神の弟子が箱庭に行くそうですよ? (やのちてぇ)
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第0話 キャラ紹介だそうですよ?

UA200&お気に入り登録、ありがとうございます!

これからも頑張っていくので応援宜しくお願いします!


さて、今回はキャラ紹介ということで少々、少なめです!

では、本編へどうぞ!


〜キャラ紹介〜

 

・名前

葛城冬夜(かつらぎとうや)

生前は極めて普通の高校生だった。だが、終業式を終え、春休み中、とても暇だった所に1冊の大きな本が落ちてきて、それに潰され人生の幕を閉じる。

 

・性格or強さ

普段は少々ふざけ気味なのだが、集中したり怒ったりすると人が変わったように一気に豹変する。

 

鈍感ではない。

与えられた仕事は完璧にこなす。

 

本気を出せば周りに渦巻く気迫だけで、近くの生物を絶命させる。

面倒くさい事は嫌いなので、あまり前に出る性格ではない。

 

友達思い。

 

・能力

『万物を創造し操る能力』

自分の想像出来るものなら何でも想像通りに作る事ができる。

ただし、料理を創造しても想像者の料理の腕前が下手ならば、料理は不味くなる。

 

『神力』

これは能力と言っていいのか分かりませんが、一応載せます。

神力の自己解釈としては、解放していない時よりも遥かにパワーアップする。

といった設定でいいんでしょうか…

 

一方通行(アクセラレータ)

運動量・熱量・光量・電気量など、体表面に触れたあらゆる力の向き(ベクトル)を任意に操作(変換)する能力。

 

デフォルトでは重力や酸素などの生活に必要最低限の無害な力を除いた全てのベクトルを「反射(ベクトルの反転)」するよう、無意識下で設定している。

 

睡眠時も反射が適用され完全に隙が無く不意打ちも常時無効。

 

※wiki、参照させて頂きました。

 

 

・・・

 

 

 

と、ここまでが作中に出てきた能力なのですが、作者的に少し物足りない感じがしたので、追加します!

(修行の時につけた、と言うことで…)

 

瞬間記憶能力(カメラアイ)

その名の通り、見たものを1度で記憶する事ができる。

 

これは前頭前野の働きが常人よりもとても強く、人よりも、より完璧に覚える事が出来るようになる、という能力。

 

『瞬間再生』

その気になれば、どんな怪我でも治してしまうことができる。

 

例え生き物の命が果ててしまったとしても僅か数秒で再生ができる。

 

容姿

生前はパーカーやジャージという、ファッションには少々疎かったが、二次創作等を読んで着物などが好きになった。

転生後は能力で着物を何着も作って以来、それを愛用している。

 

顔立ちは中世的、身長は175cmの八等身という皆の憧れのスタイルの持ち主。

だが、学生時代は1度も付き合った事がない…(告白もされてない)

 

これは冬夜には内緒です。by作者

 

「作者てめぇ!」

 

「バレた!?」

 

「あんな大声で言ってたら普通気づくぞ!?」

 

あれ…僕、そんな声大きかった…?

 

「しかも、付き合えないんじゃなくて付き合わないだけだし!」

 

「おっと、ツンデレかな?」

 

「ぶっ飛ばす」

 

「ごめんって!謝るからその拳を降ろして!」

 

「ごめん、もう止められない…」

 

バキィッ

 

「や、やりすぎだろ…冬、夜…」バタッ

 

ムクッ

 

「まだあるよ…あとは任せた…」バタッ

 

 

「タフだなぁ…ここからは俺がやるよ…」

 

 

 

 

 

「さて、次は何を紹介しようか…そうだ!作品の設定でも言っとくか〜」

 

って事でいきます!葛城冬夜の作品紹介、始まり始まり〜!

 

「…いやその必要は無いぞ…」

 

「え!?もう大丈夫なのか!?」

 

「まあ…作者だからね…」

 

(作者もチートじゃん…)

 

 

さあ皆さん、お待たせしました!作者による細かな設定です!どうぞ!

 

・世界設定

 

なるべく原作沿いではいく予定です…なにかイベントを立てても良いかもしれません!

 

ヒロインは誰にしようかな…

 

十六夜のヒロインについて、考えていなかったのですが、質問を頂いたし、折角なので飛鳥か黒ウサギにでもフラグを立てようかと思っています。

 

 

『十三番目の太陽を撃て』までしか原作知識を把握出来ていないので、早く揃えます…

 

 

 

 

 

 

 

…登場人物が少ないからもう話す事が無くなった…

 

 




ここまで見ていただき、ありがとうございます!


少なめで申し訳ないです!

次回も頑張りますので、お楽しみに!


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プロローグ
第1話 ありがとう…だそうですよ?


どうも、初投稿です。

かなりの自己満足で書いてしまったものなので文作りは上手くありません…

それでもいい、という方は見て行ってくださると、嬉しいです…

本編どうぞ…


20××年×月×日、天気/晴れ

 

ー日本ー

 

 

初春、桜舞い散る卒業の季節

 

ここには1人の少年が街中をブラブラと1人で歩いていた

 

 

「あ〜暇だなぁ…なんか面白い事でも起きないかな…」

 

本当ひまひまひまひま、アニメ見るのも飽きたし、スポーツだって飽きたしあ、でもラノベはおすすめするゾ。

 

あれは本当に面白い…

特に神様転生とかしてみたい…

 

俺はそんな事を思っていると、急に空から(あっ)と言う声がしたので上を向く、するとそこには…

 

 

 

大きな本が空から降ってきた

 

 

「…は?」

 

流石にこの距離とスピードでは誰であっても避けられはしない。

ガンッ!その音と共に1人の少年はこの世から消えた。死んだ、という意味ではなく、文字通り消えたのだ。

 

 

 

 

 

「…ん?何この状況…」

 

俺は目が覚めたら目の前に土下座をする老人が見えたのだ。

 

「ま、まずは状況を整理するか…」

 

まず初めに、俺はいつものように家の周辺をブラブラしていた。

え?学校?そんなもん春休みにきまってんだろう?俺は生まれてこの方学校を休んだことは無い!健康にだけは自信があるからな( ・´ー・`)ドヤァ

 

まあ、そんな話は置いといて、その後だ、俺はブラブラしていると突如空から声がした、上を見たら馬鹿でかい本が落ちてきたのが見えた。

 

んで次に、俺は死んだと思う。

理由としては落ちてきたのが本にしては言葉では表しきれない程の大きさと速さで落ちて来たからだ。

 

それに、意識が無くなっていくと同時に、身体が冷たくなって血がドバドバ出てたのが見えたからだ。

 

それで現在進行刑で俺の身に起こっているのが、謎の老人に土下座で謝られているんだ。

俺は老人が土下座している事を踏まえ、3つの予想を考えてみた。

 

 

1、これは実は夢。

俺は最近明晰夢を良く見るので、その類かと思う。

 

2、最近流行っていたVRMMOとかいうゲームかと思う、俺は持っていなかったのだが、弟がやっていて面白そうだったので、やってみたかった、という記憶はある。

 

3、念願の神様転生!

神様が間違えて俺を殺してしまって、お詫びに転生させてもらえる!

暇だったのが一気に楽しくなる!

嬉しい!

 

 

って…

 

 

1と2はありえるにしても、3は絶対ないだろw

あったら逆に驚きだわw

 

そう予想を立てながら、目の前の老人に質問をしてみる。

 

「なあ爺さん、いったいどれが正解だ?(・∀・)」

 

俺は神様転生系ならこの老人は心は読めるだろう、とそう思いながらニヤニヤと試すように聞く。

 

「そうじゃのう…3が正解かのう…」

 

「!?」

 

(え、ちょっとまって!?何、このジジイ、本当に神なの!?いやまて、まだ神と決まった訳ではな「儂は神じゃよ?」・・・)

 

「はあ…まさか1番無いと思ったのが当たるとは…まあ、嬉しいけど…」

 

「そう残念がらんでも嬉しいなら良いじゃろう…じゃが、本当にすまない。お主は儂の落としてしまった本のせいで死んでしもうたのじゃ…

許してくれ、とは言わん、だがしかしお主にはまだ寿命が残っておる、元の世界へは戻れないのだが、何処か好きな世界へ転生させなければならんのじゃ、返事の最速はせんからゆっくり決めていいんじゃぞ。」

 

俺はその言葉を聞いた瞬間、気持ちが高ぶる

 

「爺さん…本っ当にありがとう!実は俺、あの世界に未練が無い訳では無いんだが、かといってつまんない事ばっかりだから飽き飽きしてたんだ!だから、本当にありがとう!」

 

「…へ?ありがとう、と言われる筋合いは無いと思うのだが…まあ、それならそれで儂も、気が楽でいいわい…ありがとうな。」

 

「全然大丈夫さ、それより、転生先の事なんだけど、その前に能力とかって貰えたり出来るのか?」

 

俺は爺さんを許した所で神様転生のテンプレ的な流れを期待する

 

「おお、そうじゃったそうじゃった、願いならなんでも叶えてはやれるぞ?」

 

「やった!じゃあそれって何個までとか決まってるのか?」

 

(確か小説とかで叶えてくれる願いって3つぐらいまでだったよな…何にしようか…)

 

そう考えていると、予想外の答えが帰ってくる。

 

「ああ、願いに制限などは無いぞ、お主には悪い事をしてしまったからのう…」

 

「…は?何個でもいいの?」

 

「うむ」

 

と、爺さんは少し曲がっている腰をソリ返し自慢げな態度をとる

 

(〜〜っ!!どうしよう!興奮してきたぁー!)

