FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ (ピリの唄)
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幕前の物語
幕前の物語 エミヤ


これは幕前の物語です。

つまり立香の前回の人理修復の旅で起こったことです。
エミヤいじりが多かったと思うので格好いいところを見せたくなりました。


 

藤丸立香が初めて召喚し、共に戦い抜いたサーヴァント、エミヤ。

彼について少しだけ振り返ってみることにしよう。

 

最初の特異点、冬木で彼女が召喚したことが彼との縁の始まりであり、中々ないエミヤの無双の始まりでもあった。

 

冬木では敵性サーヴァントは泥による汚染が酷く、あのヘラクレスでさえ宝具の発動がない、つまりは一度で仕留めることが出来た(ただし、何故か存在しない筈のゴリラウーマンこと、ゴリウーは大量発生していた)。

 

「全力で方をつけよう」

 

そう言ったエミヤは遠距離からの狙撃のみで敵性サーヴァントを5人を淡々と座へと送り返した。

 

それでも敵アーチャー(宝具は使えない)に関しては別だった。

 

「すまないな、マスター。このアーチャーに関しては私一人で相手をさせて貰えないだろうか?」

 

思うところがあったのか、キャスニキは反対しなかった。そして立香も。

オルガマリーは反対していたが、マシュやDr. ロマン、ダヴィンチちゃんの説得でしぶしぶ納得した。

 

**

 

「どうやら貴様の方は知らないらしいな。だが、私はとうに答えを得ている」

 

黒くなった自分自身が目の前で倒れている。ここにいるのもまた、かつての自分自身だ。

 

「未だに目的が変わっていないのなら、正義の味方という概念から消え去りたいのなら!!」

 

かつてと違い、生きている衛宮士郎を否定する戦いではない。英霊の座から呼ばれた自分自身との戦いだった。

凛と共に戦う前の自分を、最も否定したい自分との戦いだった。

 

宝具が使えないほど汚染されていたとはいえ、自分自身であり、答えを得ていなければこのような言葉も出ていなかっただろう。

絶望から理想を否定したあのときとは違う。答えを得て、理想を再確認したからこそ

 

「ーーその絶望を抱いたまま溺死しろ」

 

莫耶を振り下ろす。

以前とは違う。だから理想を諦めた自分自身に、答えを知らない自分自身には決して負けることは出来なかった。

あの未熟者が理想を貫き通し、エミヤに勝ったのだから、エミヤもまたかつてのエミヤには負けられない。

 

「だが、安心しろ。俺は、間違えてなどいなかった」

 

消えた自分自身に対する言葉は誰の耳に入ることもなく消えていった。

 

**

 

しかしセイバー相手に慈悲はなかった。

 

マシュが宝具でセイバーオルタの宝具を防ぎ、不意討ちでキャスニキの宝具「灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)」に放り込まれ、バランスを崩したセイバーに投影した「虚・千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)」を射出する。

 

それでも、「虚・千山斬り拓く翠の地平」による攻撃を受けた上に「灼き尽くす炎の檻」で焼かれても、セイバーは立っていた。

 

しかし、限界だったのだろう。立つことは出来ていたが消えかけていたのだから。

言葉を告げて、まだ始まったばかりだと告げて消えていったセイバーオルタ。その後に出てきたレフ。

所長に対する行動の後、彼に「偽・螺旋剣(カラドボルグII)」が叩き込まれた時には、立香は思わず「ヨシッ!!」と呟いていた。

 

 




炎上汚染都市冬木、修復完了

そして感想でガチャの話だけはお止めください。
ストーリーに少しでも触れるのなら文句は言わないよ?



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番外 間違った理想

これは本編ではございません。嘘予告です。
絶対にやりません。というか書けません。
プリヤ映画見てやる気が出て、再びUBW見て感想欄で言われたことを思い出して。
勢いで書いた。

そして何よりも、ギャグじゃない。
シリアスです。
・・・・・・本編を期待された方は本当に申し訳ありません



「驚かないで聞いて欲しい、立香ちゃん。再び冬木でおかしな反応が観測された」

「また?」

 

カルデアの観測室に呼び出された立香とマシュ。

Dr. ロマンは神妙な顔をしながら頷く。

 

「ああ、しかも君たちがコフィンに入らずにレイシフトした最初の特異点と全く同じ位置、同じ時代にだ」

「ええっ!?」

 

時代が同じということが理解できない。

まだ時期は早いけど、前回の特異点の冬木の10年前が特異点になるのは解る、というか知っている。

どうせまた立香の知らないことが起こるのだろうけれども。

 

「そして今回はマシュと立香ちゃんの二人だけで行って貰いたいんだ。ここまで転移した彼らでも、同じ人が一緒にいるというのはいくら特異点でも出来ないだろうからね」

 

例え知らない特異点だったとしても本来なら全ての知識無しで挑んでいたのだ。

うん。大丈夫だ、問題ない。

・・・・・・一番良いコフィンで頼む。

 

「わかったよ、ロマン。頑張ろうマシュ!!」

「ハイ!行きましょう先輩!!」

 

そして二人だけのレイシフトが、本来なら存在しない聖杯探索が始まる。

 

**

 

「そうだ、誰かを助けたいという願いが綺麗だったから憧れた!」

 

過去に自らの参加したはずの聖杯戦争。

サーヴァントとして呼ばれたそこには、未だに借り物の理想を掲げる少年がいた。

 

「故に、自身からこぼれおちた気持ちなどない。これを偽善と言わずなんという!」

 

人の為にならなければならない。

生き残ってしまったのだから、生きられなかった人たちの分まで。

そう思い込んでいる少年がいた。

 

「この身は誰かの為にならなければならないと、強迫観念につき動かされてきた。それが苦痛だと思う事も、破綻していると気付く間もなく、ただ走り続けた!」

 

壊れた機械のように、理想のために周りの全てを捨てて走る少年がいた。

 

「だが所詮は偽物だ。そんな偽善では何も救えない。否、もとより、何を救うべきかも定まらない───!」

 

最初は周りの人たちを守りたかっただけだった。

1を救うことができたら次は10、10の次は100、100の次は・・・・・・

そうして救うために、自ら大切に思っていたはずの周りを切り捨てた。

そうして少年はその父が行っていたモノと同じ正義を体現した。

 

「見ろ!その結果がこれだ!始めから救う術を知らず、救う者を持たず、醜悪な正義の体現者がお前のなれの果てと知れ!」

 

この自分が消えれば多くの人を殺す事も無くなる。

だがこの行動はきっと悪だ。

人理を揺るがしているのだから。

目の前に過去の自分以外にもカルデアと呼ばれる人理修復機構の少女たちがいる以上、それは確実だろう。

だがそれでも

 

「───その理想は破綻している。自分より他人が大切だという考え。誰もが幸福であってほしい願いなど空想のおとぎ話だ」

 

それでもこれから理想のために大勢の人を殺すことになるくらいなら。

 

「そんな夢を抱いてしか生きられぬのであれば、抱いたまま溺死しろ」

 

**

 

絶対に否定させない。

立香の知るエミヤは既にこの事を乗り越えている。

だからカルデアでも嫌味を言っていても衛宮士郎に注意したりするのだろう。

だが、目の前で起こっていることを見過ごすことは出来ない。

人理のためだけが理由じゃない。

 

「絶対に止めるよマシュ!!」

「はい!覚悟して下さい、エミヤ先輩!!」

 

マシュに宝具の使い方を教えてくれた英霊。

前回も合わせてカルデアを助けてくれる優しき兄貴分。

 

「後悔なんてさせない!!」

「真名、偽装登録。行けます」

 

出来れば、彼の傷が癒えて欲しい。

 

「顕現せよ、『ローーード・(仮想宝具 疑似展開』」

 

それに何よりも、彼に誰も傷つけさせない!!

 

「『カルデアス(人理の礎)』!!」

 

きっと後悔なんてしないと言っていても、優しい彼はきっと傷つく。

新たな傷を造っていくだろう。

 

「さあ、昔の俺の間違いを」

「さあ、彼の後悔と自殺を」

「夢を諦めて否定する未来を」

 

「「「終わらせに行こう」」」

 

**

 

理想を成し、そして絶望した青年は

正義を、過去の自分を自らの手で否定する

Fate / Unlimited Blade Order

異種特異点

理想否定結界 冬木

 

実装予定、無し。




って感じです。
もう一度言います。これは嘘予告です。
さーて、第一特異点を進めよう。


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炎上汚染都市冬木
FGOってデータが引き継げないとどうなる?


同じ経験をした人がいることを信じて。
諦めないで!!
お互いに人理修復頑張ろう!!


「本日もお疲れ様でした、先輩」

「うん、お疲れ様マシュ」

数日前に人理を修復し終えた少女藤丸立香は元デミ・サーヴァントである少女マシュ・キリエライトとカルデアの廊下を歩きながら仲良く話す。

 

先日、亜種特異点である新宿も修復した。

モリアーティがホームズに勝つために、魔神柱が立香に復讐をするために造り出した特異点。

その特異点を修復した後のカルデアには亜種特異点で助けてくれた騎士王の正常体、アルトリアが召喚された。

 

そしてなぜか一度解決したはずの異空間と再びつながり(とあるサーヴァントたち二人によると復刻版)ぐだぐだと道具も集め終わった。

 

なので現在、立香とマシュはカルデアの廊下を仲良く歩いていた。

 

しかし、悲劇はいつも唐突に起こる。

 

***

 

食堂についた少女たちの耳におかしな言葉が聞こえてきた。

「うわー、やばっ。スマホの液晶が反応せん」

先日の(なぜか復刻版)ぐだぐだ本能寺の後にカルデアにやって来た織田信長ことのっぶがスマホをいじっていた。

「先輩、信長さんは他の英霊の人達と違ってスマートフォンを使うんですね」

「うん、そうみたいだね」

どうやら液晶が壊れているみたいだが。是非もないヨネ。

「仕方ないが修理に出すか」

そういった信長はダ・ヴィンチちゃんのところへと向かって行った。

 

「修理に出すとデータが消えるんでしたよね」

「うん、私も苦労したなー」

そう言葉を返す立香は苦労して進めたソシャゲのデータを引き継ぐことができずにうちひしがれた記憶を思いだし苦笑する。

 

そしていきなり立香の視界は暗転する。

「!?先輩!?」

大切な後輩の自分のことを心配する声を聞きながら。

 

***

 

カルデアに初めて到着し、訓練を受けた少女は廊下で眠りに落ちていた。

見覚えのある初対面の少女に起こされたときに少し違和感を感じた。

すぐ後にやって来た顧問には初対面のはずなのに嫌悪感と怒りが沸き上がってきたことに疑問を覚えた。

説明をしている所長が生きていることが当たり前のことなのに嬉しかった。

謹慎するように言われた部屋でサボっていたゆるふわ系?青年(どうやらコミュ力低め)を見て会えたことに何故か涙がでてきた(哀れみではなく嬉しかったからだ)。

そんな風に話しているとコフィンのある管制室から火災が起きた。

よく知るはずのないカルデアの廊下を管制室に向かって走る。

かつて見た始まりの場所。

燃え盛る管制室の中、あの時と同じように立香はマシュの手を握っていた。

そしてないはずの記憶と今までの記憶が混乱するまま二度目の/初めてのコフィン無しでの特異点F冬木へのレイシフトが始まった。

 




女性にしたのは一人称が分かりやすかったからです。
初の三人称をやってみたかったというのもあります。


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物欲センサーが働くとどうなる?

こうなる


Dr. ロマンから指定されたポイントまでもう少しというところで立香とマシュは女性の悲鳴を聞いた。

 

急いでマシュと立香がその場に駆けつけた時、そこには怪物に襲われかけている(胡散臭く、何故か信用できない顧問の名前を泣きながら呼び続けている)所長がいた。

 

所長の指示に従って霊脈にマシュのシールドを置き、召喚サークルを設置する。

 

Dr.ロマンが驚きながらオルガマリーと話す間、立香は流れ混んできた経験したことのある知らない記憶に頭を押さえていた。

 

そして理由がわからないが理解できたことがある。

今の自分が二度目の人理修復中だということ。

今なら以前よりも知っていることが多いということ。

しかし、魔力がとても少なくなっていること。

終局特異点、冠位時間神殿ソロモンをも修正した時の立香は全開なら強力な英霊達(霊基最終再臨済)、六人の宝具を数回解放することができた。でも現在では強力な英霊とマシュの二人とパスを繋ぐだけで精一杯だ。

カルデアのバックアップで繋ぎ止めることは出来るが低い霊基のまま戦ってもらうことになるだろう。

 

それでも呼ぼう。

 

「さあ、やりなさい藤丸。ミスは許さないわ」

「はい。素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

立香はオルガマリーに教わりながら言葉を紡ぐ。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。(みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する」

 

願わくば以前と同じ英霊を。

 

「―――――Anfang」

「――――告げる」

 

生前、聖杯戦争にマスターとして参加した英霊を。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

お人好しで女難の相持ちの皮肉やな弓兵を。

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者」

 

正義の味方を目指した錬鉄の英霊を。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

来て!!アーチャー、エミヤ!!

 

心から願いながら呪文を唱える。

 

三つの円が循環する。セイントグラフが模様を示す。

自分と英霊のパスが繋がったことを経験から理解した。

 

そして光が収まった場所には

 

「あら、貴方が新しいマネージャー?よろしく。大切に育ててね?」

 

何度も出てきて恥ずかしくないんですか?

そんな言葉が口をついて出そうになるのを無理やり飲み込んで別の言葉を呟き、項垂れる。

 

「人理、直せない」

「あ、諦めないでください先輩!!」

 

慰めてくれる後輩の声が今は一番の安らぎだった。

 




我がカルデアを見よ!
嘆きと努力の声を聞け!
しかして慰め、褒めよ"よくここまで頑張った"と!!
"来たぞ謳う華の皇帝"!!

茶々の霊基再臨素材は全部揃えました。
宝具レベルもおそらくMAX
あとはピース集めだ。


ちなみに今回の話はうちのカルデアで起こったことです。
初回にエミヤさんが来ていました。
データが消えたらエリザベート。悪くはないけど現実だったらこうなると思う。
ハロウィンのトラウマだし。


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現実で宝具が解放されるとどうなる?

多分こうなる。
きっとこうなる。


「サーヴァント界最大のヒットナンバーを、聴かせてあげる!」

 

槍を地面に突き立て、エリザベートは構え、立香は両手で耳を全力で塞ぐ。

そしてマシュたちに耳を塞ぐように言う前に

 

「『鮮血魔嬢=バートリ・エルジェーベト=』!!」

 

エリザベートの宝具が冬木の街の聖なる場所である教会で解放される。

初めて宝具の解放を見たマシュやオルガマリーと違い、記憶を取り戻した立香はこの宝具のことも知っていた。

監禁城チェイテを改造してとんでもないサイズのアンプとして召喚する。

そして槍をマイクに見立てて熱唱するのだ。

その容姿と同じように綺麗な歌声が霊基に響く。

 

・・・・・・物理的に。

 

「ブタども~!ありがと~っ!!」

 

ただし、エリザベート本人は周りにダメージを与えていることに気付いていない。

何せ、ハロウィンでもキャスターとなったうえでバージョンアップさせたチェイテ城で歌っていたからだ。

誰かこの娘の暴走を止めて。

 

その歌をネロ皇帝だけは誉めていたけれど、その他のサーヴァントたちはエミヤやクロエに耳栓の投影を依頼していたことをエリザベートたちは知らない。

そもそも、以前の人理修復で初めてエリザベートと出会った時にエミヤに

 

「マスター、彼女が宝具を使うときに使いたまえ。死にたくなければな」

 

と言って渡して貰ったのが投影された耳栓だったために、味方の被害はほとんどなかった(マシュや味方になってくれたはぐれサーヴァントたち全員に配っていたらしい)。外から観測していたDr. ロマンも一時的に通信を切ることにより無事だった。

 

だけど今回は耳を塞ぐことができたのは立香のみ。

・・・・・・残念ながらそれでも走馬灯を見ているのかもしれないが。

そしてアンプ化チェイテ城の後ろに居たが距離が近かったマシュもデミ・サーヴァントになったとはいえ、耳を塞ぐことが出来ず目を回している。

所長に至っては倒れている。反応が全くない。

カルデアとの通信も取れなくなっている。

 

「見てみなさい、子ジカ。私のライブが聞こえたからかしら。観客がどんどん集まって来るわ!!」

 

音に対して集まって来たのだと声を大にして言いたい。しかもサーヴァントや人ではなく知恵の無い怪物だと言いたい。

 

「アンコールにお答えしないとアイドルとは言えないわよね!?」

 

誰もアンコールなどしていない。

しかしエリザベートの宝具は今の立香にとっては魔力消費が多いために疲労状態で何も言うことができない。

誰も彼女を止めることは出来ない。

無言を肯定と受け取ったのか

 

「アンコールいくわよ!聞き惚れなさい!!」

 

エリザベートの地獄のステージin冬木教会はまだまだ続く。

敵性サーヴァントが近寄ってくることもなく、怪物たちを相手に立香の魔力を消費して自己満足のコンサートは終わらない。観客である怪物が寄ってくる限り終わらない。

立香の意識は真っ暗になった。

 

そしてそこそこ遠くの場所から立香たちに同情の目線を送るフードを被っている男は、耳を塞ぎながら呟いた。

 

「さて、どうすっかねー」

 

彼は彼女のライブが終わるまで近づいて来ることはなかった。

 




さあ、特異点攻略を続けよう(復讐者風)。

結論、冬木だけでも攻略します。
冬木以外の特異点は余裕があればで。


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ガチャにはまるとどうなる?

こうなった

特異点の話をしよう(花の魔術師風)


前回の最初の特異点、汚染都市冬木で一番苦労したのはもしかしたらオルガマリーからの説教だったかもしれない。

エミヤが来てくれたことは本当に幸運だったのかもしれない。

立香がそう思ったのは目の前の光景があったからだ。

 

「ダメ・・・・・・絶対回してはダメ・・・・・・・・・。でも私、今回はすごくがんばったじゃない?そうよ、これは自分へのごほうびなのよ。コレだけ・・・・・・コレが最後よ。大丈夫、私はちゃんと自分を制御できているわ」

 

「せ、先輩。これは・・・・・・」

「ガチャ中毒の底無し沼にハマりかけてるね」

 

経験のある立香は苦笑いのまま前回のカルデアを思い出していた。

 

**

 

それは以前の冬木の攻略を終えた時の話だ。

呼符を使ってフェイトシステムを稼働する。

それをレアサーヴァントと呼ばれるものが来るまで稼働させようとしていたのだ。

その立香の後ろには心配そうな顔のマシュと苦笑いを浮かべているエミヤがいた。

残念ながら強力なサーヴァントは呼符と聖晶石を使っても来なかった。

そして

「先輩、そろそろやめにしましょう。聖晶石も無くなりそうですし」

「・・・・・・ねえ、エミヤ。聖晶石の投影ってできる?」

「やめるんだ、マスター!!君まであの赤い悪魔と同じ道を辿るつもりか!?」

「でも次は良いのが来ると思うんだ!」

「ダメなギャンブラーになってますよ先輩!」

「ええい、仕方ない。マシュ、止めるのを手伝いたまえ!!」

 

もちろん止められたのは言うまでもない。

 

**

 

「藤丸、マスターである貴女が止めなさい。あれは大切な資源なの。そして宝具を私の指示以外で使わせないこと。これは絶対の命令よ」

 

立香の意識はオルガマリーの言葉で現実へと戻ってきた。

 

先ほどエリザベートが宝具を使い、スケルトンたちを一掃した後には、何故か聖晶石が数個ほど落ちていた。

3個以上、落ちていた。

そこから混沌としたものが始まった。

 

聖晶石がどういうものか、恐らくは知っていたのだろうエリザベートが歌った後に拾ったことがそもそもの発端だった。

わざわざ召喚サークルの場所まで戻り、エリザベートの幸運Bにあやかろうと思ったのだ。

だが残念ながら引いたのは概念礼装。サーヴァントではなかった。

しかし、聖晶石は残っていた。それはエリザベートが歌い、スケルトンを大量に倒した為だった。

 

「決めたわ。来なさい!!」

「止めて!マシュ!!」

「はい、マシュ・キリエライト。行きます!」

 

マシュのシールドが聖晶石を使おうとしていたエリザベートの背中に叩きつけられる。

 

「ちょっと、痛いじゃない!!」

 

怒るエリザベートをなんとかなだめる。

 

「あー、そろそろ話を始めてもいいか?」

「ごめんなさい、キャスター。もう少しだけ待ってて!」

 

目立ったからと移動をした立香たちと合流した現地のサーヴァント、キャスター"クー・フーリン"。

彼を交えてのこの特異点に関する話し合いは未だに始まる気配はない。




「ようこそ!ダ・ヴィンチちゃんのあとがきラボへ。どうしたんだい?」
「聖晶石について、だね?」
「特異点っていうのは通常よりも魔力が濃くなっているからね。それに魔物などを倒すことにより、その場所に集まる魔力さ更に濃くなっていく」
「つまりは聖晶石というのは天然の魔力の結晶しかも純度の高いものという訳だ。わかったかな?」

あくまでもこれは作者の考えです。
本当はどうかわかりません。


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ゲームとアニメでの違いはどうなる?

こうなる、のかな?

書いた理由は簡単。
"唐突に閃いた!!"


 

立香はわかっていた。

この特異点の修復に必要なことが何か。

この特異点で倒さねばならない敵がどういうものなのか。

たが同時にわかってはいなかった。

持っている記憶とこの特異点は似ているけれども別のものなのだと。

 

その事に立香が気付いたのはメドゥーサが襲ってきた時だった。

ライダーとしてではなく、ランサーとして。

 

立香の記憶の中では冬木の聖杯戦争に参加していたのはセイバーのアルトリアオルタ、アーチャーのエミヤ、ランサーの弁慶、ライダーのメドゥーサ、アサシン呪腕のハサン先生、バーサーカーヘラクレス、そしてキャスターのクー・フーリン。

だが、メドゥーサは立香が第七特異点で出会ったメドゥーサの一側面であるアナと同じように、不死殺しの槍ハルペーを構えて襲ってきた。

 

**

 

当時の冬木のサーヴァントは聖杯の泥に呑まれ、しっかりとした意識があり、会話が出来たのはエミヤとオルタだけだった。しかも幸運なことに会話が出来た敵側エミヤも宝具を使うことも出来なかったようだった。

そんな状態だったからこちらのエミヤが

「なに、別に私一人で倒してしまっても構わんのだろう?」

そんな言葉と共に遠距離からメドゥーサ、弁慶、ハサンの順に撃ち抜いていた。

その後、何より泥に呑まれていた自分自身(弓矢は使わないで干将、莫耶で切りあっていた。本当にアーチャー同士の対決なのか)を相手に

「所詮は偽物だ。そんな偽善では何も救えない。だから見せてやろう!貴様が挑むのは無限の剣。剣戟の極地!恐れずしてかかってこい!」

ノリノリで余裕たっぷりに告げた言葉を後ろに立香とマシュ、オルガマリーはキャスニキと共に大聖杯のもとへと向かった。

結果としてマシュや立香が戦ったのは、怪物、そしてエミヤに教わりながらのキャスニキとの訓練的な戦闘とオルタとの戦闘。

サーヴァントと戦ったのは一、二回(しかもそのうち一回は訓練的な本当の戦闘ではなかった)で本当に数えるほどだった。

 

**

 

それでは現在は?

メドゥーサは第一特異点で凶化が付与されたサーヴァントのように意志を持っていた。宝具を使おうともしていた。

それでもマシュがメドゥーサの槍を防ぎ、エリザベートが近くから攻撃、キャスニキがルーン魔術による援護。

 

指示をした立香もちょっと引くくらいに一方的な戦いが起こっていた。

 

メドゥーサの槍はことごとくをマシュの盾に防がれる。

防がれたために出来た隙にエリザベートが槍を突く。

その槍を防ぐためにバランスを崩したところに火のルーン魔術が叩き込まれる。

 

攻撃はカルデア側に届かず、反撃はランサーの対魔力を超えて突き刺さる。

以前の最初の特異点よりも難易度は上がっているはずなのだが、立香は言葉が出てこなかった。

 

今回は攻撃を防いでいる分だけ以前よりも危険になっているだろう。記憶と変わっているのだろう。それでも今の光景を見ているとこの特異点で負ける気はしなかった。

 




CCCコラボ来た!
でも最終特異点クリアしないと参加できない。
おい、再び開始した人はどうすれば良いのだ!?
今はまだ第四特異点最中なのよ!?

残る特異点は4もあわせて5、6、7そして最終特異点。
後五つです、残る短縮中の日数は三、四日?

間に合わないいいい!!!!


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ある記憶が引き継がれるとどうなる?

こうなるのです。

そしてエミヤ、ごめんなさい。


 

ランサーメドゥーサを倒し、一息をつこうとしたときに、幾つもの特異点を修復した記憶のある立香の背中に寒いものが走った。

それに立香が気付いたのはその英霊と長い時間過ごした経験があったからだった。そしてキャスターで召喚されているがクー・フーリンにとってもランサーとして幾度となく戦った縁のある相手だった。

 

「マシュ!構えて!!」

「チッ!!あの野郎、やっぱり狙ってやがったか!」

 

立香の声に反応できたのはキャスターのみ。

キャスニキが選択したのは魔術での迎撃ではなく、人間である立香とオルガマリーを抱えてその場から移動することだった。

立っていた場所に捻れた矢が突き刺さる直前、立香はなんとなく見上げたマンションに立っていた黒い服の弓兵と目が合った気がした。

 

***

 

「あの矢、お、覚えがあるわ」

 

一度その場を離れた後に、エリザベートは立香たちに向けてそう言った。

立香は驚いていたが納得もしていた。

彼女と特異点で会った時には他の特異点で会ったことを覚えていたことがあったから。・・・・・・それほど多く特異点で会ったことがあるということだが。何度も出てきて恥ずかしくないのだろうか。

 

相手のアーチャーがどういうサーヴァントか知っているが一応尋ねる。

オルガマリーが。

 

「相手のアーチャーに覚えがあるのね?」

「ええ、変態よ」

 

立香の頭ではエミヤ=変態は結び付かなかった。黒ひげならすぐに結び付くのだが。

 

「・・・・・・変態?」

「ええ、そうよ。マッチョの変態よ」

 

確かにムキムキではある。

だが、立香の記憶の中にあるエミヤは心優しいお人好しだ。料理人だ。嫌味を交えることはあってもどうしても変態とは結び付かない。

キャスニキは腹を抱えて笑っている。

それでも立香にとっては笑い事ではない。何せ、全ての特異点をマシュとエミヤ(他にもサーヴァントは大勢いたが)攻略してきたのだから。

 

「先輩、私のもとになったサーヴァントは決して変態とは程遠いです!!」

「うん、マシュ。大丈夫、わかってる」

「はい!王妃を寝とるようなろくでなし騎士とは違うんです!!」

「うん、わかって・・・あれ、マシュ?」

 

もしかしたら霊基から記憶が流れ込んでいるのかも知れない。

わからないことはエミヤとエリザベートの関係だけではなくなった。

立香とマシュのやり取りをスルーしながら

 

「ええっと、何かあったの?」

 

だが、オルガマリー所長ですら聞くことに迷っていた。

サーヴァントとは英霊で、変態が成れるようなものではないと思うのだから。

男色の英雄や両方イケル英雄がいることは否定できないし、女性にとっては貞操の危機になるような英雄もいることも否定はしにくいのだから。

 

「子ブタと一緒にいたいけなアイドルを捕まえて、突然指を突きつけて処女認定して来たのよ! 恐いわ! 助けてお父様ーーー!!」

 

一種のトラウマなのか途中で父親(ヴラド)に助けを求めて叫ぶエリザベート。

立香は思わず呟いていた。

 

「エミヤ、ギルティ」

 

エミヤは比較的近代どころか、今この時代に生きている可能性すらある英霊である。なので立香と男女の差はあれど価値観は近いだろう。

だからこそギルティ。エミヤ、君は女難の相じゃない。女性に対してのデリカシーがないからそうなっているんだ。

状況を知らないから正確にはアウトではないのかも・・・・・・いや、アウトだ。

どう考えても指を突き付けて処女認定を男がやっていいものじゃない。

子ブタがどなたかはわからないけれども。

 

「徹底的に倒そう。女の敵だ」

 

立香にとってエミヤは今までは頼れる兄貴分だったのが、一発殴らないと許せないサーヴァントへと変化していた。




エミヤは好きです。決してアンチではありません。

それにしてもCCCのイベントが遂に始まりますなー

私?砂漠を抜けて今ガウェイン卿が正門で宝具をこちらに向けて振り回していますよ?

間に合わなかったさ!!!なんとなくはそんな気がしてたけどさ!?

スタミナがオーバーしてても林檎で回転しても勝てなかったら意味がないのですよ

時間を下さい!!!


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彼の記憶と彼女の記憶はどうなっている?

こうなっている


エミヤはエリちゃんのトラウマレベルの変態行為をしていたらしい。だが、もう一人別にとんでもない変態がいたらしいけれど聞きたくはなかった。

立香の中の英霊像を壊したくはなかった(黒ひげでなかったことだけは確認済み)。

 

だが、エミヤ、変態行為の二つの言葉で何故か立香の記憶の中にある何かが引っ掛かっていた。

変態行動ではないが、エミヤの行動がおかしかった時があったのだ。

 

**

それは第6特異点、アトラス院でのことだった。

襲ってくる防御機構からシャーロックを守りながら進んでいる時に、ふと見てみれば

 

「アトラス院、願い、召喚、聖杯戦争・・・・・・何故だか頭が痛いな」

 

ズボンがあることを確認するように触りながら後衛として一番後ろを歩いていたエミヤが呟いていた。

 

「エミヤ?どうしたの?」

「む、マスターか。なんでも・・・・・・いや、少しだけ尋ねてもいいか?」

「いいよ。なに?」

 

普段のエミヤの行動と違い、おかしな様子だった為に話し掛けた立香に逆に質問が返ってきた。

 

「君は聖杯に何を願うんだ?」

「未来、かな?」

「・・・そうか。良かった」

 

何故だかとても安心した顔を、穏やかな笑顔をしていた。

だから立香はとても不安になっていた。満足して消えていきそうな感じがしたのだ。

 

「ろくでもない願いでなくて安心したよ。私が知っている最もひどい願いがアトラス院に関係していてね。少しだけ不安になったんだ」

「そのろくでもない願いってどんなのか聞いてもいい?」

「・・・・・・聞かないでくれ」

 

エミヤの記憶の中で眼鏡で褐色肌の履いてない女性がとんでもない言葉を言っていた。とんでもない行動をやっていた。

ステータス欄の中で装備欄の下半身部分を強制的に削除し、投影すら発動しないようにした彼女の満足そうな顔に恐怖が沸いてくる。

その後赤い悪魔に召喚されたときにまで影響を残していた時には涙声になっていた。そこから先は思い出したくない。

本当に思い出したくもない。

 

「君のような人がマスターで良かった」

「本当にいきなりどうしたの!?」

「改めてそう思っただけだ」

 

意味がわからず、混乱していた立香だった。

 

**

それはさておいて。

 

「ねえマシュ。宝具を使える?」

 

立香はマシュに尋ねる。先ほどマシュは真名を知っているのではないかと思うようなセリフを言っていた。

 

「その、すみません。使い方がわからなくて・・・・・・」

「ううん、こっちこそごめんね?マシュらしくない言葉を言っていたから気になって」

 

ランスロットに対するマシュの扱いは普段からあんな感じではあるけれども。

 

「いえ、何故か言わなければならないと私の中の英霊が言っていたので」

「そ、そっか・・・・・・」

 

ギャラハッド、そんなに一緒にされるのが嫌だったのか。確かにあの流れで一緒にされるのは嫌だろうけれども。

 

「あの、先輩!私は宝具を使えなくてもしっかり戦えます!」

「うん、頼りにしてる」

 

本当に心から頼りにしている。それでもマシュ一人だけを戦わせるつもりは立香にはない。

あの最後の特異点。ソロモン、Dr.ロマンとマシュの二人が犠牲になったあの時と同じ思いをもう二度としたくない。

 

「一番の実力を持っていながら寝とり、崩壊させる原因を作った穀潰しとは違いますから!!」

「う、うん」

 

立香の内心に気付くことなくやる気に満ち溢れているマシュ。

実はこの娘、わかってやっているのではないだろうか。

いや、以前よりもポジティブな方に意識が向かっているから良いのだが。

 

「ん?嬢ちゃん、宝具が使えないって?そりゃおかしいな」

 

そう、サーヴァントとして戦えるなら宝具が使えるだろうというのがキャスニキの言っていることだった。

 

「あー、なんつうかな。魔力が詰まってるんじゃねえか?がむしゃらというか、弾けるというか。要するに大きな声を出す練習をしてないってやつだ」

「そうよ、歌えばいいんじゃない?私と一緒にやってみましょ!」

「エリちゃん待って!!」

 

咄嗟にストップをかける立香。

ちなみにキャスニキは口元がひきつった後に逃げ出そうとしていた。

無責任だった。

 

 




現在再び正門に到着。

本当に間に合うかなぁ?
聞いてる感じはガチイベで難易度高いらしいし


助けて!!!
そして来ないパッションリップとメルトリリス
狐セイバーが来ました
喜んでるけど喜べない


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記憶があれば行動はどうなる?

こうなれ!


I am the bone of my sword.

───体は剣で出来ている

 

**

 

宝具に関するレクチャーを終えて、立香達は石の階段を登っていた。

 

「挟み撃ちされないように倒しておきましょう」

「相手はあのアーチャーだし、そういうのは得意だろうなぁ」

 

オルガマリーの言葉に同意するキャスニキ。

 

「マシュもエリちゃんも気を引き締めよう」

「はい!いつでも行けます」

「任せておきなさい、子ジカ!最高のビートを奏でてあげる!!」

「・・・・・・ごめん、エリちゃん。ほどほどでお願い」

 

さすがに歌は勘弁である。

それに立香には気になっていることがあった。

怪物達が襲ってくることはあっても、アーチャーが攻撃してきたのはランサーの後の一度だけ。それに捻れた矢が爆発しなかったのだ。

 

「もしかして・・・・・・覚えているの?エミヤ」

 

小さく呟く立香の目の前には柳洞寺の門が建っていた。

 

**

 

大聖杯の眠る土地、円蔵山。その頂上に位置する柳洞寺にアーチャーは立っていた。

ここにやってくるカルデアのマスターに会うために。

 

このアーチャーには記憶があった。

カルデアに召喚され、最後で最高のマスターと共に人理修復という綺麗な理想を叶えた記憶が。

しかし一体何があったのか。

 

この身が改めて召喚されたのは縁深き冬木の"赤いあくま"のもとだった。

そして夜に学校で戦闘になった相手はランサーだった。しかしケルトの青い英霊ではなく、黒いフードを被った女性だった。

 

メドゥーサがライダーではなく、ランサーとして召喚されていたことを確認し、エミヤはここが特異点であることを認識し、行動をしていた。

 

この世界のマスターが死なないように気絶させてから土に埋め、未熟者もセイバーを取り戻すとうるさいので気絶させてから地下室に閉じ込めた。

ホムンクルスの姉は弟を守ると言ってエミヤに協力して未熟者のことを見張っている。

偽物の聖杯である少女は気絶した少年を看病しているだろう。

冬木の虎や寺の息子、弓道部部長等、助ける事のできる者を助けた。

ワカメは残念ながら石になっていたが、「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」を突き刺したから恐らくは助かるだろう。愉悦麻婆神父は知らん。

でも何処かで生きている気がする。

 

特異点の死者は蘇らない。だが、この特異点は恐らく別物だ。平行世界として扱われる事になるだろう。

この年の冬木の平行世界は多く存在するからだ。

それでも助けた。自己満足でしかなくても。

 

だが、ここから先は別物だ。この特異点が修復されるまで人は死に続けるだろう。

しかしエミヤ一人で修復することは出来ない。大聖杯やセイバー、他のサーヴァントが許さない。

 

だからカルデアのマスターを待った。

修復出来るだろうマスターを待った。

 

(彼女の事だ。きっとここに来るだろう。大聖杯に直接向かうのではなく、私と話すために)

 

下の街が燃えて明るく、星は見えない。それでも月を見上げながら時を待つ。

人の気配が柳洞寺の中に入って来てからそちらを向きながら言葉を告げる。

 

「やはり来てくれると思っていたよ、カルデアのマスター・・・・・・?」

 

そこには

 

「色々言いたいことはあるけれど!!」

 

エミヤに向けて左手を向ける泥々の少女と

 

「きっちり説明してもらうわよ!アーチャー!!」

 

中身のない空っぽの剣を投影して構える未熟者の少年がいた。




最後の二人は誰ナンダー

なんちゃって。


人理再修復記念!!
そしてCCC参加記念!!
ガチ過ぎてリンゴ消費が早い。石がガチャで砕けず戦闘で砕く事になってます

砕くか(石を) 潰すか(時間を) 面白い(やけくそ)
槍トリアオルタの言葉がこう聞こえてきたら末期?


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幸運E、女難の相持ちが二人以上いたらどうなる?

そりゃ修羅場る


 

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で 心は硝子

 

**

 

気がつけば立香は走り出していた。

寺の中にはあの皮肉屋な正義の味方がいるのだから。共に戦ったサーヴァントがそこにいるかもしれなかったのだから。

そして寺の中に駆け込み

 

「エミヤ!!」

「ええい、こんなときに女難の相だと!?」

 

叫ぶことで修羅場というものへと突入した。

エミヤは立香を視界に入れる前に来ていることに気付いていたが寺の中に無警戒に入ることはないだろうと思っていた。

マシュやエリちゃん、キャスターは警戒をして止めようとしたのだが、不意を突かれたことで止めることが出来なかったのだ。本来なら最速の英霊の一人であるクー・フーリンがいるためギリギリで止めることも出来ただろう。

だが、そのような常識を飛び越えるのが人類最後のマスターだ。

このような見た目の立香だが、第3特異点では女神(小さく可愛らしい少女)を抱えてバーサーカー、ヘラクレスから(他のサーヴァントが妨害していたとはいえ)逃げ切った健脚をもつ少女である。毎日走って鍛えていた訳でもないのに。

つまり今の状況でも走れば捕まえられる者はほとんど存在しない。

不意を突かれて、スタートが遅れた上に予想以上の速さで階段を駆け上がる立香をランサーでなかったクー・フーリンは止めることは出来なかったのだ。

 

結果、立香が叫びエミヤが精神的に追い込まれることになった。幸運Eで女難の相持ちは伊達ではない。

 

閑話休題。

 

立香の知っている本来の特異点Fでは生存者はいないはずだった。ならばあそこでエミヤに向けて剣を突きつけている青年(エミヤの肌を白くし、髪の毛を赤茶に染めて身長を縮めたような見た目)はサーヴァントだろうか?そして何故この特異点にイシュタルがいるのだろうか。

立香は疑問に思っているが先に寺にいたイシュタル?とエミヤリリィ?にとっては別の問題が発生した状況だ。

 

アーチャーに今の状況について問い詰めていたら、衛宮士郎にとって何故か他人のような気がしない見た目の少女(同い年か少し年上に見える)がアーチャーの真名を叫びながら寺に駆け込んできたからだ。

 

「・・・・・・ねえ、衛宮くん」

「ハ、ハイ!何でしょうか遠坂!?」

「あなた、あの娘と知り合い?」

「いや、全く知らないです。ハイ」

 

衛宮士郎の記憶にはない。

髪の毛の色は自分と一緒の赤茶で血縁関係があるのかもしれないが、既に■■士郎は十年前の火災で死んでいる。

今この場にいる衛宮士郎の知り合いではない。

 

「そう、ならいいわ。つまり、アーチャー?」

 

真正面から見ている訳でもないのにイシュタル様?の笑顔は立香にとてつもない恐怖を与えた。怒ってる。とても怒ってる。

服は現代風だがあの見た目と声は間違いない。イシュタルだ。

でも違う気がしてきた。

遠坂?クリスマスにサンタオルタと一緒に配っていた概念礼装の中にあったような・・・・・・

優雅にしてるけど後ろからグサッてされる感じのおじ様?

立香の記憶にはMr.優雅が現れていた。

そんな立香を置き去りにしてエミヤと遠坂さんの話は続く。

 

「ねえアーチャー?あなた、最初に召喚されたときに何て言ったか覚えてる?」

「さて、一体どの言葉を指しているのかわからない以上、覚えているとは言えないな」

「わたしがあんたの真名を聞いたときに、召喚の仕方が悪いから覚えてないって言ってたのよ」

「ああ、言っていたな。事実だが、それがどうした?」

 

あ、エミヤが地雷を踏んだ。

遠坂さんとエミヤの関係がわからない立香にもその事が理解できた。

そもそも遠坂さんの味方のはずの衛宮君?も顔が青ざめてその場から離れたがっていた(正義感からか遠坂さんを守るために離れようとはしなかったけど)。

 

「へぇ、そういう態度をとるんだ・・・。ならこっちも加減はしないわ!色々と知ってそうなのも来たわけだし改めて、あの娘があんたの真名を知っている理由もあわせて洗いざらい全部喋ってもらいましょうか!!」

 

あかいあくまが立香を指差してからエミヤを指差す。

ここに修羅場が開始された。

キャスターやエリちゃんは霊体になって姿を消し、マシュやオルガマリーは助けを求める立香の視線に気付かないふりをした。

 

「マシュ、助けて」

「すみません先輩。私にはこういった時の経験がなく、どう行動すれば良いのかわかりません」

「わたしだってわからないよ!!」

 

言葉で直接自分のサーヴァントに助けを求める立香。それを断るマシュ。

 

「もしもあなたが逃げたらあの娘の延髄に魔力を込めた拳を叩き込むから」

「「なんでさ!?」」

 

立香と少年の声が被る。

そして少年の叫びを聞いた立香は確信する。

あそこの少年はエミヤリリィだ。

オルタが出てきたし因縁が深いランサーアニキの若い頃もいたのなら出てきてもおかしくない。

だから立香は驚くことはない。

イシュタルは理不尽な女神だ。

その依代になるだろう少女だと考えればこの理不尽もそう驚くことはない。

 

だが、エミヤを睨むことは仕方のないことではないだろうか。

理不尽な暴力を受けそうなのだから。しかも具体的な場所まで言う辺り、狙える実力も持っていそうだった。

 

この世界でのマスターと、一度共に人理を救ったマスターの二人に睨まれるアーチャー。

 

その視線に対して心が折れることはなかった。

ガラスであっても折れることはなかった。

・・・・・・逃げたくはなったが。

 





エミヤ、衛宮士郎、恐らくはぐだ子も女難の相持ちですよね?
後、アニメUBWのバーサーカーを見て思いました。
あれから妨害とかがあったとはいえ逃げきったぐだ子、もしくはぐだ男って凄くないですか?
セイバーVSバーサーカーを見てください。
気持ちがわかって貰えると思いたい。


今回の報告ー
エロ尼強すぎ。勝てぬ


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裏で動いているものをどうする?

いや、どうしよう。


I have created over a thousand blades.

幾たびの戦場を越えて不敗

 

**

 

 

地下室に元マスターと未熟者を閉じ込めたアーチャーにその少女は話し掛けた。

 

「わたしがシロウのことを見ておいてあげるわよ?」

「イリヤスフィールか。何故かね?」

「アーチャー、私はシロウのお姉ちゃんよ?なら、弟を守らなくっちゃ」

 

アーチャーに向けて笑顔で告げるイリヤスフィール。

そこにはアーチャーの事を気遣う色が見えていた。

 

「イリヤスフィール、君は・・・・・・」

「リンとパスを切ったなら急いだ方がいいと思うわよ。リンもシロウも目が覚めたら動くから。抑えてはおくけど」

 

アーチャーが言葉を言う前にイリヤは部屋へと戻っていった。

その言葉と態度を信じ、特異点の原因を調べる為に移動する。

パスを切ったが魔力の問題はない。パスを切ったのは彼女達を巻き込まないようにするため。

修復のために来るカルデアと聖杯戦争のマスターは立場が違う。

余計な争いを産まないようにするべきだろう。

単独行動スキルに加え、街が燃えて特異点になった時点でこの世界に魔力が満ちているため行動することに何の問題もない。

パスも切れてマスター側から場所がばれることもない。

アーチャーは双剣を投影してその場から離れていった。

 

**

 

突然燃えた街に消えていった人々。生きているかどうかもわからない。

何人かは黒く染まったランサーに石にされていた。

それでも誰かを殺すことなく助けることの出来た人がいる。

 

「調べるならまずはセイバーか」

 

街が燃えた後に最初に聖杯戦争を再開した彼女は何かを知っていた。

それこそ"聖杯探索(グランドオーダー)"という言葉を使うほど核心に近い場所にいたのだろう。

 

「キャスターは何も知らなかったな。ええい、役に立たん」

 

キャスターの事を愚痴り、ふとこの世界に異物が入った感覚を覚える。

レイシフトをしたときの感覚と守護者を経験していたからこそアーチャーは気付くことが出来た。

他のサーヴァントなら余程の直感があるか、千里眼を持っていない限り気付くことはないだろう。

 

「来たのか、カルデアのマスター」

 

その声は懐かしさと期待に満ちていた。

 

***

 

「安心しなさい、サクラ。リンもシロウも戻って来るわ」

「イリヤさん・・・・・・」

 

衛宮士郎と遠坂凛がいなくなった部屋で白と黒の聖杯少女達は話す。

 

「でも先輩はセイバーさんのことを・・・・・・」

「リンが一緒だから大丈夫よ。アーチャーを連れ戻したら絶対にここに戻って来るわ。シロウも引っ張ってね」

 

確信を持ってそう言う少女。

 

「リンだってわかっている筈だもの。アーチャーを連れ戻しても戦力は足りてないって」

「でも、セイバーさんが!」

「セイバーは大聖杯から動かない。だから戻って来るのよ」

 

サクラは脳内でセイバーが大聖杯から送られる魔力を使って聖剣を解放しまくる姿を想像する。

 

「確かに戻ってきますね」

 

サクラの想像でも相手にするには火力が足りていなかった。

 

「リンが戻ってきたら色々と話しましょう?これからどうするかもね」

「そうですね」

 

核心に近い場所にいる少女達は話を止める。

 

「・・・・・・セイバーを倒してもこの世界は修復されないしね」

 

イリヤの呟きは誰に聞かれることもなく消えていった。

 

 

その頃柳洞寺では、

 

「そこをどきなさいよ、士郎!!」

「待て、遠坂!!そんだけ魔力を込めたガンドをその娘に撃つ気か!?洒落になってないぞ!」

「下がって下さい、先輩!あれは危険です!」

「なんで私に指先が向けられてるの!?エミヤじゃないの!?」

「待ちたまえ、立香!今この状況で私に振るな!」

「何であんたもこの娘の名前を知ってるのよ!!」

 

修羅場悪化中。




特異点Fの謎について考えてみたらこうなった。
そう、書けてしまった。

謎ということは独自解釈をしてもいいのよね?


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記憶を持っていたらどうなる?

こうなってもおかしくない。


 

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく、

 

**

 

「あー、そろそろ落ち着いたかい?僕が話しても大丈夫かな?」

 

修羅場が落ち着いた辺りでDr. ロマンからの通信が入った。

修羅場にいたマスター達は全員疲労していた。

とあるサーヴァントは見た目は変わらないが拳によるダメージがあった。直ぐに見た目を治せる霊体化って便利。

 

「そちらの人たちには初めましてになるかな。僕はロマニ・アーキマン。遠坂家のお嬢さんにはカルデアの職員と言えばわかるかな?」

「人理継続保障機関って名目で設立を予定されているやつね」

「人理?なんだよ、それ」

 

リリィはどうやら人理という言葉を知らないようだ。立香もそもそも人理の詳しい内容は覚えていない。

わかっていなくても直さなければ人類は滅びていたのだから。

遠坂は頭を抑えていた。

オルガマリー所長は唖然としていた。

こんな常識的な知識を知らないとは本当に魔術師なのか。

立香は素人で一般枠だからそもそも期待されていない(記憶を引き継いでいることを所長は知らない)。

 

「神代は終わり、西暦を経て人類は地上でもっとも栄えた種となった。

我らは星の行く末を定め、星に碑文を刻むもの。

人類をより長く、より確かに、より強く繁栄させる為の理――人類の航海図。

これを魔術世界では『人理』と呼ぶ。バイパンフレット」

「先輩、そのパンフレットって何処からとりだしたんですか?」

「ポケット?」

 

ポケットに入れた記憶はなかった。パンフレットを取った記憶もない。

何故か入っていた。

 

「そのパンフレットを士郎に渡せば全部解決でしょ?」

「そっか。リリィどうぞ」

「リリィって誰さ!?」

 

若いエミヤだから貴方がリリィです。

ランサー兄貴も若い姿がいるからリリィで間違ってないと思うけど?

 

「Fateシステム?レイシフト?もう魔法に片足突っ込んでるじゃない!!」

「レイシフトってなんなんだ?」

「タイムマシン」

「ぶっちゃけすぎです先輩!!」

 

わかりやすいと思うけど。この言葉以上にわかりやすい言葉はないと思う。

詳しいことをいってもわからないと思う。

 

「まあいいわ。あんたたちも一度一緒に来なさい。説明とかはまとめてした方がいいでしょう、あんた達も」

「待ってくれ遠坂!今でもセイバーは聖杯のところにいるんだろ?だったら・・・」

「大丈夫よ、士郎。気に入らないけどイリヤが色々と知っているみたいでね。セイバーは大聖杯から動かないらしいわ」

 

イリヤ?あれ?

魔術に関しては何も知らないような小学生じゃなかった?

あのルビーちゃんというとんでも魔術礼装、イリヤちゃんを魔改造したとでもいうのか!?

嬉々としてやりそうだ・・・・・・。

 

「いや、待ってくれ凛。確認しなくてはならないことが出来た」

「どうしたのよアーチャー。言っておくけどイリヤスフィールが言っていたことだから詳しい理由は言えないわよ?」

「問題ない。直ぐに済むだろう」

 

先程(修羅場終了)から静かに何かを考えていたエミヤが立香の方を向く。

手元に愛用の双剣を投影して。

 

「聞かせてもらうぞ、カルデアのマスター立香」

 

立香に干将を突きつける。

そこには立香が知っている頼れる兄貴分ではなく、

 

「何故、君が私の名前を知っている」

 

立香のことを警戒して殺気を向ける英霊がそこにいた。




警戒されるよね?

だって英霊でもないのに記憶があるのよ?
この時まで気付かなかった理由は簡単。修羅場中に考えることはできなかったからです。


エロ尼退場記念!!
でも残り時間が少ない。BBの再臨素材、集めきれるかな?


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原因ってどうなる?

どうなる?


 

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない

 

**

 

立香に干将とともに向けられるエミヤの殺気。

 

「下がって下さい、先輩!彼は危険です!!」

「大丈夫だよマシュ。そんなことはないから」

 

だが、立香にとってエミヤから剣を向けられることは実は珍しいことではない。

バレンタインの時はチョコの危険性を語り、物凄く説得力を持っているサーヴァントと共に。

クリスマスの時は一度目はソリから見ていたが、二度目は立香の方から頼んで(一年間の人理修復だった筈だが、二度クリスマスがきてるのは何故だろうか)。

ぐだぐだ粒子の影響を受けていたときは釣り野伏で「フィィィッッシュ!!」されかけた。

修練場でも戦闘訓練ということで剣を向けられたことがある。

何より、オルタ化したエミヤは新宿で全力で殺しに来ていた。

 

だから気付くことが出来た。

本当の殺気ではなく、訓練場で向けられていたようなものと同じだったことに。

だが、エミヤが抱いている警戒は本物だ。

 

「君は聖杯にやり直すことを望んだのか!?」

 

立香が直接そう願うことがないとエミヤは知っている。

その願いは立香の今までを、カルデアにいるすべての職員やサーヴァントに対する裏切りだからだ。

だが、エミヤに存在する記憶の後に何かやり直したくなるようなことがあったのかもしれない。

そして無意識に望んでいたのかもしれない。

 

それを聖杯が叶えた。

そういう可能性がある。

時空が不安定になっているからこそ叶えることができた可能性。

 

この特異点は立香が来る前に存在したから原因ではないのだろう。だが、絶対に聞かなければならないことだ。

 

「おい、アーチャー!その娘に何を言ってるんだよ!!聖杯ってどういうことだ!」

「未熟者は黙っていろ。これは貴様に関係のないことだ」

 

これはエミヤと立香の、人理修復をしてきたサーヴァントとマスターにとって確認しなければならないことだ。

 

「私は二度目の、何故か帰ってきたぐだぐだ特異点から後の記憶がないよ。だから聖杯に願ったかどうかなんてわからない」

「ほぅ?あの特異点で最後か・・・・・・。ぐだぐだ粒子というやつのせいではないのか?」

「そういう理由で忘れたくないし、戻りたくもない!やり直すならまだ聖杯に願う方がいい!!でも、願うつもりはないよ。これから何があっても今までを否定したくない!!」

「す、すまない・・・・・・」

 

立香は忘れたくなかった。あの時のロマニの行動も、あの時に手を貸してくれたサーヴァント達のことも。

そしてやり直すつもりもなかった。ぐだぐだ粒子ならなおのこと。

何故だろうか、ぐだぐだノッブと同じような姿になれば何もかも台無しにした上で解決できそうな気がする。

ラスボスですらボコボコに出来そうな気がする。

但し、運営は許せない模様。

運営とは一体何さ?

