください!」

「くっそ!俺らは元から嵌められてたのか!」

「嵌められていた?相手が引いたからこちらの勝ちじゃ…」

「偽物だった。」

「偽物ってなに……。妖怪が偽物だったら、今の後退はっ!」

「そういうことですよ。あいつら本気できます。潰すためだけに。」

 

俺が見た恐ろしい姿は、長い角を持った鬼の影だ。

 

「刀華さん。兵士の皆と引いてください。」

「はい。分かりました。」

 

(ごめんなさい。刀華さん。〝能力〟を使わせてもらいました。)

 

俺以外のものはみんな都市へと逃げていく。

 

(守るためには、少し強くならないとな。)

 

「俺の『強さ』を『強化』。っ!」

 

力がみなぎって来ると同時に理性が飛びそうになる。

 

(落ち着けっ!俺!)

 

「ウッ……。アガガ……!ふんっ!」

 

ドスッと右手が左腕に刺さる。痛みで気を持たせた。

 

「さてと、いつまで隠れてるんだ?天狗さんよぉ!」

 

近くの木に向かって拳をうつ。その木は一気に木っ端微塵となり消えた。

 

「隠れてるつもりじゃなかったんだよ。すまんな言葉。」

「名前で呼ぶな。気持ち悪い。」

 

強さを強化した代償で凶暴性が少しだけ増した。口が悪いのは気にするな。

 

「後もう一人そこにいるようだが、そいつは戦わないのか?」

「まじかよ…。妖狐の気配を察知したか。」

「何となくそこにいると思っただけだ。さて、どっちからやる?」

「私はおります。二人で楽しんでくださいな。」

 

先ほど天狗のいた木の場所の近くから大きな1つの尻尾を持った女が出てくる。

 

「汚れるのが嫌なの。それに他の雑魚がいないから勝負もできないし。」

「へいへい。どうせ汚れたくないだけだろうけどな。」

 

そういった天狗の頭を妖狐が叩く。

正直どうでもいいので、

 

「会話は良いからさっさとやるぞ。お前らを殺れば終わるんだから。」

「簡単に殺るなんて言うなよ~。少しは手応えあると思うぜ?カカッ!」

 

その笑い声の後には静寂。静かな風の音だけが聞こえている。

その数瞬後に天狗が迫ってくる。

俺もそれにあわせて前に出る。

天狗は妖力を纏わせた腕を、俺は神力を纏わせた腕を相手の腕にぶつける。

 

その瞬間衝撃波で二人は無理矢理距離を取らされる。

 

「てめぇ中々上手く使ってるじゃねぇか。カカッ!」

「うっせ。お前はバカみたいに力固めやがって。」

 

互いに文句を言った後にまた近づき腕をぶつける。

それを繰り返していく。その度に地面は揺れ、鼓膜が破けそうなほどの音がなる。今やっているのは大戦とは言えないくらいの小さな戦いだった。しかしその激しさは先ほどの大戦が甘く見える程に激しかった。

 

これにて人妖大戦終結。

しかし、新たな戦いが始まる。

 




ほんとすいませんでした!これからは早めに書いておくようにします……。でもどうしても直したいところがあって……。
まあぐちぐちいってても解決しない!次から次から!
では早めに終わります!また次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19,裏切り者

どうもただのみらのです!今日から9時投稿ですよ!みなさん!とか言ってるけど自分が11時に予約してて投稿してないって言うね、悲しいね。まあ早さが大事!
それでは19話をどうぞ!


「なあ、これどれくらい続いてんだ?」

「知るか。自分で数えとけよ。」

 

なんて会話をしながら攻撃を撃ち合う。

 

「おらっ!いい加減倒れろよっ!」

「嫌だねっ!そっちが倒れろっ!」

 

互いに力を込めた弾を放つ。

が、それは互いに届く前に消滅する。

 

「おいおい、手ぇ抜いてんのか?舐められたもんだな!カカッ!」

「手抜くわけねぇだろ!そっちこそ舐めてんのか!」

「貴方達いい加減にやめなさいな。そんな〝しょぼい〟攻撃ばかりして。」

 

別に故意にこんな攻撃をしてる訳じゃない。天狗と俺は調子に乗り過ぎた。始めから力を馬鹿みたいに使って殺り合っているとだんだん力が無くなってきて妖力や神力を使った攻撃はほぼ無意味になっている。でも使ってしまうのは体にその動きが染み付いているからだろう。

こんなだらだらした喧嘩、実はそれほど続いていなくてたった1時間しかやっていない。

 

「おい!言葉!」

「なんだ天狗!」

「休憩をしよう。さすがに疲れた。」

「賛成。10分休憩しよう。」

「はあああ?何言ってるのあんたたち?」

「静かにしろ狐。休憩時間だ。」

「そうだそうだ。静かにしろ!」

 

そういって二人は眠りに入る。

 

「全く、これじゃあ悪鬼様がっかりするだろうなぁ。」

「俺がどうかしたのか?」

「ひぇっ!ああああ悪鬼様!?いや、あの、その、」

「?ああ、こいつらの事か。」

 

二人ならんで寝ている姿をみて納得する悪鬼。

 

「まあいい。俺はやりたいことさえできればいいからな。っしょっと。」

 

二人の横へ腰を下ろし、どこから出したのか真ん中でくびれのついた入れ物を出してきた。

 

「えええ!悪鬼様も戦わないんですか!?お酒なんか出して!」

「うるさいぞ妖狐。二人が起きる。」

 

温かい眼差しで二人を見つめる悪鬼。

 

(もう、それじゃあ〝仲良く〟なるのが遅くなる…)

 

 

 

_________________in会議室

 

 

(ん~、振りをするのも終わりかな?)

 

「さて諸君!大切な話がある!」

 

そう叫ぶと先程まで言い争っていた皆が静まる。

 

「実はさっき、ある情報が手に入った!」

「情報?それよりも会議をすすめ…」

「優先度はこっちの方が大きい、聞け。」

 

声も聞きたくないやつが話しかけてきたので神力をこめて発言する。こうすれば皆静かにしてくれるのだ。

 

「都市の外からやってきた言葉という男がいるだろう。そいつは妖怪の長達と繋がっているということが分かった!」

「何っ!あいつはまさか…」

「大変だ!人が妖怪と手を組んでいるなんて…」

「早く手を打たないと……!」

「待ってください!何でそういうことが言えるんですか!?」

 

(やっぱりそうなるか…。永琳。)

 

「一時間前に衝撃波が何度も襲ってきただろう?それが急に止んだんだ。これはあの男と妖怪が戦っている〝フリ〟をしていたからだ!元からあいつは都市の外からやってきた怪しいやつ。こうなるのも予想できた!」

「そんなの後からつけたデタラメです!ちゃんと話を聞いて…」

「そんな時間はない!裏切り者以外は皆ここにいる!よって、月への移住を今日!決行する!」

 

(私はここにいる皆が無事でいれば……っ!)

 

神は、ただ一人で苦悩する。

 

__________________一時間後の人と妖怪は……

 

 

「んあ?多分寝過ごしたな、これ。」

「10分とか言ってたくせにどんだけ寝てんだよ。」

「悪鬼ぃ!?何でここにいんだよ!」

 

(ビックリして一気に目が覚めた…)

 

「来たかったから来たんだよ。別にいいだろう?」

「意味わかんねぇよ。それと、何で殺さなかった?十分殺れただろ。」

「何で殺らねぇとダメなんだよ。クククッ。何だ?殺られたかったのか?」

「いや、殺られたくねぇよ。ならなんで大群なんて送って都市を攻めてきた?」

「あ?攻めてねぇよ。ただ人間の中に強い力を持つやつがいるっていうからよ。まあお前だな。ただ力を見てみたかった。」

 

(ん?なら何で都市には攻めてきたと入ってきた?)

