DIOの勝利した『世界』 (第四の爆弾)
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DIOの『世界』

承太郎が時を止めてDIOの足に攻撃したあとの、場面から始まります。


クソッ!承太郎め。こけにしやがって、このDIOを前にして……

いや、落ち着くんだ。

このDIOは今まで、油断してジョースター共にやられてきたのではないか。

そうだ、プッチが言うように素数を数えて落ち着くんだ。

 

「2 3 5 7 11…」

「何をぶつぶついってやがる。」

 

ふぅ、少しは思考がクリアになった。

このDIOが承太郎に付き合って、攻撃を仕掛ける必要はない。

一撃だ。一撃さえ防げればいいのだ。

承太郎が時を止めたとはいえ、このDIOに及ばないことには変わりない。

1度承太郎から離れることさえできれば、このDIOは圧倒的な有利性を取り戻すことができる。

 

「承太郎、貴様は一つ勘違いをしているぞ。」

「てめえの話なんぞ聞く気はねえぜ。俺はてめえの足が治ったら、『スタープラチナ』の拳を叩き込むだけだ。」

「そうか。貴様はつまり、唯一生き残ったポルナレフを見捨てるということだな?」

「何ッ!?」

 

唯一生き残っているポルナレフのことを、全く心配していないわけではあるまい。

油断はせんだろうが、一瞬の動揺は生まれるはずだ。

 

「フッ、動揺したな?『ザ・ワールド』!!」

「オラアッ!」

「うぐあ」

 

わたしは承太郎の拳を受けながら、スタンドで後ろへ吹き飛ぶようにバックした。

 

「やはり、動揺したな。貴様は再びこのDIOとの知恵比べに負けたのだ!」

 

結構なダメージを負ったが、わたしの肉体はジョースターの血を吸ったことによりかつてのような再生能力を取り戻してきている。

この程度、ほんの少し時間があれば回復する。

そう、『時間』があればな。

わたしは吹き飛んだ先で、時を止め回復を図った。

1秒、2秒、3秒…………10秒経過、時は動き出す。

まだ完全ではないが、かなり回復した。

承太郎、向かってくるかやはり、真っ直ぐに。

わたしの方へ。

奴は厄介だ。

強力なスタンドを持ちながら、冷静な判断力と行動力も持っている。

どう殺すか……。またナイフを投げるか、もしくはじっくりと殺すか。

パワー勝負は駄目だ。『スタープラチナ』は成長している。

認めたくはないが、パワーはすでに『ザ・ワールド』を超えている。

しかし、奴は時を2秒程度しか止められない。

時を止め、やつが動かずにはいられない状況を作るには……。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

承太郎side

 

 

 

俺はDIOに逃げられたあと奴を追った。

奴が逃げるだと。

どこへ向かってやがる。

やがて、追っているとDIOは止まった。

ここは……。

ポルナレフが気絶した場所だ。

まさか…

 

「てめえ、DIO!」

 

俺の目の前で、ポルナレフに肉の芽を埋め込みやがった。

肉の芽を植えられたポルナレフは立ち上がり、俺を襲ってきた。

 

「さあ、承太郎これにはどう対処する?」

 

ポルナレフは強い。簡単には倒せないだろう。

時を止めれば倒すのは簡単だ。だがその隙をDIOに突かれちまう。

こいつは……ヤバイ状況だぜ。

ポルナレフの剣を避け、ポルナレフに向かってスタープラチナの拳を叩き込もうとした時……

 

「『ザ・ワールド!』」

 

時が止まった。

何をするつもりだ?DIOの野郎。

 

「貴様はこれでも動かずにいられるかな?」

そう言うと奴はポルナレフに向かって、複数のナイフを投げた。

まずい。このナイフを時を止めている間に吹き飛ばさなければ、ポルナレフはナイフが刺さり死んでしまう。

 

「オラアッ!」

 

俺はDIOの投げたナイフを出来るだけ殴ると、俺は動けなくなった。

 

「やはりな、貴様達一族はどんな状況でも仲間を見捨てることはできん。時は動き出す」

 

まずい、ナイフが来る!

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

DIOside

 

 

 

 

「時は動き出す」

 

わたしがそう言うと、時は動き出し承太郎は出来るだけ多くのナイフを捌こうと、スタープラチナで拳を繰り出した。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ」

「無駄だ。いくら弾こうとな」

 

承太郎が懸命にナイフを弾こうとしている間、ポルナレフは承太郎に向かって、剣を繰り出していた。

 

「う……ぐっ………!」

 

ポルナレフに刺された承太郎の動きは止まり、残っていた複数のナイフは承太郎とポルナレフに刺さった。

 

「終わりだ」

 

わたしはそう言った後にポルナレフの後ろから、ポルナレフごと承太郎に拳を突き刺した。

そうすると、承太郎とポルナレフは倒れた。

 

「今度こそ完全勝利だ。さすがの承太郎も腹に穴の空いた状態では生きてはいまい。」

 

わたしは、ついに勝利したのだ。ジョースター共に。

宿命を断ち切ったのだ。

 

「これで、我が『ザ・ワールド』を脅かすものは居なくなった」

 

さて、まずは館へ戻り『天国』に行くための方法をまとめるとしよう。

焦る必要はない。もうこのDIOに敵になる者など存在しないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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望むべき『天国』

ジョースター家との戦いから、10年の時が経った。


わたしは人と人との出会いには『引力』があるということを信じている。

例えば、わたしの引き取られた先がジョースター家でなければ、わたしは吸血鬼などにはならなかっただろう。

もっと違う人生を送っていたはずだ。

逆にジョナサンもわたしと出会なければ、人間的にああも成長はしなかっだろう。

スタンド使いが引かれ合うように、引かれ合う人間はいる。

波紋戦士達とジョナサンのように、わたしとプッチのようにな。

日本に杜王町という町があるらしい。

どうやら、エンヤ婆はそこにいる吉良という幽霊に『弓と矢』を渡していたらしい。

その2人で、どんなやり取りがおこなわれたのかはわからん。

だが、もしかしたらその2人が出会ったのは『引力』が関係あるのではないか。

わたしは興味本位で、日本の杜王町を調べさせることにして。

 

「ここが、杜王町か……。」

 

 

杜王町はありふれたごく普通の町の一つだ。

しかし、調べてみたところこの町は奇妙なことに、全国平均の5倍以上の行方不明者が報告されているらしい。

スタンド使いが絡んでいる可能性が高い。

だが、スタンド使いと戦いになっても負けることはないだろう。

わたしの時を止められる時間は3分を超えた。

正確には3分12秒の間、時を止めていられる。

油断さえしなければ、誰にも負けることはないだろう。

 