 

「ねえ、ロマニ。藤丸とあのサーヴァントが言っているかわかる?」

「オルガ。僕に聞かれても何とも言えないどころかわからないなー。マギ☆マリに聞いてみようか?」

「やめなさい!!」

 

カルデアでオペレーションしているDr. ロマンが繋がらない筈のネットアイドル(一応正体不明)に訊ねようとして所長が止めていた。

 

「ぐだぐだ?」

 

呟きながらマシュが首を傾げていた。

 

「遠坂、これって・・・・・・?」

「士郎、私に聞かないで。アーチャーに聞きなさい」

 

この世界に元から居た、二人は後でアーチャーに聞くようだ。

 

つまり、二人の会話はこの場の誰にも理解されなかった。

 




ただの一人にも理解されない。

柳洞寺からそろそろ動かないとなー
ここしばらくというかエミヤの詠唱が始まってからずっと柳洞寺から動いてないし。

時間が欲しい、切実に。


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場所を移せばどうなる?

・・・うーん?


Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う

 

**

 

「お帰りなさい、先輩!!姉さんも」

「桜、ただいま」

「ねえ桜?私はついで?」

「そんなことはないですよ?遠坂先輩」

 

遠坂家に到着したカルデア一行プラスα。

すると二人の少女が笑顔で迎えてくれた。

 

「お帰りなさい、シロウ。リン。そして初めまして、人類最後のマスターさん。わたしはイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかる?」

「イリヤちゃん!?」

 

立香の知っているイリヤは魔法少女だった。だが、ここにいるイリヤは外国系の服を着て、よくわからない威厳と雰囲気、威圧感を纏っていた。

 

「イリヤ?人類最後のマスターってどういうことだ?」

「そういう疑問は後でよ、お兄ちゃん。一度食堂でご飯を食べてからにしましょう」

「ねえ、イリヤ。アーチャーが助けてた人は?見当たらないんだけど」

「その疑問についても後でよ、リン。食事の後よ」

 

色々な疑問をはね除け、イリヤは食堂へと向かう。食事を強調しながら。

そこで立香が見たのは、

 

「さあ、たっぷりあるぞ?よく味わって食べたまえ」

「お、ようやく帰ってきたか衛宮!僕を助けろ!!」

 

麻婆豆腐を大量に盛られた皿の前で涙目になってエミヤリリィに助けを求める小物臭の漂うゾォルケン(見た目はそのもの)と、その姿を見て笑みを浮かべながら麻婆豆腐を作る神父の姿だった。

 

「なんでさ!?」

「そうよ!なんで言峰がここで麻婆豆腐なんか作ってるのよ!!」

「なんだ、凛。衛宮士郎。戻って来たのか。・・・・・・ふむ、食うか――――?」

「「食うか――――!」」

 

遠坂とリリィが一緒に叫ぶ。

そこにある。麻婆の色はとても赤かった。

 

「何、遠慮することはない。量ならある」

「そういう問題じゃないってのよ、エセ神父!!」

「自家製の《辛そうで辛くない、むしろ辛かったことを脳が認識しようとしてくれないラー油》を湯水のように使ったスペシャル麻婆だ」

「聞いてない!そこを聞いてるんじゃないわよ!!つーか、余計なことしてんじゃないわよ!!!」

「真二、ブジだったんだな」

「何処が無事に見えるんだよ!何処からどう見ても今まさにトンデモ拷問の真っ最中だろ!!桜も僕を置いて逃げるしさあ!!!」

「その、ごめんなさい。兄さん」

 

いきなりにぎやかになる遠坂家食堂。

エミヤは霊体化したまま呆れていたようだった。

 

「どういう状況なのでしょうか?」

「わからないわ。ただ食事が麻婆豆腐ってのはわかるわ」

「激辛麻婆豆腐・・・・・・。あの概念礼装って実はこの人が作ってたの?」

「?どうしたんですか先輩」

「気にしないでマシュ。・・・・・・そのうちきっと来るから。呼符辺りで」

「??」

 

立香のごまかしに首を傾げるマシュ。

何故麻婆豆腐がFateシステムで召喚されるかは謎である。

可能性のある縁を引き寄せるにしても雑多過ぎである。

 

「それにしても麻婆豆腐かー、いいなー。カルデアには辛い物はほとんど無いからね。団子なら沢山、それこそ山のようにあるんだけど」

「今度、財政に関して調べさせてもらうわよロマニ?」

「あれー?おかしいなー!電波が悪いのかな!よく聞こえなかったぞぅ!!」

「大丈夫よ、私は覚えているから。関係無い振りをしているだろうレオナルドもよ」

 

ここでカルデアの食糧庫と財政に視察が確定された。

徹底抗議をしているロマニとダ・ヴィンチのことはスルーされていた。




食べられるかな?
というか、なんで概念礼装で麻婆豆腐とかムーンセルが来るだろう。謎である。


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特異点ってどういうの?

こういうの?

ちょっと文字が増えました


Yet, those hands will never hold anything.

故に、生涯に意味はなく

 

**

 

麻婆豆腐が残った鍋を囲みながらカルデアと冬木の生き残り達は集まっていた。

しかし神父以外、誰も麻婆豆腐を取ろうとしない。

辛さを知らないカルデアの二人すらも遠慮するほどの赤さだった。

 

「まず始めに言っておくと、この特異点で生き残っているのはここにいる私達と二階で寝ているタイガ、イレギュラーなサーヴァントと一緒に行動している人間をわりとやめかけてる一人よ」

「ねえマシュ、おかしい言葉が入ってなかった?」

「そうですね。先輩と私の耳がおかしくなかったのなら」

「藤ねえが二階で寝てるのか!?」

「そこじゃないから士郎は黙ってて。イリヤスフィール、アーチャーが助けた中には他にも大勢いたはずよ?なのになんで生存者がそんなに少なくなっているのよ?そして特異点ってどういうこと?」

「冬木は特別な土地なのよ。この時代は特に。聖杯から得た情報になるけど特異点ってだけなら多く発生しているわ」

「ちょっと待ちなさい、カルデアが見つけた特異点はここよ!?他にも多くの特異点があるなんて知らないわ!!」

「ええ、そうでしょうね。人理を脅かすような物では無かったもの」

「衛宮君、一応言っておくと特異点っていうのは正常な時間軸から切り離された現実であり、もしもの世界よ。余計な口は挟まないように」

「あ、ああ。わかったよ遠坂」

「で?特異点ってどういう物があったのよ」

「そうね、聖杯戦争のルールが変更になってクイズ形式になったり、レースになったわ」

「なんでさ!?」

 

そんな平和な特異点は知らない。ぐだぐだ特異点でもそこまで平和ではなかった。

 

「ええっと、他にも虎聖杯(別名虎の魔法瓶)とか」

「「「なんで虎!?」」」

 

立香が知る虎はいない。虎やタイガーに反応するジャガーマンはいたけれど。

 

「風雲イリヤ城とか、アーチャーが釣り勝負したりとか?」

「なんでさ!?」

「イリヤちゃんがラスボスだったの!?」

「ふざけすぎよアーチャー!!」

「私は関係無いだろう!?」

 

うん、カオス。でも行くならそんな特異点の方が良かった。

 

「コホン。とにかく、ここは既に特異点となっているのよ、リン。あるサーヴァントが願いを叶えた時点で分岐してね」

「大分と話を反らしましたね」

「サクラ、余計なことは言わないで」

「願いを叶えた!?でもサーヴァントはまだ残っているぞ?セイバーとか、そこにいるアーチャーとかキャスターとか」

「ええ、残っていても叶えることができるほど桁違いのサーヴァントがいたのよ」

「桁違いだったからって願いを叶えられるものじゃないでしょ、聖杯ってのは!」

「虎には影響されてるけど・・・・・・」

「あの先輩、ここは真剣な話ですよ?」

「・・・・・・リン、冬木の聖杯も魔術の一種だったのよ。わかるわよね、カルデアの観測者さん?」

 

その言葉で願いを叶えたサーヴァントに思い当たったのはひとえに立香が知っていたからだろう。

冷や汗をかいているのが見えない位置(カルデア)に居たDr. ロマンは恐らく幸運だったのだろう。

隣でじと目で見てくる天才なんて知らない。

 

「そ、そうだね。冬木の土地で行われた大規模な魔術儀式が聖杯戦争だ。とても高位な魔術師なら儀式を利用して願いを叶えることができるかもしれない」

「ええ、願いを叶えたキャスターは実体を持ったわ。そしてその使い魔も。その余波でこの特異点が生まれた」

「待ちなさい、アインツベルン!キャスターってここにいるじゃない!!この特異点で召喚されたキャスターが彼じゃないの!?」

「あら?貴女が今答えを言ったじゃない。そのキャスターはこの特異点で呼ばれたのよ。今回の聖杯戦争で呼ばれた訳じゃないわ」

 

イリヤの言葉にはラスボスに辿り着く為に必要な言葉が隠されていた。

既に正体がばれそうな魔術王は大丈夫なのだろうか。

 

**

 

重要なことがわかったとしてもやらなければいけないことは変わらない。

セイバーを倒すか仲間に引き入れること。

だが、その前にエミヤには確認するべきことがあった。

 

「マシュ・キリエライト。盾を構えろ」

 

エミヤが剣を投影する。

 

「これから戦うセイバーを相手に、君の宝具は切り札になるだろう」

「ですが、その・・・・・・」

「使えないということは知っている」

「いえ、その喉元まで出かかっているんです。何かきっかけがあれば・・・・・・」

 

そもそも記憶を持っている立香がおかしいだけでマシュが悪い訳ではない。

だが、ギャラハッド。以前よりもマシュに力を貸しているのではないか?感情も絡んでいるし。

いや、良いことなのだが。

 

「だが、その一端でも使えなければカルデアのマスター共々死ぬだけだ」

 

その言葉がマシュの心に突き刺さる。

エミヤの言うことは正しい。あと少しで出来るといっても出来なければ無意味だ。敬愛する先輩をも巻き込むことになるだろう。

 

「だからここで確かめてやろう。私は彼女の剣を、完全な複製は無理だが真に迫ったものであれば投影出来る」

 

これはマシュが超えるべき一つの試練。

 

「さあ、恐れずしてかかってこい!」

 

シールダーの少女が成長するために必要な試練だ。




ランキングに載ってました。
いきなりお気に入りが増えました。
評価も赤色・・・・・・プレッシャーががが

うん、怖い


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特異点で生き残れたのはどうして?

誰を指してる言葉なのか


So as I pray,

その体は、

 

**

 

ある男は夢見た。世界全ての救済を。

ある男は願った。たった一人の幸せを。

ある男は誓った。正義の味方になることを。

 

そしてその青年はソコに至った。

 

「『UNLIMITED BLADE WORKS.(きっと剣で出来ていた)』」

「これは、固有結界!?」

 

マシュの知識には存在するが見たことがない魔術の深奥。無限に剣を内包するそれこそがエミヤの宝具だった。

 

「マシュ・キリエライト。サーヴァントには相性というものがあるように宝具にも相性がある」

 

例えばファブニールを相手にする時はすまないさんが有利になるとか。

投擲系の宝具に対しては熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)が強いように。

だがそれも使いこなすことが出来るならの話だ。

 

「君の盾ならばあのセイバーの宝具を問題無く受け止めることが出来るだろう」

「それは本当ですか!?」

「ああ、一度なら宝具を使わずとも受け止めることが出来るかもしれん。だが」

「・・・・・・わかっています」

 

宝具を一度防がれただけで終わらせるほど聖杯のバックアップがあるセイバーは甘くないだろう。

 

「それでは構えろ。これはセイバーの宝具には劣るが、それでも真に迫った物だ。気を抜いているとそのまま死ぬことになるぞ」

「ハイ!よろしくお願いします!!」

 

投影された黄金の剣をマシュへと向ける。

 

「この光は永久に届かぬ王の剣・・・・・・『永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)』!」

「宝具展開!」

 

厳しくも面倒見のいいエミヤに教えて貰っているマシュ。

後にエミヤを先輩サーヴァントとして慕うようになるのも仕方のないことである。

修羅場の種子が再び蒔かれることになっていた。

 

***

 

「ねえ、イリヤ?私の質問全部には答えて無かったわよね」

 

特異点の話やおかしな聖杯のせいで一時的に忘れていたことを尋ねる遠坂。

今現在、アーチャーがカルデアのサーヴァントの面倒を見るためにカルデアの人たちとアーチャーは外へと移動している。残っているのは元から冬木にいたマスター達だけ(ちなみに二階では藤村大河が眠っている)だった。

 

「ええ、そうね。アーチャーが助けた人は基本的にこの特異点から弾き出されたのよ」

「弾き出されたねぇ・・・・・・。条件は?」

「マスター適性があるかどうかで最初は分けられてたわ。次が魔術回路って感じね」

「藤ねえもマスター適性と魔術回路があったのか!?」

「タイガはタイガだから」

「・・・・・・藤村先生だからって言われるとよくわからない説得力があるわね」

「ああ。藤ねえだからか。納得できるな」

「・・・・・・それならなんで慎二なんかがここにいるのよ!あいつはどちらもないし藤村先生みたいなよくわからない物もないでしょ!?」

「待てよ遠坂!現に僕はここにいるんだぞ!?つまり僕にそういう物が秘められていたのさ!!」

「それはないと思うぞ、慎二?」

「うるさいんだよ衛宮。だったら今僕がどうしてここにいるのか教えてくれよ」

「兄さんは聖杯の器にされたことがあるから何も無いのに残ったんです」

「さ、桜?なんか黒いぞ?」

「ふふ、どうしたんですか?に、い、さ、ん」

「ヒィ!なぁ衛宮ぁ、お前桜を助けたんだろ!?なら僕も助けろよぅ!」

「諦めてくれ慎二。俺には助けられない」

 

男二人の目には桜の髪が動いているように見えていた。

 

「ねえ、イリヤ?私の目がおかしくなった?桜の髪が白くなっていくように見えるんだけど」

「おかしくなってないわよ。桜も完璧ではないけど聖杯から記憶を引き出したから」

「一番取ったらいけないところの記憶を引き出してるわね」

 

桜が魔術を使えるようになったのは良いことなのだが余計な記憶が増えたようだ。

カルデアにはあまり関係なさそうだったけど。

 




何とかエミヤの詠唱を完了させられた。

ソコに満足。

CCCイベントも今日まで。最後まで頑張ろう


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未だに合流していないのは誰?

ご存じのとおりあの人たち


 

 

「なあマスター、セイバーと戦うのやめとかない?オレが死ぬぜ?」

「何を言ってるんですか。貴方は大丈夫でしょう?私が守りますから」

「うわ、オレのマスター超イケメン」

 

柳洞寺に続く階段で一組のサーヴァントとマスターが話し合っていた。

 

「いや、待ってくれ。オレは死んでも戻らないんだって!!甦らないんだぞ?無茶せずに待ってようぜ?」

「問題ないでしょう。ライダーも倒せましたし」

「確かに・・・・・・わかったよ。バーサーカーじゃないだけましか」

 

そしてサーヴァントとマスターは大聖杯の眠る場所へと向けて偽装している結界を破り歩き出す。

 

「さあ、続けようぜマスター。この聖杯戦争をっ!?」

「ええ、そうですねアンリ。・・・・・・アンリ?」

 

隣を歩くアンリの言葉の最後がおかしくなった。

しかしサーヴァントの襲撃ではないだろうし、罠ならマスターもかかっている筈だ。

そう考えて横にいる筈のサーヴァントを確認するマスター。

ソコには沼に沈んでいく自分のサーヴァントの姿が見えた。

 

**

 

「そういえば他にも生存者がいるんですよね?その方はどこにいるんですか?」

 

エミヤとマシュの訓練に参加できず、対セイバーの事を考えていた立香はイリヤに気になっていた事を訊ねた。

二階では一人、一般人?が寝ているらしいがイリヤはもう一人、生存者がいると言っていた筈だった。

 

「確かサーヴァントと一緒に行動してるんですよね?」

 

立香の知るこの特異点に存在するサーヴァントで遭遇していないのはアサシン、呪腕のハサン先生とライダー、ダレイオス君(推定)、バーサーカー、ヘラクレスそしてセイバー、アルトリアオルタである。

しかし、イレギュラーと言っていたから違うのだろう。

つまり知らないサーヴァントがいる可能性もあるのだ。

そもそも記憶のなかでは生存者すらいなかったのだから何があってもおかしくない。

 

「そうね。多分あなたの上司なら知っていると思うけど、魔術協会から派遣されてきた封印指定の執行者よ」

「封印指定の執行者・・・・・・」

 

全くわからない。どんな人なのか全く伝わってこない。

それでも凄い人という事だけは伝わってきた。

 

「正面からサーヴァントと戦って勝つような社会不適合者よ」

 

人物像が思い浮かばない!

所長にも絶対に伝わらない!

さっき立香の頭のなかで思い浮かべた凄い人というもののベクトルが180度変わった。

というかいわゆる脳筋なんですか!?

 

「何よりも人としての常識がない、人間の形をした兵器よ」

「なんつーか。どの世界でも変わらねーのな、アイツ」

「うわっ!?居たんだキャスター。・・・・・・もしかして知り合い?」

 

霊体化を解除しながら話に入ってきたキャスターの言葉に、驚きながら訊ねる立香。

 

「あん?知っているぜ。俺がランサーの時のマスターさ。つっても下らない理由で脱落しちまったがね」

 

そう言ったキャスターは、未だに残る麻婆を食べている神父を睨んでいた。

しかし、どの世界でも変わらないとは?

 

「仲の良いと思っている男に呼ばれて喜び、ホイホイとついていって腕を切られて脱落よ。友達いなかったんだろうな」

「聞いてて悲しいよ、それ」

 

立香はその人に会ったら優しくしてあげようと心に誓った。

というか女性だったのか。

立香の中でその人のイメージは亜種特異点新宿でであったチンピラから時代錯誤なスケバンに変わった。

 

 

 

一方その頃話題にされていた彼女たちは

 

「ヤバイ、オレの知っている冬木よりもヤバイ。地形に殺されかけたのは初めてだ」

「いえ、あなたが足元に注意を払わなかったからでしょう」

「待ってくれマスター!こんなところに底なし沼なんて無かったんだって!!しかも魔術を使えなかったんだ!!」

「・・・・・・アンリ、いくら私があなたを守ると言っても転けて死ぬことを防ぐことは出来ません」

「オレはス○ランカーかよ!?確かに最弱英霊だが、そこまで弱くはないぞ」

「なら向かいましょうか、大聖杯までもう少しです。足元に気を付けなさい」

「もうならねぇよ!!」

 

底なし沼から脱け出したところだった。




何とか連日投稿かな?


現状報告ー
携帯の通信速度の問題でFGO更新出来ていない

ヤバイ(泣)


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時間制限はどうなる?

ずっと冬木にいたらゲームオーバーだよね?


 

「・・・・・・・もきゅ。・・・・・・最初に来るのはカルデアかもしくはシロウたちだと思っていたが・・・・・・」

 

大聖杯を背に黒くなったセイバーがソコにいた。

 

「貴様たちの方が速かったようだな、魔術師(メイガス)。そしてアヴェンジャー」

「・・・・・・なあバゼット。アイツ何か食べてたよな?」

「気を引き締めなさい、アヴェンジャー!あなたの言葉で殺気が膨れ上がりました!!」

「つまり図星じゃねえか!!」

 

セイバーの手元には何かを包んでいただろう紙が丸めて握られていた。

 

**

 

「シロウがセイバーを取り戻したいなら時間制限があるわ」

 

特訓が終わり、マシュとエミヤも作戦会議に混ざった状況でイリヤが告げた。

 

「人理焼却までの時間じゃないんだよね?」

 

取り戻すも何も無い。皆が焼け死ぬ。

だが、焼却されるまでは一年の猶予期間がある。だが、冬木で一年も使えば他の特異点を修正出来ずに人類は滅ぶ。出来る限り素早く解決しなければならない。

 

「もっと簡単なことよ。セイバーが死ぬからよ」

「待てよ、イリヤ。セイバーに勝てる奴なんていないんじゃないか?バーサーカーも黒くなった訳だし」

「衛宮君、信じられないかもしれないけど残念ながらそれがいるのよ。真正面からサーヴァントを殺せるようなバサカ女が」

 

立香の知っているセイバーを倒せる戦力はサーヴァントの中でもトップレベルのサーヴァントだけだ。

話を聞いていた感じだと倒すのはサーヴァントではなく、マスター。

役割分担が逆じゃないだろうか。

 

「良いよね~そいつは。セイバーを確実に倒せるレベルのサーヴァントを引き当てたんだろう?ランサーなんかじゃなくて僕がそいつを引き当ててたら良かったのにさ!そんだけ強いサーヴァントがいるならそいつに任せたら?僕らが待ってても解決するんだろう?」

「あら残念ね、間桐君。強いのはマスターの方よ?」

「そうね、リンの言うとおりよ。もしもあのサーヴァントをサクラが引き当てたら始まった瞬間に脱落していたわね」

「えっと・・・・・・自称最弱英霊さんですよ?兄さん」

「自称最弱系の英霊・・・・・・もしかして作家系のサーヴァント?」

 

立香の知る最弱英霊。それが作家系キャスターだ。

自分の力で戦おうとしない。もしかしたら(自称)一般人のマスターである立香でも勝てそうなサーヴァントだ。

 

「違うわよリツカ。でも聖杯戦争で多分二番目に多く死んでいるサーヴァントよ」

「その、最弱なのに一番死んでいるじゃないの?」

 

一番死んでいるサーヴァントの方が最弱と言えるのではないだろうか?

 

「一番は・・・・・・その、ね?」

 

イリヤは言いにくそうに目を明後日の方向にそらす。

型月の名言に入るほど死んでいるから仕方がない。そう、強いのに扱いがひどいだけである。

 

「立香、聞かないでやってくれ。確かに死んではいるが最弱というものでは決してない筈だ。なあ、キャスター?」

「あん?ケンカを売ってるなら買うぞ、弓兵」

「ほう?誰とは一切口に出してはないが、思い当たることでもあったのかねキャスター?正確に君ではないんだが」

 

何となく誰が一番死んだかはわかった。確かに最弱ではない。運が悪いだけな気がする。

もしも彼が最弱なら最初の特異点で生き残れなかった。

彼が最弱ならアメリカで立香たちは死にかけなかった。

 

「とにかく、移動しながら聞きましょう?イリヤ、時間はないんでしょう?」

「ええそうね。セイバーが宝具を使う前にたどり着きましょう」

 

そうしてようやく彼らは向かうことになる。

この特異点の中心部。大聖杯が眠る場所へ。

 

道中、某有名ハンバーガー店Mから何かを抱えて大聖杯の方向へ移動していったスケルトン数名は見なかったことにしたい。

誰の指示とか考えたくない。

というか指示に従うのか、あれ。




もっきゅもっきゅ。

そろそろ戦闘開始かな?
しかも真剣な。

次回か、それ以降にシリアスになるかもしれません

ただし、予定は未定


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地形効果はどうなる?

燃えてる冬木は熱い。
なら洞窟内は、声が反響する。
後は・・・・・・


 

この行動はきっと皆を裏切っていることになるだろう。

真面目に戦っているだろうサーヴァントとそのマスターに対しても。

でも気付いたら、思い浮かんだからやろうと思った。

きっとそれが一番被害者が少なくなると思ったから。

 

**

 

大聖杯へと続く洞窟を目の前にし、立香たちはシュールな光景を再確認していた。

 

「やっぱりバーガーを運んでますよね・・・・・・」

「あれってやっぱりセイバーによね?スケルトンにバーガーを運ばせるほどの腹ペコなんてレディ失格よ!」

「イリヤ、レディは関係ないと思うぞ?」

「でも、わざわざスケルトンにバーガーを持ってこさせてるってことは、ここにいるのは間違いないわけね」

 

遠坂の言葉でセイバーがここにいることの確認が出来た。

 

「皆、ちょっとだけ下がって。後エミヤ、例のあれを皆に渡して」

「立香、どうした?例のあれとは・・・・・・まさか!?」

 

使うのは心苦しい。折角使えるようになったというマシュが宝具を使う機会を無くすのもエミヤにもマシュにも悪いことだと思う。

だけど立香も成長しないといけない。トラウマは克服するべきものだ。

 

「ねえ、エリちゃん」

 

そう、ここで切り札を投入するって決めたんだ!!

 

**

 

見えない剣と奇形の短剣がぶつかり合う。その剣戟の音が洞窟内を反響している。

たまに硬化のルーンによって強化された拳と見えない剣とがぶつかり合う。

 

「やはり厄介だな、メイガス。だが、宝具を使わずとも貴様らを殺すことに問題はない」

「さーて、どうするよマスター?アイツ色々と知っているみたいだぜ?」

「大した問題はありません。アヴェンジャー、あなたもする事は変わりません」

 

未だに誰も宝具を使わずに純粋な技術だけで戦っているものの、セイバーの方がやや有利な状況だった。

ここまでは。

 

「!!?」

 

セイバーの直感がここにいることに危険を感じた。この場所にある唯一の出入口の方から感じたために逃げ道はない。

しかしその危険を防ぐために宝具を使うことは出来ない。

鞘を持っていないために盾として使うものもない。

 

「ヤバイ、逃げ道すらねえぞ!マスター!!防御のルーンだ!!」

 

アヴェンジャーも気付いたのか直ぐにマスターに防御の指示を出す。

そしてそのルーンが発動したと同時に、綺麗な歌声が聞こえてきた。

洞窟内を反響し、通常よりもよく響くその歌は、霊基や身体に響き渡り・・・・・・

戦闘していた三名と戦闘に巻き込まれないように大聖杯の確認をしていた人の皮を被ったモノを蹂躙していった。

 

**

 

「ここは声が反響するからドーム前の練習ができるよ!カラオケみたいなものだけどエリちゃんはカラオケに行けないでしょ?ここなら好きなだけ歌っていいよ!!」

「本当ね子ジカ!!ここなら好きなだけ歌っても良いのね!?」

「だめです!待って下さい先輩!!」

「そうよ、藤丸!早まるのはやめなさい!!命令よ!!」

「そうだ、立香ちゃん!カルデアの通信を切るまで待ってくれ!」

「ズルいわ、ロマン!!」

「待て立香!早まるな!投影、開始(トレース・オン)!何をボサッとしている未熟者!さっさとこれを人数分投影しろ!!」

「アーチャー?どうしたのよそんなに焦って」

「説明している暇はないんだ、凛。一先ずこれを付けてくれ」

「耳栓の投影?どうしたんだよアーチャー。説明しないとわからないぞ」

「死にたいのなら別に構わん。だが、私は愚か者のために投影はしない。イリヤスフィール、間桐桜もこれをしっかりと耳につけたまえ」

「おい、アーチャー。俺にもそれを」

「キャスター、貴様は聞こえない範囲まで動けるだろうが!」

「とんでもなくキャラが壊れてるわよ、アーチャー?」

 

まぁ、その気持ちはわかる。覚悟を決めた立香も逃げたくなっているのだから。

だが、逃げない。耳栓もつけない。

歌うように言ったのは立香なのだから。

 

「さあ、いくわよ!『鮮血魔嬢=バートリ・エルジェーベト=』!!スペシャルライブよ!!」

 

さあ、全てを台無しにしよう。




連日投稿そろそろ終わるかな?
後、シリアス予定と言いましたよね?
ほら、予定は未定だから。

でも戦闘は始まった。


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エリちゃんスペシャルライブ!どうなる?

防御力無視で呪い効果あり。反響による強化つき。
そんなスペシャルライブ


 

エリちゃんことエリザベート・バートリー

の声はとても澄んでいる。

見た目も可愛らしく、アイドルらしいと言っても過言ではない。

 

だが、問題はその歌詞と。

 

「♪恋はドラクル(朝は弱いの)♪」

 

問題点しかないような壊滅的なレベルの音痴であるということだ。

 

**

 

スペシャルライブは続く。

エリちゃんが満足するまでは決して終わらない。

英霊であるエミヤに全力で投影された耳栓をつけていても、それでも微かに聴こえてくる歌は、ただの耳栓を投影した少年と耳栓すらつけなかった少女を、洞窟内で防御を選択したサーヴァントたちとマスター、防御態勢すらとらなかった教授を、ルーンすら無視して蹂躙する。

防御力無視だから仕方ないよね。

 

「楽しいわね、子ジカ!!」

 

既に色々と限界な立香。

エリちゃんに好きなだけ歌うように言った本人が耳栓をつけるわけにはいかない。耳を塞ぐことはできない。

そう、立香は無茶を承知で隣でダイレクトに聞いていた。

だが、とても嬉しそうに笑顔を見せるエリちゃんにどんな言葉を返せるであろうか!

 

「うん、そうだね」

 

たとえどんなに意識が朦朧としていてもこれは笑顔で返すしかないだろう?

 

「フフ、ならもう少し上げていくわよ!ついてきなさいよ子ジカ!!『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』!!」

 

その言葉でボリュームと破壊力の上がった歌に立ったまま意識が飛ぶ。

そこで立香は懐かしく、可愛らしい神様と再会の挨拶を・・・・・・

 

「あ、エレシュキ・・・・・・」

「まだこっちに来るのは早いわーー!?さっさと戻りなさい!!」

 

呼びかけを遮られ、無理矢理にもとの場所まで追い返された。

 

**

 

「大部満足したわ!!」

 

立香が意識を取り戻すとエリちゃんがそう言っていた。

バランスを崩さなかったのか立ったまま目を覚ましたようだった。

 

「ねえ!子ジカ!今日は本当に嬉しかったわ、楽しかったわ!!」

「それは本当に良かった」

 

耳栓をつけていたはずの仲間たちも既に疲労困憊状態だった。

どのくらい歌っていたのだろうか。

そして洞窟の中にいるという味方側の人たちは大丈夫だろうか?

 

「本当に嬉しかったから最後の曲は特別よ?」

 

心臓を止めにきた。トドメを刺すつもりだった。

残念ながらエリちゃんにその意思はなかったが。

 

「子ジカのために歌う歌よ?心して聴きなさい!!」

「うん、ちゃんと聞くよ」

 

そしてその場に本当の歌姫が降臨した。

意識が戻ってからも身体を苦しめていた呪いすらも吹き消え、ここで歌っているエリちゃんがとても綺麗に見えた。

 

後にこのときの事をその場にいた全員に確認したが、残念ながらその事を知っていたのは立香だけだった。

 

周りにいたサーヴァントやマスターたちは疲労困憊で、耳栓の上から手で耳を塞いでいた。

その時に歌った歌は完全にシャットアウトされていたらしい。

 

洞窟内にいた人やサーヴァントたちは死にかけていた。

クラス相性の良かったセイバーですら消えかけていたのだ。

消えなかったアヴェンジャーをむしろ誉めるべきかもしれない。

 

そしてアヴェンジャーのマスターも倒れていた。

蘇生のルーンがなかったら確実に死んでいただろう。

歌を聞いている余裕などなかった。

 

そして教授は身体の半分ほどが薄れていた。

大聖杯のなかはセイバーたちが戦っていた場所よりも反響しやすい場所だった。

いくら魔神柱が頑丈だとしても反響する歌(始まった少し後にボリュームと破壊力アップ)をずっと聞き続けたらそうなる。

 

最初に立香の敵として出てきた時に漂っていた黒幕感は無く、悲壮感が漂っている。

なんというか白目を向いてい消えかけている教授など誰が敵だと思えるだろうか。

あわれ過ぎて手を差しのべたくなるほど可哀想な姿だった。




そろそろ連日がきつい。

マイペースなのにきついとはいったい?
思い浮かんだ事を書いているだけなのに


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セイバーの取り戻しかたはどうなる?

戻す方法を予想して正解した人はいるだろうか


エリちゃんスペシャルライブの後に全く音のしなくなった洞窟を進む。

だが元気があるのは思う存分歌ったエリちゃんと最後の歌に元気を貰った立香だけである。

 

「・・・・・・あの作戦は確かに有効だ。閉鎖的な空間だからこそ特にな」

「ああ、嬢ちゃんのあれはセイバーにも効いてるだろうな」

 

げっそりとしたアーチャーの言葉に同意するキャスター。

 

「ええ、そうでしょうね!いきなりの宝具だもの!!あれで効いてないとかそれはバーサーカーでも有り得ないわよ、コンチクショウ!!」

「リン?少しでも落ち着きなさい」

 

遠坂家の家訓、如何なる時も優雅に。

そんなものを破り捨て、怒りでやさぐれる凛とそれをいさめるイリヤ。

 

「爺さんがタバコすってたなー。白い髪の長い人と小さな女の子と一緒だった」

「先輩?大丈夫ですか?戻って来て下さい!」

 

未だに現実に戻って来てないリリィ。そして青い顔のまま心配する桜。

 

「カルデアに戻ったら絶対にあなたも同じ目にあわせるわ・・・・・・」

「あ、あはははは。無事で良かったよ。うん、本当に」

 

とても物騒な恨み言を呟く所長と苦笑いを浮かべるロマニ。

 

元気がある者は本当に居なかった。

 

**

 

「そういえば、どうやってセイバーを引き込むの?」

 

他のことを考える余裕のある立香の言葉でイリヤの視線がリリィに向かう。

 

「・・・・・・シロウが再契約をしないといけないんだけど」

 

その視線の先にいるリリィは何かを思い出していた。

 

「なあイリヤ?」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「衛宮君?契約の言葉がわからないとか言わないわよね?」

 

威圧感のある笑みを浮かべる凛。沸点が限りなく低くなっていた。

 

「いや、そのさ?さっき道場で藤ねえやイリヤと会った気がしてさ」

「えっ?」

 

何故か冷や汗を浮かべるイリヤ。

 

「なんか歌う前に止めろとか、弟子1号とか」

「気のせいじゃない?」

「どうせ夢の中でしょ、士郎」

「気絶してたしそうよ!忘れた方がいいわ!!」

 

会話がおかしな方向に進んでいる。

 

「えーっと?あの~どうするの?」

 

本当にセイバーをどうするのだろう。

黒くなった状態から青に戻すのだろうか?そんな方法は知らない。

そもそもサーヴァントが変化することは基本的に無い。例外はアサシンのジキルだけ。

つまり再契約しか方法がない。

 

「セイバーの頭にアホ毛を戻す!!」

「「「は?」」」

 

いや、確かに青いセイバーにはアホ毛が生えてるけれども。

この冬木に居なかったカルデアの人間には意味がわからなかった。

記憶を持っていた立香も知らなかった。

そもそもセイバーというかアルトリアは種類が多かった。変化することはなかった(アーチャーになったときは別、スカサハお姉さんの改造は何かが違う)。

 

セイバーとオルタの違いはアホ毛だったのか。

知りたくなかった新事実だった。

 

「ようやく来たか、カルデアの、人類最後のマスター。そしてシロウ」

 

声が聞こえた方向を見ると剣を地面に突き刺し、こちらを睨む威厳であるセイバーオルタの姿があった。

彼女の後ろには倒れている全身に刺青を施された少年。そして起き上がろうとしている男物のスーツ姿の女性がいた。

本来ならばランサーからの攻撃はダメージが少なくなるセイバーだが長時間の宝具によりダメージは大きいはずだ。

それでも彼女は威厳を崩すことはなかった。

 

だが正直、リリィの言葉による衝撃的な事実のせいでそこまで驚異に受け取れなかった。

アホ毛で降臨するオルタと聞いて恐怖を感じるほど立香の心は柔ではなかった。

 

悔しければエリちゃん(セイバー、ランサー、キャスター、バーサーカー)とネロちゃん(ノーマル、ブライド、ヴィーナス)を連れてこい。

彼女たちのスペシャルライブの特等席チケットを持ってこい。

揃えられたら全力で謝罪するから。




セイバーが倒したのではないです
そして威厳があるだけで傷などは治って無いです


書けば当たる、書けば当たる!
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来なさい!!アヴェンジャー!!!
私は貴方を待っているのです!!


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対決の行く末はどうなる?

今回はシリア、ス。
多分


緊張感が漂う。

色々とおかしな事を言っていたがセイバーと戦わなければならないことは変わらない。

大人しく再契約を結ぶほどセイバーオルタは優しくない。

大人しくアホ毛を刺されてくれるほど甘くはない。

 

**

 

「セイバーとは俺一人でやらせてほしい」

 

ここにいるセイバーは衛宮士郎が止めるべきだ。

それに今は一人じゃない。

もしも何かがあっても後ろには遠坂も桜もイリヤもいる。カルデアの人もサーヴァントもいる。

 

「・・・・・・シロウ、無謀だ。あなた一人で私に挑むと言うのですか」

「わかってるさ、俺一人で戦う必要が無いってことは。それでも、俺がセイバーを止めたいんだ」

 

セイバーの言葉使いに疑問を覚える立香。オルタはもっと暴君じゃなかっただろうか。

 

「行ってきなさい士郎。ただし、無理だと思ったら止めるわよ」

「ありがとう遠坂」

 

カルデアは空気になっていた。

というかこの空気に入ることが出来なかった。

 

「行くぞ!セイバー!!」

「来なさい!シロウ!!」

 

ここに、元主従の対決が始まった。

 

**

 

「いやー、ヤバかった。バゼットからの魔力供給がなかったら死んでいたぜ。もしかしたら一度はここで死んでいたのかもな」

 

起き上がった刺青姿の少年、アンリ。

 

「だがお前はさっきので死んでいたほうが良かったんじゃないか?なぁ、魔神柱」

 

消えかけているレフ・ライノールに右手で持った奇形の短剣を突きつける。

だが返事は返ってこない。

だって気絶しているんだもの。

 

「あっちは真面目に戦っているし、バゼットも向こう。巻き込まれたら俺は死ぬ。さてと、こいつをどうしようか」

 

別にこの特異点で魔神柱を殺す必要性はない。このまま聖杯にくべても一応この特異点を修復できる。

 

「カルデアに任せるか。泥で縛って置けば問題無いだろうし」

 

聖杯から出てきた泥に沈められるレフ。

 

「さて、あの偽善者はどうするのかね」

 

レフを踏んで泥に更に沈めていくアンリの視線の先には戦っている主従がいた。

 

**

 

剣を砕かれて、投影していく度に士郎の投影の精度は上がっていく。

 

先を読んで5秒先の生存を勝ち取る。それでも未熟な士郎には回避できないものがある。ーー緊急回避

避けられないはずのセイバーの攻撃を完全に回避する。

予想外だったのか隙ができる。

その隙にセイバーに攻撃を強く打ち込む。ーー瞬間強化

セイバーの想定していた以上の力に弾くだけで更に隙ができる。

これ以上大きな隙が出来ることはきっともうない。

一世一代のこのときに自分の全てを叩き込む!

 

「―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ、むけつにしてばんじゃく)」

 

投影された干将と莫耶を二度に渡って投げつける。

 

「―――心技、泰山ニ至リ(ちから、やまをぬき)」

 

これは気にくわないがアーチャーの編み出した絶技だ。

 

「―――心技、黄河ヲ渡ル(つるぎ、みずをわかつ)」

 

投げた剣は引き寄せあう。

陽剣は陰剣と、陰剣は陽剣と。

 

「―――唯名、別天ニ納メ(せいめい、りきゅうにとどき)」

 

両方の剣は士郎の持つ剣へと引き寄せられ、間に立っているセイバーを経由して戻って来る。

 

「―――両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら、ともにてんをいだかず)!」

 

ゆえに同時に当てるという六連撃になる!!

 

「鶴翼三連!!」

 

セイバーであってもこの六連撃全てを防ぐことはできない。

そして一つでも防げなければ致命的なダメージが与えられる。

 

「強くなりましたね、士郎」

「そんなことはない。でも俺の勝ちだぞ、セイバー」

 

倒れたセイバーに近寄り頭を撫でる士郎。

 

「だから、戻ってこい。セイバー」

 

そういった士郎の右手には、一本の毛が握られていた。

表情の動きにくいセイバーオルタの顔がひきつった。




さすがのオルタも顔がひきつりました。あのタイミングでアホ毛だから

多分FGO風になるなら
今回は
セイバーオルタ(剣)
防御力ダウン、宝具封印、呪い
エミヤリリィ(弓)
攻撃力大アップ、回避、宝具威力アップ

勝てたのは相性が良かったからじゃないかな


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登場する悪役は誰になる?

セイバーを倒した後に出てくるよね。
たとえ、セイバーが消えていなくても。


「色々と台無しではないですか!シロウ!!」

「ごめんってセイバー」

 

セイバーオルタがノーマルセイバーになった。

しかも立香の知っているアルトリアよりも纏っている雰囲気が柔らかい。

立香の知っているアルトリア(セイバー)は騎士らしく、まとめ役で腹ペコだった。しっかりとしていて、お腹を空かせていた。

それに比べて今のセイバーはどうだろうか。

リリィとの間に女の子らしく、初々しいラブ臭が漂っている。

カルデアに来てからまともな恋愛経験がない立香にはとても羨ましい。

なにせ、立香の周りには種類は多数あるものの百合しかなかった。

カルデアに来てからは、初々しい百合から毒々しい百合まであってもまともな恋愛はなかった。いったい、青春は何処に行った!

例えばマシュ。カルデアの外を知らなかった純粋な少女。

外を見せてくれる人になつくのは当たり前だろう。先輩としてしっかりしないといけない。

例えば清姫。女性でありながら女性である立香に夜這いをするサーヴァント1号。

立香=安珍様じゃない。だからストーカー行為は止めよう。バーサーカーだから許されるとかないから。

例えば源頼光。夜這いをするサーヴァント2号。

18歳になって親と一緒に眠る人はほとんどいません。だから布団に入り込んで待ち伏せないで。

ヤンデレバーサーカーは恐い。

例えば静謐のハサンちゃん。布団に潜り込んでくるサーヴァント3号。

毒が効かない相手に依存する可哀想で可愛らしい少女。でもその執念でマグマすらも泳ぐのは止めて。恐い。

手を(性的な意味で)出して来ないので一番マシかもしれない。

例えばクロエ・フォン・アインツベルン。魔力供給を理由に濃厚なキスは止めよう。凄すぎて変な声が聞こえてきたから。

『男の人は男の人同士で、女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの』。

私はまだそっちの道には入らない!入りたくない!!

 

「思い出すのは止めよう」

 

噂をすれば影、ということわざもある。召喚してなくても三名程カルデアに執念でやって来そうだから考えない。

ダメな道が開きそうだから考えたくない。

 

その時、この場に不似合いなパチパチと拍手の音が聞こえてきた。

 

「マシュ、警戒!!」

「は、はい先輩!」

 

その場にいたほとんど(セイバーだけは警戒していなかった)が拍手が聞こえてきた方向、大聖杯の方を向いて警戒する。

そこには

 

「スゲー、まさかあのセイバーに勝つとは。マスターやオレもボロボロにされたってのに」

 

無邪気に手を叩く、刺青の少年がいた。

レフ教授が出てこない理由はわからないが、この見知らぬ相手に警戒を解く気にはなれない。

 

「アンリ、紛らわしいことは止めなさい。危うく敵と間違えて殴り飛ばすところでした」

「マジで?」

 

冷や汗を浮かべるアンリ。

・・・・・・どうやら魔神柱とは関係無さそうだった。

 

「ところでバゼット。こいつはどうする?聖杯に突っ込めば皆ラッキーで終わると思うぜ?」

「別に私はそれで構いません。大した問題にはならないでしょう」

「いや、なるでしょ!!」

 

完全に死体にしか見えない状態の(足先から既に消えかけている)レフを片手で吊し上げるアンリ。

隣に移動し、大した問題にならないと言いきる封印指定執行者。

そしてツッコミを入れるあかいあくま。

場が混沌としてきた。

 

「レフぅううう!?」

 

所長の今だかつて聞いたことの無いような叫び声が洞窟内を響き渡る。

 

「本当かい?ってエエエ!?大丈夫なのかレフ!!」

 

管制室から見ていたロマニもパニクる。

一旦落ち着こうよ、カルデア上層部。




百合ー百合ー
そうだ、以前のカルデアに塔を立てよう

頼光さんは持ってませんでした。でもハロウィンイベントで事実が発覚してたし良いよね?


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レフの命運はどうなる?

これは避けられまい。

そしてそろそろ連日投稿は終わると思います

きつかった。


 

「こいつを大聖杯に突っ込むのに賛成の人~、手を上げろー」

「そんなのいるわけないでしょ!!!」

 

アンリの呑気な言葉を怒りながら否定する所長。

しかし、何人かは手を上げている。

 

記憶を持っている立香とかアーチャーとか、聖杯で色々と知っているイリヤとか桜とか。

 

「アーチャー、どうしてあんたも手を上げているのよ?」

「簡単なことだ、凛。アレは既に人間としては終わっている」

 

たとえ直前までは何も知らないレフという個人だったとしても、記憶が残っていても、現在はレフという人間の皮を被った魔神柱だ。

 

「だから、別に有効活用してもかまわんだろう?」

「ふーん、あんたが言うならやっぱり人じゃないってのは間違い無さそうね」

 

遠坂凛が賛成派に加わった!

反対派はもう残りが少ない!

 

「あー、どうするかはともかく、そこのアーチャーが言っていることに間違いはないよ」

 

混乱が収まってから、その場を観測したロマニがアーチャーの言葉に付け加えて説明する。

 

「そこにいるレフからあり得ない量の魔力が感知できた。見た目だけで中身は別物と考えた方が良い」

 

魔神柱とはわからなくても異常だということはわかるらしい。

流石、カルデアの技術力は高い。

そして反対派が再び減った。

 

「んじゃ、とりあえず放り込むか」

「死体も残らないようにお願いします」

「先輩!?レフ教授に怨みでもあったんですか!?」

 

人理のためです。

魔神柱って死体だけでも変な特異点を造り出すから。

・・・・・・とても大事なことを忘れていた。

 

「それじゃあ・・・・・・」

「ちょっと待って」

 

放り込もうとしたアンリを止める。

 

「そうよ、藤丸!貴女もカルデアの一員なら止めなさい!!」

「塵をあるだけ吐き出させないと」

「先輩!?姿がおかしくなっていませんか!!?」

 

マシュには一瞬、立香の姿が二頭身になったように見えた。

 

「一理あるな」

「そうですねアーチャー。私もマラソンはしたくない」

「セイバーやアーチャーは何を言ってるのさ!?」

 

どうやらセイバーの記憶にもおかしなものが混ざっているようだ。

 

***

 

ゆっくりと沈んでいく。

黒色の泥の中にゆっくりとレフの見た目をした何かが沈んでいく。

 

「レフ、レフぅ」

 

結論として言うなら多数決で聖杯の燃料にするということになり、大聖杯の中へと送り込むことになった。

それを涙を流しながら見送る所長。

だが、他の人たちは見送ることすらしない。

心の贅肉だ。

 

「あの、この特異点ってどうやったら直るの?」

 

立香にとってこの特異点はセイバーを倒せば修復できたものでしかない。

それに引き換え今回は、生存者多すぎにして、ステージボス仲間入りにレフ何も出来ずに退場という状態である。

全くわからないし、先も読めない。

 

「あら簡単なことじゃない」

「イリヤはこうなったのを戻せるのか!?」

 

特異点が修復されればこの時代はもとに戻る。だから間違いではないのだが。

 

「シロウ?何を言ってるの?別に戻らないわよ?」

 

既にこの特異点は普通の特異点とは違う。いないはずの人間が生きている。つまり、

 

「私たちがもとの世界に戻ることはないわ。ここが元の世界なんだもの」

 

一種の平行世界として変化している。

恐らく、カルデアの世界が本来の歴史で起こったことなのだろうが関係無い。

 

「なっ!?」

 

なんとなく理解していた凛は驚かない。

だが、士郎は別だった。

 

「だから私たちが生きていくには、揺らいでいて不安定ながら存在は確定しているカルデアに行くしかない訳なんだけど・・・・・・」

 

立香は不安になり所長をみる。

所長はグロッキー。役に立たない。

 

「この特異点を直したいわよね?」

 

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。

見た目は小学生の彼女はとても綺麗な笑顔で遠回しに"この特異点を直す方法を知りたかったらカルデアに連れていきなさい"とおっしゃった。

義弟のためとはいえ、この聖杯少女、強か過ぎである。




彼らがカルデアに脅しをかけてきた。
カルデアはどうする?

1.脅しに屈してカルデアに引き入れる←

2.脅しに屈せず自力で探す

さあ、どっち?
因みにこの特異点F一筋縄では終わらない。

気が付けばカルデアに行かせろというコールを書いていた。
これ、投稿するの冬木だけ(予定)なんだ
なぜこうなった


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この世界の君たちはどうなる?

この話に出てくるロマニの台詞から取りました

そして何故か続く連日投稿。
書けるのが悪い。


「待ってくれ!それは僕の一存では決められない。それにもしも、仮に君たちがカルデアに来たら僕たちの世界にいる君たちはどうなる?」

 

現在絶望したまま戻ってこない所長の代わりに珍しくまともな判断と質問をするロマニ。

 

「シロウやリンはわからないけど、私やサクラは大丈夫だと思うわ。あなたたちの世界ではここのサクラと違って黒くないと思うし」

「待ってくださいイリヤさん!私が黒いってどういう意味ですか!?髪の色も変わってませんよ!?」

「桜は元からそこそこ黒いわよ・・・・・・」

「何か言いましたかね、え、さ、ん?」

「(桜ーそこだと思うぞー)」

「(シロウ!危険な発言は控えて下さい!もしもサクラの髪色が変わればラスボスに変化するのですよ!?)」

 

小声でツッコミを入れる士郎に小声で叫ぶセイバー。

流石の騎士王も黒桜を相手にはしたくないようだ。

 

「ほとんど黒桜と白寄りの桜で別人とカウントされると思うわ」

「・・・・・・これでもほとんどなんだ」

 

完全に真っ黒ならどうなってしまうのやら。

 

「そうよ。普段からあまりに黒すぎてアニメ板ではノールートだもの」

「ルート無しはイリヤさんじゃないですか!それに劇場で三部作として桜ルートはあるんです!!」

「なあ遠坂、イリヤと桜は何を話してるんだ?」

「知らないわよ。私は劇場もアニメもあったわ」

「ええ、全くわかりませんね。メインでありながら、一つしかない私はどうなるのですか」

「遠坂?セイバー?」

 

後半の言葉の意味がわからない。士郎もわかっていないがカルデア組はもっとわからない。

 

「あー、うん。そこの桜さんはわかった。じゃあ、他のひとで大丈夫な理由を聞いておこうかな?」

「流石です、ドクター」

「真面目な方向に話を戻したね」

 

評価を見直されるロマニ。

 

「私は多分生きてないから大丈夫でしょ」

「・・・・・・本当にごめんなさい」

「最低ですよ、ドクター」

「デリカシーがないよね」

 

ロマニの評価が下がった。

 

「問題があるのはシロウとリンね」

「バゼットはオレと契約してるから大丈夫だ。魂が変質しててもおかしくないしな」

「私は変わっていませんが?」

 

別世界で『この世全ての悪』を右腕にしている彼女の魂が変質していないと言えるのだろうか?

 

「・・・・・・バゼットだしな」

 

その一言で何故か納得できる気がする。色々とおかしいけどね。

 

「なあイリヤ、藤ねえはどうなるんだ?」

「多分、特異点から弾き出されてると思う。それか道場に移動してるわ」

「道場ってまだ冬木の中じゃないか!」

「・・・・・・・大丈夫よ、タイガだもの」

「・・・・・・」

「いや、否定しなさいよ士郎」

「リン、タイガですから」

 

その一言で納得できるってどんな人なのだろう。

確認したい。怖いけど見たい。もしかしてバゼットと同タイプの人かな?

残念ながら見る機会はないだろうけど。

アレ?そういえばウルクでエミヤが藤ねえって言葉を言っていたような・・・・・・

 

「あのー、エミヤ?もしかしてジャガーマン?」

 

無言で肯定するエミヤ。

あのよくわからないコミカル空気を纏っているジャガーマンの中の人。

そりゃどんな世界でも生き延びるよね。

 

「おい、僕はどうなる」

 

眠ったままのジャガーマンの中の人と麻婆を造っていた神父と違って遠坂家に残らずについてきたゾォルケンリリィ。

 

「多分大丈夫でしょ。他の世界で生きていると思えないし」

「僕の扱いが明らかにおかしいよねぇ!!」

 

どうやら彼の扱いは最低レベルをさ迷っているようだ。

もしかしたらこの特異点でのレフよりはマシレベルかもしれない。




カルデアにSN勢が来たらその後も書かなくちゃいけなくなるよね。
来て終了なんてガンドものですよね
・・・・・・キャラクターたちに画面を越えて脅される作者とはいったい。


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カルデアの責任を取る人をどうする?

