俺ガイルクロスプロローグ&設定集 (まーぼう)
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魔法科高校のぼっち

「雪ノ下さん、今日一緒に帰りませんか!?」

「ごめんなさい、遠慮させてもらうわ」

「まぁそう言わずに!ほら、女の子もいるし、みんなで親睦を深めて……」

「日本語が通じないのかしら?私は行きたくないと言っているの」

 

 今日も今日とて、私に声をかけてくる者は後を断たない。私はそれらを全て無視して教室から抜け出し、一人ため息を吐いた。

 

 この第一高校はいわゆるエリート校だ。そこに通う生徒も、多かれ少なかれそういう意識を持っている。

 それは別に悪いことではない。

 エリート意識と言うと聞こえは悪いが、それは本質的には立場に恥じぬように振る舞おうという、誇りに通じる感情なのだ。だからそれ自体は決して悪いことではない。

 問題なのは、肝心の誇りというものを取り違えている者がやたらと多いということだ。

 第一高校は入学試験の成績によって一科生と二科生とに振り分けられる。つまり入学した時点で明確な格差が存在している。

 生徒の能力に合わせた教育を施す。

 それは理に敵ったことではあるのだが、一科生はそれを鼻にかけて二科生を蔑み、二科生もまた一科生を僻むばかりで自らを高める努力を放棄している。どちらも等しく愚かしい。

 先ほどの、毎日のように声をかけてくる連中はそうした勘違いしたエリートの典型で、首席合格者である私を自分のグループに引き入れることで発言力を増そうとしているのだろう。

 まあ、私の容姿に惹かれたという部分もあるのだろうけど、どちらにせよ願い下げだ。入学から一週間。そろそろ飽きてくれても良いと思うのだけど。

 

 

 

 

「こ、困ります!」

 

 帰りがけにそんな声が聞こえてきた。

 見れば四人の男子が一人の女生徒を取り囲んでいる。声はその、お団子頭の女生徒のものだ。

 

「困るも何も、ぶつかってきたのはそっちからだろ?」

「あーあー。新品の制服が台無しじゃん」

「だ、だからそれは弁償するって……!」

「いやだからさ、ちょっと付き合ってくれりゃ許すって言ってんじゃん」

 

 要するに、質の悪いナンパらしい。

 まあ恋愛は自由だし、表現方法は人それぞれ。何より私には関わりの無い相手だ。そう思って通りすぎようとした、のだが……

 

 

「グダグダ言ってねえでここっち来いよ!ウィードのくせに逆らってんじゃねえ!」

 

 

 ああ、これは駄目だ。

 そう思って彼らの方へ足を向ける。

 ウィードというのは二科生のことだ。

 この学校の制服は一科生と二科生とで違いがある。肩の部分に花の紋章が入っているか否かだ。このことから一科生は自らをブルームと呼び、二科生をウィードと蔑む傾向がある。

 これは校則で禁止されている事でもあるが、それ以上に私の機嫌を損ねた罪は重い。

 見たところ彼らも一年生だった。

 

 入学して高々一週間。

 たったそれだけの期間で、一科生と二科生にどれほどの差があるというのか。

 たまたま一科に振り分けられたというだけで、何故そうまで増長できるのか。

 結局この学校でも同じなのか。

 強い者は足を引かれ、弱い者は蹂躙され、ただ数の多い者達が幅を利かせる。

 強者というカテゴリーに属しているだけの人間が、実力も道理もわきまえずに横暴を貪り、弱者にカテゴライズされた者達は、ただ妬むだけでそこから脱却する努力をすることは無い。

 これまでと同じ。年齢が上がっても、場所が変わっても何も変わらない。

 この一週間で思い知らされた事実を改めて突き付けられて、少々自棄になっていたのかもしれない。憂さ晴らしも兼ねて二科生の少女を助けようと思った、その時だった。

 

 彼らの背後から一人の少年が近付いていた。

 彼はーー二科生だ。紋章が無いーーただ普通に歩いているだけに見えた。なのに周りの誰一人、彼に気付いた様子が無い。

 恐ろしいほど存在感の希薄な少年だった。私とて、たまたま彼の正面に位置していなければ認識できなかったかもしれない。

 少年は、そうして気付かれぬまますぐ後ろまで歩み寄り、一科生の一人の背に軽く触れた。

 

 

「っうおあぁぁぁぁっ!?」

 

 

 触れられた少年は、そのまま水平に吹き飛び植え込みに頭から突っ込んだ。

 

 

「…………は?」

「え、ちょ、え、何!?」

「ひゃあっ!?」

 

 

 最後の悲鳴は絡まれていた少女のものだった。一科生達が分かりやすく狼狽えている合間に、少年が彼女の襟首を掴んで彼等から一歩離れる。

 

「あ……いつの間に!?なんだテメエ!?」

 

 彼等はここに至ってようやく少年の存在に気が付いたらしい。しかし少年は、そんな彼等を一顧だにしない。

 

 タンッ

 

 そんな音が響いた。

 それが何の音だったのか。理解できたのは、少年以外ではおそらく私だけだっただろう。

 それは少年が軽く爪先を持ち上げ、地面を叩いた音だった。

 そしてそれと同時に、足下のモザイク柄を形成していた無数のレンガが浮き上がり、出鱈目に吹き荒れる。

 一科生達はおろか、惨劇の外に居た少女でさえも悲鳴すら上げられない。

 嵐が収まった後には倒れ伏す三人の一科生と、呆然とへたり込む少女。

 件の少年はどこにも見当たらない。今のどさくさに紛れて逃げたらしい。

 

「あなた、大丈夫?」

「あ……うん、ありがと」

 

 少女に手を貸して立たせてやる。そのついでに一科生達の様子も見るが、最初に吹き飛ばされた者も含め、ただ目を回しているだけで怪我一つ無かった。

 騒ぎを聞き付けたか、風紀委員がようやく駆け付けた。彼女と一緒に事情聴取を受ける事になるのだろう。そのことに小さくため息を吐きながら、先ほどの事を思い出す。

 

 ……どういうこと?

