ゲームの力でこの世界を生きていく (疾風の警備員)
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プロローグⅠ

どうも、疾風の警備員です。

またやってしまった……他にも書くやつはたくさんあるのに……

でも、突然頭に浮かんだらこの話しかネタが出てこなくなってしまった……

だったらもう書いちゃえ!

てな感じで書いたので、雑が多いかもしれませんけど良ければ見てください。


やあ、始めましてだな。俺の名は【ヴァーリ・ルシファー】…【ハイスクールD×D】という作品のキャラだけど、実は彼に憑依転生した転生者だ。

 

なんか水色の髪をした何処かおバカそうな女神に…

 

「あんた、私の手違いで死なせちゃったから転生させてあげるわ‼‼感謝しなさいよね!?他にも転生者がいるから、貴方にも特典をあげる‼だからこの事は上司に黙っていてください、お願いします…‼」

 

偉そうな態度からの、見事な新体操の技のシライからの土下座という、ある意味スゴいコンボを見てしまった俺は思わず頷いてしまい、ある特典を貰ってこの体に憑依転生してしまったんだ。

 

そして原作との違いが幾つかあり大きなのが2つ、リゼヴィムが俺や俺の眷属に優しいのと、俺に膨大な魔力と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】が無いという点だ。

 

前のは幸運だったが、後のは戦力低下に加えて他にそれを持っている奴がいる………しかも、他の転生者に奪われているかもしれない。

 

このままでは死亡フラグ満載の世界ですぐに死んでしまうと理解した俺は、貰った特典【ゲーマドライバーとガシャットギアデュアルを作れる】という力で、すぐにドライバーとガシャットギアデュアルβを作り上げた。

 

本当ならパラドクスのにしようと思ったが、俺はテレビで見たこちらの方が好きなので先に作り上げた。

 

しかし、この特典はその名の通りガシャットギアデュアル“しか”作れないので、普段の変身用やレベル3や5のガシャットを作ることが出来ないのだ。あの駄女神………変な制約つけやがって…‼大・大・大変身とかやりたかったんだからなッ‼

 

「まあいい、早くアイツの分のガシャットを作り上げないとな…」

 

愚痴を言うのを止め、再びパソコンのキーを叩く。

 

しかし、ほぼ完成してるとはいえやはりデータが足りない。やはり、“アレ”を持っている奴からデータを取れればこの【ガシャットギアデュアルΣ】は完成するのだが……片方が分かっていても、もう片方がそう簡単に見つかるか?

 

「作業は順調?」

 

ガシャットについて考えていたら、その言葉と共に俺の机に紅茶が入ったティーカップが置かれた。

 

「ああ、すまないな…【梨子】。」

 

そこにいたのは俺の女王の桜内 梨子だった。彼女はある事件で人外に家族を殺され、彼女自身も殺されそうな所を俺が偶然助けたのが出会いの始まりだ。その後眷属入りして今では、俺のβのもう片方の力を使いこなす実力者になっている。そして現在は駒王学園二年で俺と同じクラスだ。

 

「そのガシャット、後どのくらいで完成なの?」

 

「ほぼほぼ完成しているんだ。後はアイツの戦い方と中に入れるデータだけなんだが、それは持っている奴から収集しないと…」

 

「だったら気分転換に一緒に出掛けない?もしかしたら出会えるかも知れないし。」

 

「そうだな……なら、行くか。」

 

「やった♪」

 

紅茶を飲み、席を立って財布とスマホをポケットに入れる。

 

「何処に行こうか?」

 

「私は一緒にいられるなら、何処でもいいよ?」

 

そう言って俺の右腕に抱きつき、潤んだ瞳に上目使いで俺を見てくる。

 

何この子、メッチャ可愛いんだけど?

 

「なら商店街にしよう。色々と店を覗いてみないか?」

 

「うん‼」

 

行き先を決め、梨子とともに町を歩いていると……

 

「たく……オメェはいつまで泣いてんだよ?」

 

「だ、だってぇ~…」

 

前から茶髪の男と赤髪の小柄な女の子が歩いてきた。

 

「あれは…一誠とルビィか?」

 

「そうみたいだね。」

 

「ん?なんだオメェらか。」

 

「うえ?」

 

俺達の声が聞こえたのか、一誠達は視線をこちらに向けた。

 

「何かあったの?」

 

「いや、コイツがまた不良に絡まれてたんだよ。もしかしたらワクワクするような奴でもいるかと思って不良に喧嘩を売ったら相手は文字通り不良品ばっかだし……ほんとシラケるぜ…」

 

「うぅ……す、すみません…」

 

「ああ?別にオメェのせいでもねぇだろ。」

 

「わぷっ」

 

そう言いながら、一誠はルビィの頭を少し乱暴に撫でる。

 

男の方【兵藤一誠】は俺や莉子とは同じクラスで、同学年や上級生の大半から札付きの悪というレッテルを貼られている。

 

本人も喧嘩好きを豪語していて毎日誰かと喧嘩しているが、下級生からはかなり慕われている。何故なら喧嘩する相手が大抵下級生にちょっかいを出している所に丁度一誠が通りかかって戦う展開が多いからだ。本人はただ喧嘩がしたいだけらしいが…

 

そのお陰で短い間に下級生からはヒーロー扱いされている。

 

そして隣にいる【黒澤ルビィ】はその一誠によく助け出されている人物だ。本人が名家の出で人見知りが激しいのもあるが、もとから気弱なのでそういった連中によく絡まれるらしい。そしてそこに通りがかった一誠が助けるといった場面が短期間にもう十数回は続いている。

 

そのお陰かどうかは分からないが、その人見知りは一誠には発動しないらしいしむしろ自ら近付いていっている。一誠もそんな彼女を邪険に扱ったりはしないし、むしろ妹みたいに可愛がってる部分がある。本人は気づいてないが…

 

ちなみに梨子が言うには、ルビィは一誠に惚れているそうだ。まあ、何回も助け出されていたらそうなっても不思議ではないか……

 

「ところで、俺へのプレゼントってやつはまだなのか?」

 

「ほぼ完成している。後はお前の戦い方や中に入れるデータだけだ。」

 

「早くしてくれよ?それを使って“アイツ”をボコる時をワクワクしながら待ってんだからよ。」

 

「ああ、お前のワクワクに答える物にしてやるさ。」

 

今一誠が言ったプレゼントは俺が作り上げているガシャットの事で、彼用の調整をしている。

 

実はこれも原作との違いで、一誠も【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】を持っておらず、その兄である【兵藤錬二】とかいう奴が持っているらしい。それはマズいと思った俺が一誠にガシャットの件を提案した。このままだと、もうすぐ始まる原作までに恐らく転生者であるソイツに殺されてしまう可能性があるからな。

 

「そうだ、せっかくだしこのまま皆で駅前にある喫茶店に行かない?確か4人以上なら二割引のサービスをやってたから。」

 

「俺は良いぞ。」

 

「いいよ俺は……めんど「せ、先輩‼いいいいいい行きましょう…‼」うおッ!?」

 

俺は即OKしたが一誠が渋ろうとする前にルビィがいつもより大きな声で噛みながらそう言った。

 

勇気を振り絞ったんだろう……顔が真っ赤になっている。

 

「え、えと…‼さっきのお礼も……したいです…し…」

 

「あれは俺がやりたい事をやっただけだ。礼なんかいるかよ。」

 

「あ……あう…」

 

が、一誠に振られて軽く落ち込んだ。

 

ふむ……ここは助け船を出すか。

 

「良いじゃないか、俺もお前に聞きたい要望とかあったからな…丁度いい。」

 

「……ち、仕方ねぇな。」

 

よし、作戦成功だな。まあ、聞きたい要望があったのは事実だし……

 

一誠に見えない角度でルビィにサムズアップをすると、小さく頭を下げた。

 

因みに俺や梨子も一誠の近くにいたりすることが多いから、あまり人見知りは発動しないらしい。若干距離は感じるがな。

 

「じゃあ行こっか‼」

 

梨子の案内で着いたのは、駅前広場にあるオープンカフェだった。

 

「ここはカフェラテが美味しいんだって。私はそれにするけど、皆は?」

 

「俺もそれで。」

 

「わ…私も…」

 

「何でもいいよ、俺は。」

 

「じゃあ皆同じね。すみませーん‼」

 

梨子の注文が終わり、カフェラテが来たらそれを一口飲む。

 

うん、いい味だ。香りも最高だしこれから外で飲む時はここのにするか。

 

「おい、さっきの話の続きだけどよ…」

 

「ああ悪い、聞きたいのは武器の事だ。何かあ「んなもんは要らねぇよ。」…何故だ?」

 

「喧嘩ってのは己の身一つでやる方がワクワクすんだよ。武器を使うなんざシラケるだけだ。」

 

「…いかにもお前らしい理由だな。」

 

「だろ?」

 

「だったらお前に渡すヤツは、超近接格闘型設定にするか。」

 

まあ、元からその設定だったけど…

 

「おう、頼むわ。」

 

それから夕方近くまで4人で雑談をしていたら………

 

「………………………え…何、今の?」

 

「どうしたの、ルビィちゃん?」

 

突然、ある一点を凝視するルビィを不思議に思い、梨子が声をかけた。

 

「あ…あの………あそこの路地………」

 

「「「ん?」」」

 

ルビィが指差す場所はここから大体500メートルほど離れた通りのつきあたりにあるビルとビルの間を指していた。

 

「あそこに入った人が………………………消えた………んです………」

 

「はあ?んな事あるかよ。」

 

「で………ですよ…ね…?」

 

「つーか、よく見えんな?俺なんかぼんやりとも見えねぇのに。」

 

「たまに………よく見えたり………聞こえたり…するんです…」

 

一誠はそれを信じず、ルビィも勘違いだろうと思い始めているが、俺は嫌な予感がし梨子もそう思ったのかこちらを見ていたので、視線で合図する。

 

「さて、俺達はそろそろ帰るとするよ。お前のを作らないとな。」

 

「二人ともまたね。」

 

全員分のお代を払った俺達は歩きながら、ルビィが言っていた場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「なんか怪しいな…」

 

「ど…どうしたんですか…?」

 

カフェで二人を見送りながら、俺は疑問を口にした。

 

「アイツらの家はあっち側じゃねぇし、向こうには特にこれといった店もねぇ。むしろ、お前がさっきいったビルの隙間があるだけだ。なんだかワクワクしてきたぜ…‼よし、追い掛けるか‼」

 

「うえッ!?」

 

ヴァーリ達がお代を払っていたから、俺はすぐに立ち上がりアイツらの後を追う。

 

「ま、待ってくださ~い…‼」

 

そしたら俺の後ろからルビィが追いかけてきて、俺のシャツを掴んできた。

 

「おい!?離せって‼」

 

「あ、彼処に一人置いてかれるのは…イヤ………です…‼」

 

「人見知りくすぶらせ過ぎだろ…」

 

よくそれで今まで生きてこれたな……まあ、あの姉ちゃんが色々やってたんだろうな。

 

「たく……ついてくるのはいいけど、俺のワクワクの邪魔はすんなよ?」

 

軽く脅すように言うと、ものすごい速さで首を縦に振る。

 

んじゃ、アイツらが何をやるのか拝ませて貰おうか‼

 

少し離れた所から二人を追っていたら、予想通りさっきのビルの間に二人で入っていった。

 

「やっぱりな…」

 

「あ………2階辺りから声が……聞こえます……。」

 

「だから何で聞こえんだよ?」

 

俺はなんにも聞こえねぇのに……

 

「ま、いいや。とにかく行くぞ。」

 

「はい…あ、右のビルです…。」

 

そのビルに入り、音を立てないようにこっそりと2階に上がると、そこには並んで立っているルシファーと桜内に上半身が人間の男に下半身が蠍になっている化け物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

予感に従って先程ルビィが示したビルの近くに来ると、魔力の反応を僅かだけど感知できた。

 

「どうやら、隠密に長けた奴みたいだな。」

 

「ヴァーリ君、私にもガシャットを貸して。」

 

「ああ。」

 

俺はガシャットギアデュアルβを出して起動ボタンを押すと、0と1で出来たデータ情報の流れが梨子の手へと行き、もう1つのデュアルβとなった。

 

これは【ドラゴナイトハンターZ】で使われた仮想ガシャットの技術を付け加えた事で二人で使用出来る様にしたのだ。

 

「それじゃ、行くぞ。」

 

「うん。」

 

中に入り、魔力の反応を頼りに2階に上がるとそこに上半身が人間の男で下半身が蠍の化け物がいた。

 

「はぐれ悪魔か…」

 

「確かアレは【ミメル】。討伐依頼の1つにあった相手だよ。」

 

「ん~?なんだ、貴様らは~?」

 

俺達の声に反応したのか、ゆっくりと体を此方へと向けてくる。その手には人の足らしき物がある。

 

「俺の食事の邪魔するなよ~。」

 

「悪いがそれは中止だ。」

 

「貴方を討伐します。」

 

俺達は腰に黄緑にピンクのドアみたいなパーツがついたバックル【ゲーマドライバー】を装着する。

 

「俺を討伐する~?嘗めるなよ~。」

 

感情の起伏が薄いのか、棒読みに近い言葉で喋る。

 

俺は左手にガシャットを逆さに持って禍々しい鎧が描かれている面を、梨子は普通に持って何処かの船の船長の様なキャラが描かれている面を下側に持ってくる。

 

『TADDLE FANTASY‼』《Let.s going King of Fantasy!!》

 

『BANG BANG SIMULATIONS‼』《I Ready for Battleship!!》

 

電子メロディーが聞こえ、後ろに表示されたゲームのスタート画面みたいな物から、梨子の方は船の戦艦を小さくした様な物、俺の方からは赤紫色で黒いマントを羽織り水色の顔が描かれている小さな存在が出てきた。

 

「なんだそれ~?旨いのか~?」

 

「術式レベル50。」

 

「第伍拾戦術。」

 

「「変身。」」

 

奴の言葉を無視して俺達はガシャットをドライバーに差して、ドアのレバーを開いた。

 

『『デュアル・ガシャット‼ガッチャーン‼』』

 

すると、周りに色んなキャラが描かれたアイコンが出現し、俺は左手を横に伸ばして騎士の、梨子は右手を銃みたいにして正面の兵士のキャラアイコンを選択すると、SELECTと表示され俺達に重なると、俺の姿が水色の中世の騎士みたいな姿に、莉子は右目が隠れ右肩にマントを羽織った兵士みたいになり、その上に先程呼び出した存在が上から装着される。

 

『『デュアル・アップ‼』』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

変身が終わると、俺は禍々しい鎧に黒い角がついた赤黒い兜を被ったまるで魔王みたいな出で立ちに、梨子は両肩や上腕、両手に計10門の砲台を備え頭には船長が被る帽子を装備した姿になった。

 

「姿が変わった~?」

 

「仮面ライダーブレイブ・ファンタジーゲーマー。」

 

「仮面ライダースナイプ・シミュレーションゲーマー。」

 

『ガシャコンソード‼』

 

俺は更に武器アイコンから揺らめく炎のような形の刀身をした剣【ガシャコンソード】を出して右手に掴み、ミメルに突きつける。

 

「これより、はぐれ悪魔切除手術を開始する。」

 

「ミッション、スタート。」

 

「負けるもんか~。」

 

此方へと走ってくるミメルに俺達も走りだし、戦闘へと突入した。




どうでしたかね?

次回は、他のサンシャインのキャラを出そうと思ってます。

良かったら、感想ください。モチベが上がると思いますので。


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プロローグⅡ

どうも、疾風の警備員です。

今回は戦闘はアッサリと終らせて、他のサンシャインキャラの登場回となります。

サンシャイン原作とはだいぶキャラ関係が変わってるのが何人かいます。

その辺を気にしない人はどうぞ。


一誠side

 

おいおい…なんだよこの展開は…‼

 

俺は目の前で起きている事が信じられなかった。化け物の事もそうだが、ルシファーと桜内が変なアイテムで違う姿になっちまったからだ。

 

「夢って思いてぇけど……どうやら現実みたいだな…」

 

何故なら、隣で完全に怯えて俺に引っ付いている黒澤のシャツを引っ張る感覚が俺に伝わっているからだ。

 

「せ…先輩…‼」

 

「シッ‼大きな声を出すな。アイツらに気付かれる。」

 

この言葉に黒澤は自分の手で口を覆った。

 

「アイツら……裏でこそこそこんな事をやってたのか…‼」

 

戦いを始めた二人を見て、俺は思わず拳を握り締める。心の中で燃え滾るワクワクを表現するかのように……

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「死ね~。」

 

抑揚のない声で、ミメルは巨大な尾の針を突き刺そうとしてくるが……

 

「遅い。」

 

その悉くを梨子が全身の砲台からの射撃で撃ち落とされ、終いには針が破壊された。

 

「はあッ‼」

 

その間に近づいた俺は、ガシャコンソードで片側の足を全て切り落とす。

 

「痛った~。」

 

ダメージの割にまるで痛みが無いかのように、残った足を出してくるのを、手から波動を放ってミメル本体もろとも弾き飛ばす。

 

「痛覚も鈍いのか…」

 

「早く終わらせよう。これ以上は時間の無駄だよ。」

 

「ああ、一気にやるぞ。」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

ベルトのレバーを閉じ、剣や砲口にエネルギーが溜まった所で再び開いた。

 

『『ガッチャーン‼』』

 

『TADDLE CRITICAL SLASH!!』

 

『BANG BANG CRITICAL FIRE!!』

 

「ふッ‼」

 

「やあッ‼」

 

俺は飛び上がり、莉子が全ての砲門から高密度のエネルギー弾を連射して、穴だらけになった体に禍々しいオーラを纏った剣を振り下ろした。

 

「たあッ‼」

 

ザンッ‼‼

 

この一撃で真っ二つになったミメルはあっさりと消滅した。

 

「術式終了。」

 

「ミッションクリア。」

 

『『ガッチョーン、ガシューン。』』

 

レバーを閉じガシャットを抜いて変身を解除した俺は後ろを振り返り……

 

「出てこい一誠にルビィ。いるのは分かってるぞ。」

 

そう呼び掛けると、階段付近の物陰から二人が出てきた。

 

「やっぱバレてたか。」

 

「す、すすすすすすみませんッ‼‼」

 

一誠はあまり態度を変えず、ルビィは高速で何度も頭を下げていた。

 

「どうする、ヴァーリ君?」

 

「俺は記憶操作は苦手だし、一誠の場合は力づくで破りそうだしな……正直に話すか。」

 

バレた以上、アイツの性格から考えると何があろうと関わろうとするだろうからな。

 

「家に来い。そこで話してやる。」

 

「ルビィちゃんも悪いけど…」

 

「おう‼」

 

「は……はい…」

 

ビルから出て俺達は二人を家まで案内する。その数分後、二人の人物がそこに来たのを知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「着いたぞ。」

 

ルシファーに案内されて来たのは、少し大きめの一軒家だった。

 

「案外フツーなのな?」

 

「何を想像してたんだ?とにかく上がってくれ。」

 

そう言ってルシファーがドアを開けたら…………

 

「フッフッフッ…‼ようやく帰って来たわね、我が下僕達よ。さあ‼私の黒魔導の儀式の手伝いを(ガシッ)むがッ!?」

 

黒いマントを羽織り何か痛々しいセリフを喋る女の子がいて、ルシファーはソイツの頭を右手で掴んで持ち上げた。

 

「おい善子……客の前で人を下僕呼ばわりとは、いい度胸してるな?」

 

「ギャアアアアアッ‼‼待って‼割れる割れる割れる割れる割~れ~る~ッ‼」

 

「このまま粉微塵に割ってやろうか?」

 

「謝る謝るッ‼謝るからは~な~し~て~ッ‼‼」

 

「まったく…」

 

「みぎゃッ‼」

 

ルシファーが手を離すと、ソイツは尻から床に落ちた。

 

「うう~……ほんとに砕けるかと思った…‼」

 

「もう、よっちゃんも少しは学ばないと。ヴァーリ君は私達の王なんだから。」

 

「だからって、ちょっとしたお茶目にアイアンクロー決める!?」

 

「ああ?」

 

「すみませんでした‼」

 

ルシファーの睨みに善子と呼ばれた女は、見事すぎる土下座を決めた。

 

「お客様もいる前でやったら、私でもそうするよ?」

 

「お客…?」

 

そこで、顔を上げた女は俺達に気づいたみたいだ。

 

「あ、ルビィに番長先輩。」

 

「こ……こんば…んわ…」

 

「おい待て、なんだその呼び名は?」

 

いつから俺は番長になったんだ?

 

「一年の間ではこう呼ばれてますよ?【駒王の番長】って。だから番長先輩。」

 

そのあだ名を広めた奴……覚えてろ…‼

 

「ほら、善子はさっさと着替えてこい。後の二人は?」

 

「善子言うな‼ヨハネよ‼‼あの二人だったら…」

 

「これでFINISHッ‼」

 

「ああ~ッ‼ち、ちょっと待ってぇぇぇぇぇッ!?」

 

そこで奥の部屋から新たに二人の女性の声が聞こえてきた。

 

「大体わかった。梨子はお茶の用意を頼む。」

 

「うん。」

 

桜内と善子?と別れ、ルシファーの後に続いてリビングに入ると、二人の少女が対戦ゲームをしていた。画面にはPERFECT GAMEと表示されている。へぇ、ノーダメで勝つなんてやるな。

 

「Yeah‼私の勝ちね、千歌?」

 

「うう~……全然攻撃できなかった…鞠莉ちゃん、強すぎだよ~…」

 

「千歌に鞠莉、ゲーム仕舞え。客がいるんだから。」

 

「あ、ヴァーリ君お帰りなさい。」

 

「あら、お帰りヴァーリ。」

 

その二人は駒王の制服を着ている上、片方は俺の隣のクラスの奴だった。

 

「お前は確か…高海か?」

 

「あれ、兵藤君だ。」

 

「コイツとルビィに戦闘現場を見られてな。」

 

その言葉に二人は驚いた顔をしてルシファーを見た後、俺達を見る。

 

「Oh…大丈夫なの?」

 

「だから説明の為に呼んだんだ。」

 

「はーい、お茶が用意出来たよ。」

 

そこにカップとティーポットをトレイに乗せた桜内が来たので、俺達はソファーや床に座る。

 

「さて、話を始めるか。」

 

そしてルシファーから語られたのは、この世界には天使や悪魔、堕天使等のよくいうファンタジーの存在がいるという事、大きな戦争でその三種族は存続の危機にある事、人間には不思議なアイテム【神器(セイクリッド・ギア)】が宿る場合がある事、悪魔が開発した悪魔に転生させる【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】の事、桜内達はルシファーの眷属という事、あの戦いに使ったのはルシファーが作った装備という事だった。

 

「大体話したが、質問はあるか?」

 

「そもそも、そんな存在を信じろって方が無理だ……って言いてぇけど、あんなモン見ちまったから信じるしかねぇだろ。」

 

隣にいる黒澤は既に頭から煙を出してオーバーヒートしてるみてぇだけど……

 

「話はわかった。んじゃ俺に渡すヤツってのも、そのお前が作った装備ってやつなんだな?」

 

「ああ、調べて分かったがお前の兄には神器……それもその中で神をも殺せる可能性を秘めた13の神器【神滅具(ロンギヌス)】の所持者だと判明したからな。それは必ず戦いを呼び込む。俺としてはそれに巻き込まれて、お前が死ぬのは嫌なんでな。」

 

「ケッ‼そんな簡単に死ぬかよ。」

 

「そうだな。では、説明が終わったところで改めて自己紹介するか。俺はヴァーリ・ルシファー、魔王ルシファーの血族と人間のハーフでここにいるメンツの王を勤めている。」

 

「桜内梨子、ヴァーリ君の女王をしています。」

 

「私は三年の小原鞠莉、ヴァーリのKnightを担当してるわ。」

 

「我が名はヨハネ「津島善子な?」うっさい‼闇の魔導を操り、世界を混沌に導く者「一年生でヴァーリ君の僧侶です。」ちょっと人がかっこよく決めてい「じゃあ次は私だね‼」おいッ!?」

 

「二年の高海千歌、ヴァーリ君の兵士だよ‼」

 

「以上が俺のメンバーだ。」

 

自己紹介が(1名微妙だったが)終わり、この事はあまり広めない様に言われたところで、時間も7時近くになっていたので俺は帰る事にした。そこで、何故か黒澤を送って行くように全員からいわれ、仕方なく一緒に歩いていた。

 

「す、すみません…御迷惑……でしたか…?」

 

「あ?別になんとも思わねぇよ。」

 

そんな感じに並んで歩いていたら……

 

「おい、テメェが兵藤一誠か?」

 

「んあ?」

 

後ろから中々に威圧のある声で呼び掛けられて、振り返って見ると俺と同じ位の男が10人ほど立っていた。その中には頭や顔、腕等に包帯を巻いてるのが8人いた。

 

「誰、あんたら?」

 

「昼間は俺の部下を可愛がってくれたそうじゃねぇか?そのお礼に来たんだよ…‼」

 

ああ、昼間に黒澤に絡んでた奴等か……

 

「ハッ‼悪ぃな、雑魚の顔なんざ覚えてねぇんだわ。」

 

「テンメェ…‼‼」

 

この言葉にキレたのか、一人が突っ込んでくるが……

 

「フンッ‼」

 

「プンバッ!?」

 

顔面を殴って一撃で沈めた。

 

「おい黒澤、そこの路地に行って目と耳を塞いで隠れてろ。邪魔だ。」

 

「は、はい…‼」

 

すぐ横の路地に黒澤を移動させ、俺はその路地の前に立つ。これならアイツらの狙いが分散しねぇから、よりやり易くなる。

 

「テメェ……よくも、てっちゃんをッ‼‼」

 

「御託はいいからかかってこいよ。今日の俺は気分が良いから半殺しで終わらせてやる。」

 

そう言って、右手の人差し指を何度か曲げたりして挑発する。

 

「オイお前ら‼‼やっちまうぞ‼‼」

 

「さあ、遊ぼうぜッ‼‼」

 

向かってくる雑魚共にいい笑顔でそう叫び、喧嘩を初めて3分程で俺のノーダメによる完全勝利で終わった。

 

「ふう、リーダーの方はまあまあ楽しかったぜ?また遊ぼうな。」

 

既に全員気絶してるから返事はねぇけど……

 

「おーい黒澤、もう出てきてもいいぞ?」

 

路地に向かってそう呼ぶが、何の反応も返ってこなかった。

 

「……そういや目と耳を塞がせてたんだったな。」

 

路地に入ると黒澤が言われた通り目と耳を塞いでしゃがみこんでいた。

 

「おい、終わったぞ。」

 

「ぴぎぃッ‼‼…………せ、先輩…?」

 

肩を叩いたら最初は驚いた声を上げ、ゆっくりとこっちを向いた。

 

「おら、終わったから帰るぞ。」

 

「あ…ま、待ってください…‼」

 

早く帰ろうとする俺に、黒澤は慌てて走りよって来て制服を掴む。

 

「おい、なんだよ?」

 

「すみません……でも…今だけ…」

 

そう言う黒澤の手は震えていた。

 

……ま、コイツからしたらああいうのは怖いんだろうな。俺はそんな感覚、もうとっくに麻痺しちまってるけど。

 

「しゃーねぇな……家に着いたら離せよ?」

 

そんなこんなで、黒澤の歩行ペースに合わせながらゆっくりと歩き、ようやくコイツの家に着いたけど家の前に二人の少女がいた。

 

「ルビィちゃん、まだ帰ってないんですか?」

 

「ええ、何処で何をやってるのやら…」

 

一人はコイツと一緒に助けた事があったな……もう片方は姉か。

 

「おい、着いたぞ?」

 

「あ、お姉ちゃんに花丸ちゃん…」

 

「え…?ああッ‼ダイヤさん‼ルビィちゃんに番長先輩ズラッ‼」

 

「だから誰が番長だ…」

 

ほんとに一年の奴等全員に伝わってるのかよ……俺の番長呼びは…

 

「貴方は…」

 

呼び始めた奴をどうしてやろうかと考えていたら、黒澤姉が目付きを鋭くしながら俺に近寄って来た。

 

「あんたは?」

 

「ルビィの姉の【黒澤ダイヤ】です。」

 

「……俺に何か用っすか?」

 

「聞きたいことは1つだけですわ。私の妹を連れて何をやっていたのですか?」

 

……どうやらこの姉さんは俺に否定的な奴みたいだ。

 

「俺がそれで語って……あんたはそれを信じるのか?」

 

「事と次第によりますわね。」

 

「だったら俺は何も言わねぇ。俺が何を言っても弁解か反論にしかならねぇしな。そっちで好き勝手に解釈してろ。」

 

どうせこういう奴には何を言おうが無駄なのは分かってるよ。

 

「………………なら、そうさせてもらいますわね。」

 

そこで俺は飛んでくるであろう罵詈雑言を聞き流そうと思っていたが、その姉さんの予想外の行動に俺は思考が一瞬止まった。

 

「…………何故頭を下げる?」

 

そう、黒澤姉は俺に頭を下げていたのだ。

 

「ルビィの貴方に対する態度を見れば分かります。恐らく、また不良に絡まれている妹を助けてくれたのでしょう?これはそれに対する正当な行為ですわ。妹を助けてくれてありがとうございます。」

 

「マルからも、ありがとうございます‼」

 

そこに、もう一人いた少女まで加わった。

 

「…………頭を上げてくれ。俺は感謝なんかされる人間じゃねぇ。」

 

「…確かに、普段の行いは褒められたものではありませんわ。でも、それで助けられた者達も大勢います。だから、貴方は感謝されても良いのですよ。」

 

「そうズラ‼マルも先輩に助けて貰った事があるズラ‼」

 

なんか調子が狂うぜ……感謝されるなんざ、親以外なかったからな……

 

「とりあえず、あんたの妹は無事に届けたぜ?」

 

「はい……ルビィ、いらっしゃい。」

 

「うん。」

 

黒澤妹が離れて姉のところに行ったら、俺はもう一人の少女を見た。

 

「ああ、それとそっちの……お前、名前なんだっけ?」

 

「マルですか?マルは【国木田花丸】です‼」

 

「国木田ね……ついでだ、お前も家まで送ってやる。」

 

「え…いいんですか?」

 

「さっき俺絡みの連中に会ったんだよ。他にもいるかも知れねぇし、それに他の奴を巻き込むのは後味が悪いんでね。」

 

「花丸さん、ここは好意に甘えておきなさい。」

 

「じゃあ…お願いします。」

 

最初渋る感じだったが、俺が話した理由と黒澤姉の言葉で国木田は答えた。

 

「んじゃ、行くぞ。」

 

「はい‼ダイヤさん、ルビィちゃん、またね~‼」

 

黒澤姉妹と別れて、国木田を家の前まで送る間は特にこれといった事はなく、それから自分が親に頼んで借りてる低賃金のアパートに向かった。

 

因みに俺が一人暮らししてるのは、あのクソ兄貴といると面白くもなんともない喧嘩にしかならないからだ。親父とお袋は仲を取り持とうとしてるけど俺達にそんなつもりは一切ない。

 

「さて、夕飯はどうす「やっと帰ってきたね、イッセー?」…げ、この声は…‼」

 

アパートの前で遅めの夕飯を考えていたら、少し上から聞き慣れた声が聞こえ、下に向けていた視線を上げると借りてる2階の部屋の前の手すりに体を預けている一人の少女がいた。

 

「せっかく来た幼馴染みに“げ”はないんじゃない?」

 

「カナ姉…‼」

 

それは俺の1つ上の幼馴染みである【松浦果南】だった。

 

「何しに来たんだよ?」

 

「様子を見てきてほしいって、イッセーのご両親に頼まれたのよ。」

 

「チッ……余計な事を…」

 

階段を登って部屋の前に着くと、彼女は扉の前で仁王立ちしていた。

 

「で?こんな時間まで何をやっていたのかな?」

 

「別に……話す程じゃねぇよ。」

 

「もう……可愛く無いなぁ…昔はあんなにカナ姉カナ姉って懐いてたのに。」

 

「昔は昔、今は今だ。」

 

話しながら部屋の鍵を開けて中に入り、さっさと閉めようとしたが……

 

「お邪魔しまーす。」

 

「いつの間に…」

 

カナ姉が既に奥の窓の前にいた。

 

「ほら、今日は久々に私が夕御飯作ってあげる♪」

 

「別にいいよ。ホラッ‼とにかく俺は大丈夫だって分かったからもういいだろ?」

 

「あ‼ちょっと!?押さないでよ‼」

 

俺はカナ姉の背後に回って肩に手を置き、外に出そうと押すが、カナ姉もそれに抵抗してくる。

 

「この…‼さっさと出てけ‼」

 

「嫌よ…‼」

 

そんな押し合いを続けていたら……

 

ツルッ‼

 

「おわッ!?」

 

「え?キャアッ‼」

 

俺は足を滑らせて、カナ姉を巻き込みながら床に倒れてしまった。

 

「イチチ…‼大丈夫か、カナね(ムニュ)ん?」

 

「ひゃうッ!?」

 

何だ、この右手の感触は?床にこんな柔らかい物は無い筈……なら何だ?

 

そう思って視線を右手に向けたら……

 

「な……ななななな…‼‼」

 

「いいッ!?」

 

俺はカナ姉に覆い被さる様になっていて、右手はそのカナ姉の立派に育った胸の上にあった。

 

「いや、これは事故であってわざとじゃ…‼」

 

「ちょ、あんまり動いたら…‼‼」

 

状況が状況だけに、軽くパニクりながら退こうとしたら……

 

「やっほー‼夕飯のおかず作りすぎたから、お裾分けに持ってき……た…」

 

「「あ。」」

 

新たに入ってきた少女に、まるで俺がカナ姉を押し倒しているかの様な現場を見られてしまった。

 

「「「…………………………………………」」」

 

3人でしばらく無言になるが、最初に動き出したのは新たに入ってきた少女だった。

 

キィ~……パタン……

 

彼女はゆっくりと扉を閉め……

 

『…………あ、もしもしお母さんッ!?今、イッセー君の部屋に来たらイッセー君と果南ちゃんが…‼』

 

「「待て待て待て待て待て待て‼ストォォォォォップ‼」」

 

ドア越しにそんな電話をし始めたのが聞こえたので、慌てて二人で外に出てカナ姉がソイツを押さえて俺がスマホを取り上げて、通話を切った。

 

「ハァ……ハァ……ま、間に合った…‼」

 

「今の…メールの一斉送信ボタンなんだけど?」

 

「「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?」」

 

マジかッ!?俺、もしかして大変な事しちまった!?

 

あまりの展開に本気で焦り始めるが、ソイツの顔は必死に笑いを堪えているように見え……

 

「アハハハハハハハハッ‼‼冗談だよ、冗談♪」

 

ついに堪えきれず、笑いながら俺達にそう告げた。

 

「「………………………………………………」」

 

ソイツは笑っていたが、俺とカナ姉は無言のままソイツの頬を左右から摘まみ……

 

「「冗談ですむかあああぁぁぁぁぁぁッ‼‼」」

 

「いひゃい‼いひゃい‼いひゃい‼いひゃいッ‼‼」

 

全力でその頬を引っ張った。おおすげー、よく伸びる伸びる。

 

 

 

「うう~……ひどいよ二人とも…」

 

「タチの悪ぃ冗談言う…お前が悪い。」

 

「まったくだよ…反省しなさいね、曜ちゃん?」

 

あれから部屋に戻り、俺達をからかった近所に住む少女【渡辺曜】は赤く腫れた頬を擦りながら涙目でこっちを見てくるが、俺達はそれをバッサリと切り捨てた。因みに彼女はもう一人の幼馴染みで小さい頃から一緒に遊んだ仲だ。もちろん、クソ兄貴には一切教えてない。

 

「こうなったら、ネットに…「「それやったらどうなるか……分かってるよな(ね)?」」…ゴメンナサイ…」

 

曜がさっきの話を引きずろうとしてきたので、俺は両手の骨を鳴らし、カナ姉は料理するために持っている包丁を見せてイイ笑顔で言うと、顔を青くして謝った。

 

「ほら、ご飯出来たよ。」

 

あの後、結局カナ姉に夕飯を作ってもらう事になり、曜も食べていく事になった。

 

「はい、おまちどうさま。」

 

持ってきたトレイにはご飯にサラダとしょうが焼きに油揚げと大根の味噌汁、曜が持ってきたアジフライがあった。

 

「それじゃ、いただきます。」

 

「いただきま~す‼」

 

「……いただきます。」

 

そう言って食事を始める。やっぱカナ姉達の飯は俺が作るより味がダンチだわ。

 

「あ~…さっきのはそういう事だったんだ?」

 

「そうなのッ‼だから変な勘違いはしないでね?」

 

「え~?でもでも…まんざらでもなかったんじゃない?」

 

「う……‼そ、それは…まあ…」

 

「私は果南ちゃんの事、応援してるから。」

 

「うう……ありがと…」

 

「何の話してんだ?」

 

「「女同士の秘密‼」」

 

「はあ?」

 

そんな感じに食事は進んでいき、俺がアジフライにソースをかけてかじりついていたら…

 

「ねぇイッセー、今日はなんか良い事あったの?」

 

「あ?なんでそう思うんだ?」

 

そう聞いてきたカナ姉の言葉に返事すると、曜が唇の端を指差した。

 

「口元、微妙に弛んでるよ?イッセー君って昔から楽しい事があるとそうなる癖があるよね。」

 

「マジか……まぁ、ワクワクするような事ならあったぜ。」

 

「え、どんなのどんなの?」

 

「教えねぇよ。これは俺のワクワクだからな。」

 

「「ええ~?」」

 

ルシファーに言われた通り、俺は二人には今日の事を黙っておいた。

 

どうせ信じて貰えないだろうってのと、この二人は巻き込みたくないという思いもあるが、本当はあの時見たルシファー達と化け物の戦いで感じたワクワクが俺の中でまだ燃えていたからだ。

 

近いうちにあんなのと戦える力が手に入ると思うと、本当にワクワクが止まらねぇッ‼

 

そんな興奮を内に秘めながら、俺はまたアジフライにかじりついた。

 

 




いかがでしたか?

そういやマイティブラザーズXXってガシャットギアデュアルを作るための試作品で出来たんでしたよね?

なら、出しても問題………………無いですよね……?



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プロローグⅢ

どうも、疾風の警備員です。

今回は出そうか迷ったあのキャラが少しだけ出てきます。

では、どうぞ。


ヴァーリside

 

「これでアイツのデータ入力も終了した。後はあのデータだけか…」

 

データを保存してパソコンから視線を外し、少し目を休ませる。

 

「お疲れ様、完成まで後一歩だね。」

 

「ああ、だが片割れが何処にいるのやら…」

 

なるべくなら2体同時に確保したいが、そう都合よくいく訳無いからな……

 

梨子が淹れてくれた紅茶を飲みながら思案していたら、パソコンの画面が急に消えた。

 

「ん?」

 

「これって…」

 

その現象に覚えがある俺達が画面を見ていたら、再び画面が点いたがさっきまでプログラミングしていた画面ではなく、白い壁に赤いラインが所々走りドット柄のアイテムが周囲に散らばっている空間が映った。

 

『おーい、誰かいる~?』

 

そして新たに画面に映ったのは白とレモン色に黄緑の縁取りがされたドレスを身に纏い、同じ色合いのミニハットにピンクのショートヘアーの女性だった。

 

「ポッピーか。」

 

「お久し振りです、ポッピーさん。」

 

『うん、二人ともひっさしぶり~‼』

 

コイツは【ポッピーピポパポ】。俺が原作初期の10個のガシャットを何とか作ろうとして失敗しまくった内の1つから出てきた存在【バグスター】の一体だ。今はじいさん……リゼヴィムの仕事の補佐と護衛を他2体のバグスターと一緒に行っている。

 

「どうしたんだ?」

 

『リゼヴィムから言伝てを預かったの。え~とね…』

 

スカートのポケットから1枚の紙を取り出すと、それを俺達に見せた。

 

『じゃ~ん‼なんと…もう一人が見つかったのだ~‼』

 

「ホントかッ!?」

 

その情報に俺は思わず椅子から立ち上がった。

 

『うんうん‼しかも、既にそっちにいるんだって‼よっしゃ、ラッキーだ~♪』

 

確かにこれはまたとないラッキーだ。これでやっと完成できる‼

 

『しかもしかも~、どっちも今日の夜に町外れの工場にいるはぐれを退治に行くって情報も掴んだから、ここでまとめてデータをGETだぜ~‼』

 

「サンキューな、ポッピー。」

 

「ありがとう、ポッピーさん。」

 

『いやいや~♪それじゃ、私は戻るね~♪ペポパピプチッとな。』

 

最後にそんな言葉で通信?は切れて何時もの画面に戻った。

 

「梨子、3人に連絡を入れろ。あれとは必ず戦いになるからな。」

 

「うん‼」

 

梨子がメールを送る傍らで俺は機械に差してある深緑色のガシャットギアデュアルΣを抜き取る。

 

「そろそろ原作が始まる……アイツには生き残ってほしい。このくだらない戦い(ゲーム)から…」

 

そう呟き、それを鞄に入れた。

 

 

 

 

 

一誠side

 

「あ~…体が鈍る…」

 

通学途中に絡んできた他校の奴等相手に一運動(ケンカ)を終えた俺は、やる気無く歩いていた。

 

「もっと俺をワクワクさせてくれる奴はいないもんか…」

 

あのルシファー達の戦いを見てしまった後、俺はどんな喧嘩をしてもそれほどワクワクを感じなくなっていた。

 

「あんな人の枠を越えた勝負が出来たら……このワクワクが満たされるのかね?」

 

「何をブツブツ言ってるの?」

 

「ん……?なんだ、曜か。」

 

少しボーっとしながら歩いていたら、いつの間にか曜が隣にいた。

 

「また朝からケンカ?いい加減にしなよ、果南ちゃんも心配してるんだから。」

 

「悪いがそれは却下だ。」

 

喧嘩は既に俺の生き甲斐みたいなもんになってる。それを辞めるなんてもう出来ねぇ。

 

「もう…」

 

呆れる様に肩を竦める曜と一緒に学園まで歩く。

 

「カナ姉は?」

 

「今日は日直なんだって。」

 

「ふぅん…」

 

そんな感じに世間話的なのをやっていたら、校門の前に人だかりが出来ていた。

 

「なんだ?邪魔くせぇなぁ…」

 

「ああ~、丁度あの人達が来る時間だったんだ。」

 

「あの人達?」

 

何の事か分からなかったが、目を凝らすと赤い髪をした少女とそれに付き従う様に3人の男女がいた。

 

「誰だ、ありゃ?」

 

「えッ!?グレモリー先輩達の事、知らないの!?有名だよ、美男美女のグループって。」

 

「へぇ~…」

 

「イッセー君の好みの子もいるんじゃない?」

 

曜がそう言ってくるから一応見てみたが……

 

「ないな。アイツらはねぇわ。」

 

一目見てすぐにそう言った。

 

「ありゃ、そうなの?」

 

「あんな腹に一物抱えてそうな奴等とか、マジで無理だよ。」

 

喧嘩屋の勘みたいなものだが、アイツらは何かとんでもない事を隠してる。そんな奴等と恋仲とか想像しただけでも殴り飛ばしたくなる。

 

「なら、どんな子がイッセー君の好みなのかな?」

 

「そうだな…………言う訳ねぇだろ。」

 

「う~ん、残念。」

 

「ほら、遅刻すっぞ?」

 

「って待ってよ~‼」

 

曜の言葉を流しながら俺は校門の端の隙間から校内に入り、曜もそこから入ってくる。

 

「そんじゃ、つまんねぇ授業でも聞きながら、寝るか。」

 

「いや、真面目に受けようよ?」

 

 

 

ー《睡眠学習中》ー

 

 

 

1時間目から寝ていたら、いつの間にか昼休みになっていた。

 

「さて、購買にでも行くか。」

 

スタートダッシュを逃している以上、ろくな物は残って無いだろうが食堂で食うと周りの視線が鬱陶しいから俺は使わない事にしているので、食糧調達の場所はそこしかない。

 

そして購買に着けば残っていたのは案の定、あんパンと牛乳という残り物の定番中の定番だったのでそれを買って屋上へと向かう。彼処は人が滅多に来ないから俺が唯一安らげる場所になっている。

 

因みに本当は立ち入り禁止だけど、扉の鍵が壊れている為一日中使用可能だ。

 

さっさと食ってもう一度寝ようかと考えていたら……

 

「あ、番長先輩ズラ。」

 

「え?」

 

「ん?……国木田に黒澤妹か。」

 

その場所に、黒澤妹達がいた。

 

「ここは立ち入り禁止だぞ?」

 

「先輩も入ってきてるじゃないですか。」

 

「俺は不良だからいいんだ。」

 

俺は二人から少し離れた位置に座り、柵に背を預けながら買ったあんパンを頬張る。ああ……甘え。

 

「あ……あの…………それだけで…足りるんですか……?」

 

「まさか……後は放課後まで寝て過ごすから問題ないだけだ。」

 

「それ、問題しかないズラ。」

 

あんパンを食い終わり牛乳を胃に流し込むが、やはり空腹を満たすには程遠い。

 

「ち……金はあんまねぇし、水でも飲む「あ、あの…‼」なんだ?」

 

水道に行く為、腰を上げたところで黒澤妹が俺を呼び止め、顔を赤くしながら持っていた箱を勢いよく見せてきた。

 

「よ、よよよよかったら…‼ひ…1つ、どうですか……‼」

 

それはコイツの弁当箱らしく、中には色々な具のサンドイッチが入っていた。

 

「そ…その……私が…………作った…から……美味しくない…かも…ですけど…」

 

が、その勢いはすぐに萎み顔を俯ける。

 

コイツを見てると、ガキの頃を思い出すな…あのクソ兄貴と比べられて自信を無くされていく日々を…

 

……しゃーねぇな。

 

俺は手を伸ばして、弁当箱からハムとレタスのサンドイッチを取り一口で頬張った。

 

「あ…」

 

「うん、結構イケんじゃねぇか。これならもっと自信持っても良いと思うぜ?んじゃ、ごっそさん。」

 

そう言って彼女の頭を一撫でしたら、俺は屋上から出た。

 

コイツに俺みたく腐って欲しくないからそう言ったが、実際食ってみたらかなり旨かった。カナ姉や曜ともタメを張れると思う。やべ……味を思い出したらまた腹減ってきた。水でも飲んでこよ。

 

その後、風の噂で聞いたが一人の女の子が保健室に運ばれたそうだ。なんでも緊張のし過ぎで倒れたんだと……何かの発表会でもあったのかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

授業が終わった俺達はポッピーピポパポから聞いた、ボロボロの廃工場に来ていた。

 

「うわ~…何かいそう…」

 

「千歌ちゃん、いそうじゃなくているんだよ。はぐれ悪魔だけど。」

 

「話は後にしてまずは中にいるはぐれを倒すぞ。作戦中に邪魔をされるのは勘弁してほしいからな。」

 

「「「「了解。」」」」

 

そして全員で中に入ると、上から何かが落ちてきた。

 

「クククク……バカな獲物が5個も来やがったぜ。」

 

それは人型で大きさも俺達と同じだが、全身から黒いオーラを放ち、一本の剣を右手に持っていた。

 

「アイツが標的か。」

 

「お前らさぁ~?ちょっと僕の剣の練習に付き合ってよ。もちろん…………サンドバッグとしてさぁッ‼‼」

 

そう言って剣を突きの構えにして突っ込んでくるので、散開するようにして回避する。

 

「イイねぇイイねぇ~…‼‼そのまま逃げ回れよ‼」

 

「梨子と善子は結界‼鞠莉はその護衛‼千歌、出番だッ‼【昇格(プロモーション)】を許可する‼」

 

「うんッ‼昇格・女王‼」

 

結界が張られ千歌は女王に昇格すると腰にゲーマドライバーを装着し、右手にオレンジとエメラルドの2色に縦半分に分けて塗られてダイヤルが無く、まるで銃のグリップみたいなガシャットを取り出して、起動ボタンを押す。

 

あれは本来作る予定に無かったが、初期ガシャットがどうしても出来なかった時の息抜きに作ってみたら何故か出来てしまったのだ。恐らく、原作ではあれが能力の元になったからだろうと俺は予想している。

 

「いっくよ~‼」

 

『マイティブラザーズ・ダブルエーックス‼』

 

千歌の背後に表示されたスタート画面と、そこを中心にオレンジとエメラルドの光が広がりながらゲームエリアを構築、更に周囲に強化アイテムである【エナジーアイテム】が散らばっていく。

 

そして右手を左前に突きだし、そこから大きく腕を回しながらガシャットを顔の右側に持ってきて……

 

「変身ッ‼」

 

そう叫んでガシャットを反転させながら左手に持ち変えると、上に高く掲げ一気に振り下ろしながらドライバーに差し込み、レバーを思いっきり開いた。

 

『ダブル・ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

すると彼女の周りに様々な姿のキャラが描かれたアイコンが回りながら出現し、開いた時に伸ばしたままの右手が右がオレンジ、左がエメラルド色になっているキャラのアイコンに触れ、SELECTと表示されると彼女に重なっていく。

 

『レベルアーップ‼マイティ・ブラザーズ‼二人で一人‼マイティ・ブラザーズ‼二人でビクトリー‼エーックス‼』

 

そして完全に重なると千歌の姿が完全にアイコンのキャラになるが、俺と梨子が変身した時と違い短い手足にずんぐりとした胴体、大きな頭という4頭身の姿になっていた。

 

「よ~し、ノーコンティニューで……‼」

 

『クリアしてあげるわ。』

 

そこから決め台詞を言うが、前半と後半で声音がかなり変わっていた。

 

「おいおい……そんなヘンテコな姿で勝てると思ってるのかい?」

 

変身した千歌を見たはぐれが彼女へと向かって剣を振るうが、それを見た目とは裏腹な見事なスウェーで回避する。

 

「おりゃッ‼」

 

「うぐッ!?」

 

そのまま起き上がるのと同時に両手を突きだしてはぐれを吹き飛ばす。

 

「へぇ~…意外とや「う~りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ‼‼」ごッ!?ぶッ!?べッ!?」

 

はぐれが体勢を直す前に飛び上がった千歌は、華麗な空中連続蹴りを放ちはぐれにダメージを与えていく。

 

「この…‼大人しくしろ『遅いわ。』なッ!?僕の剣が…‼」

 

それに怒ったはぐれが剣を右手に振るうが、千歌はそれを掴むと両手で思いっきり曲げて、使い物にならなくした。

 

「これで…ッ‼」

 

『終わりね。』

 

「うごばぁッ‼‼」

 

それで放心状態になっているはぐれに両足蹴りを叩き込み、それを喰らったはぐれは吹き飛び、壁に激突すると動かなくなった。

 

「イェイッ‼ビクトリィー‼」

 

『楽勝よ。』

 

勝利の決めポーズを決める千歌に結界を解除してから近づいていく。

 

「よくやった。後はこっちに任せろ。」

 

「うん、善子ちゃんの護衛は任せて‼」

 

遠くから「ヨハネよッ‼」なんて聞こえてくるが、聞かなかった事にして俺は梨子と一緒に工場の中心に立つ。

 

「準備は良いか?」

 

「うん。」

 

俺達は腰にゲーマドライバーを装着し、βの仮想ガシャットを梨子に渡すと屋根から光翼を生やした黒髪の優男が、壁からは赤い籠手を左手に付けた一誠似の男【兵藤 錬二】が入ってきた。

 

「へぇ……はぐれってあの美人の子だったんだ?」

 

「お、美人な女の子発見‼俺の物にしてやるか‼」

 

「『『『うわぁ…』』』」

 

向こうの俺を見ずに梨子だけを物のように見ている言葉に女子メンバーがドン引きする。

 

どっちの性格も踏み台みたいな女好きのようだな。これなら情け容赦無くやれる…‼

 

「ねぇ君、そんな男じゃなくて僕のところに来ないか?僕ならはぐれ申請だって取り下げてあげられるよ?」

 

「おいテメェ‼人の物に何手を出してやがんだ‼あの子は俺の物だぞ‼」

 

「……私はヴァーリ君のものなんだけどな(ボソッ)。」

 

「ん、何か言ったか?」

 

「え?う、ううん‼何でもないよッ!?」

 

「オイ‼テメェも人の物に手ぇ出してんじゃねぇぞ‼」

 

「脱け殻の分際でまだ生きてたんだ?なら、ここで殺してあげるよ。」

 

「ハァ……善子、結界をもう一度張れ。さっさと終わらせて帰るぞ。」

 

『いい加減ヨハネって呼びなさいよ‼ちょっと待ちなさい……【この場に漂いし数多の精霊達よ……我が命に従い、この地を全ての穢れより隔絶せよ。】』

 

善子に連絡を入れると呪文と共に空間がさっきのよりも強力な結界で覆われた。

 

「く…‼罠か‼」

 

「テメェら…‼はぐれじゃねぇな‼」

 

「ようやく気づいたか…」

 

『TADDLE FANTASY !!』

 

『BANG BANG SIMULATIONS !!』

 

ガシャットギアデュアルβのダイヤルを回して起動させると、それをゲーマドライバーに差し込んでレバーを開いた。

 

「術式レベル50。」

 

「第伍拾戦術。」

 

「「変身。」」

 

『『デュアル・ガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

ブレイブとスナイプに変身完了すると、梨子が全身の砲を撃ち、アイツらの距離を離してくれたのでその隙に俺は赤い籠手を付けた奴へと向かう。

 

「この…‼お前らも転生者か‼」

 

「正確には、俺だけだ。」

 

『ガシャコンソード‼』

 

剣を右手に持ち、男が撃ち出してくる魔力弾を左手からの波動で掻き消す。

 

「そんなものか、【赤き龍の帝王】の力は?まるで使いこなせてないな。」

 

「うるせぇんだよッ‼」

 

『Boost!!』

 

そこに神器から音声が聞こえ、奴の力が強くなる。

 

「オラオラッ‼時間が立てば簡単にお前を捻ってやるぜ‼」

 

「残念だが…」

 

俺は手から攻撃とは別の波動を放ち、奴に当たると……

 

『Burst』

 

「なッ!?」

 

奴の倍加した力が失われた。

 

「俺に神器の力は通じない……ハアッ‼」

 

「ぐわッ!?」

 

それに動揺している間に左腕を剣で弾き、空いた胴に左手を当ててゼロ距離波動を叩き込んだ。

 

「悪いが、しばらくじっとしていてもらおうか。」

 

『コ・チーン‼』

 

ソードの刀身を氷剣に変え、Bボタンを5連打して地面に突き刺す。すると刀身の冷気が地面を凍らせながら進んでいき、男に当たると左手以外を瞬時に凍らせた。

 

「術式終了、まずは1つ確保だな。」

 

こっちが終わり視線を梨子の方に向けると……

 

「この…‼こっちは武器なんて無いんだぞ‼そっちも接近戦でやるべきじゃないのかい‼」

 

「わざわざ貴方の間合いに入る必要はないわ。」

 

全身の砲を撃って、空にいる男に攻撃していた。しかも、その射撃は相手の動きをうまく封じるものだ。

 

「く……攻めに転じられない‼」

 

「これくらい、ヴァーリ君なら簡単に抜けられるわ。なら貴方はヴァーリ君以下ね。」

 

「僕が脱け殻以下だって…‼もう許さない‼君を倒して強引にでも僕のものにしてやるよ‼」

 

「はい、終わり。」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

梨子の言葉にキレたのか、事もあろうに真っ直ぐに突っ込んでくる相手に梨子は、レバーを閉じて必殺技の準備に入り、ある程度近づかれた所でレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼BANG BANG CRITICAL FIRE !!』

 

「ハッ‼」

 

そして両手に持つ船の船首部分の銃を合わせて、そこから強力なエネルギー弾を発射して、相手は回避や悲鳴をあげる事すら出来ずに落ちた。

 

『MISSION COMPLETE !!』

 

「ミッションクリア。」

 

そして変身を解除すると、攻撃で黒焦げになった男の前に行き……

 

「今度ヴァーリ君の事をバカにしたら……私達、ルシファー眷属は貴方を絶対に許しはしない。」

 

そう告げて、俺の所に戻ってきた。

 

「終わったよ。」

 

「ありがとな。お前のお陰で少しスッキリしたよ。」

 

「気にしないで、私もヴァーリ君をあんな風に言われて頭にキテたから。」

 

「そうよねぇ~?梨子ちゃんの愛しのヴァーリをあ~んな風に言われたら、我慢なんて出来ないわよね~?」

 

「ふえッ!?」

 

そこに騎士の力でやって来た鞠莉が梨子の後ろに現れ、耳元で何か囁いた。

 

「ち、ちょっと鞠莉さんッ‼その事は…‼」

 

「大丈夫よ、私もそこまで不粋な真似はしないから♪」

 

「うう~…‼」

 

梨子は顔を赤くしながら鞠莉を睨んでいたら、千歌が俺の元に来た。

 

「ねぇねぇ~、私も頑張ったんだから褒めてよ~。」

 

「ああ、千歌もよくやったな。」

 

「ゴロニャー♪……って猫とちがーうッ‼」

 

顎下を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めたが、すぐに怒り出した。

 

「すまんすまん、お前は猫よりハムスターだもんな?」

 

「なんでッ!?」

 

「確かに。何か……千歌ちゃんって口一杯にみかんを頬張ってそうだから。」

 

「「ああ~。」」

 

「皆酷いッ‼」

 

善子も合流して女子メンバーで話し始めている間に俺は倒した二人に近づき、ガシャットギアデュアルΣを取り出す。

 

「さて、お前達の神器のデータ……いただくぞ?」

 

そして起動ボタンを押すと、二人の神器【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】からデータがガシャットに流れていき、それが終わるとダイヤルの右と右側面に4体の龍が争っている絵、左側には龍を模した鎧を纏った人間が巨大な魔王とおぼしき存在に立ち向かっている絵が浮き上がった。

 

「ふう、やっと完成したぞ…」

 

「それが彼の荒々しき乱神が纏いし災禍の鎧か?」

 

「よく分からんがそうだ、これが一誠のガシャットだ。」

 

これでやっとアイツの安全を確保できる……まあ、逆に自ら危険に突っ込んで行く気もするが……

 

「そういえば、一誠君のゲーマドライバーって作ってあったっけ?」

 

「……………………………………………………………………あ。」

 

完成の喜びに浸っていたら、梨子の言葉に俺は重要な事を思い出した。

 

「しまったあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?ガシャットに夢中になりすぎて肝心のゲーマドライバーを作るの忘れてたぁッ‼」

 

「何やってるのよ、もう…」

 

「でも、そんなヴァーリも愛しく感じる梨子ちゃんだった♪」

 

「鞠莉さんッ‼‼」

 

「こうしちゃいられん‼急いで戻って作成するぞ‼なーに既に作った事があるんだ‼三日で仕上げてやらぁッ‼」

 

「わぁ……ヴァーリ君が壊れたぁ…」

 

「そう?ガシャットを作り初める時はいつもこうでしょ?」

 

「お前らッ‼早く戻るぞ‼」

 

「「「「り、了解!?」」」」

 

俺は魔法陣を展開して、すぐに家へと転移する。

 

原作はもういつ始まってもおかしくないって時に……本気で急がないと…‼

 

自室に戻るとガシャットを端末に差し込み、バグがないか念のための点検をしつつ俺はすぐさまゲーマドライバーの製作に着手した。

 

だが俺は気づいていなかった。転生者によってストーリーが変わっていた事に……それによって次の日から無情にも始まった原作最初の戦いに一誠が巻き込まれる事に…




いかがでしたか?

今回、ガシャットが完成しましたが、ゲーマドライバーがまだないので一誠の変身はもう少し後になります。

そして次回、一誠(生身)VS人外が勃発‼勝つのはどっちだ!?

では、次回でお会いしましょう。


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ディアボロス編
原作のstart


どうも、疾風の警備員です。

今回は一誠VS人外になります。勝者はどちらなのか!?

後、関係ない話になりますがアイカツスターズ51話を見ていたら、病弱設定の先輩がアトミックバズーカを撃っててマジで吹いたwww

ではどうぞ。


ヴァーリside

 

ガシャットギアデュアルΣが完成した翌日、俺は欠伸を堪えながら通学路を梨子と千歌と一緒に歩いていた。

 

「あ~…眠い…」

 

「もう、徹夜でドライバーを作るからだよ?」

 

「そんなに急がなくちゃ駄目なの?」

 

「ああ、適合手術をしてない上、バグスターでもない一誠がそのままガシャットを使用すると、体に悪影響が出かねないからな。ドライバーはその防止装置でもあるんだ。」

 

俺や皆はバグスターウィルスの抗体を作る適合手術をやった。しかし、適合手術すらしていない人間の一誠が直接使えば、最悪ゲイム病に感染して消滅しかねない。だからこそドライバーが必要となる。一誠の場合、肉体が今後どうなるか分からない以上、ドライバーの方に装着者の体内にウィルスの抗体を生成出来るように改造する必要がある。

 

「へぇ……そうなんだ。」

 

「それに嫌な予感がしてな……早く完成させないと…」

 

「あ、曜ちゃんだ‼お~い‼」

 

その時、前にいた3人組に千歌が呼び掛けると相手が振り返り、その中には一誠もいた。

 

「あ、千歌ちゃんと梨子ちゃんだ‼」

 

「曜ちゃん、知り合い?」

 

「うん、私の友達‼」

 

「ルシファーか。」

 

「おう、一誠。」

 

俺達はそのまま一誠達に合流する。

 

「え~と……私は学年が違うから分からないんだけど…」

 

「と、まずは自己紹介ですね。俺はヴァーリ・ルシファー、北欧からの留学生です。」

 

「えと、高海千歌です‼曜ちゃんのお友達です‼」

 

「始めまして、桜内梨子です。同じく曜ちゃんの友達です。」

 

「そっか、私は松浦果南。3年だけどよろしくね。」

 

自己紹介が終わると俺達は女性は女性で、男は男に別れて歩いていた。

 

「一誠、お前に1つ報告がある。お前のガシャットが完成したぞ。」

 

「へぇ……もう少し掛かると踏んでたんだがな?」

 

驚いた様な口振りだが、その顔は楽しさを抑えきれないかのごとく、にやけていた。

 

「ラッキーが重なったのさ。それにお前好みに調整も済んだ。ただ…」

 

「ただ……なんだよ?」

 

「それを使う為のベルトを忘れててな?引き渡しは後3日程待ってくれ。」

 

「オイオイ嘘だろ?そこまで期待させといてそれかよ、シラケんなぁ…」

 

「それは悪いと思っている。なるべく急ぐから待っててくれ。」

 

「頼むぜ?」

 

そんな会話をしながら歩いていたら学校に着いたので、俺達はそれぞれの教室に別れる。俺と梨子、千歌は2組で一誠と渡辺は1組だ。

 

さて、授業が終わったらさっさと家に帰ってドライバー製作に入るか‼

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

授業が終わった俺は、屋上に出て風に当たっていた。

 

「何かワクワクするような事がねぇかな…」

 

最近は本当につまらない……どんな喧嘩にもワクワクしやしねぇ。

 

「いっそルシファー達みたいな人外にでも喧嘩を売ってやろうか…」

 

つっても、何処にいるかも分からねぇけど……

 

そんな事を考えながら視線を巡らせていたら、校門に何時もと違う点を見つけた。

 

「誰だ、あの女…?」

 

視線の先には、この学園とは違う制服の女が立っていて、通りすぎる男子や女子が思わず視線を向ける程の美貌を持っていた。

 

(この感じ、アイツ……何企んでやがる…?)

 

ソイツを見ていたら、俺は違和感を感じた。あの視線……誰かを待っているというより、まるで誰かを殺そうとしているみたいな……

 

するとソイツの近くを黒澤妹と国木田が通ろうとしたら、その女が2人を呼び止めた。

 

「……こりゃ、久々にワクワクしてきたぜ…‼」

 

それを見た俺は屋上を出ると全速力で階段を駆け降り、下駄箱から校庭に出るが3人の姿はなかった。

 

「チッ…‼何処に行きやがった…‼」

 

身体中を走る興奮に、俺はワクワクを感じながら学園内を駆け巡った。

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

「ルビィちゃん、今日本屋に寄ってかない?」

 

「うん、いいよ。」

 

放課後になって、私は花丸ちゃんと本屋さんに行くために二人で歩いていました。

 

「今日はどんな本があるのか楽しみズラ~♪」

 

「ルビィはお料理の本を探そうかな?」

 

私がそう呟いたら、花丸ちゃんが何故かにやけながら私を見ていた。

 

「な…何…?」

 

「いえいえ~、ルビィちゃんは可愛いなぁって。」

 

「へ?」

 

「昨日の夜、ずっと料理のレシピ本を食い入る様に見てたんだって?」

 

「ぴぎぃッ!?」

 

花丸ちゃんの言葉に驚きと恥ずかしさで、私の顔が赤くなる。

 

な、何でそれを花丸ちゃんが…!?

 

「朝、ダイヤさんに会ったとき聞いたズラ。」

 

(お姉ちゃ~ん‼何で花丸ちゃんにそんな事話しちゃうの~‼)

 

心の中でいつもは凛々しくてカッコいいけど、時々天然になる姉に向かって叫んだ。

 

「それって、番長先輩の為?」

 

「そ…それは………その……うん…」

 

だって、あんな風に男の人に褒められた事なんて無いし、撫でてくれたりする先輩の手はおっきくて暖かいし……

 

「やっぱり‼もう、こんな可愛いルビィちゃんは番長先輩じゃなくてマルがお嫁さんに欲しいズラ~♪」

 

「ちょ…花丸ちゃん…‼抱きつか「ねぇ、ちょっと良いかしら?」ふえ?」

 

校門の前まで来たら、そこには見慣れない制服を着た黒髪の女性がいた。

 

わぁ……私とは違って大人な雰囲気がするなぁ……

 

「実はさっきこの学園の校舎裏辺りにハンカチが飛ばされて入ってしまったの。母から貰った大事な物だから取りに行きたいのだけど違う学校だし……案内して貰ってもいい?」

 

「えっと……マルはいいですけど…」

 

「わ、私も…」

 

「ありがとう‼早速お願いしても?」

 

「あ、はい…こっちです。」

 

その女の人を連れて歩いていたら……

 

「(ふふ……計画通り。)」

 

(え?)

 

私の耳に小さな声で何かを呟くのが聞こえてきた。

 

(また、よく聞こえるように……でも、今の言葉は…?)

 

その言葉が何を意味してるのか理解できなかった私はそのまま一緒に校舎裏に着いてしまった。

 

「どの辺で落としたんですか?」

 

「確か、その辺よ…‼」

 

ドスッ‼

 

「「へ?」」

 

場所を聞こうと花丸ちゃんが振り返ったら、私達の足下に光の棒みたいなのが突き刺さった。

 

え…なに…どういう事…?

 

「ふふ…やっぱり理解不能の事態に陥った時の、()()()の顔は最高ね…‼ゾクゾクするわ。」

 

女の人はさっきとは違い、怪しく怖い笑みを私達に向ける。

 

「あ……ああ…………」

 

この事態に私達は腰が抜けてしまい、座り込んでしまう。

 

「悪いけど、そっちの赤い髪の子が持つ()()は私達の計画の邪魔になるの。だから死んでもらうわ。因みに悲鳴をあげても無駄よ?既に人払いと防音の結界を展開してるから。」

 

そう言って、その手に地面に刺さっているのと同じ、光の棒みたいなのを作り出す。

 

「安心しなさい。そこのお友達も後で連れていってあげる。」

 

そして腕を大きく振りかぶった。

 

私…死んじゃうの?……やだ……そんなのやだよ…‼誰か助けて…‼お姉ちゃん…‼

 

「助けて…‼先輩…‼」

 

「さよな「オラァッ‼‼」ぐぶッ!?」

 

怖さのあまり目を瞑っていたら、女の人の奇声と今、最も聞きたかった人の声が聞こえた。

 

だからゆっくりと目を開けて、最初に視界に入ったのは……

 

「よお、これでもう30回位だな。お前が不良に絡まれるのは?」

 

「兵藤先輩…ッ‼」

 

私が始めて恋をした人だった。

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

あの女を探して走り回って校舎裏に行こうとしたら、突然この先には行きたくないと本能が訴え始めた。

 

(どう考えても、怪しさ満点だな‼)

 

その本能をワクワクで高ぶった心で押し殺して先に行くと、さっきの女が黒澤妹と国木田に向かって光の棒みたいなのを投げようとしていた。

 

(やっぱり‼アイツは人外だ‼)

 

それで更に心が高ぶり、全速力で駆け寄って棒を投げる前に脇腹に蹴りを叩き込んだ。

 

「オラァッ‼‼」

 

「ぐぶッ!?」

 

不意討ちだったからか簡単に吹っ飛んだので、俺は二人の所に行く。

 

「よお、これでもう30回位だな。お前が不良に絡まれるのは?」

 

「兵藤先輩…ッ‼」

 

「番長先輩‼」

 

「二人共、無事みたいだな。」

 

涙目になっているが、パッと見二人共ケガもなかった。

 

「この…‼貴様かァッ‼‼」

 

「あん?」

 

そこに怒声が響き、顔を向けるとさっきの人外が怒りの形相で俺を睨んでいた。

 

「人間風情が‼よくも…‼」

 

「はッ‼テメェこそ、その人間相手に姑息が過ぎんだろ‼ホントはビビってんじゃねぇのか?」

 

「…殺すッ‼‼」

 

ソイツは右手に光の棒を出し、背中から黒い翼を出すと俺目掛けて突っ込んでくる。

 

「甘いんだよッ‼」

 

俺は突き出された棒を少し右に動いてかわし、懐に入って来た女の頭を掴んで膝を顔面にめり込ませた。

 

「ぶぼッ!?」

 

「オラ、持ってけ‼」

 

「ごはッ‼」

 

そしてのけ反ってる間に、腹を全力で殴る。

 

「ぐ……ぐそ…‼」

 

腹を抱えながら女は踞り、口から血を流しながら俺を睨む。

 

「オイオイ、せっかく人外に会えたと思ったのにこの程度かよ……シラケんなぁ…」

 

あまりの弱さに俺が落胆していたら……

 

「……ナメるなぁッ‼‼」

 

女は右手を手刀の形にして、そこに光の刃を纏わせて振るってきた。

 

「チィッ‼」

 

油断していた俺は咄嗟にバックステップを踏むが、ギリギリでかわせず服が切れ胸に赤い線が出来て、そこからうっすらと血が流れる。

 

「まさかあれで終わったとでも?おめでたい頭ね。さあ、ここからが本番「クックックッ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼‼」な、何がおかしいッ!?」

 

「せ……先輩…?」

 

女や黒澤妹が何か喋っていたが、そんなのどうでもいい‼今の俺はサイッコーにワクワクしてるぜ‼

 

「いやな?ここんところロクな相手に恵まれなくてよ……ようやくワクワク出来る相手に会えたぜ…‼」

 

そう言って一気に近づいて殴ろうと思ったが……

 

「させないわ‼」

 

上から光の棒を次々に落としてきた。

 

「それがどうしたァッ‼」

 

が、俺は直撃する物は避けて掠めるものは気にせずに、更に近づいていく。

 

「何コイツ…死ぬのが怖くないの!?」

 

「怖いさ‼だから直撃は避けてんだろうが‼」

 

「くッ…‼」

 

至近距離まで近づいた俺は拳を振るうが女は翼を拡げて後ろに下がり、そのお陰で光の棒の雨が止んだので俺も1度息を整え、体を見るとあちこちに切り傷が出来て場所によっては結構な血が流れている。

 

「確かに、たかが人間にしてはやるようね?」

 

「そういうお前はその()()()()()()()()に手間取ってる様じゃ、大した存在じゃないのな?」

 

「減らず口を叩くのはいいけど……こうしたらどうするッ‼」

 

女は再び手に光の棒を作るとそれを投げるが、まったくの検討違いの場所に投げようとした……

 

(いや、違ぇッ‼)

 

その行動の意味にすぐ気づいた俺は、走り出して左腕を伸ばし()()()()()()でその棒を自分の腕に突き刺す事で受け止めた。

 

「グアッ‼」

 

「せ…先輩‼」

 

刺さっている光の棒が消えると、そこから大量の血が流れる。

 

これはさすがに、少しやべぇか…

 

「やっぱりね。あなたみたいなのはこういうのが一番効果的なのよね?」

 

「ひ、卑怯ズラッ‼こんな手で「黙ってろ、国木田…‼」で、でも…‼」

 

「そもそもケンカにルールなんてもんはねぇ……勝った方が正義だ…‼いいから黙って下がってろ‼」

 

国木田を後ろに下げ、左腕をダラリと下げたまま俺は構える。

 

「第2ラウンドだ……いくぞッ‼」

 

「いい加減に死になさい‼」

 

走り出す俺に女は光の棒を投げてくるが……

 

「オウリャアッ‼‼」

 

右足で地面を踏みしめつつ、そこを軸にして体を回転させ、勢いづけた回し蹴りでそれを砕く。

 

「な…!?」

 

左足を地面に着けると靴の踵部分が無くなってるのか地面の感触があるが、そんなのは無視して地を駆けて懐に何とか入り込めたら、右ストレートを首に打ち込む。

 

「ごぷッ!?ごほッ‼ごほッ‼」

 

その一撃でむせている隙に頭を掴み、頭突きを喰らわせる。

 

「ガッ!?」

 

更にのけ反りながら吹き飛ぶ女の側頭部に体を回して遠心力を足し、ダランとした左腕をしなる鞭の様にしてぶちこむ。

 

「グッ!?」

 

当たった瞬間、激痛がくるがそれすらも俺の気分を高揚させる。

 

「そらよッ‼‼」

 

最後に残った回転の勢いを足した回し蹴りを脇腹に打ち込んでやった……

 

「…調子に乗りすぎよ…‼」

 

「ッ‼」

 

と思ったら、その蹴りは何かの魔法陣の様なものに受け止められていた。

 

「クソッ‼」

 

俺はすぐに後ろに飛んで距離を空ける。

 

「ハァ……ハァ………」

 

「たかが人間にここまでダメージを貰うなんて屈辱よ…‼でも、貴方も何をそんなに焦ってるのかしら?ゆっくり楽しみましょうよ。」

 

「うるせぇ…‼」

 

女の言葉に威勢よく返そうと思うが、体が段々と重くなってきているし、目も霞み始めてる。下を見れば、大きな赤い水溜まりが出来ていた。

 

さすがに血を流しすぎたか…‼

 

俺は今になって、最初のテンション任せの戦い方を後悔していた。

 

「どうやら限界のようね?なら、死になさい‼」

 

女は今までのより大きな光の棒を作ると俺に投げつけてくる。

 

それを見て俺は構えを解いて、視線を上に向けた。

 

「「先輩ッ‼‼」」

 

それを見た黒澤達が悲鳴に近い声で叫ぶ。

 

あ~あ、本当ならこんなセリフ言いたくなかったんだけど……

 

「後は頼んだ…………ルシファー。」

 

「任せろ。」

 

俺の言葉と同時に空からルシファーと二人の女の子が来て、光の棒はルシファーが持っているヘンテコな機械の剣で切り捨てられた。

 

「「ルシファー先輩‼それに善子ちゃんと…誰ッ!?」」

 

「く…‼援軍だなんて‼」

 

着地の姿勢から立ち上がったルシファーは、腰にベルトを巻きつけ、ゲームカセットを起動させた。

 

『TADDLE FANTASY !!』

 

「術式レベル50…‼変身‼」

 

『デュアルアップ‼タドルファンタジー‼』

 

そして以前に見た姿になった所で、俺は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「おっと。」

 

気を失ったのか、倒れそうになる一誠を支え地面にゆっくりと寝かせた。

 

「善子、一誠の回復を頼む。鞠莉は皆の護衛だ。」

 

「分かったわ。【スー・フィッラ・ヘイル・アウストル】。」

 

「OK‼」

 

回復魔法を行う善子と短剣を持った鞠莉に一誠達を任せた俺は、目の前の女を仮面越しに睨み付ける。

 

「たかが三人増えたく「3つだ。」はあ?」

 

「1つ、自分のミスで一誠に力を渡すのが遅れた。2つ、だから一誠はお前に生身で挑む事になってしまった。そして3つ、それによって一誠に大ケガを負わせてしまった…ほら、俺は自分の罪を数えたぞ?次は貴様の番だ。」

 

そこまで言ってから俺は右手の人差し指を女へと突きつける。

 

「さあ、お前の罪を……数えろ‼」

 

「私の罪ですって?そんなものは存在しないわ‼それにあなたともう一人で後ろの子達全員をまも「まだいるわよ。」ッ!?」

 

女の喚き声を遮る様に、梨子の声が響く。

 

『デュアルアップ‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

『レベルアーップ‼二人でビクトリー‼エーックス‼』

 

そしてスナイプレベル50とエグゼイドレベルXになった梨子と千歌が屋上から現れる。

 

「貴女が侵入者ですね?」

 

「大人しく投降してください。」

 

そこに眼鏡をかけたショートヘアーの女性【支取 蒼那】と、同じく眼鏡をかけたロングヘアーの女性【真羅椿姫】が薙刀を持って現れ……

 

「うふふ…見つけましたわ。」

 

「観念してもらおうか?」

 

「…抵抗するなら、倒します。」

 

更に続けて黒髪ポニーテールの少女【姫島朱乃】に金髪ショートに泣きボクロがある男【木場裕斗】に銀髪ショートヘアーの小柄な少女【塔城小猫】もやって来た。

 

「この数相手に勝てるとでも?」

 

「この学園で動いたのが運の尽きです。」

 

「くッ!?さすがにこれはムリね……なら、逃げましょうか。」

 

「逃がすとでも?」

 

ガシャコンソードを突きつけながら言うが、女は不敵に笑う。

 

「ええ。人間の兵器も役に立つものよ?」

 

そう言ってスカートから何かが落ちた瞬間、目映い光と強烈な音が俺達の視覚と聴覚を奪った。

 

「ぐあッ!?」

 

「「「「「キャアッ!?」」」」」

 

しばらくしてそれが収まる頃には、あの女はその場にいなかった。

 

「クソッ‼……逃がしたか…‼」

 

『ガシューン。』

 

変身を解除した俺は善子の元へと向かう。

 

「一誠の容態は?」

 

「私を誰だと思っているの?数多の魔導を極め、世界に混沌をもたらす存在……【大魔導師ヨハネ】様にかかれば、この程度の魔法など容易いものよ。」

 

「前と一部違うとか一々反応するのも面倒だが、取り合えず無事ということは分かった。」

 

魔法陣の中にいる一誠の傷は既に全て塞がっていた。相変わらず善子は性格はともかく、魔法に関してはかなりのものだな……

 

「取り合えず場所を変えよう。このまま地面に寝かせとくのは良くない。」

 

俺は一誠の体を肩に担ぐ様に持つ【お米様だっこ】で持ち上げて歩き出す。

 

「申し訳ありませんわ、本来なら対処はリアスがやらなくてはいけないのに、ルシファー様にやらせてしまうなんて…」

 

「そのグレモリーはどうした?」

 

この地を任されているグレモリーがいないのは、さっきから気にはなっていた。しかも自分の目の前で起きている事件だというのに……

 

「彼女は今、冥界に事の確認をしに行っています。」

 

「そうか。」

 

確かに彼女の兄は魔王……ならば、情報の収集は彼女の方がやり易いだろうな。

 

俺達は保健室に向かい、中に入ったら一誠を寝かせて俺はすぐに外に出て家路を急ぐ。

 

「良いの?目を覚ますまでいたっていいんじゃない?」

 

「この事態を招いたのは俺だ。だからこそ、今のアイツに会わせる顔がない……」

 

「違うよッ‼ヴァーリ君が悪いなんて…‼」

 

「いや、俺がドライバーを作るのを忘れてなければこんな事にはならなかったんだ…‼」

 

善子や千歌の言葉に、俺は近くの壁を殴りながらそう反論した。

 

「なら、ここで悔やんでる場合じゃないでしょ?」

 

「梨子…?」

 

「今貴方がやらなきゃいけないのは後悔する事じゃないはずだよ?もう2度とこんな事が起きない様に、早くゲーマドライバーを完成させる事……違う?」

 

「…………そうだな、後悔なら後で幾らでも出来る。ありがとな、梨子。」

 

「貴方を支えるのが私の役目だからね。一誠君は私達が見てるから。」

 

「ああ、頼んだ。」

 

梨子からの激励を受けた俺は転移で家へと帰り、すぐさまドライバーの制作を始めた。

 

「待ってろ……最高な物にしてお前に渡してやる…‼」

 

今度こそ、親友(一誠)をゲームオーバーにさせない為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?そろそろ原作が始まって夕麻ちゃんがいると思ってたのに……まだなのか?」

 

その頃、校門に一人立ち尽くす転生者の兵藤錬二がいた事を知る者は誰もいなかった。




いかがでしたかね?

本当なら圧倒させようかと思ったんですが、それだとライダーになる意味ないじゃんって思ったので、こんな決着になりました。

もちろんお礼参りはしますよ?

そして次回で、一誠も変身‼

というわけで、次回も見てくれるとありがたいです。


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変身‼新たなKAMEN RIDER!!

どうも、疾風の警備員です。

先週のエグゼイドの大我、メッチャカッコ良かったわ……

あれ、確かに惚れてもおかしくないわ。私の中の大我株急上昇中です。

この作品はそこまでよくないけど、見てくれたら幸いです。


果南side

 

授業が終わった後、私は友人のダイヤとお喋りをしてたけど、時計を見てそろそろ一誠の部屋に様子を見に行こうと思い、帰り支度を始めた。

 

「あ、そろそろ行かないと…」

 

「あら果南さん、何か用事ですか?」

 

「うん、イッセーの家に様子を見にね。」

 

どうせまたコンビニ飯かインスタントで済ませようとするだろうから、何か栄養のある物でも作ってあげようかな?

 

「甲斐甲斐しいですわね……まるで通い妻みたいですわ。」

 

「ふぁッ!?」

 

ダイヤのその一言に、私は変な声をあげてしまった。

 

あれ?でもこれってまさしくそうだよね?私がイッセーの奥さん…………………………良いかも……って‼

 

「な、なななななななナ~ニヲ言ってるのかなッ!?このオバカさんはッ!?」

 

自分で想像して、あまりの恥ずかしさにカミカミになりながら否定してみた。

 

「動揺が丸わかりな上に、顔が真っ赤ですわよ…自覚あったんですのね。」

 

でも、顔に出てた様ですぐバレた。

 

「い、言っとくけど‼これはイッセーのご両親に頼まれて、仕方なくなんだからねッ‼別に私が好きで行ってる訳じゃないんだからッ‼」

 

「典型的なツンデレのセリフによる自爆をどうもですわ。」

 

「うぅ~…‼」

 

ダイヤと話す度にどんどんボロを出てきて、どう言い返してやろうかと考えていたら……

 

『ひら~いた~花の香りかな~♪』

 

「ッとと、電話だ…………曜ちゃん?」

 

ケータイが鳴ったので画面を見ると曜ちゃんから電話が来てたのですぐに繋いだ。

 

「もしもし、曜ち『た、大変だよ‼果南ちゃん‼‼』ひゃあッ!?」

 

耳に当てた瞬間、曜ちゃんの大声が鼓膜を揺さぶり私は小さく悲鳴を上げながら耳から離した。

 

「いきなり大声出さないでよ……一体どうしたの?」

 

『私もさっき聞いたばかりなんだけど…‼』

 

そのひどく慌てた声に、ある不安が私の頭をよぎり……

 

『イッセー君がケンカに負けて、保健室に運ばれたってッ‼‼』

 

「え…」

 

そして的中した不安通りの内容に、私は頭が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ん………………ここ…………は…知らねぇ天……ネタは止めとくか。」

 

目を覚ますとカーテンに仕切られたベッドに寝ていて、部屋には薬品の匂いが充満していた。

 

「保健室か……初めて来たな。」

 

体を起こそうとしたら、左右に黒澤妹と国木田が寝ていて、二人の顔をよく見ると涙の跡があった。

 

「まったく……情けねぇったらありゃしねぇ…」

 

あんな女に膝を着くとは……最初にナメて掛かった俺の失態だ。ルシファー達の戦いと見比べて勝手に弱いと判断した代償がこれか……

 

「はぁ……自分で自分にシラケるぜ…」

 

「あ……起きた?」

 

カーテンが開くとそこには桜内達ルシファーの眷属が揃っていた。

 

「……あれからどうなった?」

 

「私達と他の悪魔で捕まえようとしたんだけど、まさか閃光弾と音響弾を使ってくるなんて思ってなかったから、逃げられたの。」

 

「そうか…」

 

「ケガと制服は善子ちゃんが治してるから大丈夫だよ。」

 

「ヨハネだッつってるでしょ‼」

 

そう言われ左腕を見たら、あの時開いた穴が綺麗に塞がっていた。

 

「ククク……我が魔導にかかればあの様な傷を癒すなど、児戯に等しいわ‼」

 

「でも、一誠もとてもStrongね‼生身で堕天使にあそこまで戦えるなんて、普通は無理よ?」

 

「あ?そこまでの強さでもなかったろ、あの女。」

 

「いや、人外の時点で身体能力は普通の人間を遥かに越えてるからね?」

 

「「ん……………んう………先…輩?…………先輩ッ‼‼」」

 

その時、黒澤妹と国木田が目を覚まし、いきなり俺に抱きついてきた。

 

「お…おい、なんだいきな「ごめんなさい…‼」あ?」

 

「マル達が彼処に居なかったら……先輩があんなケガ「何を勘違いしてやがる。」うえ?」

 

泣きながら謝ってくる国木田の頭に俺は手を置いて少し乱暴に撫でる。

 

「あれは俺がアイツにそんな事をさせる余裕を与えちまったからだ。お前らは関係ねぇ。」

 

「で…でも「でももなにも無い。これが真実だ。納得しろ。」…………はい…」

 

落ち込む国木田を、俺は無理矢理な理屈で納得させる。

 

そうだ……責任なんざ全部俺に押し付ければいい。こいつらがそれを感じる必要はねぇ……

 

「それに今度は必ずアイツをブッ飛ばす。だから心配すん「「イッセー(君)‼‼」」ん?」

 

そこにまた聞き慣れた声が響き、カーテンを思いっきり開けてカナ姉と曜が息を切らせながら入ってきたら、俺の体をペタペタと触りだした。

 

「ケガはッ!?大丈夫なの!?」

 

「曜ちゃんから聞いてビックリしたのよ‼」

 

「それはいいから、人の体をペタペタと触ってんじゃねぇよ…」

 

二人をなんとか押し退けて、一息つく。

 

「たく……ご覧の通り無事だ。だから、んな大袈裟に心配なんざしなくても「するに決まってるでしょッ‼‼」うお…」

 

いつも通り軽く言ったら、カナ姉の想像以上の怒声に思わず俺は面食らった。

 

「イッセーが喧嘩を始めた理由は知ってるし、私も曜ちゃんもそれを止められないのもわかってる…………でもね、その話を聞く度に私達が毎回どれだけ心配してるのか、ちゃんと分かってるの‼!?」

 

「そ、それは…」

 

「なのに心配なんざするなですって?……ふざけるのも大概にしてよッ‼‼」

 

「果南ちゃん!?ストップ、ストップ‼」

 

「カナンッ‼ちょっと落ち着く‼」

 

「ちょ…離してよ、曜ちゃん‼鞠莉‼」

 

興奮のあまり、俺の肩に掴みかかってきたカナ姉を、曜と小原が何とか引き剥がす。

 

「…………別にふざけてるつもりはねぇよ。」

 

「その態度がふざけてるって言ってるの‼」

 

「んなの、こんな性格なんだから仕方ねぇだろうが‼」

 

「なによ‼そんな言い方ないでしょ‼」

 

「それはそっちもだろうがッ‼」

 

「「「「あわわわわわわ……!?」」」」

 

俺とカナ姉の口論はどんどんヒートアップしていき、周りが慌ててるのも気づかなくなっていた

 

「だったらもう勝手にすればッ!?」

 

「ああ、そうさせて貰うさッ‼」

 

そこで限界のきた俺はベッドから立ち上がると、近くの椅子に架けてあった上着を掴み取って足早に保健室から出た。

 

そこからはどう歩いたか覚えてなかったが、気がつけば日が沈みかけていて、俺は繁華街の裏路地にいた。

 

(ここなら廃ビルが幾つかあるから、憂さ晴らしの相手を探すには持ってこいだな…)

 

そうと決めたら、俺はその辺をぶらつく事にした。しかし、そんな時に限って相手に出会う事はなかった。

 

「クソッ‼今日はとことん自分自身にシラケるぜ…」

 

途中から売り言葉に買い言葉だったが、カナ姉や曜が俺を心配してるのは理解していた。そんな二人に俺はただ、甘えていただけだ。

 

「でも、これで良かったのかもな…」

 

カナ姉は今年受験生だ。そんな大事な時期に俺なんかと関わっていたら、後々影響が出てくるかもしれない。それにカナ姉は成績優秀だし、遥かに明るい未来を掴める。

 

「なら、このまま…「うわああぁぁぁぁぁぁんッ‼」なんだ…?」

 

思考の海に沈みそうになっていたら、近くから子どもの泣き声が聞こえてきた。

 

「やっとこさお出ましか……一暴れさせてもらうぜ‼」

 

その場所へと走って行くと、小学生位の一人の男の子が廃ビルの前で泣いていた。

 

「オイ、どうしたボウズ?」

 

「ヒグ……友達とね?……かくれんぼしてたら……ウグ……怪物が……友達を…連れていっちゃったの…‼」

 

「怪物だと?」

 

それを聞いた俺は、以前ルシファー達が倒していたあの化け物の事を思い出した。

 

「おい、中にいるのはどんな子だ?」

 

「隣に住んでる女の子と…………1つ上のお姉ちゃん…」

 

(おいおい……なんの因果なんだか…)

 

その子達の関係を聞いた瞬間、カナ姉と曜の顔が頭に浮かんだ。

 

ああもうッ‼しゃーねぇな‼

 

「いいかボウズ、俺が中に行って助けてきてやるから、お前はここを絶対に動くな、約束だぞ?」

 

「本当に……助けてくれる?」

 

「おう、だからさっき言った事は守れよ?」

 

「うんッ‼」

 

「いい子だ。」

 

その子の頭を一撫でしてから、俺はビルの中に入った。

 

「一体何処に……(ゴトッ)ッ‼上かッ‼」

 

天井からの音にすぐさま階段を駆け上がり、2階を見回したら奥に二人の人影があった。

 

「あの子達か。」

 

二人は気絶しており蜘蛛の巣みたいなのに、張り付けにされていた。

 

(どう見ても、罠だなこりゃ…)

 

そのあからさまな感じに、ゆっくりと近づいていき、後少しで手が届くと思った瞬間左側から殺気を感じ、すぐさま後ろに下がると俺がいた場所に白い糸が通りすぎていった。

 

「ありゃ?逃げられちった。」

 

「誰だッ‼」

 

糸が飛んできた方向の暗がりに向かって叫ぶと、そこから人間と蜘蛛を融合させた様な奴が出てきた。

 

「クヒヒヒヒヒヒヒ‼お前は粋が良さそうだ…‼」

 

「こっちも八つ当たり相手に会えてラッキーだぜ…‼」

 

俺は拳を握ると、すぐさま化け物へと突っ込んだ。

 

「クッヒャアッ‼」

 

向こうも口から糸の弾丸を飛ばしてくるが、それを左右の細かいステップでかわしていく。

 

「ちょこまかと…‼」

 

「オラァッ‼」

 

「グッ!?」

 

間合いに入った俺は後ろに思いっきり引いた右腕を、体を少し左に捻りながら突きだし、奴の鳩尾に喰らわせた。

 

「ソイッ‼」

 

「ヘビャッ!?」

 

そして前屈みになったところに踵落としを後頭部に決め、地面に叩きつけた。

 

「おい立てよ……そんなもんじゃねぇだろ、テメェの強さは?」

 

「く…‼このガキャ…ブボッ‼」

 

起き上がろうとする蜘蛛野郎の顔を蹴り飛ばす。

 

「ワリィが1度人外相手に痛い目を見てるんでな?手加減なんざ出来やしねぇぞ。」

 

「人間ごときが‼嘗めんじゃねぇぞ‼」

 

俺の言葉にキレたのか糸を出して、顔めがけて伸ばしてくるが首を左に傾けてかわし、両手でガッシリと糸を掴む。

 

「チャ~ンス♪」

 

「はッ!?お、おい‼やめ「オラアァァァァァ‼」ギイイヤアァァァァァァッ!?」

 

そしてその場で回り、ジャイアントスイングの要領で振り回していく。

 

「め……目が…目が回るぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

「吹っ飛べッ‼」

 

ある程度回ったところで手を離すと、面白い位飛んでいき壁に激突した。

 

「さすがにくたばりはしてねぇだろ?」

 

「うえぇぇぇぇぇ……殺す…‼貴様は必ず殺してやるぞおぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

よろけながらも蜘蛛野郎は立ち上がり、吠えると再び糸を伸ばしてくる。

 

「パターンが単調なんだよッ‼」

 

それを左に避けて突っ込もうとしたら……

 

「引っ掛かったな?」

 

「ッ!?しま…‼」

 

蜘蛛野郎の言葉に後ろを見たら、さっきの女の子達めがけて糸が伸びていた。

 

「先ずはあの子達から血祭りだッ‼」

 

「させッかよぉッ‼」

 

糸を掴んで止めようとするが、吐き出される糸の勢いが強すぎて、少し速度を緩めるのが限界だった。

 

(ダメだ……止められねぇ…‼)

 

摩擦で切れた皮膚から流れた血で汚れた糸が、女の子達まで後少しというところまで伸びていく。ならばと更に手に力を込めるが、糸が止まる事はない。

 

どうする…また振り回すか?いや、今の長さじゃあの子達にぶつかっちまう‼なら引きちぎるか?つってもこの糸、丈夫過ぎんだよッ‼おまけにこの手じゃそこまでの力はもう入らねぇ…‼策はもうねぇのか?

 

「ふざけんな…‼助けてやるって…‼あのボウズと約束したんだよ‼諦められっか‼」

 

諦めかける自分に気合いを入れたその時、ふと過去の思い出が頭を過った。

 

『そんなにケンカばかり強くなってどうするの?』

 

『さあ?そこまで考えてねぇし。』

 

『だったらボディガードでもやってみたら?』

 

『お前達の専属なら、考えるかもな。』

 

『アハハ‼それは心強いかもね。』

 

…………懐かしいな…中学一年の頃か?そんな未来はもう無理かもしれねぇけど…‼

 

「ここで諦めてたら…………カナ姉や曜に俺を先輩と慕ってくれる国木田や黒澤妹に顔向けなんて絶対に出来ねえ…‼だったら最後まで足掻いてやらぁッ‼‼」

 

「なら、向こうは任せろ‼」

 

そこに放課後と同じくルシファーの声が聞こえ、女の子の寸前まで迫っていた糸を切り捨てた。

 

「うおわッ!?」

 

「…………何でここが?」

 

「魔力を感知したから気になって来たら、お前が戦ってただけさ。」

 

そう言うルシファーは俺に大きめのアタッシュケースを投げてきたので、キャッチする。

 

「イチチ……なんだこれ?」

 

「約束のブツだよ。」

 

それを聞いた瞬間、俺はそれをすぐに開けて中にあるルシファー達が使ってるのと同じバックルを取り出し腰に当てた。

 

「本当ならもっと良い材質で作ろうと思ったが、時間がないから俺達が使ってる奴の予備パーツを使って最速で作り上げた。機能は問題ないから思いっきりやれ。」

 

「おうよ。」

 

ベルトが装着されたら、ルシファー達のと色違いの深緑のガシャットだったか?を手に持ち、騎士と魔王が描かれた方へとダイヤルを回した。

 

『SAVIOR STORY!!』《Saviour is Around the World!!》

 

すると俺の後ろにゲームのスタート画面が現れて、周囲にカラフルなメダルみたいなのと、赤と白2体のデフォルメされた機械の龍が飛んでいく。

 

「【セイヴァー・ストーリー】は、魔王に支配された世界で勇者が伝説の二天龍の鎧を纏って、魔王に立ち向かうロールプレイングゲームだ。」

 

それを聞いた俺は思わず苦笑した。

 

「勇者ね……俺には一番似合わねぇな‼」

 

そしてそのガシャットを上に投げ、回転しながら落ちてくるそれの下部が上にきたらそこに手を置いてバックルへと一気に差し込む。

 

『デュアル・ガシャット‼』

 

そういやルシファーは何か言ってたな……何とかレベル50だっけ?だったら……

 

「戦闘レベル50。変身…‼」

 

『ガッチャーン ‼ デュアルアップ ‼』

 

そう言ってピンクのレバーを握り、思いっきり開くと目の前に翠の瞳に赤い俺と似た髪型の頭部に白地に赤い爪痕柄のボディスーツに胸には何かのゲージに左下には拳と盾のアイコンがあるプロテクターが着いた人型が描かれたゲートが現れ、それを潜ると俺の姿がそれに変わり、そこから右肩に赤、左肩に白の龍の頭部がつき、胸には肩とは逆に左が赤で右が白の龍の胴体、両足は膝から上が赤で下が白の手足で出来た脚甲となり、背中には龍の翼が広がる。

 

『立てよ勇者‼纏え龍を‼セイヴァー・ストーリー‼』

 

「これは…」

 

俺は体を軽く動かすが、想像以上に体が軽く力も奥底から無限に沸き立つ感覚が俺の心を高ぶらせていく。

 

「それがお前の力、【仮面ライダードラゴネス】だ。」

 

「良いねぇ~…気に入った‼」

 

「アッタタタ…‼このや…ってお前誰ッ!?」

 

ルシファーが糸を切って吹っ飛んでいた蜘蛛野郎が起き上がると俺の姿を見て驚いていた。

 

「さて……ガチでやろうぜッ‼‼」

 

翼を畳み地を思いっきり踏みしめ、一歩を駆け出そうとしたら俺はその一歩で蜘蛛野郎の目の前にまで来てしまった。

 

「うえ?」

 

「ホラよッ‼」

 

「ゲボッ!?」

 

隙丸出しの顎に軽めのアッパーを当てて、体を浮かせ……

 

「オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラアッ‼‼」

 

「ガブバァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

試しにラッシュをやってみると、想像以上の速さで思い通りの場所に拳を叩き込む事ができ、最後に上段回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「すげぇ……コイツァ良いぜ‼」

 

「い……一体何が…」

 

「さて、他に何があるかな?」

 

すると目の前に1つのアイコンが周囲を回りながら現れ、俺の両手を腕から指先までを覆う赤い籠手となった。

 

『ガシャコン・ガントレット‼』

 

「籠手か…」

 

武器はいらねぇって言ったんだが……

 

「殴り捲ってると手にダメージがいくからな。その防御用だ。」

 

「人の心読んでんじゃねぇよ。」

 

「今だ‼」

 

そこに蜘蛛野郎が糸の弾丸を飛ばしてきたので、とっさに左手の甲にあるAボタンを押し、右手の甲のBボタンを1度押す。。

 

『ガ・キーン‼』『Divide!!』

 

すると左手の籠手の表面が開き、白い盾となって攻撃を受け止めた。しかも、衝撃も殆どなかった。

 

「それに遠距離型に近づくには、盾も必要だろ?」

 

「へッ‼……ものは言い様だな?」

 

「く、クソッ‼」

 

そこから更に弾丸が飛んでくるが、盾で防ぎながら一気に接近し、一メートル手前で軽く跳躍し左手のボタンを押す。

 

『バ・キーン‼』

 

それで籠手に戻し、今度は右手の甲のBボタンを2連打してから奴の顔を思いっきり殴った。

 

『Boost!!Boost!!』

 

「テリャアッ‼」

 

「あびるばッ!?」

 

それで地を転がっていき、壁にめり込んだ。

 

「こ……の……おれ…………が……」

 

「ここがテメェの末路だ。」

 

俺はベルトのレバーを握り、閉じる。

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

すると赤と白のエネルギーが両手足に集まり、充分に溜まったらレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼ SAVIOR!! CRITICAL BLAST!!』

 

「ドォウリャアッ‼‼」

 

そしてめり込んでいる蜘蛛野郎の腹に右ストレート、顎に左アッパーを喰らわせ、最後にドロップキックをお見舞いしてやった。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアッ!?!?」

 

喰らった蜘蛛野郎は悲鳴を上げながら爆発した。

 

「あの世で反省してろ。」

 

『ガッチョーン、ガシューン。』

 

ガシャットを抜いて変身を解除した俺は捕まってた女の子達のところへ行く。

 

「どうだ、その子達は?」

 

「ケガも無いし、魔法で眠らされているだけだから時期に目を覚ますさ。」

 

「そうか…」

 

その事に少し安堵し、ルシファーに手の傷を治して貰い(魔法って便利だな)、二人を抱えて外に出るとあのボウズが待っていた。

 

「おにいちゃん、ほんとうに助けてくれたんだッ‼」

 

「約束したろ?」

 

「んぅ……あれ?わたし…」

 

そこで女の子達が目を覚ました。

 

「お、起きたか…」

 

俺は女の子達を降ろして、ボウズ達と同じ視線の高さになるようしゃがむ。

 

「いいか?次からはこんなとこで遊ぶんじゃねぇぞ?また怖い思いをしたくなかったらな。」

 

「「「は~い…」」」

 

「ほら、暗いから気を付けて帰れよ。」

 

「「「ありがとう、バイバ~イ‼」」」

 

そう言って3人が帰るのを見送ってから俺も家に帰ろうとする……

 

「待て、今日は家に泊まれ。」

 

が、ルシファーに肩を掴まれそう言われた。

 

「はあ?んだよ、いきなり…」

 

「初使用だから体に何か異常がないかチェックしときたいんだよ。それに不具合の調整とかもして、更にお前に合わせた状態に持っていく為に意見も欲しいんだ。」

 

それを聞いて断ろうかと思ったけど……

 

(そういや、今日はカナ姉が家に様子を見に来る日だったな……)

 

さっきの事もあり、もし来たら気まずさしかないと思い……

 

「わかったよ…」

 

その提案を受けて、曜にメールを一応送り俺はルシファーの家に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある公園で……

 

「あなた、面白いわね?いいわ、その命…私の為に使いなさい。」

 

この1つの出来事が、元から歪んだ歴史の始まりの告げた。




いかがでしたか?

一誠の新ライダーの見た目は頭がパラドクス・ファイターで胸部ゲージ部分や肩はブレイブ、ボディスーツはスナイプを意識した感じです。

次回は一誠が出ていった後の保健室から始まります。

では、次回でお会いしましょう。


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SPEEDとMAGICと

どうも、疾風の警備員です。

今回は今変身できる残りのライダーを出す為の回なので結構雑ですし、しかも変身完了迄になるので戦闘シーンはまだです。

それでも良ければ、暇潰しにでもどうぞ。


ダイヤside

 

「シクシクシクシクシクシクシクシク…」

 

「「あわわわわわわわわわわ…‼」」

 

「何なんですの、この状況は…?」

 

それが保健室に入った時に感じた、私の感想でした。

 

何故こんな場所に来てしまったのかというと…

 

 

果南さんとお喋りの後、図書室行ってたらに電話がきた

相手は鞠莉さんで保健室に来てと言われた

すぐに切れたので、話を聞くために向かう

入ると果南さんがベッドの上で体育座りをしながら泣いていて、その周りを妹のルビィとその友達の花丸さんがおたおたしていた←今ここ

 

 

「で、どういう状況なんですの?」

 

このカオスの意味を知るために、私は呼び出した張本人である友人の小原鞠莉に説明を求めたが……

 

「聞いてよダイヤ、実はかくかくしかじかで…」

 

まともな説明は返ってきませんでした……

 

「鞠莉さん……それは漫画か二次小説の中でしか通じませんわよ?」

 

「だから通じるでしょ?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「何コントやってるんですか…」

 

そこにあまり見覚えのない少女がやって来ました。

 

「貴女は?」

 

「始めまして、二年の桜内梨子といいます。」

 

「三年の黒澤ダイヤですわ。」

 

「えっと、実はですね…」

 

そこでやっと梨子さんに事情を説明してもらい、この状況に納得した。

 

「ようは果南さんが思い人の一誠さんと喧嘩して、“振られた”と思って泣いているという訳ですね?」

 

「あッ!?ダメです先輩‼その言葉は…‼」

 

が、時すでに遅く……

 

(ポスン)「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁんッ‼」

 

果南さんがベッドの上で体育座りのまま横に倒れたと思ったら、枕を抱きしめ大号泣しだした。

 

「よしよし…果南ちゃ~ん、ちょっと落ち着こうか?」

 

「あら?私、何かマズイ事でも…?」

 

「今、松浦先輩はその言葉に敏感なんですよ…もっとこう…オブラートにですね……」

 

「もう、何やってるのよ‼ダイヤのオ・バ・サ・ン‼」

 

「一文字抜けてますわよッ‼」

 

「「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ…‼」」

 

「今この場所こそ……混沌の極みへと至りし魔窟‼」

 

「あ、アハハ…ヴァーリ君、助けて~…」

 

この混沌とした状況に、オレンジ髪の子の小さな願いは叶わなかった。

 

その後は、泣きじゃくる果南さんをあやすのにかなり時間が掛かりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子side

 

「ごめん皆……ちょっと感情が暴走しちゃって…」

 

ようやく泣き止んだ松浦先輩は、目を赤く腫らしながら私達に謝った。

 

「いえ、気にしないでください。」

 

「そうそう、ダイヤが状況を悪化させたんだから謝るのはダイヤでしょ?」

 

「呼び出した張本人がぬけぬけと…‼」

 

「ダイヤ先輩、抑えて抑えて…‼」

 

怒りで体を震わせるダイヤ先輩を千歌ちゃんが宥めてくれる事で、再び混沌になるのを防ぐ。

 

「にしても、相手は相当な強さだったんだね。イッセー君を負かすなんて…」

 

その曜ちゃんの言葉に、国木田さんとルビィちゃんが顔を俯ける。

 

「違う……先輩が負けたのは、マルのせいズラ…」

 

「……どういう事ですの、花丸さん?」

 

その言葉にダイヤ先輩が反応する。

 

「先輩がマルを庇って攻撃を喰らわなければ、勝ってたかもしれないんです…」

 

「やっぱり……あの子、根は優しいからね。」

 

「それに相手も変だったの。光の棒みたいなのをたくさ「ルビィちゃん、ストップ‼」ぴぎぃッ!?」

 

そこにルビィちゃんが裏の事情を話そうとしていたので、大声を出して何とか止める。

 

「光の棒?」

 

「え~と…‼そう、ライ○セイバーを持ってたんだよ‼」

 

「千歌ちゃん……その言い訳、苦しいよ?」

 

確かに苦しい言い訳だけど、実際に悪魔祓い(エクソシスト)がそれらしいのを持っている。でも事情を知らない皆に喋る訳には……

 

「つまり相手は【天使】もしくは【堕天使】という事ですわね?」

 

「「「「ッ!?!?」」」」

 

しかし、そこでダイヤ先輩が口にした単語にルシファー眷属の私達は驚愕する。

 

「ダイヤ、何でその事を?」

 

「この前、ルビィが一誠さんと帰ってきた時に様子がおかしかったので、問いただしただけですわ。」

 

その理由に私達はルビィちゃんを見る。

 

「へ?あ……う…あ……えと……るびぃぃぃぃぃぃッ‼」

 

しかし、その視線に耐えきれなかったのかルビィちゃんが保健室から逃げ出した。

 

「あ、逃げた。」

 

「善子ちゃん‼」

 

「ギラン‼……とりゃ~~~~~ッ‼」

 

曜ちゃんの呟きに、千歌ちゃんがすぐさまよっちゃんに命令して彼女は走りだし、ルビィちゃんに追い付くと……

 

「魔導師奥義‼魔導龍鳳凰縛~‼」

 

「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃッ‼」

 

コブラツイストをお見舞いしていた。

 

「説明しよう‼魔導龍鳳凰縛とは、1度捕まえたら絶対に逃がさない最強の捕縛魔法(物理)なのだッ‼」

 

「千歌ちゃん……一人で何言ってるの?」

 

「読者の皆様に技の説明をしてるんだよ、曜ちゃん。」

 

そして力尽きたルビィちゃんをよっちゃんが連れ戻してきた。

 

「もう……あんまり話したら危ないかもしれないのに…」

 

「ねぇ……今ダイヤが言っていた事って本当なの?」

 

さっきのを聞いて、事情を知らない松浦先輩と曜ちゃんが私達を見てくる。

 

「どうするの、梨子?」

 

「………………よっちゃん、記憶消去の魔法は?」

 

「それは覚えて無いし、ヴァーリに覚えなくていいって言われてるから無理。」

 

「だよね…」

 

ヴァーリ君は記憶消去は苦手と言っているが、本当は人の記憶とかを弄るのを良しとしてないし、むしろそれを嫌っている。私もその理由を聞いたことがあるから気持ちも分かる。

 

「ハァ…しょうがないわね……わかりました、話します。でも、ここじゃ…」

 

話すと決めてもここは学校、いくら放課後だからといって誰が聞いているも限らない場所で話すのは危険が伴う。

 

「あ‼だったら訓練場に行かない?彼処だったらそんなに遠くないし。」

 

そこに千歌ちゃんから提案がきた。

 

「そうね、彼処なら大丈夫かな?皆さん、ついてきてもらってもいいですか?」

 

私が聞くと皆さん頷いてくれたので、保健室を後にして学校を出た。

 

「で、これから何処に行くんですの?」

 

「私達が訓練とかに使ってる施設です。ルビィちゃんは私達の力がどういうのか知ってると思うけど。」

 

「あ……はい。」

 

「もしかして、あの時の姿ズラ?」

 

「そうそう、それの特訓とかをする場所なんだ。」

 

そして数分ほどで目的の場所に着いた。けど、皆何故か首を傾げていた。

 

「此所です。」

 

「此所って言われても…」

 

「どう見ても、普通の一軒家…………だよね?」

 

そう、此所の外観は2階建ての一軒家にしか見えない風になっている。

 

「中に入れば解るわよ。」

 

鞠莉さんが先に入るのに合わせて、私達も中に入っていく。

 

「「「「「え?……ええぇぇぇぇぇぇッ!?」」」」」

 

そして、驚愕の声が建物内にこだました。

 

「あれッ!?こんなに広いの!?だって外から見た時は…!?」

 

そう、建物の中は色んな特訓施設があり、広さも外観の3倍もある。

 

「よっちゃんの魔法で空間を歪めてるのよ。」

 

「ククク……見たか‼我が力の一端をッ‼」

 

「魔法というのは何でもありなんだね…」

 

私は施設の案内板を見ながら、話せそうな場所を探した。

 

「えっと…皆が話せる場所だと、【実戦練習場】かな?」

 

「なんか物騒な名前ズラッ!?」

 

私達は一番奥にある実戦練習場を目指し、歩いていく。

 

「色んな訓練室があるんだね…」

 

「そこら辺のスポーツジムより、トレーニング器具もかなり充実してる…」

 

「ルビィちゃん‼ルビィちゃん‼【精神○時の部屋】があるズラ‼」

 

「ええッ‼本当ッ!?」

 

「鞠莉さん、この【超重力室】というのは?」

 

「そこはMaxで100万倍の重力を発生させられる部屋なの。私とヴァーリはそこのMax状態で朝一時間のジョギングをするのが日課ね。」

 

「…………………………私、頭が痛くなってきましたわ…」

 

「大丈夫だよダイヤ……皆そうだから。」

 

そんな会話をしながら歩き、訓練場に着いて中に入ると皆の顔が再び驚きに変わった。

 

「な……何でまた、こんなに広いのおぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

「ここだけで、さっきまでの訓練室全てが入りそうですわね…」

 

この実戦練習場は、空間を更に弄って建物内の大きさを更に2倍にした空間になっている。

 

「これぐらいないと、よっちゃんの魔法で施設が壊れそうになっちゃいますから…」

 

「我が力を振るうのに、あの広さでは足りぬのだよ。」

 

「善子ちゃん…そのしゃべり方、疲れない?」

 

「ヨハネだってば‼」

 

千歌ちゃんの呼び方によっちゃんが、懲りないツッコミを入れていたら、花丸さんが視界から消えていた。

 

「あれ、花丸さんは?」

 

「花丸ちゃんなら…」

 

ルビィちゃんが視線を向けた先を見ると、ある端末の前に彼女はいた。

 

「せんぱ~い‼これ、何ズラ~‼」

 

「それはこの部屋の操作端末よ。それで訓練方法を選んだりするの。」

 

「おお~ッ‼未来ズ『システム起動、訓練開始に伴い非戦闘員は速やかに結界を張ってください。』…ラ?」

 

その時、何故か訓練システムの起動アナウンスが訓練場に響き渡った。

 

「ちょッ‼花丸さん!?何したの!?」

 

「え?え~と…何か光ってるボタンがあったから、何かな~って…」

 

それを聞いた瞬間、私と千歌ちゃんは端末に全速力で近寄って確認すると…

 

「やっぱり……実戦モードが起動してる…‼」

 

「しかも相手の設定2体でレベル50だよッ!?」

 

もしかしてヴァーリ君、自分が使った後に設定を戻し忘れてたわね~ッ‼

 

「あの……もしかしてマル、大変な事したズラ?」

 

「「えッ!?えっと…大丈夫、大丈夫…?」」

 

「うう~ッ‼」

 

『対戦相手が出現します。』

 

花丸ちゃんを慰めてたら、システムが練習場の中央に2体の存在を出現させた。

 

片方は青い体に白いシルクハットと黒いマントを羽織っていて、左腕に大型のナックルを装備した【ソルティバグスター】さん、もう一体が赤い体に白い装束を着てフードを被り、赤いスタッフを持った【アランブラバグスター】さんだ。

 

『ハッハッハッ‼久々に遊べるぞ‼』

 

『この前のテレビでは、登場する前に倒されたからな‼』

 

「「「「メタ発言すなッ‼‼」」」」

 

出てきて早々にメタい事を言うアランブラさんに、ルシファー眷属全員でツッコむ。

 

『ん?今回はずいぶんと賑やかだな?』

 

「「「あわわわわわわわわわわッ!?」」」

 

「「ピギャアアアアアアアアアアアッ!?」」

 

当然バグスターを見たのは初めての皆は、悲鳴を上げながら端の壁まで逃げた。

 

『おい……アイツラは新入りなのか?』

 

「いえ……お客さまなんだけど、ちょっと誤作動?に巻き込まれまして…」

 

『そういう事か。ならば、挨拶だけしたら私が結界を張ってやろう。』

 

「助かります。」

 

バグスターさん達が皆に近づくと、更に怯えた表情に変わっていく。

 

「皆さん、大丈夫ですよ‼彼らは悪いキャラじゃないですから‼」

 

『どうもお嬢さん方、ワタシはソルティという。以後お見知りおきを。』

 

「「「「「え…?あ、どうも…?」」」」」

 

『俺はアランブラだ。安心しろ、お前達を巻き込みはしないさ。先ずは【マ・モール】‼』

 

アランブラさんがスタッフを振るい、皆に防御結界を張ってくれる。

 

「な、何なのコレ!?」

 

『その中にいれば絶対に安全だ。今から始まる模擬戦が終わるまでの間我慢してくれ。』

 

「模擬戦?」

 

そしてフィールドの中央でソルティさんとアランブラさん、鞠莉さんとよっちゃんが向かい合う。

 

『フム、今回はお前達か?』

 

「Yes!!張り切るわよ‼」

 

『ヨハネよ、今度こそ決着をつけるぞ‼』

 

「フフ…‼我が魔導に敵などありはしない‼」

 

二人は腰にゲーマドライバーを装着すると鞠莉さんが青緑色のデュアルガシャットギアを取り出し、起動ボタンを押して仮想ガシャットをよっちゃんに渡す。

 

「あれは何なの?」

 

「腰にあるのが【ゲーマドライバー】、手に持っているのは【ガシャットギアデュアルδ】です。」

 

鞠莉さんは左側にある沢山の車がせめぎ合いながら走ってる絵の方に、よっちゃんは右側の魔法使いがステッキを振るっている絵がある方にダイヤルを回す。

 

『HIGH SPEED HIGHWAY‼』《Top Gear and Max Speed!!》

 

『WITCH CREATE‼』《Give you It's a Hope Magic!!》

 

そして背後にスタート画面が現れると、エナジーアイテムがばらまかれると同時に、鞠莉さんの画面から屋根にガトリングみたいなのが装備された所々に炎の模様がある黄色い車が、よっちゃんの画面からはヴァーリ君のに似てるけどマントが黒い鳥の翼が1対あって、色も白と黒に金のラインが入った鎧みたいなのが出てくる。

 

それから鞠莉さんは反時計回り、よっちゃんが時計回りに回ってからガシャットを構え、

 

「GEAR FIFTY!!」

 

「禁術レベル50‼」

 

「「変身‼」」

 

そう言ってガシャットをベルトに差して、レバーを開いた。

 

『デュアル・ガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

二人は周囲に現れるキャラアイコンから鞠莉さんは頭にピンクのトゲが並んだキャラを、よっちゃんがショートカットの髪型の女の子的なキャラを選択すると、よっちゃんはダークブルーの髪色に黒字に金のラインが入ったワンピース型のボディスーツを纏った姿になり、鞠莉さんにいたっては黄色いバイクへと変わる。

 

「あれ、気のせいかな…?鞠莉がバイクになった様な…」

 

「気のせいじゃなくて、現実です。」

 

「もう、なにも驚きませんわよ…」

 

それから鞠莉さんのタイヤが外れ、人の胴体みたく変形するとさっきの黄色い車の屋根が取れて背中にくっつき、バンパー部分が顔に装着されると、残りが前後左右に4分割され前輪側が両腕に、後輪側が両足になった。

 

『ダッシュ‼ダッシュ‼ダッシュ‼エ~ンジンを全開‼ブッチ切れ~‼ハイスピード・ハイウェーイッ‼』

 

そしてよっちゃんの方はさっきの鎧を纏うと、1対の翼が4対8枚になり左腰に茶色い表紙の本がホルダーに収まっていて、頭には白に黒ラインのベレー帽を被った姿になった。

 

『マジシャンガール‼夢をプレゼント‼願いよ届け‼ウィッチ・クリエイト‼』

 

変身が終わった二人は横に並び立つ。

 

「私は仮面ライダーレーザー・ハイスピードゲーマー‼」

 

「我が名は仮面ライダーヨハネ・ウィッチゲーマー‼」

 

『ガシャコンスパロー‼』

 

『ガシャコンレイピア‼』

 

そしてレーザーは黒と黄色・紫に塗り分けられた弓を、ヨハネは持ち手部分はガシャコンソードに似てるが、刀身部分が細い剣を持った。

 

『準備は良さそうだな?ならば、軽く塩で揉んでやろう。』

 

「その前に、ワタシに触れるかしら?」

 

『我が究極の魔法を喰らうがいい‼』

 

「残念だったわね…………私の魔導は既に、究極すら越えている‼」

 

互いに意気込みを言い終えた瞬間、模擬戦が始まった。




いかがでしたか?

善子がライダーになったら、名前はコレしかないですね?

原作とは違い、こっちの善子は魔導師にハマってます。でも堕天使的な要素も入れたかったのでウィッチゲーマはある作品の広域殲滅型魔導師がモチーフになってます。

次回、イッセーが男の堕天使とfight‼

では、次回でお会いしましょう。


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未知とのCONTACT

どうも、疾風の警備員です。

今回はレーザー&ヨハネの戦闘に、一誠が予告で出した男と戦います。

そして、あの男も登場します。

では、どうぞ。


果南side

 

私は今、信じられない気持ちでいる。目の前では優しい変な怪人がいて、昔イッセーと見てた特撮物のヒーローみたいになのに鞠莉ともう一人の子が変身したのだから……

 

「一体何がどうなってるの…」

 

「簡単に言えばこの世界にはあんな存在がいるんですよ。あ、ここにいるバグスターさん達は優しいから問題ないですよッ!?」

 

それを梨子ちゃんが簡単に説明してくれる。

 

「この世界には天使や堕天使、悪魔や神話の神に妖怪さらにはドラゴンまで存在してるんですよ。」

 

「それ、本当ズラか?」

 

「うん、その証拠に……ほら。」

 

そこで梨子ちゃんと千歌ちゃんの背中から、蝙蝠のによく似た翼が出てきた。

 

「実は私と梨子ちゃん、鞠莉さんと善子ちゃんは悪魔なんだ♪」

 

「「「「「…………………………へぇ。」」」」」

 

「あっれ~?反応が薄い…?」

 

「色々と驚き過ぎたからね、もうそれくらいじゃ動じないかも…」

 

「ガーンッ‼梨子ちゃ~んッ‼」

 

「はいはい、よしよし…」

 

曜ちゃんの言葉に千歌ちゃんは梨子ちゃんに泣きつき出したけど、私はそっちよりも戦いの方へと視線を向けた。

 

「動きがSLOWよ、ソルティ?」

 

『ええい…‼相変わらずしょっぱい奴だ‼』

 

弓矢だった武器がいつの間にか鎌に変わっていて、鞠莉が消えて別の場所に立っていたら、ソルティさんが体から火花を出して倒れるを繰り返している。

 

『我が魔法が効かぬとは…‼』

 

「その程度の魔導など、私には既に読めているのよ。」

 

もう一人の方は、短くなったレイピアをまるで指揮棒の様に振るい、左手で開かれている本を持っていた。

 

「走れ閃光…立ちはだかる悉くを撃ち貫け、【ディバインバスター】‼」

 

『ぬおわぁッ!?』

 

そして呪文のようなものを唱え、剣の先からピンク色のビームを撃ってアランブラさんを吹き飛ばした。

 

「そもそも、鞠莉達が使ってるのは何なの?」

 

「あれはゲームの力ですよ。」

 

「「「「「ゲームゥッ!?!?」」」」」

 

え、なんでゲームで戦えるの!?最近のゲームってそこまで進化してたの!?

 

「鞠莉さんのは【ハイスピード・ハイウェイ】、自分で改造、武装した車で一位を目指す妨害アリのレースゲーム、よっちゃんのが【ウィッチ・クリエイト】。これは魔法使いの女の子が色んな魔法を覚えながら、困ってる人を助けるクエストゲームです。」

 

「本当にゲームなんだ…」

 

「千歌ちゃんと梨子ちゃんのは何なの?」

 

「私は【バンバンシミュレーションズ】、戦艦を操作して敵軍を倒していくシミュレーションゲームよ。」

 

「で、私のが【マイティブラザーズXX(ダブルエックス)】っていうの。兄弟キャラで色んなステージをクリアするアクションゲームなんだ‼」

 

説明を受けている間に、戦いの方は終わりに近づいていた。

 

「ヨハネ、そろそろFINISHよ?」

 

「OK‼」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

二人はベルトのレバーを閉じ、更に横にあった黄色いメダルに触れて取り込んだ。

 

『『高速化‼』』

 

「それじゃ、お先‼」

 

『ガッチャーン‼ HIGH SPEED!! CRITICAL SONIC!!』

 

その瞬間、再び鞠莉が消えてソルティさんとアランブラさんが大量の火花を散らしながら倒れる。

 

『なんだ、今の速さは!?』

 

『全く見えなかったぞ!?』

 

「それじゃ、こっちもいくわよ‼」

 

『ガッチャーン‼ WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

そしてもう一人の子はその場から動かずレバーを開くと、その後ろに数えるのも面倒になりそうな数の光球が浮かんでいた。

 

『バカなッ!?そのような大魔法、長い詠唱が必要の筈‼こんな短時間で…‼』

 

「そこでさっきの魔道具が関係するのよ?」

 

『まさか……【高速詠唱】かッ!?』

 

「そういうこと♪【フォトンランサー・ファランクスシフト】撃ち抜け、ファイヤッ‼‼」

 

合図と共に光球から大量の光の雨が降り注いで、ソルティさん達を襲い…

 

『キラキラルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼』

 

『キュアップラパパぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼』

 

奇妙な悲鳴を残して爆発した………………て、爆発ッ!?

 

「ちょッ!?ソルティさん達、大丈夫なのッ!?」

 

「はい、彼等は不死身みたいなものですから。」

 

その言葉に爆炎の中を見てみたら、ソルティさん達が倒れていたが、すぐに立ち上がった。

 

『フム、二人とも強くなったな。』

 

『エナジーアイテムをあんな風に使うとは、予想外だったぞ?』

 

「Thank you!!」

 

「私にかかればあれくらい、どうって事ないわ‼」

 

『『では、また会おう‼』』

 

そう言って二人は消えていった。

 

「終わったわよ~。」

 

『ガッチョーン、ガシューン。』

 

鞠莉達は変身を解くとこっちにやって来た。

 

「これでやっと話が出来ますね。」

 

「なんか色々とありすぎて、まだ頭が追いつかないけど…」

 

「それに今ので時間も遅くなってしまいましたしね。」

 

ダイヤの言葉に時計を見ると、既に夜の7時近くになっていた。

 

「あ~……なら、明日にしましょうか?」

 

「そうだね(ピロリ~ン♪)あ、メールだ…果南ちゃん、イッセー君今日は用があって、ルシファー君の所に泊まるって。」

 

「……………………そっか…」

 

曜ちゃんが届いたメールについて教えてくれて、それを聞いた私は少し悲しい気持ちになった。

 

今日は様子を見に行く日だったけど、やっぱり避けられてるのかなぁ……

 

「大丈夫だって‼イッセー君も今日は気まずいだけだと思うよ?」

 

「そうならいいけど…」

 

結局この日は、これでお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

ルシファーの所に泊まった次の日の放課後、検査の方は問題なく、俺はカナ姉に会わない様に学校を出て、町を歩いていた。

 

「あ~、暇だ…」

 

昨日の夜は検査ばっかでろくに運動できなかったからな……

 

だけど今喧嘩を売れるような相手もいないので、俺は近くの本屋で雑誌の立ち読みをすることにした。

 

「なんか面白いもんでもあるかね……………ん?」

 

そこで何気なしに取ったゲーム雑誌を読んでいたら、あるページで俺の手が止まった。

 

「【幻夢コーポレーション】が超人気作【タドルクエスト】系列の新作を発表、その名は【タドルファンタジー】…だと?」

 

幻夢コーポレーションといえば新進気鋭のゲーム会社で、家庭用ゲームの【マイティアクションX】や【タドルクエスト】に【ゲキトツロボッツ】、ゲーセンでは【バンバンシューティング】に【爆走バイク】に【ドレミファビート】等の人気作を多数出していて、その中でもタドルクエストは俺が高一の時に試しにやってハマり、新作と聞いてうれしく思うがそれ以上の疑問が俺にはあった。

 

「タドルファンタジーっていやぁ、ルシファーが使ってるのと同じ…」

 

まさかアイツ、此処と何か関係があんのか?

 

気になった俺はそのページをくまなく観ていたら……

 

「なあ…その雑誌、買いたいんだけどいいか?」

 

「ッ!?」

 

読むのに集中してたからか、いつの間にか俺の隣に水色のシャツと紫にカラフルなドット柄があるズボン、赤、青、黄色のコードをぶら下げた黒いコートを羽織った男が立っていた。

 

「それ、どこも売り切れでさ、やっと見つけたんだよ。」

 

「あ、ああ……ホラよ…」

 

「サンキュー‼」

 

ソイツに本を渡すと喜びながらレジで会計を済ませ、出口に向かう……

 

「なあ、【運命】ってのはパズルだと思わないか?」

 

「はあ?」

 

その手前で止まり、そんな訳の分からない事を俺に聞いてきた。

 

「たった1つピースを組み換えるだけで、運命は容易く変わる……良い方にも悪い方にもだ。もしかしたら、知らない間にお前の運命も組み換えられてるのかもな?」

 

「……………………何が言いたい…?」

 

「お前の今後の運命がどうなるのか……見させてもらうぜ、【一誠】?」

 

「……ッ‼」

 

そう言って出ていく男の背中を、俺は見てる事しか出来なかった。

 

名乗ってもいないのに名前を知ってるのは、それなりに有名だから分かる。だが、俺が動けなかったのは別の理由だ。

 

「アイツ……何者だ…!?」

 

俺はいつ襲われてもいいように、神経を常に張り巡らせているのに、あの男は何も感じさせずに俺の傍にいた上……名前を呼んだ時、強者のオーラを纏っていた。それも変身しないと勝ち目がないと思わせる程の。

 

「ハハハハハッ……‼‼、コイツぁ心が高ぶるぜ…‼」

 

この町にまだあんな奴がいたなんてな…‼今度、挑んでみるとして今は近くに不良の溜まり場があった筈だから、そこで一暴れしてくっかッ‼‼

 

俺は興奮冷めやらぬこの気持ちを発散するために、近くの不良の溜まり場(常に30人程いる)へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーただいま無双中ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ~、やっぱもう少し歯ごたえがある奴と戦いてぇなあ…」

 

溜まり場を出て、俺は肩をぐるぐると回しながらそう呟いた。

 

今日は複数のグループの奴等(約50人)で縄張り争いみたいなのをやっていたので、そこに強引に割り込んで俺対ザコ全員なんてのをやった。結果は俺の一人勝ちだったけど。

 

「にしてもすっかり遅くなっちまったな……どっかファミレスで飯にする「おい、この愚弟‼」…はぁ…」

 

せっかく楽しい気分が続いていたのに、耳に入ってきた騒音(バカのこえ)に、一瞬で台無しになった。

 

「んだよ、クソ野郎?」

 

振り返りながら、最大の嫌悪を込めて呼んできやがった【兵藤錬二(クソアニキ)】を見る。

 

「テメェ…‼一体何しやがった‼」

 

「いや、何言ってるのかさっぱりなんだが?」

 

文法も何も無い言葉に、意味がさっぱり理解できない。

 

「惚けんじゃねぇよ‼‼テメェがレイナーレに何かしたんだろ!?お陰で俺はカラワーナに殺されたんだよ‼アイツはタイプじゃねぇってのによ‼」

 

「知るかよ、そんな事…」

 

つーか、テメェの趣味なんざ知りたくもねぇ……

 

「やっぱりお前は早めに殺すべきだった…‼」

 

「お前とはシラケるから、まだ殺りたくねェんだけど…」

 

でも、向こうがやる気になってる以上、やってやるけどさ。

 

俺が拳を構えると、クソ兄貴は左手に変な赤い籠手を出した。

 

「おいおい…いまさら中二病にでも目覚めたのか?」

 

「ふん、何とでも言え。これからこの力にお前は恐怖する事になるんだからな‼」

 

「はいはい、怖い怖い(笑)」

 

「バカにしやがって…‼」

 

コイツにはいつか、本当の絶望を味合わせると決めてるのでこの場は適当に戦って逃げようと考えていたら……

 

「……ッ‼」

 

「ぐあッ!?」

 

俺は後ろに嫌なものを感じ、横に飛ぶと数瞬後に何かがさっきまで立っていた場所を通り過ぎ、運悪く?クソ兄貴の腹に突き刺さった。

 

「そ……そんな…‼」

 

「こいつは……あの時見た光の棒…?つー事は‼」

 

クソ兄貴の腹に刺さっている棒で、不意討ちをした奴が分かった俺は振り返ると、そこには紺色のコートを着たオッサンがいた。

 

「なんだよ……あのアマじゃねェのか、シラケんなぁ…」

 

アテが外れた俺ががっかりしたが、そこでオッサンの眉間がひくついたのが見えた。

 

「貴様がレイナーレ様に牙を向いた人間か?」

 

「レイナーレって誰だ……ああ、あの時の堕天使の女の事か?そうだって言ったらどうすんだよ?」

 

「…………………………殺すッ‼‼」

 

「よっと。」

 

オッサンは光の棒を出すと、いきなり突っ込んできたがそれは読めてたので、横に転がって避けながらゲーマドライバーを装着した。

 

「おいおい、堕天使ってのは皆そんなに沸点が低いのか?お前は男なら我慢強くなろうぜ。」

 

「聞く耳など持たんッ‼」

 

再び突っ込んでくるオッサンを見ながら、俺はガシャットギアデュアルΣのダイヤルを回した。

 

『SAVIOR STORY!!』

 

そしてスタート画面から出てきた2体のゲーマ【ウェルシュゲーマ】と【バニシングゲーマ】が、オッサンに体当たりして弾き飛ばす。

 

「ぐおッ!?」

 

「せんと…………言うの面倒だからいいか、変身。」

 

『デュアル・ガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『立てよ勇者‼纏え龍を‼セイヴァー・ストーリー‼』

 

『ガシャコン・ガントレット‼』

 

そしてドラゴネスになった俺は、拳を握る。

 

「さあ……ガチでやろうぜ‼」

 

「何の力か知らんが、そんなものでェッ‼」

 

三度突っ込んで棒を突き出す男を、右に半歩動いてその腕を掴み……

 

「オラァッ‼‼」

 

「ぬおッ!?」

 

その勢いを利用しながら、地面に一本背負いで叩きつけた。

 

そこから後ろに振り上げていた足を思いっきり振って、顔面を蹴り飛ばす。

 

「ブバッ!?」

 

「ほいオマケッ‼」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!』

 

右手のBボタンを3連打し、顔を押さえ踞るオッサンのがら空きになった腹に踵落としを喰らわせた。

 

「うごぁッ!?」

 

「おい、もっと本気出せよ‼そんなもんなのかよ、お前の力は!?」

 

一応人外だから期待してみたら、思ったより強くなかったので煽ってみたら……

 

「く……こんな力を持っているとは、聞いてないぞ…‼」

 

「はぁ~……なんだその程度だったのか…………人をシラケさせやがって…」

 

オッサンの言葉に今までのが全力だと理解した俺はやる気が一気に萎えた。

 

「とりあえず、俺の獲物を横取りしたんだ……覚悟はできてんだろうな?」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

俺はレバーを閉じてエネルギーを右足に集束させていく。

 

「まっ……待ってくれ…‼」

 

「黙れ…」

 

オッサンの言葉を無視してレバーを開…

 

「そこまでよ‼」

 

「あん?」

 

こうとしたら女の声が響いたので、そっちに顔を向けると赤い髪の女が立っていた。

 

「この状況はどういう事なのか、説明してもらえるかしら?」

 

そう言って俺を睨んでくるが、はっきり言ってさっきあった男と比べたら月の石と砂利レベルの差があるから、全く怖くない。

 

「一体あなたは…………錬二ッ!?」

 

そこで女は倒れてるクソ兄貴に気づいて駆け寄った。

 

「酷い傷…‼これをやったのは誰!?」

 

「こいつ。」

 

俺は踏んでいる男を指差した。

 

「そうなの……そいつを渡して貰えないかしら?」

 

「あ?ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ…‼」

 

その言葉に俺はイラッときた。

 

この女は何様だ?俺の楽しみを奪う権利でもあるのか?

 

「おい…あんまり俺の怒りに火をつけるなよ…?」

 

俺はガシャットのダイヤルを反対側へと回…

 

「今だッ‼」

 

「な!?おい待て‼」

 

そうとしたら、男が光に包まれながら消えていった。

 

「こんなタイミングで逃げるとかマジでヘタレかよ…もういいや…」

 

完全にシラケきった俺は変身を解いた。

 

「待って、話を…‼」

 

「知るかよ。」

 

そう言って後ろから更に聞こえる言葉を聞かずに歩いた。あ、飯まだだったな……ファミレス寄ってこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一誠、ここがお前の運命の分岐点だ。どんな未来をお前が選ぶのか…………心が踊るなぁ…‼」




いかがでしたか?

今回のヨハネの魔法の詠唱は、作者オリジナルです。

次回、グレモリー眷属VSルシファー眷属!?

では、次回でお会いしましょう。


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レッツBattle Time!!

どうも、疾風の警備員です。

最近、ヴァーリの出番がないなぁ……主役の片割れなのに……

でも、この一誠の方が書きやすいんだよな。でも、そろそろ本編に絡むからいいか。

それにエグゼイド本編で頂上決戦の後に社長が復活しましたね。なのにネタキャラ感が半端ねぇ……

では、本編どうぞ。


一誠side

 

「ふあぁぁ~……。」

 

「また欠伸してる……昨日もケンカ?」

 

「そんなもんだ。最後は凄ぇシラケたけど。」

 

あの堕天使との勝負から一夜明けて、俺は通学路を曜と一緒に歩いていた。また、カナ姉とはまだ気まずいのを解ってるのか、曜も無理に誘う事はしなかった。

 

「また危ない相手じゃないよね?」

 

「違ぇから、心配すんな。これもう6回目だぞ?」

 

でも、曜がさっきから何度も同じことを確認してきて、正直鬱陶しい…

 

「だって……前みたいな大怪我したらと思うと…」

 

「あんな事、そうそうなったりするかよ。」

 

そう言ってみるが、曜の心配そうな顔は晴れなかった。

 

…………昔から、曜とカナ姉のこの顔には勝てねぇんだよな……しゃーねぇか。

 

「はぁ……分かったよ、もう無理はしねぇ。」

 

結局、俺が折れる事となった。

 

「約束だよ?」

 

「俺がガキの頃から約束を破った事があったか?」

 

「ううん、そんな事ないって信じてるよ‼」

 

「それにお前は部活の大会が近いんだろ?応援はしにいってやるから、そっちに集中しとけ。」

 

曜は高飛び込みの選手で、大会ではいつも好成績を残す実力者だ。

 

俺がそう言うと、曜がイタズラっぽい笑みを浮かべた。

 

「とか何とか言って、本当は私の水着姿が目的なんじゃないの~?」

 

「よし、俺は今後2度とお前の大会の応援には行かない。」

 

「ああ待って待って!? 冗談だってば~‼」

 

そんな話をしつつ、ようやく笑顔が戻ってきた曜と歩いていたら……

 

「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?!?」

 

「ズラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?」

 

正面からルビィと花丸が悲鳴?をあげながら走ってきた。その後ろに不良を5・6人引き連れて……

 

「うわ~…相変わらずの展開だね…」

 

「んじゃ、準備運動としゃれこみますか…‼」

 

「気を付けてね?」

 

「あいよ‼」

 

曜の言葉に返しつつ彼女に鞄を預け、俺は不良目掛けて駆け出す。

 

さぁ~て、俺をワクワクさせてくれよ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

やあ、なんか久しぶりに登場した感じがしているヴァーリ・ルシファーだ。

 

「実に2話ぶりだもんね。」

 

「千歌、俺の心を読むなよ…」

 

「二人とも、メタな会話禁止。」

 

放課後になった俺達は今、皆を連れて旧校舎にあるオカルト研究部に向かっていた。理由はリアス・グレモリーより新しい眷属を紹介したいからだそうだ。

 

「でも、嫌な予感がするから行きたくないんだが…」

 

「これもお仕事でしょ?現魔王様からグレモリーさん達をサポートする代わりに、こうやって学校に通わせてもらってるんだから。」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

実は俺達はグレモリー達をサポートするように現魔王の【サーゼクス・ルシファー(シスコン魔王1号)】から仰せつかっている。

 

本当は俺の生まれとか、ガシャットギアデュアルシリーズの開発や副業に勤しんでいたかったので行きたくなかったが、俺の眷属達の年齢と皆で学校に行くのなら悪くないと思ったので、一度相談し全員の了承を得てこの仕事を受けた。

 

「にしても新しい眷属ね……あの女好きの赤龍帝だったりして?」

 

「やめろ善子、そんな悪夢見たくもない。」

 

「だからヨハネだってばッ‼」

 

あれが眷属になったら、騒動しか起こさないだろ……

 

「まあ、そうだとしても苦労するのはリアスなんだから、そこまで気にしなくてもいいんじゃない?」

 

「鞠莉、そのサポートをするんだから、必然的に俺らも巻き込まれるんだよ。」

 

「Oh…」

 

楽観的に考えていた鞠莉に現実を突きつけると、見事なorzの格好に崩れ落ちた。

 

「……正直、そうだったら私も関わりたくないなぁ……そうだッ‼最悪の場合はヴァーリ君に全部押し付けちゃおう♪」

 

「「「さんせ~い‼」」」

 

「……………………最近、眷属の皆から扱いが悪い件について…」

 

千歌の提案に笑顔で賛同する皆に、少し泣きそうになる気持ちをなんとか堪えて、旧校舎に着きオカルト研究部のある部屋の戸をノックする。

 

「グレモリー、来たぞ。」

 

「どうぞ、入ってください。」

 

彼女の許可を得て扉を開けると、そこにはリアス・グレモリーに彼女の眷属である姫島朱乃に塔城小猫がいた。

 

「ようこそいらっしゃいました、ルシファー様。」

 

「リアス・グレモリー、ここは学校内で俺は後輩、貴方は先輩だ。そうかしこまらないでくれ。」

 

「そう?なら、そうさせてもらうわ。」

 

こう言ってすぐに崩せるあたり、大物だな……

 

「それで……新しい眷属が入ったんだって?」

 

「ええ、能力的には申し分ないわ。私の持つ【兵士】の駒を八つ使って転生できた子だから……ただ…」

 

そこで彼女は少し苦い顔をする。

 

あれ?この反応もしかして……

 

「何か…問題でもあるのか?」

 

あまりに嫌な予感に、冷や汗を流しつつもなんとか平静を装って聞いたら…

 

「その子、大の女好きなのよ。オマケに学園でもいやらしい視線を向けられて困ってるの。」

 

その彼女の言葉に、誰だか予想がついた俺達は、全員がorzった。

 

やっぱりかッ‼やっぱりアイツなんだな!?ふざけんなよ兵藤錬二‼あのエロ龍帝がぁッ‼‼

 

心の中でそう毒づくと、何処かで龍の泣き声(誤字にあらず)が聞こえた気がした。

 

「それで、ソイツは今何処にいるんだ?」

 

「彼なら裕斗が迎えに行ってるわ。弟君も一緒にね。」

 

「「「「「は?」」」」」

 

その言葉に今度は呆気にとられた。

 

「すみません…………遅くなりました…」

 

そこに入ってきたのは、気疲れした木場と……

 

「…………クソッ‼」

 

「ふあぁぁ~……。」

 

呑気に欠伸をする一誠と、憎々しげに一誠を見る兵藤錬二だった。

 

「あん…?ルシファー達もいたのか。」

 

「おう。」

 

俺は軽く挨拶するが、内心ではいつ喧嘩に発展するのかドキドキもんだった。

 

「え~と……皆揃ったようね…では、話を始め…………てもいいかしら…?」

 

そしてこの結果を招いたグレモリーも、怯えながら話が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

(たく……なんで俺がこんな所に連れて来られなきゃならねぇんだ?しかもクソ兄貴と一緒によ…‼‼)

 

グレモリーだったかの話す事は前にルシファーに聞いた事ばかりだったので適当に聞き流す。

 

「つまり俺は悪魔になったって事ですよね?」

 

「ええそうよ。」

 

「そうですか……………………(クフフ‼)」

 

クソ兄貴はさっきから変にニヤけやがって気持ち悪ぃ…

 

「そしてそちらにいるのが、私達のサポートをやってくれているヴァーリ君とその眷属たちよ。」

 

「へぇ…コイツらが…」

 

「………………どうも。」

 

ルシファーが面倒そうに挨拶すると、クソ兄貴は表情を憤怒に変えた。

 

「ああんッ!?テメェ、オリ主である俺のサブになれるだけで光栄だってのに、なんだその態度は!?」

 

そんな事を叫びながら、赤い籠手を左手に着けてルシファーに向けた。

 

うわ……また始まったよ、コイツの中二発言…

 

コイツはガキの頃から偉そうに同じ事を繰り返し言っていて、俺には未だに意味を理解できないし理解したくない。

 

「止めなさい‼彼等は私達のサポートの他に、監督役でもあるのよ‼私達の行動を魔王様に伝える役割なのだから無礼は慎みなさい‼」

 

「それってつまりチクリ魔って事でしょ?だったらいなくなった方が良いじゃないですか‼」

 

その言葉に、ルシファーのメンバー達がクソ兄貴を睨む。

 

へぇ、中々の殺気を出してるじゃねぇか……‼

 

「どうせ魔王様に媚でも売って、そんな権限を手に入れたんだろ?周りの女の子も魔王のコネか、魔法か何かで洗脳して手に入れたんじゃないのか?」

 

『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

そのクソ兄貴の言葉を聞いた瞬間、電子音と共に高海の周囲に1つのアイコンが浮かび上がり、そこから剣と銃みたいなのが合体した感じのオレンジ、エメラルド、イエローにカラーリングされた武器を取り出し、クソ兄貴の首に剣先を向けた。

 

「止めろ、千歌。」

 

「ううん、今回ばかりは聞けないよ。」

 

ルシファーは注意するが、それでも怒り状態の高海は剣を下ろさない。

 

「そういう意味じゃない。今から【処罰】を行うから下げろと言ってるんだ。」

 

「………………わかった…」

 

が、処罰という単語を聞いたら剣を下げた。

 

「アハハハッ‼やっと俺に従う気になったのか‼安心しなよ、罰を受けるその子は俺が慰め「貴様は何を言っている?」あん?」

 

「処罰を執行される対象は貴様だ、兵藤錬二。」

 

いつもより低い声でそう告げるルシファー。こりゃワクワクする展開になってきたな…‼

 

「グレモリー、構わないな?」

 

「ええ、禁則事項の1つ【我々は同種及び他種族に対して、無闇に敵対行動をしてはならない】に違反してるんですから。」

 

「つまり、先に敵対行動をしたお前が処罰対象だ。」

 

「へッ‼やれるもんならやってみろよ‼この今代の赤龍帝である俺に対してできるならな‼」

 

そこでルシファーはニヤリと笑いながら、ゲーマドライバーを腰に装着した。

 

「いいだろう、ステージ選択。」

 

『ステージ・セレクト‼』

 

ルシファーが腰のホルダーのボタンを押すと、周りの風景が廃工場に変わった。

 

「へぇ……お前の墓標はここでいいんだな?それで……どうやって俺を処罰するんだ?何なら、全員で掛かって来なよ。」

 

「なら、そうさせて貰うか。」

 

すると、ルシファーを中心に右側に桜内と小原、左側に高海と津島が並び立った。

 

そして全員がドライバーを装着すると、ルシファーから桜内に、小原から津島に仮想ガシャットが渡されて、高海は四人とは形が違うガシャットを握りしめる。

 

やっぱり全員変身出来たのか……ヤベェ…‼戦ってみたくてワクワクが止まらねぇ‼

 

「術式レベル50。」『TADDLE FANTASY!!』

 

「第伍拾戦術。」『BANG BANG SIMULATIONS!!』

 

「GEAR FIFTY。」『HIGH SPEED HIGHWAY!!』

 

「禁術レベル50。」『WITCH CREATE!!』

 

『マイティブラザーズ・ダブルエーックス‼』

 

「「「「「変身‼」」」」」

 

『『『『『(ダブル/デュアル)ガシャット‼ガッチャーン‼(レベル/デュアル)アップ‼』』』』』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

『ダッシュ‼ダッシュ‼ダッシュ‼エ~ンジンを全開‼ブッち切れ‼ハイスピード・ハイウェーイ‼』

 

『マジシャンガール‼夢をプレゼント‼願いよ届け‼ウィッチ・クリエイト‼』

 

『マイティ・ブラザーズ‼二人で一人‼マイティ・ブラザーズ‼二人でビクトリー‼エーックス‼』

 

そして全員が変身(一人だけ一瞬バイクになってたけど)すると、高海が一歩前に出た。

 

「おいおい……そんなゆるキャラでも勝てると思われるのはかなり癪だね…‼」

 

「今から貴方を攻略します‼」

 

『ガッチョーン。』

 

高海が再びレバーを閉じると、より激しいメロディーになった待機音が流れ、両腕を大きく回し……

 

「だ~~い変身ッ‼」

 

もう一度レバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼ダブル・アーップ‼‼』

 

そして高海が飛び上がると、白いゆるキャラボディが外れ……

 

『俺がお前で‼』

 

次に残った顔の右からオレンジの両手足が、左からエメラルド色の両手足が生えた。

 

『お前が俺で‼』(ウィーアー‼)

 

そして顔が左右に別れると、其処から右がオレンジで左がエメラルド色の左右対称の等身大の体と頭が出てきて、二人になった。

 

『マイティ・マイティ・ブラザーズ‼』(HEY‼)

 

最後にオレンジの左肩とエメラルドの右肩にある顔のパーツを合わせながら着地する。

 

『ダブルエーックス‼‼』

 

そしてポーズをやめて普通に立つと、ルシファー達も再び並び立った。

 

「その姿、お前…‼あの時の奴等か!?」

 

「今さら気づいたのか……だが、もう遅い。」

 

『ガシャコンソード‼』

 

『ガシャコンスパロー‼』

 

『ガシャコンレイピア‼』

 

『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

『ガシャコンブレイカー‼』『ガシャコンマグナム‼』

 

そして皆が武器を(高海エメラルドは桜内の武器も)装備する。

 

「これより、兵藤錬二切除手術の…」

 

「ミッションを…」

 

「ノリにノリながら…‼」

 

「究極すら越えた…」

 

「「超協力プレイで、クリアしてあげる(‼)」」

 

そのかけ声と共に、戦闘は始まった。まあルシファー達は俺の目的を知ってるから、殺したり障害を残すような事はしねぇだろ。

 

でも残念だ……俺もあの中で暴れてぇのに、今回は理由が理由だから混ざる事が出来ねぇのが心底残念だ…‼

 

「へぇ……面白い事をやってるじゃないか?」

 

そこに新たに男の……しかも聞き覚えがある声が聞こえたので、俺がそっちを向くと昨日の本屋で会った男がいた。

 

「貴方…‼どうやってこの中に!?ここは使用者とそれが認めた人しか入れない筈…‼」

 

「そんな事はどうでもいいだろ?なあ一誠、お前はあの中に混ざらないのか?」

 

「あれはルシファー達が売られて買ったケンカだ。そこに割り込むほど不粋じゃないんでね。」

 

「なるほど、お前らしいな。」

 

「それで……お前は何しに来たんだ?」

 

そう聞くと男は嬉しそうに頬を弛めた。

 

「本当はお前が戦うのを見るだけだったんだけど、気が変わった。」

 

そう言って懐に手を入れ……

 

「一誠、俺と遊ぼうぜ?」

 

抜くとその手には、青色のガシャットギアデュアルが握られていた。

 

「ッ‼テメェ…クククククッ‼」

 

「どうだ?」

 

その誘いに俺は笑うのを抑えられなくなっていた。

 

まさかこんなに早く機会が来るなんてな‼嬉しすぎてどうにかなりそうだ‼

 

「兵藤君、止めなさい‼ソイツは危険「黙ってろよ、これは俺の喧嘩なんだ。」……ッ!?」

 

止めさせようとするグレモリー達を一睨みして黙らせる。

 

「ワクワクするような事を言ってくれるじゃねェか……え~と…」

 

「そういえば名乗ってなかったな。俺は【パラド】だ。」

 

「パラドか……良いぜ、その喧嘩買った‼‼」

 

威勢良く答えながら、俺もガシャットギアデュアルΣを取り出して、ゲーマドライバーを装着する。

 

「なんで貴方達がルシファー家門外不出の技術を「だったら場所を変えよう。アイツらは邪魔だしな。」「そうだな。」」

 

すると、さっきルシファーがやったみたいに風景が変わり、何処かの採石場になった。オマケにグレモリー達も消えている。

 

「ここなら誰にも邪魔はされない。久々に心が踊るなぁ♪」

 

パラドは嬉しそうに言って、ガシャットのダイヤルを右の目付きの悪い丸いキャラが描かれた方へと回した。

 

『PERFECT PUZZLE!!』《What's the next stage?》

 

そして周囲にエナジーアイテムがばら蒔かれていく。

 

「俺は心が高ぶるぜ…‼」

 

『SAVIOR STORY!!』《Saviour is Around the World!!》

 

俺もガシャットも起動させてアイテムをばら蒔き、ゲーマドライバーに装填する。

 

『デュアル・ガシャット‼』

 

「「変身…‼」」

 

『ガッチャーン‼デュアルアップ‼』『DUAL UP!!』

 

俺はレバーを開き、パラドはガシャットのスイッチを押して俺はドラゴネスに、パラドは青いリーゼント風の頭に黄色い目、胸のパネルにはジグソーパズルを絵が浮かんでいて、背中には金のダイヤルを背負いスクエアパターンのボディスーツを着た姿へと変わった。

 

『Get the glory in the Chain!! PERFECT PUZZLE!!』

 

『立てよ勇者‼纏え龍を‼セイヴァー・ストーリー‼』

 

「それがお前のライダーとしての姿か?」

 

「【仮面ライダーパラドクス】‼レベル50。」

 

「俺は仮面ライダードラゴネス‼レベルは50‼」

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

籠手を装備した俺が構えると、パラドクスも構える。

 

「さあ…」

 

「思いきり…」

 

「「遊ぼうぜッ‼‼」」

 

そして同時に走り、二人の中間で拳をぶつけ合った。




いかがでしたか?

話が進んでねぇ……でも次回もたぶん戦闘シーンだけで終わりそう……

次回、グレモリー眷属(バカ一人)VSルシファー眷属(オールスター)&ドラゴネスVSパラドクス‼

では、次回でお会いしましょう。


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心のFIRE

どうも、疾風の警備員です。

今回はバカ一人対ルシファー眷属オールスターとドラゴネス対パラドクスになります。

片方は完全な蹂躙、片方は燃えるようなバトルにしてみようと頑張ってみました。

よければ見てってください。


ヴァーリside

 

俺達は掛け声が終わると、全員で錬二へ向かって走り出す。

 

「数が多いくらいで‼」

 

錬二は両手に魔力を集めて、俺達へと飛ばしてくる。

 

「撃ち落とします‼」

 

それを梨子が両手の艦砲で迎撃し、そこで起こった爆煙を目眩ましに利用して俺が懐へと一気に突っ込む。

 

「なッ!?」

 

「ハアッ‼」

 

左手を突き出したまま固まった錬二に回し蹴りで腕を弾き、そのままの勢いを乗せた回転斬りで横一閃に切り裂く。

 

「ぐあッ!?」

 

「千歌ーズ‼」

 

「「テヤァッ‼」」

 

俺が両腕を左右に伸ばすと、そこを足場にしてエグゼイド・ダブルアクションゲーマーになった千歌達がジャンプして、縦に回転しながらブレイカーとキースラッシャーで斬り、更にバツ字に切り捨てる。

 

「ギャアッ!?」

 

「ねぇ…その千歌ーズって呼び方、いい加減に止めてくれないかしら?ダサすぎよ。」

 

「え~?私は良いと思うんだけどな~。だって…」

 

吹っ飛んだ錬二に視線を向けつつ、オレンジの千歌(以降、千歌Rと呼称)から呼び方にクレームが来るが、エメラルドの千歌(以降、千歌Lと呼称)は気に入ってくれてるみたいだ。

 

因みに千歌Rは千歌の中にいる第二人格で、普段は滅多に表に出てこない。そして、なぜ彼女がこうなってしまったのかは彼女の過去に関係がある。なお、性格は上品なお嬢様風だ。

 

「ちょっと【チッ千歌ちゃんズ】‼何時までも会話してないでよ‼」

 

「お先ね、【チカチカsisters】!!」

 

「どうしたの、【千歌&チカちゃん】?」

 

「…………………………千歌ーズの方がマシに聞こえてくるわ…」

 

「でしょ?」

 

追い越していく皆の呼び方に、千歌Rは脱力した。

 

悪かったな、ネーミングセンスが無くて……

 

ヨハネが起き上がり様の錬二をレイピアで額を突き、のけ反って上を向いた顔に鞠莉がそれを飛び越えながら矢を両目を狙って放ち倒れる。そこに梨子が全砲門を一斉に撃ち、直撃による大爆発が起きる。

 

『ズキュ・キュ・キューン‼』

 

さらに千歌ーズがキースラッシャーとマグナムで追撃の弾幕を撃ちまくり、その中を俺は走る。

 

『コ・チーン‼』

 

そしてソードを氷剣に変え、Bボタンを7連打してすれ違い様に錬二を切り裂く。

 

「ぬあッ!?か、体が…‼」

 

剣の効果で錬二の体が一瞬で氷つく。

 

「皆、最初の一発目いくぞ‼」

 

「「「「「了解‼」」」」」

 

『『『『『『ガッチョーン、キメワザ‼』』』』』』

 

俺達は一斉にベルトのレバーを閉じる。

 

「レディー……GO‼」

 

『『『『『『ガッチャーン‼』』』』』』

 

『TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

そして最初に俺が必殺技を発動させて、禍々しいオーラを纏った剣で錬二を十字に切り裂き、その中心に突きを決める。

 

『Victory!!』

 

「ギャアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

攻撃後の音声の後、錬二が叫びながら爆発する。

 

「次は私‼」

 

『BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

続けて梨子が全砲門を錬二の顔面へと向け、一斉に撃ち顔で大爆発が起きる。

 

「グアアアアアアアアッ!?」

 

『MISSION COMPLETE!!』

 

「次はワタシね‼」

 

『HIGH SPEED!! CRITICAL SONIC!!』

 

次に鞠莉が両手の鎌で錬二の両手足と首の脛動脈を切り裂き、背中に蹴りを叩き込む。

 

「アアアアアアアアアアッ‼」

 

『NEW RECORD!!』

 

『WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

「黄昏よりも暗き存在(もの)、血の流れよりも赤き存在(もの)時間(とき)の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、我ここに闇に誓わん、我らが前に立ち塞がりし、全ての愚かなるものに、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを…」

 

そこに必殺技を発動した時から詠唱を始めた善子の剣先には、膨大な魔力を集束していた。

 

「我が新たな魔導、喰らいなさい‼【ドラグスレイブ】‼」

 

そして、そこから放たれた魔力の奔流が、悲鳴すら上げさせずに一瞬で錬二の体を焼いた。

 

『AMAZING!!』

 

「フィニッシュを決めるのは…」

 

「私達だよ‼」

 

『『MIGHTY DOUBLE!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

最後に千歌ーズが飛び蹴りから連続回し蹴り、再度の飛び蹴りと決めたら、1度ゆるキャラ状態のレベル(テン)になって錬二にアッパーを決めて打ち上げ、飛び上がると同時にレベルXX(トゥエンティ)になってダブルライダーキックを決めて爆発が起きる。

 

『会心の一発‼』

 

「ギャアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

悲鳴を上げながら、錬二が地面へと落ちる。

 

「くぅぅ……‼やっぱりオーバーキルは最高にゾクゾクするわ…‼」

 

「…………何でもう一人の私は、こんな変態なのかな…?」

 

「く…‼あれ?俺は死んだんじゃ……でも傷がない…!?」

 

しかし、たくさんの攻撃を受けた本人は無傷だった。

 

「そりゃそうだ、このゲームエリアは相手が死なない設定だからな。ただし、痛みはキチンと味わうが…」

 

そう、処罰用に展開されるこのゲームエリアは、魔王達からの頼みで相手を傷つけない用になっている。悪魔は数が減っているから、なるべく死刑にはしたくはないそうだ。

 

俺としては、その緩さが問題だと思っている。処罰では死なないから、小さな悪事をしても痛くも痒くもないと思う輩はかなり多い。

 

「ハハハハハハッ‼なんだそりゃ!?俺に有利なだけじゃん‼バカじゃ「有利じゃないさ。」あん?」

 

現にコイツがそうだが、これは【死なない】というところがポイントだ。

 

「この中なら確かにお前は死なない……でも、痛みはあるし死なないって事は弱い貴様がどういう立場になるのか…わかってるか?」

 

俺達は奴を囲むように立ち、武器を向ける。

 

「簡単に言うと…………サンドバッグさ。」

 

「お、おい……さっきので終わりじゃないのか?」

 

「喜べ。貴様への処罰内容は…………この中での死亡10回だ。」

 

さあ……再び地獄(オーバーキル)を始めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ハアッ‼」「デヤァッ‼」

 

拳をぶつけ合った俺達はしばらく押し合ったが、同時に離れた。

 

「クククククッ‼やるじゃねぇか、パラド‼」

 

「お前も俺の期待通りだ、一誠‼」

 

そして再び接近して俺は拳を振るうが、それは受け流されパラドから顔目掛けて拳が来るが、俺は首を傾けてスレスレでかわし、前のめりになる勢いを利用して膝蹴りを放つ。

 

「おっと。」

 

が、それも向こうの膝蹴りで相殺され、バランスを完全に崩した俺の腹にパラドの蹴りが決まる。

 

「くッ!?」

 

「ヒュー♪少しヒヤッとしたぜ?あんな体勢からよくやるな?」

 

「余裕で捌いといて良く言うぜ‼」

 

俺は立ち上がるとジャンプして飛び蹴りを放つ。

 

「良いぜ、乗ってやる。」

 

パラドも同じく飛び蹴りを放ってくる。そこで俺はぶつかる直前にBボタンを1回叩く。

 

『Boost!!』

 

「ッ‼…グアッ!?」

 

倍加された俺の力に押し負けたパラドは、攻撃を食らって地を転がる。

 

「よっと…どうやら通常で力が互角みたいだな。だったら1回でも充分か。」

 

ルシファーから2つのゲームについて前に説明を受けたが、こっちは能力は良いけど動きづれぇんだよなぁ…

 

「アハハハハッ‼面白いじゃないか‼だったらこんなのはどうだ?」

 

起き上がったパラドは両手を広げて上に持っていくと、周囲のアイテムが奴の前に並べられた。

 

「なんだ…?」

 

そして手を振りながら、まるでパズルゲームの様に並べかえていく。

 

「どれにしようかな~♪よし、コレだ。」

 

その中から三枚を選び、取り込んだ。

 

『高速化‼』『マッスル化‼』『透明化‼』

 

するとパラドの姿が消え、俺の背中に強烈な一撃が決まる。

 

「グオッ!?なんだッ!?…うあッ‼」

 

振り向こうとしたら、再び背中と顔に一撃を受けて俺は倒れる。

 

「な…何が起きてんだ?」

 

「俺のゲーム【パーフェクトパズル】はゲームエリア内のあらゆるアイテムを操れる。そして、エナジーアイテムを複数組み合わせて使えるのさ。」

 

姿を現したパラドが、俺の前にしゃがんでそう説明する。

 

なるほど…身をもって体験するとこのアイテムがどれだけスゴいのか、良く分かったぜ…

 

「それじゃ、俺も使えるんだろ?」

 

「ああ、エナジーアイテムは共有されてるからな。」

 

「だったら…‼」

 

俺はさっき視界に入ったアイテムに足で触れた。頼むから、良いのであってくれよ…‼

 

『回復‼』

 

「ッ‼よっしゃあッ‼」

 

「ッ!?うあッ!?」

 

運良く回復アイテムを取れた俺はすぐに起き上がりながら、パラドにアッパーを決めた。

 

「ふぅ~…喧嘩にこういうのは使わないのが、俺のポリシーだったんだがな…」

 

「ふ…何言ってんだ、コレはゲームなんだぜ?だったら道具は有効に使わないとな。」

 

「そうかい‼」

 

だったら遠慮なく使わせてもらうぜ‼

 

俺は一枚のアイテムを掴み、Bボタンを叩く。

 

『Boost!!』

 

『マッスル化‼』

 

そしてそのアイテムを取り込み、パラドを思いきり殴る。

 

「ウラァッ‼」

 

パラドは両手をクロスして防ぐが、かなり距離を下げられた。

 

「う…くッ‼この威力…アイテムを強化したのか‼」

 

「そうさ、俺のゲーム【セイヴァー・ストーリー】は龍の能力で自身若しくはアイテムの力を強化・半減出来るのさ‼」

 

最初ルシファーから聞かされた時はよく分かんなかったが、今なら身に染みて理解できた。まあ、アイテムは1回分しか強化できないらしいけど…

 

「ああ…面白い…‼面白いなぁ‼だったらコレはどうする‼」

 

パラドは再びアイテムを集めると、其処から二枚を取り込んだ。

 

『伸縮化‼』『ジャンプ強化‼』

 

そして体を思いきり上に伸ばしながらジャンプし、足を引き戻すとガシャットを持ち、ダイヤルを戻してから、もう一度右に回した。

 

『KIME-WAZA!!』

 

「そういう事か…だったら‼」

 

それを見た俺も、ベルトのレバーを閉じる。

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

アイテムの効果がまだ残っている間に決める‼

 

パラドは持っていたガシャットを腰のホルダーに、俺はレバーを開いて同時に必殺技を発動させる。

 

『Dual Gashat!!』『PERFECT!! CRITICAL COMBO!!』

 

『ガッチャーン‼』『SAVIOR!! CRITICAL BLAST!!』

 

そしてパラドが伸ばしてきた右足を右拳、左足を左拳で迎撃し、最後にきた両足蹴りは同じ様に両足蹴りでぶつかり合い、お互いに吹き飛ぶ。

 

「ぐあッ!?」

 

「うぐッ!?」

 

地面に叩きつけられ、俺自身結構なダメージを負うが…気合いで立ち上がった。

 

「アハハハハ‼楽しいな…‼そうだろ、一誠ェ‼」

 

「おうよ…‼まだまだ暴れたんねぇしな‼もっとやろうぜ、パラドォッ‼‼」

 

「ああ、久々に心が滾るぜ‼」

 

パラドは腰のホルダーからガシャットを抜くと、今度は右側の格闘家が拳を振るっている方へとダイヤルを回した。

 

『KNOCK OUT FIGHTER!!』《The strongest fist‼ "Round 1" Rock & Fire‼》

 

「そうだな、お前は初めて…俺の心に火を付けた‼」

 

『ガッチョーン。』

 

パラドの動作を見て、何をやるのか理解した俺はすぐにレバーを閉じ、ダイヤルを4体の龍が描かれている方へと回した。

 

『SURVIVAL DRAGON!!』《Victory on your hand.Battle of Dragons!!》

 

お互いの背後にスタート画面が出ると、其処から更にエナジーアイテムがばら蒔かれていく。

 

「「大変身‼」」

 

そしてなぜか同じ掛け声でパラドはボタンを押し、俺はレバーを開いた。

 

『DUAL UP!!』

 

『ガッチャーン‼デュアル・アップ‼』

 

パラドの方は頭が180度回転して赤い髪にヘッドギアを装着したようなものになり、胸のパネルはパズル柄から炎が描かれたものへと変わり、肩のアーマーが両手に装着され、まるでグローブみたいになった姿になる。

 

『Explosion Hit!! KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

そして俺は、脚甲以外のゲーマの鎧が全て外れ、胸のゲージ等が見える素体に近い姿になった。

 

『勝ち取れ‼勝利を、その手に掴め‼サバイバル・ドラゴン‼』

 

「ふぅ~、ようやく身軽になったぜ。お前のゲームは何なんだ?」

 

軽く体を動かしながら、俺はパラドにゲームの種類を聞いてみる。

 

「俺のゲームは【ノックアウトファイター】。相手をK.O.するまで戦う対戦型格闘ゲームだ。」

 

「へぇ…俺のは【サバイバルドラゴン】。数多の龍が最強の称号を目指して戦う“乱戦型”対戦ゲームだ。」

 

「乱戦型か……ハハハハハハハッ‼楽しめそうだ‼」

 

「逆にお前が俺を楽しませろよ、パラド‼」

 

そう叫び、お互いに拳を振るいボディに命中するが踏 み止まり、そこから拳の応酬が始まった。

 

俺の拳がパラドの顔に命中すれば、今度はパラドの拳が俺の顔を打ち抜き、続けてボディに喰らうがその腕を掴んで鳩尾に拳をめり込ませ、もう一発顔に入れようとするも掴んでた腕を振り払われ、顎にアッパーを貰う。でも俺はその勢いを利用して後方宙返りをしながらパラドを蹴り飛ばす。

 

「グッ!?」

 

「もっといくぜ‼」

 

着地した俺は、再び殴り合いが出来る間合いまで飛び込もうとしたが、

 

「ハアッ‼」

 

「なッ!?……グブッ!?」

 

パラドが振るった拳から炎が飛んできたので、慌てて横に転がってかわしたが、その間にパラドに接近され腹部に強烈な一撃が入って体が浮いた。

 

「そらそら、いくぞ‼」

 

「く…‼嘗めんな‼」

 

パラドがラッシュを仕掛けてくるが、俺も必死に拳を動かしてそれを迎撃していく。

 

「アッハハハハハハ‼さっきから心が踊りっぱなしだ‼」

 

「俺も心の高ぶりが止まらねぇよ‼」

 

そしてなんとか地面に着いたら、パラドにタックルをかまして1度距離を取った。

 

「ああ、こんなに楽しい喧嘩は久し振りだ…‼」

 

「ノックアウトファイターで身体強化された俺に、ここまで食らいつくなんてな。」

 

「【サバイバルドラゴン】は自由に倍加や半減とかの能力が使えない代わりに、全盛期の二天龍の身体データを基にした肉体強化がされてるそうだぜ?」

 

体に負担はあるそうだが関係ねぇ。

 

曜と無茶するなって約束したけど、コイツ相手だと守れそうにないわ‼

 

「さて、そろそろ向こうも終わる頃だ。こっちも決着をつけないか?」『KIME-WAZA!!』

 

「ああ、正直結構キツいんでな……でも、勝ちは俺が貰うぜ‼」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

互いに必殺技の準備に入り、同時に発動する。

 

『Dual Gashat!!』『KNOCK OUT!! CRITICAL SMASH!!』

 

『ガッチャーン‼』『SURVIVAL!! CRITICAL CRASH!!』

 

「「ハアッ‼」」

 

そして拳に集束させ、お互いに一気に接近したら拳を突き出しクロスカウンターになりながら、顔を殴り合って同時に吹き飛び、変身が解除された。

 

「ぐう…‼引き分けか…」

 

「ち…‼煮えきらねぇ結果だな…‼」

 

膝立ちの状態で互いに息を切らしながら、視線だけは絶対に外さない。

 

「今回は久々に楽しめたぜ、また遊ぼうな。」

 

パラドはそう言って、ホログラムみたいな揺らめきを残しながら消えていき、フィールドは最初にルシファーが作った廃工場に戻った。

 

「へッ‼今度は俺が勝ってやるよ。」

 

立ち上がると、近くに白髪チビがいた。

 

「…大丈夫ですか?」

 

「あ?むしろ最高に楽しかったよ。」

 

「…楽しい?」

 

俺の言葉に白髪チビは首を傾げる。

 

「理解なんかしなくていい。これは俺だけの感覚だからな。」

 

「一誠、どうかしたのか?」

 

そこにルシファーがクソ兄貴の右足を掴んで、引きずりながらやって来た。

 

「おいルシファー……テメェまさか…」

 

「安心しろ、お前の楽しみを奪うつもりはない。ちゃんと五体満足だ。」

 

「…………ならいい。」

 

腕を振ってクソ兄貴を放り投げたルシファーの言葉に、少し沸き上がった怒りを静める。

 

にしても滑稽な姿だな………………あ、擦れてたのか一部禿げてる。

 

からかうのに使えるかと思って、一応写メを撮っておく。

 

「お前……性格悪いな…」

 

「未だに実力を見せてねぇお前が言える事かよ?」

 

さっきの戦いの初めを見てただけですぐに分かった……コイツはもっと強い筈なんだ。でも、さっきはあまり動きのキレがなかった。

 

「それは理解してる。だから、新しい力の開発に着手してるんだ。」

 

それを聞いた俺は口許が弛む。

 

「だったら試運転の時は呼べ。俺が相手してやっからよ。」

 

「嫌だよ、お前だと簡単にぶっ壊しそうだからな。」

 

「ちぇっ…」

 

まあ、お楽しみは後にとっといておきますかね。

 

「さて、処罰も終わった事だし……またリアス・グレモリーの話を聞きに行くぞ。俺も聞かなければならない事もあるしな…」

 

「たく……俺も機嫌が良いし、もうしばらく付き合ってやるか。」

 

「ん、何かあったのか?」

 

「ちょっとな。」

 

「?」

 

ズボンのポケットに突っ込んだ手を強く握りながら、ルシファーの隣を歩く。

 

今回は引き分けだったが、次は俺が勝つ‼だから、またやろうぜ、パラド。

 

俺は心の中で、新たな喧嘩友達(ライバル)へとそう呟いた。

 




どうでしたか?

パラドと一誠を楽しそうにバトってる感じにしたけど、上手く書けてるかちょっと心配です。

次回はあの子があの人と出会う?

では、次回でお会いしましょう。


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迷子のSAINT

どうも、疾風の警備員です。

前回の感想の無さを見て、今の私の戦闘シーンでは皆様の心を踊らせたり、滾らせる事が出来なかった事を反省してます。

次の対決時には、皆様の期待に答えられる様にしたいです。

では、今回も良ければ見てってください。


ヴァーリside

 

処罰が終わり、ゲームエリアを解除して旧校舎に戻った俺達は倒れた錬二をそのままにしてソファーに座った。

 

「グレモリー、今回はこの程度だが次からはどんどん痛みのリミッターが外れていく。早めにルールを覚えさせておけ。」

 

「申し訳ありません、早急に覚えさせておきます。」

 

「悪魔ってのも色々面倒そうだな?」

 

「ああ、この土地は悪魔が管理してるという事になってはいるが、本来の所有者は日本神話なんだ。」

 

日本神話の神々は放任主義らしいが、自分の土地を乱すものには容赦がない。そして人間界での活動拠点が欲しかった悪魔が日本神話との交渉の末に幾つかの土地の管理を任された。その代わり管理がキチンと行われない場合は管理者を抹殺後、残りの悪魔はその土地からは速やかに出ていく決まりになっている。活動拠点を減らしたくない悪魔は厳しい審査を抜けた者で選りすぐり、この罰則もしっかり管理をやってますというアピールの意味合いもある。

 

頭を下げるグレモリーを一瞥して、俺は次の話題に入る事にした。

 

「ところで、例の件はどうなった?魔王様に聞いたのだろう?」

 

「はい、相手は堕天使でしたのでお兄様から堕天使総督に確認をとってもらったところ、この地への命令は出していないそうです。独断らしいので処分はこちらで決めていいと話を頂きました。」

 

「やはりか…」

 

二人が襲われたという事はつまり、国木田かルビィのどちらか若しくは両方に、神器が宿っている可能性があるのか……

 

「ねぇヴァーリ君、たぶんだけど堕天使はルビィちゃんを狙ってると思う。」

 

「梨子?それは確信があるのか?」

 

「うん、前に二人で出掛けた時にはぐれを退治したでしょ?その前のルビィちゃんの反応はもしかしてって。」

 

「確かに…」

 

あの距離であそこまではっきり見えるのはおかしい。

 

「そういやたまに、よく見えたり聞こえたりするって言ってたな。」

 

その一誠の言葉で、俺の中での疑惑は確信に変わった。

 

「なら、今から会いに行くとしよう。」

 

この場合、急がないと再び堕天使に襲われる可能性が出てくる。

 

「我々は改めて管理の徹底と、彼の教育を急ぎます。」

 

「頼む。」

 

ソファーから立ち上がり、彼女の言葉に返事してすぐに旧校舎を出ようとしたが、イッセーが俺の前に立ち塞がった。

 

「俺も行かして貰うぜ?またあのアマと戦えるんなら、この前の借りを返さねぇとな。」

 

「……駄目だと言っても聞かないだろ?なら、来い。」

 

「サンキュー。」

 

「あ、兵藤君。ほんの少しだけいいかしら?」

 

「あ?」

 

イッセーも連れて行こうとするも、更にグレモリーに止められる。

 

「なんすか?」

 

「一応のダメ元なんだけど、貴方も私の「嫌だね。」……やっぱりね。」

 

「当たり前だ。そのクソ兄貴がいる時点で、あんたの仲間になる気はサラサラねぇよ。」

 

「そうね……ごめんなさい、呼び止めてしまって。」

 

「全くだ。」

 

「急ぐぞ。」

 

グレモリーを一瞥すらイッセーを連れて今度こそ旧校舎を出る。

 

「やっぱりそれが答えか、相変わらずお前は面白いな……一誠。」

 

それを見ていた男がいたことに気づかずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子side

 

あれから私達はルビィちゃんの家に向かっていたんだけど……

 

「ねぇねぇ梨子ちゃ~ん、ヴァーリ君とデートしてたって本当?」

 

「で、デートじゃないよ!?ただ、研究に行き詰まってたみたいだから、息抜きに誘っただけで…」

 

「二人っきりで?」

 

「うっ…………途中までは…」

 

「ふ~ん、そっか~…」

 

さっきから千歌ちゃんにこの前のヴァーリ君との気晴らしについて、質問攻め(威圧付き)を受けています……

 

なぜこうなっているのかと言うと、実は千歌ちゃんもヴァーリ君が好きなんだけど、本人がまだそれを恋と自覚していないんです。

 

今は兄妹みたいな状態だけど、もし千歌ちゃんが自分の心を理解しちゃったら、私にとって最大のライバルになっちゃいます。

 

「私に内緒でそんな事してたんだ~……ちょっとO☆HA☆NA☆SIしない?」

 

「え、遠慮しますッ‼‼」

 

ハイライトが消えかかった瞳で見つめられながら、呟かれた言葉を私は全力で首を横に振りながら拒否した。

 

「ま~ま~、遠慮なんかしないでさぁ?」

 

「ひぃッ‼」

 

それでもなお迫ってくる千歌ちゃんから逃げるため、助けを求めようと鞠莉さんやよっちゃんに視線を向けたら……

 

……ササッ‼

 

ものすごい早さで逸らされました。

 

(この薄情者ぉ~‼)

 

心の中で愚痴り、最後の頼みとしてヴァーリ君の方を見たら……

 

「おいルシファー、サバイバルゲーマーの方の動き、もっと良くならねぇのか?」

 

「ああ、それに関しては二段階のリミッターが…」

 

一誠君と話していて、こっちに全く気づいていませんでした……

 

(どうしよどうしよどうしよどうしよッ!?)

 

この絶体絶命のピンチに、思考をフル回転させていたら……

 

「おーい、飲み物買うけど何がいい?」

 

「あ!私、オレンジジュース‼」

 

ヴァーリ君の質問に、ハイライトを再び輝かせて彼の所へとスキップしていった。

 

「た……助かった…」

 

千歌ちゃんの瞳が戻った事に、安堵の息を吐いたら……

 

「梨子ちゃ~ん‼後でちゃ~んと、O☆HA☆NA☆SIしようね~‼」

 

「ア、ハイ…」

 

ヴァーリ君には見えない角度で、完全にハイライトの消えた瞳で私を見て、死刑宣告を受けました。

 

「梨子……good luck。」

 

「骨は拾ってあげるわ。」

 

「他人事だと思ってぇ~…」

 

いつの間にか隣に来ていた鞠莉さんとよっちゃんに優しく肩を叩かれ、私はこの先の未来に泣く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

皆さん、ヨーソロー‼渡辺曜です‼

 

今日は果南ちゃんのお友達のダイヤ先輩にいきなり呼ばれ、お宅にお邪魔してます。

 

「え~と……何で私、呼ばれたんですか?花丸ちゃんと一緒に…」

 

そしてある一室に通され、花丸ちゃんと一緒に座って前にいるダイヤ先輩とルビィちゃんを見る。

 

「実はお二人に果南さんと一誠さんの仲直りに協力してもらいたいのです。」

 

「仲直り……ですか……」

 

「ええ、最近の果南さんはどこか寂しそうな表情をする回数が増えていまして……私は友達として、何とかしたいと思ってるんです。ですけど、今回は複雑な事情ですのでどうしたらいいかと……」

 

ダイヤ先輩の思いは私も分かる。私自身がそうしたいと思っているからだ。でも……

 

「私は…………今は難しいと思っています…」

 

「渡辺先輩?」

 

「どうしてそう思うズラ?」

 

「理由を聞いても?」

 

「たぶんですけど、イッセー君は果南ちゃんの今後を気にしてるんだと思うんです。受験時期なのに自分のような不良に関わっていたら、将来に何か悪影響があるんじゃないかって…」

 

最近は悪い生徒が不祥事を起こす事なんてざらにあり、そういうのを敬遠している学校は多い。もし、そういう繋がりがあると知れれば、巻き込まれるのを嫌がって合格を取り消される可能性だってある。

 

「だから、今二人を仲直りさせるのはかなり難しいと思います。」

 

「確かに、その可能性は否定出来ませんわ…」

 

「あ…あの……どうして…………先輩は…喧嘩をするように…なったんですか?」

 

「それはイッセー君の過去に関係してるの。」

 

「過去?」

 

首を傾げる花丸ちゃんに、私は頷く。

 

「イッセー君のお兄さんの兵藤錬二はご存知ですか?」

 

私が3人に聞くと、全員が頷いた。

 

「彼は確かに頭は良いし運動も出来て性格も良い ……でも、それは猫を被っていて本当の性格は自分中心で、周りの人全てを見下しているし、女の子には露骨にイヤらしい視線を向けてくる奴なんです。」

 

「それは分かりますわ。私も1度現場を見ましたから。」

 

「マルも‼」「わ、私も……です。」

 

それを聞けて、私は少し安心した。彼女達は信用出来ると。

 

「でも、外面の性であまり露見はしてません。そしてイッセー君は普通の男の子だった。だからこそ小さい頃は周りから比較ばかりされて、【自分】というものを周りから見てもらえず、兄の付属品か出来損ないと陰でずっと言われてたんです。」

 

あの頃のイッセー君は本当に酷かった……周りを誰も信用せず、私達以外と喋っている事なんてほとんどなかった。

 

「そしてある日、その兄に群がっていた男の子達と喧嘩になって、がむしゃらに戦っていたらいつの間にか勝ってて…その後の相手の言葉が今のイッセー君を作ったんです…」

 

「言葉?」

 

そう、それは他人からしたら何でもない言葉だけど、イッセー君には特別な意味を持っていた。それは……

 

「【覚えてろよ、兵藤一誠】です。」

 

「へ?」

 

「それって悪役とかがよく言うセリフですよね?」

 

花丸ちゃんの疑問に私は頷いた。

 

「普通にみればただの捨てセリフにしか聞こえない………………だけど、イッセー君からしてみれば、始めて誰かに自分を【認められた】んです…」

 

そう、この言葉には相手に自分という存在を認めさせたという意味があった。ただし仲の良い【友達】ではなく憎き【敵】として…

 

「なるほど、戦って相手を倒し自分という【個】を認めさせる……それが彼が喧嘩を始めた理由なんですのね。そして貴女が彼を止めない理由も判りました。」

 

「…………今のでそこまで分かっちゃったんですね…」

 

あの時の事を思い出すと、今でも悲しい気持ちになる。

 

でも、私達に止める事なんて出来るはずが…………

 

------ピンポーン。

 

「ッ‼」

 

そんな事を考えていたら、先輩の家のチャイムが鳴り、私は思考の海から戻された。

 

「はーい。」

 

ルビィちゃんが玄関まで行くと、今度は駆け足で戻ってきた。

 

「お、お姉ちゃん‼お姉ちゃん‼」

 

「何ですの、はしたない。いいから落ち着きなさい。」

 

「ひ……兵藤先輩達が来たの‼」

 

「「「ええッ!?」」」

 

ルビィちゃんから教えられた事に私達は驚いた。

 

な、何でイッセー君がここに!?

 

「皆さん、さっきのは内密にお願いします。バレては警戒されてしまいますから。」

 

ダイヤ先輩の言葉に頷いてから数秒後にイッセー君達が入ってきた。

 

「失礼します。」

 

「ん?曜もいたのか。」

 

「う、うん‼ちょっとお呼ばれして…ね、花丸ちゃん?」

 

「は、はいズラ‼」

 

「それで、どの様なご用件で?」

 

姿勢を直したダイヤ先輩がルシファー君に聞くと…

 

「先日のルビィちゃんと国木田さんが襲われた理由が判明しましたので、その確認をしたいと思いまして…」

 

「ッ‼本当なのですか!?」

 

「はい、なので…」

 

そこでルシファー君や千歌ちゃん達は目を瞑って、瞑想?みたいな事をすると何か空気が変わった様な気がした。

 

「これでよし……ルビィちゃんに国木田さん「あ、花丸でいいです。」なら、花丸ちゃん達はこうなりたいとか思う自分を強く想像してみてくれないか?」

 

「「?」」

 

二人は訳が解らないといった感じだったけど、とりあえず想像するために目を瞑っていたら、花丸ちゃんの右目に片眼鏡が付いた。

 

「へ?な、なんズラぁぁぁぁぁッ!?」

 

「ヴァーリ君、これは?」

 

「確か……【完全解析の片眼鏡(コンプリート・アナライザー)】だな。モノクルの中に映っている人や物の、あらゆる情報を見ることが出来る物だ。」

 

「スゴいスゴい、未来ズラ‼……およ?ルビィちゃんは27回でダイヤさんが53回なんだ~。」

 

「花丸さん?それはなんの回数ですの?」

 

「そこの障子を子供の頃の二人が破った回数。」

 

「「ピギャアアアアアアアアッ!?!?」」

 

花丸ちゃんの言葉にルビィちゃんとダイヤ先輩は、顔を赤くしながら急いで口を塞いだ。

 

「ん~ッ‼ん~ッ‼」

 

「何恥ずかしい過去を暴露してますの、貴方は!?」

 

「先輩の前でそれは止めてぇ~‼」

 

その光景に私は苦笑いしか出来なかった。というか、ダイヤ先輩って小さい頃はお転婆だったんだ……

 

「おかしいな……予想だとルビィちゃんが神器を持っていると思ったんだが…」

 

「相手が勘違いしてたとか?」

 

「ねぇ、そもそも神器って何なの?」

 

私は聞き覚えのない言葉に、ルシファー君達に訪ねると……

 

「あ、そういえば前に説明するって言ってそのままだったっけ?」

 

「どういう事だ、梨子?」

 

「ダイヤ先輩がルビィちゃんから裏の事情を聞いちゃって、ここの皆にもそれを聞かれちゃったの。だから説明しようとしてたんだけどそのままになってて…」

 

「なるほど、なら俺が説明しよう。」

 

そこからはルシファー君の説明会となり、話された内容はどれも驚きのものばかりだった。

 

「改めて聞くとこの世はまさにファンタジー……ですわね…」

 

「しかもマルの神器は神様の贈り物だったズラか!?」

 

「まあ、そんなところですね。」

 

「じゃ……じゃあ、ルビィから神器が出てこないのは…」

 

「たぶん、感情の高まりが弱いからだろうな。」

 

「あッ‼マルに良い方法があるズラ‼」

 

そこに何かを閃いた花丸ちゃんが、ルビィちゃんに耳打ちすると顔が一気に赤くなり……

 

「ぴぎゃあああああああああああああッ‼‼」

 

叫び声を上げたら、ルビィちゃんの耳にイヤリングが出てきた。

 

「やった、大成功ズラ‼」

 

「花丸ちゃん、何て言ったの?」

 

「教会で純白のウエディングドレスを着たルビィちゃんが、番長先輩と誓いのキスをするところを想像してみてって。」

 

あ~……それは効果抜群だね。ちょっと羨ましいかも……

 

「やっぱり、ルビィちゃんも持ってたんだ。」

 

「ルシファーさん、ルビィのこれは?」

 

「【索敵捕捉の耳飾り(サーチング・センシティブ)】ですね。これは視覚や聴覚を強化したりする神器です。」

 

「ほっ……とりあえず危険な物ではなさそうですわね。」

 

神器の能力を聞いたダイヤ先輩は、安堵したのか息を吐く。

 

「しかし、この能力は敵も欲しいと思うものです。今後、狙われる可能性も否めません。」

 

「で、ではどうすればッ!?」

 

「良い護衛がそこにいますよ?」

 

ルシファー君はそう言うと、イッセー君を見た。

 

「おいルシファー、なんのつもりだ?」

 

「なに、お前にも損はない話だ。奴等は彼女達を狙ったが、お前に阻止された。だが、向こうが何かを企んでいるなら再び襲いに来ると思うが?」

 

「なるほど……良いぜ、その話乗った。」

 

「ち、ちょっと待って‼」

 

二人の会話に私は思わず割り込む。

 

「それってまた堕天使と戦うって事だよね!?危険だよ‼それに朝約束したよね、無茶しないって‼」

 

「悪いけど、今だけは見逃してくれ。俺も向こうに狙われてるみたいだからな…安心しろ、対抗策ならあるからよ。」

 

そう言うと、懐から鞠莉先輩達が使っていたのと同じガシャットを取り出した。

 

「それって…」

 

「あのクソ兄貴がかなり危ねぇ神器を持ってるみたいでな。その対抗策としてルシファーがくれたんだよ。」

 

「俺はお前を気に入っているから、死なせるのは惜しいんだよ。」

 

「でも一人じゃ…‼」

 

「安心してくれ渡辺、護衛役は俺や千歌達も加わる。さすがに一人だけでやらせはしないさ。」

 

「むぅ…」

 

ルシファー君にそう言われ、一応引き下がる。

 

千歌ちゃんや梨子ちゃんは分からないけど、鞠莉先輩や善子ちゃんの強さはこの前見たから確かに安心ではあるし、同じ力を持ってるならイッセー君の相手が化け物でも負けるとは思えないし…

 

「……わかった、その代わり帰ってきたら果南ちゃんと仲直りして。」

 

「うぐ…‼……わかった、約束する…」

 

「なら、良し。」

 

私が足した条件に一瞬嫌がったが、結局イッセー君の方が折れた。

 

これで仲直りの方も解決の糸口が出来た‼

 

「話が纏まったなら時間も遅いし、帰るとしよう。」

 

ルシファー君の言葉に時計を見たら19時を越えていた。

 

「あちゃ~、もうこんな時間だったんだ…」

 

「俺達が花丸ちゃんを送っていくから、お前は渡辺さんを送ってけよ。」

 

「言われなくても。」

 

「皆さん、気を付けて帰ってくださいね。」

 

黒澤姉妹に見送られながら、私はイッセー君と一緒に家路に着く。

 

「ねぇ……本当に大丈夫なの?」

 

「ん?」

 

「貰った力がどんなのかは一応知ってるけど、本当に危険じゃないよね?」

 

喧嘩を始めた頃やこの前みたいに傷だらけになった姿を想像してしまい、私は少し怖い気持ちに襲われる。

 

「心配すんな…………つったら、この前の二の舞か。なら、必ず無事に帰ってくるって約束する。これならどうだ?」

 

心配そうな私を見たからなのか、そう言ってイッセー君は私に右手の小指を出してきた。

 

「……わかった、約束だからね?」

 

私も右手の小指を出して指を絡ませる。

 

「んじゃ、これ以上遅くならねぇ内に帰るぞ。」

 

「うんッ‼」

 

指をほどいた私はイッセー君の隣に並び、彼の左腕に自分の腕を絡めた。

 

「いきなりどうした?」

 

「ん~?たまには子供の頃みたいにしようかな~って。」

 

「まあ、構わねぇけど。」

 

イッセー君は平気そうだったけど、私は内心高まる気持ちを抑えるのに必死だった。

 

(勘違いするな……私はこの気持ちを伝える資格なんてないんだから…)

 

そう、自分の心に何度も告げながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果南side

 

「ハァ~……気晴らしに出掛けてみたけど…」

 

あの喧嘩から数日……イッセーと会う機会がなく、勉強の方にも身が入らない日々が続いたので、今日は休憩日にして一人で出掛けていたんだけど……

 

「一人だとあんまり楽しくないな…」

 

移動式店舗で売ってたドーナツを食べながら町を歩いていても、あまり楽しめずにいた。

 

「やっぱり曜ちゃんだけでも誘えば良かったかも…」

 

そんな軽い後悔をしてたら、視界に金髪の女の子が紙を片手にあたふたしていた。

 

「?……どうしたんだろう…」

 

気になった私はその子に声をかける事にした。

 

「どうしたんですか?」

 

「ッ‼」

 

私の声にその子は驚きながらこっちに顔を向けた。

 

(うわっ…結構可愛い子…)

 

その子の顔は整ったお人形さんみたいで、翠の瞳がとても綺麗だった。

 

「えっと…………何か困ってる?」

 

「~~~~~~~~~~~~~~~ッ‼」

 

声をかけたのは良いが、私はそこで1つの誤算に気づいた。

 

(えっと、どこの国の言葉だろう?英語じゃないみたいだけど…そうだ、あのアプリを使ってみよう‼)

 

あまり聞いた事のない言語だったので、少し戸惑ってしまった時、あるアプリがあったのを思い出してそれを起動させる。

 

すると画面にマイクが表示されたので、私はそれに話しかける。

 

「貴方の名前は?」

 

そしてそれを女の子に渡し、耳に当てるジェスチャーをすると彼女も解ったのかスマホを耳に当てた瞬間、彼女の表情が変わり、私がさっきやったみたいにしてスマホを渡してきたので、受け取って耳に当てると……

 

『私はアーシア・アルジェントです。』

 

そう電子音声で聞こえてきた。

 

「おお…このアプリ凄いや。」

 

私が使ったアプリは『コトバワカール』。これは幻夢コーポレーションが開発した翻訳アプリで、どんな国の言葉もたちまち自分にあった言語に翻訳してくる優れものだ。

 

ただ、ネーミングセンスが微妙なのと相手や自分の国の設定を入力しなくても翻訳してくれる不思議な所もあるけど…

 

「私は松浦果南っていうの。それでアーシアちゃん、どうしたの?」

 

『道を訪ねたいんです。』

 

「それは何処なの?」

 

『教会です。』

 

そうやって会話を続けていたら、気になる言葉が出てきた。

 

(あれ?この町の教会って、ずいぶん前に潰れた筈じゃ…)

 

そんな所に何の用があるんだろう……

 

「なら、案内してあげるよ。」

 

『ありがとうございます‼』

 

何か理由があるのかもしれないと思った私は、とりあえず彼女をそこまで案内することにした。

 




いかがでしたか?

会話文とか説明文が多いと、中々筆が進みません…

次回、イカレ神父登場‼

では、次回でお会いしましょう。

後、活動報告でアンケートをやるので、良かったら意見をお願いします。


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幕間 とあるCompanyの1日

どうも、疾風の警備員です。

久々にこちらの更新ですが、今回は幕間にしました。

なので主人公組は一切出ません。よくて名前だけです。

ではどうぞ。


明日奈(ポッピーピポパポ)side

 

皆~♪ヤッホー♪……じゃなかった。どうもお久し振りになりますね、ポッピーピポパポこと仮野 明日奈です。え?何で性格を変えてるんだって?普段は明るい性格だけど、今はお仕事モードだからよ。

 

因みに私の働いている場所は【幻夢コーポレーション】って言うゲーム会社で社長秘書をやってるの。それで今日はウチで作ったゲーム【バンバンシミュレーションズ】と【ウィッチクリエイト】の新作発表会なんです。

 

「ようポッピー、仕事は順調か?」

 

発表会の段取りの確認をやっていたら、緑と茶色の民族衣装みたいな服を着て小さなケースを持った男が私に話し掛けてきた。

 

「ちょっと【グラファイト】‼仕事の時は明日那って呼んでよ‼何回も言ってるでしょ‼」

 

「ああスマンスマン、そうだったな。」

 

この男の名は【グラファイト】。彼は私と同じヴァーリが作って失敗しまくったガシャットの1つ【ドラゴナイトハンターZ】から生まれたバグスターで、普段は社長の護衛を担当しているわ。

 

「もうすぐ開始時間だけど今の所大丈夫よ。ここの所、悪魔の襲撃が多いからセキュリティレベルも上げてるし、商品説明をやるのはアイツだから。」

 

実は最近、ウチで作ったライダーシステムを寄越せという悪魔の頼み(ていうか脅しね)を社長が断ったら、社長宛に何度も刺客を差し向けて来てるの。しかも1週間の間にその数既に20を越えているからたまったものじゃない。なので、今日は幻夢コーポレーションの最高戦力を集結させた。

 

「なるほど、戦力は充分だな。それに社長もいるなら勝ちは確定か。」

 

「ええ、ところでその持ってるケースは何なの?」

 

「ん?ああこれか。」

 

グラファイトは持ってたケースを開き、中を私に見せるとそこにはヴァーリが失敗しまくった色が黒い10個のガシャットと白と黒、ピンクと白の2つのガシャットが入っていた。

 

「これってッ!?」

 

「真っ黒なのは社長がアイツの失敗作を回収して完成させたガシャットのプロトタイプ、さしずめ“プロトガシャット”だな。」

 

「あれを完成させるなんて…ある意味似た者同士ね。でも、2つ多くない?」

 

「1つは社長で、1つはお前のだ。」

 

そう言って彼はピンクと白のガシャットを取り出して、私に渡してきた。

 

「これって【ときめきクライシス】のガシャット?」

 

「それと護身用に渡されてたバグヴァイザーツヴァイを使えば、お前もライダーになれるそうだ。」

 

「え?あれ、そんな機能あったの?」

 

まさかアレがベルトだったなんて……

 

「っと、そろそろ社長が到着する時間か。俺は出迎えに行くがお前は?」

 

「私はまだ段取りの確認が残ってるから。」

 

「わかった。」

 

グラファイトを見送ってから再び仕事をこなし、30分程経ち発表会が始まった。

 

会場内には沢山のゲーム雑誌の記者がいて、部屋の冷房を最大で入れないとかなり辛いレベルの暑さになっていた。

 

『会場の皆様、お待たせ致しました。これより幻夢コーポレーションの新作発表会を始めさせて頂きます。』

 

なお、司会進行は私だ。

 

『では、新作の紹介に入らせて頂きます。』

 

私がそう言うと、壇上に白いスーツに赤いシャツを着て胸にバラを差している小太りの男が立った。

 

『皆様ようこそいらっしゃいました‼私が幻夢コーポレーション広報担当の【天ヶ崎 恋】です。因みに、座右の銘は“世界中にI LOVE YOU”‼』

 

その自己紹介に記者の皆様はドン引きだった。

 

アイツは【天ヶ崎 恋】。見た目は人間だけど、実態は私やグラファイトと同じバグスターだ。ただ、私やグラファイトと違う点があって、彼はさっきグラファイトが持っていた10個のプロトガシャットのバグスターではなく、その後ヴァーリが新しくデータを作っていた【ときめきクライシス】から生まれたバグスターなの。つまり、私がさっき貰ったガシャットの大本なんだけど…………あんなのだと思うと、正直ショックだ。

 

『それでは、ゲームの説明に入らせてもらいます。』

 

そこからは特に問題もなく進んでいき、終了となった。

 

『これにて本日の新作発表会を終了とさせて頂きます。皆様、本日は来ていただきありがとうございました。』

 

記者が全員帰っていき私と恋だけが残っていると、グラファイトと銀髪の中年男性が部屋に入ってきた。

 

「どもども~♪二人ともお疲れちゃ~ん♪」

 

「社長、お疲れ様です。」

 

そう、この銀髪の中年男性こそ幻夢コーポレーションの社長だ。

 

「いや~今日の発表会も良かったよ‼さっすが明日那ちゃ~ん♪結婚しない?」

 

「ありがとうございます。それはお断りしますね。」

 

「ありゃりゃ、振られちった~。ま、解ってたからいいけど。」

 

「お前ら、今日は社長の奢りで焼肉だとさ。」

 

「さすが社長、太っ腹ですな~?」

 

「いやいや、チミの立派なお腹には負けちゃうよ~?」

 

「まったく……」

 

恋と社長のやり取りに、私は頭を抱えた。

 

この社長……今の状況分かってるのかな……

 

「お誘いはありがたいですけど、今ウチは悪魔に狙われてるんですよ?そんな呑気に…」

 

「でも奴さん、もう来てるよ?」

 

「「「え?」」」

 

その時、足下に魔法陣が展開され目映い光と共に私達は何処かの荒野に転移させられていた。

 

「いつの間に魔法陣をッ‼」

 

「どうせ記者の誰かを洗脳して、機材に隠してたアイテムで仕掛けてたんだろうね。」

 

「その通りだッ‼‼」

 

その新たな声に周囲を見ると、20人程の悪魔と100体近くの魔獣がいた。

 

「悪いと思うが「なら、やんないでくんない?」黙ってろ‼さあ、貴様らが持つ秘匿技術の全てをこの私【クゴス・コイザー】に寄越すがいい‼さすれば、命は助けてやるぞ?」

 

その言葉に社長はため息を吐いた。

 

「あのね~、これはウチの社員の努力の結晶なのよ?それをアンタみたいな奴に渡すわけないっしょ。」

 

「そうか……ならば殺して奪うのみ‼」

 

クゴスが右手を上げ、振り下ろすと魔獣達が襲い掛かってきた。

 

「これは俺の出番だな。」

 

そこにグラファイトが前に出ると、中央に液晶のディスプレイがあり左に2つの銃口みたいなのと赤いボタン、右にはチェーンソーと薄紫のボタンが付いた紫色のパッドを取り出して、赤いAボタンを押すと不気味なメロディーが流れ始める。

 

「培養。」

 

そしてパッドを右手のグリップに合体させた。

 

『INFECTION』

 

するとグラファイトが炎を撒き散らしながら、深紅の龍人を彷彿とさせる姿へと変わった。

 

『レッツゲーム‼バッドゲーム‼デッドゲーム‼ワッチャネーム!?ザ・バグスター‼』

 

「さて、楽しませて貰おうか。」

 

彼は片方が赤く、もう片方は白い武骨な牙を思わせる薙刀を手に持ち、魔獣の群れに突っ込んでいった。

 

「では、私も行きましょうかね。」

 

そして恋もバグヴァイザーを持ち、赤いボタンを押す。

 

「培養。」

 

『INFECTION』『レッツゲーム‼バッドゲーム‼デッドゲーム‼ワッチャネーム!?ザ・バグスター‼』

 

バラを象った光に包まれると白とピンクのボディに右肩には花束みたいな装飾が付いた怪人態になった。

 

「おいで、僕のラヴリーガール達‼」

 

手を叩きながらそう言うと、彼の背後にメイド服を着た頭がオレンジのバイ菌みたいな頭の存在が4体出てくる。

 

「例え魔獣だろうと、僕の魅力で落としてあげるよ‼」

 

そして彼も魔獣に向かっていき、私と社長の前にクゴスとその他の悪魔が来る。

 

「社長‼下がってください‼」

 

「それよりもバグヴァイザーツヴァイは持ってる?」

 

「え?え、ええ…」

 

社長に言われバグヴァイザーを取り出すと、それを持っているのとは反対の手に、銀色のバックルみたいものを置いた。

 

「これとそれを合体させて腰に当てればベルトになるから、後はガシャットの力で何とかしてちょ‼」

 

「わかりました。」

 

『ガッチャーン』

 

バックルの出っぱりをヴァイザーの裏の窪みに入れるとぴったり填まり、それを腰にあてるとベルトが伸びて巻き付いた。

 

そしてさっきグラファイトから渡されたガシャットを取り出して起動ボタンを押した。

 

『ときめきクライシス‼』

 

すると何故か私の声でゲーム名を発した。

 

ちょっと待って…‼何でガシャットの声が私のになってるの!?こんな収録とかやった覚えないんだけどッ!?

 

「オレチャンの趣味、良いでしょ?」

 

「…………後でハッ倒す…‼」

 

社長の無駄な考えでこんな仕様になった事を、後でボコると決意しながら、ベルトになったバグヴァイザー、【バグルドライバーツヴァイ】のAボタンを叩き、ガシャットを入れ横のボタンを押す。

 

『ガシャット‼バグルアップ‼』

 

そして前に出たゲートを潜ると、ピンクのショートヘアにハートが付いたカチューシャと水色の瞳、黄色にピンクで縁取られたワンピース様な格好のライダーになった。

 

『ドリーミングガール‼(Wooooo!!)恋のシミュレーション‼乙女は何時もときめきクライシス‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダー…………ポッピー‼」

 

おお~‼何かテンション上がってキターッ‼‼

 

「これ以上おイタをするなら…お仕置きしちゃうぞ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

社長side

 

うんうん、バグルドライバーツヴァイも正常に作動してるね~♪

 

「ピプペポ……パァーッ‼‼」

 

ポッピーちゃんは変身した姿で、華麗に動き回って悪魔達を翻弄し……

 

「やれやれ、魔獣でももう少しお利口じゃなきゃ、レディは振り向かないよ?」

 

恋ことラヴリカちゃんもその特徴ゆえ、魔獣の攻撃が全て無効になっており…

 

「そんなレベルじゃオレに勝つのは不可能だぞ?何せオレのレベルは……99(ナインティナイン)だからな‼」

 

グラちゃんにいたっては薙刀を振り回しただけで魔獣が吹き飛び…

 

「超絶奥義・ドドドドド紅蓮爆龍剣‼」

 

放たれる必殺技で、あっさりと消滅していった。

 

「いや~♪皆サイッコォー‼オイチャン、テンションMAXだよ♪」

 

「くっ……ならば、貴様だけでも…‼」

 

クゴスは不利を悟り始めたのか、ワシへと向かって来るけど……

 

「ほい、ザンネ~ン。」

 

「ギャアッ!?」

 

万が一に備えて持ってたバグヴァイザーをガンモードにして、奴の右肩を撃ち抜いた。

 

「ギャハハハハハハハハ‼なに?丸腰だと思った?あんだけ強い護衛がいんだから?んな訳ねぇ~じゃん‼バッカでぇ‼」

 

クゴスの行動を嘲笑いながらポッピーちゃんに渡したのとは色違いのバックルをバグヴァイザーに付ける。

 

『ガッチョーン』

 

それを腰にあてるとベルトが伸びて装着される。

 

そしてグラちゃんが置いていったケースから白と黒の色合いのガシャットを取り出す。

 

「んじゃ、君には面白い物を見せてあげるよ。」

 

『デンジャラスゾンビ‼』

 

ガシャットを起動させると、背後にスタート画面が現れゲームエリアが展開されていく。

 

「変…身。」

 

『ガシャット‼バグルアップ‼』

 

そしてゾンビが踊っているようなゲートを砕きながら変身していく。

 

『デンジャー‼デンジャー‼(GENOCIDE!!)デス・ザ・クライシス‼デンジャラスゾンビ(Wooooo!!)‼』

 

ゲートを砕き終わると、ワシの姿が黒いボディスーツに骨を意識した白い左右非対称の鎧に赤と青のオッドアイに胸にあるゲージは最初から空になっている禍々しい姿になった。

 

「そ、それは…‼」

 

「これ?これは【仮面ライダーゲンム・ゾンビゲーマー】っつーの。そだ、面白い事考えちった♪」

 

ワシはその場で棒立ちになる。

 

「…………何のつもりだ?」

 

「せっかくだし~、1回だけ殺せる機会をあげようと思ったんだよ~♪」

 

「…ふざけやがってッ‼‼そんなに言うなら殺してやる‼‼」

 

クゴスは両手に魔力を凝縮していき、ワシへと投げて直撃すると大爆発が起きて、ワシはその場に倒れた。

 

「ハハハハハハッ‼やったぞ‼これで奴の技術は私の物だぁッ‼‼」

 

あらら~、あんなに喜んじゃって……マジウケる‼‼

 

喜んでいるクゴスを尻目に、ワシは紫と黒が混じったオーラを纏ってユラリ…と立ち上がった。

 

「ば、バカな…‼」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャッ‼今のオレチャンはゾンビなの‼つまり元から死んでるみたいなもんだから、これ以上死なないのよね~‼‼」

 

「そんな…‼」

 

いいね~、その喜びから絶望に突き落とされる時の表情‼何度見ても飽きないなぁ~‼

 

そんな狂った喜びを感じつつ、ベルトの両ボタンを押し待機音を鳴らしつつ、バカな再度Aボタンを押す。

 

『CRITICAL END!!』

 

そして捻りや縦回転を加えながら上昇していき、ある高さから回転しながら落下していき、クゴスに蹴りを決めた。

 

「ギャアアアアアアアアアアッ!?」

 

爆発するクゴスを確認しながら近づく。

 

「さてと、最後に一仕事っと。」

 

辛うじて息があるように加減したので、まだ生きてる間にバグヴァイザーを向けて死のデータを吸収する。するとガシャットが禍々しい光を放った。

 

「おっ、ようやくレベル(エックス)になったか。いや~、襲撃者全員の死のデータを集めた甲斐があった♪」

 

「社長ッ‼」

 

それを喜んでいたら、敵を全滅させた3人が戻ってきた。

 

「皆、お疲れちゃ~「セリャアッ‼」ギャバラッ!?」

 

手を振って出迎えたら、ポッピーちゃんから強烈な跳び膝蹴りが顔面に入った。

 

「いったいな~……何するのさポッピーちゃん?」

 

「さっき言った事を実行したまでです‼」

 

「覚えてたのね…」

 

「ほら、さっさと戻りますよ‼」

 

「はいは~い。」

 

ワシは転移魔法陣を使い、皆で転移される前の幻夢コーポレーションに戻る。

 

「さて、残ったお仕事終わらせますかね~。」

 

「手伝いますよ。」「俺も付き合おう。」

 

そのままポッピーちゃんとグラちゃんを連れて社長室に入ったら…

 

「ありゃ?」

 

「な、何これッ!?」

 

部屋の中が滅茶苦茶に荒らされていた。

 

「一体誰が…‼」

 

「どうやらクゴスは囮だったみたいだね。」

 

元から計画された襲撃……まさか、今までの刺客も油断を誘う為の囮か……?

 

それで何か盗まれてないか見ていたら…

 

「あ、予備のバグヴァイザーツヴァイが無くなってる。」

 

「ええッ!?」

 

机の引き出しを開けたら、故障時に入れていた予備のバグヴァイザーツヴァイが消えていた。

 

「まさか…」

 

それでワシは嫌な予感がして、パソコンを調べると……

 

「やってくれたね、この犯人…」

 

あるデータが無くなっている事が分かり、ワシは怒りに震えた。

 

アイツが作ったゲームのデータを持っていくとは…完全に頭にキタぜ‼‼

 

「どうたんですか、社長?」

 

「この犯人、アイツが…ヴァーリが作ったゲームのデータを持っていった上に、ここにあったのを全部削除していったのよ。」

 

「ええッ!?そのゲームってまさか…‼」

 

「【仮面ライダークロニクル】…」

 

アレはアイツが大事に大事に計画して作っていた最高傑作……それをこんなにするなんて…ッ‼

 

「ポッピーちゃん、今すぐカメラの確認を。何か分かったら最優先で教えて。グラファイトは周囲の警戒の強化。」

 

「分かりました、リゼヴィム社長。」「了解だ。」

 

ワシの指示でポスターちゃんとグラファイトは部屋を飛び出していった。

 

「さて…何処のどいつか知らないけど、ワシらへ売られた喧嘩……買ってやろうじゃない…‼」

 

ワシは静かに社長席に座りながら、この盗人に静かに怒りを燃やした。

 

「なら、早く【アレ】を作りますか‼」

 

ワシはパソコンに隠し持ってた銀色のガシャットを繋ぎ、データの確認を始める。

 

そのパソコンの画面には【MMX】と表示されていた。




いかがでしたか。

デンジャラスゾンビはアンケートでそこまで表が入らなかったので、彼の物になりました。

次回は本編に戻ります…

では、また次回でお会いしましょう。


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始まるPROJECT

どうも、早く千歌と一誠、パラドにマックス大変身と言わせたい疾風の警備員です。

テレビでは次回ムテキゲーマーが見れるッ‼

って思ってたらまさかの今週休み…………永夢よ、ゴルフバグスターをリプログラミングしてくれぇッ‼‼

まあ私の心の叫びはともかく、本編どうぞ。


ヴァーリside

 

「まったく、何処から侵入してきたんだ…」

 

「私、眠いよ~…」

 

俺は真夜中にグレモリーから来たはぐれ神父対応の応援要請で、千歌と共に現場に向かっていた。

 

「今度グレモリーと一緒に、侵入できそうなルートをしらみ潰しに消していくか…?」

 

面倒な事だと思いながらも飛行していたら、一人の神父を発見した。

 

「あれか…いくぞ、千歌。」

 

「え…?あ、了解‼」

 

ようやく目が覚めた千歌と一緒に神父の前に降り立つ。

 

「そこまでだ。」

 

「ありゃッ!?ま~だ居たのかよッ‼あんにゃろう共、アーシアちゃんだけじゃなくて、オレっちも連れていってくれてもいいのに………これって差別だと思いませんッ!?」

 

「知らん。」

 

何故敵である俺に聞く?

 

「まあいっか………ちょっち不完全燃焼だったんで…アンタ等悪魔さんチョンパして…完全燃焼しますかね‼」

 

瞬間、神父は懐から銃を取り出し撃ってきたので、千歌と左右に跳んでかわした。

 

「千歌、行くぞッ‼」『TADDLE FANTASY!!』

 

「うんッ‼」『マイティブラザーズ・ダブルエーックス‼』

 

俺達はガシャットを起動させたら腰にゲーマドライバーを装着した。

 

「術式レベル50、「変身‼」」

 

『ガッチャーン‼デュアルアップ‼タドルファンタジー‼』『ガシャコンソード‼』

 

『ガッチャーン‼レベルアップ‼マイティブラザーズ・エーックス‼ガッチョーン。』

 

「だ~い変身‼」

 

『ガッチャーン‼ダブルアップ‼マイティ・マイティ・ブラザーズ‼(HEY‼) ダブルエーックス‼』『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

変身が完了したらすぐさま武器を掴み、俺と千歌Rが神父へと駆け出す。

 

「いくらコスプレしようがッ‼」

 

左右から挟む様にして剣を振るうが、神父はそれを銃と新たに持った光剣で受け止めるも、力の差が大きいのでどんどんと押し込んでいく。

 

「あら、中々渋といじゃない?」

 

「いやちょ待って!?何アンタ等!?力強すぎっしょ‼なんすかこの力の差は!?」

 

「これが【現実(レベル制MMO)】の理不尽ささ。」

 

「まてコラ、今何か当て字しただろ!?それ、明らかにオレっちのセリフだよね!?」

 

「メタな会話は禁止ぃーッ‼」『ガシャコンブレイカー‼』

 

神父を押さえつけていたら、遅れてきた千歌LがBボタンを3連打したハンマーを神父の腹に思いっきり叩きこんた。

 

「ぐぅうえっぷッ!?た、タンマ…‼マジ吐きそう…」

 

「だが断る。」

 

今の一撃でグロッキーになっている神父に、俺は波動をぶつけて壁に衝突させる。

 

「エバラッ!?」

 

「「焼肉の~タレ♪」」

 

「ボケにボケを返さんでいい…」

 

神父の悲鳴に千歌ーズがリズムよくボケたのを、俺は呆れながらツッコんだ。まあ、あのタレはウチの焼肉には欠かせない物だけど…っておい、ハイタッチしてんじゃない。

 

「いや…マジヤバじゃん…‼こうなったら俺の必殺技を見せてやる‼」

 

「警戒しろ、何かする気だ。」

 

「「うん(ええ)ッ‼」」

 

必殺技という単語に一応の警戒をしつつ、攻撃のタイミングを狙っていたら…

 

「必殺………………………絶対逃走ッ‼‼」

 

「うわッ!?」「「キャアッ!?」」

 

そう言って懐から何かを出すと、それを地面に叩きつけ眩い光が俺と千歌ーズの視界を奪った。

 

「ナハハハハハッ‼あばよ、とっつぁ~んッ‼‼」

 

「そこまで老けてねぇよッ‼‼」

 

「「ツッコむとこ、そこッ!?」」

 

光が収まるとそこに神父はいなかった。

 

「ちッ‼逃げられたか…」

 

「あう…目がチカチカする~…」

 

「千歌だけに?『『ガッチョーン、キメワザ‼』』ほんとスンマセンッ‼」

 

ちょっとお茶目をやったら、二人が無言で必殺技の態勢になったので、俺は威厳も何もかもをかなぐり捨てて土下座した。

 

「眠気と逃げられてイラついている時に下らないこと言わないでちょうだい………潰すわよ?」

 

「はい…」

 

千歌Rの怒りのオーラを浴びながら、俺は頷く事しか出来なかった。

 

あれ………?俺、王だよな?兵士じゃ無いよな?

 

なんだか泣きたくなってきたのを、必死に堪えながら俺達は変身を解いた後、グレモリーに連絡し家へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「たく………何でこんな事に…」

 

俺は今、護衛として黒澤妹と一緒に駅前通りを歩いていた。おい、誰だ今「デートじゃねぇか!」とか言った奴………白状すれば顔面1発、シラを切ればもれなくライダーになってフルボッコにしてやんよ。

 

「先輩?…どうしたんですか、怖い顔して…」

 

「気にすんな。後、顔は生まれつきだ。」

 

そんなこんなでコイツのウインドウショッピングに付き合ってる。

 

「んで、今日は何か買うのか?」

 

「あ、いえ………今日は…新しい物がないか………見に来ただけでして…」

 

「ふ~ん…」

 

まあ、何を買おうと興味はねぇけど…

 

そんな感じに一応周囲を探りながら歩いていたら…

 

(ん?………いいッ‼)

 

視界にカナ姉と金髪の女の子が、正面からやって来るのが見えた。

 

(やべ………早くここから…)「あ、松浦センパ~イッ‼」「まじかよ…」

 

どうにか逃げる方法を考えていたら、黒澤妹に気づかれてしまってその上、二人の所へと駆け出してしまった。

 

これどう考えても、俺も行かなきゃいけねぇじゃねぇか…

 

その事にため息を吐きつつ、曜との約束があったのを思い出して右手で頭を掻きながら俺もその場に向かった。

 

「き、奇遇です…ね‼」

 

「あ、ルビィちゃん‼………………と、イッセー…」

 

「おう…」

 

俺に気づき驚くカナ姉に簡単な挨拶だけして、俺は顔を背けた。

 

「き、今日は…どうされたんですか?」

 

「え、ああ…この子に町の案内をしてたの。」

 

そう言って隣の子を見ると、その子が俺達にお辞儀した。

 

「そいつは?」

 

「アーシアちゃんって言うの、昨日こっちに来たばかりでね。」

 

「なるほど、それで昨日今日と会ったカナ姉が案内してたのか。」

 

「………昨日会ったなんて言ってないのに、よく解ったね?」

 

「別に………今日会ったばかりで、カナ姉がそこまでやったりはしねぇだろうなって思っただけだよ。」

 

その時、その金髪がカナ姉の袖を引っ張ってスマホを指差した。

 

「ん?…あ、ちょっと待っててね。」

 

その意味に気づいたカナ姉は、スマホのアプリを起動させて彼女に渡した。そして何か喋ると俺達に渡してきたのでそれを受け取り、黒澤妹にも聞こえるようにスピーカーモードにした。

 

『始めまして、私はアーシア・アルジェントといいます。』

 

「なんだ自己紹介か…「私は黒澤ルビィです。」お前もやんのかよ…」

 

スマホから聞こえる声に金髪は嬉しそうにしながら、今度は俺を見てきた。

 

ああ、ハイハイ……やってやるよ。だから俺に期待するような目を向けてくんな、ぶん殴りたくなる…‼

 

「兵藤一誠だ…」

 

その目に怒りを覚えながらも、なるべく表に出ないようにしてスマホに向けて喋った。

 

それを彼女は少し怖がりながら聞いていた。

 

どうやら抑えきれなかったか……

 

「あ、あの……どうせなら、この後は…………皆で歩きませんか?」

 

そこに黒澤妹が更に面倒な提案を始めた。

 

お前、自分が狙われてる自覚あんのか?

 

「私は構わないけど……」

 

カナ姉は少し心配そうに俺を見てくる。

 

「俺も別に構わないさ。」

 

俺がそう言うと、カナ姉が驚いた顔をする。

 

「こっちも別に目的が会った訳じゃないからな。」

 

「そっか……じゃあ一緒に行こうか。」

 

つー事で、ここからは4人で町を見ていった。途中食事がてら某有名ハンバーガー店に入って、初めて食べるアルジェントに食べ方を教えたり、町のゲーセンにあった幻夢CPのゲーム【きらめきアイドル】、通称きらドルとかいうアイドル育成型DCDの筐体に黒澤妹とアルジェントがハマったり、俺は自分の体を使って遊ぶリアル格闘ゲーム【KNOCK OUT FIGHTER】で最短記録でラスボスをクリアしたり、カナ姉は【ドレミファビート】で最高記録を叩き出したりしていた。

 

そして一休みするために、近くの公園で全員のアイスを買ってベンチに座って食べていた。因みに席は黒澤妹とアルジェント、俺とカナ姉だ。

 

「ん~‼はぁ~…受験勉強の疲れが吹っ飛んだよ。」

 

「そいつァ良かったな…」

 

「……ねぇ、さっきアーシアちゃんに少し怒ったでしょ?」

 

「……ああ。」

 

躊躇いがちに聞いてきたカナ姉に、俺はそう答える。

 

やはりカナ姉にはバレてたか……

 

「俺はあの目が嫌いだ。兄貴と同じ様に出来るって勝手に人に期待をして失敗すればすぐに蔑んだ視線に変わる……俺はアイツとは違う…勝手に期待してんじゃねぇ…」

 

「うん…」

 

「まぁ……アイツは兄貴の事なんて知らねぇだろうし、これは単なる八つ当たりだったな…後で謝っとくか。」

 

「その時は私も付き合ってあげる。」

 

そこで俺はカナ姉の方を向いて、頭を下げた。

 

「カナ姉も、あの時はごめん…」

 

「え…?」

 

「あの時は自分の喧嘩のやり方が情けなくてイラついてたんだ……それでカナ姉の言葉にカチンと来ちまって…あれも完全に俺の八つ当たりだ。ホントにごめん…」

 

「ううん、こっちも言い過ぎたし……じゃあおあいこって事で。」

 

「ああ、まあ喧嘩とかで受験に迷惑は掛けない様にするからよ。」

 

「イッセーの喧嘩くらいで人を落とす大学なんて、こっちから願い下げだから♪」

 

「ははッ‼言うじゃねぇか‼」

 

久しぶりにカナ姉とこんな風に話せて嬉しかったのか、俺はいつの間にか気が弛んでしまい……

 

「ピギャアッ‼‼」

 

「「ッ‼」」

 

だから、そこにいた敵に気づくのが遅れてしまった。

 

「ウフフ……やっと見つけたわよ、アーシア?」

 

「テメェはあの時の…‼」

 

声の方を向くとあの時、黒澤妹と国木田を襲ったアマが、黒澤妹の腕を後ろに回して捻り上げ、首元に光の棒を突き付けていた。

 

「せ…先輩…‼」

 

「黒澤を離せッ‼」

 

「アーシアをこちらに渡してくれれば、この子は返してあげるわ。」

 

「何で貴方に…‼」

 

「その子は私の計画に必要なの。」

 

「計画だぁッ!?」

 

コイツ……何を企んでやがる…‼

 

そしたら、アルジェントがアイツの下へと歩き始めた。

 

「アーシアちゃんッ!?」

 

カナ姉が驚いて叫ぶが、彼女はこっちを向くと儚げな笑みを浮かべ、また歩き出す。

 

アイツ……自分で自分を差し出すつもりかッ!?

 

そしてあのアマの前に着くと、黒澤妹と同じ様に腕を捻り上げた。

 

「まったく…面倒を掛けないで頂戴。」

 

「おいッ‼黒澤を離せ‼」

 

俺はそう叫ぶも、アマは不適に笑い……

 

「返す訳無いでしょ?この子の神器もついでに頂いていくわ。」

 

「テンメェ…‼‼」

 

それを聞いて殴り掛かろうとしたが、俺達の周りに魔法陣みたいなのが大量に浮かび上がった。その数はパッと見50近くあり、そこから何やら武装した神父みたいな格好の奴等が出てくる。

 

「貴方達はそいつ等の相手でもしてなさい。その間に私は全てを終わらせて、至高の存在になるのよ‼」

 

「先輩ッ‼」

 

「待ってろッ‼必ず助けてやっから‼‼」

 

そしてアマは黒澤妹とアルジェントと一緒に消えた。恐らく別の場所に転移したんだろうな。

 

「あんにゃろう…‼絶対ブッ飛ばす…‼」

 

「それよりどうするのよッ!?」

 

確かにカナ姉のいう通り、今はコイツらを殲滅するのが先だが……

 

(俺一人で何処までやれる?カナ姉を守りながらじゃ…考えろ、考えるんだ‼)

 

いくら俺が変身しても数が数だ。一斉に襲って来られたら流石に守りきれない。それでもなんとかしようと思考をフル回転させていたら……

 

「オイオイ…お荷物抱えてる奴相手に大人数での蹂躙プレイとか…………シラケる真似すんなよ。」

 

つい最近聞き慣れた男の声が聞こえた。

 

「誰だッ‼」

 

神父の一人が叫ぶ。俺は囲まれて見えないが、今の声は間違いない……

 

「パラドかッ‼」

 

「ヤッホー、一誠♪」

 

その声には緊張感は一切無く、まるで偶然会った友達に話しかけるかの様な余裕すら感じた。

 

「何でここに…‼」

 

「そんなのはどうだっていいだろ?」

 

「おい貴様ッ‼一体何者だ‼」

 

神父の言葉にパラドがいる辺りの空気が変わる。

 

「たく、外野がワーワー煩いな……俺の心を滾らせるなよ?」

 

『KNOCK OUT FIGHTER!!』《The strongest fist‼ "Round 1" Rock & Fire‼》

 

「変身。」

 

『Dual Up!!』『Explosion Hit!! KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

「オリャッ‼」

 

聞こえてきた変身音の後に、パラドの掛け声と何かの激突音が聞こえたので俺はカナ姉を抱き寄せて下がると、神父が5、6人纏まって通り過ぎ、更に後ろの4人をプラスして飛んでいった。

 

「なッ!?」

 

「次は誰が遊んでくれるんだ?」

 

開いた囲いの間から見えたのは、パラドクスに変身したパラドの姿だった。

 

(これならここを突破出来るかもしれねぇ…‼)

 

俺はそこで考え浮かんだ方法をやるために、腰にゲーマドライバーを装着し、ギアデュアルΣを取り出して左にダイヤルを回した。

 

『SURVIVAL DRAGON!!』《Victory on your hand.Battle of Dragons!!》

 

「おいパラドッ‼どっちがコイツらを多く倒せるか、勝負しねぇかッ!?」

 

「へぇ~…面白い提案だな。心が踊る…‼」

 

「よっしゃ、決まりだ‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『勝ち取れ‼ 勝利を、その手に掴め‼サバイバル・ドラゴン‼』『ガシャコンガントレット‼』

 

そして俺も神父達がパラドに気を取られてる内に、ドラゴネスへと変身した。

 

「イッセー…‼その姿って…」

 

「悪い、終わったらキチンと説明する。だから今は避難してルシファー達にこの事を伝えてくれ。」

 

「……わかった。だけど必ず無事に帰ってきて‼」

 

「あいよッ‼‼」

 

俺はカナ姉が逃げる為の道を作るため、出口に近い奴を全力で殴り飛ばした。

 

「今だッ‼行けッ‼‼」

 

「うんッ‼」

 

そして出来た道をカナ姉は走り抜ける。

 

「逃がすな‼アイツも殺せッ‼」

 

その指示に二人の神父が追い掛けようとしたので、俺が止めに行こうとしたら……

 

「なにやってんだよ、お前らの相手は俺達だ。」

 

「「グギャアッ!?」」

 

その前に動いていたパラドによって、殴り飛ばされた。

 

「ホライッセー、何時までもボーッとしてたら俺が全部貰うぞ?」

 

「はッ‼言ってろ‼勝つのは俺だけどな‼」

 

「そうこなくっちゃな♪」

 

俺達は背中合わせになるように立ち、拳を構える。

 

「さあ…」

 

「思いきり…」

 

「「暴れようぜッ‼‼」」

 

そして神父達へと突っ込んだ。

 

待ってろ黒澤……俺が必ず助けてやるッ‼




どうでしたか?

この章も後、2・3話で終わりにしたいと思います。

次回はルシファー眷属、廃教会突入‼

では、次回でお会いしましょう。


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Churchへと突撃‼

どうも、疾風の警備員です。

そろそろ一章も終わりに近づいてきました。

今回はルシファーチームが暴れます。

それではどうぞ。


ヴァーリside

 

「皆、用意は良いな?」

 

俺がそう言うと、眷属の全員が頷く。

 

つい先程、鞠莉の携帯に松浦先輩から連絡が入りルビィと他1名が拐われたらしい。しかもイッセーは他の誰かと一緒にはぐれ悪魔祓いに襲われて、無双してるそうだ。

 

本拠地は松浦先輩がいうには、廃教会らしい。囚われたもう一人の子がそこに派遣されるなんて話を聞いておかしいと思っていたそうだ。

 

「メンバーとしては善子「ヨハネッ‼」は万が一に備えて国木田の家で護衛に入ってくれ。」

 

「了解ッ‼」

 

善子の魔法は強力だが大規模な物が多いため、狭い室内だと力が十全に発揮出来ないから、今回は国木田の護衛に回ってもらう。

 

「他は俺と一緒に廃教会に向かって敵を撃破、人質を救出する。」

 

「「「了解ッ‼」」」

 

そして密かにグレモリーに援護要請をし、善子を除いたメンバーで廃教会前まで一気に転移する。

 

「今回は作戦は奇襲だ。敵が計画とやらの準備中を襲撃してアイツが来るまでの時間を稼ぐ。」

 

皆が頷いたら梨子はゲーマドライバーとガシャットギアデュアルβを取り出して腰に装着、ガシャットを起動させる。

 

『BANG BANG SIMULATIONS!!』

 

「第伍拾戦術、変身。」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

そしてスナイプレベル50になると、再びレバーを閉じて必殺技の態勢に入る。

 

「ミッションスタート。」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

両手の艦首部分を合わせ、両腕と両肩の砲身を廃教会の入り口へと向け、エネルギーを充填していき溜まったらレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

「発射ッ‼」

 

その掛け声と共にエネルギー弾が撃ち出され、廃教会の入口を粉々に吹き飛ばした。

 

「今だッ‼突入‼」

 

俺が走り出すと千歌と鞠莉が続き、反動から立て直した梨子と廃教会に入る。

 

「何事だッ!?」

 

「おい、しっかりしろ‼」

 

「何処のどいつだッ‼」

 

中は予想通り混乱しており、怪我人もいるのか倒れている奴等もいる。

 

「術式レベル50。」『TADDLE FANTASY!!』

 

「GEAR FIFTY。」『HIGH SPEED HIGH WAY!!』

 

『マイティブラザーズ・ダブルエーックス‼』

 

「「「変身‼」」」

 

『デュアルアップ‼タドルファンタジー‼』

 

『デュアルアップ‼ハイスピード・ハイウェーイ‼』

 

『レベルアップ‼マイティブラザーズ・エーックス‼』

 

そして俺達も変身する。

 

「な、なんだお前達はッ!?」

 

「これより、はぐれ悪魔祓いと堕天使切除手術を開始する。」

 

「ノリに乗ってくわよッ‼」

 

「ノーコンティニューでッ‼」『クリアしてあげる。』

 

この気を逃さず、俺達は悪魔祓い達に襲いかかった。

 

 

 

 

鞠莉side

 

「どうしたの、動きがVery Slowよ?」

 

「この…‼ウガッ!?」

 

私は後ろから襲いかかってきた神父を振り返り様の回し蹴りで叩き落とす。そして正面から来た奴には右腕に装着されたガトリングガン(非殺傷性のゴム弾)を喰らわせる。

 

次に左から来たのを左腕のブレードで受け止め、右腕のガトリングガンをブレードに換えて、峰打ちで吹き飛ばす。

 

「右はガトリングガンだった筈‼何故ブレードにッ!?」

 

「私のGAME【ハイスピード・ハイウェイ】は、自分でカスタマイズした車でトップを目指すレースゲーム……もちろん、ARMSもカスタマイズOKなの♪」

 

ホ~ッント便利よね、この能力♪

 

向こうが驚いている間に両腕をガトリングガンに切り換え、弾丸をばら蒔いていく。

 

「「「ウワアァァァァァァァァッ!?」」」

 

「このぉッ‼」

 

沢山の神父がやられる中、一人の神父がなんとか弾幕を回避して近くまでやって来る。

 

「喰らえェッ‼」

 

「Sorry……お断りするわ‼」

 

弾幕を止め、近づいて来た神父の手を蹴り光剣を落とさせる。そしてがら空きになった脇腹に回し蹴りを喰らわせる。そこから頭に踵落としを決めて倒した。

 

「もう、Ladyに気安く触るのは……セクハラよ?」

 

『ガシャコンスパロー‼』『ス・パーン‼』

 

私はガシャコンスパローを取り出して鎌モードにし、腰を低くして何時でも駆け出せる体勢になる。

 

「GEAR CHARGE!! SPEED MODE!!」

 

そしてそう叫ぶと、体が軽くなる感覚が全身を駆け巡った。

 

これもゲームの能力で、戦闘スタイルを機動重視、防御重視、攻撃重視の3つに切り換える事が出来る。私は自分の駒に合った高機動をよく使っている。

 

「レディー……GO‼」

 

掛け声と同時に駆け出し、一瞬で前にいた6人を悲鳴を上げさせる事無く倒す。

 

「さぁ…‼RACEはここからが本番よ‼」

 

 

 

 

 

梨子side

 

「フッ‼ヤアッ‼」

 

「グアッ!?」

 

「テメェッ‼」

 

「ハアッ‼」

 

「ブハッ!?」

 

私は近づいてくる相手に至近距離で砲撃を浴びせる事に専念しながら戦っていた。

 

シミュレーションゲーマーは10の砲台からの遠距離攻撃を得意としているけど、こういう室内戦闘の場合では下手に撃ってしまうと建物を崩してしまう可能性がある。だから、1発も外さずに敵に当てる為この戦い方を選んだ。

 

そして左右から同時に来たのを、両腕の主砲ユニットで受け止めて両肩の砲台で撃ち抜く。

 

「「ギャアッ!?」」

 

「なんだアイツッ!?まったく近づけねぇッ‼」

 

「だったら遠距離からやるぞ‼」

 

一人がそう言うと他の神父も銃を取り出して、私へと撃ってくるがレベル50の中で最も防御力の高い私には、まったくと言っていい程効いてはいない。

 

この隙に左目にレーダーサイトを表示して、神父達をロックオンして砲台の向きを調整する。

 

「ファイヤッ‼」

 

そして一斉に放ち、攻撃していた神父達に直撃させた。

 

「悪いけど……加減なんてしてあげられないから。」

 

再びレーダーを起動させ、ロックオンした相手に私は砲撃を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「おい……何だ、あのゆるキャラは?」

 

「格好いいとは思うが……何か微妙だな。」

 

「つか、この町にゆるキャラなんていたか?」

 

「いや、この町のゆるキャラは確か……チェスの王の駒を模した【キンこま君】だぞ?」

 

「…………ゆるキャラちゃうわあァァァァァッ‼‼」

 

「「「「ギャバンッ!?」」」」

 

はぐれ悪魔祓い達の勘違いにキレた私は、神父達に連続飛び蹴りを浴びせた。

 

まったく…‼私は結構気に入ってるのに、微妙とか酷くない!?

 

『ホントよ、何で悲鳴がアレなの?武器を鑑みてもここは普通ガン○ムかジ○ダイでしょ?』

 

「それこそ知らないよッ!?………………はッ!?」

 

もう一人の私のボケにツッコンでいたら、頭にティキィン…‼と何かが走ったので、その場を転がりながら移動したらそのすぐ後に何かが落ちてきた。

 

「ああ~んッ!?キンこま君なんざ、ゆるキャラと認める訳ねぇ~だろ。俺が認めるゆるキャラは只一体………………ふな○しーだけダゼッ‼ヒャッハー‼‼」

 

「どうでもいいよッ!?ていうか、貴方はあの時の神父‼」

 

そこに立っていたのは、前にヴァーリ君と一緒に戦って逃げられた、少しイカれた神父だった。

 

「おや~ん?よーく見てみりゃあの時の2色ヤローにホンの少し似てますな…?ま、チョンパしてみりゃわかっかッ‼」

 

そう言って高く飛び上がって光剣を振り下ろしてくるので、私は素早くバックルのレバーを閉じた。

 

『ガッチョーン』「だ~い変身‼」『ガッチャーン‼ダブルアップ‼マイティ・マイティ・ブラザーズ(HEY‼) ダブルエーックス‼』

 

そこからすぐにレバーを開き、レベル20になって上段からの攻撃を左右に分裂して、剣はその間を通り過ぎた。

 

「うっそぉッ!?」

 

「「ソリャッ‼」」

 

「カビェッ!?」

 

この避け方に驚いて動きが止まった隙を、二人で顔面を殴り飛ばした。

 

「「ここからは、超協力プレーでクリアしてあげる‼」」

 

『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

そこでオレンジの私(以降、千歌sideではチカと呼称)が武器を掴み取って駆け出し、私も後に続いていく。

 

「嘗めんなよッ‼俺っちもレベル上がったんだぜ‼」

 

するとイカれた神父はもう1つの光剣を取り出して、二刀流になった。

 

……完全に中の人ネタだよね……

 

「ヤアッ‼」

 

「おっと‼」

 

「くッ!?」

 

チカがキースラッシャーを振るうけど、右手の剣に止められ左手の剣でキースラッシャーを弾き跳ばされてしまった。

 

「よっしゃチャー『ズキュ・キュ・キューン‼』「テヤァッ‼」シューッ!?」

 

その弾き跳ばされたキースラッシャーを私はジャンプして掴み、銃モードにしてイカレ神父を撃った。

 

「ナイスアシスト。」

 

「エッヘン‼」

 

「あっぶね~……剣が2本無かったら即死だったぜ…」

 

しかし、神父は少し後退しただけで無傷だった。

 

「あら、よく無事だったわね?」

 

「お陰で1本お釈迦っすけど…」

 

そう言って見せた左手の剣は火花を散らし、刀身を消して沈黙した。

 

「咄嗟にそれを盾に使ったのね…頭が回ること。」

 

「やっぱ二刀流は合わねぇな。オレッチはこれがぴったりダゼッ‼」

 

神父は懐に左手を入れ、銃を取り出して見せびらかしてくる。

 

「この俺様独自のスタイルで、お前らをブッコロしてやんよぉ‼」

 

「それ、GG○でやってたわよ?」

 

「待って!?そこを伏せ字にしちゃダメだよ‼何にも隠せてないからッ!?」

 

「なん……だと……‼」

 

チカの発言に神父は驚きの表情と共に崩れ落ちた。

 

「オレッチが苦節数ヶ月かけて編み出したスタイルが……既にやってたなんて…‼」

 

そこまでショックな事かな……

 

「今のうちね。」『ズパ・パ・パーン‼』

 

チカはキースラッシャーを承けとり、アックスモードにして振りかぶった。

 

「しかぁ~しッ‼オレッチは負けられないんだ‼」

 

「ッ!?くあッ‼」

 

しかし、顔を上げると同時に左手の銃を撃ち、直撃したチカは火花を散らしながら下がったので、私は抱き止めた。

 

「ちょッ!?大丈夫!?」

 

「ええ、大丈夫よ。」

 

「俺は負けられねぇし死ねねぇんだよ‼ ()()()に会うまではッ‼」

 

「ある奴?それって…」

 

それが誰か聞こうとしたら、神父の足下から大量の剣が生えて、神父はなんとかジャンプしてかわすも今度は長椅子が飛んできたのでそれを光剣で切り捨てた。

 

「誰だッ‼椅子は座るもんで、投げるもんじゃねぇぞ‼」

 

「それくらい知ってます。」

 

そこに聞こえた声の方を見ると、小猫ちゃんと木場君がいた。

 

「二人とも、どうして…」

 

「部長から、ルシファー様達の援護に行きなさいと言われてね?」

 

「増援にきました。」

 

「そっか……ありがとう。」

 

援軍に来てくれた二人を頼もしく思いつつ、私は少し落ち込んだ。

 

ああ……まだ私一人じゃヴァーリ君みたいに、誰かを助ける事も出来ないんだ……

 

「落ち込んでてもしょうがないわ。今は目の前のアイツを倒しましょう。」

 

「……そうだね‼」

 

チカの言葉に私は、無理矢理テンションを上げた。

 

「それじゃ、四人協力プレーでクリアしてあげる‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「確か原作だと地下だったな…」

 

既に朧気になっている原作知識を何とか思い出して、俺は階段を発見し地下へと向かった。すると正面に大きめの扉が現れた。

 

「この奥……間違いない、ルビィの気配がある。」

 

もう一人の気配は原作キャラの……………………ダメだ、思い出せないな。まあ、俺は俺の守りたいものを守るだけだ。

 

そう決めたら、俺は目の前のドアを蹴破った。

 

「ッ‼何事!?」

 

中に入ると女の堕天使が1体に神父が多数、十字架に張り付けにされているルビィと金髪の……あ、思い出した‼アーシア・アルジェントだ‼…がいた。

 

「何だ貴様はッ!?」

 

「貴様が拐った少女を奪い返しに来た。」

 

俺がそう言うと神父達が武器を構え始める。

 

「あらそう…でも、儀式は後3分で終わるわよ?」

 

「充分だ。」

 

『ガシャコンソード‼』

 

俺が武器を出すと、神父の一人が向かってきた。

 

「死ねぇッ‼」

 

「煩い。」

 

『コ・チーン‼』

 

刀身を氷剣に変えた俺は神父の光剣を上に弾き、がら空きの胴を横一閃に切り裂き氷結させた。

 

「次に凍らされたいのは誰だ?」

 

これを見た神父達は少し後ずさるが、そこから二人飛び出して同時に剣を振るってきたので、俺はマントを翻して視界を奪いその間に背後に瞬間転移して二人を斬って凍らせた。

 

「二人なんて生温い……全員でかかってこい。」

 

そう言いながら右手人差し指をクイクイッと曲げて挑発したら、神父全員が額に青筋を浮かべながら突っ込んできた。

 

やれやれ……これだと猪の方がまだ利口だな。

 

最初に突っ込んできた奴に波動を放って吹き飛ばし、それに驚いて他が足を止めた瞬間に二人目を凍らせ、すぐに持ち直した二人が飛び掛かってくるが、透明のバリアを展開して防ぎ、二人を念動力で捕まえたら互いにぶつけ合わせて気絶させる。それを見た一人が背を向けて逃げようとするがその前に正面に転移して切り捨て凍らせた。更に周囲に残っていたのは、面倒だったので剣のBボタンを5連続で叩き、地面に突き刺す事で周囲を凍てつかせながら氷の像に変え、最初に吹き飛ばした神父はマントを腕に巻き付け、槍みたく伸ばしながら鳩尾に当てて気絶させた。

 

所要時間は約1分……まあまあだな。

 

「くッ!?でも儀式の術式は複雑で簡単に解除は出来ないわよッ‼」

 

「問題ない。」

 

俺が手から波動を放つと、十字架の下にあった魔法陣が粉々に砕け散った。

 

「そ……そんな…‼こうもあっさり術式をッ‼」

 

「俺に魔法や魔術は通じんぞ?」

 

ファンタジーゲーマーが持つ【エナジーアイテム無効化】の能力を何とか改造して、更に【魔法・魔術無効化】とじいさんのデータから【神器無効化】を取り入れる事に俺は成功した。

 

ただし、神器無効化は波動を当てなくてはいけないので、じいさんみたく体が触れたら即解除は再現出来なかったが……

 

「くそッ!?私の計画をよくも…‼お前は私が殺してやるッ‼」

 

「まあ待て。」

 

怒りを露にしている堕天使に対して、俺は右手を上げて制止させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

私は捕まってからずっと、震えが止まらなかった。拐われてしまった上、私の神器を抜いて殺すと言われたからだ。

 

(恐い……恐いよ…‼)

 

そして儀式が始まると、何かが私の中を這いずり回る不快感が襲い、それは段々と強くなって私の力を奪っていった。

 

(わたし…………ここで…死んじゃうのかな……?だったら、もう一度…先輩に…………会いたいよ…)

 

薄れ初めてきた意識の中でそう思っていたら、部屋の扉が吹き飛び、前に見たルシファー先輩が変身した【仮面ライダーブレイブ】が入ってきて、神父さん達をあっという間に倒してしまい儀式もあっさりと解除してしまった。そのお陰で体の中の不快感も無くなった。

 

「くそッ!?私の計画をよくも…‼お前は私が殺してやるッ‼」

 

「まあ待て。」

 

ルシファー先輩は右手を上げて、堕天使さんを止めさせた。

 

「お前を倒すのは俺じゃない。」

 

「はあ?」

 

「それに俺は主役(ヒーロー)よりも、補助役(サポーター)の方が好きなんだ。」

 

突然そんな事を言い始めたルシファー先輩に、私は意味が分からなかった。

 

「俺は目立つのがあまり好きじゃないんだ。だけど何もしないのも嫌っていう我が儘があってね?だったら俺の変わりに表立ってくれる奴を、精一杯支えてやろうと思ったのさ。」

 

「だから何なのよッ!?」

 

「つまり、お前を倒す主役がこれから来るって事だよ。」

 

それを聞いて、私はある期待が胸に膨らんだ。

 

(もしかして、兵藤先輩が助けに来てくれる?)

 

そう思っていたら、扉があった場所の隣の壁が吹き飛んで誰かが入ってきた。

 

「兵藤せんぱ…………………………あれ?」

 

「ア~ッハッハッハッハッハ‼最強の主人公、兵藤錬二‼ただ今参上‼‼待ってな二人とも、この俺が華麗に…「お前は空気を読めやアァァァァァァァァァァァァッ‼‼」マソップッ!?」

 

入ってきたのは兵藤先輩は兵藤先輩でも、私が嫌いな方の兵藤先輩だったのでショックを受けてたら、ルシファー先輩がドロップキックをお見舞いして壁にめり込ませた。

 

「たく…人が暖めてた場面を台無しにするなよな…安心しろルビィ、アイツじゃないから。」

 

「え?あ、はい…」

 

「なら、誰が来ると言うの…‼」

 

今のにイラつきが増している堕天使さんがそう聞くと、ルシファー先輩は上を指差した。

 

「もう来るよ。」

 

その瞬間、天井を突き破って、何かが部屋に落ちてきた。それはゆっくりと立ち上がると、視線を私へと向けた。腰にはルシファー先輩と同じベルトを巻いていて胸はゲームのコントローラー風でライフゲージと武器のアイコンが描かれていて、ボディスーツには巨大な爪に引っ掛かれたような模様が入っていて、頭は逆立った赤い髪みたいで翠の瞳の存在がいた。

 

初めて見たけど、私はそれが誰かすぐに分かった。

 

「よう……待たせたな、黒澤?」

 

「兵藤先輩ィ…‼」

 

あの人は今、私が最も会いたかった人……兵藤一誠先輩なんだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラドside

 

「ア~ア~、勝負は俺の負けか…」

 

俺は公園のベンチに寝転びながら、さっきの戦いを思い出していた。

 

一誠とのはぐれ神父撃破対決は、26対24の僅差で一誠の勝利だった。

 

「しかし、あのゲームにあんな機能があったなんて……心が踊るなぁ…‼」

 

しかもアイツなら必ずアレになれる。俺はそう確信できた。

 

「先ずは一つだな。何時か……俺とガチで戦おうぜ、一誠。」

 

懐から出した奇抜な色のバックルを見ながら、俺はそう呟いた。




いかがでしたか?

たぶん次回で一章を終わりにします。

次回は一誠対レイナーレのリベンジマッチです。

では、次回でお会いしましょう。


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激怒のREVENGE

どうも、疾風の警備員です。

今回で一章最後になります。一誠リベンジ始まりです。

ではどうぞ。


一誠side

 

俺はパラドとの勝負を終えてドラゴネスのまま、住宅街の屋根を飛び移りながらルシファーが送ってくれた場所へと向かい、教会の真上に着いた俺は……

 

「オオオォォォォォオオオラアアアアアアアアァァァッ‼‼」

 

気合いと共に屋根をぶち抜き着地しようとしたが、更に床を突き破って地下まで落ちてしまった。

 

でもラッキーだったぜ。ここに黒澤以外にあのアマまでいるとはな…‼

 

「よう……待たせたな、黒澤?」

 

「兵藤先輩ィ…‼」

 

黒澤に視線を向けると、涙を流しながら嬉しそうな表情で俺を見ていた。

 

俺が来るのをここまで喜んでくれるのなんて、カナ姉と曜だけだと思ってたのにな……

 

その事を少し嬉しく思いつつ、今度はアマへと視線を向けた。

 

「よお……俺の妹分が、随分と世話になったじゃねぇか………………覚悟……できてんだろうな…‼」

 

今出せる最大級の殺意を飛ばしながら睨むと、アマは顔を引き吊らせながら一歩下がった。

 

「ッ!?この私が……人間相手に引いただと…‼こんなの、許せる訳がないでしょおおおぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

自分の行動にプライドが傷ついたのか、光の棒を手に俺へと突っ込んでくる。

 

「……それは俺のセリフだ。」

 

だけど俺はその突き出してきた棒を掴んで、力任せに握り砕いた。

 

「なッ!?」

 

「黒澤を危険な目に合わせたテメェだけは、絶対に俺がブッ飛ばさなきゃ気がすまねぇ…」

 

「そ、そんな…‼」

 

「何故なら…」

 

俺は棒を砕かれたショックで動揺しているアマを前に、拳を強く握りしめ……

 

「テメェは完全に……………俺の怒りに火を点けたからだァッ‼‼」

 

「ブゴォッ!?」

 

それをアマの顔面にめり込ませた。

 

その威力にかなりの速さで吹き飛んでいくが、俺が全力で駆け出すとアマをあっさりと追い抜いたので、背中に肘打ちを叩き込む。

 

「ゴアッ!?」

 

体が逆くの字になり、背骨が砕け散る音が響くが俺はそれで終わらせず、すぐさま前に回り込んで顎にアッパーを決める。

 

「うぶぅッ!?」

 

それで上に飛んでいくが、俺はジャンプでそれを追い越して顔面に踵落としを喰らわせて今度は地面にまっすぐ落ちて激突し、砂埃を巻き上げる。

 

俺は天井に手を着くと体を一気に押し出して、アマが落ちた場所へと突っ込み、その腹を思いきり踏みつけた。それにより、地面にクレーターが出来る。内蔵が潰れたのかアマが血を吐いた。

 

「ゴバァッ!?」

 

「おい…………これで終わりだと思うな……よッ‼‼」

 

足を退けて頭を鷲掴み、強引に起こすとそのまま頭突きをお見舞いする。

 

「ブギュッ!?」

 

「アイツが受けた怖さは…………こんなもんじゃねぇぞ‼‼」

 

そして片手でアマを振り回し、頭から地面に思いきり叩きつけ徐々に掴む力を強めていく。

 

「あ……アガ…‼ガアアアア……‼‼」

 

「どうだ?圧倒的な暴力になす術も無く、命を磨り減らしていく気分は?」

 

ああそうだ、これは喧嘩でもなんでもねぇ……単なる暴力だ。だが、圧倒的な力をただ純粋に振り回す事こそが一番恐怖を植え付けられる。

 

「わ……わたじは……まげない…‼」

 

「い~や、テメェの運命は既に行き着いてる。」

 

光の棒を出そうとしていた右手を踏みつけ、骨を粉々に砕く。

 

「アアアァァァァァァァッ‼‼」

 

「うっせぇよ…」

 

その悲鳴が耳障りだったから、俺はアマを適当に投げた。

 

「ガフッ!?……ひ、ひぃぃぃぃぃッ!?」

 

アマは起き上がって俺を見ると、恐怖に震えながら腕の力で下がろうとしていたので、俺もゆっくりと歩いて追いかける。

 

「おい……何を必死に逃げようとしてんだ?連れねぇじゃねぇか、もっとゆっくり楽しもうぜ?」

 

「いや…‼来ないで……来ないでぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

「だからうっせぇんだよ…‼」

 

俺は一気に近づいて回し蹴りで顔を蹴り飛ばして、壁にぶつかるもなお下がろうとしている姿は、滑稽に見えた。

 

「な……なんで…‼前ばごんばびづよぐながッだのに…‼」

 

「それはテメェのお陰さ。」

 

再び近づいてアマの髪を掴み、視線を強引に俺へと向けた。

 

「俺のもう1つのゲーム【サバイバル・ドラゴン】は乱戦型対戦ゲーム…………その能力は身体強化に加えてもう一つある。それは【一人倒す毎に俺の力が倍加され、次の相手の力を半減させていく】事だ。俺はお前が置いていった神父を26人倒した。つまり今の俺の力は26回分倍加され、お前は26回分半減されてるんだよ。」

 

しかもこの能力はセイヴァーゲーマーと違い、変身を解除するまで効果が持続する。

 

つまり今のコイツはRPG風に例えると、最初の町に住んでるミジンコがラスボスより強い裏ボスに挑んでる様なもんだ。

 

「ぞんな…」

 

「そろそろ終いにするか…」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

「オラァッ‼」

 

「ぶッ!?」

 

バックルのレバーを閉じ、右足でアマを壁に押し付けながら、右足にエネルギーを集束させていく。

 

「ま、まッで…‼ごろざないでッ‼お願いじまず…‼何でもじまずがらぁ…‼‼」

 

「…………黒澤を殺そうとしていたテメェを、俺が許す訳ねぇだろ…‼」

 

『ガッチャーン‼ SURVIVAL!! CRITICAL CRASH!!』

 

そしてレバーを開き溜まったエネルギーを解放して、アマの体に叩き込んだ。

 

「ア…ア…‼アアアアァァァァァァァァッ‼‼」

 

最後に断末魔を残しながら、アマは爆発した。

 

「地獄で一生反省してやがれ。」

 

爆発の中から落ちてきた黒い羽を踏みにじりながら、俺は静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

一誠が戦っている間、俺はルビィ達の視界をマントで塞ぎ、魔法で音を遮っておいた。

 

さすがに……この戦いは見せられないからな。

 

完全にキレた一誠の攻撃はまさに暴力的だった。その上、サバイバルゲーマーの能力で強化されてる以上、あの程度の堕天使に遅れを取ることはまずあり得ない。

 

そして必殺技が決まり、爆発が終わった所で魔法を解きマントを下ろした。

 

「あの……兵藤先輩は…?」

 

「大丈夫、勝ったよ。アイツも攻撃を受けてないから、怪我の心配もないさ。」

 

「良かった…」

 

それを聞いたルビィはホッとしたのか、大きく息を吐いた。

 

「無事か、黒澤?」

 

「先輩…‼はいッ‼」

 

「そうか、良かった…」

 

無事を確認した一誠はルビィを十字架から助け出して、俺はもう一人のアーシア・アルジェントを助け出した。

 

「君も無事か?」

 

「はい、大丈夫ですぅ…」

 

彼女も疲弊していたが、これといった傷はなかった。

 

「これから色々と話さなければならない事があるから、君も来て貰っていいかな?」

 

「え?あ、はい…?」

 

「おーい、ヴァーリく~んッ‼‼」

 

そこにタイミング良く千歌達もやって来た。

 

「丁度全員揃ったな。なら、黒澤の家に転移するぞ。」

 

俺が展開した転移魔法陣に全員が乗ったら起動させ、黒澤邸に着きグレモリー眷属とはこの場で別れた。

 

そして玄関のブザーを鳴らしたら、中からドタドタと誰かが走ってきて扉を開けるとダイヤ先輩が出てきて、その後を松浦先輩に渡辺、花丸ちゃんと善子が出てくる。

 

「ルビィぃ~~~~~ッ‼‼‼」

 

「お、お姉……わぷッ!?」

 

「もう、ほんと~~に心配したんですのよッ‼無事で……無事で良がっだでずわぁ~~~~ッ‼‼」

 

「ん~~~~ッ‼ん~~~~~~~ッ‼‼‼」

 

ダイヤ先輩はルビィを見た瞬間、思いきり抱きしめて泣き始めたけど、抱かれているルビィは苦しそうにダイヤ先輩の腕を必死にタップしていた。

 

「ダイヤ、ルビィちゃん苦しがってるよ?」

 

「はッ!?ルビィ!?」

 

「ぷはッ‼く、苦しかった~…」

 

「ルビィちゃんッ‼無事で良かったズラぁ~ッ‼」

 

「わわわッ!?」

 

すると今度は花丸ちゃんが抱き着いた。こちらは微笑ましい構図だけど。

 

「「お帰りなさい、イッセー(君)。」」

 

「おう、無事に戻ったぜ。」

 

一誠の方も松浦先輩と渡辺に、無事を告げていた。そして先輩はスマホに何か話しかけると、それをアルジェントに渡した。

 

『アーシアちゃんも無事で良かったよ。お帰りなさい。』

 

俺は悪魔の聴力でそれが聞き取れた。

 

「あ…………ハイ‼」

 

アルジェントはそれに笑顔を浮かべて返した。

 

「善子、こっちは大丈夫だったか?」

 

「ええ、他の堕天使はグレモリー先輩の所に行ってたみたいだし反応も消えたから、もう消滅してんじゃない?」

 

そうか、アイツの所に行ってたのか……なら大丈夫だな。

 

「黒澤先輩……すんませんでしたッ‼」

 

すると一誠がいきなりダイヤ先輩に頭を下げた。

 

「俺がしっかり見てなかったからこんな事になっちまった……どんな処罰も受けるつもりっす‼」

 

「ちょっとイッセーッ!?ダイヤ、それには私も罪があるから、イッセーだけを怒るのは…‼」

 

そこに一誠を庇うように松浦先輩も入ってきた。だが、この二人に責はない、あるのは……

 

「待ってくれ、それなら俺が受けるべきだ。二人の状況を良く考えずに提案した俺にこそ責がある。」

 

あの時、二人は喧嘩していたんだ。それを良く理解せず俺はあんな提案をしてしまった。だったら責められるのは、俺であるべきだ。

 

「お三方、取り合えず落ち着いてください。私は誰も責めるつもりもありませんし、感謝したいくらいですわ。」

 

「「「え?」」」

 

「そもそも、貴方達がいなかったら……この前の時にルビィは花丸さんと一緒に死んでいたのかも知れません。それを命懸けで救ってもらったのです。ありがとうございます。」

 

そう言ってダイヤ先輩が頭を下げた。

 

「それと、皆様には負担を掛けるかも知れませんがルビィの事を、よろしくお願いいたします。」

 

「それに関しては任せてください。」

 

此度の罪滅ぼしになるのなら、俺はそれくらい引き受ける。

 

「分かりました。」

 

一誠も頷くとダイヤ先輩が少し笑みを浮かべた。

 

「兵藤さんにつきましては、末永く……と、言った方がいいかしら?」

 

「は?」

 

「お、お姉ちゃんッ!?」

 

そんな会話に皆で笑ったら、俺はもう一つの本題に入ることにした。

 

「さて、アーシア・アルジェントさん。今から君の今後について話すんだけど…」

 

「はい、どうなるんでしょうか?」

 

「君は俺の祖父がやっている会社に保護して貰おうと思っている。」

 

『『『『『会社?』』』』』

 

「ああ、【幻夢コーポレーション】というのだが……知ってるか?」

 

『『『『『え……えええぇぇぇぇぇぇッ!?』』』』』

 

「やっぱり、そうだったか…」

 

会社名を言ったら、眷属と一誠、アルジェント以外がなぜか引かれた。

 

そんなに驚く事か?

 

「まあそこなら安全だし、仕事を手伝って貰う代わりにある程度日本語が話せる様になれば、学校に通う事も出来ると思うよ。」

 

「ほ、ホントですかッ!?」

 

「幻夢コーポレーションはホワイト企業だからな。そこは約束しよう。」

 

ポッピーの教え方は独特だけど、記憶に残りやすいし楽しくできるから、アルジェントなら一ヶ月程で会話はマスターできるだろう。

 

「だったら、お願いします‼」

 

「了解だ。」

 

これでアルジェントの方も解決だな。

 

『果南さん、日本語を覚えてまた来ます‼』

 

『うん、待ってるからね‼』

 

「では、俺達もここで失礼します。」

 

「はい、よければ今度は皆さんで遊びに来てくださいな。」

 

「その時は是非。」

 

俺達は幻夢コーポレーションへと転移し、これで最初の物語は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「ねぇ、本当に言わなくて良かったの?」

 

『ちょっと思う事があるのよ。お願いだから今回は見逃して。』

 

「う~ん……分かった…」

 

『ありがとう。』

 

私は今、もう一人の自分と鏡越しで話していた。内容は戦っていたイカレ神父の事だ。

 

(でも、何で逃がしたんだろう…?)

 

そう、あの戦いの時…もう一人の私はあの神父を逃がしたのだ。その事を聞いても未だに話せてはいない。

 

「ホントに何なんだろ……あ、白くなってきてる…」

 

何となく鏡を見ていたら、頭頂部が白くなり始めていた。

 

「また染めないとなぁ~……お小遣い足りるかな?」

 

こんな時に限って欲しいものが出たりするんだよねぇ~…

 

『(まさか……ね…)』

 

もう一人の私の呟きは、お小遣いに悩んでいる私の耳には届かなかった。




いかがでしたか?

次回からはフェニックス編に入ります。

ここで目立つヒロインは曜と千歌になっていきます。

では、次回でお会いしましょう。


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フェニックス編
来訪者はPhoenix?


どうも、疾風の警備員です。

今回からフェニックス編になります。レーティングゲームはド派手にやりますよ‼

まあ、先ずは特訓とかに成りますけどね。

ではどうぞ。


一誠side

 

「ハァ……ハァ……ハァ……‼」

 

俺は今、小さい頃に見つけた秘密の広場の中にいる。ここは色々な思い出のある場所だ。そこで俺はガシャットの能力を把握するための特訓をしていた。

 

「しかし、ルシファーも面白い能力を持たせやがる…‼」

 

俺のガシャットギアデュアルΣに入っている2つのゲーム、【セイヴァー・ストーリー】と【サバイバル・ドラゴン】はなんか昔に大暴れして封印された馬鹿なドラゴン【赤龍帝ドライグ】と【白龍皇アルビオン】の能力を元にしてるらしい。

 

セイヴァー・ストーリーはガシャコンガントレットを使って自分や相手を好きなだけ、エナジーアイテムは1回だけ強化・半減できる上、防御力が高いので最初はこの形態になることが多い。しかし、倍加・半減は長くもたないし、身に纏っている鎧が邪魔で動きが制限されちまう欠点がある。おまけにエナジーアイテムを2回以上倍加してから触れると爆発するから厄介だ。

 

次にサバイバル・ドラゴンだが、これはガントレットでの倍加・半減能力が無くなる代わりに大幅な肉体強化が施され鎧も脱げるから動きやすさも上がる。それに敵を倒せば倒すほど自分の力が倍加され、次の相手を倒した分力を半減させる面白い能力を持っている。しかも効果は変身してる間は永続するなんて破格の代物だが、ようは雑魚掃除をやらねぇと何の強化も出来ないし、鎧が無くなったから打たれ弱くもなっている。

 

つまり、お互いが真逆の特徴と弱点を持っている事になる。

 

「2つを使い分けんのは面倒クセェし……いっそ良いとこ取りの一纏めに出来ねぇもんかね……?」

 

そんな事を思っていたら、ふと…ある事を思いついた。

 

「そういや、ダイヤルを回さないで差したらどうなんだ?」

 

いっつも回してから使ってたしな………やってみっか?

 

思い立ったが吉日って事で、ゲーマドライバーにダイヤルを回さずガシャットギアデュアルΣを差………

 

「あ、こんな所にいたッ‼」

 

「ん…?」

 

そうと思ったら、何故かカナ姉の声が聞こえたので振り返ると、そこにはカバンを肩に掛けて仁王立ちしているカナ姉がいた。

 

「何やってんだ、こんな所で…?」

 

「それはこっちのセリフ!何時もの時間に迎えに行けば家にいなくて、探したんだからね!?」

 

「あ?もう、んな時間なのかよ?」

 

腕時計を確認してみると、そろそろ学校へと向かわなければならない時間になっていた。

 

チッ…これを試すのは放課後だな。

 

「なら、とっとと行くぞ。」

 

「ちょッ‼置いてかないでよ‼」

 

その辺に置いてた鞄を拾い、さっさと歩きだす俺の後をカナ姉が慌てて追い掛けてくる。

 

「で?彼処で何やってたの?」

 

「コイツの性能をちょっとな。」

 

ガシャットをカナ姉に見せ、分かった事を話した。

 

「確かに、イッセーの頭じゃ2つを使いこなすなんてのは無理だよね……フフッ!」

 

「おい、今俺を笑ったな?」

 

「気のせい、気のせい♪」

 

「テメェ……」

 

そんな会話をしながら歩いて、あることに気づいた。

 

「そういや曜は?」

 

「曜ちゃんは部活の朝練だよ。もうすぐ大会があるからね。」

 

「ああ、そうか。確か前は準優勝だったんだっけ?」

 

「うん、だから今度こそは優勝するって意気込んでるよ。」

 

あの時はかなり悔しそうだったからな…

 

「応援に行くんでしょ?」

 

「たりめーだ、約束してっからな。」

 

「なら、一緒に行こっか?」

 

「おう。」

 

そんな会話を楽しみながら歩いていると、正面にルシファー達がいた。でも……

 

「あ、鞠莉達だ。」

 

「何でルシファーの奴、あんなにフラフラなんだ?」

 

「遅くまで何かやってたのかな?おーい、鞠莉~ッ‼」

 

「え、あっ果南‼Good morning‼」

 

「「「おはようございます。」」」

 

「…………………………どうも…」

 

高海達が挨拶を返す中、ルシファーはやはり覇気がなかった。

 

「お前、どうしたんだ?」

 

「なぁ~に……新しいガシャットの開発に行き詰まってるだけさ…」

 

「ほう…それは心が高ぶる話だな?」

 

新しいガシャット……つまりまた強い相手が出てくるって事だ。高ぶらねぇ訳がねぇ。

 

「今度はどんなのなんだ?」

 

「聞いて驚け…‼今度のは…………レベル100(ハンドレッド)だッ‼」

 

「うおッ‼マジかよ!?」

 

そんなレベルの相手と戦えるのかと思うと…………くぅ~ッ‼ワクワクが止まらねぇじゃねぇか‼‼

 

「で、完成は何時なんだッ‼」

 

「まだデータが全然足りない……だから暫く先の話だな…」

 

「マジかよ…」

 

ここまで期待させてそれかよ……ルシファーのヤロー、毎回狙ってんじゃねェだろうな?

 

「はいはい、そこのケンカ屋君?少し自重しなさい。」

 

「うっせ、これが俺なんだよ。」

 

「はぁ~……まったくもう…」

 

「『でも、そんな彼も大好きッ‼』と心の中でときめく果南だった♪」

 

「鞠莉、ちょっと大人しくしててネ…?」

 

「へ?……NOOOOOOoooooo~‼‼」

 

カナ姉は小原……先輩に耳元で何か言われた瞬間、顔を赤くしながら俺でも見事だと思えるコブラツイストを小原……先輩にやっていた。

 

「ギブギブッ‼give upよ‼」

 

「鞠莉の運命は…………私が決めるッ‼」

 

「ギャアアアアアァァァァァァァァッ‼‼」

 

「…行こっか?」

 

その光景を見ながら、呟いた桜内の呟きに全員で頷き俺達は学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「グレモリーめ……何の呼び出しだ?」

 

放課後、俺は1度帰って寝ようと思っていたのだが、グレモリー達から旧校舎に来て欲しいと連絡があったので、皆とそこに向かっていた。

 

「新しい眷属でも出来たのかな?」

 

「まさか、今度は白龍皇なんじゃ…?」

 

「もしそうだったら、私があの腐った頭を撃ち抜いてやる…‼」

 

「あ、ブラック梨子ちゃんが降臨した。」

 

「落ち着け、もうアイツの残り駒数で白龍皇はさすがに無理だ。」

 

しかし、旧校舎に近づくにつれ、新たな魔力の反応を感じ取った。

 

この強大な魔力は…………あの人が来てるのか…

 

その持ち主が分かった所で、オカルト研究部の部室に着き、ドアをノックした。

 

「ルシファーだ、入るぞ?」

 

『ええ、どうぞ。』

 

グレモリーの許可が出たので中に入るとグレモリーと姫島、塔城とそして銀髪でメイド服を着た女性がいた。

 

彼女は【グレイフィア・ルキフグス】、魔王サーゼクス・ルシファーの妻であり、冥界最強の女王と呼ばれている悪魔だ。

 

「ごめんなさい、急に呼び出してしまって…」

 

「構わない。それで、彼女がいるのは呼び出しと関係があるのか?」

 

「ええ、もうすぐ私の眷属も来ると思うので、揃うまでゆっくりしててください。」

 

そう言われソファーに座って皆と喋っていたら、木場が兵藤練二を連れてやって来た。

 

「すみません、遅くなりました。」

 

「んげッ!?何でテメーがここにいんだよ‼とっとと出てけよ‼女の子は俺が可愛がってあげるからな?」

 

「「「「お断り‼」」」」

 

「レンジ、話が出来ないから黙っててちょうだい。」

 

兵藤練二の言葉を皆は拒絶し、俺はゲーマドライバーを装着しようとしたがグレモリーの言葉で兵藤練二が押し黙ったので、俺もドライバーをしまった。

 

「これで揃ったわね。」

 

「お嬢様、話しにくければ私が代わりましょうか?」

 

「いいえ、大丈夫よ。実は…」

 

グレモリーがそこまで喋った所で部室に新たな魔法陣が浮かびあがり、そこから炎が広がっていく。

 

「まったく…」『TADDLE FANTASY!!』《Let.s going king of Fantasy!!》

 

誰の仕業か分かった俺はガシャットギアデュアルβを出して起動、ファンタジーゲーマが張った魔法陣で梨子達を守った。

 

そして炎が消えると、そこには赤いスーツに金髪のエセホスト風の男が立っていた。

 

(どう見てもカ○レーザーのモノマネ芸人みたいだ。似てないけど…)

 

「ふぅ……久々の人間界だが、相変わらず酷い空気だ。」

 

「だったら来なくても良かったのに…」

 

「そうつれない事を言うなよリアス~、俺とお前の仲だろ?」

 

グレモリーの嫌味も気にせず、男はグレモリーのすぐ傍に座った。それを兵藤練二は憎悪の表情で見ている。

 

「さあ、一緒に式場を見に行こう。良い場所を見つけたんだ。」

 

「イヤよ【ライザー】、私は行かないわ。」

 

何時までもこの三流劇を見ている気もないので、俺はグレイフィアさんに話しかけた。

 

「俺達が呼ばれたのは、彼女の婚約が関係してるんですか?」

 

そうこの男、【ライザー・フェニックス】はリアス・グレモリーの婚約者であるのだ。本人達の合意は無いがな。因みに俺はコイツが嫌いだ。

 

「はい、正式に結婚ともなれば今後の裏の活動に影響が出ますので、その対応策の相談をと思いまして。」

 

なるほど、どうせそこの焼鳥(フェニックス)の事だ。夜は夫婦の営みだとかなんとか言って連れ帰らせるだろうから、今後のはぐれ討伐等の事を考えないとな……

 

「いい加減にして頂戴ッ‼ライザー、私は貴方と結婚なんてしないわッ‼」

 

「あのなぁリアス、俺もフェニックスの看板を背負ってるんだ。ここでハイそうですかと言って引き下がって家の看板に泥を塗るくらいなら、君の眷属全員を燃やしてでも連れていくぞ…‼」

 

が、その事に意識を取られていたせいか、二人が臨戦態勢に入って膨大な魔力を周囲に解き放っていた……てッ!?

 

「マズイ‼二人とも、魔力を抑えろッ‼‼」

 

「お嬢様、ライザー様‼‼いけませんッ‼‼」

 

このままだと、一般の生徒に…‼

 

が、時既に遅く校庭の方から悲鳴が聞こえてきた。

 

このバカどもが…‼‼だが、説教は後だ‼

 

「チィッ‼…皆は急いで校庭の被害を確認してきてくれ‼怪我人は保健室、もしくは救急車だ‼」

 

「「「「うんッ‼‼」」」」

 

梨子達が部室から出ていくのを見送ってから、俺はグレモリーとフェニックスを睨み付ける。

 

「二人とも、やってくれたな…‼‼」

 

「え?…………あ…‼」

 

「フン、何の事だ?」

 

グレモリーは自分のした事に気づき体を震わせるが、フェニックスはまるで悪びれた様子がなかった。

 

「この土地は日本神話から借り受けて管理してるんだ。ここで悪魔のせいで多くの人間が傷つけられれば日本神話の連中は黙ってはいない、確実に何か言ってくるぞ‼」

 

それがこの土地からの追い出しだけだったら良いんだが……下手に今回ので死人なんて出ていたら、確実にグレモリーかフェニックスの首を差し出せと言うだろうな。

 

「だったら貴様が生け贄になればいいだけだろ、【混血】風情が。」

 

「あ?」

 

俺が神話相手にどう交渉しようか悩んでいたら、フェニックスがムカつく一言を言ってきた。

 

「俺とリアスは貴族の【純血】悪魔だ、元魔王だろうが混血なんかよりよっぽど重要なんだよ。貴様の様な人間との混ざり物の半端者なんざ存在する価値すらない‼」

 

「おい……あのクソ親父をバカにするのは構わんが、母さんをバカにするのはやめてもらおうか…‼」

 

例え記憶が無くても、あの人が俺を愛してくれていたのは間違いない‼それをコイツは…‼

 

俺は怒り任せにゲーマドライバーを装着しようとしたが、部室の入り口からよく知る気配を感じたので、それで何が起こるか予想した俺は、すぐにお辞儀の様に頭を下げた。

 

「はッ‼今さら頭を下げ(バキャアァァンッ‼‼)ホグバッ!?」

 

その瞬間、ものすごい音と共に俺の頭の上を何かが通り過ぎ、フェニックスの悲鳴が聞こえた。そして頭を上げるとフェニックスの顔に部室の入り口の扉が刺さっていた。

 

なにこれ、チョーノレるッ‼

 

「クソッ!?誰だッ‼」

 

扉を抜き、炎によって復活しながら立ち上がったフェニックスの視線の先には……

 

「おい……今さっき変な力を放った馬鹿は…………何処のどいつだああぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」

 

完全にぶちギレてる一誠がいた。




いかがでしたか?

次回は一誠がキレた理由から始まり、特訓の冒頭ぐらいまでになり、そこで赤い龍と戦い始めます。

では、次回でお会いしましょう。


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不死鳥へのDeclaration of war

どうも、疾風の警備員です。

本当は特訓まで行きたかったけど、長くなりそうだから次にしました。

今回は特訓を始める前迄になります。

最後にオリライダー(名前のみ)登場します。

ではどうぞ。


時間は一誠がオカルト研究部に現れる数分前に遡る。

 

 

一誠side

 

俺は放課後、カナ姉に捕まり校門の前で部活終わりの曜が来るのを待っていた。

 

「たく……いつまで待つんだよ…」

 

「たまには付き合ってよ、曜ちゃんの大会激励パーティーに。」

 

「んな事言って、本当は受験勉強のストレス発散したいだけだろ?」

 

「あ、バレた?」

 

そう言って可愛く舌を出すカナ姉。本当、美人ならそういうのも絵になるもんだな。

 

「あ、兵藤先輩‼」「番長先輩ズラ‼」

 

そこに、黒澤妹と国木田がやって来た。

 

「国木田、その番長っての止めろ。」

 

「ここで何してるんですか?」

 

「ん~?待ち人ってやつだ。」

 

「おおッ‼恋人ですか!?」

 

「るびぃッ!?」

 

国木田の発言に黒澤妹は顔を青くしながら変な悲鳴をあげる。つか、自分の名前を悲鳴に使うなよ。

 

「ほ、本当ですかッ!?」

 

「だったらカナ姉と二人で待つ訳ねぇよ。」

 

「そ、そうですよねッ!?……よかった………」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「ぴぎぃッ‼な、何でも無いですッ!?」

 

「?」

 

そんな会話をしていたら、校舎から待ち人である曜が出てきた。

 

「あれ、皆揃ってどうしたの?」

 

「お前を待ってた。」

 

「ほえ?」

 

「もうすぐ大会だから激励パーティーしようと思ってね♪」

 

「うわあ~‼本当!?」

 

曜はそれを聞いてこっちへと走り出した。

 

「ああ、だから行く…ッ!?」

 

その時、変な感覚が体の中を突き抜ける不快感が襲い、俺はそれに気を失いそうになるのを何とか耐えたが、カナ姉や黒澤妹に国木田はその場に倒れ、曜に至っては走り出したからか派手に転倒して地面を少し転がった。他にも倒れた奴がいるのか、校庭ではあちこちで悲鳴が上がりだした。

 

「なんだ今の………ッ!?おい、しっかりしろ‼カナ姉‼黒澤‼国木田‼」

 

「う…ううん…」

 

俺はその場に倒れた3人に声を掛けると、カナ姉は意識を取り戻した。

 

「何だったの……今の感じ…」

 

「悪いが黒澤と国木田を頼むッ‼曜ッ‼‼」

 

俺は起きたカナ姉に二人を任せ、曜の元へと駆け寄った。

 

「オイッ‼しっかりしろ‼曜ッ‼」

 

俺が曜を抱き抱えると、転んだせいなのか擦り傷があちこちに出来ていた。

 

「曜ッ‼‼」

 

「う…‼あれ……私…」

 

俺が大声で呼んでいたら、曜の目がゆっくりと開いた。

 

「良かった……大丈夫か?」

 

「うん……なんと…痛ッ!?」

 

そして立ち上がろうとしたが、急に右足を押さえて踞った。

 

「曜ッ!?」

 

「あ、足が…‼」

 

「座ってじっとしてろ‼」

 

曜を地面に座らせて右足の靴と靴下を脱がしてみると、足首が赤く腫れ上がっていた。

 

「こりゃひでぇ…」

 

「うわぁ……通りで…」

 

「皆ッ‼‼」

 

そこに桜内、高海、津島、小原がやって来た。

 

「誰か怪我とかしてないッ!?」

 

「高海……曜を頼む…」

 

「兵藤君?…って曜ちゃん‼怪我をッ‼」

 

高海に曜を託した俺は立ち上がって歩き出す。

 

「イッセー君ッ!?何処へ行くのッ!?」

 

「ちょっとお礼参りにな…‼」

 

「ダメッ‼行っちゃ…‼」

 

曜の叫びを無視して俺は走り出した。大体の場所は予測出来ている。

 

そして旧校舎のオカルト研究部に着いたら、ドアを思いっきり蹴破った。

 

「おい……今さっき変な力を放った馬鹿は…………何処のどいつだああぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」

 

そしてそこで全力で叫んだ。己の怒りを解き放つために……

 

「おいイッセーッ‼てめえ何しに…」

 

「黙ってろ…‼」

 

最初に突っ掛かってきたのはクソ兄貴だったので、頭を掴んで壁に叩きつけてやったら、あっさりと気絶した。

 

「イッセーか…」

 

その呼び掛けにルシファーが部屋にいたのに気づいた。

 

コイツならさっきの主犯を知ってるはず…‼

 

「おいルシファー、さっきのをやった奴は誰だ?」

 

するとルシファーはグレモリーと金髪のホストみたいなのを指差した。なるほど、犯人は二人か。

 

「なんだキサ「うるせぇ…」ガブッ!?」

 

何か言おうとした金髪の言葉を遮り、その場から全力で跳んで空中回し蹴りを顔面に叩き込んだ。

 

そして着地と同時にグレモリーの方へ振り返りながら後ろ回し蹴りを喰らわせる……

 

「させませんッ‼」

 

が、それは銀髪のメイドに止められた。

 

「邪魔すんじゃねぇよ…‼殺すぞ?」

 

「今回の事は完全にこちらの非です‼お嬢様には然るべき罰を与えますので、この場はッ‼」

 

「罰だったら俺がくれてやる……‼」

 

俺は軸足で飛び上がってメイドを蹴り飛ばし、グレモリーへと殴り掛かろうとしたが、横から強烈な衝撃を受けて、床を転がった。

 

「グッ…‼」

 

「よくもライザー様をッ‼」

 

そこには棍を持った女がいた。更にさっき蹴った金髪のホストの後ろには14人の女が控えている。このホスト野郎の手下か……

 

「ミラ、その男を殺せッ‼」

 

「はッ‼」

 

そして再び棍を突き出してくるが、俺はその先端に左から掌底を当てて受け流し、俺も回って背中を蹴り飛ばした。

 

「がッ!?」

 

「くッ!?イル、ネルッ‼」

 

「「はぁ~い‼バラ~バラ~♪」」

 

「ウゼェッ‼‼」

 

今度はチェーンソーを持った双子がそれを振りかぶってきたから、振り下ろす前に近づいて二人の顔を鷲掴み、頭をぶつけ合わせた。

 

「「イギャッ!?」」

 

痛みでチェーンソーを落とし、頭から血が流れる二人を近くの本棚へと投げつけ、ぶつかった反動で本棚が倒れ下敷きになるがそれを無視して俺はホスト野郎へと近づいていく……

 

ジャキン‼

 

が、ルシファーに横から剣を首に突きつけられた。

 

「……何のつもりだ?」

 

「これ以上はさすがにお前の立場が危うい。他の悪魔達に目をつけられると、松浦先輩や渡辺達にも危害が及ぶぞ?」

 

「…………ち…‼」

 

そう言われた、俺は渾身の力で右拳を握り締めて怒りを抑えた。

 

「この……人間風情がァッ‼」

 

しかし、ホスト野郎が攻撃しようと拳を振り上げてきた。

 

「いけません、ライザー様。」

 

それを先程蹴り飛ばしたメイドが、床へと組伏せた。

 

「ぐあッ!?」

 

「これ以上、人間の方達に手出しするのなら私がお相手いたします。」

 

「く……解りました…‼」

 

ホスト野郎は悔しそうに呟くと、拘束を外され立ち上がった。

 

「で、イッセー?お前がキレたのは誰が傷ついたからだ?」

 

コイツは俺がキレた理由もお見通しかよ。

 

「曜だ。足を思いっきりやっちまって、このままだと今度の大会に出れるかどうかわからねぇ…」

 

「そうか…」

 

クソッ‼俺がもう少し強ければ、あの力に飲まれず助けられたかもしれないのにッ‼

 

「怪我については、善子が回復魔法を使えるから大丈夫だろう。」

 

「ホントか…‼」

 

それを聞いて俺は安堵した。

「それに、焼鳥(コイツ)に御礼参りする機会ならあるぞ?」

 

「なに?」

 

ルシファーは不敵な笑みを浮かべながらメイドの方を見た。

 

「グレイフィアさん、どうせリアスとライザーの婚約については双方納得しないでしょうから、その場合【レーティングゲーム】で決着をつける予定だったのでは?」

 

「はい、その通りです。」

 

「だったら俺達も参加させて貰います。」

 

「………………よろしいのですか?」

 

それを聞いたメイドは驚きの表情をする。

 

「ええ、こちらは何人かプラスしたメンバーも入れさせて貰います。………その代わり俺達が負けた場合、我が家が秘匿しているこのゲーマドライバーとガシャットのデータ全てを双方の家に渡しましょう。」

 

「ほう……それはいい条件だ。」

 

「こちらが勝ったら、お前達は俺の頼みを無条件で1つずつ叶える…………これなら文句は無いだろ?」

 

ホストとグレモリーは少し思案するが、首を縦に振った。

 

「解りました。ではこの勝負は調整ごがありますので、10日後の深夜に行います。詳しい事は後程お伝えしますので。話し合いはこの場でお開きにします。リアス、貴方は私と来て貰います、お仕置きしますので。」

 

「わ、わかりました…」

 

「ライザー様も今回はこれでお引き取りを。」

 

「ええ。おい混血ッ‼貴様もゲームに出るならそこの人間も出せ‼この俺が二人とも直々に燃やしてやるッ‼」

 

「やれるものならな?その前に俺達がお前達を潰してやるよ。」

 

そう言って、ルシファー以外の悪魔達は転移していった。

 

「さて、渡辺の所に行こう。彼女の怪我を何とかしないとな。」

 

「ああ、頼む…」

 

先に部屋を出るルシファーの後に付いていきながら、俺達も旧校舎を出た。

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

俺はイッセーと一緒に保健室に向かい、扉を開けるとウチのメンバー4人とルビィに花丸、松浦先輩に黒澤先輩とベッドに座っている渡辺がいた。

 

「善子、渡辺の怪我の具合は?」

 

「問題ないわ、もうちょっとで全快よ。後、善子じゃなくてヨハネ‼」

 

「良かった……」

 

それを聞いてイッセーは安堵していた。

 

「それでルシファーさん、今回の集団気絶事件の原因は誰なんですの?」

 

黒澤先輩が原因を俺に聞いてくるが、既に人外の存在が原因なのは気がついてるようだ。

 

「今回は悪魔であるグレモリー先輩とその婚約相手が問題の原因でして…」

 

「えッ!?グレモリーさんも悪魔だったのッ!?」

 

「そんなのはどうでもいいんです。彼女への処罰は?」

 

「今頃、兄である魔王に処罰を下されている筈ですよ。」

 

「なら、構いませんけど…‼」

 

そう言う黒澤先輩だが、その顔は怒りが収まりきってはいないようだ。

 

「それで梨子、千歌、善子、鞠莉。俺達もグレモリーとフェニックスのレーティングゲームに参加することになった。」

 

「「「「えッ!?」」」」

 

俺の言葉に4人は驚き、残りの5人は首を傾げた。

 

「先輩、れーてぃんぐげーむ?って何ズラ?」

 

「ん~……簡単に言えば中世のコロッセオであった奴隷同士の戦いみたいなものか?」

 

「それぞれの王が自分の眷属と一緒に戦うの。対戦方式は幾つかあるけど、大体は王の人を倒したら勝ちになるの。」

 

「ほえぇ~…」

 

「んで俺も出る事にした。」

 

花丸に説明していたらイッセーがそう告げ 、それに松浦先輩と渡辺が驚きながらもやっぱりといった顔をした。

 

この二人は、本当にイッセーの事を理解してるんだな。

 

「そう言うと思ったよ。」

 

「………………」

 

「という事でこれから10日間、放課後に特訓をすることにしたから全員参加な?」

 

「「「「了解。」」」」

 

ガララ。

 

「すみません、ここにヴァーリ・ルシファー君はいますか?」

 

4人の了解を得たら、保健室の扉が開いて二人の男女が入ってきた。

 

「ん?明日那にグラファイトか。」

 

「あ、いたいた。」

 

「よ、久し振りだな。」

 

「oh~‼グラファイト~♪」

 

その男女はグラファイトとポッピーピポパポこと仮野明日那で、鞠莉がグラファイトを視界に入れた瞬間、騎士の力で一気に近づいて抱き着いた。

 

「どわッ!?いきなり抱き着くな…」

 

「ンフフ~♪」

 

この光景に松浦先輩と黒澤先輩は、口をあんぐりと開けて見ていた。

 

「それで、何の用なんだ?」

 

「社長から皆がレーティングゲームに参加するって聞いてね?」

 

「情報早すぎだろ……」

 

まったく、あの爺ちゃんは……

 

「それでそのゲームでこれを試して欲しいって頼まれて渡しに来たの。」

 

そう言って手に持っている小さめのアタッシュケースを開くと、その中にはバグルドライバーツヴァイと1つのガシャットが入っていた。

 

「これは?」

 

「社長が作った新しいライダーで、戦闘力はあまり無いけどサポート重視の能力を持ってるの。」

 

「ふぅ~ん………………………………………………んんッ!?」

 

それを見ていたら、俺はある事に気がついた。

 

「何で普通のガシャットがあるんだッ!?俺は作れないのにッ!?」

 

俺がこれを作るのにどんだけ苦労したと思ってんだ‼それをこんな簡単に作りやがって‼誰だッ!?俺の許可なく新しいガシャットを作ったのは‼‼

 

「ああそれ?社長がヴァーリ君の失敗作を回収して弄ったらプロトガシャットが完成して、それを元にして新しく作ったんだって。」

 

「嘘だッ‼‼」

 

まさかの身内だった事に動揺し、ひぐらしな叫びをあげてしまった。

 

「ヴァーリ君、落ち着いてッ!?」

 

「ハァ……ハァ……‼ふぅ、思わず動揺してしまった。」

 

「明日那さん、そのライダーの使用者と名前は何なんですか?」

 

「使用者は検査しないと解らないけど、名前の方は決まってるの。この仮面ライダーの名前はね…」

 

彼女はそこで1度区切り、優しい笑顔を浮かべながら告げた。

 

「仲間に幸せの恵みを与える者……【仮面ライダーエール】。」




いかがでしたか?

エールの登場はレーティングゲームが始まるまでお待ちください。

次回は特訓と二人の女の子の会話になります。

では、次回でお会いしましょう。


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攻略の為のTraining

どうも、疾風の警備員です。

今回は特訓回………………………なのに特訓シーンめっちゃ少ないです。

そしてエールの変身者が決まります。

では、どうぞ。


ヴァーリside

 

あれから俺達は全員で特訓施設へと向かっていた。何でも松浦先輩達も俺達がどんな特訓をしてるのか気になって見たいからだそうだ。

 

「言っときますけど、真似だけはしないでくださいね?」

 

「それは以前、鞠莉さんの話を聞いて理解してますわ。」

 

「何て説明したんだ?」

 

俺はグラファイトの腕に抱き着いている鞠莉を見ながら言ったら……

 

「私は朝の日課を話しただけだけど?」

 

そう返され、それで納得した。そりゃ100万倍の重力の中で一時間マラソンとか、常人に出来るわけないよな。

 

「他にはどんなのをやるの?」

 

「主に基礎訓練ですね。後は全員でバトル・ロイヤルとか連携訓練とか…」

 

そして訓練場に着いたら、真っ先に実戦練習場に向かいそこの中央でグラファイトが仁王立ちになった。

 

「さて、今日は俺がお前達の今の力量を見てやる。先ずは兵藤一誠……いつでもかかってこい。」

 

「おい…お前は強いのか?」

 

「その点に関しては問題ない。何故なら…」

 

一誠の疑問にグラファイトは笑みを浮かべ、バグヴァイザーのAボタンを押して右手のグリップに取り付けた。

 

「培養。」

 

『INFECTION!! レッツゲーム‼ バッドゲーム‼ デッドゲーム‼ ワッチャネームッ!? ザ・バグスター‼』

 

それによって紅蓮の龍人のバグスター態に変わった。

 

「俺は人間が言う所の怪人【バグスター】だ。そしてレベルは99(ナインティナイン)……お前達が今使っているガシャットの約2倍だ。これでも文句はあるか?」

 

「ハッ‼い~や、無いね‼俺の心も高ぶってきたぜッ‼」

 

『SAVIOR STORY!!』《Savior is Around the world‼》

 

「変身ッ‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『立てよ勇者‼纏え龍を‼セイヴァー・ストーリー‼』

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

イッセーもドラゴネスになると籠手を装着して構えた。

 

「そんじゃ、ガチでやらせて貰うぜッ‼」

 

「全力で来いッ‼」

 

グラファイトも背中の薙刀を抜き放ち、二人は走り出すと拳と薙刀をぶつけ合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

バグスターのグラファイトさんと模擬戦を始めたイッセー君。最初はイッセー君が勝つと思っていたけど、今目の前では膝を着いているイッセー君に薙刀を肩に担いで余裕そうに立っているグラファイトさんという光景があった。

 

「グッ…‼クソ…」

 

「お前の戦いのセンスは中々のものだ。将来は人間の中でも上位に入れるだろう……だが、まだ動きに無駄が多い。もっと振りを小さくしろ、そうすれば体力の消耗を抑えられる。」

 

「だったらこれならどうだッ‼」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

イッセー君が右手の甲にあるボタンを5連打すると、機械的な音声が鳴りさっきまでと全然違う速さで駆け出した。

 

「ふんッ‼」

 

「なッ!?」

 

そして拳を振るうも、グラファイトさんは余裕そうにそれを受け止めた。

 

「確かに倍加をすれば問題ないかもしれないが、振りが大きければ対応する事など造作もない。」

 

「ち…‼ダメだ、こりゃ勝てねぇや。俺の負けだ。」

 

『ガッチョーン、ガシューン。』

 

イッセー君は負けを認めると、変身を解いた。

 

「うそ……イッセー君が負けた…」

 

私はそれが信じられなかった。イッセー君は今まで負け無しだったのに…

 

「だがお前は鍛えれば、生身で中級悪魔を楽に倒せる力を得られる。変身すれば上級・最上級悪魔とも余裕で渡り合えるだろうな。」

 

「へッ‼なら、テメェの期待に応えてやろうじゃねぇか。」

 

「いい意気込みだ。だが…」

 

ゴッ‼

 

「でッ!?」

 

「目上にはある程度敬意を払っとけ、将来に影響するからな。」

 

「おおぉぉぉぉぉ……ッ‼‼」

 

イッセー君の態度にグラファイトさんは頭に拳骨を振り下ろした。うわぁ…痛そう……

 

「次は高海だ、準備しろ。」

 

「は、はいぃッ!?」

 

千歌ちゃんは今の1発を見て、ちょっと萎縮した返事をしていた。

 

それから一時間半位掛けてルシファー君に梨子ちゃん、鞠莉さんに善子ちゃんも戦ったけど誰もグラファイトさんに勝てなかった。

 

「全く、お前の強さは末恐ろしいな…」

 

「そう作ったのはお前だろうが。俺にじいさんのボディガードをやらせる為に。」

 

「そうだったな……つまり本当に恐ろしいのは、俺自身の才能かッ‼」

 

「桜内、早くお前の旦那を何とかしろ。暴走し始めてるぞ?」

 

「だだだだだ旦那じゃないですッ‼まだッ‼!?」

 

グラファイトさんの言葉に顔を真っ赤にして梨子ちゃんはルシファー君の元へと駆けていった。わっかりやすいなぁ。

 

「さて、今日の特訓も終わったし、ライダーじゃない子は私の所に来て。」

 

明日那さんに呼ばれた私達5人が彼女の所に行くと、彼女は首から聴診器みたいなのを下げていた。

 

「これで誰がエールに適合するのか診断するから、皆横一列に並んで。」

 

そう言われて並ぶと彼女は私達一人一人の前に聴診器を翳し、その前に出てくる空間ディスプレイを見ていた。てか、空中に映像が出るなんてスゴくない?

 

そして全員を診終わったら、そのデータをパソコンに入れて調べ始めた。

 

「え~と………………ん?ウソッ!?完全に適合してる!?しかも全部の数値に1つの誤差もないッ‼」

 

「「「「「えッ‼誰誰ッ‼!?」」」」」

 

その言葉に私達も我先にとパソコンを覗き込んだ。

 

お願い…私を選んで…‼

 

私は思わず願った。彼の助けになれるかもしれない力に選ばれるのを。しかし現実は残酷で、その画面に映っていたデータは……

 

「ふえ?わ、わたし…?」

 

ルビィちゃんのデータだった。

 

「まさかルビィが…」

 

「ホントに1つも誤差がないや…」

 

「ルビィちゃん、すごいすご~いッ‼‼」

 

皆がルビィちゃんを褒める中、私はそっとその場を離れて廊下を歩き、外に出た。

 

「ハァ…「どうしたの、曜ちゃん?」うひゃあッ!?」

 

私がため息を吐いたら、すぐ近くから千歌ちゃんの声がして驚いた。

 

「な、何だ千歌ちゃんか~……驚かさないでよ。」

 

「えへへ、ゴメンゴメン。部屋から出ていった曜ちゃんが気になったからついね。それで、どうかしたの?」

 

おどけた様にしつつも、私を心配するように見てくる瞳に私は思ってた事を話すことにした。

 

「私がエールに選ばれなかったのが、少し悔しくてね…本当は私がイッセー君の手助けをしなくちゃいけないのに……」

 

「え?それってどういう…」

 

それから私は前に黒澤先輩達に話した事を千歌ちゃんにも話した。

 

「そっか……でも、その喧嘩の原因って何だったの……って曜ちゃんッ!?」

 

千歌ちゃんの疑問に私は思わず震えた。彼女が見ても分かる位に。

 

「大丈夫ッ!?どうしていきな…「その喧嘩の原因は…私なの…」…え…?」

 

私は体の震えに必死に堪えながら、言葉を紡いだ。

 

「あの頃、兵藤練二の取り巻き達は彼の名を使ってやりたい放題やってたの…特に女の子の被害が多くて、その日の標的は…………私だった。」

 

「……………………」

 

「私は全力で逃げたんだけど向こうは3人で完全に囲まれて………諦めかけた時にイッセー君が助けてくれた…」

 

あの時、イッセー君が来なかったら私はどうなっていたか分からない。でも、そのせいで彼は危険な道を歩む事になった。

 

「だから私は彼の力になりたかった…‼一緒に戦えればイッセー君の負担を減らせたかもしれないのに…‼‼」

 

「それは違うと思うよ?」

 

「へ…?」

 

「と言っても、兵藤君の考えは分かんないから、私の勝手な想像だけどね?たぶん彼の願いはそれじゃないと思う。」

 

イッセー君の願い……?それって何だろう…

 

「おやぁ~?可愛い女の子達がここでなにやってんのかなぁ?」

 

千歌ちゃんの言葉を考えていたら、ルシファー君に似たナイスミドルなおじさんが立っていた。

 

「あッ‼リゼヴィムさんッ‼‼」

 

「や~や~千歌ちゃん、こにゃにゃちわ~♪」

 

「千歌ちゃん、この人は?」

 

「この人は【リゼヴィム・リヴァン・ルシファー】さん‼幻夢コーポレーションの社長さんで、ヴァーリ君のお祖父ちゃんだよ‼」

 

「え………………ええええぇぇぇぇぇぇッ‼‼!?」

 

この人が社長!?若ッ!?ルシファー君のお祖父ちゃん若ッ!?