 

「興奮しすぎじゃろ…とうじゃ?決まったか?」

 

「…よし!これでいいか!じゃあ今から言うからよろしく!」

 

「えっとまず…

 

世界→『問題児が異世界から来るそうですよ?』で頼む。

 

願い→『万物を創造し操る能力』、『身体能力の底上げ』『稽古をつけてほしい』

 

この三つだ!」

 

「ふむ、中々のチートじゃな…」

 

ふふふ、だろ?自分でもチート過ぎると思うよ(笑)

 

「だが、三つめの『稽古をつけてくれ』とはどういうことじゃ?」

 

「ああそれか、それはな問題児の世界ってチートが腐るほどいるんだよ、それに殺されでもしたら、元も子もないからなぁ…」

 

「なるほどな…それでは、今からお主の望みを叶えてやろう、まっとれよ」

 

そう爺さんは言い、手に光を集め初めた。

 

しばらくして、俺の目の前に輝く手を差し出してきた。

 

「ほれ世界の創造と身体能力は強化し終わった、あとは稽古だけじゃな。ほれ、ついてこい」

 

おお、力が溢れる…なんか爺さん1人で行ってるけどちょっと能力使ってみたいから、呼び止めるか

 

「あ、ちょっとまって?準備するから」

 

「そうか、わかった」

 

よし、じゃあとりあえず今来ている服は止めて着物でも着るかー俺、着物結構好きなんだよねー

 

んで次は…そうだ、防御系も欲しいな…一歩通行でも付けとくか…

 

…よしこれで防御は完璧だな。

 

 

よし、こんなもんかな

 

「出来だぞー!」

 

「よしでは行くかのう」

 

そういって俺らは神が開けた空間に入っていった

 

 

 

 

 

 

〜少年移動中〜

 

 

 

 

 

 

「おぉーなんかすげぇ」

 

「じゃろ?これも儂が作ったんじゃ」

 

んんー流石神様と言うべきか…多分精神と時の部屋もこんな感じなんだろうな〜

なんか重力とか色々違うし…

ん?平気かって?そりゃあ神様が身体能力強化してくれてるからな…

 

「さて、やるかの…これはどうじゃ?」

 

神はそう言うと手のひらサイズの炎の塊をだす。

 

見ただけで分かる、

 

これはやばい

 

 

「まてまてまて!こんなの死ぬって!まじで!こんなの星を何個か消滅できるだろ!?」

 

「うーん、まあそうじゃなあ…月とか太陽とかでも消せるじゃろうなぁ…」

 

「じゃあそれは出したらだめなやつだろ!?」

 

「はっはっは、誰がお主に力を与えたと思っておる、箱庭の1桁でも普通に戦って行けるぞ?」

 

えぇーそれってもう人じゃないじゃん…人外じゃん…

 

「当たり前じゃろ?」

 

神は、はっはっはと笑いながらこちらに向け炎の塊を飛ばしてくる

 

「…やるしかないのか?暑そうだけど…」

 

「そうじゃよ、やるしかない」

 

その言葉と同時に俺は気合いを入れ、拳を握り、思いっきり塊に向けて殴りつける

 

すると、どうだろうか

 

俺の拳を振りかぶった衝撃で、炎の塊は完全に消滅し、空間は切り裂け、突風が吹き荒れ、地面を抉りとったのだ、これは所謂オーバーキルというやつだ

 

「どうじゃ?出来ただろう?」

 

「どうじゃ?じゃねえ!え、何?これ、天災でも起きたの?」

 

「これがお主に与えた力じゃよ、力の使い方を覚えればこれくらいデコピンで出せるようになるぞ?」

 

はい、俺氏、人外決定〜

 

そんなことを思いながら、稽古をつけてもらい始めるのだった。

 

 

 

 

 

〜少年修行中〜

 

 

もうかれこれ、数百年は立ったのか、

修行が終わった

まあ、力を思ったよりすぐに使えるようになって内容としては雑談とかの方が多かったけど…まあ、なにより、

 

「楽しかったな、ありがとう、爺さん」

 

「いやいや、どうってことないぞ…それよりお主、なんか身体の変化に気づきはしないか?」

 

「ん?身体の変化?…あ!」

 

そう言われ、身体に意識を集中してみると、体の中に暖かな、そして爺さんに似た雰囲気が感じ取れた

 

「…これって、神力…?」

 

「そうじゃ、それは儂からのご褒美じゃなんせここまで頑張ってきたからの!」

 

爺さんはカッカと笑いだす

それを見て俺も笑う

 

「ははっ、ありがとうな…これまで…本当に…ありがとう!」

 

俺は感謝の言葉を言う度に悲しくなってくる

 

「何を泣いておるんじゃ、またいつでも会えるわい…気をつけてな…」

 

「ああ…行ってくるよ…」

 

そういうと手元に一つの手紙が落ちてくる

 

その手紙にはこう書いてある

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの〝箱庭〟に来られたし。』

 

その文を読み終えた瞬間俺の視界が真っ暗になる

 

その直前聞こえた言葉が

 

「頑張れよ」

 

だった

 

 

 

これは1人の少年が繰り広げる物語の始まりにすぎない…

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます!
いかがだったでしょうか?
皆さんに認めて貰えるよう精一杯頑張ります!

そして、次回作は成る可く早く出したいと思います

頑張りますので、評価の方よろしくお願いします…


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yes!ウサギが呼びました!
第2話 兄だそうですよ?


気づけばUA500越え、本当に嬉しいです…

暇潰しのために書いた物がここまで多くの人に見てもらえるなんて思いもよりませんでした…

ありがとうございます!


では、本編どうぞ!


どうも、冬夜だ。

いやーそれにしても、神様転生が出来たのは本当に驚いた…

 

しかも大好きな問題児シリーズ?の中だし…

 

 

 

 

 

今、なんで疑問系?とか思っただろ?

 

 

 

 

それはな…

 

今…現在進行形で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたら見知らぬ天井状態だからだ!

 

 

 

 

 

 

〜少年困惑中〜

 

 

 

 

 

 

 

たく…本当、何処だよここ…

 

俺はあまりの事実に自分が正気であるか、疑った。

 

「取り敢えず、情報収集に行かないとな…」

 

(いや、その必要は無いぞ)

 

「!?…ああ、爺さんか。どうかしたたのか?」

 

(いやな、転生する時に儂が少々ミスをしてしまってな…しかし、今お主が居る世界は『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』の世界で間違いないぞ。)

 

「おお、ならよかった。でも、なんで上空じゃないんだ?原作ではそうだっただろ?」

 

(問題はそこなんじゃ…)

 

「なんだ?」

 

俺は少々気になったため、聞いて見た。

すると衝撃な事実を聞いてしまう。

 

(聞いて驚くな…今お主が居る所は、『久遠飛鳥』の家じゃ)

 

「え?」

 

なんだって?久遠飛鳥?それってお嬢じゃん、なんでお嬢様の家にいんの?

 

「な、なぁ…なんで久遠飛鳥の家、なんだ…?」

 

(ああ、それは少々衝撃的かもしれんが、言うべきかの…いいか、良く聞けよ。お主はな…

 

 

 

 

 

 

『久遠飛鳥の兄』

 

 

 

 

 

 

という設定なのじゃ)

 

 

 

 

 

・・・は?

 

 

 

 

 

 

 

(おーい、大丈夫か?)

 

はっ!…いかん…あまりの事実に気を失い掛けてた…あぶねぇ…

 

(申し訳ないのう…)

 

「…まあ、それもありだろう…取り敢えず、これからの生活を楽しみますか。」

 

冬夜は見た目は10代なのだが、神の元での修行により、実年齢で言うと数百歳なのだ。少し前の冬夜なら、こうも早くに落ち着きはしなかっただろう。

 

(ほう、流石は儂の認めた男じゃな!)

 

神は、はっはっはと笑い関心、関心。

といっている。

 

暫くの間、神と少しの雑談をしていると、一つのとある疑問が脳裏に浮かび上がってくる。

 

 

「そういえば、これは聞いて起きたいんだけど、俺にも手紙は届くのか?」

 

まあ1回届いたが一応聞いておこうか

 

(ああ、その事か、その事は問題は無いぞ。なんせ儂じゃからな!その辺は心配せんでもよい。)

 

「ああ、なら安心だな。信頼しているぞ、爺さん。」

 

(ああ、儂もだ、ではな。」

 

「ああ、じゃあな」

 

 

俺はそういい、念話をやめる

 

「さあて、取り敢えず飛鳥でも探しますか」

 

俺は内心とてもほっとしていた。

 

何故かというと、強大な力を持った奴が居れば、十六夜の様な頭の良い奴に疑われたりするからな。

 

これは長年の修行の成果、と言ってもいい。なんせこのような出来事を何百、何千と乗り越えて来たからな。

 

と、そんな事を考えていると後ろからあら?と、こちらを呼ぶ声がが聞こえる。

 

「冬夜兄さん、目が覚めたようね。昨日はあれだけは暴れていたくせにね…」

 

(こいつは…飛鳥か、近くで見ると中々可愛いな…まあ、ここは話しを合わせておくか)

 

「まあ、1日立てば誰でも治るだろう。それより、どうしたんだ?」

 

「特に用はないわ、心配だったから来てみただけよ」

 

(そんなに俺ってやばかったのか…)

 

俺は昨日の知らない自分を哀れむように思う。

 

取り敢えず礼を言っておくか

 

「ありがとうな、飛鳥」

 

俺は感謝の言葉と同時に頭を撫でる

 

ああ、懐かしい感じがする

 

俺には前世で弟の頭をよく撫でてあげていた“記憶”がある

 

あくまでも記憶だ。

 

飛鳥の兄として暮らした記憶とすり替えられているから、少ししか覚えていないのだ。

 

すると飛鳥がワナワナと震え始めた

それと同時に怒り口調で

 

「あら、誰の頭を撫でているのかしら?」

 

「飛鳥のだが?嫌だったか?」

 

「い、嫌じゃないけれど…むしろ兄さんに撫でられるのなら嬉しい…」ボソッ

 

「なにか言ったか?」

 

「な、何もないわ!///」

 

そういうと、ドスドスと飛鳥は怒ったように部屋を出ていった。

 

 

勿論、全部聞こえていた。

 