 

「でもそれが都市にまで及べば攻めてきたことになるぞ?」

「都市にまでいくつもりはない。それに俺らは『一方向』からしか攻めてねぇからな?それにお前も分かっただろ?俺ら以外は偽物だって。」

「はあ……。もう色々と入れ混じって分かんねぇよ。」

「分からなくていいっての。それより、少し飲まねぇか?色々と話したくてよ。」

 

ちゃぷんちゃぷんと酒の入っている容器を揺らす。

もう片方の手で器用に二つの大きな杯を持っている。

 

「あんまり飲めないけど、少しならな。」

「力は強いくせに少し弱気なのかよ。ククッ。」

 

 

_____________数分後

 

 

「あれぇ?悪鬼様とさっきの男?」

 

いつの間にか寝ていた狐。さっきは悪鬼が一人で酒を飲んでいたのに、何故か男と一緒に飲んでいる。

 

「ああ、起きたか狐。天狗は…まだ寝てるか。」

「何?悪鬼様と酌を交わしてるなんてうらやま……。生意気!」

「別にいいだろう酒ぐらい。許してやれ妖狐。」

「何で俺が悪いやつになってんだよ。」

「まあまあ。それより、まだ起きないのか天狗は?」

「調子に乗って馬鹿みたいに力を使いましたから。それに『素』まで使ってましたからね。」

「素?何だそれ?」

「素っていうのは聞いての通り『元』。その名が表すのは神の力や妖力を使用したりそれを持つ存在が絶命したりする時に空中に細かく散っていくそれらの力のこと。」

「だから、力の元ってことか?」

「そうよ。でも素はその力の性質を持たないの。ただその力の元であるだけ。素を使うには素を集める技術が必要なんだけど、それがとてもしんどいのよ。だから天狗はまだ寝込んでる。」

「へぇ、そんなのがあるんだな。知らなかった。」「俺らも最近知ったんだよ。それにしても、素まで使うとか馬鹿かよ。」

「馬鹿なんてひどいこと言いいますな、悪鬼。」

「ようやく起きたのかよ。お前も一緒に話すぞ。」

 

そこからは互いの事を教え合って酒をのみ騒ぎ色々やった。日が沈みかけるまでずっと。

 

「おい、言葉。」

「何だよ悪鬼。」

「少し喧嘩しねぇか?お前の力を直に感じてみたい。」

「いいぞ。俺も話を聞いてやってみたいと思ってたんだ。」

 

夜になっているからか少し落ち着いてきた。酔いは覚めたわけではないが、少し気分が良くなるくらいだ。ちょうどいい。

 

「何か決まりを決めようか。やり過ぎると周りが消し飛ぶ。」

「いきなり脅してくんのかよ。まあそうだな。攻撃することに妖力や神力を使わない。防御にだけ使う。これでどうだ?」

「いいな。それなら安心だ。」

「合図はこいつが落ちてきたと同時ってことで。」

 

神力を使い丸い弾を作る。

淡い青色をした光を放っている。

 

(そういや発果とか乱果と話してないな。今度話すか。)

 

「おい、まだか?」

「今やろうとしてたんだよ。んじゃ。っと!」

 

力を込めて一気に上へと飛ばす。

 

「やりすぎじゃねぇか?落ちてこないぞ?」

「大丈夫。落ちてくる。」

 

悪鬼は信じられないのか上を見上げて目を凝らす。

 

「落ちてくる気配がしないんだが?」

「ちゃんと見てみろ、落ちてきてる。」

 

じっと目を凝らす。するとさっき投げたときより大きな弾が地上へ向かって降ってきている。

 

「あれは攻撃か?」

「攻撃じゃねえし、あれは当たらない。」

「どう考えても当たるだろ?あの大きさは。」

 

そういってる間にも弾は向かってくる。

 

「まあひびらずにそこにたっとけ。」

「ムカつく言い方するんだな。言葉。」

「急に名前呼ぶな。悪鬼。」

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後に地上へ弾がぶつかる。

 

 

 

 




いやあ、会話が多いですね!でも仕方ないんです。ここはそういう話なので。一応物語の進め方は考えてあるので、明らかにおかしすぎる!っていうのはそういうのだと思ってください。後これはネタバレとかじゃないです!他にちゃんとネタがありますから!安心してかださい!
それではまた次回でお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20,友情とは

なんで戻ってきてるんや!という人。すいません、自分スケジュール建てるの下手でしたwなので急がずに、小説更新しながら受験を迎えられるようになったんですよね〜
ま、書こうと思っても内容全部飛んだんですけど、
設定ちゃんと作っとかなかった自分を恨む
まあちゃんと完結までは持ってきます!たとえ読まれなくとも!
いや、やっぱ読んでほし)))))
はい!ではお久しぶりの東方深意伝をどうぞ!


落ちてきた光弾は俺と言葉との真ん中辺りに落ちると先程よりまばゆい光を放ち半球の壁を作り出す。

壁は近くにいる天狗や妖狐を弾きながらどんどん大きくなっていく。

壁は夜空の星の光を反射している。勿論月光も。

 

「力の源を弾くってのは違反じゃないかねぇ、言葉」

「いいや、『力は弾いてないさ』。」

「はっ、何嘘言ってんだよ、さっきから力が減っていってるのが分かってんだよ」

 

実際さっき飲んでいた時よりも妖力を感じなくなってきた。

(こいつ月の力と妖力の関係を知ってんのか?だとすればいくら遊びとはいえキレるぞ...)

 

「ん?おかしいな。ちゃんと通してるはずだぞ、『力』。」

「まだと、...あ、戻った?」

「まだズレができる状態か、まいいや。とにかくやるぞ〜!」

 

(ったく、何が起きたか分かんねえがいいか...それより)

 

「本気で殺ろう(遊ぼう)ぜ」

 

 

 

壁が少し煌めいた時、二人は同時に動きだす。

 

______________________________________________

 

 

何がをされたか理解できない。俺はその場から『弾かれた』。しかもなんの前触れもなくかなりの距離を。

恐らく同じように弾かれたであろう妖狐が悪鬼と俺らを隔てる壁を破ろうと必死に攻撃を仕掛ける。が

 

「もうっ...!何なのこの壁!ヒビすら入らないじゃない!」

 

結果は壁無傷。ただ妖力と体力を浪費しているだけに過ぎなかった。

 

「やめとけ。素を使ってへばるより、呑気に待ってるほうがいい。カカッ」

「うるさいこのバカ天狗!悪鬼様から離れてのんびりしてろなんて死刑宣告じゃない!」

「あー、そういや妖狐悪鬼のこと好きだもんな。」

「っ...カァ///」プシュー

 

(うるさい子は黙らせといてっと、にしてもなんで戦い始めてんだよ、仲良くなるんじゃなかったのか?え?)

 

(ま、多分不器用だから喧嘩して仲良くなるみたいな鬼神的思想でぶつかってるんだろうな。)

 

「はっ...私気絶して、って天狗!私は悪鬼様を尊敬してるのであって別に好意をいだいてるわけじゃなわかったわかったいって何度も「はいはい分かってる分かってる、少しからかうくらいでそんなに怒るなよ。」

「毎度毎度ほんとにムカつくわね。それより早く壁を壊しましょ!」

「別にそんなことしなくていいぞ。見てみろよ」

「何があるっていうのよ...え、何なのあれ...」

「力の塊。完璧に力だけで出来てる。あれモロに喰らえば文字通り消えるだろ」

 

 

二人が目にしたものは、壁の中で異様な動きをする7色の光弾。それを操るものは...。

 

________________________________________________

 

 

近づくと同時に繰り出す拳を正確に顔を狙い鋭く素早く打ち込む。

ただ人形(ようかい)を操っていたわけじゃない。ちゃん戦えるように近接の技術も磨いたつもりだ。

 

(なのに、苦しい顔一つもせず難なく避けやがる!)

 

先細悪鬼が繰り出した一撃を言葉は跳躍して躱し、その後の連撃すらも体をぎりぎり掠らせない程度で避けた。

 

「ただ避けるだけで楽しいか?」

「ああ、楽しいぞ。その必死に打ち込む拳を難なく躱され焦る顔を見るのは」

 

一方が打ち込み続け一方が避け続ける。その中でも煽り合う。

その様子は争いというよりも友との喧嘩のよう。そしてそれは

 

(俺がやってみたかったこと!やはり持つべきは友!そのための戦い!胸がものすごく高鳴る!)

 

「そろそろこっちから仕掛けていいか?暇だ。」

「舐めてんじゃねえ!」ブゥン!

「カッ...」

 

顔だけを狙う連撃から体を薙ぎ払うように腕を振るった。

流石に対応できなかったのか言葉は弾き飛ばされて奥の壁にぶつかる。

その瞬間壁は白く光り、残光が言葉を包み淡く点滅し始めた。

 

「いくら見せるためとはいえ、ペッ。これはきついな。」

「どういうことだ?」

「この壁は不思議だらけってことだよ。今見せたのは『甦り』。どんな傷を負ったとしても傷は必ず癒してくれる。『傷』はな。」

 

壁に仕掛けられた謎よりも見せ物するために攻撃に当たったという言葉に腹が立って仕方がない。

 

「そうか。まあそんなモノ見せてくれなくとも良かったんだがな。さっきみたいな攻撃でへばってくれちゃ困る」

「だよな。まあせっかくこんな機能を入れたんだ。いつまでもやり合うのもいいが、ここを多く光らせたほうが負けってことで。」

 

にやにやしながら提案してくる。

 

(俺のことを知ったようにからかいやがって...)

 

「いいぜ。思う存分殺ってやる!そっちも全力でな!」

「当たり前だ!それに殺られんのはそっちだ!」

 

 

まあそんな些細なことはどうだっていい。今は全力で喧嘩するだけだ!