もう、連日投稿は無理、これが最後です。


 

「その、うん。君たちのことはわかった。それでもそこの二人がカルデアに来るのは無理じゃないのかな?」

「リンは難しいけど、シロウは私と魔力パスを繋げるから大丈夫y「じゃありませーーん!!!」

 

イリヤの言葉を叫んで遮る桜。

 

「おかしいです!なんでイリヤさんと先輩が魔力パスを繋げる必要性があるんですか!?」

「サーヴァントとは別に、その世界に存在しないものと魔力パスが繋がっているなら無理矢理にでも別人って認識させられるでしょ?」

「それなら私でも良いじゃないですか!!」

「だって桜、色々と不安定じゃない」

「うっ!?で、でも」

「リンなら技量的にサクラのフォローができるかもしれないけどシロウには無理でしょ?」 

「ううっ!?そ、そんなぁ」

 

エミヤから魔術を教えて貰っていた魔術初心者である立香には何故揉めているのかさっぱりわからない。

魔力パスを繋げる(意味深)なんてわからない。

エミヤリリィが顔を赤くして口をパクパクしている理由もわからない。

 

「というわけで、今回のお兄ちゃんはイリヤルートなのだー!」

「待ちなさいイリヤ。そして桜、落ち着きなさい。別に士郎がカルデアにいないなら魔力パスを繋げなくても大丈夫だと思うわよ?だって人理が不安定なんでしょ?今すぐにどうにかなるなんて無いわよ」

「ム」

 

図星なのか口を閉じるイリヤ。

 

「セイバーが多数来ても問題なかったらしいしね、アーチャー」

「あ、ああ。そうだな、例えばの話になるが、セイバーが水鉄砲によるサバイバルゲーム、『ウォーターブリッツ』に出会うとする」

「待ちなさい、アーチャー!前提条件からおかしい」

「いいからいいから。最後まで聞きなさいよセイバー。アーチャー、続けて」

「・・・・・・その後、彼女は負けず嫌いを発揮し、水上を走り世界チャンピオンを目指すアーチャーになる」

「なんでさ」

「あ、あー」

 

確かにあったよね、そんなことが。

それに例えばと言っておきながら見たことだよね?

マテリアルにも載っている。

その日、(割りとどうでもいい)運命に出逢う。

 

「因みに武器は水鉄砲だ」

「なんでさ!?」

「おかしいではないですか!!」

「あなたのことよ、セイバー?」

「そんな記憶は存在しません!そもそもアーチャーになるのに水鉄砲はないと思いますが!!」

「安心しろ、セイバー。エクスカリバーも付いていた」

「どこに安心の要素があるのですか!!」

 

原因は皆(女性)を海スタイルに改造したスカサハお姉さんである。

女性の立香から見ても眼福だったから立香自身に文句はないが。

 

「だからこの二人がそのままカルデアに行っても問題はないだろう」

「そ、そうかい?」

 

無理矢理セイバーとの話を打ちきってロマニに報告するエミヤ。

これで、彼らをカルデアに招き入れない理由は無くなってきた。

 

しかも最高責任者である所長はいまだにダウナー状態で話をしっかりと聞けているかどうか怪しい。

代わって話しているロマニも現在カルデアに居る中では最も高い地位を持っているがあくまでも医療職代表だ。

魔術技術系の最高地位に居たレフは現在聖杯の中で溶けていることだろう。

・・・・・・責任を取るのは果たして誰なのだろうか。

立香ではないはずだ。

 

「もしも何か悪い事が起こったらレフに責任を取ってもらおう。マギ☆マリも死人に口無しって言ってるしね」

「マーリンシスベシフォウ・・・・・・」

「・・・・・・シロウ、今この小動物がマーリンと言いませんでしたか?」

「シスベシも言っていた気がするぞ?」

「フォウ、フォウ!!」

 

フォウ君の否定するような鳴き声が虚しく洞窟内を響き渡った。




FGO近況報告~
お酒で酔ったマシュが可愛い。
選択肢から考えると、男女関係ない程のデンジャラスビーストのもよう。

ネタに使える?


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特異点の修復方法はどうなる?

1日休んだ。さー書こう。

・・・・・・連日投稿予定はないよ?


 

「あの、イリヤスフィールさん。それで、この特異点の修復方法なのですが・・・・・・」

 

話に一段落着いたことを確認して、マシュが最初に言われたことについて話を戻す。

 

「それなら簡単よ?この世界の正規の聖杯戦争を終わらせること。それがこの特異点を終わらせる方法よ」

 

正規の、ということはイレギュラーなサーヴァントのアヴェンジャーや後から呼ばれたキャスター、カルデア陣営をを抜くのだろう。

 

「ま、まさかイリヤ?」

「ええ、その通りよシロウ。今残っている正規のサーヴァント、バーサーカーを倒すかカルデアに率いれるか。それがこの特異点を直す方法」

「・・・・・・ねぇ、エミヤ。ここのバーサーカーって黒化してるよね?」

 

以前の冬木ではヘラクレスも汚染が酷く宝具なんて無かったも同然だった。

だが、この冬木では黒化していたサーヴァントをランサーとセイバーしか知らない。しかもセイバーは黒化ではあったものの泥による汚染とは違う気がする。

つまり、サーヴァントとして完全版のバーサーカーヘラクレスとの戦闘があるかもしれないのだ。

立香の軽いトラウマである。

残念なことに、触ればゲームオーバーなダビデの箱はない。つまり実力で倒さなければならない。

いや、率いれれば良いのだが、それでも戦闘は避けられないだろう。

 

「それはセイバー次第だな。セイバーが行動していたのなら可能性はあるが・・・・・・」

「いえ、私はこの大空洞から動いていませんが」

 

詰んだ。

not汚染バーサーカー確定である。

もしかしたら聖杯による強化もあるかもしれない。

 

「・・・・・・終わった」

 

確かにサーヴァントは六基いる。

セイバーアルトリア、アーチャーエミヤ、ランサーエリちゃん、キャスターアニキ、シールダーマシュ、アヴェンジャー。

でも記憶にあるヘラクレスを相手にするのにも苦労しそうなのだ。

 

「どうしました先輩?わかったことはいいことだと思うのですが」

 

立香の周りに絶望感が漂うことに疑問符を浮かべるマシュ。

 

「そうだぞ立香ちゃん。相手は一基だけでこちらにはマシュを除いても合計五基の英霊がいるんだぞぅ?負けはないって」

「あ、オレはやらないからな?すぐに殺されるだけだし」

「ええ、私とアンリはここに来る前に一度だけバーサーカーと交戦しました。ですがこちら側の火力が圧倒的に足りませんでした。恐らくAランク相当の攻撃でなければあの英霊に傷をつけることすら難しいでしょう。つまりアンリはただの役立たずにしかなりません」

「なあバゼット?それは事実なんだけど、もう少しだけでもオブラートに包んでくれない?」

「厳然たる事実です。あなたの攻撃は全て身体に弾かれていたではないですか」

 

バゼットさんの言葉に容赦は無かった。

自分のサーヴァントに対する心に傷をつけることも関係なく、事実だけを述べている。

 

「そしてそこの特殊クラスの少女は攻撃が通じることはないでしょう。アンリと違って防御できるだけマシですが」

「そこの嬢ちゃんに話すついでにオレを貶すの止めろよ。確かに盾にもなれないけど、なったら死ぬけど」

 

ステータスを見ただけではわからないがこの中で最も弱いサーヴァント(自称)が彼だ。

ステータスが見えない(生きている人だから)けどもしかしたらエミヤリリィにも負けるのかもしれない。

 

敏捷以外にAランク無し。

いや、エミヤはステータスにAランク無いけど投影宝具があるからね。

 

平均したら多分エミヤが勝ってるから、その気にしないでね?

見せ筋とかも思ってないから。




おにぎりを食べて挑む。金色は聞いた感じカレー味。

どれだけ食べても問題ない。
ぐだ子って腹ペコ王並の胃袋なのか?


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所長を救うにはどうする?

我思う。

FGOの二次創作でこんなに長く汚染都市?冬木をやっている作品はこれだけじゃないだろうか、と。


 

「安心しなさい、修復するだけならもう一つだけ方法はあるわよ?」

 

絶望感の漂っていた空間に少女の言葉で一筋の希望が差し込む。

まあ、その絶望をばら蒔いたのもそう言った少女なのだが。

 

「この場でセイバーとアーチャーの二人が大聖杯と契約を切ってカルデアと再契約すればこの特異点は修復されるわよ?」

 

(何故最初にそれを言わなかった、この悪魔っ子!!)

 

立香が口に出さず、心の中で愚痴るのも仕方の無いことだと思う。

 

「でもそれだと一人、確実に死人が出るのよ」

「どうしてだよイリヤ。バーサーカーを相手に戦うのも死人が出るかもしれないんだぞ」

 

エミヤリリィの言葉に何度もうなずく立香。

強化されたバーサーカーなんて見たくない。あの怪物を12回も殺す前にこちらが死ぬと思う。

 

「まさか・・・」

「あら、アーチャーは知っていたのね?この中で一人だけ三要素の一つが欠けていることを」

「ちょっと待ちなさいイリヤ?三要素が欠けていたら生きていられる訳がないでしょ!」

「特異点だから行動できているだけよ。空気中に大量に存在する魔力が身体の代わりをしているからね」

 

その言葉で立香は思い出す。

前回の特異点Fの最後に所長を焼いたレフが今回呆気なさすぎた(気付いたら倒れていた)ためにてっきり大丈夫なのかと思っていたが、今所長の身体は存在していないのだ。

カルデアで肉片になり、死んだ結果適性の無いここに存在できているのが今のオルガマリー所長である。

 

「バーサーカーを倒せば肉体を戻せるの?」

 

それが事実なら立香は逃げない。

もう一度、所長が死ぬときの顔なんて見たくない。

 

「え?無理よ?」

「えっ!?」

 

台無しである。色々と期待したのに台無しである。

 

「別世界の身体を治すなんて不可能よ。それこそ回復に特化したサーヴァントでも無理よ。可能性があるとすれば、グランドキャスターを呼んできなさい」

「・・・・・・ロマニ」

「僕にそんな知り合いなんているわけ無いじゃないか!!?」

「そうですよ先輩。そしてドクター、言葉がおかしいです」

「・・・・・・そうだよね・・・」

 

可能だったらやさしいロマニのことだ、きっと所長を助けていただろう。だけど前回の人理修復の時も所長は助からなかった。

つまりはそういうことなのだ。

 

「だから代わりを用意してあげる。わたしはどうでもいいけどシロウが気に病むもの」

「えっ?」

 

それはつまり、

 

「ただし、これは貸しよ?よーく覚えて置きなさいね、カルデアのドクター」

「なんで僕一人に限定されるのかなー!?」

 

グランドキャスターの転生体みたいなものだから仕方がないヨネ。

まあこれで所長をどうにか・・・・・・あれ?

 

「なんでバーサーカーを倒さないといけないの?」

 

この場で直ぐに行動することが駄目でもバーサーカーと戦う必要性はなかったような気がする。

 

「簡単なことよ、わたしの工房は森の中にある城なの」

「あー、なぁイリヤ。もしかして?」

「シロウの想像どおり、バーサーカーは城を守っているわ。わたしたちはそれを潜り抜けて城にたどり着かないといけないの」

 

やることはわかった。つまり、またヘラクレスを相手に逃げるんですね。わかりたくない。

しかも多分誰か(イリヤか所長)を抱えて。

 

「ば、ぶぁっちこい」

「先輩、おかしな言葉になってますよ」

 

緊張のあまり言葉がおかしくなったことをマシュに突っ込まれた。

仕方がないんだよ!

あのモンスターと追い掛けっこするのは二回目なんだから!

 

「速いし、動きがおかしいし」

 

バーサーカーなのに攻撃を先読みするってなに?

狂化が低かったら別だろうがかなり高かった筈である。

なのに攻撃技術が高い。同時に九つの斬撃を放つバーサーカー。

トラウマになっても仕方がない筈。

 

「戦いたくないなー」

 

とても悲しげな言葉が立香の口から溢れた。




終わらないなー冬木。

まだバーサーカー戦が残っている。
戦闘回の後に冬木内の解決編をして、そしてカルデア内のエピローグまではあるという。

既に残り半分にはなっているはず、冬木は。


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バーサーカーの状況と拠点はどうなる?

実はこの特異点、炎上汚染都市とは書いているけどFとはかいてない。

SNでもええよね?


彼はただ待っていた。

自らが守るべきマスターのことを待っていた。

泥により狂化が更に上がってマスターのことを認識できなくなっていてもこの城を守っていればマスターは自分を倒せる者を連れて来るだろうと。

 

城の中に向かっていたナニかが居た。

叩き潰した。

立ち向かって来るナニかが居た。

叩き潰した。

一途な愛のために立ち向かって来るナニかが居た。

叩き潰した。

 

「■■■■■■!!」

 

空気中に漂う魔力により、は充分。マスターの少女が言っていた最強。その怪物はそれを貫くだけ。

城に向かう者を、攻撃を仕掛けてくるモノを叩き潰す。

バーサーカーは、その場から離れない。

ただ、森の前で佇んでいる。

 

***

 

「バーサーカーはセイバーと違って手加減なんてしないわ」

 

いつまでも大空洞の中にいる訳にもいかず、カルデア一行(所長は立香の肩に担がれている)は冬木勢の案内で彼らの拠点、衛宮家へと向かう。

ソコに移動している時にイリヤの口から追加情報がきたのだ。

 

「そっか、やっぱり手加減してたんだ」

 

納得する立香。

立香の知るアルトリアの実力は、エミヤリリィ(立香の援護有り)に敗れるモノではなかった。

それにあの砂糖を吐きそうなほど甘い空気を出していた二人が全力で殺し合うことができるだろうか。いや、できない。

 

「ですが、シロウが強くなっていたことは事実です。想定していた以上にシロウは強かった」

「いや、俺の力じゃない。あの時、俺には出来ないような動きが出来たんだ」

 

それは確実に立香の援護だ。

どのサーヴァントにも効果のあるスキルは未熟なエミヤリリィの感覚に違和感を与えることなく強化することが出来たのだ。

ジト目で見てくる他の人たち。

気付いていないのはエミヤリリィとゾォルケンリリィというリリィコンビだけだ。

 

「そこの未熟者はどうでもいいが、バーサーカーの状況はどうなんだ、イリヤスフィール。まさかわからないとは言うまい」

「場所は森の前よ、セラとリズが見張っているわ」

 

セラとリズ?

まだ生存者がいたのか。良かったことだけど。

 

「後は宝具の回復なんだけど」

「確か3日に1回分回復するんだったけ?」

「お兄ちゃん惜しい!3日で6回よ?」

 

絶望しかない。

1日2回分じゃないですか。時間で考えると12時間で1回甦る。

これは絶対に短期で決めないといけない。

前回の人理修復でも例外はあるが、基本長期的に1騎のサーヴァントと戦うことはなかった。

 

だからそこまで問題はないのだが、12時間に1回と考えると絶望度が高い。

 

「アーチャー、行けるわね?」

「今回は前衛の魔力がしっかりしているから問題はないだろう。相手がバーサーカーといえど負ける要素がないな」

「悪かったな、どうせ俺は未熟者だよ。セイバーは大丈夫なのか?」

「今は空気中に満ちている魔力が多いため問題ありません。強いて言うならなのですが・・・・・・その、」

「わかってるよ、セイバー。一度戻ったら皆で食事にしよう」

「おーおー、魔力が足りてても腹ペコってか・・・・・・うぉっ!?」

「キャスター、死にたくなければ余計な口を出さないことだ」

 

問答無用といった感じでキャスターに見えない剣を振るセイバー。

 

「あら、士郎が作るの?なら私は待ってようかな」

「先輩、私はお手伝いします!」

「料理も所詮は未熟者だと思うがな」

「む、なら勝負するかアーチャー」

「良いだろう。調理実習三年間無敗記録。世界に旅立ってからは世界中の一流ホテルのシェフとメル友になること百余名。貴様に真の食の頂というものを見せてやろう!――――ついて来れるか」

「そんなことは関係ない!――――ついて来れるか、じゃねえ。てめえの方こそ、ついてきやがれ――――!」

「何やってるのよ・・・・・・」

「本当にね・・・・・・」

 

ツッコミをいれる凛と同意する立香。

エミヤの過去に何かしらあったのは知っていたが実は結構楽しんでいたのじゃないだろうか。

一流シェフとメル友百余名。

絶対に料理が趣味だった。

というかリリィもムキになりすぎである。




特異点SN 炎上汚染都市冬木

こんな感じかな

そして前回のあとがきに書いていた予定より増えそうです。
原因はお前たちだぞ、エミヤズ


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エミヤズの今日のごはん?

本人たちには夕食。
知ってます?この原作、SNじゃないんだぜ?
もちろんカーニバルでファンタズムな世界でもない。
あ、ホロウでもないよ?


 

「・・・・・・冬木ってこんなところがあったんだ」

「この家は木で造られています。これが日本家屋なんですね」

 

カルデアから出たことのないマシュには珍しいのだろう。

だが、日本人である立香にとってもここまで立派な日本家屋は、京都や奈良などの古き良き街でしか知らない。

 

「まあ、入ってくれ」

「お、おじゃまします」

 

まさかカルデアに来てから同年代の男子の家におじゃますることになるとは思ってもみなかった。

やっぱり立香の知る知識は無いものと考える方がいいだろう。

自分の常識が、知識が変わっていくことは別に何の問題ない。だって歴代の男性と教わっていた偉人が何人も女性になっていたりするもの。

囚われ続ける必要はない。

 

「さぁ、始めるぞアーチャー!レシピの貯蔵は充分か」

「フ、貴様は誰に聞いている。それよりも貴様が心配するべきは食料の貯蔵だ」

「・・・・・・確かに。セイバーも食べるけど人が増えてた」

 

目の前で料理勝負に夢中になっている二人のせいで立香の中にここが特異点ではなく日常なのかもしれないと思う気持ちが沸き上がってくる。

 

「どれだけ作ってもかまいません。全て残すことなく美味しくいただきましょう」

「その台詞はレディとしてどうかと思うわ」

「私たちの分も残るよね?」

「その先輩、自分たちの食べる分はしっかりと皿に取ってください。きっと残らない気がしますから」

 

マシュの中の英霊が美味しい食べ物は王に取られて無くなると訴えていた。

立香の経験もアルトリアの食事の量を知っていた。

サンタになるとターキーで霊基を再臨するようなサーヴァント。その胃袋はこの特異点でも健在である。

だが、最初にエリちゃんを召喚したときに諦めたエミヤの料理、それが食べられるのなら取られるわけにはいかない。

前回から続く記憶のお陰で既にエミヤによる餌付けが済んでいる立香。料理の奪い合いに参加する気満々だった。

 

***

 

衛宮士郎にとってアーチャーは認められない存在だ。

アーチャーは理想の存在であるが、その理想そのものを否定する存在だからだ。

だからこそ敗けを認める訳にはいかない。

 

「でもなぁ」

 

料理の技術は年季がモノをいう。

衛宮士郎は調理実習で二年間未だ無敗とはいっても(本人曰く)料理は趣味じゃなくて、する人がいなかったから仕方なく身に付けたもの。

確実に趣味(と開き直っている)だろうアーチャーには技術で勝てないだろう。

一流シェフとメル友百余名とか言っていたから尚更に。

 

「だからって俺のやることは変わらないか」

 

自分よりも料理が上手な人は大勢いる。

洋食は桜の方が上手くて、和食でもその内追い付かれそうだ。

中華は遠坂に勝てるイメージが思い浮かばない。

だったら一番得意な和食で、今の自分に作れる最高の一皿を作る。

敵は常に最高の状態の自分自身だ。

アーチャーを意識し過ぎたせいで上手く作れませんでした、じゃ許されない。

 

「それじゃ、先ずは下ごしらえからかな」

 

行動に移した士郎の手元からは食欲をそそるいい匂いが漂っていた。

 

***

 

「これはなんの拷問だろう・・・・・・」

 

エミヤとリリィによる料理を待っているのが本当に辛い。

二人の手元からいい匂いが漂って来るのだ。

アルトリアなど何回か台所を覗きこみ、

 

「シロウ、その、味見役は必要ではないですか?」

 

と言って追い出されていた。

マシュもいい匂いでお腹を鳴らし、顔を赤くしていた。

そのー、二人とも出来れば早く作って下さい。

匂いでお腹が鳴りそうなのですけど。

マシュは既に鳴っちゃったし。

グロッキー所長も意識が現実に戻りそうになるほどのいい匂い。

何故か身に付いている対毒スキル(仮)が匂い全てを防がなくて良かったけど、餌付けされた身にはこの待ち時間は辛いです。




実はタイトルが疑問文の理由は食べてないから。

書いていてお腹がくうくうなりました。


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ここが平和な日常?

いいえ、特異点です

FGOの二次創作中、最も冬木の多い作品かな?
タグにつけた方がいいのか?
今回も平和。


 

美味しいごはん。

それは人の心に余裕を持たせる。

作っている音が想像を掻き立てる。

香ばしい匂いが食欲を増幅する。

 

だが、匂いだけで待たされると辛い。

音が聞こえてくるから辛い。

味が想像できるからこそ辛い。

 

ジュウジュウとフライパンで炒める音が聞こえてくる。

トントンと包丁で切る音が聞こえてくる。

グツグツと鍋で煮込む音が聞こえてくる。

 

「うぅぅ・・・・・・」

 

匂いや音で空腹になったお腹が鳴り、顔が赤くなる立香。

 

「気にしないでいいよ立香ちゃん。それは生物として正しい反応だk」

「黙ってて」

 

フォローのつもりで(無意識で)追撃してくるロマニの言葉を遮る。

生理現象なんだろうけど恥ずかしいことにかわりはない。

 

「悪い、待たせたか?」

「遅いですよシロウ!もう少し遅ければ私の聖剣が黒く染まるところでした」

「なんでさ」

 

腹ペコ王の気は短い。いい匂いが漂っていたから仕方のないことだとは思うが。

 

「運ぶのを手伝ってくれるか、桜」

「はい、先輩。任せて下さい!」

 

先輩後輩のいい関係が見える。

そしてその後輩である桜さんともいい雰囲気も見える。

世に言う二股?

 

「ハイハイ、ちゃっちゃっと運んで座りなさい。士郎も揃ったら食べながら会議をするんだから」

 

もしくは凛さんも合わせた三股?

ハーレムを作るとはさすがはエミヤリリィ。

お人好しは昔の頃から健在だった。

そしてきっと女難の相もこの時には既に。

 

「アーチャーは?」

「勿論作り終えたとも。盛り付けで少し気を抜いたそこの小僧とは違うのでね」

「む、しっかりと盛り付けのことも考えてるぞ」

「彩りというものが足りんのだ、たわけ」

 

どっちもどっちな気がします。

なによりも両方とも美味しそうだ。

語彙が少ないけど見ただけでわかる美味しさ。

この料理を目の前にしながら口喧嘩を待つことはできない。

 

「シロウ、早くしてください」

「ああ、悪いセイバー」

「アーチャーも揉めるのは後でよ」

「やれやれ、仕方がないな」

 

あれ?ここは本当に特異点だっけ?

いつの日かメアリーに聖杯に何を願うか聞かれた時に答えた、欲しい平和がここにあった。

 

「・・・・・・私、本当に聖杯に願って無いよね・・・・・・?」

 

願って叶うものではない筈だが、この光景を見ていると不安になってくる。

聖杯に逆行を願ってしまったのだろうか。これまで歩んできた皆との関わりを否定してしまったのだろうか。

 

「・・・・・・そんなはずはない」

 

立香一人だけなら願っていたかもしれないが、隣には頼りになる後輩がいたはずだ。

 

「?どうかしましたか、先輩?あっ、もしかして苦手な物でもありましたか?」

「ううん、大丈夫だよマシュ」

 

だから願っていない。

 

「よし、食べよう!!」

 

きっと暗い考えになるのは空腹のせいだ。

 

「そうだな、皆揃ったし」

 

「「「「「「いただきます」」」」」」

 

美味しいごはんをアルトリアにとられる前に食べないと!!

対ヘラクレス会議は食べながら・・・・・・

 

**

 

「それじゃ、改めてバーサーカーに対する会議を始めましょうか・・・・・・」

「ええ、そうね・・・・・・」

 

眼鏡をかけた凛さん(似合っている)と現実に意識が戻って正気になった所長で会議を始める。

ごはん中に会議はできなかったのです。

食べた時に意識を飛ばしている人が多かったから。

エミヤズ、料理に全力を出しすぎである。

 

「食後の紅茶とクッキーだ」

「あ、ありがとうアーチャー」

 

そしてエミヤ、執事スキル高過ぎ。

もしも特異点攻略をしていなかったらお腹にお肉がついていたかもしれない。

恐るべし、エミヤ主夫。

いや、レオニダス・ブートキャンプがあったから太らなかったかな?

特異点に行ってない職員たちが抵抗している立香と複数だったとはいえデミ・サーヴァントのマシュを無理矢理にコフィンに押し込むことが出来るようになるし。

本当に恐るべし、レオニダス。




後はバーサーカー戦、所長の身体作り、エピローグで最低でも三話。
伸びる可能性もある、どころか高い。
何故だ冬木超長い。
SN勢を絡めたからか?


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冬木決戦バーサーカー、どうなる?

シリアスになっちゃううぅぅ?


「バーサーカーには簡単に勝てると思うわ。単純に考えてもサーヴァントが六基いるから。アーチャーはどう思う?」

「そうだな、魔力が充分なセイバーがいるのだからセイバーだけでもいけないことはないだろう」

 

別の世界でのことではあるが、アーチャーはバーサーカーを六回殺したことがある。

セイバーも「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」を万全に使える以上問題ないだろう。

 

「セイバーだけでも?」

 

立香の知るセイバーの宝具ではヘラクレスを十二回も殺すことは出来ない。

それは真の力という物なのか。何故それを人理修復の時に使ってくれなかったのだ。

恋愛感情がなかったからか。

 

「ああ。複数回、聖剣を解放すれば倒しきれるはずだ。勿論、彼女は大聖杯からの魔力を充分に使えるだろうから消滅の危険性も無い。そうだろう、セイバー」

「ええ、あなたの言う通りだ、アーチャー。私は今、大聖杯の魔力で活動しています。なのでアーチャーが言った通りの戦法も使えるでしょう」

 

聖杯で強化されていたということか。

それとも聖剣に魔力を上限以上に注ぎ込めるということか。

立香の魔力でも膨大な威力を放つ聖剣の魔力過剰。

確信できる。強い。

 

「そっか。なら大丈夫そうだね」

 

エミヤとアルトリアの二人ともが勝てると言うのだったら問題ない。

この二人の実力を知っているからこそ信用できる。

 

「でも念のために他のサーヴァントも一緒に戦うからね?」

 

信用はできるがあのヘラクレスが相手なのだ。立香はトラウマの相手だからこそしっかりと警戒していた。

 

「そうね。絶対に城まで行かないといけないのは私とサクラ、そしてオルガマリー位かしら」

「ならば、私とアヴェンジャーでその護衛に付きましょう。アンリはバーサーカー相手に何も出来ませんから」

「事実だとしても酷いぜマスター」

 

アヴェンジャーを抜いても残りのサーヴァントはマシュを含めて五基。

マスターが三人という充分過ぎるほどの戦力だった。

 

「でもバーサーカーを相手にする以上、気を抜くのはやめておいた方がいいわよ」

 

イリヤは忠告する。

 

「だってバーサーカーは最強なんだから」

 

自らが信頼するサーヴァントの実力を知っているからこそ。

 

***

 

「ちょ、待っ、助けて子ジカ!!ドラゴンミンチになっちゃううぅぅ」

 

エリちゃんがバーサーカーの持つ剣を槍で防ぐ。

筋力の高いエリちゃんですら潰れそうな威力で振り下ろされる剣を耐え続ける。

 

ヘラクレスを相手にするのにサーヴァント数名でも戦力が多すぎるということはなかったんだ!!

なにが戦力が充分だ!

そして誰だ、セイバーだけでもいけないことはないとか言ったのは!

どうして第三特異点のトラウマということを忘れてその楽観的考えを信用したんだ!!

 

立香は口に出さなかったが後悔していた。

豪快にして精密な剣技を本能で振るうその姿に本当に理性を無くしているのか疑問を覚える。

 

**

 

最初のアルトリアの宝具が直撃し、何回分かはわからないがヘラクレスを殺すことは成功した。

問題が起こったのはその後である。

復活した後のバーサーカーの動きが速かったのだ。

 

聖剣の二度目の解放の為に再び魔力を束ねるアルトリア。

それを狙って巨体に似合わぬ俊敏さをもって振り下ろされる剣をマシュがギリギリのところで盾で防ぐ。

 

「■■■■■!!」

「!?」

「マシュ!?」

 

しかし防いだ直後で硬直するマシュを盾ごと蹴り飛ばすヘラクレス。

その動きはよく鈍重と言われるバーサーカーとはまったくの別物。

セイバーが魔力を貯めたとしても回避される可能性も出てきた。

 

「これ、ヤバイ」

 

最初の宝具が当たったことでさえ奇跡としか思えない。

出てこないしいつの間にか倒れていた魔神柱など前座にすらならない。

この場にいる全サーヴァントでも倒せるかどうかわからない。

 

「■■■■■■!!!」

 

本当の恐怖が、強敵がそこにいた。




この作品のヘラクレスはアニメUBWのバーサーカーの性能を基準にしています。


そう言えば8月にプリヤが映画化とコマーシャルで見ました。
見に行かなければ!
でも多分だけどタイミング合わせてプリヤイベが復刻するんでしょうねー、ピックアップガチャも。
石を貯めねば!
だが今はエミヤが出やすくなっている。
ガチャらねば!
でもお金が足りぬ!!
・・・・・・書けば本当に出るんですよね?都市伝説じゃないよね?


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交戦中バーサーカー、勝てる?

色々と聞いて、読みした。
本当に勝ちたい。


 

「イリヤさん。本当にこの聖杯戦争の決着を着けても大丈夫なんですか?」

 

セイバーの宝具がバーサーカーに当たったと同時に、城の中に入ることができた桜は隣で歩いているイリヤへと訊ねる。

この世界の大聖杯も汚染されている。

聖杯戦争の決着が着いたら泥が溢れだしてくるのではないのだろうか。

 

「心配することはないわよ。既にこの街は燃えてるし、そもそもの大元、アンリマユがここにいるじゃない?」

「あ、そうですね」

 

確かにその通りだった。

この世界で大聖杯に問題が起こる原因が既にサーヴァントとしてここにいるなら、既に特異点になっているここなら問題はないだろう。

 

「それよりもサクラ。あなたにも手伝って貰うから。リズ、セラ、儀式の用意をしなさい」

「わかった、任せてイリヤ」

「リーゼリット!ちゃんとしなさい!!」

 

二人のメイドが儀式の用意をするまで彼女たちは城の外で戦う少年のことを心配していた。

 

「ねえ、私は?」

 

一人、何もわからずついていけてないオルガマリーを置いてきぼりにして。

 

***

 

「I am the bone of my sword. (───体は剣で出来ている)」

「アーチャー!宝具展開!!」

 

凛の右手の令呪が消える。

そしてその命令は、アーチャーが宝具を使う為に本来必要な詠唱すら破棄する。

 

「『UNLIMITED BLADE WORKS.(きっと剣で出来ていた)』」

「■■■■■!?」

 

その言葉で世界が塗り替えられていく。

燃えさかる炎と、一面の荒野が広がる。

その世界は無数の剣が大地に突き刺さり、空には回転する巨大な歯車が存在していた。

 

その光景を三人は別の感情を持って見ていた。

藤丸立香はやっぱり頼れるサーヴァントなのだ、と再認識した。

遠坂凛は隣にいる少年をこの世界と同じように空っぽにしないように決意した。

衛宮士郎はその世界が自分の根底にあるものだと気が付いた。故に見て学び、その在り方の一部を写し取っていた。

だがエミヤにはそんなことは関係ないし、学び取っている未熟者を除く二人の少女の考えはわからない。

 

「まさかまたこのバーサーカーを相手に時間稼ぎをすることになるとは。私も運がない」

 

一度目は凛とたわけ者とセイバーを逃がすために。

二度目は第三特異点の島でエウリュアレを抱えて走る立香が逃げ切るために。

そして今回。

エミヤがするのは殺し尽くすための時間稼ぎだ。

が、

 

「別に倒せるのなら倒してしまっても構わんだろう」

 

そう呟く。

大英雄殺し。

以前はちゃんとした(箱に触らせて殺すのではなく十二回の命を殺すこと)方法で出来なかったその一端を担っても問題はないはずだ。

だが余裕があれば未熟者に痛い目を見てもらうのも良いかもしれない。

答えを得ていても殺すことが目的では無くなっていても、気に入らないものは気に入らないのだから。

 

***

 

未来の自分が辿り着いたその世界。

今の衛宮士郎でもその世界にある無数の剣がどういうものかが解る。

無数の高い神秘性を持つ剣がバーサーカーに向かって飛んでいく。

どさくさに紛れて士郎にも。

 

「ぐあっ!」

 

咄嗟に飛んでくる剣を回避する。

士郎に当たらなかった剣はその勢いを落とすことなくバーサーカーへと飛んでいく。

 

「あ、あの野郎・・・・・・」

 

バーサーカーと士郎を直線として狙ってきたのだ。

絶対にわざとだった。

 

「いいぜ、殺ってみろ!投影、開始!!」

 

この場であいつを否定する。アーチャーの世界に存在する剣を投影して真っ向から打ち勝つことで衛宮士郎が諦めることはないと教えてやる。

バーサーカーの相手ついでで殺されてなんてやるもんか――――!!

 

「な、何が?」

「アーチャーがバカなことをして、士郎もそれに乗ったのよ」

 

疑問を浮かべる立香に頭を抱えながら説明する凛。

時間稼ぎはどこ行った。

 

「ほ、本気でヤバイから助けなさい子ジカ~~!!」

 

一人でバーサーカーの攻撃を防ぐエリちゃん。

 

頑張ってエリちゃん。

アーチャーの攻撃が効いているのか威力は減ってきているから。

 

「本当に助けてーー!!!」




ガチャが、当たらない!
書けば出るというのは幻想だったのか?
星4のエミヤが欲しいんですよおおおぉ!!

それはともかく、おかしなことを友人に言われました。

「冬木だけってことはzeroはするんだよね?」
と。

そう受けとる人がいるとは思ってなかった。

汚染炎上都市、冬木だけの予定だから!!


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決着、バーサーカー!

帰ってこい、シリアル!


 

「ランサー、死にたくなければすぐにその場から下がるといい」

「え?キャーーー!!?」

 

咄嗟に全力で下がるエリちゃん。

エミヤがエリちゃんにした警告のすぐ後にバーサーカーを殺すことができる剣が無尽蔵に降り注いだからだ。

しかも降り注ぐ剣の全てが爆発する。

その全てを防ぐことは流石のヘラクレスであっても不可能だった。

その四肢には貫かれて地面に縫い付けられている。

 

「ちょっとヘンタイマッチョ!!危うく死ぬところだったじゃない!!」

「待ちたまえ!誰がヘンタイマッチョだ、誰が!!それに警告はちゃんとしただろう」

「遅いでしょ!!爆発に巻き込まれかけたんだからね!」

 

エリちゃんのスカートの一部が焦げていた。

咄嗟の回避でもこれである。

 

「まぁ避けられたのなら問題はないだろう?」

「問題がないわけないでしょ!!サーヴァント界のトップアイドルの肌にキズでもついたらどうするつもりなのよヘンタイマッチョ!!」

「だからヘンタイマッチョ呼ばわりは止めたまえ!!」

 

エリちゃんの中ではエミヤ=ヘンタイマッチョのようだ。

 

「コホン、とにかく私の役割は終わったようだ。ランサー、見てみろ」

「あー、確かにそうね」

 

エミヤがエリちゃんに示した方向には光の柱が上っていた。

 

**

 

ヘラクレスの宝具には耐性がつく。

だが通じなくなる訳ではない。

けど念には念を入れておきたい。

セイバーとセイバーオルタが切り替えられるのならば片方ずつ宝具を使ったら同じ性質じゃないから耐性もないはずだからだ。

その事を立香はエミヤの固有結界に入ってから凛と士郎に言った。

 

「・・・・・・確かにあのバーサーカー相手じゃ念には念を入れても足りないかもしれないものね。士郎、セイバーを黒くできる?」

「頼んでみるよ、セイバーだって話せばわかってくれるからさ」

 

そして話に行った士郎を見守る立香と凛。

 

「その、セイバー。頼みたいことがあるんだ」

「シロウ、どうしました?もう少しで魔力が貯まりきるのですが」

「そのー、癖毛を抜いて撃って欲しい。セイバーのことだから耐性を貫くとは思うけど、念には念をってことで」

「必要ありません」

「頼むセイバー!セイバーの料理の量を増やすし、好きな料理を作るから!!」

「・・・・・・・・・・・・しかし」

 

セイバーの意志がとても揺れ動いている。恐るべし、エミヤごはん。

 

「わかった。ならセイバーのごはんにおかずをもう一品付け加える」

「抜きましょう」

 

腹ペコ騎士王一瞬で陥落。

 

「約束を絶対に忘れないで下さいねシロウ」

「勿論だ。セイバーのために心を込めて作るからな」

 

その言葉に頷いたセイバーは自らの手で癖毛を抜く。

 

「シロウ、マスタードたっぷりの手作りハンバーガーだ。わかったな」

「あ、ああ。任せろセイバー」

 

微笑を浮かべ貯められた魔力を解放し、黒い光の柱が立ち上る。

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め! 『 約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!」

 

反転した聖剣から放たれた黒い光は四肢を縫い付けられたヘラクレスを呑み込み蹂躙する。

 

後にはバーサーカーの姿は残らず、消え去った。

 

「流石セイバー。やっぱり強いな」

 

笑顔でそう言う士郎に、照れて顔を赤くすると同時に頭から癖毛が立ち上がる。

 

「改めて、ありがとうセイバー」

「い、いえお礼など必要ありませんよシロウ。サーヴァントとしてやるべきことをやっただけです」

 

そして甘い空気が漂う。

誰かブラックコーヒーください。

 

「その、すみません先輩。私はサーヴァントになったのに役に立てなくて・・・・・・」

 

一度目の攻撃で吹き飛ばされたマシュが漸く戻った。だがその姿はぼろぼろだった。

ヘラクレスのキック強すぎ。

盾がなかったらきっとマシュでも危なかっただろう。

 

「大丈夫だよマシュ。私も何も出来なかったから。これから一緒に頑張って行こうね」

「は、ハイ!」

 

知識も記憶も関係ない。

似て非なる世界になっているのだから動けるようになろう。

隣にいるマシュと一緒に今度こそしっかりと歩いていこう。

立香はそう心に誓った。

 




という感じでバーサーカー決着!!
長かった。
そしてあともう少しで長かった冬木も終了になります!
あとは所長を助けて、修復するだけだー!


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彼女たちを救える?

救える救えないではない。
救うのだ!


バーサーカーとの戦闘が終わっても特異点は修復されず、アインツベルン城からも誰も出てこなかった。

 

「あれ?」

「あー、立香ちゃん。そこの特異点は完璧に安定した、って言いたいんだけど。マリーと、あのイリヤさんはまだかな?」

 

どうやらロマニは正体に気付いているイリヤのことを警戒しているようだ。

 

「まだ出てこないからマシュと一緒に迎えに行こうと思って」

「よし、無事に合流できたら連絡をくれるかな?ただ、僕は応答出来ないかもしれないけど」

 

警戒心たっぷりだった。

そんなに苦手か。

 

「それではドクター。私たちは行ってきます」

「うん、二人とも気をつけてくれ」

「ロマニ、忘れてる」

 

カルデアに所属はしていないが他にもいることを忘れている。

まあ、一人と一サーヴァントほどが喧嘩(しかも投影した物をぶつけ合うという周りに危険なものを)しているので眼を逸らしたくなる気持ちは解るが。

そして彼女たちは突入した城のなかでは・・・・・・

何かを潰したようなものに黙祷する桜、上機嫌のイリヤ。

そしてすやすやと眠る小学校五年生のイリヤちゃんと同い年位に見えるどこかの誰かに似た見た目の少女というものだった。

混沌としている。

 

「なに、これ?」

 

思わず呟いてしまった立香は悪くないだろう。

 

***

 

「ちょっと困ったわ・・・・・・」

「どうしたんですか、イリヤさん?」

 

その場には小聖杯の少女と黒い器の少女、そして(うるさいため)気絶させられたカルデアの所長がいた。

 

アヴェンジャーとそのマスターは席を外している。

 

「この聖杯なんだけど、第三魔法を使うには適さないのよ」

「あ、そうなんですか」

 

割と重要な言葉をあっさりと流す桜。

特異点を造り出す割にはサーヴァントを強くするだけで消える聖杯。

きっと承認式のロックか何かを備えていた。

そんなにレフのことを信じていなかったのだろうか。

それよりも負けない努力をしようよ、魔術王(仮)。

 

「私の寿命とサクラの中の蟲、オルガマリーの身体って全部解決するなら簡単にできるけど、私たちがカルデアに移動するための魔力を考えるとギリギリでアウトね」

「所長さんの身体を完璧に戻すの辞めたら良いじゃないですか?この時代に生きているだろうオルガマリーさんの肉体に合わせるんです」

 

現在(2015年)、ここにいるオルガマリーは20歳前後。この特異点の時代(2004年)に生きているであろうオルガロリーちゃんは10歳前後である。

確かに身体の大きさ的に必要な魔力量は少なくなるかもしれない。微々たる物ではあるだろうが。

だがあくまでもアウトだったのはギリギリだ。

 

「・・・・・・別にシロウに問題ないし、それでもいっか」

「じゃあそれで始めましょう!」

 

こうしてオルガロリーの身体作りと彼女たちの問題解決のための魔術が起動された。

オルガマリーの知らないままに。

 

***

 

「で、これ?」

「ええ」

「なんでさ」

 

立香の口からエミヤリリィの口癖がこぼれる。

マシュも苦笑いを浮かべ、通信に出たダ・ヴィンチちゃんとロマニは唖然としている。

 

「イリヤ、これしか助けられなかったんだな?」

「ゴメンねお兄ちゃん。私には思い浮かばなかったわ」

「そっか。ならしょうがないな。桜も手伝ったんだろ?ありがとう」

「せ、先輩・・・・・・」

 

イリヤを撫でて微笑み、桜にも笑顔でお礼を言うリリィ。

 

「・・・・・・彼はギャルゲか何かの主人公なのかな?ハーレムルートを攻略中なのかな?モテモテなんだろ?爆発すればいいのに」

「ドクター、不謹慎ですよ」

 

ロマニが恨みを込めながら言っているし、この世界の人は知らないがエロゲの、全年齢対象版ならギャルゲの主人公である。

残念ながらハーレムルートというのは存在していないが。

 

「大聖杯の魔力があったんじゃないかなー?あのヒト擬きも中に入れたんだしさ」

 

ダ・ヴィンチちゃんが通信ギリギリの音量で呟いた言葉で立香も気付く。

移動の魔力は大聖杯から取れば良かったのではないのでだろうか。

何故にオルガマリー所長からオルガロリー所長になるのだろうか。

助かったのは良いことなのだけど。

釈然としない何かを感じるカルデア組だった。




因みにこの展開(オルガロリー・アリスフィアちゃん)を予想できた人はてをあげてー。
きっといなかったと思うんだけど。

最近のFGO報告~

物欲センサーまさかの大活躍!
星4以上のサーヴァントが来ない!
来たのはライダー、メドゥーサ。なんでさ。

書いたら出る、そうなんですよね?
ガチャ運無いなー。
でも引く前に一応言っておこう。来い!セイバー!!


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人理定礎は?

complete


 

「ふみゅ?」

 

オルガロリー所長の口から可愛らしい声が漏れ、身体を起こす。

周りを見渡し、

 

「(ここは何処?何が起こっているの?確かレフがいなくなって・・・・・・!?)」

 

現在の状況を思い出す。頼れる相手がいなくなっていることも思い出してパニックに陥る。

縮んでいることに本人は気付いていないが。

オルガロリーにとってはとても重要なことで混乱しているのだが、端から見れば小学生位の少女がアワアワしているようにしか見えない。

かわいい。

 

「あ、あの、先輩・・・・・・」

「マシュ、気持ちは解るけどステイ。最初は私で」

「む、それは先輩でも譲れません」

「なんでさ」

「二人とも、その子はロリでも所長なんだぞ!?」

「「Dr. ロマンは黙ってて!!」」

「なんで僕が怒られるんだい!?」

 

あまりにも可愛いいため、抱き締めたい衝動を抑えられない立香とマシュ。

だが冷静に考えて欲しい。この子は所長である。

 

「あー、もう二人はいいかな、うん。マリー?その、僕のことが解るかな?」

「ロマニ、うるさい!訳のわからないことを言わないで」

「うん、記憶はそのまま僕の知っているマリーなのかな」

 

扱いはひどいがこれでも医療部門のトップである。これはしっかりと確認しておかなければいけないことだった。

 

「一度、マリーのことは置いておこう。イリヤちゃん、バーサーカーが倒れたのにどうしてこの特異点が修復されないかを教えて欲しい」

「?セイバーとアーチャーの二人がカルデアのシステムじゃなくて大聖杯で現界してるからよ?後はそっちで出来ると思ってんだけど」

 

そういえばイリヤさんってそんなこと言ってましたね。

 

 

「なるほどな。・・・・・・では、立香。一時的に君と契約させてもらおう。凛、別に構わないな?」

「ええ、今度はちゃんと後で戻ってきなさい」

「なに、今回は裏切りでもなんでもないだろう?」

 

・・・・・・一度裏切ってるのかエミヤ。

 

「それではシロウ。私も一時的にリツカと契約します」

「なんでさ。アーチャーが契約すればセイバーまで契約しなくてもいいんじゃないか?」

「私は大聖杯の魔力を直接的に引き出しています。なのでアーチャーが大聖杯との接続を切れたとしても不安が残ります」

 

大聖杯のお陰様で聖剣連続ぶっぱだもんね。

 

「それに私は現在、野良サーヴァントとなっています。なのでリツカ。私も貴女との一時的な契約を望みます」

「・・・・・・一気にとんでもない戦力キターー!?」

 

一時的にとはいってもこの戦力はとんでもないものである。

冬木の生存者がカルデアに来るまでの間だけだけど。

 

ただ、残念なこともある。

特異点になってから召喚されたというキャスターとアヴェンジャーの二人は契約してもカルデアに連れて行くことは出来ない。

 

「まあ、気にすんなよ嬢ちゃん。縁があったら今度はランサーとして呼んでくれや」

「そして死ぬのだな」

「あん?喧嘩売ってるならこの場で買うぞ、弓兵」

 

仲が悪いなこの二人。

・・・・・・確か、無駄に長い縁が合ったんだっけ。

 

「それじゃあ立香ちゃん、彼らと契約してくれるかな?受け入れ準備はちゃんと出来ているからさ」

「うん。それじゃあ・・・・・・」

 

そして立香は新たに二基のサーヴァントと契約し、燃え盛る特異点が修復されていく。

 

「じゃあ、私たちはカルデアで、皆を待ってるからね」

 

そして冬木からカルデアへと戻るためのレイシフトが始まる。

 

**

 

ファーストミッションクリア。

特異点SN 汚染炎上都市冬木

人理定礎、復元完了。

 

死亡者1名。

他、重傷者47名。

ロリ化1名。

現カルデア所属サーヴァント数、5基(内デミ・サーヴァント1名、戦闘に参加できない天才1名)。

現マスター数1名。

増加予定のマスター、複数名。

 




これにて冬木修復完了!!
漸く終わった、冬木長い。

残るはカルデアに帰ったあとのエピローグのみ!の予定。


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グランドオーダー

これは未来を取り戻す物語、そのプロローグ。


「先ずは生還おめでとう、立香ちゃん。マシュ。そしてマリー。良く無事に戻ってきてくれたね」

「ただいま」

「ただいま戻りました、ドクター」

「・・・・・・ねえ、ロマニ」

「どうしたんだいマリー?何か身体に不具合でもあったかい?」

「なんで私が縮んでいるのよ!?」

「アポトキ○ンだっけ?」

「ああ!見た目は子供、頭脳は大人の彼のことか!そのまま今のマリーのことだね」

「うるさい藤丸、ロマニ!」

 

幼女、プンスカ。

その姿はカルデアの他の職員すらも癒す。

 

「うーん、そうだな。かくかくしかじかで通じるかい?」

「ふざけないで!!」

 

勿論、そんなふざけたご都合主義は存在していない。

 

「所長はファーストオーダーに行く前に爆発に巻き込まれ、特異点で泥に呑まれる教授を目撃してしまう。ダウナーになってた所長は背後から忍び寄るスーツの女性に気付かなかった。聖杯による魔術が起動し、目が覚めたら」

「身体が縮んでしまっていた。うん、簡単に纏めると立香ちゃんの言った通りの感じかな」

「ふざけないでって言ってるでしょう!!」

「「えー」」

「えー、じゃない!!」

「止めてあげてください、二人とも。所長が泣きそうです」

 

変なところで気が合う二人だった。

というか所長弄りで息があっていた。

 

**

 

「で、この二人に説明させたら先に進まないから私から説明したんだけどわかったかい?」

「ええ、ありがとうレオナルド」

 

説明を聞き、理解するオルガロリー。

メンタルは弱いがとても優秀なのだ。

酷い現実を突き付けられたらなかなか認めようとしないが優秀な所長なのだ。

 

「それじゃあロマニ。私たちが特異点にいた間に何か変化はあった?」

「おやおや?まだ待った方がいいんじゃないかい?ロマニは苦手なのかもしれないけど、まもなく彼女たちがここに来るというのに」

 

その言葉を待っていたかのようにカルデアの基地に光が走る。

セイバーやアーチャーは特異点の前から召喚されたサーヴァント。

その縁を辿り、大聖杯を利用してこの場に転移してきた証だった。

光が収まったその場には冬木で出会ったマスターたちがいた。

因みに麻婆神父は純粋な人としては死んでいたらしく居なかった。

 

**

 

「よし。全員、改めての自己紹介も終わったみたいだね。それじゃあ言わせて貰うよ。新たに大きな特異点が七つ発見された。小さなものも幾つかね。どれも冬木かそれ以上の時空の乱れだ」

「そ、そんな。嘘でしょロマニ!」

「いいや、残念なことに間違いでも嘘でもないんだ」

 

項垂れる幼女。

優しく頭を撫でるロマニ。

 

「だが何かあっても(幼女になった)今の君に責任を取らせるような職員はここに居ない」

 

外部の人間にこの子が所長です。と言っても誰も信じないのだから。

そんなことは関係なく、プレッシャーに弱い彼女に全てを背負わせる人間はここに居ない。

 

「だから所長の変わりに聞かせて貰う。勿論こんなことを言えば強制になることもわかっている。それでも聞かなければならない。君たちに、人類の未来を背負う覚悟はあるか」

 

全員(撫でられているオルガロリーは除く)が頷く。

 

「ありがとう。これで僕たちの運命は決定した」

 

撫でた手をオルガロリーの頭からどけないまま話す。

 

「これよりカルデアはオルガマリー所長の予定した通り、人理継続の存命を全うする」

 

いいからロマニ。撫でながら話すのは止めなさい。

 

「目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は各年代と、原因と思われる聖遺物、そして聖杯」

 

大事な話なのは分かる。

だからダ・ヴィンチちゃん、ロマニの後ろに並ばないで。

 

「我々が戦うべき相手は歴史その物だ。君たちの前に立ちはだかるのは多くの英霊、そして伝説になる」

 

マシュもダ・ヴィンチちゃんの後ろに並ばないで。

 

「生き残るには、未来を取り戻すにはこれしかない。

例え、どのような結末が待っていようとも」

 

ロマニの口ぶりから立香はもしかしたらこの時からロマニは自分の最期を予感していたのかもしれないと想像する。ロリ所長の頭から手を離さないから緊張感何てものは存在していないけれども。

 

「作戦名はカルデア最後にして原初の使命。

人理守護指定グランドオーダー。

魔術世界における最高位の使命をもって我々は未来を取り戻す!」

 

なんとも締まらない光景だったが、これがこの世界の未来を取り戻すための戦いの始まりを告げる号令だった。




というわけで、これにて冬木編完結です!
長かった。本当に長かったんだ。
誰だ、冬木だからSN勢も絡めようなんて思ったのは!
ここのこいつだけども!!
そして、最初の方にあったFGO要素どこ行った!
ストーリーだけじゃないか!
それもここのこいつが書いたんだけど!!

さて、愚痴もここまでとしまして。
活動報告でアンケートを取ってます。お願いします。
内容は・・・・・・
次にどこに行くか、です。
小さな特異点(イベント)か、大きな特異点(オルレアン)か。

冬木だけ投稿予定と言ってましたが、冬木で完結とは言ってない!

・・・・・・せめて書いているサーヴァントが来るまでは辞めたくない!負けた気がするもの!
だから早く来い!セイバー!アーチャーでも良いから!


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幕間の物語 目指せ理想郷

幕間です。
本編だけど本編じゃないと思われる。
今回のあとがきはあとがきではないよ!