 

 どう考えても無傷で済むような魔法ではなかった。下手をすれば死人が出てもおかしくないと思ったほどだ。

 しかし最終的には、少女は無事に解放され、目に余る行為をしていた者達は怪我も無いまま痛い目を見て、しかも派手に注目を集めたために今後はおとなしくせざるを得ない。

 ほとんど最上の結果と言えるだろう。

 しかし自分が問題にしているのは、一年の首席である自分にも、あの少年の使った魔法の正体が解らなかったことだ。

 おそらく移動系魔法の一種であることは解る。移動系魔法で物体をつぶてとして打ち出すのは、魔法による攻撃手段としてはポピュラーなものだ。

 しかしそれだけでは怪我人が出なかった説明がつかない。何より最初に吹き飛ばされた生徒は、空中で蛇行していた。ただ一方向に飛ばすだけではそうはならない。

 忙しなく動きまわる風紀委員達を眺めながら、私は正体不明の魔法の解析に没頭していた。

 

 

 

 

「やっと見つけたわ」

 

 昼休み。

 人の滅多に来ないベストプレイスで菓子パンを頬張っていると黒髪の女が唐突に現れ、開口一番そんな事を口走った。

 

「人違いです」

 

 とりあえずそれだけ答えて食事を再開する。うん、このコロッケサンドは当たりだな。

 

「……まずは何の話か確認するべきではないの?用件も聞かない内から人違いもないでしょう」

「いや、俺に用事ある奴とかいるわけねえし。この学校に入って以来、というかここ2ヶ月ばかり家族以外とは会話してないんだから」

「……なんだか理由がとても悲しいのだけど。それはともかく、あなたで間違いないわ。あなた、昨日一科生に絡まれていた女の子を助けたわよね?」

 

 うげ。こいつあの時の野次馬の一人か?面倒が嫌だからさっさと逃げたのに。

 つうかこいつも一科生だよな。やだ、復讐に来たの?仲間意識たかーい(棒

 

「何の話かわからんがやっぱ人違いだろ。俺と似たような奴なんかいくらでも居るだろ?」

「背格好はともかく、そんな腐った目をした人間がそうそう居るわけないでしょう」

 

 おっふ、顔見られてたのか。

 どうすっかな。クラスとか特定されると厄介だし、でも正面から一科生に勝てるわけねえしな。不意討ちならともかく。

 

「心配しなくても、昨日の彼等と面識なんて無いわよ。私はただ、あなたに聞きたい事があるの」

 

 あれ、そうなの?

 

「はあ、まぁそんなら良いけどよ。なんだよ聞きたい事って?」

「昨日あなたが使った魔法、あれは何?あんな魔法、見たことも無いのだけど」

「知らないってこたないと思うけどな。ありゃただの飛行魔法だ」

「……飛行魔法?攻撃魔法ではなくて?いえ、それ以前にあれは、制御やコストの問題が解決できなくて実用に耐えられる代物ではなかったはずよ?」

「ああ。その制御できない飛行魔法を無理矢理付加したんだ。だから当然のように制御に失敗してあんな風に吹っ飛んだ。俺がなんかしたっつうより、あいつが勝手に自爆したんだよ」

「なるほど……。では彼に怪我一つ無かったのは」

「事故防止プログラムだな。対象物と他の物体の相対距離が一定以下になると減速するようになってる」

「ということは、その後のレンガの嵐も?」

「ああ。あれも足元のレンガに同じ魔法をかけただけだ。見た目は派手だが怪我なんざ滅多にしねえよ」

「ふむ……。彼らがあなたに気が付かなかったのは?」

「それは単に俺の影が薄いだけだ」

「なるほど……」

 

 呟いて考え込む美少女一人。何?終わったんならもう帰ってほしいんだけど。いや、絵にはなってるけど。

 

「もう一つ聞かせて。他にもやりようはあったはずよね。なのに何故わざわざ飛行魔法なの?」

「……別に。手持ちでちょうど良さそうなのがそれだったってだけだ」

「では何故そんな魔法を持っていたの?飛行魔法の開発を目指しているの?」

「プロが何年も前から研究してんのに未だに成功例がねえんだぞ?素人がどうこうできるわけねえだろ」

「ならどうして?」

「……別に。失敗作にだって使い道くらいあると思っただけだ」

 

 本当にそれだけ。

 ま、基礎能力で負けてる以上、一科生と同じ事やっててもしゃあねえしな。

 そこで会話は途切れたものの、この女はなにやら考え込んでて立ち去る気配は無い。もう仕方ないので俺の方が去ろうと背を向けた時だった。

 

「あなた、部活は入ってないでしょう?」

「何で断定してんだ。いや、入ってねえけど」

「そう、ならば私の作る部活に入りなさい」

「ごめんなさい、それは無理」

「部創設には最低三人が必要だったはずよね。まずはもう一人のメンバーを探しましょう。ああ、数会わせの人間は要らないわよ?」

「あれ?俺今無理って言ったよね?」

「それから顧問も必要ね。忙しくなるわね」

「ねえ、話聞いてる?ここまでダイレクトに無視されるのって黒歴史ばっかの俺でもなかなか無いよ?大体部活って何部だよ」

「奉仕部よ」

「頼むから俺に理解できるようにしゃべってくれ。何をする部活だそれは」

 

 懇願すると彼女は、ハァやれやれと大仰に肩を竦めた。今なら人を殴っても罪に問われない気がする。気のせいだが。

 

「決まっているじゃない。変えるのよ。人ごと、世界を」




 タイトルで分かると思いますが、魔法科高校の劣等生とのクロスです。
 最初にタイトルを思い付いて、それっぽい話を考えてたらこんなのが出来上がりました。
 なんとなく八幡の方が歳上なイメージがあるので一学年上、さらに一年生時の話なので達也達の出番はありません。
 本来欠陥魔法である飛行魔法を使って人を吹っ飛ばす、という部分を書きたかっただけなので、ぶっちゃけ雪ノ下とかただ出しただけ。なので終盤はかなり適当です。
 作者は魔法科高校は九校戦の辺りまでしか原作読んでないので、設定面で色々甘い部分があると思いますがそこは見逃してください。


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とあるボッチの孤軍奮闘

 

 拡大された視界の中、ツンツン頭の少年が、白いティーカップを思わせるシスター服を纏った少女に噛みつかれていた。

 少年は頭に取り付いた少女を振りほどこうと暴れながら、オーバーな身振りで何事かを叫んでいる。

 きっとまた「不幸だ~!」とでも言っているのだろう。本当、爆発すればいいと思う。

 

「それはともかく本日も異常無し、と。今日の定時報告終わりっ」

 

『幻想殺し』の少年、上条当麻。彼の監視兼護衛が俺の任務だ。

 もっとも護衛などと言ったところで、件の上条当麻は大抵の厄介事なら自力でどうにかしてしまうし、彼一人でどうにもならない時は誰かしらが助けに入るような人間だ。

 ぶっちゃけ俺に出る幕は無く、ただ見てるだけの日々が続いていた。

 

 ま!だからこそこの任務に志願したんだけどね!