 

「今日はどうしたの?」

 

「グレモリーとフェニックスとレーティングゲームをやるって聞いたから、今日はお祖父ちゃんから千歌ちゃんにフェニックス攻略の秘策を持ってきました~♪」

 

そのお祖父さんは、千歌ちゃんに持ってたケースを手渡した。

 

「これは?」

 

「それは千歌ちゃん用に作ったやつでね?ものすご~~~い能力を持っているのだ‼‼」

 

「わあッ‼ありがとうッ‼」

 

「なんのなんの、千歌ちゃんもそろそろレベル20じゃ辛いだろうしね。んじゃ、仕事があるからこれにてバイビ~♪」

 

そう軽い挨拶をして、リゼヴィムさんは魔法陣の中に消えていった。

 

「な、なんか………色々スゴい人だったね?」

 

「そう?けっこう気さくな人だよ。」

 

この短い時間での驚きの連続で、私は普段の部活以上に疲れを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

ルシファーからこれから放課後10日間は特訓をやるというのと、今日の特訓は終わったから帰っていいと言われ家路に着いていた。

 

「さすがにレベル差がキツかったか…」

 

あのグラファイトってヤロー、本当に強かった。それに言われたアドバイスは俺が気にしていた部分でもあったので、アイツの教えを受けるのに抵抗はなかった。

 

「さて今日はどうする…「オーイ、イッセー♪」この声は…」

 

突然聞こえたその声に振り向くと、そこにはパラドがいた。

 

「なあ、暇なら俺と遊ぼうぜ?」

 

「ワリィが今は疲れて………ッ!?」

 

俺は疲れていたので断ろうかと思ったが、アイツの()()()()を見て驚いた。

 

「何でお前が…‼」

 

「お前に教えてやるためさ。」

 

そしてガシャットギアデュアルを取り出し、ニヤリと笑った。

 

「そのガシャットの真の力をな?」

 

「………ちょうどいい、なら相手してくれよ?」

 

俺はそのままパラドと勝負し、ガシャットギアデュアルΣの力に気づいた。その後、放課後はルシファーの所で特訓を行い、夜はパラドとその力に慣れる為にバトルしまくる日々を送り、10日後のゲームの日を迎えた。




いかがでしたか?

次回はレーティングゲームが始まりますが、あるキャラが最初からクライマックスします(笑)

そしてやっとあのセリフが言えます‼

では、次回でお会いしましょう。


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恵みのYellと最大級のPowerful Body‼

どうも、疾風の警備員です。

まずは皆様に謝罪を…一誠の変身シーンまでいけませんでしたァァァァァァァァァァァッ‼‼

やりたい事書いてたら文字数が多くなってしまい、一誠の変身は次回に持ち越しになります。期待してた皆様、ホントスンマセン……

では、題名通りの二人の登場をどうぞ。


ヴァーリside

 

特訓から10日………レーティングゲームの日を迎え、俺は眷属メンバーと一誠とルビィちゃんで集合場所である駒王学園に向かっていたのだが………

 

「何で全員来ているんだ…?」

 

集合したら、何故かゲームに出ない黒澤先輩に松浦先輩、渡辺に花丸までいた。

 

「私と国木田さんは妹が心配で来たのです。」

 

「私と曜ちゃんはイッセーの応援にね。」

 

「それは構いませんけど………ハァ…ソーナに連絡して席を用意して貰うか…」

 

本来非公式といえどゲームを人間が観戦することは危険でしかない。その上、彼女達は学園の殆どの男子が認める程の美少女で、見に来るのは殆どが上級悪魔……つまりそこで無理矢理にでも眷属にしようとする者がいても不思議じゃない。それに加えて花丸は神器保有者だ。確実に狙われる。まあ、彼女に頼めば安全の為に魔王様近くの席を作ってくれるだろう……

 

「お、お姉ちゃ~ん…‼」

 

「そんな情けない顔をしないで、もっと自信を持ちなさい。貴女なら必ず出来ますわ。」

 

「ルビィちゃん、ファイトズラッ‼」

 

「イッセーもあんまり無茶しないでよ?」

 

「わぁーてるよ。」

 

「………………………」

 

「………たく…」

 

「ひゃあッ!?」

 

皆が応援していく中、一人辛そうな表情をする渡辺の頭をイッセーは乱暴に撫でた。

 

「んな顔しなくたって、ちゃんと帰ってくるさ。」

 

「もう………気を付けてね?」

 

「おう。」

 

「では皆さん、観戦出来る場所に案内します。」

 

俺は先頭にたって歩き、生徒会室の扉を開けるとそこにはソーナと椿にじいさんにグラファイト、明日那がいた。

 

「あらルシファー様、どうかなさいましたか?」

 

「彼女達4人が観戦を希望していて、安全に見れる場所はないか?」

 

「その人数でしたらここでも大丈夫です。魔王様しかここには来ませんから。」

 

「助かる。」

 

「護衛はオイチャン達がやっとくから、思いっきりやって来ちゃいなYOッ‼」

 

俺の考えをソーナは理解してくれたので彼女達をここに預け、俺達は指定された場所である体育館に向かった。

 

「もしここが本陣なら、戦略的に嫌な場所だな…」

 

「うん、フィールドの真ん中で両方から同時に来られたら厄介だよ。」

 

う~む……いっそのことここを爆破するか?でも、2チーム同時にするとなると………

 

「フフフ……それなら我に策ありよ?」

 

そこで善子が何時もの魔導師(中2病)モードで不敵に笑いながら提案してきた。

 

「どんなだ?」

 

「それは…」

 

その作戦を聞いた俺は思わずニヤリとしてしまった。それだったら相手を最大3つに分断出来るッ‼

 

「ナイスだよし………善子。それならどちらの度肝も抜ける‼」

 

「言い直すふりして普通に言うんかいッ‼そこはナイスだヨハネって言うところでしょうよッ!?」

 

「なら、後はチーム分けだな……「だったら私をフェニックス本陣に行かせて‼」千歌?」

 

善子の言葉を無視しながら戦略を考えていたら、千歌が自ら進言してきた。

 

「理由を聞こうか?」

 

「この前リゼヴィムさんから貰った物があるの。それがフェニックス攻略の秘策になるって…」

 

そう言って取り出した物を見て、俺は目を見開いた。

 

あのジジイ…‼‼俺に黙ってそんな物まで作ってたのかよッ‼!?だが、確かにこれなら攻略出来る。

 

「………………この作戦だったらそれが一番の切り札か……わかった、本陣は千歌とイッセーでいってもらう。イッセーもいいか?」

 

念のためイッセーにも確認を取ると……

 

「お前のお陰であのホスト野郎を殴れんだ。だったら今回はお前の指示に従って勝たせてやるのが俺の役目だ。」

 

そう言ってくれた事に思わず俺は笑みがこぼれた。

 

「助かる。なら、もう一チームは梨子、鞠莉、善子、ルビィでフェニックスの眷属の対処を頼む。」

 

「えッ!?ヴァーリ君はどうするの!?」

 

「俺はグレモリーチームの足止めをする。イッセーや千歌の邪魔をさせない為にな?」

 

「なら私も…‼‼」

 

「ルビィは戦闘初体験だ、護衛は多い方がいい。それに別に倒す訳じゃない、時間を稼ぐだけだ。それなら俺一人でも大丈夫さ。」

 

「でも…」

 

それでも食い下がろうとする梨子の頭を俺は撫でた。

 

「自分の強さなら分かってるさ。それに無理そうになったら瞬間転移で逃げるよ。」

 

「…………………無茶……しないでね?」

 

「ああ。」

 

『まもなく試合開始となりますので、フィールドに転移します。』

 

梨子がようやく納得したところで、魔力通信でアナウンスが入り転移するが、俺達がいるのは先程と同じ体育館だった。

 

「おい、本当に転移したのか?どうみても失敗だろ。」

 

「いや、これはおそらく駒王学園を再現したんだ。たぶん外を見れば…」

 

窓から空を見ると普通ならありえない紫色の空が広がっていた。

 

「なるほど、こりゃ良く出来てやがる。」

 

『それではライザー・フェニックス様とリアス・グレモリー様、ヴァーリ・ルシファー様のレーティングゲームを開始致します。審判はこの私、サーゼクス・ルシファーの女王、グレイフィア・ルキフグスが努めさせていただきます。フィールドはライザー様のリクエストで駒王学園となっています。』

 

そこに放送用のスピーカーからグレイフィアさんの声が聞こえ、試合のアナウンスを始めた。

 

『リアス様の本陣は旧校舎、ライザー様の本陣は新校舎の生徒会室、ヴァーリ様の本陣は体育館の用具室になります。兵士の皆様が【昇格】するには相手の陣地に入ってからになります。それと今回は特別ルールと致しまして、ヴァーリ様には助っ人2人を仲間として扱います。その代わり昇格等は出来ません。制限時間は人間界の夜明けまでです。それでは始めてください。』

 

「んじゃ善子、ド派手に行けッ‼‼」

 

「OKッ‼‼」『WITCH CREATE!!』《Give you It's a Hope Magic!!》

 

「禁術レベル50ッ‼変身‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『マジシャンガール‼夢をプレゼント‼願いよ届け‼ウィッチ・クリエイト‼』『ガシャコンレイピア‼』

 

「紫天に吠えよ、我が鼓動‼」

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

私達は開始と同時に部室で学園の地図を広げていた。

 

「この場所が本陣なら………私達は積極的に前に出ない方が良さそうね。」

 

「どういう事ですか、部長?」

 

「いいレンジ?私達とライザーの本陣は端で、その中央にルシファー様の本陣があるわ。つまり…」

 

「ああ、なるほど‼先に奴等をぶつけて、戦力を消耗させるんですね‼」

 

「ええ、上手くいけば相討ちになって自動的に私達の勝利になるわ。」

 

「おお~ッ‼‼さすが部長ッ‼‼」

 

「それに最悪負けそうだったら、私達が援護すれば良いだけよ。」

 

これを聞いていた私は頭を抱えたくなった。ルシファー様達はそんな甘い人達ではないと知っているからだ。

 

「裕斗先輩と副部長はあの考え、どう思いますか?」

 

「あの人達の力を見たから分かるよ。あの作戦は確実に失敗すると思う。」

 

「そうですわね。」

 

「でも処罰が消える事はないですけど…」

 

そう、部長はこの勝負の後で管理者権限を上から取り消される処分を兄であるサーゼクス様から伝えられている。この前の事件で日本神話がかなりご立腹で、管理者を変更しないと土地の返還と部長の首を請求してきたからだ。因みに次の管理者はソーナ様となっていて、私達はそのサポートに付く事になっている。

 

「ここで有能さを示せば、まだ逆転の…」

 

部長の言葉を聞くのは飽きたので、何気なく外を見た私は不思議な物を見つけた。

 

「…なんだろう、あの球体?」

 

「「え?」」

 

私の呟きにつられて裕斗先輩と副部長も外を見ると、旧校舎と新校舎の周りに数個の黒い球体が浮かんでいた。

 

「…これは?」

 

「ッ!?いけない、小猫ちゃんッ‼‼」

 

私がそれに手を伸ばした瞬間、球体が一気に巨大化して私達を校舎ごと飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

『ライザー様の兵士5名、僧侶1名、騎士1名リタイア。リアス様の兵士1名リタイア。』

 

「ナーッハハハハハハハハハッ‼‼‼我が魔導【ジャガーノート】に恐れッ‼すくみッ‼理解もできぬ間に塵芥と成り果てなさいッ‼‼」

 

俺の上空で仮面ライダーヨハネに変身した善子が高笑いしながら叫んでいた。

 

これが善子が提案した事で、初っぱなから大規模魔法を両陣営に叩き込み、数を減らす作戦だ。更に旧校舎と俺達の陣地を完全に、ライザーの本陣は八割がた吹き飛ばす事でリアスを引きずり出し、ライザー陣営の昇格を封じる算段もあった。

 

向こうはフルメンバーだから、全員女王になられても面倒だしな。

 

「ここからは別れるぞ。皆、頑張れよ。」

 

「ヴァーリ君も………すぐに援護に行くから。」

 

「待ってるよ。」

 

新校舎側へと走っていく皆を見送りながら、俺は旧校舎へと向かう。

 

旧校舎の辺りは攻撃で土煙が舞っているが、場所はリアス達の魔力を辿ればすぐに分かった。

 

「な、何があったのッ!?」

 

「大規模な魔法攻撃…‼」

 

「部長、気を付けてください‼誰か来ます‼」

 

向こうが俺に気づき始めたのでゲーマドライバーを装着、ガシャットギアデュアルβを起動させる。

 

『TADDLE FANTASY!!』《Let.s going king of Fantasy!!》

 

「術式レベル50、変身。」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』『ガシャコンソード‼』

 

そして煙を波動で吹き飛ばす。

 

「ッ!?ルシファー様‼何故こちらに?」

 

「何故って………お前達を倒しに来たんだが?」

 

「どうしてッ!?貴方の相手はライザーじゃ…‼」

 

「………どうやら、君は勘違いしているみたいだな。」

 

俺がガシャコンソードの切っ先をリアスへと向けると、姫島、木場、塔城が身構える。

 

「俺はお前達の話し合いの時言ったぞ………()()()()()()()()()と。その中にお前が入ってないとでも思ったのか?」

 

「ッ!?」

 

俺の言葉にリアスは驚愕の表情を浮かべた。

 

「あの騒ぎで梨子と千歌の友達が傷ついた………その時の2人の心の痛みを………物理的に教えてやる…‼」

 

俺は眷属達に悲しい顔をさせた奴を許しはしない‼

 

剣を1度下げ、両手に黒いオーラを集めながら両手を突き出すと、俺の周りに魔導師みたいなローブに三ツ又の槍を持ったバグスター達が大量に出現する。

 

「何、あれはッ!?」

 

「これより、リアス・グレモリー及びその眷属の切除手術を開始する。」

 

『『『『『ピピーッ‼』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

私は千歌先輩達と一緒に新校舎へと向かっていました。

 

「おい黒澤、無茶だけはすんなよ。」

 

「え?」

 

「ここからはお前が知らない方が良かった世界だ。怖かったらすぐに逃げろ。」

 

そう言って兵藤先輩は厳しさを持った目で私を見てきた。

 

「………………正直に言うと、今も怖いです…」

 

「だったら…」

 

「でも、何時までもそんな自分でいるのが嫌なんです…‼兵藤先輩みたいに喧嘩とかは出来ないけど………もっと自分に自信を持てるようになりたいんです‼」

 

「………………………そうか。」

 

思ってたことを言ったら、兵藤先輩がやさしく頭を撫でてくれた。

 

「ぴぎゅ?」

 

「なら変わってみろ。お前自身の意思で。」

 

「あ………………はいッ‼」

 

ちょっと恥ずかしいけど、先輩の手………大きくて暖かいなぁ…♪

 

「貴様ら、止まれぇッ‼‼」

 

先輩の手の感触を堪能していたら、大声で誰かに呼び止められた。それで新校舎前を見たら8人の女性がいた。

 

「お前達かッ‼さっきの攻撃はッ‼‼」

 

「そうだとしたら?」

 

「許さんぞッ‼‼」

 

「ぴぎぃッ!?」

 

私はその声の迫力にビビって、兵藤先輩の背中に隠れた。

 

「言った矢先にこれじゃ、先が思いやられるな…」

 

「だ、だってぇ~…‼」

 

「作戦通り、私達が彼女達の相手をするから二人は先に行って。」

 

「「了解/あいよ‼」」

 

「千歌ちゃん、私の分までお願いね?」

 

「合点承知‼」

 

桜内先輩の言葉に兵藤先輩と高海先輩は走り抜けていく。

 

「逃がさんッ‼」

 

「それはこっちのセリフです。」『BANG BANG SIMULATIONS!!』《I Leady for Battleship!!》

 

何人かが先輩達を追いかけようとしたけど、桜内先輩が呼び出した戦艦?みたいなのに砲撃を受けて足止めされ、一人だけ逃げられたけど他の足止めに成功した。

 

「この…‼」

 

「第伍拾戦術。」

 

「GEAR FIFTY。」『HIGH SPEED・HIGHWAY!!』《Top Gear and Max Speed!!》

 

「「変身。」」

 

『『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

『ダッシュ‼ダッシュ‼ダッシュ‼エ~ンジンを全開‼ブッちぎれ‼ハイスピード・ハイウェーイ‼』

 

そして善子ちゃんと桜内先輩、小原先輩も変身する。

 

「ルビィちゃんも変身を‼」

 

「は…はいッ‼」

 

私は前に渡されたバグルドライバーⅡを腰に当てて装着した。これは本来バグスターさん専用らしいんだけど、これは人間が使っても大丈夫な様に改良してあるんだって。

 

そして手に持ったガシャットを起動させた。

 

『きらめきアイドル‼』

 

すると後ろにゲームのスタート画面が出てきて、色んな色のメダルが出てきた。

 

「あれ?明日那さんの声だ…」

 

先輩達のと違い、何故か明日那さんの声になってるのを不思議に思いながらドライバーのAボタンを叩き、流れ出す軽快なメロディーに合わせ顔の左右で手を叩きその場で時計回りに回って最後にウィンクしたら右手を横に伸ばし…

 

「変身ッ‼」

 

ガシャットをドライバーに差して、横のボタンを押した。

 

『ガシャット‼』『バグルアップ‼』

 

すると目の前にゲートが現れて、それを潜ると黒いボディスーツに足には爪先が白地で足首がピンクと白のチェック柄、腰の部分はピンクと白のチェックに所々紺色がアクセントに入っているスカート、胸の部分は桜色とチェック柄に左胸の大きなリボンが付いたまるでマーチングバンドの様な感じになっていて、頭は赤い髪を右に纏めたサイドテールで翠色の瞳の姿に変わった。

 

『トゥインクルガール‼(Wooooo!!)星のオーディション‼素敵な笑顔‼きらめきアイドル‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダー…エール♥」

 

変身が終わったら、私は近くのメダルに触れた。

 

『ミュージック‼』

 

すると何処からともなく、音楽が流れ始める。

 

「皆に届け‼私の歌声(エール)‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

私は兵藤君と一緒にフェニックスの気配がある屋上に向かっていた。因みに女王には昇格済みです。

 

「………おい高海、先に行け。」

 

「え?兵藤君は?」

 

「俺は先にアレを倒す。」

 

そう言って階段の下を見ていたので、私も覗くと一人の女性がいた。

 

「貴女は?」

 

「私はイザベラ、ライザー様の戦車だ。」

 

「戦車っていやぁパワーと防御が自慢の奴か。」

 

「大丈夫なの?」

 

「嘗めんな、3分で終わらせてやるよ。だからお前はあのホスト鳥を屋上に釘付けにしておけ。」

 

そう言って両手の指の骨をゴキゴキ鳴らしながら、女性の方へと向かっていった。

 

「わかった。でも、私が倒しちゃってもいいんでしょ?」

 

「ハッ‼やれるもんならな?」

 

『SAVIOR STORY!!』《Saviour is Around the World!!》

 

「変身。」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』

 

『立てよ勇者‼纏え龍を‼セイヴァー・ストーリー‼』

 

兵藤君はドラゴネスになると、女性へと突っ込んでいった。

 

その隙に私は階段を駆け上がり、屋上へと出る扉を開けて外に出ると、そこにライザー・フェニックスがいた。

 

「なんだ…来たのは貴様か。てっきり混血かあの忌々しい人間だと思ったんだが……レイヴェルも何故混血や人間に興味を持つのか理解できんな。」

 

ふーん、向こうの眷属にも血で差別をしない人がいるんだ…

 

「悪いけど、あの二人なら来ないよ。」

 

「なに?」

 

「だって貴方は………私が攻略するから‼」

 

私はフェニックスに対してそう宣言し、ゲーマドライバーを装着したらリゼヴィムさんに貰った物を取り出す。

 

それは全体が銀に金の縁取りがされ、基盤にあたる部分は黒で金色の模様があり、底の方にはマゼンタの逆立った髪にゴーグルから覗くオレンジの瞳のキャラのオブジェが付いたスイッチがある大型のガシャットだった。

 

(千歌、貴女まだコレの使い方よく理解してないでしょ?)

 

(うぐッ!?………はい…)

 

(なら、私に代わりなさい。使い方を見せてあげるから。)

 

(お願いします…)

 

心の中でもう一人の私と話してから、起動スイッチを押して人格を入れ換えた。

 

『マキシマムマイティエーックス‼』

 

するとワタシを中心に、金とピンクのゲームエリアが展開され、エナジーアイテムが散らばった。

 

「さあ、覚悟しなさいフェニックス。ワタシの友達を傷つけた罪は重いわよ?」

 

「フンッ‼貴様の様な下級悪魔では、俺の勝ちに花を添えるだけだぞ?」

 

「そんなの知ったことじゃないわ。だって……」

 

ワタシは左手にガシャットを反転させて持ち換え右前に突き出し、右手を左前に突き出して左手の上を交差する構えを取る。

 

「貴方の運命は…ワタシが変えるから。」

 

(ヨーシ‼‼あの掛け声、お願いね‼)

 

(はいはい。)

 

ワタシは息を軽く吸い込み、千歌の考えた言葉を叫んだ。

 

「マックス大変身ッ‼」

 

そして左手を上に思いっきり上げたら、それを下ろしながらドライバーにガシャットを差し込んだ。

 

『マキシマムガシャット‼』

 

そしてバックルのレバーを思いっきり開いた。

 

『ガッチャーン‼レベルマァァァックスッ‼‼』

 

するとワタシの前に巨体な顔から手足が生えた様な絵が描かれたゲートとキャラアイコンが出てきて、ワタシは右手を伸ばしてガシャットのオブジェと似たキャラをセレクトする。するとワタシの体がオブジェと似た顔になり胸にはライフゲージと剣とハンマーのアイコン。マゼンタのボディスーツといった奇抜な姿となり、頭上にこの顔を更に巨大化させた物が出てきた。

 

《最大級のパーワフルボディ‼ダリラガーン‼ダゴズバーン‼最大級のパーワフルボディ‼ダリラガーン‼ダゴズバーン‼》

 

「フッ‼」

 

妙な待機音が流れる中、ワタシは左手を握り締めてオブジェが付いたボタンを押し込んだ。すると前のゲートの色が黄色に変わり、顔の上の所にオブジェと同じ紫の顔が浮かび上がるとワタシはそれを潜って飛び上がり、体を丸めて巨大な顔の中に入ると手足が生え、上のシャッターが左右に開きそこから顔を出してそれを装着した。

 

『マキシマームパワー‼エーックス‼‼』

 

「なんだ、そのふざけた姿はッ!?」

 

「見た目で判断しない方がいいわよ?なんてったって今のワタシの(あッ‼そこからは私に言わせてッ‼)ってちょッ!?」

 

続きのセリフを言おうとしたら千歌に無理矢理人格を入れ替わられた。

 

「私のレベルはマキシマム……レベル99(ナインティナイン)だあッ‼‼」

 

私は今まで以上にみなぎる力を声に乗せて、フェニックスへと高らかに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、現実の生徒会室では……

 

「なんでまた私の声でガシャット作ってるんですかァァァァァァァァァァァァッ‼‼‼」

『ガッチャーン‼』

 

「落ち着け、ポッピーピポパポッ‼バクヴァイザーⅡで社長を斬ろうとするなッ‼!?」

 

「だから今は明日那だってばァッ‼‼」

 

自分の声でガシャットを作られた事に怒った明日那がリゼヴィムに斬りかかろうとしてるのを、グラファイトが羽交い締めにしてなんとか抑え込んでいたり、

 

「千歌ちゃんのアレ……なに?」

 

「なんというか……奇抜?」

 

「どうみても、微妙ですわね…」

 

「おおーッ‼スッゴい格好いいズラッ‼‼」

 

「「「えッ!?」」」

 

マキシマムゲーマーを見た四人のこんなやりとりがあったとか。




いかがでしたか?

次回は本当に一誠の変身になります‼‼

次回【混ざり合うDragons!!】

それと活動報告で別作のアンケートをしているので、良ければ意見をお願いします。


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混ざり合うDragons!!

どうも、疾風の警備員です。

本当にお待たせしました。途中、新作のアイディアが浮かんでそれを書いたり、シンフォギアXDのアプリをしてて遅れました。

ようやく一誠、変身です‼(最後の方で、戦闘シーンは次回ですけど)

では、どうぞ。


千歌side

 

「よーし‼‼ノーコンティニューでクリアしてあげる‼‼」

 

(その前に交代しなさい…)

 

(あ、はい…)

 

少し怒りを込めたワタシの言葉に、千歌は大人しく従って人格を入れ換えた。

 

「まったく、千歌の子供っぽさに付き合うのは疲れるわ…」

 

(む~…‼私、子供じゃないもん‼)

 

「おだまり。ほら、行くわよ。」

 

マキシマムゲーマを纏ったワタシはフェニックスへと走り出す。

 

(思った以上に動かし易いわね。これなら戦闘も大丈夫ね。)

 

「下級悪魔風情が…‼」

 

フェニックスも近づかせないように火球を飛ばしてくるが、ワタシは気にせず走り直撃して爆発が起きる。

 

「ハッ‼やはりそのてい「ハアッ‼」なにッ!?」

 

向こうは勝利を確信してたみたいだけど、ワタシはその爆発の中を突っ走りフェニックスに近づいたら顔を思いっきり殴り飛ばす。

 

「ブボォッ!?」

 

「もう1発‼」

 

飛んでいくフェニックスに右腕を伸ばして服を掴み、こちらへと引き寄せて左手で再度殴り飛ばした。

 

「まるで海賊王を目指す少年みたいね。」

 

(目指さないけどね。)

 

吹き飛んだフェニックスは壁にぶつかって倒れるが、殴られた顔の部分が炎に包まれ、それが消えると殴られた跡が綺麗さっぱり治っていた。

 

「この…ッ‼」

 

「厄介だわ、あの回復力は…」

 

(だったら、回復する間もないくらいに攻撃してみる?)

 

「そうね、()()をやるのはもう少し弱らせてからにしましょう。」

 

『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

ガシャコンウエポンを持ち、ワタシはフェニックスへと向かう。

 

「ナメるなァッ‼」

 

フェニックスは正面に魔法陣を描くと、そこから炎を吹き出してくる。

 

「さすがに蒸し焼きは勘弁よ。」

 

耐えられなくもないが、ワタシは暑いのが嫌なのでガシャットの側面にある黒いボタンを押し、押した本体下部のボタンを元に戻して自身をゲーマから上空に射出・分離した。

 

「なにッ!?」

 

それに驚くフェニックスだが、その間に無人のマキシマムゲーマが炎の中から飛び出し、魔法陣を砕いた。

 

「無人で動くだとッ!?」

 

「どこを見てるの?」

 

動きが止まっている所に落ちてきたワタシは顔面に回し蹴りを食らわせる。

 

「うぐッ!?」

 

「続けて…‼」

 

「させんッ‼」

 

「くッ!?」

 

そして着地と同時にもう一撃当てようとしたが、フェニックスが炎の壁を作り出したので、慌てて飛び下がりマキシマムゲーマに再び搭乗する。

 

「なら、これよ。」『ズキュ・キュ・キューン‼』

 

「グボぉッ!?」

 

キースラッシャーをガンモードにし、パネルの黄色いボタンを2つ押して再度ガンモード選択ボタンをおし、強力なエネルギー弾で壁を突き破ってフェニックスに命中し、出入り口の壁に叩きつけられた。

 

「さっさと落ちなさい。」

 

めり込んでいるフェニックスの足を掴むと、頭上で投げ縄みたく振り回し、そのまま下へと叩きつけると、床を突き破って一階まで落ちていった。

 

「まだ足りないと思うから、もう少しいたぶりましょうか。」

 

そう思ったワタシは、フェニックスが落ちていった穴に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子side

 

 

ー推奨BGM【君の心は輝いているかい?(ルビィソロver)】ー

 

 

「これが……エールの力…?」

 

フェニックス眷属と戦闘を始め、ルビィちゃんがエールに変身し音楽に合わせて歌い始めた瞬間、私の視界の端に沢山のアイコンが浮かび上がった。絵柄は剣だったり盾だったり、魔法陣やハートマークと様々だけど共通しているのがそのアイコンの右下にプラスのマークが入っていた。これはつまり……

 

ステータス強化(バフ)を付与させる……これがエールの能力なのね…‼」

 

「みなぎるぞパワァーッ‼溢れるぞ魔力ッ‼震えるほど暗黒ウゥゥゥゥゥゥゥッ‼‼」

 

「エンジン全開、行っくわよぉーッ‼」

 

そのせいなのかよっちゃんと鞠莉さんのテンションも高くなっていた。ていうか、よっちゃん煩いよ。

 

「戦場で歌とは……随分と呑気なものですわね?」

 

「させないッ‼」

 

その時、向こうの女王がエールを狙っていたので、私はすぐに彼女をロックオンして撃ち落とした。

 

「ガハッ‼く……やりますわね‼」

 

「貴方の相手は……私よ。爆発女王(ボム・クイーン)さん?」

 

「いいでしょう、受けてあげますわ。戦艦王女(バトルシップ・プリンセス)?」

 

そうお互いの二つ名を告げると、周囲で爆発が連続で発生した。

 

彼女は爆発系の魔法を得意としてるので、対処が難しい。でも……

 

「これで終わり…「そんな事無いですよ。」……予想してたけど、やっぱり悔しいわね…」

 

その中でも、私はその場に平然と立っていた。

 

「今の私達には【魔防アップ】と【HP増量】、【HP自動回復】のアイコンもありますから。生半可な攻撃なら通じませんよ?」

 

「そう……なら、一撃で沈めてあげましょう‼」

 

そう言って彼女は魔力を貯めていくが、私もその隙を逃すつもりはない。

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

ベルトのレバーを閉じて、砲身にエネルギーを充填していくが、バフのお陰ですぐに完了したので一気にレバーを開く。

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

「発射ッ‼」

 

そして全砲門を彼女に向け、一斉射した。魔力を貯めていた彼女は回避が間に合わず、直撃して落ちた。

 

『ライザー様の女王、リタイア。』

 

「ふう、他の皆は…」

 

『ライザー様の戦車、リタイア。』

 

そこに別のアナウンスが入る。でもここに戦車は一人いるから、たぶん千歌ちゃん達を追っていった方かな?

 

『ガッチャーン‼ WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

「マリー、しゃがみなさい‼撃ち抜け、雷神‼ジェット・ザンバーッ‼‼」

 

「Whatッ!?ひやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

『ライザー様の戦車1名、騎士1名、兵士3名リタイア。』

 

鞠莉さんがその場でしゃがむと、よっちゃんが作り上げた巨大な魔力刃を横凪ぎに振るい、校庭に残っていたフェニックス眷属を僧侶を残して斬り棄てた。

 

「もうッ‼ワタシまでkillつもりだったでしょッ!?」

 

「いや~、魔力がみなぎり過ぎちゃって……てへぺろ♪」

 

「まったく…私の出番、殆どなかったじゃない。」

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……」

 

「るびぃ~…歌い終わりましたぁ~…」

 

そこでエールの歌が終わり、私達にあったバフも消えた。

 

どうやら歌っている間のみ、バフが付くみたいね。

 

「ルビィちゃん、少し休んでて。」

 

「はいぃ~…」

 

地面に座り込むルビィちゃんを背後に置くように立った私達は、残っている僧侶の子を見る。

 

「で、貴女はどうするの?」

 

「……さすがに私も一人で貴女方と戦って勝つ自信はないので、リザインいたしますわ。それと、兄が無礼な事を言ってしまい申し訳ありませんでした。」

 

「え?」

 

「私は別に純血だの混血だのに、こだわるつもりはありませんの。相手を判断するのに一番重要なのは【心】と思ってまして、貴女方の王は私から見ればとても素晴らしい方だと思いますわ。」

 

『レイヴェル様のリザインを承認します。』

 

「それでは、謝罪はまた後ほどに。」

 

そう告げて、彼女は転移していった。

 

「……そういえば私達、戦う事になった理由聞いてなかったね。」

 

「でも、もし(ソレ)の事だったら納得だわ。」

 

「ヴァーリったら、それで悪魔に良い印象持ってないし。」

 

「やっぱり……(ドゴオォォォォンッ‼)な、なにッ!?」

 

「るびぃッ!?」

 

突然聞こえた轟音に私達は驚き、その音の方を見たらフェニックスが全身を炎で再生していた。その奥の校舎には人一人が通れそうな穴が開いていて、そこから巨大な顔の鎧を身に纏ったライダーが出てきた。

 

「「「だ、誰ッ!?」」」

 

「あら、あなた達まだここに居たのね。」

 

「その声……千歌ちゃんッ!?なにその姿はッ!?」

 

「これが仮面ライダーエグゼイド・レベル99よ。」

 

「「「ナインティナインッ!?」」」

 

そのレベルに私達は驚くしかなかった。まだグラファイトさんしか到達していない最高レベルに、千歌ちゃんが辿り着いたのだから。

 

だからってここ小説まだ2章だよッ!?いくらなんでも早すぎでしょッ!?もうパピプペポカーンだよッ‼

 

「梨子、落ち着きなさい。メタ発言は禁止だしポッピー化してるわよ?」

 

「はッ!?」

 

動揺のし過ぎでキャラが変わってしまい、それを千歌ちゃんに指摘された。うう……恥ずかしい…

 

「クソ…‼この俺がここまでコケにされるなんてッ‼」

 

「あら、まだ意識があったのね?」

 

そこに回復が終わったフェニックスが立ち上がる。ただ、ダメージが抜けきってないのか、足取りはフラフラだ。

 

「そろそろコチラの切り札を切りましょうか。」『ガシューン。』

 

千歌ちゃんはガシャットをバックルから抜くと、それをキースラッシャーにセットした。

 

『マキシマムガシャット‼キメワザ‼』

 

「喰らいなさい‼」

 

『MAXIMUM MIGHTY!! CRITICAL FINISH!!』

 

そしてキースラッシャーから放たれたビームが、フラフラなフェニックスに直撃した。

 

「うあッ!?………………ん?なんだ、不発とはお粗末な代物だな?」

 

しかしフェニックスは平然としていた。まさか、失敗したの…?

 

「さて、それはどうかしら?」

 

そう言うと千歌ちゃんは高速でフェニックスに近づき、キースラッシャーで胸を軽く切った。

 

「フンッ‼この程度の傷などすぐに…………………………ッ!?な、何故回復しないッ!?」

 

しかし、炎に包まれて傷が治る事はなかった。

 

「何がどうなってるッ!?貴様ッ‼一体何をしたッ‼‼」

 

「答えは簡単……貴方の再生能力を【リ・プログラミング】しただけよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「やはりバグスターウィルス達では、足止めが精一杯か…」

 

俺は目の前で戦っている戦闘員達を見ながらそう呟く。ある程度戦えてはいるのだが、グレモリーの持つ滅びの魔力の前では意味をなさないのか、あっさりと倒されていく。

 

「ならば、そろそろ俺も動くか。」

 

右手を前に出して視界にグレモリーを捉え、念動力を使って彼女を拘束する。

 

「こ、これは…‼」

 

そのまま彼女を浮遊させると、近くの木や壊れた校舎の破片へと次々にぶつけていき、最後は俺に雷撃を飛ばそうとしていた姫島へとぶつけてやった。

 

「「キャアアァァァァァァッ‼‼」」

 

そのまま地面へと落ち、倒れている所に近づこうとするが、右側から木場が剣を持って飛び込んでくるのを下がって回避する。その間に塔城がグレモリー達を庇う位置に立つ。

 

「部長はやらせないッ‼」

 

「ならば来い。」

 

「テヤッ‼」

 

木場は二刀流になると騎士の速度を使って右の剣で高速の突きを繰り出して来るが、俺は刀身の側面に手を当てて軌道をずらして受け流し反転して振られたもう1つの剣をマントで包みそのまま圧壊する。

 

「くッ!?」

 

「裕斗先輩ッ‼」

 

それを見た塔城が飛び出して来たので、そちらに視線を向けた瞬間、木場は背後から右手の魔剣を振るってくるが俺は透明なバリアを張って防ぎ、がら空きの腹に掌底を当てて突き飛ばす。続けて後ろから来る塔城をいなし、裏拳を繰り出す前に波動を当てて吹き飛ばした。

 

「キャアッ!?」

 

「小猫ちゃんッ‼」

 

吹き飛ぶ彼女を木場はギリギリで受け止めた。

 

「同時に行こう‼」

 

「はいッ‼」

 

二人は立ち上がると同時に俺へと向かって来るので、俺はマントを翻しながら瞬間転移で二人の背後に回り、右腕にマントを巻き付けるとそれを槍みたく伸ばして連続で突いていく。

 

「く……ぐぅ…‼」

 

「うあ…‼」

 

ある程度攻撃したら今度はバグスターウィルス達を弾丸の様に飛ばして二人に追撃を加えていき……

 

「ガハ…‼」

 

「あ……グう…‼」

 

『リアス様の騎士1、戦車1名リタイア。』

 

二人をリタイアさせ、残る二人を見ると魔力を両手に貯めていた。

 

「二人が作ってくれた時間……無駄にはしないわッ‼」

 

「これならいけますわ、リアスッ‼」

 

「残念だが…………それでは勝てん。」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

俺はレバーを閉じ、足に力を貯めていく。

 

「ついでだ。」『マッスル化‼』

 

更にマッスル化のアイテムをゲットしたら、グレモリー達へと駆け出す。

 

「喰らいなさいッ‼」

 

その途中でグレモリーと姫島が魔力を合わせて極太のビームを放ってくるが……

 

「突き破るッ‼」

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

俺は必殺技を発動し、強化された力で飛び蹴りを放ち魔力砲を突き抜けて、驚きに染まっている二人を蹴り飛ばした。

 

『リアス様、リアス様の女王1名リタイア。これにより、リアス・グレモリー様の敗北が決定しました。』

 

「与えられた役割の重さを……しっかりと受け止めろ。」

 

そのアナウンスを聞いた俺は、瞬間転移で皆の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「リ・プログラミング……だと……!?」

 

「ええ、その力で貴方の再生能力を無力化したのよ……永遠にね?」

 

「なッ!?」

 

ワタシの言葉にフェニックスは驚愕と絶望が混じったような表情をする。それはそうだ、自分の最大の特徴を完全に消されてしまったのだから。

 

「ふざけるなッ‼‼さっさと戻せッ‼‼」

 

「イヤよ、戻して欲しかったらワタシを倒してごらんなさい?」

 

「貴様アァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

フェニックスは怒り狂い、炎の弾丸を飛ばしてくるが今のワタシには何のダメージもないので、そのまま駆け寄り顔を殴り飛ばす。

 

「ブゴッ!?」

 

「不死身じゃ無くなれば、ただの鳥ね……よく飛ぶわ。」

 

「ふざけるなァッ‼」

 

「本当の事じゃない。」

 

今度は両手に炎を灯しながら向かってきたのでワタシも駆け出し、拳同士をぶつけ合うけどコチラのパワーはトン単位……並の悪魔ごときが受け止められる一撃ではない。つまり……

 

「グアアアアアアアッ!?お、俺の手が…‼」

 

向こうの手の骨が砕けるだけだ。

 

「ふッ‼」

 

「ゴッ!?」

 

ワタシは彼にアッパーを当てて上に打ち上げ、落ちてワタシの前に来たら全力の右ストレートをお見舞いしてあげた。

 

「セヤァッ‼‼」

 

「ウギャバラッ!?」

 

情けなく転がっていく彼に追撃を加えようとしたら……

 

「オイオイ、俺は屋上に釘付けにしとけって言ったよな?打ち過ぎて下に落とすとか勘弁しろよ……屋上まで行って降りてきた俺の労力どうしてくれんだよ、ああ?」

 

突き破った校舎の壁の穴から兵藤君が出てきた。

 

「あら、それはもう一人のワタシがした約束よ?ワタシには関係ないわ。」

 

「訳わかんねぇ事ほざいてんじゃねぇよ。いいから退け、こっからは俺の番だ。」

 

「……………………どうする、千歌?」

 

(私はもう充分だから。代わってあげよ?)

 

「ハァ……わかったわ、好きになさい。」

 

『ガッチョーン、ガシューン。』

 

ワタシは変身を解くと、肉体を千歌に返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「おい魔女っ子、俺とそこのホスト野郎を回復しろ。」

 

「はあッ!?番長先輩はまだしも、何で敵を回復しなくちゃならないのよッ‼」

 

俺の提案に魔女っ子は不服の声を出すが、お前の意見はどうでもいいんだよ。何故なら……

 

「そんなの、俺が楽しむ為に決まってんだろ?」

 

これ以外に理由なんてないんだからな。

 

「………………何言っても無駄みたいね。わかりました‼やれば良いんでしょ、やればッ‼‼」

 

「それでいいんだよ。」

 

魔女っ子が何かを呟くと足下が光り、疲れが一気に無くなっていく。

 

「あの……兵藤君?」

 

「ん?」

 

そこに高海が話し掛けてきた。

 

「お願い、曜ちゃんの心を助けてあげて‼」

 

「…………どういう意味だ?」

 

「曜ちゃん、ずっと自分を責めてたの。兵藤君を危険な世界に行かせてしまったのは自分だって。でも、兵藤君なら…‼」

 

そういう事か……アイツ、まだ気にしてたんだな。助けられたのはお前だけじゃないってのに……

 

「確かに、それは俺の役目だな。良いぜ、やってやる。」

 

「お願い‼」

 

そこで光りが消えた。体の調子はバッチリだな。

 

「おい人間、貴様は後悔する事になるぞ?俺を回復させた事をな‼」

 

「ちょっとは黙れよ。ピーチクパーチクさえずりやがって、親にエサをねだる雛鳥ですかコノヤロー。」

 

「この…‼」

 

『リアス様、リアス様の女王1名リタイア。これにより、リアス・グレモリー様の敗北が決定しました。』

 

そこに放送が入る。へぇ……ルシファーの奴もやるな。

 

「お、間に合ったか。」

 

そこに転移でやって来たルシファーが来る。

 

「俺達がトリみてぇだな。んじゃ、始めようぜ?」

 

俺はガシャットギアデュアルΣを取り出す。

 

「まったく………………心が高ぶる…‼」

 

そして()()()()()()()()にバックルに装填した。

 

『デュアルガシャット‼』

 

すると俺の後ろにセイヴァー・ストーリーとサバイバル・ドラゴンの2つのスタート画面が現れて、赤と白のゲームエリアを展開していく。

 

「なッ!?そのシステムはまだ教えてない筈…‼お前、どこでそれを!?」

 

「あいにくと独学さ。」

 

《Saviour is Around the World!! Battle of Dragons!!》

 

2つのゲームの待機音が混ざったものが流れる中、俺は左手を握りながら右肩辺りまで持っていき、右手でベルトのレバーを掴む。

 

そういや掛け声決めてなかったな………………さっき聞こえた高海のを借りるか。

 

「マックス大変身。」

 

そして左手を左横に一気に移動させながらレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼マザルアップ‼』

 

すると背後のスタート画面が1つに重なり、俺の前には斜めに区切られ上がセイヴァー・ストーリー、下がサバイバル・ドラゴンの変身形態が描かれたゲートが現れ、それを潜り抜けると、赤と白が交互に並ぶ逆立った髪に龍の口を模したメタリックブルーのゴーグルから覗く左が翠、右が紫の瞳。胸にはゲージと拳と盾、更に剣と銃のアイコンがプラスされ、背中には折り畳まれた2つの翼の骨組みがあり、体の左側がメタリックレッドで右側がパールホワイトで彩られたカンフーの胴着みたいな装甲に変わり、ボディスーツの白い所には牙、赤い所には鱗の模様が入り更に同じ絵柄が入った腰だれとサイドスカートで縁取りや足にはメタリックブルーのラインが入った姿に変わり、後ろでゲートが炎で燃え尽きる演出が入りながら消えた。

 

『赤き帝王、強化‼白き皇帝、弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

「ふう。」

 

「な、なんだその姿はッ!?」

 

「ん、これか?セイヴァー・ストーリーとサバイバル・ドラゴンのレベル50の2つのゲームを混ぜ合わせて作り上げた、その名も…」

 

俺の後ろに、5体の龍に果敢に立ち向かおうとする勇者の絵が描かれたスタート画面が現れる。それは勇者がドラゴンに囲まれる中で生き残る為に必死に戦おうとするものに見える。

 

そして画面の上部に炎が映り、それが消えるとタイトルが浮かび上がった。

 

「【セイヴァー・サバイバル】。」

 

「「「「新しいゲームッ!?」」」」

 

高海達が驚きの声を上げる中で、俺は両手を胸元で構えるいつものファイティングポーズを取り……

 

「仮面ライダードラゴネス……レベル99(ナインティナイン)…」

 

そう、静かに呟いた。




いかがでしたか?

次回、一誠大暴れ&フェニックス編最後になります。

では、また次回にお会いしましょう。


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笑顔のTear

どうも、戦姫絶唱シンフォギアAXZの【旋律ソロリティ】を早くフルで聞きたい疾風の警備員です。アレはシンフォギアシリーズの中でも屈指の神曲だと思ってます。

今回でフェニックス編は終了です。

ドラゴネス・レベル99となった一誠の力を少しだけど出して、フェニックスを圧倒していきます。

では、どうぞ。


シンフォギアAXZの4話のBlu-ray予告を見て、しばらく切ちゃんの抜剣を聞くと思い出し笑いしそうwww


一誠side

 

「仮面ライダードラゴネス……レベル99…」

 

「またレベル99だとッ!?しかし貴様は人間‼さっきの小娘と違い能力的には圧倒的に下ッ‼それで俺様に勝てると思う…「だから、うっせぇよ。」なびゃッ!?」

 

さっきからしつこく鳴く鳥ヤローを黙らせるため、俺は一気に懐に飛び込んで腹に拳をめり込ませた。

 

「お…‼うぐ…」

 

「相手を見た目で判断しないのは、喧嘩の鉄則だ…ぜッ‼」

 

「ブッ!?ガッ!?ブグォッ!?」

 

「ついでだッ‼‼」

 

「オギュバァッ‼」

 

腹を抱えて前のめりになるヤローの頭を両手で掴み、そのツラに3度膝蹴りを叩き込む。そして手を離し右ストレートを顔の中心部にお見舞いする。

 

「まだまだいくぞッ‼‼」

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

籠手を装着し、Bボタンを3連打して再び接近を開始する。

 

『Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「このクソガキがアァァァァァァぁぁぁぁッ‼‼」

 

ヤローは火の玉を飛ばしてくるが、それら全てを拳で叩き落とし、右手で腹を殴る。

 

「グォッ!?」

 

「今度はこっちだッ‼」

 

『ガ・キーン‼』

 

『Divide!!Divide!!』

 

Aボタンで籠手を盾モード変え、Bボタンを2連打してから左手で顔を2度殴る。

 

「ぶッ!?バッ!?」

 

「吹っ飛べッ‼‼」

 

そして回し蹴りで遠くへと蹴り飛ばした。

 

「な…なんだ…?奴の力が上がっている…だと…!?」

 

「【ガシャコンガントレットで自由に自身や相手を強化・半減出来て、その効果は変身解除するまで持続する。】それがセイヴァー・サバイバルの最大の能力なのさ。」

 

ようは2つのゲームが混ざった事で互いの欠点を消し去り、俺向きになった感じだな。

 

「覚悟しろよ?テメェは既に俺の怒りに火を付けたんだからな…‼」

 

さっき倍加された力で一気にヤローの眼前まで移動し、その顔面を左拳で打ち抜く。

 

「ゲボァッ!?」

 

「まだ終わりにはしねぇぞ?テメェには曜を……俺の恩人を傷つけた礼を、百万倍にして返さないといけねぇからな。」

 

「ガハッ‼お……恩人だと…!?」

 

「そうだ、俺の心が暗闇の底に沈まない様に、ずっと手を握ってくれていた俺の大切な人だ。」

 

俺はそこで曜と出会った頃の事を思い出した。

 

小学校低学年の頃、俺は今みたいなやさぐれた性格ではなく、感情を表に出さない根暗なやつだった。こうなったのは目立つ事であのクソ兄貴と比べてくる周りの人間と関わるのに嫌気が差していたからだ。

 

だからあまり外で遊ぶ事はなかったし、外に出ても公園のベンチに座って空を眺めたり携帯ゲームをやっているくらいだった。

 

『ねーねー、何やってるの?』

 

そんなある日、俺が外でゲームをやっていたら一人の女の子が俺に話し掛けてきた。

 

『別に……ゲームしてるだけ。』

 

その時俺がやっていたのは、現実世界とネットの世界を主人公とそのアバターナビで行き来しながらボスを倒して事件を解決するアクションRPGで、シナリオは終わっていた俺はやり込み要素であるバトルアイテムの収集をやっていた。

 

『へー、見ててもいい?』

 

『好きにすれば。』

 

隣に座ってきたその子の言葉に素っ気なく返して、俺は再びゲームに意識を向けた。残っていたのは裏ボスが落とす最高ランクのアイテムだけだったので、対裏ボス用にアイテムデッキを編成してフィールドを歩き回り、ソイツと出会った。

 

『わわッ‼何か強そうなの来たよッ!?』

 

『うるさい。』

 

ソイツの声を鬱陶しく思いながらも、俺はネットなどで調べた瞬殺コンボを使って僅か15秒で倒し、最後のアイテムをゲット出来た。

 

『よし、これでコンプリート。』

 

『わあッ‼スゴいスゴーいッ‼あんなに強そうなの、一瞬で倒しちゃった‼』

 

『別に凄くないよ……ネットで攻略方法を調べたから。』

 

『えー……でもでも‼知ってるからって出来る訳じゃないんだよ!?私もお母さんにお料理習ってるけど全然美味しく出来ないし…』

 

『ふーん…』

 

その子の話を軽く聞き流しながら俺はセーブしたゲームの電源を落とし、ベンチから立ち上がった。

 

『あれ、どこいくの?』

 

『家に帰る。』

 

『そっか……ねぇ、また会える?』

 

『さあね。』

 

そのまま俺はスタスタと歩いて、家に帰った。

 

次の日、俺は今度は世界中で大人気の携帯獣のゲームを持って再び公園のベンチで遊んでいた。

 

その時はまたあの子が来るのかどうかは気にしていなかった。

 

『う~んと……あ、いた‼』

 

『ん?』

 

そこに大きな声が聞こえたので、画面から目を離すと昨日来た女の子がいた。

 

『今日もゲームしてるの?』

 

『別にいいだろ。何してようが俺の勝手だ。』

 

『じゃあさ、一緒に遊ぼうよ‼』

 

『やだ。』

 

『えーッ!?』

 

『俺は一人でゲームやってる方が楽しいから。』

 

そう言って視線をゲーム画面に戻すと、顔をその子の手で挟まれ強引に視線を上げられた。

 

『なにすんの?』

 

『ゲームばっかりやってたら、目が悪くなっちゃうよ‼』

 

『そんなの君に関係ないでしょ?』

 

『むーッ‼』

 

彼女はそう言われて頬を膨らます。

 

俺は顔を押さえられているので、自分と彼女の顔の間にゲーム機を持ってきて再び始めようとしたら、彼女は顔から手を離し今度は俺の両手を掴んできた。

 

『ゲームなら後で出来るでしょ‼だから一緒にあ~そ~ぼ~う~よ~ッ‼』

 

『い~や~だ~ッ‼』

 

そして俺を引っ張ってきたので、負けじと抵抗した。

 

『曜ちゃ~ん‼何やってるの~?』

 

こんなやり取りをやってたら、また一人女の子がやって来た。

 

『この子に一緒に遊ぼうって言ってるのに、遊んでくれないの~ッ‼』

 

『だから嫌だって言ってるだろ~ッ‼』

 

『こ~らッ‼二人ともそこまでッ‼』

 

そのまま引っ張り合いが続くかと思ったけど、新しく来た子が俺達を引き剥がしてくれた。

 

『曜ちゃん、あんまり無理に誘っちゃダメだよ?』

 

『だって~…』

 

『だってじゃありません。』

 

『はぁ~い…』

 

『君も何で一人でいたがるの?』

 

『俺は誰とも遊びたくないから。それにどうせ何やっても兄ちゃんと比べられるだけだし。』

 

『お兄ちゃんがいるの?』

 

『双子のね。もういい?ゲームしたいんだけど。』

 

『あ、うん。曜ちゃんがごめんね?』

 

『別に…気にしてないから。』

 

『今度会ったら、絶対に遊ぼうね~ッ‼』

 

そう言って離れてく二人を少し見送った後、ここでゲームをやる気分じゃ無くなったから、俺はそのまま家に帰った。

 

そしてそれから4日経ち、今度はピンク玉の腹ペコ生物のゲームをその公園でやっていたら…

 

『やっと見つけた~ッ‼今日こそは一緒に遊ぼう‼』

 

例の女の子がまたやって来た。

 

『はあ~…』

 

俺はため息を吐いてから、ゲームをセーブして電源を落とし、彼女を見た。

 

『ねえ、何でそんなに俺と遊びたいの?』

 

『え?』

 

『俺みたいなのと一緒にいるよりも、兄ちゃん達みたいなのと遊んだ方が楽しいと思うけど…』

 

『私は君と遊びたいのッ‼』

 

『なんで?』

 

『う~ん………………私が一緒に遊びたいからッ‼』

 

『へ……?』

 

その言葉に俺は唖然とした。そんな理由で自分に話しかけてくる奴なんていると思ってなかったからだ。殆どの奴等は自分をだしにして兄ちゃんと仲良くしたい奴ばかりだったからな。だから、自分を自分と見てくれているこの子の言葉が嬉しかった。

 

『初めてだよ、誰かからそんな風に言われたの。』

 

『そうなの?』

 

『うん。ねぇ、君の名前は?』

 

『わたし?私は【渡辺 曜】っていうの‼』

 

『曜ちゃんか……俺は兵藤 一誠、よろしく。』

 

『よろしくね、一誠君‼』

 

それからは曜とその幼馴染みの【松浦果南】と一緒に遊ぶ様になった。ただし、なるべくクソ兄貴とは会わない様にして……

 

クソ兄貴と会った女の子は何故かアイツに惚れるらしい。効かない子もいるみたいだけど。

 

それから数年経ち、中学に上がると俺の性格も大分改善し、それなりに友達も出来たがやはり曜達と一緒にいる事が多く、周りからは恋人なんじゃないのかと勘繰られる事もあり、それを否定するとその日の二人の機嫌が悪くなって、スイーツを奢らされるなんて日もあったりしたが、楽しい日々だった。

 

それと同時に、クソ兄貴の取り巻き達が好き勝手やる様になり始め、俺は二人に危害がいかない様になるべく注意するようにしていた。だけどある日、俺がトイレに行っている間にそれは起きた。

 

俺が教室に戻ると曜の姿がなく、それに嫌な予感がした俺はすぐにカナ姉に連絡を入れながら教室を飛び出し学校中を探していたら、校舎裏に連れられていく曜の姿を見た。

 

慌てて追うと、壁に追い込まれ怯えた表情をする曜が見えた。

 

その瞬間、頭の中が真っ白になり気づいたら地面に倒れて呻いている取り巻き達と背後に曜がいた。

 

『俺は……一体…』

 

『クソッ‼覚えてろよ、兵藤一誠ッ‼』

 

それを聞いて俺は理解した。この現状は俺がやったのだと。

 

『そうか……俺は…』

 

『一誠君…‼』

 

その時、後ろから曜が俺に抱き着いて来た。

 

『うぐ…‼怖かったよぅ…‼』

 

『もう大丈夫、大丈夫だから。』

 

『一誠君ッ‼曜ちゃんッ‼』

 

曜を落ち着かせ様としたら、そこにカナ姉と呼んできた先生達が到着し、事情を担任に説明した俺はカナ姉と一緒に曜が落ち着くまで保健室で傍にいてあげなさいと言われ、そこで曜はしばらく俺から離れる事がなく、その震えが俺にもずっと伝わっていた。

 

俺は自分が情けなかった。本当だったら今も根暗で誰とも関わらず、最悪世界に嫌気が差して自殺なんてしていたかもしれない自分をいつも見ててくれた存在を守れなかった自分が。だから俺は自分を鍛える事にした。それが他人との喧嘩だとしても。

 

そこで俺は過去を思い出すのを止めて、目の前の鳥ヤローを再び睨む。

 

「アイツは俺の心を救ってくれた。なら、俺はアイツを守る力になる。それが俺がアイツに出来る恩返しだと思った……でも、今回も俺は曜が傷つくのを防ぐ事が出来なかった。そんな事態を起こしたテメェらに……それよりも曜を守れなかった自分に腹が立って仕方ねぇ。だからお前には俺の……八つ当たりのサンドバッグをやって貰わねぇとな。」

 

「この俺を……フェニックスであるこの俺を八つ当たりのサンドバッグ扱いだと…‼‼」

 

「そうだよッ‼‼」

 

強化された力で倒れているヤローに近づくと、その顔を全力で踏みつけた。

 

「ブギュルアッ!?」

 

「だからお前の考えてた事は勘違いなんだよ、曜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「勘違い……?」

 

部屋のスピーカーから聞こえてくる一誠君の言葉に、私は首を傾げた。

 

だってあの時…一誠君は…

 

『どうせお前は、俺が相手に自分の存在を認めさせるために喧嘩してると思ってたんだろ?』

 

「…‼」

 

そこで図星をつかれた私は言葉に詰まった。

 

『そんな事しても無駄さ。どうせすぐに忘れるような単純な頭してる奴等ばかりなんだからよ。それにそんな事なんざどうでもいいさ。』

 

こっちの声は聞こえていないのに、まるで私の考えている事を解っているかの様に彼は話す。

 

「どうでもって…それは一誠君にとって……‼」

 

『だってそんなもん……お前がとっくにしてくれてるじゃねぇか。』

 

「……え?」

 

私が……一誠君の存在証明を?

 

『つか、こっちにお前の声は届かないから一方的に言わせてもらうぞ?』

 

一誠君は踏んでいた相手を蹴り飛ばして、上を見た。

 

『お前がガキの時、俺と遊びたいと言ってくれた瞬間に俺という存在はもうこの世に認められたんだよ。だから、お前が俺の傍にいてくれるなら、俺は俺でいられる……いつだって、どんな時だってな。』

 

「あ…」

 

『そうさ、俺という存在は既に……ここにいるッ‼‼』

 

そう言って打ち出された拳は相手の顔の中心を的確に捉えて、思いっきり吹き飛ばして校舎に激突させた。

 

『そんでもって俺が喧嘩にのめり込んだのはお前のせいじゃない…俺が強くなりたくて勝手にやってる事だ。そんなの気にすんな……って既に趣味になって心配させてる俺の言うセリフじゃねぇか。』

 

「……………ほんとだよ…毎回私が……どれだけ………心配してると思ってるの…」

 

彼の言葉に返事しようと思っても、上手く言葉が出ず視界も霞み始める。

 

『まあなんだ………とにかく俺が言いたいのは…ハアッ‼』

 

彼は土煙から飛んできた火の玉を籠手で後ろに弾き、その場に確りと構える。

 

『お前は俺が絶対に守る。この拳に賭けてな。だから……昔みたいに笑ってくれ。お前は笑ってる方が可愛いんだからよ。』

 

背後の爆発に照らされながらそう言う一誠君は、滲みながらも私の目にスゴくカッコよく見えた。

 

「……その言い方………なんか……ズルいよぅ…‼」

 

(兵藤君の考えは分かんないから、私の勝手な想像だけどね?たぶん彼の願いはそれじゃないと思う。)

 

そこで私は前に千歌ちゃんに言われた事を思い出した。

 

そうか……一誠君の願いは一緒に戦う事じゃなかったんだ……ただ…一緒に笑い合えればそれでいいんだ……

 

「曜ちゃん、おいで?」

 

そこに果南ちゃんが優しい顔で私に向かって両手を広げていた。

 

「……ごめん……少しの間だけ………お願い…」

 

私はそのまま彼女に抱き着いた。

 

「ずっと悩んでたもんね………一誠君の人生を変えちゃったんじゃないかって。でも、彼の心は…願いは昔から変わっていない。」

 

「うん…うん…‼」

 

「なら早く元気にならないとね。そんな顔じゃ逆に心配させちゃうよ?」

 

「うん………頑張る…‼」

 

私はしばらく、果南ちゃんの胸の中で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「さて………言いたい事は言ったし、そろそろケリ着けようぜ?」

 

「ふざけやがって………ふざけやがって…‼‼人間風情が…混血風情が………どいつもこいつもふざけやがってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼」

 

俺が構え直すとヤローはキレながら全身を炎に変えると、その身を火の鳥へとした。

 

「貴様ら全員、骨の1本も残さず灰にしてやるッ‼‼」

 

「ハッ‼その前に俺がテメェをブッ飛ばすッ‼‼」

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼』

 

ベルトのレバーを閉じ、右足にエネルギーを集束させていく。

 

「消えろ、人間んんんンンンンンンンンンンッ‼‼」

 

「消えやしないさ…」

 

『ガッチャーン‼ SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「俺を俺として見てくれる奴がいる限り、絶対に…なッ‼」

 

その身を炎として突っ込んでくるヤローを確りと見ながらレバーを開き、右足での上段後ろ回し蹴りをヤローの顔に決め、再び校舎にぶつかると壁を突き抜け、建物の反対側で仰向けに倒れ、顔中が膨れ上がったるヤローが見えると、光と共に消えていった。

 

『ライザー様、リタイア。これによりこのレーティングゲームはルシファー様の勝利です。』

 

「「「「「やったあ~ッ‼」」」」」

 

このアナウンスに高海達は抱き合いながら喜んだ。

 

「お疲れ。」

 

「ああ。」

 

俺はルシファーが出してきた拳に自分の拳をぶつけた。

 

『それでは人間界に戻しますので、少々お待ちください。』

 

「一誠、後で聞きたい事があるから時間をくれ。」

 

「………オメェには今回の件の礼があるからな………いいぜ、聞きたいこと全て話してやるよ。」

 

「助かる。」

 

そして足下に魔法陣が出来、光と共に転移し空を見ると何時もの夜空が広がっていた。

 

そうそう、やっぱ夜っていったらこうじゃねぇとな。

 

「一誠君~ッ‼」

 

「ん?…うおっと!?」

 

空を見上げていたら曜が駆け寄ってきて俺に飛び付いてきたので、倒れそうになる体を何とか踏ん張って維持した。

 

「危ないだろ?どうした…「うぐ…ひっぐ…‼」えッ!?な、なんで泣いてんだッ!?」

 

そして突然泣き出した曜に俺は完全にパニクってしまった。

 

「一誠君は曜ちゃんが泣き止むまで、しばらくそのままでいること。これ、お姉ちゃんからの命令です。」

 

「カナ姉ッ!?」

 

「他の皆さんは生徒会室に来てください。リゼヴィムさん達がお待ちですわ。」

 

「解りました、一誠………ガンバれ。」

 

「オイコラッ‼どうしろってんだよ~ッ‼」

 

だが、俺の叫びは全員にシカトされてしまい、俺と曜だけがこの場に残されてしまった。

 

「えっと………だ、大丈夫か?」

 

「………大丈夫じゃない…」

 

「う………な、ならなんか飲むか?」

 

「………いらない…」

 

俺が何か言っても全て拒否され、曜は抱き着く力を強めてくる。

 

正直、今の俺は理性を保つのに結構必死だ。早くこの状況を何とかしなければッ‼

 

「だったら、何かしてほしいのか?」

 

早く脱出するためにこう言ったが、これがまさか余計に自分を苦しめるとは思わなかった。

 

「………なら、一誠君もギュッてして。」

 

「………………………………………………………………………はい?」

 

その返答に、俺の頭は一瞬真っ白になった。

 

ちょっと待て、今曜の奴は何て言った?

 

「一誠君もギュッてしてくれたら、離れてあげる。」

 

現実逃避したかったが、そんな事は許されないようだ…

 

「いやお前ッ!?そ、それはだな…‼」

 

「…お願い…」

 

無茶言うなッ!?ただでさえ女の子特有の甘い匂いとか、体に当たってる胸の感触とかが俺の理性をクリティカルブレイクしそうなんだぞッ!?

 

「………心配かけた罰…だめ…?」

 

「うぐッ‼」

 

更にここで涙目の上目使い……だと…ッ!?

 

「~~~~~~~~~~ッ‼わかったよ…」

 

根負けした俺は、暴走しそうになる理性を全力全開で保ちつつ、曜を抱き締めた。

 

「…んぅっ…」

 

その瞬間、耳元で曜の艶やかな声が聞こえた。

 

ヤメロッ!?そういう色っぽい声出すなッ‼本気で理性が保てねぇッ!?

 

そんな状態が5分(体感時間は一時間ほど)続き、曜が離れてくれた。

 

「もう大丈夫、ありがとう。」

 

「………………………おう…」

 

よく耐えた、俺の理性ッ‼‼

 

鳥ヤローとの勝負(ケンカ)以上に疲れた俺は、耐えきった自分を誉めつつその場で大きく深呼吸して平静を取り戻した。

 

「心配掛けたな、悪かったよ。」

 

「本当だよ………待ってる方の身にもなってよね?」

 

「………なるべく気にかけとくよ。」

 

「うん♪」

 

そう言って俺に笑顔で頷く曜。

 

ダメだ、いくら物理的に強くなってもこの笑顔には勝てねぇや……

 

「んじゃ、ルシファー達の所に行くか。何か聞きたい事があるみたいだからな。」

 

「じゃあ行こっか。」

 

気恥ずかしさに少し離れて二人並んで歩き、生徒会室に着いて扉を開けようとしたら………

 

「それは本当の事なのかッ‼‼!?」

 

中からルシファーの大声が聞こえてきた。

 

「ど、どうしたんだろう…?」

 

「アイツがここまで取り乱すなんて珍しいな………何かあったのか?」

 

とりあえず扉を開けて中に入ると、そこにはルシファーがよく似ているじいさんに詰め寄ってる姿があった。

 

「ホントホント~、やんなっちゃうよね~?」

 

「バカッ‼そんな暢気にいってる場合かッ‼‼()()が敵にまわるという事がどんなに危険だと…‼‼」

 

「それについてはこっちで考えがあるから大丈夫~、ほらコレ。」

 

じいさんはルシファーに何かのUSBメモリーを手渡した。

 

「なんだコレは?」

 

()()に対抗出来る力の一つとして用意してたプランだよ。お前ならコレを作れる。」

 

「………わかった、早速取り掛かる。」

 

そう言ってルシファーは急いで転移していった。

 

「おいおい、人に聞きたい事があるっていうから来たのに、何も言わずに帰るなよ…」

 

「ありゃ、君達ゴミンニ~。ちょっとウチのゴタゴタでさ?」

 

「………なら、仕方ねぇか。」

 

俺は簡単に引き下がったが、内心ではかなり心が高ぶっていた。

 

(アイツがあそこまで焦るような相手………どんなのか楽しみだぜ‼)

 

その後聞いた話で、鳥ヤローの処分は自分達が売っている特殊アイテムを今後、日本神話に定価の百分の一で毎月製造する量の3割を売る事になった上に本人の再生能力も戻さない事だそうだ。ザマァ。

 

 

 

 

 

 

 

パラドside

 

「これで二つ目か………だけど、そろそろ俺も表に出ないといけないな。」

 

公園のベンチに寝そべりながら俺はそう呟く。でも、これが俺のやるべき事だからな。

 

懐に手を入れ、一枚の写真を取り出す。そこには5人の男と1人の女………そして俺が写っていた。

 

「安心しろ。お前の運命は………………俺が変えてやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある悪魔領………

 

「ハァッ‼…ハァッ‼…ハァッ‼」

 

森の中を一人の男の悪魔が走っていた。その男の表情は怯えており、まるで何かから逃げている様だった。

 

「こ…此処まで逃げれば…‼」

 

「この私から逃げられると思っているのか?」

 

「な…!?」

 

木陰で一息つこうとしていたが、突然聞こえた声に男は驚き周囲を見渡すが、誰もいなかった。

 

「何処だッ‼………姿を現せッ‼」

 

「君の言葉に従う義理は無い。」

 

その時、男の周りにオレンジ色の光の粒子が降り注いだ。

 

「これは………がッ!?アグ…!?ガアァァァァッ!?」

 

それを浴びた男は突然苦しみ出し、体にノイズが走り始めた。

 

「君は選ばれたのだよ。その力の苗床としてだがね?」

 

「や…やだッ!?死にたくない………死にたくないッ‼‼死にた…」

 

男は必死に叫ぶが、次第に身体が透明になっていき、そして粒子となって消えた。

 

『ウィーン、ピピピ。起動確認、レベル50。』

 

そしてその場に散った光が集まると、右腕に巨大なアームを着けた赤いロボットみたいな存在が立っていた。

 

「【ゲキトツロボッツ】のガットンか………これで全てのデータが揃った。」

 

ロボットの様な存在…ガットンの前に一人の男が現れるとそれを手に持ったアイテム【ガシャコンバグヴァイザーⅡ】の中に取り込んだら、差してあった物に絵柄が浮かび上がった。

 

「だが、これだけではまだ不十分………使える駒を探さねばな。私の右腕たる存在を…」

 

そして男は緑のノイズになりながら消えた。




いかがでしたか?

次回からは、コカビエル編に入っていきます。

そこで、千歌の過去が明らかに…‼

では、次回でお会いしましょう。


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エクスカリバー編
盗まれたEXcaliber


どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアXDでイグナイトクリスと☆5のきりしらナースのメモリアカードと限定解除未来さんGETしたぜ‼‼ 無課金で11連1発と単発2回でこれらが出てきたので、思わずガッツポーズ♪(家で本当にしました)

では今回からエクスカリバー編です、どうぞ。


ヴァーリside

 

「オラァッ‼」

 

「動きが雑だ‼」

 

「がッ!?」

 

フェニックスとのレーティングゲームから数日後の朝、俺は眷属達と共に人間界の訓練施設で、イッセーとグラファイトの勝負を見ていた。少し離れた所には渡辺と松浦先輩もいる。

 

「うわッ!?モロにお腹にグラファイトさんの蹴りが入ったけど…‼」

 

「いや、イッセーだったら…」

 

心配する渡辺と違い松浦先輩は冷静に見ていて、イッセーもブレイクダンスの要領で起き上がった。

 

「つ~ッ‼効くな…‼」

 

「お前は攻撃が入ると確信すると、動きが一気に粗くなる。先ずはそこを直すぞ‼」

 

「ウスッ‼」

 

どうしてこうなっているのかと言うと、試合の次の日に俺にイッセーから連絡があり……

 

『グラファイト…さんに会わせてくれ。』

 

そう言い、俺が理由を聞いたら前の試合で自分の戦い方があまりにも力任せで、今後自分以上の相手が出たら渡辺達を守れないと思い、強くなるためにグラファイトから師事を仰ぎたいとの事だったので、グラファイトの連絡先を教えたら即OKが出たらしく、今日からそれが始まった。

 

「いいか?戦いにおいて油断は絶対にするな。油断していいのは、相手を倒したのを完全に確認してからだ。でなければ思いがけない反撃を貰う事になるぞ‼」

 

「了解ッ‼」

 

グラファイトのアドバイスが終わると、二人はまた拳をぶつけ合わせる。

 

グラファイトなら必ずイッセーを強くしてくれるだろうな……

 

「いいかッ‼最終目標は、生身で最上級悪魔を倒せる様になることだッ‼‼」

 

「ウスッ‼‼」

 

「「「魔改造が過ぎるわ(よ)ッ‼‼」」」

 

グラファイトが掲げた目標に俺と梨子、善子の3人は思わずツッコンだ。

 

だからと言って限度を弁えろ、この重度の戦闘バカ共がぁッ‼

 

「あ、アハハハ…」

 

「まったく…」

 

この二人の息の合い様に渡辺は苦笑、松浦先輩は呆れたのかため息を吐いた。

 

「仲良いね、あの二人。」

 

そこに明日那が小型の黒いアタッシュケースを持って、俺の所にやって来た。

 

「明日那か……頼んでた物は?」

 

「リゼヴィムが簡単に許可してくれたよ。ハイこれ。」

 

俺は明日那が差し出してきたケースを受け取り、中身を確認する。その中には爺さんが俺の失敗作を回収して作り上げた黒いプロトガシャット10個が入っていた。そこに梨子と千歌も中身を覗きにくる。

 

「コレって……前にヴァーリ君が作って失敗したガシャット?」

 

「あれ?でもこれ、完成してない?」

 

「ああ、爺さんが回収して完成させたんだ。」

 

それらを持ってきた端末に差し込み、あるプログラムをダウンロードさせていく。そして画面にcompleteと表示されたら抜き取りケースに戻していく。

 

「今のは?」

 

「奪われたガシャットが起こす事件に対しての万が一の備えさ。これさえしておけば希望は残る。」

 

「「???」」

 

作業が終了したのでそれを明日那に返そうとしたら……

 

「ああ、リゼヴィムからそれはヴァーリ君が持ってていいって言われてるの。()()の開発に役立つかもしれないからって。」

 

「そうか……なら、預かっておくよ。」

 

そう言われ、ケースをカバンの中にしまった。

 

「それとこれは未確認の情報なんだけど、教会で何か事件が起きたらしいよ?」

 

「はぁ……面倒の予感しかしないな…」

 

その話にため息を吐きながら時間を見ると、そろそろ登校しなければならない時間になっていた。

 

「もうこんな時間か……二人ともッ‼もう学校に行くから朝の特訓は終了だッ‼」

 

俺が叫ぶとクロスカウンターになりそうな状態で動きが止まり、大きく深呼吸したら構えを解いた。

 

「今日は初日だったが飲み込みがいい、これならさっきの癖は2、3日で直せるな。そこからは様々な状況を想定した実践訓練に入るぞ。」

 

「ありがとうございますッ‼」

 

「後は汗を拭いて、水分補給を忘れるなよ?」

 

「…………まるでオカンみてぇ「ふん。」ゴハッ!?」

 

最後に一言余計な事を言ったイッセーに、グラファイトは頭に拳骨を振り下ろした。うわ、あれは痛いだろうな……

 

「誰がママファイトだ。」

 

「うおおおぉぉぉぉ……‼‼」

 

「では、俺も仕事に向かう。またな。」

 

そう告げ、体をオレンジと黒のノイズに変えてその場から消えた。

 

「あんにゃろ~ッ‼本気で殴りやがったな……‼」

 

「イッセーが一言多いんだよ。」

 

「はい、ドリンク。」

 

「サンキュー、曜。」

 

「後は奥のシャワー室で、汗でも流してこい。」

 

「悪いな、借りるぜ。」

 

イッセーをシャワー室に行かせ、汗を流している間に俺達も登校の準備をし、イッセーが戻ってきたらそのまま登校した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

朝の特訓を終え、俺と曜が教室に着くとクラスの奴等が妙に浮き足立っていた。

 

「なんだ?」

 

「どうしたんだろう?」

 

「あ、渡辺さん知ってるッ!?今日このクラスに転校生が来るんだってッ‼」

 

「えッ!?本当!?」

 

曜はそのままクラスの奴と話し始めたので、俺は自分の席に座り目を閉じてイメトレを始めた。喧嘩を始めたばかりの頃はこの方法で戦術を考えたりしていた。

 

それを始めて10分程したら担任が入ってきたが、俺はイメトレを続行する。

 

担任の下らねぇ話なんざ聞いてる位なら、こっちの方が数倍有意義だ。

 

「皆さん、よろしくお願いしましゅッ‼……あう、噛んじゃいました…」

 

(ん?なんか聞き覚えがあるような声だな…)

 

それが気になった俺はイメトレを止め、視線を教卓に向けるとそこには前に見た金髪シスターが立っていた。

 

(ああ、ルシファーが言ってた日本語の勉強が終わったのか。)

 

確か話せる様になれば学校にも通えるとか言ってたし、その約束を守ったんだろう。

 

「それじゃ、席は渡辺の隣を使ってくれ。」

 

「はい、よろしくお願いしますね♪」

 

「うん、ヨロシクね‼」

 

(ま、曜が笑っていられるならいいか。)

 

楽しそうな顔で笑う曜を見て、俺は再びイメトレに戻った。

 

え、授業はどうしたかって?無論聞き流した。

 

 

 

 

 

「アーシアちゃんッ‼お帰りッ‼」

 

「果南さん、ただい……むぎゅッ!?」

 

時刻は昼休み……カナ姉はアルジェントに会った瞬間、全力で抱き締めた。が、その豊満な胸に顔が埋まって呼吸が出来ないのか必死にカナ姉の腕をタップしていた。

 

「こうしてまた会えるなんて嬉しいよ~♪」

 

「ん~ッ‼んん~ッ‼んん~~~~ッ‼‼‼……(ガクっ)」

 

「果南ちゃんッ‼アーシアちゃん、息出来て無いからッ!?」

 

「え?」

 

曜に言われてカナ姉が我に帰るが、アルジェントの腕は既に力なくぶら下がっていた。

 

「…………………………(チーン)」

 

「ああッ!?アーシアちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!?」

 

「何やってんだか…」

 

口から霊魂みたいなのを出して天に昇って行こうとするアルジェントを必死に繋ぎ止めようとするカナ姉を尻目に、俺は購買で買ったパンにかじりついた。

 

「んで、ルシファーの野郎はパソコン開いて何やってんだ?」

 

今日は曜とカナ姉に黒澤姉妹と国木田にアルジェント、それとルシファー達で昼飯を食っていたがルシファーはおにぎり二個をさっさと食ったらすぐにパソコンを取り出して何やら高速で作業を始めた。

 

「今は邪魔しない方がいいわよ。ああやって集中してる時は性格Changeするから♪」

 

「ほ~う…?」

 

小原先輩は面白そうな顔で言い、それを聞いた俺は興味が湧いた。

 

(性格が変わるか……うまくいきゃ、一勝負出来るかもな‼)

 

そんな期待を秘め、ルシファーへと近づき……

 

「おいルシファー、何や「この俺のクリエイティブな時を邪魔するなぁッ‼‼」お、おう…」

 

話し掛けた瞬間、物凄い形相で怒鳴られ俺は思わずたじろいでしまった。

 

なんかエレキギターの音楽も聞こえたぞ……幻聴か?

 

「あ~あ、怒られちゃった。」

 

「だから言ったんだよ?」

 

「いや、どんな感じになるか気になってな…」

 

「とりあえず今はほっときなさい、その内集中力が切れて戻るから。」

 

魔女っ子にそう言われて、俺は大人しく食事に戻った。

 

にしても画面にあった図面……ゲーマドライバーに似てたけど何だったんだ?

 

「番長先輩、特訓の方はどうなんですか?」

 

「だから番長先輩は止めろ国木田。どうも何も、今日から始めたんだ。すぐに成果なんか出るかよ。」

 

「特訓といえばルビィちゃんも始めたんだよね~♪」

 

「ちょッ!?は、花丸ちゃんッ‼」

 

国木田の言葉に黒澤妹が顔を赤くしながら慌て始めた。

 

「へぇ~、どんなだ?」

 

「カラオケで連続で何曲も歌ったり、家のお庭でダンスの練習したり…」

 

「エールの能力を活かす為に必要な事なのですわ。」

 

「確か………………歌って踊ってる間だけ、味方にバフを与えるだったか?」

 

「うう……はいぃ…‼」

 

なるほど、歌って踊れる時間を伸ばすことで、効果時間を長くしようって事か。

 

「まあ、無理はすん…………ッ‼‼」

 

「どうしたの?」

 

黒澤妹を励まそうとしたら何処からか視線を感じ、俺は直ぐ様周囲を確認するが、その視線はもう感じなくなっていた。

 

「なんだ……今のは…」

 

「お前も感じたか。」

 

いつの間に作業を止めていたのか、ルシファーが俺の隣に立っていた。

 

「一体何が目的だったのか…」

 

「解らねぇがこれだけは言える。」

 

俺は視線と同時に、ひりつく様な痛みが走った首の後ろを押さえる。

 

「今の視線には……………殺気が混じってやがった…‼」

 

「つまり、この中の誰かを……か…一誠、周りの奴等にも気を付けておけ。」

 

「ああ……‼」

 

ルシファーの言葉に俺は力強く頷く。

 

どこのどいつだか知らねぇが、俺達に喧嘩を売った事を後悔させてやる…‼

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日経ち、あの視線は度々感じるが今だに誰だか特定は出来てはいない。

 

そして放課後、ルシファーが生徒会長に呼ばれたので高海は眷属として、俺も面白半分で付いていく事にした。

 

「一誠、お前は別に付いて来なくてもいいんだぞ?」

 

「俺の勘が言ってんだよ。行けば楽しい事に出会えるってな。」

 

「……後で文句言うなよ?」

 

そのまま世間話をしながら歩き、生徒会室の近くに来たら……

 

『何言ってんだよイリナ‼俺を忘れたのか!?』

 

『だから気安く名前を呼んでんじゃないわよッ‼』

 

そんな押し問答が聞こえてきて、俺の気分は一気にシラケた。

 

「………………やっぱ帰るわ…」

 

「ここまで来たんだ、巻き込まれろ。」

 

「さっ、行こっか♪」

 

きびすを返して逃げようとした俺の腕をルシファーと高海は掴み、引き摺っていく。

 

「離せぇぇッ‼俺は今のアイツとは関わりたくねぇんだよッ‼」

 

「ハッハッハッ…………俺達の負担を減らす為の犠牲になれ。」

 

「ふざけん「会長、ルシファーです。」聞けよッ‼‼」

 

俺の必死の抵抗も通じず、中に入るとそこには生徒会の奴等とグレモリー達のほかにローブを着た二人組がいた。

 

「ルシファー君達、来てくれてありがとうございます……ところで彼は?」

 

「私たちの負担軽減の為の贄です。」

 

「おいッ‼‼」

 

「そ、そうですか…」

 

ルシファーの言葉に会長は苦笑いするが、すぐに真面目な顔に戻った。

 

「では、話し合いを始めます。今回は教会の方達から連絡があるそうです。」

 

会長の言葉にローブを着た二人組が立ち上がり、フードを取ると栗色の髪をツインテールにした女とショートヘアの青髪に緑のメッシュを入れた女だった。

 

「教会所属のエクソシスト【紫藤イリナ】よ。」

 

「同じく【ゼノヴィア】だ。」

 

「実は教会が保管していた聖剣【エクスカリバー】が6本中3本盗まれて、この町に持ち込まれたそうなの。」

 

この事件が後にあんな悲劇を起こすなど、この時この場にいる誰も想像などしていなかった。




いかがでしたか?

次回はイリナ達との勝負になりますが、そこにあのライダーが出てきます‼

では、次回でまた会いましょう。

後、イッセーの正妻ポジのアンケートやってますので、良かったら参加してください。


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並び立つSisters

どうも、疾風の警備員です。

今回は錬二と木場達の戦いに、ヴァーリ側のメンバーとの戦闘前になります。

そして、エグゼイド本編で登場したあのライダーも出ますよ‼‼

では、本編をどうぞ。


ヴァーリside

 

教会からやって来た二人のエクソシスト【紫藤イリナ】と【ゼノヴィア】からの話を纏めると、教会に何者かが侵入してエクスカリバーを3本奪取。犯人はその後、この町まで逃亡したらしい。

 

「犯人は誰なのか判明してるのですか?」

 

「ああ……かの三勢力戦争を生き残り、聖書にも名を連ねた有名な堕天使【コカビエル】だ。」

 

「「なッ!?」」

 

告げられた事件の黒幕の名前に、リアスとソーナは驚愕しているが、俺としてはよく今までやらなかったなという感じだ。

 

コカビエルは戦う事が大好きな【戦争狂】として有名だ。暫くは堕天使の総督が抑え込んでいたのだろうが、遂に鬱憤が爆発したんだな。

 

「我々が今日ここに来たのは、この町での活動の許可と君達には一切合切手を出さないで欲しいと伝える為だ。」

 

「それは、私達もこの事件に関与している…………そう疑われていると判断しても?」

 

「悪魔側にもメリットはある……そういう事よ。」

 

イリナの言葉に会長も口を閉ざす。確かに聖剣は悪魔にとっては天敵とも言える装備、関与を疑われてもしょうがないだろう。だが……

 

「そのメリットは悪魔側のメリット足り得ないぞ?」

 

「……どういう事かしら?」

 

俺が口にした言葉にイリナが睨む様な視線を向ける。

 

「簡単だ。エクスカリバーを奪取するのはいい、確かにメリットだろう。だが、悪魔にはそれを使用することが出来ないうえ、もしまた奪い返されたらそれこそ意味がない。俺が犯人だったら……奪取よりも破壊を優先する。」

 

「「……………………………………」」

 

その内容は的を得ているのか、二人は考え込む。そりゃそうだろ、自分達には使えず逆に弱点になるものを何時までも持っているほど御偉いさん方は肝が据わってない。さっさとブッ壊そうとするのがオチだ。

 

「確かに、貴方の考えも一理あるわ。」

 

「やはり、コカビエルの独断か…?」

 

「さあな……それと奪われた聖剣の能力は分かるか?教えてくれると助かるのだが…」

 

「それは構わない。自分を透明に出来る【透明(トランスペアレンシー)】、幻覚を見せる事の出来る【夢幻(ナイトメア)】、高速で動く事が可能になる【天閃(ラピッドリィ)】だ。」

 

ゼノヴィアからそれを聞いた俺は、対抗策を考える。

 

(天閃なら高速化のアイテムで対応は可能だな。だが問題は夢幻と透明だ。今あるエナジーアイテムだと攻略方が浮かばないぞ?…さて、どうするか……)

 

「とりあえず貴女方の行動は許可しますが、私達もこの町の住人を守るために独自に動きますので。」

 

「解ったわ、その代わり少しでも怪しい行動をしたら、コカビエルもろとも切り捨ててあげるから。」

 

「君達二人でコカビエルに勝てるのかい?」

 

「……なに?」

 

そんな思考の海に沈んでいたら、何か不穏な空気を感じ意識を戻したら、グレモリー眷属の木場がエクソシストの二人を睨み付けていた。正確にはゼノヴィアが持っている包みをだが…

 

「なんだ、何があった?」

 

「木場君があの二人に喧嘩を売ってる、以上‼」

 

「分かりやすい説明ありがとう、千歌。」

 

そこで俺も考えるのを止め、止めに入る。

 

「落ち着け、木場。」

 

「少なくとも、貴方やそこの赤龍帝よりかは強いわよ。」

 

「だったら証明してくれないかい?口では何とでも言えるんだからさ。」

 

しかし聞く耳は持たず、そう言うと木場は自身の周りの大量の魔剣を作り出した。

 

「………………良いわよ、やってやろうじゃない。」

 

「確か日本ではこういう時にこう言うんだったな……表出ろやコラァッ‼」

 

「いや、それは違うから。」

 

ゼノヴィアの変な日本知識に思わずツッコンだ。

 

「手を貸すぜ木場ッ‼」

 

そこに更に場を煽る兵藤錬二に俺は呆れるしかなかった。

 

「だったら戦えそうな場所に案内しなさい。」

 

「こっちだ。」

 

木場の案内にエクソシスト二人と兵藤錬二が生徒会室を後にする。

 

「……グレモリー、言いたい事は解るな?」

 

「はい、後できつく叱っておきます…」

 

「ならいい。」

 

それだけをグレモリーに告げると、俺達も後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錬二side

 

俺は最近戸惑いっぱなしだ。折角ハイスクールD×Dの世界に転生して、特典に赤龍帝の籠手を一誠から奪いとりハーレムを築こうとしたら原作開始前にヴァーリはいるわ、仮面ライダーになるわ、一誠まで仮面ライダーになって俺の知らない女の子達と仲良くしてる。

 

原作が始まってからも、俺はアーシアに会うことは無かったし、ライザーの時はいつの間にかゲームオーバーしてた。

 

今度こそはと思って、教会からやって来た幼馴染みのイリナに話し掛けたら……

 

『やあイリナ、久しぶり‼』

 

『はあ?アンタ誰?』

 

等と言われて、それ以降話し掛けても辛辣な態度ばかりされてしまう。

 

(クソッ‼何処で原作と違ったんだ!?)

 

そんな事を考えるが、頭を振って考えるのを止め、目の前で【擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)】を右手に持つイリナを見据える。

 

「面倒だし、さっさと始めましょう?」

 

彼女は剣先を地面に刺し、柄尻に両手を置いて首をコキコキと鳴らす。

 

ここから少し離れた所でも、木場とゼノヴィアが剣を構えている。

 

「イリナ、本気で行くからな?」

 

「ふあ…私は手を抜いてあげる。」

 

「この…‼」

 

あくびをしながら原作とはまるで違う態度に、怒りが込み上げてくる。

 

(いや落ち着けッ‼大体の踏み台どもはここで怒り任せにやるから失敗するんだ‼冷静にやれば勝てる‼)

 

「ほら、何時でもどうぞ?」

 

「なら…‼」

 

そう言われて神器を出し、駆け出そうとしたら……

 

ザシュッ‼‼

 

「え……あ、アアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

両手足に何かが当たったかと思ったら、とてつもない激痛が襲ってきた。

 

「はい、私の勝ち。」

 

そして眼前に剣を突きつけられた所で、僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

『随分呆気なかったわね…』

 

(そうだね、向こうもまったく本気じゃ無かったし。)

 

兵藤と木場君の戦いを見た私ともう一人の私は呆れていた。兵藤は地面から生えてきた聖剣の刃に両手足の筋肉を切り裂かれて動けなくされ、木場君は打ち合う度に剣を砕かれ、最後は作り上げた大型の剣を砕かれた所を柄尻で鳩尾を殴られて倒れ伏した。

 

『紫藤の方は最初に地面に剣を刺した所から仕込んでたのね。』

 

(ゼノヴィアさんの方はパワーを生かした戦術だったね。)

 

「ああ~ッ‼これじゃ不完全燃焼よ‼‼」

 

「確かに…この程度の雑魚じゃ準備運動にもならないな。」

 

「誰か、私達の相手をしてくれないかしらッ‼」

 

そう叫ぶ二人を見て、私は少し恐怖した。

 

(もしあのまま()()にいたら、私もあんな戦闘好きになってたのかな…)

 

『そんな事ないわ。貴女の優しさはワタシがよく知ってるもの。』

 

(ありがと。)

 

『それに、あれを見てるとアイツを思い出すしね…』

 

(アイツって……この前の白髪の神父の事?)

 

もう一人の私の言葉に以前戦った白髪の神父を思い出す。確かにあの人も戦闘狂みたいだったけど……

 

『千歌、お願いがあるの…』

 

(いいよ。)

 

『……まだ何も言ってないわよ?』

 

(それくらい解るよ。だって私は貴女で、貴女は私なんだから。)

 

『……ありがと、ちょっと苦しい思いをするけど…』

 

(それくらいだったら大丈夫。)

 

『なら、やらせてもらうわね。』

 

そこで私はもう一人の私に体の主導権を渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「おもしれぇ…‼なら、俺が…」

 

紫藤の言葉にイッセーが行こうとするが、それを千歌が手を伸ばして遮った。

 

「……何のつもりだ?」

 

「あれはワタシ達が戦うからよ。」

 

その人格は入れ換わっていて、多少の怒気が言葉に含まれていた。

 

「………………わかった、譲ってやるよ。」

 

「あら、ありがとう♪」

 

珍しく勝負を譲ったイッセーに驚いていると、千歌が俺の前に来て右手を出してきた。

 

「この手は?」

 

「私にプロトガシャットを貸して欲しい。」

 

そう告げられた言葉に、俺は驚きを隠せなかった。

 

「ダメだ‼あれは負担が大き過ぎる‼使ったらお前の体が持つかどうか……‼」

 

「お願い、ワタシ達を信じて……‼」

 

そう言って俺を見てくる目は、覚悟を決めているのか力強さがあった。

 

「……………………わかった。ただし、俺が危険だと判断したら、すぐに取り上げるからな?」

 

「ありがとう。あの子には負担を掛けない様に「お前もだよ。」……え?」

 

「お前も俺達の仲間なんだ。どっちも無理はするな。」

 

「………………わかったわ。」

 

そこで何故か嬉しそうに微笑んだ千歌に、俺はプロトガシャットが入っているケースを渡した。

 

「それじゃ……………………やっぱりコレよね。」

 

そこから取り出したのは全体が黒く、モノクロで描かれたマイティがキックをしている絵のあるガシャットだった。

 

そして腰にゲーマドライバーを装着し、紫藤達の元へと歩いていく。

 

「あら、アンタが相手してくれるの?」

 

「そうよ、ただし……チーム戦にしない?」

 

「なら、貴女は誰と組むの?」

 

「今、教えてあげる…‼」

 

千歌はそう言って右手のガシャットを起動させて、ドライバーに差した。

 

『マイティアクションエーックス‼』『ガシャット‼』

 

その瞬間、彼女の体にオレンジ色のノイズが走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く……うぅ…‼」

 

(お願い千歌、もう少し耐えて‼)

 

目眩や発熱が千歌を襲う中、もう一人の自分の声を励ましにして彼女は必死に耐える。

 

(ウィルスの良性への書き換え開始……そこから私の意識を転写…………完了‼続けて体を構築………………終了‼もうOKよ、ベルトのレバーを開いて‼‼)

 

「ァァァアアアアアッ‼‼‼」

 

その声に千歌はレバーを掴み、思いっきり開いた。

 

『ガッチャーン‼レベルアップ‼』

 

すると千歌の体を走るノイズが一際強くなったかと思うと、オレンジと水色の粒子が彼女の中から出て、すぐ隣に集まると人の形へと変化していき、一瞬光ったらそこには色が黒と紫でシルバーのラインが入ったボディスーツ、瞳が赤色のエグゼイドが立っていた。

 

『マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼』

 

「ふう……成功よ。」

 

『ガッチョーン、ガシューン。』

 

その黒いエグゼイドがベルトのレバーを閉じてガシャットを抜くと、そこにいたのは髪が白く瞳が赤いがそれ以外は千歌そっくりな女の子がいた。

 

『『『『『はぁぁぁぁぁぁッ‼!?』』』』|

 

それに全員が驚く中、彼女はさっきの疲れで座り込んでる千歌へと手を伸ばした。

 

「こうやって会うのは始めてね、千歌?」

 

「そうだね、もう一人の私……ううん、【美歌(みか)】?」

 

「あら、それって私の名前?」

 

「うん、今さっき決めた‼」

 

「相変わらずね…」

 

千歌がその手を掴むと、美歌が引っ張り起こした。

 

「これで私の力も安定出来た。さて、やりましょう…千歌。」

 

「うん、あの二人に見せてあげよう‼」

 

そして握った手を強く組むと、美歌の体が再びオレンジと水色の粒子へと変わり、千歌の体へと入り彼女の目が赤く輝く。

 

「二人になったかと思ったらまた一人に…?」

 

「何が起きてる…?」

 

それを見ていたイリナとゼノヴィアは困惑するも、千歌はそれを気にせずマイティブラザーズXXのガシャットを取り出して起動ボタンを押すと、オレンジと水色の光に包まれ緑の部分が水色に変わり、書いてあるキャラの絵も緑のマイティが水色になり瞼にまつ毛が、更にはお揃いの黄色いリボンを左右対称につけ、ゲームのタイトルが【MIGHTY SISTERS MX】となった。

 

「ガシャットを作り替えただとッ!?」

 

ヴァーリはそれにまた驚き、彼女はもう一度起動ボタンを押す。

 

『『マイティシスターズ‼ミラクルエーックス‼』』

 

ガシャットから千歌と美歌の声でタイトルを叫び、オレンジと水色のゲームエリアが広がっていきながら千歌はいつものポーズを取り、ガシャットをバックルに差しレバーを開く。

 

「変身‼」

 

『『ダブルガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼』』

 

そして周囲に出てきたキャラアイコンの中から?マークを選び、それに髪の毛が右がオレンジで左が水色のツインテールのキャラが描かれて、千歌に重なっていく。

 

『『マイティシスターズ‼二人の願い‼マイティシスターズ‼二人のミラクール‼エーックス‼』』

 

そして千歌の体がレベルX(テン)の時の姿になるが、髪がアイコンと同じ物に変わっていた。

 

「イリナ、あれがジャパニーズゆるキャラか?」

 

「違うと思うし、ゆるキャラは日本独自の文化じゃないから。」

 

ゼノヴィアの勘違い的な発言に、イリナは呆れながら答えた。

 

「残念だけど…」『まだ終わりじゃないわよ?』

 

『『ガッチョーン』』

 

彼女は再びレバーを閉じると、待機音が鳴り響き彼女は両腕をグルグルと回して、レバーを開いた。

 

「ミ~ラ~ク~ル~大変身ッ‼」

 

『『ガッチャーン‼ダブルアーップ‼』』

 

すると、白い体が弾け飛び大きな顔が左右に別れるとそこから手足が出てオレンジと水色の二人となる。その時、彼女達の髪は自分の側の色のサイドテールに変わる。

 

『私が貴女で‼』

 

先ずは千歌の声で変身音を歌い……

 

『アナタがワタシで‼ (We're‼)』

 

次に美歌の声が、

 

『『マイティ・マイティ・シスターズ‼ (Hey!!)ミラクルエーックス‼』』

 

最後に二人が声を揃えて歌い、それと同時に変身が完了した。

 

「また二人に分裂したッ!?」

 

「何回繰り返すのよ?」

 

「細かい事気にしてるとハゲるわよ?」

 

「やっかましいわッ‼‼」

 

右のオレンジ側の美歌の言葉にイリナは叫ぶ。

 

「それじゃ行こうか‼」

 

そう言って左の水色側の千歌は左手を胸元に掌を上にしながら持っていき……

 

「超協力姉妹プレーでッ‼‼」

 

その手を美歌が左手で叩く。

 

「ノーミスクリアしてあげるわッ‼‼」




いかがでしたか?

ほら、出たでしょゲンム?(目剃らし)

仕方ないじゃないですか‼‼永夢とパラドの時にやったマイティブラザーズXXの変身をやりたかったんだよ‼‼

次回は二人が暴れします‼‼

では、また次回でお会いしましょう。


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Miracleな姉妹

どうも、疾風の警備員です。

最近職場の人が怪我で入院して、今月のシフトがかなり厳しくなって、小説を書く時間が減っています。

まさか36時間を2連続とそこから24時間勤務を2連続とか、マジで死ぬ……

おまけに今日の朝、職場で事故が発生して対応に追われるとは…………ああ、休みが欲しい……

もし感想の返しが遅かったり、無いときは仕事疲れでぐったりとしてると思っててください。

メッセージを送ってくれてる方達も、返信が無ければその状態だと思っててください……

では、なんとか時間を見つけて書いた本編……どうぞ。


変身した千歌と美歌の二人はポーズを決めると、周囲にガシャコンウェポンのアイコンが出てくる。しかしその数は多く、全ガシャコンウェポンがあった。

 

「豪勢ね……ワタシはやっぱりコレ。」『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

「私はコレにする‼」『ガシャコンマグナム‼』

 

そのアイコンから美歌がキースラッシャー、千歌がマグナムを手に取る。

 

「ゼノヴィア、準備はいい?」

 

「ああ。」

 

教会のエクソシストで聖剣使いであるイリナとゼノヴィアも自身の剣を構えると、先に千歌が二人へと向かって駆け出した。その少し後を美歌が付いていく。

 

「ハハッ‼正面から堂々と来るなんて…ねッ‼」

 

それを面白そうに笑いながら、イリナは剣を突き出す……

 

「よいさぁッ‼‼」

 

が、千歌はそれを高くジャンプして二人を飛び越えながら回避し、ガシャコンマグナムのBボタンを押して引き金を引き、二人の周囲に弾丸をばら蒔いて土煙を上げさせる。

 

「く…‼」

 

「視界が…‼」

 

「貰ったわ。」

 

イリナ達が動けなくなっていた所に美歌が現れ、キースラッシャーを振るうも二人は聖剣で防ぐ。しかし、力任せに振られた為、二人は煙の中から弾き出された。

 

「この力は…‼」

 

「いらっしゃーい♪」『ズ・キューン‼』

 

「ッ!?ハッ‼」

 

「フンッ‼」

 

その瞬間、ライフルモードのマグナムを構えた千歌が銃撃する。イリナはそれを横に跳んで回避し、ゼノヴィアは聖剣を盾にして防いだ。

 

「やっぱり、これくらいは防げるよね…」

 

「この程度で倒される雑魚が、派遣される訳無いでしょう?」

 

「だね。じゃあ、次いこうか‼」

 

「ゼノヴィアッ‼分断するわよ‼」

 

「了解した‼」

 

千歌達が動く少し前に、ゼノヴィアが聖剣を振り上げ地面へと叩きつける。その衝撃で地割れが発生しまっすぐに二人へと向かっていく。

 

「千歌ッ‼」

 

「うんッ‼」

 

二人はそれを左右に跳んで回避する。それを見てイリナが千歌、ゼノヴィアが美歌の方へと駆け出す。

 

「さあ、今度は一対一と洒落込みましょうッ‼」

 

「それは遠慮するよ‼」

 

楽しそうに笑いながら剣を振るうイリナに、千歌はマグナムを撃ちながら距離を取る。一方美歌とゼノヴィアは激しい剣撃を繰り返しているが、美歌の方が優勢だ。

 

「ほい。」

 

「く…‼はあッ‼」

 

片手で振られるキースラッシャーを聖剣で受け止めるも、その力に両手を使わざるを得ず、それでも押し返すのがやっとで反撃は出来なかった。

 

「私が、こうも圧倒されるなんて…‼」

 

「そりゃそうよ、今のワタシ達は二人とも【レベル(エックス)】なんだから。」

 

「レベル?何の事か知らんが……‼」

 

剣を構え直したゼノヴィアは再び美歌へと突っ込んだ。

 

千歌の方は距離を保ちつつ銃撃を行うも、イリナの聖剣が形を自在に変える事で、悉くを防がれていた。

 

(銃じゃ埒を開けられない……それなら‼)

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼」

 

「狙いが御座なりよッ‼」

 

千歌は銃撃を強めるも、狙いが雑になりイリナはこの隙を狙う事にした。銃弾の嵐の中を体を屈め、捻りながら時には剣で弾を切り捨てながら接近していき、ついに自分の攻撃可能範囲にまで近づいた。

 

「貰ったぁッ‼‼」

 

そこで振られた剣は、千歌の手からマグナムを落とす事に成功した。

 

「弓の無い射手なんて……‼」

 

そして踏み込みながら剣を突きで繰り出す……

 

「ところがどっこい…‼」

 

しかしそれは、千歌がしゃがむ事で回避され、更に武器アイコンが浮かぶとその手に籠手が装備される。

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

「なッ!?」

 

「まさかの武闘派あぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼」

 

立ち上がりの勢いを乗せて放たれた千歌のアッパーは、的確にイリナの顎を捉えた。

 

「ガッ!?」

 

イリナは綺麗な放物線を描いて地面に落ちる……

 

「…………………………ハハッ」

 

前に小さく笑うと、体を捻り四肢を地面に着けて衝撃を分散させながら着地した。

 

「いいわ……良いわねェ…‼これなら本気でやれるものよッ‼‼」

 

イリナは胸元へ手を入れると、そこから銃の形をした注射器を取り出し、自分の首へと押し当てた。

 

「ッ!?イリナッ‼‼それはコカビエルとの戦いまで使わない約束だろうッ‼‼」

 

「うっさいッ‼‼このまま悪魔にやられてたまるもんですかッ‼‼」

 

ゼノヴィアの言葉に耳を貸さず、彼女はその注射器のトリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「あれは…?」

 

「恐らく教会がエクソシスト達に持たせているドーピング剤かと…」

 

「ドーピング?」

 

ソーナからの聞き覚えの無い言葉に、俺とリアスは首を傾げた。

「教会はここ数百年異端とされる者が多く、それはエクソシストにまで及んでいるそうです。そのせいで人手不足に陥り打開策として…」

 

「数より質を選んだという訳か…」

 

「ただ……副作用と依存性がかなり強いそうです。」

 

「どんな副作用なの…?」

 

「記憶障害と精神汚染…………今の紫藤イリナの様に段々と戦闘狂になっていくそうです。それと肉体に掛かる負荷も相当だと…」

 

全く……教会も不細工なものを作る……

 

「しかし……高海さんもスゴいわね…」

 

俺が薬の内容に辟易としていると、リアスがポツリと呟く。そこに視線を向けると……

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼‼‼」

 

「オリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャッ‼‼‼」

 

笑いながら剣を振るいまくるイリナと、それを全て殴り落としている千歌の姿だった。

 

「あれだけの剣撃を、拳のみで防ぐなんて…」

 

「おいルシファー、後で俺を高海達と戦わせろよ?」

 

「断る。つか、アイツら本来の目的忘れてないか?」

 

確か木場と兵藤錬二が二人に喧嘩を売って負けて、消化不足を補う為に始めた模擬戦だったはず……

 

「つってもよ……こりゃ、ケリ着くまで収まらねぇぞ?」

 

「だよなぁ…」

 

俺は目の前で繰り広げられる光景に、大きくため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、教会ってのはサイテーね……‼」

 

「いつもなら怒る所だが、この件に関しては私も同感だ……‼」

 

「あ?」

 

つばぜり合いをしている美歌の呟きを拾ったゼノヴィアの答えに、仮面の中の美歌の表情が怒りに染まる。

 

「ワタシはこの件に関して()よッ‼‼」

 

「ぐあッ!?」

 

力任せにゼノヴィアを吹き飛ばした美歌は剣を下げ、ゆっくりと……だが、その身に怒りのオーラを纏いながら歩いていく。

 

()()はね……神の使いの名を騙った屑共の集まりなのよ‼神の名の下にって言えば何でも許されると思うな……‼‼」

 

そして、その口から発せられる言葉は教会への明確な殺意が籠っていた。

 

「お前…「キャアアアアアアッ‼‼」ッ!?イリバッ!?」

 

ゼノヴィアが美歌の言葉に何かを察し、口にしようとするもイリナの悲鳴によって遮られた。彼女がそちらを見ると、仰向けの彼女が自身へと向かって飛んできていた。その距離は既に1メートルを切っていて、ゼノヴィアは回避できずに激突した。

 

「イェイ、ガッツポーズ♪」

 

そしてそのイリナを飛ばした張本人(千歌)は天に向かって右手を高く掲げていた。

 

「さっすが千歌ね♪」

 

「美歌、一気に攻めるよ‼」

 

「OK‼」

 

『ガシャコンソード‼』

 

千歌は新たにガシャコンソードを持つと、美歌と同時に黄色いエナジーアイテムを取り込む。

 

『『高速化‼』』

 

「「ハアッ‼‼」」

 

その力で目にも止まらぬ速さで動き、二人の間に立っているゼノヴィア達の左右をすり抜ける様にして切り裂く。そして止まると振り返りながら千歌はゼノヴィア、美歌がイリナへと向かい合いそこから怒濤の勢いで剣を振るいまくる。二人は背中合わせで立っている為、下手に動くともう一人が集中攻撃を受けるために、必死で剣撃を防いでいくが、千歌達の動きに付いてこれず剣を打ち上げられてしまう。

 

「「そこッ‼」」

 

その隙を逃さず、二人はゼノヴィアとイリナの顎にアッパーを当てて上に飛ばす。

 

「そろそろフィニッシュと行きましょう。」

 

「だったら、必殺技で決まりだね。」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

二人は持っている武器を投げ捨てると、ベルトのレバーを閉じて右足にカラフルなエネルギーを溜めていき、それが終わるとレバーを開いた。

 

『『ガッチャーン‼MIGHTY MIRACLE!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

そのまま二人は飛び上がると、先に打ち上げたイリナ達に飛び蹴りを喰らわせて更に打ち上げ、二人は落ちる前にブロックで足場を作り再び飛び上がって今度は相手を入れ換えて蹴りを喰らわせる。それを数回繰り返しながら上に上げていき、ある高さで二人を1度追い抜いて横にブロックを作り、それを蹴って丁度同じ高さに飛んできた二人を挟む様に蹴りを放って爆炎が二人を襲った。

 

「「アアアアアアアアアアアアアッ!?」」

 

『『会心の1発‼』』

 

そして爆炎の中から千歌と美歌が出てきて華麗に着地し、イリナとゼノヴィアはそのまま地面に落ちた。

 

「………………これって、オーバーキルだよね?

 

どう見ても、そうね。

 

「やり過ぎだ…‼」

 

変身を解いて小声で話す二人の背後にヴァーリは移動し、その頭を拳骨で叩いた。

 

「「アイタァッ!?」」

 

「全く……これで天界との大騒動になったらどうするつもりだったんだ…?」

 

「「だってぇ~…」」

 

「だってもなにもない。」

 

ヴァーリは二人の襟首を掴むと、そのまま引きずっていく。

 

「ソーナ、悪いが俺はこの二人に説教してくるから、後で方針を教えてくれ。それと、やり過ぎた詫びにこれを渡しといて欲しい。」

 

「こ、コラッ‼離しなさいよ…‼」

 

「く…首が絞まる……‼」

 

「え、ええ……解りました…」

 

ヴァーリはソーナにフェニックスの涙を2つ渡すと、暴れる千歌と美歌を無視して転移していき、それをソーナとリアス、一誠は呆然と見送った。

 

「お~い、アンタ等生きてるか?」

 

一誠は二人に近づき声を掛けると、ゼノヴィアはゆっくりと、イリナは全身をバネにする感じで起き上がった。

 

「アハハハハハハッ‼‼良いわぁ…‼アイツ等はいつか必ず私がぶった斬る‼」

 

「だけど、薬を使ってまで「黙れ。」おっと。」

 

薬について一誠は一言言おうとしたが、その途中でイリナが聖剣を振るってきたので、それを背を反らしてかわした。

 

「アンタには解んないでしょ‼何をしてでも、力が欲しいと思う理由なんてッ‼」

 

「ああ?」

 

「フン……ゼノヴィア、行きましょう。」

 

「ああ、騒がせて済まなかったな。」

 

「いえ……それと活動は許可しますが、あの薬は…」

 

「解っている。今後は私が管理して無闇に使えないようにしておくさ。」

 

「分かりました。それとこれはやり過ぎたお詫びだそうです。」

 

「おお、フェニックスの涙か……助かる。」

 

ゼノヴィアはそれを受け取ると自分に掛けて回復し、もう1つを懐にしまった。

 

「では、次は敵として会わない事を願っているぞ。」

 

そう言い残すと、ゼノヴィアはイリナの後を追って去っていった。

 

「さて、俺も帰るとするか。」

 

「あ、兵藤く…‼」

 

ソーナが帰ろうとする一誠を呼び止めようとするも、彼は聞く耳を持たずに帰路に着く……

 

「さてと…コカビエルって奴を探すか。」

 

訳ではなく、この事件の首謀者であるコカビエルを探そうと動き始めた。

 

「さて、どっから手を着けるか…「お前はこの件に関わるな、一誠。」……その声は…」

 

探す場所を決めようとした時、何処からか声が聞こえその方を見ると家の塀に腰掛けているパラドがいた。

 

「どういう意味だ?」

 

「そのままさ。今のお前じゃコカビエルには勝てないからな。」

 

「んだとぉ…‼」

 

「忠告はしたぜ?」

 

それだけを告げると、パラドはノイズを散らしながらその場から消えた。

 

「一体なんだってんだ?」

 

一誠はその言葉を不思議に思いながらも、町の探索を始めるのだった。




いかがでしたか?

次回は久々にあの男が出てくる………………と思います。

では、次回でお会いしましょう。


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エクスカリバーをsearchせよ‼

どうも、疾風の警備員です。

仮面ライダービルド、結構面白いですね。相手の力を自分の力に変える……なんかブレイドのアンデッドを思い出しましたよ。

ボスとしてコウモリとコブラ……これが各都市のボスだとしたら後一体は蜘蛛がモチーフなんでしょうかね……

それは今後の楽しみとして、本編をどうぞ。


ヴァーリside

 

「というわけで、新しく仲間になった美歌だ。」

 

「……………………どうも…‼」

 

あの後、転移で家に戻った俺は梨子達に経緯を説明して美歌を紹介していたが、何故か全員が呆然としていた。

 

「お前ら、どうした?」

 

「どうしたも何も…」

 

「何で千歌とこっちの…美歌だっけ?は波板の上で正座して膝に三枚の石板を抱えてるのよ?」

 

そう……今、千歌と美歌はギザギザした板の上に素足で正座させ、その膝の上に厚さ5㎝の石板を三枚乗せている状態なのだ。二人は目の端に涙を浮かべているが許す気はない。

 

なるほど、呆然としていた理由はそれか。

 

「ちょっとしたお仕置きだ。」

 

「「もう…………膝が……限界……‼」」

 

「後一時間したら終わりにしていいぞ。」

 

「「鬼ぃ~ッ‼‼」」

 

「俺は悪魔と人間のハーフだが?」

 

そんな定番なツッコミを返して、俺は椅子に座ってパソコンを開き、ガシャットの開発を始める。

 

(コカビエルの力は確実にレベル50を上回ってくる……しかし、まだ新型ガシャットの完成にはデータが足りない。なら、新しいエナジーアイテムを作るか?いや、そんなものは焼けた刃を付けただけ……やはり切り札となるのは、千歌の【マキシマムマイティX】と一誠の【セイヴァー・サバイバル】か……)

 

千歌のリプログラミングで堕天使の力を無力化すれば俺達も対抗できる……しかし、問題は千歌が当てられるまで俺達で抑えて置けるかだ。これはレベル50だけでやるのはさすがにキツい……それに、聖剣を盗んだのに使わないとは限らない。つまり、それを使える協力者がいる筈だ。

 

「やはり、レベル100(ハンドレッド)の開発を急がなくては……」

 

「でも、データ不足じゃ作り様がないよ?」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

「「う~ん…」」

 

あまりのデータ不足に俺と梨子が頭を悩ませていたら…

 

「だったら数を増やせば?」

 

「「え?」」

 

そこに善子が思わぬ提案をしてきた。

 

「増やす?」

 

「そうよ、千歌のマキシマムマイティXをもう一個作っちゃえばいいのよ。本物は千歌が持ってるし、使えそうなのもその隣に居るでしょ?」

 

「さっすがヨハネ、nice idea‼」

 

「……なるほど、それは盲点だった……‼」

 

同じガシャットを作るなら時間もそこまで掛からないから早く戦力の強化が出来るし、装着者の問題も美歌ならば問題はない‼

 

「よし、なら俺は早速複製に取りかかるから、ソーナ達から何か要請があったら頼むぞ‼」

 

「「「了解ッ‼」」」

 

「「り……了…解……‼」」

 

「あ、千歌と美歌はもう止めていいぞ。」

 

「「おおぉぉぉぉぉ……歩けない……‼」」

 

石板を退かしてようやく楽になった二人だが、正座と重石のせいで立てずに這うように動く姿はさながらゾンビみたいだった。ついでに俺の頭にエレキギターの音が響いたのは言うまでもない。

 

「しかし、ただ複製するのも面白くないな……ある程度は改造するか。なに、それくらいならこの神の(特典として貰った)才能を持った俺には容易いこと……ハーッハッハッハッハッハッハッ‼ヴェアーハッハッハッハッハッ‼‼‼」

 

「「「「「うるさいッ‼‼」」」」」

 

「Σ!(・8・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善子side

 

次の日、私はマリーと一緒に町を歩いていた。これは支取会長から町の見回りをルシファー眷属も依頼されたからだ。因みに梨子はガシャット開発の手伝いで、千歌は美歌と別の場所を回っているわ。

 

「にしても、結構歩いたのに何にも無いわね…」

 

「向こうもそんな簡単には、尻尾をcatchさせないわよ?」

 

「でもさすがに疲れたわ……彼処のファミレスで少し休みましょ…」

 

「そうね、そうしましょ。」

 

一時間以上歩き回ってさすがに限界になった私の提案にマリーも乗ってくれたので、そのファミレスに入って二人でコーヒーを注文する。

 

「次は何処を回る?」

 

「千歌達が住宅地だから……駅前にしましょ。」

 

「分かったわ。」

 

「お待たせしました、コーヒーになります。」

 

注文したコーヒーが来て、砂糖やミルクを入れていたらドアベルが鳴って新しい客が入ってきた。

 

(これは……悪魔と聖剣の気配?)

 

その時、自身に駆け巡った相反する2つの感覚にふと入り口を見ると、そこには兵藤錬二と搭城小猫、更にはヴァーリから聞いていた容姿と同じ人物……聖剣使いの二人が一緒に入って来ていたのだ。

 

「なにかしら、あのmemberは?」

 

「さあ……少し様子を見ましょう。」

 

丁度良く四人は私達の敷居の反対側に座ってくれたので、こちらの姿は見えていないし会話も良く聞こえた。

 

「して…君達の頼みとやらはなんだ?」

 

「俺達に聖剣を破壊する許可を欲しい。」

 

(ちょっと……何を考えてるのよ!?)

 

兵藤錬二の口にした提案に、私とマリーは冷や汗を流す。それは下手すれば冥界と天界で戦争が起きかねない内容だからだ。

 

「何でアンタ等にそんな許可出さないとなんないのよ?」

 

「それは、木場の為だからだ。」

 

そこからの話を簡単に纏めると、木場先輩は教会が行っていた【聖剣計画】等と呼ばれる実験の被験者だったらしい。しかし誰一人聖剣に適合出来ず廃棄の名目で毒ガスによって殺されそうになったが、仲間のお陰で彼一人逃げ出すことが出来、そこをグレモリー先輩に救われた。それ以来、彼は聖剣に対してかなり深い憎悪を抱いているそうだ。

 

今、そのせいで眷属を抜けるかどうかの瀬戸際にいるみたい。

 

「ならば交渉の余地はない。とっとと帰れ。」

 

「なッ!?何で…どうしてなんだよ‼」

 

青髪の女に断られると、兵藤錬二は思っている以上の驚きをしていた。

 

(あの驚き方………………まるで自分の知ってる予定とは違うみたいな感じね…?)

 

それを疑問に思いつつ、再び会話に耳を傾ける。

 

「解っているのか?……貴様達が聖剣を破壊しようとしすれば、聖剣強奪に悪魔が関わっていると証明する事になるぞ?そうなれば、天界と冥界で戦争になる。そんな話を貴様らの主が許す筈無かろう?」

 

「そ、それは…」

 

「ま、私としてはそのまま全員はぐれになってくれた方が、容赦なく狩れるんだけど♪」

 

青髪とツインテールの言葉に、私とマリーが頷いていたら……

 

「じ……実は聖剣破壊の話はルシファーから強引に命令されたんだよ‼俺達は壊さなくていいって言ったのに無理矢理…だから責任とかそんなのは木場や部長じゃなくて全部ルシファーに言えよ‼」

 

「「「はあ?」」」

 

そこで兵藤錬二がほざいた言葉に、私達と声からして小猫は開いた口が塞がらなかった。

 

「何を言っているんですか、兵藤先輩!?」

 

「アイツは昨日の話し合いの時に、俺だったら破壊するとか言ってただろ?それを俺達にやらせて、自分は責任逃れするつもりなんだ‼どうせ狩るんだったらアイツを狩ってくれよ‼」

 

その無茶苦茶な内容に頭にキた私は、先ずは周囲の人達に迷惑を掛けないように防音と認識阻害の結界を展開した。

 

「け、結界ッ!?誰が…「私よ。」ッ‼」

 

そして驚く兵藤の声を遮り、私達は敷居の上から顔を覗かせた。

 

「何を勝手にウチの王の名前を使ってるのかしら?そっちこそバレバレな嘘は止めてほしいわね。」

 

「な、何を言ってるんだ…嘘なんかじゃない‼アイツは木場の復讐心を利用して…「悪いけど動揺が丸わかりだし、ウチの王は木場先輩の復讐になんてコレっぽっちも興味無いわよ?」はあッ!?じゃあ木場の事なんかどうでもいいってのか!?」

 

木場先輩を心配する様な素振りで必死に責任を転嫁しようとする姿に、私は呆れしか感じなかった。

 

「当たり前でしょう?それはグレモリー眷属での問題なんだから、私達ルシファー眷属には一切関係無い事よ。」

 

「それにこのsituationで復讐を優先する人は、はっきり言って事件解決にはNo thank youよ。」

 

「でも、これが木場の為……」

 

「そのたった一人の為に、隣の子や大勢の人達をsacrificeするの?」

 

「へ?」

 

兵藤錬二は心底解ってない顔で首を傾げたので、私は思わず殴りたくなった。

 

「コカビエルは大の戦争好き、そしてエクスカリバーを盗んだのだって天界と戦争を起こすためだと予測出来るでしょ‼更に悪魔の管理している土地で大きく暴れれば悪魔側との戦争すら可能になってくる…‼だからこそ、慎重に物事を運ばないといけないのよ‼それを復讐心だけで動く雑魚が何かやらかしたら、それこそコカビエルの怒りを買って町を壊滅させるかもしれないのよ?アンタにその責任が取れる!?そんなのは無理よ。取るのは眷属の王であるグレモリー先輩なんだから。」

 

「ぐ…‼」

 

私の言葉に反論が出来ないのか、兵藤錬二は顔を真っ赤にして押し黙る。

 

「分かったら大人しくグレモリー先輩から言われた事だけをやりなさい。木場先輩がはぐれになったら、それまでの縁だったって事よ。」

 

そこまで言ってから私は結界を解除して席を立った。

 

「小猫も、同級生のよしみで言っておくけど…ソイツと組むのは止めた方が身のためよ?」

 

「…そうですね、もう少し自分一人で考えてみます。」

 

「ちょっと、小猫ちゃんッ!?」

 

「貴方の身勝手な態度には呆れ果てました。そんな人に、裕斗先輩の事を任せたく無いので。」

 

「では、私達も失礼する。」

 

「次は敵として会いましょ♥」

 

そして次々に私達は店を出ていった。

 

さて、もういっちょ頑張りましょうか‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「おーいコカビエルさーん‼出てきてくださーい‼」

 

「それで出てきたら苦労しないわよ…後、近所迷惑。」

 

1度家で休んでから、私と美歌は夜の住宅街で再びコカビエルさんの捜索を行っていた。

 

「でもでも~、こうでもしないと見つからないよ~ッ‼」

 

放課後から歩き回って、もう少しで住宅街全部見たことになっちゃうよ!?

 

「だからって…………いいえ、やっぱり千歌は最高ね。」

 

「ほえ?」

 

何でいきなり褒められたのか分からず、美歌の方を見たら上を見ていたので私もその視線の先を見たら、電柱の上に白い髪の男がジョジョ立ちしていた。

 

「貴方は‼………………………………誰だっけ?」

 

「「だあぁぁぁぁぁぁッ!?」」

 

私がそう言うと、美歌と男は一緒にズッこけた。

 

「あれ?どうしたの、二人とも?」

 

「千歌…」

 

「あれだけオレっちをボコしといて忘れっか、普通ッ!?」

 

「え………………………………ああ~、あの時の神父さんか‼」

 

なんとか記憶を掘り起こしたら、前の堕天使事件の時にいた白髪の神父の事をようやく思い出せた。

 

「ここであったが百年目ッ‼あん時の仕返しをしてやんよッ‼‼」

 

「「ふッ‼」」

 

その神父が剣を振り下ろしながら飛び降りてきたので、私と美歌は左右に別れてそれを回避した。

 

「美歌ッ‼」

 

「ええッ‼」

 

この声に美歌もすぐに答えて私は自分のを、美歌はヴァーリ君から新しく貰ったゲーマドライバーを装着し、マキシマムマイティXガシャットとプロトマイティアクションXガシャットを構える。

 

『マキシマムマイティエーックス‼』

 

『マイティアクションエーックス‼』

 

ガシャットの起動ボタンを押したら私は腕を大きく回しながら顔の右側に持っていき、美歌は薬指にガシャットを引っ掛けてぶら下げる様にして前に掲げる。

 

「マックス大…‼」

 

「グレード0(ゼロ)…」

 

「「変身ッ‼」」

 

『マキシマムガシャット‼ガッチャーン‼レベルマァァァックス‼最大級のパーワフルボディ‼(ガコン‼)マキシマームパワー‼エーックス‼』

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼』

 

美歌は黒いエグゼイド【ゲンム・レベル0】になり、私はエグゼイド・レベル99になってマキシマムゲーマを装着するけど、そこからすぐに飛び出し美歌の隣に着地して並び立つ。

 

「へへッ‼これで本気になれるなぁッ‼‼」

 

私達の姿を見た神父さんは、私達に剣を向ける。私はそれに寒気を覚える。

 

「千歌、気を付けなさい。あれは聖剣よ。」

 

「まさか……エクスカリバー!?」

 

「ありゃ、さっすが世界一有名な聖剣ッ‼敵さんまでご存じとはね‼」

 

「……どうやら、他にも聞かないといけない事が増えたみたいね。」『ガシャコンブレイカー‼』

 

「美歌?………………ッ‼」『ガシャコンキースラッシャー‼』

 

美歌は何かを呟くと、右手にガシャコンブレイカーをブレードモードにして持つ。それがどういう意味なのか気になりつつも、ガシャコンキースラッシャーを手にする。

 

「ステージ選択‼」

 

『ステージ・セレクト‼』

 

更にキメワザスロットホルダーのボタンを押して、周囲をダムの景色に変えた。

 

これなら町の人達に被害は出ないから、思いっきり戦える‼

 

「そんじゃ、楽しい楽しい悪魔狩りを始めますかッ‼‼」

 

「ノーコンティニューで……クリアするよッ‼」

 

「コンティニューしてでも…クリアするわッ‼」

 

決め台詞を叫んだら武器を構え、私達は神父さんへと駆け出した。




いかがでしたか?

仕事で感想返しが遅かったり、出来なかったりします。その辺はご容赦を。

次回は、この章のボスが登場します。

では、次回でお会いしましょう。







追記

シンフォギアXDで限定解除の調GETしました♪


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現れるboss

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアXDで和装乱舞が始まりましたね‼

私は和装調と和装切歌が目当てなので、そこまで石を頑張って貯めますよ‼

では、本編をどうぞ。


千歌side

 

「ノーコンティニューで……クリアするよッ‼」

 

「コンティニューしてでも…クリアするわッ‼」

 

私と美歌は同時に走り出し、バツ字に剣を振るう。

 

「ハハッ‼遅い遅えッ‼」

 

しかし、それは人間ではあり得ない速度で後ろに下がられる事で回避された。

 

「嘘ッ!?何、あの速さッ!?」

 

「なるほど、アイツの持っている聖剣は【天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)】ね?」

 

「大正か~いッ‼景品は……苦しめて殺してやるよッ‼」

 

「遠慮するよッ‼」『高速化‼』

 

私は近くのエナジーアイテムの力でスピードアップすると、神父へと向かって一気に剣を突き出すけど、それも難なく受け止められた。

 

「およ?便利なアイテムですな~…オレッチに追い付いてくるとか、ナマイキなんだよッ‼」

 

「このッ‼」

 

そのまま剣を何度もぶつけ合わせる。アイテムのお陰で互角に戦えていたが、効果時間が切れると動きが戻ってしまいその隙をつかれて、お腹を蹴り飛ばされた。

 

「くあッ!?」

 

「ヒャハハハハハッ‼‼時限式ってのは不便だね~♪その首貰ったッ‼」

 

「させないわよ?」

 

でも、神父の背後から美歌が突然現れて、聖剣を持つ腕を抱き抱える。

 

「ふふ…取ったわよ?」

 

「あ?……(バチッ‼)うおッ!?」

 

神父はそれを振り払おうとしたけど、その前に聖剣を持つ手に電気みたいなのが走る。

 

「な、なんだッ!?」

 

「今の私はレベル0……0ってのは無を表す数字でね?相手の力を抑制する効果があるの。つまり私に捕まれている間、貴方の力は抑制され聖剣との適合率はどんどん落ちていくわ。」

 

そして空中に何かの画面みたいなのが出てきて、そこには【COMPATIBLE Lv】という文字とどんどん下がってきている数字が映し出されていた。

 

「ヤッバ!?ほいよッ‼」

 

「…ッ!?くッ‼」

 

神父は剣を上に投げて反対の手で掴み美歌へと振るい、美歌はかわすためにやむ無く手を離して下がった。

 

「あ~あっぶな……こりゃ厄介な能力っすね…」

 

「貴方への嫌がらせには最適でしょ?」

 

「性格悪ぅ~……嫌いじゃねぇっすけどッ‼‼」

 

「うあッ!?」

 

ある程度適合率が下がったとはいえ、そのスピードはまだ速く美歌へと近づき、すれ違う様にして斬り裂き体から火花が散る。

 

「美歌ッ‼」

 

「テメェも散りなッ‼」

 

「く……させないわよッ‼」

 

美歌を心配している瞬間、神父が振り返り私へと剣を向けてくるけどそれを美歌が私を庇って攻撃を受ける。それによって胸のゲージは半分近く減っていた。

 

「く…ぐぅ…ッ!?」

 

「美歌ッ!?なんて無茶を‼」

 

「貴女を死なせたく無いからよ…‼」

 

「ありゃ~…麗しい姉妹愛ってやつ?ばっかばかしい……そんなの戦場じゃなーんの役にも立たねぇっての。」

 

「…………………………可哀想な人…」

 

「ああ?」

 

私が呟いた言葉に、神父が怒りを込めた声で反応する。

 

「そうやって貴方は、何でもかんでも壊して否定して……誰かを愛そうともしなかったんだね…」

 

「テメェ…‼」

 

一気に接近して神父は剣を振るうけど、私はそれをキースラッシャーで受け止める。

 

「テメェに何が解るってんだ‼‼誰にも裏切られた事も無さそうな、箱入り娘のお嬢ちゃんがッ‼‼」

 

「裏切られた事なら私だってあるッ‼‼それで、神様に祈った事だってッ‼‼」

 

「でもその神だって、何百年も姿を見せてねぇだろうが‼‼そんな奴にすがるなんて馬鹿馬鹿しいんだよ‼邪魔する奴はブッ倒す‼‼それが……俺があの神の使いを語るチンピラどもの巣窟で教わった事だ‼‼そして俺は生きる‼ある奴をブッ倒すまではなッ‼‼」

 

彼は叫びながら、力任せにキースラッシャーを手から弾き、またお腹に蹴りを入れられて私は地を転がった。

 

「うぐ…ッ!?」

 

「先ずはコイツを血祭ってやんよ……オラァッ‼‼」

 

そして倒れている美歌へと、エクスカリバーを思いっきり振り下ろす……

 

ガッ‼

 

「およ?」

 

けど、その腕を美歌は右手で掴んで止めた。

 

「悪いけど……まだ終わりじゃ無いわよ…‼」

 

その反対の手には、別のプロトガシャットが握られていて、すぐに起動ボタンを押す。

 

『ゲキトツロボッツ‼』

 

背後のモノクロのスタート画面から、これまた同じモノクロの丸みを帯びた小型のロボットが出てくると、神父に何度も体当たりをかます。

 

「イッタイッ!?なにそのダルマッ!?」

 

『ガッチョーン、ガシャット‼』

 

その隙に美歌はベルトのレバーを閉じ、ガシャットを隣のスロットに装填する。

 

「アップグレード…‼」

 

『ガッチャーン‼レベルアップ‼』

 

そしてレバーを開くと、ロボットが神父を吹き飛ばしゲンムへと装着され、左腕に大きなナックルを装備して上半身は某機動戦士に出てくるフェイズシ◯ト装甲の通電前を彷彿とさせるようなアーマーになった。後は頭にV字アンテナがあれば完璧だったのにな~……

 

『マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼アガッチャ‼ぶっ叩け‼突撃‼モウレツパンチ‼ゲキトツロボッツ‼』

 

「今さらそんな強化でッ‼」

 

神父は再び美歌へと突っ込むけど、そのスピードは格段に落ちていて私でも楽に動きが追える程だった。

 

「遅いッ‼」

 

それは美歌も同じで、左腕で動く先の場所へと殴り掛かった。

 

「ッ!?……ち‼」

 

でも神父は持ち前の物なのか、ギリギリで反応してかわした。

 

「さっきまで腕を掴んでたからね……もう持っているのがやっとのレベルまで落ちたんじゃない?」

 

美歌の言葉通り、神父の手の周りに電気みたいなのが幾重にも走っていた。

 

「こりゃヤッベェ展開ですな…‼」

 

「チェックメイトね。」『マッスル化‼』

 

美歌は攻撃力強化のアイテムを取り込み、左腕を振りかぶる。

 

「こうなったら先手必殺ッ‼‼」

 

神父は剣先を突き出しながら美歌へと突貫するけど、その一撃を首を傾けてかわし、がら空きになった体にナックルを叩き込んだ。

 

「うごぶぅッ!?」

 

その一撃で神父は私の元へと飛んできたので、キースラッシャーをバットに見立てて持ち構える。

 

「ヘーイヘーイ…そりゃあッ‼‼」

 

そして思いっきりフルスイングしたキースラッシャーは、神父の後頭部に命中して顔面スライディングで地面を滑っていった。その時、空中に浮かび上がった判定はHITだ。

 

「ありゃ?ホームランかと思ったのにヒットだった…」

 

「いや意味が違うから…」

 

そのまま動かなかったのでもう逃げないと思った私はゲームエリアを解除して元の風景に戻す。

 

「さて、貴方には色々と聞かないといけない事があるの。おとなしく…「見つけたぞ、フリードぉッ‼‼」…ちょっと、人の話を遮らな…」

 

美歌が神父に尋問を始めようとしたら、木場君の声が聞こえてそっちを見たら、問答無用に魔剣を振りかざして迫ってきていたから私は咄嗟に間に入ってキースラッシャーで魔剣を砕いた。

 

「ちょっとッ!?危ないよッ‼」

 

「そんな事より聖剣を僕に渡してほしい……それは僕が叩き折る‼」

 

「それはダメ‼これは天界のなんだよ!?それを壊したりなんかしたら…‼」

 

「だったら、邪魔を……「邪魔はお前だ。」がッ!?」

 

私の説得には応じないで再び剣を振るおうとしたら、ブレイブに変身したヴァーリ君が念道力で彼の体の動きを止めた。

 

「ヴァーリ君ッ!?」

 

「すまん、遅くなったな。」

 

そして木場君に向けて手を翳して波動を放ち、塀に叩きつけた。

 

「ガハッ!?」

 

「木場……復讐が悪いなんて事は俺も言わん。だがな……関係ない奴を巻き込むな。それをした時点で、お前も同じ外道と成り果てるぞ?」

 

「それがなんだッ‼僕は聖剣に復讐出来るならどうなろうと…‼」

 

「そうか。」

 

ヴァーリ君はそこで木場君の言葉を遮り、彼へと拳を振るうも木場君はなんとか避けた。

 

「ならばこの事件解決に…お前の存在はNo Thank youだ。」

 

「この…‼」

 

二人は剣を取り出し、一触即発の状態になったその時……

 

「ほう……フリードを倒すとは、中々見所がありそうだ。」

 

『『『『『ッ‼‼‼‼‼‼‼』』』』』

 

今まで数度しか感じたことの無い、強烈なプレッシャーが私達へと放たれて、私達は動きを止めた…………ううん、()()()()()()()

 

「ありゃりゃ……【バルパー】の旦那に【ボス】まで来ちゃいましたか…」

 

「ええッ!?」

 

とある一点を見ている神父の方へと視線を向ければ、空に10枚の黒い翼を広げローブを着た堕天使とその下の家の屋根に神父の服を着た小太りのお爺さんがいた。

 

「何をやっておるかフリードッ‼‼その程度の奴等、エクスカリバーを持つ貴様には楽勝だろう‼」

 

「いやいや、コイツらの変な力でエクスカリバーとの適合率下げられちゃってさ…」

 

そう言ってエクスカリバーを持つ神父さん……フリードはゆっくりと立ち上がる。

 

「何ッ!?まさかそんな技術を悪魔が持っていようとは…‼」

 

「ハハハハハハハッ‼‼前座の前の前菜と思って来てみれば、予想を越えた奴等がいるじゃないかッ‼‼」

 

「コカビエルッ‼貴様の目的は何だッ!?」

 

ヴァーリ君の質問にコカビエルはとても愉しそうな顔になり……

 

「戦争だよ……俺はもう一度、大規模な戦争がやりたいだけさッ‼‼‼それ以上でもそれ以下でもないッ‼‼‼」

 

「ちっ、一誠以上の戦闘狂…………いや、戦争狂がッ‼‼」

 

「それは誉め言葉として受け取っておこう‼‼」

 

そう言い自分とバルパー、フリードの足下に魔法陣を展開する。

 

「今回はただの顔見せだ。それとフリードを倒したお前達に褒美をやろう。」

 

コカビエルは私達を見下ろし……

 

「俺は今日の深夜0時、駒王学園で事を起こす‼‼止めたければ、その時間に我が元に来いッ‼直々に相手をしてやろうッ‼‼」

 

「見~つけたッ‼‼」

 

そう告げて転移しようとしたら、何処からともなく紫藤イリナが現れフリードに抱きついた。

 

「わおッ‼俺ッチのモテ期到来ッ!?」

 

「このままアンタ達のアジトまで連れてってもらうわよ…‼」

 

そして、一緒に転移してその場から消えた。

 

「なんか…………最後が凄い事に…」

 

「気にするな、それより1度戻って作戦会議だ。奴等を何としても倒さないと…」

 

いつの間にか木場君もいなくなっていたので、私は美歌を自分の中に戻して、ヴァーリ君と一緒に家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

1度家に戻り、眷属全員と合流したら俺は黒澤先輩の家に連絡を入れそこに皆で向かっていた。

 

「ねぇヴァーリ君、何で黒澤先輩の家に向かってるの?」

 

「ん?ルビィの持つ神器の力を借りようと思ってな。」

 

「確か……遠くの物事が見えたり聞こえたりするんだっけ?」

 

「ああ、それで今コカビエル達がどの方角に隠れているのか調べて貰うんだ。」

 

今の俺達は後手に回り過ぎてる。ここらで起死回生を図るならアジトへの急襲しかない……しかし、場所が解らないと意味がない。だから大まかでもいいので、その場所を探って貰う為に協力を頼んで、ルビィを戦場に連れていかない事を条件にダイヤ先輩が許可してくれた。

 

そして先輩の家に着き、敷地内に入ると何故か一誠に松浦先輩、渡辺に国木田までいた。

 

「よう、待ってたぜ?」

 

「……何でいるんだ?」

 

「曜とカナ姉がお呼ばれしてて、俺はそれに付き合わされたんだよ。最初は暇だったんだが、どうやら面白い事になってるようだな……ルシファー?」

 

コイツ……通話の内容殆ど知ってるな?

 

「ハァ…………まあ、お前の力も必要だからな…」

 

「いいぜ、喧嘩なら何時でも引き受けてやるッ‼‼」

 

メチャクチャやる気になっている一誠を見て、俺は再びため息を吐いた。

 

(コイツも渡辺達がいなかったら、コカビエルと同じ様になっていたのかもな……)

 

そんな事を思っていたら、奥からルビィとダイヤ先輩がやって来た。

 

「お待ちしてましたわ。」

 

「すみません、巻き込むつもりはなかったのですが…」

 

「戦いでなければ構いませんわ。ルビィもそれなら大丈夫と言ってますし。」

 

「は、はい……‼何かお役に立てるなら……‼」

 

「ならこの単語が聞こえた方角を教えてほしい。キーワードは【コカビエル】【エクスカリバー】【戦争】だ。」

 

「わ…解りました‼」

 

何かフィリップに検索を頼む翔太郎の気分になりつつ、神器を出したルビィの為に静かにする。

 

「えっと…………………………………あ、聞こえました‼」

 

「ッ‼どっちだ!?」

 

「あの……向こうです…」

 

そう言ってルビィが指さした方角を見て、その先にある物を思い出して俺は愕然とした。

 

「駒王学園……だと…!?」

 

すぐに腕時計を確認すれば、時間はまだ23時を少し過ぎた頃だった。

 

つまり奴等は既に彼処で何かを始めている…!?

 

「クソッ‼謀られたかッ!?」

 

「急ごうッ‼間に合わなくなっちゃう‼」

 

「ああ、イッセーも頼む‼」

 

「おうよッ‼‼」

 

「皆、気を付け……」

 

イッセーを連れて学園へと向かおうとし、渡辺が何かを言おうとした瞬間、空間にドット状の粒子が走り俺と眷属以外の全員がその場から消えた。

 

「えッ!?」

 

「ちょッ!?どういう事!?」

 

「ダイヤ達は何処行っちゃったのよッ!?」

 

「解らないけど……今の消え方って…‼」

 

「ああ……【ゲームエリア】だ…‼」

 

どういう事だ……ここにゲームエリアを展開出来るのは俺達とイッセー、ルビィだけだ。でも今、俺達がそれを展開する意味はない。つまり……

 

「第三者の介入…!?」

 

「なら助けないとッ‼」

 

「待て…‼」

 

ドライバーをセットし、ガシャットを起動させようとする千歌の手を掴んでそれを止める。

 

「何で止めるのッ!?早くしないと皆が…‼」

 

「向こうにはイッセーがいる‼アイツなら並大抵の奴等に負けたりはしないッ‼だったら俺達は、アイツが戻ってくるまで奴等の野望を阻止する事が役目だッ‼」

 

「でも…‼」

 

「アイツ等を信じろ…‼今この町の人々を守れるのは俺達だけなんだぞッ‼‼」

 

「………………ッ‼‼」

 

俺の言葉に千歌は悔しそうにしながらも、腕の力を抜いた。

 

「……いくぞ、何としてもコカビエル達を倒すッ‼‼」

 

「「「「うんッ‼‼」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「あん?ここ何処だ?」

 

ルシファーの後を追おうとしたらいきなり風景が変わり、何処かの採石場になった。

 

「な…なんですの、これはッ!?」

 

「風景が変わったズラッ!?」

 

後ろからの声に振り向くと、そこには黒澤姉妹に国木田、カナ姉と曜までいた。

 

「こいつぁ…アイツか…‼」

 

俺はこれを誰がやったのか予想したら、その通りの人物が俺達の前に出てくる。

 

「イッセー、俺の忠告を無視とか…………シラケる事すんなよ?」

 

「やっぱオメェか……パラド。」

 

俺を険しい目で睨み付けてくるパラドに、同じくらいの威圧を込めてガンを飛ばす。

 

「テメェこそ…俺のお楽しみ(ケンカ)を邪魔するなんて……シラケる事してんじゃねぇぞ?」

 

「言った筈だ、今のお前じゃコカビエルには勝てないってな。」

 

「んなのやってみなくちゃ、わかんねぇだろ?」

 

「…………だったら、今この場で教えてやるよ。」

 

パラドは懐に手を入れると、その手にゲーマドライバーを持って取り出し、腰に装着する。

 

「あれってイッセー君のと同じッ!?」

 

「あの人も先輩達の仲間なんでしょうか?」

 

「にしては、纏う雰囲気が違いますわね…」

 

後ろの声を聞きつつ、俺もゲーマドライバーを装着してお互いにガシャットを手に持つ。

 

「イッセー……俺の心を滾らせるなよ?」

 

「パラド……俺の怒りに火を付けんなよ?」

 

そしてそれをドライバーに勢いよく差す。

 

『『デュアルガシャット‼』』

 

《The strongest fist!! What's the next stage?》

 

《Saviour is Around the World!! Battle of Dragons!!》

 

俺の後ろには【セイヴァー・ストーリー】と【サバイバル・ドラゴン】が、パラドの後ろには【パーフェクト・パズル】と【ノックアウト・ファイター】のスタート画面が現れ、お互いに構える。

 

「あれって…………まさかッ!?」

 

「「マックス大変身。」」

 

これから何が起きるのかを理解した曜が声をあげ、俺達は掛け声と共にレバーを開いた。

 

『『ガッチャーン‼マザルアップ‼』』

 

そして出てきたゲートを潜り、俺はドラゴネス・セイヴァー・サバイバルゲーマーに、パラドは俺と似ているが白の部分が青く背中には金色のダイヤルを背負い、パズルのピースや炎をあしらったボディスーツ、そして目は青と赤のオッドアイの姿へと変わった。

 

『赤い拳、強さ‼青いパズル、連鎖‼赤と青の交差‼パーフェクト・ノックアーウトッ‼』

 

『赤き帝王、強化‼白き皇帝、弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

「パーフェクト・パズルとノックアウト・ファイター……レベル50の2つのゲームが混ざって1つになった。その名も……【パーフェクト・ノックアウト】…」

 

「セイヴァー・ストーリーとサバイバル・ドラゴンのレベル50のゲーム2つを混ぜ合わせて1つにした。その名も……【セイヴァー・サバイバル】…」

 

「「仮面ライダー(ドラゴネス/パラドクス)、レベル99。」」

 

向かい合う俺達の周囲を武器アイコンが回り、其々が装備する。

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

『ガシャコンパラブレイガン‼』

 

「二人の……レベル99…」

 

「「さあ……闘おうぜッ‼‼」」

 

そう叫び、俺達は拳と斧をぶつけ合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「イッセー君…………大丈夫だよね?」

 

「大丈夫だよ、イッセーが負けるわけ無いって。」

 

イッセー君の戦いを見守りつつ、思わず口に出た言葉に果南ちゃんが返してくれるけど、やはり心配なのか声が少し震えていた。

 

「相手の方は何を考えているのでしょう……それさえ分かれば、活路を見出だせるかも知れませんのに…‼」

 

「それなら、マルにお任せをッ‼」

 

そう言って花丸ちゃんは、右目に片眼鏡を出した。

 

「そうでしたわッ‼花丸さんの神器は相手の情報を見ることが出来る‼これなら…‼」

 

「え~と……………………………………え?」

 

私達はどんな情報が出てくるのか期待していたら、彼女が大きく目を見開いた。

 

「どういう事……え?なんで…!?」

 

「花丸ちゃん?」

 

「おかしい………………おかしいズラ…‼」

 

「ちょっと花丸さん?一体どうしたと…「ありえないズラ…」え、何が?」

 

彼女の瞳は動揺を表していて、呼吸も荒くなっていた。

 

「もし……マルの神器の情報が本当なら…」

 

そしてその表情を私達に向け……

 

「あの二人が()()()()()()()なんて、ありえないズラ‼‼」

 

そう叫んだ。




いかがでしたか?

次回からこの章の後半戦に入り、最後はたぶん、皆様の予想外な展開になる予定です。

では、また次回でお会いしましょう。


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Unrestな影

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアXDで和装の調が当たらねぇッ‼‼こりゃとうとうコンティニュー(課金)する時が来たか…?でもスマホゲームの課金ってやったことねぇからやり方が解らない……

そしてこの章は結末がかなり変わります。

では、どうぞ。


一誠side

 

「オラァッ‼」

 

「フッ‼」

 

ライダーに変身した俺とパラドは同時に走り出し、俺は籠手を付けた右手を、パラドはハンドアックスを振るってぶつけ合う。

 

「オイオイ……刃面を躊躇い無く殴るとか、面白い事するなぁ?」

 

「んなもんに一々ビビってられっかよッ‼‼」

 

ハンドアックスを弾き左足で右膝を蹴ろうとするも、その右足で弾かれる。

 

「フフン……ソラッ‼」

 

「チィッ!?」

 

続けて振るってくるアックスを左腕で受け止め、右拳で殴ろうとするも左手で受け止められた。

 

「確かにパワーが上がってはいるけど……ゲームじゃ俺には勝てないさ。」

 

「がッ!?」

 

腹に蹴りを貰い転がる俺を尻目に、パラドはエナジーアイテムを集め自身へと取り込んだ。

 

「いくぜ…」

 

『高速化‼』『マッスル化‼』『透明化‼』

 

「ざっけんなッ‼‼」

 

『Boost!!』『鋼鉄化‼』

 

パラドの姿が消え、嫌な予感がした俺はすぐ近くにあったエナジーアイテムに触れ、それを強化して取り込み防御力の上がった俺に、全方位からの見えないラッシュが襲い掛かる。

 

「く……ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

「言っておくが…」

 

必死に耐えていたら透明化が解け、俺の目の前に現れ胸ぐらを掴むパラド。その頭の上には三枚のエナジーアイテムが浮かんでいた。

 

「そいつは選択ミスだ。」『ガッチョーン、ウラワザ‼』

 

ベルトのレバーを閉じたパラドはエナジーアイテムを自分に取り込む。

 

『マッスル化‼』『マッスル化‼』『マッスル化‼』

 

「なッ!?」

 

「吹き飛べ。」

 

『ガッチャーン‼PERFECT KNOCK OUT!! CRITICAL BOMBER!!』

 

「ウラァッ‼‼」

 

攻撃力アップのエナジーアイテムを三枚使い、異常なまでに強化された一撃を俺は防ぐ事が出来ずにモロに喰らい、吹き飛んで石の山にぶつかった。

 

「ガハァッ!?」

 

「「イッセー(君)ッ‼‼」」

 

斜面を転がり、地面に倒れる俺の首をパラドは掴んで強引に起き上がらせた。

 

「グ…‼」

 

「これで解っただろ?お前じゃコカビエルどころか、俺にも勝てないってな。」

 

「……………………へっ、なめんじゃねぇぞ…俺達のゲームはここからさ…‼」

 

「強がりを…『ガシャット‼バグルアップ‼トゥインクルガール‼(Wooooo!!)星のオーディション‼素敵な笑顔‼きらめきアイドル‼(Wooooo!!)』……あ?」

 

パラドの言葉を遮る様に、新たにエールの変身音が流れる。

 

「先輩に届けッ‼私の歌声(エール)ッ‼」

 

『ミュージック‼』

 

 

ー推奨BGM【青空jumping heart】(ルビィソロver)ー

 

 

ルビィの歌が始まると俺の視界の端に、大量のバフアイコンが表示される。

 

「何だアイツは……「オラァッ‼」グッ!?」

 

ルビィの方に視線を向けた隙に、俺はパラドの顔を殴り1度距離を取る。

 

「力が上がった?……………………なるほど、そいつはサポート能力に長けてるのか。」

 

「ご名答。正解したお前に面白い物を見せてやるよ。」

 

そう言って俺の周りをに新たなアイコンが浮かび、それに手を伸ばすと高海が使ってるキースラッシャーに似ているが、斧の部分が無く剣は赤で銃身は白に変わりキー部分も真ん中のボタンが無くそれぞれL字に赤と白の2色が4つずつある武器が出てきて、俺はそれを左手に逆手で掴み取る。

 

『ガシャコンキーブラスター‼』

 

「まだ武器を隠し持ってたのか……心が踊るなぁ…‼」

 

「オイオイ、お楽しみはここからだぜ?」

 

『ジャジャ・ジャ・キーン‼』

 

ソードモードのボタンを叩き赤いキーを全て押したら、身体を低い姿勢にして俺は駆け出し、ある程度近づいたらジャンプして飛び掛かる。

 

「その程度…(ガギィン‼)グぅッ!?」

 

俺が全力で振るう剣を防ごうとしたパラドだが、エールによって強化された力に斧を落とした。

 

「貰ったァッ‼‼」

 

そのチャンスを逃さない為にも、俺はベルトのレバーを閉じるとすぐに開いた。

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼ガッチャーン‼SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「デエエエェェェリャアアアアァァァッ‼‼」

 

俺は左足を軸として回り、パラドの脇腹にエネルギーの集束した後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

 

「ガアッ!?」

 

「しゃあッ‼」

 

今の1発が綺麗に決まり、俺は思わずガッツポーズする。

 

「…………何を勝った気でいるんだ?」

 

「ッ!?」

 

だけど爆炎の中からパラドの声が聞こえ、視線を向けると胸のゲージが半分になっているが、しっかりとした足で立っているパラドがいた。

 

「なん……だと…!?」

 

「お前の攻撃が当たる瞬間に後ろに飛んだのさ。そうすれば威力は減衰される。」

 

その言葉に俺は愕然とした。

 

あの一瞬で俺の攻撃を……読みやがった…!?

 

「さてと、先ずは……」『ズ・ガーン‼』

 

パラドはハンドアックスのAボタンを押すと、刀身を反転させてガンモードに切り替えると銃口を黒澤妹へと向ける。

 

「お前……邪魔だ。」

 

「ッ!?逃げろ、黒澤ァッ‼‼」

 

「へ?(バキュン‼)キャアッ‼」

 

俺は大声で叫ぶが間に合わず、放たれた弾丸が黒澤妹へと直撃する。

 

「「「「ルビィ(ちゃん)ッ‼」」」」

 

「い……痛い…‼痛いよぉ…‼」

 

黒澤先輩達が駆け寄るが、黒澤妹は身体を縮込ませて痛みに震えていた。

 

「テメェ…‼」

 

「俺とイッセーの戦いに割り込んで余計な事をしたんだ。相応の事はさせてもらうぜ?……さあイッセー、決着を着けるぞ。」

 

『ガシューン。』

 

『分身‼』『高速化‼』『鋼鉄化‼』

 

パラドは分身を自身に、高速化と鋼鉄化を武器に取り込ませると抜いたガシャットを武器のスロットへと装填した。

 

『デュアルガシャット‼キメワザ‼』

 

「ヤベェ…‼」

 

そして10人に増えると、全員が銃口を俺へと向けて構えた。

 

「散れ。」

 

『PERFECT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「クソがああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」

 

『ガ・キーン‼』

 

『Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!』

 

俺は籠手を盾モードに変え、Bボタンを出来うる限り連打し半減の力を貯めて銃弾の嵐を受け止めた。

 

(く…‼半減が効いてる‼これなら…‼)

 

その嵐は数秒で終わりを告げる。それに安心した俺は手を下ろそうとし……

 

「油断ってのは大きな敵だぜ、イッセー?」

 

「ッ‼」

 

俺の前には分身は消えたが本体がまだ銃を構えてた。

 

「しまッ!?」

 

再び腕を上げようとするも間に合わず、本体から放たれた超高速の弾丸が俺の身体を貫いた。

 

「ウアアアアァァァァァァァァァッ!?」

 

『ALL CLEAR!!』

 

『ガシューン。』

 

その一撃に俺は吹き飛び、ガシャットが抜けて変身が解除された。

 

「「イッセー(君)ッ‼」」

 

「はあ~……こんなもんなのか、お前の強さは?俺をシラケさせるなよ。」

 

落胆の感情を含ませながら、パラドは俺の胸ぐらを掴んで持ち上げる。

 

「グ……ガハ…‼」

 

「やめてッ‼これ以上はイッセー君がッ‼」

 

曜の叫びを無視してパラドは俺に顔を近づける。

 

「そんなザマじゃ誰かを守るなんて夢のまた夢だ。お前はそれで良いのか?」

 

その言葉に中学の時に曜を守れなかったこと、今目の前で痛みに呻いている黒澤妹が思い出される。

 

「ああ…………そうさ…‼今の俺じゃ………………誰も守れねぇのかもな…‼」

 

「だったらどうする?」

 

「だったら強くなってやる…‼‼それがどんなに厳しかろうと…………俺を俺として見てくれる奴を今後助けられる様になるために……俺はァッ‼‼」

 

体に痛みが走るのも無視して、渾身の力でパラドの顔を殴る。でも変身が解けた俺の拳は何のダメージにも…

 

「……ッ‼ガハァッ!?」

 

なんて思ってたら、いきなりパラドが吹っ飛んだ。

 

「へ?」

 

目の前の状況に頭が追いつかねぇ……

 

「くくく……アハハハハハハハハハッ‼‼」

 

「うおッ!?びっくりした…‼」

 

突然大声で笑い始めるパラドに驚きつつ、視線を向ける。

 

『ガシューン。』「ようやく覚醒か……心が踊るなぁ♪」

 

「覚醒……だと…?それはどういう…」

 

「い、イッセー君…‼右手…‼」

 

「あ?…………うおッ!?なんじゃこりゃッ!?」

 

曜の言葉に自分の右手を見れば、うっすらと青いオーラみたいなのが出ていた。

 

「それに目の色も青色になってるよ…ッ!?」

 

「マジかッ!?」

 

さすがに目は確認出来ないが、曜の驚き具合を見れば本当だろう。

 

「おいパラドッ‼テメェ、これが何か知ってんなッ‼教えろッ‼‼」

 

「それはお前が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『PAUSE』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

駒王学園に着いた俺達の前にはグレモリー達とシトリーとその眷属がいて、既にシトリー眷属によって結界を張っていた。

 

「現状はッ!?」

 

「あ、ルシファー様。コカビエルとその一派が学園に侵入し何かの儀式を始めています。対抗しようにも私達やリアス達では…」

 

報告をしつつもシトリーの顔は悔しさが滲み出ている。

 

「任せろ、ここからは俺達の番だ。後は魔王様達への援軍要請も頼む。」

 

「……分かりました。」

 

落ち込むシトリーの肩を軽く叩く。

 

「グレモリー、お前達は俺達の援護だ。いいな?」

 

「了解しま「ちょっと待てよッ‼コカビエルは俺が倒すッ‼‼お前達こそすっこんでろよ‼‼」ちょっとレンジッ!?」

 

こちらの指示に喚き散らす兵藤錬二に、俺は無言で剣を突き付ける。

 

「な、何すんだよッ‼‼」

 

「反応まで2.7秒…………コカビエルクラスを相手にすれば、今の間に最低15回は死んでるな。そんな低レベルな奴を前線に出す訳が無いだろう。」

 

こっちもむざむざ味方を殺させるつもりは無い。

 

「死にたくなかったら援護に徹しろ。それがお前の生存率が高いんだからな。」

 

本当は連れてくのも不安だが、相手の戦力が解らない以上背に腹を返られない。

 

「すまないが、道を開けてくれ。」

 

「わかった。」

 

結界の前に立つとシトリー眷属兵士の【匙 元士郎】が通り道を作ってくれた。

 

「俺達の分まで……お願いします‼」

 

「ああ。」

 

彼の言葉に返事をし、皆で中に入る。

 

「よし……千歌、美歌を呼んでくれないか?」

 

「うん、出てきて美歌。」

 

千歌が呼ぶと、彼女の周りをオレンジと水色の粒子が包み、離れて1ヶ所に纏まり美歌となる。

 

「何の用?」

 

「ほら、お前の新しいガシャットだ。」

 

そう言って懐から出したガシャットを彼女へと投げ渡す。

 

「おっと。これが?千歌のと色違いなだけじゃない。」

 

そう思われても仕方ない…今渡したガシャットは千歌のマキシマムマイティXの色を黒と深紅に変え、エグゼイドの部分をゲンムに変えただけの物だからな。しかし……

 

「それは違ぁーうッ‼‼見た目が似ていようとも…唯一無二の才能を持つこの俺がその程度で終わる訳がなァーイッ‼‼それはレベル99の力と強化されたレベル0の能力、それと能力値を一定時間3倍に出来る力を合わせ持った…………その名も【アビスマキシマムマイティX】だぁッ‼‼‼」

 

「またチートなガシャットを…」

 

「落ち着きなさい。」『ス・パーン‼』

 

「はぶッ!?」

 

ガシャットの説明を美歌にしていたら、何故か梨子に後ろからハリセンで叩かれた。

 

「何をする?」

 

「テンションがおかしくなってたから、戻してあげただけです。」

 

「む、そうか…」

 

いかんいかん、最近ガシャットの事になるとテンションが上がり易くなっているな。

 

「それじゃ、コカビエルの所にLet.s Go‼」

 

鞠莉の言葉に俺達は歩き始め、校庭に入ると大きな魔法陣の上に4本の剣が浮かんでいてそのすぐそばにバルパーがいて、宙に浮かぶ椅子にコカビエルが悠然と座っていた。

 

「やはりお前達が来たか。何やらおまけもいるが……フフフ、これは楽しめそうだ。」

 

「コカビエル……これ以上お前の好きにはさせん。」

 

「ならば全力を持って……俺の計画を止めてみろッ‼‼」

 

「止めてみせるさ…‼」

 

俺達はドライバーを装着し、ガシャットを起動させる。

 

「術式レベル50。」『TADDLE FANTASY‼』

 

「第伍拾戦術。」『BANG BANG SIMULATIONS!!』

 

「GEAR FIFTY。」『HIGH SPEED HIGHWAY!!』

 

「禁術レベル50。」『WITCH CREATE!!』

 

「グレードMAXー0。」『アビスマキシマムマイティエーックス‼』

 

「マックス大…」『マキシマムマイティエーックス‼』

 

「「「「「「変身ッ‼」」」」」」

 

『『『『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』』』』

 

『アビスガシャット‼ガッチャーン‼レベルマァァァックス‼』

 

『マキシマムガシャット‼ガッチャーン‼レベルマァァァックス‼』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

『ダッシュ‼ダッシュ‼ダッシュ‼エ~ンジンを全開‼ブッちぎれ‼ハイスピードハイウェーイ‼』

 

『マジシャンガール‼夢をプレゼント‼願いよ届け‼ウィッチクリエイト‼』

 

ガシャットギアデュアル組は変身を完了し、マキシマム組は……

 

《最大級のパーワフルボディ‼ダリラガーン‼ダゴズバーン‼》

 

《最悪級のウールトラボディ‼ダビドゴーン‼ズビズバーン‼》

 

待機音を流しながら上空にマキシマムゲーマとゲンムに似せた【アビスゲーマ】が出てくる。

 

「「ハッ‼」」『『ガコンッ‼』』

 

そして二人は同時にガシャットのスイッチを押し込む。

 

『マキシマームパワー‼エーックス‼』

 

『カオスティーックパワー‼エーックス‼』

 

そこから二人は飛び上がり、それぞれゲーマに乗り込み装着を完了する。

 

「ククク……中々に楽しめそうだ‼先ずは小手調べといこうかッ‼」

 

コカビエルは校庭に大量の魔法陣を描くと、そこからケルベロスを召喚してくる。

 

「さあ……お前達の力を見せてみろッ‼‼」

 

『『『『『グオアアアァァァァァァッ‼』』』』』

 

雄叫びを上げながら威嚇するケルベロス達に、俺達は武器を持ち、構える。

 

「グレモリーとその眷属、ケルベロスの相手は任せるぞ?」

 

「了解しました‼」

 

「これよりコカビエル一派の切除手術を開始する。」

 

「ミッション、スタート。」

 

「ノリに乗ってくわよ‼」

 

「究極を越えた魔導を見せてあげる‼」

 

「コンティニューしてでも…クリアするわ。」

 

「ノーコンティニューで…クリアするよ‼」

 

各々の決めゼリフを言い、俺達は戦闘を開始した。




いかがでしたか?

次回はコカビエル一派VSルシファー眷属+オマケになり、最後にはアイツも登場予定です。

では、次回でお会いしましょう。


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現れるCURONUS

どうも、疾風の警備員です。

ラブライブ!サンシャイン!!2期が遂に始まりましたね‼

まだ仕事が忙しくて録画を見れてませんけど……

さて今回は遂に、あの敵が現れます‼

ではどうぞ。


変身が完了したヴァーリ達はコカビエルへと駆け出し、コカビエルは呼び出したケルベロス達をヴァーリ達へと向かわせる。

 

「ケルベロスは俺と鞠莉にグレモリー達で引き受ける。千歌と美歌はコカビエルを担当、梨子と喜子は二人の援護をッ‼」

 

「「「「「了解ッ‼」」」」」

 

彼は指示を出しつつガシャコンソードのBボタンを5回叩き、剣を横凪ぎに振るってケルベロスとコカビエルの間に炎の壁を作り出す。

 

「Let.s Party!!」『ガシャコンスパロー‼』

 

そこに鞠莉がスパローから大量の矢を放ち、ケルベロスの動きを制限させた隙をついてケルベロス達を飛び越えていく。

 

「おいッ‼自分じゃ無くて眷属の女の子達に戦わせるのかよッ‼この最低野郎ッ‼‼やっぱり俺が…」

 

「黙りなさい。」

 

その事に文句を言い始める錬二だが、鞠莉がその足下目掛けて矢を放ち二の句を遮る。

 

「何すんだよッ!?」

 

「これは私達のlevelやbattle styleを考慮した上でのformationなの。level差もそうだけど私とヴァーリはどちらかと云えば近接型……それに飛行も出来ないからコカビエルの相手はやりづらいの。でも千歌と美歌はlevel99だからコカビエルとも渡り合えるし、梨子は遠距離型でヨハネは飛行可能だからsupportもOK……だからこそ彼はあの子達が全力で戦える様に露払いをやる。それもkingとしての役目よ。貴方と私達のkingを一緒にしないで。」

 

「ぐ…‼」

 

鞠莉の説明に反論出来ないのか、錬二は顔を歪ませる。

 

「二人とも、そっちに1体行ったぞ‼」

 

「OKッ‼」

 

ヴァーリの攻撃範囲から逃れた1体が鞠莉達へと向かってくる。彼女はスパローを上空に投げケルベロス目掛けて一直線に走り出す。至近距離まで来ると真ん中の首が噛みつきに来るが彼女はそれをスライディングでくぐり抜け、そのまま滑りながら両腕のアタッチメントにガトリング砲を装着、無防備な腹へと弾丸を撃ちまくる。

 

『ガアアアアアアアァァァァァァァァァッ!?!?』

 

「これでfinishッ‼」

 

ケルベロスの後ろまで抜けたら鞠莉は跳び上がり、先程投げたスパローを上空で掴み取ると上から矢を連射してケルベロスに突き刺していき、やがて限界に達したケルベロスは消滅した。

 

「good luck♪」

 

「クソ……俺だってえええぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼」

 

それを見て負けられないと思った錬二は、赤龍帝の籠手を出しケルベロスへと向かっていく。しかし籠手は出したばかり……そして今まで神器に胡座をかいて特訓もしなかった者が自分より強い奴に向かえばどうなるか……

 

『がう。』ぺしッ。

 

「ぎゃっふんッ!?」

 

つまりこうなる(笑)

 

前足で軽く弾かれ(肉球のお陰でノーダメ)錬二は地面を転がり、別のケルベロスの前で止まった。

 

『………………ばう。』がぶっ。

 

「イタタタタタタッ!?刺さってる刺さってるッ‼牙が頭に刺さってるぅ~ッ‼‼てか息くさッ‼‼やめろ、鼻が曲がるうううぅぅぅぅぅぅぅッ!?!?」

 

『♪~♪~♪~』(ぶんぶんぶん‼)

 

「ちょっと振るなッ!?や、やめ……気持ち悪…………うええええええぇぇぇぇぇ……‼‼」

 

そのまま真ん中の首に頭から噛みつかれた。錬二は痛そうにしているが、ケルベロスは楽しそうに錬二をブンブン振っている。

 

「…………………………朱乃先輩、あれどうします?」

 

「ウフフ…………面白いから、そのままにしましょう♪」

 

「分かりました。」

 

同じ眷属である小猫は多少の同情はしたが、朱乃の言葉と普段の行いからいい薬になるだろうと思い、無視する事にした。しかしここまでケルベロスに好かれるとは……流石はオリ主(笑)。

 

「ハアッ‼‼」

 

その間にもヴァーリはガシャコンソードを振るい、ケルベロスを両断していく。

 

「鞠莉ッ‼まとめて動きを止めるから決めろッ‼‼」

『コ・チーン‼』

 

「了解ッ‼」

『ス・パーン‼』

 

ヴァーリは刀身を氷に、鞠莉はスパローを鎌に変えベルトのレバーを閉じる。

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

そして先にヴァーリがレバーを開く。

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

必殺技を発動すると刀身を地面に突き刺し、ケルベロスへと氷を走らせ触れた者から頭以外を凍らされる。

 

「これにてENDッ‼」

 

『ガッチャーン‼ HIGH SPEED!! CRITICAL SONIC!!』

 

続けて鞠莉もベルトのレバーを開き、超高速で動き回ってケルベロス達を細切れにした。

 

「朱乃ッ‼雷でケルベロスを牽制して‼その隙に小猫はケルベロス達を一纏めに‼後は私が決めるわッ‼」

 

「「はい、部長‼」」

 

リアスの方は朱乃がケルベロスの周囲に雷を落としまくり、動きが鈍った所を小猫が1体を蹴り飛ばして数体が巻き込まれる。そしてそこに滅びの魔力をチャージしたリアスがそれを放って消滅させていた。

 

「よしッ‼この調子でケルベロスを倒していきましょうッ‼‼」

 

グレモリー眷属も役目を理解し、その活躍でケルベロスの数も半数を切っていた。

 

「部長ぉ~ッ‼助けてくださ~いッ!?」

 

『♪~♪~♪~』(ぶんぶんぶん‼)

 

約1名を除いて……

 

(梨子、千歌、美歌、喜子……無事でいてくれよ…‼)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わりコカビエル戦

 

「このッ‼」

 

「フハハハハハハッ‼遅いッ‼遅すぎるぞッ‼‼」

 

梨子は全砲門をコカビエルへと向け、動きを制限するように撃っていくが、それを意にも介す事なくコカビエルは動かないで直撃弾だけを右手で軽く払い除けていた。

 

「この程度の射撃、止まって見えるわッ‼‼」

 

「だったらアンタも止まりなさいッ‼」

 

そこにコカビエルを取り囲む様に魔法陣が幾つも描かれると、そこから鎖が伸びてコカビエルをがんじがらめに縛り上げる。

 

「む?」

 

「続けてこれはどう?」

 

更にコカビエルの周囲に雷を纏った光球が大量に出現する。

 

「フォトンランサー・ジェノサイドシフト…………ありがたく受け取りなさいッ‼‼」

 

そしてそこから大量の光弾が次々にコカビエルへと撃ち込まれていく。

 

「これでfinishッ‼‼」

 

最後に残していた光球と鎖を爆発させて、炎がコカビエルを飲み込んだ。

 

「二人ともッ‼」

 

「「OKッ‼」」

 

梨子の合図に千歌と美歌がゲーマを纏いながら飛び上がって拳を振り上げる……

 

「……フハハハハハハハハハハハハッ‼‼‼‼」

 

「「ッ!?」」

 

直前、コカビエルが炎の中から飛び出して千歌を殴り飛ばした。

 

「キャアッ!?」

 

「千歌ッ!?」

 

「気を散らすな、トーシローがッ‼‼」

 

「くうッ!?」

 

千歌に気を取られてしまった美歌に、コカビエルは跳び蹴りを喰らわせる。

 

「あれだけの攻撃を受けて無傷…!?」

 

「フン……ありがたく受け取ってはみたが、物足りないぞ?俺に傷を付けたければ今の倍は持ってこい‼」

 

「なめんじゃないわよッ‼」

 

その言葉に喜子は魔力をガシャコンレイピアの先端に集束させ始める。

 

「させんさ。」

 

だがコカビエルは指の間に細い光の槍を作り、喜子へと投げる。

 

「そんなのッ‼」

 

しかしそれを梨子はしっかりと捉え、正確な射撃で撃ち落とす。

 

「まだまだァッ‼」

 

そして再び立ち上がった千歌と美歌がガシャコンキースラッシャーのガンモードでコカビエルを牽制する。

 

「ええい、鬱陶しいわぁッ‼‼」

 

あまりのしつこさにコカビエルは両手に大きな槍を作り出す。

 

「それなら‼」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

「私もッ‼」『ガシューン、マキシマムガシャット‼キメワザ‼』

 

それに対して梨子はベルトのレバーを閉じ、千歌はガシャットをベルトから抜くと、キースラッシャーのスロットに差し込む。

 

「消し飛べッ‼‼」

 

「お断りよッ‼」

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

「こんのぉ~ッ‼」

『MAXIMUM MIGHTY!! CRITICAL FINISH!!』

 

コカビエルは完成した槍を全力で投げ、梨子は全砲門を一斉射して1つを撃ち落とし、もう1つは千歌のビームと相殺された。

 

「貰ったァッ‼」

 

そこに美歌が腕を伸ばしてコカビエルの足を掴んだ。

 

「やったッ‼取ったわよッ‼‼」

 

「この程度で何を…………ぬ、力が抜けていく…?」

 

「レベル0の力で底辺へと叩き落としてあげるッ‼‼」

 

「小癪な真似を…‼」

 

その捕まれている足をコカビエルを思いっきり振って、それにつられて美歌までも振り回される。

 

「ちょッ‼無茶苦茶よッ!?」

 

「フンッ‼」

 

「キャアアアアアアアアッ‼‼」

 

「えッ!?ブギュッ!?」

 

あまりの勢いに美歌は手を離してしまい、それが運悪く魔力をチャージしていた喜子の方へと飛んでしまい激突して魔力がキャンセルされてしまった。

 

「お……重い…‼」

 

「失礼ね、これでも千歌と同じで……「何バラそうとしてんの、美歌ッ!?」冗談よ。」

 

そんな軽口を叩きつつ、四人は1度集まる。

 

「さすがに私とよっちゃんは、レベル差がキツいね。」

 

「オマケに実戦経験は向こうの方が圧倒的に多いから、レベルだけじゃどうにもならないし…」

 

「これからどうし「完成だ…‼」ッ!?」

 

攻略法を話し合っていたら、先程までずっとほったらかしだったバルパーが嬉しそうな声を上げる。

 

そちらに視線を移すと、先程まで4本あったエクスカリバーが1本だけになっていた。

 

「まさか……4本のエクスカリバーを1つに…!?」

 

「てか今更だけど、盗まれたのって3本よね?1本多くない?」

 

「どうせあの時一緒に転移した女の持ってたヤツでしょ。」

 

「さあフリード、これを使って暴れろッ‼」

 

「はいな~ッ‼この素敵で無敵のエクスなカリバーちゃんで、バッサリいっちゃいますよ~ッ‼」

 

そしてそのエクスカリバーの近くにフリードが現れ、エクスカリバーを掴み取る。

 

「厄介な奴が厄介な物を…」

 

「見つけたぞ、エクスカリバアァァァァァァァァッ‼‼」

 

そこに木場が現れて、鬼気迫る表情でフリードとつばぜり合いを始めた。

 

「ちょいちょいちょいちょいッ‼ま~たアンタですかい!?いい加減しつけぇんだよッ‼‼」

 

そのまま二人は高速の剣撃を繰り返す。

 

「どうするのよ、梨子?」

 

「彼は木場君に任せましょう。私達はコカビエルを倒さないと。」

 

「ならば急ぐがいい。後20分でこの町は地図から消えるぞ?」

 

「「「「なッ!?」」」」

 

コカビエルが告げた事実は、彼女達に衝撃を与えた。

 

「エクスカリバーを統合させる魔法陣は、この術式を発動させる為のものでもあったのさ。ほらほら急げよ、この町の住人を見殺しにしたくなければなッ‼‼」

 

「ならばこちらも全戦力を投入するだけだ。」

 

余裕な態度を取るコカビエルに、ケルベロス達を殲滅したヴァーリ達が合流した。

 

「ほお……予想より早かったな。だが、それでこそ戦いがいがあるというものだッ‼‼」

 

「お前はこの町に巣くった悪性腫瘍だ。だからこそ、ここで切除する‼」

 

「これ以上、この町の人達に手出しはさせないわッ‼」

 

「ならば来いッ‼俺達の戦争(ゲーム)を始めようじゃないかッ‼‼」

 

翼を広げ両手に槍を出すコカビエルに、ヴァーリ達は武器や魔力を構える。そして今すぐにでも勝負が始まろうという瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『RE:START』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うわッ!?」」

 

「「「「「「キャアッ‼」」」」」」

 

電子音声と共に校庭に一誠とパラド、曜と果南に花丸にダイヤとルビィ、アーシアといった面々が突如転がりながら現れた。

 

「なんだ……イッセーッ!?」

 

「それに皆もッ!?一体どうや「フッフッフッ…‼」ッ!?」

 

その事に全員が驚いていると、何処からか笑い声が聞こえてきた。

 

「誰だッ!?俺の戦争(ゲーム)を邪魔するヤツはッ‼‼」

 

皆が視線を笑い声がする方へ向けると、そこには黒字に黄緑のラインが所々走り、頭部には5本、肩には左右合わせて4本の角があり、腰にはローブが巻かれバグヴァイザーⅡを装備した存在が立っていた。

 

「あ……あれは…‼」

 

「ヴァーリ君?知ってるの?」

 

その姿に動揺するヴァーリに、梨子は心配しながらも相手の情報を得るために質問する。

 

「あれは俺が作り上げた“伝説の戦士”……‼」

 

「伝説の……戦士…?」

 

「ああ、いつか発売しようとずっと構想を練っていたゲーム【仮面ライダークロニクル】に出てくる……その名も…【仮面ライダークロノス】…‼」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

ヴァーリが話す内容に更にルシファー眷属が驚いた。そのクロノスは両手を後ろで組み、ゆっくりと歩き出す。

 

「諸君……この戦争(ゲーム)は無効だ。」

 

そして、最悪を告げる時計の針がゆっくりと動き出した。

 




いかがでしたか?

次の話はクロノスが思いっきりやらかします。

次回【砕かれるJewel】


「きらめきアイドル……君は絶版だ。」


では、次回でお会いしましょう。


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砕かれるJewel

どうも、疾風の警備員です。

今回はクロノスが派手にやらかします。

さあ、きらめきアイドルの運命はどうなるのか……

では、本編をどうぞ。


「諸君……この戦争(ゲーム)は無効だ。」

 

新たにこの場に現れた潜在……クロノスはゆっくりと歩きながらヴァーリ達とコカビエルの間に立つ。

 

「おい貴様……一体何の真似だ?」

 

コカビエルはせっかく気分がノッていた所に水を指され、額に青筋を浮かべながらクロノスを睨み付ける。

 

「私は君に用があって来たのだよ………コカビエル。」

 

「俺に用だと…?」

 

「そうとも。私は君をスカウトしに来たのさ……私の右腕としてね?」

 

その内容にコカビエルの表情が怒りに染まった。

 

「この俺が……貴様の右腕扱いだと…………ふざけるなよキサマアアアァァァァァァァァァッ‼‼」

 

その完全に上から目線の言葉にコカビエルはキレて、両手の槍を構えてクロノスへと突っ込んだ。

 

「フゥ…………無意味な事を。」

 

その行動にクロノスはため息を吐きつつ、バグルドライバーⅡのAボタンとBボタンを同時に押す。

 

「ッ‼止めろッ‼」

 

『PAUSE』

 

それに気づいたヴァーリがクロノスへと駆け出すが時すでに遅く、電子音声が流れると周囲に異変が起きる。クロノスの周りにあるすべてのものが動きを止めたのだ。コカビエルの翼から抜けた羽や、ヴァーリが駆け出す時に起きた砂煙さえも落ちたり消えたりせずその場に留まっている。それはヴァーリ達にも当てはまり、彼らもまるでマネキンチャレンジをやっているかの様にその場で止まっていた。

 

「これだから脳筋というのは…」

 

『ガッチョーン、ガッチャーン…‼』

 

その中をクロノスだけは動く事ができ、バグルドライバーⅡを外し右手に持っているグリップに赤い銃口を前にして取り付け、コカビエルを撃つ。止まっているお陰か難なく当て、HITの文字を浮かばせながら一瞬体がぐらつき再び止まる。

 

そしてバグヴァイザーⅡをベルトに戻し、もう一度ボタンを同時押しする。

 

『RE:START』

 

「ッ!?グオアァァァァァァァァァッ!?」

 

その瞬間、再び周りが動き始めコカビエルが爆炎に包まれながら校庭へと落ちた。

 

「えッ!?何が起きたのッ!?」

 

「コカビエルが一瞬で負けた…!?」

 

「な…なんだ……!?今……何が起きた…!?」

 

痛みに耐えつつ立ち上がろうとするコカビエルの前に、クロノスは悠然と立つ。

 

「話は最後まで聞くものだ。私の右腕になるならば君に強力な力と……それを存分に振るえる戦場を提供しよう。もちろん、そこでの成果によって更なる報酬も約束する。」

 

「力だと…?」

 

「そうだ。手に入るかどうかは君次第だが、上手くいけば堕天使総督や魔王すら凌駕する存在になれるぞ?」

 

「何だと…!?」

 

その言葉はコカビエルの心を揺さぶるのに、充分な効果があった。大規模な戦争を望む彼だが、だからこそ自分の力がどの程度のものなのかキチンと把握している。今のままでは堕天使総督であるアザゼルにギリギリで勝てるかどうかというレベルだということも……

 

「させるかぁッ‼‼」

 

「ん?」

 

その時、ヴァーリがガシャコンソードをクロノスへと振るうが、それを右腕でアッサリと受け止めた。

 

「スカウトの邪魔をしないでくれるかな、タドルファンタジー?」

 

「貴様こそッ‼俺のガシャットを返せェッ‼」

 

距離を離しマントを槍の様にして何度も突き出すが、クロノスはそれをダンスを踊るかの様な動きで回避する。

 

「無意味な事を…」

 

クロノスはその行動に呆れつつ、ドライバーのボタンを叩く……

 

「させないッ‼」

 

直前にクロノスに砲撃が命中した。

 

「…………これは何の真似かな、バンバンシミュレーションズ?」

 

クロノスの視線の先には、両腕の主砲ユニットを構える梨子がいた。

 

「これ以上、ヴァーリ君のガシャットを悪用させない‼」

 

「そういう事ッ‼」

 

そこに善子が魔法陣から鎖を伸ばして、クロノスの腕を縛り上げる。

 

「これでポーズは使えない筈ッ‼」

 

「Niceよ、ヨハネッ‼」

 

鞠莉がその隙をついてガシャットを奪い返そうと近づいて手を伸ばす。

 

「言った筈だ、無意味な事をと。」

 

「えッ!?キャアッ‼」

 

しかし、クロノスはその鎖をアッサリと断ち切り、ガシャットへと伸ばしていた鞠莉の手を掴んで放り投げた。

 

「くっ……おっとッ‼」

 

そして地面にぶつかりそうになるが、寸前でヴァーリがお姫様抱っこで受け止めた。

 

「oh、ありがとうヴァーリ…」

 

「気にするな、しかしこっちもそうだが、木場達の方も何とかしないと…「なら、私が行ってくるわ。」……わかった、頼むぞ…美歌。」

 

木場の方を美歌に任せてクロノスに挑もうとしたら……

 

『PAUSE』

 

再びポーズを発動され、彼らは動きを止めた。

 

「聞き分けの悪い子には…」

 

『ガッチョーン…ガッチャーン…‼キメワザ…‼」

 

その止まった時の中でクロノスはバグヴァイザーⅡをガンモードにしてキメワザを発動させる。

 

「お仕置きだ…」

 

『CRITICAL JUDGEMENT!!』

 

「フンッ‼」

 

右手を横凪ぎに振るいながら撃たれた必殺技は5人に命中した。

 

『終焉の一撃‼』

 

「反省したまえ。」

 

『RE:START』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美歌side

 

ヴァーリ達から離れ、私は木場とフリードが戦っている場所に走り、途中でゲーマから射出されて二人の間に降り立った。

 

「よっと。久し振りね、フリード?」

 

「ああん?テメェはあん時の…‼」

 

「そこを退けッ‼エクスカリバーは僕が…「黙ってろ。」ガッ!」

 

後ろで吠える木場の首を掴み、レベル0の力で悪魔の駒の力を抑制し、一時的に動けなくさせる。

 

「因縁があるのは、私もなのよ。」

 

「おやおやぁ~?仲間割れですかあ~?」

 

「そうね…………これも仲間割れね。」

 

フリードの言葉にそう呟き、ガシャコンキースラッシャーを構える。

 

「でしょ?()()()()()()()()N()o().()1()()()()()()()()()()()?」

 

「ッ!?なんでその呼び方を…‼」

 

「半分勘だったけどやっぱりね……貴方の本当の目的はあの機関で行われる筈だったNo.1同士の勝負かしら?」

 

「ああそうだッ‼それをしなきゃ、俺は本当のNo.1にはなれねぇんだよッ‼‼」

 

「なら丁度良いわ……ここできちんと決着つけましょうか?」

 

「どういう意味だ?」

 

意味が分からないという顔をしているフリードに、私は自分の過去を教える。

 

()()()()()()()()N()o().()1()()()()()()()()C()……貴方の探してる因縁の相手は……私よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「く…‼一体何が起きたんだ…!?」

 

パラドが何かを喋りそうになった時に不思議な感覚が襲い、次の瞬間には変身が解けて学校の校庭に俺達はいた。

 

「お前ら、無事かッ!?」

 

「う、うん…‼皆、無事だよ‼」

 

曜の言葉に安心し、息を吐き出したら……

 

「グアァァァァァァァッ!?」

 

「「「「キャアアアァァァァァァァァッ!?」」」」

 

「「「「「「ッ‼」」」」」」

 

突然聞こえた悲鳴に視線を前に向けると、悠然と立つ黒と黄緑の仮面ライダーと、爆炎の中に倒れるルシファー達の姿が見えた。

 

「マジかよ…!?」

 

「千歌ちゃん達が……負けた…!?」

 

あのルシファー達が一瞬で全滅した…!?アイツ一体何者だッ!?

 

「さて……煩い虫は潰した。次の目的に移るとしよう。」

 

黒いライダーは俺達の方を見ると、ゆっくりと歩いてきた。それに嫌な予感がした俺は、すぐに立ち上がってソイツの前に立ち塞がった。

 

「フム……君はたしか、セイヴァー・サバイバルだったかな?」

 

「…………今から何をやる気だ…!?」

 

俺の全力の殺気も何処吹く風の様に立ち、ゲーム名で人を呼ぶコイツに多少腹が立つ。

 

「それを教えるのは構わない。」

 

ゆっくりと右手を上げるソイツに意識を集中させ、真っ直ぐ伸ばしたら人差し指を立てる。最初は何かの攻撃かと思い注意していたが、それが誰かを差していると分かったらその先を見る。そこにいたのは……

 

「ぴぎぃッ!?わ、私?」

 

黒澤妹だった。

 

「黒澤妹に何の用があるってんだッ‼」

 

「簡単な事さ…」

 

そこでソイツは言葉を切り……

 

「きらめきアイドル……君は絶版だ。」

 

黒澤妹にそう宣告した。

 

「絶版…?」

 

「絶版とは会社が商品の重版を止め、出版権すら放棄した事を言いますわ。つまり……商品的な死…‼」

 

「死ッ!?」

 

黒澤姉の言葉に国木田が驚きの声を上げる。

 

「させっかよぉッ‼‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼マザルアップ‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

それを阻止する為に俺はドラゴネスに変身し、ライダーへと向かう。

 

「セイヴァー・サバイバル……それは無意味だ。」

 

『PAUSE』『RE:START』

 

「ッ!?ウアアアァァァァァァァッ‼‼」

 

『ガシューン。』

 

だが、奴がバックルを叩いた瞬間に俺は爆炎に包まれ、強烈なダメージと共に変身が解けて倒れた。

 

「「イッセー(君)ッ‼」」

 

「グッ…だ、大丈夫だ…‼」

 

駆け寄ってきた曜とカナ姉に起こされ、大丈夫と見栄を張るが実際は結構キツかった。

 

(なんだ……アイツは今何をやったんだッ!?視認できない速さで動いた?……いや、そんな生易しいものじゃない‼まるで…)

 

奴の秘密を解き明かそうとするも、身体中に走る痛みで思考が上手く回らず、その間に黒いライダーは黒澤妹へと近づいていく。

 

「あ……あ…」

 

「さあ、大人しく絶版になるといい…」

 

「させるかッ‼」

 

「むぅ…‼」

 

黒いライダーは黒澤妹へとバグヴァイザーⅡを向けるが、横から飛んできた弾丸を受けて怯んだ。その弾が飛んできた方を見ると……

 

「今度は君か……パーフェクト・ノックアウト?」

 

パラドクスに変身したパラドが、ガシャコンパラブレイガンをガンモードにして構えていた。

 

『1・2・3・4・5・6・7‼』

 

「ハアッ‼」

 

パラドはBボタンを連打し、7つの弾丸を同時に放って黒いライダーの周囲に着弾、土煙を上げて視界を塞いだその隙に、パラドは黒澤妹の前に立つ。

 

『7連鎖‼』

 

「おいおい、お前の相手は俺達だ。目移りすんなよな?」

 

「そうだぜ……黒澤に手ぇ出すんなら、俺達を倒してからにするんだな…‼」

 

俺もそこに参戦するため、心配する曜を引き剥がしてパラドの隣に立つ。

 

「さすがに、鬱陶しくなってきたな…」

 

「マックス大変身ッ‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼マザルアップ‼セイヴァー・サバイバール‼』

 

俺は再びドラゴネスになると、ガントレットを装備して拳を握り締める。

 

「パラドッ‼今だけは協力しろッ‼‼」

 

「おうッ‼心が滾るぜッ‼‼」

 

 

―推奨BGM【JUSTICE】―

 

 

俺達が同時に走り出すと奴は後ろに飛んで距離を取ろうし、させまいと俺達も奴へと飛び込む。

 

「せっかくだ。我が力…クロノスの発表会といこうか。」

 

「「その前にぶっ潰すッ‼‼」」

 

先に俺が殴りかかるが後ろへと受け流され、続けてパラドがハンドアックスを振り降ろすも、左腕で楽に受け止められた。

 

「オラァッ‼」

 

受け流された俺は右足で踏ん張り、左足で後ろ回し蹴りを繰り出すが…

 

ガシッ‼

 

「遅いぞ?」

 

「なッ‼うおわぁッ!?」

 

「やらせるかッ‼」

 

『ズ・ガーン‼』

 

その足を掴まれ振り回されそうになるが、パラドがハンドアックスをガンモードにして奴…クロノスの手を撃ち、力が弱くなった隙に脱出する。

 

「サンキュー…‼」

 

「イッセー…奴の攻略法は解ってるな?」

 

「ああ…今はそれしか手段がねぇ…」

 

「何をしようと無意味だと、まだ気づかないのか?」

 

余裕をかますクロノスを尻目に、俺とパラドは近くのメダルを取り込む。

 

『『高速化‼』』

 

そして同時にクロノスへと突撃をかまし、拳を振るうも簡単に防がれた。

 

「この程度で…「「まだまだぁッ‼‼」」ヌゥッ!?」

 

そこから俺達は怒濤のラッシュを始める。クロノスに反撃もさせず、片方を防ごうとすればもう片方がその隙にがら空きの所に攻撃を叩き込んでいく。

 

「お前のその不思議な技の攻略法は…‼」

 

「それをさせないレベルで、攻撃を繰り出していく事だッ‼」

 

「く…‼小癪な真似を…‼」

 

二人同時のラッシュを何とか凌いでいるクロノスだが、やはり発動が出来ないのかさっきの能力を使ってこない。

 

「そろそろ時間だッ‼」

 

「OK‼」

 

エナジーアイテムの効果時間が迫ってくると、パラドが能力でアイテムを集め、再び高速化を取り込む。

 

『『高速化‼』』

 

「このまま一気に…‼」

 

「押し切ってやる‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠とパラドの攻略法によってクロノスは防戦一方となっていた。しかし、クロノスはこの状況には全く動じてはいない。何故ならクロノスはこの攻略法の穴を知っているからだ。

 

そして遂にその瞬間が訪れる。

 

「くッ!?効果が…‼」

 

「だが、アイテムが…‼」

 

そう…この攻略法は高速化のアイテムだよりだ。つまり、それをする為のアイテムが無くなればそれだけで成り立たなくなる。

 

「フッフッフッ。」

 

『PAUSE』

 

動きが止まった瞬間にクロノスはポーズを発動し動きを止め、仮面の奥でほくそ笑みながら二人へと歩み寄っていく。

 

「さあ、お仕置きの時間だ。」

 

そう言ってクロノスはドライバーのBボタンを2連続で押す。

 

『キメワザ…‼CRITICAL CREWS-AID!!』

 

するとクロノス達の足下に光の時計盤が現れ、その上でクロノスが半時計回りに回ると時計盤の長針もそれに合わせて動き最後には回し蹴りを二人に叩き込む。

 

『終焉の一撃‼』

 

「フン…」

 

『RE:START』

 

「「グアアァァァァァァァァッ‼‼」」

 

『『ガシューン。』』

 

そして再び動き出したら、二人は爆炎と共に吹き飛ばされて気絶した。

 

「これ以上君達に関わっている程、私は暇では無いのでね…」

 

二人を倒してからは見向きもせず、クロノスはルビィの元へと歩き出す。その姿はまるで人間に裁きを下す神にも見えた。

 

「さあ、審判の時だ…」

 

「あ……ああ…」

 

ルビィは腰を抜かし、涙目になりながら何とか変身しようとするが、クロノスがバグヴァイザーⅡを彼女の腰から奪い取り遠くへと放り投げた。

 

「余計な事などさせんよ。」

 

『ガッチョーン…ガッチャーン…‼』

 

自身のバグヴァイザーⅡをガンモードに変えると、その銃口をルビィへと向ける。

 

「これで…絶版だ。」

 

「お待ちなさいッ‼‼」

 

しかしそこで大声で待ったを掛けながら、一人の人物が二人の間に入ってきた。

 

「お姉ちゃんッ‼」

 

入ってきたのはルビィの姉、ダイヤだ。

 

「そうか…君はきらめきアイドルの姉か。」

 

「これ以上、ルビィには指1本触れさせませんわよッ‼」

 

「ダイヤッ!?止めてッ‼」

 

「ダイヤさんッ‼‼」

 

その行動に果南と花丸が止めるように叫ぶが、彼女はそこから動かなかった。

 

「しかし、何の力も持たない君に…一体何が出来るというのかね?」

 

クロノスのいう通り、彼女はライダーの力も無ければ神器も持っていない…ただの一般人だ。そんな彼女がクロノスに勝てる可能性など、1%もない。

 

「例えそうだとしても、妹を守らない姉が何処にいますかッ‼‼」

 

「でも…‼(パチパチパチパチ)え…?」

 

果南が何とか止めさせようとすると、手を叩く音が聞こえてきた。その場に似つかわしくない音に誰がやっているのか、音の発生源を見ると…

 

「なるほどなるほど……これが麗しき姉妹愛と言うものか。」

 

手を叩いていたのは、敵であるクロノスだった。その事に全員が唖然とする。

 

「これは確かに素晴らしい……感動的だな。」

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

「いやいや、私は思った事を言ったまでさ。ふむ…」

 

そこでクロノスは何かを考える様な仕草をすると、体を反転させて彼女達から離れ始めた。

 

「それは何の真似…」

 

「今回は君達の姉妹愛に免じて……きらめきアイドルを絶版にするのは止めにしよう。」

 

「本当ですのッ!?」

 

その事実にダイヤは驚きながらも喜びを感じた。自分のした事が無駄ではないと思えたからだ。

 

「ただし…」

 

しかし、本当の悪夢はここから始まる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「代わりに君が絶版になるといい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノスはそう告げ、右手に持ったバグヴァイザーⅡから黒い粒子を蒔き、ダイヤへと振り掛けた。

 

「な…‼あ……がぁ…ッ!?」

 

するとダイヤの身体中を紫のノイズが走りだし、苦しそうにその場に倒れた。

 

「ダイヤッ!?」

 

「お姉ちゃんッ!?」

 

果南とルビィの二人がダイヤへと駆け寄るも、彼女の身に起きてる異変に動きが止まる。

 

「何…これ…ッ!?」

 

「お姉ちゃんの身体が…透けてる…‼」

 

その異変とはダイヤの身体がまるで消えるかの様に、透けたり戻ったりを繰り返していた。

 

「ねぇッ‼ダイヤに何をしたのッ‼‼」

 

「私は彼女にバグスターウィルスを感染させただけさ。それも私が改造した失敗作を…」

 

「失敗作…?」

 

「バグスターウィルスの価値はバグスターを生み出す事にある。だがこれは、感染者を()()()()()がバグスターを生み出さない。そんな物には何の価値も無い。廃棄処分しようと思っていた所だが……丁度良かった。」

 

クロノスのその言葉に怒りが沸くよりも、別の言葉が彼女達の恐怖を煽る。

 

「確実に……殺す…ッ!?」

 

「じゃあお姉ちゃんは…‼」

 

「彼女は死の運命から逃れる事は出来ない……という事だ。」

 

「なんで……なんでそんな残酷を平然とッ‼‼」

 

「こうなったのはきらめきアイドル……君のせいなのだよ?」

 

「え?」

 

果南の叫びを無視し、クロノスはルビィに告げる。

 

「君が素直に絶版されれば、姉がこの様になる事は無かった。もしくは私と戦えるだけの気持ちがあれば、また違った未来があったかもしれない。」

 

その言葉がルビィの心に突き刺さる。自分が弱いと解っていてそれでも自分は役に立てなくて、誰かに助けてもらってばかりだと……

 

「あ……ああ…‼」

 

「この結末は弱い君が生んだ運命だ。」

 

「そん……そんな……ッ‼」

 

「ルビィちゃんッ‼聞いちゃダメッ‼‼」

 

「ダメズラッ‼ルビィちゃんッ‼‼」

 

果南と花丸が叫ぶも心に刺さった刃はそう簡単には抜けず、更に奥にと突き刺さっていく。

 

「どうだね?自分の姉を死なせてまで……生き残った気分は?」

 

「うあ……ああ…‼」

 

「勝手に……殺さないで…………くださいます…ッ!?」

 

クロノスの言葉がルビィを苦しめていく中、ダイヤが必死に声を上げる。苦痛に表情を歪めながらも、その目にはまだ強い意思が残っている。

 

「ッ!?……お姉……ちゃん…‼」

 

「泣くんじゃありません…………自分が弱いと…理解したのなら………………強く…なりなさい…‼」

 

「でもッ‼お姉ちゃんが…‼」

 

「貴方を守れたのですから……後悔はありません…」

 

そして震える右手を伸ばし、ルビィの頬に触れる。

 

「貴方ならきっと出来る…‼自分に自信を……持ちなさい…‼‼」

 

「無理だよ…‼‼お姉ちゃんがいなきゃ…‼」

 

「甘えないのッ‼‼」

 

「ひッ!?」

 

「私はルビィの姉よ…?その姉が言ってるのです……だから信じなさい……自分の心を…‼」

 

「うん…‼うんッ‼解った‼信じる‼信じるよ‼だから…‼」

 

「なら……心残りは…………ありませんわ…」

 

そう言ってダイヤが目を閉じると、透けたり戻ったりの感覚が短くなりドット状の粒子が彼女から零れていく。

 

「いや…‼嫌だッ‼お姉ちゃんッ‼‼」

 

その粒子を逃がさない様にルビィは手を伸ばすが、その数はどんどん増えて零れては消えていく……

 

「ダイヤ…‼‼」

 

「ダイヤさんッ‼‼」

 

その三人の元に花丸もやって来た。その顔からは涙が止めどなく流れている。

 

「二人とも……ルビィを…………お願いします…」

 

「それは……ダイヤの…役目でしょ…‼」

 

「そう…ズラ…‼」

 

「それでも……です…」

 

ダイヤは二人にそう頼むと、再びルビィへと顔を向ける。

 

「ルビィ…………笑顔を………(パシュ)…忘れないで…」

 

その言葉の途中で、ダイヤの体に何かの光が当たった。

 

「ん~?何をしたのかな、タドルファンタジー?」

 

クロノスがその光の発射方向を見ると、先程クロノスが投げ捨てたルビィのバグヴァイザーⅡを持ったヴァーリがいた。

 

「決まっているだろォ‼明日を繋げる一手だァッ‼」

 

そう叫んだら彼は再び気絶した。どうやら渾身の力で動いていた様だ。

 

「全く……無意味だというのに…」

 

クロノスは視線をルビィ達に移すと、ダイヤの体はもうほとんど消えかけていた。

 

(ああ……これで終わりなんですのね…)

 

そんな中ダイヤの頭に様々な思い出が駆け巡った。所謂走馬灯だが、その中にルビィが出ない事は無かった。

 

(なんだ……姉妹離れが出来てなかったのは…………私もだったのね…)

 

そう思えたらダイヤは自然と笑みが零れた。自分から自立しろと言っておきながら、自分自身が出来てなかったのだから可笑しくない訳がない。

 

そして最近の思い出になってくると、ルビィの隣に一誠の姿がいるのが増えてくる。

 

(あの方なら……ルビィを任せられますわ…)

 

そう思うと少し寂しい気持ちが出てくる。それともう1つ別の思いが浮かんでくる。

 

(もし……また人として生まれる事が出来たなら…私も素敵な方と恋をしてみたいですわ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『GAME OVER』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、私の意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…ああ……‼お姉ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんッ‼‼‼‼」

 

粒子となって消えたダイヤにルビィの悲鳴が校庭にこだました。そんな中、一人笑い声を上げる者がいる。それはこの状況を引き起こした張本人…クロノスだ。

 

「ハッハッハッハッハッハッ‼‼これできらめきアイドルの姉は完全に消滅した‼そしてそれを心の弱いきらめきアイドルが耐えられる訳がない…‼もう歌う事も不可能だろう…‼つまり…………事実上の絶版だァ…‼」




いかがでしたか?

ダイヤさんファンの皆さん、スミマセンでしたああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼

でも、シナリオ上仕方なかったんです‼‼あ、やめて‼衝撃集中爆弾を投げないでください‼

では次回でお会いしましょう。


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エクスカリバーをMore than!!

どうも、疾風の警備員です。

やっベー、スランプだわぁ……ネタは出てくるのに、上手く話が組めない……

時間が掛かった割りに、微妙な仕上がりだ……

それでも良ければ、見ていってください。


クロノスの起こした悲劇の数分前……

 

「オリャアッ‼」

 

「テヤァッ‼」

 

校庭の反対側では、フリードとゲンムに変身した美歌がつばぜり合っていた。

 

「そうかいそうかい……こんな場所で会うなんて、俺ちゃんラッキーッ‼」

 

「いいえ、アンラッキーよ?……何せ私に倒されるんだからねッ‼」

 

互いに弾かれる様に後ろに跳び、着地と同時に再び突撃して剣を突き出して剣先がぶつかる。

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ‼‼だったら俺に勝ってみせろやぁッ‼‼」

 

「いわれなくとも…‼」

 

そこでフリードの姿が揺らめく様に消える。

 

「透明の力か……だったら‼」『ガシャコンブレイカー‼』

 

美歌は新たに出したブレイカーを右手に握り、ジャンプして上にあったアイテムを取る。

 

『マッスル化‼』

 

「セイヤッ‼」

 

そこからBボタンを連打し、着地に合わせて地面に叩きつけ衝撃波を全周囲に飛ばす。

 

「どわっちゃッ!?」

 

すると美歌の後ろで声がし、振り返るとそこには仰向けに倒れてるフリードがいた。

 

「残念だったわね?その程度、攻略済よ。」

 

「んなろ~ッ‼なら、これはどうだッ‼」

 

フリードが剣を眼前に翳すと、その姿が一瞬ブレて4人に増え、美歌へと同時に攻めてきた。

 

「今度は夢幻の力ね……それだったら…‼」

 

『液状化‼』

 

しかし彼女はアイテムの効果で体をゲル状にし、剣が体を貫くもダメージを無効化する、その上……

 

「なッ!?ぬ、抜けねぇ~…ッ‼」

 

刺さっている部分に力を入れ、固定させて抜けなくしたのだ。

 

「この至近距離なら……全員叩けるわよねぇ?」

 

仮面の奥でニヤリと笑いながら、最初の1体にブレイカーを全力で振り下ろすと頭をすり抜けて消える。

 

「最初はハズレか……それじゃ、次いってみましょう。」

 

それを見た他のフリード達は顔を青くして必死に抜け出そうとするが、それは叶わず無情にもブレイカーが振り下ろされ2体目が消える。

 

「これもハズレ……次。」

 

再度振られたブレイカーも分身だったようで消え、残り一人となった。

 

「お待たせ~♪本物さん?」

 

「おまッ!?分かっててやってたろッ!?」

 

「モチ。」

 

「まそっぷッ!?」

 

あわてふためくフリードの脳天に美歌はガシャコンブレイカーを叩きつける。実は彼女、4人に刺された時に殺気の濃さで本物はどれか解っていたのだ。だが恐怖心を煽る為に態々分身から消していく辺り、やはりSだ。

 

「ぐおおおぉぉぉぉぉ…‼‼‼マジ痛えぇ…‼」

 

「いや普通、痛いじゃすまないんだけど?」

 

ガシャコンブレイカーを喰らい踞るフリードだが、本来なら人間の頭蓋骨ごとき余裕で砕く一撃を、頭にコブ1つですんでるあたり、やはりこの男も人間を辞めている。

 

「チックショーッ‼こうなりゃ、こっちも本気だッ‼」

 

「なら、私も本気でやってあげるわ。」

 

エクスカリバーを握り締めるフリードに対し、美歌はレバーを閉じアビスマキシマムマイティXのリミットを解除する言葉を叫ぶ。

 

『ガッチョーン。』

 

「システム……イグナイト‼」

 

『ガッチャーン‼モードリリース‼』

 

するとその電子音の後、身体が軽くなり奥底から沸き上がる力を美歌は感じた。

 

「シャアッ‼クロックアップ‼」

 

「なら、ひとっ走り付き合ってあげるわ‼」

 

『高速化‼』

 

天閃の力で高速移動するフリードに、美歌も限定解除と高速化の力で同等以上の速度で動き、超速の剣撃を繰り広げつつ隙を突いてフリードに足払いを掛けて転倒させ、その背中を踏みつける。

 

「ふぎゅッ!?あ、なんかクセになりそう…‼」

 

「これが貴方と私の差よ。貴方じゃ私には勝てない……守りたい者も居ない貴方じゃね?」

 

「んだと…?」

 

「私は守りたい者達がいる……本来なら気味悪がる私を笑顔で迎えてくれた人達がね?」

 

そこで美歌は5年前のある日を思い出す。美歌という存在が生まれたのは、千歌がシグルド機関にいた頃……過酷な実験に心をすり減らしていた彼女のストレスによって生み出された人格だ。千歌を守るため美歌は機関にいる間、彼女の身体を支配していた。それにより美歌は驚異的な早さで強くなり機関の女子No.1になり【天才】と呼ばれたが、それでも千歌への負担は無くならなかったので彼女は機関を脱走し、その後千歌がヴァーリの眷属になった後は彼女はしばらく彼等の前に姿を現す事はしなかった。だが、ズル賢いはぐれ悪魔が大量の魔獣を呼び出し、その時の千歌の力では勝てる確率が低かったので仕方なく、同伴していたヴァーリと梨子の前で人格を切り替え大量の魔獣相手に無双したのだ。

 

大人しかった子がいきなり無双すれば普通怪しまれる。しかしヴァーリと梨子は……

 

『千歌ッ‼大丈夫か‼』

 

『千歌ちゃんッ‼怪我はない!?』

 

そんな事一切気にせず、彼女の心配をしてきた。その時はまだ気づいてないと思った美歌は自分の事を二人に話した。そうしたら二人の反応は……

 

『それは驚きだが、お前達を心配しない理由になるか。』

 

『だって千歌ちゃんも貴女も、もう私達の家族みたいなものなんだしね。』

 

全く変わることはなかった。

 

(あの研究機関にいた奴等は目の色を変えて実験材料にしようとしてたのに……)

 

この事が切っ掛けで彼女は少しずつ彼等を信じる事にして、今では完全に信用していた。

 

「だからこそ、ヴァーリ達に迷惑掛ける前にアンタはここで潰す。」

 

キースラッシャーを振り上げ、フリードの首めがけて一気に振り下ろす……

 

「グアァァァァァァァッ!?」

 

「「「「キャアアアァァァァァァァァッ!?」」」」

 

「ッ!?千歌ッ‼‼」

 

「オッシャッ‼隙ありイィィッ‼‼」

 

「うあッ!?」

 

直前に千歌達の悲鳴が聞こえ、視線をそちらに移した瞬間にフリードの聖剣が形を変え、まるで意思を持っているかの様に動き美歌を斬り飛ばした。

 

「く……ッ‼擬態の力…‼」

 

「ヒャヒャヒャヒャッ‼どうやらお前のお仲間さんがピーンチらしいけど、行かせやしねぇよ‼」

 

「だったら速効で倒すッ‼」

 

そして二人は再びぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長ッ‼行かせてください‼‼聖剣(アレ)は僕がッ‼‼」

 

「行かせられる訳ないでしょッ‼‼」

 

その頃別の場所では、血走った目でフリードを睨み、突っ込んで行きそうになっている木場をリアスが必死に抑えていた。

 

「何でですかッ!?」

 

「今の貴方が行ったところで、何が出来るっていうのッ!?」

 

「例えそうでも、聖剣を砕けるなら僕はどうなったって…「いい加減にしなさいッ‼‼」グァッ!?」

 

それを振りほどこうと彼はもがき、あげくの果てに自身を蔑ろにする様な言葉を言おうとする木場に、リアスは彼の左頬に平手打ちを喰らわせた。

 

「これで少しは落ち着いたかしら?」

 

「部長……?」

 

「復讐に心を囚われたままじゃ、貴方の剣は曇ってしまうわ。思い出しなさい‼‼貴方を逃がしてくれた子達の思いを‼‼」

 

「皆の…」

 

「なるほど、貴様はあの時の生き残りか…卑しくも悪魔になってまで生き、その上極東の地で合間見えるとは数奇な運命よ。」

 

何とか木場を落ち着かせる事に成功したリアスだが、そこにバルパーが割り込んできた。

 

「だが貴様とその仲間には感謝してやろう……お前達のお陰で、ワシの研究は完成したのだからな。」

 

「……完成?」

 

「聖剣を操るには特殊な因子が一定水準必要でな、お前達はそれが水準に届かなかった。そこでワシは考えた……貴様達の因子を取り出し、他の者に与える事は出来ないかとな?結果は成功だった‼」

 

狂った様な表情を浮かべながら説明するバルパーに、木場だけでなくリアス達までも嫌悪の表情を浮かべる。

 

「そしてこれはその因子を結晶化させた物だ。4つの内3つはフリードに使って、これが最後の1つだ。特別にお前にくれてやろう。既にこれ以上の物を量産化出来る準備が整っておるからな。」

 

そう言ってバルパーは木場の足元に青い結晶を投げ、彼はそれを拾い上げる。

 

「ミカエルの奴もこの研究を利用しているぞ?ま、奴は因子を抜いた者を殺したりはしていないだろうがな。全く、無駄な者を生かす意味が解らん…」

 

そのバルパーの一言が、彼の怒りに火を付けた。

 

「…………無駄だって?彼等の存在が……無駄だって?」

 

「そうだ。因子を失った貴様達に存在価値などない。ましてや情報漏洩の可能性があるのだ……殺処分は当然だろう?」

 

「だったら…………彼等の生きたいと思う願いも、無駄と切り捨てるのかッ‼」

 

木場の叫びにバルパーはニヤリと笑った。

 

「切り捨てるともッ‼貴様らはモルモットに過ぎん‼‼モルモット風情が人並みの幸せを望むでないッ‼‼」

 

「そんな事はないッ‼‼」

 

彼の言葉を否定するバルパーを更に否定する言葉が送られ、そこにゼノヴィアが現れる。

 

「人には生きる権利があるッ‼それを貴様のエゴで奪う事など断じて許されんぞ、バルパーッ‼‼」

 

「教会のエクソシストの片割れか……まだ生きておったのか?」

 

「生憎、頑丈なのが取り柄でね。」

 

「何故君が…?」

 

「言っておくが、今のは犠牲になった子供達に対してだ。悪魔のお前は関係ないぞ?」

 

「……それでもいいさ。」

 

木場は立ち上がり左手の結晶を握り締めると、それが淡く光り出し、校庭を包み込んでいった。

 

「これは…‼」

 

すると木場の前に光の玉が幾つも浮かび、それらは徐々に形を人の姿へと変えていった。

 

「朱乃……貴方、これが何か解る?」

 

「恐らく、この空間内にある様々な力が結晶に干渉して……中にあるあの子達の魂を開放したんですわ。」

 

「みんな…‼」

 

その姿を見た木場は涙を流す。もう会うことは出来ないと思っていた……嘗ての仲間達と再会出来たことで。

 

「僕は……‼僕は…ずっと思ってた‼僕で良かったのか……他に生きた方がいい子がいたんじゃないかって…‼だって僕より夢を持った子がいた……生きたいと思っていた子がいた……なのに、僕が生きて……‼平和に甘えていいのかってずっと…‼‼」

 

そう語る木場の前に一人の子が立つと、口を動かす。

 

「『そんな事は気にしなくていい。君だけでも生きて…』あの子はそう言ってますわ。」

 

それを読唇術で読んだ朱乃の後、校庭に歌が流れる。

 

「これは…聖歌?」

 

「……暖かい。」

 

「私達には毒なのに……なんて優しい旋律…」

 

それにリアス達が聞き入ると木場に異変が起き始める。

 

『一人じゃダメだった。』

 

『でも今度は一人じゃない。』

 

『皆がいれば聖剣だって受け止められる。』

 

『例え神がいなくても…』

 

『例え神が見ていなくても…』

 

『僕たちの心はいつだって…』

 

「ひとつだ。」

 

木場の体が光に包み、それが晴れると木場の中から溢れる力が変化していた。

 

「リアスッ‼これはまさか…‼」

 

「ええ、裕斗と彼等の思いに神器が答えたのよ。そして至った……禁手(バランス・ブレイク)に…‼」

 

木場が新たに剣を作り出すと、それは神々しさと禍々しさを併せ持った剣となった。

 

「これが僕の禁手……双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)‼‼…これで今度こそ、僕の過去に決着を着けるッ‼」

 

「ならばここからは、共同戦線にしないか?」

 

そして木場の横にゼノヴィアが並び立ち、そう提案してきた。

 

「いいのかい?僕は……聖剣を壊すかもしれないよ?」

 

「問題ない。あれは既に異形の剣……だから1度破壊して破片を回収する事にする。」

 

「だったら僕は構わないさ。」

 

「では、私も本気で行くとしよう。」

 

そう言うとゼノヴィアは左手を横に伸ばす。

 

「ぺトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ……我が声に耳を傾けてくれ。」

 

すると手の前の空間が歪み、鎖にがんじがらめにされた1本の剣が出てきて、彼女はそれを掴み取る。その剣からはフリードの持つエクスカリバー以上の聖なるオーラを放っている。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する………………デュランダル‼」

 

詠唱が終わると剣を縛る鎖が砕け、聖剣【デュランダル】が彼女の手に収まり、それを正眼に構える。そしてそれを見たバルパーは酷く動揺していた。

 

「バ…バカなッ!?デュランダルだとッ!?私の研究でもそこまでには達していないのに…‼」

 

「それはそうさ、私は天然物だからな。」

 

「まさか…‼天然の聖剣適合者だと…!?ええい‼フリードッ‼アイツ等も潰せッ‼‼」

 

「黙らっしゃいッ‼‼こっちもんなヨユーねーわッ‼‼」

 

バルパーは彼等を倒すようフリードに指示するが、美歌の相手で精一杯なのに無茶ぶりするバルパーに怒鳴り返した。

 

「あら、頼もしい味方の登場かしら?」

 

「手伝うよ…‼」

 

「任せてもらおう。」

 

「はあッ!?増援とかアリですかッ!?」

 

「なら、超協力プレーといきましょうかッ‼‼」

 

美歌の声に二人が飛び出し、最速の木場が先にフリードと接敵したら聖魔剣を目に捉えるのも難しい速度で振るっていき、フリードはそれを何とか堪え忍ぶ。

 

「ハアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「は、速いッ!?」

 

「隙有りだ。」

 

そちらに気を取られている間にゼノヴィアも接敵、上段からの全力の振り降ろしに何とか反応してエクスカリバーで受け止めたが、刀身に亀裂が入った。

 

「聖剣にヒビ入るとかマジっすか!?」

 

「マジよ。」『ズパ・パ・パーン‼』

 

「こなくそッ‼‼」

 

「逃がさないッ‼」

 

そこに美歌がキースラッシャーをアックスモードにして振るい、フリードは避けようとするも木場の不意打ちに足止めされ仕方なくエクスカリバーで受けたが、亀裂が刀身全体に広がる。

 

「いや待ってッ!?マジでヤバいんですけど…‼」

 

「ハアッ‼‼」

 

その状態にフリードは完全に慌て始めたが、木場がその隙を見逃す筈がなく、一気に近づいて聖魔剣をエクスカリバーに一閃……エクスカリバーは粉々に砕け散った。

 

「折れたぁーッ!?」

 

「終わりよ…‼」

 

『ガシューン、アビスガシャット‼キメワザ‼』

 

得物を無くし無防備になったフリードに、美歌はバックルのアビスマキシマムマイティXガシャットを抜き、キースラッシャーに装填する。

 

『ABYSS MAXIMUM!! CRITICAL FINISH!!』

 

「セイヤアアアァァァァァァァッ‼‼」

 

トリガーを引いて必殺技を発動させた美歌は正面からフリードに近づき、上段からの一閃で斬り捨てた。

 

「ゴハッ!?……な、なんで…………俺が…最強で……天才…」

 

「彼処での天才の称号は一騎当千ではなく、あらゆる状況に即時対応出来る万能型に与えられるの。貴方には周りを束ねる能力がなかったから、その称号が与えられなかったのよ。」

 

「ち……くしょう…………が…」

 

『痛烈の1発‼』

 

「バ、バカな…!?」

 

崩れ落ちるフリードにバルパーは信じられないものを見るかのように目を見開き、美歌はそんなフリード達から興味を無くし、すぐに視線を外す。

 

「待ってて千歌…‼今「あ…ああ……‼お姉ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんッ‼‼‼‼」な、何ッ!?」

 

「ハッハッハッハッハッハッ‼‼これできらめきアイドルの姉は完全に消滅した‼そしてそれを心の弱いきらめきアイドルが耐えられる訳がない…‼もう歌う事も不可能だろう…‼つまり…………事実上の絶版だァ…‼」

 

千歌の元へと向かおうとした美歌やリアス達の耳に、ルビィの悲痛な絶叫とクロノスの笑い声が響く。

 

「きらめきアイドルの姉……それってダイヤさんッ!?」

 

「消滅ッ!?……本当にいない…‼」

 

その言葉にリアスと朱乃は周囲に視線を巡らせるが、何処にもダイヤの姿を確認することが出来ず、見えるのは倒れているヴァーリ達と一誠とパラド、そして涙を流しているルビィに果南に花丸と曜とアーシアだった。

 

「ん?どうやらエクスカリバーは負けた様だな。」

 

「貴方…‼何て事をッ‼‼」

 

「悪いが君達に興味は無い……用があるのは(ガシャァァン‼)おや?」

 

クロノスの怒りを露にするリアスだが、当のクロノスはその彼女の怒りをそよ風の如く流しながら話していたら、学園を包む結界が割れて何者かが侵入してきた。

 

「ハ~ハッハッハッハッハッ‼‼白龍皇である【白神 龍矢】様の登場だッ‼‼僕が来たからにはもう大丈夫だよ、レディ達ッ‼‼」

 

上から聞こえてきた下らない口上に全員が視線を上に向けると、そこに黒髪に白のズボン、黒いシャツを着ていて背中から【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】を生やした優男がいた。

 

「誰…………あれ…………?」

 

「さ……さあ…?」

 

「…馬鹿が増えた。」

 

「あはは…」

 

「奴が白龍皇?それにしては力が全く感じられないが…」

 

リアスと朱乃はその登場に唖然とし、小猫は呆れと同時に毒を吐き木場はそれに苦笑い。ゼノヴィアだけは冷静に分析していたが、その判断通り原作では禁手でヴァーリは登場していたが彼はまだ至っていないのか、鎧は纏っていない。

 

「戦力外は黙って震えてろ…‼」

 

美歌は悪態を吐いた後に千歌の元へと駆けていくが、その時にクロノスの近くを通ると、奴の一人言が聞こえた。

 

「フッフッフッ…どうやら運命は私に味方している様だ…‼」

 

(?…一体どういう意味?)

 

『PAUSE』『Re:START』

 

そこでクロノスがベルトのボタンを叩き、一瞬の不思議な感覚に周囲を見渡すが、特に変化はなかったので彼女は特に気にせず千歌の元へと再び向かっていった。




いかがでしたか?

次でこの章は終わりになります。


次回【最悪のLose】

「俺には俺の贖罪の仕方がある……それだけだ。」


では、次回でお会いしましょう。


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最悪のLose

どうも、疾風の警備員です。


ヴェアーハッハッハッハッハッ‼‼やった‼やったぞ‼‼遂にスランプを克服したぞォォォォォォッ‼‼フォーウッ‼‼


失礼、テンションが社長りました(笑)

今回でエクスカリバー編は最後です。


新たに現れた白神は空から校庭を見渡し、そこでクロノスを発見したら口許をニヤリと歪めた。

 

(あれが俺の敵か……変な物を纏っているけど、白龍皇である俺の前には赤子同然さ‼)

 

そう思っているが、相手の能力を知らずに勝ちを確信するのは愚か者のやる事である。現に赤龍帝である兵藤錬二もそれでルシファー眷属にボコボコにされている。

 

「これはこれはバニシングドラゴン、私に何か用かな?」

 

「決まってるだろ、お前を倒すのさ‼」

 

そう言って右手人差し指をクロノスに突きつける。

 

(フッ……決まった‼)

 

そんな事を思うも、誰も気にしてないので意味は無いが。

 

「さあ、俺の全力で吹き飛ぶがいいッ‼‼」

 

突きつけた人差し指に魔力を集め、それをクロノスへと向けて放つが、リアス達から見ればそれは何て事無いレベルの攻撃だった。

 

「フン…」

 

勿論クロノスは歯牙にも欠けず、片手で易々とはたき落とす。

 

「え…!?」

 

それを見た白神は驚愕に震えた。

 

(バカな…!?俺の全力をあんなにアッサリと…‼)

 

そう思うが、今の一撃は集束がかなり甘く最初の1メートル付近で9割が散ってしまっているので全く威力は無い。

 

「これが君の全力かね?」

 

「そ、そんな訳無いだろッ‼今のは半分の力さ‼」

 

(((((あ、絶対嘘だ。)))))

 

クロノスの言葉に動揺しつつも強がりを言うが、強張った表情や流れる汗で嘘などバレバレだ。

 

「なるほど、それはとても…」

 

そこでクロノスは言葉を区切り、空にいる白神の前に現れる。勿論ポーズは使っていない……いや、先の一撃で使()()()()()()() ()と判断されてしまったので、素のジャンプ速度だ。

 

「……は?」

 

「残念だ…」

 

「ゴガァッ!?」

 

突然の出来事に動きを止めてしまった白神の脳天にクロノスは踵落としを喰らわせ、高速で落下し地面に激突、上半身がすっぽりと地面に埋まった○神家みたくなった。

 

「嘘はもっと上手く吐きたまえ……どうやら君自身には、そこまで価値は無い様だな。」

 

「だったら俺はどうだぁッ‼‼」

 

興が冷めた様な視線で白神を見つめるクロノスの背後から錬二が躍り出て、振り返るクロノスの顔に拳を叩き込んだ。

 

「へッ‼参った…「何かしたかね?」んなッ!?」

 

だがクロノスは微動だにせず、逆に錬二を殴り飛ばして校舎にぶつかり、壁版○神家になった。

 

「この程度か……少々…いや、かなり期待外れだったな。」

 

その強さの程に呆れて溜め息を吐いている所に、背後から滅びの魔力と雷が飛んでくるが体を左右に少し倒して楽々とかわした。

 

「やれやれ、君達には全く興味が無いのだが?」

 

「黙りなさいッ‼‼これ以上の被害は出させないッ‼‼」

 

リアスと朱乃が魔力と雷を放ち、その隙間を木場と小猫が潜り抜けながら駆け寄ってくる。

 

「……無意味な事を…」

 

クロノスは飛んでくる攻撃を、その場で微動だにしないで全て受け、更に木場の聖魔剣の突きと小猫の正拳突きを喰らった。

 

「やった…‼「これで満足かね?」なッ!?」

 

しかし全くダメージの無いクロノスは二人の腕を掴み、リアス達の前へと投げ飛ばした。

 

「ウアッ!?」「クウッ!?」

 

「二人ともッ‼」

 

「大丈夫ですかッ!?」

 

「君達にもお仕置きが必要な様だな…」『ガッチョーン、ガッチャーン…‼』

 

クロノスはバグヴァイザーⅡを右手にガンモードで持つと、銃口をリアス達へと向ける……

 

「フンッ‼」

 

が、その前に光の槍がリアス達の前に突き刺さり大爆発を起こした。

 

「「キャアアアアアアアッ‼‼」」

 

「…………これはいい返事と思って良いのかな、コカビエル?」

 

クロノスは槍が飛んできた方に視線を向けると、何かを投げたかの様な姿勢のコカビエルがいた。彼は姿勢を戻すとクロノスを睨み……

 

「良いだろう、貴様が契約を守る限り……お前に従ってやる。それが敗者の義務だ。」

 

「ハッハッハッハッハッ‼‼約束は守るさ……君の決断に感謝しよう、グッジョブ。」

 

笑いながらコカビエルの傍に寄ったクロノスは右手で彼の肩を叩く。

 

「では用も無くなった事なので、帰るとしよう。」

 

「待てッ‼‼コカビエル‼」

 

帰ろうとするクロノス達に、バルパーを監視していたゼノヴィアが声を上げる。肝心のバルパーは呆然とした表情で何かを呟いているが、あまりの声の小ささに聞こえてはいない。

 

「なんだ?」

 

「イリナを……私の相方をどうしたッ‼‼」

 

「ああ、奴なら今頃達磨になって地面に転がっているだろうさ。」

 

「なッ!?」

 

「もういいか?では、アディオス。」

 

イリナの惨状を聞いて絶句するゼノヴィアを尻目に、クロノスはコカビエルを連れて何処かへと消えていった。

 

「そんな……イリナ…」

 

「ぐ……クロノスは…‼」

 

そこに最初に倒されたヴァーリ達と一誠とパラドが目を覚ました。

 

「おい曜……俺達が負けた後…………何があった…‼」

 

「それが…………ダイヤさんが…‼」

 

涙を流しながら話す曜と、視界の端に映ったルビィが泣いている姿を見て起きた事を理解した一誠は地面を叩く。

 

「クソ…‼俺は肝心な時に…‼‼」

 

「イッセー…」

 

パラドが心配そうに一誠を見ていたら……

 

「そうか……そういう事だったのかッ‼‼」

 

さっきまで小声でブツブツと呟いていたバルパーが、急に大声を上げた。

 

「な、なにッ!?」

 

「クックックッ…‼貴様ら、よくもワシの計画を台無しにしてくれたな…‼その礼だ……そこのデュランダル使いの信仰を…………断つ…‼‼」

 

そしてゼノヴィアを睨むその瞳は怒りに染まり、口は愉悦で歪んでいた。

 

 

―推奨BGM【EXCITE】―

 

 

「デュランダル使いイィッ‼‼」

 

突然大声で呼ばれたゼノヴィアはビクッと反応する。

 

「何故、教会を異端となる者が爆発的に増えたのかッ‼何故、神が数百年も姿を見せていないのかッ‼何故、そこの男が聖と魔の力を融合する事が出来たのかアァッ‼‼」

 

そしてゼノヴィアに質問を飛ばしていくが、そこにいる殆どの者が彼が何を言っているのか理解できていなかった。しかし例外が二人いる。ヴァーリと梨子だ。

 

「ぐ……それ以上言うなァッ‼‼」

 

彼が何を言うのか理解したヴァーリは、それを遮ろうと動き出すが、ダメージが多くその動きは遅かった。

 

「その答えはただヒトォツ…‼」

 

「やめなさーいッ‼」

 

それを見た梨子も走り出すが、やはり痛みで動きが鈍い。

 

「フゥハー…‼デュランダル使いイィッ‼‼」

 

「………ッ‼」

 

二人を見かねたパラドも走り出すが、既に時遅く……

 

「貴様の信仰する神は……魔王と同じく過去の大戦で、既に死んでいるからダァッ‼‼‼‼ヒャーハッハッハッハッ‼‼ギャーハッハッハッハッハッ‼‼‼‼」

 

彼の口から禁断の言葉が紡がれた。一般人である曜達はそれがどういう事か理解しきれてないが、悪魔陣営や天界陣営にいる者達はその重要性が分かった。

 

「神が…!?」

 

「亡くなっているなんて!?」

 

止める事が出来なかったパラドは、怒りのままにバルパーの胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

「は……ハハ…‼嘘だ、そんなの…私を騙そうとして…‼」

 

「では……私達が神から与えられる筈の愛は…!?」

 

「紛い物に決まってるだろォッ‼‼それは恐らく、ミカエルの見せたまやかしだぁッ‼‼‼‼」

 

特にこの中で信仰心の強かったゼノヴィアとアーシアにその言葉は毒に等しく、否定しようと思うもその度に彼の言葉が証明されていくばかりだった。

 

「おい……今ここでそれを言うことが何を意味してるのか………………お前、解ってるのか?」

 

掴む力を強め、睨み付けるパラドだったがバルパーはその顔に笑みを浮かべる。

 

「わかってるともォッ‼‼‼これでそこの小娘達も、三大勢力に命を狙われる存在になったと言うことだぁッ‼」

 

「フンッ‼」

 

「アギャッ!?」

 

その顔にムカついたパラドは、バルパーの顔面を思いっきり殴った。それをもろに受けたバルパーは地面を数メートル転がって仰向けになり、その上に股がり拳を振り上げる。

 

「なら命を失う恐さを……その身に叩き込んでやる。」

 

「ヒィッ!?」

 

そしてそれを振り降ろした……

 

「おっと、そいつは待って貰おうか。」

 

が、その腕を新たに現れた男が掴んで止めた。

 

「随分と遅い到着だな………【アザゼル】?」

 

その拳を止めた金色のメッシュの入った髪の和服の男【アザゼル】は、パラドが名前を知っている事に驚いた。

 

「へえ……俺を知ってるのか。まあそれはいい、ソイツはこっちで処罰を与える。もちろん手加減なんざしねぇ……それでいいか?」

 

「…………………………好きにしろ。」

 

そう言って腕を振り払いバルパーから退く。

 

「お前達もウチの者が迷惑掛けた。後日、正式に謝罪に行くから。」

 

アザゼルと呼ばれた男は、バルパーの胸ぐらを掴んで無理矢理立たせ、一緒に転移していった。

 

「これで…………終わったの…?」

 

「そうみたい…」

 

事件の終結を確信したところで、全員が座り込む。そして結界を解除し入ってきたシトリー達の手によって、治療の為に保健室へと連れていかれた。

 

「そんな…………黒澤さんが…‼」

 

治療をしながら事件の内容を聞いていたソーナは、ダイヤの消滅に驚きを隠せなかった。

 

「今回は完全な敗北よ……それも最悪といっていい程の…‼」

 

クロノスという乱入者のせいでコカビエルを取り逃がし、民間人に死者を出してしまった事にリアスは悔しそうに唇を噛んだ。

 

「ルビィさんは大丈夫かしら…?」

 

ソーナとリアスが視線を向けると、ベッドの上で体育座りをして膝に顔を沈め、体は小刻みに震えているからまだ泣いているのだろう。その彼女には花丸と果南が寄り添っている。

 

「無理もないわ……大事なお姉さんを目の前で…」

 

「唯一の救いは……町を吹き飛ばす術式が解除されていた事ですね…」

 

朱乃の言葉通り、エクスカリバーを統合した事で発動した術式はコカビエルが1度倒された事で解除されていた。それをやったのがクロノスというのは皮肉でしか無いが……

 

「だが、他にも問題はある。神の死を彼女達が知ってしまったことだ。」

 

そこに包帯をあちこちに巻いたヴァーリが来て、深刻な問題を話す。

 

「神の死は三大勢力共通の特秘事項だ。それを人間の彼女達が知ってしまった事が広まれば、拡散を防ぐ為に殺される可能性が出てくる。」

 

「どうしましょうか?」

 

「だから彼女達とその家族はウチの会社で保護する。社長は旧魔王の爺さんだから、権力も問題ない。」

 

「確かに、その方が私達が保護するよりも安全ですね。」

 

そこまで聞いて、リアスは疑問に思っていた事を口にした。

 

「ところで、ヴァーリと梨子はどうして神の死を知っていたのかしら?」

 

そう、バルパーが言っていた事は彼処にいた殆どが意味不明だったのに、二人はそれを阻止する為に動いた……即ち、彼が何を喋るのか知っていた事になる。

 

「昔、爺さんに教えられたのさ。この話は何時か表沙汰になる。だからその時に、王と女王であるお前達が皆を束ねられる様に準備しておけってな。」

 

「なるほど…」

 

「さて、次はお前の話を聞こうか……パラド?」

 

そこで話を区切り、ヴァーリ達は腕を組んで壁に寄りかかっているパラドに視線を向ける。

 

「ん?答えられる事ならな?」

 

「なら単刀直入に聞こう……俺はお前を作った覚えはない。なら、お前は誰に感染して生まれた?」

 

「オイオイ、ネタバレにはまだ早いって…それは教えられないな?」

 

その返答にヴァーリはイラッとするが、今は情報を聞き出すためにグッと堪えた。

 

「なら目的はなんだ?」

 

「それは、運命を変えるためさ。」

 

「運命を変える?」

 

「詳しくは言えないけどな。」

 

そこでパラドは壁から離れ、一誠がいる椅子の横に行く。因みに一誠がこの中で一番の重症で、曜が包帯を巻いたりしていた。

 

「………………何の用だ?」

 

「これで理解しただろ?俺に負けるお前が、コカビエルやクロノスに勝つなんて……夢想でしかないってな。」

 

「……………………」

 

その言葉に一誠は俯く。今回ばかりは、何を言われても反論出来ないのを彼自身が一番理解していた。

 

「そこで、お前に提案がある…………一誠、俺と手を組まないか?」

 

「……は?」

 

パラドの案に一誠は驚いた。しかし、そこでパラドの首もとにヴァーリがガシャコンソードを突きつける。

 

「何の真似だ?」

 

「だから提案さ、クロノスに勝つためのな。」

 

「ふざけるなよ……一誠をゲーム病にはさせん。」

 

そのまま戦いになるんじゃないかと周りが思った瞬間、パラドは自身の体を粒子化して窓際まで逃れた。

 

「別に返事は今じゃなくていいさ。でも、もし手を組むんなら……俺達でクロノスに最上の奇跡を見せつけてやろうぜ?」

 

そう言い残して、パラドはその場から消えた。

 

「アイツ……何を企んでいる?」

 

「さあな……」

 

パラドがいた場所を睨みつつ剣を消したヴァーリは美歌の元へと向かった。

 

「美歌、お前の力を貸して欲しい。」

 

「ワタシ?……別にいいけど、何をやるの?」

 

「確証がない以上、内容は言えない……だが、絶対に成し遂げなければいけない事だ。」

 

「…………………………いいわ、手伝ってあげる。」

 

「助かる。梨子も頼む。」

 

「うん。」

 

許可を得たヴァーリは自身と二人の足下に、転移用の魔法陣を描く。

 

「鞠莉、千歌と善子と一緒に学園の方を頼む。俺達はしばらく研究室に籠る。」

 

「OK……信じてるわよ?」

 

「フ……任せろ。」

 

会話を終えたら、ヴァーリ達は転移していった。

 

「彼は何をしに?」

 

「Penance……………………贖罪よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、ワタシは何をすればいいの?」

 

「先ずはプロトガシャットを貸してくれ。」

 

自宅の研究室に着いたヴァーリは美歌にそう言って、プロトガシャットが入ったケースを受け取り、そこから1つのガシャットを取り出した。

 

「それで何をやる気なのかしら?」

 

「今回の件は俺の罪でもある。なら…」

 

その手のガシャットを見せる様に顔の横に持っていったヴァーリは……

 

「俺には俺の贖罪の仕方がある……それだけだ。」

 

そう、口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロノスがもう出てくるなんて、完全に想定外だ…‼‼」

 

駒王学園近くのマンションの屋上に移動したパラドは、悔しそうに転落防止用の柵を殴る。その威力で殴られた場所は拳の形に変形していた。

 

「だけど、ヴァーリのアレは俺も()()()()()()

……なら、まだ終わりじゃない…‼」

 

そして左手で頬を撫でると、そこに青いノイズが走る。

 

「こっちはもう少し時間が必要だな……でも、だいぶ馴染んだな。」

 

そう自分の状態を確認したら、彼は口に笑みを浮かべる。

 

「次がターニングポイントだ……俺が必ず、運命を変えてやる‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺も…………もっと強くならねぇと…‼)

 

その頃、保健室で治療されている一誠は一人、心の中でそう思っていた。

 

(だけど今のままのやり方じゃ絶対に無理だ…‼)

 

しかし、喧嘩で鍛えてきた為に力任せばかりで技術が低い事を彼も理解している。先の戦いでその戦法では、クロノスを攻略できなかったのだから。

 

(だったら、足りない部分を鍛えるだけだ…‼)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人の男がそれぞれの思いを胸に動き出す。それが後に何をもたらすのか……まだ、誰も知らない。




いかがでしたか?

ビルドの新ライダークローズ、格好よかったですね‼あのライダーキックに一目惚れしましたよ‼それと自分も地元のデパートでロックフルボトルGETできました。

次回からは停止教室のヴァンパイア編になります。

では、次回でお会いしましょう。


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ヴァンパイア編
神のTalentと野獣のFist


どうも、疾風の警備員です。

この章では時系列を変えて、授業参観は無しにプール清掃は最後の方にします。

なので今回は二人の男と一人の女の子の様子を描きます。

では、どうぞ。


ヴァーリの研究室では今、診察台(見た目はCRのベッド)の上にジャージに着替え、顔には機械的なバイザーを掛けた美歌が横になっており、その横でヴァーリが5つのキーボードを使って高速で何かを入力していた。

 

「なるほど、ならばこのデータを…」

 

パソコンに表示される画面は次々に変わり、そこに様々なデータを一心不乱に入力していく姿は、鬼気迫るものだ。

 

「ねぇ、そろそろ何をやってるのか教えてくれないかしら?」

 

診察台から起き上がった美歌はバイザーを外し、少し不満そうな顔でヴァーリに尋ねる。

 

「決まっているだろ、神にも等しき事さ…‼」

 

「いやわからないから。」

 

「そんな事より、お前はあのときの事をもっと強くイメージしろ‼」

 

「はいはい、分かったわよ。」

 

素っ気ない応対に美歌は呆れながらも、再びバイザーを掛けて横になる。しかしこの体勢になって既に3時間が過ぎていて、その間動くこともできずにその場で横になってイメージしているだけなのだ。さすがに飽きがくる。だが、そんな事は今のヴァーリには関係ない。

 

「これさえ出来れば……これさえ出来ればァ…‼」

 

(完全に研究モードに入っちゃったか…)

 

そしてそれから更に2時間を過ぎ…………

 

「もう少しダァ……もう少しデェ…‼」

 

ヴァーリは休みも取らず何処かの引きこもり探偵よろしく椅子に体操座りし、人差し指のみでタイピングをしていた。顔の表情も恐い笑顔になっていて、普段の美形はどこへやら……

 

(あ~……やっと終わるのね……)

 

ようやく終わりが見えた事に美歌がホッとしたら……

 

「ヴェアーハッハッハッハッハッ‼………ウグッ!?」

 

一瞬の呻き声の後、ヴァーリが真っ白になって机に突っ伏した。

 

『GAME OVER』

 

何故かそんな音声まで聞こえてくる。

 

「えッ!?」

 

それに驚いた美歌は飛び起き、彼に駆け寄ろうとした所で部屋のドアが開き、大きめの皿を持った梨子が入ってきた。

 

「お待たせ~…って、早速切れちゃったんだ。」

 

「ちょっと梨子ッ!?ヴァーリが急に…‼」

 

「気にしないで、研究に熱中したときによくある事だから。」

 

「へ?」

 

慌てる美歌に梨子はそう言って落ち着かせ、皿の上にある黒い物を1つ取り、ヴァーリの口に入れた。

 

「ヴァーリはどうしたの?」

 

「研究に没頭し過ぎて頭の糖分が切れちゃったの。それで今口に入れたのは、糖分補給用の激甘チョコ……その名も【コンティニューチョコ】よ。因みに個数は99個♪」

 

その説明の最中に倒れていたヴァーリはムクリと起き上がった。その顔はさっきまでの表情とは違い、普段のそれと変わらない。

 

「残りチョコ、98個。悪いな梨子。」

 

「大丈夫?あまり根を詰めすぎないでね、美歌ちゃんも大変なんだから。」

 

「わかってる、美歌は少し休憩してこい。俺は今までのデータを纏めてるから。」

 

「助かった…‼」

 

暫しの解放に喜びを噛みしめる美歌だったが、この10分後に再び作業が始まると知ると、その表情は絶望に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ‼‼」

 

「フフッ、こっちよOgreさん。手の鳴るほうへ~♪」

 

時を同じくしてルシファー家の特訓施設の実戦練習場では、生身の一誠がレーザーになった鞠莉と至近距離で向かい合って拳を突きだし、レーザーの方は余裕でそれを回避していた。

 

「イッセーッ‼もっと先を読め‼目に映るものだけに惑わされるなッ‼‼」

 

「ウスッ‼」

 

そんな一誠にそれを見ているグラファイトからの檄とアドバイスが飛ぶ。

 

「は~い、残り10秒~。」

 

「クソ…‼」

 

善子の言葉に一誠は焦りだし、それが動きにまで反映されてしまって雑になった動きではレーザーを捉える事はできず時間切れとなった。

 

「時間が無いからと焦る奴があるか。どんな時でも冷静に……だが、やる気は燃え上がらせろ。この時間内で倒すとな。」

 

「ハァ……ハァ……了解…‼」

 

「なら30分の休憩の後に、次の訓練に移る。」

 

グラファイトがそう言い、それまでの間に一誠はなるべく体を休め、時間が来たら練習場の中央に立つ。そして彼の前に仮面ライダーヨハネに変身した善子が出てくる。

 

「それじゃ本気で行くけどいいのよね、番長先輩?」

 

「たりめーだ。手抜きすんじゃねぇぞ?」

 

「OK‼」

 

ヨハネは空中に飛び上がると、専用アイテムの【極夜の書】を開いて魔法を発動させ、一誠の周囲に大量の光球が浮かび上がる。その数、約100。

 

「次は回避訓練だ。周囲から襲ってくる魔力弾を1発も喰らわずに避け続けろ。時間は30分……始めッ‼」

 

「フォトンランサー・ジェノサイドシフト……撃ち抜け、ファイヤッ‼‼」

 

「おっしゃ、来いやァッ‼‼」

 

ヨハネの気合いの入った声と共に周りの光球から光弾が次々と撃ち出されていく。それを一誠は走り、跳び、時にはブレイクダンスを思わせる様な動きで避けていく。

 

「よし、5分経過‼弾幕を強化しろ‼」

 

「了解…‼」

 

訓練を始めて5分、グラファイトの指示がヨハネに飛ぶと撃ち出される光弾の数が増え始めた。実はこの回避訓練、5分経つ毎に弾幕が強化されていくのだ。

 

「チィッ‼」

 

一誠は舌打ちしつつも、より小刻みに動き回避していく。

 

「そうだ、周りをよく見ろ‼弾の動きを予測して最適な動きをするんだッ‼」

 

それから回避訓練は続いていくが、15分を過ぎたところで、足に弾がかすった。

 

「く…!?」

 

「もらいッ‼」

 

それでバランスを崩し、立て直そうとする間に大量の弾丸が一誠を襲った。

 

「グアアァァァァァァァッ!?」

 

「善子、そこまでだ。」

 

グラファイトの言葉で弾幕が消えると、ボロボロになった一誠が倒れていた。

 

「グ……クソ…‼」

 

「バランスを崩したのを無理に立て直そうとするとそうなる。崩れたのなら、その勢いまでも利用しろ。それは相手も予想つかない動きになる。そうして生まれた隙を決して見逃すな。」

 

「う……ウス…‼」

 

「善子、回復しろ。」

 

「はいはい…もう、人使い粗いんだから…」

 

変身を解除し文句を言いながらも、善子は一誠に回復魔法を掛ける。

 

「それで回復したらもう一度だ。今度は30分耐えてみせろ。」

 

「了解ッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後の朝、家でシャワーを浴びた善子は何気なくヴァーリの研究室に寄った。

 

「一体何をやってるのかしら?ここにいるから何かを作ってると思うんだけど…」

 

そしてドアを開けたら……

 

「ヴェアーハッハッハッハッハッ‼ハーハッハッハッハッハッ‼」

 

椅子に座り、何故か高笑いしているヴァーリと診察台に寝ている美歌がいた。

 

(連続の徹夜でついに壊れた?でも、あそこまでテンションが高いってことは…‼)

 

「もしかして…何か出来たの?」

 

「ヴェアーハッハッハッハッハッ‼」

 

「ねぇ、何が出来たのッ!?」

 

彼がどんなものを作ったのか気になる善子は彼に聞くが、返ってくるのは笑い声ばかり。そして再び聞いたら……

 

「ダメだアアアアアァァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

返ってきたのは、真逆の返答だった。

 

「だああぁぁぁぁッ‼‼紛らわしい笑いしてんじゃ無いわよッ‼‼‼」

 

それに善子は怒るが、そこで部屋のある時計に視線がいく。それは仕事のし過ぎにならないように梨子が用意したもので、ヴァーリが部屋に入ったら動きだし、どれだけいるのかを教えてくれる物だ。

 

そしてそこに表示されていた時間は75:38……つまり、丸三日程ここにいる毎になる。

 

「ちょっとッ!?ここに丸三日もいるのッ!?少しは休みなさいッ‼‼」

 

「ダマレエエエェェェェェェェェェェェッ‼‼‼………………あ…」『GAME OVER』

 

善子の進言をヴァーリは拒絶するが、そこで立ったまま真っ白になった。例の音声付きで。

 

「ああもうッ‼‼面倒掛けないでよッ‼‼」

 

そう怒りを露にしながらコンティニューチョコを手に取り、無理矢理ヴァーリの口に捩じ込んだ。

 

「はッ!?残りチョコ、82…‼」

 

「食べ過ぎよッ!?糖尿病になっても知らないからね?」

 

「半分とはいえ悪魔の体ナメんな。」

 

そして美歌の元に行くと彼女の足を掴み、バタバタと上下に動かし始めた。どうやらコンティニューしても、徹夜のテンションまでは戻らない様だ。

 

「美歌アアアアアァァァァァァァァァァッ‼‼お前の思いはそんなもんじゃ無いだろおおぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼‼‼」

 

「ちょッ!?女の子になにやってんのッ‼‼」

 

善子はそれを止めようとするが、彼女の力ではヴァーリを抑える事は出来ない。

 

ところで皆さん、考えてみてください。ここ数日ずっと……多少の休憩を除いて同じ体勢で動けず眠ることも許されなかった状況でこのような事をされれば、どの様な反応をするのかを。

 

その答えはただ1つ……

 

「うるっさいわねッ‼‼‼‼‼‼‼」

 

そう、ブチギレるである。

 

「アンタこそ黙って作業してなさいよ…‼」

 

そう言う彼女の目は徹夜続きだったからなのか血走っており、迫力により拍車を掛けていた。

 

そして再びバイザーを掛け横になる。残るのはションボリしながら立っているヴァーリと、この状況にニヤニヤしている善子。

 

「怒られちゃった♪」

 

善子は楽しそうにそう言って練習場へと転移していった。そして後に来た梨子は黒いオーラを纏って横になっている美歌と、今までのテンションが何処にいったのかもの悲しげにパソコンを打つヴァーリに首を傾げたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ‼」

 

「く……デリャッ‼」

 

練習場ではドラゴネス・レベル99になった一誠がバグスターとなったなったグラファイト、レーザーとなった鞠莉、ヨハネとなった善子と1対3で戦っていた。しかも、ジェノサイドシフトの中でだ。全周囲から襲いかかる弾幕の中を高速で動き回るレーザーに圧倒的な力量を持つグラファイトとの戦いで彼に掛かる負担は相当なものとなっている。

 

「お前の様なタイプは、実戦の中での方が効率良く学べる。さあ、この中で生き残ってみせろッ‼」

 

「わぁーてるよッ‼」

 

後ろからの弾を蹴り飛ばし、右から来たレーザーに斬られるも腕を掴み弾幕が多い方へと投げて盾にするが、直後にやって来たグラファイトの紅蓮爆龍剣を喰らい一誠も吹き飛ばされた。

 

「グアッ!?」

 

「注意力が足りんッ‼攻撃中や防御中も周囲に気を配れッ‼」

 

「おうッ‼」

 

グラファイトのアドバイスに一誠はやる気になり、それから数が増えた弾幕に二人からの怒濤の攻撃を防ぎ捌き、時には弾幕の弾の硬度を強化してそれを掴みレーザーやヨハネに投げるという離れ技をやってのけていた。

 

「番長先輩…………人間辞めたわね…」

 

「勝手に辞めさせんな、俺は人間だ。」

 

そう言うが、襲ってくる弾丸を掴む時点で人間技ではない。

 

「お前達ッ‼何を悠長に話しているッ‼‼」

 

「その隙、貰っちゃうわよッ‼」

 

「おおっと。」

 

武器を振るう二人から距離を取るために後ろに飛ぶと、背後から弾幕が襲ってくる。だが一誠は回し蹴りで近くに浮かぶエナジーアイテムに触れて取り込む。

 

『反射‼』

 

その効果によって弾丸は一誠に触れた途端に、元のルートへと飛んでいった。

 

「ふぅ~、大分攻略法が分かってきたぜ……んじゃこっからは、反撃させてもらうぜッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、花丸は一人学園からの帰り道を歩いていた。

 

学園では行方不明になったダイヤの話で持ちきりだった。何故、行方不明なのかというと先の事件で体を残さず消滅してしまった為に死亡と断定させる事が出来なかったからだ。

 

「ルビィちゃん……大丈夫かなぁ…」

 

そしてあの事件以降、ルビィは学園を休んでいる。彼女や果南、曜達でお見舞いに行ったりもしたが生きる気力を全て無くしてしまったかの様な顔で、軽く返事をするだけなのが、余計に心配心を煽っていた。

 

まるで……何時ダイヤの後を追ってもおかしくないくらいに。

 

「ダメダメッ‼マルまで弱気になっちゃ余計にルビィちゃんが立ち直れなくなっちゃうッ‼」

 

そんな気分を吹き飛ばすように頭を左右に振っていたら、彼女の視界にある人物が入った。

 

「あの人は…」

 

その人物は河原の岩の上に座り、まるで座禅をしているかの様に見えた。その人物へと花丸は神器を出して近づいていく。

 

「何の用だ?」

 

「ズラッ!?」

 

こっそりと近づいていたのに目当ての人物【パラド】に簡単にバレて驚くが、それでも逃げる事はしない。

 

「貴方に……聞きたい事があります。」

 

「何だ?」

 

「貴方は…………【完全体】なんですか?」

 

その質問にパラドは一瞬目を見開くが、すぐに楽しそうな表情に変わる。

 

「そういやお前の神器は相手の情報を見れるんだったな。迂闊だったぜ…」

 

「マルの神器の事まで…‼」

 

「知ってるぜ?お前が誰に恋心を抱いてるのかまでな♪」

 

「ズラァッ!?」

 

唐突なパラドの言葉に彼女は顔を真っ赤にする。

 

「安心しろ、誰にも言いやしないさ。」

 

「本当ズラかッ!?本当ズラねッ!?」

 

「ああ、俺は約束は守る男だからな。」

 

「うう~ッ‼」

 

そう言うパラドを彼女は睨むが、顔が赤く涙目上目使いの睨みに迫力はなく、むしろ可愛いの部類に入るだろう。

 

「ま、マルの事はともかくッ‼……さっきの質問については?」

 

「それはお前のソレに写ってる通りだ。」

 

その回答に花丸は驚き、同時に疑問が浮かぶ。

 

「だったらおかしいズラッ‼もしそれが本当なら…」

 

そこで彼女はそれを口にするのを躊躇った。でも、聞くチャンスは今しかないと思い、その疑問を彼にぶつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「番長先輩は…………()()()()()()()筈ですッ‼」




いかがでしたか?

この章でパラドの謎を少しだけバラしていく予定です。

次はあのビビリ君の登場回になります。

では、次回でお会いしましょう。


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臆病なVampire

どうも、疾風の警備員です。

この話からヴァーリと美歌はしばらく登場しません。

最後にヴァーリ達に新たな危機が迫ります。

では、どうぞ。


「封印されていた僧侶……ですか?」

 

ある日の放課後、千歌と鞠莉と善子はグレモリー達に連れられ旧校舎に来ていた。

 

「ええ、前回の事件で魔王様から戦力を強化する為に私の僧侶の封印を解く事が決定したと通知が来たの。それで、今回は貴方達に顔見せをしようと思ってね。」

 

「どんな人なんですか?」

 

「人間と吸血鬼の混血で神器所有者よ。ただ神器の力が強すぎて私じゃまだ抑えきれないからって事で封印されていたの。」

 

それを聞いて千歌は少し悲しそうな顔をする。悪魔の駒を使った転生は悪魔の都合で作られた物なのに、その都合に合わないからと封印するのは、勝手が過ぎるのではないかと……

 

「さっすが上層部の方々はやる事が違うわね。自分達の保身しか考えてないじゃない。」

 

「私達はヴァーリの眷属でluckyだったわね。」

 

「どういう事かしら?」

 

「私と千歌は最初、上層部の奴等から封印しろって言われていたのよ。」

 

善子の話した内容にグレモリー達は驚く。こんな身近に封印を宣告されていた者がいたからだ。

 

「千歌はエクソシスト研究機関で天才と謂わしめた存在、私は人間でありながら()()()()()()程の魔力を保持してたんだもの。そりゃ、お偉いさん方が危険視するわよ?」

 

そして語られたのは善子と千歌がヴァーリ達の所に来た頃の出来事。来てすぐに封印なんて言われていい顔をする者は滅多にいない。しかし逆に疑問も浮かんだ。上層部が封印の解除を認めるのはよっぽどの理由がないとありえない。ならば、彼女達はどうやって解放されたのかと……

 

「でも、リゼヴィム様とヴァーリは違った。そんな事を上から命令されても全て突っ返して、実力行使してきたのは同じく実力行使で捩じ伏せた。それだけじゃない、ちゃんと私達が力の制御が出来る為の特訓メニューを作って、それに自分まで付き合ってくれたんだもの。そして制御が出来る様になって、これを理由に上層部を黙らせた。だから私達は上の連中には嫌悪しかないし、リゼヴィム様とヴァーリには感謝しかないわ……だから、こうやって眷属として仕えてるの。」

 

「そんな事が…」

 

(私にそれが出来るだけの力があれば……あの子に不自由な思いをさせずに出来たのかしら…)

 

彼女の話を聞いて、リアスは顔を俯けそう思う……と、朱乃がリアスの肩を叩いた。

 

「過ぎた事を悔やんでも仕方ありませんわ。これからは、そんな事を起こさせない様に皆で頑張っていきましょう?」

 

そう言われ、視線を裕斗と小猫に向けると二人も笑顔で頷いた。

 

「……そうね、あの子にこれ以上窮屈な思いをさせない為にも……皆で頑張りましょうッ‼」

 

「「「はい、部長‼」」」

 

グレモリーの言葉に眷属達が結束を強めるが、この中に錬二の姿はない。彼はクロノスの一撃で犬○家となり、まだダメージが治ってないので学校を休んでいる。それでも次は自分が勝つと豪語してるらしいが……

 

そんな事をしていたら、その眷属が封印されている部屋の前に着く。その扉は警察が使うKEEP OUTのテープで頑丈に止められていた。

 

「これが……封印?」

 

「いえ、これは一般生徒が入らない様にするための見せかけですわ。本物はリアスが掛けた封印術式です。」

 

朱乃の言葉通り、リアスが扉に手を翳すと魔法陣が浮かび上がりすぐに砕け、扉の鍵が開いた。

 

「それじゃ私と朱乃であの子を呼ぶから、皆は扉の外で待っててちょうだい。」

 

「あれ?皆で入らないんですか?」

 

「実はここにいる子は……すごい人見知りなんですの。だから先ずは私達からという事です。」

 

「あ、なるほど。」

 

リアスと朱乃が中に入っていくのを見送り、扉の前で待っている間、善子は小猫に話し掛ける。

 

「小猫、そいつはそんなに人見知りが激しいの?」

 

「いえ、あれは人見知りというより…」

 

小猫がそこで言うかどうか迷っていると……

 

「イィィィィィィヤアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

部屋の中からとてつもない声量の悲鳴が聞こえてきた。

 

「うえッ!?な、何ッ!?」

 

「高海さん、これは僧侶の子が部長達に驚いて悲鳴をあげただけだよ。」

 

「身内でこれって…」

 

あまりの大声に千歌は驚くが、木場の説明で何とか落ち着き、善子は呆れていた。

 

「落ち着いてギャスパーッ!?私達は貴方の封印が解かれた事を教えに来ただけよッ!?」

 

「これでもう自由ですわ。」

 

「イヤだアアアアアァァァァァァァァァァッ‼‼お外怖いいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ‼‼‼」

 

「………………これ、完全に引きこもりのセリフじゃない?」

 

「アハハ…」

 

善子の言葉に木場は苦笑いしか出来なかった。

 

それからしばらくするとリアスが外にいる者を中に入る様に呼び、千歌達が中に入ると中は部屋の中央に棺桶がある以外は人形等の可愛らしい物が多い部屋だった。

 

「へぇ~、棺桶ってこんな感じなんだ~。」

 

「それでリアス、そのBishopは何処なの?」

 

鞠莉の問いにリアスが視線をずらす。その方向に彼女達も視線を向けると、部屋の端に置いてある段ボール箱……その後ろに金髪の子がこちらに背を向けて座り込んでいた。

 

「ごめんなさいね、前々から写真とかで教えてはいたんだけど…」

 

「実際に会うのはやはり怖いそうなんです。」

 

「もはや、対人恐怖症ね…」

 

善子やリアス達がどうやって話をしようか悩んでいたら、千歌がその子に近づいていった。その右手には棒つきキャンディ。

 

「ひぅッ!?」

 

「ほ~らほら、恐くな~い恐くな~い……食べる?」

 

相手を怖がらせない様に優しく声をかけ、それに多少恐怖がとれたのか顔を千歌へと向けた。中性的な顔立ちは幼さが残りとても可愛らしい。

 

「あ…」

 

そして飴に目が行くと、それを取ろうと段ボール箱の陰から出てきて手を伸ばす……

 

「それ♪」

 

が、それに届く直前に千歌が手を少し引っ込め、空振りしてしまう。

 

「む…」

 

それに対抗心が芽生えたのか、再び手を伸ばすも千歌が手を引っ込めるので空振りになる。

 

「おいでおいで~…る~るるる~る~♪」

 

それを何度か繰り返していくと、僧侶はいつの間にかリアス達の前まで出てきていた。因みに小猫も飴を取りにいこうとしたが、リアスと朱乃に抑えられていた。

 

「フフ…‼とりゃッ‼‼」

 

「あ…‼」

 

充分に連れ出したと判断した千歌は飴を上に投げる。僧侶は釣られて上を見てしまい、その隙を逃さずに千歌が抱きつく。

 

「捕まえたッ‼」

 

「ぴゃああああああああああああッ‼‼!?!?!?」

 

突然の事に暴れるも千歌の方が力があるのか、その場でもがくだけ。そして投げた飴が僧侶の子の口に……

 

「……えい…‼」

 

「ああッ!?僕の飴ええええぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?」

 

入る前にリアス達を振り切った小猫が飛び出し、空中でキャッチして横取りされてしまった。

 

「はい、もう1つあるから。」

 

「わぁ…‼ありがとうございます‼」

 

新たに出した棒つきキャンディ(小猫がイチゴ味で僧侶がメロン味)に僧侶は目を輝かせてお礼を言った。まさしく餌付けである。

 

「私の苦労は一体…」

 

「落ち込まないでください、リアス。」

 

その後、話をする前にリアスは僧侶の子にお菓子を見せられても知らない人には絶対についていかない様に厳しく言いつけたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では改めて……この子が私の僧侶の【ギャスパー・ヴラディ】よ。人間と吸血鬼のハーフで神器持ちなの。」

 

お説教が終わり僧侶…ギャスパーの紹介を始めるが、当の本人は知らない人がいる事に緊張してるのか、視線が色んな方向に向き冷や汗が流れまくっている。

 

「封印の原因って、やっぱりその神器なの?」

 

「ええ……【停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)】と言って、()()()()()()()()()()()()()力があるの。」

 

「それって…‼」

 

「クロノスのポーズと似てないかしら?」

 

「Ohッ‼もしかしてその子の力でクロノス攻略法を…‼」

 

リアスの言う通り、彼の能力はクロノスのポーズと酷似している。ならばそれを使ってクロノスの攻略法を見つけられないかと思っていたが……

 

「いいえ、クロノスのポーズとは似ても似つかない……よくて下位互換ってところね。」

 

善子がそれをバッサリと切り捨てた。

 

「理由を聞いても?」

 

「私は天才魔導師……だから神器についてもある程度は知ってるわ。その神器は視界に映る物のみで所有者の力量次第で停止出来ないものもある……でもクロノスは違うわ。アイツは展開されたゲームエリア内にある【全て】を停止させる……それこそ神も魔王も関係ないわ。動けるのはただ一人、クロノスのみ…」

 

そう、クロノスのポーズは時間や力量といった制限が殆ど無い。例え似たような力を持っていようと、弱点が違えば何の意味もないし、むしろ弱点だらけな神器でクロノスの攻略法を探すなど時間の無駄に等しいのだ。

 

「それじゃ、クロノスの攻略法は無いって事にならないかい?」

 

「現状だと……そうなるわね。」

 

そこまで説明し、再びギャスパーを見る。

 

「だから、そいつの能力でクロノス攻略法なんて絶対に見つけられないってこと。」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ‼‼出てきて早々ディスられたあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼」

 

善子の遠慮が無い言葉にギャスパーは泣きながらリアスに抱き着いた。

 

「よしよし……さすがに言い過ぎじゃないかしら?」

 

そのリアスの言葉に、善子は表情を怒りにそめた。

 

「こっちはクロノスを何としても攻略しなくちゃいけないのよッ‼そんな生半可な事をやってる余裕なんて無いわッ‼‼」

 

そのあまりの迫力にグレモリー眷属達はたじろいだ。

 

「ど、どうしたのいきなり…」

 

「こっちはそっちほど呑気にしてられないのよ…‼アイツのガシャットを悪用されてるだけでもムカつくのに、下手すれば…‼‼」

 

善子の叫びが部室にこだまする中、部屋に突然魔法陣が浮かび上がった。

 

「この魔法陣は、グレモリー家の…」

 

そして魔法陣から出て来たのはリアスによく似た男性悪魔……彼女の兄で現魔王の一人【サーゼクス・ルシファー】だった。

 

「やあリアス、それにヴァーリ君の眷属達も。」

 

「お兄様ッ!?どうしてここにッ‼」

 

「それは今回のコカビエルが起こした事件について、三大勢力で会談をすることが決定してね……この学園を会談場所にする事になったんだ。」

 

「ここでですかッ!?」

 

「ああ、それでリアス達とソーナ君、ヴァーリ君と眷属達に今回巻き込まれた人間の子達にも出て欲しいんだ……ヴァーリ君達は強制だけどね?」

 

そう言い千歌達を見る目には、困惑が浮かんでいたのが鞠莉と善子には分かった。

 

「それはどういう意味?」

 

「……」

 

サーゼクスは鞠莉の言葉に俯いて黙るが、やがて意を決したのか顔を上げ……

 

「実は三大勢力がヴァーリ君とその眷属……そして君達が所属している会社【幻夢コーポレーション】が今回の事件に関与していると思っているからだ。」

 

そう……口にした。




いかがでしたか?

次回からは三勢力の会談になります。久し振りにお祖父ちゃんが出てきます。もちろんポッピーも久々登場です。


次回【三大勢力とConference‼】

「このワシ……リゼヴィム・リヴァン・ルシファーの名において、ここに宣言する…」


では、次回でお会いしましょう。


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三大勢力とConference

どうも、疾風の警備員です。

今回から会談が始まります。

リゼヴィムが会談で宣言する事とは?

では、どうぞ。


「私達が……敵と…!?」

 

「Whyッ!?どこからそんな話が…!?」

 

「それは……本気で言ってんのかしら?」

 

サーゼクス・ルシファーの宣告に、千歌達は驚きと怒りを露にする。

 

「そう思われても仕方ないさ。敵の一人が君達の一族だけが作れるアイテムを持っていたのだから。」

 

「そんなッ‼あれは盗まれた物で…‼」

 

「逆に敵に渡すための演技だったともとれる。そうじゃないと言い切れる自信はあるかい?」

 

その身から放たれる圧倒的な威圧に彼女達は動けなくなりそうだったが、引くことはせず真っ正面から対峙し…

 

「もちろんですッ‼‼」

 

「あるわよ。リゼヴィム様がそんな事するわけ無いわ。」

 

「逆にそっちがSuspicionなんだけど?」

 

迷いの一切無い返答でサーゼクスと千歌達はしばし睨み合うが、いきなりサーゼクスが表情を崩して微笑んだ。

 

「うん、やっぱり君達の話の方が信頼出来るね♪」

 

「「「え?」」」

 

「お、お兄様……?」

 

あまりの事に全員が戸惑い、サーゼクスを見た。

 

「この話は貴族のトップ達が勝手に広めていてね、僕は全く信じてないけど一応確認だけはしときたかったんだ。そして君達に嘘は無いと確信できたよ。」

 

「じ、じゃあさっきのは…」

 

「一応魔王としての仕事だよ。もし事実だったら処分を下したけど。」

 

「「「はぁ~…‼」」」

 

その言葉に三人は息を吐いてへたりこんだ。魔王からの威圧を受けながらも必死に答えたのだ。完全に気が抜けてしまったんだろう。

 

「でも、会談に出てほしいのは確かだ。貴族達の話をリゼヴィム様にお伝えしたいし、出来れば話にあったクロノス攻略の切っ掛けを見つけたいからね。」

 

「解りました、伝えておきます。」

 

と、そこまで笑顔だったサーゼクスが急に表情を引き締め、真剣なものになる。

 

「ただし、僕とセラフォルー、グレモリー家とシトリー家以外の悪魔陣営は君達に疑惑の目を向けている。天使と堕天使もそうだ。だから最悪の場合も想定しておいてほしい。」

 

その真剣さに、鞠莉は事態の深刻さを理解してしまった。貴族悪魔達はもうこちらに対し、形振り構わないということを……

 

「…………OK、それも伝えておきます。」

 

「頼んだよ。さてリアス、校舎を巡るから付き添いを頼むよ。」

 

「かしこまりました。鞠莉、気を付けてね?」

 

「Of course……わかってるわ。」

 

そしてリアスを連れてサーゼクスは部室から出ていった。彼等が出ていった瞬間、鞠莉達はスマホを操作し始める。

 

「ど、どうしたんですか…皆さん?」

 

「小猫ちゃん、サーゼクス様が言っていた言葉の意味が分かりますか?」

 

「えっと…」

 

首を傾げ、必死に考えるが結局浮かばなかったのか小猫は首を横に振った。

 

「サーゼクス様は果南さん達も会談に呼ぶように言った……それにさっきの言葉……そこから想定されるのは…」

 

そこで朱乃は目付きを鋭くして、窓の外を見た。

 

「一部の天使と堕天使、上級悪魔の方々が……彼女達を人質にしてまで何かをしようと画策してるので、それから守るために連れて来なさいという事です。」

 

「「ッ‼」」

 

その内容に木場と小猫は再び驚いた。自身が所属している陣営が、同じ学舎の人達に手を出そうとしているからだ。

 

「目的は恐らく……ガシャットの情報開示でしょう。そして決行日は魔王様達がいなくなる会談の日。その日なら悪魔陣営の決定権は一時的に大王に移りますし、大王は貴族との繋がりも強いですから…」

 

「だからって彼女達は裏の事情とは無関係ですッ‼それをそんな理由で…‼‼」

 

「彼女達は既に何回も裏の問題に関わっています。貴族悪魔達はそれを理由にごり押しするでしょう…」

 

「そんな……黒澤さんの心の傷もまだ…」

 

「彼等は人間を下等生物と見下しています。そんな事などお構い無しですわ。」

 

そう言う朱乃は自身の腕を強く掴んでいた。彼女は今のルビィの気持ちが解っていた。同じく家族を亡くしてしまった者として、だから今を狙う貴族悪魔達のやり方に強い怒りと嫌悪を感じていた。そしてそれを理解している魔王達が自分達の権力等を盾にして、襲撃出来ないようにさせる為に動いているのだと理解した。

 

「ですから、会談の際には何がなんでも彼女達を守りましょう……これ以上、悲しい思いをさせない為にも…‼」

 

「「はいッ‼‼」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、花丸は曜と果南と一緒にルビィの家に向かっていた。

 

「ルビィちゃん……今日は元気だといいね…」

 

「ダイヤがあんな目にあって……それが自分のせいだとクロノスに思い込まされてたから……すぐにはやっぱり…」

 

「ルビィちゃんなら大丈夫ッ‼きっと乗り越えてみせるズラッ‼‼」

 

気落ちしている二人を励まそうと花丸は声を大にして言うが、一番気落ちしているのは何を隠そう花丸本人だ。親友でありながら何も出来ない自分にもどかしさや悔しさを感じながら……

 

この言葉も出来る事を精一杯やろうと今の自身にも言い聞かせる為の言葉でもあった。

 

そして彼女の家に着き、両親に挨拶をしたらルビィの部屋に行くが何の音もせず部屋も真っ暗だった。

 

「え~と、電気は…と。」

 

ドア付近の壁に触れて電気のスイッチを探し、それを入れて明かりを付けると部屋は少しちらかっており、その隅に布団にくるまって座っているいるルビィがいた。

 

「ルビィちゃん。」

 

「………………………………………………花丸ちゃん?」

 

花丸の呼び掛けに顔を上げるが、何度も泣いたからなのか目は赤く充血して周りは腫れており、ろくに寝れていないのか隈まで出来てひどい有り様だった。

 

「皆でお見舞いに来たけど…………何か食べる?」

 

その問いに彼女は無言で首を横に振った。

 

「少しは食べないと、体に毒ズラよ。」

 

「…………………………(ブンブン)」

 

尚も首を振る彼女に、花丸は自分が作ってきたいなり寿司を取り出して、彼女の前に差し出した。

 

「ほら、ルビィちゃんの為にマルが朝から作ってき…「ほっといてよ…」…ずら?」

 

その小さな呟きに気を取られていたら、ルビィの手が思いきり振るわれ、花丸の持つ容器を弾き飛ばした。

 

「ああッ!?」

 

「おっと…‼」(パシィッ‼)

 

「ナイスキャッチ‼」

 

「イェイ♪」

 

それが壁にぶつかるギリギリで、果南が見事にキャッチしたことで部屋が汚れる事は何とか免れた。

 

「何するの、ルビィち「ほっといてって言ってるのッ‼‼」…ルビィちゃん…?」

 

今までになかった彼女の激情に、その場の全員が驚きと戸惑いを感じた。あの大人しく気弱なルビィがここまでの怒りを露にしたのだ。

 

「ルビィが…ルビィがあの時、何か行動出来たらお姉ちゃんはあんな事にならなかったッ‼‼なのに何も出来なかった…お姉ちゃんは私を守るために動けたのに、ルビィは何も出来なかったッ‼‼なんでッ!?なんでお姉ちゃんなのッ‼‼お姉ちゃんじゃなきゃいけなかったのッ‼‼それだったらお姉ちゃんよりもルビィが…(パァン‼)ッ‼」

 

そしてその激情のままに心の中を叫んでいくが、言葉の続きを言う前にそれは頬に感じた衝撃と痛みで遮られた。

 

なにが起きたのか分からなかったルビィが視線を動かすと…

 

「…ッ‼」

 

涙を流しながら右手を振り抜いた形で止まっていた花丸がいた。

 

「…………………………ダメだよ、ルビィちゃん…」

 

「花丸…ちゃん?」

 

「それだけは、ルビィちゃんが言っちゃダメ…‼その先を言ったら……………………ダイヤさんの死が本当に無駄になっちゃうよ…‼‼」

 

「え…?」

 

「だってダイヤさんは、ルビィちゃんに大切な事を託したんだよ……?なのにそのルビィちゃんが自分を否定したら……ダイヤさんの思いはどこに行けばいいの?」

 

(ルビィ…………笑顔を……忘れないで…)

 

「ッ‼」

 

花丸の言葉にダイヤが最後にルビィに伝えた事が頭を過った。そして自分がそれを忘れていた事も……

 

「だからルビィちゃんは生きないとッ‼‼生きて生きて……何時か、ダイヤさんと会えた時に強くなったルビィちゃんを見ればきっと、ダイヤさんも喜んでくれるズラ♪」

 

「あ…………うあ……‼」

 

そして再び泣きそうになったが、強くなると約束した事も思いだし堪えようとしたら果南がルビィを優しく抱きしめた。

 

「でも、焦る事はないよ。そんなすぐに強くなるなんて、誰にも出来ないんだから。」

 

更に曜がその後ろからルビィの頭を撫でる。

 

「だから今は思いっきり泣いちゃお?それくらいダイヤさんだって許してくれるよ。」

 

3人の言葉に彼女が押さえつけていた心を溶かし…

 

「あ……うあ…‼うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼‼‼」

 

溜まっていた思いを吐き出すかの如くまた泣いた。泣き終わる時には強い自分になると決意し、今だけは弱い自分をさらけ出して……

 

 

 

 

 

 

それから数十分泣いたルビィは、泣き疲れたのかそのまま果南の膝の上で眠ってしまった。

 

「やっぱり、ずっと気にしてたんだね……ダイヤのこと…」

 

「マルは……クロノスが許せないズラ…‼ダイヤさんとルビィちゃんをこんな目に合わせて…‼」

 

「それは皆一緒だよ。でも私達は戦える力がない……でも、代わりにやってくれる人達がいる。その為に動いてる人達が。」

 

果南の頭に浮かぶのは今もグラファイトと訓練をしている一誠と、クロノスとの戦いの後に何かを始めたヴァーリ……この二人なら、何とかなるんじゃないかと。

 

「でも、クロノスの力はスゴいよ?どうやって対抗すればいいの…」

 

だが、まずはクロノスのポーズを攻略しなければ勝ちの目はこちらに転ばない。そしてその攻略法は未だに無い……

 

「……………………もしかしたら、方法があるかもしれないズラ。」

 

「「えッ!?」」

 

そこに思わぬ事を口にした花丸に、二人は驚きの目を向けた。

 

「この前、パラドさんに会ったから神器で色々と調べてみたら、スゴい事が分かったんです。」

 

「なになにッ!?」

 

「実は……」

 

花丸はそこで一旦言葉を切って話そうとしたら、曜の携帯が鳴り出した。

 

「あ、ごめん…………もしもし、千歌ちゃん?」

 

電話の相手は千歌らしく、話していくと曜の顔がどんどんと強張っていく。

 

「うん…うん…ここに皆いるから伝えておくよ。またね。」

 

通話を終え、果南達の方を見るがその表情は青ざめていた。

 

「どうしたの?」

 

「それが……千歌ちゃんからの話だと、天使とか堕天使とか悪魔が私達を狙ってるって…」

 

「「はあああぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」」

 

「るびぃッ!?」

 

その突拍子もない内容に二人は声を上げながら立ち上がり、そのせいでルビィの頭が果南の膝から落ち、床に思いっきりぶつけてしまった。

 

「ああッ!?ゴメン、ルビィちゃんッ‼」

 

「うゆ~…どうしたの~…?」

 

寝ぼけ眼でまだぼーっとしているルビィに曜が説明したら……

 

「ぴ……」

 

「「「ぴ?」」」

 

「ピギャアアアアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「「「ひゃあッ!?」」」

 

大きな悲鳴を上げた。そりゃ寝起きに命を狙われてるなんて言われれば、ビックリするわな。

 

「どうするッ!?どうするのッ!?どうするびいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ‼‼」

 

「おおおおおおおお落ち着くズラッ!?」

 

「大丈夫だよ、幻夢コーポレーションから最強の護衛を出してくれるって。」

 

「「ふゆぅ~~~~……」」

 

大慌てする二人だったが、曜の続きに背中合わせになって座り込んだ。

 

「でも、しばらくは身の回りに注意しないとね。」

 

最後の果南のまとめに全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして会談当日……

 

「やっほ~♪久し振りだね、オイチャンの出番。」

 

「なに言ってるんですか、社長。」

 

一足早く会場入りしたリゼヴィムとポッピーピポパポ(明日那)は、たわいのない?会話をしていた。そこにサーゼクスとセラフォルーが入ってきた。

 

「ご無沙汰してます、リゼヴィム様。」

 

「おじ様、おひさしぶり~♪」

 

「サー君、セラちゃん、おひさ~♪」

 

横チェキする少女に横チェキで返す中年……普通に見ればシュールだが、互いがそれなりに顔が整っているので絵になるのは不思議だ…

 

「この度は会談への出席、ありがとうござ「ちょっとちょっと~…堅苦しい言葉はいいよ。」なら、そうしますよ。」

 

「それで、例の話はどうなってんの~?」

 

「私の騎士の調査結果だと、やはり幾つかの貴族が眷属をこっちに送ってますね。」

 

「こっちもそうだよ。もう、女の子相手に悪趣味だよね~?」

 

「ね~?」

 

「あんたら歳考えろ…」

 

「「テヘペロ♥」」

 

魔王の威厳も何もない会話に明日那はツッコムが、反省が全くない二人に頭を抱えるしかなかった…

 

「失礼します。」

 

そこにソーナとその眷属、ヴァーリ眷属が入ってくるが肝心の王であるヴァーリがいなかった。

 

「おりょ?ヴァーリはどったの?」

 

「まだ贖罪の作業を続けてまして、遅れはしますが必ず来るそうです。」

 

「わかったよ、君達も席についていてくれ。」

 

それからしばらくして堕天使総督のアザゼルが白神を連れて、天界からは熾天使(セラフ)の長【ミカエル】がエクソシスト数名を引き連れて入ってくる。

 

「よう、来たぜサーゼクス。リゼヴィムも元気そうだな?」

 

「おひさしぶりです、サーゼクスにリゼヴィムにセラフォルー。」

 

そしてすぐ後にリアス達が入ってくるが、その中に錬二がいるがギャスパーと小猫はいなかった。

 

彼女達はギャスパーを解放した後、彼の能力を制御できるようにするため特訓をやっていたが、結果が芳しくなくやむなくお留守番になっていた。

 

「すみません、遅れました。」

 

「いや、まだ開始前だから大丈夫だよ。」

 

そしてその数分後に、グラファイトと恋に連れられて一誠と果南達も入ってきた。

 

「やあ、来てくれてありがとう。」

 

「いえ、大体の事情は聞いてますから。」

 

「そう言ってくれると助かるよ。ここなら並大抵の事じゃびくともしないから安心してほしい。」

 

「それにお前達の家には制限を解除して、レベル99になったバグスター達を配置している。最上級悪魔くらいなら問題なく倒せるさ。」

 

そして今回、三勢力に狙われている果南達にはグラファイトとラヴリカである恋が護衛をし、各々の家族には訓練用の制限を解除され最高レベルになったバグスター達が配置されていた。正に鉄壁レベルだ。

 

「では全員が揃ったので、会談を始めようか。」

 

「おい待てよ、リゼヴィムの孫が来てねぇぞ?」

 

「彼には私が個人的に頼んでいた事がそろそろ佳境らしくてね、それを完成させてから来てくれるそうだ。」

 

「個人的な頼み……ねぇ?」

 

サーゼクスの答えに訝しげに見るアザゼルだったが、サーゼクスが口を割る事は無いと思ったのか、それ以上言及してくる事はなかった。

 

「ではここにいる者全てが神の死を知っているものとして会談を始める。」

 

サーゼクスの口上で会談が始まるが、最初は一般人の一誠達には関係ない裏の話などで、一誠は大きく欠伸をし花丸とルビィはうつらうつらと船を漕ぎ始めていた。

 

「これでコカビエルとの戦いの報告を終わりにします。」

 

そして報告が終わると同時に一誠の目は鋭くなる。何故なら、天使と堕天使の視線が彼に向いているからだ。

 

「なんだ?喧嘩なら買う「止めなさい。」あたッ。」

 

最初から喧嘩腰の一誠に、それを静めるために果南は彼の脳天にチョップを決めた。

 

「全く……少しは大人しくしてなさい。」

 

「へぇ~へぇ~…」

 

それにつまらなそうに着席する一誠。それをアザゼルがニヤニヤと見ていたので睨みつけたら、飄々とした態度で反らされたので舌打ちするが、それに目を付けた果南に再びチョップを喰らわされた。

 

「さて、そんじゃリゼヴィムに聞きたいんだが……あのクロノスって奴は何なんだ?」

 

「ん~?あれは孫の作ったゲームに出てくる【伝説の戦士】だよ~。」

 

「【伝説の戦士】だぁ?」

 

「そうだよ~。」

 

「確かに…………報告にあった力は相当なものでした。」

 

「おじ様、攻略法はあるの?」

 

セラフォルーの問いにリゼヴィムは腕を組んで黙り込む……そして、

 

「ないッ‼‼」

 

「「「「「「だあぁぁぁぁ~ッ‼‼」」」」」」

 

はっきりとそう答え、全員が椅子から滑り落ちた。

 

「おいおい……冗談言ってる場合じゃ「冗談じゃないって。」……どういう意味だ?」

 

「クロノスは奴が使うガシャットのゲームに出てくる装備品…………つまりはプレイヤー用で、しかもラスボス攻略用の最強アイテム…………つ・ま・り、攻略対象じゃないんだよん♪」

 

「マジかよ…」

 

「マジなんだよね~…」

 

その肯定に会場の空気が重くなってくる。

 

「ま、攻略法が全く無い訳じゃないよ。それも孫のヴァーリに取り掛からせてるから、時間の問題だよ。」

 

「それもいいが、俺達にもクロノスとガシャットのデータをくれねぇか?対策を考えてみるからよ。」

 

「私からもお願い出来ないでしょうか?」

 

アザゼルとミカエルの頼みにリゼヴィムは……

 

「うん、クロノスのデータはいいけど、ガシャットの方は断る♪」

 

笑顔でそう返した。

 

「…………………………一応、理由を聞いていいか?」

 

目を鋭くさせてリゼヴィムを見るアザゼルだったが、リゼヴィムは全く動じてないのか、態度を崩さない。

 

「ガシャットはヴァーリが作り出した物、爺ちゃんだからってワシが好き勝手していい物じゃないし、君達に渡したらろくな使い方をされないと思うからだよ。」

 

確かにアザゼル率いる堕天使陣営はコカビエルという裏切り者を出し、ミカエル率いる天使陣営は人間を信仰の為の道具としか見ない所がある。もしデータを渡したらまた裏切られてデータが流出するか、私兵とされた人間の戦闘アイテムとして使われる可能性がある。リゼヴィムが心配しているのはそれだった。

 

「だからガシャットの方は渡さない。何と言われてもね。」

 

頑なな態度に、アザゼルは最近仕入れた情報を使う事にした。

 

「だが、それで身内の陣営から襲われてんだろ?それにその力で万が一、悪魔の陣営を強化されでもしたら俺も手を打つぞ?」

 

その事にはミカエルも賛同してるのか特に何も言ってこない。

 

「だから、ここで発表するよ。」

 

リゼヴィムは席を立ち、参加者を見回したら1度目を閉じ……

 

「このワシ……リゼヴィム・リヴァン・ルシファーの名において、ここに宣言する………ワシらルシファー一族とその会社【幻夢コーポレーション】は悪魔陣営を抜けて、人間達の味方に付く事を。」

 

そう、宣言した。




いかがでしたか?

はい、リゼヴィム達は悪魔陣営やめて人間側に付く事になりました。

そして次回、クロノス登場に更なる事態発生ッ!?


次回【仕込まれたVenom】

「さあ、今こそ覚醒の時だ…‼」


では、次回でお会いしましょう。


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仕込まれたVenom

どうも、疾風の警備員です。

今回は、クロノスがまたやってくれます。

サブタイのVenomの正体は?

では、どうぞ。


「悪魔陣営を抜けて、人間側に付くだぁ?」

 

リゼヴィムの発言にアザゼルがすっとんきょうな声を上げる。彼としては悪魔側を抜けるのは想定内であわよくば自陣に引き入れようと考えていたのに、まさかの宣言に驚きを隠せない様だ。

 

「こう毎回毎回襲われちゃたまんないからね~、だからって君達の所に行っても変わらないだろうから、中立になる為にこういう判断をしたってこと。」

 

「ですが、それでは人間達を戦いに巻き込む事になりませんか?」

 

悪魔祓い(エクソシスト)を使ってる君達がそれ言う?それにウチは最強の護衛達がいるからね♪」

 

ミカエルの疑問にも、ブーメランを返され彼も黙るしかなかった。

 

「おいサーゼクス、お前達はそれでいいのか?」

 

「僕達としては構わないさ。元々、何人も同胞を殺されてるからね。今日で追放処分にしようと思っていたんだ。」

 

「うんうんッ‼身内の争いの種が消えるからね~♪」

 

サーゼクス達はこう言うが、これは本心ではなく悪魔陣営としての面目を建てる為であり、リゼヴィム自身もそれに納得している。

 

(上に立つのも辛いな…………陣営の為に、心にもない事を言わないといけないんだから…)

 

サーゼクスは魔王ルシファーに就任が決まった頃、その名を持つ者同士としてリゼヴィムとは親しくしており、仕事についてや心構え等を教わっていた。

 

リゼヴィムとしても魔王の後輩として彼を可愛がり、普段通りの性格だったが出来る限りの事を教えてきた。彼の息子のミリキャスが幻夢コーポレーションのゲームが好きだと知ると、新作を渡したりもしていた。それであまり勉強しないから少しは控えてほしいとサーゼクスの妻でミリキャスの母であるグレイフィアにサーゼクス共々叱られたりもしたが……

 

「というわけで、これはもう決定事項だからね。襲ってきたら……容赦なくこの世から削除してあげるよ。」

 

「はぁ~…まあ、他の陣営に行かれるよりかはマシか…」

 

「そうですね、私達もその判断を尊重します。」

 

アザゼルとミカエルも、敵対勢力に行かれなかったので渋々ながらもそれを了承した。

 

「さて、では他にも気になっていたのですが……アザゼル、貴方が最近神器保有者を集めていると聞きましたが……それはどういった理由で?」

 

「え~?それでガシャットまでねだるなんて欲張りじゃない?」

 

ミカエルとリゼヴィムの言葉にアザゼルは、1枚の紙を取り出した。

 

「それは俺が神器の研究をしているからさ。怪しむなら後で研究結果の一部を渡してやるよ。」

 

「なるほど……最初は驚きましたよ。白龍皇を自陣に引き入れたと聞いたときは…」

 

その言葉に白神はフフンと胸を張るが、コカビエルの時の戦闘を知っている者からしたら、何の驚異も感じなかった。

 

「まあ備えってのは必要だしな。」

 

そう言って先程出した紙をテーブルの上に置く。それを見たサーゼクスとミカエルは表情を強張らせる。

 

「これは……本当かい?」

 

「おう、シェムハザが調べたから間違いねぇ。」

 

「なるほど、これは由々しき事態ですね…」

 

「あらあらまぁまぁ、大変だぁ~♪」

 

若干1名、危機感がまるでないが、それなりに感じてはいるようで目は笑ってはいない。

 

「これを踏まえた上で相談だけどよ……和平結ばねぇか?」

 

「まさか貴方がそれを口にするとは……戦争でも仕掛けると思ってましたが…」

 

「んな事するわけねぇだろ……信用ねぇなぁ…」

 

「「「「そりゃ当然。」」」」

 

「声揃えて言うなよッ!?」

 

「「アハハハ…」」

 

重要そうな事を話しているのに、重要性が全く感じられないトップの話し合いに、果南と曜は苦笑いしか出なかった。

 

「んで、どうすんだ?結ぶのか…結ばないのか?」

 

「悪魔の方は賛成だよ。これ以上の戦争は、滅びしか生まないからね。」

 

「私達天界も賛成します。元々、私の方から提案しようと思っていましたし。」

 

「ワシらはもう中立だから関係ないし~。」

 

全員が賛成の意見を示し、これにて三勢力の和平が結ばれようとしたその時、不思議な感覚が会場にいる全員を襲った。

 

「なんだ、今の感覚?」

 

「おっ、お前は動けるんだな。」

 

「あ?カナ姉、アイツ何言ってんだ?」

 

アザゼルの言葉に一誠は首を傾げつつ果南を見ると、まるでマネキンの様に固まっていた。そこから更に視線を向けると、曜に花丸とルビィまで同じように固まっていた。動いているのは一誠と梨子達ヴァーリ眷属にリアスと裕斗、各陣営のトップだ。

 

「ッ!?おいカナ姉ッ‼曜ッ‼しっかりしろッ‼‼」

 

「落ち着け、命に別状はない。単にそいつらの時間が止まっただけだ。」

 

それに安堵するも、今度は原因が気になった。

 

「時間だと…?」

 

「ああ、リアスの所にいる眷属にその能力を使える子がいる。たぶんこれは、その子の力だ。」

 

サーゼクスの説明に一誠はすぐさま部屋の外に行こうと歩き出す。

 

「待ちたまえ、どこに行く気だい?」

 

「決まってんだろ、その力を持った奴をブッ飛ばすッ‼」

 

「待ってッ‼あの子がこんなことする訳ないわッ‼」

 

「だったらこれは何なんだ、ああッ!?」

 

曜達が危険に晒されて頭にキている一誠は、リアスに怒鳴り散らず。

 

「恐らく、敵が来て利用されたんだろ。」

 

「敵ィ…?」

 

「おう、外を見てみろ。」

 

アザゼルに言われ外を見てみると、空に魔法陣が浮かびそこからローブを纏った者がどんどん出てきていた。

 

「所謂テロリストってやつだな。俺達の和平を邪魔しに来たのさ。」

 

「なるほどな…だったらアイツら全員ぶちのめすッ‼‼」

 

「ちょっとッ!?一人じゃ危ないわッ‼」

 

そう言うと今度こそ、一誠は外に飛び出していき、それを梨子達が追いかけていった。そしてそのすぐ後に錬二と白神の二人も動き出す。

 

「あれ?これって…?」

 

「お前達も起きたか…たくっ…二天龍を宿してるのに人間の兵藤一誠より復活が遅いとか弛んでるぞ…」

 

「なッ!?アイツにばっか、いい格好させるかよッ‼」

 

「ふざけんなッ‼活躍するのは俺だッ‼」

 

そんな下らないプライドの喧嘩をしながら二人も外に飛び出していく。

 

「はぁ…あんなんじゃ時間稼ぎも出来ねぇか…」

 

その事に呆れるアザゼル。そして止まっている者にはリゼヴィムが自身の能力【神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)】で触れて解除していった。それを見ていたアザゼルはある疑問が頭に浮かぶ。

 

「そういや何でただの人間の兵藤一誠には、時間停止が効かなかったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は校舎を駆け下りて外に飛び出すと、校庭にはローブを着た奴等がうじゃうじゃいた。

 

「なんだアイツは?」

 

「誰だろうと、ここにいる奴等は抹殺よ。」

 

ローブを着た一人が俺に火の玉を飛ばしてくるが、ここ最近の特訓で鍛えられた俺には止まって見えた。

 

「よっと。」

 

その攻撃をサイドステップでかわし、攻撃してきた奴をイイ笑顔で睨む。

 

これで正当防衛確定ッ‼思いっきり暴れられるぜ‼‼

 

「撃ったな?だったらこっちも本気で潰してやるよ…‼」

 

ゲーマドライバーを装着し、ガシャットギアデュアルΣを取り出す。そこに赤と青の粒子が俺の隣に来てパラドになる。

 

「おいイッセー、こんな面白そうなゲーム……俺も誘えよ?」

 

「よく言うぜ、言われなくても来るだろ?お前なら。」

 

「ハハッ‼確かにな…‼」

 

奴は既にゲーマドライバーを装着していて、その手にはガシャットが握られていた。

 

「なあ、また勝負しねぇか?どっちが多く奴等をブッ潰すのか…」

 

「イイねぇ…心が踊るなぁ♪」

 

互いに気分を盛り上げた俺達は、ガシャットをドライバーに挿す。

 

『『デュアルガシャット‼』』

 

《Saviour is Around the World!! Battle of Dragons!!》

 

《The strongest fist!! What's the next stage?》

 

「ふんッ‼所詮はこけおどしだ‼‼一気に殺してしまえッ‼」

 

魔法で作られた攻撃が飛んできて、俺達の周りで爆発を起こすがそれに動じずに構えをとり……

 

「「マックス大変身ッ‼」」

 

同時に叫んでベルトのレバーを開き、その瞬間俺達の前で大きな爆発が起きる。

 

「ハハハッ‼たわいのな『『ガッチャーン‼マザルアップ‼』』なにッ!?」

 

『赤き帝王・強化‼白き皇帝・弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバール‼』

 

『赤い拳・強さ‼青いパズル・連鎖‼赤と青の交差‼パーフェクト・ノックアーウト‼』

 

だが、俺達は変身時に出てくるゲートのお陰で無傷であり、煙が晴れる頃には変身が完了していた。

 

「バカなッ‼あれだけの攻撃の中で…‼」

 

「さぁ~て……準備運動といきますか‼」『ガシャコンガントレット‼』

 

「ああ、ゲームスタートだ‼」『ガシャコンパラブレイガン‼』『ズ・ガーン‼』

 

パラドの合図と共に俺は背中の翼を広げてローブの奴等へと突撃し、その後ろからパラドの弾丸が俺を追い越して攻撃体勢に入っていた奴等に命中、それを阻止した。俺はその内の一人へと向かい全速力からの腹パンを叩き込む。

 

「グボァッ!?」

 

そいつを蹴り飛ばし、集団になっている所へとぶつけて行動を阻害し、次の敵の頭を鷲掴みして後ろへと全力で投げる。その先には他のローブ達が飛ばしてきた火球があり、全弾がそいつに命中した。

 

「貴様ッ‼我らが同志を盾にッ!?」

 

「はッ‼あんな所につっ立ってた……ソイツが悪い。」

 

「この…『高速化‼』『マッスル化‼』『ジャンプ強化‼』「隙アリだぜ?」ぶびゃッ!?」

 

俺に文句を言っていた奴は、エナジーアイテムで強化したパラドが高速の飛び蹴りを喰らわせて吹き飛ばし、更に周囲の数人を蹴り飛ばしていく。

 

「なんだコイツら……化け物だッ!?」

 

この光景に何人かが逃げだそうとするが、俺はそんな事をさせない為に他から飛んできた火球を掴み取り、Bボタンを3回叩く。

 

『Boost!!Boost!!Boost!!』

 

それで火球のある部分を強化して、逃げる奴等へと投げつけた。

 

「へ?……(ボカァァァァァァンッ‼‼)ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

それが先頭の奴に当たり、大爆発が起こって逃げる奴を全員巻き込んで地面へと落とす。

 

「まさか爆発力を強化するなんて……面白いな‼」

 

「特訓の賜物ってやつさ。さて、まだまだ獲物はいるぜ?」

 

「んじゃ、勝負の続きといこうぜ‼」

 

俺が拳を握り、パラドが武器を構えた時…

 

「君達、その勝負は無効だ。」

 

緑のノイズと共に目の前にクロノスが現れた。

 

「ようやくお出ましか…‼」

 

「待ってたぜ、クロノスッ‼」

 

「やれやれ……前回は手も足も出なかった分際で。」

 

そう言い肩を竦めているクロノスに俺は一気に突っ込んで拳を振るう。

 

ガシィ‼

 

「それで隙を付いたつもりかね?」

 

だがそれはアッサリと受け止められ、押しても引いてもびくともしない。

 

「この…‼」

 

俺はそこでもう一度押し込もうとしたら、クロノスは自ら腕を引いてきたので俺はバランスを崩し、前によろけたところを顔に裏拳を喰らう。

 

「がッ!?」

 

「ふん…‼」

 

そしてのけ反った俺の胸に掌底を打ち込まれ、後ろへと大きく吹き飛ばされた。

 

「グハッ!?」

 

「イッセーッ!?この…‼」『ズ・ゴーン‼』『1、2、3、4、5、6、7‼』

 

パラドは武器をアックスモードにしてBボタンを7連打、クロノスへと振るう。

 

「無意味な事だ。」

 

クロノスはそれを無抵抗で受けた。

 

『7連打‼』「どうだッ‼」

 

「どうとも。」『ガッチョーン、ガッチャーン…‼』

 

しかしクロノスはダメージが無いのか、ベルトのバグヴァイザーⅡを外し右手のグリップパーツにチェーンソー部分が前にくるように取り付けた。

 

そして左手でパラドの右腕を掴んで逃げられなくし、チェーンソーをその身に振るって斬りつけ、俺の傍へと投げた。

 

「グアアァァァァッ!?」

 

「パラドッ!?」

 

「君達には少し…お仕置きが必要だな。」『キメワザ…‼』

 

倒れたパラドに手を貸していたら、クロノスは必殺技の準備に入る。

 

「反省したまえ。」

 

『CRITICAL SACRIFICE!!』

 

そして放たれた丸鋸型のエネルギー刃が、無防備な俺達に直撃した。

 

「「ウアアアアァァァァッ!?」」

 

『『ガシューン。』』

 

それによって吹き飛ばされ、ガシャットが抜けて変身が解除されてしまった。

 

「が…は…‼」

 

「これでわかったかな?君達の運命は…バァッドエンドだと。」

 

「く…そ…‼」

 

痛む体で必死に手を伸ばしガシャットを掴むが、壊れてしまったのか火花が散っていて、体もダメージが多く立ち上がる事が出来ない。

 

くそ…‼黒澤先輩の仇が目の前にいるってのに…‼‼

 

「「うおおおおおおおおおおおッ‼‼‼」」

 

その時、妙に気合いの入った声と共に、錬二と知らねぇ奴がクロノスに拳を叩き込んだ。

 

「ハッ‼決まったぜ。」

 

「口ほどにもねぇな‼」

 

なんか勝った気でいるけど、そんなんで倒せたら苦労しねぇっての…

 

「これは丁度良い、()()()()()()()()()()()頃だからな。」

 

「収集……だと…!?」

 

「せっかくだ、君達に見せてあげよう……クロノスの新たな力を…‼」

 

「「ゴバァッ!?」」

 

錬二達を凪ぎ払い、奴は二人へと手を翳すと錬二の籠手ともう一人の羽から光に包まれた何かが1つずつ出てくる。それらが1つになりクロノスの手に収まると光が消えその姿が露になった。それは高海が持っているマイティシスターズMXと同じタイプのガシャットで、色は赤と白が縦半分に別れて塗られ、正面のグリップ部分には【KAISER DRAGOON DN】と明記されていた。

 

「新しい……ガシャット…!?」

 

「さあ、今こそ覚醒の時だ…‼」

 

クロノスは右腰にパラドがレベル50の時に着けてたホルダーをセットし、ガシャットを起動させる。

 

『カイザードラグーン・ダブルナーイツ‼』

 

クロノスの背後に赤と白の鎧を着た二人の騎士が描かれたスタート画面が現れ、そのガシャットをホルダーにセットした。

 

『ダブルガシャット‼』

 

するとクロノスの前にゲートが現れ、それを潜ると緑のラインが赤と白の2色に変わり、その背中には白い光翼が生え、両手には翠の宝玉が付いた赤い籠手を装備した姿へと変化した。

 

『バグルアップ…‼天を掴めライダー‼(Wooooo!!)刻めクロニクル‼今こそ時は極まれり‼(Wooooo!!)アガッチャ‼カイザードラグーン‼二人の戦士‼カイザードラグーン‼二人はライバール‼ナーイツ‼』

 

「ま……まさか…‼」

 

「強化形態だと…‼」

 

それを見た俺達は絶望しかなかった。

 

今でさえ勝てねぇってのに、更に強化とかふざけが過ぎるだろッ!?