飛鳥はつんとしたイメージだったが

案外お兄ちゃんっ子だったようだ。

 

まあ、それもそうか。

確か飛鳥は異能のせいで代わり映えのない日々に飽きて箱庭に行ったんだっけか…

 

 

 

その時、俺は決意をした。

 

 

 

 

 

 

一生を掛けて飛鳥を、妹を守る、と。

 

 

 

 

 

 

 

__あの日から数日が経った

 

 

それは突然の出来事であった。

 

久遠飛鳥、久遠冬夜の元へ1通の手紙が届いた。

 

 

その手紙にはこう書いてある。

 

 

『久遠飛鳥、久遠冬夜殿』

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし。』

 

 

 

 

勿論。手紙が届く事は事前に神から聞き知っていた。

 

「ついに来たか…一応、原作知識は消しておこう。」

 

 

 

 

 

瞬間、意識が暗転する。

 

 

 

 

 

…少々の時間が経った。

 

 

目を開けた先は、空中だった。

 

空中、というのは上空4000mだった。

 

如何せん俺にはこの風圧程度、反射する事ができる。なにも問題は無い。

 

それに、落ちる先には水があり、その上に薄い膜が貼られている。

これなら落ちても大丈夫だろう。

 

そう考えているうちに3人の人影と、1匹の小動物らしきものが視界に入る。

 

1人は俺も良く知る人物、妹の久遠飛鳥。

 

1人は金髪のいかにも問題児、といったヘッドホンが特徴的な青年。

 

1人は短髪の涼しげな服を着ている可愛らしい少女。

 

そして、最後の1人は…『ぎにゃああああ、お嬢ぉぉぉぉ!』…1匹は喋る猫だった。

 

いや、猫が喋っている訳ではないだろう。

 

俺は生き物の声なら何でも聞こえて、喋れるからな。

 

 

おっと、そんな事を考えてたらもう水面か。

 

ぼちゃん

 

4人と1匹は一斉に水に落ちるが、水膜のお陰で無傷ですむ。

 

皆泳げるみたいで手助けは要らないようだ。1人1人次々と湖から上がってくる。

 

はぁ…濡れてしまったな、この服お気に入りだったのにな…

 

俺はお気に入りの服(着物)が濡れてしまい、少々鬱な気分になる。

 

すると飛鳥が最初に不満気な雰囲気で口を開く

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

それに合わせて隣の金髪の少年も罵詈雑言を吐く。

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜ、コレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

いや、石の中は石の中で面倒くさいだろ…

 

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

飛鳥と青年は互いに背を向け合い、ふん、と鼻を鳴らして服の端を絞り始める。

 

それに続く形で短髪の少女も服の端を絞り始める、その隣では猫が全身を震わせ、水を弾く。

 

「ここ…何処だろう?」

 

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃないか?」

 

それを聞き、俺はほぅ、と関心の息を漏らす。

 

こいつ、よく周りを見ているな、と。

 

 

 

 

適当に服を絞り終えたヘッドホンの青年は髪の毛を掻き揚げながら、問う。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認するぞ。もしかして、お前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは“お前”っていう呼び方を訂正してもらえるかしら?……私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。」

 

飛鳥に忠告された金髪の青年はケラケラと笑いながら適当に返事を返していた。

 

…こいつ、名前で呼ぶ気無いな…

 

そうこう考えていると飛鳥がそれで、と言いながら短髪の少女の方を向く。

 

「そこの猫を抱き抱えている貴女は?」

 

「…春日部曜。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれよ、お嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

逆廻十六夜は心から楽しそうにケラケラと笑っている。

 

飛鳥はそれを見届けると今度は俺の方を向き、質問してくる。

 

まだ飛鳥は俺の事には気づいていない。

 

俺に話しかけ、顔を合わせて飛鳥が驚愕し話すことを忘れる。

 

「それで、そこの着物の人は…!?」

 

「よう、飛鳥。家振りだな。俺の名は、久遠冬夜だ。」

 

「兄さん…!来ていたのね!…でもどうしてかしら、兄さんは何も異能は持っていなかったはずなのだけれど…」

 

俺がここに来た事を飛鳥はとても不思議がっている。それもそのはず、飛鳥にはまだ言ってないからだ。

 

まあ、後々分かるだろう

それまでは黙っているか、面倒だし。

 

「ん、何でだろうな。まあ、何にしろ良かったじゃないか、また会えて」

 

「…そうね、じゃあこれからも宜しくお願いするわ?兄さん」

 

「ああ、こちらこそ」

 

俺の飛鳥が話し終わった後、十六夜が待てと呼び止める。

 

「なんで、お前は能力がないのに箱庭へ来れたんだ?確か手紙には『悩み多し少年少女に告げる。』と書いてあったはずだぞ?お前は何者だ?」

 

おっと、疑われてしまったか…まあ、ここでは場所も悪いし適当にはぐらかすか。

 

「まあ、後になって見せてやるよ」

 

「…へぇ」

 

あ、これは標的にされたな…

 

面倒だ…

 

まあ、今はそんな事より…

 

「そこにいるのは誰だ?」

 

茂みの中の人物を確認するのが先だ。

 

「なんだ、兄さんも気づいていたのね?」

 

「当たり前だ。多分、他の皆も気づいているんじゃないか?」

 

「ヤハハ!当たり前だろ?あれで隠れてるって言われたら今すぐこの石を投げて、ツッコミ入れてもいいね。」

 

「…風上に立たれたら嫌でも分かる」

 

「…へえ?面白いな、お前」

 

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていなかった。

 

すると、茂みがガサガサと動きだし、中から人影が現れる。

 

「や、やだなぁ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に話しを聞いて頂けたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「いいから早く話せ」

 

「あっは、最後の方以外に取り付くシマが無いみたいですね♪」

 

バンザーイと降参のポーズをとる、黒ウサギ。

 

しかしその眼は冷静に4人を値踏みしていた。

 

(肝っ玉は十分。ここで否定できる、という勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですが…)

 

と黒ウサギはおどけつつも冷静に思考している。

 

 

と曜がいきなり黒ウサギの横に立ち、黒ウサギの耳を鷲掴みした。

 

「えい」

 

「ふぎゃ!」

 

俺はそれを呆然と見ていた。

 

いくらなんでも初対面でそれはやりすぎだろう、と

 

俺が止めに行こうとした時、曜が口を開く

 

「好奇心のなせる技」

 

「…」

 

…もう、諦めよう…

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

今度は十六夜が掴みだす、それにつづき、飛鳥まで。

 

「まあ、頑張れよ、苦労サギ…」

 

「ちょ、そこの方!そんな事言わないで助けてください!」

 

「すまん…俺には無理だ」

 

「そんなぁぁぁ!」

 

 

どんまい…

 

 

 

 

俺は心から思った。

 

はたして、これから上手くやっていけるのか、と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご観覧頂き、ありがとうございました!

次回も宜しくお願いします!


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第3話 説明だそうですよ?

ご観覧頂き、ありがとうございます!

まさかのUA1000超えです!本当、嬉しい限りです…

後、評価やご指摘をして頂き感謝致します。よりよい作品作りに集中出来るのでこれからもお願いします!


今回は白夜叉の所まで行こう!と張り切ったのですが、説明で終わってしまいました…


では本編どうぞ!


「___あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話しを聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは…学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

 

 

「いいからさっさと進めろ」

 

 

黒ウサギはそう言われると半ば本気の涙を瞳に浮かばせながらコホン、と咳払いをして気を取り直し、両手を広げて

 

 

「それではいいですか?御四人様。定例分でいいますよ?言いますよ?さあ、言います!ようこそ“箱庭の世界”へ!我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

 

「ギフトゲーム?」

 

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが…」

 

 

はい。ここからは話しが長かったから俺が簡潔にまとめてみるとしよう。

 

 

まあこれは今更だが、俺たちは普通の人間ではないらしい。

 

皆それぞれ、神仏から、悪魔から、精霊から、星から恩恵を与えられたらしい。

 

次に『ギフトゲーム』についてだが、これは“恩恵”を使い、競い合うゲームらしい。

 

“箱庭”の世界は強大な力を持つ者が優位に立てるらしい。

 

とここまでが、大まかな説明だ。

 

…こいつ、何か隠しているみたいだ…

必死に勘づかれない用にしているが、バレバレだ。

 

これは原作知識とかではない。

 

原作の大部分の知識は消したが、ここはアニメの世界、という知識だけは残してある。

 

 

それに、十六夜も何かには勘づいているみたいだ。

 

そうこう考えていると、飛鳥が質問をするために挙手をした。

 

「まず初歩的な質問からしていい?貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かの?」

 

「yes!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」

 

 

「嫌だね」

 

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者”が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

 

「……“主催者”って、誰?」

 

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すために試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。

特徴として、前者は自由参加が多いですが、“主催者”が修羅神仏なだけあって、凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。

“主催者”次第ですが、新たな“恩恵”を手にすることも夢ではありません。

後者は参加のためにチップを用意する必要があります。

参加者が敗退すればそれらはすべて“主催者”のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

 

「後者は俗物ね…チップには何を?」

 

 

「それも様々ですね。金品、土地、利権、名誉、人間……そしてギフトを掛け合うことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを書けた戦いに負ければ当然__ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

黒ウサギは愛嬌たっぷりでそう言った。

 

挑発ともとれるその笑顔に、同じく挑発的な声音で飛鳥が問う。

 

「そう。なら最後にもう一つだけ質問させてもらっていいかしら?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」

 

飛鳥は黒ウサギの発言にピクリと反応する

 

「……つまり『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのもの、と捉えていいのかしら?」

 

お?と黒ウサギは驚く

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違えです。

我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などはもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します___が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!1方の勝者だけが全て。手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にする事も可能だということですね」

 

「そう、中々野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし“主催者”は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話しでございます。」

 

なるほどな…飛鳥の言う通り、結構野蛮だな、しかし黒ウサギの言い分は分かるな。これは爺さんに何度も教えて貰った事なのだが、勝負は何事も“負けた方が悪い”だ。敗者は潔く、負けを認めるべきだと俺は思う。

 

そんな簡単な事を俺はできなかったんだがな…おっと、黒ウサギが何か喋っているようだ、俺も幾つか質問はしておきたかったが飛鳥が大体は聞いてくれたからいいだろう。それに、質問はコミュニティについてから受け付けるらしい、え?コミュニティに入るのか?それは、飛鳥に合わせるとするよ…

 

「待てよ、まだ俺が質問してないだろ」

 

…?何か、十六夜が黒ウサギに質問があるそうだ…

 

今まで清聴していた十六夜が威圧的な声を上げて立つ。ずっと刻まれていた軽薄な笑顔が無くなっていることに気づいた黒ウサギは、構えるように聞き返す。

 

「……どういった質問です?ルールですか?ゲームですか?」

 

「そんなのはどうでもいい、腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。俺が聞きたい事はただ一つ___

 

 

この世界は___面白いか?