「DIO様、ここが予約していた杜王グランドホテルですぜ」

「そうか、ご苦労だったなホル・ホース」

 

わたしは杜王町へ、部下であるホル・ホースと来ている。

わたしには太陽という弱点が、あるため日中は動けない。

そのため昼間にこの町を調べさせる部下を「2人」用意した。

コンビを組む相手は、ホル・ホース自信に決めさせた。

そのほうが、ホル・ホースの才能は発揮されるだろう。

わたしはホテルに入り、受付を済ませて自分の部屋に入室した。

 

「では、行ってきますぜ。DIO様」

「ああ、期待しているぞ」

 

ホル・ホースが出ていくと、わたしは持ち物からノートを取り出した。

『天国』へ行くための方法を記録しているノートだ。

わたしが望む『天国』に行くために必要なものは、すでに明確になっている。

既にプッチと協力して、準備もしている。

わたしは10年前、望むべき『天国』を勘違いしていた。

未来を支配する時の『加速』こそが、『天国』だと思っていた。

しかし、5年ほど前それが、間違いであることを知った。

ある山に大富豪達が住んでいる村がある。

その村の住人は全員日本のどこかにいた、ただの青年だった。

その村で「25さい」で別荘を買ったものは、全員大富豪になっているのだ。

その山は杜王町の北西80数キロのところにある。

わたしはその山へ、1人で向かってみた。

行き方は簡単だ。

その村に住んでいる大富豪に、肉の芽を植え付け連れて行って貰えばいい。

その村はマナー違反する者は、村から追い返されるらしい。

だが、このDIOはマナーを守る気などさらさらなかった。

試されるのは気に食わん。

逆にこのDIOが試してやろう。

あの別荘地帯にいる者を全て、このDIOの下僕にする。

そう思っていたのだ。

 

 

 

わたしは軽い気持ちで、あの山に向かった。

このDIOの力が及ばない存在が居るとは思わずに。

 

 

 

 



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失われし『世界』

わたしはヘリコプターとやらに乗って、大富豪達の住んでいる山へ向かった。

しかし、山の麓に着いた瞬間、突然ヘリコプターは墜落した。

運転手が突然苦しみ初め、そのまま息絶えたのだ

わたしは動揺した。

このDIOがあろうことか、動揺してしまったのだ。

ヘリコプターが墜落した程度では、このDIOはどうにもならぬ。

わたしはそのまま山を登っていった。

山を登ると、建物が見えて来た。

おそらく、そこが例の大富豪達の別荘地帯だろう。

わたしがその建物に近づくと、子供が中から出て来た。そして、わたしに言ったのだ。

 

「遠路はるばるようこそ、おいでくださいました。

ですが、無礼なる者に売る土地はございません。本日はお帰りください」

 

とたしかにわたしに言ったのだ。

その言葉で、わたしは意図的にヘリコプターが墜落させられたと確信を得られた。

わたしは一瞬この子供はスタンド使いなのだと思った。

だが、それは違うとすぐに分かった。

この子供からは精神のエネルギーを感じない。

とても、スタンドを操れるほどの精神力があるとは思えなかった。

それならば、この子供を操るスタンド使いとヘリコプターを墜落させたスタンド使いの2人がいるのだと思った。

事実は違ったのだが、わたしは相手をスタンド使いだと完全に思い込んでしまっていた。

 

「ほう、面白い。このDIO相手にどこまでやれるか試してやろう」

 

わたしはそう言いながら自分のスタンド『ザ・ワールド』を出した。

わたしは時を止めて、子供を無視して中へ入ろうとした。

だが、時を止めることは出来なかった。

まるで、最初から時を止めることなど出来なかったかのように。

わたしは恐怖した。

今度は動揺ではない。

恐怖してしまったのだ。無敵だと思っていた力が、容易く封じられたことに。

だが、それも一瞬のこと。

わたしはもとより、能力に頼り過ぎていた。

ただ相手の能力が、能力を封じるためのものだっただけだ。

わたしの持つ力はそれだけではない。

そう思ったのだ。

いや、そう思い込むようにしたのだ。

 

「小僧、何をした?」

 

わたしは駆け引きなど考えず、単純に聞いてしまった。

まだ、少し動揺していたのだろうか。

今、思えばそれは正解だったのだが。

その質問に対し、子供は少しも考える素振りを見せずに答えた。

 

「この山の土地に入る時、敬意無きマナー違反者は自信の大切なものを失います。マナーに寛容は無し。ひとつ得るか、ひとつ失うかそれだけです。」

 

このDIOはいまさらだが、この時点で敗北していたのだと思う。

 

 



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ホル・ホースとアンジェロその①

結果的にわたしは『世界』の時を止める能力を取り返すことは出来た。

しかし、取り返した。というのは単に奴らのルールに乗って、マナー通りにしただけだ。

こんな屈辱を久方ぶりだ。

このDIOは確実に侮られている。

奴らにとってこのDIOは、そこらの雑魚と同じというわけだ。

奴らが何者かのは分からない。

だが、時を操るなどよりも上位の能力だというのは分かった。

プッチも相手の能力を奪う能力を持っているが、それとはまた違った。

この世の『真実』に介入出来る能力。

もし、奴らの能力が『過去』、『未来』、『現在』全てを支配し、操ることが出来るのであれば。

わたしが望む『天国』への1歩は『真実』を操ることだろう。

そのために必要なものは、わたしが前まで『天国』と呼んでいた時の『加速』。

もう一つは、わたしの時を『止める』能力

そして三つ目は時さえ破壊し、時を『戻す』ことが出来る破壊力を持つスタンド。

上の二つについては、既に考えついている。

だが、三つ目のスタンドはまだ見つかっていない。

時を戻すというのは、『やり直す』スタンドである。

『やり直す』というのは、もしあそこでこうしていれば……という逃げの考えから基本的に人は考え付く。

だが、それでは駄目だ。

そんな考えでは、そんなやわな精神力では時を『戻す』スタンドは生まれない。

本当に追い詰められた上で、諦めない精神力と何かを求める渇望がなければ時を『戻す』スタンドは発言しないだろう。

そんな人間は簡単には見つからないだろう。

しかし、スタンド能力を発現させる『矢』は、そんな人間を探してくれるはずだ。

『矢』は才能ある者を探す道具でもある。

その『矢』を発見した者も気になるが、そちらはプッチに任せてある。

わたしは杜王町にある『矢』の行方を探ることに専念しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ホル・ホースside