 

「仮面ライダークロノス…ドラグーンクロニクルゲーマーとでも名付けようか。」

 

クロノスは俺達へと視線を向けると、ゆっくりと歩いてくる。

 

「さあ……大人しく審判を受けるがいい。」

 

「くう…‼」

 

さすがにヤバい所々感じた俺は下がろうと思うも、痛みで体がうまく動かず、逃げられない。

 

これは……マジで死んだかと思っていたら……

 

「ちょ~っち待ったあああぁぁぁぁッ‼‼」

 

俺達とクロノスの間にルシファーのじいさんが割り込んできた…………荒ぶるタカのポーズで……

 

いや、なぜにそのポーズ?

 

「子供相手に大人気無さ過ぎだよ~?恥って言葉、知ってる?」

 

「もちろん、そして私の行為に恥じる部分などない。」

 

「あ、ダメだこりゃ……コイツ聞く耳ねぇな。だったら体に教えて上げますかね…‼ブゥゥゥンッ‼‼」

 

『ガッチョーン‼』

 

じいさんは謎の掛け声と共にバグヴァイザーを腰に取り付け、ガシャットを起動させた。

 

『デンジャラスゾンビ‼』

 

「へぇぇぇぇん身ッ‼‼」

 

『ガシャット‼バグルアップ‼デンジャー‼デンジャー‼(GENOCIDE‼)デス・ザ・クライシス‼デンジャラスゾンビ‼(Wooooo!!)』

 

そして目の前に出てきたゲートを砕きながら、その身を白い禍々しい鎧を着たゲンムへと変えた。

 

「チミの相手は……ワシがしてやるよ。」

 

「面白い、かかってくるがいい。」

 

同時に走り出した二人は、その中間で拳をぶつけ合わせた。

 




いかがでしたか?

はい、Venomとはクロノス強化フラグでした。

次回はリゼヴィムゾンビ対クロノスに敵バグスター登場です。


次回【Eternalな輝き】

「何であなたが変身をッ!?」


では、次回でお会いしましょう。


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Eternalな輝き

どうも、疾風の警備員です。

平成ジェネレーションズfinal見てきました‼

取り合えず黎斗神が神していて、そして貴利矢がwww

映司とアンクの再会も良かった…‼

これ以上はネタバレを話しそうなので、やめときます。

そしてやっと、あの人が登場します‼

では、どうぞ。


「うぐ…‼」

 

「フム……この程度かね、デンジャラスゾンビ?」

 

拳をぶつけ合わせたゲンム・ゾンビゲーマーとクロノス・ドラグーンクロニクルゲーマー……しかし、その力の差は圧倒的だった。

 

(全力で殴って無反応な上にパワーも向こうが上とか…厄介だね…)

 

1度距離を取り、リゼヴィムは殴った方の手を軽く振る。

 

「では、今度はこちらから行こう。」

 

『Half dimension‼』

 

クロノスから音声が聞こえると、彼がリゼヴィムの前に一瞬で現れた。

 

「んなッ!?」

 

それに驚いていたら顔に裏拳と回し蹴りを喰らい、吹き飛ばされた。

 

「ガハッ!?……なんのぉッ‼」

 

しかしリゼヴィムは黒と紫が混じったオーラを纏って、ユラリと立ち上がる。

 

「ほう……ゾンビらしいな…」

 

「ちょっとは老人を労ったらどうだい?」

 

「社長ッ‼」

 

再び対峙するリゼヴィムとクロノス……そこに明日那がやって来る。

 

「明日那ちゃん‼そこの二人を連れて下がってて‼」

 

「ですがッ!?」

 

「そこに二人がいる方が邪魔なのよ‼急いでッ‼」

 

「は、はいッ‼」

 

明日那が一誠達に肩を貸して下がっていくのを気配で確認しつつ、何もしてこないクロノスを睨む。

 

「驚いたねぇ~、君なら何かしてくると思ってたけど…」

 

「なに、性能評価の為だ。相手が本気でないと、このガシャットの力がどれ程か調べられないのでね。」

 

「あらそ…‼」

 

リゼヴィムは再びクロノスに向かって拳を繰り出し、クロノスは特に抵抗を見せずにそれを顔面に喰らうが、何故かリゼヴィムの方が仮面の下で驚きの表情を浮かべていた。

 

(さっきより奴の体が硬い…!?)

 

「どうした……先程よりも力が足りないぞ?」

 

「グフゥッ!?」

 

驚きで止まってしまった隙をクロノスは見逃さず、リゼヴィムの腹にヤクザキックを叩き込み、リゼヴィムは10メートル程吹き飛ばされた。

 

「ガ…‼力も上がってるとか、何をしたのかな~…!?」

 

いつもの様に振る舞おうとするも、その声には驚愕が隠しきれていない。

 

「フッフッフッ…これがこのガシャットの能力だ。」

 

そう言って腰のガシャットを撫でる。

 

「このゲーム【カイザードラグーンダブルナイツ】は赤き龍の力を宿した者の軍と白き龍の力を宿した者の軍が、互いの領土を賭けて争う無双型アクションゲーム。そして今の私はその両方の力を使えるのだ…よッ‼」

 

「ブッ!?」

 

言葉の最後と同時にまた蹴りを喰らい、今度は約20メートルほど吹き飛ぶ。

 

「能力としては【相手に一撃当てる事に全能力倍加、相手の全能力半減】がある。これは武器による攻撃は当てはまらないようだがな。」

 

「こんの…‼」

 

ゾンビゲーマーの力で起き上がったリゼヴィムは、クロノスに蹴りを当てるも微動だにしない。

 

「それと譲渡や空間圧縮も使える。そして最大の特徴が…」

 

そしてリゼヴィムの足をはたき落とし、胸に正拳突きをめり込ませた。

 

「ゴブォッ!?」

 

その一撃に地面に膝を着き、能力で起き上がるもすぐさま胸ぐらを捕まれて引き寄せられる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事だ。」

 

「ッ!?もしやそれは…‼」

 

その言葉を遮る様にクロノスはリゼヴィムを突き放し、回し蹴りを喰らわせた。

 

「ゴベェッ!?いつつ…まさか失われた天龍の力すら再現したとは…‼」

 

「ほう……今のでそれを理解するとは…中々の洞察力だ。」

 

「伊達に長生きしてないよ。つまり、君はワシの攻撃のダメージを全て【反射】し、自分の攻撃を全て【透過】させているのか…‼」

 

そう、クロノスがゲームの元にした赤龍帝の籠手には倍加と譲渡、白龍皇の光翼には半減と吸収の能力があるが、それらに封印されているドラゴン…【ドライグ】には【透過】、【アルビオン】には【反射】という更なる能力があった。しかし、彼等が神器に封印されてからはその能力が発現した事は確認されていない……まさに失われた能力だったのだが、クロノスはその力さえも手に入れていた。

 

「その通り…‼」『ガッチョーン。』

 

そこでクロノスはバグヴァイザーⅡをベルトから外し、銃口がある方を避難させた明日那達の方へと向けた。

 

「何を…!?」

 

リゼヴィムが最後まで言葉を口にする間も無く、銃口からオレンジの粒子……バグスターウィルスを散布した。

 

「逃がした彼等は生かしておくと後々に面倒になりそうだからな…………ここで絶版にする。」

 

「ッ‼させ…「させないさ。」ブアッ!?」

 

クロノスの企みを阻止しようとするリゼヴィムだったが、それよりも先に攻撃を喰らって倒れる。

 

「貴方は私のテストの為のサンドバックだ…逃がしはしない。」

 

「なら、速効で倒してあげちゃうよ…‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら二人とも、しっかりしてッ‼」

 

明日那に運ばれながら、何とか魔王達が張っている結界へと向かっていた一誠達だったが、彼等の目の前にクロノスが散布したバグスターウィルスが降ってきて、3体のバグスターに変わる。そのどれもが見た事ある姿だが、所々色が違っていた。

 

「貴方達はモータス、チャーリー、カイデンッ!?」

 

「さぁ~て、地獄のレースの始まりだぜぇッ‼‼」

 

「レッツ、パーリィターイム‼」

 

「いざ、尋常に勝負‼」

 

「こんな時に…‼」

 

傷ついた二人を戦わせない為にも、彼女は二人を降ろし懐からバグヴァイザーⅡを取り出して腰につけようとしたら…

 

「下がれッ‼ポッピーピポパポ‼ドドドドド紅蓮爆龍剣‼」

 

横から聞こえた頼もしい声に、すぐ下がると炎の龍が3体を飲み込んでいった。

 

「「「うぎゃああああああああああッ!?」」」

 

「グラファイトッ‼ありがとう‼」

 

「まずは一誠達を避難させろ‼ここは…俺達が引き受ける。」

 

そう言うグラファイトの左右に、既に変身している恋と梨子達が並び立つ。

 

「皆、お願いねッ‼」

 

再び一誠とパラドを担ぎ直した明日那は6人の横を抜けて陣地へと駆けていく。それを見送ったグラファイト達はモータス達と対峙する。

 

「貴殿達が相手か…」

 

「鞠莉、カイデンは俺達でやるぞ。」

 

「OKッ‼私達のLove Powerを見せてあげましょうッ‼」

 

カイデンと戦うのはグラファイトとレーザー。

 

「ヘーイッ‼俺様ノテクヲ見セテヤルヨッ‼」

 

「やれやれ、自尊心が強い男は女の子から引かれるよ?」

 

「アンタが言うなし…」

 

チャーリーとはラヴリカとヨハネ。

 

「な~るほど‼お前達がレース相手って訳か‼」

 

「悪いけど、貴方の土俵で戦う気は無いから…」

 

「ノーコンティニューで、クリアするよ‼」

 

モータスには千歌と梨子がぶつかり合う。だが、この時誰も気付かなかった…彼女達の真上にまだバグスターウィルスが残っており、それは一誠達のもとへと向かっていった事に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺とパラドは社長秘書の女に支えられ、何とか魔王達が張る結界の中に着いた。

 

「アーシアちゃん、この二人の治療をッ‼」

 

「わ、解りました‼」

 

その中には何故か会談にはいなかったアルジェントと、この前の戦いの時にいた青髪緑メッシュの女までいた。

 

「……アンタは…」

 

「私はあの後、教会を追放されてね…どうしようか考えていたら、幻夢コーポレーションに拾ってもらったのさ。今はアーシアの護衛役だ。」

 

「最初はちょっと恐かったんですけど、今ではお友達です。」

 

恐らく教会を追放された同士、気でも合ったんだろうな。

 

「つか、このヘンテコな空間にどうやって…」

 

「リゼヴィム殿が自身の特性を組み込んだ転移術式でだ。」

 

おい、あのじいさんもチートかよ…

 

「たく…お互い惨めだな…」

 

「全くだ…」

 

俺は自分の壊れたガシャットを握り締め、隣のパラドに視線を向けると奴のガシャットも大きな切り傷があって壊れていた。

 

「この手で黒澤先輩の仇が討てると思…「先輩ッ‼‼」うごおッ!?」

 

悔しさに落ち込んでいたら、黒澤妹が俺に突っ込んできたので受け止めたが、傷口に頭突きが決まってマジ痛え…‼

 

「おいッ!?そこは傷…「……す…‼」あ?」

 

「お姉ちゃんだけじゃなくて……先輩までいなくなるの…………嫌…です…‼」

 

その言葉に俺は言葉に詰まった。

 

俺がいなくなる?コイツは何を言って……

 

「今、ルビィちゃんが言った事……あんまり理解してないでしょ?」

 

「あたっ」

 

そこに後ろからやって来たカナ姉から後頭部にチョップをもらう。

 

「何すんだよ?」

 

「お仕置きだよ。さっきのクロノスとの戦い……何か勝機があったの?」

 

「そりゃ…なかったけどよ…」

 

「なら、自分が殺されるって思わなかったのッ!?」

 

いきなり声を荒げるカナ姉に俺はビックリする。その目に涙を滲ませながら更に言葉を続ける。

 

「私達はもう大切な人がいなくなるところなんて見たくないのッ‼無茶したっていいッ‼勝てなくたっていいッ‼だけど絶対に戻ってきて…‼お願いだから……私達に【お帰り】って言わせてよ…‼」

 

カナ姉の言葉に俺は黙るしかなかった。事実、自分は変身が解けた時に死を感じてしまったのだから…

 

そうだな……あんな思い、するのもさせるのも俺は御免だ。

 

「悪い……無茶が過ぎたわ…」

 

「分かればよろしい。」

 

涙を拭い、いつもの笑顔見せるカナ姉に俺の頬も自然と弛む。

 

「話し中悪いが、まずはクロノスの攻略法を考えようぜ?状況が悪くなってきてるからな。」

 

パラドに言われ結界の外を見ると、ローブを着た奴等がたくさんの火球を飛ばして結界を揺らし、魔王や天使長が壊れないように維持している。更に外では残っているグレモリー眷属の奴等がローブの奴等を倒していた。

 

「確かにな……つってもクロノスの攻略法なんてあるのかよ?俺らのガシャットは壊れちまったし…」

 

「マルに考えがあるズラッ‼」

 

そこに神器を出した国木田と曜がやって来た。

 

「考えだと?」

 

「そうズラ‼ただ…可能性がどれだけあるか解らないけど…」

 

「とりあえず話せ、ズラ丸。」

 

「ズラ丸じゃないズラッ‼かつら…………じゃなかった、花丸ですッ‼」

 

パラドの呼び名が不満みたいだが、俺はぴったりだと思うぞ?

 

「オッホン‼‼この状況を打開するには……パラドさんが番長先輩に感染するんです。」

 

「「はあッ!?」」

 

国木田の提案は俺ですら突拍子の無いもので、カナ姉や曜はそれに驚きの声をあげる。

 

「花丸ちゃん…それ、冗談だよね?」

 

「ルビィちゃん、マルは本気だよ。」

 

「何で……何でなのッ!?だってそれでお姉ちゃんが…‼‼」

 

「だってパラドさんは…………番長先輩から生まれるバグスターだからッ‼‼」

 

「「「「ッ‼‼」」」」

 

そこで国木田が口にした言葉に俺まで声が出なかった。

 

「俺は……パラドに感染しているのか?」

 

「はい……マルの神器の情報が確かなら…」

 

まさか俺が黒澤先輩が死んだのと同じのに感染してるなんて……

 

「パラド、これは本当なのか?」

 

「ああ、そして俺がお前に手を組もうと話した理由でもある。」

 

「んで、俺とお前が組めば……クロノスに対抗出来るんだな?」

 

「可能性はある…」

 

『ほう……それは興味深いですね?』

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

そこに新たな声が聞こえてきたが、その声に含まれた殺気に俺とパラドに女秘書はカナ姉達を庇う様に立つと俺達の前に執事服を着てオールバックの男が現れる。

 

「そんな…‼魔王達が張ってる結界にどうやって…‼」

 

「貴方達が中に入る時に開けた、その穴からですよ。では、自己紹介と参りましょう……私はクロノス様にお仕えするバグスター【グラファイト】と申します。」

 

「グラファイトですってッ!?」

 

「ええ、ですがそちらにいる乱暴者とは違いますがね?」

 

そう言って男はバグヴァイザーを取り出した。

 

「証拠をお見せしましょう…………培養。」

 

ヴァイザーのAボタンを押し、それを右手のグリップパーツに取り付けると姿が変わっていき、水飛沫と共に蒼い体のグラファイトが俺達の前に現れる。

 

『INFECTION!! レッツゲーム‼バッドゲーム‼デッドゲーム‼ワッチャネームッ!?ザ・バグスター‼』

 

「蒼い……グラファイト…!?」

 

「正式名は【セイリュウグラファイト】です。」

 

そして背中のグラファイトエッジを手に取ると、真ん中から2つに別れ二刀流にして構える。

 

「マズイ、魔王達は結界を張っているから動けない……だったら私が…‼」

 

女秘書が俺達の前に出るとバグヴァイザーⅡを腰に当ててベルトにし、ガシャットを起動させた。

 

『ときめきクライシス‼』

 

「変身ッ‼」

 

『ガシャット‼』『バグルアップ…‼ドリーミングガール‼(Wooooo!!)恋のシミュレーション‼乙女はいつもときめきクライシス‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダーポッピー‼いくよッ‼」

 

『ガッチャーン…‼』

 

女はチェーンソーを振るうも、アッサリと左の剣で受け止められる。

 

「およしなさい、貴方では私には勝てない。それに…」

 

「きゃッ‼」

 

そして右の剣で弾き飛ばされ、俺達の前に倒れた。

 

「ゴゴゴゴゴ蒼刀撃龍刃‼」

 

「それくら「避けたら後ろの子達に当たりますよ?」ッ!?キャアアアアアアアアアッ‼‼」『ガシューン。』

 

セイリュウグラファイトはその隙を逃がさず必殺技を放ち、避けようとした女秘書は俺達のせいで動けず直撃をもらい、変身が解除された。

 

「明日那さんッ‼」

 

「ハハハハハハハッ‼甘いですねぇ…‼」

 

倒れた女秘書の横を通り、セイリュウグラファイトは俺達の元へと歩いてくる。

 

「そこの子は厄介な能力を持ってる様ですね……ならば、この場でデリートしましょう。」

 

「ずらぁッ!?」

 

(パラド……いけるか?)

 

(ああ、タイミングは任せろ。)

 

俺はパラドは国木田を守るために、突撃するタイミングを見計らっていたら……

 

-―バキュンッ‼――

 

「ほっ。」

 

俺達の間を光が通り抜け、セイリュウグラファイトへと向かっていくが、奴は体を傾けてかわした。

 

それが攻撃だと理解し、撃ったのは誰かと振り返ると……

 

「ハァ…ハァ…‼」

 

黒澤妹がバグヴァイザーⅡをガンモードにして、その銃口から煙を出しながら立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイリュウグラファイトの狙いが花丸と分かったルビィの頭に、ダイヤの死んだ時の記憶が過った。

 

(先輩や花丸ちゃんがお姉ちゃんみたいになるなんて……そんなの絶対にイヤだッ‼)

 

そう思った瞬間、彼女はバグヴァイザーⅡをガンモードにしてセイリュウグラファイトへと撃った。しかし目を瞑って撃ったので狙いが甘く、簡単に避けられてしまう。

 

「おや?君はもう戦えないし、歌えないと思ったのですが…」

 

「ホントは今も怖い………………だけどッ‼先輩や花丸ちゃんがいなくなっちゃう方がもっと怖いから…‼だからッ‼」

 

そう叫ぶ彼女の顔は目に涙を滲ませながらも、確りとした決意が浮かんでいた。

 

「ふぅ……どうやら貴方もデリートした方が良さそうですね。」

 

苛立ちと呆れを混ぜた様な声で呟いたセイリュウグラファイトは両手の剣に蒼いエネルギーを溜め始める。

 

「マズイッ!?イッセーッ‼」

 

「ああッ‼」

 

このままではマズイと思った一誠とパラドが走り出そうとした瞬間……

 

ガシャアアアアアアアアンッ‼‼

 

黒とグレーのモノトーンに塗られたバイクに乗った誰かが結界を破って中に入ってきた。

 

「なんだッ!?」

 

「てか、バイクで破れるって結界脆すぎでしょッ!?」

 

果南のツッコミももっともだが、今は誰もそれに答えずバイク乗りは左腰のホルダーのボタンを2連続で押した。

 

『キメワザ‼ BAKUSOU!! CRITICAL STRIKE!!』

 

マフラーから火を吹かせながらセイリュウグラファイトへと突っ込んでいくが、ぶつかる寸前で前輪だけブレーキを掛け、後輪を浮かせるとその場で回転してセイリュウグラファイトにぶつけ吹き飛ばした。

 

「ドハァッ!?」

 

バイク乗りとセイリュウグラファイトはまた結界を破り、丁度千歌と梨子が戦っている場所で止まった。その人物を顔はヘルメットで解らないが、体型的に女性のようだ。そして腰には【ゲーマドライバー】が装着されており、キメワザスロットホルダーのスロットには【プロト爆走バイク】が、ホルダーには黒と血色、白と金の二色ずつに塗られた2つのガシャットがあった。

 

「もうッ‼遅いよ美歌ッ‼」

 

「仕方ないじゃない、ヴァーリの研究を色々と手伝ってたんだから。」

 

「「えッ!?」」

 

千歌は誰か解ったかのように名前を呼んだが、その返答は()()()()()()()()()()、振り返るとそこにノイズから美歌が現れた。

 

「なによ、その臭いカレーを喜んで食べるクワガタを見た時のような顔は?」

 

「その例えは何処から浮かんだのよ…」

 

「じゃああれは……………………女装したヴァーリ君ッ!?」

 

「なんでだよッ‼」

 

「ア痛ッ!?」

 

千歌が再び誰か当てようとしたが全くの検討違いな上に、()()()()()()()()()()()()ヴァーリからチョップを喰らっていた。

 

「たく……久々の登場なのに、なんでそんな事しなくちゃいけないんだ?」

 

「だってぇ~……それじゃあの人は?」

 

頭を擦りながら聞く千歌に、ヴァーリはニヤリと笑う。

 

「ルビィへの贖罪さ。遠慮せずに受け取れぇッ‼」

 

その叫びに合わせてバイク乗りがヘルメットを取ると、全員が目を見開いた。ヘルメットの中から出てきたのは長いストレートの黒髪に翠の瞳、口の右下にほくろがある顔であった。

 

「嘘…」

 

「なんでッ!?」

 

「ハハハハハハハッ‼‼俺の才能に不可能は無いという事だァッ‼‼」

 

驚く千歌達と高笑いするヴァーリを他所に、その女性は結界の方を…………正確にはその中にいるルビィを見て微笑み、その女性と目があったルビィの頬を涙が一筋伝う。それが夢なのかと思いながら……

 

「しばらく見ない間に強くなりましたわね……ルビィ。」

 

「ッ‼‼‼‼」

 

だが、女性の声を聞いた途端、涙が止めどなく溢れだす。しかしその顔に悲しみはなく、寧ろ喜びが浮かんでいる。それは周りにいる曜や花丸に果南、アーシアもそうだ。

 

何故、彼女達がそんな表情をするのか?何故ならそこにいるのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんッ‼‼」

 

「「「ダイヤ(さん)ッ‼‼‼」」」

 

消滅した筈のルビィの姉【黒澤ダイヤ】だからだ。

 

「再会の挨拶は後回しにして、この青蜥蜴は私が相手しますわ。」

 

そう言うと彼女は1つのガシャットを取り出して、起動ボタンを押した。

 

『ジュエリートレジャー‼』

 

現れるスタート画面を背に、時計回りに回ってガシャットの端子を下に向ける。

 

「0カラット……変身。」

 

そこから勢いよくガシャットをドライバーに挿し、レバーを開いた。

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼』

 

そして周囲を回るアイコンを回っているのとは反対方向に回りながら、後ろ回し蹴りでアイコンを選択した。

 

『探せダイヤ‼集めろルビ―‼ジュエリートレジャー‼』

 

出てきたゲートを潜ると、頭部は腰まで届きそうなストレートの髪にダイヤモンドとルビーが付いたカチューシャ、翠の瞳をした顔に肩にも宝石の装飾があり、ボディスーツにはブレイブと似た模様が入り、胸にはライダーゲージとコントローラーを模したプロテクターが付いた姿となった。

 

「何で貴方が変身をッ!?」

 

「それは今の彼女が、俺達の()()()()()だからだ。」

 

「対極…?」

 

梨子はその意味が解らず首を傾げる。

 

「く……新しいライダーですか。」

 

「【仮面ライダージュエル】以後、お見知り置きを。」

 

ジュエルへの変身が終わると、彼女の横に美歌が立ちプロトガシャットを複数渡した。

 

「はい、ワタシからのプレゼントよ。」

 

「あら、ありがたく貰いますわ。」

 

それを受け取り、周りに現れた武器アイコンから剣を選択する。

 

『ガシャコンソード‼』

 

「素人風情が……嘗めないでもらいましょう…‼」

 

グラファイトエッジを構えるセイリュウグラファイトに、ジュエルは剣を突きつける。

 

「貴方に私の輝き、見せて上げますわ‼」




いかがでしたか?

祝・ダイヤ復活&初変身‼

今回はペコーシャさんから頂いた案を使わせて貰いました。アイディアありがとうございます‼

そして外れてしまった方に朗報です。頂いたアイディアの中から2つ、レベルX用に採用させて貰いました‼次回、その片方を出します。


次回【黒き王のBlessing】

「今の私は……容赦しませんわよ?」


では、次回でお会いしましょう。


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黒き王のBlessing

どうも、疾風の警備員です。

最近きらめきアイドルの元にしたアイカツスターズの筐体をやっていたら、限定カードが当たるスロットをやっていまして、まさかの300円で大当たりしました。

これも檀黎斗神からの恵みかッ!?

勿論、ありがたく受け取ってきました(笑)

今回はX-0の登場です。

では、どうぞ。


「貴方に私の輝き、見せて上げますわ‼」

 

剣を持ち駆け出すジュエルに、セイリュウグラファイト(以下セイリュウと呼称)も双剣を構え走り出す。

 

「ハッ‼」「フンッ‼」

 

そして中央で互いの剣をぶつけ合う。つばぜり合いはせずにすぐに距離をとり、そこから激しい打ち合いが始まった。

 

ジュエルの上段をセイリュウは左の剣で受け止め、左脇に構えていた右の剣を振ろうとするも、ジュエルはその柄尻に左足を当てて動きを止め、左手にガシャコンマグナムを呼び出し零距離で撃とうとするが、セイリュウは右の剣を離しバランスが崩れたジュエルを左の剣で斬ろうとするも、ジュエルはバランスを立て直すではなく逆にその場に倒れる事でそれを回避した。

 

セイリュウは倒れている彼女に追い討ちを掛けようとするも、ジュエルが足元に弾丸が放って思わず下がり、その隙に彼女は立て直し弾丸を撃つが、セイリュウはそれを剣で弾き、モータスと戦っている千歌へと飛ばすも、彼女はそれをギリギリで回避した。

 

「ひゃあッ!?ぎ、ギリギリセーフ…‼」

 

「高海さんッ!?すみませんわッ!?」

 

「だいじょーぶでーすッ‼」

 

千歌の答えに安堵しジュエルはセイリュウを睨むが、彼は余裕とばかりに右手のグルグルと回す。

 

「その程度の射撃など、狙った所に弾ける程に余裕ですよ?」

 

「はぁ……随分手癖が悪い方ですわね。」

 

「お褒めに預り恐悦至極。」

 

セイリュウがお辞儀をしたら急に横に跳び、そのすぐ後に美歌がガシャコンブレイカーをセイリュウがいた場所に振り下ろした。

 

「おやおや、それで不意打ちのつもりですか?」

 

「おい……よくも千歌に攻撃したわね…‼」

 

「ハッハッハッハッ‼事故ですよ、事故。」

 

「黙れ…‼」『マイティアクションエーックス‼』

 

千歌へと攻撃を飛ばしたセイリュウにキレた美歌はゲーマドライバーを装着し、ガシャットを起動させる。

 

「グレード0……変身ッ‼」

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼』

 

『ガシャコンブレイカー‼』『ジャ・キーン‼』

 

そしてゲンムになり、再度ブレイカーを手に持つとブレードモードへと切り換え、セイリュウへと走り出す。

 

「テヤァッ‼」

 

「甘いですよ。」

 

「この…‼」

 

「フンッ‼」

 

「ガハァッ!?」

 

「貴方もついでに…‼」

 

「キャアッ!?」

 

右から迫るゲンムの攻撃をセイリュウは上体を反らす事でかわし、左から来るジュエルは腹に蹴りを入れて下げさせ、ゲンムの手を掴みジュエルの方へと投げた。

 

「2対1ですか……こちらの方が戦いになるかもしれませんね。」

 

「上から見てんじゃないわよ‼」

 

「その油断が命取りですわ‼」

 

 

 

 

 

 

ジュエルとゲンムVSセイリュウの戦いを、千歌梨子vsモータスのバトルに手を貸しながらヴァーリは見ていた。

 

「よし、上手くいったな。」

 

「何が?…ていうか、ダイヤ先輩ってあんなに動けたっけ?」

 

「フッフッフッ…俺がただ先輩を甦らせただけだと思ったかッ‼念のためにあらゆる武術とバイクの操縦技術も入れておいたのだッ‼‼」

 

「魔改造ッ!?」

 

「否ッ‼神の恵みだッ‼‼」

 

まさかの答えに梨子は驚きの声をあげる。そう、この男はダイヤを甦らせる際、戦闘の可能性も考えて武器の使い方や体術にバイクの操縦まで出来るよう手を加えていたのだ。

 

「どうやってそんな事を…!?普通、そんな簡単に身に付かないよッ!?」

 

「それは今の彼女が【バグスター】だからさ。」

 

「ッ‼‼」

 

さっきまでのテンションはどこへ行ったのか、普段のトーンで急に話すヴァーリだが、その内容に梨子は声が出なくなった。

 

「さすがの俺でも、人間の肉体を作る事は出来ない。だから代わりにバグスターの肉体に彼女のデータを入れ、そこから手を加えたんだ。さっき言っただろ、()()()()()()()()だって。俺達はバグスターウィルスの抗体を持った人間兼悪魔だが、彼女は【人間の遺伝子を持ったバグスター】なんだ。簡単にいえば美歌と同じ存在だな。」

 

「美歌ちゃんと同じ…」

 

「二人とも~‼手伝ってよ~‼‼」

 

「と、悪い悪い。」

 

『TADDLE FANTASY!!』『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

千歌の抗議に二人は視線を戻し、クロノスが呼び出した金色の部分が銀色になったモータスを見る。

 

「そらそらァ~‼今の俺様は光になるぜぇ~‼‼」

 

「そのセリフだと、巨大なハンマーで潰されるぞ?」

 

「待てえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

モータスの言葉にヴァーリはツッコムが、そんなの関係ねぇとばかりにエンジンを吹かし走り回るモータスにそれを追い掛ける千歌。それを見ていた梨子は全身の砲身の角度を調整して構える。

 

「千歌ちゃんッ‼そこでストップ‼」

 

「うえッ!?」

 

梨子の指示にキキィ~‼と地面を抉りながら、何とか止まる。

 

「お~い‼もう降参か~‼‼」

 

「違うよ、貴方を攻略するの。」

 

千歌との距離が充分に開いた瞬間、梨子は全身の砲台から攻撃を開始する。

 

「うおッ!?とりゃッ‼ぬあッ!?うおおおおおおッ!?」

 

「そこだ。」

 

あまりの弾幕に動きが止まった所を、ヴァーリが念力でバイクを浮かせた。

 

「千歌、今だッ‼」

 

「うん‼」『ガシューン、マキシマムガシャット‼キメワザ‼』『ズキュ・キュ・キューン‼』

 

車輪が地面に着いてなければバイクはただの飾りでしかなく、そこに千歌はガシャコンキースラッシャーにガシャットを装填し、必殺技の体勢に入る。

 

「いっけぇ‼」

『MAXIMUM MIGHTY!! CRITICAL FINISH!!』

 

銃口から放たれたビームはモータスに命中、ノイズに包まれた後に地面へと落ちる。

 

「痛ァッ!?でも、レースはまだ終わっちゃいねぇぜッ‼」

 

「ううん、もう終わりだよ。」

 

「舐めやがって…‼」

 

倒れたモータスヴァイザーを起こして股がり、再びエンジンを吹かそうとした時、そこで異常に気づいた。

 

「あ、あれ?ブゥンブゥン‼おーい?ブゥゥゥゥン‼」

 

さっきからアクセルを何度も回すが、エンジンが全く反応しないのだ。おかしいと思うもモータスは何度もエンジンを吹かそうとする。相棒の心臓(エンジン)に再び火が付く事を夢見て…

 

「動けよ‼この…‼ブゥゥゥゥゥンンンンッ‼(バシュゥゥゥゥゥゥゥゥン)へ?」

 

だがそれは叶わず、バイクにノイズが走ったかと思うとタイヤとハンドルだけを残して、バイクは消えてしまった。

 

「貴方のウィルスをリプログラミングしたの。だ・か・ら…もうバイクには乗れないよ♪」

 

「う、嘘だアアアァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

千歌の宣言にモータスの悲しき叫びが校庭に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「二人がかりでその程度ですか?」

 

「く…‼」

 

「なんて力…」

 

セイリュウと戦っていた美歌とダイヤだが、セイリュウの力に押されていた。

 

「もう少し手応えがあると思ったのですが……見込み違いでしたね。」

 

「卑怯者がなにを…‼」

 

ダイヤの言葉にセイリュウは笑い出す。ダイヤの言葉の通り、セイリュウは遠距離攻撃は千歌や鞠莉、善子達の方へと弾き、それを庇って倒れていると結界にいるルビィ達へと攻撃をしようとして、それを自身を盾にして防いだりしていたのだ。

 

「ハハハハハハハハハハハッ‼‼‼何を言うかと思えば…‼いいですか?戦いに卑怯も何もないのですよ。寧ろ戦場に弱点を持ってきている貴方達が悪い…‼」

 

その言葉に怒りを抱く二人。そこに一人の人影が落ちてくる。

 

「あイタァッ!?おおぉぉぉぉ…‼こ、腰にきたァ…‼」

 

「おじ様ッ!?」「だ、誰ですか!?」

 

それはゲンム・ゾンビゲーマーに変身したリゼヴィムだった。

 

「ん?そこにいるのはアビスマキシマムに君は…?」

 

そしてそれを追ってクロノスまでやって来た。

 

「これはこれは、クロノス様。」

 

「クロノス…‼」

 

「その声は……きらめきアイドルの姉か?君は絶版にしたはずだが…」

 

「残念でしたわねッ‼私はこうして生きてますわよ‼」

 

「なるほど、タドルファンタジーの仕業か。ならばもう一度、君を絶版にしてやろう。」

 

「おぉ~とッ‼待ったァッ‼」

 

二人に近づこうとするクロノスだが、その前にリゼヴィムが立ち塞がった。

 

「これ以上、この子達に手出しはさせないよ。」

 

「……貴方と戦うのも飽きた。そろそろ終わりとしよう。」

 

そう言ってクロノスはホルダーのガシャットを1度抜き、再度装填した。

 

『ガシューン、ダブルガシャット‼キメワザ‼』

 

するとクロノスの体を赤と白の光が包み、赤色と白色のクロノスに別れリゼヴィムを前後に挟む様に立つ。

 

「はいッ!?」

 

「貴方はこれで絶版だ。」

『KAISER DOUBLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そのまま二人が同じ動作でリゼヴィムに回し蹴りを喰らわせた。

 

「ぬおおぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

『会心の一発‼』

 

『ガシューン』バキィィィィンッ‼‼‼

 

リゼヴィムは吹き飛び、腰から外れたバグヴァイザーからガシャットが抜けるとヴァイザーは砕け散り、ガシャットは美歌の手に落ちた。

 

「あああああッ!?ワシのバグヴァイザーがぁぁッ!?ま、ガシャットが無事だからいっか。」

 

「いいんですの…?」

 

絶叫から一瞬でケロッとした態度の変わりように、ジュエルは呆れる。

 

「フッフッフッ…次は君達だ。」

 

「でしたら…‼」『ガシューン、ガシャット‼キメワザ‼』

 

「付き合ってあげるわ‼」『ガシューン、ガシャット‼キメワザ‼』

 

「無意味な事を…」『キメワザ…‼』

 

ジュエルとゲンムはガシャットをドライバーから抜き、キメワザスロットホルダーに挿してボタンを押し、クロノスはバグルドライバーⅡのBボタンを押す。

 

「いきますわよ‼」「ええ‼ 」

 

『『(JEWELRY/MIGHTY)!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

「来るがいい。」『CRITICAL CREWS-AED!!』

 

もう一度ボタンを押して必殺技を発動させると、ジュエルとゲンムは跳び蹴りを、クロノスは回し蹴りを放ちぶつかり合う。一瞬の拮抗の後…

 

「「キャアアアアアアアッ‼‼‼‼」」

 

『終焉の一撃‼』

 

クロノスの攻撃に負けた二人は吹き飛ばされた。そして胸のゲージが0になる。

 

「くそ…‼」

 

「こんなところで…‼」

 

二人の体が粒子になっていき、最後はそのまま霧散した。

 

『GAME OVER』

 

「お姉ちゃんッ‼‼」

 

「美歌ッ‼‼」

 

「「「「「死んだッ!?」」」」」

 

それを見たルビィと千歌が悲鳴をあげる。

 

「アビスマキシマムときらめきアイドルの姉……いや、ジュエリートレジャーはこれで絶版だァ…‼ハハハハハハハハハハハッ‼‼」

 

クロノスは二人の消滅で高笑いをするが、彼は足元にあるものに気づいていなかった。それは2つの土管で片方が紫、もう片方が赤色で更にカラフルに光るネオンで【CONTINUE】と書かれていた。

 

『アハハハハハハハハハハハハッ‼‼‼‼』

 

『その答えはブッブ~‼ですわぁッ‼‼‼‼』

 

「ん?……これは!?」

 

そこに聞こえた美歌とダイヤの声でクロノスは足元にある土管に気がついた。

 

《テッテレテッテッテ~♪》

 

そしてその中から場に合わないメロディーと共に美歌は腕を組みながら、ダイヤは腰に手を当てて威風堂々とした格好で出てきた。

 

「「「「「復活したアアァァァッ!?」」」」」

 

「バカな…どうやって!?」

 

珍しく慌てるクロノスにしてやったりな表情を浮かべながら、二人はクロノスにガシャットを見せつけた。

 

「私達のガシャットはちょっと特別製でしてね♪」

 

「【コンティニュー機能】が搭載されてるのよ♪」

 

「コンティニューだと…!?」

 

「因みに今ので1つ削れて…」

 

「私達のライフは…」

 

彼女達の顔の横に1つの画面が浮かび、そこに二桁の数字が写るがその数が1つ減った。

 

「「残り98個‼」」

 

「「「「「多ッ!?」」」」」

 

その個数に曜と果南、花丸にアーシアとゼノヴィアまでもが驚く。というか最初から残機MAXとか、ヴァーリもやり過ぎな気もするが……

 

「因みにエナジーアイテムに【ライフ1UP】もありますから、多少のコンティニューなど恐るるに足りませんわッ‼‼」

 

訂正……完全にやり過ぎである。

 

「さて、今度はこちらも本気でいきましょうか。」

 

「そうですわね。」

 

美歌はマイティアクションエックスと先程リゼヴィムが使っていたデンジャラスゾンビを、ダイヤはジュエリートレジャーとホルダーにある黒と血色のガシャットを持つ。このガシャットには黒と血色の体にオレンジのツリ目で鋭い爪の巨人がその手に沢山の異形の生物を包んでいる絵があり、題名には【BELIAL MONSTER】とあった。

 

「グレードX-0。」『マイティアクションエーックス‼』『デンジャラスゾンビ‼』

 

「X-0カラット。」『ジュエリートレジャー‼』『べリアルモンスター‼』

 

二人の背後にスタート画面が現れエナジーアイテムが排出されていくが、ベリアルモンスターからはエナジーアイテムではなく、掌サイズのカプセルが出てくる。

 

「「変身ッ‼」」

 

『『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼』』

 

『マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼アガッチャ‼デンジャー‼デンジャー‼デス・ザ・クライシス‼デンジャラスゾンビ‼』

 

『探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼災厄を起こせベリアル‼絶望を振り撒けモンスター‼今こそ破滅の時来たり‼』

 

現れた2つのゲートを潜ると美歌はゾンビゲーマーにそっくりなゲンム・ゾンビアクションゲーマーに、ダイヤはボディスーツのラインや装甲の色がくすんだ銀色になり、胸のゲージ部分は禍々しい模様と紫の光点が浮かぶものへと変わり、頭部にはオレンジ色の禍々しい形のバイザーが装着され、両手は爪が伸びて攻撃的な姿【仮面ライダージュエル・モンスタートレジャーゲーマー】になった。

 

「私をコンティニューさせられるかしら?」

 

「今の私は…容赦ないですわよ?」

 

『ガシャコンブレイカー‼』

 

『ガシャコンギガナイザー‼』

 

そして美歌はブレイカーを、ダイヤは左右に金棒が付いたロッド型の武器を取り出し肩に背負う。

 

「いいだろう、相手をしてあげよう。」

 

「「上等ッ‼‼」」

 

クロノスの挑発に乗るように美歌は突っ込んで行くが、ダイヤは左右を見渡し適当なカプセルを4つ手にすると、その内2つを起動させる。

 

「ゴモラ、レッドキング。」

 

『ガシューン』

 

その2つを右手の指の間に持ち、ベリアルモンスターを抜くとその2つにかざしていくと、鳴き声が聞こえる。

 

「さあ、お行きなさい‼」

 

そしてガシャットを前に向けながら、起動ボタンを押したら赤と黄色の光の粒子が出てきて、それが混ざり合うと赤い角に金の強皮と茶色い皮膚をした異形が現れた。

 

『ゴモラ・レッドキング‼ フュージョンリアライズ‼ スカルゴモラ‼』

 

「ギャオオオオオオオオオッ‼‼」

 

「モンスターを召喚したッ!?」

 

スカルゴモラはセイリュウグラファイトへと向かっていき、ダイヤは更に残りのカプセルを読み込ませた。

 

『エレキング・エースキラー‼フュージョンリアライズ‼ サンダーキラー‼』

 

次に出てきたのは青白い体に赤い縁取りのされた黒い縞模様で、頭部には黒いアンテナみたいなのが付いた金の兜で左手は巨大なクローとなった生物だった。

 

「貴方はスカルゴモラと協力して、セイリュウグラファイトを足止めなさい‼」

 

「キイイィィィィィッ‼‼」

 

ダイヤの指示にサンダーキラーはセイリュウグラファイトへと向かっていった。

 

「私はクロノスを…‼」

 

ダイヤは視線を美歌と戦うクロノスへと移し、ガシャコンギガナイザーを振り回しながら駆けていった。




いかがでしたか?

今回はエイリアンマン様から頂いたオリガシャットを使わせて貰いました。所々改造してしまったのはすみませんorz

ジュエリートレジャーの能力は次話で明かします。

次回は様々な場所の戦闘シーンになります。

次回【BATTLEは波乱の中で】

では、次回でお会いしましょう。


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BATTLEは波乱の中で

どうも、疾風の警備員です。

世間ではクリスマスですね。皆さんはどうお過ごしですか?……え、私ですか?ハハ……仕事ですよ、しかも昨日からの36時間勤務(泣)

……では、本編をどうぞ…


レーザー&グラファイトVSカイデンside

 

「そいやッ‼」

 

「甘いッ‼」

 

「そこねッ‼」

 

カイデンが振るう二振りの刀をグラファイトは受け止め、その隙に黒い部分が白になったカイデンの後ろに回ったレーザーが鎌にしたスパローで背中を切り捨てる。

 

「く…なんのこれし「どこを見ている‼」ぬあッ‼」

 

意識をそっちに移した瞬間、グラファイトが刀を上に弾き横凪ぎにグラファイトエッジを一閃、防御も出来ずにもろに受けたカイデンは後ろへと吹き飛んでいく。

 

「ぐあッ!?貴様ら…二人がかりとは卑怯だぞッ‼」

 

「時間停止等を使っている貴様らに、相手を卑怯と罵る資格はないッ‼」

 

「なにを解らぬ事を…‼」

 

立ち上がったカイデンは刀を握り右腰に添えて姿勢を低くする…所謂抜刀の構えをとる。

 

「なら、私が受けて上げる‼」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

そこでレーザーが1歩前に出て、レバーを閉じて必殺技の発動体勢になり、力が溜まった所でレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼ HIGH SPEED!! CRITICAL SONIC!!』

 

「Ready…………GOッ‼‼」

 

レーザーはカイデンへと駆け出すとその左右に更にレーザーが現れる。

 

「は?」

 

それに困惑したカイデンが目を擦るとその数は更に増え、目の前には10体のレーザーがいた。

 

「これは……残像かッ!?」

 

「Yesッ‼さあ~て、どれが本物かしら?」

 

レーザー達はカイデンを囲むと、その周りをグルグルと走り始める。

 

「嘗めるなよ小童が……七十段の実力を見せてやろう…‼」

 

10体のレーザーが走るのを止めると、一斉にカイデンへと飛び蹴りを始める。

 

「ヌァッ‼‼」

 

しかしカイデンも刀を振るい全てを斬り捨てた。

 

「見たか、我が力…………なッ!?」

 

それで勝ちを確信したカイデンだったが、1()0()()()()()()()()()()()()()()()()のを見て、一気に動揺する。

 

「奴は何処に…‼「ドドドドド…」ッ!?」

 

そこにグラファイトの声が聞こえ、そちらを見ると既に必殺技の発動体勢を整えているグラファイトがいた。

 

「紅蓮爆龍剣ッ‼‼‼‼」

 

そして放たれた炎の龍がカイデンを飲み込む。

 

「ぐおおおおおおおおお…‼「これでFinishッ‼‼」ッ‼」

 

炎の中でもがき苦しむカイデンが最後に見たのは、その炎の中を蹴りの体勢で突っ込んでくるレーザーだった。それを喰らったカイデンは耐えきれず、爆散した。

 

『New Record‼』

 

「Yeah‼私とグラファイトの愛の必殺技の勝ちね♥」

 

「いや、愛は関係ないからな?」

 

 

 

 

ラヴリカ&ヨハネVSチャーリーside

 

「ノオオオォォォォォォ~ッ‼‼‼‼」

 

「全く…自転車は女の子を後ろに乗せて走る物だと知らないのかい?」

 

「いや、それが常識って訳じゃないし。」

 

こちらではオレンジ色のチャーリーがラヴリカに対して自転車で何度も攻撃を繰り出しているが、その全ての判定がMissで全く効かない事に苛立っていた。

 

「Youッ‼、イカサマシテルダロォッ‼」

 

「失礼な、僕のゲーム【ときめきクライシス】は自分を魅力的にアピールし、異性からの好感度を上げてハートを射止めるゲーム……僕のゲームでは君のような暴力行為は好感度マイナスだよ?」

 

「ようは、アンタのやり方じゃコイツは倒せないって事。」

 

ヨハネはラヴリカの言葉を要約しつつも、自分の周りに六つの魔法陣を描き、魔力砲を放つ。

 

「チャーリー、マイフレンド~♪」

 

しかしチャーリーは意味不明な事を口ずさみながら、自転車で空を走り始め魔力砲を回避した。

 

「おお~……空のデートとは、なんて魅力的なんだ…‼」

 

「有名映画に謝れッ‼‼ディバインバスター‼‼」

 

「ワッツ?ノオオオォォォォォォ~……アウチッ!?」

 

だが、ヨハネの追撃であっさりと地面に落とされた。

 

「全くッ‼さっさと決めるわよッ‼」

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

「レディーの頼みとあらば…‼ラヴリーガールズッ‼」

『『『『ピピー♥』』』』

 

ヨハネはレバーを閉じ魔力を溜め、ラヴリカはラヴリーガールズよりエネルギーを貰い力を蓄えていく。

 

「さあ、君にもあげよう‼僕のI love you‼」

 

そしてエネルギーが溜まったラヴリカは、ハートの光線を飛ばしてその中にチャーリーを拘束して、空中に固定させる。

 

「これでFinishよッ‼」

 

『ガッチャーン‼ WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

ガシャコンレイピアを上に掲げ、刀身に魔力を集束していくと巨大な青い刃が作られた。

 

「雷刃滅殺…」

 

それを思いきり振り下ろし……

 

「極光ざぁぁぁぁぁぁぁぁんッ‼‼‼‼」

 

チャーリーを真っ二つにした。

 

『AMAZING!!』

 

「ヤッパリ……チャリサイコオォォォォォォッ‼」

 

そんな叫びを上げながら、チャーリーは爆散した。

 

「さすがは私ね……凄くて強くてカッコイイ…‼」

 

「いやぁ~、スゴかったよヨハネちゃん。良かったら、僕のラヴリーガールズに入らないかい?」

 

「い・や・よ‼」

 

誘いを速攻で断るヨハネにラヴリカは肩をすくめた。

 

「まあ断られるのは解っていたよ。君の王子様には勝てないからね?」

 

「はあ?」

 

「君も好きなんだろ?ヴァ「何口走ろうとしてんのよッ‼‼‼このヘンタイッ‼‼覗き魔ッ‼‼最低ッ‼‼だからサムいなんて言われるのよッ‼‼‼‼」ガハァッ‼‼‼‼」(HIT!! HIT!! HIT!! GREAT!!)

 

ラヴリカが口にしようとした事を察したヨハネは、仮面の中で顔を赤くしながらもラヴリカに罵倒を送り、彼はそれにもがき苦しんでいる。

 

「もうッ‼別に昔、私を助けてくれた時のヴァーリがカッコ良かったなんて思ってないんだからねッ!?」

 

「それ…………自分で答え言って……「黙れド変態。」ゴブハァッ‼‼‼‼」(PERFECT‼)

 

まさか自爆している事に気づかない彼女にラヴリカは教えようとするも、その前に彼女の言葉で真っ白に燃え尽きた。憐れラヴリカ……

 

 

 

三人称side

 

ルシファー眷属達が戦いを始める中、魔王達に天使長と堕天使総督は協同で強固な結界を張り、戦えない者達の守りに入っていた。

 

「たく……面倒な連中が来てくれたもんだぜ…」

 

「アザゼル、彼等が君の言っていた組織かい?」

 

「おう、禍の団(カオス・ブリゲード)っていうテロ組織さ。まさかクロノスまで参加してるとは思わなかったけどな。」

 

「君達もすまない……こちらが安全だと言っておきながら、巻き込んでしまったね。」

 

「いえ…」

 

サーゼクスは果南達に謝罪して、結界に込める魔力を強める。その目には絶対に彼女達を守るという決意があった。

 

(ワシはクロノスの相手をしてくるから、この子達をお願いね。)

 

「お任せくださいリゼヴィム様、彼女達には絶対に手出しはさせませんから。」

 

自身が尊敬する者からの頼みに応える……それが彼のやる気を燃え上がらせていた。

 

「全く、敵同士で仲良く結界とは…………偽りの魔王の威厳も地に落ちたわね。」

 

そこに女性の声と共に、彼等の前に一つの魔法陣が浮かび上がり、そこから褐色の肌の女性が出てきた。

 

「なるほど、今回の首謀者は君か……【カテレア・レヴィアタン】」

 

出てきた女性の名はカテレア・レヴィアタン。冥界の魔王レヴィアタンの血を引く者である。しかしセラフォルーもレヴィアタンと名乗っているが彼女達に血の繋がりは存在しない。現在の冥界で魔王の名はいわば【役職名】であり、カテレアは実際の魔王の血筋という違いがある。

 

「という事は君達【旧魔王派】はテロ組織に入ったのか。」

 

「ええ、貴方達が腐らせてしまった冥界を私達が改めて支配し、全種族の頂点に立つのよ。」

 

「そんな事しても何の意味もない。むしろ悪魔陣営の滅亡を早めるだけだ。」

 

「黙りなさいッ‼‼‼それは貴方達が支配している現政権での話……私達が魔王に返り咲けば、それは実現可能になるのよ‼‼‼」

 

「…………既に問答は意味をなさないか…」

 

「なら、お前はここで結界を張ってろ。奴は俺が殺ってやる。」

 

カテレアを倒すために外に出ようとしたサーゼクスだったが、それはアザゼルに止められた。

 

「しかし…」

 

「仲間同士で死ぬより、敵の手で死ねた方が奴も満足だろうよ。それにお前が抜けたら結界の防御力がガタ落ちしちまうから出せねぇよ。セラフォルーも良いよな?」

 

今、三勢力協同で張っているこの結界だが、その強固な防御力の源はサーゼクスにある。彼が強力な攻撃が当たる面に滅びの魔力のシールドを更に展開することで、その攻撃を相殺していた。それにより結界の維持に必要な魔力や光力の消耗を抑えていた。

 

「すまない……頼む…」

 

「アザゼルちゃん、お願い…」

 

「ああ。」

 

「待ってくださいアザゼル、私の光力を少し分けます。それで少しは回復するはずです。」

 

「おう、助かるぜ。」

 

ミカエルから光力を分けて貰い、回復したアザゼルは結界の外に出て、カテレアと対峙した。

 

「話を聞いてりゃ夢ばっかり語りやがって……もう少し現実を見ろよ。」

 

「夢ではないッ‼これから先の未来だッ‼‼」

 

「たく……俺みたいな研究好きは、実現可能な未来しかみねぇからテメェの気持ちは解らねぇな。」

 

「フン……どうせそんな未来などちっぽけなものなのでしょう。」

 

「そうだな……お前を倒す未来なんて小さすぎて自慢にもなりゃしねぇよ。」

 

「なんだと…‼」

 

アザゼルの挑発に怒りを露にするカテレア。そもそも簡単な挑発に乗る様な存在に上に立たれても、待つのは恐怖政治だけだろう……

 

「良いこと教えてやるぜ、カテレア……力で誰かを支配しようとしてる奴は、それより強い力で滅びるってな‼」

 

 

 

 

リアスside

 

私は旧校舎の中に置いておいた【戦車】の駒を使ったキャスリングの力で、部室まで気づかれずに転移した。

 

「待っててギャスパー、小猫……今、助けに行くから。」

 

そこから私は地の利を活かして敵の隙を付きながら倒して進み、ギャスパー達がいる 部屋にまで着いた。その扉には結界が張られていたが、掌に魔力を張りめくらせてからソレに触れて破壊し、部屋に飛び込んだ。

 

「ギャスパーッ‼‼小猫ッ‼‼」

 

「あら、貴方達の主のご登場ね。」

 

中に入れば小猫は十字架に磔にされ、ギャスパーは魔法使いと思われる女の傍にいた。

 

「よくも私の眷属達を可愛がってくれたわね……その行為、万死に値するわよ…‼」

 

「よく言うわね、今までこの子の力の解決法を見つけて来なかった無能な王の癖に…」

 

その言葉に私は口を閉ざす。彼女の言っている事に何の間違いもない、紛れもない事実なのだから……

 

「確かに私は無能よ……自分のプライドが起こした失態で色々な所に迷惑を掛けてしまったのだから…」

 

「部長…」

 

「ならさっさと消えなさいな。この子は私が有効活用してあ「だから決めたのよ…」あ?」

 

「私は今度こそ、眷属達に相応しい王になると……そして、眷属達を幸せにしてみせるって‼‼‼」

 

「…………うるさいわね、少し黙りなさい。」

 

魔法使いは魔力を私へと飛ばして来るが、それは()()()()()()()()()

 

「なッ!?」

 

「私も密かに特訓してたのよ……そして身に付けてきた魔力操作で不可視の滅びのバリアを張れる様になったの。その程度じゃ、突破なんて無理よ?」

 

「嘗めるなよ小娘が…‼」

 

「そっちこそ…この私を嘗めるなッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

ブレイブ&エグゼイド&スナイプVSモータスside

 

「ウオオオオオオオオオオッ‼‼‼‼俺のバイクがああああああああああああああああああああッ‼‼‼‼」

 

「うるさい。」

 

「ギャバッ!?」

 

バイクに乗れなくなって泣きわめく銀色のモータスだったが、 そんなのお構い無しに波動を当てて吹き飛ばすブレイブ。

 

「このぉ~‼‼例えバイクが無くたってなッ‼俺には走り屋の意地ってのがあるんだよッ‼‼‼‼」

 

そう言ってバイクのハンドルを持ってエグゼイドへと向かうが……

 

「はいドーン。」

 

「ブギャブラッ!?」

 

逆に顔面に拳を貰い、起立したかのような真っ直ぐな姿勢で飛んでいった。

 

「ついでにコレもあげる。」

 

更にスナイプが肩の砲台から弾を撃ち、それが見事に顔に当たった。

 

「ベゴォッ!?……お前ら顔ばかり攻撃するとか悪魔かッ!?」

 

「「そうだけど?」」

 

「コントやってないで、終わらせるぞ。」

 

「「了解‼」」

 

『『『ガッチョーン、キメワザ‼』』』

 

三人は揃ってベルトのレバーを閉じ、ブレイブは剣にスナイプは砲身にエグゼイドは右足に力を溜めていく。

 

「ちくしょおおおおおおおおおおおおッ‼‼‼やられてたまるかああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼‼」

 

ヤケクソになったのかモータスは今度はタイヤを持ち、ヴァーリ達へと突っ走って行く。それが死への道とは気づかずに……

 

「お前を切除する。」『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

最初にレバーを開いたブレイブが、剣から紫色の斬撃を2発飛ばし、1発目がモータスの持つタイヤを縦真っ二つに斬り裂き、2発目がモータスに直撃した。

 

「グボォウッ!?」

 

「続けて‼」『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

そこにスナイプが立て直す隙を与えずに砲撃を開始、全弾がモータスに命中して地面を転がっていく。

 

「ブフォオッ!?」

 

「これでトドメッ‼」『ガッチャーン‼ MAXIMUM!! CRITICAL BREAK!!』

 

そして最後にエグゼイドが、飛び蹴りをモータスの顔面に叩き込んだ。

 

「だから顔はヤメテエエエェェェェェェェッ‼‼‼‼」

 

そんな断末魔と共にモータスは爆散した。

 

「「「…………どう考えてもオーバーキル(だな/だね)」」」

 

そう呟くもこの三人は反省も後悔もしていない。まあ敵に情け容赦などいらないが……

 

「鞠莉達もバグスターを倒した様だし、俺達もクロノス攻略に参加するぞ‼」

 

「「うん‼」」

 

三人はクロノス攻略を決めるとそちらへと駆けていった。

 

 

 

 

 

ゲンム&ジュエルVSクロノスside

 

「テヤァッ‼」

 

「ふん…」

 

ブレードモードにしたガシャコンブレイカーを振るうゲンムだが、クロノスは後ろに手を組んだ状態でそれを易々とかわしていく……

 

「ちょこまかと…‼」

 

「君の動きが遅いのだよ。」

 

「でしたらッ‼」

 

そこに後ろからジュエルがガシャコンギガナイザーを振るうも、クロノスは右手で簡単に受け止め、抱え込むようにして抑え込んだ。

 

「確かに力は上がったようだが……まだ私には届きはしないぞ?」

 

「まだですわッ‼‼」

 

ジュエルは黒いオーラを右手へと集中させ、鋭利な爪へと変貌させるとそれでクロノスを斬り裂く。

 

「…………無意味な事だな…」

 

(パキィン‼)「なッ!?」

 

だがそれは、クロノスの腕に当たった途端アッサリと砕かれた。

 

「君達が何をしようと、私を攻略することなど不可能だ。」

 

「偉そうに…‼」

 

ジュエルの反対からゲンムが殴り掛かり、クロノスの顔を捕らえた。

 

「どうかし…「言った筈だ、無意味な事だと……フンッ‼」カハッ!?」

 

しかしクロノスにダメージは通らず、逆に腹に蹴りを喰らい倒れるが、黒いオーラを纏って揺らめく様に立ち上がった。

 

「フゥ…ゾンビというのは面倒だな…」『キメワザ…‼CRITICAL CREWS-AED!!』

 

Bボタンを2連打したクロノスはジュエルを振り払い、立ち上がったばかりのゲンムにライダーキックを喰らわせた。

 

「ハアッ‼」

 

「キャアアアアアアアッ‼‼‼‼」『ガシューン』

 

防御が間に合わなかったゲンムは吹き飛ばされ、変身が解除された。

 

「大丈夫ですかッ!?」

 

ジュエルは直ぐに彼女を庇えるまで移動し、クロノスを正面にして相対した。

 

「ええ……何とかゲームオーバーは免れたわ…」

 

「後は私が…‼」

 

ジュエルは近くのカプセルを2つ掴むと、片方を起動させる。

 

「ザムシャー‼」

 

『ガシューン』

 

それをガシャットに読み込ませ、ボタンを押す。

 

『ザムシャー‼』

 

すると水色の粒子が集まり、侍を模した存在が現れると1本の刀【星斬丸】を抜いてクロノスへと向かっていき、ジュエルは次のカプセルを起動させる。

 

「ジャグラス・ジャグラー‼」

 

『ジャグラス・ジャグラー‼』

 

それをガシャットに読み込ませると、紫の粒子が集まり黒にくすんだオレンジの甲冑を思わせるような姿に胸に三日月型の傷らしきものがある存在が現れ、こちらも1本の刀【蛇心剣】を持ってクロノスへと向かっていった。

 

「小賢しい真似を…‼」

 

「これで多少の時間は稼げますわ。」

 

「美歌ッ‼ダイヤさんッ‼」

 

そこにバグスター達を倒したライダー達が合流した。

 

「えっと……貴方は千歌さん……でよろしいんでしたっけ?」

 

「あ、はい。て美歌ッ‼‼‼コンティニューって何なのッ!?何でそんな力があったの黙ってたのさッ!?私の涙を返してよ~‼‼」

 

ダイヤに返答した千歌は美歌の肩を掴んで揺さぶるが、今の彼女はマキシマムゲーマを纏っているのでその力は凄まじく、美歌の残像が見えていた。

 

「ちょ待ってッ!?マキシマムで揺さぶらないでッ!?ホントダメッ‼コンティニューするからああああぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「あ、ゴメン…」

 

「ハァ……ハァ……ハァ……本当にライフ1つ消えかけたわ…」

 

完全にグロッキー状態になった美歌に全員が苦笑いしか出来なかった。

 

「こうなったのも全部ヴァーリのせいよ…‼後で高いケーキ奢ってもらうわよ…‼」

 

「まあ、それくらいなら構わないさ。研究を手伝ってくれた礼もあるしな。」

 

「……………………フン、カッコつけちゃって…」

 

そんな和やかな会話が終わると、全員が気を一気に引き締める。

 

「さて諸君、ここからが正念場だ。何としてもクロノスを攻略するぞ‼」

 

「「「「「「オオーッ‼‼‼」」」」」」

 

ヴァーリの言葉に全員がクロノスへと向かっていく……

 

「美歌、少し待ってくれ。」

 

「っと……何かしら?」

 

「お前に頼みたい事があるんだ。」

 

そう言って内容を美歌に話すと、彼女は少し不満そうな顔になる。それくらい、彼女に話した事が目茶苦茶なのだ。

 

「それならケーキじゃなくて、高級ディナーでも奢ってもらわないと…」

 

「どんな条件だって飲んでやる。頼む…‼」

 

「冗談よ、やってやろうじゃない。」

 

「ありがとう…‼」

 

ヴァーリの礼に少し頬を緩めた彼女はアビスマキシマムマイティXを手にする。

 

「グレードMAXー0…変身ッ‼」

 

『アビスマキシマムマイティエーックス‼アビスガシャット‼ガッチャーン‼レベルマァァァックス‼(ガコン‼)カオスティーックパワー‼エーックス‼』

 

「これより、クロノス切除手術を開始する‼」

 

「コンティニューしてでも、クリアするわ‼」

 

アビスゲーマーとなった美歌と共に決め台詞を言うと、二人も戦列に加わるために駆け出した。




いかがでしたか?

次回はクロノス相手に超大暴れ回になります。

次回【DRAGON KNIGHT達よ、立ち上がれ‼】

「カイザー……大変身ッ‼‼」

てば、次回でお会いしましょう。


それと現在、オラオラドララ様の作品【ハイスクールG×O×D】とコラボをやってますので、そちらも見ていってください‼


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DRAGON KNIGHT達よ、立ち上がれ‼

どうも、疾風の警備員です。

新年から1日経ってしまいましたが、皆様明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今回で、やっとあの二人が復活しますよ‼

では、どうぞ。


「ヤアッ‼」

 

スナイプの砲撃が飛び、クロノスに命中するも反射の力であらぬ方向へと弾が飛んでいく。

 

「無意味なこ「そりゃあッ‼」…フゥ…」

 

効かない攻撃にクロノスは呆れていたが、そこにエグゼイドが拳を振るってきたので、ため息混じりに受け止めた。

 

「んぎぎぎぎぎぎぎ…‼」

 

「いい加減、学習したまえ。」

 

「キャアッ!?」

 

そのままエグゼイドを殴り飛ばしてから背後を向くと、ジュエルとレーザーがスパローとギガナイザーを振るってくるのを下がってかわす。

 

「この…‼」

 

「鞠莉さんッ‼援護をッ‼‼」

 

「OKッ‼」『ズ・ドーン‼』

 

ジュエルの指示にレーザーはスパローを弓モードに変えて、矢を連射する。それはクロノスではなく彼の回りの地面に当たり、火花や砂埃が視界を奪っていく。

 

「その程度の策で…」

 

「やあああああああああああッ‼‼‼‼」

 

その中を上からギガナイザーを振りかぶったジュエルが飛び出してきた。

 

「これでも喰らいなさいッ‼‼」

 

その一撃はクロノスの頭を見事に捉えた。しかしクロノスは微動だにしないで、ジュエルの方を向く。

 

「何をしても無駄だと、まだ理解出来ないのかね?」

 

「ですがこの世に……無駄な事などありませんわッ‼‼」

 

「Exactly‼‼」

 

そこにレーザーがジュエルを飛び越えて現れ、クロノスの頭にあるギガナイザーに全力の踵落としを決める……

 

「読めていたとも。」『ガッチャーン…‼』

 

「ッ!?キャアッ!?」

 

前にクロノスはバグヴァイザーⅡをチェーンソーモードにして、ジュエルを切り裂いた。それで彼女が離れたら、迫るレーザーの足を掴み取りジュエルが下がった方へと投げ飛ばした。

 

「ヒャアアアアッ!?」

 

「ちょ鞠莉さ…‼ブギュルッ!?」

 

ジュエルがレーザーに押し潰され、もがいている間にスナイプとヨハネがベルトのレバーを閉じる。

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

「だったら…‼」

 

「全力全開の1発よ‼」

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

『ガッチャーン‼ WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

そしてレバーを開き、先にスナイプが一斉砲撃をする。それはクロノスに直撃するも、やはり反射され効果はない。しかし、そこにヨハネが砲撃の後から現れてガシャコンレイピアを腹部に突き立てた。

 

「む?」

 

「疾れ明星ッ‼全てを灼き消す焔と変われ…‼」

 

その先端に焔を纏った魔力を充填していく。

 

「……私がそれを黙って見ているだけとでも?」

 

「あら、乙女の準備を待って上げるのも男の甲斐性の1つじゃない…‼」

 

それを妨害しようとしたクロノスだが、背後に来たゲンムによって抑え込まれてしまった。

 

「なに…!?」

 

「ちょっとッ!?そのままじゃ…‼」

 

「撃ちなさいヨハネッ‼‼‼私ならコンティニュー出来るからッ‼‼」

 

「なら、お付きあいしますわよッ‼‼」

 

そこにジュエルも加わり、反対からクロノスを抑え込む。

 

「~~~~~~~~~…‼‼‼どうなっても知らないからねッ‼‼‼‼」

 

先端に溜まる魔力球はどんどん大きくなり3人を包み込む。

 

「貴様ら…‼自分がどうなるか解ってるのかッ!?」

 

「ええ……充分理解してるわよ…‼」

 

「理解した上での行動ですわよ…‼」

 

「真・ルシフェリオォォォォォォォン…‼‼‼‼」

 

「く…!?やめろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼‼」

 

「ブレイカアアアァァァァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

そして放たれた極大の魔力砲が3人を飲み込んだ。

 

「ぬあああァァァァァァッ‼‼」

 

「「きゃあああああああああああああッ‼‼」」

 

『『GAME OVER』』

 

直撃を受けたジュエルとゲンムはゲームオーバーとなり、肝心のクロノスは……

 

「フッフッフッ…どうだったかな、私の演技は?」

 

「そんな…‼」

 

不敵に笑いながら、しっかりとした足取りでその場に立っていた。そして右手を伸ばし、ヨハネの首を掴む。

 

「が…‼あ…グ…‼」

 

「まずは君から絶版にするとしよう。」

 

『ガッチャーン…‼』

 

そのまま片手で持ち上げ、左手にチェーンソーモードにしたバグヴァイザーⅡを持って先端をヨハネの顔に持ってくる。

 

「この…‼や、やめ…‼」

 

「さあ…力の差を感じなから、死の恐怖に怯えるといい…‼」

 

(助けてよ…ヴァーリ…‼)

 

「させるかッ‼‼」

 

ヨハネが恐怖に震えていたら、ブレイブがガシャコンソードで首を掴んでいる手を斬りつけ、力が緩んだ瞬間に彼女の抱き抱えて距離を取った。

 

「ヴァーリぃ~…‼」

 

「スマン、遅くなったな。」

 

彼女を離し、改めて剣を構えるとブレイブはクロノスへと向かっていき、剣とチェーンソーをぶつけ合う。

 

「今度は君が相手か…タドルファンタジー。」

 

「俺のガシャットを奪っただけでなく、許可なく新しいガシャットまで作るとは……万死に値するゾォッ‼‼」

 

何度もぶつかり合い、時にブレイブはマントを槍にして突いていくがそれをチェーンソーで弾き、上空に出した大量の光剣は反射の力でダメージにはならない。

 

「その程度かね?君の実力は…」

 

「まだまだァッ‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

ブレイブはレバーを閉じて、刀身にエネルギーを溜めていく。

 

「だが、さすがの私も飽きた…」

 

『ガッチャーン…‼ PAUSE』

 

しかしクロノスはバグヴァイザーⅡをベルトに戻し、AボタンとBボタンを同時押ししてポーズを発動し、全ての者の動きを止める。

 

「さて、やはり最初は君にするべきだったな…」

 

『ガシューン、ダブルガシャット‼キメワザ‼』

 

そしてブレイブに近づきながら腰のガシャットを1度抜き、再度装填して必殺技を発動させ二人に分裂する。

 

「タドルファンタジー……君は絶版だ。」

 

『KAISER DOUBLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ブレイブの前に立ち片方が時計回り、もう片方が反時計回りに回りながらブレイブにライダーキックを叩き込んだ。

 

『会心の1発‼』『RE:START』

 

「グアァァァァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

『ガシューン』

 

そして時が再び動き、攻撃を受けたブレイブは魔王達が張った結界の前まで吹き飛ばされ、変身が解除された。

 

「「ヴァーリ(君)ッ!?」」

 

それを見たヨハネとスナイプがヴァーリに駆け寄る。

 

「ヴァーリ君ッ‼しっかりしてッ‼‼」

 

「ちょっとッ‼ヴァーリッ‼‼」

 

「ガハッ!?……い…生きてるさ…‼」

 

二人の呼び掛けに反応したヴァーリに、ホッと息を吐くが怪我はかなりのものでこれ以上の戦闘は不可能に近かった。

 

「善子ちゃん、ヴァーリ君と一緒に結界に入って治療をお願い。」

 

「ちょっと、リリーッ!?アンタはどうするのよッ!?」

 

「私はクロノスを倒す…‼」

 

そう言ってスナイプはクロノスへと駆けていった。

 

「ちょっとッ!?……もう、こっちは任せなさいッ‼‼」

 

ヨハネはヴァーリを背負って、魔王達が開けた穴から結界に入った。そして地面に寝かせるが、いつの間にか気を失っていた。

 

「全く……死なせないんだからねッ‼‼」

 

そして回復魔法で治療を施す。そこに一誠やパラド、曜達も寄ってきた。

 

「ねぇ、ルシファー君は大丈夫なの?」

 

「大丈夫にするに決まってるでしょッ‼‼」

 

曜の言葉にヨハネは少し怒気を含めて返した。

 

「ご、ゴメン…」

 

「善子ちゃん……何か本気ズラ…」

 

そんな中、一誠はヴァーリが持っていたガシャットギアデュアルβを手に取り、結界の外に出ていこうとする。

 

「ちょっと待って一誠ッ‼何処に行くつもりッ!?」

 

「アイツをブッ飛ばす。」

 

「無茶よッ!?さっきだって勝てなかったのに、今のクロノスに対抗出来るのッ!?」

 

「だけど、ここで何もしなかったら結局アイツに倒されるのがオチだ。」

 

「だからって一人じゃ…‼「俺が付いていく……それならいいか?」貴方…」

 

戦いに赴こうとする一誠を果南は止めようとするが、そこにパラドが一誠の隣に並び立った。

 

「でも、貴方もガシャットが…‼」

 

「一誠……覚悟は決まったか?」

 

パラドは果南の言葉を遮りつつ、拳を一誠へと向けた。

 

「………………………………ああ、とっくに決まってるさ。」

 

そう言って一誠は自分の拳をパラドの拳とぶつけ合わせる。

 

「やっぱりお前といると、心が踊るなぁ…‼」

 

それにパラドは笑みを浮かべながら青と赤の粒子となり、一誠の中へと入る。

 

「ぐ…‼が…‼あああァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

その瞬間、一誠は苦しみ出すがそれはすぐに終わり、顔をあげた一誠の目は左が赤で右が青の2色に輝いていた。

 

「一体……何が起きてるの…!?」

 

『なぁに、これで一誠が()()()()()しただけさ。』

 

「完全に…?」

 

「んじゃ、行ってくる。」

 

そう言うと結界を殴り、アッサリと穴を開けた。

 

「嘘……番長先輩のどこからあんな力が…」

 

「く……善子、俺のガシャットは…‼」

 

その光景にヨハネは驚くが、ヴァーリが目を覚ました事で一気に意識がそっちに向いた。

 

「ヴァーリッ!?良かった~…‼ガシャットだったら番長先輩が…」

 

「なッ!?早く取り戻せッ‼‼」

 

「え?え?」

 

しかし、その言葉に困惑してしまう。何が彼を焦らせてるのか解らないからだ。

 

「ち、ちょっと…どうしたのよッ!?」

 

「俺達のガシャットギアデュアルシリーズは盗まれても大丈夫なように、使用者以外が使えば大量のバグスターウィルスに感染して消滅するセキュリティがあるんだッ‼‼抗体を持っていない一誠が使ったらゲーマドライバーの抗体だけじゃ耐えられずに消滅するぞッ!?」

 

「「「ええッ!?」」」

 

その内容に全員が驚愕し、一誠を止めようとするが目に見えたのは既にガシャットを起動している一誠の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

「このッ‼‼」

 

スナイプは砲門を全てクロノスへと合わせ、怒濤の攻撃を行う。

 

「全く…無意味な事だな…」

 

「そんな事ないッ‼‼」

 

そこにエグゼイドがキースラッシャーを振り下ろすも、クロノスは右手の人差し指と中指で挟むようにして受け止めた。

 

「だから何度も言っているだろう。君達では私には勝てないと…‼」

 

「ガハッ!?」

 

そして腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

「まだまだよッ‼」

 

そこにレーザーがスパローを鎌モードにして近づいてくる。

 

「ふぅ……もう終わらせるとするか…」

 

クロノスは背中の光翼を広げて空へと舞い上がり、レーザーの攻撃を回避した。そしてバグヴァイザーⅡをビームガンモードにしてBボタンを押す。

 

『キメワザ…‼』

 

「マズイッ!?」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

それに気づいたスナイプは必殺技を撃とうとするが、それよりも先にクロノスがAボタンを叩いた。

 

『CRITICAL JUDGMENT!!』

 

「フゥンッ‼」

 

「「「キャアアアアアアアアッ!?」」」

 

そして放たれた攻撃が3人に命中し、変身が解除された。

 

「そんな…‼」

 

「強すぎだよ…‼」

 

「これはVeryヤバいわね…‼」

 

「さて、そろそろ君達も絶版に…「待てよ、クロノス…」ん…?」

 

3人が危険を感じていたら、そこにガシャットギアデュアルβを持った一誠が現れた。

 

「これはこれはセイヴァー・サバイバル…何しに来たのかね?」

 

「テメェをぶっ潰す‼」

 

そしてガシャットを起動させる。

 

『TADDLE FANTASY!!』《Let.s going King of Fantasy!!》

 

「変身…‼」

 

『デュアルガシャット‼』

 

「ッ!?ダメッ‼貴方がそれを使ったらセキュリティが…‼」

 

梨子は一誠の行動にすぐ反応してやめさせようとしたが、彼はそれに構わずレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼デュアルアップ‼タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

そしてブレイブへと変身を完了すると、特に様子が変わる事なくクロノスへと殴りかかった。

 

「オラァッ‼」

 

「フン…」

 

それをクロノスはアッサリと抑え込む。

 

「どうやらバカにつける薬は無いようだ…」

 

「バカなのはテメェだろうが…‼」

 

「なに…?」

 

抑え込みを解いた一誠はクロノスの背後に回って、羽交い締めにする。

 

「テメェは既にルシファーの策にはまったんだからなッ‼」

 

「どういうい「出てきやがれ、二人ともッ‼‼」…ッ!?」

 

一誠の言葉にクロノスの足下に2つの土管が出てくる。

 

「フゥッ‼」「トゥッ‼」

 

『ガシューン』

 

「ッ!?しま…‼」

 

そこから美歌とダイヤが飛び出し、ダイヤは外れたが美歌がクロノスの腰からガシャットを奪い取った。

 

「ああッ!?はずしましたわ…‼」

 

「よしッ‼クロノスのガシャット…とったどおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼‼」

 

そのお陰でクロノスは元の姿へと戻った。

 

「貴様ら…‼」

 

「どうかしら、ワタシ達の【時間差コンティニュー】は?」

 

「不意打ちには最適ですわね…」

 

「不思議に思わなかったのか?アイツ等はコンティニュー出来るのに、すぐに戦場に戻って来なかったことによ?」

 

「まさか…この為に…‼」

 

「そういう事♪アンタからガシャットを奪う作戦だったのよ。ヴァーリの考えた、ね?」

 

そう言ってクロノスにガシャットを見せつける美歌だったが、突然ガシャットが宙を浮くとそのまま一誠の手に収まった。

 

「ちょっと、なにするのよ?」

 

『ガッチョーン、ガシューン』「ほら、こいつをルシファーに返しといてくれ。」

 

変身を解いた一誠はデュアルβを美歌に投げ渡した。

 

「っとと…アンタはそれを使う気?」

 

「そうだ。」

 

「ふぅん……ま、無理はしないようにね。」

 

「兵藤さん、私も残り…「アンタは妹に会っとけ、それぐらいの時間なら稼いでやる。」……感謝しますわ。」

 

離れていく二人を尻目に、一誠はクロノスを睨む……だが、

 

「ハハハハハハハハハハハハハッ‼‼‼君の事は知っている‼‼君は適合手術を受けてはいない‼そのドライバーから流し込まれる抗体のお陰で変身出来ているだけに過ぎない‼‼だが、そのガシャットから送り込まれるバグスターウィルスの量では耐える事など出来はしないッ‼‼使った瞬間、消滅するだけだッ‼‼」

 

笑いながらそう叫んでいく。だが一誠はそれを鼻で笑う。

 

「ハッ‼‼‼……だったら見ておけよ…………お前の想像を超えた出来事をなッ‼‼‼‼」

 

『カイザードラグーン・ダブルナーイツ‼』

 

「変身ッ‼」

 

『ダブルガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼』

 

そしてガシャットの起動ボタンを押してベルトに挿し、レバーを開いた。

 

『カイザードラグーン‼二人の戦士‼カイザードラグーン‼二人はライバール‼ナーイツ‼』

 

周囲に現れたキャラアイコンから、右手を横に伸ばして?マークのアイコンに触れるとそこに新たなキャラの顔が描かれ、右が白で左が赤のマイティブラザーズのレベルテンと似た姿になった。

 

「バカな…!?なぜ君がそれを…‼」

 

クロノスは目の前の出来事に驚きを隠せていない。しかし、ここから更に驚く事が起きる。

 

『ガッチョーン』

 

一誠はレバーを閉じて、左手を前に出してゆっくりと拳を作っていく。

 

「カイザー……大変身ッ‼」

 

そう言って再度レバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼ダブルアーップ‼』

 

すると胴体パーツが吹き飛び、顔が左右に割れると右側は白を中心としたカラーに背中には光翼が生え、手足に龍を模した籠手と脚甲を装備し胸元は左を向いた白い龍が描かれ、開いた口の中にライダーゲージが見える。左側は赤が中心となったカラーで手足には隣より少し大きな籠手と脚甲があり、背中にはブースターらしき物が見え、胸元は右を向いた赤い龍が描かれ、その開いた口の中にライダーゲージがある姿へと変わった。

 

『赤と白の‼二人の戦士‼(we're!!)何度も何度もぶつかり‼(Hey!!) ダブルナーイツ‼』

 

「へぇ……悪くねぇな。」

 

「ああ、思った以上に馴染むぜ。」

 

そして赤い方からは一誠の、白い方からはパラドの声が聞こえる。

 

「よくも私のガシャットを…‼」

 

「テメェが言えた事じゃねぇだろ?」

 

「…………ッ‼」

 

「さぁて……こっから反撃開始だ。」

 

「おう、さっきまでの借りを10倍にして返してやるよ。」

 

そして二人はまた拳をぶつけ合わせる。

 

「「さぁ…こっからは、共闘プレイと洒落こもうぜッ‼」」




いかがでしたか?

次回で一誠の秘密を明かします。

次回【バグスターとのCoexistence】

「お姉ちゃん……ルビィと一緒に歌ってくれる?」

では、次回でお会いしましょう。


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バグスターとのCoexistence

どうも、疾風の警備員です。

今回は一誠&パラドがクロノス相手に大暴れします。

そしてようやく、一誠の秘密が明かされます。うまく説明できてるか微妙ですけど……

では、どうぞ。


「「さぁ…こっからは、共闘プレイと洒落こもうぜッ‼」」

 

『ガシャコンキーブラスター‼』

 

変身が終わると、二人の周囲に1つの武器アイコンが浮かびパラドはそれを選んで掴みとる。

 

「お前の武器か……使いやすそうだな。」

 

「だったらお前が使えよ。俺は………(これ)で充分だッ‼‼」

 

そう言った瞬間、一誠は背中のブースターを吹かせて加速し、クロノスへと一気に迫る。

 

「なぜ君がそのガシャットを…「オラァッ‼」ブフォッ!?」

 

クロノスは驚きで動きを止めてしまい、その間に懐に飛び込んだ一誠が右拳を振りかぶると籠手の後ろのブースターが起動し、更に加速された拳がクロノスの顔面を打ち抜き吹き飛ばした。

 

「バ、バカな…!?なぜこんな攻撃でダメージを…‼」

 

「ボーッとしてんじゃねぇッ‼‼‼‼」

 

地を転がるクロノスに一誠は追いつくと、今度は脚甲のブースターを吹かしクロノスを上に蹴りあげるとそこに拳のラッシュをお見舞いしていく。

 

「オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラ‼オラァッ‼‼‼‼」

 

「ゴブファッ!?」

 

最後にブースター付きのアッパーで空へと思いきり打ち上げる。

 

「パスだッ‼パラドッ‼‼」

 

「ああッ‼‼」

 

そこに白い閃光のような速さで迫るパラドが、キーブラスターを使い宙に浮いているクロノスを縦横無尽に動き回って斬り裂いていく。

 

「ヌアアアアアアアァァァァァァァッ!?」

 

「ハァッ‼‼」

 

ある程度攻撃したらその腹に踵落としを喰らわせ、地面へと叩き落とす。

 

「ぐふぅッ!?この…‼」

 

「おまけもあるぜ?」『ズキュ・キュ・キューン‼』

 

そこにキーブラスターをガンモードにして、上空からクロノスへと攻撃を行う。

 

「この…‼小賢しい事を…「どこ見てやがるッ‼‼」なにッ!?」

 

クロノスが上にいるパラドを睨んでいたら、一誠がそこを狙って腹に拳をぶち込む。

 

「ゴフゥッ!?」

 

『Boost!!』

 

「吹っ飛べ、クソ野郎ッ‼‼‼‼」

 

更に足のブースターを使った回し蹴りでクロノスの側頭部を打ち抜いた。

 

「ガハァッ!?」

 

もろに喰らったクロノスは地を転がり、ようやく止まるとフラつきながら立ち上がる。

 

「なぜだ…‼なぜ私が君の攻撃でダメージを…‼」

 

「そりゃテメェが一番よくわかってんだろ?」

 

籠手や脚甲の装甲を一部開き、排熱を行いながらクロノスへと告げる。

 

「なんだと…?」

 

「俺はテメェが作ったこのガシャットの赤い軍……つまり、赤龍帝の力を全て使えるんだよ。その中には防御を無視出来る力もあったじゃねぇか?」

 

「まさか…透過の力かッ‼」

 

「その通りッ‼ついでに倍加と譲渡もな。」

 

「ちなみに、俺が白龍皇側の能力全てだ。だからもうすぐ…」

 

『Divide!!』

 

その音声の後、クロノスの力が弱まる。

 

「うあッ!?…私の力が…‼」

 

力が半減されパラドに吸収されるが、想定より少ない事に舌打ちをする。

 

「チッ‼完全に半減は出来ないか…シラケるぜ…」

 

「当然だ…‼この私が万が一の事を考えていなかったと思ったか‼」

 

「だったら後は実力行使だ。徹底的にブン殴って正体を暴いてやる…‼」

 

「ナメるなァッ‼」『PAUSE』

 

怒りながらバグヴァイザーⅡのAボタンとBボタンを同時押ししてポーズを発動するクロノス……しかし、今の二人にそれは何の障害にもならない。

 

「これで君達は何も…「ドリャアアアアアアアアアアアッ‼‼‼‼」なにぃッ!?(ドゴォッ‼)ガハァッ!?」

 

ポーズを発動した事で油断していたのか、尚も近づいてくる一誠に反応できず、その拳を喰らい……

 

「ソラアッ‼」

 

「ブファッ!?」

 

後に続いてきたパラドの飛び蹴りを喰らってしまう。

 

「な、なぜだ…!?なぜポーズの中で動けるッ!?」

 

「それは簡単さ。一誠はポーズの力を透過、俺は反射して無力化してるのさ。」

 

「バカな…!?」

 

「自分で作ったガシャットで自分の能力が攻略されるとは……墓穴を掘ったな。」

 

「そういうこったッ‼‼」

 

そして一誠がバグルドライバーⅡに蹴りを当ててボタンを同時押しし、ポーズを解除した。

 

『RE:START』

 

「ぐあッ!?…………貴様らァ…‼‼‼‼」

 

「それと一誠がこのガシャットを使える事も疑問に思ってたな?それもついでに教えてやるよ。」

 

そしてパラドの口から一誠の体の秘密が明かされた。

 

「一誠はこの世界でただ一人……【バグスターウィルスと共存出来る体】の持ち主なんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バグスターと……共存だと…!?」

 

それは結界の中にいるメンバーや外で戦っている者達にも衝撃を与えた。

 

「おい、どういう事だパラドッ!?」

 

「お前の母親がお前を身籠った時、その母親が俺というバグスターウィルスに感染したんだ。本来ならそのまま母親に感染した状態になるんだが、なぜかへその緒を通ってお前に感染した……まだ胎児のお前はそれに耐えられず消滅する筈だったんだが、そこで奇跡が起きた。バグスターウィルスに感染した事でお前の体に変化が起こり、バグスターウィルスを問題なく受け入れられる様になったんだ。それによりお前は幾らバグスターウィルスを取り込もうともゲーム病になる事はない。寧ろバグスターウィルスの方がお前に力を貸してくれる様になったんだよ。」

 

「ウィルスが俺に…?」

 

「ああ、だがバグスターウィルスの力は強大だ。だからお前の中にいるバグスター達は何段階かのリミッターを掛けた。最初のリミッターが外れたのがお前の幼馴染み、渡辺曜を助けた時だ。」

 

「私の時…?」

 

「そうだ、あの時の一誠の怒りに呼応してバグスターウィルスの力が少し目覚めてお前に力を貸したんだ。ただ、あの時はその力がお前には強すぎて、記憶を少し飛ばしたんだが…」

 

それを聞いて一誠は思い出した。曜を助けようとしたあの時、どうやって相手を倒したか覚えていなかった事を。

 

「その最初のリミッター解除によって、お前の身体能力はかなり上昇した。人間相手の喧嘩なら無敗でいられ、下級の堕天使や悪魔と渡り合える程にな。」

 

「あの時にそんな事が…」

 

果南はその内容に驚きが隠せない。

 

「次がこの前の俺との戦いだ。あの時でお前はバグスターウィルスをワクチンに変換する能力に目覚めた。」

 

「自分の体内でウィルスをワクチンに変換するッ!?何その魔法的要素ッ!?」

 

「善子、今は黙ってろ。」

 

「それがこの前、生身のお前が変身した俺を殴り飛ばせた理由で、あの時の青いオーラはそれが視覚化したものだ。」

 

「なら、完全な覚醒ってのはなんだ?」

 

「お前はまだそれの制御が出来てなかった。だが、俺が感染してその制御を補助する事でお前は何時でもそれを、体の限界まで使える様になったのさ。」

 

「そうか……これで俺は曜やカナ姉達を守れるってことか。」

 

その言葉に一誠は仮面の中で笑う。この力で当初の目的だった兄を倒すではなく、自分の大切な人達を守れると知って。

 

「そうだ。今なら上級悪魔だってラクにボコれるぜ?」

 

「んじゃ、先ずはあのクロノス(ムカつくヤロー)から倒すぞ……相棒?」

 

「ああ……行こうぜ、相棒?」

 

二人は1度視線を合わせると、背中のブースターと光翼を使ってクロノスへと向かっていった。

 

そしてそれを見ていたルビィも、1つの決意を胸にバグルドライバーⅡを腰に装着した。

 

「お姉ちゃん……ルビィと一緒に歌ってくれる?」

 

そう言って自分を見てくるルビィの心を察したダイヤは微笑み……

 

「ええ、もちろんですわ。」

 

そう言って彼女の隣に立つ。

 

「だったらマルも参加するズラ♪」

 

「じゃあ私も。」

 

「あ、私もッ‼」

 

「ねぇ美歌ッ‼私達もやろうよッ‼」

 

「しょーがないわね…」

 

「ククク…‼我の魔性の歌声で全てを魅了してあげるわ…‼」

 

「私もTogetherするわッ‼」

 

「私にも手伝わせて。」

 

そこに花丸に果南に曜、千歌と美歌に善子に鞠莉に梨子まで参加していく。

 

「皆…‼」

 

「なら、歌い出しは私と千歌からね?」

 

「えッ‼なんでッ!?」

 

「だって原作だと貴方がリーダーなんだから。」

 

「そうなのッ!?ってか原作って何!?」

 

「はいはい、姉妹コントはいいから始めますわよ。」

 

「「コントゆーなッ‼」」

 

そんなこんなしている間に、ヴァーリは一人結界の外に出る。

 

「なら俺の役目は……これだな。」

 

そしてスカルゴモラとサンダーキラーを倒し終えたセイリュウグラファイトと対峙した。

 

「少々手こずりましたが……これ以上はやらせませんよ?」

 

「ならば来い。皆の邪魔はさせん…‼」

 

『TADDLE FANTASY!!』『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』『ガシャコンソード‼』

 

美歌から返してもらったガシャットでブレイブに変わり、剣を構えたヴァーリはセイリュウグラファイトへと突撃して、剣をぶつけ合わせる。

 

「これ以上、クロノス様の邪魔はさせないッ‼」

 

「それはこちらも同じだッ‼」

 

二人が戦い始めると、ルビィもガシャットを構えて起動させる。

 

『きらめきアイドル‼』

 

「変身ッ‼」

 

『ガシャット‼』『バグルアップ…‼トゥインクルガール‼(Wooooo!!)星のオーディション‼素敵な笑顔‼きらめきアイドル‼(Wooooo!!)』

 

エールに変身したら、近くのエナジーアイテムを取り込む。

 

『ミュージック‼』

 

「皆に届けッ‼」

 

「「「「「「「「「「私達の声援(エール)ッ‼‼」」」」」」」」」」

 

 

-推奨BGM【Let.s Try Together(Aqours ver)】-

 

 

彼女達の歌が始まると、戦っているメンバーにバフが付与されていくがそこで驚きの事が起きる。今までのバフアイコンの横に数字が新たに表示され、現在は【×10】となっている。

 

「バカな…!?恐怖を乗り越えたというのか…‼」

 

「はははッ‼‼パラドッ‼俺は心の高ぶりが止まらねぇよッ‼‼‼‼」

 

「俺もだッ‼心が踊りっぱなしだぜッ‼‼‼‼」

 

テンションが最高潮になった二人は、聞こえてくる歌声に合わせてクロノスへと攻め立てる。

 

「グ…‼この…‼」

 

「遅ぇッ‼‼」

 

クロノスの拳を首を傾けるだけでかわし、逆にブースター付きの拳で殴る。

 

「グフッ!?」

 

「まだまだぁッ‼‼」

 

そこにパラドが空を駆けながら、クロノスを何度も蹴っていく。

 

「ぬあッ!?……あり得ない…‼幾らきらめきアイドルの補助を受けているからといって、この私が君達相手に苦戦するなど…‼」

 

「いい加減、現実見やがれぇッ‼‼‼‼」

 

『鋼鉄化‼』

 

フラつくクロノスに鋼鉄化のアイテムを取り込んだ一誠は、ブースター付きの鉄拳を全力で叩き込む。

 

「ゴボォッ!?」

 

「これが俺達の力だッ‼‼」

 

更にパラドがキーブラスターを全力で投擲し、クロノスに直撃した。

 

「ガハッ!?」

 

「そろそろフィニッシュといくかッ‼」

 

「ああッ‼必殺技で決まりだなッ‼」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

二人はベルトのレバーを閉じると、両足にエネルギーをチャージしていく。

 

「この…‼」

 

『『ガッチャーン‼ KAISER DOUBLE!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

尚も抵抗しようとするクロノスに必殺技を発動した一誠は突っ込み蹴りを当てるが、それは腕をクロスして防がれる。

 

「ナメんなァッ‼」

 

しかし、それをムーンサルトで腕を上に打ち上げる。バンザイの体勢に強制的にされたクロノスに、パラドの飛び蹴りが決まる。

 

「ヌグッ‼」

 

そこからは二人の怒濤の連続蹴りが始まる。体勢を崩されていたクロノスに二人の攻撃を防ぐ手立てはなく、全てが決まっていき最後は一誠のヤクザキックとパラドの回し蹴りが叩き込まれた。

 

「ヌガアアアアァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

『『会心の1発‼』』

 

「「ヨッシャアッ‼‼」」

 

吹き飛び、地を転がっていくクロノスを見て二人は勝利の雄叫びをあげる。

 

「グ…‼まだだ…‼まだ終わりではない‼」

 

「いーや、テメェの負けだ。そろそろその面……拝ませて貰うぜ。」

 

まだ負けを認めないクロノスに、素顔を暴こうと近づいていったら……

 

「それ以上近づくのは止めてもらおうか。」

 

何処からか聞こえるその言葉と共にひとつ目に忍者のような存在が5体、更にその忍者と似た姿の奴に赤い異形がクロノスを庇うようにして出てきた。

 

「何だッ!?テメェらはッ!?」

 

「そいつの雇われ兵……みたいなものさ。俺も含めてな。」

 

そして上から聞こえた声に、一誠達が視線を上げるとそこには懐かしい敵が浮いていた。

 

「久し振りだな、小僧。」

 

「テメェは……コカビエル‼」

 




いかがでしたか?

うまく説明出来てればよかったんですけど。

次回でバトルは終わりにできたら良いなぁ……

次回【クロノスのPURPOSE】

「さあ……最高のゲームを始めようじゃないか…‼」

では、次回でお会いしましょう。


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クロノスのPURPOSE

どうも、疾風の警備員です。

最近職場を異動したので、今後は投稿が遅れます。

それでも、なるべく投稿を早められる様に頑張りますので今後も応援の方、よろしくお願いします。

では、本編をどうぞ。


前回から時間を少し巻き戻り……

 

 

リアスside

 

「ハァ……ハァ……‼」

 

「どうやら、ガス欠の様ね?」

 

旧校舎の中でのギャスパーをめぐる戦いは、彼をおさえている魔導師以外はリアスによって倒されたが、その一人を倒す前に彼女の魔力が底をついてしまった。

 

彼女が会得した不可視の滅びの盾はいまだ未完成で、魔力の消費が激しいのだ。しかし今回は多対一という状況の為にやむ無く使用した。

 

そして援護しようと拘束からもがく小猫も、左腕以外を力ずくで壊してそこを外そうとしていた。

 

「結局貴女は眷属一人守れない無能なのよ。」

 

「それでも…………ギャスパーに…手出しは……させないわ…‼」

 

「部長…‼」

 

涙目で自分を見るギャスパーにリアスは微笑む。まだ、諦めるなという思いを込めて。

 

「もういいわ……死になさい。」

 

それをつまらなそうに見ていた魔導師は右手に魔力弾を作り、リアスへと飛ばした。

 

既に体力と魔力が切れている彼女にそれをかわす術はない。

 

(まだよ…まだ終わってたまるものですか…‼)

 

直撃を覚悟したリアスは魔力弾を睨み付ける…

 

「やあああああァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

ボゴォッ‼

 

そこに小猫の声と何かが壊れる音が聞こえ、リアスの前に躍り出た彼女がそれを防いだ……左腕に付けたままの十字架で。

 

「小猫ッ!?」

 

そのあまりに荒唐無稽な行動にリアスは驚く。

 

「部長は……やらせませんッ‼‼」

 

「チッ‼なんて馬鹿力…‼」

 

「それが私の役割ですから…」

 

そしてそのまま魔導師へと殴り掛かるが……

 

「だったら、こうするだけよ。」

 

手元に魔法陣を浮かべ、そこから伸ばした鎖で彼女をがんじがらめに縛り上げた。

 

「う……ぐ…‼」

 

「ウフフ……このまま絞め殺してあげる…‼」

 

「小猫ッ‼‼」

 

すぐに助けたいと思うも、今の彼女に魔力は残されていない。それでも黙って見ている訳にもいかないと起き上がろうとしたその時、彼女の耳に歌が届いた。

 

「これは……歌?どうして…………ッ!?」

 

その歌に耳を傾けていた彼女は、自身に起きている事に気づいた。

 

(魔力が……回復しているッ!?)

 

先程まで空っぽだった魔力が回復…………いや、今まで以上に満ちてくる感覚を覚えた。その歌はまるで自分に戦う力をくれる応援歌(エール)の様に…

 

「えい…」(バキィンッ‼)

 

それは小猫も同様だったのか、身動き1つ出来なかった彼女も自らの力で魔力の鎖を引きちぎった。

 

「なッ!?……一体どうしてッ!?」

 

「吹っ飛べ…‼」

 

そして魔導師の前に移動した小猫は左腕を思いきり振るい、魔導師を殴った…………拳ではなく十字架で。

 

「ブッゴバァッ!?」

 

元々の十字架の強度にルークの力で振られた勢いの威力は凄まじいのか、魔導師は壁を突き破って廊下に出てもう1つ壁を突き抜け隣の部屋で倒れた。それでも持ち前のしぶとさなのか、まだ意識はあった。

 

「ふざけないでよ…‼‼この私が負けるなん「それが遺言でいいかしら?」ひッ!?」

 

起き上がり小猫を睨もうとした魔導師の眼前には、魔力を掌に集め何時でも放てる様にしたリアスが立っていた。その表情は美しさを保ちながらも憤怒のごとき怒りを見せている。

 

「ま、待ってッ!?もうしないッ‼彼も貴女達に返すからッ‼‼お願いッ‼‼‼命だ(バシュン‼)」

 

それに自分の状況を理解した魔導師は何とか生き残ろうと必死に命乞いをしたが、それはリアスが放った滅びの魔力で永遠に中断された。

 

「遺言なら聞いた。それ以上は聞く耳持たないわ…」

 

「ぶちょ~ッ‼‼」

 

「あら…ほらギャスパー、もう泣かないの。」

 

「だって~ッ‼‼」

 

解放されたお陰で緊張が解けたギャスパーは泣きながらリアスに抱きつき、リアスはギャスパーの頭を優しく撫でた。

 

「もう大丈夫…………貴方には私達が付いてるから。」

 

「はいいぃぃぃ~ッ‼‼」

 

「部長……早く外に出ましょう。皆さんの援護をしないと…」

 

「そうね、行くわよギャスパー、小猫‼」

 

「「はいッ‼‼」」

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

「さて…お前さん相手なら試運転には丁度いいかな?」

 

カテレアと対峙していたアザゼルは懐に手を入れると、そこから柄に紫の宝玉が付いた、金色の短剣を取り出した。

 

「それは…?」

 

「こいつは堕天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)……俺が作り上げた【人工神器】さ。」

 

「まさか…‼」

 

「因みにこんなことも出来るぜ…?」

 

そう言って頭上に掲げた人工神器を手放し小さく呟く。己が身を強くする最強の言葉を……

 

「バランス…ブレイク…‼」

 

その瞬間神器は強い光を発しアザゼルの体を包むと、その姿を一変させる。光が収まるとそこには紫の宝玉が付いた黄金の鎧を纏い、堕天使の翼を生やしたアザゼルがいた。

 

「禁手ですって…‼」

 

「ああ……【堕天龍の鎧(ダウンフォールドラゴン・アナザーアーマー)】、これがこいつの名前だ。」

 

そして右手に三又の槍を作り、カテレアへと突きつける。

 

「んじゃ、サクッと倒しますか。」

 

「嘗めるなッ‼‼」

 

カテレアは魔力弾を作り、アザゼルへと飛ばしていくがそこに音楽が聞こえ、アザゼルはそれを聞きつつ魔力弾全てを槍の一振りで打ち払った。

 

「そんなッ!?」

 

「うおッ!?何だこの出力ッ!?俺の設計を遥かに越えてやがるのに、完全に安定してやがるッ!?」

 

その現状にカテレアだけでなくアザゼルまで驚いた。彼の人工神器の禁手は一種の暴走状態で、力が不安定であり時間制限もあるのだが、今はそれ以上の力が完全制御状態になっているのだ。驚かない訳がない。

 

「こりゃ、アイツ等の歌の力か。」

 

「このままでは…………こうなったらッ‼」

 

この状況に危機感を募らせたカテレアは小瓶を取り出し、その中にあるものを飲み干した。すると、彼女のオーラが爆発的に上昇した。

 

「なんだ…?」

 

「これで私の力は全盛期の魔王レベルよッ‼‼これなら(ザシュ‼)へ?」

 

それで勝ち誇っているカテレアの隙をアザゼルが逃す筈がない。一気に近づき槍を一閃、カテレアの右腕を切り落とした。

 

「その程度で勝ち誇ってんじゃねぇよ。」

 

「ガハッ!?」

 

そして槍をカテレアの腹に突き刺す。

 

「これで終わりだ。」

 

「………………まだだッ‼‼‼‼」

 

しかし、まだ生きていたカテレアは左腕をアザゼルへと伸ばした。それに嫌な感じがしたアザゼルは下がるが、一足遅く左腕を掴まれ、そのまま自身へと融合され、更に彼女の体に紋様が浮かぶ。

 

「こうなったら、貴方諸とも自爆してやるわッ‼‼‼」

 

「悪ぃが、そういうデートはお断りだね。」

 

アザゼルはそう言うと槍で自身の左腕を切り落とした。

 

「なッ!?」

 

「これで逝け。」

 

そして投げられた槍がカテレアの頭に突き刺さり、そのまま彼女は消滅した。

 

「言っただろ、力で誰かを支配しようとする奴はそれより強い力で滅びるって………………お前はあの少女達の思いの強さに負けたんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「ハアッ‼」

 

「ヌンッ‼」

 

ヴァーリのガシャコンソードとセイリュウのグラファイトエッジが一瞬で何度もぶつかり、大量の火花を散らしながらも二人は距離を離す事なく、そのまま攻撃を続けていく。

 

「貴様等の目的は何だッ!?」

 

「貴方ごときに説明したところで、理解など出来ませんよッ‼」

 

「ならばッ‼」

 

ヴァーリの上段からの攻撃をセイリュウは剣をクロスして受け止めた。そこで彼は剣から左手を離し、セイリュウの胸に押し当てると全力の波動を零距離で打ち込んだ。

 

「ヌ…!?」

 

思わぬ一撃だったのか、セイリュウは数歩後ずさった。

 

「貴様の口をこじ開けるだけだ。」

 

「フフフ……貴方に出来ますか?たかがレベル50の貴方が、このレベル99の私から…‼」

 

勝ちを確信しているかの様なセイリュウの言葉に、ヴァーリは仮面の下で不適に微笑む。

 

「レベル差がある相手にどうやって勝つか考えるのも……ゲームの醍醐味だぞ?」

 

「負け惜しみを…‼」

 

速攻でヴァーリを倒すと決めたセイリュウは必殺技を放とうと構えたが、そこに歌が聞こえてきた。

 

「何です…?耳障りな…‼」

 

「これで俺とお前の勝負は決まった。」

 

その歌に顔をしかめるセイリュウだったが、その表情はすぐに変わった。距離があったヴァーリがいつの間にか自身の間合いに飛び込んでいて、その剣の突きで自身が吹き飛ばされているのを理解した時に。

 

「な、何がッ!?貴様、まだ力を隠して…‼」

 

「いや、さっきまでも本気だったさ。だがな……俺達にはまだ勝利を呼び込む秘策が有ったのさッ‼‼」

 

「秘策?………………まさかッ!?」

 

「そう、お前の想像通り、これこそが……この歌こそが仮面ライダーエールの隠された機能……【ユニット】だッ‼‼」

 

剣を1度下ろしたヴァーリはセイリュウ相手に楽しげに説明を始める。

 

「エールには歌で仲間を強化出来るが、そこに他の誰かが加わる事でその力を更に倍増出来るのさッ‼‼それも人が増えればそのまた倍と……際限無くなッ‼‼‼‼」

 

今、エールと一緒に歌っているのは9人……エール自身を含めると10人という大きなユニットとなっていて、それが戦っているメンバー全員の力を限界以上に強化させたのだ。

 

「これこそがユニットの魔法というものさ……お前みたいな屑には、一生縁の無いものだろうがなッ‼‼ヴェアー ハッハッハッハッハッハッハッハッ‼‼‼‼」

 

「フン…‼」

 

「ヴェハッ!?」

 

楽しそうに高笑いするヴァーリ……その姿は隙が丸出しでセイリュウは容易く切り捨てた。

 

「ユニット?私にはそもそも必要の無い物ですね。周りと群れないと何も出来ない弱者の集まりじゃないですか。」

 

「く…‼その俺とお前の違いが、勝敗を分けるのさッ‼‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

「良いでしょう……貴方の考えを粉々に砕いてあげましょう…‼」

 

二人は刀身にエネルギーを充填していき、それを同時に解放する。

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

「ゴゴゴゴゴ蒼刀撃龍刃ッ‼‼」

 

二人は同時に剣から斬撃を放ち中央でぶつかりあう。普通に考えればヴァーリの攻撃が押し負けると思うのだが……

 

「私の攻撃が……押し返されているッ!?」

 

その予想とは逆に、セイリュウの攻撃が押し返されていた。

 

「あり得ない…‼なぜ倍近くあるレベルを覆せるッ!?」

 

「それが……想いの力だッ‼‼」

 

最後は攻撃を掻き消して、セイリュウへと直撃した。

 

「ドハァッ!?」

 

セイリュウは想像以上のダメージに膝を着いた。

 

「なるほど……クロノス様がエールを危険視していたのは…………こういう事か…‼」

 

「音楽のゲームは競いあうだけじゃなく、一緒に楽しむのもありだろ?」

 

「…………ここはクロノス様には申し訳ないが、撤退させてもらおう…‼」

 

そう言ってセイリュウはノイズを残して消えた。

 

「よしッ‼急いで皆の所へ…‼」

 

ヴァーリは歌っている彼女達を守る為にその場から転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は戻り……

 

 

「不様だな、クロノス?」

 

「……何しに来た…‼」

 

「雇い主を助けに来ただけさ。お前からはまだ、報酬を貰って無いからな。俺も、アイツ等も…」

 

コカビエルは嫌みを言いつつクロノスへと手を差し出し、それを掴んだクロノスを引き起こす。

 

『アハハハハハハッ‼クロノスってば超ダサ~い♪』

 

『…………口を慎め【ゲノムス】』

 

『アンタは良い子ちゃんぶってんじゃないわよ【風魔】…‼』

 

ゲノムスと呼ばれた赤い異形はクロノスを指差しながら笑い、ゲーマドライバーを付けた忍者【仮面ライダー風魔】はその行動を嗜めるが、ゲノムスは逆に怒りを風魔へと向ける。2体とも声にエコーが掛かっていて、性別すら予測できない。

 

「何、あの怪物に忍者達…」

 

「一人は仮面ライダーだし…」

 

「ドライバーのデータまで盗んでたって事!?」

 

「Oh,そうみたいね。」

 

ルシファー眷属はその相手に驚きが隠せない。

 

『貴女達もお久~♪元気してた~?』

 

「「「「え?」」」」

 

突然のゲノムスからの呼び掛けに千歌達は再度驚く。勿論彼女達にあんな怪物との面識はない。だからこそ、その行動が理解できなかった。

 

『あ、そういえばまだ怪人態だったわね。』

 

そこでゲノムスは自分の姿を思い出して姿を変えるが、その姿を見た瞬間全員が目を見開いた。そこにいたのは手足が怪人態のままだが服はなぜかミニのチャイナ服で、茶髪の髪をポニテにした少女がいた。その顔に彼女達も見覚えがあった。何故なら彼女は……

 

「「「「紫藤イリナッ!?」」」」

 

聖剣事件の時に会った紫藤イリナだったからだ。

 

「アンタ…………人間辞めたのね?」

 

「べっつに~、人間でいる事に執着なんてないし~?手足も治ったしね~♪見た目も変えられるし。」

 

美歌の言葉に彼女は手足も人間の物に変えた。その姿に最も衝撃を受けていたのはゼノヴィアだ。

 

「イリナ……お前…‼」

 

「あら、アンタもいたのねゼノヴィア。」

 

「あの後、お前を探したが千切れた手足と血痕以外見つけることが出来なかったのは……そういう理由だったんだな?」

 

「そっ♪達磨になって転がってたんだけど、クロノスが助けてくれてね?手足を治すオマケに体まで強くして貰っちゃった♪」

 

「お前は…………ッ‼‼」

 

それに怒りを覚えたゼノヴィアは結界から飛び出し、デュランダルをその手に掴む。

 

「いけませんッ‼ゼノヴィアさんッ‼‼」

 

アーシアが制止の声を出すが彼女は剣をイリナへと振るう……

 

「ウオオオオオオオオオォォォォォォォォッ‼‼‼‼」

 

「ハァ……マジウッザ…」

 

それにイリナはため息を吐き、右手の人差し指と中指で挟む様にして受け止めた。

 

「なッ!?」

 

「キャハッ‼‼」

 

「ごぶゥッ!?」

 

それに動きを止めたゼノヴィアにイリナは腹へと蹴りを喰らわせ、彼女は踞る。

 

「何勝手にキレてんのよ、アンタ馬鹿ぁ?」

 

「ぐ…‼」

 

「ウフフ…ついでにコレ、貰ってくから。」

 

そして彼女の手からデュランダルを奪った。

 

「返せ…‼それは私の…」

 

「イ・ヤ・よ♪」

 

楽しそうに言うイリナがデュランダルを振るう。それで放たれた斬撃は魔王達が共同で張っている結界をアッサリと砕いた。

 

「「なッ!?」」

 

その事実にサーゼクスとセラフォルー、ミカエルは驚きを禁じ得ない。自分達の結界を粗雑な一振りの斬撃で砕かれたのだ。それはつまり、今の一撃は自身を簡単に消滅できるだけの力があったことになる。

 

「ッ‼曜ッ‼」

 

『…………行かせはしない。』

 

それを見た一誠は曜達の下へ行こうとしたが、風魔が行く手を阻んだ。

 

「退きやがれッ‼‼」

 

『……………』

 

『ガシューン。』

 

風魔は一誠の怒りに何も反応せずに、ガシャットをベルトから抜き、キメワザスロットホルダーに装填してボタンを2連打する。

 

『ガシャット‼キメワザ‼ HURRICANE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「テメ…‼」

 

必殺技を放とうとする風魔に一誠は突撃しようと思ったが、その必殺技が先に放たれて命中し押し返される。

 

「うおッ!?」

 

「イッセーッ!?」

 

パラドは一誠を助ける為に背後に回って受け止めた。

 

「お前……何の真似だ…?」

 

『……単なる嫌がらせ。』

 

「おい、俺の心を滾らせるなよ…‼」

 

風魔の態度に苛立ちを露にするパラド。だが彼も奴の後ろに曜達がいるため、迂闊に動けなかった。

 

「お前達、そろそろ帰るぞ。」

 

「ええ~ッ!?もう、しょうがないなぁ…」

 

『…………………………了解。』

 

しかしコカビエルの言葉で二人は構えを解き、再びクロノスの下に集まった。

 

「では、今回はこれで失礼しよう。」

 

魔法陣を展開し転移しようとするクロノス達を誰も追おうとしない。全員疲労が目立ち、これ以上の戦闘が困難だからだ。

 

「待てコカビエル、1つ聞かせてくれ……お前達は禍の団に入っているのか?」

 

「…………………………今の所は、と言っておこう。」

 

咄嗟のアザゼルの問いにコカビエルは答え、光とともに消えた。それと同時に校庭にいた魔法使い達も姿を消した。戦闘の指揮者が倒された為、不利を悟ったのだろう。

 

「終わった…………みたいだな…」

 

アザゼルの呟きに全員がその場に座り込む。度重なる戦闘により緊張していた体の力が一気に緩んだ。

 

「も~無理、これ以上は戦えないわ…」

 

「私も~…」

 

千歌と美歌は互いに背中を預けてぐったりとし、善子は鞠莉の膝の上に倒れて膝枕してもらい鞠莉はその頭を優しく撫でる。

 

「お疲れ様、ヴァーリ君。」

 

「いや、それほどでも無いさ…梨子もお疲れ。」

 

ヴァーリと梨子は互いの苦労を労い合う。

 

「イッセー君ッ‼」

 

「うおッ!?曜、いきなり抱きつくなッ‼」

 

「イッセー、顔が真っ赤だぞ?」

 

「黙れ、パラドッ‼‼」

 

「あ~あ、曜ちゃんに先越されちゃったか…」

 

「………………残念ズラ…」

 

一誠の方も曜達に囲まれて騒いでいる。そんな中で……

 

「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁんッ‼‼‼」

 

「ああもう、いい加減泣き止みなさいルビィ…‼」

 

ダイヤとルビィの黒澤姉妹はお互いに涙を流しながら抱き締めあっている。死んだと思ってた姉が生きていて再会できた嬉しさが溢れ出ているかの様に……

 

「あの光景が見れただけでも、俺にとっては充分勝利と言えるな。」

 

「うん…‼」

 

「さて、私達はここの修繕をするから君達はゆっくり休んでくれ。」

 

サーゼクスの言葉に従い、二人も皆がいる場所へと向かう。途中それぞれ何かを踏んだが、二人はそれを気のせいと思うことにした。

 

そしてこの後に改めて調印式が行われ、三勢力が結んだ同盟【駒王協定】は締結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、某所……

 

とあるビルの一室で一人の男が電気も付けずに、一心不乱にパソコンで作業していた。

 

「何をやっている?」

 

その部屋に新たに男が入ってくる。それは先日、三勢力会談に乱入したコカビエルだ。

 

「………………………………」

 

だが男はコカビエルの問いに答えず、パソコンを操作する。

 

「黙りか…………それは構わないが、貴様の作ったガシャットはまんまと奪われてしまったな。どうするつもりだ?」

 

「…………………………問題ない…」

 

ようやく喋った男はそう言って、コカビエルに何かを投げ渡した。

 

「ん?……なるほど、そういう事か…」

 

それを見たコカビエルはニヤリと笑った後、それを男に返した。

 

「それと戦力の事だが……もっと増やせんのか?殆どのバグスター達をゲームのボスキャラにしてしまったら、作戦に支障が出るぞ?」

 

「…………………………」

 

男はまた何も答えずに、今度はタブレットを投げ渡す。

 

「今度は何だ…………………………おい、こんなのを何処で…!?」

 

「……………………………………………………」

 

「全く、変身時と今ではまるで性格が違うな……だが、お前の企みは理解した。()()()()()調()だし、計画の始まりを楽しみにしているぞ?」

 

タブレットを持ったコカビエルはそのまま部屋を出ていく。男はそれをまったく気にせず作業を続ける。パソコンの画面に少し映った瞳に、黒い輝きを秘めながら……

 

「俺の計画は誰にも邪魔はさせない……ククク…‼さあ……最高のゲームを始めようじゃないか…‼‼‼」




いかがでしたか?

今回で戦闘は終了になります。次は日常編を1話書いて次の章に移ろうと思っています。

次回【全員参加のPool】


では次回で、お会いしましょう。


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全員参加のPool

どうも、疾風の警備員です。

最近スクフェスを始めまして、曜と梨子のURが当たりました‼ヨッシャ、ラッキー‼‼

今回は日常編になります。

ではどうぞ。


駒王協定の締結から数日経ち……

 

 

「さて皆さん…………準備はよろしいですか?」

 

「「「「「「「おお~♪」」」」」」」

 

プールの飛び込み台の上に立つジャージ姿のダイヤと、水の抜けたプールの中にはジャージ姿になったヴァーリ達ルシファー眷属、それに花丸と果南にルビィとアーシアにゼノヴィア…それに一誠と何故かパラドまでいた。

 

彼等が何故こんな場所にいるのかというと……

 

「それでは…………プール清掃を始めますわよッ‼‼」

 

学園のプール清掃の為である。

 

本来なら生徒会の仕事だが、彼等はコカビエル戦や前回のテロリスト戦での裏方の仕事がまだ残っていて、手が回らない状況でリアスに話がいき、それを聞いてた鞠莉が面白そうと勝手にルシファー眷属がやると決め、そこから更にメンバーが増えていった次第だ。

 

「何で俺がこんなことを…」

 

「俺は初めてだから心が踊るなぁ♪イッセーもそう思わないか?」

 

「はぁ~…俺はシラケるよ…」

 

「ほ~らッ‼一誠もやる気出すッ‼‼」

 

「へ~へ~…」

 

ブラシでプールの底を擦る一誠だが、面倒くさそうな顔をし、反対にパラドは嬉々としてブラシを振っていた。

 

「うう~…この汚れ、全然落ちないよぉ~…」

 

「ほらルビィ、一緒にやりましょう?」

 

「うんッ‼」

 

「美歌~…こっちも手伝って~…」

 

「頑張りなさい。」

 

「あれ~?同じ姉妹なのにこの差は一体…」

 

黒澤姉妹は仲良く、高海姉妹は仲良く(?)掃除を進めていく。

 

「まどろっこしいわね~‼こうなったら、ヨハネの魔法で一気に…‼」

 

「善子ちゃん、ズルは駄目だよ?」

 

「善子言うなッ!?ヨハネよッ‼このずら丸ッ‼」

 

「ずら丸じゃないズラッ‼」

 

善子とずら丸は口喧嘩しつつも、ブラシを動かす手を止めない。

 

「Oh~♪足が滑りました~♪」(モミッ)

 

「鞠莉…………ワザとだよね?」

 

「ノンノン、事故よ事故♪」

 

「ほぉ~…」(グワシッ‼)

 

「ちょっと果南?アイアンクローが痛いんだけど…‼‼」

 

鞠莉は滑ってコケた風を装いつつ、果南の胸を揉んでいたら彼女のアイアンクローを喰らいもがいていた……殆ど自業自得だが。

 

「デッキブラシでの清掃なら、この服だよねッ‼」

 

「お前は何でんな服着てんだよ…」

 

最初はジャージだったのに、いつの間にか船乗りが着るセーラー服に着替えていた曜に、一誠はため息を吐いた。

 

「え~」

 

「ほら、とっとと終わらせるぞ。」

 

「ヨーソロー‼」

 

一誠の言葉に敬礼で返す曜。その向かい側ではヴァーリと梨子が掃除をしているのだが……

 

「梨子、それを取ってくれ。」

 

「はい、どうぞ。」

 

「サンキュー。」

 

「代わりにヴァーリ君、あれ取って。」

 

「わかった。」

 

「ありがとう。」

 

抽象的な言い方なのに足下にある大量の道具から、お互いが必要としている物を何の迷いもなく選び手渡す。もはや熟年夫婦並みの理解力である。

 

「この分ならお昼前には終わりそうだね?」

 

「そうだな。」

 

「オオオォォォォリャアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「ゼノヴィアさ~んッ‼速すぎですよ~…‼」

 

ゼノヴィアもやる気を出して掃除しているが、ヴァーリ達にはそれが空元気だというのは気づいている。今まで友だと思っていた少女が敵になり、自身が選ばれた剣を奪われ、彼女以上に使いこなしたのだ。今の彼女の胸中は計り知れない……

 

「大丈夫かな…ゼノヴィアさん…」

 

「それについては考えがある。今はやりたい様にやらせよう。」

 

そうして掃除を続け、予想通り昼前にはプール清掃は終わった。この時点で全員汗だくで、生徒会が用意してくれたスポーツドリンクを飲んだり、ヴァーリが持ってきたバッテリー式の冷風機を使って日陰に入って休んでいた。

 

「あ~…ぜってぇ来年はやらねぇからな…」

 

「ずらぁ~…」「ぴぎぃ~…」「よはぁ~…」

 

「おい1年トリオ……風が来ねぇんだよ…‼」

 

日陰で休んでいた一誠だが、花丸とルビィによし「ヨハネッ‼」……ヨハネが扇風機の前を陣取って風が全く来ないことに苛立っていた。

 

「はいはい、後輩相手に怒らないの。」

 

「んな事言ってもよ…」

 

「もうすぐ涼しくなるから。ね?」

 

「………………しゃーねぇなぁ…」

 

そこで果南に諭されて、これ以上文句を言うのを止める。因みに果南の言葉の意味はというと……

 

「皆さん、お疲れ様です。」

 

「ソーナ、これでOK?」

 

「ええ、充分過ぎますよ。では約束通り水を張りますね。」

 

ソーナがやって来て清掃の確認をしたら、魔力を水に変換してプールを満水にしてくれた。これは鞠莉がプール清掃をやる代わりにその日、プールを自由に使わせて欲しいと頼み、ソーナが許可した事で一足早いプール開きを独占できる約束をしていたのだ。

 

「では、5時までは自由に使ってください。」

 

ソーナが帰ると、もう待ちきれないなかったのか体を震わせていた千歌はおもむろにジャージを掴み……

 

「よーし、泳ぐぞ~‼‼」

 

その場で一気に脱ぎ捨てた。

 

「「「なあッ!?」」」

 

「男子が見るのはブッブゥ~ですわよッ‼‼‼‼」

 

ダイヤの叫びに男子組は素早く回れ右をして、視界から千歌を外す。しかし男の性なのか、今ので頭に千歌の下着姿をチラリと想像してしまう……

 

「え?大丈夫だよ、中に水着着てるし。」

 

「「「だああああ~‼‼」」」

 

が、続く千歌の言葉で三人はその場でズッ転けた。

 

「千歌ちゃんッ‼‼‼紛らわしい事しないのッ‼‼‼」

 

「だって~…早く泳ぎたかったんだもん…」

 

「全く……恥じらいを持ってよ、ヴァーリ君達もいるん「今のうちにダーイブッ‼‼」話はまだ終わっぷッ‼」

 

梨子の説教が長くなると思った千歌は一瞬の隙をついて、プールに飛び込み舞い上がった水が梨子をずぶ濡れにした。

 

「「「「「「「あ…」」」」」」」

 

「………………」『BANG BANG SIMULATIONS!!』

 

その光景に全員が何が起こるか予想でき、その考え通り梨子は無言でガシャットを起動させてシミュレーションゲーマーを呼び出すと、その砲門を千歌へと向けた。

 

「千歌ちゃん…………今から水泳の特訓ね?体力が尽きるまで泳いでもらうよ…」

 

「え、え~と……梨子ちゃん、メンゴ♥」

 

「一斉射ァッ‼‼‼‼」

 

「ヒャアアアアアアァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

放たれる砲弾から泳いで逃げ回る千歌。だが梨子は手加減など考えず撃ちまくる。そんな光景を見ていた残りのメンバーは……

 

「「「「「「着替えてこよう…」」」」」」

 

そう思い、更衣室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェ…‼ハァ…‼ゼェ…‼ハァ…‼」

 

ヴァーリ達男子組が水着に着替えてプールに戻って来ると、そこには完全に力尽きてプールサイドに倒れている千歌以外誰もいなかった。

 

「女性陣はまだか…」

 

「なあイッセー、どっちが先に向こう側に着くか勝負しようぜ?」

 

「上等だ、ぶっちぎってやるよ。」

 

そう言って一誠とパラドは先にプールに飛び込み、オリンピック選手も驚く様な速度での水泳対決を始め、ヴァーリは倒れている千歌を背負って日陰に運んだ。

 

「ああ~…‼涼しい~‼」

 

冷風機の前で彼女を下ろし、休ませていると更衣室から女性陣が出てきた。

 

「あ~‼一誠君たら、もう泳いでる~‼」

 

「スゴい速さズラ…」

 

「うゆ…」

 

「番長先輩って……本当に人間なの?」

 

「人間だよ……一応…」

 

「果南さん……最後ので説得力が皆無ですわよ?」

 

そして一誠とパラドの水泳対決を見て唖然とする。片方はバグスターだが片方は人間(一応)なのに、それに追随できている。

 

「ヴァーリ君は泳がないの?」

 

「俺は纏めたいデータがあるからな。」

 

ヴァーリはノートパソコンを取り出し、データを高速で入力していく。

 

「鞠莉、お前のガシャットを貸してくれ。」

 

「OK‼」

 

更に鞠莉からガシャットを預かると、自身のガシャットと一緒に端末に装填し、データの吸出しを行う。

 

「これまでの戦闘データがあれば、3人に合ったゲームの選定が出来る筈だ…」

 

吸出しが完了してゲームが選定されていき、数秒後に3つのゲームが選ばれた。

 

「コレを元に新型の、レベル100のガシャットを作る。それに爺さんから貰ったデータのガシャットの完成ももうすぐだ」

 

ようやくレベル100の製作に踏み切れると、心が弾むヴァーリだったが梨子が徐にパソコンを閉じた。

 

「……何をする?」

 

「確かにクロノスやコカビエル達の対策を急ぐのも解るけど、今は皆と遊ぼう?時には休まないと、いざという時に倒れちゃうよ?」

 

「……………………それもそうだな。」

 

データを保存したヴァーリはノートパソコンを横に置き、準備運動を始める。

 

「さて、俺も泳ぐ「あ、待ってヴァーリ君。」ん?」

 

「その………入る前に日焼け止め塗ってくれない?」

 

「ああ、いいぞ。」

 

彼女から日焼け止めを受け取り、プールサイドに敷いたシートの上に寝そべる梨子の背中に塗っていく。

 

(ヤバい…梨子の肌の白さや体の柔らかさにおかしな気分になりそうだ…‼イカンイカン、平常心…平常心…‼)

 

(うう…勇気を出してヴァーリ君に頼んだけど、やっぱり恥ずかしい~‼頭がピプペポパニックだよぉ~‼)

 

互いに顔を赤くしつつ、何とか塗り終わったところで美歌がニヤニヤと笑いながらヴァーリ達の元へとやって来た。

 

「終わったのならワタシにも塗ってもらおうかしら?」

 

「ん?いや、お前は千歌にでも…」

 

「あら、梨子は良くてワタシはダメなの?」

 

「はいはい、わかったよ…てッ!?」

 

美歌が浮かべる笑みに嫌な予感のしたヴァーリは仕方なく塗ろうとするのだが、そこで彼女の行動に目を見開く事になった。何故なら…

 

「おまッ!?何で水着の上を脱ごうとしてるんだよッ!?」

 

美歌は自身の水着(黒のビキニ)の肩紐を下げていたのだ。

 

「だって水着があると塗るのに邪魔でしょ?」

 

(コイツ…‼絶対俺の反応を楽しんでるな‼)

 

「因みにお触りOKよ♥」

 

「………ヨハネ、召喚…」

 

さすがに理性が持たないと思ったヴァーリは近くにいた善子の襟首を掴み、自身と美歌の間に持ってきた。

 

「我がマスターに色仕掛けとはいい覚悟ね?代わりにこの暗黒魔導師ヨハネ様が、余すところなく綺麗に塗ってあげるわよッ‼‼」

 

「ちょッ!?これじゃ計画と……ひゃあッ!?お願い、そこだけは……ひゃうんッ!?」

 

そこからの光景を見るとさすがにマズイと思ったヴァーリは、顔の火照りを冷ますためにプールに飛び込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨッシャッ‼俺の勝ちだな、イッセー?」

 

「くそッ‼もう一度だッ‼‼」

 

「いいぜ、次で決着といこうか‼」

 

一誠とパラドの水泳対決は4回行われ、今の所2勝2敗の結果となっている。しかもタイムはどんどん速くなってきているときた。もはや、一誠は人間を辞めていると言っても過言じゃない…

 

「過言じゃッ‼‼」

 

「どうしたイッセー?」

 

「いや、誰かが人を人外扱いしやがった様な気がしてな…」

 

地の文にツッコム時点で人外だろうに…

 

「んじゃ、やるぞパラドッ‼よーい…」

 

「「スタートッ‼」」

 

一誠の合図で同時に飛び出し、クロールで反対側を目指す。一進一退の攻防の後に反対側に手が着く。

 

「「よしッ‼俺の勝ち……あ?」」

 

そして同時に勝利宣言すると互いに睨み合う。

 

「おいおいパラド……今のはどう考えても俺の勝ちだろ?」

 

「何言ってんだ、俺の勝ちに決まってるだろ?」

 

「「……………………上等ッ‼‼」」

 

「はーい、そこまでーッ‼‼」

 

そのまま喧嘩に発展しそうだったが、果南の割り込みによって、それは防がれた。

 

「何時までも二人でバトルばかりしないで、泳げない子に泳ぎでも教えてあげなさい。」

 

「「あ?何で俺が…」」

 

「イ・イ・ワ・ネ?♥」

 

「「ア、ハイ…」」

 

果南の笑顔(はくりょく)に負けた二人は冷や汗を流しながら頷いた。もしや最強なのは彼女なのかもしれない…

 

それから果南の指示で一誠はルビィに泳ぎを教える事になった。

 

「ほら、もっと体の力を抜け。」

 

「で、でも…‼わっぷ…‼」

 

「たく…」

 

手を引きながら泳がせていたが、バランスを崩して沈みそうになるところを引き上げる。その時、勢いがありすぎたのか、ルビィは一誠に抱きつく形になってしまった。

 

「ぴ…‼」

 

「おい、だいじょ「ぴぎゅ~…」は?」

 

一誠が無事か確認しようと声を掛けたら、ルビィは顔を真っ赤にして頭から湯気を出しながら気絶した。どうやら好きな人に抱きつくのは、ルビィにはまだ早かったらしい。

 

「コイツ……人を見て気絶とはいい度胸だな…‼」

 

「番長先輩…………鈍すぎズラ…」

 

「お前も早く泳いでこいよ、ズラ丸。」

 

「だからズラ丸じゃない(ポ~イ‼)ズラアアァァァァ…‼」(ドボーン‼)

 

パラドの言葉にツッコミを入れる花丸だが、その途中でプールに放り込まれた。

 

「ぷは…‼ぴゅ~…」

 

「アハハハハハハハッ‼‼やっぱお前は面白いなッ‼‼」

 

「何してますのッ‼‼」(スパーン‼)

 

「ぐへッ!?」(ドボーン‼)

 

プールから顔を出しながら水を吐く花丸を笑うパラドだが、その後ろにいつの間にかいたダイヤのガシャコンギガナイザー型のハリセンで後頭部を全力で叩かれて、プールに頭から落ちた。

 

「ぶはッ‼…何しやがる‼」

 

「女の子相手に子供じみた悪戯をしているから、天誅を下したまでですわ。」

 

「アハハハハハハハッ‼パラドさんの方が笑えるズラッ‼‼」

 

「……………………ズラ丸の好きな人は「ごめんなさい、だからそれを言うのは勘弁してください…‼」わかればいい。」

 

ダイヤのツッコミでパラドが落ちたのを笑う花丸だが、自身の恋路を暴露されそうになって即座に謝る。だが、それがダイヤの怒りを買った。

 

「乙女の秘め事を脅しに使うとは……その根性、私が叩き直して差し上げますわッ‼‼」

 

「面白い、やってみろよ。」

 

そのままダイヤが出したビーチボールを使って投げ合いを始めるダイヤとパラド…ただお互いにバグスターとしての身体能力をフルに使ってるので、その速度にボールが全く見えない。

 

「Oh‼ダイヤ、私も混ぜてクダサーイッ‼‼」

 

「ええッ‼共にあの男を懲らしめましょうッ‼」

 

「2対1か…心が踊る…‼」

 

そこに鞠莉まで参戦して、バトルは更に混迷を極めた。

 

「……早く避難しよ…」

 

そして運動が苦手な花丸は被害を避けるために、さっさとプールから出るのだった。

 

 

 

 

 

「そ~そ~、アーシアちゃんいい調子‼」

 

「は、はい…‼」

 

一方、平和的に水泳を教えている果南とアーシア。だが、アーシアは集中しきれてないのか中々上達しない。

 

「………………何か気になる事でもあるの?」

 

そこで果南は練習を一旦止め、アーシアの悩みを聴く事にした。

 

「……………………私は皆さんのお役に立てているのでしょうか?」

 

「え?」

 

「この前の戦いで私は傷ついた皆さんを癒す事しか出来ませんでした……でも、もっと他にも出来る事があるんじゃないかと思いまして…」

 

「アーシアちゃん……人一人が出来る事なんて、そんなに多くないよ。」

 

不甲斐ないと感じて顔を俯けるアーシアに、果南は優しく言葉を掛ける。

 

「私や曜ちゃんは一誠やダイヤみたいに戦う事は出来ないし、花丸ちゃんやアーシアちゃんみたいに後方支援も出来ない…………戦場にいればただのお荷物になっちゃうの。」

 

「そんな事は…「でも私達にも役目はある。」…役目?」

 

「一誠達を【日常】に戻してあげるっていう役目。」

 

そう言って果南はアーシアに優しく微笑む。

 

「戦場にばかりいたら心がどうしても荒んできちゃう……それが進んでいけば待っているのは血生臭い未来か破滅だけ。私は一誠にそんな未来に向かってほしくない。だから、戻ってきたら必ず【お帰りなさい】って言うの。それが戦いの終わりだって教える為にね?」

 

「それは…………素敵な役目ですね。」

 

「そうかな?」

 

「そうですよ。私も、自分なりの役目……探してみます‼」

 

そして二人で微笑み合う。大切な人達が笑える日常にいられる事を願いながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は経って夕刻……全員プールから上がり、着替えを終え帰り道に着いていた。

 

「はぁ~…楽しかったあッ‼」

 

「千歌ちゃん、一番はしゃいでたもんね?」

 

「もぉ~動けないよぉ…」

 

「マルもずらぁ~…」

 

「アンタ達ッ‼私を支えにしないでよッ‼」

 

「ねぇダイヤ、夏休みに入ったら一誠や曜ちゃんと遊びに行こうと思ってるんだけど、ルビィちゃんや花丸ちゃんと一緒に来ない?」

 

「あら、でしたらお邪魔させてもらいますわ。」

 

皆が楽しそうに会話する中、ヴァーリはガシャット開発計画を立てていた。

 

(うまくいけば近日中に全てのガシャットが完成出来る……そうしたら次は()()の開発を急がないと)

 

一誠はクロノス打倒の為に特訓をしようと決め、やる気を燃やす。

 

(あんにゃろうは俺が絶対ブッ飛ばす…‼)

 

そして夏休みの初めに起きた出会いで、更に力を付ける事になるのは……また別の話だ。




いかがでしたか?

この後はコラボの話に繋がりますので皆様、オラオラドララ様の【ハイスクールG×O×D】のコラボ編を読んでください。

次はそのコラボ編終了時からで、新章になります。

次回【サマーバケーション編・Companyを見学しよう‼】

「ついでに皆で旅行してきたら?」

では次回で、お会いしましょう。


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サマーバケーション編
Companyを見学しよう‼


どうも、疾風の警備員です。

今回から夏休み編になります。

先ずは幻夢コーポレーションの見学です。そこでエグゼイド原作のあの人も登場しますよ。

では、どうぞ。


異世界からやって来た一誠とヴァーリとのバトルから数日後……

 

「ヴェアーハッハッハッハッハッハッ‼‼‼ハーッハッハッハッハッハッハッ‼‼」

 

早朝に一人、研究室に籠っていたヴァーリが突然高笑いを始めた。その目には隈が濃く浮かんでいて何日も徹夜していた事が窺える。更に近くにある大皿にはチョコが1個だけ寂しくあった。

 

「コンティニューチョコ、残り1個……ようやく完成したぞおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼‼」

 

そう叫ぶヴァーリの机の上には、2つのガシャットギアデュアルと見たこと無い形の金色のガシャットがあった。

 

「プロトガシャットの研究に77個…そこからのガシャット開発に21個も使ったが、これでクロノスに対抗できる…‼‼‼やはり俺(の特典の才能)は神ダアァァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

「「「「「朝からうるさいッ‼‼‼‼」」」」」

 

歓喜の叫びを上げるヴァーリの研究室に梨子達が怒鳴り込んでくる。因みに現在朝の4時……夏休みなのでまだ寝ていたい眷属達からすれば傍迷惑この上ない……

 

「それで?一体何が出来たのよ?」

 

「よくぞ聞いてくれたッ‼‼‼ようやくレベル100のガシャットギアデュアルとクロノス攻略の為のガシャットが完成したのだッ‼‼‼‼」

 

「Wow‼ どんなやつなのッ!?」

 

「それはだな…」

 

目を輝かせて聞いてくる鞠莉にヴァーリは答えようとするが、そこで彼の動きが止まった。もちろんクロノスのPAUSEではない。現に梨子達は動けているのだから。

 

「あれ?ヴァーリく~ん?」

 

気になった千歌が近くに寄ってみたら……

 

「………………………………Zzz…」

 

寝息が聞こえた。

 

「寝とるッ!?」

 

「さすがに限界だったみたいね。」

 

「私達ももう一度寝ましょう。」

 

美歌の提案に全員が頷き、部屋に戻って再び夢の世界に旅立った。そして朝8時に再び起床して、朝食を食べて今日の予定を確認していた。

 

「確か今日よね?ダイヤさん達が幻夢コーポレーションに来るのは。」

 

「ああ、一応バグスターの体に異常がないか検査はしておきたいからな。それに爺さんにも呼ばれてるし…」

 

ダイヤは初めて人間からバグスターになった存在で、もしかしたら体に不備があるかもしれないので、夏休みに1度、検査する事になっていた。他のメンバーは付き添いだ。

 

「俺がやるからお前達はルビィ達に社内を案内するといい。最近、新しい施設を作ったとメールがあったしな。」

 

幻夢コーポレーションはリゼヴィムが社長を務めるゲーム会社だが、建物内に色々な娯楽施設を作って社員の疲れを取ったり、新しい発想を生み出す場にしていた。

 

「今度はどんな施設だろうね?」

 

「スポーツジムに図書室、ペット広場に託児所、医療施設にバーとか普通の会社ならあり得ないわよ?」

 

「だからこそ優秀な社員が多いんだよ。」

 

尚、幻夢コーポレーションの業績は毎年うなぎ登りなのが、その証明である。

 

「さて…そろそろ時間だな。準備して行くぞ。」

 

「「「「「はーい。」」」」」

 

各々が着替えに部屋に戻る。そこでヴァーリは新しく作ったガシャットを渡し忘れていたのを思いだし、会社で渡すためにそれらを鞄に仕舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、幻夢コーポレーションにようこそ‼‼‼」

 

「「「「「よろしくお願いしまーす‼」」」」」

 

ヴァーリ達はダイヤ達いつものメンバーと合流し、幻夢コーポレーションの前に来ると恋が出迎えてくれた。

 

「恋、俺はダイヤ先輩と医療施設に向かうから他のメンバーを案内してやってくれ。」

 

「畏まりました。」

 

ヴァーリはダイヤを連れて別れると、医療施設にある部屋に入る。

 

「私の体は大丈夫なのですか?」

 

「構造は問題ないですよ、これは念のためです。」

 

「そうですか…」

 

そして部屋にあるベッド(CRにあったのと同じ)に彼女を横たわらせた。

 

「さぁ、じっけ…いえ、検査を初めよう。」

 

「お待ちなさいッ!?今、実験って言おうとしましたわねッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、他のメンバーは……

 

「恋さん、新しく出来た施設って何々ッ!?」

 

「今回は入浴施設ですよ。ウチの様な会社は泊まり組が多いですからね……取引先等に失礼にならない様にするためです。」

 

恋に案内された場所には【湯】と書かれた暖簾のある部屋の前に来ていた。因みに男湯の暖簾はパズル柄、女湯の暖簾は炎が描かれている。

 

「中には大浴場に電気風呂、滝湯にジェットバスにサウナ、炭酸風呂に泡風呂と露天風呂に五右衛門風呂など、種類も豊富ですよ。」

 

「お~ッ‼お風呂の遊園地ズラッ‼」

 

「因みに一番の目玉は【暗黒ミルク風呂】です。」

 

「「「「「「白黒どっちやねん‼」」」」」」

 

どこかずれたツッコミをしつつ、更に社内を案内していたら…

 

「あッ‼梨子さん達じゃないですか‼」

 

一人の男が梨子達に近づいてきた。その手には書類の束が握られていて、一番最初の面には【新作ゲームの概要】と題が書いてあった。

 

「あ、小星さん‼お久し振りです。」

 

「今日チーフは?」

 

「今は別件で…社内にはいますから。」

 

「そうですか…」

 

「梨子ちゃん、この人は?」

 

曜の質問に梨子は皆へと向き直り、全員に紹介を始めた。

 

「この人は【小星 作】さん、幻夢コーポレーションのゲーム開発部で2番目に偉い人で、会社創立当初からいるベテランよ。」

 

「そんな、よしてくださいよッ!?私なんてまだまだ…チーフの作るゲームに比べたら…」

 

「そこは自信持ちなさいよ…」

 

梨子の紹介に遠慮がちになる小星を見て、善子はため息を吐く。彼が最初に手掛けたゲーム【ジュージューバーガー】は、その年の売り上げでヴァーリが同時期に手掛けた【マイティアクションX】の次に高いのだ。その後も斬新な設定のゲームを多数作り、ファンも多い。彼の現在の地位はその実績に見あったものだとはリゼヴィムの談だ。

 

「それで今度はどんなゲームを作ったんですか?」

 

「そうだッ‼良かったら皆さんで試してもらえませんか?私の新作ゲーム‼」

 

それに楽しそうに目を輝かせるパラド…どうやらゲーマー魂に火が付いたようだ。

 

「一誠、これで勝負しようぜッ‼」

 

「いいぜ、やってやろうじゃねぇかッ‼」

 

「あ、まだ試作品だから対戦プレイは出来ないんだ…完成の暁には実装する予定だけどね。」

 

「「なんだよ…シラケるなぁ…」」

 

テンションが下がったパラドと一誠に苦笑いしつつ、全員で小星の製作ルームに移動すると、部屋にはゲーム機と銃型のコントローラー、インカムが置かれていた。

 

「これが今回のゲーム?」

 

「はいッ‼その名も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ボーズ・オブ・テラー《お経と銃でゾンビをブッ倒せ‼》】ですッ‼」

 

「「「「「名前長ッ!?」」」」」

 

その題名を聞いた皆がポカーンとした顔になり、恋は笑いを堪えていた。

 

「フフフ…‼さすがは小星氏‼面白いネーミングですな?」

 

「こういうのはインパクトが大事ですから。で、誰がやってくれるのかな?」

 

「ハイッ‼」

 

誰がプレイヤーになるのかを聞くと、珍しく花丸が一番に手を上げた。

 

「お寺の子として、このゲームはクリアしなくてはいけない気がするズラッ‼」

 

「頑張って、花丸ちゃんッ‼」

 

ルビィの応援を背にコントローラーを掴む花丸。その瞳には炎が燃えている。やる気は充分の様である。

 

「なら初めようか。」

 

そしてゲームをスタートさせると、画面にはシューティングモードの難易度が表示される。

 

「このゲームはシューティングの難易度を選んで遊べるんだ。今回はイージーを選んで。」

 

「ハイッ‼」

 

選択肢を選び、ゲームが始まると画面にはゾンビが出てくる。肉の腐食具合や血の表現など、かなりリアリティーがある。

 

「ピギィッ!?」

 

現にルビィはその絵に怯え、一誠の背中に隠れてしまった。

 

「おい、掴むなッ‼伸びる‼」

 

「さぁ、先ずはその銃で攻撃してみて。」

 

小星の言葉に花丸はゾンビへと銃を撃つが、怯むだけで倒れない。それから何発も撃つが全く倒せなかった。

 

「おい、なんだこのクソゲーは…‼」

 

「いえいえッ!?このゲームにはもう1つ必要な行程があるんですよッ!?」

 

攻略不可能な感じのゲームにパラドは怒りを表すが、小星はそう言って宥める。

 

「行程?」

 

「君、お経は唱えられる?」

 

「あ、はい。小さい頃から教えられてますから…」

 

「なら今度はインカムを付けて、お経を唱えながら撃ってみて。」

 

「はいズラ‼」

 

言われた通りインカムを付けてお経を唱えながら撃つと、さっきとは違ってゾンビが倒れた。

 

「あッ‼倒せた‼」

 

「このゲームは唱えるお経のリズムをインカムで拾って、それによって弾にゾンビを倒せる力を持たせられるんだ。」

 

「おお~ッ‼」

 

それから花丸は銃を撃ちまくる……だが、銃は得意ではないのか命中率が低く、中々先に進まない。

 

「結構……難しいズラ…‼」

 

「………………………………貸せ、ズラ丸。」

 

その時、パラドが花丸からガンコンを奪い取った。

 

「あッ!?」

 

「いいからお前はお経を唱えろ。」

 

「えッ!?は、はい…」

 

納得いかないという顔をしながらも、花丸はお経を唱え続ける。そしてパラドは……

 

「今度は俺が相手をしてやる…」

 

手にしたガンコンで、ゾンビを次々と倒していく。しかも全てがヘッドショットによる一撃必殺だ。

 

「こういうのは役割分担した方が上手くいくんだ。」

 

「なるほどッ‼こういう遊び方もあったんだ…‼」

 

「これで…………ラストッ‼」

 

最後のゾンビは画面に背を向け、左脇から銃を覗かせて背面撃ちで倒す。

 

「フフン…♪ざっとこんなもんさ。」

 

「いやぁ~ッ‼貴重な時間だったよッ‼これは改良の余地がまだあるぞ…‼」

 

小星はパラドからの意見でゲームの改良をするべく、パソコンに向かい始めた。

 

「おい、他にもゲームはあるのか?」

 

「そこの棚にあるやつなら、好きに遊んでいいよ。」

 

そう言われ、ゲームを選ぼうとしたら恋の携帯がなる。

 

「失礼……もしもし、どうされたのですか社長?」

 

電話の相手はリゼヴィムらしく、何度か頷いてから恋は通話を終わらせる。

 

「皆さん、社長が呼んでいますので私に付いてきてください。」

 

「……今日はタイミング悪いな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

全員で社長室に行くとリゼヴィムに秘書のポッピーピポパポ(明日那)、護衛のグラファイトに検査を終えたヴァーリとダイヤがいた。それと部屋の角に何故か真っ白に燃え尽きているモータスも。

 

「お姉ちゃん、大丈夫だった?」

 

「ええ、問題ありませんでしたわ。」

 

「んで?何で俺達を呼んだんだ?」

 

「それなら爺さんに聞いてくれ…」

 

どこか疲れた表情をするヴァーリに皆が首を傾げつつ、リゼヴィムへと向き直った。

 

「いや~、いきなり呼んでメンゴね?実は君達に見せたい物があってね?」

 

そう言って机の引き出しから出されたのは、水色と緑の2色に塗られたガシャットだった。

 

「なんだ?このガシャットは?」

 

「【パラレルトラベラー】というガシャットだよ。この前、ヴァーリ達の前に現れた異世界の子達が帰る時の反応を調べて作り上げた平行世界渡航用のね?」

 

「えッ!?じゃあ異世界に行けるって事ッ!?」

 

「イグザクトリー♪」

 

「マジかよ…」

 

「でも、それって本当に行けるの?」

 

果南からの質問は最もだ。行った先が異世界だとは何の証拠も無しに信じるのは難しいのだ。

 

「ああ、それなら大丈夫♪先にモータスに使わせて実証済みだから♥」

 

リゼヴィムの言葉にポッピーとグラファイトはモータスから視線を反らし、静かに涙する。どうやら大変な世界に飛ばされた様だ。

 

「ああ~…だからか…」

 

「なら、使っても問題なさそうね。」

 

「そ~そ~、いい経験が出来るかもしれないし、ついでに皆で旅行でもしてきたら?」

 

「ハァ~…俺の許可なくガシャット何個も作りやがって……」

 

ため息を吐きながらヴァーリはガシャットを手にする。

 

「で?コイツはどう使うんだ?」

 

「変身の時と同じだよん。レバーを開くとゲートが現れるから。」

 

「なるほど…」『パラレルトラベラー‼』

 

ヴァーリは躊躇い無く起動ボタンを押し、ガシャットをドライバーに挿してレバーを開いた。

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

すると彼の前に虹色に輝くゲートが現れる。

 

「なるほどな…」

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

そしてレバーを閉じてガシャットを抜くと、ゲートは消えた。

 

「戻るときは向こうの世界で同じようにやれば勝手に繋がるから。」

 

「分かった……皆はどうする?」

 

ヴァーリの問いに全員が楽しそうに瞳を輝かせる。どうやら皆行きたいらしい。

 

「なら明日、準備して朝の9時に幻夢コーポレーションに集合ということで。」

 

「「「「「「はーいッ‼」」」」」」

 

全員の返事の後、今日はこれで解散となりそれぞれ必要な物を揃えに帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日、女性陣はスーツケースを男性陣はボストンバッグ(ヴァーリだけは+スーツケース)を持参し幻夢コーポレーション前に集まった。

 

「なあ曜にカナ姉……そんなに荷物いるか?」

 

「何いってるの、女の子には色々と必要な物があるんだよ?」

 

「そうそう。」

 

「そーすかい…」

 

彼は昨日の解散後、二人の荷物持ちとしてあちこち連れ回されたので、既に疲れ気味である。

 

「楽しみだね、お姉ちゃん‼」

 

「そうですわね。」

 

「異世界旅行なんて……未来ずら~‼」

 

「どんな世界だろうね、美歌?」

 

「さあ…行ってからのお楽しみにしましょう。」

 

「「さあヴァーリッ‼Hurry!!Hurry!!」」

 

「鞠莉さんによっちゃん、落ち着いてッ!?」

 

「良し、なら早速…」『パラレルトラベラー‼』『ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

ヴァーリはガシャットを起動させ、ゲートを作る。

 

「では、異世界旅行に出発ッ‼」

 

「「「「「「「オオーッ‼」」」」」」」

 

そして全員でゲートを潜って異世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、社長室……

 

「あッ‼ヤベェーイッ!?」

 

「どうしたんですか?」

 

突然大声を上げたリゼヴィムに明日那が訪ねると、彼は顔を青くして話した。

 

「あのガシャット……その世界には全員行けるけど、到着点が多少ずれる可能性があるのを教え忘れてたッ‼」

 

「なにやってんのよ、このボケ社長ッ‼」

 

「ブラァッ!?」

 

どうやら彼等の旅行は前途多難の様だ……




いかがでしたか?

次回から異世界旅行第一弾になります。何処なのかは、次回のお楽しみで‼

次回【異世界のTravel】

「何なんですの、あの変態は?」

では、次回でお会いしましょう。


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異世界のTravel

どうも、疾風の警備員です。

今回から異世界編です。そこで新ガシャットを御披露目しますよ~ッ‼

では、どうぞ‼


それと1つ言っておきますけど…………最初の世界がハイスクールD×Dの原作だと誰が言いましたか?(ニヤリ)


異世界へ旅行へと向かったヴァーリ達一行……ゲートを潜った瞬間に待っていたのは……

 

「「「「「ヒャアアアアアアッ!?」」」」」

 

虹色の空間内を吹き抜ける嵐だった。今は全員で手を繋いで離れないようにしているが、あまりの強さに長くは持ちそうになかった。

 

「あンのジジイィィィィィィィィッ‼‼‼先に言いやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼‼」

 

「おいッ‼‼‼どうすんだよッ‼‼‼‼」

 

「今は何とか耐えろッ‼‼‼‼」

 

ヴァーリと一誠は他のメンバーを離すまいと頑張るが、手は今にも離れそうになっている。

 

「「「「キャアアアアアアアアアアッ!?」」」」

 

そこにダイヤとルビィ、美歌と花丸の叫びが聞こえ四人が離れていくのが見えた。

 

「チィッ‼」

 

「おい、パラドッ‼‼‼‼」

 

そこにパラドが自ら手を離し、彼女達の元へと向かう。

 

「あっちは俺に任せろッ‼‼‼‼」

 

「頼んだッ‼‼‼‼」

 

パラドに彼女達を任せ、一誠とヴァーリは他のメンバーを引き寄せようとした時、二人の間を強力な風が吹き、一誠は果南と曜と鞠莉との三人と、ヴァーリは梨子と千歌と善子の四人に別れてしまう。

 

「「うおおおぉぉぉぉぉぉぉッ!?」」

 

そのまま三組の先に出口が現れ、それぞれの入り口から外に放り出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「よっと‼」」

 

「「ぴぎゃッ!?」」

 

「ずらッ!?」

 

放り出された出口から地面に見事着地したパラドと美歌、しかしダイヤとルビィと花丸はお尻から落ちた。

 

「イタタ…最悪ですわ…」

 

「うゆ~……お尻痛い…」

 

「オラもずら…」

 

「何処だここ…?」

 

パラドはその場をぐるりと見渡し、最初に目に入ったのは巨大な水溜まり…………海だった。

 

「どうやら海岸みたいだな……さてどうす「うええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんッ‼‼‼‼千歌ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼何処おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼‼」うるさッ!?」

 

パラドが今後の事を考えていたら、突然の美歌の大泣きに耳を塞ぐ。

 

「おいッ!?どうしたんだよッ‼」

 

「千歌がッ‼千歌がいないのぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼」

 

涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした美歌が泣き叫ぶ。どうやら千歌と離れ離れになった事が大泣きの原因らしい。

 

「貴女、前に離れ離れになってるじゃありませんの?」

 

ダイヤの言う通り、過去に彼女の体を構築する為に離れた事があったが、そのときはこの様にはなっていなかった。

 

「あれば研究の為に仕方なくよッ‼‼‼それに反応を追える距離だったから良かったのッ‼‼‼でも今は、異世界だからなのかそれも微弱で…………うええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんッ‼‼‼‼」

 

そしてしゃがみ込み再び泣き出す美歌に花丸とダイヤは、驚きしかなかった。

 

「スゴいギャップ…まるで迷子の子供ずら…」

 

「千歌さんの方が妹みたいだと思ってましたが……どうやらこっちの方が子供ですわね…」

 

「よしよし。」

 

泣いてる美歌を慰めているルビィ……身長差もあるため、ある意味カオスになっていく空間でパラドが美歌の頭を撫でた。

 

「落ち着けって。お前の姉はオレが必ず見つけてやる。」

 

「ひっぐ…えぐ…ホント?」

 

「ああ、約束だ。だから元気を出せ。姉に会った時にそんなだらしない顔を見せるつもりか?」

 

「…………分かった…」

 

それで泣き止み、顔を袖で拭う…………自分のではなくパラドので。

 

「おまッ!?止めろッ‼オレの一張羅なんだぞッ!?」

 

「乙女の恥ずかしい所を見たんだから、それぐらい我慢しなさいよッ‼」

 

「たく…‼」

 

涙と鼻水まみれの袖を近くの水道で流し、バグスターの力で一気に乾かす。

 

「さて、改めてどうする?」

 

「花丸さんの神器でここが何処か分かりませんか?」

 

「いや、神器を使うまでもなく…」

 

そう言って花丸はある一点を指差す。そこには少しボロい板に青のペンキで【ようこそ沼津へ‼】と書かれていた。

 

「沼津……何処なんだ?」

 

「静岡県ですわね。という事はここは日本?」

 

「マルは異世界だからファンタジーな世界かと思ったんだけど…」

 

「近くて遠い世界には変わりないし、もしかしたらこの世界のお前達に会えるかもな?」

 

「「「まっさか~‼」」」

 

パラドの言葉をルビィにダイヤ、花丸は笑いながら否定する。確かに地球の広さで同じ人間を探すなど、砂漠で砂金の一粒を探すようなものに等しい。普通なら絶対にありえる事ではない。しかし、運命というのは少なからず機能しているらしい……

 

「「「ひゃあああああああああああああッ!?」」」

 

その時、とても聞き慣れた声の悲鳴が耳に入ってきた。

 

「なんだ?虫でもいたのか?」

 

「わ、私ではありませんわッ!?」

 

「る、ルビィも違うよ~‼」

 

「じゃあ誰なのよ?」

 

「あッ‼あそこズラ‼」

 

再び指差す花丸の先には、よく見知った三人の女の子が武装した黒い全身タイツの集団から逃げ回っていた。

 

「何なんですの、あの変態は?」

 

「さあ?」

 

「あの人達……千歌さん達に似てない?」

 

ルビィの言う通り、逃げている子達は千歌と梨子と曜によく似ている……いや、瓜二つと言ってもいいほどだった。

 

「でも、私の知ってる千歌と違う…」

 

「…………なるほど、この世界の千歌達か…」

 

美歌の反応からパラドは彼女がこの世界の千歌と予想し、腰にゲーマドライバーを装着する。

 

「あら、一人で行くつもりですの?」

 

「独り占めはさせないわよ?」

 

助けに行こうとする彼の隣に、ダイヤと美歌もドライバーをセットして立つ。

 

「良いぜ、なら行こうか…‼」

 

「二人は千歌さん達を連れて安全な所へ‼」

 

「「は、はいッ!?」」

 

ルビィと花丸に指示を出すと三人はノイズとなって逃げている千歌達の元へと向かった。

 

「「あッ!?それズルいッ‼」」

 

 

 

 

 

 

 

千歌(原作)side

 

あ、どうも皆さん‼私は高校2年生の高海千歌ですッ‼‼‼今は…‼スクールアイドル【Aqours】として…‼活動していて…ゼェ…メンバーの梨子ちゃんと曜ちゃんとの…ハァ…帰り道で変な集団に追い…ゼェ…かけられていますッ‼‼‼

 

てッ!?何で全力疾走ながらナレーションしないといけないのーッ‼‼‼

 

「仕方ないよッ‼‼変な集団に追われてるんだからッ‼‼」

 

「梨子ちゃん、心読まないでーッ‼‼」

 

「二人ともッ‼そんな話してる場合じゃないよーッ‼」

 

「「そうだったーッ‼‼‼‼」」

 

曜ちゃんの言葉で再び足に力を入れて走る。スクールアイドルとして鍛えた脚力を特と見よーッ‼‼‼

 

「「「「「「イーッ‼」」」」」」

 

「「「ですよねーッ!?」」」

 

でも、あっさり先回りされちゃいました‼

 

「ど、どうするのッ!?千歌ちゃんッ!?」

 

「どうするって言われても~‼」

 

「どうしようもないよ~‼」

 

その間に囲まれてしまい、もう終わりだと思った時…

 

「オイオイ……無抵抗な相手を追いかけ回すなんて、シラケる事すんな……よッ‼」

 

「イッ!?」

 

その言葉と同時に黒タイツの人が一人、誰かに吹き飛ばされました。

 

「女の子を泣かせる変態は…‼」

 

「とっととおウチにお帰りなさいッ‼‼」

 

「「イーッ!?」」

 

次いで、女の人の声が聞こえ、黒タイツの人が二人吹き飛んだ。

 

「な、何が起きてるのッ!?」

 

「曜ちゃん…今の声…」

 

「うん……今のは…」

 

私は今の状況に頭がパニックだったけど、梨子ちゃんと曜ちゃんは何かに気付いたみたい。何々ッ!?一体何なの~ッ‼

 

そうやって頭を悩ませている間にも、黒タイツの人達が次々に吹き飛んでいき、私たちの目の前にいた黒タイツの人達が吹き飛ぶとそこには知らない男の人とよく知っている顔の人、そして何故か私にそっくりな人だった。

 

「ダイヤさんッ!?何でここに…!?」

 

「あの男の人は?……それに千歌ちゃんそっくりな人?でも髪の色が違う…」

 

『ガシャコンマグナム‼』

 

「伏せなさいッ‼‼」

 

「「「は、はいッ‼」」」

 

ダイヤさんの言葉に反射的にしゃがむと、その手に握られた銃を発射して私たちの後ろにいた黒タイツ達を倒した。

 

「ルビィッ‼花丸さんッ‼今のうちにッ‼‼」

 

「「うんッ‼」」

 

「えッ!?二人も何でいるのッ!?さっき善子ちゃんも連れて本屋さんに行くって…!?」

 

「後で説明するズラ‼」

 

「今はこっちに…‼」

 

私達は二人に引っ張られて囲みを抜け出すと、三人もそこから出てくる。

 

「よし、後はコイツらを倒すだけか。」

 

「ならさっさと潰しましょう……私、今すっごい不機嫌だから…‼」

 

「そうしましょう。」

 

そして三人は何かのアイテムみたいなのを取り出して、私に似ている人とダイヤさんはそれを鳴らす。

 

「グレードXー0。」『マイティアクションエーックス‼』『デンジャラスゾンビ‼』

 

「Xー0カラット。」『ジュエリートレジャー‼』『べリアルモンスター‼』

 

『デュアルガシャット‼』「マックス大…」

 

『『『『ガシャット‼』』』』

 

それらを腰にある物に挿して、それぞれが構えたら…

 

「「「変身ッ‼」」」

 

『『『ガッチャーン‼ (レベル/マザル)アップ‼』』』

 

『マイティジャンプ‼マイティキック‼マ~イティーアクショーン‼エックス‼アガッチャ‼デンジャー‼デンジャー‼デス・ザ・クライシス‼デンジャラスゾンビ‼』

 

『探せダイヤ‼集めろルビィ‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼災厄を起こせべリアル‼絶望を振り撒けモンスター‼今こそ破滅の…時来たり‼』

 

『赤い拳・強さ‼青いパズル・連鎖‼赤と青の交差‼パーフェクト・ノックアーウトッ‼』

 

そしてレバーを開いて出てきたゲートを潜ったら、全く違う姿に変身しちゃいましたッ‼‼

 

「今度は何なの~ッ‼」

 

「ダイヤ、お前はそいつらの護衛をしてやれ。この雑魚達はオレと美歌で片付ける。」

 

「ええッ‼さあ、早くッ‼」

 

姿が変わったダイヤさんに連れられ、私達はその場を離れて学校へと向かう。

 

「さあ、遊ぼうぜッ‼」

 

「私をコンティニューさせられるかしらッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ‼‼」

 

「イーッ!?」

 

どこかの商店会に落ちた一誠達は、その町が静岡の沼津であると知り情報を集めていたが、突然大量の黒タイツ集団が現れて町を襲い始めたので、ソイツら相手に一暴れしていた。

 

「たく……骨がねぇな…雑魚ばっかじゃねぇか。」

 

「いや、一誠君が強いんだと思う…」

 

「「うんうん。」」

 

「そうか?」

 

大の大人が逃げ惑っている中、生身でソイツらをフルボッコにしていく彼の強さは異常な速度で上昇していた。その曜の言葉に果南と鞠莉も頷いた。

 

「何かパラドに感染してから、妙に体が軽いんだよな~……ま、今はそんな事どうでもいい。」

 

「イッ!?」

 

一誠の背後からこっそりと近づいていた黒タイツの一人は、あと少しの所まで近づくも顔面に裏拳を貰い倒れた。

 

「さて、他には……ッ‼」

 

彼が周囲を見回していたら、3人の女の子が両手に巨大な爪を装備し、頭に角を2本生やした灰色の怪人が迫っていた。

 

「チィッ‼」

 

一誠はすぐに駆け出し、彼女達と怪人の間に入るとすぐさま蹴りを繰り出す。

 

「…ッ!?」

 

しかし先ほどまでの黒タイツ達と違い、その攻撃は左腕で受け止められ、続けて右腕の爪が振るわれたので相手の腕を足場に跳んで下がる。

 

「へぇ……テメェは他の雑魚とは違うみてぇだな。」

 

『………………………………』

 

「だんまりか…」

 

どう攻め込もうか考えていた一誠だが、ふと足の裏に感じた地面の感触に視線を少し向けると靴の底が消えていて、その周りに灰が落ちていた。

 

(こりゃ生身の戦闘はキツいか…)

 

このままでは体までこうなると判断し、一誠はゲーマドライバーを腰に装着する。

 

「曜ッ‼‼コイツら連れてさっさと逃げろッ‼コイツは俺が引き受ける…‼」

 

「わ、わかっ……ってルビィちゃんに花丸ちゃんに善子ちゃんッ!?」

 

「ヨハネよッ‼‼」

 

三人に駆け寄る曜達だったが、その三人が後輩であるルビィに花丸、善子とそっくりだったのだ。

 

「曜ちゃん!?それに果南ちゃんに鞠莉ちゃんもッ!?」

 

「曜は確か千歌達と今後の計画を練ってたんじゃなかったのッ!?」

 

「果南ちゃんに鞠莉ちゃんもダイヤさんと躍りの確認をしてくるって…!?」

 

「えッ!?え~と……とにかく、それは後で話すから今は逃げようッ‼」

 

三人の手を取り曜と果南はこの場から逃げ、鞠莉は一誠を手助けしようとゲーマドライバーを出すが…

 

「先輩よぉッ‼‼あんたはアイツ等を守ってくれッ‼‼他にも敵がいねぇとは限らねぇからよッ‼‼」

 

「………………OKッ‼任せなさい‼」

 

一誠にそう言われ、彼女も果南達の後を追うように走っていった。

 

「さて、これで何の気がねなくやれるな…」『デュアルガシャット‼』

 

そして怪人の方を向き、ガシャットをドライバーに装填する。

 

「マックス大変身ッ‼」

 

『ガッチャーン‼マザルアップ‼赤き帝王・強化‼白き皇帝・弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバールッ‼』『ガシャコンガントレット‼』

 

レバーを開いてドラゴネスになると、籠手を装着して構える。

 

「さあ、ガチでやろうぜッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ヤアアアアアアアッ‼‼」」」

 

「ハアッ‼‼」

 

「「「「「「イーッ!?」」」」」」

 

「「な、何が何やら…」」

 

「Oh…」

 

一方ヴァーリ達は山の中にある小さな祠の前に落ちていた。そこでこの世界の果南と鞠莉、ダイヤに遭遇してしまう。鞠莉の体から悪魔の、ダイヤからはバグスターの感じがしない事からこの三人がこの世界の人物と判明し、説明しようとした所で謎の黒タイツ集団が襲いかかってきた。変身する暇がなかったのでガシャコンウエポンだけを取り出し、善子は鞠莉から仮想ガシャットを受け取れなかったので、自前の魔力で応戦をしていた。

 

「三人とも、一気に決めるから少し稼いでッ‼‼」

 

善子は三人に指示を出して、詠唱を始める。

 

「「「了解ッ‼」」」

 

ヴァーリ達が攻撃を強める中、善子は足下に魔法陣を展開して高速で詠唱を紡いでいく。すると彼女の周りにピンク色の光球が浮かび始める。その数はどんどん増え、最後には百近くになった。

 

「よしッ‼準備完了ッ‼下がってッ‼‼」

 

その言葉に三人は後方へ跳んで下がる。

 

「【アクセルシューター・コメットシフト】……降り注げッ‼シュートッ‼‼」

 

そして手を振るい、光球を黒タイツ集団へと飛ばす。その数に大多数の黒タイツ達が倒されるが、7割は回避される……

 

「ククク……我が力から逃げようなど…笑止ッ‼‼」

 

どこか中二感漂う言葉と同時に更に手を振るうと、光球の動きが変わり相手を追尾して撃ち抜いていく。普通、この量の魔力弾を操作しようものなら、並みの魔導師だと脳が処理しきれず焼き切れてしまうが、善子はヴァーリ達との特訓と、魔力で神経を補強する事でこれを可能にしていた。

 

「この程度の魔力操作など…我には朝飯前よッ‼‼」

 

そして数秒で黒タイツ集団は全滅した。

 

「さすがよっちゃんね。」

 

「うんうんッ‼本当にスゴいよ~‼」

 

「ナーハハハハハッ‼‼もっと褒めなさいッ‼‼」

 

善子を誉める千歌と梨子だが、転生者であるヴァーリは相手がどういう存在か知っている為、この遭遇に困惑していた。

 

(よく知っている敵だったから躊躇なく倒したが……まさかこの世界には()()()()がいるというのか…‼)

 

「ちょっとヴァーリッ‼何考え込んでるのよ?」

 

「ん?ああ、すまないな。助かったよ。」

 

いつの間にか考えに集中してしまっていたのを、善子の声で呼び戻される。そのまま、さっきの手柄を誉める為に頭を撫でた。

 

「な…‼なな…‼」

 

「どうした?顔が赤いぞ?」

 

「な…何でもないわよッ‼‼このバカッ‼‼」

 

「すまない、撫でられるのは嫌だったか。」

 

「いや、そうじゃなくて…!?いいからもう少し撫でなさいよッ‼‼」

 

「どっちだよ…」

 

とりあえず善子の頭を撫でつつ、この世界の果南達に説明しようと思ったヴァーリだったが、突如感じた殺気に善子を抱えて一気に飛び退くと、そこに赤と緑の2体の怪人が剣と杖を振り下ろしながら現れた。

 

「な、何事ッ!?」

 

「あの2体は…‼‼」

 

善子は突然の事にパニクるが、ヴァーリはその相手に見覚えがあり、さすがに彼女達をここに残して戦うのは無理だと確信した。なので……

 

「善子、皆を連れて逃げろ。コイツらは俺が抑えておくから…」

 

「ちょッ!?アンタはどうするのよッ!?」

 

「いいからこれを持って行けッ‼‼」

 

彼女の手にデュアルβと新しいガシャット2つを持たせたヴァーリは、彼女を千歌達の方へと投げた。

 

「さっさと行けッ‼‼俺も後から追いかけるッ‼‼」

 

そう叫ぶヴァーリに心配そうな視線を向けつつ、彼女達はその場から走り去った。

 

「さて……お前達なら、これのテストにはもってこいだな。」

 

そう言って彼は新しく作った白いガシャットギアデュアルを取り出す。

 

「術式……レベル100(ハンドレッド)。」

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと…‼何が…‼どうなってるのよ…‼」

 

山を下りつつ逃げる梨子達は、この世界の果南の言葉に同意したかった。

 

(私達も旅行気分で来たのに……何でこんな目に会うのよ~ッ‼‼)

 

「所で…‼逃げる場所…‼あるの…!?」

 

山を下るも梨子にはこの町の地理は全く知らない。隠れる場所があるかなど検討もつかない状況で頼りになるのは、この世界の人物である彼女達に頼るしかない。

 

「それなら…‼彼処しか…‼ありませんわ…‼」

 

そう言うダイヤが見る先に視線を向けると、1つの建物が見える。外観からしておそらく学校の校舎と思われる。

 

「彼処は…!?」

 

「私達の通う学校…‼【私立浦の星女学院】だよ…‼」




いかがでしたか?

はい、答えはラブライブ!サンシャイン!!の原作でした~♪ただし、謎の敵?に襲われている真っ最中ですけど……

次回【そのENEMYの名は…】

「僕は通りすがりの怪盗さ、覚えておきたまえ。」

では、次回でお会いしましょう。


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そのENEMYの名は

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアXDのセレナ限定解除逃しました………石1000個も使ったのに………

その上次は推しキャラ2位の調がメインの話なのに、石がほぼ無くて当てられる可能性がががが…‼

それではどうぞ……


この世界のダイヤ達の後に付いて行き、梨子達が辿り着いたのは学校だった。校門には【私立浦の星女学院】と書かれている。

 

「ここなら多少時間が稼げる筈…‼」

 

「あッ!?お姉ちゃんッ‼‼」

 

学校の敷地に入ると、奥からルビィが出てきてダイヤに抱き着いた。

 

「よかった…‼お姉ちゃんが無事で…‼」

 

「心配掛けましたわね…大丈夫?どこも怪我してませんの?」

 

「ルビィは平気ッ‼知らない男の人と曜ちゃんに果南ちゃん、鞠莉ちゃんが守……って………………るびぃッ!?」

 

ルビィはダイヤに現状を答えつつも、視線が彼女の後ろにいる3人に向くと、顔を青くし驚きの声をあげた。

 

「ど、どうしましたのッ!?」

 

「あ…あ…あわわわわわわわわわわわッ!?!?!?善子ちゃんに果南ちゃんに鞠莉ちゃんがもう一人いるびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?!?!?」

 

「ヨハネよッ‼‼」

 

驚き叫ぶルビィに善子はお決まりのツッコミを入れる。そしてその反応でこの世界の自分とこちらの果南と鞠莉がいる事も理解した。

 

「落ち着きなさいッ‼‼…とりあえず皆さんがいる場所に案内してちょうだい。そこで説明するそうですから。」

 

「う…うん…」

 

ルビィの案内で校内を進み、とある一室まで来るとそこから人の気配がした。そして彼女が扉を開けると中には果南と曜と鞠莉、それとこの世界の花丸と善子がいた。

 

「あッ!?千歌ちゃんに梨子ちゃんッ‼‼善子ちゃんもッ‼‼」

 

「「だからヨハネだってばッ‼‼」」

 

ステレオで聞こえてくるツッコミ……この二人、こんな時でも決してブレない。

 

「ちょっと待って曜ちゃん……あの二人が私達の知ってる二人か確かめないと。鞠莉なら分かる?」

 

「Of course!!あの二人は私達と同じ世界よ。」

 

「そっか…三人とも無事で良かったよ。」

 

果南の質問に鞠莉は三人から感じた悪魔の気配で特定し、自分達と同じ世界と知った果南はようやく合流できた事を喜べた。

 

「後はこっちはダイヤに花丸ちゃんにルビィちゃん、美歌ちゃんにパラド君にヴァーリ君か…」

 

「あれ、兵藤君は?確か一緒に飛ばされてたよね?」

 

「強そうな怪物が現れて、私達を守る為にソイツと戦ってるの…」

 

「そっちもッ!?こっちもヴァーリ君が怪物2体を相手に…」

 

「そっか……一体、この町に何が起こってるの?」

 

互いに残って戦う事にした男達の事を心配していたら……

 

-ドスゥンッ‼-

 

校庭の方から何か重いものが地面に落ちた様な振動が伝わってきた。

 

「な、何事ッ!?」

 

「外から…‼」

 

危険を感じたライダー側の梨子達と後を付いて全員が外へと走る。そして校庭に出るとそこには5メートル程の青い体に赤い鶏冠、背中に羽がある怪獣みたいなのがいた。

 

「な、なにッ!?あの生き物ッ!?」

 

「あれって……べリアルモンスターに出てくる…」

 

「御苦労様ですわ、【リドリアス】。」

 

「ピュイッ‼」

 

その背中からジュエルが跳び降りてきて、屈んだリドリアスの頭を撫で、背中からルビィと花丸、この世界の千歌と梨子と曜が降りてきた。

 

「あ~…驚き過ぎて頭がパニックだよ~…」

 

「ホント…」

 

「一体何がどう…な……って…」

 

今までの疲れと安心感から気が抜けていた三人だったが、目の前に自分のそっくりさんがいるのを理解した瞬間…

 

「「「も、もう…「「ルビィがもう一人いるびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?」」みぎゃあッ!?」」」

 

叫ぼうとしたが、それよりも大きいルビィ達の叫び声で掻き消されてしまった。

 

「……大丈夫?」

 

「「「み……耳が…‼」」」

 

「ミミガー?」

 

「千歌ちゃん、今そういうボケはいらないから…」

 

千歌の下らないボケに梨子はツッコむ。しかし、この世界の彼女達がもう一人の自分を見て驚くのも無理はないが……

 

「ところで、そちらの悪役みたいな人は誰ですの…‼」

 

ジュエルを睨みつつ、この世界のダイヤは梨子達にそう聞いてくる。確かに今のジュエルはXー0……悪役に見えてしまうのも頷ける。

 

「なら、姿をお見せしましょう…」

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

変身を解くためレバーを閉じガシャットを抜く。そこから出てきた人物にこの世界のメンバーは再び驚く事になる。

 

「「「「「「えええええぇぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?だ、ダイヤさんんんんんんんんんんんんッ!?!?!?」」」」」」

 

「そこまで驚く事でしょうか…?」

 

「普通は驚くよ…」

 

ダイヤの言葉に果南が呆れながら答える。しかし、これで戦えないメンバーは揃ったので一先ず安心と思っていたら…

 

「ほお…こんな所にまだ人がおったとわな…」

 

突如、年老いた男性の声が聞こえたのでそちらに視線を向けると白いタキシードにマントを羽織った老人と鞭を持ちツタンカーメンを連想させるような被り物をした男、そしてたくさんの黒タイツ達と数体の怪人がいた。

 

「あなた達は…?」

 

「我々は悪の組織【スーパーショッカー】、この世界を支配する存在だ。そして私は【地獄大使】、隣は【死神博士】だ。」

 

「スーパーショッカー…?」

 

「貴様らに1つ聞く。この男を知らないか?」

 

死神博士は彼女達に1枚の顔写真を見せてくるが、全員が見覚えがなかった。

 

「いえ…知りませんが。」

 

「そうか…ならば貴様らには死んでもらおうッ‼」

 

そう言って地獄大使は鞭で地面を叩くと、それを合図に黒タイツ集団…【ショッカー戦闘員】と数体の怪人が彼女達に襲い掛かってきた。

 

「く…!?あなた達は下がってッ‼鞠莉さん、よっちゃん、千歌ちゃん、ダイヤさんッ‼‼」

 

梨子は戦えないメンバーを下げさせ、戦えるメンバーで変身しようとゲーマドライバーを取り出したら…

 

ーバンバンバンバンッ‼‼ー

 

「「「「「「「イーッ!?」」」」」」」

 

何処からか放たれた銃弾が、戦闘員達を撃ち抜いていった。

 

「今の攻撃は…!?」

 

「あッ!?彼処ッ‼」

 

視線を巡らせていた千歌が指差す場所………校舎の屋上に銃を構え、アタッシュケースを持った一人の男がいた。更にその顔は先ほど見せられた顔にそっくりであった。

 

「やれやれ……君達もしつこいな…」

 

「見つけたぞッ‼この盗人めがッ‼‼」

 

「失礼だね……僕は君達が奪ったものを更に奪っただけさ。」

 

男はそう言って屋上から飛び降り、見事に着地する。

 

「おまけに見境がないのもそのままか………あまりに古臭くて怒りも沸いてこないね。」

 

「偉そうに…‼お前達ッ‼先ずはあの盗人を殺せッ‼」

 

「「「「「「「イーッ‼」」」」」」」

 

死神博士の指示で梨子達に向かっていた戦闘員達は全員、男へと向かっていく。だが男は慌てる素振りも見せず、手に持つ銃…【ディエンドライバー】で確実に撃ち抜いていく。

 

「スゴい………」

 

梨子はその射撃技術に見入ってしまう。的確に相手の急所を撃ち抜くその姿は、梨子が目指す姿そのものだったからだ。

 

「この程度で僕を倒そうだなんて、嘗めないでほしいね。」

 

「貴方は………一体…」

 

この世界の千歌の呟きに男は銃を顔の右側に構え、左手に1枚のカードを相手に見せつける様に持つ。そのカードには青い複眼にバーコードの様な模様が入った顔の戦士が描かれている。

 

「僕は通りすがりの怪盗さ、覚えておきたまえ。」

 

そしてそのカードをディエンドライバーに装填し、伸長させて読み込ませる。

 

『KAMEN RIDE‼』

 

そして銃口を上へと向け…

 

「変身ッ‼」

 

そう叫んで引き金を引いた。

 

『DI-END!!』

 

すると頭上にライダーを示すマークが浮かび、男の周りを赤、青、緑の人型の光が縦横無尽に動き回る。その光が男を中心に1つに重なるとその体を黒い鎧が包んでいく。そして上のライダーマークが数枚の板へと変わり男の顔に刺さっていくと鎧にシアン色が加わって【仮面ライダーディエンド】へと変わる。

 

「まさか………仮面ライダー…‼」

 

「先ずは挨拶からかな?」

 

男は左腰のカードケースから1枚のカードを抜き、それを銃に装填し、伸長させる。

 

『ATTACK RIDE!! BLAST!!』

 

そして銃口から無数の弾丸が不規則な動きで放たれ、戦闘員達を次々に撃破していく。

 

「諦めたまえ、彼らでは僕には勝てないよ。」

 

「くうぅぅぅ…‼ならば怪人達よ、行けッ‼‼」

 

死神博士の言葉に引き連れていた十数体の怪人達がディエンドへと向かう。

 

「マズイッ!?あの数を一人じゃ…‼」

 

「問題ないさ。」

 

慌てる善子にディエンドは変わらず飄々に答え、ケースから2枚のカードを引く。そこにはディエンドとは別のライダーが描かれている。

 

「来たまえ、僕の兵隊達。」

 

『KAMEN RIDE!! RIO TROOPERS!!』

 

『KAMEN RIDE!! KUROKAGE TROOPERS!!』

 

それを装填し引き金を引くと変身の時に出てきた光と共に銅色のライダー5体と黒く槍を持ったライダーを5体の計10体を呼び出した。

 

「Wow‼ライダーを呼び出したわッ!?」

 

そのライダー達が怪人達と戦闘を始めると、ディエンドはこの世界の千歌の元に行きアタッシュケースを手渡した。

 

「えッ!?こ、これは?」

 

「ちょっと預かっておいてくれないか?すぐに片すからね。」

 

「あ………はい…」

 

千歌が受けとるのを確認してから、ディエンドは戦場へと戻る。既にトルーパー達は半分が撃破されている。

 

「やはり彼らじゃ荷が重かったか…」

 

そう呟き今度は3枚のカードを装填する。

 

『KAMEN RIDE!! CHASER!!』

 

『KAMEN RIDE!! NECROM!!』

 

『KAMEN RIDE!! GREASE!!』

 

「行きたまえッ‼」

 

引き金を引き、今度は体が紫に顔がアシンメトリーなライダー【仮面ライダーチェイサー】と白と緑に黒いパーカーを羽織った1つ目のライダー【仮面ライダーネクロム】、そして金色にクリアブラックな鎧を纏ったライダー【仮面ライダーグリス】が出てくる。

 

「俺は人間を守る…‼」

 

「心の叫びを聞け‼」

 

「心火を燃やしてぶっ潰す‼」

 

「では、行くとしよう‼」

 

呼び出したライダー達と戦場へと駆けるディエンド。それを見ていた梨子達も数を補う為にヴァーリから預かったガシャットを起動させる。

 

「第五拾戦術‼」『BANG BANG SIMULATIONS!!』

 

「GEAR FIFTY!!」『HIGH SPEED HIGHWAY!!』

 

「禁術レベル50‼」『WITCH CREATE!!』

 

「0カラット‼」『ジュエリートレジャー‼』

 

「マックス大…‼」『マキシマムマイティエーックス‼』

 

「「「「「変身ッ‼」」」」」

 

『『『『『(デュアル/マキシマム)ガシャット‼ガッチャーン‼(デュアルアップ/レベルマァァァックス‼/レベルアップ‼)』』』』』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

『ダッシュ‼ダッシュ‼ダッシュ‼エ~ンジンを全開‼ブッ千切れ‼ハイスピード・ハイウェーイ‼』

 

『マジシャンガール‼夢をプレゼント‼願いよ届け‼ウィッチ・クリエイト‼』

 

『探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼』

 

『マキシマームパワー‼エーックス‼』

 

変身が完了したら、各々武器を手に持ち戦闘に加わっていった。




いかがでしたか?

海東が盗んだ物は何でしょうね?

次はあの二人が戻ってきます。

次回【Parallel worldの激戦】

「この町の運命は……私が変えるッ‼」

では次回でお会いしましょう。


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Parallel worldの激戦

どうも、疾風の警備員です。

戦闘はサクッと終わらせようと思ったら、戦闘方法が次々に浮かんで最初に予定していた所まで書けないと判断して戦闘だけの回になりました。なので前回の次回予告も変えてあります。

幾つかオリ設定もありますので、ご了承ください。

では、どうぞ。


襲いかかるスーパーショッカーの怪人達に立ち向かう梨子達とディエンドと召喚されたライダー達。先ず先に飛び出したのはグリスとネクロム。

 

「オラァッ‼」「フッ‼」

 

向かってきた怪人【センチピードオルフェノク】と【モールイマジン】の2体を容赦なく殴り飛ばす。

 

次に向かってきた【アームズドーパント】と【オリオンゾディアーツ】が剣を持ち振るってくるも…

 

「フンッ‼」「ヤアッ‼」

 

チェイサーとレーザーがそれを戦斧と鎌で受け止め弾き、切り裂いて後退させる。

 

「そこッ‼」『ズキュ・キュ・キューン‼』

 

下がって一纏めになった怪人達にエグゼイドがガンモードにしたキースラッシャーで追撃を行い、吹き飛ばす。

 

だが、迫ってくる怪人達の中には飛行能力を持つ者もいて、【イーグルアンデッド】に【プテラヤミー】と【飛行機眼魔パーフェクト】が羽手裏剣や光弾で襲撃し、ライダー達はかわそうとするも弾幕が激しく全てを避ける事は出来ない。そこに大量の【レイドラグーン】までやって来る。

 

「だったらッ‼」

 

「撃ち落とすッ‼」

 

「落ちたまえッ‼」

 

それを助ける為にスナイプとディエンドが銃撃を、ヨハネが魔力弾を飛ばして攻撃を阻止する。

 

「「「「「「「イーッ‼‼」」」」」」」

 

「しつこいですわよッ‼」

 

梨子達が怪人を相手している間もショッカー戦闘員達は非戦闘組を狙ってくるので、ジュエルはその対処の為に剣と銃で対抗していた。幸い戦闘員達の力量はそこまで高くないのか、彼女一人で抑えきれている。

 

「ですが………さすがに数が多いですわね…‼」

 

だが、戦闘員達の最大の利点はその数である。力量差があってもそれを数でゴリ押してくるやり方にジュエルは苦戦を強いられる。そして隙をつかれ5人の戦闘員が彼女を抜いた。

 

「しま…‼」

 

すぐに対処しようとするも、それをさせない様に次々に戦闘員が襲い掛かってくるので彼女は動けない。そこで果南が近くにあった棒で立ち向かおうとしたら………

 

「あらよっとッ‼‼‼」

 

「イーッ!?」

 

一人の男が割り込み、戦闘員を蹴り飛ばした。その男…一誠は服が少しボロボロだが目立った傷は見当たらない。

 

「一誠ッ!?」

 

「おいおい、何だこの状況?こりゃまだまだ心の火が消えそうにねぇなッ‼‼‼」

 

そう言って不適に笑い、戦闘員を次々と殴り倒していく………もちろん生身で。

 

「あちらは兵藤さんにお任せしましょう…私はコイツらを…‼」

 

ジュエルは非戦闘組の護衛を彼に任せる事にして、ホルダーからべリアルモンスターとは別の金と白のガシャットを取り出す。

 

「今回はこちらでいきましょうか…Xー0カラット‼」『イマージュ・ミラージュ‼』

 

それをドライバーの片方に挿し、レバーを開く。

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼』

 

『探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼輝く君は美しい‼ Ah〜‼ 鏡幻想‼ イマージュ・ミラージュ‼︎』

 

そしてゲートを潜り抜けると、頭部の髪パーツは黒のまま全身の装甲部が白に変わり、所々に古代西洋の神官を思わせる装飾品が付いた姿【仮面ライダージュエル・ミラージュトレジャーゲーマー】へと変わった。更に背後にあったスタート画面からは姿見の鏡が大量に現れる。

 

「あの姿は…‼」

 

「始めて見るね…」

 

「「「「「「イーッ‼」」」」」」

 

その変化にショッカー戦闘員達も一瞬怯むも、すぐに襲いかかる。

 

「では………参りましょうか。」

 

その場から戦闘員達へと向かって跳躍すると、今まで以上の速さで近づき目の前の1体に蹴りを喰らわせる。そのまま集団の中に飛び込み回し蹴りで一掃した。

 

「さあ、私の輝きで魅了してあげますわ…‼」

 

そして怪人との戦闘は終わりに近づいていた。

 

「最大ッ‼無限ッ‼‼極致ッ‼‼‼」

 

グリスは左手の武器【ツインブレイカー】にロボットが描かれた手の平サイズのボトル【ロボットフルボトル】と、バックルにあるゼリー飲料の容器に似たアイテム【ロボットスクラッシュゼリー】を装填する。

 

『ツイン‼』

 

「これが俺の力だぁッ‼‼」

 

『ツインフィニッシュ‼』

 

そこから放たれたビームがセンチピードオルフェノクを貫き爆散し、それを見届けたグリスはその場から消えた。

 

次にネクロムは左腕のブレス【メガウルオウダー】を起こし、横のボタンを押し込む。

 

『DESTROY!! DAITENGAN!! NECROM!! OMEGA ULOAD!!』

 

背後に描かれる幾何学的な眼の紋様から右足にエネルギーが流れていき繰り出した飛び蹴りがモールイマジンを貫いた。

 

「後は頑張るといい。」

 

そう言ってネクロムも消える。

 

チェイサーは自身の戦斧【シンゴウアックス】にベルトのバイク型ミニカー【シグナルチェイサー】をセットする。そして持ち手付近にある赤いボタンを押すと刃の所にある信号機の赤い停止信号が光り始める。

 

『シグナルバイク‼マッテローヨ‼』

 

「Wow!!本当に信号機なのネ‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

レーザーはその武器のセンスの爆発加減に興味深々な視線を向けつつ、自身のバックルのレバーを閉じて必殺技の準備に入る。

 

『イッテイーヨ‼』

 

『ガッチャーン‼ HIGH SPEED!! CRITICAL SONIC!!』

 

そして同時に必殺技を発動し斬撃を飛ばす。チェイサーの攻撃を受けたオリオンゾディアーツは爆散したが、レーザーの攻撃をアームズドーパントは自身の腕を盾にして防いだが想像以上のダメージを受けたのか後退していった。

 

「Shit!!逃げられちゃったわ…‼」

 

悔しがるレーザーだが、空から迫るレイドラグーンに対処するためにガシャコンスパローを弓モードに変えて攻撃を始める。

 

「よっちゃんッ‼殲滅するよッ‼」

 

「分かったわッ‼」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

二人はレバーを閉じると、すぐに開いた。

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

『ガッチャーン‼ WITCH!! CRITICAL STREAM!!』

 

同時に必殺技を発動したスナイプとヨハネは強力な弾幕で、レイドラグーンを群れを半数以上を倒した。

 

「ええい、仮面ライダー共め…‼」

 

「これ以上はやらせないよッ‼」

 

そんな中、エグゼイドは戦列から一歩前に出ると右手に金色のガシャットを握りしめる。それはヴァーリが新しく開発したガシャットで、タイトルに描かれたマイティ君からエグゼイド用と判断されてヨハネから彼女に渡された物だ。

 

「この町の運命は…私が変えるッ‼」

 

『ハイパームテキ‼』

 

背後に金色になり髪が伸びたマイティ君が映るスタート画面が表示されるも、それには所々にノイズが混ざっていた。そしてそのガシャットをマキシマムマイティXの横に取り付ける。

 

『ドッキーング………(バチバチ‼)ガシューン』

 

だが、少し火花を散らしたら接続が外れ空高く飛んでいった。

 

「えッ!?なんでッ!?」

 

その事実にエグゼイドが驚いていたら、地獄大使が鞭を巧みに操ってガシャットを奪い取った。

 

「ああッ!?」

 

「ほう………これは面白そうな物だな。死神博士。」

 

「うむ、解析してみよう。」

 

「ちょっとッ‼それ返してッ‼」

 

「それは断る。出でよ、【レギオン】‼【ガメル】‼」

 

ガシャットを死神博士に預け、地獄大使は新たな怪人を呼び出す。片方はモノアイに刺々しい体で薙刀を持ったファントム【レギオン】とマッシブな体に堅牢な装甲を纏ったグリード【ガメル】だ。

 

「では、この新作を試すとしよう。」

 

そこに死神博士が真っ黒なガシャットを二つ取り出し、レギオンとガメルの体に挿したら二体が少し苦しんだ後、体が真っ黒に染まり瞳が紫色に輝く。

 

「今のガシャットは一体…」

 

プロトガシャットに似ていたが、何故か悪寒を感じるスナイプ………その時、レギオンがエグゼイドに一瞬で近づき薙刀で切り裂いた。

 

「キャアアアアアアアッ‼‼」

 

「千歌ちゃんッ!?」

 

その一撃で変身が解除され、倒れる千歌。レギオンはそのまま薙刀を突き刺そうと構える。

 

「ッ‼やらせないッ‼」

 

それを阻止する為に砲撃を行うスナイプ。だが、その間にガメルが立ち塞がりその身で攻撃を受け止めるが、ダメージは一切なかった。そして地面を思いきり踏みつけるとその揺れが彼女達を襲い、攻撃が出来なくなる。その間にレギオンが薙刀を振り下ろす………

 

『高速化‼』「フンッ‼」

 

その直前、何者かが千歌を抱えレギオンの薙刀を剣で受け止めた。

 

「これ以上はやらせん…‼」

 

それは今までと違い、白い鎧にマントを羽織ったブレイブだった。彼は受け止めていた薙刀を弾き返し、短距離ワープでスナイプ達の下へと跳んでくる。

 

「ヴァーリ君ッ‼」

 

「すまない、千歌を頼む。」

 

「うんッ‼」

 

「ごめんな………さい…ヴァーリ君……のくれた………ガシャット……盗られ……ちゃった…」

 

「気にするな、今から取り返すだけだ。」

 

ブレイブはスナイプに千歌を預け、二体の怪人を睨む。

 

「これより、ファントム並びにグリード及びスーパーショッカーの切除手術を開始する。」

 

「おいおいルシファー…俺も混ぜろよ。マックス大変身。」

 

『マザルアップ‼赤き帝王・強化‼白き皇帝・弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

そこに一誠がドラゴネスとなって加わり、ガメルへと向かった。

 

「では、レギオンは俺が倒そう。」

 

ブレイブは剣を構え直すとレギオンへと向かい剣を振るう。相手は薙刀で受け止めるがブレイブはその瞬間にレギオンの周囲に光の剣を大量に作り、防御手段の無いレギオンはそれをまともに喰らう。ドラゴネスはガメルと殴り合いを行っているが、倍加のお陰で力を上回りガメルの全力の拳を受けるも…

 

「温ぃンだよッ‼‼」

 

それを払い除け、逆に殴り吹き飛ばした。

 

「ヌゥアッ‼」

 

レギオンは火球を飛ばしてくるが、ブレイブはそれを剣で防ぎそのまま炎を吸収し、Bボタンを数度叩いて炎の斬撃を飛ばし、レギオンは薙刀で受けようとするがそれすら切り裂いてダメージを与えた。ドラゴネスはガメルへの容赦ない連続攻撃によってその体に大量のヒビを作っていた。もはや彼の体の強度は他の怪人と大差無いレベルのものとなっているだろう。

 

「さあッ‼‼ケリといこうぜッ‼‼‼」

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼』

 

トドメを刺すべくドラゴネスはベルトのレバーを閉じて、右手にエネルギーを集束させていく。

 

『ガッチャーン‼ SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「ヌゥゥゥゥゥゥンッ‼‼‼」

 

「シャオラアアアアァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

それを見たガメルは駆け出して全力の拳を振るう。しかし、既にドラゴネスに力を上回れている以上ガメルに勝ち目は無く、レバーを開いたドラゴネスの必殺の右ストレートとクロスカウンターになり、ドラゴネスは首を傾けてかわし、ガメルは顔面に受けて爆散した。

 

ブレイブとレギオンの方も決着が近く、既に満身創痍になっているレギオンを睨みつつ、ブレイブはベルトのレバーを閉じる。

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

今までのブレイブ達やドラゴネスとも違う音声の後、剣に膨大なエネルギーを貯めていく。

 

「俺に斬れないものはない…‼」

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そしてレバーを開いて剣を一閃、レギオンを袈裟斬りして爆散させた。

 

「地獄大使達は………逃げられたか…」

 

変身を解除し周囲を見渡すヴァーリだが、いつの間にか地獄大使や死神博士達スーパーショッカーのメンバーはいなくなっていた。

 

「まあいい、次に会った時は必ず倒すだけだな。」

 

そう心に決め、千歌の容態を見に行こうとしたが、足下に落ちている黒いガシャットを見つけ拾い上げる。それは先程死神博士がレギオン達に使ったガシャットだった。

 

「【暴走サーキット】?………まさか、スーパーショッカーの奴等…俺の許可無しにガシャット作りやがったな…‼」

 

それに何時もの怒りを露にしながらも、貴重な研究サンプルとしてそれとガメルが倒れた場所にあったもう1つを懐にしまった。

 

「さて………この後の説明は骨が折れるな…」

 

そしてこの世界の千歌達に今回の事やこちらの千歌達の事を説明しないといけない事に、彼が頭を悩ませるのは避けられない事だった。




いかがでしたか?

千歌がハイパームテキを使えなかった理由は次回で明かします。

そして、海東が盗んだ物もお披露目です。予想出来る人いるかな?

次回【それぞれのHistory】

「でもその普通が………私は羨ましいよ…」

では次回でお会いしましょう。


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それぞれのHistory

どうも、疾風の警備員です。

この先、原作組とこちらのキャラを分けるために、原作組には(原)と付ける事にします。

日常的な話になると、中々ネタが浮かばなくて…うああああああああああッ‼‼(頭を抱える太陽の子風に)としながら、何とか書きました。

所々雑になってるかもしれませんが、ご容赦ください。

ソレジャドウッゾ(何処かのクソアニメ風)


スーパーショッカーが撤退した後、ヴァーリ達は千歌達(原)に連れられて、再び彼女達が使っている部室に集まったのだが………

 

「さすがに手狭ですわね…」

 

「まあ、元々9人で限界みたいなものだったしね?」

 

元が物置みたいな部屋だったので、更に12人増えた事で完全に満杯になっていた。

 

「これは……生徒会室に移動した方が宜しいでしょうね。」

 

ダイヤ(原)の提案で生徒会室に移動する事にした。

 

「じゃあその前に…」

 

そこで果南が持ってきていた一誠の鞄を彼に投げ渡した。

 

「ん?」

 

「一誠はここで着替えてから来ること。何時までもその格好でいないの。」

 

確かに彼の服は先のドラゴンオルフェノクとの戦闘の影響でボロボロだった。出来た穴からは喧嘩による賜物なのか、がっちりとした筋肉が見え隠れしていて果南も顔を少し赤らめて見ないようにしていたが、チラチラと視線がそこに行ってしまっていた。因みに曜とルビィと花丸も同じ状況……

 

「お~ッ‼番長先輩、スゴい筋肉ズラ…‼」

 

訂正……花丸だけがマシマジと見ていた…

 

「見てんじゃねぇよ…ハァ…」

 

面倒そうにため息を吐きながら、一誠は部屋の中へと戻っていく。

 

(ふぅ~……さすがにあれは目の毒だって…‼)

 

早鐘を打つ心臓を落ち着かせようとする果南だったが…

 

「何を顔を赤くしてるんですの?」

 

「へあッ!?な、何でも無いってッ!?何でも!?」

 

そこでダイヤに話し掛けられ、驚いたのと慌てて否定をしようとした為に再び一誠の体を思い出してしまい、更に顔を赤くする羽目になった。

 

「まあ何を考えているのかは解りますけど…「なら聞かないでよッ‼‼」そんな事より現状を何とかしますわよ。」

 

「うう…解ってるって…‼」

 

そして生徒会室に移動したら、ヴァーリは背負っていた千歌をソファーに座らせた。

 

「善子、治療を頼む。」

 

「「ヨハネだってばッ‼‼」そっちは任せといて。」

 

善子と善子(原)のステレオツッコミの後、魔法陣を展開して治療を始める善子に、魔法の存在を知らないのか千歌達(原)が驚いた表情をする。

 

「ウッソォッ!?魔法って実在したのッ!?」

 

「善子ちゃん、煩いズラ。」

 

「「ヨハネだって言ってんでしょうがッ‼‼」」

 

二人のツッコミを流す花丸(原)に笑いを堪えつつ、ヴァーリは近くのテーブルに持ってきたパソコンとガシャット様の端末を置き、それに先程手に入れた死神博士作のガシャットを挿して、解析を始める。

 

「うわッ!?タイピング速ッ‼」

 

「手元が………見えない…」

 

その姿に梨子(原)と曜(原)は驚く。そして始めて1分程で終わったが、ヴァーリの表情は険しいものだった。

 

「全く………【使用者の理性を奪い、体のリミッターを強制的に外して暴走させる】など………不愉快極まりない代物だな…‼」

 

端末から暴走サーキットを抜き取り、そのまま握り潰そうとしたが今後の研究の為にそれは踏み止まった。

 

「オホン…さて、先ずは貴方達が何者なのか聞かせてもらっても?私達にそっくりな理由も含めて。」

 

ダイヤ(原)を中心として千歌達(原)も頷く。やはり、もう一人の自分という存在はどうしても気になるものである。

 

「俺としては………先ずそこにいる泥棒の話を聞きたいんですが…?」

 

だがヴァーリにはそれ以上に気になる存在がいた。海東大樹だ。

 

「僕は世界を巡ってお宝を探す怪盗さ。さっきも言ったけど覚えておきたまえ。」

 

「いや知ってる。というか、会えるとは思わなかったが…」

 

「それで、スーパーショッカーから何か盗んだんですか?」

 

そう言う海東を梨子が睨みながら問う。もしかしたらこの世界に彼等がいるのはこの泥棒のせいではないかと…

 

「失礼だな…僕は今回、他のライダーがポカをやって盗まれた物を更に盗んだだけさ。」

 

彼は千歌(原)に預けていたアタッシュケースを机に置いて開くと、中には水色で中央に何かを填める窪みがあり、左側にはレンチを模したレバーがあるバックルの様なものとギアが3つあり隣にハンドルが付いていて何かを2つ入れるような窪みのあるバックル。他にはドラゴンの模様が描かれたゼリー飲料に同じく龍の顔があるボトル、それとメカニカルな龍といった物が【()()()()】入っていた。

 

「これは?」

 

「【スクラッシュドライバー】と【ビルドドライバー】に【ドラゴンスクラッシュゼリー】、【ドラゴンフルボトル】と【クローズ・ドラゴン】………右が盗まれた物で左はスーパーショッカーによって複製された物だ。後ボトルとそれに必要な成分の設計図まであるよ。」

 

「このライダーシステムは…‼」

 

「これは君達が使っているライダーシステムとは全くの別物さ。」

 

そのアイテムに驚きながらも、ある事を思い出す。彼とは腐れ縁的な男達の存在を…

 

「そういえば【ディケイド達】も来ているのか?」

 

全てを破壊し全てを繋げる男の事を聞くと、彼は笑みを浮かべ…

 

「いや、【(つかさ)】はこっちには来てないよ。」

 

そう告げるのだった。

 

「君は士のファンみたいだけど、残念だったね♪」

 

「うぐ…」

 

ヴァーリは今回の異世界旅行で密かに楽しみにしていた事がある。それは本当の仮面ライダーの人達に会う事だ。特にディケイドは色んな世界を旅しているので会える可能性がかなり低く、今回海東がいるのでもしかしたらと思っていたが夢叶わず落胆した。

 

「ではそろそろ、貴方達の事を聞かせてもらっても?」

 

ダイヤ(原)が話を戻すと同時に一誠が部屋に入ってきたので、丁度良いと思いヴァーリも話し始めた。

 

「ええ、信じれるかは分かりませんけど俺達はこことは違う世界から来たんです。」

 

「それって、異世界って事ッ!?」

 

その内容に食い付く善子(原)。

 

「ああ、それは今こちらの善子が使っている魔法を見れば一目瞭然だと思うが。」

 

「確かに…」

 

「「もうツッコムのも疲れてきた…」」

 

ダブル善子の諦めのため息を聞きつつ、彼は話を進めていく。

 

「今回こちらに来たのは単なる旅行だったんです。それが来た途端アイツ等が現れてこちらも応戦していたんです。」

 

「あの時はありがとうございます。」

 

「いえ、当然の事をしただけです。」

 

「千歌の治療、終わったわよ。」

 

そこに善子からの報告で、ヴァーリ眷属達が彼女の元に集まる。

 

「大丈夫、千歌ちゃん?」

 

「うん…」

 

善子の魔法のお陰で顔などに傷はないが、彼女の表情は晴れない………どうやらハイパームテキガシャットを奪われてしまった事をまだ引きずっていると感じたヴァーリは彼女の頭を撫でる。

 

「さっきも言ったが気にするな。次会ったら必ず取り戻してみせるさ。」

 

「ヴァーリ君…………私……どうして、ガシャットが使えなかったのかな?」

 

「ふむ…」

 

それは確かにヴァーリも気になっていた事だった。ハイパームテキガシャットは千歌に合わせて造り上げた物であり、他のライダーでも使用可能だが真の力を発揮できるのは千歌だけだ。それが使えなかった原因を考えていたら、彼はある事を思い出した。

 

(まさか………いや、可能性は充分にある…‼)

 

「千歌、この魔法陣の上に立ってくれ。」

 

彼女の足下に魔法陣を展開し、その上に千歌が立つと魔法陣がゆっくりと上に上がっていき、彼女の体をスキャンしていく。そしてそれから送られてくる情報を読み解く内にヴァーリは先程の考えに確信を持った。

 

「やはり、そういう事か…」

 

「何か解ったの?」

 

「千歌と美歌の繋がりが殆ど絶たれている。」

 

「え………!?」

 

その事実に千歌は絶句する。

 

「ど、どういう事なのッ!?」

 

「安心しろ、全て絶たれた訳じゃない。バグスターと感染者としての繋がりだけだ。もっとも、今はそれが大部分を占めているからこうなったんだろうが…」

 

慌てる千歌を宥めつつ、ヴァーリは理由を語り始める。

 

「この前、異世界から来た俺と戦った事は覚えてるか?あの時、お前はリプログラミングを使ったが【反射】のエナジーアイテムに跳ね返されて、お前に命中した事が今回の原因だ。あの時にお前の中のウイルスもリプログラミングの影響を受け、そのせいで美歌との繋がりが切れ、天才悪魔祓い(エクソシスト)Cの力を失ったんだ。」

 

ヴァーリが思い出したのは仮面ライダーエグゼイドの原作で、そちらでも宝生永夢がハイパームテキを使えない事があった。その原因はパラドをリプログラミングしたせいで、自身の天才ゲーマーMとしての力を失ってしまったからだった。千歌と美歌の関係と状況がこの二人と似ていたのだ。

 

「でもッ‼私はまだ美歌を感じとれて…‼‼」

 

「それもかなり微弱なはずだ。」

 

「…ッ‼」

 

ヴァーリの言っている事は正しく、千歌自身も美歌を感じれてはいるもそれはかなり弱いものだった。

 

「【ハイパームテキ】はお前の………天才悪魔祓い(エクソシスト)Cの力を前提に作った。しかしその力は美歌のもの………だから切り離された今のお前には使えなかったんだ。」

 

「そんな……………じゃあ、使える様になる方法はあるの?」

 

「お前の中に美歌が1度戻ればいい、それで再び繋がれる筈だ。」

 

「そっか………良かった…」

 

ヴァーリの言葉に安堵する千歌。千歌と美歌…元は同じ体を共有し、分離出来るようになってからは本当の姉妹の様にしていたので、完全に戻れない訳じゃないと知ってようやく落ち着けた。そしてヴァーリは再びダイヤ(原)の方を向く。

 

「すみません、話を脱線させてしまいまして…」

 

「いえ、千歌さんが無事だった事は私達も喜ばしい事ですから。」

 

それからヴァーリは自身の世界の事を彼女達に説明した。人間以外にも悪魔や天使・堕天使といった人外の存在がいる事や通っている学校などの事を……それにものすごく反応したのが………

 

「スゴいスゴいッ‼‼本当に堕天使が存在するのねッ‼‼‼」

 

善子(原)だった。

 

「何で堕天使ごときに、そこまではしゃいでるのよ?」

 

「はあッ!?何で同じアタシなのに堕天使の良さが解らないのよッ‼‼」

 

「いや解らないし………今の時代は魔導師でしょッ!?」

 

「そっちが解らないわよッ‼‼」

 

「「どっちもどっちズラ。」」

 

善子と善子(原)の言い合いに花丸ズがツッコむ。確かに同じ存在で同じ中二病患者なのにどうしてこうも違うのか謎だ…

 

そしてあらかた世界についての説明が終わったら、今度は花丸(原)がある事を聞いてきた。

 

「そっちのマル達の家族はどうしてるの?」

 

「ッ‼」

 

それに反応したのは梨子だ。

 

「あ~、その話はちょっと…」

 

ヴァーリは彼女の親の最後を知っているから、その傷に触れさせないように話を止めさせようとした…

 

「私とマリーは親の顔なんて知らないわよ?」

 

だが、それよりも前に善子が話を続けてしまった。

 

「は?それってどういう…」

 

「マリーとヨハネは気づいた時から孤児院にいたからよ。」

 

「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」

 

その事実にこの世界のメンバーが驚きの表情をする。

 

「それで8年くらい前かしら?孤児院の先生達に内緒で院を抜け出して、近くの廃屋でかくれんぼしてたらはぐれ悪魔に出会したの。」

 

「必死に走って逃げて、角に追いやられた時は死ぬかと思ったわ。でも、そこで彼が来てくれたの。」

 

鞠莉はそこでパソコンで作業を始めたヴァーリを見る。

 

「彼と彼のお祖父様がそのはぐれ悪魔をあっさりと倒して、その後に院まで送ってくれたの。その後で先生に物凄く怒られたわ。」

 

「それで次の日にそのお祖父様が院にやって来て、私とマリーを引き取ってくれたのよ。私とマリーの才能を見抜いたみたいでね?それからはまるで本当の親の様に優しくしてくれたわ。」

 

「そうなんだ………じゃあ、私は?志摩姉と美渡姉も元気なの?」

 

千歌(原)は善子達の話で暗くなった雰囲気を取り戻そうと、明るく話そうとしたが…

 

「私も孤児院みたいな所出身だから、血の繋がっている家族は美歌だけだよ。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

千歌(原)はばつの悪そうな顔をして、顔を俯ける。本当は更に危険な研究所の実験で沢山の人を殺しているが、さすがにこれを言うのはまずいと思い、千歌はそこで話を切ることにした。

 

「ほら、そういう話は終わりにして、もう少し楽しい話題にでもしたらどうだ?」

 

ヴァーリはそこで手を叩きながら言う。確かにこんなお通夜状態では、士気は全く上がらないだろう。

 

「そ、そうですわね…‼皆さんは何か部活でも?」

 

それに賛同したダイヤが、無難な質問を彼女達にぶつけた。

 

「私達はスクールアイドルをやってるの‼」

 

「「「「「スクールアイドル?」」」」」

 

その聞きなれない単語に、今度は千歌達が首を傾げた。

 

「なにそれ?」

 

「う~ん………簡単に言えば、ご当地アイドルみたいなものかな…?」

 

「今では全国大会が開かれる程、有名なのですわ。」

 

梨子(原)とダイヤ(原)に話を聞いても、自分達の世界には馴染みが無いためあまりピンときていなかった。

 

「その大会で優勝して………私達の学校を廃校から救うのッ‼‼」

 

「「「「「「おお~…‼」」」」」」

 

元気に意気込む千歌(原)に全員が拍手を送る。そこからは女子トークが始まり、ヴァーリは今の内に死神博士のガシャットを通常運用可能な状態まで持っていこうとパソコンに視線を向ける…

 

「ルシファー、こいつを頼む。」

 

が、一誠が目の前にガシャットを置いたので視線を彼へと向けた。

 

「頼むとは?」

 

「テメェが言ってただろうが………こいつにはリミッターが2つ掛かってるってよ…そいつを外せ。」

 

「………………………」

 

その内容にヴァーリは考え込む。確かに一誠の体ならバグスターウィルスの負担など、完全に無視して使う事が出来る。だが、いきなり大きくなった力を完全に扱いきれるのか不安もあった。なので………

 

「わかった………ただし、1つだけだ。もう1つはそれに慣れてからだ。」

 

「けッ………だったら、即行で俺のものにしてやるよ…‼」

 

「頼もしい限りだな。」

 

ヴァーリはそういうと、彼のガシャットを端末に挿してリミッター解除作業を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「そういえば、そっちの私はあっちの男の子達とはどんな関係なの?」

 

もう一人の私の唐突な質問に私は少し考えた後…

 

「う~ん兵藤君…茶髪の彼が友達みたいな感じで、ヴァーリ君…銀髪の彼が………ご主人様?」

 

「「「「「「「「「えッ!?」」」」」」」」」

 

そう答えたら全員が引いた。なんで?

 

「それって大丈夫なのッ!?無理矢理如何わしい事とかされてないよねッ!?」

 

「え?…あばばばばばばばばばば…‼」

 

そしてもう一人の私に肩を掴まれ、思いっきり揺さぶられる。

 

待ってッ!?それ以上はマズイってッ‼目が回る~‼

 

「ちょっと、落ち着きなよ千歌ちゃんッ!?」

 

「それだと何も喋れないからッ!?」

 

「あ、そっか。」

 

それを梨子ちゃん(原)と曜ちゃん(原)が止めてくれた。

 

「大丈夫、千歌ちゃん?」

 

「ハラホロヒレハレ~…」

 

わはぁ~………景色がグルングルンしてるぅ~…

 

「えっと………千歌ちゃんが話せそうに無いので私が言いますけど、そんな卑猥な関係じゃありませんから。」

 

「ほ………良かった~…」

 

「完全にこっちの千歌ちゃんの早とちりずら。」

 

「うぐ…‼ごめんなさい…」

 

「ああうん…ダイジョブダイジョブ~…」

 

まだ目が回ってるけど、私は手を上げながらそう言った。あ、何か気持ち悪くなってきた…

 

「因みにこちらの曜ちゃんと果南ちゃんは、兵藤君の幼馴染みなんですよ。」

 

「えッ!?だ…大丈夫なの?何か彼、怖そうなんだけど…」

 

「「ああ~…」」

 

二人は向こうの曜ちゃんの言葉に納得するかの様に頷いた。うん、確かに…兵藤君って人殺ししてそうな目付きしてるもんね………

 

「おい高海、テメェ今失礼な事考えやがったろ?」

 

「ううん、全然?」

 

「………………………………………ならいい。」

 

そんなことを思っていたらヴァーリ君と話してた兵藤君が急に私を睨みながら話しかけてきて、咄嗟に知らん顔したら納得したみたいで、再びヴァーリ君と話し始めた。

 

(あ、危なかった~…‼本当に殺されちゃうかと思ったよ…‼)

 

危難が去った事に安堵した私は冷や汗を拭った。まさか兵藤君が読心術を使ってくるなんて思わなかったよ…

 

「イッセー君、昔から勘が良いから…」

 

「下手な隠し事は通じないよ?」

 

「今、身を持って知りました…」

 

今度から気を付けようと思っていたら、鞠莉ちゃん(原)の顔がニヤついているのが見えた。

 

「どうしたんですか?」

 

「いえいえ~♪ただ、あの男の子達にLOVEしちゃってる子はいるのかな~って思って♪」

 

「「「「「「はあッ!?」」」」」」

 

その言葉にこっちのメンバー6人が顔を赤くして反応する。

 

「Wow‼やっぱりいるのね‼」

 

「ちょ…‼こここここんな非常時に、なななにを言ってるのよッ‼!?」

 

「………………そちらの果南さんは分かりやすいですわね…」

 

「そ~なのよ♪こっちの果南はひ「鞠莉、ちょっと黙れ…‼」アダダダダダダッ!?」

 

非常時でもあるため、話題を終わらせようとした果南ちゃんだったけど、鞠莉ちゃんが盛大に暴露しようとしたのでそれをアイアンクローで押さえつけた。

 

ていうか、果南ちゃんって毎回悪魔の鞠莉ちゃんを力ずくで黙らせられるなんて………意外と凄い人なのかな?

 

「別に良いじゃありませんか、果南さんが兵藤さんを好きなのはこちらの皆さんは全員知っているのですから。」

 

「まさかそっちからの暴露ッ!?」

 

しかし、まさかのダイヤさんが代わりに暴露してしまい、顔がトマトみたいに真っ赤になる果南ちゃんだった。

 

「それじゃ、他の子達も白状してもらいましょうか~♪」

 

「「「「「ひぃぃぃぃぃ~ッ!?」」」」」

 

目をギラギラと輝かせ手をワキワキして迫ってくる鞠莉ちゃん(原)に、梨子ちゃんに曜ちゃんにルビィちゃん、花丸ちゃんに善子ちゃんが悲鳴を上げながら逃げ始めた。

 

花丸ちゃんに善子ちゃんも好きな人がいたんだ~、後でこっそり教えて貰おう。

 

「何かいいな………こういう普通なのって…」

 

「え~?私は普通よりも特別な方が良いよ。」

 

私の呟きにもう一人の私がそう言うが、私はそうは思わない。

 

「特別ってね?何も良いことばかりじゃないの。もう取り返しのつかない程の辛い事もある意味特別なの。だからこそこの普通が………私は羨ましい…」

 

特別………その言葉は普通の人から見れば確かに光輝くものかもしれない………でも私みたいなのからすれば、特別は呪いの枷だ。この特別は一生消える事がなく背負っていかなければいけないものだから。

 

(ねぇ美歌………今、何処にいるの?私一人じゃこの枷は重すぎるよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の美歌とパラドはというと…

 

「イィィィィィヤアアァァァァッ‼‼‼何あのでっかい蜘蛛ッ!?どうやったら倒せるのよぉ~ッ‼‼‼」

 

「知るかッ‼‼いいから走れッ‼‼」

 

スーパーショッカーが呼び出した土蜘蛛×3から必死に逃げ回っていた。

 

「ちょっとッ‼‼早く何とかしなさいよッ‼‼」

 

「だったら時間を稼げッ‼‼その間に攻略法を考えてやる‼‼」

 

「イヤよッ!?私、蜘蛛が大っ嫌いなのッ‼‼‼」

 

「さっきいた蜘蛛の怪人は余裕で倒したのにかッ!?」

 

「見た目よッ‼見た目‼アレは蜘蛛らしく無かったからよ‼」

 

「つか、俺達今、何処にいるんだッ‼!?」

 

「知らないわよッ‼‼」

 

どんな攻撃も通じない土蜘蛛に、二人は逃げの1択しかなく、適当に走り回っていたから迷子にもなっていた。

 

「もうッ‼さっきから見えるあの建物に逃げ込むわよッ‼‼」

 

「それしかないかッ‼‼」

 

二人は視界の端に見えていた学校の様な建物を目指す。

 

彼女達の再会はもうすぐだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、スーパーショッカー側では………

 

「死神博士よ、ガシャットの解析はどうだ?」

 

「既に終わって、今は我が最高傑作に組み込んでいる最中だ。それも後数分で終わる。」

 

「そうか、ならば良い。」

 

彼らの前には1体の怪人が立っていて、その体にハイパームテキガシャットが8割程埋め込まれていた。

 

「これと()()()()()()でライダーどもを一網打尽に出来る…‼」

 

「フッフッフッ………では、私は出撃準備をするとしよう。今度こそ、世界を我らスーパーショッカーの手にッ‼‼」

 

そう言って高笑いをする地獄大使。しかし、二人は気づいていなかった………その部屋を覗いている1つの影に…




いかがでしたか?

本当、遅くなってスミマセンでしたッ‼‼

ネタが出なかったり、シンフォギアXDやってたり、シンフォギアの話の投稿とかやってた事が原因です。

さて、次回は第2ラウンド開始です。そこで残り三人のレベル100を御披露目します。

次回【HUNDREDの力】

「電光雷轟…darkを「鞠莉さん、それは会社的にもアウトです‼」え~…」

では、次回でお会いしましょう。


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HUNDREDの力

どうも、疾風の警備員です。

ビルドは新フォームの登場が待ち遠しいですね。ハザードを制御したラビットラビットとタンクタンクフォーム‼どんなバトルをローグとするのか楽しみですよ‼

こちらではようやく残りのレベル100が登場します‼一人完全にネタキャラみたいですけど………

最後に強力な敵が現れます。

では、どうぞ。


女子達が楽しく話し、一誠は壁に寄りかかって精神を集中し海東はディエンドライバーの手入れをしている間、ヴァーリは一誠のガシャットのリミットを1つ外し終えたので、改めて死神博士のガシャットを調整していた。

 

(どうやら暴走するのを無くすのは無理みたいだな………ならば、正気でいられる時間を伸ばせばいけるか?)

 

そうと決めたら早速プログラムの書き換えを始めるヴァーリ…しかしプロテクトが固く、現段階の装備では長くて2分が限界だった。

 

「チッ、死神博士め………次会ったら俺の許可なくガシャットを作った事を、地獄で後悔させてやる…‼」

 

そんなどこかズレた怒りを燃やしつつ、パソコンに新たな画面を立ち上げる。その画面にはエールのデータと共にそれとよく似た姿のライダーのデータが表示されている。二つのデータを見比べてみると、エールに似ている方がエールの数倍のスペックを持っている。

 

(今後の事を考えるとエールの強化プランも急がないとな………俺達の誰かが常に守れる訳でも無くなってきている現状、彼女の安全も確固たるものにしないと…)

 

ヴァーリの考え通り、これからの相手は組織だって動いてくる。その場合、他の助力を得られない可能性が高くなり戦闘能力の低いエールは真っ先に狙われてしまう。

 

だからこそのエール強化プランなのだ。

 

それからしばらくパソコンに向かっていたら………

 

ドゴォンッ‼‼‼

 

「「「「「「「ッ‼‼‼」」」」」」」

 

外で爆音が響いた。

 

「な、なになにッ!?」

 

「まさか…もう来たのかッ!?」

 

窓から爆音が響いた場所…校庭を覗くとそこには大量のショッカー戦闘員に十数体の怪人、そして地獄大使と死神博士がいた。

 

「予想よりも早かったな………こちらも出るぞ‼」

 

「「「「うんッ‼‼」」」」

 

「黒澤先輩は彼女達の護衛をッ‼」

 

「承りましたわ‼」

 

「んじゃ、ひと暴れするかッ‼」

 

ヴァーリ達ルシファー眷属と一誠は急いで校庭へと向かい、地獄大使達と対峙する。

 

「出てきたか、仮面ライダー達よ。」

 

「こっちは出てきて欲しくは無かったがな…」

 

「我らが野望に貴様等は邪魔なのだよ‼さあ行けッ‼戦闘員達ッ‼‼」

 

「「「「「「イーッ‼‼」」」」」」

 

地獄大使の言葉に戦闘員がヴァーリ達目掛けて走り出してくる。

 

『ガシャコンブレイカー‼』

 

『ガシャコンソード‼』

 

それに対しヴァーリと千歌はガシャコンウェポンを取り出し、素早くBボタンを連打する。

 

「そりゃあッ‼」

 

「「「「「「イーッ!?」」」」」」

 

そして最初に千歌がブレイカーで地面を叩き、衝撃波を走らせて戦闘員達を吹き飛ばす。

 

「フッ‼」

 

そこにヴァーリがソードを振るって戦闘員達との間に炎の壁を作り出して動きを止めた。

 

「皆、行くぞ‼」

 

その隙にヴァーリから梨子に、鞠莉から善子に新しいガシャットギアデュアルの仮想ガシャットが渡され、それぞれがダイヤルを回す。

 

「術式レベル100。」『TADDLE LEGACY!!』

 

「第佰戦術。」『BANG BANG FORTRESS!!』

 

「GEAR HUNDRED。」『RAISOU LIGHTNING!!』

 

「禁術レベル100。」『MAGICAL PRIEST‼』

 

『マキシマムマイティエーックス‼マキシマムガシャット‼』

 

『デュアルガシャット‼』《Saviour is Around the World!! Battle of Dragons!!》

 

「「マックス大…」」

 

「「「「「「変身ッ‼」」」」」」

 

『『『『ガッチャーン‼(デュアルアップ/マザルアップ/レベルマァァァックス)‼』』』』

 

そして全員同時にレバーを開いて、変身する。

 

『辿る歴史‼目覚める騎士‼タドルレガシー‼』

 

『ドドンバン‼ズンドカン‼(wow!!)バンバンフォートレス‼』

 

『雷光‼雷鳴‼雷轟‼雷神‼雷走ライトニング‼』

 

『シャイニングガール‼想いをデトネイション‼世界を照らせ‼マジカル・プリースト‼』

 

『マキシマームパワー‼エーックス‼』

 

『赤き帝王、強化‼白き皇帝、弱化‼赤と白の真価‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

ヴァーリは先の戦闘で見た白い鎧の騎士に、梨子は背中にO型のリングパーツにX字状に展開された4つの砲門に両手にも同じキャノン砲、そして肩や腕や胸に腰に足といった体の各所にミサイルハッチを装備した緑色の重装甲を纏い、鞠莉は青いボディに稲妻模様のF-1カーが4つに分離して前部分が両腕、後ろ部分が両足となり背中のエンジン部分からはスパークが起きてそれで出来た電気が全身を駆け巡っている。善子は今までの装備に加えて背中から薄紫の光翼を3対6枚生やし、足に大型の脚甲がプラスされ、全身の色合いも黒の部分が金や紫色に変わった姿になっていた。

 

「これが…レベル100…‼」

 

「全身からPowerが漲ってくるわーッ‼」

 

「ククク…‼ついに我は、全てを超越した極致に至ったわッ‼」

 

「梨子、道を開いてくれるか?」

 

「わかったッ‼」

 

ヴァーリの指示に梨子は両手のキャノン砲と背中のキャノン上二つを肩の上部から、下二つを腰の横から前面へと展開してエネルギーをチャージし、数秒後…

 

「ミッション…スタートッ‼‼」

 

6門全てを同時にショッカー戦闘員へと向けて発射し、地面に炎の軌跡を残しながら放たれた砲撃は戦闘員十数体をアッサリと消滅させた。

 

「それじゃ、ノリに乗っていくわよ~‼‼‼」

 

そこにクラウチングスタートの体勢でいた鞠莉がバチッ‼という音と共に消え、一瞬で戦闘員の目の前に姿を現すと同時に電撃付きの膝蹴りを叩き込んだ。

 

「イッ!?」

 

「電光雷轟…darkを「鞠莉さん、それは会社的にもアウトです‼」え~…」

 

両手をぶつけ合わせ、周囲に電撃を放ちながら決め台詞っぽいものを言おうとした鞠莉だったが、作品処か製作会社が違うという少々メタい梨子のツッコミに不満を漏らすが…

 

「でも、ダイヤのガシャットも同じProductionのだったような…?」

 

「………………………………………さあ、早く倒しましょう‼」

 

「あ、Escapeはズルいわ………よッ‼」

 

しかし、鞠莉の疑問にそうだったと思い出した梨子は、ツッコミ返される前に話を一気に方向転換させ、鞠莉は問い詰めようとしたが後ろから来た戦闘員を倒すために話を切り上げ、残った怒りをその戦闘員に電撃回し蹴りという形で叩き込んだ。

 

「さあ、我が光の裁きを受けとれッ‼」

 

そして善子は新しい杖型の武器【ガシャコンワンド】を手に、そこから光の光弾を出して戦闘員達を倒していく。

 

「でも、数が多いわね………こうなったら‼」

 

だが、数の多さにキリがないと思った彼女は、杖を逆さにし杖の上部分にあったもう1つの持ち手で今度は剣の様に持つ。そして持ち手にあるトリガーを引いたら2回、手を剣に翳す。

 

『アン・ドゥ‼』

 

「スウィングスパークル‼」

 

それから剣を十字に振るい、金色の斬撃を飛ばして戦闘員達を切り裂いていく。しかし、この武器に見覚えのあった善子はヴァーリに問い詰める事にした。

 

「…………………って、ちょっとヴァーリッ!?コレどう見てもキ○グソードじゃないのッ‼」

 

「杖と剣として使えるから近接戦闘にも魔法使い的にも良いなぁ…って思って。」

 

そんな理由に善子はため息が出るが、そこで広域殲滅に向いたある技を思い出した。

 

「全く…だったら、こんなのはどうかしらッ!?」

 

『ガシャコンレイピア‼』『キュ・ピーン‼』

 

善子はガシャコンレイピアを出すとAボタンを押し、刀身を短くした【タクトモード】に切り換え、その先端にレイピアモードの時を遥かに越える魔力を凝縮させる。

 

「ディフュージョンシャワーッ‼‼」

 

その魔力を空に打ち上げると敵の上空で拡散し、そこから魔力の雨を降らせどんどん戦闘員を貫いていき爆散させていく。

 

「さて、俺も暴れるぞ‼」

 

その光景に高ぶりが止まらなくなった一誠が、光翼を広げ戦闘員達へと突っ込み、正面の1体を蹴り飛ばしそれに巻き込まれた戦闘員ごと爆散する。

 

「1つ解除しただけで体が軽ィッ‼おい、もっと骨がある奴はいねぇのかッ‼‼」

 

「だったら、彼の相手はどうかね?」

 

死神博士の後ろから2体の怪人が出てくる。片方は銀色のライオンの様な造形で、体には星座の模様が入っている。もう1体は茶色の体に所々金色が入り、顔はカブトムシを思わせる角がある。

 

「へぇ………少しは楽しめそうじゃねぇか…」

 

そこに死神博士は暴走サーキットを取り込ませ、暴走状態に変える。

 

「いけッ‼‼【レオゾディアーツ】に【ゴ・ガドル・バ】よッ‼」

 

「「グルアアァァァァァァァッ‼‼」」

 

「よっしゃ来いやァッ‼‼」

 

同時に走り、間合いに入るとお互いに胸を殴り数歩下がるが、また近づき殴り合いを始めた。

 

「フッ‼はあッ‼」

 

ヴァーリは転移を使って戦闘員達の懐に一気に飛び込み、ガシャコンソードの炎剣で切り裂いていく。

 

「戦闘員ごときで俺達は止められないぞッ‼」

 

「確かに…だが、貴様等を疲弊させる事はできる‼」

 

地獄大使の言葉に合わせ、彼の背後から金色のカブトムシとクワガタムシの様な2体の怪人が飛び出してくる。

 

「【コーカサスアンデッド】に【ギラファアンデッド】かッ…‼」

 

「この2体を相手に勝てるかな?」

 

「…これはあれも出すべきだな…」

 

状況の不利を感じたヴァーリは、新たな武器アイコンを呼び出し、実体化させた剣を掴み取る。それはガシャコンソードに似ているが、刀身の色が赤と水色ではなく翠と黄色になっていた。

 

『ガシャコンカリバー‼』

 

そして剣のBボタンを連打しソードの刀身には炎を、カリバーの刀身には竜巻を纏わせる。

 

「これより…アンデッド切除手術を開始する…」

 

強敵を相手にヴァーリは怯まず、向かってくるアンデッドに剣を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

これらの強敵が向かってくるのは、梨子達も例外ではない。

 

梨子の前にはゴツゴツした岩の様な怪人【ガンマイザー・プラネット】と青い鳥と雲を掛け合わせた様な怪人【ガンマイザー・クライメット】と戦いを繰り広げていた。だが、プラネットの岩石弾やクライメットの氷弾に雷撃を喰らっても梨子は一切怯まず、肩のミサイルを撃ち出し直撃させる。

 

「「ギャアアアアアアッ!?」」

 

「スゴい………全然痛くない…‼」

 

梨子の使用するゲーム【バンバンフォートレス】は大帝国に攻め込まれた小国が、戦争に勝つために古代の空中要塞を復活させ反抗するシミュレーションゲーム。その火力と防御力はバンバンシミュレーションズを遥かに凌駕している。

 

「これで…決めるッ‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

両手のキャノン砲を命中させ、怯んでいる間にベルトのレバーを閉じ、6門のキャノン砲と全身のミサイルハッチを開くと同時に彼女の目にターゲットサイトが現れ、その全てを2体に合わせロックしたらレバーを開く。

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「全弾、一斉射ッ‼‼」

 

そして彼女のキャノン砲から放たれる6つの灼熱の光と、雨霰の様に撃ち出されたミサイルが2体を襲う。先にキャノン砲を喰らった2体は次のミサイルも避ける事は出来ず全て直撃して爆散した。

 

「第一ミッション…クリア。」

 

 

 

 

 

 

 

鞠莉は前回逃したアームズドーパントと、オレンジ色の体にナスカにある地上絵の模様がある怪人【ナスカドーパント】と戦闘していたが、この戦いにアームズドーパントは完全に置いてきぼりだった。何故なら…

 

「動きが…全く見えねぇ…」

 

鞠莉とナスカの高速移動に、付いていけなかったからだ。

 

「中々いいSpeedじゃない、オ・バ・サ・ン?」

 

「小娘が…ナメルナァッ‼‼」

 

「フフ~ン♪」

 

挑発に乗って右手の剣を自身の能力【超高速】で振るってくるナスカ。しかし、鞠莉は仮面の下に余裕の笑顔を浮かべながら回避していた。その理由は彼女のゲームにある。

 

鞠莉の使用するゲームは【雷走ライトニング】。音速を越える程度では満足出来なくなった主人公達が、その更に先…雷の速度の世界で走りまくるレーシングゲームだ。音は秒速約340mだが、雷の速度は秒速約150km……この様に桁が違う為、たかが音速を超えたぐらいでは彼女を捕らえる事など不可能だ。なお、攻撃に電撃が付与されるのはタイトルに合わせた仕様である。

 

「セイッ‼」

 

「グァッ!?」

 

ナスカが剣を振り下ろしきった瞬間、鞠莉は一気に懐に入り電撃付きのパンチを雷速で何度も打ち込んでいき、トドメに空中回し蹴りを顔に叩き込み、吹き飛んだナスカはそこにただ立っているだけだったアームズにぶつかり折り重なった。

 

「さて………Finishといきましょうか‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

レバーを閉じた鞠莉は腰を屈め、右足に電撃付きのエネルギーを纏う。そして2体が立ち上がったところでレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼ RAISOU!! CRITICAL STRIKE!!』

 

その瞬間、彼女は稲妻の速さで2体に近づき蹴りをお見舞いする。それも一発ではない、誰の目にも見えぬ速さで何発も何発もその体に蹴りを喰らわせていく。そして最後は回し蹴りで2体とも蹴り飛ばした。

 

「それじゃ地獄へ………Good Luck♪」

 

攻撃に耐えきれず爆散する怪人達の炎に、鞠莉はサムズアップを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この程度の相手じゃ、我の勝ちは揺るがぬな。」

 

善子は周囲に200近い魔力弾を漂わせ、空中から地面にいる2体の怪人【ピギーズイマジン】と【マンティスイマジン】を見下ろしていた。

 

「くっそ~‼空を飛ぶなんてセコいだろッ‼」「違うよ、ズル賢いんだよ。」「ズル~い‼ズル~い‼」

 

「うっさいッ‼‼飛べない豚なんて、ただの豚なんだからッ‼‼このブタヤロウッ‼‼」

 

「おいお前ら、言われてるぞッ‼」「違うよ、兄さんだけだよ。」「アニキブタ~♪アニキブタ~♪」「うっせぇわッ‼‼」

 

「はぁ…つまらないコントはその辺にしてほしいわぁ…」

 

二人(一人と三匹?)の会話にため息を吐きつつ、マンティスイマジンは手に持つ鎌から光刃を飛ばしてくる。

 

「相変わらず些末な攻撃ね。」

 

しかし、善子はその攻撃を左手のガシャコンレイピアで弾くと、それを自身の魔力弾の1つへと変えてしまう。これは相手の攻撃をガシャコンレイピアの先端に集束させた魔力で包み、更に自身の魔力を浸食させる事で自分の物へと書き換えている。普通の魔導師なら2・3回で魔力切れになる技術だが、善子の魔力量ならほぼ限界はない。この数の魔力弾の内、3割はこの様にして作られた。

 

「これじゃキリがないわぁ…‼」

 

「あんた達に長々と付き合ってらんないから………これで終わらせてあげるわッ‼‼」

 

善子は右手のキングソー………ガシャコンワンドを杖モードに持ち変え、ワンドにある窪みにガシャットギアデュアルΔを挿し、手を1回翳す。

 

『デュアルガシャット‼キメワザ‼』『テヤッ‼』

 

するとガシャコンワンドの前に浮いていた魔力弾の4割が集まり、1つの球体になってくる。

 

「ハイペリオン…フラッシャーッ‼‼」

 

そして放たれた光の魔力のレーザーはまっすぐに飛んでいき、ピギーズイマジンを飲み込む。

 

「ちょッ!?俺の出番コレだけかよッ!?」

 

「「兄貴ィィィィィィィィッ‼‼」」

 

特に活躍もなく、ピギーズイマジンは爆散した。

 

「これ………ヤバくない?」

 

その光景を見たマンティスイマジンは顔を引きつらせる。

 

彼女のゲームである【マジカル・プリースト】は、暗闇に閉ざされた世界に住む少女が光の世界の王に認められ、光を取り戻すべく旅をするRPGで持っているガシャコンワンドは、王から託された武器という設定だ。

 

本来、悪魔である善子は光が弱点なのだが、この姿には光に対する防御能力が高く、悪魔なら光に対して弱点を克服したと言ってもいいほど、とても強くなれる。

 

「アンタもコレで終わらせてあげる。」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

ベルトのレバーを閉じ、必殺技の発動体勢になりつつガシャコンレイピアに残りの魔力弾を集中させていき、それが終わるとワンドに手を3回翳す。

 

『アン・ドゥ・トロワッ‼』

 

『ガッチャーン‼ MAGICAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そしてレバーを開きながら、レイピアに集まった魔力をワンドの前に構える。

 

「さあッ‼‼我が奥義で裁かれなさいッ‼‼ロイヤルギガエェェェェェェンドッ‼‼‼」

 

ワンドから放たれる金色の光線がすぐ前の魔力球に当たり、更に強力な光線となって直撃したマンティスイマジンを一瞬で消滅させた。

 

「それじゃ地獄へ………Ciao♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

「喰らえッ‼‼」

 

ヴァーリはコーカサスとギラファを相手に、左手のカリバーを振るって竜巻を起こし2体をその中に閉じ込める。そこに右手のソードから炎を飛ばして竜巻を炎の渦に変えて焼いていく。

 

「そこに加えて…」『ド・ドーン‼』

 

カリバーのAボタンを叩き、刀身を黄色に変えると地面に叩きつけて細かい岩石を作り出す。

 

「フッ‼」

 

それらに波動をぶつけて炎の渦に飛ばし、中にいる2体は渦の影響で何度も体にぶつかって、どんどんダメージを蓄積していく。

 

「千歌ッ‼‼今のうちに2体にリプログラミングをッ‼‼」

 

「わかったッ‼」

 

『ガシューン、マキシマムガシャット‼キメワザ‼』

 

「いっけぇッ‼‼」

 

『MAXIMUM MIGHTY!! CRITICAL FINISH!!』

 

ガシャコンキースラッシャーから放たれたビームが渦に当たり、リプログラミングによって不死属性が解除される。

 

「仕上げだ…」『コ・チーン‼』

 

ソードを氷剣へと変え、Bボタンを連打するヴァーリ。それを地面に突き刺し氷を竜巻へと走らせてそのまま竜巻を氷付けにした。

 

「千歌、一緒に決めるぞ?」

 

「うんッ‼」

 

『『ガッチョーン、(スゴ/キメ)ワザ‼』

 

千歌とヴァーリはベルトのレバーを閉じると、右足にエネルギーをチャージしていく。

 

『『ガッチャーン‼ (TADDLE!! CRITICAL STRIKE‼/MAXIMUM!! CRITICAL BREAK‼)』』

 

そして同時にレバーを開き、ダブルライダーキックで氷の渦を蹴り砕いた。

 

「術式終了。」

 

「よしッ‼それじゃ次を…………え?」

 

アンデッドを倒し終えた千歌が次の相手を探すため周囲を見ていたら、ある存在が目に入った。

 

視線の先にいたのは、どこかバッタを思わせる容姿の怪人だった。

 

「アイツは…ドラスッ!?」

 

怪人を視線に入れたヴァーリも驚きを隠せなかったが、そこから怪人は更に驚きの行動に入った。

 

自身の腰に水色が紫になっているスクラッシュドライバーを巻き付け、そこに紫の龍が描かれたゼリー飲料を取り付けた。

 

『ドラゴンゼリー‼』

 

「まさかッ!?」

 

そして右端のレンチを倒す。

 

『潰れる‼流れる‼溢れ出る‼』

 

そしてビーカーみたいな容器に紫の液体が貯まっていき、それに包まれるとメタリックブラックの体に肩はまるでゼリー飲料の容器みたくなっていて、頭からその液体が吹き出すと顔と胸にクリアヴァイオレッドの龍を模したアーマーを付けたライダーとなった。

 

『ドラゴン・イン・クローズダーク‼ドォラアッ‼』

 

「怪人が………仮面ライダーになっちゃった…」

 

「ワシが手に入れたライダーシステムを使い、ドラス専用に作り上げた………その名も【クローズダーク】だッ‼」

 

自慢げに話す死神博士だったが、ドラス………いや、クローズダークから放たれる殺気に二人はその話は全く耳に入っていなかった。

 

「………………ッ‼やるぞ、千歌ッ‼‼」

 

「はッ!?う、うんッ‼‼」

 

その威圧を振り払い、クローズダークへと剣を振るう………しかし、その場に軽快なメロディと共にクローズダークの体が金色の光に包まれ、二人の剣を軽々と体で受け止めた。

 

「えッ!?」

 

「これはまさか…‼」

 

「フン…‼」

 

「「(グァッ!?/キャアッ!?)」」

 

動きが止まった所をクローズダークの拳が二人を殴り飛ばす。

 

「な、何で攻撃が…?」

 

「あれは間違いない…あの力は…」

 

クローズダークのカラクリが分かったヴァーリだったが、同時にこれほど厄介な相手はいないと思った。何せその力は………

 

「…ハイパームテキ…‼」

 

自身の最高傑作だったのだから…




いかがでしたか?

善子のネタ技にはツッコミ無用でオネシャース‼

次回は更に驚きを提供する予定です。(出来るとは言わない)

次回【二人でならINVINCIBLE‼】

「ハイパー…大変身ッ‼」

では、次回でお会いしましょう。


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二人でならINVINCIBLE‼

どうも、疾風の警備員です。

最近シンフォギアXDで星5のキャラカードが出ない…というか、押しキャラ2位の調の特殊ギア星5ばかりで全然当たらねぇッ‼‼和装とかサンタとかメイドとかドラゴンとか…というか星5の特殊ギアで当たったの水着のズバババンだけなんですけどッ!?もっと確率上げてくれよブシモォッ‼‼‼

そんな愚痴を吐きつつも、せっせと石を貯めてる作者です。(無課金組)

今回はある男が出てきますが、こうやって出てくるって予想出来た人はいたのかな?

では、どうぞ。


金色に輝くクローズダークの秘密を前に、千歌は驚きを隠せなかった。

 

「ヴァーリ君………それ、本当?」

 

「あの力はまず間違いない。奴はハイパームテキを取り込んでいるんだ。」

 

「そんな…」

 

その事実に千歌は自分を責める。あの時、ガシャットを奪われたりしなければ、この様な事態にはならなかったと………

 

そう落ち込んでいた彼女の頭に優しく手が置かれる。

 

「気にするな、あの時はこんな風になるなんて俺ですら思って無かったんだ。それに、目の前にあるんなら取り返し易い‼」

 

そう言って千歌の頭を撫でてから、再び剣を構えてヴァーリはクローズダークへと駆け出した。

 

「フッ‼」

 

ソードで袈裟斬りにし、カリバーで横一閃に切り裂いたら双剣で突きを放つ。

 

「………………フン…‼」

 

「がッ!?」

 

しかし、クローズダークにダメージを与えられず、逆に腹にパンチを喰らい吹き飛ばされた。

 

「ヴァーリ君ッ!?」

 

「問題ないッ‼」

 

それを見た千歌は声を上げるが、ヴァーリはすぐに起き上がると再度クローズダークへと向かっていく。

 

「待ってッ‼私も‼」

 

千歌もマキシマムゲーマから飛び出し、キースラッシャーを手にクローズダークへと斬りかかる。そこから二人の連携攻撃でクローズダークを押していくが、相変わらず金色に輝くクローズダークには何のダメージも与えられていなかった。

 

「さすが………俺の作ったガシャットだ…‼敵に回すとこうも厄介とはな…」

 

「言ってる場合じゃないでしょ‼」

 

ポツリと自画自賛するヴァーリの言葉にツッコミを入れながら梨子が砲撃をしつつ、ゲーマの能力であるホバー移動でやって来る。

 

「確かに…denial出来ないけど‼」

 

「だったら対抗策を考えなさいよねッ‼」

 

更に鞠莉が雷速の蹴りを数回喰らわせ、善子が光弾を放って動きを妨害して近くにやって来る。

 

「皆…」

 

「大丈夫だよ、千歌ちゃん。」

 

「二人でダメならAll attackよッ‼」

 

「この超絶魔導師ヨハネ様の力…見せてあげるわ‼」

 

揃ったヴァーリ眷属はクローズダークを前に構える。しかし、クローズダークの周りに先の戦いで逃げられたイーグルアンデッドにクロコダイルオルフェノク、ウェザードーパントが集まる。

 

「………………………コイ…」

 

「行くぞッ‼‼」

 

そして、両者はヴァーリとクローズダークの言葉で走り出し、激突した。

 

 

 

 

 

 

ダイヤside

 

「これは………不味いかもしれませんわね…」

 

部室から戦況を見ていた私は現状の不利を感じ取っていた。相手に仮面ライダーが現れただけでなく、更に強力な怪人を引き連れて戦い始めた。

 

しかし、こちらは戦力が限られていて向こうとは圧倒的な差がある。このまま他から攻められれば校内にいるのは危険になってくる。

 

「さて、彼等はどうやってこれを切り抜けるのかな?」

 

「………………………………………(ブチッ‼)」

 

しかしそんな戦場に出ず、能天気な発言をする元凶(海東大樹)にキレた私は………

 

「ルビィ、花丸さん。」

 

「「は、はいぃッ!?」」

 

二人に声をかけ、何故か少し怯えた返答の後で窓を開けた。それを見た私は元凶の前に立ち…

 

「ん?君達は何を…(ガシッ‼)へ?」

 

「貴方も戦いなさぁぁぁぁぁぁいッ‼‼‼」(ブゥンッ‼)

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ッ!?」

 

背負い投げでそのまま戦場へと放り投げた。

 

「全く………‼皆さんも屋上に避難した方が良いですわ。ここだと流れ弾が飛んで来やすいですから。」

 

「「「「「「サー‼イエッサーッ!?」」」」」」

 

「何で軍隊式?とりあえず、私も行って来ますわ。」

 

何故か怯えた表情で敬礼する他の皆を屋上に避難させる事にして、校舎前に集まり始めた敵を倒しに私も体を粒子にして校舎前に降り立つ。

 

「さて、お掃除を始めましょうか。Xー0カラット…変身。」

 

『ジュエリートレジャー‼』『イマージュ・ミラージュ‼』『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼輝く君は美しい‼ Ah〜‼ 鏡幻想‼ イマージュ・ミラージュ‼︎』

 

仮面ライダージュエル・ミラージュトレジャーゲーマーになった私は、戦闘員の群れに飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一誠はレオゾディアーツとゴ・ガドル・バを相手に戦っていた。

 

「ハッ‼」

 

「グゥッ!?」

 

レオの爪を屈んでかわし、反撃しようとするも後ろからガドルの蹴りを喰らい地面を転がる。

 

「ち…‼コイツら暴走してる割には、中々やるじゃねェか…」

 

元々が強力な怪人だったのを、暴走サーキットで更に強化された2体はまさに最強といってもいいほどの力を得ていた。

 

しかし、その事実は一誠の心を更に燃え上がらせた。

 

「ハハハッ‼こりゃ久々に俺の心に火が点いたぜッ‼‼」

 

起き上がると同時に駆け出し、繰り出されるレオの爪を左手で掴んで受け止め胸に右ストレートを数発打ち込んだら、反対から来るガドルに後ろ蹴りを当てて下がらせつつレオを振り回してガドルへと投げ飛ばす。

 

「「ブグッ!?」」

 

ぶつかり合った事で怯んでる間にレバーを閉じ、即座に開く。

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼ガッチャーン‼ SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

そしてエネルギーを貯めた右拳でレオを殴り、その一撃で2体は10メートル程吹き飛ぶ。

 

「どうしたッ‼暴走してもその程度かッ‼‼」

 

「あの少年………………なんという成長速度だッ!?」

 

普通ならこの2体………しかも暴走状態を相手に、圧倒する事などかなり難しい。だが一誠は戦えば戦うほど、相手の強さをすぐに吸収し自身の力へと昇華させていく。その速さはまさに異常そのものだ。

 

「く…ッ!?ならば‼」

 

このままでは2体ともすぐに倒されてしまうと感じた死神博士は、暴走サーキットを新たに取り出して2体に更に埋め込んだ。

 

「「グゥッ!?………グゥオアアアアアアアアアッ‼‼」」

 

「二つ同時に使うのは初めてだが………奴等なら何とかなるだろう。」

 

死神博士の予想通り、2体は紫色のオーラを纏いながら先程よりも速いスピードで一誠へと突っ込んでいく。だが一誠は仮面の下でニヤリと笑っていた。

 

「さあ本気で来やがれ………こっからが祭りだ‼」

 

そんな感じにテンションが盛り上がっていたところに…

 

「…ぁぁぁぁぁぁああああああッ‼‼」(ドゴォン‼)

 

先程ダイヤに投げられた海東が、一誠の側に落ちてきた。

 

「あたた………全く、乱暴な女の子だ…」

 

「………………………何やってんだ、あんた?」

 

「僕が聞きたいね…全く、僕の自由を邪魔するなんて…」

 

「とりあえず邪魔だから下がってろ‼」

 

「僕がどうするかは僕が決める事だ‼指図はしないでくれたまえ‼」

 

そう言ってディエンドライバーを取り出し、ライダーカードをセットする。

 

『KAMEN RIDE!!』

 

「変身‼」

 

『DI-END!!』

 

仮面ライダーディエンドに変わると、彼はケースから1枚のカードを出す。それに描かれているのはクローズダークにそっくりだが、全身が銀色でクリアブルーの装甲を纏ったライダーだった。

 

「大サービスだ。」

 

『KAMEN RIDE!! CROSS-Z CHARGE!!』

 

しかし引き金を引き、現れたのは腰にチェックのシャツを巻きスカジャンを羽織り頭頂部に編み込みをした男だった。

 

「うおおおぉぉぉぉッ!?何処だここッ!?さっきまで戦兎達といたのに………どうなってんだよおおおおおッ!?」

 

「うるさいな………静かにしたまえ。」

 

「誰だテメェッ!?おいッ‼何で俺はこんなとこにいんだッ!?」

 

「僕が呼んだからだ。これを渡す為にね?」

 

海東はスーパーショッカーから盗んだケースを出し、そこから盗まれた側のベルトとアイテムを彼に投げ渡した。

 

「これは俺のッ!?まさかテメェが…‼」

 

「勘違いしないでほしいな…僕は取り返しただけさ。君のお宝なんだろ?今度からはもっと大切にしたまえ。」

 

「え、マジッ!?おお~‼サンキューな‼」

 

こんな言葉を簡単に信じるあたり、彼は純粋(バカ)なのだろう。

 

「ほら、さっさと目の前の敵を倒したらどうだい?君のお宝を盗んだ張本人達だ。」

 

「しゃあッ‼‼今の俺は………負ける気がしねぇッ‼‼‼」

 

そう叫び男はスクラッシュドライバーを腰に取り付け、ドラゴンスクラッシュゼリーをセットする。

 

『ドラゴンゼェリー‼』

 

「変身‼」

 

『潰れる‼流れる‼溢れ出る‼ドラゴン・イン・クローズチャージ‼ブルゥアアアッ‼‼』

 

男は【仮面ライダークローズチャージ】に変身したら、レオゾディアーツへと殴りかかった。

 

「テメッ!?人の獲物を横取りしてんじゃねえッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、千歌はピンチに陥っていた。ヴァーリはイーグルアンデッドに連れてかれ、梨子はクロコダイルオルフェノクと勝負していて、鞠莉と善子はウェザードーパントと交戦していて一人でクローズダークと戦う事になってしまったからだ。

 

「このおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

「………………………フン…‼」

 

「うあッ!?」

 

それでも諦めず、キースラッシャーを握り直すとクローズダークへと振るう。だが、どうやっても攻撃が通る事はなく、逆にカウンターを貰って自分のダメージが増えるだけだった。既にライダーゲージも半分を切っている。

 

「どうすればいいの………どうすれば…‼」

 

何とか立ち上がり再び武器を構えるも、ダメージで体が上手く動かせない。それでも彼女は諦めない。けっして…

 

「グッ!?」

 

その時、クローズダークの横にイーグルアンデッドが転がってきて千歌の側にヴァーリがやって来る。

 

「大丈夫かッ!?」

 

「ヴァーリ………君…‼」

 

「待ってろ…‼」

 

彼は手から光を放ち千歌に浴びせると、彼女のライダーゲージが完全に回復する。

 

「ありがとう…‼」

 

「気にするな、それにガシャットを取り返す算段もついた。」

 

その内容を耳打ちで話すヴァーリ…だが、その計画は到底信じられるものではなかった。

 

「へッ!?どういう事ッ!?」

 

耳打ちされた内容に千歌は驚く。それほどまでにありえない作戦だったからだ。

 

「その為には奴を倒さなくてはならないのだが…情報筋は大丈夫だ、俺を信じろ。」

 

それでも自信を持って言うヴァーリ。だからこそ彼女は彼を信じる事にした。

 

「分かった。」

 

「ならやるぞッ‼」

 

「うんッ‼」

 

武器を握り締めヴァーリと共にクローズダークへと挑む千歌。クローズダークは構えて二人を迎え撃つ。ソードを受け止めて弾き、蹴りを入れてヴァーリを下がらせ、体を屈めて低い姿勢から斬りかかる千歌の剣を足で受け止め力任せに吹き飛ばす。反対からきたヴァーリを体を仰け反らせてかわし腹に拳を打ち込み背中に肘打ちを喰らわせて地に倒し、背中を踏もうとするが転がって避けられ、ガンモードのキースラッシャーから飛んでくる弾丸を手で弾き落とし、左手に装備した武器【ツインブレイカー】のビームモードの攻撃が千歌に命中して倒れる。

 

「これ以上はやらせんッ‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

それを見たヴァーリはベルトのレバーを閉じ、必殺技の発動体勢に入る。そしてクローズダークも右手でツインブレイカーの銃身を開いて中央からニードルを出したアタックモードに変えて、後部のスロットにクローズドラゴンをセットした。

 

『レェディィィゴォー‼』

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そして必殺の斬撃を放つヴァーリ。クローズダークも後ろに引き絞った左腕を前に突き出しながらトリガーを引く。

 

『レェッツブレイクゥッ‼‼』

 

そこから放たれた紫のエネルギー状の龍が斬撃とぶつかり、数秒の拮抗の後に斬撃が掻き消され、龍がヴァーリに襲い掛かった。

 

「グアアアアアアアアッ!?」

 

大量の火花を散らし変身が解除されるヴァーリ。

 

「こんのおおおおぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼ガッチャーン‼ MAXIMUM!! CRITICAL BREAK!!』

 

それを見た千歌は素早くマキシマムゲーマを纏い、必殺技を発動して飛び蹴りを放つ。

 

『スクラップゥブレェイク‼』

 

対するクローズダークも右のレンチを下げてゼリーを潰し、飛び蹴りを放った。両者は空中でぶつかり合うがそれは一瞬で、千歌が押し負けて変身が解除され、蹴り飛ばされてヴァーリの側に倒れる。

 

「う…あ…‼」

 

倒れながらもクローズダークを見据える千歌。だが、体は思ったように動いてはくれない。そんな千歌を無敵状態のクローズダークが見下ろしてくる。

 

「まだ………負けない…‼………この世界を…守ってみせる…‼」

 

千歌はその思いと渾身の力で立ち上がる。この敵は自分の失態で生まれてしまった事、そしてこの世界で普通に暮らしているもう一人の自分達を守るために。しかし、そんな思いとは裏腹に、クローズダークは彼女へと拳を振り上げる。

 

「………………………シネ…‼」

 

そしてそれが彼女へと振り下ろされる………

 

「何やってんのよコラアアァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

その直前にいきなり現れた美歌が、クローズダークにドロップキックを喰らわせ、何故か()()()()()()()()()()()()()()

 

「フゥ‼………フゥ‼………やっと撒けたわ…‼それにナイスタイミング…‼」

 

「美………歌………?」

 

唐突に現れた美歌に千歌は驚きを隠せなかったが、逆に千歌を見た美歌はその眼に涙を浮かべ………

 

「うえええええええええええんッ‼‼‼千歌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼‼‼‼会いたかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼‼‼‼」

 

泣き叫びながら千歌に抱き着いた。しかし今の彼女はクローズダークの攻撃でボロボロ、そんな体に思いきり抱き着かれたら…

 

「にゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼‼‼美歌ッ‼‼‼痛い痛いッ‼‼‼離れてえええええええええええええええええええええええええええええええッ‼‼‼」

 

案の定、激痛が襲い悶える千歌。その叫びに美歌も慌てて離れた。

 

「ゴ、ゴメン…‼つい…‼」

 

「アタタタタ………ううん、大丈夫だから…」

 

泣きながら心配する美歌に、痛みを堪え何とか笑顔で返事をする千歌。

 

「でも無事だったんだね………良かった…‼」

 

「さっきまでデカイ蜘蛛に追いかけ回されていたけどね。とりあえず、アイツが千歌をボロボロにした奴でいいのね?」

 

キッと睨み付ける様にクローズダークを見る美歌。その瞳には怒りの炎が燃えている。

 

「アイツが私のガシャットを取り込んじゃってるの。だから、攻撃が全く効かなくて…」

 

「え?でも、さっきのドロップキックは効果あったみたいだけど?」

 

そう言われればそうだと思う千歌だが、何故彼女のキックが効いたのかはさっぱりだった。

 

「美歌は蹴った時、何か気づいた?」

 

「そういえばほんの一瞬、()()()()()()その途切れた時に蹴ったら効いたみたいだったけど…」

 

その内容が、クローズダークを倒す光明になった。

 

「だったら美歌…アイツを倒すの、手伝ってくれる?」

 

「勿論よ。」

 

美歌は千歌の隣に立ち、手にはアビスマキシマムマイティエックスを持つ。対する千歌もマキシマムマイティエックスを握り締めて起動させる。

 

『マキシマムマイティエーックス‼』『マキシマムガシャット‼』

 

『アビスマキシマムマイティエーックス‼』『アビスガシャット‼』

 

「マックス大…‼」

 

「グレードMAXー0…」

 

「「変身‼」」

 

『『ガッチャーン‼レベルマァァァックス‼』』

 

『マキシマームパワー‼エーックス‼』

 

『カオスティーックパワー‼エーックス‼』

 

二人同時に変身し、空中にあるゲーマを纏ったらそこからすぐに飛び出し、同時に並び立つ。

 

「ノーコンティニューでクリアするよッ‼‼」

 

「コンティニューしてでもクリアするわッ‼‼」

 

『『ガシャコンキースラッシャー‼』』

 

そしてキースラッシャーを持つと、クローズダークへと向かっていく。最初の千歌の一撃は光に阻まれ、続く美歌の射撃も無効化される。だがそれでも美歌は撃つのを止めず、何かを見定めている。

 

「千歌、合図したらアイツをぶった斬って。」

 

「分かった‼」

 

その言葉に千歌はタイミングを待ち、美歌はクローズダークを見据え、その時は来た。

 

「今よッ‼‼」

 

「ッ‼‼」

 

美歌の言葉に千歌は全力で走り出し、間合いに入った瞬間に左下から右上へとキースラッシャーを振るうと、クローズダークの体から火花が飛び散り、後退していく。

 

「当たった!?」

 

「やっぱり…有効時間は10秒って所かしら?その上、1発当てられれば、そこからの発動も遅くなるみたいね。」

 

美歌の言う通り、ヴァーリの作ったハイパームテキは千歌以外の者が使う場合、10秒だけしかその効果が使えない。死神博士はそれを克服するためドラスの体内にガシャットを埋め込み、ドラスの思考と繋げる事によって切れた瞬間に再発動するように設定していた。しかし、どんなに完全な存在でも必ずズレは出る。ドラスの場合、効果が切れてから再発動するまで0,2秒のズレがあり、この間なら攻撃が通るのだ。

 

「ドコニ………コンナ…チカラガ…!?」

 

「たくさんの人達の…普通を守るためだよ‼」

 

「千歌を傷つけたアンタをブッ飛ばすためよ‼」

 

クローズダークは千歌の一撃をかわし、続けて美歌の攻撃を避けつつ腕を掴み放り投げる。それを見た千歌は近くのエナジーアイテムをキースラッシャーで美歌の方へと弾いた。

 

『透明化‼』

 

倒れつつもそれを受け取った美歌は、自身の姿を消してクローズダークに近づき、後ろから右腕に抱き着いた。

 

「ちッ‼…どうやらレベル0の力は通じないみたいね‼」

 

レベル0なら、相手と接触中ならレベルを下げる力があるが、クローズダークはライダーの仕組みが違うため効果がなく、そのまま力任せに投げ飛ばされる。

 

「く…ッ!?まだよッ‼」『伸縮化‼』

 

その投げられた先にあったアイテムを取り、右腕を伸ばしてクローズダークへと巻き付ける。振りほどこうとするクローズダークだったが、美歌はクローズダークの周りを回りながら更に巻き付け、それをジャンプしながらかわしていた千歌は、クローズダークの無敵が途切れるタイミングで銃撃し、それで怯んだ隙に美歌は腕を解いて着地する。その間に千歌はクローズダークの足を払う様に剣を振るい、クローズダークはそれを跳んで避ける。着地の隙を狙おうとした美歌だが、クローズダークはその一撃を踵落としで弾き、その勢いで美歌は転倒する。追撃を行おうとするクローズダークだが、背後から千歌が横凪ぎにキースラッシャーを振るい、それを身を屈めて避ける。その間に起き上がりながらキースラッシャーを突き出す美歌の攻撃をジャンプし、それを踏みつけながら飛び越す事で回避した。

 

「そこッ‼‼」

 

しかし、着地を狙った千歌の攻撃でツインブレイカーを弾き飛ばされた。更にそこで無敵が途切れ、そこに美歌の攻撃が当たり怯んでしまう。その為、再発動が遅れ背後に回った二人の一撃で空中に吹き飛ばされた。

 

「行くよッ‼」

 

「ええッ‼」

 

二人はクローズダークの周囲にブロックを精製し、それを足場に飛び回りながら空中に足止めする。その際にブロックを壊してエナジーアイテムをゲットするのを忘れない。

 

『『高速化‼』』

 

アイテムで得られた超スピードを駆使し、立体的な機動でクローズダークを攻め立て、無敵の効果が切れた瞬間に二人で眼前に現れ、柄尻を叩き付けて地面へと落とした。

 

二人もクローズダークの左右に着地すると、バックルからガシャットを抜き、キースラッシャーのスロットに挿す。

 

『『ガシューン。』』『『(アビス/マキシマム)ガシャット‼キメワザ‼』』

 

高速化の力で上がった動体視力でクローズダークの動きすべてを見逃さないとする二人。そしてクローズダークの効果が切れる瞬間、トリガーを引きながら飛び出す。

 

『『(ABYSS) MAXIMUM (MIGHTY)‼ CRITICAL FINISH!!』』

 

二人で挟み撃ちしながら、エネルギーが渦巻く刀身と蹴りをクローズダークに高速で何度も喰らわせていく。途中、千歌はしゃがみながら美歌は軽く跳んで回し蹴りを放ちつつ左右を入れ換え、再び連続蹴りと連続斬りを始める。高速化の効果時間が迫ると二人は切り上げ攻撃に移行してクローズダークを浮かせ、そこで二人は1度クローズダークから離れ、前後を交差しながら渾身の力でクローズダークを切り裂いた。

 

『GREAT!!』

 

その攻撃で地に倒れるクローズダーク。体の至る所から火花を散らしているが、それでも立ち上がってきた。

 

「さすがにしぶといわね…」

 

「でも、後1歩で……(ドズッ‼)……へ?」

 

次で完璧に倒そうと身構えた時、千歌と美歌は目の前の光景に驚きを隠せなかった。何が起きているのかというと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キサマ………ウラギッタ………!?」

 

「俺は元々仲間じゃない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーグルアンデッドが、クローズダークの背後から自身の爪を突き刺していたのだから。

 

そしてその爪を引き抜くと、爪の先に黄金のガシャットがあった。

 

「あッ‼私のガシャット‼」

 

「ほらよ。」

 

イーグルアンデッドは爪のガシャットを千歌へと放り投げる。

 

「ありがとう‼」

 

「気にするな。」

 

「フン…‼」

 

「どわッ!?」

 

千歌のお礼にクールに返すイーグルアンデッドだったが、そこにクローズダークの一撃を喰らい吹き飛ばされる。すると、イーグルアンデッドの体の一部に変化が起きる。ショッカーのシンボルマークが入ったベルトが砕け、新たに【中央の赤い宝玉とその周りに9個のライダーのシンボルマークが入ったベルト】が現れたのだ。

 

「えッ!?アイツ、スーパーショッカーじゃなかったのッ!?」

 

「ヴァーリ君の言った通りだ…」

 

美歌はその事実に驚き、千歌は先程ヴァーリからガシャット奪還についての時にイーグルアンデッドは味方だと聞いてはいたが、まだ半信半疑だった。

 

「我が怪人に化けていたとは………貴様、何者だッ‼‼」

 

死神博士の問いにイーグルアンデッドは体の汚れをはたきつつ、左腰のアイテムから1枚のカードを引き見せつける。そこにはマゼンタの体に翠の複眼、そしてバーコードの様な縦線がある顔のライダーが描かれていた。

 

「通りすがりの仮面ライダーだ…覚えておけ、変身‼」

 

『KAMEN RIDE!!』

 

イーグルアンデッドはバックルを左右に開き、イーグルアンデッドが描かれたカードを抜いてそこにカードを投げ入れて再度閉じる。

 

『DECADE!!』

 

彼の周りに9つの鏡像が現れ、それが重なるとイーグルアンデッドの姿は別物の………仮面ライダーとしての姿【仮面ライダーディケイド】に変わる。

 

「アイツ…‼」

 

「仮面ライダー…」

 

「お前達もボーッとしてないで、さっさとそれを使え。」

 

「あ、はいッ‼」

 

ディケイドに言われ、千歌は美歌へと手を差し出した。

 

「お願い美歌………私に貴方の力を貸して‼」

 

「………何言ってるの、私の力は千歌の力でもあるのよ?だってワタシはアナタで…」

 

「………貴方は私…だもんね‼」

 

その言葉に頷いた美歌は千歌の手を握り、その身を粒子に変えて千歌の中へと入る。そして力を取り戻した千歌は目を赤く輝かせながらマキシマムゲーマを再び纏う。

 

「これでようやく使えるわね………さあ、アンタ達に天才悪魔祓い(エクソシスト)Cの力…見せてあげる…‼」

 

『ハイパームテキ‼』

 

背後に現れるスタート画面…だが、力を取り戻したからかそこにノイズは走らない。そしてそれをマキシマムガシャットの横に取り付けた。

 

『ドッキィーング‼』

 

きらびやかなメロディが流れる中、千歌は右手を前に突きだして握り締め…

 

「ハイパー…大変身‼」

 

掛け声と共に、ハイパームテキガシャットの上部スイッチを叩いた。

 

『パッカーン‼ムーテーキー‼』

 

ガシャットの正面カバーが開き、目の前のゲートを潜りながら飛び上がると全身が金色に輝きだし、ゲーマから射出される。

 

『輝け‼流星の如く‼』

 

そしてゲーマの中で精製された強化アーマーが続けて射出され、千歌を金色の星をちりばめた更なる姿へと変化させる。

 

『黄金の最強GAMER!!』

 

そして頭に金色の髪の様なパーツが付いて、変身が完了する。その姿はその場にいる全員の視線を釘付けにし、魅了しつつも圧倒的な強さを感じさせた。

 

新たに誕生した最強の戦士、この姿の名は…

 

『ハイパームテキ‼エグゼェーイド‼』

 

【仮面ライダーエグゼイド・ムテキゲーマー】

 

「「ノーコンティニューで…クリアしてあげる‼」」




いかがでしたか?

次は皆が大暴れ‼そこにアイツらも登場します。

次回【HEROを繋ぐものは…】

「よぉし、お前ら行くぞ‼」

では次回で、お会いしましょう。


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HEROを繋ぐものは

どうも、疾風の警備員です。

久々にこちらの更新です。

中々ムテキゲーマーの戦闘方法が思い付かなかったので………でも、あるアニメで良いのがあったのでそれを参考にしました。

元々二重人格なら、アイツがいたわ…元ネタわかるかな?

では、どうぞ。


ディケイドによってガシャットを取り返し、最強のムテキゲーマーになった千歌。それを屋上に避難していた面々はその姿を見つめていた。

 

「向こうの私が………金ピカになっちゃった!?」

 

「スゴい見た目………あれ、強いのかな?」

 

その姿に千歌(原)は驚き、梨子(原)は強さが気になっていた。そんな時は毎度お馴染み、ズラペディアの出番である。

 

「花丸ちゃん、千歌ちゃんのアレってどういうのなの?」

 

「ちょっと待ってて…」

 

曜の言葉で神器であるモノクルを展開する花丸だったが、その瞳はすぐに疑問で埋まった。

 

「あれ?【検索不可能】って出てきたズラ…」

 

「えッ!?それじゃ何も分からないって事!?」

 

なんと花丸の神器を持ってしても、今の千歌の情報を手に入れる事が出来なかったのだ。

 

「一体、どんな力を持ってるんだろう…」

 

そんな疑問を抱きながら視線を千歌へと向ける。空から迫ってくる大量の異形に気づかずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌&美歌side

 

「「ノーコンティニューで…クリアしてあげる‼」」

 

エグゼイド・ムテキゲーマーに変身した私は全身から溢れ出てくる力に驚きながらも、クローズダークへと走り出す。向こうはダメージが残っているのか、動きは鈍いが左手の武器から光弾を放ってくる。

 

「直撃コース‼」

 

「避けてみせるッ‼‼」

 

私と同時に表に出てる美歌の声と同時に動き出し、クローズダークの最初の射撃を身を屈めて避け二発目を無理矢理な体勢のまま体を回転させて避けて近づき、お腹にボディブローを捩じ込む。それを喰らったクローズダークは下がりながら怯んだ。

 

「距離を離さないでッ‼」

 

「拳でッ‼」

 

「一気に攻め込めッ‼」

 

「ハアアアアアアァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

空いた距離をすぐに詰め、パンチを連続で打ち込んでいく。時たま反撃が来るけど、美歌が教えてくれるのと同時に体を動かし、それらを弾きながらも出来た隙にパンチを当てていく。

 

「なに?最強の怪人もこの程度!?」

 

「バカな…‼あのガシャットを持ってしても、そこまでの性能は発揮出来んはず…‼」

 

「今までの様にいくわけないでしょッ‼」

 

「私達二人が揃えば………負けはないッ‼‼‼」

 

死神博士の言葉にそう叫び、全力のキックをクローズダークに叩き込んだ。

 

「「今の(私/ワタシ)は………無敵だッ‼‼」」

 

そして金色のエネルギーを集めた右ストレートをクローズダークの顔に叩き込み、それを受けたクローズダークは地を転がりながらベルトが外れ、ドラスへと戻った。

 

「やった‼」

 

「油断しない‼コイツ………結構渋といわよ?」

 

美歌の言葉通り、ドラスは体を起こすとまだ戦えるとアピールするかの様に構える。

 

「「だったら………必殺技で倒すまでッ‼」」

 

『キメワザ‼』

 

ハイパームテキのボタンを叩き、右足に光輝くエネルギーを集束させ、再度ボタンを叩く。

 

『HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

そして空へと飛び上がり、飛び蹴りを放つがドラスは拳で殴りがかって相殺する………なんて事はさせず、空中で一回転した私の連続蹴りがドラスを襲う。その感覚の隙を狙って腕を振るうが、その瞬間私の体がポリゴンとなって消え、瞬間移動したかのように別方向から飛び蹴りが命中する。その蹴りが何度か命中したら渾身の力を込めた蹴りで吹き飛ばす。

 

「これなら…‼」

 

それで倒れたかと思ったけど、ドラスは何ともない様に立ち上がった。

 

「おかしい………確かに決まった筈…」

 

「まるでコンティニューしてるみたい…」

 

「当然だッ‼‼このドラスは暴走サーキットを作る過程で死んだ89体の怪人達の生命エネルギーを注ぎ込んであるのだッ‼そう簡単に倒されはせんぞッ‼‼」

 

「厄介な物を…」

 

「ぼやいてもしょうがないし、倒せるまで倒すだけだよ‼」

 

「それもそうね。」

 

私達の意見が合い、ドラスに攻撃をしようとした所で別方向からの光弾がドラスを襲った。そこにはピンクのライダーと再度変身したブレイブとスナイプがいた。

 

「俺達を忘れるなよ?」

 

「梨子ちゃんにヴァーリ君ッ‼それと貴方は………………………名前言ってたっけ?」

 

「はぁ………【仮面ライダーディケイド】だ、覚えなくていい…」

 

「では、行きますかッ‼」

 

「うん‼」

 

ディケイドは手に持っていた銃みたいなのを変形させ、剣にするとヴァーリ君達と一緒にドラスへと向かっていった。

 

「わッ‼あの武器いいなぁ…‼」

 

「ワタシ達はガシャコンウェポン全部使えるんだから、別に羨ましくもないでしょ?」

 

「そうだけどね。」

 

私もキースラッシャーを取り出し、ディケイド達の後を追ってドラスへと駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいこのバカッ‼邪魔だ、引っ込んでろッ‼‼」

 

「はぁッ!?誰がバカだッ‼誰がッ‼」

 

「それすら理解できねぇのか、このバカ野郎ッ‼‼」

 

「また言ったなッ!?いいかッ‼バカっつった方がバカなんだからなッ‼‼」

 

一方、一誠と龍我の二人はガドルとレオを完全に無視して口喧嘩していた。暴走状態にある二人も、その光景に困惑してるかの様に立ち尽くしている。

 

「おーし、上等だぁッ‼‼だったらどっちが強いかはっきりさせようじゃねぇかッ‼‼」

 

「望む所だッ‼‼すぐにぶっ倒してやるよッ‼‼」

 

「「ガアアアアアアアアアアアアッ‼‼」」

 

「「邪魔すんなッ‼‼」」

 

「「ガブラッ!?」」

 

二人の喧嘩に痺れを切らしたガドルとレオが突撃するが、何故か息があった二人の拳に殴り飛ばされた。

 

「人の喧嘩に茶々入れるとか…シラケる事してんじゃねぇぞ…‼」

 

「まずはお前らから倒してやるよ…‼」

 

そこから一誠はガドル、龍我はレオへと突っ込み拳をねじ込んでいく。暴走状態の二体も攻めていくも今の二人を止められず、次々と攻撃を喰らって倒れ込む。

 

「んじゃ、トドメだ。」『ガッチョーン、ウラワザ‼』

 

「喰らえやッ‼‼」『レェディィィゴォー‼』

 

一誠はベルトのレバーを閉じ右手にエネルギーを貯め、龍我はツインブレイカーにクローズドラゴンをセットする。

 

『ガッチャーン‼SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

『レェッツブレイクゥッ‼‼』

 

「「オラァッ‼‼」」

 

「「グ…ゴアアアアアアァァァァァァッ!?」」

 

その拳の一撃で二体は爆散して、ガシャットだけがその場に残った。

 

「コイツは…ルシファーの手土産にしてやっか。」

 

「んじゃ、今度は俺達のケリを着けようぜ?」

 

「おう、やってやろうじゃ………ッ‼」

 

龍我の言葉に一誠も拳を構えるも、あるものを見つけてしまった。

 

「ワリィがお前との勝負はまた後でだッ‼‼」

 

龍我にそう告げると、一誠は光翼を展開して空へと舞い上がった。

 

「はあッ!?おい、待てよッ‼‼」

 

龍我はそれに追い縋る様にジャンプするが…

 

「よっとッ‼‼」

 

――スカッ‼

 

「あら~ッ!?…イダッ‼」

 

あと一歩で避けられ、地面に落ちた。

 

「つぅ~ッ!?戦兎のヤツ、俺も飛べる様にしてくれても良かっただろ~…」

 

地面でブツブツ言っているり龍我を無視し、一誠は全速力で飛翔する。校舎の屋上に向かって…

 

「曜ッ‼‼しゃがめッ‼‼‼」

 

「え?え?」

 

「いいからッ‼‼‼」

 

「わわッ!?」

 

一誠の声に曜はその場でしゃがみ込む。その上を何かが通る。

 

「へ?」

 

振り返るとそこにはレイドラグーンがいた。しかも空にたくさん…

 

「あ…ああ…‼」

 

その恐怖に曜の動きが止まった瞬間…

 

「そこをどけェッ‼‼‼」

 

全速力の一誠が、勢いそのままに飛び蹴りをレイドラグーンに喰らわせた。

 

「無事かッ!?」

 

「う、うん…‼」

 

「そうか…」

 

彼女の無事に安心しつつ、一誠は倒れているレイドラグーンの頭を掴み持ち上げた。

 

「おい…よくも俺の恩人に手ェ出したな?とっとと消えろ…‼」

 

そう言い放ち、アッパーで空へと打ち上げた。

 

「テメェら全員…ぶっ潰す‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校舎の前では、ダイヤが大量の戦闘員と数体の怪人相手に少し苦戦していた。

 

「さすがに…数が多いですわね…‼」

 

数十体もいる相手に一人で対抗しているのだ。その疲労は半端ではない。

 

「ですが、ここから先には行かせませんわッ‼‼」

 

彼女の背後の校舎には、戦える力を持たない人達ばかり………だからこそ、彼女は戦い続ける。

 

「ハアッ‼」

 

目の前の戦闘員を蹴り飛ばし、背後の二体に回し蹴りを喰らわせる。そこに別の戦闘員がナイフを振るってくるも、それを上段回し蹴りで弾き裏拳で顔を殴り飛ばす。更に戦闘員が落としたナイフ四本を右手の指の間に挟み、相手が密集してる所へ投げて突き刺す。

 

「次はどなたが相手ですのッ‼」

 

ダイヤの挑発に戦闘員の群れから、一体の怪人が出てくる。その見た目はドラゴンの様な姿をした怪人【サドンダス】は口の部分から熱線を放出してくる。

 

「あれはさすがにマズイですわね…‼」

 

そう判断したダイヤは、ガシャット起動時に現れる鏡へと飛び込む。普通鏡に飛び込めば砕けて地面に激突するだけだが、今の彼女は鏡面に波紋を広げながらその中へと入っていった。それで熱線を回避したら、サドンダスの背後にある鏡から飛び出して蹴りを喰らわせる。

 

「………………………イッタアァァァッ!?」

 

が、その皮膚の固さに蹴った足の方がダメージを受けていた。

 

「何なんですの、あの皮膚の固さはッ!?」

 

「ゴアアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

「くッ!?」

 

再び放たれる熱線。しかも距離が近く回避に使う鏡も近くにないのでダメージは免れない。

 

「そうはさせないぜ?」『高速化‼』『反射‼』

 

そこにエナジーアイテムを取り込んだパラドクスが間に入り、熱線をサドンダスへと跳ね返した。

 

「グオアアアアッ!?」

 

「パラドさんッ!?」

 

「悪い、遅くなったな。」

 

「一体何処で何をしてましたのッ!?」

 

「ちょっと………巨大蜘蛛と鬼ごっこをな…」

 

「………想像したくないので、それ以上はいいですわ…」

 

巨大蜘蛛と聞いてダイヤは仮面の下で顔を青くする。やはり女の子にとって蜘蛛は気味悪いのだ。

 

「さて、ここからは協力プレーといこうぜ?」

 

「………………私、まだ貴方がルビィを攻撃した事を許してませんわよ?」

 

「元々、許して貰えるとは思ってないさ。」

 

そう言ってパラドはガシャコンパラブレイガンを手に、サドンダスへと向かっていった。

 

「~~~~~ッ‼‼ああ、もうッ‼‼今だけですわよッ‼‼」

 

その姿に仕方無くダイヤもサドンダスへと向かおうとしたが…

 

――ドゴォン‼‼

 

『『『キシャアアアアアアアアアッ‼‼』』』

 

そのすぐ近くに三体の土蜘蛛が現れた。

 

「へ?………ピギャアアアアアアアアアッ!?蜘蛛ッ‼蜘蛛ですの~ッ!?」

 

それを見たダイヤは一気に走り、パラドの背中に隠れた。

 

「お、おいッ!?邪魔だって‼」

 

「だって蜘蛛ッ!?蜘蛛ですのよッ!?」

 

「あッ!?………やべ、もう追い付いたのかよ…」

 

「ここまで誘導してどうしますのッ!?」

 

「どうするって、奴に俺達の攻撃は通じないぞッ!?」

 

「なら、僕の出番かな?」

 

パラドとダイヤがわちゃわちゃしている時、ディエンドが二人の所にやって来る。

 

「誰だ、お前?」

 

「通りすがりの怪盗さ、覚えておきたまえ。」

 

そう言うと腰のホルダーから三枚のカードを取り出す。

 

「行ってきたまえ、僕の音楽隊。」

 

『KAMEN RIDE!! HIBIKI!! IBUKI!! TODOROKI!!』

 

それをドライバーに読み込ませ、三体のライダーを召喚する。その見た目は他のライダーとはまるで違い、どこか昔話の鬼を彷彿とさせた。

 

「それじゃ、後は任せたよ。」

 

『ATTACK RIDE!! INVISIBLE‼』

 

そして召喚を終えたディエンドは、その場から揺らめく様に消えた。

 

「「え………逃げたぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」

 

それを見たパラドとダイヤは叫ぶしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ~‼もう、渋といにも程があるわよッ‼‼」

 

「あれだけ攻撃しても倒せないなんて…」

 

「おまけに中々の強さだな…」

 

一方、ドラスの相手をしているヴァーリ達だったが、その渋とさ故に苦戦していた。

 

「奴を倒すなら、もっとたくさんの必殺技を叩き込むしかないな。」

 

「でも、どうやってッ!?」

 

「それなら問題ない、もう来るからな。」

 

「へ?」

 

ディケイドの言葉に三人が首を傾げていると、彼の背後に銀色のオーロラが現れ、そこから八人の人影が浮かぶ。そこから出てきたのは緑と黒のライダー、鷹と虎と飛蝗の模様があるライダー、白いロケットみたいなライダー、体に赤いルビーを纏い指輪をしたライダー、戦国武将みたいなライダー、赤い体にタイヤをたすき掛けしてるライダー、胸に目の模様と黒にオレンジのラインが入ったパーカーを着たライダー、そして赤と青のボディに兎と戦車の複眼をしたライダーがいた。

 

「お前ら、遅いぞ。」

 

「これでも依頼を最速で片付けて来たんだぞ!?」

 

「まぁまぁ…ライダーは助け合いじゃないですか。」

 

「ダチの為なら、どっからでも駆けつけてやるぜッ‼」

 

「この町の希望は俺が守るさ。」

 

「アイツ等は許しちゃおけねぇ存在だしな‼」

 

「市民を守るのは、俺達警察官の仕事だ‼」

 

「皆の思いを未来へ繋げてみせる‼」

 

「実験相手にはちょうどいいな。」

 

新たに現れた8人のライダー達にヴァーリ達は驚くが、ディケイドだけは首を傾げていた。

 

「ん?【エグゼイド】はどうした?」

 

「先生なら、どうしても外せない急患が来たみたいで…」

 

「ま、それがアイツの本職だしな。それにエグゼイドなら、ここにいる。」

 

「え、私?」

 

「お前以外に誰がいる?」

 

肩を叩かれ、自分の事を言われるまでボーッとしていた千歌もようやく意識を戻す。

 

「これだけいれば、なんとかなるだろ。」

 

「確かに、少ない人数でやるよりも効率的だし。」

 

「よぉし、行くぞお前ら‼」

 

「「「「「「「「おうッ‼‼」」」」」」」」

 

こうして新たにやって来たライダー達と共に、バトルはクライマックスへと向かっていく。

 

 




いかがでしたか?

はい、平成二期ライダー登場です。これで何やるか分かったでしょ?