アンケートもよろしくです。
・・・・・・所長の呼び出すサーヴァントとかもあれば次いででよろしくです



「僕はさ、お前のそういう偽善ばっかで本音を出さないところがムカつくんだよ」

「止めるんだ慎二!そんなことをしたってなんの意味も無いじゃないか!」

 

カルデアの長い廊下の真ん中で向かい合っているのは、つい先程カルデアに来たばかりの少年たちだ。

片や英霊になる可能性が高く、固有結界を持っている衛宮士郎。

片や特異点から大聖杯による転移などで運良く魔力回路が開いたワカメこと間桐慎二。

お互いにその顔は真剣だった。

こうなった原因は少しだけ時をさかのぼる。

 

**

 

それはロマニのグランドオーダー宣言のすぐ後だった。

 

「とは言ってもずっと燃えている街に居たんだ、君たちも疲れただろう?今日はゆっくりと休むといい」

「わかった。じゃあ、大浴場を使ってもいい?」

「「「大浴場があるの?」」」

 

ずっと燃えている街に居たので煤だらけの上に、汗をかいていた為にベトベトという立香は早く身体を流したかった。

だが、身体を流したかったのはなにも立香だけではない。

冬木からカルデアに来た少女たちもだ。

好きな人の前に汗だくな姿で居たくはないのだ。

まあ、一人ほど動きに支障が出ないようにするためという女子力の欠片も感じられない者もいたが。

 

「まあ、ね。カルデアの中には娯楽みたいな物が少なくてね。せめて身体を休ませるためにってところかな」

 

因みに自分の部屋や医務室のパソコンにはとあるネットアイドルのブログへのショートカットが存在する。

娯楽は少ないだけで無いとは言ってない。

 

「じゃあ、私たちが案内するよ。さあマシュ、一緒に案内しよう!」

「そうですね。皆さん、こちらです」

 

そうして、女性陣はマシュと立香に案内されて観測室から出ていった。

 

そして色々な人たちが動き始める。

アーチャーとセイバーは食堂に、ロマニは自分の宣言による職員たちのフォローに。

そして慎二と士郎だけがその場に残されたのだ。

 

「なあ衛宮。僕らには今、マスターミッションが発動されてるぜ」

「い、いきなりどうしたんだ慎二?」

「これは男である僕らがやらなければいけないミッションだ。何処の世界の僕か知らないけどさ、聖杯を取ってくれて、僕をこんな良いところに来れるようにしてくれたんだからさ!」

「おーい、戻ってこい慎二ー。何を言ってるのかさっぱりわからないぞー」

 

士郎の言葉はあまり届いていない。

ただ、慎二のテンションはとても高い。

 

「よーく考えろよ衛宮。お前も僕も男だろ?」

「ああ、そうだな」

 

女になったことはない。

この士郎は知らないが、身体中を改造されたことも、人形にされたこともある。

そしてここカルデアには性転換の魔術という不可解な魔術が存在している。

だが士郎は使っていない。

 

「カルデアにはさ、見た目が美人の女が一杯いる。しかも大浴場」

「・・・・・・慎二、まさか!?」

「フハハハハ。そのまさかだよ衛宮。僕らは今から理想郷に向かう!」

「ただの覗きじゃないか!!」

 

そう、慎二が言うマスターミッションは覗きだった。

ある意味とんでもないミッションである。

 

そして冒頭に戻るわけである。

 

「意味ならあるんだよ、衛宮。お前だって本当は僕のことを心の底から否定出来ないだろう?」

「く、くそっ」

 

士郎も男である。可愛い女の子たちが大浴場にいる。

男として覗きたくない訳がない。むしろ覗きたい。

 

「想像してみろよ衛宮!遠坂や桜だけじゃないんだぞ?あのマシュってヤツの身体を思い出してみろよ!デンジャラスビーストだろう!」

「で、でも後でどうするつもりさ!遠坂とか桜だっているんだぞ!」

「いい言葉を教えてやるよ、ばれなきゃいいんだ」

「し、慎二!!」

「・・・・・・それに衛宮ならバレても大丈夫だろ」

「なんでさ」

 

(冬木の)女性陣からの好感度が高いからです。

どさくさ紛れで賛同してしまった士郎。

そう、ここに男たちの譲れない(とても下らない)ミッションが始まった。

 

この後に、士郎を食堂に誘うために戻ってきたセイバーに見つかり、失敗することを今の彼らは知らない。

慎二の折檻を桜が、士郎の折檻をセイバーがすることも彼らは知らない。

 

「さあ、行くか衛宮!」

「ああ、行こう慎二!理想郷へ!」

「シロウ、一緒に食事でも・・・・・・」

「「あ」」

 

ここは大浴場に向かう更衣室の前の廊下。

 

「確か、ここは・・・・・・シロウ?」

 

未だに人間である少年たちが逃げられる訳はない。

DEAD END




カルデアの隅から!出張版、タイガー道場

タイガ「この、ばかちーーん!!」

タイガ「まさか人理修復する前に死ぬなんて!ダメよー、いくら男の子だとしても相手を選ばないと。私とか?」

作者「ししょー、唐突なデッドエンドはFate/のお決まりっす。そしてそのルートは存在していないです」

タイガ「天誅。余計な事実はいらないのよ、存在していない弟子F号」

F号「・・・・・・これが噂の虎竹刀、痛い」

タイガ「シャラップ!それじゃあ今回を振り返ってみるわよ」

F号「おっす。覗き、失敗っす」

タイガ「一言!ちなみに予定とは違う方向に行ったのよね?弟子」

F号「おっす。本当にどうしてこうなったんでしょう。ぐだ子とフラグが立つ予定だったんです。でも、マシュの盾が」

タイガ「あのおとなしいマシュちゃんにも脅されるなんて、作者、弱い子!」

F号「弱いとか止めて!脅されてないし!フラグを防がれただけだし!」

タイガ「えーと、今回はあくまで出張版。もしまた誰かがDEAD ENDになった時にお会いしましょー」

F号「えーっと、道場に次回があればゲストを招きながらししょーと私がお送りします」

「「また次回に!!」」


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邪竜百年戦争オルレアン
幕間の物語 召喚しよう


もう少しで放送だー!!


「今回、君たちにはフェイトシステムで召喚してもらおうと思ってるんだけど・・・・・・」

 

ロマニの目の前にはボロボロのまま正座させられている少年たち。

しかも首には『ワタシは覗きです』と書かれた看板を下げている。

 

「今回はこの呼符を使って呼び出してもらおうと思ってる。聖晶石と違って人数分しかないから一人につき一度ずつしか出来ないと思って欲しい」

 

敢えてこの二人が何をしたかには触れない。ロマニ自身、余計な地雷に飛び込みたくはない。

そしてそれよりも重要なことがある。

 

「レオナルドが造っているものの、量産するには難しいらしいの。だから確実に強いサーヴァントを引き当てなさい」

「ロリー、僕に最後まで言わせて・・・・・・」

「誰がロリーよ!!」

 

今回は正座している彼ら以外が召喚することになった。

罰であるし、呼符を無駄使いなど出来ないのだ。

 

**

 

「それじゃあ経験があるし、私から逝くね?」

 

なんとなく爆死の予感を感じ取る立香。

だが、引かなければ何も始まらない。

 

「来い!」

 

光に包まれて現れたのはランサー、クー・フーリン。

当たりだった。

が、バゼットさんのテンションが少し下がっていた。

 

「お?嬢ちゃんか。まさか要望に答えてくれるとは、良いマスターに当たったみたいだな」

「ほう?なら今回は貴様の槍は当たるのだろうな?私の記憶では君の槍が当たったのは三回だけだったと思うが?」

「なら試してみるか?つーかまたお前と一緒か・・・・・・。おぉ~ヤダヤダ。口煩いのが一緒ってのは」

 

睨み合う二人。どうやらどの世界でも犬猿の仲らしい。

 

「それでは次は私が」

 

そう言ってバゼットが呼符を持って召喚サークルの中に入る。

そして呼び出されたのはなんというか予想通りのサーヴァントだった。

 

「あいよー!最弱英霊アヴェンジャー、お呼びと聞いて即参上!」

「何故あなたなんですか、アヴェンジャー!!」

「呼んどいていきなり酷くねぇ!?」

 

ランサーのクー・フーリンは無理だろうが他のクラス、具体的にはキャスターとかを呼びたかったらしい。

でも一番縁が強いのは腕の代わりになったことのあるアヴェンジャーの方であったようだ。

まあ必ずしも強い縁が呼ばれる訳ではないのがフェイトシステムなのだが。

 

そして桜が召喚したのは

 

「お久しぶりです、サクラ」

「ライダー!」

 

特異点SNではランサーで今回はライダーのメドゥーサだった。

縁だけで呼ばれるならきっとBBちゃんとかパッションリップとかメルトリリスが呼ばれていただろう。

そしてエミヤが再び修羅場になっていただろう。

 

それはともかく、残念ながらサーヴァントを呼べたのはここまでだ。

凛は

 

『おやー?もしかしてマイマスターの凛さんではないd・・・・・・』

 

グシャッ。

呼び出した何かが言葉を言い切る前に踏みつけ、霊基変換に出した。

何を呼び出したのか、聞くことが凛の雰囲気から出来なかった。

立香にはなんとなくわかる。きっと愉快型自律式魔術礼装だった。

生け贄にされたことがあったのだろう。

御愁傷様である。

縁ならトンデモ女神を呼び出すことも出来たのだろうが、まさかのとある箱の底に押し込んだ筈の礼装だった。

 

所長は冬木で見た激辛麻婆豆腐を呼び出した。

その赤さに誰も食べようとしなかったために呼び出した所長が食べるしかなかった。

幼女は食べた後に泣きながら部屋にこもった。

 

イリヤは概念礼装の投影魔術を呼び出した。

なんとも言えない空気が漂った。

とある世界では士郎がこの概念礼装に造り変えられる世界もあることを知っているイリヤ。

悪い訳ではないけどイリヤが使うことはない。でもいらないとも言えない。

まだ小学生の魔法少女が呼び出されるよりはましだったかもしれないが。

 

良いことと悪いことが重なった。爆死とは言いにくい。

そんな感じの召喚結果だった。




さて、次から幕間ではなく特異点へ突入するぞー!
アンケート協力ありがとうございました!
次は決定しました。アポが始まる前に突入したい。

展開の予想が当たらないように頑張ろう。
次はアポ放送前後に!
投稿したいと思ってる。


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アバンタイトル

さあ、ここからがスタートだ。

はじまるよ。

君と~♪


貸し与えられた聖杯。

彼が願うのはつい先日処刑された聖女ジャンヌ・ダルクの復活。

しかし聖杯は万能であっても全能ではない。

そう、復活は叶わなかったのだ。

 

「ならばジャンヌを、私が信じるジャンヌをおおぉぉぉおお!!」

 

生け贄が必要だ。

かの聖女、ジャンヌを造り出すのだ。だから純心な子供を集めよう。

 

しかしそれでも聖杯の能力は高かった。

造り出す、ジャンヌ、子供。

この3つの言葉から別の世界でサーヴァントとして成立した少女を呼び出したのだ。

全体的に白く、心は清らかな聖女に近い。旗を片手に、白い袋を背負っている。

 

「メリークリスマス!マスター、改めてジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ・ランサー・サンタ、召喚に応じ・・・・・・あれ?」

「おおぉぉぉおお!ジャンヌゥゥゥゥ?」

 

お互いに疑問符を浮かべて硬直する。

しばらくして硬直が先に解けたジャンタちゃん。

状況を確認するために一度撤退する。

未だに誰ともマスターとして契約していない。信頼できるトナカイさんはいない。今のジャンタちゃんは野良サーヴァントである。

そもそも今はクリスマスではない。

今の時期とここで何が起こっているのかを確認しなければならない。

 

「何処ですか、トナカイさーーん!?」

 

最初に未だにこの特異点に来ていないトナカイさんを探し始めるジャンタちゃんだった。

 

**

 

リテイク。

今度こそ造り出すのだ!

先程造られたのだろう若いジャンヌが召喚された。

だからこそ造る事が出来るのは確実だ。

惜しむらくは少女だったこと。

故に自らが造り上げる。

私が理想とするジャンヌを!!

そしてこの国に、神に、世界に!

復讐する、滅ぼしてみせる!

決して許すことなどないのだと知らしめるのだ!!

 

「ですが子供の生け贄はやめておきますか・・・・・・」

 

少女になった理由はきっと子供の生け贄が多かったからだろう。

そう結論付けて手元にある聖杯だけで造り上げる。

心に闇を抱えた聖女を、復讐を目的とする聖女を!!

 

その聖女がルーラーではなく、アヴェンジャーとして召喚されることを彼は知らない。

 

「おおぉぉぉおお!!ジャンヌウウゥゥゥウウゥ!!」

「アヴェンジャー、ジャンヌ・ダルク・オルタ・・・・・・。どうしたのよ、ジル」

 

・・・・・・ルーラーでありながら復讐を目的とするジャンヌ・オルタを造り出すのだ!!

 

どの世界でも誰を相手にしても変わることなく、ここでも物欲センサーさん、全力発揮中。

 

**

 

カルデアに新しく戦力が増えた。

つまり完璧とは言えないが準備ができたということだ。

 

「えっと麻婆のせいで引きこもった所長にかわって僕から今回のこと説明させて貰うね。君たちには大きな特異点、その中で最も揺らぎの小さな時代に行ってもらう」

「もう一度お願いします」

「立香ちゃんはどこを聞き逃したんだい!?とにかく、君たちの分のコフィンも用意できた。だから比較的安全にレイシフト出来るようになった」

 

これから何度もするようになるレイシフト、このコフィンは自分の専用機になるのだ。

何故か子供用のコフィン、小動物用のコフィンすら造られていた。

 

「任務とは関係無いんだけど、霊脈を見つけて召喚サークルを造ってほしい。念話には問題ないんだけど補給物資を送るのに必要だからね」

 

自給自足が出来るなら問題ないけど、エミヤズがいるなら美味しいごはんが食べたい。

 

「これからカルデアは主に君たちが特異点にいる間の支援が中心になる。これからすぐにレイシフトしてもらうことになるけど全員大丈夫かい?」

「そんなことよりマシュ、眼鏡似合ってるね」

「あ、ありがとうございます先輩」

「そ、そんなこと!?さっきから空気を読んでくれ立香ちゃん!!大事な事なんだよ!?」

 

仕方がない、誉める機会がなかったんだもの。

 

「もういいや、全員コフィンに入ってくれ。これからレイシフトを開始する!」

 

そして前回に比べて大勢での初のレイシフトが始まる。

 

 

さあ、人理修復を続けよう。

第一特異点、百年邪竜戦争オルレアン 修復スタート。

 




慌てん坊のジャンタクロース~♪
(第一回)クリスマス前にやって来た~♪
まだ夏ですよジャンタちゃん。

そして何処でも登場する物欲センサーさん。


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突入、近くの特異点!

タイトル疑問系は捨てた。
アポも始まる。
どうなるオルレアン?


レイシフトの後に眼を開けた立香たちの視界に入ってきたのは見渡す限りの草原。レイシフトが無事に完了した証だった。

 

「ねえ、マシュ。ここが何時なのかわかる?」

 

立香の記憶が間違いでないのならフランスの百年戦争のタイミング、敵はオルタちゃん(大人)、そしてキャスターのジル・ド・レェである。

だから確認しておきたかった。

 

「時間軸の座標を確認しました。どうやら1431年です。百年戦争の真っ只中という訳ですね。ただ、この時期はちょうど休止期間のはずです」

「そっか」

 

時期は一緒だから原因もきっと同じだろう。多分。

冬木程の逸脱はないと思いたい。

 

「なあ、待てよ。おかしなことに気付いたぞ」

「フォーウ?」

 

頭上を見上げることなく言う慎二。

その頭にはフォウ君が乗っている。モジャモジャが気に入ったのだろうか、乗ってみたら髪の毛が絡まったのだろうか。

 

それはともかくおかしなこと。最初の時に立香自身が疑問に思ったことを説明する。

 

「百年休まずにずっと戦争してた訳じゃないよ?」

「お前も僕のことをバカにしてるのかよ!しかも古時計の歌風味で言うな!そうじゃないんだよ。空気を読んでここまで来たけどさ、そもそも僕はサーヴァントがいないんだよ!!」

 

特異点でも単体の実力で戦力になりそうな衛宮やバゼットと違ってワカメに戦闘能力などない。

魔術回路も開いたばかりで使いこなしていない。

立香のようによくわからない程の身体能力も持っていない。

総合的にも何を取っても一番死にやすいのが彼だった。

漂う噛ませ犬臭のせいだけではないだろう。

 

「でもイリヤもサーヴァントはいないだろ?」

「ふざけんなよ衛宮!変わりに戦闘メイドがそこにいるじゃないか!!しかもこの子供はキャスターばりの魔術を使うしさ!!」

 

リーゼリットというサーヴァントレベルの近接戦闘能力を持つメイドがいる。

イリヤに魔術教育をしたセラがいる。

そしてイリヤ本人はキャスターとなってもおかしくない実力を持っている。・・・・・・実際に並行世界のイリヤスフィール(小学五年生の魔法少女)はキャスターとして召喚されることがある。

つまり、フォウ君を除けば一番弱かった。

 

「・・・・・・ライダー、兄さんにしばらく付いてくれる?」

「・・・・・・サクラ、わかりました。ですが私のマスターはサクラです。何かあればシンジよりサクラを優先します」

「・・・・・・フン、仕方がないからそれで許してやるよ」

「決まって良かったですね。・・・・・・あのー、先輩。フランスの偵察部隊らしき人たちが・・・・・・」

「?どうしたのマシュ?」

「バゼットさんに制圧されました」

「・・・・・・ファッ!?」

「あーっと、悪いな。オレのマスターが・・・・・・やり過ぎた」

 

慎二が話している間に問答無用で偵察部隊の全員を取り押さえたバゼットさん(無傷)に唖然。

この人、本当にサーヴァントじゃないのだろうか?

 

「よし、通信が繋がった。・・・・・・どうしたんだい?」

「ドクター、早速トラブルです」

「なんでだい!?まだその特異点に着いて数分も経ってないぞ!?」

 

特異点に来て早々に混沌とした空気になってきた。

 

「ふ、不安になってきた・・・・・・」

 

このまま知っている通りにいかなくなる気がしてきた立香だった。

既にこの特異点が変化していることを、ここにいるはずのないサーヴァントがいることをまだ彼女は知らない。

 

**

 

一方そのころ、この特異点にいなかったはずのジャンタちゃん。

 

「むむむ。トナカイさんは一体何処にいるのでしょうか」

 

自らが召喚された少し後に大量にワイバーンが出現した。

なのでマスターであるトナカイさんを見つけるまでのトナカイ(仮)として乗っていた。

竜の魔女ならぬ竜の幼女がそこにいた。

 

「主よ、師匠よ。どうか私を導いてください。・・・・・・トナカイ(仮)さん、あっちです!」

 

神の啓示ではなく、只の直感に従ってトナカイさんを探し、絶賛迷走中。

 

「きしゃー。たすけ、きしゃー」

「ほら、きっとこっちです!」

「きしゃー。ひど、きしゃー!」

 

なお、ワイバーンの助けを求める声や意思などお構い無しの模様。

オルタちゃんやジャンヌ本人もワイバーン扱いが悪いから子供のジャンタちゃんは仕方のないことではあるんだけれどもやっぱり端から見ていてワイバーン、とても憐れである。




というわけで到着しましたフランス!
既に混沌としてるぞフランス!
予定通りに進むのかフランス!!
書いてるのは私なのに不安だ・・・・・・

FGO 近況報告~
まだ二回目の新宿をのんびりとしております。クリアしてからアガルタに行くつもりなのですが、アガルタの評判が悪いみたいで・・・・・・
色々と不安だ。
そして呼符でつ、遂に来たぞ!!エミヤ~~~~~
アサシン。

そうじゃない、エミヤだけどそうじゃないんだよ!
切継じゃなくて士郎なんだよう!

そしてようやく書いたサーヴァントも来ました!
キャスニキ!
嬉しいけど、他になかったのか!


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交差する運命

やらかした・・・・・・
としか思えない


「ど、どうしよう・・・・・・」

 

以前はマシュの盾での峰打ちが上手くいかず、フランス兵のみなさんは撤退した。

そしてそのフランス兵たちを追いかけることで原因を知ることが出来た。

さて、今回はというと・・・・・・。

ある世界では蘇生のルーンを使いこなし、その拳で劣化した英霊の核を貫く。

また、ある世界ではエクストラクラス、拳士(ボクサー)に辿り着く。

そしてこの世界では、ある程度の英霊にも真正面から挑んで勝ちを拾える、そんな女性がフランス兵(只の人間)相手に負けるなど、逃がすなどするわけがない。

 

「一先ず情報を集めましょう。都合の良いことに、ここには数名ほど話してくれそうな者たちがいますし」

 

そう言って捕らえたフランス兵の一名を吊し上げるバゼット。

 

「待て待て待て待て!やめろってマスター!!」

「アンリ・・・・・・。そうですね、確かに尋問は私の得意分野ではありません」

「そういう問題じゃないでしょう・・・・・・」

 

敵には容赦をしない凛ですらフランス兵を憐れに感じていた。

それにしてもバゼットさん、何処に常識を置き忘れてきたのだろうか。

 

「・・・・・・えっと、私たちは敵対する気はありません。その、話を少し聞かせてもらえませんか?」

「ヒ、ヒィ!?そ、その強さ。あ、あんたらもあの"竜の魔女"の手下じゃないのか!?」

 

普通に話しかけた立香すら恐怖の対象になっていた。

バゼットさん、やり過ぎである。

 

「・・・・・・仲間がごめんなさい。後、竜の魔女って言いました?」

 

立香は竜の魔女という言葉を知っている。誰を指す言葉なのか知っている。

そう、この特異点での敵は決定した。

 

「蘇ったジャンヌ・ダルクが竜を引き連れているんだよ!」

 

オルタちゃんだ。

 

***

 

なんとかフランス兵の人たちに落ち着いて貰い、砦まで案内してもらうとそこでは戦闘が行われていた。

いや、それは二基のサーヴァントによって既に終わりかけていた。

 

「しょうがないったらしょうがない、召喚されたし、やってやるかっ!ちゃんと皆を守りなよルーラー!」

「うるさいですよピンク髪!貴女に言われなくても守ります!!」

「よし!それなら行くぞ!『恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)』!」

「主の御業をここに!我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

 

そこにいたジャンヌは立香の知るジャンヌ以上に荒れていた。

ピンク髪とは因縁があるらしいから仕方のないことなのかもしれないが。

 

閑話休題。

 

ピンク髪のとんでもないサイズの角笛から、エリちゃんの宝具には届かないが、それでも大音量の魔音が響き渡る。

・・・・・・どうやら今回の立香は大音量に縁があるようだ。

 

「この音はまだまだね。本当の音っていうものを、音楽を教えてあげる!」

「エリちゃんステイ!」

 

別に聞きたい訳じゃない!

エリちゃんの方が威力が高いのだから自粛してほしい。

 

**

 

その世界に変化はない筈だった。

あの時に身体を無くした筈だった。

 

――起きて。

 

なのに脳を痺れさせるような声がした。

 

――もう、決して・・・・・・

 

彼方へと置き去りにした小さな約束があったから、人理が不安定だからこそ、その場から少年を、竜ではなく偽りの英霊として引き寄せた。

 

――あなたを一人に・・・・・・

 

その特異点が竜に関係する英霊を呼びやすかったことも原因の一つだったのだろう。

 

「ここは・・・・・・」

「よ、良かったです!よ、ようやく人と逢えました!!」

「きしゃー。疲れ、きしゃー」

 

そして少年は知り合いに、惹かれた少女にそっくりな迷子な幼女に出会う。

 

「初めまして!私はジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ・ランサー・サンタです!」

 

何もわからないままの自己紹介。

だが彼女がサーヴァントであることはわかる。

 

「・・・・・・何故か不安だな。俺は――」

 

正義の味方を目指し、抑止の守護者へと至る少年。

人形から人に、そして戦うことで竜へと変化した少年。

人理を守るために戦う最後のマスターである少女。

 

本来なら交わることのなかった筈の運命が、この世界で交差する。

 

さあ、ここから未来を取り戻そう。




アポを見ていたらこうなっていた。
なんでさ。

ピンク髪が出てきてジャンヌと揉めて・・・・・・

幼女がダレカと出会ったり。

混沌としているのに本当に無事に終わるのか!?
書いてる本人が凄く不安だ。


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型月主人公はモテる

モテモテだよね、型月の主人公って。
よーくよく考えてみると。


「スミマセン、お見苦しいところをお見せしました・・・・・・」

 

正気に戻った、冷静になったジャンヌ。

暴走していたことを理解しているらしい。

だが、

 

「ねえ、早く行こうよルーラー!ここは助けたんだし、ボクのマスターが、大切な彼がこの特異点にいるんだろ!?」

「少し黙りなさい!それに貴女を彼のサーヴァントとは認めてません!!」

「でも事実だし。一緒に寝たし、繋がったし」

「紛らわしい言い方ではなくパスが繋がったと言いなさい!!」

「今でも彼を感じるんだ!」

「黙りなさいピンク髪!今すぐに旗で殴りますよ!」

 

アストルフォの言葉でジャンヌはすぐにヒートアップした。

こんなジャンヌ立香は見たことがない。

気がする。

いや、JKとか神風魔法少女とかになっていたこともあるからきっと見たことはあるだろう。記憶から消しただけかもしれない。

そして気になるのはジャンヌとアストルフォが彼やマスターと呼んでいるのは誰なのだろうか。

 

「ねえ、このままここで話してて良いのかしら?」

「ええ、イリヤスフィールの言う通りです。どうやら彼女はここの兵士たちにも狙われているようです」

 

移動を提案しながらも蘇った竜の魔女と呼ばれたジャンヌ・ダルクを警戒する冬木の女性陣。

だが、この状況を見ていると警戒が必要なのかと疑問に思う。

好きな人を巡る修羅場にしか見えない。

聖女と男の娘(多分)が取り合うようなたらしの男性・・・・・・。

 

「もしかして彼とかマスターにエミヤが関係してる?女たらしだし」

「「なんでさ!?」」

 

思わず立香が呟いた言葉に衛宮とエミヤが突っ込みをいれる。

エミヤは素が出ていた。というかイケボでなんでさとか言わないで。

 

だが、立香がそう口に出すのも仕方がない。

多数の世界で何人もの女性が衛宮とエミヤの餌食となっているのだから。

例えば、SN士郎の餌食にはメインルートだけでセイバー、遠坂凛、間桐桜。

ルート外でイリヤ、虎。そしてロンドンでルヴィアゼリッタ。

少し違うがhollow士郎はバゼット、カレン、ライダーとフラグを更に追加する。

プリヤ士郎は無意識で妹たち(イリヤ、クロエ)、その友達(美遊)、家のメイド(セラ)、クラスメイト(凛、ルヴィアゼリッタ、森山奈菜巳)にフラグを立て、ラッキースケベを起こす。

既に13人以上の被害者が毒牙にかかっている。

 

そしてエミヤ。

月で一人のサーヴァントに惚れられ、マスターとフラグを立てた。

以前のカルデアの全ての胃袋を掴んだ。

これで女たらしと言わない訳がない。

 

・・・・・・ロマニが知れば呪いそうである。

 

「先輩、移動しましょう」

「うん、そうだね」

 

ここで揉めていても話が進まないからね。

砦ではジャンヌから話を聞けない(砦から敵意が飛んできている)から仕方がないのだが。

 

**

 

一方幼女と少年はワイバーン(強制的に労働中)に乗って飛んでいた。

 

「ところでトナカイ2号さん。貴方もサーヴァントですよね?」

「トナカイ2号さん・・・・・・」

 

少年の心は複雑だった。

別人とはわかっているが恋人そっくりな幼女に名前ではなくトナカイ2号と呼ばれた。

なんとも言い難い気分になった。

そもそもこの少年は疑似サーヴァントでサーヴァントではないのだが。

 

「クラスは何か聞いても良いですか?これも作戦と何が起こっているのか確認するためです!」

「一応キャスターになっている」

 

剣はライダーから渡され、心臓はセイバーから。

バーサーカーの永久機関を持ち、そしてルーラーの聖骸布。

そして座扱いされる本体は邪竜。

だが、この少年は魔術師なのだ。

元々造られた時から、適正はキャスターしかない。

たとえ竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)が宝具扱いになっていても、いやなっているからこそ、この少年はセイバーではなくキャスターなのだ。

だからあるサーヴァントとのパスがまだ繋がっている。

 

「ところで君は何を探しているんだ?」

「トナカイさんです!」

「この時期にフランスにトナカイはいないと思うが」

「トナカイじゃなくてトナカイさんです!」

「すまない、違いがわからない」

 

果たして彼等は無事に合流できるのか!?




どうしてこうなるの!!
いつ頃終わるのかわからない!!
・・・・・・一回目の遭遇で倒してしまえる程の戦力もあるもの。
そう簡単に終わらないだろうけどね!!


・・・・・・これでアストルフォやジャンヌがガチャで出る可能性が上がったと信じたい。


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愛、故に追い付きましょう

少し投稿時間がずれたかな?
でも不定期だからいいよね?

そして今回のタイトルは過去から?イイエ前回から!

ランキングに引っ掛かっていたので喜びの投稿。


「うふふ、うふふふふ。うふふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・。

ようやく、そして再び

☆」

 

仲間と一緒に森に入ったとある人物を見ながら黒と金を基調とした和服を着たサーヴァントが笑いながら呟く。

 

「・・・・・・やめたげなさいよ、泥沼ストーカー」

 

それを見たこの特異点に召喚されたドラゴンアイドルは無理だとわかっているが忠告する。

 

「ストーカーではありません。《隠密的にすら見える献身的な後方警備》です」

 

ここにいる自分は別の自分のマスターになっている少女が、ここで笑っているバーサーカーに(貞操を)狙われることを知っている。

そして執念でカルデアまで行ったサーヴァントは時が巻き戻っても執念で記憶を引き継いだようだった。

 

「ハァ、もう逃げられないわね、子ジカ・・・・・・」

 

知らなかったのか、愛に狂ったバーサーカーからは逃げられない。

 

**

 

「!?」

「どうしました先輩?フォウ君と一緒に振り向いて」

「・・・・・・何故か寒気がした気がして。気のせいだと思うけど」

「フォウフォウ」

 

以前のカルデアで夜這いされそうになった時に感じた寒気だった。

・・・・・・そういえば、この特異点から清姫が仲間入りしたんだっけ。

 

「ここなら霊脈も近いので問題なく話せるでしょう」

 

立香の悪寒も関係なく話は進んでいく。

邪魔さえなければスムーズなのだ。

 

**

 

「つまり、こういうことね?」

 

眼鏡をかけて話を纏める凛。

眼鏡、似合ってるなー。

 

「貴女たちはこの特異点に呼ばれたばかりで、死んだ時代に近いせいでルーラーとして万全ではない。ここまでで間違いは?」

「ありません」

「ま、無理なのはルーラーだけでボクは全力を出せるけどね」

「黙りなさい理性蒸発ポンコツサーヴァント!」

 

やはり揉める。

 

「話を進めるわ。現界している知り合いを探しているだけでこの特異点には関係ないのね?」

「ええ、ですが私が蘇ったと言われているので、どうしても許すことの出来なかった別側面というものがあったのかもしれません」

「うん、ルーラーって嫉妬深いもんね」

 

ウンウンと頷きながらアストルフォは更に続ける。

 

「ベッドでマスター成分を補給してたら文句を言ってくるし。やる気のためでしかないのにね」

 

ちなみに、自分からは行かないがマスターが求めてきた場合は何時でもウェルカムである。

 

「今この場で骨も残らないほど焼き尽くしますよライダー」

「待って!!それ自滅宝具じゃない!?」

 

怒りによって正常な判断能力が無くなっているジャンヌ。

聖女がそれでいいのか。

 

「史実ではジャンヌさんとアストルフォさんに因縁など無かったと思いますが・・・・・・」

「マシュ、きっとエミヤとアニキみたいな関係なんだよ」

「立香、少し納得がいかないんだが?」

「ああ、同感だね。さっさと縁が切れてくれないかね」

 

こちらも犬猿の仲である。

 

「!事情はわかったが気を付けてくれ!そちらにサーヴァント反応が近づいて来ているぞ!!」

「ここに!?」

 

以前森で襲ってきたのは動物だけだった。なのに今回はサーヴァント。

 

「マシュ!」

「はい!遅れはとりません!!」

 

何が起こるのかわからない。だからこの場にいるルーラーやアストルフォも含めた全員が全力で警戒する。

 

そして飛び込んできたのは・・・・・・

 

「ようやくの再会ですね!

ぁ」

 

バーサーカー清姫。

それは愛に狂った一人の少女。

 

「清姫!?」

 

もう立香は彼女から逃げられない。

既に最終再臨まで突入している彼女の愛は止まらない。

 

「覚えていたのですねますたぁ。わたくしは言いましたよね?執念深いと。何処まででも、何処に行っても追跡させていただきます、と」

 

安珍は逃げ出した。

だから燃やされた。

しかし、ますたぁは違う。

わざと逃げたわけでも、嘘をついている訳でもない。

 

「愛に不可能は無いんですよ?」

「ヒィ!?立香ちゃん?何時何処で彼女みたいなサーヴァントとフラグを立てたんだい!?ヤンデレと言っても過言じゃ無いぞ!?」

 

前回です。ヤンデレ風味(多分)です。

と言ってもエミヤと立香、清姫以外誰もわからないだろう。

それ以外に説明できないんだけどね。




さーてと?
今回は近況的な報告もかねてー
アポクリファ全巻買いました。これで色々と生かせるぞ!?多分!

そしてFGOの方はーー
オルレアン突入してから初の10連!
聖女の依代がきました。
思わずリアルになんでさ!と叫んでしまった。

そうじゃなくて!!確かに書いてるけどそうじゃなくて!!!
ことごとくが惜しい。つらい。

物欲センサーさん仕事しすぎィ!!!


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仮面の師匠は第三勢力

タイトルはきっとネタバレ。

今回はどちらかというとジャンタちゃん側がメインです。


 

「どうしてこうなってしまったのでしょうか・・・・・・」

「きしゃー。知らない、きしゃー」

 

ジャンヌリリィが思わずルドルフ号(種族ワイバーン)に訊ねる。

勿論、聞かれているルドルフ号(強制労働中)にもわからない。

リリィの目の前では師匠とトナカイ2号が向かい合っている。

 

「本当にどうして・・・・・・」

 

時間を少しだけ遡る。

 

***

 

「いったい何処にいけばトナカイさんと逢えるんでしょう・・・・・・」

 

そう呟いてしょんぼりするリリィ。

そう誰も何処に行けばいいのかわからないのだ。

ワイバーンは強制労働で行き先など決められない、少年はトナカイさんのことを知らない。

つまりどうすることもできない、そう思っていたときに薔薇の黒鍵が何処かから投げられた。

少年こと、ジーク目掛けて。

それを咄嗟に剣で防ぐ。

 

「!?誰だ!」

「少女の嘆き、少女の喜びを聞いたとき、駆けつけ三杯、寿司食いねぇ。サンタアイランド仮面、参上・・・・・・!」

「師匠!!」

 

剣を突き付けたそこには変な仮面を着けた天敵がいた。

いや、違う。さすがにジークもこんな姿のサーヴァントが天敵だと思いたくない。

 

「・・・・・・何をしている?」

 

だが、そこにいるのは天草四郎時貞だ。サンタアイランド仮面とか名乗っているが黒幕と言っていい相手だった。警戒して行動を聞くのは仕方がない。

 

「知れたこと、迷子の救済だよキャスター」

 

予想の斜め上の答えが返ってきた。

 

「迷子ではありません!」

「きしゃー。迷子、きしゃー」

「こら!ルドルフ!」

 

ルドルフ(既に第二のペット枠)でもフォローはできない。彼らは迷子である。

 

「真面目に言うならばあなた方に邪魔された時とは違って、今度こそ、人類を救いに来ました」

 

別の世界で邪魔をされたことを揶揄するアイランド仮面。

失敗しても粛々と受け入れるのではなかったか。

 

「と言っても前回と違って人理そのものを焼かれては元も子もない。だからこの特異点を修復する。ついでに貴方たちに対する仕返しも合わせて、俺が君を導こう」

 

オルレアンという場で起こったことの後始末、この少年を導く。

その事を知ればこの特異点に呼ばれているだろう聖女はきっと歯噛みするだろう。

そしてその光景はきっと義弟の言う愉悦なのだろう。

 

「・・・・・・」

 

だがジークは差し出されたその手を取るしかない。

迷子と共にひたすらさ迷うだけでは何もできない。サーヴァントとして呼び出されたのに何も成せない。

そして彼女もきっと解決の為に動いている。

逢うには、成すには手を取ることが最善だ。

だが、彼の手を取ることには戸惑いがある。

 

「さあ、どうしますか?」

「・・・・・・」

 

迷うジーク。そして愉悦が何かを理解しそうなシロウ・コトミネ。

ただ見守る幼女と亜竜。

 

そして冒頭の光景に戻る。

 

最終的に彼は手をとるのだが。

 

**

 

「はっ!?ジーク君に邪なものが近づいています!」

「本当かルーラー!?」

「ええ、これはきっと神の啓示です!」

「ならすぐに行こう!ヒポグリフ!」

「二人とも待って!?」

 

咄嗟に止める立香。

ジャンヌ、それはきっと神の啓示ではなく恋する乙女の危険度センサーです。

 

「・・・・・・どうしたの?」

 

現在、カルデア勢(清姫追加)は夜営の用意をしていた。

そんなときに叫んだジャンヌに立香が訊ねる。

恋愛でルーラーがここまでおかしくなるとは思っていなかった。

アストルフォはほら、理性蒸発したポンコツだから。

 

「大切な居場所が取られる気がします」

「・・・・・・さて、夜営の準備を続けないと」

 

立香から聞いたものの、訳のわからないものだった。

 

「・・・・・・ジャンヌってここまで残念だったっけ・・・・・・」

 

思わず呟いてしまう。

前回の頼れる姿は幻想だったのか。

それとも頼れる彼女がポンコツになるほどの相手なのか。

 

清姫の夜這いも警戒しないといけない立香の不安がマッハで増えていた。

何せ今のマシュが(服装的に)最終再臨きよひーを止められる可能性はゼロだ。

希望と睡眠/zero。

 

「・・・・・・大丈夫かな・・・・・・?」

 

立香は身体が持つのか?




ぐだ子だからきっと大丈夫。

・・・・・・ジルとジャンヌ・オルタの戦力にたいしてオーバーキルな気がします。

どうしようかなー(ニヤリ


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これが、これこそがカルデア流野営術

ではない。
これは野営ではない。


本来特異点でなくても野営をするには交代で寝ずの番をしなければいけない。

だがカルデアは例外である。

サーヴァント(デミ・サーヴァントのマシュを除く)という睡眠が不要な彼らが多数存在しているからだ。

それでも快適な場所で眠ることは出来なかったのが前回だ。まあ、立香は何処でもぐっすりと眠れるのだが。

 

さて、今回は・・・・・・

 

「・・・・・・ねえマシュ、私たちってここで野営の準備をしてたんだよね?」

「はい。ここで間違っていないはずです」

 

立香とマシュがサークルを設置しに少しだけ離れている間におかしな物が出来上がっていた。

具体的には立派なログハウスが出来ていた。

エミヤが建てた訳ではない。

いくら彼の家事スキルがEXで存在しそうだとしても出来ない筈だ。

マスターが違うだけでここまで違う、なんてこともないだろう。無いよね?

 

「いつの間にスカサハ姉さんがきました?」

 

小声で呟いてしまう。

孤島では立香も手伝っていたために家(木材、石材、鉄材など)を造ることは出来る。

大勢のサーヴァントたちと協力したら短時間で造ることもできる。

だがここにはそんな量のサーヴァントはいない。

でも残念ですが来てません。

 

「あー、マスター。師匠はここに来てねえよ。造ったのはバゼットだ」

「オレのマスターって何処を目指してるんだろうな・・・・・・」

 

アンリからどことなく哀愁が漂っている。

確かに方向性が何処に向かっているのかがわからない自分よりも強いマスター。

不安になるのはわからないでもない。

 

だが立香の方向性もバゼット以上に不明だ。

バサクレスから逃げられる脚力。恐らくAランクに届くだろう対毒スキル。

成長する魔力量とスタミナ。

何を目指しているのか、過去に何をやったのか。

それでも、立香は一般人。

果たして一般人とは何なのか。

 

「魔法に至るとかも考えて無さそうなんだよな」

「あー、わかる。バゼットは腹黒シスターと揉める以外に魔法に関する物は無いだろうからな」

 

魔術師としてそれでいいのか。

しかもシスターと揉めるのか。

 

「?何をやってるんだ?藤丸・・・・・・?」

 

そして話題になっていたバゼットの造ったログハウスから出てきたのは衛宮士郎(エプロン着用)。

・・・・・・またか、また料理を作っているのか。

士郎の後ろから良い匂いが漂って来ている。

 

「ん?勿論マシュや藤丸の分も作ってるからな。安心してくれ」

「「良かった」」

 

マシュと立香の声が揃う。騎士王に取られたくないのは二人とも一緒だ。

 

**

 

まな板は木で出来ている。

スパイスは持ち込み。

狩ってきたのだろう鹿が倒れている。

 

ここまでならまだ文句を言われることはないだろう。

問題はここからである。

 

包丁は投影品。

コンロの代わりに"原初の火"ことネロちゃんの剣が小型化されて投影されている。

エミヤが道具を全力で投影していた。

ネロが見たら怒る。確実に。

 

「だけど美味しいんだよね・・・・・・」

 

それこそ警戒して結界を張ったバゼットと凛の活躍がなかったら森の魔獣たちだけではなく、特異点中のワイバーンが全員集まってきただろう。

 

士郎が絡むと大人なエミヤも子供っぽくなる。

でも二人とも全力の料理は止めてください。

美味しいけど意識が飛ぶからね?

 

**

 

一方そのころ第三勢力になった少年たち。

 

「ここにいるのは幸い全員がサーヴァント、眠る必要も食事の必要もありません」

「きしゃー!?いる、きしゃー!!」

「頑張って下さいルドルフ!」

「きしゃー!無理、きしゃー!!」

 

ルドルフは只のワイバーンです。眠りも食事も必要なのだ。

休ませて欲しい。

 

「ひとまずは戦力を集めましょうか。ワイバーンをこの特異点に召喚している邪竜を倒す為には戦力がまだ足りませんから」

「ここには邪竜がいるのか?」

「ええ、ファブニールがいます。貴方ではありませんが」

 

そう、先代のファブニールもここにいるということだ。

つまりこの特異点には邪竜が二体いる。

一体は不完全なサーヴァントとして、もう一体は邪竜その物として。

 

「なので念のためにこの特異点に呼ばれた正規の竜殺し以外にも戦力を召喚しようと思っています」

「ジークフリートは呼ばれているのか?」

「ええ、彼も呼ばれています」

 

正規の竜殺し。ジークフリートはジークにとって命の恩人だ。

彼がいるならきっとファブニールは倒せるだろう。

だが、経験からそう簡単には勝てないと知っている。彼が勝てたのは奇跡ともいえる。

だから戦力を増やすことに異論はない。

だが、

 

「いったい誰を招喚するつもりだ?ここは特異点だろう?」

「龍脈を利用しての召喚なので誰が来るかはわかりません。ですがこの特異点から考えて、きっと私たちに縁のある竜の因子を持つサーヴァントでしょう」

「・・・・・・つまり赤のセイバーじゃないか?」

 

それ以外にはジークフリートしか知らない。しかし既に召喚済み。

ほぼ確定だった。

だがごく稀な可能性でジャンヌ・オルタを喚べます。

幼女とも正しい聖女とも縁はあるので。

 




ピックアップなんてなかった、良いね?
ガチャで引けなければ意味がないんだよ!!

書いても来ない。最近はサーヴァントすら来ないよ!!
何故だ・・・・・・
物欲センサー大活躍中。ちくしょう!!


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ペット枠は苦労する

フォウ君も結構苦労してると思う。
主にマーリンのせいで。

そしてうり坊たち。
食料の予備として狙われてもいる。

苦労するんだなぁ


 

「セイバー、モードレッド推参だ!・・・あん?」

 

召喚された角のある鎧の姿は彼らには見覚えのあるものだった。

そして最後の言葉と共にサンタアイランド仮面に剣が突き付けられる。

 

「テメェ、目的はなんだ!」

「安心してください。今の私の目的は迷子の救済と人理焼却の阻止ですよ、セイバー」

「だから私は迷子じゃないです!」

 

迷子弄りを止めないアイランド仮面と決して迷子を認めようとしない幼女。

話が進みそうに無いためキャスターとして召喚されているホムンクルスに問いかける。

 

「オイ、どういうことだ?」

「言っていた通りだとは思う」

「・・・・・・そうか。よし、一発殴らせろ。それであの時に聖杯を持っていったことをチャラにしてやる」

「・・・・・・あの、それは私が死ぬのですが?」

「あの時と違って完全なサーヴァントだろうがオマエ」

 

モードレッドの記憶の中で最後まで聖杯を持っていたのはサンタアイランド仮面こと天草四郎時貞だった。

しかしこの場は聖杯戦争というよりは人理修復の場だ。

だから一回殴る。それでチャラにしてやろう。

たとえモードレッドの願いが、選定の剣に挑むという願いが変わったとしても殴るべきだと思っている。

 

「あの時はアサシンに邪魔されたからな。その分も込めないだけましだと思えよ?」

「少し待ってくださいセイバー。その拳に乗った魔力はおかしくありませんか・・・・・・?」

 

赤い雷をその手に纏っている。

 

「そんじゃ、いくぜ!!」

「まっ・・・・・・!?グフッ」

「し、師匠!?」

 

ドゴッという人の身体から出てはいけない音が響く。

蹲ったまま動かなくなるサンタアイランド仮面。

ジークも思わず目をそらす。

ああ哀れなり、サンタアイランド仮面。

 

**

 

「そ、それでは改めて話し合うとしましょうか・・・・・・」

 

フラフラのままこれからどうするのかを話し合おうとするシロウ。

 

「と言ってもやることは聖杯戦争と変わらないのですが」

「つまり聖杯を獲ればいいってことだろ?分かりやすくていいじゃねえか」

「こちらの戦力はサーヴァント四騎とルドルフです!」

「戦力か・・・・・・?」

 

ルドルフを戦力に数えるリリィ。

それにジークが疑問を浮かべ、ルドルフは全力で首を横に振る。

只のワイバーンです。

 

「で?敵は?聖杯はどこだよ」

「敵は聖杯を所有している竜の魔女と呼ばれ、フランスという国に復讐しているジャンヌ・ダルク、その陣営。ワイバーンやドラゴン系、そして多数のサーヴァントが所属しているでしょう」

「ジャンヌですか・・・・・・。きっと大きい私です」

「ルーラーならしないと思うが?」

「ええ、貴方の知っているジャンヌ・ダルクはしないでしょう。ですから別の理由もあるでしょうね」

 

含みを持ったまま話を続ける。

実は真実を知っているのではないだろうか、こいつ。

 

「目的地はオルレアン。そこまではこのルドルフが連れていってくれるでしょう」

「きしゃー!?無茶、きしゃー!!」

 

とんでもないキラーパスがルドルフを襲う。

 

「ルドルフは二人乗りですよ師匠?」

「きしゃー。違う、きしゃー」

 

一人乗せるだけでも疲れているのに二人乗りは実はキツイ。

更に増えるとかは勘弁して欲しい。

だがそんなルドルフの思いは竜の幼女に届かない。

 

「乗るためのソリがいります」

「きしゃー!?」

 

そうじゃない。

 

「ルドルフなら引いていけます!」

「いやーー!?」

 

既に鳴き声が悲鳴になっていた。

だがルドルフに助けは来ない。

 

***

一方そのころカルデア組。

 

「これは私が先に取ったのです。離しなさいセイバー!」

「おかしなことを言うなルーラー。私の方が早かった。つまりその手を離すべきなのは貴女だ」

 

健啖家のサーヴァントが二騎いる。

 

「いや、びっくり。スッゴク美味しいや。マスターにも食べさせてやりたいな~」

 

食事をするなら参加する、そんな感じのポンコツもいる。

 

「急いで食べないと無くなる!!」

「ど、どうぞ先輩!」

「譲ってる場合じゃないよ、マシュ!食べないと!!」

 

この場は既に戦争だ。

聖杯を巡る闘いではなく、食卓を囲む闘い。

 

「なんでこうなるのさ!」

「まさか取り合いが起こるとはな・・・・・・」

 

君たちがお互いに全力で料理の腕を競ったからだろう?

 

 

第一次食卓戦争inオルレアン、開幕中。




さーてと爆死しかしてないな、最近は。

でも課金しないで貯めるしかない。
今年はフェイトが多すぎる!!
買いたい物も多すぎる!
この上に課金までしたら首が回らないよぅ(泣)

それはそうとスカサハお姉さん。待っててね!


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YARIOの悲劇を夢で見よう

遅くなってスミマセン。

ネタが出てこないのと開拓に時間を使ってました。
難しくなってきた・・・・・・


近づいてはいけないものは嫌な予感という本能で分かる。

それは亜竜と呼ばれるワイバーンでも同じだった。

 

そう、ワイバーンは近づかなかった。

 

「きしゃー・・・・・・。死ぬ、きしゃー・・・・・・」

 

たとえ、ソリを引いている同種の悲痛すぎる声が聞こえていたとしても近づいてはいけないのだ。

 

**

 

「何も来ねえな・・・・・・」

 

ルドルフの引くソリに乗ったまま呟くモードレッド。

オルレアンを目指す彼らは戦闘もなく、月の光の中ただ平和に進んでいた。

 

「このままだと何もないまま辿り着くんじゃねえか?」

「着く前にルドルフは死にそうなんだが?」

「確かに辛そうですからね・・・・・・」

「ルドルフならきっと大丈夫です!だってルドルフですから!」

「ああ、大丈夫だろ。喋れる内は死なねえ」

 

男性勢だけがルドルフの心配をしていた。

 

**

 

サーヴァントのマスターはその繋がりから彼らの過去を夢で見る。

ならば、多数のサーヴァントと繋がっている立香の見る夢は複数のサーヴァントの過去だろう。

・・・・・・ここが特異点でなかったら。

 

立香は男女別に建てられたログハウスで、割り振られた自分の部屋にいた。

木製のベッドに布を敷いて眠りにつく。

 

「今日は誰のだろう」

 

カルデアでは主にマシュの過去を夢に見た。

だが立香が契約しているサーヴァントはマシュだけではない。

夢に見る可能性があるのはアニキ、エリちゃん、マシュ。そして一度繋がってパスができたアルトリアとエミヤだ。

もしかしたら執念で清姫は出てくるかもしれない。

そしてここは特異点。何が起きてもおかしくはない。

そして目を閉じる。

 

『今宵、汝が見るのは祭りの記憶』

 

聞こえてきた声はこの立香の知っているものだった。

その声は初代山の翁ことキングハサンにしか聞こえなかった。

だが、グランドアサシンの彼には時代を越えることや特異点に行くことなど容易いはずだからおかしくはない。

おかしいとすれば・・・・・・

 

『始まるよ!』

「!?・・・・・・ゲホッ」

 

噎せた。目が覚めた。

キングハサン様からは考えられない、とんでもないテンションの高さだった。

というか、猫らしきものの姿が見えた気がする。

 

「何かありましたか、先輩!?」

「・・・・・・何でもないよ、マシュ。ちょっと噎せただけだから」

 

ちょっと予想外のテンションの声が聞こえてきただけだから。

・・・・・・他に似た声を知らなかっただろうか。

いや、いないか。

 

「それじゃ、おやすみ。マシュ」

「はい。おやすみなさい、先輩」

 

もう一度目を閉じる。

今度はしっかりと眠る。眠るのは得意なのだ。

 

さあ今度こそ、静かに誰かの夢を見よう。

 

**

 

見たことがあるような港。この時代に彼はいるはすがない。

つまり、この夢はきっとエミヤが衛宮士郎の時の記憶なのだろう。

おかしなことに衛宮士郎の頭の上にアイコンでアンリと書いているけれど。

 

「こと釣りに関しちゃあサーヴァント中最強の自負があるね。ギリシャの大英雄はともかく、どこぞのコピーバカや竿も持てねえ貧弱王子にゃあ入ってこれない男の世界だ」

 

確かにアニキの趣味は釣りだった。

でもそのセリフはフラグじゃないのかな?

コピーバカはわかるが、貧弱王子って誰だろう。わからないけどきっと来るぞ?

そして立香の予測通り、夢でも立ったフラグは回収される。

 

「はっはっは、まだサバが八匹だけか。時代遅れのフィッシングスタイルではそんなところだろうよ、と、十七匹目フィィィイッシュ!」

 

そう、たとえばヒャッホーと叫んでいる投影された最新装備(本人曰くリールは最新型でその他オプションも最先端の高級品。値段が一括で二十万とんで三千円)で固めたコピーバカことエミヤ。

 

「その男は狂犬故な、気を付けてぶつけてやれ」

 

たとえば、数人の子供を引き連れ(盗ませてきた)製造中止になった筈の釣竿を数本使った物量作戦の貧弱王子ことギルガメッシュ。

 

「・・・・・・頼む、俺の楽園を返してくれ」

 

そう、呟くアニキ。

だが、立香は思う。

 

「フラグを立てたせいだって」

 

夢は場面を変えながらまだ続く。

夢という名の祭りは始まったばかりだ。

 

ちなみにこの後に立香が見る夢でアニキが何度も死ぬことになることをまだ竜を場面知らない。

そして合い言葉も覚えることになる。

 

そう

「ランサーが死んだ!」

「この人でなし!」

 

のことである。




福袋ガチャなら来るはず!
引きにいこう、サーヴァントなら良いのだから!!
と思って引いたら剣儀式さまと不夜城のアサシンさんきたーー!
でも書いた人が来ないのはどうしてだろう。

あ、アンケート中、お願いします。


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見習い正義の決意

今回はシリアスさんがやって来ております。
シリアルさんもいます。

アンケートはまだまだしております!
お願いします!