 

 

 

 

 

俺はDIO様の命令で杜王町という町に来ていた

DIO様からの命令は、この街にある『矢』とスタンド使いを探すこと。俺の今のコンビはアンジェロという、殺人鬼だ。

アンジェロはムカつくとかいう理由で、DIO様に喧嘩を売ったが瞬殺された後に命乞いをした野郎だ。

普通ならこんな野郎殺すだろうが、DIO様はこいつになんらかの才能をみいだし、『矢』でスタンド使いにして仲間にした。

正直言って、こいつは気に食わねえがこの命令にはこいつ以上にピッタリな奴はいねえ。

アンジェロのスタンド名はアクア・ネックレス。

水に同化出来るスタンドだ。

雨の日に情報収集をさせたら、恐らくこの街中どこからでも、情報を集めることが出来るだろう。

DIO様からの命令を聞いて、こいつをコンビに決めたのは正解だったと思うぜ。

今日の天気予報は丁度雨だ。

これなら、1週間もしないうちに探せるかもしれねえな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅れてすいません。


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ホル・ホースとアンジェロその②

今日二回目の投稿です。


「どうだ、見つかったか?」

「黙れ、いい気になりやがって!てめえがDIO様の部下じゃなかったら真っ先にやってたぜ」

 

それは俺も同じだぜ。

女をムカつくなんて理由で、犯して殺す奴なんざDIO様の部下じゃなかったらキレて襲いかかってるぜ。

勝てるかどうかは別としてな。

 

「おい、目立ちたくねえから今は出来るだけ人を殺すのは避けろよ」

「チッ、分かってる」

 

アンジェロとは合わねえが、こいつは頭が良いからな。

DIO様の命令に背くようなことはしねえだろうと確信している。

そうじゃなきゃこんな頭の可笑しいやつと組まねえがな。

本来なら、俺はこんなに口出すことはしねえんだかよ〜。

やっぱ、女のことでかなりキレてるからかもしれねえな。

ちっと冷静になんなくちゃあな。

 

「おい、怪しい奴を見つけたぞ」

「ヒュ〜♪さすがだぜ!」

「ふん、やっぱてめえ調子に乗ってやがるな」

「そんなことはねえぜ。で、そいつは何をしているんだ?」

 

アンジェロのスタンドの恐ろしさは正直かなりのものだとは思ってるぜ。

この索敵能力に加え、雨の日の戦闘力はJ・ガイルの旦那をも超えるぜ。

 

「路地裏に女性を連れ込んでやがる。その連れ込んでる奴が怪しい。雰囲気は平凡で少しエリートって感じでムカつくやつが、女と2人きりになった瞬間明らかに普通じゃあねえ雰囲気を感じたぜ」

「そいつは何処にいる?」

「ここから、1分ちょっとで付くところだ」

 

そいつがスタンド使いかは分からねえが、流石としか言えねえな〜。

まだ、来て1日目なのによ。

やっぱりアンジェロを連れてきて正解だったぜ。

それにしても、女を路地裏にか…。

 

「こいつ、スタンドを出しやがった!やはり、スタンド使いだったぜ。こいつ、女を殺すつもりだ」

「おい、直ぐそこへ向かうぜ」

 

女を殺すか…。

俺は女を尊敬してるから殴らねえだけだ。

別に道端にで助けを求めてる女をみんな助けようとしてるわけじゃねえ。

散々、人を殺しておいて自分勝手だがよ。

望んでもいねえのに殺されそうになっている女が近くにいて、助けないことなんて俺にはできそうにねえぜ。

 

「おい、DIO様の命令はスタンド使いを探すことと『矢』を探すことだ。スタンド使いと戦うことじゃねえ」

「いいから、道を教えろ!その女が殺される前にな!」

「出来ねえ。恐らく、そいつは近距離パワー型だお前じゃ負ける。てめえが死のうと関係ねえがDIO様の信用を失うことだけはさけてえからな」

 

チッ、やはり教えてくれねえか。

だが、ここらの地図は一応暗記しておいた。

ここから1分近くで、付く裏路地は幾つかあるが多くはねえ。

一つ一つ回って、探すしかねえ!

俺は近くの路地裏に向かうことに決めた。

 

「てめえ、行かせるわけねえだろッ!調子にのりやがって!」

 

俺の目の前にアンジェロが出て来るが、俺はアンジェロに向かって『エンペラー』を向けた。

 

「別にDIO様の命令に逆らうつもりはねえぜ。道を開けろアンジェロ。それともスタンドが近くにいない状態で、俺に勝てるとでも思ってるわけじゃねえよな〜?」

「チッ、DIO様にこのことを報告はさせて貰うぜ」

 

アンジェロは渋々といった様子でどいた。

俺はその言葉に構わず、急いで近くの裏路地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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殺人鬼対殺し屋

「私の名前は吉良吉影。君の名前を教えてくれないか?」

「わ、わたしの名前は美咲といいます」

 

吉良吉影が女性に問いかけると女性は質問に答えた。

 

「そうか、美咲さんって言うのか…クックッとても可愛らしい名前だね。それに 君自身もとても可愛いよ…。喋らない君はもっと可愛いだろうね」

 

彼の背後に女性には見えないナニカが現れる。

そのナニカは女性の手を掴もうと女子へ近づこうとするが…

 

「『エンペラー!』」

 

吉良吉影に向かって、決して一般人には見えない銃弾が炸裂する。

吉良吉影はそれを背後にいるナニカ……『キラークイーン』で弾こうとするが、銃弾はまるで生きているかのように弾こうとした『キラークイーン』の腕を避け、避けようとした吉良の肩に命中した。

 

「うぐっ……」

「逃げな嬢ちゃん、このままじゃあ殺されるぜ」

 

女性は何が起こったのか分からずに呆然としていがホル・ホースの言葉に我を取り戻した。

 

「え、…あ……何が…」

「いいから、とっと逃げな!死にてえなら別だがよ!」

「は、はい!」

 

女性は怯えながら、逃げ去っていった。

 

「……さっきの女性は君の銃弾が見えていないようだった。それに銃声がしたというのに騒ぎが起きていない」

 

吉良吉影は肩を抑え、ホル・ホースを睨みながら言った。

 

「これはわたしの『キラークイーン』の特徴と一致している。同じ能力を持つ奴を見るのは初めてだが………関係ない。始末させてもらう」

「侮ってもらっちゃあ困るぜ!これでもスタンドバトルは慣れているほうなんでな〜」

 