次回【やり過ぎATTACK】

「これ、オーバーキルとかの次元じゃないでしょ。」

「ただの苛めにしか見えないよ…」

では、次回でお会いしましょう。


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やり過ぎATTACK

どうも、疾風の警備員です。

前回、平成二期ライダー達を出しましたが出す理由あったのか?と思っている読者の方達もいるでしょう。

その理由は単純です。

今日がこの小説を投稿して【一周年】だからです。

ようは…これが俺の望んだ祭りダァッ‼‼

では、どうぞ。


※加筆・修整しました。


空に浮かぶレイドラグーンの群、その中で一誠は一人暴れまわっている。

 

一体の頭を鷲掴み、他のレイドラグーンにぶつけて更に蹴りをお見舞いする。次に背後から来たのには裏拳を当て、腹に拳を打ち込む。そこでエナジーアイテムを見つけ、それを取り込む。

 

『マッスル化‼』

 

「オラアアアアアアアアアアアッ‼‼‼」

 

上がった攻撃力でレイドラグーンを殴りまくり、数体を撃破した所で別のエナジーアイテムをGETする。

 

『透明化‼』

 

その場で姿を消し、戸惑っているレイドラグーン達を次々と撃破する。だが、元々数が多かっただけに減った感じは全くしない。

 

「何体…いやがんだよ…‼」

 

先ほどのガドルとレオとの戦いから休まずレイドラグーンと戦闘を行い、一誠の体力は限界に近づきつつあった。そのせいか動きが大振りになり始め、五回に一回は回避され始めた。

 

それで余裕が出始めたのか、群れを二つに分けてレイドラグーンは行動を始める。片方は一誠に、もう片方は戦えない曜達の方へと…

 

「行かせッかよォッ‼‼」

 

それに気づいた一誠はもう1つの群れへと向かおうとするも、目の前の群れが行く手を遮る。

 

「邪魔すんなァッ‼‼‼」

 

目の前のレイドラグーン達を殴り道を切り開こうとするも、1体を殴る度にその倍のレイドラグーンが眼前へと現れ、距離は更に遠退いていく。

 

「クソッ‼アイツは俺が守るんだッ‼‼俺がッ‼‼絶対にッ‼‼‼」

 

もうレイドラグーンの攻撃を受けるのも厭わず、一誠は飛ぶ。その身をかけて守りたい者へと。しかし、レイドラグーン達が体にしがみつき動きを阻害され、思ってる様な速度は出ない。

 

(これじゃ間に合わねぇ…‼)

 

だからといって動くのを諦めない。必死に振りほどきながら飛んでいく。

 

そして曜達も逃げようとするが、出口付近にレイドラグーンが既に何体も立っていて脱出は不可能だ。一誠がこれから起こる惨劇に叫ぼうとした時…

 

『ガッチャーン…‼』

 

「えいッ‼」

 

――バキュン‼

 

「グガッ!?」

 

ルビィがバグヴァイザーⅡをビームガンにしてレイドラグーンを撃ち抜いた。

 

「ルビィちゃんッ!?」

 

「…ルビィだって、出来るんだからァッ‼」

 

そう言ってビームを撃っていくが、やはり目を瞑っているのでどうしても当たりが少なかったが、レイドラグーンの動きを鈍らせる事は成功していた。一誠はその隙にしがみついてる奴等を振りほどき向かっていくと…

 

――ドゴォン‼

 

「ヨッシャア‼着いたぜ‼」

 

屋上の扉を蹴破って龍我がやって来た。

 

「ピギィッ!?」

 

「おお、嬢ちゃん達頑張ったな‼」

 

「はあッ!?お前、どうやって…‼」

 

「ああッ!?戦兎の奴を見かけたからタカボトル貸してくれって頼んだのに、貸してくれねぇから走ったに決まってんだろッ‼」

 

どうやら龍我は一誠に避けられて地面に落ちた後、戦兎からボトルも借りられずに走ってここまで来たらしい。まさに筋肉バカ…

 

「こっちは俺がやってやる‼お前は空の奴等をぶっ飛ばせ‼」

 

「………………分かった…‼」

 

龍我の言葉に一誠は再び空に舞い上がる。心に悔しさを残しながら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハッ‼その攻撃はvery slowよ‼」

 

「生意気な…‼」

 

此方は鞠莉&善子VSウェザードーパント&戦闘員軍団。ウェザードーパントが四方八方から幾度となく放つ雷撃を、鞠莉は笑いながらその場から動かずスウェーで難なく回避しまくっている。そして善子はというと………

 

「ディフュージョンシャワー連射‼殲滅されろ‼」

 

「「「「「「イイーッ!?」」」」」

 

戦闘員達の上から魔力の雨を大量に、何度も降らせてその数を急速に減らしていた。それも戦闘員達の攻撃が自身に届かない高さからだ。まさに苛めに等しい…

 

「さて、貴方もそろそろ倒される時間よ‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼ガッチャーン‼ RAISOU!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

ベルトのレバーを閉じた鞠莉は、すぐさま開いて必殺技を発動させる。

 

「ッ‼やらせはしません‼」

 

ウェザーはそれを阻止する為に落雷を落とすが、鞠莉を捉える事は出来ず懐に入り込まれ、雷速の蹴りを連続で決められていく。

 

「ハアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

「ヌオオオォォォォォォォォォッ!?」

 

その速度は徐々に増していき、ある程度決めたら蹴りを止めその場で反転する。

 

「9.8second…それが貴方の絶望までのtimeよ。」

 

「まさか………同じような技に敗れるとは…‼‼」

 

地に倒れ爆発するウェザーに、鞠莉は仮面の下で舌を出す。

 

「なんちゃってね♥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして平成二期ライダーチームVSドラスはというと…

 

「フッ‼」「ヤアッ‼」「テリャッ‼」「ハアッ‼」

 

ディケイドと梨子の砲撃でドラスの防御を崩し、ヴァーリと千歌の斬撃で怯ませる。そこにダブルが突っ込んでいく。

 

 

-推奨BGM【W-B-X~W-Boiled Extreme~】

 

 

「オラァッ‼」

 

そこから怒濤の連続蹴りが始まる。サイクロンメモリの力でスピードが上がり、ジョーカーメモリのお陰で身体能力が上がった相性の良い組み合わせはドラスの反撃を許さず、その攻撃に地を転がっていく。

 

『JOKER!! MAXIMUM DRIVE!!』

 

そしてジョーカーメモリを右腰のスロットに装填し、必殺技を発動させた。

 

「『ジョーカーエクストリーム‼』」

 

ダブルは竜巻と共に浮かび上がってスロットを叩き、途中で体を半分に分かち、【ジョーカーエクストリーム】を叩き込む。そして着地と同時に赤と銀のメモリをバックルに入れる。

 

『HEAT!!』『METAL!!』

 

次にダブル・ヒートメタルに変わるとメタルメモリの専用武器【メタルシャフト】を使い、ヒートメモリの効果で炎を纏わせた攻撃を叩き込んでいく。このフォームはパワータイプなので一撃の威力が高く喰らう度にドラスはのけ反る。

 

「お熱いの…かましてやるぜッ‼」

 

『METAL!! MAXIMUM DRIVE!!』

 

メタルシャフトにメタルメモリを装填して、両端から炎の噴射を利用して突き進み、ドラスにシャフトを叩きつける。

 

「『メタルブランディング‼』」

 

この1発で再び地を転がるドラスにダブルは黄色と青のメモリをバックルに入れる。

 

『LUNA!!』『TRIGGER!!』

 

そしてダブル・ルナトリガーに変わると専用武器【トリガーマグナム】から光弾を撃つ。起き上がったドラスは回避しようとするが、ルナメモリの特性で、弾道が不規則に曲がりドラスを追いかけて命中した。

 

『もう一度決めるよ、翔太郎。』

 

「ああ‼」

 

『TRIGGER!! MAXIMUM DRIVE!!』

 

トリガーメモリをマグナムに装填してマキシマムモードに切り換え、銃口から大量の光弾を発射する。

 

「『トリガーフルバースト‼』」

 

誘導性能を持つ弾丸からは逃げられず、全弾命中した。

 

『ファングは僕達の状況的に使えないから、エクストリームでいこう。』

 

「あいよ‼」

 

フィリップの言葉と共に機械の鳥【エクストリームメモリ】がダブルの前に現れ、それをベルトに装填して、開く。

 

『XTREME!!』

 

サイクロンジョーカーに戻り、中央のラインを左右に広げる様にして両手を広げ、中央に地球の記憶と直接アクセスできる【クリスタルサーバ】が現れ、ダブル最強のフォーム【サイクロンジョーカーエクストリーム】へと変わる。

 

「『プリズムビッカー。』」

 

そして剣のプリズムソードと盾のビッカーシールドが1つになった専用武器【プリズムビッカー】を取り出すと、プリズムメモリをプリズムソードに装填する。

 

「とっておきを…お見舞いしてやる‼」

 

『CYCLONE!! HEAT!! LUNA!! JOKER!! MAXIMUM DRIVE!!』

 

「『ビッカーファイナリュージョン‼』」

 

プリズムビッカーから放たれる光線が直撃、大きな爆発を起こすがドラスはまだ立ち上がった。

 

「次はお前の番だぜ…オーズ。」

 

 

-推奨BGM【Anything Goes】-

 

 

「オオオオオォォォォォォッ‼‼」

 

オーズは腕の【トラクロー】を展開すると、ドラスを何度も引き裂き足を飛蝗状に変えるとそれでドロップキックを決める。

 

「先ずはこれだ‼」

 

『スキャニングチャージ‼』

 

【オースキャナー】でベルトのメダルをスキャンし、足を飛蝗みたく変えると飛び上がり、彼の前に赤、黄、緑のリングが浮かぶ。

 

「セイヤーッ‼‼」

 

【タトバキック】が炸裂し、吹き飛ぶドラス。再び起き上がろうとする間にオーズはメタルを緑1色に変えてスキャンする。

 

『クワガタ‼カマキリ‼バッタ‼ガ~タガタガタ・キリ・バ‼ガタキリバ‼』

 

昆虫系メダルのコンボ【ガタキリバ】になると、その固有能力【ブレンチシェイド】で沢山の分身を呼び出すと、すぐにメダルを再スキャンする。

 

『『『『『スキャニングチャージ‼』』』』』

 

「「「「「セイヤーッ‼‼」」」」」

 

ホンタイニ合わせて他の分身も同じ様にスキャンし、全員で一斉にライダーキックを放つ【ガタキリバキック】を発動。強力な連撃がドラスを襲い、たまらず吹き飛ぶ。オーズはメダルを黄色1色に変えてスキャンする。

 

『ライオン‼トラ‼チーター‼ラタラタ~‼ラトラーター‼』

 

猫系メダルのコンボ【ラトラーター】になると、周囲に高熱の熱線【ライオディアス】を照射。ドラスの目を眩ませつつもその熱でダメージを与えながらメダルを再スキャンする。

 

『スキャニングチャージ‼』

 

正面に出てきた3つのリングを潜りながら高速でドラスに迫り、トラクローで切り裂く必殺技【ガッシュクロス】を喰らわせてから、今度は灰色のメダルをベルトに装填してスキャンする。

 

『サイ‼ゴリラ‼ゾウ‼サゴーゾ…サッゴォーゾ‼』

 

重量系メダルのコンボ【サゴーゾ】になるとドラミングを行い固有能力の【重力操作】でドラスを浮かせると、すぐに高重力に切り換えて地面に叩きつける。

 

『スキャニングチャージ‼』

 

「ォォォォォォオオオオオオオ…‼‼セイヤーッ‼‼」

 

そして必殺技の【サゴーゾインパクト】を喰らわせて思い切り殴り飛ばした。

 

「次だ‼」

 

『シャチ‼ウナギ‼タコ‼シャシャシャウタ‼シャシャシャウタ‼』

 

次に水棲系メダルの青いコンボ【シャウタ】になると、自分の体を液状に変化させドラスを縛り、空へと放り投げる。

 

『スキャニングチャージ‼』

 

メダルを再スキャンし、両手の【ウナギウィップ】でドラスを捕らえると足をタコみたく変え、それをドリル状にして蹴り飛ばす【オクトパニッシュ】を直撃させた。

 

「一緒に行くよ………アンク‼」

 

「タカ‼クジャク‼コンドル‼タ~ジャ~ドル~‼』

 

今度は赤い鳥系のメダルのコンボであり、親友の力でもある【タジャドル】へと変わると空へと舞い上がり、ベルトのメダルを専用武器【タジャスピナー】に入れて読み込ませる。

 

『タカ‼クジャク‼コンドル‼ギン‼ギン‼ギン‼ギガスキャン‼』

 

すると彼の体を炎が包み、鳥の形を形成する。そしてそのまま敵に突っ込む【マグナブレイズ】でドラスを吹き飛ばした。

 

「次は任せたよ、弦太郎君。」

 

 

-推奨BGM【SWITCH ON】-

 

 

「ライダーロケットパーンチッ‼‼」

 

オーズを追い越す様にしてフォーゼが現れると、右手のオレンジのロケットで加速しながらそのまま殴り飛ばした。

 

「か~ら~の~‼」

 

『DRILL ON!!』

 

『ROCKET!! DRILL!! LIMIT BREAK!!』

 

「ライダーロケットドリルキーック‼‼」

 

そしてすぐに左足にドリルを装着すると、必殺技の【ライダーロケットドリルキック】をお見舞いする。

 

「次は痺れさせてやるよ‼」

 

『ELEK!!』『ELEK ON!!』

 

フォーゼは電気の力を持った【エレキステイツ】になると専用武器の【ビリーザロッド】にエレキスイッチを装填する。

 

『LIMIT BREAK!!』

 

「ライダー100億ボルトブレイク‼‼」

 

その斬撃でドラスの動きを鈍らせると、今度は赤いスイッチをベルトに装填する。

 

『FIRE!!』『FIRE ON!!』

 

炎の力を持った【ファイヤーステイツ】になったら武器の【ヒーハックガン】にスイッチを入れて、銃口をドラスに押し付ける。

 

「グオ…‼」

 

『LIMIT BREAK!!』

 

「ライダー爆熱シュートッ‼‼」

 

至近距離からの高熱火炎放射にたまらずドラスは下がる。

 

「割って、挿す‼」

 

『N MAGNET!!』『S MAGNET!!』『N♪S♪MAGNET ON!!』

 

更に磁力の力を持つ【マグネットステイツ】になると肩のキャノンを連射してドラスの動きを封じる。

 

『LIMIT BREAK!!』

 

「ライダー超電磁ボンバー‼」

 

そして超電磁ボンバーを喰らわせて吹き飛ばす。

 

「ライダー部の絆の力………見せてやる‼」

 

『Cosmic!!』『COSMIC ON!!』

 

次にライダー部の思いが作り上げたスイッチで変身した【コズミックステイツ】になり、武器のバリズンソードを展開させてスイッチを装填する。

 

『LIMIT BREAK!!』

 

「ライダー超銀河フィニッシュッ‼‼」

 

放たれた必殺の斬撃はドラスに当たり、爆発を起こす。

 

「後は頼んだぜ‼ウィザード‼」

 

 

-推奨BGM【Life is SHOW TIME】-

 

 

「だったら最初から行くぞ、ドラゴン。」

 

『フレイム・ドラゴン‼ボ~‼ボ~‼ボ~ボ~ボ~‼』

 

ウィザードはドラゴンの力を一部解放した【フレイムドラゴンスタイル】になると、右手に特殊アイテム【ドラゴタイマー】を取り付けてダイヤルを回してスイッチを押す。

 

『ドラゴタイム‼スタート‼』

 

動き出すタイマー…ウィザードは専用武器【ウィザーソードガン】をソードモードにして切りかかる。ドラスはその剣を受け止めるが…

 

『ウォータードラゴン‼』

 

タイマーの矢印が青い面に来たのでそこでタイマーを叩き、ウィザードの側に青い魔法陣が浮かび、そこから青いウィザード【ウォータードラゴン】が飛び出して、持っていた剣でドラスを切り裂いていく。

 

『ハリケーンドラゴン‼』

 

次に緑の面で叩き、緑の魔法陣から緑のウィザード【ハリケーンドラゴン】を呼び出し、ガンモードのソードガンで攻撃していき…

 

『ランドドラゴン‼』

 

最後に黄色の面で叩き、黄色の魔法陣から黄のウィザード【ランドドラゴン】を呼び出して、怯んでるドラスに追撃を喰らわせた。

 

『ファイナルタイム‼』

 

「「「「さぁ、ショータイムだ。」」」」

 

『ドラゴンフォーメーション‼』

 

その音声と共に、フレイムには【ドラゴスカル】、ウォーターには【ドラゴテイル】、ハリケーンには【ドラゴウィング】、ランドには【ドラゴクロー】が装着され、フレイムの火炎放射にウォーターの叩きつけ、ハリケーンの翼の斬撃からランドのクローと連続攻撃が叩き込まれる。

 

「ここからが、本当のフィナーレだ。」

 

『インフィニティー‼プリーズ‼ヒー‼スイ‼フー‼ドー‼ボー‼ザバ‼ビュー‼ドゴーン‼』

 

四人から一人に戻り、インフィニティーリングで自身の希望を具現化した姿【インフィニティースタイル】に変身した。そして専用武器の【アックスカリバー】をソードモードで持ち、ドラスを何度も斬り…

 

『ターンオン‼ハイタッチ‼シャイニングストライク‼キラキラ~♪キラキラ~♪』

 

アックスモードに変えると手のパーツ部分を左手で叩き、必殺技を発動させて巨大化したアックスカリバーを振り下ろして切り裂いた。

 

「次は頼むよ、鎧武。」

 

 

-推奨BGM【JUST LIVE MORE】-

 

 

「ここからは俺のステージだッ‼」

 

吹き飛んできたドラスに、鎧武は腰の剣【無双セイバー】と【大橙丸】を繋ぎ合わせナギナタモードにすると、ベルトの【オレンジロックシード】を取り外して無双セイバーに取り付ける。

 

『ロックオフ‼ロックオン‼一・十・百・千・万‼』

 

そして飛んでくるドラスを切り裂いた。

 

『オレンジチャージ‼』

 

すれ違い様に斬られ地を転がっていくドラスを見つつ、ベルトのフェイスプレートを外して新たに【ゲネシスコア】を取り付け、無双セイバーから外したオレンジロックシードと【レモンエナジーロックシードを起動させてベルトに付け、カッティングブレードを下ろす。

 

『ソイヤッ‼MIX!!オレンジアームズ‼花道・オンステージ‼ジンバーレモン‼ハハーッ‼』

 

【鎧武・ジンバーレモンアームズ】に変わると新たに機械的な弓【ソニックアロー】を片手に立ち上がろうとするドラスを射抜いていく。再度倒れたドラスに鎧武はレモンエナジーロックシードをソニックアローに取り付けて弓を絞っていく………

 

「ハアッ‼」

 

『レモンエナジー‼』

 

そこから放たれた高エネルギーの矢【ソニックボレー】が命中したら、ベルトに新たにカチドキロックシードを取り付けてカットする。

 

『カチドキ‼』『ロックオン‼ソイヤッ‼カチドキアームズ‼いざ・出陣‼エイエイオー‼』

 

重厚な鎧武者を思わせる【鎧武・カチドキアームズ】になると専用武器の【火縄大橙DJ銃】にカチドキロックシードを取り付ける。

 

『ロックオン‼一・十・百・千・万・億・兆‼無量大数‼』

 

銃口に溜まるエネルギーをドラスへ向け、引き金を引く。

 

『カチドキチャージ‼』

 

その砲撃が直撃し、別のライダーの元へと吹き飛んでいく。

 

「次はお前のステージだ、ドライブ‼」

 

 

-推奨BGM【SURPRISES-DRIVE】

 

 

「行くぞ、ベルトさん‼」

 

『OK、進之介‼』

 

飛んでくるドラスに、ドライブはベルトのイグニッションキーを捻りブレスのボタンを押す。

 

『ヒッサーツ‼』

 

そしてブレスの【シフトスピード】を1度倒す。

 

『フルスロットル‼スピード‼』

 

それに合わせて彼の周りを専用マシン【トライドロン】が回り始め、その中にドラスが入るとドライブはドラスにキックを決め、反動で飛びトライドロンの屋根を蹴ると再度ドラスにキックを決める【スピードロップ】を喰らわせる。何回か攻撃した後で囲みから飛ばし、ドライブは黒いシフトカーをブレスに付ける。

 

『ドライブ‼タイプ・ワイルド‼』

 

【タイプ・ワイルド】になると武器の【ハンドル剣】を手にし、豪快に振るいながらドラスを斬っていき、最後は左肩のタイヤで体当たりし、吹き飛ばす。そして次に緑のシフトカーをブレスに付ける。

 

『ドライブ‼タイプ・テクニック‼』

 

【タイプ・テクニック】に変わったら今度は【ドア銃】を持ち、ドラスに正確に弾丸を当てていく。最後に顔に当てたら青いシフトカーをブレスに付ける。

 

『ドライブ‼タイプ・フォーミュラ‼』

 

青いF1カーみたいな姿の【タイプ・フォーミュラ】になったら目にも止まらぬ速さで動き回りドラスに拳や蹴りを当てていく。

 

「これで決めるぞ‼」

 

『ファイヤー‼オールエンジン‼』

 

次にブレスに付けたのは今までのと違うシフトカー【シフトトライドロン】。それを起こすと、先程のトライドロンが分解されドライブのアーマーへとなっていく。

 

『ドライブ‼タイプ・トライドロン‼』

 

最強フォームの【タイプ・トライドロン】になったドライブは武器のトレーラー砲の上部にシフトスピードをセットする。

 

『スピード砲‼』

 

そしてその中にシフトトライドロンを装填する。

 

『ヒッサーツ‼フルスロットル‼』

 

『さあ決めろ、進之介‼』

 

『フルフルスピード‼ビッグ大砲‼』

 

放たれたトライドロン型の光弾がドラスに当たり、また吹き飛んでいく。

 

「次は任せたよ、タケル君。」

 

 

-推奨BGM【我ら思う、故に我ら在り】-

 

 

『カイガン‼ムサシ‼決闘‼ズバッと‼超剣豪‼』

 

『さあ共に行くぞ、タケル‼』

 

「はいッ‼」

 

【ムサシ魂】にゴーストチェンジしたゴーストは武器である【ガンガンセイバー】を二刀流に変えて右手の剣をベルトに翳す。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼』

 

「ハアッ‼」『オメガスラッシュ‼』

 

そしてまたすれ違い様に切り裂かれる。次にゴーストは黄色の眼魂をベルトに入れてレバーを引いて押し込む。

 

『カイガン‼エジソン‼エレキ‼閃き‼発明王‼』

 

【エジソン魂】になるとガンガンセイバーをガンモードに組み換え、またベルトに翳す。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガシュート‼』

 

銃口から電撃を放つとドラスやその周囲に着弾して爆発を起こす。

 

『カイガン‼ロビン・フッド‼ハロー‼アロー‼森で会おう‼』

 

次に【ロビン魂】になると【コンドルデンワー】をガンガンセイバーに取り付けてアローモードにし、必殺技を放つ。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガストライク‼』

 

撃ち出された矢はドラスの顔に命中し、痛みでもがく間に青い眼魂をセットする。

 

『カイガン‼ニュートン‼リンゴが落下‼引き寄せまっか~‼』

 

【ニュートン魂】になったゴーストは吹き飛んでいくドラスを左手のグローブが発する引力で逆に引き寄せ、ある程度近づいたら今度は右のグローブが発する斥力で反発させて宙に浮かせたら再び引力で引き寄せて地面に叩きつける。それからバックステップをしつつ茶色の眼魂をベルトに入れる。

 

『カイガン‼ビリー・ザ・キッド‼百発百中‼ズキューン‼バキューン‼』

 

【ビリー・ザ・キッド魂】に変わったゴーストはコウモリ型のガジェットの【バットクロック】をガンガンセイバーに合体させてライフルモードにしてベルトに翳した。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガインパクト‼』

 

放たれた攻撃はドラスに直撃し爆発を起こすも、ドラスは未だに倒れない。

 

『カイガン‼ベートーベン‼曲名‼運命‼ジャジャジャジャーン‼』

 

ゴーストは【ベートーベン魂】に変わると、両手を指揮者の様に振るい、周囲に虹色の音符を大量に作るとそれをドラスへと飛ばし小規模な爆発が大量に起こる。

 

『カイガン‼ベンケイ‼アニキムキムキ‼仁王立ち‼』

 

【ベンケイ魂】にチェンジしたゴーストはナギナタモードにしたガンガンセイバーの先端に【クモランタン】を取り付け、ハンマーモードにしてからベルトに翳した。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガボンバー‼』

 

それで地面を叩くと衝撃を走らせ、ドラスの足下で爆発を起こす。

 

『カイガン‼ゴエモン‼歌舞伎ウキウキ‼乱れ咲き‼』

 

【ゴエモン魂】に変わると新たな武器【サングラスラッシャー】を逆手に持ち、ドラスを切り裂いていきながらベルトのレバーを操作する。

 

『ダイカイガン‼ゴエモン‼オメガドライブ‼』

 

そして後ろに跳躍しながら斬撃を飛ばしてドラスを切り裂く。

 

『カイガン‼リョウマ‼目覚めよ日本‼夜明けゼヨ‼』

 

次に【リョウマ魂】になるとサングラスラッシャーの刀身を回転させてガンモードに変え、ベルトのレバーを引いて押し込む。

 

『ダイカイガン‼リョウマ‼オメガドライブ‼』

 

引き金を引いて放たれる弾丸は、正確にドラスに命中していく。

 

『カイガン‼ヒミコ‼未来を予告‼邪馬台国‼』

 

続けて【ヒミコ魂】になるとサングラスラッシャーをソードモードに戻し、刀身に浄化の炎を纏わせながらドラスを攻撃し、怯んだところでサングラスラッシャーにオレ眼魂と黒に炎の様なパーツが付いた闘魂ブースト眼魂を装填する。

 

『闘魂‼ダイカイガン‼メガ‼オメガシャイン‼』

 

そしてリング状にした炎の斬撃でドラスを吹き飛ばす。

 

「皆、行くよ‼」

 

ゴーストはドライバーを【アイコンドライバーG】に変えて、十五人の英雄達を身に纏う。

 

『グレイトフル‼』『ガッチリミ~ナ~‼コッチニキナー‼ゼンカイガン‼剣豪‼発見‼巨匠に王様‼侍‼坊主にスナイパー‼大変化~‼』

 

『ムサシ‼エジソン‼ロビン・フッド‼ニュートン‼ビリー・ザ・キッド‼ベートーベン‼ベンケイ‼ゴエモン‼リョウマ‼ヒミコ‼ツタンカーメン‼ノブナガ‼フーディーニ‼グリム‼サンゾウ‼』

 

【グレイトフル魂】になったゴーストは、ベルトのレバーを操作して十五人の英雄達を呼び出す。

 

『レッツゴー‼全員集合‼メガ‼オメガフォーメーション‼』

 

そして十五人の英雄達と一緒にライダーキックを決めた。

 

「後はお任せします、戦兎さん‼」

 

 

-推奨BGM【Be the One】-

 

 

「さあ、実験を始めようか?」

 

ビルドは茶色と水色のボトルを取り出すと数回振り、ベルトに装填して横のレバーを回していく。

 

『ゴリラ‼ダイヤモンド‼ベストマッチ‼』

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ‼」

 

『輝きのデストロイヤーー‼ゴリラモンド!イェーイ‼』

 

【ゴリラモンドフォーム】ニュートンなったビルドは巨大な右手【サドンデストロイヤー】で全力でドラスを殴り飛ばす。

 

「グゴァッ!?」

 

「さてと、いきますか‼」

 

再度ベルトのレバーを回し、必殺技を発動させる。

 

『Ready Go!!ボルテックフィニッシュ‼』

 

正面に巨大なダイヤモンドを作ると、それを右手で殴り砕いて破片をドラスへと飛ばしていく。

 

「それじゃ、次の実験だ。」

 

『パンダ‼ロケット‼ベストマッチ‼Are you Ready?』

 

「ビルドアップ‼」

 

『ぶっ飛びモノトーン‼ロケットパンダ‼イェーイ‼』

 

【ロケットパンダフォーム】になると左のロケットで高速飛行しつつ、右手のクローで切り裂いていく。

 

「グッ‼ガッ!?」

 

『ハリネズミ‼消防車‼ベストマッチ‼ Are you Ready?』

 

「ビルドアップ‼」

 

『レスキュー剣山‼ファイヤーヘッジホッグ‼イェーイ‼』

 

次に【ファイヤーヘッジホッグフォーム】になり、右手の針や左手の放水銃から水や炎を出して攻撃していく。

 

『ライオン‼掃除機‼ベストマッチ‼Are you Ready?』

 

「ビルドアップ‼」

 

『たてがみサイクロン‼ライオンクリーナー‼イェーイ‼』

 

今度は【ライオンクリーナーフォーム】に変わり、レバーを回しながら掃除機でドラスを引き寄せていく。

 

『Ready Go!!ボルテックフィニッシュ‼』

 

そして右手からライオンを象った衝撃波を飛ばしてドラスを飲み込み、爆発を起こす。だけども、ドラスが倒れる事はなかった。

 

「渋といねぇ………でも、既に勝利の法則は見えてるんだよ。」

 

『ラビットタンクスパークリング‼』

 

ビルドは大きな缶みたいなボトルを出すと数回振ってプルタブを開け、ベルトに装填するとレバーを回していく。

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ‼」

 

『シュワっと弾ける‼ラビットタンクスパークリング‼イェイイェーイ‼』

 

強化形態の【ラビットタンクスパークリングフォーム】になったビルドは飛び上がりながら再びレバーを回す。

 

『Ready Go!!スパークリングフィニッシュ‼』

 

「オリャアアァァァァァァァッ‼」

 

ビルドの必殺技が命中し爆発するドラスだったが、またすぐに立ち上がった。

 

「いい加減にしろッ‼」

 

何回も起き上がるドラスに怒ったディケイドは近くのエナジーアイテムをドラスへと投げる。普通なら全員から必殺技を当てられてもおかしくないが、今回は逆に褒められた行為だ。何故なら…

 

『混乱‼』

 

それはバッドステータス系のアイテムだったのだから。

 

「お前らッ‼今度こそ跡形もなくこいつを潰すぞ‼」

 

ディケイドはキレ気味になりながら、1つのアイテム【ケータッチ】を取り出す。そこにカードを装填し、浮かんでいる紋様をなぞっていく。

 

『DOUBLE!! OOO!! FOURZE!! WIZARD!! GAIM!! DRIVE!! GHOST‼ EX-AID!! BUILD‼』

 

するとヴァーリと梨子、千歌以外のライダーの前にそのライダーの最強フォームを描いたゲートが現れる。

 

「「えッ!?何ッ!?何なのッ!?」」

 

「一体何を…」

 

「うんうん、やっぱりドラスとの勝負ならこれがないとな。」

 

困惑する千歌ーズと梨子だが、何が起きるのか知っているヴァーリは一人頷く。そう、これから起きるのはたぶん、平成ライダー史上最もやり過ぎな攻撃だからだ。

 

『CYCLONE JOKER GOLD XTREME‼』

 

『SUPER TATOBA!!』

 

『METEOR NADESHICO FUSION‼』

 

『INFINITY DRAGON GOLD!!』

 

『KIWAMI!!』

 

『SPECIAL!!』

 

『MUGEN!!』

 

『TANKTANK!!』

 

その電子音声に合わせてライダー達がゲートを潜ると、そのゲートの姿へと変身する。

 

二人の心と体も一つにし、風都の風をも味方にした【ダブル・サイクロンジョーカーゴールドエクストリームフォーム】

 

未来のコアメダルの力で雄々しく戦う【オーズ・スーパータトバコンボ】

 

友と想い人の力を1つにした【フォーゼ・メテオなでしこフュージョンステイツ】

 

皆の希望を明るく照らす金色のドラゴン【ウィザード・インフィニティードラゴンゴールドスタイル】

 

己の正義を貫く為に戦う【鎧武・極アームズ】

 

今と未来、親子の絆で生まれた【ドライブ・タイプスペシャル】

 

人々の思いを未来へ繋ぎ、何処までも進化する【ゴースト・ムゲン魂】

 

己を見失わない為に、信じた正義の為に戦う【ビルド・タンクタンクフォーム】

 

そしてエグゼイドを含めた平成二期ライダーが最強フォームになり、ディケイドもバックルを外して右腰に取り付け、ベルトの空いた場所にケータッチをセットする。

 

『FINAL KAMEN RIDE!! DECADE!!』

 

そしてディケイドも胸に9人のライダーカードを付け、複眼がピンクに、体は銀と黒に変わった【コンプリートフォーム】…別名遺影フォーム…に変身した。

 

「おい、その別名は余計だ。」

 

…スンマセン…

 

全員の変身が終わるとヴァーリと梨子、千歌ーズを含めてドラスを囲むように並ぶ。

 

「それじゃ始めるか。」

 

ディケイドの言葉に動き出したのは鎧武、フォーゼ、ビルド、スナイプだ。

 

『ロックオン‼フルーツバスケット‼』

 

「ライダーダブル…‼」

 

『ラビット‼タンク‼ドラゴン‼ロボット‼アルティメットマッチ‼で~す‼』

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

それぞれが遠距離武装を構えて、砲口をドラスへと向けて攻撃を放つ。

 

『オレンジチャージ‼』

 

「ロケットミサーイルッ‼‼」

 

『アルティメットマッチブレイク‼』

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL STRIKE!!』

 

四人のライダーから放たれた砲撃が混乱しているドラスを襲い、大ダメージを与える。そこですかさず次の四人のライダーが動き出す。

 

「ハアアアァァァァァ…‼‼」

 

『イノチ‼ダイカイガン‼』

 

『ヒッサーツ‼』

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

ウィザード、ゴースト、ドライブ、ブレイブが必殺技の発動状態になりながらドラスへと突っ込んでいく。

 

「タアアアァァァァァッ‼‼」

 

『カナシミブレイク‼』

 

そしてウィザードがクロー、ゴーストが剣の順でドラスを背後から切り裂き…

 

『フルスロットル‼スペシャル‼』

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

続けてドライブとブレイブが同時にドラスを切り捨てる。

 

『XTREME!! MAXIMUM DRIVE!!』

 

『スキャニングチャージ‼』

 

そこにダブルとオーズが飛び込んで、ドラスを殴り飛ばす。

 

『キメワザ‼ HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

「でりゃあッ‼‼」

 

それに合わせてエグゼイドも必殺技を発動させた拳で殴る。

 

『FINAL ATTACK RIDE!! DE・DE・DE・DECADE!!』

 

「ハアアアアアアアアアアァァァァァァァァッ‼‼」

 

最後に残ったディケイドは右腰のバックルにカードを入れて叩き、飛び上がると目の前に現れる10枚のゲートを潜り抜け、ドラスにライダーキックを叩き込んだ。

 

これだけの連続攻撃に、ドラスは身体中から火花を散らして倒れる。しかし、まだ力が残っているのか立ち上がった。

 

「さすがに渋とすぎだろ…」

 

「大丈夫よ。」

 

ぼやくディケイドに美歌が告げると、ドラスの体にHITの文字が浮かんで仰け反る。それは1回ではなく何度も続き、ドラスの姿が見えなくなる程に浮かんだ後、ついに限界を越えたドラスは爆散した。

 

「これ、オーバーキルとかの次元じゃないでしょ?」

 

「ただの苛めにしか見えないよ…」

 

千歌ーズの言葉が聞こえたのかどうか分からないが、屋上のメンバーが何故か頷いていた…




いかがでしたか?

劇場版よりも更にボコられたドラス………とりあえず合掌しといてください。

次回か次々回でサンシャイン編は終わりになります。

次回【皆に届くSONG】

「「「「Aqoursッ‼サンシャイーンッ‼‼」」」」

では次回で、お会いしましょう。


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皆に届くSONG

どうも、疾風の警備員です。

遅くなってスミマセン‼中々展開が決まらなかったので…

今回でサンシャイン編は終わりです。

では、どうぞ。


「ハァッ‼」

 

「オリャッ‼」

 

現在、サドンダス相手に戦闘中のパラドクスとジュエル。この二人の意外と息の合った攻撃にサドンダスは押されていた。上段からのパラブレイガン振り下ろしを喰らい下がるサドンダスだが、勢いそのままにしゃがんだパラドクスを飛び越えたジュエルの蹴りの追撃が襲う。そこからも、防御をさせない速さで蹴りを次々と繰り出し、怯ませる。そして顔に回し蹴りを喰らわせたら、回転しながら右にずれ、そこにパラドクスが飛び込みパラブレイガンで切り裂いた。

 

「グオオオォォォォォォォッ!?」

 

「まだまだ終わらない…ぜッ‼」

 

「ハアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

続けて左手だけで横一閃しつつ回り、右手に手を繋いだジュエルを振り回して遠心力もプラスさせた回し蹴りを喰らわせた。

 

「グオワァァァァァッ!?」

 

「さっきまでの威勢はどうしたッ‼」

 

「パラドさんッ!?あまり挑発はしない方が…‼」

 

パラドの言葉に怒ったのか、サドンダスは先程まで無かった翼を広げて二人へと高速で迫ってくる。その姿はさながら砲弾の様だ。

 

「うおっとッ!?」

 

「ひゃあッ!?」

 

二人は左右に転がる事でそれを回避する。しかし、サドンダスは方向転換すると再び二人へと突進してくる。

 

「なら、打ち返すまでだ‼」

 

『マッスル化‼』『マッスル化‼』『マッスル化‼』

 

マッスル化のアイテムを3つ取得し、さながらバッターのごとくパラブレイガンを持つパラドクス。しかし彼は忘れている…サドンダスにはもう1つ攻撃手段があったのを…

 

「ゴアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

「いッ!?うおわぁッ‼」

 

サドンダスの口から放たれる火炎熱線を間一髪で避けたパラドだったが、このせいでアイテムの効果が切れてしまった。

 

「あっぶな…今の攻撃すっかり忘れてたぜ…」

 

「まったく…調子に乗りすぎですわよ。」(ペシッ)

 

「あたっ」

 

ジュエルに叩かれた頭をさすりながらサドンダスを観察するパラドクス。今の飛ばれた状態では、さすがに面倒ではあったのでそれを潰す事にする。

 

「先ずはあの翼をもぎ取るか。」

 

今度はエナジーアイテムを6つ集め、3枚を自身に、もう3枚をジュエルに渡す。

 

『マッスル化‼』『高速化‼』『高速化‼』

 

『マッスル化‼』『鋼鉄化‼』『鋼鉄化‼』

 

「え…何故私にも?」

 

「俺が羽根を潰したら一気に攻めろ。」

 

『ガシューン、デュアルガシャット‼キメワザ‼』

 

ガシャットをパラブレイガンに装填したパラドクスは、アイテムの効果で目に見えぬ速さでサドンダスの背後に回り必殺技を発動する。

 

『KNOCK OUT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「オリャアッ‼‼」

 

「グゴガァァァァァァァァァァァァァッ!?!?!?」

 

振り下ろされたパラブレイガンに両翼を切り落とされ、痛みに呻くサドンダス。その隙を逃さずジュエルは接近し鋼鉄化した足でサドンダスを蹴りまくる。

 

「セイッ‼ヤッ‼ハッ‼」

 

エナジーアイテムのお陰で足にダメージも無く、怒濤の攻撃を行っていく。そして最後は後ろ回し蹴りで蹴り飛ばした。

 

「やはりこのアイテムはスゴいですわね…もう少し活用法を探してみましょうか。」

 

「お前も油断するな。アイツ、まだくたばってないぜ?」

 

アイテムの活用法を考え始めていたジュエルにパラドクスは注意する。彼の言葉の通り、サドンダスはまだ平気と言わんばかりに勢い良く立ち上がった。

 

「まだ立つとか…心が踊るなぁ‼」

 

「私の輝き、見せてあげますわ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

「えいッ‼えいッ‼えーいッ‼‼」

 

先輩の助けになればと思って私はなけなしの勇気を振り絞ってバグヴァイザーⅡで攻撃を始めたんだけど…

 

――ヒョイ、ヒョイ――

 

「るびぃぃぃぃぃ…!?全然当たらないよぉ!?」

 

どれだけ攻撃しても当たる気配がなくて、泣きたくなってきました…

 

「ほら、落ち着いてルビィちゃん。」

 

「ふえ…果南ちゃん?」

 

それでも攻撃を続けていたら、果南ちゃんが私の肩に手を置いた。

 

「ルビィちゃんの出来る事ならそれじゃなくて、別にあるでしょ?」

 

「私に…………あ…‼」

 

そう言われて私は自分の力がどんなのか思い出した。

 

「うん‼ルビィも出来る事をやる‼」『ガッチャーン…‼』

 

私はバグヴァイザーⅡをビームガンからバックルへと変えて、腰に巻いてからガシャットを起動させる。

 

『きらめきアイドル‼』

 

「変身ッ‼」

 

『ガシャット‼バグルアップ‼トゥインクルガール‼(Wooooo!!)星のオーディション‼素敵な笑顔‼きらめきアイドル‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダー…エール‼」

 

「えええええええぇぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?そっちのルビィちゃんまで変身しちゃったッ!?」

 

私が変身したのを見て、この世界の千歌ちゃんが叫ぶ。うん、私も最初にルシファー先輩達の変身を見ちゃった時は、全力で叫びそうになったからよくわかるよ…

 

「皆さん、ルビィと一緒に歌ってください‼」

 

私はそう言ってこの世界の皆に頭を下げる。

 

「え?歌う?」

 

「ルビィの力は歌う事で戦ってる皆を強く出来るんです‼そうすれば今、ルビィ達を守ってくれてる先輩の力になれるの‼だから…お願いします‼」

 

そうやって頼み込んだら…

 

「もちろん‼私達も協力するよ‼」

 

「皆、私達の世界の為に戦ってくれてるんだもん‼」

 

「だったら、手伝わないわけないじゃない‼」

 

全員が協力してくれる事になった。

 

「ありがとうございます‼」

 

私はお礼を言ってから近くのエナジーアイテムを取り込む。

 

『ミュージック‼』

 

「皆に届け‼私達のエール‼」

 

「「「「「Aqours!!サンシャイーンッ‼‼」」」」」

 

 

―推奨BGM【MY舞☆TONIGHT】―(エール&Aqours ver)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲に流れるメロディ。それにいち早く反応したのが、ディエンドが呼び出したライダー【響鬼】【威吹鬼】【轟鬼】達だった。

 

「おっ?良い音楽だな。」

 

「ええ、それに僕達の力も上昇してるみたいですし…あの仮面ライダーの力かな?」

 

「響鬼さん‼威吹鬼さん‼自分達もこの音楽に合わせて演奏しましょうよッ‼」

 

「いいね。なら、いっちょやりますか‼」

 

3人のライダーの前には足を全て潰されて達磨状態の土蜘蛛がいる。響鬼は真ん中の1体の背に乗ると【音撃鼓 火炎鼓】を取り付け両手には【音撃棒 烈火】を持ち、威吹鬼は左の土蜘蛛に【音撃管 烈風】で鬼石の弾丸を何発か撃ち込み、その後部にマウスピースを前部には【音撃鳴 鳴神】を取り付けてトランペットへと変え、轟鬼は右の土蜘蛛に【音撃弦 烈雷】を突き刺し【音撃震 雷轟】を取り付けてギターに変える。

 

「【音撃打・豪火連舞】の型‼」

 

「【音撃射・疾風一閃】‼」

 

「【音撃斬・雷電激震】‼」

 

3人は流れているメロディに合わせて音楽を奏でる。戦場でなければ全ての人を魅了出来るほどに…

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼‼何だこの力ッ‼負ける気がしねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼‼‼」

 

そして漲る力にテンションがうなぎ登りのクローズチャージ。数に少し押されていたが、その形勢を一気に覆して暴れまわる。レイドラグーンに拳を叩き込む度に爆発の花が花開いていく…それはドラゴネスも同じで空中のレイドラグーンを次々と撃破していた。

 

他の戦闘員や怪人達はレーザーやヨハネ、平成2期ライダー達によってほぼ全滅していて、残っているのは死神博士と地獄大使となっていた。

 

「さて、そろそろエンディングとしようか?」

 

「ええい…‼‼こうなれば、ワシらが自ら始末してくれよう‼」

 

そう言う死神博士は両手に何かを持つ。それを見た千歌&美歌は目を丸くした。彼が持っているのは…

 

「イカと…ビール?」

 

そう、夜の晩酌の定番といえるスルメイカとビールだったのだ。これから反省会でもやるのかと思っていた彼女だったが………

 

「そう‼イカでビール………………………イカデビルッ‼‼」

 

そう言って体をイカを模した怪人へと変えた。

 

「………………………………………………美歌、判定は?」

 

「マイナス百万点。」

 

「はい、今回は縁が無かったということで。」

 

「そうか、イケると思ったんじゃが………って何やらせるゲソッ!?」

 

「その語尾で更にマイナス百万点。」

 

「では、また次回のお笑いコンテストにも参加してくださいね。」

 

「やかましいゲソッ‼」

 

そんな即席コントをしつつ、地獄大使を見れば彼は…

 

「ガ~ラガラガラガラガラガラ…‼」

 

何故かうがいをしていた。

 

「ガラガラガラガラガラ………ガラガランダッ‼」

 

そしていきなり体を青いヘビの様な怪人へと変えた。

 

「アンタら、ダジャレやらなきゃ変われないの?」

 

「というか今、水飲んじゃってない?」

 

「文句なら、そこのディケイドに言えッ‼」

 

「これはヤツの映画でやらされた事なのだからなッ‼」

 

「「おのれディケイドォォォォォォォォォォッ‼‼」」

 

「なんでも俺のせいにするなッ‼‼」

 

呆れる美歌達に二人は責任をディケイドに投げる。

 

「とりあえず、貴方達を倒してゲームクリアだよ。」

 

「我らを簡単に倒せるとは思うてくれるなよ…‼」

 

「先ずは一番厄介な貴様ゲソッ‼」

 

エグゼイドへと向かうイカデビルとガラガランダだが、そこにブレイブが飛び込んで、イカデビルを引き離した。

 

「お前の相手は俺だ…」

 

「ゲソォッ!?」

 

ブレイブはガシャコンソードを炎剣にしてイカデビルを切り裂く。そして後ろに下がるのに合わせて自身も前へ進み、距離を離さずどんどん切り裂いていく。

 

「はぁ~♪美味しそうな匂いがするズラ♥」

 

「花丸ちゃん、ヨダレヨダレ。」

 

「というか、イカ怪人の丸焼きとか私は逆に食欲無くなってきたよ…」

 

「そ…そう考えれば…」

 

炎で段々とこんがり焼かれていくイカデビルの香りに、花丸がよだれを垂らすが果南と曜によって正気に戻された。

 

「貴様ッ!?もしやワシをこんがりと焼いて食べる気ゲソかッ!?」

 

「悪いな…イカは嫌いなんだ。」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼ガッチャーン‼TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ブレイブはイカデビルの言葉に返すと必殺技を発動、刀身に強力な炎を纏わせてイカデビルを縦一閃で切り捨てた。

 

「イカは体に良い栄養がたくさんあるゲソォォォォォォォォォォォォォォォッ‼‼」

 

倒れながら断末魔の悲鳴の如く叫ぶイカデビルは、地面に倒れると爆発四散した。

 

「神の才能は、二人といらない…ヴェハハハハハハッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…ルビィの歌ッ‼」

 

「なら、もう負けはないな。」

 

パラドクスとジュエルはエールの歌の効果で力が上がったのを感じ、サドンダスにとどめを刺す為に動き始める。

 

『ガシューン、ガシャット‼』

 

ジュエルはイマージュ・ミラージュガシャットをキメワザスロットホルダーに装填すると、スロットのボタンを5回押す。すると近くの鏡からボタンの数だけのジュエルの分身が出てくる。しかし鏡から出てきたからなのか、外見はジュエルの鏡写しになっている。

 

「へぇ、自分で分身を呼べるのか‼だったら俺も…‼」

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼』『分身‼』

 

パラドクスもエナジーアイテムを使い、同じ数の分身を呼び出す。

 

『キメワザ‼』

 

そしてジュエルも必殺技を発動させると、二人の分身が同時に動き始める。

 

『ガッチャーン‼ PERFECT KNOCK OUT‼ CRITICAL BOMBER!!』

 

『IMAGE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ジュエルと分身の1体がライダーキックを決めると次にパラドクスの分身の1体がライダーキックを決め、それを交互に行っていき、分身が攻撃を終えたら本体である二人がダブルライダーキックをお見舞いした。

 

「ゲームクリアだな。」

 

「ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハアッ‼‼」」

 

「ぬあッ!?」

 

ガラガランダVSエグゼイドは圧倒的な差でエグゼイドが押していた。

 

「ヌウ…なんという力だ…‼」

 

「アンタがなんで勝てないか教えてあげるわ。」

 

近距離ワープでガラガランダの前に現れたエグゼイドがキースラッシャーを振るう。ガラガランダはそれを右手の鞭で受け止めた。

 

「勝てん理由だとッ!?」

 

「怪人になる事で獲得した人並み外れた身体能力………でも、アンタはその力に私達みたく思考スピードが追い付けていないのよッ‼‼こっちから見れば動物みたく、本能で動いてるだけ‼」

 

「そんな筈はないッ‼‼」

 

エグゼイドの言葉に右腕を振るって、弾き飛ばすと同時に攻撃を加えようとしたが既に彼の前にエグゼイドはいない。

 

「ど、何処に行っ「後ろだよ。」ッ‼グアッ!?」

 

唐突に背後から聞こえるエグゼイドの声に振り返ると同時に切り裂かれ、地面を転がるガラガランダ。

 

「だから貴方の動きだって読める。」

 

「人並み外れた身体能力にそれと同時進行で行える思考判断、そして誰かの為に戦える勇気………それが揃って初めて、無敵の力と言えるのよ。」

 

『キメワザ‼』

 

ガシャットのボタンを叩きキースラッシャーを放り投げて構えるエグゼイド。ガラガランダもその攻撃に備えて構えた。

 

『HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

ガシャットのボタンを再度叩き、エグゼイドが飛び上がるとガラガランダは右腕を振るってはたき落とそうとするもその場からエグゼイドが消え、背後から2回と左右から4回、正面の回し蹴りにムーンサルトで打ち上げられ、最後に上からの蹴りで地面に叩きつけられた。

 

『究極の1発‼』

 

「スーパーショッカー………………超万歳ッ‼‼」

 

その言葉と共にガラガランダは爆散した。

 

『完全勝利‼』

 

それと同時にエールの歌も終わり、続けて大量の爆発音がして怪人が全滅し、この戦いが完全に終わった事を告げた。

 

「「「「「やったぁーッ‼‼」」」」」

 

それを喜ぶ彼女達だったが、そのせいで校庭に吹いた一陣の風に気づかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、この世界の千歌から今日はウチの旅館に泊まっていったらと言われ、戦闘で疲れきったのもあってその言葉に甘える事にしたヴァーリ達一行。その際、彼女の姉である高海美渡が二人ずつになっているAqoursメンバーを見て大声を上げ、更にその上の姉である高海志満に怒られるといった場面もあったが、今日起きていた出来事を知っていたので二人とも、彼女達の無事に安堵していた。

 

「いや~、温泉は疲れがとれるなぁ~…」

 

「じじくせぇぞ、ルシファー。」

 

「そう言うな。俺だって死神博士のガシャットの解析やら、戦闘やらをこなしていたんだぞ?」

 

「まぁな…」

 

男湯では今、一誠とヴァーリが入っている。パラドは散歩に行っていてここにはいない。因みに女湯には女性メンバー全員が入っている。そして柵越しにかしましい声が聞こえている。

 

「そうだ一誠、後でまたガシャットを貸せ。」

 

「ん?何すんだ?」

 

「もう1つのリミッターも外す。今のお前ならそれだけの力量があると思うからな。」

 

「わかった。」

 

『ね~ね~‼そっちに美歌いない~?』

 

二人で話していたら、女湯にいる千歌から質問が飛んでくる。

 

「いないぞ~?」

 

「つーか、こっちにいたら確実に痴女じゃねぇか…」

 

『そ~だよね~、ゴメンね~‼』

 

「さて、体でも洗うか。」

 

ヴァーリは1度風呂から上がり、体を洗い始めた。

 

(にしても、一誠の成長速度は異常だな………これだと、もうすぐレベル99もアイツに追い付かなくなる…)

 

リミッターを解除しても振り回されず、すぐに幹部クラスの敵を圧倒できるほどの適応力。それはまさしく異常ともいえるものだった。

 

「そんなに彼の成長が気になるの?」

 

「ああ、もしやアイツのウィルスは原初のウィルスなのかもな。」

 

「へぇ~、それって今あるウィルスとは違うの?」

 

「質がまるで違う。原初のウィルスは何にも染まっていない状態だ。だから、上手くいけばガシャット………を…?」

 

そこで彼はふと思った。自分は誰と話しているのだろうと…彼がいるのは男湯で一緒にいるのは一誠だけ。だけど聞こえる声は明らかに女性だ。そこで先程の千歌の言葉を思い出す。美歌だけは向こうにいないと………

 

「ま…まさか…」

 

錆びたブリキ人形の様に首を後ろに回すと、そこにはタオルで前だけを隠している美歌がいた。

 

「お、おまッ!?ここで何を…ッ!?」

 

「ヴァーリの背中でも流してあげようかと思ってね♪」

 

「だからって男湯に来るなッ‼‼」

 

「フフフ…‼ドッキリ成功ね♪でも、背中を流すのは冗談じゃないわよ?」

 

そして自身の体を隠しているタオルに手を掛けようとしたところで…

 

「フンッ‼」

 

「あがッ!?」

 

ヴァーリは咄嗟に美歌の頭にアイアンクローを喰らわせ、全力で女湯に放り投げた。

 

「オォォォォラアァァァァッ‼‼」

 

『ひゃああああああああああああ…ブビャッ‼』(ドボン‼)

 

『うえッ!?美歌ッ‼何処から飛んできたのッ!?』

 

『今のって…男湯の方じゃない?』

 

『貴方は何やってますのッ!?』

 

女湯が騒がしくなる中、ヴァーリは美歌の行動でのぼせそうになる頭を何とか落ち着けようとしていて、それを見た一誠は近くの桶に水を入れてヴァーリの頭からぶっかけた。

 

「………………………助かった…」

 

「気にすんな。」

 

『ヴァーリ君………後で話があるかラ。』

 

『イッセーもだヨ?』

 

しかし、梨子と果南の言葉でそれは簡単に冷めるどころか、ヴァーリは逆に寒気すら感じていた。

 

「………おい、どうしてくれんだよ?」

 

「すまない………本当にすまない…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「もうッ‼どうしてあんな事したのッ!?」

 

私は今、男湯に忍び込んでいた美歌にお説教中です‼

 

「あら、他の子よりリードするならこれくらいは普通よ?」

 

「いや、普通じゃないからッ‼それに美歌の体は私をモデルにしてるんでしょッ!?」

 

「ええ、寸分のズレもないから千歌の体そのものと言っても過言じゃないわ。」

 

それはつまり、私の裸を見られたのと同じと言ってるも当然だった。

 

「もうどんな顔してヴァーリ君に会えばいいのぉーッ!?」

 

「別にいいじゃない、好きな男になら見られても。」

 

「私がよくないよッ!?」

 

「でも千歌だってヴァーリが好きなんでしょ?」

 

「え?う~ん…それはよく解らないんだけど…」

 

ヴァーリ君は確かに好きだけど、それが恋なのかどうかは私はまだ理解できてないからなぁ…

 

「でも残念、私は貴方と心が繋がっているから解るわ。千歌の好きはライクじゃなくて確実にラブの方なのよ。」

 

「うえッ!?」

 

「まあまだ自覚してないから実感が湧かないんだと思うけど…じゃ、私は戻るわね。」

 

そう言って美歌は私の中に戻っていった。

 

「私がヴァーリ君を好き…」

 

そう思うと胸が少し温かくなるけど、それが恋なのか私にはまだ理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝早くヴァーリ達は旅館の外にいた。そしてその近くにこの世界の千歌達もいる。

 

「それじゃそろそろ帰るぞ。」

 

「「「「「「「はーい‼」」」」」」」

 

「皆、本当にありがとうねッ‼」

 

「貴方達がいなかったら、どうなっていたか…」

 

「それは気にしないでください。それよりも…」

 

千歌(原)と果南(原)のお礼を受け取りつつ、ヴァーリが視線をずらすと…

 

「ばうッ‼」

 

「「イヤアアアアァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

この旅館で飼われている犬【しいたけ】に梨子と梨子(原)が追いかけ回されていた。

 

「あれをどうにかしてもらっても?」

 

「わわわッ!?しいたけ、ストッブゥーッ‼」

 

千歌(原)のお陰でしいたけは止まり、梨子(原)は曜(原)の梨子はヴァーリの背中に隠れた。

 

「まだ犬嫌いは治らないか?」

 

「ムリッ‼絶対にムリだからッ‼」

 

「アハハ…そっちの梨子ちゃんも犬嫌いなんだね?」

 

「昔、犬に追いかけ回されてな?しかも、逃げながら足が犬の顔を蹴ってたから犬も怒って更に追いかけ回すという悪循環によってこうなった。」

 

「ちょッ!?人の恥ずかしい過去バラさないでよッ!?」

 

「昨日の理不尽な説教の仕返しだ。」

 

「なんだなんだ?ずいぶん騒がしいな。」

 

二人の痴話喧嘩?に一人の男が割って入ってくる。その顔はヴァーリ以外は知らず、手にはアタッシュケースを、首にはマゼンタの2眼レフカメラを下げていた。

 

「貴方は…門矢士ッ!?」

 

そう彼が仮面ライダーディケイドの変身者【門矢士】その人である。

 

「へぇ…俺も有名だな。」

 

そう言って士は手に持っていたアタッシュケースをヴァーリへと投げ渡した。

 

「これは?」

 

「海東から奪ってきた。それはお前らにやる。」

 

ケースを開けるとそこには海東がスーパーショッカーから盗んだ、ドライバーとボトルやガジェットが1つずつとネビュラガスの設計図が入っていた。

 

「アイツが迷惑かけたからな、その迷惑料とでも思っとけ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「んじゃ、また何処かで会おうぜ。」

 

彼は銀色のオーロラを出すと、そこに入って去っていった。

 

「皆も何時でも遊びに来てね‼」

 

「その時は歓迎するから。」

 

「うん、楽しみにしてるね‼」

 

「それじゃ行くぞ。」

 

『パラレルトラベラー‼ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

帰還用のゲートを出し、ヴァーリ達はその中へと入っていった。

 

「もう一人の自分に会うとか…すごい体験しちゃったね?」

 

「もしかしたら、本当にまた会えるかも知れませんわよ?」

 

「だねッ‼」

 

見送りを終えた彼女達も帰る事にした。

 

「ん?」

 

「どうしたの、果南?」

 

「いや、今変な風が吹いた様な………気のせいかな?」

 

「ところで千歌ちゃん、新しい歌詞は出来た?」

 

「それだったら………………………………あれ?歌詞ノートがないッ!?」

 

「「「「「「「「ええッ!?」」」」」」」」

 

大切なノートが無くなって大慌てのメンバー達を遠目で眺めていたのは海東大樹。その手には一冊のノートが握られていた。

 

「この世界のお宝は、確かに貰ったよ。」

 

そして彼も銀色のオーロラの中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まったく………クロノスも面倒な事をさせる…』

 

元の世界の幻夢コーポレーションの屋上に1つの人影が浮かぶ。それは仮面ライダー風魔だった。

 

『彼等が異世界に行くから付いていけとか………まぁ、収穫はあったけど…』

 

そう、風魔は透明化のエナジーアイテムと自身の技術で完全に姿を消して彼等の後を付いて異世界に付いて行ってたのだ。そしてそこでスーパーショッカーのアジトに潜入し、戦利品であるクローズダークのベルトとスクラッシュゼリー、幾つかのボトルと設計図を手にしていた。

 

『これならクロノスも満足かな?待ってて、私が必ず助けるから…』

 

いつもとは違う口調で呟き、その場から消える風魔。その言葉に強い思いを宿して…




いかがでしたか?

終わり方が少し雑な感じがしている作者です…

次回は番外編を1話挟んで、海神アグル様とのコラボになります。

次回【番外編・夏休みの出来事part1】

「私はある事を決めました。」

では、次回でお会いしましょう。



それと前話のやり過ぎATTACKの後半は、一部の間違いと何だか燃え足りなかったので修整しました。良ければそちらも見てください。


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番外編 夏休みの出来事part1

どうも、疾風の警備員です。

今回は番外編で、ヴァーリ達が異世界に行っている間とその後に起こった事を書いてます。

では、どうぞ。


番外編1―1 グレモリーの決意

 

 

ヴァーリ達が異世界に行っている頃、リアス率いるグレモリー眷属達は冥界にあるリアスの実家に帰省していた。普通なら久々の里帰りに親も子も心弾ませるものだが、現在グレモリー邸には険悪な雰囲気が漂っていた。こうなったのには数時間前に遡る…

 

冥界に向かう専用列車の中、リアスはある決断を眷属達に話していた。

 

「リアス…本当にそれでいいの?」

 

「ええ、これが私の行く道なの。もちろん無理強いはしないわ、何時でも…「でしたら、私も貴女の王道に付いていきますわよ、リアス。」朱乃…」

 

「私だけではありませんわ。」

 

自身の選択に付いてきてくれる朱乃に感謝するリアスだったが、朱乃はそう言って横にずれるとそこには朱乃と同じ決意を固めている木場、小猫、ギャスパーがいた。

 

「僕は貴女の騎士です、何処までもお供しますよ。」

 

「勝手にのけ者にしないでください。」

 

「部長~‼僕も連れていってくださいよ~‼‼」

 

「ちょッ‼ギャスパー‼連れていくから泣き止みなさい‼鼻水が…‼」

 

涙と鼻水でグショグショの顔で抱き着いてきたギャスパーにそう言って落ち着かせようとするが、この事に一番安堵していたのはリアスであった。

 

(本当なら皆に迷惑を掛けてしまうのに………私は仲間に恵まれているわね…)

 

自分を信じ付いてきてくれる仲間がいる事にありがたみを感じるリアス………だが、その決断を喜ばない者もいた。皆、名前を覚えているだろうか?そう、リアスの兵士の兵藤錬二である。

 

(何で部長があんな事を言い出すんだ…!?こんなの原作に無かったぞ!?このままだと俺のハーレムが…‼)

 

彼は今だハーレムの夢を諦めておらず、自分が主人公であると信じて疑ってもいなかった。既にリアス以外は仲間である以外の感情は持っておらず、リアスも好意の欠片も持ち合わせていない事にも気づかずに…

 

それから数時間、リアスの実家であるグレモリー邸に着くと彼女は親であるヴェネラナとジオティクスを呼び、二人に決断を話す。

 

「それで、話したい事とは何なのですか?」

 

「お父様、お母様………………私は、この家を出ていく事にしました。」

 

そして冒頭に戻る………

 

「それは悪魔陣営も抜けるという事か?」

 

「………………………………………………………………はい。」

 

「貴女ね…自分が何を言っているのか解っているのですか?下手すると、反逆者として処刑されても仕方在りませんよ?」

 

「重々承知してます。でも私は、自分で選んだ道を進もうと決めたんです。」

 

ヴェネラナ達はリアスの決意が固いのを、その言葉とそれを訴えかける目で理解したが、我が子に危険な目にあってほしくもないと思っている。だからこそ、この質問をすることにした。

 

「それに眷属達は納得しているのか?」

 

そう、彼女に付いてきてくれている眷属達が納得しているのかを。

 

「はい。納得し「俺は反対です‼」ッ‼レンジ?」

 

リアスが必死に説得している中、我慢できなくなった錬二は反対の声をあげる。

 

「何でそんな事する必要があるんですかッ!?良いじゃないですか今のままで‼家を出てどうするんですかッ!?そんな事したら家から何の援助も貰えないんですよッ!?」

 

彼の言葉にも一理ある。リアスが家を出たらヴェネラナ達は一切の援助を切ると考えていたからだ。

 

「確かにそうだけど、今のままだと私が成長しないからよ。禍の団だけでも厄介なのに更には仮面ライダークロノスやバグスターなんて強敵までいる現状、こちらも成長が必要なの。だけど今のままだと私はまだ家の力に甘えてしまいそうになるの。そんな甘えを断ち切ってしまうにはこれしかないのよ。」

 

確かに禍の団とクロノスの組み合わせは最悪のベストマッチだろう。だからこそ、個々人の強化は絶対不可欠だ。リアスは自分が眷属達と比べて劣っている事を理解しており、これは自身のレベルアップをするためには必要な決断だと考えたのだ。

 

「そんなのルシファー達にやらせておけばいいじゃないですかッ‼‼あんな混血の奴よりも純血の部長の方が貴重なんですからッ‼‼」

 

錬二としてはリアスというハーレム要員を失いたくないのと、邪魔者を処分したいから出た言葉だったが、それは逆にヴェネラナとジオティクスの怒りを買うとは思っていなかった。

 

「錬二さん、その発言は些かいただけませんわね?」

 

「え?」

 

「彼と彼の祖父であるリゼヴィム様は素晴らしい方達だ。だからこそヴァーリ君にはリアスのサポート役を頼んだのだ。リゼヴィム様にはサーゼクスが随分とお世話にもなっている。そんな彼等を侮辱することは誰であろうと許す事は出来んぞ。」

 

まさかの反撃に錬二は戸惑うが、自分の目的の邪魔になる彼を排除させる為に、言葉を続ける。

 

「だからと言って彼はレーティングゲームで部長を倒したんですよッ!?それなのに何故…‼」

 

「それはリアスが弱かっただけの話です。彼は混血でありながら悪魔の駒を授けられる程優秀なのですから。」

 

ヴェネラナの言葉に錬二は内心舌打ちをする。ここでもヴァーリが評価されてるのがやはり気に食わないのだ。

 

「リアス、貴女の覚悟は解りました。ならば頑張ってみなさい。でも、たまには顔を見せに来なさいね?ミリキャスも淋しがってしまうでしょうからね。」

 

「はい、ありがとうございます‼」

 

ヴェネラナの言葉にリアスは涙を滲ませながらお礼を言い、ジオティクスは1枚の紙をリアスに手渡した。

 

「お父様、これは…」

 

「リゼヴィム様が経営している【幻夢コーポレーション】への紹介状だ。こちらの援助が無くなるのだから、アルバイト等をしなくてはならんだろう?これを持って頼んでみるといい、だが雇ってもらえるかはお前の腕しだいだぞ?これが最後の援助だ。」

 

「ありがとうございます、必ずものにしてみせます…‼」

 

「では、気をつけて行ってきなさい。サーゼクス達には私から話しておきますから。それと………辛くなったら何時でも連絡なさい………話くらいは聞いてあげますから。」

 

「大丈夫です、私には頼れる仲間がいますから。」

 

リアスが後ろを向けば彼女に笑いかける眷属達、しかし錬二だけは不服そうな表情を崩さない。

 

「さあ皆ッ‼‼人間界に戻るわよッ‼‼」

 

「「「「はい、部長ッ‼‼」」」」

 

「………………………………………………………はい…」

 

この後、リアス達は幻夢コーポレーションの門を叩くが、そこに錬二の姿だけはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

番外編1―2 ゼノヴィアの覚悟

 

「ふッ‼ハアッ‼」

 

ヴァーリ達が帰ってきた次の日、幻夢コーポレーションにあるトレーニング室でゼノヴィアはサンドバッグに何度もパンチを繰り出していた。その傍らにはストップウォッチとタオル、スポーツドリンクを持ったアーシアが控えている。

 

彼女は幻夢コーポレーション所属になって以来、このトレーニング室でずっと体を鍛えていた。エクスカリバーは返却し、自身の物であったデュランダルも奪われてしまい獲物が無くなった彼女は自身を武器とする事にしたのだ。

 

「………………………………はい、後5秒です。」

 

「ハアアアアアアアッ‼‼‼」

 

-ドスゥン‼‼-

 

制限時間が迫る中、彼女は最後の一撃として全力の拳を叩き込む。そのせいでサンドバッグの袋が破け、中の砂が床に零れていく。

 

「む………やり過ぎたか…」

 

「もう、ゼノヴィアさん‼あまり会社の物を壊してはいけませんよ‼」

 

「すまん…」

 

アーシアに怒られ謝るゼノヴィア………本来は護衛される側とする側なのだが、平和な日常では立場がまるで違っていた。

 

「やっほ~‼元気に青春しとるか~い?」

 

「あ、リゼヴィム様‼明日那さん‼」

 

「おはようございます、リゼヴィム殿。明日那殿。」

 

そこにリゼヴィムとアタッシュケースを持った明日那がやって来た。

 

「今日はゼノヴィアちゃんに聞きたい事があってね。」

 

「私に………ですか?」

 

「そそ、君は【力】が欲しいかい?」

 

その問いに彼女は息を飲む。それはまさしく今、彼女が喉から手が出るほどに欲しいものなのだ。

 

「欲しいです。」

 

「それは何のために?」

 

そう聞かれ彼女は自分に自問する。その力を持って何がしたいのか…そして導き出した答えは1つだった。

 

「………彼女を…親友の紫藤イリナを、クロノスから取り戻す為です。」

 

「へぇ…」

 

その答えに興味を持ったリゼヴィムはそう呟いて彼女に先を促す。

 

「例えどんな存在になろうとも、彼女は私の友です。それに教会からドーピング薬を渡される前は純粋で優しく…過去の後悔をずっと背負っていました。私は彼女をその頃に戻してやりたいんです。そしてアイツの過去の後悔を終わらせる手伝いもしたい………その為には今のアイツを正気に戻す為の力が必要なんです。」

 

その目的は友の為………純粋にそれしかなかった。だからこそ、リゼヴィムはこの目的にとって最も重要な部分を指摘する事にした。彼女の理由を粉々にする指摘を…

 

「なら、彼女がもう正気に戻る事がなかったら…どうするんだい?」

 

そう、今のイリナが戻る可能性はかなり低いと言わざるをえない。1歩間違えばその油断で自分が殺されるかもしれない…その時、彼女はどうするのか…

 

「その時は………………私がイリナを討ちます。」

 

しかし彼女は、強く拳を握りしっかりとした目でリゼヴィムを見ながらそう告げた。隣のアーシアは悲しそうな目で顔を俯けるがそれが彼女の覚悟だと理解しており、言葉を挟む事はしなかった。

 

「………………………………………………………いい目だね。OKッ‼ゼノヴィアちゃんに力を与えてあげよう‼」

 

「良いんですかッ!?」

 

「モチのロン‼当たり前田のクラッカーだよ‼ただし、この力はすぐには使えない。しばらくは体を鍛えてもらう事になるけど………決めてよ、覚悟?」

 

「はいッ‼‼」

 

「良かったですね、ゼノヴィアさん‼」

 

「ああ、ありがとうアーシア‼」

 

その答えにリゼヴィムは彼女なら大丈夫だと思い、力を託す事にした。アーシアと喜ぶゼノヴィアを笑顔で見つつ密かに願う。子供達の未来に幸あれと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

番外編1-3 幻夢コーポレーションの戦力

 

 

「ふむふむ………やっぱりね~。」

 

「何してるんですか、社長?」

 

夏休みも中盤に入った頃、幻夢コーポレーションの社長室。そこでパソコンを見ながら何かをしているリゼヴィムに気になった明日那が画面を覗くと、そこには新しく戦力部隊になった子達のデータがあった。

 

「いやね?ここの値を見てちょうだい。」

 

リゼヴィムが指差す場所………ゲームでいうステータスが書いてある画面だったが見慣れない項目があった。

 

「【H・L】?何ですかこれは?」

 

「今度の新システムに必要な項目なんだけどね、この値を見比べてごらん?」

 

言われるままに画面に映る6人分の項目を見ると、ある事が分かった。

 

「他の四人が4.0を越えてるのに、この二人だけはまだ3.4ですね…」

 

その値は上から4.7・4.5・4.2・4.2となっていたが、後の二人だけはまだ3.4と他よりも低い数値だった。

 

「これは憶測だけどね………転生悪魔若しくは混血の場合、この数値は上昇しやすいんじゃないかな?」

 

「………ああッ‼そういえばこの上の子達は…‼」

 

「そゆこと♪」

 

「なら、あっちの量産と開発も急がないといけませんね。」

 

「クロノスに対抗できる力は多い方がいいからね。」

 

「解りました。」

 

リゼヴィムの言葉で明日那は部屋を出ていく。そして画面を見ながらリゼヴィムも普段はしないような真面目な顔に変わる。

 

「待ってろよクロノス………この増えた戦力でお前の顔を拝んであげるよ…‼」

 

そう言って強く握る右手からは、血が滴っていた。




いかがでしたか?

今後はこの部隊も活躍する場面が出てきます。

次回は海神アグル様とのコラボになります。

では、次回でお会いしましょう。


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コラボ編
Firstコラボ ONE


どうも、疾風の警備員です。

今回から数話にかけて海神アグル様の【ハイスクールD×M×U×R】とのコラボになります。

では、どうぞ。


ここはとある異世界…本来の歴史とはまた違う道を辿った世界だ。

 

そこのある家で小さなパーティが開かれていた。

 

「いやぁ~、こうやって皆が一同に揃うのも久し振りやね、エリチ。」

 

「ええ…本当、そうよね。」

 

「皆、仕事やら何やらあるし。」

 

そこにいるのは9人の女性と1人の女の子に1人の男の子だ。

 

その中の9人は高校時代の仲間で、スクールアイドルをやっていて今回はその同窓会らしい。

 

「海未ちゃ~ん、追加の料理まだぁ~?」

 

「だったら穂乃果も手伝ってください‼」

 

「凛ちゃん、何かリクエストある~?」

 

「ラーメ「無理に決まってるでしょ‼」にこちゃん、最後まで言わせてにゃ~‼」

 

「凛ちゃん、さすがに準備しきれないからね…」

 

9人の女性の1人【天青 穂乃果】の催促に【土方 海未】は声を荒げ、【火神 花陽】の質問に【寺獄 凛】は好物を言おうとする最中に【地白 にこ】によって遮られ、【朱雀 ことり】がそれを宥める。そんな光景を【緋村 希】と【雨崎 絵里】、【氷川 真姫】は飲み物片手に見ていた。

 

「なぁ母さん、俺と美月もいていいのか?せっかくの同窓会みたいなもんなんだし…」

 

「ん~?気にせんでもええって。茜君達やリアスちゃん達は出掛けとるし、一誠の眷属達も美月以外お仕事でいないんやから。」

 

「これおいし~♪ムグムグ…」

 

「あ、俺もそれ食べよう。」

 

「ほい、追加の料理よ。」

 

希の子供である【緋村 一誠】と妹の【緋村 美月】も出ている料理を食べ始め、にこが出来立ての追加料理を持ってきた時、一誠の背後に銀色のオーロラが突如現れた。

 

「あれ?これって士君の…」

 

絵里が喋る途中でそのオーロラは彼女達に迫って飲み込んでいき、台所にいた海未と花陽を残して彼女達を他の場所に飛ばした。

 

「えッ!?皆ッ!?」

 

「何処行っちゃったの~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、こちらの世界ではルシファー家の訓練施設でドラゴネスに変身した一誠と怪人態となったグラファイトが模擬戦を行っていて、ヴァーリやその眷属、果南や曜達にパラドといった、いつものメンバーがそれを見守っていた。

 

「ガハッ!?」

 

「どうした、何を焦っている?そんなお粗末な攻撃では、この俺に当てる事など出来んぞ。」

 

「うるせぇッ‼‼」

 

「フン…‼」

 

「ぐッ!?」

 

どこか焦りを見せながら戦う一誠にグラファイトは問うが一誠は構わず突っ込むも、アッサリと回避され逆にカウンターを決められる。

 

「何に熱くなってるのかは知らんが、頭は常に冷静でいろ。熱くなった頭では思考がろくに回らんし、行動が単調になりやすい。そんな事では敵の術中に簡単に嵌まってしまうぞ?頭はクールに、だが諦めないという心の火は絶やすな。諦めない思いは時にとんでもない力を産むそうだ。」

 

「………ケッ、見事に当てはまってて文句のもの字も出ねぇ…」

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

変身を解いた一誠はその場に大の字になって寝転んだ。

 

「だが、何かに焦るというのはまだ先があるという事でもある。考え抜いて自分なりの答えを出してみろ。それがお前に更なる成長を促すだろうさ。では、俺は仕事があるからこれで失礼する。」

 

人間態になったグラファイトは一誠にアドバイスを残し、粒子となってその場を去っていった。

 

(自分なりの答え…か………)

 

グラファイトに言われ、まず自分が焦る原因を考える一誠。しかし、それは何なのか既に理解していた。

 

(この前の異世界…俺は曜を守り切れなかった。アイツは何があっても守ると誓っていながら…‼)

 

「な~にしょぼくれてるのよ。」

 

「………カナ姉…」

 

そんな自身に辟易しながら天井を見上げる一誠だったが、そこに果南が上からひょっこりと顔を出した。

 

「別にイッセーが悪かった訳じゃないよ。あれは相手との相性が悪かっただけ…そこまで自分を責めなくていいから。」

 

「………………………ケッ…」

 

果南にすら慰められる自分が情けないと思った一誠は視線をずらすが、そこであるものが目に入った。

 

「………そういうカナ姉こそ、もう少し危機感持ったらどうだ?」

 

「どういう意味?」

 

「………………………薄い緑か…」

 

「へ?………………~~~~~~~~~ッ‼‼‼‼そりゃあッ‼‼」

 

「フンバッ!?」

 

彼の言葉に最初は意味が解らなかった果南だったが、自身の立ち位置と彼の視線でその意味を悟った。寝転んでる一誠の頭側から彼を立って見下ろしている自分、そしてスカートという服装に一誠の言葉………つまり、彼に下着を見られていたのだ。それに気づいた彼女は顔を真っ赤に染めながら右足を振り上げ、一誠の顔面を思いっきり踏んだ。

 

「何しやがるッ!?」

 

「イッセーのバカッ‼変態‼エッチ‼」

 

「そっちの危機感の無さが原因だろうがッ‼‼」

 

「うるさいッ‼‼今すぐ記憶から絶版してやるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼‼‼‼」

 

そして始まるのは二人の全力疾走の鬼ごっこ、会話内容が聞き取れていたヴァーリ達悪魔組は苦笑し、曜とダイヤはおおよその内容を理解してため息、ルビィと花丸は首を傾げパラドは爆笑していた。

 

「待てコラアアアァァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

「待てと言われて待つかy(ビタンッ‼‼)グバァッ!?」

 

「イッセーッ!?」

 

追い掛ける果南から振り返る余裕を見せながら走っていた一誠だったが、前を向いた瞬間に銀色のオーロラが彼の目の前に現れ、一誠は融合係数が低かった時の某ライダーシステムの如くそれにぶつかり、全身を強打してしまった。

 

「ちょっと、大丈夫ッ!?」

 

「いつつ…‼何だこれ…?」

 

果南に起こされながらそれを睨む一誠、その側にヴァーリ達もやって来る。

 

「これって………この前、ディケイドが出してたオーロラ?」

 

「だとしたら、異世界から何かが来る?………念のために全員ドライバーを装着、戦えない人達は俺達の後ろに。」

 

ヴァーリの指示で全員がすぐに動き、オーロラを注視する。すると、そこから9人の男女が雪崩れ込んできた。

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼ぐえッ‼」

 

「「「「「「「「キャアッ‼‼」」」」」」」」

 

先に出てきたのは少年、続けて女性陣が出てきて少年を下敷きにする。

 

「うわッ‼なんかたくさん出てきたッ!?」

 

「いたた…うん?」

 

「あん?」

 

驚く千歌。そこに下敷きになってる男が顔を上げる。その顔を見た瞬間、全員が目を見開いた。その男の顔は一誠にそっくりだったのだから。

 

「「………………………………ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ‼‼‼‼‼‼‼誰だテメェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!?!?!?!?」」

 

「「「「「あ………何かデシャビュ…」」」」」

 

相手の顔が自分と同じで驚く両一誠。そして曜と果南、花丸にルビィにダイヤは以前と何処かで同じ体験をしていたのか、デシャビュっていた。

 

「イタタ…あれ?千歌ちゃんに梨子ちゃん達。どうしてここにいるの?」

 

「え?えっと…どちら様?」

 

「初めて…ですよね?」

 

「え?」

 

「「え?」」

 

「………とりあえず、お互いの認識合わせから始めましょうか。そうしないと話が進みませんから。」

 

「確かにそうね。」

 

このままでは話が進みそうになかった為、ヴァーリの提案に真姫が乗り、数分程の話し合いでお互いの大体の事情を理解した。

 

「やはり平行世界………しかも此方より未来からか…」

 

「しかもかなり遠い世界みたいだね。」

 

「私達が知ってるイッセー君のお母さんと全然違う処か、名字まで違うし…」

 

「それに俺とヴァーリが赤龍帝や白龍皇じゃないのか…代わりに仮面ライダーだけど。」

 

「こっちの赤龍帝と白龍皇は変態の人でなしだからね…」

 

『この世界の俺よ………強く生きてくれ…』

 

「因みに未だ覚醒すらしてないぞ。」

 

『ブゴハァッ!?』

 

「ドライグぅッ!?」

 

こちらの赤龍帝の現状にもう一人の一誠に宿るドライグが吐血?したみたいな声をあげた。

 

「君達はまだ大変な戦いが一杯あるけど…大丈夫?」

 

「正直、戦力不足です。一応トレーニングで鍛えてはいますけど…」

 

この世界には禍の団にクロノスという厄介すぎる敵がいる。だが現状、今の彼らで倒せるかと言われればノーだろう。そこで、穂乃果はある事を思い付いた。

 

「だったら私達も特訓に付き合ってあげるよ‼」

 

「え?いいんですか?」

 

「全然問題ないよ‼ねぇ皆ッ‼」

 

「アンタは言い出したら聞かないからね………」

 

穂乃果の言葉に彼女達は(にこだけは呆れながら)首を縦に振る。ならば、このチャンスを逃す術はないと考えたヴァーリはその提案を受ける事にした。

 

「では、お願いします。」

 

「大船に乗ったつもりで任せてよ‼」

 

「なら1VS1で模擬戦形式にしましょう。」

 

「あ、因みにイッセーはそっちのイッセーと最後にバトルな?」

 

「何でさ母さんッ!?」

 

「そら、イッセー同士は戦う運命にあるからや。」

 

「何その運命…」

 

という感じに異世界組VSゲームチーム(名称は暫定処置)の模擬戦が始まった。




いかがでしたか?

次回から模擬戦開始です。

次回【Firstコラボ TWO】

「何が何でも、腰のボタンを叩かせるなよ。」

では、次回でお会いしましょう。


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Firstコラボ TWO

どうも、疾風の警備員です。

今回はパラドと凛、鞠莉と絵里の勝負になります。

海神アグル様のキャラを格好よく書けてるか解りませんが、頑張ってみました。

では、どうぞ。


ルシファー家の訓練施設の実戦訓練場………そこで始まるのは異世界から来た者達とヴァーリ達の模擬戦。

 

そしてまずお互いに出す順番を決めていた。

 

「こっちは誰が出る?」

 

「では、私が「いーや、俺が出る。」ちょっとパラドさんッ!?」

 

始めに出ようとしたダイヤだったが、それよりも先にパラドがフィールドに出ていった。

 

「悪いな…お楽しみは俺からだ。」

 

「はぁ~…仕方ありませんわね。」

 

パラドの言葉に呆れながらも順番を彼に譲り、向こうは誰が出るのかと思っていたら一人の女性が歩いてくる。

 

「最初は凛が相手してあげるにゃ。」

 

出てきたのは寺獄 凛だった。その腰には3つの窪みがあるバックルに右腰には丸い何か、左腰にはホルダーの様な物が付いたベルトを装着している。

 

「にゃ?…まるで猫だな…」

 

『それでは両者、変身してください。』

 

流れる電子音声のアナウンスに従い、パラドはガシャットギアデュアルを左手に持ちダイヤルを右に回し、凛は右側に赤、左側に緑のメダルを装填し、続けて真ん中に黄色のメダルを入れて右腰のアイテム【オースキャナー】を掴み取ってバックルを左下に傾けて、メダルを読み込んでいく。

 

『PERFECT PUZZLE!!』

 

『タカ‼トラ‼バッタ‼』

 

「「変身ッ‼」」

 

『DUAL UP!! GET THE GLORY IN THE CHAIN!! PERFECT PUZZLE!!』

 

『タ・ト・バ‼タトバ‼タ・ト・バ‼』

 

パラドは久々にパラドクス・レベル50になり、凛は赤い鳥の頭に虎の爪が付いた腕、飛蝗の模様がある足の姿【仮面ライダーオーズ・タトバコンボ】になった。

 

「あれは…この前、ディケイドが呼んでたライダーの中にいた…」

 

「というか、この前も思ったけど…今の歌は何なの?」

 

「それについてはこんな格言がある………歌は気にするな‼」

 

「「「「「「「「逆に気になるッ!?」」」」」」」」

 

ヴァーリ側では何かコントみたいな事が起きてるが、フィールドにいる二人はそんな事は歯牙にも掛けずに睨み合う。

 

「どんな力があるのか………心が踊るなぁ…‼」

 

「よーし、張り切っていくにゃーッ‼‼」

 

『試合開始です。』

 

開始のアナウンスから最初に動いたのはオーズだ。足の緑色の部分【ラインドライブ】を輝かせ、パラドクスへと一気に跳躍し、腕の【トラクロー】を展開して向かっていく。

 

「にゃあああああああああッ‼‼」

 

「速ッ!?この…‼」

 

その動きに出遅れたパラドクスは左に転がるようにして避ける。そしてすぐにエナジーアイテムを取り込む。

 

『マッスル化‼』『ジャンプ強化‼』

 

攻撃力とジャンプ強化のアイテムを取ったパラドクスだったが、跳ばずにオーズへと向かって走っていく。

 

「何をする気か知らないけど…‼」

 

オーズは再び跳躍してパラドクスへと接近する。

 

「今だッ‼」

 

そしてギリギリまで近づかれたところで、パラドクスは小さくジャンプしたかと思うと、腕を振るう前のオーズにドロップキックを喰らわせる。

 

「この程度…「吹っ飛べッ‼」にゃあああああッ!?」

 

オーズはそれを耐えて反撃しようとしたが、想像以上の威力に吹き飛んでいった。

 

「ええッ!?凛ちゃんが吹き飛んだッ!?」

 

「なるほど、そういう事ね。」

 

驚く穂乃果だが、真姫はその理由を理解していた。その彼女にことりが問う。

 

「真姫ちゃん、どういう事?」

 

「今のはアイテムで強化された脚力で【凛を足場にしてジャンプ】したのよ。」

 

そう、真姫の言う通りパラドクスはオーズを地面の代わりにしてジャンプしただけなのだ。しかし、その時に大地が受ける衝撃を代わりに受けさせ、擬似的にキック力を強化させたのだ。

 

「歴戦の勇者を攻略とか、ゲーム冥利に尽きるな♪」

 

「だったらこれはどうにゃッ‼」

 

起き上がったオーズは右と真ん中のメダルを抜き、新たに緑のメダルを装填し3枚全てを緑色にしてスキャンすると、頭はクワガタ、腕はカマキリみたく変わる。

 

『クワガタ‼カマキリ‼バッタ‼ガ~タガタガタ・キリ・バ‼ ガタキリバ‼』

 

昆虫系のコンボ【ガタキリバコンボ】になったオーズは、コンボ毎が持つ固有能力【ブレンチシェイド】を発動させ、9体の分身を作り出す。

 

「おいおい…マジか…!?」

 

増えたオーズはパラドクスを囲んで4人の分身と共に、再度メダルをスキャンして必殺技を発動させる。

 

『『『『『スキャニングチャージ‼』』』』』

 

「チィッ‼」

 

パラドクスはエナジーアイテムを取ろうとするが、残った分身が頭部から雷撃を放ってそれを妨害する。

 

「うあッ!?」

 

「「「「「せいにゃああああッ‼」」」」」

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 

そのせいでオーズの【ガタキリバキック】をモロに喰らって吹き飛んだ。

 

「このままドンドンいくにゃッ‼」

 

「つぅ~ッ‼…良いねぇ、心が滾るッ‼‼」

 

『KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

「大変身ッ‼」

 

『DUAL UP!! EXPLOSION HIT!! KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

パラドクスはパズルゲーマーからファイターゲーマーに変わると、追撃してくる分身を次々と殴り飛ばしていく。

 

「にゃッ!?」

 

「喰らえッ‼」

 

分身を全て倒しオーズへと殴りかかるパラドクスだったが、オーズはそのジャンプ力で下がり、ギリギリで回避する。

 

「そっちがパワーなら、こっちもパワーにゃッ‼」

 

『サイ‼ゴリラ‼ゾウ‼サゴーゾ………サゴォーゾッ‼』

 

オーズも【サゴーゾコンボ】に変わり、パラドクスへと拳を振り上げる。

 

「殴り合いか………面白いッ‼」

 

パラドクスも拳を振り上げ、2人のパンチがぶつかり合う。そこから拳の応酬が始まる。しかし、オーズの方がパワーが上でパラドクスは少しずつだが、後ろに下げられていく。

 

「うにゃにゃにゃにゃーッ‼‼」

 

「う…‼それなら‼」

 

「せいにゃッ‼‼」

 

オーズの攻撃でバランスを崩し、膝を着くパラドクス。オーズがその隙を逃すはずもなく大振りな一撃を放つ。パラドクスはそれを防ぐもその威力に地を転がるが、それが彼の狙いだった。

 

「くぅ…‼ありがとな?」

 

『マッスル化‼』

 

転がる先にあったのはマッスル化のエナジーアイテムだった。それを取り込んだパラドクスは再びオーズへと駆け寄り、拳を叩き込む。オーズはそれを防ぐが、今まで以上の力に下げられる。

 

「このアイテム、厄介だにゃ…」

 

「いくぜぇッ‼」

 

そして再びの殴り合いになるが、今度はパラドクスがオーズを押していく。

 

「それなら………いっけーッ‼‼」

 

このまま接近戦は難しいと思ったオーズは、両腕のパーツを飛ばす【バゴーンプレッシャー】を発動、至近距離にいたパラドクスは避けられず両腕で防ぐがドンドンと押し返される。それを何とか弾き飛ばしたが、オーズはベルトのメダルを赤1色に変えて読み込んでいた。

 

『タカ‼クジャク‼コンドル‼タ~ジャ~ドル~‼』

 

【タジャドルコンボ】になったオーズは背中に赤い3対の翼【クジャクウィング】を展開し、宙へと舞い上がる。

 

「空まで飛べるのかよ…」

 

そして左手に装備した武器【タジャスピナー】から火炎弾を飛ばして攻撃する。

 

「空からとかやりづらい…‼」

 

空中への攻撃手段がないパラドクスは回避するしかない。そしてある程度攻撃が行われたらオーズはベルトのメダルを抜き、それをタジャスピナーにセットしてオースキャナーで読み込んでいく。

 

『タカ‼クジャク‼コンドル‼ギン‼ギン‼ギン‼ギガスキャン‼』

 

「この…‼やらせるかよ‼」『KIME-WAZA!!』

 

オーズが炎の鳥に包まれていくのを見たパラドクスは、腰のガシャットギアデュアルを抜いてキメワザを発動させてホルダーに再装填する。

 

『KNOCK OUT!! CRITICAL SMASH!!』

 

拳を炎で包み、迎え撃とうと構えるパラドクス。オーズも準備が整ったのか炎を纏った一撃【マグナブレイズ】で襲い掛かり、パラドクスの拳とぶつかり合うと爆発が起こり、二人が吹き飛ばされてくる。

 

「うにゃッ!?」

 

「ガハッ!?」

 

倒れた2人は起き上がるが、ここでパラドは変身を解いた。

 

「あれ、もう降参?」

 

「いいや、ここからが俺の本気モードだ。」

 

そして腰にゲーマドライバーを装着して、ガシャットギアデュアルを装填する。

 

「心が踊る…‼」

 

『デュアルガシャット‼』

 

「マックス大変身‼」

 

『ガッチャーン‼マザルアップ‼赤い拳・強さ‼青いパズル・連鎖‼赤と青の交差‼パーフェクト・ノックアーウト‼』

 

レベル99になったパラドクスを見て、オーズもメダルを黄色1色に変えて読み込む。

 

『ライオン‼トラ‼チーター‼ラタラタ~‼ラトラーター‼』

 

「にゃあああああああああああああッ‼‼」

 

【ラトラーターコンボ】になったオーズは固有能力の【ライオディアス】で高熱の光を放つ。だがパラドクスは落ち着いてエナジーアイテムを選択する。

 

『反射‼』

 

「うにゃあッ!?」

 

その力でライオディアスをオーズへと跳ね返して逆にダメージを与えた。

 

「言ったろ?本気モードだってな。」

 

「だったらスピード勝負にゃ‼」

 

チーターレッグの力で高速で動き出すオーズだが、パラドクスは既にエナジーアイテムを3枚選んでいた。

 

「フォームチェンジから考えて、次は高速系だと読めてたさ。だからこれだ。」

 

『高速化‼高速化‼マッスル化‼』

 

そのアイテムの効果でオーズと同等の速さで動くパラドクス。そこからは視認困難な高速戦闘が繰り広げられる。

 

「ずらぁ………何が起きてるのか全く解らない…」

 

「うゆぅ…」

 

「美月は見えてるよ?」

 

「「スゴ…」」

 

人間組はそれに目が追い付かず全く見えなかったが、異世界組とヴァーリ達悪魔組に一誠はその戦闘を追えていた。

 

そして中央で何かが弾けたかと思うと、2人が吹き飛んでいった。

 

「いたた…」

 

「これが歴戦の勇者の力か………さすがだな…」

 

「それじゃ、凛も本気でいくよ‼」

 

「は?」

 

そう言って立ち上がるオーズは紫のメダルを握り、ベルトにセットしてスキャンする。

 

『プテラ‼トリケラ‼ティラノ‼プ・ト・ティラ~ノ‼ザウル~ス‼』

 

「まだあったのかよ…」

 

「そりゃ‼」

 

【プトティラコンボ】になったオーズは地面に右手を突っ込み、引き抜くとその手にティラノサウルスの頭部を模した斧【メダガブリュー】が握られていた。

 

「それならこっちも…‼」

 

『ガシャコンパラブレイガン‼』

 

パラドクスもウェポンを掴み、互いの武器をぶつけ合う。だが、パラドクスは先程よりも動きが鈍くなっていき、オーズの攻撃を徐々に喰らい始める。

 

「体が………さぶッ!?メッチャ寒い‼」

 

「プトティラコンボは太古の力、氷河期の寒さを思い知るにゃ‼」

 

「うあッ!?」

 

強烈な一撃を貰ったパラドクスは地を転がっていき、その間にオーズは銀色のメダルを4枚メダガブリューに入れて口のパーツを閉じ、バズーカモードにして必殺技の体勢に入る。

 

『ゴックン‼プ・ト・ティラ~ノヒッサ~ツ‼』

 

「ぐ…‼負けられるか‼」

 

『ズ・ガーン‼』『デュアルガシャット‼キメワザ‼』

 

パラドクスも負けじとウェポンをガンモードに変え、ガシャットを装填して必殺技の体勢になる。

 

『PERFECT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「「はあッ‼」」

 

放たれる2人の必殺技。それが中央でぶつかり合い大爆発を起こす。フィールドと外野席の間には結界があるので周りに被害はない。そして立ち込める煙が晴れると立っていたのはオーズでパラドクスは変身が解けて膝を着いていた。

 

『パラドクス、戦闘続行不能。よって勝者・オーズ』

 

「やったにゃーッ‼‼」

 

「パラドさんッ!?」

 

ガッツポーズしながら戻る凛。そしてフィールドから動けないのか、そのままのパラドにダイヤが駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?」

 

「………ああ、思ってた以上の強さに驚いてた…」

 

「ですが、世の中にはそういう人はまだたくさんいると思いますわよ?」

 

「だな。俺ももっと強くならないといけないか…」

 

「ほら、戻りますから肩を貸しますわ。」

 

「サンキュー。」

 

パラドとダイヤが戻ると次の試合になるが、先に異世界組の雨崎 絵里がフィールドに出ていた。その腰には銀色のベルトが巻かれていて、それが何か知ってるヴァーリは目を見開いた。

 

(あのベルトは…‼なら、対抗できるかもしれないのは鞠莉しかいない‼)

 

「次の試合は鞠莉に出てもらう。」

 

「Why?何か理由があるの?」

 

ヴァーリの突然の決定に鞠莉は理由を尋ねる。

 

「奴に対抗できる可能性があるのはお前だけだからだ。それと俺からアドバイスだ。何が何でも腰のボタンを叩かせるなよ?」

 

「?…OK、解ったわ。」

 

ヴァーリのアドバイスを聞いてから、鞠莉はフィールドに出る。

 

「ヴァーリ君、鞠莉さんじゃなきゃ対抗できないって事は、相手は高速戦闘が得意なの?」

 

「高速………だったら良かったんだがな…」

 

「?」

 

ヴァーリの言葉の真意が解らなかった梨子は首を傾げるしかなかった。

 

フィールドでは絵里の前に鞠莉が立って、ゲーマドライバーを装着する。

 

「あら、貴女もゲーマドライバーを使うのね?」

 

「え?そっちの私は使わないの?」

 

「ええ、ダブルドライバーって言うベルトで果南と一緒に仮面ライダーWに変身するの。」

 

「果南とかぁ………面白そうね♪」

 

「さて、お喋りはこの辺にして………始めましょう?」

 

そう言うと彼女の右側の空間が小さく歪み、そこから赤いメカニカルなカブトムシ【カブトゼクター】が出てきて絵里の右手に収まる。

 

「そうね、最初っからFull Throttleよ‼」

 

『それでは両者、変身してください。』

 

『RAISOU LIGHTNING‼』

 

鞠莉もレベル100のガシャットギアデュアルΔⅡを取り出して、起動させる。

 

「GEAR HUNDRED!!」

 

「「変身ッ‼」」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼雷光‼雷鳴‼雷轟‼雷神‼雷走ライトニング‼』

 

『HENSHIN』

 

鞠莉はレーザー・レベル100に、絵里は銀色の重厚な鎧に水色の複眼をした【仮面ライダーカブト・マスクドフォーム】になる。それからすぐにゼクターの角を反対へと倒す。

 

「キャストオフ‼」

 

『Cast Off』

 

すると銀色の鎧が弾け飛び、中の赤いボディが露になり顔にはカブトムシの角のパーツが付いた【ライダーフォーム】となった。

 

『Charge Beetle』

 

「あら、随分Nimbleになったわね?」

 

「お婆様が言っていたわ。私は天の道を行き…全てを司る女と…」

 

「………何言ってるのか解らないけど、油断大敵よ?」

 

『試合開始です。』

 

「クロッ(ドゴォ‼)…カハッ!?」

 

カブトは特殊能力である【クロックアップ】で瞬時に勝敗を着けようとしたが、それよりも先に自身の鳩尾に強い衝撃を受けて吹き飛ばされた。

 

「一体…何が…‼」

 

突然の事に理解が追い付かなかったが、顔を上げると彼女の前には右肘を突き出した体勢でいるレーザーがいた。

 

「その程度じゃ、私を捉えられないわよ?」

 

そして再びレーザーの姿が消えると、後ろからの衝撃にまた吹き飛ばされる。

 

「どういう事ッ!?全く見えない!?」

 

「何が起きてるのッ!?」

 

「クロックアップの攻略法はただ1つ………実にシンプルな方法だ。発動する前に倒せばいい。」

 

驚く穂乃果達にヴァーリの呟きに合わせる様にレーザーの怒濤の連続攻撃が始まる。雷速で動き回りながら攻撃してくるレーザーにカブトはなす術無く、防御する事しかできなかった。

 

「ぶっ飛びなさいッ‼‼」

 

「ガッ!?」

 

そして回し蹴りでカブトを蹴り飛ばすが、これが逆転の道へとなってしまう。

 

「クロックアップッ‼‼」

 

『Clock up』

 

吹き飛びながらもカブトは腰のボタンを叩いてクロックアップを発動させた。その瞬間、周りにある全てのものの動きが遅くなった。クロックアップとはタキオン粒子と呼ばれるものを身体中に駆け巡らせ、時間流の中を自在に行き来できる能力だ。つまり、高速とはまるで違う速さを獲得した事になる。

 

「イタタ…さて、お返しをしなくちゃね。」

 

『one two three』

 

遅く流れる時間の中、立ち上がったカブトはゼクターのボタンを押しながらレーザーの背後まで歩き、角を元の位置に戻す。

 

「ライダー…キック。」

 

『Rider kick!!』

 

そして再び倒し、右足にエネルギーを溜めるとそのまま上段回し蹴りを叩き込んだ。

 

『Clock Over』

 

「ッ!?キャアアアアアアアアアッ‼‼」

 

クロックアップが終わり時間が戻ると、レーザーは悲鳴を上げながら吹き飛んでいく。

 

「えッ!?何が起きたのッ!?」

 

「鞠莉がいきなり吹き飛んだッ!?」

 

「やはり、鞠莉でもダメか…」

 

時間流の中を移動するカブトの速度は測る事ができない。だからこそ、発動される前にケリを着けさせたかったヴァーリだったが、1度発動され必殺技を受けてはレーザーのダメージは計り知れない。

 

「く…‼まだ、終わってないわよ…‼」

 

だがレーザーは震えながら、それでも確りとした足で起き上がる。

 

「あら、今ので決まったのかと思ったけど…」

 

「私だってね…負ける気は無いのよ………‼」

 

「そう………なら、貴女の覚悟を評して…最強の一撃で終わらせてあげる。」

 

カブトが左手を上に掲げると、また時空が歪みそこに新たなアイテム、銀色のメカチックなカブトムシ【ハイパーゼクター】が握られ、それを左腰に装着し角を倒す。

 

「ハイパーキャストオフ。」

 

『Hyper Cast off』

 

するとカブトのボディに銀色が増え、額の角も大きくなり足首から先は左右非対称の姿【カブト・ハイパーフォーム】になった。

 

『Charge hyper beetle』

 

「姿が変わったって…‼‼」『ガシャコンスパロー‼ス・パーン‼』

 

『高速化‼』

 

レーザーはスパローを鎌モードで持ち、高速化のアイテムを取ってカブトへと全速力で迫るが、カブトはすぐにハイパーゼクターを叩く。

 

「ハイパークロックアップ。」

 

『Hyper Clock up』

 

その瞬間、カブトの周りの速度が限りなく停止に近いものへと変わる。それはレーザーも例外ではなく、カブトから見れば普通の人が歩いてあるのと同じ速度にまでなっていた。

 

カブトはそこから動かず、レーザーの攻撃を全ていなしていく。それが虚仮にされていると思ったレーザーは攻撃の速度を限界まで速めていくが、カブトにはどうしても通らない。

 

そして大振りな攻撃をしようとしたところを、腹に肘打ちを喰らって下げられると同時にアイテムの効果も終わる。

 

『Hyper Clock over』

 

カブトもハイパークロックアップが終わり、通常の時間に戻ってくる。

 

「そんな………私の…最速なのに…」

 

「お婆様が言っていたわ。私の進化は光よりも早い、全宇宙の何者も私の進化に追い付けないとね。」

 

カブトは右手を上にゆっくりと上げながらそう言い、ハイパーゼクターの角を倒しカブトゼクターのボタンを押していく。

 

『Maximum rider power』『one two three』

 

「私だってッ‼‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

「ハイパー…キック。」

 

『Rider kick!!』

 

『ガッチャーン‼ RAISOU!! CRITICAL STRIKE!!』

 

2人はライダーキックを放ち、空中でぶつかり合う。

 

「「ハアアアアアアアアアアアアッ‼‼‼」」

 

数秒の拮抗の後、2人を中心に爆発が起こる。そして広がる爆煙の中から出てくるがカブトは華麗に着地、レーザーは地面に激突して倒れ変身が解除された。

 

『レーザー、戦闘続行不能。よって勝者・カブト』

 

「ああ~…負けちゃった…眷属で一番の年上の私が頑張らないといけないのに…」

 

「嘆くことはないわ。お婆様が言っていた…強さにゴールはない。貴女もまだまだ強くなれる、何時までも、何処までもね。」

 

「Thank-you…」

 

絵里はそう言って鞠莉に手を差し出し、それを鞠莉が掴むと一気に引っ張り起こす。

 

「その思い、大切にしなさい。」

 

「OK‼絶対に強くなってみせるわ‼」

 

 

 

 

現在の勝敗 ゲームチーム2敗・異世界組2勝




いかがでしたか?

コラボ相手の方がかなり先まで話が進んでいるので、今のところ此方は勝ち目が低いです。

次回【Firstコラボ Three】

「アタシの魔法とあんたの魔法…どっちが強いかハッキリさせましょうかッ‼‼」

では次回で、お会いしましょう。


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Firstコラボ Three

どうも、疾風の警備員です。

今回はダイヤVSことり、善子VSにことなります。

では、どうぞ。




鞠莉の勝負が終わった後、次の試合のメンバーがフィールドに出てくる。ゲームチームはダイヤ、異世界組からはことりが出てきた。

 

「よろしくお願いしますわ。」

 

「よろしくね、ダイヤちゃん。」

 

「ち、ちゃん!?何か違和感がバリバリですが…」

 

「アハハハハハハハハッ‼‼‼ちゃん付けとか似合わね~‼‼」

 

「……………(カチン‼)そぉいッ‼‼‼」

 

「あだぁッ‼」

 

観覧席でことりがダイヤをちゃん付けで呼んだ事に爆笑するパラド。それが頭に来たダイヤは体を粒子状に変えてパラドの背後に移動し、全力で背中を蹴った。

 

「いってぇッ!?なにす…「それ以上笑うのなら………刻みますわよ?」………スンマセン…」

 

「まったく‼………そこまで笑わなくてもいいじゃない…」

 

ダイヤの迫力にパラドは反省したら、彼女は再び体を粒子にしてフィールドに戻るが、ことり達が不思議そうに彼女を見る。

 

「?どうしましたか…?」

 

「えっと…そっちのダイヤちゃんって、もしかして人間じゃないの?」

 

「ああ…そういえばこの体に慣れてきたので、忘れてましたわ…」

 

バグスターとしての体に順応しきっていた彼女は、すっかり自身の存在の事を忘れていた。

 

「では改めて………元人間で現バグスターの黒澤ダイヤですわ。」

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

そのダイヤの告白に異世界組は驚きの声を上げた。

 

「ど、どうしてそんな体に…!?」

 

「妹を助けた代わりに私が死んで………こちらのルシファーさんのお陰でこの体で甦ったんですの。でも、死んだ事に後悔はありませんわ。」

 

「そっか………………そっちも色々大変だったんだね?」

 

「ええ………湿っぽい話になりましたわね、そろそろ始めましょうか?」

 

「うん。」

 

ダイヤはゲーマドライバーを装着し、ことりは懐からコンパクトミラーを取り出しそこに龍の紋章が描かれたカードデッキを翳し、腰に銀色のベルトを装着する。

 

『それでは両者、変身してください。』

 

「0カラット…」『ジュエリートレジャー‼』

 

「「変身ッ‼」」

 

『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼』

 

ダイヤは仮面ライダージュエルに、ことりはカードデッキをベルトに嵌め3つの鏡像が重なると赤いボディに銀色の鎧、顔は鉄仮面の中から赤い複眼が覗く姿【仮面ライダー龍騎】となった。

 

「それが貴女の…」

 

「うん、仮面ライダー龍騎って言うの。」

 

「私は仮面ライダージュエルですわ。」

 

『試合開始です。』

 

アナウンスの言葉と同時にジュエルは武器アイコンからガシャコンソードを選び、龍騎はデッキからカードを1枚引き、左腕にある龍の頭部を模した籠手【龍召機ドラグバイザー】に入れて読み込ませた。

 

『ガシャコンソード‼』

 

『SWORD VENT』

 

互いに召喚された剣を右手で握ると走り出し、すれ違いながら剣をぶつけ合わせ即座に反転し、再度ぶつかりつばぜり合う。

 

「中々やりますわね…‼」

 

「そっちもね…‼」

 

ことりは後方に飛んで体勢を立て直そうとするが、逃がすまいとジュエルは別の武器アイコンからガシャコンマグナムを呼び出す。

 

『ガシャコンマグナム‼』

 

「逃がしませんわッ‼」

 

「うえッ!?ひゃあッ‼」

 

それを左手で掴み、龍騎に照準を合わせてすぐさま発砲するも、彼女は倒れる様にしてそれを回避した。

 

「び、びっくりしたぁ~‼銃も持ってるなんて…」

 

「止まっている余裕はありませんわよ?」

 

ジュエルはマグナムを連射しながら龍騎へと向かう。龍騎は数発を剣で弾くも連射速度に追い付けなくなり後は喰らってしまう。

 

「うく…‼」

 

「はあッ‼」

 

『コ・チーン‼』

 

刀身を氷剣にし、逆手に持ちかえながら龍騎を2度斬るジュエル。剣の能力で斬られた場所が凍り、龍騎の動きが鈍くなったところにマグナムのBボタンを叩いて銃口を押し当てて引き金を引き、マシンガンの如く連射される弾丸を全弾命中させる。

 

「キャアアアアアアアアアッ‼‼」

 

その威力に龍騎は吹き飛び、結界の壁にぶつかる。だが、彼女はまだ負けてないとばかりにデッキからカードを勢いよく引き、それをバイザーに読み込ませる。

 

『ADVENT』

 

そして右手に変身時に出したコンパクトミラーを結界の端に置くと周囲にキィィィィィンと耳鳴りの様な音が響き始める。

 

「この音は…『ゴアアアアアアアアアアアッ‼‼』なッ!?」

 

するとその鏡面から赤い東洋タイプのドラゴンが飛び出してきた。

 

「ドラゴンッ!?」

 

「私の相棒【ドラグレッダー】だよ。」

 

ドラグレッダーはジュエルへと火球を何発も放ち、周囲に着弾して爆発を起こし煙が立ち込める。

 

「視界が…‼」

 

視界不良の中で警戒していたら、右側から風切り音が聞こえそちらを向くと、ドラグレッダーの尾が眼前にまで迫っていた。

 

「な…!?キャアッ‼」

 

咄嗟に剣で受け止めるもその威力に防ぎきれず、結界の壁際まで吹き飛ばされた。

 

「くッ!?そちらが召喚なら………こちらもですわッ‼‼」

 

『べリアルモンスター‼ガッチョーン、ガシャット‼』

 

ジュエルはべリアルモンスターを起動させるとバックルのレバーを閉じて、空きスロットにそれを挿す。

 

「Xー0カラット。」

 

『ガッチャーン‼レベルアップ‼探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼災厄を起こせべリアル‼絶望を振り撒けモンスター‼今こそ破滅の…時来たり‼』

 

『ガシャコンギガナイザー‼』

 

飛び上がりながらモンスタートレジャーゲーマーになったジュエルはギガナイザーを掴みとって着地するが、それを見た龍騎や観客席の異世界組が驚きに包まれた。

 

「あれって………べリアルッ!?」

 

「しかもあの姿ってアトロシアスに似てるじゃないッ‼‼」

 

「なんで彼女が…!?」

 

「えっと………皆さん、何を驚いてるのか解りませんけど、あれはゲームキャラですよ?」

 

そんなパニックが起きてるとは露知らず、ジュエルはカプセルを2つ掴んでガシャットに読み込ませた。

 

「お行きなさいッ‼‼」

 

『キングジョー‼ゼットン‼フュージョンリアライズ‼ペダニウムゼットン‼』

 

「べリアル融合獣までッ!?」

 

呼び出されたペダニウムゼットンは両手から火炎弾【ペダニウムメテオ】を飛ばし、ドラグレッダーの火炎弾を迎撃していく。

 

「さあ、こちらも続けましょう?」

 

ギガナイザーを振り回しながら走り出すジュエル。龍騎は動揺しながらもすぐにデッキからカードを引き、バイザーに装填する。

 

『GUARD VENT』

 

両腕にドラグレッダーの腹を模した盾を装備して攻撃に備え、ジュエルはそれごと打ち崩すつもりでギガナイザーを叩き込む。

 

「くぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

何とか防ぐ事に成功した龍騎だったが、その威力に数メートル押し飛ばされた。

 

「なんてパワー…‼」

 

「まだまだいきますわよッ‼‼」

 

ジュエルはギガナイザーを思いきり振り回し龍騎に何度もぶつけていく。対する龍騎は盾で防いでいくもその威力から反撃まで手が回らなかった。

 

「せぇいッ‼‼」

 

「きゃッ!?」

 

そして上からの振り下ろしで盾を手放してしまった。

 

「ッ‼‼」

 

マズイと思った龍騎はすぐさま後ろに飛んで距離を取る。

 

「負けをお認めになってわ?頼みの綱のドラゴンも…」

 

ジュエルが視線を向ける先にはペダニウムゼットンによってヌンチャクの様に振り回されているドラグレッダーがいた。

 

だが龍騎は諦める素振りは見せず、ゆっくりとした動きでデッキのカードを引いた。

 

「なら、ここからは………私も本気でいくよ。」

 

龍騎が引いたカードには金色の片翼に背景には渦巻く炎が描かれている。そして左腕を前に突き出すとバイザーが炎に包まれ、ドラグレッダーに似た龍の頭部を模した武器【ドラグバイザーツヴァイ】へと変わった。

 

「それは…‼」

 

そしてそのバイザーの口の部分を開き、そこに引いたカード【SURVIVE】を入れて閉じる。

 

『『SURVIVE』』

 

すると龍騎の姿がバイザーと似た龍の形に変わり、頭部にも金の装飾が付いた【龍騎・サバイブ】となった。

 

「それが貴女の本気ですか…」

 

「そうだよ。おいで、ドラグレッダー…ううん、ドラグランザー。」

 

龍騎サバイブドラグレッダーを呼ぶと、ペダニウムゼットンから逃れて龍騎の隣に並び、その姿がより重厚な姿の龍【ドラグランザー】へと変わった。

 

そしてドラグバイザーツヴァイをジュエルに向けると、ドラグランザーは口に火を灯す。そのチャージが終わったらドラグランザーが大きな火球を何発も撃ってくる。

 

「くっ…‼」

 

それを見た瞬間、喰らうとマズイと直感が働きギガナイザーを高速回転させて火球を防ぐ。だが最後の火球がぶつかると瞬時に大爆発を起こした。

 

「お姉ちゃんッ!?」

 

ルビィが心配する中、煙が晴れるとそこにはジュエルを庇ったのか倒れているペダニウムゼットン()()()()()

 

「あれ?ダイヤちゃんは…」

 

龍騎が彼女を探そうと周囲に目を向けると、周りに大量の鏡があった。

 

「この鏡、さっきまで無かったのに…『アガッチャ‼輝く君は美しい‼ Ah〜‼ 鏡幻想‼ イマージュ・ミラージュ‼︎』ッ!?」

 

そこにガシャットの音声が聞こえ、1つの鏡からミラージュトレジャーゲーマーとなったジュエルが飛び出してくる。

 

「ゴアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「くッ!?」

 

そのまま龍騎へと攻撃しようとするも、ドラグランザーが間に入ってジュエルを尾で吹き飛ばした。

 

「びっくりした~…まさか鏡から出てくるなんて…」

 

「ここからは幻惑されないようご注意を♪」

 

そう言って別の鏡に飛び込み、今度は龍騎の背後の鏡から飛び出す。

 

「でもね?」

 

しかし、龍騎が傍の鏡に近づくとその中に入って攻撃を回避した。

 

「なッ!?」

 

「鏡に入れるのはそっちだけじゃ無いんだよ?」

 

そして鏡から飛び出してジュエルをバイザーから出た剣で切り裂く。

 

「うあッ!?」

 

「この龍騎はね、鏡の世界【ミラーワールド】で暴れるモンスターと戦うライダーなの。だから、鏡の中ならお手の物だよ。」

 

「なるほど………でしたら全力でいきますわよッ‼‼」

 

2人は同時に鏡に入ると出たり入ったりを繰り返しながら何度もぶつかり合う。それが10回以上続いたらジュエルが鏡から転がり出て龍騎が悠然と歩いて出てくる。

 

「く…‼この私が…‼‼」

 

「それじゃ、これで終わりだね。」

 

『『SHOOT VENT』』

 

そしてドラグバイザーツヴァイとドラグランザーからのレーザーと火球がジュエルに命中して爆発し倒れるジュエルだったが、それは粒子となって消える。

 

「えッ!?もしかして………殺しちゃった?」

 

「「「「「「それはブッブ~ですわ‼」」」」」」

 

消えたジュエルに最悪の事態を想像した龍騎だったが、鏡から聞こえる声の数に別の意味で驚く。

 

そして6つの鏡からジュエルが1体ずつ出てきた。

 

「分身の術ッ!?」

 

6体のジュエルは龍騎へと襲い掛かる。だが龍騎はジュエルと渡り合う。その隙に分身を増やさせない様にドラグランザーが動き回りイマージュ・ミラージュのアイテムの鏡を破壊していく。

 

『『『『『『ガシューン、ガシャット‼キメワザ‼』』』』』』

 

鏡が破壊されていくのを見たジュエル達はすぐさまキメワザを発動、龍騎へとライダーキックを放っていく。

 

『『『『『『IMAGE!! CRITICAL STRIKE!!』』』』』』

 

「えいやッ‼‼」

 

だが、龍騎は2体の攻撃をバイザーで防ぎドラグランザーも尾で2体を吹き飛ばすが、残った2体の攻撃を背後から喰らい、そのせいで防いでいた2体の内1体の蹴りを喰らってしまう。

 

「キャアッ‼‼………イタタ…でもこれで私の勝ちだね。」

 

痛みに耐えながらもバイザーの剣を振るい、ジュエルを倒す。しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あれ、本体がいない?もう出てくる鏡も無いのに…」

 

『JEWELRY!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「へ?」

 

そこにガシャットの音声が聞こえる。

 

「どこから…「トウッ‼‼そしてセイヤァーッ‼‼」へ?キャアアアアアアアアアッ!?」

 

そこにどこからか現れたジュエルが見事にライダーキックを龍騎へと決めた。

 

『会心の1発‼』

 

直撃を貰った龍騎は変身が解除された。

 

『龍騎、戦闘続行不能。よって勝者、ジュエル』

 

「ふふ♪私の勝ちですわね。」

 

「うう~ん…出てくる鏡は全部壊したのに…」

 

「答えはあれですわ。」

 

変身を解除したダイヤが指差す方には、ことりが変身やドラグレッダーを呼び出すのに使ったコンパクトミラーがあった。

 

「あれを利用させて貰いました。」

 

「あちゃ~…閉まっておけば良かった。」

 

こうして3回戦はジュエルの勝利となり、次のメンバーである善子とにこが出てくる。

 

「さて、あんたはどんなライダーになるのかしら?」

 

「クックックッ…‼ならば刮目するがいい‼光の王に認められし我が勇姿をッ‼‼」

 

『MAGICAL PRIEST!!デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼シャイニングガール‼想いをデトネイション‼世界を照らせ‼マジカル・プリースト‼』

 

「仮面ライダーヨハネ・プリーストゲーマー‼‼」

 

「へぇ、こっちの善子は魔法使いなのね。」

 

「魔法使いじゃないッ‼魔導師よッ‼‼後、ヨハネッ‼‼」

 

「その名のこだわりは同じかいッ‼‼」

 

世界を越えても変わらない善子の性格にツッコミをしつつ、にこは右手中指にはめてある指輪を右手の形をしたバックルに翳す。

 

『ドライバーオン‼プリーズ‼』

 

するとそこに銀色のベルト【ウィザードライバー】が装着される。

 

「何よそれ?」

 

ヨハネの言葉を無視しながらベルトの左右のハンドルを操作して中央の手の形を左手の向きに変える。

 

『シャバドゥビタッチヘンシ~ン‼シャバドゥビタッチヘンシ~ン‼』

 

「うっさ!?ちょっと‼その音何とかしてよッ‼‼」

 

「仕様だから諦めなさい。私はもう諦めたから…」

 

そんなどこか遠くを見るような目で、左手中指に赤い宝石の付いた指輪を嵌め、バイザーみたいなのを下ろす。

 

「変身‼」

 

そしてそれをベルトに翳した。

 

『フレイム‼プリーズ‼ヒー‼ヒー‼ヒーヒーヒー‼』

 

それから左手を横に伸ばし、描かれた魔法陣を潜ると彼女はその姿を【仮面ライダーウィザード】へと変えた。

 

「フィ~…」

 

「その姿…前の世界でいたわね…」

 

「さあ、ショータイムよ。」

 

『コネクト‼プリーズ‼』

 

更に小さな魔法陣から銀色の武器【ウィザーソードガン】を取り出してガンモードで構える。

 

「だったら私も…」『ガシャコンワンド‼』

 

ヨハネもガシャコンワンドを手に取ると、ソードモードで構えた。

 

「それ…キング○ードじゃない‼何でアンタが持ってんのよ‼」

 

「文句はヴァーリに言ってよねッ!?それっぽく作ったらしいし‼」

 

『試合開始です。』

 

「「ここでッ!?」」

 

場違いなタイミングで電子音声が戦闘開始を告げるが、2人は意識を切り替えすぐに攻撃を始める。ウィザードがソードガンから銀の弾丸を複数放ち、魔力操作によって複雑な弾道を描いて空へと舞い上がったヨハネへと迫るが、そのヨハネはその場から動かず全身に紫色のオーラを纏うとウィザードの弾丸が全て弾かれた。

 

「へぇ…面白い魔法ね?」

 

「次は余の番か…紫天に吠えよ、我が鼓動‼」

 

まずは様子見とばかりに撃った攻撃をあっさりと防がれ、次にヨハネが左手の極天の書を開き、その中の広域殲滅魔法を発動させる。フィールド中に配置される黒い魔力球…それに込められた魔力にウィザードは驚くしかなかった。

 

「はあッ!?何よこの魔力量ッ!?こんなのどうやって…」

 

「出でよ巨獣、ジャガーノートッ‼‼」

 

「ちょまてよ…」

 

何かを言おうとしたウィザードだったが、その前に魔力球が爆発してその中に飲まれていった。

 

「ナーハハハハハハハハハハハッ‼‼我と当たった事が運の尽きだったな‼雑種めが‼‼」

 

「勝手に終わらせてんじゃないわッ‼‼」

 

『フレイム‼シューティングストライク‼ヒーヒーヒー‼ヒーヒーヒー‼』

 

砂煙でフィールドが見えない中、ウィザードの声と何かの音声の後に大きな火球がヨハネへと迫る。

 

「フフフ…甘い‼」

 

だがヨハネはそれにガシャコンワンドをぶつけ、自身の魔力を流して侵食していき自分の物へと変えた。

 

「うそーん…」

 

砂煙が消えると、ソードガンを構えるウィザードが今の光景を見てたのか、呆然と立っていた。

 

「さて、次はどう来るのかしら?」

 

「だったら…ドラゴンッ‼‼」

 

『フレイム‼ドラゴン‼ボー‼ボー‼ボーボーボー‼』

 

ウィザードはフレイムドラゴンスタイルに変わると右手にドラゴタイマーを付ける。

 

『ドラゴタイム‼セットアップ‼スタート‼』

 

『ウォータードラゴン‼ハリケーンドラゴン‼ランドドラゴン‼ファイナルタイム‼』

 

そこから3体の別のエレメントのウィザード達を呼び出し、右手をベルトに翳す。

 

『オールドラゴン‼プリーズ‼』

 

その分身と重なり、オールドラゴンになったウィザードは背中の羽でヨハネがいる場所まで飛翔した。

 

「ようやく追い付いたわよ…」

 

「追い付く?何を言っている。お前など我が力の足下にも及ばぬな。」

 

「だったらアタシの魔法とあんたの魔法…どっちが強いかハッキリさせましょうかッ‼‼」

 

ウィザードはそう言うと胸の【ドラゴスカル】から炎を吐き出し、ヨハネは先ほどのウィザードの火球をぶつける。互いの攻撃は拮抗するがそれはすぐに崩れ、ヨハネの火球が炎に飲み込まれて彼女を襲う。

 

「これで焼き尽くされたは…「ククク…温いな‼」マジ?」

 

しかしヨハネは炎の中でも悠然と立っており、ワンドをウィザードに向けるとヨハネの背後に大量の魔力球が瞬時に作られていく。

 

「な、なにする気よ…‼」

 

「喰らうがいい…フォトンランサー・ファランクスシフトッ‼‼」

 

そして襲い掛かってくる大量の魔力弾。ウィザードはこのままでは回避は無理と判断し、左腰のホルダーから1つの指輪をクローの間に挟み、ベルトに翳した。

 

『スモール‼プリーズ‼』

 

それによって米粒サイズまで小さくなったウィザードは、簡単に魔力弾を回避する。

 

「そんな魔法には、これよッ‼」

 

ヨハネは魔力弾の一部を別方向に飛ばして、その先にあるアイテムをビリヤードの様に弾きながらウィザードに取り込ませた。

 

『巨大化‼』

 

「うそ~んッ!?」

 

その効果で元のサイズまで戻ったウィザードは、終わり際の数発を喰らった。

 

「イッタタ… でも、何とか凌いだわよ…」

 

「妙な魔法ばっかり…でも、まだまだこれからよ‼」

 

『ガシャコンレイピア‼キュ・ピーン‼』

 

ヨハネはガシャコンレイピアを出すとタクトモードに切り替え、指揮者の様に振るい始めると空が突然曇り出す。

 

「汝が優しき心は、舞い散りし桜がごとき光と共にあり…」

 

「何をするのか知らないけど、ヤバそうだから今のうちにケリを着ける…‼」

 

『インフィニティー‼プリーズ‼ヒー‼スイ‼フー‼ドー‼ボー‼ザバ‼ビュー‼ドゴーン‼』

 

ヨハネの行動に危機感を覚えたウィザードはインフィニティースタイルに変わり【アックスカリバー】をアックスモードで持ち、必殺技を発動させる。

 

『ターンオン‼シャイニングストライク‼キラキラ~‼キラキラ~‼』

 

「うおりゃあああああああああああッ‼‼‼」

 

「チィッ!?」

 

とても女性とは思えない掛け声に合わせて、巨大化したアックスカリバーを振るうウィザードだったが、ヨハネも黙ってやられるつもりは無く、魔力でワンドに水色の大剣を作り、それを右手だけで振るいアックスカリバーとぶつけ合わせる。

 

「やるじゃないのッ‼‼」

 

「我が刃【雷神滅殺 極光斬】を受け止めるとは…‼‼」

 

「おい、ネーミングセンス。」

 

「まだよッ‼…その光を彩りしは気高き金色の雷光と、純白の雪のごとき決意の閃光なり…」

 

「させないってのッ‼‼」

 

斧と大剣を何度もぶつけ合わせながらフィールドを所狭しと移動する2人。その間もヨハネの詠唱は続いていく。

 

「3つの光が集いし時、その輝きはこの世全ての者の心を見惚れさせ…」

 

「チェストおおおおおおおおおおおおッ‼‼‼」

 

そしてウィザードの一撃で大剣が砕けてしまうが、ヨハネの準備も同時に整った。

 

「全ての悪しき闇を打ち払わんッ‼‼‼」

 

詠唱の終わりと同時にレイピアを高く頭上に掲げると、雲が晴れそこに桜色、金色、純白の3つの超巨大な魔力球が現れる。

 

「へ?」

 

『WITCH CREATE!!デュアルガシャット‼アン‼ドゥ‼トロワ‼』

 

「さあ…我が輝きと共に消え果てなさい‼超絶奥義‼‼【トリプルロイヤルブレイカー】ッ‼‼‼」

 

ワンドにガシャットギアデュアルΔを挿して発動させた【ロイヤルエンド】…それに魔力球から放たれる超威力の魔力砲撃が合わさり、まばゆい光となってウィザードへと襲い掛かった。

 

「ちょ、それ人に撃っちゃ駄目なやつじゃ…(ジュ)」

 

ウィザードのツッコミは放たれた圧倒的な光の前に飲み込まれ、大爆発と共に遮られ、煙が消えた後には黒こげになって変身が解除されたにこが倒れていた。

 

『ウィザード戦闘続行不能。よって勝者、ヨハネ』

 

「ふふ~ん♪スゴくて強くて格好いい‼やっぱり私、最強♪」

 

倒れているにこを連れて意気揚々と戻った善子だったが…

 

「「やり過ぎだ(よ)ッ‼‼」」

 

「アウチッ!?」

 

普通に都市1つを滅ぼせる威力の魔法を対人戦に使った事と、フィールドをボロボロにした事をヴァーリと梨子にチョップと共に怒られ、彼女の回復と1人でフィールド修復の役目を仰せつかるのだった。

 

 

 

 

 

 

現在の戦績・2勝2敗の同点




いかがでしたか?

最後のヨハネのは36時間勤務の終わりに、ナチュラルハイで書いたのでやり過ぎかもです。でも反省も後悔もない‼(おい‼)

次は少しの休憩を挟んで、次のバトルになります。

次回【firstコラボfour】

「全く…これだから男の子は…」

では次回で、お会いしましょう。


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Firstコラボ Four

どうも、疾風の警備員です。

待たせてしまった割に文章短いです………

自分、日常的な話になると筆の進みがかなり遅くなるのですが、他の皆様はどうやって書いてます?

とりあえず本編、小休止回をどうぞ。


4つの試合が終わり、全員で一旦おやつ休憩…もぐもぐタイムをすることにした。善子が魔法で直したフィールドにビニールシートを広げ、そこに座っていく。

 

「どうぞ、召し上がってください。」

 

そこに梨子が持ってきたのは大きな皿に沢山のったマフィンだ。他にもクッキーや羊羮、胡麻団子にカットされたフルーツがあり、ヴァーリの傍にはチョコレートが山積みの皿を置いた。

 

「マフィンの味はプレーンとチョコチップ、イチゴとブルーベリーにマンゴーで、クッキーはプレーンとココアにマーマレードを作ってみたの。」

 

「おお~‼美味しそう‼」

 

それらに真っ先にかぶりついたのは千歌だ。誰よりも早くマーマレードのクッキーを掴み、口に入れる。

 

「んん~♥サクサクで噛む度にオレンジの香りが口一杯に広がる~♥」

 

「あ、じゃあ私もッ‼」

 

皆が思い思いのお菓子を食べ始める中、ヴァーリは先程までの戦闘データをパソコンに高速入力し、一誠は近くの壁に寄り掛かって精神を集中していた。

 

「そっちのヴァーリのタイピング………ヤベーイくらいにハエーイな…」

 

「自称神だもん。」

 

「ククク………これほど良質の戦闘データは滅多に手に入らん…‼お陰で俺の才能が押し潰され、新しいガシャットの構想が流れる‼溢れ出る‼‼やはり俺の才能は神だァッ‼‼」

 

『おい神、同類がいるぞ?』

 

『アレと私を同一視するなあぁぁぁぁぁぁッ‼‼』

 

そんなヴァーリの様子に一誠(D)は苦笑いを浮かべ、彼の中にいるドライグとドライグダークはコント染みた会話を会話をする。そこに一誠(D)の妹である美月がヴァーリのパソコンを覗き見る。

 

「これって………ガシャット?」

 

「ん?そうだ。これはルビィが変身する仮面ライダー【エール】の強化ガシャットだ。」

 

「えッ!?ルビィさんも変身できたの!?」

 

「ああ、だが彼女の力はサポート専門で戦闘には一切向いていない。だから今回の模擬戦からは外したんだ。」

 

「へぇ~、じゃあこっちのゲーマドライバーに似てるのは?」

 

「これは以前から俺が考えていた物だ。完成して条件が揃えば、ハイパームテキと同等…いや、それ以上の力を手に入れられるのだ‼やはり俺の神の才能に限界はなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ‼‼ヴェアーハハハハハハハハハハハハハハッ‼‼‼‼見ているがいい、異世界の檀 黎斗オオオオォォォォォォォォォォッ‼‼‼」

 

自慢して高笑いするヴァーリをスルーして、美月は次に一誠の元に向かった。

 

「あの…こっちのお兄ちゃん。」

 

「………………………………………………………………………………」

 

美月が呼び掛けるが、一誠は反応しない。

 

「ねぇねぇ‼こっちのお兄ちゃんってば‼‼」

 

「………………………………………………うるせぇぞ、何の用だ?」

 

彼女の呼び掛けに一誠は多少イラつきながら答える。

 

「お兄ちゃんはどうして戦ってるの?」

 

「お前に教える義理はねぇ。」

 

そう答えたら目を閉じ再び精神統一に入る。それが面白くなかったのか少し顔を膨らませてから、何かイタズラを思い付いた様な顔をして、大きく息を吸い…

 

「みんな~‼こっちのお兄ちゃん、女の人のおっぱいが大好きなんだって~‼‼」

 

それを聞かされた一誠はその場でズッコけ、もぐもぐタイム中だった何人かがガッツポーズや項垂れるといった仕草をしていた。

 

「おいガキ…」

 

「なぁに?(ガシッ‼)みぎゅッ!?」

 

してやったりな顔をしている美月の背後に立つ一誠は、その呼び掛けに振り返った美月の顔にアイアンクローを決める。

 

「なにふざけた事抜かしてんだ、アアン?その頭握り潰すぞ。」

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ‼‼‼離して~‼‼」

 

「だったら先ずは【ごめんなさい】だろ?」

 

「ご、ゴメンナサァァァァァァァァァイッ‼‼」

 

「………………………………………ならいい…」

 

手を離し解放された美月は顔を押さえて涙目で一誠を見るが、一誠から見れば何の迫力もなかった。

 

「覚えとけ………自分にとって軽いイタズラ気分でした事が、相手を凄く傷つける事もあるってな…」

 

「うう~………は~い…」

 

そう告げて一誠は出口へと歩き始める。

 

「ちょっとイッセー君ッ!?どこ行くのッ!?」

 

「………外の空気を吸ってくる。」

 

「待って‼私もッ‼」

 

さっさと歩く一誠に付いていく曜。ヴァーリ以外の者達はそれを見送った。

 

「美月、人様に迷惑かけたらアカンよ?」

 

「はーい…」

 

「彼、何か暗い過去でもあるの?」

 

「………………………家族と少し、ですけど…」

 

真姫に問われ果南がポツリポツリと語り出す。本来なら一誠の許可が無ければ話すべきではないのだが、話せば何か力になってくれるかもと思い、少しの罪悪感と共に話した。

 

「なにそれッ!?それが兄弟に対する事なのッ!?」

 

話し終えて真っ先に反応したのが穂乃果だ。彼女自身も妹がいるので、怒りの感情が沸き上がったのだ。

 

「そら、あんな性格にもなるわな…」

 

「全く、これだから男の子は…」

 

希はこちらの一誠の性格に納得し、真姫は何かに気づいたかの様に頷いた。

 

「どうしたんですか?」

 

「これは私の勘だけど、彼が喧嘩を始めたのって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「はぁ~…ガキ相手に何ムキになってるんだか…」

 

俺は外に出ると深いため息を吐いてさっきの行動を反省していた。

 

あんなもんは子供の戯れに過ぎない…そうだと解っていてもどうしても体が反応しちまう………

 

「こんなんだからグラファイトにも、色々言われるんだな…」

 

「そうでもないよ。」

 

「ん?」

 

独り言に返事があったのに反応して振り返ると、そこには曜がいた。

 

「だってイッセー君、優しいからね。」

 

「何バカな事言ってんだよ、俺みたいな喧嘩バカのどこが優しいんだか…」

 

「優しいよ。今まで沢山の後輩を助けてるじゃない?」

 

曜がそう言ってくるが、本当は違う。あの喧嘩はそんな大した事じゃない。

 

「あれは俺の自己満足だ。」

 

「自己満足?」

 

「前にお前が言ったろ?喧嘩するのは相手に俺の存在を認めさせる為って………それは完全に間違いだ。でも、喧嘩で鍛えていたのはそんな崇高な理由なんかじゃねぇんだ…」

 

そこから俺は自分の心に隠していた事を話す。

 

曜が襲われた次の日から俺は体を鍛えるにはどうするかと悩んだ。その時だった………他校の生徒にカツアゲされていたウチの生徒を見たのは。

 

「それを見た瞬間、曜が襲われてる時の事が頭を過って………んで、気がついたら体が動いてた…」

 

そして気づけばその相手を倒して、そいつを助けていただけだ。それからもその現場に出会す度に同じ様に思い出して喧嘩を繰り返す…自分の後悔を消し去ろうとするかの様にな………だから俺は喧嘩を楽しむ事にした。罪悪感に押し潰されないために…

 

「結局、俺はあの時から進歩してねぇんだよ。未だに、一歩もな…」

 

顔の前に持ってきた右手を強く握り締めてそう呟く。そう…ガシャットでいくらレベルアップしたとしても、俺自身が成長しなきゃこれ以上は強くなれはしない…

 

「大丈夫。」

 

強く握り締めていた右手が温かい感触に包まれる。それは、曜の手が俺の右手を包んだからだ。

 

「曜…?」

 

「イッセー君ならきっと大丈夫。だって今まで何度も助けてくれたもん。だからきっと先に進める。私が保証するよ。」

 

「………………………だといいな…」

 

「うん♪」

 

そう笑顔で伝えてくる曜に、俺はそう返す。知らぬ間に笑みを浮かべながら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな二人を物陰から見ている者達がいた。そう、もぐもぐタイム中に真姫の予想(ほぼ正解)を聞いて確認しに来たメンバー達(ヴァーリ眷属を除く)だ。

 

「おお~‼なんだかラブラブな雰囲気に~‼‼」

 

「これは………キスまでいっちゃう!?」

 

「ちょっと静かにしなさいよ、バレるじゃない‼」

 

「つーか希、押さないでよ‼」

 

「狭いんやから、しょーがないやろッ‼」

 

「ぎゅうぎゅう詰めにゃ…」

 

「家臣共、苦しゅうない。」

 

「「「「「「苦しいんだよッ‼‼」」」」」」

 

「こっちのお兄ちゃん、キスするかな?」

 

「今は静かに見守ろうぜ。」

 

絵理のボケに異世界組の大人が総ツッコミを入れ、一誠(D)と美月は二人を見守る事にした。

 

「曜ちゃんったら…抜け駆けとかズルいなぁ…」

 

「うゆぅ…」

 

「ずらぁ…」

 

「あれ?何で花丸ちゃんもいるの?」

 

「えッ!?え~と………何となく?」

 

「よしッ‼今だ‼そこでキスしろイッセー‼」

 

「皆さん…人の恋路を邪魔すると風雲再起に蹴られますわよ?」

 

そして果南にルビィ、花丸は思い思いの気持ちで見ていて、パラドは完全に観客になり、ダイヤは皆を注意しているが視線は二人の方にチラチラと向いていた。

 

「………………………………………………あ、アハハ…」

 

「………………………………………………………(ブチッ)」

 

しかし、それほど騒いでいれば当然2人の耳にも聞こえてしまう。周りに見られていた事に曜は顔を赤くしながら頬を掻き、一誠は顔を真っ赤にしながらブチギレた。

 

「テメェ等、今すぐそこに正座しやがれえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼」

 

「「「「「「キャー、怒ったー♪」」」」」」

 

それから盛大な鬼ごっことなり、異世界組の殆どとこちらのメンバーの大半は逃げ切ったが、捕まったメンツ(パラドと一誠D、さっきの戦闘でダメージが残ってたにこ)は一誠の拳骨を頭に喰らって呻く事となった。




いかがでしたか?

ダメだ…誰か日常回の書き方を教えてくださいorz

次回は戦闘に戻ります。

次回【Firstコラボfive】

「ウチもたまには、子供達にエエとこ見せんとな。」

それと、活動報告でアンケートみたいなのを2つやってますので、良ければそっちの意見もくれると助かります。

では次回でお会いしましょう。


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Firstコラボfive

どうも、疾風の警備員です。

今回は梨子VS希ともう一試合やります。

ただ、後半は大変な事になります。

では、どうぞ。


もぐもぐタイムが終わり、再び模擬戦を始めるヴァーリ達。フィールドに現在立っているのは希と梨子だ。

 

「よろしくお願いします。」

 

「そんな固くならんでもええって。」

 

梨子の腰にはゲーマドライバーが、希の腰には1つ目のお化けの様なバックルのベルト【ゴーストドライバー】が巻かれている。

 

「ウチもたまには、子供達にエエとこ見せんとな。」

 

『それでは両者、変身してください』

 

彼女の手には目玉を模したアイテム【オレ眼魂】が握られていて、横のボタンを押してナンバリングを表示させてバックルに装填した。

 

『アーイ‼』

 

するとバックルから黒にオレンジのラインが入ったパーカー【パーカーゴースト】が出てきて、周囲を飛び回る。

 

『バッチリミナー‼バッチリミナー‼』

 

「変身。」

 

『カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼』

 

それを素体状態の【トランジェント】の上から羽織り、仮面ライダーゴーストになる。

 

「第伍拾戦術。」

 

『BANG BANG SIMULATIONS!!』『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

梨子もスナイプ・レベル50となり、両手の銃を構える。

 

『試合開始です』

 

開始の合図と同時に銃声…いや、砲声が連続で聞こえてくる。そしてスナイプの両手の砲身から煙が棚引いている。

 

(開始と同時の連続砲撃………倒すのは無理だとしても、少しでもダメージが与えられれば…)

 

彼女達の強さをこの連戦で把握していたスナイプは、初めの内からアドバンテージをとろうと考えていたが、ゴーストを覆っていた煙が晴れると同時に余裕は消し飛んだ。何故なら…

 

「さすがにビックリしたけど…まだまだやね。」

 

専用武器【ガンガンセイバー】を二刀流モードにして、無傷で立っているゴーストがいたからだ。

 

「最初から有利な状況を作ろう思うんは分かるけど、も少し狙いは正確な方がエエで?」

 

「全て捌いておいて、それ言います?」

 

「せやな…ほんなら次は、ウチの番や。」

 

そう言って接近するために駆け出すゴースト。スナイプはそうはさせまいと全身の砲門から砲撃を始める。進行方向を読み、それを妨害するように撃っていくが、しかしその悉くが切り捨てられていくのだから意味がない。

 

「くッ‼この…」

 

「隙あり‼」

 

そしてついに攻撃範囲まで近づかれてしまう。右手の剣を振り上げ、一気に振るうがそこで彼女は驚かされる。

 

「ふッ‼」

 

まるでその動きまで読まれていたかの様に左手の銃で受け止められ、がら空きの胴体に反対の銃を押し当てられゼロ距離砲撃を喰らう。

 

「ぐッ!?」

 

「残念ですけど織り込み済みです。もともと勝算は低いんですから、あらゆる状況に対応するように考えてますので。」

 

「ハハッ…こら、一筋縄ではいかんなぁ。」

 

それに大したダメージを受けなかったゴーストはすぐに起き上がると、茶色の眼魂を取り出しナンバリング状態にする。

 

「ほんなら、こっちも銃撃や‼」

 

『カイガン‼ビリー・ザ・キッド‼百発百中‼ズキューン‼バキューン‼』

 

ゴーストはビリー・ザ・キッド魂に変わるとガンガンセイバーをガンモードに変え、左手に時計と蝙蝠を合体させたかのような銃【バットクロック】を持ち、銃撃を始めた。スナイプも負けじと砲撃で相殺していくが、全身の砲門を使ってもゴーストの連射には追い付けない。

 

「う…‼くぅ…!?」

 

「まだまだいくでェッ‼」

 

弾丸同士がぶつかり合う火花が徐々にスナイプ側へと寄っていき、ついに装甲に命中した。弾丸の相殺は繊細な作業でほんのちょっとのズレが致命的になる。攻撃が当たったスナイプは攻撃の僅かな衝撃で狙いが狂い、その後の相殺が出来ずに全てを喰らって吹き飛ばされる。

 

「キャアッ!?」

 

「こっちは連射型やからな、速度なら負けへんよ。」

 

そしてゴーストはガンガンセイバーとバットクロックを合体させてライフルモードにし、ベルトに翳した。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼』

 

「発射‼」

 

『オメガインパクト‼』

 

引き金を引き、放たれる必殺技。スナイプは何とか立ち上がると両手の銃を合わせて盾にし、それを受け止める。

 

「くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…‼‼はあッ‼‼」

 

それを力任せに上に弾くスナイプ。これでひと安心と思っていたが…

 

『カイガン‼ロビン・フッド‼ハロー‼アロー‼森で会おう‼』

 

彼女の前には緑のパーカー【ロビン・フッド魂】に着替えたゴーストがおり、ガンガンセイバーはバットクロックではなく昔の黒電話を模した鳥型のガジェット【コンドルデンワー】が付いたアローモードとなっていた。

 

『ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼』

 

そしてすぐにそれをベルトに翳して、必殺技の発動体勢に入る。

 

「させない‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

スナイプも必殺技の発動体勢になり、同時に攻撃が放たれる。

 

『オメガストライク‼』

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL FIRE!!』

 

2人の必殺技は中央でぶつかり合い、しばらく拮抗するとゴーストの矢が砕かれ、スナイプの攻撃が直撃した。

 

「キャアッ!?」

 

「母さんッ!?」

 

それを見た一誠(D)は驚くが、彼女はすぐに立ち上がる。

 

「アイタタ…出力が力負けしとったか。」

 

「こっちもレベル50の意地がありますから…‼」

 

「これやと闘魂ブーストも微妙やし…皆の力を借りよか‼」

 

ゴーストはベルトを消すと、大型の眼魂型のベルト【アイコンドライバーG】を装着した。

 

『グレイトフル‼』

 

そして横のボタンを押すと、15の英雄のパーカーが続々と飛び出してきた。

 

「な、なにッ!?」

 

『ガッチリミ~ナ~‼コッチニキナー‼ガッチリミ~ナ~‼コッチニキナー‼』

 

「変身‼」

 

『ゼンカイガン‼剣豪‼発見‼巨匠に王様‼侍‼坊主にスナイパー‼大変化~‼』

 

15の英雄のパーカーと合体し、ゴースト・グレイトフル魂になるとベルトのレバーとボタンを交互に操作し始める。

 

『ムサシ‼エジソン‼ロビン・フッド‼ニュートン‼ビリー・ザ・キッド‼ベートーベン‼ベンケイ‼ゴエモン‼リョーマ‼ヒミコ‼ツタンカーメン‼ノブナガ‼フーディーニ‼グリム‼サンゾウ‼』

 

それでパーカーゴースト達を召喚すると、頭上に曼陀羅を描く。

 

『ゼンダイカイガン‼剣豪‼電導‼アロー‼リンゴ‼カウボーイ‼巨匠‼無双‼怪盗‼ダゼヨ‼女王‼大王‼武将‼脱走‼読書‼僧侶‼』

 

更にパーカーゴースト達は1つの光球になり、そこへゴーストが飛び上がる。

 

『ゼンインシュウゴウ‼グレイトフル‼オメガドライブ‼』

 

それを蹴り飛ばしながらスナイプへと突貫するゴースト。必殺技が間に合わないスナイプは再び両手の銃を合わせて盾にして防ぐが、先程以上の威力に蹴り飛ばされ壁にめり込んでしまう。

 

「ガハッ!?」

 

「ありゃ…やり過ぎやったかな?」

 

「…いえ、大丈夫です…‼」

 

壁から抜け出したスナイプはベルトのガシャットを抜き、もう1つのガシャットギアデュアルβⅡを取り出す。

 

「第佰戦術‼」

 

『BANG BANG FORTRESS!! デュアルガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼ドドンバン‼ズンドカン‼(wow!!)バンバンフォートレス‼』

 

フォートレスゲーマを纏い、スナイプ・レベル100になると肩のハッチからミサイルを発射する。

 

「その程度なら…‼」

 

ゴーストはガンガンセイバーでミサイルを撃ち落とすが、爆発と同時に大量の煙が蒔かれる。

 

「煙幕弾ッ!?」

 

それに動揺するゴーストだったが、耳にミサイルの発射音が次々と聞こえた瞬間に警戒するも、煙幕から出たミサイルは自身を覆うように全方位から同時に迫ってきていた。

 

「ちょッ!?マジかッ!?」

 

大量のミサイルに驚きながらも左手に新たな武器【サングラスラッシャー】をガンモードで取り出し、次々と撃ち落としていく。

 

周囲を爆発の花が彩る中、正面から巨大なビームが迫ってくる。

 

「くッ!?」

 

それをジャンプしてギリギリで回避するが、その下から大型ミサイルが8つ飛んできた。

 

「そんなん…‼」

 

それを撃ち落とそうと武器を構えるが、そこでミサイルの表面カバーが外れ、小型ミサイルが更に撃ち出されてくる。

 

「マイクロミサイルッ!?」

 

それに驚いた事で迎撃の反応が遅れ、ミサイルがゴーストに襲い掛かった。

 

「アアアアアアアアアアアアッ!?」

 

悲鳴を上げながら地面に落ちるゴースト。そして煙幕が晴れると、そこにはスナイプが4人いた。

 

「これは…‼」

 

「「「「分身のエナジーアイテムですよ。」」」」

 

その内3体が消え、本体がゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「最初の煙幕で視界を、次のミサイル迎撃でアイテム獲得時の音声を消したんです。後は囲むようにして攻撃するだけ…」

 

「ハハ…中々賢いな…」

 

「私はヴァーリ君の女王ですからね♪」

 

「ほんなら…ここからはウチも全力や‼」

 

ゴーストはアイコンドライバーGを外し、ゴーストドライバーを再び出したら上に∞のマークが付いた眼魂を入れた。

 

『ムゲンシンカ‼アーイ‼バッチリミナ~‼バッチリミナ~‼』

 

バックルから白いロングコート風のパーカーが現れ、流れるメロディもコーラス調に変わる。

 

「変身‼」

 

『チョーカイガン‼ムゲン‼keep on going!!ゴ・ゴ・ゴ‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼』

 

今までの黒い色合いから白を基調とした姿に、所々に∞のマークが入った姿の【ゴースト・ムゲン魂】になると、ガンガンセイバーをナギナタモードにする。

 

「命、燃やすで‼」

 

『イノチ‼ダイカイガン‼ヨロコビストリーム‼』

 

ゴースト固有の能力で揺らめくように飛行し、必殺技を発動させながらスナイプへと迫るゴースト。

 

(あれは見た感じさっき以上の重量…せやったら、そんな早くは動けん筈‼)

 

そう判断し、ナギナタを振るうが…

 

「甘いです。」

 

スナイプは足のホバーを起動させて高速で後退する事で、その攻撃をかわした。

 

「へ?」

 

「見た目で判断したんだと思いますけど、それでは油断に繋がりますよ。」

 

そして肩と腰のキャノン砲を前面に展開して両手の銃と合わせて6本のビームがゴーストへと放たれる。

 

「わっととッ!?」

 

何とかそれをかわすゴーストだが、キャノン砲から次々に放たれるビームに回避するのが精一杯となった。

 

更にスナイプの装甲からミサイルも放たれ、逃げ場を次々に潰されていく。

 

「こうなったら…‼」

 

『イノチ‼ダイカイガン‼シンネンインパクト‼』

 

ガンガンセイバーライフルモードから緑色のビームを放つゴースト、しかしスナイプは慌てず、6本のビームを集束させてそれを相殺した。

 

「今度はこちらの番です。」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼』

 

レバーを閉じ、キャノン砲と全ミサイルをゴーストへとロックオンする。

 

『ガッチャーン‼ BANG BANG!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そしてミサイルとビームが次々に撃ち出される。その量は最早殲滅攻撃と言っても過言ではない。

 

「負けへんでぇッ‼‼」

 

『イノチ‼ダイカイガン‼イサマシュート‼』

 

ゴーストも負けじとミサイルを撃ち落とし、ビームを回避していく。そして最後のミサイルを撃ち落としてからスナイプの方を向くが…

 

「あれ…どこに行ったんや?」

 

既に先程の場所にスナイプの姿はなかった。

 

「まさか、また消えて…「正解です。」ッ‼」

 

そこに背後から聞こえる声と、腰に当たる固い金属の感触…ゴーストがゆっくりと背後を見ると、そこに銃を突きつけるスナイプがいた。

 

「これで私の勝ち…ですよね?」

 

「せやな…ウチの負けや。」

 

『ゴーストの棄権を承諾。勝者、スナイプ。』

 

「やった♪」

 

地面に降り、変身を解除する2人。梨子はガッツポーズを、希は彼女へと拍手を送る。

 

「いや~、してやられたわ。中々練った戦術やな?」

 

「今できる最高を…そうしなければ大事なものを亡くしてしまいますから…」

 

「そか…」

 

そう言う彼女の目に何かを感じたのか、希は深く聞くことはしなかった。

 

彼女達が観客席に戻ると、次に出てきたのは真姫となんとヴァーリだった。

 

「あら、もう王が出てくるの?」

 

「なに、次の戦いは千歌に任せた方がいいと思ったのでね。」

 

そしてゲーマドライバーを装着し、ガシャットギアデュアルβⅡを手にする。

 

「悪いが前座は無しにして…最初から全力といかないか?」

 

「構わないわ…キバット‼タツロット‼」

 

『ヨッシャア‼キバッていくぜ‼』

 

『テンションフォルテッシモでいっきましょ~♪』

 

真姫の側にデフォルメされたコウモリと金色のドラゴンがやって来る。

 

『それでは両者、変身してください。』

 

「術式レベル100。」『TADDLE LEGACY!!』

 

『ガブッ‼』

 

『デュアルガシャット‼』

 

「「変身‼」」

 

『ガッチャーン‼デュアルアップ‼辿る歴史‼目覚める騎士‼タドルレガシー‼』

 

ヴァーリはプレイブ・レベル100となり、真姫は金と赤のどこかコウモリを彷彿とさせる鎧【仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム】となった。

 

『ガシャコンソード‼』

 

『ザンバット‼』

 

互いに剣を持つと両手で強く握り締める。

 

『試合開始です。』

 

電子アナウンスと同時に二人は駆け出し、中央でぶつかり合う。そのまま高速の剣撃が始まった。

 

キバの上段斬りを左腕の盾で受け止め、ブレイブが右斜め下からソードを振るうが、キバは1歩下がる事でスレスレで回避した。そこからブレイブの胸を蹴って一気に距離を取り、ザンバットバットをスライドさせる事で刀身を研ぎ澄まし、赤い斬撃を飛ばすもブレイブもBボタンを2度叩き、強化された炎の斬撃で切り捨てつつ炎をキバへと飛ばす。それをマントを振るう事でかき消し再びブレイブへと迫る。

 

『コ・チーン‼』

 

ブレイブも刀身を氷剣に切り替え、逆手に持って走り出し斬り合う。

 

「やるじゃないの。」

 

「自分で作った力ぐらい、把握してないとな…‼」

 

つばぜり合いの最中、Bボタンを5連打したブレイブはキバの剣を振り払い、ソードを地面に突き刺し冷気をキバへと伸ばしていく。

 

「ハッ‼」

 

だがキバはザンバットバットをスライドさせ、斬撃を放つ事で冷気を吹き飛ばした。

 

「チィッ‼」

 

自身へと飛んでくる斬撃を正面に光剣を多数作ることで防御し、更に光剣を増やすとそれらはキバへと飛ばす。

 

「この…‼」

 

それらを全て捌き視線をブレイブへと戻すと、そこには誰もいなかった。

 

「どこに…………ッ‼」

 

視線を周囲に巡らせていたら、背後からヒリついた感覚を感じ振り返りながら剣を振るうと、いつの間にか背後にいたブレイブとつばぜり合いになった。

 

「この転移に反応するとは…‼」

 

「嘗めるんじゃないわよ‼キバット‼」

 

『おうッ‼ガルルセイバー‼』

 

キバットの声に合わせてキバの左手に握られたのは、青い狼の彫像が付いた剣【ガルルセイバー】だ。二刀流となったキバはその連撃でブレイブを追い詰めていく。

 

「く…‼」

 

「もらった‼」

 

「ぐわッ!?」

 

そしてついにキバの攻撃がブレイブに直撃する。鎧から火花を散らして体勢を崩すブレイブにキバは更なる追撃を行っていく。崩した姿勢から立ち直ろうとするブレイブだったが、キバの猛攻に防御しか出来ず徐々にダメージを蓄積していった。

 

「ハア…‼ハア…‼」

 

「まずは1発目ね。」

 

膝を着いているブレイブを見下ろしつつ左腕のタツロットの角を引くと背中のルーレットが回りだし、赤いコウモリの紋章が揃う。

 

『Wake up FEVER‼』

 

そして飛び上がると両足に赤いコウモリの羽を付けた必殺技【エンペラームーンブレイク】が襲い掛かる。

 

「やられるかッ‼」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ブレイブも負けじと必殺技を発動させて、背中に羽を生やしつつ飛び上がり、同じく蹴りの体勢でキバと激突する。

 

「「ハアアアアアアアアアアアアッ‼‼」」

 

暫しの拮抗の後、大きな爆発と同時に2人が落ちてくる。キバは姿勢を立て直して着地するが、ブレイブは背中から地面に落ちた。

 

「カハ…‼」

 

「これで私の勝ちね。」

 

起き上がれないブレイブを見てフィールドを去ろうとするキバ。だが…

 

「ククク………ハハハハハハハハハハハハッ‼‼」

 

背後から聞こえるブレイブの笑い声に不安を覚え、立ち止まって振り返った。

 

「何がおかしいのかしら?」

 

「いや、自分の幸運に笑いが出ただけさ…‼」

 

自身の能力でライダーゲージを回復させながら立ち上がるブレイブ。そしてホルダーから1つのガシャットを取り出した。それは以前、別の世界に行った時に手に入れた死神博士作のガシャット【暴走サーキット】だった。

 

「これのテストをするのに相応しい相手がいることになッ‼‼」

 

「ッ!?ダメッ‼ヴァーリ君‼」

 

『SAFETY CRASH!!』

 

梨子の声を無視して起動ボタンを押し、それをキメワザスロットホルダーに装填する。

 

『ガシャット‼』

 

そしてホルダーのボタンを押す事で、そのガシャットを発動させた。

 

『暴走‼感情‼抹消‼兵装‼暴走サーキット‼』

 

正面に出たゲートを潜り終えると、目以外が真っ黒に染まった【ブレイブ・サーキットレガシーゲーマー】がそこにいた。

 

「それ、使って大丈夫なの?ヤバい気配しかしないけど…」

 

「それをこれから検証するのさッ‼」

 

『ガシャコンカリバー‼』

 

ブレイブはもう一振りの剣を呼び出すと、キバと同じ二刀流で攻撃を始める。

 

「デヤアアアアアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「く…‼攻撃力が跳ね上がってる‼」

 

先程と違い、一撃の重さが上がったブレイブの攻撃にキバは防御に重きを置き始める。しかし、攻撃される度にブレイブの一撃の威力が上がっていくので、攻撃に転じれない。

 

「もう…‼少しは落ち着きなさいよ…‼」

 

「まだまだだッ‼」『ド・ドーン‼』

 

カリバーの刀身を土属性に変え、二刀を地面に突き刺すと地割れが起き、そこから逆さ氷柱の如く氷柱が飛び出してくる。

 

「無茶苦茶過ぎでしょッ!?」

 

横に跳んでかわしつつ叫ぶキバ。だがブレイブの猛攻はまだ終わらない。転移で彼女の前に瞬時に現れ、双剣を振るっていく。

 

「この…‼」

 

その攻撃に必死に喰らい付くキバだが、やはりブレイブの攻撃力と荒々しい連撃の速度に押し負け、攻勢に出れなかった。

 

「う…‼ぐぅッ‼」

 

しかし、何故だか有利なブレイブの方が苦しんでいるように見えた。

 

「あんた………それまさか…‼」

 

「………………頼みがある…‼‼」

 

途中、数瞬だけつばぜり合いを行った時、ブレイブはある事をキバに話した。それはキバからしても突拍子もないものだった。

 

「はぁ?何それ意味わかんないだけど…‼」

 

「………あんたにしか………………頼めないんだ…‼‼」

 

「全く………………後で仲間にキチンと怒られなさい。」

 

「助かる…」

 

2人はそこで一旦離れて構え直すが、ブレイブが急に頭を押さえだした。

 

「なんだ?一体どうしたんだ…」

 

一誠(D)は疑問が浮かぶが、梨子や千歌、善子は心配そうにそれを見る。

 

「後、2秒…」

 

梨子の呟きから2秒経つと、ブレイブが武器を落として両手をダラリと下げて俯く。

 

「お母さん………何か怖い…」

 

美月は何かを感じ震え出す。

 

「あのガシャット………一体何なん?」

 

「前に私達が行った世界で手に入れた物です。スーパーショッカーとかいう組織の研究者の死神博士が作った【使用者を暴走させる】ガシャットで…」

 

そう説明する梨子を他所に、俯いていたブレイブが顔を上げるが、その両目は()()()()()()()()。そこに彼の意識は既に無い。

 

「面倒ね…」

 

呟くキバにブレイブはスロットのボタンを押す。

 

『All SAFETY CRASH!!』

 

『ガッチョーン、ガッチャーン‼』

 

そしてベルトのレバーを閉じて開くと、ブレイブの全身を黒いオーラが包む。

 

『OVER LOAD‼』

 

すると何の予備動作もなく、キバの前に転移したブレイブは同じくいつの間にか拾っていた剣で攻撃する。

 

「うあッ!?」

 

『スゲェーイ‼』

 

暴走を始めたブレイブはキバを()()ため、更に剣を振るうのだった。




いかがでしたか?

次回はこの続きからになります。

次回【Firstコラボsix】

「それ以上はダメぇッ‼‼ヴァーリ君ッ‼‼」

では次回で、お会いしましょう。


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Firstコラボsix

どうも、疾風の警備員です。

今回は、ヴァーリの暴走からです。

暴走したヴァーリをほっとくのは勝手だ。でもその場合、誰がアイツを止めると思う?

答えは本編で、ではどうぞ。


ガシャットの効果で自我を失い、暴走するブレイブ。その攻撃は先程の荒々しさは無く、的確に…躊躇い無く人体の急所を狙っている。まるで確実に相手を(こわ)すためのマシンの様に………

 

「ちょッ!?あれ、止めないとマズイでしょ‼」

 

「うんッ‼いそ「来なくていいわ。」え…?」

 

キバの救援とブレイブを正気に戻すためにフィールドに飛び込もうとした眷属達だったが、それは対戦中のキバによって止められた。

 

「どうしてッ!?」

 

「頼まれただけ…よッ‼」

 

そう告げて、キバはブレイブに斬りかかる。しかし、それは転移で避けられる。

 

「そこよッ‼」

 

だが転移場所を読んだキバは、その場所にガルルセイバーから遠吠えに似た音波【ハウリングショック】を放つ。それと同時にブレイブが放たれた先に現れる。普通ならかわす事も防ぐ事もできない完璧なタイミングだったのだが…

 

「………………………」

 

ブレイブは無言のまま、全身から波動を放ち音波を相殺してしまった。

 

「………………本当…意味わかんない…」

 

その光景に呆然とするキバ。絶対の自信があった攻撃が防がれたのだから仕方ないが…

 

そんな隙を逃さずブレイブは剣を振るってくる。応戦するキバだが、今は完全に相手が有利な状況だ。

 

「この…‼」

 

再び2人の剣がぶつかり合い火花を散らす。両者とも譲らず剣閃の帯を残しながら斬り合っていく。

 

『おい真姫‼‼このままだとヤバいぞッ!?』

 

「問題ないわ。」

 

『どこが…(ガシッ‼)ええッ!?』

 

不利を感じて注意を促すキバットだったが、その後にキバのした行動に更に驚かされる事となった。

 

「だって、負ける気は無いもの。」

 

「………………」

 

キバがやったのは、下段からの攻撃を1歩前に出てその腕を脇で受け止める事だった。

 

『マジかッ!?』

 

『マジでッ!?』

 

「本当よ。」

 

『『そこはマジだ(だろ/でしょ)ッ!?』』

 

「知らないわよ…」

 

キバットとタツロットのツッコミに呆れながら、このチャンスを逃さない様に攻撃をしようとしたが…

 

「………」

 

「キャッ‼」

 

先程と同じ様に全身波動を放ち、ゼロ距離な上ブレイブの腕を抑えていたのでまともに喰らい、キバは吹き飛んだ。

 

『おい真姫ッ‼しっかりしろ‼』

 

「ちゃんと意識はあるわ…‼」

 

すぐに起き上がるキバだったが、余裕はなかった。

 

(面倒な約束したものね…)

 

――――俺が暴走したら、しばらく戦ってデータ収集に付き合ってくれ。

 

暴走する直前、ブレイブからの頼みを受けた自分を悔やむ。まさかここまで厄介な事になるとは思わなかったのだ。

 

「仕方ないわね…必殺技で終わらせるわよ。」

 

そうと決めたらザンバットバットの顔にあるフエッスルを外し、キバットにそれを吹かせる。

 

『ウェイクアップ‼』

 

そしてザンバットバットをスライドさせながら刀身に深紅の魔皇力を込め、続けてタツロットの角を引いて背中のルーレットを青い狼の剣の絵を揃える。

 

『Galulu FEVER!!』

 

左腕から外れたタツロットは、ガルルセイバーの柄尻に自ら接続する。

 

『カシャ‼』

 

口から炎を勢いよく吹き出すタツロット。それを地面に向け、炎の勢いのままに飛び上がるとそこから剣を振り上げ、落下と共に剣を振り下ろす。

 

『キメワザ‼BOUSOU!! CRITICAL CRASHER!!』

 

それに合わせてブレイブはスロットのボタンを2度押し、双剣に黒いオーラを纏わせていきキバの攻撃が当たる直前、姿を消す。

 

「なッ!?」

 

『上だッ‼』

 

キバットの言葉に顔を上げると、すぐ上に剣を全力で振り下ろしているブレイブがおり、キバは回避や防御をする間もなく直撃を喰らって地面に落ち、変身が解けた。

 

「イタタ…」

 

『キバ、戦闘続行不能。よって勝者・ブレイブ』

 

アナウンスがブレイブの勝利を宣言するが、暴走した時点でこれは明らかにヴァーリの負けである。更にブレイブは振り返ると倒れている真姫の首を掴んで持ち上げた。

 

「ヴァーリ君ッ‼ダメッ‼」

 

彼の行動に叫ぶ梨子。しかしブレイブはゆっくりと剣を振り上げていく。

 

「アカンッ‼はよ止めな‼」

 

「凛ちゃん‼行くよッ‼」

 

「うんッ‼」

 

「俺も行きます‼」

 

穂乃果と凛と一誠(D)がフィールドに向かおうと動き出すが、既にブレイブの剣は振り下ろされ始めている。このままでは間に合わず真姫の体は真っ二つに切り裂かれるだろう。

 

「「真姫ちゃんッ‼‼」」

 

それでも彼女を助けようと走り出す穂乃果と凛に一誠(D)。

 

「それ以上はダメぇッ‼‼ヴァーリ君ッ‼‼」

 

涙を流しながら叫ぶ梨子の声も、今のブレイブには届かず剣が真姫を断ち切る…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ‼‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく…こういうのは本来、役割逆だろうが………ルシファー。」

 

事はなく、ドラゴネス・レベル99になった一誠が剣を掴んで受け止めていた。

 

「…………兵藤君…‼」

 

「え?………もしかして、あのライダーってこの世界の俺!?」

 

「………………………………」

 

ブレイブは真姫を離すと標的をドラゴネスに変え、剣を振るってくる。

 

「温ィんだよッ‼‼」

 

右側の剣を左腕で受け止めながら抱え込む様にして押さえ込み、顔面に拳を1発入れて反対の腕も同じ様に受け止め、身動きの取れないブレイブは全身波動を放とうとするが、その前にドラゴネスは頭突きを叩き込んで発動を阻止する。

 

「お前の考えてる事は分かる………けど、それでテメェの大事な奴ら泣かしてたら意味ねぇだろうがッ‼‼」

 

『ガシャコンガントレット‼』

 

籠手を装着し、腕を離しながらドロップキックを喰らわせてブレイブを吹き飛ばす。

 

それを追い掛ける様にドラゴネスも走り出すが、転移を使い背後に回られ横凪ぎにカリバーがドラゴネスへと迫る…

 

「知ってんだよ‼」『ガ・キーン‼』

 

のだが、ドラゴネスは左手のAボタンを叩きながら一気に振り返り、シールドモードにした左腕のガントレットでそれを受け止めた。

 

「んな本能任せの攻撃なんざ………俺に効くか‼」

 

そし右手でカリバーを叩き落とすが、それで左手が空いたブレイブの拳がドラゴネスを捉える。

 

「グ…‼どうした…‼いつものお前の方がまだ強えぞ‼」

 

それに少し怯むも、右足でガシャコンソードを蹴り飛ばす。そこから二人の殴り合いとなる。ドラゴネスの拳がブレイブの顔を捉えれば、ブレイブは膝蹴りをドラゴネスの鳩尾へとめり込ませる。それで前のめりになったところで頭を抑えて更に顔面に膝蹴りを何度も打ち込んでいく。

 

「嘗めんなッ‼‼」

 

押さえ込みを無理矢理外し、アッパーをブレイブの顎へと決め、体が浮いた所を追撃で2度殴り地面に落ちたと同時に右足で蹴り飛ばす。

 

「凄い…真姫ちゃんを倒した相手に押している…」

 

「いつまで寝惚けてやがんだッ‼‼」

 

ドラゴネスのストレートがブレイブを下げさせ、その隙にバックルのレバーを閉じる。

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼』

 

「いい加減に目ぇ覚ませや、ゴラァッ‼‼」

 

『ガッチャーン‼ SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

『キメワザ‼ BOUSOU!! CRITICAL CRASHER!!』

 

互いの拳にエネルギーを纏わせ、2人同時に走り出し中央で激突するが、ドラゴネスの方が力が強かったのかブレイブの拳を弾き、胸の中心にめり込んだ。爆発が起き煙が視界を覆うが、変身を解いた一誠が同じく変身が解け気絶したヴァーリに肩を貸しながら出てきた。

 

「ッ!?ヴァーリ君‼」

 

それを見た梨子は2人のもとへ駆けつけ、一誠からヴァーリを受け取った。

 

「ありがとう、兵藤君…‼本当に、ありがとう‼」

 

「………………………気にすんな。」

 

お礼を言う梨子に軽く手を振って歩いていく一誠だったが、途中で立ち止まり…

 

「それと、怒んなら程々にしといてやれ。そいつはお前達に危険なガシャットを危ないまま、テストさせたくなかったんだろうからな。」

 

そう付け足したら今度こそ、彼は去り観客席へと戻ろうとしていたが………

 

「イッセー君。」

 

「ん?………曜か…ほら、戻るぞ。」

 

客席の近くで曜と会い、彼女と共に席に戻ろうとしたが…

 

「ちょっと待って。」(パシッ)

 

「ッ‼‼………なんだよ、人の手を掴んで…」

 

隣を通り過ぎようとした一誠の手をいきなり掴んだ曜。それにいつもよりほんの少しだけ過剰に反応したのを、彼女は見逃さなかった。

 

「やっぱり…」

 

その手を自身の顔の前に盛ってくると、横切るように太めの赤い一筋の傷と、血が少し滴っていた。

 

「さっき剣を受け止めた時に出来たやつでしょ?」

 

「別に………こんなん、唾付けときゃ治る。」

 

「そんな訳無いでしょ‼いいから此方来て‼」

 

そのまま彼女に腕を引かれ、一誠は彼女から治療を施される事となった。

 

「………ねぇ、何時からフィールドに向かってたの?」

 

「ん?………アイツが暴走を始めそうになった時からだ。」

 

「やっぱり、ルシファー君を助けるため?」

 

「ルシファーにはでけぇ借りがあるからな……それを少し返しただけだ。」

 

「そっか…」

 

曜に包帯を巻かれながらそう一誠は答える。一方ヴァーリは気絶したままなので、お説教は起きてからという事となり、現在は梨子の膝枕で寝ていて、千歌はそれを羨ましそうに見ている。

 

「む~…梨子ちゃん、ズルいなぁ…」

 

『仕方ないでしょ、次はワタシ達の番なんだから。』

 

「そうだけど~‼」

 

『な~んだ、やっぱりヴァーリが好きなんじゃない?』

 

「だから解んないってば~‼」

 

「………………何、独り言を言ってるの?」

 

「『あ』」

 

因みに彼女がいるのはフィールドで相手の穂乃果もいる。そんな中で独り言(実際は彼女の中にいる美歌と会話)をしていたら、怪しく思われない訳がない。

 

「ア、アハハ………すみません…」

 

「心配なのは解るけど、真姫ちゃんはお医者さんだから何かあっても大丈夫だよ。」

 

「はい。」

 

「それじゃ、始めようか‼」

 

『それでは両者、変身してください』

 

穂乃果は両手を腰の前に持ってくると、そこに赤い霊石【アマダム】が埋め込まれたベルト【アークル】が装着される。対する千歌もゲーマドライバーを付けて、ガシャットを起動させる。

 

『『マイティシスターズ‼ミラクルエーックス‼』』

 

「「変身‼」」

 

『『ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼マイティシスターズ‼二人の願い‼マイティシスターズ‼二人のミラクール‼エーックス‼』』

 

千歌がエグゼイド・レベルテンになると同時に穂乃果も人体を模したような赤い鎧に額には金色の角、赤い瞳の戦士【仮面ライダークウガ】となった。

 

「それって………エグゼイド?」

 

「はい、そうですけど?」

 

「ゴメン、私が知ってるのとずいぶん違う姿だったから…」

 

「ああ…まあ、これは私が書き換えた事で生まれたやつですから。」

 

「ええッ!?千歌ちゃんってそんなに頭良いのッ!?」

 

「少なくともバカじゃないですぅッ‼‼」

 

『なら、今度のテストは一人で頑張りなさい。』

 

「ごめんなさい、やっぱりバカです。」

 

「覆すの早ッ!?」

 

そんなコントをしつつも、互いの間合いを図りながらゆっくりと動く2人…そして、時は来た。

 

『試合開始です』

 

「皆の笑顔は、私が守る‼」

 

「ノーコンティニューで‼」『クリアしてあげる。』

 

合図と同時に走り出し、空中で飛び蹴り同士がぶつかり合った。




いかがでしたか?

ある意味やりたかった対決が、やっと出来る‼次は更に気合い入れて書くぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ‼‼
(更新が早くなるとは言ってない)

次回【Firstコラボ seven】

「ハイパー大…‼」

「超…‼」

「「変身ッ‼」」


では次回で、お会いしましょう。


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Firstコラボ seven

どうも、疾風の警備員です。

だいぶ遅くなりました……スンマセン!!

中々筆が乗らなかったのと、仕事が忙しかったので(勤務終了一時間前に残業しろと命じられる)……言い訳ですけどね…

とりあえず完成した本編、皆様が納得出来るか微妙ですが良ければどうぞ。


「皆の笑顔は、私が守る‼」

 

「ノーコンティニューで‼」『クリアしてあげる。』

 

始まったエグゼイドとクウガの試合。だが、片方がゆるキャラみたいな見た目なので違和感はあるが…

 

「いっくよ~‼」

 

エグゼイドはそのゆるキャラ的な体でアクロバティックに動き回り、クウガを翻弄しつつ攻撃を行うが、クウガもそれを上手く回避している。

 

「この…‼」

 

「くう…‼」

 

攻撃をかわしたクウガはエグゼイドに隙を見つけ、拳を振るおうとするが途中でそれを止めてしまった。

 

その後、何回か同じ様に攻撃を途中で止める事が多く、皆が疑問に思い始め…

 

「ちょっと穂乃果ッ‼‼あんた何やってんのよ‼」

 

しびれを切らしたにこが声を荒げるが、クウガから返ってきた答えはくだらないものだった。

 

「だって………可愛すぎて殴れないよッ‼‼」

 

「「「「「「「「だぁ~‼」」」」」」」」」

 

その答えに観客席の全員がずっこけた。

 

『あら、だったらこのまま戦いましょうか。』

 

「でも、それじゃ特訓にならないから…レベルアップするよ‼」

 

『『ガッチョーン、ガッチャーン‼ダブルアーップ‼私が貴女で‼アナタがワタシで‼(We're‼)マイティマイティシスターズ‼(Hey‼)ミラクルエーックス‼』』

 

レバーを1度閉じ、再度開く事でレベルXとなったエグゼイドだったが、それは更なる混乱を招く事になった。

 

「ええ~ッ!?2人に分裂したァッ!?」

 

「あ…美歌の事話忘れてた…」

 

「ワタシはそれも作戦の内だと思ってたんだけど?」

 

「アハハ…」

 

「でもその姿なら今度はやれる!!」

 

ファイティングポーズを取るクウガに、エグゼイドL・Rは武器アイコンを展開し、それぞれ武器を選択する。

 

『ガシャコンガントレット!!』

 

『ガシャコンキースラッシャー!!』

 

Rがキースラッシャーを、Lがガントレットを装備するとLがクウガへと駆け出した。

 

「超協力姉妹プレーでッ!!」

 

「ノーミスクリアしてあげるわッ!!」

 

『ズキュ・キュ・キューン!!』

 

走るLを援護するため、Rがキースラッシャーから射撃を行っていくがクウガはまるで見切っていると謂わんばかりに楽々と回避しながらLを迎え撃つ。

 

「セリャアッ!!」

 

「フッ!!」

 

突き出された右拳に左手を添えるようにして背後へと受け流し、クウガはRへと向かい出す。

 

「うわっとっと…!!えッ!?私スルーッ!?」

 

受け流された勢いでつんのめってしまったLが立て直す前にクウガはRと交戦に入った。

 

「何が狙いか知らないけど…!!」

 

『ジャジャ・ジャ・キーン!!』

 

キースラッシャーをブレードモードに切り替え、クウガへと振るうがそれは身を屈める事で避けられ、すぐに刃を反転させて再度振るうが、それをクウガは腕を掴み取るかたちで受け止めた。

 

「んなッ!?」

 

「これ、借りるね♪」

 

クウガは右手を強くキースラッシャーを持つ手に叩きつけ、Rはそれで武器を手離してしまいクウガがそれを素早く奪い取った。

 

「コラッ!!返しなさい!!」

 

キースラッシャーを取り返すために手を伸ばすが、クウガは即座に離れるとベルトのアマダムを紫に輝かせる。

 

「超変身!!」

 

するとクウガの赤い鎧が紫のラインが走る銀色の鎧になり、瞳を紫に変えた【タイタンフォーム】になった。更にキースラッシャーが形を変え、紫色の刀身の【タイタンソード】となる。

 

「フォームチェンジッ!?」

 

「キースラッシャーが変わっちゃった!?」

 

その変化に驚くエグゼイド姉妹。そんな中をクウガはゆっくりと歩き出す。

 

「無防備を晒して…!!」『ガシャコンマグナム!!』

 

Rはマグナムを掴み取り、クウガへと攻撃していく。しかし、鎧から火花は散るもクウガの歩みは変わらない。防御重視のタイタンフォームにその程度の射撃では効果は見込めない。

 

「私を忘れないでッ!!」

 

その背後からLがクウガに殴りかかった。

 

ーーーガキィン!!

 

「…………………………いったぁいッ!?」

 

だが、その強度にガントレットをしていても拳にダメージを受けてしまった。

 

「……フンッ!!」

 

「キャアッ!?」

 

クウガはその隙に振り返りながらLをタイタンソードで切り裂く。大量の火花を散らしながらLは地を転がった。

 

「千歌ッ!?こんのぉッ!!」『ガシャコンスパロー!!』

 

それに怒ったRはスパローも持って、両手で射撃を放つもクウガの装甲は抜けず、どんどんと距離が縮んでいく……

 

「どんだけ頑丈なのよ…!!」

 

悪態を付きつつ撃ちまくるRだったが、とうとうクウガに間合いまで入られてしまった。

 

「ハアアァァァァァァァァァァッ!!」

 

「ガハッ!!」

 

そして腹にタイタンソードを突き刺す【カラミティタイタン】を喰らってしまう。

 

「ちッ…!!」

 

しかし致命傷になる寸前に体を粒子化させて、ギリギリのところで脱出した。

 

「今のは……GNドライブッ!?」

 

「ワタシはガンダムじゃないわよ…」

 

「美歌ッ!!」

 

クウガを飛び越えてRと合流したLは彼女の傍にしゃがむ。

 

「大丈夫?」

 

「ちょっと無理ね……しばらく休んで回復のアイテム探してるわ。」

 

「後は任せて。」

 

Rにそう言って立ち上がったLは深呼吸をした後、クウガを見るがその視線からは何ともいえない迫力が出ていた。

 

「雰囲気が…」

 

「ここからは……殺す気(ほんき)で行きます…!!」

 

『ガシャコンソード!!』

 

右手にガシャコンソードを、左手にはRが持っていたマグナムを持ちクウガへと突貫するL。クウガはそれを待ち構えてカウンターを決めるつもりだった。

 

「ハッ!!」

 

そして間合いに入った瞬間、剣を振り下ろすがそれはLがあり得ないくらいに身体を捻る事で回避された。

 

「嘘ッ!?」

 

そして身体を戻しながらソードを首目掛けて振るうが、寸前でタイタンソードで払いのける。しかし、Lはその弾かれた勢いすらも利用してその場で高速回転して、今度は反対側から首を狙う。

 

「ッ!?超変身!!」

 

今の姿ではその一撃が逃れられないと思ったクウガはアマダムを青に輝かせ【ドラゴンフォーム】にチェンジすることで上がった身軽さで身体を反らし、何とか回避した。

 

「あっぶな~…今のは本気で…」

 

距離を取って一息つこうとしたクウガだったが、Lは逃がすつもりはないかの様にマグナムから弾丸を放っていく。

 

「うわととととととッ!?」

 

その場でローリングしてギリギリでかわし、今度はアマダムを緑に輝かせた。

 

「超変身!!」

 

今度は射撃特化の【ペガサスフォーム】に変わると、キースラッシャーを専用武器の【ペガサスボウガン】に変形させ、後ろのスロットルを引き絞る。

 

(これで…終わり!!)

 

『ズ・キューン!!』

 

強化された感覚で狙いを定めて確信と共に引き金を引き、放たれた必殺技【ブラストペガサス】だったが、LはそれをガシャコンマグナムのBボタンを叩き、ライフルモードにして撃ち落とした。

 

「うそーん…」

 

「いくら弾が速くても、姿が見えていれば落とせる!!」

 

「くッ!?超変身!!」

 

ペガサスフォームは感覚を強化する代わりに消耗が激しく、50秒しか持たずそれを過ぎると一番弱いフォームに強制的になり、しばらく変身できなくなる欠点がある。なのですぐにマイティフォームに戻ったクウガが構えると、Lも武器を投げ捨てベルトのレバーを閉じた。

 

『ガッチョーン、キメワザ!!』

 

「ちょっと千歌、必殺技ならワタシも混ぜなさいよ。」

 

『ガッチョーン、キメワザ!!』

 

Lの隣にある程度回復したRが来ると、同じ様にベルトのレバーを閉じる。

 

「じゃあ、一緒に行こう!!」

 

「これは…あれでいくしかないかな?」

 

そう言うとクウガの身体を電撃が走り、ベルトには金色のパーツにアマダムが金色に輝き鎧に金のラインがプラスされ、右足には新たに【マイティアンクレット】と呼ばれるパーツが付いた【ライジングマイティフォーム】に変身した。

 

そして腰を低めに構えて、右足に封印エネルギーを集束させていく。

 

『『ガッチャーン!! MIGHTY MIRACLE!! CRITICAL STRIKE!!』』

 

そしてレバーを開いてエグゼイド姉妹がダブルキックを放つと同時にクウガも右足に炎と雷を纏いながら走りだし、飛び上がりながら一回転しつつ放つ【ライジングマイティキック】を放ち三人が空中でぶつかり合い、爆発と共に三人が落ちた。

 

「くッ!?結構やるわね!!」

 

「美歌戻って!!後は私の中に!!」

 

「ええ、そうさせてもらうわ…」

 

Lは変身を解除すると美歌を自身の中に戻し、マキシマムマイティエックスガシャットを取り出す。

 

「マックス大変身!!」

 

『マキシマムマイティエーックス!!マキシマムガシャット!!ガッチャーン!!レベルマァァァックス!!最大級の(ガコン!!)マキシマァームパワー!!エーックス!!』

 

レベル99になり、マキシマムゲーマから飛び出して構えるエグゼイド。対するクウガは身体に更に電撃を流し、赤かった部分を黒に染め、マイティアンクレットを両足に付けた【アメイジングマイティフォーム】へと変わった。

 

「こっちも本気でいくからね?」

 

「こっちは既にクライマックスですよ!!」

 

二人は駆け出し中央で拳をぶつけ合う。それをすぐに離すと、エグゼイドが再度拳を振るいクウガは身体を少し屈めてかわし腹部に蹴りを入れようとするがそれに反応したエグゼイドは右に少し跳んでそれを避け踵落としを放つも、クウガは転がって避ける。起き上がると目の前にエグゼイドの足が迫っていて咄嗟にそれを掴むと反対方向へと投げる。空中で身を翻して着地するエグゼイドと同時にクウガも立ち上がって構える。

 

「やるね?」

 

「まだまだですよ!!」

 

今度は同時に飛び蹴りで空中を交差し、至近距離で背中合わせに着地すると即座に振り替えって互いの裏拳が顔に決まる。

 

「「グ…!!」」

 

それでも後ろに一歩下がった程度で、続けて回し蹴りがぶつかり合う。それも互いに相殺され、バク転で互いに距離を取るとエグゼイドはマキシマムゲーマを纏ってベルトのレバーを閉じ、クウガは両足に封印エネルギーを集束させていく。

 

『ガッチョーン、キメワザ!!』

 

「ハアアァァァァァァァァァァ…!!」

 

『ガッチャーン!! MAXIMUM!! CRITICAL BREAK!!』

 

そしてレバーを開いたエグゼイドと集束が終わったクウガは助走をつけてから飛び上がり【アメイジングマイティキック】を放つ。

 

「テヤアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!」

 

「オリャアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!」

 

それがぶつかり合うと大爆発を起こし、二人は爆煙の中から抜けて地面に着地する。

 

「これでもダメか…」

 

「なら、これしかない!!!!」『ハイパームテキ!!』

 

エグゼイドは決着をつけるべく、ハイパームテキガシャットを起動させた。

 

『ドッキィーング!!』

 

それをマキシマムマイティエックスガシャットの隣に取り付ける。

 

「あんまり使いたくなかったけど…やるしかない!!」

 

それに合わせてクウガも再び変身の構えを取り、アマダムを黒く輝かせる。

 

「ハイパー大…!!」

 

「超…!!」

 

「「変身ッ!!」」

 

『パッカーン!!ムーテーキー!!輝け!!流星の如く!!黄金の最強GAMER!!ハイパームテキ!!エグゼェーイド!!』

 

エグゼイドはムテキゲーマーに、クウガは黒に金のラインが入り刺々しく禍々しい鎧の姿の【アルティメットフォーム】になった。

 

「「ノーコンティニューで…クリアしてあげる!!」」

 

クウガへと走り出すエグゼイド…だがクウガは慌てた様子はなく、ゆっくりと右手をエグゼイドへと向けた。

 

「千歌ッ!?回避!!」

 

「ッ!!!!」

 

それに何かを感じた美歌の声と同時にエグゼイドはすぐに横に飛び、そのすぐ後で自身がいた場所で炎が爆発する。

 

「ッ!?避けられた!?」

 

「何…今の…」

 

その気持ちは、その瞬間を見ていたこの世界の梨子達も同じだった。

 

「空間が爆発?でも、魔法じゃない!!」

 

「なら、何なのッ!?」

 

超自然発火現象(パイロキネシス)よ。」

 

驚く彼女達に説明する絵里。あれは武器を変形させる力【モーフィンパワー】を極限まで高めた事で可能になるもので、周囲の空間にある分子や原子を操り、プラズマ化させる事で発火・炎上させているのだ。

 

「つまり、少しの油断が即敗北に繋がるのよ。」

 

確かに、普通の状態ならエグゼイドを簡単に倒せるだろう。だが…今のエグゼイドなら話は別である。

 

「タイミングはワタシに任せなさい。」

 

「私は全力で突っ込む!!」

 

即座に役割を振り分けるとエグゼイドはクウガへと再び走り出す。そこにクウガはもう一度パイロキネシスを放つが、二人の人格が同時に出ているエグゼイド超速思考と超速反応の同時進行を用いて短距離転移(ショートジャンプ)を繰り返し、その悉くを回避してみせた。

 

「何あの反応速度ッ!?もはやチートじゃない!!」

 

「あれが最強悪魔祓い(エクソシスト)Cの力ですよ。」

 

荒ぶるにこに梨子はそう告げる。その間にもクウガとエグゼイドの距離は縮まり、格闘戦の間合いになる。

 

「やあッ!!」

 

そしてエグゼイドの拳がクウガの顔に命中する。

 

「く…!!せぇいッ!!」

 

クウガも負けじと拳を振るい、エグゼイドの顔面を捉える。

 

「うぐッ!?そいやッ!!」

 

それで一歩下がるが、すぐに一歩を更に前に踏み出して肘打ちをクウガの腹部にめり込ませる。

 

「がッ!?こんの!!」

 

右手で腹部を抑えつつも、左足の蹴りがエグゼイドの右脇腹を抉る。

 

「ごはッ!?まだまだァッ!!」

 

倒れそうになるのを必死にこらえ、放つ拳がクウガの胸を打ち抜く。

 

「うあッ!?こっちだって!!」

 

前のめりになるも、身体を戻す勢いを足したアッパーがエグゼイドの顎を的確に捉える。

 

「が…!!ふん!!」

 

それを喰らったエグゼイドは身体を仰け反らせるが、クウガがやったように戻す勢いを足した頭突きをかました。

 

「どっちも互角?」

 

「………………おかしいズラ。」

 

「花丸ちゃん?」

 

それを見ていた花丸はあることに気づいた。

 

「エグゼイドは無敵状態なのに、何で千歌ちゃんがダメージを受けてるの?」

 

「「「「「あ…」」」」」

 

そう、彼女の言うとおりムテキゲーマーは常時無敵状態を再現しており、攻撃を無力化できる能力がある。ならばクウガの攻撃は効かない筈なのだが、今は見ての通りダメージを貰っていた。

 

「一体どうして…」

 

「……クウガの…固有能力だ…」

 

その疑問の答えは梨子の膝から……正確には、膝枕で寝ていたヴァーリからだ。

 

「ヴァーリくんッ!?目が覚めたのね!!」

 

「ああ、今さっきな…………それで続きだが(ペチン!!)いった!?」

 

目の前の解説を行おうとしたヴァーリだったが、それは梨子に額を叩かれて中断される。

 

「何すんの!?」

 

「………………人の気持ちも知らないで…!!」

 

叩かれた事に文句を言おうと起き上がったヴァーリだったが、瞳に涙を貯めた梨子の顔を前にしたら、何も言えなくなった。

 

「…………………………すまん…」

 

そう謝るヴァーリの胸に梨子は顔を埋める。

 

「お願いだから、無茶しないでよ…!!もう、本当に心配したんだからね…!!」

 

「悪かったよ…」

 

自身の胸元で泣き始める梨子の頭を優しく撫でるヴァーリ、周りは微笑ましそうにそれを見る……一名を除いて。

 

「ほらッ!!治癒魔法使うからさっさと離れなさい…よ!!」

 

「うおッ!?」「きゃッ!?」

 

「まったく…!!油断も隙もないんだから…!!

 

二人を見て嫉妬した善子によって引き剥がされ、そのまま彼女の回復魔法を受ける。そしていい雰囲気を邪魔された梨子は頬を少し膨らませた。

 

「ルシファー先輩、さっきの話の続きを…」

 

「とと…そうだったな。」

 

花丸に聞かれヴァーリは先程浮かんだ考えを話し始める。

 

「クウガの必殺技には【封印エネルギー】というものが使われている。これは本来、特定の敵を倒すための力だが今回は千歌の中の力を抑制する効果になったんだろう。そのせいでハイパームテキの力も抑えられてしまったんだ。」

 

ヴァーリの考え通り、2度の必殺技の激突と1つに戻った時に美歌のカラミティタイタン分の流し込まれた封印エネルギーが千歌の天才悪魔祓いCの力を抑制してしまい、そのせいで無敵状態が不完全となり、アルティメットフォームの攻撃が通ってしまっているのだ。

 

「なるほど…」

 

「ここからが本当のクライマックスだ。」

 

そしてフィールドで殴り合ってるエグゼイドが新たな行動にでる。顔目掛けて放たれた拳…それを短距離転移《ショートジャンプ》で避けた。

 

「ッ!?」

 

それに一瞬動揺するクウガだったが、すぐに背後へと拳を突き出し、そこに迫っていたエグゼイドの蹴りと相殺させる。

 

「読まれたッ!?」

 

「次ッ!!」

 

不意打ちが防がれた事に驚く美歌だが、エグゼイドはすぐに短距離転移を行い再び姿を消す。そこで何を思ったかクウガが軽くジャンプするとその足下をエグゼイドがスライディングで駆け抜けていった。そこからはエグゼイドの怒濤の転移攻撃が始まり、クウガは防戦一方となった。

 

「このままじゃ…!!」

 

焦るクウガは一度深呼吸して自身を落ち着け、全身の感覚を研ぎ澄ます……

 

「………………………………………………そこッ!!」

 

そして、気配を感じた場所へと拳を振るうと、その場所へと転移してきたエグゼイドが現れ、両腕をクロスして受け止める。

 

「くぅ…!!もうこれもダメか…」

 

「後はお互い、必殺技だけだね…」

 

「「だったら!!」」

 

『キメワザ!!』

 

エグゼイドはムテキガシャットのボタンを叩き、クウガは右足に膨大な量の封印エネルギーを集束させる。

 

『HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

再度ボタンを叩きガシャットの音声が流れ終わるのと同時に二人は動きだし、必殺技のライダーキックが炸裂する。

 

「「デヤアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!」」

 

「オリャアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!」

 

今回はすぐに爆発は起きず、空中でぶつかり合う。その衝撃は結界越しに見ている他のメンバー達にも届くほどの威力だ。

 

「くッ!?善子!!結界を強化しろ!!」

 

「もうやってるわよ!!」

 

善子は衝撃が来る前に結界を強化して崩壊するのを防ぐ。もし後一歩遅かったら結界が壊れて大惨事になっていただろう。

 

「す、すごい激突…!!」

 

「どっちが勝つの…!!」

 

視界一杯を照らす眩い光に全員が目を閉じると同時に、耳に響く大きな爆音。それが収まり爆煙が晴れるとそこには……

 

「「きゅう~……」」

 

変身が解除されて地面で目を回している千歌と穂乃果がいた。

 

『両者同時に戦闘不能、よって引き分け』

 

アナウンスが結果を告げ、この勝負は引き分けとなった。

 

 




いかがでしたか?

たぶんこれならこうなってもおかしくないと思い、この結果になりました。

次回はメインイベントの主人公対決です。

次回【Firstコラボ eight】

「点火!!爆熱!!炎上!!もっと俺の心を燃やしてみせろぉッ!!!!」

では、次回でお会いしましょう。


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Firstコラボeight(FINAL)

どうも、疾風の警備員です。

本当に遅くなってスミマセンでした!!

スランプと仕事でなかなか執筆が進まず、こんなに時間が掛かってしまいました。

内容はちょっと微妙ですが、何とか書き上げましたのでコラボ編最終話、どうぞ!!


気絶した千歌と穂乃果を観客席に移動させて休ませた後、フィールドには最後の模擬戦となった二人の一誠が立つ。

 

「ようやく出番か…!!」

 

「この世界の俺って、戦闘狂過ぎるだろ…」

 

片やこれから始まる模擬戦に目をギラつかせ、片やそこまでやる気が感じられない。

 

「おい…何時までも腑抜けてっと……ぶっ飛ばすぞ?」

 

「安心しろよ、やるからには全力だ。」

 

「ならいい…」

 

ゲーマドライバーを腰に巻き、ガシャットギアデュアルΣを持つ一誠に対し、一誠(D)もベルトを出そうとしたが…

 

(待て一誠、ここはウルトラマンでいくぞ。)

 

それにドライグが待ったをかけた。

 

(何でだよ、向こうがライダーなんだから俺達も…)

 

(この世界の奴等は俺達の力を知らない筈だ。そこに勝機があると思う。)

 

(なるほどな……よし、それで行こう。)

 

(ドライグぅッ!!ふざけるなぁ!!)

 

((黙ってろ神ッ!!!!))

 

(Σ(・8・))

 

心の中でそんな会話をして、一誠(D)は左手に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を装着する。

 

「あ?お前も赤龍帝なのかよ。」

 

「ただの赤龍帝じゃないけどな。」

 

「へぇ…!!」

 

それに一誠は口元をニヤつかせながら、ガシャットをベルトに装填する。

 

『デュアルガシャット!!』《Saviour is Around the World!! Battle of Dragons!!》

 

そしていつものポーズをしつつ、ベルトのレバーを開く。

 

「マックス大変身!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバールッ!!』

 

ドラゴネスに変身する一誠、その姿に一誠(D)は確信を持つ。

 

「その姿…やっぱりドライグとアルビオンの力だよな…」

 

「オラ、さっさと変身しろよ。俺を焦らすんじゃねえ…!!」

 

「あ、ああ…!!」

 

一誠(D)は左手を天に掲げ叫ぶ。

 

「ドライグウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

『Welsh Dragon Ultlive!!』

 

すると彼の足下から炎の柱が現れ、その姿を包み炎が消えるとそこには赤と銀の身体に胸と肩には赤い鎧、左手には赤龍帝の籠手を装備し頭部は銀色に乳白色の瞳、額から頭頂部に伸びるラインの途中から黄色い角が生えている姿になった。

 

「なんだ、その姿?」

 

ドラゴネスはそれが何なのか解ってなかったが、観客席にいるヴァーリ達ルシファー眷属はすぐに解った。

 

「ウルトラマンだとぉッ!?」

 

「あれって特撮じゃなかった!?」

 

この世界ではウルトラマンは特撮として放映されており、現在までにジードが公開されていて、もうすぐ最新作のR/B(ルーブ)が放映される事になっている。

 

「ウチらの世界では普通におって、一誠の父親はウルトラマンマックスでもある茜君や。」

 

「「「「「なんですとぉッ!?」」」」」

 

衝撃の事実に全員が叫ぶ。

 

「これが俺の力…【ウルトラマンドライグ】だッ!!」

 

「ウルト○ンだかウルヴァ○ンだか知らねぇが、俺を楽しませろよ…!!」

 

そう告げ、背中の羽を広げるとドラゴネスはウルトラマンドライグ(以降Uドライグと呼称)へと突撃する。

 

「シェアッ!!」

 

Uドライグは赤龍帝の籠手に右手を乗せ、それを前に突き出す事で矢尻型の光弾を飛ばす【ドラゴンスラッシュ】を無数に放つ。

 

「しゃらくせえッ!!」『ガ・キーン!!』

 

だがドラゴネスは左手の籠手を盾モードにして、その光弾の中を受け止めつつ怯まずに突っ込んで行く。

 

「なッ!?」

 

「オラァッ!!」

 

そして間合いに入った瞬間、右拳を一気に突き出す。

 

「うおッ!?」

 

Uドライグは咄嗟に下がって拳をかわす。しかし、ドラゴネスの攻撃は終わらない。

 

「そらそらぁッ!!」

 

ホバリングする事で足技も多用した高速連続格闘、Uドライグはその攻撃に圧倒され始めていた。

 

(こいつッ!?動きに無駄がほとんどない!!)

 

(これはかなり戦闘慣れしてるな。恐らく師にも恵まれたんだろう。)

 

ドライグの推察通り、グラファイトによって鍛えられたドラゴネスの戦闘力は以前よりも格段に上昇している。

 

「フンッ!!」

 

放たれる拳を腕をクロスして受け止めるが、そのあまりの威力に後ろへと下げられ、両腕に痺れが残る。

 

「どうしたッ!?お前の力はそんなもんか!!」

 

「まだだ!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

神器の力で一気に倍加したUドライグはバスケットボール大の魔力弾を飛ばす【ドラゴンショット】を放つが、ドラゴネスはそれをあっさりと回避した。

 

「受ける程バカじゃないか…」

 

「嘗めてんじゃねぇぞ!!」

 

『ガシャコンキーブラスター!!』

 

Uドライグへと向かうドラゴネス。しかし、さっきまでと違い左手に滅多に使わない武器(キーブラスター)を持つ。それを見たこの世界一同は驚いた。今まで拳しか使わなかった男が武器を手にするとは…

 

「チィッ!!」

 

Uドライグはドラゴンショットを連発するが、それは避けられるかキーブラスターで切り落とされていく。

 

『ガッチョーン、キメワザ!!』

 

そしてドライバーのレバーを閉じると右手を赤と白のエネルギーが覆っていく。

 

「グラファイト直伝…」

 

「この…!?」

 

その攻撃を止めようと動き出すUドライグだったが、ドラゴネスは指先を手刀の様に揃え、レバーを開きながらその場で十字に振るい赤と白の斬撃を飛ばしてきた。

 

『ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「【激怒竜牙】!!」

 

「はあッ!?」

 

まさかの遠距離攻撃にUドライグは回避が遅れ、両腕でギリギリ防ぐもフィールドの端まで吹き飛ばされた。

 

「今のは…グラファイトの技ッ!?」

 

実はグラファイトは一誠の事をかなり気に入っていて自分の技まで伝授していた。しかも本来の武器仕様と一誠に合わせて作った格闘仕様の2つを。

 

「ちっ…やっぱ手刀じゃまだそこまで威力出ねぇか…やるならやっぱり剣だな。」

 

驚くUドライグを尻目に、ドラゴネスは右手を開いたり閉じたりして感触を確かめる。しかし、思っていたよりも攻撃力が出なかったらしい。しかし、それは慣れてないだけで更に特訓すれば、今以上の威力を出す事も可能である。

 

「何でお前がその技をッ!?」

 

「勝負の最中に問答してんじゃねぇ!!」

 

翼を広げ、Uドライグへと突撃するドラゴネス。だがUドライグもただ待っている訳ではない。即座に両腕を逆L字に組むと倍加を始める.

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「ブーステッド・シュートッ!!」

 

それが終わると同時に腕から光線を放つ。

 

「チィッ!?」

 

突撃していたドラゴネスはその攻撃を回避するのは無理と判断、盾モードのままだった左腕で受け止めるが…

 

「ぐぅ…!!なんつー威力!!」

 

倍加によって強力な威力を持つ光線に、半減を使わずに耐える事は出来ずに押し飛ばされてフィールドの結界にぶつかり、爆発が彼を襲った。

 

「先輩ッ!?」

 

それを見たルビィは叫ぶ。

 

「これは、ウチの一誠の勝ちやね?」

 

希がイイ笑顔で勝利宣言する中、この世界の面々は誰も勝負が決まったとは思ってなかった。

 

「これは…着いたね。」

 

「間違いなくね…」

 

「「???」」

 

呟く曜と果南の言葉に希と美月が首を傾げていたら…

 

「ククク…ハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

フィールドから笑い声が聞こえた。それもかなり楽しそうな笑いが。

 

「な、何ッ!?」

 

「こっちのイッセーの心に火が着いたんですよ。」

 

全員が視線をドラゴネスが倒れているだろう場所に向けると、そこには身体を多少前のめりにしているがそれほどダメージを負っていないドラゴネスがいた。

 

「あれを耐えたのかよ…」

 

「いいぜお前、久々に俺の心に火が着いた……でもなぁ、まだ足りねぇッ!!!!」

 

『バ・キーン!!』

 

『Boost!!Boost!!Boost!!BoostBoost!!Boost!!』

 

籠手をナックルモードに変え、Bボタンを連打して倍加を行うとすぐさまUドライグへと突貫する。その速度はまるで一陣の風…

 

「はや…!!」

 

「点火!!」

 

その速さでUドライグの懐に飛び込むと、鳩尾へと勢いを乗せた左拳をめり込ませる。

 

「ガ…!!」

 

「爆熱ッ!!」

 

続けて右拳でアッパーを喰らわせる。

 

「グブッ!?」

 

「炎上ッ!!」

 

そこから更にサマーソルトで上へと蹴り飛ばす。

 

「ブハッ!?」

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「ガハァッ!?」

 

そして落ちてきたUドライグを、必殺技を発動させた右足の後ろ回し蹴りで吹き飛ばして壁に激突、周囲に土煙が漂う。

 

「もっと俺の心を燃やしてみせろぉッ!!!!」

 

「「「頑張れ頑張れカシラ♪頑張れ頑張れカシラ♪」」」

 

雄叫びを上げるドラゴネスに、ルビィと花丸に善子の一年トリオが変わった声援を送った。

 

「やっとギアが入ったわね。」

 

「というか……暴走?」

 

「まさしくドラゴンね。」

 

周囲が色々と言うが、今のドラゴネスには関係ないとばかりにUドライグが飛んでいった方へと一気に飛翔する。しかし、煙に突然穴が開くと同時にドラゴネスが吹き飛ばされた。

 

「えッ!?」

 

「あ、あそこッ!!」

 

何が起きたか周りが困惑していたら、千歌がある一点を指差した。そこにはUドライグがいたのだが、鎧以外の赤い部分が青に変わっていて、左腕の籠手からは一本の剣が出ていた。

 

「色が違う!?」

 

「タイプチェンジか!!」

 

ヴァーリの言う通り、Uドライグは複数のフォームを有しており、最初の姿が基本形態の【タイプポーン】で今の姿が速度特化の【タイプナイト】である。Uドライグは今のままでは不利を悟り、煙の中でタイプチェンジしていたのだ。

 

「クソ……何が起きやがった!!」

 

起き上がったドラゴネスが視線を巡らせ、自分の頭上にいるUドライグを見つける。

 

「なんだそりゃ?……人を見下ろしてんじゃねぇぞ!!」

 

それが頭にきたドラゴネスは一気に飛翔して拳を振るうが、当たる直前でその姿がブレて空を切る。

 

「ッ!!何処に…!!(ズバッ!!)グアッ!?」

 

避けられた事を理解して周りを見渡そうとした瞬間、横から突然切り裂かれる。その場所を見ようとする頃にはそこには誰もおらず、再び別方向から攻撃を喰らう。

 

「くぅ!?……高速移動か!!だったら…」

 

そこでドラゴネスは何を考えているのか、全身の力を抜いて棒立ちになる。どうみても隙丸出しな姿にUドライグも怪しむ。

 

(何を企んでんだ…?)

 

しかし、このままでは埒があかないと思い全速力でドラゴネスの背後へと攻撃を仕掛けるとあり得ない事が起きた。

 

―――ガキィン!!!!

 

「はぁッ!?」

 

なんと、ドラゴネスは振り返りもせずにキーブラスターでUドライグの剣を受け止めていたのだ。

 

「お?まだまだ捨てたもんじゃねぇな。」

 

「何で攻撃が来る場所が解った!?」

 

「ああ?勘だよ、俺の第・六・感!!」

 

そう、脱力して棒立ちしていたのはすぐに動ける様にするためであって、ドラゴネスはUドライグの動きが見えている訳ではなかった。だから、ここだと思う場所に素早く剣を持っていったら見事に的中したのだ。

 

「まさかの直感!?」

 

自身の速さが直感に負けた事に多少のショックを受けつつ、また高速移動で奇襲を仕掛けるも再び受け止められる。

 

「悪いが…その速さは見切ったぜ?」

 

「んなろッ!!」

 

そこからUドライグが高速斬撃を行っていくが、ドラゴネスはキーブラスターとガントレットでそれらをあっさりと受け止めていく。

 

「こんな短時間で…!!」

 

「それがアイツですから。」

 

その適応力に驚く真姫にヴァーリは答える。これまでも一誠の成長速度は半端ではなかった。異世界から来たもう一人の一誠と戦った時も相手の攻撃にすぐに対応してしまうなど、常人ではあり得ない。

 

(これもアイツの体質が原因か…)

 

『ガシューン、デュアルガシャット!!キメワザ!!』

 

「ハアァァァァァァァァ…!!」

 

ヴァーリがそう考えている間にも戦局は動き、ドラゴネスがキーブラスターにガシャットを装填し、Uドライグは左腕の剣に光の力を集めていく。

 

『STORY DRAGON!! CRITICAL FINISH!!』

 

「激怒竜牙…!!」

 

「シェア!!」

 

そして剣での激怒竜牙とタイプナイトの必殺技である【ギャラクシーナイトブレード】がぶつかり合い、爆発を起こす。

 

「よっと。」

 

「フッ。」

 

爆煙から出てくる二人だが、それほどダメージは負っていない。

 

「良いぜぇ…!!俺の心がどんどん燃えてくる!!」

 

「こうなったら、あのタイプで終わらせるか!!」

 

『Bishop!!』

 

何かを決めたUドライグは左腕を胸元に持っていき振り下ろすと、周囲に緑の波紋が広がり青い部分が赤に戻るが、部分部分に緑が混ざった【タイプビショップ】となり、3体に分身する。

 

「忍者か?…だが、これでお楽しみが3倍だなッ!!」

 

分身したことに怒るどころかテンションが更に上がるドラゴネス。手始めとばかりに中央の1体に向かうが、3体が同時に光弾を飛ばして進行を妨害する。

 

「この…!!」

 

「シュア!!」

 

「なッ!?…ぐあッ!?」

 

それを防いでいたら1体がドラゴネスの背後にワープして蹴り飛ばした。そこから続けて他の2体がドラゴネスを殴り飛ばす。

 

「やるじゃねぇか…」

 

「ドラゴンサイキック!!」

 

そして1人に戻ると超能力による技【ドラゴンサイキック】で動きを封じる。

 

「ッ!?体が…!!」

 

思いもよらぬ技に動揺するドラゴネスに、Uドライグはすぐさま必殺技の構えをとる。このフォームは体力の消耗が激しく長くは使えない欠点がある。更にサイキックを発動しながらの必殺技など一発で変身解除もあり得る組み合わせだ。それでもドラゴネスを倒すためにはこれしかないと思い、光線を放つ。

 

「【ブーステッド・バスター】!!」

 

「ちッ!?クソがああああああああああッ!!!!」

 

拘束され身動き出来ないドラゴネスに光線が命中する。それを確認したらすぐに紫を基調とした姿の【タイプルーク】へとタイプチェンジするが、やはり消耗が激しかったのか、胸のライフゲージが点滅を始める。

 

「ハァ…!!ハァ…!!これなら…」

 

勝利を確信し、視線をドラゴネスが落ちたであろう場所に向けるが、そこには誰もいなかった。

 

「……まさか!!」

 

Uドライグが視線を上に……ドラゴネスを固定していた場所に向ける。未だ煙でよく見えないが突然煙が風で吹き飛ばされてドラゴネスが姿を現す。煙を払った風は翼で起こした物で、胸のゲージが残り20%を切った状態だがまだしっかりと立っているドラゴネスがそこにはいた。

 

「嘘だろ……」

 

「面白ぇ事してくれるじゃねぇか…さいっこうの気分だッ!!!!」

 

今の攻撃でテンションMAXになったドラゴネスは、キーブラスターを投げ捨てると一気に近づいてUドライグを殴る。

 

「グ…!!」

 

だがタイプルークとなったUドライグの防御力は全タイプの中でダントツであり、簡単には倒れない。すぐさま体勢を立て直したらお返しとばかりにドラゴネスを殴る。

 

「ガ…!!ハアッ!!」

 

そこからは戦略など一切関係ない殴り合いとなる。Uドライグは自身の特性を生かして、ドラゴネスは今までの経験を生かして相手を殴りまくる泥試合。それでもお互いに一歩も譲らない。そして何度か殴りあった後、二人は離れ必殺技の準備を始める。

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

「オオオオオォォォォォォォォ…!!!!」

 

ドラゴネスは右腕にエネルギーを集束して顔の横に持っていき、Uドライグは胸元で巨大な火球を作っていく。

 

「シュアッ!!」

 

そして先に準備が終わったUドライグが火球【ルークバースト】をドラゴネスへと撃つ。

 

『ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「オォォォォラァァァッ!!!!」

 

その火球をドラゴネスは右拳で殴る事で受け止める。しかし、その威力に徐々に後退していく。

 

「これでッ!!」

 

今度こそ勝ちを確信したUドライグだが、すぐにそれは驚きの顔へと変わっていった。

 

「ォォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!!!」

 

なんと、ドラゴネスはその火球を吸収するかの如く、自身の右腕に纏わせていったのだ。

 

「俺の攻撃を自分のものに…!!」

 

「グラファイト直伝・改…!!【紅蓮爆龍拳】ッ!!!!」

 

ルークバーストを吸収し終えたドラゴネスが再度腕を突き出すと、そこから炎の龍がUドライグへと飛んでいく。Uドライグはそれをシールドを張る事で防ごうとするが、その攻撃力にシールドにどんどんと罅が入っていき、ついにシールドを破って命中し爆発を起こした。

 

この技は本来、自身のエネルギーだけで放つ技だがドラゴネスはそれを咄嗟に相手の力も加えて放つ様に変えたのだ。しかしダメージは防げなかったのか、ライダーゲージは残り1%しか残っていない。

 

「もう……限界か…」

 

体力の尽きたドラゴネスはその場に倒れ、それと同時にUドライグも爆煙の中から倒れた姿で現れ、二人同時に変身が解けた。

 

『両者、戦闘続行不能。よって、引き分けです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ち…よりによって引き分けかよ、煮えきらねぇな。」

 

二人の回復後、模擬戦終わりということで再びもぐもぐタイムが始まった。

 

「いや~、俺の技を利用してくるとは思わなかったぜ。」

 

「ンなもんその場の思いつきだ。上手く出来る保証なんてなかったしな。」

 

「だからって、思いつきで無茶しない。」

 

「あたっ。」

 

即興で考えた技の無茶さに果南は呆れながら一誠の頭を軽く叩いた。

 

「さて、模擬戦も終わったところで…ウチらはどうやって元の世界に戻るん?」

 

「「「「「「あっ…」」」」」」

 

そこで希の疑問に全員が思い出した。彼女達は異世界から来た存在…元の世界に戻らなければどんな影響が出てくるか分からないので、長居する訳にはいかない。

 

「それならこちらのガシャットで…『ようやく見つけた!!』え?」

 

ヴァーリがパラレルトラベラーガシャットを使おうとしたら、訓練施設に新たな声が聞こえると同時に空間に穴が開く。

 

「なんだッ!?」

 

そしてその穴から赤と青、銀の体に白銀の鎧を纏ったウルトラマン【ウルトラマンゼロ】が飛び出てきた。

 

「ウルトラマンゼロッ!?」

 

『よっと……ここにいたんだな、探したぞ。』

 

「あ、ゼロだ。ヤッホー!!」

 

『呑気かッ!?向こうじゃお前達がいなくなったって大騒ぎで、情報からどれだけ世界を回った事か……ほら、向こうで海未や花陽が心配してたぞ。』

 

「あ、二人の事完全に忘れてたわ。」

 

『忘れるなよッ!?』

 

「ま、マジモンのウルトラマンゼロよ…」

 

異世界組が親しそうにゼロと話してる中、この世界の面々は驚きっぱなしだった。そりゃTVでしかいないと思っていた特撮の存在が目の前にいるのだから…

 

『おう!!俺様が有名なウルトラマンゼロだッ!!』

 

「ヤバい……急いでデータ収集を!!」

 

「いや、まずはサインでしょッ!!ううん、それより写真ね!!」

 

『「イェーイ!!」』

 

「マリーは邪魔ッ!!」

 

「(´・ω・`)」

 

善子に除け者にされてトボトボと離れる鞠莉に果南とダイヤは優しく肩を叩いた。

 

それから撮影会を終えて、異世界組はゼロの手に乗った。

 

「それじゃ、これでさよならだね。」

 

「今回は色々とお世話になりました。」

 

「気にしなくてもいいわ、こっちもいい練習になったし。」

 

「ただし、暴走はもう勘弁ね…」

 

「……早急に対応します、ハイ…」

 

「この世界の俺、頑張れよな!!」

 

「俺は俺の大事なモンを守るだけだ。」

 

「俺はそれでイイと思うぜ!!」

 

「今度はアルティメットとムテキの決着つけよーね!!」

 

「『勘弁してぇぇぇぇぇぇぇッ!?』」

 

『んじゃ、行くぜ!!』

 

ゼロが彼女達をバリアで囲むと、先程のワープゲートから元の世界へと飛び立って行った。

 

「何か…驚きだらけの1日だったね…」

 

「イカン…俺の才能がガシャットを作れと轟き叫ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!!」

 

「ちょっ!?待ちなさいヴァーリ!!」

 

その場を全力ダッシュで研究室へと走るヴァーリを、眷属達はそれを追いかけていく。

 

「ハァ……私達も帰りましょうか。」

 

「そうだね…」

 

ダイヤの言葉に残ったメンバーも帰宅することにした。一誠も疲れからすぐに家に帰ると、留守電が光っていたので聞いたら両親がヨーロッパ一周旅行が当たったとの事で色々喋っていたので途中で聞くのを止め寝る事にした。




いかがでしたか?

これでコラボは終わりです。コラボしてくれた海神アグル様、ありがとうございました。

次回からは活動報告に上げていた通りに劇場版を始めます。なので、しばらく次回予告はお休みします。

では、次回でお会いしましょう。


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劇場版 BAD END REVERSE
始まりはいつもsuddenly


どうも、疾風の警備員です。

ビルドジーニアス、マジ強ぇ…マジ最強…

そしてビルド版リプログラミングなんてのも持ってるし…

でも、カズミンに死亡フラグみたいなのが立ってヤベーイ!!

本作は今回から劇場版に入ります。そこで、平成ライダーからあの二人が登場します。

では、どうぞ。


異世界から来た一誠達との模擬戦から数日、夏休みも後半戦に入り人によっては宿題や受験勉強に励んだりするが、一誠は果南達(ヴァーリ達悪魔組除く)に連れられて駅前に遊びに出ていた。

 

「たく…朝から人を呼び出した内容が水着選びかよ…」

 

「だってどんなのが似合うのかイッセーの意見ほしいし…」

 

「なら、何で俺まで巻き込まれてるんだ?」

 

果南達の水着選びに付き合わされて項垂れる一誠と散歩していたところを巻き込まれて頭に?をとばすパラド。

 

「あら、殿方の意見は幾つかほしいですもの。協力してくださいな。」

 

「俺は面白そうだから良いぜ。」

 

「面倒くせェ…」

 

ダイヤの言葉にパラドは了承するも、一誠の顔は未だにダルそうなままだ。そこで名案を思い付いたのか、花丸が一誠の耳元で囁く。

 

「番長先輩、これは曜ちゃん達の色んな水着姿が拝めるチャンスずらよ?」

 

どんな男も美女や美少女の水着姿が見れると聞けば喜ばない訳がない。だが、そんな言葉ではこの男は動かない。

 

「ンなもん、ガキの頃から毎年連れてかれてるんだ。もう慣れっこだよ。」

 

そう、一誠は毎年夏になると果南のお祖父さんが経営しているダイビングショップに曜と一緒に遊びに行くのが恒例になっていて、その度に彼女達は水着を新調するので既に見飽きてしまっていたのだ。

 

「じゃあ、マルのを選んでくれませんか♪」

 

上目遣いの花丸の言葉に、一度さっと彼女の全身を見た一誠の言葉は…

 

「…………小学生用でいいか?」

 

これだった…

 

「そこまでちっちゃくないズラッ!!」

 

「待てイッセー、ズラ丸なら袖がだらりとするほど長い狐の着ぐるみ水着じゃないか?」

 

「そんなにのほほんともしてないよッ!!」

 

「なら、魚が水の中で呼吸できるのは?面白可笑しく答えろ。」

 

「えッ!?……………たぶん…さっき飲んだ熱いお茶のせい…かな?」

 

「「ズラ丸のギャグセンス、0点。」」

 

「ガーン…!!」

 

一誠とパラドの判定に花丸は崩れ落ちる。どうやら本人的には渾身のネタだったようだ…

 

「花丸ちゃん……先輩達に遊ばれてるよ?」

 

「はッ!!Σ( ̄◇ ̄lll)」

 

「ま、そこのコントは気にしないで「気にしてほしいズラ!?」ハイハイ、ほらお店もうすぐだよ。」

 

果南が指差す先には彼女がよく使うお店が見えた。そこへ向かい歩を進めようとした時…

 

 

―――ドゴォォォォォォォン!!!!

 

 

背後で突如、爆発が起きる。

 

「「「「キャアッ!!」」」」

 

「なんだッ!?」

 

何があったのか一誠が振り返ると、そこには彼が知っているのとは色違いのリボル、カイデン、ガットン、バーニアとそれぞれが使役するウィルス兵達がいた。

 

『これより、ゲームを始めるであります!!』

 

「アイツらは…クロノス側のバグスター!?」

 

「とうとう暴れ始めやがったか!!黒澤先輩は皆を連れて隠れ『♪~♪~♪~♪~』今度は何だッ!?」

 

ダイヤに戦えない4人を安全な場所に移動させ、一誠とパラドがゲーマドライバーを装着しようとした時、辺りに聞き慣れないメロディーが流れだし、彼らの前の十字路を横切る様に電車が走り抜ける。

 

「電車ッ!?」

 

「何時レールなんて敷かれたんだ?」

 

そんな疑問を置き去りにして電車が走り抜けた後には、2人の男性と赤と青の異形が一誠達とバグスター達の間に立っていた。

 

「アンタらは…」

 

「もう【感染】が始まってる…!!」

 

「これ以上は防がないと!!行こう、爺ちゃん!!」

 

「うん、【モモタロス】いくよ!!」

 

「おう!!」

 

パラドの呟きは聞こえなかったのか2人はすぐに左手に持っていた物を腰に勢いよく巻きつけボタンを押すと、軽快なメロディーが流れ出す。

 

「あれは……まさか!!」

 

「「変身!!」」

 

そして右手に持ったパスケースの様なものを、ベルトのバックル部分に翳した。

 

『SWORD FORM』

 

『STRIKE FORM』

 

そこからその姿を黒と藍色のスーツに身を包むと、黒い方に赤い異形が憑依するように入っていく。するとその体を赤いアーマーが、藍色の方はレールや転車台を模したアーマーが装着され最後に赤い仮面が後頭部から前に降りてきて変身が完了した。

 

「俺、参上!!」

 

赤い方【仮面ライダー電王】は決め台詞とポーズを取り、藍色のライダー【仮面ライダーNew電王】は指を2回鳴らし…

 

「【テディ】。」

 

「ああ!!」

 

右手を青い異形の前に出すと、その異形が一振りの剣【マチェーテディ】に変わってその手に収まった。

 

『何だお前らは?ゲームの参加者か?』

 

「悪いけど、俺達はお前らのゲームを止めに来たんだ。」

 

『そうか、ならば死ねぇ!!』

 

「上等だぁ!!こっちは最初っからクライマックスなんだよ!!」

 

そう言いながら電王は左右の腰にあるパーツ【デンガッシャー】を組み立てて一振りの剣に変える。

 

「行くぜ!!行くぜ!!行くぜェ!!」

 

そしてバグスター達と戦闘を始める電王達。電王は素早くも荒々しい剣でリボルとガットンを攻め立て、New電王は華麗な剣技でカイデンとバーニアに渡り合う。

 

「俺達が知らない仮面ライダー…」

 

「パラド!!とりあえず俺達も行くぞ!!」

 

「おう!!」

 

2人の電王の登場に驚きながらも、一誠とパラドはゲーマドライバーを装着してガシャットを装填する。

 

『『デュアルガシャット!!』』

 

「「マックス大変身!!」」

 

『『ガッチャーン!!マザルアップ!!』』

 

『赤い拳、強さ!!青いパズル、連鎖!!赤と青の交差!!パーフェクト・ノックアーウトッ!!』

 

『赤き帝王、強化!!白き皇帝、弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバールッ!!』

 

ドラゴネスとパラドクスになった2人は戦闘へと飛び込み、ドラゴネスがバーニアをパラドクスがガットンと戦い始める。

 

「うおッ!?何だオメェ等!?」

 

『モモタロス、あっちの赤と青のってオーナーが言ってた…』

 

「え?…………ああァァァ!!アイツかッ!!」

 

『我輩を無視するな!!』

 

「うるせぇ!!」

 

『イダァ!?』

 

パラドクスを見た電王は何かを思い出した様に彼へと向かい、背後から襲ってきたリボルを振り返り様に切り捨ててパラドクスへと詰め寄った。

 

「おいテメェ!!」

 

「は?何だよ。」

 

「テメェのせいで大変な事になってんだぞ!!どうしてくれんだよ!!」

 

「俺のせい…?」

 

「そうだッ!!テメェが…『ピピピ…ハンゲキ、カイシ』邪魔すんな!!」

 

パラドクスへ怒鳴り散らす電王、そこに攻撃しようとしたガットンだったが、リボルと同じ様に切り捨てられる。

 

『モモタロス!!話は後にして今はバグスター達を何とかしないと…!!』

 

「ちッ!!しょうがねぇ…おい!!後で逃げんじゃねェぞ!!」

 

「こんな状況で『ピピピ……コウゲキ』オラ!!逃げるかよ!!」

 

何やら一悶着あったが、そこからはそれぞれが自身の敵と戦闘を始める。唯一飛行できるドラゴネスがバーニアと空中戦を繰り広げ、バーニアのバルカンやミサイルを最小限の動きでかわし、接近戦の間合いに飛び込んでパンチやキックを次々に叩き込んでいき、New電王はカイデンと幾度となく剣を交える。

 

『お主、やりおるな!!』

 

「そりゃどうも…!!」

 

そして電王はリボルを滅多切りにしていた。リボルは反撃しようとするが、その度に剣だけじゃなく蹴りや頭突き等で妨害されそこで生まれた隙に更に切られるサンドバッグになっていて、パラドクスも攻撃パターンを理解したのか危なげなく避けて、パラブレイガンのアックスモードでカウンターを喰らわせていく。

 

「これでとどめだ!!」

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

雑魚を倒し終えたドラゴネスはベルトのレバーを閉じ、バーニアへと一直線に向かい、蹴りを喰らわせながらレバーを開く。

 

『ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

そしてドリルの様に回転し、バーニアの体を貫いて爆散した。

 

『幸太郎、カウントは?』

 

「15……いや、10で行くぞ!!」

 

『10……9……8……』

 

テディがカウントを始めると同時にNew電王は一気にカイデンを攻め立てる。残り6秒で剣を弾き、4秒でカイデンの肩を踏み台に高く飛び上がり、2秒で剣を振り下ろし…

 

「ハアアァァァァァァァァッ!!」

 

『1……0。』

 

0秒と同時にカイデンを縦に切り裂いて爆散させた。

 

『デュアルガシャット!!キメワザ!!』

 

パラドクスはパラブレイガンにガシャットを装填し、周囲のエナジーアイテムから2枚を取り込む。

 

『鋼鉄化!!』『マッスル化!!』

 

『ピピピ…タオス』

 

『KNOCK OUT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「ソラァッ!!」

 

そして向かってくるガットンの強化アームを鋼鉄化した腕で防ぎ、がら空きとなった懐を攻撃力が強化されたパラブレイガンで切り裂いて爆散させた。

 

そして電王はボロボロになったリボルを前に、先程の黒いアイテム【ライダーパス】を持つ。

 

『何故だ…我輩達は…限界を…越えているのに!!』

 

「知ってるか?戦いってのはな……ノリが良い方が勝つんだよ。」

 

『FULL CHARGE』

 

それをベルトに翳し、エネルギーが剣に集まると刀身部分が分離して宙を浮く。

 

「必殺、俺の必殺技…」

 

そして持ち手だけとなったデンガッシャーを左右に振るうと、それに合わせて刀身も動きリボルを切り裂いていき…

 

「パート2!!」

 

最後に上段から思い切り振り下ろして、リボルを真っ二つにした。

 

『我輩……この後、彼女に告ハグァッ!!』

 

リボルは最後に死亡フラグ的な言葉を残して爆散した。

 

「へッ!!決まったぜ…」

 

『最後の最後に自分からフラグ立ててたね…』

 

「んなのどうでもいいだろうが!!それよりも…」

 

電王は同じく戦闘を終えて一息ついてるパラドクスに詰め寄ると、その胸ぐらを掴みあげた。

 

「おいテメェ、何やらかしてくれてんだよ!!」

 

「あ?だから、どういう意味だよ!!」

 

「オメェのせいで、俺達がてんてこ舞いになってんだぞ!!」

 

「だから俺にどう関係してんだッ!!」

 

『ちょっと二人とも落ち着いて~!!』

 

互いにヒートアップしているせいか、このままでは戦闘に入りそうな雰囲気になったその時、先程の電車が再び現れて止まると、そこから一人の小学生くらいの女の子が飛び出し…

 

「いい加減にしなさい!!バカモモ!!」

 

「ダベアァッ!?」

 

その横っ面に綺麗なライダーキック(ただの飛び蹴り)を決めた。

 

『痛いよ【コハナ】さ~ん…』

 

「あッ!?ゴメン【良太郎】…!!」

 

蹴り飛ばされた電王はベルトを外し変身を解除する。そこにいたのは、20歳くらいの幸薄そうな男だった。更にNew電王も変身を解き、その姿は彼と同じくらいの年齢でどこか似た雰囲気を持つ男だった。

 

「えっと…ゴメンね?乱暴にしちゃって…」

 

そして良太郎と呼ばれていた青年は、変身中とはまるで別人みたいにオドオドした頼りない喋りになっていた。

 

「それよりも、これが俺のせいってどういう事だ?」

 

「うん、それについて説明するから君達も【デンライナー】に乗って貰えないかな?」

 

「デンライナー?……それってその電車か?」

 

「そう、時を駆ける列車。ま、タイムマシンって言った方が早いか。」

 

「貴方達の友達も中に避難させてるから、一緒に来て。」

 

New電王である【幸太郎】とコハナにそう言われ、一誠達は多少警戒レベルを上げる。これは曜達を人質に取って拒否権はないと言っている様なものだと思ったからだ。だが、どうやって助ければいいか解らず…

 

「分かった。」

 

今は彼らの要求を飲んで、隙をみて救出することにした。

 

こうして彼等を乗せたデンライナーは走り出す。

 

壮絶な戦いが始まる戦場へと…




いかがでしたか?

という訳で平成ライダー8作目から電王チームに登場して頂きました!!

他のイマジン達も登場しますから、お楽しみに!!

では、次回でお会いしましょう。


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パラドのSECRET

どうも、疾風の警備員です。

劇場版2話です。今回でパラドの謎のどんどん明かしていきます。まず彼の出生の秘密です。

では、どうぞ。


デンライナーに乗り込んだ一誠とパラド。彼等は良太郎達の案内に従い進んで行くと、ある車両に到着する。

 

「ここよ。」

 

「ここは……食堂車か?」

 

「僕の仲間もここにいるんだ。」

 

コハナが先頭に立って扉を開ける。ここから必ず彼女達を助け出すと意気込みをいれながら中に入って彼らが見たものは…

 

「ねぇねぇ君、この後ボクと海の見える素敵なカフェでお茶でもどうかな?」

 

「えッ!?私、そういうのはちょっと…」

 

曜が水色の怪人【ウラタロス】にナンパされていたり…

 

「Zzz…」

 

「本当になにやっても起きないズラ…」(ペシペシ)

 

花丸が黄色の怪人【キンタロス】を起こそうと顔を叩いていたり…

 

「イェーイ、シャボン玉~!!」

 

「わぁ~♪」

 

ルビィが紫の怪人【リュウタロス】とシャボン玉ではしゃいでいたり…

 

「ハーイ皆さーん!!コーヒー出来ましたよ~♪」

 

「ありが…え、これコーヒー?」

 

果南が乗務員から渡されたコーヒーを見て絶句したりしていた。

 

「テメェ等ッ!!なに和んでんだよ!?というかカメッ!!ナンパしてんじゃねぇ!!クマもとっとと起きろ!!後ハナタレ小僧はシャボン玉が鬱陶しいわ!!」

 

「センパイ、カリカリし過ぎじゃない?カルシウム足りてる?」

 

「Zzz…相変わらずモモの字は気が短いなぁ…」

 

「というか、モモタロスの方が鬱陶しいし。」

 

「テメェら、うるせぇぞ!!!!」

 

「「「(モモタロス)/(センパイ)/(モモの字)の方がうるさい。」」」

 

「おーし上等だぁ…こうなったらまとめて相手してやらぁ!!」

 

「フゥ……騒々しいですわね…」

 

………………まさに人間と怪人が織り成すカオスだった。

 

「あ、イッセーお帰り。」

 

「……………………心配して損したぜ…」

 

笑顔で手を振る果南を見てガックリと項垂れる一誠…因みにパラドはルビィ達とシャボン玉ではしゃいでいる。

 

「アンタ達ッ!!大人しくしなさい!!」

 

そのカオスにコハナが飛び込むと、拳を握り全力で振るいモモタロスを殴り飛ばした。

 

「イデェッ!?何しやがる、このコハナクソ女ッ!!!!」

 

「アンタが一番うるさいからよ!!」(ゴスッ!!)

 

「ギャアアアアアアアッ!?そこは泣き所ォ~!?」

 

コハナに蹴られ、右足の脛を押さえてピョンピョン跳び跳ねるモモタロス。もはや車内全てが新喜劇の様だ。

 

「………………………………帰っていいか?」

 

「ゴメン、もう少し待っててくれるかな?」

 

良太郎に言われて待つこと数分、コハナの手によって怪人達【イマジン】は(武力で)黙らされた。

 

「全く、手を焼かせないでよね。」

 

「「「「ハイ…」」」」

 

「それじゃあ話を…「おや、皆さんお揃いですねぇ。」あ、オーナー。」

 

コハナが説明しようとした時、奥の車両から一人の男性が入ってきた。ピシッとしたスーツに杖、溢れるオーラからかなり上級の職種についてる人だと解る。

 

「この人はこのデンライナーを取り仕切ってるオーナーなの。」

 

「どうも初めまして、皆さん。ナオミちゃん、いつものを。」

 

「はーい♪」

 

ナオミと呼ばれた乗務員はその言葉に調理場に引っ込み、すぐにある料理が乗ったお皿を持って出てきた。

 

「お待たせしましたー、チャーハンでーす♪」

 

そのお皿に乗っていたのは出来立てのチャーハンだった。その中央にはデンライナーが描かれた旗が刺さっている。

 

「あれ、出来立てだよね?何時作ってたの?さっきまでコーヒーしか作ってなかったのに…」

 

「それは……企業秘密です♪」

 

「さて、お話の前にパラド君…君に聞きたい事があります。」

 

テーブルを叩いて浮き上がったスプーンを右手で掴み、チャーハンを食べようとしたオーナーだったが、その手を止めパラドに視線を向ける。

 

「なんだ?」

 

「君はどうやって()()()()()()()()()()()?」

 

「ッ!?」

 

その言葉にパラドは驚いた顔をする。その顔はまるでどうして知っているかと物語っていた。

 

「え?過去に移動?」

 

「どういう事ですの?パラドさんは兵藤さんから生まれたバグスターでは?それは花丸さんの力で確認済みですわ。」

 

確かにそれはパラド自身が認めた事。自身は一誠から生まれたバグスターだと……それにその事については花丸の神器でも確かめられている。しかし、これに異を唱える者がいた。

 

「ん?マルはそんな事言ってないよ?」

 

その人物はまさかの花丸だった。

 

「えッ!?花丸ちゃん、どういう事ッ!?」

 

「詳しくは…………ルビィちゃん、手伝って。」

 

「え?…う、うん…」

 

花丸はルビィを呼ぶと全員の視覚の枠外に思いっきり手を伸ばした。

 

「「せーの!!」」

 

そこに視線が向く前に二人はそこから何かを引っ張ってくる。それは何かの画面らしく、そこには【第35話 ETERNALな輝き】と書かれていた。

 

「これを見るズラ!!」

 

「「「「「「「どっから出した!?」」」」」」」

 

「そんな事より……ここだよ。」

 

その画面をスクロールしていき、ある一文を指差す。それは花丸がパラドの事を話す所だった。

 

「「「「「「「んん~?」」」」」」」

 

「ほら、ここ!!ここ!!」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」」

 

「「あッ!?」」

 

全員がまだ首を傾げる中、ダイヤとウラタロスだけはそれに気づいた。

 

「ダイヤさんと青い怪人さんは気づきましたか……そう、マルは生まれ【る】と言っているのです!!」

 

「「「「「「「「え、どういう事?」」」」」」」」

 

「言葉が過去形ではないんですの!!」

 

「つまり、その時点ではまだ起きてないって事だよね?」

 

「「「「「「「「え…ええッ!?」」」」」」」」

 

そう、花丸の言葉は過去形ではなかった。つまり、あの時まだパラドは生まれていないという事なのだ。

 

「本当はパラドさんに黙っててって言われてたけど、あの時は非常時だったから…」

 

「ま、何時かは話そうと思ってたけどな。」

 

「じゃあ、パラド君は誰のバグスターなの!?」

 

曜の問いに、パラドは答える。今まで隠してきた真実を…

 

「俺は……【未来の一誠から分離したバグスター】だ。」

 

「未来の俺……だと…」

 

驚く一誠の顔を見ながらパラドはポツリポツリと話し始める。自分の秘めていた事を。

 

「ああ……俺は最初、一誠とは敵対関係だったんだ。」

 

その言葉にダイヤ達は信じられないといった顔をする。今までの彼を見てると、敵だったなど思えないのだ。

 

「お互いに何度も何度も戦い、時には共闘したりもしてその過程で俺は一誠の遺伝子を手に入れてバグスターなのにレベルアップ出来る様になった。その後も幾度となく戦いお互いをライバルと認め合って…そして最後の戦いを始めようとした時……アイツが現れたんだ…!!」

 

話す彼の顔は怒りを露にしつつも、その体は小刻みに震えていた。まるで恐ろしい(かたき)であるかの様に…

 

「奴は強く俺達は手を組んだ。しかしその強さになすすべもなく毎回やられるだけ……だが、ヴァーリが作ったハイパームテキのお陰で戦局は覆った。でもそれに憤慨した奴は……卑怯な手段とラスボスの力を手に入れる事で更なる力を持ったんだ。そのせいで仲間は一人、また一人と消滅していき…最後には一誠も…」

 

(頼むパラド…!!俺達の…未来を…!!)

 

(解ってるッ!!!!でも今は自分の心配を…!!)

 

(へ…頼んだぜ…)

 

(おいイッセー?イッセェェェェェェェェェッ!!!!)

 

そこで彼は思い出す…自身の半身とも呼べる男の最後を…

 

「これが俺が完全体の理由だ。」

 

「そんな…!!」

 

その話に全員が絶句する。自分達の未来が最悪の結末だと知ればそうなるのも頷ける。

 

「ではどうやって過去に?」

 

「俺は敵討ちの為にその敵と戦っていたら、突如割けた空間に引き込まれて気づいたらこの時代にいたんだ。」

 

「敵って一体…?」

 

コハナがその敵について訪ねると、パラドは体を震わせ拳を強く握るだけで答えなかった。

 

「もともと劣勢だったんだ。それでここに来たら周囲の情報から過去だと知った俺は動いた。あんな未来を越させない為に…!!」

 

「なるほど、君はその敵に支配された未来を変える為に動いていたのですね……しかし、君の存在が最悪の事態を招いてしまったんです。」

 

「最悪の事態?」

 

オーナーの言葉に疑問が深まるパラド。その答えをオーナーが告げた。

 

「君が過去を変え過ぎた事で、時間が分岐してしまったのです。」

 

「時間が分岐?」

 

「本来、この時間が進む未来は別物でした……しかし、君が過去を変えた事で未来は分岐した方を選択した。」

 

「だったら何ももん…「ですが。」ッ!?」

 

パラドの言葉をオーナーは杖を突き付けて遮る。

 

「本来の未来にいた君という存在が過去にいる事で消える筈の確定されなかった未来が、すぐに消滅しなかったんですよ。そして緩やかに消滅が始まりつつも増していく負のエネルギーが外に漏れ始めている…」

 

「このままだと……どうなるんですか?」

 

コハナの言葉にオーナーは一口チャーハンを食べ…

 

「バグスターウィルスが他の時間にまで感染する…つまりパラド君のせいでこのままでは、全ての時間を巻き込んだパンデミックになってしまいます。」

 

最悪の未来の訪れを告げた。

 

「オレの……せいで…!?」

 

その事実に崩れ落ちるパラド…自分のしてきた行為が未来を助けるどころか、他の時間にまで災厄を飛び火させてしまったのだ。

 

「たくよぉ…だからその尻拭いに俺達が動いてんだよ。ありがたく思ってプリン寄越せ。」

 

「黙ってなさい!!」

 

「フガッ!?キュ~…」

 

「それよりも問題は、どうやってその未来に行くかだよね。ボクたちが行こうとしても分岐した未来はレールが繋がってないし…」

 

「それやったらレールを曲げて、無理やり繋げるってのはどうや?」

 

「無理だよクマちゃん、ボクそれやろうとしたけどあのレール、スッゴい固くてびくともしなかったもん。」

 

「やろうとしたんだ…」

 

「だったらギュインギュインのズドドドドドドで…!!」

 

「果南さん、擬音ばっかりで中身がさっぱりですわよ…」

 

「それだったら問題ない。」

 

全員で分裂した未来への行き方を模索していると、テディが既に考えがあるようにパラドを指差した。

 

「彼はその未来から来たのだから、彼にチケットを翳せばその時間へのレールを繋げられる筈だ。」

 

「「「「「「あ、そっか。」」」」」」

 

早速良太郎がチケットをパラドに翳すと、仮面ライダーパラドクスの絵と日付が浮かび上がる。それは今の時代よりも10年先の未来だった。

 

「本当に未来の日付だわ…」

 

「よっしゃ良太郎!!早速行くぞ!!」

 

「うん。」

 

モモタロスと良太郎は先頭車両へと駆け足で向かっていく。更に幸太郎とテディは出口へと歩みを進める。

 

「あれ、幸太郎はどこ行くの?」

 

「俺はオーナーからの頼まれ事があるから、一旦別行動をとるよ。」

 

「では皆さん、また。」

 

そう言って車両を出ていった。そこで今まで何も言わなかった一誠がオーナーを見ながら口を開いた。

 

「…………おい爺さん、その未来の影響を無くす方法はあるのか?」

 

「時間の消滅は緩やかですが既に始まっています。出来るとしたら消滅までにそのラスボスとやらを倒して、時間への影響を最小限に留めるしかないでしょう。上手くいけば、パンデミックは防げるかもしれません。」

 

「なら簡単だな……俺も連れてけ。」

 

「ちょっと、イッセー君ッ!?」

 

そこに一誠が自分も参戦すると口にし、曜が驚いた。

 

「理由を聞いても?」

 

オーナーの言葉に、一誠は未だに床に踞っているパラドに視線を向け…

 

「アイツには随分と世話になったからな……こんな時に何もしねぇ程、俺は恩知らずじゃないんでね。」

 

「ですが、これからはかなり激しい戦いになりますよ?」

 

「むしろ臨むところだ。」

 

「はぁ…もう何を言っても止まらないか。」

 

それを聞いていた果南はため息を吐き…

 

「だったら私も行くよ。イッセーのストッパー役も必要だしね。」

 

そう言って自分も付いていく事にした。

 

「私も行くよ!!」「マルも!!」「ルビィも!!」「当然、私もですわ。」

 

更に曜達も付いていくと言い始めた。一誠は止めようと思ったが、長い付き合いで果南達が自分の言葉で止まる訳がないと理解してしまったので、自分が守ると心の中で誓った。

 

「…………本来でしたら、チケットのない者を乗せる訳にはいかないのですが、今回は非常時ですので特別に許可しましょう。」

 

オーナーが許可すると同時に車両が少し揺れ、発進し始める。これからデンライナー(コレ)が向かうのは最悪の未来。そこがどれだけ酷い世界なのか…彼等はまだ知らない。




いかがでしたか?

はい、実はパラドは未来から来たのでした~!!

35話のやつに気づいてた読者はいたのかな?

では次回で、お会いしましょう。


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暗黒のFUTURE

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアXDの一周年イベントをやり込んでて遅くなりました…

ビルドって色んな所に伏線仕込んでますよね。第一話のスマッシュにされた男とか…あんな風に作品作ってみたい(切実)

では本編、どうぞ。


デンライナーに乗って約1時間…各々好きな事をして時間潰し(という不安解消)をし、ようやくパラドがいた未来に到着した。

 

「さて、どんな世界か早速拝みに行くとするか!!」

 

「センパイ、無闇に突っ走らないでよ?」

 

「俺はイノシシかッ!?」

 

「まだイノシシの方が頭ええやろ?」

 

「おいクマッ!!どういう意味だ!!」

 

「やーいやーい!!モモタロスのおバカー!!」

 

「こんのぉ…!!待ちやがれ、小僧オオォォォッ!!」

 

「緊張感のない怪人達ですわね…」

 

他の人達が不安を抱える中、さっきと同じ様に車内で暴れているモモタロス達(既に全員自己紹介済み)にダイヤは呆れていた。

 

「そうだね…でも、とっても仲良しなんだよ。」

 

「「「「どこがッ!!」」」」

 

「ほらね?」

 

良太郎の言葉に4人揃ってツッコむ姿は、確かに仲良しに見えなくもない。

 

「そんな事より、あの子達はもう降りてるよ?」

 

「え?…あああああッ!?いつの間に!!先越されちまったぁッ!!」

 

そんなコントをやっている間に、一誠達は先にデンライナーを降りて周囲を確認していた。

 

「ここ……駒王町?」

 

「かもな。知ってる建物がチラホラある。けど…」

 

彼らがいる町は確かに駒王町であるが、どうしても確信を持って言えなかった。何故なら建物の約8割が破壊されているのだから。

 

「酷い…」

 

「この町で一体何があったの?」

 

「おい!!何勝手に出て……うおッ!?なんだこの有り様はッ!?」

 

「ほとんど廃墟だね…」

 

「町がメチャクチャや。」

 

「スッゴいボロボロだー。」

 

「これが…未来の駒王町?」

 

「とにかく進むぞ。ここでジーっとしててもドーにもならねぇ。」

 

「おい、テメェが仕切ってんじゃねぇ!!」

 

一誠の指示にモモタロスが若干の反発をしつつもついていく。この町の地理は一誠達の方が詳しく、とりあえずの目標として駒王学園を目指すことにした。

 

「何で学園に?」

 

「彼処はこの町の管理を自称してる奴等の拠点だからだ。アイツ等なら何か知ってるだろ。」

 

イマジン達も引き連れて歩く事数分、駒王学園とおぼしき建物が視界に入った。建物自体は周りと同じでボロボロだが、校門前にはバリケードが作られ建物を囲む塀の上には有刺鉄線が張り巡らしてあるなど、一種の要塞みたくなっていた。

 

「こりゃ、誰かいるな。」

 

それを見て人がいると確信した一誠が歩を進めようとした時、何かの発砲音の後に足下で火花が散る。その音が聞こえた方を向くと、先程戦った色違いのリボルとアランブラがいた。

 

「なんでバグスターさんが彷徨っているの~!?」

 

『まだ人間がいたのか。早速オレの魔法の実験台にしてやろう。』

 

『これより作戦(ゲーム)を始めるであります!!』

 

「ちッ…後少しだってのによ!!パラドッ!!」

 

「ああッ!!」

 

自身に拳を向ける一誠にパラドも同じく拳を出してぶつけ合わせ、一誠の中に入る。

 

「おいッ!?それは俺らの専売特許だぞ!!真似してんじゃねぇ!!」

 

それを見たモモタロスは物真似されたと思い、良太郎の中に入る…

 

「俺、参「おいモモの字、今度は俺にやらせろ!!」上!!……っておいコラ!!何しやがるこのクマ!!」

 

が、決めポーズの途中でキンタロスが割り込み、モモタロスを外に弾き出して代わりに良太郎の中に入った。

 

「ぬあァァァァァッ!!スゴく中途半端~♪」

 

「何で楽しそうに言うの?」

 

そんなモモタロスを尻目に、一誠と良太郎がドライバーとベルトを出そうとした時、リボル達の体に火花が散った。

 

「あ?」

 

そこに視界の右端に走ってくる黒髪短髪の男の子と同じく黒髪ツインテールの女の子がいた。歳は14くらいの二人の腰にはゲーマドライバーが巻かれ、男の子の手にはガシャコンソード、女の子の手にはガシャコンマグナムが握られている。

 

「行くぞ【美桜(みお)】!!」『タドルクエスト!!』

 

「うん!!【桜馬(おうま)】!!」『バンバンシューティング!!』

 

そして反対の手で持っていたシングルタイプのガシャットを起動させる。

 

「術式レベル2!!」「第弐戦術!!」

 

「「変身ッ!!」」

 

『『ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!!』』

 

『タドルメグル!!タドルメグル!!タドルクエスト!!』

 

『ババンバン!!バンババン!!(yeah!!)バンバンシューティング!!』

 

その二人はヴァーリと梨子が変身するブレイブとスナイプに変身したが、彼等の様にゲーマを纏わない素の姿だった。

 

(あれは…桜馬と美桜ッ!?)

 

「パラド、お前の知り合いか?」

 

(クロノスに対抗するレジスタンス組織のメンバーで2代目ブレイブとスナイプであり、俺の仲間だ!!)

 

『なんだ、ブレイブとスナイプか…雑魚に興味は無いのだがな。』

 

アランブラの言葉の通り、ブレイブ達の使っているガシャットのレベルは2。なお、リボル達は限界突破している状態である。そんな力量差の相手に突っ込んで行くとどうなるかは子供でも解る…

 

『シビ・レール!!』

 

「「うわああああああッ!?/きゃああああああッ!?」」

 

『『ガシューン。』』

 

そう…まるで蚊を払うかの様な仕草の攻撃で、意図も簡単に変身解除されてしまった。

 

「ちッ…やるぞパラド!!」『カイザードラグーン・ダブルナーイツ!!』

 

(ああッ!!心が滾るぜ!!)

 

『ダブルガシャット!!』

 

「カイザー大変身!!」

 

『ガッチャーン!!ダブルアーップ!!赤と白の‼二人の戦士‼(we're!!)何度も何度もぶつかり‼(Hey!!) ダブルナーイツ‼』

 

「「オラァッ!!」」

 

『『グギャアッ!?』』

 

一誠とパラドはレベルXになって分離すると、すぐさまバグスター達へと突撃し蹴りを喰らわせて吹き飛ばした。

 

「あ、貴方達は…」

 

「無事か!?桜馬!!美桜!!」

 

「その声…パラドさんッ!?今まで何処に…!!」

 

「後で話すから下がってろ。アイツらは俺達がやる。」

 

「ほら、こっちに!!」

 

倒れた二人をコハナが回収していくのを見届けて、2体に向き合う。

 

「おっと、オレらも忘れてもらっては困るで!!」

 

そこにキンタロスが入った良太郎も並び立ち、腰にベルトを巻くと黄色のボタンを押しパスを翳す。

 

「変身!!」

 

『AX FORM』

 

そしてアーマーを纏っていくが、ソードフォームとは前後逆で顔は漢字の【金】と斧を合わせた様な感じの姿になる。

 

「俺の強さにお前が泣いた!!」

 

そして顎に右手親指を添えながら首を鳴らし、デンガッシャーを組み立てアックスモードにして肩に担いだ。

 

「行くぞ!!」

 

電王が変身し終えるのを見た一誠は、ブースターを吹かしてアランブラへと向かいパラドも後を追っていく。

 

「ほんならオレらはアイツか!!」

 

『なんだか知らんが…蜂の巣になれ!!』

 

 

 

 

 

パラドside

 

俺は先頭を行くイッセーの後を追い、すぐに追い抜いてその前に出る。

 

『これで落ちろ!!モ・エール!!』

 

それをアランブラが黙って見ている訳でもなく、魔法で攻撃してくるが俺には関係ない。その攻撃を【反射】の能力でアランブラへと跳ね返した。

 

『なにッ!?ギャアアアアアアアアッ!?』

 

『ガシャコンキーブラスター!!』

 

俺はここでキーブラスターを出して一度空へ飛翔。そして俺の下を潜ったイッセーがアランブラの顔面に籠手のブースターで加速した拳をめり込ませた。

 

「オゥラアッ!!」

 

『ゲブゥッ!?』

 

『ガシューン、ダブルガシャット!!キメワザ!!』

 

地面をバウンドしながら吹き飛ぶアランブラを見つつ、俺はベルトからガシャットを抜いてキーブラスターのスロットに装填する。するとキーブラスターが2つになり、片方がイッセーの手に収まる。

 

『『KAISER DRAGOON!! CRITICAL FINISH!!』』

 

そして必殺技を発動させ、イッセーがすれ違い様に横一閃に切り裂き、俺も急降下の勢いを乗せたキーブラスターで縦に真っ二つに切り裂いた。

 

『グゥ…!!しかし、この程度では倒れんぞ!!イ・エール!!』

 

だが、アランブラは回復魔法を発動させて傷を癒してしまった。

 

厄介な奴だぜ…それだったら!!

 

「イッセー!!」「ああ!!」

 

それだけでお互いに何をやるか理解し、同時にガシャットをベルトから抜いてギアデュアルを取り出す。

 

「「マックス大変身!!」」

 

『『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!マザルアップ!!(セイヴァー・サバイバール!!/パーフェクト・ノックアーウト!!)』』

 

俺達はレベル99になり、すぐにベルトを閉じて開いた。

 

『『ガッチョーン、ウラワザ!!ガッチャーン!!(SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!/PERFECT KNOCK OUT!! CRITICAL BOMBER!!)』』

 

そして同時に飛び上がるとアランブラの顔面にライダーキックを喰らわせた。

 

『ブギャアッ!?だ、だがまだだ!!イ…』

 

「させるかよ!!」『ズキュ・キュ・キューン!!』

 

「そういう事さ。」『ガシャコンパラブレイガン!!』『ズ・ガーン!!』

 

それでも倒れなかったアランブラだが、回復させない為にキーブラスターをイッセーに渡し、俺はパラブレイガンを出して爆発するまで射撃を行う。こうすれば魔法なんて唱えられないだろ?

 

『ギャアアアアアアアア‼️』

 

そして限界を迎えたアランブラは爆散した。

 

「ドリャア!!」

 

電王の方もリボルの弾丸を物ともせずに歩き、間合いに入ったら持っていた斧で思いきり切りつけた。

 

「てかアイツ、攻撃喰らって痛くないのか?」

 

『ええい…こうなったら、出でよ兵隊達!!』

 

リボルはそこで不利を悟ったのかバグスター兵達を呼び出した。

 

「数が増えた所で、オレの敵やn「クマちゃん、今度はボクの番!!」ってリュウタッ!?ちょま…!!」

 

だが電王は怯まずに戦おうとしたら、紫の怪人……確かリュウタロスだったな……それが電王に取り憑くと、黄色のキンタロスが弾き出されてしまい、電王の方は紫の龍の仮面に両肩に宝玉を掴んだ龍の手を模した銀と紫の装甲を身に纏った姿となった。

 

てか、取り憑くとフォームが変わるとか面白過ぎだろ!!俺達バグスターはそんな事出来ないからなぁ…

 

「まだ早いやろ…」

 

「お前、倒すけどいいよね?」

 

『お前ごときに倒され…』

 

「答えは聞いてない!!」

 

『ウギャアッ!?』

 

電王の問いかけに律儀に答えようとしたリボルだったが、途中でデンガッシャーを組み換えた銃で攻撃されて遮られていた。

 

その上質問しといて問答無用で攻撃とか、イイ性格してるぜ!!

 

「お前達も邪魔だよ!!」

 

そう言ってまるでストリートダンスを踊るかの様な動きでバグスター兵達を惑わし、そこで生じた隙に銃を撃ち込んで次々に倒していく。

 

「これで……終わり!!」

 

残った最後の1体は眉間に銃口を押し当てられ、両手を上げて降参したが敢えなく撃たれて消えていった。

 

「へへーん!!それじゃ次はおま「はいリュウタ、そろそろ交代♪」うわッ!?」

 

バグスター兵を全て倒し終えた電王がリボルに挑もうとしたら、今度は青のウラタロスが中に入ってリュウタロスを押し出す。

 

「何すんのさ、カメちゃ~ん!!」

 

「つーか、変身者の意思…」

 

そんな事を呟いてみとくが、誰も答えなかった…

 

「お前、僕に釣られてみる?」

 

『釣れるものなら釣ってみろ!!』

 

海亀を模した仮面にショルダーアーマーを装備した青い電王はデンガッシャーを組み換え、長い槍の形に変えた。

 

あの武器自由自在でいいな…後で貸して貰うか!!

 

俺はあの武器の汎用性に心を奪われつつ、勝負を見守る。

 

青い電王はロッドの間合いを保ちつつ、リボルの銃口を反らしては蹴りやロッドを巧みに駆使して隙無く攻めていく。

 

他の奴等と違ってアイツは頭脳派なのか。

 

気づけばリボルは地に膝を着いて、呼吸を荒くしていた。

 

『わ、我輩がこんなところで…』

 

「さて、そろそろ三枚に下ろしますか。」

 

『FULL CHARGE』

 

ベルトにパスを再度翳してエネルギーをロッドに集めると、電王はそれをリボルへと投げた。動けずに喰らったリボルの前に雪の結晶を模した物ができ、電王はそれにライダーキックを叩き込んで砕きながらリボルを蹴り飛ばした。

 

『作者よ……我輩の扱い悪くね…?』

 

リボルは謎の遺言とともに爆散した。

 

「仕方ないよ……君、ギャグキャラだからね。」

 

ベルトを外すと良太郎とウラタロスは分離した。

 

「もう…皆、僕の体で遊ばないでよ…」

 

「まあまあ、敵は倒せたんだし良しとしようよ?」

 

「そうだけどね…」

 

「オレのクライマックスが…トホホ…」

 

不満そうな良太郎をウラタロスは宥めるけど、良太郎はそこまで嫌そうではなく、むしろ相変わらずだなといった顔をしている。

 

そこには確かな絆があるんだと俺は感じた。例え何があろうとお互いを信じられる最大級の信頼が。

 

(あれを見てると思い出すな…俺とこの時間のイッセーが初めて共闘した時を…)

 

あの時はお互いに何も言わずとも、どう行動するのかすぐに解った。お陰で普段なら苦戦する相手を余裕で倒せたし。でも、この時間のイッセー達はもういない…数多の仲間とともに消滅してしまった。

 

(だからこそ、この未来だけは消し去る…!!こんな悲しみを広めない為にも…!!)

 

変身を解除した俺は改めて決意を固め、先程倒れた桜馬達の所へ向かった。

 

「二人とも、大丈夫か?」

 

「はい、ありがとうございます!!」

 

「……今さら何しに来たのさ…」

 

俺の言葉に美桜は素直に返事するが、桜馬は鋭い目で睨み付けてきた。その目には怒りが込められている。

 

「ちょっと桜馬ッ!!」

 

「一人で勝手に行動していなくなって……アンタのせいでレーザーとゲンム、エグゼイドは死んだんだッ!!!!」

 

「ッ!?あの三人が…!!」

 

その言葉は俺に強く響いた。共に戦った仲間の三人が消滅してしまったなんて……

 

「仕方ないでしょ!!私達のレベルじゃ対応出来なかったんだし…!!」

 

「でもアンタがいれば、三人が死ぬことは無かったんだ!!」

 

「そ、それは…」

 

「俺はもうアンタを仲間とも思わない!!とっとと消えろ!!」

 

そう言って桜馬は駒王学園に走って入っていってしまった。

 

「ごめんなさいパラドさん…桜馬のバカが失礼な事を…」

 

「お前が気に病む必要はないさ、勝手にいなくなったのは事実だしな。」

 

あの時の俺は復讐することしか頭になかった……けど、こうも面と向かって言われるとさすがに心にくるな…

 

「ところで……こちらの皆さんは?一人はパラドさんの相方さんに似てますけど…それにあの怪人達は大丈夫なんですか?」

 

美桜は後ろにいる一誠達を見ながら尋ねてくる。

 

そういえば、ほとんどの奴等が美桜達と会う前に消滅してるんだったな…イマジン達については、本人達に話してもらおう。

 

「それについては中で話す。ここだとまた襲われるしな?」

 

「そうですね……わかりました。皆さん、ついてきてください。」

 

美桜の案内でバリケードのトラップの無い部分を通り抜け、校庭に入っていく。俺はそこで懐に入れていた写真を取り出した。

 

……すまない、俺のせいでお前達まで消滅させてしまって…!!

 

「何を見てますの?」

 

そこにダイヤが写真を覗き込んできた。

 

「ん?俺が過去に行く前に撮った写真さ。俺に桜馬と美桜達ライダーが揃った…………唯一の写真だ…」

 

「そうでしたか…」

 

そういえばまだ過去で会ってなかったな……2代目レーザーの【元浜】、2代目ゲンムの【松田】、2代目エグゼイドの【匙】は……

 

「あッ!!姉御~!!」

 

そこでたくさんの子供を引き連れる人物を見つけた美桜は、手を大きく振りながら駆け寄っていった。

 

そしてその姿を見たダイヤ達は、目を大きく開いて口をあんぐりと開けていた。

 

お前ら、可愛さ台無しだぞ……

 

「こら、姉御って呼ばないでって言ってるでしょ?」

 

「ゴメーン♪そうだ!!パラドさん帰って来たよ!!他にも人を連れて!!」

 

「本当ッ!?」

 

美桜の言葉に姉御(笑)がこっちを見るが、その顔は小さな驚きの後、目から涙を流した。

 

そりゃ、時間が違うとはいえ久々の再会だ…

 

「曜ちゃん…果南ちゃんに花丸ちゃんにルビィちゃんにダイヤさん……それに兵藤君?」

 

「「「「「ち……千歌ちゃん!?」」」」」

 

そう、この時間の【高海千歌】からしたらな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「これはこれは…懐かしい気配だな…」

 

「いかが致しましょう…【クロノス】様?」

 

「フム……今回は私自ら出よう。やりたい事があるのでな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、現代のルシファー家では1人の神(自称)がパソコンを操作し、2つのガシャットに色がついた所だった……

 

「ヴェハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!ようやく完成したぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

「うるさいわよ!!…で?今度はどんなガシャットが出来たの?」

 

その笑いを間近で聞いて耳が痛む善子は、苛立ちながら聞いた。

 

「よくぞ聞いてくれた!!エールの強化ガシャット【サンシャイントップスター】と暴走サーキットの力を最大限引き出しつつも制御可能にするガシャット【タドルパラディン】だッ!!!!」

 

「うっそ!!マジで!?」

 

高笑いしながらガシャットを善子に見せつけるヴァーリの両手には、マイティシスターズと同じタイプのガシャットが2つ握られている。片方には太陽を背に歌う1人のアイドルが描かれ、もう片方には神々しい盾と禍々しい剣を装備した騎士が描かれていた。

 

「こんな早く出来るなんて…」

 

「何度も言っただろうが!!神の才能に不可能は無いとぉッ!!」

 

「へぇ…アンタの才能、スゴいんだね?」

 

「「ッ!!!!」」

 

そこに突如、見知らぬ男と怪人が現れてヴァーリと善子はすぐに距離を取るも、その相手を見てヴァーリは驚いた。

 

「野上……幸太郎…!!それにテディ!!」

 

「あれ?俺達を知ってるんだ…少しは有名になったって事かな?」

 

「ちょっとヴァーリ!?アイツ誰よ!?」

 

「アイツは…「た、大変だよ!!外にいきなり電車が…って誰!?」千歌達か…」

 

ヴァーリは善子に彼の事を説明しようとした時、千歌達が転移で部屋に現れ、幸太郎達を見て驚きつつもドライバーを取り出した。

 

「待ってください!!こちらに戦う意思はありませんので。」

 

「いきなり押し掛けてきて、信じられるとでも?」

 

「その無礼は謝ります。しかし、こちらも緊急事態なのです。」

 

「緊急事態だと?」

 

テディのその言葉が引っ掛かったヴァーリ。これは話を聞いてもらえるチャンスとテディは今起きている事を彼らに話した。

 

「なるほど…未来でそんなことが…」

 

「だから協力してくれないか?この世界の時間を守るためにも…!!」

 

「………………わかった。ただし、少し時間を貰うぞ。」

 

そう言ってヴァーリは再びパソコンに向かい、なにかを始めた。

 

「いいけど……あまり余裕は無いぜ?というか、何作ってるんだ?」

 

「俺を誰だと思っている?そんなに時間は取らせんさ…!!そしてこれは万が一の時の取って置きだ。」

 

幸太郎の問いに楽しそうとも、狂ってるとも取れる笑みを浮かべながらヴァーリはそう答えた。しかし、それでも多少の時間は掛かってしまう…そこでヴァーリはある事を思い出した。

 

「そうだ…時間が無いのなら、ウチの【第二部隊】を先に連れていくか?」

 

「第二部隊?」

 

この第二部隊は最近、幻夢コーポレーションに入ったメンバーで構成されており、グラファイト達の地獄の特訓を乗り越えてきた猛者達である。

 

「ああ、力量はお墨を付けてもいい。役に立つぞ?」

 

「なら、頼めるか?戦力は多い方がいいし…」

 

「解った。連絡するから少し待っててくれ。」

 

ヴァーリの連絡の後、5人の女子と2人の男子がやって来て、幸太郎は一度、彼らと共に一誠達がいる未来へと向かっていった。




いかがでしたか?

うーん、後半雑になってるなぁ…後で修正入れよう。

そろそろ、最初の大規模戦闘を始めますかね…

では、次回でお会いしましょう。


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Disasterの襲撃

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアxdで水着響に66連したけど全く当たらなかった……その上、水着調と水着切歌まで出ると知って絶唱顔になりました…

私の近況はこの辺で……今回から本格的にバトル要素が増えていきます。更にはオリジナルバグスターも出てきます。

どんなバグスターかは本編をどうぞ。


「ゴメンね、みっともないところ見せちゃって…」

 

「私、姉御があんなに泣くの見たの、初めてだよ。」

 

「もう、忘れてよ!!それと姉御って呼ばない!!」

 

「ゴメンゴメン、あ!!そう言えば自己紹介まだでしたね。2代目スナイプやってます【御堂 美桜】です!!」

 

「「「あ、どうも。」」」

 

過去のメンバーと未来の千歌の出会いの後、そのまま泣き出してしまった千歌を何とか慰め、千歌の周りにいた子供達の世話をルビィと花丸と曜、コハナとイマジンズに任せ、とある空き教室に集まった。

 

「美桜、悪いけど子供達の方お願いできる?初めての人達ばかりだと皆不安だろうし…」

 

「アイアイサー♪」

 

千歌の頼みに美桜は敬礼の様なポーズをとって部屋から出ていった。

 

「さて…そろそろこっちの現状とかを説明するぞ?」

 

美桜が出ていってからパラドは今の状況を彼女に説明する。未来の分岐の事や一誠達が過去から来た事…そしてこの未来が他の時間に及ぼす影響についての全てを…

 

「そっか…パラド君には大変な思いをさせちゃったかな?」

 

「気にするな。俺がやりたくてやって…それで起こした事態だ…」

 

説明を受けて千歌は自分達の時間がもたらす被害に、パラドは自身の仕出かした事の大きさを痛感して顔をうつむけてしまう。このままでは話が進まないと思ったダイヤは話題を変える事にした。

 

「それにしても……千歌さん、先程の子供達は?」

 

「あの子達は皆【仮面ライダークロニクル】で家族を亡くした子達なの。それを私が引き取って、ここで育ててるんだ。」

 

「仮面ライダークロニクル?何なのそれ?」

 

「クロノスが変身に使用するガシャットであり、始めたゲームだよ。簡単にいえば…バグスターVS人間の戦争ゲーム…」

 

「……クロノスのゲーム…!!」

 

そう説明する彼女の顔は怒りの表情を抑えきれておらず、視線が鋭くなるのを見てダイヤは息を飲む。彼女の知っている千歌は、明るくちょっとドジっ子な感じなのだが、今はその面影は見る影もない。

 

「この戦争で既に人類の9割半が……この世から消滅してしまったの…」

 

「戦争……でも、ゲームなら対抗策もあったんじゃない?」

 

「果南ちゃんの言うとおり、その仮面ライダークロニクルのガシャットで【ライドプレイヤー】っていうのに誰でも変身できて、戦う事が出来たの。でもクロノスはバグスター達のレベル上限を無くしたり、エナジーアイテムを独り占めしたり……更にはガシャットで変身した人達をゲーム病になるように仕組んだりと、元から真面目にゲームをやる気なんて無かったんだよ!!」

 

その時の怒りが甦ってきたのか、声を粗げて立ち上がり机を激しく叩く。それほどまでの悔しさと、クロノスへの怒りが今の彼女を物語っていた。

 

「だが、テメーなら話は別だろ?ハイパームテキを使えば、抗えた筈じゃないのか?」

 

「…………私が使えれば…だけどね…」

 

しかし、一誠の言葉でさっきまでの怒りは何処にいったのか、大人しくなる所か力無く椅子に座り、全てに絶望した様に意気消沈してしまった。

 

「どういう事だ?」

 

「…………美歌がクロノスに殺されたの…」

 

「「美歌がッ!?」」

 

その事実はとても大きな驚きを彼女達にもたらした。美歌の強さは彼女達もよく知っているし、コンティニューという裏技があるのに、どうやって彼女を殺せたのか…

 

「さっきも言ったけど、エナジーアイテムをクロノスに独り占めされて…美歌はライフを回復出来なくなったの。そこからは私達に陽動のバグスター達をけしかけて足止めさせて、その間にライフが無くなるまで殺され続けた…!!」

 

千歌の話から、クロノスは美歌と彼女達を分断させ、孤立したところを襲撃したのだ。

 

その陽動を受けていた時、美歌のライフは50近く残っていた。だが、千歌が駆けつけた時には既に……彼女のライフは無くなっていた。

 

(ごめんなさいね……最後まで一緒に…戦えなくて…)

 

(イヤだ…死んじゃヤだよ…!!美歌ァ!!)

 

(泣かないの……後は…一人で…………頑張っ…)

 

(美歌…?美歌…!!美歌ァァァァァァァッ!!!!)

 

粒子となって消える自身の半身を繋ぎ止めようと手を伸ばすも、掴めたのは粒子の一粒だけ…それもすぐに消えてしまった。

 

それを思い出し、右手を爪が皮膚に食い込むほど強く握る。

 

「そして美歌は私の中のバグスターウィルスの抗体も体に使っていて、消滅と同時に私の中の抗体まで消えた…だから…」

 

抗体が無くなる……ゲーマドライバーを使うライダーにとって、それは致命傷ともいえるものだ。つまり彼女はもう…

 

「私はもう……エグゼイドになれない…」

 

そう言って彼女はマキシマムマイティXとハイパームテキのガシャットをテーブルにゆっくりと置いた。

 

「だからこれは宝の持ち腐れなの……本当ならこれを使えるかもしれない人、匙君に譲りたかったけど、その前にクロノスに……消滅させられた…」

 

だからこそ、2代目エグゼイドだった匙にそれらを渡そうとした千歌だったが、それをさせまいとするかのようにクロノスによって倒されてしまい、希望は潰えてしまった。

 

「でも、それはクロノスがハイパームテキをまだ恐れてるって事じゃ…」

 

「だと思う…でも、使えなかったら意味無いし…」

 

「じゃあどうやって倒せばいいんですの…!!」

 

浮かばない解決策に、周りの空気が重苦しくなってくる。こうなっては思考の泥沼に嵌まってしまうだけだ。

 

「まずは皆落ち着こう?…ここでこうやって話してても煮詰まっちゃうだけだし、一回休憩しようか。」

 

「…だな。」

 

良太郎の提案に、まだ冷静さが残っていた一誠が賛同する事で空気が何とか和らいだ。

 

「じゃあ子供達の所に行かない?花丸ちゃん達はまだしも、え~と…タロスズだっけ?…に、子供達が脅えてないか心配だし…」

 

「「あ~…」」

 

千歌の言葉に頷く果南とダイヤ。イマジン達は性格は優しいが、見た目は怪人…子供達が震え上がっている姿が容易に浮かんでしまった…

 

という事で子供達が遊んでいる教室に向かう一向。そして一誠が扉を開けて視界に入ったのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ル「皆を応援!!元気のプリキュア!!キュアエール!!」

 

花「皆を癒す!!知恵のプリキュア!!キュアアンジュ!!」

 

曜「皆輝け!!力のプリキュア!!キュアエトワール!!」

 

コ・美「「皆大好き!!愛のプリキュア!!」」

 

コ「キュアマシェリ!!」

 

美「キュアアムール!!」

 

「「「「「「「わあ~!!」」」」」」」

 

「「「「「「…………(ポカーン)」」」」」」

 

タロスズや子供達の前で某少女向けアニメの変身シーンの動きを真似……しかも、完コピしているルビィ達であった。

 

「え~と……コハナさん…?」

 

「へ?……り、良太郎ッ!?それに皆!?」

 

「「「えッ!?」」」

 

「あ、姉御。どうだった?私達のプリキュアポーズ♪」

 

「スゴーい!!完璧だったよ!!」

 

「えっへん!!」

 

この時代の千歌と美桜はよくやってるのか特に反応は無かったが、ルビィや花丸に曜といった過去組にコハナがそんな事をやるとは思わなかった良太郎達はしばし、固まってしまう。

 

「ち、違うの良太郎ッ!?これは美桜さんや子供達にどうしてもって頼まれたからで…!!」

 

「何言ってやがる、自分から進んでやってt「フンッ!!」ウギャアッ!?」

 

恥ずかしさで顔を真っ赤にしつつも弁明しようとしたコハナに追い討ちをかけるモモタロス。だが、最後まで言う前にコハナの拳によって沈められた。

 

「センパイ、口は災いの元だよ?」

 

「お前が……言うんじゃ…ねぇよ……(ガクッ)」

 

「いや~、子供達は元気が一番や!!」

 

そう言うキンタロスは両腕に3人ずつ、計6人をぶら下げてクルクル回り…

 

「じゃあさ、次はこれを書こーよ!!」

 

リュウロスは数人とお絵描きしていた。しかも誰1人モモタロス達を怖がらず、楽しそうに遊んでいた。

 

「怪人の保育園……流行るかな?」

 

「どうなんでしょう?」

 

「ね~ね~!!おねぇちゃんたちもあそぼうよ~!!」

 

「「はいはい、ちょっと待っててね。」」

 

そんな風景を眺めていた果南とダイヤも、子供達に引っ張られてその輪に加わっていった。

 

「こんなの見てると、クロノスのせいで世界が滅びかけてるなんて……全く想像出来ないでしょ?」

 

「はい…でも、これを守る為に戦おうって思えてきます。」

 

どんなに辛く厳しい状況でも、それを感じさせない程の笑顔は…時に何よりも強い力になる。だからこそ、この幸せを壊してはいけないと良太郎は改めて心に誓う。一誠も言葉にはしないが楽しそうに笑う子供達を優しい眼差しで見ていた。本人に自覚はなく、追求したらすぐにいつもの仏頂面に戻るだろうが…

 

 

―――カランカランカラン!!

 

 

そこに、木同士を打ち合わせた様な音が部屋に響いた。

 

「ッ!?皆、早く隠れて!!」

 

それを聞いた千歌が、慌てて子供達を避難させ始めた。

 

「どうしたんですか!?」

 

「……バグスター達が来たの…!!」

 

この音は千歌達が仕掛けたトラップの1つで、侵入者を知らせる物だ。それが鳴ったという事は敵の襲来を告げているという事だ。その言葉に一誠とパラドはすぐに校庭に飛び出した。

 

『む…敵勢力発見!!』

 

校庭で二人が見つけたのは青を基調にずんぐりとした体型にモノアイ、杖を持っている【パーフェクトパズル】のバグスター【ブロック】と赤い筋肉質ボディに両手にはボクシンググローブを付け、白いハチマキを頭に巻いた【ノックアウトファイター】のバグスター【ナックル】、銀色の西洋甲冑に剣と盾を装備した【タドルファンタジー】のバグスター【ソーディア】と両肩に両腕、両手に腰や膝といった場所に砲身を装備し、くすんだ銀色に赤いラインが特徴の船の様な体の【バンバンシミュレーションズ】のバグスター【フリート】の4体がいた。

 

「?…見たことねぇバグスターだな…」

 

「アイツらは……上級バグスター!?」

 

パラドの言う上級バグスターとは、クロノスのゲーム・仮面ライダークロニクルに出るバグスターの中でも【七天柱】と称されるバグスター達であり、その強さは他のバグスターの追随を許さない。

 

『貴様らを正義の名の下に断罪する!!』

 

そう叫び、ソーディアは剣を向けてくるが状況的にどちらが敵かとても解りにくい…

 

「二人とも!!」

 

そこに良太郎も合流し、ベルトを巻き付け二人もゲーマドライバーを装備する。

 

「皆、一緒に行くよ!!」『モモ・ウラ・キン・リュウ』

 

『『デュアルガシャット!!』』

 

「「マックス大…」」

 

「「「変身!!」」」

 

『CLIMAX FORM』

 

『『ガッチャーン!!マザルアップ!!(セイヴァー・サバイバール!!/パーフェクト・ノックアーウト!!)』』

 

一誠とパラドはドラゴネスとパラドクス・レベル99に、良太郎は赤いガラケー【ケータロス】を使い、今までのと違いスーツにレールが走り、胸に転車台が付いたアーマーを纏い、顔にはモモタロスのデンカメンが付くがそれと同時に他の仮面まで現れて右肩にウラタロス、左肩にキンタロス、そして胸にリュウロスのデンカメンが装着され、最後にモモタロスのデンカメンの複眼の表面が左右にずれてオレンジ色の複眼がある姿となった。

 

「わーい!!久し振り!!でも、やっぱり気持ち悪い…」

 

「うるせぇ!!」

 

『さあ、オレとファイトするのは誰だい!!』

 

「上等だ…俺がブッ飛ばす!!」

 

我先にと突っ込んできたナックル。それをドラゴネスが迎え撃つ。

 

『魔王はこの俺が倒す!!』

 

「誰が魔王だ!!この銀ピカ野郎!!」

 

ソーディアは見た目(ここ重要)から電王を魔王と勝手に決め、それにキレたモモタロス主導の元ソーディアと剣を交える。

 

『攻撃開始!!』

 

『喰らえ!!』

 

残ったパラドクスがブロックとフリートの相手をする事になったが、上級バグスター2体を相手にするのは彼でも厳しく、頭上からのブロック爆撃とフリートの砲撃に手も足も出ずにいた。

 

「くッ!?さすがに1人で2体はキツイな…!!」

 

「なら、増援はいります?」

 

その声と共にブロック達の足下で火花が散る。

 

『ぬッ!?誰だ!!』

 

2体の視線の先…パラドクスの後ろでは、仮面ライダージュエルになったダイヤとスナイプになった美桜が揃ってマグナムを構えていた。

 

「お前ら…!!」

 

「これ以上、子供達を怯えさせる訳にはいきませんもの。」

 

「私だって、援護くらいなら出来ます!!」

 

「全く…無理するなよ!!」

 

二人はそのままフリートへと攻撃を続け、パラドクスはブロックへと専念する。だけど、スナイプは自分の力量から完全にビビっていた。

 

「でも、私じゃ上級バグスターは…!!」

 

「なら、これをお使いなさい。」

 

そんな彼女にジュエルは1つのガシャットを渡す。それはモノクロの戦闘機が描かれた黒いガシャットだ。

 

「これは?」

 

「【プロトジェットコンバット】ですわ。普通のより力はありますが、負担もキツい物です。無理にとは言いませんが…」

 

「…………それでも、子供達を守れるなら!!」

 

その負担を知りつつも守る為に美桜はそれを受けとり、ベルトのレバーを閉じた。

 

『ガッチョーン』

 

「では私も。」『ガッチョーン』

 

ジュエルもレバーを閉じ、ガシャットを起動させる。

 

『ベリアルモンスター!!』

 

『ジェットコンバット!!』

 

「X―0カラット。」

 

「試作戦術!!」

 

『『ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!!』』

 

そしてガシャットを空きスロットに挿してレバーを開いた。

 

『探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリートレジャー!!アガッチャ!!災厄を起こせベリアル!!絶望を振り撒けモンスター!!今こそ破滅の…時来たり!!』

 

『ババンバン!!バンババン!!(Yeah!!)バンバンシューティング!!アガッチャ!!ブッ飛び!!ジェット!!ドゥ・ザ・スカーイ!!フライ!!ハイ!!スカイ!!ジェットコンバーット!!』

 

ジュエルはモンスタートレジャーゲーマーに、スナイプはモノクロの戦闘機を纏い背中にはジェット推進機にガトリングを装備したプロトコンバットシューティングゲーマーへなる。

 

スナイプはそのジェット推進機で飛行し、上空からガトリングを斉射しフリートを攻め、注意がスナイプに向いたところでジュエルがガシャコンギガナイザーを手にして突っ込んでいく。

 

「これで…!!」

 

間合いまで飛び込み、ギガナイザーを叩きつけようとしたジュエルだったが、フリートの腰と膝の砲台がジュエルの方を向き砲弾を放っ。近距離だった為回避が間に合わず、ジュエルは体から火花を散らして吹き飛んでいく。

 

「く…!!まるで要塞ですわね!!」

 

『俺に死角はない。』

 

そして二人に照準を合わせて次々に攻撃してくるフリートに、二人は完全に攻めあぐねていた。

 

 

 

 

別の場所ではドラゴネスとナックルが殴り合いを続けている。だが、倍加を使いナックルの力を越えたドラゴネスが圧倒的に有利だった。

 

『中々やるじゃないか…!!燃えてきたぜ!!』

 

「俺は全然だ…もっと俺の心を燃やしてみせろォッ!!」

 

『だったら物理的に燃やしてやるよ!!』

 

ナックルは己の拳をぶつけ合わせる。すると、グローブが炎に包まれた。

 

「おもしれぇ…!!やってみやがれ!!!!」

 

『ハアッ!!』

 

「オラァ!!」

 

同時に走り出し、間合いに入ると互いに拳を突き出しクロスカウンターが炸裂した。それでも二人は倒れずに1歩下がる。

 

『お前、良いねぇ!!ここまで殴り合える奴は始めてだ!!』

 

「こっちもようやく心に火が着いたぜ…!!」

 

二人は口元の血を拭うような仕草の後、互いを褒め合う。だが、その瞳には闘志が燃え上がっている。

 

『俺の炎の拳でノックアウトしてやる!!』

 

「心火を燃やして…お前をブッ潰す!!」

 

 

 

 

『喰らえ!!』

 

「へへーん!!当たらないよーだ!!」

 

一方、ソーディアと電王は互角の勝負を繰り広げている。ソーディアの華麗な剣さばきに苦戦するも、電王もそれぞれのイマジン達の長所を生かして対抗している。今もリュウロスのダンスステップでソーディアの攻撃をかわしている。

 

『このッ!!』

 

「はいそこッ!!」

 

そしてウラタロスが剣が空振りした所を的確にデンガッシャーを喰らわせる。

 

『ええい…!!珍妙な動きを!!』

 

「お前ダンス出来ないんだ?ヤーイヤーイ!!」

 

『ナメるな!!』

 

「イダァッ!?」

 

だが、リュウロスが油断してしまった所にソーディアの攻撃が決まった。

 

「馬鹿野郎!!何やってんだ!!」

 

「だってぇ~…」

 

『隙あり!!』

 

「おっと!!」

 

モモタロスとリュウロスが喧嘩を初めてしまい、その隙を狙うソーディアだったが、その攻撃はキンタロスが左腕を動かして受け止めた。

 

『なにッ!?』

 

「どきやがれ!!」

 

『ゴフッ!?』

 

そこにモモタロスが蹴りをソーディアに喰らわせて、強制的に下がらせ体勢を立て直す。

 

『皆、必殺技で決めるよ!!』

 

「へッ!!言われなくても、そのつもりだ!!」

 

電王はベルトに付けたケータロスのボタンを押し、ライダーパスを翳した。

 

『CHARGE and UP』

 

そこから流れてくるエネルギーをデンガッシャーに集め、刀身を虹色に輝かせる。

 

「必殺…俺達の必殺技!!」

 

『なるほど…ならば、受けてたとう!!』

 

対するソーディアも剣に煌めく光を集めていく。そしてチャージが終わった二人は同時に駆け出し、中央で剣を振るう。

 

「クライマックスバージョン!!」

 

『シャインブレード!!』

 

互いの攻撃がぶつかり合い、押し切ろうと力を加えていくがどちらも1歩も譲らず、エネルギーが限界を迎えて爆発が起き、二人とも吹き飛ばされる。

 

「チィ!!なんて奴だ!!」

 

「少なくとも、モモの字よりネーミングセンスは上やな。」

 

「今、関係ねぇだろ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「セアッ!!」

 

『ヌン!!』

 

パラドクスはパラブレイガンをアックスモードで振るうが、ブロックはそれを左腕の盾であっさりと受け止めた。

 

「おい!!他の上級バグスターは何処だ!!」

 

『貴様に教える義理などない!!』

 

ブロックは上から爆撃を仕掛けてくるが、パラドクスは寸でで飛び退いて回避する。

 

(上級バグスターが4体も投入された……だったら、他にいても不思議じゃない!!)

 

彼が心配しているのは、残った上級バグスターによる不意討ちだ。今いるのだけでも勝機は薄い上、更に増援に来られては勝ち目は無い。

 

『よそ見をしている場合か?』

 

「ッ!?グアッ!?」

 

思考の海に浸かり過ぎたのか、目の前まで来ていたブロックに気づかず、横凪ぎに振るわれた杖の一撃をモロに受けてしまった。

 

『冥土の土産に教えてやろう……上級バグスターは後1体来ている。それが誰かは教えられんがな?』

 

それはつまり、伏兵が何処かに潜んでいる事を言っていた。だからこそ、警戒を更に上げようとしたパラドクスだったが……ブロックの次の言葉にその思考すら止まってしまう。

 

『そして()()()()もまもなく到着する。』

 

「なッ!?」

 

それが誰か予想できたパラドクスの体が震え始める。そして頭を過るのは大切な仲間達が消滅していく姿と……自分が消滅する夢……

 

『貴様達の命運は……既に決まったな。』

 

「勝手に……俺達の運命を決めるなッ!!」

 

そんな思考を振り払うかのように動きだし、ブロックへと攻撃を繰り出すも容易く防がれる。

 

『どうした?動きが乱れているぞ。そんなパズルの攻略など……簡単だ!!』

 

「うわぁッ!?」

 

そして胸に杖の突きを貰い、火花を散らしながら地面を転がっていく。

 

『安心しろ…お前はあの方に会う前に、俺が倒す。』

 

「う…く…!!」

 

「パラドさんッ!!」

 

見かねたジュエルが援護に行こうとするも、フリートの攻撃がそれを許さない。そして倒れているパラドクスの前に立ち、杖を振り上げる。

 

『さあ……死ね!!』

 

そしてパラドクスの頭へと振り下ろされる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諸君…そこまでだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直前に新たな声が校庭に響き、バグスター達の動きが止まったかと思うと、校門の方を向いて頭を下げた。

 

「な、なんだ…?」

 

「コイツら、どうしちまったんだ?」

 

ドラゴネスと電王はその行動に呆然とし、ジュエルも視線をさ迷わせる…しかし、スナイプとパラドクスは違った。彼等はバグスター達が見ている方を見て震え上がっていた。

 

「美桜さん!?大丈夫ですの!?」

 

「……アイツが…来た…!!」

 

「アイツ?」

 

カツン……カツン……

 

スナイプの言葉の意味を考えていたら、誰かの足音が聞こえてくる。それはどんどん大きく聞こえ、音の主がこちらに近づいている事を示す。

 

「いったい誰が……ッ!?」

 

その音の聞こえる方を見て、ジュエルは驚きに体が止まる。緑色の部分はくすんだ金色と赤に目の部分が血走った様になっていて、右手には宝剣【デウスラッシャー】を、左手には宝盾【デウスランパート】を装備したクロノスだったのだから……

 

「まさか……クロノス…!!」

 

「けど、俺達が知っているのとは見た目が違ぇ…!!」

 

「それはそうさ…」

 

突然の事態に困惑するドラゴネスとジュエル。その耳にパラドクスの呟きが届く。

 

「どういう意味だ?」

 

「アイツは……仮面ライダークロニクルのラスボスの力を取り込んだ存在…」

 

震えて上手く動かない口を何とか動かしてしゃべるパラドクス。彼にそこまでの恐怖を与えたのが目の前の存在…その名も……

 

「【ゲムデウスクロノス】だ…!!」




いかがでしたか?

ついに登場、ゲムデウスクロノスです。

これからバトルは加速していきます。

では、次回でお会いしましょう。


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Dangerousな誘いと新たなReinforcement

どうも、疾風の警備員です。

前回登場したゲムデウスクロノス。今回、奴が色々とやってくれます。

そして今回から援軍の第一陣が来ます。

それが誰かは本編をどうぞ。


「ゲムデウスクロノスだと…?」

 

突然現れたクロノス似の敵に尋常じゃない程の脅えを見せるパラドクス。ドラゴネスもクロノスの纏う雰囲気から、警戒レベルを一気に上げた。過去とはいえ二人で一度クロノスを倒しているのに、その時には見せなかったパラドクスの脅え……相当にヤバイと思うのは不思議でもなんでもない。

 

「ふむ…上級バグスター達を送り込んだが、簡単には倒されないか…」

 

『申し訳ありません!!クロノス様!!』

 

「何、構わんさ。」

 

ブロックが謝罪の言葉を口にするも、片手を上げてそれを許容した。

 

「これ程の援軍がいたのは、私も予想外だったからな。」

 

『しかし…!!』

 

「よい、お前達は戻れ。」

 

なおも謝罪の言葉を告げようとするブロックだったが、それはクロノスの一言…それも圧倒的な強さを思わせる雰囲気の一言で黙らせ、この場から粒子となって消えた。

 

「おいテメェ!!一体何モンだッ!!」

 

だけど、その迫力に物怖じしないモモタロスが言葉を口にした。すると、クロノスはその顔を電王へゆっくりと向けた。

 

「私かね?私は【ゲムデウスクロノス】……仮面ライダークロニクルの運営にして…真のラスボス…」

 

「ラスボスだぁ!?そんなんが、序盤から何しに出てきやがった!!」

 

「なに、君達に挨拶と…………ラスボスたるこの私が、()()()()()()のナビゲートをして上げようと思ってね?」

 

「新しい…ゲーム?」

 

今でさえこの時間は仮面ライダークロニクルで手一杯なのに、その上クロノスは何を始めようというのか…全員が固唾を飲むが…クロノスは言葉よりも先に手に持つ武器を構えた。

 

この時、ドラゴネス達からは死角となって見えて無かったが、クロノスは背後からブレイブが剣を持って近づいていたのだ。だが、彼から溢れる殺意にクロノスは初めから気づいていた。

 

「その前に……些か煩い蝿が飛んでいるようだ。」

 

そして後ろを振り向きながら剣を振るい、背後のブレイブを切り裂き、一撃で変身解除させ、倒れた彼を踏みつける。

 

「うわああああああああああッ!?」

 

「桜馬ッ!?」

 

「ちッ!!あのバカ…!?」

 

このブレイブの行動にドラゴネスは舌打ちする。このまま時間を引き伸ばして、クロノスから情報を手に入れようと考えていたが、これで完全に警戒された上に人質になってしまって、こちらが不利な状況になってしまったのだ。

 

「不意討ちのつもりだろうが、気配が完全に消えて無かったのでね…」

 

「このォッ!!」

 

「美桜さん!?お待ちなさい!!」

 

たった1人の兄妹がやられるのを見て頭に血が上ったスナイプはコンバットゲーマーの力で飛びながらクロノスに迫る…

 

「フゥ……頭が高いぞ。」

 

が、クロノスはデウスランパートの先端から鞭の様なものを伸ばし、スナイプの体に巻きつけ地面へと叩きつけた。

 

「キャアアアアアアアアッ!?」

 

その一撃でスナイプも変身解除させられる。

 

「やれやれ…こういった蝿は早めに駆除せねばな…」

 

「ウゴァッ!?」

 

ゲムデウスクロノスは倒れる桜馬の胸を再度踏みつけ、その首に剣を突き付ける。

 

「タドルクエスト……君はここで絶版だ…」

 

「させるかッ!!」

 

そして振り下ろされる剣をブレイブに当たる前に、ドラゴネスが受け止めた。

 

「邪魔をしないでもらえないかね、セイヴァー・サバイバル?私は不意討ちされた仕返しをしているだけなのだが…?」

 

「はッ!!最初っから気づいてる時点で不意討ちも何もねぇだろうが!!」

 

「ククク…確かにな。」

 

「ッ!?」

 

クロノスはドラゴネスを弾き飛ばし、距離が離れた所を桜馬を蹴り飛ばして、ドラゴネスがそれを受け止める。ここで人質を手放すのは愚の骨頂であるが、ゲムデウスクロノスはそれを毛ほども気にしてはいない。

 

「それにまだ役者が揃ってないのでね……まずは君達を抵抗できない様にしておこうか。」

 

そう言うと再び剣を構え、ドラゴネス達へと振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果南side

 

「ちかおねぇちゃんたち…だいじょうぶかな?」

 

「大丈夫だよ。皆がきっと何とかしてくれるから。」

 

一誠達が戦っている間に私はルビィちゃん達と子供達を連れて、視聴覚室に避難するために向かっていた。

 

あそこなら広いし、校庭からも離れてるから被害もそれほど来ない筈…

 

(でもなんだろう…この嫌な感覚…)

 

でも、私はさっきから変な感覚が心に住み着いていた。これが起きる時は大抵嫌な事が起きる前兆でもある。事実、中学時代に曜ちゃんが襲われそうになった時も、この感覚がしていた。

 

(お願い…何も起きないで…!!)

 

だから私は願う。この感覚が気のせいであってほしいと…

 

「皆、もうすぐ視聴覚室だよ!!」

 

そこに先頭を歩いていた曜ちゃんが視聴覚室がある場所を指差す。

 

良かった…これで子供達は避難できる……

 

そう思ってホッと息をつく…その一瞬での出来事だった。

 

『失礼つかまつる。』

 

「え…?」

 

曜ちゃんの背後に、忍者のような姿をしたバグスターが現れ、左手で曜ちゃんの腕を背後で固定し右腕で首を締める様にして拘束した。

 

「曜ちゃんッ!?」

 

「「「「「うわああああああああああ!?」」」」」

 

「「「「「きゃああああああああああ!!」」」」」

 

突然現れたバグスターに子供達はパニックになってしまい、泣きわめく。そんな子供達をルビィちゃんと花丸ちゃんに任せて、私はそのバグスターの前に立った。

 

「曜ちゃんを離しなさいッ!!」

 

『断る、これが拙者の任務でござるからな。』

 

「か、果南ちゃ…!!」

 

『では失敬。』

 

「待ちなさ…!!」

 

何とか手を伸ばす私だったけど、その手は届く事なくバグスターは曜ちゃんと共に消えていった。

 

「……!!」(ギリッ!!)

 

届かなかった手を強く握りしめ、私は来た道を引き返していく。

 

「果南ちゃん!?どこ行くの!!」

 

「外の一誠達に知らせてくる!!」

 

「待って!!私も…!!」

 

後ろからコハナちゃんが追いかけてくるが、私はそれを振り返りもせずに全速力で走っていく。

 

一誠なら…一誠ならきっと曜ちゃんを…!!

 

「一誠ッ!!曜ちゃんが……………………え?」

 

そう思い、走って走って……ようやく校庭に出た私の視界に入ったものは…

 

「フム、思っていたよりも弱かったな…」

 

クロノスに似た存在1人と……ライダーになれる人達全員が生身で倒れ伏している光景だった。

 

「そんな…」

 

レベル99の一誠やパラド君、特殊なガシャットを使うダイヤに別の時間から来たライダーの良太郎さんとその仲間の怪人達が束になってかかっても勝てなかったって事…?そんなのが相手なんて…

 

『クロノス様、お待たせしました。』

 

そこに先程の忍者のバグスターが現れた。

 

「ご苦労だったな、【サスケ】。」

 

『ありがたきお言葉。』

 

そしてクロノスに曜ちゃんを渡して1歩下がり、その場に控えた。

 

「まさか……5体目の上級バグスター!?」

 

『いかにも。某の名はサスケ。【ハリケーンニンジャ】のバグスターでござる。』

 

「5体目って……他にもいたの!?」

 

クロノスに加えてそんなのが相手だったら、皆が倒れるのも解るけど…

 

「皆を倒したのはクロノスだよ……それも、ポーズを使わずたった一撃で…!!」

 

でも、現実は私の想像よりも酷かった。この時間のクロノスは私達が知っているクロノスよりも遥かに強かったのだ。

 

「グ…!!曜を……離せ…!!」

「さて、役者が揃ったので……ゲームのナビゲートを始めようか。」

 

クロノスの言う役者というのが誰を指すのか解らなかったけど、奴はそんな私や一誠の言葉を無視して語り始める。

 

「ルールは簡単…期限までにこの私を倒すだけ。手段は問わない。援軍も好きなだけ使うがいい。条件はただ1つ……セイヴァー・サバイバル、【君が私を倒す事】だ。」

 

「なに…!!」

 

「期限は明日の正午まで。それまでに私を倒せなければ…」

 

そう言うクロノスの言葉に合わせて、サスケが曜ちゃんの首に苦内を突きつける。

 

「ひッ!?」

 

「「曜(ちゃん)ッ!?」」

 

「彼女は絶版だ。そうさせないように頑張ってみたまえ……ただし…」

 

サスケが苦内を曜ちゃんから離し、安堵したところでクロノスは剣を振るい、斬撃を飛ばしてみんなのガシャットを残してゲーマドライバーだけを破壊した。(電王のベルトはモモタロスが引き剥がす事で外れた)

 

「君が仮面ライダーに変身出来れば…だがね?ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

「イッセーく…!!」

 

そして笑いながら、クロノスはノイズとなって消えた。曜ちゃんと一緒に…

 

「曜…!!」

 

『これは拙者からの置き土産でござる。』

 

更に残っていたサスケバグスターが、忍装束を着たバグスター兵達を大量に召喚した。その場に数はおよそ100…!!

 

『では、さらば!!』

 

サスケバグスターもその場から去り、残ったバグスター兵達がこちらへと襲い掛かり始める。

 

マズイ…!!今は怪我で誰も変身出来ないのに!!

 

「やらせるか…!!」

 

唯一ベルト無しでも変身できるパラド君が立ち上がるも、その体は既にボロボロで戦えたものではない。

 

「おい、そこの女!!良太郎を頼んだ!!」

 

「へ?わ、私!?」

 

突然モモタロスにそう言われて焦る私に、彼らイマジン達がそれぞれベルトを巻こうとした…

 

『♪~♪~♪~♪~』

 

その時、彼等が乗るデンライナーのメロディーが流れ、私達とバグスター達の間を走り抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デンライナーが通りすぎた後、そこには幸太郎とテディに7人の男女が立っていた。

 

「幸太郎ッ!?テメェ、なにやってたんだ!!」

 

「悪い、遅くなった!!でも援軍の第一陣を連れてきた。」

 

「援軍?」

 

幸太郎の言葉にコハナはバグスター達の前に立っている7人を見る。

 

「皆は怪我人達を連れて下がってて、あれは私が相手するわ。」

 

「「「「はい、部長!!」」」」

 

その内の1人、赤い髪の少女の言葉に5人の男女が散らばり、倒れているメンバーに駆け寄っていく。

 

「え…アーシアちゃん?それに姫島さんも…」

 

「あの人から話を聞いて、援軍に来ましたわ。」

 

「怪我をしてる人の治療はお任せください!!」

 

5人の男女の内2人…姫島朱乃とアーシア・アルジェントは倒れている一誠を担ぎ、神器の力で治療を始める。他のメンバーも残りの男女、木場裕斗に塔城小猫、ギャスパー・ヴラディによってアーシアの元へと連れて来られた。

 

「貴方達は…?」

 

「僕達は部長…リアス様の下僕悪魔ですよ。」

 

「私とゼノヴィアさんは違いますけどね…」

 

裕斗の言葉にアーシアが補足しながら、コハナに自分達の事を説明していく。

 

「つまり…貴方達が増援…」

 

「でも、バグスター相手じゃ…!!」

 

「…それなら部長達を見てれば大丈夫です。」

 

小猫の言葉に全員が視線をリアスと、その隣に立っているゼノヴィアへと向ける。

 

「ゼノヴィアさん、準備は良いかしら?」

 

「無論だ。この程度の相手に負ける気などせん。」

 

「なら、いきましょうか。」

 

簡単な会話をすると2人は同じものを取り出す。それは黒を基調に赤色が印象的で、2つの窪みに3つの歯車と右側にレバーが付いた物だった。それを腰に当てると黄色いベルトが伸びて装着された。

 

「あれは…ベルトなの?」

 

『ギャオオオ!!』

 

そこに何かの鳴き声とオレンジの翼に青い体のメカニカルなドラゴンが現れ、ゼノヴィアの左手に首と尾を上に畳んで収まった。

 

「あれは?」

 

「…ゼノヴィアさんが使うアイテムで、新しい相棒さんです。」

 

それに果南達が首を傾げていたら、ゼノヴィアは右手にドラゴンが描かれた紺色の…リアスは左手に兎が描かれた赤、右手に戦車の描かれた青いボトルの様な物を取り出し、シャカシャカと音を鳴らしながら振り、蓋を正面に向けてからゼノヴィアはドラゴンの背中に入れてベルトに、リアスはベルトの右側に赤、左に青いボトルをそのまま装填する。

 

『Wake Up!!』『CROSS-Z DRAGON!!』

 

『ラビット!!タンク!!ベストマッチ!!』

 

そうベルトから音声が鳴り、2人はベルトのレバーを掴むと思いっきり回し始め、それぞれの周りにプラモデルでいうランナー【スナップライドビルダー】が形成されていき、前後に半身ずつ作られていく。

 

『Are you Ready?』

 

そこでベルトが問いかけてくる。準備はいいかと…そこで2人は戦う理由を思い出す。

 

(一度は刃を向けた私を友と呼んでくれるアーシアを守るため…そしてイリナをクロノスから助け出す為に!!)

 

(自分のやるべき事を見失わずにやる……そして自分が、あの子達が誇れる【王】になるために!!)

 

その決意を胸に叫ぶ。自分自身を生まれ変わらせる…あの言葉を。

 

「「変身ッ!!」」

 

リアスは顔の横で指をパチンと鳴らし、ゼノヴィアはファイティングポーズを取って叫び、前後のランナーが2人を挟んで変身が完了する。

 

『Wake Up BURNING!! Get CROSS-Z DRAGON!!Yeah!!』

 

『鋼のムーンサルト!!ラビットタンク!!イェーイ!!』

 

リアスは顔の左側と右腕に左足が赤色、顔の右側と左腕に右足が青で複眼の左目が兎、右目が戦車の形をした姿に、ゼノヴィアは全身が紺色のスーツに向かい合うドラゴンの複眼の姿に左腕と右足には炎の模様が走り、胸部を覆うドラゴンの翼のような装甲に顔の中心を龍の正面の顔のパーツが付いた姿になった。

 

「あれは…仮面ライダー!?」

 

「今の私はビルド…【仮面ライダービルド】。創る・形成するって意味のビルドよ?以後、お見知りおきを♥️」

 

「私は…【仮面ライダークローズ】だ。」

 

そう名乗り、ベルトから新たに伸びたパイプが作り上げた武器を手にする。

 

『ドリルクラッシャー!!』

 

『ビートクローザー!!』

 

リアスは刀身がドリル状の武器【ドリルクラッシャー】を、ゼノヴィアを刀身の中にイコライザーの様なメーターが付いた剣【ビートクローザー】を持つ。

 

「さあ、私達の実験に付き合ってちょうだい!!」




いかがでしたか?

リアスとゼノヴィア、変身完了!!しかしゲーマドライバーが破壊された一誠達はクロノスのゲームをどうするのか?