 

_______________________________________________________

 

 

接近したら悪鬼は真っ先に顔を狙ってきた。それはもう目に見えないであろう速さで。

 

ま、見えんだけど。

前々から掛けてた視力強化とか何やらは便利だから固定してたんだよな〜。

ま、攻撃に使ってないしいいだろ。

 

(呑気に考えてる場合じゃないな。てか視力良くなっただけで体感速度変わるってどんな仕様だよ...)

 

ひとまず跳躍。拳は下で俺の顔があった場所を通り過ぎる。

ちなみに運動能力が上がってるのも固定してたからな。

 

(てか、固定解くまで攻撃できなくね?一応能力だし。何とかしねえとな...)

 

連撃を躱しながら色々考える。考えて考えて...。

なんか悪鬼、ムカついてんのか知らないけど怖い顔しながらわらってるよ、ハハ。

 

(んー、早いけどもうバラすかなぁ。)

 

それに、そろそろこの連撃躱すの続けると悪鬼の顔歪みまくって般若になりそうだし。

 

「ただ避けるだけで楽しいか?」

 

......感覚研ぎ澄ませてると音もゆっくりになるのか、思わず笑ってしまうところだった。

アレ見せるためにもちょっとだけ煽るか。

 

「ああ、楽しいぞ。その必死に打ち込む拳を難なく躱され焦る顔を見るのは」

 

怖い顔だけどね。煽るためだね。仕方ないね!

でも、まだ止めないな〜。それに怖い顔が歪みはじめたよ。般若どころじゃなくなっているし...。

あ、でもそれくらい怒ってるってことか!ならもっと煽ろう!

 

「そろそろこっちから仕掛けていいか?暇だ。」

「舐めてんじゃねえ!」ブゥン!

 

あ、これ丁度いい威力だな。どこに受けよ...。うーん。

 

(どうせ治るなら腹でいいか。こう落ちればいいかイッター!)

 

「カッ...」バン!

 

(いった!なんだあれ、見た目と威力があってねー。)

 

気づけば壁が光りだしていた。『仕掛け』が動き出す。

腹に受けた衝撃で傷ついた内蔵が治る感覚がある。

 

「いくら見せるためとはいえ、ペッ。これはきついな。」

 

流した血は戻らないのか、改良しなきゃな。

 

「どういうことだ?」

「この壁は不思議だらけってことだよ。今見せたのは『甦り』。どんな傷を負ったとしても傷は必ず癒してくれる。『傷』はな。」

 

軽く説明しておく。

この壁にはこの空間に作用する能力を与えている。

その一つである『蘇り』。

受けた傷を受ける前の状態に戻す効果がある。体のどこかがえぐれて消えようが必ず戻る。

ただ痛覚は消えない。俺の設定ミスで。

 

「そうか。まあそんなモノ見せてくれなくとも良かったんだがな。さっきみたいな攻撃でへばってくれちゃ困る」

 

なんかまた別の顔で怖くなってる。笑顔から怒り顔。なんか影が入ってて恐ろしい...

このままやり続けたら何回も死にそうだ。

 

「だよな。まあせっかくこんな機能を入れたんだ。いつまでもやり合うのもいいが、ここを多く光らせたほうが負けってことで。」

 

会話の流れに乗りつつ逃げ道を確保。まあ負ける気はしないけど。

 

「いいぜ。思う存分殺ってやる!そっちも全力でな!」

「当たり前だ!それに殺られんのはそっちだ!」

 

それに、ちょっと乗ってきた




久しぶりに書くと内容トンでて笑えます、はは。
あと小説は出来たら投稿!出来たら投稿!の不定期更新であります。
以前と変わらない感じもありますが、まあそういうことです。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21,自覚と苦悩

ただのみらのinネカフェ
小説で見ればお久しぶりです。活動報告からならさっきぶりくらいですかね。
いやぁ、ネット使えないと途中で保存とかできないので、メモに書いた文をひたすら打ち続けるっていう。めんど))ゲフンゲフン
まあ久しぶりの東方深意伝楽しんでください!
















この後めちゃくちゃ勉強した(仮)



(まず『固定』を解かないとな)

 

「解除。」

 

体からふっと何かが消えていく。

 

「何したか分かんねえけど行くぞ!オラアア!」

 

解除を唱えてすぐ、悪鬼が狙ってきたのは先程攻撃を当てた腹のようだ。

 

「同じとこ狙ってくれるとか良心的だな!それ!お返しだっ!」

 

拳を無理やり屈んで避け、そのまま跳び悪鬼の顎に拳を打つ。

攻撃を受けても悪鬼は怯まず、俺の腕を掴み一度俺を地面から浮かせ俺で地面を叩いた。

 

(逃げ出したいけど掴む力が強すぎて抜けねえ!固定を解除しただけでボコられんのかよ!)

 

「さっきまでの動きはどうした!弱すぎねえか?」

 

それっ!と言いながら悪鬼に投げられる。勢いを消すことができずにそのまま

 

地面に叩きつけられ一回転。壁に激突。反応した壁が甦りを発動させて壁が光る。

 

「まず一回!もらったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

(強すぎ。何雄叫び上げてんだよ!恐っ!)

 

この後も悪鬼にボコられ続けた。自分から仕掛けれても馬鹿力で逆転される。

いやー、能力ないと戦えない自分。悔しすぎる。

 

まあ、結果は分かるだろうけど

 

 

ZA☆N☆PA☆I

 

 

 

「何してるんだ」

「壁を消してる」

「そうか。にしても、手を抜くなんてひどくないか?こっちは割と本気だったんだけどな」

「手を抜くなんてアホなことするか!...俺が弱かっただけだよ」

 

うん、能力使えなくなった時のためにちゃんと対策しないとな。

 

「あれだけの大群蹴散らせてたやつが弱いわけ無いだろう」

「いや、実はな」

 

悪鬼には俺のこと。というか俺の力について話した。

反応はなし。へぇ、で?みたいな感じ。

ま理由としては妖狐と天狗にあるらしい。

 

「能力がないと戦えないってのはきついな。」

「依存に近い状態だったからなおさらな。やっぱ体も鍛えるべきだな。」

 

軽く話した後、放心状態になってる天狗と妖狐を起こしに行った。

 

 

化け物すぎんだろお前ら!と口調が変わってる天狗はしばいといた。

ただ俺がボコられてるだけの絵を見てよくそんなことが言える。

1秒に10発の拳が来たら9回避けて1回かすったという初心者な動きだったのに...。

バカにされた気分だ。

 

でも、こんな風に馬鹿騒ぎするのも悪くはない。

中々楽しいものだ。

 

____________________________________

 

 

「それでは今ここに私ツクヨミは作戦の決行を宣言する!」

 

この一言で皆が、いや。約一名を除き喜ぶ。

なぜなら安全な月への移住が決定し、なおかつ

 

 

妖怪たちが消されるという未来が約束されたからだ。

 

内容としては、私達の作り上げた最高傑作の兵器。核。

これを使い地球に残る我々の技術と妖怪すべてを一気に葬り去る。

この核はたまたまある研究者が見つけた反応をさらに強力にしたものらしい。どうでもいいが。

それよりも今は月へ向かう支度をせねば。

 

 

「それでは諸君。次は方舟で会おう。」

 

民を救うために友を捨て恩人の心も傷つける。

非情だとか、最低だなんて言葉は知らない。

友は強い。恐ろしいくらい。

恩人は、友がそのことに耐えるのであれば自分も耐えてみせるだろう。

彼と並ぼうと努力しているからよく分かる。

だから、大丈夫。と自分に言い聞かせなければ心がひどく痛む。

 

計画を止めればいい?

ダメなんだ。私を支えてきてくれた皆を、穢れで失いたくない。

欲張りな私は、失うことを恐ろしく思った。

そして失うことになり、今、傷つく。

 

(どれが正しいかなんてわからない。)

 

言葉は新参者。妖怪か自分たちかしかいないと考えていた彼らはそれ故に彼を恐れた。

ただ月に逃げるといえば、自分たちのしてきたことが消え無駄になるから拒む。

でも、あの強大な力を持つ彼を使えば、彼らは命が惜しいため月へ逃げてくれる。

 

全く面倒なことだ。

 

穢れではびくともしなかったのに言葉の事になればすぐさま逃げる。

 

本当に面倒だ。

私にこんな選択をさせるなんて、そちらのほうが非情だ。

 

 

神は独り、悩み苦しんでいた。

 

_________________________

 

「おい俺達戦ってたはずだよな?何で都市に戻ってるんだ?」

「言葉さんがいないぞ、どこいった?」

「外見てみろ!もう日が暮れそうだぜ!」

 

 

仲間たちは一斉に騒ぎ出す。今起きている現象に戸惑っているもの。興奮してるもの。

少し恐怖しているもの。

しかし皆知らない。彼が自分たちを救うためにその身を使ったことを。

 

(言葉...無事だろうか...)