 

 

この質問の返事には俺も他の2人も無言で返事を待つ。

俺らを読んだ手紙には確かこう、書いてあった。

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

 

その返事を黒ウサギは満面の笑みで答える

 

「___yes。『ギフトゲーム』は人を超えた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証致します♪」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

黒ウサギへの質問も終わり、俺たちは箱庭へと足を運んでいた。

すると、後ろから十六夜が俺を読んでいる事に気がつく。

 

「……なぁ冬夜、今から“世界の果て”を見に行かないか?」

 

「ふむ、世界の果て、中々面白そうだな」

 

「だろ!?お前なら分かってくれると思ったよ、で行くか?」

 

「ああ、少し待ってくれ」

 

中々面白い事になりそうだと思った俺は、飛鳥にこの事を伝える事にした。

 

「飛鳥」

 

「あら兄さん、何の要件かしら?」

 

「ああ、今から十六夜と世界の果てを見に行こうと思っているのだが、行ってもいいか?」

 

「なんだ、そんな事ね。大丈夫よ、では黒ウサギにはどう伝えておけばいいかしら?」

 

「そうだなぁ、じゃあ十六夜と一緒に世界の果てを見に行ってくる。とだけ伝えておいてくれ」

 

「分かったわ、では気をつけてね兄さん。無茶は駄目よ?」

 

「ああ、分かっている。じゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 

「終わったか?」

 

「ああ、黒ウサギに伝えておいてくれとだけ言っておいた」

 

「おお、仕事が早いな。じゃあ早速行くか……折角だし、競走でもしないか?」

 

「競走か?いいぞ、合図は十六夜が出してくれ」

 

「おう、分かった。じゃあいくぞ?ヨーイ…ドンッ!」

 

十六夜が合図し、俺達2人は一斉に飛び出す。

 

現在森の中を第三宇宙速度以上で駆け抜けている2人の衝撃波で周りの木々がなぎ倒され___ることは無く、衝撃波は冬夜が全て消していた。

 

「…なぁ、なんでお前このスピードについてこられるんだ?」

 

「さあ!何でだろうな、まあ、後で嫌という程分からせてやるつもりだがな」

 

「ヤハハ!やっぱお前は思った通り面白い奴だな!じゃあまた楽しみにしておくよ…」

 

うわ…凄い満面の笑顔だな…少々要らない事を言ってしまったきがする…

まあ、いいか…

 

「ああ、その時になったらな…」

 

俺は適当に返事をした…

 

 

 

 

 

 

〜十六夜side〜

 

俺は今生まれて初めて俺とまともに走れる相手を見つけた。

 

…本当に何者なんだ?お嬢様の兄である事は分かるんだか…こいつは自分の事を一切口に出していない、しかも妹である飛鳥にも言っていないようだ…

 

なんでこうも____

 

 

 

 

面白いんだろうな。

 

それと同時に俺は思う。

 

 

 

 

箱庭へ来て、正解だった……

 

〜十六夜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

〜冬夜side〜

 

「ふむ、もう少しで着くな…少し速度を上げるか…」

 

「なっ!お前、まだ上がるのか!?」

 

「まあな、正直な所これでまだ全力の1割も出してないぞ」

 

まあ俺が本気出しちゃったら走った衝撃で空間開くけどな…

 

…いつか、本気を出す時があったら全力で衝撃消さないとな…

 

あ、十六夜が唖然としてる

まあ無理もないだろうな、自分よりも優れたやつが目の前にいるんだからな、しょうがないか。

 

 

・・・

 

あ、笑顔に変わった。どうせ「箱庭に来て正解だったな!」とか思っているんだろ?黒い笑顔がそう語っているぞ?

 

…これは後で質問攻めにされるな…

 

よし、じゃあそろそろ行こうか…話しかけ難いなぁ…

 

 

 

「さ、さて十六夜、そろそろいくぞ?準備はいいか?」

 

「ハッ!いつでも来やがれ!」

 

「よしいくか、じゃあ…1割でどうだ?あと、重りもプレゼント。」

 

 

「早えぇ!?待て!しかも、なんだこの背中のやつは!」

 

 

「重りだ。しかし、俺は待たないぞ?これは競走だからな」

 

「ちくしょおおおお!!」

 

ははは、まあせいぜい頑張りな。

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦♦

 

 

「はあ…はあ…」

 

「お、中々速かったぞ。お疲れ」

 

俺が先に着いて適当な木の傍に座っていると息を切らした十六夜が何かブツブツと言いながらこちらに向かってくる

 

「てめぇ…この重りクソ重いじゃねえか…いったいどれ位あるんだよ…」

 

「ん〜、ざっと10kt程だと思うぞ。よく持てたな、お前」

 

「!?重すぎるだろ!」

 

「ははは、まあ持てたし良かっただろ?」

 

「良くねえよ!」

 

そんなやり取りをしていると湖の中から大蛇が出てくる

 

『よく来たな小僧共。さあ、試練を選べ』

 

「…十六夜、こいつが神仏じゃないのか?」

 

「ほぉ〜?面白そうだな、折角だから俺を試せるかお前を試してやるよっと!」

 

十六夜は掛け声と共に大蛇の懐へ入り、蹴りを一発入れる。

 

「程々にな…」

 

十六夜が湖の大蛇を蹴りつけると大蛇は蹴られた勢いで水に沈む。

 

「なんだ?もう終わりか?」

 

「む?誰か来るぞ?」

 

「もう、一体何処まで来ているんですか!?」

 

ああ、黒ウサギか

俺は誰かが来る気配を察知し、少々身構えていたが、その必要は無さそうだ

 

まあ、この質問には十六夜が答えるだろう。

 

「“世界の果て”まで来ているんですよ、っと。まあそんなに怒るなよ」

 

うわ…いつも思うが十六夜の笑顔ってどこか憎たらしいな…

 

「しかしいい脚だな。冬夜に邪魔をされたとはいえこんな短時間で俺達に追いつけるなんてな」

 

「ああ、確かにいい脚をしているな。」

 

「むっ、当然です!黒ウサギは“箱庭の貴族”と謳われる優秀な貴種です。その黒ウサギが…」

 

アレ?と首を傾げる黒ウサギ

 

(この黒ウサギが半刻以上もの時間、追いつけなかった…?)

 

「…ま、まあそれはともかく!お二人がご無事で良かったデス。水神のゲームに挑んだと聞いて肝を冷やしましたよ」

 

「水神?___ああ、アレのことか?」

 

え?と黒ウサギは硬直する

 

『まだ…まだ試練はおわってないぞ、小僧ォ!』

 

「!?どうやったらこんなに怒らせるんですか!?十六夜さん!」

 

「いやな…十六夜には程々にとは言ったんだがこの大蛇があまりにも弱すぎてな…十六夜がやった…」

 

「何をしているんですか、十六夜さん!」

 

スパァン!、と黒ウサギは何処からともなくハリセンを取り出し十六夜の頭を叩く。

 

これを見ていた水神は更に怒る

 

『……付け上がるな貴様ら!我がこの程度の事で倒れるか!!』

 

蛇神の甲高い咆哮が響き、牙と瞳を光らせる。巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る。

 

「御二方!お下がりください!」

 

黒ウサギは庇おうとするが、そんな事はさせないと俺は止める。

 

「待て黒ウサギ、これは十六夜が売ってアイツが買った喧嘩だ。手を出してはいけない」

 

「っ!」

 

流石の黒ウサギも始まってしまったゲームには手を出せないと気づいたのか、歯噛みをしながら言う事を聞く。

 

『心意気は買ってやろう。それに免じ、この一撃を凌げば貴様の勝利を認めてやる』

 

「ハッ、寝言は寝ていえ。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない、敗者を決めて終わるんだよ」

 

求めるまでも無く、勝者は決まっている。

 

『フン___その戯言が貴様の最期だ!』

 

蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のように渦を巻いた水柱は蛇神の丈よりも高く舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げる。

 

水柱は計三本。それぞれが生き物のように唸り、蛇のように襲いかかる。

 

「ちょ、え?何で俺まで?」

 

「ヤハハ、丁度いい。お前の力見せてもらおうか!」

 

ったく…笑い事じゃねえよ…

 

「十六夜さん!冬夜さん!」

 

「____ハッ____しゃらくせぇ!」

 

「そい」

 

十六夜は腕一振りで嵐をなぎ払い、冬夜は手で仰いだだけで吹き飛ばす。

 

「嘘!?」

 

『馬鹿な!?』

 

「ま、中々だったぜオマエ」

 

十六夜は大地を踏み砕きつつ、龍神の胸元へと飛び込む。

 

そのまま十六夜が蛇神の胴体を蹴り、蹴られた蛇神の胴体は中高くと打ち上げられて川に落下した。

 

その衝撃で川が氾濫し、水で森が浸水する。

 

また全身を濡らした十六夜はバツが悪そうに川辺に戻った。

 

「くそ、今日はよく濡れる日だ。クリーニング代ぐらいさ出るんだよな黒ウサギ」

 

「そのくらい大丈夫だぞ、十六夜。俺が乾かしてやろう」

 

「お、冬夜はそんな事も出来るのか。ならお願いしようか」

 

その頃黒ウサギは1人でパニックに陥っていた

 

(人間が…神格を倒した!?そんなデタラメが____!)