ホル・ホースが吉影を警戒していると、吉影は左手から戦車のようなスタンドを繰り出した。

 

「『シアーハートアタックact2』逃げた女性を始末して来るんだ」

「リョウカイシマシタ。ロックオンタイショウヲセッテイシマス」

 

出てきた戦車のようなスタンドは壁の上を走り、逃げた女性を追い始めた。

 

「させっかよ〜!」

 

ホル・ホースは『エンペラー』の弾丸を打ち出そうとするが、『キラークイーン』に阻まれてしまう。

 

「君の相手はこっちだ」

「おいおい、こんなのスタンドが二つあるようなもんじゃねえか」

 

そう言いながら、ホル・ホースは吉良に向かって、銃弾を放ったが、今度は銃弾が動くよりも速いスピードで捕まれてしまった。

 

「スタンド……というのかこれは」

 

ホル・ホースは掴まれた銃弾を取り戻そうと、一時的にスタンドを消そうとしたが何故か銃弾だけは消えなかった。

 

「何をしやがった?」

「これは君に返すよ」

 

吉良はそう言いながら、ホル・ホースに向かってコインをトスするように銃弾を飛ばした。

ホル・ホースは反射的にかそれとも、スタンドバトルでの経験のためか後ろへ下がった。

銃弾が地面に落ちると

 

カチッ

 

という音と共に銃弾が内部から爆発し、それと共にホル・ホースの両手の中指を中心とした両手が内部から爆発した。

 

「やはり、スタンドがダメージを受けると本体もダメージを受けるのか……。君の場合は両手の指の部分がスタンドにおける銃弾ってわけだ」

 

ホル・ホースの両手はダメージが少ないが、中心となった両手の中指はとても使えそうになかった。

 

「てめえの能力は『触れたもの爆弾にする能力』か」

「ああ、正解だよ。知られた所でどうにかなるものでもないがね」

 

ホル・ホースは吉良を睨みつけながら、心の中で舌打ちした。

吉良吉影の『キラークイーン』はDIOや承太郎のスタンドほどパワーもスピードもないが、強力なスピードとパワーを持っている。

それに加えキラークイーンは『触れたもの爆弾に変える』という破壊力もあり、凡庸性に優れたとても厄介な能力だ。

だが、それでも勝つ可能性がないわけではないとホル・ホースは思っている。

ホル・ホースは1発ずつ銃弾を発射することが多い。

それはホル・ホースが同時に銃弾を操作出来ないからだ。

銃弾の複数操作はホル・ホースも練習はしていた。

それでも成功率は芳しくない。

だから普段は確実に攻撃するために弾丸を操作する時は1発しか操作しなかった。

今、使っても成功する確率はかなり低い。

中指が使い物にならないので、尚更だ。

だが、吉良吉影と倒すためにはホル・ホースは掛けに出ることにした。

 

「喰らえ、てめえの心臓に風穴を空けてやるぜ!」

 

ホル・ホースは銃弾を6発一気に発射した。

 

『しばっ!』

 

その攻撃に対し、吉良吉影は冷静に『キラークイーン』のラッシュで対応しようした。

ホル・ホースは六つあるうち三つの弾丸を操作し、ラッシュを避けようとするが、操作した弾丸のうち1つはラッシュに巻き込まれた。

 

「しまった!」

 

だが、逆に二つの弾丸ラッシュを避け、1つは吉良の左腕にもう一つは心臓にヒットした。

 

「グハアァ!」

 

銃弾を喰らった吉良はうめき声をあげながらどさりという音とともに倒れた。

 

「はあ、はあ……ざまあ…見やがれ……」

 

ホル・ホースはかなり精神力を使い疲れきっていた。

本来は出来ないはずの弾丸の複数操作を三つも同時にやったのだ。

仕方の無いことだった。

 

「もう一つの……スタンドを、追わねえと…」

 

さっき、吉良に襲われた女性を追っているスタンドは恐らく、自動追尾型のスタンド。

吉良吉影本体が死んでも、動くタイプのスタンドの可能性がある。

ホル・ホースが女性を探しに行こうとすると…

 

ドスッ!

 

突然ホル・ホースの胸を包丁が突き刺した。

 

「カハッ!……な、なんだ……だれ…だ…」

 

 

 

「吉影はわしが守る……。吉影はたった1人の息子だからのう」

 

 

 

吉良吉影の父親、吉良吉廣に刺されたホル・ホースは吉良吉影のようにどさりと倒れてしまった。



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7話

わたしがホテルで本を読んでいるとアンジェロから連絡があった。

どうやら、ホル・ホースのコンビはアンジェロだったらしい。

要件はホル・ホースがスタンド使いに襲われている一般人の女性を見て、助けに行ったということらしい。

ふむ。

ホル・ホースの信念は知っていたが、わたしの命令に背いてまで女性を助けようとするとはな。

ホル・ホースの幸運や戦闘スタイルなどは評価していたが、どんなことがあっても信念を曲げない強さもあるのとはな。

また、彼の評価を上げなければいけないらしい。

たしかに命令違反かもしれないが、信念を曲げずに行動する精神力はわたしの求めているものでもある。

彼のことをサポートするようにとアンジェロには伝えた。

戦闘の結果ホル・ホースも相手のスタンド使いも死んでしまうのは不味いからな。

だが、スタンド使いが1人とは限らないな。

もしもの時のためにわたしが直接行くとしよう。

時を止めながら行けばそう時間はかからないはずだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

アンジェロside

 

 

不味いぜ。

ホル・ホースの野郎やられやがった。

しかも、相手のスタンド使いを倒したあとに後ろから変な奴に刺された後にだ。

このままじゃあDIOに殺られるのは俺になっちまうぜ。

なんで、DIOの野郎はホル・ホースを許したんだ。

まったく、どいつもこいつも調子に乗りやがって…。

あのホル・ホースを刺したの野郎が、倒れてるスタンド使いに気を取られてる隙にホル・ホースの中にアクア・ネックレスを仕込むしかねえ。

アクア・ネックレスなら血液に同化して、なんとか命を保てるはずだぜ。

だが、その場合は俺が無防備になっちまう。

戦うことや身を守ることができなくなる。

クソッ!悩んでる暇なんてねえ。

俺はアクア・ネックレスでホル・ホースにこっそり侵入し、なんとか命を保たせた。

あとはアイツをどう回収するかだ…。

後ろから、あの写真みたいなやつにライターで火を付けるか…。

いや、無理だ。

そもそも雨だから、すぐ消えてしまう。

こうなったら一か八か、もしもの時のためにDIOの仲間に渡されていた無音の拳銃で奴に威嚇射撃する。

あの倒れている奴を助けようとしている様子のアイツは安易には寄ってこれんだろ。

この作戦で行くしかねえ。

俺はこっそり、ホル・ホースの近くまで向かい、写真みてえな野郎に威嚇射撃をした。

 