「起きてください先輩!大変なことになりました!」

「この人でなし・・・・・・あれ?」

 

マシュに起こされて物騒な言葉と共に起きる立香。

いったいどんな夢を見ていたのだろうか。

少し心配になったマシュだった。

 

**

 

立香が目覚めた時には既にそれは始まっていた。いや、むしろ終わりかけていた。

 

「・・・・・・ねえ、これってどういうこと?」

 

ログハウスから出た立香の視界には立ち上る四つの光の柱。

その柱に挟まれている脚が消えている黒い邪竜。

・・・・・・そして降り注ぐプレゼント。

つまり、立香が寝ている間にこの特異点のボスポジションの一つであるファブニールの死が間近に迫っていた。

 

「・・・・・・あれー?」

 

以前の記憶ではファブニールを倒せるジークフリートは呪いをかけられていたはず。

しかも上から降ってくるプレゼントというおかしな光景はそんなしないはずだ。

 

「ほんとにどうなってるの?」

「先輩、それが・・・・・・」

「わからないわよ。あんたたちが寝ている間に衛宮君がセイバーを連れて勝手に移動して、これよ」

 

それでもアルトリアと衛宮士郎だけで他のことに説明がつかない。

 

「いや、ほんとにどういうこと・・・・・・」

 

誰も答えることはできなかった。

 

**

 

時間は立香が眠りに着いたあたりまで戻る。

 

「眠れないのですか?シロウ」

「セイバー。ああ、ちょっと目が覚めたからさ」

「・・・・・・夜這いの為ですか」

「なんでそうなるのさ!?」

 

いきなりの濡れ衣である。

 

「先日、シンジと共に風呂場で見かけたからですが」

「本当にスミマセン」

 

言い訳はできなかった。

今回は眠れなかっただけだが、慎二と一緒だったらしていたかもしれない。

だからこそ言い訳できない。

 

「でも本当に眠れなかっただけだぞ」

「なら、別に良いのですが」

 

二人で並び、月を見上げる。

ここは冬木ではないがそれでも士郎が切嗣と共に見た時と同じように月は出ていた。

ただ浮かんでいるのは月や星だけではなく、空には歪というしかないような光の帯も浮かんでいた。

 

「なあセイバー、ここも特異点なんだよな」

「ええ、そうですね」

「本来なら起こらないことが起こっているんだよな」

「はい。本来、この時代にワイバーンは存在しませんので。ですが冬木は特異点の中でも例外と考えてください。冬木であれは起こり得ましたから」

 

冬木は色々と特別だから仕方ない。

それはさておき、本来存在しない脅威がこの世界にある。

そして士郎にはワイバーンを相手に戦える能力がある。

ならば、

 

「セイバー、少し頼みたいことがある」

 

衛宮士郎が動かない訳がない。

そしてその言葉の後に続くものをアルトリアは知っている。

だから返す

 

「共に行きます。今も変わらず私はシロウの剣ですから」

 

そう言って笑顔を浮かべた彼女にみとれる士郎。

だが、この後にラ・シャリテの街にてこの自称『シロウの剣』は暴走する。

 

「頼りにしてるよセイバー」

「任せてください、特異点だろうと何処であろうとも最優のサーヴァントが変わらないということを証明しましょう!」

 

そんなことも知らず、彼らは移動・・・・・・。

 

「・・・・・・ところでシロウ。行く前にその、一つお願いがあるのですが・・・・・・」

 

その時クー、と可愛らしい音が士郎の耳に入る。

シリアスな場面でも関係なく響くセイバーさんの腹の虫。

 

1何も言わずに料理を作りに行く。

2苦笑を浮かべて作りに行く。

3何も聞こえなかったでゴザル。速く街に行くでゴザル。

 

「・・・・・・何か作ってから行こうか」

「ハ、ハイ!そうしましょうシロウ!」

 

少し顔を紅くしながら笑うセイバー。

どうやらタイガー道場は避けられたようだった。

でもさっきまでのシリアスを返してほしいと思う。

 

「ま、仕方ないか」

 

そう、様々な場所で騎士王ではなく腹ペコ王と呼ばれる彼女なのだから。

呟いた士郎は即席ログハウスに相応しくない台所(男性用ログハウスにのみ存在)で移動しながら食べられる軽い食事を作り始めた。

 

**

 

「余計な行動にならなければ良いのだが・・・・・・」

「無理じゃねえか?だってあの坊主だぞ」

「ですね。士郎はシンジと別の意味で我慢できない人ですから」

「だな。あのお人好しなら止められないって。アンタだけじゃなくオレも知っているつーか、この身体の元になってるヤツがどうしようもない俗人なんだ。大人しくマスターの命令通りに見張っておけよアーチャー」

 

周りの見張りをしながら冬木の知り合いサーヴァントたち(セイバーを除く)は話し合う。

そしてこれから彼らが起こすであろう滅茶苦茶を予感してアーチャーはため息をつく。

 

「まったく酷い命令もあったものだ」

 

自分のマスターから彼らの行動を見張るように命令された。

たとえムカつく過去の自分であろうとフォローを確実にするだろう自分が嫌になる。

 

「だが、それで助けられる人が増えるのならば構わないか」

 

自分以外に聞こえないようにそう呟いた。

 

この後にそう思った自分を殴りたくなるほどの大きなハプニングが起こるのだが、彼はその事をまだ知らない。




特異点の森から!出張版タイガー道場!

タイガ「という訳で死んでないけどこんにちは。迷子の君を救うかもしれないタイガー道場よ」

F号「おっす。最近は忙しくアポが見れていない弟子F号っす」

タイガ「前回言っていた通りに今回はゲストを招くんだけど、弟子F号!」

F号「既にお招きしているであります。タイガー道場の先輩、弟子1号先輩であります!」

イリヤ「なんでここでも弟子1号なのよ・・・」

タイガ「黙りなさい、弟子1号!以前も言ったでしょう。ここではお前は弟子1号よ!!」

F号「イリヤさん。ししょーは横暴だから」

イリヤ「確かに」

タイガ「ダブル天誅。誰が横暴よ、誰が」

イリヤ「ひ、久しぶりに受けたわ虎竹刀」

F号「か、勝てる気がしない」

タイガ「まあ良いわ、今回を振り替えって行くわよ!弟子」

「「おっす!」」

タイガ「・・・二人とも弟子だったわね。じゃあ弟子F号!」

F号「おっす。ぐだ子寝ている間に決着?見習い正義の行動直前。この二本であります!」

イリヤ「何かのアニメなの?」

F号「fateってアニメになってますよ?」

イリヤ「そこじゃないわよ。というか出張版だから尺が短いのよね」

タイガ「ええい!招いただけで説明なしで終わりだと!!」

F号「次のデッドエンドか選択肢で会いましょう!」

「「「また次回に!!」」」

F号「いや、イリヤさんは出ないから」


ボソッと近況報告ー
他のカルデアってありなんかい!!そして普通にガチャの話と課金を口に出すのか!!
そしてどこからどう見ても人類悪の貴女が人類救ったとか嘘ですよねえ!!
・・・・・・福袋は、あれですよ。ねえ?


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真名、開放。彼らはやり過ぎた。

今回はジーク君と衛宮士郎、アルトリアとモードレッドを書いたときからやってみたかったことをやってもらいました。

そしてスランプ気味ですまない。
シリアルさんが少な目です。


特異点内は何処であっても平和に感じても戦場である。

故にソリの上のサーヴァントたちは(そうは見えなくても)周りを警戒している。

だから気が付き、命令する。

 

「おいルドルフ。目的地を向こうに変えろ」

 

そう言ってモードレッドが指差したのはルドルフの右に160度程の場所に微かに見える街、ラ・シャリテ。

 

「きしゃー!?」

 

そこそこ離れた距離まで戻らなければならない。三人乗りのソリを引きながら。

ルドルフ、君は泣いていい。泣いてもやることはなにも変わらないけれども。

 

**

 

ルドルフはオルレアンに辿り着くことに集中して気付けなかったが、そのオルレアンから黒く、大きな竜がラ・シャリテに向かって飛び立っていたのだ。

それもサーヴァントにとってもかなりのスピードで。

だからルドルフに命じて、向かう。

 

「・・・・・・おい、赤のルーラー。お前は戦力になるのか?」

「いえ、これから起こる火力という意味では無力です」

 

モードレッドの直感と天草四郎時貞の啓示が警鐘を鳴らしている。

 

「おい、偽セイバー。死にたくなきゃ今すぐ宝具を使え!!」

「どういう・・・」

「ぐだぐだ言わずに早くしやがれ!!」

 

モードレッドが頭の兜を外し、剣を構える。

それはプライドや真名バレなど気にしている余裕がないということ。

 

そして膨大な魔力が二ヵ所で同時に開放される。

そして彼も左手の宝具、サーヴァントには存在しないはずの魔術を

 

「令呪をもって我が肉体に命ず」

 

その更なる特異版『竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)』を起動する。

そしてそこに二人目の竜殺しが降臨する。

そして二つの光の柱に少し遅れ、更に二つの光の柱が立ち上る。

そして聖剣と邪剣が開放される。

 

**

 

「邪悪なる竜は失墜する、全てが果つる光と影に」

「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流」

「これこそは、我が父を滅ぼし邪剣」

「幻想を結び形と成す、今の俺出来る最高を!」

 

ラ・シャリテに向かうソリの上から放つ二人、ラ・シャリテから放つ二人。

 

「世界は今、落陽に至る」

「受けるが良い!」

「行くぜ!!」

「トレース・オン!」

 

黒く大きな邪竜(とその上に乗っている数名のサーヴァント)を挟んで放たれる。

 

「撃ち落とす――『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』アアア!!」

「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』アアア!!」

「行くぞ、『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!!」

 

A+、A++、A+、B―。

これだけの宝具に挟まれたのはファブニールにも初めてだろう。

そして上のサーヴァントたちにとっても。

 

**

 

邪竜ファブニールに逃げ場はない。

羽を使って上に逃げようにも、上からは頑張っているルドルフを労うため(と宝具発動の援護)に発動されたジャンヌ・略・リリィの宝具。

『優雅に歌え、かの聖誕を(ラ・グラスフィーユ・ノエル)』によるプレゼント(物理的なダメージを与えてくる)が降ってきている。

不恰好でも走って逃げようにも、マスターとの繋がりを感じとり(ジャンヌを置いて一人で)、『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』を全力発動し、通るために邪魔だからという理由で使われた宝具。

『触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)』によって走るための脚がない。

 

中間地点にいたためどうあっても逃げられない。ブレスも効果はない。

 

かくして、この特異点でワイバーンを産み出していたファブニールは消滅した。

この世界には本来いなかった、別世界の主人公たちの手によって。

 

**

 

ちなみに、アルトリアは。

 

「あれを相殺するとは、成長していたのか・・・・・・なにか、こう、モヤモヤしますね」

 

狙ったことを悪びれるつもりはない。だが、当時否定した時よりも成長していたのは確かだ。

微かな親心と王としての印象から複雑な感情を感じていた。

 

「なあ、セイバー」

「どうしました、シロウ?」

 

投影のための魔力をカルデアから少々多めに使った士郎は疲れが顔に見えた。

だが、とても成長していることは感じ取れた。

 

「さっきあのソリの上のサーヴァントは絶対に倒さないと駄目だって俺に言ったよな」

「・・・・・・ええ、言いましたが?」

 

私情が入っていなかったとは言わない。

むしろ私情しかなかったとか言わない。

 

「でもさっき合流したライダーのアストルフォが、マスター!!って叫んでたよな、ソリに向かって」

「そうでしたか?」

「聞こえてただろ!?」

「・・・・・・あの明らかに邪な竜を倒したので問題はないでしょう」

「・・・・・・お前たちの行動は凛に報告しておこう」

「なっ!?やめなさいアーチャー!!」

「遠坂は絶対に怒るじゃないか!!」

「怒られろ!周りの被害も考えない未熟者め!勝手に行動した結果がこれだ!」

 

サッ!

二人の主従は目をそらす。

確かに人を守ることはできた。

だが、ラ・シャリテという街の半分は残っていない。

そして残っている半分の街も上から降ったプレゼントによって凹んでいたり、穴が開いていたりする。

 

どう見ても生活出来る環境ではなくなっていた。

 




近況報告ー

PSPとエクストラを買いました。後はCCCを買ってクリアすれば・・・・・・
衛宮とエミヤが修羅場に出来る!!

あと何か来たらいいなー、でもどうせ概念礼装ならイベントで+になるのがいいなー的な感じで水着ガチャやりました。

まさかの水着フランちゃん来た。
そしてキャスギルも来た。
・・・・・・ギルいる。子ギルいる。キャスギル来た。
ギル様全種揃ったああ!?


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辿り着けば修羅場

今日はプリヤの放映日!!
ということで投稿!
プリヤ要素/zeroだけどね。


立香が起きた時には既に終わりかけていた。

というか少し唖然としていたら終わっていた。

 

「ねえ、クー・フーリン。先に行っててくれる?私たちも後から行くから」

「おう。そんじゃ先に行くぜ」

 

だから確認の為にアニキに先に行ってもらった。

でも、

 

「それでは私たちも先に行かせてもらいますね」

「・・・・・・なあ、バゼット。オレも?」

「ええ、当たり前でしょうアンリ。行きますよ」

 

そのランサーというか、並のサーヴァントと同じくらいか僅かに速い速度で走り出すバゼット。

彼女は本当に人間なのだろうか。

そんな疑問を内心で思う立香。

 

だが、そう思う本人は気付いていない。

前回の人理修復の時、様々な手助けがあったとはいえ、オリンポスの大英雄ヘラクレス(バーサーカー)相手に少女を抱えて逃げ切り、触れれば即死のダビデの箱を跳び越えた。

つまり、並のサーヴァント以上の敏捷性を持っている。

そして終局特異点で満身創痍だったとはいえ、ゲーティア相手にマシュの遺した盾を使って勝利した。

つまり、戦闘能力も高い。

今はまだ起こっていないしやっていないとは言ってもそんな少女を果たして一般人だと言えるのだろうか。

 

「私たちはゆっくり行こうか」

「そうですね、先輩。今から急いでも変わらないでしょうし」

「というか、アイツと同じ速度で走れるのは多分サーヴァントくらいしかいないわよ。あ、衛宮君ならいけるかしら?」

「今のシロウじゃ無理じゃない?でもリズならいけるかも」

「うん。だいじょーぶ。いけるいける」

「す、凄いです、リーゼリットさん。私は運動は・・・・・・」

「大丈夫ですサクラ。恐らく一番遅くなるのはシンジかと。サクラには魔術がありますし」

「おいライダー!僕にも回路が出来たこと忘れてるだろ!!」

「使いこなせてないじゃない」

 

凛に突っ込まれ呻くしかない慎二。

だが、ここに何の強化もなしでバゼットよりも速いかもしれないマスターがいることを誰も知らない。

 

そうして話ながらカルデアから来たマスターたちは移動する。

ラ・シャリテという現場へと。

 

**

 

そしてサーヴァントたち(バゼット含む)から少々遅れてラ・シャリテに着いた彼らが目撃したものは

 

「いいからジーク君から離れなさい!!」

「え~?いいじゃん。ボクのマスターなんだからさ」

「ええい、おのれピンク髪!!」

「落ち着いてくれルーラー」

 

立香の記憶にない青年(恐らくサーヴァント)に抱きつくアストルフォと引き剥がそうとするジャンヌ。

抱きつかれたままジャンヌに話しかける青年。

うん。ヒロイン(オトコノコ含む)二人の修羅場。

武器を出していないから平穏ではあるだろう。

だがここ以外にも、更に一ヶ所。

 

「ち、父上を、サーヴァントだと!?テメエ!!」

「いえ、子ではありません。分かって貰えますよねシロウ!これは敵です!」

 

士郎に剣を構えるモードレッド。そのモードレッドに剣を構えるアルトリア。

 

「止めてくれセイバー!あー、もう一体何がどうなっているのさ!?」

 

それを聞きたいのはこっちです。

何がどうしてこうなった。

 

「あ、トナカイさん!ようやく会えました!!ジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィです!」

「えええ!?」

 

ワイバーン(疲労)に乗って接近してくるジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィ。

 

立香の知る第一特異点はどこ行った。

 

「混沌としていますね」

「そう思うなら止めたらどうかね、ルーラー」

「私にはどうすることもできませんよ、アーチャー」

「シロウ同士で話すのも止めて!?」

 

ややこしいことになる!

気がする!

 

「立香ちゃん?そこにサーヴァント反応が・・・・・・」

「ロマニうるさい!みれば分かるよ!!」

 

見て解るほどサーヴァントが多いのに余計な報告はいらないよ!

 

**

 

(さて、これはどうしたものでしょうか)

 

サンタアイランド仮面改め、天草四郎時貞。

彼のルーラーとしての感知ではファブニールに乗っていたのはバーサーカー化しているセイバー、ランサー、ライダー、アサシン、そしてルーラーだった。

何よりもそのルーラーは遠目で見ても解るほど特徴的な柄の黒い旗を持っていた。

 

そして彼の視界の端に、瓦礫の陰に隠れている黒い少女もが見える。

だが彼女のクラスはアヴェンジャー。

しかも手には紙。恐らくは契約書かなにかだろう。

 

(まあ、どうにかなるでしょう。ならなければ、彼女に神の加護がなかったというだけです)

 

そう考えて彼は報告しなかった。

だが、ちゃんと報告したロマニの扱いは残念ながらひどかった。

なんというか、ロマニ、ドンマイ。




今日プリヤを見に行ってきます!

そしてジャンヌがわかっただけで四人かな?

近況報告ー
最近ネタが思い浮かぶのは他の特異点。
何故だ・・・・・・
第一特異点のネタが欲しいのだよ!!
アンケートはこの特異点が終わるまでです!
全然終わる気配が・・・・・・


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特異点戦力、補強

前回投稿したのは全力でシリアスしてた(予想)ので・・・・・・
お帰り、シリアル!


――奇跡はなく、

 

衛宮士郎にこの状況から逃れる方法はない。

 

――希望もなく、

 

絶対に勝てない相手が目の前にいる。

 

――理想は闇に溶けた。

 

目指すべき輝きを持ったサーヴァントも黒く染まった。

 

――それでも、それなのに

 

――まだ・・・・・・

 

説教が残っている。

 

「ねえ、ちゃんと聞いてる、衛宮君?」

「も、もちろんでございます遠坂」

 

残念ながら彼にカードはない。助けは来ない。

 

**

 

サーヴァントの行動に責任を取る。

それはマスターにとって義務と言ってもいい。

遠坂凛はアーチャーが衛宮士郎を狙ったときに令呪で命じるという形で責任を取った。

立香も歌うエリちゃんの責任を、耳栓をしないという形で取った。

・・・・・・こちらは自己満足でしかなかったが。

なので後に、特異点冬木の修復後の大浴場で正座して女性陣(バゼット除く)から説教もされている。

マシュも助けてくれなかった。

 

そして今回、衛宮士郎はアルトリアの暴走を抑えるどころか、カリバーンを投影するという暴挙に出た。

これは説教を避けられない。

 

ちなみにもう一人、説教をされるべきサーヴァントがいるのだが。

 

「やったのは青い方だろう。私がそれを聞く義理はない」

 

説教から逃げるためにアホ毛を引き抜き、オルタ化するという暴挙に出た。

確かに立香にとってオルタとアルトリアは別である。

でも、騎士王がそれでいいのか。

ちなみにモードレッドはセイバーオルタの

 

「後で話すから少し大人しく座っていろ」

 

の言葉に笑顔で

 

「オウ!!」

 

と返事をして座っている。

立香はモードレッドに犬の耳と尻尾を幻視した。

しかも尻尾はブンブンと振られている。

萌えキャラに、マスコットに出来そうだ。

二頭身とかちびちゅき時空とかならきっと成れる。

 

「あの先輩。そろそろ現実に戻って来てください」

「フォウフォウ」

「いや、だって・・・・・・」

 

マシュやフォウ君に言われてそらしていた現実に目を戻す。

そう、目の前にはここに居たらおかしい一騎のサーヴァント。

 

「・・・・・・何よ」

「どうしてここにいるのさ、オルタちゃん・・・・・・」

「なんでわざわざその呼び方にするのよ!!」

「だって・・・・・・」

 

オルタちゃんはオルタちゃんだもの。

 

「アンタ、今おかしなこと考えてない?」

 

全力で首を横に振る。

それより、今回の敵のはずのオルタちゃん(この特異点ではルーラーだった)がアヴェンジャーで契約書も持っている。

どうしてこうなった。

敵はオルタちゃんじゃないのか。

兵士の人たちから聞いていた話の感じで正体はオルタちゃんだと思っていたのに。

 

「大きな私もここに居るんですね・・・・・・」

「違うわよ。私が居るのは当たり前よ。むしろなんでここにこの私が居るのよ。まだ夏よ?」

 

確かにクリスマスはまだまだ先だけど。

 

「メタいよ、オルタちゃん」

 

いや、オルタちゃんはたまにメタいかもしれないけど。

色々なサーヴァントに乙女ゲーム的な役割を振ってたし。

・・・・・・どこで乙女ゲームやってたんだろう。

霊のピエールから教えて貰ったのかな?

 

「そんなことより、さっさと契約しなさいよ。紙はあるわよ?」

「あ、トナカイさん。私も一緒にお願いします!」

「うん、よろしくね。オルタちゃん、リリィ」

「だからいい加減にオルタちゃんはやめなさい!」

「えー?」

 

立香ちやめるつもりはない。

 

**

 

ちなみにだが、二人の元になった筈のジャンヌは・・・・・・

 

「ところでジーク君。何故あの子(ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ)や天草四郎と一緒にいたのですか?」

「そうだよ!何でボクやルーラーのところじゃなくて胡散臭い神父のルーラーのところなのさ!!」

「そう言われても困るんだが・・・・・・」

 

アストルフォと共にジークを問い詰めていた。

恋は人から大切なモノを奪う。

・・・・・・冷静な思考能力とか、状況判断能力とか。

 

「あの、大丈夫ですかジークさん?」

「?問題は無いが?」

「「!?」」

 

そこにこの特異点でジークと一番長く一緒に居たジャンタちゃん(立香と契約済)が心配して話しかける。

二人のヒロインが反応する。

ああ、進む聖女のポンコツ化。

 

ちなみに行き過ぎた愛ならば・・・・・・

清姫のようになる。

 

「気を付けよう・・・・・・」

 

ぼそっと誰にも聞かれないように呟いた立香だった。

前回と違って同年代の異性(エロゲの主人公)がいるのだから特に。

 

 

 

残念ながら立香は知らない。

気を付けるということは意識するということだと。

そして衛宮士郎はエロゲ主人公というフラグ製造器だということを。

男であろうと落としたり、サーヴァントになってからも月でフラグを立てる男は、ひと味どころか次元が違う。

爆ぜて!エミヤ!!

そんな男に慈悲はないヨネ。




最初はプリヤを意識しました。
映画の後に書いたし、仕方ないよね?

責めて現実でのお月見の時期までに終わらせたいなー。
この特異点。
終わるかなー?
終わる気がしないのは何故だ・・・・・・?


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ヴィヴ・ラ・フランス!

幕間の物語なら思い浮かんでいくのに本編が思い浮かんでくれない。
だから全然展開が進まない・・・・・・
いや、言い訳ですよね。本当に申し訳ないです。


 

「ねえ、ロマニ。これってどういう状況なの?」

 

こもっていた部屋から出て、ロマニにエネループの保管場所を聞こうと思っていたオルガロリーが管制室に着き、モニターを見て出た感想がこれだ。

何せ、モニターの中では修羅場が複数存在したからだ。しかもオルガマリーの記憶にないサーヴァント達による修羅場もある。

だからモニターの前で豆大福を食べているロマニに訊ねたのだが

 

「もむ!?」

 

人は口の中に豆大福があると話すことは出来ない。

返事は奇声で返ってきた。

しかも

 

「・・・・・・ッ!?」

 

驚いた為に、豆大福を喉に詰まらせる。

まあ、今までのオルガマリーは拗ねて部屋にこもったら中々出てこなかったので、驚いたのは仕方のないことかもしれない。

 

「あー、ロマニが話せないようだから私が教えようか」

「ええ、そうね。お願いレオナルド」

「・・・・・・ゥゥッ!?」

 

喉に豆大福を詰まらせて息が出来ない、人になった魔術王(アイドルオタク)。

まさかマシュが立香のために用意した豆大福が、後ろから不意に話しかけた(本来なら死んでいた)オルガマリーによって死にそうになるソロマン。

人理を焼却させようとしている黒幕がこの事を知ればいったいどう思うだろうか。

呆れるか、それとも・・・・・・?

ちなみにロマニは一瞬だけ

 

「何故だ、何故だ何故だ!!何故私がこんな目に合っている!?」

 

そう叫ぶレフのような姿を見た気がした。

 

**

 

「――という訳で今、彼は怒られているのさ」

「なるほどね」

 

ダ・ヴィンチちゃんが説明した内容にオルガロリーは納得だった。

自分勝手に動かれるのはとても辛い。

 

「・・・・・・ねえ、ロマニ。この反応って」

「スルーかい!?僕が死にかけたのはスルーなのかい!?」

「これってサーヴァント反応よね?」

 

安定感のあるスルー。

ロマニが絡むと空気がシリアスからシリアルになるから仕方ない。

 

「・・・ハァ。そうだね、これは確かにサーヴァント反応だ。しかもかなりのスピードで移動しているうえに複数・・・・・・!?」

 

咄嗟に特異点の中に連絡を繋げる。

 

「聞こえるわよね藤丸?」

 

**

 

「あれ、所長だ」

 

腕時計のような機械からモニターの映像が出される。

普段ならロマニかダ・ヴィンチちゃんが出てくるモニターには幼・・・・・・少女が映っていた。

ここだけ少し立香の時代よりも先に行っているような気がしないでもない。

まあ、魔術のおかげなのだろうけど。

 

「そこにサーヴァントが向かっているわ。今すぐ警戒体制を取りなさい!」

「た、大変ですよ先輩!」

「・・・・・・えーっと・・・・・・」

 

立香の記憶が正しいならば、きっとここに来るサーヴァントは敵じゃない。

ガラスの馬車で来る筈だ。

・・・・・・信じてくれるのはきっとオルタちゃんとエミヤくらいだろうけど。

 

「それにしても、ねえ?アンタたち私の時よりも人数が増えてない?今より更に増えそうだし、ここの私がかわいそうになるわ」

「確かにね・・・・・・」

 

いくらここのオルタちゃんがルーラークラスだと言ってもオーバーキルできそうな気がする。

ついでにアヴェンジャーがここのオルタちゃん含めて二人いるし。

 

「話している場合ではないですよ先輩!ガラスの馬車が凄い速度で迫ってきます!!」

「あー、うん。そうだね」

「アイツよね・・・・・・」

 

確信できた。

女王と音楽家がやって来た。

オルタちゃんが微妙な顔をしていた。

 

「アイツ無駄に鉄壁要塞だったじゃない。本当に只の女王だったの?」

「回復もあったもんね」

 

無敵と魅了と回復。

スキル無制限とかとんでもないよね。

ただでさえダメージが通らないのに、宝具以外でも回復するから倒せない。

・・・・・・敵じゃなくてよかったよ。本当に。

 

「先輩!?」

「あ、ごめんねマシュ」

 

でも予想通りだからきっと警戒って無意味になると思うんだ。

だって

 

「マリーよ。さあ、一緒にヴィヴ・ラ・フランス!」

 

彼女、ガラスの馬の上で堂々と名乗りをあげてるし。

だからね、マシュ。

 

「・・・・・・ねえ、あれ、燃やして良いかしら」

「止めて!?」

 

ちょっと不機嫌なオルタちゃんを一緒に止めて!

 




えーっと、近況報告ー
遂に書いてるキャラが来ました!
ヴィヴ・ラ・フランス!マリー!!
この話を書いている途中で来てくださいました。マリー。
何か違う?
それならばアンリ!
エミヤやアルトリアなどの星4、星5ではなく貴方が来ましたアンリ!
書いたら出るって本当だったのですねー。

・・・・・・星4、星5は来てませんが?


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知らない所で進む物語。

ネロ祭特別編?変?


 

それは立香達がマリーたちと話しているときのことである。

第一特異点ではなく、第二特異点にとあるサーヴァントたちとそのマスターがレイシフトしていた。

 

「見るがよい、奏者よ!これが余の作り上げたローマである!!」

 

-―うん。凄いね。

 

少女の目の前に広がっている光景は、この場所は月ではない。

本来なら存在しない筈の歴史の揺らぎ、特異点というモノ、らしい。

その中にセイバーの生きている時代が合った為に月の新王としてではなく、セイバーのマスターとして確認に来たのだ。

 

「バカ皇帝の生きている時代ですので常にお祭りなのかと思ってましたが・・・・・・。違うようですね」

「ローマ・・・・・・。悪い文明ですか?」

「余のローマが悪い文明の筈が無かろう!全ての文明もまたローマに続いていると言っても過言で無いのだぞ!?」

 

この場に居るのは少女と、契約しているサーヴァントのセイバー(ネロ)、キャスター(玉藻)そして幼女なセイバー(アルテラ)である。

 

『あー、テステス。聞こえてますか先輩?愛しの後輩、BBちゃんですよー?』

 

ムーンセルの(平行世界のビースト発生の原因がデータ内のキアラであるなど)諸事情により復活したBB。

そのBBに特異点の修復のための手伝いを頼むと喜んで受けてくれた。

現在は月からBBチャンネルの劣化になる聴覚のみのハッキングで連絡を取っている。

 

――聞こえてるよ。で、これからどうしたらいいんだっけ?

 

『そうですね。特異点を作っているのは聖遺物、先輩には分かりにくいかもしれないですが、ムーンセルとは違う聖杯です。特異点のどこかにあるその聖杯を回収することが目的になります』

 

――ムーンセルとは違う聖杯?それって聖杯戦争とかの?

 

ムーンセルの聖杯戦争は、地上で起こっていた聖杯戦争を元にしていたと聞いたことがあったけど。

 

『あー、それに近いですね。まあ、やることは変わりませんよ?倒してゲットです』

 

――ゲットなんだ・・・・・・。

 

『はい。ゲットです。・・・・・・コホン、それでは様式美として言わせてもらいますね』

 

様式美って何のことだろう。

疑問に思っても訊ねるような無粋な真似はしない。

 

『それでは先輩、聖杯探索を始めましょう』

 

――うん、頑張るよ。

 

「奏者ー!速く行くぞ!!これから余がローマを案内するのだからな!」

 

元気のあるセイバー、ネロ。

 

「ご主人様。特異点とは言っても気を張り詰めてばかりはいけませんよ?」

 

気を配るキャスター、玉藻。

 

「スゴいですね、マスターさん!」

 

小さくて無邪気なセイバー、アルテラ。

それにBBがサポートしてくれる。

だからきっと大丈夫だ。

 

**

 

「あー!それにしても先輩と一緒に行きたかったなーー!!」

 

月で一人。

先輩との通信を切ってからモニターの前で愚痴る少女がそこにいた。

本来なら愛しの先輩とともに特異点を観光もといパパッと修復できる筈だったのだが。

 

「まあ、先輩がしなくても大丈夫なんですけどね」

 

おちょくりたくなる方のセンパイが人理を守るのだから。

知ったら動かない訳がないのが先輩なのだけど。

 

「そもそもなんでアレのために私が残らないといけないんですか!」

 

ビースト案件のキアラ。

彼女がビーストとなったときのワクチンを(ばれないように)用意するまでサーヴァントと同じように月から離れて行動は出来ない。

ムーンセルがそれだけこの事を重要視しているという事なのだが。

 

「メルトに作成をやらせれば・・・・・・。残念、すでに役目がありましたね」

 

ついでにリップにも。

そもそもやらせようとしても反逆してくることは間違い無い。

 

「まだ余裕はあるんですけどねー」

 

センパイがゲーティアを倒してから準備しても余裕はある。

そしてBBの前にあるモニターのひとつには混沌とした状況のセンパイが映っていた。

 

「きっと縁はあるんですけどね」

 

白いのとは別のオリジナルの間桐桜が近くにいるので縁は更に濃くなっているだろう。

 

「でも、そうですね」

 

きっとセンパイがゲーティアを倒してからでないと召喚出来ない。

だから少女はこう呟く。

 

「『電子の海で会いましょう』ね、センパイ」

 

***

 

「何か寒気がした!?」

「どうしたんですか先輩?」

 

急に振り向く立香にマシュが訊ねる。

ちなみに他の人たちは場の混沌を納める為に落ち着こうとしている。

 

「ユルユルの水着イベントかと思ったらガチガチのイベントだった的な気が!」

「落ち着いてください先輩!訳がわかりません!!」

 

きっと裏切られた気持ちのマスターも多かった。

 

「ゴールデンウィークと石とお金が消える気が!」

「落ち着いてください!!」

 

パニックになった立香の頭にデミ・サーヴァントの盾が落とされる。

立香の目の前が真っ暗になった。




他の人がネロ祭特別編を書いてたりしたのを見て書いてみようかなーと思ったんです。
ふと気がつけば八割ぐらい書かれてました。

BBちゃんのせい?

あ、残念ながらこの特異点の後はきっと、ローマじゃないです。
アンケート的にイベントです。
待っててね、ローマ!!
早く行けるように頑張るから!


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作戦会議!

必要はないケド。
力任せで勝てる。
ワイバーンこれ以上増えないし。


 

「いい?これから私たちがやることは単純で簡単なことよ」

 

立香が気絶している間にある程度は話し合っていたのか落ち着いた状態で作戦会議が始まった。

 

・・・・・・どうやってあの混沌した状況から落ち着きを取り戻せたの?とかは聞いてはいけない。

きっととても面倒な話になる気がするから。

具体的には、無駄に3話ほど使う気がする!

 

ちなみに司会をしているのは眼鏡をかけた凛。

目覚めたばかりの立香の脳内には何故か選択肢が表れる。

 

1 そんなことより凛さん、眼鏡似合ってますね。

 

2 やることが単純ってどういうこと?

 

選ぶのはもちろん、

 

「そんなことより凛さん、眼鏡似合ってますね」

 

これ以外に選ぶ言葉はない。

例え会議が止まっても仕方ないんだ!

 

「あの、先輩。今は真面目な話ですので・・・・・・」

「ますたぁの趣味は眼鏡ですか。・・・・・・マシュさん。その眼鏡を私に渡してくださいません?」

 

結果としてきよひー暴走。

マシュから目をそらす立香。

その、マシュ、ごめん。

止めれない。

 

**

 

「それじゃ、続けるわね?私たちはこれ以上戦力を増やす必要は無いわ」

 

以前の立香はファブニールを倒す為に竜殺し、ジークフリートを探した。

そして見つけたジークフリートは呪われていたため、その呪いを解ける聖人を探しだした。

それから呪いを解いて移動して、オルレアンに殴り込んだ。

しかし今回は?

聖剣や邪剣などの複数開放によりファブニール既に退場済み。

ジークフリートの出番がなくて本当にすまない。

相手の戦力を知っているオルタちゃんそのものがこちらにいる。

そして以前に比べてもサーヴァントの数が多い。

この特異点の敵陣営よりもサーヴァントの数もこちらの方が多い。

・・・・・・もしも、もしもこの特異点に召喚されたはぐれサーヴァントたちまで仲間になった場合、ルーラーオルタちゃんが泣く。きっと泣く。

 

「・・・・・・戦力、充分だね」

 

むしろ過剰過ぎて苦笑いしかでない。

 

「でしょ?だから私たちは戦力を二つに分けようと思ってるの。まず、真正面から敵を引き付ける囮役。そして裏から入って逃がさないようにする予備枠ね」

 

真正面から圧倒できるから逃がさない為に二つに分けるのか。

なるほど。

 

「それでも逃げられるほどの速さだったならそこのランサーとかワイバーンが追いかければ良いのよ」

「なるほどなぁ」

「きしゃっ!?」

 

アニキはヤル気充分で、ワイバーンのルドルフは驚いたのか悲鳴をあげている。

 

あわれなり。ルドルフ。

 

**

 

「えっと潜入チームはイリヤに桜、遠坂にセイバーと俺。アーチャーとランサーか」

「既にオーバーキルだよね・・・・・・」

 

あれれ?囮役だけで勝てるのでは?

だって囮チームはそれ以外ですよ?

涙目になってもおかしくないね。

 

「それじゃ、蹂躙しましょうか!!」

 

逃げて!ルーラーオルタちゃん超逃げて!

いや、逃げられたら困るけど。

 

『何て言うか、こちらが悪役なのかな?って思うほどの戦力だね』

 

ロマニ、やめて、言わないで。

 

「そう言えばドクター、先程は所長が居たと思うのですが?」

『ん?ああ、皆に軽く指示を出して、少しデータの誤差を修正をしてから、エネループを幾つか持って自分の部屋に戻ったよ。イヤー、幼女になっても優秀さは残ってたみたいで安心したよ』

 

そっか。所長、少し落ち着いたん・・・・・・

ん?エネループ?それって記憶に間違いがなかったら電池だよね?

日本のゲームコントローラーによく使われているアレだよね!?

 

「ロマニ!所長、絶対にゲームしてる!!」

 

立香も、自分の部屋のスクリーンでゲームをしたいと思っていたのだ。

スイッチで発売される月の陣取り戦争をスクリーンでしたい!

初期の方のPSPで出てたゲームもアニメ化するしVita版で出してほしい!

マシュも出てほしい!

・・・・・・あれ、何の話だったっけ?

 

『いや、それは無いんじゃないかな。彼女、ゲームとかやらなかったし。それに僕の部屋以外にゲームは無いと思うしね』

 

ゲームを持ち込んで堂々としているトップがそこにいた。

そしてモニターから目をそらす何名かのスタッフも居た。

 

『ん、それなら私が渡したよ?』

『レオナルド!?』

 

大丈夫ですか、ここのカルデア?




この作品のキャラは増えすぎました。
なので、一話ごとに視点を変えようと思います。
主人公ズも合計四人いるしね。
エロゲ主人公、ノベル主人公、ソシャゲ主人公、RPG系主人公。

近況報告ー
ネロ祭の聖人行進。ここのカルデアで組めるんですよね。
天草四郎もいるし。
ネロ祭のボックスは既に11回は過ぎました。
あ、ガチャ爆死。以上!


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○○、登場!辛いわー

今回は凛や士郎に焦点を当てました。


「なあ遠坂。本当にここのチームは必要だったのか?」

 

会議の後に二手に別れた士郎たちは遠回りでオルレアンに建つ城を目指していた。

 

「当たり前じゃない。あのね衛宮君、絶対に黒ジャンヌが聖遺物を持っているとは限らないのよ?」

「?」

 

確かに黒ジャンヌがメインに動いている。だが、人理を焼いた何者かがそんなに分かりやすく行動する人物を使うだろうか。

 

「オルレアンを中心にしているから可能性はあるけどね。でも兵士の人も言っていたことがあるでしょ?」

「甦ったってやつか?」

「ええ、でも私たちは死者が甦って戦うものを知っているでしょ?それにこちらに来たジャンヌオルタもサーヴァントだった」

「つまりその黒ジャンヌのマスターがいるかもしれないってことか!?」

「そういうこと」

 

もしもマスターがいるのなら黒ジャンヌ本人よりも警戒しないといけない。

黒幕から差し向けられている可能性があるのだから。

 

「!止まってくださいシロウ。サーヴァントらしき物の気配があります」

「アーチャー、相手は見える?」

 

凛が千里眼を持つアーチャー(耳栓を投影中)に確認する。

 

「・・・・・・敵ではない、だろう。恐らくだが」

「歯切れが悪いわね。どういうこと?」

「見れば君もわかるだろう」

 

彼女たちは知らない。実際はジャンヌ愛を拗らせたキャスタージル・ド・レェが聖杯を使って自らが理想とするジャンヌを生み出そうとしていただけだったことを。

何よりも数回、その事に失敗していることを。

 

そして少女たちはオルレアンの裏で出会う。出会ってしまう。

 

「おや?そこにいるのはリンにシロウではないですか!前に会ってから7年程でしょうか?お久し振りですね!!」

「「は?」」

 

見た目はジャンヌにそっくりだ。だが雰囲気や色合い、何よりも世界観が違う。

そもそも着ている服が士郎達の時代の女子の制服に近い。

まるでアインツベルン城の外に、夜に出没する黒いFUJIMURA のように纏う空気感が違う。

 

「ちゃんと派手な宝具も持ってきましたよ。この生涯に一度ぐらいしか使えない紅蓮の・・・・・・、あっコレ自爆宝具でした(てへっ)」

「いやいやいやいや」

「というか、座から止められたのでこんなのしかないんですよねー」

「いやいやいやいやいや」

 

ジャンヌ?の手元には青色のガチャがある。

 

「いやー、これは来たんじゃないですか?いや来ましたよね!ジャンヌブーーム!!」

「いやいやいやいやいやいや」

 

そこまでにしておけよ藤村ならぬ、そこまでにしておけよJKジャンヌ。

 

「今回はジルのおかげで最低でも五人の私たちがいるのですよ!?辛いわー、人気者過ぎて辛いわー」

「ねえアーチャー。焼かない?」

「気持ちはわからないでもないが、止めたまえ」

 

イラッとしたのか、宝石を用意する凛とそれを止めるエミヤ。

 

「聖杯への願いもちゃんと考えて改めましたとも!ピンク髪の女子は即剃髪、にはしません。あのピンク髪が残りますからね」

「で?」

「ですのでピンク髪は即剃髪で。何故かここではあのピンク、性別不詳ですからね!これで確実です!」

「そういう話じゃないから!!」

 

座からも規制されるJK。

まともな筈がなかった。

そもそも今回の目的は願いを叶える聖杯を取り合うのではなく、特異点を作っている聖遺物の回収である。

ピンク髪の剃髪という願いは確実に叶わない。

 

***

 

「どうなっているのよジル!!ファブニールが瞬殺されたんだけど!?」

 

オルレアンの城の中でルーラーオルタちゃんは怒っていた。

ワイバーンを産み出し続けていた竜種、ファブニール。

本来ならジークフリートがいなければ、またはそれだけ強力なサーヴァントがいなければ倒せない筈の竜。だからジークフリート本人に呪いをかけ、動けないようにした。

なのに。

 

「なんで竜殺しがいるのよ!それに他にも強力なサーヴァントが多数も!挟まれたんだけど!?」

「おや?まだ呪いを解くことは出来ていないはずでは?」

「いたのよ!!威力は少し落ちていたかもしれないけど、そんなの他に多数の宝具が重ねられたら大差ないのよ!!」

 

ジルが悪い訳ではない。でも、ファブニールの上に一緒に乗っていたサーヴァントが全員が大ダメージを受けた。

この怒りを誰にぶつければいいのだろうか。

そうだ、ジルだ。

 

「では他のサーヴァントも召喚したらどうでしょうか?」

「ええ、そうね。狂化もさせた方がいいでしょうね」

 

この二人は知らない。実は既に時間はないことを。

オルレアン城の前には

 

「いくよ、エリちゃんズ!!」

「「任せなさい子ジカ!!最っ高のライブにしてあげる!!」」

 

カルデアで呼ばれたエリちゃんと特異点に呼ばれた野良サーヴァントのエリちゃん。

彼女たちのマイクが用意されていた。

 




○○の中はJKが入ります。
そしてかわいそうなオルタちゃん(ルーラー)。
合掌。

近況報告ー
配布鯖はオルタちゃん、君に決めた!
他にも迷うけれどもなんというか・・・・・・
勘?HF放映も1ヶ月切ってるしね。

あ、ガチャは・・・・・・引く度に
「流星一条ァァァアアア」
かな?

見事に砕け散るし、爆死であろう?
辛いわー、マジで辛いわー


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ポンコツとスペシャルスタート

何時になったらこの特異点終わるのん?
既に半分は終わった筈なのにね?

終わりが見えない・・・・・・


「それでは、マスターたちを頼みましたよ。モードレッド」

 

アルトリアはモードレッドに声をかけてから移動した。

きっと一般的な(メリオダスブートキャンプ前)マスターである立香のことを心配したからだろう。

だが、その言葉でモードレッドは張り切った。とっても張り切った。

そして・・・・・・

 

「クソッ!ルドルフと同型以外がいないのかよ!もっと強いのはいないのかよ!?これだとオレが父上に良い報告が出来ないだろうが!!」

 

ファザコンが緑色のワイバーンを吹き飛ばし、赤色のドレッドを蹴散らし、黒色のエビルを蹂躙する。

ただ、父に誉めてもらう為だけに。

そう、この場では立香だけが既に知っていた、ポンコツモーさんの作り上げた惨状である。

このポンコツ状態を知らなかったアポカリファ組は唖然としていた。

 

「(まあモーさんってアルトリアが絡むとポンコツになるからね・・・・・・)」

 

そのおかげで立香は魔力を使わないままオルレアンまで向かえるのだが。

 

「凄いわ!とっても強いのね!」

「うん、頼りになるよね」

 

武力はね。

だけどきっと精神的に頼りになるモーさんはこのカルデアで見ることは出来ないだろう。

アルトリアが絡まなかったロンドン、そこではとても頼りになった。

しかし、無人島に流されたときは・・・・・・

アルトリアがいたからか、とてもポンコツだった。

折角造った橋を完成直後に上をサーフィンボードで通り抜け、削っていった。

あの時のアルトリアを止めるのにどれだけ苦労したか。

 

「あ、そうだ。マシュ、お願いがあるんだけど」

「はい。どうしましたか先輩?」

 

オルタちゃんや裏に回った彼らには悪いけど、色々と台無しにしようと思っております。

エミヤが耳栓を投影していることを祈ってる。

 

**

 

アマデウスの宝具は、本人が嫌がった為に使用してくれない。だが、アストルフォの宝具は本人がノリノリで許可。

そしてこの二人がこれから立香がするお願いを断る訳がない。

そしてマシュやジャンヌに防御するように言っておいた。

これできっと大丈夫だろう。

いざとなれば回復要因のマリーもいるし、きっと大丈夫・・・・・・だよね?

 

「エレシュキガル、また会いそうだね・・・・・・」

 

呟く立香の目の前には既にオルレアン城がある。

しかし敵のサーヴァントは未だに城から出てこない。

令呪は1日で一画、回復する(三画から増えることは何故か無い)から使うことにためらいは無い。

だから立香は死の覚悟を胸に、この答えを選ぶ。

 

「我が令呪を持って二人のエリザベートに命ずる!」

 

この特異点に召喚された少女、そしてカルデアから共にこの場に来た少女。

二画の令呪で二人が同時に宝具を用意する。

そして少女たちの後ろでもう一人、少女にしか見えない少年?が笛の宝具を用意する。

カルデアはこの時点で通信回線を切断した。

 

「スペシャルライブを楽しんで!!」

「「任せなさい子ジカ!!」」

「止めなさいよ!?」

 

思わずといった感じで止めようとするオルタちゃん。

だが、既に令呪は右手から二画消えていた。

さあ、全てが台無しになるぞ!

反響しやすい城の中にいることを後悔するといい!

 

「宝具、展開します!耐えて、『仮想宝具、疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

「主の御業をここに!我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

 

防御宝具を展開する二人(耳栓着用)。

残念ながら立香は防御内にいない。耳栓もつけていない。

 

「じゃあ、ボクからいっくぞー!『恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)』!」

 

アストルフォの宝具が奏でる大音量。これだけでも敵のサーヴァントのダメージは小さくない。

もちろん、近くにいる立香のダメージは大きい。

だが、それだけではない。

 

「サーヴァント界最大のヒットナンバー」

「二人で一緒に聞かせてあげる!」

 

顕れるチェイテ城は二つ。

しかも両方がアンプと化している。

 

「これが本当の宝具レベル2、かな?」

 

それがきっと立香の最後の言葉になるだろう。

 

「「『鮮血魔嬢=バートリ・エルジェーベト=』!!」」

 

サラウンドの歌声を聞け!

二人のとても嬉しそうな笑顔を見て、立香の意識は途切れた。

 

「せ、先輩ーー!!?」

 

最後に聞こえたのは音の外れた歌声じゃなくてきっとマシュの声だった気がした。

 




その、近況報告ー
体調を崩しました。

夢の中でエリちゃんライブを聞いた気がしました。
「私のイベントが来たからはやく書きなさいマネージャー!」
的な感じで。
辛いわー。まじで。


FGO?ガチャ?
爆死って続き・・・・・・エルキドゥ?トリスタン?
デジマ?


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オルレアン城、倒壊

皆さまの感想での期待に応えたかった。

オルレアン城に敬礼!


 

 

「あれも私なのかもしれないけど、私がここの私じゃなくて本当に良かったわ・・・・・」

「あそこにいる大きな私が可愛そうです・・・・・・」

「おお、主よ・・・・・・」

 

二人のジャンヌシリーズが耳を塞ぎながら顔を青くして呟く。

そしてジャンヌ本人も思わず祈りの言葉を口にする。

城に向けて放たれるのは3つの宝具。

広域破壊の音笛、城を改造しアンプ化しての歌。

最初の立香の計画ではこれにアマデウスの宝具も追加しようとしていたのである。立香、ヒドイ。

そしてこの場にいるジャンヌシリーズはセイバーでもアサシンでも、ましてやルーラーでもない。

マシュやジャンヌ本人の防御がなければ通常のダメージ(それでも大ダメージ)が入る。

そしてもう一人、ジークは可愛そうなことにこれが産まれてから初めて聞く歌になった。

直接歌声を向けられている訳じゃないし、耳にも耳栓をつけている。

更にマシュやジャンヌが宝具による防御もしている。

だが、それでも響いてくる騒音な角笛と、綺麗で音痴な歌声×2。

それは人ならざるサーヴァントの身でも辛い。

ならばそれよりも脆い、神秘が込められていない城ならばどうか。

もちろん崩れる。崩れ去る。

だが、オルレアン城は頑張ったといえるだろう。

一瞬で崩れる訳ではなく、数秒間耐え、しかもゆっくりと崩れるのだから。

でも、

 

「これが歌なら・・・・・・もう聞きたくないな」

 

そうジークが思い、言葉にするのもきっと仕方ないことだ。

 

「ジ、ジーク君!これが一般的な歌だとは思わないで下さい!」

 

彼女の歌が一般的な歌だったならば世界はラスボスが人理を焼く前に滅んでいただろう。

エリちゃんだけで、セイバー、ランサー、キャスター、バーサーカー。

ついでにランサーだけでもノーマルエリちゃんとかダークエリとかエリザベートヴォイドとか、合計六人いる。

そして張り合うかの如く、似たような歌を歌う皇帝もセイバー(ノーマル、ブライド、ヴィーナス)、そして水着のキャスターの合計四人。

つまりネロとエリザベートを合計して十人もいるのである。

・・・・・・黒幕は聖杯に頼らなくても、この十人が満足するまで歌わせれば一つの時代は終わるのではないだろうか?

嫌な予感を感じながらジャンヌは歌に混じる呪いを旗で防ぎながら決心する。

 

(ジーク君にちゃんとした歌を聴かせなくては!)

 

産まれて程なくして死に、サーヴァントの心臓を手に入れて蘇生し、サーヴァントに殺され、直ぐにとあるバーサーカーの宝具の副次的効果で再び蘇生。

そして一時的にサーヴァントになる方法を手に入れて邪龍へと至り、世界の裏側で今も大聖杯を持ち続けているジーク。

彼は世界を殆ど知らない。

ならば、少しでも美しい世界のことを教えるべきだという思いで。

二人だけなら、恥ずかしくてもジャンヌ自身で歌うことも考えながら。

 

(あれ?それはつまり私とジーク君でデートをしたらという・・・・・・!?)

 

それはつまり、ジャック・ザ・リッパーを誘き寄せるなどの任務も関係なく二人だけで出かけるという幸せなデートということ。

 

「ッ!?」

「あっ、す、すみません!」

 

だが、余計なことを考えていたため、少しだけマシュの負担が増加した。

顔を赤らめている場合ではないぞ、聖女よ。

 

**

 

「これはどういうことよジル!」

 

ジャンヌオルタ(ルーラー)はガラガラと音を立てて崩れるオルレアン城の中で耳を押さえながらジルに詰問する。

フランスの人理焼却は目前だった。

それが狂いだしたのは(オルタにとっては)ファブニールが謎の宝具開放四連で倒されてからである。

実際にはこのルーラーオルタが召喚される前にジル・ド・レェが(少しおかしくなった)ジャンヌシリーズを召喚した時から既に狂っているのだが、そんなことを最後に召喚されたルーラーオルタちゃんは知らない。

 

「おお、聖女よ!これは相手もなりふり構っていられないほど追い込まれているということです!!」

「な、なるほどね!」

 

確かにカルデアは(というか立香が)なりふり構っていない。

だが、そのなりふり構わない宝具×2のせいでこの特異点を作り上げている聖杯も壊されそうなのだ。

冬木の大聖杯と違ってこの特異点を作っている聖杯の形状は人の手で持てる杯である。そして城の瓦礫が当たることなど誰も想定していない。

つまり、オルレアン城の瓦礫が当たるだけでも壊れる可能性があった。

黒幕、実はけっこうなうっかり説が浮かび上がってきそうである。

・・・・・・彼らの主がドルオタでポンコツになっているので仕方ないのかもしれない

けど是非もないヨネ?

 

「バーサークアーチャー!聖杯を守りなさ・・・・・・!?」

 

つい先程狂化召喚したアーチャーに命令するルーラーオルタ。

だが残念、ランサーの宝具はアーチャーに対して強い。

ついでに言うならルーラーオルタが召喚したサーヴァントは全てが狂化されているため、全サーヴァントが全サーヴァント対して弱くなっている。

 

つまり、二重に効果のあったバーサークアーチャー、アタランテの反応はない。

端的に言うと消えかけていた。

 

「何でよ!?」

 

こうかはばつぐん、でアタランテがガッツ効果も耳栓も持ってないからです。




いやー、ハロウィンイベントも終わりましたねー。
復刻だけでしたね。リアルでは正にハロウィンの時期ですけどねー
・・・・・・あれー?まだ特異点が終わってないぞー?
月見の時期が終わるぞー?