 ただ監視して一日二回の定時報告を入れるだけで給料貰えるとかマジサイコー。

 しかもこの学園都市は他と比べて十年は科学が進んでいる。

 つまりゲームがもう凄いんですよマジで。学園都市の内と外でネットワークが断絶されてるのはネックなんだろうけど、俺は基本ソロプレイだから関係無いし。いやー、ホントここ来て良かった。

 

 俺は帰り支度を済ませ、心の中で素材集めの計画を立てながら夜の街を見下ろす。

 ふと、拡大効果の残った視界に何かが引っ掛かった。

 夜の闇に紛れるかのような黒塗りのボックスカー。それに押し込まれようとしている二人の少女。

 やれやれだぜ、と、某スタンド使いの主人公のようなセリフがこぼれそうになる。

 俺と同じ側に属する人間にはこの学園都市を、というより科学そのものを厭悪する者も少なくないが、俺はわりかしこの街を気に入っている。しかし、やはりこういう部分はいただけない。

 この街には歪みがある。

 いや、人の集まるところなら多かれ少なかれそういうところはあるものだが、この街の歪みは表面がきらびやかな分、より醜悪に見える。

 あの少女達が何をしたのかはわからない。が、もう助からないだろう。

 あの黒いボックスカーはこの街の意志だ。この街で生きている以上、上層部に邪魔だと判断されたら死ぬしかない。

 それを無視できるヒーローは彼女達に気付いてないし、彼に彼女らのことを伝える者もいない。

 俺と似たような立場の連中なら動けないこともないだろうが、上から許可をもらって潜り込んでいる以上、余計な真似をすれば軋轢になる可能性が高い。それ以前にこういう任務を任される人間は、余計なトラブルを嫌う。無論、俺もだ。

 

 けどまぁ……見ちまった以上は見殺しにするのも気分悪いし?

 こういうのをほっとくのはウチの教義に反するんだよね。

 うん、だからまあ、仕方なくだ。面倒だけどやらにゃいかん。

 それにそもそも、ボッチの俺が組織なんかに所属してるのも、この教義が気に入ったからだし?

 

 なんとなく、周りを見渡す。

 ここはただの廃ビルだ。人なんか居ない。それでもこのセリフを聞かれたら自殺しなきゃならん。

 

 ……誰も見てないよな?言う?言っとく?やっべ、不謹慎だけどテンション上がってきた。

 

 俺は愛用の武器、無銘の日本刀を握り直し、20階建ての屋上の端に足をかける。そして、

 

「我等が教義はただ一つ。救われぬ者に救いの手を!」

 

 天草清教ではお決まりのその言葉を唱え、夜の闇へと飛び出した。

 




 とある魔術の禁書目録とのクロス。タイトルはテキトー。
 禁書とのクロスだと能力者にするのが普通なんでしょうが、そこをあえて外すのがまーぼう流。て言うか俺のクロス設定って大抵そんな感じです。
 ただ自分の中のヒッキーって「八幡だけに使える唯一無二の能力の使い手」より「誰にでも出来る事を組み合わせて誰も思い着かない事をする」タイプのイメージなんですよね。その意味で能力者よりも魔術師向きかな、と。
 もっとも、単に天草清教の教義って八幡にピッタリだなー、と思っただけなんですが。


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やはり我が家の万能文化なお猫様はまちがっている

 

 身体が重い。というか何かにのし掛かられてる感覚。

 圧迫感に目を覚ますと、案の定、俺の上でそいつが眠りこけていた。

 

「またか……」

 

 嘆息すると同時、ドダダダダ、バタンッ!と騒がしい音を立てて小町が飛び込んできた。

 

「お兄ちゃん、かーくんいる!?って、ああ!やっぱり!」

 

 朝から迷惑だぞ、と注意する間もなく、小町は俺の上で丸くなっているカマクラを引っ張る。弛緩仕切っていたカマクラは、ろくに抵抗も出来ずにベッドの下へと転がり落ちて「むぎゅっ」っと悲鳴を上げた。

 カマクラは身を起こして小町に恨みがましい目を向ける。しかし小町はそんなカマクラを無視して俺に非難の視線をよこした。

 

「……お兄ちゃん、かーくんにヘンなことしてないよね!?」

「するか。お前は兄を何だと思ってる」

 

 小町は俺の返事には応えず、カマクラにお説教モードになった。あの、うさぎって寂しいと死んじゃうらしいよ?もっとお兄ちゃんを構って?

 

「かーくん、昨日は小町のところにいたじゃない!なんでお兄ちゃんとこにいるの!?」

「きのうはこっちの気分だったのだ。そう怒るなご主人」

 

 カマクラはくあっ、とあくびしつつ、寝乱れた髪をボリボリ掻いてそう答える。

 まあ猫の気紛れに理由を求める方が無謀というものだろう。しかし小町は納得しなかったらしい。

 

「ダメーッ!かーくんは今後お兄ちゃんと寝るのは禁止です!」

「別にかまわぬではないか。今までもしょっちゅう寝ていただろう?我輩、こちらのご主人の匂いはわりと好きなのだ」

「ダメなものはダメ!一緒に寝るとか中学上がってからは小町だってしてないのに!かーくんだけズルい!」

「しかし腹が減ったな。寝てる間は気にならんのだが、一度起きてしまうとこれはたまらん。食事にするか」

「かーくん!人の話はちゃんと聞きなさい!」

 

 説教の途中で飯の話を始めたカマクラに小町が目くじらを立てる。て言うか小町、お前今妙な事口走らなかったか?

 カマクラはやはり小町を相手にしない。というかこいつは、基本的に自分の気が向いた時以外は他人の事を気にしない。まあ人間のDQNと違って、それで人に迷惑かけるわけでもないから、構わんっちゃ構わんのだが。

 カマクラはわめく小町を無視し、俺によく似た死んだような眼をこちらに向けると、にんまりと笑顔を浮かべた。

 

「ではご主人、飯としようか」

 

 やっべー……。あんまそういう顔すんなよ。俺じゃなかったら勘違いしてるとこだぞ?

 ったく、気ぃつけろよな。

 

 

 お前は今、美少女なんだから。

 

 

 

 あー、話が見えない奴もいるだろうから、簡単に説明しようか。

 

 金曜の夜に、見知らぬおっさんが美少女を連れて我が家にやってきた。おっさんが言うには、その眼の腐った美少女はカマクラなのだという。

 カマクラは朝に散歩に出たきり帰ってないらしく、お袋と小町があちこちに電話をかけているところだったのだが、おっさんの話では、今朝がた車に轢かれて死にかけてたところをおっさんの息子さんが拾ってきたらしい。

 おっさんは発明家だか科学者だかで、カマクラを助ける事は出来なかった。しかし、おっさんが開発していた医療用のアンドロイド使う事を思い着いたそうだ。

 このアンドロイドというは要するに、治る見込みの無い病気を抱えた人間の為の全身義体なのだそうだ。機械の身体に脳を移植する事で、完全以上の健康体として生活出来るようにするのが目的だとか。

 通常生活を目標にしてるだけあって外見なんかの力の入りようも凄まじく、はっきり言って人間の美少女にしか見えない。目の前で腕の取り外しとか見せられなかったら絶対信じなかった。

 これを個人で作ったというのだから、天才を通り越してもはや変態である。が、ここまで完璧に思えた世紀の発明品には、唯一かつ致命的な欠陥があった。

 必要な機能を人間サイズの機体に押し込んだ為、肝心の人間の脳が入るスペースが無かったということだ。

 ちなみにおっさん曰く、作っちゃってから気が付いたそうな。それでどうしようかと途方に暮れているところに息子さんが飛び込んできて、猫の脳ならどうにか入りそうだ、ということになったらしい。

 

 そんなわけで、我が家のお猫様は美少女ロボにクラスチェンジしました。それなんてエロゲ?