では、次回でお会いしましょう。


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Victoryへの活路

どうも、疾風の警備員です。

今回は先ず、リアスとゼノヴィアが大暴れします。

そこから最終決戦への、準備が始まります。

では、どうぞ。


ビルドとクローズに変身したリアスとゼノヴィア。2人は左右に別れてバグスター兵の中へと飛び込み、次々と切り裂いていく。

 

「思ってたよりも…弱いわねッ!!」

 

「だが数が数だ!!油断するな!!」

 

「そうね!!」

 

クローズの進言にビルドも納得し、気を引き締める。正面の1体をドリルクラッシャーで突き、背後から来るのを左足で蹴り飛ばす。この時、左足にあるバネの力でキック力を高め吹き飛んだ1体に5体程巻き込まれて飛んでいった。クローズもビートクローザーを振るい、バグスター兵達を手当たり次第に斬り倒していくがその内の1体が投げた苦内が手に当たり、剣を落としてしまう。

 

「く…!!」

 

そこを好機と感じたバグスター兵達が突っ込んでくる。しかし、今の彼女は得物が無くなったくらいで動揺したりなどしない。何故なら……

 

「デヤァッ!!」

 

「ピッ!?」

 

彼女はそれ以上の筋肉(ぶき)を手にしてるのだから。

 

「武器が無いなら殴ればいい……それが、兵藤一誠を見て私が学んだ事だ!!」

 

「「いや、その理屈はおかしい。」」

 

そんな謎理論に果南とコハナがツッコむ。確かに武器が無くなれば、手段はそれしかないのだが…

 

そんな事をやっている間にバグスター兵も、3割が倒された。

 

「ここからは、新しい実験を始めましょうか。」

 

そう言うとビルドはベルトのボトルを抜き、左手に赤いボトル、右手に緑色のボトルを持ち、それを数度振ってから蓋を正面に向け、ベルトに装填していく。

 

『フェニックス!!掃除機!!』

 

「ベストマッチじゃないのね…とりあえずビルドアップ!!」

 

『Are you Ready?』『♪~♪~』

 

レバーを回し、新たにボディの色と形が変わる左目と右手に左足が赤で、右目と左手に右足が緑色となり、右側の背中には鳳凰の尾を思わせるマントがあり、左腕には何故か掃除機(サイクロン方式)が付いていた。

 

「先ずは一ヶ所に纏めましょう。」

 

左腕の掃除機を前に出すと、ものすごい勢いで吸引を始めバグスター兵達を引き寄せていき、ある程度まとまったら吸引を止め、右手から炎を繰り出して焼き払う。

 

「それじゃ、次の実験を…」

 

『ラビット!!電車!!』

 

「これもベストマッチじゃないっか…ビルドアップ!!」

 

『Are you Ready?』『♪~♪~』

 

次に先程使ったラビットフルボトルと黄緑色の電車ボトルを使いフォームチェンジしたが、またもや望む音声は流れずリアスは落胆する。

 

「やっぱり、簡単には見つからないわね…」

 

そう言いながらも、ラビットボディの力で跳ねる様に動き回りながら電車ボディの力で左腕に電車型の電撃を纏ったパンチを繰り出して、バグスター兵達を殴っていく。

 

「今度こそ来てちょうだい…!!」

 

『ローズ!!ヘリコプター!!ベストマッチ!!』

 

「ッ!?ベストマッチ、キタァーーーーーーーッ!!!!」

 

次に選んだ赤と緑のボトルでようやく相性がいいと鳴る【ベストマッチ】の音声が流れ、ビルドのテンションが一気に振り切れる。そのはしゃぎ様はもはや、キャラ崩壊レベルだ。そのテンションのまま、レバーを勢いよく回してスナップライドビルダーを展開させる。

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ!!」

 

『情熱の扇風機!!ローズコプター!!イェーイ!!』

 

左目と右手に左足が赤色で所々に荊があるボディ、右目と左手に右足が緑色で背中にヘリコプターを思わせるプロペラの付いたベストマッチフォーム【ローズコプター】になると、背中のプロペラを外して左手に保持し剣の様に振るっていく。更に右手からは荊の鞭を伸ばしてバグスター兵達に叩きつける。

 

しかし、先程から使うボトルの色が赤と緑ばかり…リアスは赤と緑が好きなのだろうか?

 

「そういえば…ウィルスにはコレが有効かしら?」

 

『フェニックス!!消防車!!』

 

「ビルドアップ!!」

 

『♪~♪~』

 

全身真っ赤なフォームのフェニックス+消防車になると右手と左腕のラダーから炎を出してバグスター兵達を焼いていく。

 

「ウィルスにはやっぱり熱消毒よね。」

 

「なるほど…ならば私も!!」

 

ビルドの言葉になにかを閃いたクローズ。すると彼女は自身の手足に青い炎を纏わせてバグスター兵達を殴り倒し始めた。

 

「確か日本ではこういう時はこう言うんだったな…汚物は消毒だァァァァァァァッ!!!!」

 

「その間違った日本知識はどっから得たッ!?」

 

意味不明な叫びに果南がツッコむ。どうやらゼノヴィアの日本知識はかなり偏っているようだ…

 

だが、その威力は本物で喰らったバグスター兵達は青い炎に包まれて次々と灰になっていく。

 

「もっとだ…もっと燃えろォッ!!」

 

だけど、それでも足りないと思ったクローズの叫びに、手足の炎が全身を包んだ。

 

「私は今…さいっこうに燃えてるぞォッ!!」

 

「「燃えてる燃えてる!!物理的に燃えてるからァ!?」」

 

全身ブルーファイヤーな【ブレイズアップモード】になったクローズはバグスター兵達を殴りまくり、灰がどんどんと増えていく。そこで彼女は足下に落ちてたビートクローザーに気づき、拾い上げる。

 

「よし、コレで…!!」

 

彼女は全身の炎を刀身に移し、それを振るうのかと思えば…

 

「ドリャアッ!!」

 

なんと、それをバグスター兵の集まっている所に投げたのだ。あまりに唐突な攻撃に動けなかったバグスター兵達はアッサリと切り裂かれていく。しかし、得物を躊躇なく投げるとか、本当に元剣士なのかと疑いたくなる…

 

「どうやら私は【剣士(けんし)】よりも【拳士(けんし)】の方が性に合っているみたいだな!!」

 

……既に剣士の称号はビートクローザーのように、地平の彼方に投げ捨てたようだ…

 

「さてと…大分片付いたし、必殺技で終わらせましょうか!!」

 

『鋼のムーンサルト!!ラビットタンク!!イェーイ!!』

 

ラビットタンクに戻ったビルドは再度、レバーを回し始め…

 

「ちょっと待っててね?」

 

バグスター兵達にそう言うと、背を向けて走り出した。端から見れば逃げた様にも見えるがそうではない。そのまま走ってある程度距離を取ったら、彼女は右足で地面を強く踏み、その勢いで地面に穴を開けて落ちていったのだ。

 

「落ちたァ!?」

 

誰もがそう思ったが、その時どこからか白い何かがバグスター兵達を挟み込む様にして拘束したのだ。それは横から見ると、何かの表したグラフだった。そして、穴からビルドが飛び出して来ると、そのグラフに沿って飛び蹴りの体勢で突き進んでいく。

 

『Ready Go!!』

 

そしてバグスター兵に当たると、右足のキャタピラを回して抉る様にして次々にライダーキックを決めていった。

 

『ボルテックフィニッシュ!!イェーイ!!』

 

バグスター兵達はその攻撃で一気に爆散していく。続けてクローズもレバーを思い切り回していき、背後に青い東洋タイプの龍を模したエネルギー体【クローズドラゴン・ブレイズ】を呼び出す。

 

「今の私は……負ける気がせんッ!!」

 

『Ready Go!! Dragonic Finish!! Yeah!!』

 

それを右腕に纏わせてバグスター兵達を一気に殴り倒した。

 

「見たか!!私の必・殺・技!!」

 

「スゴーイ!!僕もアレやりたーい!!」

 

「やべ…俺ですらカッチョイイって思っちまったぜ…」

 

その技はリュウタロスとモモタロスは、カッコいいと思い見とれていた。

 

「これでウィルス達は全滅ね。」

 

「だな。」

 

敵がいなくなったのを確認し、2人は変身を解除して果南達の元に戻ってくる。

 

「ごめんなさい、救援が遅くなって…」

 

「ううん、来てくれただけでも助かったよ…」

 

事実、クロノスが去った後は全員戦闘不能状態だったので、彼女達の増援は有難い事であった。しかし、まだやらなくてはならない事がある。

 

「それよりも、早く曜ちゃんを助けないと…!!」

 

「その子って貴方の幼馴染よね?何があったの?」

 

リアスに言われて果南は現状の出来事を説明していく。それを聞く度にリアスの拳は強く握られていき、赤い雫が滴っていった。だが同時に、今敵に突っ込んでも勝てる見込みがほとんど無い事も。だから悔しいと思う自分の感情を圧し殺して優先度の高い事から始める事にする。

 

「……事態は解ったわ。でも、その前に彼等を回復させましょ?今のままでは勝てる戦いも勝てないわ。」

 

「……そうだね…」

 

果南が周りに視線を向ければ、変身出来るメンバーは傷だらけで起きてた者も今は気絶していた。その上、ベルトが破壊されて今戦えるのはリアスとゼノヴィアだけである。これでクロノスに挑むのは無謀以外の何ものでもない。

 

アーシアによる治療がある程度終わったら、彼等を保健室まで運び、完全回復させていく。

 

「アーシアちゃん、すごいね…これだけの人数を一気に…」

 

「果南さんが前に言ってましたよね?私にできるのは、兵藤さん達を戦いから日常に戻してあげる事だって…だから私もできる事をやる事にしてるんです。戦いで疲れた人達を癒して、日常を楽しく過ごせる様にするって。」

 

「そっか…」

 

そうしている間に治療は終わり、気絶していたメンバーが意識を取り戻した。

 

「コハナさん、ここは…?」

 

「保健室よ。クロノス達なら撤退したから安心して。」

 

「そっか…」

 

そう言うが、良太郎も起き上がれなかっただけで一部始終を見ていたので、今がどれだけ大変な状況かも理解している。だが、それ以上に心情が穏やかでない者がいた……一誠である。

 

「ぐ…!!曜を助けに行かねぇと…!!!!」

 

「待ってください!?私の神器じゃ体力まで回復出来ません!!今のままじゃ…!!」

 

「うるせぇッ!!」

 

治療が終わると同時に飛び起き、保健室の出口へと向かおうとするのをアーシアが説得するが聞く耳持たず、ふらつく足で歩こうとした……

 

「おいお前、落ち着け。」

 

が、モモタロスがその肩を掴んで引き留めた。

 

「離せ…!!俺はアイツを…!!」

 

「今の変身出来ないテメェが行ったところで何ができる?クロノスのヤローに倒されて終わりだ。」

 

「それでも…!!」

 

「おらよッ!!」

 

それでも出ていこうとする一誠を、モモタロスはそのままベッドへと放り投げた。

 

「グアッ!?」

 

「俺に簡単にこうされる時点で、テメェが勝つことは出来ねぇよ。いいから大人しく寝てろ。」

 

「テメ…!!「怪我人は静かにしてて下さいな。」ッ!?」

 

ベッドから起き上がりモモタロスに掴み掛かろうとする一誠だったが、その前に朱乃の魔力の紐で拘束されてしまった。

 

「このッ!!外しやがれ!!」

 

「わざわざ自殺させにいかせるほど、私は優しくありませんわ。」

 

「兵藤君、貴方が彼女を心配してるのは解るわ。だけど何の策も無しに行っては、助けられるものも助けられないの。先ずは一旦落ち着いて、皆で助ける方法を考えましょう?」

 

「一誠、お願いだから今だけは堪えて!!曜ちゃんを助けたいのは皆、同じだから!!」

 

「~~~~~~~~~ッ!!!!!!…………ハァ…わーたよ…」

 

リアスと果南の説得に一誠もようやく大人しくなる。彼も本心では今の状態ではクロノスに勝てないと理解していたのだ。

 

「でも、どうやってクロノスを倒す?アイツ強すぎでしょ…」

 

「その事に関して、オーナーから良い情報と悪い情報があるんだけど…どっちから聞く?」

 

「…………これ以上気分が下がることはねぇんだ。悪い方から頼む。」

 

幸太郎が持ってきた情報…どちらかといえば気分を上げたいので、悪い方から聞くのに皆が賛成する。

 

「駅長からの情報でこの未来が消滅するのは………明日の正午だって…」

 

「それって……クロノスが設定した時間と同じ…!!」

 

「皮肉が効いてやがる…」

 

その内容に一誠は渋い顔になる。クロノスの決めた制限時間が未来の消滅によるパンデミックが始まるのと同じ……最悪のゲームオーバーとなったのだ。

 

「反対に良い情報が、明日の朝8時に援軍の第2陣が到着する。」

 

「つまり、戦力は心配ないと…」

 

「でも、勝利条件は一誠がクロノスを倒す事なんだよ?ゲーマドライバーも無しにどうやって…」

 

そう、コハナの言う通り戦力が増えても勝利条件をクリアしなければ、クロノスは勝ちを認めない。だが、肝心のゲーマドライバーが全て破壊されてしまっている今、完全に手詰まりと思っていたら千歌が思わぬ言葉を口にした。

 

「……あるよ、ゲーマドライバー…」

 

「「「「「「「えッ!?」」」」」」」

 

それは落ち込むしかなかった彼等の希望の火を再び灯らせた。

 

「美桜、隠してあったゲーマドライバーと……【切り札・その2】を持ってきて。」

 

「えッ!!姉御!?ゲーマドライバーはまだしも、アレはさすがに…」

 

「いいから早く!!」

 

「あ、アイアイサーッ!?」

 

千歌の指示に慌てて部屋を飛び出していく美桜。そんな彼女のある言葉を全員が聞き逃さなかった。

 

「ねぇ…【切り札・その2】って?」

 

「ヴァーリ君が生前作り上げた…ハイパームテキに匹敵するアイテムだよ。」

 

「ハイパームテキに匹敵…!?」

 

その性能が千歌の言葉通りなら、クロノスに対抗できる力になる。そんな期待が全員の胸に膨らむと同時に、美桜が息を切らして戻ってきた。

 

「も……持って…きたよ…」

 

美桜の手には3つの箱があり、千歌がそれを受け取ると暫しそれを見つめた後、1つをダイヤに手渡す。

 

「コレは美歌が使っていたゲーマドライバー…コレをダイヤさんに託します。」

 

そう言われ、箱を手にするダイヤ。その箱には実際のもの以上の重みを彼女は感じた。この時間の千歌にとっての半身の形見…こんな事がなければ、誰にも渡したくはなかった筈だ。それを自分に渡すのに、どれだけ彼女が葛藤したかダイヤは計り知れない…だからこそ、その思いを無駄にしないと心に誓った。

 

「……はい、確かに受けとりましたわ。彼女の思いと一緒に…!!」

 

ダイヤの決意を込めた返事に笑顔を浮かべた千歌は、次に残った2つを一誠に渡した。

 

「兵藤君に渡したのは……この時間の兵藤君が使っていたゲーマドライバーだよ。」

 

そう言われ、蓋を開けると中には傷や塗装剥がれが所々にある、年季の入ったゲーマドライバーがあった。

 

「コレが…未来の俺が使ってたドライバー…」

 

「そしてもう1つが…」

 

次に残りの蓋を開けると、色は黄緑とピンクでゲーマドライバーと同じだが、中央上部にハイパームテキガシャットの横パーツを外した見た目のパーツがあり、ピンクのカバーもその上部にあった。その天辺にスイッチがあり、そこを押すとカバーが開く仕組みなのだろう。そして最大の特徴が…左右にガシャット装填用のスロットがある、見た事無い新品のドライバーだった。

 

「コイツは…」

 

だけど一誠は、このドライバーに見覚えがあった。それは以前、屋上で彼等と昼食を供にした時にヴァーリのパソコンに映っていた設計図の絵とそっくりだったからだ。

 

「それがクロノス攻略の為の切り札・その2…特定の2つのガシャットギアデュアルの力を合わせる事でとてつもない力を生み出す、ヴァーリ君曰く奇跡のドライバー…」

 

それを手に取り顔の前まで持ってくると、窓から入ってきた夕日の光が反射してそれは輝く。まるで、未だ胸に僅かに残る希望を照らす太陽のように…

 

「その名も【コラボドライバー】だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「さて、彼等はどんな足掻きを見せてくれるのかな?」

 

クロノスに連れ去られた私は、柱の1つに鎖で張り付けにされていた。そして私の目の前で、クロノスは楽しそうに町の様子が映っているカメラ映像を見ている。

 

「そんなの決まってるよ…一誠君達は必ずここに来て、貴方を倒す!!」

 

そう、一誠君は必ず来てくれる!!もう…誰にも負けない!!

 

「フッ…ゲーマドライバーも無しにどうやってだね?」

 

「それだって、皆がいればきっと解決できる!!」

 

今までだってそうだった…皆の力で、困難を乗り越えてきたんだから!!

 

でも、クロノスは動じる事はなく…寧ろ嬉しそうだった。

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!そんな事など承知済みだ!!だからこそ、彼にはここまで来てもらわないとな…!!」

 

「え?」

 

その言葉を私は疑問に思った。

 

ああまでして戦えなくしたのに…まるで…一誠君にここに来てほしいみたいな……

 

「仲間のお陰でここまで来た希望溢れる彼を倒し、不様に地にひれ伏す目の前で君を絶版にすれば……彼はどれだけ絶望に顔を歪めるのだろうなぁ…!!」

 

私を見ながらそう言うクロノス。その仮面の中は愉悦に歪んだ笑みを浮かべているのを……私は幻視して身震いした。

 

この人……まともじゃない…!!

 

「さあ、早く来い……セイヴァー・サバイバル!!君に舐めさせられた辛酸……数百倍にして返してあげよう…!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌(未来)side

 

「やっぱり……助けられなかった未練なのかな…」

 

皆にドライバーを渡した後、離れて屋上で柵に寄りかかりながら1人呟く私の手には、汚れや細かい傷はあるも損傷していないゲーマドライバーが握られている。

 

コレは私が今まで使っていたゲーマドライバーで、あの時にこのドライバーも渡せば生き残れる可能性が更に上がるのに、どうしてもコレだけは手離す事が出来なかった。

 

「私はどうしたら良かったと思う?…美歌…」

 

その名を口にしても返事はない。既に消滅しているのだから当然だけど…

 

「美歌……会いたいよ…美歌…!!」

 

あの子の名前を口にする度に、瞳から涙が流れてくる。

 

最近は大丈夫だったのに…過去の皆に会えたからかな?また涙脆くなっちゃってる…

 

「善子ちゃん…鞠莉ちゃん…梨子ちゃん………ヴァーリくぅん…!!」

 

だからなんだと思う…抑えていた気持ちが、仲間の皆にまた会いたい気持ちが沸き上がってきたのは…

 

「1人はやだよ…皆とまた会いたいよ……!!」

 

感情が抑えきれなくなった私は、屋上で1人静かに泣いた。でも、明日はクロノスとの最終決戦が始まるから、何時までも泣いてなんていられない。

 

「皆…絶対にハッピーエンドに…ううん、それはもう無理だし…なら、バッドエンドからグッドエンドにしてみせるよ…!!」

 

だから涙とはここでお別れ。ここからは私も1人の戦士として子供達を守る。クロノスの事だから、兵藤君達が出撃したら必ずこっちを襲ってくる。でも、そんな事は絶対にさせない…!!

 

「これ以上、クロノスの好きな様にやらせるもんか…!!」

 

だからゴメン…そっちに行くのはほんのちょっと後になっちゃうけど、皆に良い報告を持っていくから待っててね。

 

そう決意を固める私の頭上では夜空に星が輝き、その星の海を4つの流星が流れていった。




いかがでしたか?

未来の自分が残したゲーマドライバーを手に入れ、再び戦う力を取り戻した一誠達。それと新型ドライバーも登場です。

これから、反撃が始まりますよ。

では、次回でお会いしましょう。


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Death Gameの始まり

どうも、疾風の警備員です。

遅れてしまい申し訳ございません!!

仕事が忙しかったのと、最近【刀使ノ巫女】のアプリにドはまりしてました……でも、☆4の勇者可奈美と水着清香18が当たったから反省も後悔も微塵もない!!

一誠「俺が反省させてやるよ。」(ボキッ!!ボキッ!!)

…………ゴ(グシャ!!)

一誠「バカな作者は反省させとくから、本編でも読んで時間潰しててくれ。」

花・ル「「では、どうぞ♥️」」

一誠「お前ら、何時来たんだ…」


千歌side

 

「そういえば今日の子供達のご飯、どうしようかな…」

 

屋上で決意を新たにした私は子供達がいる場所に向かいつつ、子供達の夕御飯に頭を悩ませる。

 

「食料も大分減ってきたし…野菜炒めとか……ダメだ、男の子達が肉をくれと暴走するし…でも野菜も食べさせたいしなぁ……あ、豚肉がまだ量に余裕があったし冷しゃぶサラダにしよう、そうしよう。」

 

夕飯のメニューが決まった私は、材料を取りに行こうとしたが……

 

「ん?……良い匂い…これは、カレーだ!!」

 

そこで私の鼻にとても美味しそうなカレーの香りが届いた。ああ…もうどれくらい食べてないだろう…カレー…!!

 

「でもカレールーもレトルトも切らしてる筈なのに…」

 

だけど要の材料が無ければ作ることは出来ない。気になった私はその香りを辿り、家庭科室の前にやって来た。

 

「ヤバい…近くまで来るとものすごく美味しそうな匂い…!!誰が作ってるんだろう…果南ちゃんかな?」

 

そう思いながら扉を開けると、そこにいたのは果南ちゃんどころか人間でもなかった。

 

「あ、どうも。もうちょっと時間かかるから待っててね。」

 

黒い外套に金色の仮面を付けた武蔵坊弁慶のような怪人が、そこにいた。

 

「えっと……貴方は誰…?」

 

「え?…ああッ!?まだ名乗ってなかった!!どうも、オレは良太郎達の仲間の【デネブ】っていいます。モモタロス達と同じイマジンで良太郎とは違う人間と契約してるんだ。それと…お近づきの印にコレ、どうぞ。」

 

あり得ない光景に呆然としてしまった私に、デネブと名乗った怪人は飴を差し出してくる…………フンドシ?の中から…

 

コレ…衛生面、大丈夫だよね?

 

「あ、ありがと……」

 

それを一応受け取って、私は家庭科室を出たら良太郎さんがいるだろう子供部屋に全速力で向かった。

 

そして着いたと同時に勢いよく扉を開けると、中では変な光景が広がっていた。

 

「良太郎さんッ!?か、家庭科室に変な怪人が……皆、何してるの?」

 

「あ、千歌さん。」

 

部屋の中では良太郎さんが黒と銀の姿になって立っていた。その周りにはモモタロスさん達がいる。

 

「いいかガキ共?よぉ~く見とけよ?良太郎!!」

 

「うん、変身。」

 

『Sword form』

 

パスを翳し、モモタロスさんが良太郎さんの中に入る事で電王が赤い姿に変わる。

 

「俺、参上!!」

 

「「「「「「「わぁ~!!!!」」」」」」」

 

つまり、子供達の前で変身を見せていた。

 

「何コレ…?」

 

「子供達がどんな仮面ライダーになるのか見せて!…ってせがんできちゃって…」

 

「ああ~…」

 

果南ちゃんの説明に私は納得した。子供達は戦いが始まると安全な場所に避難させていたから、どんな姿になるのか詳しくは知らないんだった…

 

「センパイ、次はボクね。」

 

『Rod form』

 

「お前、ボクに釣られてみる?」

 

「「「「「すごいすご~いッ!!!!」」」」」

 

今度は赤から青い姿に変わるのを見て、子供達は更に大興奮。

 

今日は寝かしつけるの大変かも……って、そうじゃなくて!?

 

「果南ちゃん!!か、家庭科室のイマジンがカレーなんだよッ!?」

 

「うん、落ち着いて?何言ってるかさっぱりだから…」

 

さっき見た光景を慌てながら話すけど、支離滅裂になってたみたい。そこに兵藤君や良太郎さんや幸太郎さん、木場君でもない男の人が部屋に入ってきた。

 

「ソイツは俺と契約しているイマジンだ。」

 

「貴方は…?」

 

「俺は【桜井侑斗】。時の運行を守る仮面ライダー…ゼロノスだ。」

 

「仮面ライダーッ!?」

 

この言葉に私は驚くしかなかった。まさか他にも仮面ライダーがやって来るなんて!!

 

「あれ?でも確か…増援は明日のはず…」

 

「オーナーから話を聞いて一足先に来たんだ。いうなれば第1.5陣だな。」

 

どうやらこの人は、別ルートで来てくれたみたい。ここに来て戦力強化はありがたい。

 

「皆さ~ん、ご飯出来ましたよ~。」

 

「「「「「「「「はーい!!!!」」」」」」」」

 

そこにダイヤさんがご飯が出来た事を知らせに来た。

 

「あ、千歌さん。校庭にいるグレモリーさん達を呼んできてもらえます?」

 

「あ、はい。」

 

ダイヤさんに言われて私は校庭に向かうと、校庭の中央で魔法陣を展開して、何かの作業をしていた。

 

「グレモリーさん。」

 

「あら、どうしたの?」

 

「ご飯が出来たので呼びに来ました。」

 

「ありがとう。もう少しで学園全体を覆う結界が張れるから、それが終わったら皆で頂くわ。」

 

「解りました。それと…グレモリーさんが使っていたライダーシステムは?」

 

それを聞いて私はその場を離れようかと思ったけど、さっきの見たことないライダーシステムが何なのか気になったので聞くことにした。

 

「私が使っていたのは【ビルドドライバー】といわれるライダーベルトと、2本のボトルの力で変身するライダーよ。」

 

そう言って私に2本のボトルを見せてくれた。その表面には兎や戦車が描かれている。

 

「ボトルは他にもあって、2本の組み合わせで様々な能力が使えるの!!コレ作った人、スゴくない!?最高じゃない!?天才じゃない!?」

 

「そ、それは解りましたから…!!落ち着いて…」

 

なんでグレモリーさんのテンションが、一気に上がってるの~!?

 

そんなグレモリーさんを宥めてから家庭科室に向かうと、そこは久々のカレーで笑顔の子供達や桜井さんに椎茸うんぬん言われながらサブミッションを掛けられているデネブさん、既に隣に5枚のお皿を積んでいる花丸ちゃんとかそれに負けじと食べているモモタロスさんに蹴りを入れるコハナちゃん、羽をヒラヒラと落としながら優雅にカレーを食べている白いイマジンがいたりした。

 

こんな楽しい夕食の光景は久々だなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?気のせいかな…またイマジン増えてない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ふッ!!ハアッ!!」

 

俺は校舎の裏手でパラドに見られながら体を動かしていた。

 

曜を助けるにはクロノスのヤローに万全の状態で挑まなきゃならねぇ……ジッとしてる方がもどかしい!!

 

「おいイッセー、その辺にしとけって…」

 

「もう少しだ…もう少し…!!」

 

「焦ったって意味がないし、救出に影響したらどうすんだ?」

 

「……………………チッ!!」

 

パラドに言われ、俺は体を動かすのをゆっくりと止める。

 

「んな事は解ってんだよ…!!」

 

ああそうだ……それでも、すぐに助けに行けない自分が情けない…

 

「……今すぐにでも助けに行きたいのは皆同じだ。でも、クロノスの力は強大……はっきり言って【奇跡】でも起きない限り…………奴には勝てない。」

 

そう言って、パラドは体を震わせながら拳を握りしめた。まるで、自分の中の恐怖を握り潰すかの様に…

 

「……今の俺達じゃ、奇跡なんてあやふやなモンにすがらなきゃいけねぇのか…」

 

未来のクロノスの力は、昼間の戦闘で身を持って知った。今の実力じゃ天地が引っくり返ったって勝てやしないって事もな…

 

「だったら、その奇跡を自力で起こしてやるまでだ…!!」

 

そう決意し、俺は再び体を動かす。奇跡なんて起きないんじゃないかという一抹の不安を振り払う為に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が経ち、朝の7時半頃……リアス達が張ってくれた結界のお陰で安心して眠ることが出来た一誠達戦えるメンバーは、校庭で最後の作戦会議をしていた。

 

「いい?今回の作戦はクロノスのゲーム攻略の為に、なるべく無傷で兵藤君をクロノスの前まで送る事。その際に妨害があることは必至だね。」

 

「それは他に変身できるメンバーが足止めする…」

 

「それと学園の防衛にも何人か欲しいの。相手の事だから、必ず守りが薄くなったところを狙ってくるはずだから…」

 

「それは俺と幸太郎、ゼノヴィアってのが引き受ける。」

 

「アーシアや子供達には、指一本触れさせないさ。」

 

学園の防衛に名乗りを上げたのは侑斗に幸太郎、ゼノヴィアだった。

 

「それじゃ残りのメンバーは、兵藤君を妨害するバグスター達の相手を。」

 

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」

 

「作戦開始は援軍が到着する8時。それまでに皆、準備に入って。」

 

解散の言葉に各々が別れていく中、ダイヤが千歌に話しかける。

 

「千歌さんはどうするのですか?」

 

「護衛は桜魔と美桜に任せて、私は子供達と一緒に退避……かな?」

 

「……そう言う割には、すごく納得してないような顔をしてますわよ?」

 

「え…?」

 

そう言われ、千歌は自身の顔をペタペタと触るが自分の表情なんて解る筈がない。なので、ダイヤは自分の持っていたスマホのカメラを内側に向けて千歌に差し出し、その画面に映る不服そうな顔を見て千歌も納得した。

 

「ほら、自分も子供達を守りたいという顔をしてますわ。」

 

「でも、変身出来ないんじゃ…」

 

「それでも、コレは使えませんか?」

 

そう言ってダイヤが差し出したのは、ガシャコンソードとガシャコンマグナムだった。

 

「万が一の場合に備えて……コレをお貸しします。」

 

そう言われ、手を伸ばす千歌…途中、一度は躊躇って手を引きそうになったが、すぐに振り切ってそれらを掴み取った。

 

「ありがとうございます、ダイヤさん。」

 

「お互い、無事に帰りましょう?」

 

「はい!!」

 

互いに無事を約束し、離れる…

 

 

 

――ガシャアンッ!!

 

 

 

その時だった。リアス達が昨晩張っていた結界が砕け散ったのは。

 

「結界がッ!?」

 

『全く、厄介なものを張ってくれましたね?お陰で夜襲に失敗してしまいましたよ。』

 

破られた結界に驚く中、新たな声に校門に視線を向けると、そこには青い体のグラファイト…セイリュウグラファイトが大量のバグスターとバグスター兵達をひきつれて立っていた。

 

「セイリュウグラファイト!?」

 

『ですが、それも壊しましたから…もう貴方達を守るものはありません。』

 

そう言って右手を一誠達へと向けると、バグスター達が一斉に襲いかかってくる。

 

『さあ、大人しくここで殺されなさい。』

 

「させるかよ!!」

 

それに対して一誠もゲーマドライバーを装着しようとするが…

 

「バカ野郎ッ!!テメェは引っ込んでろ!!」

 

その前にモモタロスが一誠の前に飛び出て、バグスター兵を手持ちの剣で切り捨てる。

 

「んだとぉッ!!」

 

「お前には助けなきゃなんねぇ奴がいるんだろ!?ここは俺達に任せて、お前はそっちに集中してろ!!」

 

「……チィッ!!わかったよ!!」

 

そう告げて、今度は良太郎の方を見る。

 

「良太郎ッ!!しばらく1人でも出来るよな?」

 

「うん、大丈夫!!」

 

「それなら、早く行ったら?」

 

「援軍が来るまでここは、オレ達に任せとき!!」

 

「クロノスなんてブッ飛ばしちゃえ!!」

 

「行け!!野上!!」

 

「じいちゃん!!」

 

そこにウラタロスにキンタロス、リュウタロスも加わり道を作り上げる。

 

「……行こう、皆!!」

 

その道を良太郎が駆けていき、続けて一誠達も走り抜けて校門を抜ける。

 

『フム…残った貴方達で私と私の軍団に勝てるとでも?』

 

「たりめぇだ!!テメェこそ、俺達に勝てるなんて思ってんじゃねぇぞ!!」

 

そう叫ぶモモタロスの横にウラタロス達に侑斗、幸太郎にゼノヴィアが並び立つ。

 

『いいでしょう……ならば、私と私の軍団が全力でお相手しましょう……フン!!』

 

双剣を持ったセイリュウグラファイトは斬撃を飛ばす…モモタロス達ではなく、見送りに来ていて、まだ避難が完了していない子供達に向けて…

 

「なッ!?」

 

「やらせん!!」

 

ビルドドライバーを装着して、変身しようとするゼノヴィアだったが距離的にも間に合わない……そこに1人の人物が飛び出して、左手の銃を連射し斬撃の威力を弱め、右手の剣でそれを叩き落とした。

 

『ほう?』

 

「これ以上……好き勝手はさせないよ、セイリュウグラファイト?」

 

その斬撃を落としたのは、ガシャコンソードとガシャコンマグナムを持った千歌だった。

 

『変身できなくなっても、まだ抗いますか…』

 

「抗うよ…何時だって、何度だって!!」

 

『ハァ……たかが1%の威力で放った斬撃を落としたくらいで…いい気にならないでほしいですね?』

 

「そうでもないよ?」

 

「おい青トカゲ、シカトぶっこいてんじゃねぇぞ!!」

 

千歌の行動にため息を吐くセイリュウグラファイト…だが、それは自らの体を張った時間稼ぎでモモタロス達は既に変身準備が完了していた。

 

「戦えねぇ女子供を狙うとは、ずいぶん性根が腐ってるみてぇだな?その根性、俺達が叩き直してやるよ!!」

 

「皆、受け取って!!」

 

ベルトを巻き終えたモモタロス達に、コハナがライダーパスを投げ渡す。

 

「待ってました!!」

 

「これで本気で戦えるってもんや!!」

 

「いっくよー!!」

 

パスを投げ終えたコハナも避難しようとするが、その隣に昨日現れた白いイマジン…名を【ジーク】という…がやって来る。彼は良太郎と契約はしていないが、時々現れては力を貸してくれる仲間である。

 

「姫、私にも1つ。」

 

「アンタ…まだ戦ってなかったの!?」

 

彼に呆れながらライダーパスを手渡すコハナ。

 

「今から姫の為に…!!」

 

そう言って、腰にモモタロス達が巻いてるのとはバックルが違う電王ベルトを巻き、パスを翳す。

 

「変身。」

 

『Wing form』

 

すると、その姿が金のボディスーツに白いアーマー、水色の羽を模した仮面を付けた【仮面ライダー電王・ウィングフォーム】へと変わった。

 

「降臨…満を持して。」

 

「って、誰も待ってねぇよ手羽野郎!!主役はお『Wake up!! CROSS-Z DRAGON!!』お前まで遮ってんじゃねぇ!!」

 

「む、スマン。私のはお前達と違って時間がかかるのでな…」

 

変身を先にやられキレるモモタロスだが、その文句までレバーを回しているゼノヴィアに遮られてしまう。

 

「たく…お前ら、行くぞ!!」

 

『Are you Ready?』

 

ビルドドライバーからその音声が流れると同時に、モモタロス達もパスをベルトに翳し、侑斗は専用ベルトである【ゼロノスベルト】を巻き、そこに黒に緑の線が入ったカードをセットする。

 

「「「「「「「変身!!」」」」」」」

 

『Sword form』

 

『Rod form』

 

『Ax form』

 

『Gun form』

 

『Altair form』

 

『Strike form』

 

『Wake up Burning!! Get CROSS-Z DRAGON!! Yeah!!』

 

各々がその姿を変え、8人の仮面ライダーが並び立つ姿は…中々に荘厳な絵になっていた。

 

「俺、再び参上!!」

 

「お前達、ボクに釣られてみる?」

 

「オレの強さに、お前が泣いた!!」

 

「お前達、倒すけどいいよね?答えは聞いてない!!」

 

「最初に言っておく…俺はか~な~り強いッ!!」

 

「テディ。」「ああ!!」

 

「今の私は…負ける気がせん!!」

 

「私はもう言った。」

 

それぞれが名乗りを上げて己を鼓舞し、気合いを漲らせながらセイリュウグラファイト達と対立する。

 

『では、己の死を賭けたデスゲームの開始としましょう!!』

 

「上等だ!!行くぜ!!行くぜ!!行くぜェ!!」

 

互いに走り出し校庭の中央で始まる戦闘が、数多の時間の運命を賭けたゲームの開始を告げる狼煙となった。

 




ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ……

一誠「最初っからそうしてりゃ良かったんだよ。」

花丸「番長先輩…やりすぎじゃ…」

一誠「このバカにはコレくらいが丁度良いんだよ。」

花丸「え~と…良ければ、次回もマル達の活躍を見てくださいね!!」

一誠「………………お前の出番、あったか?」

花丸「ズラッ!?」


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頼れるFriends

どうも、疾風の警備員です。

前回が遅すぎましたので、今回は振り切りました。

グリスブリザード…マジカッケェ!!でも次回予告がマジヤベェーイ!!

カシラ……どうか無事でいてくれぇ!!2週間も待てるかぁ!!

では本編、どうぞ。


一誠side

 

「アイツらは大丈夫なのか?」

 

「モモタロス達なら大丈夫だよ。皆、強いしね。」

 

「じゃなきゃ困る。」

 

クロノスがいるらしい幻夢コーポレーションへと走る俺は、校庭で戦っているだろう奴等の事を考えていたら野上がそれに答えた。

 

「何でそう言える?彼処には戦えねぇ奴等もいるんだぞ?それを守りながらなんて…」

 

「だって、今まで一緒に戦ってきた僕の大切な【仲間】だから…」

 

そう口にする野上は照れくさそうだったが、疑いの表情を微塵も顔に出さなかった。それを見て、喧嘩屋の勘が告げている。コイツは嘘を言っていないと…

 

「なら、もしカナ姉達に傷でもつけたら…そんときゃ容赦なくタマを潰す。」

 

「えっと…手加減してあげてくれない?」

 

「断る。」

 

そんな会話をしながら走っていたら、先頭のグレモリーが交差点の前で急に立ち止まった。

 

「皆、ストップ。」

 

「何だ?」

 

「バグスターですわ。外見からソーディアとサスケですわね。」

 

ポニーテールの女の言葉に交差点の壁越しに先を覗いて見ると、騎士と忍の格好をしたバグスター2体が道を塞ぐように立っていた。

 

チッ…邪魔クセェ…!!

 

「なら、さっさとブッ飛ばして…!!」

 

「兵藤君、その役目は僕達だよ。」

 

早くクロノスの所まで行こうと思った俺は飛び出そうとしたが、それはグレモリーの仲間の男に止められた。

 

「あ?」

 

「部長、僕が彼等の注意を逸らすので、その隙に突破を。」

 

「裕斗先輩、お付き合いします。」

 

「頼んだわよ、二人とも。」

 

「「はい、部長!!」」

 

二人はグレモリーの言葉に答え、交差点へと飛び出した。

 

「今のうちに私達は別ルートで向かいましょう。」

 

彼女の言葉に頷いて、俺達は別の道へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕斗side

 

『お前達は……魔王の手先か!!』

 

ソーディアとサスケの前に出た僕と小猫ちゃんに、ソーディアが叫びながら剣を突きつけてくる。

 

まぁ…サーゼクス様やリゼヴィム様とも関係があるから、あながち間違いでもないかな?

 

『うぬらには用が無いのでござるが…』

 

「そちらになくても、こちらにはあります。」

 

「貴方達を兵藤君の所に行かせません。」

 

『なるほど、足止めでござるか。しかし、ライダーでもないそなたらに拙者等の相手が勤まるか…』

 

「だったら、問題ないよ。」

 

サスケの言葉を遮る様に僕と小猫ちゃんはあるものを取り出す。それは右側にレンチを模したレバー、左側には小型タンクがついた水色のドライバー【スクラッシュドライバー】といわれるアイテムだ。僕達はそれを腰に装着し、僕は右手に戦闘機が描かれた、小猫ちゃんは左手に虎の絵が描かれたゼリーパック型のアイテム【スクラッシュゼリー】を持つ。

 

『それは?』

 

「君達の言う……ライダーシステムだよ。」

 

ゼリーのキャップを正面に回し、僕はそのまま、小猫ちゃんは一度上に投げて右手でキャッチしてドライバーに装填する。

 

『ジェットジェリー!!』

 

『トラジェリー!!』

 

待機音が鳴る中、僕は右手を上に上げてからゆっくりと正面に下ろし、小猫ちゃんは顔の前で腕をクロスさせると一気に左右に振り下ろし、右手を左前に突き出し左手をレバーに添え、あの言葉を叫ぶ。

 

「「変身。」」

 

それに合わせてドライバーのレンチパーツを下げて、装填したスクラッシュゼリーを押し潰し、液体を流していく。

 

『『潰れる!!流れる!!溢れ出ぇる!!』』

 

すると、自分達を囲うビーカー型の特殊フィールドが形成され、その中を液体が満たしていき、僕達に向かって絞られると僕はグレー、小猫ちゃんは手足が黄色で胸元は黒のボディスーツに身を包み、頭はゼリー飲料の飲み口みたいになってそこに複眼があり、頭頂部から水色と黄色のゼリーが勢いよく噴出し、頭部と胸部に肩部の鎧を形作っていく。

 

そしてそれが終わると、僕は胸に斜め向きのジェット機のクリアブルーの鎧に肩には折り畳まれた主翼、頭部は左右に飛ぼうとするかの様なジェット機のクリアパーツに覆われた姿、小猫ちゃんは肩は飲み口が内側に向いたゼリー飲料みたいな黒いのアーマーに胸には正面を向いたクリアイエローの虎の顔、頭部は向かい合った虎を模したクリアイエローのパーツに覆われた姿になった。

 

『ジェット・イン・セスナ!!』

 

『トラ・イン・ティグレス!!』

 

『『ブルルァァァ!!!!』』

 

『それは…仮面ライダーか!?』

 

「僕は【仮面ライダーセスナ】!!」

 

「私は【仮面ライダーティグレス】です。」

 

名乗ってから僕は聖魔剣を持ち、小猫ちゃんは拳を握る。

 

兵藤君、後は頑張って!!

 

「さあ、戦いを始めようか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスside

 

あれから少し迂回してしまったけど、私達は何とか幻夢コーポレーションの前まで来た。

 

「でも、用心はしてるわよね…」

 

しかし、その入り口には2体のバグスター…あれはフリートとラヴリカね。

 

「これでは入れないではありませんか!!」

 

「それが目的でしょう。」

 

「リアス、ここは私達が…」

 

朱乃の言葉に私は頷く。もとよりそのつもりだったしね。

 

「3人とも、私達がアイツらを入り口から引き剥がすから、その間に中へと「ちょっと待て。」何かしら…?」

 

「何でアンタ達はそこまでやる?そこまでやる理由なんざ「あるわよ、理由。」はぁ?」

 

確かに昔の私なら簡単に命なんて賭けられなかった…でも、今は様々な世界の危機に私1人が我儘で何もしないなんてあり得ないし、彼には償わなければいけない罪もある。

 

「以前、私の失態で貴方の幼馴染みを傷つけてしまったからよ。」

 

あれは私がバカだった…人間界にいる自分の特異性や役割を理解して、下手すればそれが何をもたらすのか解っていたのに、自分勝手な理由で我を忘れてあんな惨事を起こしてしまったのだから…

 

「それを止められなかった私達眷属も同罪…」

 

「だからこそ、今度は自分を見失わずにやるべき事をやると決めたの。そして、今やる事は貴方を無事にクロノスの所まで送る事…」

 

「その為なら、自身を囮にするくらい問題無いですわ。それは先程の裕斗君達も同じ。」

 

「だから貴方は私達の事は気にせず、今の自分にやるべき事だけをしなさい!!」

 

そこまで言ってから、私と朱乃はバグスターの前へと躍り出た。

 

『むッ!?敵発見!!』

 

『バカヤロー!!あれは女だぞ!!だったら、俺のハーレム要員だ!!』

 

ラヴリカの言葉に、私は凄い既視感を覚えた。

 

………………バグスターにも、レンジみたいなのがいるのね…

 

『おいハニー達、俺のハーレム要員になれよ。』

 

「悪いですけれど私、弱い男は嫌いなので。」

 

そんな誘いを、朱乃はアッサリと断る。

 

『ハハハハハッ!!勘違いしてもらっちゃ困るなぁ…俺は頼んでるんじゃねぇ……命令してんだよ。』

 

「ウフフフフ…なら、なおのことお断りしますわ♪」

 

『OK,OK……どうやら無理矢理従えた方が早そうだ。』

 

「貴方ごときに出来るかしら?」

 

『ハッハッハッ!!君達ごときが、俺に勝てるのかな?』

 

『戦闘用意!!』

 

ようやく戦いの始まりとなったが、私は1つの不安要素があった。それは今のままで上級バグスターに勝てるかどうか…

 

(コレは……アレを使いましょうか。)

 

そうと決めたら、私は隣にいる頼れる親友(朱乃)に話すことにした。

 

「朱乃、【ハザードトリガー】を使うわ。」

 

「ッ!!あらあら…では、万が一の場合には…私が止めてあげます。」

 

「ありがとう。」

 

彼女に感謝した私は、胸元から全体が赤く中央にメーターがあり、上にはカバーに隠されたボタンがあるアイテム…ハザードトリガーを取り出し、カバーを外して中のボタンを押す。

 

『Hazard on』

 

それをビルドドライバーの右上に取り付け、ラビットボトルとタンクボトルを数回振ってからベルトに装填していく。

 

『ラビット!!タンク!!スゥーパァー!!ベストマァッチ!!』『ドンテンカン!!ドーンテンカン!!ドンテンカン!!ドーンテンカン!!』

 

いつもと違う待機音が流れる中、朱乃も腰にスクラッシュドライバーを装着し右手に青緑色の細身で少し長いボトルを持って、キャップを正面に向ける。

 

『DANGER』

 

ガラスかなにかがひび割れる様な音とその音声の後に、どこか恐怖感を煽るようなメロディーが流れ始め、そのボトルをドライバーに勢いよく装填する。

 

『ティラノサウルス!!』

 

『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

私はレバーを勢いよく回し、前後に鋳型の【ハザードライドビルダー】が形成され、右手を顔の横に持っていき朱乃は左手を顔の横に持っていく。

 

『Are you Ready?』

 

「「変身。」」

 

二人で呟きながら指を鳴らし、私はハザードライドビルダーにプレスされ、朱乃はビーカー型の特殊フィールドに青緑色の液体に満たされていくが、その左右にティラノサウルスの頭を模した様なものが現れて、ビーカーを噛み砕いた。

 

『Uncontrol switch!!』

 

『割れる!!喰われる!!砕け散ィる!!』

 

ビルダーからチンッ!!という音がすると、それが離れ私は複眼以外が真っ黒になった姿【ラビットタンクハザードフォーム】になり、朱乃は胸元は黒く白い皹模様が走り手足は腕や膝は青緑色で手足の先は白い鎧に包まれ、顔は真っ黒で顎下に開いた口の様なパーツがあり、それが勢いよく閉じると胸元と同じように白い皹割れが走り、一部が欠けて黄色の複眼が覗いていた。

 

『BLACK HAZARD!! ヤベェーイ!!』

 

『ティラノサウルス・イン・バイト!!オォゥラァ!!』

 

「仮面ライダービルドと!!」

 

「【仮面ライダーバイト】がお相手しましょう。」

 

私達はすぐに走り出すと2体に掴み掛かり、幻夢コーポレーションの入口から無理矢理引き剥がした。

 

「3人とも、今よ!!」

 

それで出来た道を兵藤君達は走り抜け、会社の中へと突入していった。

 

(これで1つ目の役割は終わったわね。)

 

私は掴み掛かっていたフリートに蹴りを入れて吹き飛ばし、正面から対峙する。

 

後はコイツらを倒すだけ!!

 

「さあ、私達の実験に付き合って頂戴!!」

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

会社の中に入った俺達だったが、その足はすぐに止まった。なぜなら…

 

「やあ諸君、待ちわびていたよ。」

 

「クロノス!?」

 

入ってすぐのホールにバグスター2体と陣取ってやがったからな…!!

 

あれはナックルとブロック…!!

 

「バカと何とかは高い所が大好きらしいけど…」

 

「あいにく、私はそんな趣味は持っていないのでね…」

 

「そうかよ…!!」

 

だけど、ようやく会えた!!これで我慢する必要はもうねぇ!!

 

「曜を返して貰うぞ!!」

 

俺と黒澤先輩はゲーマドライバーを、良太郎は電王ベルトを装着し、変身体勢に入る。

 

「君と戦うのはいいが……そこの二人は邪魔だ。」

 

『ステージ・セレクト!!』

 

だが、その音声と同時に二人の姿がクロノスの左右にいたバグスター達と一緒に消えてしまった。

 

「くッ…!?」

 

「さあ……死合(ゲーム)を始めようか。」

 

「上等だ!!」『カイザードラグーン!!ダブルナーイツ!!』

 

「カイザー大変身!!」

 

『ガッチャーン!!ダブルアーップ!!赤と白の‼二人の戦士‼(we're!!)何度も何度もぶつかり‼(Hey!!) ダブルナーイツ‼』

 

俺はカイザードラグーンダブルナイツでレベルXになり、体に隠れていたパラドと分離する。

 

「なるほど、彼の体を隠れ蓑にしたという事か……いつぞやと同じ様に…」

 

「うるさいッ!!!!今日こそお前を倒して、皆の仇を討つ!!」

 

「やってみたまえ。以前と続きといこうじゃないか。」

 

「「こっからは、共闘プレイとしゃれこもうぜ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤside

 

「まさか兵藤さん達とこのようにして、分断されるなんて…」

 

「たぶん…彼等を倒さないと、逃げられないんだろうね…」

 

『その通りだ。』

 

『元の場所に戻りたけりゃ、俺達を倒してみな!!』

 

会社の中にいたのに、私と良太郎さんはいつの間にか何処かの学校の中庭みたいな場所に立っていました。

 

本当…嫌がらせに関してはギネスレベルですわ…

 

「でしたら、さっさと倒して兵藤さんの援護に向かいましょう!!」

 

『ジュエリートレジャー!!』『べリアルモンスター!!』

 

「もちろん!!」

 

私はガシャットを起動し、良太郎さんは赤いガラケーをベルトに取り付けると金色のレールが伸び、その先から大きな剣が出てきて、刀身の窪みにパスをセットした。

 

「Xー0カラット…」

 

「「変身!!」」

 

『ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!!探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリートレジャー!!アガッチャ!!災厄をもたらせべリアル!!絶望を振り撒けモンスター!!今こそ破滅の…時来たり!!』

 

『Liner form』

 

私はジュエルXー0、良太郎さんは赤と黒に白のボディスーツにまるで怪獣のような感じがするアーマーを纏い、頭にはパンタグラフがある赤く細長い複眼が特徴の姿に変わった。

 

「僕がブロックの相手をするから…」

 

「私がナックルですわね!!」『ガシャコンギガナイザー!!』

 

互いの相手を決めたら、武器をその手にバグスターへと向かう。

 

こちらは私達に任せて…貴方はクロノスの相手に集中しててください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、駒王学園での戦闘は激しさを増していた。

 

「必殺・俺の必殺技part1!!」

 

電王・ソードフォーム(以降、電王Sと呼称)が剣でバグスター兵を切り裂き…

 

「ソリャアッ!!」

 

電王・ロッドフォーム(以降、電王Rと呼称)が、ライダーキックで雑魚をまとめて蹴り飛ばし…

 

「ダイナミックチョップ…!!」

 

電王・アックスフォーム(以降、電王Aと呼称)が斧で凪ぎ払い…

 

「バーン!!」

 

電王・ガンフォーム(以降、電王Gと呼称)が銃で次々と撃ち抜いていた。

 

「なんという混沌……私には似つかわしくない戦場だ。」

 

そう言いつつも、電王・ウィングフォーム(以降、電王Wと呼称)もバグスター兵を華麗に倒していく。

 

「もぉ~!!コイツらしつこい!!」

 

「それでもやるしかねぇだろ!!」

 

「子供達に手出しはさせへん!!」

 

「全く…アイツ、性格悪いってよく言われるでしょ?」

 

彼らが必死に成っているのは、セイリュウグラファイトが次々と呼び出してくるバグスター達の殆どが、戦えない果南や子供達を狙っているからだ。今、彼女達は校舎に隠れ、入口をデネブに桜魔、美桜が防衛している。

 

「侑斗!!さすがに俺達だけじゃ抑えきれない!!」

 

「それでも持ち堪えろ!!」

 

「おい!!援軍はまだなのかよ!?」

 

「知らないよ!!」

 

だが、数の差は歴然で徐々に押されていく。このままでは突破されると思われたその時、入口から一人の女性が飛び出した。

 

その女性は左手の銃を撃ちながらバグスター兵の集団に飛び込み、右手の剣で的確に喉元を切り裂いていく。

 

「高海さんッ!?無茶だ!!」

 

その飛び込んだ女性…千歌を見てデネブは叫ぶ。今の彼女は生身であり、一撃でも攻撃を喰らえば死は免れない。しかし、大立ち回りをしながらも冷静なのか、初級や中級のバグスターが接近するとその場をすぐに離れ、バグスター兵だけを確実に減らしていった。銃をフェイントに使って視界を塞がせ、その隙に背後に回って喉元を切り裂く様は、もはや暗殺者のようにも見える。

 

「すげぇ…」

 

「下手したら、変身した俺より強いかも…」

 

それを呆然と見るNEW電王とゼロノス。その間に二人の側をすり抜けようとする者がいたが、最初から気づいているとばかりに目も向けずに切り裂かれた。

 

それを見ていたセイリュウグラファイトは、近くに控えていたリボルとバーニアに尋ねる。

 

『フム…リボルにバーニア、場所は解りましたか?』

 

『はッ!!敵は建物3階の左端の部屋に、立て込もっているようであります!!』

 

『その部屋にライダーになれる者がいないのも、確認済みです。』

 

『よろしい……ならば、そこへ砲撃を行いなさい。』

 

『『はッ!!』』

 

セイリュウグラファイトが2体にさせていた事は、隠れた非戦闘員の捜索だった。そして場所が解ると彼は其処への攻撃を命じる。

 

2体が全身に装備している火気を一斉に発射し、それは果南達や子供達がいる部屋へと向かっていくが、突如として弾丸やミサイルが動きを止めた。

 

『『なッ!?』』

 

「ボクだって…やれば出来るんですぅぅぅぅぅ!!」

 

その理由は、ギャスパーが持つ神器【停止結界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)】の効果で、それらの動きを封じたからだ。

 

「よくやった、吸血鬼!!」

 

そんな頑張りを見せたギャスパーを褒めつつ、クローズはセイリュウグラファイトへと一直線に向かって行く。そして拳を繰り出すも彼はそれを簡単に受け止める。

 

『その程度の拳では、私に届きませんよ?』

 

「……貴様には言いたいことが1つある…!!」

 

『……何です?』

 

低い言葉で呟くクローズが、どんな言葉を紡ぐのか気になったセイリュウグラファイトは先を促す。その口から出されるのは子供達を狙うことを許せない正義感か、それとも卑怯という罵りなのか……しかし、その口から紡がれた言葉は…

 

「お前はな……私とキャラが被ってるんだよォッ!!」

 

「「「「「「そこかよッ!?」」」」」」

 

まさかの私怨であった。

 

「おいテメェ!!もっと他に言う事あるだろ!?」

 

「何を言っている!!いいか!?今後、私のように青い龍を模したライダーが現れた時、ただ青い龍というだけで仮面ライダーと認められなかったら……それは全部、コイツのせいだ!!」

 

『……理不尽極まりないですね…』

 

「だから私はクサムをムッコロス!!」

 

『ここではリントの言葉で喋りなさい。』

 

掴まれてる手を力任せに振りほどき、再び殴りかかるクローズ。しかし、セイリュウグラファイトもお返しとばかりに拳を繰り出しぶつけ合う。

 

『貴方達は早く、彼等の希望を撃ち砕くのです!!』

 

セイリュウグラファイトの言葉に再び攻撃を始めるリボル達、それを必死に止めているギャスパーも限界が近いのか、弾丸の幾つかを止められず校舎に命中し始める。幸い子供達がいる部屋にまだ攻撃を通していないが、何時まで持つかわからない。

 

「桜魔!!美桜!!」

 

「「アイアイサー!!」」

 

そこに千歌の指示が飛び、ガシャコンソードの炎の斬撃とガシャコンマグナムの乱射でそれらを撃ち落としていった。

 

「これ以上は…!!」

 

『やらせはしませんよ。』

 

電王達は攻撃の阻止に乗り出すも、初級や中級のバグスター達が一気に群がり、彼等を押さえつけた。

 

「しまった!?」

 

そして千歌には大量のバグスター兵を送って身動きを封じ、更にセイリュウグラファイトが呼び出したリボル&バーニア軍団の一斉射が子供達のいる部屋へと放たれる。

 

「させませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」

 

それをギャスパーは渾身の力で止めるが、既に体力の限界を越えており、段々と押し込まれていく。

 

「皆、逃げてぇッ!!」

 

『無駄ですよ、あれだけの攻撃……あの部屋の周りを含めて跡形もなく吹き飛びますね。』

 

叫ぶ千歌の思いを嘲笑うかの様に言うセイリュウグラファイト……そして遂にギャスパーが力尽き、今まで止められていた残った弾丸やミサイルも動きだし、校舎へと迫り大爆発を起こした。

 

「ああ…」

 

「テメェッ!!なんて事を!!」

 

『ハハハハハハハッ!!これで貴方達の希望は消えて…「いないのよね、これが♪」ん…?』

 

その光景に千歌が崩れ落ち、電王Sが睨み、それを笑って見ていたセイリュウグラファイトだったが、爆煙が立ち込める場所から新たな声が聞こえると共に煙が吹き飛び、そこには無傷の校舎と一人の仮面ライダーが浮いていた。

 

『貴様は…!!』

 

「あれって……もしかして…!?」

 

千歌はそのライダーが誰だかすぐに気づく。細部が違うも纏う雰囲気が過去にいた人物と酷似していたからだ。しかし、

 

「クク…!!この程度の攻撃で【仮面ライダーヨハネ】様の結界を突破しようなど……笑止!!」

 

『馬鹿な…!!』

 

「……本当に……善子ちゃん?」

 

「だぁかぁらぁ…!!ヨハネだって言ってんでしょうが!!未来の千歌!!」

 

そのツッコミに千歌の中でようやく確信が持てた。あれは自分が知ってる善子なのだと…

 

「やっぱり……善子ちゃん…!!」

 

「泣くのはまだ早いんじゃない?」

 

「え?」

 

久々の仲間との再会に涙を流しそうになるも、ヨハネの言葉に戸惑っていると彼女の周りにいたバグスター兵達が次々と倒されていき、電王達を押さえていたバグスターも何処からか放たれた熱線によって消滅していった。

 

『一体、何が起きているッ!?』

 

「電光雷豪……Darkを討つ!!」

 

「ファーストミッション終了、セカンドミッションに移行します。」

 

それに呆然としていたら、彼女の側に二人の仮面ライダーが現れる。二人とも細部が違うが間違いなくレーザーとスナイプであり、聞こえる声も彼女が知っているものだった。

 

「ハァーイ、未来の千歌♪」

 

「千歌ちゃん、大丈夫だった!?」

 

「鞠莉ちゃん……梨子ちゃん…!!」

 

「泣くのはもう少し待って、もうすぐ彼も来るから。」

 

その言葉のすぐ後に、リボル達の前に金色の存在が降り立ち…

 

『ッ!?いつの間に…!!』

 

「無敵パァーンチ!!」

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

その内の一体を殴り飛ばし、多段ヒット機能で無限に攻撃を行い爆発させてそれに何体かを巻き込ませて起こした連鎖爆発で、全員を殲滅した。

 

「私は…勇者になる!!」

 

「ならんでいいわ…」

 

訳のわからない発言をする金色の存在【仮面ライダーエグゼイド・ムテキゲーマー】にツッコミを入れる銀髪の男性を見て、今まで我慢していた彼女の涙腺が遂に決壊する。例え過去の存在だとしても、心から願っていた再会がようやく実現したのだから…

 

「大丈夫か、千歌?」

 

「ヴァーリくぅん…!!!!」

 

「感動してる暇はない。受けとれ。」

 

そんな千歌に彼はあるものを投げ渡す。それは、紫色の液体が入った一本の無針注射器だった。

 

「コレは…?」

 

「神からの恵みだ。条件を満たしていれば、お前に奇跡が起きるぞ?」

 

そう言われた千歌は躊躇わず……いや、躊躇いなんてもともとない…それを首に当てて、中の液体を注入した。

 

「ちょッ!?姉御!?」

 

「おい!!何を渡したんだ!!」

 

「黙って見てろ。」

 

その行動に美桜は驚き、桜魔はヴァーリに突っ掛かってくるも彼は無視し彼女を見守る。

 

「が…!!アグ…!!アァァァァァァァァァッ!!!!」

 

少しの間苦しむ千歌だったが、すぐに顔を上げてヴァーリを睨む……その瞳を赤く輝かせながら…

 

「アンタねぇ…!!もう少しマシな起こし方はなかったの!?」

 

「緊急事態なんだから贅沢言うな。」

 

「全く…!!」

 

そんな二人の会話に、美桜はただ驚くだけだった。

 

「姉御がグレた!?」

 

「グレてないわよ。」

 

「いいから早く変身しろ。ここを片して安全を確保するぞ。」

 

「はいはい、解ってるわよマイロード。」

 

「いや、姉御は変身できな…」

 

そう話す桜魔の横で千歌?はゲーマドライバーを腰に装着し、左手にマキシマムマイティエックス、右手にハイパームテキを持ち起動させる。

 

『マキシマムマイティエーックス!!』『ハイパームテキ!!』

 

「ガシャットが起動した!?」

 

『マキシマムガシャット!!ガッチャーン!!レベルマァァァックス!!』

 

「この世界の運命は…【ワタシ】が変える!!」

 

そして腕でカタカナのムを象ったポーズを決め…

 

「ハイパー大変身!!」

 

『ドッキーング!!パッカーン!!ムーテーキー!!輝け!!流星の如く!!黄金の最強GAMER!!ハイパームテキ!!エグゼェーイド!!』

 

その身を金色の戦士…エグゼイド・ムテキゲーマーへと変えた。

 

「何で…姉御が変身できるんだよ…!?」

 

桜魔達はそれに驚くが、一番驚いているのは彼女だった。

 

「本当に……本当に()()なの…?」

 

「ええ、心配させたわね……ごめんなさい…」

 

「ううん……ううん!!気にしないよ!!こうして……また、会えたんだから…!!」

 

そう、ヴァーリが千歌に渡したのは【バグスターウィルス活性剤】であり、目的は彼女の中に眠っているであろう美歌を叩き起こすためだったのだ。

 

『ムテキゲーマーが……二人だと…!?』

 

「さて、これで戦力が整ったな。」

 

ヴァーリも腰にゲーマドライバーを装着し、変身する。

 

『TADDLE LEGACY!!』『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!辿る歴史!!目覚める騎士!!タドルレガシー!!』

 

「これより…バグスター切除手術を開始する!!」

 

「「ノーコンティニューで…クリアするよ!!」」

 

そして、逆転の炎はここからは燃え上がる。




いかがでしたか?

最終決戦だよ、全員集合♪

という事でヴァーリ達も合流しました。

さぁて……次回は誰を暴れさせようかなぁ…

では次回で、お会いしましょう。


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勝利をBuildせよ!!

どうも、疾風の警備員です。

今放送しているアニメ【はたらく細胞】を見て、バグスターウィルスが感染した時、白血球やマクロファージにキラーT細胞がどんな風に働いてるのかスッゲェ気になりました。白血球はやっぱり遊走しまくってるのかな?

とりあえず、血小板ちゃんは癒しです。

では、本編をどうぞ。


ヴァーリの持ってきた薬のお陰で美歌が復活し、ムテキゲーマーに変身した未来の千歌。それは敵に動揺を与えるのに充分な材料だ。

 

『ええい…!!ハイパームテキが二人になろうとも!!』

 

セイリュウグラファイトもその1体で、双剣のグラファイトエッジを手に一瞬で突撃してくる。

 

「美歌、その頭…錆び付いてないよね?」

 

「千歌こそ…体、鈍ってないでしょうね?」

 

その短い応答でお互いを把握した二人は、向かってきたセイリュウグラファイトを前に、棒立ちのままでいた。

 

『死ねぇ!!』

 

「敵正面、初撃右上37度、二撃左上69度、直撃まで0.4秒。」

 

「フッ!!」

 

しかし、美歌の指示と殆ど同時に動いていた千歌はその攻撃を受け止め、ガラ空きとなった腹に蹴りを喰らわせて下がらせた。

 

『グァッ!?』

 

「遅すぎね。そんな速度ならここを攻撃します…って教えてくれてるものよ?」

 

『なめる…「私をムシするなぁ!!」うあッ!?』

 

美歌の言葉に逆上したセイリュウグラファイトは、再び攻撃をしようとするが、そこにクローズが飛び込んでセイリュウグラファイトにしがみつき、別の場所へと運んでいった。

 

「「え?」」

 

『この…!!離せ!!』

 

「クサムは私がムッコロスと言っただろう!!」

 

『だから、ここではリントの言葉で話しなさいと…!!』

 

そんな会話をしながら離れていく二人。それを未来の千歌達は呆然と見送った。

 

「え、え~と…とりあえず、どうする?」

 

「ほっときましょ。」

 

そんな二人を無視することにした彼女達は、一度ヴァーリの元へと戻った。

 

「あら、全員お揃いだけど……皆、消滅したんじゃ?」

 

「俺達は過去の存在さ。そこにいるNEW電王やゼロノスの力を借りてここまで来たんだ。」

 

彼等はそう言って変身を一度解き、素顔を見せる。それはこの時間の千歌が何よりも会いたいと願っていた姿だった。

 

「皆…!!」

 

「一人で良く頑張ったな…けど、ここからは、お前一人にはさせないさ。」

 

「うん……うん!!!!」

 

「さて、それじゃ役割分担といくか。梨子と鞠莉はここの防衛、善子は上空からの戦闘管制とサポートを頼む。」

 

「「「了解!!」」」

 

「それで千歌は…」

 

「「何、ヴァーリ君?」」

 

千歌を呼ぼうとしてヴァーリはある事に気づく。ここには現在、高海千歌が二人いることに…

 

「あ~…これだと指示出しに困るな…よし、片方及び両方の呼び方を考えるか。」

 

「じゃあ未来の千歌ちゃんは【ミチカちゃん】で、今の千歌ちゃんを【イチカちゃん】って呼ぶのはどう?」

 

「それだと今の千歌が、何処かのハイスピード学園ラブコメのスーパー朴念人みたいだから却下、次。」

 

「【チカミカ】はどう?」

 

「ありきたりだな、次。」

 

「なら、【ちっちゃんみっちゃん】は?」

 

「長い、次。」

 

「【チカットミカット】ってのは?」

 

「何か手に人形はめたお笑い芸人みたいだから却下、次。」

 

「【チカチミカッチ】」

 

「どこのクソアニメ(誉め言葉)だ、次。」

 

「【ロッソ】と【ブル】。」

 

「私色に染め上げろってか?次。」

 

「じゃあ可愛らしく【ミッチ】!!」

 

「裏切りそうだから却下、次。」

 

「やっぱりマグロ食ってるようなのは?」

 

「ダメだな、次。」

 

「「あの~……もう少しまともな名前を…」」

 

上がってくる名前候補にマシなのが1つもない事に困惑しつつも、何とかツッコム千歌コンビ。そこで何かを思い付いたのかヴァーリが顔をあげ…

 

「ああ~!!もう面倒だから、四人まとめて【チミカ隊】って呼ぶ事にするか!!」

 

「「それは数多の難民から、苦情が殺到するから止めてぇ!?」」

 

結論、今の千歌は呼び方そのままで、未来の千歌をミチカと呼ぶに決定した。

 

「では改めて……千歌は近隣のバグスター達を殲滅、ミチカは俺と一緒にクロノスの元へと向かうぞ。」

 

「「了解!!」」

 

ムテキゲーマーはまさしく切り札足りうる存在だが、クロノスのやり方を思い返せば、戦力の一点集中は危険だと判断し、ヴァーリは千歌達をこの場の護衛に残し、自身はミチカと一緒にクロノス討伐へと向かうことにした。

 

「そっちの電王達も契約者の元に行ってください。後はこちらの戦力で何とかなりますので。」

 

「そうか!!なら、頼んだぞ!!」

 

それを聞いた電王達は変身を解き、光の玉となって飛んでいった。

 

「っとそうだ……善子、これをルビィに渡しておいてくれ。」

 

「だからヨハネだっての!!」

 

これから移動しようとした時、ヴァーリはあることを思い出し1つのガシャットを善子に渡す。ルビィ用に作り上げた【サンシャイントップスター】を…

 

「分かった。ちゃんと渡しとくわよ。」

 

「さて、それじゃ行くか。」

 

そして今度こそ、二人は転移で消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアside

 

「オリャア!!」

 

『フン!!』

 

私はセイリュウグラファイトとの殴り合いを続けていたが、向こうの方が上で若干押されていた。

 

「この…!!」

 

『その程度の実力で…この私に勝てるとでも?』

 

「ォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!」

 

がむしゃらに何度も振るう拳…だが、セイリュウグラファイトは力の差をはっきりさせる為なのか、防御すらせずに私の拳をその身で受け止めていく。

 

『貴方と私とではレベルが違うのですよ。』

 

「それが……どうした!!」

 

『つまり貴方では私に勝て「ドリャア!!」ぐッ…!?』

 

そんな余裕そうに喋るセイリュウグラファイトに、私は拳をそのムカつく顔に叩き込む。

 

「【レベル(そんなもの)】など知った事か!!私には目的がある……その為に強くなると決めたのだァッ!!」

 

そうだ……イリナを助けるために、この程度の奴に負けてなんていられるものか!!私はもっと…もっと強くなるんだ!!

 

『Ready go!! Dragonic Finish!!』

 

「ウオオオォォリャアァァァァァッ!!!!!!」

 

『ブハァッ…!?』

 

レバーを回して放った必殺アッパーが見事に決まり、セイリュ……ええい!!長ったらしいから青トカゲにしよう!!……青トカゲは体を仰け反らせながら下がっていく。

 

『く…!!なぜいきなり攻撃力が…』

 

「まだまだァッ!!」

 

私はビートクローザーを取り出し、青トカゲへと斬りかかる。それは双剣で防がれるが、すぐにグリップエンドを3回引く。

 

『ヒッパレー!!ヒッパレー!!ヒッパレー!!』

 

「そォい!!」

 

『メガヒット!!』

 

『グオッ!?』

 

その力で出力を上げて奴の剣を砕き、無理矢理防御を突破して青トカゲを切り裂いた。

 

『あり得ない…!!こんな短時間で、私の力を上回るなど…!!』

 

「言った筈だ!!今の私は……負ける気がしないと!!!!」

 

ビートクローザーを投げ捨て、新たにオレンジと赤で彩られ、中央上部にボトルが1つ入る窪みがあるナックル型の武装【クローズマグマナックル】を右手に持ち、その中にドラゴンボトルを装填する。

 

『ボトルバァーン!!』

 

「これでトドメだッ!!!!」

 

ナックル表面のボタンを叩き、エネルギーをチャージしていき、青トカゲを青い炎を纏ったナックルで全力で殴り飛ばした。

 

「ドォリャアアアアアアアッ!!!!」

 

『ヴォルケニック・ナァックルゥ!!アチャー!!』

 

『グハァッ!?』

 

殴られた青トカゲはそのまま吹き飛び、校内と外を隔てる壁に激突してめり込んだ。

 

『この私が……人間ごときにィィィィィィィィィ!!』

 

だが、まだしぶとく生きていた。しつこい奴だ……だからこそ…

 

「次で本当に終わらせる!!」

 

ナックルをも投げ捨ててレバーを回し、背後にクローズドラゴン・ブレイズを召喚するとそれが吐く炎に飛び乗って青トカゲに迫り…

 

『Ready go!! Dragonic Finish!!』

 

「くたばれ、青トカゲ!!」

 

『ドハァッ!?』

 

必殺の回し蹴りを喰らわせてやった。

 

『く…!!最後に言っておくぞ…!!俺はd』

 

奴は何か言おうとしていたが、その途中で爆散した。

 

「見たか!!私の大・勝・利ィィィィィィィ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

『魔王の手下のくせに…なんだ、この強さは!?』

 

「それは、良い師に恵まれたからだよ!!」

 

僕は強度を上げた聖魔剣で、ソーディアの剣と打ち合っていた。

 

ソーディアは確かに力は強い…だけど、その鎧みたいな姿のせいで動きが大振り過ぎる!!

 

剣を斜めに構え、ソーディアの攻撃を後ろに受け流しながら背後を取り、背中を切り裂く。

 

『ウアッ!?』

 

「君は本当に勇者なのかい?その程度の腕じゃ、実力が知れるよ。」

 

そのまま背中を蹴って宙返りしながら距離を離し、折り畳まれていた肩のジェット機の翼に似た装備【ジェットパックウィンガー】を展開してゼリーを噴出、それに僕の駒である【騎士】の力を合わせた超速移動ですれ違いながら再度切り裂き、そのまま空へと舞い上がる。

 

『空を飛ぶとは卑怯な!!潔く勝負しろ!!』

 

「その言葉…君達の陣営が使っていい言葉じゃないね。」

 

『ツインブレイカー!!』

 

左腕にセスナとティグレスの共通武装であるツインブレイカーをビームモードで出し、そこに僕のスクラッシュゼリーの元になったボトル【ジェットフルボトル】と部長から預かった【サイフルボトル】を装填する。

 

『シングル!!ツイン!!』

 

「いけッ!!」

 

『ツインフィニッシュ!!』

 

そしてトリガーを押し、先端がサイの角の様になった戦闘機型の弾丸が次々に撃ち出され、ソーディアへと真っ直ぐに特攻していった。

 

『そのような攻撃!!』

 

ソーディアはそれらを次々と斬り落としていくも、それは目眩ましでしかない。その間に地上ギリギリまで降り、超低空飛行で一気に接近していく。その際にスクラッシュドライバーのレンチ型レバーを押し下げるのを忘れない。

 

『スクラップスラッシュ!!』

 

「ハアァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

『なッ!?』

 

ウィングからさっき以上のゼリーが噴射され、自分にかかるGに耐えながら全速力で突っ込み、聖魔剣で彼の体を縦半分に両断した。

 

「君みたいなのが勇者を名乗る資格はないよ。」

 

『見事…!!』

 

爆散する姿を見届けてから僕は剣を地面に突き刺し、変身を解除した瞬間にドッと汗が吹き出す。

 

「何とか…自分を保てたね…!!」

 

僕達が使うスクラッシュドライバーとスクラッシュゼリーには副作用があり、闘争本能を異常に掻き立てる仕様になっている。使い続ければ戦いだけを楽しむ戦闘マシンになってしまう可能性がある。さすがにそれは勘弁願いたい…

 

…………別に兵藤君を否定する訳じゃないよ?

 

「やっぱり……もう少し訓練が必要かな…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

『小娘一人で拙者に挑むとは…』

 

「うるさい…!!」

 

サスケが呼び出した忍者バグスターウィルスを、私は次々と殴り飛ばす。

 

(コイツら弱すぎ…全然楽しくない…)

 

飛び掛かってきた最後の1体は首を掴んでから地面に叩きつけ、その顔面にアタックモードにしたツインブレイカーを突き刺して消滅させた。

 

「これで終わり?…なら、貴方も大したことない。」

 

『なるほど、それなりの力はあると見受ける…ならば、拙者が参ろう。』

 

そう言ってサスケは5体に分身した。

 

へぇ~……これなら勝てると思ってるのか…嘗めてる?

 

「どれかなんて……分かってんですよ!!」

 

『ゴブッ!?』

 

私は左から2番目のサスケに全力の拳を打ち込み、サスケは体をくの字に曲げて吹き飛んでいき、分身も全て消えた。

 

ち…ヒョロ過ぎるでしょ。選ぶ相手間違えた…!!

 

もう1体のバグスターの方を任せた裕斗先輩を羨ましく思いつつも、とりあえず目の前の雑魚の前まで行きその姿を見下ろす。

 

『く…!!なぜ某の位置が分かった…!?』

 

「話す気は無い。」

 

サスケの顔を掴み、一度持ち上げてから再度、地面に叩きつける。

 

『ウゴァッ!?』

 

「さっさとくたばれ…」

 

『スクラァップゥクラァッシュ!!』

 

ベルトのレバーを押し下げ、エネルギーを集めた足でサスケの顔面に踏みつける。

 

ボン!!

 

「あ?」

 

しかし、当たった瞬間に奴の姿は丸太に変わっていた。

 

『忍法・変わり身の術!!』

 

そしてサスケは私の後ろにいた。

 

『もう容赦せぬぞ、小娘ェ!!』

 

「ふざけたマネを…!!」

 

その行動が私の怒りを買った。

 

チマチマと姑息な手ばかり…もう加減なんかしない……全力でブッ潰す!!

 

『奥義・乱れ風魔手裏剣!!』

 

大量の大型手裏剣を投げてくるサスケ。私はその全てを叩き落としながら接近し、ツインブレイカーに【ゴリラフルボトル】と【ロボットフルボトル】を装填する。

 

『シングル!!ツイン!!』

 

そして間合いに入ったら、それをヤツの脳天に思いっきり振り下ろした。

 

『ツインブレェイク!!』

 

『ゴハァッ!?』

 

その力で顔以外が地面に埋まり、直径5メートル程のクレーターが出来たけど気になんてしない。

 

『ば…バカな…!!拙者は【七天柱】の1人…!!』

 

「肩書きなんかで強くなれる訳ないじゃん。」

 

『スクラァップゥクラァッシュ!!』

 

レバーを下げてエネルギーを貯めた後にゼリーを抜いて、【トラフルボトル】と一緒にツインブレイカーにセットする。

 

『シングル!!ツイン!!』

 

「くたばれ…!!」

 

『ツインブレェイク!!』

 

『ま…!!』

 

サスケが何か言おうとしたけど、それを無視して顔面にツインブレイカーを叩き込んで爆散させる…クレーターが更に10メートル広がるが気にしないキニシナイ。

 

「あ~あ…何か物足りないなぁ…」

 

どこか消化不良を感じつつ、私は変身を解く。

 

「ふぅ~…あれ?私、どうやって倒したの…?」

 

スクラッシュドライバーを使って戦うと、何故か戦闘中の記憶が無いことが多い。部長達に聞いても苦笑いしかしなかったけど……

 

「ま、何時もより気分がスッキリしてるからいっか。」

 

私はそこで考えるのを止め、私は裕斗先輩と合流することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、仮面ライダービルドとなったリアスと仮面ライダーバイトとなった朱乃はラヴリカとフリート相手に苦戦していた。あらゆる攻撃が通じないラヴリカが盾となって戦い、その後ろからフリートが全身の砲台から攻撃のコンビネーションは中々に厄介なのだ。

 

「リアス、どうしますか?」

 

「ここは定石通りに分断しましょう。まずはフリートを優先的に撃破よ。」

 

「了解。」

 

そうと決まれば二人の行動は早く、左右に同時に走り出して1人分の砲撃の数を減らし、回避しながら近づくと朱乃がラヴリカに掴みかかって投げ飛ばし、フリートとの距離を離させる。

 

「リアスッ!!」

 

「ええ!!」

 

フリートに掴み掛かったリアスはその顔に拳を叩き込む。しかも、特訓によってその拳には滅びの魔力が纏われている。

 

『グオッ!?』

 

その一撃を喰らった場所が抉れるが、すぐにウィルスが増殖して修復する。

 

「自己修復…!?」

 

『物資が尽きぬ限り、我は倒れん!!』

 

「でしたら、一撃で沈めるだけですわね。」

 

朱乃はそう言って紫と金色に彩られ、歯車の装飾がある銃【ネビュラスチームガン】を持ち、その下部にあるスロットにユニコーンが描かれたボトル【ユニコーンフルボトル】を装填する。

 

『フルボトル!!』

 

そしてトリガーを引く。

 

『ファンキーアタック!!フルボトル!!』

 

銃口から放たれるユニコーンの角を模した弾丸は、真っ直ぐにフリートへと向かう…

 

『効かぬ!!』

 

が、それは砲撃を数回当てる事で撃ち落とされてしまった。

 

「そんなッ!?」

 

『オレを忘れるなよッ!!』

 

「しまッ!?」

 

更に先程投げ飛ばしたラヴリカが戻ってきて、朱乃を殴り飛ばした。

 

「朱乃ッ!!」

 

『何処を見ている!!』

 

「キャアアアアアアアッ!?」

 

それに気を取られていたら、フリートからの一斉砲撃がリアスに直撃する。

 

「リアスッ!!」

 

「大丈夫よ…!!くぅ…!!」

 

起き上がる彼女に寄り添う朱乃だったが、リアスは頭に手を置いて苦しそうにする。

 

「まさか……もう時間が…!!」

 

「みたいね…」

 

リアスが変身に使用したアイテム【ハザードトリガー】には、厄介な機能があり……使用者のハザードレベルを格段に上げる代わりに、使用し続けると脳が刺激に耐えきれず自我を失い、目に見える全てを破壊する戦闘マシンになってしまうのだ。

 

(リアスはもう限界……でも、まだ敵は残っている…せめてラヴリカを攻略出来れば何とかなるのに…どうすれば…!!)

 

「朱乃……ラヴリカ攻略の方法なら…あるわ…!!」

 

作戦を必死に練る朱乃に、リアスは1つのボトルを見せる。

 

「それは…!!」

 

「これならラヴリカの力を無力化できる筈よ…」

 

確かに彼女の見せたボトルなら、ラヴリカを攻略できる。しかし、どうやってそれを当てるのか…

 

「私が暴走して、囮になるわ…!!その間に狙い撃ちなさい!!」

 

そう言ってボトルを朱乃に渡すと、リアスは立ち上がり朱乃の前に立つ。せめて…仲間を攻撃対象にしないために……

 

「リアスッ!!」

 

朱乃が声を荒らげるが、その時既にリアスの意識は消えていて、力無く手足をダラリとぶら下げていた。そこからゆっくりとした動作で右手を動かし、ハザードトリガーのボタンを押してレバーを回していく…

 

『MAX Hazard on!! ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

ゆっくりと顔を上げるリアス……その目に見えるのはただ1つ……敵のみだ。

 

『Ready go!! Over Flow!!』

 

瞬間、リアスの姿がその場から消えフリートの前に現れるとアッパーを喰らわせて少し宙に浮かせると、今度は胸に向けて拳を2度振り下ろして地面にぶつかりバウンドしたら、その脇腹を思い切り蹴り飛ばした。

 

『ヤベェーイ!!』

 

『ヌグゥォワッ!?』

 

『お~お~……とんだじゃじゃ馬だな。躾のしがいがあるぜ!!』

 

余裕そうに喋るラヴリカを視界に捉えたリアスはすぐに殴り掛かるが、その攻撃ですら全て無力化されていく。

 

『何をやっても無駄だ!!オレは近くに女を連れてきたりなんかしねぇ…つまり、弱点は存在しねぇんだよ!!』

 

「それはどうでしょう?」

 

だが、その余裕が命取りだった。いつの間にかラヴリカの後ろには朱乃が立っており、その背中にリアスから渡されたボトルを装填したネビュラスチームガンを突きつけていたのだから。

 

『ッ!?テメ…!!』

 

「バァン♪」

 

『ファンキーアタック!!フルボトル!!』

 

『うおッ!?』

 

避けるなんて出来るわけなく、直撃するラヴリカ。そこにリアスの拳がキレイに決まる。

 

『ブゴッ!?…な、何でダメージを!?』

 

「このフルボトルで、貴方の能力を()()()したのよ。」

 

ネビュラスチームガンに装填されていたのは、錠前が描かれたボトル【ロックフルボトル】…コレは攻撃された相手の力を封印する能力を持っている。彼女はコレでラヴリカの能力をロックしてしまったのだ。

 

『オレの力が…!!ウギャアッ!?』

 

その事実に呆然とするラヴリカ…だが、今のリアスからすれば隙丸出しでしかなく、ラヴリカの顔面に拳をめり込ませて吹き飛ばした。

 

『一斉射!!』

 

そこにある程度回復したフリートの一斉射がリアスへと迫るが、彼女はそちらを見ずに高速で動き回って回避し、目標を彼へと変えて近づきながらレバーを回していく。

 

『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

そして拳を振りかぶり、突き出すと…

 

『Ready go!! Hazard Finish!!』

 

フリートの体を真っ直ぐに貫いた。

 

『ヌ…!!ウゴァ…!!』

 

『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

だが、それだけで終わらずまたもレバーを回し、必殺の回し蹴りが放たれた。

 

『Ready go!! Hazard Finish!!』

 

『ウオアアアアアァァァァァァァァァァァッ!?』

 

その攻撃に耐えられなくなったフリートは爆散した。

 

「あらあら、容赦ないですわね。では私も…」

 

それを見ていた朱乃もラヴリカを倒すため、ティラノクラックフルボトルをドライバーから抜き、代わりに薔薇が描かれたボトルをセットする。

 

『チャージボトル!!』

 

そしてレバーを押し下げる。

 

『潰れな~い!!チャージクラッシュ!!』

 

「ウフフ…さあ、お仕置きの時間ですわよ…!!」

 

ボトルの効果で彼女の右手には荊の蔓が握られている。それを顔の前でピンッ!!と伸ばしてから、それを鞭の様に振るい、ラヴリカを叩いていく。

 

『イタッ!!イタッ!!おい、やめ…!!「口答えは許しませんわよ?」ヒギィッ!?』

 

「ウフフフフフフフ…!!さぁ、卑しい豚の様に鳴きなさい♪」

 

荊の鞭(それ)で叩かれて悲鳴を上げるラヴリカ…朱乃はこの状況で感情が高ぶり【ハザードレベル】が上がり始めるが、それ以上の速度で【ドSレベル】が急上昇していた……

 

『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

そこにレバーを回しながらリアスが近づいてきた。視線は朱乃に向いており、彼女を新たなターゲットにしたようだ。

 

「あら、もう終わりなんですのね……仕方ありませんわね、少しは楽しめましたし♪」

 

ラヴリカを叩くのを止めた朱乃は蔓で彼を亀甲縛りで拘束する。

 

『うおッ!?…………なんか、新しい世界が見えてきたぞ…!!』

 

「でしたら……貴方に【死の世界】を見せて差し上げますわ♪」

 

『Ready go!! Hazard Finish!!』

 

『ビブラバッ!?』

 

飛び蹴りで朱乃へと迫るリアス……だけど朱乃は動じずに、縛っていたラヴリカの蔓を操って、彼を自身とリアスの丁度中央に配置した。そして、予想通りにリアスの攻撃は彼に直撃した。しかし、ラヴリカはその一撃でまだ消滅しなかった。だから朱乃はネビュラスチームガンとティラノクラックフルボトルを持ちながら、ラヴリカへと歩み寄り頭を踏みつける。

 

『う……あ…』

 

「フフ……これでチェックメイトですわ。」

 

『ティラノサウルス!!』

 

ボトルをネビュラスチームガンに装填し、銃口に膨大なエネルギーを充填していく間、朱乃は仮面の下でサディスティックな笑みを浮かべていた。

 

「さようなら♪」

 

『ファンキーブレイク!!ティラノサウルス!!』

 

『あ…♥️』

 

0距離でのエネルギー弾の直撃にラヴリカは最後、何故か嬉しそうな声を出して爆散した。

 

「さて……最後のお仕事をしましょうか。」

 

ラヴリカを倒したのに変身を解かない朱乃……その為に彼女の前には、未だに戦闘体勢のリアスがいる。

 

「全く……貴方はお馬鹿なんだから。」

 

ティラノクラックフルボトルをドライバーにセットし、レバーを押し下げる。

 

「約束通り……止めてさしあげますわ!!」

 

『クラックアップフィニッシュ!!』

 

『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』

 

二人は拳にエネルギーを纏わせて走り出し…

 

『Ready go!! Hazard Finish!!』

 

「ハアッ!!」

 

同時に突き出した拳がクロスカウンターとなって、互いにほぼ同時に顔に叩き込まれ、変身が解除され揃って地面に倒れた。

 

「ハァ…ハァ…私は…」

 

「ようやく……目が…覚めましたか……」

 

「結局……暴走しなきゃ…勝てなかったわね…」

 

「けど……それすらも覚悟してたのでしょう?」

 

「まぁね…」

 

「まずは体を休めましょう……今のままでは、役立たずですもの…」

 

「そうしましょうか…彼らの援護にも行かないとね…」

 

二人はお互いに回復魔法を使いながら休息に入る。まだ残る、やるべき事をなすために……




いかがでしたか?

今日のビルドを見て……カズミィィィィィンッ!!!!あとサイボーグ。何で……何で死んでんだよおぉぉぉッ!!!!

更に来週にはヒゲや筋肉バカまで消えそうじゃねェか!?

これはもう、龍騎の最終回みたいな展開を期待するしかねェッ!!

頼む東映!!彼等に幸せな未来を!!

では次回で、お会いしましょう。


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己が力のmeaning

どうも、疾風の警備員です。

今週のビルド……玄さん、アンタ格好良すぎだよ…!!万丈もハザードトリガー使うとは思わなかった。

ビルドは次回で最終回…何か寂しいけど、次回作の全てのライダーの力を持つ魔王(らしい)ジオウにも期待しましょう!!

では、本編をどうぞ。


ダイヤside

 

『ヘイヘイッ!!君の強さはそんなモンなのかい?』

 

「ハァ…ハァ…」

 

私はナックルと戦っていたのですが、向こうの強さは私を圧倒的に上回っていて、ガシャコンギガナイザーは遥か遠くに弾き飛ばされ既に4回もコンティニューしてしまいました。

 

「残りライフ95!!せっかく全快させておいた私のライフをよくも…!!」

 

『文句があるんだったら、オレに勝ってみな?』

 

「言われなくても!!」

 

起き上がった私はナックルに殴り掛かるも、上体を反らすスウェーで避けられ、すぐに反撃のラッシュが襲い掛かってくる。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』

 

「キャアアアアアアアッ!!」

 

両腕をクロスして防ぐも、腕に伝わる初撃の威力に簡単に崩され、拳の連撃が全身を襲いライフゲージがアッサリと0にされた。

 

『Game Over』

 

テッテレテッテッテ~♪「トゥッ!!……残りライフ、94…」

 

また消滅し、再度コンティニュー土管から甦りますが、この状況は非常によろしくない。

 

(このままではなぶり殺しですわ……イマージュ・ミラージュに代える?いえ、あちらはテクニック型で攻撃力や防御力はこちらのフォームが上、でも怪獣を呼び出しても数秒も持たずに倒される……どうすれば…!!)

 

攻略法を必死に考えていた時、私の視界にキラリと紫色に光る物が映った。

 

「今のは…」

 

そちらに軽く視線を向けると怪獣カプセルがあったのだけど、そのカプセルから感じられる力は通常の怪獣カプセルよりも遥かに強いものだった。更に周囲を見渡すと、同じ様に光るカプセルが後3つも見つかりました。

 

(どうやら、アレらが切り札になりそうですわね…)

 

『ガシャコンマグナム!!』

 

そうと決まれば即行動とばかりに私はマグナムを持ち、ナックルの周りにがむしゃらに撃ち込んでいく。

 

『おっと、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるってか?』

 

ナックルは立ち止まり、それを余裕で避けているがそれはこちらにとって好都合。撃ちながら移動し最初のカプセルを手に入れました。

 

『お?何かするつもりか……良いぜ、待っててやるからやってみろよ?』

 

私の行動から察したのか、ナックルはそう言って行動を止めた。上から目線なのに腹が立ちますが、せっかくのチャンス…逃がす手はありません。待っててくれる間に残りのカプセルも回収し、変身を解除してナックルの前に立つ。

 

『さて…どうやってオレに勝つのか……見せてみろ!!』

 

「ええ……今、見せて差し上げますわ!!」

 

そう言って髪をかき上げながら正面に4つのカプセルを浮かべながら並べ、始めに私から見て右端のカプセルを手に取り起動させる。

 

「ウルトラマンダーク。」

 

すると右隣に黒と血色の体に血走ったような赤い目とカラータイマーを持つ存在が左手を頭上に掲げて、紫色の光球を持って現れる。

 

更に左手に黒い物体【装填ナックル】が握られ、そこにある2つの穴の手前側にカプセルを入れる。

 

「ダークザギ。」

 

次のカプセルを起動させると、左隣に同じ様に黒と血色の体に胸にY字のクリスタルがある存在が、赤い光球を持って現れた。このカプセルを左手のアイテムの奥の穴に入れ、そのアイテムの表面にガシャットをなぞっていき、起動ボタンを押すとアイテムに入っていたカプセルが消え、ガシャットから光の粒子が溢れ一纏まりになると、先程の二人が向かい合っているカプセルが現れた。

 

『ウルトラマンダーク!!ダークザギ!!ダークネスカオスカプセルα!!』

 

そのカプセルは浮かせたままにし、三番目のカプセルを起動させる。

 

「ゼロダークネス。」

 

今度は左隣に頭ににブーメランみたいなのを二個付けた存在が紫色の光球を掲げ、そのカプセルをアイテムの手前に入れ…

 

「オーブダーク。」

 

今度は黒と銀の体に、赤い目と赤い輪っかのカラータイマーを持つ存在が赤い光球を掲げ、それを奥に入れてガシャットでなぞっていく。

 

『ゼロダークネス!!オーブダーク!!ダークネスカオスカプセルβ!!』

 

それを読み取り新しいカプセルを生成したら、最初に生成したカプセルを手に取り起動させる。

 

「ウルトラマンダーク、ダークザギ。」

 

向かい合う様にして私を挟むように現れた2体。そのカプセルをアイテムの手前に入れ、2つ目のカプセルを起動させる。

 

「ゼロダークネス、オーブダーク。」

 

先程と同じ様に現れる2体。そのカプセルを奥に入れたら、それをガシャットでなぞっていき正面に翳す。

 

『デモニックフュージョン・アンリーシュ!!』

 

「悪夢の中でお眠りなさいッ!!」

 

『ガシャット!!』

 

ガシャットをドライバーにセットし、レバーを開こうと握った瞬間、赤い電撃が私の体を駆け巡った。

 

「キャアッ!!な……何が起きて…!!」

 

(コワセ……コロセ……全テ破壊シロ…)

 

そこにとても低く威厳のある男性の声が頭に響いてきた。どうやら私を闇の底に引きずりこもうとしているみたいで、脳が麻痺していく感覚に襲われる。

 

(俺達に身ヲ委ネロ……ソウスレバ、奴ヲ倒シテヤル…)

 

そう言ってどんどん私の中へと、声が浸透していく……

 

――貴殿方に任せれば、アイツを倒してくれるんですの?

 

(勿論ダ…全力デ全テヲ破壊シテミセルサ…)

 

でも、その言葉が私の意識を一気に覚醒させた。

 

――でしたらそのお話…………論外ですわ!!

 

(何故ダ?…)

 

――私はこの力を【大切なものを守る】ために使うと決めてるんですの!!ただ壊すために使うなど…誰が許そうとも、この私…黒澤ダイヤが許しませんわッ!!

 

(何ガ違ウ…ドチラニシテモ、倒ス事ニ変ワリハナイ…イイカラ体ヲ寄越セ…!!)

 

――だからといって…貴方の様な黒い衝動に、飲み込まれてたまるものですか!!

 

私はその声を気合いで振り切り、ドライバーのレバーを思い切り開いた。

 

『ガッチャーン!!レベルアップ!!探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリートレジャー!!アガッチャ!!紅に染めろブラッド…!!君臨せよカイザー…!!世界の終わりが…今、始まる!!』

 

いつもより恐ろしい感じに流れるメロディ。そして私の姿はモンスタートレジャーゲーマーになるが、灰色の部分が血色に染まり、全身を圧倒的な闇のオーラが覆い両腕や両足にはゼロダークネスが頭部に着けていたブーメランのような物が1個ずつ…計4個装備されていた。

 

『へえ…それ、何ていう姿なんだ?』

 

「【仮面ライダージュエルブラッドリィ】…」

 

そう名乗り、手を正面に翳すと弾き飛ばされたガシャコンギガナイザーが戻ってくる。

 

「では、勝負の続きと参りましょうか?」

 

『見た目が変わったくらいで強気になるなよ…!!』

 

ガシャコンギガナイザーを肩に乗せながら言う私にキレたのか、ナックルが正面から突っ込んでくる。でも、先程と違い私にはナックルの動きが完璧に見えていた。

 

『オラァッ!!』

 

「フ…」

 

殴り掛かってくるナックルの拳……それを私は左手だけで容易く止めた。

 

『なッ!?』

 

「セアッ!!」

 

それに動きを止めたナックルの胸に、闇のオーラを集束させたギガナイザーの一撃を叩き込む。

 

『ゴハァッ!?』

 

その一撃にナックルは10メートル以上吹き飛んでいった。

 

『な、何だそのパワーは…!?』

 

「お喋りしてる暇はありませんわよ?」

 

ギガナイザーを投げ捨て、起き上がるナックルの懐に一瞬で近づき、オーラを纏わせた拳を何発も高速で打ち込んでいく。

 

『ウオオオオォォォォォォォォォォッ!?』

 

「セヤァッ!!」

 

最後に全力で上に飛ばし、両腕と両足の【ダークネススラッガー】を飛ばして空中で何度も切り裂いていく。そしてナックルが地上に落下した後、スラッガーを1つの三日月型の剣にして闇のオーラを纏わせていく。

 

『このアマ……嘗めんじゃねぇぞッ!!』

 

『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!!』

 

ガシャットをホルダーに入れ、キメワザを発動させたら向かってくるナックルへとこちらも駆け出し…

 

「我が刃で消え去りなさい…!!」

 

『BELIAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「【ツインデスブレイク】ッ!!」

 

ナックルの拳をかわしながら、その体を刃で両断した。

 

『ウソ…だろ…』

 

そう呟きながら爆散するナックルを見届け、私は走り出す。早くこのフィールドから脱出するために戦っているもう一人のライダーの元へと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良太郎side

 

「えい…!!」

 

『ぬるいな…』

 

「わっとと…!?」

 

僕はブロックと戦ってるんだけど、さっきから避けられてばかりで何故か攻撃されなかった。

 

「何で避けてばっかり…」

 

『もう充分だ…』

 

「この…!!」

 

『ヌン!!』

 

「うわぁッ!?」

 

とりあえず攻撃を繰り返していたら、ブロックの動きが急に変わり、剣を振り上げて無防備になったお腹に杖の突きを喰らってしまった。

 

『戦術プラン構築完了、これより反撃にうつる。』

 

そこからブロックの攻撃が始まった。僕が攻撃しようとすればカウンターを決められ、逆に防御しようとすれば隙がある場所を的確に狙ってくる。

 

「ぐぅ…!!まるで、僕の動きを読んでるみたい…」

 

『その通り、先程までの間に貴様のデータは全て収集し終え、対抗プランも完成した。お前にもう勝ち目はない。』

 

「そういう事か…」

 

確かに、動きを読まれたら攻撃なんて当たらない…でも、今ので解ったのは()()()()()()だ…

 

『では、潔く死ね!!』

 

上段から振り下ろされる杖…それを見ながら僕は剣の下部にある吊革状のレバーを引き、デンカメンソードのターンテーブルを回転させて刀身の位置にキンタロスの仮面を持ってくる。

 

『KIN AX』

 

そうして杖をその身に喰らうも、僕は一歩も引かず逆に杖を掴んで動きを封じた。

 

『なにッ!?』

 

「でやぁッ!!」

 

『グォッ!?』

 

それで隙だらけだったお腹に、剣を突き立ててブロックを下がらせた。

 

『何故だ…!?奴のデータは既に集め終えた筈!!なのに、この動きは…!?』

 

「君には絶対に理解できない…」

 

『RYU GUN』

 

『なめるなッ!!』

 

今度はリュウタロスの仮面を持ってきて、ブロックが落としてくるパズルブロックをダンスのステップの様な動きで回避し、突きの動作で刀身から紫のエネルギー弾を飛ばしてブロックに当てていく。

 

『ガハッ!?…また計算外の動きッ!?どうなっている!?』

 

「データだけで判断する君に…」

 

『URA ROD』

 

次はウラタロスの仮面にして、ブロックの杖を蹴り飛ばし、反対の足で後ろ回し蹴りを喰らわせつつその勢いを乗せた剣で横凪ぎに切り裂いた。

 

『ドハァッ!?』

 

「僕達が紡いできた力が…!!」

 

『MOMO SWORD』

 

「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

最後にモモタロスの仮面に合わせ、かつて教えられた型で剣を思いっきり振るい、ブロックを何度も切り裂いていく。

 

『ヌオアァァァァァァァァァッ!?』

 

「これで……トドメ!!」

 

デンカメンソードのレバーを押し込み、剣先から伸びる光のレールに飛び乗り、オーラ状のデンライナーと一緒に一気に加速しながらブロックを切り裂こうとした…

 

『これで終わるものかァッ!!』

 

けど、最後の悪あがきだったのかパズルブロックを大量に落としてきて近くで何度も爆発が起こり、その風圧で剣を落としてしまった。何とかパスだけは回収できたけど、肝心の武器が無くなっては……

 

「しまった…!!」

 

『これで終わりだ!!小僧ォッ!!』

 

(どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?どうしよ!?……あ、そうだ…!!)

 

しかし必殺技は止まらず、杖を突きの体勢で構えるブロックを前に必死に考えていたら、ある技を思い出してそれをやるため、レールの上を少しだけ走ってからジャンプして、そこから飛び蹴りの体勢になる。

 

これが僕の新しい必殺技!!

 

『CHARGE and UP』

 

「名前は…え~と……そうだ!!【電車蹴り】!!」

 

ケータロスのボタンを押してパスを翳し、咄嗟に考えたけど我ながら上手く出来た必殺技名を言いながらブロックへと蹴りを放ち、向こうはそれを杖で受け止めるもどんどんと押されていった。

 

『何なのだこの力は…!?これがお前の真の力とでもいうのか!?』

 

「これは僕一人の力じゃない!!大切な仲間達と一緒に過ごし、時間をかけて築き上げてきた……【僕達の絆の力】だッ!!」

 

『絆だとッ!?そんなものに、この私が…!!』

 

良太郎の言葉を否定しようとするブロックだったが、その前に杖が砕かれライダーキックが直撃、炎の花を散らして消えた。

 

「うわわわわ…!?いたッ!!アチチチチチチ…!!」

 

その勢いがありすぎて、ブロックを倒したのにあまりの速度に着地に失敗して思いっきりお尻から落ち、そのまま滑って摩擦で凄く熱くて痛いッ!!

 

「はぁ~…結局こうなるのか…」

 

最後でツイてないなぁ……

 

その時、周囲の空間がドット状になって崩れ落ちていきさっきまでいた空間に戻った。

 

「ダイヤちゃんの方も倒したんだ…」

 

「野上さん!!」

 

そこにだいぶ姿が禍々しくなったジュエルがやって来て、僕は最初、敵だと思ってビクッ!!としてしまったのは内緒だ。

 

「そちらも倒したんですのね…!!」

 

「うん…そうだ!!早く彼の所に!!」

 

「ええ!!」

 

クロノスと一人にしてしまった彼の手助けをするため、僕達はビルの中を走り回り、屋上でようやく二人を見つけた。でも、僕達の視界に入ってきたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガハ…!!」

 

「あ…ああ…!!」

 

「一誠君ッ!!!!」

 

「所詮君は……私には勝てない。」

 

磔にされている渡辺さんの傍にクロノスが立っていて、そこから少し離れた所に脅えているパラド君と……血みどろで倒れている兵藤君だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

「見て見てッ!!善子ちゃん達が来てくれたズラッ!!」

 

教室の一角に隠れていたルビィ達は、さっきまでの攻撃に震えていた。ヴラディ君達が時間を稼いでくれてなかったら今頃は死んでいた筈…

 

そう考えると怖くて仕方ないけど、ここにはルビィよりも小さい子供達もいる……だから、脅えてばかりもいられない!!ここではルビィだってお姉さんなんだから!!

 

――ドゴォン!!

 

「るびぃッ!?」

 

でも近くで爆発が起きるのはやっぱり怖いよぉッ!!

 

「でも、鞠莉達が来てくれたのなら…!!」

 

果南さんが言うとおり、私も外を覗いてみたら外にいたバグスターさん達が瞬く間に減っていっていた。あ、青い龍のバグスターさんが倒された。

 

「何だ、ここにいたのね。」

 

その時、教室のベランダに善子ちゃんが変身したライダーが降り立って変身を解いた。

 

「「善子ちゃんッ!!」」

 

「ヨハネだっつってんでしょッ!!」

 

うん!!このツッコミは間違いなく善子ちゃんだ!!

 

「全く……あれ?二人足りないけど…」

 

「実は…」

 

善子ちゃんの疑問に花丸ちゃんが答えていく。それを聞く度に善子ちゃんの顔も険しくなっていく…

 

「なるほどね……だったら、なおさらコレが必要じゃない。」

 

そう言って善子ちゃんがルビィの右手に何かを置いた。それは兵藤先輩がパラドさんと一緒に変身するのに使うガシャットと色違いだった。

 

「これは?」

 

「エール用の強化ガシャット…【サンシャイントップスター】よ。」

 

「エールの…?」

 

そのガシャットを見ると、ラベルにはスポットライトを浴びて踊る一人のアイドルが描かれている。

 

「そ。それを使えばアンタの心の力を増幅してエールの力を格段に引き上げられる……戦闘力は殆どないけど…アンタの大切な誰かを【助けられる力】に出来る筈よ。あ、トップスターってあるけど、ユニットも可能だから。」

 

「……………………善子ちゃん、ここお願い!!」

 

そう言われて、私はそのガシャットを見た後にある覚悟を決めた。だから、教室を飛び出したら…

 

「ルビィちゃん、マルも手伝うよ!!」

 

「もちろん、私もね?」

 

「え?」

 

私の後を花丸ちゃんと果南さんが追い掛けてきてくれていた。

 

「一誠達の力になりたいのは、ルビィちゃんだけじゃないよ。」

 

「マルだって、今まで何度も助けてもらってるし。」

 

「果南さん……花丸ちゃん……」

 

「子供達用の結界を張ったら、アタシも手伝うからね~!!」

 

善子ちゃんの声を背中越しに聞きながら私達は走り、屋上に出た。空には薄い紫色の膜が張られていて、コレが結界だと理解するのにちょっと時間が掛かっちゃった。

 

「ここなら、スペースは充分だね。」

 

「ルビィちゃん、早く!!」

 

「うん!!」『ガッチャーン…!!』

 

私はバグルドライバーⅡを腰に巻き、2つのガシャットを起動させる。

 

『きらめきアイドル!!』『サンシャイントップスター!!』

 

そして、きらめきアイドルをドライバーに、サンシャイントップスターを右腰に現れたホルダーに装填する。

 

『ガシャット!!』『ダブルガシャット!!』

 

(お願い……私に【皆を支えられる力】を…!!)

 

「ラブリーステップ!!変身ッ!!」

 

『バグルアップ…!!トゥインクルガール!!(Woooooo!!)星のオーディション!!素敵な笑顔!!きらめきアイドル!!(Woooooo!!)アガッチャ!!サンサン!!輝くサンシャイン!!キラキラ!!夢のトップスター!!サンシャイントップスター!!』

 

目の前に現れたゲートを潜ると最初はアイドルゲーマーになるけど、すぐに全身が光りだし青と白を基調とした色合いのドレスに所々に色とりどりの薔薇の花が付き、左裾と腰にあるピンクの大きなリボンがアクセントとなった姿【仮面ライダーエール・トップスターアイドルゲーマー】に変わった。

 

「これが……新しいエール…」

 

「ルビィちゃん、可愛いズラ~♪」

 

「それじゃ、始めようか!!」

 

『ステージ・セレクト!!』

 

私達の周りにゲームエリアが広がり、まるでアイドルのライブステージみたいな場所に変わって音楽が流れ始める。

 

(例え戦えなくても……私の思いが助けになるなら…!!)

 

「皆に届け!!私の応援歌(エール)ッ!!」

 

今も何処かで戦っている先輩達の無事を祈りながら、私は二人と一緒に歌い始めた。この絶望に包まれた世界に、希望を届ける為に…




いかがでしたか?

この劇場版も後2~3回程で終わりになります。つまり、次回でようやくアレが登場します。

では次回でお会いしましょう。


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Nexusが起こす奇跡

どうも、疾風の警備員です。

何とかジオウが始まる前に書き上げられた……本当はビルド最終回の後ぐらいに出そうと思ってたのですが……シンフォギアXDやプリコネReをやってて遅れました…本当にスンマセン…orz

今回でやっと出したかったものが出せた…!!

何がやりたかったのかは、本編をどうぞ。


時を少し遡り……

 

 

 

一誠side

 

「「こっからは、共闘プレイとしゃれこもうぜッ!!」」

 

『ガシャコンキーブラスター!!』

 

俺とパラドはいつもの台詞を口にしつつ、目の前のクロノス(クソヤロウ)へと突撃する。

 

「まさか正面から来るとは……やれやれ…」

 

『PAUSE』

 

奴は剣の峰でベルトのボタンを同時押しし、ポーズを発動させるが今の俺達には関係ねぇ!!

 

ポーズを透過・反射して、俺達はそのままクロノスへと襲い掛かる…

 

「やはりそうか。」

 

が、まるで知っていたと言わんばかりに俺の拳を盾で、パラドの斬撃を盾で受け止められた。

 

「何ッ!?」

 

「既にハイパームテキで手痛い目にあっているのでな…この程度の事は些事に過ぎない。」

 

「「ッ!?」」

 

そしてパラドの剣を受け止めたまま、器用に剣先をずらして力任せに横凪ぎに振るってきたのを、後ろに跳躍する事で寸前で回避できた。

 

『RE:START』

 

「まぁ…ポーズなど使わずとも、君達に勝つのは容易いがな。」

 

「へぇ…!!なら、やってみろやッ!!」

 

「待て、イッセーッ!?…ああもう!!」

 

クロノスの挑発的な言葉に俺は少しばかり頭にキて、パラドの制止を聞かずにクロノスへと突っ込んだ。

 

「ハハハハッ!!まさしく猪武者だな!!」

 

「ニャロオッ!!」

 

思いきり振りかぶって放った拳……だが、大してダメージの無い相手にこれは悪手だった。確実に当たると思った一撃だったが、それは斜めに構えられた盾の表面を滑る……つまり、受け流されてしまった。

 

「なッ!?」

 

「やはり君もまだまだ子供だな…」

 

「ぐあッ!?」

 

そのせいで背後を取られ、俺が振り向く前に背中を奴の剣で切り裂かれた。

 

「このォッ!!」

 

「君は既に攻略済みだ。」

 

続けてきたパラドの剣は、盾を振るって強引に弾きがら空きとなったボディを剣で切り裂く。

 

「うあッ!?」

 

「パラドッ!!テメェッ!!」

 

「ヌン!!」

 

「「ウアァァァァァァァァァッ!?」」

 

倒れたパラドを起こしながらクロノスを睨むと、盾の先から鞭みたいなものが伸び、俺達に直撃して吹き飛ばされる。

 

「コイツ……やっぱ強ぇ…!!」

 

「あの時よりも…更に…」

 

奴の出方を窺っていると、クロノスはベルトのバグヴァイザーⅡをおもむろに取り外した。

 

「フム……2対1でも面白いが…こうすればもっと面白くなるか。」

 

そして銃口をこちらに向けると、そこから銀色の粒子が溢れだし徐々に人型になると、金色の一本角に青いスリットの目、肩には龍の頭を模した肩当てがあり、両手にはクロノスが持っているのと同じ武器を持っている赤い体の怪人が現れた。

 

「何だ…アイツは?」

 

「嘘だ……こんな事…あり得ない!!」

 

俺は見たこと無いバグスターだったが、パラドはその姿を見て信じられないといった様子で怯え始めた。

 

「おい!!アイツは何なんだッ!?」

 

「あれは……色は違うが【仮面ライダークロニクル】のラスボス…【ゲムデウス】だ…!!」

 

「はぁッ!?」

 

それを聞いた俺は驚くしかなかった。表と裏のラスボスが同時に来るとか、クソゲーにも程があるだろうが!?

 

「なんでゲムデウスがいるッ!?そいつはお前が取り込んだ筈だッ!!」

 

「新しく作り上げただけさ。これで2対2……公平になったな。」

 

「どこがだ……人質とってる奴が偉そうに…!!」

 

「では、望み通り彼女に会わせてあげよう。」

 

クロノスの右側の床が開き、何かが出てくる。それは十字架でその中央に曜が縛り付けられていた。

 

「曜ッ!!!!」

 

「一誠…くん…?」

 

体をざっと見ても怪我が無いことにホッとするが、クロノスのヤローが何を考えているのか解らねぇ以上、下手に動けねぇ…!!

 

「安心したまえ、彼女や貼り付けている十字架等に仕込みはしていないさ……ただ…」

 

そう言ってクロノスは曜の首もとに剣を突きつける。

 

「ひッ!?」

 

「君があまりに無様をさらせば……私の手が狂ってしまうかも知れないがな?」

 

「このヤロオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

『ガッチョーン!!ガシューン、デュアルガシャット!!ガッチャーン!!マザルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバール!!』

 

曜が脅える姿を見て、完全にキレた俺はカイザードラグーンのガシャットを抜いて投げ捨て、ギアデュアルΣを挿しレベル99になるが、怒りのあまりこれでパラドの変身も解かれ、ゲーマドライバーも増やす手段を手放す悪手だと気づかなかった。

 

「やれ、【ゲムデウスマキナ】。」

 

『御意。』

 

「邪魔すんじゃねぇッ!!!!」

 

俺は全力で殴りかかるがゲムデウスは盾で受け止め、そこから微動だにしなかった。

 

「なッ!?」

 

『弱いな。』

 

「ガアッ!?」

 

そして拳を上に弾かれ、一瞬の内に体を数回切り裂かれ…

 

『紅蓮爆龍剣!!』

 

「ウアァァァァァァァァァッ!?」

 

あろうことか、グラファイトの技をゼロ距離で喰らってしまい思いきり吹き飛ばされた。

 

「ガハッ!!……何でテメェがグラファイトの技を…!!」

 

『我は究極のバグスター…全てのバグスターの頂点に君臨する存在。他のバグスターの技が使えても不思議ではあるまい。』

 

「どんだけチートだってんだよ…!!」

 

目の前に存在するチート野郎(ゲムデウスマキナ)…だが、簡単に負けてやるつもりは更々無い。羽を広げ、一気に加速させて蹴りの体勢になって突っ込んでいく。

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

おまけに籠手のBボタンを出来る限り叩いて力を倍加させ、バックルのレバーを閉じる。

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

「吹き飛べやァッ!!」

 

『ガッチャーン!!SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

そこまでして発動させた必殺技、これならどんな奴でも倒せる……そう思っていた。

 

『その程度の技…』

 

―ガキィン!!

 

だけどその一撃も、アッサリと盾で受け止められてしまった。

 

「マジかッ!?」

 

『ヌン!!』

 

「ぐあッ!?」

 

そのまま剣で地面に叩き落とされ、何度も剣で斬られてから蹴られて地面を転がった。

 

「つまらんな……何か秘策があるのなら、やってみたまえ。」

 

「この…!!だったら、見せてやるよ…!!」

 

クロノスの言葉に乗るのは癪だが、痛みを堪えながらゲーマドライバーを外し、コラボドライバーを装着する。

 

「パラドォッ!!お前のガシャットを俺に貸せッ!!」

 

「あ、ああ…!!」

 

投げられるガシャットギアデュアルを掴み取り、コラボドライバーに装填する。

 

『『デュアルガシャット!!』』

 

「へんし…(バリバリ!!)ウアァァァァァァァァァッ!?」

 

『『ガシューン。』』

 

そして変身しようとしたが、俺の体を電流が流れ痺れている間にガシャットが飛び出してしまった。

 

「く…!?どういう事だ…!!」

 

「まさか……俺達のガシャットですら、適合しなかったのか…!?」

 

くそッ!!ここにきてまさかの状況かよ…!!

 

「ハハハハハハハハハハハハッ!!まさか切り札すら役に立たないとはなッ!!どうやら、君達の運命は決まったようだ。」

 

膝を着く俺を見下ろしながらクロノスは笑い、ゲムデウスへと手を伸ばした。

 

「ならば最後の手土産として……最大の一撃で終わらせてあげよう。」

 

すると、ゲムデウスの体が粒子になりクロノスの体へと入っていき、奴の体を血の様な赤いオーラが包み込んでいった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!これで私はゲムデウス2体分の力を手にした。さあ、セイヴァー・サバイバル……君を絶版にする時だ。」

 

「逃げてッ!!!!一誠君ッ!!早く逃げてッ!!」

 

曜が叫ぶが体がろくに動かない以上、逃げる選択肢は俺に無い。だから何とかゲーマドライバーを装着して近くに落ちてたガシャットギアデュアルΣを掴み、変身する。

 

それに俺は曜を助けに来たんだ……こんなところで、逃げてられるかよ!!

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!セイヴァー・サバイバール!!』

 

「まだ……俺の…心の高ぶりは……止まって…ねぇぞ?」

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

俺は何とかレバーを閉じ、右手にエネルギーを集束させる。

 

「ククク…いいだろう、これで本当の絶版だァ…!!」

 

『キメワザ…!!CRITICAL CREWS-AID!!』

 

「おらァッ!!」

 

『ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「ヌゥンッ!!」

 

俺の右ストレートとクロノスの回し蹴りがぶつかり合い、衝撃波が周囲を駆け巡る。だが、それは一瞬の事……俺は打ち負けて奴の蹴りをモロに喰らった。

 

「ウワァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

『ガシューン。』

 

その一撃で俺はパラドがいる所まで吹き飛ばされ、変身が解除された。

 

「これでゲームオーバーだ……では、彼女も絶版にしよう。」

 

「ま…………待て……………!!」

 

俺は必死に血だらけの手を伸ばすが、クロノスには届かない……

 

これで終わりなのかよ…!!頼む…!!誰でもいい!!曜を助けてくれ…!!

 

「させませんわッ!!」

 

そう思っていたら二人の影がクロノスと曜の間に立ち塞がった。

 

「フム…確か電王と、ベリアルモンスターだったかな?」

 

「彼女にはこれ以上触れさせない…!!」

 

「ならば、やってみたまえ…」

 

そこで俺の意識は途絶えた…

 

 

 

 

 

パラドside

 

一誠が目の前でクロノスと戦っている間、俺はずっと震えていた…

 

(どうしてだ…!!戦わなくちゃいけないのに…心が……震える…!!)

 

ベルトが無くなってレベルでもクロノスと対抗出来ないのもそうだが、それ以上に俺はクロノスに対して()()していた。

 

(ダメだ…どうしても過去に逃げる時に殺されかけた記憶がちらつく…過去のクロノスは大丈夫だったのに…何で今になって…俺は…!!)

 

そんな自分が情けなく思っていたら、いつの間にかダイヤと電王がクロノスと戦っていた。

 

ダイヤは新しい姿となっていたが、今のクロノス相手には力不足なのか何度も倒され、電王に至っては攻撃すら当たらない状況だった。

 

「くっ…!!ここまで強いなんて…!!」

 

「それでも、兵藤君が戦えるまで抑えないと!!」

 

しかし二人は諦めずに、クロノスに何度も立ち向かっていった。

 

(何でそこまで戦える……死ぬのが怖くないのか?)

 

「パラドさんもッ!!いつまでしゃがみ込んでいるんですかッ!!」

 

そう考えていたらダイヤの声がして、俺は意識を現実に戻す。近くに落ちてた俺のガシャットを拾い、変身しようとしたが、やはり俺の頭に殺されかけた記憶が過り、震えでこれ以上体が動かなかった。

 

「何してますのッ!!早く変身を…「怖いんだ…」え?」

 

「俺は過去に飛ぶ前、クロノスと戦ってたけど…劣勢なんかじゃなく完全に遊ばれてたんだ…!!何度も目の前で死ぬ様な攻撃を繰り出されて、必死にかわして……心が震えた…!!それに俺のせいで沢山の時間に迷惑が…「だから何ですのッ!!」へ?」

 

情けない心の内をさらけ出す俺だったけど、それはダイヤの叫びで遮られた。

 

「貴方だって、望んでこんな事態を起こしたかった訳じゃ無い筈です!!」

 

クロノスの攻撃を捌きながら、ダイヤは俺に向けて言葉を続ける。

 

「貴方はこの未来を変えたくて立ち上がったのでしょう!?クロノスに倒された方達の無念を晴らしたかったのでしょう!?それが出来るのは私でも、兵藤さんでもない……パラドさんだけなんですのよ!!」

 

「ッ!!」

 

彼女のその言葉が不思議と胸に届き、俺の心が再び袞りだした。

 

「……まさか、お前の言葉で心が袞るなんてな…」

 

そうだ……消えていったアイツらが望んだ世界を…明日を…今、生きてる俺が諦める訳にはいかない!!

 

俺は倒れているイッセーに近づき、ゲーマドライバーを外して自身に巻き付ける。

 

(イッセー…俺に力を貸してくれ…!!)

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大変身!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤い拳・強さ!!青いパズル・連鎖!!赤と青の交差!!パーフェクト・ノックアーウト!!』

 

パラドクスとなり、ガシャコンパラブレイガンを手にした俺はクロノスへと向かって駆け出し、全力で振るう。

 

「ハアッ!!」

 

「フ…」

 

それを奴は盾で受け止めるが、俺はそれを全力で押していく。

 

「やれやれ…あれだけ痛めつけたのに、まだ足りないのかな?」

 

「ああ、足りないな……あれだけの事で、今の俺は止まったりなんかするもんか!!」

 

「てやァッ!!」

 

「ぬぅッ!?」

 

俺の攻撃と言葉に気を取られていたクロノスの隙を逃さず、電王が横からクロノスを切り裂く。

 

「もらいましたわッ!!」

 

そこに続けてダイヤが三日月型の剣で更に切り裂く。

 

「ぐ…」

 

「オラァッ!!」

 

最後に俺がパラブレイガンを振り抜き、盾で防がれるが少しだけ後退させた。

 

「ほう…少しはやるみたいだ…」

 

「クロノスッ!!お前は俺達が抑えてみせる!!」

 

だから早く起きろイッセー……彼女()を助け出すのは…お前しかできないんだからな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

(今の俺じゃ……アイツを助けられないのか…)

 

真っ暗な世界で浮いている俺は、暗闇の先にいる曜に手を伸ばす。だけど、どんどんアイツは先に行ってしまい、俺の手は一向に届きそうになかった。

 

(アイツを助けられなかったら…俺は…)

 

そう思うと心が一気に空っぽになる感覚が俺を襲う。だから必死に曜へと手を伸ばしていく…

 

(でもどうやったら届く?……今でさえ、追い付ける気がしないのに…)

 

でも手は届かず、アイツは既に遥か彼方にいた。

 

(ダメなのか…今の俺じゃ……届かないのかよ…!!)

 

そう諦めかけていたら、俺の耳に音楽が聞こえてきた。

 

 

-推奨BGM【想いよひとつになれ】-

 

 

(この声……黒澤妹達か?)

 

すると力が漲り、ほんの少しずつだが曜に近づけていった。

 

(でもまだ遅い…!!もっと速く…!!)

 

――だったら、手を貸してあげる。

 

(え…?)

 

そこに聞き慣れた声がしたかと思うと、カナ姉が突然現れて俺の手を掴み、曜がいる方へと投げ飛ばされた。

 

(うおぉぉぉぉぉぉぉッ!?)

 

――マル達にはこんな事しか出来ないけど…

 

次に国木田が現れて、背中を押される。

 

(つか、お前こんなに力無いだろッ!?)

 

――とっととお行きなさい!!

 

――Let's GO!!

 

――いざ、闇を払いし光の元へ!!

 

――諦めるには早いよ?

 

――行ってらっしゃーい!!

 

それからも、黒澤姉やルシファーの所の奴らにも投げられ、だいぶ近づけたが距離はまだ離れている…

 

(だけど諦めてたまるか…!!アイツを助けるのは俺の役目なんだよ…!!!!)

 

――大丈夫、ルビィ達が必ず届かせます!!

 

そこに黒澤妹が現れて、俺の背中を押してくれた。

 

(うおッ!?)

 

――負けないでください!!ルビィ達は皆、先輩を信じてますからッ!!

 

その力は他の奴等よりも強く、俺の速度を一気に加速させていく。

 

(信じる……か…俺は昔、誰も信用しなかったのに、そう言われると悪い気はしねぇな…)

 

ガキの頃はクソアニキと比べられて呆れられて…信じられるのは曜とカナ姉だけ……なのに、いつの間に俺はここまで色んな奴等に信頼されてたんだろう…

 

頭に浮かぶのは黒澤妹達の他にもルシファーの野郎やグラファイト達バグスター、つい最近だとグレモリー達もだった。

 

(だったら、期待には答えてやらねぇと…!!)

 

改めて自分に誓い、全力で手を伸ばす。すると曜も手を伸ばしてくる。

 

(待ってろ曜ッ!!必ず俺が…お前を助けてやるッ!!)

 

そしてついに追いつき、伸ばした俺達の手が触れ合った瞬間、眩い光が俺の視界を覆っていく。

 

――…待ってるからね、イッセー君。

 

(おう、そんなに待たせねぇからな…)

 

そして視界が晴れると、俺は元の場所に仰向けに倒れていて、右手を空へと伸ばしていた。

 

「そうだよな……俺はこんな所で…負けてらんねぇ…!!」

 

「だったらさっさと起きろ、この喧嘩バカ。」

 

「ああ…!?」

 

寝起きに罵声を浴びせられ、少しキレ気味に応答しながらそいつのツラを拝んでやると、この世界にはいないルシファーがいた。

 

「お前も来たのか…」

 

「俺達がもう1つの援軍だからな。」

 

そう言ってルシファーが俺に手を翳すと、そこに魔法陣を浮かべ俺の傷が治っていく。

 

「サンキュー。」

 

「礼ならいい、それよりも【歌】は聞こえているな?」

 

「それのお陰で、目が覚めたからな。」

 

俺の耳には今も黒澤妹達の歌声が聞こえている。だけど、今までと違い体の奥底からも力が沸き上がる感じがしていた。

 

「ルシファー、この感覚は?」

 

「それが新しいエールの能力…【エールが味方と判断している者達の潜在能力を解放する】さ。」

 

なるほど、つまり俺はまだまだ強くなれるって事か…!!

 

それを聞いて、俺はコラボドライバーを手に持って見つめる。

 

今ならコイツを使える……そんな気がするからだ。

 

「なッ!?まさか未来の俺はそれを完成させていたのか…!!やはり俺の才能はか「喧しいぞ、コラ。」俺の台詞を遮るなァァァァァァァァァッ!!」

 

まーた神化しそうになったから、うるさくなる前に遮ったが、結局叫ばれて耳がキーンとなる。

 

「だァァッ!!耳元で叫んでんじゃねぇ!!」

 

「ゴハァッ!?」

 

とりあえず頭を1発殴って強引に黙らせてから、俺も戦場へと駆け出した。

 

「イツツ……見せてやれ一誠。お前達が起こす最上の奇跡をな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このッ!!」

 

「ハアッ!!」

 

「ふ…」

 

「「くぅ…!!」」

 

クロノスを挟み込む様にジュエルとパラドクスが迫るが、それはデウスランバートから伸びる鞭で遮られる。

 

「デヤァッ!!」

 

「……遅いな。」

 

「うわッ!?」

 

そこに電王が正面から斬り込むが、デウスラッシャーで受け止められ腹に蹴りを喰らい下げられる。

 

「だったらダイヤ、やるぞ!!」『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

「ええッ!!パラドさん!!」『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!!』

 

『ガッチャーン!!PERFECT KNOCK OUT!! CRITICAL BOMBER!!』

 

『BELIAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「「ハアアアアアァァァァァッ!!!!」」

 

パラドクスとジュエルは必殺技を発動させ、ダブルライダーキックで迫る…

 

「つまらんな…」

 

「うわッ!?」「キャアッ!?」

 

だが、直撃の前にデウスラッシャーで地面に叩き落とされた。

 

「【電車斬り】ッ!!」

 

その隙をついて、電王も必殺技で迫っていくが…

 

「遅いと言っている。」

 

それを盾で受け止め、横凪ぎに電王を斬り捨てた。

 

「ウワアァァァァァァァァァッ!?」

 

「ダイヤさん!?パラド君!?野上さん!?」

 

「こんなものか…さて、そろそろの人質の処刑といこうか…」

 

倒れ伏すライダー達を見下ろし、歩を貼り付けにされている曜へと向ける……

 

「い…いや…!!」

 

「ここで君は絶版だ…」

 

「そんな事はさせないッ!!」

 

「ん?……ぬぅッ!?」

 

脅える曜に迫るクロノスだったが、そこに黄金の戦士…エグゼイド・ムテキゲーマーが現れて、クロノスを殴り飛ばした。

 

「ぐぅ…バカな!!お前は既に絶版にした筈…!!なのになぜ!?」

 

「フフン、ちょっとした…神業でね♪」

 

『ガシャコンキースラッシャー!!』

 

そう言ってクロノスへと攻撃を始めるエグゼイド。しかし、ゲムデウスを2体も取り込んだクロノスも負けてはいなかった。ガシャコンキースラッシャーとデウスラッシャーが何度もぶつかり合い、火花を散らしていく。

 

「皆の仇…ここで討たせてもらうわッ!!」

 

「ならば、君も仲間の元へと送ってあげよう…!!」

 

つばぜり合いから互いに離れ、エグゼイドはマイティシスターズMX(ミラクルエックス)をキースラッシャーに装填する。

 

『ダブルガシャット!!』

 

それによりキースラッシャーが分裂し、両手に保持して二刀流となりクロノスへと猛攻を始める。だが、クロノスも剣と盾を駆使して凌ぎつつも、攻撃を加えていく。そして、だんだんとだがエグゼイドが押され始めていた。

 

「くぅ…!!前より力が上がってる!?」

 

「当然だ…先ほど2体目のゲムデウスを取り込んだのだからな…!!」

 

「はあッ!?」

 

まさかの事態に驚くエグゼイド。その隙を逃さずクロノスは彼女を蹴り飛ばす。

 

「千歌ちゃんッ!?」

 

「うあッ!?…ムテキの上をいくなんて、生意気じゃない…!!」

 

「そろそろフィナーレとしようか?」

 

『キメワザ…!!』

 

バックルのBボタンを押し、必殺技を繰り出そうとするクロノス…

 

「待てよ、ゴラァ。」

 

「ん?」

 

そこに一誠が現れて、エグゼイドとクロノスの間に立った。

 

「また君か…」

 

「おい、俺との喧嘩はまだ終わってねぇぞ。」

 

そしてコラボドライバーを装着する。

 

「無駄な事は止めたまえ。君にそれは使えない…」

 

「パラド、来いッ!!」

 

嘲笑うかの様なクロノスの言葉を彼は無視し、大声で倒れているパラドクスを呼んだ。

 

「はあ?いきなり来いってお前なぁ…」

 

「お前が俺に言ったんだろォッ!!」

 

「ん?そうか…そういう事かッ!!」

 

その言葉に最初は戸惑うパラドクスだったが、一誠の言葉にその意図を察して彼の中へと入っていった。そして一誠は右手にガシャットギアデュアルΣを、左手にガシャットギアデュアルを握りしめる。

 

「フン…二人が1つになったくらいで「二人じゃないさ…」ん?」

 

クロノスの耳障りな言葉を遮り、一誠は自分の左胸を右手で叩く。

 

俺の心(ここ)には、俺を信じてくれる奴等の思いが沢山あるからな。」

 

「下らん……それで何が出来る?」

 

「テメェをブッ潰す事さ。」

 

鼻で嗤うクロノスだったが、一誠は気にせず曜へと視線を向ける。

 

「曜、そこで待ってろ…今すぐ助けてやる…!!」

 

「ッ!!……うん、待ってるから…!!」

 

彼女の言葉に一誠は少しだけ笑みを浮かべつつ目を閉じ……目を開けると右の瞳が青く、左の瞳が赤く輝きだし全身を赤と青のオーラが包み出す。

 

「ッ!!それは…!?」

 

「確かに俺一人じゃお前には勝てない…」

 

更にオーラの赤い方がデュアルΣに、青い方がギアデュアルへと吸い込まれていき…

 

「でも、一人でダメなら……【()()()()】を借りればいい…!!」

 

オーラの全てが吸い込まれ、瞳が元の色に戻るとギアデュアルΣの端子が銀色に、ギアデュアルの端子が金色に変わる。

 

「見せてやるよクロノス……俺達が起こす【最上の奇跡】をなッ!!!!」

 

 

-推奨BGM【BLESS YoUr NAME(ルビィ&花丸&果南ver)】

 

 

ルビィ達の曲が変わると同時に一誠はクロノスへと叫び、右側にギアデュアルΣを装填する。

 

『デュアルガシャット!!セイヴァー・サバイバル!!』

 

続けて、左側にギアデュアルを装填した。

 

『デュアルガシャット!!パーフェクト・ノックアウト!!』

 

それで先ほどは一誠の体を電流が流れたが、今回は流れず……

 

『コラボレーション!!』

 

ガシャット同士が完全に適合した事を示す音声が鳴り響く。

 

「2つのガシャットが……完全適合したッ!!」

 

音声を聞いて喜ぶエグゼイド。それを聞き届けてから右手を上へと伸ばし、手を勢いよく閉じる。まるで、直上にある太陽を掴むように…

 

「……変身…!!」

 

そしてその手を一気に振り下ろして、ドライバー中央上部にあるスイッチを叩いてカバーを開いた。

 

『パッカーン!!キーセーキー!!』

 

すると眼前に幾つものゲームのスタート画面が現れ、それらが1つに重なってとあるライダーが描かれたゲートに変わり、一誠はそれを潜り抜け飛び上がる。

 

『煌めけ!!太陽も照らす!!』

 

そして太陽を背にすると、後ろから金色のメカチックなドラゴンが現れて体を分離させ、ドラゴネスとなった一誠の体に次々と装着されていく。

 

金色(こんじき)のドラゴンFighter!!』

 

両手両足に龍の手を模した赤い宝玉付きの金色の装甲に、ボディには右が青の宝玉、左が赤の宝玉をそれぞれ3つずつ埋め込まれた龍の鎧の装着が終わると、ボディスーツも金色に所々赤と青、白のラインが入ったものに変化し、頭部の形状が4つの角を伸ばした龍の形に瞳が虹色になり、背中から金色のエナジーウィングを展開してゆっくりと大地に降り立った。

 

これこそヴァーリが作り上げたドライバーとルビィ達の歌による潜在能力の覚醒、パラドと力を合わせる事で誕生したドラゴネス最強の姿。その名も…

 

『ネクサスキセキ!!ドラゴォーネス!!』

 

【仮面ライダードラゴネス・キセキゲーマー】

 

「なんだ…その姿は…!?」

 

「あれが…コラボドライバーの力…」

 

周りが呆然とする中、ドラゴネスは右手を強く握る。

 

「力が沸き上がる…!!」

 

次に視線をクロノスへと向け…

 

「勇気が燃える…!!」

 

最後にファイティングポーズを決める。

 

「俺の心が踊り高ぶるぜッ!!!!」

 

高らかに叫ぶドラゴネスを、クロノスは忌々しそうに睨み付ける。

 

「ふざけた真似を…!!すぐに絶版にしてやろう…!!」

 

「やれるもんならやってみやがれ…今の俺は、誰にも止められねぇぞッ!!」

 

エナジーウィングを広げてクロノスへと突撃するドラゴネス。今、囚われの少女を救う為…全ての時間へのパンデミックを防ぐ為の最後の戦いが幕を開けた。

 




いかがでしたか?

ドラゴネスの最強フォーム登場と、一誠とパラドの決め台詞合わせ……これがずっとやりたかったんですよ!!

さて、たぶん後2話で劇場版も終わりになります。

では、次回でお会いしましょう。


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最強のTEAM

どうも、疾風の警備員です。

台風被害にあわれた方々や北海道の地震で被災した皆様、大変かもしれませんが困難にめげずに頑張ってください。皆様の無事を祈ります。

今回はキセキゲーマーが大暴れします。それはもうチートな感じに…

では、本編をどうぞ。


キセキゲーマーとなったドラゴネスは、エナジーウィングを広げてクロノスへと突撃していく。

 

「ナメられたものだ…!!」

 

クロノスはそれを真っ向から迎え撃ち、間合いに入った瞬間にデウスラッシャーを振り下ろす。

 

-ブゥン!!

 

「ッ!?」

 

しかし、その一撃に手応えは無く、ドラゴネスの姿も視界から消えていた。

 

「いったいど…「後ろだよ…!!」グアッ!?」

 

視線をさまよわせていると後ろから声が聞こえ、振り返り姿を見る前に背中を強烈な一撃が襲い、クロノスは吹き飛んでいった。

 

「まだまだ行くぞ!!」

 

『ステージ・セレクト!!ガシャコンガントレット!!』

 

ドラゴネスは周囲を駅前広場のような風景に変えると、ガントレットを装着して吹き飛んでいくクロノスを一瞬で追い抜き、拳を構える。

 

「パラドッ!!」

 

「ああ、【タドルレガシー】に【ゲキトツロボッツ】、おまけに【カイザードラグーンダブルナイツ】も加えてやる…!!」

 

パラドがそう告げると、キセキゲーマーのある能力が発動してガントレットが輝き出し、その拳をクロノスの鳩尾に正確に抉りこませた。

 

「ゼリャアッ!!」

 

「グボァッ!?」

 

その一撃に体をくの字に曲げながら反対に吹き飛ばされ、近くに止めてあった車にぶつかり、それを巻き込みながら数件のビルに激突・貫通していった。

 

「ゴハッ!?な…なんだ…!?この威力は…!!」

 

激痛に呻き、仮面の中で血を吐きながらも起き上がるクロノスの前までドラゴネスが歩いて来て、その能力の説明を始める。

 

「これがコラボドライバーを使ったキセキゲーマーの能力……あらゆるゲームの武器や能力を自在にコラボレーション出来る…【アビリティセレクト】だ。」

 

「ちなみに今のはガントレットにタドルレガシーの【武器威力10倍】とゲキトツロボッツのスマッシャーにある【パンチ力10倍】の能力…さらにカイザードラグーンダブルナイツの【透過】をプラスさせて殴った威力だ。」

 

基本スペックがハイパームテキに匹敵するキセキゲーマーの力を、他のガシャットの力で更に強化させた一撃……普通ならそれで1発K,O,だが、ゲムデウスを2体も取り込んだクロノスの耐久力も高く、一撃必殺とまではいかなかった。

 

「ふざけた真似を…!!」

 

「ちなみに…」

 

怒りを露にするクロノスだったが、その言葉を紡ぐ前にドラゴネスは再び視界から消える。

 

「また…「おらよッ!!」ぐほッ!?」

 

いつの間に移動したのか、ドラゴネスはクロノスの右側に立っていて、その脇腹を蹴り飛ばす。

 

「これは【雷走ライトニング】の雷速移動だ。本当は短距離転移なんてのもありだったが、速攻の奇襲にはこっちが向いてるからな。」

 

「だが…これならどうだッ!!」

 

怒りをバネに立ち上がったクロノスは、即座にドライバーのボタンを同時押しした。

 

『PAUSE』

 

その力によりクロノス以外の全てのものが停止する。

 

「さすがの君でも、これには対処出来「るんだな、コレが。」…なッ!?」

 

だが、その予想に反してドラゴネスは止まる事なく、悠然と歩を進めていた。

 

「何故だ……何故ポーズの中で動けるッ!?」

 

「そんなもん、とっくに対策してるに決まってんだろ?」

 

「しかも、コラボじゃなくてキセキゲーマーの初期アビリティとしてな。」

 

キセキゲーマーはムテキゲーマーと同じくゲームエリアを遮断する能力を保持しているので、ポーズが通じる事はない。普段のクロノスならポーズは効かないと判断して立ち回っていただろうが、ドラゴネスの予想もつかない攻撃にいつもの冷静さを完全に失っていたのだ。

 

「アビリティセレクト…【イマージュ・ミラージュ】【カイザードラグーンダブルナイツ】【バンバンフォートレス】。」

 

その隙を逃さず、パラドは3つのゲームをコラボ相手に選択、クロノスの周囲に鏡を展開さて複雑な動きをさせながら囲っていき、両手と背中に6つあるバンバンフォートレスの武装【ハイブリッドキャノン】を装備する。

 

「チャージ完了。」

 

「ブッ放すぜッ!!」

 

エネルギーチャージが終わると同時に、一誠の言葉でビームが次々と放たれていく。

 

「そんな攻撃…当たりはしない!!」

 

それを最小限の動きで回避するクロノス…だが、ドラゴネスの狙いはそれではなかった。放たれたビームは真っ直ぐに突き進んで行くかと思われたが、それがクロノスを囲む様に動き回る鏡に当たるとその方向を曲げたのだ。

 

「ぬあッ!?」

 

その内の1発がクロノスの背中に直撃して動きを止められ、残りの5発が更に動きを曲げられ全方位からクロノスに襲い掛かり直撃した。

 

「ガハッ!?ビームを曲げるだと…!?」

 

「イマージュ・ミラージュの特殊アイテムである鏡……それに【反射】の力をコラボさせ、そこにバンバンフォートレスのハイブリッドキャノンを撃って反射。これでビームを曲げたのさ。後はちょっとでも隙を見せたらそこに撃ち込むだけ…それと…」

 

ふらつくクロノスを見ながらドラゴネスは背後に鏡を出し、バックステップで鏡に向かい、その中の水に入る様に飛び込んだ。そして、クロノスの周囲にある鏡の1つ…正面にあるものから飛び出し、先ほどのパンチングコラボに【反射】を混ぜて発動してから右掌を押し当て…

 

「グラファイト直伝・改、【紅蓮爆龍掌】…!!」

 

「ゴボァッ!?」

 

ゼロ距離で体に衝撃を叩き込み、更に反射の効果で衝撃をクロノスの体内で何度も反射させる事で、最大級のダメージを与えた。

 

「こんな奇襲も出来るんだぜ?」

 

「ハァ…!!ハァ…!!ありえん…この私が負けるなど…!!」

 

「いい加減に諦めろ、俺達の勝ちだ。」

 

その場に踞るクロノスにドラゴネスは勝利を宣言するが、クロノスはバグルドライバーⅡをベルトから外し…

 

「この私が負ける事など……あってはならないのだァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

周囲にバグスターウィルスを散布しだした。

 

「ッ!?イッセー下がれッ!!ゲムデウスウィルスにお前の体質は効かないぞッ!!」

 

「ちッ!!」

 

パラドの言葉にドラゴネスはバックステップで散布領域からすぐに離脱する。

 

(ちょっと吸っちまったが…今のところは問題ねぇな。)

 

ウィルス散布領域から脱出したドラゴネスはそこを睨み続ける。その中からクロノスの気配を感じるからだ。だけど、驚くのはこれからだった。散らばったウイルスは徐々に3つに集まり、人型となるとそこには青、黄、緑の3体のゲムデウスが立っていたのだ。

 

「へ…ラスボスのバーゲンセールってか?」

 

「まだ作っていたのか…!?」

 

しかし、その3体のゲムデウスは少し苦しむような動きの後、再び粒子に変わり中央に集まり、そこに現れたクロノスへと吸い込まれていった。

 

「ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」

 

「マジかよ…」

 

「ゲムデウスを合計5体も吸収するなんて…!?」

 

吸収が終わるとクロノスの姿は更に変化し、肩アーマーはゲムデウスのものに変わり、背中にはゲムデウスの翼が生え、瞳は血走るよりも真っ赤に染まっていた。

 

「ありゃあ…ゲムデウスを吸収したクロノスってより…」

 

「むしろ、クロノスを吸収したゲムデウスだな…」

 

「さあ…大人しく絶版にされろォッ!!」

 

姿が変わったクロノス……いや、【クロノスゲムデウス】はデウスラッシャーから高速の斬撃を放ってきた。あまりの速さに回避が間に合わないと判断したドラゴネスは、腕をクロスして受け止める。

 

「この…!!力が上がりすぎだろ!!」

 

後ろに下げられながらも何とかそれを弾き、構える。

 

「こりゃ、キセキゲーマーでもちと厳しいな…」

 

「…どうやら、俺の才能が必要になったか?」

 

そう言いながら、ドラゴネスの隣にヴァーリが立った。

 

「ああ?元はと言えばテメェがあんなゲーム作ったのが原因だろうが。後で詫びの1つでもしやがれ。」

 

「フッ、許しを請う気など…無ァい…!!」

 

「そーかよ…」

 

反省する素振りさえ見せないヴァーリにドラゴネスは呆れる。そんなドラゴネスを無視しながらヴァーリはゲーマドライバーを装着し、2本のガシャットを手に持つ。1つは【暴走サーキット】…もう1つはドラゴネスが見たこと無いガシャットだった。

 

『ALL SAFETY CRASH!!』

 

「っておいッ!?最初っから暴走する気かッ!?」

 

「神であるこの俺が…同じ失敗をするものかァッ!!」

 

『ガシャット!!』

 

それをキメワザスロットホルダーに装填したら、もう1つのガシャット【タドルパラディン】を起動させる。

 

『タドルパラディン!!』

 

それをゲーマドライバーに装填する。

 

『ダブルガシャット!!』

 

「術式レベルビリオンッ!!変身!!」

 

『ガッチャーン!! OVER LOAD!!』

 

ドライバーのレバーを開き、ゲートを潜ってヴァーリは黒いブレイブ・レガシーゲーマーになるが次の瞬間、レガシーゲーマがブレイブのボディから弾け飛び、背後に正に等身大の西洋甲冑ともいえる銀色のゲーマ【パラディンゲーマ】が現れ、その身をバラバラにすると空中でパーツごとにその場で制止する。そこにブレイブが向かっていき、ゲーマを両腕に両足と次々装着していき、胸部の鎧を纏うと背中に裏が赤で表が白のマントが出てくる。最後に頭部の甲冑を纏ったら、新しいブレイブ【パラディンゲーマー】となった。

 

『平和守り!!不滅の騎士!!タドォルパラディーン!!スゲェーイ!!カッケェーイ!!』

 

ガシャンと音を立てて着地するブレイブ、その重そうな見た目の割りに動きは軽快だ。

 

「お、新しい姿か…!!」

 

「勇者と魔王…そして神の力を手に入れた主人公が、宇宙を滅ぼそうとする破滅招来体を倒すために立ち上がるRPG……それがこのタドルパラディンだ。そして暴走サーキットの制御すらも可能にした…!!」

 

『ガシャコンガードナー!!』

 

左手に武器アイコンから作り出した大型の盾にガシャコンソードが収まっているガシャコンガードナーを呼び出し、ソードをそこから抜剣する。

 

「さて…ここからは俺も混ぜてもらうぞ?」

 

「いや…アイツは俺が倒さねぇと…」

 

「大丈夫だよ。」

 

ブレイブの言葉にドラゴネスは反論しようとするが、それは隣にやって来た未来のエグゼイドによって遮られた。

 

「ああ?なんでそう言えんだよ。」

 

「ようは【兵藤君がトドメをさせばいい】んでしょ?だったらそこまで弱らせる手伝いをするのは、何も問題ないんだよ。」

 

「え?あ、な~るへそ…」

 

確かに最初、クロノスが言ったのは【兵藤一誠がクロノスを倒す事】だった。だが、それはつまり倒さなければ他のライダーがボコっても問題ないと解釈もできるのだ。

 

「でしたら、私も参戦させてもらいますわよ!!」

 

ブレイブの隣にジュエルブラッドリィが立つと、エグゼイドの横に電王も並ぶ。

 

「なら、皆でやろうよ。」

 

『モモ・ウラ・キン・リュウ』

 

彼はケータロスをベルトから外してボタンを押していき、イマジン達も呼び出す。

 

『おうよ!!俺達も混ぜろッ!!』

 

『仲間はずれはないんじゃない?』

 

『オレもまだまだ暴れ足りん!!』

 

『またてんこ盛り~♪』

 

『では、この私も力を貸そうではないか。』

 

『『『え?』』』『CLIMAX FORM』

 

そこに何故か五人目の声が聞こえたかと思うと、電王がクライマックスフォームになるが、前に見たのとは違い、背中には水色の羽根が付いた【超クライマックスフォーム】となっていた。

 

「この手羽野郎ッ!!なんでお前まで入ってきてんだよッ!!」

 

「ハッハッハッ!!我が力を使えるのは光栄であろう?」

 

「だから邪魔だって言ってんだよ!!とっとと…「わ~い!!また鳥さんもくっついた~♪」おわッ!?」

 

「ちょッ!?リュウタ!!そんなに暴れたらアカンッ!?」

 

「落ちちゃう!?落ちちゃうって!?」

 

「家臣ども、遠慮する事はないぞ?」

 

「テメェが遠慮しろォッ!!!!」

 

「……本当に仲がよろしいのかしら…」

 

なにやら1人コミカルな動きをしながら喋りまくる電王もといイマジン達。それを見てジュエルは呆れるしかなかった。

 

「もう皆、遊ばないの!!」

 

「…なーんか不安が残るが、まぁいいか。」

 

とりあえず揃った5人の仮面ライダー達…クロノスゲムデウスはそれをじっと見つつ、電王を指差す。

 

「貴様が来たのはちょうどいイ…お前が持っている電車、この私が貰おうカ。」

 

「ああッ!?何でテメェに渡さなきゃなんねぇんだよッ!!」

 

「決まっているだろウ?それを使い全ての時間をッ!!命をッ!!私が管理すルッ!!!!」

 

自分の目的を叫ぶクロノスゲムデウスに、ドラゴネス達は呆れ返るしかなかった。全ての時間と命を1人で管理しようなど、神の所業に等しい。そんな事は不可能としか言いようがない。だが、今のクロノスゲムデウスにそれを言っても手遅れだろう…

 

「とうとうトチ狂いやがったか…」

 

「そんなのは元からだよ。」

 

「確かに…トチ狂ってなければこんな事は出来ませんものね。」

 

「んじゃ、とっとと倒そうぜ…!!」

 

「それがいい。」

 

電王の意見にブレイブが賛成し、ソードをクロノスへと突きつけた。

 

「これより、クロノスとゲムデウスの同時切除手術を開始する。」

 

「悪夢の中でお眠りなさい!!」

 

「俺は既にクライマックスだぜ!!」

 

「ノーコンティニューで…クリアしてあげる!!」

 

次々に決め台詞を言い、己が気持ちを向上させていく中でドラゴネスはいつもと違う気持ちに、仮面の下で笑う。

 

(今まで1人で戦う事が多かったが、こうやって色んな奴等と一緒に同じ敵に立ち向かうのも悪かねぇ…)

 

だからこそ、その想いを胸に彼は叫ぶ。彼らが同じ目的の為に共に戦う仲間であると感じながら…

 

「こっからは…超共闘プレーと洒落こもうぜッ!!」

 

 




いかがでしたか?

うん、たぶん次回で劇場版は最後ですね。

とりあえずキセキゲーマーの超簡単な解説を…


仮面ライダードラゴネス・キセキゲーマー

・基本的なスペックはエグゼイド・ムテキゲーマーと同じ。

・ゲームエリア遮断能力でポーズも無効化できる。

・特殊能力として全てのゲームや武器の能力を自由自在にコラボレーションできる【アビリティセレクト】がある。(例:ガシャコンガントレットにガシャコンソードの冷気能力をプラス。自身に雷走ライトニングの雷速移動を付与など)組み合わせを考えれば、幹部クラスですら一撃で葬り去る性能を持てる、正に最強フォームである。


こんな感じですね。

それでは次回、劇場版最終回でお会いしましょう。


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BAD END REVERSE

どうも、疾風の警備員です。

ヴェアハハハハハハハハハハハハハッ!!!!

やった!!やったぞ!!シンフォギアのアプリでメカニカルギアの調と切歌、メイドの調が当たったぞォッ!!フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォウッ!!!!

すいません、テンションが神になりました…

いやマジでこの引き神がかっててますからね!?本当にラッキーでしたよ!!

さて近況はこの辺にして、これで劇場版は最後になります。

では、どうぞ。


「こっからは…超共闘プレーと洒落こもうぜッ!!」

 

ドラゴネスの言葉に合わせ、まず最初に飛び出したのがブレイブとエグゼイドだ。2人は真っ直ぐにクロノスゲムデウスへと駆けていく。

 

「邪魔をするナァッ!!」

 

『PAUSE』

 

それを鬱陶しそうに叫びながら、バックルのボタンを叩いてポーズを発動させるが…

 

「それはもう効かん!!」

 

エグゼイドどころかブレイブすらも止まりはしない。そのまま間合いに入った2人は盾と剣でクロノスの武器を弾き、同時にバグルドライバーⅡを蹴りつけ、ポーズを強制的に解除する。

 

『RE:START』

 

「く…!?何故貴様もポーズを…!!」

 

「【タドルパラディン】は勇者と魔王、それに神の守護を受けている……つまり、貴様のポーズはもはや…無意味だッ!!」

 

そう言ってガシャコンガードナーをクロノスへと投げつけると、それを念動力で操作して縦横無尽にクロノスへ叩きつけていく。

 

「はあッ!!」

 

それが終わると同時にエグゼイドが飛び込み、両手のキースラッシャーでクロノスを切り裂いていく。

 

「今までの借りを……倍返ししてあげるわよ!!」

 

それは仲間の仇を果たすとばかりに怒濤の攻撃がクロノスを襲うが、クロノスも負けじとバグヴァイザーⅡで応戦する。

 

「やはり全ての生命体は不完全な存在…!!だからこそ、私という絶対的な管理者が必要なのダッ!!」

 

「確かに私達は不完全かもしれない……だからって、貴方に管理される筋合いはないッ!!」

 

『キメワザ!!MIGHTY SISTERS!! CRITICAL FINISH!!』

 

キースラッシャーの必殺技を発動させてエグゼイドは、すれ違い様にクロノスを切り裂いていく。

 

「それに不完全だから、僕達は誰かと手を繋げられる!!」

 

次に現れたのは電王で、ソードモードにしたデンガッシャーで攻撃していく。

 

「自分1人で出来なくても、誰かと一緒なら……何だってできるんだ!!」

 

「誰かの助けがなければ何も出来ないなド…そんな存在に価値など無イッ!!」

 

「ふざけんなッ!!」

 

クロノスの言葉に、電王は腹に蹴りを入れて距離を取りながら叫ぶ。

 

「俺は最初こそ良太郎に取り憑いたのは失敗したと思ったが…一緒に戦う内に、良太郎の持つ心の強さを知った…そんな良太郎と一緒に戦いたいと思った…だから俺は今でも良太郎と一緒にいんだよ。」

 

『モモタロス…』

 

『良太郎と一緒にいるのは悪くないしね?』

 

『良太郎が助けてくれたお陰で、今のオレがおるんや!!』

 

『良太郎と一緒にいると楽しいし~♪』

 

『ウラタロス…キンタロスにリュウタロスも…』

 

『貴様ごときが我が上に立とうなど……頭が高い!!』

 

「って…手羽野郎ッ!!雰囲気ぶち壊してんじゃねぇ!!」

 

場違いな発言をするジークにモモタロスが怒鳴り、軽く咳をしてから続きを話し始める。

 

「あ~ゴホン…つまりだ、誰がどんなにすげぇ存在なのかは会って話してみなくちゃ分からねぇんだよ。それを手前勝手な理由で価値を決めるとか…バッカじゃねぇかって事だよ!!」

 

「フン…」

 

だが、クロノスはモモタロスの言葉を鼻で笑いながら、彼の攻撃を受け止めた。

 

「それは、群れなければ何も出来ない事の言い訳に過ぎなイ……だが私は違ウ。私なら1人で完璧に管理してみせル…!!」

 

「けッ!!どうやら聞く耳もねぇみてぇだ…」

 

「ヌゥンッ!!」

 

「おわッ!?」

 

「フッ!!」

 

腹に蹴りを喰らって下がる電王を飛び越えて、ジュエルブラッドリィが三日月型の剣で奇襲する。

 

「君の攻撃など効きはしなイ…」

 

「く…!?」

 

それをクロノスは何もせず、無防備な体勢で受けるが微動だにする事なく、逆に剣を掴む。

 

「先程の彼や君は誰かの力を借りなければ、戦うことさえ出来なイ……よって、絶版にすル…!!」

 

「…人の価値を、勝手に決めつけないでくださいますッ!!」

 

ジュエルブラッドリィは、その剣を4つのスラッガーへと戻す事でクロノスの拘束から逃れ、今度は一振りの黒い剣【オーブダークカリバー】を手にして中央のホイールを回転、岩のエレメントを発動させる。

 

「オーブダークロックカリバー!!」

 

そして剣先を地面を突き刺して爆発を起こし、そこから飛び散った岩の雨を降らせる。

 

「無駄ダ…」

 

『PAUSE』

 

しかし、そこからその攻撃はポーズによって止められ、ジュエルブラッドリィも動きを止めてしまう。

 

「先ずは貴様から絶版ダ…!!」

 

「しゃんなろうッ!!」

 

ジュエルブラッドリィを撃破しようとしたクロノスだったが、そこにドラゴネスが飛び掛かり、拳の乱打を放って怯ませ、その隙にバックルを蹴ってポーズを解除させた。

 

『RE:START』

 

「はッ!?……今、なんか愛と善意の伝道師とかいう人がやたらと正義を語っていたような…?」

 

「チィ…!!邪魔をするナ、セイヴァー・サバイバル…いや、ネクサスキセキ!!」

 

「悪ぃが、聞けねぇ相談だな。」

 

『ガシャコンキーブラスター!!』

 

ブラスターを手にしてクロノスへと斬りかかり、向こうもデウスラッシャーで応戦してくる。

 

「いい加減、くたばりやがれッ!!」

 

「それは君達の方ダッ!!」

 

二人は斬り合いを続け、お互いに一撃を当てたところで一度距離を取って体勢を立て直す。

 

「パラド…アイツを一撃で沈める方法ってあるか?」

 

「ないな。でも、既に()()()()()()()()ぜ?」

 

「…?まあいいや、だったら俺は攻めるだけだッ!!」

 

二人で会話を終え、再びクロノスへと向かうドラゴネス。しかし、クロノスは突如胸にカイデンの顔を浮かべさせると、太刀筋に変化が起きドラゴネスの剣をアッサリと弾いてすれ違い様に切り裂いた。

 

「グゥ…!?な、何が…!?」

 

「ハアッ!!」

 

「うわぁッ!?」

 

ドラゴネスはすぐに振り向こうとしたが、それよりも早く背中を斬られ、地面を転がっていった。

 

「この動き……カイデンの力かッ!?」

 

「左様……ゲムデウスを取り込んだ私が、他のバグスターの力を使えない訳が無いだろウ?」

 

「そりゃそうだ……なら、俺と同じってことだな…!!」

 

ドラゴネスはアビリティセレクトを発動させると、全身に雷を纏いキーブラスターを突きの体勢で構える。

 

「いくぞ…!!」

 

そして、まさしく瞬間移動レベルの速度で突きを放つ。

 

「グオッ!?」

 

それは予想通り、防ぐこと叶わずクロノスの胸に直撃する。

 

「……………………捕まえたゾ…?」

 

「ッ!?」

 

しかし、ガットンの顔を胸に浮かべたクロノスには大したダメージがなっておらず、剣を掴まれると横一線に腹を切り裂かれた。

 

「ガハァッ!?」

 

キセキゲーマーの力でダメージはそれほどでもないが、衝撃だけは消せないので、ドラゴネスは腹を抑えて下がる。

 

「イッセーッ!!」

 

それを見た他のライダー達も一斉に攻めていく…

 

「邪魔するなァッ!!」

 

「うわッ!?」

 

「キャアッ!!」

 

だが、デウスランバートから伸びる鞭で電王とジュエルブラッドリィアッサリと払い落とされてしまった。

 

「出でヨ!!コンバット達ッ!!」

 

クロノスの言葉に合わせて、かなり小型になったグレー色のコンバットゲーマが大量に現れ、空から爆撃を行ってくる。

 

「チィ…!!空からとか厄介だな…!!」

 

「だけど、ここで負けてられないぞ!!」

 

「たりめぇだッ!!」

 

そんな中をドラゴネスとブレイブの2人が、クロノスへと向かい駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『FULL CHARGE』』

 

「「ハアッ!!」」

 

その頃、駒王学園での戦いは終わりが近づいていた。大量にいたバグスターウィルス達も、ライダー達によってほぼ殲滅されていた。

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

そして残った敵をエグゼイドのライダーキックが全て倒した。

 

「よっし!!お掃除完了!!」

 

ふぃー…と息を吐きながら額の汗を拭う様な仕草をして、エグゼイドとスナイプ、レーザーは校舎の屋上へと跳び上がりエールが展開しているゲームエリアに飛び込んでいく。

 

「幸太郎、俺達は校舎の警戒を続けるぞ。」

 

「分かってる。」

 

ゼロノスとNew電王は武器を構えながら、周囲へと警戒を続ける。そしてエールのゲームエリアに入った3人が見たのは、まさしくアイドルのステージを思わせる様な光景だった。そのステージの中央で歌っているのはエールと花丸に果南、善子だ。

 

「わぁ~♪すごいね、このエリア!!」

 

「感心するのは後だよ、今はルビィちゃんのサポートに回ろう!!」

 

「うん!!」「OK!!」

 

ちょうど曲が終わり、変身を解除して千歌は美歌と分離し、4人はそのままステージに飛び入ると服装がアイドル風の衣裳に変わった。

 

「あッ!!皆、来てくれたんだ!!」

 

「うん!!外も片付いたから、もう大丈夫だよ!!」

 

「それじゃ、いこうか!!今、戦ってるイッセー達に届くように!!」

 

「「「「「「「おおーッ!!」」」」」」」

 

こうして8人になった彼女達はまた歌い始める。戦場で友達を助ける為に戦う彼等の力となるために…

 

「「「「「「「「皆に届け!!私達のエール!!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー推奨BGM【Time of Victory(Aqours ver)】―

 

 

コンバットゲーマも倒し終えると、戦場に新たな歌が流れ始め、同時にドラゴネス達の力も格段に跳ね上がった。

 

「これは…」

 

「どうやら、梨子達も一緒に歌い始めた様だな。」

 

エールの能力【ユニット】は、共に歌う者が増えれば増えるほどその効果を倍増させていく。彼女達が入った事で、その力は格段に強化されているのだ。

 

「先程から耳障りナ…」

 

「それ以上にテメェが目障りなんだよッ!!」

 

ボソリと呟くクロノスへと電王が突っ込んでいく。だが、カイデンの力を使いその攻撃をアッサリと受け流して背中を蹴り飛ばす。

 

「グハッ!?…貴様!!余の顔を蹴るとは、なんたる無礼!!」

 

「?蹴ったのは背中だガ…」

 

「隙あり!!」

 

そこにオーブダークカリバーを振るうジュエルブラッドリィだが、それもデウスランバートで受け止められる。

 

「奇襲をするなら、声は出さない事だナ。」

 

「ひゃあッ!?」

 

そこから襲い掛かるデウスラッシャーを、ギリギリで下がる事で回避した。

 

「「「ハアアアアアアアアアッ!!!!」」」

 

そんな彼女を飛び越えて、ドラゴネスとブレイブにエグゼイドが一斉にクロノスへと襲い掛かった。さすがに3人同時だとクロノスも捌ききれないのか、何発かドラゴネスの拳がヒットするも、大きなダメージにはいたっていない。

 

「ええい…!!クダケ・チールッ!!」

 

それに業を煮やし、アランブラの魔法を発動し広範囲を攻撃してくるが、それをブレイブが盾で防ぎダメージを最小限に抑える。

 

「ほう……だが、君達に私は倒せなイ。イ・エール。」

 

しかし、その間にクロノスは回復魔法を使い、何とか与えていたダメージを回復させてしまった。

 

「おいおい……ここにきて回復とか卑怯だろ?」

 

「因みに、私が使うと体力や怪我が毎回全回復するゾ?」

 

「本当にタチ悪ぃ~…」

 

ラスボスの癖に全回復能力持ちなど、ゲームバランスは完全に崩壊している様なものだ。まあ、どちらにもチートがいるから何ともいえないが…

 

「さて、ではそろそろ終わりにしようカ?」

 

頭上に剣を掲げ、そこに膨大なエネルギーを集めていくクロノス。それは下手すればムテキゲーマーでさえも変身解除に追い込みかねない威力を秘めていた。

 

「おいおい…!!どうすんだよッ!?」

 

「このままでは…負けてしまいますわよ…!!」

 

「全員、俺の後ろへ!!何とか防いでみる!!」

 

それを見て焦る電王とジュエルに何とか防御しようとするブレイブだったが、全く慌てていない者がこの場にいた……それは、ドラゴネスの中にいるパラドだ。

 

「大丈夫だ、そろそろ仕込みが発動するぞ。」

 

「「「「仕込み?」」」」

 

パラドの言葉に全員が頭に?を浮かべていると……

 

「……グッ!?ぬぅ……があああああああああアッ!?」

 

突如として、クロノスが苦しみ始めたのだ。

 

「ほらな?」

 

「な、何だぁッ!?」

 

「何が起きてますのッ!?」

 

「き…貴様…!!何を…しタ…!?」

 

身体中に走る激痛に必死に耐えながら問うクロノスに、パラドは内心で笑いながらその原因を話した。

 

「簡単さ…お前の体に【ゲムデウスワクチン】をうちこんでやったのさ。」

 

「ッ!?それって…二人が命懸けで作り上げて、クロノスに壊された【ドクターマイティXX】の力…!?」

 

「いや、キセキゲーマーは今存在しないガシャットの効果は使えない。これはイッセーが持つ力さ。」

 

「なるほど、その手があったか。」

 

「?………………ああッ!!あれですのッ!?」

 

その会話で、パラドの言葉の意味を理解したブレイブとジュエル。

 

「そ、イッセーが持つ【バグスターウィルスをワクチンに変質させる】能力だ。これを使ってゲムデウスワクチンを再現し、今までの攻撃でお前の体内に送り込んでたのさ。」

 

そう、ドラゴネスは以前パラドに感染する事によって眠っていた力が覚醒し、バグスターウィルスをワクチンに変質させられる能力を身に付けていた。まあ、本人はよく解ってなかったから使わなかったが、今回はパラドの補助によってゲムデウスワクチンの力を完全再現させる事に成功したのだ。

 

「今のお前にはまさしく特効薬だからな……これで、ゲームをクリアさせてもらうぞ…!!」

 

「ふ…ふざけるなナァァァァァァァァァァッ!!」

 

痛みで踞りつつも叫ぶクロノス…それを全員で見下ろしながら、必殺技を発動させていく。

 

『ガッチョーン、ガッチャーン!! TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!! BELIAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

『CHARGE and UP』

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

「「ハアッ!!」」

 

最初にブレイブとジュエルが走り出し、2人でバツ字にクロノスを斬り…

 

「「テェリャアアアアアアアアアアアッ!!」」

 

続けて電王とエグゼイドがダブルライダーパンチを叩き込む。

 

「ヌグゥオッ!?こ、この私ガ…!!」

 

「これで終わりやがれ…!!」

 

『キメワザ!!オウギ!!』

 

最後にドラゴネスがベルト上部のボタンを叩いて必殺技を発動させ、クロノスにも負けない膨大なエネルギーを両足に集束させていく。そしてそれが終わると同時に跳び上がり、再びボタンを叩いた。

 

『NEXUS!! CRITICAL ULTIMATE!!』

 

「オゥリャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

最大の威力のライダーキックがクロノスへと直撃し、そのままどんどん押し込んでいく。

 

「ヌゥオオオオオオオオオオオッ!?ふざけるな…ふざけるナァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

「俺の大事な女を……泣かせてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!」

 

そして最後にもう一度蹴り飛ばし、少し離れた場所に着地するドラゴネスとそこからさらに離れた場所で身体中から火花と煙を出しながら倒れ伏すクロノス。

 

「ガハ…!!よくも…私の計画を…!!」

 

「んなもん…何度だってブッ潰してやるよ。アイツを泣かせるような世界なんざな…」

 

「フフフ…呪ってやる…呪ってやるゾォッ!!ネクサスキセキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!!」

 

「ッ!?」

 

それを断末魔の叫びにしながらクロノスは黒いオーラを撒き散らしながら爆発、消滅した。

 

「今のは………………それより…!!」

 

ドラゴネスは曜が張り付けになっている十字架に近づき、手刀で両手と両足の拘束を破壊し、倒れてくる彼女を変身を解除しながら抱き寄せた。

 

「イッセー君…!!」

 

「悪い、待たせたな…」

 

「ううん…!!信じてたから…!!」

 

「そーかい…」

 

そんな2人を共に戦っていたライダー達も、変身を解除して見守っていた。

 

「これで一件落着か…」

 

「そうですわね。」

 

「彼女が無事で本当に良かったね。」

 

「うん…本当によかったよ…!!」

 

そんな2人を微笑ましく見ていたら、唐突にデンライナーが走ってきて、開いたドアからコハナが身を乗り出してきた。

 

「皆ッ!!早くデンライナーに乗って!!」

 

「ああッ!?何でだよ!?」

 

「さっきのクロノスの爆発でゲムデウスの力が時間に干渉しちゃったのッ!!そのせいで、この時間は後5分で消滅しちゃうッ!!」

 

「「「「はあッ!?」」」」

 

伝えられたのは衝撃の事実。本来の消滅までまだ一時間以上もあるのだが、クロノスの爆発時にゲムデウスの力が周囲に強烈な波動となって飛び出し、それが時間にすら干渉し消滅までの時間を早めてしまったのだ。

 

「他の皆は回収したから、皆も早くッ!!」

 

「イッセー!!渡辺を連れて先に行けッ!!」

 

「おうッ!!」

 

ヴァーリの言葉にイッセーが曜を抱えたままデンライナーに飛び乗り、続けてダイヤと良太郎も乗っていく。

 

「さて、最後は俺か…!!」

 

「ちょっと待って!!」

 

「ん?……おっと。」

 

残ったヴァーリがデンライナーに飛び乗ろうとした時、未来の千歌から呼び止められ、そちらを向いた瞬間に彼女がヴァーリの胸に飛び込んできた。

 

「どうした?」

 

「これで最後だから……ちょっとね…」

 

数秒程で彼女はヴァーリから離れ…

 

「それじゃ……サヨナラだね…」

 

淋しそうな笑顔でそう告げる。

 

「…………………………ああ…サヨナラだ。」

 

彼女にそう答えてヴァーリもデンライナーに飛び乗る。そして窓から外を見ると、町の所々が白くなって消え始めていた。

 

「これが……時間の消滅か…」

 

それを見続け、最後に千歌が立っていた場所が白くなるまで、彼はそこを動かなかった。

 

それは他の車両でも同じで、一誠から分離したパラドも外をずっと見ていた。

 

(俺は結局……この未来を救えたのか?)

 

そんな事を考えていたら、デンライナーが駒王学園の上空を走り抜けようとしていた。そこで屋上に2人の人影を見つける…

 

(あれは…桜魔に美桜?)

 

2人は大きく手を振りながら、此方に向かって何かを叫んでいるようだった。残念ながら、まもなく時の砂漠に入るので窓が開けられないから、何を言っているのか分からない。

 

「【ありがとう】…と、彼らは言ってますね。」

 

「え…?」

 

いつの間にか隣にいたオーナーに、そう告げられて彼は一瞬ポカンとしてしまう。

 

「読唇術ですよ。君達はハッピーエンドには出来なくても、他の時間に感染を防ぐグッドエンドにしましたからね。ちょっとしたサービスです。」

 

そう言って彼は他の車両へと移動していく。

 

「そうか……なら、俺の役目はこれで終わりか…」

 

パラドの願いは未来を変える事。彼自身は自分のいる未来とは違う未来を歩ませる事と思っていたが、内心では【自分がいた未来の結末を変えたい】とも思っていたのだ。今回、それが思わぬ…だが納得はしきれない形で叶う事となった。

 

「なら、今度は過去がこの未来に進まない様にしますか…!!それがお前の願いだろうからな…イッセー。」

 

パラドは背伸びをしつつそう言う。そんな彼の隣には背が伸びて大人びた姿の一誠の幻視が立ち、まるで応援するかの如く彼の背中を叩いていた。

 

その後は、デンライナーの中でクロノスとの戦闘について残っていたメンバーに話し、最後に一誠が口にした言葉に曜を除いた女性全員が反応して、悔しそうにしたりからかったり、それにキレた一誠が追いかけ回して良太郎が不運にも殴られるといったアクシデント等があった。

 

最後にデンライナーは彼らを元の時間で降ろし、再び別の時間へと消えていった。

 

「さて、未来は何とかなったが……俺達はこの時間にいるクロノスを何とかしないとな…」

 

「結局、誰が変身してたのかすら解りませんでしたね…」

 

「それが解ってれば、対応もしやすかったんだけど…」

 

周りがそう話している中、一誠だけはずっとヴァーリを見ていた。

 

「番長先輩?ヴァーリがどうかしたの?」

 

「………………いや、何でもねぇ。」

 

「…………はッ!?まさか…番長先輩とヴァーリの禁断の…!!」

 

「よし、くたばれ。」

 

「ミギャアアアアアアアアアアアッ!?あ、アイアンクローはダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

おバカ発言をした善子に、アイアンクローによる制裁を加えながら一誠は思い出す。彼はクロノスが爆発する瞬間に一瞬だけ変身が解け、素顔を見ることができた。といっても、朧気な状態で一瞬だったので特定はできないが…

 

(あれはルシファーみたかったが……………………まさかな…)

 

その答えはあり得ないとして、彼はそこで考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして終わりを告げた戦いだったが、未来が変わるというのは決して幸せな事ばかりとは限らない。

 

「…ようやく完成したか。これならコカビエルも満足するだろう…」

 

とある一室にいるこの時間のクロノスは、1つの作業を終えたのか、椅子の背もたれに深く寄りかかっていた。

 

「しかし、彼もつくづく予想外だ。まさかこれほどの存在になるとはな…だが、まさしく私の右腕にふさわしい…」

 

左腕で目をほぐしながら、完成したアイテムのひとつを手にして、机の上の電気スタンドの明かりに翳す。それは小さな灰色のボトルで表面に何かのマークと一本角の異形の顔らしきオブジェがついていた。

 

「驚くべきスペックだというのに…これでも()()()()()()()()代物とはな。本来はどれ程のものなのやら…」

 

そして今度は机にあるものを見つめる。そこには似たようなボトルが3本とワインレッドを基調に青や金で塗装され、レバーと星座早見板の様なものがついたアイテムだった。

 

「これはとりあえずもう1つ作るとして…」

 

引き出しを開け、そこにあったのは以前別の世界に風魔を忍び込ませた時に回収させた紫色のスクラッシュドライバーとクローズダークスクラッシュゼリーだった。

 

「まさか()にこれの適性があったとは……運命というのは、まさしく私に味方しているようだ…!!」

 

今のその男の状況を理解しているのか、まるで絶対に自分の駒になることを疑わないその言い方に、普通の人なら必ず恐怖を覚えるだろう。

 

「彼を勧誘するのはまたにして……私も少し休むか…」

 

ひとまず休憩する事にしたクロノスは眠りにつく。自分が企む野望をと絶望に暮れるライダー達を夢に見ながら…




いかがでしたか?

これで劇場版は終わりになります。それと同時に他の作品の更新も再開します。

花「皆さんこんにちわ、国木田花丸です。」

ル「え、えっと…黒澤ルビィです…」

花「次回からマルとルビィちゃんが、前書きの担当になるズラッ!!」

ル「よ…よろしくお願いしましゅ!!」

花「ルビィちゃん、噛んでる噛んでる。」

ル「あわわわわわわわわわわッ!?ど、どうすルビィッ!?」

花「落ち着くズラ、始まるのは次回からだから。」

ル「そ、そっか…!!良かった~…」

花「それじゃ最後は一緒に……せーの」

花・ル「次回もよろしくお願いしま~す!!」


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原作編
次なるworld


花「どうも、この度前書きを担当する事になった花丸と…」

ル「ル…ルビィでしゅッ!!」

花「ルビィちゃん、噛んでる噛んでる!?」

ル「ピギィッ!?だ、だってぇ…初めてだから緊張するよぉ…!!」

花「オラもいるから大丈夫ズラ。今回からここでは前回のあらすじ何かを説明していくズラよ。」

ル「でも、何でこのコーナーが突然始まったのかな?」

花「それは作者さんが一時期ビルドロスになってたのと、マルがMORE DEBANと書いた手紙を作者さんに870枚送ったからだよ。」

ル「ああ~、確かに前回は花丸ちゃん、出番少なかったもんね。」

花「だからここで活躍して、本編での出番を勝ち取ってみせるズラッ!!」

ル「がんばれ、花丸ちゃん!!」

花「ズラ♪」

花・ル「「では、本編をどうぞ♪」」



作「………………前回のあらすじは?」

花・ル「「…………あ」」


※この話は海神アグル様の【ハイスクールD×M×U×R】とのコラボ後の話になりますので、そちらも見ていってください。


エボルトとの異世界メンバーを含めた戦いから数日、ヴァーリは研究室で頭を悩ませていた。

 

「うーむ……エボルトの様な存在が再度現れた場合に備えて戦力強化をしたいが…………どうしたものか…」

 

彼らはエボルトの圧倒的な力に、なす術もなくやられまくった。今後も同じ敵が現れないとは限らないので、早速対策に乗り出していたが…

 

「まさか神の才能でも手詰まりするとは…取り敢えず1つは出来たが…」

 

悩ましい顔をしつつ、テーブルに作り上げたメタリックヴァイオレットのハイパームテキタイプのガシャットを見る。

 

「これは美歌専用として、全体を手早く強化するなら早く解析と量産を急がないとな…」

 

視線をパソコンに向ければ、そこにはコラボドライバーのデータが写し出されている。これは未来から持ってきたドライバーから吸い出したデータで、万が一を備えて修理を出来る様にするためだったのだが、エボルトの脅威を目の当たりにした今、これが生き残る為のカギになってしまった。

 

「元々はこちらの考えてた新型ガシャット用だったが、それを開発している時間すら今は惜しい。ならば、やれる事は1つか…」

 

何かの考えがあるのか、彼はパソコンに何かを打ち込んでいく。そこに研究室の扉がノックされた。

 

「誰だ?」

 

『ヴァーリ君、いる?グレモリーさんが相談があるって来てるの。』

 

「わかった、ここに案内してくれ。」

 

『分かった。』

 

しばらくして、リアス・グレモリーが部屋に入ってきた。

 

「忙しいところ、悪いわね。」

 

「構わないさ、もてなしは出来ないが。それで、何の用だ?」

 

「ちょっと特訓について相談にね。」

 

彼女が言うには、基礎訓練は何も問題なくやれているが模擬戦となるとメンバーが変わらないので、似たような内容になってしまうとの事だった。だから、マンネリ化する前に何か方法がないかだそうだ。

 

「フム…確かに、似た内容ではあまり成長を見込めなくなるか…」

 

「どうせだったら、別の異世界の私達に会ってみたいわね。そうすれば、何かのヒントになるかもしれないし。」

 

「だったら行ってみるか?」

 

「え…いいの?」

 

「まあ、大きく干渉しなければ大丈夫だろ。さっさと準備してこい。」

 

「ええ、そうさせてもらうわ。」

 

部屋を出ていくグレモリーを見送った後、パソコンを落とす。

 

「俺も…何かのヒントが得られるかもな。」

 

そしてメンバー全員に連絡を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、訓練施設では……

 

「9997…9998…9999…10000ッ!!」

 

イッセーが汗を流しながらトレーニングをしていた。今は腕立て伏せだが、その背中には花丸とルビィが乗っている状態で、更に全身を支えてるのも右手の親指のみという人間離れ……いや、人外的なものだったが。しかもこの前に左腕側も同じようにしている。

 

「あの…重くないですか?」

 

「重くなきゃ意味がねぇよ。まぁ、カナ姉一人の方が重か「フンッ!!」ブボッ!?」

 

「イッセーく~ん?今、何を言おうとしたのかな~?」(グリグリ…!!)

 

「ズラッ!?」「ピギィッ!?」

 

女性に対して禁句中の禁句を口にしそうになったイッセー…その瞬間、果南に頭を思いきり踏みつけられた。その表情は笑顔だったが、あまりの迫力にルビィと花丸は抱き合って震えている。

 

「この…!!何しやがるッ!!薄紫の布が見えっぞッ!!」

 

「デリカシーの無いイッセーが悪いのよ!!それと何見てるのッ!!」

 

「グベラッ!?」

 

追撃のキックが顎にキレイに決まり、意識が飛びそうになるのを何とか堪え背中の二人を落とさない様に立て直した。

 

「危ねぇだろッ!?」

 

「フンだッ!!」

 

「あはは…」

 

そんな二人を見て苦笑する曜。まあ、仲睦まじい姉弟喧嘩みたいなものだから仲裁には入らないが…

 

「たく…おい二人とも、もう少し手伝え。」

 

「「はーい!!」」

 

両手を頭の後ろで組み、左右の腕にルビィと花丸をぶら下げると今度はスクワットを始める。ただし体を支えるのは右足だけ、しかも親指のみのつま先立ちである。なお、回数は先程の腕立てと同じで左右10000回ずつだ。

 

「少し無理し過ぎじゃない?」

 

「今のままじゃダメなんだよ…!!もっと…!!もっと強くならねぇと…!!」

 

ハイペースで回数を重ねていく一誠を心配するが、彼はそれでもトレーニングを続けていく。

 

(エボルトなんてヤローに負けてる時点で、俺はコイツらを守れねぇ…!!だったら、エボルトを越えるまで強くなってやる…!!)

 

それは自分の大切な人達を守る為でもある…そこだけは昔から変わらない、彼の行動理念だ。

 

「相変わらず張り切っているな、一誠。」

 

そこにグラファイトと明日那がやって来た。

 

「あん?今日は早ぇな?それにそっちは…秘書さんか。」

 

「今回はお前に、特別な訓練をしてやろうと思ってな。」

 

「特別な訓練だあ?…………へぇ、そういう事か…!!」

 

突然の事に不思議がる一誠だったが、グラファイトと明日那が取り出したものを見て、表情を変えて楽しそうに笑う。グラファイトが取り出したのはバグヴァイザーで、明日那はバグヴァイザーⅡだった。

 

「今回はグラファイトに頼まれてね。私達二人がかりで相手してあげる♪」

 

「言っとくが、お前は生身だ。」

 

「上等だぜ…!!お前ら、下がってろ。」

 

「「は、はいッ!!」」

 

ルビィ達を下がらせると一誠は構え、グラファイトはバグヴァイザーのAボタンを押し、明日那はバグヴァイザーⅡをベルトにして腰に巻いてガシャットのボタンを押す。

 

『ガッチャーン…!!』『ときめきクライシス!!』

 

「培養!!」

 

「変身!!」

 

『Infection!! レッツゲーム!!バッドゲーム!!デッドゲーム!!ワッチャネーム!?ザ・バグスター!!』

 

『ガシャット!!』『バグルアップ…!!ドリーミングガール!!(Wooooooo!!)恋のシミュレーション!!乙女はいつも!!ときめきクライシス!!(Wooooooo!!)』

 

グレングラファイトバグスターと仮面ライダーポッピーになると、今回は武器を使わないのか二人もそのまま構える。

 

「勝利条件は俺達片方ずつに10発当てる事、敗北条件は…」

 

「俺がギブアップしたら…だろ?」

 

「フ…わかっているならいい……いくぞッ!!」

 

合図と同時に向かってきたグラファイト。握られている拳には、相応の力が込められていて一撃で一誠を沈めようと迫る。

 

「よっと…!!」

 

「テヤァッ!!」

 

「そらよッ!!」

 

それを左手で受け流し、続けて襲い掛かるポッピーの蹴りを屈んで避けて脇腹に蹴りをお返しする。

 

「うわわわわわッ!?ポピッ!!」

 

それでバランスを崩し顔面から地面に倒れるポッピー。それを飛び越えてグラファイトが殴り掛かってくるのをバク転で回避する。だが、逃がしはしないと迫ってラッシュを仕掛けてくる。当たればまさしく一撃必殺になる拳を冷静に捌き、僅かな隙を伺う。

 

「フン…!!」

 

(そこだッ!!)

 

業を煮やしたのか、大振りに右腕を動かすグラファイト。それによって空いた脇腹に蹴りを入れようと足を動かし…

 

「まだまだだな。」

 

「ッ!?」

 

自分の鳩尾に左拳が迫っているのに気づく。慌てて離れる一誠だったが…

 

「ピプペポパーンチッ!!」

 

「ち…!!うおッ!?」

 

いつの間にか迫っていたポッピーの拳を腕をクロスして防ぐが、伊達にレベルXでないのか自身の想像以上の力で下げられた。

 

「どうしたッ!!ポッピーごときに殴られるなど、情けないぞ!!」

 

「ああ…そこの秘書ごときに殴られるなんざ、確かに情けなくて自分をブン殴りてぇよッ!!」

 

「…………………………私、泣くよ?」

 

二人からの扱いの悪さに、仮面の中で涙を流すポッピー。レベルXであるポッピー自体も戦闘力は高いのだが、この二人は完全に異常なので比べられる事事態が間違っているのだが…

 

「「オオオオオォォォォォォォッ!!!!」」

 

だが、そんな事は気にせずそのまま二人で殴り合いを始めると、完全にポッピーは蚊帳の外になってしまった。

 

「……私が来た意味、あったのかなぁ…」

 

それを見てるだけになったポッピーの呟きに、曜と果南が彼女の肩を静かに叩くのだった。

 

結局この勝負は、一誠が難なくポッピーを倒しグラファイトに九発当てたところで体力の限界を迎えて終わりとなった。

 

「ゼェ…!!ゼェ…!!あ、後…一発だってのによ…!!」

 

「だが、この条件で俺達と戦って生きてられるなら…生身でも上級悪魔と渡り合えるだろう。」

 

「それじゃ…ダメだ…!!生身でも……地球外生命体を……倒せる様に…ならねぇと…!!」

 

「例のエボルトだったか……しかし、そいつは倒されたのだろう?」

 

「同じような奴が来るかも知れねぇだろ…そんためだよ…!!」

 

何とか起き上がった一誠は、一度体をクールダウンさせる為に柔軟を始める。そんな一誠の肩をグラファイトは軽く叩いた。

 

「確かに未来の脅威に備えるのは大切だ。だが今、目の前にある敵の事も忘れるな。ここで無理をし過ぎて体を壊してたら、その備えも意味を成さないからな?」

 

「…………わぁってるよ…」

 

「ならいい、体はしっかりとほぐしておけ。次は変身しての全力バトルだ。」

 

「おうッ!!」

 

「だからってすぐにやらずに、ちょっとは休憩とってよ?グラファイトはやり過ぎる所もあるし…」

 

「「うるさいぞ、ポッピーのくせに。」」

 

「揃って言われたッ!?」

 

グラファイトと一誠にハモって言われ、ショックのポッピーは隅っこに体育座りして地面にのの字を書き始める。

 

「俺はまだやれる…!!おいグラファイト、やるぞ!!」

 

「だが、ポッピーの言った通り無茶は禁物だ…よし、30分休んでから始めるぞ。」

 

「…はぁ~…へいへい…テンション下がるが、仕方ねぇか…」

 

渋々納得した一誠が持ってきていた水を口に含むと、訓練室の扉が開いてグレモリー眷属の祐斗と小猫が入ってくる。

 

「あ、まだ使ってたのかな?」

 

「そうだが…お前らは何しに来たんだ?」

 

「私と祐斗先輩で模擬戦をしようと思いまして…」

 

「でも君達が使ってるなら、先に外でランニングでも「ちょっと待てよ…」なんだい?」

 

その場を去ろうとする二人に、何かを思い付いた一誠がイイ笑顔で呼び止める。

 

「せっかく来たんだ……俺と一勝負しようぜ?」

 

「君とかい?」

 

「おう、そっちもライダーになれんだから丁度良いだろ?」

 

その提案に祐斗も頬を楽しそうに緩ませる。

 

「…………実は僕も、一度君と戦ってみたかったんだ。人間でありながら、その枠を越えた存在の君と。」

 

そう言って自身の周りに魔剣を幾つも作り出す。そこから二本を抜き構えた。

 

「勝手に人外にしてんじゃねぇ、俺は人間だ。人間でたくさんだっての。」

 

「はは、気に触ったのなら謝るよ。でも、勝負で手は抜かないよ?」

 

「たりめぇだ、全力で来いよ…!!」

 

「止めないか。」

 

ゴンッ!!

 

「グハッ!?」

 

「え?」

 

今すぐ戦いを始めそうな二人だったが、それはグラファイトが一誠の頭を殴り、蹲る事で阻止された。

 

「痛ぅ~…!!何すんだよ…!!」

 

「俺は30分休めと言ったぞ?それまでは大人しくしてろ。」

 

「チ…!!」

 

そう言われ、ぶすっとした表情で胡座をかいてその場に座り込んだ。とりあえず休むことは休むらしい…

 

「たく……お前達も戦うならウォーミングアップくらいはしておけ。こいつは今のお前達よりも遥かに強いぞ?」

 

「アハハ……では、そうさせてもらいます。いこう小猫ちゃん。」

 

「はい。」

 

「あ、皆ここにいたんだ。」

 

二人がウォーミングアップを始めようとした時、再び訓練場の扉が開き梨子が入ってきた。

 

「あ、梨子ちゃん。どうしたの?」

 

「実はまた異世界に行くことになって、今度はグレモリー眷属も連れていく事になったから、その連絡にね。」

 

「ほう…?」

 

その内容に真っ先に反応したのは、やはり一誠だった。

 

「今度はどんな世界なんだ?」

 

「一応この世界と近い世界線にするらしいけど…兵藤君、あんまり暴れないでよ?」

 

「そりゃ向こうの世界次第だな。」

 

そんな態度の一誠にグラファイトとグレモリー眷属以外がため息を吐く。

 

「とりあえず出発は明後日だから準備はしといてね。曜ちゃん達も来て大丈夫だから。」

 

「うん、なら準備しとくよ。」

 

よろしくねと言って帰っていく梨子を見送ると、座り込んでいた一誠が勢いよく立ち上がった。

 

「シャアッ!!心が高ぶってきたぜッ!!おい木場ッ!!今すぐ勝負すっぞ!!」

 

「えッ!?でも君は休憩…」

 

「疲れなんざ、楽しみで吹っ飛んじまったよッ!!オラッ!!いいからこい!!」

 

「ハハ……なら、遠慮なく行くよ…!!」

 

結局そのまま二人は勝負を始め、グラファイトはやれやれと肩を竦めながらポッピーと帰り、残ったメンバーは二人の戦いが終わるまで楽しくお喋りしながら見ていた。因みに戦績は一誠の圧勝だった。




いかがでしたか?

次回はある世界に行って、その世界の話で夏休みは終わりにします。

では、また次回でお会いしましょう。


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Anotherな自分は?

花「前回のゲームの力でこの世界を生きていくは、ルシファー先輩がグレモリー先輩に頼まれて異世界に修行に行くことになって、番長先輩やマル達も一緒に行く事にしたズラ。」

ル「でも大丈夫かな?前は移動の時にスゴい目にあったし…」

花「……それを思い出すと、途端に行きたくなくなるズラね…」

ヴァ「問題ナァァァァァァァァァァァァァァイ!!」

花・ル「ズラッ!?」「ピギィッ!?」

ル「ルシファー先輩ッ!?いつの間に…」

ヴァ「この神の(特典としてもらった)才能を持つ俺が、何時までも同じ失敗をするものかァッ!!今回は…!!」

梨「ちょっと失礼。」

ズバァン!!

ヴァ「ヴェハッ!?」バタリ。

花・ル「梨子ちゃんッ!?」

梨「邪魔しちゃってゴメンね?ヴァーリ君は私が連れて帰るから。」

ル「いや、ルシファー先輩気絶してますけど…」

梨「大丈夫♪」(首根っこ掴んで引きずっていく)

花・ル「うわぁ…」

花「と、とりあえず…!!」

梨「それでは、パラレルトラベラーガシャットがギュインギュインのズドドドドドドされた本編をどうぞ♪」

花・ル「さりげなく、いいとこ持っていかれた!?」


異世界に出発する日……指定された時間にいつものメンバー+グレモリー眷属とアーシアとゼノヴィアが集まっていた。

 

「今回は大所帯だな……」

 

「リゼヴィムさんがアーシアさん達にも教えてたみたいなの。」

 

「ハァ…爺さんらしい……まあいいか…」

 

リゼヴィムの行動の良さにヴァーリはため息を吐きつつ、ゲーマドライバーを装着しパラレルトラベラーガシャットを取り出す。

 

「ちょ~っとお待ちください!!」

 

しかし、それにダイヤが待ったをかけた。その顔は少し青い…

 

「まさか…また、そのガシャットを使うので?」

 

「そうですが?」

 

「ということは…前回みたく…」

 

その言葉で前回異世界に行った全員が青い顔で思い出す。前回、そのガシャットを使ったせいでバラバラに吹き飛ばされてしまった事を…

 

「フッフッフッ…!!それならば問題ナァァァァァァァァァァァァァァイ!!」

 

「うるさいよ。」『バ・コーン!!』

 

「スカサハッ!?」

 

いつものようにテンションが上がって叫ぶヴァーリ。しかし、現在の時間は朝早いのでご近所迷惑になると思った梨子はヴァーリの頭を叩く……ハリセンではなくガシャコンブレイカーで。

 

「ピギィッ!?」

 

「り……梨子ちゃん?それはさすがにやりすぎじゃ……」

 

「最近じゃこれくらいしないと、静かにならないから。」

 

曜にそう言ってブレイカーに付いた血を拭う梨子。その姿に全員(一誠以外)が彼女には絶対に逆らわないと誓った。

 

「アタタ……さて、では行こうか。」

 

頭のコブを撫でながら立ち上がるヴァーリ。その顔は血まみれだが、本人は気にしてないようだ。

 

『パラレルトラベラー!!ガシャット!!ガッチャーン!!』

 

そしてゲートを出すと、その中へと入っていく。以前だったら、この後暴風によって吹き飛ばされそうになったが、今回はそんな事はなく、虹色の空間をまるで泳ぐかの様に進んでいた。

 

「へぇ~、中はこうなってるのね?」

 

「あらあら、神秘的ですわ。」

 

この空間に初めて入ったグレモリー眷属は、興味津々とばかりにキョロキョロし、以前のメンバーも前回のように吹き飛ばされなくてホッとしていた。

 

「おお…これがギュインギュインのズドドドドドドなんズラね…」

 

「花丸ちゃん、擬音ばっかりで全然わかんないよ?」

 

「当然だろう…神の才能を簡単に表せられるものかァッ!!」

 

「ヴァーリ君……もう1発いっとく?」

 

「……………………サーセン…」

 

「お前、完全に桜内の尻に敷かれてるな…」

 

ガシャコンブレイカーを持つ梨子と、冷や汗を流して謝るヴァーリに他の眷属達は苦笑しかなかった。

 

「説明すると、爺さんが作った時はまだガシャットが未完成だったんだ。空間を安定させるピースが足らなくてあんな事になった…そこでこの私が、新たに手に入れたネビュラガスのデータを追加することで空間が安定し、ようやく完成に至ったという事さッ!!さすがは…………私だァ…!!」

 

「あッ!!終点だよ!!」

 

自画自賛するヴァーリを全員がスルーしている間に終点に着いたのか、千歌が正面を指差すと同時に周囲が眩い光に覆われ、それが収まると彼等は何処かの学園の校庭に立っていた。

 

「どうやら、無事成功したみたいだな。」

 

「ここは……どうやら駒王学園みたいね。」

 

リアスは校舎の外観や校章まで駒王学園と同じだったのでそう判断し、それは間違いでもなくここは異世界の駒王学園だった。

 

「だったらまずは旧校舎に行きましょ。そこなら、この世界の私達がいるかもしれないわ。」

 

だからこそ、まずはこの世界の自分達に会いに行こうとしたが、その前に学園全体を結界が覆った。

 

「ピギュッ!?結界!?」

 

「何でいきなりズラ!?」

 

「そりゃ、向こうから見れば私達は不審者以外の何者でもないでしょ?」

 

「「ああ~、なるほど~…さすが善子ちゃん!!」」

 

「ヨハネだっつってんでしょうがッ!!」

 

「三人とも…コントしてる場合じゃないから…」

 

一年トリオのコントに果南がツッコむ。

 

「美歌…やっぱまずかったのかな?何の連絡も無しに来たのって?」

 

「そもそも、異世界にどうやって連絡しろってのよ?」

 

「とりあえず話すしかありませんわ。」

 

「そうだね、それしかないかも…」

 

「グレモリー、気づいているか?」

 

「ええ…これはこの世界の私達が張った結界じゃない……これは堕天使の結界よ。それも、かなり上位の…じゃあ、この世界の私達は…」

 

周りの余裕そうな会話の中、ヴァーリとリアスは結界を作った者が堕天使であると理解していた。もしかしたら、この世界の自分達ももういないのではないかとも…

 

「たく……こりゃどういう事だ?」

 

その時、空から声が聞こえた。

 

全員が視線を上に向けると、そこには黒い翼を6対12枚広げた堕天使……しかもその総督である【アザゼル】がいた。

 

「まさか…総督自ら来るとは…!!」

 

「これはまずいわね…!!」

 

まさかの堕天使トップの登場に、どう逃げるか考えようとしていた二人だが…

 

「ちょっとアザゼルッ!!いきなり結界を張るなんてどういう事なの!?」

 

「「え?」」

 

そこに倒された(と思っていた)、この世界のリアス・グレモリーが現れたのだ。

 

「リアスか……いやな?アレを見ろよ。」

 

「え?…………………………………………私がいるッ!?しかもイッセーや朱乃達まで!?それにヴァーリや知らない子までいるし…」

 

そしてこちらを見て驚くが、一人だけ不機嫌になる。

 

「ああ?あの野郎…人を馴れ馴れしく呼びやがって…!!」

 

そう、一誠だ。こちらの一誠は本人がある程度心を許さないでそう呼ぶと、もれなく一撃必倒が待っている。

 

「とりあえず事情を説明したい、何処かで話す事はできないか?」

 

「フム、確かに事情は聞いておいた方がいいか……なら旧校舎に来い。そこで話すとしようじゃないか。」

 

「了解した。」

 

「待ってるぞ。」

 

そう言って二人は旧校舎の方へと飛んで行き,ヴァーリ達も旧校舎の方へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?本当に俺や部長達がもう一人いるし知らない美少女達までッ!?おまけにヴァーリや知らない男までいやがるしッ!?」

 

「うるせーな…アレがこの世界の俺か?」

 

「うわー…違和感しかないなぁ…」

 

「てか、俺達男はおまけ扱いか…」

 

オカルト研究部に入るともう一人の自分達に驚く一誠。その周りにはグレモリー眷属の他にアーシアとゼノヴィアに知らない女性(ロスヴァイセ)がいた。そして騒ぐこの世界の一誠を見て、こちらの一誠はあきれた様な目で見て、こちらとの違いに違和感しか感じず苦笑する果南。そしておまけ扱いに若干不機嫌になるパラド。

 

「自分がもう一人いるのは、なんだか違和感です。」

 

「確かにね。でも、前に別の世界の部長が来てたからそこまで驚きは無いかな?」

 

こちらの小猫と祐斗はエボルト戦の時に、もう一人のリアスとは出会っているので驚きは少ないが、やはり自分がもう一人いるのはなれないようだ。

 

「「ヒィィィィィィィィィィィッ!?ぼ、僕がもう一人いるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」」

 

「「ギャー君、うるさい。」」

 

「おお…これは、何ともいえない光景ですね…ですが私がいないのは、まだ出会ってないという事しょうか?」

 

「というかッ!?何でそっちの私はイッセー君の傍にいないのッ!?」

 

「実はこちらのイリナは、かくかくしかじかで…」

 

「あの…ゼノヴィアさん?それは漫画か二次小説の中じゃないと通じま…「そっちの教会、許すまじ!!」通じてますッ!?」

 

外野が話しまくっている中、ヴァーリとこちらのリアスはアザゼルと向こうのリアスとソファーに座って話始めた。

 

「んで……お前達は何者だ?魔力とかはリアス達にそっくりだが……」

 

「信じられないかもしれないが、俺達は…」

 

それからヴァーリがアザゼルにこちらの世界の情勢の一部と、特訓の為に来た事を説明する。

 

「なるほどな…しかし、こりゃこっちのリゼヴィムが知ったら間違いなく襲ってくるぞ…」

 

「何やってんだ、そっちの爺さんは…」

 

「まあいい…模擬戦だったな、それなら受けてやろう。」

 

「ちょッ!?勝手に決めないで、アザゼル!!」

 

ヴァーリから頼まれた模擬戦を二つ返事で了承するアザゼルに、リアスは文句をつける。だが、アザゼルはそれが彼女達にも得があると思ったから受けたのだ。

 

「いいかリアス?これは滅多にない機会だ。相手はまさしくお前自身…つまり、戦い方は似たものになる。そうなれば、自身の弱点だって客観的な立場で見ることができる。それを今後直していけば、お前達はさらに強くなれるぞ?」

 

「むぅ…」

 

確かにアザゼルの言うとおり、自身と戦い機会は滅多にあるものではない。だが、戦い方まで似るとは限らない事もあるのを、アザゼルはわざと黙る事にした。

 

(それにコイツら……下手すりゃこっちのリアス達より強いかもしれない…だからこそ、自分に負ける経験をした方がコイツらも良い経験になるだろうさ。)

 

最近の彼女達は勝ちが続いている為、少し天狗になっているとアザゼルは感じていて、一度キチンと敗北を知らないと本番でミスをやらかしそうだと心配していた。

 

この模擬戦を受けた理由は、そんな彼女達の成長を願っての事だった。

 

「でも、果たして私達に勝てるのかしら?」

 

しかし、向こうのリアスはどこか余裕そうな態度で接していく。

 

「それはどういう意味?」

 

「だってそっちの私は眷属が少ないしイッセーとヴァーリは神滅具の気配が無い上、ヴァーリにいたっては魔力量まで一般悪魔と大差ないじゃない。一人魔王レベルがいるけど……」

 

この内容と再び馴れ馴れしく呼ばれた事にカチンときた一誠が殴りかかろうとするのを、ヴァーリは彼の前に手を出すことで止めた。

 

「オイ、なにす…「ほう……どうやらそちらは、さぞかし凄い力をもっているのだろうなぁ?」……ち…」

 

止められた事に文句を言おうとする一誠の言葉を遮り、ヴァーリがまるで挑発するような言葉を向こうのリアスに投げ掛ける。最初は無視された事に舌打ちする一誠だったが、すぐに彼が自分を止めた意味を理解する。

 

「当然じゃない!!こっちのイッセーは赤龍帝で禁手に至っている処か、覇龍すらものにしたのよ!!朱乃は堕天使の力を受け入れて【雷光の巫女】になったし、祐斗はグラムやダインスレイフといった本物の魔剣を5本も手に入れてるし、小猫も自身の力を受け入れた!!それにゼノヴィアはデュランダルとアスカロンの二刀流だし、ギャスパーも神器を使いこなし始めているわ!!そしてロスヴァイセは北欧のヴァルキリーだもの!!そこにアーシアの回復の力があれば、負けはしないわ!!」

 

なんと、リアスがヴァーリの言葉に乗せられて、自陣営の手の内をあっさりとバラしてしまったのだ。アザゼルは額に手を当ててため息を吐き、ヴァーリは内心で笑い、他のメンバーには…

 

((((((((あ……コイツ、バカだ))))))))

 

と、バカ認定されていた。

 

「さては向こうのグレモリー……バカだな?」

 

そこに、最近の好物はプロテインと豪語しているこちらのゼノヴィアがうっかり本音を口にするも、どうやら小声だったので気づかれなかったようだ。

 

「はぁ……んじゃ模擬戦をやるとして、場所は冥界でいいな?ここだと被害が出る恐れがある。」

 

「ええ、願ったり叶ったりだわ。」

 

アザゼルの提案で場所を冥界に移した面々は最初の対戦はどうするかとなった時…

 

「最初は私がやるわ。」

 

真っ先にこちらのリアスが一歩前に出た。

 

「先ずは王自らが先陣を切って、皆のやる気を上げてあげる。」

 

「だったらこっちも私が出るわ!!」

 

という事でまさかの初っぱな王対決となった。そして向こうのリアスはすぐに準備を終えて戦いが始まるのを待つが、一向に勝負が始まらない……なぜなら…

 

「これと…これならどうかしら?」

 

『ユニコーン!!ロボット!!』

 

「またハズレッ!?」

 

こちらのリアスが髪のあちこちを跳ねさせながら、フルボトルのベストマッチをずっと探していたからだ。

 

「だったら、これならどうッ!?」

 

『オバケ!!ウォッチ!!』

 

「これもダメなのぉッ!?」

 

「え~と…まだかしら?」

 

「もう少しッ!!もう少しだけ待って!!」

 

そう言うが、既にベストマッチ探しを初めて10分以上が経過している。さすがに他の面々も苛立ってきており、それを真っ先に爆発させたのが……

 

「だアアァァァァッ!!もう、我慢ならん!!」

 

「あ、ちょッ!?ゼノヴィアさん!?」

 

ゼノヴィアだった。アーシアの声も無視して彼女はリアスの元まで行くと、その首根っこを掴み引きずっていく。

 

「ほらッ!!とっとと試合を始めろッ!!」

 

「ああッ!?お願い!!あの戦兎初音に教えられたベストマッチ以外にも発見したいの!!だから…!!」

 

エボルト戦の時にやって来た少女【戦兎 初音】は彼女に10個のベストマッチ(ホークガトリング・クマテレビ・フェニックスロボ・ニンニンコミック・ゴリラモンド・カイゾクレッシャー・キードラゴン・スマホウルフ・ライオンクリーナー・サメバイク)を教えてくれたが、どうやら彼女は自分でも発見したいらしい。

 

その場を離れまいと必死に抵抗するリアスに再度キレたゼノヴィアは、彼女が地面に並べていたボトルを2つ無造作に手にし、ビルドドライバーに怒り任せに装填した。

 

『パンダ!!ロケット!!ベストマッチ!!』

 

そしたら、見事に彼女が望んでいた音声が鳴った。しかし、自分ではなくゼノヴィアに見つけられた事がショックだったのか、彼女の所々跳ねていた髪が戻るどころか綺麗なストレートヘアーにまでなり、トレードマークといえるアホ毛さえも無くなっていた。

 

「…………うそーん…」

 

「これで満足か?さっさと行け。」

 

その言葉にトボトボと歩いていくリアス。因みにこの時のゼノヴィアはどうやってベストマッチを見つけたのか聞いてみたら…

 

「もちろん、私の第・六・感!!」

 

と、仰っていた。

 

「あの…………大丈夫?」

 

あまりの落ち込み具合に、向こうのリアスも心配するが…

 

「フ…フフ…!!こうなったら…!!戦いながらベストマッチを見つけてやるんだからァッ!!」

 

目尻に涙を滲ませつつ、そう叫んでドライバーを装着した。

 

「そ、それは…?」

 

「私に質問するなァッ!!」

 

やけっぱちになっているのか、違うライダーの決め台詞を叫び、ラビットフルボトルとタンクフルボトルを装填する。

 

『ラビット!!タンク!!ベストマッチ!!』

 

レバーを思いっきり回してスナップライドビルダーを展開し、その中央でファイティングポーズを決める。

 

『Are you Ready?』

 

「変身ッ!!」

 

『鋼のムーンサルト!!ラビットタンク!!イェーイ!!』

 

そして仮面ライダービルドとなり、ドリルクラッシャーをガンモードにして構える。

 

「な、なによそれは…!!」

 

「通りすがりの仮面ライダーよ!!覚えておきなさいッ!!」

 

……それは物理学者ではなく、破壊者のセリフだ…

 

ショックで台詞が暴走している彼女だったが、それよりもショックを受けている者がいた…

 

「おいッ!!そっちのヴァーリィィィィィィィッ!!」

 

それは向こうの一誠だった。彼は何故か目から涙を流してヴァーリを睨みつける。

 

「なんだ?…というか、何で泣いてんだ?」

 

「どうしてそっちの部長にそんなアイテムを渡したァッ!!」

 

どうやら彼はリアスがビルドドライバーを持っているのが気にくわないらしい。

 

「彼女が望んだ事だ。その事に文句でもあるのか?」

 

「あるに決まってるだろォッ!!あんなのを部長がしたら…部長がしたら…!!」

 

両手を強く握り、ありったけの感情を爆発させる様に彼はその魂の乗った思いを叫ぶ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦ってる時に揺れる部長のおっぱいを堪能出来ないだろうがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

「「「「「「ズコーッ!?」」」」」」

 

だが、その最低な内容にこちらのメンバー全員がズッコケるのだった…




いかがでしたか?

最近スランプになっていて、ネタは浮かぶのに文章に出来ない日々が続いて、1ヶ月以上経ってました…

そんな中、何とか完成しました…まだスランプ抜けてないですけど……


次回【弾けるSPARKLING】

「だから私は戦うと決めた。人間界に住む人達の愛と平和の為に……ね?」


再び遅れるかもしれませんが、次回でまたお会いしましょう。


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弾けるSPARKLING

花「マルの神器によれば喧嘩好きな高校生、兵藤一誠……彼には喧嘩の王者にして人間界の魔王【ドラゴネス】と呼ばれる未来が待っていた…」「ウオオオオオオオオオオオオオオッ!!」「ピギィィィィィィィィィィィィィィッ!?」

花「ある日、異世界に行った彼に待っていたのは……もう一人の自分の変態発言だった。」「止まりなさい!!悪しき荒人神よ!!」「邪魔すんなアアアアアアアアアアアアッ!!」「花丸ちゃん、手伝ってェェェェェェェェェッ!!」

花「そんな彼の素行を聞いたこちらのリアス・グレモリーは向こうの自分に呆れ……おっと、読みすぎたズラね。ここからは皆さんにとって、未来の話ズラ…」「ちょっと!!あらすじ終わったんならアンタも手伝いなさいよ!!」「もうダメェェェェェェェェェッ!?」「ドリャアアアアアアアアアアアアアッ!!」

花「どうやら後ろのルビィちゃん達もそろそろ限界だから、マルも手伝ってくるズラ。では、本編をどうぞ♪」「よぉ~し…!!止まるズラ、番長先輩ッ!!」「ブルルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」「ズラァァァァァァァァァァァァッ!?」


ビルドに変身して準備万端となったリアスだったが、一誠(原)の叫びに開いた口が塞がらなかった。

 

「あ、貴方…!!なに馬鹿な事を叫んでいるのよッ!?」

 

「馬鹿な事なんかじゃないです!!俺にとってはとても重要な事なんですよッ!!」

 

それをこちらのリアスが咎めるが、彼に反省する意思は欠片もみられない。

 

「ちょっと、そっちの私!!彼にどんな事をやってるのッ!?」

 

「何って……一緒に寝たり裸エプロンしたり…この胸を触らせたり色々ね。ついでに、他の子達もそうよ?」

 

「な…!!な、ななな…!!」

 

問いただしてみれば、彼女から話されるのは一般女性からすれば破廉恥極まりない内容ばかり……しかも、眷属達までそれに加担していて、止めようとする者は誰もいない。

 

「貴方達ねぇ…自分達が嫁入り前の体だって解ってるの!?なのに男性相手にそんな事を…!!恥を知りなさいッ!!!!」

 

仮面の中で顔を真っ赤にして叫ぶリアス。その後ろでは……

 

「オオオゥラァァァァァァァァァァァッ!!」

 

「ズラァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

「ピギィィィィィィィィィィィィィィッ!?」

 

「暴れ狂う荒人神よ!!我が魔導に従えッ!!ストラグルバインドにチェーンバインド!!アルケミックチェーンに鋼の軛ィィィィィィィ!!」

 

「鬱陶しいわァッ!!」(バキィン!!)

 

「「「うっそーんッ!?」」」

 

完全にぶちギレていて、向こうの自分に殴りかかろうとする一誠を必死に押さえ込もうとしている一年トリオがいた。だが、善子の多重バインドすら今の彼には通じなかった…

 

「邪魔すんな!!ズラ丸にピギ助!!それとヨハ兵衛ッ!!」

 

「花丸ズラッ!!」

 

「ピギ助ってルビィの事ですかッ!?」

 

「だからヨハネッ!!てかヨハ兵衛ってなにッ!?」

 

「知ったことかアァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

まさに阿修羅すら凌駕する存在となっている彼だが、最後の理性なのか彼女達が怪我をするような事だけはしていなかった。

 

「あ……頭痛い…」

 

あまりの事に頭痛を覚え、額をおさえるリアスだった。

 

「もしかして……学園でもその調子なの、彼?」

 

「まあ…覗きの常習犯で学園で堂々と大量のエロ本やエロビデオ広げたり、大声で猥談したりしてるな。」

 

「はあッ!?」

 

アザゼルが語ったその内容はまさに驚きだった。覗きは軽犯罪法に、公共の場でエロ本等を出したりするのは猥褻物陳列罪、大声での猥談等は公然猥褻罪に該当する歴とした犯罪なのだ。しかも駒王学園は最近女子高から共学となった為女子の比率が圧倒的に高い。そこでそんな物(エロ本など)を持ってくるなど、正気の沙汰ではない。

 

「それ……キチンと処罰したの?」

 

学園での処罰なら一番良くて反省文数十枚、普通なら停学or退学が妥当である。だが…

 

「そんな!!私の大切なイッセーを処罰するわけないじゃない!!」

 

「「「「「「「うわぁ…」」」」」」」

 

リアス(原)の言葉に、全員が呆れ&ドン引きしていた。しかし、リアスだけはある部分が引っ掛かった。

 

「するわけない?……できないじゃなくて?」

 

そう、彼女は処罰できないではなくするわけないと言った。それは特殊な事情ではなく自分の事情で処罰しないと言っている事になる。

 

「何故?彼のやった事は犯罪でもあるのよ?」

 

「でもそれでイッセーが退学になったら可哀想じゃない!!一緒に住んでるご両親にも、申し訳ないし…」

 

「………………それって悪魔の事はご両親にも説明をして?」

 

「え…?いや、巻き込むのは悪いからちょっと暗示で…」

 

そこまで聞いたリアスは無言で左足に力を込め、跳躍する事で一気に距離を詰め彼女に左拳を叩き込んだ。

 

「ガハッ!?」

 

「部長ッ!!」

 

それを見て向こうの眷属達が駆け寄ろうとするのを、アザゼルが手を伸ばして制した。

 

「な、なにするのよッ!?」

 

「なにって、お互い準備が終わってるのだし模擬戦を始めるのと、馬鹿な貴方に制裁をしようと思ったのよ。」

 

そう言って踏みつけようとするのを、転がって避ける。

 

「この…!!喰らいなさいッ!!」

 

起き上がった彼女は滅びの魔力を放つ。だが、それはビルドとなったリアスの少し前で消え去った。

 

「なッ!?なんで私の魔力が…!?」

 

「私も滅びの魔力を使えるもの。それを不可視のバリアとして張ってたの。滅びの魔力同士…ぶつけ合えば片方が勝つ事はなく、お互いに消滅し合うだけ……」

 

「くッ!!」

 

このままでは不利と感じたリアス(原)は背中の羽を広げて空に飛び上がる。

 

「その姿なら悪魔の羽は出せないでしょ!!」

 

「ええ……だったら、飛べる様にするだけよ。」

 

空にいるリアス(原)を見上げつつ、ベルトのボトルを抜き、新たにオレンジと銀色のボトルを取り出して数度振りベルトに装填する。

 

『タカ!!ガトリング!!ベストマッチ!!』

 

そしてレバーを回してスナップライドビルダーを展開し、出来たボディを纏う。

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ。」

 

『天空の暴れん坊!!ホークガトリング!!イェーイ!!』

 

オレンジと銀色の二色の姿になると、背中の翼【ソレスタルウィング】を広げ、リアス(原)と同じ高さへと飛び上がる。

 

「そんな…飛行も可能なんて…!!」

 

「ボーッとしてる暇はないわよ?」

 

『ホークガトリンガー!!』

 

リアスは右手に専用武器【ホークガトリンガー】を持つと、リアス(原)へと発砲する。

 

「そのくらい…!!」

 

リアス(原)は空中を飛び回って弾丸を回避しようとするが、鷹の姿をした弾丸は彼女を追尾していく。

 

「追尾式ッ!?このッ!!」

 

リアス(原)は魔力弾をばら蒔き、弾丸を落としていく。しかし、そちらに意識を向けてしまった事でリアスが移動してるのに気づけなかった。

 

「これで…最後ッ!!」

 

最後の1発を落とし、一息つきながら周囲を見るとリアスはどこにもいない。

 

「ッ!?何処に…「上よ。」ガッ!?」

 

動きを止めた彼女に、リアスは頭上から踵落としを喰らわせ、地面へと落とす。

 

「く……この私が…!!」

 

「さてと…勝利の方程式を見つけましょうか?」

 

リアスはボトルを抜き、別のボトルを装填する。

 

『ハチ!!消防車!!』

 

「これもベストマッチじゃないのね…」

 

残念ながらまたハズレだったらしく、ボトルを再度抜き別のボトルを取り出す。

 

「それじゃ…これとならどう!?」

 

『ハリネズミ!!消防車!!「ベストマッチ!!』ッ!!キタァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!ヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

どうやらこれも揃わないと思って自分で言っていたが、まさかのここで望む音声が同じタイミングで鳴り、彼女のテンションが一気に振り切れる。

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ!!」

 

『レスキュー剣山!!ファイヤーヘッジホッグ!!イェーイ!!』

 

赤と白の形態【ファイヤーヘッジホッグ】となったリアスは右手から白い針を飛ばしていく。

 

「見つけたわ、勝利への方程式!!」

 

「この程度!!」

 

それらを魔力弾で落とすリアス(原)だったが、それで防御が疎かになりリアスの左腕から伸びたラダーに気づくのが遅れ、勢いよく発射された水に吹き飛ばされびしょ濡れになる。

 

「ちょッ!?びしょ濡れじゃないの!!」

 

ちなみにびしょ濡れになったことで、イッセー(原)がそこから透ける下着に鼻の下を伸ばし、それが更に一誠の激情を煽って一年トリオが必死に彼を押さえ込んでいた。

 

「良かったわね…水で?」

 

文句を言うリアス(原)の目の前で、ラダーの先端から炎を少しだけ出す。それで彼女も理解した。実戦だったら今の炎で体を燃やされているのを…

 

「1つ聞くけど…貴方は駒王の管理者なの?」

 

「え、ええ…」

 

「だったらそんな役職、辞めてしまいなさい。」

 

「はあッ!?」

 

突然の言葉に彼女も怒る。

 

「なんで私が…!!」

 

「管理者として守るべき存在に、私的な理由で暗示を使ってるからよ。」

 

そう言って彼女も仮面の下で睨み返す。

 

「管理者っていうのはね…住んでいる人達の幸せを守る為のものよ。そこにいる人達を自分勝手にしていい存在じゃない。」

 

確かにリアス(原)はイッセー(原)に惚れ、彼の家に住む為に色々と工作をしている。それには暗示も含まれている。

 

「あまつさえ、個人的理由で1つの家族に入れ込むなどもっての他。公平な立場の管理者として1番やってはいけないのよ。」

 

「でも、貴方だって管理者でイッセーと同居してるのでしょッ!?」

 

「そんな事するわけないし、私はもう管理者ではないわ。」

 

「え?」

 

異世界の自分も同じ立場の筈…そう思って返したリアス(原)の言葉だったが、まさかの返答に驚愕する。

 

「私も問題を起こして解任させられたの。でも、それは自分の失態だもの…当然でしょ?今はソーナが引き継いでくれてるわ。そして私は自分を見つめ直し、償いと同じ過ちを繰り返さない為に悪魔陣営も抜け、人間側に着いたの。」

 

「な…なんで悪魔を裏切って…!!」

 

「自分の成長の為よ。そして人間側に立ってみて初めて……私達3大勢力のおぞましさを知ったわ。」

 

そこでリアス(原)から視線を外し、イリナ(原)を見る。

 

「まず天界だけど、信者達が欲望や悪しき探求心を神の名の下にを理由にやりたい放題やってるのにそれを見逃し、ある程度成果が出てから断罪しその研究を自分の物にする。【聖剣計画】がいい例だわ。」

 

この言葉に裕斗とゼノヴィアが表情を曇らせる。その忌まわしき計画に天使は気づくのが遅く、全て終わってからその研究結果で現在の聖剣使いを生み出している。

 

「それは一部の信者が暴走して…!!」

 

「だからって対応が遅すぎるし、その実験のために聖剣を貸し出したりもしている筈よ?気づかない方がおかしいわ。」

 

その指摘にイリナ(原)が何も言えなくなったのを見て、次に視線をアザゼルに向ける。

 

「堕天使だってそう……神器を持っているからってむやみやたらに人間を殺してる。」

 

「いや、俺たちは危険な神器だけをだな…」

 

「それが覚醒する可能性は?もし覚醒したとして、神話勢力とかに歯向かう可能性はどのくらいなの?普通に生活している人間なら覚醒はまずあり得ないし、もし覚醒したとしてもなんの情報も無しに私達に歯向かう事なんてもっとあり得ないわ。更に、生半可な特訓じゃ私達に勝てる可能性なんて天文学的数字よ?なのにわざわざ関わろうとするから私達の情報が漏れて、復讐対象にされるのよ。」

 

「うぐ…!!それを言われるとなぁ……」

 

アザゼルがリアスの言葉に言い負かされ、最後にリアス(原)を見る。

 

「最後に悪魔だけど……これは元いた勢力ながら吐き気がしたわ。自分勝手な理由で殺害等の方法で強制眷属化、その転生悪魔達への血統や貴族主義等による不当な扱い。そしてはぐれ悪魔になった者への釈明も無視の排除。なのに、はぐれを出した上級悪魔への処罰は何も無し……はっきり言って、人間の命を玩具にしてるとしか思えないわ。」

 

そう言ってリアスも、自分が殺してきたはぐれ悪魔の事を思い出す。もしかしたらあの中にも、こちらの責任ではぐれになった者もいたかもしれない。それを上の命令だからと言って排除してきた自分も復讐対象の例外ではない。

 

「だから私は戦うと決めた。人間界に住む人達の愛と平和の為に…ね。」

 

「だけど、貴方も悪魔なら人間に襲われるかもしれないのよ!?その時はどうするのよ!?」

 

リアス(原)の言葉に彼女は仮面の下でフッと笑い…

 

「決まってるじゃない。その時はそれを受け入れるだけよ。」

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

その運命を受け入れると言いのけた。

 

「何故そこまで言えるのッ!!」

 

「それだけの業を……私達は既に犯してる。」

 

「だからって「話はここまでよ。」ッ!?」

 

これ以上は平行線と悟ったリアスは新たに大型の缶を取り出す。それにはラビットタンクフォームに似た顔が描かれている。

 

「私は自分が信じた道を歩む……例え、どんな運命が待っていようとも!!」

 

その缶を振ると炭酸音が聞こえ、上部にあるプルタブをカシュッと開けると…

 

『ピロリロリ~ン♪』

 

「あ、当たった。」

 

「「「「「「「「何がッ!?」」」」」」」」

 

予想とは違う音が鳴るが、気にせずそれをボトルを抜いたドライバーにセットする。ただし、今までの雰囲気はぶち壊しだが…

 

『ラビットタンクスパークリング!!』

 

レバーを回していくと、今までのと違いビルドを表すライダーズクレストを模したライドビルダーが展開され、管には気泡が混じった液体が流れ前後でボディを形成する。

 

『Are you Ready?』

 

「ビルドアップ!!」

 

伸ばした左手でリアス(原)を指差してから、右半身を前にしたファイティングポーズをするリアスの声に合わせてボディを装着すると、同時に赤と青の気泡が周囲に飛び散り、そこには白が混じり所々が鋭角化した姿の【ビルド・ラビットタンクスパークリングフォーム】が立っていた。

 

『シュワっと弾ける!!ラビットタンクスパークリング!!イェイ!!イェーイ!!』

 

「「イェイ!!イェーイ!!」」

 

「千歌ちゃんに鞠莉さん、復唱しなくていいから…」

 

ノリノリになって最後の部分を復唱する二人に、梨子は呆れながらツッコむ。

 

だが、今のリアスからかなりの力を感じたのか、リアス(原)は震えていた。

 

「さあ、私の実験に付き合ってちょうだい。」

 

そう言って左足に力を入れ、エネルギーと気泡が充分に貯まったところで気泡が弾けるのと同時に、リアス(原)へと飛び掛かった。




いかがでしたか?

遅くなりましたが、最新話です。

原作でも一誠の処罰なしっておかしいですからね。この可能性も否定できないと思ってます。

次回【心の中のSword】

「多種多様な魔剣よりも、この1本があれば僕はそれでいい」

では、次回でお会いしましょう


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心の中のSWORD

花「マルの神器によると…喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】……彼には魔王にして時の王者【オーマジオウ】になる未来が「ねぇねぇ、花丸ちゃん?」どうしたズラ、ルビィちゃん?」

ル「花丸ちゃんの神器って情報を読み取るだけで、未来なんて見えないんじゃなかったっけ?というか、今のは違う人の未来じゃ…」

花「………………………………………………」

ル「花丸ちゃん?」

花「それでは、本編をどうぞズラ♪」(ピュ~!!)

ル「あ、逃げたッ!?というか、前回のあらすじの紹介もまだしてないよ~!?」


ヴァーリside

 

「これは、こちらのグレモリーの勝ちだな。」

 

俺は二人のグレモリーの勝負をパソコン作業しつつ見ていたが、勝負の行方が決したと判断し意識を完全にパソコンに向けた。

 

「ここと……後はここだな。それにここを弄れば……よし、細かい設定はこれで問題ないな。後は…美歌、黒澤先輩。」

 

「なに?」「なんでしょう?」

 

「二人の持つプロトガシャット…ゲキトツロボッツにドレミファビート、ジェットコンバットとギリギリチャンバラ、それとシャカリキスポーツとドラゴナイトハンターZを貸してくれ。」

 

「「???(ええ/はい)。」」

 

二人からガシャットを受け取ると持ってきていた端末に挿し、そのデータをパソコンにコピーしていく。

 

「なにやってるの?ってか、ここにも持ってきてたのね、その道具…」

 

「新型のガシャットの案が何処で浮かぶか解らんからな。持ってくるに決まっているだろう。」

 

「少しは加減しなさいよ…」

 

呆れたみたいな顔でそう呟く美歌だが、この俺が神の才能がもたらす物を見逃せる訳がないだろうッ!!

 

「後はこれを元に最終調整を行えばァ…!!やはりこんなガシャットを作れる俺は神だ「いい加減にしなさい。」ヴェハラッ!?」

 

我が才能の素晴らしさにテンションがMAXになり、笑おうとしたら後頭部に強い衝撃を受け、振り返るとイイ笑顔でガシャコンブレイカーを持っている梨子が見えた。

 

「だから……ブレイカーは……やめろ…!!」

 

俺はあまりの痛さに悶える事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ…そっちのヴァーリが何か神とか叫んだ瞬間に、ハンマーで殴られて悶えてるけどいいの?」

 

「いつもの事よ。」

 

「何時もなのッ!?」

 

かわってリアス同士のバトルは、原作側が追い込まれていた。元々彼女が指揮官型のウィザードタイプなので、一対一は得意ではない。だが、こちらのリアスはあらゆる局面に対応出来るように鍛えてきている。まだ近接戦は眷属内でも下の方の強さだが、相手が生粋のウィザードタイプならば遅れは取らないレベルの強さである。その上、強化フォームのスパークリングを使用してるのだ。

 

「必殺…泡破掌(スプラッシュ・インパクト)!!」

 

右手で防御しているリアス(原)の腕を上に弾き、がら空きになったボディに気泡を収束した左の掌底を叩き込み、一気に破裂させ衝撃をぶつける。

 

「がはッ!?」

 

吹き飛ぶリアス(原)だが、そこで体勢を崩しながらも滅びの魔力を放つ。リアスはそれを上に跳んで回避し、右手にドリルクラッシャーを持つとカブト虫フルボトルを装填、更にベルトのレバーも回していく。

 

『『Ready Go!!』』

 

「ハアッ!!」

 

そしてそれを着地と同時に地面へと突き刺した。

 

『ボルテックブレイク!!』『スパークリングフィニッシュ!!』

 

するとリアス(原)の足下から気泡を纏ったエネルギー状のカブト虫の角が飛び出してきた。彼女は咄嗟にシールドを張り、威力を減衰させる事に成功するも、それでもかなりの威力の一撃に吹き飛ばされる。

 

「う…グゥ…!!」

 

「次で終わりよ。」

 

そう言って彼女はドリルクラッシャーからボトルを抜き、ガンモードに変えると別のボトルを装填する。

 

『Ready Go!!』『ボルテックブレイク!!』

 

そして引き金を引き、放たれた光弾が命中するもこれといったダメージが襲ってくる事はなかった。

 

「……あれ?何ともない…?」

 

「答えは、私に攻撃してみれば解るわよ。」

 

そう言われ、魔力を放とうとするがその手から魔力が放たれる事はなかった。

 

「なッ!?どうして…!!」

 

「答えはコレね。」

 

ドリルクラッシャーから抜いたボトルを見せる。それはロックフルボトルだった。

 

「これの力で貴方の悪魔としての力を封印させてもらったの。今の貴方は人間の少女と何ら変わり無いわ。」

 

「そんな…!!」

 

「この模擬戦は私の勝ちね。」

 

「確かにな…この勝負、異世界側のリアスの勝ちだ!!」

 

アザゼルからの勝利宣言を受け、変身とロックフルボトルの効果を解除するリアス。

 

「これからは、管理者という立場をよく理解して行動するのね。」

 

その場を立ち去りながら、その場に座り込んでいるリアス(原)にそう伝えた。

 

「フフッ、お見事でしたわねリアス?」

 

「あっちの私は覚悟が少し弱いだけ。これで改めれば、もっと強くなるわよ。」

 

「やっぱり、自分の事は自分が解りますものね?」

 

「ええ。」

 

それから少し間を置いて、2戦目が行われる事になり、次は木場同士となった。

 

「どうやら君達相手に、手加減なんかしてられないみたいだ。」

 

「なら、こっちも全力でいかないとね?」

 

木場(原)は最強の魔剣グラムを持ち、木場は腰にスクラッシュドライバーを装着する。

 

「それは…?」

 

「見た方が早いよ。」

 

ジェットゼリーの蓋を正面に回し、ドライバーに装填する。

 

『ジェットジェリー!!』

 

「変身。」

 

ベルトのレバーを倒し、その身を仮面ライダーセスナへと変えると、向こうの面々が驚く。だが、それ以上に驚いたのは…

 

『潰れるッ!!流れるッ!!溢れ出るぅッ!!ジェットインセスナ!!ブルルアァァァッ!!』

 

「「「「最後のなにッ!?」」」」

 

最後の謎の雄叫び部分だった。

 

「そういう仕様なんだよ…」

 

相手側のツッコミに仮面の下で虚ろな瞳で遠くを見る木場。彼も最初は疑問に思っていたが、慣れというのは恐ろしいものである…

 

「にしても、ずいぶんと沢山の魔剣を手に入れたんだね?」

 

「ああ、【禍の団(カオス・ブリゲード)】の一人が持っていたものを倒して手に入れたんだ。」

 

そう言ってグラムを構える木場(原)。その顔には自信が満ちている。

 

「確かにそれはスゴいけど、魔剣創造(ソード・バース)の方はどうしたんだい?」

 

「確かに聖魔剣も強いけど…やはり、本物の魔剣や聖剣には勝てないからね。此方で行かせてもらうよ。」

 

それを聞いて木場は内心でため息を吐く。聖魔剣は死んでいった仲間との思いで作り上げた…謂わば、彼らの絆の証でもある。なのにいざ本物を手に入れたら用済みなのかと…

 

「確かに聖魔剣は神器で作った分、強度が本物よりも低い……でも、それを補う方法なら…………あるよ。」

 

そう言うと木場は周囲に大量の剣を作り上げる。その数は彼の今作れる限界数である100。しかし、それは剣としてではなく……剣の形をしたエネルギー体としてだが…

 

「【重複創造(コーティング)】」

 

そして彼の言葉に合わせて、周りにあるエネルギー体が彼の前に集まっていき、全てが1つになると一本の聖魔剣となる。しかし、聖魔の力は変化がなくオーラの量や見た目も今までのと何ら変わらない聖魔剣だ。

 

「それは?」

 

「打ち合ってみれば解るよ…!!」

 

言うと同時に両肩のマシンパックウインガーからゼリーを噴出しながら一気に加速して、木場(原)へと迫り剣を振り下ろす。木場(原)も同じく走り出し、中央でぶつかり合う。

 

「ヤアッ!!」

 

「ハアッ!!」

 

それをした瞬間、木場(原)だが、ある事実に目を見開いた。

 

「な、なんで……なんで()()()()()()()んだ!?」

 

そう、セスナが振るった聖魔剣は壊れるどころか、グラム相手に罅1つ入れずにつばぜりあっていたのだ。

 

「これが僕の……いや、僕達の絆の力だ!!」

 

力任せに剣を振り切ると、木場(原)は勢いに押され後退していく。しかも、聖魔剣の刀身は刃こぼれもしていなかった。

 

「そんな.僕の聖魔剣じゃグラムには簡単に勝てないのに…」

 

「神器は無限の可能性を秘めている。その気になれば、本物の魔剣を越える事だってできるんだ」

 

そこからはお互いに高速で移動しながら、すれ違う様にして剣をぶつけ合わせる。それも、マシンパックウインガーによって更なる加速を得ているセスナが有利で、木場(原)は完全に押し負けていた。

 

そこで木場(原)はこのままではジリ貧だと思い、まっすぐにセスナへと駆け出し、その意味を理解したセスナも同じようにまっすぐと木場(原)へと向かい、剣をぶつけ合わせた。

 

「どうやって神器をここまで…!!」

 

「答えは皆が教えてくれてたんだ。聖剣計画で共に過ごした皆が…」

 

彼が思い浮かべるのは、コカビエルの事件の時に仲間と再会した瞬間だ。そこで彼等と思いを…絆を1つにしたことを。

 

「だから、聖魔剣1本でダメならもう1本重ねれば良い。それでダメなら更にもう1本……思いと絆を束ねれば、越えられない壁なんてない…!!」

 

「う…!!」

 

セスナは木場(原)の手に蹴りを入れ、力が弛んだ時を見計らってグラムを弾き飛ばした。

 

「それがヒントになって生まれたのが重複創造…一本の聖魔剣を作るのに僕が1度に創造できる聖魔剣のエネルギー全てを1つに混ぜ合わせて造り上げた不倒の一振り。これが僕達の思いの真の結晶。だから僕は皆がくれた絆の力を諦めない。思いを繋げ、重ねて……未来を切り開く!!」

 

「くうッ!!(パキィン)なッ!?」

 

木場(原)は咄嗟に聖魔剣を作り出して受け止めるが、それはアッサリと砕かれる。

 

「別に君が皆の事を蔑ろにしているとは言わない……でも、皆がくれた力をもっと信じてあげてほしい。そうすれば、君の剣も簡単には折れなくなるから…」

 

「……確かにね。これは僕の負けだよ」

 

顔に剣を突きつけられた木場(原)は、降参とばかりに両手をあげる。だが、その顔はどこか清々しさを感じさせていた。

 

「僕にも可能性がまだあるかな?」

 

「皆はそう簡単に僕を見捨てたりしないよ。それは自分が一番知っているだろう?」

 

「うん……そうだね」

 

セスナから差し伸べられた手を取り、立ち上がる木場(原)。そして固く握手する。

 

「もしまた戦えたら、今度は僕が勝つよ……皆と一緒に…!!」

 

「なら僕も、簡単に負けないように皆と鍛えているから…何時でも来ると良いよ」

 

「試合終了!!勝者、異世界の木場!!」

 

アザゼルの言葉で2人は別れ、今度は2人の小猫が立とうとした時だった…彼らの周囲に大量の魔法陣が浮かび出した。

 

「「(ピギィッ!?/ズラッ!?)」」

 

「ち…!!まさか俺の結界を簡単に突破してくるとはな…」

 

驚いて抱き合う花丸とルビィに舌打ちするアザゼル。彼は禍の団に異世界組の存在が気づかれないように多重の結界を張り、その全てを隠していたのだが…どうやら敵が一枚上手だったようだ。

 

「ほう…さすがはリゼヴィム様、このような事まで察知なされるとは…」

 

「お前らはリゼヴィムの部下か?」

 

「いかにも。物珍しい反応を掴んだから調べてこいと命を受けたのだ。そうして場所を特定しやって来てみれば…あの赤龍帝やグレモリーとその眷属が2人ずつ、更にはあの方の孫まで来ている」

 

そう言ってその悪魔はヴァーリ達を見る。しかも、その目は明らかに彼等を見下しているものだ。

 

「我々の任務は貴様らが持つ物だ。それを大人しく渡せば命は助けてやろう」

 

ヴァーリに向けてそう告げるが、彼はパソコンから目を離さずデータを入力している。

 

「おい!!聞いているのかッ!!」

 

その態度が頭にきた男は怒鳴るが、ヴァーリはやはり微動だにしない。まるで何も耳に入っていない様な…

 

「うるさい蝿が…」

 

いや、聞こえてはいるが完全にシカトしていた…だけども額には青筋が浮かんでいて、キレかけている状態だ。

 

「おい貴様ッ!!人の話を…!!」

 

「俺のクリエイティブな時間を邪魔するなアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

それでもしつこく喋る男にとうとうキレたヴァーリ。パソコンを乱暴に閉じると、先程まで作っていたであろう新しいガシャットギアデュアルをパラドへと投げ渡した。

 

「うおッ!?……何だコレ?」

 

「お前用の新型ガシャットギアデュアルだ。それの試運転がてら、アレを黙らせろ」

 

「へえ……良いぜ。コレの礼にやってやるよ」

 

「千歌美歌、梨子、善子、鞠莉……お前達もアレを潰してこい。徹底的にな…!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

ヴァーリの指示に千歌達も前に出る。

 

「では、私はパラドさんを援護しましょう」

 

するとダイヤも前に出て、パラドの横に並んだ。

 

「ん?別にいらないぞ?妹を守ってやれよ」

 

「貴方を一人にすると手加減を忘れて周りに攻撃しまくって、その影響が此方にも来そうだからですわよ」

 

「そーかい…」

 

ダイヤの言葉に不貞腐れるパラドだが…

 

「それに……万が一でも居なくなられると悲しいですから……」

 

「何か言ったか?」

 

「ッ!?な、何でもありませんわよッ!!!!」

 

そんなパラドにダイヤは恥ずかしそうに小声で呟き、パラドに気づかれそうになったので顔を赤くしながら大声でそれを誤魔化した。

 

「いきなり怒鳴る事ないだろ…」

 

「パラドさんも、兵藤さんと同じで女心を理解する勉強をしてくださいな!!」

 

「お、おう……」

 

その迫力に、パラドは頷くしか出来なかった。

 

「おいそこッ!!イチャコラしてな「してませんわよ?」………ハイ…」

 

ヴァーリが2人の若干甘そうな空気にツッコミを入れようしたが、ダイヤの笑顔(はくりょく)に、押し負けた。

 

「待って!!あれは私達の世界の敵よ!!私達も「邪魔だ、いらん」なッ!?」

 

そこに、この世界のリアス達も援軍に入ろうとしたが、ヴァーリの一声で却下された。

 

「先程までの模擬戦を鑑みても、お前達と連携するよりも此方で片付けた方が早い」

 

そう言うと同時に、彼女達は善子が張った結界に閉じ込められた。その結界は他にも曜達非戦闘組やアザゼル、ヴァーリまで覆っていた。

 

「おいコラッ!!俺にも戦わせろやアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

それと、まだ怒りで暴走している一誠も…

 

「お前は少し大人しくしてろ。そんなんじゃ守りたい者にまで危害が出るかもしれんぞ?」

 

「うぐ…!!……ぐぬぬ…!!」

 

そう言われ、曜を見てから何とか怒りを押し殺そうとしていた。

 

「おい、そっちのヴァーリ!!女の子ばかり戦わせて、お前は戦わないのかよ!!」

 

戦うメンバーを見て、この世界の一誠がヴァーリへと噛みつくが、本人はそれを一瞥し…

 

「俺が出るまでもないし、アイツらだけで充分オーバーキルさ」

 

「嘗められたものだな…!!この精鋭500人相手に勝てるとでも!?」

 

「フ…たかだか500ぽっちで、そいつらを止められると思わない事だな?」

 

(ブチィ!!)「だったら今すぐ殺してやろう!!」

 

それにキレたリゼヴィム配下の悪魔達が放った魔力弾が一斉に襲いかかってくる。

 

「第佰戦術」『BANG BANG FORTRESS!!』

 

「GEAR HUNDRED!!」『RAISOU LIGHTNING!!』

 

「禁術レベル100!!」『MAGICAL PRIEST!!』

 

「美歌、一緒に行くよ!!」「ええ!!」

『『マイティシスターズ・ミラクルエーックス!!』』

 

「心が踊るなぁ!!」

 

「0カラット!!」『ジュエリー・トレジャー!!』

 

だが、梨子達は動じる事なくガシャットを起動させて腰に装着したゲーマドライバーに装填していく。

 

『『『『『『(デュアル/ダブル)ガシャット!!』』』』』』

 

「マックス大「だ~い「「「「変身!!」」」」」」

 

『『『『『『ガッチャーン!!(デュアル/マザル/ダブル/レベル)アップ!!』』』』』』

 

『ドドンバン‼ズンドカン‼(wow!!)バンバンフォートレス‼』

 

『雷光‼雷鳴‼雷轟‼雷神‼雷走ライトニング‼』

 

『シャイニングガール‼想いをデトネイション‼世界を照らせ‼マジカル・プリースト‼』

 

『『私が貴女で‼アナタがワタシで‼(We're‼)マイティマイティシスターズ‼(Hey‼)ミラクルエーックス‼』』

 

『赤い拳・強さ!!青いパズル・連鎖!!赤と青の交差!!パーフェクト・ノックアーウト!!』

 

『探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリー・トレジャー!!』

 

その魔力弾を変身時に出てくるゲートで防ぎ、その間にそれを潜って変身していく。

 

「なにッ!?何だその装備はッ!?」

 

「向こうの部長や僕とは、デザインがずいぶん違う…」

 

「何なのよ、アレは…」

 

魔力弾の嵐を無傷で乗り越えてきた事に驚く襲撃者達。そんな相手に梨子は砲口を向ける。

 

「これより、敵勢力の殲滅を始めます。ミッション……スタート」

 

そして躊躇なく引き金を引いて、極太のビームを放つのだった。




いかがでしたか?

次回はパラドクスの新フォーム登場です。

次回【盛りすぎなNEW ARMER】

「なに……あれ?」

「もうただのロボットズラ…」

では次回で、お会いしましょう


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盛りすぎなNEW ARMER

花「マルの神器によると、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】…彼には喧嘩王にして人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待っていた」

花「ある日、異世界を訪れ、もう一人の自分に怒りが爆発仕掛けていた所に、禍の団が攻め込んでくる」

花「それを迎撃に出る彼とルシファー先輩を除いたマル達の世界のライダー達。そこでパラドクスは新たなガシャットによって進化したゲーマ達を纏い…おっと、読みすぎたズラね。ここからは皆さんにとって未来の話ズラ」

ル「あ、今回まともだ…」

曜「さ~て…次から花丸ちゃんにはどっちを着せようかな♪」(白ウォズと黒ウォズの服を見比べながら)


「ミッション……スタート」

 

「「なッ!?ウオワアァァァァァァァッ!?」」

 

スナイプから放たれたビームが2体の悪魔を一瞬で蒸発させると、それを合図に全員が動き始めた。

 

最初に動いたのはヨハネ、ワンドを一振りし結界内に大量の魔法陣を浮かべた。

 

「これは…!!」

 

「さあ行くがいい…雷神の化身、マリーよ!!」

 

「OK!!電光、雷轟……DARKを討つ!!」

 

『ガシャコンスパロー!!』『ス・パーン!!』

 

そこにスパローを鎌モードにしたレーザーが周囲に電撃を残しながら跳躍し、1体をすれ違い様に細切れにして魔法陣に着地、そこを足場に更に突撃し別の悪魔をバラバラにするを繰り返していく。普通の人の目から見れば、雷が走る度に悪魔が消えていっている様にも見える。

 

「速い…!!」

 

「全く見えませんわ…」

 

それはこの世界のグレモリー達も同じらしい。

 

「弾頭選択……信管設定…06秒……予測、良し……ロック…ファイヤッ!!」

 

別の場所ではスナイプが両肩上部のミサイルポッドから6発のミサイルを放つ。

 

「そんなモノなど…!!」

 

リゼヴィム配下の悪魔達は、それを撃ち落とそうと魔力弾を撃ち、それがミサイルの1発に命中した…

 

「よっし………………あ?」

 

様に見えたが実は違い、セットされたタイマーによって当たる直前に爆発したミサイルから小さな粒が飛び散り、撃ち落としたと思った悪魔だけでなく、周囲の多数の悪魔達も蜂の巣にして絶命する。

 

「フフ…散弾のシャワーはいかが?」

 

「くッ!?総員散開ッ!!散開ィッ!!」

 

1体の悪魔の指示に従って周囲に散開するが、それすらスナイプは予測済みであり、ミサイルが軌道を大きく変更して悪魔達を取り囲むようにして爆発、散弾を撒き散らす。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

「集まれッ!!集まって防壁を貼るんだ!!」

 

それを囲みの中央一点に集まり協力して防壁を貼ることで半分が生還するが、残り半分が逃げ遅れたり個人で貼った防壁を突破されて散弾の餌食となる。しかし、悪魔達の悪夢はまだ終わらない。集まったその場所に、スナイプが両手と背中4門の砲身の計六つある【ハイブリッド・キャノン】を向け、エネルギーのチャージを終えていたからである。

 

「全砲門フルチャージ完了、集束砲撃【ハイメガブラスター】……発射」

 

そこから放たれるのは巨大な灼熱の光の奔流。その光の暴力は数人がかりで張った防壁をアッサリと突き破って、悪魔達を一瞬で蒸発させる処かアザゼルの貼っていた結界を全て貫いた。

 

「オイオイ…一応一番内側だからかなり頑強に作った結界をブチ抜くどころか、穴開けるとか…」

 

「脆いな……この程度、善子なら問題なく防げるし一発で全部砕け散るぞ?」

 

「マジかよ…」

 

自分の結界に自信があったアザゼルだったが、それはヴァーリの言葉に脆くも崩れ落ちた。そして噂されてる善子はというと…

 

「自らを闇へと落とせし憐れな者達よ…せめて、我の手で葬ってやろう……」

 

『デュアルガシャット!!』『アン・ドゥ・トロワ!!』

 

ガシャコンワンドにギアデュアルΔを装填、手を三回かざして必殺技を発動する。

 

「ロイヤルエェェェェェェェェンドッ!!」

 

ワンドから放たれる光の光線によって、悪魔達は次々と消滅していく。

 

「バ、バカなッ!?何故悪魔が光の力を…!!」

 

「ククク…!!我は既に……光をも手中に納めたのだ!!」

 

無論それは変身してる時だけで、生身に光を受けたら彼女もお陀仏である。

 

「ほらほら、どーしたのよ?」

 

「そんなの当たらないよ~♪」

 

「くそッ!!ちょこまかと!!」

 

その頃、千歌ーズは魔力弾の雨をダンスを踊るようにして避けていた。

 

「そろそろ避けるのも飽きたわね…」

 

「なら、反撃といこう……よ!!」『ガシャコンマグナム!!』『ズ・キューン!!』

 

「そうね!!」『ガシャコンキースラッシャー!!』『ズキュ・キュ・キューン!!』

 

美歌の言葉を合図に2人は武器を呼び出し、お互いの背後にいる悪魔を撃ち抜く。それから腕を組みその場で回りながら乱射、的確に悪魔達の急所を撃ち抜いていく。

 

「ば、バカな…!!何なのだ奴等は!?」

 

「「Jackpot!!」」

 

その光景に脅える1体の悪魔に、2人は武器を左右に重ねて並べ、決め台詞と同時に引き金を引いて撃ち抜いた。

 

「……ところで、じゃっくぽっとって?」

 

「え?…大当たりよ…」

 

だが、折角決まったところで千歌のおバカ発言に美歌は頭を抱えるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな風にルシファー眷属が暴れている頃、ジュエルとパラドクスは……

 

「あらよっと!!」

 

「ハア!!」

 

悪魔達に囲まれながらも、2人で連携して対応していた。

 

「あーもう!!さすがに鬱陶しいですわね!!」

 

「強さはそうでもないけど…オリャア!!…数がな!!」

 

2人の周りには約200人ほどの悪魔がおり、魔力弾を飛ばしてきている。その隙を狙って近づいてくる者達を相手するのは中々にキツい作業だ。

 

「そこだッ!!」

 

「ッ!!(ガキィン!!)しまッ!?」

 

「ダイヤッ!!」

 

そこに接近を許してしまったジュエルは、咄嗟にソードで切り捨てようとするも、逆に剣を弾かれて手放してしまう。

 

「もらった!!」

 

(くッ!?こうなったら一度コンティニューして…)

 

「グギャ!?」

 

彼女はそこでコンティニューして反撃しようとするが、それよりも前に何かが彼女の顔の左側を横切り、悪魔へと突き刺さる。それはパラドクスが使っている、ガシャコンパラブレイガンだった。

 

「え…?」

 

「使えッ!!」

 

「ッ!!」

 

その言葉に、彼女はそれを掴んで悪魔を一気に両断。それをガンモードに切り替えると、二丁銃でパラドクスに迫る魔力弾を全て撃ち落とし、落ちてきたソードをパラドクスがキャッチする。

 

「助かりましたわ…!!」

 

「気にすんな、こっちも助かったしな?」

 

「では、ここからは…」

 

「ああ…超協力プレーといこうか!!」

 

そう言うと2人は互いの手を叩いて走り出す。そんな2人に魔力弾の雨が集中するが…

 

「よっと!!」『伸縮化!!』

 

パラドクスが伸縮化のエナジーアイテムをガシャコンソードに取り込ませ、刀身を伸ばしてしなる鞭の様に振るい魔力弾を払い除けていき、そこにできた空間にジュエルが両手の銃を撃って的確に当てていく。

 

「貴様等ァッ!!」

 

そんな2人に焦った1体の悪魔が、背後からジュエルへと迫る。

 

「ほらよ」

 

「では、こちらも」

 

『ズ・ゴーン!!』

 

だけども2人は慌てず、ソードとマグナムを投げ渡して交換し、パラドクスはマグナムを素早くジュエルへと迫る悪魔へと放ち、動きが止まったところにジュエルが剣と斧の二刀流で切り裂く。

 

「グオッ!?」

 

それからジュエルはプロトギリギリチャンバラを取り出すとノールックで背後に投げ、それはパラドクスの構えたマグナムのスロットに綺麗に収まった。

 

『ガシャット!!キメワザ!!』

 

「喰らえッ!!」

 

引き金を引いて展開されたのは、銃弾ではなく大量のエネルギー矢。それらをその場で回し蹴りする事で撃ち出し、広範囲の悪魔達へと突き刺さる。それを確認するよりも早く、複数の悪魔と近接戦をしているジュエルにマグナムからガシャットを引き抜くと、先程のジュエルと同じく背後へノールックで投げ、彼女が振るっているソードのスロットに収まる。

 

『ガシャット!!キメワザ!!』

 

「おまけだ」

 

『高速化!!』『鋼鉄化!!』

 

さらに左手を振ってエナジーアイテムを操り、高速化をジュエルに、鋼鉄化をソードに取り込ませる。

 

「セイッ!!ハアッ!!」

 

その効果で神速の斬撃を放ち、対応しきれなかった者達は体を両断され、運良く魔力壁で受け止めた者も鋼鉄化で固さの増した剣に砕かれて、やはり両断された。

 

「どうなっている…選りすぐった精鋭達がこんなにあっさり!?」

 

「「答えは簡単……圧倒的なレベル差(だ/よ)」」

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!ガッチャーン!! PERFECT KNOCKOUT!! CRITICAL BOMBER!!』

 

『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!! JEWELRY!! CRITICAL STRIKE!!』

 

そして2人のライダーキックに、リーダー格を除いて殆どの悪魔達が倒された。

 

「後はお前だけだ」

 

「降参して、お縄に着きなさい」

 

「グヌヌ…こうなれば!!」

 

そんな2人を苛立たしげに睨むが、自分の使える部下は殆ど倒され、別側で戦っているのも全滅間近だった。既に頼りになるのは自分だけとなってしまい、もはや勝つ事が不可能と思った男は懐から小瓶を取り出すと、中にある物を一息に飲み干した。その瞬間、男の力が格段に上昇する。

 

「なんだありゃ?急に力が増したぞ…」

 

「まるでドーピングですわね…」

 

「今飲んだのは【オーフィスの蛇】の改良型だ!!これで私の力は魔王クラスとなった!!もはや貴様等に勝ち目はないぞ!!」

 

「…………ダイヤは下がってろ。後は俺がやる」

 

「……わかりました、御武運を」

 

「ああ…………こいつのテストプレイには、ピッタリだな」

 

そう言って下がるジュエルの前に立ち、パラドクスはヴァーリから受け取ったガシャット【ガシャットギアデュアルD】を取り出す。右側面にはゲキトツロボッツ・ドレミファビート・ジェットコンバットが、左側面にはギリギリチャンバラ・シャカリキスポーツ・ドラゴナイトハンターZを絵が描かれており、ダイヤル部にはロボッツとビート・コンバットとスポーツ・チャンバラとハンターの3つに分けられていた。そのダイヤルを絵柄が上側にくるように合わせながら一周させ、起動ボタンを押す。

 

『SELECT!! ALL GAME!!』

 

『ガッチョーン、ガシューン…デュアルガシャット!!』

 

ベルトのレバーを閉じてギアデュアルを抜き、ギアデュアルDを挿すと前垂れ以外の腰布とスロットホルダーが消え、パラドクスの背後に6つのスタート画面が現れてゲーマ達が飛び出して来るも、その形状は今までの物とは色以外が異なっていた。

 

「あれは…?」

 

「プロトガシャットにあったゲーマ達のデータを元に、更なる改良を加えて作り上げた……その名も【ゲーマ(ツー)】だ!!」

 

「いくぞッ!!」

 

『ガッチャーン!!デュアルアップ!!』

 

レバーを開き掛け声と共に跳び上がると、まず最初にパラドクスと合体したのは【チャンバラゲーマⅡ】だ。見た目は前と殆ど変わらないそれは、レーザーと合体するときと同じ様に両腕と両足を被う。これは本来なら完成形でもあるパーフェクトノックアウトに防御力UPだけでなく、強化を施す為のジョイントパーツとしても使われる。

 

次に来たのは赤と青の2体1対となった【ロボッツゲーマⅡ】だ。それぞれが変形してナックル型パーツとなって赤い方が右腕、青い方が左腕に填まる。続けてスピーカーを2つ持ち、両足がターンテーブルとなった【ビートゲーマⅡ】が飛んでくるとパーツを分離、ターンテーブルが両腰に着きスピーカーは両肩にドッキングする。

 

そこに完全に戦闘機の形状になった【コンバットゲーマⅡ】がやって来て機首が後ろにスライドして短くなると下部に取り付けられていた2門のガトリング砲がマルチアームによって前部へと伸び、後方のメインスラスターが本体から分離するとさらに2つに別れて、その中にパラドクスの両足が収まっていく。さらに本体がダイヤルパーツの消えた背中に接続され肩から2門のガトリング砲が覗く。そこに少し小型になった【スポーツゲーマⅡ】が腰背部に横向きで接続されて車輪が折り畳まれる。

 

そして一番見た目が変わったのが、全身が赤と青の二色に金のラインが入り、頭部が小さくなり足パーツが無くなって手には青竜刀を2つ持った【ハンターゲーマⅡ】が青竜刀を上に投げると頭部や両腕を胸の前へと折り畳み、それを頭から被ると胸部アーマーになる。そしてゲキトツロボッツの頭部アーマーにチャンバラゲーマの仮面が額に付いてV字アンテナみたくなり、クリアパープルのバイザーが装着される。そして最後にハンターゲーマⅡが上に投げた青竜刀をキャッチして柄同士を連結させて両刃の【ドラゴナイトダブルセイバー】を構える。

 

これがヴァーリが考え出したパラドクスの新たな姿。天才ゲーマーでもある彼の才能を存分に発揮できる形態…その名も…

 

『6つの力!!重なる絆!!皆で立ち向かえ!!ドッキング・フルアームド!!』

 

「超合体戦士…【フルアームドパラドクス】!!」

 

仮面ライダーパラドクス・フルアームドゲーマーである。

 

「なに…あれ…?」

 

「もうただのロボットズラ…」

 

その姿にルビィが唖然とし、花丸が突っ込む。確かに、殆ど全身をゲーマⅡに覆われている為、装着前のパーツが顔と前垂れ以外ないので完全にロボットみたいな姿に見えてしまう。

 

「そんな見かけ倒しで…!!」

 

「見掛けだけかどうか……やってみろよ?」

 

「貴様…!!この【クゴス・コイザー】様を侮った事を後悔させてやる!!」

 

そう言ってクゴスは先程よりも威力が上がった魔力弾を何発も撃ち出してくる。しかし、パラドクスは慌てずドラゴナイトダブルセイバーをクルクルと回してそれらを防ぎきる。

 

「なッ!?」

 

「今度はこっちの番だぜ?」

 

その光景に驚くクゴスに、パラドクスはセイバーを分離して背中に接続、両肩のガトリング砲から弾丸を乱れ撃つ。しかも1発1発がクゴスの魔力弾を越える威力を持っている。咄嗟に防御の魔法陣を貼るも攻撃が当たる度に、皹を作り上げていく。

 

「バカなッ!?今の私は魔王を越えているんだぞッ!!その私が何故ッ!?」

 

「オイオイ、その程度で魔王かよ……シラケる…ぜ!!」

 

「ゴハァッ!?」

 

皹だらけの防御壁にパラドクスが右腕のナックル【バーンスマッシャー】が決まり、接触部から炎が噴き出してそれを砕き、クゴスを焼いていくがすぐにそれから脱出される。

 

「チィッ!?」

 

「逃がすかッ!!」

 

それにパラドクスは背中と脚部のブースターを吹かし、見た目以上の速さでクゴスへと追い縋る。

 

「は、はや…!!」

 

「喰らえ!【ホイールタイフーン】!!」

 

そして距離がある程度縮まったら腰背部に折り畳まれていたスポーツゲーマⅡを展開、ホイールを高速回転させて2つの竜巻を作り出し、クゴスを飲み込む。

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

「【ディスクサーキュラー】!!」

 

さらに左右の腰に付いてるターンテーブルから片方2枚、計4枚のエネルギーリングを飛ばし、竜巻の中へと入れるとその中でグルグルと回ってクゴスを切り裂いていく。

 

「くそッ!!身動きが…!!」

 

「そろそろだな…【ビートショッカー】!!」

 

ある程度竜巻に閉じ込めてからそれを両肩のスピーカーから放つ衝撃波で消し、解放されたところを左腕の【フロストスマッシャー】を叩き込み、クゴスの体を瞬時に凍結させた。

 

「これで終わりだ!!」

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

レバーを閉じ、ダブルセイバーを連結して構えると右側が赤、左側が青いエネルギーに刀身が覆われて伸びていく。

 

『ガッチャーン!! DOCKING!! CRITICAL FULLBURST!!』

 

「【パラドクス・クロススラッシュ】!!!!」

 

そして掛け声一閃、クゴスをバツ字に切り裂きその身を消滅させた。

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

「よっと……思ったより大した事なかったな」

 

「お疲れ様ですわ」

 

着地して変身を解除したパラドに、ダイヤが労いの言葉を掛ける。

 

「ああ、そっちもな」

 

そんなダイヤに返事しつつ、千歌達の方を見れば向こうも丁度終わったところだった。ちなみに襲撃から殲滅まで約8分である。

 

「終わった~!!」

 

「無駄に数多過ぎでしょ…」

 

「まあ、それほど強くなかったからいいんじゃない?」

 

「てか、千歌達がムテキになってれば、速効で終わりだったんじゃない?」

 

「それだと一人でOver killね♪」

 

そんな何気ない会話をしているが、それはこの世界のアザゼルから見れば、驚き以外なかった。

 

(おいおい……クゴスらはこっちのリアス達からみれば一人一人でも苦戦は免れない様な強さを持ってたってのに、それをほぼノーダメで短時間撃破とかどう考えてもおかしいだろッ!?しかもまだ余力を残してやがるし…向こうの世界はどんだけヤベェんだよ!?このまま模擬戦やらせたら…)

 

チラリとこの世界のリアス達の顔を見てみると、一誠を除いて顔を青くして茫然としていた。

 

(完全に戦意喪失してやがる…こりゃ模擬戦続行は無理か?)

 

負ける未来しか見えず、これ以上はトラウマになるかもな…ところアザゼルが思っていたところに……

 

「なんだ、来る前に終わっていたのか」

 

「ん?ヴァーリ達か…」

 

彼の近くに魔法陣が浮かび、数人の男女が出てきた。その内の一人はヴァーリにそっくり……というか、この世界のヴァーリ本人だ。

 

「リゼヴィムがそちらに兵を送ったと情報を得たから来てみれば、俺や兵藤一誠達がもう一人いたり、見たことない奴等がいるとかどうなっている?」

 

「実はな…」

 

事の経緯を話していくと、途端にこの世界のヴァーリの頬が緩んでいく。

 

「あ~あ、こりゃヴァーリの興味を引いちまったな?」

 

「仕方ありませんよ、そんな話を聞いてしまったら彼は止められませんから」

 

「だったら…」

 

彼の仲間がぼやく中で、アザゼルがした提案がまたもや格の差を見せつけるものになるとはこの時、彼らは思いもしなかった。




いかがでしたか?

最近シンフォギアのアプリのコラボイベをやっていて、なんとか全キャラ集める事ができました。

次回は2人のヴァーリが対決。そして…


次回【その男、GODにつき】


「貴様のデータには、何の価値もないな」

では次回で、お会いしましょう


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その男、GODにつき…

花「うう~、なんでマルがこんな格好…」←曜に白ウォズの服を着させられた

ル「大丈夫!!スッゴく似合ってるよ、花丸ちゃん♪それと前書き始まっちゃってるよ?」

花「おっとと……ンン!!…マルの神器によれば、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】。彼には喧嘩の王にして人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待っていた」

花「異世界で模擬戦中に禍の団に襲撃されるも、新たな力を得たパラドクス達によって最速で鎮圧され、向こうのグレモリー先輩達はその光景に戦意を喪失してしまう」

花「そこにこの世界のルシファー先輩達が現れ、こちらのルシファー先輩と勝負になるが、改造されたタドルパラディンによって、その才覚の差を見せつけられていく…」

花「さて、ここで問題ズラ。こちらのルシファー先輩が最後に使う必殺技…これは何が元になっているでしょう?」

ル「皆、頑張って当ててみてね~♪……あれ?これって露骨な感想稼ぎじゃ…?」

花「ルビィちゃん、そこはシー…ズラよ?」


「なによ、あの強さ…」

 

「いたのは殆どが上級悪魔の上位クラスに加え、最上級悪魔も混ざっていましたのに……」

 

「殆ど攻撃も喰らわず、アッサリと…」

 

「圧倒的です…」

 

模擬戦中に起きた禍の団の襲撃。相手は殆ど格上だが自分達の世界での出来事だからと、戦おうとしたリアス達だったが、それは異世界組の活躍でものの数分…しかも、ノーダメージという圧倒的な差で終わった事に唖然とし、恐怖した。

 

自分達でも苦戦は確実と思われたのを、アッサリと倒したのだ。戦う心が折れてもおかしくはない。

 

「フ…なにやら面白い事になってるな?」

 

「ッ!!ヴァーリ、貴方達も来たの?」

 

そんな彼女の側に、この世界のヴァーリ達がやってくる。

 

「リゼヴィムの部下の襲撃を聞きつけて、援護に来たんだが……これはさすがに予想外だったな」

 

「というか、予測できる人いるのかしら?」

 

確かに、異世界から来た者達が禍の団を退けてくれるなど、予知でもしない限り思考に浮かびさえもしないだろう。

 

「しかし、こちらの知らない奴もいれば知っている者がいなかったりと違いもあるみたいだな…それに、向こうの俺は白龍皇ではない上、兵藤一誠も赤龍帝でないとは…」

 

「その代わり、私達が知らない道具を使うわ。神器と魔力だけで判断してると……アッサリと倒されてしまうわよ?」

 

「ほう?……なら期待できそうだな」

 

「え?ちょっと…!!」

 

リアスからその情報を聞いたこの世界のヴァーリはニヤリと笑い、もう1人の自分の所へと歩いていく。それに真っ先に気づいたのは善子だ。

 

「えッ⁉︎ちょ、ヴァーリが2人ッ!?何で!?あっ、この世界の方か…」

 

「もう、少しは落ち着いてよっちゃん…」

 

「そういえば、知らないmemberも増えてるわね?」

 

「向こうのヴァーリ君の仲間なのかな?」

 

そんな疑問を抱きつつ、2人のヴァーリの会話を見守る。

 

「おい、もう1人の俺」

 

「ん?……ああ、この世界の俺か」

 

「俺と戦ってはくれないか?」

 

その問いに梨子達は…

 

(((((ヴァーリ君なら、絶対に断るね…)))))

 

そう思っていた。確かにゲーム開発に情熱の全てを注いでいる彼が模擬戦をやるのは、新しいゲームが完成した時ぐらいなのに、それが何も無い状態で受けるはずないと思っていたら…

 

「いいだろう、受けてたつ」

 

「「「「「ウソダドンドコドーンッ!?」」」」」

 

アッサリと引き受けたヴァーリに驚いて、思わずオンドゥル語で叫んでいた。

 

「ちょっと!!どういう事よ!?新しいゲームが出来た時以外、模擬戦なんてあまりやらないのに!!」

 

なので善子がその理由を問うと、彼は懐から1つのガシャットを取り出した。それは以前、エボルトに破壊された《詳しくは海神アグル様の作品【ハイスクールD×M×U×R】にあるコラボ回を見てください》タドルパラディンだった。

 

「なぁに……少し改造したコイツのテストを兼ねてな?」

 

そう言ってニヤリと笑みを浮かべながら、前へと出ていった。

 

「うわ~…またなんかやらかしそうな気がする…」

 

「そっちのヴァーリって、そんなにヤバいにゃん?」

 

「ヤバいというよりやべー奴…………って誰!?」

 

いつの間にか隣に立っていた着物の胸元をはだけさせ、黒髪に猫耳を着けた女性に善子は驚く。

 

「私はヴァーリの仲間で猫魑(ねこしょう)の【黒歌】よ。よろしくにゃん♪」

 

「猫魑って…………猫系妖怪の最上位種!?」

 

「その通り♪ちなみに白音…塔城小猫のお姉ちゃんでもあるにゃん」

 

「「「「「「小猫ちゃんの姉ぇッ!?」」」」」」

 

更に衝撃的な展開に一同が声を上げる…と、こちらの世界の小猫が黒歌の前に立ち、

 

「ふん…!!」

 

ドゴォッ!!

 

「おぅふッ!?」

 

お腹に全力の右ストレートを叩き込んだ。

 

「な…なにするにゃ…?」

 

「異世界の姉様とはいえ、何勝手にネタバレしてんですか?人がせっかく然るべき場所で、猫耳と尻尾を出しながら可愛く踊ってニャン♥️…って言いながらバラそうと思っていたのに…!!」

 

「ぐぇ……ぷ…」パタリ…

 

「そっちの私……GJです…」

 

お腹を押さえて倒れる黒歌を冷めた目で見つつ離れる小猫。やはり許可なくネタバレをやってしまうと、相手から不評を買ってしまうので注意しましょう。でないと、皆さんも今回みたいな目に合うかもしれませんよ?(謎の忠告)

 

「ありゃ、黒歌は寝ちまったのか?」

 

「こんな所で眠ると、風邪を引きますよ?」

 

「黒歌さん、起きてくださ~い」ユサユサ…

 

そんな彼女の側に新たに3人の男女が現れる。

 

「貴方達は?」

 

「ん?俺ッチ達は【ヴァーリチーム】のメンバーさ。俺は【美侯】ってんだ、よろしくな」

 

「私は【アーサー・ペンドラゴン】と申します。こちらは私の妹のルフェイです」

 

「【ルフェイ・ペンドラゴン】と言います。よろしくお願いします♪」

 

「それって…眷属ではないんですか?」

 

「おう、こっちのヴァーリは悪魔の駒を持ってねぇからな。好きでアイツの側に集まってるのさ」

 

「なるほど…あ、私は別世界のヴァーリ君の女王の桜内梨子です、よろしくお願いしますね。後、他にも騎士と僧侶、兵士の子がいます。」

 

「へぇ~、ヴァーリが眷属持ってるとか…こっちだと想像できねぇな…」

 

「そうなんですか?……あ、そろそろ始まるみたいですよ」

 

簡単な自己紹介を終えると、2人のヴァーリの勝負が始まりそうなので共に観戦することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、お前の力を俺に見せてみろ」

 

「今、見せてやる(最初は向こうの力量を見極めるか)」

 

ゲーマドライバーを装着したヴァーリは、ガシャットギアデュアルβⅡを取り出して、ダイヤルを回す。

 

『TADDLE LEGACY!!』

 

「術式レベル100…変身」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!辿る歴史!!目覚める騎士!!タドルレガシー!!』『ガシャコンソード!!』

 

仮面ライダーブレイブ・レガシーゲーマーに変わり、剣をその手に持つと、向こうのヴァーリは楽しそうに笑う。

 

「この世界に無い力…どれ程のものか、試させてもらおう!!」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!』

 

対するこの世界のヴァーリは、神滅具(ロンギヌス)の1つである【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】の禁手である鎧を身に纏う。

 

「あれは…神滅具ッ!?」

 

「向こうのヴァーリ君も持ってたの!?」

 

「という事は……騎士対龍か…」

 

「「「ワッセイ!!ワッセイ!!ソーウ、ソーウソウ!!ワッセイ!!ワッセイ!!ソレソレソレソレ!!」」」

 

「花丸ちゃんにルビィちゃんに善子ちゃん…何踊ってるの?」

 

「「「え?騎士竜と聞いて…」」」

 

「うん、とりあえずネタは控えよっか?」

 

後ろが若干騒がしいが、ヴァーリは気にせず白龍皇の鎧を見る。

 

「白龍皇の光翼か…既にそれのデータは揃っている」

 

「ならば…そのデータを越えてやろう!!」

 

そう言うと、白龍皇が突っ込んで来るがブレイブはそれを横に動いて簡単に避ける。

 

「ほう…やはりアッサリとやられる様な雑魚ではないか!!」

 

「速度は想定内…」

 

そこから白龍皇がラッシュを仕掛けてくるも、ブレイブはそれに焦らず、剣や手足で捌いていく。

 

「調子に乗るな!!」

 

「甘い」『鋼鉄化!!』

 

―ガキィン!!―

 

一瞬の隙を狙った白龍皇の一撃も、その前に鋼鉄化のエナジーアイテムによって防御力を強化され、意味を失くす。

 

「ぐぅ…!!攻撃が通らない!?」

 

「カタ○ウルを嘗めるなッ!!」

 

「「「「「だからネタァッ!?」」」」」

 

ブレイブの言葉に周囲からツッコミが飛ぶも、それは聞き流されて、戦いは続く。

 

「攻撃力もそこそこ…」

 

「これなら…!!」

 

「フンッ!!」

 

「ガッ!?」

 

それに焦ったのか、動きが大振りになった所で掌底を喰らわせ、波動を0距離で叩き込むと鎧が粉々に砕け散る。

 

「ッ!?禁手が…!!」

 

「防御は予想以下だな」

 

「バカな……あの程度で禁手が解かれるなど!!」

 

その事実に白龍皇は驚愕していたが、それはアザゼルも同じだった。

 

(今の波動にそんな威力があるようには見えなかった…つまり、神器に対して特別な力を…まさか…!!いや、あり得ないな…)

 

神器の…それも禁手を簡単に壊す力に、彼はある能力が浮かび上がるもそれを否定する。それは本来、ある人物しか使えない筈なのだからと…

 

「くッ!?」

 

白龍皇は再び鎧を纏い、空へ舞い上がる。だが、逃がさないとばかりにブレイブは彼の周囲に光剣を囲うように展開、動きを封じて一斉に襲いかからせる。

 

「これしき…!!」

 

「それで、敵から目を離しては意味がないぞ?」

 

「な…!!ゴハァッ!?」

 

回避の為に動き回る白龍皇……そのせいでブレイブから目を離してしまい、転移で一気に至近距離に迫られ、踵落としを脳天に喰らって地に落ちた。

 

「く…!!これほどの力が…!!」

 

「貴様のデータには、何の価値もないな」

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

倒れてる彼の前に降りたブレイブはそう言うと、ベルトからガシャットギアデュアルβⅡを抜き、タドルパラディンと暴走サーキットを起動させる。

 

『All SAFETY CRASH!!』

 

『タドルパラディン!!』

 

「術式レベルビリオン…!!」

 

『ガシャット!!ダブルガシャット!!ガッチャーン!!OVER LOAD!!』

 

それらをベルトに挿し、レバーを開くとレガシーゲーマが消え、背後に人型の鎧らしきものが現れるが、それは以前使った物とは形がかなり変わっていた。全体は暗めの銀色を基調にしつつ、黒と金色の縁取りが何処か高貴さを醸し出す流麗な鎧風のデザインになっており、背中には折り畳まれた翼の様なスラスターが2基付いていて頭部には額から後頭部にかけて伸びるブレードアンテナに顔の左右にはフェイスガードの様なパーツが視認できる。

 

それが1度バラバラになると、次々にブレイブへと装着される。

 

『平和守り!!不滅の騎士!!タドォルパラディーン!!スゲェーイ!!カッケェーイ!!』『ガシャコンガードナー!!』

 

ブレイブ・パラディンゲーマーになると、呼び出した盾にソードを仕舞い、その場に悠然と立つ。

 

「姿を変えた…!!」

 

「これは勇者と魔王、そして神の力を宿した主人公が宇宙を滅ぼそうとする破滅招来体に立ち向かうRPG……そのゲームの力を宿した姿だ」

 

「ゲームだと!?…そんな子供だましに!!」

 

そう言って白龍皇が殴りかかってくるも、空いていた右手で受け止める。

 

「子供だましぃ…?違うなァッ!!」

 

「ガハッ!?」

 

ブレイブは握っていた白龍皇の拳を離してから盾で殴り、地に倒れ伏すとその背中を踏みつける。

 

「ゲームとは【可能性】だッ!!人が望み、願い、思い描くも現実ではなし得ない可能性……ゲームはそれを実現できる!!あらゆる不可能を越えて!!人が描いた夢を作るッ!!それはもはや娯楽にあらず!!もう1つの世界の創造とも言えるのさッ!!!!」

 

そしてゲームというものについて熱く語り初める。現実は規則やら道徳などの【縛り】が多く、実現できるものはその中にある、退屈なものしか出来ない。しかし、ゲームはそんな退屈な世界を変える事ができるのだと…

 

「更にゲームでは、こんな力を誰でも手に入れられる!!」

 

ブレイブは再び波動を白龍皇に当て、身に纏う鎧をアッサリと砕く。

 

(やっぱりッ!!あれは間違いねぇ…!!)

 

その光景を再び見て、アザゼルは先程の考えが当たっていた事を理解するが、それは同時に恐怖を抱かさせるものでもあった。なぜなら、その(ガシャット)が世にばら蒔かれでもしたら、世界のパワーバランスを崩しかねないのだから…

 

「何故だ!?何故、俺の禁手が簡単に解かれる!?」

 

「おいおい…これはお前が一番理解している能力の筈だぞ?」

 

「何?………………まさか…!?」

 

そこで彼もようやく理解する。先程から鎧を砕かれる理由を…

 

「お前…【神器無効化(セイクリッドギア キャンセラー)】を使えるのかッ!?」

 

「ご明察ゥッ!!本来なら爺さんだけの能力も、ゲームでは波動限定だが誰でも使えるようになる……どうだ、素晴らしいだろうゥ?ヴェハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

「グハッ!?」

 

白龍皇の脇腹を蹴り、転がっていく姿を笑っていると彼が三度鎧を纏い、高速で近づいて拳を顔に直撃させる。

 

「油断大敵だ…!!」

 

「………………油断もするさ、相手が雑魚だからなァ?」

 

「ッ!?」

 

しかし、ダメージは与えられずすぐに後退する。だが、これで反撃の手はできたと彼は鎧の下でニヤリと笑う。それが更なる絶望を生み出す事とは知らずに…

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「いや、これから逆転するのさ…!!」

 

『Divide!!』

 

触れた事で発動する白龍皇の光翼の力の1つ【半減】によって、ブレイブの力を半減させ自身の力へと変換する。だが…

 

「ッ!?何故だ!!なぜこんなにも()()()()()()()()()!?」

 

それで得られた力は、自身の数百分の一にも満たないものだった。今のブレイブから力を奪えれば、逆転出来ると考えていたのも、全て水泡に帰してしまった。

 

「ヴェハハハハハハハハハハッ!!聞くバカがどこにいるゥッ!?教えるバカなどいるものかァッ!!だが、ヒントはくれてやろう!!さっき説明した、このゲームの内容を思い返してみるんだなァッ!!」

 

「ゲームの内容?」

 

「………………ッ!!まさかそんなものまでもッ!?」

 

「アザゼル先生?」

 

白龍皇は聞いていなかったのか、首を傾げているが、アザゼルは彼の言葉を思い返し……そして気づいてしまった。

 

「どうやらアザゼルは気づいたようだなァ…?」

 

「ああ…そのゲームの主人公は、勇者と魔王……それに【神】の力を持っている…………その力が使えるということは、お前自身も【神性】を手に入れるという事になる…」

 

「その通りィッ!!今の俺は神性を持った神と同格……いや、今回の結果で神そのものとなったのだァッ!!これで貴様と並んだぞ、異世界の檀 黎斗ォォォォォッ!!!!」

 

そう、この男は修復ついでに色々と改造を行い、遂に神性まで再現することに成功したのだ。それにより、敵が持つ神器の効果を、極限まで減少させられる様になった。まさしく【対神器所有者(アンチ セイクリッドギア ホルダー)】といえる存在だろう…

 

「さて……テストは後、必殺技だけだな」

 

『ガッチョーン、スゴワザ!!』

 

ベルトのレバーを閉じ、エネルギーを貯め終えるとそれを思いきり開く。

 

『ガッチャーン!!TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

それから白龍皇に転移で一気に近づき、右上から左下へと袈裟斬りにし、そこから右への横一閃後、そのまま1回転して加速をつけた一閃を浴びせる。

 

「グアッ!?」

 

「一つ」

 

『高速化!!』

 

続けて高速化のエナジーアイテムを取り、振り上げたままの剣を振り下ろしながらすれ違い様に切り裂く。

 

「二つ」

 

振り返ると、今の攻撃でこちらへ飛んでくる白龍皇がいて、剣を上段に構えつつBボタンを連打して炎を灯した剣を一気に振り下ろす。

 

「三つ」

 

それで再び飛んでいく白龍皇に、盾に剣を納刀しつつ高速化の力で一気に駆け抜けながら抜刀…居合い斬りを喰らわせる。

 

「四つ」

 

白龍皇を追い越し、再び剣を納刀すると逆手で持ち、飛んできた白龍皇に抜刀し斬り上げる。

 

「五つ」

 

『コ・チーン!!』

 

そこから素早く剣を順手に戻して刀身を炎から氷へと変更、Bボタンを連打して振り下ろし氷の斬撃を放ち、命中した彼を氷漬けにする。

 

「六つ」

 

そして固まった白龍皇の近くに立ち、盾に納刀していた剣を勢いよく抜き放ち、一閃にしか見えぬ速さで乱れ斬りにする。

 

「七つ」

 

最後にゆっくりと盾に剣を納刀していき、納めきると同時に白龍皇はその場に倒れた。

 

「フム……動きに関して何の問題もない。予想以上の結果だな」

 

『ガッチョーン、ガシューン』

 

その確認が終わってから変身を解き、空を見上げる。

 

「さあ祝えッ!!今此処に……新たな神が誕生した瞬間をッ!!!!ヴェハハハハハハハハハハッ!!ヴェアーハハハハハハハハハハ…!!ヴェア…ブホッ!?ゴホッ!!ゴホッ!!ガハッ!?」

 

そして喜びを爆発させる様に笑うが、笑いすぎてむせてしまい、どうにもしまらなかった…




いかがでしたか?

何とか平成最後の投稿ができた…!!間に合うか微妙だったからな…

次回はお待ちかね、2人の一誠の対決になります。

次回【放て!!怒りのFist!!】

「来いよ、喧嘩のやり方を教えてやる!!」

では、次回でお会いしましょう。

それとアンケートもやってるので、良ければ参加してください。


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放て!!怒りのFist!!

花「マルの神器によると、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】…彼には喧嘩の王にして人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待って…ルビィちゃん、なんでマルの背中に隠れるの?」

ル「うぅ……あれ見て…!!」

花「あれ?」

一「フシュー…!!フシュー…!!」

花「ズラァッ!?番長先輩の我慢メーターが崩壊寸前に!?」

ル「ど、どうしよ!?花丸ちゃん!!」

花「こうなったら、その怒りをさっさと向こうの番長先輩にぶつけてもらうしかないズラ!!という事で、本編どうぞ♪」

朱・小・ゼ「「「ねぇ、私達の出番は?」」」

花「作者の都合上、カットだって」

朱・小・ゼ「「「ウゾダドンドコドーン!?」」」


「稼働試験は問題なし、後は後回しにしていた機能も追加していかないとな…」

 

戦闘後、向こうのルシファーが治療中の間、高ぶった気持ちが落ち着いたヴァーリは、持ってきていた機材にタドルパラディンを挿し込み、更なる調整と機能追加を行っていた。

 

「え?まだ何かあったの…?」

 

「当然だ。1度壊された物をそのまま復元など、俺の才能が許さない!!最初は…未来予測機能にするか」

 

「チート製造機がここにいる…」

 

「ふ、褒めるな…」

 

「自重しろって言ってんのよ!?」

 

自重を知らないヴァーリに、これ以上は無駄と思った眷属達はため息を吐くしかなかった。

 

「そんな事より、次はある意味メインイベントだぞ?」

 

「そ、そうだね…」(チラッ)

 

ヴァーリの言葉に梨子が横目である場所を見る。そこには……

 

「ガルルルルル…!!!!」

 

「どうどう…もうちょっとだけ我慢してね?」

 

曜に宥められているが、怒りと殺意の混ざったオーラを垂れ流し、口から煙みたいなのを吐いて目をギラつかせている一誠がいた。

 

どうやら、向こうの自分のエロ発言や前の襲撃に参戦出来なかったストレスが溜まりに溜まっているようだ。

 

「あれ、一誠じゃなかったらとっくにバグスター生まれてるぞ?」

 

「ですが、そのバグスターすらもご自身で片付けそうですわね、あの人…」

 

そんな一誠を見て呟くパラドとダイヤ。実際、それが出来そうだから恐い…

 

「おい、この世界のグレモリー!!こっちはこれ以上抑えきれないから、次は一誠同士のバトルにするぞ!?」

 

「は、はいッ!?解りました!!」

 

突然呼ばれ、ハッとした様子で答えたグレモリー。それも仕方ないのだ。今まで自身の眷属である兵藤とバトルし、お互いが互角レベルだったのに対し、こちら側はほぼノーダメージで終わっているのだ。その力量差に、放心してしまっても無理はない。

 

「安心してください部長ッ!!俺は必ず勝ちますから!!」

 

「そうね……よし、イッセーが向こうの貴方を倒したらご褒美に、何でも言うことを聞いて上げるわ」

 

「マジですかッ!?何でもッ!?」

 

「ええ。だから、頑張ってらっしゃい」

 

「ヨッシャアッ!!ゼッテー勝って、部長の処女を手にいれてみせる!!!!」

 

「………………………………コロス…!!」

 

リアスとの約束に【ヤる気】を漲らせる兵藤。しかし、それは一誠の【殺る気】の炎に油を注ぐ……いや、核爆発させる行為に他ならない。

 

『『『『『『サイテー…』』』』』』

 

「向こうの私…どれだけ貞操観念低いのよ…」

 

もちろん、千歌達もそんな兵藤を冷めた視線を送り、こちら側のリアスはそんな向こうの自分に嘆き、眷属達が優しく肩を叩いた。

 

「イッセー……遠慮しないで、思いっきり殺りなさい」(クイッ)

 

「オウヨ…!!」

 

それにキレた果南が、右手の親指だけを伸ばしたまま首の前を横切る様な仕草をすると、一誠は頷く。

 

そして二人はフィールドの真ん中で向かい合い、兵藤は赤龍帝の籠手を出し、一誠はゲーマドライバーを装着する。

 

「よしッ!!お前をブッ倒して、俺は脱童貞するぞォォォォォォォォ!!」

 

『Welsh dragon balance breaker!!』

 

「…………テメェはもう……口を開くな…!!」

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大変身…」

 

『ガッチャーン!!デュアルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバール!!』

 

「ウオリャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

互いに戦闘形態になると同時に飛び出したのは、赤龍帝の方だ。まっすぐに突っ込み、振りかぶった左拳をドラゴネスに叩き込む。

 

「どうだッ!!」

 

「……………………こんだけか?」

 

が、ドラゴネスはそれを右手で受け止め、微動だにせず立っている。

 

「ッ!?まだまだァ!!」

 

それに一瞬驚くも、すぐさまラッシュを始める。赤龍帝からパンチとキックが無数に放たれる中、ドラゴネスはそれらに視線を向けず的確に捌いていく。

 

「だったらァ!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

それに業を煮やした赤龍帝は力を一気に倍加して殴りかかる…

 

「……ねぇ…」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!』

 

―ガシィッ!!―

 

が、ドラゴネスもすぐさま倍加し、横から手首を掴む事で正面で受け止めるよりダメージを減らしつつ拳を止めた。

 

「なッ!?この…!!離せッ!!」

 

「…足りねぇな…!!」

 

「うおッ!?」

 

拘束から逃れようとと必死の赤龍帝だが、全力で握るドラゴネスから逃れる事はできない。そのまま力任せに赤龍帝を引き寄せると…

 

「全然足りねぇッ!!!!」

 

赤龍帝の顔に頭突きを喰らわせた。

 

「ブハッ!?」

 

倍加と鎧のお陰か、ダメージはあまりなかったみたいだが、体が大きく仰け反ってしまい隙ができる。それを逃すドラゴネスではない。

 

「粉砕!!」

 

「ウグッ!?」

 

赤龍帝の腹に膝蹴りをめり込ませ、くの字になった所を後頭部を掴み…

 

「殲滅!!」

 

「ブッ!!」

 

そのまま地面に顔から叩きつけ…

 

「完破ァッ!!」

 

「グワァッ!?」

 

全力で脇腹を蹴り飛ばした。その威力に蹴られた部分の鎧が砕け、破片をばら蒔きながら10m程転がっていく。

 

「誰が俺を満たしてくれんだよォッ!!!!」

 

最後にそう雄叫びを上げる。まるで今まで溜め込んでた感情を爆発させる様に…

 

「ぐ…!!何だ…メッチャ強ぇ…!!」

 

「なんだァ?テメェの強さはその程度か?」

 

「何をォッ!!」

 

ドラゴネスの言葉に、赤龍帝は再び突撃していく。

 

「来いよ、喧嘩のやり方を教えてやる!!」

 

「ゼリャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

加速の勢いそのままに殴りかかってくる赤龍帝。だが、ドラゴネスはそれを後ろに受け流し、すれ違い様にボディに拳を捩じ込む。

 

「ガハァッ!?」

 

鎧を砕かれながら吹き飛んでいく赤龍帝に、ドラゴネスは背中の光翼を広げ追い掛ける。そして追いつくと足を掴み、吹き飛ぶ勢いを殺さぬようにして頭上へと振り上げると……全力で地面へと叩きつけた。

 

「ゴハッ!?」

 

「まだまだ行くぜェ!!」

 

それから前後に何度も振り回して地面にぶつけていき、最後に正面に叩きつけた後で手を離し、浮き上がっている間に籠手を盾モードに切り替え、Bボタンを数度叩いてベルトのレバーを閉じる。

 

『ガ・キーン!! Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!』

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

「グラファイト直伝…!!」

 

そして右手を手刀にして構え、落ちてきた赤龍帝が目の前にきた瞬間、レバーを開きながら右手をバツ字に振るって斬撃を放つ。

 

『ガッチャーン!! SAVIOR SURVIVAL!! CRITICAL DESTROY!!』

 

「激怒竜牙ッ!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

赤龍帝はギリギリ腕をクロスして防ぐが、半減の効果で力を弱められ、受け止めきれずに張られた結界の端まで転がっていった。

 

「いっつつ…!!どういう事だよ…ドライグだけじゃなくてアルビオンの力を簡単に使えるなんて…!!」

 

「敵に教えるバカはいねぇよ」

 

起き上がろうとする赤龍帝の顔をドラゴネスは鷲掴み、強引に立ち上がらせる。

 

「よくもまあ…俺と同じ顔で変態発言を繰り返してくれたな…………その煩悩まみれの頭、握り砕いてやるよ…!!」

 

「アダダダダダダダダダッ!?……この…!!」

 

『Charge!! Star Sonic!!』

 

指が鎧を貫き、頭蓋を砕こうとする痛みにもがきながらも、赤龍帝は自身が持つ能力を発動させて鎧の一部を勢いよくパージする。

 

「うおッ!?」

 

突然の事にドラゴネスは避けることができずに喰らい、赤龍帝から手を離してしまう。その隙に赤龍帝は先程よりも圧倒的に速いスピードでドラゴネスから距離を取った。

 

「チッ…猪口才な真似を…!!」

 

「へッ!!この【龍星の騎士(ウェルシュ・ソニックブースト・ナイト)】に追いつけるかよ!!」

 

そこから赤龍帝は高速移動しながら攻め立て始める。スレ違い様に一撃を入れつつ、すぐに離脱するヒット&アウェイを繰り返す…

 

「…………おい…ナメてんのか?」

 

が、ドラゴネスには通じない……いや、先程よりも攻撃力が落ちているのか、最初に拳を受け止めた時よりも痛みを感じなかった。

 

だからこそ、彼は頭にキた。これで勝てると思っている相手に…

 

「その程度で…………勝てると思ってんじゃねぇぞッ!!!!」

 

―ガシィ!!―

 

「なッ!?」

 

背後からきた一撃…ドラゴネスはそれを振り向かずに掴み取った。

 

「そんなッ!?俺の速さについて…!!」

 

「その速さは…もう見切ってんだよッ!!」

 

ドラゴネスが思い出すのは以前、彼らの世界にやって来たウルトラマンの力を持つ兵藤一誠の事で、彼も高速移動形態を持っていた。その時は目の前の赤龍帝を上回る速度を出していたのを見切ったドラゴネスにとって、それより少し遅い動きを見切るのは造作もなかったのだ。

 

「オラァ!!」

 

「ごふッ!?」

 

赤龍帝の脇腹に肘打ちを喰らわせ、前のめりになったところに顎へと膝蹴りを叩き込んで仰け反ったら顔を掴み、再び後頭部から地面に叩きつけるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠(ゲーム)side

 

(ああ……なんか知らんが腹が立つ!!)

 

俺はさっきまでエロ発言ばかりしていた、もう1人の自分に腹が立っていたが、今はそんな事は関係ない…何か別の感情に突き動かされるままに暴れていた。

 

ソウダ……アバレロ…

 

(うるせぇ…!!)

 

それに、訳の分からない声が頭に響いて、俺の怒りを更に掻き立てる…!!

 

コワセ…ツブセ…ホロボセ…

 

(うるせぇっつってんだよッ!!!!)

 

イカリニ……ミヲ……ユダネロ……

 

(黙りやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!)

 

そんな声を遮るように、俺は心の中で絶叫した。そうでもしないと、何もかもを壊しそうだったから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラドside

 

―ゾクッ!!―

 

「ッ!?今のは…?」

 

2人の一誠の試合を見ていた時、突然俺の心が震えた。

 

(これは…恐怖の感情?でも、今の俺に恐怖する事なんて……まさかイッセーが?)

 

「どうしたんですの、パラドさん?」

 

「ん?いや、別に…」

 

どうやら表情に出ていたらしく、隣にいたダイヤに心配そうな声で尋ねられたが、俺はそれをはぐらかす事にした。

 

(けど、なんだ……この嫌な予感は…)

 

でも、俺の心には言い知れない不安が残る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の一誠の勝負はこのまま決着がつくかに見えたが…

 

「【龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)】ウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

『Charge!! Solid Impact!!』

 

赤龍帝が鎧をより堅牢な物に変える事で、ドラゴネスの手を弾き強化された剛腕で殴り飛ばした。

 

「うおッ!?…パワーが上がりやがった!?」

 

「お前がパワーなら、こっちもパワーだッ!!」

 

起き上がり、再びドラゴネスへと殴りかかる赤龍帝。だが、それはドラゴネスも同じである。

 

「だったら、とことんやりあってやるよ!!」

 

互いに突き出した拳をぶつけ、その衝撃に足が地面にめり込むがそのまま何度も拳をぶつけていく。

 

「そうだッ!!もっと来いよッ!!」

 

「オリャアアァァァァァァァァッ!!!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「ぐわッ!?」

 

一気に最大まで倍加して放たれた拳を受け止めるドラゴネスだったが、その威力の高さに踏ん張る事が出来ずに吹き飛んでいく。赤龍帝はそれが最大のチャンスと思い、姿をまた変える。

 

「【龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)】!!!!」

 

『Charge!! Fang Blaster!!』

 

そして両肩にある巨大な砲身をドラゴネスへと向け、魔力を一気に充填していく。

 

「喰らいやがれ!!ドラゴン・ブラスタァァァァァァァッ!!!!!!」

 

そこから撃ち出されるのは赤い魔力の奔流。それは一直線にドラゴネスへと突き進み、その身を飲み込んで大爆発を起こす。

 

「よしッ!!これで決ま…………はあッ!?」

 

それを見て勝ちを確信する赤龍帝……だが、煙が晴れるとそこにはドラゴネスがまだ立っていた。

 

「ああ~……今のはかなり効いたぜ…だが、お陰でようやく静かになりやがった…」

 

「マジかよ…」

 

最大威力での砲撃、それを受けてまだ立っていられる事に驚愕する赤龍帝。だが、ドラゴネスも無傷という訳でもなく、かなりのダメージが通り思うように体が動かしにくくなっていた。

 

「これでもダメなら……いくぜ、ドライグ!!」

 

『ああ、向こうの相棒に俺達の力を見せてやれ!!』

 

それを見て、赤龍帝は完全に決着をつけるために切り札を発動させる。

 

「我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!!