 

 

妖怪の大群が身を消してからの記憶がない。

最後に残っている確かな記憶は、心の中に溢れる『撤退』という文字。

恐らく彼が私に能力を使ったのだろう。

 

「悪鬼と戦っているのなら早く向かわなくては」

 

すぐに支度をして都市から出るために門の前まで来た。

 

出てはいけない。

心がそう話しかけてくる。うるさいくらいに。

友が危険な目にあっているんだ、行かなくては。

ーーー彼は強い。私が行かなくとも帰ってくる。

悪鬼の力は未知数。もしもがあったら。

ーーー彼の力もまた未知数。自分で何とかできる。

違う。私はそんなことを思いたいのでは...っ!

 

ーーー私は何を思いたい。ここを守るだけでいいのに。

違う。私は、ここも守りたい。だけど...っ!

ーーーなら守ればいい。

違う。私は、

 

私は彼を守りたい。自分自身の力で。

たとえ彼が強く、自分ですべてを解決することができても、この行動がいかに非効率でも。

 

 

私は彼と戦う。邪魔なこの『守る』心などいらない。

私は彼のそばで戦う。

 

そのとき自分の心から何かが離れていった。

 

「また、面倒なものを付けられたな」

 

さて、今頃独りでいる彼のもとに向かわなければ。

門を飛び出し剣を出す。それはとても大きく自分が乗れるくらいの大きさだった。

いわゆる大剣というやつだ。

 

「全速力。突き進め!」

 

大剣に乗りながら宙を駆ける。

目指す場所は友のそば。

 

_________________________________________

 

 

「あ、能力破られた」

「なんだ。破られて何か悪いことでもあんのか?」

 

悪鬼、天狗、妖狐と酒を飲みながら駄弁っている現在。

刀華につけてた『守る』が消えた。多分何か強い決心をしたのだろう。

もう平和なのに何を決心したのやら。

 

「いや、それは無いんだけど。今から客人が来る。俺の友達だ。」

「お前みたいな化け物にも友達なんてできるんだな、カカッ」

「天狗、お前捌くぞ」

 

軽く神力を当てる。

 

「じょ、冗談だって」

 

ここで何故かみんな笑い出す。酒の力ってすげえな。

 

あ、そういや妖狐と天狗の能力聞いた。

これが化け物級に強かった。

 

妖狐。純化。

簡単に説明すると色んな物質の混ざった液体からその中の一つの物質を純度最大で取り出せる。

これが戦いに応用されるととんでもない。俺の能力も何故か無効化されたし。

 

で、天狗は流れを作る。

この能力、攻撃やら術やらの向かう方向を変えれる。相手の攻撃を相手に流すみたいな。

なんで戦ってた時使わなかったのかは謎だけど。

 

てな感じで二人とも俺の能力は効かない。以上。

 

「おい、何かこっちに向かってきてるぞ」

 

悪鬼が指を指し教えてくれるが、見えん。

 

「悪鬼様何も見えませんけど。周り木だらけで。」

「視界を純化すれば?」

 

視界に入る不純物を除けば対象だけ見れるしな。

 

「あ、なるほど。...でも見えませんよ?」

「あ、そういうことか。悪鬼視力めっちゃ良くなってるだろ?」

「なってるぞ」

「だったら見えるわけ無いな。気長に待とう。」

 

その後大変な事になるなんて誰も思わないだろう。

 

「そういや、壁の不思議な力。結局一つしか使わなかったな」

「お前が強すぎたからだよ」

 

_______________________________




キャラの能力については説明回を作って明確な情報を載せますね。
ツクヨミさんは欲張りなので皆助けたかったんですね。いい子だわぁ。


そして!なんと!なんとですね!

第一章  〜言葉の意味〜

が! 終了まであと3話となりました!

そのうち1話は二章への導入なんですけどね。
あと、章分けしてるんですけども、章自体が増えてめんどいことになりますんで、把握おねがいします。
そこらへんもまた説明回で詳しく明記します。


また第22話は10月末から11月中旬の間に投稿します。
それではまた次回で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22. 再始

お久しぶりです。
進路のこととテストが重なって時間が取れなかったです(泣)
それに久しぶりに書いたからか全然文字数が...。
でも内容は良かったですよ。自分で書いといてなんですけれど。
では!22話をどうぞ!


第二十二話

 

眼前には林。その奥に強い力を感じる。

持っている刀すべてを操りその場所へ一直線に向かっていく。

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

友を救うために全力で刀をふるう。

 

「言葉を返せぇぇぇ「うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

ドォン...

 

____________________________________  

 

 

 

「天狗、やり過ぎだ」

「こいつが弱いだけだよ悪鬼、カカッ」

 

目の前には地面に顔を突っ込んで微動だにしない刀華。

 

何があったかって?何か勘違いしてた刀華が刀振り回しながら突っ込んできました。

それを天狗がはたき落としました。びっくりしたわぁ...

 

ま、俺が原因なんだけどね!

 

「んじゃ今から起こすけど、暴れ始めるかもしれないし、気をつけて」

 

刀華を引き抜いて仰向けに寝かす。

額に手を当てて一言。の前に。

 

「音を『収縮』。『行き先』は意識。」

「おきr「うあああああああああああああ」

 

予想以上に驚いてくれた。

 

「おはよう刀華」

「おはようじゃないですよ!なんですか今の!」

「意識に直接語りかけた」

 

自分でも思うけど、エグい。

 

「言葉は意外と下衆だな」

「悪鬼はよく心を読むなぁ」

 

まあ、何やかんやあった後。

 

「私は妖怪の生まれた過程が気になりますね」

「それは俺も同じだ。悪鬼は何か知ってるのか?」

 

妖と似ているが、違う何かを持っている。

悪鬼たちはそんな雰囲気の妖怪だ。

 

「ああ、そりゃあな。天狗も妖狐も知ってるぜ」

「何故あなた方3人は妖怪の起源を知ってるのですか?」

 

 

「カカッ何故かって?それはな...」

 

「私達がですね...」

 

「現妖怪の原祖だからな」

「現妖怪?」

  

現妖怪ってことは旧妖怪がいたってことか?

でも妖怪の前には妖しか存在しなかったんじゃ...

 

「まあ『知能を持ち始めた妖怪』ってことだよ」

 

妖から妖怪への進化も同じ感じなんだよな。

 

「妖から妖怪になった際、既に知能はあったのでは?」

「そこのあたりは長いんだよ。また別の機会に教えてやる。」

 

((ぬうぅ...しぃ...))

 

あ、忘れてた。どれくらい置いてけぼりにしてたんだろ...。

 

「じゃあ俺の話をしようか」

 

なんとか機嫌取らないと。

 

「あなたからの話は珍しいですね」

「妖狐がいないとこでは結構してるんだけどな」

「じゃあ紹介しよう」

 

(乱華、発果。いきなりだけど外出れるか?)

(行けるよ)(もっちろん!)

 

何か二人でこそこそと相談した後、俺に合図してきた。

 

「俺の中の住人。発果と乱華だよ!『顕現』」

 

「どうも!発現の力を持つ発果です!よろしく!」

「やっほー!言葉の神力乱華です!よろしくね!」

 

どうやら相談していたのは自己紹介みたいだ。

 

「どっちも言葉に似てるな、カカッ」

「小さい言葉と、清々しい言葉?」

「清々しい方は雰囲気以外そのまま言葉ですね」

 

発果は分かるけど乱華はそれほど似てないと思う。

いや、意外と似てる?

 

「でもさぁ主ぃ?僕達ほったらかしにしてたよねぇ?」

「僕ら暇してたのになぁ。また閉じ込めるよ?」

「ごめんなさい」

 

 

監禁は勘弁して欲しいです...。

 

 

「複雑だな」

「だな」

「「ですね」」

「別にそういうことじゃないからな!」

 

 

全員が笑い始めた時、その場にギィという重い金属音と共に共に都市の方から巨大な船が現れる。

真っ白な体を空に向けゆっくりと進んで行くその船が何のためのものか今この時には分からなかった。

 

_____________________________________

 

「軍の皆さんは奥の方へ詰めてください!」

 

案内係が民を所属別に分けてそれぞれの席へ誘導していく。

 

ここは『方舟』の中。月へ向かう救いのための船。

もう月が昇り切るため皆急いでいる。

 

(最後まで反対していたけど、永琳も乗ってくれた...。)

 

会議で宣言した後、永琳は私室に飛び込んできた。

そしてなぜ彼を見捨てるのかと訴えてきた。

子供のように泣きじゃくりながら。

まるであの時の私のように...。

 

全員の搭乗が終わったのか案内係の大きな声もなくなり周りからは話し声しか聞こえなくなってきた。

 

『全員の搭乗が完了致しました。皆様は腰の辺りにあるレバーを下ろして待機してください。』

 

アナウンスが鳴り響く。このレバーは飛行の際の衝撃で体が動かないようにする簡易的な呪いをかけてくれる。

私の目の前に永琳。そして互いの横には空席が一つずつ。

 

(刀華も乗り込んでいないか...)