 相当に高価なシロモノだと思うのだが、おっさんはモニターとしてデータを採らせてくれるだけで良いと言ってくれた。が、怪しんだ親父がそれを拒否。交渉の末、メンテの費用だけ支払う事に落ち着いた。

 

 まあその辺りの話は置いといて。

 

 美少女の姿をしていても所詮は猫。機体のサポートで会話したりは出来るのだが、色んなところで常識が欠如してるというか。

 服着るのは嫌がるし、人が寝てると上に乗ってくるし、なんつうかまあ、色々と困る。おら、ぱんつはけ。

 小町は小町でなんか様子おかしいし、これからどうなんだ、これ?

 

 

「うむ、此度も美味であった。では……寝るか」

 

 

 さすが猫、自由っすね。

 ……良いなぁ。

 




 万能文化猫娘とのクロスです。
 かなり古い作品なので、知らない人の為に原作説明をば。いや、俺自身もうろ覚えですが。
 原作の流れも似たような感じです。主人公が拾った猫が死にかけて、失敗作のアンドロイドに脳を移植。猫の脳を持つ美少女アンドロイド「ヌクヌク」爆誕。
 ただ、主人公が小学生なのでラブコメにはなりません。どっちかと言うと、アットホームなハートフルコメディ?
 今回はヌクヌクの代わりにカマクラに事故ってもらいました。
 こっちも元が猫な上にオスなんで、ヒッキーに恋愛感情持ってたりはしません。単純に飼い主としてなついてるだけです。少なくとも最初は。
 でも、ゆきのん辺りと会話させて

「あなた、比企谷くんの何?」
「我輩か?我輩はご主人の所有物だ」
「!?」

 みたいな展開はやりたいな。もしくは逆パターン。

「ん?ご主人は我輩の飼い主だが?」

 ちなみにカマクラのセリフ回しがタマモキャットにそっくりですが、それは純然たる偶然です。いやマジで。俺がビックリしてる。


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P4 in 総武校

 

「隼人、どうかしたのか?」

 

 どこか沈んだ様子の友人に声をかける。

 葉山隼人は一年の時に同じクラスだった男子で、八十稲葉から帰って来た俺の事もちゃんと覚えてくれていた相手だ。

 

「……悠か。実は昨日寝てなくてな」

「何かあったのか?」

 

 隼人は少し駿遵した後、重々しく口を開いた。

 

「……実はな、知り合いが行方不明になったんだ」

「行方不明!?」

 

 最近そんなニュースが多いのは知っていたが、こんな身近で聞く事になるなんて……!

 

「ああ。それで友達に心当たりを聞いたり、自分でも色々探してみたんだけど、手掛かりさえ見つからなくてね」

「そうか……。良かったら俺も手伝おうか?」

「助かるよ。猫の手でも借りたいところなんだ」

 

 俺は隼人から行方不明者の名前と特徴を聞いて、久しぶりの調査に乗り出した。

 

 

 調査と言っても俺に出来るのは聞き込みくらいだ。

 話の中で目立つと思ったのは二つの噂。

 一つは彼女の周囲にちらつく目の腐った男の話。

 もう一つは鏡にまつわる怪談、というより都市伝説だった。

 普通に考えれば調べるべきは一つ目の噂だろう。しかし俺は今回の事件に、どこか八十稲葉での事件に似た臭いを感じていた。

 普通の事件であれば隼人がなんとかするだろう。しかしそうでなかった場合、多分誰にもどうにも出来ない。だけどもしかしたら、ペルソナ能力のある俺ならば何かが出来るかもしれない。

 そう考えて俺は、鏡の怪談について調べる事にした。

 

 

「彼女が最後に目撃されたのはここ、のはず……」

 

 階段の踊り場の大鏡。怪談のネタにはうってつけのロケーションだ。

 ……マヨナカテレビの例を考えれば、ここから鏡の中に迷い込んだ、なんて事も有り得るわけだが……。

 

「何やってんだ?」

 

 唐突に上から声が降ってきた。

 見上げると、一人の男子生徒が階段を降りてくるところだった。

 

「お前、確か鳴神だったな?今年から編入してきた」

 

 陰になって見えなかった顔が夕焼けに照らされる。それを見て俺は驚いた。目が腐ってるーー!

 

「なぁ、お前雪ノ下のこと嗅ぎ回ってんだって?どんな話が出てきた?教えてくれよ」

 

 こいつ!?

 やっぱり一つ目の噂が当たりだったようだ。

 俺は警戒を強めて身構える。

 

「……どうして俺を知っている?」

「何でも何も同じクラスだろうが」

「……えっ?」

 

 同じクラス!?こんなやつ居たっけ!?

 

「……気付いてなかったのか。ああ、別に気にしなくていいぜ。人に認識されないのはいつものことだ」

「いや、なんかごめん……」

「だからいいって。それより話聞かせろよ。何で雪ノ下を調べてた?こんなところで何をしてる?」

 

 そうだった。今はそんな話だった。ここはーー

 

「何の話だ。誰だ、雪ノ下って」

「とぼけんなよ。お前は葉山並に目立つからな。隠し事には向かねえぞ?」

 

 そいつはさらに詰め寄って来る。

 

「なあおい、お前雪ノ下に何やった?一体何企んでやがる?」

 

 いや、ちょっと待て。なんか流れがおかしくないか!?