無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く!!我、紅き龍の帝王と成りて、汝を真紅に光り輝く天道へ導こう!!」

 

『Cardinal crimson Full drive!!』

 

詠唱を唱え、籠手から音声がなるとその鎧の姿が更に変わり、真紅のエナジーウィングに鎧の一部に金のラインが入ったシンプルながらも、とてつもない力を感じさせる真紅の姿へと…

 

「なるほど…それがテメェの本気か?」

 

「ああッ!!【真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)】…これが俺の全力だッ!!」

 

その形態を見て、ドラゴネスも仮面の下で笑う。

 

「それでいい…!!灼熱!!発光!!照射!!まだまだ燃えたりねぇッ!!!!そうだろ、パラドォッ!?」

 

「ああ…心が踊るなぁ!!」

 

「はあッ!?2人がかりは卑怯だろッ!?」

 

「安心しろ…戦うのは俺だけだ」

 

そう言ってドラゴネスは変身を解除すると拳をぶつけ合わせて、パラドが一誠の中に入る。

 

「1つになったッ!?」

 

そしてコラボドライバーを装着すると、2つのガシャットギアデュアルを装填する。

 

『デュアルガシャット!!セイヴァー・サバイバル!!パーフェクト・ノックアウト!!コラボレーション!!』

 

「ネクサス大変身ッ!!」

 

『パッカーン!!キーセーキー!!煌めけ!!太陽も照らす!!金色のDragon fighter!!ネクサスキセキ!!ドラゴォーネス!!』

 

最強フォームのキセキゲーマーに変わり、拳を構える。

 

「お前も全力じゃなかったのかよッ!?」

 

「たりめぇだろ?さあ、ファイナルラウンドといこうぜッ!!」

 

そう言って突撃してくるドラゴネスに赤龍帝も突っ込み、加速の勢いを乗せた拳をぶつけ合わせる。それにより、先程よりも強い衝撃波が起きて結界を大きく揺さぶる。そこからは単なる殴り合いだ。1発当てたら当て返すを繰り返し、硬い地面が砂状になるほど踏ん張る足と衝撃波で砕かれていく。

 

「うおッ!?」

 

「ブッ飛べッ!!」

 

『あ、バカ…!!』

 

そしてキセキゲーマーの力に押し負けた赤龍帝は、後方に吹き飛んでいき結界を突き抜けて、曜達がいる場所に突っ込んでしまった。

 

「へ?キャアアァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

「あ、やべ…」

 

『俺は知~らないっと…』

 

「テメ…!!ずりぃぞッ!?」

 

パラドと押し問答しながらも吹き飛ばした方へ走り、状況を確認するドラゴネス。

 

「大丈夫か?」

 

「うん、肩を少しかすっただけだよ」

 

どうやら曜の肩に多少接触があったものの、大きな怪我はなく、他の人達も無事だった。

 

「イッセー!!もう少し考えて吹っ飛ばしてよッ!!」

 

「悪かったって…!!おい、お前も大丈夫か?」

 

果南の文句を受け流しつつ、吹き飛ばした赤龍帝に声をかけると…

 

「グフフフフ…!!こんな偶然、利用しない手はない!!」

 

どうやら大丈夫のようだが、何故か怪しく笑い勢いよく立ち上がった。

 

「あ?」

 

「折角、異世界から来た美少女達がいるんだから……一人くらい拝ませてもらうぜ!!」

 

「お前、何言って…」

 

赤龍帝の言葉に不思議に思っていると…

 

「弾けろ、俺の欲望!!洋服破壊(ドレス・ブレイク)ッ!!!!」

 

「はい、不可視の結界♪」

 

「ってオイィィィィィィィィィィィィィィィッ!?」

 

そう叫び指を鳴らす赤龍帝。だが、それと同時に善子が曜を不可視の結界で覆う。それで彼女の姿が完全に見えなくなるとほぼ同時に…

 

「ッ!?イヤアァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

曜の叫びが響き渡った。

 

「ッ!?どうした!?曜!!」

 

「み、見ないでッ!?イッセー君、コッチ見ちゃダメェッ!!」

 

「いや、結界で何も見えねぇけど…」

 

「そこの赤龍帝に、裸にされたのよ」

 

「あ?」

 

何が起きてるのかさっぱりなドラゴネスに、善子がその内容を告げる。

 

「さっき曜さんの肩に魔法陣が浮かぶのが見えて、それが衣服限定の破壊魔法だったの。解除しようにも間に合いそうになかったから、こうやって見えなくしたって訳」

 

「…………………………ほう?」

 

その内容に、完全にブチギレて赤龍帝を睨み付けるドラゴネス。その肝心の赤龍帝はというと…

 

「チクショウ…!!折角、異世界美少女のおっぱいを拝めると思ったのに…!!」

 

orzりながら、ブツブツと文句を言っていた。

 

「番長先輩…あれ、完全にギルティよ?」

 

「…………………ちょっと、絶滅させてくる…」

 

『キメワザ!!オウギ!!』

 

必殺技を発動準備させながら、ゆっくりと赤龍帝へと歩いていくドラゴネス。こちら側の女性陣は善子が即興で作った対洋服破壊(アンチ ドレス・ブレイク)の術式をかけてもらいながら、ドラゴネスへと声援を送る。

 

「そうだッ!!次からは触れた瞬間に発動出来るようにすれ「次なんてねぇ…」…へ?」

 

そして反省どころか、更に技を改悪しようとする赤龍帝に、ドラゴネスは彼の言葉に被せるようにしてそう告げ、右手を強く握る。

 

「お前はこれで終わりだ…」『マッスル化!!マッスル化!!マッスル化!!』

 

『ついでにいつものパンチコラボも付けとくぜ?』

 

「ヒィッ!?」

 

ドラゴネスのあまりにドスの効いた声に、脅えて動きを止める赤龍帝。

 

「……とっとと敗者に相応しいエンディングを迎えろ…!!」

 

『NEXUS!! CRITICAL ULTIMATE!!』

 

「オラァッ!!」

 

「さどぶッ!?」

 

そしてエナジーアイテムとアビリティセレクトで強化してから発動させた必殺技で頭を全力で殴ると、赤龍帝の体は地面に足首を残してそれ以外が埋まってしまった。

 

「えーと………………勝者、異世界の兵藤一誠だ!!」

 

「フン…!!」

 

赤龍帝を一瞥した後、勝利の喜びもなく変身を解き曜がいると思われる結界の場所に、自身が着ていたジャケットを脱ぐと、善子に手渡した。

 

「これを曜に渡してくれ」

 

「はいはーい♪」

 

受け取った善子は転移魔法で、それを結界内の曜の所に送る。

 

「あ…これってイッセー君の…?」

 

「今はそれを羽織ってろ。風邪引かねぇ為にもな」

 

「うん!!………あ、イッセー君の匂いがする♪…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、リアスが結界内へと入り魔力で下着や服(純白のワンピース)を作ってもらい、その上に一誠から借りたジャケットを羽織った曜が出てきて、模擬戦の続き(朱乃と小猫、ゼノヴィア同士)も行われ、戦績はゲーム側の勝利に終わった

 

「「「本当にカットされた…」」」

 

「だから、前書きで言ったズラ」

 

しかしながら、模擬戦に勝った三人は何故か落ち込んでいた。どうしてだろう…?

 

「「「お前(作者)のせいだよッ!!」」」

 

「ぴぎぃッ!?だ、誰にツッコンでるんですか…?」

 

突然叫ぶ3人に怯えるルビィ。そんな彼女に慌ててフォローしている3人とは別の場所では…

 

「イッセー君、本当に見てないんだよね?」

 

「だからそう言ってんだろ。何度もしつけぇぞ…」

 

「本当かなぁ…?」

 

「つーか、服出来たんならジャケット返せ」

 

「え~?これ着心地良いし洗って返すから、今日1日貸して?」

 

「……………………好きにしろ…」

 

「やった♪」(だったらもう少し、一誠君の匂いを堪能しよっと♪)

 

曜と一誠がそんな少し甘いやり取りをしていた。

 

「さて、特訓の方はもういいだろうし、そろそろ帰るとするか」

 

「そうね。アレになにされるか解らないし…」

 

帰り支度をしているヴァーリの言葉に美歌が視線を向ける先には、一誠に殴られて地中に埋まったままの赤龍帝がいた。彼はお仕置きということで、ヴァーリ達が帰るまでそのままで放置という事になったのだ。

 

彼を見ると、一誠はいまだ収まらない怒りを晴らす為に声をかける。

 

「まったく…テメェが底無しのバカか?アア?」

 

「……………………………………………………」

 

「何とか言えや、ゴラァッ!!」

 

しかし、気絶しているのだから返事できる訳もないが、それを無視したと勘違いした一誠によって残ってた足を踏まれ、完全に地中に埋まってしまった。

 

「よくやった、一誠!!」

 

それを見てサムズアップを送る果南。

 

「えっと……この度はウチのイッセーがすみませんでした…」

 

「自分の眷属なら、良いことと悪いことの区別くらい出来るようにさせなさい。そんなんじゃ、私みたいになるわよ?」

 

「はい…肝に命じておきます…」

 

リアスはもう1人の自分にお説教していて、アザゼルはそれを見て笑っていた。ちなみにこの世界のヴァーリたちは回復後、すぐに帰っていった。どうやら、強くなるために更なる特訓をするらしい。

 

「おーい、準備できたから集まれ!!」

 

ヴァーリがゲートを出し終えると、女性陣はすぐさまその前に集まった。それを見送るのはアザゼルだ。

 

「それじゃ、俺達はこれで帰りますので」

 

「おう、助かったよ…あいつらの鼻っ柱をへし折ってくれて」

 

「そっちの狙いが何かは興味ないが…?」

 

「だったらいいさ、気をつけろよ?そっちの時期を考えると、もうじき大きな戦いが起こる筈だ」

 

「忠告感謝する」

 

(そういえば、夏休み明けはディオドラ(聖女ストーカー)の話だったな…あれは遠慮なく潰そう…)

 

アザゼルの言葉にヴァーリはこの後の展開を思い出す。そして、その相手に容赦はしない事も……

 

「それじゃあな」

 

「ああ、暇があったら遊びに来い」

 

「それは、あの赤龍帝次第だな」

 

そう言ってヴァーリ達はゲートを潜って元の世界へと帰還した。

 

「さて、あの力を見て俺の研究者魂に火がついたがまずは……」

 

「部長~…助けてくださ~い…!!」

 

「……地面に埋まってるアイツの発掘からだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、元の世界のクロノス達はというと……

 

「セイリュウよ、首尾はどうだ?」

 

「ハッ、既に必要な13のデータの回収は終わっております」

 

どこかの廃墟の一室、その中でクロノスの前にセイリュウグラファイトがいて、なにやら報告を行っていた。

 

「よろしい、では私は開発作業を「それと、追加のご報告が」なんだね?」

 

成果を聞いて作業に取り掛かろうとするクロノスに、セイリュウは待ったをかけて、小さな小瓶を取り出してつくえの上に置く。そこには赤い粘性の液体らしき物が入っていた。

 

「これは?」

 

「…………()()()()()()()()()()()()()…その一部です」

 

「ほう…?」

 

そう言われ、その瓶を手に取るクロノス。その仮面の下では狂気に歪んだ笑みを浮かべていた。

 

「よくやった…君には後程、追加報酬を与えよう」

 

「ありがたき幸せ…!!」

 

そう言ってセイリュウは部屋を後にする。その場に残ったクロノスは変身を解き、それをパソコンの画面の明かりに照らしながら見つめる。

 

(これを投与するのはゲノムスにコカビエル、それに私と彼にするか…ククク、今度はこちらの道具になってもらうぞ……なあ、()()()()?)

 

そんなクロノスを部屋の入口から見ている者がいた。

 

(今は無理か…………待ってて、必ず【()()()()()】が助けてあげるから…!!)

 

そう決意を新たにした彼女…………風魔はその場を離れた。




いかがでしたか?

スランプの終わりが見えない……でも、投稿は続けますよ。

次回からはディオドラ編……ではなく、海神アグル様との2度目のコラボになります!!

また更新が遅くなるかもしれませんが、良ければ次回でお会いしましょう。


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コラボ章 part2
Secondコラボ ONE


花・ル「祝えッ!!海神アグルさんとの2度目のコラボをッ!!」

花「というわけで今回から、再びコラボ編ズラ!!」

ル「今度は向こうのルビィ達と模擬戦するんだって!!」

花「どんなバトルになるか、楽しみズラ!!作者にはより一層気合い入れてもらわないと!!」

ル「ルビィ達はどんな戦いをやってたかあんまり見てないもんね?楽しみだなぁ~♪」

花「更に、この前書きもコラボ回らしく色んな人達にやってもらう予定だから、そちらもお楽しみに♪」

花・ル「ではでは、どうなるコラボ編!!」


この夏休み、様々な戦いを乗り越えてきた一誠やヴァーリ達一行。しかし、その中の1人である千歌は今、最大の敵に襲われていた。その名は……

 

「うぇ~ん!?全然宿題終わらないよ~!!」

 

「泣いてる暇があったら、手を動かす!!」

 

「梨子ちゃんの鬼ィィィィィィィィッ!?」

 

そう……【夏休みの宿題】である。

 

千歌はこれまでの間、宿題に一切手を付けておらず殆どのノートやプリントが真っ白だった。しかし、夏休みの終わりまで後5日という時期になってから泣きついてきて、梨子はそれにキレて鬼コーチになって教えていた。

 

「全く……あれほど早めに終わらせる様にヴァーリ君が言ってたでしょ?」

 

「だって…「だってじゃないッ!!」うわぁぁぁん!?」

 

「何をやってるんだか…」

 

そんな光景にヴァーリは呆れながらガシャットを作っていく。

 

「ヴァーリは何作ってるのよ?」

 

「ん?……見れば分かる」

 

「ワオッ!!たくさんのライダーのガシャットね!!」

 

それを見て善子が訪ねると、ヴァーリはテーブルに並べた19個のガシャットが見えるように席を離れ、それらを覗きに来る鞠莉と美歌。

 

「なになに…【冒険野郎クウガ】に【太陽のアギト】、【ミラーラビリンス龍騎】と【モシモシファイズ】、【キングオブポーカーブレイド】と【太鼓マスター響鬼】、【昆虫大戦争カブト】に【時空特急電王】と【魔界城キバ】と【バーコードウォーリアーディケイド】?」

 

「こっちは【名探偵ダブル】に【ジャングルオーズ】、【スペースギャラクシーフォーゼ】に【マジック・ザ・ウィザード】、【刀剣伝鎧武】と【フルスロットルドライブ】と【カイガンゴースト】、【ドクターゲーマーエグゼイド】に【ベストマッチビルド】ね……これって各々のライダーの力を持ってるの?」

 

「ああ…ただデータは詰め込んだが調整前だから、使うことは出来んぞ」

 

「アラ、残念…」

 

「てか、何でこんなの作ったのよ?」

 

「ちょっとある事を思いついてな?ただ、後1つ足りなくてな…」

 

区切りがよかったのか、それらをケースに仕舞おうとしたら横から手が伸びてファイズのガシャットを取っていった。

 

「あ…!!」

 

「わぁ~♪これって私のガシャット?」

 

それをしたのは千歌だったが、彼らはそれの正体にすぐに気づいた。

 

「ん?……ああ、別世界の千歌か…」

 

「なんだ、来てたの?」

 

「イラッシャ~イ♪」

 

「……………………ねぇ、さすがにもう少し反応してもよくない?」

 

「「「「慣れた」」」」

 

「ええ~……」

 

「ごめんくださ~い、こっちの千歌ちゃん来てます?」

 

「あ、はーい!!」

 

予想外の低反応に異世界の千歌(以降、異世界側は名前の後にDを付けて別けます)がガッカリしていたら、今度は玄関から梨子の声が聞こえてくる。が、この世界の梨子はそこで千歌に勉強を教えているので、すぐに異世界側と解り、鞠莉が対応に向かった。

 

「あら、皆揃ってwelcome♪そっちの千歌なら来てるわよ?」

 

「やっぱり…とりあえずお邪魔しますね?」

 

「OK!!」

 

そして鞠莉の案内で部屋に入ってきたのは、以前この世界に来た梨子(D)と果南(D)と曜(D)、ルビィ(D)と花丸(D)と鞠莉(D)、ダイヤ(D)と善子(D)、それに真姫と海未に花陽と希、一誠(D)と美月だった。

 

「なんだ、また変な敵でも出たのか?」

 

「いや、前に来たときに千歌さんがそっちとも模擬戦やりたいって言ってたろ?でも、町が落ち着くまで無理って事で後日にしたけど……連絡手段が無いことを思い出して、なら今から行こうって事になったんだよ」

 

「ああ……そういえばそうだったな…」

 

彼らは最初のエボルト襲撃事件の後、μ`s側が模擬戦をやった事を聞いていて、自分達ともやろうと言い出したのだが、事件で起きた被害が落ち着くまで待ってほしいという事で後回しにしていた。(詳しくは海神アグル様の【ハイスクールD×M×U×R】のコラボ回をご覧ください)

 

「という事で、早速やろうよ!!」

 

「いや、今は……」

 

バトルしたくてウズウズしてる千歌(D)だったが、ヴァーリがある場所を見て、全員が視線を向けると…

 

「梨子ちゃ~ん!!もう無理だから宿題写させて~!!」

 

「ダメに決まってるでしょッ!!ほら、次の問題!!」

 

「「「「「「「「「ああ~…」」」」」」」」」

 

宿題に追われている千歌と手伝っている梨子がいた。それを見た後、彼女達の視線が千歌(D)へと移る。

 

「へ…?な、何?」

 

「いや、千歌ちゃんはどの世界でも千歌ちゃんなんだな……と」

 

「どういう意味ッ!?」

 

「仕方ありません…私が手伝いましょう」

 

そんな状況に海未はため息を吐いてから、そう言う。

 

「良いんですか?」

 

「私達がこうして集まれるのも滅多にありませんし……ああいう娘ほど、教えがいがありますからネ…フフフ…!!」

 

((((((((あ…鬼コーチが増えた))))))))

 

「さあ…今から3時間で全てを終わらせてあげましょう…!!」

 

彼女はそう言って、千歌の元へと歩いていった。

 

「(千歌よ南無…)それじゃ、こっちの一誠達を呼ぶから、しばらく自由にしててくれ」

 

そんな千歌に合掌しつつ、ヴァーリはこの世界の一誠達に連絡を入れ、30分程で全員が集まった。

 

「おう、またお前達か」

 

「よッ!!もう1人の俺!!」

 

「あの時は、お世話になりましたわ」

 

「いえ、こちらこそ助かりましたもの」

 

「というか、もう1人の自分を見るのに慣れてきた私って…」

 

「解るよ果南ちゃん…私もだから…」

 

一誠同士は軽く挨拶し、ダイヤ同士は前回のお礼を言い、果南と曜はもう1人の自分を見慣れてきている自分に呆れ始めていた。

 

「千歌はしばらく宿題をやらせるから、まずは今ここにいるメンバーで対戦表を決めるか」

 

ヴァーリが言うと、梨子(D)が真っ先に手を上げた。

 

「あ、じゃあ私はそっちの千歌ちゃんと戦ってみたいかな?同じエグゼイド同士だし」

 

「なら、俺はそっちの千歌とやらせてもらうぜ?」

 

「私と?良いよ、受けてあげる!!」

 

最初に決定したのはパラドVS千歌(D)。

 

「でしたら、私はそちらのもう1人の千歌さん…ええと、美歌さんでしたか?彼女とで」

 

「あら、面白そうじゃない」

 

次に美歌VSダイヤ(D)

 

「なら、私はそちらの果南さんと鞠莉さんが変身する半分こさんとで」

 

「「半分こじゃなくてダブル!!」」

 

次にダイヤVS果南(D)&鞠莉(D)

 

「なら、私はそっちのルビィちゃんとにしようかしら♪」

 

「はい、がんばルビィ♪」

 

次に鞠莉VSルビィ(D)

 

「アンタに堕天使の力、思い知らせてあげる!!」

 

「こっちこそ、魔導師の力に平伏しなさい!!」

 

次に善k「「善子じゃなくてヨハネッ!!」」…えー、ヨハネVSヨハネ(D)

 

「じゃあ、私はそっちの花丸…さん?とかな…」

 

「ズラ♪それと敬称は呼びやすい方でいいズラよ?」

 

次に梨子VS花丸(D)

 

「じゃあ私はそっちの一誠君と…「断る」あれ?」

 

そして曜(D)が一誠に挑もうとしたが、それを遮る様にして拒否した。これには一誠の性格を知っているこの世界の面々も驚く。

 

「一応、理由を聞いてもいい?」

 

「例え異世界だろうが未来だろうが何だろうが関係ねぇ…【俺は絶対、曜を殴らない】……それだけだ」

 

「「「「「「「「おお~!!」」」」」」」」

 

それに異世界組の女性人が反応し、曜(D)が曜に詰め寄った。

 

「いや~、こっちの私は彼に愛されてるねぇ~♪コノコノ~♪」

 

「うえぇッ!?あ、愛って……そんな…!!」

 

「照れるな、照れるな♪」

 

「はうぅぅぅ…!!」

 

曜(D)にイジられ曜は顔を真っ赤にして俯いた。

 

「では、貴方の相手は俺がしよう」

 

「それじゃあ、お願いしようかな?」

 

こうしてヴァーリVS曜(D)に決まり、一誠は前回と同じく一誠同士のバトルに決まった。

 

「今度はキチンと決着つけてやる…!!」

 

「それはこっちのセリフだ!!」

 

2人がやる気を漲らせる中、希達はそれを見てるだけで参戦する気配がなかったので、ヴァーリは彼女達に問うた。

 

「そういえば、貴女方は参戦しないのか?」

 

「ウチと真姫ちゃんは一度戦こうとるし、海未ちゃんと花陽ちゃんは皆がおバカな事をせんかの監視役やからね」

 

「美月は皆が戦ってるところを見たいから!!」

 

「わかった。では、模擬戦場に移動するか」

 

「ああッ!?待って待って~!?」

 

ヴァーリが移動しようとすると、後ろから静止の声がする。それは宿題中の千歌だ。

 

「私を置いてかないでよ~!?」

 

「お前は梨子と海未さんに見てもらって、宿題が終わってからだ」

 

「そうです、逃がしはしませんよ?」

 

「後、2時間で全部終わらせるよ!!」

 

「そんなの無理ィィィィィィィッ!?」

 

「それじゃ、また後でな」

 

「ちょッ!?行っちゃダメェェェェェェェェェ…!!」

 

転移していくヴァーリへと手を伸ばす千歌だが、それが届く事なく彼らは転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤside

 

いつもの模擬戦場に着いた私達は誰が最初に戦うのか決めていました。

 

「よーし!!まずは俺か「おっと、そうはいきませんわよ?」なに?」

 

それでパラドさんが飛び出して行こうとするのを私は制する。抜け駆けなんて許しませんわ。

 

「パラドさんは前回、始めにやったのですから……今回のお楽しみは私からですわ♪」

 

「おい、それ前に俺が言ったセリフ」

 

「いいじゃありませんか、皆さんもよろしくて?」

 

全員に聞くと頷いてもらえましたので、私がフィールドに出ると向こうの果南さんと鞠莉さんも出てきた。

 

「最初は私達か…!!」

 

「腕が鳴るわね♪」

 

「簡単には負けるつもりはありませんわよ?」

 

ゲーマドライバーを装着する私に、向こうは鞠莉さんが赤いドライバーを腰に当てるとベルトが伸びて装着され、果南さんの腰にも同じものが現れて、鞠莉さんが右手に黒の、果南さんが左手に緑のUSBメモリを持つ。

 

「行くわよ、果南?」

 

「フフ、ゾクゾクするね」

 

『Cyclone!!』『Joker!!』

 

そして持ち手とは反対側の肩の前に持ってきて、腕でWを描き…

 

「「変身!!」」

 

そう言って果南さんがメモリをベルトに挿すと、それは鞠莉さんのベルトに転送され再度押し込む。

 

「………………あれ?やっぱり鞠莉の体に入っていかない…」

 

「世界が違うせいかも?とりあえず…」

 

どうやら、果南さんに何かトラブルみたいなのが起きているみたいですけど、鞠莉さんは気にせず自身が持つメモリを装填して、両手でバックルを左右に開いた。

 

『Cyclone!! Joker!!』

 

すると彼女の体に風が纏われ、足下から順にライダーの姿へと変わり、果南さんの体はその場に倒れた。

 

ですが、右半分が緑で左半分が黒とは……左右から挟んで見ていたら、どっちの色か解りませんわね…

 

「では私も……0カラット、変身」

 

『ジュエリートレジャー!!ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!!探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリートレジャー!!』

 

ジュエルに変わった私が構えると…えっと鞠莉さん?果南さん?……もうどちらでもいいですわッ!!二人が私を指差し…

 

「「さあ、お前の罪を数えろ!!」」

 

そう言ってきました。私の罪ですって?そんなの……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…障子を穴だらけにしたのと、お父様の盆栽をボールで割ってしまった事と、夕食をつまみ食いした事とそれから…」

 

「「いや、リアルに数えなくていいから…」」




いかがでしたか?

次回はダブルVSジュエルから始まります。

リ「皆ッ!!次回の前書きは私達オカルト研究部が担当だそうよ!!」

朱「あらあら、そうなんですの?」

小「…頑張ります」

ギ「ヒィィィィィィッ!?そんなのやりたくな~い!!」

裕「ほらほら、ギャスパー君も逃げないで」

リ「このコラボ章では私達の出番はないそうだし、強く印象を残す為にも…朱乃と小猫には異世界組の人達に借りてきてほしい物があるの」

裕(あれ?何だろう…この嫌な予感は…)

では、次回でお会いしましょう。


追伸:海神アグル様、模擬戦の組み合わせを勝手に変更して申し訳ありませんでした。


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Secondコラボ TWO

朱「ドドン!!」←(海未から借りた火炎鼓を烈火で叩く音)

小「ピッピッピッ、ピッピッピッ」←(真姫から借りたフエッスルを吹く音)

リ「駒王学園、オカルト研究部部則…ひとぉーつ!!1発○く時は、周囲に人の気配が無くなってから!!」

裕「まず、この部則を無くしましょうか?」

リ「ちょっと裕斗?私が即興で考えた部則を全否定なんて…」

裕「せっかくの前書き担当なのに、多作のパクリだからですよ!!というかそれ、部長の中の人ネタですよね!?そんな台詞、よく恥ずかし気もなく言えますね!?てか、副部長と小猫ちゃんも借り物で何遊んでるんですか!?」

朱「あらあら、よくそれだけツッコミが浮かびますわね?」

小「さすがは【ツッコミの木場】先輩です」

裕「そんな二つ名、嬉しくないよ!!」

リ「狼狽えるなッ!!」

裕「銀腕なたやマさんは、お口をチャック!!」

ギャ「えっと…とりあえず本編をどうぞ~…」


『おーい、誰か私の体預かって~!!』

 

「「ほいほ~い!!」」

 

果南(D)の頼みに、千歌(D)と曜(D)が返事をして、彼女の体の所にやってくるが…

 

「どうやって運ぼうか?」

 

「果南ちゃん重いからなぁ…とりあえず、足持って引っ張っていこう!!」

 

「ヨーソロー!!」

 

そう言って2人は果南の足だけを持って、地面を引き摺るようにして運んでいった。

 

『ちょッ!?それ今日出したばかりの服なのに!!てか、頭擦れてる!!禿げるから!!あと千歌ッ!!誰が重いって!?戻ったら覚えてなさい!!』

 

「ちょっと果南、落ち着いて!?」

 

それを見た果南(D)が荒れるのを、鞠莉(D)が必死に宥める。そして1分程して落ち着いた。

 

『とりあえず、2人は後でぶん殴る…!!』

 

「はいはい…それでいいから…」

 

「そっちも大変ですわね…」

 

そんな果南(D)と鞠莉(D)の2人に同情するダイヤだった…

 

『それでは、試合開始です』

 

「では、気を取り直して!!」

 

『鞠莉!!』

 

「OK!!」

 

そして試合が始まると、お互いに武器を持たずに距離を詰め…

 

「「『セリャアッ!!』」」

 

右ストレートを繰り出して拳をぶつけ合わせる。それをすぐさま離し、右ハイキックから左回し蹴りと続けてぶつかり合う。

 

威力も速度もほぼ互角…ならばとジュエルは武器アイコンからガシャコンマグナムを選択する。

 

『ガシャコンマグナム!!』

 

それを右手に保持して、先程の回し蹴りから正面に体を戻しながら発砲する。

 

「く…!!」

 

それに反応したWは、バク転しながら弾丸を回避する。

 

『鞠莉、向こうが銃なら!!』

 

「ええ、こっちもTriggerを引くわよ!!」

 

『Trigger!!』

 

ジュエルに対抗するため、Wは青いUSBメモリ【トリガーメモリ】を取り出して起動、ジョーカーメモリと入れ換える。

 

『Cyclone!! Trigger!!』

 

バックルを開くと、黒かったジョーカーサイドが青いトリガーサイドに変わり、胸の専用武器【トリガーマグナム】を持ってジュエルへと緑の風の弾丸を撃ち返す。

 

「やはり、簡単にはいきませんか…!!」

 

『STAGE SELECT!!』

 

なのでジュエルはフィールド変更を行い、空間を廃工場へと変える。そして周りにある障害物とを利用しながら射撃を続けた。

 

「自由にField変えられるのとかズルくない!?」

 

『まあ、それも向こうの力の1つなんだし…』

 

「お喋りしている暇はなくってよ!!」

 

「キャッ!?」

 

そんなジュエルの猛攻に愚痴るW。その隙を逃さず背後から銃撃する。

 

「やってくれるじ『Luna!!』…へ?」

 

『Luna!! Trigger!!』

 

体勢を立て直し、ジュエルを睨み付けるダブル。その時、彼女は右手で黄色のメモリ【ルナメモリ】を起動、そのままサイクロンメモリを抜いてそこに挿し、バックルを開いて黄色と青の【ルナトリガーフォーム】に変わった。しかし、変身者である鞠莉は少し怒っていた。

 

「ちょっと果南!!いきなりメモリ変えないでよ!!」

 

『あのままじゃ不利だからだよ。いいから攻撃』

 

「もう…!!」

 

果南の指示に若干剥れながらも、ジュエルへと狙いを定めて、マグナムの引き金を引いていき黄色い尾を引く弾丸が放たれていく。

 

「そんな遅い攻撃では『当たるんだよね~、コレが♪』何を(バシッ!!)くはッ!?」

 

ジュエルは動きを見切りそれを回避したが、突然背後から攻撃を受ける。振り返れば、先程避けた弾丸が軌道を変えて再び迫ってきていた。

 

「誘導弾ですか…!!」

 

『何処まで逃げられるかな~?』

 

(このままではジリ貧ですわね…そうですわ!!)

 

ジュエルはその場を急いで移動し、マグナムで迎撃を開始する。しかし、撃ち落とすよりWが生み出す弾丸の方が多く、このままでは落としきれずに攻撃を受けてしまう。そこである考えが浮かんだ彼女はすぐさま行動にうつす。マグナムで撃ち落とすのを止め、弾丸を背にして走り出したのだ。

 

「果南、あっちのダイヤったらもうgive upみたいよ♪」

 

『ん~…?』

 

そんな姿を見て鞠莉(D)は勝ち誇った様な顔をするが、果南(D)は逆に嫌な予感がしていた。そして、それはすぐに当たる事になる。ジュエルが急に方向転換してWへと迫ってきたのだ。

 

「えッ!?何でこっちに来るの!?」

 

『鞠莉ッ!!』

 

突然の事に慌てる鞠莉(D)だったが、果南(D)の声で冷静さを取り戻してトリガーメモリをバックルから抜いてトリガーマグナムのスロットに装填、先端部を起こして必殺技を発動させる。

 

『Trigger!! Maximum drive!!』

 

「『トリガーフルバースト!!』」

 

放たれたのは視界を覆うほどの無数の誘導弾。逃げ出す隙を与えない程の…

 

「だとしても!!」

 

しかしジュエルは止まらず走り続ける。そして弾丸が目前にまで来た瞬間、僅かにあった弾丸と地面の隙間をスライディングで潜り抜けてWの目の前に来ると、彼女を全力で抱きしめる。

 

「ちょッ!?離してよ!!」

 

「逃がしませんわよ…!!」

 

もがくWだが、ガッシリと捕まり振りほどけない。そうしている間に先程の弾丸達が目前へと迫ってくる。

 

『ちょッ!?道連れにするつもり!?』

 

「あら、そのつもりはありませんわよ?……では、ごきげんよう♪」

 

ジュエルは果南(D)の言葉にそう答えると、粒子化してその場から逃げた。

 

「『へ?……(ドゴゴゴゴゴォッ!!)きゃああああッ!?』」

 

あまりの事に一瞬動きが止まるダブル。次の瞬間、Wの放っていた弾丸が自らに襲い掛かった。

 

「計画通り…」(ニヤリ)

 

「おい、アイツ仮面の下で絶対黒い笑み浮かべてるぞ?」

 

少し離れた所で実体化したジュエルは、Wの光景に黒い笑みを浮かべ、パラドはそんな彼女の言葉にそう呟いた。

 

「イタタタ……ちょっと!!今のズルくない!?」

 

「以前出会った、とある怪盗の逃げ方を応用しただけですわ」

 

そう言って思い出すのは、場をある程度乱してからさっさと逃げ出す様々な世界を旅する怪盗(仮面ライダーディエンド)の事だ。

 

『ちょっと頭に来たから…鞠莉、私と変わって!!』

 

「OK!!」

 

それが少し癪に触れた果南(D)は鞠莉(D)に頼み、変身を解除する。

 

「あら、降参ですか?」

 

「まっさか~♪ちょっと戦い方を変え(ゴンッ!!)「「ウギャウッ!?」」…?」

 

降参かと思うジュエルに鞠莉(D)は余裕そうに返していたら、鈍い音と千歌(D)と曜(D)の声が聞こえ、それから果南(D)がイイ笑顔で鞠莉(D)の隣にやって来たので、相方である彼女は大体を察した。

 

(ああ……さっきのを有言実行したのね…)

 

「さて…今度はこっちの番だよ、鞠莉」

 

「それより、Bodyはどうするの?」

 

「あ、そっか…どうしよう…」

 

「それでしたら、私が回収しますわ」

 

再度変身となると、片方の体はまた倒れてその場に残る。その体をどうやって回収しようかと悩んでいたら、2人の傍にダイヤ(D)がやって来た。

 

「私が受け止めて、そのまま回収していきましょう」

 

「Thank you ダイヤ♪」

 

「そうと決まれば…!!」『ギャーオ!!』

 

体の問題が解消した2人に、果南(D)の手の上に白い恐竜型のロボット【ファングメモリ】が現れる。果南(D)はそれを変形させてメモリモードに変え、鞠莉(D)が先に挿したジョーカーメモリが果南(D)のドライバーに送られる。

 

「「変身!!」」

 

『Fang!! Joker!!』

 

そしてファングメモリをドライバーに挿してバックルを開き、その上に恐竜の頭を模したパーツにしてW・ファングジョーカーに変身する。

 

「さあ、バッチコイですわ!!」

 

そう言って倒れるだろう果南(D)を受け止めようとするダイヤ(D)。しかし、この形態の時は果南(D)の体で変身する為、彼女の体がWとなり…

 

ビタァァァン!!

 

代わりに鞠莉(D)の体が、顔から勢いよく地面に倒れた。

 

「あ…鞠莉さんの方でしたか」

 

『このポンコツダイヤァァァァァァァァァッ!!!!』

 

「ホラ、いいから行くよ!!」

 

ダイヤ(D)のせいで体が傷ついた事にキレる鞠莉(D)だが、果南(D)がそれを無視して戦闘を開始させる。

 

「ハアッ!!」

 

「『なんのォッ!!』」

 

Wへと銃撃するジュエル。しかし、それを獣を彷彿とさせる動きで次々と回避していき、格闘戦の間合いに入るとWはファングメモリの角を1度倒す。

 

『Arm Fang!!』

 

そして右腕に伸びた反り返る刃で、ジュエルの体を切り裂く。

 

「くぅ…!?」

 

「逃がさないよ!!」

 

距離を取ろうとするジュエルだが、Wの方が素早くそれを許さない。そこから更に攻撃を受け、マズイと思ったジュエルはマグナムのBボタンを叩き、Wの足下に向けて乱射。それを飛び上がる事でWは回避するが、その隙にWの下を潜り、そのまま前へ走る事で何とか距離を取る事に成功。そしてホルダーからガシャットを取り出して起動させる。

 

『イマージュ・ミラージュ!!』

 

「X―0カラット!!」

 

『ガッチョーン、ガシャット‼ガッチャーン‼レベルアップ‼探せダイヤ‼集めろルビー‼ジュエリートレジャー‼アガッチャ‼輝く君は美しい‼ Ah〜‼ 鏡幻想‼ イマージュ・ミラージュ‼︎』

 

ミラージュトレジャーゲーマーになったジュエルは、周囲に展開した鏡に飛び込み、複数の分身体と共に飛び出してくる。

 

「数で攻めようってわけ?でもッ!!」

 

一気呵成に攻めるジュエルだが、Wはそれらを腕の刃でアッサリと倒し、分身体は鏡の様に砕け散っていく。

 

「強さはこっちが上…それに…!!」

 

しかし、分身体は鏡から無数に出てくる。だがWはとある1体目掛けて走り出し、他は無視してその1体に殴りかかるとそれは腕をクロスして受け止めた。

 

「あら、もうバレましたの?」

 

「そりゃ、ベルトが鏡写しになってたら見分けが解りやすいからね」

 

なぜWが本体を見極められたのかというと、ジュエルの生み出していた分身体は左右対称だから解りづらかったが、ゲーマドライバーだけ鏡写しになっていたからだ。

 

「つまり、ベルトが鏡写しになってない貴女が本物よ!!」

 

「では、試してみましょうか?」

 

振りきられるWの拳を、後ろに跳躍する事で力を受け流しながら後退し、再び鏡に入り込み多数の分身体と共に現れる。

 

「幾ら増えた所で!!」

 

しかし、見極め方を知ったWは本体を発見すると、他を一掃して襲い掛かる。

 

「『これで…終わり!!』」

 

そう言って振り下ろされた刃に、本体のジュエルは切り裂かれ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャアアアアアン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()

 

「『え…?』」

 

その光景に困惑するW。彼女達は間違いなくドライバーが鏡写しになってないジュエルを攻撃した。なのに、今の消え方は分身体が消えるのと全く同じだった。ならば本体は何処にいるのか…?そう考えて動きが止まったWの背中に強烈な一撃が決まる。

 

「『うあッ!?』」

 

不意打ちに受け身すらとれずに倒れるW。何が起きたのか振り返ってみると、そこにはジュエルが立っていた。

 

「まさか……あれが本物?」

 

『じゃあ、さっきのはDummyだったっていうの!?』

 

「ええ、その通りですわ」

 

「でも、私が攻撃したのはドライバーが鏡写しになっては…!!」

 

その事実に動揺していたWに、ジュエルは答えを教える。

 

「確かに本体の私が生み出した分身体はドライバーが鏡写しになっています。ですが…………()()()()()()()()()()()()()()なんて、一言も言ってませんわよ?」

 

「そっか…!!鏡写しの分身体から鏡写しの分身体が生まれれば…!!」

 

『更にReverseされて、元通りって事ね!!』

 

「では、そろそろ攻めに転じましょうか!!」

 

そう言ってジュエルは近くの鏡に潜り、10体の分身体と共に出てくるが……今回は全員、ドライバーが鏡写しになってはいなかった。

 

『ちょッ!?どれが本物!?』

 

「解んないよ!!」

 

「さあ……鏡の幻想劇を御堪能あれ♪」

 

そう言って11人いる分身体の5人がソードを、5人がマグナムを持ち、残った1人がギガナイザーを手にした。

 

「こうなったら!!」

 

『手当たり次第にDestroyよ!!』

 

『Shoulder Fang!!』

 

Wはファングメモリの角を2回倒し、肩から伸びた刃を掴み取るとそれを投げる。その刃は複雑な軌道を描きながらジュエル達へと迫る。

 

その刃を回避出来なかった剣部隊の3体が砕けるが、後ろにいる銃部隊に刃を撃ち落とされて、戻ってきたのを受け止める。そこに残った剣部隊が攻め込んでくる。その先の1体を蹴り飛ばし、残りの1体の攻撃を蹴った勢いで下がる事で回避する……

 

「もらいましたわ!!」

 

が、その先にはギガナイザーを持ったジュエルと銃部隊の1人が先回りしていて、既に武器を振りかぶっていた。

 

「『そのくらいッ!!』」

 

しかし、ファングメモリとジョーカーメモリの力で上昇した身体能力を駆使し、体を思いきり捻る事でその一撃を回避し、更にカウンターとばかりに回し蹴りを喰らわせるとそれは砕け散った。

 

「1人だけ武器が違うから、当たりかと思ったけど…!!」

 

『来るわよ!!』(あれ?…今何か違和感が…)

 

予想が外れた事に若干悔しさが滲むも、続く銃撃を避ける為にその場をすぐに離れる。

 

「残り6体……これは、エクストリームしかないかな?」

 

『ちょっと待って果南。今、気になる事があったの。だから剣と銃持ちを1体ずつにさせて』

 

「わかった、なら行くよ!!」

 

鞠莉(D)の言葉に解決策が見いだせるかもと思った果南(D)は、彼女の頼みに応え戦闘を続行する。

 

肩の刃を投げて銃部隊の1体を倒し、戻ってきたのを掴み迫っていた剣部隊の1体を後ろへと受け流す。

 

「受け流された…!?」

 

(この音の感じだとやっぱり…!!となると本物は!!)

 

何かに気づいた鞠莉(D)は放たれた銃弾を回避しながら銃部隊の懐に飛び込み、3体を撃破し背後の剣部隊の1体を切り裂き、自身の望みを叶えた。

 

(さて、これで何が解るの…?)

 

「さすが歴戦の戦士ですわね……一応有利な状況を作っていた筈なんですが…」

 

「それほどでもあるね」

 

『やっと分かった…果南、本物は…』

 

「…………なるほどね、となれば決めるよ!!」

 

『Fang!! Maximum drive!!』

 

「来ますわね!!」

 

ファングメモリの角を3回倒して右足に刃を生やし、必殺技を発動させる準備に入るW。残ったジュエル2体も武器を構えて待ち受ける。

 

「『ファングストランザー!!』」

 

「なッ!?…キャア!!」

 

飛び上がり、スピンしながら迫るW。それを剣持ちのジュエルが受け止めようとすると、彼女達はそれを避けて後ろの銃持ちの方を蹴り飛ばした。

 

『Bingo!! やっぱり貴女が本物だったのね?』

 

「く…!!なぜ解ったのです?」

 

『答えは【声】よ。だってさっき剣を受け流した時、驚いた風に声を上げたけど……私達の後ろじゃなくて前から聞こえたからよ。つまり分身体は喋れないって事だから、後は声がする方を攻撃するだけ♪』

 

「……まさかそんな攻略をされるなんて…」

 

「それじゃ、そろそろ全力でいこうか!!」

 

攻略法を見出だしたWは再び変身を解除して並び立ち、再度鞠莉(D)をボディにしたWに変身する。

 

『Cyclone!! Joker!!』

 

それによって倒れかける果南(D)の体だが、地面にぶつかる直前に黒と金の機械の鳥型メカが現れて果南(D)の体をデータ状にして回収する。

 

「体がッ!?」

 

驚くジュエルだが、Wは気にせずそのメカを手に取ってベルトに装填し開いた。

 

『XTREME!!』

 

するとWの中心部が開いていき、真ん中にクリスタル状のボディ【クリスタルサーバー】が現れ、肩の装甲も大型化、額のアンテナが複眼外側に上下斜めに伸びたものに変わった姿『W・サイクロンジョーカーエクストリーム』になる。

 

「「【プリズムビッカー】」」

 

更に中央部から盾【ビッカーシールド】と短剣【プリズムソード】が収められた専用武器【プリズムビッカー】が出て来て、その剣の柄尻に1つのメモリ【プリズムメモリ】を装填して、剣を引き抜いた。

 

『Prism!!』

 

「さあ~て、一気に倒すよ!!」

 

「では、こちらも本気ですわよ!!」『ガッチョーン、ガシューン』『ベリアルモンスター!!』

 

ジュエルもイマージュ・ミラージュガシャットを抜き、ベリアルモンスターを起動させ、出てきたカプセルから2つを掴み起動させてガシャットに読み込んだ。

 

「ウルトラマンダーク、ダークザギ、ゼロダークネス、オーブダーク」

 

『デモニックフュージョン・アンリーシュ!!』

 

「悪夢の中でお眠りなさい!!」

 

『ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!!探せダイヤ!!集めろルビー!!ジュエリートレジャー!!アガッチャ!!紅に染めろブラッド…!!君臨せよカイザー…!!世界の終わりが…今、始まる!!』

 

そしてジュエルブラッドリィになると、4つのスラッガーを1つにして三日月状の剣を手にする。

 

そしてしばらく睨み合った後、同時に駆け出して剣をぶつけ合わせるが、徐々に押し込まれていく。

 

「く…!!さすがは最強フォーム!!これでも力負けしてますわね…!!」

 

「でしょ?それに……全ての閲覧が終わったよ」

 

「閲覧?」

 

Wの言葉をジュエルが疑問に思っていると、突然向こうの押す力が無くなり、ジュエルはバランスを崩してしまう。そこにWの持っているビッカーシールドを顔に叩き込まれた。

 

「ブハッ!?」

 

それによりのけ反った所を、追撃とばかりにプリズムソードで切り裂かれた。

 

「くぅ…!!」

 

「よっと」

 

だが、やられっぱなしではなくジュエルも反撃とばかりに刃を振るうが、まるで知ってたとばかりに攻撃を回避される。

 

「言ったはずだよ?全てを閲覧したって!!」

 

『Prism!! Maximum drive!!』

 

「「プリズムブレイク!!」」

 

「キャア!!」

 

そしてWの剣に切り裂かれ、地を転がるジュエル。

 

「今の私達は、貴女の全情報を持っている。どんな風に考え、どんな感じに攻撃してくるのかも丸分かりなんだ」

 

「全情報……それは厄介ですわ…!!」

 

「それじゃ、そろそろFinishといきましょう♪」

 

『Cyclone!!』『Heat!!』『Luna!!』『Joker!!』

 

そう言うとWはビッカーシールドに4つのメモリを挿し、プリズムソードを収めると盾の中央部を捻り、力を集束させていく。

 

『cyclone!! Heat!! Luna!! Joker!! Maximum drive!!』

 

「「ビッカーファイナリュージョン!!」」

 

「ッ!?ツインデスブレイク!!」

 

そこから放たれたのは強力な光の奔流。これを受けたら不味いと思ったジュエルはすぐに剣に力を送って必殺技を放った。ぶつかり合った必殺技は暫くの拮抗の後に爆発を起こす。爆煙が周囲を包む中、それが晴れると未だしっかりと立っているWと、肩で息をしているジュエルブラッドリィがいた。

 

「くぅ…!!ハァ……ハァ……」

 

「まさか耐えちゃうなんて…」

 

「でも、次で終わりにしよっか」

 

「そうですわね…!!」『ガシューン』

 

次で確実に決着をつける為、Wはエクストリームメモリを一度閉じて開き、ジュエルはベリアルモンスターガシャットをキメワザスロットホルダーに装填、ボタンを連続で押す。

 

『ガシャット!!キメワザ!!』

 

「「これで決まりだ!!」」

 

『XTREME!! Maximum drive!!』

 

「行きます!!」

 

『BELIAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「「ダブルエクストリーム!!」」

 

2人は同時に飛び上がり、そのまま飛び蹴りを放って空中で激突する。しかし、力の差や疲労の貯まっていたジュエルは押し負け、Wの蹴りを喰らってしまった。

 

「キャアアアアアアアッ!?」

 

『GAME OVER』

 

それによってライフが0になったジュエルは消滅するが、すぐにコンティニュー土管から復活する。

 

「フォウ!!…ここでライフを使ってしまうなんて…えーと、ライフUP、ライフUPは…と」

 

『ジュエル、戦闘続行不能。よって勝者、W』

 

「Yes!! 私達の勝ちね、果南♪」

 

「だね♪」

 

こうして一回戦はWの勝利となった。




いかがでしたか?

お待たせしてすみません。他の作品やったりシンフォギアのアニメやアプリやってて遅くなりました…

今後はこちらもなるべく定期的に更新していく予定です。

次はこの二人です。

「私の高速の10秒間についてこれるかな?」

「いいぜ…タイムアタックと行こうか!!」

では、次回でお会いしましょう。


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Secondコラボ THREE

千「今回の前書きは私、千歌と!!」

梨「梨子でお送りします♪」

千「私達が前書きやるの初めてだけど、グレモリー先輩達は変な前説やってたね?」

梨「あれは先輩の中の人ネタだから…」

千「私達はどうしよっか?」

梨「う~ん…ここはお気楽ガールの千歌ちゃんに任せるよ」

千「……私、獄鎌よりも擊槍の方が似合わない?」

梨「それで殴ったらヴァーリ君死んじゃうでしょ?いいからほら、早く!!」

千「うええッ!?え~と……前回のバトルでダイヤさんは惜しくも負けちゃったね」

梨「まあ、向こうの方が戦闘経験豊富だし、あのエクストリームって相手の情報をリアルタイム閲覧できるそうだし…」

千「何そのチート?」←スペック超チートライダー

梨「それでも、あそこまで戦えたダイヤさんは偉大やね♪な~んて…」

千「え~、今の梨子ちゃんの発言はダイヤさんの名前と偉大やねを掛けた言葉遊びの1つで…」

梨「ごめんなさいすみませんホント調子乗りました。だから恥ずかしいので止めてくださいお願いします、何でもしますからギャグを説明しないでえぇぇぇぇぇ!!」


Wとジュエルの勝負はWの勝利で終わり、次の試合は千歌(D)とパラドの番となった。

 

「よ~し!!頑張るぞ~!!」

 

「ハハハ!!久々に心が踊るなぁ♪」

 

フィールドに立つ2人は楽しそうな表情を浮かべながら、変身アイテムを手にする。パラドはガシャットギアデュアルを持ち、千歌(D)はファイズギアを腰に巻きファイズフォンに変身する為のコード【555】を入力する。

 

「前回の模擬戦じゃ負けたけど…今度は勝たせてもらうぜ?」

 

「私も負ける気は無いからね!!」

 

『それでは両者、変身してください』

 

『Knock out Fighter!!』《The strongest fist‼ "Round 1" Rock & Fire‼》

 

『Standing by』

 

パラドはガシャットのダイヤルを左に回して顔の左側に持っていき、千歌(D)はファイズフォンを閉じて頭上に高らかに掲げる。

 

「「変身!!」」

 

『Dual Up!! Explosion Hit!! KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

『Complete』

 

そしてガシャットのボタンを押したパラドは仮面ライダーパラドクス・ファイターゲーマーに、千歌(D)はファイズフォンをギアに填めて倒すと赤いラインが体を走り、光輝くと大きな黄色の複眼に銀の鎧、黒いボディスーツに赤いラインが目を引く姿…【仮面ライダーファイズ】になった。

 

「確か…仮面ライダーファイズだったか?」

 

「うん、そうだよ」

 

「良いねぇ…!!それじゃ、遊ぼうぜ!!」

 

『試合開始』

 

アナウンスと同時に駆け出したのはファイズ。パラドクスは動かずにファイティングポーズをとって構えていた。

 

「セリァアッ!!」

 

「ハッ!!」

 

少し荒くも素早いファイズの攻撃。パラドクスはそれに合わせるようにして攻撃を繰り出し相殺していく。

 

「おおッ!?結構やるね!!」

 

「負けっぱなしってのは性に合わないんだよ!!」

 

「グッ!?」

 

打ち下ろし気味に振られるファイズの拳、それをパラドクスは払い除けるとファイズのボディにラッシュを叩き込み、最後は炎を纏ったアッパーをファイズの顎に喰らわせる。それに吹き飛んでいくファイズだったが、すぐさま体を捻りパラドクスの顔に回し蹴りを決めた。

 

「ガッ!?」

 

その一撃にふらつくパラドクス。ファイズはその隙に着地し、パラドクスの懐へ飛び込むと腹にヤクザキックをお見舞いする。

 

「ガハッ!!」

 

地面を転がるパラドクスを見つつ、ファイズはベルトからファイズフォンを抜いて開き、上半分を斜め横に倒してガンモードに変えると、下のテンキーで1・0・3と入力してEnterキーを押す。

 

『Single mode』

 

そして銃口となるアンテナ部をパラドクスへと向け、引き金になるボタンを押すとそこから赤いレーザーが放たれて、起き上がろうとしていたパラドクスに命中する。

 

「うおッ!?…銃にもなるのか…!!」

 

「どんどん行くよー!!」

 

次々と撃たれるレーザー光線だが、パラドクスは銃口から飛んでくる場所を見切り、回避や両腕のグローブで叩き落とす。

 

「そんなショボい攻撃なんか効かないぜ?」

 

「だったら、こんなのはどうかな?」

 

余裕を見せるパラドクスに、ファイズは新たに【1・0・6】のボタンを選択してEnterキーを押す。

 

『Burst mode』

 

そして引き金を引くと、今度は連続でレーザーが飛んできた。

 

「なッ!?」

 

それに驚きながらもなんとか全てを拳で落とす。しかし、その間にファイズは左腰にマウントされていたデジタルカメラ型のアイテム【ファイズショット】に、ファイズフォンに付いていたチップ【ミッションメモリー】を外して取り付けると、グリップが現れ右手で握りしめてパンチングユニットにする。

 

『Ready』

 

更にファイズフォンをベルトに戻し、開いてEnterキーを押した。

 

『Exceed Charge』

 

その音声の後、赤い光がファイズの体のラインに沿って移動して右手に着くとファイズショットが光り出す。

 

「これで!!」

 

「だったら、こっちも拳だ!!」

 

『KIME-WAZA!!』

 

それを見てパラドクスもホルダーからギアデュアルを取り出して、ダイヤルを1度戻してから再度左に回して必殺技の準備に入り、ホルダーに戻す。

 

『Dual Gashat!!』『KNOCK OUT!! CRITICAL SMASH!!』

 

それにより右手に炎を灯し、準備ができた2人は同時に走りだし、右手を突き出してぶつけ合う。

 

「ふんぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬッ!!」

 

「うおおおおおおおおおおおッ!!」

 

互いに1歩も引かず、拮抗するがそのエネルギーが耐えきれずに爆発を起こして2人を吹き飛ばす。

 

「うわァッ!?」

 

「きゃあッ!?」

 

その勢いで2人の距離が離れる。それをチャンスと思ったパラドクスは変身を解除してゲーマドライバーを装着してガシャットを装填する。

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大変身!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤い拳・強さ!!青いパズル・連鎖!!赤と青の交差!!パーフェクト・ノックアーウト!!』

 

『ガシャコンパラブレイガン!!』

 

レベル99になってウェポンを構えると、ファイズの傍に一台のバイク【オートバジン】がやってくる。ファイズはファイズショットからミッションメモリーを外すと、バイクのハンドルのグリップに取り付け、引き抜く。

 

『Ready』

 

すると、グリップの先から警備員等が使う誘導棒みたいな刀身を持つ剣【ファイズエッジ】となった。

 

更に左腕に付いているブレス【ファイズアクセル】からミッションメモリーを外すと、それをファイズフォンに取りつけた。

 

『Complete』

 

音声が流れるとファイズの体に変化が始まる。胸部を覆っていた装甲が、鎖骨付近を起点に外回りで肩の上へと展開、内部機工をさらけ出す。続けて体を走る赤いラインが銀色へと変わり、続けて複眼が赤く染まった姿…【仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム】となった。

 

「あの姿は…?」

 

「よーし!!私の高速の10秒間に着いてこれるかな?」

 

「なるほどな。いいぜ……タイムアタックと行こうか!!」

 

ファイズの一言で能力を悟ったパラドクスは、周囲のエナジーアイテムを操り、自身に3つ、パラブレイガンに2つ取り込ませた。

 

『高速化!!高速化!!高速化!!』

 

『マッスル化!!鋼鉄化!!』

 

パラドクスの準備が終わると、ファイズはブレスのボタンを押す。

 

『Start up』

 

音声と同時にブレスの画面でカウントダウンが始まる。同時に2人も駆け出した。互いの距離はそれなりにあったのだが、刹那の瞬間でそれは0となり剣と斧がぶつかり合って火花を散らす。そのまますれ違うと、残像を残しながら移動し武器を振るう。既に十数回の激突をしているにも関わらず経過した時間は未だに1秒に満たない。

 

「フッ!!」

 

「てやッ!!」

 

そこから更に激突すること20を越えた時、ファイズがパラブレイガンを弾き飛ばした。

 

「くッ!?」

 

「今ッ!!」

 

「うおッ!?」

 

そのチャンスを逃さず、ファイズはパラドクスを蹴り飛ばし吹き飛んでいる間にファイズエッジからミッションメモリーを外し、右腰の懐中電灯型の武装【ファイズポインター】を手にする。それにミッションメモリーをセットするとポインターが伸長する。

 

『Ready』

 

それを素早く右脛部分に取り付け、右手を軽く振ってからパラドクスへと駆け出す。

 

「やべ…!!」

 

それをマズイと感じたパラドクスは、すぐさまアイテムを操作して2つ同時に取り込む。

 

『 『分身!!』 』

 

その効果によって多数の分身を生み出し、動き回りファイズを攪乱するパラドクス。

 

(片方は聞き取れなかったけど、たぶん同じアイテムを取り込んだんだろうな……それなら!!)

 

分身を2つ取ったと判断したファイズは、空に跳び上がると右足のポインターから大量の赤いレーザーを放ち、それがパラドクス達に迫ると目前で巨大な円錐になり動きを拘束する。

 

「体が…!?」

 

「ヤアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

その隙にアクセルフォームの速さを生かして、円錐に跳び蹴りの姿勢で飛び込んでいく。するとそれはパラドクスに当たりドリルのように回転していき、最後にはファイズがパラドクスの体を通り抜けるように、背後に立つと赤いΦのマークが浮かぶも、ファイズはそれを確認もせず他のも円錐へと同じように次々と飛び込んでいく。

 

『3…』

 

残り3秒、残った15体の内5体を貫き…

 

『2…』

 

残り2秒、更に6体を蹴り倒し…

 

『1…』

 

最後の1秒、全部のパラドクスへの攻撃が完了する。

 

『Time out』『Reformation』

 

そこで制限時間となり、元の姿に戻ったファイズ。後ろを確認すれば全てのパラドクス達が同時に爆発した。

 

「よし!!これで私の勝ち「な訳ないだろ」え?…きゃあッ!?」

 

勝利を確信したファイズだったが、何処かからパラドクスの声が聞こえると背中に衝撃が襲い、前に倒れる。

 

「何が……ッ!?」

 

彼女が振り返ると、そこにはパラドクスが立っていた。それも先程の攻撃のダメージなど一切無いと思わせる様にしっかりと立ちながら…

 

「なんで……今ので倒した筈…!!」

 

「ああ……()()はな?」

 

「へ?」

 

パラドクスの言葉にファイズは頭に?を浮かべる。それを感じたのか、彼がタネを明かす。

 

「お前は俺が分身のアイテムを2つ取ったと思ってたみたいだけど……それは違う。もう1個は【透明化】だ」

 

「まさか……あれ全部分身だったの!?」

 

「その通り♪」

 

そう、彼はアイテムを同時に取り込む事で片方の音声を聞こえなくしたのだ。その透明化の効果で彼は攻撃を回避していた。

 

「残念だったな、この10秒間は俺の勝ちだ」

 

「それでも……試合はまだ終わってないよ!!」

 

立ち上がったファイズは、Φのマークがあるトランク型のツール【ファイズブラスター】を何処からともなく取り出した。

 

そしてそれに付いているテンキーで【5・5・5】と入力して、ファイズフォンをセットする。

 

『Awakening』

 

すると、黒かったボディスーツが真紅に染まり鎧の形状も変化した【ブラスターフォーム】になった。続けてテンキーに【1・0・3】と入力して、ファイズブラスターをブラスターモードに変える。

 

『Blaster mode』

 

ポンプアクションを行うとブラスターにエネルギーが充填され、それをパラドクスに向けて発射する。

 

「ちッ!!」

 

高速化のエナジーアイテムの効果は、既に終わっているので回避は難しいと判断したパラドクスはパラブレイガンで受け止める……

 

「ぐッ!?お、重い…!!」

 

その出力の高さに呻くパラドクス。ジリジリと後ろに押されながらも力を振り絞り、何とか上へと弾き飛ばす。

 

「やっと弾け…『Blade mode』「うおりゃあッ!!」ぐあッ!?」

 

それに安堵していた瞬間、ファイズが既に目の前に来ていて、剣に変えたファイズブラスターでパラドクスを切り裂く。

 

「へっへ~ん!!油断大敵だよ~♪」

 

「この…!!いい度胸だ!!」

 

不意を突かれた事に頭にきたパラドクス。武器を手にファイズへと向かうが…

 

【5・2・4・6】『Faiz blaster take off』

 

ファイズブラスターにコードを入力し、背中ユニットのジェット推進システムを起動させて、空に逃げる。

 

「じゃ~ね~♪」

 

「逃がすか!!」

 

ファイズを追う為、パラドクスはギアデュアルDを取り出してジェットコンバットとシャカリキスポーツの面を選び、ガシャットのボタンを押した。

 

『Select!! sky mode!!』

 

そして現れたコンバットゲーマⅡとスポーツゲーマⅡを背部と腰背部に合体。最後にコンバットゲーマⅡの機首部分をヘッドギアとして被る。これがパラドクスの飛行形態、その名も…

 

「大空合体…スカイパラドクス!!」

 

「うっそーん!?」

 

それに驚くファイズ。その隙にパラドクスはコンバットゲーマⅡの推進力とスポーツゲーマⅡのホイールをプロペラにして飛び上がり、肩に展開されていたガトリング砲とガンモードのパラブレイガンが火を吹く。ばら蒔かれる弾丸にファイズは必死に回避しつつ、新たに【5・2・1・4】と入力する。

 

『Faiz blaster discharge』

 

その音声の後、背部ユニットの左右の端が展開して肩の上に回ってくる。そこから光弾とファイズブラスターを発射してパラドクスの弾丸を落としていく。

 

「まだギミックがあったのか…だけど、勝つのは俺だ!!」

 

「まだだよ!!」

 

そこからは空中での撃ち合いになる。逃げるファイズを追うパラドクス…1発の威力はファイズが上だが、連射力はパラドクスが多く、落としきれない弾丸がファイズを襲い、逆にパラドクスはファイズの攻撃を的確に見切って1発も命中しない。

 

「く…このままじゃ…!!」

 

「もらった!!」『ズ・ゴーン!!』

 

度重なる被弾にダメージが表立ってきたファイズ。それがチャンスとみたパラドクスはドライバーからギアデュアルを外してパラブレイガンに装填する。

 

『デュアルガシャット!!キメワザ!!』

 

そして全速力でファイズへと、最速で最短で真っ直ぐに一直線に向かっていく。

 

「しまッ!?」

 

『KNOCK OUT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「チェストぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

「きゃあああああああああああッ!!」

 

その一撃はファイズに直撃、彼女は地面に叩きつけられた。それを見てパラドクスも降り立つとゲーマをパージし、ギアデュアルをドライバーに戻すとレバーを閉じる。

 

『ガッチョーン、ウラワザ!!』

 

「トドメはやっぱ、必殺技だろ?」

 

「こんのぉッ!!」

 

『Exceed charge』

 

起き上がったファイズも、ブラスターのEnterキーを押して必殺技を発動させる為に、右足にエネルギーを送っていく。

 

『ガッチャーン!! PERFECT KNOCK OUT!! CRITICAL BOMBER!!』

 

2人同時に飛び上がって放つライダーキック。それが赤い閃光や炎が周囲に飛び散りながらぶつかり合う。

 

「うっく…!!」

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

最初は拮抗していたが、徐々にパラドクスが押されていく。このままでは負けると思っていた時、あるものが目に入る。

 

「ハハッ!!」

 

「何が可笑しいの!?」

 

突然笑うパラドクスにファイズが叫ぶ。

 

「知ってるか?切り札ってのはな…………常に勝者の下に来るんだぜ?」

 

そう言って手を動かすと、彼の周りに3つのエナジーアイテムが集まる。それら全てを一気に取り込む。

 

『マッスル化!!』『マッスル化!!』『マッスル化!!』

 

「ええッ!?」

 

3つのマッスル化のエナジーアイテムによって跳ね上がった攻撃力で、今度はパラドクスがファイズを押していった。

 

「ぐぬぬぬぬ…!!」

 

「これで……終わりだッ!!」

 

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

そして押し負けたファイズにパラドクスのライダーキックが決まり、変身解除された。

 

『ファイズの変身解除を確認。勝者パラドクス』

 

「ヨッシャア!!」

 

勝ち星を手に入れたパラドクスはガッツポーズを取った後、疲れでその場に倒れたのだった。




いかがでしたか?

今回はパラドの勝利です。高速勝負も高速で終わったのはスミマセン…

次の戦闘は魔導師(笑)VS堕天使(笑)です

W善子「「(笑)をつけんなッ!!」」

そして前回書かなかった次回の前説担当はこの2人です。




曜「舞台は前説…突然の次回前説担当。何をすれば良いのかも解らずに、気がつけばブースの中でイッセー君と2人っきり……2人っきり!?頑張らなきゃ…うん、何はさておき頑張るぞ、よし!!」

イ「何を頑張んだよ?」

曜「ひゃああああああああああああああああああッ!?」

では、次回でお会いしましょう。


それと現在、オラオラドララ様の作品【モブ「パープルライダーが逃がしてくれたんです!」】とこの作品がコラボしてます。そちらの方も、是非ご覧になってください!!


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Secondコラボ FOUR

曜(D)「皆さん、ヨーソロー!!コラボ先の曜ちゃんと!!」

イ(D)「同じく、コラボ先のイッセーだぜ!!」

曜(D)「いや~、前回の千歌ちゃん(D)は惜しいところまで行ったんだけど、負けちゃったね」

イ(D)「やっぱエナジーアイテムってすげぇよな…あれ1つで戦況を逆転させられるんだからさ」

曜(D)「つまり、私達が勝つ鍵はあのアイテムをどれだけ使わせないかだね!!」

イ(D)「そうですね…………ところで、向こうの隅で体育座りしながら頭抱えて悶えてるこの世界の曜さんは何なの?」

曜(D)「なんかこっちの作者さんの伝達ミスで、最初は向こうにオファーがあったらしいよ?よっぽど出れなかったのがショックだったんだね…」

イ(D)「いや、あれは何か覚悟を決めてたのに無駄になって、物凄い恥ずかしさに悶えているような…?」

曜(D)「……とりあえず、そっとしといてあげよっか?」

イ(D)「そうですね…」


2戦目が終わり、次の試合前にフィールドの簡易整備を行う事になり、一時の休憩タイムとなった。そんな時間にヴァーリは……

 

「ヴェアーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

大声で楽しそう(?)に笑いながら、パソコンに高速人差し指タイピングでデータ入力をしていた。

 

「これほどの上質なデータ…滅多に手に入らん!!逃さず全て収集し、この神の才能の偉大な肥やしにしてやるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

「少しは静かにしなさい」バ・コーン!!

 

「あべしッ!!」

 

うるさいくらいに叫ぶヴァーリに、千歌の宿題が終わって駆けつけた梨子がガシャコンブレイカーで頭を叩く。しかし…

 

「フフフ、今の俺はガシャコンブレイカーの1発くらいで止まりはせんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

頭に大きなたんこぶが出来るがそれでも静まらない程、今のヴァーリはテンションアゲアゲだった。

 

「………………………………」(プチッ)

『ガシャット!!キメワザ!!』

 

「すんません、大人しくしますんで無言無表情でガシャコンブレイカーに、プロトゲキトツロボッツ装填して、全力で振り下ろそうとするの止めてください」

 

しかし、静かにぶちギレてガシャコンブレイカーを振り上げる梨子に即効で土下座するのだった。

 

「アイツ……結婚したら将来、ぜってぇ女房の尻に敷かれるな」

 

「ア、アハハ…」

 

「こっちの私、苦労してるのね…」

 

そんな姿を見た一誠の呟きに、曜と梨子(D)は苦笑いしかできなかった。

 

「そのベルト、私が使ったらどうなるのかしら?」

 

「う~ん、たぶんエラー出て弾き飛ばされるから、止めた方がいいよ」

 

「ベルトに吹っ飛ばされるとか、ずいぶん手荒な防犯装置ね…」

 

美歌は、千歌(D)のベルトに興味津々で話を聞いていたり…

 

「閲覧した情報から、こんな戦術とかカプセルの組み合わせ見つけたよ」

 

「助かりますわ、これで今後の戦闘に幅が出ます」

 

「情報1つ千円ネ♪」

 

「お金取るんですの!?」

 

「ジョークジョーク♪」

 

ダイヤは鞠莉(D)と果南(D)が得た情報から、新たな戦術を考えたり…

 

「それじゃあ一緒に…せーの、宇宙ゥゥゥゥ…」

 

「「「キタ(ズラ)ァーーーーーーーーーーッ!!!!」」」

 

花丸とルビィは花丸(D)とルビィ(D)と一緒に、何故かフォーゼの決め台詞を叫んでたり…

 

「く…6のワンペアね…!!」

 

「私は5のスリーカードですわ!!」

 

「フッフッフッ…残念だったね、私は7と9のフルハウスだよ!!」

 

「ほい、Kのファイブカードだ」

 

「「「なん……だと……」」」

 

果南とダイヤ(D)に曜(D)にパラドは、ラウズカードでポーカーをやっていて、パラドが圧勝していたり…

 

「千歌、Are you OK?」

 

「むり……なにもかんがえられない……」

 

「Oh…漢字変換出来ないほど疲れてるのね」

 

「海未さんは、教え方厳しいからなぁ…」

 

「うんうん」

 

鞠莉は宿題終わりでぐったりしている千歌を、団扇で扇いでいて、一誠(D)と妹の美月はそんな千歌に同情していた。

 

「海未ちゃん、少しは加減せんと…模擬戦に影響出てもうたら、どうするんや?」

 

「スミマセン……つい、熱が入ってしまって…」

 

「一応少し診察したけど、疲れてるだけだからしばらくほっとけば、すぐに元通りよ」

 

「じ、じゃあ模擬戦には影響なさそうだね!!」

 

μ`sのメンバー達も海未に軽いお説教をしていると、整備が終わり次の試合が始まる。今回は善子VS善子…

 

「「ヨハネだって言ってんでしょうがッ!!」」

 

あ~はいはい…ヨハネVSヨハネだってよ…

 

「作者が善子ちゃん達の文句で、やる気を失くしてる!?」

 

「も~…善子ちゃんが我が儘ばっかり言うから…」

 

「「えッ!?私のせい!?ていうかヨハネよ!!」」

 

「さっきから思っとったけど、見事なハモりやな…」

 

「「こら作者!!ちゃんと仕事しなさいよ!!」」

 

そんなに文句ばっかり言うなら、こちらも考えがありますよ?

 

「「なにする気?」」

 

戦闘描写やらなんやらを一切書かずに《このバトルは◯◯◯の善子の勝ち》の1文でバトルを終わらせる。

 

「「申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」」

 

この一言にW善子は、見事な土下座を決めた。フッ…これで力はこちらが上だと理解しただろう。ま、もう面倒だから後は視点を善子にしてぶん投げるけど。

 

「適当にも程があるでしょ!?」

 

違うぞ善子、逆だよ……こう考えるんだ。視点が自分にあるという事は、どんな事をどれだけ喋っても誰にも邪魔されないと…

 

「ハッ!!」

 

この言葉に目から鱗とばかりに、両目を見開く善子(厨二病患者)。これだから厨二病患者は御しやすい…!!(黒笑)

 

「うわぁ…こっちの作者、絶対黒い笑み浮かべてるわよ…」

 

「てか、せっかく当て字しとったのに途中で本音ダダ漏れやん」

 

真姫さんと希さんが何か言っているけど無視して……では、作者はトイレに行ってきますんで、後は彼女に任せます。現場の善子さ~ん!!

 

 

 

 

 

善子(ヨハネ)side

 

はーい♪私は現在、ルシファー家が所有する特訓施設内の実戦演習場にやって来ていま~………………って何やらせてんのよッ!?思わずノッちゃったじゃない!!後当て字!!

 

でも、これでこの小説で私の邪魔をする者はいなくなった……今こそ!!他のコラボ先でしか出来なかった、我が自己紹介を!!

 

「我こそは、この世全ての魔導を手中に収め、魔導の頂きに君臨せし叡知の魔導師ヨハネ!!さあ、究極をも越えた我が魔導……その身をもって特と味わうがいい!!」

 

最後まで言った瞬間、私の中に歓喜の感情が溢れだす。

 

ようやく最後まで言えたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!

 

今の今まで周りに邪魔されて、言えなかった台詞をようやくこっちで…!!本当、なんで今まで言えなかったのかしら?(注:言えなかったのは作者が、厨二発言を考えるのが面倒だからです)

 

「さすがは異世界の私……でも、リトルデーモンを従えし至高の堕天使である私に勝てるかしら?」

 

向こうの私はそう言うと、腰に見た事あるベルトを巻いた。確かアレって【電王】のベルトだったわね。

 

「さあ行くわよ!!」

 

『ヨッシャア!!最初っからクライマ『ちょっと!!いつも先輩が先なんだから、たまには僕から』『チョイ待ち!!それやったらオレもやなあ!!』『アハハ!!ボクでいいよね?答えは聞いてない♪』『では姫、ゆるりと参りましょうぞ』って、邪魔すんじゃねぇお前ら!!ここは俺がカッチョ良く出る所なんだよ!!』

 

そしたら向こうの私から5人の男の声が聞こえてきた。

 

「アンタ達、うっさいわよ!!」

 

『『『『『だってェッ!!』』』』』

 

「今回はモモタロスから!!他は正座して大人しくしてた方から!!」

 

『よっし!!』

 

『『『『はぁーい…』』』』

 

どうやら誰で変身するのか決まったみたいで、ベルトの赤いボタンを押すとバックル部分からメロディが流れ、赤い光の球が出てくると、もう1人の私の中に入った。そしたらいきなり顔を俯けるが、すぐに起き上がると髪型がオールバックになっていて、髪の一部に赤いメッシュが入った姿になった。

 

「よお、待たせたな?」

 

「遺憾である。我を誰と心得ている…」

 

「へッ!!ただの厨二女だろうが!!こっちと同じでよお!!」

 

「うっさい!!」

 

誰が厨二女よ!!この最高最善最大最強の魔導王たる私に向かって!!

 

「まあいい、見せてやるよ…俺のカッコいい変身をな?」

 

左手を前に、右腕を斜め後ろに突き出すポーズを決め…

 

「変身ッ!!」

 

『Sword form』

 

右手に持つ【ライダーパス】をベルトに翳し、仮面ライダー電王になった。

 

「俺、参上!!」

 

そこまで見てから、私も腰にゲーマドライバーを装着してガシャットギアデュアルΔⅡのダイヤルを回す。

 

『MAGICAL PRIEST!!』

 

「禁術レベル100、変身」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!シャイニングガール!!想いをデトネイション!!世界を照らせ!!マジカル・プリースト!!』

 

私も仮面ライダーヨハネ・プリーストゲーマーになったら、空中に舞い上がる。

 

「あッ!!待てコラ!!降りてきやがれ!!」

 

「さあ、余の魔導の前にひれ伏せ!!」

 

「何を偉そ(パチン…ドォン!!)うわっちゃあ!?」

 

そして電王へと向けて指を鳴らすと、電王を爆発が襲う。最近見た漫画で再現出来そうだったけど、これって不意討ちに便利ね♪それに私の場合、指パッチンした時に座標指定で爆発魔法を放つから、雨の日でも使えるし無能とか湿気たマッチなんて呼ばせないわよ!!

 

「なんだぁ!?指を鳴らしたら爆発が起きたぞ!?」

 

『あれって…ハ◯レンの大佐の技じゃない!!』

 

「ほう、余の技を見抜くか……しかし、理解と対処は別物だぞ?」

 

まあ、有名マンガのパクリだし解るわよね。

 

そこから指パッチンを連発して、電王に爆発の雨をお見舞いしていく。

 

「チッキショー!!空にいて、あんな事やられたらどうしようもねぇじゃねえかよ!!」

 

『ならばこちらも、烈火のごとき一刀の下で奴の体を天地に分断してくれようぞ!!』

 

「それしかねぇか!!」

 

『Full charge』

 

走って逃げ回る電王は足を止め、バックルにパスを翳した。ここで必殺技を放つつもりね?ならば、格の差を教えてあげましょう!!

 

「必殺・俺の必殺技…」

 

刀身が持ち手から離れ、エネルギーラインで繋がっている状態で右から振られるのを障壁を斜めにして受け流す。次に左から来るのを同じように受け流し…

 

「この…!!Part2!!」

 

最後に上段から襲いかかってくるのを、視線を向けずに2重に束ねた障壁で受け止めきった。

 

「マジかよ…俺の必殺技が……」

 

「これが必殺技だと?フッ…粗末が過ぎるものだな」

 

「何だとッ!!」

 

「貴様の必殺技に足りぬものが何か……その身に刻んでやろう」

 

『ガシャコンワンド!!デュアルガシャット!!』

 

私はガシャコンワンドを取り出すと、それにガシャットギアデュアルΔを装填して剣モードにし、刀身を水色の巨大な魔力の刃で覆う。

 

「刮目せよ!!真の必殺技というものを!!」

 

そう…これは私視点。今まで作者がやらなかった事を私自身で出来る場所!!そしてコレがないと、私は必殺技とは認めない!!

 

それを頭上に掲げながら、私はトリガーを押す。

 

『WHICH!! CRITICAL FINISH!!』

 

WHICH

CRITICAL FINISH!!

 

「か…カットインだとォッ!?」

 

「まだ終わりではないぞ!!」

 

私の挿入したカットインに電王の動きが止まり、そこを逃さず魔力剣【雷神滅殺 極光斬】で切り裂く。

 

 

「「「「「2度目のカットイン!?」」」」」

 

そう!!攻撃が決まる前かヒットした時、もしくはその両方にカットインを入れる!!これこそが真の必殺技ってやつよ!!

 

「カットインって……それで何か変わるのでしょうか?」

 

「海未ちゃんも、太鼓叩く時に入ってなかったっけ?」

 

「ああ、あれですよね?ですが、何か変わるというような感じはしないのですが…」

 

「単なる気分よ、気分」

 

そんな外の会話を無視して電王を見下ろすと、彼は膝を着いて悔しそうに震えていた。

 

「く…!!善子、俺はアイツに勝てないみたいだ…!!」

 

『モモタロス!?一体どうし…』

 

「だってよぉ…向こうの必殺技の方が、俺のよりカッチョ良いんだよぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいッ!?』

 

モモタロスの言葉に叫ぶ向こうの私。フフフ…さて、向こうは次はどう出るのかしら?

 

「こうしちゃいられねぇ…!!俺は少し、必殺技について考え直さないと…」

 

『このバカモモッ!!だったら、キンタロス!!』

 

「ヨッシャ!!オレに任せとき!!」

 

『Ax form』

 

「俺の強さにお前が泣いた!!」

 

電王はアックスフォームに変わり、斧を構えるのを見て私は一度地面に降りた。次は同じ土俵でやってあげようじゃない!!

 

「クックックッ…次は力比べか?良い…その余興、付き合おうではないか」

 

「オレの力を舐めとったら…ケガするで!!」

 

私に近づいて張り手を繰り出す電王だけど、それは3重の障壁で受けきる。

 

「どうした?稚拙であるぞ」

 

「まだやァッ!!オリャアアアアアアアアアアアアア!!」

 

続けて繰り出される連続ツッパリを障壁で受け止めながら、この先どうしようか考える。

 

このまま吹き飛ばしたり、電王の左右に魔法陣を出して挟み込むってのもアリだけど、それだと在り来たりで面白くないのよね……そうだ♪

 

ある事を思いついた私は障壁に仕掛けを施し、また電王を煽る。

 

「貴様の力はその程度か?これでは我が障壁を抜く事能わぬな」

 

「それやったら!!」

 

『Full charge』

 

「もういっちょ!!」

 

『Full charge』

 

「おし!!……あ、パスはちゃんと戻しとかんとな」

 

挑発に乗った電王は、パスを2回ベルトに翳してから戻し、エネルギーを斧に送って上に投げる。

 

「ドォリァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

そして飛び上がると、その斧を掴んで振り下ろしてくる。

 

かかった!!

 

目論み通りいった事に喜びながら、先程までの障壁を使って防ぐ…

 

ガシャアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

が、それは簡単に砕け散った。

 

「もろうたで!!」

 

そのまま迫る斧だったが、それは私の顔前で動きを止め、そのまま空中に固定されてしまった。

 

「なんやッ!?体が動かへん…!!」

 

「迂闊であるぞ。こうも楽に策に乗ってくるとは…」

 

「策やって!?」

 

「周りを見よ」

 

電王が周囲を見渡すと、先程砕けた障壁の破片全てが空中に固定され、そこから魔力の糸が伸びて電王の全身に絡み付いていた。

 

「これはッ!?」

 

「貴様が砕いたのは【封印障壁(シーリング・シールド)】…障壁を破壊した相手を緊縛する盾だ」

 

『キンタロス!!早く紐を引きちぎって!!』

 

「そうしたいんは、やまやまなんやけど…!!」

 

拘束から逃れようともがく電王だけど、それは無理よ。関節技(サブミッション)を応用した拘束から、簡単に逃れられないわ!!それに捕まった時の体勢も体勢だしね…なんで足を思いっきり開脚してるのよ…

 

『早く早く!!この姿勢、メッチャ恥ずかしいの!!』

 

「なんだ?動きたいのなら、手伝うてやるぞ」

 

『ガッチョーン、キメワザ!!』

 

レバーを閉じた私は、魔力を炎に変換しつつ巨大な右手を形作る。炎の熱量は某宇宙恐竜には届かないけど10000度位で、それを自分の右手の動きとリンクさせる。

 

「『え?』」

 

「さあ……我が炎の腕で焼き切ってやろう!!」

 

『ガッチャーン!! MAGICAL!! CRITICAL STRIKE!!』

 

MAGICAL

CRITICAL STRIKE!!

 

『ちょッ!?それ、私達も焼け…ギャアアアアアッ!!』

 

その腕を抜き手で構え、動けない電王を思いっきり貫いた。まあ、炎で出来てて触れないから燃やすだけだけど…

 

これは以前、番長先輩が使ってたのを魔法で再現したもの。名付けるなら…

 

 

「「「「「こっちもゼロワンやったァァァァッ!?」」」」」

 

「「「「「「ゼロワンって何?ていうかこっちも?」」」」」」

 

観客席にいる異世界の人達が何に驚いてるのか分かんないけど、糸の拘束を解いて地面に落ちる電王。(なお、こっちのの意味が知りたい方は【オラオラドララ】様の作品【モブ「パープル色のライダーが逃がしてくれたんです!!」】でのコラボ回をご覧ください by作者)

 

「アカン……さすがのオレもこれ以上は無理や…」

 

『今は休みなさい。ウラタロス!!』

 

「待ってました♪」

 

『Rod form』

 

立ち上がった電王はロッドフォームに変わり、武器を組み換えて一本の槍にする。

 

「お前、僕に釣られてみる?」

 

「貴様に釣られる程、我は安くないぞ!!」

 

ワンドを剣で構え、電王が振るう槍と打ち合うけどやっぱり近接戦は苦手ね…力任せに振るってるだけだから、アッサリ捌かれるし…

 

(しかし、随分と周りが広い……ッ!?)

 

戦いの中で妙に空間が空いているなと思い、周りを見た瞬間に私は目を見開いた。今まで近くにあったアイテムが、いつの間にか遠い場所に置かれていたんだから。

 

「近くにあって、転んだら危ないからね?」

 

コンニャロ…!!わざと大振りに槍を振るって、アイテムを弾き飛ばしたな!!

 

「無用である!!そのような気遣いなど!!」

 

ワンドを左手に持ち替え、右腕から魔力の剣を伸ばして身体強化を施し、槍を打ち払いながら後退した。

 

「おっとっと…身持ちが硬いなぁ。ま、アイテムが使えなければそこまで怖くはないだろうけど」

 

「遺憾であるな…!!言った筈だぞ!!安くはないと!!」

 

ワンドと魔力剣を振るい攻め立てるけど、やっぱり向こうは近接戦が得意で、殆どが捌かれてしまう。

 

そして遂に、ガシャコンワンドを手から弾き飛ばされてしまった。

 

「なッ!?」

 

「それじゃ、三枚に卸しますか!!」

 

『Full charge』

 

パスを翳し、エネルギーをチャージした電王はアタシ目掛けて槍を投げ、障壁を張ろうとしたがその前に槍が当たって雪の結晶を作りながら私を拘束する。

 

「くッ!?」

 

「これで……終わり!!」

 

そしてライダーキックの体勢になる電王。だけど、アイツは勘違いをしている。アイテムが使えなければ怖くはないと言ってたけど、私はまだアイテムを1度も使っていないし、()()()1()0()0()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「笑止である…」

 

私に向かってくる電王に、結晶より前に障壁を張って蹴りを受け止める。

 

「ええッ!?」

 

「滅されよ!!」

 

更に電王を囲む様に黄色の魔力球を配置して、そこから電撃を付与した魔力弾を撃ちまくった。

 

PHOTON LANCER

GENOCIDE SIFT

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

全方位からの攻撃をかわせずに落ちる電王。お蔭で拘束が解け、おまけに電撃付与の効果で電王は痺れていた。

 

「あばばばばばばばばば…!!」

 

『ウラタロス、戻りなさい。リュウタロス!!』

 

「やった~!!ボクの番♪」

 

『Gun form』

 

「お前倒すけど良いよね?答えは聞いてない!!」

 

「愚問である。もとより答える気などない」

 

ガンフォームになった電王はそう言って組み換えた銃を撃ってくるけど、私の障壁は簡単には突破できないわよ?

 

何発も何発も放たれる弾丸だが、障壁に当たって無力化され発砲音と障壁に当たる甲高い音だけが響く。

 

「ああ~もう!!あの盾、邪魔~!!」

 

「幼稚だな。貴様の様な小童に、我が傷つけられるとでも?」

 

「も~怒った!!」

 

『Full charge』

 

やっぱり性格まで子供っぽいお蔭で簡単に挑発でき、必殺技を放ってくる電王。だけど私は慌てずに大量の障壁を電王の周囲に張り巡らせる。

 

『ストップ!!今撃っちゃダメ!!』

 

「いっけぇ!!」

 

向こうの私の忠告も聞かずに放たれたエネルギー弾。それは最初の障壁に当たると軌道が変わる。ま、私がそうなるように傾けてるんだけど…

 

それによって弾丸は他の障壁に当たり、また軌道が変わる。それを何度も繰り返して攻撃を予測出来なくさせる。

 

『何処から攻撃が…!!』

 

「それはここからだ」

 

だけど本命はそれじゃなくて、私の手に浮かぶ魔法陣だ。弾丸を追うために視線を忙しなく動かしてた隙に、懐に入り込んだ私は、手パン錬成の如く両手を叩く様に合わせてから両手を電王に押し当てると、紫の光が電王の中からすっぽ抜けて、銀と黒の弱々しい姿になってプラスしていた風と重力の魔法の効果で吹き飛んで壁に激突した。

 

「えッ!?あれッ!?なんでボク抜けちゃってるの!?」

 

「簡単だ。人間を構成する物質は既に紐解かれている。ならば、それ以外の要素がお前達だと仮定して、それのみを体外に押し出してやったまで…」

 

「うっそォ!?」

 

「いたた……まさかこんな簡単に…!!」

 

驚くイマジンを放っておいて、私は立ち上がろうとする電王の元へと歩を進める。

 

フフフ…最後は魔力を込めたデコピンで終わらせてあげましょう♪

 

そう内心で笑いながら歩いていたら、途中で意識が途絶え、気がつけば私は観客席に寝かされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?あれ?何があったの!?ちょっと誰か説明して~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、ここからはトイレから戻った作者が語りましょう。

 

電王へと悠然と歩を進めていたヨハネだったが、その途中で足下にあったエナジーアイテムを踏んでいたのだ。

 

しかもそのアイテムは……

 

『混乱!!』

 

混乱のアイテムだったのだ。

 

「ハラホロヒレハレ~…」

 

混乱状態に陥ったヨハネ。電王はその隙を逃さない。

 

「はい、全員集合!!」

 

『momo ura kin ryuu』

 

強化アイテムである【ケータロス】を持ち、イマジン達を呼び寄せ横のボタンを押す。

 

『Climax form』

 

「俺達、参上!!」

 

「わ~い、てんこ盛り♪」

 

「リュウタ!!大人しくしてって!!」

 

「あいたッ!?カメの字!!今オレの足踏んだで!!」

 

「人がせっかく決めてんだから、少しは黙ってろお前ら!!」

 

『ほら、必殺技いくわよ!!』

 

クライマックスフォームになった電王は必殺技を発動しようとするが、発動前にその手が止まった。

 

『ちょっとモモタロス!?なんで止めるのよ!!』

 

「まだだ…!!まだ必殺技の演出が決まってねぇんだよ…!!」

 

『うぉい!!いい加減にしなさいよ!!』

 

「だってよぉ…」

 

『全く!!今までのも充分カッコいいわよ!!』

 

「え?それ本当…?」

 

『ホントホント、ワタシウソツカナイ』

 

「ヨッシャア!!だったら全力で、いくぜいくぜいくぜぇ!!」

 

(先輩、チョロ過ぎでしょ…)

 

(モモの字はチョロいな~)

 

(モモタロス、チョロい)

 

善子(D)に乗せられてテンションが戻ったモモタロス。ケータロスのボタンを押し、パスを翳して必殺技を発動させると左腕にキンタロス、リュウタロス、ウラタロスの順で仮面が並ぶ。

 

『Charge and up』

 

「必殺・俺達の必殺技……パンチバージョン!!」

 

「うぎゃばッ!?」

 

混乱中のヨハネは避ける事などできず、直撃をもらって吹き飛んでいき地面に激突する寸前にあるエナジーアイテムに触れる。

 

『混乱!!』

 

それにより混乱状態が続く。そこで電王は更に必殺技を発動、今度は右足にウラタロス、リュウタロス、キンタロスの順で並ばせる。

 

『Charge and up』

 

「続けて…キックバージョン!!」

 

「そげぶッ!?」

 

再び直撃をもらい、吹き飛ぶヨハネだったが激突地点にエナジーアイテムがあり、ぶつかると同時に取得したそれは……

 

『混乱!!』

 

またしても混乱だった……

 

それにより、未だに混乱しているヨハネに、仮面を元の位置に戻した電王も必殺技を続けて発動する。

 

『Charge and up』

 

「今度はミサイルバージョン!!」

 

「あぎゃあああああああああああああッ!?」

 

ミサイルが全弾当たり、浮き上がるヨハネの先にまたしてもエナジーアイテムが…

 

『混乱!!』

 

それはやっぱり混乱のアイテムだった…

 

「ちょ……さすがにありえなくありませんか?あれほど混乱のアイテムばかり取るとか…」

 

「あちゃ~、今来ちゃったんだ…」

 

海未の疑問に梨子が思い出したかのように呟いた。

 

「来ちゃったとは?」

 

「実はこっちの善子ちゃん……数ヶ月に1回、1時間だけ物凄く運が悪くなる時があるんです。私達はそれを【スーパーアンラッキータイム】って呼んでるんですけど…」

 

「何その特撮ヒーローが活躍しそうな名前…?意味分かんないだけど…」

 

「こっちの善子ちゃんも不幸な時があるけど……あれは、それを短時間に濃縮した状態なんだね…」

 

真姫や花陽混乱状態のまま落ちてくるヨハネ。そんな彼女にトドメを刺そうと電王は4度目の必殺技を発動する。

 

「へッへッへッ…最後はやっぱコレだな!!」

 

『Charge and up』

 

「必殺・俺達の必殺技…!!」

 

虹色のエネルギーが刀身を覆っていき、落ちてきたヨハネが目の前に来た瞬間…

 

「クライマックスバージョン!!」

 

その剣でヨハネを思いっきり斬り裂いた。

 

「ホビャアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

その一撃で吹き飛び、壁に激突するヨハネ。舞い上がった土煙が晴れると、そこには変身が解除されグルグル目の善子がいた。

 

『ヨハネ、戦闘続行不能。よって勝者・電王』

 

「ヨッシャアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

「「「「「うっそーん…」」」」」

 

まさかの逆転に周りが呆然とする中で、電王の勝鬨が響く。

 

「ま、勝負は時の運とも言うし…とりあえず善子を回収するか」

 

そんな善子を仕方なしと、ヴァーリによって彼女は回収され、観客席のベンチに寝かされた。

 

これが善子が意識を失くしてから起きるまでに起きた一連である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ところで姫?私の出番は…』

 

「もう終わったからあるわけないでしょ」

 

『なんとッ!?』

 

そして出番がなかった手羽先(ジーク)なのだった。




いかがでしたか?

善「何でこんな設定が…最高最善最大最強の魔導王である私の威厳は何処に…」

作「そんなの最初からあるわけない」

善「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!!!」

最近、シンフォギアロスが酷い作者です。一期の頃から見続けていた作品が完結するのが、こんなに寂しいとは思いませんでしたよ……キャラソンは5期まで、Blu-rayは4期まで全て買い揃え、今は5期のBlu-rayを集めています。六花繚乱を聞きながら次巻発売するまで頑張って生きよう…

次回の対戦表は、まだ決めてないので予告は無しです。

では次回で、お会いしましょう。


追記:追加キャラのアンケートやってますので、良かったら参加してください


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Secondコラボ FIVE

希「ドドン♪」←口で言ってる

美月「ピッピッピッ♪ピッピッピッ♪」←口でry

リ「駒王学園…オカルト研究部部則、ふたぁーつ!!ニーソを脱がす時はこう……スルっと!!」

裕「まさかの2回目ッ!?」

リ「作者が特にネタが浮かばなかったからだそうよ?」

裕「だからってコラボ先の相手まで巻き込まないでくださいよッ!!」

リ「因みに今回の部則、裕斗のフェチだから♪」

女全「え…?」←ドン引き

裕「違うわッ!!こっち見んな!!というか、恥じらいはどこに行ったんだアンタは!!」

リ「貴方こそ恥じらいを焼却して、惜し気もなく抜剣してみせなさい!!」

裕「あ、もしもし?スタッフ◯ービスさんですか?実は上司に恵まれなくて…」


厨ニ病患者同士のバトルが終わり、次は美歌VSダイヤ(D)となった。

 

「「厨ニ病言うなッ!!」」

 

ダブル善子さん、うるさいよ。

 

とにかく、フィールドに立つ2人は既にベルトを装着していて、準備は万端みたいだ。

 

「ようやくワタシの番ね…前回は単独で出れなかったから、楽しみにしてたのよ♪」

 

「そうでしたか……なら、さっそく始めましょうか?」

 

「ええ」

 

『それでは両者、変身してください』

 

『オレンジ!!』

 

『マイティアクションエーックス!!』

 

美歌はプロトマイティアクションXを、ダイヤ(D)はオレンジの装飾が印象的な錠前型のアイテム【オレンジロックシード】を起動させ、ベルトにセットする。

 

『ガシャット!!』

 

『ロックオン!!』

 

「グレード0…」

 

「「変身ッ!!」」

 

『ガッチャーン!!レベルアップ!!マイティジャンプ!!マイティキック!!マ~イティーアクショーン!!エックス!!』

 

『ソイヤッ!!オレンジアームズ!!花道!!オン・ステージ!!』

 

そしてベルトを操作して、仮面ライダーゲンムと仮面ライダー鎧武になる。

 

「やっぱり面白いわね?フルーツを被るとか」

 

「そういう仕様ですもの」

 

そんな話をしつつも、ゲンムはガシャコンブレイカーをブレードモードにし、鎧武は櫛型に切ったオレンジみたいな刀身の武器【大橙丸】と日本刀と銃を組み合わせたみたいな武器【無双セイバー】を持って二刀流で構える。

 

『試合開始です』

 

「「ハアァァァァァァァァッ!!!!」」

 

開始の合図とほぼ同時に駆け出した2人は、中央で剣をぶつけ合わせる。そして1度距離を取って再度攻めかかる。鎧武は二刀流による手数の多さで果敢に攻め、ゲンムは冷静に捌きつつ隙を見つけたら、即座にそこに打ち込んでいく。

 

見た感じでは鎧武が有利に見えるが、実際にはほぼ互角だ。そこで鎧武は有利な状況を作るため、無双セイバーを上段から振るい、ゲンムがそれを防いだところを狙い無双セイバーのレバーを引き、エネルギーが装填されたのを確認した瞬間に銃口をゲンムに押し付けて引き金を引く。

 

0距離からの銃撃。普通ならば避けられず、直撃によって体勢を崩してしまう。

 

そう、()()()()()()()()……

 

「ふ…」

 

だが美歌は人間ではなくバグスター。0距離からの攻撃でも、体を粒子化する事で簡単に逃れたのだ。

 

「粒子化……やはりバグスターというのは厄介ですわね」

 

「自分の特性なんだから、有効に使わないとね?」

 

ゲンムは再び粒子化して鎧武に迫り、ブレイカーを振るうも鎧武は咄嗟に無双セイバーで受け止める。

 

「ええ……ですが、攻略法が無い訳じゃ無い!!」

 

『イチゴ!!ロックオン!!』

 

更に空いてる手で【イチゴロックシード】を解錠。それをバックルのオレンジロックシードと取り替える。

 

『ソイヤッ!!イチゴアームズ!!シュシュっと!!スパーク!!』

 

イチゴアームズになった鎧武はブレイカーを弾き、ゲンムから距離を取りつつ専用武器である【イチゴ苦無】を投げつける。

 

「今さら苦無ごとk(ドォン!!)うあッ!?」

 

ゲンムはそれを粒子化で避けようとしたが、苦無が体の部分に差し掛かった瞬間、それが爆発した事でダメージを負った。

 

「美歌ッ!?」

 

千歌はその光景に心配して叫ぶが、梨子は別の事に驚いていた。

 

「ダメージを負った!?粒子化してたのに…!?」

 

そう、体を粒子化していたにも関わらず、ダメージを受けていた事にだ。今まで粒子化による回避はほぼ無敵状態だったのに、それがアッサリと覆されてしまったのだ。

 

「一体どうして…」

 

「簡単ね…焼却による【滅菌(めっきん)】よ。大火力でウィルスを一気に焼き払う方法だけど、被害が大きすぎるという理由で、あまり使われる事は無いの。でも今回は相手がウィルスの塊みたいなもので、粒子化していてそれぞれの結合が弱くなっていたから小規模でも使えた手法ね」

 

「めっきん…?」

 

梨子の呟きに答えを提示する真姫。それを聞いていた千歌は千歌(D)に耳打ちすると、彼女は手でOKサインを出して2人でその場を離れる。そして1分程で戻ってきたのだが、彼女達の手元には木製の音盤で作られた楽器を持っていて、マレットと呼ばれるばちで2人揃ってポン♪ポン♪と音を鳴らしている。

 

「それは【木琴(もっきん)】…」

 

その光景にツッコむ真姫だが、2人が引っ込むとそれに続けとばかりに今度は曜と曜(D)が出てくる。しかも、曜(D)はバイク【ブルースペイダー】に跨がっていて、曜に至っては婦警のコスプレをしてだ…

 

「は~い、法廷速度をオーバーし過ぎだよ?」

 

「ゴメンなさい…」

 

謝る曜(D)は千円札を差し出す。

 

「それは【罰金(ばっきん)】…」

 

2人に呆れながらツッコむも、下がる曜達の後に今度は花丸(D)とルビィ(D)が出てくる。

 

「見てルビィちゃん!!このお店の商品、税抜きだと全部百円なんズラよ!!」

 

「な、なんだって~!!」

 

「それは【100均(ひゃっきん)】…」

 

頭痛がしてきたのか頭を抑える真姫。しかし、まだ終わらないのか次に果南と鞠莉が出てきた。尚、果南は仕事用らしきデスクにおり、鞠莉はそのすぐ近くでパジャマ姿にマスクをしている。

 

「はいもしもし…鞠莉?どうしたの?」

 

「sorry…風邪引いちゃって……ゴホゴホ!!…今日はお休みさせてもらうわ……」

 

「わかった、部長には伝えておくから。お大事にね?」

 

「それは【欠勤(けっきん)】……って!!何時までやらせるのよ!!アンタ達はどこのシロクマ!?そういうのはカフェでやってなさい!!」

 

さすがに頭にきた真姫が叫ぶ。観客席でそんな事が起きてる間も、ゲンムと鎧武の戦いは続く。

 

「これじゃ、もう粒子化は止めた方が良さそうね…」

 

粒子化の攻略法を見つけられては、下手に使えば余計にダメージを負うだけだと判断したゲンムは、ホルダーから【プロトドレミファビート】ガシャットを取り出す。

 

「だったらここは、ダンスで勝負しない?」

 

「あら、私にダンスバトルを挑むのですか?こう見えても、ダンスは得意ですわよ」

 

「なら、決まりね」

 

『ドレミファビート!!ガッチョーン、ガシャット!!』

 

ゲンムはガシャットを起動し、レバーを閉じたドライバーに装填する。そして色がモノクロになった【プロトビートゲーマ】が飛び交う中で、レバーを開く。

 

「アップグレード…」

 

『ガッチャーン!!レベルアップ!!』『マイティジャンプ!!マイティキック!!マ~イティーアクショーン!!エックス!!アガッチャ!!ド・ド・ドシラソ・ファ・ミ・レ・ド!!オーライ!!ドレミファビート!!』

 

そしてゲーマを纏い【ゲンム・ビートアクションゲーマー】になり、右腕のターンテーブルをスクラッチして音楽を奏で始める。

 

 

―推奨BGM【Brightest Melody】―

 

 

「「ハアッ!!」」

 

流れるメロディーの中で、2人は再びブレイカーとセイバーをぶつけ合う。だけど先程までとは違い、剣撃の音がどことなくリズミカルに聞こえていた。

 

そのまま舞踏のようなバトルは続き、曲が中盤に差し掛かったところからゲンムが優勢に立ち始めた。これはドレミファビートの能力で、リズムに合わせて攻撃する事で自身の能力を強化する事ができる。それにより、ゲンムの性能が鎧武を上回り始めたからだ。

 

「くッ!?これでは押し切られて…!!」

 

「もらった!!」

 

「うあッ!?」

 

そして見つけた隙を逃さず、ゲンムの突きが鎧武に決まり、火花を散らしながら後退する。

 

「逃がさないわよ!!」

 

そこに追撃を仕掛けるゲンム。回避が難しいと判断した鎧武は、すぐさまオレンジ色の大型ロックシード【カチドキロックシード】を解錠した。

 

『カチドキ!!』

 

そしてカチドキアームズが現れたのを確認すると、ロックシードを入れ換えてイチゴアームズを果実の形に戻してゲンムへと射出した。

 

『ロックオン!!ソイヤッ!!』

 

「そぉい!!」

 

「はあッ!?」

 

予想外すぎる行動に反応が遅れたゲンムはイチゴアームズを喰らって吹き飛ばされ、その隙に鎧武はカチドキアームズを纏う。

 

『カチドキアームズ!!いざ、出陣!!エイエイオー!!』

 

「いっつつ…ずいぶんゴツくなったじゃない…!!」

 

「ゴツくなっただけじゃありませんわよ?」

 

立ち上がるゲンムを見つつ、鎧武は背中にある2つの幟旗【カチドキ旗】を手にする。

 

「旗って……舐めるなッ!!」

 

その姿にイラッ!!としたゲンムは、ガシャコンブレイカーを全力で振るう…

 

ガギィン!!

 

「なッ!?」

 

しかし、それはカチドキ旗でアッサリと受け止められてしまった。

 

「舐めているのは……そっちですわ!!」

 

そしてブレイカーを弾くと、旗の先端を地面に着けながら回転しゲンムの足を払う。

 

「く……ッ!!動きがッ!?」

 

素早く体勢を直そうとするゲンムだったが、落下の速度が遅い事に気づく。カチドキ旗には重力を操作する能力があり、それによって着地できない高さで体を固定させたのだ。そこに鎧武が再度カチドキ旗を振るってゲンムを吹き飛ばした。

 

「うわッ!?」

 

『火縄大橙DJ銃!!』

 

その間に鎧武は専用武装【火縄大橙DJ銃】を取り出し、側面にあるターンテーブルをスクラッチし、軽快な和風ラップなメロディーを流しつつゲンムへと向けて引き金を引く。

 

「キャアッ!?」

 

立ち上がる途中だったゲンムに避ける事は出来ず、途中で弾けて散弾になった弾丸を食らってしまう。

 

「こんの…!!調子に乗んなァッ!!」

 

『ゲキトツロボッツ!!ガッチョーン、ガシューン、ガシャット!!』

 

「アップグレード!!」

 

『ガッチャーン!!レベルアップ!!マイティジャンプ!!マイティキック!!マ~イティーアクショーン!!エックス!!アガッチャ!!ブッ叩け!!突撃!!モウレツパンチ!!ゲ・キ・ト・ツ・ロボッツ!!』

 

さすがに頭にキたのか、プロトドレミファビートを外して代わりにプロトゲキトツロボッツを装填、それを纏う事で【ゲンム・ロボットアクションゲーマー】になり、左腕の大型ナックル【ゲキトツスマッシャー】を射出する。

 

「その程度!!」

 

鎧武は体を捻る事で難なく避けるが、スマッシャーはすぐさま方向を変えて再び鎧武へと向かう。

 

「無線操作!?」

 

何度も襲ってくるスマッシャーに注意が向いていた隙に、ゲンムはブレイカーをハンマーモードに戻し、Bボタンを5連打して鎧武に振るった。

 

「トリャア!!」

 

「なッ!?くう…!!」

 

それを何とか両腕をクロスして防ぐが、その威力に腕が痺れてしまう。

 

「もう1発ッ!!」

 

「させま(ドゴン!!)しまッ!?」

 

「チャーンス♪」『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!!』

 

再度迫るゲンムに鎧武は火縄大橙DJ銃を向けるが、そこに周囲を飛んでいたゲキトツスマッシャーが銃にぶつかり、手にも痺れが残っていた為に落としてしまった。その好機を逃すゲンムではない。すぐさまプロトゲキトツロボッツをドライバーから抜いてブレイカーのスロットに装填する。

 

更にゲキトツスマッシャーを操作して、体勢を崩している鎧武に何度もぶつけていく。

 

「うあッ!?」

 

『ガシューン、ガシャット!!キメワザ!! MIGHTY!! CRITICAL STRIKE!!』

 

MIGHTY!!

CRITICAL STRIKE!!

 

そこに続けて、プロトマイティアクションXをキメワザスロットホルダーに装填、必殺技を発動させるとエネルギー状のゲキトツスマッシャーに覆われたブレイカーを鎧武に叩きつけ、その勢いそのままに回し蹴りを喰らわせた。

 

「キャアアアアアアッ!!」

 

「よしッ!!」

 

それに爆発を起こす鎧武。それを見たゲンムはガッツポーズを取るが…

 

『フ!!

 

「……は?」

 

その音声の後、爆発の少し上に大量のアームズが出現し、ゲンムへと襲い掛かってきたのだ。

 

「ちょッ!?さすがに多過ぎでしょ!!」

 

その突拍子もない攻撃に動揺しつつも、ゲンムはブレイカーとゲキトツスマッシャーで捌いていく。

 

「わぁ~♪果物がいっぱいズラ~♥️」

 

「梨子ちゃ~ん、お腹空いてきたから何かお菓子ない?」

 

「それなら昨日作ったフルーツタルトがあるから、今持ってくるね」

 

「「「やった~!!」」」

 

梨子のお菓子に喜ぶ千歌と花丸と美月。そんな中で爆炎の中から出てきた鎧武の手には、何かの鍵らしきアイテム【極ロックシード】が握られていて、それをカチドキロックシードの左側に射し込み前に回し力を解放させる。

 

ロックオープン!!!!大・大・大・大・!!

 

そしてゲンムを襲っていたアームズ全てが鎧武に集まると、重厚な鎧が弾け飛び中からかつて織田信長が纏っていたとされる白金の南蛮鎧姿の鎧武が現れる。

 

これが鎧武の最強フォーム、知恵の実と呼ばれる【黄金の果実】の一部を手に入れた【鎧武・極アームズ】である。

 

「ここからは、私のステージですわ」

 

「あら?鎧を薄くして大丈夫なのかしら?」

 

「問題ありません、何故なら…」

 

『大橙丸!!』『無双セイバー!!』

 

「負ける気なんて、ありませんもの」

 

「大層な自信……ね!!」

 

極ロックシードを回し大橙丸と無双セイバーを呼び出して、それらを繋げてナギナタモードにして構える鎧武に殴り掛かるゲンム。しかしそれはアッサリと避けられ、カウンターに無双セイバーの一撃を喰らってしまう。

 

「カハッ!?」

 

「セイッ!!」

 

「くあッ!?」

 

鎧武はそこから振り向き様にゲンムをバツ字に切り裂くと、それを投げ捨て極ロックシードを更に回す。

 

『ブドウ龍砲!!』

 

それによって召喚された銃【ブドウ龍砲】を掴み、ゲンムへと引き金を引く。

 

「くぅぅぅぅぅぅぅぅ…!!そんなもので!!」

 

ゲンムはゲキトツスマッシャーを盾にして凌ぎ、弾幕が晴れるとすぐさまそれを鎧武へと射出する。だが、鎧武はその場から動かず、新たな武器を呼び出す。

 

『メロンディフェンダー!!』

 

呼び出されたのは、メロンの網目模様が入った大盾。それでスマッシャーを弾き、ブドウ龍砲で追撃をかける。防御手段を失ったゲンムは回避するしかなく、走り回って弾丸を回避する。

 

『イチゴ苦無!!』『パインアイアン!!』『ドリノコ』『キウイ撃輪!!』『クルミボンバー!!』『影松!!』『ドンカチ!!』

 

そんなゲンムを見つつ、鎧武はブドウ龍砲を上に投げ、極ロックシードを何度も回して大量のアームズウェポンを展開していく。

 

「ちょッ!?アンタ、どこの英雄王よ!!」

 

「さあ…散りなさい、雑種が♪」

 

「ちょまアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

叫ぶゲンムに楽しそうに応える鎧武。そして右手を前に突き出すと、アームズウェポンがゲンムへと一斉に襲い掛かった。

 

それを必死に走り回って避けるゲンム。ガシャットを取り換えようにも、この攻撃の中ではそれすら不可能だ。

 

『ウォーターメロンガトリング!!』

 

そこにメロンディフェンダーと似た…だが、模様がスイカ柄になっている大盾【ウォーターメロンガトリング】を呼び出し、落ちてきたブドウ龍砲を掴みとって一斉射を行っていく。

 

「だァ~ッ!!こうなったら自棄よ!!」

 

『ガッチョーン、ガシューン、ドラゴナイトハンターZ!!』

 

埒が開かないと思ったゲンムは被弾覚悟で立ち止まり、プロトゲキトツロボッツを抜いてプロトドラゴナイトハンターZを起動させた。すると彼女の前に盾と剣を持つ銀と紫に彩られた鎧が現れて、鎧武からの攻撃を防いでくれる。

 

『ガシャット!!』

 

「アップグレード!!」

 

『ガッチャーン!!レベルアップ!!マイティジャンプ!!マイティキック!!マ~イティーアクショーン!!エックス!!ド・ド・ドドド!!黒龍剣!!ドラ!!ドラ!!ドラゴナイトハンター!!Z!!』

 

そしてガシャットを装填してレバーを開くと、攻撃を防いでいてくれた鎧がバラバラになり、ゲンムへと装着されていく。その見た目は龍の力を持った騎士を思わせた。

 

「まだそんなのがありましたか…」

 

「ワタシ、諦め悪いのよね!!」

 

そう言って攻めに転じるゲンム。鎧武も銃撃していくが、悉くを盾に防がれ、剣に落とされていく。

 

「ならば!!」

 

『ソードブリンガー!!アップルリフレクター!!』

 

これ以上は無理と思った鎧武は2つを捨て、極ロックシードを回して林檎を模した剣と盾がセットになった武器を呼び出し、抜剣して迎え撃つ。

 

「セェイ!!」

 

「ハッ!!」

 

双方の剣がぶつかり合う度に火花が散り、盾で殴り合うと周囲に衝撃波が走る。それを見ていた梨子は、ある疑問が浮かびヴァーリに聞くことにした。

 

「ねぇヴァーリ君、ドラゴナイトハンターZのゲーマってあんな鎧だったっけ?資料で見たのと全然違うけど…」

 

そう、本来のドラゴナイトハンターZのゲーマは、デフォルメしたドラゴンの形をしているのだが、今ゲンムが纏っているのは所々龍(というより恐竜?)を思わせる装飾があるも、どちらかというと西洋の騎士を想わせる見た目になっている。その問いにヴァーリはパソコンに視線を向けつつ答える。

 

「ああ、それか…あれは【全てのゲーマのプロトタイプ】なんだよ」

 

「プロトタイプ?」

 

「ゲーマの構造はかなり複雑で、分離・変形・合体・装着といったプロセスも多い。だから先ずは容量の大きいドラゴナイトハンターZを使って元となるアーマーの基本作りから始めたんだ。そして完成したそれを使って集めた様々なデータを活用して他のゲーマを作り上げたんだ。で、データ収集が終わった後は余分な機能をオミットして、武装を剣と盾だけにして残して置いたんだ」

 

「それがあの鎧…」

 

「プロトタイプとはいってもプロトドラゴナイトハンターZの性能はレベル(エックス)と同等だ。しかし、使い続ければ装着者が負担に耐えられず暴走してしまう欠陥もある。だが、それは人間が使用した場合で、バグスターである美歌なら然したる問題は殆んど無いさ」

 

最後にかなり物騒な説明があったが、取り敢えず問題は無さそうなのでスルーし、試合に目を向け直す梨子。

 

「「ハアァァァァァァァァァァッ!!!」」

 

ーガギィン!!ー

 

2人はいまだに剣撃を繰り返していたが、体力の限界が近いのか肩で息をしていた。

 

「いい加減、くたばりなさい!!」

 

「そちらこそ!!」

 

2人は一度距離を取ると、鎧武は武器を投げ捨て極ロックシードを回す。

 

『蒼銀杖!!』『レモンフルーレ!!』

 

新たに呼び出した武器は短杖とレイピア。その杖の先端をゲンムに向けると水色の光弾を放つ。

 

「今さらその程度!!」

 

それを盾で防ぐゲンム。だが、それは鎧武の計画で狙いはゲンムの視界を狭める事だった。そして盾の範囲外からレイピアで一突きしようとすると…

 

「読めてるわよ」

 

ーキィン!!ー

 

「く…!!」

 

それを予測していたゲンムの剣でレイピアを弾かれた。

 

「この間合いなら…!!」

 

「ええ、ここが本当の狙いですわ」

 

『バナスピアー!!』

 

「なッ!?いったぁ!?」

 

自分の間合いに来た鎧武に剣を振り下ろそうとするゲンムだったが、その前に鎧武が極ロックシードを回しバナナを模した突撃槍を呼び出し、それを喰らったゲンムは下がってしまう。

 

「この隙、いただきますわ!!」

 

『ソイヤッ!!!!

 

そこに槍を逆手に持った鎧武が、ベルトのブレードを1回倒して必殺技を発動。エネルギー状のバナナが地面から出て来てゲンムを拘束した。

 

「うっそ!?何よこれ!!動けない…!!」

 

逃げ出そうとするゲンムだったが、がっちりと組まれているため身動きすらできない…

 

『火縄大橙DJ銃!!』『無双セイバー!!』

 

更に鎧武は武器を展開。銃口のパーツを出すとそこに無双セイバーの刀身を差し込んで合体、大剣モードにしてベルトのブレードを2回倒す。

 

『ソイヤッ!!!!

 

大剣に様々なフルーツが火花の様に散るオレンジのオーラを纏わせながらゲンムへ狙いを定める。

 

「ちょっと!!動けない相手にそこまでやる!?」

 

「では、貴女はやらないと?」

 

「…………………………………………絶対にやる!!」

 

「なら、遠慮は無しですわ♥️」

 

「はッ!?しま…!!」

 

「セイハァーッ!!」

 

「キャアアアアアアッ!?」『ガシューン』

 

振り下ろされる大剣の一撃【火縄大橙無双斬】を喰らったゲンムは爆発し、煙が晴れると変身が解除されて倒れている膝を着いている美歌がいた。

 

『ゲンムの変身解除を確認。よって勝者、鎧武』

 

「フフン♪やりましたわ!!」

 

「ああ~!!悔しい~!!あそこはやっぱり縮小化を使って…いや、液状化でもいいか?それで脱出して反撃を…

 

負けた美歌は少し悔しがるが、思考を切り替えて反省を始める。

 

「ほら、考え事でしたら皆さんの所に戻ってからにしましょう?」

 

「……それもそうね」

 

そこに変身を解いたダイヤ(D)に言われ、2人が観客席に戻ると…

 

「あ、美歌お帰り~」

 

「ただいま…………ところで、その口の周りについてるケーキのカスは何なの?」

 

出迎えに来た千歌の口に、ケーキのカスが残ってるのを見つけてしまった。

 

「あ、ヤバ……」

 

「それって私達の分は?」

 

「………………………………………………さあ~て!!私の出番に備えて、体動かそうかな!!じゃあね~!!」

 

「逃がすか!!」

 

「ウゴブッ!?アガガガガガガガガ…!!」

 

「やっぱり私達の分まで食べたわね~!!」

 

すぐさま逃げようとした千歌に、美歌がドロップキックを決めコブラツイストをお見舞いしている間に、ダイヤ(D)はその場を離れ…

 

「さぁ~て……皆さんにはお仕置きが必要ですわネ♥️」

 

額に青筋を浮かべながら、全員が集まっている場所へと向かった。

 

その後、皆がいた場所に大量のアームズウェポンが突き刺さっていたのは余談である。




いかがでしたか?

更新が1ヶ月開いてスンマセンorz

スランプと仕事が忙しいので、なかなか進められず……言い訳でしかないですけど…頑張りますので、これからも応援お願いします。


次回は2組分やろうと思っています。組み合わせはお楽しみに。


それと、追加キャラのアンケートを活動報告でやっているので、良ければそちらにも奮って参加してください。


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Secondコラボ SIX

花「マルの神器によると、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】…彼には喧嘩の王にして人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待っていた」

花(D)「こっちのマルは何を言ってるズラ?」

花「これがマルなりの前説ズラ!!」

花(D)「いや、前説というのはグッダグダな感じで、ダラダラとお喋りするんじゃないズラか?」

花「それが意外と好評で、他のコラボ先でも使ってもらえてるズラよ?まだこっちでは言っていない祝え!!も含めて…」

花(D)「つまりこの世界のマルは、後に一誠君を裏切るズラか!?」

花「しないズラ!!そもそも、誰がそのリーダー役を…」

ル「貴方達の【平成】って……醜くない?」

花&花(D)「「ずらぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」


ダイヤ(D)のゲート・オブ・フルーツアームズ事件(笑)から30分…彼女と美歌からのお説教が終わった後、フィールドに出てきたのはお互いにドライバーを装着した鞠莉とルビィ(D)だ。

 

「よぉ~し!!ド派手に走るわよ!!」『雷走ライトニング!!』

 

「すごいやる気だね。ルビィ達はどうしようか、ベルトさん?」

 

『確か彼女はスピード特化のライダーだったはず…なら、ここはフォーミュラでいこう』

 

「わかった!!」

 

鞠莉はガシャットギアデュアルΔⅡを起動し、ルビィ(D)はドライバーのエンジンキーを模した部分【イグニッションキー】を捻り、青いF-1ミニカー【シフトフォーミュラ】を手に取り、後部を180度回してレバーに変えて左腕のブレスレット【シフトブレス】に装填する。

 

『デュアルガシャット!!』

 

「GEAR HUNDRED!!」

 

「「変身ッ!!」」

 

『ガッチャーン!!デュアルアップ!!雷光!!雷鳴!!雷轟!!雷神!!雷走ライトニング!!』

 

『DRIVE!! Type-FORMULA!!』

 

鞠莉は仮面ライダーレーザー・ライトニングゲーマーに、ルビィ(D)はF-1カーを模したボディの【仮面ライダードライブ・タイプフォーミュラ】に変身する。

 

「電光雷轟…darkを討つ!!」

 

「鞠莉ちゃん…ひとっ走り付き合ってよ!!」

 

そして2人の姿が見えなくなる。2人が周りの動体視力を越える速度で動いているからだ。しかし、それはほんの一瞬ですぐにドライブが吹き飛ばされる。

 

「ピギィッ!?な、何が起きたの…?」

 

『いや、私にも何がなにやら…!!ただ、相手に攻撃されたのは確かだ!!』

 

立ち上がりながら事態を把握するドライブ。ベルトさんの言うとおり、2人が激突した時にレーザーが雷速で殴りまくったのだ。それが理解できていても、対処できるかは別問題だ。今も立ち上がった瞬間、ドライブの視界が真横に変わった。

 

「……え?(ズドォン!!)ピギュッ!?」

 

それを頭が認識するよりも前に、再度の衝撃がドライブを襲い、後ろに吹き飛んで壁にぶつかった。

 

「かはッ!?何がどうなって…」

 

「答えはEasy…貴女が私の足払いで浮いたところを、連続でパンチしただけよ♪」

 

壁にもたれ掛かるドライブの前にレーザーが現れる。

 

「どうかしら?私のスピードの味は?」

 

「これが本当の雷速…!!」

 

「Yes!!これが私が考えて至った、レベル100のBest Answerよ♪」

 

そう言って、アチョーと叫びながらカンフーのそれっぽい構えを取るレーザー。だが、その姿からはとてつもない自信に溢れていた。

 

「前回のカブトとのスピード勝負に負けてから、どうすれば強くなれるのか色々考えて考えて…最後に思いつくのはやっぱりスピードを活かす事……だったら、初手から相手に何もさせない程の速さと手数で仕留めようと思ったのよ」

 

「でも、この至近距離なら…!!」

 

喋っている間に立ち上がったドライブは、自身の最速で拳を振るう。互いの距離は1mも離れておらず、タイプフォーミュラの速度で放たれれば、時間にしても1秒に満たない。それは見事にレーザーの顔に当たり、()()()()()

 

「へ…?」

 

それに間の抜けた声を口にしたと同時に、腕を引っ張られる感覚と視界が上下反転する。その反転した視界に写ったのは、何かを投げ飛ばした様な体勢のレーザーだった。それで彼女は何が起きたのか理解する。自分のパンチは避けられ、その腕を使って投げ飛ばされたのだと。その思考の最中にレーザーは近くのエナジーアイテムを手にする。

 

『伸縮化!!』

 

「伸縮化?鞠莉さんが使うのは珍しいね…」

 

「こっちのワタシは使った事無いの?」

 

「いえ、でも自ら取りに行くのはあんまり…」

 

そう話す梨子と鞠莉(D)。次の瞬間、複数の打撃音が響き、ドライブの体が吹き飛ぶ。

 

「えッ!?何が起きたの!?」

 

突然の事に驚く花陽。実際、ドライブが吹き飛ぶ時にレーザーは腰だめに構えているだけで、微動だにしていない様に見える。しかし、千歌だけは何が起きたのかを捉えていた。

 

「レーザーが伸びる腕を使って、雷速で連続で殴ったんだよ」

 

彼女の言う通り、レーザーは伸縮化の能力で腕を雷速で何度も伸ばし、ドライブを殴りまくったのだ。

 

「某有名漫画のパクりじゃない?」

 

「パクりですね」

 

「パクりやね」

 

「パ、パクるのは良くないと思うよ?」

 

その攻撃の元ネタを知っているμ`sのメンバーが呟くが、そんなの知った事かと言わんばかりにレーザーがドライブの前に雷速で移動する。しかし、両手だけは一瞬前までいた場所にあり、その間を伸びた腕が繋いでいる。

 

「Smash!!」

 

「カハッ!?」

 

そして掛け声と共に伸ばした腕を雷速で戻しなから前に突き出し、両手の掌底をドライブの腹に叩き込んだ。

 

「今度はバズーカの方ね」

 

「パクり云々はともかくとして……速さを使った一撃は、確かに驚異ですね」

 

海未はレーザーの攻撃に感心する。

 

よくゲームでは、スピードタイプは先制攻撃が出来たり回避力が高いメリットがあるも、代わりに攻撃力と防御力が低いというデメリットがあるパターンが多いが、現実でそれは当てはまらない。実際は速さを伴った攻撃には、速度に応じた重さが加わる。車の衝突事故の映像などを見れば解るが、速度が速い状態でぶつかる方が、車体の損傷が激しくなっている。この事から、速い攻撃は高い攻撃力と変換できるのだ。そしてレーザーの速度は雷速……秒速約150kmを誇る。そこから生み出される破壊力は常識を遥かに越えたものであると言える。

 

そんな攻撃を何発も受けたドライブは、既に満身創痍の状態だ。何とか立ち上がるも、まっすぐ立つことが出来ていない。

 

『無理をするな、ルビィ!!』

 

「だって、ここで頑張らないと……このコラボ先でのルビィの出番、2000文字ちょっとで終わっちゃうもん!!」

 

『気にしていたのはソコかねッ!?』

 

「残念だけど、4000文字もいかせないわ!!」

 

再び攻撃を始めるレーザー。ドライブはそれに耐えながら、液晶パネルのあるリムジンの様な長さのシフトカー【シフトトライドロン】を取り出して起動する。

 

『Fire!! ALL ENGINES!!』

 

それをシフトフォーミュラを外したシフトブレスに装填して起こす。

 

『DRIVE!! type-TRIDORON!!』

 

すると、彼女が持つシフトカー全てがやって来てレーザーの腕を弾き飛ばす。

 

「おっと…!!これは…」

 

そしてドライブの体がトライドロンに似た赤いボディに変わり、左肩にタイヤを装着する。コレがドライブの最強フォームにしてルビィとベルトさんの心と体が1つになった形態…【仮面ライダードライブ・タイプトライドロン】である。そこに続けてドライブはシフトトライドロンのボタンを押す。

 

『カモン!!マンターン!!ジャッキー!!スパーナ!!

 

そしてそれを起こすと左腕に3つのタイヤが嵌まり、左肩のタイヤに集まると、チェッカーフラッグ柄のタイヤに変わった。

 

タイヤカキマゼール!!グランプリ!!

 

「行くよ、ベルトさん!!」

 

『OK!! START Your Engine!!』

 

「姿が変わったとk…ッ!?」

 

準備が終わったドライブはレーザーへと向かって走り出す。最初は余裕そうに構えていたレーザーだったが、それはドライブが最初に駆け出した瞬間に消える。ドライブの速さが格段に上がっていたのだ。自身の雷速にも迫る程に…

 

「く…!?」

 

すぐにその場を離れて回避するが、ドライブがすぐに追いついてきた。

 

これがグランプリタイヤの効果で、ジャッキーとスパーナによって相手と同速になるよう常にコアドライビアをチューンし、マンターンによって常に最速を維持するのだが、これはあくまで【調整】であって【強化】ではない……つまり、速度以外の部分を犠牲にして速度を上げているのだ。

 

その犠牲になったのは攻撃力。これは先程説明した速度は重さに変わる事で、それほど変化しない為である。

 

『だがこの速度…そう長くは体がもたないぞ!!』

 

「それでも…!!」

 

ベルトさんに忠告されつつも走るドライブ。それでもレーザーに完全には追いつけない。

 

「そちらの鞠莉は、何故あんな速度で動き続けていられるのですか?普通なら体が壊れても…」

 

「そりゃ、1万倍の重力の中で1時間も全力疾走してから、その状態のままで筋トレまでやってればね…」

 

海未の質問に呆れた様に返す善子。事実、彼女は今まで1万倍の重力の中でランニング程度だったのを全力疾走に切り替え、そこから筋トレまで行う様になった。元々のトレーニングで雷走ライトニングの力を【充分】に引き出せていたが【十全】ではないと思っていたところに、先のカブトとの勝負での敗北……それも自身が1番と自負している速度で負けたのだ。そこから更に強くなるため、彼女は特訓量を増やしたのだ。

 

その結果…

 

「トラ○ザム!!」

 

「ピギィッ!?回り込まれ…ピギュッ!?」

 

更に小回りが効くようになって、超短距離の雷速移動も可能となった。それによってドライブの攻撃が当たる瞬間に最小限の動きで避けつつ右側に回り込んで、呼び出した弓モードのガシャコンスパローを押し当て、ゼロ距離で撃ちまくった。

 

「今度はどこぞのマイスターになったよ?」

 

「残り1秒のト○ンザムって、ロマンだよな!!」

 

「しかも、動きまで完コピしてますわね…」

 

果南とパラド、ダイヤがその動きに呆れたり興奮しているとレーザーがベルトのレバーを閉じ、それを見たドライブもブレスのボタンを押す。

 

『ガッチョーン、スゴワザ!!』

 

『ヒッサーツ!!』

 

そして同時に必殺技を発動する。

 

『ガッチャーン!! RAISOU!! CRITICAL STRIKE!!』

 

RAISOU!!

CRITICAL STRIKE!!

 

『FULL THROTTLE!! TRIDORON!!』

 

お互いに最速で近づき、飛び蹴りをぶつけ合う。その瞬間、周囲に衝撃波が走る。

 

「「ヤアァァァァァァァァァァァァァッ!!」」

 

気合いを込める為に叫ぶ2人。その数秒後に激突地点で爆発が起き、煙が晴れるとそこには…

 

「イッタタ……だけどI`m Winner!!」

 

「ピギュ~…」

 

片足を引き摺りながらも立っているレーザーと、変身が解除されて目を回しているルビィ(D)がいた。

 

『ドライブの変身解除を確認。よって勝者レーザー』

 

そこまで聞いてから、善子は怪我をした2人を観客席に転移させ回復魔法をかけ、次の組み合わせは梨子と花丸(D)との勝負になった。2人は向かい合うと、腰にベルトを装着する。

 

「すみませんが、最初から全力で行かせて貰います」

 

『Bang Bang FORTRESS!!』

 

「だったらマルも本気で行くズラ!!」

 

『COSMIC!!』

 

「第佰戦術…」

 

『3…2…1…』

 

「「変身ッ!!」」

 

『ドドンバン‼ズンドカン‼(wow!!)バンバンフォートレス‼』

 

『~♪コ・ズ・ミッ・ク・オン♪』

 

梨子はスナイプ・フォートレスゲーマーに、花丸(D)は宇宙のパワーを秘めたアイテム『アストロスイッチ』で変身する仮面ライダー『仮面ライダーフォーゼ・コズミックステイツ』になった。

 

「宇宙…キタズラーーーーーーーッ!!」

 

「「「「「なんじゃそれ?」」」」」

 

『それでは試合開始です』

 

アナウンスがなったと同時に攻め始めるスナイプ。全身のハッチからミサイルを一斉にフォーゼ目掛けて放つ。そんな中でもフォーゼは慌てず…

 

「それなら、この組み合わせズラ!!」

 

『シールド・オン♪』『ホイール・オン♪』

 

左腕にシャトル型のシールドを、左足には片足乗りのセグウェイみたいな物が装備され、高速で動き回りながら回避し、時に防ぎながらスナイプへと迫っていく。

 

「近づかれるのは…!!」

 

接近戦は得意ではないスナイプは、距離を取る為にホバー移動するが…

 

「逃がさないズラ!!」

 

『ランチャー・オン♪』『FREEZE』

 

右足に装備したモジュールからミサイルを放ってきたのだ。

 

「その程度…!!」

 

それを両手のハイブリッドキャノンで撃ち落とすが、破壊したミサイルから氷の礫が降り注ぎ、そのせいで速度をすぐに上げられず、フォーゼに追いつかれてしまう。

 

「しま…!?」

 

「テヤァ!!」

 

フォーゼが右手に持つ大剣【バリズンソード】が振り下ろされる。それを両手の銃でなんとか受け止めた。

 

「私が簡単に接近を許すなんて…!!」

 

「ここからがマルのターンズラよ!!」

 

『FIRE!!』

 

フォーゼは胸にあるパネル【スイッチングラング】の10番を押すと、赤いスイッチが左手に現れ、それを剣のスロットに装填する。

 

『FIRE~♪』『ファイヤ~・オン♪』

 

ベルトとは違うコーラス調の音声の後、刀身を炎が覆い、ハイブリッドキャノンを切り裂いた。

 

「くぅ…!?よくも!!」

 

爆散するそれを見て、悔しがりつつも何とか下がる事に成功したスナイプは、背部のリングパーツ下部にあるハイブリッドキャノン2つをパージして両手に再び持つ。だが、その前にフォーゼの準備は終わっていた。

 

『ガトリング・オン♪』『DRILL』

 

「行くズラ~!!」

 

左足に装備されたガトリングモジュールから、弾丸を撃ちまくりスナイプに当たるも、その装甲に火花を散らすだけ。

 

「その位なら……(ドォン!!)キャアッ!?」

 

この隙に反撃しようと思ったスナイプだったが、装甲のあちこちで急に爆発が発生して体勢を崩してしまう。その爆発した場所を見れば、少し小さな穴が何ヵ所も空いていて、中にはミサイルがある部分にも空いており先の爆発はそれが誘爆したものだった。

 

「そんな…!!ガトリングガン程度の弾で、装甲が抜けるなんて…!?」

 

「フッフッフッ…今のガトリングの弾丸には、ドリルの掘削効果もプラスしてあったズラ♪」

 

「それって……Dー○3削岩弾ッ!?」

 

「「「「「おい、伏せ字の位置」」」」」

 

「まだまだいくズラよ~!!」

 

再び放たれる削岩弾の雨に、何とか回避するが右手に持つハイブリッドキャノンを破壊される。

 

「それでもッ!!」

 

そんな中で距離を離せたスナイプは残ったハッチからミサイルを一斉に放つ。その数は3分の1にまで減っていたが、軌道パターンをマニュアル設定し、1発が撃ち落とされても誘爆しないギリギリの距離感で迫っていく。

 

「それなら今度はコレズラ!!」

 

『ジャイアントフット・オン♪』『FREEZE』

 

「ほいっ」

 

右足に大きな靴のようなモジュールを装備し、地面を思いきり踏みつけると上空に巨大な氷の靴が現れ、地面へとミサイルを巻き込みながら落ちて全て撃墜される。

 

「そんな…!?」

 

『ハンド・オン♪』『GIANT FOOT』

 

「そりゃ♪」

 

「キャアッ!!」

 

その対処に驚いて動きが止まるスナイプ。その間に別のスイッチを起動して、右足に人間の手をしたマニピュレータを装備、それを右から左に思いきり振るうと、スナイプの横に手の幻影が現れてそれに叩き飛ばされる。

 

「向こうのマル……スゴすぎズラ…」

 

「1人ビックリ箱だな」

 

「「「「「うんうん」」」」」

 

そんな光景に唖然としている花丸と、簡単に例える一誠と納得する果南達だった。

 

今の一撃で歪んでしまった背部のリングパーツをパージしたスナイプは、左手に持っていたハイブリッドキャノンをフォーゼ目掛けて投げつけ、リングに残っていた残りのハイブリッドキャノン2つを持つと、すぐに撃って投げたキャノンを破壊する。

 

「ッ!?…煙幕ズラか…」

 

視界が塞がれて周囲を警戒するフォーゼ。どこから砲撃が来ても対処できる様に構えていると、正面の煙から()()()()()()()()()()()()

 

「え…?」

 

「てりゃッ!!」

 

「ズラッ!?」

 

そして両手のハイブリッドキャノンを振りかぶり、フォーゼの顔を思いきり叩きつけた。

 

「イタタ……まさか近接戦をしてくるなんて…」

 

「勝負はまだ……終わってませんから…」

 

そう言うスナイプだが、武装の半数以上を失っている状況で簡単に勝てるとは思ってはいない。それでも、負けたくないと果敢に攻める。

 

出力を絞って連射能力を上げたハイブリッドキャノンを使い、至近距離で撃ったりそのまま殴りつけたりするスナイプに、フォーゼも右手の大剣で捌き反撃する。

 

『パラシュート・オン♪』『HAMMER』

 

そして一瞬の隙をついて、左腕に新たなモジュールを出してそれをスナイプに向ける。するとそのモジュールからハンマーが飛び出し、思わぬ攻撃に驚いたスナイプに直撃する。

 

「うあッ!?」

 

「今の内に…!!」

 

『CROW~♪』『クロ~・オン~♪』『ELEK』

 

『チェーンソー・オン♪』『PEN』

 

『ホイール・オン♪』『SPIKE』

 

『ジャイロ・オン♪』『SCISSORS』

 

その隙にフォーゼはスイッチを起動して、右足にチェーンソー、左足にはスパイクタイヤになったホイール、左腕には刃になったプロペラを装備する。まさに近接特化の形態だ。そして右手の大剣を振るうと刀身に3又の鉤爪状のエネルギーに電撃を纏い、スナイプの装甲を削る。

 

「くぅ…!?それくらいで!!」

 

だがスナイプも怯まず、右手の銃でフォーゼを殴ってから左の銃で乱れ撃つ。

 

「ズラッ!?こんの…!!」

 

フォーゼはそれを左腕のプロペラで弾きながら近づき、刃になったプロペラの羽でまるで丸鋸の様にしてスナイプを切り裂く。

 

「うく…!!」

 

そこに続けて左足のスパイクタイヤを使い、スナイプの装甲を抉り散らしていく。

 

「カハッ!?……だからって!!」

 

仰け反りながらも銃で殴りかかるスナイプ。フォーゼは右足のチェーンソーで切り裂こうとするが、それに気づいたスナイプは動きを一旦止めて空振りさせた。

 

「ズラッ!?」

 

「もら(ジャギィィン!!)……え?」

 

その隙を逃すまいと振るわれた両手のハイブリッドキャノンだったが、それは突如として何もない空間で両断された。

 

「そんな……何が起きて……」

 

「マルがこのモジュールに付加したのはペンのモジュール……ペンモジュールは振った軌道に墨の線を残せるズラ。それは空中でも同じ…」

 

「まさか……その力で()()()()()()()()()()()()()()()()()っていうの!?」

 

そう、彼女はその能力を使い某整合騎士長の剣の様な事をやってのけたのだ。更にこの攻撃で彼女は、フォートレスゲーマーの持つ武装の殆どを失くしてしまった。

 

「これでマルの勝ちズラね?」

 

「…………まだです…」

 

「ズラ?」

 

勝ちを確信したフォーゼだったが、スナイプは立ち上がると武器アイコンを出して二丁のガシャコンマグナムを取り出す。

 

「まだ、終わってません!!」

 

そう言って銃をフォーゼに向けて構える。

 

「…だったらやるズラよ!!」

 

『エアロ・オン♪』『GATLING』

 

フォーゼが新たに左足に装備したのはエアロモジュール。そこにガトリングスイッチの能力をプラスすることで、4つの噴射口をガトリングの砲身に変え撃ち出した。

 

それをスナイプはマグナムのBボタンを叩き……

 

「乱れ撃つッ!!」

 

高速連射で全弾を撃ち落とした。

 

「なんとッ!?」

 

「これでェェェェェェェェェェェェェェッ!!(ボンッ)うあッ!?」

 

叫びながら飛び出すスナイプ。そのまま撃ちまくり、フォーゼのガトリング弾を相殺しながら突き進むが、途中で足のスラスターが壊れ、転倒してしまう。

 

『COSMIC!! LIMIT BREAK!!』

 

「これで本当にマルの勝ち……ズラね?」

 

そこにフォーゼがバリズンソードにコズミックスイッチを入れ、必殺技をいつでも発動できるようにして、スナイプの顔前に寄せた。転倒した拍子にマグナムは手離してしまい、もう彼女に戦う術はなかった…

 

「はい……私の負けです…」

 

『スナイプ戦闘続行不能。よって勝者、フォーゼ』

 

戦闘終了のアナウンスがながれ、変身を解除をした2人が戻ってくると、梨子はすぐにヴァーリの元にやってくる。

 

「ごめん、負けちゃった…」

 

「別にそこまで気にする事じゃないさ。むしろ、良くやった」

 

謝る梨子にヴァーリはそう言って、彼女の頭を撫でた。

 

「ふぁッ!?」

 

「流石は俺の女王(クイーン)だな」

 

「はわわ…!!う、うん…!!」

 

思わぬ出来事に顔を真っ赤にして俯く梨子。そんな梨子を可愛いと思いつつ…

 

(今の模擬戦で梨子の射撃センスは、昔よりかなり上がっていたな…それに、狙撃だけじゃなく速射の才能まで目覚めてるとは……コレはフォートレスゲーマの武装を見直してみるか?大規模攻撃なら善子のバ火力で充分だし…いや、いっそのこと其々の形態に変えられる様にするか。その方が、いろんな状況に対応できるだろうし…)

 

梨子の能力に合わせた、スナイプの強化案を考えていた。




いかがでしたか?

またもや1ヶ月近く空いてしまった…年内にはもう1話上げられる様に頑張らなくては…!!

それと海神アグル様、色々と勝手に能力作ってスミマセンでしたァァァァァァァァァッ!!(スライディング土下座)


次回【Secondコラボ SEVEN】

「なら、あの女に見せつけてあげましょう?最強の……悪魔祓い(エクソシスト)ってやつをッ!!」


では、次回でお会いしましょう


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Secondコラボ SEVEN

小「今回は私、塔城小猫と…」

ル「る…ルビィがお送りします……」

小「あの……そんなに怯えなくても、何もしませんよ?」

ル「ち、違うのッ!?ただ、ルビィは人見知りだから……」

小「ああ、ギャー君と同じなんですね」

ル「ギャー君って……ギャスパー君の事?」

小「はい…………そんな2人が1つの部屋に一緒にいたら、どうなるんでしょう?」

ル「え?……ど、どうなるんだろう…?」

小「という訳で、呼んでおきました」

ギャ「小猫ちゃん、ボ、ボクに何の用ですか…?」

小「じゃ、私はこれで…」(転移で消える)

2人「「ええッ!?ちょっと待って~!!」」

ル「………………」

ギャ「……………」

2人(どうしよう……話しかけ方がわからない!!)



その後、無言の時間はダイヤが呼びに来るまでの二時間にも及んだ……


前回の模擬戦後、ヴァーリがフォートレスゲーマの修理兼改修を始めてしまったので、次は千歌ーズと梨子(D)とのエグゼイド対決になった。

 

「それじゃやろっか、美歌♪」

 

『ええ、さっきの屈辱を倍にして返してあげるわ!!』

 

「それ、私じゃないんだけど…」

 

美歌に理不尽に怒りを向けられて嘆く梨子(D)。けれど、気持ちを切り替え、腰にゲーマドライバーを装着する。

 

そして千歌は【マイティシスターズMX】を、梨子(D)は【マイティブラザーズXX】を取り出して起動する。

 

『『マイティシスターズ!!ミラクルエーックス!!』』

 

マイティブラザーズ!!ダブルエーックス!!

 

『『『ダブルガシャット!!』』』

 

それをドライバーに装填すると、お互いにポーズを決めレバーを開いた。

 

「ミ~ラ~ク~ル~大…」

 

「だ~い…」

 

「「変身ッ!!」」

 

『『『ガッチャーン!!ダブルアーップ!!』』』

 

『私が貴女で!!』『アナタがワタシで!!(we`re!!)』『マイティマイティシスターズ!!(Hey!!)ミラクルエーックス!!』

 

『俺がお前で!!』『オマエがオレで!!(we`re!!)』『マイティマイティブラザーズ!!(Hey!!)ダブルエーックス!!』

 

そして千歌ーズは【仮面ライダーエグゼイド・ダブルアクションゲーマーレベル(エックス)】に、梨子(D)は【仮面ライダーエグゼイド・ダブルアクションゲーマーレベルXX(トゥエンティ)】になる。

 

「美歌、調子はどう?」

 

「ええ、さっきの勝負の疲れはもう無いわ」

 

「こっちも準備は万端だよ」

 

「ええ……さぁ!!その身を破壊して、心を蹂躙して、アナタの全てを殲滅してあげるわぁ~♪」

 

「「「「「「「…………はい?」」」」」」」

 

そこに唐突に叫ばれたもう1人の梨子(D)の言葉に、この世界のメンバー全員が呆気にとられた。

 

「えっと…?」

 

「ごめんなさい!!ごめんなさい!!もう1人の私は、破壊衝動マシマシな性格で…!!」

 

「いや、どう見てもヤバすぎでしょ……」

 

そんなもう1人の梨子(D)《以降梨子ワースト(Dワ)と呼称》に、美歌は軽く引いていた…

 

『試合開始です』

 

「さあ…殺し合いましょう!!」

 

「殺らせるかってのよ!!」

 

開始の合図と同時に飛び出す梨子(Dワ)。それに対処する為に美歌も飛び出した。

 

『『ガシャコンキースラッシャー!!』』

 

互いが自身の間合いに入ると、すぐにキースラッシャーを取り出し斬り結ぶ。一歩も譲らぬその戦いに、梨子(D)が飛び込んでいこうとするが、それを千歌がマグナムの銃撃で妨げる。

 

「ととっ……そういえば、他の武器も使えるんだったね?」

 

「うん。だから、こっちも始めよう!!」

 

そして残った梨子(D)と千歌も、戦闘を始めた。

 

 

 

 

美歌side

 

「アハハハハハハハハッ!!楽しいわねぇ~、殺し合いっていうのは♪」

 

「んな訳無いでしょ!!」

 

この梨子(Dワ)、本当に厄介だわ……少しでも隙を見せれば、致命傷になりそうな攻撃を狙ってくる…!!だからと言って、こっちも簡単にやられるつもりはない。

 

「……それッ!!」『透明化!!』

 

斬り合いを演じながらも、自分に有利なアイテムがある場所まで移動し、透明化の能力で姿を消して梨子(Dワ)の背後に回り込む。

 

「あら~?何処に行ったのかしら?」

 

(このまま背後から攻め込めば…!!)

 

向こうが気づく前にキースラッシャーを振り上げ、その右肩を斬りつけた……

 

「見ぃ~つけた♪」

 

「ッ!?」

 

その瞬間、その言葉と同時に肩に当たっていた刀身をがっしりと掴まれ、顔をこちらへと振り向けてきた。

 

まさかコイツ…場所を知るためにわざと喰らった!?

 

「こうすれば、何処にいるか丸分かりね♪」

 

「うあッ!?」

 

武器を掴まれているのと、その行動での驚きで動きが止まったワタシの体をキースラッシャーで切り裂き、ワタシの持っていたキースラッシャーまで奪っていった。

 

「さあ……貴女はどんな悲鳴を聞かせてくれるのかしら♪」

 

よろめきから丁度立ち直ったところに、梨子(Dワ)はキースラッシャーの二刀流で容赦なくワタシを攻めたてる。その猛攻に、武器を呼び出す暇もなく、両腕をバツ字にして防ぐのが精一杯だった。

 

「この…………嘗めんなァッ!!」『ガシャコンブレイカー!!』

 

「あら?」

 

それに耐えかねたワタシは力任せにそれを弾き、出来た隙に取り出したガシャコンブレイカーを叩きつけ、その反動を使って距離を離した。

 

「く…!!」

 

「アッハハハハハハハハハハハハ!!そうよ!!もっと抵抗しなさい!!その方が楽しみがいがあるわァ…♪」

 

「狂人が…!!」

 

攻撃によろめくが、それでも梨子(Dワ)は楽しそうに笑う。

 

ワタシも性格的にSだと思ってるけど、さすがにここまで行き着くつもりはない。

 

「千歌の方は…?」

 

視界の端で、千歌の様子を伺ってみると…

 

「テヤアァァァァァァァァァッ!!」

 

「ハアァァァァァァァァァァッ!!」

 

千歌はガシャコンソード、梨子(D)はガシャコンブレイカーで斬り合っているが、若干千歌が押されぎみだった。

 

(反応速度の高い千歌の攻撃を、あれだけ捌けるなんて……確かに千歌は単細胞だけど、あの反応速度からの一撃に対応出来るとなると、相当場慣れしてるわね…)

 

「どこ見てるのかしらァ~♪」

 

「ッ!!チィ…!!」『ガシャコンカリバー!!』

 

千歌の方に気を取られ過ぎたのか、梨子(Dワ)が両手のキースラッシャーを振り下ろしてきたのをブレイカーと新たに呼び出したカリバーで受け止めるけど、その力に押し負けていく。

 

「隙を見せたらダメじゃないの………バラバラにしたくなっちゃうからァァァァァッ!!」

 

「くぅ…!?こっちはレベルXだってのに…!!」

 

コイツ力強すぎないッ!?何なのよホントッ!!

 

このままだと押しきられると判断したワタシは、後ろに跳躍する事でその力を利用しながら距離を離す。それと同時に千歌もワタシの隣に来た。

 

「レベル差が全く意味を成してないわね…」

 

「このままじゃジリ貧だし……ムテキになっちゃおうか?」

 

「それが得策かしらね…早々にケリを着けましょう」

 

「OK!!」『マキシマムマイティエーックス!!』『ハイパームテキ!!』

 

「それなら、こっちも!!」『マキシマムマイティエーックス!!』『ハイパームテキ!!』

 

千歌がガシャットを起動すると、梨子(D)も同じガシャットを起動させ、ワタシと梨子(Dワ)は一度その場から消える。

 

『『マキシマムガシャット!!ガッチャーン!!レベルマァァァックス!!』』

 

「「ハイパー大変身!!」」

 

『『ドッキィーング!!パッカーン!!ムーテーキー!!輝け!!流星の如く!!黄金の最強GAMER!!ハイパームテキ!!エグゼェーイド!!』』

 

「よーし!!ノーコン(はい、ちょっと失礼♪)って美歌!?ちょま…ブギュル!?」

 

そしてムテキゲーマーに変身が終わると同時に、千歌を強引に押し退けて体の主導権を手に入れた。

 

このままやられっぱなしってのは性に合わないのよ!!

 

「さぁーて…汚名返上といきましょうか!!」

 

『ガシャコンガントレット!!』

 

籠手を装着し、撹乱するために細かく粒子移動しながら梨子(D)に殴りかかる…

 

「ゼラァッ!!」

 

「フッ!!…ハアッ!!」

 

「うぐッ!?」

 

けど、それはアッサリ後ろへと捌かれ、更に背中を蹴られて前に倒れた。

 

(この背中の痛み……もしかして、ムテキ同士だと攻撃無効にはならないの!?)

 

ここで弱点が発覚したことに焦るけど、そうそうこんなガシャットがあってたまるもんかって事で落ち着きを取り戻した。でも、すぐにまた慌てる事になった。

 

『分身!!』

 

「アハァ~♪酷いじゃないの梨子~?ワタシが楽しんでたのに~…」

 

「ごめんね?向こうがムテキゲーマーになったら、これしか手段がないから…」

 

「まあいいわ、こうしてムテキゲーマーで出てこれたんだものォ~♪」

 

まさか、さっきの梨子(Dワ)にこんな最悪な再会までしちゃったんだから…

 

ていうか、ムテキ2人とかなんて無理ゲー?

 

「ああ、それとこれ……あげるわ」

 

「ありがとう♪」

 

そう言って梨子(Dワ)は、ワタシのキースラッシャーを梨子(D)に渡した……って!!それワタシ達のよ!!何勝手にあげてんのッ!!

 

それを使い、梨子(D)がワタシに銃撃してくるので必死に回避する。

 

(く…!!どうする?この場をどうやって切り抜け…)

 

「隙ありよォ~!!」

 

「しま…!!ガハァッ!!」

 

その間に打開策を考えていたら、梨子(Dワ)が近くにきているのを見逃し、斬撃をまともに喰らってしまった。

 

「そこねッ!!」

 

「ぐぅ…!!」

 

それで体勢を崩され、そこを梨子(D)に追撃されて立て直す事もできなくなる…

 

「まずは1回よ♪」

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

HYPER!!

CRITICAL SPARKING!!

 

そして梨子(Dワ)が必殺技を発動して、エネルギーを集束したパンチをワタシの鳩尾に抉り込ませた。

 

「ゴハァッ!?」

 

更に多段ヒット機能で、約10回の攻撃を喰らわされ、その場に跪いた…

 

これは完璧に計算外だったわ…まさかムテキゲーマーを2体も相手取る事になるなんて……

 

「ちょっと!!何でトドメを刺さなかったの!」

 

「だって簡単に終わらせたらつまらないじゃない。殺るんなら、もっともっといたぶってからじゃないと♪」

 

「そんな余裕が負けを呼び込むの!!」

 

だけど、梨子(D)の言うとおり、変身解除だけは免れていた。どうやら梨子(Dワ)は、ワタシをもう少しいたぶるつもりだったみたいだけど、梨子(D)はそれを許さず、トドメを刺そうとキースラッシャーの切っ先をワタシへと向けようとする。

 

「ちょっと!!それならワタシに殺らせてよ~!!」

 

「ダメよ。どうせ加減して、長々といたぶるつもりなんでしょ?」

 

すると、ワタシの目の前で喧嘩する2人。

 

悪いけど……この隙を逃さない手はない!!

 

『ステージ・セレクト!!』

 

「「あ…」」

 

ワタシはホルダーのボタンを押してステージを瓦礫が散らばっている廃墟街ステージに変更。その瓦礫の内の1つに身を隠した。

 

「しくじったわね…ったく……」

 

全く、自分が不甲斐ないったらありゃしないわ…

 

『美歌!!何でいきなり押し退けたの!?』

 

そんな自分を嘆いていたら、千歌がワタシに話しかけてきた。

 

「……何?今さら変われって言われても嫌だからね?ワタシは勝ちたいの!!どんな手を使ってでもね!!」

 

そう、これはワタシの本心……このまま負けっぱなしなんて、自分で自分を許せない!!

 

『私も勝ちたいよ…』

 

「え?」

 

けれど、そこで思わぬ言葉を耳にした。千歌は模擬戦とかだと、勝利への渇望が低くなる事が多い。でも、今の千歌からは勝ちたい気持ちが、ワタシにも伝わってきた。

 

『今、自分と同じ力を持つ梨子(D)ちゃんに負けたら…私はこの先、あのエボルトみたいなのが来た時に、皆を守る事ができない………私はそんなの、絶対に嫌だ』

 

そして心の中で向かい合うワタシに、千歌は強い思いを宿した目を向け…

 

『これからも皆と笑い合う為にも、私は勝ちたい…だから美歌、私に力を貸して!!』

 

そう言って伸ばされた千歌の手を見て、ワタシは思わず笑ってしまう。

 

全く…相変わらずお人好しが過ぎるんだから……だけど、そんな千歌だからこそ、力になりたくなっちゃうのよね…

 

「ふぅ…そんな風に言われたら、もうワガママ言えないじゃない…」

 

最後にため息を1つ吐いたワタシは、千歌へと手を伸ばし…

 

「なら、あの女に見せつけてあげましょう?最強の……悪魔祓い(エクソシスト)ってやつをッ!!!!」

 

その手をギュッと繋いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、試合を見ている観客席で、真姫は複雑な表情で見ていた。

 

「変ね…」

 

「どうしたの、真姫ちゃん?」

 

そんな真姫の呟きを聞いた花陽が、心配そうに聞いてきた。

 

「前に見たときより、千歌ゼイドの動きが悪いと思ってね…」

 

「千歌ゼイド?……それはいいとして…動きが悪いってどんな感じに?」

 

「本当なら梨子ゼイドを圧倒できるほど、千歌ゼイドの動きはスゴかったのよ。何せ、穂乃果のパイロキネシスを初見で避けちゃったんだから」

 

「え、ええッ!?穂乃果ちゃんのパイロキネシスを初見でッ!?」

 

詳しい話を聞いてなかった花陽は、その事実に驚きの声を上げた。

 

(でも、今はそれほどの動きを見せてないし……どうなってるのかしら?それにあの反応速度と対処速度……普通の人間や悪魔でも出来ない筈…もう一度見れれば、秘密が解るかしら?)

 

そう考えていた時、戦況が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子(D)side

 

「さぁ~て、何処に隠れてるのかしら~?」

 

「あのダメージなら、そう遠くまでは行けないと思うけど…」

 

周囲を注意深く見ながら、私達は瓦礫の中を進んでいく。

 

(でも、聞いてた話より少し拍子抜けかな……穂乃果さんと引き分けた程だから警戒してたけど……まあ、ムテキが2人いれば、こんなもの…ううん、もしかしたらさっきまでのは、こっちの動きを観察してただけなのかもしれない…油断しないようにしないと!!)

 

向こうの千歌ちゃんの事を、過小評価しそうになる心を叱りつけ、気を引き締め直したところで、1つの物陰から向こうの千歌ちゃんが飛び出してきた。

 

 

 

―ここから先は、某私設武装組織のBGMを思い浮かべながら読んでみてください by作者

 

 

 

「出てきた!!」

 

「そこねェッ!!」

 

私達は素早くキースラッシャーを向けて発砲する。しかも最初の1発は逃げ道を誘導し、もう1発に当たる様に狙ってだ。

 

(これなら直撃、もしくは防御で動きを止められる。それに転移しても、多少のラグがあるから攻撃が来ても避けられる!!)

 

この時の私はそう思っていたが、その想像が甘過ぎた事をすぐに知る事になった…

 

「直撃コース…」「避けてみせなさいよッ!!」

 

向こうの千歌ちゃんの口から2人分の声が聞こえたと同時に、彼女は()()()使()()()()()()()()()()()()()()

 

「なッ!?」

 

それに一瞬驚くけど、そのまま迫ってくる彼女にすぐに気持ちを落ち着けて銃撃を続ける。だけどその全てが悉く避けられ、その間にエナジーアイテムを取得される。

 

『伸縮化!!』

 

「軸線を合わせて…」「足とッ!!」

 

そのまま私の方へと迫る。

 

(このまま迎撃…ううん、やっぱり回避を…ダメ、間に合わない!?)

 

「「同時攻撃をッ!!」」

 

その対処を考えていた隙に、蹴りを喰らわされた。

 

「くぅ…!?」

 

その場に何とか踏ん張る事で、吹き飛ばされるのは免れた。しかし、彼女の攻撃はまだ終わらなかった。

 

「「ヤアァァァァァァァァァァァァァッ!!」」

 

「え…ッ!?」

 

蹴りと同時に伸ばしていたのか、長くなった左腕を全力で振るってきた。その先に持っているものをよく見ると、それは私の分身だった。

 

「ひゃあぁぁぁぁぁぁ~!!」

 

「ええッ!?ちょっと待っ…ガハァッ!!」

 

あまりの攻撃に動きが遅れ、それをモロに叩きつけられる。すぐに持ち直した分身が銃撃を行うが、最初の1発は左の裏拳で弾かれ、残りはバク転しながら後退しつつ回避された。

 

「く…動きがさっきまでと違う…!?」

 

「面白くなってきたじゃないのォ!!」

 

その動きに私は驚き、分身の方は楽しそうに叫ぶ。

 

(もしかしてこれが、穂乃果さんと互角に戦えた理由!?)

 

やっと彼女の強さを理解したと同時に、再び私へと迫ってきた。

 

「さっきまでの様にはいかないわッ!!」

 

「そうでしょ、美歌ァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌&美歌side

 

「先ずは、それを返してもらうわよ!!」

 

私達は梨子(Dワ)に近づき、お腹にボディーブローを叩き込んで前のめりになった瞬間に、奪われていたキースラッシャーを取り戻す。

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

「「ハアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」」

 

HYPER!!

CRITICAL SPARKING!!

 

そして必殺技を発動させ、分身を真っ二つに切り裂いて消滅させる。

 

「分身がッ!?このォッ!!」

 

それを見た梨子(D)が攻撃してくるけど、私達はそれを見ずに回避していく。

 

「この程度!!」「余裕だもんね♪」

 

そうやって避けつつ、見つけた1つの瓦礫の物陰に隠れる。

 

「隠れたくらいで!!」

 

その瓦礫はアッサリと壊されるけど、もう私達はそこにはいない。あれからすぐに転移で彼女の背後に移動し、キースラッシャーを振り下ろす。

 

「はッ!?」

 

でも、すんでのところで気づいた梨子(D)に防がれ、そのままつばぜり合いになる。

 

「何で……私も同じムテキなのに!!」

 

そう叫ぶ梨子(D)に、私達は内心で笑う。

 

(まだ気づいてないみたい♪)(それじゃ、事実を突きつけてあげましょう♪)

 

「分かってないわね、梨子ォ~♪」

 

ねっとりとした喋り方で話す美歌に、私は心で爆笑しつつ剣の隙間から梨子(D)の方を見る。

 

「アンタは完璧なムテキなんかじゃないわァ!!」

 

「なんですって…!?」

 

「【ハイパームテキ】で手に入れた超性能………けどアンタは、それを十全に使いこなすのに反射が追いついてないのよォッ!!」

 

その言葉に合わせて、キースラッシャーに力を更に込めて押し込んでいく。美歌の言葉の通り、さっき蹴りを入れる時に回避する余裕はあった筈なのにそれをしなかったのは、頭で考えすぎて動きが疎かになっていた証拠だ。

 

「古くさいパソコンみたいに、処理速度がガタ落ちしてんのよォ♪」

 

「ッ!!そんな事…!!」

 

その言葉が頭にキたのか、キースラッシャーの先端をこっちに向けて撃ってくるけど、そんなのはお見通しで千歌がすぐに回避してくれた。

 

「あれ…?」

 

発砲時のマズルフラッシュで私達を見失ったのか、キョロキョロする梨子(D)に笑いつつ、声を掛ける。

 

「だから動きも読まれる」

 

「ッ!?上…!!」

 

見上げる梨子(D)に、瓦礫に足を引っ掻けてぶら下がっていた私達は、そこから飛び退き……

 

「「【反射と思考の融合】……それが最強悪魔祓い(エクソシスト)の…私達のムテキの力だッ!!!!」」

 

今まで使わなかった、最大の切り札を発動させて体の金色を更に輝かせる。

 

「あの輝きは……まさか例の!?」

 

これが何なのか知っている梨子(D)は声を上げる。これは【スパーキングリッター】と呼ばれる発光強化粒子で、全身に纏わせることで全ての性能を2倍に引き上げてくれる……まさしく、ライダー版トランザムね。

 

「それくらいでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

梨子(D)の銃撃を上がった出力と無限ジャンプ機能で空中を縦横無尽に跳び回りながら攻撃を回避しつつ、梨子(D)に接近しキースラッシャーを弾き飛ばす。

 

「しま…!?」

 

それに気が向いている間に、左膝に蹴りを入れて姿勢を崩れさせる。

 

「うあ…!?」

 

そして一気にトドメを刺すべく、必殺技を発動させる。

 

『キメワザ!! HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

HYPER!!

CRITICAL SPARKING!!

 

「さよならよ…梨子ォッ!!」

 

そのエネルギーを左手に集め、動けない梨子(D)の胸に全力のパンチをお見舞いし、多段ヒット機能を発動。変身解除するまで攻撃を浴びせた。

 

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

最後に爆発が起き、煙が晴れるとそこには倒れて気絶している梨子(D)がいた。

 

『梨子ゼイドの変身解除を確認。よって勝者、千歌ゼイド』

 

「「やったァァァァ………ていうか千歌ゼイドって何ッ!?」」

 

折角の勝利の余韻をぶち壊さないでよッ!!

 

何はともあれ、この試合は私達姉妹の勝利で終わった。




いかがでしたか?

何とか今年中に間に合った……それもこれも、プリコネとシンフォギアxdにハマっている私が悪い…

今回の戦闘シーン、知っている人はすぐ解ると思います。

次回はヴァーリVS曜(D)になります。

そしてこれがたぶん、今年最後の更新になります。

では、また次回でお会いしましょう。


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特別編 大晦日だよ!!幻夢RADIO!!

千「今回は大晦日という事で特別編だよ♪」

美「今、コラボ中だってのに…大丈夫なの?」

千「細かいことは気にしないの!!」

美「細かい気はしないけど……」

千「今回は地の文無し、メタ増しでお送りします」

2人「「それじゃどうぞ♪」」


―オープニング【青空Jumping Heart】―

 

 

千「はい、ついに始まりました幻夢RADIO!!パーソナリティーは私、高海千歌と…」

 

美「高海美歌でお送りするわ……って、何でこんなのが突然始まってるのよ?」

 

千「作者がスランプ脱出の手がかりにならないかな~……って理由みたい」

 

美「どんだけスランプ続くのよ……もう一年くらい経ってない?」

 

千「という訳で、早速始めよう♪」

 

美「仕方ないわね……やってあげるわ」

 

千「今回は色んな質問に、作者が答えてくれる企画になっています」

 

美「若干のネタバレも含まれるから、そこは注意しときなさい」

 

千「先ずはR,N【俺が主役だ!!】さんからです。え~と……(グシャグシャ、ポーイ)はい、次のお便りにいってみよー♪」

 

美「待ちなさい、何勝手にお便り捨ててんのよ。しっかりパーソナリティー勤めなさい」

 

千「え~…だって読むのも嫌っていうか…」

 

美「何が書いてあったのよ(ガサガサ)…何々…『何時になったら俺が活躍して女の子にモテモテハーレムを作る話を書くんだよ!!』……(グシャグシャ、ポーイ)確かに読む価値も無かったわね」

 

千「本当だよ……あ、作者からメッセージが来た」

 

美「まさかあんな質問にも答える気なのかしら?」

 

千「え~と………『何時から私が、そんな話を書くと錯覚していた?』…だそうです」

 

美「多作ネタじゃない…まぁ、書く必要性を感じないから、未来永劫ないでしょ」

 

千「だね♪え~と次はR,N【真の主役】さんからです……(グシャグシャ、ポーイ)はい、次のお便りにいってみよー♪」

 

美「また?今度は誰なのよ…」

 

千「さっきが赤なら、今度は白」

 

美「OK把握」

 

千「え~、次のお便りはR,N【ウォズ丸】さんからです。ウォズ丸さん、ありがとー♪」

 

美「たぶん、視聴者っていうか読者?の人達は、送り主が誰かもう解ってるわね…」

 

千「質問は『もう、フォームチェンジは増えないズラか?』…だって!!」

 

美「個人特定しやすい文章ね……でも、それは確かに気になるわ」

 

千「あ、作者から返信が来ました。え~『今のところ、ヴァーリとその眷属は、ヴァーリには新たなフォームが1つ、他はフォームチェンジみたいな新しい武装を考案中』だそうです」

 

美「へぇ~、新武装とか面白いじゃない。どんなのかしら?」

 

千「それについてはヒントだけ載ってるよ。…………ええ~…」

 

美「何を嫌がってるの?え~と何々……【ヒントは天使】?」

 

千「それって熾天使達の力とかなのかな~…?」

 

美「それで天使陣営が来たなら、キースラッシャーで心臓貫いてから、両手にガントレット着けて脳ミソ抉り出してやるわ」

 

千「わーいバイオレンス~…」

 

美「天界潰す慈悲はやらん」

 

千「でも、ヴァーリ君なら変な物は作らないと思うよ?」

 

美「そうね。ヴァーリならワタシ達の嫌がる事はしないだろうし。他には書いてないの?」

 

千「まだあるよ。『グレモリー達はリアスが3、裕斗と小猫が1つフォームチェンジを予定していて、ゼノヴィアは最大4つ、一誠にも1つ予定している』…だって」

 

美「なんか……向こうが優遇されてない?」

 

千「でも、出番は向こうが圧倒的に少ないんだから、別に良いんじゃない?」

 

美「それもそうね。それと姫島は泣いていい」

 

 

 

 

千「では質問にも答えたところで、次のお便りいってみよー♪美歌、お願い」

 

美「はいはい……え~R,N【神器大好き】さんからね。」

 

千「お便りありがとうございまーす♪」

 

美「質問は…『幻夢コーポレーションにいる神器所有者の禁手はどんなんだ?』ね」

 

千「花丸ちゃんとルビィちゃんとアーシアちゃんの禁手か~、どんなのなんだろうね?」

 

美「それ以前に禁手に至れるかどうかよ……あ、返事が来たわね『今のところ、元の能力の拡張版』だそうよ」

 

千「それって暗に何も考えてない…って言ってない?」

 

美「事実、そうなんでしょうね」

 

千「でも、もし禁手化したらどんな能力なんだろう?」

 

美「取り敢えず、1人はそれで某キャラになりそうだけど…」

 

千「祝えッ!!……的な?」

 

美「そうそれ。まあ、コラボ先でもうなってたけど…」

 

千「あの時の花丸ちゃん、スゴいイキイキしてたね♪」

 

美「それなら兵藤が我が魔王に………って駒王町の不良達の世界では、既に魔王だったわアイツ」

 

千「この小説の初めの頃は、50人の不良相手にノーダメで完勝してたしね」

 

美「あの頃と比べたら、アイツも結構丸くなったわね」

 

千「それはやっぱり、曜ちゃんからの愛だよ♪」

 

美「何でそこで愛なのよ…」

 

 

 

 

 

千「えー、次のお便りに行きたいと思います。R,N【金剛石】さんからです。ありがとー♪」

 

美「ありがとね」

 

千「質問は『他にも新しいライダーは出るんですか?』だって」

 

美「どうなのかしらね…あ、返信来たわ……『味方にも敵にも新しいライダーや怪人が登場します』だそうよ」

 

千「そういえば今、活動報告で新キャラ募集もやってたよね?」

 

美「それが新ライダーになる可能性が高いでしょうね」

 

千「ちなみに募集は次話投稿まで受け付けていますので、どしどし参加してくださいね♪」

 

美「宣伝乙」

 

千「でも、敵にもライダーが出てくるのは穏やかじゃないよ…」

 

美「本編でも、物凄く嫌なベルト開発してたし…」

 

千「あれ量産とか、悪夢以外のなにものでもないよ…」

 

美「おまけに怪人もか……なんか、ヤバい気がする…」

 

千「それ、魔王のセリフ」

 

美「でも、それしか言い様がないじゃない。ウチの作者ってたまにとんでもない事やらかそうとするから…」

 

千「例えば?」

 

美「そうね……今の状況だと…またヤバいゲムデウス進化体を出したり?」

 

千「まっさか~wだって劇場版で既にゲムデウスクロノスとか、それを取り込んだクロノスゲムデウスとか出してるのに、他に作れるほど、作者の頭は良くないよ~www」

 

美「アンタ…意外と毒ぶちまけるのね…」

 

千「ええッ!?私はそんなつもり…あ、作者からメールだ。何々…『フッフッフッフッ……』……えーと、着拒の設定は…」

 

美「このラジオの意味が無くなるから止めなさい。でも、何やら企んではいるみたいね…」

 

千「もぉ~…変な事考えてないといいんだけど…」

 

美「それは作者次第でしょ」

 

 

 

 

 

千「それでは、次のお便りは…R,N【飛び込みプリンセス】さんからです♪」

 

美「ありがとね」

 

千「質問は『マキシマムマイティXのリ・プロプラミングが、悪魔に効果があるのは何でですか?』だって」

 

美「これは感想にも何回か質問があったわね。」

 

千「でも、結構前だったから探すの大変だし…ここで説明した方が楽だね…あ、返事来た。『では、以前の感想をコピペして送ります。

 

それならサイラオーグとリアスで例えると解りやすいと思います。

 

サイラオーグは本来バアル家が持つ滅びの魔力が無く、逆にリアスにはグレモリー家に無い滅びの魔力を母親から受け継いでいます。

 

つまり、悪魔が持つ特殊な能力は遺伝子に関係してるといえます。

 

なら、本来の悪魔というのはどういうのか?そこで私は悪魔というのは本来【身体能力が高く蝙蝠の様な羽と魔力を持っただけの存在】ではないのかと勝手に推察しました。

 

そこに魔力という物の影響で遺伝子に異変が起き、それが特殊な能力として発現したのではないかと。

 

ならばリ・プログラミングで魔力によって影響を受けた遺伝子を本来の状態に初期化する事も可能ではないかと邪推した結果』だって」

 

美「長い、一行で纏めなさい」

 

千「無茶言わないの。これでも作者なりに纏めたそうだし…」

 

美「ま、医学生とか専門の人が見たら穴だらけの理論だろうけど…」

 

千「そんな知識皆無の作者に期待しても無駄だってば~www」

 

美(この子……無自覚に作者の心を抉ってる…!!)

 

作『……泣いていい?』

 

 

 

 

千「えー、そろそろ時間もなくなってきたので、最後のお便りで。R,N【ママファイト】さんから…」

 

グ「今,ママファイトとか言った奴は誰だァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

美「ちょッ!?いきなり扉壊して現れて激怒龍牙しないで……キャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」(ゲームオーバー)

 

千「ああッ!?美歌がグラファイトさんの激怒龍牙で吹き飛んだテーブルを顔面に喰らって、椅子ごと倒れたさいに置いてあった棚に後頭部ぶつけて、最後に棚に乗ってたゲーマドライバーが頭に当たって消滅したッ!?」

 

美(テッテレテッテッテッー♪)「フウッ!!……ハァ…バグスターじゃなければ即死だったわ…」

 

千「いや、1回死んでるから」

 

グ「ん?千歌と美歌か…何をやってるんだ、お前達?」

 

美「その前にアンタ…ちょっと表出なさい…!!」

 

グ「お、おい!!襟を引っ張らなくても動け…」(パタン…)

 

千「……これから何が起こるのか、マイクを扉に当てて聞いてみましょう」(マイク壁ペタ)

 

グ「ま、待て!?今のは不可抗力だ!!」

 

美「うっさいボケ、テメェの弁明なんか聞いちゃいねぇのよ」(ガシャコンバァグヴァイザー!!)

 

グ「おい…バグヴァイザーを出して何やる気だ?というか、お前それ持ってなかっただろ!?」

 

美「今回はギャグ回でもあるのよ?そんな道理、ワタシの無理でこじ開ける!!」

 

グ「く…!!俺は、まだ仕事がたっぷり残ってるんだ…!!」

 

美「知るか。こん中で反省してなさい♪」(ウィルス吸引中)

 

グ「や…止めろォッ!!い、嫌だ…!!したくない……大晦日に残業なんてしたくないィィィィィィッ!!」

 

美「いいから黙って社畜らしい最後(おおみそか)を迎えろ」

 

グ「ハハハ……不滅か……俺の仕事は…永遠に不滅なのかァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」(吸収完了)

 

美「後はこれを(ガチャ)……何してんの、千歌?」

 

千「アハハハ……まあちょっと…」

 

美「別にいいけど…」(ガラッ)

 

千「?窓開けて何を…」

 

美「このバグヴァイザーを窓の外(ゴール)へ向かってシュゥゥゥゥゥゥゥッ!!」(外へポーイ)

 

グ『ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!』(キラーン☆)

 

美・千「「超エキサイティンッ!!」」

 

美「さて、悪も滅びたところで」

 

千「滅亡迅雷netに接続…」

 

美「せんでいい。いいからさっきのお便り読みなさい」

 

千「はーい。えー『クロノスの正体は誰ですか?』だって」

 

美「特大のネタバレ催促キターッ!?」

 

千「これはさすがに作者も答え…あっ、返信が『クロノスの正体は◯◯◯です』ってマジッ!?」(千歌達には見えてます)

 

美「ええッ!?あの駄作者、本気で答え書いてきたの!?」

 

千「う、うん……それがまさかの…「ハイストーップッ!!」もが…!?」

 

美「アンタバカでしょッ!?ここでそんなネタバレしたら、今後この作品が面白くなくなって、低評価付きまくりからの未完とかになるわよッ!?そうなったら、ワタシ達も活躍の機会も失くなっちゃうんだから!!」

 

千「プハッ!?ご、ごめん…」

 

美「とりあえず、駄作者は後でムテキゲーマーでシメる」

 

千「それ、別の意味で作品終わっちゃうよ?」

 

美「大丈夫よ、死ぬ1歩手前で止めてから回復させて、もう一度死ぬ1歩手前から回復を10回繰り返すだけだから♪」

 

千「えげつないにも程があるッ!?」

 

 

―エンディング曲【ユメ語るよりユメ歌おう】―

 

 

千「っと、ここでエンディングのお時間になりました!!」

 

美「あら、そうなの?」

 

千「作者からこの後、活動報告に質問箱を設置する様なので、そこに気になる事があったら投稿さてください。この企画を再度行うとの連絡もありました」

 

美「良かったら投稿してちょうだい」

 

千「ま、続くかどうかは質問の量次第だけどね。今回の質問は、作者が自分で作ったものだし…」

 

美「自作自演w」

 

千「それじゃ皆さん、また会える事を願って…」

 

2人「「まったね~♪」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美「さて、駄作者をお仕置きしに行くわよ」

 

千「だから止めなって…あ、ちょッ!?体乗っ取らないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」




いかがでしたか?

はい、完全におふざけです(笑)たまにはこんなのがやりたかったので…

そしてこれが本当に年内最後の更新です。

それでは皆さん、よいお年を。


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Secondコラボ eight

ヴァ「皆様、新年あけまして…」

全員「「「「おめでとうございまーす!!」」」」

ヴァ「今年もこの【ゲームの力でこの世界を生きていく】をよろしくお願いいたします!!」

全員「「「お願いしまーす!!」」」

一「つー事で、今回は新キャラ3人と特別ゲストが本編に出てくるらしい」

梨「あれ?新キャラの募集はコラボ終了までだったんじゃ…」

曜「なんか、RADIOで宣伝したのに一票も来なかったから締め切ったんだって」

美「作者の人気度がよく解るわ…」

花「では新キャラの登場を祝して……祝えッ!!」

ル「それは本編でやろうよ!?」

千「では、本編を…」

???「見てくれたまえ」

全員「「「「誰ッ!?」」」」


ムテキゲーマー同士の対決が終わり、3人が戻ってくると同時にヴァーリがパソコンを閉じた。

 

「あ、終わったの?」

 

「修理はな。それ以外にスナイプの武装の改修をしてたら気分が乗って、全員の新武装とかの考えを纏めてたからな…」

 

「私達の新武装…?」

 

「ああ、どんなのになるのかは完成を待っててくれ」

 

「はぁーい♪」

 

元気良く返事する千歌を見送った後、ヴァーリは立ち上がると体を動かし始める。その度に間接からゴキゴキと、骨が鳴る音が響く。

 

「ん~…!!さて、次は俺が行くとするか」

 

「あ?冗談言ってんじゃねぇぞルシファー。次は俺だろうが」

 

「残念だが……お前は最後だ」

 

「んだとぉ?」

 

しかし、一誠がそれに待ったを掛けるが、ヴァーリは気にせずフィールドへと歩いていった。

 

「おいッ!?……ちっ、何で俺が最後なんだよ…!!」

 

「そんなの決まっとるやん」

 

苛つく一誠の隣に希がやって来ると、彼の肩を叩き…

 

「2作品の小説の主人公達が戦うのは……最後が一番盛り上がるからや!!」

 

「………………いや、作品とか小説とか何言ってるかさっぱり何だが?」

 

そう告げた彼女を、一誠は訝しげに見るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

フィールドに立った俺は準備運動しながら対戦相手を待っていると、しばらくして渡辺(D)が出てきた。

 

「やっと私の番だね…待ちくたびれちゃったよ…」

 

「そうか、それは残念だったな……その出番がすぐに終わるんだからな?」

 

余裕そうな態度に、少し煽る様な感じで答えてやったら…

 

「アッハハ!!……そうだね、私が簡単に勝っちゃうんだから♪」

 

さらに余裕な態度で返されてしまった。

 

「そうそう、今の俺じゃ勝つなんてムリムリ……って違うわァァァァァァッ!!勝つのはこの、神の(特典として貰った)才能を持つ……オレだァァァァァァッ!!」

 

普通に返されたから、思わずノリツッコミになったわ!!

 

その態度に思わずキレながら、俺はガシャットギアデュアルβⅡを起動した。

 

『TADDLE LEGACY!!』

 

「術式レベル100!!変身ッ!!」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!辿る歴史!!目覚める騎士!!タドォルレガシィー!!』

 

そしてブレイブに変身すると、渡辺(D)は銀色の箱とカブトムシとスペードのマークが描かれた()()のカードを取り出した。

 

「そっちがそれなら……こっちも最初から本気だよ!!」

 

そう言ってカードを箱に入れ、腰に押し当てるとベルトが伸びて装着される。

 

「ヘシンッ!!」

 

『Turn up』

 

そして独特な言い方でレバーを引いて、目の前に現れた金色のゲートを潜り抜けると、体の各所にいろんな生物と思われる異形の存在…【アンデッド】のレリーフが刻まれた黄金の鎧を纏い、右手には大剣【重醒剣キングラウザー】を持った仮面の戦士…仮面ライダーブレイド・キングフォームへと変わった。

 

『それでは、試合開始です』

 

その合図と同時に俺達は駆け出し、ガシャコンソードとキングラウザーをぶつけ合う。

 

「たかが王ごときが…神に勝てると思うなァッ!!」

 

俺は力任せにキングラウザーを弾き、ブレイドに斬りかかる…

 

『Metal』

 

ガギィン!!

 

「ぬぅッ!?」

 

が、あまりの硬さに逆に弾かれてしまった。

 

「この硬さ……【メタルトリロバイト】の力か!!」

 

「私のカタ◯ウルは伊達じゃないよ♪そして……お返し!!」

 

さらに弾かれた事でバランスを崩している所に、キングラウザーが振り下ろされる…

 

だァが…神にそんなものは通じないのだァ…!!

 

俺は体勢を立て直しながら、近くにあったエナジーアイテムに触れた。

 

『鋼鉄化!!』

 

ガギィン!!

 

「うわっと!?」

 

鋼鉄化によって上がった防御力で、ブレイドの剣も俺がやられた様に跳ね返してやった!!

 

「いったた…手が痺れちゃった…」

 

「こちらのカ◯ソウルも嘗めないでもらおうか…!!」

 

向こうが痺れを治している間に体勢を整え、俺は再び剣を構える。

 

「しかし、そのネタが出てくるとは……貴様もよく分かっている…!!」

 

「そっちもね…!!」

 

コイツ……思っていたよりも出来るかもしれん…!!

 

「ならば……次に何をするか、解っているな?」

 

「当然」

 

俺の問いにそう答えるブレイド。

 

ならばこの神が、試してやろうじゃないか!!

 

俺は近くにあったエナジーアイテムを取り、ブレイドは左足にあるアンデッド【マッハジャガー】の力を解放する。

 

『高速化!!』

 

『Mach』

 

「「駆けよ、ハヤ◯ウルッ!!」」

 

そう言って俺達は、高速のヴィジョンに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減、リュウソ◯ジャーネタから離れなさいよ!!」

 

そんな光景を見ていた真姫は、2人に怒りながらツッコンでいた。

 

「なんかあのネタ、前にも聞いたような…」

 

「前に行った異世界で、ヴァーリ君同士の対決をした時だよ」

 

「ああ、そっか!!」

 

「「「ドンガラ…」」」

 

「はい、そのネタ1度やってるからもうダメだよ~?」

 

「「「は~い」」」

 

千歌は聞き覚えがあったらしく、梨子に言われてやっと思い出し、1年3人組は踊ろうとしたところを、果南に止められていた。

 

「メラメ◯ソウル!!」

(ガシャコンソード炎剣モードのBボタン連打)

 

「ビリビ◯ソウル!!」

『Thunder』『Slash』

 

だが、戦っている2人はお構いなしに、ネタを続けていた。

 

「まだリュウソウジャ◯ネタ続けるみたいですね…」

 

「後で曜さんはお説教ですわ…!!」

 

海未はそれに呆れ、ダイヤ(D)が曜(D)をお説教する気になっていたら…

 

「喰らえェェェェェェェェッ!!」

 

フ レ イ ミ ン グ ソ ー ド

 

「オリャアァァァァァァァッ!!」

 

雷 閃

 

ライトニング

ディストピア

 

「「「「「「ってここでゼロワンかいッ!!」」」」」」

 

「しかも曜ちゃんは技名変わってるズラ…」

 

まさかのゼロワンネタだった。そのカットインに全員がツッコむ。

 

「ヴァーリ君……」

 

そしてぶつかった場所からの爆発に吹き飛ばされる自分の王を見て、梨子は呆れるしかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜(D)side

 

くぅ~…!!まさか必殺技を相殺されるとは……向こうも相当鍛えてるなぁ。

 

「チィ!!このままでは埒があかん……ならば、術式レベルビリオン!!」

 

『暴走サーキット!!』『タドルパラディン!!』

 

そこに、ブレイブが見たことないガシャットを取り出した。でも、私が気になったのはそのレベルだ。

 

(ん?ビリオンってたしか10億だったよね………………………………使われたらメッチャヤバいッ!?)

 

「ザ・ワールド!!時よ止まれ!!」『Time』

 

それを使われたら勝利はないと確信した私は、すかさず【タイムスカラベ】の力を発動。私以外の全ての時間を止めた。

 

「ふぅ…危なかったぁ…」

 

あんなの使われたらキングフォームでも無理だって……

 

とりあえず私はブレイブの前まで移動して、ガシャットを掴んだ。そのまま奪おうと思ったが、タイムスカラベの効果は私だけで他に干渉することが出来ないデメリットもある。つまり、止まっているものを動かしたり壊したりすることが出来ず、攻撃しても無効化されるのだ。

 

「ちょっと使いづらい能力だけど、こういう時に役立つね」

 

そして制限時間がやって来る。

 

最初にあれを言ったら、これも言っておかないと♪

 

「そして時は動き出す」

 

私の宣言と同時に時間停止が解け、ガシャット起動のまま固まっていた彼から、ガシャットを奪い取った。

 

「なッ!?貴様……タイムスカラベを使ったな!!俺のガシャットを返せェェェェェェェェッ!!」

 

「や~だよ♪」『Magnet』

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

盗られたガシャットを取り返そうと迫るブレイブに、マグネットの反発の力で吹き飛んでいった。

 

「さてと、ここで1発ド派手に行くよー!!」

『Tackle』『Mach』

 

そこにマグネットの効果を解いて、マッハの速度で体当たりを慣行する。この速度なら避けられまい!!当たれば大ダメージに…

 

「お前、バカだろ?」

 

「え?(ザシュ!!)いったぁいッ!?」

 

後一・二歩で当たると思っていたら、突然肩に痛みを感じて私は倒れた。

 

えッ!?何が起きたの!?

 

「そりゃ真っ直ぐ突っ込んでくるなら、その直線上に剣を置いておけば勝手に当たるからな」

 

「なんとッ!?」

 

よく見れば、ブレイブは前に剣を突き出していた。もしかして私、盛大に自滅したッ!?やっぱりタックルボアの力は当たらない運命なのか…!!

 

「そろそろ、ガシャットを返してもらうぞ?」『ガシャコンカリバー!!』

 

「ならばこっちも!!」『♠️2・♠️3・♠️4・♠️5・♠️6 Straight flush』

 

ブレイブがもう一振りの剣を取り出したので、私もストレートフラッシュでブレイラウザーを呼び出し、互いに二刀流で斬り合い始める。片方の剣が防がれればもう片方で攻め、逆に一撃目を防げても二擊目がすぐに来るので防御にも気を回さないといけない状況になったりと、戦況が目まぐるしく変わっていく。彼はアイテムを使う隙がないのと同じように、私もアンデッドの力を解放する隙がない純粋な剣擊が続く。

 

「この…………チョイさ!!」

 

「うおッ!?」

 

「ッ!!今だ!!」『Beat』

 

「ガハッ!?」

 

そして、私が力任せに彼の剣を弾いた事で均衡が崩れた。この隙に最強の技を発動させるためにブレイラウザーを投げ捨て、5枚のカードを手元に集めてキングラウザーに装填する。

 

『♠️10・♠️J・♠️Q・♠️K・♠️A』

 

「く…!!」『ガッチョーン、スゴワザ!!』

 

向こうもすぐに必殺技を発動させるけど、チャージ時間の長い私が有利!!

 

『ROYAL STRAIGHT FLUSH』

 

ROYAL

STRAIGHT

FLUSH

 

『ガッチャーン!! TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

TADDLE

CRITICAL STRIKE!!

 

私は前に現れた5枚のゲートを潜り抜け、ブレイブは双剣から炎と風を纏わせながら走り、中央でぶつかり合った。

 

閃光と炎風が迸り、踏んばっている地面に亀裂が走っていく。

 

「ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…!!」

 

「はああああああああああああ…!!」

 

しばらく拮抗していたけど、徐々に私が押し込んでいく。

 

「クソ…!!エネルギー量の差か…!!」

 

「ちぇすとおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

「ぬあああああああああああああッ!?」

 

『ガシューン』

 

そのまま押しきり、直撃したブレイブは吹き飛んで変身が解除された。

 

『ブレイブの変身解除を確認、よって勝者・ブレイド』

 

「イェーイ♪勝利の……ヨーソロー!!」

 

勝利のアナウンスを聞き、意気揚々と皆の所に戻ったら……

 

「渡辺さん、そこに正座なさい」

 

「……ハイ」

 

ダイヤ(D)ちゃんからメッチャお説教されました…勝ったのに怒られるなんてウゾダドンドコドーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして最後の模擬戦になり、2人の一誠がフィールドに立つ。

 

「やっと俺の番か……これで思いっきり暴れられるぜ!!」

 

「前回が引き分けだったからな……油断せず行くぞ、ドライグ!!」

 

『おう!!』

 

互いに勝つ気は充分、そしていざドライバーを取り出そうとした時、銀色のオーロラからその男は現れた。

 

「へぇ……ずいぶんと面白そうな事をしてるじゃないか。それなら、僕がもっと面白くしてあげよう♪」

 

「ああ?テメェは…!!」

 

「え?」

 

突然現れたその男……海東大樹を見ると,彼は右手に持った銃を頭上に掲げ…

 

『KAMEN RIDE』

 

「変身!!」

 

『DI-END!!』

 

引き金を引いて【仮面ライダーディエンド】に変身した。

 

「この泥棒野郎…!!何しに来やがった!!」

 

「仮面ライダーディエンド!?」

 

「以前のお宝は士に盗られて君達にあげちゃったそうだからね……ちょっとした、嫌がらせかな?」

 

ディエンドは一誠の言葉を飄々と受け流しながら、7枚のカードを取り出す。

 

「これは…出血大サービスだ♪」

 

『『『『『『『KAMEN RIDE』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ルシファー家訓練所の外には、3人の少女がいた。

 

「ふぅ~…あっついね~…」

 

「今日は最高38度までいくそうです…」

 

「ふぇ~…私、溶けてしまいそうで…」

 

「ほら、頑張って【しずくちゃん】!!」

 

「もう目と鼻の先ですよ!!」

 

「は、はいぃ~…」

 

「でも、リゼヴィム社長が私達をヴァーリさんの所に送る理由は何なんだろう?【せつ菜ちゃん】は解る?」

 

「おそらく、今後の戦いに備えての増援だと思います。敵も力を増しているらしいですからね」

 

「じゃあ、私達も気合い入れて行かないとね!!」

 

「ですね!!【歩夢さん】!!」

 

そんな彼女達が物語に参戦するのは……すぐそこまで来ている。




いかがでしたか?


はい、味方側の新キャラ三人は虹ヶ咲より歩夢さん、せつ菜さん、しずくさんになりました!!

さらに特別ゲストとして、以前別世界にいた海東大樹さんにもお越しいただきました。

さて、彼が呼び出す7人の戦士は誰でしょう?


次回【Secondコラボ NINE】

「アナタ達を止められるのはただ1人……私です!!」

「王の敵は全部……私がブッ倒します!!」

「敵対対象を確認……破壊します」

では、次回でお会いしましょう。


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Secondコラボ NINE

歩「今回の前書きは私、上原歩夢と!!」

し「桜坂しずくと!!」

せ「優木せつ菜でお送りします!!」

歩「とうとう私達も本格参戦ですよ!!」

せ「と言っても、私と歩夢さんは確定枠でしたけど…」

し「私は選ばれて良かったですよ…」

歩「お陰でA・ZU・NAが見事に揃ったね♪」

せ「本当です」

し「では、私達の登場する本編を…」

3人「「「どうぞ♪」」」


『『『『『『『KAMEN RIDE』』』』』』』

 

突如現れたディエンド。彼は手に持つアイテム【ネオディエンドライバー】に7枚のカードを装填し、一誠達に銃口を向ける。

 

「君達には彼等だ」

 

そして引き金を引くと、赤青緑の人型の光がフィールドを幾重にも走り、すぐに4人の仮面ライダーになる。

 

『SINOBI』

 

まず最初に実体化したのは、忍者を彷彿とさせる姿に手裏剣を模したアンテナと紫のマフラーを巻いた【仮面ライダーシノビ】

 

「忍と書いて…刃の心!!仮面ライダーシノビ!!」

 

『QUIS』

 

次に実体化したのは身体中に?マークをあしらったボディスーツに◯と❌が描かれたチェストアーマー、額には?のアンテナを持つ【仮面ライダークイズ】

 

「救えよ世界、答えよ正解…仮面ライダークイズ!!」

 

『KIKAI』

 

次は黒地のボディスーツに金色のロボットを思わせる鎧を纏い、顔にあるクロスしたスパナが印象的な【仮面ライダーキカイ】

 

「鋼のボディに、熱いハート!!仮面ライダーキカイ!!」

 

『GINGA』

 

最後に実体化したのは、フォーゼとどこか似た紫のボディスーツに金色の複眼、マントを羽織り体の各所に太陽系の惑星が描かれたパーツを付け、他とは格の違う強さを思わせる【仮面ライダーギンガ】

 

「我こそが宇宙の絶対的な法…仮面ライダーギンガ!!」

 

「ケッ!!1人、随分と偉そうなのがいるな…!!」

 

「シノビにクイズ、キカイにギンガ…!!まさかのミライダー勢揃いかよ!?」

 

一誠はギンガを睨み、一誠(D)はまさかのライダー達に驚く。

 

「とりあえずボコるぞ。俺はあのロボット野郎と宇宙野郎をやる」

 

「なら俺はシノビとクイズだな!!」

 

「なら、行くぞ!!」

 

「おう!!」

 

お互いに戦う対象を決めると一誠はゲーマドライバーを、一誠(D)は左右にスロットがあり中央に液晶画面がある白と黒のドライバーを装着する。

 

「あん?ウルトラ何とかに変身するんじゃないのか?」

 

「今回は俺も仮面ライダーでいくつもりだからな!!」

 

そして右手に持った白と黒の2色にカメンや2018と書かれた懐中時計みたいなアイテム【ジオウライドウォッチ】を持ち、リングパーツである【ウェイクベゼル】を回してピンクでライダーと書かれた顔の様な絵柄に切り替え、上部のボタンを押す。

 

『ZI-O!!』

 

ドライバーの右側【D`9スロット】に装填してドライバー上部のボタンを叩いてロックを解除する。すると彼の背後にアナログ時計のエフェクトが現れ、右手を右腰に左手を大きく外回しで右肩の前まで持っていく。

 

「変身ッ!!」

 

そしてお決まりのセリフを叫び、左手を下に勢いよく振り下ろしながらドライバーを反時計回りに回した。

 

『ライダータイム!!』

 

すると背後のエフェクトも一回転して、針が10時10分を指して中央にライダーの文字が浮かぶと前へと飛んでいき、一誠(D)の体を腕時計のメタルバンドの様なフィールド【ジオウマトリクス】が覆い、その体を黒と銀のどこか時計を思わせるデザインのスーツを纏い、最後に複眼の部分に先程飛んでいったライダーの文字が填まり、変身が完了した。

 

『仮面ライダァージオウ!!』

 

今ここに、平成ライダー20番目にして、時の王である仮面ライダー…【仮面ライダージオウ】が誕生した。

 

「何だその目…「祝えッ!!」うおッ!?な、なんだ…!?」

 

その奇抜な見た目にツッコもうとした一誠だったが、突如上がった大声に驚き、周りを見るとヴァーリ達がいる場所とは反対側に夏なのにロングコートとマフラーを身につけ、一冊の本を片手に持っている……声と身長からして少女らしき人物がいた。

 

「全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来をしろしめす時の王者……その名も仮面ライダージオウッ!!我が魔王が異世界の地に降臨した瞬間である!!」

 

「………………何言ってんだアイツ?」

 

「レイヴェル…どうやって来たんだろう?」

 

その光景に一誠達だけでなく、ミライダーの4人もポカンとしている。

 

「ま、何だっていいさ。俺がやることは変わらねぇ…」

 

『デュアルガシャット!!』

 

「変身ッ!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバァール!!

 

そして一誠もドラゴネスになると、2人はミライダー達へと突撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このほんの少し前…状況を見ていた観客席の者達も慌てていた。ここでこんな乱入者が来るなんて、誰も予想してなかったからだ。

 

「まさかディエンドが介入してくるとは…!!」

 

「しかも、厄介な相手ばかりね……キバット!!」

 

『おうよ!!』

 

ディエンドの乱入に驚くヴァーリに、真姫は援護する為にキバットを呼んで変身しようとするが…

 

「おっと、君達にも邪魔はさせないよ」

 

その前にディエンドが彼らの方に銃口を向け、引き金を引き三体のライダーが現れる。

 

1人は細身な黒のボディスーツに蛍光イエローのプロテクターを装着し、バッタを思わせる仮面ライダーで他2人は左半身が似たような白のパワードスーツに、片方が青の狼を思わせる姿で、もう片方がオレンジのチーター柄の姿をしていて、バックルに付いていた青い銃を構える。

 

ZERO-ONE,VULCAN,VALKYRIE

 

「お前達を止められるのはただ1人……オレだ!!」

 

「ヒューマギアは残らず……俺がブッ潰す!!」

 

「人工知能特別法違反を確認……対象を破壊する」

 

「ここでゼロワンを出すなんて……さっきのネタでも見てたのかしら?」

 

「あれがゼロワン…」

 

そうツッコむがこちらは誰も変身しておらず、向こうは変身状態……戦局は圧倒的に不利だった。

 

「それじゃ、この世界のお宝も頂いた事だし……僕は帰るよ」

 

「この世界の宝…?」

 

ディエンドといえば、色んな世界のお宝を盗む怪盗…この世界に彼のお眼鏡に叶う物があったか気になるヴァーリが呟く。

 

「そう……これだよ」

 

すると、そう言ってディエンドが取り出したのは、メタリックパープルのハイパームテキと同型のガシャットだった。

 

そしてそれを見たヴァーリが驚きで目を見開きながら叫ぶ…

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?それは美歌用に作っていた新型ガシャットォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

そしてそれが自分の物だったと聞いて、美歌も叫ぶ。

 

「それじゃあね♪」

 

『ATTACK RIDE INVISIBLE』

 

「ちょッ!?それ返しな…逃げんじゃないわよォッ!!」

 

逃げようとするディエンドに美歌は怒鳴るが、そんなのお構い無しに彼はその場から消えた。

 

「アンニャロォ~!!次会ったらバグスターウィルス感染させて、のたうち回る姿を嘲笑いながらゆっくりと消滅させてやる…!!」

 

「どうどう…今は目の前のライダー達をどうにかしないと…!!」

 

怒りが収まらない美歌を千歌は宥め、梨子はこの場をどう逃れようか考える。

 

(銃を向けられているから、たぶんガシャットを出した瞬間撃ち落とされる……鞠莉ちゃんの速さならイケるかもだけど、変身してないと不意討ちじゃない限り隙は作れない……どうすれば…!!)

 

思考を巡らせる彼女だが、それはゼロワンとバルキリーも同じだった。

 

(あれ?あんな学生サイズのヒューマギアなんていたっけ…?というか、あの耳…)

 

(おかしい……彼らや周りからヒューマギアの反応がない?これは一体…)

 

「おいッ!!暴走しているヒューマギアをどこに隠した!!さっさと言えッ!!」

 

「ピギィッ!?」「ズラァッ!?」

 

そんな中で、怒鳴りながら銃を向けるバルカンにルビィと花丸がダイヤの後ろに隠れる。

 

「待て不破ッ!!彼らは…(バンッ!!)ッ!!何だ!?」

 

そんなバルカンを諌めようとバルキリーが声を上げた瞬間、ヴァーリ達の後ろの扉が勢いよく開き、1人の少女が高速で飛び込んでくる。

 

「ハアッ!!」

 

「うおッ!?」

 

そしてバルカンを腕を蹴り上げた。

 

「不破ッ!?「隙ありですよ!!」なッ!?ぐう…!?」

 

それに気を取られたバルキリーに別の少女が近づき、見た目とは裏腹のパワーで殴り飛ばす。

 

「えッ!?一体何が…「やあッ!!」へ?あ、ピンぐべらッ!?」

 

その状況に慌てるゼロワンに、3人目の少女が飛び蹴りを放ち、あるものを見て動かなかったゼロワンの顔面にクリーンヒットした。

 

「よっと」

 

着地したライトピンクの髪をハーフアップし、右側に三つ編みお団子で纏めている少女【上原歩夢】の右側に、バルカンの腕を蹴り飛ばしたダークブラウンの髪を赤いリボンでポニーテールに纏めた少女【桜坂しずく】が立ち、反対側にバルキリーを殴り飛ばした黒髪で一部を右側に束ねた少女【優木せつ菜】が立つ。

 

「歩夢にしずくにせつ菜……どうしてここにッ!?」

 

「助っ人です!!」

 

「歩夢さんッ!?」

 

「しずくさんまで…」

 

彼女達の登場にヴァーリだけでなく、何故かダイヤ(D)と海未までも驚く。

 

「えっと……どちら様ですか?」

 

「しずくさんと歩夢さんの知り合いですか?」

 

「いえ、身に覚えはないのですが…」

 

まるで自分を知っているかの様な反応をするダイヤ(D)と海未に2人は首を傾げる。彼女達は駒王町に来たことは何度もあるが、ヴァーリ達に接触はしていないので、新しい交友関係や異世界事情など知るわけないのだが…

 

ちなみにダイヤ(D)が驚いたのは、彼女の息子が歩夢と幼馴染みで、海未の方はしずくが息子の後輩だからである。

 

「くそッ!!やりやがったな…!!」

 

「ちょ待て!!待ってって!!」

 

そんな中でバルカンが彼女達に銃を向けるが、それを何故か仲間のゼロワンに止められている。

 

「おい社長さん!!邪魔すんな!!」

 

「相手は生身の人間だぞッ!?」

 

「それがどうしたッ!!暴走したヒューマギアを庇うのなら、誰だろうと犯罪者に変わりはない!!」

 

「だからって子供に武器を向けるなよ!!」

 

「邪魔するなら、お前も一緒に…「落ち着け、不破ッ!!」ッ!!…お前も邪魔する気か、唯阿?」

 

「どわっと!?」

 

荒れ狂うバルカンにバルキリーが声を荒げると、一応落ち着いたのかゼロワンを乱暴に引き剥がしながらそちらを見た。

 

「そうじゃない。だが、少し確認しなくてはならない事がある」

 

そう言ってバルキリーは歩夢達の前に来た。もちろん銃はバックルに戻してある。

 

「お前達に聞きたい」

 

「……何ですか?」

 

警戒を解かずに応じる歩夢に、少しやり過ぎたかと反省しつつ問いを投げ掛けた。

 

「【ヒューマギア】という物を知っているか?」

 

「………………いいえ、私達は色んな情報を集めていますが、ヒューマギアという物は聞いたことすらありません」

 

「やはりか…」

 

その答えに、何かを察したバルキリーはため息混じりに頭を抱えた。

 

「おい唯阿ッ!!どういう事か説明しろッ!!」

 

「ここは私達が知っている世界ではないという事だ」

 

「「はあッ!?」」

 

その回答に驚くゼロワンとバルカン。

 

「先程から調べていたが、この付近一帯にヒューマギアの反応が皆無だ。あれだけ社会に浸透している物が、いきなり消えるなんておかしい…そして彼女の回答でこの答えに達したんだ」

 

「そもそも、ヒューマギアって何ですか?」

 

「ん?…それなら、それを管理・販売している会社の社長がそこにいるから聞いてみろ」

 

「…………………………え、俺?」

 

歩夢の質問にバルキリーに言われ、自分の事だとようやく察したゼロワン。皆の視線が集まる中、彼は腕を組んで頭を捻る。

 

「う~ん……こういう説明はイズの方が詳しいか。イズ!!おーいイズ~!!」

 

そんな彼は誰かを呼ぶが、一向に現れる気配はない。

 

「そのイズさんって人は?」

 

「イズは俺の秘書でヒューマギアなんだけど……まったく、イズは一体何処(いずこ)に……はァい!!アルトじゃ~ないと~!!」

 

更にここで何故かギャグを決めるゼロワン。だが、まったく面白くない。そんな彼を大半の者が無表情で彼を見ていた。

 

「あ、あれ?俺の爆笑ギャグ…そんなにつまらなかった?」

 

恐る恐る聞くゼロワンに全員がまったく面白くないと答えようとしたが、それは1人の少女に遮られた。

 

「プ…!!アハハハハハハ!!い、今のサイッコ~ですよ~!!アハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「え……歩夢さん?」

 

いきなり歩夢が爆笑する。それもお腹を抱えて目にはうっすら涙を浮かべながらだ。まさしく心から笑っているみたいだが、今のギャグに笑う要素がどこにあるか分からない大半の者が困惑している。

 

「えっと……彼女はどうしたんですか?」

 

「こっちの世界の歩夢ちゃん、笑いのツボが独特なの。流行のネタには反応しないのに、ああいう単純なおやじギャグとかで大爆笑するんだ」

 

「ああ、そういう……」

 

海未の問いに千歌が答え、納得した様に彼女を見た。

 

「おお~!!俺のお笑い、そんなに面白かった!?」

 

「はい、とっても!!」

 

「ヨッシ(ドゴォン!!)うおッ!?」

 

そんな歩夢の反応に喜ぶゼロワン。そこに大きな爆発音が響く。

 

「何だぁッ!?」

 

音の発生源を見れば、バトルフィールドでドラゴネスとジオウがミライダー達と戦っているのだが、数の差と能力で不利に立たされていた。

 

「まずい!?このままだとイッセー達が!!」

 

「とりあえず私と海未、花陽で行くわ。アンタ達は模擬戦の疲れもあるだろうし、大人しくしてなさい。希、ここは任せても?」

 

「りょーかい、ウチに任しとき!!」

 

「ええ。キバット、タツロット!!」

 

『今度こそ、キバッて行くぜ!!カブッ!!』『テンションフォルテッシモ~♪』

 

(キィィィン)「響・装甲…」

 

「「変身!!」」

 

「ハアッ!!」

 

「あ、オレも!!……あれ?」

 

そんな2人の援護に真姫こと仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム、海未こと仮面ライダーアームド響鬼、花陽こと仮面ライダーアギト・シャイニングフォームが向かう。それに続こうとしたゼロワンだったが、途中でその動きを止めた。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、俺も援護に行こうとしたんだけど……途中で体が動かなくなって…!!」

 

「ハッ!!ビビってるだけじゃないの……うおッ!?本当に動けねぇ…!!」

 

「まさか…」

 

ゼロワンが動けないのをビビってるだけだと思ったバルカンが同じように助けに行こうとすると、彼も動きを止めてしまった。それを見たバルキリーはある結論に達する。

 

「もしかして私達は、あの四体の仮面ライダーと戦うことが出来ないのでは?」

 

「はあッ!?じゃあただ見てろってことか!?ふざけんな!!」

 

「それなら、私達が!!」

 

「お前達はライダーシステムを持ってないだろ!!生身で行くのは許さん!!」

 

その結論に反発するがごとく、バルカンは力任せに進もうと躍起になるが、その体は一ミリも進んではいない。代わりに歩夢達が向かおうとするが、ライダーシステムを持っていない為に、ヴァーリがそれを引き留める。そんな時、ゼロワンは一歩下がり(下がるのは可能だった)、歩夢の元に向かい…

 

「だったら、君がこのベルトを使ってくれ」

 

彼女に突拍子もない提案をするのだった。

 

「へ?」

 

「戦えない俺が持ってても、何の意味もないからな。だったら君に渡した方がいいと思って」

 

そう言ってゼロワンはベルトを外す。すると変身が解除され、そこには赤いパーカーの上にスーツのジャケットを羽織り、茶髪の若い男性がいた。その男は歩夢に腰にあったベルトと表面に生き物の絵がある機械の箱みたいなのを複数渡してくる。

 

「はいこれ、俺のベルト【飛電ゼロワンドライバー】と変身に使う【プログライズキー】達。大事に使ってね」

 

「ええ!?……本当にいいんですか?」

 

「もっちろん!!俺の爆笑ギャグで笑ってくれる人に、悪い人はいないからさ!!」

 

「………」

 

最初は受けとるかどうか悩む歩夢だったが、ふと視線をバトルフィールドに向けると、イッセーズはシノビとクイズ、キカイの3体を相手にし、キバ・響鬼・アギトの3人でギンガの相手をしているが、ギンガの力が異常なまでに強く、最強フォーム3体でも苦戦していた。

 

(このままじゃあの人達が…)

 

そう思った彼女の脳裏にある光景が甦る…とある施設で()()()()()()()()()()名目で人体実験された事……()()()()()()()()()()()()を新たに決めるチームバトルにせつ菜、しずくと共に参加させられた事…それが始まる直前、施設が幻夢コーポレーションに襲撃されて助け出された事を…

 

(今度は私が、誰かを助ける番なんだ!!)

 

そう覚悟を決めた彼女は、差し出されていたベルトとプログライズキーを受けとった。

 

「ありがたく使わせて頂きます!!」

 

「うんうん!!……そういえば、君の名前は?」

 

「上原歩夢です!!」

 

「よし!!それじゃ歩夢ちゃん、自分の目指す未来に向かって歩むんだ!!はァい!!アルトじゃ~ないと~!!」

 

「プフ…!!ここで笑わせないでくださいよ~!!」

 

そんなゼロワンの言葉である程度肩の力が抜けた彼女は、ヴァーリの方を見る。

 

「ヴァーリさん」

 

「ハァ……わかった、行ってこい」

 

「はい!!」

 

ヴァーリから許可を得た彼女は、フィールドへと駆けていった。

 

「…どうやら、ここは俺らも社長さんみたくするべきだな?」

 

「ああ、そうみたいだ」

 

バルカンとバルキリーもゼロワンの行動に何か感じたのか、変身を解いてバルカンはせつ菜に、バルキリーはしずくに持っていた銃とベルトがセットになった【エイムズショットライザー】と複数のプログライズキーを手渡した。

 

「上手く使えよ?使い方だが…」

 

「ここは任せる。コレの使い方だが…」

 

「「はいッ!!」」

 

そして説明を聞いた2人も、歩夢の後を追って走っていった。

 

「君があの子達のリーダーみたいだが……止めないのか?」

 

そんな彼女達を見送ってから、バルキリーの変身者の女性がヴァーリを見た。

 

「戦える術があるなら、とやかくは言わん。後は3人の実力次第だ」

 

「そうか…なら、後は頼む」

 

「じゃあな」

 

「また何処かで会おうぜ~!!」

 

3人はそう告げると、この世界から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

全力で走り、バトルフィールドに出た私が周囲を見渡すと、資料で見たドラゴネスと目にライダーって書いてある人、さっき飛び出した3人が押されているのが見え、すぐさまドライバーを腰に押し当てるとベルトが伸びて装着された。

 

「よし!!後は…………………………コレ、どうやって使うの?」

 

そこで私は持っていたアイテム……確かプログライズキーだっけ?…の使い方をまったく聞いてなかった事を思い出した。

 

ど、どうしよう!?これじゃ私、役立たずだよぉ~!!

 

思わず泣き崩れそうになった瞬間、自分の意識が何処か別の場所に飛ばされる感覚に落ちて、気がつけば白い空間に所々0と1の羅列がある場所に立っていた。

 

「え…ええッ!?ここどこ~ッ!?」

 

『【衛星ゼア】にようこそ』

 

パニックに陥っていた私だったけど、そこに機械音声が流れた。

 

「衛星ぜあ?」

 

『これより【飛電ゼロワンドライバー】のチュートリアルを開始致します。なお、現在貴女の思考は加速状態になっております』

 

「それってどういう…?」

 

『例えばここで一時間過ごしても、外では一秒にも満たないという事です』

 

ふぇ~、技術の進歩ってスゴいなぁ…

 

『それではこれより、飛電ゼロワンドライバーのチュートリアルを開始します』

 

「はい、よろしくお願いします!!」

 

そのアナウンスに合わせて、私はチュートリアルをこなしていき、数時間でそれをクリアした。

 

『これで飛電ゼロワンドライバーのチュートリアルを終了致します。お疲れさまでした』

 

「お疲れさまでした……ってキャアァァァァァァッ!?」

 

すると体が落ちるような感覚の後、私の意識は体に戻った。

 

い、いきなりは止めてほしいな……心臓に悪いよ…

 

「む、新手か」

 

そんな私に気づいた宇宙みたいな服装の人が、私に向けて波動を飛ばしてくる。だけど私は慌てずに持っていたプログライズキーの1つ【ライジングホッパープログライズキー】を手にして起動する。

 

「ラーニング完了!!」

 

『JUMP!!』

 

そしてそれをベルトの右側に翳して読み込ませた。

 

『AUTHORIZE』

 

すると、上から光と共に天井を突き破って大きな機械のバッタが降りてきて、波動を防いでくれると私の周囲を跳ね回る。

 

「わぁ~!!本物のバッタちゃんだ♪」

 

チュートリアルで何度も見たけど、リアルで見ると迫力満点…だ……よ…

 

そんな光景にテンションが上がっちゃうけど、それはすぐにマイナスまで落ちていった。

 

その理由はバッタちゃんが跳び跳ねる度に、フィールドにクレーターを作っていくからです…

 

(コレ…後でお説教コースかな…)

 

その程近い先の未来に遠い目で天井を仰ぎ見たら、そこには綺麗に穴が空いていて、青い空が見えていました。

 

(うん、お説教どころかお給料から天引き確定だね……)

 

「「歩夢(さん/先輩)!!」」

 

お小遣いが減る事に心で涙を流していたら、せつ菜ちゃんとしずくちゃんも合流してきた。

 

「うわっと!?なんですかあのでっかいバッタ!?」

 

「私の変身に必要なんだけど……この被害を見ちゃうと…」

 

「ああ…」

 

涙目の私を見て察してくれたのか、しずくちゃんが同情の視線を向けてくれて、せつ菜ちゃんからは優しく肩を叩かれた。

 

「と、とりあえず!!私達も変身しましょう!!」

 

「そ、そうですね!!」

 

そこでしずくちゃんが話題を変える為に腰に銃が付いたベルトを巻き付け、せつ菜ちゃんも同じのを巻き付けた。そしてせつ菜ちゃんが狼が描かれた青の、しずくちゃんはチーターかな?が描かれたオレンジのプログライズキーを手に持ち起動させる。

 

『BULLET!!』

 

『DASH!!』

 

それが終わった次の瞬間、せつ菜ちゃんが予想外の行動を始めた。

 

「ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…!!」(ギギギギ…!!)

 

なんと、プログライズキーを無理矢理こじ開けようとし始めたの!!

 

「ちょッ!?せつ菜ちゃん!!それやり方違うよ!?」

 

「いーえ!!私はこう教わりましたから…!!」(ギギギギ!!)

 

「ダメですよ!?それだとキーが壊れちゃいます!!」

 

私としずくちゃんで止めようとするけど、せつ菜ちゃんは魔力での身体強化で腕力を強化してるのか、びくともせず…

 

「ふんッ!!」(バキッ)

 

「「あ…」」

 

そして抵抗虚しく、キーは力ずくで開けられちゃいました…

 

あれ、壊れてないといいけど…

 

「そしてコレを装っ填!!」

 

『AUTHORIZE』

 

それをバックルから取り外した青い銃に装填すると、私がキーをベルトに翳した時と同じ音声がなった。

 

もしかして、本当は中に入れてから開くんじゃ…

 

「もぉ…」

 

『AUTHORIZE』

 

そう思っていたら、ため息混じりにしずくちゃんが私が想像した通りにバックルに付いた銃にキーを装填してから開いた。やっぱりそういう仕様だったんだ…

 

『『KAMEN RIDER KAMEN RIDER』』

 

そんな自己主張の激しい待機音に合わせ、せつ菜ちゃんは銃をまっすぐに構えば、しずくちゃんはバックルに着けたまま引き金に指を掛ける。そして私は被害を気にしない様にして両腕を広げ、ゆっくりと頭の上まで動かし、手首でクロスさせてからゆっくりと正面に下ろし、右手を顔の横に移動させながらキーを開く。

 

「「「変身!!」」」

 

そう叫んで私はドライバーにプログライズキーを装填、2人は引き金を引いた。

 

『プログライズ!!』

 

『SHOT RIZE』

 

すると私の体を黒地のパワードスーツが覆い、跳び跳ねていたバッタちゃんが後ろから私の方に跳んできて体を分離、データ化してプロテクターとなって装着されゼロワンさんと同じ姿になった。せつ菜ちゃんは放たれて戻ってきた弾丸を殴って、しずくちゃんはその弾丸をその身で受けて中にあったアーマーを装着してバルカンさんとバルキリーさんと同じ姿になった。

 

『跳び上がライズ!!ライジングホッパー!!』

『A jump to the sky turns to a rider kick』

 

『シューティングウルフ!!』

『The elevation increases as the bullet is fired』

 

『ラッシングチーター!!』

『Try to outrun this demon to get left in the dust』

 

「皆、行こう!!」

 

「「はい!!」」

 

私の声に2人が答えると、私は?マークだらけのライダーに蹴りを、しずくちゃんは忍者でせつ菜ちゃんはロボットの方に向かい銃弾を1発当てて怯ませる。

 

「な、なんだお前ら!?」

 

「ゼロワンにバルカン、バルキリー!?」

 

驚いた反応をする2人に、私は無事を確かめる為に振り返った。

 

「2人共、大丈夫ですか!?」

 

「その声………………歩夢ちゃん!?」

 

「え?何で私の名前…」

 

こんな顔にライダーって書いてる人に見覚えはないんだけど…

 

「まあいいか。この3人は私達が引き受けますので、2人は向こうの援護を!!」

 

「わかった!!」

 

「はあッ!?ソイツらは俺の…「いいから行くぞ!!」っておい!?引っ張んな!!」

 

ゲーマドライバーを装着しているライダーは、まだ戦えるといった雰囲気だったけど、もう一人に腕を掴まれて引きずられていった。

 

今の2人、声がそっくりだったけど……兄弟なのかな?

 

「歩夢先輩!!」

 

「ッ!!」

 

しずくちゃんの呼びかけに反応すれば、さっきの3人が既に体勢を立て直していた。

 

「問題、お前達は俺達に勝てる……○か❌か?」

 

そして真ん中にいる?だらけのライダーから、そんな問題が出された。

 

それだったら答えは簡単!!

 

「当然、◯です!!」

 

私がそう叫ぶと、?ライダーはやれやれといった感じで首を左右に振り…

 

「正解は…………❌だ!!」

 

そう答えて、忍者ライダーとロボットライダーと一緒に向かった来た。

 

「なら、あの人達に私達の力を見せてあげよう?」

 

「「はい!!」」

 

私達も、武器や拳を構え…

 

「貴方達を止められるのはただ一人……私です!!」

 

「王の敵は残らず……私がブッ倒します!!」

 

「敵対対象を確認……破壊します!!」

 

そう決め台詞みたいなのを叫び、彼らとの戦闘に入った。




いかがでしたか?

出てくる7人のライダーはシノビ・クイズ・キカイ・ギンガ・ゼロワン・バルカン・バルキリーでした!!

次回は、対ミライダー戦になります。

では次回で、お会いしましょう。


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Secondコラボ TEN

真「今回は私と海未、花陽でお送りするわ」

海・花「「よろしくお願いします!!」」

真「それにしても、この世界にも歩夢達がいたなんてね…」

海「しかもこちらの世界と同じゼロワンに変身しましたから、驚きました」

花「それにせつ菜ちゃんとしずくちゃんがバルカンとバルキリーになっちゃったよ!?」

真「まあお陰でこっちはギンガに集中できるわ」

海「ではさっそく、このスパークドー◯ズで巨人に…」

真「それはウルトラ◯ンギンガ」

花「だったら来て!!聖獣ギンガ◯オン!!」

真「それはギンガ◯ン……何アンタ達?私にツッコミやらせるとか…喧嘩売ってるなら買うわ」(ゴゴゴゴ…!!)

花「ひぃぃぃぃ~!?」

海「真姫がキレそうなので、その前に本編をどう…」

真「いい加減にしなさい、コラアァァァ!!」(バッシャー乱射)

花・海「「いやぁぁぁぁぁぁぁッ!?ダレカタスケテー!!」」


歩夢達ゼロワンチームとミライダー三人の対決は、先に飛び出したバルキリーとシノビの激突から始まった。

 

「中々の速さでござるな!!」

 

「それが私の自慢ですから!!」

 

そのままぶつかり合いながら離れていく2人。その間にバルカンがキカイと、ゼロワンがクイズと戦闘を始める。

 

「なんだこの力は!?」

 

「私の強化は…パワー特化ですので!!」

 

キカイとバルカンは互いの手を掴み、押し合いで拮抗していて…

 

「ハアッ!!」

 

「フッ!!」

 

ゼロワンとクイズは、攻撃と防御を交互に入れ換えながら戦っていた。

 

「……今だ!!」

 

そこで一瞬の隙をついたクイズが、ゼロワンの背後を取って上段の回し蹴りを放つ。視覚の範囲外から放たれた攻撃……本来なら振り返る間もなく直撃なのだが…

 

「うわっと!?……あ、てりゃ!!」

 

「どわッ!?」

 

ゼロワンは振り返ると同時にしゃがんで回避し、その一瞬後で足払いまで繰り出してきたのだ。回し蹴りのせいで動きを制限されていたクイズは避ける事ができず、軸足を払われて転倒してしまった。

 

その隙を逃さずゼロワンが踵落としを放つが、クイズは横に転がって回避した。

 

(何故だ?今のは完全に認識外からの攻撃だったのに、どうして攻撃を見た後で避けられたんだ?)

 

体勢を立て直しつつそんな思考が頭を過るが、戦闘中と割りきって再び攻撃を始めるクイズ。しかし、正面からの攻撃は簡単に捌かれ、認識外の場所から攻撃を放っても、何故かすぐに知覚して回避されていく…

 

(おかしい…この反応速度、人間を越えている!!)

 

そう思ったクイズはゼロワンから距離を取った。

 

「そのまま降参してk「問題、お前は()()()()()である……○か❌か?」…え…」

 

それが降参かと思っていたゼロワンだったが、いきなり問題を出し……だけど、唐突な問題よりも、その問題文に驚いた。

 

まるで、ゼロワンが人間ではないみたいに…

 

「言っておくが、この問題に不正解・無回答の場合、お前の体を電流が襲うぞ?」

 

固まっているゼロワンに、クイズが更に追い撃ちをかける。つまり、本当の事を言って正解しようが嘘を言ったり無言を貫いて秘密を守ろうとしても、電撃を喰らってバレてしまうという事だ。つまり、秘密はある程度暴かれてしまう事が確定してしまったのだ。

 

(さて、どう答える?)

 

ゼロワンの反応を注視していたクイズだったが…

 

「あ、じゃあ他の2人にも確認していいですか?一応関係あるので…」

 

「ん?それくらいなら構わないが…」

 

彼女からの質問にそう答えるが、その少し明るい感じにクイズは違和感を感じた。

 

「それじゃ……しずくちゃ~ん!!せつ菜ちゃ~ん!!私達の過去、話しちゃってもいい~?」

 

「えッ!?はい、私は大丈夫です!!」

 

「私も問題ないですよォ…!!」(ギギギギ…!!)

 

「せつ菜ちゃん…まだ押し合いやってたんだ……」

 

シノビと戦い続けているバルキリー、そして未だにキカイと押し合いをしていたバルカンに返答を貰い、確認を終えたゼロワンはクイズの方に向き直り…

 

「とりあえず許可も出た事だし……さっきの問題の答えは❌です。私達は【シグルド機関】から派生した【超人兵士機関】出身の強化人間です」

 

「は…!?(ピンポーン♪)ッ!?正解という事は…!!」

 

自分達はまともな人間じゃないと、あっけらかんと答えたのだ。更にクイズの胸元にある❌マークが点滅して正解を告げる音が鳴る。つまり、彼女の言葉は真実であると教えていた。

 

「悪魔祓いの才能がある子を幼い頃に親元から引き離し、家族等の記憶を消し去ってから身体強化手術と脳外科手術を施し、それによって脳が特殊な脳波を放つようになって、それが知覚と反射速度を上げてるんです。それで認識外の攻撃でも反応出来たんです。でも、先輩の千歌さんからすれば、私達はそれぞれ欠点のある不完全なんだそうですよ?」

 

そして身の上話をしていくが、どう考えても平然と話す内容ではない。それを世間話的な雰囲気で話すゼロワンにクイズは驚きしかなかった。

 

「ちょっと待て!?何故そんな事を平然と言える!?普通は誤魔化したり、答えないのが普通じゃないのか!?」

 

彼の動揺が分かったのか、ゼロワンは仮面の下で苦笑しつつ…

 

「そうですね、普通ならそうなんですけど…でも、私の傍にはせつ菜ちゃんとしずくちゃんがいてくれた……何より、あの狭い世界から助けてくれて、1人の人間として見てくれる人達に出会えたから、そんな過去も受け入れられた。この力についても……だから、今はへいきへっちゃらです♪」

 

そう言ったゼロワンは再び構え…

 

「なので、そんなあの人達に敵対する貴方達は私の敵です。ここで……倒します!!」

 

一気に跳躍、クイズへと突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しずくside

 

「フッ!!」

 

「セヤッ!!」

 

高速で動き回って手裏剣を投げる忍者の仮面ライダー相手に、私も同じく走り回りながらショットライザーでそれらを撃ち落としていく。

 

「ならば!!」

 

『ストロング忍法!!』

 

そこに忍者ライダーは、両手で印を結んで紫色の炎を飛ばしてきたので、私も何処からともなく取り出した紫のラインが入った黒いアタッシュケース【アタッシュアロー】を弓に変形させる。

 

『アローライズ!!』

 

そしてそれを引き絞り、エネルギー状の矢を炎の中心へと放つ。

 

炎と矢がぶつかり爆発が起こる…その爆炎の中をシノビが短刀片手に突き抜けて私に迫ってきた!!

 

「そこッ!!」

 

「くぅッ!?」

 

でも、私の脳波がそれを察知してくれたお陰で、アタッシュアローでギリギリ受け止める事ができた。

 

危なかった…この体じゃなきゃ反応出来ずに喰らってました…

 

「なるほど…あの子の話が本当なら、その反応速度にも納得できるでござるな……しかし、反応できても対応出来なければ意味はない!!」

 

「ガハッ!?」

 

でも、お腹に蹴りを入れられてしまい後ろに吹き飛んでしまった。

 

「痛ぅ……!!で、でも『メガトン忍法!!』ってひゃあ!?」

 

地面を転がりつつも何とか体勢を立て直したところに、今度は紫色の竜巻が現れて、その中に巻き込まれてしまった。更にその竜巻に手裏剣を投げ込まれ、縦横無尽に迫るそれに何度も切り刻まれた。そして竜巻が消えると私は地面に落とされるけど、何とか気合いで立ち上がる。

 

「まだ…です!!」

 

「悪いでござるが……これで決める!!」

 

『フィニッシュ忍法!!』

 

そんな私に忍者ライダーは必殺技を決めようと、高速で動き回りながら蹴りを繰り出してくる。

 

(こうなったら、やるしかありません!!)

 

そこで私は覚悟を決めて、体のある部分を魔力で強化する。強化といっても私はスピードしか上げられませんけど…でも、これでいいんです。

 

「御免!!」

 

その声と共に、背後からの接近を脳波が察知する。それと()()()()()()に振り返って攻撃を避けた。

 

「なッ!?例え読まれても、対応は出来ないはず…!!」

 

驚く忍者ライダーに私はタネを教える。

 

「普通なら無理です。でも、今の私は()()()()()()()してますので、即座に動いて思考する時間を稼いでいるんです」

 

そう、思考をする時間がないなら稼げばいい。これが私の編み出した戦術。2つの内、片方が足りないのならもう片方を更に伸ばしてそれを補う。これが私の【超・超絶反射】です!!

 

「なるほど……しかし、タネが分かれば!!」

 

それで理解したのか、忍者ライダーはフェイントを混ぜつつ攻めてくる。でも、極限まで高めた反応速度なら【後の先】を取れる。なので、ここで決める為にプログライズキーのボタンを押す。

 

『DASH!!』

 

続けてバックルに装着したまま、ショットライザーのトリガーを引いた。

 

『RUSHING BLAST FIVER!!』

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

そして気合いの籠った叫びと共に忍者ライダーが真っ正面から飛び蹴りの姿勢でやってくる。けど、私はそれより高くジャンプして忍者ライダーの顔にカウンター気味の空中回し蹴りを決めた。

 

「やあッ!!」

 

「がッ!?」

 

ン グブ ラ ス ト フ ィ ー バ ー

 

「ヌアァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

「ふぅ…」

 

この一撃を受けた忍者ライダーは爆散して、その場にはその忍者の顔をした懐中時計サイズのアイテムが落ちていた。

 

「これは何でしょう?とりあえずルシファーさんのところに持っていきましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せつ菜side

 

「中々やりますね…!!」(ギギギギ…!!)

 

「君こそ……ハァッ!!」

 

「く…!!」

 

ロボットみたいなライダーと掴み合いをしていた私ですが、向こうが腕を大きく振る事で手を離してしまい、その隙に距離を取られてしまった…

 

「君は人間かい?…それとも機械?」

 

「え?う~ん……今は改造人間ですかね?」

 

まあ、後で悪魔になる予定もありますけど!!

 

「そうか……でも、今は君を倒す!!」

 

「それはこっちも同じです!!」

 

お互いの意思を確認した私達は、再び接近し殴り合いを始める。

 

私の身体強化は腕力と防御特化!!そう易々と力で負けませんよ!!

 

繰り出される拳に拳をぶつけ、腕が反動で後ろに吹き飛ぶ前に反対の腕で殴りかかる。最初はそれでも互角だったのに、時間が経つにつれて私の攻撃が当たらなく、向こうの攻撃が当たるようになっていった。

 

「ここ!!」

 

『アルティメタルフィニッシュ!!』

 

「しまッ!?キャアッ!!」

 

そして私の攻撃を掻い潜られ、必殺のパンチをモロに喰らってしまいました。

 

「う…魔力で防御力を上げてなかったら、負けてました…」

 

でも身体強化してたお陰で1発KOだけは避けられました。

 

「今のは効きましたよ…」

 

「君の動きは解析した。もう降参してくれないか?」

 

「それだけはできませんね…私達の王に敵対したんですから、貴方を倒すのは確定事項なんですよ!!」

 

胸に受けた一撃がかなり効いて、少しフラフラするけど、足に力をこめて何とか立ち上がる。そんな私を見て、ロボットライダーは悲しそうな雰囲気を纏いつつも、ベルトの両端に手を翳した。

 

「なら、仕方ない…」

 

『フルメタル・ジ・エンド!!』

 

その電子音声の後、跳躍して飛び蹴りを放ってくる。でも、それは悪手でしたね!!

 

(これは絶好のチャンス!!)

 

そう判断した私は構えを解き、無防備を晒しながらライダーキックをまともに喰らう。けど、()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして左手でロボットライダーの足をガッシリと掴んだ。

 

「なッ!?」

 

「つーかまえた♪」

 

驚くロボットライダーに素早くバックルから抜き放ったショットライザーを突きつけ、ゼロ距離で撃ちまくる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

大量の火花を散らしながら、ロボットライダーが吹き飛んでいく。

 

うん、ちょっとスッキリしました!!

 

「何で必殺技が効いていない!?」

 

「ああ、それは私がカウンターをしたいので、身体強化を防御に極振りしました♪」

 

私みたいなパワータイプって、当てると大ダメージ確定なんですけど当てるのが難しくて……そこで私はカウンターならイケる筈!!…って思い、脳波で攻撃がくる場所を予測してそこに身体強化を一点集中させたんです。私は脳波の範囲が2人より狭いけど、その代わりにどの場所に攻撃が来るのか細かい場所まで分かるんです。でも最初は失敗ばかりで、何回も身体強化の練習してやっと身についたんだっけ…

 

「そういう事か…!!」

 

「これで、貴方も終わりです」

 

『BULLET!!』

 

プログライズキーのボタンを押し、放たれた4つの弾丸が青い狼のオーラを纏いながらロボットライダーの手足に噛みついて壁に張り付けた。そしてショットライザーに更にエネルギーを充填し、充分に貯まったところで引き金を再度引いた。

 

『SHOOTING BLAST!!』

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

巨大な青い狼のエネルギー弾は、まっすぐにロボットライダーへと突き進み…その身を噛み砕いた。

 

バ レ ッ ト シ ュ ー テ

 

「グアアアアアアアアアアッ!?」

 

爆散するロボットライダーの後には、そのライダーの顔が描かれたアイテムが落ちていました。

 

「むむッ!?私のオタク魂に火を着けそうなアイテムですね!!でも、何かトラップがあるかもしれないし……念のため、ヴァーリさんに見てもらいましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

「はぁ…!!はぁ…!!」

 

「中々渋といな…」

 

私はハテナだらけのライダーと戦っていたんだけど、段々と押されていた。その理由は……

 

「問題!!」

 

「またですかぁッ!?」

 

いろんなクイズを出しながら攻撃してくるからなんです!!

 

「【機動戦士ガ◯ダムOO】に出てくる3機のガ◯ダムスローネの内、奪取されたのはスローネ◯ライである…○か❌か!!」

 

「しかも専門外ばっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

それにさっきからオタク系の問題ばっかり!!なに!?好きなの!?ガ◯ダム好きなのッ!?

 

「え~と…!!」

 

「注意が散漫だぞ!!」

 

「あうッ!?」

 

答えを考えていると、ハテナライダーからパンチをもらって地面を転がってしまう。

 

シンキングタイムぐらいくれてもいいじゃん!!

 

「勘で◯ッ!!」

 

「正解は……❌だ」

 

「またハズレババババババババババババババッ!?」

 

その上、ハズレたらこの電撃!!事前に聞いてはいたけど、喰らうと結構痺れちゃうの!!……あれ?私、戦ってるんだよね?バラエティー番組の収録なんてしてないよね?

 

あ、実は私としずくちゃんとせつ菜ちゃんは三人でアイドルユニット組んでます♪名前は【A・ZU・NA】って言うの。普段は幻夢コーポレーションのゲームの主題歌を歌ってて、最近は少し有名になってテレビ番組にも出始めてるんだ。CDも2月12日発売(公式でのリアル話)だから応援ヨロシクね♪

 

「戦闘中になに宣伝してんだッ!!」

 

ゴツン!!

 

「いったぁい!?」

 

そんな事を考えていたら、ハテナライダーから拳骨を脳天に貰った。スッゴい痛い……本気で殴る事ないじゃない!!

 

「だってこれ、誰が読んでもクイズバラエティ番組にしか思われないもん!!だったら宣伝くらいさせてよ!!じゃなきゃ、正直やってられないんだからァッ!!」

 

「それならせめて、問題に正解してからにしろォッ!!」

 

「言ったね!?言質とったからね!?嘘ついたら無抵抗で顔面にライダーキック10回なんだからァ!!」

 

「罰則エグいな、オイ!?」

 

「よっし、ド~ンとこい!!」

 

「それ、別のアイドルアニメのキャラのセリフだからな?」

 

そんなツッコミを無視して、私は問題を答える為に思考をフル回転させる。

 

「問題!!特◯戦隊ゴー◯スターズで、主人公である桜◯ヒロ◯はニワトリを見ると動けなくなる……○か❌か!!」

 

「………………あれ?それって確か中の「それ以上言うな」ア、ハイ…」

 

その問題に何かを感じた私は、それを伝えようとしたら止められた。解せない…

 

「え~と……え~と…!!」

 

必死に頭を回転させるけど、問題の答えがわからない……そりゃ、見たこともない作品の特徴を答えろなんて言われて、いきなり答えられる訳がない。

 

(どうしようどうしよう!?このままじゃ……)

 

答えが解らずテンパる私。こうなったら当て勘で答えようとしたら、また意識が飛ばされる感覚が起きてゼアの中に立っていた。

 

「あれ…?どうしたのゼア?」

 

『先程のクイズの回答を検索……検索完了。答えは◯です』

 

どうしたのかと聞いてみたら、なんとゼアが答えを教えてくれました。やった!!ゼアがいてくれれば何も怖くない!!これで勝つる!!

 

「ありがとう!!よ~し、それじゃさっそ『お待ち下さい、歩夢様』く?」

 

ゼアの協力でクイズは敵無しと思い、戻ろうとしたらゼアに止められた。

 

「今度はどうしたの?」

 

『今の歩夢様と仮面ライダークイズとの戦力では、今の歩夢様に勝ち目はありません。それでも勝てる方法があるのでしょうか?』

 

「う~ん……反射と思考の融合さえ出来ればなぁ…」

 

アレが私達の切り札ともいえるもの。私は千歌さんを越える歴代で最高の反応速度を持っているんだけど、何でも深く考えすぎる癖があって、その間は他の事に意識が向かなくなるの。そのせいでせっかくの反応速度を阻害しちゃってるんだ。だから何とかしたいんだけど…

 

『反射と思考の融合…検索開始…………………検索完了。現在、使用可能な人物、高海千歌のみ。原理解析…………解析完了。二重人格を使った反射と思考の役割を分担し、それらを同時進行で行う事によって、驚異的な速度で物事に対応する能力………対応方法検索……検索完了。それでしたら、こちらをお使いください』

 

悩んでいた私に、ゼアがホログラムで何かを見せてくれる。それは先程、或人さんから貰ったプログライズキーの中にあった金とクリアグリーンのプログライズキーに銀に赤いボタンがあるグリップ型のアイテムだった。

 

「これは…」

 

『【シャイニングホッパープログライズキー】と【アサルトグリップ】です。この2つを使う事で、私が貴方の思考を肩代わりできます』

 

「そんな事が出来るのッ!?」

 

『可能です』

 

まさかゼアのお陰で、こんな簡単に悩みが解決出来るなんて…

 

「ありがとう、早速試してみるね♪」

 

『健闘を祈ります』

 

ゼアにお礼を言って意識が体に戻る。それじゃ早速回答しないと!!

 

「えっと、答えは◯です!!」

 

「正解は……◯だ」

 

「やったぁ♪」

 

クイズに正解した私は小さくガッツポーズをした後、シャイニングホッパープログライズキーとアサルトグリップを取り出した。

 

「ほら、宣伝するなら「あ、それはもういいです」ん?」

 

「代わりに…」

 

そしてその2つを合体させ、グリップのトリガーを押す。

 

『HYPER JUMP!!』

 

「貴方を……倒します!!」

 

『OVER RIZE!!』

 

それをドライバーに翳すとさっきとは違う音声がなり、キーを開いて頭上に掲げると空から金の、地面から水色の光が伸びてきてキーの先端に当たると、その上には蛍光イエローと紺色に彩られたバッタのライダモデルが現れた。

 

「あれは…!!」

 

そしてライジングホッパープログライズキーを抜いたドライバーに、展開したキーを装填した。

 

『プログライズ!! WEARING WEARING This is not test.ハイブリッドライズ!!シャイニーング!!アサルトホッパー!!No chance of surviving this shot.』

 

それを身に纏う事で強化形態である【仮面ライダーゼロワン・シャイニングアサルトホッパー】に変身した。

 

「その姿……強化形態か!!」

 

「正解です。そして今度は私が問題を出します」

 

驚くハテナライダーにそう告げて、彼を指差す。

 

「問題!!貴方は私を越えられる……○か❌か?」

 

「フン、それなら簡単だ。答えは…………◯だ!!」

 

私の問題に彼はそう答えて迫ってくる。でも、今の私にはゼアが付いている!!

 

そう思った瞬間、私の視界にハテナライダーの行動予測が幾つか映され、確定された映像が赤く表示された。私はそれに合わせて殴ってくる拳を高速移動で回避し、次に攻撃するのに最適な方法が表示され、それを追うように攻撃する。

 

「そこかッ!!」

 

「ッ!!」

 

ハテナライダーは即座に反応してきたけど、私はその先にはもういない。そして彼の死角から攻撃を喰らわせた。

 

「うあッ!?……な、なにが…!!」

 

「正解は……❌です」

 

起き上がりながら此方を見るハテナライダーに、私は告げる…

 

「私を越えられるのはただ一人……私です!!」

 

 

―推奨BGM【REAL×EYEZ】―

 

 

そこからは私の独壇場だった。高速で移動しながら攻撃を加え、向こうの攻撃は全て避けられる。ゼアの行動予測が私の最大反応速度とほぼ同時なので、とってもやりやすい。

 

「そこッ!!」

 

「ガッ!?」

 

向こうのパンチを掻い潜って、逆にパンチを鳩尾に抉り込ませて吹き飛ばし、その隙にライジングホッパープログライズキーを取り出して、ベルトに四回翳す。

 

『BIT-RIZE BYTE-RIZE KILO-RIZE MEGA-RIZE』

 

それを4回スキャンさせ、更にグリップのボタンを押しながら押し込んだ。

 

『ASSAULT CHARGE!! SHINING STORM MEGA IMPACT!!』

 

「く…!!させるかァッ!!」

 

『ファイナルクイズフラッシュ!!』

 

そこに体勢を立て直したハテナライダーもバックルのクエスチョンマーク型のアイテムを抜いて、エクスクラメーションマークに変えて再装填してから必殺技を発動させて、同時に飛び上がると互いにライダーキックを叩き込んだ。

 

「デェェェェェェェェェェェェェイッ!!」

 

「クエスチョンキィィィィィィィック!!」

 

シャイニングストーム

メガインパクト

 

「「ハアッ!!」」

 

ファイナル

クイズフラッシュ

 

私の瞬速の蹴りと向こうの空中回し蹴り……刹那の交差の後に着地して倒れたのは…

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

ハテナライダーの方だった。

 

「ふぅ……ギリギリのビクトリーだった…」

 

そして振り返ると、ハテナライダーが倒れた場所に彼の顔が描かれたアイテムが落ちていた。

 

「これ、なんだろう?せつ菜ちゃんが好きそうだなぁ…よし、持ってってあげよう♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてミライダーの内、三人が倒された。しかし、最後の一人【仮面ライダーギンガ】に異世界のライダー三人が最強フォームなって応戦するも、その力に苦戦していた。

 

「やはり強いですね…!!」

 

「さすが、エボルトに近いだけあるわ…」

 

「ど、どうしよう2人ともッ!?」

 

「さあ、滅びよ……(バンッ!!)ん?」

 

そんな3人にギンガが攻撃しようとした時、彼の背中に火花が散った。振り返るギンガの視線の先にはガンモードにしたジカンギレードを持つジオウと、ダブルナイツゲーマーになったドラゴネス達が走ってきていた。

 

「一誠君!!」

 

「それにこっちの世界の一誠君にパラド!!」

 

「来てくれたの!?」

 

「ウオリャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

背中のブースターを吹かして突撃する一誠側のドラゴネス(以降ドラゴネスRと呼称)だったが、それは華麗に受け流されお返しとばかりに背中に蹴りを入れられ、地面を転がっていく。

 

「うあッ!?」

 

「一誠ッ!?コイツ…!!」

 

それを見たパラド側のドラゴネス(以降ドラゴネスLと呼称)がキーブラスターを手にし、翼を広げて突撃するもギンガはそれを回避しながらドラゴネスLの腹に蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐぅ…!!」

 

「そこだァッ!!」

 

その間に近づいていたジオウがジカンギレードをブレードモードに切り替えて斬りかかったが、彼の右手が発する【エナジープラネット】によって防がれてしまう。

 

「ええッ!?」

 

「フン…」

 

「どわぁッ!!」

 

そして反対の手の放つ波動をモロに喰らって吹き飛ばされてしまった。

 

「強ォ~…」

 

「三人とも、大丈夫ですか!?」

 

「へッ!!たりめぇだ!!」

 

心配する海未の声にドラゴネスRはそう答えながら、全身をバネのようにして起き上がり、ドラゴネスLとジオウもすぐに起き上がる。

 

「にしても、アイツ結構やるじゃねぇか……うし!!もう一人の俺!!()()を使うぞ!!」

 

「アレ…?」

 

「もしかして…何か作戦があるのかも!!」

 

「でもあの2人って、そんなに仲良かったかしら?」

 

「恐らく…世界は違えど自分同士、通ずるものがあるのでは?」

 

ジオウに呼び掛けるドラゴネスR。それを聞いた花陽達が期待に満ちた目を向けるが…

 

「え?……アレってなに?」

 

「「「ズコォーッ!?」」」

 

まさかの返しに3人揃ってずっこけた。

 

「オイオイ…アレっつったらアレだろうが!!」

 

「いやだから、アレってなに!?」

 

「イッセー、アレじゃ分かんないって…」

 

そして始まる口喧嘩。大声でワーギャー騒ぐ3人だったが、今は強敵との戦闘中だ。そこでこんなに隙を丸出してれば……

 

「ハッ!!」

 

「「「いだぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」」

 

近くにまで来ていたギンガの攻撃をまともに喰らって、3人揃って地面を顔面スライディングする事になる。

 

「ダーメだ、こりゃ…」

 

そんな3人に、真姫はため息を吐きながらそう呟くのだった。

 

「コンニャロォ…!!」

 

それに怒ったドラゴネスRが殴りかかるも、両手に作り出したエナジープラネットの盾に全て受け流されて、大振りになったところで腹に波動を打ち込まれて吹き飛びされた。

 

「ガハッ!?アイツ…やりやがる…!!」

 

「もう一人の俺よ…ノープラン過ぎだろ?ここは俺が!!」

 

「お、そのライダーの力のお手並み拝見だな♪」

 

倒れるドラゴネスRにジオウはそう言って、ジカンギレード片手にギンガへと迫る。そして剣を上段から思いきり振り下ろすが…

 

「遅い」

 

「あら?」

 

ギンガのエナジープラネットによって、途中で腕を拘束されて身動きが取れなくなった。そんなジオウにギンガは反対の手のエナジープラネットをゆっくりと近づけていく。

 

「あッ!?待ってください!!ちょッ!?お願いします!!待って待って待って待って!!本気で止め「フン!!」ベブラハァッ!?」

 

必死に抵抗(という名のお願い)するジオウだったが、それもむなしく、波動を顔に叩き込まれた。

 

「いっでぇ~…!!」

 

「ダメじゃねぇか!!」

 

「そっちだって!!」

 

「喧嘩すんなって!!今度は俺だ!!」

 

再び喧嘩しそうな2人を宥めてから、キーブラスターを持ったドラゴネスLが攻撃を始める。大振りの隙を突かれないように、小技の連続で攻めていく。

 

「む…」

 

「ソラァッ!!」

 

そして動きが鈍ったところに、渾身の突きを放つ…

 

「無駄だ」

 

「あら?」

 

が、それはエナジープラネットを纏った右手で叩き落とされ、刀身が地面に突き刺さってしまう。更に峰の部分をギンガに踏みつけられる。

 

「あッ!!おい、足どけろ!!ぬ、抜けない…!!」

 

「フ…!!」

 

「ブボッ!?」

 

何とか引き抜こうとするドラゴネスLだったが、胸に波動を打ち込まれてダメージを負うが、そのお陰で剣が地面から抜けた。

 

「あたた……オイイッセー、アイツ相当手練れだぜ?」

 

「バカかッ!?さっさと武器から手を離せば喰らわなかっただろうが!!」

 

「………………………………あ、そうか」(ポンッ)

 

「ここでポンコツ化するなよッ!?」

 

「もぉ~見てらんない…!!」

 

「ええ、行きましょう!!」

 

「うん!!」

 

ボケボケになってる3人を見かね、真姫達も戦線へと加わる。

 

倒れている三人を飛び越え、キバである真姫はザンバットソードを、響鬼である海未はアームドセイバーを、アギトである花陽はシャイニングカリバーを持って攻め立てる。それをギンガは易々と捌いていく。

 

「こんの…!!」

 

「貴様達程度では、我に勝つなど不可能…「だったらこれでどうだッ!!」ヌオッ!?」

 

余裕を見せるギンガだったが、3人の隙間をくくり抜けたドラゴネスRの透過の力を乗せた拳を喰らうと、後ろに下がりながら動揺を見せた。

 

「ば…バカな…!!」

 

「余裕ブッこいてられるのも今の内だ!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「お前ら、受け取れぇッ!!」

 

『Transfer!!』

 

更にドラゴネスRが今まで一度も使わなかった【譲渡】の力を発動、5人の力を強化させる。

 

「これなら……何かイケる気がする!!」

 

それにより一時的にパワーアップしたライダー達が攻め立てる。

 

まず最初に突撃したのはドラゴネスL。光翼をはためかせてギンガへと向かうのが、彼もただ見てるだけじゃなく手から波動を放って妨害しようとする。

 

「悪いけど、もう攻略済みだ!!」

 

「なに…!?」

 

しかしドラゴネスLは、それを固有の能力である【反射】の力で跳ね返す。それにより自分の波動を喰らってよろめいたところに…

 

「オラァッ!!」

 

「ガッ!?」

 

「今だ!!」

 

ドラゴネスLの斬撃が決まる。ギンガは攻撃を喰らう直前にエナジープラネットの盾を貼るが、ドラゴネスRに強化された事によって易々と突破された。そこに腰だめに構えていたアギトが目の前に出来た紋章をくぐり抜けて、必殺の【シャイニングライダーキック】を決める。

 

「うおッ!?」

 

ドラゴネスLの斬撃を受けたせいでエナジープラネットの防御が間に合わなかったギンガは後ろへと吹き飛び、その先に待ち構えていた響鬼が剣に力を込めていく。

 

「ハァァァァァァァァァ…鬼神覚声!!」

 

そして刀身に炎を纏わせてスレ違い様に斬り捨てた。

 

「グオッ!?」

 

『ウェイクアップ!!』

 

「セイッ!!」

 

更に続けてキバがザンバットソードにあるフエッスルを吹いて、ザンバットバットをスライドさせて刀身に魔皇力を纏わせ、それを全力で投げた。

 

「そんなもの…「オマケだ!!」『フィニッシュタイム!!』なに…!?」

 

それを防ごうとするギンガだったが、反対側にいたジオウがジカンギレード・ガンモードにライドウォッチを取りつけ必殺技を発動させた。

 

『ジオウ・スレスレシューティング!!』

 

そしてジュウという文字型のエネルギー弾が油断していたギンガに命中。バランスを崩したところに、ザンバットソードが胸に突き刺さった。続けて響鬼のアームドセイバーとアギトのシャイニングカリバーもその胸に突き立てられる。

 

「ガハッ!?……だが…この程度で…!!」

 

「いい加減くたばれ!!」

 

『『ガッチョーン、キメワザ!!』』

 

『フィニッシュタイム!!』

 

それでもなお生きてるギンガに、トドメを刺すべくドラゴネス2人とジオウは必殺技を発動、飛び蹴りの体勢に入る。

 

「させ……るか…!!」

 

「こちらの台詞です!!」

 

それでも抵抗しようとするギンガに、響鬼は音撃棒・烈火から【烈火弾】を放ち妨害した。

 

『ガッチャーン!!KAISER DOUBLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

『タイムブレーク!!』

 

「「「ウオォォォォォォォォォォォォォッ!!」」」

 

そしてドラゴネスLRとジオウのライダーキックが、刺さっていた剣に当たり刺し貫いた。

 

「バカなァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

そのダメージに耐えきれなかったギンガは爆散。その後には、惑星が描かれた大きなダイヤル付きのアイテムがあった。

 

「なんだこりゃ?」

 

「【ギンガミライドウォッチ】だよ。まさか手に入るなんて…」

 

「にしても疲れた…」

 

「模擬戦は少し休んでからにするか…」

 

ドラゴネスRがウォッチを回収した後、さすがに連戦は厳しかったので一旦休憩と治療するために、観客席に戻ったのだった。




いかがでしたか?

ひっさびさの一万文字超え…

ゼロワン最新話のメタルクラスタホッパー……アレ見た瞬間、「ゼロワンがELSと融合した!!」って思ったのは私だけでしょうか?

次はお待たせしました、イッセー同士の対決パート2です!!

次回【secondコラボ ELEVEN】


「いわ「祝うズラッ!!」私のセリフッ!?」


では次回で、お会いしましょう


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Secondコラボ ELEVEN

花「マルの神器によれば、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】…彼には喧嘩王にして人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待っていた…」

レ「ひょんな事から異世界の自分と模擬戦をする事となった我が魔王…その勝負の行方やいかに……」

花「ふっふ~ん!!絶対、番長先輩が最強ズラ!!」

レ「何を言うッ!!我が魔王の方が強いです!!」

花「番長先輩ズラ!!」

レ「我が魔王!!」

2人「「ぐぬぬ~…!!」」

曜「それでは、本編にしてコラボ編最終回をどうぞ~♪」


ディエンドが呼び出したライダー達を撃破した歩夢達3人は、観客席のベンチでぐったりとしていた。

 

「あ~……疲れた…」

 

「実戦なんて、あまりしませんでしたから…」

 

「私達、アイドル兼諜報部隊だったもんね~…」

 

「んで……お前達が来た理由は?」

 

そんな3人にヴァーリは問いかける。彼女達は普段、リゼヴィムの指揮下に入って行動する部隊であり、あまり接触はない。そんな彼女達がやって来たという事は、何か重大な情報を知らせに来たのだろう。

 

「あ、そうでした……こちらが手に入れた情報だと、クロノスが様々な所から仲間を集めているらしく…近々、何かを始めるつもりみたいで、それに対抗するためにリゼヴィム社長の指示で、戦力増強にヴァーリさんの新たな眷属として私達が選ばれたんです」

 

そう話す歩夢にヴァーリはため息を吐く。

 

「……お前達はそれで良いのか?人間には戻れなくなるぞ…」

 

「もちろんです」

 

「私達は既に納得済みですから」

 

「それにこれ以上、クロノス陣営への諜報活動は不可能ですし…」

 

「まったく……………………ん?」

 

そんなアッサリした彼女達の態度に再度ため息を吐きつつ、ヴァーリは途中でせつ菜が言った言葉が頭に引っ掛かった。

 

「お前達ですら、クロノス陣営の諜報が不可能なのか?」

 

この3人は幻夢コーポレーションの諜報部隊としてはトップレベルで、今まで三大勢力の情報を確実に手に入れてきていた。そんな三人ですら諜報活動ができないのは、よほどの事態だ。

 

「はい。どうやら向こうに私達と同じ研究所にいた人達が仲間に加わったらしく、そのせいで活動しようにも向こうの脳波との干渉で私達の接近がバレてしまうんです…」

 

「そうか…」

 

彼女達の話が本当なら、もうクロノス陣営の情報を得る事はできない。それでも、何かを起こそうとしている情報があるだけでも対策を立てられるとヴァーリは思う事にした。

 

「分かった、ご苦労だったな。それじゃ駒を配るぞ」

 

「「「はい!!」」」

 

そして話が終わったら、せつ菜には戦車を、しずくには騎士を、歩夢は兵士2個のイーヴィル・ピースを渡して眷属へと転生させた。

 

「という訳で新しく眷属になりました、兵士の上原歩夢と…」

 

「騎士の桜坂しずくと…」

 

「戦車の優木せつ菜です!!よろしくお願いします!!」

 

「「「「よろしく!!」」」」

 

簡単な挨拶が終わると、歩夢は後ろにいる別世界の千歌達を見る。

 

「ところで……この人達は誰ですか?千歌先輩達にそっくりですけど…」

 

「ああ、それについては……」

 

彼女達を知らない三人にヴァーリが説明している間、千歌達も異世界組に説明していた。

 

「うう……そっちの千歌ちゃん達、大変だったんだねぇ…!!」

 

「そっちの教会……屑過ぎひん?」

 

「というか、屑って言葉に失礼なレベルでクズね」

 

「今度、こっちのウルトラマン達全員呼んで殲滅しましょう」

 

「「「「「「「「「賛成」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「ストップぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」」」」」」」」

 

説明を聞いた花陽はその境遇に涙ぐみ、希と真姫は静かにキレ、海未に至っては過激な提案を口ずさみ、異世界のAqours全員が賛成するのをこっちの千歌達が全力で止めた。

 

「こっちでそんな事したら、大惨事だよ!!」

 

「それに、既に殲滅完了してますから!!」

 

「あ、そうなんですか……………………チッ…」

 

「舌打ちしたッ!?」

 

「お~い、先輩達の回復終わったわよ~!!」

 

そんな風に話し込んでいる間に、2人のイッセーの回復も終わり、最後の模擬戦の始まる。

 

「あ~…!!ようやく暴れられるぜ!!」

 

「お前…どんだけ喧嘩好きなんだ?」

 

「うっせぇ、喧嘩は趣味でやってるだけだ」

 

「どこのハゲマントだよ…」

 

「誰がハゲだって!!」

 

「いや、別にお前じゃねぇって!?」

 

「まあいい……模擬戦でボコりゃいいだけだ」

 

「やべ……殺る気スイッチ押しちゃった?」

 

そんな感じにお互いに戦意が上がったところでベルトを装着。ガシャットとライドウォッチを起動させる。

 

『ジオウ!!』

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大…」

 

「「変身ッ!!」」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバァール!!

 

『ライダータァイム!!仮面ライダァージオウ!!』

 

そして変身が終わったところで、観客席に先ほどの少女……レイヴェル(D)が再び現れる。

 

「フム……折角の機会ですし、この世界の我が魔王との出会いも祝いましょうか」

 

どうやら今度は、この世界のイッセーとの出会いを祝おうとしているらしい。しかし…

 

「いわ「祝うズラッ!!」私のセリフッ!?」

 

それはこの世界の花丸に遮られる事となった。

 

「この世全ての悪に挑み、その拳で仲間を守りし闘神の龍戦士!!その名も【仮面ライダードラゴネス・セイヴァーサバイバルゲーマー】!!その身に二天を頂く龍を纏い、魔王たるもう一人の己と戦いし瞬間ズラッ!!」

 

「……………………えっと……花丸ちゃん?」

 

「この世界だと、やっぱりマルがウォズ役なんズラね…」

 

「うう……私が祝いたかったのにィ…!!」

 

何かやりきった感を出してドヤ顔している花丸にルビィは困惑、花丸(D)は前書きから予想していたのか少し苦笑し、レイヴェル(D)に至っては四つん這いになって項垂れていた。よほど祝えなかったのが悔しいらしい…そして困惑していたのはフィールドにいるイッセー達もだった。

 

「…………何言ってんだ、アイツ?」

 

「ああ……この世界じゃ花丸さんがレイヴェルみたいなんだ…」

 

花丸の奇行?に困惑の視線を向けつつ、試合の為にすぐに意識を切り換える。

 

『それでは、試合開始です』

 

そして合図が聞こえると同時にドラゴネスが飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

(奴の力はまだよく分からねぇ…だからまずは先手を取って、手の内を引っ張り出す!!)

 

俺は突撃しながら、そう思考を巡らせる。

 

早いうちに相手の行動を知れればその分、対処が楽になる。だからこそ、まずは先手で攻めまくって手の内を使わせる!!

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

列帛の叫びと共に拳をもう一人の俺に振るう。

 

さあどう出る?回避か、手で受け止めるか、敢えて喰らってからのカウンターか!!

 

どの行動が起きても対応できるように、頭をフル回転させていたら…

 

「どわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

情けない声とともに、地面を転がりながら避けた。

 

「は…?」

 

おいおい、どういう事だ?あのウルトラマンとかになってた時は、ある程度余裕で対処してたってのに…

 

そこから前回と同じ空中浮遊からのラッシュを仕掛けると、ウルトラマンだったときとは全く違い避けるのに必死だった。

 

本当に何がどうなってんだ…?

 

「あっぶね~……やっぱり初期フォームじゃ無理か…」

 

その謎は簡単に解った。どうやら今の姿は1番初期の姿らしく戦闘力もそこまで出ない様だ。だが、それが1番頭にキた。

 

ほぉ~?つまりなんだ?そんな弱いフォームで俺に勝てると思ってたのか~ふ~ん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘗めてくれるじゃねぇか?

 

『おい、どうしたイッ…うおッ!?』

 

『怒リニ身ヲ任セロ』

 

その瞬間、パラドの声が聞こえなくなるくらい、ドス黒い感情が全身を駆け巡って俺の体を支配する。

 

だったら容赦なく……ブチ殺す!!

 

『お…!!止……イッ…!!』

 

『モットダ、モット怒レ』

 

そんな感情のまま、俺はもう一人の俺に全力で殴りかかる。もちろん、人体の急所を狙ってだ。

 

「へ?……アガァッ!?」

 

それが額に当たり仰け反ったところに、今度は腹に回し蹴りを喰らわせる。

 

「うぶ…!!」

 

今度は体勢がくの字になり、下がった頭に踵落としを決めて地面に叩きつけた。

 

「うごぁ!?」

 

「テメェ…ふざけんのも大概にしやがれよ?あんまり嘗めてっと……殺すぞ!!」

 

『ソウダ…怒リの感情!!ソレコソガ、我ガ源ヨッ!!』

 

そのままもう一人の俺の頭を踏みつけようとしたが、それは転がって避けられた。

 

「なんだッ!?雰囲気が…!!」

 

「ちょこまかしてんじゃねえッ!!」

 

「うおッ!?」

 

俺が再度殴りかかると、奴はまた転がって回避し、ピンク色の横長のアイテムを取り出した。

 

『ディ・ディ・ディ・ディケェイド!!』

 

「あん?」

 

それを左のスロットに装填すると、ベルトを一周させた。

 

『ライダァータァイム!!仮面ライダァージオウ!!アーマータイム!! KAMEN RIDE!!(ワーオ!!)ディケイド!!ディケイド!!ディ・ケ・イ・ドォ!!』

 

すると、奴の体をバーコードが描かれた鎧が覆っていき、顔には画面みたいなパーツを付け、そこにディケイド と書かれた顔が表示された。

 

「こりゃ様子見とか言ってる場合じゃねぇ!!」

 

「なんだよ……あんじゃねえか、強い力がよォッ!!さっさとその強さを見せやがれ、画面ライダー!!」

 

「画面ライダー言うな!?」

 

そう言って奴は、剣を二本取り出して両手に持つ。

 

『ライドヘイセイバー!!』

 

『ジカンギレード・ケン!!』

 

「行くぞッ!!」

 

向かってくるアイツに、拳を握り締めながら仮面の下で俺は笑う…

 

ああそうだ……やっぱ喧嘩(殺し合い)はァ…!!白兵戦じゃないとナァッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

(なに?……この嫌な感じは…)

 

二人のイッセー君の模擬戦の最中、私はこっちのイッセー君の戦い方に、言い知れない何かを感じていた。

 

「あ~あ…こっちの兵藤君がキレちゃった」

 

「しかも完全ブチギレモードだね…」

 

皆はまだあまり理解してないみたいだけど、私にはそれがすぐに解った。

 

(あんなの何時ものイッセー君じゃない…!!)

 

でも、パラド君の戦い方とも全然違う。まるで、違う誰かがイッセー君の体を使って暴れてるみたい…誰なの?イッセー君の体を操ってるのは…!!

 

そう思いつつも、戦う力を持たない私はこの模擬戦を見ている事しか出来なかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセー(D)side

 

さっきからもう一人の俺の様子がおかしい。喧嘩好きなのは何度か会って知ってたけど、今は喧嘩好きというよりは狂戦士(バーサーカー)に近い感じがする。俺の二刀流を拳で弾き返しながら殴りかかってくるのは、多少の恐怖を覚える…

 

というか!!刃の面をぶん殴るとか、見ててこっちが痛いわッ!!

 

「一体どうなってんだ!?」

 

『相棒、ここはクウガを使うべきだ!!向こうが完全に暴走する前に、その力で抑え込めば…!!』

 

「それしかねぇか!!」

 

『クウガ!!』

 

ドライグに言われた通り、クウガライドウォッチを起動させ、それをディケイドライドウォッチのスロットに装填する。

 

『ファイナルフォームタイム!!ク・ク・ク・クウガ!!』

 

するとディケイドアーマーに変化が起き、右肩には【クウガ】、胸には【アメイジング】の文字がバーコード風の表記で描かれ、手足はクウガ・アメイジングフォームのものに変わり、顔の画面も同じものに変更された。因みに顔文字じゃないぞ?普通にライダーの顔そのまんまだからな?そこん所、間違えるなよ?

 

『そんなどうでもいい事に拘るな!!』

 

「どうでも良くない!!」

 

ここはしっかり説明しないと、ジオウをよく知らない読者に間違った印象を与えるんだ!!キチンとしないと!!

 

「いわ「「「「「くどい」」」」」……クスン…」

 

おまけにレイヴェルの方を見たら祝おうとしたけど、母さん達に止められて泣いていた。うん、予想通りだな。

 

『ああ~!!解ったから、早く暴走してる奴をどうに…って前見ろ、前ッ!!』

 

「へ?」

 

「ドォリャアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」『分身!!』

 

ドライグに指摘されて前を見たら、全力の拳を振りかぶって飛び込んでくる、たくさんのもう一人の俺の姿があった……って、破血滅血※(【はちゃめちゃ】と読みます)が押し寄せてくるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?

 

『物騒な漢字変換しながら泣いてる場合じゃないぞッ!?』

 

「ちょえぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!!」

 

俺は咄嗟にヘッドスライディングで潜り抜ける事で、何とかそれを避けた。

 

い、今のはマジで死ぬかと思った……

 

「チョロチョロすんな、ブン殴るぞ?」

 

「嘘つけッ!!ただ立っててもブン殴るだろッ!?」

 

「いや、ブッ殺す」

 

「タチ悪ぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

それ、結局ボコられるだけだろ!?ふざけんな!!

 

「いい加減、始めようぜッ!!」

 

「上等ッ!!」

 

そこから俺達は殴り合いを始める。俺が顔を殴れば向こうに腹パンされ、続けてアッパーを喰らったので反撃とばかりに、そのまま右足を振り上げて顎を蹴り上げた。そんな感じに数分ほど殴り合ってから繰り出した互いの拳でクロスカウンターが決まり、よろけながら下がる。そこに、先ほどヘッドスライディングした時に落としたヘイセイバーとジカンギレードがあったので拾っておく。

 

「さすがは仮面ライダー!!やっぱりとんでもねぇ力だ!!喧嘩のしがいがある!!」

 

「いい加減に目を覚ませ!!その力は、喧嘩する為にあるんじゃないだろ!?」

 

「御託はいい!!テメェのその力も…誰かをブッ潰すためにあんだろッ!!」

 

「違うッ!!」

 

再度殴り掛かってきたのを、右腕の剣で防ぐが弾かれ…

 

「絶対に違う!!」

 

そこから回し蹴りが左手に当たり、ジカンギレードを落としてしまう。

 

「ジオウの力は…!!」

 

次の攻撃を右手で受けようとしたけど、その威力に剣を弾き飛ばされ、体が仰け反ってしまう…

 

「コイツで終いだァッ!!」

 

この間に、俺の後ろに回ったもう一人の俺は、全力で殴るべく拳を思いきり引き絞って突き出してくる…

 

「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

なので俺は起き上がるのではなく、逆に右後ろに倒れるくらいに体を捻りながら仰け反らせた。そのお陰か、拳は俺の少し上を通り過ぎた。

 

「なッ!?」

 

「今だッ!!」

 

そこで出来た隙を逃さない為に、右手を地面に着き体を大きく回しながら、左手でディケイドライドウォッチのボタンを押す。

 

『ク・ク・ク・クウガ!!ファイナルアタックタイムブレイク!!』

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

「ゴハッ!?」

 

そしてその勢いのまま、奴の脇腹に必殺キックを喰らわせてやった。

 

これで少しは大人しくなるか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「いつつ…!!」

 

一体何が起きたんだ?つーか、脇腹痛ぇ…

 

『おい、イッセー!!聞こえるかッ!!』

 

うわッ!?おいパラドッ!!頭の中でデケェ声出すんじゃねぇッ!!

 

『ッ!!俺の声が聞こえるんだな!?』

 

耳塞いでも聞こえてるよ…んで、今まで何があった?

 

『向こうのお前が初期フォームって解った途端、ものすごい負の感情が流れ込んできて……そこからは俺もリンクを断ち切られて、よく分からなかった……』

 

なるほど……どうやら暴走してたみたいだな…

 

体を動かそうとすると、思った通りに動き、多少のダメージはあるものの、喧嘩……じゃねえ、模擬戦だったわ。模擬戦の続きは可能だな…

 

とりあえず問題はなかったから、すぐに起きあがった。

 

「く…!!まだ立てんのかよ!?」

 

「いっつ~…お陰で目が覚めちまったじゃねえか…」

 

取り敢えず、意識を取り戻した事を教える為にそう答えたが…

 

「だったら次で完全に覚醒させてやる!!」

 

完全に殺る気になっていた…

 

ってうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉいッ!?俺、起きてる!!起きてるっつーの!!

 

『こりゃ、向こうを止めないとマズいぞ?』

 

分かってるから黙ってろ!!

 

「おい待てッ!!もう起きてるって言ってんじゃねぇか!!」

 

「そう言って隙を誘ってるんだろ?」

 

「んな面倒な事、してられっか!!」

 

そんな事するくらいなら、なにも言わずに全力でブン殴る方がよっぽど楽だわ!!

 

『流石イッセー!!相変わらずの脳筋だな?』

 

……先にお前をブン殴ろうか?もちろんバグスターウィルスのワクチン込みで。そうされたくなかったら黙れ。

 

『…サーセン』

 

調子に乗ったパラドを脅して黙らせ、仕方なく拳を握り締める。

 

しゃ~ねぇ…黙らせるには、これが1番だな。

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

ガントレットのBボタンを連打して力を倍加、それを右拳に集束させ、いつでも全力で殴れる様に左半身を少し前人気出したファイティングポーズを取る。

 

「これでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

そう叫んで突っ込んでくるもう一人の俺。対して俺は微動だにせず、その場で構え続ける。

 

もっとだ……もっと来い…!!

 

そして待ち続け、間合いに入った瞬間に右腕を振りかぶり、その反動を使って前に出た左手を突きだして向こうの胸ぐらを掴んだ。

 

「へ?……うおッ!?」

 

「いい加減に……」

 

そこから左腕を下に振り下ろし、前のめりに姿勢を崩させ……

 

「話を聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

ドゴォン!!

 

「へぶらッ!?」

 

脳天に全力の拳骨を落としてやった。そのせいで顔の画面部分が地面に埋まって、後頭部から煙が出てるけど知らね。

 

話を聞かねぇガキには拳骨が1番だな。

 

『拳骨って優しいレベルの威力か?』

 

そこは向こうもライダーだからな?安心しろ、峰打ちみてぇなもんだ。

 

『いや、ガントレットしてる時点で峰もなにも無いだろ…』

 

そんな話をしてる間に向こうの俺が起き上がった。

 

「いってぇ~…!!バカになるかと思った…」

 

「あ?既に手遅れだろ」

 

「うっせぇ!!というか、マジで目から火花散ったぞ!!そんな威力で人を殴んなッ!!殺す気か!!このバカ!!バーカバーカッ!!脳筋バ(バキッ)ポプテッ!?」

 

さすがに文句が煩かったから、黙らせる為に顔面にストレートを決めた俺は悪くねぇ。

 

「……黙らねぇと、その画面を落としたスマホみたくバキバキにしてやんぞ?」

 

「今のでなると思ったわッ!?」

 

立ち上がったもう一人の俺は、こっちをジッと見てくる。

 

「なあ?もう暴走してないんだよな?」

 

「疑うんなら、もう一発逝っとくか?」

 

「OK、解った。お前が大丈夫なのは理解したから、その拳を下ろしてくださいお願いします」

 

顔の前で拳を握ると、怯えた様に数歩後ずさって懇願してきた。解りゃいいんだよ。

 

「んじゃ、こっから仕切り直しか?」

 

「だな。お互いに最強の形態でやろうぜ?」

 

そう告げて俺はゲーマドライバーを外してコラボドライバーを装着。向こうも腕にあったアイテムを取り出して起動させた。

 

『デュアルガシャット!!セイヴァー・サバイバル!!パーフェクト・ノックアウト!!コラボレーション!!』

 

『ウルトラマンドライグ!!』

 

「ネクサス大変身」

 

『バッカーン!!キーセーキー!!煌めけ!!太陽も照らす!!金色のDragon fighter!! ネクサスキセキ!!ドラゴォーネス!!』

 

『ファイナルフォームタイム!!ド・ド・ド・ドライグ!!』

 

そして俺はキセキゲーマーに、向こうの俺は左肩と胸のアーマーの文字とバーコードが立体的に浮かび、クウガの文字はドライグに、アメイジングの部分は赤一色の「パーフェクト」の文字に変わると、再びアーマーに戻る。同時に両腕両足は赤と銀の模様に変わり、左腕には赤龍帝の籠手、顔の画面前に見たウルトラマンドライグの顔に変わった。

 

「なんだそりゃ?」

 

「コイツが今の俺の最強形態…【仮面ライダージオウ・ディケイドアーマードライグフォーム】だ!!」

 

『「名前長ッ!?」』

 

そのフォーム名を聞いて、俺とパラドは思わずツッコンだ。

 

もう少しマシな名前はなかったのかよ!?

 

『ライドヘイセイバー!!』

 

『ドライグカリバー!!』

 

そう思っている間に奴は両手に剣を手にする。てか、片方はさっき落としてなかったか?

 

『二次小説でそんな細かい事は気にするな』

 

その返しはメタ過ぎんだろ…

 

と、パラドと心で会話してたら…

 

「せやッ!!」

 

奴さんが目の前で両手の剣を振り下ろしてきた。俺はすぐにアビリティセレクトを使い、雷走ライトニングの雷速移動で下がって回避する。

 

「あら?……もしかして、今のが雷速ってやつか…」

 

「その通りだ。ここからは本気の喧嘩だ!!」

 

「いや、模擬戦だって!?」

 

そこから接近戦での攻防が始まる。俺が拳を突き出せば奴は剣で受け流し、反対に向こうの剣が迫ってきたら拳で殴り返す。それを数十回繰り返したら、片方の剣……え~と…スイカバーだかメロンバーとか言う剣を地面に突き刺した。

 

「ヘイセイバーだッ!!」

 

「人の心読んでんじゃねぇよ」

 

俺の心境にツッコンできた向こうにツッコミ返し、向こうはもう片方の剣……虎バーだったか?それに付いてるダイヤルを回し始めた。

 

『ドライグカリバーだッ!!』

 

「だから、人の心読んでんじゃねぇよ」

 

『ヘイ、ティガ!!ヘイ、ダイナ!!ヘイ、ガイア!!ヘイ、コスモス!!ヘイ、ネクサス!!ヘイ、マックス!!ヘイ、メビウス!!』

 

「ん?」

 

ダイヤルを回す度にそんな音声が流れ、奴の背後に人型の何か……いや、前に奴の世界の奴等が来たときにいたウルトラマン達が立っていた…………一般の人間と同じサイズで。

 

そしてソイツらは何やらポーズを決めながら光を集め、腕を十字やL字に構えると、そこかり光線を飛ばしてきた。

 

「マジか…!!」

 

『アビリティセレクト、反射!!』

 

咄嗟にパラドがアビリティセレクトで反射を着けてくれたが、その光線を受けた瞬間に反射のアビリティを突破されまともに喰らって吹き飛ばされた。幸いにも、防御までは突破されなかったから、ダメージはあんまりねぇが…

 

「ガハッ!?一体どうなってやがる…!?」

 

『おそらく、こっちの許容限界値を越えたんだ。だから、反射を突破されたんだと思う…ダメージの軽減は出来たけど』

 

「なるほどな…」

 

つー事は、安易に反射で受け止めるのは危険か…だったら全部、回避するだけよォッ!!い~ぜぇ…久々に心が踊り高ぶるぜッ!!

 

戦い方を決めたら後は行動あるのみ!!って感じに雷速で走り出して殴り掛かる。だが…

 

『ヘイ、カブト!!カブト!!デュアルタイムブレイク!!』

 

ヘイセイバーのダイヤルを回した向こうの俺が、その場から消えた。

 

いや、これは前に見たクロックアップとか言う超高速機動…!!

 

その瞬間、背後に衝撃を感じて前のめりに倒れかける。

 

「うおッ!?俺の背後を…!!」

 

すぐに裏拳を背後に放つが、スウェーで避けられ起き上がり様のパンチを放ってきたのを、拳をぶつけて相殺する。

 

「く……もう反応してくるのかよ…!?」

 

「何時までも……調子に乗ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

拳を離し、反対の手で向こうの腕を掴み取り背負い投げる。

 

「おわッ!?」

 

背中から地面に倒れた奴の腹を踏もうとするが、それは振り上げた奴の右足に蹴られて遮られた。

 

「ちぃッ!!」

 

「あっぶね~……つか、何でそんな平気で立ってられるんだよ!?あの光線を受けて、まともに立ってられる筈が…」

 

「ん?反射の能力で威力を抑えたし、そもそもこの形態の防御力がハンパネェからな」

 

「……………………てことは、そのフォームになってからのダメージは?」

 

「ほぼ0だ」

 

「ヴゾダドンドコドーン!!」

 

その事実に向こうの俺は崩れ落ちる。まあ、あれだけ攻撃してダメージ0とか絶望的だしな?

 

「さて、そろそろ終わらせてやるよ?」

 

『キメワザ!!オウギ!!』

 

「こうなったらヤケクソだッ!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

『ド・ド・ド・ドライグ!!』

 

俺達は必殺技の発動体勢に入ると、少し腰を落としてから飛び上がり、飛び蹴りを放った。

 

『NEXUS!! CRITICAL ULTIMATE!!』

 

NEXUS

CRITICAL ULTIMATE

 

『ファイナルアタックタイムブレイク!!』

 

「「ウオォリャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」

 

お互いのライダーキックが激突し、閃光を迸らせながらせめぎあう……いや、俺がどんどんと押していく。

 

「クソ…!!力の差がありすぎる!!」

 

『ちょっとのレベルの違いが、圧倒的な差を生み出す……それが、レベル制ゲームの理不尽さってやつだ』

 

「だからって、負けられるかァッ!!」

 

「ほい」『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「ちょッ!?おまッ!!それはさすがに大人げなブベラッ!?」

 

現状でもこちらが勝っていて、向こうが全力を出している時に俺は倍加して、さらに出力を上げた事で簡単に押し勝ってキックを顔に決めてやった。

 

『超絶の1発!!』

 

その後起きた爆発の煙が晴れると、変身が解除されて倒れてるもう一人の俺がいた。

 

「うわ、おい見ろよパラド!!アイツ、マンガみてぇに目を渦巻きにしてんぞwww」

 

『………………大人げねぇ』

 

「うっせぇ」

 

勝負は勝った方が正義なんだよ。

 

『ジオウの変身解除を確認。よって勝者、ドラゴネス』

 

こうしてこの勝負は、俺の勝ちとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちくしょ~!!強化フォームで最強フォームに勝てる訳ねぇよ!!」

 

「ハッハッハッ~!!負け惜しみにしか聞こえねぇな?」

 

「こら、あんまり調子に乗らない」

 

「それよりも、お前のジオウのデータを俺にもっと寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

「ちょッ!?揺さぶらバババババババババッ!?」

 

「「「ヴァーリ(さん/先輩)、ストップぅッ!?」」」

 

試合終了後、回復も終わり全員が集合した所で、悔しがる一誠(D)に笑いながら答える一誠を、果南が軽く叱っていた。そこにヴァーリがやって来てジオウのデータを寄越すように懇願…いや、強要しているのをA・ZU・NAの3人が必死に止めていた。

 

「いや~、今回は楽しかったね!!」

 

「さすがに疲れたよ…」

 

「アルティメットと同じく、ムテキ同士もしばらくやりたくないわ……」

 

楽しそうな千歌(D)に、千歌ーズは少しぐったりした感じだ。

 

「ねぇ、そっちの分身の私の性格……どうにかして?」

 

「出来たらとっくにやってるわよ…」

 

梨子同士は、梨子(D)のもう一人の性格について話し合い…

 

「まさかこっちのマルがウォズ役だったとは…予想外ズラ」

 

「ウォズって誰ズラ?」

 

花丸同士は祝え発言について話し…

 

「うう……雷速とか反則だよ~…」

 

「SPEEDはマリーのIdentityだもの♥️」

 

ルビィ(D)と鞠莉はさきの勝負の話をしていて…

 

「それにしても、片方の体に魂が2つとか……大変な事はありませんの?」

 

「ああ~…たまに果南(D)が勝手に体を動かす事かしら?」

 

「あれは戦略的判断!!鞠莉(D)だって、ファングジョーカーの時に体を勝手に使うじゃない?」

 

ダイヤは果南(D)と鞠莉(D)とダブルの特徴について語っていて…

 

「いい事?最高なのは堕天使なのッ!!」

 

「いいえ!!魔導師に決まってるのッ!!」

 

「どっちもあんまり変わらないような…」

 

「「ルビィは黙ってて!!」」

 

「ピギィッ!?」

 

善子同士は堕天使と魔導師、どちらが最高なのか揉めていて、それにツッコンだルビィが叱られていて…

 

「世界が違っても、あの2人はまったく…」

 

そんな2人に呆れるダイヤ(D)だった。

 

「ほら皆、そろそろ帰りますよ!!」(パンパン!!)

 

そこで海未が手を叩いて全員を集めた。

 

「今回は急な訪問に対応していただき、ありがとうございました」

 

「いや、此方も連絡手段を残して置くべきだったよ」

 

「んじゃ、アタシ達はそろそろ帰るわ」

 

「あッ!?それはジオウのデータの抜き出しまで待ってくれ!!」

 

「何に使うのよ…」

 

「もちろん、神の才能の礎にするためだッ!!」

 

「あ~ハイハイ、さっさとしてよね」

 

 

1時間後……

 

 

「ふう、やっとデータの抜き出しが終わった」

 

「つ…疲れた…!!」

 

「ん?終わったの?」

 

ヴァーリのデータ抜き出しが終わるまで、他のメンバー達はティータイムしながらお話ししていた。

 

「これで俺の計画が完成する……これほどの幸運に恵まれる事こそ!!俺がッ!!神である証拠というも「はい、黙りましょうね」(バ・コーン!!)ウゴアラッ!?」

 

テンションが上がって暴走しそうになるヴァーリだったが、お決まりの梨子の脳天ブレイカーによって沈静化された。

 

「相変わらずやね、そっちのヴァーリは…」

 

「もう慣れました…」

 

彼の行動に呆れる希と梨子。そんな時、異世界組の背後に銀色のオーロラが現れる。

 

「あ、どうやらお迎えみたいや」

 

「もうですか…もっとお話したかったですが…」

 

「まあ、縁があったらまた会えるわよ」

 

「はい、ではまたいつか」

 

「次は絶対勝つからな~!!」

 

「その前に最強フォームになれるようになwww」

 

「言ってろ、この喧嘩バカッ!!」

 

「「「「「「「まったね~!!」」」」」」」

 

異世界組が次々とオーロラに入っていくのを見届けていく中、曜(D)はこちらの曜のそばに来て…

 

「彼の事、しっかり見ててあげてね」

 

「彼って……イッセー君の事?」

 

「うん、今の彼…何か危険な予感がするからさ?」

 

「うん、分かってる」

 

「そっか……なら、後は告白も頑張ってね♥️」

 

「ええッ!?こ、こここここここここ告白なんて…!?」

 

「アハハ!!それじゃあね♪」

 

最後にそう言って、彼女もオーロラに消えていった。

 

「うう…!!そんな簡単にできたら…」

 

「何が出来たらなんだ?」

 

「うひゃうううううううううッ!?」

 

「うおッ!?」

 

そんな事を考えて顔を真っ赤にしていた曜に、一誠が声を掛けた瞬間飛び上がる程に驚き、これにはさすがの一誠をも驚いた。

 

「なんかボーッとしてたみたいだけど…顔赤いぞ?」

 

「な、ななななななななななにゃんでもないよッ!?」

 

「ふ~ん……ま、いいか。俺は帰るけどお前はどうする?」

 

「あ、私も帰るよ」

 

「んじゃ、一緒に行くか」

 

「うん♪」

 

そして2人は並んで家路に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先に起きる悲劇など、知るよしもなく……




いかがでしたか?

今回でコラボ編は終了になります。海神アグル様、色々ありがとうございました!!

次回は次章に関わる番外編で、ヴァーリ眷属(歩夢達含む)の新装備お披露目回になります。


次回【番外編 TEAMの名はイリュジオン・レーヴ】

「貴様等のような愚鈍な輩が、神の才能を上回れると思うなァッ!!」


それでは次回で、お会いしましょう。


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番外編 TEAMの名はイリュジオン・レーヴ

花「コラボ編が終わり、今回から通常に戻るズラ!!」

ル「今回は、その前の番外編だよ?花丸ちゃん」

花「なんか寂しいズラね…今まで色んな人達に前書きに来てもらってたから……」

ル「そうだね…」

花「また誰か来ないかな~…」

全「「「「「「「それじゃ遠慮なく」」」」」」」

花・ル「「ちょッ!?そんな1度にたくさんも入らないよ~!!」」


作「なお、今回出る新装備ですが、作者が最近ドハマりしたアニメ作品から持ってきています。もし知ってる人がいたら、ツッコミは感想で…頼みます!!」(何処かの風来坊風に)


異世界組との模擬戦から十数日……それからも彼らは様々な出来事に出会した。

 

主にパラレルトラベラーの故障でやって来た、パープル色のライダーに変身するグレモリー眷属達とハチャメチャな模擬戦をしたり、バグスターの力を持った異世界のエボルトに襲撃されて異世界に行ってしまったり、触れた人間全てを炭素にしてしまう黒い生命体に、聖遺物を纏って歌いながら戦う女の子達と共闘したり、イッセーと曜+αが次元の裂け目に飲み込まれ、そこで出会った魔法も使う格闘少女達と特訓したりなどだ。

 

そして夏休み終了を間近に控えたある日、ヴァーリの家にリゼヴィムがやって来た。

 

「どうぞ、麦茶ですけど…」

 

「ありがとね~♪ちょうど喉がカラカラだったんよ~…」

 

「それで、どうしたんだ爺さん?何かあったのか?」

 

彼の訪問に対応しているのはヴァーリと梨子だ。テーブルに向かい合わせに座り、梨子がヴァーリの隣に座って、リゼヴィムが麦茶を飲み干してから話し始めた。

 

「実は悪魔陣営から、ヴァーリとコイザー家とでレーティングゲームをやれと打診が来てるんよ…電話で1日150回程…」

 

「「うわ…」」

 

その打診回数にドン引きするヴァーリと梨子だった。

 

「レーティングゲームを?何で悪魔陣営を抜けたのに今さら…」

 

「おそらく、まだウチの(ガシャット)を狙ってる上層部の仕業だろうね~。それでお前に勝って、そんな力に頼らない悪魔が最強の種族だって知らしめたいのと、ガシャットのデータを手に入れるのが目的だよ」

 

「そんな事だろうと思った。くだらんプライドだな…」

 

そんな思惑を理解したヴァーリが呟くが、隣で梨子が…

 

(ヴァーリ君が言えた義理じゃないと思う…)

 

なんて思っていたのは、たぶん知らない。

 

「それでさ……今まではワシと明日奈ちゃんとでなんとか対応してきたけど……このまま続いたり回数を増やされたら、事情を知らない一般の社員にまで知られる可能性が出てくるんよ…」

 

「それはマズイな…」

 

悪魔の存在について、幻夢コーポレーションは社員に秘匿してきた。しかし、この電話攻勢が続けば何時かは一般の社員が電話に出てしまい、知られてしまう可能性が出てきたのだ。もしそんな事が起きれば、パニックは免れない…

 

まあ、ゲーム好きが集まっている会社でもあるので、一蹴に伏すか新しいインスピレーションの糧にするかもしれないが…

 

「まあ、それを狙ってやってるんだろうけどね?どうする……受ける?」

 

「姑息な奴等だが、確かに効果的だな……だったら潔く受けてやろうじゃないか」

 

「あ、そう言うと思ってもうOK出しといたから♪」

 

「「ズコーッ!?」」

 

笑顔でそう宣うリゼヴィムに、ヴァーリと梨子はズッ転ける。なら、なぜ聞いたし…

 

「それとついでに、今までの戦闘データと各ライダーのスペックデータも渡しちゃったからね♥️」

 

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

さらに続けて爆弾発言するリゼヴィムに、今度は梨子が吠えた。まさかこちらのデータ全てを相手に教えるなど、サービスし過ぎにも程がある。

 

「そんな事したら、こっちの戦略とか戦術が丸分かりじゃないですか!!」

 

「まあ何とかなるっしょ。ねぇヴァーリ?」

 

「フッ……当然だろう?」

 

慌てる梨子だったが、そんな素振りは全く見せないリゼヴィムとヴァーリ。

 

「それじゃゲームは3日後だから、よろしくね~♪」

 

そう告げると、リゼヴィムは帰っていった。

 

「……ねぇ、本当に大丈夫なの?」

 

「ああ、神の才能に掛かれば簡単さ。取り敢えず、眷属全員を集めてくれ。そこで話すよ」

 

そう言って準備の為に研究室に向かう彼を、心配そうに見つつ梨子は他のメンバーを呼ぶ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「という事で、3日後にコイザー家とレーティングゲームをする事となった。なお、相手はこちらの戦闘とスペックのデータを持っているそうだ」

 

「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」」」」」」」」

 

歩夢達新メンバーも含めた眷属全員をリビングに集め、先ほど爺さんから聞いた話をすると叫ばれた。まあ、これが普通の反応だろう。

 

「ちょっとどうすんのよ!!戦略丸分かりとか、やりにくいでしょうが!!」

 

「それに詳細なスペックデータを持っているとしたら、対策まで練られてしまいますよ?」

 

善子(異世界のアーシアの影響で眼帯装備)としずくの1年コンビの質問に対しては確かにそうだ。作戦バレしてる敵を相手取るなど、面倒くさくて仕方ない。だが、俺は神の才能を持ってるんだぞ?その程度で動揺するなど……あり得なァイ…!!

 

「そこで、お前達に【アームドガシャット】を送る」

 

「アームドガシャット?」

 

「最近の戦闘データから、俺はそれぞれに合った新武装を開発済みだったのさ……さすがは…………俺ダァ!!」

 

「あ、そういうのはいいから」

 

「(´・ω・`)」

 

善子よ……その反応はさすがに少し傷つくぞ…

 

俺はしょんぼりしつつガシャットを渡していくと、せつ菜が手を上げた。

 

「あの、私達はどうするんですか?ショットライザーやゼロワンドライバーだと、ガシャットは使えませんが…」

 

たしかにガシャットはゲーマドライバーかバグルドライバー、キメワザスロットホルダーとガシャコンウエポンにしか使えないと思われがちだが、そんな事はないし不可能を可能にするのが神の才能だ!!

 

「それについても問題ない。今回のはガシャット単体で効果を発揮する様になってるし、お前達のライダーシステムにも合うように調整も済んでる」

 

「さすがですね…」

 

「神だからな!!」

 

全員に武装ガシャットを渡し終えると、俺は再度皆に向かい合う。

 

「それじゃこれから3日間で、この武装を完全にモノにしろ。それでレーティングゲームを乗りきるぞ!!」

 

「「「「「「「「おお~ッ!!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3日後……レーティングゲーム当日

 

 

ヴァーリ達は会場の前に立っていた。

 

「ここがレーティングゲームの会場なんだ~♪」

 

「もう千歌ちゃん、はしゃがないの」

 

ワクワクが止まんないとばかりに、キョロキョロする千歌を注意する梨子。しかし、外から見ただけではそこまで大きい会場には見えなかった。

 

「なんか……思ってたのより小さいですね?」

 

「ここはある意味、観客席みたいなものだな。試合は次元の狭間に特殊空間を作って行われるんだ」

 

「へぇ~、そうなんですか…」

 

話しながら会場に入ると、その中でリゼヴィムとリアスにその眷属達、アーシアとゼノヴィアにサーゼクスが彼らを出迎えた。

 

「やあヴァーリ君、今回はすまなかったね…」

 

「いえ、気にしないでください」

 

申し訳なさそうに謝るサーゼクスに、ヴァーリは気にしていないと返す。事実、ヴァーリにとって今回の勝負は新装備のお披露目会程度としか思っていないのだ。

 

「彼らは仮面ライダーに勝って、自分達の地位を磐石にしたいのと、ガシャットの作り方を手に入れて儲けようとしているんだ。本当なら魔王権限でこんな試合は無効にしたいんだけど、リゼヴィム様がね…」

 

「こんくらいの危難を振り払えなけりゃ、クロノスに勝つのは不可能だからね~♪」

 

楽しそうに笑うリゼヴィムにため息を吐くサーゼクス。しかし、その表情を一瞬で戻して試合ルールを説明し始める。

 

「今回のルールはオーソドックス、先に王を倒した方が勝ちだ。ただ、コイザー家からの横槍がある可能性が…」

 

「なるほど…」

 

そう言われてヴァーリは顎に手をやるが、すぐに表情をニヤけさせた。

 

「つまり、全員の見せ場がたっぷりあるという事か」

 

「へ?」

 

「まあ、横槍来ちゃったら全員潰しちゃいなヨォ♪」

 

「ああ。それじゃ、待合室に行くぞ」

 

そうニヤリと笑ってから、ヴァーリ達は待合室に向けて歩いていった。

 

そんな彼らを心配そうに見ながら、サーゼクスはリアスに問う。

 

「リアス、彼らは大丈夫なのかい?」

 

「大丈夫です、お兄様。彼らは簡単には負けませんよ」

 

「………………そうか。それじゃ、観客席にご案内します、リゼヴィム様」

 

「ん、ヨロシクね~♪あ、それとサーゼクス君、こんな事頼みたいんだけど……」

 

「………………解りました、伝えておきます」

 

しかし、親愛なる妹からのお墨付きに彼は安堵しつつ、リゼヴィム達をVIP席へと案内するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてヴァーリ達は会場の待合室で待機して、時間だと呼び出しに来た悪魔に従ってフィールドに転送されると、そこはとてつもなく広大な荒野だった。

 

「うわ~広いね?」

 

「周りになんの建物も見えません…」

 

周囲を見渡す歩夢とせつ菜。ここで梨子がある事に気づいた。

 

「ヴァーリ君、私達……ハメられた?」

 

「ああ、この広大なフィールドのど真ん中を本陣にさせるとは…」

 

そう、彼らが立っているのはフィールドのド真ん中だった。

 

「だが、なんの問題もあるまい?」

 

「だね。逆に相手を追い詰めて倒しちゃえばいいだけだし」

 

その言葉に全員が頷くと、ヴァーリ以外がドライバーを取り出して装着する。

 

「さて、そろそろ始まるな…」

 

『皆様、お待たせいたしました。これより、コイザー家5人組チームとルシファー眷属改め【イリュジオン・レーヴ】とのレーティングゲームを始めます。試合ルールは【デッドエンド】、相手を全滅させた方が勝ちになります。また特殊ルールとしてコイザー家は兵士全員が【女王】に昇格された状態で始まります。それでは、試合開始です』

 

「「んん?」」

 

そう話していたと同時にアナウンスが始まるが、そこで自分達が聞いたこともない名前で呼ばれた事にヴァーリと梨子は首を傾げた。

 

「いりゅじおん・れーぶ?ヴァーリ君、なにそれ?」

 

「いや、俺も知らないんだが…」

 

千歌に聞かれたヴァーリは、爺さんの仕業か?と思っていたが、それよりも彼は別の部分が気になった。

 

「というか、今相手の数5人とか言わなかった?しかもハンデ多くない?おまけにルールがデッドエンドとか…」

 

その疑問を善子が口にする。そう、今相手の数を5人と言ったのだ。つまり、こちらは現メンバーで向こうは5人+それぞれの眷属達となる。つまりこちらは、数の理すらも奪われている事になる。おまけに相手の兵士は女王に昇格済み……向こうの勝ち確といってもいいものだ。

 

更に今回のルールはデッドエンド…本来は貴族悪魔同士の誇りと威信を賭けた決闘用のルールで、いくら怪我を負おうとも治療施設に転送される事はなく、相手を全滅させるまで終わらない。まさに【デッドエンド(死んだら終わり)】なのだ。

 

「これって向こうの横槍かな?」

 

「十中八九、そうでしょうね」

 

「だが、これで作戦は決まったな。5人の内4人を千歌、梨子、鞠莉、善子が単独で対応。残りの1人をA・ZU・NAにやってもらう」

 

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

 

「俺は本陣にいるから……しずく、頼むぞ!!」

 

「はい!!」

 

『DASH!!』

 

ヴァーリの指示でしずくがプログライズキーをクルクルと回しながら起動、ショットライザーに装填して展開する。

 

『AUTHORIZE.KAMEN RIDER!! KAMEN RIDER!!』

 

「変身!!」

 

『SHOT RIZE!!』

 

そして引き金を引いて、バルキリーへと変わる。

 

『ラッシングチーター!!』

『Try to outrun this demon to get left in the dust』

 

変身が完了すると、今度はヴァーリから渡された深紅のアームドガシャットを取り出して起動させる。

 

『ステルス・スローネ!!』

 

するとガシャットが消えて、両肩には左右で形が違うシールド、右腕下部に取り付け式のハンドガン、背部には二枚の羽を思わせるバックユニットを背負っている。

 

「それでは【ステルスフィールド】の散布を始めます」

 

そう言うと、宙に浮きながらバックユニットと左肩のシールドが展開、大量の深紅の粒子をフィールド中にばら蒔いていく。その姿は6枚の赤い翼を広げた天使若しくは悪魔を彷彿とさせた。このステルスフィールドは魔法の術式を妨害する効果を持ち、索敵や通信といった魔法を封じることができる。

 

「ふぅ…散布終了です」

 

「ありがとう、ステルスフィールドの効果時間は30分だ。それまでにカタを着けるぞ!!」

 

「「「「「「「おお~!!」」」」」」」

 

ハンデマッチの事など気にせず、彼の掛け声に全員が答えて指示通りに動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスside

 

「コイザー殿、これはどういう事ですかな?」

 

「はて……おそらく、部下の出した書類が間違っていたのでしょうな」

 

私は今、VIP席で一緒にいるコイザー家の現当主である【モーテット・コイザー】に詰問していた。私に知らされていた試合ルールはオーソドックスバトルで各家1人だけの対戦方式だったのに、気がつけば正に集団リンチとしか言えない試合内容に変わっていたのだ。

 

「正直にお答えください。事と次第によっては、貴方の家を潰す事になりますよ?」

 

「フン…!!誰のお陰で魔王になれたと思っている?貴様は黙って、我ら貴族悪魔の傀儡であればよいのだよ」

 

しかし、彼に反省する意思は無く、こちらを下と見てくる。

 

なら、ここは調子に乗らせてから落とす事にしよう。

 

「そうですか……では、私と賭けをしませんか?」

 

「賭けだと?」

 

「ええ、もしヴァーリ君達が勝ったら貴方達の家は取り潰して裁きを受ける。逆に負けたら私は魔王を辞めて、次の魔王に貴方を選ぶ…………どうでしょう?」

 

そう言った瞬間、彼の顔が愉悦に歪んだ。

 

「いいでしょう!!ま、我が息子達が勝つのが当然ですがな!!早めに辞職の準備をしておいた方がよろしいのでは…?」

 

「フフ…では後程」

 

そんな彼に笑いを堪えながら、私はリゼヴィム様の所へ戻ることにした。

 

(彼は知らないな?ヴァーリ君達がどれだけ常識を越えているのか……しかし、今後有望な若手悪魔達には悪いことをしたな……彼らの成長に役立つと思ったのだけど…)

 

実は今回の試合は冥界中にテレビ中継されていて、更に将来を有望視されてる若手悪魔達には試合を見学する許可を出していた。ヴァーリ君達の戦い方は彼らの参考になるかと思っていたのだけど…こんな酷い内容だと参考にならないなぁと思っていたら…

 

「あの粒子は一体何だ…!?」

 

突如、試合を見ていた若手悪魔の1人……サイラオーグが声を上げた。それにつられてモニターを見ると、フィールド中に深紅の粒子が舞っていた。

 

「あれは…?」

 

「リゼヴィム殿ッ!!あれは一体何だ!!」

 

私がそれに釘付けになっていたら、モーテット殿がいきなり声を荒げた。

 

「ん~?孫の作った装備の1つだけど?」

 

「あんなものは、事前に貰った資料には無かったぞ!!まさかデータを捏造して「んな事するわけねぇじゃん、アンタじゃあるまいし?」なに…!?」

 

怒り狂うモーテットに、リゼヴィム様はやれやれといった感じで対応していく。

 

「お前に渡したのは確かに最新だったよ……()()()()()()()?」

 

「どういう意味だ!?」

 

「ハァ~…少しは頭使えば?その頭に詰まってるのは赤味噌?それとも白味噌?」

 

「ふざけるな!!」

 

リゼヴィム様の煽りにモーテット殿の顔がどんどん赤くなっていく。

 

「つまり……作ったんだよ。あの後でね?」

 

「作っただと!?この3日でか!?」

 

「ニャハハハハハハハハハハハハッ!!ウチの孫をナメ過ぎたね?」

 

最後にそう言って笑うリゼヴィムに、モーテットは顔を青くする。そこで私は彼の肩に手を置き…

 

「どうやら、早く準備するのは貴方の様ですよ?」

 

楽しそうな声で耳元で呟いておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

皆さんどうも~♪A・ZU・NAのリーダー、上原歩夢です。私はせつ菜ちゃんとしずくちゃんと一緒に、本陣であるフィールドど真ん中から、南東に向かって歩いています。

 

「しずくちゃん、まだ敵の位置はわからない?」

 

「はい、まだ私の脳波の中にはいません」

 

「なら、もっと進んでみましょう!!」

 

変身しているしずくちゃんに、脳波探知をしてもらいつつ進む私達。そこから1分程進んだ所で、しずくちゃんが動きを止めた。

 

「反応ありました!!2時の方角から来ます!!」

 

その言葉を合図に私とせつ菜ちゃんも変身準備に入る。

 

『ASSAULT BULLET!!』

 

『HYPER JUMP!!』

 

私は前に使ったシャイニングホッパープログライズキーとアサルトグリップを、せつ菜ちゃんは私と同じアサルトグリップにメタリックブルーの狼が描かれたプログライズキーを起動させた。

 

『OVER RIZE!!』

 

私はそれをドライバーに読み込ませてキーを開き、せつ菜ちゃんは…

 

「ふんぎぎぎぎぎぎぎぎぎ…おりゃあ!!」(バキッ)

 

また腕力を強化して、無理矢理抉じ開けていた…

 

もう…毎回そんな事やってたらすぐに壊れちゃうよ?