10月中に特異点終わらせないといけないのにまだルーラーオルタちゃんと会ってないよ・・・・・・?
ヤバイ(´・ω・`)

気を取り直し近況報告ー
アルトリアを狙ってガチャりました!!
パールヴァティーが来ました・・・・・・!?
うん、桜書いていたからですよね?きっと
書けば出るー、はず
うむ、爆死ではなかった!


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絶望のフラグ、設立

ハッピーハロウィン!!
ついに現実の季節がハロウィンに突入しましたね
まだ特異点の中なのですけど・・・・・・


 

周りが暗い冥界、そびえ立つ岩の門の前で金髪の女神が立ち、その前ではカルデアの制服を着た赤少女が正座している。

 

「私、まだ早いって言わなかったかしら?」

 

冬木でエリちゃんスペシャルライブ(その1)をしたときに一度、追い返す時に言ったはずだった。

なのにこの少女は懲りずにこの場にいる。

 

「言っていたような・・・・・・」

「・・・・・・ハァ」

 

どうやら反省はしていないらしい。

前回と同じ理由で来たのだから何となく理解してしまったエレシュキガルである。

 

「で、そのポケットの紙はなんなのかしら?」

「これ?」

 

そこには『エレシュキガル実装求ム!』の文字が書いてあった。

 

「こういった小さな努力が、きっと運営に届くと思うから!」

「運営って何かしら!?」

 

カルデアのマスターはおかしな電波を受信しているようだった。

 

「もう帰ると良いのだわ・・・・・・」

 

そうして無理矢理に冥界から追い出す。

今度会うときはせめて第七特異点がいいと願いながら。

何となくだが、また早くやって来そうな気がしないでもない。

 

**

 

エリちゃんズの歌が終わって城が崩れるなか、最初に動いたのは近くで歌を聞いていた立香でも城に潰されたサーヴァントたちでもなくバゼットだった。

 

「今のうちに仕止めますよ、アヴェンジャー!」

「――上等。よし、頑張れバゼット。オレは後ろでいつでも逃げられるよう応援してるから」

「任せなさい、貴方は私が守ります・・・・・・!」

「それで良いのですか!?」

「「?」」

 

思わずマシュがツッコミを入れる。

とても自然にサーヴァントではなく、マスターが前線に出ていた。

そして彼らはその事を全くおかしいと思っていなかった。

 

「今の弱った彼らならアンリでも足止めが出来るでしょう?なのでその間に私が仕止めます」

「あいよ。それじゃ、仕掛けますか!」

 

そして彼らは瓦礫の山の中から最初に出てきたサーヴァント、バーサークランサーに戦闘を仕掛ける。

敏捷が高いアンリが先に辿り着き、

 

「シャッ!!」

 

右手の奇剣、右歯噛絞(ザリチェ)で斬りかかる。

しかしバーサークランサーは体勢を崩しながら手に持っている杭で防ぐ。

だがアンリの目的は達成されている。

 

「加速Я、硬化ψ、強化↑、相乗◇!」

 

体勢を崩したブラドを、後ろからルーンで多重に強化されたバゼットの拳が空気を裂いて抉り抜く。

シャドウサーヴァントの核を抉り抜く拳は歌で弱ったサーヴァントにも通じ、何もできずに消えていくブラド。

 

「宝具を使わずにすみましたね。さあ、次に行きましょう」

 

残るルーラーオルタちゃん側のサーヴァントはセイバー、キャスター、ライダー、アサシンの(本人も合わせて)合計5騎。

 

「それでは戦闘を続行しましょう」

 

右手の手袋を整えるバゼット。

そう、女子力や常識等のほとんどを戦闘力に振った現代の赤枝の騎士の蹂躙が始まる。

 

立香が目を覚ましたのはそんなときだった。

 

**

 

「あら。目が覚めたのかしら」

「・・・・・・オルタちゃん?」

「その呼び方は辞めなさい!」

「いひゃいいひゃい」

 

頬を引っ張りながら呼び方を訂正するオルタちゃん。

立香の令呪のせいで酷い目にあったのだからこの対応も仕方がないと言えるだろう。

後で説教も確実である。

 

「今、どうなってるの?」

 

頬を擦りながら訊ねる立香。

冥界にいた間に何が起こったのかがわからない。

オルレアン城のあった筈の場所に、城の代わりに瓦礫の山がある。

 

「あんたの令呪で歴史が変わったわ」

「ごめんなさい」

 

謝るしかなかった。

 

「聖杯も壊れたかもね」

「本当にごめんなさ・・・・・・ん?」

 

聖杯が壊れる、つまり聖杯がバラバラになるということ。

聖杯の欠片が存在することになる。

立香の顔が青くなっていく。

年単位の三部作、その用意が立香の手で整えられた。

 

「ねえ、大丈夫なの?あんたの顔、大分青いわよ?」

「お家帰る!」

「いきなりどうしたのよ!?」

「大丈夫ですか、先輩!?」

「私のせいじゃないわよ!?」

 

トラウマの原因を作ったことに対する絶望なのでオルタちゃんが悪い訳ではない。

簡単に言って自業自得である。

 

「早く回収して特異点を無くそう」

 

エリちゃんが回収する前に(この特異点を)無くしてしまっても構わんのだろう?

 

立香は忘れている。

聖杯を回収してもそう簡単に特異点を無くすことは出来ないことを。

キャラクエやフリークエストなど、そう簡単には無くならない。

つまり、あのイベントは決定事項である。




あー、キャスター、セイバーときて、メカになりましたね。
なんと言えばいいのやら。

近況報告ー!
ピックアップにいたアサシンパライソが美優に見えたので、来ないだろうナーと思いながら呼符を使いました。
・・・・・・武蔵ちゃんがきました。
愕然。
英霊剣豪のために鍛えないと!!
で、すぐにハロウィンイベント。
エリちゃんブレイブを鍛えないと!!
おっきー狙って十連するかを考え中。


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最終決戦直前

ふと、書いていて思ったのですが。
このカルデア、オーバーキル過ぎない?(今更)
人数、多すぎない?(さらに今更)
収集、着かなくない?(ヤバい)


 

「よ、ようやく終わったわね・・・・・・」

 

崩れ去ったオルレアン城に裏から潜入しようとしていた凛たちが耳栓を着けてもなお聞こえてきた歌は、城を壊して終了した。

最初は音楽、その後に歌。

ジャンヌそっくりのJKの耳栓は残念なことに投影されておらず、

 

「おのれ、ピンク髪・・・・・・」

 

と呟いて消えていった。

JKは聖杯に対する望み(ピンク髪の剃髪)があるのでルーラーではないのでダメージが大きかったのだ。是非もないヨネ。

今回、ダメージを与えた歌い手も髪はピンクであり、最後の言葉もあながち間違いではなかった。

 

「私たちも耳栓がなければこうなっていたんでしょうか・・・・・・?」

「え?サクラなら大丈夫でしょ?」

「どういう意味ですか、イリヤさん?」

 

にっこりと笑顔でイリヤに聞き返す桜。

その笑顔に士郎と凛、セイバーとライダー、そしてワカメがギョッとする。

だが、イリヤはきょとんとして言い返す。

 

「だって虚数魔術があるじゃない。だからサクラにダメージが通ることはないんじゃない?」

「使いこなせてたら苦労しません!」

 

魔術師の桜は魔術使いの士郎ほど魔術が未熟な訳ではないが、虚数魔術を使いこなせているとは言えない。

ライダーのメドゥーサに教わりながら成長中なのだ。

黒桜の時のように自由に扱える訳ではない。

 

「あの、私は無ければ大変なことになっていたのですが・・・・・・」

「珍しくコイツとの腐れ縁に良かったと思ってぜ・・・・・・」

 

耳栓を渡されていたライダーとランサーも呟く。

アーチャーの投影、大活躍である。

 

「それよりも凛、これからどうするつもりだ?裏から潜入しようにも目的地は瓦礫の山だが」

「ひとまずカルデアに帰ったらあいつに説教は確実として!一気に終わらせるわよアーチャー!」

「やれやれ、サーヴァント使いの荒いマスターだ」

 

それにしても、以前の立香なら使わなかったような手段である。

何者かに影響を受けたのかもしれない。

 

「やはりあのアラフィフのせいか・・・・・・?」

 

人理修復後のイベントの、大抵の黒幕が彼だから疑われても仕方ないと言えるかもしれない。

 

「・・・・・・悪い藤丸。助けは出せない」

 

そしてこっそりとこの場にいない立香に謝る士郎。

覗き(未遂)事件のときに説教に参加せず、苦笑いを浮かべながら諫めようとしていた立香。

そのときの恩を返したいが、士郎には"あかいあくま"を止める術はない。

立香、説教確定である。

ちなみに怒るのは凛一人だけではない。

 

**

 

「さて、二人目に行きましょうか」

「いや、流石にもう無理じゃね?準備万端じゃねえか」

 

バーサークランサーを不意打ちで倒した二人だが、全てが上手くいった訳ではない。

 

「つーかマスター、オレは無理だ」

 

アンリの足には地面から生えた杭が数本刺さっていた。

最後の最後に一撃を自分の防御ではなく、敵の足を止めるために使用した。

戦士としての側面ではなく領主の側面の方が大きいからこそ迫る死に対して選んだ足止めの方法だった。

 

「仕方がありません。ではあなたを置いていくことにしましょう」

「待てマスター!ここに置いていかれたらオレが死ぬ!直ぐに死ぬ!」

 

最弱サーヴァントは伊達じゃないぜ?

まあ、この特異点内で死んでも、登録されているためカルデアに戻るだけなのだが。

 

「それにさ、これはあの後輩と聖女が決着着けるべきことだし、オレたちはここで待ってようぜ?」

「・・・・・・ハァ。仕方ありませんね。わかりました、ここで迎撃に当たるとしましょう」

「お?マスター、珍しく話が分かるじゃん」

 

ヒュッ

バコン!!

 

「失礼ですね、殴りますよ?」

「それ、殴る前に言う言葉だぜ・・・・・・」

 

頭を押さえながら言うアンリ。

だがバゼットが出撃すると、全てが台無しになる可能性が高いのだ。ちなみに、城も壊れてるし既に台無しになっているとかの突っ込みは受け付けない。

 

(でも、気になることは残ってんだよなー)

 

それはこの特異点の敵ではない。

別にアンリはルーラーオルタたちのことなどどうでもいいのだ。

ジルお父さんがジャンヌシリーズを召喚しまくったことなど、どうでもいいのだ。アヴェンジャーオルタがこちらに仲間入りしている時点でルーラーオルタ側に勝ち目はないのだから。

だが、気になっているのはルーラー、天草四郎時貞。

彼の行動が読めないことだ。

静かに行動しているからこそ何かを企んでいるのではないかと思う。

人類の救済を目指す彼は聖杯に願いを持っているルーラーという特殊なサーヴァントだ。

この特異点で聖杯を手に入れることが目的かも知れないし、違うのかもしれない。

 

(まあ、何だろうがオレには関係ないね)

 

そう考えながら悪神の名前を持つ彼は嗤う。

何せ彼は悪であれと望まれているのだから、聖人の行動がわからないのも当たり前だろう。

 

そして様々な考えの渦巻く第一特異点も決着の時が迫っていた。




それでは近況報告ー!
ようやくHFを観てきました!概念礼装ももらってきました!
いやー、やっぱりバーサーカー強いね。アニキカッコいいね!
ネタバレは嫌いなのでそれしか言えない・・・・・・。
皆も是非見に行こう!(宣伝)

さてと、とにかくアニメSNや劇場版とアニメ版のUBWを見返さなきゃ!
そしてレアルタヌアのHFルートをやり直さなきゃ!
PSP、ブレイドコーズのオルタちゃん(アーケード)をクリアしなきゃ!
あ、プリヤの読み直しやアニメの見直しも終わらせなきゃ!
絶賛放送中のアポも読み直さなきゃ!
冬に放送するExtraもクリアしなきゃ!
FGOの英霊剣豪もクリアしなきゃ!
この二次創作も進めなきゃ!
あれ?やること多すぎ・・・・・・?
時間が足りない・・・・・・黄金林檎は何処だ?


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露払い

今回のコンセプトー

格好よくした、かった。
格好いいかどうかはわかりません。
4ヶ月程かかってようやく終わりが見えてきたー!

・・・・・・シリアルさん、そろそろ戻ってきてもええんやで?


「コイツの相手は」

「私たちでするわ」

 

エリちゃんズは瓦礫の山から出てきたバーサークアサシンのカーミラにマイクを、もとい槍を向けてそう言った。

 

「もう悟っているの私。アレらと相対したときは心を虚無で満たすの」

 

既にバーサーカー化で理性が減っているはずなのに悟りの境地に突入しそうなカーミラ。

そもそも音痴な歌で城を壊すとは何なのか。

バートリー城をマイク(槍)にするとは何なのか。

そして目の前にはそんな感じの過去の自分が二人。しかもアイドルを目指すという訳のわからない状態。

 

「せいぜい吐血する程度のストレスで耐えられるもの」

 

悟ってなかった。

本人たちは自覚なく、カーミラへと精神攻撃を仕掛けていた。

不憫カーミラの明日はどっちだ?

 

**

 

「それじゃあ君の相手はボクがするよ!」

「お、おいライダー?」

 

アストルフォはバーサークセイバーを前にしてそう言った。

マスターのジークに何も言っていなかった為に驚かれる。

 

「だってルーラーは決着を着けないといけないんだろ?だったら本当に、本っ当に不本意だけどさ、マスターも一緒の方がいいでしょ?だからボクが彼?彼女?を止めるのさ」

「ライダー・・・・・・」

 

トゥリファスで起こった聖杯大戦の時も最後の要はルーラーだった。

それは今回も同様。

要はルーラー、この時代的にもきっとそれが正解だ。

 

「あ!でもちゃんとマスターを守れよルーラー!あとボクを差し置いてマスターとイチャイチャするなよ!」

「じょ、状況を考えなさい!す、するわけがないでしょう!」

 

ジークも苦笑いを浮かべている。

 

「さてと、遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!我が名はシャルルマーニュが十二勇士アストルフォ!いざ尋常に―――勝負ッ!!」

 

久しぶりに宣って見たかった口上を思う存分叫ぶ。

 

「私はシュヴァリエ・デオン。フランス王家を守るーーー白百合の騎士!いざ!」

 

そしてバーサークセイバーにも狂化されていても残っているものがある。

例え、今はマリーの敵になっているとしても白百合の騎士であることに誇りを持っていることに変わりはない。

性別不詳同士の対決がここで幕を開ける。

 

**

 

「マリー・・・・・・マリー! マリー! マリア! やはり君と僕は、宿業で結ばれているようだ! それが僕には、堪らなく嬉しい!」

 

もう一人のバーサークアサシン、シャルル=アンリ・サンソン。

彼を抑えるのはライダーのマリー・アントワネット。そしてキャスターのウォルフガング・アマデウス・モーツァルト。

 

「そう・・・・・・。狂化は知識で知っていたけど、貴方がそうなってしまうのね・・・・・・」

「ん?いや、マリー。アイツ元からあんな感じの変態だよ?」

「あら?そうなの?」

「・・・・・・やはり相容れないな!貴様から処刑するぞアマデウス!」

「かかってきなよ。キャスターの中でも最下層のキャスターに本気を出して負ければいいさ」

 

因縁?のあるフランスのサーヴァント(変態の割合多め)同士の対決だった。

 

**

 

「いやー良かったぜ。このままだと父上にいい報告が出来ないところだった」

 

目の前にいる本物の竜種を前にセイバー、モードレッドは獰猛な笑みを浮かべた。

ワイバーンだけだと、カルデアのマスターを守ることだけだと自慢にならない。

そんな小さなことで父に自慢など出来る訳がない。

だが相手が本当の竜種なら?

それを操るサーヴァントなら?

少しは誉めてもらえるかもしれない。

 

「さあ、かかってこいよ。まあ、来ないならこっちから行くぜ?」

「・・・・・・わかりました。愛を知らない哀しき竜・・・・・・ここに」

 

狂化されているために普段以上に荒っぽい聖女がその手に持っていた杖を放り捨てる。

そして呼び出される哀しきタラスク。

 

「それでは戦闘を始めましょうか」

「面白ぇ」

 

反逆の騎士は剣を、聖女は拳を。

お互いに最も得意とする戦闘スタイルで激突した。

 

**

 

そして、彼女たちは辿り着く。

本来ならオルレアン城の最上階で起こった筈の最終戦。

その舞台、瓦礫の山の前に。

 

「あなたを止めに来ましたよ、ジル」

「オオオオオオオォォォ!ジャアアアアアアアアアアンヌ!!」

 

さあ、長かったオルレアンを終わらせましょう。




ようやく最終決戦!
それでは近況報告ー
アポのピックアップが来てますねー
一度十連を引きました。
ベオウルフの二度目が来ました。

そして英霊剣豪をクリアしましたー。
クリア記念にまた十連しました。

バリバリでアストルフォきゅんかと思ったらモーさんが。
キタコレ

皆さま、書けば出るって本当のことでしたよ。


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ジャンヌとジャンヌとジャンヌとジャンヌ

ジャンヌ(ルーラー)とジャンヌ(オルタちゃん)とジャンヌ(ルーラーオルタちゃん)とジャンヌ(ランサーリリィ)。

ようやくの邂逅。
そしてカオスだわー


 

「へぇ、これが聖女。聖女。聖女ですって!?ただの田舎娘でしかないじゃない!」

 

城を壊され、切り札の邪竜すらも倒された。しかし彼女は聖女を目の前にして嗤った。

 

「こんな私にすがるしかなかったなんてネズミの国にも劣るわね!」

「大人の私、とってもブーメランです・・・・・・」

「・・・・・・だそうですよ」

「うるさいわね。これは黒歴史よ・・・・・・。すぐに忘れなさい」

「・・・・・・ネズミの遊園地って割りと凄いのに」

「空気を読んでください先輩」

 

上から順にオルタちゃん(ルーラー)、ジャンタちゃん(ランサー)、ジャンヌ(ルーラー)、オルタちゃん(アヴェンジャー)。

そして立香とマシュである。

 

「うるさいわね、あまり耳障りだと殺すわよ?」

「ッ!?」

 

咄嗟にマシュが立香を庇い、呪いの炎が盾に防がれる。

 

「あら?驚いたわ、ねえジル?」

「ええ、未熟な疑似サーヴァントにジャンヌの炎を防ぐことが出来るなど。このジル・ド・レェ感服致しました」

 

にっこりと笑顔を浮かべたジル。

 

「流石です、ジャンヌ。しかし、しかし、しかし!何故邪魔をするのです!?まして貴女までもが!」

 

最後の言葉はジャンヌではなく、オルタへと向けられる。

 

「ムカつく方を倒そうとするのは当たり前のことじゃない?だからそれ以上、汚い呼気をソイツの前で吐き出さないで頂戴」

「ふーん。そこにいる私は随分と甘くなったのね。ヘドが出るわ」

 

「「殺すわよ」」

 

同時に言葉を、別の自分に向けるジャンヌ・オルタ。

お互いに旗を向け、呪いの炎が燃え盛る。

 

「コイツは私で終わらせる。邪魔するならソイツから殺すから」

「・・・・・・わかりました。そちらは任せます」

「あんたには任せられたくないんだけど!?」

「オルタちゃん、任せた!」

「・・・・・・ハァ!?べ、別にアンタに言って欲しいとか言ってないんだけど!?」

 

素直になれない複雑な乙女心である。

 

**

 

「・・・・・・お優しい。あまりにもお優しい。貴女はこの国を救うというのですか、貴女を裏切ったこの国を」

「ええ、私は決して恨んでいません。貴方たちが居たのですから」

 

本人は決して自分では聖女と認めないが、そこには聖女にふさわしい少女がいた。

 

「しかし、ジャンヌ。その優しさ故に、貴女は一つ忘れておりますぞ。たとえ、貴女が祖国を憎まずともーー」

 

当時共に戦ったからこそ。

ジャンヌと共にこの国を守るために戦ったからこそ。

 

「私は、この国を、憎んだのだ!全てを裏切ったこの国を滅ぼそうと誓ったのだ!貴女は赦すだろう。しかし、私は赦さない! 神とて、王とて、国家とて・・・・・・!!」

 

人理とて。敵にジャンヌがいたとしても。

 

「滅ぼしてみせる。殺してみせる。それが聖杯に託した我が願望・・・・・・!我が道を阻むな、ジャンヌ・ダルクゥゥゥッ!!」

 

それは聖杯の力で竜の魔女を生み出し、フランスと人理を焼き尽くそうとした男の、悲しすぎる慟哭。

 

「これは・・・・・・」

 

人類全てを救おうとした天草四郎とは違う、人類全てを憎悪する者の叫び。

 

「ジーク君、これもまた人なのです。ですが、決して人を見捨てないで下さい・・・・・・」

「ああ、わかっている」

 

黒のアサシン、ジャック・ザ・リッパー。

彼女の心象風景を見たときに人に醜い部分があることは知っている。

 

「大丈夫だ。俺はもう知っているからな」

 

絶対に正しい正義もなく、全ての敵となる悪もいない。

善も悪もなく、秩序も混沌もない。

ただ譲れないモノ同士がぶつかり合う。

だから人に絶望することはない。

それにジャンヌがジークの本体に辿り着く頃には起動した大聖杯も必要ない状況になっているだろう。

待つことには慣れている。

竜種は時間の感覚が違うのだから。

 

「そうですか。なら良かった」

 

その言葉に花が咲き誇るように笑うジャンヌ。

そしてジルもジャンヌがある想いを持っているその少年のことに気付く。

聖女がどのような想いを持っているかに気付く。

 

「オオオオオオオオ!!!」

 

ジル の 倒すべき 相手(優先順位) が 変更 されました。

倒すのは目的を邪魔する素晴らしき聖女ではない。

そもそも人類を滅ぼすより先に、この場でするべきことがある。

 

この匹夫を確実に消さねばならない!!

 

「許すものか!!!!」

 

ジルお父さんの怒りが竜種の少年に牙を向く!

 




最初、オルレアンの始まったのは7月だったんだけどなー。
ジャンタちゃん、早いって言ってたのになー。
ついに2代目オルタちゃんイベントが来ちゃったなー。
まだオルレアンが終わらないでゴザル。

なんでさ?


近況報告。
イベントマラソン大会なう。
石を集め・・・・・・られない、だと?(現在、2個)
でもジャンタちゃんのために仕方ないんだよ!
回せボックス!靴下ください!


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運命の夜と月の勝者

の、陣営。
にスポットを当てました。
いつになれば第一部終わるの・・・・・・?
というか本当に終わるの?
幕間しか思い浮かばないよ?

連載にしたのは失敗だったか?
辞めないけどね!


 

彼には目的があった。

彼の王からの断罪を受けること。

人理を滅ぼそうとする陣営に召喚され、狂化のまま戦わされ(る予定だった)、それでもこの特異点に王が来たのならば。

 

「Arrrrrrthurrrrrrrrr!!」

 

求めている断罪のために、亡き城の後ろに回っていた王に向かう。

決して何処かで見た覚えのある盾を持った少女に逢うのが怖くて逃げた訳ではない。

気まずくなって逃げた訳ではない。

 

「Arrrrrrthurrrrrrrrr!!」

 

八つ当たりでは決してない。

 

**

 

凛たちは城が崩れても決して油断をしていなかった。

だから千里眼を持っているアーチャーが最初に反応した。

 

「凛。こちらに一騎、サーヴァントが向かってくるがどうするかね?」

「わかりきったことでしょアーチャー」

「ああ、そうだろうな」

 

ニヒルな笑みを浮かべたアーチャーの左手には黒い弓が握られていた。

 

「I am the bone of my sword. (我が骨子は捻れ狂う)」

 

そして右手に投影される捻れた刀身を持つ剣。

それを弓につがえると剣が矢へと変えられていく。

・・・・・・それを見て複雑な顔をしたのはランサーだった。

 

「偽・螺旋剣(カラドボルグII)!!」

 

その言葉を聞いて更に渋い顔になるランサー。

だが更に渋い顔になることが起こる。

 

「・・・!?いけませんアーチャー!」

 

直感で感じとったことと、視界に入った黒い霧の様な魔力を纏うその姿からセイバーはアーチャーに警告する。

だが、警告は少し遅く、捻れた剣は放たれた。

 

**

 

円卓最強の騎士は狂化されていてもその技量が衰えることはない。

捻れた矢が着弾する前に加速し、空中で掴むバーサーカー。

結果、その所有権をアーチャーから奪い取る。

"騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)"。

この宝具は相手の策によって丸腰で戦う羽目になったとき、楡の枝で相手を倒した逸話による。

 

「Arrrrrrthurrrrrrrrr!!!」

 

捻れた矢をそのまま投げ返す。

円卓最強の騎士(狂化有り)と

 

「彼には因縁があります。ここは任せて欲しい」

「セイバー!?」

「大丈夫です、シロウ。この戦いにも意味はあります」

 

迷いを払った騎士王の戦いが

 

「卿は、やはりマシュから逃げたのですね」

「Noooooooo!!」

「直感が無くてもわかりますよ。気まずいのですね」

「Noooooooo!!」

 

幕を開ける?

 

****

 

場所は変わり、第二特異点。

そこでは赤いドレスの男装(自称)の少女が闘技場で叫んでいた。

 

「奏者!何故余が出てはならんのだ?彼の相手をする記念すべき百人目だぞ?余も出たい!」

 

――歴史が変わりそうだからね。

 

セイバーを満足させる為の闘技場かもしれないけど、それはこのセイバーではなく生前のセイバーだ。

何処にこの時代のセイバーがいるのかわからないのに暴れさせる訳にはいかない。

 

「あのご主人様?ですがこの闘技場には悪魔やサーヴァントらしきものが・・・・・・。そして既に色々と変わってしまっているような・・・・・・」

 

おかしなモノを見たのかキャスターが言いにくそうにしている。

なにせ『剣闘士殺しのデーモンソード』とかいう名前で悪魔がいたり、この時代に絶対に居る筈のない極東のソードマスターSAMURAIとかもいたりする。

そして戦ってたりする。

 

――ネロのローマって凄いね。

 

「うむうむ、そうであろうそうであろう!」

「いえ、ご主人様?この状況、特異点とか抜きに絶対におかしいですからね?」

「おかしい?つまり悪い文明ですか?」

「余のローマが悪い訳が無かろう!」

 

月の主従。

生きたネロが神聖ローマ帝国と戦ってたりするなか、のんびりとローマを満喫中。

端的に言ってデート中だった。

 

「しかし奏者よ、あれほどの相手と戦うことは滅多にないのだぞ?」

 

――でもまだ戦闘中だし。

 

「もしやの強敵と期待したが、これではあらたな秘剣開眼にはほど遠いな。やれやれ、あの日のツバメを上回る難物に、拙はいつ出会えたものやら」

 

戦力になりそうな、この特異点に居る筈のないサーヴァント、闘技場で悪魔を瞬殺。

 

「む?決着が着いたようだな。よし!次は余が相手だ!」

「お止めなさいバカ皇帝!貴女も人理を揺るがすつもりですか!いや、まあ?私も御主人様が関わらないなら人理にそこまで興味はありませんけど?」

 

――セイバーとキャスター、ストップ。

 

こちらはこちらで人理と関係のない戦いの火蓋が、切って落とされそうだった。




という訳で、第二特異点の状況もチラッと。
でも、次はイベントの予定なんだ。
時期外れのお月見の予定なんだ。
・・・・・・第一特異点と幕間でリアルの時期まで延ばすという手段も・・・・・・・
あるけどそれ、作者と待つ読者が辛いだけですね。
うん、やらない。

えー、それでは近況報告~
ギリギリの所でジャンタちゃんをお迎えすることができました!
後1日の所でした。
あ、アブねー・・・・・・
夏からここで書いてるのにゲットできないとか、洒落にならないですもんね。
良かったー。本当に良かった。


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戦闘、激化

エレシュキ実装来たーーーー!!!
引けるとは思わないけどうれしい!
喜びの投稿!

戦闘回ですぜ?
格好よくなっているだろうか、それともギャグになっているのだろうか・・・・・・?


 

未来の自分を否定する少女(達)と過去の自分を認めない女性。

 

少女たちは女性の行動を認めることができない。

その姿がいずれ必ず至るモノだとしても認めていいものではなかった。

女性にとっては自分の記憶にもない黒歴史である。

しかも世界一可愛いアイドル(自称)、と絶賛更新中の黒歴史を目の前にしているのだ。

戦争不可避である。

見た相手の記憶も消すしかない!

 

「ねえ貴女、これ以上増えないわよね?」

 

直感スキルは無くても嫌な予感のしたカーミラが2つの槍を杖で防ぎながら訊ねる。

ランサー以外のクラス適性があるはずだ。自分もランサーではなく、アサシンなのだからおかしくはない。

だが、剣を扱うことはなかったからセイバーは無い。

魔術などは使ったこともないからキャスターも無いだろう。

アーチャーは弓矢を使わないのが基本だから当て嵌められてもおかしくはない。

そしてライダーはわからないがバーサーカーとかぴったりだ。

 

「「知らないわよ!」」

「・・・・・・そう」

 

これ以上この特異点で増えることは流石にないだろう。

だが、この特異点以外では?

目立ちたがりで人のことなど全く考えない少女は増えてもおかしくはない。いや、彼女を歌わせたお人好しを超えるマスターが居るから確実に増えるだろう。

 

「確実に終わらせるわ」

 

黒歴史量産の阻止。

そしてある種の世界を救うために。

だが、拷問弾を防いだエリザベートとマイクで攻撃を仕掛けてくるエリザベートの二人を前にカーミラは思ってしまう。

 

(何故、私の宝具は二人を呑み込めないのかしら!)

 

宝具を使えば決着を着けられるのに、二人だと一人は無傷でこちらは隙だらけになるではないか!

どうしても勝ちたいカーミラ。

だが残念なことに、エリザベートが二人の時点で敗けは時間の問題だった。

 

***

 

剣と槍がぶつかる。

本来なら理性的な剣を振るうデオンも狂化されている状況で、理性的に剣を振ることが完璧にはできない。

そして狂化は無くても理性が飛んでいるアストルフォも理性的に戦うことはできない。

それでも彼らは英雄だった。

理性が飛んでいても狂化されていても実力があることに変わりはない。

 

「不良セイバーとは違うけどやりにくいなー!」

「白百合の騎士を舐めるな!」

 

防御中心のデオンと大きな槍のアストルフォ。

当てれば倒せる槍だが、デオンは避け、防ぐ。

アストルフォの目的は足止めだが、それでも倒せるものは倒しておきたい。

 

「もー!早くマスターのところに行きたいのに!!」

 

騎乗兵の強みを出してはいないがその場は硬直状態になっていた。

 

***

 

「サンソン・・・・・・。優しい貴方が変わってしまうほどなのね」

 

狂化されているサンソンを目の前に、マリーは呟く。

現在、マリーはサンソンから一度も攻撃されていなかった。

むしろ狙われているのは

 

「逃げずに消えろ、アマデウス!」

「処刑人の言葉とは思えないね!」

 

音楽家だった。

 

「あ、マリー!こいつは優しさなんてないさ!元々からこんな感じの性格だった!」

「ふざけるな!お前のような性格の捻れた奴とは違う!」

「君もそこそこ捻れていると思うけどね!」

「黙れぇ!」

 

逃げまわるアマデウスと追い掛けるサンソン。

そしてそれを眺めるマリー。

シュールな光景だった。

サンソンは決してマリーに勝つことはできない。宝具で殺すことができないのだ。

だが、アマデウスは別だ。

宝具を使われたら確実に死ぬ。

いずれ死ぬという宿命に耐えられるか。

耐えられるかもとは思うが、それとは別の殺意を感じる。

 

「二人って仲が良いのね」

「「良くない!!」」

 

マリーには仲良く見えていた。

 

***

 

モードレッドが投げた剣はタラスクの腹部に当りその場から吹き飛ばす。

しかしマルタはタラスクを気にすることなく懐に入り込み腰の入った拳を繰り出す。

 

「・・・・・・赤雷よ!」

 

赤い雷がモードレッドの周囲に噴き出す。

しかし、マルタはモードレッドの魔力放出の雷ごと拳で吹き飛ばす。

咄嗟に自ら跳ぶことで衝撃を減らす。

 

「テメエッ!本当に聖女か!?」

「なっ!?聖女以外の何だと言うのですか!?」

 

モードレッドとしてはルーマニアの聖杯戦争で黒のアーチャーから受けた投げ技と同等クラスのダメージを受けそうな攻撃に対する疑問だった。

だがマルタにとっては結構気にしていることだった。

その動揺した瞬間にタラスクの近くに突き刺さるクラレントをタラスクに蹴りを入れてから取る。

口元に思わず獰猛な笑みが浮かぶ。

舐めているつもりはなかった。

ドラゴンライダーだからこそ強いことはわかっていたつもりだった。

だが、ドラゴンが居なければ弱いと無意識で思っていた。

 

「面白ぇ!!」

 

目の前の聖女?も隠しているつもりのようだが口元には笑みが浮かんでいる。

お互いに全力を出さない理由はない。

無意識でも侮る気持ちは消えていた。

 

「愛を知らない哀しき竜、ここに――星のように!タラスク!」

「やってみろ!これこそは、我が父を滅ぼし邪剣」

 

再召喚ではなく、召喚されていたタラスクが高速回転で空中から押し潰す。

白銀の刀身が紅く染まり、その姿を歪める。

激しい音と共に紅い雷が剣の周囲に瞬く。

 

「・・・・・・せいっ!逃げ場はないわ!鉄・拳・聖・裁!」

「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』アアア!!」

 

回転する竜ごと敵を粉々にする拳舞が、反逆者の邪剣が激突する。

哀しき竜を間に挟んで。

被害者は哀しき竜のみ、マルタとモードレッドの戦闘は激化していた。




この作品、今年中にオルレアンの定礎復元するんだ・・・・・・。

死亡フラグにしか聞こえないのは何ででしょう?
あれかな、12月は忙しいということを忘れているからかな?

えー、毎度のことの近況報告ー
セイレム、ハードですね。
令呪が消えたら三日間はストーリーを進められないという。
のんびりと進めている間に今年のクリスマスイベントが来そうです。

これ、予約投稿したら十連引くんだ・・・・・・


追記
大爆死(泣)
礼装だけとかなんなのか!!
アビゲイルが引きたかったんだい!
リミテッドオーバーな士郎君じゃないやい!
かといって虚数魔術な桜ちゃんでも無いから!


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オルタ戦、決着

全国の娘持ちのお父さん、ちょっとずつでいい。
オラに(魔)力をわけてくれ!

って言葉が思い浮かびました。

目指せ、予想の斜め上!


ジル・ド・レェの宝具は『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』。

海魔を召喚するこの宝具は海魔の制御を度外視すれば超巨大な海魔すらも召喚出来る。

ジル・ド・レェにとっては今この場で確実に倒さねばならない相手がいた。

しかし匹夫を殺すためには戦力差が大きかった。カルデアのマスターだけではなくジャンヌまでもが邪魔をする。

 

「私の邪魔をするな、ジャンヌ・ダルクゥゥゥッ!!」

「せ、先輩!先程よりも威圧が凄いです!」

『気を付けてくれ!相手のキャスターの魔力が膨れ上がっている!宝具が来るぞ!?』

 

立香の記憶のなかにこんなに威圧があるジル・ド・レェは居なかった。

聖杯を持っているのなら納得できるが今も聖杯を持っているのはルーラーオルタちゃんだ。

 

「いったい何が・・・・・・」

 

彼をあそこまで強くしているのか。

そして何故執拗にジークを狙うのか。

でも海魔を倒せばそれで立香たちの勝ちが・・・・・・

 

「あっ」

 

立香はそこで気づいてしまった。

今の立香の周りにはほとんど火力がないことに。

海魔の数押しに負けるかもしれない。

マシュは防御がメインで火力はない。

ジャンヌの火力は高いが自滅宝具。

ジークの火力は高いが時間制限がある。

ジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィは火力が心許ない。

天草四郎時貞もしかり。

ルドルフ(ワイバーン)は海魔に勝てない。

つまり、火力が高いのは清姫だけだった。

 

「清姫、お願い!」

「うふふふふふ。分かりました旦那さま!わたくしに任せてくださいね」

「私は女だから旦那さまは間違い・・・・・・」

「言っている場合じゃないです先輩!敵性体、来ます!」

 

魔力が尽きるまで、もしくは援軍が来るまで耐え続ければ立香たちの勝ちだ。

防戦が始まる。

 

**

 

ジャンヌ・オルタ同士がぶつかり合う。

違うのはクラスと聖杯による魔力の補充があるかどうか。

しかし、実際には聖杯による強化は無意味だ。

何故なら

 

「「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮・・・・・・『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!」」

 

ルーラーとアヴェンジャーで彼女の宝具は効果が変わるのだから。

ルーラーは多数の相手を巻き込む業焔であり、その呪いは相手の防御妨げる。

しかしアヴェンジャーはたった一人の相手を狙う業焔であり、その呪いは相手を蝕み、強化を阻む。

 

「なんで、私の邪魔をするのよ!アンタも同じ私でしょ!!」

「同じ私だからでしょ?アンタそんなこともわからないの?」

 

自分を贋作だと認め、成長中のオルタ(アヴェンジャー)と未だに自分を本物と思っているオルタ(ルーラー)。

 

「そもそもいくら強化してようがルーラーのアンタがアヴェンジャーの私に勝てるわけ無いでしょ!」

 

呪いの焔に焼かれながら振り抜かれたアヴェンジャーの旗はルーラーを吹き飛ばす。

それは決して相性の問題ではなく、聖杯を使って人類に復讐しようとする調停者(ルーラー)が真の実力を出しきれないというだけのこと。

復讐しようとするのなら、復讐者(アヴェンジャー)の方が実力を出せるというだけのことだ。

 

「ルーラーをしている限り、アヴェンジャーの私に勝てるわけ無いでしょ?」

 

間違った役割で実力を正しく発揮することなんて出来ないのだから。

だから復讐の呪いの焔はアヴェンジャーの方が上回っていた。

 

「どうして・・・・・・私は・・・間違って、ない・・・・・・!」

「始まりを間違ってるのよ。だからアンタが間違って無くても間違いよ」

 

立っているオルタが呟く。

 

「零から始めてきなさい。私を召喚する奴はお人好しの、ボンクラの、涙ぐましい、前向き、善良、天然、どうしようもない平均的な存在で、怯えても、絶望しても、踏みにじられても、嘲弄されてもなお、進むことだけは止めぬ、人間の象徴みたいな厄介な奴だから。私みたいなのでも受け入れてくれるから」

 

もしも他の誰かに聞かれてたらその人物を殺す。

他人には決して言わない言葉だった。

後はこの自分から聖杯を取るだけ。

それでこの特異点は終わり・・・・・・

 

『緊急回避』

「っ!?」

 

身体が勝手にその場から回避する。

次の瞬間に避けたその場に海魔が叩きつけられる。

ジークを殺すことを優先しているといっても助けを求めるジャンヌの方を優先するのはジル・ド・レェにとって当たり前の事だ。

 

アヴェンジャーオルタを海魔で遠ざけ、ルーラーオルタを守る。

 

「ジ、ジル。私は・・・・・・」

「大丈夫です聖女よ。一度お眠りください。貴女が目覚めるときには勝利を、匹夫の死体をお見せしましょう」

「匹夫はどうでもいいけど、任せるわねジル・・・・・・」

 

そして聖杯はジルの手に。

最終戦の第二ラウンドが開始する

 

「それはいけません。それでは人類は救われない」

 

筈だった。

全員の意表を突いた薔薇の黒鍵が、ジルの手から聖杯を弾き飛ばす。

そして飛んだ聖杯を空中で丁寧に掴んだのは

 

「やはり企んでいましたか!天草四郎時貞!」

「企むとは人聞きの悪い。正しく人類を救おうとしているだけですよ、ジャンヌ・ダルク」

 

天草四郎時貞だった。




イヤー終わりが見えてきましたなー
これで今年中なのでのんびりと・・・・・・ってやはり貴様か!
シロウ・コトミネ!
一筋縄で終わらせろし!
いや、書いてるのは私なんだけども!

えー、毎度のような近況報告ー

セイレムの魔神柱と戦闘して令呪をきりました。
2日休んで令呪の回復中です
そして今日完全回復なので今から行ってくるであります。

あ、ガチャはしておりませぬ。
石を集めてエレシュキを引くのだ!


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これはカオス

実は前回の話、伏線らしきものは合ったんですぜ?

本人も忘れていたけれども。

タイトルに書いていたんです。
仮面の師匠は第三勢力、と!


人類の魂の物質化。

第三魔法を全人類に適応させようとしたルーラー、天草四郎時貞。

その事を知るのはその場にはジャンヌ・ダルクとジークの二人だけだった。

 

「そう言えば、ここで最初に逢ったときも人類を救うと言っていたな」

「やはりそうですか!」

 

警戒を強めるジャンヌとジーク。

二人の意識はジルや海魔ではなく、天草四郎に向いていた。

コトミネだから仕方ないね。

ちなみに立香たちはその事を知らない。

むしろ立香は、はっちゃけている天草四郎を知るからこそ不安を感じていた。

 

(ねえ、混沌とした状況にならないよね?)

 

最近、おかしな状況になることが多かった為にそう思う立香だった。

 

**

 

(何やらおかしなことになっていますね)

 

天草四郎にとってジャンヌに疑われることは想定内だった。

だが、ジークには既に目的を言っていたのだ。

『前回と違って人理そのものを焼かれては元も子もない。だからこの特異点を修復する』と。

第三魔法による救いは人理を守ってからだ。

魂の熱量を使われるのに魂の物質化など無意味だ。

 

(それに人理の焼却が無くても冬木の聖杯ならともかく、この聖杯で人類すべてを救うことは出来ませんし)

 

それが本音である。

第三魔法に特化した冬木の聖杯とは違い、人理焼却に特化しているこの聖杯では特異点を切り離すくらいしか出来ない。

そしてそれは望んでいる救いではなく、ただの時間稼ぎにしかならない。

 

「師匠、本当に?」

(・・・・・・彼女に疑われるのは罪悪感がありますね。この聖杯はカルデアの渡して手っ取り早く誤解を解いておきますか)

 

そう、考えカルデアの方を向いたときだった。

 

「おう、マスター。大丈夫そうだが、どんな状況だ、こいつは」

「アニキ?」

 

立香の隣に姿を現し訊ねるクー・フーリン。

 

「大丈夫か二人とも!」

 

そして士郎が、正義の味方を目指す少年がランサーに遅れてその場に駆けつける。

だが、士郎はタイミングが悪かった。

聖杯を持ち、カルデアと向かい合う天草四郎に向けて叫んだジークの言葉も悪かった。

そして何よりも彼は(というよりもエミヤ一族は)

 

「またあの時のように願うつもりか、シロウ・コトミネ!」

「・・・・・・言、峰だと?」

 

言峰の何よりの敵だった。

 

「ほら、やっぱりぃ!」

 

混沌とした状況になったことを理解した立香が思わず叫んだ。

 

**

 

時は少しだけ遡る。

既にサーヴァントとして戦った事もあるランスロットとアルトリア。

その時は彼の真名と実力を知るアルトリアの勝利だったらしい。

そして今回はわがままからアルトリアだけで戦っているが別に一人で戦わないといけない相手でもない。

 

「なあ、坊主。俺はマスターのところまで戻るが、どうする」

「心配無用です、シロウ!それよりもリツカたちの!元へお願いします!彼女たちは戦いの経験が!少ないので!」

 

戦闘の合間に声を出すセイバー。

戦闘に関してセイバーを疑ってはいない。だが、セイバーを一人置いていくことなんて出来ない。

 

「確かにね。こっちにはセイバーもいるしアーチャーも、ライダーもいるわ。だからここは任せて行ってきなさい士郎。それとも何?私が負けるとでも?」

「・・・・・・彼女なら下手な魔術師よりも経験があるので大丈夫だと思うがね。まあ、この未熟者一人が抜けたところで状況が大して変わることもないだろう」

「先輩!私も頑張りますから!」

「その、サクラ。呑み込まないで下さいね」

「ライダー!?」

 

サーヴァント二騎を離れさせるのは危険かもしれないが、サーヴァント一騎とサーヴァント未満一人なら問題はない。

むしろ良くわからない何か(海魔)が現れた立香たちの方が心配だった。

 

「悪い、遠坂。任せる、セイバー。程々にな桜」

「私の扱いだけおかしくありませんか!?」

 

黒桜を知っているから仕方ないんです。

そしてランサーの護衛付きで士郎は参戦することになったのだ。

 

**

 

天草四郎時貞にとって敵は現在、ジル・ド・レェ一人のみ。

しかし状況を勘違いした士郎は手元に投影した剣を、悪ふざけに勘違いしたジャンヌは旗を、説明した筈のジークはアストルフォに渡された剣を天草四郎に向けている。

混沌とした状況は加速したまま終わらない。

 




気づいていた人は居たのでしょうか。
仮面の師匠、既に目的を話していたことに。
でも、この作品は書いている作者すら思っていたことの斜め上に進んでいくからなー。
士郎、なんで来てもうたんや・・・・・・
このタイミングで。
筆が勝手にですね、知ってます。
本当に年内でオルレアン終わる?


さてお決まりの近況報告ー
実は大変なことになりました。

アプリストアが反応しない。
FGOの更新ボタンを押しているのにインストールが出来ません。

・・・・・・も、もしかしてさ、再再修復の旅に出ないと行けないのか?(恐怖)
二度目の修復は終わって、1.5部も終わったのに?
デジマ?

救世主、もしくはセイヴァー、求めてます。
ヘルプミー。


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元帥を刺し貫く

ふぉっふぉっふぉ
作者・ザ・サン[タ]じゃよ。
メリークリスマス!
少しだけ早めのクリスマスプレゼントじゃ。
クリスマス要素はないけどね。


 

特異点で聖杯を獲得した者がその特異点の修復を願うモノであるのならその特異点は修復される。

つまり特異点の修復が始まらない場合、聖杯を持っている人物は人理焼却を願う敵である。

それがジャンヌに与えられた人理修復の知識である。

だから特異点が修復されていない今、聖杯を所有する天草四郎に旗を向ける。

だが、何事にも例外は存在する。

聖杯を持たなくても強力なサーヴァントが敵として存在している場合は修復されないのだ。

そして今回はどちらかと言えば例外に分類される。

本来なら強力なサーヴァントではないジル・ド・レェ。

だが、彼の怒りは凄かったのだ。

一時的に特異点を維持するレベルには凄かった。

結論。この特異点は、ジークが倒れるか、ジルが倒れるかしか修復されないだろう。

 

***

 

現在、この場は四つの陣営に別れている。

一つ、ジーク絶対許さない陣営のジル・ド・レェ。

二つ、聖杯をカルデアに渡したい陣営の天草四郎。

三つ、シロウ・コトミネから聖杯を回収する陣営のジャンヌ、ジーク、士郎。

四つ、状況が良くワカリマセンなカルデア陣営の立香、マシュ、ジャンヌ・オルタ、サンタ・リリィ、清姫、クー・フーリンである。

 

「ど、どうすればいいんでしょうか。先輩?」

「マシュ、ごめんね。私にもわからない」

 

ジル・ド・レェの呼び出した海魔はジークをメインに狙っているが、完全な制御が出来ていないのか立香たちカルデア組や天草四郎も狙われている。

だが、最初に召喚した時よりはカルデアの負担は減っている。

何よりも

 

「多くてうざったいわね、これ。焼き尽くすしかないのかしら」

 

オルタちゃんが決着をつけ、カルデア組に合流したため、火力が上がった。

それでも燃えカスを利用して更に召喚される海魔。

 

「チマチマめんどくせぇな。大元を叩いた方が早いと思うぜ?」

 

アニキは大量殲滅というタイプじゃない(投げボルクは別)。だが、ひたすら向かって来る海魔を寸分の狂い無く貫いていく。

だが、貫かれた死体を利用して更に召喚される海魔。

 

「・・・・・・そろそろ決着を着けた方がいいかな?」

 

このままではサンタアイランド仮面と関係なく、竜の魔女とか関係なく、世界を埋め尽くしそうな海魔によって人理が滅ぶだろう。

立香の右手には残り一画の令呪。

これで海魔の全てを滅ぼすべきかそれとも宝具を使っているジル・ド・レェ本人を狙うべきか。

これを使って宝具を使わせる事が出来るのは一人だけ。

そして今立香の周りのサーヴァントは殲滅戦よりも対人戦に特化したサーヴァントばかりだ。それにジャンヌ・(略)・リリィは宝具を強化しても海魔を削りきる程の火力はない。

 

「・・・・・・」

 

立香は戦略が得意ということはない。

(ゲーティアに勝ったこともあるが)戦闘が得意という訳でもない。

何処かの未来で行われた聖杯戦争のように、コードキャストで的確な援護が出来る訳でもない。

だが、それでも彼女は一度人理を救った記憶を持っている。

マスターとしての戦闘経験だけで言うのならば、月のマスターにも負けないだろう。

 

「令呪をもって命ずる」

 

だから選んだのは確実に霊核を貫く一手。

もしもジル・ド・レェが消えても海魔が残っていたのならその時はまた別に宝具を使ってもらえば良いだけの話だ。

 

(来たわね!私の憎悪の焔を見せるときが!)

 

そう、この場においてオルタ以上に相応しいサーヴァントはいない。

彼の幕を引くのはジャンヌ・ダルクであるべきだ。

しかし聖女本人は天草四郎の方を警戒しているのでこちらにそこまで割くことができない。

ならばこの特異点で産まれた竜の魔女たるオルタこそジャンヌ以上に相応しいだろう。

 

「ランサー、クー・フーリン!バーサークキャスターに宝具を解放せよ!」

「おうさ!んじゃまぁ、ぶちかますかねぇ!」

(なんでよ!!)

 

だが、立香は空気など読まない。雰囲気に流されることなく確実な手段を選んだ。

海魔を潜り抜け、キャスターに近づくことは、敏捷Aの彼には容易かった。

 

「その心臓、貰い受ける!」

 

恐らく、キャスターがジークに集中していなくても彼から逃げられなかっただろう。

 

「なっ!?」

「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!!」

 

そして怒りによってアップされているステータスでも運を高くすることはできない。

そう、ジーク(というよりもジャンヌの好きな相手)を決して許さない陣営は関係のないカルデア組によって最後の言葉を残すことも出来ずに倒された。

 

「なんだよ・・・・・・あっけねぇな。あの神父の方がまだ手応えあったぜ」

 

愉悦麻婆な神父は同類にしてはいけない。

 

「何をしているのよ!!」

 

ちなみに立香。

オルタちゃんに詰め寄られている。

海魔よりもオルタちゃんに襟を掴まれて頭をガクガクされる方が死にそうです。




シングルベールシングルベール鐘よ鳴れー♪
リア充たちの名を指し示せー!

今年も独り身の予定ですが?

あ、そういえば色々と迷惑をおかけしました!
無事にアプリストアが復活し、アップデート出来ました!
喜びのあまりガチャをして爆死しました!!
概念礼装しか来ないって何さ。

今年でオルレアンが終わる気がしない。
でも後少し後少しなのにー
伸びなければ。
予定は未定。


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投げるな、危険

これこそがクリスマスプレゼントなのじゃ。
サンタじゃよ?
クリスマス要素はやっぱりないであります。


 

(どうやらあちらは終わったようです、ですが助かりましたね)

 

ジル・ド・レェを倒すことは海魔の制御が無くなるということでもある。

無尽蔵の召喚は無くなったが変わりに無差別に攻撃を始める海魔。

魔力がキレて消えるまでただひたすらに暴れ続ける海魔。

動きが不規則的になったので天草四郎に攻撃を仕掛けようとするジャンヌたちもタイミングを外している。

当然、天草四郎も狙われているが、サーヴァントたちの攻撃に比べれば海魔の方がまだましだ。

 

(少し無茶ですが、まあいいでしょう。彼女ならきっと受け止めてくれます)

 

天草四郎はカルデアの方を向いてタイミングを窺っていた。

 

***

 

ジル・ド・レェを倒し、海魔が補充されることも無くなった。

後はこの海魔の山を倒せばこの特異点はきっと修復される。

だから集中して海魔を倒したいのだが、立香の視界はグラグラと揺れていた。

 

「ジャンヌ・オルタさん!そろそろ先輩が限界です!」

「大丈夫よ!これぐらいで参るような奴じゃないわ!」

「先輩はサーヴァントじゃなくて人間なんですよ!?」

 

マシュがストップをかけているがオルタちゃんは止めるつもりがないようだ。

たーすーけーてー。

 

「・・・・・・意外と余裕そうですね」

「でしょ?」

 

何故かマシュからのストップが止まった。

 

「お、オルタちゃん。そろそろヤバい、放して」

 

女子として駄目になるものが口から出てくる前にオルタちゃんにストップをかける。

限界だと分かったのか、オルタちゃんも渋々手を放す。

ふらふらとする頭を振り、口を抑えてから深呼吸する。

そしてそのタイミングを見計らったかのように立香の足下に薔薇の黒鍵が突き刺さる。

 

「!?大丈夫ですか先輩!」

 

咄嗟にマシュが盾を天草四郎に向ける。

だが、その時には既に天草四郎は更に何かを投げようとしていた。

ジャンヌたちからは海魔が邪魔になり見えていないが、立香たちにはしっかりと見えている。

殺気は感じないが何を投げようとしているのかもわからない。

 

「・・・・・・あれ?もしかして・・・・・・?」

 

ふと前回の人理修復を思い出す。

カルデアが聖杯を所持しなければ特異点が修復されなかった。

ネックだった今回の敵対していた英霊も倒した。

なら後は聖杯を取るだけ。

そしてその聖杯は天草四郎が持っている。

薔薇の黒鍵というジャンヌ・(略)・リリィの時に使っていた合図を使って注意を引いたということは。

 

「嘘だよね・・・・・・?」

 

絶対に受け止められるようにしたということではないだろうか。

 

「フッ!!」

 

一息に天草四郎が手に持っていたものを投げる。

海魔の隙間をすり抜け、立香たちカルデア組の方へ飛んでくるそれは聖杯だった。

 

「ま、マシュ!キャッチ!!」

「え、は、はい!」

 

咄嗟に指示を出すがマシュは防御の用意をしていて聖杯を受け止めることはできそうにない。

盾で受け止めることなら出来るだろうがその場合、飛んでくる聖杯は壊れるだろう。

サーヴァント達にとっても聖杯が投げられることは予想外だったのだろう。誰も反応していなかった。

 

「壊さないように!」

「む、無理ですっ!」

 

聖杯は形状的に壊れやすい物だ。

投げられたら壊れるのは仕方のないことである。

 

(エリちゃんのバートリー城フラグを立たせたら駄目なんだ!)