 

片方は言葉のものであるが、使われることはないものだった。

しかし、刀華の席は違う。月で暮らしていく中でも警戒は必須である。

警戒のための軍をまとめているのは刀華であり、彼がいないのはそこそこの痛手である。

 

『それでは出航いたします。』

 

これで後戻りはできなくなった。

 

船は仕舞われていた格納庫の天井が開くと、ギィと音を立てて宙へ浮きだした。

 

目指すは月。

 

(言葉...お願いだから恨まないでね...)

 

友へ残す言葉はなかった。残ったのは心に残る悪だけ。

 

出航の成功で喜ぶ者はたくさんいた。ただ悲しむものが1人。

永琳は静かに涙を流す。

 

 

____________________________________

 

「あれは何だ?」

「月へ向かう船ですね。私達を乗せずに飛び立っていくようですが」

 

先程の船は月へ向かっていることはすぐに分かった。

何故かって?能力かけた板を使って作られたからね。

 

「月へ向かうってどういうことだ?」

「穢れから逃げるためらしい」

 

でも何故俺らを置いていくのかは分からない。

船はもうかなり進んでおり、小さく見えてきた。

 

すると遺された都市の方から細長い筒状のものが打ち出された。

 

「都市の奴らは何をしたいのか全く分からねぇな、カカッ」

「全くそのとおりだよ!」

「それよりもさ、あれみてみなよ」

 

発果の指差す方に皆の視線が行く。

さっき船の後に飛んだ物体が空から降ってきている。

流石に危険だ。

 

(能力使うか)

「飛来する物体を『対象』とし、『解析』」

「どうだった?」

「核。爆発と共に周囲を焼きつくすらしい。」

 

爆発まで残り二分。

 

「全員自分なりの最強の防御を貼れ」

「了解。でも焼きつくすくらいなら何もそこまでしなくていいんじゃないか?」

「悪鬼、あれはすべて焼き消すらしいぞ」

「それが本当ならやるさ」

 

悪鬼たちはそれぞれ妖力を使い自身を覆う盾を作った。

 

「それじゃあ発果、乱華こっちに来て」

「はいはい」

「よろしくね主」

 

盾などを分ける理由は一つ。範囲が広いと能力がかかるのに時間がかかるからだ。

 

「『守護』『展開』」

 

神力に能力を持たせた。

自分らを覆うためだんだん暗くなってくる。

 

(落ち着いたら起きるか)

 

盾に覆われていくと共に眠りが深くなっていった。

 

_________________________________

 




後2話ですねぇ(白目)
頑張っていきますね!
次回は11月末辺りです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

23、彼らが神である。

一月遅れ...申し訳ございません。

こんなんばっかだから見る人が減る(泣)

ちゃんと時間取れるように頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。


目を覚ませ。

 

そう聞こえた。3つの命のみが存在する空間で。

3つの命が奏でることのない音で言の葉を紡いだ。

その音は紡いだ通り自分らを意識の底から現実へと引き上げる。

 

_______________________________

 

いつの間にか消えていたらしい盾。しかしそこには少しの神力が残っていた。

それらは主の目覚めを確認したからかどうかは分からないが、認識した後に空へと上っていく。

発果と乱華も目を覚ます。その目に映る感情は読めない。

それだけでなく自分の内から溢れ出るこの感情のせいで何も見えそうにない。

 

月へと飛び立った方舟。

置土産にと方舟にいる民から送られたのは、

 

残していく者へのせめてもの助けではなく

 

何も遺さないための滅びだった。

 

「何も残らなかったね、主」

「こんなの、、」

 

「ひどくはないさ。あのとき守ろうと思わなかった俺が悪い。」

 

目の前に広がるは抉られた地面。焼け消えた跡しか無い林。

そこから何もかもが消えた。そこから。

能力を使って見つけた近く生命体は、悪鬼ら3人と、発果、乱華のみ。

 

「悪鬼たちも起こしてやろう。寝たままはキツイだろう。」

 

核が爆発した際、すべての衝撃を消せたわけではないのだろう。

残った衝撃が脳にも届き意識を飛ばされたのか、悪鬼たちは妖力の盾が消え、光があたっても起きなかった。

 

「意識がないみたいだね。どうするの?」

 

起こそうと言ったが、意識を失っているのなら少し工夫しないと。

 

“奥底に眠る力は自らを宿す者を癒し育てる光の種なり。目覚めその者を照らし給え”

 

悪鬼たちの体から強い力の鼓動と共に光が溢れ出す。

 

「こうしておけば目が覚めて体に違和感が残ることはないだろ」

「起きるまで待たなくていいのか、主?」

 

発果の言うように待ちたい気持ちもあるが。

 

「戻らないと行けないところができたんだ」

 

核が及ぼした被害を交換しないといけない。

 

「此世界の家?」

「知ってるのか?教えたこと無いはずなんだけどな...」

 

発果はなぜか俺の行き先を言い当てた。

 

「心に住んでるから記憶くらい覗けるんだよねー」

 

乱華が困る俺に理由を教えてくれる。心に住まれると記憶まで除かれるのか...。不便だ。

 

「それはまた対策するとして、行こうか」

「どうやって行くの?ここからじゃ見ることができないよ?」

 

乱華は記憶を覗いて、此世界の家がある場所みたのだろう。

 

「認識不可能の空間だからな。此世界以外には」

 

俺には見える。

 

「じゃあ飛ぶぞ」

 

乱華と発果を両手に抱え、家へと飛ぶ。

 

________________________________

 

此世界宅にて

 

「時雨姉様、どうします?」

「どうするって私達は何もできないわよ...」

「運命と人命だけがどうにかできる状態だねー」

 

世界を管理する彼女らにも被害はあった。

地球に大きな変化が起きた場合。その事象のせいで歪んだものは2つ。

人命の司る生命体どうしの関係。一部の妖怪が消滅したため力のバランスがとれなくなっていた。

運命の司る運命。影響が大きい事象が起きたため制御していた運命の力の効力を超えて、世界の運命が大きく道を外れてしまった。

 

人命は力の調節。運命は軌道修正を行っている。

私達は世界に大きな力を使う際、意識を今いる場所から世界全てに拡散させて力を伝達している。

理由としてはこっちの方がやりやすいから。

そのため人命と運命は反応していない

 

「あれ?家に誰か近づいてきたよ?どうする?」

「ここに来れるのはさっきの船と言葉くらいよ。船は月へ向かったし...」

「来るのは言葉兄ぃ?」

 

世界が名を呼ぶと同時に彼が帰ってきた。

 

「ただいま、皆」

 

「「「おかえり!言葉!」」」

 

非常事態だからこそ彼がここにいるというのはとても安心できる。

まあ、それよりも久しぶりに会えた嬉しさのほうが嬉しいけど。

 

___________________________________________

 

「こっちの状況はどうなってるの?」

 

帰ってきた我が家では運命と人命が壁にもたれかかるようにして眠っている。

少し不自然な力の漏れ方もしているため不安になる。

あ、乱華と発果は一瞬でこっちに来るとき邪魔だったから心に戻したよ。

置いてけぼりにはしてないよ。

 

「さっき地球で起きた爆発のせいで管理できなくなってるの」

 

あれ、時雨めっちゃしゃべり方大人なんだけど。十数年くらいかな?変わりすぎ...

っていうかそれよりも

 

「空間には何もなかったのか?何かあって欲しい訳じゃないけど」

 

爆発の際多少の歪みが発生したと思うんだけど...

 

「それなら大丈夫!空間(くうかん)を細断して歪みを更に歪ませて...」

 

あれ、空間も何か変わってる。めっちゃ賢くなってる。なにこれ。

 

「...で!歪みを封じ込めたんだよ!」

 

あの場面から連ねられた専門用語の文は数分の時を奪っていった。

長い。

 

「そうか、ありがとうな」

 

さっきの説明はさておき、歪みを抑えてくれたのはありがたい。

 

(さてと、そろそろ)

 

「そろそろ俺も仕事しなくちゃな」

 

地球にいた自分も確かに今と同じ神だった。

しかし、ここと地球では神の在り方が違うのだ。

下に信者を従える神ではない。

 

常に上に立ち続け管理し続けてきたのがここの神。

 

出張したら管理を崩された。積み上げた少しの努力を崩された。

頑張る家族の邪魔をしたのだ。

 

目にウツル感情は、自らを裏切った神への少しの怒り。ただそれだけ。

正直あの時間は楽しかった。

自らの力とは違う、新たな力を見たり

自らの力をさらに知れたり

良い経験ができた。でも

 

その一瞬の時を壊されたのだ。仕方ない。

 

 

 

これからの仕事について心残りはない。またやり直せばいい。

間違えたところだけを。

 

 

 

そして、間違えた者にはそれ相応の罰を与えてやればいい。

 

 

 




短いですけどこれにて第一章終了です!
次回は二章のプロローグです!