 

「待ってくれ。お前本当に何の話してる?」

「案外察しの悪いヤロウだな。最近の行方不明事件、てめえが一枚噛んでんじゃねえのかって言ってんだよ!」

 

 言葉と同時に男が飛び掛かってくる。

 俺は当然抵抗したが、勢いを殺し切ることは出来ずーー後ろの鏡の中に、二人まとめて転げ落ちた。

 





 P4とのクロス。
 ゲームED後、と言うかマヨナカアリーナより後の話で、悠が八十稲葉から帰った先が総武校だったという設定。なので悠もヒッキーも三年になってます。
 P4は妄想を働かせ易いので色々企画とかも考えてました。まあ問題が多すぎて実行に移せませんでしたが。
 例えばコミュ毎に作家さん募集してコミュイベント書いてもらおうとか。ちなみに悠視点なのでヒッキーも攻略される側。ぜひ「俺に、そういうの期待すんな……」とか言わせて欲しかった。
 でも纏めきる自信がなかった上に、肝心の事件についてはまるっきり何も思い付かないんですよね。P4Uを遊べば何か思い付くかもしれませんが。
 一応考えてたことは、ヒッキーのアルカナは隠者かな、と。
 戦闘メンバーは奉仕部の三人と悠以外は決まってませんが、とりあえずラビリスは出したい。後完全に個人的な趣味ですが、材木座と葉山は入れたいな。ナビは小町か戸塚か。
 八幡のペルソナは、日本神話でまとめるならアマツミカボシにしたい。そうなると葉山はオオクニヌシか。ギリシャ神話系ならメディアで(笑)


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雪のサムライ

「ちっくしょう……!」

 

 舌打ちと共に毒を吐く。それで何が変わるわけでもないが、そうせずにいられない。

 自分はこの地下世界『東京』でもそこそこに腕の立つサマナーだ。しかしそれも、仲魔が居ないのでは何の意味も無い。

 

「ちゃんと逃げ切ったんだろうな、あのバカ……」

 

 先ほど逃がしてやったユイのことを思い出す。

 

 総武会。

 

 東京全土を牛耳る阿修羅会ほどではないが、そこそこの規模を持ったサマナー集団。

 ユイはそこで最近スマホを与えられた新米サマナーだ。彼女のお守りが今回の俺の仕事だった。

 俺は基本的に組織に属さないフリーのサマナーだったが、総武会のリーダー・シズカとは個人的に面識があり、妹のコマチを保護してもらっている事もあって総武会からの仕事は断り辛い。……まぁ、んなもん無くてもシズカには頭が上がらないが。

 

 とにかくそれでユイに実戦経験を積ませつつ、仲魔を集めようとしてたのだ。まあ、俺も手持ちの仲魔が少なくなってたんでちょうど良いかと思ったんだが、一発目が軍勢ってどういう運してんだあのアマ。

 軍勢というのは文字通りで、悪魔が無数に寄り集まった状態だ。当然単独の悪魔よりも強力で、何より厄介なのは会話が通用しないこと。

 ったく、集団催眠か何なのかは知らんが、数が増えると途端に強気になりやがって。群れてる連中ってのはどいつもろくな者じゃない。これは人間も悪魔も一緒だな。

 ともかくあいつらは、ぶつかったら戦うか逃げるかしかない。しかし先にも言ったように、連中は危険だ。とてもじゃないが、戦闘経験ゼロの素人を庇いながら相手に出来るものではない。

 俺の仲魔をユイの護衛につけて俺は奴らの足止めをしてたんだが、正直しくった。

 ただでさえ少なかった仲魔を分散させてしまった為、戦力が大幅低下。俺は手持ちの仲魔を全て失い、現在絶賛逃走中である。

 

「くそ、さっさとどっか行けよ……!」

 

 物陰に身を潜めて様子を伺うが、連中が諦める様子は無い。相手は数が多いので見つからないように逃げるのも不可能だ。

 

「!」

 

 連中の一体と目が合う。

 

「くそが!」

 

 躊躇わずに飛び出し、銃弾をばらまきながらとにかく走る。

 状況や地形を把握する余裕も無い。剣を振るい、引き金を引き、魔法を放ちながらとにかく敵の密度の薄い方向へ走り続けーー気が着けば、袋小路へと追い込まれていた。

 

「ここまでかよ……!」

 

 既に魔力も弾薬も尽きている。

 歯ぎしりして迫り来る悪魔の群れを睨み付ける。

 と、突然奴らの士気が乱れた。

 何があったのかは分からないが、自分が生き延びる機会は今しかない。俺は意を決して突撃した。

 ただひたすらに剣を振るう。不思議な事に、ギリギリだがどうにか捌き切れた。

 いくらか数は減ってきてはいたが、それでも絶望的な戦力差だったはずだ。やはり連中の後方で何かがあったらしい。

 敵の密度が薄れ、向こうの通りが見えた。

 

 そこに居たのは、時代がかった鎧を着た数人のサマナー。スマホではなく、籠手のような召喚器を使う戦士達。

 

 最近、東京ではこんな噂が広がっていた。

 

『天上から天使が降りてきた』

 

 伝説にのみ存在する、悪魔以上に危険な人類の天敵の出現は、阿修羅会が発信らしい。

 しかし、天使による人類の虐殺は未だ起こらず、代わりに『東のミカド国のサムライ』を名乗るサマナーが東京のあちこちに出没するようになった。

 彼らはおそらくそれだ。

 実際に見たのは初めてだが、彼らは東京のサマナーとは大分性格が異なるらしい。

 彼らが追い剥ぎ紛いの事をしているという話は聞いた事が無いし、噂では率先して人助けをしているとか。

 普段の俺なら彼らを警戒するところだが、今の状況ではまさに地獄に垂れた蜘蛛の糸に見えてしまった。

 だからだろうか。

 

「やっべーー!」

 

 気を抜くべき時ではない時に気を抜いてしまった。

 軍勢は、バラけてしまえばただの雑魚悪魔だ。しかし、雑魚とは言え悪魔は悪魔。油断して良い相手ではない。それは身に染みて知っていたはずなのにーー!

 俺は自身に降り下ろされる悪魔の攻撃を、為す術無く見ている事しかできなかった。

 その刃が俺の頭をかち割る直前、悪魔が一瞬にして凍りついた。

 

 

「平気?」

 

 

 呆然とへたり込む俺に手を差し伸べたのは、黒髪の少女だった。

 俺は周りを見回し悪魔が居ない事を確認すると、その手を取ることなく自分で立ち上がる。

 

「ああ。助かった、ありがとう」

 

 少女は自分の手をにぎにぎして、怪訝な眼差しを俺に向ける。

 

「……さっきのが最後の悪魔かと思ったのだけど、まだゾンビが残っていたようね」

「どういう意味だコラ」

 

 いや確かによく目が腐ってるとか言われるけど。街中でホントに通報されたこともあるけど。

 少女はクスクスと笑って「冗談よ」と言ってきた。

 ……まぁ、助けられたわけだし、このくらいで怒るのも違うだろう。

 

「ヒッキー!平気!?」

 

 突然逃がしたはずのユイが飛び出してきた。

 