 

ハッと黒ウサギは思い出す。彼らを召喚するギフトを与えた“主催者”の言葉を。

 

「彼らは間違いなく___人類最高クラスのギフト保持者よ、黒ウサギ」

 

(信じられない……だけど、本当に最高クラスのギフトを所持しているのなら…!私達のコミュニティ再建も、夢じゃない!)

 

黒ウサギは内心の興奮を抑えきれず、鼓動が早くなるのを感じた

 

そんな興奮状態を覚ますように十六夜が声をかける。

 

「おい、どうした?ボーっとしてふお胸とか脚を揉むぞ?」

 

「え、きゃあ!」

 

「まあ、その辺にしておいてやれ、十六夜」

 

「な、ば、おば、貴方はお馬鹿です!?二百年守ってきた黒ウサギの貞操に傷をつけるおつもりですか!?」

 

「二百年守った貞操?うわ、超傷つけたい」

 

「お馬鹿!?いいえらお馬鹿!」

 

「まあまあ」

 

「ヤハハ、ま、今回は冬夜に免じて後々の楽しみに回してやろう」

 

「さ、左様デスか」

 

「ところで黒ウサギ、十六夜が倒した蛇神から何かもらって来なくていいのか?」

 

「あ、そうデスね。ならギフトだけでも戴いておきましょう。ゲームはどうであれ、今回は十六夜さんの勝利ですから蛇神様も文句はないでしょう」

 

「分かった、ならこれでもいいか?」

 

俺は蛇神から小さな木のようなものを取り出す。

 

「うっきゃー!それは“水樹”ですよ!これでコミュニティの水問題も安泰です!ありがとうございます!」

 

黒ウサギが俺の手にある水樹を受け取ろうとする、が俺はそれをヒョイと躱す。

 

「おっと黒ウサギ、これを渡す前に少し聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 

「あ、俺も質問がある。多分冬夜と同じだろうがな」

 

「はい…?何でございましょうか…どんな質問でもお受け致しますヨ!」

 

「ああ、じゃあ黒ウサギ。お前俺達に何か決定的な事をずっと隠しているよな?」

 

「!?……なんの事です?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、ゲームの事も」

 

そこで違うな、と十六夜。

 

「俺達が聞いていのはオマエ達の事___いや、核心的な聞き方をするぜ。黒ウサギ達はどうして俺達を呼び出す必要があったんだ?」

 

表情には出さないものの、黒ウサギの同様は激しかった。

 

冬夜と十六夜の質問は黒ウサギが意図的に隠していたものだからだ。

 

「それは…言った通りです。十六夜達オモシロオカシク過ごしてもらおうと」

 

「いや嘘だな。これは俺の勘なんだが、黒ウサギのコミュニティは弱小チームか、若しくは訳あって衰退したチームなんじゃないのか?だから俺達は組織の強化のために呼び出された。そう考えれば今の行動や、俺がコミュニティに入るのを拒否した時に本気で起こった事も合点がいく___どうよ?100点満点だろ?」

 

「っ……!」

 

黒ウサギは内心痛烈に舌打ちをした。

この時点でそれを知られてしまうのはあまりにも手痛い。十六夜や冬夜のような挑戦力、手放すような事は絶対に避けなければならない。

 

十六夜の後に俺が付け足す。

 

「この事実を隠していたという事はまだ俺達に他のコミュニティを選ぶ権利があると判断できる…どうだ?」

 

「……」

 

「沈黙は是也、だぞ黒ウサギ。それとも、他のコミュニティに行ってもいいのか?」

 

「や、だ、駄目です!いえ、待ってください!」

 

「じゃあ今隠している事を洗いざらい全部話して貰おうか」

 

俺達は適当な石に腰を下ろし聞く姿勢をとる。

 

「……分かりました。それではこの黒ウサギ、精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」

 

黒ウサギはコホン、と咳払い。

 

 

 

さあ、どんな面白い事が聞けるのか……

 

箱庭へ来て正解だったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はコミュニティの説明と虎男、白夜叉編です!


お楽しみに!


ありがとうございました!


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第4話 2人はノーネームに入るそうですよ?

どうも!やのちてぇです!

この度はご観覧頂き、ありがとうございます!

気づけば評価もコメントもお気に入りetc..沢山増えていてびっくりしました!

これからも頑張りたいと思います…(><)

本当にありがとうございます!


では本編どうぞ。


 

「……分かりました。それではこの黒ウサギもお腹を括って、精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」

 

黒ウサギはコホンと咳払いをする。

 

「まず私達のコミュニティには名乗るべき“名”がありません。よって呼ばれる時は名前のないその他大勢、“ノーネーム”という蔑称で称されます」

 

「ほう?その他大勢扱いされるのか、それで?」

 

「はい。次に私達にはコミュニティの誇りである旗印もありません。この旗印というのはコミュニティのテリトリーを示す大事な役割も担っています」

 

「ふぅん?それで?」

 

「“名”と“旗印”に続いてトドメに、中核を成す仲間達は1人も残っていません。もっとぶっちゃけてしまえば、ゲームに参加出来るだけのギフトを持っているのは122人中、黒ウサギとジン坊ちゃんだけで、後は10歳以下の子供ばかりなのですヨ!」

 

「もう崖っぷちだな!」

 

「ホントですねー♪」

 

「……」

 

黒ウサギは十六夜の冷静な言葉にウフフと笑い、ガクリ膝をついて項垂れる。

 

しかし俺はそんな中疑問に思う事が幾つかあった。

 

「…どうしてそんな事になったんだ?親が子供をコミュニティに置いて去る。という事はあまり無いとは思うのだが…」

 

「…いえ、彼らの親は全て奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災_____“魔王”によって」

 

「なに、それは本当k「ま、マオウ!?」

……」

 

「十六夜…今は俺が喋っていたぞ?」

 

「悪いな、でもよ…魔王ってなんだよそれ!超かっこいいじゃねえか!箱庭には魔王なんて素敵なネイミングで呼ばれる奴がいるのか!?」

 

俺と黒ウサギは、玩具を見つけた子供さながらにはしゃぐ十六夜を見て、少々唖然とする。

 

「え、ええまあ。けど十六夜さんが思い描いている魔王とは似て異なる部分があるかと……」

 

「そうなのか?けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも崇められることの無いような素敵に不敵にゲスい奴なんだろ?」

 

……十六夜は何を言っているんだろうか……

 

黒ウサギは十六夜の反応に少々戸惑った様な感じで問いかけに答える

 

「ま、まあ…倒したら多方面から感謝される可能性はございます。倒せば条件次第で隷属させる事も可能ですし」

 

ふむ、それはいい事を聞いたな。次に魔王が現れたなら隷属させて見るのもありかもしれないな……目的は無いがな。

 

俺はそんな事を考えていると黒ウサギが話しを続ける

 

「魔王は“主催者権限”という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたが最後、誰も断る事はできません。私達は“主催者権限”を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは……コミュニティとして活動していく為にも必要な全てを奪われてしまいました」

 

これもまた比喩ではない。黒ウサギ達のコミュニティはその地位も名誉も仲間も、全て奪われたのだ。残されたのは空き地だらけとなった廃墟と子供達だけである。

 

しかし十六夜は同情する様子も無く、組んでいた脚を組み直す。

 

冬夜もまた、何の反応も示さず話しを聞き続ける。

 

「しかし名前も旗印も無いというのは不便な話だな。何より縄張り

主張できないのは手痛いだろ。新しく作ったら駄目なのか?」

 

「そ、それは」

 

十六夜の提案に俺も話を乗せる

 

「確かに、十六夜の言う通りだ。黒ウサギ達は何故、どのような理由があってそのような窮地に自ら立っているんだ?」

 

黒ウサギは言い淀んで両手を胸に当てる。十六夜と冬夜の指摘は正しい。名も旗印も無いコミュニティは誇りを掲げる事もできず、名に信用を集めることもできない。この箱庭において名と旗印が無いということは、周囲に組織として認められない、という事だ。

 

だからこそ黒ウサギ達は、異世界から同士の召喚という最終手段に望みを掛けていたのだ。

 

「か、可能です。…ですが改名はコミュニティの完全解散を意味します。しかしそれでは駄目なのてます!私達は何よりも……仲間達が帰ってくる場所を守りたいのですから……!」

 

仲間の帰る場所を守りたい。それは黒ウサギが初めて口にした、掛け値のない本心だった。“魔王”とのゲームによって居なくなった仲間達の帰る場所を守るため、彼女達は周囲に蔑まれることになろうとも、コミュニティを守る誓いを立てたのだ。

 

「茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さん、冬夜さんのような強大な力を持つプレイヤーを頼るしかありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか……!?」

 

「……ふぅん。魔王から仲間をねぇ」

 

深く頭を下げて懇願する。しかし必死の告白に十六夜は気のない返事で返す。冬夜は無言で黒ウサギを見ている。

 

その態度は黒ウサギの話を聞いていたとは思えない。黒ウサギは方を落として泣きそうな顔になっていた。

 

(ここで断られた……私達のコミュニティはもう……!)