言葉の性格や考えがよく出てくる言葉回みたいなのです。
二章は少なく長く。
話数を少なく、文章長くを目指していきます!

そして!二章の題ですけども!




〜神ハ悩ミ出会イ知リ考エ願イ廻ル〜


です!

次回投稿は年明けの3日の内にあげます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2章〜神ハ悩ミ出会イ知リ考エ願イ廻ル〜
24.束の間の休息


新年あけましておめでとうございます!
今年も引き続き東方深意伝と私。頑張っていきますので応援よろしくお願いします!



一応2章プロローグです!


 

地球のバランスが崩れて約数年。この世界では様々な変化が起きた。

 

まず、月の暴走。

此世界達が世界の調整を行ってる際に月から放たれていた力『魔力』が暴発し、この世の中全体に強い魔力の圧がかかった状態になった。これによりもう1つ、問題が起きた。

 

地球の大気中に浮いていた素が魔力に押し固められ地中に侵入したのだ。

侵入した『妖力』『霊力』『神力』はこの順に量が多く、これらは押し固められると同時に互いに魔力の強い圧により混ざり合い力の脈を作り上げた。これも次の変化を引き起こした。これが世界最大の変化。

 

 

神が望まれなくとも生まれるようになった。

 

力の脈は力の塊である。その中にある神力が生きる者の側に在るため、少ない願いや小さな想いもくみ取り、神として具現化しやすくなってしまった。

このため地上では神々がたくさん生まれ、神が力を振るい生命が誕生するという事態が発生している。

 

そう、人が神を望んで生み出すのではなく神が人を生み出すようになった。

これにより信仰を受けやすくなったのだが、力のない神は人を生み出せず、力の強い神に戦いを挑む。挑む理由は信仰。信仰を取り合うという事態も起きている。

 

 

中々に面倒くさいことになってしまった。

これらを能力で元に戻そうとしたが、代償が大きく実行には移せそうにはなかった。細かく分けて直そうとしても、すぐに元通りになる。

どうやら事が大きくなりすぎると、少し直せば他の部分に釣られて元に戻るらしい。

 

以上。此世界家の記録より引用。

 

 

___________________________

 

月の暴走の後、この世界には神が何百、何千、何万。いや何百万と生まれた。

何故そうなったかは分かっても正すことはできなかった。

しかし、諦めがつくと運命や人命の意識もここへ戻ってきて、皆の仕事はまた管理だけになった。嬉しいことだ。仕事が無いというのは。

 

仕事がなくなったということは暇ができたと同じ。

しかし、未だにその暇を潰す手段を考えている途中なのだ。

つまり

 

「暇だなぁ」

 

そう、暇だ。

前まではかまってくれとわいわい寄ってきてた空間や世界も飽きたのか、

乱華と発果の方に行ってしまった。ちなみに二人は仕事をする際に紹介した。

中々の好印象だったようだ。

 

(暇だ暇だと言いながらも能力をちゃんと使えるよう研究してる俺。癖が残ってるなぁ)

 

「飛翔」フワッ

 

あまり力まずとも能力が行使できるようになった。

そのためか疲労までの感覚も長くなっていた。

 

「神力展開」

 

しかし、ずっと能力を使っていたからか、口に出さないと落ち着かないという謎の枷もついた。

 

「終了」

 

これで能力による効果を終了させる。

俺の能力ってほぼ永続的に残るから終わらせとかないと面倒になる。

 

以上、能力研究による現状の報告でした。いや誰に向けてだよ。

 

「ねぇ言葉兄ぃ」

「ん?どうした世界」

「ちょっと管理室来てくれない?」

「了解」

 

管理室は此世界家の皆の力を使い作った場所。

管理室には皆の能力を擬似的に発動させてあり、ある程度管理を負担してもらってる。

しかも、世界の能力で、世界すべてをいつでも覗けるので管理しやすい。

 

「初めから作っておけばよかったかもな」

「ですね。でも予測していない事態に数年で対処して、なおかつ世界を管理しやすくしたんですよ?すごいじゃないですか、言葉兄ぃは」

「俺だけの力じゃないの知ってるだろ?オラオラ」ナデナデ

「っもう!急に撫でないでください!」ナデナデサレテル

 

廊下を世界と一緒に雑談しながら進んでいく。

管理室は家の離れにあるもう一つの棟にあるから遠い。

 

「あ、そういえば管理室に何かあったのか?」ナデナデヤメル

「あ...ぅぅ。近頃神々同士での争いで面倒なことが起きていてですね...」

 

(少し残念がってる世界可愛いんだけど)

 

「面倒事?勝ち続けて力をつけ過ぎた奴がいるのか?」

「似たような感じです。ただ一つじゃなく2つ出来ていまして...」

 

(2つ、先導者は二人ってことだよな。あ、もしかしたら)

 

「そいつらが戦争を起こしそうだと」

「そうなんです!でも、ただの争いならまだしも...」

「能力が強力だから安心できないと」

「言葉兄ぃ、心読んでる?」

 

どうやら当たりのようだ。

 

「読んでないよ。その二人、前から目をつけてた奴らだし」

「だから分かったんですか?」

「そんなとこ、着いたぞ」

 

目の前には金属製の壁。

俺の能力でちゃんと扉としての役割は与えてある。

 

『開け、統べる神より命を下す』

 

この詠唱を此世界の人が唱えると開くという画期的な装置。最高でしょ。

 

「言葉兄ぃ、自惚れてないで早く入るよ」

「自惚れてないよ、それに急がなくても大丈夫だから」

 

管理室には椅子が円の上に置いた様に部屋の中央に並べられているだけ。

運命と人命が言うには、これが一番やりやすいんだと。

椅子の背もたれと尻の部分には柔らかい素材を敷き詰めた体に負荷をかけない仕様を施してある。

なんでも、

 

「意識を飛ばすときに硬い物の上で眠るとお尻が痛い」とさ。

これ作るのに何度要求され作りなおしての流れを繰り返したことか。能力使ったら人命に

「嫌です!柔らかいのがいいんです!」って涙目で怒られるし。散々だったよ。

それにこの内s

 

パンッ

 

「考え事やめ!」

「ありがとう世界、戻ってこれた」

 

俺はこの数年で考え始めたり回想しているとそこから抜け出せなくなってしまうくらい没頭してしまうようになっていた。

 

(なんでだろうな...)

 

「それじゃあ位置座標開くよ」

 

世界が円の中心に手をかざし管理系統を起動させる。

軽快な音を鳴らしながらその位置から光が走りだし長方形の画面を俺と世界の前に描き出す。

 

「位置はここ」

 

画面に触れると同時に1人の少女と女性が映しだされる。

どうやら二箇所同時に写しているらしい。

 

「島の丁度中央あたり、二人は東西をそれぞれ従えてる」

 

二人の映像を右に寄せ、地図を出す。

 

「湖を挟んでるのか」

「そう、でも何でかな?」

「ここの区域だけ集団が争い合うのかって?」

 

ここだけだもんな、信仰取り合うの。

 

「うん、だって他の神々はそれぞれの信者を大事にしてるから」

「ここは狭いからな、それに地脈が強く走ってるから人に対する神の数が多いんだ」

「なるほどね、で、どうするの?」

 

(正直、このまま争って数を減らしてくれればいいんだけど)

 

「どうせまた増えるんだろ?ならどうしようか」

「姉様や発果さん、乱華も呼びます?」

「いや、いい。それと世界も戻っていいよ、ちょっと考えるし。」

 

(こんなことで皆を集めるのは違うだろう)

 

「...。長くならないようにしてくださいね」

 

そういって世界は部屋の外へ行った。

 

「さてと、始めるか...」

 

まず、第一に解決したいこと。

強力な能力による戦いでの被害をなくす。

2つ目、神の大量発生の抑止を少しでもいいので成功させたい。

共通点。

神の大量発生による事案。神を殺そうがまた生まれてくるので殺すのは却下。

そうなれば...