「おい、てめえ。こっちに近づいてくるじゃねえぞ。近づいたり、何か怪しい動きをしたらそいつを打つ」

「仲間がおったか…」

 

俺は銃口を奴らに向けながら、後退した。

 

 

「そいつ生きてんだろ?さすがにもう1発実弾で、打たれたら生きてられねえだろうな〜」

 

俺はたしかに見た。

吉良吉影は銃弾で打たれる寸前にいきなり、空気の玉のようなものを出して、銃口を防御しやがった。

銃弾はその空気弾を貫いたが心臓は貫けてねえ。

一歩手前までいったが、血が出ただけで死に至る程じゃない。

ホル・ホース自身は銃弾の操作に夢中だったのと、気絶寸前だったから気づいてねえと思うがよ。

 

「いいじゃろう。だが、必ずいつか見つけ出して殺してやる」

「逆にてめえを殺してやるよ。調子にのりやがって」

 

俺は瀕死のホル・ホースを背負ったまま、その裏路地から去っていった。

 

 

 

 

 

 



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吉良吉影の執念と才能その①

少し時間がかかったが、杜王町には着いた。

時を止めた時間を除いたら5分程度か……。

戦車のようなスタンドに追われている女性を見つけた。

女性自身はスタンドには気付いていないようなので、ホル・ホースの言っていたスタンド使いに襲われていた女性かもしれん。

 

「『世界』時は止まった。この女には肉の芽を植え付けて置くことにしよう。このDIOの下僕となるのだ光栄に思うがいい。聞こえてはいないだろうがな」

 

 

わたしは女性に肉の芽を植え付けると、戦車のようなスタンドの元に向かった。

 

「さっきまでの動きを見る限りでは、こいつは自動追尾型のスタンド。ここまで女性を的確に追えるとはとても強力なスタンドだと褒めてやりたいところだ」

 

 

「だが『世界』のまえでは無駄無駄無駄無駄無駄無

駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!」

 

 

わたしは戦車のスタンドに向かって『世界』でラッシュを放った。

だがその戦車は少し傷がついただけで、まったく効いている様子がない。

そろそろ時間だ。

 

「時は動き出す」

 

戦車のスタンドは時が動き出した後も吹っ飛んだが、やはり何も無かったかのように女性を追っていく。

このスタンドは自動追尾型で本体へのダメージがない上に耐久力に優れていると来た。

まさに無敵とも思えるスタンドだろう。

それでも、このDIOの前では無力に等しいことには変わりない。

 

「このまま時を止めて、殴り続けるという作業を続ければ倒せるだろう。だが無駄な時間は使いたくないのでな」

 

わたしは戦車のスタンドに向かって『矢』放った。

すると、戦車のスタンドは崩れるように崩壊した。

スタンド自身を『矢』で貫いたら、という実験をしてみたことがある。

試してみたところ『矢』でスタンドを貫かれたものはスタンドが崩壊して死んだ。

ただ自動追尾型のスタンドはスタンドのみが崩れさり、本体が崩れさることは無かった。

これを利用して、戦車のスタンドを崩壊させたのだ。

 

「さて、ホル・ホース達を一刻も早く探さなければ」

 

わたしは『矢』を回収しようするために崩壊していく戦車のスタンドに近づいた。

だが…

 

 

 

「『矢』が消えているぞッ!何処へいったんだ。まさか、あれは正確には自動追尾型ではなかったのか…」

 

 

もし、あのスタンドが本体としっかりとした繋がりのあるスタンドなのだとしたら。

『矢』は………

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

吉良side

 

 

 

「『矢』が勝手にッ!わ…わしは何もしとらんというのにッ!」

 

 

『矢』吉良吉影に深々と突き刺さっていく。

そして、吉影に重なるように『キラークイーン』にもつき刺さっていた。

 

 

「『矢』が勝手に吉影に再び………!!」

 

 

吉影の『キラークイーン』は『矢』が刺さっていくにつれて崩壊していった。

首から入っていき、心臓の付近を貫いていき、やがて『矢』は『キラークイーン』の右手の部分に収まった。

すると、『キラークイーン』の紅い瞳が光り輝き、崩れていったハズの体はいつの間にか元通りになっていた。

そして────

 

突然、吉影の周囲の謎の爆発が起こった。

その爆発は吉影を埋め尽くさんとばかりに爆発している。

爆発が収まったころには────

 

 

「吉影ッ!!!!!」

 

 

既に吉良吉影の姿はそこには無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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吉良吉影の執念と才能その②

「モドレ『シアーハートアタック』……」

 

 

わたしの目の前にいる男は戦車のスタンドをもう一つのスタンドの左手に回収した。

この戦車のスタンドは奴のスタンドの一部に過ぎないというわけか…。

 

「どうだ?『矢』に真に選ばれた気分は」

「コノヤノヒミツヲシッテイルノカ?」

 

 

『矢』に刺されては死ぬというのはスタンド使いの才能がない時と同じだ。

既にスタンド使いになっているものに『矢』を刺すと精神力が高いものには更なる『才能』が目覚めるとこのDIOは思っていた。

それが今、実証された。

しかし不味いな………このDIOは負ける気などさらさらないが、『矢』に2度選ばれた者の能力が、ちっぽけなはずがない。

 

「…………」

「マア、イイ。マスターノヘイオンヲミダスDIOトヤラニハシンデモラウ」

 

そういうと奴はこちらを見ながら、手を握りしめようとした。

何か、ヤバイ………!

だが────

 

 

「『世界!』時は止まった……三分前……」

 

 

どんな能力だろうと時を止めて、本体を攻撃されたらおしまいよ!