「お前、どうした?」

「あのね、逃げてる時にたまたまこの人達に会って、ヒッキーのこと話したら助けてくれるって」

「……そうか」

 

 こいつにも助けられちまったか。

 

「世話になったな」

「構わないわ。それより、あなた達のホームまで送ってあげましょうか?」

「……助けた見返りってことか?」

「ええ。この世界のことを教えてほしいの。釣り合わないかしら?」

「いや、その程度で済むなら安いくらいだ。むしろ無償の善意よりよっぽど信用出来る」

「それじゃ、総武会のホームまで案内するね、ゆきのん!」

「ゆきのん?」

「ゆきのんではなくユキノなのだけれど……」

 

 これが俺と、雪の名を持つサムライの少女との出会いだった。

 




 真・女神転生Ⅳとのクロス。
 メガテンの名前は知っていても遊んだことはないという人の為に簡単に説明します。

 主人公はとある田舎村から東のミカド国にやってきたお上りさん。年に一度、一定の年齢になった者が受ける事になっている『ガントレットの儀式』を受ける為にやって来ました。
 この儀式でガントレットに選ばれた主人公は、サムライとして悪魔討伐の任務を賜ります。
 その任務の中で悪魔の涌き出る遺跡を調査する事になったのですが、遺跡の奥に広がっていたのは、人間が未知の力『科学』によって悪魔と渡り合う世界『東京』でした。

 とまあ、大体こんな感じ。モチロン大分はしょってますが。
 これも普通ならヒッキーを主人公のポジに据えるか、主人公パーティーにぶちこむかするところなんでしょうけど、わざわざモブの一人にしちゃうあたり、我ながらひねてんなぁ。


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こちらアーカムシティソーブ公園前警察署

 

「よう、比企谷くんお疲れさま。これからかね?」

「あ、どうもネス警部、お疲れさまです」

「これから君に教えてもらった焼き鳥屋に行ってみようと思ってるんだけどね。どうだい?君も一緒に」

「あ、良いッスね。パトロールのついでに寄らせていただきます。砂肝がオススメッスよ」

「OKOK。そんじゃま、たまには奢らせてもらいますか」

「マジすか。ゴチになります!」

 

「なりますじゃな~い!堂々とサボり宣言するな比企谷巡査!ネス警部も!ちゃんと注意してください!」

 

「相変わらずうるさいねぇストーンくんは。たまには息抜きしないと持たないよ?ほら、キミにもちゃんと砂肝奢ってあげるから」

「別に奢ってもらえなくて大声出してたわけではありません!市民の安全を預かる警官としての心構えのなんたるかを……!」

「お堅いねぇストーンくんは。あんまカリカリしてるとハゲるぞ?」

「大きなお世話だ!?というか比企谷巡査!先輩に対してその口の利き方は……!」

「あーはいはいストーンくん、続きはビールでも飲みながらにしようか。それじゃ比企谷くん、お先に。夜勤頑張ってね」

「ちょっ……放してくださいネス警部!?まだ話は終わって……!」

「どうも、お疲れさまでした」

 

 去っていく二人の先輩に頭を下げてロッカーに向かう。

 夜勤は好きだ。

 あんま人と話さないで済むし、サボってもバレないし。夜更かしは大して苦にならないしな。

 とはいえ、この街に限って言えばそれほどお気楽なものでもないのだが。その理由というのが……

 

 

 ドゴンッ!

 

 

 これだ。

 

『ふははははははっ!悪の天才科学者、ドクタァァァァッ!ウエストッ!ここに見参!であーる』

 

 爆発音に表に飛び出すと、遠くのビルの隙間から巨大ロボットが見えた。

 

 巨大ロボット、である。

 

 樽のような胴体に手足が生えた、ブリキのオモチャのような代物だが、それが五十階建てのビルと並んでいる様はシュールを通り越して悪夢じみている。が、このアーカムシティの住人にとっては、これももはや見慣れた光景だっただろう。

 

 そう、これはこの街にとってわりと日常的な出来事なのだ。

 この街には他には無いものが存在している。悪の秘密結社『ブラックロッジ』である。

 秘密結社のくせにその勇名は大陸全土に轟いているが、当の本人達がそう名乗っているのだから他に呼びようがない。

 あのドクターウエストの操る破壊ロボは、軍隊でも歯が立たないでたらめな戦闘力を持っていて、しかも恐ろしいことに量産が可能らしい。もっとも出てくるのは常に一体ずつだが。本人いわく、悪の美学らしい。

 どちらにせよ対抗不可能なのだから、ただ蹂躙されて終わりのはずなのだが、この街は未だに機能を損なうことは無い。その理由が、この街のもう一つの名物ーー

 

「メタトロンだ!」

「がんばれー!メタトロン!」

『おのれ今回はお早い登場であるなメタトロン!放送時間が余ったらどう責任をーーノォォォウッ!?』

「よっしゃあ!ウエスト!さっさと逃げた方がいいんじゃないか!?」

『余計なお世話である!こら貴様!セリフの途中で攻撃するとは何事であるか!ちびっ子の夢を壊すでない!』

 

 とまあ、正義の味方だ。悪の秘密結社ときたらこれしかないだろう。

 この天使王を名乗る白い怪人は、空を飛び、ビームを放ち、人間大のサイズで巨大兵器を圧倒するバケモノだ。

 どういう理由でブラックロッジと戦っているのかは謎だが、これまでの行動を見る限り、確かに正義の味方と呼ばれるに相応しい。

 

 ま、信用できまいがどうだろうが、破壊ロボはあいつに任せる以外ないんだけどな。

 

 軍がどうにもできないのに警察の装備で戦えるかっての。ストーンは毎度毎度突撃かましては吹っ飛ばされてるみたいだけど。

 ネス警部も災難だよな、あの馬鹿に毎回付き合わされて。つーかよく死なねえな、あの二人。

 まあなんにしろだ。警察にできるのは避難誘導くらいだな。

 言っとくがこれだって立派に市民を守るお仕事だぜ?自慢じゃないが破壊ロボ関連の人的被害は未だにゼロだしな。うん、ウチの警察は優秀だ。

 

 さてと、今夜もお仕事、頑張りますか。

 




 機神咆哮デモンベインとのクロス。タイトルはアレですが、こち亀は関係ありません。
 作品の説明をしときますと、三流私立探偵な主人公大十字九朗は、ある日この街を牛耳る覇道財閥から魔導書を捜せという依頼を受ける。
 報酬に目が眩んで引き受けたものの心当たりもなく、当てもなくさ迷っているとブラックロッジに追われる謎の美少女と遭遇。巻き込まれて成り行きのままに彼女と契約を交わすことに。
 彼女はなんと世界最強の魔導書、かの『死霊秘法書』の原典『アル・アジフ』だった。
 アルとの契約によってマギウスと化した九朗は超パワーを発揮してウエスト達を撃退するも、破壊ロボによる逆襲を受けてまたも逃げ回ることに。
 ミサイルによって地面が崩落し、謎の地下施設に迷い込む九朗。
 そこで見つけたのは、覇道財閥が科学と魔術と錬金術の粋を結集して開発した機械神『デモンベイン』だったーー