 

 

 

色々と考えては悩んである1つの考えが浮かんだ。

 

「統合させちゃえば後はなんとでもなるか...」

 

10分ほどで終わった無駄な思考。

でも得られたものはそこそこのものだ。

 

「...。また地球に行くか」

 

とりあえずの予定を作り、また皆のいる本棟へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして神はまた地へ降りる




説明多いけどここは説明回じゃない...。
思ったように、文字数が伸びないので次回投稿少し遅らせるかもです。

それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25,祟り神と軍神

お久しぶりでございます。
1月に投稿してから私立公立と入試が並び、さらに自分にやる気が湧いてこなくてこんなに伸びてしまいました。

前回調子乗って文字数伸ばすなんて言いましたがこの話少しずつペースアップして増やしていきます。歪みまくる目標やら活動方針ですがよろしくお願いします。


 

みんながよく集まる部屋に来てみたけど人命と運命の姿は見えなかった。

恐らく管理室に行ったのだろう、別通路使ったからかすれ違ったようだ。

 

ここにいるやつだけにでも伝えておこう。

 

 

 

 

 

「地球に行くんですか?」

「もしかして神を従わせに行くの?それとも制圧ー?」

 

「こらまて空間、俺は侵略者じゃないんだよ。それより何で神関連だって分かるんだよ」

「だって今地球で起こってる言葉の興味持ちそうな事はそれしかないんだもーん」

 

そんなに今の地球はつまらないのかよ、地脈の変化とか各力の素の地域ごとの割合とか他にも興味持てるのはたくさんあるのに...

 

「ま、そういうことで地球に行ってくる。これ運命と人命にも伝えといてくれ」

「それはいいんだけど、ちゃんと連絡とってよね!」

 

前に全く連絡してなかったからな、やっぱ寂しいよな。連絡してない本人が何を言ってるんだって話だよ誰だよそれ俺だったよ...

 

「ああ、こまめに話せるように気をつけるよ」

「ふわぁ...言葉兄ぃいってらっしゃい。私もう寝なきゃ...」

「ああ、いってくるよ、おやすみ世界」

「おやすみ世界」

「おやすみ姉様達、言葉兄ぃ...」

 

俺がここに帰ってきてから世界はよく眠るようになったらしい。その原因は俺が帰ってきたことよりももっと違うところにあるらしいが。

 

「さて、いってくるか」

「いってらっしゃい、言葉」

「ああ、それじゃまたな」

 

目を閉じて島を思い浮かべる。神の争う、その島を。

 

『想像への跳躍』

 

だんだんと体の感覚がかすれていく。

 

『現実への昇華』

 

唱えた瞬間に体を誰かに遠く遠くへ投げられる感覚がおそう。

そっと目を開けると想像した光景が目の前に広がっていた。

 

(よし、ちゃんと作動するようだな)

 

練習中に思いついた能力の新しい使い方を試してみたがうまくいった。

案外無茶ができるもんだな、この能力。

 

「とりあえず湖に下りるか。分解。」

 

落下の際たまった勢いを散らしてゆっくりと湖のほとりに着地した。

 

「さてと、どっちの集まりにいこうか」

 

ここはちょうど東西の勢力を分ける位置にある。

といっても島の中央ではない。島の地形をころころ変えてた荒れた神がいたからなぁ。

 

さて、

東に軍神、西に祟り神。

 

正直祟られる方が恐いからそっちに行って身の安全を確保するか。

いや、俺だって怖いもんは怖いよ?いくらつおいと言ってもね、怖いよ?

 

「ただの臆病者かよ、もういい行くか」

 

独り言をぶつぶつと吐きながら西へ西へと歩いてく。

祟り神についてはある程度知ってるが、詳しくはしらない。

 

中々に楽しみだ。

 

______________________________

 

 

「また変な使い方みつけちゃったの...変なことしないって約束したのにぃ!」

 

言葉の移動の衝撃波で服が破けた時雨。

 

「地球に行きたすぎて僕達のことも忘れてるしね」

 

目に涙を浮かべる発果。

 

「結構ひどいよこれ、また僕の部屋に閉じ込めなきゃ...」

 

目に光の映っていない乱華。

 

 

苦悩の種は中々潰れ切らない。

 

 

「空間はちゃんと能力で防いだよ〜」

 

 

________________________________

 

 

湖近くの森を抜けると木材で作った柵が遠くに見える。あの辺りが祟り神が治める一国。中々しっかりとした物を作っている。

 

「さすがは大勢力だな」

 

なんて感心してると遠くからピリピリとした空気が伝ってくる。

 

...この距離で俺を感知できるのもさすがだな。

 

「といっても軍神との争いが控えてるから警戒が強いし当たり前か」

 

てか警戒されたままじゃ国にはいれないじゃん。

 

「力封じ」

 

これで力を感じ取られることはないな。よし行くか。

 

新たな出会いを求めて神は世界をマワル。

 

 

 

 

 




無事合格はしました。

他の受験生の皆様もお疲れ様です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26,右往左往

2ヶ月の遅刻。申し訳ないです。
新環境で色々としくじりました。

久しぶりの執筆はとても楽しかったです。
会話多目の珍しい回です。どうぞ。


「ちっくしょー!幻かよ!面倒な!」

先程見つけた柵の向こうには村があった。あったが誰もいなかったのだ。そこでおかしく思って村の中に入ろうとすると、なんとあっという間に

 

「村が消えるってどういうことだよ...」

 

で、現在に至る。

 

(まあ2大勢力が争うってのに小さな村なはずがないわな。しかし、俺達の管理装置もまだまだ甘いな。もっと作り込まないと)

 

他の神が作った幻影ごときに欺かれるなんてまだまだである。

 

「さてと、また別の道を探してみるか」

 

____________________________________________________________

 

 

あの後から、湖の近くの山道を歩いていると少しずつ整った道になってきた。

要はこの近辺は人が良く通るってことで、村がこの近くにあることを示していた。

 

しかし

 

 

「まだ国を囲う柵すら見えてないんだよな」

 

そう、村が近くにある“痕跡”はあれども、“痕跡”を残す国自体がないのだ。

力を使おうにも近くに村があるのでは危険なので自力で探すしかなさそうだ。

 

(にしても神々の争いがあったのに争いと跡が全くないな)

 

辺りは平穏な景色が広がるばかりで、何も争いなかったかのようだ。

周りに神力も無く、植物や小動物の霊力だけが満ちていた。

 

(ま、のんびりと探しにいきますか)

 

地球に着いた時に力を感じた方角に向け、言葉はのんびりと景色を楽しみながら歩みを進めていく。

 

湖に繋がる川は透き通り、心にゆとりを作るような穏やかな音を流し続け、木々たちは風に揺られながら川と共に心を落ち着けていく。

その側を上って行くのは心地がいい。

 

(とか思ってたら、まさかの手がかり発見)

 

山を登っていく途中、通り過ぎると体に妙な違和感を感じる場所があった。

その一点だけでなく、その場所から円を描くように周りにも同じような現象が起きる場所があった。

 

(結界の類いなのは間違いないが、何故ここまで結界に反応している物を放置してるんだ?)

 

明らかな異物であろう言葉を結界を作ったものは何の行動も起こさずに監視しているか、或いは気づかぬまま過ごしている状態だった。

 

(何にせよお目当ての場所だろうし、入らせてもらうよ)

 

体内に封をしてある力を少し絞りだし円の中心である場所にたつ。

 

「結界を壊すには許容量以上の力を叩き込むか、結界に異常を与えてやればいい。だったかな」

 

空間に与えてもらった結界の知識を生かし、対処する。

 

地に打ち込んだ神力が周りに円上の波紋を作る、ある程度広がると何かに触れた力が反応を起こし淡く光った。

 

(よし、これでいけるはず)

 

パリンパリンと音をたて、見えていなかった結界が形を表し崩れてきた。

すると周りには先程の木々はなく、見えてきたのは大量の武器を構えた人たちが並んでいた。

 

「やあ、君達はここの国の住人だね?少し話があってきたんだ」

 

と声を掛けるが、武器を俺に向けて構えたまま微動だにしない。警戒されてるってことは

 

(当たりだな)

 

「君達の信仰する神に用があるんだ、通してもらってもいいかい?」

 

「通すわけがなかろう、主と同じ力を持つ異人よ」

 

俺を囲う人の中から小柄な老人が寄って話しかけてきた。恐らく住人の長の位置にいる者だろう。しかし、何か臭う。

 

「やはり反応していたのはここの村だったんだね。しかも俺をちゃんと特定してるし、そこそこに大きい村だ。ここにいる神はかなりの力の持ち主だね」

 

「我らの主と異人を比べるなんて自惚れも甚だしい。」

老人は少し口調を荒げさせる。

 

「自惚れてなんかいないさ。僕は君達の神よりは強いよ」

 

「冗談であれば今止めるべきだぞ小僧」

老人は顔をしかめ俺を殺すような勢いで睨んできた。しかし、弱いな。

 