 

黒ウサギは唇を強く噛む。こんな後悔をするなら、初めから話せばよかった。

 

「いいな、それ」

 

「______……は?」

 

「ha?じゃねえよ。協力するっ言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ、それに勿論冬夜も協力するよな?」

 

「当たり前だ。ここでコミュニティへの参加を断ったとしても特に行く宛もないのでな」

 

呆然として立ち尽くすその黒ウサギは2人の答えを聞き、二度三度と聞き返す。

 

「え……あ、あれれ?今の流れってそんな流れでございました?」

 

「そんな流れだったぜ。それとも俺達が要らねえのか?失礼な事言うと本気で余所行くぞ」

 

「だ、駄目です駄目です!絶対に駄目です!御二方は私達に必要です!」

 

「素直でよろしい、冬夜、お前の持っている水樹を黒ウサギに渡してやってくれ。その後は川の終端にある滝と“世界の果て”を見に行くぞ」

 

「ああ」

 

「は、はい!」

 

世界の果てで良い雰囲気になっている二人を見守るように眺めていた冬夜の事はまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

-飛鳥side-

 

「兄さん、行ってしまったわね…」

 

 

 

 

「?飛鳥…さんは冬夜さんのことが好きなの?」

 

「え!?す、好きではないわ!」

 

私は突然の事に少し戸惑った様子で答える。

 

でも…この気持ちは好き…ということなのかしら?

 

 

____って!私達は兄弟じゃない!なんどこんな事を私は考えているのかしら…

 

ただ…

 

「…冬夜兄さんは私のただ1人の兄よ。後、私の名前は飛鳥と読んでくれて構わないわ」

 

うん、そうよね。私は冬夜兄さんの事をこころから信じている、この気持ちだけで十分だわ…

 

…春日部さんは名前で読んでいいと言った時は少し嬉しそうだった。

 

「そう、宜しくね、飛鳥」

 

「ええ」

 

そんな他愛の無い話をしていると入口に到着したのか、黒ウサギが脚を止める。

 

 

「ジン坊ちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性2人が?」

 

「はいな、こちらの御四人様が____」

 

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「……え、あれ?もう二方いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている方と見た目に似合わず大人びたオーラをだす方が」

 

「ああ、十六夜君と兄さんの事?あの2人なら“ちょっと世界の果てを見てくる”と言って駆け出して言ったわ。あっちの方に」

 

あっちの方に。と指を指すのは上空4000mから見えた断崖絶壁。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「“止めてくれるなよ”と言われたもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒臭かっただけでしょう、お二人さん!」

 

「「うん」」

 

黒ウサギはガクリ、と前のめりに倒れる。

 

すると黒ウサギは何かを思い出したように突然焦り出す。

 

「た、大変です!“世界の果て”には野放しにされた幻獣がいるのです!」

 

「幻獣?」

 

「はい、ですが今はそんな説明をしている暇はありません、説明の方は後ほど致しましすので黒ウサギは御二方を連れ戻しにいってまいります!」

 

「え、ええ分かったわ」

 

「ではジン坊ちゃん、後はよろしくお願いします 」

 

「分かった。」

 

黒ウサギはそれだけ言うと弾丸のようにその場を飛び去る。

 

「……箱庭のウサギは随分早く飛べるのね。素直に関心するわ」

 

「…黒ウサギも行ってしまったことだし、これからの案内は貴方がしてくれるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一歳になったばかりの若輩ですがよろしくおねがいします」

 

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

 

「春日部耀」

 

ジンが礼儀正しく自己紹介をする。飛鳥と耀はそれに倣って一礼した。

 

「さ、それじゃあ箱庭へ入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取ると、胸を踊らせるような笑顔で箱庭の外面をくぐるのだった。

 

 

 

 

 




今回少ない!自分でも思いました…「手を抜きすぎだろ!?」と…

本っ当に申し訳ないです…

これからもこんな感じで進んでいく事があると思いますが、暖かい目で見守って頂けると幸いです…




……白夜叉出したい_(꒪ཀ꒪」∠)_


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第5話 白夜の星霊と合うそうですよ?

どもども、やのちてぇです。まさかのUA3000越え…
感謝感謝感謝です!
それと、

前書きを書く前に一言……。

投稿するのサボってすみませんでしたぁぁ!
書かないと、書かないと…とは思っていたのですが気づけば5月…本当、ふざけんなって話ですよ全く。

でも一応白夜叉出せたから嬉しい…(笑)

これからも投稿遅れる事がありますかもしれぬですけれど、何卒大目に見ていただけると嬉しいでございます。

では長くなりましたが、本編どうぞ。


「な、なんであの短時間に“フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」

「しかもゲームの日取りは明日!?」

「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」

「準備している時間もお金もありません!」

「一体どういうつもりがあってのことです!」

「聞いているのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

誰が言い出したのか、まるで口裏を合わせたかのような言い訳に激怒する黒ウサギ。

 

「まあ、その辺にしておいてやれ黒ウサギ。飛鳥達も一応は考えて行動しているだろう。それに話を聞く限りで俺もゲームを挑んでいたしな。」

 

「そうだぜ黒ウサギ。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

 

「はぁ〜 ……。仕方がない人達です。まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じくですし。“フォレス・ガロ”程度なら冬夜さんと十六夜さんがいれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

 

「当たり前よ。貴方なんて参加させないわ。勿論、兄さんもよ?」

 

「そうか…飛鳥、勝算はあるのか?」

 

「ええ、十分にね」

 

「そうか、それなら大丈夫だろう」

 

「大丈夫だろう。じゃありません!御二人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと!」

 

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

 

十六夜が真剣な顔で黒ウサギを右手で制する

 

「いいか?この喧嘩は、コイツらが売った。そしてヤツらが買った。なのに俺達が手を出すのは無粋だっていってるんだよ」

 

「まあ、そうだな」

 

「あら、分かってるじゃない」

 

「……ああもう、好きにしてください」

 

丸1日振り回され続けて疲弊した黒ウサギはもう言い返す気力も残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦♦♦♦♦

 

椅子から腰を上げた黒ウサギは、横に置いてあった水樹の苗を大事そうに抱き上げる。

 

コホンと咳払いをした黒ウサギは気を取り直して全員に切り出した。

 

 

「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎する為に素敵なお店を予約して色々とセッティングをしていたのですけれども……不慮の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。

また後日、きちんと歓迎を」

 

「いいわよ、無理しなくて。私達のコミュニティってそれはもう崖っぷちなんでしょう?」

 

驚いた黒ウサギはすかさずジンを見る。彼の申し訳なさそうな顔を見て、自分達の事情が知られたのだと悟る。

 

「も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが……黒ウサギ達も必死だったのです」

 

「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでも良かったもの。春日部さんはどう?」

 

「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうでも……あ、けど」

 

思い出したように迷いながら呟く耀。

 

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らに出来る事なら最低限の用意はさせてもらいます」

 

「そ、そんな大それた物じゃないよ。ただ私は……毎日3食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」

 

ジンの表情が固まった

水の確保が大変な土地でお風呂というのは、1種の贅沢品なのだ。

 

「それなら大丈夫です!十六夜さんと冬夜さんのお二人がこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要も無くなりますし、水路を復活させる事もできます♪」

 

それを聞いたジンの表情はパッと明るくなる。

 

「私達の国では水が豊富だったから毎日のように入れたけれど、場所が変われば文化も違うものね。今日は理不尽に湖に投げ出されたからお風呂には入りたかったところよ」

 

「それには同意だぜ。あんな手荒い招待は二度と御免だ」

 

「あう……それは黒ウサギの責任外の事ですよ……」

 

「あはは……それじゃあ今日はコミュニティに帰る?」

 

「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら“サウザンドアイズ”に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹の事もありますし」

 

「“サウザンドアイズ”とは、コミュニティの名前か?」

 

「yes。“サウザンドアイズ”は特殊な瞳を持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです」

 

「ギフト鑑定とは?」

 

「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事デス。皆さんと力の出処は気になるでしょう?」

 

黒ウサギは三人に同意を求める。冬夜を除く三人は思う事がそれぞれあるのだろうが、拒否する声は無い。

 

一方冬夜はというと____

 

 

 

 

 

 

______頭を抑えて蹲っていた。

 

 

「なっ…どうしたんデスか?!冬夜さん!?そんなに黒ウサギの話が長かったでしょうか?」

 

「兄さん!大丈夫なの!?」

 

「冬夜!大丈夫か!?」

 

「冬夜さん、大丈夫?」

 

「あ、ああ…大丈夫…ぶ…だ…」

 

大丈夫。と答えるものの、冬夜の意識は飛びかけだった。

 

なんだ、これ…痛い…

 

痛い痛い

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

気が狂いそうになる程の痛みが津波のように押し寄せてくる。なんとか倒れまいと踏ん張っていたのだが遂に痛みは限界を達したのか、冬夜はそのまま意識を手放し、その場に倒れ込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦♦♦♦

 

目が覚めるとそこはとても見覚えのある白い部屋だった、すると後ろから一人の聞き覚えのある老人の声がする。

 

「よう、久しぶりじゃな。冬夜」

 

その言葉で冬夜はここが何処なのかということを察した。

 

「……もう少しましな呼び方があったんじゃ無いのか?神様(・・)?」

 

そう、ここは冬夜が第二の人生を歩むきっかけとなった場所だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっはっは、いやぁすまんかったな。」

 

「まあ、すまんで済む痛みでは無かったと思うけどな…で?要件は何なんだ?」

 

「ああ、その事じゃがなお主、前はあの程度の痛み、気にも止めなかったはずじゃ無かったかの?」

 

「……どういうことだ?」

 

俺は爺さんが言っている事が少々理解ができなかった、あの痛みを感じ無かった。とはどういう事だろうか、それと何故前は痛くなかったのに今は痛いのか。

 

疑問に疑問が重なり分からなくなる一方だった。

 

「まあ、そんな悩まんでもよい。答えは簡単じゃ……」

 

「と、いうと?」

 

「ああ、お主には箱庭へ行くまでに少し力を封印していたのじゃ」

 

「なに?それは何のためなんだ?そしていつからなんだ?」

 

「そうじゃなあ…お主が久遠家に転生した頃くらいじゃのう、生憎あの世界で強大すぎる力を持ってしまうとお主の生活が全て狂ってしまっていたからな」

 

「な、なるほど…(全く気が付かなかった…)」

 