この『世界』には勝てんのだ。

 

 

「この時の止まった空間で動けるのはこのDIOのみだ。……死ねい!」

 

 

 

わたしは『世界』で、奴本体の腹を突き刺した。

そうすると、あっけなく奴は腹を貫かれた。

 

「ふん。やはりこのDIOには遠く及ばなかったか。そして時は動き出す」

 

 

 

時が動き出すと奴は血をまき散らしながら吹き飛んだ。

やはりわたしの『世界』は基本的には最強のスタンドだ。

いかに『矢』選ばれたものだろうと人間だ。時を止め、腹を貫けば死ぬ。

吸血鬼であるこのDIOは例外だがな。

 

 

「ムダナノダ。スデニキミノノウリョクハワカッテイル」

 

 

その声と共に耳に響くように爆発音が聞こえ、血塗れで倒れていたはずの奴はいつの間にかわたしの背後にいた。

 

「いつの間に……!」

「ワタシノノウリョクノマエニハ、トキヲトメルトウリョクナドムダナノだよ」

 

 

何か違和感を感じる。

まさか………喋っているのは本体の意思ではなく、スタンド自体が自立して喋っているのか。

だとしたら、本体は────

 

「シヌガイイ。マスターノヘイオンノタメニ」

 

くッ!考えてる暇などない。

恐らくスピードはこちらの方が上だ。

わたしは『世界』で目の前のスタンドに向かって、ラッシュを放った。

すると奴は奴は仰け反るように避けた。

 

「チッ!ナンテスピードダ……」

「逃がさんぞ!このまま時を止め、一気に追い討ちをかけてやる。『世界!』時よ止まれいッ!」

 

わたしの予想ではこいつは自立型のスタンド。

能力は解らんがさっきの攻撃をくらって、蘇ることが出来たのはスタンドと本体が繋がってなかったからだ。

自立型のスタンドがなんらかの能力で本体を蘇らせる。

考えたことがない訳では無いが、まさか実際に存在するとは思わなかった。

しかし、これはただスタンドを攻撃すれば良いだけのこと………

 

「たしかに厄介だが、決して無敵ではない。この能力はわたしの求める『真実』には関係のないものだ」

 

 

わたしは敵のスタンドに向かって、『世界』のラッシュを放った。

なかなか硬いスタンドだが『世界』のラッシュの前には無意味なのだ。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

 

 

『世界』のラッシュを時を止めている3分間フルでくらったスタンドは身体中文字通りぐちゃぐちゃになっていていた。

 

「ふん、時は動き出す……」

 

そうすると敵スタンドはうめき声一つあげずに消滅した。

やはり、わたしの予想は間違っていなかったようだ。

 

「このDIOに勝つことこそ叶わなかったが、久しぶりに少し焦らさせる戦いだったぞ……。さて、本体も始末して完全勝利といくとしよう」

 

そう言いながらわたしは本体に向き直った。

 

「ほう、意識を取り戻していたか」

「初めてだよ。ここまで追い詰められたのは………」

 

 

あのスタンドの本体は意識を取り戻していた。

だが、関係ない。

奴のスタンドは『矢』によって、出現したものだ。

スタンドの消滅により、スタンドの両手にあった『矢』は既にわたしのものだ。

再び同じスタンドを出すことは出来んはずだ。

 

「たが、わたしは諦めない………。必ず平穏な人生を送ってみせるッ!」

「それはもう叶わない願いだ。」

 

 

 

 

「……私の名は『吉良吉影』 年齢33歳。

自宅は杜王町北東部の別荘地帯にあり結婚はしていない。仕事は『カメユーチェーン店』の会社員で 毎日遅くとも夜8時までには帰宅する。

タバコは吸わない。酒はたしなむ程度。夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている。寝る前にあたたかいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体をほぐしてから床につくと、ほとんど朝まで熟睡さ。赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝目を覚ませるんだ。健康診断でも異常なしと言われたよ」

 

「貴様、何を言っているんだ?」

 

 

「わたしが心の平穏を願ってい生きている人間だということを説明しているのだよ。君は『キラークイーン 』の新しい能力を勘違いしているのだ」

 

 

「何?」

 

 

どういうことだ。

あれで終わりではないのか……。

だが、たしかに『矢』は今わたしの手元にある。

いや、違う。『矢』は才能を引き出す道具でしかなかった。

能力を発現させるきっかけを与えるにすぎないのだ。

まずい、こんなミスをこのDIOが犯すなんて……

能力を使われる前に本体はを始末してくれるッ!

だが、わたしが時を止めようとした瞬間わたしの体が内部から爆発した。

 

「うぐおおおおああああ!?ば、馬鹿な…いったい何処から!?」

 

 

 

「わたしの新しい能力は真に平穏な生活を送るための能力なのだ。君の『世界』とかいったかね?君のスタンドのように世界を支配するための能力ではない」

 

「支配したり服従したりしない。それでいて趣味もあり、欲をかかいたりしない。そんな激しい喜びも深い喜びもない平穏な人生。それこそわたしの目標なのだよ……………」

 

 

 

この吉良吉影とやらの原動力は『平穏な人生』………。

まずい、恐らくこの本体は積極的には戦いたくないがために普段はそんなに強くないタイプだ。

『平穏な人生』には不要なことだからだ。

だが、自分の『平穏』のためならどんなことでもするという『覚悟』がこいつにはある。

しかも、こいつは恐らく元から強かったはずだ。

わたしが昔闘ったジョースターの一族に匹敵する『覚悟』と『才能』。

それに加え『平穏』への『執念』も持っている。

厄介どころの話ではない。

だが────

 

「このDIOも負けるわけにはいかんのだッ!」

 

「『キラークイーン』奴を始末しろ」

 

「遅いッ!『世界!』時よ止まれい!」

 

 

どんなに強力なスタンドだろうが、この止まった時の中を動けるのはこのDIOのみだ。

まず、私を攻撃した方法を探すのだ。

わたしは上空を見上げて絶句した。

さすがにこのDIOも驚かずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

さっき消滅したのと同じスタンド………

『キラークイーン』が10体も上空にいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シアーハートアタックact2

【破壊力―A / スピード―B / 射程距離―A /
持続力―A / 精密動作性―C / 成長性―A】

キラークイーンの左手から発射された戦車のようなスタンドであり、半自動操縦型のスタンド。
元々は完全に自動操縦型であり、大きい熱源から攻撃して爆発させるスタンドだった。
しかし、DIOがジョースター家に勝利したことにより、運命が変わりある人物同士のスタンドは共鳴するようになり、その影響で進化した。
このスタンドは進化したことにより、一度本体が見た相手はロックオンして追跡出来るようになった。
それに加え、本体は意識があるのならばどのくらいシアーハートアタックがダメージを受けているのか、どこら辺にいるのかがわかる。
弱点はロックオンしている間はロックオンしている人物以外には攻撃しないことである。
そのため2人以上を追撃する時はロックオンではなく、通常の熱源探知で、追わせなければならない。
ちなみにロックオンでなくても、シアーハートアタックの大体の状態把握は出来る。




説明が分かりにくかったらすいません。



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崩れていく運命のレクイエムその①

────この吉良吉影に運は味方してくれているはずなんだ!