「ならそんな間抜けな格好しないで出てきてよ、諏訪の神」

 

「何のことかね、いい加減にしな「いい加減にしないと大和の国にこの場所を教えるよ?」...。」

 

「分かったよ、すまなかったね」

 

そういい老人は少女の姿に化けた、いや戻った。

言い合っていた老人は俺が目をつけていた二人の神の内の一人。諏訪の神。

 

「しかし、君にも非があることは分かってるよね?」

「ああ、申し訳ない。突然押し掛けてきてすまないね」

「まあいいよ。大きな事にはならなかったしね。あっちで話をしよう。君が何者か、ここを訪ねた用は何か、しっかりと聞かせてもらうよ」

「分かった、お邪魔させてもらうよ」

「君達も戻っていいよ、ありがうね」

 

諏訪の神がそういうと皆散り散りになっていく。

 

「彼らを悪い目では見ないでね。」

「そんなつもりはないさ。むしろあれほどの反応を見せたのに感心してるんだ」

「ふふっ、ありがとね」

 

結界が探知されてから破壊されるまでの時間はかなり短かったはず。そんな中的確に異物の位置を特定し包囲することができるのは中々の芸当だ。相当の訓練を積んでるだろう。

 

「ここの住人は国への愛が強いね。守ることにも生かしていくことにも懸命な努力をしてるのが伝わってくるよ」

「来てまだそれほど経ってないのに、何でそこまで言えるの?」

「住居、農地、矢倉、道。彼らの敵への対処。この辺りの丁寧さが教えてくれるんだよ。本当にすごい」

「自分が褒められてるわけじゃないのに、嬉しくなってくるよ」

 

隣を歩く神は少し照れている様子だった。

 

「これほどの広さの国なのに、しっかりと統治しているんだ。君もすごいよ」

「ありがとね。でもそれにはちゃんと種があるんだ。ここからは中で話そうか」

 

諏訪の神が立ち止まり指を指すのは、明らかに周りの家屋よりも立派な建物が堂々と建っていた。

 

「ここが私の社だよ。さあ上がって」

「ああ、お邪魔させてもらう」

 

中は卓とそれを挟むように置かれた座布団、火鉢の置いてある質素な和室だった。

 

「神って立場にすがりすぎるのも良くないからね、皆と同じ生活をするようにしてるんだ」

「なるほど、まあ色々と置いているのも邪魔になるからな。いいと思うぞ」

「ふふっ君は良くほめるね。それより、早く座って!」

 

楽しそうに微笑みながら彼女は自分の座ってないもう一つの座布団を指差す。

 

「っと。それで、まずは何から話せばいい?」

「まずは君が何故ここを見つけることができたのかってところかな」

「そうだな。山道を歩いているときに違和感を感じたので、調べてみると結界があった。ってところだ」

「で、結界を壊すと国が見えたってことね。じゃあもう1つ質問。君は何で結界を探知できたんだい?ここの結界は何年もかけて完璧に組み上げて、さらに力の跡を消した探知できるはずのない結界だよ?」

「それは...俺にも分からない。ただその場所がそうであるはずでないっていう感じがしたんだ。それが俺の持った違和感なんだ。正確には答えられないな...」

「分かったよ。さて、君はさっきの結界を壊せる程の力を持っている。でもね、君からは強い霊力を感じないんだ。結界を壊せる力どころか生きているのか分からないくらいに薄い霊力しか感じれない。それは何でかな?」

「君と会うときに持ってる力をそのままにしておくと色々と面倒なことになると思ったからね。まあ結局面倒にはなったんだけど」

「なるほどね~。後、君は私に用があるっていってたよね?」

「ああ、それについては少し長くなるがいいか?」

「もちろん。あ、何か飲み物を持ってこようか?毒は盛らないよ」

「そんな心配はしないさ、いただくよ。」

「はははっ、まあゆっくりしながら話してね!早苗ー!!お客様だよー!何か飲み物もってきてー!」

 

彼女は俺に慣れてきたのか段々神らしい態度からいつもの彼女であろう部分が少しづつ見えてきた。

見た目どおりの元気な少女だ。

 

「今飲み物をお持ちしました~。失礼します~」

 

入ってきたのは綺麗な緑色の髪をした女性だった。

 

「ありがと早苗!」

「どういたしまして。あ、初めまして私早苗と言います!諏訪子様のお手伝いをさせてもらってる者です!」

 

(へぇ、諏訪子って名前なのか。そういや知らなかったな)

 

「初めまして。俺は言葉(ことは)。ただの異人さ」

「いじん?とは...」

「彼が結界の件の犯人だよ、神の力をもつ人は異質だから異人って呼んだんだ。言葉って名前なんだね、これからはそう呼ばせてもらうよ!よろしくね!」

「え、ならこの方は危ない人なんじゃ...」

「大丈夫だよ、何かするならもう動いてるはずでしょ?」

「そ、そうですかぁ?あ、別に言葉さんのことを悪くいうつもりはなくてですね!」

「それはいいんだけど、落ち着こうか」

「は、はいっ!」

 

神の側に仕えるなんて、かなり信頼されているんだな。

何があったかは分からないが良いことだ。神は孤独になれば弱く信じるものがいれば強くなれる。彼女は諏訪子の支えになるだろう。

 

「じゃあ話を始めるよ。えっと諏訪子でいいかな?」

「うん!呼び方は好きなようにしてね!」

「分かった。まずここに来た一番のの理由は、君に大和の国と諏訪の国を統合してもらいたいからだ」

「君は大和の国の間者だったのかい?」

 

やはり怪しまれてしまうか。でも、敵意がないのはさっきまでの流れで何とか伝えられているはず。

 

「いいや、違うさ。どちらにも属することはないさ。ただそうしてもらわないと面倒だからね」

「その理由は?」

 

まだ表情を固くしたまま崩さない諏訪子。このまま進むと納得してくれる気配が無いんだが...。

 

「これは君たちの方がよく知っているだろう?神の大量発生と信者の略奪。そして領地の制圧」

「ああ、増え続ける神が信仰のための信者と領地を得るために争ってることだよね?」

 

自分達も同じようにしてきたから理解が早い。後は第三者からの情報を与えれば状況をちゃんと見てくれるだろう。

 

「ああ、このまま諏訪と大和が争い、片方が潰され信仰を吸収してもまた新たな神が信仰を集め争いを始める。同じ強さをもつ国が乱立すればこの島は人が住める場所ではなくなってしまうんだ。その理由は分かるかい?」

 

「...。そういうことね。神が初めから持つ生まれながらの威厳に影響されるから。さらに信仰によって膨れ上がるそれに人は耐えられないから。かな?」

 

「そういうことだ。そこで今この島の主な勢力になっている二つの国を統合し、大多数の信仰をそこに集めておけば大きな負担が人にかからなくなるってこと」

 

「なるほどね~。でもそれは無理かも知れないよ」

「何でかな?お互いに信仰を得られるんだしあっちも乗ってくれるんじゃないのか?」

「もう既に争う段階。つまり戦争状態に入ってるってこと。3日後にはこの島全体で戦争さ。この国を隠してるのは大和に先討ちされないためなんだ」

 

(既に面倒が起こってたのか、はぁ。とりあえずこの島を落ち着けるために頑張るか)

 

「なるほど。もう始まっていたのか。仕方ない。それでも国を隠すのも偽物の村を作るのも戦争のためだったのか」

「そっちにかかったのも言葉だったのか...。大和の誰かが引っ掛かったと思ったんだけどなぁ」

「焦らせてしまったみたいだな、すまない」

「大丈夫だよ、今は何も起こってないしね。良かったよ」

 

諏訪の神との交渉は初めから無意味ではあったが仲をそれなりに良いものにできたのは幸先が良くて何よりだ。

 

これから酒の席を用意してくれるらしい。新しく文明が入れ替わっても酒は出てくるんだな。何気に万能だ。

 

「お、月が昇りきったね」

「ほんとおだぁ~きれぇ~」

「ですね~」ッテスワコサマ,ノミスギデスヨ!

 

交渉が終わってから互いのことについて少しずつ語りながら呑んでいた。

かなり時間を流していたようで、気づけば綺麗な月夜になっていた。

 

 

 

 

 

誰かが忌まわしく思おうとも、月はその思いに気づかぬまま恨めしいくらいに綺麗な世界をつくりだす。

 

 

(いつかあっちも片付けないとな)

 

 

 

神は古き時間を悩み

新たな時間に巡り会い

また異なる時間を刻む

 

 




みなさんも急な運動で体を痛めないようにしてくださいね...。

一応Twitterのアカウント作りました。状況報告や執筆状態を載せます。フォローがくれば稼働させますね。
名前は執筆名と同じです。


ここまで読まれたかた。お疲れ様です。また次回で。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。