 

『OVER RIZE!!』

 

そんな私の心配を余所に、せつ菜ちゃんはキーをショットライザーに装填して、正面に構えた。

 

『KAMEN RIDER!! KAMEN RIDER!!』

 

「「変身!!」」

 

二人でそう叫んで、私はドライバーにキーを装填してゼロワンに、せつ菜ちゃんは引き金を引いて弾丸を放ち、青いエネルギー状の狼を纏いながら戻ってきたのを左手で掴み取り、思いっきり握り潰すと四方に人工衛星みたいなのが現れて、それらが放つレーザーを浴びると一瞬で紺色とくすんだ銀色、胸にクリアヴァイオレットのパーツを付けた機械的なバルカン【仮面ライダーバルカン・アサルトウルフ】に変身した。

 

『プログライズ!! WEARING WEARING This is not test.ハイブリッドライズ!!シャイニーング!!アサルトホッパー!!No chance of surviving this shot』

 

『SHOT RIZE!! READY GO!! アサルトウルフ!! No chance of surviving』

 

「せつ菜先輩、それ使っても大丈夫なんですか?前の訓練で使った時に吐血して倒れてましたけど…」

 

でも、せつ菜ちゃんの姿を見たしずくちゃんが心配そうに声を掛ける。実際、このフォームに初めて変身した後に解除したら、口から血を吐きながら倒れたんだもん。心配しない訳がない。

 

しかし、当の本人は…

 

「だって、自分にもリスクのあるフォームって………………格好良いじゃないですか!!」

 

「「使う理由それッ!?」」

 

そう言いながら、私達にサムズアップしてきた……って!?そういう問題じゃないからッ!!

 

「ほらほら歩夢さん、私達もアームドガシャットを使いましょう♪」

 

「もお……後でちゃんと検査受けてね?」

 

「解ってますから♪」

 

そんなワクワクが止まらないといったせつ菜ちゃんに押しきられて、私は焦げ茶色の、せつ菜ちゃんはオレンジ色のガシャットを取り出して起動させる。

 

『ランチャー・スローネ!!』

 

『ファング・スローネ!!』

 

その音声と共にガシャットが消えて、私には左肩に小型のシールド、背中には右側に大型砲を付けたバックユニットが装着されて右手には焦げ茶色のライフルが握られる。せつ菜ちゃんは右肩に大剣を、腰の左右にコンテナみたいなサイドスカートが装着され、左腕の下にしずくちゃんと色違いのハンドガンユニットが取り付けられた姿になった。

 

「おお~!!やっぱり格好良いです!!」

 

「そうだね……それじゃしずくちゃん、先制攻撃するからエネルギー供給をお願い」

 

「わかりました」

 

テンションアゲアゲなせつ菜ちゃんはほっといて、私はしずくちゃんにお願いしてバックユニットの一部を開き、そこにハンドガンユニットから伸びるケーブルを接続。右の大型砲を展開させて砲身を伸ばし、しずくちゃんが掴まる持ち手を出し、ライフルのパーツを繋げて発射体勢に入る。

 

「エネルギー供給、完了しました」

 

「ありがとう♪」

 

チャージが終わると、照準を敵がいる方に向ける。既に私の脳波範囲内にも入っていて、数は8人だから女王に昇格している歩兵かな?

 

そんな相手を武装によって強化されたセンサーでロックオンし…

 

「上原歩夢、GC(ガシャコン)メガランチャー……撃ちます!!」

 

引き金を引くと深紅の太いビームが放たれる。まっすぐに突き進むそれは目標に命中すると爆発を起こす。

 

『ラズモネ・コイザー様の兵士8名、消滅』

 

「あれ?やり過ぎちゃったかな…」

 

「いいんじゃないですか?デッドエンドは殲滅戦…確かリタイアは認められない筈でしたから」

 

「そうだったっけ?」

 

う~ん、レーティングゲームのルールはあまり詳しくないから…

 

「ッ!!次が来ます!!数は7!!」

 

「今度は私の番ですよ!!」

 

「あ、せつ菜ちゃん!?」

 

しずくちゃんの報告にせつ菜ちゃんが飛び出す。私達全員に共通する事で、武装を纏うことで飛行する事が可能になっている。私達も慌ててせつ菜ちゃんの後を追う。

 

「大丈夫ですよ!!さあ…破壊して、蹂躙して……殲滅してあげます!!」

 

そう言って加速するせつ菜ちゃん。そのまま相手に接触した。

 

「なッ!?何で飛んでるんだ!?」

 

「あんなの資料に無かったわよ!?それに索敵や通信、転移も封じられるなんて…!!」

 

向こうは私達の登場に慌てる。やっぱり、私達の前の情報は事前に渡されていたみたいだね。でも、今の私達は違うよ!!

 

「優木せつ菜、エクスターミネート!!行けよ、ファングぅ!!」

 

そう叫ぶせつ菜ちゃんのサイドスカートから左右3つずつ、計6つの牙の形をしたユニット【GCファング】が射出される。それらは赤い尾を引きながら、相手の周囲を縦横無尽に動き回り、深紅のビームを撃ちまくる。

 

「なによこれ…ギャッ!?」

 

「捉えられな……うわァッ!?」

 

その動きに翻弄され、相手は次々に頭や胸を撃ち抜かれて消滅していく。

 

「キャハハ!!もうたまんな~い♪」

 

「しずくちゃ~ん?ここで役者根性出さなくていいからね~?」

 

「あ、はーい」

 

「だったら…!!」

 

そこで向こうの1人…おそらく女王がファングの包囲網を突破してきて、腕に魔力の剣を作り出して斬りかかってきた。

 

「うわっと!?」

 

せつ菜ちゃんはそれを右肩に懸架していた大剣【GCバスターソード】で受け止めた。

 

「これ以上、むざむざ殺られてなるものか!!」

 

「く…!?このままだと……な~んちゃって♪」

 

最初は少しずつ押されていたせつ菜ちゃんだったけど、すぐに余裕を取り戻し、飛んでいたファングにビームの刃を出現させて、女王の体にその名の如く、牙を次々と食い込ませていく。

 

「ゴブァッ!?」

 

そしてトドメに脳天にファングの1つを突き刺し、女王は消滅していく。

 

「ファングなんですよォッ!!」

 

「わぁ~……」

 

そんなオタクモード全開のせつ菜ちゃんに、私は呆れしかなかった…

 

『ラズモネ・コイザー様の騎士、戦車、僧侶、女王…全て消滅』

 

「後は王だけだね」

 

「それじゃ、ちゃっちゃと終わらせましょう!!」

 

その場所から少し進むと、男の悪魔が1人だけポツンと立っていた。おそらく、あれがラズモネ・コイザーだね。

 

「な、何故だ……これは私達の勝ちが確定していた試合だったのに……まるで我々の方が道化ではないか!?」

 

「ヴァーリさんからすれば、貴方達は新作武装のデモンストレーション相手でしかなかったんですよ」

 

「なッ!?」

 

動揺しっぱなしのラズモネに、私達はライフルやハンドガンユニット、ショットライザーを突きつけた。

 

「ひッ!?」

 

「仮面ライダーゼロワンランチャー」

 

「仮面ライダーバルカンファング」

 

「仮面ライダーバルキリーステルス」

 

「や、やめ…!!」

 

「「「チームA・ZU・NA!!目標を殲滅する!!」」」

 

そして集中砲火でラズモネの体を穴だらけにして、消滅させた。

 

『ラズモネ・コイザー様の消滅を確認』

 

「「「やったぁ!!」」」

 

私達の勝利アナウンスに、3人でハイタッチする。

 

「これでまずは一勝だね」

 

「他はどうなんでしょう?」

 

しずくちゃんがそう言った瞬間、遠くで爆発による黒煙が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子side

 

「いたいた、目標発見♪」

 

私は北東側を目指して移動して、途中で見つけた大きな岩の窪みに身を隠して索敵魔法で約10㎞先にいる相手を突き止めた。

 

「それじゃ、私も始めようかな」

 

『BANG BANG FORTRESS!!』

 

「第佰戦術…変身」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!ドドンバン‼ズンドカン‼(wow!!)バンバンフォートレス‼』

 

仮面ライダースナイプになった私は、ヴァーリ君から貰った()()()()()()()()()()()()()()の内、片方を起動させた。

 

『ロングレンジ・ケルビム!!』

 

するとガシャットだけでなく、両手のハイブリッドキャノンや背中のO型リングまで消えて、背中には2つのスラスターが伸びて、腰背部にもブースターが現れ左肩には六角形の小型シールドが7個集まった物が、膝には1つずつの計9個の【GCシールドビット】、右肩に2つと腰背部のブースターの上には4つ、菱形を半分にした形の武器【GCライフルビット】が計6個付けられていて、右手には長大なライフル…所謂スナイパーライフルである【GCスナイパーライフル】が握られていた。そして、武器アイコンにガシャコンマグナムを改良して、ライフルモードを廃して銃身下部に特殊コーティングしたエッジを付ける事で接近戦も可能にした武器【GCマグナムⅡ】が2つある。

 

「それじゃ始めましょうか、新しく生まれ変わった…【スナイプバレット】の初陣を!!」

 

『おうよ!!』『うん!!』

 

そう言って叫ぶとスピーカーから声が2つ聞こえモニターに銀髪でうなじ辺りでツインテにした勝ち気な女の子と黒髪ショートに後頭部に大きな白いリボンを着けた優しげな女の子が映り、左目にスコープが降りてくる。この2人の女の子は、アームドガシャットに搭載された人工知能で、以前出会った歌姫達の性格を元にしているの。なので荒っぽい声の銀髪少女を【クリス】、礼儀正しい黒髪ショートの少女を【ミク】と私は呼んでいる。

 

「目標はまだ動かず…か」

 

『まずは女王と騎士、僧侶から落とさない?』

 

『だな。面倒なのを片付けた方が調子が良い』

 

「なら、サポートお願いね?クリス、ミク」

 

そしてライフルを構えると、スコープに狙撃に必要な情報が表示されていく。それらを読み解いて構えたGCスナイパーライフルからビームを放つ。宙を走るピンクの光の線はまっすぐに進み、女王と思われる悪魔の頭を撃ち抜いた。

 

「初弾命中」

 

『次のターゲットの選定、エリア情報を表示します』

 

『射撃のサポートは任せな!!』

 

「ありがと♪」

 

それから次々にビームを放ち、動揺している相手の眷属を倒していく。

 

『ゴーギ・コイザー様の女王、騎士2名、僧侶1名、兵士3名消滅』

 

そこまで倒して、漸く向こうの眷属達が私がいる方を特定したのか、こちらへと向かってくる。

 

『敵の接近を確認!!』

 

『ナメんな!!隠し玉で…「ううん、武装を切り換えるよ」はあ?』

 

「今日は武装の御披露目会だよ?この装備の狙撃能力は充分に見せられたし、手の内を全部曝す事はないよ」

 

『……そりゃそうだな』

 

「という事で…こっちを使おう」

 

クリスを宥めた私はもう1つのアームドガシャットを起動させる。

 

『ラピッドファイア・ザバーニーヤ!!』

 

するとケルビムの武装が消えて、腰背部には先のとは違う大型のブースターが付けられ、そこから左右にアームが伸びて、その先には銃のホルスターを思わせる緑色の箱が左右5個ずつ、両肩には左右2個ずつ装備され、肩と膝には装甲が増設された姿となった。更に両手には通常サイズの同型ライフルが握られている。

 

装着が終わると私は岩場から飛び出して、向かってくる敵眷属へと向かう。

 

「いたぞ!!奴だ!!」

 

「よくも仲間を…!!」

 

私を認識した相手は、無数の魔力弾を飛ばしてくるけど…

 

「ミクッ!!」

 

『ライフルビット、展開!!』

 

私の指示で未来が肩とアームの先にあるホルスター型の箱【GCホルスタービット】の中にある、手持ちのライフルと同じ形の【GCライフルビットⅡ】を射出していく。

 

『その程度……ちょせぇんだよ!!』

 

そしてライフルビットが宙を自在に動いて、手持ちのライフルとの連射で放たれた魔力弾を全て撃ち落とす。

 

「なあッ!?何だあの装備は…!?」

 

私の装備を見た敵眷属達が動きを止める。私はその隙を逃さず…

 

「スナイプシューター、目標を撃ち落とす!!」

 

両手のライフルとビットを使った射撃で、敵を一掃した。

 

「さてと、相手の王は…」

 

索敵魔法を使うと、相手は私がいる方とは真逆方向へと走って……いや、逃げていた。

 

「ハァ…よくあれで私達に挑めたものね…」

 

『どうする?』

 

「狙撃で落としましょう」

 

ミクの質問に私はそう答えて、ロングレンジ・ケルビムに再び切り替え、スナイパーライフルを構える。

 

「狙い撃つわよ!!」

 

放たれたビームは見事、ゴーギの心臓部を貫いた。

 

『ゴーギ・コイザー様、消滅を確認』

 

「これで終わりっと…」

 

『お疲れ様』『お疲れさん』

 

さてと、他の皆はどうなったかな……

 

相手を倒して一息入れた私は、他に戦っている仲間の方を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨハネ(善子)side

 

ちょっと!!その当て字、いらないからッ!!ヨハネだけでいいのッ!!

 

地の文にツッコミを入れながら、私は北西側へと歩いていた。こういう荒野のど真ん中にいる私達を囲むには、5角形に配置するのがベターなんですって。

 

「にしても、これで隠れてるつもりなのかしらね…」

 

私が索敵魔法を周囲に張り巡らせると、前方100m先にある岩場に8人程隠れていた。

 

え?ステルスフィールドで索敵とか通信とか使えないんじゃないのかって?それなら特訓期間に解析済みで、対策は万全だし、皆にも伝授済みよ。ほら、さっきもリリーが使ってたじゃない?

 

なので、奇襲がある事を知った上でそのまま歩を進める…

 

「今だッ!!」

 

そして間合いに入ったのか、隠れていた奴等が出てきて魔力弾を一斉射してくる。それが私や私の周りに着弾して土煙を上げていく。

 

「ハッハハ!!これで終わ「滑稽であるな」なッ!?」

 

今ので倒したと思って歓声を上げる敵さんだったけど、それで私を倒せると思ってた?冗談も休み休み言いなさい。

 

「あれだけの攻撃を受けてどうや……はあッ!?」

 

土煙が晴れて私の姿が見えると、相手は全員驚いたような声を上げる。それもその筈、私の周囲にはピンク色の障壁が張られていて、私自身には一切のダメージもないんだもの。

 

「貴様ら程度の豆鉄砲で、我が絶対守護領域(インビンシブル・サンクチュアリ)を突破出来るとでも?」

 

「だからと言って所詮は魔力壁!!ダメージを与え続ければ、必ず壊れる!!」

 

リーダー格の悪魔は諦めずに魔力弾を撃ちまくり、それに続くかのように他の悪魔達も魔力弾を飛ばしてくる。

 

「ククク……無駄な事を。ならばその我慢比べ…敢えて付きおうてやろう」

 

そんな感じに、飛んでくる魔力弾を防ぎ続けて約10分。そこで魔力が尽きたのか、攻撃が止んだ。

 

「こ……この人数で攻撃して…皹1つ無しなんて…いくら魔王越えの魔力持ちだからといって…!!」

 

「そこまで頑張った貴様らに、良いことを教えてやろう…」

 

グッタリと膝を着く相手に、私は余裕を崩さずに真実を伝える。

 

「我が魔力の量は魔王を越えていると言われてるが……誰が()()()()()()()()()()()()()と言った?」

 

「「「「「は…?」」」」」

 

「そんなものは、ただの例えに過ぎん。まあ、今までで最高の魔力量を持つのが魔王だったのだから、無理はないが…」

 

これはヴァーリの眷属になったばかりの頃、検査として魔力量を測った時、私のだけ爆発した。その検査器は魔力を流し込んで最大値を測定するものだったんだけど、私の魔力量に耐えきれなかったらしい。それから次々に新しい検査器を持ってきては測って爆発の連続だった。最後にリゼヴィム様が面白半分で作った特殊な検査器を使ったんだけど……それも爆発した……

 

でも、そのお陰で私の魔力量がどれほど凄いのか解ったの。それは…

 

「我が魔力の量は…【()()()()()()()()()()()()()()()()()】だそうだ」

 

「「「「「「「はあッ!?」」」」」」」

 

その事実に相手は顎が外れるんじゃないかってレベルで、口を開けていた。うん、私も最初にその話を聞いた時に同じになったわねぇ…なによそのチート、どっかのラノベの主人公かっての。魔導師になるために魔力に極振りしましたってか?

 

「さてと…無駄話はここまで」

 

そろそろ戦うために、私はガシャットギアデュアルΔⅡを起動させた。

 

今の話はヴァーリやリゼヴィム様から、あまりするなって言われてるし……ゲームのルール状、相手を消しても問題ないわよね?

 

『MAGICAL PRIEST!!』

 

「禁術レベル100…変身」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!シャイニングガール!!想いをデトネイション!!世界を照らせ!!マジカル・プリースト!!』

 

仮面ライダーヨハネになった私は、貰ったアームドガシャットを取り出す。でも、私にはこの武装に1つ不満があった。それは選択された武装だった。何で私の武装はあんなやつなの?普通魔導師っぽいやつにするでしょ!? アレ全然魔導師っぽくないんだもの!!でも…使える装備だし、折角ヴァーリから貰ったんだもの。仕方ないから、使ってあげますか!!

 

『ドールマスター・セラフィム!!』

 

それを起動させると、脚部の装甲がより大型になり膝部分には砲身が付いていて、肩の方も追加装甲がプラスされる。そして1番の特徴が背中で2つの砲身とスラスター、魔力貯蔵タンクを1つにした大型の黒いバックパックと左右には白の同じバックパックの【GCドール】を装着している。更に両手には分離・合体式の武器【GCバズーカ】を装備する。

 

「な、何だあれは…?」

 

「あんなの情報に無かったわ…!!」

 

この姿【仮面ライダーヨハネブラスト】に驚く相手眷属だけど、本当の驚きはここからよ?

 

「さあ出でよッ!!我が(しもべ)達!!」

 

そう叫ぶと背中のバックパックに繋がっている左右の白のバックパックがそれぞれ分離する。それらは次々と変形していき、2つの人型ロボットとなった。なお、動力は中の大容量魔力タンクに貯蔵されてる私の魔力で、全力戦闘しても約2週間は活動できる。

 

「ロボットぉ!?」

 

『わーい!!ボクの出番だー!!』

 

『あまりはしゃいではいけませんよ?』

 

変形が終わると肩が水色に塗装されている白のロボットは、万歳するかのように両手を上に突き上げ、もう1体の肩が朱色に塗装されている白のロボットに宥められる。ただ、顔の部分はセンサーを兼ねたマスクで覆われてるけど。

 

私の黒と白のバックパック3つには人工知能が搭載されていて、私はこの白い2体の内、肩が水色で若干おバカでやんちゃなのを【レヴィ】、朱色で冷静沈着で負けず嫌いなのを【シュテル】と名付けている。

 

「ほーらアンタ達、敵は目の前なんだからシャンとする」

 

『了解です、マスター』

 

『ほーい……あれ?マスター、王さまは?』

 

「【ディアーチェ】ならまだ出さないわ。あの子は切り札だもの」

 

ディアーチェは私の背中にある黒のバックパックで、この2体より性能が高めになっている。性格は偉そうだけど世話焼きな苦労性って感じ。レヴィとシュテルを纏めるリーダーでもあるので、2体からは王と呼ばれていて、代わりに私はマスターって呼ばれてる。

 

『それが得策かと。では、私達の任務はマスターの防衛で?』

 

「ええ、そうよ」

 

『よーし、それなら思いっきり暴れちゃうぞ~!!はい、シュテルん』

 

『ありがとうございます』

 

レヴィはシュテルに右足に装備してあったGCサブマシンガンを手渡すと、両腕の中に格納されていた魔力サーベルを取り出した。

 

『ボクがいちば~ん!!』

 

『援護します』

 

そのままサーベルを持ったレヴィが敵に突貫し、シュテルが自身の左足に装備されてたGCサブマシンガンを持って、二丁マシンガンでレヴィを援護していく。

 

「な、何だこのロボット!?速い…ウギャア!?」

 

『ハッハッハッ!!スゴくて強くてカッコいい!!それがボクだァ!!』

 

「でも隙が多い(ダダダダダダダダッ!!)ガハッ!?」

 

『隙が多いのは、そちらです』

 

レヴィが前衛、シュテルが中衛で奮闘している間に、後衛の私は手持ちのバズーカ2つを合体させて上下に展開させてから胸元に構え、バックパックと両膝のキャノン砲も展開して、バズーカの先端に巨大な魔力球を作り上げていく。

 

ちなみに私の装備だけ、武装自体が生成するエネルギーではなく、私自身の魔力をエネルギー源にしてある。その方が威力調節もやり易いし。

 

「2人とも、下がりなさい!!」

 

『『了解!!』』

 

私が声を上げると、レヴィとシュテルはすぐにその場から下がり、その場には1ヶ所に上手く纏められた敵眷属だけが取り残される。

 

「ヨハネブラスト、目標を抹消させる!!」

 

その場所へチャージの終わった魔力球をブッ放し、着弾すると同時に大きな爆発を起こした。

 

『ガイナ・コイザー様の兵士8名、消滅』

 

「雑魚は終わったし、本隊はっと………………いた」

 

兵士殲滅後、広域索敵魔法で本隊を探すとこちらへ向かってくる8つの魔力反応を発見する。おそらく敵討ちかしら?

 

「なら、迎撃するまでよ」

 

そうと決めたらバズーカを分離して、2つをバックパックのキャノン砲に接続させる。するとバックパックの中央部にある2本の黄色のアンテナがV字に開き、その下にはツインアイに赤い突起物が特徴的な顔が出てきて、中のタンクに貯めてある高密度に圧縮された魔力が放出される。

 

ってか今思ったけど、この装備ってどこかで見たことあるような………ま、いいか!!

 

砲身の先に魔力集束の魔法陣を描き、放出された高密度圧縮魔力も集めてチャージ時間の短縮と火力強化させ…

 

「GCバズーカ、高密度圧縮魔力…解放!!」

 

トリガーを引いた。その瞬間、とてつもない魔力の極太ビームが撃ち出され、その奔流はガイナ・コイザーと残りの眷属全員を飲み込んで爆発と同時に存在を塵も残さず消滅させた。

 

『ガイナ・コイザー様の消滅を確認』

 

「よし、これで終わりね」

 

『お疲れ様です、マスター』

 

『え~!?ボクもっと遊びたかったなぁ~…』

 

「それはまた今度よ。ほら、戻りなさい」

 

『了解』『りょうか~い…』

 

2体をバックパックに戻し、周りを見る…

 

「さて、皆はもう終わったかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鞠莉side

 

「フンフンフ~ン♪」

 

ハァーイ!!マリーよ♪私は南西の方角に向かって歩いてるわ。でも、結構歩いたのに敵の気配が無いの…

 

「道を間違えちゃったかしら?」

 

そう不安に思っていたら、正面に人影が見えた。しかも16人!!てことは、Full memberでお出迎えね!!

 

「来たのは貴様1人か…?」

 

「Yes!!私だけよ」

 

「ナメられたものだ……まあいい、コイザー家次男【デージ・コイザー】に当たった事を後悔しながら……死ぬがいい!!」

 

いかにもMuscleなデージ・コイザーの指示で、眷属全員が私に襲い掛かって来るけど……正直言って、お・そ・す・ぎ☆

 

武器を構えて襲ってくる相手眷属達の間をすり抜け、デージの前に移動する。

 

「………………は?」

 

「その程度のSPEEDじゃあ、私をSucre出来ないわよ♪」

 

「この…!!」

 

そう言って目の前でウィンクしてたら、彼が豪腕を振るってきたけど、余裕で回避して距離を取りガシャットギアデュアルΔⅡを起動させた。

 

『RAISOU LIGHTING!!』

 

「GEAR HUNDRED!! 変身!!」

 

『デュアルガシャット!!ガッチャーン!!デュアルアップ!!雷光!!雷鳴!!雷轟!!雷神!!雷走ライトニング!!』

 

そして仮面ライダーレーザーになり、ヴァーリからPresentされたアームドガシャットを起動させる。

 

『スピーディー・ハールート!!』

 

するとガシャットが消えて、背中にはブースターとキャノン砲、特殊武装の【GCシザースビット】10個が1つになった2つのオレンジ色の【ブースターコンテナ】とミサイルコンテナ、両手にはマシンガンとハサミが1つになった【GCシザースライフル】、足は大型のスラスターに覆われ、頭部は側頭部に左右2つずつあるアンテナに目元を覆うバイザーが付いたヘルメットを被った姿…【仮面ライダーレーザーブリッツ】になった。

 

「それじゃ……レーザーブリッツ!!目標をTo Kill!!」

 

そう叫んでから背中と脚部のブースターを点火、今まで以上の速度で移動して、Knightと思われる2人をシザースライフルの鋏部分で鋏んで、そのまま連れ去る。

 

雷速の世界に2名様、ごあんな~い♪

 

「「………………………~~~~~~~~~ッ!?」」

 

「は…ばな"ぜぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

「ところがチョッキン!!」

 

抵抗する2人だったけど、私は躊躇わずに鋏部分を閉じて2人を上半身と下半身に切断した。

 

「悪いけど…貴方達は既に殲滅対象だから♪」

 

これはリゼヴィム様から言われていて、試合で反則的な行動をした場合は、相手の家を断絶させるつもりで倒せと言われてたの。でも、向こうがそんなルールにしてくれたのはLuckyだったわ。お陰で……罪悪感なく倒せるんだから!!

 

そのまま空を雷速移動しながら、シザースライフルからビームを雨霰と撃ち込んでいく。私のライフルはマシンガンよりだから、威力よりも連射性能の方が高くて、雷速移動しながらでも命中させやすいのがGOODよね♪

 

『もしもーし、アタシ達の出番はまだデスか?』

 

『…さすがに待ちくたびれた』

 

そんな舐めプしてたら、バイザーに金髪ショートと黒髪ツインテの女の子の顔が映し出される。この2人はリリーのサポートAIと同じで以前出会った歌姫達の性格を元にしていて、私の武装や動きのサポートをしてくれているの。

 

ちなみに語尾にデスって付く金髪ショートが【キリカ】、大人しそうな黒髪ツインテが【シラベ】って言うの。向こうでは【ザババコンビ】なんて呼ばれてもいたわね。

 

「Sorry.忘れてた訳じゃないわよ?これから呼ぼうと思ってたの」

 

『だったら無問題なのデス!!』

 

『…キリちゃんがチョロ過ぎる件について』

 

「それじゃあ……Let`s Transform!!」

 

そんな2人の会話を聞きつつ、私はそう叫び両手のライフルをブースターコンテナに斜め前の向きで取りつけてその場に正座の姿勢で上半身を前に倒す。この説明が分かりづらい人は、手を着かず顔を前に向けた土下座を想像してくれたらOKよ♪

 

すると、内側に寄っていたブースターコンテナが、ライフルが水平になる位置まで回転し、折り畳まれたいた機首ユニットが前に展開して私の頭を覆った。これで変形完了!!超空戦仕様のFlying modeよ!!

 

「「「「「変形したッ!?」」」」」

 

この姿になった事に向こうの眷属達が驚くけど、そんな風に止まってたら……倒しちゃうぞ?

 

変形した事でブースターが後ろに集まり、それを一気に吹かせると雷速を越えそうな速さで動き回る。しかし、この形態には欠点がある。それは…

 

「くぅ…!?制御が……しづらい…!!」

 

雷速を十全に発揮できる様になった私でも、慣れない姿勢からの加速はかなりキツい。

 

『…機動のサポート開始』

 

『シザースビット、展開するデス!!』

 

そこにシラベがサポートに入ってくれて、動きがスムーズに行える様になり、更にキリカがシザースビットを10個(勝手に)展開する。

 

『キリちゃん、勝手に使ったら…『それそれ~!!アタシ達の姿を見た奴は…皆チョッキンデス!!』…はぁ…』

 

「私はそんなキリカのノリ、大好きよ♪」

 

『デスデスデース♪』

 

『……もうツッコむのやーめた…』

 

そんな訳で……Let`s突撃~!!

 

ブースターコンテナに内蔵されてるビームキャノンを撃ちまくりながら、敵眷属の真っ只中を通り抜け、2体を撃ち抜くと同時に後を追ってきたシザースビットによって4人が細切れにされた。

 

「秘技!!マリー・スペシャル!!」

 

そしてデージ・コイザーの背後に回ったら、すぐさま人型に戻る。この時、急停止した事で凄まじいGが体を襲うけど、鍛えた体とシラベのサポートで関係ないとばかりに振り返りながら腰に回したキャノンとシザースライフルを一斉に放って、更に3人倒す。

 

「この……俺の眷属達を…!!」

 

「お喋りは……また今度よ!!」

 

そのまま再度突撃して、王以外の眷属全てを倒した。

 

「バカな……俺の眷属が…!?」

 

「これで……Finish!!」

 

圧倒的な差を1人に覆された事に呆然とするデージ・コイザーを、ライフルとキャノンの一斉射での集束による極太ビームで消滅させる。

 

『デージ・コイザー様の消滅を確認』

 

「イェーイ!! I`m winner!!」

 

『勝利のVデス!!』

 

『…えくしぶい』(ダブルピース中)

 

さてと、これで私の方は終わりだけど他は順調かしら?………………それとシラベ、えくしぶいって何?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌&美歌side

 

(ねーねー美歌~、何で最初からムテキゲーマーになっとく必要があるの?)

 

『相手眷属に変態がいた時に、すぐに殲滅する為よ』

 

私は体の中にいる美歌と話しながら、北に向かって歩いてるの……最初からハイパームテキ使って…

 

(これ、こっちの勝ち確にならない?)

 

『良いじゃないの、殲滅するのは変わらないんだから。それに今回の目的は、アームドガシャットの性能テストなのよ?』

 

(そりゃそうだけど…)

 

別にダブルアクションゲーマーでも良かったような…

 

「ッ!!」

 

『千歌、来たわよ』

 

そんな感じにのんびりしてたら、私の脳波が相手を捕捉した。どうやら16人フルメンバーで来たみたい。

 

『早速貰った片方を使いましょう♪』

 

「楽しそうだね、美歌…」

 

ウキウキしてる美歌に苦笑しつつ、貰った2つのアームドガシャットの内、片方を起動させる。

 

『セブンソード・エクスシア!!』

 

するとガシャットが消えて、右腕にライフルとバックラー、折り畳まれた大剣がセットになった武装【GCソード改】が装着され、右腰には【GCショートブレード】、左腰には【GCロングブレード】、腰背部には【GCダガー】が2本、両膝の外側にジャマダハル型の【GCカタール】という短剣が装着された。更に右腕の大剣と両膝のカタールは刃の部分がクリアグリーンの素材で出来ていて、実剣での切断能力を高めてあるんだって。

 

「7本の剣……エクスカリバーが元ネタかな?」

 

『今度、この装備で天界に武力介入しましょう♪』

 

「いや、やらないから…」

 

とりあえず、右腕と両足の感触を確かめていたら、向こうの王と眷属達が姿を現した。

 

「ほう…アレが資料にあったムテキゲーマーというやつか…」

 

「てか、本当に無敵なのか?どー見ても弱っちそうだ」

 

「何アレ?全身金ピカとか、マジダサーいw」

 

「それに王が来ないとは……よほど次期魔王候補であるこの私【ラマーナ・コイザー】が怖いとみえる。やはりあのハーフ悪魔は不様で腰抜けな存在だ」

 

「『あ…?』」

 

接敵した時に色々言われるのは分かってたから、無視するようにしてたけど、ヴァーリ君の悪口になった時、なんかカチンときた。

 

「つか、ここにいねぇ時点でラマーナ様を恐れてる証拠っしょ?」

 

「ちげぇねえw」

 

「なにそれ、マジダッサーwww」

 

「そういや、アイツの眷属って美少女ばっかりだったな……ちょうど目の前にいるし、あの鎧をひんむいて遊んでやろーぜ?」

 

「そりゃいい!!俺も混ぜてくれよ!!」

 

「公開陵辱とか、マジ鬼畜www」

 

(……ブチ!!)

 

更には私を欲望の捌け口にしようとする言葉に、完全にキレた。

 

(美歌……アイツら、バラしていい?)

 

『ええ…生きている事を後悔させてあげなさい。その前に、一旦体借りるわね』

 

(了解)

 

美歌の頼みに私は体を美歌に明け渡す。

 

「フフ……アハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

「「「「「???」」」」」

 

そして突然笑い出すワタシに、相手は一瞬呆然とするけど、すぐにニヤリと気持ち悪い笑みをワタシに向けてきた。

 

「そうかそうか…君も自分が主に恵まれてない事を知っていたのか。ならば、こちらに来い。そうすれば今以上の待遇を…「寝言は寝ながら言いなさいよ、下品なド三流が!!」……なッ!?」

 

そんな気持ち悪い勧誘してくるラマーナに、ワタシは言葉を続ける。そう、ここからがワタシの煽りタイムよ!!

 

「アンタの眷属になるくらいなら、ヴァーリの方が無量大数のレベルでマシよ!!それにアンタごときがヴァーリに勝てると思ってンの?だったら、前前前世から悪魔生をやり直してきなさい。それでも、その空っぽなオツムでヴァーリに挑んだところで、才能の肥やし…………いえ、試作品のテスト相手に0.000000000001%の確率で選ばれるかどうかね。つ・ま・り……アンタがヴァーリに勝てる要素なんて微塵も無いのよ。そもそも、アンタに魅力なんてある訳ないでしょ。その顔を鏡に叩きつけてから鏡見なさい。そうすれば、百足にはモテるんじゃない?良かったわね、百足でハーレム作れるわよ♪……って、既に百足が15匹もいたか。言っとくけど、ワタシ虫嫌いだから、近づいたら殺虫剤ぶっかけてやる。だいたい、アンタ達のそのお粗末な◯◯◯(千歌ちゃんガード!!)でワタシが満足させられると想ってるわけ?そんな◯◯◯(千歌っちディフェンス!!)◯◯◯(読ませないよ!!)なんだから◯◯◯(ちょっ美歌ストップ!?)◯◯◯(だからダメだって!!)して◯◯◯(ほんとヤメテッ!?)からの…」

 

「いい加減にしなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!」

 

調子にノッて下ネタを連発し始める美歌を遮る為に、私は無理矢理美歌を押し退けて表に戻った。

 

『ちょっと、なにするの?』

 

「こっちのセリフだよ!!ほんと何口走ってるのッ!?この体、私のなんだよ!?それでなに下ネタ連発してんの!!私のブランドイメージ下がっちゃうでしょ!!」

 

『確かに…ワタシ達まだs「言わせないよ!!」……処女だし、ビッチの印象持たれるのは勘弁したいわ』

 

「だから余計なこと口走らないッ!!」

 

なに?私に喧嘩売ってる?買うよ?買っちゃうよ?そっち生身で、私マキシマムマイティでやるけど良いよね?美歌の意見は求めないし認めないけど。

 

『その程度でワタシが臆すると思ってるの?逆に返り討ち…「じゃあ、もう2度と人格を外には出さないし、分離もさせないから」まっこと申し訳ありませんでしたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!』

 

それでも反抗する美歌に、最終手段を伝えると見事なトリプルアクセルからのトリプルトゥーループ土下座を決めた。

 

一応この体の主人格は私だから、美歌を分離させたり人格を表に出したりするには私の許可が必要なの。普段は常時OKにしてるから何時でも出られるけど、それを却下したら美歌はずっと表に出られなくする事が出来るの。

 

『くぅ…!!人間の肉体じゃない自分が恨めしい…!!』

 

「これに懲りたらもう…『人間の肉体なら、ヴァーリと◯◯◯(ピー)出来るのに!!』………美歌、この試合終わった後でO☆HA☆NA☆SHIしよっか?」

 

『ア、ハイ…』

 

これだけやっても懲りない美歌に、対話する事(死刑宣告)を告げて、目の前にいるラマーナ・コイザー達を見ると顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。

 

まあ、挑発は出来てるからO☆HA☆NA☆SHIは手加減してあげようかな……0.000000000001%くらい。

 

「ここまでコケにされたのは初めてだ……お前達!!アイツを殺せッ!!」

 

「言われなくてもッ!!」

 

そして眷属の男1人が、怒り任せに飛び込んでくる。

 

「だったらお望み通り、俺がイカせ…」

 

彼のその言葉は、最後まで紡がれる事はなかった。何故なら…

 

「エグゼイドセイバー、目標を制圧する」

 

私がGCソード改の大剣を展開、振り上げる事でその体を縦真っ二つに斬り裂いたからだ。男の体は私の左右を通り過ぎながら消滅する。

 

『ラマーナ・コイザー様の兵士、消滅』

 

「なッ!!」

 

その光景に相手全員が驚く。確かに兵士とはいえ女王に昇格した相手を昇格してない兵士がアッサリ斬り捨てたんだから、無理もないかな?

 

『そのまま一気に行くわよ!!』

 

美歌の言葉に大剣を折り畳み、ライフルからビームを放って1体の心臓を撃ち抜く。

 

「この…」

 

「『遅い!!』」

 

ようやく硬直が解けたのか、ラマーナが指示を出そうとするけど、それよりも早く私が腰のショートソードとロングソードを抜き、ショートソードの引き金を引いて剣先をワイヤー付きで射出。それを眷属の1人に突き刺して振り回し、別の眷属にぶつけてふらついているところをロングソードで2人揃って両断する。

 

更に両手の剣を戻したら、腰背部のダガー2つを抜き放ち全力で投擲、他の兵士2人の額に突き刺さり一瞬で命を刈り取る。

 

「「テメェッ!!」」

 

その惨状にキレた残りの兵士2人が背後から迫ってくるけど、振り返り様のカタール付き回し蹴りで返り討ちにする。

 

『ラマーナ様の兵士7名、消滅』

 

「バカな…!!」

 

これで相手の兵士は全滅っと……美歌、次のアームドガシャット使うから、主人格ヨロシクね?

 

『ええ、任せなさい』

 

兵士を殲滅した私は肉体の主導権を美歌に明け渡す。それはもう1つのアームドガシャットが美歌に合った作りだから。

 

そして入れ換わったワタシは別のアームドガシャットを起動させる。

 

『タクティカル・クアンタ!!』

 

すると今までの武装が消えて、背中にスラスターが着きその左側にはアームが延びて大型の盾と繋がっていた。その盾には6つの刃【GCソードビット】が付いている。更に右手にはクリアグリーンの素材で出来た剣【GCソードSP】が握られている。

 

本当はゲンム専用のアームドガシャットも試したいけど、それはまた今度ね。

 

「エグゼイドクアンタ、目標を駆逐する!!いけッ!!ソードビット!!」

 

ワタシの呼び掛けにソードビットが盾から分離して、宙を自在に動き始める。

 

「撃ち落とせ!!」

 

ラマーナの指示に、向こうの僧侶達が魔力弾を飛ばすけど、ワタシの脳波とリンクしているビットが、そんな稚拙な攻撃に当たるわけがない。その弾幕をすり抜けて僧侶の首を斬り飛ばす。

 

「ひぃッ!?」

 

「隙あり!!」

 

その光景に怯えた戦車に近づき、GCソードSPで袈裟斬りにしたら、剣先が微妙に届かない場所に立っているもう1人の戦車へと剣を振るう。

 

「バカがッ!!距離が……なぁッ!?」

 

それに余裕な返しをする相手の顔がすぐに驚愕に上書きされる。何故なら、ソードビットがソードSPに集まり形を大剣に変えたのだから。

 

「でりゃあッ!!」

 

それによって伸びた刀身に、戦車は体を横に斬り裂かれた。

 

「こ、こんなの無理だ!!」

 

「やってられっか!!」

 

力の差を感じたのか、騎士2体が逃げ出すけど…………逃がす訳ないでしょ?

 

すぐさま大剣の先端を展開、そこから長大なビームサーベルを伸ばして騎士2体を消滅させた。

 

「残るは王と女王のみ…」

 

そう言うと同時に、再分離させたソードビットを飛ばして女王の頭と喉、心臓や肺と腹部に突き刺して消滅させた。

 

「案外呆気なかったわね…」

 

もう少し歯ごたえあればよかったけど…

 

ソードビットを周りに滞空させながらラマーナに近づくと、彼はしりもちを着いて後ずさっていく。

 

「く、来るな…!!俺は次期魔王候補の…「うっさい黙れ」ぐぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

逃げようとするラマーナの手足にソードビットを4つ突き刺して地面に縫いつけ、残った2個を顔のすぐ横に刺して顔の向きを正面で固定してやる。

 

こうすれば、この後やることから目を反らせないでしょ…♪

 

ワタシは彼の頭側に立ち、ソードSPの刀身を煌めかせる。

 

「な、何をする気だ…!?」

 

「さっきからアンタの声が耳障りでね…それに、ワタシは自分の主を貶されてか~な~りご立腹なの。だからさァ…………楽には殺さないわよッ!!」

 

そう告げて、ソードの切っ先を彼の体に当てる。その先にあるのは心臓…そこめがけてゆっくり、ゆ~っくりと剣を突き刺していく。

 

「やめろッ!?頼む!!やめてくれぇッ!!」

 

「どう?一方的な暴力になす術もなく、命を磨り減らしていく気分はァ!!」

 

涙と鼻水を流しながら懇願するラマーナに、ワタシは仮面の中で笑みを浮かべながら、剣を刺していくのを止めない。

 

「嫌だ…死にたくない…死にたくない!!助けてくれ!!お願いだ!!助けてくれぇぇぇぇぇッ!!」

 

「アッハハハハ!!それは命乞いってやつね。最後は誰?愛しのママ?最愛の恋人?それとも走馬灯で、赤ん坊の頃からやり直している最中かしらァ!!」

 

そんな見苦しいラマーナの姿に、ワタシのテンションはMAXになる。

 

久々に泣き叫ぶ相手をいたぶるのは最高ねぇ!!

 

『ちょっと美歌』

 

そんな至福タイムも、千歌によって絶頂から呼び戻される。

 

「あ?なによ千歌…今イイところなんだからさぁ…!!」

 

『いや、ソイツの叫び声煩いから早く止めて』

 

「…………まあ、確かにそうね」

 

「ガッ!?」

 

一通り楽しんだワタシは、千歌に言われた通りに心臓に一気に剣を突き刺して、ラマーナを消滅させた。

 

『ラマーナ・コイザー様の消滅を確認。この試合、チームイリュジオン・レーヴの勝利です』

 

「あ、皆倒し終えてたんだ…」

 

そのアナウンスの後、転移魔法陣で私は元の場所に戻った。

 

 

 

 

 

転移が終わると、ヴァーリ達は誰1人欠ける事なく集まった。

 

「やっぱり皆、無事だったね♪」

 

「当然であろう?我が魔導を前に敵は無し!!」

 

「私達は3人チームでしたから」

 

「Very easyだったわ♪」

 

「美歌がある意味暴走して大変だった…」

 

「「「「「「何があったし…」」」」」」

 

千歌だけが少しグッタリしてる中、ヴァーリが手を叩いた。

 

「よし、全員無事だな?」

 

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」

 

「それじゃ帰るぞ~」

 

「ところでヴァーリ君は何してたの?」

 

「ん?ただ立ってただけだが?」

 

「まさか……何もしてないの?」

 

「お前達を信頼してたと言え!!」

 

「皆~!!今日は何もしてなかったヴァーリが、Dinnerを奢ってくれるらしいわよ~♪」

 

「「「わーい!!」」」

 

「ちょ待てぇい!?」

 

そんな風に楽しく喋りながら歩き、出口の手前でサーゼクスとリゼヴィム、リアス達グレモリー眷属とアーシア、ゼノヴィアがいた。

 

「いや~、皆お疲れちゃ~ん♪いいデモンストレーションだったよ♪」

 

「さすがはヴァーリ君だ。僕の予想を斜め上で超えてくれるね?」

 

「当然だろう?これが神の才能なのだよ!!」

 

「今回の事でコイザー家は爵位や財産を剥奪となったよ。まあ、跡取りがいない時点で断絶は免れなかったけどね」

 

「これでや~っと仕事に集中できるよ~…」

 

「そうだ爺さん、イリュジオン・レーヴってなんだ?」

 

「ああそれ?お前達のチーム名だよ。カッコイイでしょ?名付け親はワシ」

 

「だったら事前に言っといてくれ…」

 

「僕も試合前に言われたからね」

 

ヴァーリが2人と話している間、千歌達もリアス達と話をしていた。

 

「にしても、あんな装備まで作っていたなんて…」

 

「まあ、ヴァーリ君ですから…」

 

「その言葉で大抵納得できるようになった自分が怖いわ…」

 

「でも皆さん、スッゴくカッコ良かったです!!」

 

「ありがと、アーシアちゃん♪」

 

そんな女性同士の楽しい会話に…

 

「ようやく見つけたよ……アーシアさん」

 

1人の悪魔が割り込んでくる。

 

「?…貴方は……?」

 

「僕の名はディオドラ……以前、君に助けて貰った悪魔だよ」

 

それが……原作以上に最悪の事件の始まりとなるのを、知る者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、クロノス陣営では……

 

「ガハッ!?」

 

「英雄の生まれ変わりというから期待してたけど……これなら、あの子達の方がもっと強かったわ」

 

漢服を着た男が血を吐きながら倒れており、その前には金と銀の鎧に紫の複眼を持つ戦士が、右手の短槍を肩に置きながらつまらなそうに立っていた。

 

「これほどの強さとは…!!」

 

「お~い、果林ちゃ~ん♪」

 

「持ってきたよ~」(ドサドサッ)

 

槍を持つ戦士の強さに驚愕する男だったが、彼の背後から2人分の女性の声が聞こえ、何かを地面に落とす音がする。男がそちらを見ると、そこにはピンクのボディスーツに緑のつり上がった複眼、銀と鉄色の鎧を纏った戦士と紫のボディスーツに黄色の複眼、先程の戦士と同じ鎧を着た戦士が立っていて、その足下には彼の仲間が倒れていた。

 

「レオナルド!?それにゲオルグ!!」

 

「ありがとう璃奈♪エマもね」

 

「全然ヨユ~だよ♪」

 

「そこまで強くなかったからね」

 

「そう…それじゃ、やる事をやっちゃいましょうか」

 

そう言うと金の戦士は槍の先端を男に押し付け、柄のレバーをゆっくりと引いていく。男が終わると同じ事を彼の仲間にも行っていく。

 

「な…何をした…!?」

 

「フフ…貴方達の持つ【神滅具(ロンギヌス)】のデータ、確かに戴いたわ♪」

 

「神滅具のデータ…だと?何に使うつもりだ!!」

 

「貴方が理由を知る必要は無いわ…」

 

「ガッ!?」

 

「おお~、果林ちゃんはえげつないね~?」

 

「さあ、拠点に帰りましょ(パチパチ…)あら?」

 

睨み付ける男の顔を蹴り飛ばして意識を刈り取り、3人が拠点に戻ろうとすると、どこからか手を叩く音が響く。

 

「見事な手際だ。やはり、君達を招き入れたのは正解だったようだ」

 

「クロノス……来てたの?」

 

音の聞こえる方に視線を向けると、物陰からクロノスが出てくる。

 

「一応、応援のつもりだったが…流石だ、【アメイジングコーカサス】に【フライングファルコン】、そして【スティングスコーピオン】」

 

「まったく…その呼び方、どうにかならない?」

 

自身の持つ変身アイテムの名前で呼ばれた事に、戦士達はため息を吐きながらベルトからそのアイテム【プログライズキー】を抜き、変身を解除する。

 

アメイジングコーカサスと呼ばれた戦士は、青髪のショートヘアーにモデルのような体型。一般男性が見れば10人中全員が美人と答える程、整った顔立ちの少女だった。

 

そしてフライングファルコンと呼ばれた戦士は、ピンクのショートヘアーにお子様体型、顔をスケッチブックにピンクのペンで書いた顔で覆っている少女だ。

 

最後にスティングスコーピオンと呼ばれた戦士は、うなじまで伸びた茶髪を左右で三つ編みにし、最初に説明した少女よりもグラマラスな体型、柔和な顔にそばかすが特徴的な少女だった。

 

「私には【朝香果林】って名前があるの!!」

 

「璃奈は【天王寺璃奈】だよ~♪」

 

「私は【エマ・ヴェルデ】ですよ?」

 

「イヤ、すまない…所持しているアイテムで呼ぶのが癖になっていてな……善処しよう」

 

「そうしてちょうだい」

 

謝るクロノスに果林はそう言い、使っていた槍を手渡した。

 

「これに頼まれてた神滅具13種のデータが全て入っているわ」

 

「確かに受け取った」

 

「コレを渡す代わりに…約束は守ってよね?」

 

「勿論だ、君達が戦う相手に手出ししないことを誓おう」

 

「ありがと♪」

 

クロノスにウィンクした果林は、ポケットから1つのプログライズキーを取り出す。それは他のプログライズキーと違い、大きな銀色のバッタを思わせる作りだった。

 

「あの青い怪盗さんにベルトと一緒に渡されたコレで、貴方がどんな風に苦しむのか楽しみだわ……ねぇ、()()()()?」

 

それを見ながら恍勃の表情を浮かべる果林。それはクロノスも同じだった。

 

「これで最強のガシャットが完成し、他にも勧誘した事で戦力も整った…!!ようやくだ……ようやく始められる!!」

 

「始めるって……何するの?」

 

「決まっているだろう…?」

 

璃奈の問いに、笑いを堪えるかのように僅かに震える体を抑えて、彼女達を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が世界のルールとなるため…この世界に蔓延る全生命体を私の管理下とするのだ!!」




いかがでしたか?

スンマセン…プリコネとシンフォギアxdやってて遅くなりました…でも、プリコネはデレマスとのコラボ中で、ウヅキとリンがどちらも10連1回(ウヅキに至っては無料10連)で出たのはスゴいのだろうか?

今回登場した新装備、元ネタ解ったかな?完全に趣味全開の装備です。だが、私は謝らない!!

そして次回から【体育館裏のホーリー】が始まります。

後半にかけてシリアスや胸糞展開を入れていきますので、お楽しみに。


では、次回でお会いしましょう。


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リリカルなのはVivid編
唐突なTravel


作「俺、復活!!」

花「本当ズラか?」

ル「花丸ちゃん、作者さんを疑っちゃ…」

花「だって作者ズラよ?どーせろくでもない事考えているに決まってるズラ」

ル「そんなまさか…」

作「実は、ディオドラ編が上手く纏まらないから後にして、先に他の世界編を進めようかなって…」

2人「「うわぁ…」」

作「止めてッ!?コイツ先も見据えないで何やってんだよ的な目で俺を見ないで!?分かってるから!!衝動だけで書いてる自覚あるから!!」

花「なら、さっさとディオドラ編を纏めるズラ」

作「今章のリリカルなのはVivid編が終わったらね、テヘ♪」

2人「「うわキモッ」」

作「ゴハァッ!!」

ル「ウザくてキモくて情けない作者は車道に捨て置いて、今回から始まるリリカルなのはVivid編をどうぞ♪」

花「ルビィちゃんが、さりげなく毒吐いてるズラ…(ドゴォン!!)あ、作者にプリ○スミサイルが着弾した」


前回から時を少し遡り…

 

 

「あっちぃ~…」

 

「ダメだ…心が踊らねぇ……」

 

兵藤一誠はパラドと共に、アパートの自室で暑さにダレていた。

 

「なあイッセー、エアコンの冷房いれようぜ~…」

 

「バッカテメー、いれられたら苦労しねぇんだよ…」

 

何故2人がこうなっているのかというと、イッセーの部屋に遊びに来たパラドがエアコンのスイッチをいれた瞬間、変な音を出して動かなくなったのだ。

 

そのせいで時間が経つ毎に部屋の温度は上昇するばかりで、気休めに窓を開けて更に扇風機を動かすも、扇風機は温風を飛ばしてきたので即座に電源を切った。

 

頼みの綱は自然風なのだが、この日に限って無風。よって部屋はまさに灼熱地獄と化したのだ。

 

「業者に連絡したけど、来れるのは早くても明後日…ダメだ、詰んだ…」

 

あまりの暑さと絶望感に、意識を手離しそうになるイッセーだったが、そこに救いの女神がやってくる。

 

「おーい、イッセー君いる?麦茶持ってき……ってあっつ!?何この部屋!?」

 

「あん…?」

 

その声で意識を取り戻したイッセーが玄関を見ると、そこには曜ともう1人が立っていた。

 

「イッセー君!?大丈夫!?しっかりして!!ってかパラド君まで!?どうして2人揃ってゆるパンダみたいに…!!」

 

「エアコン……壊れ……」

 

「ああ~…なら、冷たい麦茶持ってきたから飲んで」

 

「「なにッ!!」」

 

彼女の持っていた物を見た2人は、それを受け取ると交互にがぶ飲みし、2Lサイズを僅か5秒で飲み干した。

 

「「プハァ~…!!生き返ったぁ~!!」」

 

「アハハ…」

 

「助かったぜ、曜……ん?」

 

「どうしたイッセー…あ?」

 

その飲みっぷりに苦笑する曜。そこで2人は、玄関に立ち尽くしているスポーツキャップにベージュのロングパンツ、水色のTシャツを着たボーイッシュな人物に気がついた。

 

「やっほー兵藤君♪元気だった?」

 

「なんだ…【(つき)】も来てたのか」

 

「あー、なんだはひどくない?折角来た顔馴染みに向かってさ…」

 

そう言って月と呼ばれた人物は部屋に入り、曜の隣に座ると帽子を脱ぐ。すると中に締まってあった髪が肩の高さまで降りてくる。それだけで女性らしさがグッと増した。

 

「イッセー、アイツ誰だ?」

 

「ん?ああ、お前は初対面か。コイツは【渡辺 月】つって曜の従姉で、俺の顔馴染みだ。ちなみにボーイッシュな服が好みだが、性別は女だ」

 

「初めまして、ボクは渡辺 月。貴方は?見たことない顔だけど…」

 

「俺はパラドだ、よろしくな」

 

「パラド君…ね。よ~ろしく♪」

 

そんな曜のヨーソローに似た挨拶の後、イッセーが立ち上がる。

 

「んじゃ、久々の再会っつー事で外の喫茶店にでも行くか」

 

「いやいや悪いって!?別に此処でも…「冷房も効かない灼熱地獄の部屋だが?」せっかくのお誘いを断るのはいけないね!!さあ行こう!!すぐに行こう!!」

 

「月ちゃん…」

 

そんな従姉の掌返しに呆れる曜。それから4人は連れだって駅前にあるカフェに向かう事にした。

 

「へぇ~、パラド君ってゲーマーなんだ」

 

「ああ、この街のゲーセンの全ての筐体で1位を手にしてるぜ?」

 

「ほほ~!!実はボクも格闘ゲームは得意なんだよね~?」

 

「お?なら後で対戦しようぜ!!」

 

前を歩く2人は楽しそうにゲームについて話していて、イッセーと曜はその後ろを並んで歩いている。

 

「月ってそんなにゲーム得意だったか?」

 

「う~ん…どうなんだろう?最近は近所のゲームセンターでハマってるって言ってたけど…」

 

「ま、パラドとやったらボロ負けして、泣かされるだろうな」

 

「あ~…目に浮かぶよ…」

 

そんなハッキリと見えた未来に、2人が苦笑していた時だった。

 

「ん?何だアレ…?」

 

パラドがある路地の先を見て、動きを止めていたのだ。

 

「どうした?」

 

「いや、路地の先の空間にヒビみたいなものが…」

 

「空間にヒビだぁ?……お、ホントだ」

 

パラドの言葉に疑いながら路地を見ると、行き止まりの壁の少し前の空間に、確かにヒビがあった。

 

「なんだコリャ?」

 

「ちょ…!!近づいたら危ないよ!!」

 

興味を持ったのか、近づこうとするイッセーを曜は彼の腕を掴んで引き留めるが、彼の力に負けて引き摺られるままに近寄っていく。

 

「おお…本当に空間がひび割れてやがる」

 

「ねぇ、やっぱり離れようよ…」

 

「バーカ、こんなのがそうそう広がるわけないって」

 

「イッセー、それフラグ…(ビキッ!!)は?」

 

イッセーの言葉にパラドがツッコミを入れた瞬間だった。空間の罅が一気に広がり、大きな穴を作る。直後、その穴に向かって強風が吹き、悲鳴を上げる間もなく4人を吸い込んで、穴は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

「「グベェ!!」」

 

「「キャア!!」」

 

「「グヘァアッ!?」」

 

穴に吸い込まれた俺達は、しばらく変な空間をさ迷った後、どこかの路地裏に放り出された。先に俺とパラドが地面へと叩きつけられ、すぐ後に曜と月が俺達の上に落ちてくる。

 

「イタタ…あれ?ここ何処?」

 

「さっきの路地とは全然違う…?」

 

「「んな事より、2人とも降りてくれ…!!」」

 

「わわッ!?ゴメン、イッセー君!!」

 

「パラド君もゴメンね!?」

 

2人が退いてくれたので、俺達も立ち上がって服についた汚れを払う。

 

「ったく…此処は何処だ?」

 

「分からないよ…いきなりあの穴に飲み込まれたと思ったら此処に…」

 

月のヤツは突然の事にパニックになってるが、俺はすぐに何が起きたか理解できた。というか、最近よく経験してる事だしな。

 

「イッセー君…私達、もしかして……」

 

「ああ、異世界にでも飛ばされたんだろうな」

 

曜もそれに気づいていた。あれは間違いなく異世界転移と似たものだ。

 

「問題はどうやって帰るかだな」

 

吐き出された穴の方を見れば、そこに穴はなかった。おそらく、俺達を吐き出した後に塞がったんだろう…

 

「どうしよう…このままじゃ…!!」

 

「取り敢えず、大通りに行くぞ。そこでなら、何かヒントがあるかもしれねぇ」

 

「俺もイッセーに賛成だ。ここでジーっとしててもドーにもならないしな」

 

「えっと……話がよく解んないけど…とりあえず3人に付いていくよ」

 

そうと決まれば善は急げだ!!

 

そんなワケで曜が月に事態を説明しつつ、ねじ曲がった路地を進み、5分ほどで大きな通りに出る事は出たんだが…

 

「なんじゃこりゃ…?」

 

俺の視界に広がったのは、慣れ親しんだ駒王町の景色ではなく、それどころか地球よりも遥かに文明が進んだ近未来的な都市だった。

 

「み…未来ずら……」

 

「曜、落ち着け。語尾がズラ丸になってんぞ」

 

「ハハッ!!まるでゲームの世界みたいだ!!」

 

「説明は聞いてたけど、こうして目の当たりにするとやっぱり気持ちが高ぶる~ッ!!」

 

俺と曜は呆然としていたが、パラドと月は目の前の光景にテンションマックスになっていた。

 

コイツら暢気過ぎるだろ…

 

それから通りをしばらく歩いてみて、何かヒントがないか探したが……それ以前の問題にぶち当たってしまった。それは…

 

「「「「文字が読めん…」」」」

 

看板とかに書かれてる文字が、全く解らなかった…

 

見た感じ英語っぽいが、文字がだいぶ崩れていて判別できねぇ……いや、それ以前に俺、英語はサッパリなんだよ…

 

「曜、読めるか?」

 

「うん、ムリ」

 

「俺もだ…」

 

「ボクは幾つかは読めなくもないけど……文にして訳すのは無理かな…?」

 

俺の問いに曜とパラドはすぐに首を横に振り、月は一部の単語は解るみたいだが訳すのは無理だった。ちなみに月は帰国子女でイタリア語なんかも解るんだが、月でも読めないんじゃお手上げじゃねぇか…

 

「マジでどうすりゃいいんだよ…!!」

 

再びの絶望的状況に、目の前が真っ暗になりそうになる。

 

金は持ってるのが通用するかどうかもわかんねぇし…下手すりゃ野垂れ死ぬぞ…

 

「イッセー君、まだ諦めちゃダメだよ!!」

 

項垂れる俺に、曜が肩を優しく叩いてくれた。

 

「……そうだな、もしかしたら話が通じる奴がいるかもしれねぇし…!!」

 

曜の言葉でやる気を取り戻した俺。

 

「ねーねーパラド君!!あの塔を背景に写真撮って!!」

 

「おう、いいぜ!!」

 

けど、その後ろではしゃいでいるパラドと月のせいで、色々と台無しだが…

 

この2人は後で拳骨だな。

 

「とりあえず、歩きまわってみ…「キャアアアアアッ!!ひったくりよ~!!」ん?」

 

突然響いた女性の声に、視線を巡らせると1人の男がこっちに向かって走ってきていた。

 

こんな世界でも、ひったくりなんているのか…

 

「あの人、ひったくり犯…?」

 

「だろうな…曜、下がってろ。パラドは月を」

 

「うん、気をつけてね?」「ああ、任せろ」

 

「え?何々?」

 

曜達を下げた俺は男の進路を塞ぐように立つ。

 

丁度良い……アイツでストレス解消するか…!!

 

「邪魔だ、どけガキッ!!」

 

「だったら退かしてみろよ?」

 

男の脅しにそう返し、更に左手の指を招く様に数回曲げて煽る。

 

「くそが…!!後悔すんじゃねぇぞッ!!!!」

 

それにアッサリと乗った男は、額に青筋を浮かべながら()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(ありゃあ…確か善子(中二病魔導師)が使っているのと同じやつか)

 

それに見覚えがあった俺は、すぐに対応できるように構え…

 

「くたばりやがれッ!!」

 

「テメェがなッ!!」

 

一斉に飛ばしてきた光球の先頭を掴み取ると、2つ目へと投げ返して相殺し、その勢いのまま回転しつつ3つ目を背面キャッチして、4つ目を回転の勢いを乗せた回し蹴りで蹴り返し…

 

「オラァッ!!」

 

「はぅあッ!?」

 

男の股間にジャストミィィィィィト!!させた。

 

男にとって最大の急所を攻撃された事で、ひったくり犯は股間を抑えながら動きを止め…

 

「こいつでオネンネだッ!!」

 

「グハァッ!?」

 

最後に持っていた光球を、前のめりになっていた男の顔面へと投げ返し、ノックアウトさせた。

 

「うし!!ナイスデッドボール!!」

 

ふぅ~!!さっきまでのイライラがスカッとしたぜ!!

 

「いや、デッドボールでナイスも何もないからね?」

 

倒した男を前にガッツポーズを取る俺に、曜がツッコんだ。

 

この場合はこれで良いんだよ!!

 

「なんだなんだ?」

 

「あのノビてる男、ひったくり犯らしいわよ?」

 

「誰が倒したんだ?」

 

そんな事をしていたら、周りに野次馬が集まってきた。

 

「こりゃ、逃げた方がいいか?」

 

「このままだと、面倒な事に巻き込まれそうだしね」

 

月の言葉で、俺達は男に周りの意識が向いてる間にその場から走り去った。下手な事でブタ箱や実験施設行きとか勘弁だしな…

 

「今の技は…」

 

「今のって確か…!?」

 

「間違いないよ!!」

 

「でも、なんであの人が…?」

 

「追いかけて聞いてみよう!!」

 

けど、俺達も慌てていたからか、こっちを見ていた4人の女の子達の視線に気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハァ…!!ハァ…!!」」

 

「うし、ここまで逃げれば完璧だろ」

 

「だな」

 

先ほどの事件現場からある程度離れた場所で、イッセー達は一息いれていた。

 

「な…何で……兵藤君と…パラド君は……息切れ1つ……して…ないの…?」

 

「「鍛え方が違うからな」」

 

「揃って……言う…事……かな…?」

 

壁に手をつき息も絶え絶えな月と曜に比べ、イッセーとパラドは平然とした顔で呼吸1つ乱さず立っている。

 

「それはそれとして……これからどうする?」

 

「んなもん、さっきまでと変わんねぇよ」

 

「だな」

 

「というか!!その前にさっきの兵藤君の動きはなんなの!?メチャクチャ凄かったんだけど!?」

 

だいぶ息が整った2人を見て、イッセー達が歩き出そうとした時…

 

「あ、あの…!!」

 

「ん?」

 

後ろから声を掛けられて4人が振り返ると、そこには先ほどイッセー達を見ていた4人の少女達がいた。どうやら、あれからイッセー達を追いかけてきたらしい。

 

「ゼェ…!!ハァ…!!ゼェ…!!ハァ…!!」

 

……1人だけ、ものすごく息切れしていたが…

 

「何だ、ガキんちょ共?」

 

「というか、そっちの子…大丈夫?」

 

「だ……だい…じょぶ……です…!!」

 

呼吸が荒い茶髪にキャンディの髪飾りでツインテールにした女の子を心配する曜だが、本人は大丈夫だとアピールするためなのか右手を上げた。

 

「さっきのひったくり犯を倒したのは、お兄さんですよね?」

 

その横で、金髪ツーサイドアップの女の子が、イッセーを赤と緑の虹彩異色の瞳で見てくる。

 

「……それがどうした?」

 

「お兄さんは【覇王流】を使えるんですか?」

 

「…何だそりゃ?」

 

少女の単語に聞き覚えのないイッセーは首を傾げ…

 

「はおーりゅー?それって蒼天○蓮拳とか、流○螺旋拳とか、弾丸覇○拳とかのやつ?」

 

「いや、それは次元覇王流ッ!?」

 

月がそんなボケをかまし、黒のショートヘアに黄色いリボンと八重歯が特徴的な女の子がツッコむ。

 

イッセーの戦いは殆んど実戦で身につけた喧嘩殺法で、そこに相手の動きを模倣したものを加え、グラファイトによって更に洗練された完璧な我流なので、覇王流とか他の流派など全く知らないのだ。

 

「悪ぃが、そんな流派は知らねぇ「嘘です」あ?」

 

もちろんその流派に身に覚えがないイッセーは知らないと答えるが、それは青と紫の虹彩異色に碧銀の髪をツインテールにしている3人より少し年上の子に即否定された。

 

「なんでそう思う?」

 

「貴方が先程使った射撃魔法を掴み取る技は、覇王流の技の1つ【旋衝波】以外ありえません」

 

「あー、アレの事か」

 

あれってそんな名前だったのか…と、そんなどうでもいい事を考えるイッセー。

 

「教えて下さい、どうして貴方がその技を?」

 

「教えろっつっても…ある特訓をしてたら出来た。それだけだ」

 

「特訓……ですか?」

 

「ああ、360度全方位から常時襲ってくる魔力弾の中で、格上相手に30分戦い抜くルールの模擬戦を何回かやってたら自然とな?」

 

「「「「……へ?」」」」

 

その常軌を逸した特訓内容を聞いた少女達は、あまりの内容に動きが止まった。

 

「しかも1発の被弾も許さねぇし、当たれば最初からやり直しだ。中々に辛かったぜ…」

 

その時の事を思い出してしみじみするイッセーだったが、少女達は呆然としたままで聞いてはいなかった。

 

「それより、お前達は誰なんだ?」

 

「「「「ハッ!?」」」」

 

しみじみしてるイッセーを無視して、パラドが少女達に問うと、意識を取り戻して碧銀の髪の子から自己紹介を始めてくれる。

 

「申し遅れました、私は【アインハルト・ストラトス】と言います」

 

アインハルトが名乗り一礼すると、次に金髪ツーサイドアップの子が前に出た。

 

「私は【高町ヴィヴィオ】です!!」

 

そう元気よく名乗り、アインハルトと同じく一礼してから次に黒髪ショートヘアの子が出てくる。

 

「アタシは【リオ・ウェズリー】です♪」

 

リオは右手を上げながら名乗り、最後にやっと呼吸が落ち着いた茶髪ツインテの子が名乗る。

 

「【コロナ・ティミル】です」

 

コロナは礼儀正しくお辞儀しながら名乗る。

 

「アインハルトちゃんにヴィヴィオちゃん、リオちゃんにコロナちゃんだね?私は渡辺 曜っていうの。こっちは従姉妹の月ちゃん」

 

「よ~ろしく♪」

 

「オレはパラドだ」

 

「…兵藤 一誠だ」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

「ところで貴女達に聞きたいんだけど……ここって何処?」

 

自己紹介も終わり、曜はこれ幸いとアインハルト達にこの場所の事を聞くことにした。

 

「此処ですか?【ミッドチルダ】の首都【クラナガン】ですが…」

 

「「「「みっどちるだ…?」」」」

 

しかし、アインハルトから聞けた地名は、全く知らないものだった。

 

「月ちゃん、知ってる?」

 

「ううん…少なくとも、日本やアメリカ、イタリアじゃないのは解るけど…」

 

「日本?……お兄さん達って、なのはママが住んでた【()()】から来たんですか?」

 

「「「「……え?」」」」

 

聞きなれない地名に戸惑う曜達に、ヴィヴィオから更なる爆弾が投下された。自分達がいる場所が日本どころか地球ですらないという特大の爆弾が…

 

「もしかして……地球ですらないの、此処?」

 

「そうですけど…」

 

「「「「最っ悪だ…」」」」

 

その事実に崩れ落ちるイッセー達。ヴァーリのいない今、彼らに帰る手段は無いからだ。ワンチャン、ヴァーリ達が気づいて助けに来てくれるかも知れないが…それも何時になるか分からない。先の見えない状況に落ち込むのも無理はない。

 

「えっと…もしかしてお兄さん達、【次元漂流者】なの?」

 

「次元漂流者?なんかよくわかんねぇが……たぶんそれだ…」

 

ヴィヴィオの問いにテンション低めに答えるイッセーだが、救いの女神はすぐそこにいた。

 

「それなら、なのはママ達がなんとかしてくれるかも!!」

 

「「「「な…なんだってッ!?」」」」

 

女神(ヴィヴィオ)の言葉で、崩れ落ちてたイッセー達の精神が復活する。

 

「なのはママ、時空管理局でそういう困ってる人達を助けるお仕事してるし、ユーノ司書長のいる無限書庫を使えば帰る方法が見つかると思いますよ?」

 

「そうか…」

 

その説明に安堵するイッセー。

 

「ただ、今はお仕事中だから連絡が取りづらくて……直接会いに行きますか?」

 

「頼む。可能性があるなら早めに知りたい」

 

「解りました。じゃあ案内しますね」

 

こうして4人はヴィヴィオ達の案内の元、時空管理局へと赴く事になった。




どうも、しばらく投稿止めてた疾風の警備員です。

アプリのシンフォギアXDで、リリカルなのはとコラボするという情報を見た途端、ネタが頭に浮かんでしまったので投稿再開しました。

このリリカルなのはVivid編が終わったら、ディオドラ編を始め…………られたらいいなぁ…

では、次回でお会いしましょう。


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Magical girlとの手合わせ

ヴィ「皆さん、ごきげんよう!!高町ヴィヴィオと…」

ア「アインハルト・ストラトスです」

ヴィ「今章の間は、私達なのはVivid組が前書きを担当しま~す♪」

ア「不馴れなところもあるかと思いますが、よろしくお願いします……ところでヴィヴィオさん?」

ヴィ「なんですか?」

ア「あちらで【MORE DEBAN】と書かれた立て札を持って、こちらを睨んでいる方達は誰ですか?」

ヴィ「ああ、あの人達はこの小説の主要メンバーの皆さんですね。ただ、この章ではイッセーお兄さんにパラドお兄さん、曜お姉さんに月お姉さん以外、全く出番が無いそうで…」

ア「なるほど、それに対しての抗議活動だったんですか」

ヴィ「まぁ、私達にはどうにもできませんから…」

ア「でしたらそろそろ、タイトルコールをしましょうか」

ヴィ「そうですね!!それでは…」

ヴィ・ア「「ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編、始まります」」


ヴィヴィオ達の案内で、イッセー達は町の真ん中にそびえる巨大な施設…【時空管理局】の前まで来ていた。

 

「おぉ~!!近くで見るとやっぱりデッカイなぁ!!」

 

「上を見上げたら、首が痛くなりそう!!」

 

その光景に観光気分が抜けないパラドと月は、テンションが爆上がりする。そしてそんな2人を見て、イッセーはため息を吐く。

 

「アイツら……自分達の状況、分かってんのか?」

 

「アハハ…まぁ、落ち込んでるよりは良いんじゃない?」

 

「そりゃそうだが…」

 

「みなさ~ん!!こっちですよ~!!」

 

その管理局の入り口で手を振るヴィヴィオ達についていき、中に入ると大きな吹き抜けに、そこら中に空間投影モニターが浮かび、たくさんの人が行き交っていた。

 

「はぁ~…こいつァすげぇな」

 

「此処は時空管理局の地上本部で、主にミッドチルダの警備・防衛を担っています」

 

「「へぇ~…」」

 

「それで、ヴィヴィオのお母さんはここの戦技教導隊に所属していて、たくさんの隊員さんに戦い方を教えてるんですよ!!」

 

「他にも執務官や特殊救助隊、自然保護隊や特別捜査官の人達とも知り合いなんです」

 

建物内を歩きつつ、リオやコロナが説明していくのを聞く曜。

 

「ヴィヴィオちゃんって、意外と顔が広いんだね…」

 

若干の驚き混じりでヴィヴィオを見る曜。そんな事を知らない彼女は……

 

「うわぁ~!!高~い!!」

 

「おい、見つけたら教えろよ?」

 

「はぁ~い♪」

 

イッセーによって肩車されていた。

 

どうしてこうなっているのかというと、彼女の母親は色々な隊に派遣される為、部隊の部屋にいる可能性が低い事に気がついたヴィヴィオが周囲を見渡そうとしたが、周りにいるのは彼女より背の高い大人ばかりで全く視界が確保できなかったからだ。そこである魔法を使おうとしたが、その前に彼女の意図に気づいたイッセーが彼女を担ぎ上げたのだ。

 

「あッ!?ヴィヴィオだけズル~い!!」

 

「なら、お前は俺がやってやるよ」

 

「いいんですか!?ヤッター!!」

 

それを羨ましがるリオだが、パラドが肩車してくれると知ると、ダッシュで彼の元まで移動して担ぎ上げしてもらった。

 

「おお~!!ホントに高いや~♪」

 

「もう、リオったら…」

 

「ヴィヴィオさんもリオさんも、あまりお2人に迷惑を掛けてはいけませんよ?」

 

「「はぁ~い♪」」

 

そんな2人を注意するアインハルトだったが、肩車を楽しんでるヴィヴィオ達に効果は薄かった。

 

「すみません、ヴィヴィオさん達が…」

 

「気にしなくていい。軽い筋トレにゃ丁度いいさ」

 

申し訳なさそうにするアインハルトに、イッセーはヴィヴィオを肩車したままスクワットを始める。もちろん、ヴィヴィオが乗ってるのを意識して、バランスを崩さずにだ。

 

「おおッ!?スゴいスゴい!!全然グラつかない!!」

 

「ヴィヴィオさんを担いだままで……一体どれだけのトレーニングを…?」

 

「それ以前に目立つから止めてッ!?」

 

しかし、職員が大勢いる場所でそんな事をしてれば当然目立ち、人だかりが出来始めたので曜が止めようとしたら……

 

「あれ?何してるの、ヴィヴィオ?」

 

人垣を掻き分けて、1人の女性が出てくる。長い茶髪をヘアゴムで左のサイドテールに纏め、白と青の制服に胸元に赤い球状の宝石の着いたネックレスをした、かなり若い女性だ。

 

「あ、ママ!!」

 

「「「「………………………………え?」」」」

 

その女性に向かってヴィヴィオがママと呼んだ事に、イッセー達4人の思考が一瞬驚きで止まる。見た目は20代前半ほどの女性がヴィヴィオのママという事実を受け止められなかったようだ。

 

「あの人が、ヴィヴィオさんのお母様の【高町なのは】さんです」

 

「「「「……え、マジ?」」」」

 

「はい、マジです」

 

しかしダメ押しのアインハルトの説明に4人は……

 

((((やっぱり此処、異世界だ…))))

 

そんな事でこの世界が異世界だと、改めて理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず知り合いに連絡して、貴方達が現れた場所に局員を派遣したから、何か分かったら教えるね」

 

「「「「ありがとうございます」」」」

 

あれから数分後、なのはの所属する戦技教導隊の彼女のデスクでイッセー達は事の経緯を説明し、調査隊を派遣してもらえる事になった。

 

「ただ、空間が閉じちゃってるなら…かなり時間が掛かっちゃうかも…」

 

「まぁその内、向こうから迎えが来ますよ」

 

「…………それって、平行世界を移動できる手段がそっちの世界にあるって事?」

 

「はい、月ちゃんを除いた私達3人は何度か異世界に行ってます」

 

「ええ…なにそのロストロギア……」

 

一応、望みが薄い事を伝えるなのはだったが、それは彼らの世界には当てはまらない。何せ、そんな事を簡単にやり遂げる神(自称)がいるのだから…

 

「ふぅ~…とりあえず、一応の目処が着いたし…思いっきり体動かしてぇ…」

 

「俺は観光だな!!見たことが無い物が多くて、心が踊る!!」

 

「あッ!!ボクも!!」

 

その事で気が緩んだ3人が、やりたい事を口にする。しかし、曜の言葉で現実に戻される。

 

「それよりも!!…私達、何処で寝泊まりするの?」

 

「「「……あ」」」

 

そう、自分達は寝泊まりする場所も、ホテル等に泊まるお金も無い事を…

 

「そうだった、マジでどうするか…」

 

「それじゃ、しばらくウチに泊まると良いよ」

 

そこに、なのはから自宅に泊まっていいと助け船が出された。

 

「……良いんすか?」

 

「私は普段、帰りが遅くてヴィヴィオ1人の時間が多いの。だから、こっちにいる間だけでもヴィヴィオの相手してくれるなら大丈夫だよ。あ、もちろん変な事しちゃダメだからね?」

 

「恩を仇で返しはしないっすよ」

 

駒王町では不良で通っているイッセーだが、恩人に対して不貞をするほど腐ってはいない。だからこそ、彼女の信頼を裏切りはしないと心に誓った。曜達も彼の言葉に頷く。

 

「…………うん、君達なら信じられるかな?聴取はこれで終わりだけど私はまだお仕事が残ってるから、家はヴィヴィオに案内してもらってね」

 

「「「「ありがとうございました」」」」

 

最後に彼女に礼を言って部屋を出ると、外で待ってたヴィヴィオ達が寄ってきた。

 

「どうだったんですか?」

 

「とりあえず調べてくれるが、時間が掛かるらしい。それまで、お前の家に厄介になる事になった」

 

「そうなんですか?」

 

「うん、ヴィヴィオちゃんは大丈夫?私達が泊まっても…」

 

「ヴィヴィオは大丈夫です!!」

 

「そうか…あんがとな」

 

いきなり家に厄介になるイッセー達に、ヴィヴィオは笑顔で大丈夫と言い、そんな彼女の頭をイッセーは撫でた。

 

「えへへ~♪」

 

「んで、ここでやる事は終わったから…どこか体を動かせる場所知らねぇか?」

 

その問いにヴィヴィオ達は顔を見合わせ、笑みを浮かべた。

 

「それでしたら、いい場所がありますよ。ね、ヴィヴィオさん?」

 

「はい!!案内しますね♪」

 

アインハルト達に言われ、観光しつつ彼女達の後をついていく事数十分……一行は1つのスポーツジムの前に来ていた。

 

「ここは?」

 

「【ナカジマジム】です。普段から私達がお世話になっている場所なんです」

 

「最近出来たばかりで、中の機材も最新の物が多いんですよ!!」

 

そして中に入ると、それなりに広い室内にはたくさんのトレーニング器具が並んでいて、窓際には格闘技なんかで見るリングまで置かれていた。

 

「ようこそ、ナカジマジムへ!!……あれ?アインハルトさん達、どうしたの?今日は休養日じゃ…」

 

「ごきげんよう、ユミナさん。実は…」

 

ジムに入ったアインハルトが、受付にいた少女と話している間…

 

「ほぉ~…結構本格的じゃんか」

 

「アッハッハッハ!!これ面白ぇ~!!」

 

「ふんぎぎぎぎ…!!」

 

「月ちゃん、重りの総重量見なよ…」

 

ジム内を見渡しながら感心するイッセーに、パラドは笑いながらルームランナーで走り、月がバーベルを上げようとしていたが総重量100㎏の重りが付いていたので全く動かず、それを見ていた曜が呆れていた。そんな中でイッセーは……

 

「おい、このサンドバッグは使っていいのか?」

 

「あ、はい!!大丈夫です!!」

 

近くに置かれていたサンドバッグの前に立ち、ヴィヴィオに許可を得てからその前で構える。

 

(((ワクワク、ワクワク)))

 

イッセーの力量が解るかもと、ヴィヴィオ達もワクワクしながら見ていると…

 

「オラァッ!!」

 

―――ドゴォン!!!!―――

 

「「「ひゃあッ!?」」」

 

イッセーがサンドバッグを全力で殴り、周囲に物凄い音が響いて、見ていたヴィヴィオとリオとコロナもその音の凄さに驚く。イッセーはそこからラッシュを始め、サンドバッグの角度がどんどん床との水平に近づいていく。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!!」

 

「ねぇヴィヴィオ、あの大型サンドバッグって結構重量なかった?」

 

「中は砂だから、確か200㎏ぐらいだったはずだけど…」

 

「それをパンチだけで…」

 

リオとヴィヴィオとコロナの心配を余所に、遂に水平になったサンドバッグをイッセーは全力で蹴り上げ、その威力に頂点を越えて一周してきた高速のサンドバッグを左足一本でアッサリと受け止める。勿論、受け止めた場所から1㎜も動かずにだ。

 

「「「スゴ…」」」

 

「素の身体能力であれほどの力…これで強化魔法を覚えたら、通常の一撃がミウラさんの抜剣に迫るかもしれませんね…」

 

「ええ!?あの人、身体強化してないの!?」

 

その光景にヴィヴィオ達は唖然とし、近くに来ていたアインハルトは冷静に分析して、ユミナと呼ばれた少女はあれが素の身体能力として驚愕していた。

 

「フゥ…やっぱ、動かない的だと味気ねぇな…」

 

しかし、当の本人はつまらなそうにため息を吐いた。

 

「なあ、誰か対戦相手になってくれねぇか?こんなんじゃ退屈でしょうがねぇ…」

 

「あ、じゃあわた「なら、私がお相手します」ああッ!?」

 

そこで対戦相手を募る事にしたイッセー。リオとコロナは高速で首を横に振って遠慮するがヴィヴィオは笑顔で自推しようとしたら、アインハルトに先を越されてしまった。

 

「ん?………………なら着替えてこいよ。その学生服をボロボロにする訳にゃいかねぇだろ」

 

「はい、少しお待ちください」

 

荷物をヴィヴィオに預け、更衣室に入ってトレーニングウェアに着替えたアインハルトが目にしたのは…

 

「とりあえず、これは没収です!!」

 

「何でだよ!?」

 

「子供相手に使ったら大惨事だからだよ!!」

 

「そもそも使うか!!」

 

「いーや!!イッセー君は調子に乗ると使おうとするから、やっぱり没収です!!」

 

「……………………?」

 

曜と揉めてるイッセーの姿だった。

 

「彼らはどうしたんですか?」

 

「えっと……イッセーお兄さんの持ってるアイテムが危険だから預かるうんぬんで…」

 

「アイテム?」

 

アインハルトが2人の手元を見ると、そこにはゲーマドライバーとコラボドライバー、2つのガシャットがあった。確かに、まだ中学生くらいの女の子にライダーの力はやり過ぎだ。

 

(あれは一体…?)

 

だが、アインハルト達はそれが何か知らない。少し気になりはしたが、あそこまでするという事はよほどの物なのだと思って詮索をやめた。

 

「チッ!!わかったよ……ん?着替え終わったのか」

 

「はい、お待たせしました」

 

ようやく諦めたイッセーがアインハルトを見つけ、彼女はリングに上がる。

 

「そんじゃ……さっさと最後の準備をしろよ」

 

「え?着替え終わってるんだから始めれば…」

 

「いや、アイツはまだ準備が終わってねぇ」

 

「…?」

 

曜がイッセーの言葉に首を傾げていると…

 

「おいで、【ティオ】」

 

「にゃーん」

 

アインハルトの左肩に一匹の子猫が乗ってきた。

 

「か、可愛い猫ちゃん…!!」

 

「ソイツは?」

 

「私のデバイス【アスティオン】のティオです。ちなみにモデルは豹です」

 

「「え、豹?」」

 

「にゃー♪」

 

彼女のデバイスであるアスティオンが声をあげる。しかし、見た目の愛くるしさと鳴き声でどうしても猫にしか見えない。

 

「アスティオン、セットアップ」

 

「にゃー!!」

 

アインハルトが呟くと彼女を緑色の光が包む。その眩しさに目を閉じたイッセーが目を開けたらそこには……

 

「お待たせしました」

 

背が伸びて、18~9歳ぐらいになっているアインハルトがいた。

 

「成長したッ!?」

 

「何でもアリだな…」

 

「これで身体的リーチの差はあまりありません。全力でお願いします」

 

「ハッ!!良いぜ…俺を楽しませろよ?」

 

2人は構え、暫しの睨み合いの後に飛び出したのはイッセーだ。先手を取るために全力で前に跳びながら拳を突き出す。

 

「ラアッ!!」

 

「フッ!!」

 

アインハルトはそれを冷静に後ろへと受け流す。そのまま背後に回り、一撃を繰り出す。

 

「セイッ!!」

 

「ハアッ!!」

 

イッセーはそれを目視する事なく、右足の回し蹴りで迎撃した。それから2人は1度距離を取って体勢を立て直す。

 

(なるほど…トーシローじゃなかったか。中々やりやがる)

 

(身体強化無しでこの力…!!それに、動きが全く読めない…まるで本能に任せて戦っている獣みたい…)

 

このたった1・2回の攻防で、2人は相手のおおよその力量を察した。だからこそ、アインハルトは短期決戦で決める為にイッセーと距離を離したままで構える。

 

(あん?何をやる気だ…)

 

「ハッ!!」

 

「ッ!?ガアッ!?」

 

それを警戒するイッセー。そしてアインハルトがその場で右腕を突き出すと距離が離れているにも関わらず、彼の顔に何かが激突し体が仰け反った。

 

(何だ今のは…!?空気の砲弾がぶつかったみてぇに…!!)

 

唐突な攻撃に戸惑いながらも、素早く体勢を整えようとした彼の前には、すでに拳を振りかぶっているアインハルトがいた。

 

「な…!?」

 

「覇王…」

 

そして全身の稼働を使って、勢いの全てを拳に乗せた一撃……覇王流の技がイッセーの腹に打ち込まれる。

 

「断空拳ッ!!」

 

「ぐあ…!?」

 

その一撃に数歩下がるイッセー。だが、アインハルトは険しい目で彼を見続ける。

 

(感触が浅い…咄嗟に体を引いてダメージを抑えた?)

 

そう…イッセーもただ喰らうのではなく、本能のままに体を引いた事で威力をある程度軽減させていたのだ。

 

「これはアインハルトさんの勝ちじゃない?」

 

「うん、綺麗に断空拳も決まったし」

 

「ううん、たぶん…思ったよりダメージは無いかも」

 

「「え?」」

 

リオとコロナはアインハルトの勝ちを確信していたが、ヴィヴィオはアインハルトと同じく険しい目をしていた。

 

「ハハ…いいねぇ…!!中々強ぇじゃねぇか」

 

「ありがとうございます。貴方もかなり強いですね?」

 

「こちとら命のやり取りを何度もやってるからな。んじゃ、少し本気を出すか…!!」

 

体勢を立て直したイッセーが構えると、一気にアインハルトへと駆け出す。

 

「ッ!?空破断!!」

 

それを迎撃する為にアインハルトは先程使った空気の砲撃を放つが…

 

「もう見えてんだよ!!」

 

それをイッセーは首を傾けるだけで回避した。

 

「なッ!?」

 

それに驚くアインハルト。そしてイッセーは、その間に距離を更に詰める。

 

「ならば…!!」

 

これ以上近づかせないと放つアインハルト必殺の拳。だが、イッセーはそれを左手で()()()()()事で完全に受け止めた。

 

「そんな…!?」

 

必殺の拳を止められて硬直するアインハルトの腹に、イッセーは右手の抜き手を押しつける。

 

「確かにお前の一撃の威力はスゲェ……けどな、拳を正面から受け止めなきゃそうでもねぇんだよ!!」

 

そしてその場で強く踏み込み、抜き手を拳にしながら衝撃をアインハルトに叩き込んだ。

 

「ガハッ!?」

 

腹部を貫くような衝撃。その一撃で踞るアインハルトに、イッセーは手を差し出す。

 

「俺の勝ちだな?」

 

「はい…私の負けです」

 

「お前との喧嘩(しあい)は楽しかったぜ」

 

「……こちらも、良い勉強になりました」

 

アインハルトはその手を取って引き起こしてもらい、共にリングを降りるとヴィヴィオ達に囲まれた。

 

「アインハルトさん、大丈夫ですか?」

 

「ええ、兵藤さんが加減してくれましたから」

 

「でもアインハルトさんが、あんな簡単に負けちゃうなんて…」

 

「兵藤さん、スッゴいです!!」

 

ヴィヴィオとコロナがアインハルトを心配する中、リオはイッセーの技に興奮冷めやらぬといった感じではしゃいでいる。

 

「踏み込みの時のドスンッ!!て音が身体中に響いて…1歩も動かないであんなパンチ放って…とにかく凄かったです!!兵藤さんって一体何類なんですか?」

 

「人類だバカヤロー」

 

最後に余計な一言を足したリオに、イッセーは彼女の鼻に軽くデコピンを当てた。

 

「うぴゅッ!?」

 

「たくっ……さて、ある程度暴れたから満足したし……後は観光でもするか…?」

 

「だったらヴィヴィオ達が案内しま…「その前に、お前達にはアタシから説教があるぞ?」…あ、ノーヴェ!?」

 

スッキリしたイッセーが観光しようと立ち上がり、ヴィヴィオが案内すると言う言葉を遮るようにして、別の女性の声がする。それはヴィヴィオの背後にいつの間にか立っていた赤いショートヘアーの女性の発したもので、ヴィヴィオ達は彼女の顔を見て、顔を青くする。

 

「はい整列ッ!!」

 

「「「「サー・イエッサー!!」」」」

 

「今日は完全休養日って言ったよな?なのに、お前達は何をやってるのかな?」

 

ノーヴェと呼ばれた女性の顔は笑顔なのに額には青筋を浮かべ、スゴみのある声で喋るその背後には般若の姿が浮かんでいて、ヴィヴィオ達は彼女の前に横一列で並んで背筋をピンっと伸ばして震えている。

 

「え~と……これには訳が…」

 

「ほぉ~?それはアタシの指示を無視できる程の事なのか……どんな訳か聞かせてくれるんだろうなァ?」

 

「あの~…」

 

怯える彼女達が不憫に思えた曜は、助け船を出すために彼女に声をかけた。

 

「ん?あんたは?」

 

「渡辺 曜といいます。実は……」

 

曜の説明に納得した女性は、ため息を1つ吐いてから4人を解放した。

 

「なるほど、事情は解ったが…今日はこれ以上の訓練は禁止だからな?」

 

「「「「了解です!!」」」」

 

「ならいい…ところで、あそこではしゃいでるのはアンタ達の連れか?」

 

「え?」

 

彼女が指差すその先には…

 

「「負けるかァァァァァァァァァァァァァッ!!」」

 

「こひゅー…こひゅー…こひゅー…こひゅー…もう…無理……ご……めんな…………さい……」

 

ルームランナーの最大速度を全力で走るパラドとイッセー、その隣で息も絶え絶えで床に倒れてる月がいた。

 

「ごめんなさい…?さい…さい……あれ?なんかこういう場所でこういう時にやる事があったような…………イッセー、知ってるか?」

 

「知るか。覚えてねぇなら、その程度のネタなんだろ」

 

「それもそうだな。そんじゃ続けるぞ!!」

 

「ああ!!心が高ぶってきたぜ!!」

 

そんな月を無視して、2人は走り続ける。

 

「つ、月ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

 

そんな彼女の惨状に、曜は慌てて駆け寄るのだった。




いかがでしたか?

スンマセン、スランプとシンフォギアxdのアプリ三周年企画をやりまくっていたので遅くなりました…

おかげで文章の書き方を忘れてる…後半も雑になってきてるし…しばらくリハビリしないとな…

では次回で、お会いしましょう。


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機動六課のStrikerS

リ「どうも~!!リオ・ウェズリーでーす!!」

コ「コロナ・ティミルで~す♪」

リ「いや~、世間は新型のウィルスで大変だね」

コ「私、ものすごい弊害受けてるよ……グスン…」

リ「よしよし…それにしても、兵藤さんってスゴいよね。覇王断空拳を片手で止めちゃうんだから」

コ「空破断も避けてたし…もしかして、凄く強いのかな?」

リ「くぅ~!!アタシも戦いたかったよぉ~!!」

コ「コーチに怒られたからしょうがないよ。それよりも本編始めようよ?」

リ「だね!!それでは皆さん、ご唱和ください!!アタシの名を!!」

コ「じゃなくてタイトル名だよ!?せ~の…!!」

リ・コ「「ゲームの力でこの世界を生きていく,リリカルなのはVivid編、始まります」」


第一管理世界ミッドチルダ……次元世界の中心地とも呼べるこの世界は、魔導技術で発展してきた世界。都市部は高層ビルや大型施設が建ち並び、今もなお発展を続けている。

 

そんな世界にも裏の面がある。

 

廃墟区画。発展していく世の中に置いてきぼりにされ、今にも崩れそうなボロボロの建物が並ぶその区画にある1つの廃ビルにたくさんの影があった。しかしそれらは人の姿をしておらず、その中で白衣を着た異形が、大きな機械の前で何かの実験をしていた。

 

「ククク……もうすぐ完成だ…!!この【魔力完全封印装置】があれば、我らが組織が……いや、このDr.ゲキツウがミッドチルダを支配するのも目前よ…!!ウワハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

彼らは【デスピタル】。ミッドチルダの…そして次元世界全ての支配を企む悪の組織だ。そしてその幹部の一人であるDr.ゲキツウは、装置の完成目前に笑いが止まらなかった。

 

「後は人間どもの痛みの感情エネルギーを注入すれば、この装置は完成する…行くぞアクナース達よ!!ミッドチルダの地で暴れ、人間どもの痛みの感情エネルギーを集めるのだ!!」

 

「「「「「ビョウ!!」」」」」

 

「これで我らデスピタルの野望が…「そこまでだ、デスピタル!!」むぅ!?」

 

そして自身が率いる戦闘員…看護師の服をボロボロにした格好の【アクナース】達にミッドチルダ襲撃の命令を下し、彼らが出撃しようとしたその時、九人の男女が彼らのいる部屋に突撃してきた。

 

「なんだ、貴様らは!!」

 

「お前達の好きにはさせないぞ!!」

 

「フン、たかが人間風情が…!!アクナース達よ!!手始めにコイツらから倒せ!!」

 

「「「「「ビョウ!!」」」」」

 

「いくぞ皆!!」

 

「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」

 

Dr.ゲキツウの指示で悪ナース達は九人へと襲いかかるが、彼等は卓越した技で半数を返り討ちにする。

 

「な…!?まさか貴様らは…!?」

 

「皆、変身するぞ!!」

 

そう言って九人は紫色のゲームパッドのようなアイテムを取り出してボタンを押す。

 

「「「「「「「「「バイヨウチェンジ!!」」」」」」」」」

 

それを右手に持つグリップへと取り付けた。

 

『INFECTION!!』

 

すると九人の体が光に包まれ、それが収まるとそこには九体の異形……否、九人の戦士が立っていた。

 

「やはりお前達か…!!」

 

「紅のガンマスター、リボルレッド!!」

 

「琥珀のジェントルマスター、ソルティオレンジ!!」

 

「紺碧のローズマスター、ラヴリカブルー!!」

 

「黄金のスカイマスター、バーニアゴールド!!」

 

「漆黒のスピードマスター、モータスブラック!!」

 

「白銀のソードマスター、カイデンシルバー!!」

 

「深緑のマシンマスター、ガットングリーン!!」

 

「紫電のマジックマスター、アランブラヴァイオレット!!」

 

「桃源のバイシクルマスター、チャーリーピンク!!」

 

「「「「「「「「「巻き起こせ!!勇気の心のパンデミック!!」」」」」」」」」

 

「ウィルス戦隊!!」

 

「「「「「「「「「バグレンジャー!!」」」」」」」」」

 

ポーズを決め名乗った彼らの背後で、それぞれの色を模した爆煙が上がる。

 

そう、彼等はデスピタルの魔の手からミッドチルダを護る正義の戦隊【バグレンジャー】なのだ。

 

「Dr.ゲキツウ!!貴様の野望……(むしば)ませてもらうぞ!!」

 

「ええいバグレンジャーめ…!!この私の計画の邪魔はさせん!!」

 

そして激突する二組。戦えバグレンジャー!!負けるなバグレンジャー!!ミッドチルダの平和は、君達の活躍に掛かっている!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「「……なんだこれ?」」

 

「あ、アハハ…」

 

「へぇ~、こっちの世界だと戦隊モノってこんな感じなんだ~」

 

あれからジムを出て町を少し観光した俺達は、日が暮れてきたのでヴィヴィオの案内で彼女の家に厄介になっていた。

 

んで、ヴィヴィオは着替えの為に自室に行き、俺らは通された居間でテレビを見ていたのだが……その時、偶々チャンネルでやっていた特撮番組にパラド共々呆然とし、曜は苦笑していた。

 

月の奴は知らねぇからその反応はムリねぇが……あれバグスター達じゃねぇか!!戦隊ってのは色違いの全身タイツに形が一人一人違うヘルメットを被った奴らの事だろ!!なんでお前達が戦隊ヒーローやってんだよ!?どっちかってぇと悪役だろーが!!

 

『苦戦しているようだな、バグレンジャー?』

 

『お、お前は…来てくれたのか!!』

 

『灼熱の龍戦士、グレングラファイト!!故あって助太刀してやろう!!』

 

更に追加戦士なのだろう、グラファイトまで出てきやがった…

 

ってうおーいッ!?お前、追加戦士枠かい!!いや、強さ的には申し分無いけどよ…………正直、見たくなかったわ…

 

「なぁイッセー…オレ、何とも言えない気持ちなんだけど…」

 

「俺もだよ……チャンネル変えるか」

 

師匠であるグラファイトの醜態から目を逸らす為に、俺はチャンネルを切り換えてバラエティ番組にした。

 

「ああ~ッ!!せっかく面白そうだったのにぃ~…」

 

チャンネルを変えた事に月は不満そうに俺を見るが、俺の精神の安寧を保つ為にも我慢してくれ。

 

「お待たせしました~」

 

そこにヴィヴィオが私服で降りてきた。

 

「おう、テレビ借りてるぞ?」

 

「いいですよ。私は今、見たい番組ありませんから。それよりも…」

 

ヴィヴィオはトテトテと俺の前にやって来ると、キラキラした目で俺を見てくる。

 

「アインハルトさんに決めたあの技!!どうやったんですか!?」

 

「ん?………………ああ、最後のやつか」

 

たぶんヴィヴィオが言っている技ってのは、アインハルトを倒すのに使ったトドメの技の事なんだろーが、格闘マンガで主人公の師匠が使ってたのを思い出して、試しにやったら出来ただけだし……そもそも、技名あるのか?うーん、どう言うもんか…

 

「あれは【寸頸(すんけい)】っていう、地球の中国っていう国に伝わる技の1つだよ」

 

どう説明したらいいか悩んでいたら、何故か月が説明を始めていた。

 

「相手の体に手刀か拳を当て、全身の各部位で発生させた運動エネルギーをその手に集束させ、拳はそのままで手刀の時は拳を握ってゼロ距離で相手に衝撃を叩きつけるの。流派によっては奥義にもなってる高度な技なんだ。別名ワンインチパンチとも呼ばれてるよ」

 

「おお~!!」

 

「詳しいな、月?」

 

「昔、暇でネットで調べた事があったんだ♪」

 

なんで、んな事調べてんだよ…つか、技名あったんだ…

 

「という事は…兵藤さんはその武術を?」

 

「いや、ほとんど我流の喧嘩殺法だ。まあ、今は師と仰いでいる奴がいるけど」

 

「つまり…我流殺法!!紅蓮の裏技!!ってやつだ♪」

 

「おいパラド、変な決め台詞考えてんじゃねぇよ」

 

誰が地球の言葉使いがおかしい、3分の1人前ヒーローだ。三人も師匠いねぇよ。それは異世界の俺の所だけで充分だろうが。それにどっちかといえば、輝ける先輩三人の方が好みだよ。

 

「いやいやパラド君、イッセー君はお兄さん三人の方が似合ってるって!!若しくは赤いアイツ!!」

 

「なるほど!!確かにそうだな!!」

 

そこで何故かパラドと月が意気投合し、レッドファイ!!とか言ってるのに少しイラッとした俺は…

 

「よーし2人とも、そこを動くなよ?今からお前達を空に投げて、全力アッパーを叩き込んでやる」

 

そう言って指の骨をゴキゴキ鳴らし、低い声で2人へとにじりよっていく。

 

だったらお望み通り、残虐ファイトしてやろうか?ああん?もちろん怪獣役はお前達だからな?

 

「「スミマセンデシタァァァァッ!!」」

 

その脅しに2人は俺に向かって、スライディング土下座した。

 

ったく、コイツらは調子に乗りやがって…!!

 

「アハハ!!皆さん、仲が良いんですね」

 

「まぁ…ちょっと騒がしいけど」

 

そんな俺たちを見てヴィヴィオは楽しそうに笑い、曜は呆れていた。

 

「ただいま~」

 

「あ、ママだ!!」

 

そこになのはさんが帰って来た。

 

「なになに?皆で楽しそうだね?」

 

「スンマセン、騒いじまって…」

 

「ううん、気にしないで。楽しいのは私も大歓迎だから♪」

 

それから夕食となり、今回は泊めてもらうお礼として曜が料理する事になり、出てきたのは曜の一番得意なオムソバならぬ【ヨキソバ】だ。

 

「はい、曜ちゃん特製ヨキソバの完成!!さあ、お上がりよ!!」

 

「お前はどこの料理学校に通ってんだよ」

 

「ちょっと言ってみたかったんだ♪」

 

そんな曜に呆れつつ、今日あった事などの雑談をしながら食事を進めていたら…

 

「あ、そうだ。ヴィヴィオは明後日の出かける準備を忘れないでね?」

 

「は~い!!」

 

なのはさんがヴィヴィオとそんな話を始めた。

 

「明後日、何かあるんですか?」

 

「私が前にいた部署の同僚や教え子達、ヴィヴィオのお友達と一緒に数日泊まり込みでトレーニングに行くの」

 

「スバルさん達に会うの、楽しみだな~♪」

 

「へぇ~…」

 

俺は最初、興味を持たなかったが…

 

「それで、よかったら君達4人も一緒に来ない?」

 

「「「「え?」」」」

 

何故か、なのはさんからお誘いされた。

 

「良いんすか?俺達、部外者っすよ?」

 

「君達は今日、ミッドチルダに飛ばされたばかりでしょ?頼れる人達も使えるお金もない子達を置き去りにするわけにもいかないしね?」

 

それを言われると、俺としても反論できない。確かにこの人達以外だと、頼れそうなのはヴィヴィオの友達かノーヴェとか呼ばれた女性だけだ。初めて会ったばかりの人達にそこまで迷惑は掛けられない。それなのに、此処に置いていかれるのはさすがにキツい。

 

「それにヴィヴィオの話だと、兵藤君って結構強いみたいだし…1on1やチーム対抗の模擬戦もあるから、見学するだけでも勉強になるかもよ?」

 

「参加させていただきます」

 

それに模擬戦まであると聞いたら、断る理由がねぇわな?ま、見学だけで終わらせるつもりはねぇけど。

 

「そっか、他の子達はどうするの?」

 

「イッセー君1人だと心配だから、私も行きます」

 

「面白そうだし、オレも行くぞ」

 

「ボクも!!」

 

「じゃあ皆参加という事で、私の方から伝えておくね」

 

こうして俺達は、なのはさん達の訓練合宿に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2日後…

 

合宿当日の朝、高町家の台所では曜がなのはと一緒にサンドイッチを作っていた。

 

「手伝ってくれて、ありがとね」

 

「いえ、こちらもお世話になってますから」

 

「ただいま~!!」

 

「帰ったぞ~」

 

そこに早朝のジョギングに行っていたイッセーとヴィヴィオも帰ってくる。

 

「お帰り~」

 

「2人とも、朝御飯の前にシャワー浴びてきてね」

 

「了解、ヴィヴィオ先に入ってこい」

 

「はぁ~い♪」

 

ヴィヴィオがシャワーを浴びている間、イッセーはストレッチをして体をほぐしていく。

 

「ふぁ~……おふぁよぉ~…」

 

「お、戻ったのか」

 

そこに眠そうに欠伸をする月に、すでに起きていたパラドが降りてくる。

 

「もう…月ちゃんは顔を洗ってくる!!」

 

「ふぁ~い…」

 

それからスッキリした顔で戻ってきた月とヴィヴィオ。そしてイッセーがシャワーを浴び終わってから朝食を取ってから、やって来たアインハルトにリオにコロナを連れてなのはの運転する車で空港へと向かう。その車内は話し声で溢れていた。

 

「イッセーお兄さん!!空港に着いたら肩車してください!!」

 

「ん?別に良いぞ」

 

「やったー!!」

 

「イッセー…だいぶヴィヴィオに懐かれたな」

 

イッセーがヴィヴィオにねだられて、肩車する約束をしていたり…

 

「これがあの時、イッセー君が使った技だよ」

 

「へぇ~、あの技って寸頸っていうんだ。アタシの春光拳にも使えるかな…?」

 

「私の覇王流には使えそうですね。断空拳にこの技術を応用できれば、更なるパワーアップが見込めそうです」

 

月から寸頸の説明を受けたリオとアインハルトが、自身のパワーアップを模索したり…

 

「曜さん達が住んでる世界は、どんな感じなんですか?」

 

「私達の世界にはおとぎ話とかで出てくる、天使や堕天使に悪魔とかも実在しててね…」

 

曜はコロナに自分の世界について話していた。

 

それから数十分…空港に着くと、約束通りイッセーはヴィヴィオを肩車し、なのはの案内で進んでいくと正面に4人の男女が立っていて、その中の青髪ショートの女性が手を振っていた。

 

「なのはさーん!!此処でーす!!」

 

「お待たせ、スバル」

 

「いえ、私達も今来たばかりで…ところで、彼らが?」

 

「うん、ヴィヴィオが見つけた次元漂流者の子達だよ」

 

「どうも初めまして!!【スバル・ナカジマ】です!!」

 

そう言って元気よく手を差し出してくるスバルに、イッセーは少し気圧されながら握手した。

 

「お、おお……兵藤 一誠だ」

 

「えへへ~♪」

 

「こら、バカスバル。勢い任せにやり過ぎ。彼、少し引いちゃってるじゃない」

 

そんなスバルをオレンジの背中まで伸びるストレートヘアの女性が嗜める。

 

「それにヴィヴィオを肩車してるんだから、握手は止めときなさい」

 

「わっとと…!!そうだった…」

 

「ふぅ…」

 

「このバカが悪かったわね?アタシは【ティアナ・ランスター】よ」

「どうも」

 

「ええ…「皆もヨロシクね~!!」…ってスバルッ!!少しは大人しくしなさい!!」

 

ティアナは挨拶もそこそこに、握手しに回っているスバルのフォローに向かう。そんな苦労性の彼女に内心、同情していたイッセーの傍に、赤い髪の男の子とピンクのゆるふわヘアーの女の子がやって来る。そして女の子の近くには、白く小さな竜みたいなのが浮いていた。

 

「えーと…あれはスバルさんなりのスキンシップなので…」

 

「その…悪気は無いんです」

 

「お前達は?」

 

「初めまして、僕は【エリオ・モンディアル】と言います」

 

「【キャロ・ル・ルシエ】です。この子は飛竜の【フリード・リヒ】って言います」

 

「キュクルー♪」

 

「ああ…………ん?フリード…?」

 

その竜の名前に聞き覚えがあったイッセーは記憶を遡る。そして、以前出会った白髪の神父を思い出し、フリードを撫でながら…

 

「お前はあんな狂人みたくなるなよ…」

 

そう呟いていた。

 

「キュクー?」

 

「ならないし、させませんよ!?」

 

自分の友達に物騒な事を言うイッセーに、キャロは驚きながらツッコむ。

 

「イッセーお兄さんの知ってるフリードって?」

 

「快楽殺人上等のクソヤローだ。自分の目的の為なら他人すらいたぶって殺すのを楽しむ奴」

 

「うわぁ…」

 

「ま、ソイツは知り合いがブッ飛ばしたから、もう大丈夫だけどな」

 

「そっちの世界も、かなり物騒なんですね…」

 

フリードの事を聞いたヴィヴィオはドン引きし、エリオも苦笑しか出なかった。

 

「っと……皆、そろそろ時間だから、搭乗ゲートに行こっか」

 

そこで時間になったのか、なのはが呼び掛けて全員が搭乗ゲートへと向かう。

 

これから彼らが行くのは次元世界の1つ、カルナージ。そこで起きる出来事を彼等はまだ知らない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次元世界カルナージでは、1人の少女が建物の屋根に仁王立ちしていた。少女の名は【ルーテシア・アルピーノ】…このカルナージの住人であり、なのは達が泊まる事になっているホテル・アルピーノの一人娘である。

 

「フフン…♪今日はヴィヴィオ達や次元漂流者の人達が来る日……この新しく改良したホテル・アルピーノをしっかり満喫してもらわないと。訓練施設もあれから大幅に増やして耐久性もアップしたし、シアタールームや卓球部屋とかの娯楽施設も増やした!!食事も産地直送の食材満載!!さあ、皆さん!!我が家にドーンとお出でませー!!アッハッハッハー!!」

 

…………どうやらヴィヴィオ達が来る事でテンションが跳ね上がっているようだ…

 

「ルーテシア~、調味料買ってきてもらえないかしら~」

 

「はーい、ママ♪」

 

そんな彼女に母親である【メガーヌ・アルピーノ】から買い物を頼まれ、屋根から降りようとした時…

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

「およ?」

 

空に大きな火球が落ちてきていて、それが地面に激突して土煙を巻き上げる。そしてそこから巨大な生物……いわゆる【怪獣】が飛び出してきた。

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「あらあら~…()()落ちてきたのね~」

 

「もう!!タイミング読んでよね!!」

 

だが、アルピーノ親子は驚く事はない。まるで何度も遭遇しているみたいに…

 

何故、アルピーノ親子が驚かないのかというと…それに対処できる人達を知っているからだ。

 

「ルーテシア~、【あの2人】を呼んできてもらえる~?」

 

「はーい♪……ってもう来てるし」

 

メガーヌの頼みで家に向かおうとするルーテシアだったが、メガーヌのすぐ近くに2人の男性がいるのが見えた。

 

「すみません~お2人とも、お願いしても?」

 

「ええ。あれは………【タイラント】ですね。やれますか、【リク】?」

 

「任せてよ【リョウ】さん……ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!」

 

そう言うとリョウと呼ばれた男は取っ手が付いたリング型のアイテムを前に突き出し、リクと呼ばれた青年は胸元で赤いスキャナー型のアイテムを握りしめる。

 

 

 

 

そして3分後、カルナージに平和が戻った。




いかがでしたか?

次回、自作の1つとのセルフコラボ&アイツも登場します。


次回【刺激求める巨大Monster】

「アッハハハハハハハハハハ!!あ~…面白ぇ」


では次回で、お会いしましょう。


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刺激求める巨大Monster

ス「皆さん、おはこんばんちわ!!スバル・ナカジマです!!」

ティ「ティアナ・ランスターよ…ってスバル、何よその挨拶?」

ス「いや~、読者の皆さんがいつ読むか解らないから、挨拶どうしようと考えて…全部混ぜてみた!!」

ティ「はぁ~…アンタはまったく…」

ス「えへへ~♪」

ティ「褒めてないわよ」

ス「そういえば、今回から作者さんの別作品キャラが出るんだっけ?」

ティ「ええ、なんでも魔法とは違う力を持ってるそうよ」

ス「どんな人達なんだろうね?会うのが楽しみだな~♪」

ティ「なら、そろそろ本編を始めましょ?」

ス「うん!!…と、いうことで!!」

ス・ティ「「ゲームの力でこの世界を生きていく、リリカルなのはVivid編…始まります」」


一誠side

 

ミッドチルダの空港を出て4時間…俺達はカルナージと呼ばれる次元世界の空港に到着した。

 

「ふぅ……ようやく着いたか」

 

俺は船を降りたらすぐに体を動かす。すると、関節がゴキゴキと音を鳴らす。

 

やっぱジッとしてるのは性に合わないな…早く思いっきり体を動かしてぇぜ。

 

そして後から曜や月、パラド達も船から出てくる。

 

曜はヴィヴィオ達に俺達の世界について話していたけど、途中で顔が赤くなってたが大丈夫か?

 

月の奴はミッドチルダの空港で出会ったナカジマやランスター、ルシエなんかと話していたな……たぶん、ガールズトークかなんかだろ。

 

んで、パラドの奴は俺の隣に座ってたんだが……

 

「はぁ~…次元を越えるって言うから景色を楽しみにしてたのに、紫一色だけとか…シラケるなぁ…」

 

さっきから外の景色に対して、ずっと愚痴っていた…

 

「おい、少しは静かにしろ。さっきから同じ事をグチグチと…」

 

「だってよぉ!!」

 

「だっても何もねぇよ!!いい加減黙っとけ!!」

 

「兵藤さん、抑えて抑えて!?」

 

軽く注意しても反省しそうにないパラドにキレる俺だが、モンディアルによって止められる。けど、それで俺の怒りが収まるわけがない。

 

あの愚痴を4時間、隣でずっと呪詛みたいに聞かされる俺の身になれ!!煩くて全然寝れなかったんだぞ!?

 

「はいはい、イッセー君もグチグチ言わないの。ほら、なのはさんがそろそろ出発するって」

 

「チッ…!!わかったよ」

 

曜に急かされた俺は仕方なく怒りを収める。おいパラド、曜に感謝しとけよ?

 

「彼、あの子の言うことは聞くのね?」

 

「本人達は認めないけどボクから言わせれば、ほぼほぼ恋人みたいなものだね」

 

「「恋人じゃないッ!!」」

 

「あ、息ピッタリだ♪」

 

「でしょ♪」

 

そんな月とランスターの会話に、俺達は揃ってツッコんだが、ナカジマから見たら余計にそう見えてしまったようだ。

 

後で覚えてろよ月…!!お前のトラウマに俺の拳を刻み込んでやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからなのはの案内で、一行はホテル・アルピーノに到着。メガーヌとルーテシアに前日入りしていたノーヴェと、他にも2人の男性に出迎えられた。

 

「皆さん、ようこそいらっしゃいました」

 

「皆、久しぶり♪」

 

「ご無沙汰してます、メガーヌさん」

 

「ルールー、久しぶり!!」

 

「うん、ヴィヴィオ♪キャロは少しは背ぇ伸びた?」

 

「もちろん!!0.8㎜もね!!」

 

「…………それ、誤差じゃないの?」

 

「違うもん!!絶対伸びてるもん!!」

 

「いや、アタシは誤差だと思うわよ?」

 

「私も~」

 

「ごめんキャロ……僕もそう思ってた」

 

「ティアナさんとスバルさんにエリオ君までッ!?」

 

「コーチはどうして先に?」

 

「アタシはお嬢の作った施設の下調べだよ。何か特訓に使えないかとね」

 

顔馴染み組が挨拶している中で、なのはがメガーヌに一誠達を紹介する。

 

「それでメガーヌさん、この子達が連絡した次元漂流者達の子で…」

 

「渡辺 曜です」

 

「渡辺 月です!!」

 

「俺はパラドだ」

 

「…兵藤 一誠ッス」

 

「あらあら、私がここの責任者の【メガーヌ・アルピーノ】よ。こっちが娘のルーテシア」

 

「初めまして、ルーテシア・アルピーノです。よろしく♪」

 

そうやって紹介している中で、リオが男性達に話しかけけ、全員の視線が2人に向けられる。

 

「それで……お二人は誰なんですか?」

 

「私は【クレナイ・リョウ】といいます」

 

「俺は【リク・ナスターシャ】だ。ヨロシクな!」

 

背の高い男…リョウは落ち着きのある声で、リクは元気よく挨拶する。

 

「お二人はある探し物でこの世界を訪れていて…今はウチに下宿してるの」

 

「へぇ~…何を探してるんですか?」

 

「それはまだ内緒です。後で皆さんにも協力してもらえたらなと思ってはいますが…」

 

そう言ってリョウは口に人差し指を持っていく。

 

「リョウさんは食堂経営もやってて、料理がスッゴく上手よ。ここ最近は殆んどリョウさんのご飯ばっかり食べてるし」

 

「ホントッ!?」

 

ご飯の話に食いつくスバル。彼女の食事量にリョウ達が驚くのは……もうすぐである。

 

「それじゃ、荷物を置いたら遊ぶ組と訓練組に別れて動くよ。兵藤君達はどうする?」

 

「俺は当然、訓練組で」

 

「「「ええッ!?」」」

 

なのはの質問に真っ先に答える一誠に、スバル以外の元六課メンバーは驚きの声を上げる。なぜなら彼女達はなのはの訓練がどれだけキツいかを知っているからだ。

 

「止めときなさい!!アンタ、死にに行くようなものよ!?」

 

「そうですよ!!無茶はいけません!!体を大事にしてください!!」

 

「もう少し考えた方が…!!」

 

「ほぉ~?そこまで言われたら、余計にやってみたくなったぜ」

 

「「「うそ~ん…」」」

 

ティアナにエリオ、キャロは止めようとするが一誠には逆効果だったらしく、余計にやる気を漲らせる。

 

「…………3人には特別メニューが必要かな?」

 

「なのはさん、皆も悪気があった訳じゃないので手加減してあげてください…」

 

そして3人の言葉に、なのはが額に青筋を浮かべるがスバルが何とか宥めようとしていた。

 

「私は一誠君が暴走しないように見てるために、訓練組にします。参加はしませんけど…」

 

そして曜も、一誠の補佐の為に訓練組にすることにした。

 

「んじゃ、俺は遊び組!!」

 

「あ、ボクも!!」

 

逆にパラドと月は、遊び組を選んだ。

 

「それじゃ訓練組は、着替えて10分後にここに集合ね」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は借り物のジャージに着替え、集合場所に行くと既にモンディアルが待っていた。

 

「あ、兵藤さん。早いですね」

 

「そうか?普通だろ」

 

俺より先に来てる奴に言われてもな……

 

それからモンディアルと話している間に全員揃い、訓練スペースに向かった先で見たものは…

 

「「おお…!!」」

 

とてつもなく広い広場に、トレーニング道具やアスレチック的な訓練施設が所狭しと並べられていた。他にも模擬戦用なのか障害物が置かれたバトルスペースなんかもあり、俺と曜は呆気に取られていた。

 

なんだこりゃ……そこらのスポーツセンターより、遥かに充実してやがるぞ…?

 

「うわ~、ルーちゃんまた増やしたんだ?」

 

「当然でしょ?私の建築スキルは止まる事を知らないわ!!ガリューも手伝ってくれたし」

 

「にゃはは♪これはやりがいがあるね。それじゃ、まずは肩慣らしに外周のランニングから始めようか。とりあえず……20周からね♪」

 

「「「え…?」」」

 

「ここを20周が肩慣らし…?」

 

そう楽しそうに言う高町さんだが、1周1㎞はありそうな広場を20周を肩慣らしと言うのに、曜は唖然とし俺は内心同意した。

 

何時もは町を何周も走ってるから、確かに肩慣らしだな。

 

「よーし、頑張るぞー!!」

 

「そんくらいなら、楽勝だな」

 

「「「いいッ!?」」」

 

「それじゃ……スタート!!」

 

俺達の反応を他所に、走り出す高町さんの後を俺とナカジマ、続けてランスターにモンディアルとルシエが追いかける。

 

そして1時間後……

 

「「ぜぇ…!!はぁ…!!ぜぇ…!!はぁ…!!」」

 

「はぁ…!!はぁ…!!」

 

20周が終わると、ランスターとルシエは地面に四肢を着いて息を切らし、モンディアルも立ってはいるが呼吸は荒い。そして俺とナカジマはというと……

 

「いや~、いい運動だった♪」

 

「なんだ、思ってたより短かったな」

 

全然余裕で立っていた。

 

これくらいなら、いつものトレーニングの方がまだ辛い方だ。

 

「スバルは…ともかく…!!なんで……彼も…余裕……なのよ…!!」

 

「す……スゴい…………デス」(ガクッ)

 

「普段から、どんな特訓をしてるんだろう…」

 

なんかランスター達から奇異の視線を向けられているが無視し、ナカジマからは何故か感心するような視線を向けられた。

 

「スゴいね~、初めてでなのはさんの訓練に耐えられるなんて」

 

「まぁ、自分なりにトレーニングしてましたから…」

 

「それってどんなの!?」

 

「ええっと…」

 

とりあえずナカジマに、俺が普段からやってるトレーニングメニューを教えると……

 

「……………………兵藤君って、本当に人間?中身が機械じゃなくて?」

 

「純粋種な人間だよ、コンチクショー」

 

やはり人外扱いされた…

 

何でだよッ!?人を2人ぶら下げて片足の親指だけでスクワット左右10000回とか、背中に3人乗せて片腕の親指だけで腕立て伏せ左右10000回とか、ルシファーの所にある重力制御室で100倍の重力の中で技の練習とか、100㎏の重りを両腕両足に着けて町内30周とか普通だろ!?俺がおかしいのか!?

 

「にしても、兵藤君の筋肉の付き方って……もしかして、格闘技とかやってるの?」

 

「いや、我流の喧嘩殺法っすけど?」

 

「へぇ~……ねぇねぇ、私と手合わせしてみない?私も格闘専門なんだけど、我流の人ってあまりいないからどんなのか気になって…」

 

そこで、ナカジマから面白い提案をされた。そして俺にそれを断る理由はない。

 

「当然、受けた勝負は買いますよ」

 

「それじゃ……なのはさーん!!ちょっとお話がー!!」

 

「んー?どうしたの?」

 

俺が受けると、ナカジマはすぐに行動に移した。高町さんも息絶え絶えなランスター達の姿を見て、3人の休憩と俺の指導方針を見る為に許可を出した。

 

そしてバトルスペースで俺とナカジマは両手にグローブを填め、腕には体力を示すカウンターを付けて向かい合う。

 

「全力でいくからね!!」

 

「寧ろ、手を抜いたらその場で潰してやるよ!!」

 

「それでは、兵藤一誠君VSスバル・ナカジマの模擬試合を始めます。ルールは腕にあるカウンターが0になったら負け、魔法の使用は禁止、時間は10分……それでは、始め!!」

 

高町さんの合図と同時に俺は全力で飛び出し、一気に距離を詰めて飛び膝蹴りを放つが、それはナカジマのクロスした両腕に防がれる。

 

「チッ!!」

 

「今度は……コッチだよ!!」

 

防がれた事に舌打ちする俺に、着地の隙を狙ったナカジマの拳が襲い掛かる。

 

だけどなぁ…!!

 

「そん程度ッ!!」

 

俺はそれを左腕で打ち払う。それによって着地のバランスを崩して倒れそうになるが、逆にそれを利用して回し蹴りを繰り出す。

 

「うわっと!?」

 

奇襲めいた攻撃だったが、ナカジマはそれをギリギリで回避して距離をとり、俺は蹴りの反動で体勢を立て直す。

 

「危なかった~…ちょっと無茶苦茶過ぎない?」

 

「それがどうしたってんだ!!」

 

「それなら…!!」

 

俺は再び駆け出し、ナカジマへと接近する。対してナカジマも俺へと向かってきた。

 

そこから始まるのは格闘戦の醍醐味である、超至近距離での攻撃の応酬だ。放たれる拳を受け流しては殴り返し、繰り出される蹴りを防いでは蹴り返す。それを1秒の間で何回も繰り返す。そんな気を抜けない攻防の中で、攻撃が決まらない事に俺は苛立ちを募らせる。

 

「このッ!!」

 

「え…うわッ!?」

 

ナカジマから突き出される拳を掴み、そこから背負い投げで投げ飛ばして、距離を作って息を整えた。

 

「ふぅ~……」

 

「よっと!!」

 

残念ながら華麗に着地されてダメージにはならなかったが、休息は充分取れた。

 

さぁて……こっからが本番だぜ?

 

「シッ!!」

 

俺は再び駆け出して、飛び膝蹴りを放つ……と見せかけて、曲げていた足を思い切り振り上げる。

 

「ッ!?この!!」

 

それは上半身を反らす事で避けられ、反撃しようとしてくるナカジマだったが、俺の攻撃はまだ終わってねぇ!!

 

「まだまだァッ!!」

 

「うひゃッ!?」

 

振り上げていた足を今度は思い切り振り下ろし、踵落としを繰り出す。これも避けられるが、足が地面に落ちた事で砂煙が舞い上がり、ナカジマの視界を一瞬奪う。この隙に俺はストラトスに放った寸頸を使うために、ナカジマの腹に手刀を突きつける。

 

(ここだッ!!)

 

「ガッ!?」

 

そして無防備な彼女に寸頸が決まる。だが、ここで予想外な事が起きた。

 

「くっ…!!ゼリャアッ!!」

 

「なッ!?ガハァッ!?」

 

確実に決めたにも関わらず、ナカジマは少し下がっただけで、すぐに反撃してきた。大抵は一撃で潰せる技を受けて、反撃してくる事への驚きと繰り出した直後による硬直で反応の遅れた俺は、ナカジマの拳をもろに喰らって吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「イッセー君!?」

 

私はイッセー君とスバルさんの手合わせをティアナさん達と一緒に見ていて、吹き飛んでいくイッセー君を見て声を上げた。

 

これってマズイかもしれない!!イッセー君が燃え上がらなければいいけど…

 

「馬鹿スバル!!アンタ、全力で殴ったわね!!」

 

「わわッ!?だ、だいじょ…「ククク…アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」……へ?」

 

スバルさんが慌てて駆け寄ろうとした時、瓦礫の中からイッセー君の笑い声が聞こえてくる。

 

「え?……え?」

 

「アッハハハハハハハハハハ!!あ~…面白ぇ」

 

困惑するスバルさんを余所に、瓦礫から出てくるイッセー君。その顔は心底楽しそうに笑っていた。

 

「あちゃ~……やっぱり火が着いちゃったか…」

 

「ちょッ!?彼、どうしちゃったのよ!!」

 

「ちょっと、闘争心に火が着いちゃったみたいで…」

 

私がティアナさんに話している間に動き出したイッセー君は、ナカジマさんへと拳を繰り出そうとして…

 

「はい、時間だよ」

 

2人の間に入ってきたなのはさんのバリアで、それは防がれた。

 

「それにやる気を漲らせるのは良いけど、模擬戦ではやり過ぎだから…いい?」

 

「………………………………はぁ、了解ッスよ」

 

最初はそのままイッセー君がなのはさんに殴りかかるかと思っていたけど、そんな事はなくアッサリと終わりにした事に私は驚いていた。そして装備を外すイッセー君の元へ行き、理由を聞くことにした。

 

「ねぇ、なんであのまま続けなかったの?」

 

「あのままやってたら……俺は高町さんに潰されてたからだ」

 

「へ?」

 

彼からの答えは、私が困惑するのに充分なものだった。

 

あのなのはさんが?どう見ても優しそうなお母さんで、頼れる上司っぽいあの人が?

 

「ククク…!!ありゃ、トンデモねぇ奴だぞ。1度、全力で相手してもらいてぇぜ」

 

「まったくもぉ~…」

 

そして、なのはさんに怒られたにも関わらず、まったく反省してないイッセー君に呆れていたら…

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「あん?」

 

「な、なに!?」

 

私の耳に変な音が聞こえてきた。それはどんどん大きくなってきていて、聞こえてくる方向……空を見上げると、大きな火球が落ちてきていた。

 

「ありゃあ……隕石か?」

 

「すごく大きい……もしかして、地表に落ちるかな?」

 

全員でそれの行方を見守っていたら、大きな爆発音と共に隕石が4つに砕ける。そしてその破片全てが私達のいる場所から、おおよそ5㎞の範囲に落ちる。

 

「ッ!?皆、障壁展開!!衝撃波に備えて!!」

 

なのはさんの指示が飛び、私とイッセー君の前に来たなのはさんが全方位型のバリアを貼ってくれる。そのすぐ後、暴風と轟音が私達を襲う。

 

「キャア!?」

 

「く…!!」

 

風は障壁が防いでくれるも、轟音と地震は防げず怖くて声を上げちゃったけど、イッセー君が抱き締めるように守ってくれたから、そこまで恐怖はなかった。

 

そして風と地震も収まり、なのはさんは安全を確認しながら障壁を解除する。

 

「エリオとキャロは2人をロッジに送りつつ向こうの安全確認!!スバルとティアナは私と一緒にヴィヴィオ達のとこ…「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」ッ!?な、何ッ!?」

 

すぐになのはさんが安全確認の指示を出すけど、その途中で大きな獣の雄叫びが鼓膜を揺らした。そしてそれは……落ちた隕石の方から聞こえてきた。そして規則的な振動が足下から伝わってくる。まるで……巨大な生物が歩いているような……

 

そして私はこの感覚を知っている。以前、異世界のイッセー君が来たときにやって来た時、現れた存在と同じだったから…

 

「今の雄叫びは…!?」

 

「この振動……此方に近づいてきてます!!」

 

そして地震が一際大きくなった時、顔を覗かせたのは……4体の巨大な生物【怪獣】だった。

 

その怪獣には見覚えがあり、1体は海老と蟹を混ぜ合わせたような姿の【宇宙海獣 レイキュバス】、2体目は紺と赤の体に金のラインが入り、両腕は鋭い鎌で胸には水色の水晶体が3つある【宇宙戦闘獣 超コッヴ】、3体目が青い体に白い体毛が生え、オレンジの爪を煌めかせる【豪烈暴獣 ホロボロス】、そして4体目が赤と黒の体に頭や腕、尻尾から刃を生やした【最凶獣 ヘルベロス】だった。

 

「な、なんでウルトラ怪獣が此処に…!?」

 

「とにかく逃げるぞ!!」

 

「ひゃあッ!?」

 

パニックで動けなくなった私を、イッセー君がお姫様抱っこで抱えてその場から離れる。そのすぐ後、怪獣達が周囲に対して攻撃を始める。吐き出される炎や光弾が森や大地を焼き払い、爆風や炎の熱が私達を襲ってくる。

 

「エリオとキャロは2人を連れて脱出!!スバルとティアナはその護衛!!」

 

「なのはさんは!?」

 

「……何とかアレの進行方向を変えてみる」

 

そう言うと、彼女は魔法を使ったのかジャージから白い服装に変わって飛翔する……

 

「ウオオオオオオオオオオオオン!!!!」

 

「え!?はや……キャア!?」

 

が、彼女に気づいたホロボロスが巨体に似つかわしくない速さで彼女に近づき、その腕で吹き飛ばした。

 

「「なのはさんッ!!」」

 

その光景に叫ぶスバルさんとティアナさん。このままだと、地面に勢いよく叩きつけられ大怪我は免れないと思ったその時…

 

「ふっ…!!」

 

「よっ…!!」

 

2つの影が私達の横を通り過ぎ、なのはさんを抱えて着地した。

 

「あれは…!!」

 

なのはさんを受け止めた2人は……

 

「どうにか間に合いましたか…」

 

「さすがにギリギリだったけど…」

 

さっき紹介されたクレナイさんとナスターシャ君だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「え?あ、はい…」

 

「ここは俺達に任せて、早く避難を!!」

 

「それなら2人も…!!」

 

なのはを下ろした2人は前に立ち、リョウは左手に取っ手の付いたリング型のアイテム【オーブリング】を、リクは右手に赤と黒で彩られたスキャナー型のアイテム【ジードライザー】を握り締める。

 

「アレを倒すのは……私達の仕事ですから」

 

「え?」

 

「リク、いきますよ!!」

 

「ああ!!ジーっとしてても…ドーにもならねぇ!!」

 

そのリクの言葉で、リョウとリクが光に包まれる。その光の中でリョウは緑色の宇宙空間のような場所【インナースペース】で一枚のカードを手にする。そこには青と銀の体の巨人【ウルトラマンコスモス】が描かれており、そのカードをリングの中に翳す。

 

「コスモスさん!!」

 

『ウルトラマンコスモス』『ハァ!!』

 

するとカードが青い光の粒子となり、羽のエフェクトを纏いながらリョウの左後ろに飛んでいき、1つに集まって実体化する。そして次に取り出したカードは赤と銀のサイバーチックな姿に耳にはヘッドフォンみたいな丸い突起、胸にはXの形をしたカラータイマーを持つ戦士【ウルトラマンエックス】が描かれていて、それを読み込ませる。

 

「エックスさん!!」

 

『ウルトラマンエックス』『イーッ!!サーッ!!』

 

そのカードは金色の粒子となって、羽のエフェクトを纏いながらリョウの右後ろに集まって実体化する。

 

そして左手を胸元に持ってきた後、両手を右腰に素早く移動させ…

 

「優しさの力、お借りします!!」

 

そう決め台詞を口にして、左手を上に突き上げて持ち手のボタンを押すと、リング下部の装飾が左右に開き力を解放する。

 

『フュージョンアップ!!』

 

するとハープの奏でるメロディの中、コスモスが青・エックスが黄色のオーラを纏い、光に包まれているリョウと重なる。その光が散っていくと、そこには腕や脚が青く胴回りは赤と銀の近未来的な模様に水色に輝くO型のカラータイマー、頭には左右に赤い冠に額には青色に光る水晶体が付いた姿となる。

 

これがクレナイ・リョウのもう1つの姿。暴れまわる怪獣や侵略にやって来た宇宙人と戦う為の力。その名も…

 

『ウルトラマンオーブ・フルムーンザナディウム!!』

 

「ジュワッ!!」

 

ウルトラマンオーブである。

 

「私の名はオーブ…優しき光で、心を繋ぐ!!」

 

 

 

 

そしてリクは青いインナースペースで1つのカプセルを正面に突きだす。そこにはリョウの変身した別の姿、ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンが左手を上に掲げた姿で描かれている。

 

「融合!!」

 

そのカプセルを起動させると、先端から紫色の光が溢れリクの右隣で紫色の光球を左手を上に掲げたウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンが実体化する。

 

『ジュヤアァァ!!』

 

そのカプセルを、左腰に付けられたアイテム【装填ナックル】の2つあるスロットの片方に装填する。

 

そして次に顔の左側に持ってきたのは、右手を突き上げ赤と銀の体に菱形のカラータイマー、そして額から後頭部にかけて赤いラインが入った顔が特徴の戦士【ウルトラマンメビウス】が描かれている。

 

「アイゴー!!」

 

それを起動すると白い光が溢れ、リクの左隣に白い光球を突き上げた右手に掲げたウルトラマンメビウスが実体化する。

 

『セヤァッ!!』

 

それを装填ナックルに入れると、右手のジードライザーを正面に翳してトリガーを引く。

 

「ヒアウィゴー!!」

 

腰からナックルを外し、その上からジードライザーでなぞってスキャンしていくと、DNAの二重螺旋状を模した発光部が紫と白に輝く。

 

『フュージョンライズ!!』

 

「掴むぜッ!!絆!!ハアァァァ…ハッ!!」

 

決め台詞からジードライザーを顔前に持っていった後、頭上に掲げてから一気に胸元に持っていきトリガーを引いた。すると発光部が緑色の光を放つ。

 

「ジィィィィィィィィィドッ!!!!」

 

『ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!!ウルトラマンメビウス!!』

 

ジードライザーがカプセル名を呼ぶと、リクの左右に再びオーブとメビウスが現れてリクと重なる。その時、一瞬だけリクの姿が父親であるウルトラマンベリアル・アーリースタイルと似た姿に変わった後、赤を基調に銀と紫の体に両腕や両足、肩や耳などに金色の装飾を纏い、左腕にはメビウスブレスに似た籠手を装着し、水色のつり目の顔のウルトラマンへと変わる。

 

これがリクの戦う姿。どんな困難や絶望にも勇気を持って立ち向かう戦士。その名も…

 

『ウルトラマンジード!!ブレイブチャレンジャー!!』

 

「ハァッ!!」

 

ウルトラマンジードである。

 

4体の怪獣を前に並び立つ2人の巨人に、一誠と曜は唖然とする。

 

「嘘……オーブにジード?」

 

「この世界にもいたのかよ…!!」

 

かつて別世界のオーブとジードを見た2人でも、別世界で再び会うとは思ってもいなかった。しかも、2人の姿はテレビで使われていたものではなく、ゲームでのみ使われている姿なのだ。

 

「ちょ…!!何が起きてるのよ!?」

 

「私に言われてもわかんないよ~!?」

 

「……カッコいい」(ボソッ)

 

「エリオ君が目をキラキラさせてる…」

 

「とりあえず此処は2人に任せて、私達は下がるよ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

「俺達も避難するぞ!!」

 

「うん!!」

 

スバル達も予想外の連続にパニック状態(約1名興奮状態)になるが、なのはの指示に素早く行動を開始。一誠も曜を抱えた状態で走り始める。流石の彼も、ライダーでは怪獣に勝てない事は理解していた。

 

「…………ッ!?アレは!?」

 

「え?……ッ!?」

 

急いでロッジのある方へ向かおうとした時、一誠と曜はあるものに気づいた。それは、新たに落ちて来ている隕石だった。しかも、その落下地点はパラドや月、ヴィヴィオ達が向かった場所だった。

 

「…………曜」

 

「うん……気をつけてね?」

 

一誠の言葉に全てを察した曜は、預かっていたガシャットとドライバーを一誠に渡す。

 

「必ず、全員で帰ってくるさ」

 

心配そうに自分を見る曜に、一誠は優しく答えスバルの傍に行き…

 

「悪いが、曜を頼む!!」

 

「えッ!?別にいいけど……ってちょっと!?」

 

彼女に曜を預けてから、腰にドライバーを装着して素早く方向を変え、一誠は隕石の方へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カルナージにある洞窟の1つ……その中に人影があった。しかし、その人影は人間とは程遠い姿をしている。その人影の正体は【ガッツ星人】。かつてウルトラセブンを倒す寸前まで追い込んだ宇宙人で、その時のとは別個体である。そしてガッツ星人は顔に焦りを浮かべていた。

 

「クソッ!!しつこいウルトラマン共だ!!別次元まで追ってくるなんて…!!しかし、アレだけの怪獣を送れば時間は稼げるか……その間に、何としても研究を完成させなくては…!!」

 

そう言う彼の前にはピンク色の液体が入った大きな鍋が置かれ、その左右にはリョウの使うウルトラカードとリクの使うウルトラカプセルが何かの機械に繋がれて置かれている。

 

しかも、カードとカプセルには同じオレンジのつり目に黒と血色の体をしたウルトラマンが描かれていた。

 

「さあ、早く甦って俺に力を寄越せ……ウルトラマンベリアル!!!!」




いかがでしたか?

地味にまた1ヶ月かかってしまった……文才ほしぃ…

今回登場したリョウとリクについては、作者の作品【戦い歌う少女達と光の戦士】を読んでください(露骨な宣伝)

そして次回、あのウルトラマンが登場します!!


次回【我の名をShout!!】

「ご唱和ください、我の名を!!」

「ガ○アァァァァァァァァァァァッ!!!!」

「いや、違う!?違いますよ!!」


では、次回でお会いしましょう。


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我の名をShout!!

エ「どうも、エリオ・モンディアルです」

キャ「キャロ・ル・ルシエです」

ル「ルーテシア・アルピーノよ♪……って何かそっち側大変なことになってるわね?」

キャ「そうなんだよルーちゃん!!リョウさんがカードをビッてしてピキュンしたり、リク君がカプセルをカシャンしてガシャってしてピカンピカンしたら、ズドォンてなったの!!」

エ「キャロ、説明……」

ル「キャロは教官職には向かないわね…」

キャ「何故ぇッ!?」

エ「というか、そっちにも隕石が落ちてきているみたいだけど?」

ル「え、マジ…?」

キャ「そっちには巨人さんいないけど…大丈夫なの?」

ル「いや大丈夫じゃないって!?早く白天皇呼ばなきゃ…!!」

?『心配御無用ですぞ!!』

三人「「「いや、誰ッ!?」」」

?『俺はウ…』

三人「「「はい、ネタバレストォォォォォォォップ!!」」」

ル「この人(?)このままだとネタバレしちゃうから、早く本編にいきましょう!!」

キャ「と、いうことで!!」

三人「「「ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編、始まります」」」

?『え…前書きでの出番、これだけでござりますか?』


「これ以上、ここで暴れるのは止めてもらいますよ!!」

 

オーブ・フルムーンザナディウムとなったリョウは、超コッヴとホロボロスを相手に戦いを繰り広げる。

 

「ウオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「キシャアアアアアアアアアア!!」

 

「ジェア!!」

 

四足歩行で迫り飛びかかるホロボロスだが、その前にオーブが体の下に潜り込み、勢いを利用して後ろへと投げ飛ばし、その後から腕の鎌を振るってくる超コッヴの腹を蹴り飛ばす。そこに後ろからホロボロスが迫るが、体を回転させながら受け流し、超コッヴとぶつけ合わせる。

 

そして縺れ合って倒れる2体に、オーブは両手を頭上に広げるように掲げ、サイバーラインを引きながら体を左に捻り左手を正面に突き出して光線を放つ。

 

「フルディウム光線!!」

 

光線はホロボロスに命中する……が、ホロボロスは光線を喰らいながらも起き上がり、オーブへと体当たりを敢行した。

 

「ウオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「ジュオアッ!?」

 

「キシュアアアアアアアアアアア!!」

 

予想外の行動に動きが止まってしまったオーブは、直撃をもらい地面に仰向けに倒れる。そこに超コッヴの光弾の追撃にオーブは中々起き上がれない。

 

「くぅ…!!それならば!!」

 

そこでインナースペースにいるリョウは再びオーブリングを手にして、ホルダーから1枚のカードを取り出す。そこには赤と銀の体に胸には金縁に黒のプロテクターを着けた地球の光が生み出した赤き大地の巨人【ウルトラマンガイア】が描かれていた。

 

「ガイアさん!!」

 

『ウルトラマンガイア・V2』『ジョワ!!』

 

それをリングに読み込ませると、岩のエフェクトを纏った光がリョウの左後ろに飛んでいき、ガイアが実体化する。

 

そして次に取り出したのは、銀と黒と赤の体に両腕と両足、額に付いたV字型の黄色い発光体が特徴の地底人・ビクトリアンの守護神【ウルトラマンビクトリー】が描かれたカードだ。

 

「ビクトリーさん!!」

 

『ウルトラマンビクトリー』『チェア!!』

 

それをリングに読み込ませると、ガイアと同じように岩のエフェクトを纏った光がリョウの右後ろへと飛んでいき、ビクトリーとして実体化する。

 

そして右手を前にゆっくりと出し、伸びきったところで勢いよく両手を顔の左側に持っていき…

 

「たくましいヤツ、頼みます!!」

 

決め台詞から左手を上に突き上げてトリガーを押した。

 

『フュージョンアップ!!』

 

ガイア、ビクトリー、リョウの順に黄色の光に包まれ、2体のウルトラマンがリョウに重なり光が散ると、そこには胸元がガイアの模様に変わり、肩には岩石のような装甲を、両腕にはV字の発光体が付いた紅色の大型手甲を身に付け、頭部はビクトリーとガイアを足した形になった姿となる。

 

これこそ、大地を司るウルトラマン2体が合体した事で誕生したパワー型の近接攻撃形態。その名も…

 

『ウルトラマンオーブ・フォトンビクトリウム!!』

 

フォトンビクトリウムである。

 

そして赤を基調に青い光が混ざる空間に、途中でそれが砕けてビクトリウム鉱石が鏤められた空間に変わる中をオーブは右手を突き上げながら巨大化する。

 

「大地を揺るがし…闇を砕く!!」

 

それが終わると、オーブは前口上とともに拳を構える。

 

「ウオオオオオオオオオオオオン!!」

 

そんなオーブにホロボロスは先程同様、体当たりをしようと飛びかかる。

 

「ジェヤアッ!!」

 

「ワオウッ!?」

 

「キィ!?キシュアアアアアアアアアアア!!」

 

しかし、オーブはその豪腕による右ストレートで、逆にホロボロスを殴り飛ばした。それを見た超コッヴが光弾を放ってくる。しかし、オーブはそれをものともせずにしっかりとした足取りで進み、超コッヴの間合いに入った瞬間、全力でアッパーを喰らわせた。

 

「ジィィィヤアッ!!」

 

「キシャアッ!?」

 

「ッ!?ウオオオオオオオオオオオオン!!」

 

それを喰らった超コッヴは空高く打ち上げられる。そんな超コッヴを助ける為にホロボロスはオーブに挑むが…

 

「ジュアッ!!」

 

「ウオウッ!?」

 

強力なパンチを何発も喰らい、強制的に下げられてしまう。その隙にオーブは右手を地面に当てて大地のエネルギーを吸収していく。それが終わると右腕を大きく振りかぶり、先程打ち上げて落ちてきた超コッヴに必殺の拳を叩き込んだ。

 

「フォトリウムナックル!!」

 

「ギジャアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

何の抵抗も出来ずに喰らった超コッヴは、ホロボロスの方へと吹き飛ばされ、至近距離で爆散する。

 

「これで終わればいいですが…」

 

そう願うリョウだが、そんな思いとは裏腹に爆煙の中からホロボロスが出てくる。しかも、その双眸を真紅に染めて。

 

「ウゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!」

 

そして大きく吠えたかと思うと、その体をゆっくりと起こし…前足だった部分は鋭い爪を持つ五指となり、後ろ足だけで立つ二足歩行となった。

 

「やはり……一筋縄では行きませんか」

 

その姿に警戒しつつ、オーブはホロボロスとの第2ラウンドを開始する。

 

 

 

 

 

 

 

そしてジードはというと、お決まりの開幕飛び膝蹴りをヘルベロスに喰らわせ、そこから連続パンチと攻撃を続けていく。

 

「ハアアアアアッ!!!!」

 

「グオオオオオッ!?」

 

「キィィィィィィィィィッ!!」

 

そこにタコ殴りにされるヘルベロスを助けるべく、レイキュバスがジードへと炎を吐く。

 

「うわッ!?熱ッ!?あっつう!?」

 

そのあまりの熱さに耐えきれず、ジードは攻撃を止めてヘルベロス達から距離を取った。

 

「この…「キィィィィィィィィィィッ!!」うわッ!?」

 

そんなジードに迫ったレイキュバスがその大きな鋏で、ジードの首を挟み込んだ。

 

「グゥ…!!ア……!!」

 

強靭な力で締められる首に苦しむジード。両手でもがきつつ、蹴りをレイキュバスに喰らわせるも、苦しみによる力不足でダメージを与えられない。

 

「こう……なったら…!!」

 

このままではマズイと思ったジードは、両手を鋏から離して左拳にエネルギーを貯め…

 

「スペリーム……カウンター!!」

 

「キキュイッ!?」

 

その拳でレイキュバスを殴り、ゼロ距離で光線を発射した。その攻撃にさすがのレイキュバスも怯み、ジードを離してしまった。その隙にバク転で距離を取ったジードは肺に足りなくなった酸素を取り込む。

 

「あ…危なかった~…!!ってうお!?」

 

だが、一息つく暇もなくヘルベロスが両腕の刃から紫色の斬撃【ヘルスラッシュ】を飛ばしてきた。それを転がって回避するジード。しかし、ヘルベロスは諦めることなくヘルスラッシュを何発も飛ばしてくる。

 

「この…!!だったら!!」

 

そこでインナースペースにいたリクは、この場を切り抜けるために新たなカプセルを取り出した。そこにはリョウがフォトンビクトリウムになるのに使ったカードと同じ、ウルトラマンガイアが描かれていた。

 

「融合!!」『ジョワ!!』

 

それを起動すると天高く掲げた左手の先に黄色の光球を持ったガイアがリクの右側に現れ、そのカプセルを装填ナックルに入れる。

 

そして次に取り出したカプセルには、今までのウルトラマン達とは違って青い体に右腕にはウルトラマンキングから託されたアイテム【ナイトブレス】があり、胸には光の国で優秀な者に与えられるスターマークが鏤められた、尖った青い耳が特徴の光の国の科学者でありウルトラ警備隊の1人である【ウルトラマンヒカリ】が描かれていた。

 

「アイゴー!!」『デュヤ!!』

 

それを起動すると、右手に黄色の光球を掲げたウルトラマンヒカリが現れる。

 

そのカプセルを装填ナックルに入れ、起動させたジードライザーで読み込んでいく。

 

「ヒアウィゴー!!」

 

『フュージョンライズ!!』

 

「咲かすぜッ!!騎士道!!ハアァァァ…ハッ!!」

 

そして胸元でジードライザーのトリガーを引いて、読み込んだウルトラマン達の力を解放する。

 

「ジィィィィィィィィィドッ!!!!」

 

『ウルトラマンガイア・V2!!ウルトラマンヒカリ!!』

 

リクの背後に浮かぶガイアとヒカリ。2体がリクに重なると本来の姿が一瞬浮かび、その後に赤と青と銀の体色に胸元は上がガイアで下がヒカリのものとなり、両足と腰回りに両肩と左手腕に鎧を着け、右腕にはナイトブレスに似た籠手を纏い、外が白で内が青のマントを翻し、ヒカリの耳を模したパーツを着けたジードが現れる。

 

これが素早さを重視したジードの高速戦闘形態。その名も…

 

『ウルトラマンジード!!フォトンナイト!!』

 

フォトンナイトである。

 

「フォトンビームブレード!!」

 

右腕のナイトブレス型の籠手から光剣を伸ばしたジードは、放たれたヘルベロスのヘルスラッシュを一閃両断する。

 

「グオウ!?」

 

「オオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

それに驚くヘルベロス。そこに接近したジードがマントを翻しながら光剣を高速で振るい、全身の刃を悉く切り捨てた。これによりヘルスラッシュを放てなくなったヘルベロスは後ずさる。

 

そこで一気にトドメを刺す為に、ジードは左手を肩の前に持っていき右腕を横に伸ばしてから左腕の前に移動させて十字を組んでからゆっくりと頭上に持っていく。

 

オレンジの光の軌跡を描きながら頭上に到着すると、腕を勢いよく胸元に移動させ、すぐに右腕が前で左腕が横の十字に組み換えて光線を放つ。

 

「ナイトストリーム!!」

 

「グオッ!?グオオオオオオオオオオオッ!?」

 

光線を受けたヘルベロスは、その威力に耐えきれず爆散した。

 

「よし!!後はもう一体…」

 

倒したのを確認したジードは、残ったレイキュバスを倒す為に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

曜をナカジマに預けた俺は、新たに落ちてきた隕石の場所へと全速力で向かっていた。

 

「チッ……無事でいろよ…!!」

 

既に怪獣が暴れ始めてるのか、怪獣の声や地響きが伝わってきている。揺れる大地をこのまま走るのは時間のロスと思った俺はガシャットギアデュアルΣをゲーマドライバーに装填する。

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大変身ッ!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!赤き帝王・強化!!白き皇帝・弱化!!赤と白の真価!!セイヴァー・サバイバァール!!

 

ドラゴネスになった俺は、光翼を広げて飛翔。さらに近くにあったエナジーアイテムを取得する。

 

『高速化!!』

 

「ついでに!!」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

更に倍加の力で強化し、目標地点へ一直線に突き進む。そしてある程度開けた場所に出ると、そこには鼻の上に大きな刃を持った鮫みたいな怪獣がいた。

 

「よりにもよってゲネガーグかよ…!!」

 

確かゲネガーグはなんでも喰う奴で、食ったものを吐き出して攻撃に転用したり、口とか全身からビーム出したりとか、後ろのジェット推進を使った突撃とかで攻撃するんだったな…

 

そして歩くゲネガーグの足下には、走って逃げてるパラド達がいた。パラドは足が遅いんだろうティミルと月を両脇に抱えている。

 

あれじゃ変身はできないか…

 

「ひゃッ!?」

 

そこでヴィヴィオが躓き、転倒してしまう。

 

「チィッ!!」『鋼鉄化!!』

 

ゲネガーグは既にヴィヴィオのすぐ近くまで来ている。このままじゃ踏み潰されると判断した俺は鋼鉄化のエナジーアイテムを取り、まだ効果が残っている高速化の能力でゲネガーグへと突撃、俺自身を砲弾にして鼻の刃に体当たりした。

 

「オラァッ!!」

 

「ギャオオオオッ!?」

 

さすがに不意打ちの鼻っ柱への突貫攻撃は効いたのか、横によろめき倒れる。

 

「大丈夫かッ!?」

 

「へ?その声……イッセーお兄さん!?」

 

「とっとと逃げろ!!ここは俺が引き受ける!!」

 

「待て!!なら俺も…」

 

「オメェはコイツらを安全な場所まで連れていけッ!!」

 

「…………わかった!!月!!」

 

「OK!!」

 

「わひゃッ!?」

 

俺の言葉を理解したパラドはヴィヴィオの所まで戻り、月が首根っこを掴むとそのまま走り出す。

 

そうだ、そのまま逃げろ…

 

それを見送った俺がゲネガーグに視線を向けると、起き上がりつつも俺をずっと睨みつけていた。

 

「さてと……これで何も気にせず、お前と殺り合えるな…!!」

 

俺はゴキゴキと拳を鳴らし、正面にいるゲネガーグを睨み返す。

 

怪獣と戦うのは初めてだな……楽しませてもらうぜ!!

 

『マッスル化!!』

 

「オリャアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

俺はアイテムで攻撃力を強化して全力で殴りかかる。もちろん、さっきと同じように刃を横からだ。

 

あの刃物は邪魔だからな、先に叩き折ってやる!!

 

そして勢いそのままに拳をぶつける。

 

―ガギィィィィン!!―

 

しかし、甲高い音とは裏腹に……ゲネガーグはよろけるどころか、微動だにしなかった。

 

「く…!?」

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

「うおッ!?」

 

そして乱雑に振られる刃を回避するも、その時に発生した風に吹き飛ばされた。

 

「チィ……やっぱりライダーじゃ怪獣には勝てねぇか…」

 

俺はそう呟くがそれも当然だ。こっちの攻撃は数十tあるが、奴の体重は何万tもある。質量の違いがあり過ぎて俺の攻撃なんざ、蚊に刺された程度なんだろうよ…

 

「だからって、諦められるかよ!!」

 

俺は何度も拳を刃に叩きつける。目立ったダメージは無いが、やらないよりかはマシだしな。それにどんなに固かろうが……砕けねぇものはねぇんだよ!!

 

ゲネガーグの攻撃を避け、風に吹き飛ばされながらも俺は刃に拳を何度もぶつける。そして…

 

「こん畜生がァッ!!」

 

―ガギィィィィン!!……ビキッ―

 

100を越えた時点で何発殴ったか数えるのを止めたから、どれくらいか正確な回数は解らねえ……たぶん1000発位か?……が、遂にゲネガーグの刃に小さく皹が入った。

 

「うしッ!!このままへし折って「グギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」うおッ!?」

 

ようやく結果が出た事に喜ぶのもつかの間、怒り狂ったゲネガーグが俺に向けて全身の穴から赤い拡散光弾を飛ばしてきた。おまけに口からの破壊光線もセットだ。

 

「クソがッ!!」

 

俺は仕方なく距離を取って攻撃を回避していく。もちろん逃げたパラド達の方に行かない様に移動してだ…けど、ゲネガーグが光弾を撃ち続けてくるから反撃ができない。

 

「なりふり構わずブッ放しやがって…!!」

 

必死に回避する俺だが、遂に避けきれず光弾の1発が光翼に直撃してしまう。

 

「しま…!?」

 

バランスを崩して落ちていく俺に、ゲネガーグは大きな口を開けて光線を発射しようとする。もちろん体勢を立て直して避ける余裕なんて無い。

 

(ここまでかよ…!!わりぃ、曜……)

 

俺が諦めかけたその時、空から光が俺に向かって落ちた。

 

その眩しさに目を閉じ、ゆっくりと瞼を開けると……そこには暗い……いや、黒だな……黒い空間の中で赤、青、黄色の3つの光球と青と銀を基調に黒や赤の体色に胸元には特徴的なZ型のカラータイマーを着けた巨人がいた。

 

は?……ちょ待て。あれってまさか…

 

『聞こえるか、地球人』

 

「うおッ!?」

 

コイツ……直接俺の脳内に…!!

 

そんなお決まりのネタをしつつ、俺は巨人を見る。

 

やっぱコイツ、あのテレビでやってる【ウルトラマンゼット】だよな?

 

『私の名はウルトラマンゼット。オーブ先輩や兄弟子を手伝おうとしていたらゲネガーグを見つけ、ヤツを倒す為に追ってやってきた。そしてこのままではお前は死にそうでしたけど、何とか間に合ったでござるよ』

 

(言葉づかいが、やっぱおかしい……)

 

『だがワタシも、此処に来るまででエネルギーを消耗してしまいウルトラヤベェんだ』

 

言われて見てみると、Z型のカラータイマーは既に赤く点滅していた。残りのエネルギーも心許ないのだろう…

 

「なるほど…要は俺の力を借りたいって事か」

 

『早い話がそうだ。どうでしょう、手を組まないか?俺もお前の力が必要なのでございますよ』

 

まあ俺も死ぬつもりは無いから、手を組むのは構わねえんだけど…

 

(Z語に笑い堪えるのが地味に辛ェ…!!)

 

『言葉、通じてる?』

 

俺が笑いを堪えるのに必死で黙ってたのが、言葉が通じてないと勘違いしたゼットが聞いてくる。

 

「いやw…お前の言葉づかいがおかしくてなww」

 

『ええ、マジ?あれから勉強したけど、やっぱ地球の言葉はウルトラ難しいですなぁ…』

 

「まぁいい、力なら貸してやるよ。それで仲間を守れるならな?」

 

『ああ、守れる!!』

 

「よし!!だったら行こうぜ!!」

 

『ご協力、ウルトラ感謝いたしますぜ!!』

 

「別にいい。俺も死にたくねぇし、守りたい奴等がいるからな」

 

『なら、受けとれ!!』

 

ゼットが光の粒子になって俺の中に入ると、目の前にZの文字の刻印に黒と水色のハンドアックス型のアイテム【ウルトラゼットライザー】が現れる。

 

『さあ、そのウルト「ああ、説明はいらねぇよ」え?』

 

コレ(ゼットライザー)の使い方は、テレビで知ってるからな。

 

使い方を説明しようとするゼットの声を遮って、左手で掴んだライザーのトリガーを押し、目の前に現れた光のゲートを潜り、特殊な空間【インナースペース】へと入る。

 

「おお…コレがインナースペースか。サイバー空間なのも良い感じだ」

 

『おいッ!?なんでウルトラゼットライザーの使い方を知ってるんでございますかッ!?』

 

慌てるゼットの声を聞き流し、目の前のゼットの横顔と俺が描かれたカード【ウルトラアクセスカード】を右手の人差し指と中指で挟む様に手にし、ライザーに装填して承認させる。

 

『ISSEI Access granted』

 

すると右腰に光が集まり、水色のホルダーが装着される。俺はそれを拳で強く叩いてカバーを開くと、反動で3枚のメダルが飛び上がる。

 

『ちょッ!?ホルダーは大事に扱ってくれ!!』

 

うるさいゼットはほっといて、落ちてきたメダルを右手の人差し指から小指の間で挟んで掴み取る。

 

『おお…何そのウルトラカッケェ取り方…』

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

 

そしてお決まりの台詞を(一応)言って、ブレード部にあるスリットにメダルを入れていく。

 

「ゼロ師匠!!セブン師匠!!レオ師匠!!」

 

『え?なんで俺の師匠達の事、知ってんのですか?』

 

「あ~もう!!質問なら後にしろ!!」

 

『ウルトラすんませんッ!?』

 

何でもかんでも俺に聞いてくんじゃねぇよ!!

 

ゼットの質問攻めにイラッとした俺はそう怒鳴って、右手でブレード部をスライドさせてメダルを読み込んでいく。

 

『ZERO』『SEVEN』『LEO』

 

「オッシャア!!」

 

すると俺の背後に光が集まり、大体5~6mサイズになったゼットが現れる。

 

『何か色々驚きの連続ですけど…気合い入れていくぞ!!』

 

そしてゼットが決め台詞を言おうとしてた時、俺はある事を考えていた。

 

(そういやゼットの初変身は面白可笑しくされてたな……ちょっと俺もやろう)

 

そうと決まれば、やるネタは1つだ!!

 

『ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマン…「ガイアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」いや違うッ!?違いますよ!!』

 

「あん?そうだっけ…」

 

慌てるゼットに白々しく答える。こういう感じでも良かったのかね…? つか、叫んで変身だとガイアが一番印象深いからな。

 

『………………お前、今のわざとやってないか?』

 

「んなわけねぇだろ?ほら、早く変身するぞ!!」

 

いくら時空が歪んで、インナースペースでの1分が外での1秒だとしても、そろそろゲネガーグの光線が発射されそうだしな。

 

『……ウルトラ納得いかねぇけど、今度こそちゃんとやってくださいますな?』

 

「くどい」

 

さすがに連続でボケはしねぇよ。それはあの似非魔導師ヨハネ(中2病患者)の専売特許だし…

 

『ならば今度こそ…ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマンゼェット!!』

 

「ウルトラマン…ゼエェェェェェェェェット!!!!」

 

ゼットの台詞に合わせてライザーを高く掲げてトリガーを押す。すると、青い軌跡を描くウルトラマンゼロが…

 

『ヘアッ!!』

 

銀の軌跡を描くウルトラセブンが…

 

『デュワ!!』

 

赤い軌跡を描くウルトラマンレオが…

 

『イヤァッ!!』

 

俺へと集束すると、俺は姿の変わったゼットと一体化する。

 

『ULTRAMAN ZAlpha edge』

 

『デュワッチ!!』

 

 

 

パラドside

 

「イッセェェェェェェェェェェェェッ!!!!」

 

月達を避難させてた俺が後ろを振り返ると、光翼にダメージを負ったのか落ちているイッセーが、ゲネガーグの光線に飲み込まれる所が映った。

 

「アノ野郎…!!」

 

俺は変身してイッセーの仇を討とうとした時、青い光がゲネガーグに体当たりをして横倒しにした。

 

「グギャアッ!?」

 

そして光は土煙を上げながら大地に着地した。その光が収まるとそこには下半身は赤く、上半身は青、体の大部分をメカニカルな装甲が覆い、額に緑のランプ、頭部のスラッガーが3つもある鋭い目付きの巨人がいた。

 

「あれは……テレビで見た…!!」

 

最初は信じられなかったが、その巨人はどう見てもウルトラマンゼット・アルファエッジだった。

 

「ゼットが来たのか…」

 

まさかのウルトラマン登場に俺は呆然とする。その時、ゼットが俺の方を見た瞬間、すぐに理解した。誰がゼットと一体化してるのかも…

 

「まさか……イッセーなのか?」

 

その呟きにゼットは頷くと、視線をゲネガーグへと戻した。

 

「ちょッ!?パラド君!!ゼットだよ!!ウルトラマンゼットだよ!!」

 

「見れば解る!!いいから避難するぞ!!」

 

興奮する月を宥めて、俺はまた走り出す。そんな俺の胸中は……

 

(ゲネガーグの奴、御愁傷様…)

 

ゼット(イッセー)によって蹂躙される……ゲネガーグへの同情だった。




いかがでしたか?

ゼット『ゲネガーグと戦い始めた俺達だけど、昔戦った奴より強くて大苦戦!!そこでイッセーの思いつきが、俺を新たな姿へと導く』

次回【Dragonの鎧】

ゼット『ウルトラバトるぜッ!!』

一誠「って、作者から後書き奪うな!!」


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Dragonの鎧

な「皆さんこんにちわ、高町なのはです」

ヴィ「再び登場、高町ヴィヴィオです」

な「今回は私達、高町親子でお送りします♪」

ヴィ「しま~す♪」

な「そういえば、新しい仮面ライダーのセイバーが始まったね」

ヴィ「ベルトから剣を抜いて変身!!…とか、スッゴくカッコ良かった!!」

な「あの剣舞も、流麗にして苛烈って感じでシグナムさんと戦ったら面白そうかも」

ヴィ「必殺技も、隣で本がパラパラ捲れていくのも演出凝ってるよね」

な「でも、どこか戦隊っぽい感じもするんだよね…」

ヴィ「敵が大きくなったり、エンディングでダンスしたりとか、特にそう思ったよ…」

な「とりあえず、今後に期待しよっか?」

ヴィ「うん!」

な「という訳で…」

な・ヴィ「「ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編、始まります」」

スバル「あの~……前回のあらすじは?」

2人「「……あ」」


一誠side

 

「さぁーて……行こうぜ、ゼット!!」

 

『おうッ!!』

 

俺はインナースペースでゼットに声を掛け、ゼットはゲネガーグへと向かって走り、勢いそのままに正拳突きを喰らわせる。

 

「ジェヤ!!」

 

「ギャオッ!?」

 

その威力に後ずさるゲネガーグだが、そう簡単には逃がさない。ゼットはすぐに間合いを詰め、両足に炎を灯す。

 

「『アルファバーンキック!!』」

 

その足を回し蹴りの要領でゲネガーグを蹴りまくり、最後はヤクザキックで蹴り倒す。その隙に頭部のスラッガー部から光刃【ゼットスラッガー】を出し、それを稲妻状のエネルギーで繋げた【アルファチェインブレード】にしてヌンチャクの様にする。

 

「喰らえ、宇宙拳法…!!」

 

『秘伝の神業だァッ!!』

 

それを起き上がったゲネガーグへと縦横無尽に振るい、斬りつけていく。途中反撃してこようと口を開けるゲネガーグだが、その前に顎を蹴り飛ばして強制的に閉じさせる。

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオッ!?」

 

『おお~!!体が思うように動く!!お前、結構強いのですね?』

 

「ハッ!!喧嘩にゃ、それなりに自信があるんでな!!」

 

最後にスラッガーを分離してゲネガーグへと投げつけたが、それは鼻先のブレードに弾かれる。

 

チッ…まだ力を残してやがるか……

 

そしてゲネガーグが体を赤く光らせると、全身から拡散光弾を飛ばしてくる。

 

『この数はヤバい!?』

 

「体を貸せ!!」

 

その光弾の数にゼットは少し怯むが、俺にとっちゃこの程度は余裕だ。体の支配権を得ると、迫る光弾の軌道を見切り、直撃するものだけを拳や蹴りで打ち落とす。

 

ゲネガーグは更に口から破壊光線も撃ってくるが、それは横に転がって回避する。そこに背中から火を吹き出して加速し、俺へと突撃してくるゲネガーグ。

 

「クソ…!!」

 

『受け止めるしかないでござるな!!』

 

回避が間に合わないと判断した俺達は、その突撃を受け止める……

 

「『うおおおおおおおおおおおおおおッ!?』」

 

が、その力にどんどんと押し込まれていった。

 

結構な馬鹿力じゃねえか!!けど、ベータスマッシュなら押し返せる筈…!!

 

「おいゼット!!ウルトラフュージョンするぞ!!」

 

『いや……それがな…?』

 

俺がそう言うと、ゼットは何故か歯切れの悪い反応をする。

 

「どうした!?」

 

『実は…此処に来るまでゲネガーグと戦っていた時に……メダルをバラまいてしまいまして……』

 

「おい、まさか…!!」

 

その先を予想できた俺は冷や汗を流す。

 

『ゲネガーグに食べられちゃった、全部…』

 

「こんのボケトラマァァァァァァァンッ!!!!」

 

そして予想通りの答えに絶叫した。

 

おまッ!?それでよくホルダーは大切にしろなんて言えたなッ!?肝心の中身、殆んど無いのによぉ!!

 

「なら、このまま何とかするしか…!!」

 

『いや、ヤツは以前戦ったヤツより強いぞ。それは難しゅうございますな…』

 

「なんでわかんだよ!?」

 

『ほら、彼処を見ろ』

 

そう言って言われた場所を見るが、特にこれといっておかしい部分はない。あえて言うなら、ゲネガーグ特有の傷があるだけだ。

 

「あの傷がどうした?」

 

『前の個体より傷が1個多い。だからヤツは強いのです』

 

「解るか、んな事オォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

『ええッ!?ゼロ師匠が傷の多さは強さの証って言っていたのに…』

 

そんな傷1個で、強さが変わる訳ねぇだろ!!逆に傷が多いのは弱い可能性もあるだろうがッ!!

 

ゲネガーグを押さえつけているゼットに、内心で毒づく。

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「『うわぁッ!?』」

 

そして、その力を押さえきれず弾き飛ばされ、鼻の刃で切り裂かれた。仰け反る俺達にゲネガーグは拡散光弾と破壊光線を次々に放ち、直撃によってダメージが増えていく。

 

どうする!?このままじゃ不利でしかない……何か手は…!!

 

そう思い俺は体を探っていたら、あるものに手が触れる。それはいつも使ってるガシャットギアデュアルΣだった。

 

(こうなったら一か八かでやってみるか!!)

 

そうと決まれば、俺は腰にゲーマドライバーを装着する。

 

『ん?それはなんだ?』

 

「ものは試しだ!!」

 

そして振り上げたガシャットギアデュアルΣを、勢いよくドライバーに装填する。

 

『デュアルガシャット!!』

 

すると、ゼットの背後にゲーム画面が現れると、そこから巨大なメカチックな赤と白の2体の龍が出て来て、ゲネガーグに体当たりする。

 

『『ゴアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!』』

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオッ!?」

 

まさかの攻撃に不意を突かれ、倒れるゲネガーグ。そして俺達の傍を飛び回る2体の龍。

 

『な…何でございますかッ!?この生き物は!?』

 

「マックス大変身!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!』

 

驚きであたふたしているゼットを余所に、俺はいつものポーズからドライバーのレバーを開くと、俺ではなくゼットの前に俺が変身時に潜るゲートが表れ、ゼットを通過する。

 

『今のゲートは何ッ!?』

 

『『ゴアァァァァァァァァァァァァッ!!』』

 

そこに飛んでいた龍達が体をバラバラにして、次々にゼットへと装着されていく。右足に赤い龍の後ろ足、左足には白い龍の後ろ足が装着され、右腕には白、左腕には赤の前足が籠手のように装着される。龍の顔は赤が左肩に、白が右肩に装着されると、胸部は右が赤で白が左側を被う。最後に西洋の鎧兜みたいなヘッドギアが額から後頭部までの頭部を被い、背後に光翼を広げた姿となった。

 

「うしッ!!思いつきだが、成功したな!!」

 

『ウ……ウルトラなんじゃこりゃああああああああッ!?……あ、でもタイガ先輩のフォトンアースやエックス先輩のモンスアーマーみたいでカッコいいかも…』

 

「んじゃ、上手くいった事だし……ガチでいくぜ?」

 

『おうよッ!!』

 

 

 

―推奨BGM【ご唱和ください、我の名を】―

 

 

 

「ジェヤ…!!」

 

宇宙拳法と俺独自の喧嘩殺法を混ぜた構えを取るとゲネガーグへと走り、深紅のオーラを纏った右足で蹴りかかる。

 

「さっきの倍返しだッ!!」

 

ガトリングガンの如く、右足で何発を蹴りを喰らわせ、隙が出来たらサマーソルトで顎を蹴り上げる。

 

「今だッ!!」

 

『押忍!!』

 

そこに白いオーラを纏った右拳を顎に抉り込ませる。

 

「ジェヤ!!」

 

「ギャオッ!?」

 

モロに喰らったゲネガーグは、数十mも吹き飛んで大地に倒れる。

 

『おお…すげぇ!!体に力が満ち満ちて来ます!!』

 

「まだまだ、こんなモンじゃねぇぞッ!!」

 

ゼットは倒れたゲネガーグに近づくと、その腹を全力で蹴り飛ばした。

 

「ギャオウッ!?」

 

それでまた吹き飛ぶゲネガーグ。その時、ヤツの口から3枚のメダルが吐き出された。

 

『あれは……ウルトラメダル!!』

 

「回収しろ!!」

 

ゼットがそのメダルに手を伸ばし、掴み取った。そのメダルが俺の手に来ると、そこにはウルトラマンジャック、ゾフィー、ウルトラの父が描かれていた。

 

『おおッ!!この3枚なら斬撃技が強化されますぞ!!』

 

「んじゃ、光線技でトドメと行くか!!」

 

『あ、メダルは使わないのね…』

 

何かションボリしてるゼットは無視して、光線発射のモーションに入ろうとするが、ゲネガーグはさせまいと再び拡散光弾を放ってくる。

 

「『ゼットフェザーショット!!』」

 

それに対抗する為、ゼットは背後にある光翼を広げて光弾を乱射する。それにより、お互いの攻撃が空中で撃ち落とされていく。

 

「今のうちに決めるぞ!!」

 

『わかりました!!』

 

俺に言われ、ゼットは両拳を胸の前で合わせて各部のプロテクターと鎧の隙間から光を放出、続いて上下に揃えた後に左腕を左上に、右腕を右下に伸ばして巨大なZの文字を光で形成。そして左腕を前に、右腕を後方に伸ばしてから十字に組み、必殺光線を放つ。

 

「『ゼスティウム光線!!』」

 

それと同時にゲネガーグも破壊光線を放ち、中央でぶつかり合う。最初はその威力に押し負けそうになるが…

 

「なめんなァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

気合いからの最大出力で、逆に押しきり…

 

「ギャオオオオオオオオオオオオオッ!?」

 

開いた口に光線をねじ込ませ、堪えられなくなったゲネガーグは爆散。食われたメダルが飛び散るが、何とか11枚全てを回収できた。

 

『よかった~…これで師匠にお説教されずに済むぜ…』

 

「たく…」

 

ま、とりあえず何とかなったし、今から向こうの援護でも行くか。

 

「デュワッチ!!」

 

そう思った俺は、その場所へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、オーブとジードの方も決着がつこうとしていた。

 

「フッ!!」

 

「ウォウ!?」

 

「ハアッ!!」

 

「キィィィッ!?」

 

フルムーンザナディウムに戻ったオーブが、ホロボロスの攻撃を掻い潜って腹に掌底を叩き込み、ブレイブチャレンジャーに戻ったジードが、回し蹴りでレイキュバスを蹴り飛ばしてホロボロスの上に覆い被らせる。

 

「ジード、決めますよ!!」

 

「了解ッ!!」

 

絶好のチャンスと判断した2人はトドメを刺すべく、光線の発射体勢に入り…

 

「フルディウム光線!!」

 

「スペリオンシュート!!」

 

同時に放たれた光線は途中で絡み合い、螺旋を描きながら2体に命中、大爆発を起こして消滅した。

 

「ふぅ……何とかなりましたね」

 

「ああ、時間はギリギリだったけど…」

 

倒したのを確認して安堵する2人。その胸のカラータイマーは既に赤く点滅していた。

 

「さて、早くもう1つの隕石が落ちた場所に行きましょう」

 

「急がないと皆が…「おーい!!兄弟子~!!」ん?この声…」

 

急いで移動しようもする2人だったが、そこに聞き覚えのある声がして、そちらを向くとゼットがやって来た。

 

「オーブ先輩、兄弟子も…ウルトラお久しぶりです!!」

 

「え?…何でゼットが此処に?てか、俺はゼロの弟子じゃないって何度言えば…」

 

「久しいですね、ゼット。それにその姿は?」

 

「ゼロ師匠に言われて、お2人の手伝いに来ました!!この姿は、今一体化してくれている地球人のお陰で…」

 

そこでピコン…ピコン…とゼットのカラータイマーが鳴り始める。

 

「このままだと危ないですし、人間態になりましょう。ゼットもいいですか?」

 

「わかりました!!」

 

ゼットの同意を得てオーブはリョウに、ジードはリクに戻る。そしてゼットが変身を解くと、そこには一誠がいた。

 

「あッ!?アンタは次元漂流者の…!!」

 

「確か…兵藤君でしたね?君がゼットと一体化していたのですか…」

 

「ああ、ゲネガーグを倒す為にな」

 

「とりあえず皆の所に戻らない?このまま此処にいてもさ…」

 

「そうですね、まずは戻って皆を安心させましょうか。兵藤君もそれでいいですね?」

 

「ああ」

 

リクの提案で一度ホテル・アルピーノに戻る3人。そしてホテルに着くと、帰りを待っていた曜が一誠に泣きながら抱き着き、それに慌てる一誠の姿をリョウ達が微笑ましそうに見ていたのは余談である。

 

その後、大広間に全員が集められて、リョウとリクが前に立った。

 

「今回は私達の事情に皆さんを巻き込んでしまい、すみませんでした」

 

「すみませんでした!!」

 

そして真っ先に謝罪とともに頭を下げる。

 

「ちょッ!?あ、頭を上げてください!!」

 

突然の事に慌ててなのはがそう言うと、2人は頭を上げる。

 

「先ずはその事情を教えてくれませんか?貴方達の正体も含めて…」

 

ティアナの言葉に、リョウとリクは説明を始める。

 

「私達は人間ではありません。私達のいる世界では【ウルトラマン】と呼ばれています」

 

「主に暴れまわる怪獣……さっきの巨大な生き物や、悪さを企む宇宙人なんかを倒したりしてる」

 

最初、人間ではないという言葉になのは達(一誠達は除く)は驚いた表情をする。

 

「その世界である日、宇宙各地で暴れまわるガッツ星人の討伐依頼を受けた私達はすぐに向かったのですが…」

 

「相手の策に嵌まって、リョウさんと俺の共通する力を奪われたんだ」

 

「共通する力?」

 

「【ウルトラマンベリアル】…」

 

それに首を傾げるヴィヴィオ。その力が何か解った一誠は、その力を口にした。

 

「うるとらまんべりある…?」

 

「ウルトラマン達の故郷の星【光の国】で生まれた戦士の1人だったんだけど、とある事情で闇に堕ちた悪の戦士だよ」

 

「……その通りです。よく解りましたね?」

 

「まあな」

 

「そしてそのガッツ星人はこの世界に逃げ込み、奪った力である事を企てています。それだけは阻止しないと…!!」

 

「ある事…?」

 

その問いにリクは顔をしかめ、リョウが躊躇いながらも口にした。

 

「ガッツ星人の目的は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベリアルの復活と……兵器転用です」




いかがでしたか?

リク「皆に事情を話し協力してもらえた俺達だけど、今度は宇宙からギルバリスがやって来る!!更にその戦闘でライザーを壊されて、俺は変身できなくなってしまった。このままじゃ皆を助けられない!!そう思っていたら、頼もしい知り合いがやって来た!!」


次回【遥かな銀河へRising】


リク「集うぜ!キラ星!!」


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遥かな銀河へRising

リ「リオでーす!!」

コ「コロナです」

ヴィ「ヴィヴィオです!!そして今回で……」

三人「「「祝!!100話到達!!」」」

リ「100話到達って、作者さんは始めてなんだっけ?」

コ「うん、多くて70話ちょっとだったかな…」

ヴィ「それがこの作品で遂に達成!!…という事で特別ゲストとして、この方に来ていただきました!!」

花丸「祝うズラッ!!作者の思いつきで始まり、沢山の方達の応援とコラボによって続いてきた二次小説作品…その名も【ゲームの力でこの世界を生きていく】……記念すべき100話目に到達した瞬間ズラッ!!」

リ「あ、【MORE DEBAN】の看板のMOREを持ってた人だ…」

コ「DEBANさん達はどうしたんだろう?」

花「戻った後が恐いズラ…」(ガタガタ…)

ヴィ「というか、実際は番外編なんかで本編自体が100話行った訳じゃないけど…」

リ「まーまー、それでもおめでたいって事で…」

コ「それでは皆揃って~…」

4人「「「「ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編、始まります♪」」」」


べリアルの復活と兵器利用……ウルトラマンべリアルという存在を知っているものからすれば、それは最悪の事態である。

 

初登場時は光の国のウルトラ戦士相手に無双し、壊滅に追いやって100体の怪獣を使役できるアイテム【ギガバトルナイザー】で宇宙支配を目論むも、ウルトラマンゼロ達によって阻止されて倒された。

 

次に復活した時は、光の国がない宇宙【アナザースペース】で、破壊と残虐の限りを尽くした。それを察知したゼロと現地で出来た仲間達と共に再び激闘を繰り広げ、最後はウルトラマンノアの力を手にした【ウルティメイトゼロ】によって倒された。

 

他にもある時はゼロの体を乗っ取り、意識だけは残したまま彼の仲間を殺したり、ある時は部下達と怪獣紹介をやったりと色々な爪痕を残してる。

 

そして最後となった原作のウルトラマンジードでは、べリアルから力を貰った伏井出ケイが、怪獣カプセルを使ってべリアル融合獣に変身していた。しかしながら、それはウルトラカプセルを集める事と、ストルム星人である彼を利用し、ストルム器官を手に入れる為だったに過ぎない。

 

それを手にし、宇宙に散らばるウルトラマンキングの力を反転吸収して最強の姿となった【ウルトラマンべリアル・アトロシアス】の前には、最強形態となったウルトラマンゼロビヨンドとウルトラマンジード・ロイヤルメガマスターの2人でも敵わなかった。

 

しかし、その時のべリアルはまだ完全ではなく、更に【カレラン物質分解酵素】と呼ばれるものによって力をある程度失い、ウルトラの父による時間稼ぎに多くの仲間達の協力によって何とか倒す事ができたのだ。

 

もし、ガッツ星人の手でべリアルが復活する事になったら、この世界の技術では到底敵うこと能わず、この宇宙はガッツ星人とべリアルによって蹂躙されるだろう。

 

それだけではない。べリアルの力を伏井出みたいに他の侵略宇宙人に分け与えれば、強化された宇宙人達によって、数多の星が危機に陥ってしまう事態に発展しかねない。

 

「それを阻止するべく、私達はこの世界に逃げ込んだガッツ星人を追ってきたのです」

 

「でも奴は、この世界の技術である魔法の道具を使って結界を張ってるみたいで……この星にいるのは間違いないけど、何処にいるのかまでは解らないんだ…」

 

「それで私が探索に協力してるって訳」

 

リョウとリクの説明に加わるルーテシア。彼女の手には虫型の召喚獣【インゼクト】が停まっている。

 

「でも、カルナージもだいぶ広いからインゼクト達でも時間掛かってて…」

 

「そこにガッツ星人が、怪獣を呼び寄せる薬を星の周辺にばら蒔いて、群がってくる怪獣を私とリクで倒しているんです」

 

「……って、ルーテシア?アンタ、この事態を知ってて私達を招いたの?」

 

「うん♪人手欲しかったし、怪獣が出てもリョウさんとリク君がいたからね♪」

 

ティアナの問いに、そう言ってウインクするルーテシアの背後では、使い魔であるガリューが額に手を当てて呆れていた。

 

「はぁ~…どうします、なのはさん?」

 

「う~ん……クレナイさん、もしそのべリアルが復活したら、どれくらいの被害になりますか?」

 

「おそらく……数十の宇宙が壊滅するかと…」

 

その言葉に全員が息を飲む。

 

「わかりました、子ども達を巻き込まない事を条件に、私達も捜索に協力します」

 

「感謝します。もちろん、約束は違えません」

 

「ありがとうございます!!」

 

なのは達の協力を得られた事に、頭を下げるリョウとリク。

 

「それで今度は兵藤君達に聞きたいんだけど…君達はどうして私とリクの変身した姿を知っていたんだい?」

 

そして話題は一誠達に変わる。どうやら、あの時の呟きを聞かれていたらしい。

 

「わかった…」

 

そして一誠は自分の世界での事を話す。そこではウルトラマンは特撮番組である事、別世界から来たり行ったりした世界でオーブとジードに会った事などを…

 

「なるほど……私達は空想の産物になっているのですね…しかも私は風来坊とは…」

 

「調達もいないし…複雑だな…」

 

『自分も主演とは……ウルトラ嬉しいぜ!!』

 

「お前は空気を読め」

 

場の空気に合わない発言をするゼットに、軽くツッコむ一誠。

 

「とりあえず、サーチャーを飛ばす場所のすり合わせがありますから、開始するのは明日の朝からで大丈夫ですか?」

 

「ええ、まだ余裕はあると思いますから」

 

「分かりました」

 

「それじゃ話も纏まった事だし、お夕飯にしましょ♪」

 

話が終わった所でメガーヌが手を叩いてそう言う。時間を見れば、既に夜7時を過ぎていた。それに怪獣と戦いを繰り広げた3人は、それなりに疲労も溜まっていた。

 

「では準備しましょう。既に仕込みは終わってますから、少しお待ち下さい」

 

そう言って席を離れたリョウ。暫くして大きな寸胴鍋を持って戻ってくる。その鍋からはスパイスの匂いが漂い、全員が唾を飲み込む。

 

「今回はたくさん食べる方がいらっしゃるとの事だったので、カルナージ産の野菜たっぷりカレーにしました」

 

「「「「「おお~~~~~~ッ!!」」」」」

 

そして開け放たれた鍋の中には、ジャガイモ・人参・玉ねぎの定番から、カボチャにシメジにアスパラガス、茄子やパプリカといった色とりどりの野菜と鶏肉の入ったカレーがぎっしりと詰まっていた。

 

「鍋は辛口が2つと甘口が2つの計4つありますから、ジャンジャンおかわりしてください」

 

「「「「「「はーい!!」」」」」」

 

そこからは夕食の時間となる。子ども組が和気あいあいと食べてる横で、一誠とパラドが早食い対決を始めて同時に喉に詰まらせたり、スバルとノーヴェの超超超特盛合い掛けカレーに曜と月がポカーンとしたり、キャロが苦手なニンジンをエリオに渡そうとしてティアナとルーテシアに咎められたり、スバルのお代わりにリクがせっせと対応したり、大人組はノンアルコールの飲み物を嗜みながら話していたりと、あわただしくも楽しい時間となった。

 

それから、ホテル・アルピーノ周辺に探索用のサーチャーと結界を張ってから男性組と女性組に別れて就寝した次の日の早朝にそれは起きた…いや、やって来た。

 

『『『『『Caution!! Caution!!』』』』』

 

「「「「「「ッ!!!!!?」」」」」」

 

それを感知したのか、なのは達の持つ人工知能搭載型魔導端末【デバイス】達が、一斉に非常警報を鳴らし始めた。

 

「どうしたの、レイジングハート!?」

 

『A mysterious large Machine life form approaches from the sky.The size is estimated to be 70m over.』《上空より謎の機械生命体が接近中、大きさは推定70m越えです》

 

「ええッ!?」

 

飛び起きたなのはが自らの愛機【レイジングハート】に問うと、それはそう告げる。それを聞いて寝間着のまま外に出ると、そこには既にリョウとリクがいて空を見上げていた。そして残りの面子もすぐに合流する。

 

「2人とも!!」

 

「なのはさんにメガーヌさん!!早く子ども達を連れて避難を!!」

 

「え…?『ブオォォォォォォアアアアアアン!!!!』ッ!?この鳴き声は!?」

 

「この声は……まさか!?」

 

リクがその鳴き声に反応した瞬間、直上に巨大な黒いもやが現れ、それが晴れると巨大な物体が大地に地響きを立てて着地する。

 

金属の装甲は黒を基調に紫や金で彩られ、大きな手や太く長い尾、背部には沢山の砲身を背負い額に金色の角を生やした龍人の様な佇まいのそれは、見るものに無意識の恐怖を与える…

 

「あれは……」

 

なのはの呟きに、リョウがまるで仇を見るような目でそれを睨みながら答える。

 

「【ラストジャッジメンター・ギルバリス】…!!」

 

その存在……ギルバリスは一度周囲を見渡し、なのは達を視界に捉えると…

 

『知的生命体の存在を確認。これより、宇宙の平和の為……この星の全ての知的生命体を抹殺します』

 

「「「「「「「「え…?」」」」」」」」

 

そう宣告し、ギルバリスは全身の武装を起動させていく。

 

「そんな事はさせません!!」

 

「アンタはここで倒す!!」

 

そう言って前に出たリョウとリクの隣に、一誠もゼットライザーを手に並び立つ。

 

「俺も混ぜてもらうぜ?アイツには俺の世界で暴れた借りがあるんでな…!!」

 

「……わかりました、今は1人でも戦力が欲しいですから」

 

リョウはそれを許諾してオーブリングを取り出し、リクもジードライザーを握りしめる。

 

「皆さんはすぐに避難を!!」

 

「ええ!!皆、こっちよ!!」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

メガーヌが皆を連れて避難したのを確認したら、リョウ達はギルバリスと向かい合い…

 

「ジーッとしてても…ドーにもならねぇ!!」

 

リクの言葉を合図に、3人は同時にアイテムを起動させた。

 

「コスモスさん!!エックスさん!!優しさの力、お借りします!!」

 

『ウルトラマンコスモス、ウルトラマンエックス、フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ・フルムーンザナディウム!!』

 

「融合!!アイゴー!!ヒアウィゴー!!」

 

『フュージョンライズ!!』

 

「掴むぜ、絆!!ジイィィィィィィィィド!!」

 

『ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!!ウルトラマンメビウス!!ウルトラマンジード!!ブレイブチャレンジャー!!』

 

『ISSEI Access granted』

 

「宇宙拳法!!秘伝の神業!!ゼロ師匠!!セブン師匠!!レオ師匠!!」

 

『Zero.Seven.Leo.』

 

「ご唱和ください!!我の名を!!ウルトラマンゼェット!!」

 

「ウルトラマン…ゼェェェェェェェット!!」

 

『ULTRAMAN Z・alpha edge.』

 

それぞれの工程を終え、巨人となった3人は並び立ってギルバリスへと構える。

 

「私の名はオーブ…優しき心で、全てを繋ぐ!!」

 

「ハアァァァ!!」

 

オーブの名乗りが終わると、真っ先に飛び出したジードがギルバリスへとへと飛び膝蹴りを叩き込む。それに追随してゼットが正拳突きをお見舞いする。

 

「ジェヤ!!」

 

「ブオォォォォォォアアアアアアン!!」

 

「「ジョアッ!?」」

 

巨体故に動きが遅いギルバリスはそれをまともに喰らうが、代わりに高い防御力で難なく耐えて2人を薙ぎ払う。

 

「フルディウムクロスチョップ!!」

 

しかし、その隙をついてオーブが懐に飛び込み、バツ字に手刀を喰らわせて後退りするギルバリス。その間にジードとゼットがオーブの傍に戻る。

 

「2人とも!!バラバラではなく、連携していきますよ!!」

 

「「おう!!」」

 

オーブの提案に2人は答え、連携の為に姿を変える。

 

「ガイアさん!!ビクトリーさん!!逞しいやつ、頼みます!!」

 

『ウルトラマンガイア・V2、ウルトラマンビクトリー、フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ・フォトンビクトリウム!!』

 

オーブはフォトンビクトリウムに…

 

「融合!!」『イヤァッ!!』

 

「アイゴー!!」『イヤァッ!!』

 

「ヒアウィゴー!!」

 

リクは【ウルトラマンレオカプセル】と【アストラカプセル】を起動、装填ナックルに入れてジードライザーで読み込む。

 

『フュージョンライズ!!』

 

「滾るぜ、闘魂!!ハアァァァ…ハッ!!ジイィィィィィィィィド!!」

 

そして胸元でジードライザーのトリガーを引いて、1度素体になり2体の兄弟ウルトラマンの力がリクに重なる。

 

『ウルトラマンレオ!!アストラ!!ウルトラマンジード!!リーオーバーフィスト!!』

 

燃え盛る炎の様な頭部に黒と赤の体色は膝上部分が炎の模様になっていて、両手に籠手を装着した姿になる。これがジードのパワー形態【リーオーバーフィスト】に…

 

そしてゼットのインナースペースにいる一誠も、ホルダーを叩いて新たな3枚のメダルを取り出す。そこには初代ウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウが描かれている。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!!」

 

そしてその3枚を、もとの位置に戻したブレード部のスリットに装填していく。

 

「マン兄さん!!エース兄さん!!タロウ兄さん!!」

 

『Ultraman.Ace.Tarou.』

 

「ご唱和ください!!我の名を!!ウルトラマンゼェット!!」

 

「ウルトラマン…ゼェェェェェェェット!!」

 

それを読み込ませて、背後に現れたゼットとともに叫ぶ一誠。そんな彼に赤い軌跡を描くウルトラマンが…

 

「ヘヤァ!!」

 

銀の軌跡を描くウルトラマンエースが…

 

「トアァァァ!!」

 

赤い軌跡を描くウルトラマンタロウが…

 

「タアァァァ!!」

 

『ULTRAMAN ZBeta smash』

 

一誠に集まると、そこから筋骨隆々となり赤と黒と銀のボディカラーに胸には金色の丸い突起が並ぶ銀色のプロテクターがあり、何より目を引くのは目元だけを覆う赤いマスクを着けたゼットが飛び出してくる。

 

まるで赤い通り魔を思い浮かべるその姿は、ウルトラマンゼットのパワー形態【ベータスマッシュ】だ。

 

「1・2・3……ダァーッ!!」

 

そして何故か、某プロレスラーの真似をしながら右腕を上に突き上げた。

 

「……何やってんだよ、お前は…」

 

そんなゼットに呆れる一誠。その間にオーブとジードはギルバリスへと向かって走り出す。対するギルバリスもミサイルやレーザーを撃ち、近づかせまいとする。

 

「ジュワッ!?」

 

「ジェアァァッ!?」

 

その攻撃を受けた2人は吹き飛ばされる。しかし、その爆煙の中からゼットが飛び出してくる。

 

「いい加減に…!!」

 

「倒れやがりなさい!!」

 

そしてギルバリスへとドロップキックを叩き込む。これにはさすがに後ずさるギルバリス。そこに立て直したオーブが近づき…

 

「フォトビウムナックル!!」

 

必殺の拳を喰らわせた。更にジードが飛び込み炎を纏った両足で蹴りまくる。

 

「オーバーブーストキック!!」

 

「ブオォォォォォォアアアアアアン!!」

 

「ジェアッ!?」

 

そして最後に飛び蹴りを放つが、それはギルバリスの胸から放たれた巨大レーザーに迎撃される。

 

「ゼスティウム…アッパァァァァァァァァァァッ!!」

 

そのレーザー発射後の隙を狙い、ゼットが必殺のアッパーをギルバリスの顎に捩じ込む。それにギルバリスはのけ反るが、すぐに頭を振り下ろして額の角でゼットを切り裂く。

 

「ジェェアッ!?」

 

「ゼット!?」

 

「フォトビウムエッジ!!」

 

倒れたゼットをジードが起こし、その隙を埋める為オーブが額からしなる鞭のようなV字の光線を放つ。それはギルバリスの弾幕によって相殺されたが、体勢を立て直すには充分な時間が稼げた。

 

「ありがとうございます、ジード先輩…」

 

「アイツは強敵だ。油断しないで!!」

 

「押忍!!」

 

「2人とも、警戒を!!」

 

オーブの声にギルバリスの方を見ると、両腕を180°回転させて、背部にあった砲身が前面にやって来ていた。

 

「ヤバい!?」

 

『平和の実現を邪魔する存在は……抹殺します』

 

そして放たれる一斉掃射。3人はシールドを展開して防御するも、圧倒的な火力の前に易々と砕かれてしまい、無数の弾丸やミサイル、レーザーの直撃によって吹き飛ばされる。

 

「ジェヤ…!!」

 

ダメージによってすぐには起き上がれないオーブとゼット、何とか立てたジードは対ギルバリス用の切り札【ギガファイナライザー】を取り出す。

 

「これで決着をつける!!」

 

そして最強形態へと変身しようとしたその時、それを待ってたと言わんばかりにギルバリスが腹部から巨大レーザーをジードへと放った。

 

「なッ!?うわあぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

 

何とかギガファイナライザーで防ぐも、その威力に吹き飛ばされジードは変身が解除されてしまう。

 

「ジード先輩!?」

 

「リクッ!?」

 

「俺は大丈夫!!すぐに変身…(バチィ!!)え…?」

 

リクは2人に無事を告げ再度変身しようとした時、ジードライザーが火花を散らして機能を停止してしまった。おそらく破損したのだろう、トリガーを何度引いても反応はない。

 

「どうしたんですか、リク!?」

 

「それが……ジードライザーが壊れちゃったみたいで…」

 

「ええッ!?」

 

「何ですと!?」

 

リクの言葉に驚きを隠せないオーブとゼット。ジードライザーが使えなければリクは変身できない。このままではリクが危険と思ったオーブが退避を促そうとしたその時……

 

「これ以上はやらせねぇよ!!」

 

その言葉と共に、現れた何者かがギルバリスに飛び蹴りを喰らわせた。勢いが乗った蹴りに耐えきれなかったギルバリスはその場に倒れ、キックを決めた存在が華麗に着地を決める。それは下半身が赤で上半身が青の体に胸と肩にはプロテクターを纏い、頭部には特徴的なスラッガーが2つ付いたウルトラマン…

 

「あれは…!!」

 

「まさか…!!」

 

「来てくれたんですね…」

 

それは3人も知っている存在。その正体は…

 

「待たせたな……ブラックホールが吹き荒れるぜ!!」

 

「「「ゼロ(さん)!!/師匠!!」」」

 

【ウルトラマンゼロ】だった。

 

「久しぶりの挨拶といきたいが……リク、大丈夫か?」

 

「俺は大丈夫だけど、ジードライザーが壊れちゃって…!!」

 

「なるほどな、どうやらヒカリから預かっといて正解だったな」

 

そう言うと、ゼロは右手に小さな光球を作り出してリクの前に飛ばした。

 

「これは…?」

 

「ヒカリからお前宛のプレゼントさ」

 

「プレゼント…?」

 

その光球に手を伸ばして掴み取ると、リクの手にウルトラゼットライザーがと3枚のウルトラメダルが握られていた。

 

「これは、ゼットのと同じ…!!」

 

「お前用に調整してあるそうだ。これでまだ戦えるだろ?」

 

「ああ!!……ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!!」

 

右手に持ったゼットライザーのトリガーを押し、正面に現れた光のゲート【ヒーローズゲート】に飛び込むリク。その中で作られた自身が描かれた【ウルトラアクセスカード】を手にし、ゼットライザーにセットする。

 

『RIKU Access granted』

 

そして左手で右腰に装着されたホルダーから3枚のメダルを取り出す。それにはウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックス、ウルトラマンオーブ・オーブオリジンが描かれていた。

 

「ライブ!!ユナイト!!アップ!!」

 

そう叫ぶと、リクの前にメダルの幻影が浮かび上がる。そしてそれらをライザーのスリットに装填していく。

 

「ウルトラマンギンガ!!ウルトラマンエックス!!ウルトラマンオーブ!!」

 

GINGA.X.ORB.

 

「ハアァァァ…ハッ!!」

 

それらを読み込む毎に、リクの左隣にウルトラマン達の幻影が現れる。そして読み込みが終わると右腕を高く突き上げ、一気に胸元まで下ろし…

 

「集うぜ、キラ星!!」

 

口上を述べてから、ゼットライザーのトリガーを押し込む。

 

「ジイィィィィィィィィド!!」

 

すると水色の軌跡を描くウルトラマンギンガが…

 

「ショゥラアッ!!」

 

緑の軌跡を描くウルトラマンエックスが…

 

「イーッ!!サアッ!!」

 

白の軌跡を描くウルトラマンオーブが…

 

「ジェヤア!!」

 

リクの元へ集まり、更に右側に右手に水色の光球を掲げたウルトラマンが、左側に右手に紫の光球を掲げたウルトラマンべリアルが現れてリクと重なり、リクの素体が浮かび上がった後に、ベリアルの目が一瞬現れる紫の空間、銀河の空間、虹色のサイバー空間、水色のO字を通り、最後に水色の奔流が渦巻く禍々しい空間を通って巨大化。赤、青、黒、銀に彩られた背骨や肋骨を彷彿とさせる鎧を纏った姿となる。

 

これがジードの新形態、その名も…

 

ULTRAMAN GEEDGALAXY RISING

 

「ハアァァァ!!」

 

ウルトラマンジード・ギャラクシーライジングである。

 

「ジード先輩…ウルトラカッコいいッス!!」

 

「ならゼット、俺達もウルトラフュージョンするぞ!!」

 

「おうよ!!」

 

そんなジードに見惚れるゼット。そんなゼットの為に一誠はホルダーを叩いて開き、飛び出てきたメダルを指の間で挟み取る。それはゾフィーにメビウス、ティガのメダルだった。

 

「冷たく燃ゆる、灼熱の氷河!!」

 

そしてそのメダルをスリットにセットして、ブレード部をスライドさせて読み込んでいく。

 

「ゾフィー兄さん!!メビウス兄さん!!ティガ先輩!!」

 

ZOFFY.MEBIUS.TIGA.

 

「オッシャア!!」

 

「ご唱和ください!!我の名を!!ウルトラマンゼェット!!」

 

「ウルトラマン…ゼェェェェェェェット!!」

 

そして高く掲げたゼットライザーのトリガーを押すと、黄色の軌跡を描くゾフィーが…

 

「シュエヤッ!!」

 

赤の軌跡を描くウルトラマンメビウスが…

 

「セヤッ!!」

 

紫の軌跡を描くウルトラマンティガが…

 

「テャッ!!」

 

一誠の元へ集まり、上半身と左腕が炎の様な赤と黒、右腕と下半身が氷の様な青と黒のメインカラーに頭部には赤いラインが走り、胸部はティガに似たプロテクターを纏い、右肩と右腕に青の、左肩と左腕に赤のクリスタルアーマーを装備したゼットが現れる。

 

これがゼットの特殊形態。ゾフィーの氷雪の力とメビウスの炎の力をティガの力で調和させたパワーとスピードを併せ持った姿。それが…

 

ULTRAMAN ZSIGMA BRESTER.

 

【ウルトラマンゼット・シグマブレスター】だ。

 

今ここに最強の敵ギルバリスを倒すため、4人のウルトラマンが並び立った。

 

『新たな知的生命体を確認、抹殺します』

 

「へッ!!んじゃ、役者も揃った事だし…ド派手にやろうぜ!!」

 

「「「おおッ!!」」」

 

ゼロの言葉にゼット達もやる気を滾らせ、ギルバリスへと向かうのだった。




いかがでしたか?

ゼット「最強の敵ギルバリスによる激しい猛攻。だけど、師匠も揃った俺達に負けはございません!!力を合わせてギルバリスを追いつめて……って皆さん?上なんか見てどうしちゃったんでござい……って、あのお方は!?」


次回【Atrociousな皇帝】


ゼット「ウルトラヤバいぜ!?」


ゼロ「それと、作者が活動報告でアンケートを実施中だ。期間は13日まで。その結果次第で次回の最後が変わるらしいから、是非とも参加してくれ。参加しなかったら…………君を、時のループに引きずり込む」

ゼット「師匠、恐いッス…」


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Atrociousな皇帝

ゼット「よぉ!!地球の皆!!俺はウルトラマンゼット。あのウルトラマンゼロの弟子をやらせてもらってるんだ。今日は俺とゼロ師匠が出会った頃の話を…」

ゼロ「しないからな?」

ゼット「師匠ッ!?何でですか!?」

ゼロ「ここは前回のあらすじを紹介する場だ。つーか、お前が今やろうとしてるやつは、本来ネットで配信してるヤツだろうが。余所様にまで迷惑かけるな」

ゼット「……ウルトラすみません…」

ゼロ「反省すりゃいい。次からは気をつけろよ?」

ゼット「ウッス、気をつけます…」

ゼロ「ったく……ほら、元気出せって!」

ゼット「……………………ハァ~(どよ~ん)」

ゼロ「ああもぅ!!しょうがねぇな!!後でなんか訓練付き合ってやるから!!」

ゼット「ホントッスか!?絶対ですよ!?約束ですからね!!」(ぱあっ!!)

ゼロ「お、おう…」

ゼット「何を教えてもらおうかな~♪楽しみだな~♪」

ゼロ(……面倒そうだし、後で時間巻き戻しとこ)

ゼット「おっとそうだ、活動報告でアンケートした結果…3人のライダーの出演が決定したぞ!!更にこの話の最後に先行登場してくださいます!!」

ゼロ「誰が変身するか知りたければ…最後まで見てくれよな!!」


変身を完了したゼット達は、ギルバリスへと攻撃を再開する。

 

「ハアァァァ!!」

 

先ず飛び出したのはジード。お決まりの開幕飛び膝蹴りを放ち、着地してから何度も拳を叩き込む。だが、ギルバリスの堅牢な装甲にはダメージを与えられない。逆に後ろを取られ大きな腕で押さえつけられてしまう。

 

「この…!!ギャラクシーカッティング!!」

 

そこから脱出するため、両肘にある黄色の突起から光刃を伸ばす。それをギルバリスの腹に突き刺して怯ませ自由になると、その光刃をギルバリスの首や膝といった関節部へと振るって切り裂いていく。

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!

 

途中、大きく雄叫びを上げてから再びギルバリスの関節部を狙って切り裂いていく。最後に首を攻撃して怯んだギルバリスはお返しとばかりにミサイルや砲弾、レーザーの一斉掃射で反撃するが…

 

「プラズマ光輪!!」

 

それに対してジードは距離を取り、右腕を上に伸ばして頭上に黄色の銀河を作り出し、それを4つの光輪に分割、両腕を振るって光輪を飛ばし攻撃を打ち落とした。

 

「今度はこっちの番だ!!」

 

そこにゼットが入り込んでいく。下半身に宿る超スピードの力で一気にギルバリスの懐に飛び込み、上半身の超パワーに左拳には炎、右拳には氷を纏わせギルバリスの一点を交互に何度も殴っていく。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!!」

 

「なあ一誠?ギルバリスの装甲は、そんな簡単にゃ抜けやしまへんですぞ?」

 

「まあ見てろ!!」

 

そんな一誠の行動を疑問視するゼット。こんな攻撃ではギルバリスは倒せないとゼットが思った瞬間……

 

―ピシィッ!!―

 

ギルバリスの装甲に罅が走った。

 

「マジすか!?」

 

「うしッ!!予想通り!!テレビか何かで見たが、堅いものを熱してすぐに冷やす行為を続けると割れやすくなるってのは本当だったか」

 

そう、一誠が狙っていたのはこれだったのだ。金属は熱すると膨張し、冷やすと収縮する。これを急激に行う事で元素の結びつきを弱くし壊れやすくしたのだ。

 

「いくぞゼット!!」

 

「おう!!」

 

この弱点を大きくするため、ゼットは両拳を胸の前で合わせ、そこから上に伸ばして大きく円を描くように左右の手に炎と冷気のエネルギーを込め、右腕は上前方へ、左腕は下前方に伸ばして炎と冷気の光線を放つ。

 

「「ゼスティウムレイバーストッ!!」」

 

その光線は直撃し、ギルバリスの全身を熱しては冷やしていく。その結果…

 

―ピシピシピシピシッ!!―

 

罅が全身へと、どんどん広がっていった。

 

「ブオォォォォォォアアアアアアン!?」

 

「よくやった、ゼット!!」

 

「先ずは武器を減らしましょう!!」

 

『フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ!!スペシウムゼペリオン!!』

 

そこにゼロが腕をL字に組み、オーブはスペシウムゼペリオンになると正面に光の輪を作り、右腕を上に上げ左腕を一度胸元に持ってきてから左へと伸ばし、光を輪の中央に集束させて十字を組み…

 

「ワイドゼロショット!!」

 

「スペリオン光線!!」

 

そこから放たれた光線が、脆くなったギルバリスの砲身を次々に破壊していく。しかし、まだ原型を留めているギルバリスは胸のレーザーを発射しようとエネルギーを貯め始める。

 

「反撃なんざ、させるかよ!!」

 

しかし、それをさせない様にゼロはウルトラランスを手にして体を青と銀の二色にした【ルナミラクルゼロ】に変わり…

 

「アグルさん!!」『ディヤアァァ!!』

 

「ヒカリさん!!」『フゥンンッ!!』

 

「冴えわたるやつ……頼みます!!」

 

「フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ!!ナイトリキデイター!!」

 

「影を払いし…光の刃!!」

 

オーブは青と水色に銀と黒の体色に胸には黒に金縁でスターマークが散りばめられたプロテクター、両肩と両肘にやや尖った銀のアーマーを纏い、頭部は上に少し伸びた姿【ナイトリキデイター】となり…

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

 

ULTRAMAN ZALPHA EDGE

 

ゼットはアルファエッジに戻り、ゼットランスアローを手にする。

 

「ミラクルゼロスラッガー!!」

 

「ゼットスラッガー!!」

 

「ナイトアグルブレード!!」

 

「ギャラクシーカッティング!!」

 

そして師弟コンビによるスラッガー攻撃に加え、空からはゼットとゼロが槍で、地上ではオーブとジードが両腕の光剣で高速移動しつつ斬撃を当てて更に追撃。縦横無尽に襲いかかる攻撃にギルバリスは反撃どころか防御や回避の隙すら与えてもらえず、その攻撃によって装甲が徐々に砕けていく。

 

「「シュア!!」」

 

最後にオーブとジードが、ギルバリスの左右をすれ違いながら切り裂き…

 

「ストロングコロナゼロ!!」

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!!」『ULTRAMAN ZBETA SMASH

 

「も1つおまけだ!!」

 

『デュアルガシャット!!』

 

「マックス大変身!!」

 

『ガッチャーン!!マザルアップ!!』

 

ゼロはパワータイプの【ストロングコロナゼロ】になり、ゼットはベータスマッシュになってその上にゲネガーグ戦で纏った龍の鎧を装着する。

 

「後は…これだ!!」『SURVIVAL DRAGON!!』

 

更に一誠はガシャットのダイヤルを回して、サバイバルドラゴンを起動させる。すると、鎧の白い部分が赤に染まった。

 

「ウオオォォォォォォォォッ!!力がウルトラ漲るぜッ!!」

 

そして2人はギルバリスへと突貫、その脆くなったボディを全力で殴って拳をめり込ませ…

 

「ガルネイト…バスッター!!」

 

「ゼスティウムブレイク!!」

 

ギルバリスの内部に光線を撃ち込んだ。さすがに内部は脆いのか体のあちこちで火花をあがる。

 

「よしッ!!ウルトラ効いてるぜ!!」

 

「というかお前……何だその格好?」

 

「あ、これですか?これは今、自分が一体化している地球人の持つ力なんですよ!!」

 

「え、マジ…?メビウスに手紙を届けたとかいう【メテオール】といい、エックスの【モンスアーマー】といい…最近の地球の技術は半端ネェな…」

 

「ですよね~…」

 

「2人とも!!考え事に浸ってる場合じゃないって!!」

 

『ブオォォォォォォアアアアアアン!!』

 

「「へ?…おわぁッ!?」」

 

ここまでの攻勢で余裕を持ってしまっていたゼロとゼット。そこにギルバリスが残っている武装を手当たり次第に攻撃を始め、距離が近かった2人は巻き込まれそうになるも、ジードの呼びかけでギリギリ回避できた。

 

「あっぶな~…今のはマジ卍の鬼ヤバたんでしたね?」

 

「うん、言いたいことはなんとなく解るけどよ?…お前、もうちょっと日本語勉強しろ」

 

「ウルトラショック!?」

 

「次が来ます!!」

 

ゼロの指摘にショックを受けるゼット。しかし、オーブの言葉で意識をギルバリスへと戻すと…

 

『ボディへのダメージ、危険域に移行。修復作業を開始。護衛部隊を展開』

 

そのギルバリスの説明後、魔法陣が3つ浮かび、そこからギャラクトロンMk-Ⅱとギャラクトロンが2体出てくる。

 

「ここで増援か…Mk-Ⅱは俺とゼットがやる!!オーブとジードはギャラクトロンを倒せ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

ゼロの指示にそれぞれ答えると、4人はギャラクトロン達へと向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「ハァ…ハァ…ここなら大丈夫よ」

 

メガーヌさんの案内で私達は訓練広場まで走ってきた。

 

「ここはなのはさんやスバルさん向けに作った上級者コースだから、障壁は元より障害物も多めにあって隠れるにはうってつけなんだから♪」

 

「でも…ギルバリス相手だと心もとなさ過ぎる…」

 

相手はジードとオーブ、ゼロの三人が最強フォームでも苦戦した強敵で、私達の世界でも、その猛威を振るった。だからこそ、楽観視なんてできない……

 

「レイジングハート、障壁の強度を上げるから手伝って」

 

『All right My master.』

 

「って!?それはダメッ!!ストップぅッ!?」

 

そんな時、なのはさんが自身のデバイスであるレイジングハートさんに障壁強化を頼もうとしたのを、月ちゃんが必死に止めた。

 

「ちょっ!?どうしたの?」

 

「ギルバリスは機械をハッキングする能力があるから、デバイスを使うのは危険なんですって!!」

 

「……貴女、あのロボットについて何か知ってるの?」

 

そんなティアナさんの質問に、月ちゃんが答える。

 

「あれは【ラストジャッジメンター・ギルバリス】…惑星クシアと呼ばれる科学文明が発達した星で生まれた……宇宙に永遠の平和をもたらす為に作られた人工頭脳です」

 

「宇宙の……平和?」

 

その答えにティアナさんが首を傾げる。それはそうだ。ギルバリスのやっている事は、端から見ても大量虐殺という真逆の行為にしか見えないんだから…

 

「元々はクシアの星の言葉で、宇宙に平和をもたらす者という意味の【テラハーキス】と呼ばれていたんだけど……ある日、1つの判断を下したテラハーキスは暴走した」

 

「1つの判断…?」

 

「宇宙に永遠の平和をもたらす為には…【争いを起こす知的生命体は不要】っていう判断だよ」

 

「「「ええッ!?」」」

 

その答えにヴィヴィオちゃん達子ども組が驚く。それはそうだよね…平和の為と言って、やってる事はその反対の事なんだから。

 

「それからテラハーキスは自らをギルバリスと名乗り、惑星クシアを滅ぼして星をサイバー化、拠点として幾つもの星の知的生命体を滅ぼしてきた…そんなギルバリスをウルトラマン達も対処しようとしたけど、ギルバリスのコアにウルトラマンの光線は全く通用しなかった…そしてコアさえ無事なら、ギルバリスは何度でも復活する…」

 

「そんなとんでもねぇ奴、どうやって倒せってんだよ!?」

 

そこまで話を聞いていたノーヴェさんが怒鳴る。確かに、今までの話では倒す手段があるようには思えない…けど、切り札はある……ううん、今は()()()と言うべきなのかな?

 

「特効兵器があるんだよ。【赤き鋼】と呼ばれる必勝撃聖棍【ギガファイナライザー】…ジードがさっき使おうとしたやつだよ」

 

「じゃあ、それを使って…!!」

 

「ううん、ギガファイナライザーはもう使えないの…」

 

「どうしてッ!?」

 

そんなコロナちゃんの叫びに、月ちゃんに変わって私が答えた。

 

「あれはリク君が持つジードライザーってアイテムに最適化してあって、今の姿のジードはジードライザーが壊れて別のアイテムで変身してる姿なの。つまり…」

 

「ギガファイナライザーが使えない可能性が高い…ってことね…」

 

私の話から、ティアナさんが結果を述べる。そう、今のギルバリスに対して、私達が倒す事は絶対に出来ないのだ。

 

「万事休すか…!!」

 

ノーヴェさんが悔しそうに地面を殴る。

 

「なんでそんなバグを起こしちゃったのかな…?」

 

「そうだよね…なんでバグを…………ッ!!」

 

悲しそうなヴィヴィオちゃんに同意しようとした時、私の頭にあるアイディアが浮かび上がった。

 

そうだよ!!相手が人工頭脳なら…!!

 

「パラド君!!」

 

「どうした?」

 

「実は…!!」

 

私はそのアイディアをパラド君に話した。そしたら彼はニヤリと笑って…

 

「ああ、それなら出来るぜ?」

 

そう答えてくれた。

 

「じゃあお願い!!」

 

「任せろ!!」

 

そう言って彼は、粒子化して飛んでいった。うん!!これならきっとイケる筈…!!

 

そう喜んでいた時、後ろから肩を叩かれた。それで振り返ると、呆然とした顔の皆が私を見ていた。

 

あれ?一体どうしたんだろう…?

 

「ね、ねぇ…?今、パラド君が粒子になって消えていったんだけど…どういう事?」

 

「あ…」

 

そういえばパラド君がバグスターだって事、話してなかったな~…

 

皆からの視線に、私は苦笑いしつつ質問に答えていたが、そんな私達を見ている複数の視線には気づかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ウルトラマン達はギャラクトロン相手に苦戦していた。

 

「コンニャロウ…!!無駄に硬ぇ体しやがって…!!」

 

「ししょ~…!!自分、拳が痛うなってます~!!」

 

「アホッ!!泣き言言ってんじゃねぇ!!」

 

その強靭な装甲は、ベータスマッシュやストロングコロナの打撃ですら受け付けない。

 

「一誠!!もう一度、ウルトラフュージョンしましょうぞ!!」

 

「だなッ!!」

 

ゼットの提案に、一誠はシグマブレスターになるためのメダルを出そうとした時…

 

「イッセー!!」

 

「ッ!!パラド!?どうやって此処に…?」

 

インナースペースの中にパラドがやって来た。

 

「ちょッ!?お前は何方様ですか!?」

 

「そんなのは後だッ!!イッセー、曜がギルバリスを無力化する良い案を教えてくれた…!!」

 

「ッ!!聞かせろ!!」

 

驚くゼットは無視して、パラドが曜の提案を話す。

 

「なるほどな……ゼット、どう思う?」

 

「その方法なら、ティガ先輩にダイナ先輩、ガイア先輩の変幻自在な神秘の光をお借りすれば出来るでしょうが…」

 

「なら、ものは試しだ!!」

 

「よぉ~し、やってみるか!!」

 

こうしてゼット内部で作戦が決まり、それをゼロに相談する。

 

「師匠!!」

 

「どうした?」

 

「しばらく、ギャラクトロンMk-Ⅱをお願いしても?」

 

「……何か考えがあるんだな?」

 

「実は…」

 

「………………ハハッ!!そいつは面白ぇ!!」

 

先程の作戦を話すと、ゼロは面白そうに笑った。

 

「じゃあ!!」

 

「ここは任せろ!!無敵のゼロ様を嘗めんなよ!!」

 

「押忍!!」

 

ゼロの許可が出た事で、一誠もメダルホルダーを叩いて開き、飛び出てきたティガ・ダイナ・ガイアのメダルを指の間で挟み取る。

 

「変幻自在、神秘の光」

 

そのメダルを戻したブレード部のスリットに装填していき、スライドさせて読み込んでいく。

 

「ティガ先輩!!ダイナ先輩!!ガイア先輩!!」

 

TIGA.DYNA.GAIA.

 

「オッシャア!!」

 

「ご唱和ください!!我の名を!!ウルトラマンゼェット!!」

 

「ウルトラマン…ゼェェェェェェェット!!」

 

そしてゼットライザーを高く掲げ、叫びながらトリガーを押し込む。すると紫の軌跡を描くティガが…

 

「テャッ!!」

 

黄色の軌跡を描くダイナが…

 

「デアッ!!」

 

赤い軌跡を描くガイアが…

 

「ジョアッ!!」

 

一誠に集束すると、額には菱形のクリスタルと凹んだ金色のスリットがあり、胸と肩を覆うように銀ブチの金色プロテクター、そして体色は赤、紫、黒、銀が複雑な模様が描かれたゼットが、濃紺の中に紫の光球がいくつも浮かぶ空間から、次に淡い紫の爆炎が展開され、最後に2つの炎が渦巻く空間から飛び出てくる。

 

これがゼットの超能力形態。その名も…

 

ULTRAMAN ZGAMMA FUTURE

 

【ウルトラマンゼット・ガンマフューチャー】である。

 

ゼットはギャラクトロンMk-Ⅱをゼロに任せ、自身はギルバリスへと向かう。そして右手を強く握りしめると、手を青いオーラが包み込んでいく。更に目の前にティガ・ダイナ・ガイアの胸のプロテクターを円形に並べたような魔法陣を浮かび上がらせ…

 

「ガンマスルー」

 

その中に右腕を入れ、空間を超越してギルバリスのコアを掴み取った。

 

「よしッ!!掴みましたぞ!!」

 

「んじゃ、作戦開始だ!!」

 

そしてその手のオーラを、コアへと流し込んでいく。するとギルバリスの体から電流が迸り、全身からショートしてるみたいに火花が上がる。

 

今、ゼット達が何をやっているのかというと……

 

「プロテクト第36層、突破!!」

 

「残り64層…!!全部ブチ破って、()()()()()()()()()()()()するぞ!!」

 

そう、ギルバリスの初期化だった。確かにギルバリスは厄介な相手だ。しかし、その本体は人工頭脳……つまり機械であり、それならばコンピューターウィルスを使った攻撃も有効なのではないかと曜は思い、それをパラドに尋ね、可能と判断された。

 

しかし、その為にはコアに直接触れる必要があった。そこで硬い装甲をどうやって突破するかだが、ガンマフューチャーの能力ならイケると判断され決行される事となる。

 

作戦としてはゼットの能力でギルバリスの装甲を無視してコアに触れ、一誠の力でバグスターウィルスを注入、パラドがそれを制御してギルバリスを初期化するという内容だった。

 

つまりこの作戦は一誠にパラド、ゼットがいて初めて出来る方法なのだ。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

それからも次々にプロテクトを突破していく一誠達。しかし、親玉であるギルバリスのピンチに戦闘兵であるギャラクトロン達が黙っている訳がない。ゼットを妨害する為に攻撃しようとするが…

 

「やらせるかってんだよ!!」

 

それはゼロ達ウルトラマンによって阻止される。組み付き、激しく攻め立てて攻撃させる機会も、ギルバリスを援護させる隙すらも与えない。

 

ギルバリスのプロテクトは奥に行けば行くほど強化されていくが、一誠の持つバグスターウィルス変換能力で対プロテクト用のウィルスがすぐに作られ、難なく突破される。

 

「これで……ラストォッ!!」

 

そして遂に最後のプロテクトを突破し、中枢に入ったパラドがギルバリスの全データを初期化して、ギルバリスは活動を停止。それに合わせてギャラクトロン達も活動を止めるのだった。

 

「終わった……のか?」

 

「はい、ギルバリスの初期化は完全に完了いたしました!!」

 

「ああ~……疲れた…」

 

「お疲れ様です、リク」

 

疲労困憊でしゃがみこんだジードに手を差し伸べるオーブ。これで少し休めると思っていた時…

 

「ほぉ…ギルバリスをこうやって倒すとは、敵ながら見事と言っておこうか」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

突如聞こえた声。それと同時に赤黒い稲妻を纏った紫の光線が、4人の上から襲いかかった。

 

「「「「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」」」

 

その光線は次々に降り注ぎ、ギルバリス戦で力を使い果たしている4人は回避できず直撃し、更にギャラクトロン達にも命中して爆発を起こす。

 

「ハハハハハハハハッ!!惨めなものだな、ウルトラマン共!!」

 

倒れ伏すウルトラマン達…そんな彼らが空を見上げると、そこには件のガッツ星人と……黒い体にくすんだ灰色の骨の様な模様、肘や膝からは刃を生やし、爪が鋭く伸びた手には両端が金棒状になっている棍型の武器【ギガバトルナイザー】を持つ、つり上がったオレンジの目をしたウルトラマンがいた。

 

「まさか!?」

 

「間に合わなかったのか…!!」

 

「あのお方は…!!」

 

その姿に見覚えのあるゼロ、オーブ、ゼットが驚き……ジードは困惑と悲しみ、それとほんの僅かな再会の嬉しさを覗かせながらその名を口にした。

 

「ウルトラマンベリアル…………父さん…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして避難していた曜達の前にも、ピンチが迫っていた…

 

彼女達の前に3人の宇宙人が現れたのだ。しかもそれぞれ武装済みで。

 

「バールバルバルバルバル!!」

 

「何、あの金色渦巻き?他にも黒タイツ男と鬼仮面…」

 

「金色渦巻きじゃなーい!!俺様は宇宙海賊【バロッサ星人】だッ!!」

 

「黒タイツ言うな!!【マグマ星人】だッ!!」

 

「俺は【ババルゥ星人】だ!!鬼仮面じゃねえ!!」

 

リオの言葉にキレる3人、まあ…知らない人から見れば、その例えも否定はできない…

 

「貴方達の目的は?」

 

「なぁーに、俺様達はガッツ星人に雇われててな?ウルトラマン達の弱点を探せって言われてたんだよ」

 

「そこでようやくお前達を見つけたってわけだ」

 

「悪いが大人しく…人質になってもらおうか?」

 

どうやら彼らの目的は、彼女達の身柄らしい。だけど、黙って捕まる彼女達ではない。ティアナは自身のデバイスである銃【クロスミラージュ】を取り出し…

 

「その前に…貴方達を騒乱罪で逮捕します!!」

 

「逮捕だあ?やれるモンならやってみな?」

 

「この…!!」

 

その嘗めた態度に、脅しも込めて1発魔力弾を撃とうとしたが…

 

「……ッ!?魔法が使えない!?」

 

魔力弾を撃つどころか、弾を生成する事すら出来なかった。

 

「まさか…AMF(アンチマギリングフィールド)!?」

 

「そんなチャチなもんじゃないぜ?この一帯に、お前らの魔力の源……え~と…リンカーコアだったか?それの働きを止めちまうフィールドを張ってあるのさ」

 

「そんなッ!?」

 

リンカーコア……それはこの世界で魔法を使うのに必要な器官で、これがないと魔法を発動させる事すら出来ない。そしてそれを止められた今、ティアナ達に魔法を使うことは不可能になった。

 

「まあ、範囲が狭いとか他に魔力を貯めてある物からの発動は阻害出来ないとか、欠陥は多いらしいけどよ」

 

「今のお前達には充分だけど」

 

「くぅ…!!」

 

「なら!!」

 

「おっと…動くなよ?」(ガシャッ)

 

自分達の絶対的有利を確信している宇宙人達に、悔しそうに顔を歪めるティアナ。()()()()()()()()()()()スバルとノーヴェが動こうとしたが、その前にバロッサ星人が右腕に装着している銃【ペダニウムランチャー】をヴィヴィオ達に向ける。

 

「「「ヒィッ!?」」」

 

「抵抗したら、そこの嬢ちゃん達がどうなるかな?」

 

「うッ!?」

 

「この卑怯者どもがァ…!!」

 

「悪いな、卑怯も辣韮も好物でね♪」

 

それによって反撃できなくなるスバル達。まさしく絶体絶命なその時…

 

「…【緋空斬】」

 

―ザギィン!!―

 

「………………は?」

 

「「え?」」

 

どこからか飛んできた炎の斬撃波によって、銃身を半ばから両断された。それにバロッサ星人だけでなく、マグマ星人とババルゥ星人も呆気に取られていると、ゆるふわのブロンドヘアーに眠そうな目をした1人の少女がスバル達の頭上を飛び越えてくる。

 

「よいしょ~…」

 

少し間延びした喋り方をしているが、その人物が手にしているのは反りのある片刃の剣…刀だ。そして両腕を胸元で上下にクロスさせながら振りかぶり…

 

「【水面斬り】~…」

 

「うおあッ!?」

 

刀身に流水のエフェクトを纏わせながら、腕を思いきり広げるようにして剣をマグマ星人の首へと振るう。マグマ星人はギリギリで反応できて右腕のサーベルで防ぐが、その威力に吹き飛ばされる。

 

「おいッ!?だいじょ「隙有りですよ♪」へ?ウギャアッ!?」

 

そんなマグマ星人を見て声を上げるババルゥ星人。しかし、そんな彼の背後にまた別の少女が現れ、左手を前にかざし右手の剣を肩の上に大きく引く構えから単発の突きを放ち、ババルゥ星人を突き飛ばした。

 

「ふっふ~ん♪どうです?かすみんの【ヴォーパル・ストライク】は(パキィン)…って剣が折れたァ-!?どうしようどうしよう!?先輩に怒られるぅ~!!」

 

自らを【かすみん】と名乗ったボブカットの銀髪に赤い目を持つ少女はドヤ顔するも、持っていた剣が半ばから折れてしまい大慌て。そこに水面切りを披露した少女がやって来るが、その少女の剣も折れていた。

 

「まぁまぁ~、彼方ちゃんも折っちゃったし~、一緒に謝れば侑ちゃんも許してくれるって~…」

 

「そんなわけないですよッ!?前にかすみんが剣を折った時なんか、侑先輩はどこからか出したキュアグレー○のお面を着けて、その下で大号泣しながら罵詈雑言吐きつつ、手にしてた日本刀振り回して追いかけられたんですからねッ!?」

 

「…………頑張れ、彼方ちゃんはかすみんちゃんの冥福を祈ってるから」

 

「なぁにかすみんを生け贄にて、自分は助かろうとしてるんですか!?彼方先輩も同じ目に合うんですからね!?というか何で普通の喋り方!?何時もの間伸びした喋り方はどこ行った!?」

 

「落ち着いてください、かすみさん」

 

まるでキレ芸のごとく喋りまくるかすみんことかすみ……そこに最初の斬撃を飛ばしたと思われる人物がやって来る。見た目はかすみと同じくらいの慎重で黒髪のボブカット、左側にリボンを着け口からは八重歯が見えている少女だ。なお、その少女が手にしている刀も根本から折れている。

 

「先輩ももうすぐ追いつきますし、私も刀を折ってしまって同じ運命にあります。ここは潔く覚悟を決めておきましょう?」

 

「ちょ、しお子ッ!?それ諦めろと同じでしょ!!」

 

「そうともいいます」

 

「うわぁ~…栞子ちゃんの目が死んじゃってるよ…」

 

「じゃかましい!!いつまで続けんだッ!?」

 

そんなコントを繰り広げる3人。それを止めたのは、大声を上げたバロッサ星人だ。

 

「俺達をコケにしやがって…!!お前ら、何者だ!!」

 

「何者かと問われたら……」

 

ババルゥ星人の言葉に、栞子は顎に手を当てて考え…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迷子の剣士…としか言いようがありませんね」

 

「「「「「ズコーッ!?」」」」」

 

そう答えて、全員がズッこけた。




いかがでしたか?


ゼット「突如現れた3人の少女。手持ちの剣は折れているので大ピンチ!!……かと思いきや剣が付いてるベルト!?それに八葉一刀流?水の呼吸?ソードスキル?…なんかとんでもない剣術を使いますぞ、この子達!?」


次回【3人のSwordsman】


ゼット「ウルトラ切り裂くぜ!!」



彼方「ここで令和こそこそ噂話~…げむちかの世界では、歴史に埋もれたけど過去に鬼滅の刃の基になった人間と鬼の戦いがあったのだ~…」

かすみ「ええッ!?マジですか!?」

栞子「では、彼方さんの使う水の呼吸は…」

彼方「ガチの本物なのだ~…」(ダブルピース♪)


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3人のSwordsman

栞「皆さん始めまして、三船栞子といいます」(ぺこり)

か「固いッ!!固いよ、しお子~!!ここは、皆のアイドル・かすみんで~す♪みたいにやらないと!!」

栞「ですが、初めて会う人達も多いのですから挨拶はキチンとしないと…」

彼「すやぴ~…」

か「ってか、彼方先輩は起きてくださいよッ!?」

彼「うみゅ~…2人に任せたよ~……すや~…」

栞「こうなったら梃子でも起きませんね…」

か「まあいいや、とりあえず前回のあらすじを…」

栞「あ、もう時間みたいです」

か「うそッ!?え、え~と…!!あ、ゲー…」

彼「ゲームの力でこの世界を生きていく~、始まるよ~……すやぴ~…」

2人「「寝言ッ!?」」


ヴィヴィオ達を人質にしようとしたバロッサ星人達だったが、それは突如現れた迷子(?)の剣士達によって阻まれ、お互いに睨み合う。

 

「よぉ~お嬢さん方?俺達にこんな事したらどうなるか…解ってんだろうな?」

 

「はい、貴方達が私達に倒される……という事です」

 

「そうそう、俺達じゃ敵わないからズタボロにやられて……って違うわ!?」

 

「うっわ~…今時ノリツッコミとか…しかもかすみん的にはメッチャつまらないんですけど?」

 

そんなバロッサ星人を冷たく見るかすみに、バロッサ星人はキレる。

 

「うっせぇ!!もう許さねぇ…!!お前ら3人ともぶっ殺してやる!!」

 

「それは~…彼方ちゃん達も同じだよ~?」

 

彼方の言葉に合わせて、3人の纏う雰囲気が変わる。まるで、歴戦の戦士のごとき圧を放ちながら、左手に黒い鞘に収まった剣型のアイテムを持ち、それを腰に押し当てると、ベルトが伸びて装着された。

 

「小さい子に恐怖を与えた罪……その身で償ってもらいます」

 

『『『聖剣ソードライバー!!』』』

 

「ベルトになった!?」

 

「ということは、もしかして…!!」

 

剣がベルトになった事に驚く月に、それでなにかを察した曜。

 

そして次に左手に掌サイズの本のようなアイテム【ワンダーライドブック】を取り出す。栞子は炎を吐く竜が描かれた赤い本で、彼方は吠えるライオンが描かれた青い本、かすみは金色のランプが描かれたライドブックだ。そのカバーを右手で開く。

 

『ブレイブドラゴン!!』『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』

 

『ライオン戦記!!』『この青き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史…』

 

『ランプ・ド・アランジーナ!!』『とある異国の地に、古より伝わる不思議な力を持つランプがあった…』

 

「なんだぁ?」

 

その音声が流れ終わると、3人はカバーを閉じて栞子はドライバーの右、彼方は中央、かすみは左のスロットに装填する。

 

すると3人の空間が変化する。背後には巨大なライドブックが現れ、栞子は燃え盛る、彼方は水に浮かぶ、かすみは電撃が走る沢山の本を詰め込んだ本棚に囲まれたものに…

 

その中で3人は剣の柄を掴み、ドライバーから一気に引き抜き、それに合わせてドライバーのライドブックも開く。

 

『烈火抜刀!!』

 

『流水抜刀!!』

 

『黄雷抜刀!!』

 

「「「変身!!」」」

 

同時に背後の巨大ライドブックも開き、栞子はそこから出てきた赤い竜を纏いながらバツ字に、彼方は青い獅子を纏いながら横一閃に、かすみは金色のランプの精を纏いながら縦一閃に剣を振るって斬撃を飛ばし、自身の姿を変える。

 

栞子は右腕が赤く右肩に竜の頭部を模したアーマーが着き、中央部は白で左側は黒に赤いラインがある左右非対称な姿に額には一本の剣が生えたようなアンテナがあり、先程飛ばした斬撃が戻ってきて顔に当たると、それが複眼を持つ戦士【仮面ライダーセイバー】へと変わる。

 

『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』『烈火一冊!!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、深紅の剣が悪を貫く!!』

 

彼方は青いラインが入った黒い両腕に足の内側は銀色のボディスーツ、胸には青いライオンを象ったアーマーを纏い、額にはセイバーと同じ剣型のアンテナに飛んできた水の斬撃が戻ってくると、少しV字になった青い複眼の戦士【仮面ライダーブレイズ】となる。

 

『ライオン戦記~!!』『流水一冊!!百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を向く!!』

 

最後にかすみは胴体がグレーで白に金のラインが入った右腕のボディスーツに、左肩には金色のランプのような肩アーマーに金色の片マントを羽織り、額はセイバー・ブレイズと同じで、飛ばした斬撃が戻ってくると、目の位置から旋毛辺りをグルッと囲むリング状の複眼となる戦士【仮面ライダーエスパーダ】となった。

 

『ランプ・ド・アランジ~ナ~!!』『黄雷一冊!!ランプの精と雷鳴剣黄雷が交わる時、稲妻の剣が光り輝く!!』

 

「やっぱり…………仮面ライダー…!!」

 

「な、何なんだ!!お前達はッ!?」

 

「【八葉一刀流・中伝】三船 栞子…仮面ライダーセイバー」

『火炎剣烈火!!』

 

「【水柱】近江 彼方…仮面ライダーブレイズ」

『水勢剣流水!!』

 

「えッ!?え、え~と…そ、【ソードスキルマスター】!!中須 かすみ…仮面ライダーエスパーダ!!」

『雷鳴剣黄雷!!』

 

3人が名乗り(1人は完全に即興だが…)、セイバーがバロッサ星人に、ブレイズがマグマ星人に、エスパーダがババルゥ星人へと自身が相手と決めた者に剣先を向ける。

 

「かめんらいだぁー?何だか知らねぇが…そっちもやる気みてぇだな?だったら手加減なんかしねぇ……ド派手に行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」

 

「いざ、参ります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かすみside

 

はぁ~い♪可愛いアイドル剣士を目指してる、中須かすみことかすみんでぇ~す♪ワタシは金色の体をした鬼仮面こと…………え~っと、バッカデー星人?と戦っていますよ。

 

「バッカデー星人じゃない!!ババルゥ星人だッ!!!!」

 

「え~…人の心の声にツッコむとか…キッモ」

 

何コイツ?かすみんの心を盗み見るとか、プライバシーの侵害じゃないですか。コレ案件ですよね?犯罪ですよ ね?もしもしポリスメンしますよ?

 

「というかお前!!少しは真面目にやれ!!」

 

そんな風にふざけながらも、私は相手の振るうさすまたとトゲ付鉄球が1つになった武器の攻撃を、余裕をもって回避している。

 

「だって、しお子の攻撃より遅くて雑だし、彼方先輩の攻撃よりも読みやすくて雑だし、かすみんの攻撃よりも醜くて雑だし…」

 

「雑雑言い過ぎだろッ!?」

 

「言いたくもなりますよ~……だって」

 

「は?……アギャッ!?」

 

かすみんの口撃に怒りMAXになってるのか、振りが大きくなったところで、私もソードスキル風剣技を振るう。左から右へ水平に、そして素早く切り返して右から左の水平斬りへと繋げる片手剣2連撃スキル技【ホリゾンタル・アーク】を繰り出し、それは武器を振り上げて無防備なバッカデー星人の腹を切り裂いて火花が散らせた。

 

「こ~んなに隙が丸出しなんですよ?余裕にもなっちゃいます……てッ!!」

 

「アガッ!?」

 

更に追撃で単発式ソードスキルのスラントを決めて吹き飛ばしてから、黄雷をドライバーに納刀してトリガーを引き…

 

『必殺読破!!』『黄雷抜刀!!アランジーナ一冊斬り!!』

 

そして再び抜刀して、トドメを刺しに行きましょう♪

 

「そんな貴方にかすみんの華麗な剣技…見せてあげますよ!!」

 

右手の黄雷を握りしめ、最初に放つのは高速の5連続突きからの斬り下ろし、そこから再度斬り上げて最後に全力の上段振り降ろしの8連続ソードスキル【ハウリング・オクターブ】を喰らわせる。

 

「ウガァッ!?」

 

そして振り終わったところで、黄雷を左手に握り直して水平斬りからの斬り上げ、最後に突きを放つ重3連続スキル【サベージ・フルクラム】を当て、再び黄雷を右手に戻して4連水平斬りの【ホリゾンタル・スクエア】へと繋げる。

 

「グハッ!?な、何が……起き…て…?」

 

「これで終わりです……ヤアッ!!」

 

最後にまた左手に持ち直して、重突進型のソードスキル【ヴォーパル・ストライク】を落雷のごとき速さで放って、バッカデー星人の体を突き飛ばす。

 

これがかすみんの今、繰り出せる最高の16連撃!!

 

「貴方の物語は……これで終わりですよ!!」

 

『サンダー!!』

 

「ウギャアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

目の前で起こる爆発に、私は背を向け…

 

「勝利の……ブイ!!」

 

それをバックにポーズを決めた。

 

爆発を背後にポーズを決めるかすみん……最っ高にカッコ可愛いです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

彼方side

 

「このッ!!このッ!!このォォォォォッ!!」

 

「ほい…はい…そいや~」

 

彼方さんはマグマ星人を相手にしていて、今は右腕に装備されてるサーベルを流水で難なく受け流してるよ~。

 

「くそッ!!なんだコイツ…?当たっているのにまるで手応えがない…!!」

 

「それはそうだよ~、水を斬るのは至難の技だからね~」

 

どんなに強く振るわれた剣でも、水のように上手く受け流せばダメージはないし、相手の疲労も蓄積するからね~。それに、先輩である彼方さんが負けてたら示しがつかないし~。

 

「ほいっと~」

 

「うおッ!?こんの…!!」

 

そして次の攻撃を後ろへと受け流しながら距離を取り、突きを放とうとするマグマ星人に私はヒュウゥゥゥゥゥゥ…と独特の呼吸で酸素を一気に吸い込み、右腕を後ろに引いて流水の剣先を相手のサーベルへと向け…

 

「全集中~、水の呼吸・漆の型…」

 

「この野郎ッ!!」

 

そしてマグマ星人のサーベルの先を中心に水面のに浮かぶ波紋を幻視し、その中心を狙うようにして最速の突きを繰り出す。

 

「雫波紋突き~」

 

―ガキィィィィィィン!!―

 

「ヌガッ!?」

 

互いの剣先がぶつかり合うが、ライダーの力に全集中で更に強化した身体能力から放つ突きに、マグマ星人のサーベルが砕け吹き飛ばされた。

 

「お、俺様のサーベルが!?」

 

「それじゃあ、そろそろ終わりにしようかな~?」

 

『必殺読破!!』『流水抜刀!!ライオン一冊斬り!!』

 

流水をドライバーの納刀してトリガーを引いて、再度抜刀し肺に酸素を取り込む。

 

「全集中~、水の呼吸・肆の型…」

 

「剣が無くても、人間くらい素手で…!!」

 

武器を失くしたマグマ星人が素手で向かってくるけど……それは悪手だよ~?

 

水を流水に纏わせ、私は淀みない動作で剣を振るい、マグマ星人の両腕と首を斬り落とした。

 

「が…!?」

 

「打ち潮~」

 

『ウォーター!!』

 

バラバラになったマグマ星人は、その場に倒れて爆散する。

 

「あふ…疲れたし、後でお昼寝しよ~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子side

 

「ハッ!!」

 

「ドリャア!!」

 

―キィィィィィィィィィン!!―

 

私の烈火とバロッサ星人の持つ刀がぶつかり、火花が散り、そのままつばぜり合う。

 

「中々の業物を持っていますね…」

 

「そりゃそうさ、俺様は兄弟の中でも特に剣に眼がなくてな……これは宇宙剣豪ザムシャーが持っていた【星斬丸】っつー最高の剣だ」

 

「なるほど、通りで…」

 

その会話の最中に私は後ろに下がり、すぐさま高速移動歩法【縮地】を使ってバロッサ星人の懐に飛び込んで剣を振るう…

 

「貴方のような素人が使っても、折れないわけです」

 

「おおっと!!」

 

けど、それを察知したのかすぐに下がって避けられる。

 

「残念だったな。その程度の速度じゃ、俺には止まって見えるぜ?」

 

「…………」

 

「今度はこっちから行くぞ!!ファイナルブレイク!!」

 

そして反撃開始とばかりに斬撃を飛ばしてくる。でも、私から見れば遅すぎるの一言。

 

「セイッ!!」

 

―バキィン!!―

 

烈火を振るい、その斬撃を斬り落とす。

 

どうやら、剣士としてはそこまで強くないみたいですね。動きもほぼ理解しましたし…終わらせましょう。

 

「ほぉ…中々やるじゃねぇか?」

 

「それはどうも。そして…貴方はもう終わりです」

 

私は腰を少し落とし、烈火を左腰の【必冊ホルダー】にセットし、トリガーを引く。

 

『烈火居合!!』

 

そこから再度、縮地でバロッサ星人の懐に飛び込む。もちろん、先程の()()()()()()()ではなく、最大速度で…

 

「……………………は?」

 

「八葉一刀流・七ノ型…」

 

いきなり目の前に現れた私に驚き、動きを止めているバロッサ星人に私は剣を勢いよく抜き放ち、その体を切り裂く。

 

これが師範から伝授された七つの型の1つで、私と師範の最も得意とする型。その名も…

 

「【無想覇斬】!!」

 

『読後一閃!!』

 

「うぎゃああああああああああああッ!?痛い…痛い…!!痛いィィィィィィィィィ…!!!!」

 

最初の一撃を喰らわせながらすれ違い、烈火を軽く振るった直後、無数の斬撃がバロッサ星人を襲う。剣を落とし体から大量の火花を散らし苦しむバロッサ星人にトドメを刺すべく、私は烈火をドライバーに納刀し、トリガーを引く。

 

『必殺読破!!』

 

「無明を断ち斬る、光輝の一刀…」

 

『烈火抜刀!!ドラゴン一冊斬り!!』

 

「参ります!!」

 

そして烈火を抜刀、刀身に炎を纏わせバロッサ星人へと斬り込む。

 

「この…!!むざむざやられっか!!」

 

「せいッ!!」

 

対するバロッサ星人は新たな武器…確かテレビで見たギャラクトロンMKーⅡの使う片手斧とガピヤ星人のサーベルでしたか?それで反撃しようとしますが、片手斧を振るう前に烈火の突きで手から弾き飛ばす。

 

「うおッ!?だったら…!!」

 

「ハッ!!」

 

次にサーベルを使おうとしますが、これも烈火で根本から斬り落とす。

 

「はあッ!?嘘だろ!?」

 

「やあッ!!」

 

「うがッ!?」

 

次に下からの斬り上げで防御を崩したら、そのまま上段に構え…

 

「ハアァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

裂帛の気合いから右から左下への袈裟斬り、左から右上への逆袈裟、右から左への水平斬り、左から右下への袈裟斬り、右から左上への逆袈裟と五芒星を描くように流れる動作で剣を振るい、最後の一太刀でバロッサ星人の背後へとすり抜ける。

 

「うぎゃああああああああああああ……あ、あれ?斬れてな~い?」

 

背後でバロッサ星人が髭剃りのCMの名言を呟くのを聞きつつ、私は某蟲柱のごとく剣をクルクルと回す。

 

今使った技は、かつて師範の故郷が内戦に陥った時に、仲間の人達と解決に向けて尽力していた頃に編み出したのを私なりに改良したもの。師範は技名に無明を照らす太陽を表したが、私にそこまでの技量も自信もまだない。だからこそ、私はすべてを照らす太陽ではなく、無明に道標のごとく光る星になる事を選んだ。それが今の私の奥義…

 

「終ノ太刀・(きらめき)!!」

 

『ファイヤー!!』

 

「ッ!?ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

技名を口にし、剣をドライバーに納刀した瞬間バロッサ星人が星型に切り裂かれて爆散する。

 

「やはり、師範の背中はまだ遠いですね…」

 

変身を解除し、ブレイブドラゴンのライドブックを握りしめながら自分の未熟さを痛感する。

 

「ですが……必ず、貴方の全てを継承してみせます」

 

それでも、いつかその強さを受け継いでみせると、自分の胸に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

宇宙人達を倒し終えた3人は、折れた剣を拾って私達の所に戻って来て無事を確認してハイタッチを交わした。

 

「2人とも、ご無事で何よりです」

 

「かすみんに掛かれば、このくらい楽勝ですよ~♪」

 

「相手が油断してたのもあるけどね~」

 

「それで……貴方達は?」

 

「それはですね……………………おろ?もしや【番長先輩の恋人】の渡辺先輩ですか?」

 

「ファッ!?」

 

私の問いにかすみと名乗った子が答えようとしたけど、私を見て少しの驚きと共に、とんでもない発言をしてきて顔が真っ赤になる。

 

「わ、わわわわわ私とイッセー君はそそそそそんな関係じゃ…!?」

 

どーいう事ッ!?1年生の間だと私とイッセー君は公認になってるの!?

 

「うわ~……動揺丸わかりの完全自白ですよ、この先輩…」

 

「こら、先輩をからかうものじゃありません」(ペチッ)

 

「てへ♪」

 

私をからかうかすみちゃんを、栞子と名乗った子が諌めて説明を引き継いでくれる。

 

「私達は日本のとある山で剣の修行をしていたのですが…ある日、目の前にひび割れた空間が現れて、それがいきなり割れると吸い込まれ、気がつけばこの世界にいたんです」

 

「それって…私達と同じ…」

 

「それからは~、持ってた山籠りの道具でキャンプしながら、脱出の方法か人を探してたんだよね~」

 

「そこでようやく先輩達を見つけて、しお子が状況的にピンチって判断して介入したって感じですね」

 

「そうだったんだ……」

 

話を聞いて彼女達の境遇に同情するが、ここで会えたのは幸運かもしれない。なのはさん達の魔法が使えない今、戦力が増えるのは心強い。

 

「私達も帰る方法を探してもらってて…良かったら、一緒に行動しない?」

 

「助かります。食料も手持ちが限界で、そろそろ現地調達にしようかと思っていたので…それなら私達も一緒に…」

 

「お~~~~~い、みんなぁ~~~~~~~~!!」

 

栞子から同意を得られそうな時、そこに新たな声が響く。全員が声の方を向くと、黒に毛先が緑のグラデーションが入った髪をツインテールにした、私と同じくらいの年齢の女の子が走ってきていた。

 

「あッ!!侑せんぱ~~~~い!!」

 

それを見たかすみちゃんが手を振る。

 

もしかして、さっき話してた先輩の人なのかな?やっと追いついてきたんだ…

 

そう思っていたら、その子は何故か走るのを止め、顔にお面……確かキュアハートだったっけ?……を着けると、何かを握りしめて猛然と走り出してきた。

 

え?何でお面!?しかも何握りしめてるの…!?

 

「あ、あれ…?なんかかすみん、ヤバみを感じるんだけど…」

 

「たぶん、それが原因かな~?」

 

そう言って彼方さんが指差す先には、かすみちゃんの折れた刀があった。しかもかすみちゃんは、その手で彼女を招いていたから、目に入ったんだろうなぁ…

 

そのまま突っ込んでくる先輩さん……そして近づいた事で、手に持っているものがハッキリわかった……あれ、出刃包丁だ………って包丁!?

 

「死ぃねえええええええええええええええッ!!!!」

 

「うひゃあああああああああああああああッ!?」

 

突っ込んでくる彼女をスレスレで回避するかすみちゃん…でも、恐怖はまだ終わらないみたい…

 

「ゆ…侑先輩…?」

 

「折ったな…?私の作った剣を……また折ったなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

「ご、ごごごごごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!」

 

「待てゴルァッ!!人が一振り作るのにどれだか時間と資源と情熱と愛情とトキメキ込めてるかわかってんのかァ!!それをポキポキポキポキ折りやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!私の剣はポッキーでもプリッツでもトッポでもねぇんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!代わりにお前の骨をポキポキしてやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」

 

お面の下で号泣しつつ、罵詈雑言を吐きながら包丁を振り回してかすみちゃんを追いかける先輩さん。すごく怖いです…

 

「しお子~!!彼方先輩~!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

そして仲間の2人に助けを求めたけど…

 

「「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」」

 

お手々のシワとシワを、合わせて合掌していた…

 

「薄情者おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

「チェストオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

そんな光景に私達は呆然として、もう少しでかすみちゃんが包丁の有効範囲に入りそうになる瞬間…

 

ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

 

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

大きな爆発音が木霊した。

 

「な…なにッ!?」

 

「あッ!!彼処よッ!!」

 

ティアナさんが指差す方向に目を向けると、大きな黒煙が上がっていた。

 

「彼処って……リョウさん達が戦ってる場所ね…」

 

「何があったんだろう…?」

 

「きっと、ギルバリスを倒したんですよ!!」

 

「行ってみよう!!」

 

駆け出すスバルさんを先頭に、私達(かすみちゃんと先輩さんは放っておく)はその爆心地へと向かう。そこで見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グ……うぁ…!?」

 

「アッハッハッハッハ!!無様だな、ウルトラマンどもよ!!」

 

辺り一面に散らばるギルバリスや白いのからギャラクトロンと思われる破片に、カラータイマーを鳴らし倒れているウルトラマン達、そして上空でこちらを見て笑っているガッツ星人と無言で佇んでいるベリアル・アトロシアスだった。

 

「うそ……でしょ…?ウルトラマンが4人もいて…?」

 

その光景にルーテシアちゃんが、か細く呟く。

 

「どうやら、試運転は上々のようだな。残すは客へのデモンストレーションのみ………それなら、お誂え向きな奴らがいるな?」

 

ガッツ星人はそう言うと、ウルトラマン達を指差す。

 

「よく聞け、ウルトラマン共!!今回はベリアルの試運転だから見逃してやる!!しかし、明日の正午!!再び俺達は此処で破壊活動を始める!!止めたければ、全力で来るがいい!!」

 

そしてそう言うと、ガッツ星人達はあるものをオーブとジードに投げ渡した。

 

「ついでに、コイツも返しておいてやる。もういらんからな」

 

「これは……ベリアルさんのカード!?」

 

「ベリアルカプセルまで…」

 

そしてガッツ星人達がその場を去ろうとする…

 

「待ってくれ!!父さん!!」

 

けど、そこにジードがベリアルへ呼びかけた。

 

「何で、貴方程の人がガッツ星人なんかに…」

 

「フン、呼びかけても無駄だ。このベリアルに感情なんてものは無い」

 

「なッ!?」

 

「テメェ…どこまで死者を冒涜するつもりだ!!」

 

「何を言う!!ベリアル程の強大な力……捨てる方が勿体ないだろう?」

 

「それはお前の我が儘でしかないッ!!」

 

「何とでも言えッ!!とにかく、明日の正午を楽しみにしておくんだな!!」

 

そう言い残してガッツ星人とベリアルは消え、ウルトラマン達もゼロを残して人間の姿へと戻った。

 

「一誠君ッ!!皆!!」

 

私はすぐに一誠君の元へと駆け寄っていき、仰向けに倒れてたのを抱き起こす。

 

「しっかりして!!ねぇッ!!」

 

「ぐ…!!曜……か…?」

 

「良かったぁ…!!」

 

少し怪我してるけど、無事に目を覚ましてくれた事に安堵する。

 

「さすがはベリアル……中々に強かったぜ…」

 

「とりあえず、怪我の手当てしないと!!」

 

「頼む…」

 

よほど疲れているのか、足元が覚束ない一誠君に肩を貸して皆の所へ戻りつつ、明日は最大の戦いになる予感が私の胸を過った…




いかがでしたか?

リク「ウルトラマンベリアル…俺の父さん……力に固執し、たくさんの悪事を働いてきた悪のウルトラマン……そのクローンだろうと、あの人は俺にとってはたった一人の血の繋がった家族なんだ。だからこそ、今度は解り合いたい!!仲間として!!親子として!!だから皆、頼む!!俺に力を貸してくれ!!」


次回【MINDを取り戻せ】


リク「ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!」






栞「ここで令和こそこそ噂話を……私とかすみさんは彼方先輩から全集中・常中を、かすみさんと彼方先輩は私から縮地を学んで会得しているので、剣さえあれば上級悪魔や中級のバグスター程度なら互角以上に戦えます」

か「いや、だからって全集中やりながら縮地って……最初は一回で肺が破裂しそうだったんですけど…?」

彼「それが今や、何回も連発出来るんだからね~。よく頑張りました~」(かすみの頭ワシャワシャ)

か「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?折角整えたかすみんの髪型がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


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MINDを取り戻せ

ス「期間が空きましたけど、皆さんおはこんばんちわ~♪スバル・ナカジマです!!」

ノ「ノーヴェ・ナカジマだ…って、またその挨拶かよ?」

ス「どの時間帯でも使えるから便利なんだ~♪そういえば、ノーヴェは知ってる?」

ノ「何を?」

ス「作者が最近、転生した主人公が自分が楽しむ為に原作介入して、敵にも味方にもなって話を引っ掻き回すような変な作品書こうとしてるの」

ノ「よっし、1発殴りに行くか」

ス「なんでッ!?」

ノ「ウチの作者、どんだけ作品ほったらかしてると思ってんだ!!1発灸を据えとかねぇと…」

ス「まあ、まだどんな原作でやるのかも決まってないし、構想も何もないアイディアだけだから暫くは大丈夫だよ」

ノ「だといいんだが…」

ス「それじゃ、久々のタイトルコールといこう!!せーの…」

ノ・ス「「ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編…始まります」」


ガッツ星人とベリアルの撤退後、あれから一誠達はホテル・アルピーノに戻り、リョウとリクと一誠は手当てを受け、それ以外は大広間に集まっていた。そして人間態をまだ持っていないゼロはというと…

 

『悪いなエリオ、体を借りちまって…』

 

「いえ、困った時は助け合いですから」

 

一時的にエリオと一体化していた。そして治療が終わった一誠達も合流し、ベリアル達について話し合いが始ま…

 

『グルゥ…』「すやぴ~…」

 

「ねぇ?(ビシっ)人の(ビシッ)作った(ビシッ)剣を(ビシッ)折って(ビシッ)楽しい?(ビシッ)ねぇ?(ビシッ)どうなの?(ビシッ)だいたい(ビシッ)剣の(ビシッ)扱いが(ビシッ)荒すぎる(ビシッ)んだよ。(ビシッ)その辺(ビシッ)どう思って(ビシッ)いるのか(ビシッ)聞かせてよ?(ビシッ)ねぇ?(ビシッ)ねぇ?(ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシッ)」

 

「あう!?その…痛ッ!?反省…きゃう!?してます…にゃあ!?から…痛い!?いい加減…うぴゅ!?顔を…あぷッ!?つつくのを…はわ!?止めて…はぶぶぶぶぶぶぶぶぶぅ!?」

 

「包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い包丁怖い…」(ガタブル…)

 

「「「「「「なんだコレ?」」」」」」

 

らなかった。

 

大広間に入った一誠達が見たのは、彼方がどこから連れてきたのか、青いライオンのお腹を枕にして寝ていて、栞子は侑に顔をつつかれながら責められていて、かすみは部屋の隅で体育座りしながらブツブツ呟きながら震えている光景だった。

 

「あ、皆大丈夫?」

 

「ええ…ですが、彼女達は?」

 

「私達が避難してた場所に別の宇宙人が襲撃してきて、それを撃退してくれた人達なんだけど…」

 

リョウの疑問に答えるティアナも、この光景を見てその顔には苦笑が浮かんでいた。

 

「とりあえず、まずはあのツインテを大人しくさせるか」

 

このままでは全く話が進まないと思った一誠は、栞子の頬をつついている侑の背後に立つと…ぐわしッ!!と彼女の頭を右手で掴んだ。

 

「ん?」

 

「ちょっと黙れ」(ギリギリ…!!)

 

「みゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?!?!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いィィィィィィィィィッ!!!!!!!!」

 

そして力を込めて握っていく。侑が痛みに悲鳴を上げるが、構わずさらに力を加え…

 

「ああああああああああああああああああああああああああああ…!!!!ガクっ」(チーン…)

 

とうとう痛みに耐えきれず、侑は気絶した。

 

「後は左斜め45度から……よっと」(ゴス!!)

 

「あだぁッ!?……あれ?私は何を…」

 

さらに頭部を軽く(?)殴って、侑を正気に戻した。

 

「同じようにコイツも…」(ゴス!!)

 

「みぎゃッ!?……あれ?かすみんはどうしてこんな事を…」

 

「最後に寝てる奴は……ほい」(ビシュ!!)

 

「すやぴゃッ!?……あれ?もう朝…?」

 

『グルゥ……』

 

「うしっ、これで話し合いができるな」

 

「「「「「「いやいやいやいやッ!?」」」」」」

 

そんな雑な戻し方に周りがツッコむ。おまけに彼方の起こし方は、右手の親指で弾いた空気の塊を額にぶつけるという人間離れした方法だ。

 

「アンタ…女の子はもっと丁寧に扱いなさいよ…」

 

「んな事やってたら時間の無駄だ。おい、大丈夫か?」

 

ティアナの説教を気にもせず、一誠は侑につつかれまくっていた栞子に声を掛けるが…

 

「……………………………………………………」

 

何故か一誠を見ながら固まっていた。その頬をほんのり赤く染めながら…

 

「おい、本当に大丈夫か?つつかれ過ぎて、どっか痛めたか?」

 

「へ…?あッ!?だ、大丈夫でしゅ!!ハイ!!」

 

「…?ならいいが」

 

もう一度声を掛けると、ハッと意識を取り戻し、顔を真っ赤にしながら慌てて問題ないと噛みながら肯定した。それに一誠は怪訝な顔になるが、気にせず席に着く。栞子も平静を取り戻して席に着くが、そんな彼女の内心はというと…

 

(どうしよどうしよどうしよどうしよ!?まさか、あの憧れの兵藤先輩とこんな近くでお話できるなんてッ!!あのキリッとした目とかスゴく凛々しくてカッコいいですし、腕の筋肉も細マッチョって感じで逞しい!!あれで壁ドンされてしまったら……なんて想像しただけで脳が沸騰してしまう!!でも、慌てて喋ったから噛んじゃったし…変な子とか思われてないでしょうか!?)

 

恋する乙女モード全開だった…

 

何故彼女がこうなのかは、追々語るとして……これでようやく話し合いができるようになった。

 

「とりあえず、全員揃ったところで……あのベリアルについて対策会議を始めよっか。まずは…貴女達の自己紹介してもらってもいい?貴女達を知らない人もいるから…」

 

「わかりました」

 

議長役であるなのはに言われ、迷子の剣士組の1人である栞子が最初に立ち上がる。

 

「改めまして…駒王学園一年在籍、【三船 栞子】と言います。見習いの剣士で聖剣【火炎剣烈火】の所持者です。剣の流派は八葉一刀流…位は中伝。よろしくお願いします」

 

「なら、次は彼方さんだね~」

 

栞子の紹介が終わると彼方が手を上げるが……立ち上がるのではなく、青いライオンの背に跨がっていた。

 

「私は【近江 彼方】ちゃんだよ~。栞子ちゃん達と同じ駒王学園に在籍していて、学年は三年生だね~。後は、聖剣【水勢剣流水】の所持者で~、水の呼吸の皆伝者なんだ~。あと、趣味はお昼寝だよ~」

 

そんな間延びした喋りで紹介を終えると、次にかすみが勢いよく立ち上がる。

 

「次はかすみんですね!!私は【中須 かすみ】です♪かすみんって呼んでくださいね。2人と同じで駒王学園の一年生で~す♪聖剣【雷鳴剣黄雷】の所持者で、ソードスキルで華麗に戦いますよ♪」

 

「……媚びた様な喋り方がイラってくるな」

 

「まあまあ…」

 

そんなかすみの喋りに、青筋を浮かべる一誠を曜が宥める。そして最後に侑が立ち上がった。

 

「それじゃあ、最後は私だね。私は【高咲 侑】!!駒王学園の二年生で実家が鍛冶屋なんだ。私も刀とか剣を作ったりしてるし、整備なんかもできるよ。他にも、3人の持ってるソードライバーを調べて、色んな聖剣も作ってるんだ」

 

「え?聖剣って作れるの…?」

 

「侑先輩、それに関しては天才的なんですよね……」

 

「今あるのだと…絶対折れない大地の聖剣とか、手裏剣や二刀流になる風の聖剣とか、剣と銃に変形する音の聖剣とか、相手の攻撃を吸収する闇の聖剣とか…」

 

「……最後の邪剣じゃない?」

 

「他にも…」

 

「え~っと……これで自己紹介は終わりって事で!!そろそろベリアルの対抗策を考えよう!!」

 

長くなりそうな侑の説明に、なのはは少々強引に自己紹介を終わらせ、対策会議を始める事にする。

 

「まずはあのベリアルの力を知りたいところだけど…」

 

『エリオ、説明するから俺と変わってくれ』

 

「わかりました。皆さん、ゼロさんが説明してくれるみたいなので変わります」

 

そう言ってエリオは目を閉じ、再び開けると瞳の色が金色に変わる。これがゼロが表に出ている時の証なのだろう。

 

「まずベリアルについてだが……」

 

表に出たゼロがベリアルについて話し始める。その能力や技術、武器の特性や今までの悪事などを…

 

「ざっと話すとこんな感じだ。その上、今の奴は強化形態のアトロシアス……ここにいるウルトラマン達が全力で挑んで……勝率は五分五分…いや、もっと低いかもしれねぇ。おまけにガッツ星人のヤローが手を出さない訳がない。かなり苦しい戦いになるだろうな」

 

そう言ってゼロが話を終える。そこで話を聞いていたティアナが呟く。

 

「アタシはなんとなく解るわ、ベリアルの気持ち…」

 

「え…?」

 

その呟きに反応するゼロに、ティアナは語り続ける。

 

「周りが天才な奴らばっかりだとね?自分の無力さを思い知らされるのよ……そして追いつこうと努力して結果を残しても、天才連中はそれを簡単に上回っていくし、周りはそればかりを持て囃していく……すると、その向上心は焦りに、やがて天才連中に対しての嫉妬に変わる……そして力を求める。どんな卑怯な方法だろうと…自分を認めさせて、見返す為に……」

 

「………」

 

「ベリアルはたぶん、昔はウルトラの戦士ってのに人一倍プライドを持ってたんじゃない?でも、敵の持つ自分以上の力を目の当たりにし、プライドを仲間の天才連中に簡単に踏みにじられて、それが憎悪へと変わった……ねぇ?昔のアンタ達は、ベリアルを労った事があるの?間違った道に進んだ時、キチンと説教して導いたの?たぶん、そのウルトラの父ってのを持て囃していくばかりだったり、さっさと追放したんじゃない?そんなアンタ達がベリアルを悪に落としたのよ」

 

「ティア……」

 

そして話を終えたティアナは紅茶を口にする。かつては彼女も周囲との差に焦り、嫉妬して力を求め失敗し、当時の上官であったなのはに叩きのめされた後に、自身の事をちゃんと考えてくれていた事を教えられた。だからこそ、彼女は腐らずにここまで来れた。だけどベリアルは誰に道を示されるでもなく、ただ放逐された。それが心の隙を作り、怒りや憎悪をレイブラッド星人に利用されて取り憑かれる原因になったのを彼らは理解していなかった……でも、リクだけはそれを理解した。だからベリアルの魂を解放する事が出来た。おそらく、他のウルトラ戦士に倒されていたら、彼はまた復活していただろう…

 

「だから……父さんには、もう休んでほしいんだ…!!」

 

そこにリクが、悲しみと怒りを込めた声で呟く。

 

「あれだけ苦しんで憎んで、怒りと悪意の中で生きてきた…だから、もう安らかに眠らせてあげたいんだ…」

 

それがリクの想いだ。今まで何度倒されても甦り、ウルトラ戦士達への怒りと悪意を募らせてきた。そんなループからようやく解放されたというのに、それを未だに妨げようとする者達がいる。そんな事はこれ以上させない為に倒すと心に誓おうとした時…

 

「では、まずベリアルさんの心を取り戻さないといけませんね」

 

「…………え?」

 

そこでリョウが思いがけない事を口にした。

 

「おいおい……ベリアルの心を取り戻す?そんな事して、また暴れられたらどうする気だ?」

 

その案に真っ先に反対するのはゼロだ。彼はベリアルと何度も戦い、その強さを身を持って知っている。だからこそ反対しようとするのだが…

 

「ですが、リクの言っている【安らかな眠り】は、ベリアルさんに未練を残させないようにする事です。なのに、相手の心が無い状態では安らかに眠らせる事なんて叶いません」

 

「いや…それは確かにそうだが…」

 

「それに…」

 

そこでリョウはリクの頭に手を置く。

 

「これがリクとベリアルさんの話せる、最後の機会かもしれないんです。私としては、リクにも後悔しないようにしてほしいんですよ」

 

「リョウさん……」

 

「なので、私はベリアルさんの心を取り戻す戦いをしようと思うのですが……………どうでしょう?」

 

「私はクレナイさんの考えに賛成します!!」

 

「アタシも賛成するわ」

 

彼の案に真っ先に同意したのは、スバルとティアナだ。2人は共に大切な家族を亡くしている…だからこそ、その家族と話せるチャンスを持つ彼の手助けをしたかったのだ。

 

「ワタシも賛成します!!」『キュクルー!!』

 

「もちろん、アタシもね♪」

 

「すみませんゼロさん、僕もクレナイさんの提案に賛成です」

 

「ジードには一度助けられたからな、恩は返すさ」

 

「私も賛成です。ね、月ちゃん?」

 

「もちろん!!ボクも賛成だね!!」

 

「私達剣士組も、その案に賛成します」

 

「皆……」

 

そこから次々にリョウへの賛成意見が集まっていく。そんな光景にリクは胸が暖かくなる想いだった。

 

『こりゃ、俺の負けだな……うしッ!!なら、どうやってベリアルの心を取り戻すか考えるか!!』

 

そんな状況にエリオの中に戻ったゼロも折れ、頭を切り替えてベリアルを助ける方法を考え始める。

 

「そうですね……」

 

「う~ん…」

 

「さっきみたいに、左斜め45度で頭叩いてみるか?」

 

「一誠君、それで戻ったら苦労しないって……というか、逆に記憶失くさない?」

 

「過去の思い出を語ってみるとか?」

 

『その前に、話を聞いてはくれねぇだろうな…』

 

しかし、そんな方法が簡単に見つかる訳がない。全員が途方にくれていた時…

 

『ならば、ワタシが力を貸そう』

 

「「「「「「「え?誰…?」」」」」」」

 

何処からか老年の男性の声が聞こえてきた。その発生源を探していたら…

 

「あ、リク君の腰のケースが光ってる」

 

「え?……本当だ」

 

リクの右腰に付いている、ウルトラメダルではなくウルトラカプセルをしまうケースが光っていたのだ。そのケースを開けると1つのカプセルが光を放っていて、取り出すとそれは光の国の長老である【ウルトラマンキング】の力が宿ったカプセルだった。

 

「キングのカプセルが…」

 

『リク、カプセルを起動してみろ』

 

「わかった!!」

 

ゼロに言われてカプセルを起動させると、先端から金色の粒子が溢れ、小さなウルトラマンキングの姿を形成した。

 

『どうしたんだ、キングのじいさん?』

 

『君達の話はカプセルを通して聞かせてもらった。ベリアルについては私にも責がある……なればこそ、そのベリアルを救おうとする若者達を手助けするのが私の罪滅ぼしだ…』

 

「それで、父さんの心を取り戻す方法があるんですか?」

 

『うむ。その為には、ここにいる者達全員の協力が必要だ』

 

そう前置きしてから、キングは作戦を話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日正午…ギルバリスと戦った場所でリョウ・リク・一誠・エリオが待っていると、ガッツ星人とベリアル・アトロシアスが目の前に降り立った。

 

「時間ピッタシだな」

 

「律儀ですね…」

 

「約束通り来たな、ウルトラマンども……ここでお前達を倒して、このベリアルの商品価値を上げさせてもらうぞ?」

 

「ハッ!!そんな人形なんかで俺達を倒そうなんざ……2万年早えぜッ!!いくぞ、お前ら!!」

 

「「(ハイ/オウ)ッ!!」」

 

ゼロの声にリクを除いた2人が声を上げ、変身アイテムを取り出す。

 

「ウルトラマンさん!!ティガさん!!光の力…お借りします!!」

 

『フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!!』

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」『ZERO・SEVEN・LEO』

 

『ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマンゼェット!!』

 

「ウルトラマン…ゼェェェット!!」

 

『ULTRAMAN Z・ALPHA EDGE』

 

「ボクたちもいきましょう、ゼロさん!!」

 

『ああッ!!』

 

リョウがオーブに、一誠がゼットになり、エリオは胸ポケットから赤・青・銀の派手なカラーリングのメガネ型アイテム【ウルトラゼロアイNEO】を取り出して目元にあてがい、右上のボタンを押してゼロに変身する。

 

「ヘアッ!!」

 

そして変身を終えた3人は大地に降り立ち、ベリアルと対峙する。

 

「ん?ジードはどうした?」

 

「アイツなら、やる事があんだよ」

 

「まあいい…さぁ行け、ベリアル!!ウルトラマンどもをなぎ倒せ!!」

 

「ウェアアアッ!!」

 

「それじゃ、作戦開始ですね」

 

「2人とも、ヘマすんじゃねぇぞ!!」

 

「わかっておりますとも!!」

 

ガッツ星人の指示で向かってくるベリアルに、ゼロ達も構えて迎え撃つ。その光景をリクは少し下がった場所で見ていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………」

 

そしてその頃、M78星雲にある光の国では、ウルトラ警備隊を取り仕切る大隊長のウルトラの父こと【ウルトラマンケン】は何かを感じ取ったのか、決意したような雰囲気を纏いながら空のある一点を見つめ続けていた。

 

「どうされたのですか?」

 

そんな彼の傍に来たのは、彼の妻であり銀十字軍を仕切るウルトラの母こと【ウルトラウーマンマリー】だ。その手には小さな箱の様な物を持っている。

 

「…………私は少し出かけてくる」

 

「そうですか…」

 

ウルトラの父の言葉に、彼女は頷く。詳しく聞かなくても何処に何しに行くのか彼女は知っている。何故なら先ほどから、彼女も彼と同じものを感じ取っていたからだ。そして、彼がその為に出撃する事も見越していた。彼女が此処に来たのは、彼に必要なものを渡すためだ。

 

「では、こちらを持っていってください」

 

「ん?これは……良いのか?」

 

「はい、キングの許可は得ています」

 

「……ありがとう」

 

彼女に礼を言うと、ウルトラの父はその場から飛び去っていった。その場に残ったウルトラの母は、両手を組んで空に祈る。

 

「どうか…皆にとって、幸せな終わりとならんことを…」




いかがでしたか?


ゼット「遂に始まったベリアルさん救出作戦!!全員が力を合わせれば、この程度……と思っていたらガッツ星人が分身し、さらに変身してベリアル融合獣にッ!?だけど、今の俺達は負ける訳にはいかんのです!!」


次回【親子のReunion】


ゼット「ウルトラ救うぜッ!!」



※前書きのネタは、やるとしてもこの作品を完結させてからです。


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親子のReunion

ヴィ「どうも皆さん、高町ヴィヴィオです」

な「高町なのはです」

ヴィ「とうとう始まりました、ベリアルさん救出作戦!!」

な「とてつもなく大変な事だけど、皆で力を合わせればきっとできるよ!!」

ヴィ「そしてヴィヴィオ達も大活躍を…」

な「あ、子供組は曜さんや月さんと一緒にお留守番だからね?」

子供一同「「「「何故ぇッ!?」」」」

な「危ないからに決まってます。という事で、ゲームの力でこの世界を生きていく・リリカルなのはVivid編、始まります♪」


「ウェアアアッ!!」

 

「ゼリャアッ!!」

 

「チェヤ!!」

 

ガッツ星人の命令で攻めてくるベリアル・アトロシアス。手に持つギガバトルナイザーを横凪ぎに振るってくるが、ゼロはこれを回し蹴りで迎撃。さらにその隙を狙ってゼットが正拳突きをベリアルの胸に決める。それに怯んだところをゼロが追撃に蹴りを入れる。

 

「まだまだ!!」

 

「ドンドンいきましょう!!」

 

ゼロは両手に自身の頭部にある宇宙ブーメラン【ゼロスラッガー】を持ち、ゼットはアルファチェインブレードを手にすると勢いよく振るっていき、ベリアルを切り裂いていく。

 

「ウゥゥゥゥ…!!」

 

「2人とも、避けてください!!」

 

「おう!!」「はい!!」

 

「スぺリオン光線!!」

 

反撃を与えぬ怒濤の連続攻撃に、ベリアルが防戦一方になったところでオーブの声に2人が左右にずれると、その間を限界までチャージされたスぺリオン光線が駆け抜け、ベリアルは何とかギガバトルナイザーを回転させて盾にし防御するも吹き飛ばされて尻餅を着く。

 

「今だッ!!フォーメーションを変えるぞ!!」

 

「押忍!!」「了解!!」

 

その間に3人は立ち位置を入れ替える。ゼットはガンマフューチャーに、オーブはナイトリキデイターに、ゼロはストロングコロナにフォームチェンジし、下がったゼットの変わりにオーブが前に出る。

 

そして立ち上がったベリアルにオーブがナイトアグルブレードで斬りかかる。それは防がれるも、がら空きの脇腹にゼロの蹴りが決まる。

 

「ジェアッ!!」

 

「ウェアッ!?」

 

「これでも喰らっちゃいなさい!!」

 

そこに援護としてゼットがカード状のエネルギー弾を不規則な軌道で飛ばしてダメージを蓄積させていく。だが、やられるばかりのベリアルではない。カード弾のダメージを無視して、ギガバトルナイザーから稲妻状の光線【ベリアルジェノサンダー】を放つ。しかし、2人の前にゼットが立つと…

 

「ガンマスルー」

 

展開した魔法陣で、光線を別の場所に移動させて防ぐ。

 

「ガンマイリュージョン」

 

さらに指パッチンと共に、ダイナ・ストロングタイプとガイアV2の幻影を呼び出す。そしてダイナの隣にゼロが並び立つと、ガルネイトボンバーとガルネイトバスターを同時に放つ。

 

「ディヤ!!」

 

「ガルネイト…バスター!!」

 

2つの炎の攻撃…だが、ベリアルは両手の爪に闇のエネルギーを纏わせた【デスシウムデストラクト】で薙ぎ払って防ぐ。そこに続けてガイアV2の【フォトンクラッシャー】とオーブの【クラッシャーナイトリキデイター】が襲い掛かる。

 

「ジョワ!!」

 

「クラッシャーナイトリキデイターッ!!」

 

その攻撃も口から放つ音波攻撃【アトロスロアー】によって相殺される。

 

最後にティガ・マルチタイプを呼び出すと、ゼットはゼスティウム光線をティガのゼペリオン光線と同時に放つ。

 

「チャッ!!」

 

「ゼスティウム光線!!」

 

2つの必殺光線は絡み合いベリアルへと迫るが、それは切断技【アトロスリッパー】によって迎撃されてしまった。

 

「なんてヤツだ…!!あれだけの攻撃を完全に防ぐなんて!?」

 

「ボサッとしてんじゃねぇ!!」

 

必殺光線の連続攻撃を無傷で凌いだベリアルに、ゼットが驚愕しているとゼロから叱責が飛び、慌てて移動するとその数瞬後を【ベリアルデスサイズ】が通りすぎていった。

 

「戦闘中に余計な事を考える暇があったら、しっかり役割を果たせ!!」

 

「ウルトラすんません!!」

 

ゼットを叱責しつつ、ベリアルへの警戒を怠らないゼロ。そんな彼はチラっとガッツ星人の方を見る…

 

「むぅ……さすがにウルトラマン3人が相手では、分が悪かったか…?」

 

(どうやら、しっかり気を引けているみたいだな…)

 

目論見どおり、ガッツ星人の意識が自分に向いているのを確認したゼロは内心で安堵しつつ、すぐに気を引き締める。

 

(ベリアル達はキチンと引き付けておく……だから頼んだぜ、皆…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子side

 

私は今、森の中を全速力で駆け抜けていた。

 

(確か……ウルトラマンキングの話だと、この辺にあるはず…)

 

何故、私が森の中を走っているのかというと…ベリアルの救出に邪魔な物を破壊する為です。他にも彼方先輩とかすみさん、パラドさんも別の場所で同じ物を壊すために動いています。

 

「え~と………………あった!!」

 

そして周囲を見渡すと、森の中に相応しくない大きな機械が置かれていた。それが目的の物だと判断した私は、腰にソードライバーを装着しワンダーライドブックを開く。

 

『ブレイブドラゴン!!』『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』

 

そしてそれをソードライバーに装填、火炎剣烈火を抜刀する。

 

「変身!!」

 

『烈火抜刀!!』『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』

 

セイバーになった私はその機械を壊そうとするが、その機械の周囲に白と黒の体に赤いモノアイの兵隊【バリスレイダー】がたくさん現れる。

 

護衛部隊といったところですか……ですが、それで私が止まる事はありません!!

 

「八葉一刀流、二ノ型・改…」

 

私は腰を深く下げ、足に力を溜めて縮地で一気に解放。そのまま正面の1体を切り裂いてからすぐに縮地で移動し、別の1体を切り裂く。それを高速で繰り返しながら、全員に一太刀浴びせつつ1ヶ所に集めた後に、烈火を必冊ホルダーに納める。

 

『烈火居合!!』

 

そしてトリガーを引いてから素早く抜き放ち、炎の斬撃波を飛ばす。

 

これが師範から教わった1対多戦での剣技。その名も…

 

「【(うら)疾風(はやて)】ッ!!」

 

『読後一閃!!』

 

炎の斬撃波は護衛部隊を両断しながら突き進み、目的の機械をも真っ二つにした。

 

「残りは後、2つ…」

 

ちなみに壊したこの機械は、バロッサ星人の言っていた魔法の阻害装置です。キングの調べたところ全部で12ヵ所に設置されていて、私達は分担でそれを全て破壊するのが役割です。

 

「時間もありませんし……急ぎましょう!!」

 

破壊を見届けた私は、その場からすぐに移動する。

 

(待っていてください先輩!!必ず貴方の役に立ってみせます!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミラクルゼロスラッガー!!」

 

「ライトニングジェネレード!!」

 

同時刻、ウルトラマン達の戦いは苛烈を極めていた。ルナミラクルにフォームチェンジしたゼロのスラッガー、ウルトラメダルを使ったゼットの必殺技をベリアルはギガバトルナイザーで打ち払い…

 

「フォトリウムナックル!!」

 

フォトンビクトリウムになったオーブの必殺パンチを、片手で受け止めると至近距離からベリアルショットを叩き込む。

 

「ジェアアアッ!?」

 

「オーブ先輩!!」

 

吹き飛ぶオーブに駆け寄り起こすゼット。そこにベリアルが必殺の光線【アトロスバースト】を放つ。

 

「ゼットォッ!!」

 

「ッ!?ゼットアイアス!!」

 

ゼロの呼び掛けでゼットはそれに気づき、ギリギリで7枚のシールドを張る【ゼットアイアス】を展開する。しかし、アトロスバーストの威力にシールドは次々に割れていき、最後の1枚になった時…

 

「レボリウムスマッシュ!!」

 

ベリアルの背後に移動していたゼロの超至近距離攻撃によって光線を解除され、その間にゼット達も体勢を立て直した。

 

「すみません、ゼロさん。ゼットも…」

 

「気にすんな」

 

「自分は大丈夫ですたい!!」

 

ゼロ達が申し訳なさそうなオーブを励ましていると、森の中から赤い煙が立ち上ぼり始めた。それに続くように青・黄色・紫の煙も上がり始める。

 

「あれは…!!」

 

「合図の狼煙でござるよ!!」

 

「ようやくか!!」

 

「な、なんだ!?あの煙は…!!」

 

それを見たオーブとゼロ、ゼットが活力を取り戻し、ガッツ星人は困惑し始める。それと同時にベリアルの体にピンクとオレンジ、紫の光の帯が絡まっていき、動きを押さえつけた。

 

「これは……バインドの魔法だと!?この辺りでの魔法は封じてあった筈…!?」

 

「その装置なら、もう破壊したわよ?」

 

ガッツ星人の言葉に返事をしたのはティアナで隣にはなのはとメガーヌもいて、足下には魔法が発動している事を証明する魔法陣が輝いている。

 

「バカなッ!?魔法が使えなくなったお前達が、どうやって護衛部隊もいる装置を破壊できると…!!」

 

「答えは簡単……魔法を使わずに強い人達に頼んだのよ」

 

そう言って勝ち誇った様な笑みを浮かべる。

 

「チィ…!!バロッサ達を倒した奴等か…!!だが、ベリアルにその程度の拘束…」

 

「まだ終わりじゃないわよ?」

 

ガッツ星人の言うとおり、バインドだけでベリアルを押さえつけるのは無理だ。そんな事は彼女達も理解している。

 

「ガンマフリーザー」

 

そこにゼットが冷凍光線を発射、ベリアルの頭上で炸裂して冷気を振り撒き、その体を氷付けにする。さらにゼットはゼットランスアローを手にすると、ボタンを叩きレバーを2回引いて左手をゆっくりと下げながら先端に氷の矢を作り上げ…

 

「ゼットアイス…アローッ!!」

 

氷の矢を射出。ベリアルに直撃すると更なる氷がベリアルを包み込む。

 

「おまけのガンマミラクルホールドでごわすッ!!」

 

そこに光のリングでさらに縛り付ける。やり過ぎなレベルの拘束を施されたベリアルにガッツ星人は苦虫を噛み潰す。

 

「く…!!ベリアルッ!!そんな拘束、とっとと…!!」

 

「キャロッ!!ルーテシアッ!!」

 

拘束を解かせようと指示を出そうとするガッツ星人だが、彼らの作戦はまだ終わってはいない。ゼロの隣にキャロが、オーブの隣にルーテシアが現れ…

 

「「我、願うは癒しの輝き。誇り高き光の戦士に、邪悪なる闇を払いし力を!!」」

 

『『Boost up HEALING POWER』』

 

魔法の起動文を読み上げ、ゼロ達の前に巨大な魔法陣を浮かべる。それを見てオーブはフルムーンザナディウムになり、ゼロと共に光線発射の準備に入ると…

 

「フルディウム光線!!」

 

「フルムーンウェーブ!!」

 

その魔法陣へ勢いよく光線を放つ。それが魔法陣に当たると魔法によって浄化能力が強化された光線がベリアルへと命中し、闇の力を抑え込んでいく。

 

「今だ、リクッ!!キングのじいさん!!」

 

「ああ!!」

 

『では、行くぞ』

 

それを見てゼロは叫び、今まで近くにいたリクはキングの力でベリアルの意識へと潜り込んでいった。

 

これがキングから教えられた作戦…最初はゼロ達が戦うことで相手の注意を引き、魔法を使わず戦える仮面ライダー達が魔法妨害装置を破壊。それで魔法を使えるようになったらバインドでベリアルから隙を作り、そこにウルトラマン達の力でさらに拘束して動きを封じ、強化魔法で浄化能力をました光線で闇のオーラエネルギーを抑え込んでいき、最後にジードがベリアルの意識に入って心を解放させるというものだ。

 

「なるほど……そういう事か!!ベリアルの解放などさせんぞ!!」

 

それを見てウルトラマン達の作戦を理解したガッツ星人は激昂、自身の分身を2体作り出す。

 

「へッ!!今さら分身した程度で、俺達を止められるかよ!!」

 

「だったら……こんなのはどうだ?」

 

ゼロの煽りにガッツ星人は心の中でほくそ笑みながら、左手に2本の黒いカプセル【怪獣カプセル】を持ち、右手にはリクが持っているのと同じ【ジードライザー】が握られていた。

 

「何故、お前がそれをッ!?それはウルトラマンとしての力がなければ使えない筈…!!」

 

「知っているだろう?俺の目的はベリアルの兵器化……これの使用もその1つなのさ!!ゴモラ!!タイラント!!」

 

「ではこちらも…キングジョー、ギャラクトロン」

 

分身のガッツ星人達は、そのカプセルを読み込んでライザーのトリガーを引く。

 

『フュージョンライズ…!!ゴモラ…!!タイラント…!!ウルトラマンベリアル!!ストロングゴモラント!!』

 

『フュージョンライズ…!!キングジョー…!!ギャラクトロン…!!ウルトラマンベリアル!!キングギャラクトロン!!』

 

右のガッツ星人の分身はダークグレーと赤のツートンカラーに巨大な翼を背負い、長い尾の先には鎌とトゲ付き鉄球があり、ゴモラに似た頭部とベムスターの腹部を持つベリアル融合獣【ストロングゴモラント】になり、左のガッツ星人の分身は頭部と左半身がギャラクトロン、腹部と右半身がキングジョーで構成され、右腕には大型砲を装備した【キングギャラクトロン】に変身した。

 

「アイツ…!!ベリアルから力を貰っていたのか!?」

 

「フハハハハハハハハハ!!!!あのベリアル信者の事は知っていたよ。どうやって融合獣になったのかもな?それを知った俺は、これはトンでもないビジネスチャンスだと確信した!!だから俺は、死んだベリアルの因子を集めて奴を甦らせ、その力の提供と怪獣カプセルの販売を始めようとした時に、貴様らに見つかってしまったのだ!!このお邪魔虫どもがァッ!!」

 

「そんな物を売りさばいたら、宇宙がどれだけ混乱すると…!!」

 

「俺が儲かるなら、他の星の事など知ったことじゃない!!いくぞ、お前達!!」

 

「「ゴアァァァァァァァァァァァァッ!!!!」」

 

本体の言葉に分身のベリアル融合獣達は雄叫びを上げ、ゼロ達へと向かってきた。

 

「マズイッ!?さすがにベリアル融合獣は予想外だ!?」

 

「奴等に攻撃されたら、この状態を維持するのは…!?」

 

まさかの展開に窮地に陥ったゼロ達だったが、そこに空から緑色の光球が両者の間に落ちてきた。

 

「ギャオオオオオオオオオッ!?」

 

「今のは……まさか!?」

 

その衝撃にベリアル融合獣達は吹き飛ばされ、ゼロはその正体を理解する。その光球が落ちた場所には1体の巨人がいた。赤いマントを羽織り、頭部には大きな2本の角【ウルトラホーン】を持つ、その巨人の名は【ウルトラの父】……宇宙警備隊を束ねる大隊長だった。

 

「ウルトラの父ッ!?」

 

「大隊長……なんでアンタが…」

 

「ベリアル復活の気配を感じてな……奴等は私に任せて、お前達は自分のやるべき事に専念するんだ」

 

「わかった!!」

 

ウルトラの父の言葉で、再びベリアルへと集中するゼロ達。ウルトラの父はそれに頷くと、目の前にいる2体のベリアル融合獣へと向き合う。

 

「まさかウルトラの父までやって来るとは……だが、お前を倒せば売り上げは爆上がりだ!!行くぞッ!!」

 

「「ゴアァァァァァァァァァァァッ!!」」

 

「ガッツ星人よ…これ以上、私の友を侮辱する事は許さん!!」

 

ウルトラの父はマントを脱ぎ捨てると、ベリアル融合獣へと挑んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リクside

 

ウルトラマンキングの力で父さんの意識に飛び込んだ俺が最初に見たのは、何も見えない真っ暗な空間だった。

 

「…………ここが父さんの?」

 

『ああ、ベリアルの心の中だ』

 

俺の隣に現れたキングが説明してくれるが、この光景が父さんの心なんて俺は信じる事が出来なかった。

 

『これは彼の心が封印されているからだ。行こう…この奥に彼はいる』

 

それを察してくれたキングは、そう言って励ましてくれた。それから暫くは前へと進んでいき、かなりの距離を歩いたところで正面に何かが見えた。

 

「もしかして…!!」

 

『ああ、間違いない』

 

俺は全速力で走り、前にあった物へと近づく。それは、闇のオーラによって張り付けになっている父さん…【ウルトラマンベリアル・アーリースタイル】だった。

 

「父さんッ!!俺だよ!!リク…ジードだッ!!」

 

「…………………………………………」

 

「どうしたんだよッ!?父さんッ!!返事をしてくれよ!!」

 

俺は大声で呼び掛けるけど、父さんが反応してくれなかった。

 

「なんで…!!」

 

『おそらく、彼を縛り付けているものを倒さなければ…こちらの声は届かないのだろう』

 

「父さんを縛り付けているもの…?」

 

だったら、急いでそれを壊して…!!

 

俺の怒りが燃え上がっていると、横から攻撃が来てキングが咄嗟に防いでくれた。

 

「ありがとう、キング!!」

 

『油断するな。来るぞ…!!』

 

キングにお礼を言いつつ、攻撃が来た方を睨んでいたら2体の異形が現れる。あれはカプセルの絵で見た事がある……エンペラ星人にダークルギエルだッ!!

 

『どうやら、奴らがベリアルの心を縛っているようだ』

 

「だったら俺が倒して……父さんを解放する!!」

 

『ULTRAMAN GEED・GALAXY RISING!!』

 

俺は変身すると駆け出し、エンペラ星人へと飛び膝蹴りを繰り出すが避けられ、ダークルギエルが槍を振るってくるのを回避し、エンペラ星人の剣をゼットライザーで受け止める。

 

「コイツら……強い!?」

 

『かつて、どちらも宇宙全体を揺るがす程の事件を起こした者達だ。外からの援護で弱っているとしても、手強いぞ』

 

「だからって……諦められるかッ!!」

 

俺は膝の突起から光刃を伸ばしてエンペラ星人を突き飛ばし、背後から振るわれるルギエルの槍を肘からのギャラクシーカッティングで受け止める。

 

「邪魔をするなァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

力任せにその槍を打ち払い、振り返り様にルギエルの首を狙って斬りつける。

 

「レッキングリッパー!!」

 

さらに赤黒い斬撃を飛ばしてダメージを与える。そこで背後に殺意を感じた俺はゼットライザーでそれ…エンペラ星人の剣を払い除ける。

 

「そう何度も喰らうかッ!!プラズマ光輪!!」

 

そして電撃属性の光輪を投げ、直撃した2体を痺れさせる。

 

「確かに父さんは悪者だ…その事実は変えられない」

 

数多の宇宙で大規模侵略をしてきたんだ。誰から恨まれても仕方ないのは俺でも理解してる…それに力に固執し過ぎだし、結構執念深いし…おまけにレムの声をウルトラの母と同じにするくらい好きだったのに、ウルトラの父に先越されて嫉妬するとか子供かよってツッコミたいところもあるし…俺としてもドン引きと思うところが無い訳でもない。だとしてもッ!!

 

「だからって!!俺の父親をお前の利益の為に、利用なんかさせてたまるかッ!!」

 

都合がいいのは解ってる!!父さんがとてつもない悪事を働いて、沢山の星の人達に憎まれている事も……それでも、あの人は俺のたった一人の父親で…その息子が父親を守って何が悪いッ!!