 

────これがキラークイーン第3の爆弾バイツァ・ダスト!

 

 

────あいまいなのは「男じゃあない」

 

 

 

わたしの中になにかが入り込んでいる………

不思議と違和感はないが、底知れない恐怖感がある。

今のわたしは誰なんだ。この新しいキラークイーンはなんなんだ。

段々わたしが少しずつ変わっていくのを感じる。

根本的なものが変わっていっているんじゃあないんだ。

どちらかというと経験とかが違う、もう1人のわたしが入り込んでくる感じなんだ。

 

空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、広瀬康一、東方定助、猫草………なんだ?こいつらは……

 

これは……わたしの記憶?

 

違う世界のわたし………

 

 

 

触れたものを爆弾に変えられる能力、爆発性のあるシャボンを生成する能力、時を1時間だけ戻しわたしの正体を知ったものだけを爆発させる爆弾、空気を操る能力を利用した爆弾。

 

 

 

 

わたしがわたしではなくっていくんじゃあない。

 

 

 

 

 

わたしが変わっていくんだ。

 

 

 

新しい吉良吉影になるのだ。

 

 

 

だが、それは重要なことじゃあない。

 

 

 

 

わたしがわたしであるのならば、心の『平穏』は保たれる。

 

 

 

わたしの望みは『平穏な人生』……

 

 

 

 

それが保たれるのならば…………

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

スタンドは1人1体。

そのルールはいくら『矢』に選ばれようと変わらないはずだ……。

人には魂の容量というものがあるからだ。

スタンドは1人1体というルールは魂が1人一つだからだ。

それは当たり前のことであり、覆ることはない。

だが、上にいるあの大量のスタンドはなんだ。

軍隊型でない限り、あの量のスタンドは有り得ない。

魂の容量の問題は『真実』に辿り着く上で、乗り越えるべきことである。

これはこのDIOが乗り越えなければいけないことなのだ。

あの強力なスタンドを前にした時普通、絶望するだろう。

だが、このDIOは違う。

わたしは成長した吉良吉影を倒したうえで、さらに奴のスタンドの謎を解き明かし、わたしは前へ進む。

まず、奴はわたしをいきなり内部から破壊した。

爆発を起こす能力………いや、爆発によって破壊を引き起こすのが、本質だと考えていいだろう。

奴の目指すものは『平穏な人生』。

そんな人物が何故破壊を引き起こす能力を得たのだ?

それはわたしと同じ生まれ持った悪という可能性。

生まれつき人を殺さずにはいられないという性

それならば、奴は目撃者を出さず、証拠を残さないスタンド能力による爆発という能力の発現に説明がつく。

奴の強さは『平穏な人生』を送るという目標と生まれ持った『殺人癖』という矛盾から生まれたのではないか。

そこに奴の弱点があるはずなのだ。

何かを破壊した上で、わたしを爆発させているのならば。

奴に時間を与えてはならない。

時を止めていられる時間は後2分程……。

2体、いや3体はこの2分で確実に始末する。

 

「『世界!』スタンドのパワーを全開だッ!」

 

 

 

 




世界(ザ・ワールド)


【破壊力―A / スピード―A / 持続力―A / 射程―C / 精密動作性―A /成長性―B】

時を止める能力があり、DIOの「時間の束縛から自由になりたい」という願望から生まれたスタンド。
発現した当初は一瞬しか止められなかったが、この小説では既に3分12秒止めていられる。
さらに能力発動中は自身と周囲の物理法則の有無も任意になる。
近距離パワー型で、高いパワーとスピードを有している。
射程距離10メートルと近距離パワー型の中ではかなり長い。







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崩れていく運命のレクイエムその②

もしかしたら後で大幅に変えるかもしれません


「時は動き出す」

 

なんとか3体は倒せたはずだ。

時が動き出すと、10体いる『キラークイーン』のうち3体が吹っ飛び消滅した。

あと7体の攻撃を数呼吸の間に防がなければ…。

あの爆発の能力を使ってくるかと思いきや、奴はなにかを爆発させわたしに近づいてきた。

 

「ふん!」

 

わたしは近づいたきた『キラークイーン』を『世界』の拳で殴りつけ────

 

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄

無駄無駄無駄ァーーーーーッ」

 

そのままラッシュに持ち込んだ。

そして、そのままそのスタンドの腹を貫くとその『キラークイーン』は消滅した。

これであと6体。

ほかの『キラークイーン』は全て散開しており、そのうち何体かが、手を握ろうとしていた。

 

「させんぞ!『世界』時よ止れい!」

 

 

わたしは1番近くにいた『キラークイーン』に向かっていき、ラッシュを叩き込もうとした時、

 

「ッ!……このDIOの腕がァ!」

 

腕が爆発させられた。

腕は吹き飛んでこそいないが、内部から破壊されかなりのダメージだ。

罠が仕掛けられていたのだ。

よく見たらとても、小さく透明な空気の塊のようなものが仕掛けられている。

迂闊だった。

少し焦りすぎたか。

細かく仕掛けられたこの空気の塊はこの状況だととてつもなく厄介だ。

この技だけで数十秒のタイムロスを許してしまう。

わたしは近くにあった家の屋根を少しいただき、仕掛けられた空気の塊に向かって、投げ付けた。

わたしは『キラークイーン』を一体倒し、もう一体に少し近づいた所で時が動き出した。

そしてDIOのあらゆる部位が内部から爆発し、わたしは地面に倒れた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「あ、の…配置…なるほど……そういうことか…」

「声が小さすぎて、何を言っているか分からないが……その傷じゃあもう動けそうにはないな」

 

倒れているわたしに向かって、吉良吉影が話しかけてきた。

 

「フフフ…わたしは無敵になったのかもしれないな。だが油断はしない。あの川尻隼人の時みたいにならないとは限らないからね」

 

「『エンペラー!』」

 

そう言った吉良吉影に向かって、銃弾のスタンド……ホル・ホースのスタンド『皇帝』の銃弾が襲いかかった。

 

「『キラークイーン』」

 

だが、吉良吉影はホル・ホースの銃弾を『キラークイーン』の腕で弾き返した。

 

「吉影!後ろじゃあ!」

 

近くから、吉良吉影の父親の叫び声が聞こえた瞬間。

ホル・ホースの『皇帝』に対応していたその背後から、水のスタンド『アクア・ネックレス』が吉影を襲おうとした。

 