 

立香のそんな覚悟も虚しく。

 

パリンッ

 

何かの割れる、正確に言うならば聖杯の壊れる音がした。

 

「すみません先輩。その、聖杯が欠けてしまいました」

 

どのサーヴァントでも恐らくは無理だっただろう技術を失敗して少し悲しそうな顔をするマシュ。

 

「フラグがー!?」

 

だが、残念なことに立香にそれを気にする余裕はなかった。

 

「いや、まだ欠片の全てを集めれば間に合う!」

「先輩?」

 

無茶である。

地面に飛び散る欠片を集めようとする立香。

だが、冷静に考えて欲しい。

サーヴァントの力で投げられた聖杯。いくらマシュが受け止めようとしていても、それが割れる時に飛び散らない訳がない。

そして焦る立香はまだ気付かない。

そもそもオルレアン城が壊れた時点で手遅れだということに。

聖杯の形的に壊れにくい訳がない。

そう、欠けたとは言ったが元から欠けていないとは言ってないのだ。

 

知らなかったのか、エリちゃんライブからは誰も逃れられないということを。




クリスマスに一人だと時間ができるねー
悲しくなんてない。虚しくもない。

近況報告ー
呼符でおっきーこと刑部姫が来た。
え?

ピックアップはエレシュキちゃんだよね?
あれれー?
引きこもり?
クリスマスに引きこもってからかな?
嫌な縁だなー
嬉しいけれども!


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第一特異点、決着

というわけでようやくの決着です!
長かった、本当に長かった・・・・・・

あ、実は友人に言われたのです。
「今日、何日か知ってるか?今年があと何日で終わるか知ってるか?」と。
「書いてたけど今年で終わるのか?」と!

他の作品とか読んで現実逃避している場合じゃなかったよマジで。

あ、シリアスさんが年末の挨拶にきております。
お気をつけて。


『す、すごい魔力量だ!その聖杯がこの特異点の基点となっていることは間違いないよ』

 

カルデアから観測して驚いた声を上げるロマニ。

何故か久し振りに声を聞いた気がする。

 

「ロマニ。後はこの海魔だけだよね?」

『ああ。それを倒せばこの特異点は修復が始まるよ』

 

ならば今度こそ彼女に頼もう。

彼女の宝具なら、魔力さえ足りれば全ての海魔を焼き尽くすことができるだろう。

なによりも、頭をグラグラされたくない。

 

「オルタちゃん!聖杯の魔力を渡すよ。宝具をお願い!」

「へえ?本当に私なのね?」

 

一度、決めるべきところをランサーに渡された為、少し警戒するオルタちゃん。

だが、この大きな海魔の全てを倒すためにはオルタちゃんの宝具の方が向いているのだ。

 

「オルタちゃんしかいない!」

「そう。ならしっかりとその眼に焼き付けておきなさい!」

 

選ばれたオルタちゃん、超ノリノリである。

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮・・・・・・」

 

聖杯により、魔力は気にしないで良い。

体力は立香の応急手当を受けて問題なし。

そしてオルタちゃんの攻撃力は宝具のランクはかなり高い。それこそよく揉めているアルトリア・オルタの宝具に迫るだろう。

そう、もう増えることのない海魔ごときに防ぐことのできるものではない。

 

「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!」

 

掲げる旗から憎悪の焔が放たれる。

逃げようとする海魔には下から現れた(本人曰く、鋼鉄製で、ギザギザがついていて・・・・・・何かこう、残酷な感じ!の)杭が突き刺さり、逃がすことなく焼き尽くしていく。

・・・・・・ついでにだが、

 

「まさか巻き込んできますか!?」

「主の御業をここに!我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

 

ルーラー二人(とついでに主人公ズ)は宝具の範囲内だ。

そして哀しいことに、天草四郎に防御宝具はなかった。

 

だが、ここに特異点を保っていた原因は消えた。

後はこの特異点が修復されるのみだ。

 

「ありがとう、オルタちゃん。みんなが無事に終わったよ」

「そのオルタちゃんは辞めなさいよね」

 

和やかな空気が流れる。

悪は倒れたのだ。

 

「・・・・・・私が無事ではないのですが」

 

天草四郎がなにか言っているけど聞こえない。

そう、悪は倒れた!

**

 

「もー!結局、マスターのところまで行けなかったじゃないか!!」

「だが、私は良かった。あの人と戦わずに済んだのだから」

 

結局、アストルフォとシュバリエ・デオンの決着は着かなかった。

だが、デオンには満足のできる結果になった。

王妃に直接剣を向けることはなかった。

同じフランスの、先輩英霊(ただし理性蒸発中)と剣を交わすことができた。

これで文句を言えばバチが当たるだろう。

 

「ああ、良かった」

「ボクはぜんっぜん良くないんだけど!今から行って間に合うかな?行くぞヒポグリフ!!」

 

満足して消えていくデオン。

そして最後までマスターの隣に居たいと願い、ヒポグリフを呼び出すアストルフォ。

 

「間に合え!」

 

特異点の消える最後まで彼と一緒に居たい。そう思いながら一直線に翔ぶ。

・・・・・・ヒロインですか?

 

**

 

「ああ、残念だよマリー。こいつを殺せなかったことが一番」

「はっはっは。逃げ切ったし問題はないな。やれやれ本当に疲れたね」

「二人ともお疲れさまね」

 

ここだけ戦闘ではなく追いかけっこがあったようにしか思えない。

ただし、攻撃に殺意と妨害の意思があった追いかけっこだったが。

 

「今度はちゃんと皆一緒に召喚されたいわ。デオンも一緒になんてどうかしら!」

 

目を輝かせ、特異点から消えつつある二人に尋ねるマリー。

 

「「こいつと一緒には嫌だね」」

「あらあら、やっぱり仲がいいのね」

「「良くない!」」

 

マリーはその光景をみてクスクスと笑いながら話す。

凶化があってもサンソンは変わっていない。

アマデウスもマリーの知るまま変わっていない。

ならデオンもきっと変わっていないのだろう。

 

「ヴィヴ・ラ・フランス!」

 

あのカルデアに皆で呼ばれたらきっと楽しいだろう。

 

「フフッ。またきっと会いましょうね!」

 

特異点から消えながらカルデアのマスターに聞こえないだろう言葉を叫ぶ。

予感がある。いつか会える。またきっと。どこかで。

 

**

 

「未来が過去を否定するのではなく、過去が未来を否定するなんてね・・・・・・。しかも二人がかりで」

 

一対一なら倒せた自信はあった。

だが、増えるとは

 

「なんて出鱈目な少女なのかしら」

 

以前の人理修復の時とほとんど同じ台詞。しかし何故だろうか。

意味が違って聞こえてくる。

 

「あの娘たちは間に合わないでしょうね」

 

既に二人はカーミラから離れ、カルデアのマスターのところに向かった。

だが、この特異点が修復されていってる以上、彼女たち以上に素早い何かに乗るしか間に合う手はない。

 

「ああ、そう・・・・・・やっぱり私は――」

 

彼女の周りには誰もいない。

見送ってくれる相手も、倒した相手も誰もいない。

 

「生きても死んでも、ひとりきりというワケね」

 

女性はそう呟き消えていく。

その時の彼女が何を思っていたのか、仮面の下の顔は誰にもわからない。

 




残念ながらもうちょっとだけ続くんじゃ。
書いている本人がその事に絶望。
でもねー、まだなんだよねー。
SN組の決着とかモーさんとか。
そして最後にカルデア組のラストとか。

近況報告ー
えー、2017年12月27日をクリアして言いたい一言が。
出来るだけネタバレにならないようにとは思うけど無理ですよね。
コホン。
ムジーク・・・・・・伯父様ー!?(アポ感)
もしくはその関係者ー!?
そしてあれだよね。神父!?お前か!?
あとペペロンチーノってなんじゃい!?


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特異点から脱出

ただし、全員とは言ってない。
きっと次回で第一特異点は終了です!
あー、長かった。マジで。


 

「「チッ」」

 

片や円卓において、唯一無二の王。その息子にして反逆者。

片やドラゴンライダーにしてドラゴンキラー。聖女にして凄女。

二人ともが決着の着かなかったことに舌打ちをしていた。

彼女たちの周りの被害は大きく、災害の通った後のようだ。

だが、地形よりも被害を受けていたのはタラスクである。

呼び出される。殴り潰される。

呼び出される。斬り殺される。

呼び出される。蹴り潰される。

エトセトラ、エトセトラ。

オルレアンの土地を、その身を身代わりにして守った救世主、それこそがタラスクである。

 

「クソッ!これじゃ父上に報告出来ねぇ・・・・・・」

 

王を殺した剣を竜を盾にして防ぐバーサークライダー。

実力も高く、ある意味で喧嘩流のモードレッドと喧嘩流のマルタの戦闘が噛み合ったのも決着の着かなかった原因だろう。

だが、もしも決着が着いていたとしても報告するのはむずかしかっただろう。ここから父の場所までは物理的な距離があるのだから。

 

「クソッ!覚えておけ。次、戦うことがあったら絶対に殺してやるよ」

 

それは決着をつけられなかったことに対する未練。

父上に報告のできなかったという未練。

そして反逆の騎士は父の居るだろう方角を向いて

 

(なあ、今の俺は少しは、あの人に追い付けているだろうか)

 

その疑問に自分の中で答えを出し、笑顔で消えていった。

 

**

 

本当なら人理を救う覚悟があるのかを確かめるつもりだった。

だから杖を持って戦うつもりだった。

だが、相手になった騎士は喧嘩のように勝つ為の剣を振っていた。

だから雰囲気に流されてしまった。

 

「ああ、すみませんヤコブ様、モーセ様。拳、解禁してしまいました」

 

しかもけっこうノリノリでした。

目的を忘れ、殴りあっていた。

 

「凶化さえなければこんなことには・・・・・・」

(いや、姐さん。凶化を越えてけっこうノリノリでグーパンしてましたで?)

 

ゴスッ

 

「次があったら目的を見失わないようにしないといけませんね」

 

悲惨な竜は頭から煙を上げ、目を回しながら、凄女は反省をしながら消えていった。

ああ、哀しき竜よ。

 

**

 

「やはり貴方は強かった。ですがマシュから逃げ、八つ当たり気味に戦って勝てるわけがないでしょう」

 

目の前では消えていってる騎士がいた。

アルトリアと目を合わせようとしない湖の騎士がいた。

思わずため息が出る。

こんな人物ではなかっ・・・・・・いや、割りとこんな感じだったかもしれない。

 

「今度は剣を交わすのではなく、共に歩むことが出来るといいですね」

「アーサー王・・・・・・」

「喋れるではないですか!?」

 

帰ってきた言葉に驚くアルトリア。

あの会話を捨てたような叫びは何だったのか。

 

「・・・・・・コホン。またいずれ会いましょうランスロット卿よ。その時にはあの娘から逃げることのないように」

 

その言葉に苦笑を浮かべ、

 

「善処します、王よ」

 

そう呟き湖の騎士は消えていった。

見送っているアルトリアに後ろから声がかけられる。

 

「ねえ、セイバー。終わった?」

「ええ、我が儘を聞いていただきありがとうございました、リン」

「別に?衛宮君の我が儘に比べればどうってことないわよ」

 

否定の言葉を出せず、苦笑いを浮かべるアルトリア。

そして彼女たちもレイシフトが行われる。

 

「決着が着いたようですね」

「そうね。なら戻ったら宝具を使ったあの娘に説教しないと!」

「ねえ、リン。私も手伝っていい?」

「あ、イリヤさんも参加するなら私も良いですか姉さん?」

「良いわよ。多分私たちだけじゃないとは思うけどね」

 

着々と進んでいく立香説教包囲網。

忍者の手助けが合ったとしても決して逃げられない状況だった。

 

そして彼女たちの姿は特異点から消えていった。

 

**

 

「お?見ろよマスター。どうやら終わったみたいだぜ?」

 

悪神を語る少年はニヤニヤしながら自らのマスターに告げる。

 

「見えていますよアンリ。これで終わりのようですね」

 

そう言葉を返す女性の周りには何匹かのワイバーンが倒れている。

逃げていたのか襲ってきていたのかわからないが、向かってきた全てのワイバーンを倒していた。

拳のみで。

 

「つーかさ、バゼット。お前今も人間だよな?特殊なクラスを持ってたりしないよな?」

「私がサーヴァントに?有り得ませんよ」

「嫌?あながち間違いじゃないと思うんだよ。オレより強いし」

「何を馬鹿なことを。貴方は既に自他共に認める最弱ではないですか。私よりも弱いのは当たり前のことでは?」

「あー!確かにな!確かにそうだわ!」

 

弱いと自分のマスターに言われ、爆笑するサーヴァント。

それでいいのかこの主従。

そんな馬鹿なやり取りをしながら彼らは特異点から脱出する。

この二人はカルデアでもきっと同じようなやり取りをするだろう。

 




さてさて、と。(カレンダー確認

やっべー。明日で今年が最後じゃん?
まだまだ間に合う!いや、間に合え!
ここで諦めたら宣言はどうなる?
時間はまだ残ってる。あと一話書けばこの特異点は終了なんだから!

近況報告ー
なんてない!昨日から少しでも進むと思ったか!
ガチャもしてないよ!ストーリーが進むのも明日だよ!

あ、福袋ガチャ用に十連分だけ課金しました。
エレちゃん!君が目当てだ!
・・・・・・福袋に居るよね?


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竜の魔女、クリスマスの幼女

今年もこの日で終わりのようですね。
後僅かですねー。24時間後には年が終わりますからね。
皆さんあとがきで重大な発表がございます!

あ、逃走するとかの話ではないですよ?


特異点の修復が始まる。

それは人理の焼却という問題を解決したということである。

そしてそれは同時に、この特異点で会ったサーヴァントとの別れも意味している。

 

「やっぱり私も消えるのよね。・・・・・・ほらコレ。持ってなさい」

 

何処からか取り出した紙を立香に渡すオルタちゃん。

 

「え、コレって?」

「見たらわかるでしょ。契約書よ」

 

この特異点で立香とオルタが出会った時に交わした契約書。

それは立香とオルタの名前はあるが、魔力的な縛りも拘束もないただの紙だ。

 

「コレを使えばピックアップとか関係なく私を呼べるでしょ」

「運営とか関係なく呼べる!?そ、そんな凄いものを・・・・・・!?」

 

現実に運営もピックアップ期間も存在はしない。

彼女たちはいったい何を馬鹿なことを言っているのか。

 

「私はあらゆる罪を犯した。どうしようもない復讐者よ。そんな私でも、それでもなおこの力を、この憎悪の旗を望むなら」

 

言葉を区切り、敢えて一拍置く。

 

「召喚に応じましょう、世界最後のマスターよ」

 

それはとても綺麗な笑顔だった。

レズの気がない立香ですら見とれてしまうほどの素敵な笑顔だった。

 

「う、うん。こちらこそよろしくねオルタちゃん」

「だからあんたは一言多いのよ!」

 

そんなやり取りに気分が変わったのか、オルタちゃんはそっぽを向く。

 

「良いわね、絶対にあの黒い王よりも先に喚びなさい!わかったわね!」

 

こちらを見ないが耳が赤くなっているのが立香には見えている。

 

「・・・・・・わかった。約束する」

「そう。ま、期待しないで待ってるわ」

 

そう答えて彼女は消えていった。

 

(どうしようかな。アルトリアのアホ毛を抜いたら黒くなるんだけど・・・・・・アレはノーカンだよね?)

 

立香の考えに答えてくれる相手はいない。

 

**

 

「すまなかった。俺はあまり役に立つことができなかった。それどころか足を引っ張ってしまった」

「そんなことはありません。邪竜を倒せたのはジークさんの活躍もあったと聞いていますし、その先輩も酷いことはしていましたから」

 

マシュとジークが話している。

二人ともサーヴァントに命を助けて貰ったという共通点があるから話しやすかったのかもしれない。

そして残念ながらマシュがいくらシールダーで皆を守る盾だと言っても、立香がカルデアに戻ってからの説教を防ぐことはできない。

それ相応のこと(令呪によるエリちゃんズの宝具解放)をしたから仕方のないことなのだ。

マシュも、説教に参加しないだけで思うことがない訳ではないのだから。

 

「そうか。なら、ありがとう。サーヴァントとして未熟な俺と一緒に戦ってくれて」

「こちらこそありがとうございました。私も未熟なデミ・サーヴァントですけど共に戦うことが出来て嬉しかったです」

 

二人の未熟なデミ・サーヴァントたちはそこで会話を区切り、それぞれ別の方へ向かう。

ジークはルーラーの元へ。

マシュは立香の元へ。

 

**

 

「トナカイさん!大きな私も渡していますし、コレをどうぞ!」

「ん?何?」

 

ジャンヌ・略・リリィが白い袋の中から何かを取り出して立香に渡す。

 

「ジル君人形です!」

「あ、うん」

 

思わず口数の減る立香。

 

「コレを使えばきっと私もカルデアに行けます!」

「確かにそうだね」

 

ジル・ド・レェも呼べそう(小並感)。

 

「ぜひ、ルドルフと一緒に呼んでくださいね?」

「え?」

「キシャーッ!?」

 

いつのまにかペットとして捕まっていたルドルフ。もしかして座まで連れていくのか。

そして驚いているルドルフ(ワイバーン)。

 

「トナカイさん!それではまた、クリスマスに会いましょうね!」

「キシャーッ!?た、助け、キシャーッ!?」

 

亜竜とリリィも消えていった。

 

「ルドルフさんは大丈夫でしょうか?」

「どうだろうね」

 

マシュもジークと話終わったのか立香に合流する。

そして消えていくサーヴァントはジャンヌシリーズだけではない。

 

「あらあら?残念、やはりわたくしも消えていくのですね」

 

愛が有れば不可能なんてない!

と言いそうな清姫でも流石に特異点の修復時に一緒にカルデアに向かうことは出来なかったようだ。

 

「でも、マスター?わたくし、知っていると思いますが些か執念深いタチなのです。なのでどこに行ってもきっちり追跡させていただきますわ」

 

何も言えない立香。

だって本当に自力でカルデアに到着召喚されるのが清姫である。

前回の人理修復の時もそうだった。

 

「だって、それが「愛」ですもの。・・・・・・ね?」

 

そう言って清姫も消えていった。

 

「・・・・・・何故でしょうか、先輩。清姫さん、本当にカルデアに来そうな気がします」

「私もそう思う」

 

実際、前回の人理修復の時には誰も居なかった筈の召喚陣から出てきたし。

何故か微妙な空気になっていた。

 




実は書いている途中でデータが吹っ飛び、書き直したんですよ。
すると筆が進む進む。
本当はこの投稿で第一特異点が終わりのはずだったんですよ。

・・・・・・という訳で!
まだ、第一特異点が終わらない!
でも今年が終わるぅ!?
終わってしまう!?

いや、まだだ!今年はまだ24時間あるんだ!
というわけでして、今年中に何処かで投稿するよ!
終わらせるから!!


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Apocrypha

今回にて人理定礎が復元されました!
本日二話目。

今回はずっとシリアスですよ。
後は、Apocryphaをアニメしか見ていない人はちょっと悪いかも知れませんが、ネタバレアリです。


清姫が消えた後に立香たちにも修復の影響が、カルデアからのレイシフトが始まっていく。

 

「今回の助力、感謝します立香。あなたのお陰で私はフランスを守ることができました」

「こちらこそありがとう。ジャンヌのお陰で助かったから」

 

ジークと話す前にこちらに来たのかジークは少し離れた場所に立っている。

ジャンヌは聖女と呼ばれた者として立香の道に希望を渡しておきたかったのだ。

 

「これからの貴方の戦いは人類史を遡る長い旅路です。ですが悲観する事はありません。貴方には無数の出会いが待っています」

 

啓示で彼女がさまざまなサーヴァントと話している姿を見た。

そして黒幕とおぼしきナニカとマシュと二人で向かい合っている姿も見えた。

だからこそ彼女には幸せな先があると知っていて欲しかった。

 

「この惑星のすべてが、聖杯戦争という戦場になっていても、この地上のすべてがとうに失われた廃墟になっていても、その行く末に無数の強敵が立ちはだかっていても。結末はまだ、誰の手にも渡っていないのですから」

 

それはジャンヌなりの激励。

マシュと立香の胸にもそれは響いた。

二人はジャンヌを向いたまま頷く。

彼女たちの眼は力強い光が宿っていた。

 

「やはりいい目をしています。それではいずれまた、運命が交わる時に会いましょう」

「うん。その時はよろしくねジャンヌ」

「はい。よろしくお願いします、ジャンヌさん」

 

二人は特異点から消えていく。

 

「頑張ろうね、マシュ」

「はい!先輩!」

 

レイシフトで特異点から消える直前、ジャンヌとジークが話している姿が見えた。

彼女の浮かべている表情は聖女ではなく・・・・・・

でもきっとそれは立香には関係のない話で、ジャンヌとジークの物語なのだろう。

そして立香たちはカルデアへと戻ってくる。

 

**

 

第一特異点Apocrypha ジャンヌ百年戦争オルレアン

人理定礎値C+?

《オルレアンの聖女》改め、《竜と聖女、魔女幼女》

人理定礎、復元完了。

 

カルデアの被害、0。

獲得したモノ、サーヴァントの触媒多数。

 

 

**

Apocrypha

 

カルデアのマスターたちもレイシフトした今にも消えそうな第一特異点。

そこの壊れた城の前では少女と少年が向かい合っていた。

そう、本来ならまだ会える筈の無かった二人が今、目の前にいる。

 

「ジーク君、今の貴方は・・・・・・」

「ああ、ここに俺がいることは本当はおかしいことなんだろう」

 

何を話せば良いのかわからない。

でも、一番伝えたいことはまだ言えない。言うべきではない。そう自分の中の何かが言っている。

それは自分が彼の元に辿り着いた時に言うべきだ、と。

 

「ジーク君、今の貴方は・・・・・・」

「今の俺は多分竜の俺が見ている一瞬の夢なんだと思う」

 

本体というべき邪竜は未だに聖杯を抱えて世界の裏で待っている。

 

「だから今の俺が聞くべきことはないし、本来なら言う必要もないことだとは思う」

 

いつかの時代に居た破壊の化身と今の彼の状況は似ている。 

本体は眠り、その泡沫の夢のような存在が彼だ。

破壊の化身に会話という選択肢を選ぶことができた。

それはきっと今の彼に会った時のためだったのかも知れない。

 

「だが、俺は言いたい。俺はあの時から変わらずに誰かを待っている。それが君だと嬉しい」

 

嫌われていなかった。

憎まれていなかった。

それが、涙が出るほど嬉しい。

この気持ちの名前はわかる。だが、まだ早い。

 

「そうですか・・・・・・。ではジーク君。待っていてください。必ず会いに行きますから」

 

二人は笑いあう。

特異点という歪な場所で再会した二人。

だが二人は変わらない。

きっと彼はコレからも待ち続け、彼女は探し続けるだろう。

でも改めて交わされた約束は、必ずや実を結ぶだろう。

 

**

 

それはいつかの未来におこること。

 

「よし。それじゃ、出発しよう。もう此処に居なくてもいいんだろう?」

 

竜になった少年と聖女になった田舎娘の物語。

聖杯戦争の外典の物語、その結末だ。

 

「ええ、行きましょうかジーク君」

 

彼女の旅の目的は果たされた。

なら、後は次の旅に二人で向かうだけだ。

 

「あ、そうそう」

 

握り締めた手を離さずに、何でもないことのように少年に告げる。

 

「――私は、貴方に恋をしています」

 

咲き誇るような笑顔で気付いたその想いを口にする。

驚く少年の答えを聞かず、少女は手を繋いだまま歩き出す。

 

「さあ、行きましょう。新しい世界が、貴方を待っています」

 

二人は歩き出す。

彼らの星を巡る旅が、始まる。

 




えー、本編のシリアスをぶち壊すあとがきコーナー、タイガー道場、始まるよ!!

・・・・・・冗談です。ええ本当に。
本当に師範がやって来そうなので無いです。

次回から幕間の物語になりますね。
待ってた。
そろそろストーリーも何も関係のないギャグがしたかったんだよ!


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カルデアの日常茶飯事
幕間の物語 早起きは事件の予感


これが私からのお年玉なのです!
そして今年もこのFGOってデータが引き継げないとこんな感じをよろしくお願いします!
もうFGOのゲーム要素は少ないどころかないとおもっていますけれども


その日は不思議とナニカに起こしてもらうことなく目か覚めた。

時計を確認すると普段なら寝ている時間だった。

 

「・・・・・・早起きは三文の得って言うし」

 

そして立花はカルデアから支給された制服に腕を通す。

 

「・・・?」

 

鏡を見ると何故か微妙な違和感を感じる。

 

「・・・・・・気のせいか?」

 

違和感を形に出来ず首を傾げたまま立花は部屋の扉を開けた。

目の前では少女が扉を開けようとしていたのか手を伸ばしたまま固まっていた。

なので立花から声をかける。

 

「おはよう」

「お、おはようございます・・・・・・」

「フォーウ?」

 

なにやらぎこちないが返事が返ってくる。

きっと寝ている立花を起こしに来たら起きて用意まで終わっていたから驚いているのだろう。

 

「あ、先に食堂に行ってるね」

「はい、ではまた・・・・・・」

 

さて、今日の食堂のスペシャルメニューは何だろうか。

立花は期待しながら食堂に向かった。

 

**

 

ロマニ・アーキマンの朝は実は早い。

医療部門のトップがのんびりと朝を過ごすことは出来ないからだ。

何時もサボりをしていると言われているが、最低限の事だけは終わらせてからサボっている。

だから最悪の事態になっていないのだ。

 

「ま、僕が責任者になっちゃったしね・・・・・・」

 

そう言ってあくびをする。

サボれなくなったので眠れる時に眠るべきなのだが、マギ☆マリのブログの更新を見ていて気付けば用意をしないといけない時間になっていた。

つまり自業自得だった。

まあ、皆が起きる時間より前に用意は終わらせているので今はケーキとコーヒーでのんびりしているのだ。

しかしそののんびりとした時間も長くは続かなかった。

 

「大変です、ドクター!!」

「ぐっ!?ゴホッ。あれ、マシュかい?朝早くからどうしたんだ?」

 

突如医務室に駆け込んで来た少女に驚き、噎せる。

普段なら声を荒げることないマシュが全力疾走してきたかのように息を乱して駆け込んで来たことに驚いたからだ。

 

「先輩のために用意していたケーキを食べないでください!いえ、そうではなく!」

「あれ?でも食堂の冷蔵庫にいれてあったからマリーと一緒に食べたんだけど」

「所長も共犯でしたか。いえ、だからそうではなくて!」

「一度落ち着いてくれるかい、マシュ。お茶でも飲むかい?」

 

マンガやアニメならきっとマシュの目はぐるぐると回っていただろう。

落ち着かせるためにお茶を一杯入れる。

 

「そんな場合じゃないんですよ、ドクター!先輩の部屋から見知らぬ男性が!」

「よし、先ずは落ち着いてひとつひとつを順番に話してくれ」

「・・・・・・はい、わかりました」

 

**

 

マシュと立香が特異点からカルデアに戻ったのは一番最後だった。

 

「お疲れさまでした先輩」

「うん、お疲れさまマシュ」

 

コフィンから出て最初に先輩の元へと歩く。

そして腕を掴む。

 

「あれ?マシュ?どうしたの?」

「すみません先輩。ですがここは大人しくした方が良いかと」

 

そこでようやく立香が周りを見渡す。

仁王立ちの女性たちがそこにいる。

 

「あ、アニキヘルプ!!」

 

咄嗟に腕をつかんでいるマシュ以外のサーヴァントに助けを求めるが

 

「嬢ちゃん、大人しく怒られた方がいいぜ?」

「裏切り者ー!!」

 

彼女に対する説教は決して避けられない。

 

**

 

「いや、マシュ。それは僕たちも知ってるんだ。カルデアのコフィンの前で説教してたからね」

 

だが誰も助けなかった。

立香の自業自得だから仕方ないが。

 

「そして君たちに説教の後に休むように言ったのも僕だ」

「はい。先輩だけじゃなく皆さんも疲れていたのか、すぐに眠りにつきました」

 

カルデアのスタッフが部屋まで送ったからそこに間違いはないはず。

 

「朝起きて時間を確認すると先輩を起こす時間が迫っていました。なのでフォウさんと一緒に起こしに行きました」

「なるほど」

 

いつも通りのカルデアの立香とマシュの日常だ。

 

「部屋の前に立ってドアを開けようとしたときに見たこともない男性が出てきたのです」

「・・・・・・立香ちゃんの部屋から見知らぬ男性が?朝に?」

「・・・・・・」

 

無言でうなずくマシュ。

むしろマシュも信じられない。

 

「カルデアの職員の顔を知ってるマシュの記憶にないんだね?」

「はい・・・・・・」

「「・・・・・・」」

 

二人の沈黙が数秒、その場を支配していた。

 

「つまり、カルデアの中に侵入者がいるぞ!?」

「そ、そんな!?」

 

場所的に誰かが入り込んで来ることはない。

しかも吹雪が覆っているため外部から入ってこれることはないだろう。

 

「ど、どこから入って来たんでしょうか」

 

謎の侵入者事件、勃発である。




ちなみに立花は誤字ではない。
立香も誤字ではない。
理由はございますのだ。
当ててみよ!とか言うと本当に感想で当てられそうだから考えるだけで。

近況報告ー
福袋ガチャをひきました!
実はアルトリアがやって来ましたー!!
アーチャーの。

た、確かに書いたけど。
アーチャーアルトリアをネタに出したけど!
誰が予想したのか!!


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幕間の物語 誰よ、あれ

多分、タイトルが皆の感想になるのではないかなー?


カルデアは外部から侵入されることはまず、ありえない。

それはカルデアのある場所が場所だからという理由だけではない。吹雪に覆われているだけでもなく、魔術的にも結界を張っている。

それだけではない。何よりも現在は、人理が焼かれている為に人類がこのカルデアに侵入できる筈がないのだ。

カルデアは人理焼却から逃れた方舟状態。

漂い続けているために人理焼却の黒幕ですら場所を見つけることの出来ない状態になっているのだ。

だからこそ将来契約するであろう、力のあるサーヴァントならともかく、ただの人類が侵入することは不可能なはずなのだ。

 

なのに、見知らぬ(マシュ曰くカルデアの男子用の制服を着ていた)男性がカルデアにいる。侵入者がいることはカルデアに危険があるということの証明になってしまうのだ。

 

「どうしましょうドクター」

「ダ・ヴィンチちゃんを呼んできてくれ」

「わかりました。その、所長にはどうしましょうか」

「・・・・・・マリーには言わないでおこう。彼女がこの事を知るとパニックに陥るだろうからね」

「・・・・・・そうですね」

 

メンタル強度が強めに言っても豆腐な彼女にカルデアに侵入者がいると言った場合、泣きわめき、引きこもること間違いない。

そして教えるべき人間は少なくしないといけない。

無駄に不安を煽るようなことはしてはいけないからだ。

そして、魔術に強くても科学にポンコツな凜に言っても無駄になるかもしれない。

そもそも彼らの時代からみたら、このカルデアは未来技術の塊だからこそ彼らに侵入者がいると言っても多分無駄になるだろう。

そこまで考えた時にロマニは気づく。

 

「・・・・・・そういえば立香ちゃんはどうしたんだい?」

「・・・・・・ハッ!?」

 

どうやらマシュは落ち着いていなかったようだ。

 

「まだ起こしていません!今から起こしてきます!」

「いや、立香ちゃんもきっと自力で起きているんじゃないか?もう少しで9時になろうかという時間だしね」

「先輩は起こされるまではほとんど起きません。特異点でもそうでしたから」

「むしろそっちの方が大丈夫かい!?」

 

ここに立香のだらしない私生活が暴露された。

きっとロマニも責任者にならなければ寝ていたかもしれないことは置いておく。

 

「それでは起こしてきます!」

「あ、ああ。行ってらっしゃい」

 

マシュは走って救護室を出ていった。

 

「やれやれ。ま、立香ちゃんが落ち着かせてくれるだろうし、僕はレオナルドを問い詰めないとね」

 

自称天才がその男性のことを知らないとは言わないだろう。

そしてふと思う。

 

「・・・・・・まさかその男性が立香ちゃんとか言わないよな」

 

カルデアの中にいる人を驚かせるような行動をしていてもおかしくない英霊。

それはレオナルド・ダ・ヴィンチだけだ。

 

「・・・・・・いや、気のせい、もといマシュの報告次第かな」

 

疑われるのは普段の行動からだった。

 

**

 

カルデアの食堂は朝早くからとても混んでいた。

だがこれは仕方のないことなのだ。なにせ職員たちの娯楽と言えるものが食事しか無い。

根源を目指すよりも先に人理を救わなければならず、ゲームなどの遊戯系統もこのカルデアに持ち込んでいる人間はほとんどいない。

そして何よりもエミヤズが食堂のキッチンに揃っているのだ。

混まない訳がない。

 

「食べれない・・・・・・」

 

人気のメニューは立花の頼もうとしている日替わりのオススメランチなのだが、

 

「そこ、気を抜くなと言っているだろう」

「わかってる、お前こそこっちに意識を割いていたら失敗するんじゃないか?」

「貴様のような未熟者と一緒にするな、たわけ」

 

揉めながら作っている彼ら(エプロン着用)に急ぐようには言えず、

 

「シロウ、おかわりをお願いします」

 

食堂の一角を占拠し、おかわりを何度も繰り返す少女がいるため、中々料理も進まない。

 

「・・・・・・普段ならもう少し後で食べるし、今はいいかな?」

 

立花はあきらめた。

混んでいる食堂でわざわざ食べることもない。少し経てば食堂も空くだろう。

そう考えて立花は食堂から目的地を変える。

 

「ちょっと早いけどダ・ヴィンチちゃんのところに行こう」

 

第一特異点の修正が終わったら一度来るように言われていた為、立花はラボに向かう。

カルデアで微かに起こっている事件の元凶、ダ・ヴィンチちゃんの強化ラボに移動開始。

 

事件はまだ、終わらない。

 

**

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬢ちゃん、まだ続けんのか?」

「そうよ子ジカ。寝てないじゃない」

「うん。アニキ、エリちゃん。付き合わせてごめんね?」

 

シミュレーション室で自らのサーヴァントたちに謝る少女。

その手には一画の令呪が刻まれている。

 

「いや、そこはいいんだが。盾の嬢ちゃんを呼ばなくて良かったのか?」

「私はさ、マシュの先輩だから」

 

自分の部屋に送られた後に中に入らず、誰にも見つからないようにシミュレーション室にこっそりとやって来てそのまま今まで、戦闘シミュレーションを繰り返しやっていたのだ。

 

「マシュの先輩として誇れるように、平凡な私は頑張らないと」

「嬢ちゃんは平凡じゃないと思うけどな」

「そうよ、マネージャーとして最高よ?」

「お世辞ありがとう。じゃあ、もう一回だけやろう」

 

眠らずに自称平凡の逸般人は努力する。




何故か続く幕間の物語よ。

あ、ロストベルトのOP見て思う訳ですよ。
ぐだ男とぐだ子、二人の行動って違うんだなー、って。

という訳でコレ、皆さんの予想や憶測を外せました?
外せてたらいいなー。
いい方向に。

近況報告ー
プリヤを年始でまとめて見ようとして用意しながら年始ピックアップガチャをやったんですよ。呼符で。
来ちゃった、バーサーカー。

予想外。


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幕間の物語 彼の来歴

その1。
お待たせー!
書いてた本人が言おう。どうしてこうなった!



 

「立香ちゃんに何てことをしてくれたんだ!」

「だから彼は立香ちゃんじゃなくて立花君なんだって」

「せ、先輩が男性に・・・・・・」

「だから立香ちゃんじゃないだって」

「じゃあ彼は?」

「立花君だ」

「やっぱりやらかしてるんじゃないか!」

 

立花は現在、ダ・ヴィンチラボで異常な光景を見ている。

朝、部屋の前で出会った眼鏡の似合う後輩系の少女と線の細い、場所によってはモテそうな優男(ただし、どこかがうさんくさい)がダ・ヴィンチちゃんと揉めている。

何度もリツカと聞こえてくるから立花の話をしているのだろう。

だが、リツカ君とリツカちゃんの二つが聞こえてくることには疑問を浮かべる。

 

(俺、男なんだけど)

 

藤丸立花と書いてフジマルリツカと読む。

今までちゃん付けで呼ばれたことは幼い子供の頃に親や幼稚園の先生くらいだ。

断じて見知らぬ青年や、ダ・ヴィンチちゃんに呼ばれる筋合いはない、筈だ。

 

(でもカルデアにいる俺の知り合いってそんなに多くないどころか三人もいないんだけどな)

 

立花の知る相手は現在揉めているダ・ヴィンチちゃんと子供所長のオルガマリー。

ここで揉めている二人のことは知らない。

 

(そもそもなんでこんなことになってるんだ?)

 

話の話題に自分の名前が出てくるから少し思い出してみよう。

 

***

 

ダヴィンチちゃんラボに来たら、優男さんとダヴィンチちゃんが話していた。

君は?と聞かれたから名前を名乗ったら揉め出した。

うん、わからない。

戻る部分が悪かったのかもしれない。

もう少し前に、最初にカルデアに来た時まで遡ってみよう。

 

***

 

そもそも藤丸立花は魔術など欠片も知らない一般人だ。

だが、マスター適性、レイシフト適性など、カルデアが欲していた適性があった。

そのため、採用されると同時に誘拐のように連れてこられたのだ。

 

「なんでかな。見覚えがあるような気が・・・・・・」

 

同時に連れてこられていたオレンジ髪の少女は首を傾げながら迷うことなくシミュレーションルームに入っていった。

 

「・・・・・・ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

慌ててその後を追う立花。

同じカルデアに所属するのだから一緒に行動してもいいと思いながら立花もドアをくぐる。

その瞬間に立花の感じる世界は変わった。

周囲が無機質な廊下から辺り一面の草原へと変わっている。

驚く立花と違って少女は歩みを止めない。

どころか、シミュレーションの説明の最中にクリアしていた。

 

「宝具演出スキップがあればいいのに」

「何を言ってるの!?」

 

一瞬少女の頭身が変化した気がする。

立花が驚いている間に少女はクリアしたシミュレーションルームを出ていく。

 

《それではシミュレーションを開始します》

「え?ちょっ!待って・・・」

 

勿論、初心者の立花(しかも話を中途半端にしか聞いていない)に簡単にクリアできるほどシミュレーションは甘くない。

問答無用で襲いかかってくるゴーレム。

 

この日、初回のシミュレーション使用者の最短記録と最長記録が更新された。

どちらがどちらかは言うまでもないだろう。

 

**

 

「ひ、酷い目にあった・・・・・・」

 

何とかシミュレーションをクリアした立花は疲れていたためにシミュレーションルームで座り込んでいた。

初めての魔力供給(モドキ)と戦闘。

一般人にはどちらもキツいモノだったのだ。

 

(少しだけ休憩してから行こう・・・・・・)

 

そう思って少しのつもりで目を閉じる。

それが立花の状況を決定した。

 

**

 

ドンッ!という激しい音と振動が立花の身体を揺らし、目を覚ます。

 

(・・・・・・ヤバイ!寝てた?遅刻じゃん!?)

 

急いで立花はシミュレーションルームから出ようとする。

しかしその扉は開かない。気がつけば周りも暗くなっていた。

立花は知らないことだが、カルデアの指令室で爆発があったのだ。

それにより電源に問題が出たのかそれともドアが歪んだのかウンともスンとも言わない。

 

「誰か!誰かいませんか!?」

 

扉を叩くが誰の反応も返ってこない。

扉に耳を当ててみると騒がしい状況とだけわかる。

 

「誰かここから出してくれー!!!」

 

立花の声は騒がしい廊下側の声に紛れて誰も気付いてくれない。

暗い場所に一人で閉じ込められた。

 

「今は出れないなら仕方ない」

 

壁に背をつけて目を閉じる。

どこでもすぐに眠れるのが立花の特技だった。そして彼は睡眠が嫌いじゃない。

まだ少し疲れが取れていなかったのか、あっさりと眠りに落ちる。

起きた時にはドアが開きますようにと、祈りながら彼は眠った。

 

余談だが、彼が眠って少し後に、生存者の確認のためにシミュレーションルームの中にも声をかけられていた。

眠っていた立花が気付くことはなかったのだが。

彼は特異点の冬木が修復されるまでぐっすりと眠っていた。




本当ならぐだ男登場編、二話で終わるつもりだったんだ。
どうして終わらないんだ!?
という訳でぐだ男過去編後もう少しだけ続くんじゃ。

近況報告ー
今回は凄い運です。
北斎ちゃんガチャを引きました。
するとなんと!
バリバリ演出が!セイバーが!
誰だ、ローマか!いや、ラーマだ!
ローマは書いたけど貴方は書いてないですよー?

そして一緒のガチャで来たよランサーメドゥーサことアナ!
冬木はだいぶ前ですよ?
まあ、これで三姉妹がバージョン違いを含めて集合した訳ですが。
エウリュアレ、ステンノ、メドゥーサ(ライダー)、ゴルゴーン(アヴェンジャー)、アナ(ランサー)と。
我がカルデアのメドゥーサさんは涙目よ。

そして運営さんのタイミングを見計らったかのようなオルタちゃんピックアップガチャ!
これは引けとの啓示ですよね!
という感じでガチャりました!

オルタちゃんじゃなくてすまないさんキター!?
これは、書いている人数が多いために退場予定だったジーク君を書けとの命令でしょうか!?
収拾着けるどころか広げ過ぎた風呂敷を畳めないし、そもそも風呂敷の端が見えないのですけども!


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幕間の物語 ラボだよ!ぐだーズ、両方集合!

最近出番の薄かったぐだ子もとい立香。復帰!
カオス。


 

いくら立花が眠っていても確実に気になってくることがある。

それは空腹だ。

 

「腹減ったな・・・・・・」

 

ポケットの中を探しても見つかったのは何故かチョコレートと玉ねぎ。

 

「なんで玉ねぎ・・・?」

 

制服を貰ったのは移動(という名の誘拐)の時だ。

玉ねぎを入れる時間は無かった筈だ。

そもそも玉ねぎをポケットに入れる理由がないし立花は入れてないけれども。

そしてこれ以外の食料らしきものは・・・・・・

 

「どう見ても食べ物の色をしてないんだよな・・・・・・」

 

何故かシミュレーションルームの中にあった銅のリンゴと銀のリンゴと黄金のリンゴ。

触った感じは金属ではなかった。

皮を剥いてみたらリンゴとわからなくなりそうだった。

だが、一般人としては食べる勇気がでない。

立花は食中毒やノロウイルスなどになったことはない。

他の人物が食べられない物(メシマズ系)も食べることが出来た。

毒でも食べれるんじゃね?とは立花の友人の談だった。

そんな立花も性格的にも一般人であることには変わりがない。

食べる度胸は無かった。

 

**

 

だがしかし。

チョコレートを食べきり、玉ねぎも無くなった立花。

食べるものも無くなり、まだ扉は開く気配が無かった。

餓えには勝てず、リンゴにも手を出していた。

 

「意外と食べれるんだな、コレ」

 

一度口に入れるまでは躊躇したが、食べてみると立花の分かる害はない。

むしろ一度食べるだけで元気が溢れてくるモノだった。

 

「コレがあれば遭難しても大丈夫なんじゃないか?」

 

疑問を浮かべながらドアが開くまで待っている。

寝る、起きる、食べる。寝る、起きる、食べる。寝る、起きる、食べる。

ただ、誰かが来るまでそれを繰り返す。

行動を言葉にすればとても怖いことだ。

人によっては発狂していただろう。

 

「おやすみ」

 

だが、立花自身はのんびり眠る。

本人は意外と満喫中。

 

**

 

「ねえ、レオナルド。手伝って欲しいのだけど」

「ん?」

 

立香たちが第1特異点で作戦会議を終えて戦い始めていた頃、エネループを入れ換えたオルガマリーは自分のラボに戻っていたダ・ヴィンチに話しかけていた。

 

「コレをシミュレーションルームで使うことが出来る?」

 

オルガマリーの手にはゲームや映画。

 

「コレかい?大丈夫だ」

 

中に入ったように、3Dを超えて体感できるだろう。

 

「ならちょっと来てくれる?ドアが少し歪んでいて開かないのよ」

「力仕事は私の管轄外だね」

「今カルデアにいるサーヴァントはアンタだけでしょ!」

「えー?」

 

見た目がロリーでも知識に変化はない。

自分が責任を取らなければならなかったプレッシャーなどから解放されたオルガマリーは生き生きとしていた。

だからこそ以前ならヒステリックに命令していただろうダ・ヴィンチに普通に話すことが出来たのだろう。

そんな成長を感じながらダ・ヴィンチはオルガマリーの後を着いていく。

そしてオルガマリーがシミュレーションルームを(ダ・ヴィンチを使って)開いたとき、眠っている青年が視界に入ってきた。

 

「え?」

「おや?」

 

死んでいた筈のカルデアの(子供になった)所長と主人公だったかもしれない青年。

大分と遅い初遭遇だった。

 

***

 

思い出してみたがやはりわからない。

そして立花が記憶を思い出し終わっても目の前の混沌とした状況は終わっていない。

 

(誰かこの状況を止めてくれないかな)

 

そう立花が思った時だった。

 

「ダ・ヴィンチちゃーん!イッパイ集めてきたから受け取れーい!!」

 

深夜テンションの少女がラボに入って来たかと思うとダ・ヴィンチちゃんに緑色の箱を投げつけた。

 

「先輩!?」

「立香ちゃん!?」

「グフッ!?」

 

ゴスッと鈍い音がダ・ヴィンチちゃんの頭から響く。

しかも投げつける数は一つではなかった。

 

「そーれ♪呼符ちょうだーい!」

 

しかもコントロールが良いために少女の投げた全ての箱がダ・ヴィンチちゃんの顔に向かう。

 

立花が望んだ通り、現在の状況は変化した。

更に混沌とした状況に。

 

(俺はこういう状況の変化を望んでるんじゃ無いんだよ!)

 

内心で叫ぶ立花。

だが、残念でした。

知らなかったのか?このカルデアの混沌からは逃げられない。

割りと全員が巻き込まれるのだ。

 

なお、混沌とした状況になる原因の半分近くがリツカだ。

そろそろぐだーズは自重するべきである。




次回のお話から
ぐだ男=藤丸(君)。
ぐだ子=立香(ちゃん)にする予定です。
分かりにくいもんね。

近況報告ー
ラストの石を使って十連しましたー
やっぱり引きたいオルタちゃん。もしくはエミヤ!

と思ってたらダ・ヴィンチちゃんと縁がつながりました。
うれしいけど第二部プロローグを見てるからちょっとだけ複雑な感じです。


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幕間の物語 自己紹介とお説教

コレにてぐだ男参戦編を終了いたします!
長かった。
でも次は特異点じゃないんだよねー


○月○日雪

第一特異点からカルデアに戻って一日。本日は男性の先輩が増えました。

先輩がここに来てからカルデアはとても騒がしくなったと思います。

先輩以外の人たちも大勢増えて・・・・・・

倉庫の食材は大丈夫なのでしょうか?

今度確認しておきましょう。

 

マシュの日記から一部抜粋。

 

**

 

混沌としていた状況を止めてくれたのはカルデアのお母さん(先輩談)、エミヤ先輩でした。

食事が出来たのに来ないから呼びに来てくれたそうです。

そこで混沌としていた私たちに冷静にツッコミを入れて止めていただいたのです。

 

「それじゃあお互いに少し落ち着いたところで自己紹介といこう。僕はロマニ・アーキマン、医療側のトップだったんだけど色々あって今はカルデアのトップ代理人さ」

 

場所を食堂に移して改めてドクターから自己紹介を始めます。

 

「私はマシュ・キリエライト。先輩のデミ・サーヴァントです」

「?」

 

デミ・サーヴァントに疑問を浮かべている藤丸先輩。

先輩と違ってサーヴァントなど魔術に関することを知らないのかもしれません。

反応が新鮮です。

でもダ・ヴィンチちゃんを受け入れていますし、実は先輩と同じく凄い人なのかもしれません。

 

「私は藤丸立香。藤の木の藤に丸、立つと香りで立香」

「・・・・・・ええと、俺の名前も発音は同じで藤丸立花。名字の漢字も同じで、立つに花と書いて立花なんだ」

「なるほど」

「本当ならまだまだ紹介するべき人たちもいるんだけど、また今度自分で聞いてくれるかい?」

 

目の前に置いていかれるエミヤ先輩の料理。

確かにコレを前に長々と話をするのは辛いですね。

早く、アルトリアさんに食堂に来て取られる前に食べましょう先輩!

 

**

 

「やっぱりエミヤの料理は美味しかったね」

「エミヤ先輩は凄いですね」

 

料理はとても美味しく、藤丸先輩も驚きながらおかわりもしていました。

 

「そうだ、藤丸君と立香ちゃん。君たちに聞きたいことがあるんだ」

「「はい?」」

「今日の朝、藤丸君の寝ていた部屋は立香ちゃんの部屋なんだけど」

「えっ?」

「え、何?私の部屋が使われてたの?」

 

ロマニの言葉に冷や汗を流す藤丸先輩。

もしかして先輩の部屋だと知らなかったのでしょうか。

 

「・・・・・・そうでした、それよりも先輩!どうして部屋にいなかったのですか?」

「あ、ヤバ」

 

ヤバって言いましたね。怒られると分かってたんですね。

 

「何をしていたんですか?」

「え、えーっと・・・・・・」

「諦めなマスター。嬢ちゃんが気付いた時点で怒られるんだからよ」

「そうよ子ジカ。仲間外れはダメよ」

「ランサー!?」

 

クー・フーリンさんとエリザベートさんの二人に裏切られたと言いたげな顔を向ける先輩。

でもありがとうございます。

しっかりと教えていただくまで逃がしませんよ、先輩。

 

**

 

その日のうちに藤丸は新しく、自分の部屋を手に入れた。

元々はロマニがさぼりに使わないように倉庫にしていた部屋だった。

そして立香はマシュから説教を受けていた。

 

「私は半人前ですけど先輩のサーヴァントです。なのに置いていくのは酷いと思います!」

「で、でもマシュ一人に頑張らせる訳にはいかないし、私も頑張らないといけないと思ったし・・・・・・あ、いいところに!助けて凛!」

 

マシュからとても珍しいことに説教を受け、正座しているところに通りすがった凛に助けを求める。

 

「立香、アンタ何やったのよ。マシュが怒るなんて普通無いわよ?」

「先輩が私のことを置いてシミュレーションをしていました!」

「アンタが悪い」

「そんな!?」

 

助けはなかった。

そして凛はその場から離れていく。

 

「それにしても一人で突っ走るね・・・・・・知ってる気がするわ。衛宮君とセイバーにオルレアンでのこと聞かないと・・・・・・っていうかアーチャーに冬木でのこと聞いてないじゃない!」

 

去っていく彼女の口からそんな言葉が聞こえてくる気がするが気のせいだ。

今の立香にそこに何かを分けるようなことはできない。

 

「聞いてますか先輩!」

「だから一般人がマシュの先輩としてふさわしくないのかもって思ったからさー!!」

 

今の彼女の最優先はマシュから許して貰うことだ。

彼らが怒られるのは自業自得だから助けることはできません。

マシュに言い訳しながら立香はアルトリアとエミヤズの冥福を祈った。




節分だー!
福は内、鬼も内ー!
カルデアに来て良いよ鬼!
むしろ来て鬼ー!

ちなみに小学生の高学年になるまで豆まきの時に鬼は内、福は外と言ってました。
今でも口からは鬼は外ではなく鬼は内と言いそうな作者です。
厄が払えると良いのですけど・・・・・・この作品だと厄払いよりもカオス払いがしたいですね。
カオスが消えたらこの作品はナニガノコルンデスカ?