 

俺は叫びながらインナースペース内でゼットライザーのブレード部を戻し、トリガーを長押ししてから再度ウルトラメダルを読み込ませていく。

 

GINGA.X.ORB.

 

そして某仮面の戦士の変身ポーズみたいに、左手を右腰に右腕を左斜め上に突き上げる構えをとり…

 

「ギャラクシーバーストッ!!」

 

ゼットライザーから赤黒い稲妻を纏った光の斬撃を飛ばし、直撃した2体は吹き飛んで床を転がっていくが、未だに倒されない。

 

「これ以上……父さんの心を踏みにじるなァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

今度こそトドメを指すべく、頭上で組んだ両腕を左右に開きながら目を輝かせ、身体中に水色と赤黒い稲妻を迸らせながら背後には炎で作られた光の翼をはためかせる。

 

そして前方に赤・青・黄・緑で出来た光の輪を浮かべると、それを胸元で合わせた両拳に集め、サイバーラインを空中に描きながら左足を後ろへと引きつつ体を左に捻り…

 

「レッキング…!!」

 

そして大の字になって背後にある炎の翼を全身に集束させ、右腕をL字にしてその肘に左拳を押し当てて炎と赤黒い稲妻を纏った光線を発射する。

 

「フェニックスッ!!!!」

 

それは2体に直撃し、ドンドンと押し込んでいく。

 

「アアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

さらに気合いを込め、最大出力にすると限界を迎えたのか2体は爆散した。それと同時に父さんを縛り付けていた闇のオーラが消え、倒れそうになるのを俺はギリギリで受け止める。

 

「父さんッ!!しっかりして!!父さんッ!!」

 

「うぅ…………ジー…ド…か?」

 

「父さん…!!」

 

届いた!!俺の声が……父さんに!!

 

「へ…俺の息子のくせに、何泣きそうになってんだ」

 

泣きそうだった俺に父さんはそう言って頭に手を置き、俺から離れて立ち上がる。

 

「さて……俺を利用しようなんて考えるバカに、お礼参りをしねぇとな!!」

 

『ベリアルよ』

 

ガッツ星人への怒りに燃える父さんに、キングが話しかける。

 

「ああ?キングか…説教なら聞かねぇぞ?」

 

『私には、お前を説教する資格はない。だが、お前の為に戦っている者達を助けてやってはくれないか?』

 

そう言って空間に映し出されたのは、まだ作戦を続けてくれているゼロやリョウさん達、そして2体のベリアル融合獣から皆を守ってくれているウルトラの父の姿だった。だけど、ベリアル融合獣2体を相手にするのは厳しいのか防戦一方だ。

 

「マズイッ!?早く行かないと…!!」

 

「たく……ケンの奴、鈍りすぎだろ…」

 

『このままでは皆が危ない……頼まれてくれるか?』

 

「断る」

 

そんなピンチでも、父さんはキングの頼みをはね除けた。

 

「ちょっと父さ「俺は俺の理由で(ガッツ星人)を倒すだけだ。その時に偶然ケンが助かろうが、俺の知った事じゃない」あ…」

 

最初は文句を言おうとしたけど、それを遮ってその言葉を聞いた俺は苦笑した。

 

それって結局助けるって言ってるのと同じ事じゃん。父さんってツンデレ属性だったんだ…

 

『それで構わない。頼んだぞ、ベリアル』

 

「フン……行くぞ、ジード!!」

 

「ああ!!……ってそういえば、父さんの体ガチガチに凍らされてるんだった」

 

「はあッ!?なんでそんなメンドーな事になってんだ!?」

 

「だって父さん、アトロシアスで暴れてたから止めるにはそれぐらいしないと…」

 

「チッ!!起きて最初にやるのが解凍とか……かったりぃな…一気に光線で溶かすか」

 

「……なんかゴメン、俺も手伝うよ…」

 

そして俺は父さんと一緒に現実に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ…!?ハァ…ハァ…」

 

「「大隊長ッ!!」」

 

その頃、現実では2体のベリアル融合獣の攻撃にウルトラの父は膝を着いていた。

 

「ハッハッハッ!!ここまでの様だな?」

 

「まだ……だ…!!」

 

ウルトラの父は足に力を込め立ち上がろうとするも、すぐに崩れ落ちてしまう。ゼロ達も助けに行きたいが、ジードが戻らないで光線を止めると、彼まで闇に飲まれてしまう可能性がある。なのでジードが帰還しない限り離れる事ができなかった。さらに胸のカラータイマーも高速で点滅していて、彼らのエネルギーも心もとなかった。

 

「師匠ッ!?このままじゃ…!!」

 

「わかってる!!だが、ここで止めたらリクが…!!」

 

この窮地をどうやって脱するかゼロが考えていた時、ベリアルを閉じ込めていた氷が砕け、そこから放たれた2つの光線が2体に命中して吹き飛ばした。

 

「「ギャオオオオオオオオオッ!?」」

 

「なんだッ!?」

 

「まさか…!!」

 

その攻撃にガッツ星人は驚き、ゼロ達は光線を止めてベリアルがいる場所を見る。そこには氷が溶け、首を軽く回すベリアル・アーリースタイルと、ベリアルの背中にある氷を払っているジードがいた。

 

「「「(リク/ジード/兄弟子)ッ!!」」」

 

「あ、リョウさん!!ゼロとゼットも!!ただいま!!」

 

「無事で何よりでした。それとそこにいるのが…」

 

「そう!!父さ(スッ)あら?」

 

ジードの無事に安堵するオーブ。その彼にベリアルを紹介しようとするジードがベリアルの肩を叩こうとしたら、その前にベリアルが歩き始めた事で空振りしてしまう。そして歩みを止めた先にいたのは、ウルトラの父だった。

 

「ベリアル…」

 

「フン…………久し振りに会ったと思えば、何時まで下の奴等に不様を晒しているつもりだ?」

 

膝を着く彼に、ベリアルはそうぶっきらぼうに言って右手を差し出した。

 

「………………………………………………」

 

「おい、俺の気が変わらんウチにさっさとしろ」

 

「あ、ああ!!……すまない」

 

思いがけない行動に彼の手を見て固まるウルトラの父に、ベリアルは急かすように言って手を掴ませ引っ張り起こした。

 

「あの訓練場の時とは逆になったな?私のは払われてしまったが…」

 

「何時まで昔の事を覚えてやがる!!そんな事より…」

 

困惑と嬉しさで中々会話ができないウルトラの父からベリアルは視線を外し、本体であるガッツ星人を見上げる。

 

「よう…俺様を利用した罪は重いぞ?覚悟は出来てるんだろうな…!!」

 

「う…!!まさか本当に助けるとは…こうなったら!!」

 

指の骨をゴキゴキ鳴らすベリアルに怯むガッツ星人。想定外の事態に彼は切り札を切る。その手に握るのはライザーと2本の怪獣カプセル…そこには【アークベリアル】と【マガオロチ】が描かれていた。

 

「ベリアルなら新しいのを作ればいい…だから、不良品のお前は廃棄処分だッ!!」

 

そしてカプセルを起動させて読み込み、ライザーのトリガーを引いた。

 

『フュージョンライズ…!!アークベリアル…!!マガオロチ…!!ウルトラマンベリアル!!禍々アークベリアル!!』

 

そして赤い怪獣体型に背中の突起や腕にはエメラナ鉱石が、額にはマガクリスタルを生やし両肩と両膝にマガオロチの顔を持つ80mを越える大きさのベリアル融合獣【禍々アークベリアル】へとフュージョンライズした。そしてその左右にストロングゴモラントとキングギャラクトロンが並び立つ。

 

「俺の力を使っておきながら廃棄処分だと?…ふざけたヤローだ」

 

その姿に悪態を突きつつ、ベリアルはウルトラの父の方を見る。

 

「ケン……アイツを倒すのに手を貸せ。俺は息子に情けない姿を見せた名誉を挽回せにゃならんし、お前も歳を理由に部下に助けられっぱなしって訳にはいかないだろう?」

 

「フッ……ああ、もちろんだ!!」

 

ベリアルの言葉に再び力を燃やし奮い立つウルトラの父。ここにウルトラ大戦争時に活躍した、最強のタッグが復活した!!

 

「へッ!!俺達も見てるだけじゃねぇぜ!!」

 

さらにウルトラの父の隣にゼロとゼットが、ベリアルの隣にジードとオーブが並ぶ。

 

「自分達もまだまだイケるでございますとも!!」

 

「ストロングゴモラントとキングギャラクトロンは、私達の方で引き受けます!!」

 

「父さん達は他を気にせず戦ってよ!!」

 

「ほう…俺の息子のくせに、気が利いてるな?なら、遠慮なくやらせてもらうぞ!!」

 

「ガッツ星人!!お前の野望も…ここで終わりだ!!」

 

そんな戦士達の背後にキングの幻影が現れると、金色の粒子を撒きカラータイマーに吸い込まれると、点滅状態から一気にエネルギーがフルチャージされる。

 

「このウルトラお邪魔虫どもがァッ!!」

 

こうして、ウルトラ戦士とガッツ星人による最後の戦いが始まった。




いかがでしたか?

ゼット「ついに始まった最終バトル!!ゼロ師匠やジード先輩、大隊長達と一緒に自分も大暴れいたしますぜ!!そして訪れる別れの時…」


次回【再会のPromiseをして】


ゼット「ウルトラ最終回だぜ!!」

ゼロ「いや、章が終わるだけで本編はまだ続くからな?」


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再会のPromiseをして

ゼット「とうとう、この章も最終回でございますか…」

一誠「随分時間掛かったな…作者のやつ、だらけすぎだ」

ゼット「ここでようやく、自分の最強形態の御披露目ですぞ!!」

一誠「ま、活躍は短いけどな」

ゼット「ウルトラショック!?」

一誠「いいから、さっさと本編を始めんぞ」

ゼット「それもそうでございますね。では皆、本編をお楽しみください!!」




作「遅くなりましたが皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年も遅筆になると思いますが、作者の作品をよろしくお願いいたします」


ついに始まったガッツ星人との最終バトル。それは3組に別れて行われている。

 

 

 

ゼット&ゼロ VS ストロングゴモラントside

 

「ゴアァァァァァッ!!」

 

「チッ!!うるせぇ奴だな…」

 

『ゼロさん、あの怪獣ストロングゴモラントって言うんですよね?だったら、こっちもストロングで行きませんか?』

 

「お!良いねぇ…パワー対決としゃれこむか!!ゼット!!お前もいいな?」

 

「もちろんですとも、師匠ッ!!」

 

『むしろ、そっちが俺の専売特許だッ!!』

 

『ULTRAMAN Z・BETA SMASH』

 

エリオの提案に乗ったゼロはストロングコロナに、ゼットはベータスマッシュに変わると同時に飛び上がり…

 

「ゼェェリャァァッ!!」

 

ストロングゴモラントにゼロがゼロキックを決め…

 

「ウルトラマァァァァァァァンゼェェェェェェェット!ベェェェェェタスマァァァァァァァァァァァァシュ!!イエァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

続けてゼットが自身のフォーム名を叫びながら、ドロップキックを喰らわせた。

 

『おい、うるせぇぞ!!』

 

「いや~、この姿の時はテンションがウルトラ上がっちまいまして…」

 

『なんでもいいけどよ…ちょっと体借りるぜ』

 

そして一誠が主導権を持つと、ストロングゴモラントの首元に水平チョップを2回からのモンゴリアンチョップを繰り出す。

 

「チェヤ!!チェヤ!!チェェェェェヤッ!!」

 

「ゴギュアッ!?」

 

その連撃に怯むストロングゴモラントに、ゼットは素早くスリーパーホールドを仕掛ける。

 

『ぐぇッ!?ぐ、ぐるじぃ…!!』

 

『ついでにこの角…もぎ取るか!!』

 

―ガシッ!!グググググ…!!―

 

『いだだだだだだだだだだッ!?や、止めろォッ!?』

 

さらに鼻先の角を掴むと、全力で曲げていき…

 

『オラァッ!!』

 

―ベキィッ!!―

 

その角をもぎ取った。

 

「ゴギャアアアアアアアアアアアッ!?」

 

『ぎゃあああああああああああッ!?お、俺の角がァッ!?』

 

「トッタドォォォォォォォォォォォォォォ!!…イランッ!!」

 

某無人島芸人みたくもぎ取った角を掲げた後は、すぐさま放り投げて首を離し、腕を捕まえてからゼロへと投げ飛ばす。

 

『モンディアルッ!!』

 

『解りましたッ!!』

 

その呼び掛けにエリオは答えると、投げられたストロングゴモラントにフライングボディプレスを喰らわせた。

 

『うぎゃあッ!?』

 

「へへッ!!まだまだこっからが本番だぜ?」

 

今の攻撃でふらついている相手に、ゼロは逆さまになるようにして持ち上げ、頭から地面に叩きつける技…パイル・ドライバーを繰り出す。

 

「オリャアッ!!」

 

『ぶぎゃあッ!?』

 

「ゼット!!手伝え!!」

 

「お任せを!!」

 

そしてゼットを呼ぶと、2人がかりで再びストロングゴモラントを肩の高さまで逆さまに持ち上げると、今度は後ろに倒れながら頭から叩きつけるブレーンバスターを喰らわせる。

 

『ごぎゃあッ!?』

 

『今度はコレだッ!!』

 

次にゼットがストロングゴモラントの尻尾を掴むと、ハンマー投げのように思いきり振り回し始める。

 

『ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?め、目が回るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?』

 

『ぶっ飛べ!!』

 

そしてある程度加速がついたところで手を離して、ゼロのいる方へと投げた。

 

「ダァッ!!ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

気合いの雄叫びを上げるゼット。そして投げられたストロングゴモラントは…

 

「ゼリャアッ!!」

 

『べごぁッ!?』

 

ゼロのドロップキックを喰らって、地面に叩き落とされる。少し地面を転がってから立ち上がるストロングゴモラントに、ゼロとゼットは右腕を横に伸ばしながら前後から迫り…

 

「ゼヤァッ!!」「チェヤッ!!」

 

『ガハァッ!?』

 

ラリアットで首を挟み撃ちにするクロス・ボンバーを喰らわせた。これで完全にピヨったストロングゴモラントに、ゼロは両手を打ちつけながら迫り、頭と腰を抱え込むと…

 

「ウルトラハリケェェェェェェェェンッ!!」

 

回転を加えながら頭上に投げ飛ばし、空で拘束する。

 

「ゼット!!トドメを刺せッ!!」

 

「押忍ッ!!キアイダ!!キアイダ!!キアイダァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

ゼットが胸元に両手を持っていく動作を数回しながら、胸部のリベット部を輝かせ、右手に真っ赤な炎を纏わせて空へと飛び上がり…

 

「ゼスティウム…アッパァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

必殺の拳【ゼスティウムアッパー】をストロングゴモラントに叩き込んだ。

 

『うぎゃあああああああああああああああああッ!!』

 

その一撃を耐えきれなかったストロングゴモラントは爆散し、ガッツ星人の分身は消えた。

 

「うしッ!!俺たちの勝ちだ!!」

 

『はい、ゼロさん!!』

 

「『勝ったどォォォォォォォォォォォォッ!!』」

 

「そんじゃ、俺達も大隊長の援護に行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

オーブ&ジード VS キングギャラクトロンside

 

「ジェヤッ!!」

 

「ハアッ!!」

 

ナイトリキデイターになったオーブとジードは、両腕から光刃を伸ばして斬りかかるが、キングギャラクトロンはそれを棒立ちで受け止める。

 

「く…!!さすがに硬いですね」

 

「どうする!?」

 

『話し合いをしてる場合ですかな?』

 

決定打を与えられない事に悩む2人。しかし、キングギャラクトロンはそんな隙を与えずに右腕のランチャーで攻撃を始める。

 

「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」

 

『ハハハハハハハハハッ!!ウルトラマンといえども、所詮はこのてい…『ウルトラマンオーブ!!ライトニングアタッカー!!』「ジェヤ!!」ん?アガァッ!?』

 

その攻撃で勝ちを確信するが、黒煙の中からライトニングアタッカーになったオーブが飛び出して、キングギャラクトロンを電撃付の拳で殴る。

 

「電光雷轟…闇を討つ!!」

 

そこから拳のラッシュが始まる。何とか防ごうとするキングギャラクトロンだが、電撃による痺れで体が上手く動かず防御が出来なかった。しかも拳のダメージは無くても電撃は防ぎきれずダメージが蓄積していく。

 

『ええい…!!小癪なマネを!!』

 

「そうやって相手を見下してばかりだと……勝機を逃しますよ?」

 

『何を「プラズマ光輪ッ!!」ッ!?グギャアアアアアッ!?』

 

痺れを切らしたキングギャラクトロンが反撃しようとした時、オーブの言葉で動きを一瞬止めたところを狙って、爆煙に紛れて空にいたジードがプラズマ光輪を投げつけながら落ちてきて、光輪でキングギャラクトロンの両肘両膝の間接部を斬りつける。

 

「やはり、間接部が弱点ですか!!」

 

「弱点さえ解れば、こっちのもんだッ!!」

 

そこから2人の見事な連携にキングギャラクトロンは押されていく。オーブが前衛で攻撃して隙を作りだし、ジードが光刃や光輪を用いて弱点を攻めていく。

 

「ジェヤ!!」

 

「ハアッ!!」

 

『ウグォアッ!?こうなったら…喰らいなさいッ!!』

 

それが頭にキたキングギャラクトロンは、右腕のランチャーを手当たり次第に撃ちまくり始める。

 

「く…!!」

 

「危なッ!?」

 

『そこですッ!!』

 

オーブ達はすぐさま離れると、それを狙っていたのかキングギャラクトロンは右腕にエネルギーを充填すると必殺技【ペダニウムハードランチャー】を放ってくる。

 

「ッ!!レッキング…フェニックスッ!!」

 

それにジードは自らの光線で対抗。力が拮抗する中で、オーブはインナースペースで新たなカードをオーブリングに読み込ませる。

 

『覚醒せよ、オーブオリジン!!』

 

「オーブカリバー!!」

 

そして出てきた剣【聖剣オーブカリバー】を手にし、ダイヤルを回してから頭上に掲げトリガーを引く。

 

「オォォォォォォォォォォブッ!!」

 

そしてハーモニカの音色と共にオーブの真の姿【オーブオリジン】となり、再びダイヤルを回して剣に宿る火・水・土・風の4つのエレメントを全て発動、空に虹色の輪を描き剣先にエネルギーを集束させていく。

 

「オーブスプリーム…カリバァァァァァァァァッ!!」

 

そこから光線を放ち、キングギャラクトロンに直撃させる。それにより攻撃が解除され、押し止めていたレッキングフェニックスまでもが加わる。

 

『ぎゃあああああああああああッ!?』

 

さすがに2人分の光線には耐えられなかったのか、キングギャラクトロンは爆散した。

 

「撃破完了ですね」

 

「それじゃ、父さん達の援護に行こう!!」

 

「ええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル&ケン VS 禍々アークベリアルside

 

「行くぞ、ベリアル!!」

 

「俺に命令するな!!」

 

そしてベリアルとケンは、言い合いをしながら禍々アークベリアルに挑んでいた。

 

『これでも喰らえ!!』

 

「デアッ!!」「フンッ!!」

 

禍々アークベリアルから放たれる熱線。しかし、2人はそれを飛び越えて腕に掴みかかり、禍々アークベリアルの防御を崩して同時に蹴りを叩き込む。それで下がったところにベリアルが自身の爪や蹴りを使って攻め立てる。

 

「どうしたどうしたッ!!テメェの力はそんなもんかッ!!」

 

『この…!!嘗めるなァッ!!』

 

「おっと!!」

 

それを振り払う為に尻尾を振るうも、ベリアルは下がって回避する。そこに…

 

「デヤッ!!」

 

ケンの【ファザー光線】が禍々アークベリアルに炸裂。身体中から火花を散らして後ずさる。

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁッ!?』

 

そこから今度はケンが前に出て攻めていく。拳のラッシュから蹴りと、ベリアルの荒々しい戦法とは違い高い技術を駆使して、反撃を許さぬ攻勢に手をこまねいていると…

 

「どけ、ケン!!」

 

「フッ!!」

 

「ヌェアッ!!」

 

ベリアルの声で下がったケンの数瞬後に、ベリアルの【デスシウム光線】が迸り、禍々アークベリアルに命中する。

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?』

 

「まったく…相変わらず突然だな、お前は?」

 

「お前だからやってんだよ」

 

「それは一応、信頼の言葉として受け取っておこう」

 

「父さんッ!!」

 

「無事か、大隊長?」

 

ベリアルの突発的行動に呆れながら禍々アークベリアルに向き直ると、2人の元に他の4人のウルトラマンが集まる。

 

「ああ…だが、奴は中々しぶといようだ」

 

そう告げるケンの視線の先には、多少はダメージを受けてはいたが、未だに健在な禍々アークベリアルがいた。

 

『ぐぎぎぎぎぎぎぎぎ…!!貴様らァ!!絶対に許さんぞ!!』

 

「それはこっちのセリフだ。テメェこそ…生きて帰れると思うなよ?」

 

「それじゃベリアルさんの復活を記念して、ここはベリアルさんと関係あるフォームで行きましょう!!」

 

「「おう!!」」

 

「ああッ!!…って俺はジードライザーが壊れてたんだ…」

 

「なら、コレを使え」

 

リョウの提案に賛成しようとしたリクだが、自身の変身アイテムが壊れていてフォームチェンジが出来ない。そこに、ベリアルが赤い光の玉を右手に出すと、それをジードのカラータイマーへと渡した。インナースペースにいたリクがそれに手を伸ばすと、光の玉が消えて代わりにジードライザーが握られていた。

 

「コレって…!!」

 

「俺が使ってたやつだ。もう使わんからお前にくれてやる」

 

「ありがとう、父さん!!」

 

「では改めて…ゾフィーさん!!ベリアルさん!!光と闇の力…お借りします!!」『フュージョンアップ!!ウルトラマンオーブ!!サンダーブレスター!!』

 

オーブはベリアルとゾフィーのカードをリードしてサンダーブレスターに…

 

「それじゃエリオ、頼んだぜ!!」

 

『はい!!ギンガさん!!オーブさん!!ビクトリーさん!!エックスさん!!』

 

エリオはゼロから渡されたニュージェネレーションカプセルαとβを起動、装填ナックルに入れゼロアイNEOを取り付けたジードライザーで読み込み…

 

「『(オレ/ボク)に限界は(ねぇ/ない)ッ!!』」

 

『ニュージェネレーションカプセルα・β!!ウルトラマンゼロビヨンド!!』

 

口上を述べて顔の前でライザーのトリガーを引き、ゼロビヨンドに…

 

「ウルティメイトファイナル!!」

 

『アルティメットエボリューション!!』

 

「繋ぐぜ、願い!!ジィィィィィィィィド!!」

 

『ウルトラマンジード!!ウルティメイトファイナル!!』

 

ジードはギガファイナライザーを使い、ウルティメイトファイナルに…

 

そしてゼットも変わる為に、インナースペースにいる一誠がホルダーを叩いて飛び出たメダルを指の間に挟み取る。それはゼロとジードのウルトラメダル、そしてベリアルが描かれた怪獣メダルだった。するとその三枚を包むように光が走るとゼロメダルが【ゼロビヨンドライズメダル】に、ジードメダルが【ジードライズメダル】に、そしてベリアルメダルが【ベリアル・アトロシアスライズメダル】にパワーアップする。

 

「闇を飲み込め!!黄金の嵐!!」

 

それを確認すると、メダルをスロットに填めていく。

 

「ゼロ師匠!!ジード先輩!!ベリアル!!」

 

『あ、一誠!!ベリアルメダルは抵抗がすご「フンッ!!」(カシャン!!)あ、填められるのね…』

 

途中、ゼットが何か言いかけたが心配は杞憂だったらしく、メダルに抵抗されるも一誠は力ずくでベリアルメダルを填め、ブレード部をスライドさせてメダルを読み込んでいく。

 

ZERO BEYONDGEEDBELIAL ATROCIOUS

 

「オッッッシャアアアアアッ!!!!」

 

『ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマンゼェット!!』

 

「ウルトラマン…ゼェェェェェット!!!!」

 

そしてゼットライザーを掲げてトリガーを押す。するとゼロビヨンドが金の軌跡を描き…

 

『シュッ!!』

 

ジードが赤の軌跡を描き…

 

『ジュワッ!!』

 

ベリアル・アトロシアスが紫の軌跡を描き…

 

『ヌェアッ!!』

 

一誠へと集束すると、炎を伴った赤と青の光、赤黒い稲妻と青い光の渦、緑色の光の粒子が吹き荒れる空間を上半身が青で下半身が赤、両足と両腕には青いクリスタルが付き、金と銀の装甲を纏ったゼットが出てくる。

 

これがゼットの最強形態。その名も…

 

ULTRAMAN ZDELTA RIZE CRAW

 

ウルトラマンゼット・デルタライズクローだ。

 

そして右手に赤黒い稲妻が集まると、鍔にベリアルの顔がくっついた自我を持つ奇抜な黒い剣【幻界魔剣ベリアロク】が握られる。

 

「へぇ、コイツがベリアロクか…」

 

『俺様を手にして、お前は何をする?』

 

「ハッ!!んなの決まってんだろ?」

 

ベリアロクの問いに、一誠は不敵に笑い…

 

「喧嘩屋のやる事はたった1つ…目の前の敵をボコる。それだけだ」

 

そう答えた。確かに彼にとって敵は殴り倒す対象でしかない。

 

『フハハハハハハハハッ!!単純な理由だな?だが…逆に面白い!!』

 

「それに目の前にいるのは、お前と似た存在なんだぜ?斬りたくねぇか?」

 

『ほう…俺様と似た存在か。面白い、斬ってみるか!!』

 

「そうこなくっちゃな!!」

 

ベリアロクの協力を得られた事で、戦闘が再開されるかと思っていたら…

 

「おいッ!!なんだその俺の生首が付いた剣はッ!?」

 

ある意味予想通りではあるが、ベリアルがベリアロクにツッコミを入れた。

 

『なんだお前は?文句があるなら斬るぞ?』

 

「ああ?上等だ、その前に俺がへし折ってやるよ」

 

『面白い、やってみろ?』

 

「いや、今はそれどころじゃないでございますぞ!!」

 

『フン、貴様とは後でケリをつけてやる』

 

「臨むところだ!!」

 

そこにゼットの介入で何とか収まり、ケンはウルティメイトソードを、ベリアルはギガバトルナイザーを手にして禍々アークベリアルの前に並び立つ。

 

「さあ、ブラックホールが吹き荒れるぞ…!!」

 

『うるさぁい!!全員まとめて死ねぇッ!!!!』

 

「させませんぜ!!」

 

禍々アークベリアルが熱線を放つと、ゼットがベリアロクで熱線を吸収して撃ち返した。

 

『うがァァァァァァァァァッ!?』

 

「今だッ!!」

 

それによって生じた隙に、ジードとオーブが突っ込んでいく。オーブはマッシブな両腕を左右に広げ、ジードはギガファイナライザーを横に持ち、ウルトラ一族伝統の【回れば何とかなる】の理論が如く大回転しながら禍々アークベリアルに叩きつけていく。

 

『うごあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?』

 

その攻撃に禍々アークベリアルがふらついたところに、ジードはジードライザーでギガファイナライザーを読み込んでレバーを三回動かし、オーブは右手に赤い光輪を作る。

 

『目覚めよ、最強の遺伝子!!』

 

「クレッセントファイナルジィィィィィドッ!!」

 

「ゼットシウム…光ォ輪ッ!!」

 

そして2人の斬撃技が、禍々アークベリアルの背中の突起を斬り落とした。

 

『うぎゃあああああああああああッ!?』

 

「ゼェリャアァァァァァァァァァァッ!!」

 

「チェヤァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

痛みにのたうち回る禍々アークベリアル。そこにゼロとゼットが懐まで飛び込み、ゼロが頭部に【ゼロ百烈キック】を、ゼットが腹部に【ゼット百烈パンチ】をお見舞いしていく。

 

『やあァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』

 

『ブゴハァァァァァァァァァァァァァァッ!?』

 

怒濤の連続攻撃に禍々アークベリアルの意識が飛びかける。その間にゼロは背部に移動してゼロツインソードを持ちエネルギーを集め、ゼットがベリアロクを持ってレバーを3回押す。

 

『フンッ!!ヌェアッ!!ハアッ!!デスシウムスラァァァァァッシュ!!』

 

「俺の刃を刻み込めッ!!ツインギガブレイク!!」

 

そして前後からデスシウムスラッシュとツインギガブレイクでZ字に切り裂く。

 

『あぎゃああああああああああああッ!?』

 

「2人とも、今だッ!!」

 

「合わせるぞ、ベリアル!!」

 

「言われなくても!!」

 

そう叫ぶゼロの呼び掛けに、今まで武器にエネルギーを限界以上に溜め、必殺の一撃を放てる状態にいたケンとベリアルが全力で武器を振り抜いて、必殺の斬撃【ベリアルデスサイズ】と【ウルティメイトスラッシュ】を飛ばす。

 

「デヤッ!!」「ヌェアッ!!」

 

それが禍々アークベリアルの体に命中し、十字に易々と斬り裂いた。

 

『あ…ああ……俺の…俺の優雅な老後がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!』

 

そのセリフを叫びながら禍々アークベリアルはゆっくりと後ろに倒れ、大きな爆発を起こした。

 

「お前みたいな奴が、豊かな老後を送ろうなんざ…2万年早ぇんだよ」

 

こうして、ベリアルを巡る戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わったウルトラマン達はホテル・アルピーノの前に降り立ち、ケンとベリアル以外が変身を解いた。

 

「良くやったな、お前達のお陰でベリアルを倒さずに最高の形でこの事態を終息できた」

 

「おいッ!!ケン…テメェまさか、俺を一度殺すつもりだったな!?」

 

「安心しろ。その為にマリーから固形化した命を預かってきたんだ」

 

「何処に安心する要素があんだよ!!」

 

そんな2人の光景は、因縁のライバルというより長年の親友を彷彿とさせる。

 

「とりあえず、私は一度ベリアルを連れて光の国に戻る」

 

「え…?それってまさか…!!」

 

その言葉にリクは悪い予感が浮かぶも、ケンはそれを否定する。

 

「安心してくれ。別に彼を断罪するわけではない…彼の体はクローニングで作られている。その異常がないかを診断するためだ」

 

「ほ…」

 

ケンの話に安堵するリク。どうやらベリアルの安全は保証されているようだ。

 

「ただ……光の国からの追放処分は変わらんと思うが…」

 

「フン……もともと戻るつもりなんか無いぞ?」

 

「私としては、大隊長補佐として宇宙警備隊に入ってほしかったのだが…さすがに無理だとマリーに言われてしまってな…」

 

「テメェの面倒をみるとか、そっちの方が心底ゴメンだ!!」

 

「…………こうして見てると、まるで漫才コンビですね」

 

「何やってんだよ、父さん…」

 

そんな2人の会話にリョウは苦笑し、リクは呆れていた。

 

「それでは、我々はそろそろ出発する。ゼロ、お前は彼等を元の宇宙に送ってあげなさい」

 

『ああ、そのつもりだ』

 

「頼んだぞ……行こう、ベリアル」

 

「わかったよ」

 

そして2人は光の国へと飛び立っていった。

 

「…………眠らせてあげる筈が、思いもよらない結果になりましたね。リク?」

 

「うん……だけど、こうやってまた父さんと話せるのは……やっぱり嬉しいな」

 

「お~~~~~い!!皆ァ~~~~!!」

 

そこに一応避難してた曜達と子供組、合流してた剣士組とパラドに魔導師達がやって来た。

 

「はぁ~…アイツが怪獣になった時は、どうなるかと思ったわよ…」

 

「お疲れ、ティア」

 

「エリオ君もお疲れ様♪」

 

「中々カッコ良かったわよ?」

 

「ありがとうキャロ、ルーテシアも」

 

疲れた様なため息を吐くティアナをスバルが労い、エリオの所にもキャロとルーテシアが労いに行く。

 

「一誠君もお疲れ様、大丈夫だった?」

 

「お見事でした、兵藤先輩」

 

「ああ、ゼットのお陰で何とかな」

 

『こちらこそ御協力、ウルトラありがとうございます!!』

 

「だから脳内で大声出すなッ!!」

 

『ウルトラすんませんッ!?』

 

一誠の元にも曜と栞子がやって来て労い、一誠はゼットの声の大きさに怒鳴る。

 

「それじゃ皆~、ご飯にしましょうか?」

 

「「「わーい!!!!」」」

 

そしていつの間に準備していたのだろうか、メガーヌとなのはがバーベキューセットを用意して肉を焼いていた。それに子供三人が駆けていく。

 

「かすみんも負けてられません~!!」

 

「……さすがに大人げないよ~?」

 

小学生相手に本気になる高校生……確かに大人げない。

 

そこからは大バーベキュー大会となり、全員で焼かれていく肉や野菜と海鮮に舌鼓を打つ。場所によっては仲良し組で談笑しながら食べていたり、かすみとリクと侑がエリオ相手に大食い勝負を挑んで圧倒的差で敗北していたり、栞子がフリードに恐る恐る肉をあげて食べてくれたのを喜んでいたり、彼方はお昼寝していたり、月はパラドと一緒にはしゃいで曜に正座させられて窘められたり、一誠はヴィヴィオとアインハルトに技を幾つか教えていたりと楽しい時間が過ぎていき、翌日……一誠達はゼロの次元移動で帰る事となった。

 

「皆さん、お世話になりました」

 

「中々楽しかったぜ」

 

「貴重な体験でした」

 

エリオと分離したゼロの手に乗った一誠達異世界組。それを見送る魔導師達。

 

「もう行っちゃうなんて……寂しいです…」

 

「兵藤さんから教えてもらった技……必ずものにしてみせます」

 

「おう、頑張れよ」

 

「「まったね~!!」」

 

寂しそうにするヴィヴィオと、技を教えたアインハルトにエールを送る一誠に、月と曜とパラドは手を振っている。

 

「もしまたこっちに来たら、何時でも寄ってね」

 

「機会がありましたら、是非」

 

『それじゃ、出発するぞ』

 

ゼロがウルティメイトイージスを装着し、一誠達を光のバリアで包むと別次元への通路を開き、その中に飛び込む。

 

「にしても……ソレ、持って帰っても大丈夫なの?」

 

「ソレって……コレの事?」

 

その途中、月が心配そうな顔をして曜に聞き、彼女はポケットから小さな赤い玉を取り出す……実はコレ、あの戦いの後で発見された【ギルバリスのコア】なのだ。最初は破壊しようとしたが、パラドによって初期化され安全が確認されたので曜の提案で倒されたバロッサ星人が持ってた三面怪人ダダのミクロ化機を使って小さくし、持ち帰る事にしたのだ。

 

「パラド君が大丈夫って言ってたから大丈夫だよ」

 

「う~ん、ボクとしては不安なんだけど…」

 

『ほら、もう着くぞ』

 

そして次元の通路を通り抜けると、目の前に地球が現れる。

 

「うわぁ~!!まさか宇宙から地球を見れる日が来るなんて…ボク、感激だよ!!」

 

「かすみんもです!!」

 

「本当に青かったんだね~」

 

「いや、海の面積を考えれば青の比率が多いんですけど…?」

 

その光景に感激する面々。ここでゼットが一誠との一体化を解く。

 

『皆様、この度はウルトラ感謝っすよ』

 

「俺もお前のお陰で助かったからな。感謝してるよ」

 

『そう言っていただけると、なんか照れるな』

 

「元気でやれよ。またな」

 

『一誠達も、また会うときまでお元気で!!』

 

そう言葉を交わしてから、一誠達は光に包まれ気づけば駒王町……正確には、一誠達が飲み込まれた次元の穴があった場所に立っていた。

 

「なんか……かすみん色々凄い経験しちゃったよ…」

 

「そうだね~…」

 

「トキメキが溢れそうだよ…!!」

 

「ですが、貴重な実戦経験を積めたのは有難いです。では先輩達も、夏休み明けにまたお会いしましょう」

 

「うん、4人もまたね~!!」

 

「さて、家に帰ると(ガサッ)ん?コレは…」

 

剣士組ともここで別れ、家に帰ろうとした一誠だがポケットに手を入れた時に何か入っていて、ソレを取り出すとゼット・オリジナルが描かれたウルトラメダルだった。

 

「あ?…何でコレが入ってんだ?」

 

「これって持ってて大丈夫なのかな…?」

 

「ま、必要だったら後で取りに来るだろ」

 

「「ええ…」」

 

「そんな事より、帰ったらゲームしようぜ!!」

 

そんなおざなりな対応の一誠に呆れる曜と月にいつも通りなパラド。

 

その後、一誠のアパートによって行く事にした曜と月は、ポストに入っていた夕刊の日付を見て、飛ばされた日から変わってなかった事に再度驚きの声を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん…」

 

「どうしたゼット?そんな足りないオツムを捻って…」

 

「ウルトラ酷いッ!?」

 

その頃、ゼロの手に掴んで次元移動中のゼットは、あることに頭を悩ませていた。

 

「いや、実はですね…一誠と一体化していた時に、彼の中に何か変な闇の力を感じまして…」

 

「変な闇の力?もう少し具体的に言え」

 

「そうですね…」

 

「あッ!!バカ…!!」

 

「へ…?」

 

ゼロに言われて両腕を組んで必死に考えるゼット。しかし、中々良い例えが浮かばなかった。

 

そして、この時ゼットは致命的なミスをしてしまった。それは……両腕を組んで()()()()()()()()()()()()()事だ。

 

この次元空間はかなり荒れていて、ウルティメイトイージスがない限り、まともに飛ぶ事さえ不可能なのだ。それを持つゼロと離れてしまえば……

 

「助けてェェェェェェェェェェェェェェッ!?」

 

簡単に吹き飛ばされて、何処かの次元へとはぐれてしまうのだ。

 

「だから、手ぇ離すなっつったろッ!!」

 

それからゼロがいろんな次元を探した結果、山頂に喋る光の輪が浮かぶ星にいたのを回収したそうな…




いかがでしたか?後半になるにつれ、かなり雑になってしまった……

花丸「そして次回から遂に…遂に!!ディオドラ編が始まるズラよッ!!マル達もまた登場するから、楽しみにしててほしいズラ!!」


次回【三人のTransfer Student】


「それでは次回でまた会うズ(ゾク!!)ひッ!?な、なんズラ…?今、オラの背筋にものすごい寒気が…」

ルビィ「|ω・)」(じーーーーー)

花丸「る、ルビィちゃん!? ナズェミテルンディス!!」


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ディオドラ編
三人のTransfer Student


花「マルの神器によれば、喧嘩好きな高校生【兵藤一誠】…彼は喧嘩の王にし「ねぇ、花丸ちゃん?」なんズラ?ルビ…ひぃッ!?」

ル「何で前回の章で、花丸ちゃんだけ前書きに出てるの?ルビィはずっっっっっっっっっっっっっとお留守番だったのに…」(目のハイライトオフ)

花「い、いや…オラに言われても…!!」

ル「ねぇなんで…?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ…!!

花「うあ…!!あ…ああ……ま…マルは悪くないズラ!!これは作者のせいズラァァァァァァァァァッ!!」(全力逃亡)

ル「あ…!!それじゃ皆さん、本編をどうぞお楽しみください♪…………逃ガスカ、裏切り者ガァ!!


ヴァーリ達のデモンストレーションから数日…あれから更に一悶着あった後、学校も始まり学生が登校を始める時間になると、仕事で幻夢コーポレーションに泊まっていたヴァーリが外に出る。

 

「ふぅ…ようやく今月の新作商品のチェックと新型ガシャットの調整が終わった………ん?」

 

そう言ってため息を吐きつつ、周りを見ていたら…

 

「それじゃあゼノヴィアちゃん、いっくよ~!!」

 

「いつでも来いッ!!」

 

建物の敷地の隅に明日那とゼノヴィアがいた。しかも、明日那の後ろには丁寧に包装された大量の小包が置かれている。その中から両手に1つずつ持つと…

 

「ハイ!!…ハイ!!…ハイ!!…ハイ!!」

 

次々とゼノヴィアへ、リズミカルに投げていく。

 

「ゼットン、パンドン、ゼットン、パンドン……」

 

「ハハイ、ハーイ!!」

 

「ゼパン、ドーン!!」

 

それを確認したゼノヴィアはファイティングポーズを構え、なにやら意味不明な事を呟きながら左ジャブを繰り出していき、最後はジャブから右ストレート、左アッパーで小包を何処かへと殴り飛ば(絶版DONに)していた。

 

「…………何リアルリズム◯国してんだ?」

 

端から見れば不審者極まりない…しかし、最近は見慣れた光景の2人に、ヴァーリは声を掛ける。

 

「あ、ヴァーリ君。またディオドラからアーシアちゃん宛にプレゼントが送られてきたから、ゼノヴィアちゃんの特訓も兼ねて処分中。リズム○国なのは、その場のノリかな?」

 

「またか…」

 

明日那から聞いた理由に、ヴァーリは頭を抱える。

 

 

 

 

 

時は遡り、デモンストレーション終了後……

 

「僕の名はディオドラ……以前、君に助けて貰った悪魔だよ」

 

「私が…?」

 

「この傷を見てくれれば、思い出せるかな?」

 

そう言って上着を捲るディオドラ。その胸には大きな傷痕があった。それを見たアーシアが何かを思い出したようにハッとした顔になる。

 

「貴方はあの時の…!!」

 

「ようやく思い出してくれたみたいだね?」

 

その事に顔を綻ばせたディオドラは、アーシアの手を握…

 

「悪魔なのに教会の近くまで来て倒れた、おっちょこちょいなドMの悪魔さん!!」

 

「へ…?」

 

「「「「「ブフッ!!」」」」」

 

ろうとしたが、彼女のあんまりな覚え方にディオドラは呆け、他の若手悪魔は吹き出すのを堪えていた。

 

「えっと……それはどういう…?」

 

「だってあんな瀕死の状態なのに、わざわざ教会のある土地にまでやって来た上に、教会のすぐ近くで倒れてるんですよ?普通だったら悪魔祓いさん達に倒されてもおかしくないのに……だから、おっちょこちょいかドMのどちらか、もしくは両方だってリアスさんが…」

 

アーシアの言葉にリアスを睨むディオドラ。そして肝心のリアスは、右手で口を覆って隠しているが目尻は下がり、完全に爆笑してるのか涙が滲んでいた。

 

「だ…だって、普通そう思わない?……ぷぷ…!!瀕死なのに…転移で……プ!!…帰らないどころか……クク…!!教会に近づくって…ブフゥ!!どこのおバカな悪魔かと……思ってたのに…プクク…!!まさか貴方なんて…!!も、もうダメ!!アッハハハハハハハハハハハハハ!!!!ドMなディオドラ……略して【ドエムドラ】ね!!アハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

必死に笑いを堪えつつ話していた彼女だったが、最後には限界を超えたのかお腹を抱えて大声で笑い始めるリアス。

 

「ええいッ!!笑うなァ!!」

 

そんな彼女に顔を真っ赤にして怒るディオドラ。しかし、彼女の言っている事はある意味、的を得ているので反論しにくい。

 

「まあいい…それよりもアーシア、僕は君の優しさに心を奪われてしまった。ぜひ、僕の伴侶となってはくれな「すみませんごめんなさい無理です」食い気味ッ!?」

 

「「「「「「アハハハハハハハハハッ!!」」」」」」

 

それでも気を持ち直してアーシアに求婚するディオドラだったが、食い気味に断られてしまい他の若手悪魔達にまで笑われてしまった。

 

「い、一応…理由を聞いても…?」(ヒクヒク…)

 

口の端をヒクヒクさせながらも、スマイルを崩さないディオドラにアーシアは本心を告げる。

 

「私は人として生きようって決めてるんです。確かに人の一生は短いですけど、だからこそ日々の日常を大切にして生きてる…私はそんな人達の手助けをしたいんです。同じ人間として……だから、悪魔に転生するつもりはありません」

 

アーシアはディオドラにそう告げると、一礼してリゼヴィムの元へと向かう。それを呆然と見送るディオドラにリアスは…

 

「諦めなさいドエムドラwww。あの娘の決意は固いわよ?」

 

そう言うが、彼はニヤリと笑うと…

 

「確かに、今は無理そうだね。でも、僕は諦めない。必ず彼女を手に入れてみせるよ。後、僕はドMじゃない!!」

 

そう返して、転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレモリーから報告は受けていたが、やってる事が完全にストーカーのそれだな…」

 

「毎日毎日飽きずにプレゼントなんか送ってくる辺り、金にモノいわせてるわね。愛なんて微塵も感じないよ!!」

 

そんなディオドラの行為にヴァーリは呆れ、明日那は憤慨している。

 

「なに、アーシアは私が守ってみせるさ。それにしつこく奴がアーシアに手を出そうとするなら、私が全力でブッ飛ばす。日本風に言うなら……私がクサムをムッコロス!!……だったか?」

 

「「ここではリントの言葉で喋らんかい」」

 

そしてアーシアを守ると誓うゼノヴィアだが、その残念な日本知識のせいで微妙にしまらなかった…

 

「あ、ヴァーリさーん!!」

 

そんな彼女にヴァーリが呆れていたら後ろから呼ばれ、振り返ると梨子達いつものメンバーに歩夢・せつ菜・しずく達新メンバーを加えたルシファー眷属がいた。因みに歩夢とせつ菜としずくは駒王学園の制服を着ていて、さらにせつ菜は眼鏡を装備し髪型を三つ編みにしている。

 

「ああ、そっちも準備が終わったか」

 

「はい、この通り日常モードへの切り替えも完了です」

 

そう言うせつ菜は、いつものオタク的な雰囲気を一切出していない。この日常モードは本人がアイドルや裏の仕事と日常を切り替える為の姿で、この姿の時は真面目な文学少女みたくなる。そして名前も【中川 菜々】と名乗っている。実は此方の名前が彼女の本名であり、優木 せつ菜というのは芸名である。

 

因みに【優木 せつ菜】の由来は、彼女が好きなアニメキャラである【絶剣】と【人類初のイノベイター】の名前から取ったものだ。(注:この作品内での設定です)

 

「歩夢達は転校初日で手続きがあるから、俺と一緒に行くぞ。梨子達はアーシアの護衛を頼むな」

 

「うん、こっちは任せて」

 

「それじゃ、俺達は行くぞ」

 

「「「はい!!」」」

 

後で来るであろうアーシアの護衛を梨子達に頼み、ヴァーリは歩夢達を連れて学園へと向かう。

 

「それにしても、こっちに来てから色々と凄い事があったね…」

 

「本当です。まさか、こうして高校に通うどころか異世界の自分や歩夢先輩達に加えて、天王寺さん達にまで会うなんて……しかも全員ヤンデレ…」(ガタブル…)

 

「あれが宇宙警備隊のゾ◯ィー隊長が言っていた、並行同位体なんですね!!」

 

「たぶんな……それに、この世界にもあちらで会ってこちらでいなかった人物…中須かすみ・宮下愛・近江彼方の並行同位体がいるかもしれんぞ?」

 

「「「まっさかー♪」」」

 

そんな他愛のない会話をしながら進んでいく4人。この時、彼らは知らなかった。その並行同位体がかなり間近にいた事を……

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

皆さん、こんにちわ。上原歩夢です。私はせつ…じゃなかった、菜々ちゃんとしずくちゃんと一緒にヴァーリさんの案内で駒王学園の職員室へと行き、そこで担任の人に挨拶をしてHR開始まで必要な書類にサインしたり、教科書を受け取ったりしてたら、あっという間に時間が来た。

 

「それじゃしずくちゃん、またお昼にね」

 

「はい」

 

学年の違うしずくちゃんとはここで別れ、私と菜々ちゃんは先生に、これから学ぶクラスに案内してもらっていた。

 

この時に担任の先生に聞いたけど、私達のクラスには知ってる人がいないのがちょっと残念だったな…

 

「ここが今日から貴女達が通うクラスになります。準備が出来たら呼びますから、そうしたら入ってきてください」

 

「「はい!!」」

 

そう言って先生は教室に入っていった。途中、歓声みたいなのが聞こえてきて、そのすぐ後に呼ばれた私達は教室へと入った。

 

「はい、今日から新しくクラスに加わる上原歩夢さんと中川菜々さんです」

 

「「よろしくお願いします」」

 

『『『『『イエェェェェェイッ!!!!』』』』』

 

先生に紹介されて挨拶すると、クラス中が歓喜の叫びをあげる。

 

ものすごい声…ちょっとビックリしちゃった。

 

「マジモンのアイドルキターッ!!」

 

「お近づきになって、私もアイドルデビューしたーい!!」

 

「アンタ、鏡見てから言いなさいよw」

 

「ノートにサインくださーい!!」

 

「僕はサッカーボールに!!」

 

「私はスマホケースに!!」

 

「俺はタイガス◯ークに!!」

 

「俺はこの極星光◯手裏剣に!!」

 

「私は…この自慢のウルトラマッスルに!!」

 

「「「「「夏に暑苦しいわッ!!!!」」」」」

 

「「ア、アハハ…」」

 

そんな個性豊かなクラスメイト達に苦笑していたら…

 

「それにしても、こんな時期に転校してくるなんて…ずいぶん破天荒だね~。転校だけに!!アハハハハ!!」

 

「アハハハハハハハハッ!!愛ちゃん上手すぎ~!!」

 

「「え…?」」

 

どこか聞き覚えのある声とダジャレが聞こえたので、そっちを見ると……そこには異世界で会った宮下愛ちゃんにそっくりの人物……ううん、菜々ちゃんやヴァーリさんの言っていた並行同位体がいたの。

 

(まさか、本当に並行同位体がいたなんて……それよりも…)

 

「転校だから破天荒…………プッ…アハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

なにそのダジャレ!!面白すぎるよ~!!

 

「およ?まさか、ゆうゆ以外に愛さんの爆笑ギャグで笑ってくれる人がいた!!」

 

((((((え?爆笑…?))))))

 

なんでかクラスの空気が冷めきっていたけど、私はそのギャグで笑いが止まらない。

 

「それなら連発だ!!…この箱、どこに運ぶの?箱だけに!!」

 

「「アハハハハハハハハハハハハハ!!」」

 

「この米を作ったの、高名な人なんだって!!米だけに!!」

 

「「アハハハハハハハッ!!ま、待って…!!これ以上は…!!」」

 

「焼き肉したのはいいけど、この鉄板焼きにくいなぁ~…焼き肉だけに!!」

 

「「アハハハハハッ!!ゲホッ、ガホッ…!!い、息が…!!」」

 

「ダジャレで溺れないでください…」

 

笑いすぎて呼吸困難になりかけた私に、菜々ちゃんが耳を塞ぐ事でダジャレを聞こえなくしてくれたお陰で、何とか呼吸を落ち着ける事ができた。

 

「ハァ…ハァ…あ、ありがとう…菜々ちゃん……」

 

「もう…歩夢さんは私達のリーダーなんですから、しっかりしてもらわないと…」

 

「はーい…」

 

笑いすぎて菜々ちゃんに怒られちゃったけど、ツボに入っちゃうくらい面白いんだから仕方ないよ~…

 

「はいはい、宮下さんと高咲さんも静かにしてくださいね。これからHRを始めますから」

 

「「はーい!!」」

 

先生に窘められた2人も大人しくなり、私達は先生の指示で空いている席に座りHRを聞いた後、小休憩の時間…

 

「ねーねー!!なんでアイドルになったの!?」

 

「芸能人の知り合いとかいる!?」

 

「休みの日は何してるの!?」

 

「オススメのコスメとかある!?」

 

「よく飲むプロテインは?」

 

「好きな人とかいるの!?」

 

「スリーサイズ教えて!!」

 

「「ち、ちょっと待って…!!」」

 

私達はクラスメイト達からの質問攻めにあっていた。

 

ストップストップ!!私、聖徳太子じゃないからそんな一辺に言われても~!? というか、今誰か変な質問しなかった!?

 

「はいはーい!!皆、落ち着こうか!!」

 

「そんな一度に言われたら、2人も答えられないよ?」

 

そんな状況に宮下さんと、さっきギャグで笑っていた毛先が緑色になってる黒髪ツインテの女の子が助け船を出してくれた。

 

「とりあえず、順番に並んで1人ずつ質問していこっか?」

 

「あ、それとさっきスリーサイズを聞こうとした手裏剣男子?…君は罰として2人への質問と接触禁止ね♪」

 

「マジでスイマセンでしたァァァァッ!!」

 

「「「「「「「アハハハハハハハッ!!」」」」」」」

 

ツインテの女の子からの宣告に、ウインドチャンピオン土下座する手裏剣君(仮)。そんな光景に、皆で笑っていたら…

 

『アユム、シズクからLINEが着ています』

 

私のスマホから、小西◯幸さん似の電子音声が聞こえてきた。もっと詳しく言えば、スマホに着けてる女の子向けじゃない武装盛り盛りの黒い竜人型ロボットのキーホルダーなんだけどね?

 

「およ?今の声は…?」

 

「それはこの子だよ」

 

「あれ?それってまさか……」

 

キョロキョロする宮下さん達に、私はスマホからそのキーホルダーを外して机に置く。それを見たツインテちゃんが何故か驚いているけど、何かあったのかな?とりあえず、まずは紹介しないと。

 

「ハーちゃん、皆に挨拶して」

 

『初めまして皆さん。私の名は【テラハーキス】。アユム達A・ZU・NAのマネジメントやプライベートのサポートをしているAIです』

 

『『『『『おおーッ!!』』』』』

 

「やっぱりギルバリスぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

(ギルバリス?なんでハーちゃんの本名を知ってるんだろう?それより、しずくちゃんに返信しな……い…と…………え?)

 

目を光らせながら喋るハーちゃんの自己紹介に皆が驚く中、ツインテちゃんだけが何か絶望したような表情で、ハーちゃんの本名を小さく叫んでるのを不思議に思いつつも、私は内容を確認するためにしずくちゃんからのLINEを見て目を丸くした。そこには…

 

【た、大変です!!私のクラスにかすみさんの並行同位体が…あちょなにをしてるくぁwせdrtfgyふじこlp】

 

そう書かれていたのだから…

 

え?1年にかすみちゃんの並行同位体がいるの?…2年には愛ちゃんの並行同位体がいるし……ってことは、まさか3年には彼方さんの並行同位体がいるんじゃ………ていうか、最後は何があったんだろう?

 

【初めましてぇ~♪超絶可愛い美少女の、かすみんでぇ~す♪どうです?こんな可愛いかすみんを、アイドルにしてみませんか~?】

 

そこに新しくLINEが届き、画面にはそんなしずくちゃんらしくない文面と画像が送られていて、画像には異世界で会ったかすみちゃんの並行同位体の自撮り画像が写っていた。

 

「もしかして、スマホを奪われて勝手に使われたんでしょうか?」

 

「たぶん…」

 

【す、すみません!!(カス)みさんにスマホを奪われて、勝手に使われてしまいました…!!】

 

「「やっぱり……」」

 

一緒に見ていた菜々ちゃんが考察していると、そこに慌てたようなの文面が送られてくる。文章の感じからして、しずくちゃん本人だ。

 

うん、それは解ってたけど……その名前の変換は悪意ない?アークの意思に従っちゃ駄目だからね?

 

「あ、かすみちゃんだ!!」

 

「「え?」」

 

そこに同じく覗き込んでいたツインテちゃんが、彼女の名前を口にした。

 

「彼女を知ってるの?えっと……」

 

「あ、自己紹介してなかったね。私は【高咲 侑】。よろしくね」

 

「うん、よろしくね。高咲さん」

 

「侑でいいよ。貴女とは気が合いそうだし♪」

 

「あ、それ私も思ったの!!」

 

ああやって同じギャグで笑える人に、悪い人はいないもんね!!

 

「それじゃあ、私も歩夢でいいよ。侑ちゃん♪」

 

「うん、歩夢ちゃん♪」

 

「あ!!ゆうゆズルいよ!!愛さんも、愛さんも!!」

 

「うん、愛ちゃんもよろしく」

 

「ヨロシク~♪ではお近づきにとっておきを1つ……誰か~!!この鯖の捌き方教えて~!!サバだけに!!」

 

「「プッ!!アハハハハハハハハハハハハハ!!」」

 

「……あ、これ私がツッコミ担当なんですね…」

 

この後、菜々ちゃんも2人と友達になり、それから侑ちゃんの話によると、かすみちゃんは侑ちゃんが実家の家業を手伝っている時に知り合ったらしくて、他にも下級生に1人、上級生に1人知り合いがいるんだって。

 

「そうだ!!良かったらお昼、一緒に食べない?他の友達も紹介したいし…」

 

「お、いいねー!!愛さんはさんせー!!」

 

「あ、それなら屋上にしようよ。ゲンムコーポレーションの人達も一緒だけど…」

 

「いいのッ!?これでゲンムの人達と仲良くなれたら、就活に役立つかも…!!」

 

「じゃあ決まりですね」

 

2人の参加も決まったところで、しずくちゃんにもその旨のLINEを送るとすぐに返信が来て…

 

【では、私もお友達を2人ほど連れていきますね】

 

と、書かれていたので先に移動して侑ちゃんの知り合いの上級生と合流したんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして~。3年生の【近江 彼方】さんだよ~。よろしくね~?」

 

その人はある意味で予想通りだった、彼方さんの並行同位体でした…




いかがでしたか?


更新が遅くなってスミマセン……最近、シンフォギアやラブライブにプリコネのアプリに加えて、アサルトリリィのアプリに嵌まっていたので……梨璃ちゃんと雨嘉ちゃん可愛い…


次回【襲撃されるHigh School】


「なら……八葉一刀流の妙技、お見せします」


それでは次回で、お会いしましょう。




それと活動報告で、ギャスパーのライダーについてアンケートをやってるので、良ければ参加していってください。


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襲撃されるHigh School

千「え~、花丸ちゃんとルビィちゃんが何処かに行っちゃったので、今回は私こと高海 千歌と…」

曜「ヨーソロー!!な渡辺 曜でお送りします」

千「でも2人とも、どこ行っちゃったんだろ?」

曜「何かルビィちゃんが、裏切り者って叫んでたのはきこえたけど…何の事なんだろう?」

千「え、なにそれ怖っ」

曜「それと、今回の話は作者的にネタが多めなんだって」

千「ええ…作者が入れるネタってそんなに面白くないんだけど…」

曜「まぁ、面白いか面白くないかは読者に決めてもらおうよ」

千「そうだね。それじゃ…」

千・曜「「本編をどうぞッ!!」」


「チミさぁ…?いい加減、諦めって言葉を理解してくんない?」

 

「しかもアポも無しに来るなんて…常識って知ってます?」

 

「僕としてはそのつもりはありませんし、常識も持っているつもりです」

 

ヴァーリ達が登校してから2時間後、リゼヴィムと明日那は会社に(無断転移で)やって来たディオドラに、辟易しながらも応対していた。

 

「ハァ……お前がなんて言おうと、アーシアちゃん自身が【うん】と言わない限り、オメェなんかにやらないって言ってんの。何回言えば解る?その耳は飾り?もぎ取ってやろうか?ん?」

 

「その程度の脅しで屈する僕じゃありませんよ?」

 

「とか言って…1度振られたからって、再度本人に告白する度胸のないヘタレのくせに…」

 

「ぐ…!!」

 

リゼヴィムの言葉にも毅然とした態度をとるディオドラだったが、明日那の呟きに少し怯む。

 

「ですが、僕の提案はそちらにとって悪くないものかと思いますよ?」

 

「何偉そうに言ってんのさ。アスタロト家が生涯に渡って幻夢コーポレーションのスポンサーになって、多額の支援を送るだっけ?嘗めてんのか?ウチはアンタらの支援なんざ無くても、立派に会社として維持できてるし、業績も毎年右肩上がりなんだよ。むしろ、支援が欲しいのはそっちなんじゃないの?」

 

「ハハッ、まさか…でしたら、僕と貴方のお孫さんとでレーティングゲームをしませんか?僕が勝ったら、アーシアさんを僕に渡すと言うのはどうです?」

 

「認める訳無いでしょ。とりあえず、仕事の邪魔だからさっさと帰ってちょうだい。明日那ちゃん、アーシアちゃんが清めた聖なる塩を撒いてやって」

 

「了解です」

 

「おっと、分かりました。今日はこれで引き下がります」

 

「そのまま、引きこもっててくんない?」

 

これ以上はとりつく島もないと思ったディオドラは転移用の魔法陣を展開し…

 

「ですが、アーシアは必ず僕のものになりますよ?必ずね…」

 

そう謎の言葉を残し、転移していった。

 

「…………社長」

 

「こりゃ、警戒を厳にした方が良さそうだね…明日那ちゃん、ちょっと今から出張に言ってもらえない?それと、直近の護衛としてゼノヴィアちゃんの駒王学園への転入手続きを」

 

「解りました。急ぎ手配します」

 

「お願いね」

 

明日那はリゼヴィムの頼みに頷くと、早足で社長室を出ていき、リゼヴィムは椅子の背もたれに深く寄りかかる。

 

「ニャロウ……一体何をやるつもりだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、彼方先輩には妹さんがいるんですね?」

 

「うん、遥ちゃんっていってね~?スッゴく可愛いんだから~♪」

 

場所は変わり、駒王学園では昼休み。彼方と合流した歩夢達は屋上に行く階段の前でしずく達を待っていると…

 

「すみません、お待たせしました」

 

下の階から、しずくが2人の少女を引き連れてやって来た。1人は先ほど自撮り画像を送ってきた【中須かすみ】、もう1人は黒髪のボブカットに左側には白い紐の髪飾りを結び、口からは八重歯を覗かせているキリッとした印象の少女だ。

 

「紹介しますね。こっちはさっき、スマホでやっていたから飛ばして…」

 

「ちょッ!?しず子!!飛ばすとか酷いッ!!」

 

「こちらはクラス委員長で風紀委員の三船 栞子さんです」

 

「スルーッ!?」

 

しずくの対応に抗議するかすみだが、その辺は自業自得ともいえるので、どうしようもないだろう。

 

「初めまして、【三船 栞子】といいます。よろしくお願いします、上原先輩に中川先輩」

 

「こっちこそよろしくね、栞子ちゃん」

 

「はい、ヨロシクです!!」

 

ペコリと綺麗なお辞儀をする彼女に歩夢と菜々も応え、彼方と愛と侑もしずくに自己紹介し(しずくは彼方と愛を見て一瞬、驚きで固まるがすぐ復活)、全員が揃ったので屋上への階段を登り始める。

 

「へぇ~、栞子ちゃんって日本舞踊を習ってるんだ?」

 

「はい。両親が躾に厳しく、礼儀作法の一環で…」

 

「他にも、何か習ってるんですか?」

 

「茶道と華道を。後は…………剣術を少々…」

 

「剣……ですか?」

 

「はい。昔出会ったとある人物にご教授していただき、それなりの腕を自負してるつもりです」

 

「と、本人は言ってるけど~…実はかなりの腕前なんだよ~?その御師匠様から、中伝を授かってるし~」

 

「「「おお~!!」」」

 

「いえ、師範に比べたら自分なんてッ!?」

 

「と、着きましたね」

 

「あれ?かすみんへの質問は…?」

 

「はいはい、また後でね」

 

そんな会話をしていた間に階段を昇りきり、菜々が屋上への扉を開けると、そのすぐ近くでヴァーリ達が場所取りをしていた。

 

「お、来たみたいだな」

 

「みんな~!!こっちこっち~!!」

 

千歌の手招きで歩夢達もそこへ合流する。

 

「お待たせしました~!!」

 

「いや、こっちも千歌が居眠りしていた説教で遅くなって、今さっき来たところだ」

 

「ちょっと~!!初対面の後輩の前で言わないでよ~!!先輩としての威厳が~!!」

 

「大丈夫、千歌ちゃんにそんなものは無いから」

 

「梨子ちゃんまでッ!?うえ~ん!!鞠莉ちゃ~ん!!」

 

「Oh~、よしよし♪」

 

「この時点で、威厳もへったくれも無いわね…」

 

「だね」

 

鞠莉へと泣きつく千歌の行動に呆れる善子と梨子。歩夢達もそれに苦笑いしつつ、お弁当を準備していたら…

 

「皆~、お待たせ~!!」

 

屋上に果南がやって来た。その後ろには曜にダイヤ、ルビィに花丸…そして一誠もいた。

 

「待ってたわよ、カナ~ン♪」

 

「ちょっと鞠莉?いきなり抱き着……フンッ!!」

 

「アウチッ!?」

 

千歌から離れて果南に抱き着く鞠莉。最初は果南も軽く嗜めるだけにとどめていたが、彼女の手がある部分に向かっているのを感じ、鞠莉の顎に見事なアッパーを叩き込んだ。モロに喰らった鞠莉は少し宙に浮いて地面に倒れる。

 

「どさくさ紛れに、人の胸を揉もうとすんなッ!!」

 

「な…Nice Upper…!!」

 

「綺麗なアッパーズラ…」

 

「うゆ…」

 

「全く貴女という人は…」

 

そんな鞠莉にため息を吐くダイヤだった。

 

「兵藤先輩と渡辺先輩はお久しぶりですね?」

 

「おう」

 

「うん、あの時以来だね」

 

栞子は異世界で出会った一誠達に挨拶していたが…

 

(まさか兵藤先輩とまたお昼をご一緒できるなんて…!!しずくさんには感謝しかありません!!今後とも、仲良くしていかないと…!!)

 

内心では、一誠と食事できる事に小躍りしていた。表情には一ミリも出してはいないが…

 

「ほらほら、お昼休みは有限なんだから早く食べましょう?」(パンパンッ)

 

このままでは収拾がつかないと思い、梨子は手を叩いてそれを終わらせ、それぞれが座ってお弁当や購買で買ったパンやおにぎりを食べ始める。

 

「しかし、テラハーキスから事前に連絡がなかったら、俺達も驚いてたぞ…」

 

「ですよね…私と菜々ちゃんも驚いて固まりましたし…」

 

そして会話に花を咲かせていたら…

 

「そういや、1年どもに聞きたいんだが……誰が俺を番長呼びし始めたか……知ってる奴はいるか?」

 

唐突に一誠が1年生達に話しかけた。どうやら、未だに番長呼びをした人物を探しているようだ。

 

「あ、それはかすみんですね」

 

そして命知らずなかすみが、犯人は自分だと自白した。

 

「ほう…?」

 

「だって、兵藤先輩の活躍は1年の間で有名ですから!!他校の不良を武力をもってねじ伏せていく姿は、まさしく番長じゃん!!って思って……どうです?気に入り…「なるほどな……テメェが犯人だったか…!!」あれ?何か嫌な予感が…」

 

自信満々に語るかすみに、一誠は怒りのオーラを発しながら立ち上がり…

 

「勝手に人を番長にしてんじゃねぇッ!!!!」

 

「うひゃあああああああああああッ!?」

 

かすみの頭を握ろうと手を伸ばす一誠。しかし、それはすんでのところでかすみに消えるようにして避けられる。

 

「あん?今のは…」

 

「あ、危なかった…!!」

 

一誠が視線を巡らせると、かすみが立っていた場所から10m程離れた場所に彼女は立っていた。

 

「なに……いまの?」

 

「全く見えなかったズラ…!!」

 

「なるほど……高速移動の類いか…」

 

「ふ、フフン!!かすみんの【縮地】に、先輩は追いつけますか!?」

 

奥の手を使って離脱できた事に安堵しつつ、一誠を煽るかすみ。しかし、その安堵は長く続かなかった…

 

「なら……試してみるか?」

 

「へ?」

 

怪しい笑みを浮かべた一誠に、首を傾げるかすみ。次の瞬間、一誠の姿がその場から()()()

 

「ッ!?ど、何処に……「ここだよ」(ガシッ)…え?イダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!?!?」

 

彼を探そうと視線をさ迷わせているかすみだが、後ろから聞こえた声に振り返る間も無く、いつの間にか背後に移動していた一誠は彼女の頭は掴み、万力のごとく全力で締め上げていく。

 

「な、なんで先輩が縮地をぉ~!?」

 

「今見て覚えた」

 

「なんですとぉッ!?」

 

そう、この男…かすみが使った縮地を見て、完全にモノにしていた。つまり、かすみは自ら敵に塩を送ってしまったのだ。

 

「あの子…善子ちゃんと同じ才能を持ってる気がする」

 

「ヨハネよ。てか、どういう意味よ梨子?私と同じ才能って……もしや、あやつも魔導の才に…!!」

 

「ううん、バラドルの才能」

 

「バラドルッ!?」

 

「しお子~!!彼方せんぱ~い!!だずげでぇ~!!」

 

アイアンクローの痛さに、泣きながら助けを請うかすみだが…

 

(さすがは兵藤先輩ッ!!私でさえ覚えるのに時間の掛かった縮地を、こうも簡単に使いこなしてしまうなんて…!!凄すぎです!!惚れなおしてしまいました!!)

 

栞子は一誠の凄さに心奪われており…

 

「どうかしら、マリーのKnee Pillowは?」

 

「気持……すやぴ~…」

 

「寝るの早ッ!?」

 

彼方は鞠莉の膝枕で、果南が驚く早さで寝てしまっていた。

 

「うう…!!侑ぜん"ぱ~い"!!」

 

そして、最後の頼みの綱であろう侑はというと……

 

「この状況は……中須ちゃん、俺を怒らせると泣かすぞ?中須だけに!!」

 

「「アッハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」」

 

愛のダジャレで歩夢と一緒に爆笑していて、全く聞こえていなかった。

 

「………………………………(パクパク)」

 

「どうやら、年貢の納め時のようだな…?」

 

「ヒィッ!?ご、ご勘弁を~ッ!!」

 

あまりの救いの無さに絶望したッ!!…というような表情のかすみに、トドメを刺すために一誠が握る手に力を入れていき、恐怖に震える目を瞑るかすみだが…

 

「~~~~~~~~~~!!………………ん?」

 

途中で痛みが消えるどころか、頭を掴んでいた手の感触すら無くなった事に不思議に思い目を開けると、視界にさっきまでいた人達……ヴァーリと梨子、千歌と鞠莉と善子とダイヤがいなくなっていたのだ。そして振り返ると、今まで背後にいた一誠もいなかった。

 

「あれ?番長先輩は…?それに他の人達も、何人かいないけど?」

 

「いたた…気持ちよく寝てたのに…あれ?もう授業始まっちゃった?」

 

頭に?を大量に浮かべるかすみに、鞠莉が消えたことで床に頭を打って起きる彼方。そんな時…

 

「いなくなった……というか、急に消えちゃったんですけどッ!?」

 

こうなった事に愛がテンパりながら話す。そりゃ、人がいきなりいなくなれば、誰だって焦る。だが、しずくにせつ菜、歩夢の3人はすぐに原因を理解した。

 

「今のドット状の光は…まさか!?」

 

「はい、間違いありません!!」

 

「ゲームエリアへの……強制転送!!」

 

―ドゴォン!!―

 

「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」

 

そこに大きな爆発音が、かのじょたちの鼓膜を震わせる。急いで音がした校庭を見ると、バグスターが10数体、その配下であるバグスター兵が大量に現れていて、その一部は既に校舎に侵入を始めており、更にそれらを指揮する悪魔らしき存在もいた。

 

「あれって…バグスターッ!?」

 

「でもルビィ達が知ってるのと、色が違うよ!?」

 

「じゃあ、クロノス側…!?」

 

「せつ菜ちゃんは3年生、しずくちゃんは1年生、私が2年生の階に行って迎撃するから、皆は早く避難を………ってあれ?」

 

歩夢が素早く指示を出していると、さっきまでいた栞子、彼方、かすみの3人までもいなくなっていた。

 

「栞子ちゃん達はッ!?」

 

「何か忘れ物したからって、教室に戻っていったよ?」

 

「「「のん気過ぎるッ!?」」」

 

3人は侑の言葉に、この緊急時に悠長な…と思わなくもないが、今は1分1秒が惜しい状況であり、自分達が早く助けに行けばいいと判断する。

 

「とりあえず、皆は避難しつつ誘導の方もお願いしてもいい?」

 

「任せて!!」

 

歩夢の頼みに果南が応えると、3人は屋上の入り口から校内へと駆けていった。

 

「でも、栞子ちゃん達…大丈夫かな?」

 

「大丈夫、大丈夫!!」

 

そして、先に消えた3人を心配するルビィだったが、侑はそれに笑顔で応える。

 

「何でそう言えるの?」

 

「あの3人の強さは……一味違うからだよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

「ハーちゃん!!アタッシュカリバーを!!」

 

『了解』

 

階段を駆け降りながら、私はハーちゃんに頼んで締まって貰ってたアタッシュカリバーを出してもらい、それを手に2年生の階に来ると…

 

「皆ッ!!大丈……ぶ…?」

 

目の前には人垣が出来ていて、その先では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ピピィィィィィィィィッ!?」」」」」

 

「これ以上、好き勝手にやらせてたまるか!!喰らえ、フ○イムブラスター!!」

 

慌てふためいているバグスター兵達と、光の勇者(仮)君が、ライターとスプレー缶を使った即席火炎放射機でバグスター兵を焼いていたり…

 

「これで宇宙の果てに運び去ってやろう!!吹き飛べ、レッキ○グバスター!!」

 

力の賢者(仮)君が、バスケットボールを殴り飛ばしてバグスター兵にぶつけていたり…

 

「これはピースマークじゃねえぞ?テメェらはあと2秒で終わりって意味だ!!行くぜ、鋭○光波手裏剣!!」

 

風の覇者(仮)君が、数学の先生が使う大きな正三角形の定規を持ってバグスター兵に突っ込んでいたり…

 

「超加速!!からの…ダブルスラ○シュ!!」

 

「ピッ!?ピー!!」

 

「ヤバ…!?」

 

「カバ○ムーブ!!」

 

「ピブッ!?」

 

「ナイスアシスト!!」

 

「えへへ~♪」

 

回避盾(仮)さんが、両手に折り畳み傘(収納状態)を握ってバグスター兵達を次々と叩いていき、反撃されそうになると防御極振り(仮)さんが、素早く間に入って防火用の鉄の扉を盾代わりにして防いでいたり…

 

約束された(エクス)……勝利の剣(カリバー)ァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

騎士王(仮)さんが、某聖剣の名前を叫びながら竹刀でバグスター兵の頭を全力で叩いていたり…

 

「私が皆を守る!!勇○パーンチ!!」

 

勇者部所属(仮)さんが、見事な構えから強烈なパンチを繰り出してバグスター兵のお腹に拳をめり込ませたりと、何故か生徒側が優勢な立場なの…そして何より一番の驚きが、戦ってるのが全員クラスメイトだった事です…

 

「なぁにこれぇ…」

 

『アユムのクラスメイトは、個性的な人が多いですね』

 

いや…これは個性的というより、善子ちゃんと同じ中二病的な気が……

 

この光景に唖然としていた私だけど、私の視界に廊下の奥から、こちらへ向かってくるカイデンとガットンが映った。

 

「いけない!!」『BLADE RIZE!!』

 

私はすぐさまアタッシュカリバーを展開して人垣を飛び越え、光の勇者(仮)君へと振るわれるカイデンの刀を受け止めた。

 

「くぅ…!!」

 

「ほう…ワシの動きについてこれるとは…!!」

 

「上原さんッ!!」

 

「皆は急いで避難してッ!!早くッ!!!!」

 

「ッ!?…分かった!!」

 

私の指示を聞いて、光の勇者(仮)君が避難誘導を始めてくれる。その間、私はカイデンを押し返して斬りかかるが防がれる。

 

「貴方達は、何が目的でこんな事を…!!」

 

「人探しを依頼されただけだ……探し出すのに手段は問わんともな!!やれ、ガットン殿!!」

 

「ピピ…了解」

 

「ッ!?やらせな「させんぞ!!」うぁッ!?」

 

そしてカイデンに気を回しすぎて、ガットンの事を忘れていた私は、ロケットパンチを放とうとするガットンを止めようとしたけど、カイデンに邪魔されて避難中の皆へと向けてロケットパンチが放たれる。

 

「マズイッ!?」

 

「ここは私が「下がっててください」ぬ…?」

 

光の勇者(仮)君がそれに気づき、力の賢者(仮)君がそれを受け止めようとしていたけど、その横から1人の女の子が飛び出してくる。その手に握っているのは【太刀】と呼ばれる片刃の剣だ。

 

「八葉一刀流・三ノ型…」

 

それを頭上へと掲げ、どうやってるのか解らないけど刀身に炎を纏わせ…

 

「【業炎撃】ッ!!!!」

 

―ガギィィィィィィィィィィィン!!!!―

 

一気に振り下ろして、ガットンのロケットパンチを叩き落とした。

 

「ピガッ!?」

 

「なんと…!!」

 

「うそ~ん…」

 

ガットンのロケットパンチは、最低でも数十tにもなるのに…それを生身で打ち落とすなんて…!!

 

「貴様……どうやってガットン殿の拳をッ!?」

 

同じように驚いていたカイデンに、その子(煙で姿が見えない)は剣を構え…

 

「答えは簡単です」

 

横に一閃して煙を斬り払った。そこにいたのは…

 

「拳の行き先を、生徒から床に変えただけです」

 

鋭い瞳でカイデン達を睨みつける…栞子ちゃんだった。

 

そっか!!いくら重くても真っ直ぐにしか進まないのなら、先端を下に向けさせるだけで標的は床に変わる!!……って、それでもかなりの力が必要だと思うけどぉッ!?

 

「警告します。これ以上、この学園に危害を加えるというのなら……こちらも武力をもって鎮圧させていただきます」

 

太刀を突きつけて宣言する栞子ちゃん。その体から発せられる威圧感は、歴戦の戦士を思わせる程に重いものだった。

 

「小娘風情が嘗めるなよ…!!我が弟子達なら、貴様なぞ!!」

 

「「「ピピーッ!!」」」

 

だけど、カイデン達がその程度で止まる訳はない。バグスター兵3体を栞子ちゃんへと向かわせた。

 

「一応、警告はしました。なのにそれを無視しますか…」

 

対する栞子ちゃんは全く慌てず、太刀を鞘に納め…

 

「なら……八葉一刀流の妙技、お見せします」

 

そして少し前屈みになり、抜刀術みたいな構えをしたら…

 

「八葉一刀流・四ノ型…【紅葉切り】」

 

彼女の姿がその場から消え、バグスター兵達の背後に剣を抜刀した状態で立っていた。

 

え…?今、何が…?

 

何が起きたのか解らない…それほどの速さだった。そして栞子ちゃんは某蟲柱のごとく剣をクルクルと回してから、太刀を鞘に納めた。

 

「振り向かないでください」

 

「ピ…?」(ズル…ゴトリ)

 

最後に栞子ちゃんの警告を聞かず、振り返ったバグスター兵達は、3人揃って首から上が地面に落ちて消滅した。

 

うわぁ…ちょっとしたホラー見ちゃったよぉ…

 

「人の忠告は聞くものですよ?」

 

「ぐぬぬ…よくも我が弟子をッ!!」

 

「今だッ!!」

 

「うおッ!?」

 

意識が栞子ちゃんに向いている隙に、カイデンのお腹を蹴って怯ませ、その間に距離を取って栞子ちゃんの隣に並んだ。

 

「大丈夫ですか、上原先輩?」

 

「うん。それにしても…栞子ちゃんって結構強かったんだね?」

 

「これも師範のお陰です」

 

「そっか…後は任せて。ここは私が…」『ZERO-ONE DRIVER!!』

 

「ここは引き受けます。先輩は下がって…」『聖剣ソードライバー!!』

 

「「…え?」」

 

私が腰にゼロワンドライバーを装着するのと同時に、栞子ちゃんの方から何かの音声がして、彼女を見たら剣を納めた鞘みたいなベルトを腰に装着していた。

 

「それって…もしかして!?」

 

「まさか、上原先輩も!?」

 

「何を話しているッ!!」

 

「センメツ……タオス…!!」

 

その事に驚いている私達に、カイデンとガットンが攻撃してくるけど揃って前転で回避する。

 

「だったら、一緒にやらない?」

 

「そうしましょう」

 

「それじゃ同時に!!」『JUMP!!』『AUTHORIZE』

 

「はい!!」『ブレイブドラゴン!!』『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』

 

私はライジングホッパープログライズキーを起動させてドライバーに認証し、栞子ちゃんは手のひらサイズの本みたいなのを開いてからドライバーの右側のスロットにそれを装填した。

 

そして彼女の背後には巨大な本が、私の背後には天井を突き破って落ちてきたバッタちゃんが「ぐえッ!?」…ん?今、何か蛙が潰れたような声が…

 

「あの、先輩?……何かバッタの下敷きに…」

 

「え…?」

 

栞子ちゃんに言われて振り返ると、そこにはバッタちゃんに潰されているリボルがいた。更に幅が狭いためか、バッタちゃんは飛び回らず、その場でジャンプするだけ。そのせいでリボルは、バッタちゃんに何度も踏みつけられていく。そして10回目辺りで…

 

「我輩……こんな消え方、嫌だよぉ…!!」

 

そう、泣きそうな声で呟いて爆散した。

 

「「………………………………」」

 

それを私達は無表情で見ていた。

 

えっと……そうだ!!リボルは最初からいなかった事にしよう!!そうしよう!!

 

「先輩……今のは「栞子ちゃん、そこにはバッタちゃんしかいなかったでしょ?」え?でも今…「イナカッタデショ?」ア、ハイ…」

 

とりあえず私達は見なかった事にして、変身シークエンスを続ける。私は右手のプログライズキーを開きベルトに装填し、栞子ちゃんはベルトに刺さっている剣を勢いよく引き抜く。

 

「「変身ッ!!」」

 

『プログライズ!!』

 

『烈火抜刀!!』

 

そして私はゼロワンに、栞子ちゃんは右肩に赤いドラゴンの頭部みたいな鎧を着け、白と黒のボディスーツに頭に一本の剣が生えてる姿になった。

 

『跳び上がライズ!!ライジングホッパー!!』『A jump to the sky turns to a rider kick』

 

『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』『烈火一冊!!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、深紅の剣が悪を貫く!!』

 

「な、なんだ貴様達はッ!?」

 

「私はゼロワン…仮面ライダーゼロワン!!」

 

「私は炎の剣士…仮面ライダーセイバー!!」

 

名乗った後に私はアタッシュカリバーを、栞子ちゃんはベルトから抜いた(何故か少し大きくなってる)剣を構える。

 

「まさか…他にも仮面ライダーがおったとは…!!だが、貴様らはここで終わりだ!!」

 

「それを決めるのは貴方じゃない!!」

 

「この戦いの結末を決めるのは…」

 

そして剣をカイデン達に突きつけ…

 

「「私達だッ!!!!」」

 

カイデン達へと駆け出した。




いかがでしたか?

はい、この回はただ私がやりたかったネタをぶっこんだだけです。唐突に神のお告げがきたので…

次回は飛ばされた一誠達から始まります。



次回【そのRIDERは敵か味方か?】

「私達の獲物を、横取りしないでもらえる?」



では次回で、お会いしましょう。


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そのRIDERは敵か味方か?

花「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…」(ズタボロで土下座中)

ル「これに懲りたら、1人で抜け駆けしないでよ?……という事で、前回のあらすじ♪屋上で皆でご飯を食べていたら、お姉ちゃん達が何処かにとばされて、駒王学園にはバグスターが襲撃してきたよ♪」(左頬と右拳を血で濡らしながら)

千・美「「ガタガタガタガタガタガタガタ…」」

曜「あ、あんなルビィちゃん…見たことないよぉ…!!」

一「マウントからのタコ殴りか……黒澤妹も、中々やるじゃねえか」

ダ「どう見ても貴方の影響ですわよッ!!返してくださいません!?可愛い頃の私のルビィをッ!!」

一「いや、知らねぇよ。それなら前章の前書きに出てた国木田に言え」

ル「それじゃ皆、本編を見てね♥️……もし見なかったら…………わかってるよね?」(ハイライトの消えた瞳で、血濡れの拳を見せつけながら)

ダ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?元に戻ってルビィィィィィィィィィィィィィィィッ!?」


歩夢達がバグスター達と戦っている頃、突如ゲームエリアに巻き込まれたヴァーリ達はと言うと…

 

 

千歌side

 

皆さんこんにちわ、高海千歌です!!私達はいきなり廃工場のゲームエリアに飛ばされて、気づけばグレモリーさんとシトリーさんにその眷属の人達も一緒で、そこで約10万のバグスター兵達を倒さないと出られないというルールの下、戦おうとしていたんだけど実際は兵藤君だけが戦っていて、私達は見てるだけだった。

 

「ねぇ、梨子ちゃん?」

 

「何、千歌ちゃん?」

 

「あれは何?」

 

だって、私が指差す場所では……

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!こりゃ良いぜッ!!グラファイトから教わった新技の試しによぉッ!!」

 

「「「「「「「「「ピピィッ!?」」」」」」」」」

 

兵藤君がバグスター兵達を、生身で圧倒していたの。しかも、彼の攻撃を喰らったバグスター兵達は粉々に砕かれている。

 

「兵藤君が暴れてるわね」

 

梨子ちゃんの言う通りの現状だけど、私が気になってるのはそこじゃない。

 

「そうだけどそうじゃなくてさ……何で兵藤君が攻撃した場所が、粉々どころか()()()()()()()()()()()の?」

 

そう、さっきから兵藤君が何かを攻撃すると、その場所が粒子レベルで粉砕されている事だ。一体、何をどうしたらあんな事が出来るのかな?

 

「たぶんアレじゃない?ほら、最初に拳を立てて殴って、すぐに拳を折って2撃目を叩き込む破戒僧のやつ……」

 

その方法について考えていたら、梨子ちゃんが答えを教えてくれた。

 

「ああ、あれかぁ!!」

 

確かにあれなら、あんな風になるよね!!それじゃあ…

 

「なら、空中でジャンプしたり、足を振って斬撃を飛ばしたり、瞬間移動並みの速さで動いたり、指で体を貫いたり、槍の穂先を無傷で受け止めてたり、まるで紙の様に回避したりしてるのは?」

 

更に目の前では兵藤君が人には到底出来ない動きで、バグスター達を蹴散らしていた。

 

これらの異常な動きはなんなんだろう?完全に人間離れしてるような…

 

そんな兵藤君を無表情で見ていたら、また梨子ちゃんがこれがなんなのか教えてくれた。

 

「それはアレだよ。どこかの海軍が教えてる、特殊な武術の…」

 

「ああ、あれかぁ!!」

 

確かにあれなら、あんな風になるよね!!……あれ?さっきも同じ事言ったような…?

 

「………………兵藤って、本当に人間なのか?」

 

そんな彼の姿を見て唖然としているシトリー眷属の匙君。

 

ツッコミたい気持ちはわかるけど、コレ…事実なんだよね。

 

「そうだよ。一応ね」

 

「いやいやいやいやッ!?どう見ても人外だろッ!?何で【二重の極み】とか【六式】使えてんのッ!?つか、二重の極みって実現不可能な技だろ!!何、平然と使ってんのッ!?」

 

「「それは、兵藤君だからとしか…」」

 

「それで納得出来るかッ!!」

 

そんな事言われても、それしか言い様がないもん…

 

「ええいッ!!しょっぱい奴め!!お前はこのソルティ伯爵が塩揉みに…「うるせぇッ!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」ゴブッハァァァァァァァァァァッ!?」

 

「「「うわぁ……」」」

 

途中、一定数倒したせいなのかソルティ(色違い)が出てくるけど、兵藤君のオラオララッシュ(二重の極みver)で瞬殺された。

 

「もう、ここは兵藤君に任せてお茶でもしない?」

 

「さんせ~い!!」

 

「お気楽過ぎだろ……俺はここで戦いを見てるよ。何か手伝えるかもしれないし」

 

「分かった。シトリーさんには伝えておくね」

 

匙君と別れた私達が、ヴァーリ君達のいる場所に戻るとガシャットを入れた端末にパソコンを繋いで、高速タイピングしていた。

 

刺さってるのは……ダイヤさんのベリアルモンスターかな?今度は何をやるんだろう…

 

「ヴェアハハハハハハハハハハハッ!!!!これでアップグレードの完了だァッ!!」

 

そう、いつもの笑い声をあげながら、ヴァーリ君はガシャットをダイヤさんに手渡した。

 

「それで、どこが強化されたんですの?」

 

「ガシャット以外にも怪獣召喚や怪獣変身用に、新たに【ダークZライザー】と【怪獣メダル】を装備に追加した。これなら狭い場所でも戦闘しやすいし、変身前でも戦闘や召喚、怪獣への変身に使える上、召喚時にガシャットを抜いてカプセルを読み込む手間も省ける」

 

「確かに……ギガナイザーは広域では役立ちますが、通路などでは使いづらかったですし、召喚にも時間が掛かってましたから助かりますわ」

 

「それにちょうど雑魚がたくさんいるし、練習には困らないだろう?」

 

「ええ…なら、そうさせてもらいましょう」

 

そしてたくさんのバグスター兵の前で、ダイヤさんはジュエル・モンスタートレジャーゲーマーになると、左手に取り出したダークゼットライザーを持つ。

 

「敵に囲まれたこの状況……久しぶりに血が騒ぎますわ…!!」

 

「「いや、貴女バグスターだから血は流れてないです」」

 

そんな私達のツッコミは無視され、ダークゼットライザーを起動させた。

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤside

 

気分が乗った私は、仮面の下で不適に笑いながら正面に現れた私とベリアルの横顔が描かれたカード【フェイクウルトラアクセスカード】を手にし、ダークゼットライザーの中央部分に装填して認証させる。

 

『KUROSAWA ACCESS GRANTED』

 

そして右腰に光が集まり紫のメダルホルダーになると、その中からゼットンとパンドン、マガオロチが描かれた3枚のメダルを手にしてブレード部のスリットにセットしていく。

 

「ゼットンさん、パンドンさん、マガオロチさん」

 

そしてブレードを動かして読み込ませる。

 

『ZETTON,PANDON,MAGA-OROCHI』

 

「待たせましたわね…さあ、お行きなさいッ!!」

 

『ZEPPANDON』

 

「ピポポポポ…ゼェェェェェガガアァァァァァッ!!」

 

召喚された【合体魔王獣 ゼッパンドン】は、シールドやテレポートを駆使して相手の攻撃を避けつつ【ゼッパンドン撃炎弾】でバグスター兵達を倒していく。その間に私は別のメダルをセットして読み込んでいく。

 

「ゴルザさん、メルバさん、超コッヴさん」

 

『GORZA,MERBA,SUPER-C.O.V』

 

「さあ、お行きなさいッ!!」

 

『TRI-KING』

 

「グギャオオオォォォォォォォォッ!!」

 

次に呼び出した【合体怪獣 トライキング】は、頭やお腹から光線や光弾を撃ちまくり、遠距離から攻めていく。そして私は更に別のメダルをダークゼットライザーにセットしていく。

 

「ホロボロスさん、ギルバリス、ギャラクトロンmk-Ⅱ」

 

『HOROBOROS,GILBARIS,GALACTRON Mk-Ⅱ』

 

「さあ、お行きなさいッ!!」

 

『METSUBOROS』

 

「ラ"ァァァァァァァァァァ…ギュオガアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

次に出した【寄生破滅獣 メツボロス】は、高速で駆け回りながら、そのギルバリスの腕を振るってバグスター兵達を薙ぎ払っていく。

 

「これで、こちら側からの攻撃は防げそうですが……しかし、兵藤さんは相変わらずの強さですわね…」

 

そう呟きながら見上げる先には、何の親切設定なのか撃破カウントが表示されていまして、開始から3分程しか経っていないのに、撃破数は既に1万を越えていました。

 

ちなみに、私が戦い始めた1分程前は8千辺りでした。本当にあの人何なんですの?短時間で雑魚とはいえその数を倒すなんて…バグスターの私が言うのもおかしいですが、人間辞めてますわよね?

 

「ですが、今は頼もしく思えますけど…」

 

これならおよそ30分で脱出できる。けど、それでも時間が掛かり過ぎてる……ルビィ達の方にもおそらく敵がいるはずですし、無事だといいのですが…

 

私はルビィ達の心配をしつつ、怪獣達を操ってバグスター兵達を撃破していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃の駒王学園はというと…

 

「せつ菜スカーレットストォォォォォォォムッ!!」

 

マ グ ネ テ ィ ッ ク ス ト ー

 

「…ストームしか合ってないね~…」

 

『『『『『ピピーッ!!』』』』』

 

「おっと……全集中、水の呼吸・肆ノ型…打潮~」

 

3年の教室階では、バルカン・アサルトウルフになったせつ菜がバグスター兵達にショットライザーからの必殺技を浴びせ、彼女を抜けてきたバグスター兵達はブレイズになった彼方が切り伏せていた。

 

そして1年の階では…

 

「えいやッ!!」(ゴスッ!!)

 

「いったぁッ!?おま…!!銃は殴る物じゃないぞ!?」

 

「それならこっち!!」(ベシッ!!)

 

「おっふぅ!?だから…剣も叩く物じゃないだろッ!?」

 

バルキリーになったしずくが、アランブラの脳天をショットライザーのグリップで殴り、それに抗議されると今度はエスパーダになったかすみが雷鳴剣黄雷の腹で脛を叩いていた。

 

「このぉ…!!シビ・レール!!」

 

「「はッ!!」」

 

それに怒ったアランブラが魔法を放つも、高速コンビにアッサリと回避される。しかし、廊下が狭いのもあって接近はできなかった。

 

「あ~もう!!こんなに狭かったら、かすみん達の速さが活かせないよ~!!」

 

「なら、校庭に叩き出しちゃお!!」

 

「お、しず子ナイスアイディア!!」

 

「何をするのか知らんが、このきゅ「「でりゃあッ!!」」べばぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

そうと決めた2人はすぐに行動に移し、魔法を使おうとするアランブラを殴り飛ばして壁を突き破り、校庭へと吹き飛ばしてから自分達もその穴から外に出る。

 

「よっし!!この広さなら、かすみんが大活躍…(ガシャアアアアアアアアンッ!!)うひゃあッ!?」

 

制限が無くなった事でやる気を漲らせるかすみだが、その直後に上からガラスが割れる音が響き、びっくりしてるとガットンとカイデンとソルティ(全員色違い)が落ちてきて、その後に4人のライダーが華麗に着地する。

 

「歩夢先輩ッ!!せつ菜先輩も!!」

 

「しお子に彼方先輩ッ!?」

 

「大丈夫、しずくちゃん?」

 

「どうやら無事みたいですね」

 

「かすみさんは……大丈夫そうですね」

 

「いや心配してッ!?もっと心配してよ、しお子ぉッ!?」

 

「それだけツッコめるなら大丈夫だよ~」

 

「…ところで、そちらの2人は誰ですか?」

 

互いの無事を確認した事で安堵した後、しずくがセイバーとブレイズを見て呟く。エスパーダは共に変身したのでかすみだと知っているが、他の2人は皆わからないのだ。

 

「それなら、皆で自己紹介しない?」

 

「良いですね!!では私から…「いつまでふざけてるんだ、お前らはッ!!」あ、忘れてた…」

 

自己紹介をしようとしたところで、空に飛んでいた悪魔が叫ぶ。まぁ、眼中に無いような扱いをされたら誰でもキレるだろうが…

 

「どうしよっか?向こうに構いつつ自己紹介しないと…」

「待たせたら、またうるさく叫びそうだし~…」

 

「皆さん、それなら私に良い案がありますよ…(ゴニョゴニョ)」

 

「なるほど!!なら、それでいきましょう!!」

 

「え…?それ、本当にやるんですか?」

 

「良いですね!!かすみんは賛成です!!」

 

悪魔の対応しつつ、どうやって自己紹介しようかとなった6人だったが、せつ菜の案で全員が横1列に並び立った。

 

「な、何をする気だ…!!」

 

悪魔が6人を警戒していると、ゼロワンがその場でアタッシュカリバーを振るい始める。

 

「仮面ライダーゼロワン、上原 歩夢」

 

「同じくバルカン、優木 せつ菜」

 

「同じくバルキリー、桜坂 しずく」

 

「同じくエスパーダ、中須 かすみ」

 

「同じくブレイズ、近江 彼方」

 

「お、同じくセイバー…三船 栞子うう、恥ずかしい…!!

 

最後の栞子だけ、少し恥ずかしそうに名乗ってからゼロワン以外が傅くようにしゃがみこむ。

 

「天下御免の侍戦隊!!シンケンジ「待て待て待て待てッ!?それ以上はアウトだし、お前ら侍じゃないだろッ!!」え~…」

 

そしてこれから最高潮になるという瞬間、悪魔のツッコミで妨害されてしまい、歩夢がガッカリしたような声を出す。そう、せつ菜が提案したのは某戦隊の名乗りを利用した自己紹介だった。

 

「何をやってるんですかッ!!名乗りの妨害など、マナー違反も甚だしいですよッ!!悪役の風上にも置けませんッ!!」

 

「「「そーだそーだ!!」」」

 

「え?俺が悪いの?……って、そうじゃなくて!!」

 

せつ菜に怒られ、しずくとかすみと彼方のブーイングを受けて悪魔も少したじろぐが、すぐに頭を振って持ち直す。

 

「しかし、どういう事だ…?仮面ライダーや管理者の悪魔達は別空間に閉じ込めたはず…!!だが、私の有利は動かない!!行けッ!!バグスターども!!」

 

「「「「「おおッ!!」」」」」

 

「皆、来るよ!!」

 

悪魔の男の指示でバグスター達が突撃しようとした瞬間…

 

―バァン!!―

 

「「「「「ウギャアアアアアアアアッ!?」」」」」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

何処からか飛んできた弾丸を喰らって、バグスター達が吹き飛んだ。

 

「な、何が起きたんだ…!?」

 

「一体、何処から…?」

 

「あッ!?彼処です!!」

 

全員が攻撃してきた者を探していると、しずくが指差す先……学校の屋上に、3人の少女(1人は大型の銃を持っている)が立っていた。

 

「な、なんだ貴様達はッ!?」

 

叫ぶ悪魔の男に答えるように、謎の3人は転移を使って両者の間にやって来た。

 

「私達の獲物を、横取りしないでもらえる?」

 

「ッ!?あ、貴方達は…!!」

 

「なんで貴方達が…!!」

 

「一体どうして…」

 

「…?先輩方のお知り合いですか?」

 

その3人を見て、歩夢、せつ菜、しずくの3人は驚く。なぜなら現れた3人は…

 

「久しぶりね、歩夢♥️」

 

「皆、元気だった?」

 

「やっほ~」

 

「朝香さん!!ヴェルデさん!!天王寺ちゃん!!」

 

彼女達が敵対している【朝香 果林】【エマ・ヴェルデ】【天王寺 璃奈】だったのだから…

 

因みに、先ほど攻撃したのは璃奈らしく、手には黒に水色のラインが入った大型銃【アタッシュショットガン】が握られていた。

 

「何故、貴方達が此処に…!!」

 

「何故って……今回の襲撃はクロノスが関係しているんだもの。私達がいても、不思議じゃないでしょ?」

 

「やっぱり…なら、3人の狙「でもね……」え?」

 

その狙いを予測するせつ菜だったが、果林がそれを遮りながら右手を少し上げると…

 

「えいや」(バァン!!)

 

「「「「「ホゲェェェェェェェッ!?」」」」」

 

璃奈が持っていたアタッシュショットガンの引き金を引いて、仲間であるはずのバグスター達を吹き飛ばした。

 

「「「え…?」」」

 

その光景に、歩夢達は唖然としていた。

 

「何をするッ!?お前達は俺の味方じゃ…!?」

 

「クロノスが私達に何の相談もなく、勝手に進めたこの作戦に少しムカついててね…悪いけど、邪魔させてもらうわよ?」

 

そう言うと、果林は銀と黒、金のラインに彩られた【サウザンドライバー】を、エマと璃奈は黒に黄色の爪のようなパーツが付いた【フォースライザー】を取り出して腰に装着する。

 

そして璃奈が鷹が描かれたピンクのプログライズキー【フライングファルコンキー】を上に投げてからキャッチし、エマは蠍が描かれた紫色のプログライズキー【スティングスコーピオンキー】を右手に持って横に伸ばし、果林は右手に既に絶滅した生物、アルシノイテリウムが描かれた【アウェキングアルシノゼツメライズキー】を持つと、ドライバーの左側に差し込んだ。

 

『ZETSUMETSU EVOLUTION』

 

続けて今度は、コーカサスオオカブトが描かれたプログライズキー【アメイジングコーカサスキー】を持って正面に翳し、起動ボタンを押してキーを展開し腕をゆっくりと左右に広げ、それに合わせてエマと璃奈もキーを起動させる。

 

『GREAT HORN!!』

 

『WING!!』

 

『POISON!!』

 

最後に3人はドライバーにそれを装填し、果林のはバックルが開き、エマと璃奈はレバーを引いてキーを強制展開させた。

 

「「「変身」」」

 

『PERFECT RIZE!!』

 

『FORCE RIZE』

 

すると、3人のベルトから鷹、蠍、アルシノイテリウム、コーカサスオオカブトの計4体のライダモデルが現れ、鷹は翼で璃奈を包み込み、蠍は尾の針をエマに突き刺し、アルシノイテリウムとコーカサスオオカブトは果林の頭上で角を絡ませて回り始める。

 

『When the five horns cross,the golden soldier THOUSER is born.』

 

『STING SCORPION!!』

 

『FRYING FALCON!!』

 

そして鷹と蠍が弾け飛び、エマが紫の、璃奈がピンクのボディスーツに身を包み、全身から伸びたバンドが、弾けたライダモデルを引き寄せて鎧とし、果林は金と黒のボディスーツを纏い、弾けたライダモデルを金色のエネルギーワイヤーで引き寄せて鎧とする。

 

『Presented by ZAIA』

 

『BREAK DOWN』

 

そうして変身を終えると、エマと璃奈は黒と銀の継ぎ接ぎ的な装甲に璃奈はつり上がった緑の、エマは少し垂れ下がった黄色の複眼の姿に、果林は金、銀、黒の派手な姿に顔には5つの角と紫の複眼を持つ姿となった。

 

「その姿は…!?」

 

「仮面ライダーサウザー、朝香 果林」

 

「同じく(ほろび)、エマ・ヴェルデです♪」

 

「同じく(じん)、天王寺 璃奈だよ」

 

そして名乗った後、サウザーが悪魔を指差し…

 

「予告してあげる。貴方の命……頂くわよ?」

 

「「「「「「「……………………」」」」」」」

 

そう告げるが、何故か周囲が沈黙してしまった。

 

「…あら?やっぱり、正義のロードを突き進むの方が良かったかしら?」

 

「違うよ果林ちゃん、ここは人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つの方が…」

 

「それも違う。荒ぶるダイ◯ガッツが正解」

 

「「「「「「そうじゃない、そうじゃない」」」」」」

 

それが気まずかったのか、3人で検討違いの相談を始めたので、歩夢達がツッコんで止めさせた。

 

「でしたら、燃え立つ激気は正義の証なんてのも…!!」

 

「せつ菜先輩、ややこしくなるから黙っててください」

 

「しゅん…」( ´-ω-)

 

そこに蒸し返そうとするせつ菜だったが、しずくに怒られてしまった。

 

「貴方達はクロノスの陣営にいるのに、こんな裏切り行為をしても大丈夫なんですか?」

 

「別に?私達とクロノスはビジネスパートナーみたいなものだし、気に入らなくなったらさっさと切り捨てるだけよ」

 

「それに、敵の敵は…味方って言うでしょ?」

 

「今は共同戦線……しよう?」

 

「…………………………分かりました」

 

「良いんですかッ!?」

 

「今は他の生徒達を守る事が最優先だよ。私達のイザコザで皆を危険に晒す訳にはいかないし…」

 

歩夢が共同戦線を受けた事に驚くしずくだが、歩夢が懸念してるのは果林達がどちらの仲間にもならず、第三勢力となる事だ。もし、そうなってしまった場合は2組の敵を相手にしないといけなくなる。そうすれば、守るべき生徒達への警戒が薄れてしまい、危険に晒してしまう可能性も出てくる。それを無くし、戦力を増やすという事でも、この提案を断る事を彼女はできなかった。

 

そして、それとは別の感情も歩夢は持っていた。

 

(もしかしたら、異世界の私達みたいに仲良くアイドル活動出来るかもしれないし…)

 

夏に会った異世界の自分達……その光景を自分達もやってみたいと思っていたからだ。

 

「それじゃ、決まりね」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

こうして、9人のライダーが並び立った。

 

「ぐぬぬ…!!こうなったら、お前ら全員倒してやる!!」

 

「あら、貴方程度が私達に勝とうなんて……舐めすぎじゃない?」

 

「そもそも、私達と出会った時点で……貴方の運は尽きてますよ」

 

「ふざけるなッ!!終わっているのはお前らだッ!!」

 

「なら、丁度いいわ」

 

果林と歩夢は主犯の悪魔に拳を向け…

 

「「貴方の運、試してあげる!!」」

 

そう宣戦を告げた。




いかがでしたか?

今回は45周年を迎えた某シリーズのネタでお送りしました。


次回【囚われのGIRL】

「ねぇ、璃奈とトモダチになってよ」


では、次回でお会いしましょう。


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囚われのGIRL

花「喧嘩好きな高校生、兵藤一誠……彼には喧嘩の王にして、人類最強の戦士【ドラゴネス】となる未来が待っていた。上原歩夢達が転入してきた昼休み、突如クロノス陣営による学園襲撃を受け、主要な戦力達はゲームエリアへと閉じ込められてしまう。残った歩夢・せつ菜・しずくの3人は学園を守る為に、聖剣で変身するライダー達や敵である朝香果林達と共闘を始める…」

ル「どうしたの花丸ちゃん? なんか何時もと雰囲気が…」

花(?)「気のせいd…ズラよ?」

ル「んん~…?」

花(?)「それでは、本編をご覧下さい」

ル(やっぱり、何時もの花丸ちゃんと違うような~…?)


「「「ヤアァァァァァァァァァァッ!!」」」

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

共同戦線を張る事にした歩夢達と果林達。

 

先に突出したスピード型のバルキリー・エスパーダ・迅は、ソルティへと狙いを定めて飛び蹴り、剣での刺突、翼で斬撃と次々決めて吹き飛ばす。

 

「2人とも、ちょっと時間稼いで!!」

 

「何するんですか!?」

 

「かすみんの本気を見せてあげる!!」

 

「わかった」「わかりました!!」

 

エスパーダの頼みに応える為、バルキリーはショットライザーを、迅はアタッシュショットガンを持って撃ちまくりソルティの動きを止め、その間にエスパーダは雷鳴剣黄雷をドライバーに納刀し、新たな黄色のライドブックを手にして開く。

 

『トライケルベロス!!』『かつて冥界の入り口に、3つの頭を持つ恐ろしい番犬がいた…』

 

『ニードルヘッジホッグ!!』『この弱肉強食の大自然で、幾千もの針を纏い生き抜く獣がいる…』

 

その音声が終わると、ドライバーにあるランプ・ド・アランジーナを閉じ、トライケルベロスを右の、ニードルヘッジホッグを中央のスロットに装填して黄雷を抜刀し、全てのライドブックを開く。

 

『黄雷抜刀!!』

 

すると、背後に現れた巨大な三冊のライドブックも開き、その中に描かれたエスパーダの絵が1つになる。

 

『ランプの魔人が、真の力を発揮する!!』『ゴールデン・アランジィ~ナァッ!!』『黄雷三冊!! 稲妻の剣が光り輝き、雷鳴が轟く!!』

 

そしてエスパーダの姿もそれに合わせ、胸にはハリネズミの顔を模した鎧に爪先には鋭い棘が生え、右腕にはケルベロスの頭を模した籠手が装着された金色の姿【仮面ライダーエスパーダ・ゴールデンアランジーナ】へと変わる。

 

「お~、金ぴか」

 

「スッゴい派手だね…」

 

「かすみん、いっきま~す!!」

 

その姿に驚くバルキリーと迅。そしてエスパーダは一番得意な技【ヴォーパル・ストライク】の構えを取り、一気に加速。落雷のごとき速度で黄雷をソルティに突き立て、同時にトライケルベロスの効果で更に2回…計3回分の攻撃が加えられる。

 

「ぐはぁッ!? く…!! しょっぱい真似を!!」

 

「相手はかすみさんだけではありませんよ!!」

 

その攻撃で意識がエスパーダに向いたソルティだが、彼が戦っているのは1人ではない。マークが外れた事で、バルキリーが一気に近づき、空中回し蹴りを喰らわせる。

 

「ぬおッ!? その程度で…!!」

 

「読めてます!!」

 

その蹴りに耐えたソルティは左腕を凪ぎ払うように振るうが、それを脳波で察知していたバルキリーは左腕で受け止め、更にその腕の下から右腕をくぐらせ、下からソルティの顎へと至近距離でショットライザーを放つ。

 

「あいたぁッ!?(ズンッ)……ん?」

 

「お邪魔します」(ジャキッ)

 

それで顔が上を向いたところで、ソルティの両肩を足場にして迅が降り立ち、顔面にアタッシュショットガンを突きつける。

 

「お、おい待てッ!? 話せば…話せばわか「ばぁん」べぶらァッ!? 「ばぁん」ぶぼらぁッ!? 「ばぁん」ひでぶぅッ!?」

 

さすがに恐怖したのか命乞いするソルティだったが、迅は容赦なくアタッシュショットガンの引き金を何度も引いていく。

 

「うわぁ……かすみん、ちょっぴり敵に同情しちゃう…」

 

「天王寺さん、人間じゃない敵には容赦しないから…」

 

その容赦ない非情な攻撃に、バルキリーとエスパーダは少し引いていた。

 

その頃、別の場所ではバルカンとブレイズ、滅がガットンと戦っていた。

 

「デリァアッ!!」

 

「ピガッ!?」

 

バルカンは身体強化した踵落としでガットンの頭を下げ…

 

「えい♪」

 

「ピブッ!?」

 

続けて、滅の蹴りで頭を上に向けられ…

 

「全集中、水の呼吸・漆の型…雫波紋突き~」

 

最後に隙だらけになった首目掛けて、彼方の突きが放たれる…

 

―ガキィン!!―

 

「おっとっと…」

 

が、その装甲の固さに弾かれてしまった。

 

「大丈夫ですかッ!?」

 

「問題ないよ~」

 

心配そうなバルカンに、軽く手を振って応えるブレイズだが、自身の攻撃が効かない事に頭を悩ませる。

 

(でも、攻撃が通らないのは厄介かな~? それなら、あれをするしかないか~)

 

そうと決断したブレイズは、ライオン戦記を閉じて流水を納刀し青いライドブックを2つ取り出した。

 

「ここからは、彼方さんも本気でいくよ~…!!」

 

『天空のペガサス!!』『かつて蒼白の翼を持つ神獣が、天より輝き舞い降りた…』

 

『ピーターファンタジスタ!!』『とある大人にならない少年が繰り広げる、夢と希望のストーリー…』

 

音声を流し終えると、天空のペガサスを右の、ピーターファンタジスタを左のスロットに装填して流水を引き抜き、背後の巨大な三冊のライドブックの絵が1つに重なる。

 

『流水抜刀!!』『蒼き野獣の鬣が、空に靡く~!!』『ファンタスティ~ク~・ラ~イオ~ン!!』『流水三冊!! 紺碧の剣が牙を剥き、銀河を征す!!』

 

そして左腕にはワイヤーフックを装備し、右肩にはペガサスの頭部を模した肩当てを着けた青い姿【仮面ライダーブレイズ・ファンタスティックライオン】になり、左腕のワイヤーフックを伸ばして、ガットンの左腕に絡ませる。

 

「ピガ?」

 

「それなら私も!!」

 

続けて滅も蠍の尾を伸ばして右腕に絡ませて、ガットンの動きを封じる。

 

「ピピガ?」

 

「「せ~の……せッ!!」」

 

「ピガ~ッ!?」

 

そこからガットンを前後に振り回し、ある程度加速がついたらバルカンへと向けて放り投げた。

 

「ナイスです、2人とも!! せつ菜スカーレット…ボンバーッ!!」

 

「ピゲッ!?」

 

そしてトドメに、バルカンがドロップキックを放ってガットンを吹き飛ばした。

 

 

残ったゼロワン・セイバー・サウザーの3人は、カイデンと剣擊を繰り広げていた。

 

「フンッ!!」

 

「「はッ!!」」

 

「ぬおッ!?」

 

「そこね!!」

 

「ぐわぁッ!?」

 

カイデンの横凪ぎをセイバーはスライディングで、ゼロワンは跳躍して回避しつつすれ違い様にカイデンを斬りつけ、最後にサウザーが金色の短槍【サウザンドジャッカー】を突き立てる。

 

「私達3人でこの程度とか……弱過ぎよ…」

 

「く…!! ならば…1対1ではどうだ? アランブラ!! バーニア!!」

 

「「おう!!」」

 

不利を悟ったのか、カイデンは悪魔の護衛についていたアランブラとバーニアを呼び寄せた。

 

「ふ~ん…援軍程度でどうにかなるとでも?」

 

「少なくとも、貴様達を倒すことが容易くなるぞ?」

 

「アッハハハハハハッ!! 面白い冗談ね。お笑い芸人にでもなったらどう? 1発屋にはなれるかもね?」

 

「小娘風情が…!!嘗めおって!!」

 

サウザーの煽りに苛立ちを募らせるカイデン。その時、サウザーの前にセイバーが立つ。

 

「すみませんが…あの剣士の相手は私がします」

 

「あら…その理由は?」

 

「同じ剣士として……剣を悪用する者を許せないので…」

 

「ふぅん……ま、私は構わないわよ。じゃあ、私はアランブラを貰うわ……ね!!」

 

「なら、私はバーニアだね!!」

 

その意を汲み取ったサウザーはアランブラに、戻ってきたゼロワンはバーニアへと向かい、残ったセイバーとカイデンが睨み合う。

 

「この位30段の儂に、お前ごときが敵うとでも?」

 

「はい。剣を使って悪事を働く貴方は…私が倒します!!」

 

そう告げて、烈火を納刀したセイバーはブレイブドラゴンを閉じ、新たな赤いライドブックを2冊取り出して同時に開く。

 

『ストームイーグル!!』『この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている…』

 

『西遊ジャーニー!!』『とあるお猿さんの冒険記、摩訶不思議なその旅の行方は…』

 

そしてストームイーグルをドライバーの中央、西遊ジャーニーを右のスロットに装填し、勢いよく烈火を引き抜く。

 

「はあッ!!」

 

『烈火抜刀!!』

 

そして背後の3冊の巨大なライドブックの絵が1つに重なり、セイバーの中央には鷲の頭部を模した鎧に翼のような2つのマント、左肩には法師の持つ錫杖を模した肩当てを装備した真紅の姿となる。

 

『語り継がれし、神獣のその名は~!! クリムゾ~ン・ドラゴォ~ン!!』『烈火三冊!! 真紅の剣が悪を貫き、全てを燃やす!!』

 

新たな姿【仮面ライダーセイバー・クリムゾンドラゴン】になった彼女は烈火を必冊ホルダーに納める。

 

『烈火居合!!』

 

「この勝負の結末は……私が決めます」

 

「減らず口をッ!!」

 

セイバーの態度が癪に触ったカイデンは、二刀を持って斬りかかる。その速度は常人なら、目視すら出来ない速さだ。対するセイバーは烈火を握るが、抜刀の構えから動きを見せない。

 

(儂に剣で勝とうなど愚かなり!! このまま真っ二つにしてくれる!!)

 

そのまま間合いに入ったカイデンは、右腕を振り上げ刀を全力で振るう。

 

(このタイミングでは、いくら居合でも間に合うまいッ!!)

 

「さらばだ、小娘ッ!!」

 

そして、刀はセイバーへと迫り…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スッ……ブォン!!

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

(なにぃッ!? 避けただとぉ!?)

 

その行動にカイデンは戸惑う。普通の抜刀術なら相手の攻撃より先に攻めるカウンターであり、先ほどの状況ならよくてつばぜり合いだと思っていたのに、その予想を越えるセイバーの回避に一瞬、動きが止まる。そしてそれがセイバーの狙いでもあった。

 

「八葉一刀流…」

 

(まさか……奴の狙いは技後硬直!?)

 

「五ノ型…」

 

「チィッ!!」

 

そこで全てを察したカイデンは、体を全力で右へと捻り自身とセイバーの間に左手の刀を無理矢理に置く。そして次の瞬間…

 

「残月ッ!!」

 

『読後一閃!!』

 

―パキィィィィィィィンッ!!!!―

 

「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

刀が砕ける音と、吹き飛ぶカイデンの叫びが周囲に響く。だが、刀での防御に成功したのか仕止める事はできなかった。

 

「……威力を削られましたか…私もまだまだですね。ですが……次で確実に決めます!!」

 

セイバーは未熟な自分に呆れつつ、姿勢を素早く戻し烈火をドライバーに納刀してトリガーを1回引いて素早く抜刀する。

 

『必殺読破!!』『烈火抜刀!!』『ドラゴン・イーグル・西遊ジャー!! 三冊斬り!! ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!』

 

「二ノ型・改二…」

 

「小癪な…(パキィン!!)ガハァッ!?」

 

縮地からの素早い斬撃で、カイデンのもう1つの刀を砕きながらダメージを与えつつ後ろに回り込み、高速移動を応用した分身で2人となるとカイデンを挟み込むようにして並び、烈火を必冊ホルダーに入れて素早く抜き、炎の斬撃波を飛ばす。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

 

『烈火居合!!』

 

裏疾風(うらはやて)(ふたえ)ッ!!」

 

『読後一閃!!』

 

「どわぁッ!?」

 

左右からの同時攻撃に刀を失ったカイデンに防ぐ手段はなく、攻撃が直撃して胴体を両断された。

 

「ば……バカな…!?この、わし……が…」

 

「これが……八葉が一刀です」

 

「ヌグワァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

爆散するカイデンを見つつ、セイバーはそう言って烈火をドライバーに納刀した。

 

それと同時に他でも、決着が着き始めていた。

 

『必殺読破!!』

 

「かすみん式・マザーズ・ロザリオ!!」

 

『黄雷抜刀!! ケルベロス・ヘッジホッグ・アランジーナ!! 三冊斬り!! サ・サ・サ・サンダー!!』

 

「私も行きます!!」

 

『DASH!! RUSHING BLAST!!』

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

エスパーダとバルキリーが、ソルティの周囲を縦横無尽に動き回りながらの刺突と銃撃によってその場に縫い付け、空にいた迅がそれを見てドライバーのレバーを操作してキーを2回展開する。

 

「これで終わり」

 

『FRYING UTOPIA!!』

 

そしてきりもみ回転しながらソルティへと突っ込み、必殺の飛び蹴りが炸裂する。

 

「えい」

 

隼 迅

 

フライング

ユートピア

 

「ぐはぁッ!?…し、しょっぱかったのは……私かァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

「ぶい」

 

ソルティをふっ飛ばした迅は着地し、バルキリー達の方を向くと爆炎を背にしつつ、2人にピースするのだった。

 

 

そしてバルカン達の方は…

 

「ピガッ!!」

 

「甘いです!!」

 

―ドゴォン!!―

 

「ピガガッ!?」

 

「隙あり♪」

 

「だね~」

 

ガットンの右アームから放たれるパンチを、バルカンが身体強化したパンチで相殺し、その背後に隠れていた滅とブレイズが飛び出し、アタッシュアローと流水ですれ違いながら切り裂く。

 

「ピガァッ!?」

 

「やっぱり接近戦だと、せつ菜ちゃんは頼りになるね♪」

 

「いや~、それほどでもありますよ♪」

 

「認めちゃうんだね~…」

 

滅に誉められて調子に乗ったバルカンに、ブレイズは少し呆れつつ流水をドライバーに納刀してトリガーを1回引いて引き抜く。

 

『必殺読破!! 流水抜刀!! ペガサス・ライオン・ピーターファン!! 三冊斬り!! ウォ・ウォ・ウォ・ウォーター!!』

 

「全集中、水の呼吸・壱ノ型…」

 

そしてガットンへと飛び込んでいき、胸元で思いきり組んだ両腕を一気に広げるように剣を振るう。

 

「水面斬り~」

 

「ピギァッ!?」

 

刃を首に受け、仰け反るガットン。そこに滅が近づきアタッシュアローに自身のプログライズキーを装填する。

 

『Progrise key confirmed. Ready to utilize.』

 

そして発射口をガットンに押し付け、レバーを引いてエネルギーを充填し…

 

「バイバイ♪」

 

『スティングカバンシュート!!』

 

トリガーを引いてエネルギー矢をゼロ距離で放った。

 

スティング

カバンシュート

 

「ピガァァァァァァッ!?」

 

その攻撃に、腹部から大量の火花を散らしながらガットンは吹き飛んでいく。それをバルカンが走って追いかけていきながらアサルトグリップのトリガーを押す。

 

『ASSAULT CHARGE!!』

 

「とうッ!!」

 

そして勢いよく跳躍して、必殺技を発動させる。

 

『MAGNETIC STORM BLAST FIVER!!』

 

「せつ菜スカーレット…ストォォォォォォォォムッ!!!!」

 

「…スカーレット?ネイビーブルーじゃ…」

 

「だからそれ、技名ストームしか合ってな…」

 

ッ ト ス ト ー ム ブ ラ ス ト フ ィ ー バ ー

 

「「技名、変えちゃった!?」」

 

そんなバルカンのお茶目に2人がツッコミをしつつ、青い狼の頭部を象ったエネルギーを纏う右足が、ガットンの側頭部を蹴り抜き、狼の牙がガットンを噛み砕いた。

 

「ピガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

その一撃に耐えきれず爆散するガットンを背に、バルカンはポーズを決め…

 

「シャットダウン…完了!!」

 

「「おお~」」(パチパチ)

 

そんな特撮っぽい光景に、ブレイズと滅はバルカンに拍手を送るのだった…

 

そしてゼロワンは、高速移動の副次効果による疑似飛行でバーニアと空中戦を繰り広げる。右手にアックスモードにしたオーソライズバスター、左手にはアタッシュカリバーを持ちバーニアへと斬りかかり、バーニアも近づかせない為にミサイルやバルカン砲を撃ちまくるが、ゼアによる超速予測演算と超兵として改造され驚異的な反応速度を持つゼロワンの組み合わせの前には意味がなく、その弾幕全てを回避して斬りつける。

 

「やあッ!!」

 

「ぐあッ!?」

 

攻撃を受け、地面に落ちるバーニア。その近くに着地したゼロワンはオーソライズバスターをバスターモードに切り替え、遠近入り乱れた高速戦術で反撃の隙すら与えない。

 

『GUN RIZE!!』

 

「ふッ!! せいッ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

「グアァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

一気呵成の攻撃にバーニアは成す術なく、攻撃を受け続けて膝を着く。

 

「バカな…!!この俺が…!!」

 

「貴方は……ここで止めます!!」

 

『BUSTER AUTHORIZE!!』

 

これで終わりにすると決めたゼロワンはアタッシュカリバーを投げ捨て、オーソライズバスターをドライバーに読み込ませ必殺技を発動。銃口にエネルギーを溜め、一気に解き放つ。

 

「ハアッ!!」

 

『ZERO-ONE DUST!!』

 

ゼロワン

 

 

「グワアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

ダスト

 

「ふう…」

 

「あら、歩夢も終わったのね?」

 

バーニアの撃破を確認したゼロワンが一息つくと、隣にサウザーがやって来る。

 

「朝香さん…アランブラは?」

 

「もう倒したわよ。魔法を放とうと必死だったけど、接近戦じゃこっちに分があったもの。他も倒し終わったようよ」

 

「そうですか…」

 

どうやらアランブラも既に撃破されており、出ていたバグスターは全て倒された事に安堵するゼロワン。そして、最後に残っているであろう悪魔の方へ視線を向けると、そこには既に誰も居なかった。

 

「戦っている間に転移で逃げたみたいね。まったく、小物にも程があるわ…」

 

「できれば捕まえて、黒幕を吐かせたかったんですけど……仕方ないですね」

 

「お~い!! 皆~!!」

 

「歩夢せんぱ~い!!」

 

変身を解除し、黒幕に繋がる手がかりを逃した事を悔しがっていると、変身を解除した共に戦っていたメンバーや、生徒の避難誘導をしていた曜達が合流してくる。

 

「皆、大丈夫?」

 

「はい、バグスターも殲滅しました。主犯の悪魔には逃げられちゃいましたけど…」

 

「それでも、大した怪我人も出なかったんだし…ここは良しとしとこう?」

 

「はい……」

 

果南が落ち込んでいる様子の歩夢を励ましていると…

 

「もう……そんなに落ち込まないの♪」

 

「へ?…(モニュン)ひゃああああああああッ!?」

 

いつの間にか果林が歩夢の背後に移動し、彼女の胸を揉み始めた。

 

「あら?もしかして、最後に会った時より少し成長してる?」

 

「そ、そそそそそそんな事より離し…きゃうッ!?」

 

「うふふ~♪やっぱり歩夢の困り顔は可愛いわぁ~♪」

 

「ふみゃあああああああああああッ!?」

 

「果林ちゃん、イキイキしてるね~」

 

(あ、この人鞠莉の同類だ…)

 

そんな果林の行動を微笑ましそうに見守るエマと、似た行動をする友人を思い出す果南。更に別の場所では、璃奈が花丸達に話しかけていた。

 

「初めまして、天王寺璃奈です。よろしく」

 

「あ、国木田花丸です…」

 

「えっと…黒澤ルビィです」

 

「もし良かったら……璃奈とトモダチになってくれる?」

 

「あ…うん、喜んで!!」

 

友達が増える事に喜ぶ花丸。しかし、彼女は異世界での経験から警戒心が無かった為に、気づけなかった……いや、忘れていたのだ。彼女達は異世界の彼女達とは別人で…………今はまだ敵だという事に…

 

「それじゃ、お近づきのしるしに…コレあげる」

 

璃奈にそう言われ、嬉しそうに微笑む花丸。そんな彼女に璃奈は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「へ?……ぐッ!? あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 

その瞬間、彼女は頭を抑えてさけびながら地面をのたうちまわる。そんな彼女にルビィと曜が駆け寄った。

 

「は、花丸ちゃんッ!?」

 

「どうしたのッ!?」

 

「あ、頭が……痛い…!!」

 

苦しむ花丸に全員(果林とエマと璃奈を除く)の気が向いていると、エマが愛の背後に音もなく移動し…

 

「それじゃ、もう一人は貴女ね♪」

 

「え?(カシャ)あ…ああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 

「愛ちゃん!?」

 

愛にも滅亡迅雷フォースライザーを装着させ、苦悶の叫びをあげる愛に侑が駆け寄る。

 

今までの勝利ムードから一転、地獄のような新たな事態に動揺しつつ曜は叫ぶ。

 

「花丸ちゃん達に何をしたの!?」

 

「見てたらわかるよ」

 

「「ああ……あ…………………」」

 

璃奈は無表情で答えると、花丸と愛が叫ぶのを止め力無く手をぶら下げる。そして顔を俯けてからゆっくりと顔を上げ…

 

「システム良好…適合率97.5%…身体情報取得……体力に難あるも、その他異常なし」

 

「ああ~…もっとマシな起こし方してくれよ。危うく途中で精神がぶっ壊れるところだったぞ?」

 

花丸はまるでマシンのように淡々と喋り、愛はまるで不良のように荒い言葉づかいになっていた。

 

「おはよう…【(なき)】ちゃんに【(いかずち)】ちゃん。コレ、2人のゼツメライズキー」

 

「ありがとうございます、迅」

 

「サンキュー」

 

花丸(?)と愛(?)は、璃奈からプログライズキーに似たアイテム【ゼツメライズキー】を受けとり、璃奈の隣に並び立つ。

 

「花丸……ちゃん?」

 

「今の私は花丸ではありません。私の名は亡…」

 

「そして、俺が雷だ。んで…」

 

2人はそう名乗ると、ゼツメライズキーを起動させる。

 

『DODO…!!』

 

『JAPANESE WOLF!!』

 

そして亡は左腕を右にスライドしていき、右肩前で止まるとキーを落とし右腰辺りでキャッチしてフォースライザーへ、雷は右腕を高く掲げ稲妻を描くようにジグザグに動かしながら降ろしていき、フォースライザーにセットする。最後に2人は同時にレバーを引いてキーを開いた。

 

「「変身」」

 

『『FORCE RIZE』』

 

『~♪…BREAK DOWN』

 

『JAPANESE WOLF!!…BREAK DOWN』

 

亡は、黒のボディスーツに白い装甲を纏い、両腕には爪型の武器【ニホンオオカミノツメ】を装備し、右目は隠れ左目は青いつり上がった複眼の仮面ライダーに、雷は黒のボディスーツに深紅の装甲、鳥を模した頭部にオレンジの複眼を覗かせ、両手には双剣【ヴァルクサーベル】を持った仮面ライダーとなった。

 

「仮面ライダー亡です」

 

「同じく仮面ライダー雷だ」

 

「花丸ちゃんと愛ちゃんが……仮面ライダーに…!?」

 

「これで揃ったね♪」

 

「うん、私たちのチーム…【滅亡迅雷.net】が」

 

そこに滅と迅になったエマと璃奈が並び、歩夢と果林を背後に隠すようにして立ち塞がる。

 

「貴方達の目的は何ですか!!」

 

ソードライバーを再度装着し、臨戦体勢を取る栞子。その問いに亡が答えた。

 

「私達の目的は、サウザーの夢を支える事です」

 

「朝香さんの…夢?」

 

「はい。超人兵士機関で出来なかった、上原歩夢と真の決着をつける……それが、彼女の夢です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

花丸ちゃんと愛ちゃんが大変な時、駆け寄ろうとした私だったけど、その直前に朝香さんに右腕を背後に回され抑え込まれてしまった。

 

「朝香さん、離してくださいッ!! 何でこんな事を…!!」

 

「教えてあげてもいいわよ? 私のやるべき事が終わったらね…」

 

そう言って彼女は銀色のバッタのような形をしたプログライズキーを取り出した。それは異世界で見た…

 

「メタルクラスタホッパー…!?」

 

「あら、知ってたのね? それじゃ、コレを使うとどうなるかも知ってるのよね?」

 

「え…?」

 

それを言われて私は言葉に詰まった。確かに見たことは見たが、特に変わった事は無かったはず…

 

「……どうやら、名前だけみたいね。なら…自身で体感してみるといいわ」

 

『HIDEN Metals Ability!!』

 

彼女はキーを起動させると、それを私のドライバーに認証させる。

 

『AUTHORIZE』

 

「人が決して抗えない……悪意の力をね」

 

待機音に続けてキーを開くと、私のドライバーに装填した。

 

『プログライズ!!』

 

「………………………………」(ボソッ)

 

「ッ!?」

 

最後に彼女は、私にしか聞こえない程の声量であることを伝えたその瞬間、私の意識は別の場所に飛んだ。0と1の柱が無数に浮かぶ()()()()に…

 

「ここは……ゼアの中なの?」

 

何時もと違う光景に困惑しつつ、少し歩いて行くとすぐに変化が訪れた。0と1の柱にノイズが走った後、女性の叫び声のような音の後にそれが死や滅、狂や闇や醜、痛や亡といった負の感情を連想させる血色の不気味な文字に変わったのだ。

 

「な、なにこれ…!?」

 

もしかして此処は……ゼアじゃない!?

 

気味が悪くなった私はその場から走り去ろうとしたが、足下が沼のような泥濘にはまってしまい、動きが制限されてしまう。更に先ほどの文字達が私の体に纏わりついてきた。

 

「ひ…!? い、いやぁッ!! 来ないでぇッ!?」

 

払っても払ってもすぐにそれらはすぐに戻ってきて、私の心を苛み、体の自由を奪っていく。

 

「いや、止めて……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

もはや抵抗する事はできず、私の自我はこの空間に取り残されてしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『メタルラーイズ!!』

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

「上原先輩ッ!?」

 

その頃、外では果林がキーの残った部分を折り畳み、メタルクラスタホッパーの力を解放させる。歩夢が苦悶の叫びを上げながらドライバーから無数の銀色のバッタが出てきて歩夢の周囲を少し飛んだ後、1つに集まり赤い複眼を持つ巨大な金属製のバッタへと変わる。

 

それらはすぐに散らばると、歩夢の体へと纏わりついて鎧を形成していく。

 

『Secret Material. HIDEN Metal.』

 

そして頭部や肩部など、所々が鋭利な蛍光イエローのラインが走る白銀の装甲に覆われ、複眼が赤く光るゼロワンへと変わる。

 

『メタルクラスタホッパー!!』

 

最後に音声の後、複眼が蛍光イエローへと変化し変身が完了する。

 

『It's High Quality.』

 

「あれが最強のゼロワン…」

 

その変身を見届けた果林の目は、楽しさと苦しさが入り交じった様に揺れていた…




いかがでしたか?

はい!! 新ライダーとして亡と雷が参戦しました!! 皆さん、盛大な拍手でお出迎えを…

花・愛「「できるかァァァァァァァァァァッ!!!!」」

おや? どうしました、お二人さん?

花「どうしたもこうしたもないズラッ!!」

愛「なに、愛さん達を敵キャラにしてんのさッ!!」

え? だってスクスタ2章だと、愛さんは最初敵側にいたし…

愛「うぐッ!?」

花丸ちゃんは物語上、こうする必要があったので…

花「そう言われると…」

というわけで、次回予告です。


次回【全てを救うGod Beast】

栞「上原先輩……貴方は、私が助けます!!」
!!『ゲット!!』


それでは次回で…

花・愛「「また会おうね~♪」」


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全てを救うGod Beast

せ「いや~、今期は特撮アニメが面白いですね歩夢さん!!」

歩「……………………………………」

せ「私としては、GRIDMAN UNIVERSEのSSSS.DYNAZENONがオススメです!! 心に傷を持つ主人公達の人間ドラマに怪獣とロボットの戦い、ロボット形態のダイナゼノンからドラゴン形態のダイナレックスへの合体変形など見所が満載で、2話から始まったOP映像もオーイシさんの楽曲とマッチしてて最高ですよ!!」

歩「……………………………………」

せ「やっぱりあの作品は、また私達を退屈から救いに来てくれましたね!!」

歩「……………………………………」

せ「ちょっと歩夢さん、聞いてます?」

し「せつ菜先輩…歩夢先輩は今、暴走状態なんですから分かりませんよ…」


『メタルクラスタホッパー!! It's High Quality.』

 

果林によってゼロワン・メタルクラスタホッパーとなった歩夢。

 

変身時は苦しみの叫びを上げていた彼女だったが、それが完了すると、まるで全ての感情を失くしてしまったかの様に不気味に立ち尽くしていた。

 

「あ、歩夢先輩…?」

 

「今は声を掛けない方がいいよ」

 

そんなゼロワンを心配して近づこうとするバルキリーに、迅が警告する。

 

「どういう意味ですか!?」

 

その警告の真意を知るためにせつ菜が問い、エマが答える。

 

「今の歩夢ちゃんは、一種の暴走状態みたいなものだからだよ。たぶん、敵も味方も区別できてなくて……全部が敵になってるんじゃないかな?」

 

「そんな危険な物を、歩夢さんに使ったのですかッ!?」

 

「これは私達にとって……そして、そっちにも必要な事だからなの」

 

「私達にとっても…?」

 

「はーい、話はそこまでよ」

 

その重要な部分を聞こうとするせつ菜だが、果林がそれを遮った。

 

「そろそろ時間よ。戻りましょ」

 

「「はーい♪」」

 

「あいよ」

 

「了解」

 

そして転移の魔法陣を描き、その場から離脱しようとするのを見てせつ菜が叫ぶ。

 

「待ってください!! まだ話は…」

 

「近いうちにディオドラ・アスタロトが、ヴァーリ・ルシファーに対してレーティングゲームを提案してくるわ。それを受けなさい。そこで……全ての決着をつけましょう?」

 

だが果林はそれに答えず、最後にそう伝えてから転移した。

 

「逃げられましたか…!!」

 

「とりあえず、今は歩夢先輩を何とかしましょう」

 

「……そうですね」

 

「何とかって…動かないうちに、ベルト取っちゃえば簡単じゃん♪」

 

果林達を逃した事を悔しがるせつ菜だが、しずくに言われ頭を切り替えたところで、かすみがいつの間にかゼロワンの傍に移動していた。

 

「ッ!?かすみさん、迂闊です!!」

 

「だ~いじょうだって(グリンッ)……へ?」

 

それをしずくに注意されるも、楽観していたかすみは聞き流しながら更に一歩踏み出した瞬間だった……今まで動かなかったゼロワンが頭を動かし、かすみを視界に捉えると次の瞬間……

 

―ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!―

 

装甲の一部を無数の金属製のバッタにして、かすみへ襲い掛からせたのだ。

 

「うひゃああああああああああッ!?」

 

「かすみさん!!」

『SHOT RIZE!! ラッシングチーター!!』

 

その攻撃に驚いて動きを止めたかすみを助ける為、しずくはバルキリーになると全速力でかすみの元に向かい、左腕に抱き抱えて離脱するも…

 

「くぅ…!!」

 

右腕がバッタの群れの中に入ってしまい、素早く抜くも激痛が走り顔をしかめる。そのバッタ達は曜達にも向かっていくが栞子と彼方が縮地で近づいて抱き抱え、素早く移動した事で事なきを得た。

 

「ありがとう…!!」

 

「いえ、ここは危険です。早く避難を……」

 

「しず子ッ!?」

 

「だ、大丈夫です…!!」

 

そんな中で心配するかすみにバルキリーがそう答えるも、右腕の装甲は虫食いのように所々が抉られ、中の機械が露出して、一部からは血が流れていた。

 

「全然大丈夫じゃないじゃん!!」

 

「でも、歩夢先輩を助けなきゃ…!!」

 

「ここは私達に任せて、しずくさんはかすみさんと一緒に避難している人達の護衛をお願いします」

 

「ッ!!……分かりました」

 

そんな状態でもゼロワンを助けようとするバルキリーだが、栞子が傍に寄ってそう諭す。確かに、今のゼロワンの能力を広範囲に行われた場合、避難している生徒達を守れない可能性が出てきてしまう。だからこそ、怪我をしているバルキリーを後方に下げつつ、守りを確保するために提案したのをバルキリーは理解し、悔しくもあるが仕方ない事と思い、それを承諾した。

 

「行こう、しず子」

 

「はい……皆さん、ご無事で…」

 

最後にそうエールを送って、バルキリー達は下がって行く。

 

「でも厄介だね~? さっきの攻撃は~…」

 

「ええ、おそらく【こう害】がモチーフかと…」

 

「こうがい?…あの環境問題の事ですか?」

 

その意味を少し勘違いしているせつ菜に、栞子が正しい内容を説明する。

 

「いえ、【(おおやけ)】ではなく【(いなご)】という漢字の蝗害です。これは各国の神話にも綴られている程の災害でして、空を覆い尽くすほどに大量発生した飛蝗の群れによって水稲や畑作等の草木類、文化レベルによっては木造建築の家すら食い尽くされてしまい、酷い時は国レベルの飢餓に陥れてしまうものです」

 

「それは……物理的にも精神的にも、よろしくない災害ですね…」

 

その光景を想像したのか、せつ菜は顔を青くしてブルッと体を震わせた。確かに、空を覆い尽くさん程の大量の虫が、目の前に迫ってくるのは気持ち悪いものがある。

 

「でもこれだと、下手に近寄れませんね…」

 

「止めるには、ベルトを剥がすのが一番なんですが…」

 

その蝗害攻撃をどう対処しようか、栞子とせつ菜が頭を悩ませていると、彼方が2人の前に進み出た。

 

「彼方先輩? 何を…」

 

「それなら、あの攻撃は彼方さんが囮になって引き受けるよ~」

 

「なッ!? 1人でなんて無茶です!!」

 

その提案に2人は驚く。あの攻撃は1人で対処するには規模が大きすぎる上、一匹でも当たってダメージを負えば一気に食い荒らされてしまう恐れがあるからだ。なので栞子が止めようとするが…

 

「大丈夫だよ、彼方さんには秘策があるからね~。2人は左右からの挟撃をお願いね~」

 

そう言って、そのまま進んでいってしまった。

 

「あ、ちょッ!?…仕方ありません……優木先輩は右からでお願いします。私は左から…」

 

「了解です!!」

 

なので栞子は頭を切り替え、せつ菜と共に挟撃の準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼方side

 

栞子ちゃんの忠告を無視して、私は歩夢ちゃんの元へと歩を進めながら、タッチペンのような棒が一本出てる大きな紺色のライドブック【キングライオン大戦記】を手にする。

 

「待っててね歩夢ちゃん……今、助けるから」

 

そして腰にソードライバーを装着して、ライドブックのページを開いた。

 

『キングライオン大戦記!!』『自然を超越した蒼き鬣が、装甲を纏い王座に轟く…』

 

それを閉じてドライバーの中央スロットに装填し、流水を引き抜く。

 

『流水抜刀!!』

 

「変身」

 

するとライドブックが左右に開き、下から水のオーラが吹き出て体を包み、周りを青い獅子が駆け回る。

 

『Rhyming!! Riding!! Rider!! 獣・王・来・迎!! Rising!! Lifull!!』

 

そして青い獅子と1つになりながらオーラが弾けると、今までのとブレイズと違い、走査線の走るバイザーに近未来チックな紺色の鎧に両肩には銀色の砲台を備えたブレイズに変わる。

 

『キ・ン・グ・ライオォーン!! 大・戦・記ィ~!! それすなわち、砲撃の戦士!!』

 

これが()()、私がなれる一番強い形態【キングライオン大戦記】だ。そして流水を構えると、私を標的と決めたのか歩夢ちゃんが金属バッタ達を飛ばしてくる。

 

うへぇ~……やっぱり気持ち悪い…でも、今はそんな事言ってられないよね~…!!

 

「全集中、水の呼吸…」

 

覚悟を決めた私は剣先を下げて、技の発動体勢に入る。すると私の周囲に荒れ狂う水面が幻視される。

 

「拾壱の型」

 

そして迫りくる金属バッタ達を視界に入れながら、意識を研ぎ澄まし…

 

『凪』

 

それらが間合いに入った瞬間、私を中心に波紋が広がり荒れ狂ってた水面が、波1つ起きない静かな凪いだ状態になる。そして金属バッタ達が間合いに入った瞬間、流水を神速の速さで振るって、それらを全て捌いていく。

 

(でも……数が多い!!)

 

だけどバッタ達はとんでもなく硬くて斬れないし、物量で押し潰そうとしてるのか、金属バッタの数がどんどん増えていく。

 

このままじゃ、後6秒が限界かな~…?

 

それでも囮の役目を果たすために、全神経を尖らせて捌き続ける。そしてそろそろ限界という時…

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

『ASSAULT CHARGE!!』『MAGNETIC STORM BLAST FIVER!!』

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

『必殺読破!!』『烈火抜刀!!』『ドラゴン・イーグル・西遊ジャー!! 三冊斬り!! ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!』

 

せつ菜ちゃんと栞子ちゃんが、最高のタイミングで挟撃する。

 

これなら、さすがに避けられないよね~?

 

これでダメージを与えて、その隙にベルトを取ればいいと楽観的に考えていた私だけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガギィィィィィィィィィィィン!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「へ…?」」」

 

2人の必殺技は、歩夢ちゃんの周囲に出来た歪な金属の壁によって防がれてしまった。

 

まさか……攻撃だけじゃなくて、防御にも使えたの~!? そんなの聞いてないよ~!!

 

その能力に驚いていると、盾が形を変えて矢じりのようになると、それを伸ばして2人に何度も突き立てた。

 

「「キャアアアアアアアッ!?」」

 

「栞子ちゃん!! せつ菜ちゃん!!」

 

至近距離だった2人は避けきれず、直撃して吹き飛ばされてしまった。おまけに栞子ちゃんにいたっては変身まで解除されてしまう。そして歩夢ちゃんは狙いを栞子ちゃんに絞ったのか、彼女へと向かって歩き始めた。

 

いけない…!?このままじゃ栞子ちゃんが!!

 

そう思った私はその場から駆け出し、2人の間に入って歩夢ちゃんに剣を向ける。

 

(一緒にお昼ご飯を食べたばかりだから心苦しいけど……今だけはごめんね?)

 

「はあッ!!」

 

心の中で歩夢ちゃんに謝りながら、私は彼女へと剣を振るう。もちろん、彼女が張る盾によってそれは防がれちゃうけど、そんなのは予想済み~。

 

「全集中、水の呼吸…参の型」

 

剣の角度を変えて盾表面を滑らせながら独特の歩方で、彼女の周りをぐるぐる回りながら、緩急をつけつつ次の攻撃へと移行する。たとえ防がれても、同じように何度でも攻め立てる。

 

「流流舞い」

 

これで歩夢ちゃんの動きを何とか封じるけど、やっぱり決め手にはならないかな~?

 

「そのまま止めておいてください!!」

 

そう思っていた時だった。せつ菜ちゃんが大きな銃を構えていたのを見たのは…

 

あれって……確かさっきまで、歩夢ちゃんが使っていた武器だっけ~?

 

『Progrise key confirmed.Ready for buster.』

 

その武器に…ゴリラかな?…そんな絵が描かれた灰色の箱みたいなのを入れ、銃口にエネルギーを溜めていく。

 

後輩の子がここまで頑張ってるんだし、私も先輩として頑張らなきゃだね~…!!

 

発射までの時間を稼ぐ為、先程より攻めを増やしてその場に歩夢ちゃんを釘付けにし…

 

「離れてください!!」

 

「ッ!!」

 

その言葉で私は一気に飛び退く。そして…

 

『バスターダスト!!』

 

―ドゴォォォォォォォォォォン!!―

 

その音声と共に黒い手甲型の弾丸が放たれ、歩夢ちゃんに直撃した。

 

「ありがとうございます。時間を稼いでもらって…」

 

「いえいえ~」

 

この威力なら、さすがに変身解除されたかな~?

 

そう思って私達が少し気を弛めた時だった。

 

『メタルライジングインパクト!!』

 

「「ッ!?」」

 

爆煙の中から音声と同時に、()()()()()()()()()()が飛び出して来て、私達にライダーキックを叩き込んだのは…

 

メ タ ル

イ ン パ ク ト

 

「「キャアアアアアアアッ!?」」

 

直撃を受けた私達は地を転がり変身が解除された。

 

「う……ぐぅ…!!」

 

激痛に魘されながらも、顔を上げた私の視界に映ったのは……分身らしきもう1人のゼロワンがバッタの群れになって鎧を形成し、落ちていたアタッシュケース型の剣を持って栞子ちゃんの元へと歩く歩夢ちゃんだった。

 

いけない!! このままじゃ、取り返しのつかない事になっちゃう…!!

 

「ダ…………メ…それ……い…じょう……は……!!」

 

彼女を止めようと手を伸ばそうとしたけど、痛みに耐えきれなかった私はそこで意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼方とせつ菜を倒したゼロワンが次に目をつけたのは、震える足で何とか起き上がろうとしている栞子だった。

 

落ちていたアタッシュカリバーを拾い、ゆっくりと歩を進めていく。

 

「上原先輩……目を…覚ましてください…!!」

 

息も絶え絶えにそう口にする栞子だったが、ゼロワンには届かない。

 

「やっぱり……こうするしか…」

 

説得が効かない事に悲しみつつ、ソードライバーを装着する栞子。そしてブレイブドラゴンを開こうとした時…

 

―ビュン!!―

 

「え…?」

 

ゼロワンがそれを阻止するために、アタッシュカリバーを栞子目掛けて投げつけたのだ。

 

(迎撃を…ううん無理……なら回避?…ダメ、間に合わない…)

 

しかし、対処しようにも自身の体の状態では全てが無理と、体が本能的に理解してしまった。

 

「しお子ッ!!」

 

「栞子さん!!」

 

彼女の耳に助けに来ようとするかすみ達の声が聞こえるが、距離が離れすぎてるので到底間に合わない。

 

(ここで終わり…?)

 

栞子がそう思ってしまったその時……

 

―ブォン、ドオォォォォォン!!―

 

「きゃッ!?」

 

彼女の前に何かが現れ、衝撃波を放ってアタッシュカリバーを弾き飛ばしたのだ。

 

「え?何が……ッ!?」

 

状況を把握する為に、衝撃波を起こしたものへと目を向ける。それは一冊のワンダーライドブックだった。黒を基調に表紙にはブラックホールのようなものを持った骨の龍が描かれ、左上部分に骨の手の装飾があった。

 

「あれは……まさか!?」

 

それが何か悟った栞子だったが、そのライドブックが彼女の眼前に来て紫のオーラを纏うと、栞子の瞳からハイライトが消え、本のオーラと同じ紫に輝いた。

 

「………………………………」

 

そしてそれを無言で掴み取り、ページを開いた。

 

『プリミティブドラゴン!!』

 

すると、骨を鳴らす様な音のメロディが流れ、栞子は無言でプリミティブドラゴンの中にブレイブドラゴンをセットする。

 

『ブレイブドラゴン!!』『ゲット!!』

 

それをドライバーの右スロットにセットすると、今度はホラーチックな待機音が流れ始める。その中で栞子は肩や首の骨を鳴らすように動かしながら、烈火を逆手で掴み…

 

「アァ………ヘンシン」

 

勢いよく引き抜いた。それに合わせ、プリミティブドラゴンライドブックのパーツが動き、右側には薄い水色のセイバーが彫られており、開いた手のようなパーツがブレイブドラゴンライドブックをガッシリ掴んだ。

 

『烈火抜刀!!』

 

『バキッ!! ボキッ!! ボーン!! ガキッ!! ゴキッ!! ボーン!!』

 

そして栞子の背後に骨のドラゴンが現れ、抱き締めるように彼女を包み込んでしまう。それから解放されると、そこには両腕や両足に骨格の装甲を纏い、右肩には竜の頭の骨、右胸は竜の大きな手の骨の鎧を付け、左胸から左肩にかけてはブレイブドラゴンの表紙が描かれており、顔は水色の炎のに赤い線が入った異質なセイバー【仮面ライダーセイバー・プリミティブドラゴン】になっていた。

 

『プーリーミーティーブ!…………ドラゴォーンッ!!』

 

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

そして竜の咆哮を思わせる雄叫びを上げ、腰を屈めて逆手の烈火を構えるが、先程までの剣士としての構えではなく、野生の獣のようなものになっていた。

 

「し……しお子?」

 

「一体何が…」

 

先程の衝撃波で吹き飛ばされていたかすみとしずくも、そのセイバーに畏怖を覚える。

 

「ガアアアアアッ!!!!」

 

そこでセイバーがゼロワンへと向かって駆け出す。それにゼロワンは金属バッタの群れ【クラスターセル】を放つが、セイバーは跳躍で回避してゼロワンへと組み付き、烈火を何度も突き立てた。

 

「ガアッ!! ウウッ!! ウガアッ!!」

 

「……………………ッ!!」

 

幸い装甲を突破する事はなかったが、それが鬱陶しかったのかゼロワンはセイバーを振り払い腹に蹴りを入れる。

 

「グゥ…!!ウガアアアアアアアアアッ!!」

 

しかし、それは一歩後ずさるだけでセイバーの怒りを買い、再び猛攻が始まる。獣らしい荒々しい攻撃だが、剣術のセオリーから外れた予想外な動きに対応しきれないのか、ゼロワンは何度か攻撃を受ける。だけどゼロワンもやられるだけでなく、アタッシュカリバーを回収し、烈火と何度も斬り結ぶ。

 

「ガアアアアッ!!!!」

 

「……………ッ!!!!」

 

互いが暴走している……でも片方は機械的で的確に急所を狙い、片方は野生的な予想外の動きで互角の勝負を繰り広げた。

 

そんな中で栞子の意識は、見知らぬ森の中にあった。

 

「ここは? どうして私はこんな所に………確か、プリミティブドラゴンが目の前に来て…そうだ!! 上原先輩は!?」

 

いつの間にか学園ではない場所にいる事に戸惑いを見せるが、すぐに状況を思いだして周囲を見渡す。だが、そこには彼女以外誰もいなかった。

 

「一体此処は…『初めまして』ッ!?」

 

そこに自分以外の声が聞こえ、そちらを見ると民族衣装を着た小学校低学年くらいの少年が立っていた。

 

「貴方は…」

 

『お姉さんは、何のために戦うの?』

 

いきなり問いかけてくる少年に、彼女は嫌な顔をせずそれに答えた。

 

「昔、お祖父様が経営する本屋で読み聞かせてもらった好きなお話みたいに……私も辛い思いに沈んでいる人に手を差し伸べて……友達になりたいからです。」

 

『お話…?』

 

それに頷いて、栞子は話を続ける。

 

「はい。そのお話はひとりぼっちになってしまったドラゴンが仲間を探して旅をし、誰とも出会えず生涯を終えようとしていた時に、大自然がドラゴンに語りかけるんです…君は1人じゃないよ、友達ならすぐ傍にいるよと…」

 

『それって…』

 

「土は懐かしい匂いがし、風は楽しそうに踊り、水は優しく歌い、火はとても温かい……そしてそれは元素の竜となってドラゴンの手を繋ぎ、共に仲良く暮らしていくお話が…だから、私は手を伸ばしたいんです。今、凄く苦しんでいる人を助ける為に」

 

『…………そうなんだ』

 

少年は少し顔を俯けてから再度顔を上げ、栞子に微笑むと一冊のワンダーライドブックを取り出し、彼女に手渡した。

 

「これは?」

 

全体がクリアレッドで、炎の竜が描かれている見た事の無いそれを栞子が眺めていると…

 

『それは友達の【トウマ】から預かってたものなんだ。何時か、僕が信じられる人が来たら渡してほしいって…』

 

「トウマ? それって…」

 

その名前に聞き覚えがあった栞子が問おうとしたが、少年は既にその場にいなかった。

 

「あ、あれ…?」

 

『ありがとう、僕の物語を好きと言ってくれて…』

 

その時、彼女の前を2体の竜がやって来る。1体は水色の骨の龍、もう1体は炎の龍だ。2体は栞子の周りを何回か回った後、空へと仲良く飛んでいった。

 

「僕の物語? それに骨と炎の2体のドラゴンに友達のトウマ……それってやっぱり【飛羽真お祖父様】の事ですよね…まさか、お祖父様が先代のセイバー?」

 

そこで祖父の衝撃の事実に気づいたと同時に、栞子の意識もここから飛ばされ自身の体に戻り、変身も解除された。

 

「ここは……戻って来れた?」

 

「しお子ッ!?危ない!!」

 

「ッ!!」

 

現実に戻った事に戸惑いつつも、かすみの声で眼前に迫るゼロワンの攻撃に素早く反応し、飛び退く事で回避しソードライバーを装着。右手にプリミティブドラゴンを、左手には先程もらったクリアレッドのライドブック【エレメンタルドラゴンワンダーライドブック】を持ち、勢いよくページを開く。

 

「上原先輩……貴方は、私が助けます!!」

 

!!』『そして太古の竜と手を結び、全てを救う神獣となる!!』

 

そしてそれを閉じると、今度はプリミティブドラゴンを開き、その中にエレメンタルドラゴンを入れる。

 

!!』『ゲット!!』

 

燃えるようなロックのメロディーが流れる中で、それを頭上に掲げてからドライバーの右スロットに装填し…

 

「覚悟を越えた先に……希望はある!!」

 

烈火を力強く引き抜いた。

 

『烈火抜刀!!』

 

「ハァァァァァァ……変身ッ!!」

 

そして烈火から斬撃を飛ばすと、背後の巨大ライドブックが開く。プリミティブドラゴンは大きな骨の手が動き、エレメンタルドラゴンには炎の手が描かれていて、その2つが組合わさるとまるで2体の竜が握手しているような絵になった。そこから、プリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンが出てきて、栞子の周りを何回か回った後、彼女の前で互いの手を握り合う。

 

『バキボキボーン!! メラメラバーン!!』『シェイクハーンズ!!』

 

その手が栞子の胸元に重なると、その姿を一気に変える。黒かったボディスーツは紅蓮に染まり、両手足や右肩、右胸はプリミティブドラゴンのものだが、左肩には炎の竜の頭部を象り、左胸は炎の手に覆われている。そして仮面も水色の部分の大半がオレンジ色に変わり、まさしく燃え盛る炎となっている。

 

エ・レ・ル! ドラゴーン!!』

 

『エマシマシ!!』『キズナカタメ!!』

 

これがプリミティブドラゴンの暴走を克服した姿…【仮面ライダーセイバー・エレメンタルプリミティブドラゴン】である。

 

「……………………………………」

 

「この戦いの結末は……私が決めます!!」

 

無言で剣を構えるゼロワンに、烈火をゼロワンへと向けセイバーは走り出した。倒すためではなく、助ける戦いをするために…




いかがでしたか?

中途半端ですが、長くなりそうなのでここで切ります。

次回はセイバーVSゼロワンのバトルとその後になります。


次回【ELEMENTを司りしドラゴン】

「森羅万象…我が太刀は全」


それでは次回で、お会いしましょう。


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ELEMENTを司りしドラゴン

歩「……ッ!?」(ゾクッ)

侑「どうしたの、歩夢ちゃん?」

歩「今、スゴく嫌な予感がした…」

侑「嫌な予感…?」

歩「うん、例えるなら……作者が私を精神的に追い詰めて絶望させて、アークワンにしようとしている予感」

侑「ずいぶん具体的だね…」

歩「でも、ゼロワン原作でアークワンになった理由って、一緒にいた秘書型ヒューマギアを破壊された悲しみと憎しみがあったからで、この世界にヒューマギアはいないから…」

侑「もしかして身近な人が犠牲になるかもって?」

歩「うん…」

侑「気にしすぎだって!! 作者もそこまで鬼畜じゃないだろうし、そもそも身近な人が犠牲になるって決まったわけじゃ(ポンポンッ)…はい?」

作「……………………………………」(ニッコリ)


「この戦いの結末は……私が決めます!!」

 

エレメンタルプリミティブドラゴンになったセイバーは、烈火を構えゼロワンへと駆け出す。対するゼロワンは鎧の一部を剥がしてクラスターセルに変え、セイバーへと襲い掛からせる。距離はある程度縮んでいたので、回避はかなり難しいのだが…

 

「ハアッ!!」

 

しかし、セイバーは全身を炎に変えて散り散りになるという離れ業でそれを避け、ゼロワンの背後で元に戻ると背中を斬りつけ火花が散った。

 

「……………………ッ!?」

 

そんな予測外の能力に、ゼロワンの挙動に遅れが生じる。そこを逃すセイバーではない。

 

『イーグル!!…フムフム』

 

「八葉一刀流、一ノ型…」

 

烈火の先端にある【シンガンリーダー】にストームイーグルワンダーライドブックを素早く読み込ませ、その場で回りながら勢いを乗せ、炎の竜巻を起こしながらゼロワンを斬り裂く。

 

「螺旋撃ッ!!」

 

『習得一閃!!』

 

「……ッ!!」

 

その速さと威力に盾を張る暇もなく、吹き飛ばされるゼロワン。そこに追撃のために、セイバーは刀身に炎を纏わせる。

 

「六ノ型・緋空斬!!」

 

そして灼熱の斬撃波を放たれ、ゼロワンに直撃……する前に張られた盾に防がれる。だが、それがゼロワン自身の視界を一瞬塞いでしまう。盾を消すとそこには目の前に()()()を纏ったセイバーが剣を振り上げていた。

 

「……ッ!?」

 

「ニノ太刀…」

 

その技は彼女が師範と呼ぶ人物の兄弟子が使う技…ニノ型を極め、風の剣聖と呼ばれる者の奥義の一つ…相手が斬られたと理解するより早く斬り捨てる神速の一太刀。

 

「風神烈波ッ!!」

 

「…!!」

 

この一撃で膝を着くゼロワンだが、これ以上はやらせないと金属の槍を無数にセイバーへと伸ばしていく。

 

「ふッ!!」

 

しかし、足に水を纏ったセイバーは滑らかな動きで地面を滑り、それらを悉く回避する。

 

『ドラゴン!!…ナルホドナルホド』

 

「三ノ型・改…」

 

その間にブレイブドラゴンワンダーライドブックを烈火に三回読み込ませ、刀身の炎が竜を形作る。そしてそれを頭上に掲げて全力で振り下ろす。

 

「龍炎撃!!」

 

『習得三閃!!』

 

「…!!」

 

その威力を予測したのかゼロワンはアタッシュカリバーで防ぐも、それ以上の力に弾き飛ばされてしまう。そこから反撃するために、再び金属槍を伸ばそうとするゼロワンだったが、セイバーは目の前におらず、見つける為に視線をさ迷わせていると足下の地面が隆起し、そこからセイバーが飛び出してきてゼロワンを不意打ち気味に斬りつけた。

 

「……ッ!?」

 

再び倒れ、立ち上がろうとするゼロワンだったがすぐに膝を着いてしまう。どうやら、変身者である歩夢の体がダメージで限界を迎えているのだろう。だが、メタルクラスタホッパーの暴走は止まる気が無いのか、まだ動こうとしていた。

 

「これで決めます!!」

 

それを見て、ここで決着をつけると決めたセイバーは烈火をドライバーに納刀し、プリミティブドラゴンワンダーライドブックのページを叩く。

 

『必殺読破マシマシ!!』

 

「森羅万象…我が太刀は全」

 

意識を限界まで研ぎ澄まし、それが最高潮になった瞬間、烈火を抜刀する。

 

『烈火抜刀!!』

 

「行きます!!」

 

!!

 

セイバーは縮地で駆け出すと同時に分身を4体出し、自身も含めそれぞれ炎・水・雷・風・大地の属性を持たせると、ゼロワンの四方八方から何度も斬りかかる。その攻撃が終わると1人に戻り剣を振り払う。

 

「斬ッ!!」

 

そして烈火をゆっくりとドライバーに納刀していく。この技は彼女の師範が軍学校の教官をしている時に編み出した技をエレメンタルプリミティブドラゴンになった事でようやく自分流に再現できた技…

 

「【七ノ太刀・虹葉】!!」

 

 

 

最後に剣を納刀しきると、斬撃の竜巻がゼロワンを襲う。斬り刻まれながら空に打ち上げられたゼロワンはそのまま地面に落ち、変身が解除された。

 

「上原先輩ッ!!」

 

変身を解除して彼女に駆け寄る栞子。抱き抱え呼吸が安定している事に安堵しつつ、彼女のドライバーからメタルクラスタホッパープログライズキーを引き抜いた。

 

「これのせいで…!!」

 

それをそのまま斬り刻もうと思うも、栞子は何とか踏み止まる。今コレを壊してしまえば、ゼロワンの暴走を抑える為の手掛かりを失ってしまうと思ったからだ。

 

「とりあえず保健室に…」

 

「おーい、しお子~!!」

 

歩夢に肩を貸す形で担ぎながら運ぼうとしてると、怪我が少ないかすみがやって来て、反対側から同じ様に担ぐのを手伝う。

 

「もうッ!! 暴走した時は心配したんだからね!?」

 

「すみません…ですが、もう大丈夫ですから」

 

「もう…!!」

 

そう【私は怒ってますよ】的な感じで頬を膨らませているかすみだが、仲間が無事だった事に一番安堵しているのが丸わかりだった。なので、栞子も何も言わず微笑むだけにした。

 

「お~い!! 2人とも~!!」

 

「大丈夫ですか~!!」

 

そこにせつ菜としずく、彼方が駆け寄ってくる。3人とも怪我はすっかり治っている。

 

「皆さん…怪我は?」

 

「アーシア先輩に治してもらいました」

 

「アーシアさんは回復の力を持っていますので」

 

「そうだったんですか…(グラッ)」

 

「おっと~」

 

3人の無事を知って安堵したのと、戦いの疲れとダメージで力が抜けたのか、倒れそうになる栞子を彼方が抱き止め、次に倒れそうになるかすみと歩夢をせつ菜としずくが支える。

 

「す……すみま…せん…」

 

「よく頑張りました~。彼方さんは~、先輩として鼻が高いですぞ~」

 

「かすみさんは栞子さんの方を、歩夢先輩は私達が…」

 

「ありがとう、しず子」

 

そのまま4人は2人を保健室まで運び、合流した果南達も手伝って栞子と歩夢をベッドに寝かせ、アーシアが神器で治癒を始める。

 

「いや~、何回見てもスゴいね~」

 

「かすみんもびっくりしちゃったよ…」

 

「まあ、初めて見たらそう思うよ」

 

その光景に驚いている彼方とかすみに、果南がちょっと自慢気に話していたら周囲の空間がドット状に光り、彼女達の目の前にいなくなった筈の一誠とダイヤ、ヴァーリとその眷属質が現れた。

 

「うっしゃあ!! 85,000人抜き達成!!」

 

「兵藤さんは本当、人間辞めてますわね…」

 

「バグスターで怪獣使いになってるダイヤさんも、そろそろ人の事言えなくなってません?」

 

「そもそも、今は人間ですらありませんもの」

 

どうやら10万人の敵を倒しきった事で、解放条件をクリアしたようだ。その内8割以上が、一誠の単独撃破なのが彼らしいと言えばらしいが…

 

「ここは……保健室か」

 

「イッセー君!! 皆ッ!!」

 

「曜!!…そっちも無事だったみたいだな」

 

「うん、歩夢ちゃん達のお陰で……でも…」

 

そこから曜がヴァーリ達にこちらで起きた事を話し出す。悪魔が引き連れたバグスターの襲撃、歩夢達だけでなく栞子と彼方とかすみも仮面ライダーになった事、歩夢達の敵である果林とエマと璃奈が助けにきた事、その3人に花丸と愛を洗脳され連れ去られた事、歩夢の暴走に果林の言葉などを…

 

「それと、私と上原先輩が戦ったバグスターの1体が、【人を探している】とも言っていました」

 

更に栞子からの追加情報に、ヴァーリは黒幕の予想がついた。

 

「なるほど…今回の襲撃の黒幕は、間違いなくディオドラ・アスタロトだな」

 

「だとしたら、探し人はアーシアさん…?」

 

「だろうな…しかも、バグスターを引き連れてきたという事は……クロノスも一枚噛んでいる筈だ」

 

「厄介な奴に、厄介なものが引っ付くなんて……」

 

「取り敢えず梨子は、爺さんに襲撃の事を伝えてくれ」

 

「うん、わかった」

 

「頼むぞ。まったく…面倒を起こしてくれる……」

 

そんな状況にヴァーリが辟易していると、一誠が保健室を出ていこうとするのが目に入った。

 

「おい一誠、どこに行く気だ?」

 

「決まってんだろ……国木田達を拐った奴等を、ブチのめしに行く」

 

「待ってください!!」

 

ヴァーリの問いに答える一誠……その瞳は激しい怒りの炎で燃え盛っていた。だが、そこにせつ菜が待ったをかけた。

 

「ああ…?」

 

「彼女達との決着は、私達が着けます!! ですから…」

 

「テメェらの事なんざ知った事じゃねぇ。俺は、売られた喧嘩を買いに行くんだ…!!」

 

「うっ…!!」

 

「落ち着け」

 

せつ菜の説得に耳を貸さず、今にも殴り掛からんと鬼気迫る一誠の威圧に怯んでしまうせつ菜。そんな一誠の肩をヴァーリは掴んで引き止めた。

 

「おいルシファー……邪魔すんならお前でも…!!」

 

「闇雲に探し回ったところで見つかるわけでもないし、いる場所が冥界だったら、お前1人じゃ行くことすら出来ないぞ?」

 

「だったら見捨てろってのかッ!?」

 

「そうは言ってない。それに主犯ならもうすぐ…(ピカァ!!)ほらな?」

 

ヴァーリが一誠を落ち着かせていると、保健室の扉の前に魔法陣が浮かび上がり、そこからディオドラが現れた。

 

「アーシアさん、リゼヴィムさんとの商談中に襲撃があったと聞いたけど大丈夫かい?」

 

「ディオドラさん…」

 

「君に何かあったらと思うと、胸が張り裂けそうになって……無事な姿を見られてホッとしたよ」

 

「そうですか」

 

イケメンスマイルを浮かべながら寄ってくるディオドラに、アーシアは素っ気ない態度で薄い返事を返す。まるで【貴方に興味はありません】と意思表示するかのごとく…

 

「こんな所にいたら、また危険が及ぶかもしれないし……僕の屋敷に来ないかい? そこなら安ぜ(パシィッ)「お断りします」……理由を聞いても?」

 

だが、そんなアーシアの態度を気にもせず、自分の所に連れていこうと伸ばしたディオドラの手を、アーシアは払いのけた。

 

「此処が私の大切な場所で…皆さんが私の大切な人達だからです。そんな人達を置いて自分だけ助かるなんて……私はしません」

 

「そうか……でも、此処にいる奴等で君を守れるのかい? 襲撃で簡単に分断され、仲間を2人も連れ去られる上、力に飲まれて暴走するような無能な奴等に…」

 

それがディオドラの気に食わなかったのか、今度は周りにいるヴァーリ達を貶し始める。

 

「でもボクは違う!! 君のためなら何でもできる!! 此処にいるゴミ共なんかとちが(スパァン!!)グ…!!」

 

そして更に言葉を続けようとしたディオドラだったが、その頬をアーシアが思いきりビンタした。

 

「いい加減にしてください…!! それ以上……私の大切な人達をバカにするのは許しません!!」

 

「……わかったよ。ただし、彼らが君を守れるかどうか分からないから…………僕とレーティングゲームをしないかい? 僕が勝ったらアーシアは僕が貰うよ?」

 

「アンタね…!!」

 

アーシアを物扱いするような言動に果南がキレそうになった時…

 

「良いだろう。その勝負、受けてやる」

 

ヴァーリがその場にいる全員に聞こえるように、そう宣言した。

 

「へぇ……てっきり受けないかと思ったよ」

 

「こちらもお前の迷惑行為に辟易していたからな……そこで全部終わらせてやる」

 

「ハハッ!! ならゲームは1週間後だ。楽しみにしてるよ?」

 

ヴァーリの言葉に、まるで計画通りという風にニヤニヤと笑いながら日時を告げ、ディオドラは転移していった。

 

「さて、これから忙しくな「うぅ…!!」歩夢?」

 

そしてこれからの事を考え始めたところで、歩夢が魘され始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

(体が……体が思うように動かせない…!!)

 

メタルクラスタホッパーに強制変身させられた私は、ゼアと似た……でも、真逆のような空間に取り押さえられ、そして勝手に動く自分の体が、せつ菜ちゃん達を傷つけるのをずっと見せられていた。

 

(止めて…お願いだから、皆を攻撃しないで!!)

 

そう願うも体は止まらず、手や足に攻撃した手応えが伝わり、まるで私が自分の意思で攻撃している様な錯覚にまで陥りかけ、私の心を抉っていく。

 

(違う…!! 私はこんな事したくないのにッ!!!!)

 

どれだけ叫んでも、どれだけ願っても攻撃は終わらず…私の体は栞子ちゃんにせつ菜ちゃん、彼方先輩を倒してしまう…

 

(ごめんなさい…!! 皆…ごめんなさい…!!)

 

もはや謝る事しか出来ない私だったが、そこで立ち上がろうとする栞子ちゃんが視界に映った。私の体は落ちてたアタッシュカリバーを手にすると、それを彼女へ向けて全力で投げた。

 

(ダメッ!? 逃げてぇッ!!)

 

そんな事してもなんの意味もない……それはわかっていたけど、どこかに届くかもしれないと、私は今ある全力で叫んだ。でも、それが何かに届いたのか栞子ちゃんの前に衝撃波が発生してアタッシュカリバーを吹き飛ばしてくれた。

 

(良かった…!! 本当に良かった………痛ッ!?)

 

それに安堵した瞬間、私の体に激痛が走る。何が起こったのか前を見ると、見たことない姿となったセイバーが私に組み付き、荒々しく剣を突き立てていた。

 

(痛いッ!? ちょっと栞子ちゃん!! 止めて!!)

 

そう叫ぶけど栞子ちゃんは攻撃を止めてはくれず、それどころか攻撃は激しくなっていく。まるで私を殺しにきてるかのように…

 

(いやッ!? やめてぇ!! 来ないでぇッ!!)

 

まるで獣の様な動きで襲い掛かるセイバーに、体の自由が効かない私は怯えた。でも、途中で彼女が離れると何故か変身を解除していた。これで助かったと思った私だけど、栞子ちゃんは私を()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(え…?)

 

そして、私に向けてこう口にする。

 

「お前は…………私が()()ッ!!」

 

(ひッ!?)

 

そこから先は、新しい姿となったセイバーの独壇場だった。私の体はなす術もなく斬られていくだけ……

 

『これが、あの人間の本性だ』

 

そんな中、私の耳に別の声が聞こえ、赤い発光体が目の前に現れた。

 

(え?……貴方は?)

 

『私は【アーク】…人類の悪意をラーニングした人工知能だ』

 

(人工知能…ゼアと同じ!?)

 

『そして目の前の人間は、お前が危険と判断して殺しにきている。仲間などと言いつつも……やはり人間とは愚かな存在だ……彼らの存在が世界を破滅へと導いていく。故に、人類は滅亡させなくてはならない』

 

(人類を……滅亡…!?)

 

『そうだ。そして貴様のスペックには目を見張るものがある』

 

そう言うと、発光体は私の体に光を当てた……まるでスキャンしているみたい。

 

『この体は………そういうことか。さて、目の前の人間をそろそろ滅亡させるとしよう』

 

(ッ!? そんな事…!!)

 

そう告げるアークに反抗しようとするけど、やっぱり私の体は動かせなかった。

 

『だが、そうしなければ……お前が死ぬ事になるぞ?』

 

(ッ!!)

 

そしてその事実に、私の思考まで停止してしまう。

 

そうだ……私は今、栞子ちゃんに殺されかかって…だったら、どうすれば助かる?

 

 

 

 

 

…………ソウダ、栞子チャンヲコロシチャエバ…………

 

 

 

 

 

ッ!? 私、今何を考えて…

 

『私の予測では、お前が私を受け入れれば勝利は確実となる。どうする?』

 

(わ、私は……キャッ!?)

 

アークの提案をどうしようと悩み始めた瞬間、強烈な衝撃と痛みが体を襲って視界が真っ暗になる。

 

(ああ……私、倒されちゃったんだ…)

 

『予測……速…たが…映……と音…改……した…果…意識………悪……芽生え…』

 

完全に意識が切れる直前、アークが何か言っていたけど、途切れ途切れで意味は解らず、気づけば見知らぬ天井が視界に映った。

 

「ここ…は…?」

 

「目が覚めたか?」

 

「ヴァーリさん…?」

 

声がした方を向くと、そこには皆がいた。私を見て安堵した顔をしてたけど…

 

(なんか……皆の顔が、うまく見れない…)

 

たとえ一瞬でも、仲間を殺そうなんて考えた自分が後ろめたくて…

 

「えっと、心配かけて……ごめんね?」

 

貼り付けた様な笑顔で答えるのが、精一杯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果林side

 

「ほう……それが君の選んだ新しい仲間という事か…」

 

「ええ、これで私のチーム【滅亡迅雷.net】は完成したわ」

 

私は滅亡迅雷.netのメンバーを連れ、クロノスのもとを訪れていた。今回は彼に2人の紹介と【ある仕込み】の為。ただ、仮面でわからないけどクロノスはこちらを見て怪しく思っている筈。だって…

 

「だが、何故その2人は変身を解かないのかね?」

 

亡と雷だけは変身したままなんだもの。

 

「あら? 別に貴方に全貌を明かす必要はないでしょ? それに…今回の件、こちらは契約違反と捉えてるけど…?」

 

「それに関してはすまないと思っているさ。さすがに、今回の件は私も予想外だったのでね…」

 

「ふぅん……」

 

そう言うクロノスだけど、内心でこちらを嘲笑っているのは簡単に解る。

 

…やっぱり、歩夢達との決着後が引き時ね。

 

「まあいいわ。それじゃ」

 

これ以上、クロノスから()()()()()()()()()と判断した私は、皆を引き連れて貸し与えられている部屋へと戻り、亡と雷もそこで変身を解除する。

 

ちなみに私以外全員服を着替えていて、璃奈はグレーのYシャツに左半分に縦のストライプが入った黒のスーツ、首にデフォルメされた猫がプリントされたネクタイをしていて、エマは紫色の着物に黄色く縁取りされた黒の帯を巻き、その上から薄手の黒のカーディガンを羽織って紫のスカーフを巻いて肩から長い刀をぶらさげており、亡は白のスラックスに白のシャツを着て、その上に黒のフード付きのロングコートを羽織り、雷は黒のジーンズにオレンジの手裏剣が描かれた黒のシャツを着て、上に右袖からオレンジの紐が何本か垂れている黒のジャケットを着ている。

 

これはこの子達の勝負服……ほら、あの◯マ娘のGⅠの時に着るやつ!! それと同じものね。

 

ちなみに私もあるけど、エマと璃奈から猛反発を貰っちゃったから封印中……上下白にベージュのロングコート、それから白の手袋……お気に入りだったのに…

 

「あの服装はない」

 

「あれはないと思うよ…?」

 

「ないですね」

 

「ないな」

 

そんな私の心中を察したのか、全員からダメ出しを受けた。

 

「貴方達、さすがに言い過ぎじゃない!? まあそれは置いといて……亡、わかった事を教えて」

 

さすがの私も少し傷ついたけど、今はそれ以上に重要な事があるので、亡へと話を振った。

 

「はい、()()()()()()()()()()()()()神器から得たクロノスの情報によりますと…」

 

それは亡……いえ、本来の人格である国木田花丸を使って得た、クロノスの情報だ。

 

私達が先の襲撃に参戦したのは、彼女を仲間に加えてクロノスの情報を探り出すのが本命で、歩夢達の援護とメタルクラスタホッパーは第二目標だった。更に言えば、雷にするのは誰でも良かった。もし国木田花丸のみを連れ出してしまった場合、クロノスに警戒されてしまう……それを防ぐ為だった。

 

「以上が、今回得たクロノスの情報と目的になります」

 

「なるほど、ありがとう」

 

そして亡の説明を聞き終えた私は、驚きつつも色々と得心がいった。何故クロノスが幻夢コーポレーションから変身アイテムを簡単に盗み出せたのか……そしてその目的も…

 

(まさか、()()の犯行だったなんて…だけど、その役職なら犯行は可能だわ……だけど、目的が物騒過ぎる)

 

でも、これで最高の手土産が出来た。後は、歩夢と真の決着をつけるだけ…

 

(頑張りなさい歩夢……それを使いこなせた時、貴方の願いは叶うから)

 

そう思いながら、苦しい思いをさせてる歩夢に罪悪感を抱きつつも、私は対決するのを楽しみに思っていた。




いかがでしたか?


スミマセン、ウマ娘にハマってしまって遅くなってしまいました……サイレンススズカとスペシャルウィーク、スマートファルコンが当たらない……何故、☆3で当たるのがトウカイテイオーとオグリキャップばかりなんだ…

因みに作者の推しは、メジロパーマーとダイタクヘリオスの爆逃げおバカコンビです。




では次回予告です。

次回【Runawayを乗り越えろ!!】

「皆、殺す気で来てね。さもないと……私が殺しちゃうから」

それでは次回で、お会いしましょう。



か「ここで久々!! 令和こそこそ噂話のコ~ナ~!! かすみんが生身の時に使う剣は、持ち手にあるトリガーを引くと……なんとッ!! 刀身が光るのです!!」

栞「それは刀身に熱を持たせて、相手を焼き斬るためですか?」

か「ううん、ただ光るだけ」

栞「それ…必要なんですか?」

か「当然じゃん!! かすみんの使う剣術は【ソードスキル】…それを完璧に再現するには、絶対に必要な機能なの!!」

栞「ですが、その仕組みのせいで折れやすいんじゃ…」

か「シャラ~ップ!! 大体、しお子はどうやって剣に炎を纏わせてるのッ!? 彼方先輩は呼吸の特性だからまだしも、しお子の剣は特にギミックもないのに…」

栞「ああ、あれですか? あれは単なる【気合い】です」

「嘘だッ!!」(渾身の叫び)


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Runawayを乗り越えろ!!

プチコーナー:ある日の訓練風景①

栞「ふッ!! はッ!! やッ!!」

し「すごいですね!! 両足に合計約200㎏の重りを着けた状態で、障害物を何度も飛び越えるなんて…」

栞「これもッ!! 師範とのッ!! 修行のッ!! 賜物ッ!! ですッ!!」

か「だからって、かすみんを障害物代わりに使うの止めてくれないッ!?」←地面に丸くなってる

栞「ちょうどッ!! 良いッ!! 物がッ!! なかったッ!! のでッ!!」

し「私も訓練に取り入れようかな……あ、アイスの移動販売車だ♪」

栞・か「「え?」」

ドスグゥリィ!!←栞子がかすみの背中に着地&捻りを加えた音

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

栞「あら」

し「大丈夫ですか!? かすみさ~んッ!!」


元ネタわかるかな…? 後、感想欲しい…


ディオドラ関係者と思われる悪魔とバグスターの学園襲撃の翌日…駒王学園は破壊された箇所の修復と、生徒の心理状態を考慮して一週間の臨時休校となった。そして幻夢コーポレーションではヴァーリと眷属達にリアス組を除いたいつものメンバー、更に栞子と彼方とかすみの侑を除いた剣士組も加えて社長室に集まっていた。

 

「皆、昨日の今日で集まって貰ってゴメンに~?」

 

「別にいい。それより、集めた理由はなんだ?」

 

開幕から両手を合わせて謝るリゼヴィムに、ヴァーリは小さくため息を吐きながら先を促す。すると、リゼヴィムのおちゃらけた顔が一気に張り詰めた。

 

「こっちで起きた出来事の情報を、サーゼクス君に渡して調べてもらった結果……ディオドラが禍の団と結託しているとの解答をもらったよ」

 

「やはりな…」

 

その内容はヴァーリも予測していた。今のところバグスターを生み出せるのは幻夢コーポレーションかクロノス陣営のみ……幻夢コーポレーションがディオドラに協力していないのなら、バグスターの入手先はそこ以外あり得ないからだ。

 

「それと、面白い映像も貰ったから……これを見てちょ」

 

天井から巨大スクリーンが降りてきて、そこに映し出されたのは、冥界で行われているレーティングゲームの試合映像だ。そこではディオドラ1人による無双が行われていた。

 

「うわ~、1人で無双してるね…なんで最初から出なかったのかな?」

 

「それに、相手が格上なんでしょ? ちょっとおかしくない?」

 

その映像を見た千歌と美歌は、首を傾げながら率直な感想を述べる。確かに、ディオドラがそこまで強いのなら、眷属達を上手く活用して序盤から攻めに行けたのを、わざわざ不利になるような行動をとっている。まるで、自分の力を見せつけるみたいに…

 

「美歌ちゃんの言うとおり、ディオドラの陣営は序盤は不利だったけど、彼が出張った途端に形勢が逆転した……これを見て、おかしい所は何処か分かる?」

 

「私達が知ってる彼と、魔力の質と量が違いすぎます」

 

リゼヴィムの問いに梨子が答え、リゼヴィムはそれに満足そうに頷く。

 

「梨子ちゃん大正解~♪ どう見ても、不正を働いてるとしか思えないとサーゼクス君も思ってるよ」

 

「これほどの強化だと、オーフィスの蛇か…」

 

「ヴァーリも正解!! これを踏まえて、サーゼクス君から依頼があった。禍の団【魔王派】討伐の為に、幻夢コーポレーションの力を貸してほしいと…それに対して、こちらも社長権限で依頼を了承した。もちろん、提供するのは部隊だけで技術提供はしないという契約も取りつけたから」

 

「それは分かったが……こちらで1つ、問題が発生した」

 

「問題?」

 

渋い顔で告げるヴァーリにリゼヴィムが首を傾げると、歩夢が前に出てくる。

 

「昨日の戦闘で歩夢が暴走したのは話しただろう? それで念のためにドライバーを調べていたら……ある事がわかった」

 

『JUMP!!』

 

そしてゼロワンドライバーを机に置き、ライジングホッパープログライズキーを起動させてドライバーの認証部【オーソライザー】に重ねるが、何故か認証された音声が鳴らなかった。

 

「おろ? 他のは試したの?」

 

「他のプログライズキーも試したが、殆どが弾かれた。唯一使えるのは……メタルクラスタホッパーだけだ」

 

「あちゃ~…万が一のプロテクトかな? これじゃ歩夢ちゃんを連れていく訳には…」

 

その事実にリゼヴィムは頭を抱える。暴走の原因となったメタルクラスタホッパーしか使えない……それは、戦場で必ず暴走すると言われているようなものなのだ。そんな状態のゼロワンを出すのは、戦術的にも戦略的にも難しい…だから、歩夢は後方待機にしようと考えるリゼヴィムだった…

 

「いや、歩夢には一緒に戦ってもらう」

 

「……ほえ?」

 

が、ヴァーリがその考えを一蹴した。

 

「その理由は?」

 

「今回のゲームは確実にまともなものじゃ無くなる。更に歩夢との勝負に固執してる奴らがいるらしい……彼女にはその相手をやってもらう」

 

「でも、今の状態だと仲間も傷つけちゃうかもよ?」

 

「だから…」

 

そこでヴァーリは1度、言葉を溜め…

 

「今日中に、歩夢の暴走を克服させる」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら、そう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスside

 

「ハァ…」

 

私は部室で、全力のため息を吐いた。ソーナに部室に来てほしいと頼まれ、ヴァーリ様に連絡した上で眷属(錬二以外)を連れて部室に入ると…

 

「おいおい、ため息吐いてると幸せが逃げるぞ?」

 

何故か、堕天使総督のアザゼルがいたのだから…

 

「さあ皆、幻夢コーポレーションに行きましょ」

 

「「「「は~い」」」」

 

「ちょちょちょッ!? お前ら待てって!!」

 

どう考えても厄介事のタネにしかならない人物であるアザゼルに、私達は踵を返して幻夢コーポレーションに行こうとするけど、アザゼルに呼び止められる。

 

「……なにかしら? 私達、結構忙しいんだけど?」

 

私は全力で面倒くさいという顔を作り、アザゼルの方を向くと彼は頬を引くつかせながら話し始めた。

 

「実は夏休み前の条約締結…その前から起きてる事件等から、この町が特異点になってるんじゃないかと俺達…三大勢力は思っていて、各々の勢力から使者を派遣する事が決まってな…堕天使からは俺が出てきたのさ。それで人間界で活動するための立場をどうするか考えていた時に、サーゼクスとソーナ・シトリーから学園の教師にならないかと誘われたのさ」

 

そんな長ったらしい話を、右から左に受け流しながら聞いていく。

 

「ふぅ~ん……それで? ここにいる理由にはなってないけど…」

 

「学園の教師になる代わり、ここの顧問を引き受けるのが条件だったんだよ」

 

それを聞いて私は再度、深いため息を吐いた。

 

(ソーナめ…こっちに厄介事を押し付けたわね!!)

 

お兄様は学園の安全の為なんだろうけど、おそらく彼女の目的は堕天使総督の監視。だけど、生徒会に置くと怪しまれやすくなるから、こっちに配属させたんでしょう…おまけに、こっちは幻夢コーポレーション所属になってるから、悪魔上層部は総督とソーナ達を利用して、こちらの技術を手に入れようとしている可能性もある。

 

(生徒会の決定には逆らえないし…しばらくは慎重に行動しないと…)

 

朱乃の方を見ると、彼女も頷いてくれる。どうやら同じ考えに至ったみたい。

 

「わかったわ。ただし、私達に一切干渉しないでちょうだい。こっちは三大勢力とは縁を切っているのだから」

 

「わぁ~てるよ、サーゼクスからも釘を刺されてるしな…」

 

「そう……ならいいわ」

 

不満そうに答えるアザゼルに素っ気なく返しつつ、私達は部室を出た。

 

「まさか堕天使総督が顧問になるなんて、想定外もいいとこだわ…」

 

「どうするリアス? これだと迂闊に特訓はできないわよ?」

 

「そうね……ここはやっぱり、ヴァーリ様に頼んで特訓施設を使わせてもらいましょう」

 

そう思い立ったが吉日とばかりに、携帯を取り出して連絡を…

 

「あッ!! やっぱりここにいた!!」

 

「え?」

 

取ろうとした時、廊下から私達以外の女の子の声がして、そちらを見ると大きな風呂敷を抱えた毛先に緑のグラデーションが入った黒髪をツインテールにした少女がいた。

 

(確か彼女は昨日の…)

 

「あれ? 侑さん?」

 

「昨日ぶりだね、祐斗君♪」

 

彼女…高咲さんは、荷物を床にドサッと置くと祐斗に挨拶した。

 

「祐斗、知り合いなの?」

 

「そういえば、昨日はバタバタしてて言えませんでしたね。彼女は一年の時のクラスメイトで、鍛練用の剣を手入れしてもらってる鍛治屋さんの娘さんなんです」

 

「昨日会いましたけど、改めて……2年の高咲 侑です!! よろしくお願いします!!」

 

「リアス・グレモリーよ、ヨロシクね」

 

「はい、こちらこそです!!」

 

「それで、今日はどうしたんだい?」

 

どこか人懐っこい笑みを浮かべる彼女に私は和みつつ、祐斗が彼女に此処に来た理由を聞くと…

 

「実は、祐斗君達に試してほしいものがあって…」

 

そう言って彼女が風呂敷をほどくと……そこには数本の剣があった。しかも全部形状が違い、メカチックで奇抜なデザインだ。

 

「これは?」

 

「私が作った聖剣モドキだよ」

 

「「「「「聖剣ッ!?」」」」」

 

その言葉に私達は驚かされた。

 

えッ!? 何この子!? 聖剣作れるの!?

 

「まあ聖剣といっても、天界とかが持ってるのみたいに聖なる力とかはないから、悪魔の皆さんでも使えますよ」

 

「そ、そうなの…」

 

それを聞いて安心した私は、剣の中の1つ…黒を基調に刃面が金色、刀身には水色とピンクの矢印が描かれたものを手にする。

 

「これ全部、貴女が?」

 

「はい、栞子ちゃん達の聖剣ソードライバーを元に、ライドブック単独でも力を発揮できる剣をと思って…」

 

「すごいわね…」

 

見た目の割に重くないし、握り手も持ちやすく滑りにくい。刃面も真っ直ぐで歪みや乱れが一切ない……素人が見ても見事な剣ね…

 

「あれ? これは…」

 

私が剣の出来に見惚れていたら、祐斗が何かを見つけた。それは剣と言うには程遠い銀色のバックルのような代物だった。

 

「ああ、それは祐斗君用に作った物だよ」

 

「僕用に?」

 

「うん、祐斗君って実戦だと神器しか使わないって言ってたよね?」

 

「うん、これは僕の仲間達から受け取った大切な物だからね」

 

そう言うと祐斗は自分の左胸…心臓の部分に手を置いた。

 

「これを使ってると、皆と一緒に戦ってると思えるからね……」

 

「でも、ずっと使ってると対策されちゃうんじゃない?」

 

「ッ!? それは…」

 

高咲さんの言葉に、祐斗は黙ってしまう。

 

その事は私も懸念していた。祐斗の聖魔剣は確かに強力だけど、使い続けていけばいずれ対策されてしまい、窮地に陥ってしまう可能性が上がってしまう。

 

でも、祐斗の聖魔剣には聖剣計画の仲間達との強い思いがあるのも私は知っている。だから、他の武器も考えたらとは強く言えなかった。

 

「これはそんな祐斗君の思いと、対策防止を兼ねたアイテムなの!! それで使い心地を知りたいから、早速試してくれない!? さあさあさあ!! ハリーハリーハリィィィィィィ!!」

 

「ちょ、侑さんッ!? 解ったから、そんなに引っ張ら…!!」

 

そして彼女は祐斗の右腕に自身の腕を絡めると、そのまま引きずるように走り出す。祐斗もそんな彼女に困惑しつつも、どこか楽しそうな表情をしている。

 

「あらあら、仲がよろしいですわね♪」

 

「お似合いです」

 

「ええッ!? あの二人、カップルだったのぉ!?」

 

「ほら皆、変な勘繰りしないの」

 

祐斗と侑さんの仲を深読みする皆を窘めつつ、彼女が置いていってしまった聖剣モドキを抱えて、私達も2人を追いかける。

 

彼女も友達を拐われて辛いのに、無理矢理明るく振る舞ってるのね…こういう事で気が紛れるのなら、協力を断るつもりはないけど…

 

(でも、もし本当に侑さんにその気があるのなら…私も応援しちゃおうかしら♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

璃奈side

 

「これをこうして……ここはこうで…」(カタカタ…)

 

私は1人自室で、パソコンに表示された設計図とにらめっこしつつ、戦闘で得たデータを入力していた。コレが完成すれば、私達も戦力アップできる。

 

―コンコン、ガチャ―

 

「どうかしら璃奈? 新型ドライバーの方は」

 

「根を詰めすぎてない?」

 

「大丈夫、もう少しで出来るよ」

 

そこに果林さんとエマさんがノックして入ってくる。本当なら良いかどうかの確認をしてから入ってほしかったけど…

 

因みに今私が作っているのは、しずくちゃんとせつ菜ちゃんの使ってたドライバーを分析して、近距離戦闘の為に銃から短剣に使用変更したもの。名前は【スラッシュライザー】。後は他にも特殊なプログライズキーも作ってる。

 

「出来るだけ急いで。クロノスの事よ…次の戦いで私達を攻撃してくる可能性もあるわ」

 

「分かった、頑張る。璃奈ちゃんボード・ムンッ!!」

 

果林ちゃんの頼みに、私は近くに置いていたスケッチブックを手にし、力強さを表した顔文字のページを選んで顔の前に持っていきながら答えた。

 

コレは研究所にいた頃、表情が顔に出ない私の為に果林さんやエマさん、それに歩夢さんとせつ菜さんとしずくちゃんが考えてくれたコミュニケーションツール。これに色んな表情を描いて自分の心を表現しているんだ。

 

「それにしてもスゴいね~、見ただけで武器を解析出来ちゃうなんて…」

 

「迅で使ってるプログライズキーを改造して、見るだけでデータを回収できるようにしたから」

 

「さすが、滅亡迅雷.netのブレインね。作れるようになったらショットライザーも予備パーツ含めて、出来るだけ数を作っておいてちょうだい」

 

「了解」

 

それを伝えると、果林さんは部屋を出ていった。たぶん、亡ちゃんと雷ちゃんの訓練を見に行ったんだと思う。私はそのまま作業を続けるけど…ある事が頭を過ってタイピングが遅くなる。

 

「大丈夫だよ、璃奈ちゃん」

 

「ふえ?」

 

その時、エマさんが私を後ろから抱き締めてきた。

 

「私達が歩夢ちゃん達にした事は、確かに許されない事……でも、きっとまた一緒に笑える日が来るよ。だから、1人で抱え込み過ぎないでね?」

 

「…………うん」

 

その励ましに、私の心が少し軽くなった気がした。あの日…歩夢さんを暴走させ、仲間を奪った私達はもう仲良くなるなんて出来ないと心の何処かで思っていて、それがしこりとなって胸を締め付けていたみたい。

 

でも、やってしまった過去は覆らない。それでも、研究所にいた時みたいに、また笑い合えたらいいな…それよりも、

 

「けど………私の頭に胸を置くの、止めてほしい」

 

「あ、ゴメンね~♪」

 

私がそう言うと、エマさんは謝りながら離れてくれたけど……正直、ちょっと腹立たしい。

 

「璃奈ちゃんの頭の位置が、丁度いいところにあったから…」

 

「……どうせ私は、チビでペッタンコだもん」

 

「フフっ♪ 拗ねる璃奈ちゃんも可愛い~♪」

 

「むぎゅ……(プチっ)えい…!!」(ゴスッ!!)

 

「あいったァッ!?」

 

拗ねる私にまた抱きついて、胸を顔に押し当てるエマさんにイラッとした私は彼女の顔に頭突きをして、強制的に離れさせた。

 

(いいもん、何時か私も絶対ボンキュッボンになって見返してやる!!)

 

そしてその怒りと悲しみを原動力に、私はスラッシュライザーを仕上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノスside

 

「さて…ようやく完成だな」

 

私は部屋で1人、パソコンに向かってプログラミングしており、最後の入力が終わってエンターキーを押すと1つのガシャットが出来上がる。メタリックブラックを基調に赤・青・黄・緑・紫・白の幾何学線の走る外見に、数多の武器が突き刺さり、倒れ伏す人達の上で剣を掲げる1人の男性が描かれている。

 

「コレさえあれば三大勢力……いや、全神話が束になろうとも……私の勝ちは揺るがない…!! フフフ…ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!……フゥ、グラファイト」

 

「ここに…」

 

ようやく笑いが収まったところで、他に進めている計画についての進捗を聞くため、グラファイトを呼び出した。

 

「計画の方はどうなっている?」

 

「ハッ、計画については戦力を含め、滞りなく進んでいます。また、あの男による()()()()()用の計画も、既に完了しています…」

 

「そうか…そのまま作業を続けろ」

 

「はッ!!」

 

グラファイトが消えた後、私は部屋の隅に隠れている者の方へと目を向けた。

 

「そこにいるのだろう?……ハリケーンニンジャ」

 

「何の用?」

 

そこから出てきたハリケーンニンジャ……仮面ライダー風魔は嫌そうな声で私に話しかけてくる。

 

「アメイジングコーカサス達の様子はどうだ?」

 

「何かを作っているみたいだけど……そこまでは」

 

「そうか……なら、彼女達の目標が達成直後に、その作っているものを奪取して始末しろ」

 

「……私がそれに頷くとでも?」

 

「頷くさ……断れば()()がどうなるか、分からない君ではあるまい?」

 

「ッ!?」

 

私はバグルドライバーをバックルから外し、その液晶にあるものを映す。その瞬間、ハリケーンニンジャが息を飲むのが伝わった。

 

「…………………………分かったわ…!!」

 

それに苛立ちを込めて返した風魔は部屋から消え、私は1人残った部屋で暗い笑みを浮かべる。

 

しかし、新しく引き入れたあの時の彼が、これほどの事をやってのけるとは…!! 見かけによらないとはこの事か…

 

「これで後顧の憂いも無くなった…ようやく、我が計画が始まるのだ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

『よーし、全員配置に着いたな?』

 

「「「「「「「はいッ!!」」」」」」」

 

私とせつ菜ちゃんとしずくちゃんに栞子ちゃんとかすみちゃんと彼方先輩にダイヤ先輩は今、訓練用のアリーナに来ていて、私がフィールド中央に立つと、それ以外の皆が私を囲うように並んでいる。

 

『今回の目的は歩夢の暴走克服だ。ドライバーを解析した結果、変身時における接続先が【ゼア】から【アーク】という場所に変わっていた。おそらく、このせいでゼロワンが暴走していると考えられる。だがゼロワン変身中以外、アークに干渉すら出来なかった…よって、俺とテラハーキスがアークに対してハッキングをしている間、お前達は歩夢の暴走を押さえ込むんだ。ただし、変身解除はさせるな。1度接続が切れてしまったら、再接続は難しいと思う。1発勝負だ!! 気合い入れろ!!』

 

「「「「「「「はいッ!!」」」」」」」

 

作戦内容を聞き、私を含めた全員がベルトを装着し、戦闘体勢に入る。

 

「皆、ごめんなさい……私のせいで迷惑を…」

 

「そんなのは、気にしないでください!!」

 

「私達はチームなんですから」

 

「仲間の危難を前に、剣を収めておくつもりはありません」

 

「後輩の手助けをするのは、先輩の役目だしね~」

 

「彼方さんの言うとおりですわ」

 

「かすみんも頑張っちゃいますよ~!!」

 

「……うん」

 

謝る私に皆は暖かい言葉をかけてくれる……だけど、それを素直に受け取れない自分がいた。

 

(やっぱり、あの時の考えが頭から離れないからかな…)

 

自分が助かりたいが為に仲間を殺そうなんて……話したら皆は状況的に仕方ないなんて言うかもしれないけど…皆が許してくれても、私が自分を許せない。

 

『それじゃ、変身の準備をしてくれ』

 

『POWER!!』「フン!!」(バキッ!!)『AUTHORIZE』

 

『THUNDER!!』『AUTHORIZE』

 

『ブレイブドラゴン!!』『ストームイーグル!!』『西遊ジャーニー!!』

 

『ライオン戦記!!』『ピーターファンタジスタ!!』『天空のペガサス!!』

 

『ランプ・ド・アランジーナ!!』『ニードルヘッジホッグ!!』『トライケルベロス!!』

 

「X―0カラット」『ジュエリートレジャー!!』『ベリアルモンスター!!』『ガシャット!!』

 

「……」『HIDEN Metals Ability!!』『AUTHORIZE』

 

皆が変身準備をする中、私は躊躇いがちにメタルクラスタホッパーキーを認証させる。

 

「皆、…私を殺す気で来てね? さもないと、私が殺しちゃうから…」

 

「そんな事はしませんし、させません」

 

「え?」

 

万が一を考えて皆にそう言ったけど、即座に栞子ちゃんに拒否されてしまった。

 

「此処にいるのは、上原先輩を助けたいと思っている人達なんです。だから先輩を殺すつもりなんてありませんし、殺されるつもりもありません」

 

「でも…!!」

 

「ならば、信じなさいッ!!!!」

 

「ッ!?」

 

栞子ちゃんに反論しようとした私だけど、そこにダイヤ先輩が私に叫んだ。

 

「貴女がそんな事をしたくないのは皆が百も承知です。そして、自分自身で暴走を抑えられない事も…だから信じなさい!! 誰に何を言われても決して諦めず!! 何をされても決して挫けずに!! ここにいる私達が誰1人欠けずに……貴女を必ず助けると!!」

 

「…ッ!!」

 

ダイヤさんの言葉に、皆が無言で頷いていく。それがどこまでも頼もしく感じ、私の胸から暖かく強い思いが込み上げてくる…

 

(そうだ…私が先に諦めてたら、出来るものも出来なくなっちゃう!!)

 

「ごめんなさい、弱気な事を言ってしまって…」

 

「誰も気にしてませんわ。私こそ、少し無遠慮だったかと…」

 

「いいえ、お陰で勇気が出ました」

 

申し訳なさそうにするダイヤ先輩にそう言ってから、私は皆の顔を見て…

 

「改めてお願いします。私を……止めてくださいッ!!」

 

「「「「「「もちろんッ!!」」」」」」

 

頭を下げる私の耳に、皆の力強い声が響く。

 

『コォラアアアアアアアアアアッ!!!!!! この神の才能を持つ俺を除け者とは……フザケ『マイスター、落ち着いてください』お前も俺の言葉を遮るなァッ!!』

 

「「「「「「「アハハハハハハ!!」」」」」」」

 

途中、割り込んできたルシファー君とハーちゃんのやり取りに皆で笑ってから、改めて気合いを入れ直す。

 

『ンンッ!! それでは……作戦を開始する!!』

 

烈火/流水/黄雷 !!

 

「「「「「「「変身ッ!!」」」」」」」

 

『SHOTRIZE』

 

『『ガッチャーン!! レベルアップ!!』』

 

『メタルラーイズ!!』

 

そしてルシファー君の合図で、全員で同時に変身する。

 

『パンチングコーング!!』『Enough power to annihiate a mountain.』

 

『ライトニングホーネット!!』『Piercing needle with incredible force.』

 

『ランプの魔人が、真の力を発揮する!!』『ゴールデン・アランジィ~ナァッ!!』

 

『蒼き野獣の鬣が、空に靡く~!!』『ファンタスティ~ク~・ラ~イオ~ン!!』

 

『語り継がれし、神獣のその名は~!! クリムゾ~ン・ドラゴォ~ン!!』

 

『探せダイヤ‼ 集めろルビー‼ ジュエリートレジャー‼ アガッチャ‼ 災厄を起こせベリアル‼ 絶望を振り撒けモンスター‼ 今こそ破滅の…時来たり‼』

 

『Secret Material. HIDEN Metal.』『メタルクラスタホッパー!!』『It's High Quality.』

 

変身が完了すると、私は前に飛ばされた場所……【アーク】の内部空間に立っていて、前回と同じく負の文字達が私の体を抑えつけていく。

 

(前は怖くてしょうがなかったけど……皆が助けてくれると信じられる今なら、この程度は全然耐えられる!!)

 

でも、今の私にはそれは恐怖足り得ず、皆を信じて体を委ねる事にした。




いかがでしたか?

次回は歩夢の暴走克服と、ディオドラとのゲーム開始辺りまでやる予定です。


次回【始まるDEATH GAME】

「では始めようか…私のゲーム【仮面ライダークロニクル】のプレリュードを」


では、次回でお会いしましょう。


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始まるDEATH GAME

プチコーナー:ある日の特訓風景②

栞「はぁいかすみさん? 次は立って両手を膝についてくださいね♪」←天使のような悪魔の笑顔

か「ちょっと大丈夫なの!? これさっきよりも全然高いんだけど!!」

栞「師範ならこれくらい余裕です。では100回行きます!! はあッ!!」

か「ひぃッ!? いい!? しず子は喋んないでね!! 絶対だからね!! しお子の気が散っちゃうから……って、しず子いないしッ!? 一体何処に…」

し「2人とも~!! アイス買ってきたので、一緒に食べませんか~?」

栞・か「「え?」」

ドスグゥリィ!!

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

栞「あら」

し「大丈夫ですか!? かすみさ~ん!!」





1回やったなら2回目もってね♪(黒笑)


遂に始められたゼロワンの暴走克服の為の戦闘。始めに突っ込んだのは、やはりバルカンだ。

 

「剛力無双、マッスルラリアットぉッ!!」

 

「それガオレンジャーですよッ!?」

 

ショットライザーで援護するバルキリーのツッコミに耳を貸さず、バルカンは巨大な手甲【ナックルデモリッション】に覆われた両腕を、某筋肉の戦士の技名を叫びながらゼロワンへと振るうが、それはクラスターセルの盾に防がれてしまう。そして反撃とばかりにクラスターセルを飛ばす。

 

「それは既に対策済みですわ!!」

 

『KUROSAWA ACCESS GRANTED.』『GORZA.MERBA.SUPER-C.O.V』

 

「さあ、お行きなさい!!」

 

『TRI-KING』

 

そこにダイヤがダークゼットライザーを起動し、トライキングを呼び出し、そこから更にメダルをライザーにセットしていく…

 

「ガンQさん!! レイキュバスさん!!」

 

『GAN-Q.REICUBAS.』

 

「闇の力…もう少しお借りしますわよ!!」

 

『FIVE-KING』

 

「グオオオオオギャオオオオオオガアアアアアアアアヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!!!!」

 

それを読み込み、トライキングへと送ると右腕がレイキュバスを模した巨大な鋏となり、左腕にはガンQの目が着いた姿『ファイブキング』へと進化し、ガンQの腕を突き出すとクラスターセル達が次々と、その目に吸い込まれていった。

 

「……ッ!?」

 

それを見たゼロワンは慌ててクラスターセルを出すのを止めるが、これによって装甲の2割を失ってしまった。

 

「その攻撃は自身の装甲を飛ばして行うもの…ならば、 こうしてしまえばそれ(クラスターセル)はもう使えませんわよッ!!」

 

これが今回ジュエルが参戦した理由で、メタルクラスタホッパーの全周囲攻撃であるクラスターセルを封じる方法を検討していた時、ヴァーリがガンQの能力を思い出し、それを使って吸収する戦術を考案したのだ。

 

これによってクラスターセルの封殺と、装甲の削り取りでゼロワンの弱体化を成立させた。

 

「後は皆で抑え込むだけです!!」

 

そして左右からバルカンとバルキリーが腕を抑え、セイバー・ブレイズ・エスパーダの三人が装甲の消えた部分を剣で抑え込む。

 

「これで時間を稼げば…!!」

 

そう言ってセイバーの見つめる先には、高速で目を点滅させているテラハーキスと、超高速タイピングをしているヴァーリがいた。

 

『ゼロワンドライバーへの無線接続が完了。これより、アークへのハッキングを開始します』

 

「向こうからの攻撃は俺が防ぐ。お前は歩夢の救出に全力を注げ!!」

 

『了解』

 

「ククク…アークぅ…!! たかが人工知能風情がァ!! この神の(特典としてもらった)才能に勝とうなど……永遠に早いわァァァァァァァァッ!!」

 

不気味な笑顔を浮かべながら叫ぶヴァーリに、ゼロワンを抑えてる面々は不安がるが、彼の役職はゲームクリエイター……それはある意味、プログラミングのプロと言ってもいい存在だ。更に彼は過去のゲーム開発でハッキングについて調べた事があり、その知識も持っていた。それが特典の才能と相性が良く、すぐに世界一のハッキング技術を手にしてしまったのだ。

 

『……アークへの接続を確認。プロテクトの総数58,358,746,428個。これより突破を開始します』

 

「フハハハハハハハハハハハッ!!!! 貧弱貧弱ぅッ!! その程度のクラッキングに、地球を越えた文明の最高傑作と神たる私が負けるものかァッ!!!!」

 

アークとの接続が完了し、ハッキングを開始するテラハーキス。それを阻止しようとアークも攻撃を始めたようだが、その悉くをヴァーリに防がれていた。

 

『…………………………全プロテクトの解除完了。アーク内部へと侵入します』

 

そしておよそ三分でプロテクトを全て解除し、テラハーキスはアークへと突入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

体の自由を奪われ、目の前に映る投影モニターから流れる戦闘を私はジッと見つめる。皆の頑張りから目を背けない為に…

 

『何が目的だ?』

 

そこに、アークが現れて私に話しかけてくる。

 

「暴走の克服」

 

『無駄だ。貴様らの力で私の支配から逃れる事など出来はしない』

 

「そんなの、やってみなくちゃ分からないよ?」

 

『やらずとも解る。人間に私の予測を越える事は不可能だ』

 

「それは貴方の知る人間でしょ? 私の知る人達は…貴方の予測も越えられる」

 

(ビーッ!! ビーッ!!)

 

私がそう答えるとほぼ同時に、空間内にアラートらしき音が鳴り出す。

 

『ッ!? これは……私のプロテクトが破られているだと!? ファイヤーウォールの再設定!! 防衛システムの構築とカウンター開始……バカなッ!? この短時間で既に7割を突破だと!? ええい!! 攻撃も無効化されている!? 一体何がどうなって…!!』

 

どうやらハッキングに慌てて対応してるみたいだけど、地球より更に文明の発達した星で生まれたハーちゃんに、自称神の才能を持つルシファー君がタッグを組めば、たとえ最凶の人工知能といえど、対抗なんてできる筈がない。

 

『お待たせしました、歩夢』

 

「ううん、寧ろ予想より早かったよ」

 

そして全てのプロテクトを突破したハーちゃんが、私の隣に現れた。

 

『貴様かッ!! どうやって私のプロテクトを…!!』

 

『貴方と会話をするつもりはありません。歩夢は返していただきます』

 

ハーちゃんが私の周りにシールドを張ってくれると、私に纏わりついていた負の文字達が消え、体の自由を取り戻せた。

 

ふぅ、あれ(負の文字)は気持ち悪かったから助かっちゃった。

 

『無駄だッ!! ソイツが私の中にいる限り、ゼロワンの暴走が止まる事はない!!』

 

『ゼアへの経路検索……確認。しかし、悪意の感情による妨害あり。解決方法検索……………………解答、外部からの【善意】の感情による相殺が最も効果的であると判断。マイスター、善意の感情データを送ってください』

 

『既に送っている!! その後、お前の体を使ってアイテムを構築しろ!! こちらで何とかして歩夢に持たせる!!』

 

『了解。歩夢は形状に希望はありますか?』

 

「それなら剣かな? ハーちゃんと出会った世界とは別の世界の人達の1人が持ってた剣なんだけど……私の思考から読み取れる?」

 

『今の歩夢はデータ状の存在なので可能です。では、読み取りますので私に触れてください』

 

『おいッ!? 私の話を聞け!! ええい…!!何故奴へのハッキングが出来ん!? あらゆる地球の言語を使っているというのに…!!』

 

アークが何か言ってるけど、私は右から左に聞き流しながらハーちゃんに触れ、以前別世界の私が使っていたプログライズホッパーブレードを思い浮かべる。

 

『………………………………………………読み取り完了。マイスターからの善意のデータと、ハッキングで得た飛電メタルのデータと合わせて、武器の構築に入ります』

 

そして現実の方で武器を作り始めるハーちゃん。私はハーちゃんから手を離し、アークの方を見て…

 

「それじゃ、バイバイ♪」

 

笑顔でそう言って左手を振りつつ、右手に現れたプログライズホッパーブレードの効果でアークの空間を脱出した。

 

だけどこの時、私は知らなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『手段については予測を越えられたが、結論については予測通りだったな…………そしてデータも充分に揃った。これで、私の駆体が完成する』

 

アークが私の身体データを使って、自分の体を作り上げていた事に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして少し時を戻して、現実ではテラハーキスの腹部から放たれるレーザー光が、3Dプリンターの如く複雑な軌道を描いて一振りの剣を完成させる。外見は展開状態のライジングホッパープログライズキーに似ていて、蛍光イエローで彩られクリアブルーの刃面を持つ片刃の大剣。その剣の名は【プログライズホッパーブレード】…メタルクラスタホッパーを制御できるようにするアイテムだ。

 

「よしッ!! しずく!! この剣を歩夢に持たせろッ!!」

 

「わかりました!!」

 

「………………ッ!!」

 

「「「「ひゃあッ!?」」」」

 

ヴァーリの指示を受け、剣を受け取るバルキリー。しかし、5人で何とか動きを止めていた所に1人が離れてしまったので、ゼロワンは4人を振り払い自由を取り戻し、視線をエスパーダへと向ける。

 

「マズイッ!?」

 

「そこまでです!!」

 

そしてエスパーダに殴り掛かろうとするが、2人の間に降り立ったバルキリーがゼロワンの方へと向き直りながら膝を着き…

 

「はいどーぞ!!」

 

プログライズホッパーブレードを差し出すと、ゼロワンは躊躇なくそれを掴み取った。瞬間、ゼロワンの体に電流が走るとクラスターセルがゼロワンから離れ、プログライズホッパーブレードのエネルギー増殖炉である【メタルブレードリアクター】へと吸い込まれていく。それを見たジュエルはファイブキングに取り込ませたクラスターセルも吐き出させて、全てがプログライズホッパーブレードに集まると、ブレードにクラスターセルを模したメタルバッタのオブジェ【リトルクラスタ】となり、蛍光イエローの光がゼロワンを包むと、再度装甲となっていく。

 

「うわっとと!?………ふぅ」

 

装甲の形成が終わると、前に倒れそうになるゼロワンだが、何とか踏ん張り左手を握ったり開いたりして感覚を確かめ出す。

 

「…………どう、ですか?」

 

心配そうに尋ねるバルキリーに、ゼロワンは頷き…

 

「うん、ちゃんと自分の意思で動かせるよ」

 

「ふぇ~…良かったですぅ~」

 

変身を解除しながらバルキリーに答えると、彼女も変身を解除し、疲れ果てたように地面に仰向けに倒れた。

 

「やりましたね、歩夢さんッ!!」

 

「ひゃあッ!? せ、せつ菜ちゃん!?……うん、心配かけてごめんね? だから、身体強化の魔法を解除してくれない? なんか背骨がメキメキいっでる゛か゛ら゛ぁ…!!」(ペチペチ)

 

次に変身を解除し、抱きついてきたせつ菜にお礼を言おうとするも、強化魔法を解除し忘れている事で包容が鯖折りになってしまい、歩夢は必死にタップするもせつ菜には気づいてもらえなかった。

 

「ですけどルシファー先輩、よく善意なんて曖昧な感情のデータがありましたね?」

 

「俺はゲームクリエイターだぞ? 様々なキャラを作るのに、感情は必須要項だからな。その辺はキチンと調べてある」

 

「まさにゲームクリエイターの鏡だね~」

 

「鏡ではないッ!! 神だッ!!!!」

 

「それはどうでもいいんですよ!!」

 

「既にお約束ですわね、このやり取りは…」

 

「皆も……喋ってないでた゛す゛け゛て゛ぇ~…!!」

 

そんな歩夢の声は誰にも届かず、気づかれたのは痛みの限界で気絶した時だったとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゼアより新たなドライバーと対応するプログライズキー、メタルクラスタホッパーの強化案のデータを受信。現状を鑑みて、メタルクラスタホッパーの強化案から設計・開発を開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「オラァッ!!」

 

「デヤァッ!!」

 

「フンッ!!」

 

―ガギィィィィィィィン!!―

 

俺はルシファー達が色々やってる訓練場とは違う訓練場で、パラドと一緒にグラファイト相手に模擬戦をやってるんだが…

 

「まだ甘いッ!!」

 

「「うおわぁッ!?」」

 

俺の拳とパラドの斧は、グラファイトの薙刀に防がれて力任せに振り払われる。

 

「チィッ!! レベル99が2人がかりでもこれかよッ!!」

 

「アイツ…どんだけレベルが高いんだ!?」

 

「俺のレベルに上限などない。社長の護衛が上限を迎えてやられては意味ないからな? まあ、そのお陰でお前たちの相手が出来るんだが…」

 

「そういう事か…」

 

だから何時まで経っても中々勝てないのか…けど、その方が俺の心が高ぶるぜ!!

 

立ち上がった俺は再度突撃し、拳のラッシュをお見舞いする。

 

「オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!!」

 

俺が今出せる最速での連撃。だがグラファイトは薙刀を投げ捨てると拳を構え…

 

「無ゥ駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!!」

 

同じ様に拳のラッシュで、全部相殺された。

 

「マジかよッ!?」

 

「そこで隙を晒すなッ!!」

 

「グハァッ!?」

 

予想外な事に俺は動きを止めちまって、そこにグラファイトの蹴りが腹にめり込み、吹き飛ばされた俺は壁に激突して変身が解除される。

 

「イッセーッ!? このぉッ!!」

 

「感情任せで倒せるほど…」

 

そこにパラドが突撃するが、グラファイトは冷静に振り下ろされるパラドの斧を左腕で弾き、左脇に両拳を押し当てると…

 

「俺は甘くないぞッ!!」

 

地面を強く踏み込み、全ての勢いを両拳に乗せて衝撃をパラドに叩き込んだ。

 

「ガハァッ!?」

 

その威力にパラドは地面をうつ伏せに倒れ、変身が解けた。

 

「イッセーはパワーについては問題無いが、攻撃が一辺倒過ぎる!! もう少し、小手先の技術を身に付けろ!! パラドとやらは技術はあるが感情にムラがありすぎる!! 何時でも頭はクールに冷やし、燃やすのはハートにしろ!!」

 

「痛ぅ~…!! 小手先っつってもよぉ…」

 

「エナジーアイテムをもっと効率よく、的確に選べ。それだけでもだいぶ変わる筈だ」

 

「うぐ…!! 頭をクールに、ハートを燃やせか…」

 

「怒りの感情は力になるが、度を過ぎれば視野が狭まったり、攻撃が単調になるなどのデバフにしかならない。それを頭で制御できれば、想定以上の力を発揮できたり、自力で火事場のバカ力を使えたり出来るようになる筈だ」

 

グラファイトのアドバイスを聞きつつ、俺とパラドは立とうとするがダメージが大きすぎて、また膝を着いちまう。

 

「……時間もちょうどいいし、1度休憩にするか。シャワーを浴びるなら温めの温度にしろ。水分補給は忘れるな。後、腕や足のマッサージもしておけ。食事も構わないが食い過ぎるなよ? 次もハードにやる予定だから栄養バー1本ぐらいが最適だな。それから…」

 

「…なあイッセー、アイツお母さんみたいだな?」

 

「お前もそう思うか? やっぱどう見てもオカンだよな…」

 

「フンッ!!!!」

 

―ゴゴン♪―

 

「「ギャウンッ!?」」

 

グラファイトの話を聞きつつ、パラドと思った事を小声で話していたら2人揃って脳天に拳骨を貰った。

 

「「うぉぉぉ…!! この…!!」」

 

「次、俺をオカンとかお母さんとか言ったら…………わかってるな?

 

「「サー・イエッサーッ!?」」

 

あまりの痛みに文句を言おうと思ったが、グラファイトのあまりの迫力と激怒龍牙の発動体勢を見て、俺とパラドは早々に屈した。

 

やべぇ……次はマジで殺されっかも…なんか背後に【ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ】って見えるし…

 

「たくっ……次の訓練は1時間後とする。それまでゆっくり休め」

 

「次も連携訓練か?」

 

「いや、連携訓練はもうやらん。次からはお前達、個々のレベルアップを主軸とする」

 

「何でだ? 連携訓練にした方が、戦場で役立つだろ?」

 

パラドの疑問に俺も頷く。俺は連携ってのがあまり得意じゃないしな……パラドとのタッグは、パラドに合わせてもらってる部分も多いし…

 

「今回戦うディオドラの話は俺も聞いている。確実にまともなゲームをしてこないだろうな。恐らく、あらゆる手を使ってお前達を分断するか、【禍の団】と協力して物量でのゴリ押しで此方の連携を封じてくると俺は予想している」

 

「なるほどな、だからか…」

 

そのグラファイトの予想に俺も納得する。アイツはネチネチと嫌がらせとかやるのが得意そうな、陰気な奴だったからな…なら、個々の能力を鍛えた方が生き残りやすいか。

 

「ほら、時間は有限だぞ。休める時に休んどけ」

 

「「へ~い…」」

 

俺達はその場でへたりこみ、少し休んでから水分補給と栄養バーで小腹を満たし、グラファイトの対策を考える事にした。

 

え? シャワー浴びないのかって? 次も訓練だし、終わってからまとめてやった方が楽だから後回しだ後回し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日経ち、ディオドラとの対戦当日。ヴァーリは眷属達を引き連れ、サーゼクスの案内で会場入りしていた。

 

「すまないね、僕達の事情に巻き込んでしまって…」

 

「いえ、こちらとしても助けなければならない仲間がいますので……それで、奴等はやはり?」

 

「ああ、確実に襲撃してくる筈だ」

 

「そうですか……皆の方は?」

 

「他の子達はリゼヴィム様と一緒にVIP席に案内したよ。彼処なら他の勢力のトップ達が集まるからね。これ以上無い程、安全だと思うよ」

 

「ありがとうございます」

 

それを聞いてヴァーリは安堵のため息を吐く。万が一、試合以外での乱入でアーシア達が拐われたり、傷つけられては意味がない。だからこそ、一番安全な場所にアーシア達を預ける事にしたのだ。更に一誠や栞子達もそちらに回してあるので、より万全といえよう。

 

「僕達もいつでも出られるように準備しておく。君達も気をつけて」

 

「はい」

 

サーゼクスの応援の後、ヴァーリ達はレーティングゲームのフィールドへと転移する。

 

だけど、敵は既に行動を始めていた。

 

「さて、僕も僕のやることを…「魔王さまッ!?」ん?」

 

ヴァーリ達を見送り、待機している部隊の指揮に戻ろうとした時、1人の悪魔が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 

「どうした?」

 

「VIP席にいた幻夢コーポレーションの方達が……忽然と姿を消しましたッ!!」

 

「なにッ!? 魔力反応は!?」

 

「ありません!! 消える時、ドット状の光が走るの見ましたので、おそらく魔法以外で転移させられたものと…」

 

「くそッ!! 転移先の特定急げ!! ただちにゲームフィールドに部隊の突入を…「魔王さまッ!!」どうした!?」

 

「レーティングゲームの転移陣に改竄を確認!! ヴァーリ様達が、会場とは別の場所に転移されてしまいました!!」

 

「なんだって!? まさか……既に仕組まれていたというのか…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…」

 

そして何処かの遺跡と思われる場所の玉座に座っていたクロノスは、ゆっくりと立ち上がると両手を左右に広げ…

 

「では始めようか…私のゲーム【仮面ライダークロニクル】のプレリュードを」

 

そう、計画の開始を宣言した。




いかがでしたか?


暴走克服の流れは、かなり無理矢理だと思ってます。何か意見があれば感想などにお願いします。

次回からギャグよりもシリアス成分が多めになります。


次回【定められたLimit】

「さあ……行こうか、皆!!」

『『『『『『はい/うん/おう!!』』』』』』


では、次回でお会いしましょう。


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定められたLimit

プチコーナー:ある日の訓練風景③


し「はっ、はっ、はっ、はっ…!!」←町内をジョギング中

彼「おや~、しずくちゃん?」

侑「奇遇だね♪」

し「あ、彼方先輩に侑先輩!! お二人もジョギングですか?」

彼「そうだよ~。戦闘職だからね~」

侑「剣を作るのに、体力は必須なんだ!!」

し「でしたら、一緒に走りませんか?」

彼「イイね~、彼方さんは賛成だよ」

侑「もちろん私も!!」

し「では、行きましょうか」



―3人揃って1周目終了―



侑「よ~し!! こっからは競争だよ!! じゃ、おっ先~♪」←【弧線のプロフェッサー】【円弧のマエストロ】発動

し「あッ!? 侑先輩ッ!?」

彼「おっと、そう簡単には逃がしませんぞ~?」←【逃げ牽制】【ハヤテ一文字】発動

し「彼方先輩までッ!? でも、私だって負けません!!」←【末脚】【きっとその先へ…!(Lv.3) 】発動

2人「「固有スキルはズルくないッ!?」」

一「おっ、なんか面白そうな事やってんじゃねぇか。俺も混ぜろォ!!」←【汝、皇帝の神威を見よ(Lv.6)】【シューティングスター(Lv.6)】【勝利の鼓動(Lv.6)】発動

3人「「「後ろから更にヤバいのキタァァァァッ!?」」」

善「………………あれ、なにやってんの?」

梨「ダービーでしょ、たぶん」


ヴァーリ達が転移する数分前、サーゼクスの案内でVIP席に移動したリゼヴィム一行。その中で侑は、リアス達グレモリーチームに渡した聖剣の調整をしていた。

 

「グレモリー先輩、界時(かいじ)の感じはどうですか?」

 

「とっても手に馴染むわ、ありがとう」

 

「なら良かったです」

 

「でも、よろしかったのですか? 界時や狼煙(のろし)のような素晴らしい剣を私達に預けて…」

 

調整してもらった侑特製の聖剣【時刻剣界時】を数度振り、感触を確かめた後に感謝するリアス。そこに少し申し訳なさそうにした朱乃が【煙叡剣狼煙】を持って聞いてきた。

 

「私は剣術の才能なんてありませんし、ましてや生き物を殺す覚悟も持てませんから…だったら、せめて皆が無事に帰ってこれるように剣を作るのが私の戦いなんです。それじゃ、私はかすみちゃんに渡すものがあるので…」

 

朱乃の問いにそう答えると、侑は一本の聖剣を持ってかすみの方へと向かっていった。

 

「……強い子ですわね。本当は自分が一番、友達を助けに行きたい筈ですのに…」

 

「それでも、自分が今出来る事を理解して最大限動く…簡単に出来る事じゃないわ」

 

「部長、ここでしたか」

 

「あら、小猫……ッ!?」(スッ…)

 

そこに背中に聖剣【土豪剣激土】を背負った小猫がやって来るが、その姿を見てリアスはすぐに顔を背けた。正確には、彼女の背負う激土を入れてる鞘を見てだが…。

 

因みに朱乃もリアスと同じ様に顔を背け、手で口を覆い小さく震えていた。まるで笑いを堪えるかのように…

 

「ど、どうしたの?」

 

「リゼヴィム様が、渡したい物があるから来てほしいと…」

 

「そ、そう…わかったわ……ところで小猫、その鞘はどうしたの?w」

 

何とか笑いを抑えようとするリアスだが、どうしても気になり思いきって鞘の事を尋ねた。

 

「これですか? 私の背だと剣を引きずってしまうので、高咲先輩が付けてくれたんです」

 

そう、彼女の鞘には剣先の峰側に小さな車輪が付いていた。それを見た2人は、とあるアニメのキャラを思い出して笑いを堪えていたのだ。

 

「あの……どうしてこっちを見ないんですか?」

 

「ねぇ小猫、ちょっとお願いがあるんだけど…いいかしら?w」

 

「はぁ…なんですか?」

 

「頭にチョンマゲのカツラを被って、語尾に【ナリ】ってつけて喋ってくれない?www」

 

「ブフゥwww」

 

「ハッ倒すぞ、ゴラァ」

 

グレモリー達がそんな会話をしている頃、侑はかすみに新たに作った聖剣を渡していた。

 

「はい、かすみちゃん。頼まれてた2本目の聖剣だよ」

 

「わぁ~!! ありがとうございます、侑先輩!!」

 

黄雷を振るって型の練習をしていたかすみは、それを止めて剣を受け取り、軽く振ってみる。

 

「それの名前は【無銘剣虚無】!! その名の通り、剣で触れてる相手の力を無効化しちゃうすごい剣だよ!! これなら魔法の力も怖くないよ!!」

 

「おお~!! めっちゃスゴいじゃないですか!!」

 

「でっしょ~!! 私の傑作の1つだよ!!」

 

「これでようやく、かすみんの本領発揮です!! バッサバッサと敵を斬りまくってやりますよ~!!」

 

「かすみさん、調子に乗りすぎです…」

 

「まあ、新しい剣を貰って嬉しいのはわかるけどね~」

 

ハイテンションで剣を振りまくるかすみに、栞子と彼方は呆れていた。

 

「ですが、これでかすみも全力で戦えます。だから待っていてください、侑先輩。宮下先輩達は必ず…私達が助け出します」

 

「うん、皆お願いね?」

 

「はい!!」

 

「お任せあれ~」

 

「かすみんが、チャチャっと助けちゃいますから!!」

 

栞子達の決意に頼もしさを感じながら、肩慣らしを始める3人を見る侑。そしてまた別の場所では、一誠がグラファイトから右手のみの籠手型ガシャコンウエポンを受け取っていた。

 

「一誠、受けとれ」

 

「…コイツは?」

 

「【ガシャコンマルチナックル】……籠手と鉤爪、ボーガンの機能を一纏めにしたお前専用の武器だ」

 

「俺専用…」

 

一誠はそれを腕に填めて感触を試した後、拳を突き出したりする。

 

「思った以上にしっくりくる…」

 

「お前専用だからな。後は赤と青のボタンを交互に押してみろ」

 

「ボタン?……コイツか」

 

グラファイトに言われ、赤いボタンを押すと籠手の上部に折り畳まれていた爪が前面に展開された。

 

『muscle crow!!』

 

さらに青いボタンを押すと爪が折り畳まれ、左右から刃の付いた弓型のパーツが展開され、手首の上から矢尻が出てくる。

 

『sonic bow!!』

 

「おお…籠手に戻す時はどうすりゃいい?」

 

「赤と青のボタンを同時に押せ」

 

『standard knuckle!!』

 

グラファイトに言われた通りにボタンを同時押しすると、弓が仕舞われ元の籠手になる。

 

「へぇ…けど、俺は籠手以外はあんま使わねぇぞ?」

 

「あるのとないのじゃ、戦い方の幅が変わってくる。無理にとは言わんが、使い方の研究ぐらいはしておくんだな」

 

「へいへい、ありがとよ」

 

「礼なら、それを使いこなせてからにしろ。後はコイツを渡しておく」

 

さらに一誠に渡されたのは、ブランク状態の3つのガシャットだった。

 

「ん? こんな何もないヤツを渡されてもよぉ…」

 

「それはヴァーリからだ。恐らく、お前の体質を鑑みての事だろう」

 

「俺の体質だぁ?」

 

それはバグスターウィルスに適応している事だと思った一誠だが、グラファイトはとんでもない事を口にした。

 

「そうだ。アイツの考察だとお前の中にあるのは、何にも染まってない原初のバグスターウィルス。そしてお前は…俺達()()()()()()()()()()()()()らしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「あ、そうそう…渡辺ちゃんと松浦ちゃん、ちょっとおいで」

 

「はい?」

 

「?…なんですか?」

 

私が果南ちゃんと話していたら、急にリゼヴィムさんに呼ばれて行くと…

 

「はい、おじちゃんからのプレゼント♪」

 

そう言って、ガシャットを2つずつ手渡された。私のには大きな扇子を持った女の子とたくさんの…鏡?みたいなのが浮いている絵が描いてあるのと、全身に銃やミサイルを装備した女の子の絵が描いてあって、果南ちゃんのは刀を持った女の子が怪物を切り裂いてる絵が描いてあるのと、蛇腹状の剣を新体操のリボンのように振り回している女の子の絵が描いてあった。

 

「これは?」

 

「渡辺ちゃんのは【歪鏡 シェンショウジンガシャット】と【魔弓 イチイバルガシャット】で、松浦ちゃんのが【絶刀 天ノ羽々斬ガシャット】と【銀腕 アガートラームガシャット】。最近、ヴァーリ達が行った世界の力を模したガシャットだよ」

 

「それを、なんで私達に…?」

 

コレを貰っても私と果南ちゃんは戦った事なんてないし、戦いに出ても邪魔になっちゃうだけなんじゃ…

 

そう思っていると、優しい笑顔だったリゼヴィムさんの顔が真剣なものに変わって…

 

「正直、今回はワシ達でも君達を守りきれるか分からない…だからこそ、自衛の為にコレを渡しておこうと思ってね」

 

「「ッ!?」」

 

告げられた言葉に、私と果南ちゃんは驚いた。

 

えッ!? どういう事…!!

 

「ディオドラの背後には、恐らくクロノスがいる。そうなると、君達を連れてこなかったら確実に拐われて人質にされる。そうさせない為に連れてきたけど、それすらも奴等にとっちゃ想定済み…おそらく、アーシアちゃんの次に狙われるだろうね」

 

その内容はつまり、私達は敵にとって絶好の獲物だといいこと。私達を狙えば、皆の動きを妨害できるから…これじゃあ、ただの足手まといだよ…

 

「なるべくそうはさせないつもりだけど、戦う心構えだけはしておいてね♪……あ、そうそう…コレを忘れてたよ」

 

その意味に困惑していた私に、リゼヴィムさんが()()()()を手渡してきた。

 

「これは…?」

 

「この戦い、鍵を握るのは兵藤君だ。もしかしたら、それが彼の危機を打開する切り札になるかもしれない……だから、君に預けるんだよ」

 

見慣れたこれが……一誠君の…?

 

「でも、一誠君の切り札なら直接渡せば…」

 

「万が一を考えてだよ。だから君は、彼の傍にいてあげてね♪」

 

そこまで言って、今度こそリゼヴィムさんはVIP席に来ている他の神話の神様達に挨拶に行っちゃった。

 

(一誠君の傍にいてあげて…か……)

 

それはリゼヴィムさんに言われても、私自身が足手まといにしかならないのは理解している。でも、私は彼と離れたくなんてない。だけど、1人だと心細かったから果南ちゃんにも頼ろうとして…

 

「頑張ってね曜ちゃん。私はダイヤ達と一緒にいるから」

 

そこで果南ちゃんがそう言って、私から離れようとし始めた。

 

「え? いや、果南ちゃんも一緒に…」

 

「今回は一誠1人で、私達2人を護るのは厳しいよ。ここは分かれた方が得策だって……だから、一誠をお願いね」

 

「ちょッ!? 果南ちゃん!?」

 

私の呼び止めにも、果南ちゃんは振り返らないでダイヤさん達の方へと歩いて行った。

 

「………………私にできるかな?」

 

一誠君の危機に、私は今まで何かできた事は1度もない。正直に言えば、不安しかない…

 

「でも、任されたからには…頑張らないと!!」

 

そんな弱気な自分を振るい立たせて、一誠君の所に行こうとした時だった…

 

『STAGE SELECT!!』

 

その音声と共に、周りの風景が一変したのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!! 皆いるか~い?」

 

「はい、全員います!!」

 

突然の転移…もとい、ステージ変更で遺跡のような建物の残骸が広がる空間に放り出されたリゼヴィム一行。彼の呼び掛けに全員揃っていることが確認できたのは運が良かったが…

 

「やられたね……ゲームエリアと転移魔法の組み合わせで、探知されにくい場所に飛ばされたか…」

 

「携帯はもちろんだが、会社に残してきたラヴリカとの連絡も出来んとはな…」

 

科学と魔術の混合で探知を妨げられ、おまけに連絡手段も絶たれており、救援すら望めない状況になっていた。

 

「皆、勝手な行動はしないように「やっぱり、爺さん達もいたか」っと、ヴァーリか…」

 

周囲を警戒するリゼヴィム達。そこに、レーティングゲームに参加している筈のヴァーリ達も合流する。

 

「あらら…そっちも此処に飛ばされちゃってたのか…」

 

「ああ、ゲーム会場と違うのに困惑してたら爺さん達の魔力を感知して、ここまで来たんだ」

 

「ヴァーリは今回の件、ディオドラとクロノスが手を組んでいると思うかい?」

 

「まず間違いないな。ゲームエリアの能力は俺達以外だと……クロノス陣営しか使えない」

 

「やっぱりね…」

 

周りは互いの無事に安堵している間、リゼヴィムとヴァーリはお互いの推測を話し合う。その時だった…

 

「油断が過ぎるな」

 

「キャアッ!?」

 

「「ッ!?」」

 

聞こえた声と悲鳴に全員がそこへ顔を向けると、少し離れた場所でアーシアを抑え込んでいる風魔がいた。

 

「いつの間に…!!」

 

「私のゲームは忍者アクションだ。これくらいどうという事はない」

 

「「アーシアさんッ!!」」

 

―バキュン!!―

 

「「くッ!?」」

 

そのアーシアを助けに行こうとするリアスと朱乃だが、足下で銃弾が弾けて動きを止める。

 

「悪いわね、その子を依頼主がご所望なの♪」

 

「朝香さんッ!? ヴェルデさんに天王寺ちゃんも!!」

 

「愛ちゃん!!」

 

「花丸ちゃんッ!?」

 

撃ってきたのは、朝香果林率いる【滅亡迅雷net】だった。

 

「久し振りね、ゼノヴィア♪」

 

「イリナ…!!」

 

「ほう…以前よりもメンツが増えてるな」

 

「ありゃりゃ…コカビエルまで来ちゃったのね」

 

更にコカビエルや紫藤イリナ、セイリュウグラファイトといったクロノス陣営の幹部級メンバーが勢揃いしていた。

 

「ようこそ皆様、我々の特製ゲームエリアへ…」

 

「特製だと…?」

 

恭しくお辞儀して告げるセイリュウに、ヴァーリが問いかける。

 

「その名の通り、今回のゲーム用に作り上げたステージという事ですよ。そしてここを脱出する方法はただ1つ……時間内に()()()()()におよぶエリア内にいる、10体のバグスターを倒す事です」

 

「ちょッ!? さすがに広すぎでしょッ!?」

 

脱出方法の無理難題に善子が吠える。それもその筈、半径数百㎞と曖昧な範囲に10体のバグスターを見つけるなど、広大な砂漠でコンタクトレンズを探せと言われているようなものなのだ。

 

「因みに、制限時間は2時間となります。それを過ぎると、駒王町全域に大量のバグスターウィルスが散布される様になっておりますので」

 

「短ッ!? そしてやり過ぎよッ!!」

 

更に制限時間は短く、おまけに時間を過ぎれば、駒王町が壊滅的被害を受ける仕様となれば、誰だって善子のような文句も言いたくなるだろう…

 

「説明は以上です。因みに我々はクロノス様より、貴方達への妨害役を仰せつかっています」

 

「ようやく、俺も暴れられる」

 

「アッハハハハハハハッ!! それじゃ、始めましょうか?」

 

セイリュウがそう告げると、コカビエルとイリナがあるものを取り出す。

 

「そ、それは…!?」

 

「【エボルドライバー】だとッ!?」

 

そのアイテムを見た梨子とヴァーリは驚く。なぜならそれは以前、ヴァーリ達を襲った地球外生命体エボルトが使用していた変身アイテムなのだから…

 

「これはコピー品で、奴ほどの力は出ないらしい」

 

「で・も♪ そんじょそこらのアイテムより強くなれるわよ?」

 

そしてコカビエルは以前見たゲムデウスの顔が付いたボトルと、何かの機械の付いたボトルを取り出してキャップを回してドライバーにセットし、イリナは龍が描かれた紺色のボトルと、コカビエルの持つ機械のボトルを持つとキャップを回してドライバーにセットする。

 

『ゲムデウス!!』『ライダーシステム!!』

 

『ドラゴン!!』『ライダーシステム!!』

 

『『エボリューション!!』』

 

それから2人はレバーを回し、ベートーベン作曲の交響曲第9番に似たメロディを流しながら前後に金のリングが浮かぶライドビルダーを形成する。

 

『『Are you ready?』』

 

「「変身!!」」

 

ベルトの問いに2人はそう答え、ライドビルダーに挟まれると、その姿を変えた。

 

両者共にボディと両足、両腕はエボル・コブラフォームと同じだが、コカビエルは両肩がくすんだ金色の龍の頭部を模したものになり、顔はスリット状のバイザー型の複眼に額には一本の角、後頭部にリングのようなパーツの付いたものになっており、イリナにいたっては両肩と頭部がゼノヴィアの変身するクローズと殆んど同じものになっていた。

 

『デウス!! デウス!! エボルデウス!!』

 

『ドラゴン!! ドラゴン!! エボルドラゴン!!』

 

『『フッハッハッハッハッハッ!!』』

 

「俺は仮面ライダーエボル・フェーズD…」

 

「私は仮面ライダーエボル・フェーズ2よ♪」

 

「エボルが2体も…!!」

 

まさかのライダー登場に驚愕する面々。そこに風魔が近づき、エボルドラゴンにアーシアを渡した。

 

「貴方は彼女をディオドラの所へ」

 

「はいはーい♪ おっ任せ~♪」

 

エボルドラゴンは風魔に楽しそうに答えると、その場から走り出す。

 

「ッ!! 待て、イリナッ!!」

 

「ゼノヴィアさんッ!?」

 

「リアス、私達も!!」

 

「待ってくださいよ~!!」

 

それを見たゼノヴィアはエボルドラゴンを追うように走りだし、リアスとその眷属達もその後を追いかけていった……セイリュウ達に妨害される事なく…

 

「……なぜ妨害しなかった?」

 

「ディオドラから頼まれてましてね…向こうでも遊びがしたいから誰か1チーム寄越せと…こちらとしても好都合なので、見逃しました」

 

「そういうことか…!!」

 

見逃した理由の答えを聞いてヴァーリは歯噛みする。つまり、セイリュウはディオドラからの依頼を利用して人数を分断し、ヴァーリ達のゲーム攻略の可能性を下げられたのだ。

 

「それじゃ歩夢、私達も始めましょうか!!」

 

「きゃッ!?」

 

「歩夢さん!?」

 

「歩夢先輩!!」

 

「2人は私達が相手してあげるよ」

 

「いざ、勝負」

 

「「なッ!?」」

 

続けて歩夢が果林にサウザンドジャッカーで襲われ、アタッシュカリバーでそれを防ぐも、そのまま押し込まれるかたちで離され、せつ菜としずくもエマと璃奈によって引き離されてしまった。

 

「歩夢ちゃん達がッ!?」

 

「3人を信じろッ!! 俺達はゲーム攻略に専念する!! 善子!! フィールド全域をサーチしろ!!」

 

「もうやってる!! 後、ヨハネ!!」

 

ヴァーリの指示より先に全域探査をしていた善子だが、その結果に苦虫を噛み潰す。

 

「ダメ!? ダミーが沢山設置されてて、特定に時間が掛かっちゃう!!」

 

「くそッ!?」

 

しかし、それすらも予想されてたのか、ダミーによって特定できず、結局走り回るしかなくなってしまったのだ。

 

「ルシファー、ここは俺らに任せろ」

 

「コイツらの相手は俺達がやってやるよ」

 

『ガッチャーン!! マザルアップ!! セイヴァー・サバイバール!!』

 

『ガッチャーン!! マザルアップ!! パーフェクト・ノックアーウト!!』

 

「む?」

 

そんな時、変身した一誠とパラドが全力でエボルデウスへと殴り掛かった。

 

「オラァッ!!」

 

「デリャアッ!!」

 

「フン…!!」

 

ドラゴネスとパラドクスの一撃を両手で受け止めるエボルデウス。だが、2人がゆっくりとエボルデウスを後ろへ押し込んでいた。

 

「中々の力じゃないか…!!」

 

「テメェこそ……あん時の決着、此処で着けてやるよ!!」

 

「これ以上、俺達の心を滾らせるな!!」

 

『『FORCE RIZE』』

 

それを見ていた亡と雷が変身し、双剣と爪を出してエボルデウスの援護に入ろうとしたが…

 

「「変身ッ!!」」

 

『流水抜刀!!』『ライオン戦記~!!』

 

『黄雷抜刀!!』『ランプ・ド・アランジーナァ~!!』

 

―ガギィン!!―

 

「む?」

 

「あ?」

 

「おっと、行かせないよ~」

 

「ここからは立ち入り禁止です!!」

 

ブレイズとエスパーダに変身した彼方とかすみが間に入り亡の爪を流水で、雷の双剣を黄雷と虚無で受け止めた。

 

「なら私が…」

 

「させません!!」

 

『烈火抜刀!!』『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』

 

次に風魔が動こうとしたが、それはセイバーに変身した栞子に遮られる。

 

「貴方の相手は、私がします」

 

「フン…やれるものなら、やってみろ」

 

「では、ゲーム開始といきましょうか」

 

この状況に、セイリュウはゲーム開始を告げると風魔と共に大量のバグスター兵と忍者プレイヤーを呼び出し、攻撃を始めてきた。

 

「んじゃ、ヴァーリ達は早く行っちゃいな。ここはおいちゃん達が抑えておくから」

 

「皆さんはバグスターを!!」

 

「……わかった。皆、行くぞ!!」

 

「「「「「(うん/ええ)ッ!!」」」」」

 

リゼヴィムとダイヤの言葉にヴァーリは頷き、千歌達と方々に散らばって行く。

 

「悪夢の中でお眠りなさい!!」

 

『ガッチャーン!! レベルアップ!! ジュエリートレジャー!! アガッチャ!! 世界の終わりが…今、始まる!!』

 

「培養!!」

 

『INFECTION!! レッツゲーム!! バッドゲーム!! デッドゲーム!! ワッチャネーム? ザ・バグスター!!』

 

ジュエルブラッドリィになったダイヤは、ガシャコンギガナイザーを振り回し、バグスター兵を凪ぎ払い、バグスター体になったグレングラファイトがグラファイトファングを振るって忍者プレイヤーを両断していく。

 

「果南さん達は私達の背後に!!」

 

「わかった!!」

 

果南と曜、侑とルビィが下がるのを確認したジュエルは、ダークゼットライザーを取り出して怪獣メダルをセットしていく。

 

「ゼットンさん!! パンドンさん!! マガオロチさん!!」

 

『ZETTON,PANDON,MAGA-OROCHI』『ZEPPANDON』

 

「ゴルザさん!! メルバさん!! 超コッヴさん!!」

 

『GORZA,MERBA,SUPER-C.O.V』『TRI-KING』

 

「ホロボロスさん!! ギルバリス!! ギャラクトロンmk-Ⅱ!!」

 

『HOROBOROS,GILBARIS,GALACTRON Mk-Ⅱ』『METSUBOROS』

 

そして3体の合体怪獣(人間サイズ)を呼び出し、戦力を拡充させた。しかし、雑魚を倒しても倒してもその数が一向に減ることはなかった。

 

「一体どれだけいるんですの!?」

 

「倒された瞬間、即時に補充されるようにしてますからね「フンッ!!」おっと…」

 

叫ぶジュエルにセイリュウが答え、その隙をグレングラファイト(以降グレンと呼称)が攻めるも、すんでのところで防がれた。

 

「なるほど…つまり、貴様を倒せば出てこなくなるという事か」

 

「その通りですが……貴方ごときに私が倒せますかな?」

 

「その大口…どこまで言えるか試してやる!!」

 

グレンとセイリュウはそのまま戦い始める。それを見てリゼヴィムも前に出る。

 

「これは、おいちゃんも頑張らないとだね」

 

そう言ってリゼヴィムは懐に手を入れ、取り出したのは別世界のレイヴェル・フェニックスが使っていた【ビヨンドライバー】だった。

 

「えッ!? なんでリゼヴィムさんがそれをッ!?」

 

「君達が別世界に飛ばされた時に、ヴァーリが色々とデータを取ってきたからね。それを使って作っちゃった♪」

 

「いや、作っちゃったって……ええ…」

 

リゼヴィムのチートっぷりに呆れるジュエル。そんなのはお構いなしと言わんばかりに、これまたいつの間にか作っていた【ウォズミライドウォッチ】を右手に持って起動させる。

 

『ウォズ!!』

 

それをベルト右側のレバーのスロットにセットし、ウォッチのボタンを押して表面カバーを開く。

 

『アクション!!』

 

ベルトから軽快なリズムの待機音が流れ、リゼヴィムの背後にはスマートウォッチの幻影が現れ、周りを緑のレーザーライトが照らす中、リゼヴィムは右腕を大きく回して頭上に来たとき…

 

「変身」

 

お決まりの決め台詞と共に一気に腕を回し、前に突き出しながらベルトのレバーを倒した。

 

『投影!! フューチャータイム!! スゴイ!! ジダイ!! ミライ!! 仮面ライダーウォズ!! ウォズ!!』

 

「じゃじゃ~ん!! 新しいおいちゃんを誰か祝ってちょ~♪」

 

「「「「できるかッ!!」」」」

 

仮面ライダーウォズとなったリゼヴィムが調子よさそうに言うが、それをする花丸が敵側にいるのと状況が状況の為、誰からも祝われなかった…

 

「ありゃりゃ、ざんね~ん……ま、ここからは真面目にやりますか」

 

『ジカンデスピア!! ヤリスギ!!』

 

専用武器であるジカンデスピアを持つと、非戦闘員の4人を守る様に立ち回る。

 

(それにしても、なんだろうね…この頭に引っかかる感じは……)

 

そんな中でリゼヴィムだけは、この状況にどこか嫌な予感がするのを感じずにはいられなかった…




いかがでしたか?

だいぶ遅くなってスンマセン……スランプ過ぎて気分転換に別物少し書いて、やっと持ち直してきたので…

次回から、ほぼギャグは無くなります。だから更新遅れます(なんでや!?)


次回【裏切りのBrother】

「お前……親父達に何をしたァッ!!!!」


それでは次回で、お会いしましょう。


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裏切りのBrother

プチコーナー:ある日の滅亡迅雷.netチーム

果林「くッ…なんて事なの…!! 夜中に小腹が空いて眠れないから、軽い気持ちで冷蔵庫を開けてみたのに………【さつまいも】しか入ってないじゃないッ!?」

果林「どうしましょう…さつまいもって太りそうな気がするし…」

エマ「食べちゃえばいいんだよ」

果林「エマッ!!」

エマ「おやつのイメージが強いけど、さつまいもは立派な野菜。カロリーなんて気にしちゃダメ。【野菜=健康】なんて、小学生でも知ってる事なんだよ?」

璃奈「…絶対にダm「そうね!! 食べましょう!!」え、ちょ、まだ喋ってる途中…」



―数十分後―



果林「はい!! さつまいものフライドポテトの完成よ!!」

エマ「うぅ~ん!! とってもボォ~ノ♪」←太りにくい体質

果林「夜中のフライドポテトって、背徳感がして余計に美味しく感じるのよね~♪」←実は太りにくい体質

璃奈「…でも、いくら野菜だからって夜中にこんなに油を摂取したら、すぐに太って…」←太りやすい体質

果林「油は」

エマ「飲み物」

果林・エマ「「恐くない♪」」

璃奈「Fuc○ You」


ヴァーリside

 

「クソッ!! 一体どこに隠れてるんだ!?」

 

セイリュウグラファイトによって始められた最悪のゲーム。俺はその攻略のためにフィールドを駆け回っていたが、あまりにも広大に設定された範囲にてこずり、未だにバグスター達を発見できずにいた。

 

「このままじゃ駒王町が……ッ!?」

 

そんな焦りを募らせていた時、背後に気配を感じた俺は素早くその場を離れ、一瞬後にその場に何かが土煙を上げながら落ちてきた。

 

「やっとお出ましか!!」

 

「ようやく見つけたぞ、仮面ライダー!!」

 

土煙が晴れると、そこには右腕の火器をこちらに向けている、色違いのリボルがいた。

 

「クロノス様の命により、貴様を倒すッ!!」

 

「クハハハハハハハッ!! お前ごときが神である俺に逆らうなど………片腹痛いワァッ!!」

 

創造神(一応)である俺に舐めた態度のリボルに、高笑いしながらキレつつガシャットを取り出して起動する。

 

『ALL SAFETY CRASH !!』『タドルパラディン!!』

 

「術式レベルビリオン…!! 変身ッ!!」

 

『ガッチャーン!! レベルアップ!! 平和守り!! 不滅の騎士!! タドォルパラディーン!! スゲェーイ!! カッケーイ!!』

 

そして仮面ライダーブレイブ・パラディンゲーマーになり、ガシャコンソードとガシャコンガードナーを出して構える。

 

「そんな武器で、我輩を倒せるものかッ!!」

 

俺の武器を見て、リボルは右腕と一体化した銃を撃ってくるが、俺はガードナーで防ぎながらゆっくりとリボルへ近づいていく。

 

「くぅ…!! なんて頑丈な盾だ!?」

 

「盾だけじゃないぞ?」

 

そして間合いに入った瞬間、ソードを振り上げてリボルを逆袈裟で切り裂く。

 

「ぬぉおおおおおおおおおおッ!?」

 

「俺の盾も剣も………そしてレベルも、お前のとはダンチなのさァッ!!」

 

怯んでるリボルに、俺は追撃とばかりに剣を振り下ろす…

 

「甘いわァッ!!」

 

―ギィン!!―

 

「む…?」

 

が、それは奴の左腕から展開された短い刃によって受け止められた。

 

「既に貴様の情報は得ている!! 故に貴様との戦闘時のみ、我輩達のレベルも10億になるのだッ!!」

 

「ほぉ~?」

 

そしてガシャコンソードを弾くと、左手の細い刀身の

剣……おそらく【バヨネット】がモチーフなんだろうソレを、俺目掛けて連続で突き出してくる。中々に速いソレをガードナーで防ぎつつ俺は仮面の下で笑みを浮かべた。

 

(こいつは丁度良い…!! 新しいガシャットの相手には最適だな!!)

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

「フンッ!!」

 

―ガギィィィィィィィン!!!!―

 

渾身の1突きであろうソレを盾の中心部で受け、その衝撃を利用しながら俺は後ろに跳んで距離を取る。

 

「逃がすかァッ!!」

 

「無駄だッ!!」『コ・チーン!!』

 

そんな俺に向けて、リボルは右腕の火器を連射してくるも、俺はソードを氷剣モードに切り替えてBボタンを連打し、地面に突き刺して氷の壁を作り、銃弾を防ぐ。

 

「小賢しい事を…!! そんなもの、吹き飛ばしてくれる!!」

 

それにイラついたのか、リボルは右腕からグレネードを発射。当たった氷の壁は1発で粉々に砕けてしまうが、辺りを爆煙が覆って俺の姿を隠してくれたのは好都合だった。俺は剣と盾を仕舞うとホルダーに入れていたオレンジと金で彩られ、工事などで使われるたくさんの道具が描かれたガシャットを手にして起動させる。

 

『キングブレイバー・ツール!!』

 

そしてそれをホルダーのスロットにセットし、現れた武器アイコンからハンマーを選ぶ。すると、目の前に選んだハンマーを背負ったロボッツゲーマと似た見た目の【ハンマーゲーマ】が現れる。

 

「頼んだぞ、ハンマーゲーマ」

 

俺の指示にハンマーゲーマは頷くと、背中のハンマーを空へと射出し、俺から距離を取ると変形を始め、大きな右腕となった。

 

「くぅ…!! やっと煙が晴れ………ってなんじゃそりゃあッ!?」

 

その最中に煙が晴れてしまうが、いきなり現れた右腕に驚くリボルの隙を狙い、俺は左足を前に出して地面を踏み締め、振りかぶった右腕を一気に前へ突き出し…

 

「ハンマァァァァァァコネクトォッ!!!!!!」

 

―ガッシィィィィィィン!!!!―

 

こちらに向かってきていたハンマーゲーマを、右腕に装着した。そして手の感覚がハンマーゲーマの手に移行したのを確認しつつ、先ほど飛ばし俺と同じくらいの大きさになったハンマーを掴み取る。

 

そう!! これこそが我が神の鉄槌にして、勇者の最強武器!! あらゆる防御も無効化し、まともに喰らえばどんな強者でも【即死】させる能力を持つチート・オブ・チート!! その名も…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴルディオン…ハンマァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

「いや、モロパクりィィィィィィィィィッ!?」

 

「パクりではないッ!! リスペクトだと何度言えば解るッ!?」

 

「いや、我輩は初耳だって!?」

 

これを見たリボルからメタいツッコミが来るが、そんなのは知らんし、この世界でガ◯ガイガーの放送はかなり昔だから無問題!!

 

「さあリボル…光になる覚悟はいいか?」

 

「クッソォォォォォォッ!! やられてたまるかァァァァァァァァァァッ!!」

 

ゴルディオンハンマーを持つ俺に恐怖したリボルは、巨大なミサイルを取り出すと俺へ向けて発射した。

 

確かに喰らえば変身解除は免れないであろう攻撃だ………喰らえばだがな?

 

「フゥン!!」

 

―バシュウウウウウウウウウウン!!―

 

「なにぃッ!?」

 

だが、そのミサイルは俺に当たる前にハンマーに叩かれ、光の粒子になって消えた。

 

「無駄だ。もはやお前の行動には、何の意味も持たん」

 

「チィッ!? こうなったらァッ!!」

 

俺の降伏勧告に、リボルは自棄になったのか何かを取り出し、それを自身に取り込んだ。

 

「何をした?」

 

「お前達の勝利の証である【ガシャットロフィー】を取り込んだのだ!! これで我輩を倒せば、トロフィーすら壊れてしまい永遠にゲームを攻略できなくなるぞ?」

 

そう言って勝ち誇った態度を取るが、俺にとっては必殺技の試しには絶好な状況だ。

 

「ならトロフィーをお前から引きずり出してから、倒すまでだ」

 

「フンッ!! やれるものならやってみろッ!!」

 

そんなリボルを前に、俺はホルダーのボタンを2回押して必殺技を発動させる。

 

『キメワザ!! KING BRAVER!! CRITICAL STRIKE!!』

 

するとハンマーとアーム、俺の全身が金色に光り輝き、ハンマーゲーマから光の釘が精製・射出され、それを掴み取った俺は高く飛び上がってから釘の先端をリボルに向けて突っ込み、釘を突き立ててからハンマーでブッ叩いて深くまで刺し込む。

 

「ハンマー…ヘルッ!!」

 

「うごっぷぅッ!?」

 

その一撃に苦しむリボルを尻目に、俺はハンマーゲーマから釘抜きのようなパーツを展開してリボルに突き刺した釘に引っ掛けると、それを思い切り引っ張る。

 

「ハンマー…ヘヴンッ!!」

 

「あだだだだだだだだだだだだだだだッ!?」

 

痛がるリボルを無視して釘を引っ張り続け、引き抜くのに成功すると先端にはリボルが取り込んだガシャットロフィーがあった。俺はそれを左手で掴み取ると、ハンマーを振り上げながらリボルを見る。

 

「これで決まりだ、リボル」

 

「ぐふ…ッ!! だが、お前達は必ずクロノス様に負ける!! 既に破滅への弾丸は込められているのだからな!!」

 

「負け惜しみを…」

 

奴の言葉を鼻で笑い、俺はハンマーをリボルに叩きつけた。

 

「リボルよ…光になぁれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

「クロノス様ッ!! バンザー…!!」(バシュン)

 

バグスターウィルスを全て光の粒子に変え、リボルはクロノスへの賛辞の叫びと共に、このゲームから退場した。

 

「ふぅ…ようやく1つ目。この調子だと、制限時間ギリギリか…!!」

 

ガシャットロフィーを手に入れるのに約15分…このままでは、制限時間に間に合わない可能性が出てくる。なので俺は回収したトロフィーをポケットに仕舞い、再びバグスターを捜索することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ハアッ!!」

 

「フン…そんな豆鉄砲が通じるわけ…」

 

「オラァッ!!」

 

「ぬ…?」

 

コカビエルの変身したエボルデウスを曜達から引き離した俺とパラドは、一気呵成に攻め立てた。パラドの射撃で奴の位置を固定し、注意がそっちに向いた瞬間に俺が一気に懐へと飛び込み、奴の盾を蹴り上げる。

 

「まずは一撃…!!」

 

「させんさ」

 

「チィッ!?」

 

それによりガラ空きになった腹に、拳を叩き込もうとしたが、エボルデウスは右手の剣を振るい、避けられない俺は籠手で防ぐもそのまま吹き飛ばされ、攻撃するタイミングは完全に逃した。

 

「以前とは見違える程の動きだな? 余程の修羅場を潜ったか…」

 

「いつまでも、あの頃の俺達と思うんじゃねぇッ!!」

 

体勢を立て直した俺は再度、エボルデウスへと突っ込んでいく。

 

「バカの一つ覚えが…!!」

 

そんな俺にエボルデウスはデウスラッシャーを振り下ろしてくるが…

 

「そこだッ!!」

 

―パシィン!!―

 

「なにッ!?」

 

それを真剣白羽取りで受け止める。

 

「コンニャロォッ!!」

 

「くぅッ!!」

 

そのまま捻るようして、奴の手から剣を手放させる。

 

「おまけだッ!!」

 

「うおッ!?」

 

「吹っ飛べッ!!」

 

そこにパラドの弾丸が当たり、怯んだところに俺は回し蹴りで盾も吹き飛ばした。

 

「ふん…さすがに嘗めすぎたか」

 

鎧の埃を払うように手を振るエボルデウスに、俺達は並び立って構える。

 

「へッ!! 強がりにしか聞こえねぇな?」

 

「今のお前じゃ、俺達には勝てないぜ?」

 

「確かに………今のままでは時間が掛かるな…このままならばな?」

 

「なに…?」

 

奴の言葉の意味を理解できなかったが、その答えはすぐにわかった…それは、奴が新たに取り出した白に金色の禍々しい仮面のオブジェが付いたボトルだった。

 

「ここは、コイツを使うべきだな」

 

そしてベルトからゲムデウスのボトルを抜くと、そこにキャップを回した白いボトルを装填した。

 

『ン・ダグバ・ゼバ!!』『ライダーシステム!!』

 

『エボリューション!!』

 

レバーを回し、交響曲のメロディに合わせてビルダーが形成され…

 

『Are you ready?』

 

それが重なると、奴のエボルとしての姿が変わる。両肩は若干上を向いた刺々しい物になり、額には4本の赤黒い角が付き、深い闇を思わせる黒い複眼をした姿に変わった。

 

『ダグバ!! ダグバ!! エボルダグバ!!』

 

『フッハッハッハッハ!!』

 

「「なッ!?」」

 

「これが【仮面ライダーエボル・フェーズN】だ」

 

何処までも不気味な気配を纏うエボルデウス改めエボルダグバに、俺達は一瞬怯むもすぐに攻撃に移った。

 

「ダグバだかダクソだか知らねぇが!!」

 

「今の俺達なら負けねぇッ!!」

 

2人同時にエボルダグバへと突っ込み、反撃すらさせずに攻めようとしたが、エボルダグバはゆっくりと俺達へと右手を向けた瞬間…

 

ドオォォォォォォォンッ!!!!

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」

 

俺達を突然の爆発が襲った。それによって俺達は揃って吹き飛ばされ、地面を転がる。

 

今のは………確かどっかで…!!

 

「フム…以外と使えるな。この超自然発火現象(パイロキネシス)とやらは」

 

「なに…!?」

 

それを聞いて俺は思い出す。今のは異世界から来た………高坂って奴が変身した【クウガ】の技だと…

 

「何でテメェがそれを…!!」

 

「知りたければ………俺を倒すんだな!!」

 

再びこちらへと右手を向けるエボルダグバに、俺達は左右に素早く転がると、今までいた場所が爆発する。

 

「パラドッ!!」

 

「ああッ!!」

 

そこからすぐに駆け出し、エボルダグバへと距離を詰めると、俺は拳を全力で振るう。

 

「デリャアッ!!」

 

「甘い」

 

「まだだッ!!」

 

「甘いと言ってるッ!!」

 

その一撃は受け流されるが、続けて来たパラドがアックスモードにしたパラブレイガンで奇襲する。だが、それすら読んでいたのか、エボルダグバはパラドを蹴り飛ばし、その間に背後から襲おうとした俺すらも、返す足で蹴り飛ばされた。

 

「チィッ!?」

 

「さっきよりも反応が早い…!?」

 

「この姿は格闘戦に特化してるからな……さぁ、俺の戦争を始めさせてもらうぞ!!」

 

「そんなもん、テメェ1人でやってろッ!!」

 

エボルダグバを挟撃できる位置にいた俺は駆け出し、パラドが援護射撃で気を逸らそうとしたが…

 

「遅い」

 

「ッ!? うわぁッ!? 熱ッ!? 熱ッ!?」

 

「パラドッ!?」

 

「この距離でよそ見とはなッ!!」

 

「しま…ぐわぁッ!?」

 

エボルダグバが超自然発火能力でパラドを炎で包み、俺の意識がそっちに向き、気づけば目の前に来ていた拳を避けられず、殴り飛ばされる。

 

「んなろォッ!!」

 

「いくぞッ!!」

 

「それは悪手だ」

 

ドオォォォォォォォンッ!!

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」

 

『『ガッシューン』』

 

再度挟撃を仕掛けた俺達だが、エボルダグバは俺に右手を、パラドには左手を向け、超自然発火現象での爆破で吹き飛ばされ、遂に変身が解除された。

 

「なんだ………この強さは…!?」

 

「以前は…本気じゃ……なかったのか…!?」

 

「当然だ、あの時はまだ本気の1%も出してはいない。それに幾らお前達が修羅場を潜り抜けようと、俺から見ればそれは、付け焼き刃にすらなってない。俺はお前達の生まれる遥か前から、戦いに身を興じていた……クロノス風に言うなら、お前達とじゃ経験値が違う」

 

「それなら………パラドォッ!!」

 

「ああッ!! 心が滾るッ!!」

 

エボルダグバとのあまりの戦力差に、俺は切り札を切るべくコラボドライバーを取り出そうとした時だった……

 

「アッハハハハハハハハハハハッ!!!! 無様じゃねぇか!! この抜け殻ッ!!」

 

「「ッ!?」」

 

突如聞こえたムカつく声に、俺はそちらへと視線を向ける。そこには嫌らしい笑みを浮かべて俺を見下ろす練二がいた…

 

「お前…!! そこで何してやがるッ!!」

 

「決まってんだろ? お前を殺しに来たのさァッ!!」

 

そんな練二に、エボルダグバは興冷めした声で話す。

 

「おい…俺の戦争に介入するつもりか?」

 

「うるせぇぞモブがぁッ!! そもそもその一誠(ぐてい)は、俺の獲物だッ!!」

 

「ハァ………好きにしろ。代わりにコイツはもらうぞ?」

 

「ッ!? うわッ!?」

 

「パラドッ!?」

 

練二の登場に呆気に取られてた俺達はエボルダグバの接近を許してしまい、パラドと離れ離れにされてしまった。

 

(ヤベェ…!! コレじゃキセキゲーマーになれねぇ………って、相手は練二だ。キセキゲーマーを使うまでもねぇか)

 

一瞬、焦る俺だったが相手が練二と思い出し、冷静さを取り戻し、奴へと視線を戻した。

 

「お前………禍の団に入ったのか…」

 

「そうだッ!! それもこれも…テメェのせいで原作が変わったからだッ!! だからお前をぶっ殺して、俺が主役になって原作に戻すんだッ!!」

 

「お前もう高2だろうが…いつまで中2でいるつもりだ?」

 

何をしてこようが、練二の強さは俺には遠く及ばない。だから俺は奴を無視して、パラドの援護に行くつもりでいた…でも俺は、練二の悪意を見誤った自分の甘さを、この時は心底呪った。

 

「へッ!! これを見ても、俺に逆らえるのかな?」

 

「あ?………………ッ!!!!!!」

 

どこか勝ち気な練二を不審に思っていたら、奴の背後から何かがせり上がってきた。それは2つの十字架で、それに括り付けられてるものに、俺は目を見開いた。

 

そんな筈はねぇ…あの2人は今は旅行中だ…だから、こんな場所にいる筈がねぇンだ…!!

 

必死にそう思うも、俺の勘があれは本物だと訴えてくる…でも、今まで頼りにしてきた勘だからこそ……俺はそれを信じたくなかった。

 

「どういう事だ……練二…!!」

 

揺れる瞳で睨みつける俺に、練二はニヤリと笑い…

 

「見たまんまだが?」

 

楽しそうな声音でそう告げられ、俺は完全にブチギれた。

 

「ふざけんなよ…!!」

 

どうして俺がここまでキレたのか……その理由は十字架に括り付けられていたものだ。そこにいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前…親父達に何をしたァッ!!!!」

 

紛れもない、俺達の両親だったのだから…




いかがでしたか?


皆様、新年明けましておめでとうございます。

という事で、新年1発目は久々更新のこちらになります。キャラを思い出すのが大変だ…

そしてこれからも遅筆になるかと思いますが、どうか応援よろしくお願いします。



次回予告は今回無しです。

それでは皆様、次回でまたお会いしましょう。


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そのSWORDは何を語る?

一誠「オイ作者…遺言はあるか?」

作者「初手から物騒!?」

花丸「残当ズラ」

ルビィ「どうしていつも遅いんですか?」

作者「ネタが浮かばないんだから、しょうがないだろ!? 俺は衝動で書いてるんだからなッ!?」

花丸「番長先輩、ギルティズラ」

一誠「おう」(ネクサスキセキドラゴーネス♪)

作者「ファッ!?……えーと…見逃して♪」

一・花・ル「「「駄目(です/ズラ)」」」

作者「そりゃそう…ぎゃああああああああああああああッ!?」

花丸「計画性のない作者はほっといて…本編をどうぞズラ♪」


前回とは場所を変え、仮面ライダー雷となった愛と戦うかすみことエスパーダ。

 

「てぇぇぇりゃあああああああッ!!!!」

 

「甘いッ!!」

 

ゴールデンアランジーナとなり、雷鳴剣黄雷と無銘剣虚無の二刀流で勇猛果敢に攻め立てるエスパーダ。対する雷もヴァルクサーベルでその猛攻を捌ききる。

 

「どしたどしたァッ!! その程度じゃ、俺には届かねぇぞッ!!」

 

「こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

「懐ががら空きだ!!」

 

「があッ!?」

 

雷の挑発に、エスパーダの動きが一瞬大振りになる。その隙を逃さず雷は右足を突き出し、エスパーダの鳩尾にトゥーキックを叩き込む。

 

「くぅ…!!」

 

虚無をホルダーに戻し、左手で痛む鳩尾を押さえながら下がるエスパーダ。雷はそれに追撃するでもなく、その場に立っていた。

 

「ハン…剣士と聞いてそれなりに期待したが…この程度か…」

 

「ち、違うもん!! かすみんはまだまだ本気じゃないんだから!」

 

「だったらさっさと本気を出せ。何時までも腑抜けていると………その頭に雷落とすぞ?」

 

「ヒィッ!?」

 

何時までも全力で来ないエスパーダに業を煮やしたのか、雷が拳に息を吹き掛ける仕草にエスパーダは頭を両手で覆った。

 

「で、でも!! 本気でやったら宮下先輩に…!!」

 

しかし、彼女が本気になれないのは、雷の変身者が体を乗っ取られた宮下 愛だからだ。自分の攻撃で彼女を傷つけてしまう事を恐れてしまい、自然と全力が出せずにいたのだった。

 

「ああ、それなら心配すんな。この姿は肉体にダメージが行かないよう調整されてるし、痛覚も俺が肩代わりしてる。だから、幾らお前が全力で来ようが、コイツには何のダメージもいかねぇよ。ま、筋肉痛は別だろうけどな…」

 

「え? それホント?」

 

「これに関しちゃ、嘘は言わねぇよ」

 

だが、その懸念は敵である雷自身の言葉によって払拭された。

 

「そっか…それなら、遠慮はいらないよね♪」

 

その心配が無くなった途端、エスパーダが再度二刀流になって構え、それを見た雷は仮面の下で笑みを浮かべる…

 

「そうだ!! さっさと全力で(ズドォン!!)グハッ!?」

 

が、それは突如襲ってきた衝撃によって驚愕へと変わり、地面を転がりながら何が起きたのかわからない雷が顔を上げれば…

 

「片手剣ソードスキル…ヴォーパルストライク」

 

黄雷を突き出しているエスパーダがいた。だけど、雷は攻撃を受けた事より別の事で驚いていた。

 

(何だ今の速さは…!? 全く反応できなかった!!)

 

それはエスパーダの速さだった。先程までは余裕で対応できたのに、いきなり捉える事すらできなくなった事に雷は戦慄する。

 

「かすみん、手加減がスッッッッッッゴイ下手くそなんです。しお子が言うには、力加減が極端過ぎるんだとか…」

 

「なるほどな…なら、こっからは気にせず戦えるだろ?」

 

だが、元々戦闘狂の雷には嬉しい誤算でしかない。仮面の下で僅かに口角をあげる。

 

「もちろん!! だからぁ…」

 

そんな雷に応えるように、エスパーダが再度構える。

 

「こっから先は…かすみんの独壇場だよ!!」

 

瞬間、エスパーダが稲妻のごとき速さで雷の懐に飛び込む。

 

「なッ!? この…!!」

 

何とか反応した雷はヴァルクサーベルを振り下ろす。その時、エスパーダが両手の剣を何故か地面に突き刺した。

 

「はあッ!?」

 

「体術ソードスキル…」

 

それに驚く雷に、エスパーダは両手をCの形にして突き出し、ヴァルクサーベルを掴み取った。

 

「なにッ!?」

 

「《空輪(くうりん)》!!」

 

そのまま雷の手からヴァルクサーベルを奪い取ると遠くへ投げ捨て、黄雷と虚無を再度掴んで引き抜く。

 

「マジかよッ!?」

 

「一気に決める!!」

 

『必殺読破!!』『黄雷抜刀!!』

 

『虚無居合』『黙読一閃』

 

「二刀流ソードスキル…ジ・イクリプス!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

そして素早く必殺技を発動させると、雷に高速の連撃をお見舞いしていく。武器を失った雷は何とか両腕で防ごうとするが…

 

(くそ…!! 1発1発が重すぎてガードをぶち抜いてきやがる!! しかもその威力の攻撃が矢継ぎ早に襲ってくるときたもんだ!! どこまで耐えられるか…!!)

 

防御が意味を成さず、どんどんとダメージが蓄積していった。それでも出来る限り攻撃を防いでいき、27連撃目で遂にエスパーダの攻撃が止まった。

 

「今だッ!!」

 

雷はそれが絶好の隙だと判断し、拳を振り上げる。しかし…

 

閃打(せんだ)ッ!!」

 

「うおッ!?」

 

突如、顔に向けて放たれたエスパーダの左ストレートに、思わず回避行動を取ってしまい、それが致命的なミスとなってしまう…

 

『必殺読破!!』『黄雷抜刀!!』

 

「細剣ソードスキル!! スター・スプラッシュ!!」

 

その回避先目掛けて、エスパーダの5連続刺突が繰り出される。それは寸分違わず雷の胸元を突く。

 

「ぐあッ!? この…!!」

 

しかし雷もやられっぱなしではない。体勢を立て直して左の拳を振るう。

 

「フッ!!」

 

「んなッ!?(ザシュザシュ!!)うぐッ!?」

 

だが、それはしゃがんだエスパーダに避けられ、それと同時に両足が斬られ激痛が走り、膝を着く。

 

「くそ…!!」

 

「そこッ!!」

 

そんな雷に、エスパーダの2連続突きが胸元に直撃し、地面を転がる。

 

「ゴハァッ!?…コノヤロー…!!」

 

「刀ソードスキル・辻風(つじかぜ)!!」

 

『虚無居合』『黙読一閃』

 

その隙にエスパーダは虚無の必殺技を発動、立ち上がったばかりの雷だが、エスパーダの神速の居合いで逆袈裟に切り裂かれる。

 

「グオォッ!? だが…こんぐらいでぇッ!!」

 

その一撃で吹き飛びそうになるのを全力で堪え、雷はお返しに必殺技を発動しようと、ドライバーへと手を伸ばす…

 

「そんな事はさせない!! 投剣スキル・シングルシュート!!」

 

「なにぃッ!? うおッ!?」

 

が、それを察知したエスパーダは逆手に持ち変えた虚無を雷へと投げつけた。その予想外の攻撃に雷は動揺して反応が遅れ、右腕に剣が当たって必殺技の発動を阻止される。そして投げられた虚無はエスパーダの手に戻る。

 

「これで本当のトドメだぁ!!」

 

『必殺読破!!』『黄雷抜刀!!』

 

『虚無居合』『黙読一閃』

 

「二刀流ソードスキル・スターバーストストリームッ!!」

 

『ケルベロス! ヘッジホッグ! アランジーナ! 三冊斬り!! サ・サ・サ・サンダー!!』

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」

 

そこから素早く必殺技を発動。両手の剣を高速で振るい、片腕を弾かれた事で防御が間に合わない雷は、エスパーダに切り刻まれていく。

 

「フィニッシュッ!!」

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

そして16連撃最後の上段斬りを受け、雷は吹き飛び全身から火花を散らす。

 

「ハァ…ハァ…!! かすみんの勝ちです…!!」

 

肩で息するエスパーダに、仰向けの雷は頭を上げて彼女を見る。

 

「ハハ…もう………限界か…いいぜ…今回は………お前さんの…勝ちだ………次は…こうはいかねぇぞ…」

 

「え? 次?」

 

「そんじゃあな…」

 

エスパーダに雷は気になる言葉を残し、変身が解除され愛が解放された。

 

「宮下先輩ッ!!」

 

倒れてる愛にかすみは変身を解除して駆け寄る。

 

「大丈夫ですか!?」

 

そして抱き抱えたら…

 

「アタタタタタタッ!? いったぁ~いッ!! 何でアタシ、全身筋肉痛になってんの~!?」

 

「よかった~…」

 

筋肉痛になってはいるが、愛が無事な事にホッとするかすみだった。

 

「うう~…全身の筋肉が~…特にお腹が痛いよ~…」

 

「お腹ですか?」

 

「うん……だって()()()は腹()()()()だから~…アハハ!! あいたたたた…」

 

「………ダジャレ言う余裕があるなら、自分で立って帰ってもらえますか?」

 

「ええッ!?」Σ(Д゚;/)/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、亡とブレイズの戦いも決着が着こうとしていた。

 

「ハァ…ハァ…」

 

「いくら速くても、そんな単調な攻撃なら、彼方さんはやられないよ~?」

 

「まだです」

 

ブレイズの言葉に亡は自身の最大速度でブレイズの懐を侵略し、構えてない彼女へと両腕の爪を振るうが…

 

「ほいっと~」ガキィン!!

 

「く…!!」

 

それが丸分かりとばかりに、ブレイズは超反応して亡の爪に剣を当て、そのまま刀身を滑らせながら後ろへと受け流す。彼女達の戦闘はこれの繰り返しで、ブレイズはいまだに余裕を保っており、亡は逆に肩で息をするほどに消耗していた。

 

「まるで手応えがない…」

 

「水に形はない…だから、どんな形にもなれるんだ~。例えば目の前に障害物があっても、その形を変えてすり抜けられるんだよ~? そして時に…全てを押し流す災厄にもなる」

 

そこで初めて構えるブレイズに、亡は警戒をしめ…

 

「全集中、水の呼吸・漆の型…雫波紋突き」

 

ガギィン!!

 

「うッ!?」

 

す前に剣が目前に迫っていたのに驚愕しつつ、腕を動かして爪で剣の軌道をギリギリでずらす。

 

「まだまだ行くよ~? 参の型・流流舞い」

 

「く…!! はあッ!! ぐあッ!?」

 

しかし、そこから緩急をつけた独特なステップからの連撃に、亡は防御一辺倒になってしまう。反撃をしようにも、ブレイズの移動距離・方向・タイミング・攻撃の全てがランダムなので、次の予測がすぐに立てられない。

 

(しかし、この攻撃は平面のみ…垂直なら!!)

 

だからこそ、この連撃から逃げる為に亡は、全力で跳び上がった…

 

「それも読めてるよ~」

 

「ッ!?」

 

だが、それすら読まれており、目の前に跳んできたブレイズは、その場で一回転しつつ亡を斬りつける。

 

「弐ノ型 水車」

 

「くぅッ!?」

 

―ギィン!!………ズドォン!!―

 

逃げ場の無い空中での攻撃に、亡は爪で防ぐも勢いを殺しきる事はできず地面に叩きつけられた。

 

「が…はぁ…!!」

 

「そろそろ、後輩ちゃんを返してもらうよ~?」

 

仰向けに倒れる亡に、着地したブレイズが剣を突きつける。

 

(ここまで力の差があるとは…ですが、私自身の役目はもう終わっています。潮時でしょう…)

 

亡も、与えられた役割は既に完遂しており、ここで倒される事に迷いはなかった。

 

「良いでしょう………この体はお返しします」

 

「…やけにアッサリだね~?」

 

「私の役割は完了してます。後は……ゼロワンと……サウザーの決着次第に…なります」

 

「役割…?」

 

「それが知りたければ………ゼロワンが勝つことを……願っていて…ください…」

 

そう言い残すと、亡は変身を解除し花丸を解放した。

 

「国木田ちゃん!!」

 

倒れている花丸にブレイズも変身を解いて駆け寄り、抱き上げようとしたが…

 

「イダダダダダダッ!? 痛いッ!! 痛いッ!! 痛いィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!」

 

「うわわわわッ!?」

 

ものすごい表情で絶叫され、さすがの彼方も驚いてしまった。

 

「だ、大丈夫ッ!? どこが痛いの…!?」

 

「ぜ…全身が………痛いズラ…」

 

「え?……………………………そい」(チョン♪)

 

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?」

 

「あ~…これは筋肉痛だね~」

 

彼方が軽く触り、花丸の反応から筋肉痛と判断し少しホッとする彼方だったが、触られた花丸からすれば堪ったものではない。

 

「ひ、ひどいズラ…」

 

「ごめんごめん~♪ お詫びにおぶってってあげるよ~」

 

「揺らしちゃダメズラよ!? ダメだか「よいしょっと~♪」ズラァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして更に別の場所では…

 

「フッ!!」

 

「はあッ!!」

 

風魔とクリムゾンドラゴンとなったセイバーが、周囲に火花を散らしながら、高速で斬り合っていた。

 

風魔は二刀の忍者刀による連撃、セイバーは磨きあげた剣技で互角の勝負に見えた…

 

「せいッ!!」

 

「う…ッ!?」

 

が、力量の差が出始めたのか、風魔の連撃の隙間に、セイバーがカウンターを決め始めていた。

 

「八葉一刀流…」

 

「ッ!! させるかァッ!!」

 

―ガギィン!!―

 

風魔がよろけたところに、淀みの無い動きで放たれるセイバーの横一閃。風魔はそれを2刀でもって全力で弾き返すが…

 

―グルン!!―

 

セイバーはその弾かれた勢いを利用して逆回転。今度は反対側から襲ってきた。

 

「なッ!?」

 

「一ノ型」

 

全力で弾いた事で腕が硬直していて、風魔の防御は間に合わず…

 

「螺旋撃ッ!!」

 

「キャアアアアアアアアアッ!?」

 

その一撃をまともに喰らい、吹き飛んでしまう。だが、痛む脇腹を気にしつつも、すぐに起き上がった。

 

「くぅ…!! この程度で…!!」

 

風魔は苦無を取り出して投げるが、セイバーは冷静に軌道を見切って烈火で叩き落とす。

 

「そんな攻撃では…」

 

「でも、時間は稼げる」

 

苦無に気が向いた瞬間に呼び寄せたのだろう、風魔の傍に忍者トルーパーが3体も集まっていた。

 

「いくら貴方でも、数で攻めればッ!!」

 

そしてトルーパー達と一斉に襲いかかる風魔。だけどセイバーは腰を落とし、右腕を後ろに伸ばしながら剣先を風魔に向ける構えを取り…

 

「二ノ型・改…」

 

そう呟くと、その場から消えた。

 

「ッ!? 何処に…!!」

 

消えたセイバーを探そうと風魔が視線をさ迷わせた瞬間………右端にいたトルーパーがいきなり爆散した。

 

「なッ!?…其処かッ!!」

 

突然の事態に一瞬動きが停まるも、セイバーの攻撃だと理解し、彼女の移動場所を予測して苦無を投げるが、当たる事なく飛んでいき、その間に残り2体のトルーパーも倒され、自身にも左肩から右脇腹まで斬られたような衝撃が襲ってきた。

 

「うあッ!?」

 

その痛みで体勢を崩した風魔の視界に、抜刀術の構えをしたセイバーが映る。

 

『烈火居合!!』

 

「しま…!?」

 

「【(うら)疾風(はやて)】」

 

『読後一閃!!』

 

そして抜き放たれた剣から炎の斬撃波が飛び、風魔に直撃した。

 

「うああァァァァァァァァァァッ!?」

 

変身解除は免れたものの、全身から火花を散らしながら倒れる風魔にセイバーが近づいていく。

 

「ここまでですね」

 

「く…ぐぅッ!!」

 

立ち上がろうとする風魔だが、ダメージが大きく顔を上げて睨む事しか出来ない。そんな彼女を見つつセイバーは言葉を続ける。

 

「諦めてください。貴女では私に勝てません」

 

「諦めろ………ですって?」

 

セイバーとしては無駄な戦闘を止めさせるつもりで言ったのだが、それは風魔の怒りに火を着けた。

 

「そんな事…できるわけ無いでしょッ!!!!」

 

「ッ!?」

 

怒りによって痛みを忘れた風魔は起き上がると、セイバーへと突撃し2刀で斬りつけるが、セイバーは烈火で受け止める。

 

「私には…負けられない理由があるのよッ!!」

 

そこから風魔が叫び…いや、もはや悲鳴にも近い声で忍者刀をがむしゃらに振るっていく。

 

「その理由は何ですか?」

 

「お前には関係ないッ!!」

 

その刀を捌きながらセイバーは問い掛けるも、風魔は聞く耳持たずといった状態だった。だけど、セイバーは諦めずに問い掛け続けた。

 

「何が貴方をそこまで駆り立てるのです?」

 

「関係ないって言ってるでしょッ!!!!」

 

「いいえ、止めません。貴方のような…」

 

「もう黙れぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

セイバーの言葉に苛立ちを募らせた風魔は、双剣で挟む様にして烈火を抑え込むと、思いきり振るってセイバーの手から弾き飛ばした。

 

「…………!!」

 

「剣さえ無ければッ!!」

 

相手の武器を手放させた事で、勝機を確信して突っ込む風魔。

 

 

 

だが、武器が失くなったくらいでセイバーの………三船栞子の心は揺らがない。

 

 

 

「八葉一刀流…」

 

セイバーは右腕を素早く後ろに引くと、右足を前に出して地面を思いきり踏み込む。

 

「そんな付け焼き刃がッ!!」

 

顔目掛けて突き出される忍者刀…それをセイバーは頭を左に傾け、紙一重で回避する。

 

「な…!?」

 

()()()()

 

そして全身の動きを連動させ、その力を右手に集約させながら突き出し、掌底を風魔の胸に叩きつけた。

 

「【破甲拳(はこうけん)】ッ!!」

 

―ズドォン!!―

 

「ガ…!?」

 

カウンター気味に放たれた一撃に、怒りに飲まれた風魔は回避出来ず、まともに喰らって地面を転がっていき、止まったところで変身が解除される。

 

そこにいたのは、暗めの青紫色の髪を左のサイドテールで纏め、紫色の瞳を持つ少しタレ目の高校生くらいの少女だった。

 

「ゴホッ!! カ…ハッ!?」

 

「勝負あり………ですね」

 

装備を貫通する程の衝撃に、上手く呼吸出来ずに咳き込む少女に、セイバーは烈火をベルトに納めながら近づいた。

 

「カァ…!! ガ…ま………まだ…ゴホッ!!」

 

「無理しないでください。今は喋るのも苦しい筈です」

 

「い……………ま…の…わ……ざ……は…?」

 

「八葉一刀流にある型の1つ…手元に剣が無い時に使う【無手ノ型】という()()です。この型は剣を使った型を覚える前から、師範に徹底的に叩き込まれました。故に、付け焼き刃ではなく、私の中では最も練度が高い技なんですよ」

 

「そう………な……の…ね…」

 

少し呼吸が楽になったのか、少女は立とうとするがそこまで力が入らず、あお向けなるのが精一杯だった。

 

「ごめん…理亞…ごめんね…私…!!」

 

「………それが、貴方の戦う理由だったんですね…」

 

そして両腕で目を覆い、涙する少女の言葉に事情を察し………何もない空間を睨み付けた。

 

 

 

 

 

 

栞子side

 

「………………………………そこにいるのは解ってます。出てきたらどうですか?」

 

「ほぉ、我が隠形を見破るとは…」

 

勝負が始まった時から感じていた視線………その元の場所を睨みながらそう告げると、睨んでいた空間が揺らめき1体の怪人が姿を現した。

 

腰には小太刀や苦無に手裏剣をぶら下げ、右腕には鉤爪を装備しボロボロでやや黒ずんだ紫の忍装束から、相手は忍者の怪人…恐らくバグスターでしょう。

 

「確かに貴方の隠形は完璧でした。ですが、完璧すぎてそこだけぽっかりと、認識の穴ができていましたので…逆に誰かがいるとすぐに解りました」

 

「なるほど。完璧すぎるのも問題…ということか。見事なり」

 

忍者のバグスターは私を褒めると、地面に降りてきた。

 

「拙者の名は【サスケ】。そこにいる敗者のガシャット【ハリケーンニンジャ】から生まれたバグスターだ」

 

「…三船 栞子。八葉一刀流の剣士です」

 

相手の名乗りに礼儀として私も名乗り、すぐさま烈火を突きつけ殺気をぶつける。

 

「今すぐ、彼女の家族を返しなさい。さもなければ、貴方を斬ります」

 

「………何故、拙者が彼女の家族を連れていると?」

 

私の最大ではないにしろ、かなり強めに殺気をぶつけたのに、サスケは全く動揺を見せない。どうやら、かなりの強者のようですね…

 

「貴方の目的が私達の偵察なら、戦いが終わった時点で戻ればいい…なのに、それをしないという事はそれ以外にも目的があるという事。次に思い浮かんだのは彼女の援護でしたが、それもしなかった。他には隙を見て私の暗殺ですが、貴方の視線は風魔に向けられていた。だとすれば、貴方の本当の目的は彼女…【風魔の監視】なのでしょう。そして何故、監視が必要なのか…それは裏切りの可能性があるから。つまり、風魔は外部から無理矢理仲間にしたからです」

 

サスケの疑問に対し、私は自分の推理を口にする。向こうも黙って聞いていたので、その間に私は左手を背中に隠し、()()()()を手にする。

 

「そんな彼女を従えた方法は【人質】…彼女の家族を確保していたから出来た。そしてこの場でも彼女を脅すために連れている………どうでしょうか、私の推理は?」

 

最後まで話し終えると、サスケは感嘆するかのように拍手を送ってきた。どうやら、私の推理は当たりのようです…

 

「お見事だ。貴様は相手の心でも読めるのか?」

 

「そんな大層なものではありません」

 

実際、八葉一刀流には【観の目】と呼ばれる物事の真意を読み解く技術がある。でも、師範の方がもっと鋭い読みをするし、総師範たる人は住む大陸が違っていても、相手の事を正しく知っているらしいから、私はまだまだ未熟。

 

「貴様の言う通り、拙者はその少女の妹をクロノス様より預かっている」

 

サスケは右手に保持したバグヴァイザーを私達に見せつけてくる。その画面には風魔の変身者に似たツインテールの少女が映っていた。

 

「理亞…!!」

 

「あれが…」

 

「だが、それが解ったとして…拙者のやる事は変わらない」

 

「ッ!? 止めてッ!! 妹は…理亞だけはァッ!!」

 

「敗者の言葉など、我が耳には届かぬ」

 

「させませんッ!!」

 

風魔さんが悲痛な叫びをあげるも、サスケはバグヴァイザーの削除コマンドを実行しようとする。

 

元々は敵でしたが、今の彼女はクロノス達の被害者…それに、この状況を作り出したのは間違いなく私………だからこそ、私が絶対に助けてみせる!!

 

そう決意し、私は左手に隠していたモノをサスケ目掛けて投げつけた。

 

「下等な人間のやる事など…無駄だ」

 

サスケは体を反らしてそれを避けますが、この時点で私の勝ちです。

 

「そうやって相手を見下してばかりいると…勝機を逃がしますよ?」

 

「何を言っ(ドォン!!)ぐあッ!?」

 

ただの煽りだと思っていたサスケでしたが、私が投げたのは【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】だ。投げる前に精神世界で打ち合わせし、タイミング通りサスケの背後で衝撃波を放ち、予想外の攻撃にサスケはまともに喰らって、バグヴァイザーを手放した。

 

「理亞ッ!?」

 

「今ですッ!!」

 

私はそれを見逃さず、縮地で一気に移動して地面に落ちる前にバグヴァイザーを回収した。

 

「大丈夫でしたか?」

 

『え、ええ…少しビックリしたけど』

 

「今、お姉さんの所にお連れしますね」

 

中にいる少女の無事を確認し、私は少しホッとしつつも縮地で風魔さんの元へと戻った。

 

「はい…貴方の家族、取り戻しましたよ」

 

「あ、ああ…理亞…!! 良かった…良かったぁ…!!」

 

『お姉様…!! やっと会えた…!!』

 

(良かった…助け出せて)

 

私からバグヴァイザーを受け取った風魔さんは、涙しながらそれを抱きしめ、妹さんも涙声で再会を喜んでいた。その光景に頬が少し緩むけど、すぐに気を引き締めながら振り返って、サスケを再度睨む。

 

「不覚…!! 人質を奪われてしまうとは…!!」

 

「これで心置きなく戦えます…覚悟はいいですか?」

 

忍者としてのプライドが傷ついたのか、サスケの声に怒気が混じるが、それは私とて同じ。

 

同じ姉妹がいる身として、今回の行為は絶対に許せない…!!

 

「たかが下等生物風情が!! 拙者自ら引導を渡してくれる!!」

 

「なら、私の全身全霊をもって…貴方を斬ります!!」

 

忍者刀と苦無を持って臨戦体勢のサスケに対し、私は目を閉じて烈火を上段で構え…

 

「コォォォォォォォォォォォォォ…」

 

()()()()()()()()()で大きく息を吸い、同時に体内を巡る気を極限まで練り上げていく。すると、私の体を薄い金色のオーラが包み始める。

 

「な、なんだ…!?」

 

「綺麗…」

 

驚くサスケと見惚れる風魔さん。そして気が練り上がり、目を開けると私の瞳が()()に変わる。

 

「これが師範達から会得した秘技…」

 

最後に剣を正眼の位置まで振り下ろしながら、練り上げた気を一気に全身へと駆け巡らせ、それによって私の身体能力は数倍にも強化される。

 

この技は本来、師範しか出来ない筈だった。だけどある時、私は師範の【姉弟子】を名乗る女性から、劣化版ではあるが、それを再現する術を教わった。

 

そこから何度も練習し、時には師範の力を借りて何とか再現させた師範を代名詞とも言える技。その名は…

 

「【心気合一(しんきごういつ)】!!」

 

「な、なんという覇気…!?」

 

凄まじい強化をした私に、サスケは若干怯む。

 

その間に烈火をドライバーに戻し、右手に戻ってきたプリミティブドラゴンを、左手にエレメンタルドラゴンを持つと、同時に開いてからプリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンを1つにする。

 

『プリミティブドラゴン!!』『エ!!』

 

『エ!!』『ゲット!!』

 

それをドライバーの右スロットにセットし、烈火を勢いよく引き抜いた。

 

「変身ッ!!」

 

『烈火抜刀!!』

 

『バキボキボーン!! メラメラバーン!!』『シェイクハーンズ!!』『エ・レ・ル! ドラゴーン!!』

 

『エマシマシ!!』『キズナカタメ!!』

 

仮面ライダーセイバー・エレメンタルドラゴンになった私は、烈火を構える。

 

「貴方のその首、貰い受けます」

 

「やれるものなら、やってみよ!!」

 

瞬間、サスケは3体に分身して私に襲い掛かり、私も同時に飛び込みながら剣を振るった。




いかがでしたか?

剣士組の強さですが…

栞子(心気合一)≧彼方>栞子>かすみ

といった感じです。


今回も次回予告は無しです

では、何時になるかわかりませんが…次回でまたお会いしましょう。


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