「問題ない。彼は既に始末している」

 

すると後方でスタンド使いにしか聞こえない爆発音が聞こえ、同時に吉影を攻撃しようとし『アクア・ネックレス』は爆発し消滅した。

「さて、あとはこのDIOとかいう奴を殺した後は君をいたぶってやる。精神衛生上ストレスを残すのはよくないんでね」

「…まさかこんなやつがいるなんてよ〜。正直勝てる気がしねえぜ」

 

吉良吉影は倒れているDIOに近づこうとして、向き直ったが、すでにDIOはそこにはいなかった。

 

「何処へ行ったんだ。あの傷では時を止めようが動けるはずがない」

 

吉良吉影が周りに目を向けるとそこには、肌が白くなった女性の死体が転がっていた。

 

「なんだ、これは………」

 

吉良吉影は近づき様子を見て、その女性の死に方の異常さが分かった。

 

「この死体、血が抜かれているッ!いったい何が起こっているんだ……!?」

 

その女性の死体は奇妙なことに首元に大きな傷口があるが、血はもう殆ど出てはいなかった。

 

「吉影、よく聞くんじゃ。信じられんかもしれんが奴は吸血鬼なんじゃ。奴は本当に文字通り粉々にでもしない限り、本当には死なんのじゃ。」

「吸血鬼だと…」

 

 

吉影は父の説明に一瞬驚いたような顔をしたが、少ししたら女性から手を離し、立ち上がった。

 

「わたしの『キラークイーン』なら奴を粉々に消し飛ばすことも可能だ。吸血鬼だろうとわたしの『平穏』を妨げるものは始末する」

 

 

吉影は女性の死体を爆破させながらそう言った。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ホル・ホースside

 

冗談じゃねえ!

俺は逃げるぜ。こんなの勝てるわけねえじゃねえかよ〜。

DIO様も押されているし、アンジェロの奴も殺されちまいやがった。

俺が逃げていると目の前にあの『キラークイーン』が立ちはだかった。

チクショー、このままじゃあ生き延びられそうにねえぜ。

ヤケクソになって、目の前の『キラークイーン』に銃弾を放とうとしたその時。

目の前の『キラークイーン』はいきなり、ぐちゃぐちゃになり吹き飛んだ。

そして、目の前には一人の男…DIOがいた。

 

「ホル・ホース………わたしとコンビを組まないか?」

 

 

 

沢山のスタンド使いとコンビと組んできたが、まさかDIO様とコンビを組む日が来るとは思わなかったぜ。

 

 

 

 

 




ジョセフ・ジョースターは6部の時まだ生きてるらしいです。
つまり、承太郎とか死んだ後もジョセフだけ生きている。
ジョースターの血統残ってますね。


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『真世界』(ザ・ワールド)その①

「ええと………君の名はなんて言ったかな?」

「俺の名はホル・ホース……。今からてめえを殺すものの名だ」

 

俺の役割はこいつに少し本気を出させるだけでいいらしい。

DIO様は言った。俺の精神の爆発が大事だと……。

スタンドは精神力だと言うのは分かってる。

だが、そんな簡単に精神力を高められるのなら、誰も苦労はしねえ。

だが、この状況じゃあ────

 

「やるしかねえぜ!『皇帝!』」

「無駄だよ『キラークイーン』」

 

ホル・ホースの銃弾が吉良吉影に迫っていく……。

だが、その銃弾は『キラークイーン』のスピードによって、軽く捕まれてしまった。

「なら、これならどうだ?」

 

突然吉影の周りに無数のナイフが現れ、その無数のナイフは吉影に向かって飛んでいった。

 

「無駄だと言ったじゃあないか……」

 

吉影がそう言うと一気に4体もの『キラークイーン』が現れ、4体の『キラークイーン』がナイフを全て、弾いた。

だが、ナイフを弾いている間に二つ目のホル・ホースの銃弾が吉影に向かってきた。

ホル・ホースは流石にこれは吉影にダメージが入ったと思ったが………

 

「『世界』時は止まった…………」

 

何故か吉影に銃弾が当たる前にDIOは時を止めた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ホル・ホースの精神力には本当にビックリさせられる。

成功率不確定のはずの技をこうも実戦で、成功させるとはな。

 

銃弾の同時操作………。

 

それがホル・ホースにとっての一番精神を集中させる時だとわたしは思っている。

スタンド使い特有の質の高い魂がさらに高まる時なのだ。

 

「その魂を……このDIOが有効活用してやろうではないかッ!」

 

そう言うとDIOはホル・ホースに近づき、『でその血を吸い、ホル・ホースのスタンドを『世界』で吸収したのだ。

このDIOはスタンドが二つある。

恐らく『世界』がわたしのスタンドであり、もう一つのジョセフのスタンド………『隠者の紫』に似ているスタンドは我が友ジョナサン・ジョースターのものであろう。

だが、わたしには魂の容量は一つしかない。

当然だ。ジョナサンジョースターは既に死んでいる。

ならば、何故わたしがジョナサンのスタンドを使えるのか?

それは……肉体には魂の残り香のようなものがあるからなのではないか?

死んでいる人間の肉体にも精神力の高い人間ならば、スタンドを出せるほどの魂が残るのではないか?

そして、わたしは一つの実験を思いついた。

ならば、スタンドを発現させるほどの精神力を持つ生きている人間の血を吸いさえすれば、わたしのスタンドはさらにパワーアップするのではないかと……。

 

そしてわたしは────────

 

「こんなに素晴らしい力を手に入れたぞッ!フハハハハ、感じるぞ……わたしの魂の容量が増えていくのを……このDIOのスタンドが更なる段階へと進化していくのを……感じるぞッ!そして、我が友のスタンド…『隠者の紫!』」

 

そう言うとDIOはジョナサンの『隠者の紫』と『世界』を同時にだすと──────────

 

DIOは『隠者の紫』を『世界』に吸収させた。

 

 

「わたしはジョナサンのスタンドを吸収することによって、真にこの体はわたしのものとなるッ!……

やはり、馴染むぞッ!ジョナサンのスタンドはわたしの『世界』に本当に良く馴染む………フハハハハハ フフフフ フハフハフハフハ フハハハハハハハハハハハハハハハ フハフハフハフハフハ フハフハハ…」

 

DIOは高揚した気分で笑いながら、吉良吉影の元に向かわず────

 

「時よ動き出せ」

 

時を動き出させた。

 

 

 

 

 

 

 



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