えーっと近況報告ー
概念礼装狙って呼符を五枚引いたら・・・・・・セミラミス様が来られました。
狙って無かったのに・・・・・・
友人に「どうせ出ないからマラソン用の礼装狙うわー」的な話をした翌日のことでした。
概念礼装が出なくてそっちが出るとは・・・・・・物欲センサーが凄い。
無欲で回せばでるミタイデスヨ?


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幕間の物語 部屋、間違ウベカラズ

前回の前書きに特異点じゃないと書いたな。
誰も幕間の物語が続かないとは言ってないのだ。ニヤリ。
・・・止めて、物を投げないで。
ごめんなさい。
イベントの為にメモ帳を起動したら、途中まで書いていたコレを見つけてしまい・・・・・・
お蔵入りよりもいいかなーって。
書いてて楽しいし。

コホン、ある人たちは最初の数行でオチがわかるはず。


ーー唐突な疑問だが。

 

カルデアという未知の場所に来た、家事の出来ない方の間桐さんは、一体どうなっているのでしょうか?

 

「というかあ、慎二って一人で部屋のかたずけとか出来んの?」

「あははは。食堂で会うなりずいぶんな質問するね、お前」

 

士郎の質問に笑みを浮かべる慎二。

ただ、その笑みはひきつっている。

 

「古い馴染みじゃなかったら何処かの特異点になにも持たせずに一人でレイシフトさせてるところさ」

 

流石はブルジョワのおぼっちゃま。どうやら遠坂みたいな機械音痴と違って少しはこのカルデアに慣れてきているらしい。

 

「で。本当のところ何の用だよ衛宮。そんなことを聞きに来たんじゃないだろ」

「いや、冬木からカルデアに来た男子は二人だけだろ?それにレイシフトできる男子も少ないしさ。ちょっと気になって」

「ああ、そういうコト。相変わらず変なところで気が回るよね」

 

どうやらこの慎二はとある世界の冬木の間桐邸の時よりも余裕がありそうだ。

桜との極寒食事会がないからかもしれない。

 

「まあ、確かに冬木から来たのは男子は僕と衛宮だけだしね。でも部屋は問題ないさ。ほら、僕たちが持ってこれたモノなんて少ししかなかっただろ?」

「まあ、確かにな」

 

聖杯でカルデアに転移する時にどこまで持ってこれるか解らなかったため、本当に必要なモノだけを持ってくるようにと言われた。

その後、遠坂や桜、イリヤの必要なモノ(魔術関係など)が多かったため、慎二と士郎は持ち物を減らされたのだ。

 

「つうか、衛宮。気になるならさ」

「・・・・・・待ってくれ慎二。俺は何処かでこの流れを知っている気がする。桜の部屋なら行かないぞ」

「ハッ。僕だってあんなところに行くのは嫌だよ。カルデアになっても死亡フラグが漂ってる気のする場所に理由もなく入るわけがないだろ。頼まれたって行かないよ。僕の部屋だよ」

「慎二の部屋か」

 

先程の会話で何かの流れが変わった気がする。だからきっと大丈夫だ。

 

「ああ、お前が聞いたんだろ?ならもし僕の部屋が片付いていなかったら手伝ってくれるだろ?」

「あー」

「イヤとは言わないよなぁ衛宮?聞いた分の責任、とってみろよ」

「む」

 

何か釈然としないが、まあ桜の部屋に無断で忍び込むよりはマシだし。

慎二の手伝いで変なことにはならないだろう。

 

「・・・・・・わかったよ」

 

ちなみにこの考えを立香が知ると「辞めろ!その考えの先はフラグだぞ!」と叫んでいただろう。

だが、誰も人の心を読めないしそもそも立香はこの場にいない。

というか気づけ士郎!

流れは元に戻っているぞ!

 

**

 

廊下の途中で(サーヴァントがいないため)暇そうにしていた藤丸も道連れにして慎二の部屋に向かう。

 

「なんで俺まで?」

「衛宮に聞けよ。僕は別にお前を誘うつもりもなかったしね」

「ん?いや、別に深い意味はないぞ?藤丸が暇そうにしてたからさ」

 

仲良くなれればいいかなー、という思惑がないとは言わないけど。

出来れば慎二の性格に慣れて、友人になってくれるとありがたい。

 

「それにしても部屋か・・・・・・。俺はまだ完全に片付いてる訳じゃないんだよな」

「なら慎二の部屋が終わったら藤丸の部屋に行くか?」

「はぁ!?なんで僕がわざわざそんなことしなきゃなんないの!?」

「別にいいだろ?どうせ慎二にすることも無いんだし」

「喧嘩売ってんだな衛宮!」

「・・・・・・あーっと、扱い方はわかった。弄ればいいんだな」

「何処の何がわかったんだよ!」

 

藤丸は慎二の扱いがわかったみたいだ。

よかったよかった。

 

「全っ然、良くないからな!」

 

**

 

「ここが慎二の部屋か」

「ああ、多分ね」

 

・・・・・・おかしい。

おかしな言葉が聞こえて来た気がする。

 

「「多分?」」

「仕方ないだろ?何処も似たような部屋なんだからさ」

「・・・・・・ああ、確かに」

 

藤丸も思うところがあったのか頷いていた。

士郎の部屋もあまり物を持ち込んでいないから別の部屋だと言われたら納得してしまうかもしれない。

 

「じゃあさ。慎二の部屋で特徴的なものってなんなんだ?」

「・・・・・・部屋の中の額縁に飾られてる絵だ。なんで僕の部屋にわざわざ海草の写真が飾られてるんだよ!速攻で交換しろって言ってやったよ!」

 

その愚痴に、藤丸とともに慎二から目をそらす。

そうして彼らは魔の部屋へと知らない内に踏み込んでいった。




というわけで断罪回は次回なり

今回の話は『幕間の物語 間桐家の人々inカルデア』にするかを物凄く悩みました。
ネタバレになると思ったので辞めましたけど。
ここでやらないとこの作品でやる機会が無くなるので。

あとある方の作品でホロウ熱が沸いたので。

近況報告ー
バーサーカーゴールデンが我がカルデアに参上。
呼符が集まったので適当に引いてたら来ちゃいました。
なんでさ・・・・・・

そして初、この作品の予定ー
しばらく、幕間が続きそうです。
書きたいことが多いので。
・・・・・・・幕間、途中で挿入していく、にするべきでしょうか?
本編が進まないし。


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幕間の物語 間藤家の人々inカルデア

リア充爆発しろ!(挨拶)
ハッピーバレンタイン!
チョコを貰う予定もチョコを渡す予定もない作者です!
代わりとなるかわかりませんがお話のプレゼントだー!
チョコと関係ないのですけどね!


 

慎二に案内された部屋は士郎の予想を裏切り、本当に綺麗に整えられていた。

 

「ほら、どうだよ衛宮」

「驚いた。慎二の部屋じゃないみたいだ」

「どういう意味だよ、それ」

 

桜に手伝ってもらったのではないかと疑うレベルで片付いていた。実際はその通りだったのだが。

 

「まあ、いいさ。で、藤丸は何してんだよ」

「いや、額縁に海草の写真があるって言ってたのに違うからさ」

「へえ、流石にカルデアのスタッフは仕事が早いね。で?どすんなモノ?」

「満開の桜、かな」

「「――――」」

 

士郎と慎二が藤丸の言葉で固まる。

 

「どうした?」

「・・・・・・なあ、藤丸。その額縁の裏に何かあるか?」

「や、やめろ衛宮!気づいたらもう戻れないだろうが!今すぐ確認せずに外に出るんだよ!」

 

藤丸はわかっていないが士郎と慎二はパニック状態になりかけている。

そんなときだった。

 

パサッ

 

そんな音ともに額縁の裏から2冊のノートが落ちてきた。

 

「こここここ、これは・・・・・・!」

「ままままま、まさか!?」

「本当にどうした、二人とも」

 

そのノートにはジャプニカあんさつ帳と書かれていて、表紙には誰かに似たような人形を吊るしている写真と良くわからない何かの写真が写っている。

名前の欄には良くわからないモノが写っているノートにはひらがなで『さくら』とだけ。

そして人形を吊るしている方にはひらがなで『りん、さくら』、カタカナで『イリヤ、セイバー』と書かれていた。

 

「で、伝説のあんさつ帳!?ここにもあったんデスノーーーーー!?」

「というかこんなところにまで持ってきてるんデスノーーーーー!?」

「あんさつ帳?デスノーーーー○?」

 

叫ぶ慎二と士郎。

疑問符を浮かべるしかない藤丸。

そして部屋の中とは言っても騒げば廊下からでもわかる。

 

「私の部屋で何をしているんですか、先・輩?それに、に・い・さ・ん?」

「「ヒィーー!?」」

 

だからこそ部屋の正しき所有者が現れるのも時間の問題でしかなかった。

 

「ごめん、部屋を間違えたみたいだ」

「あ、いえ。藤丸さんは悪くないんですよ?」

 

素直に頭を下げる藤丸と少しだけ毒気を抜かれて対応する桜。

その姿に士郎と慎二は少しだけの希望の光を見出だした。

もしかしたら桜から怒られないかもしれない。

そう、このまま藤丸が頑張れば二人ともが生き残れるかもしれない。

 

((頼むぞ、藤丸!!))

 

しかし桜は、もとい現実は無情だ。

 

「実はさ・・・・・・」

「あ!そういえば藤丸さん。所長さんが呼んでましたよ?」

「えっとあの子供所長のこと?Dr.ロマンとかダ・ヴィンチちゃんじゃなくて?」

「はい、子供所長の方です。なので急いで行った方がいいかも知れません」

「教えてくれてありがとう。あ、でもこの二人はどうしよ・・・・・・」

「大丈夫ですよ。私がこの二人に用事がありますので」

 

そう言ってニッコリと笑う桜。髪も若干白くなっているように見える。

その恐怖から震える士郎と慎二。

そしてその笑顔を見て藤丸は色々と諦めた。

 

「じ、じゃあ俺は呼ばれているらしいから」

「「待ってくれ!!」」

「待たなくても大丈夫ですよ?急いで行った方がいいと思いますけど」

「確かに。子供所長、泣くよな・・・・・・ごめん。俺には助けられない」

「「待ってくれ!助けてくれ!!」」

「二人とも、おかしな反応しますね。何から助けてほしいんですか?」

「「ヒイ!?」」

 

藤丸の後ろでドアが音をたてて閉まった。

藤丸は振り向かない。

たとえ二人の助けを求める声が聞こえても、助けを求める視線が刺さっているように感じても。

 

「ごめん、俺は無力だ・・・・・・」

 

もう、桜の部屋の扉は開かない。

だが、扉の奥から悲鳴が聞こえてきた気がする。

 

「よし!」

 

頬を叩き、追いかけてくる悲鳴から意識をそらす。

さあ、急いで所長の所に行こう。

呼ばれているんだから。

 

(俺には何も聞こえない。俺には!何も!聞こえない!)

 

藤丸は耳を塞いで走り始めた。

たとえ人理を救う一員にだって何も出来ない事もある。

世界を救おうとする人間だって何も出来ない事もあるのだ。

だが、それも仕方ない。

怒る桜は人理を滅ぼした相手よりも恐怖感が高いのだから。

 

Dead end?




・・・・・・あ、チョコは一杯渡してましたし、チョコ貰ってました。
サーヴァントの皆から。
え?リアル?
渡される予定も渡す予定もありませんけど?

近況報告ー
えっちゃん来ました。
唖然としました。
チョコラテ飲みながら引くと来るのね。
でもやっぱりアルトリア(セイバー)やエミヤ(アーチャー)は来ないのね

あ、再びアンケートしています!
出来ればお願いします!


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幕間の物語 先輩、勉強の時間ですよ?

タイトルはラジオから!


士郎と慎二が桜に色々とシボラレテいるころ。

 

そう、藤丸を食堂に呼び出した所長の一言から始まった。

 

「貴方たち二人がどこまで、何を知っているのかを少しだけ確認しておきたいんだけど」

 

食堂にはオルガマリー以外に、呼び出しを受けた藤丸(何故か疲労している)、冬木から来たメンバー(士郎、慎二、桜を除く)、食事をしていた立香(うどんではない)に付き添っていたマシュ、ランサー、エリちゃん。そしてサボりのロマニがいた。

 

「あー。確かにね」

 

そしてオルガマリーの言葉をショートケーキを食べながらロマニが同意する。

そう、藤丸立香(ぐだ子)と藤丸立花(ぐだ男)の二人は(片方が一般人か怪しいが)一般人枠だ。

ならばこの二人にどれだけの知識があるのかを確認しておくことは必要なことだ。

ちなみに、冬木から来たメンバーに関しては魔術に対する知識は問題ない為に一時的に放置している。

だが、

 

「その、ずっと気になってたんですけどサーヴァントって何ですか?」

「え!?そこからかい?」

 

記憶を引き継いだ立香と違って藤丸は何も知らなかった。

 

**

 

藤丸を除くその場にいた全員が唖然としていた。

 

「ねえ、貴方、サーヴァントはわからなくても聖杯ぐらいは知ってるでしょ?」

 

思わずといった様子でオルガマリーが訊ねるが、

 

「せいはい?制覇・・・胃?食べ放題のことですか?」

「うん、ちょっと黙ってて」

 

頭痛がしてきたのか頭をおさえるオルガマリー。

そして恐る恐る立香にも訊ねる。

 

「女の方の藤丸、貴女はわかってるわよね?」

「特異点をつくっている聖遺物で、願いを叶える万能の願望器です」

「・・・・・・そうね。よかったわ」

 

まあ、先程の一般人よりはわかっていると言える。そしてカルデアの仕事としてはそれで充分かもしれない。

 

「他にも」

「あら?まだあるの?」

 

一般人としてはもう充分知っていると言えるのだが。

 

「無限に食糧を造り出すこともできて」

「ええ、まあ出来るわね」

 

意外と知っているではないか。

一般人の割りには知識がある気が・・・・・・

 

「サーヴァントに使うと限界突破(レベル100まで)出来ます」

「ごめん、ちょっと何言ってるのかわからないわね。え?待ってそれ、本当に聖杯?」

 

知識が変な方向に偏っている。

オルガマリーには理解の出来ない世界線の聖杯にしか聞こえない。

だが、立香は真面目な顔をしている。

冗談で言っているよりもタチが悪かった。

 

「ね、ねえ貴方たち?聖杯って本当に・・・・・・」

 

立香の言葉が正しいのかサーヴァント達の方を確認の為に見るが、彼らの聖杯についての知識とも違うのか無言で首を横に振っていた。

 

「どうなってるのよ・・・・・・」

 

半端にオルガマリーの知る正しい知識が混ざっている。

やはり、タチが悪かった。

 

***

 

「えー、コホン。それでは先輩たち、勉強の時間ですよ?」

「こんなところでも勉強か・・・・・・」

「私はちゃんと答えたのに・・・・・・」

 

マシュの言葉に暗い雰囲気をまとったままの二人。

まあ、二人に自業自得感はあるので仕方ない。

 

「その、お二人には聖杯についての知識だけでもと言うことですので」

「そ、そっか」

 

マシュの慰めで藤丸は少しだけ安堵する。

だが、立香は首を傾げながら独り言を呟き、話を聞いていなかった。

 

「もしかしてデミ・サーヴァントも含めたのが悪かったのか。確かに初めてをマシュにあげなかったけど・・・・・・。でもそれはデミ・サーヴァントだったからあげる訳にもいかなかっただけだし」

 

立香の呟きを聞いて真っ赤になるマシュと藤丸。

 

「な、なななな、な!?」

「え、もしかして二人はそういう関係なのか!?」

 

藤丸、現実世界で百合を見るのは初めてだ。

しかも美少女に分類されるだろう二人だ。

思わず生唾を飲み込んでいた。

悲しいことに、彼も、男だった。

つい先日まで高校生の真っ盛りの男だった。

 

「ち、ちちちち、違います!」

 

疚しいことは何もないのに動揺してしまうマシュ。

そしてこの状況を起こした張本人の立香は二人の様子を見て首を傾げている。

 

「ねえ、どうしたの?」

「せせせせせ、先輩!?ひ、否定してください!」

「え?何を?」

 

独り言を聞かれていたことを知らない立香は疑問符を浮かべる。

だが、その事が更に状況を混沌した方向に加速させていく。

 

「否定するつもりがない、だと?」

「いや、だから何が?」

 

結論、先輩のせいで勉強どころじゃなくなりました。

 




あれ?おかしいな?どうしてこうなった!?

あ、藤丸君のサーヴァントアンケートはもう少しで締め切りますよー

そして近況報告ー
イベントで式ちゃんゲット!
そして何となく十連しましたー
浅上遠野さん、アタランテ、剣式ちゃんが来ましたー
これで剣式ちゃんの宝具レベルが2になりましたー

あれれー?
物欲センサーというか、書いてない子達ばかりなのですけど?


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幕間の物語 強化される二人

お、お待たせ?


立香は元々、(何故か疑われているが)魔術の魔の字も知らない一般人だ。

スポーツで何か記録を残している訳でもない、平凡的な一般人だ。

(この世界線ではないが)人理修復を成したことがあるとはいえ、始まりは一般人からだった。

たとえ、毒が効かなかったり(静謐のハサンの宝具でも身体が少しだけ痺れる程度で済む等)、手枷を自力のみで破壊したり(プレゼントしてきたのはスパルタクス)、バーサーカー《ヘラクレス》から逃げるだけの脚力(サーヴァント達が妨害してはいたが、女神を抱えて)を持っていたり、最終的に(弱っていたとはいえ)人類悪であるビーストと、マシュの盾を振り回して殴り合い、勝利する、そんな逸般人も始まりはきっと一般人だったのだ。

そして今は、記憶が有ってもレオニダス・ブートキャンプもしておらず、誰かに魔術を教わった訳でもない。

今は間違いなく身体的には一般人(仮)だった。

 

**

 

そんな立香は考えていた。

 

「もしかして今のうちに鍛えた方がいいのかな・・・・・・?」

 

今の立香はこれから起こるだろうことを色々と知っている。

しかし、味方のマスターが増えたり、特異点で召喚されているサーヴァントが増えていたりと、今のところはプラスになっているが記憶と差異が生じている。

だからこそ、今のうちに出来ることをしたいのだ。

魔術回路は使っていないから成長していない。でもサーヴァント達と行動すれば、勝手に育つ(既に異常)から後でもいい。

 

「だからやっぱり優先は体力面か・・・・・・」

 

前回はレオニダスが(第二特異点修復の後に)来てから始まったブートキャンプの参加者はカルデアの観測スタッフたちだけだった。

立香は、特異点攻略組であった為に参加は免除されていたのだ。

特異点攻略組の方がむしろ鍛えられていた感は漂うのだが。

スカサハお姉さんによるケルト式のスパルタをたまに受けていたり、バビロニアでレオニダスからのスパルタを受けたり。

それでも特異点ではないカルデアの中では休息を取る意味も合わせて、鍛えることが少なかったのだ。

体力面もまだまだ向上の余地がある、かもしれない。

 

「でも、これを使えば魔術回路も体力も両方を鍛えられそうなんだよね・・・・・・」

 

立香は凜がうっかり忘れていった魔導書を読みながら呟く。

 

**

 

例えば、ある世界では第五次聖杯戦争で魔術王を呼ばずに、裏切りの魔女《メディア》を呼んだ聖杯戦争があったとする。

その世界では殆どの場合(タイガー道場に行かなかった場合)で士郎が聖杯戦争で勝利している。

しかし、凜が勝利した世界線(Unlimited Codes)もあったかもしれない。

その可能性を造り出す魔導書が現在、凜がカルデアに持ってきたが、片付けるのをうっかり忘れ、立香が読んでいる魔導書である。

 

簡単に纏めて、マジ☆カル八極拳の魔導書である。

拳を使って戦う立香・・・・・・。

もしかしたら、凜はとんでもないモノを生み出す土壌を作ってしまったのかもしれない。

ああ恐るべし、遠坂家のうっかり。

人類悪の可能性を造り出したぞ!?

 

***

 

藤丸は純然たる一般人だ。

立香のような、変な知識のあるなんちゃって一般人と違い、魔術の魔の字も知らない一般人だ。

一般枠の中でも緊急に用意した、カルデアに関することを全く知らない本当に数合わせの為だけの枠だった。

だが、今の状況ではそんな一般人でもカルデアの重要な戦力になる。ならカルデアの説明は必要だった。

 

「どう、一般人。これが、私のカルデアなのよ!」

 

そして胸を張って教えるオルガマリー。

素人に分かりやすいように所長のオルガマリーが直々に教えるのだ。しっかりと理解して貰わないと困る。

以前とは違い、スタッフが言うことを聞くようになり(見た目が子供な所長にストレスを与えるのはスタッフの皆の良心が痛むからである)、心に余裕の出来たからこそ知識のない一般人の藤丸の案内などが出来るようになったのだ。

しかも責任を取らなければならないなどのプレッシャーもなくなり、心に余裕が出来た為か優秀さに磨きがかかっている。

 

「スゴいですね」

 

だがその優秀さを知らない藤丸には子供が胸を張っているようにしか見えていない。

見た目が子供だからこその弊害だった。

 

「当たり前よ。人理を修復する場所が凄くない訳がないわ。・・・・・・と、着いたわ」

 

そして最後に藤丸が案内されたのはシミュレーションルーム。

藤丸は閉じ込められたことを思いだし苦い顔をする。

 

「今の貴方は実力が低いわ。だから教えてあげるのよ」

「え?」

 

魔術回路を起動して微笑む。

 

「始めるわよ、一般人。責めて、使い物になるようにしてあげる」

「・・・・・・え?」

 

藤丸。強化される。

無理矢理に。




携帯の容量が足りず、FGOを更新出来ないので、こちらを投稿することで八つ当たり。

さて、ぐだ男の鯖アンケート、次回で結果発表になります。
本命、ふざけ、大穴、希望など複数の鯖まで書いて下さった方もおりまして、本当にありがとうございます!
そして、今のままだとぐだ男の鯖はAUOが2票でトップに・・・・・・
カニファンを期待されているのだろうか?

まだ、駆け込みは可能よ?
待ってます

そして近況報告ー
そして呼符十枚も来ましたので引きました。
パッションリップ、フランちゃん(バーサーカー)、ネタバレにならないように「死にたくない」キャスター。
がやって来ました。
やっほい
でも更新出来てないから意味が・・・・・・
携帯本体の容量ってどうすればいいんですか!
アプリの削除か!
でもこれ以上アプリ消したら携帯なのに連絡取ることが出来なくなるわ!
哀しい(ポロロン


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幕間の物語 いざ、召喚へ

召喚と書いてガチャと読んだ人ー
手を挙げてー?

あげた人は仲間だ。
そして今回がアンケートの答え発表と言ったのは・・・・・・
聞かなかったことにしてほしい、本当に。


 

「そう言えば私、忘れてた事があるんだよね」

「どうしたんですか先輩?」

 

食堂でエミヤズの作ったおやつを食べていた立香とマシュ。

食べ終わった時にふと、立香が呟いたのだ。

しかし立香の言う忘れてたことにマシュは思い当たらない。

 

「ほら、最近忙しかったから忘れてたんだけど、藤丸君が来たじゃん?」

「・・・・・・あ!わかりました!」

 

マシュがわかったようなので立香は頷く。

 

「それは、もちろん・・・・・・」

「はい!藤丸先輩の歓迎か・・・・・・」

「聖晶石召喚よッ!!!」

 

椅子から立ち上がってグッと親指を立てる立香。

残念マシュ、歓迎会ではない。

 

「ガ~チャ~~~~~!?」

「あうっ!?」

 

叫ぶマシュの後ろから飛んできた出所不明の板が立香の頭に激突した。

 

**

 

「ねえ二人は聞いたことがある?機械のメンテ明けには良い召喚結果が出やすいとか、生放送を見た後には凄い召喚が出来るという数々の都市伝説を」

「聞いたことがある。ガチャの都市伝説だ」

「何を言っているんですか!?というか、私自身の口から出た言葉にもツッコミどころがあったのですが!」

 

食堂を出た後に合流した藤丸を連れて3人で並んで廊下を歩く。

藤丸を挟んで右手側に立香、左手側にマシュ。

端から見れば両手に華だった。

 

「いや、カルデアのマスターの人数が増えたからダ・ヴィンチちゃんがメンテするって言ってたじゃん?」

「まあ、はい」

「へぇ、そうだったんだ」

 

藤丸は知らなかった。

そもそもこれから何をするのかもあまり理解出来ていない。

 

「うん、つまりはメンテ明けじゃん?今こそ貯まった石で引く、もとい喚ぶことが正しいことだと思うんだ!」

「正しいようで正しくないことだと思います!」

「石を使っての召喚?ガチャ?うっ、頭が・・・・・・」

「どうしたんですか、大丈夫ですか藤丸先輩?」

「・・・大丈夫?」

 

急に頭を押さえる藤丸。

それを心配するマシュと立香。

しかし二人の心配を無視して立ち上がった藤丸は言う。

 

「引かなきゃ(使命感)」

「藤丸先輩もどうしたんですか!?」

 

召喚ルームと書かれた部屋の前で騒ぐ三人。

そしてそれをなんとも言えない微妙な表情で見ているのはオルガマリーだった。

 

「私のカルデアのフェイトシステムがガチャ扱い・・・・・・」

「あー・・・・・・」

 

ロマニもフォローが出来ない。

魔術と科学の融合、つまりは両方の最先端技術がガチャ扱いである。

しかし否定もしにくい。

フェイトシステムで喚ばれるものは、本来ならマスターと英霊両方の合意による召喚なのだが現在、完全にランダム状態である。

正確には人理焼却と未熟な召喚式の奇跡的な噛み合わせの結果、ランダムになったのだが。

そんなことを素人に言っても無駄である。

 

「「要するにガチャですよね」」

 

と返されるのがオチだろう。

縁のあるサーヴァントが呼びやすいと教えたところで

 

「「つまりピックアップですよね」」

 

と返されるだろう。

不憫なり、フェイトシステム。

 

**

 

マシュの盾を床に置き、システムを起動する。

その瞬間に石も呼符も使わずに召喚サークルが輝き出す。

 

「何よ、これはどうなってるのよ、ロマニ!逆探知でも受けてるの?」

「いや、違う!逆探知された訳でも攻撃された訳でもない!でもこれはどうなってるんだ!?」

 

害意のあるモノではない。

それは一度、特異点SNでレフの姿をした何かから観測したモノと同じ悪意の塊と言うべきモノとは違う。

だが、何かしらの圧力を感じるモノだった。

 

召喚ルームが警戒体勢に入る。

エミヤズはその手に干将と莫耶を投影する。

クー・フーリンが槍を構える。

エリザベートがマイクを構える。

凜とイリヤとオルガマリーが回路に魔力を流す。

バゼットが拳を握る。

アンリが諦める。

マシュが盾を持てずに焦る。

 

そしてどんどんと緊張が高まっていくなかで立香とのパスが繋がり、立香は懐かしい感覚と共に悟る。

 

「皆、大丈夫だから警戒を解いて」

 

苦笑を浮かべているが心は懐かしさと嬉しさで溢れていた。

 

「きよひー、やっぱり来るよね」

 

むしろ来ない訳がない。

でも流石に前回は石と呼符・・・・・・いや、前回も使わなかったかもしれない。

流石きよひー、愛が重い。

 

「ようやく会えましたねま、す、た、ぁ?」

「うん、カルデアにようこそきよひー」

 

緊張に包まれていた筈の召喚ルームがおかしい空気に変化した。

 




セ、セイバーウォーズ来たーー!!
アップデートもようやくデキターー!!
カルデアボーイズコレクションなんてなかった。

参加出来なかったイベントは存在しないんだ!

アンケートご協力ありがとうございました!
出てないけど決定はしました!
それでストーリーを練り直しています!
さあ、次回こそアンケートの結果発表だ!


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幕間の物語 貴方も私の・・・・・・

安珍様なのですね! by 清姫


4月1日、エイプリルフール。
それは嘘が許される日。

え?いや、清姫さん。前回のあれは・・・・・・
いやぁぁあああああああああ!?


 

召喚された、もとい勝手にやってきた清姫が、立香以外にも(妻として)挨拶をしようとした時だった。

視界に入ったその姿を見て呟いた。

 

「あら、安珍様が二人・・・・・・?」

 

だが、今契約を結んでいるマスターは男性の安珍様とは別にいる。

しかし現在のマスターは女性になっているが、間違いなく安珍様だ。誰がなんと言おうと(本人自身が否定しても)清姫にはわかる。

だが、間違いなく、この男性の魂も安珍様のもの。男性の安珍様もここにいるのだ。

決して嘘(偽物)ではない。つまり、どちらも本物の安珍様だ。

 

「え?」

「ん?」

 

勿論、清姫の考えがわからない立香と藤丸は疑問符を浮かべる。

立香は発言の意味がわからず、藤丸は自分を見ながら知らない人物の名前を言われて。

 

「安珍様が二人なんて、二人の安珍様に囲まれるなんて、なんて幸せなことなのでしょうか!!」

「え?いや、待ってきよひー。いったい何を言っているの?」

 

立香には清姫の言っていることがわからない。

あれ?安珍様って私以外に言われるような人が居たかな?

そして清姫の視線を辿ってみると、先には疑問符を浮かべている藤丸がいる。

 

(え?なんで?)

 

立香の頭も混乱した。

 

**

 

「あ、ん、ち、ん、さ、まー!!」

「え?うわぁ!?」

「待って!きよひーstay!」

 

藤丸に抱きつく清姫とそれを抑えようとする立香。

他はサーヴァントを含めた全員が唖然としていた。

悪意や敵意があればサーヴァントたちは反応しただろう。

だが清姫は悪意や敵意などない。ただ安珍への純粋な(重い)愛があるだけだ。

 

「マスターも一緒ですよ?」

「え?うわぁ!?」

「先輩!?」

 

藤丸だけではなく、清姫を止めようとした立香のことも抱きしめる。

そう、男性の安珍様だけに愛情を送る訳ではない。

安珍様が二人いるのなら二人に愛情を注げば良いのだ。

身体は一つしかないが、清姫の愛は無限なのだから。

 

「うふふふふ」

 

ここが清姫の理想郷だ。

 

**

 

(あれ?今何が起こってるんだ?)

 

和服姿の少女に抱きしめられた藤丸には現在の状況についていけない。

召喚サークルから出てきた少女が別人の名前を呼びながら抱きついてきた。

止めようとした立香も共に抱きしめられている。

二人の(可愛い)少女とくっついている状況だ。

役得感が凄い。

 

「えっと、ごめんね。きよひーが暴走したみたい・・・・・・」

「い、いや大丈夫」

 

すまなさそうに謝る立香に男としての煩悩、

(とても嬉しい状況です)

などの本音は言えない。

 

「き、清姫さん。一度お二人から離れてください!」

「もう少し大丈夫でしょう?」

 

マシュという(自称)後輩の女の子も離そうと頑張っているのに言える訳がない。

だから士郎と慎二に視線で助けを求める。

しかし、

 

「女子に問答無用でフラグを立てるのは衛宮だけじゃないのかよ!」

「慎二!?俺はそんなこと・・・・・・」

「あー、でもシロウだしねー」

「イリヤ!?」

「心当たりがあるわね・・・・・・」

「遠坂!?」

「ライダー、先輩を逃がさないで。兄さん、その話、詳しく教えてもらえますか?」

「すみません、士郎」

「ライダー?桜!?」

「さあ座ってください、シロウ」

「セイバー!?」

 

逆に助けを求める視線が送られてくる。

 

(それにしてもこの娘たち、力強いなー)

 

余計なことを考えないように藤丸は現実逃避を始めた。

 

**

 

「じゃ、じゃあ気を取り直していこうか」

「そ、そうね」

 

召喚サークルを起動した瞬間に、誰も召喚をしていないのに自力でサーヴァントが召喚されるという珍事から、いきなりの藤丸を安珍様呼び。

からの立香と藤丸の二人を抱きしめて離さない。

唐突に始まった修羅場。

等のなんともカオスな状況は、マシュの頑張りで清姫が離れたことで一時的に収まった。

 

「今回はサーヴァントのいない私たちから召喚していくわ。ただし、立香は無しよ」

「一人だけ三騎ですしね」

 

苦笑いを浮かべる立香。

まあ、今回は清姫が来たし仕方ない。

 

「サークルは問題なく起動した!召喚の準備は整ったわ!さあ、石を用意しなさい!」

 

やっぱりどう聞いてもガチャにしか思えない。

 

「呼符でもいいわ!」

 

要するに、ガチャのチケットですよね?

 

「私の言うことを聞いてくれる、私だけのサーヴァント、来なさい!」

 

寂しがりの彼女の想いは色々と強かった。

聞いているこちらも哀しかった。




暴走したんだ!(誰がとは言わない)

最近としては・・・・・・
ガウェインが来ました。

さあ、現実は二部まであと少しだ!!
この作品はいつになったら一章が終わるんだ!?


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幕間の物語 召喚されたモノ

よ、ようやくアンケートの結果が発表できる!
長かった・・・・・・


 

Fateシステムに本来、詠唱は必要ない。

それはオルガマリーにはわかっていることだ。

それでも詠唱を唱える。

これは願掛けだ。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公」

 

意気込んだオルガマリーが召喚サークルの前に立ち、聖杯戦争で使われている、サーヴァントを召喚するための詠唱を始める。

今度は激辛麻婆豆腐という礼装なのかもわからない色物礼装ではなく、確実にサーヴァントを喚ぶために。

 

「(中略)汝三大の言霊を纏う七天」

 

この際、バーサーカーでも何でもいい。

私の言うことを聞いてくれるなら!

 

「抑止の輪より来たれ」

 

私を誉めてくれるサーヴァント!

 

「天秤の守り手よ―――!」

 

せめて、私のことをちゃんと認めてくれるサーヴァント!

 

その望みが届いたのか、膨大な魔力が渦巻く。

 

「この魔力、間違いなく最強のカードを引き当てたわ!」

「あ、これ失敗するわ」

 

凛は以前の経験から悟る。

凛の言葉に応えるかのように、Fateシステムにノイズが走る。

 

「なんだこれ!?おかしいぞ、この反応は!」

 

計測していたロマニはその反応に驚愕する。

そしてその場の全員が警戒する。

 

**

 

唐突に話は変わるのだが、Fateシステムで召喚できるのは様々なのだが、やはり召喚者と縁の強いモノが呼ばれやすい。

勿論、縁の強いものは英霊だけではない。

聖杯戦争で使われている召喚陣ならまだしも、乱雑な可能性から召喚するFateシステムにはサーヴァント確定は十連以外にない。

まあ、何が言いたいかというと。

 

「どうしてよ、ロマニ!あれだけの魔力だったじゃない!!必要なかった詠唱まで入れたじゃない!!」

「僕に言われても!?」

 

膨大な魔力の後に残っていたのは金色の指環だった。

その指環を見て立香とロマニにダ・ヴィンチ、そして前回の記憶を引き継いだエミヤ、冬木の聖杯から記憶を引き継ぎ、真実を知っているイリヤも顔がひきつる。

記憶を引き継いでいても興味のない清姫は別である。

 

「なあ、それってロマニの指の奴に似てないか?」

 

そして無意識的に士郎は、爆弾を地雷源に投げ込むような発言をする。

 

「あ、やっぱり?」

 

呟いた立香だけでなく真実を知っている人の顔が更にひきつる。(清姫は別)

ロマニの指環=魔○王の指環である。

可能性や縁が雑多で何が出てもおかしくないといっても、とんでもないモノを引き寄せていた。

だが、オルガマリーにはそんなことはわからない。

 

「やっぱりロマニがいたからじゃない!!」

「え!?僕のせいかい!?」

「だってこれ、貴方の指環でしょ!?」

 

いいえ、ソ□モンの指環です。

もしくはゲ□ティア。

つまりグランドキャスターかビーストの指環。

なんて誰も口に出せるわけがない。

 

「あ、ある意味では最強のカードだよね・・・・・・」

 

ただ恐いのは、この縁を辿ってカルデアに逆探知とかされない?

 

**

 

拗ねるオルガマリーを横目に藤丸も召喚サークルに向かう。

だが、初めて聞く詠唱を、完全に覚えているわけもない。

 

「あ、別になにも唱えなくても大丈夫だよ?」

「え?そうなの?」

 

困った藤丸にアドバイスをしたのは立香。

 

「石を置いて召喚ーとか。そんな感じでいいから」

「軽い」

「来い!星5鯖!でもオッケー」

「ガチャ!?」

「うん」

 

軽かった。藤丸の想像していたものよりも遥かに軽かった。

冬木の聖杯戦争を知る人たちもあまりの軽さに苦笑いを浮かべるしかない。

というか最後はガチャでしかなかった。

 

**

 

「えーっと、来い!」

 

藤丸の言葉とともに魔力の渦が召喚ルームに広がる。

それは清姫が出たときと違い、金色の渦だ。

それを見て二人ほど叫ぶ。

 

「「バ、バリバリ来た!?」」

 

そしてその二人に突っ込みを入れるマシュと

 

「先輩方、何を言ってるんですか?」

「どうせ来ないわよ」

 

膨大な魔力でも外れ、爆死仲間を望むロリ。

しかし現れるのはアーチャーのセイントグラフ。

 

「なんでよ!!」

 

オルガマリーの嘆きを聞かなかったことにしてからロマニが観測結果を叫ぶ。

 

「うわぁ!この魔力は凄いぞ!トップサーヴァントレベルだ!」

「なんで私のときにはサーヴァントすら来ないのに、素人の藤丸のところにはトップサーヴァントレベルのサーヴァントが来るのよ!」

「所長、物欲センサーというものがあってですね?」

「うるさい!立香は黙りなさい!」

 

ヒステリーを起こす所長(ロリ)と下らないやり取りに気をとられていると藤丸の右手に熱が走る。

自分と誰かの繋がりを感じる。

そして光が収まったその場には

 

「フフハハハハハハハハハハ!!我を喚ぶとは運を使い果たしたな、雑種!!」

 

黄金の鎧を纏った金髪赤目のサーヴァント。

誰もが知る英雄の王。

ギルガメッシュがそこにいた。

 

「セイバーがいる場所に我を呼ぶ、わかっているではないか、雑種!」

 

英雄王もといAUO、混沌としたカルデアに、混沌とした人理修復に参戦。




と、言うわけでアンケート結果は二票でAUOでした。
アンケートに協力してくれた皆様、本当にありがとうございました!

・・・・・・次に鯖のアンケートするときは選択肢を作ろうと心に決めました。

別のアンケートは活動報告でしてるんですけども。

ここから先、シリアス注意!


概念礼装 ■■■■の指環
詳細
藤丸立香の辿った人理修復の際に、全てを■■■記録に残らない誰かの指環。
■■■■が■■だったときに着けていたモノ。
人理修復を成した少女が再び人理修復をするというバグが、死んでいた筈の少女が(幼女になって)生存しているというバグが椅子に残っていた指環を引き寄せた。

「後悔しないようにね?」

それは少女たちに■■■・■■■■■が遺すエール。


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女神は混沌としたイベントの夢を見るか?
イベント時空は別世界


お待たせいたしました!!

現実が唐突に忙しくなり、書き込むことができてませんでした。



ガチャでAUOがカルデアに参戦した翌日。

管制室でロマニが皿を持ってうろうろしていた。

その姿と管制室の端に架けてあるカレンダーを見て、立香はこれから起こることを予想する。

 

「そっか、そうだよね。よかった、エリちゃんのハロウィンじゃなくて、お月見の時期かー」

「?私のハロウィンって何よ子ジカ」

「ナンデモナイヨ」

 

 

カルデアでは時期のイベントを大事にしている。

一年のほとんどを吹雪に覆われているという季節の変化がわかりにくいカルデア。

だからこそ、季節のイベントを大事にしているのだ。

だが、立香はカルデアで起こるイベントが無事に終わらないことを知っている。

基本的にどのイベントでも選択肢を間違えれば(戦闘に敗北すれば)死ぬ可能性がある。

そんなイベントの中でも比較的平和(だと思う)なのが、このお月見だ。

することは比較的簡単だった。

要は、団子を回収するために走るのだ。

ただひたすらに団子泥棒から団子を回収するために走る。

それだけだ。

マラソンではない。回さない。

 

決して素材を回収するために周回しなければならない訳ではない。

プレゼントボックスを開けるために周回する訳でもない。

勿論、翌日の6時まで持ち越すこともない。

現実でお月見が一週間以上続く訳がないのだから。

その日の内に団子を全て回収し、お月見を終わらせるのだ。

行けば地獄、行かないと立香が罪悪感などでメンタル的に死ぬというハロウィンじゃないのだ。

 

「今回はそこまで危なくないし、大丈夫かな」

 

そう呟いてリラックスしていた。

だが、立香は忘れていた。

今のカルデアは前回のカルデアと違って人数が増えているということを。

そして知らなかった。

主人公は少女一人だけじゃないということを。

そしてそれが何を引き起こすのかを。

 

「大変です先輩!」

「どうしたのマシュ?」

 

予想は出来る。

団子が倉庫の中から消えたのだろう。

犯人は赤(太)セイバー。

 

(あれ?このやり取りを何処かでした気がする。しかも最近)

具体的にら第一特異点。

 

「食糧庫から大量の団子が無くなったそうです!」

「そうなの?・・・・・・うん?」

 

記憶とは少し言葉が違っていた気がした立香が首を傾げる。

 

「えっと、無くなった、そうです?」

 

どうして伝聞系なのだろうか。

前回の人理修復時はイベントの用意を手伝っていたマシュが食糧庫の確認をしていたはずだ。

 

「は、はい。エミヤさん、えっとその士郎さんの方なんですけど」

「あ、うん。わかるよ」

 

今はエミヤが二人居るもの。

わかりにくいよね。

でも、実はエミヤってまだ二人ほど出てくる可能性があるんだ。

アサシンエミヤ略して殺ミヤとか、エミヤオルタ略してボブミヤとか。

 

「えっと士郎君の方だよね?」

 

高校を卒業してからカルデアに来た立香にとっては冬木からカルデアに来たマスターたちのほとんどが年下だ(例外はイリヤスフィールとバゼットである)。

だから下の名前で君付けやちゃん付けなのだ。

ちなみに年齢や雰囲気からバゼットはさん付けだ。

 

「はい、その士郎さんが食糧庫に食材を取りに向かったら文字通りに山のように積んであった団子が無くなっていたそうです」

 

あれ?

マシュの言葉に違和感を感じる。

 

「無くなっていた、そうです?」

「はい。その、あの山のようにあった団子が全てだそうです。それでですね・・・・・・」

 

そこでマシュが言いにくいことなのか言葉を濁す。

そこで立香はようやく嫌な予感を感じ取った。

ちなみに結果が出ているのでもう手遅れである。

 

「容疑者も捕まっています」

 

立香の予想の斜め上の言葉が聞こえた。

 

「・・・・・・え?」

 

聞き間違えたと思いたいのか、立香は確認を取る。

 

「捕まってるの?」

「・・・・・・はい」

 

捕まってるの!?

あの口から出任せ、イベントで悪役は基本的にソイツ、的な赤くて太めのセイバーが!?

 

「・・・・・・誰が捕まえたの?」

「士郎さんです」

 

記憶を引き継いでいるエミヤが捕まえたという話だったのなら立香もここまで動揺することはなかっただろう。

だが、士郎だ。

エミヤのようなサーヴァントではなく、魔術使いの人間が捕まえられるほどカエサルも弱くはない。

 

リツカ は こんらん している

 

(いや、そもそもカエサルってカルデアに来てたっけ!?)

 

答え、イベントは別時空です。

 




ようやくお月見イベントに突入します!
気がつけばまた夏の雰囲気が・・・・・・
あれ?まだ特異点一つしかクリアしてない?
何故!?

それと『士郎君が捕まえた』で何かしら察した人も感想欄では あっ(察し)程度で



えー、近況報告ー
携帯の容量からFGO更新できず、その間にジーク君がサーヴァントになったらしいですね。
自慢してきた友人、君のことは絶対に許さない。

開き直ろう。
二年後、携帯の更新の時に入れれたら良いなー(書いたはずの引き継ぎコードを探しながら)


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状況証拠は証拠になるか?

遅れて申し訳ございません!
リアルが唐突に忙しさが増しまして・・・・・・
言い訳ですよね。


 

「これは本当に効果があるのでしょうか?そもそもどう使うのでしょうか」

 

立香が混乱するよりも少し前、セイバー(アルトリア)は一人、シミュレーションルームで種火を集めていた。

倒されることなくカルデアに来たために、セイバーは冬木の真実を知っている。

だから黒幕のことも知っている。

だからこそ自分の実力が足りないこともわかっていた。

一人で戦場に突撃していくシロウを守ることを考えると尚更に。

 

「ランサーやライダーには効果があるらしいのですが、カルデアの召喚式は冬木と違うらしいですし」

 

それは正しい言葉なのだが、何故か曜日の違いとしか思えない人が出てきそうである。

とにもかくにも本来、マスターによるステータスの上下こそあるものの召喚されたあとにサーヴァント自身が劇的に成長することはまずない。

 

だが、カルデアのフェイトシステムは違う。

霊基再臨によって性能が上昇していく。

戦えない作家系のサーヴァントですら(戦うかどうかは別として)戦闘能力が上がるのだ。

戦闘能力の高いサーヴァントも同じように強化されるのだ。

黒幕を相手にした場合の実力不足など、時間はかかるだろうがいずれ関係なくなるだろう。

 

「まあ、誰であろうと聖剣の完全解放なら一撃ですが」

 

つまり最強は誰か?

・・・・・・独り言でも負けず嫌いの騎士王様だった。

だが、自称最強で直感Aのアルトリアも、おろおろすることになるとは思ってもいなかった。

 

***

 

アルトリアがシミュレーションルームから出ると何故か廊下に団子が落ちていた。

 

「・・・・・・そういえば月見の時期でしたね。ならこれはあのドクターが落としたのでしょうか?」

 

アルトリアの直感はロマニを信じていいと告げているが、何故かどうしても胡散臭く感じてしまう人物。

その彼なら廊下に団子を落としていても違和感はない。

山のような団子を無理に持っていこうとすれば落とすのも仕方ない。

だがそれは食糧難だったブリテンの王として許せない。

食べ物を無駄にするなんて許せない。

 

「シロウやアーチャーに渡せば再利用ができるのでしょうか?」

 

そう言って落ちていた団子の一つを拾った時だった。

 

「セイバー・・・・・・」

「シロウ?」

 

後ろからマスターが声をかけてくる。

しかしその声音は普段と違う。

まるで、否定したかったのに状況がそうさせないとでも言うような。

 

「自首してくれセイバー、俺も一緒に謝るから」

「?」

 

シロウが何を言っているのかわからない。

しかしアルトリアの直感が何か嫌なものを告げている。

 

 

 

ここで視点を完全に第三者としてこの状況をまとめてみる。

大量に盗まれていた(廊下にいくつか落ちている)団子を追いかけてきたマスター、大量に落ちている団子の前に立ち、団子を持っているセイバー。

もしも団子を持っているセイバーがすまないさんやデオン君ちゃんなら疑われることはなかっただろう。

落ちている物が、盗まれていた物が食糧でなかったら、正しい騎士の王が疑われることはなかっただろう。

でも落ちていた物は団子だ。

様々な世界で腹ペコ王や、餓えすぎもとい上杉アルトリアなど腹ペコキャラの定着が進んでいるアルトリアが疑われない訳がない。

前の世界で経験したために真実を知っている《アーチャー》エミヤや立香もこの状況をみたら赤セイバー(男)を疑うよりも先にアルトリアの事情聴取をしていただろう。

まあ、腹ペコ王だから疑われても仕方ない。

 

***

 

「その、状況証拠が整っていたので現在、セイバーさんの取り調べ中だそうです」

 

複雑な顔をしながら立香に教えるマシュ。

恐らくマシュの中にいる円卓最優の騎士はフォローしたいのだろう。

騎士王が盗み食いなどという意地汚いことはしないと。

その事をマシュも何処かでわかっている。

でもオルレアンで聖女と食糧を巡って揉めていたからこそフォローもしにくいのだろう。

実態は腹ペコ王だから仕方ない。

 

「ああ、セイバーってそっち?」

「? はい、他にセイバーさんはこのカルデアには居ませんし」

「確かにね」

 

お月見イベントだからカエサルのせいと勝手に思い込んでいた。

確かにアルトリアも大量に食べ物を消費していくサーヴァントだった。

 

「・・・・・・フォローできないよね」

「・・・・・・そうですね」

 

二人は苦笑いを浮かべた。




腹ペコ王だから疑われるのは仕方ない。


近況報告ー

忙しさが増しました。
いつの間にか二部も更新され、現在水着イベント。
配布鯖がジャンヌ・オルタ『クラスバーサーカー』
略してオバカちゃんってマジですか?




リアルを放り出してやらなきゃ!


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被告、アルトリア

お待たせいたしました。


 

「あー、やっぱりかー」

「・・・・・・これはどういうことでしょうか」

 

立香とマシュがアルトリアの尋問場所にたどり着いた時、既に場はやっぱり混沌としていた。

机を挟んで士郎とアルトリアが座っている。

士郎の後ろには大勢いるが、アルトリアの後ろには誰もいない。

 

「シロウ!私はやっていません!私がそのようなことをすると思いますか!?」

 

そう叫んだのは真名アルトリア・ペンドラゴン。正真正銘、ブリテンを守っていた騎士の王である。

清く正しい、騎士王のアーサーその人だ。

円卓最強の(決して最高ではない。むしろ色々と酷い)騎士に妃を寝取られたり、「人の心がわからない」とか弓の名手(盲目な人妻スキー)に言われたり、反抗期の息子(ただし性別は女)に反逆されたりしているが誇り高い騎士王である。

世界線によっては冬木で餌付けされてたり、こたつの魔力に敗北したり、仮○ライダーの変身ポーズを覚えてたりするが騎士の王である。筈。

そんな卑しい真似などしない。多分。

だが、話している相手はミスター唐変木。S級フラグ増築師のブラウニーである。

何よりもアルトリアの駄目なところをかなり知っていると言っても過言ではない。

 

「ごめん、セイバー。でも、しないとは言い切れない・・・・・・」

「シロウ!?」

 

ショックを受けた顔をするアルトリア。

思わず視線を別の方向へと向けるアルトリアのことを知るマスターとサーヴァントたち。

 

「そうです、アーチャー!何かを知っていた貴方なら私が無実だと証明出来るのでは!?」

 

アーチャー(エミヤ)に向けて問うアルトリア。

千里眼を持っている金ぴかアーチャーも知っているだろうが、そっちのアーチャーではない。

まず、現在藤丸の肩を叩きながら大爆笑している金ぴかと話すつもりなど一切ない。

 

「・・・・・・すまないセイバー。君の普段の食べっぷりを見ていると否定できる要素が無くてな」

「アーチャー!?」

 

実際には何もしていないアルトリア。

しかし誰も冤罪だとは思わない。

前回のイベントを知っているエミヤも犯人がアルトリアと言われたら否定することができなかったのだ。

だってイベントで関わる際には基本的に腹ペコ王だもの。アルトリア・オルタなら一瞬は考えたかもしれない。

正直、DEBUがカルデアに居ない今、団子泥棒の容疑者筆頭である。

 

「そ、そうです。リツカ!貴方なら!」

 

そう言ったアルトリアの視線の先には尋問の途中にマシュと一緒に来た立香と爆笑しているギルガメッシュの隣に所在なさげに立つ藤丸。

 

「「どっち?」」

 

カタカナなら二人ともフジマルリツカである。

漢字は違っても同音の二人である。

基本的に名前をカタカナで呼ぶアルトリアだからこそ起こってしまった悲劇もといこの状況なら喜劇である。

あと二人ともフォローをいれるつもりはない。というか、あまり関われていない藤丸にはフォローをいれることすら出来ない。

 

ちなみにだが、この後ダ・ヴィンチちゃんがレイシフト関係の話をしに来るまでは、アルトリアの疑いが晴れることはなかった。

皆がアルトリアをどう思っているのかがわかりそうだった。

 

**

 

「うーん。ルーラーとマスターが居なくなっちゃったのになんでボクはここに居るんだろう?」

 

そこは修復された筈の第一特異点。

一人と一匹は首を傾げていた。

そもそも歴史の転換点、広い範囲の特異点が一瞬で消えてなくなる訳ではない。

末端からゆっくりと、とてもゆっくりと修復されていくのだ。

歴史に影響を与えることはないため、更に修復されつつあるためにカルデアも気にすることはない。

だが、チェイテ城シリーズ、テメーらはダメだ。

 

「まあ、いっか!」

 

満月がその人物の理性を普段よりも奪っていた。

ようするにポンコツ化が進んでいた。

細かいことは気にしない。

 

「少し探索でもしようか、ヒポグリフ!」

 

高く嘶くことで返事を返すヒポグリフ。

そして少女にしか見えない少年は幻獣と共に第一(イベント)特異点に参加する。

 

「ん?よう!アストルフォじゃねぇか!久しぶりだな!」

「ん?うぇええええ!?王さま!?え?あれ?なんで!?」

 

前回には居なかったかなり特殊なサーヴァントを追加して。




近況報告ー
色々と忙しさがあったことと、
携帯、破損
FGO引き継ぎコード撮り忘れる。

以上!

結果として燃え尽きてました。
あと友人のイリヤ(にしか見えないサーヴァント)を自慢され絶望してました。

チクショウ!!


が、画面さえ直ってデータの引き継ぎが出来れば!!
三度めの修復とか絶望しかないぞ!?



あ、遅くなるかも知れませんが決して逃亡はしませんのでこれからもよろしくお願いいたします!


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