 こんな感じで始まる荒唐無稽スーパーロボット列伝です。はっきり言ってめっちゃ好きです。ていうか強すぎです。多分グレンラガンに対抗可能な唯一の機体です。
 ちなみにスパロボにもUXで参戦済み。できればマスターテリオンには歴代最強生身ユニットとして登場してほしかった。

 このクロスでのヒッキーは警官です。それだけです。隠し設定とか何もありません。俺ガイルキャラは大体警察関係者。
 原作内での警察の扱いはギャグ担当のやられ役。ルパンの警官を思い出してもらえれば大体あってると思います。
 ……なんで主人公をそんなのにぶち込んじゃうかなぁ、俺は。九朗とは別の魔術師とかムーンチャイルドの生き残りとか、やりようはいくらでもあるだろうに。
 いや、ネス警部が好きなんですよ。あのやる気の無さがたまらないんです。あれで実は有能とかいうんですから完璧です。ヒッキーと絶対相性良いと思う。まあぶっちゃけそんだけなんですが。


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雪ノ下がこんなにオタクなわけがない

 

 それは二年になってすぐの頃。俺が部室でいつものようにラノベを読んでいた時のことだった。

 

「ちょっ、痛いですって先生!」

「やかましい!痛いのが嫌なら抵抗するな!」

 

 ……セリフだけ聞けば犯罪臭バリバリだが、これは平塚先生の声だ。あの人なら生徒に妙な真似をするようなことはないだろう。……ないよね?いやでもたまにファーストブリットとか食らうしな……。

 

「おお!居たか比企谷!」

 

 ちょっと考えてる間に先生が入ってきた。いい加減ノック覚えようよ……

 

「どうしたんスか、先生。随分騒がしいですけど」

「ああ、ちょっと新入部員を連れてきてな。ほら雪ノ下、挨拶しろ」

「はあ、えーと、雪ノ下です。ってなんですか入部って!?聞いてないんですけど!?」

 

 俺も聞いてないんですけど。

 

「言ってないからな。君はしばらくここで活動したまえ」

「いやですよ!?ていうかあたし陸上部あるんですけど!?」

「やかましい、学校にあんな物持ち込んだペナルティだ。陸上部が休みの時だけで良い。ここで少し秘密の隠し方を勉強しろ」

 

 あの、秘密って目の前に俺が居るんですが。

 

「いや意味わかんないですから!?ていうか要らないですよそんなの!」

「要らないことはないだろう。アレを見つけたのが私以外の誰かだったらどうするつもりだったんだ君は」

「う……!い、いや、でも、ここもなんか居るじゃないですか!アレにばれたらどうするんです!?」

 

 おい。なんだアレとかなんかとかって。

 

「相手がいなければ隠す訓練にならんだろうが。安心しろ。仮にばれたところで彼にはそれを悪用する甲斐性は無いし、秘密を晒す相手もいない」

「ねえ、なんでさっきからおいてきぼり食らってんのにボロクソにダメージ受けてんの俺?そろそろ泣いていい?」

「ま、隠し通せるならそれで問題無いし、ばれてもこいつなら相談に乗ってもらえるだろう。とにかくしばらくここに通いたまえ」

「あ、ちょっと!?」

 

 平塚先生はこちらの話をろくに聞かずに行ってしまった。なんだったんだ本当……。

 

「はぁ……もう、どうしろってのよ……」

 

 呆然と呟く雪ノ下と目が合う。彼女は気まずげに目を逸らした。

 

 俺はこの女を知っている。というかこの学校でこいつを知らないやつを探す方が難しいだろう。そのくらい有名人だ。

 この千葉で強すぎる力を持つ雪ノ下家のお嬢様。

 容姿端麗で学校一と目される美少女。

 成績は常に学年トップレベルで県でも一桁台。

 陸上部のエースでインターハイでも記録を残している。

 さらには人当たりが良く生徒教師双方からの信頼も厚い、男女共に絶大な人気を誇るリア充中のリア充。ウチのクラスの葉山、三浦と並ぶリア充四天王の一角だ。四人目?んなもん知らん。

 とにかくそんなミュータントみたいな女が、一体なんでこんなとこに連れてこられたのか……

 

「……ねえ」

「あん?」

「ここって何の部活なの?」

「聞いてねえのか?」

「あんたバカなの?聞いてたら質問なんかしないでしょ?」

 

 あ、うん。こいつと仲良くなるのは無理だ。いや、最初からわかってたけどね。

 それはさておき質問に答える。

 

「奉仕部、だってよ」

「は、はぁ!?何その怪しい名前、ご奉仕って何考えてんのよ!?」

「いや、お前が何考えてんだよ。奉仕ってのはそのまま、ボランティアって意味で考えろ」

「うぐっ……そ、そんな紛らしい名前してるのが悪いんでしょ!?どういうセンスしてんのよ!?」

「俺に言われても困る。文句なら平塚先生に言ってくれ」

 

 そこで会話が途切れる。

 俺は特に気にせず読書に戻る。

 雪ノ下は出ていく様子は無い。どうやら律儀に先生の言い付けを守るつもりらしい。が、何をすればいいか分からず所在なげに立ち尽くすだけだった。

 ったく、これだからリア充は。

 

「お前も座れば?」

「あ、うん………。ねえ、ここって結局何するとこなの?」

「ん-、なんかお腹の空いている人に魚を与えるのではなく、魚の取り方を教える、とかなんとか」

「何それ」

「まあ、お悩み相談室みたいなもんだと思っとけ。基本、依頼が無い限りすることも無いから適当に時間潰してていいぞ」

「ふーん……」

 

 それを最後にまた読書に戻る。が、雪ノ下がなにやらそわそわしているせいで集中できない。

 

「……なんだよ?」

「へっ!?あ、いや、別に、その、何読んでんのかな~と思って」

「何ってただのラノベだが」

「んなこと見りゃ分かるっての」

「あん?」

「な、なんでもないなんでもない!え、えっと、その、面白い?」

「いまいちかな。ヒロイン六人が全員妹とか意味わからん」

「ハァッ!?妹ヒロインは至高でしょうが!?」

「は?」

「ち、違っ!?その、なんでもないから!」

 

 …………

 