「そのせいでお主の口調も身長も若干ズレがあるのじゃ。多分自分では何の違和感もあるまい。がしかし、それが封印の証拠じゃ」

 

ん?ちょっとまて

 

「なあ爺さん…力を封印したら口調と身長って変わるものなのか…?」

 

「まあ、色々とあったんじゃよ…」

 

(色々とは何なのだろうか……)

 

「ま、という事じゃから今から封印をとくぞ。少し時間がかかるから待っておれ」

 

「ああ…まあ、分かった…よろしく頼む」

 

「うむ」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1時間後〜

 

「ふぅ…終わったぞ」

 

「おお、なんか体が軽くなったぞ、それに視線も高くなった」

 

「そうじゃろう?それが解除の証じゃよ。(これでプロフィール通り…)」ボソッ

 

「ん?爺さん今何か凄い事言わなかったか?」

 

はて、俺の聞き間違いかな。…こう見えて耳には自信があるんだけどな…

 

「いんや?なにも言っとらんよ」

 

「そうか、それならいいよ」

 

「うむ、それでいいんじゃ。では、もう意識を戻すがいいか?」

 

「おう、特に何も準備することは無いしいいぞ」

 

「分かったでは行くぞ、少しの間目を瞑っておれ」

 

「わかった」

 

そう言って目を瞑る。

 

すると頭の中がパッと白くなり、それと同時に線香の独特な香りと畳のいい匂いが鼻を通る。

 

ここが何処かを把握するため、俺はムクリと上半身を上げる。

 

「ん……よいしょ……」

 

すると皆が上座の方へ向き、上座に座っている白髪の少女(幼女)の話しを聞いている最中だった。

 

何やら玉ねぎやバームクーヘン等と聞こえたが一体どんな話しをしているのか、そんなことを考えていると、俺が起き上がったからか話が止み、皆が一斉にこっちを見る。飛鳥に関しては泣きそうになるのを抑え、目頭に涙を溜めながらこちらを見ている。

 

……あちゃー、これは迷惑をかけてしまったな……

 

少し反省していると黒ウサギが白髪の少女(幼女)の前から離れ、こちらに向かって来ようとした、がその前に飛鳥が黒ウサギを押しのけ、俺の胸に飛び込んできた。

 

「あ!冬夜さん!大丈b「兄さん!!」

 

急に横に押しのけられ、重心を崩し、庭の池まで吹っ飛び唖然とする黒ウサギ。十六夜はケタケタとお腹を抑えて笑っている。

 

黒ウサギどんまい。俺に免じて許してやれ……

 

さあ、飛鳥でも愛でるか

飛鳥を出来るだけ慰める感じで優しく優しく声をかける。

 

「……よう、飛鳥。心配かけたな」

 

「…んとうに…」

 

「ん?」

 

「本当に心配していたのよ!!でも…兄さんが無事で…本当に良かった…」

 

 

飛鳥は涙を流しながら抱きつく

 

「ああ…心配してくれてありがとうな、飛鳥」

 

俺はありったけの感謝の言葉と気持ちを添え、飛鳥を抱き返し、頭を撫でる。

それを見ていた十六夜が若干話しかけづらそうだが話しかけてくる。

 

「……なあ、二人で盛り上がってる所悪いんだが一体何があったんだ?」

 

皆も気になっているであろう冬夜の倒れた理由を十六夜が聞く。それを見た他の皆は「確かに!」とでも言わんばかりに頷いていた。

 

「ああ、実はな__」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____て事があったんだ」

 

俺は今まで俺の身に起きた事を神にあった事と転生者という事以外全て話した。何故転生したことを伝えないか、と言うと飛鳥に聞かれたくなかったからだ。だがいつかは必ず話す時が来るだろう。誤魔化しが長く続かないのは経験上、分かりきっている事だ。

 

それと、神に力を貰った事を公に晒してしまうと大変な事になる(一々説明するのが面倒くさい)からだ

 

「……なるほどな。教えてくれて感謝するぜ、冬夜」

 

「なんの、皆には迷惑をかけたからな!全然気にしなくていいぞ。それより俺が意識を失っている間何があったとか色々と説明してくれるとありがたい!」

 

「「「「……?」」」」

 

今まで冬夜と話した事のある者なら恐らく皆一斉にこう思っただろう。

 

 

なんかテンションがさっきと変わってない?

 

 

 

皆が首を傾げている理由を察した冬夜はその事について説明する。

 

 

 

 

〜少年説明中〜

 

 

 

 

「_____とまあ自分でもあまり意識はしていないのだけど、俺に力をくれた人曰く前の俺に戻ったらしい」

 

「……確かに、言われてみれば兄さんのこの口調、何処か懐かしい感じがするわね」

 

「まあ、俺は覚えていないがな」

 

皆が納得。と言った表情をしていると今まで空気になっていた白髪の少女が申し訳なさそうに話を切り出す。

 

「あのぉ…おんしらで盛り上がってる所を邪魔するようで申し訳ないのじゃが、先に自己紹介をさせてくれんかの?」

 

黒ウサギはその声の主の方を向くと「ああ、そうでございました」と思い出したように俺の紹介を始める。

 

「この方はここにいる御三方と同じ、箱庭へ召喚された一人、久遠飛鳥さんのお兄さんの久遠冬夜様でございます!」

 

「ほう、あの話の流れから薄々分かってはいたがやはりお主が飛鳥とやらの兄か。よろしく頼む冬夜」

 

「ああ、よろしく」

 

「続きましてこちらのお方は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えておられる“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉様でございます!」

 

「ほほう、よろしくな白夜叉」

 

「うむ、それで質問等は無いか?」

 

「そうだな…では、黒ウサギのコミュニティの“ノーネーム”と大規模商業コミュニティの“サウザンドアイズ”はどんな関係があるんだ?」

 

「ああ、その事か。なに、この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっているのだ」

 

「はい!いつもお世話になっています!」

 

嬉々とした声でいう黒ウサギ

 

「ほーう。大規模商業コミュニティの幹部にしては随分と器が大きいんだな」

 

「カッカッカッ!所謂、器の大きな美少女。とでも認識しておいてくれ」

 

「ハハハ、分かったよ」

 

それから飛鳥達には話したそうだが、箱庭について白夜叉から説明をしてもらった。

 

黒ウサギが思い出したように十六夜が水神を素手で倒したことを白夜叉に伝えると、白夜叉は驚いていた。

 

なんでもその水神は白夜叉本人が神格を与えた者であり、中々の強さだったらしい。

 

それを聞いた十六夜と他二人(耀、飛鳥)は目を輝せ白夜叉に問い始める。

 

「おい、お前はその蛇より強いのか?」

 

「当然だ。私は東側の"階層支配者"であり東側に存在する4桁以下のコミュニティで並ぶものがいない、最強の主催者だぞ」

 

その返答を聞いた三人はより一層目を輝かせる。

 

「そう………ふふ。ではつまり、貴方のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

おいおい、なんでこんなに盛り上がってるんだよ…

 

「抜け目のない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様⁉︎冬夜さんも見てないで何か言ってください!」

 

うん、ここで俺に振る?仕方ない、一応忠告だけしておくか。

 

「おいおい、こいつはお前らが戦って勝てるようなやわな存在じゃないぞ?」

 

瞬間、白夜叉の俺を見る目が変わった。

 

「ほう、お主はこやつらとは違い格上の存在と格下の存在を区別する力を身につけているようじゃな」

 

「当たり前だ、そのくらい幾度となく経験してきている、しかし今回俺はそう身構える必要は無さそうだがな」

 

白夜叉は俺の言葉を聞くと射殺すような視線で俺を睨む

 

「ほう、私には警戒する必要が無く勝算がある、と言いたいのだな?」

 

「ん〜勝算がどうこう以前に君くらいなら本気を出さなくても勝てる自信がある」

 

「え?!冬夜さんまで!?」

 

「ふふ、そうか。ではそろそろ始めるとするかの…_____しかし、ゲームの前に1つ確認しておくことがある」

 

「なんだ?」

 

白夜叉は自分の着物の袖から、一枚の見たことの無いようなカードを取り出す。描かれていたのは“サウザンドアイズ”の旗印である双女神の紋である。

カードに注目していると突然カードが光りだした。

白夜叉は壮絶な笑みを浮べながら俺たちに問いた。

 

 

「おんしらが望むのは【挑戦】か?

____もしくは【決闘】か……?」

 

 

瞬間、三人の視界は爆発的に変化する。視覚は意味を無くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。最初に見えたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。白い地平線を覗く丘。森林の湖畔。自らの記憶にはない真新しい記憶が次々と脳裏に焼き付けられ、足元から三人を飲み込んでいく。

 

それでも冬夜だけはただ一人、全く動じずひたすらに目を瞑っている。

 

その後四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔___そして、水平に太陽が廻る世界だった。

 

「……なっ……!?」

 

余りの異常さに冬夜以外は同時に息を呑んだ。

 

誰一人と言葉が出ず、唖然とし冷や汗を流している中、冬夜は一人言葉を発す。

 

「まるで白夜叉をそのまま表したかのような世界だな、実に面白い」

 

「ふむ、中々良い観察力を持っておるな。しかしこれを見て尚面白いと言うか。まあよい、今一度、皆に問おう。

私は【白き夜の魔王】____太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは試練への【挑戦】か?

それとも私と対等な【決闘】か?」

 

白夜叉は自信の小さな身体には似合わない、絶対的強者のオーラを放つ。

 

 

それを見た冬夜はキヒヒと小さく聞こえない程度に笑うのであった。

 

 

 




……キャラ改変の仕方が無理矢理すぎ、だと?

そんなもん、しったことk「作者ああああ!俺の性格変えすぎだろおおお!」

知らないよ!!だって気づいたらクールキャラになってたんだもん!

「うるせえちゃんと書けバカ野郎!」

あふん

「では作者は死んだという事で、また次話で会いましょう〜」


※ネタバレ!!

((作者は死んでないよ))

「どうでもいい…」


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第6話 星霊と戦うそうですよ?