「なあ、お前の秘密ってなんのことだ?」

「っ!…………な、なんの話?何言ってるかわかんないんだけど?」

「いやもう無理だろ。人がせっかく触れないでおいてやろうと思ってたのに勝手に自爆しやがって。何?お前オタなの?」

「うぐ……!そ、そうよ!悪い!?仕方ないでしょ、好きなんだから!」

「別に悪いとは言ってねえだろ。ラノベ好き?それともアニメとかも見んの?」

「う……その、大体全部……」

「ふーん。んで、平塚先生には何見つかったんだ?」

「……アニメのDVD。ワングーでパッケージ持ってくと声優さんのサイン色紙貰えるサービスがあったから帰りに寄ってこうと思って」

「声オタも入ってんのか。俺よりディープだな。にしてもそんなもんでペナルティかよ。モテないからって八つ当たり入ってんじゃねえのかあの先生」

「……やっぱそう思う?」

「ああ。ちなみになんてアニメだ?」

「えっとね!コレ!どうよ!?超可愛くない!?この娘マジ妹にしたい!ペロペロしたい!」

「……前言撤回だ、先生は正しい。お前ちょっと自重を覚えとけ」

 

 ピンク色のDVDケースを突き付けてはしゃぐ雪ノ下に嘆息を返す。

 いやまあ、今までずっと隠してきたんだろうしオタ話できるのが嬉しいのは分かるけど、いきなり飛ばしすぎだろ。つーかよく今までばれなかったな、そんなんで。

 

「……まあなんだ、別に無理して入部することもないぞ。隠し事の訓練なんかここでなくてもできるだろ」

 

 正直めんどいし。とは口に出さない。

 

「え、でも先生ペナルティだって」

「ただの一教師に部活の強制なんて権限あるわけねえだろ。先生は適当に言いくるめといてやるよ」

「あ……うん……」

 

 さて、これで今度こそ平穏な放課後が帰ってきたと読書に戻る。が、やはり雪ノ下はチラチラとこちらを見ている。非常にうっとうしい。

 

「なんだよ、まだなんかあんのか?暇潰しのアイテムが無いんなら予備のラノベがあるけど貸すか?」

「あ、うん、読む。いや、じゃなくて。えっと、あの、やっぱり入部してもいい?」

「あ?なんでまた?」

「その……あんた、あたしがオタクだって知ってもバカにしなかったし……信用、しても良いかなって」

 

 目を背け、髪をいじり回しながら、顔を真っ赤にしてそんなことをのたまう雪ノ下。おいやめろ。勘違いしたらどうする。

 

「それに、その……こういう話できる知り合い、いないし……」

 

 ボソリと小さく付け加える雪ノ下。なるほど、本命はこっちか。

 

「……ま、入部したいってんなら拒む理由も権利もねえよ。好きにしろ」

「ホント!?ありがと!そだ、これ貸してあげる!」

 

 雪ノ下はそう言うと、さきほどのDVDを差し出してくる。

 

「良いのか?サインはどうすんだ?」

「一緒に行けばいいじゃん」

 

 なん……だと……?

 や、やめてよ!誤解されるじゃん!ち、違っ!別に照れてるわけじゃないんだからね!?(錯乱)

 

「ちゃんと見てね?あたしもあんたに借りたやつ読んどくからさ、明日感想言い合お?」

 

 ぐ……!か、可愛いじゃねえか、なんだコイツ……!

 

「へへ、楽しみ。それじゃ……あれ?名前なんだっけ?そういえば自己紹介してなかったよね?」

「……比企谷八幡だ」

「比企谷……うん、覚えた。部長って呼んだ方がいい?」

「いいよ、普通に名前で」

 

「そっか。それじゃ改めて……雪ノ下桐乃です。これからよろしくね」

 

 

 

「お兄ちゃん、これ何?」

「宿題」

「は……?お兄ちゃん、とうとう頭まで腐ったの?」

「おいコラ、いくらなんでも今のはひどくないか妹よ」

 

 まあ小町の気持ちも分からんでもない。魔法少女アニメのDVDを宿題とか言い出したら、正気を疑いたくもなるだろう。

 

「最近できた知り合いに押し付けられたんだよ。明日までに見て感想考えとけってさ。どうする?お前も見るか?」

「ん-、たまには良いかな」

「んじゃセットしてくれ」

「もー、そのくらい自分でやりなよ。妹こき使うとか小町的にポイント低……」

 

 文句を言いながらも用意してくれていた小町が、ケースを開けた瞬間に固まる。

 

「?小町、どうし」

「お、おおお、おおお兄ちゃん!?」

「うお!?」

「こここ小町的にはポイント高いっていうか正直嬉しいけど!やっぱり兄妹でこういうのはいけないっていうかまだ心の準備が!」

「は?お前何言って」

「とにかくゴメンなさい!少し考えさせて!」

 

 小町はそう言い残してリビングを飛び出していってしまった。

 なんだったんだありゃ……。

 そう思いながら小町が放り出した星くず☆うぃっちメルルのケースを拾い上げる。中を見ると、ケースとは違うディスクが入っていた。

 

 ……あー、こりゃアレだ。とりあえずのつもりで適当なケースに入れといて、そのままになっちまったパターンだな。あるある。俺もよくやるわ。

 

「じゃねえよ!?」

 

 まちがって違うディスクを入れちまったのはわかる。だけどそれが18禁のギャルゲーってどういうことよ!?しかもタイトルが『妹と恋しよっ♪』って!

 平塚先生が見たのはこれか。そりゃペナルティも食らうわ!なんつう爆弾投下してくれてんだあのアマ!つーか小町に見られた……orz

 

 小町にどう言い訳するか悩みながら、俺は雪ノ下にどう文句をぶつけるか考えていた。

 




 俺妹とのクロス。ヒロイン○乃つながり。そんだけです、はい。
 入れ代わってるのは雪乃と桐乃だけです。なので高坂家の妹さんはゆきのんになってます。
 雪ノ下家は相変わらずですが、桐乃がタフなんで捻くれてません。あねのんに対しても「凄い人だと思うし尊敬もしてるけどちょっとウザい」くらいの認識で、姉妹仲はこじれたりしてません。
 また、桐乃は隠れオタクですがコミュ力は高いので普通にリア充やってます。なのでガハマさんやあーしちゃんとも交流あり。関係も良好。ついでにイジメられたりもしなかっただろうから葉山との因縁も無くなってます。
 雪乃は常識的なレベルでのブラコンになってます。
 京介とくっつこうとかは考えてないので地味子との確執も無し。むしろ人生の師として尊敬してたり。
 一般家庭で育ったせいか性格も多少丸くなったおり、少ないながらも友達がいたり。具体的にはあやせと加奈子。
 ただ、この設定だと黒猫と沙織が出せないんだよなぁ。


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