おおおおおお久しぶりですうう

長らくの不投稿本当にすみません!!
リアルの方で総体やらなんやらがありまして……(言い訳)

気づけばUAも4700……お気に入りは100超え……
とっっっても嬉しい°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

これからもどうぞご贔屓に〜(((o(*゚▽゚*)o)))

でも文字数少なすぎる……

本編どうぞ……


 

 

______おんしらが望むのは試練への【挑戦】か?それとも私と対等な【決闘】か?」

 

魔王・白夜叉。少女の笑とは思えぬ凄味に、再度息を呑む三人。

 

“星霊”とは、惑星級以上の星に存在する主精霊を指す。妖精や鬼、悪魔などの最上級種であり、同時に【ギフトを与える側】の存在でもある。

 

十六夜は冷や汗を感じながら、白夜叉を睨み、笑う。

 

「水平に廻る太陽と……そうか、冬夜の言っていた、『まるで白夜叉を表したみたいだ』の意味がやっと分かった。これは白夜と夜叉、だな。

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を照らす太陽こそ、私がもつゲーム版こ1つだ」

 

白夜叉が手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂け、薄明の太陽が晒される。

 

「これだけの莫大な土地が、ただのゲーム版……?」

 

「如何にも。して、恩賜らの返答は?“挑戦”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。___だがしかし、“決闘”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

 

飛鳥と耀、そして十六夜までもが即答できず、返事を躊躇った

 

しかし一人だけは違った。

 

「じゃあお前が俺と遊べるかどうか、俺がお前に遊びを提供しよう」

 

そう、冬夜だ。

 

ニヤリと楽しそうに笑う冬夜のその顔はさながら、悪魔のようだ。

 

「……私を試すだと?」

 

白夜叉は目を細め、少しの殺気を混ぜた怒気を放ちながら問う。

そんな張り詰めた空気の中、冬夜はニヤリと口元を吊り上げる。

 

「なに、いたってシンプルだよ」

 

「……どんなゲームじゃ?」

 

白夜叉は自身の小さい身体とは裏腹に圧倒的な威圧感を放ちながら返事を待つ。

それを見た冬夜は面白がって更に口元を吊り上げる。

 

「ふふふ、ギフト名はな……これだ!」

 

冬夜が右手を空にかざすと一枚の黒い(・・)ギアスロールが降ってくる。

その紙にはこう書かれてあった。

 

 

 

 

『ギフトゲーム名 “神へ近づきし者への一撃”

 

・プレイヤー名 白夜叉

 

・クリア条件 ホストマスターに一撃を与える。

 

・敗北条件 プレイヤー側の降参、もしくはプレイヤー側の戦闘不能時のみ。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

“久遠冬夜” 印』

 

 

 

 

このギフトを見た黒ウサギと白夜叉は驚愕する。それもそのはず、黒いギアスロールはこの世界で魔王が所有するものだったのだから。

 

「と、冬夜さん?!それへはいったいどういうつもりなのですか!?」

 

「……」

 

黒ウサギは信じられないと言わんばかりに問い詰める。

しかし、白夜叉はとても疑い、冬夜という人物を探っているようだ。

 

「ははは、そんなに険しい顔をしなくてもこれが終われば教えてあげるから大丈夫だよ白夜叉。」

 

「なっ…ど「よい、黒ウサギ」…はい」

 

黒ウサギはまだ落ち着かないのか何か言いたそうにしているが、白夜叉に待ったをかけられ、渋々引き下がる。

 

「お主は私と遊べると言っておったが、すぐに後悔することになるぞ?」

 

「さあ?後悔するのはどっちだろうかな」

 

二人は睨み合い、今にも始まりそうな空気だった。

しかし冬夜は何かを思い出したかのように手のひらに拳をポンと乗せ口を開く。

 

「そうだ白夜叉、場所はここじゃ危ないから変えないか?」

 

「そうじゃなぁ……お主はそれほどの実力者みたいじゃし、もう少し離れるかのう」

 

と白夜叉はそういい少し離れた場所に行こうとする。

しかし冬夜は何をしているのか、と白夜叉を呼び止める。

 

「おーい、どこへ行くんだ?」

 

「どこへって…こ奴らから離れた場所に行こうとしたんじゃが?」

 

白夜叉はキョトンと首を傾げる。

それもそのはず、ここには生憎闘技場の様なものも無ければ隠れられるとのろも無い、一体どこへ行くというのか。

そう疑問に思っていると予想外の言葉が冬夜の口から聞こえてくる。

 

「創るから待ってろ」

 

「そうか分かっ…て今お主なんと言った?」

 

「だから、創るから待ってろって言ったんだよ、もう出来たけど」

 

その言葉と同時に冬夜は指をパチンと弾く、すると白夜叉の象徴であった白夜の湖畔と雪原の景色は一瞬で変わる。

今一同が立っている場所は緑豊かな木々が生い茂り、耳をすませば川のせせらぎや小鳥の鳴き声が聞こえる、とても神聖さを感じ森林の中にただ1箇所にあるとても広い空間だった。

 

これを見た一同は口をポカーンと開けたまま放心状態だった。

 

「おーい大丈夫か?」

 

一同に呼びかけるが返事がない、やれやれと思いながら冬夜はパンと手を叩く。

 

「「「「はっ!」」」」

 

皆一斉に我に帰る。

 

「お、お主いまどうやったんじゃ……」

 

「ははっ!いいねいいねぇ!」

 

「今何をしたの……兄さん?」

 

「綺麗なところ……」

 

「なっ……本当に冬夜さんは何者なんデスか!?」

 

皆からは質問攻めだ。

冬夜は面倒くさく思ったのか、「あとで話す」と言って戦闘態勢をつくる。

それに気づいたのか白夜叉も便乗して構える。

 

「さあ、始めるか!」

 

「ふふ、あまり失望させる出ないぞ?」

 

この時、皆はまだ気づかなかった。

冬夜という最強の存在に___

 

 

 

‐to be continued‐

 

 

 

 

 

 




……これは批判の声が聞こえてもおかしくないくらい駄文ですね……



次回、「白夜叉、死す」(唐突)


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第7話 白夜叉に春が来るそうですよ?

お久しぶりです。

大変申し訳ありませんでした。

次回【白夜叉死す】ではなく【作者死す】だったようです…
言い訳はしたくないので本音をいいます…

いい感じに書けなくなって嫌になってました

これからも駄文をよろしくお願いします

↓本編始まります


 

 

____ふふ、あまり失望させるでないぞ?

 

 

 

白夜叉は今、自分の言ったことをとても撤回したいという気持ちで一杯だった。

 

それは何故か、時は数時間前を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美しい森は両者の威圧により発生した風によって激しく揺れる。

 

周りにいた鳥達はその場から本能的に逃げ去り辺りはシーンと静まり返っている

 

そんな中先に動いたのは白夜叉だった、白夜叉は冬夜の実力を見定めるかのように1発、冬夜を軽く殴りつける。軽くといっても地面にはクレーターがのこり、辺りがゆれるほどのだ。

 

その攻撃を冬夜は白夜叉の拳のタイミングに合わせて手を添え軌道を少しずらし、地面へ受け流す。

 

そこまでの攻防は一瞬の事だった。

 

飛鳥には見えていないようだが、耀と十六夜には見えていたようなのか、耀はギョッと目を大きくし、十六夜は口元を大きく釣り上げていた

 

「やるなあ白夜叉」

 

「ふふっお主も私の思った以上にやるようじゃのお」

 

「まあ準備運動ってとこかなあ」

 

「ほう?先の攻撃は本気では無いということじゃな?」

 

白夜叉は俺の言葉に反応し、鋭い目をして問いかけてくる

 

「まあ、そういうことだな!」

 

俺はそう言い切り白夜叉に向かって一直線に前蹴りを入れに行く

 

「面白い」

 

白夜叉はそう言い前蹴りを受け流して俺の腹部目掛けて拳を飛ばす

 

俺はそこまでは予想通りだったので空気を蹴り白夜叉の拳に拳をぶつける

この返しに白夜叉は少し動揺したのか少し体勢を崩した

 

それを俺は見逃さず、すぐに間合いを詰め白夜叉の額目掛けてデコピンを放つ

 

「あっ…」

 

俺は力を入れすぎてしまいデコピンを受けた白夜叉は後ろの岩にぶつかろうとしていた

 

「やっべえ!」

 

白夜叉が岩にぶつかる寸前に背中に勢いを殺しながら周り受け止める

 

ここまで唖然とした表情出みていた皆はホッとしたような顔をしていた

 

 

 

 

 

 

俺と白夜叉との勝負は白夜叉が気を失い俺の勝ちとなったが中々に楽しめたと思う。

顔を赤くした白夜叉は満更でもないようだ

 

「楽しかったなあ白夜叉」

 

「お、おう…そうじゃな!」

 

はて…なぜこんなに顔が赤いのか…

 

「どうした?熱でもあるのか?」

 

「ち、違うわい!」

 

じゃあどうしたんだよ…

 

「コホン!何にせよ主催者として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには“恩恵”を与えなければならん!」

 

 

((((あ…誤魔化した…))))

 

白夜叉は顔を赤くしたままパンパンと柏手を打つ。すると3人の眼前に光り輝く3枚のカードが現れる。

カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

「え…俺のは…」

 

配られたのは十六夜、飛鳥、耀の3枚だけで冬夜のは無かった。

 

「お主は私のとの決闘に勝利したため好きな物を譲ろうと思ってな。何でも構わん(私でもな…///)」

 

そんな聞こえないようにいっても鈍感設定じゃないから聞こえてるよ…ここはあえて…

 

「ほほーう、じゃあ…」

 

「じゃあ…?」

 

「白夜叉にしようかな」

 

「そうか…そうじゃな…ってお主今何と申した!?」

 

「だから、なんでもいいんだろ?じゃあ白夜叉貰うよ」

 

一同が唖然とし、時が数分流れてようやく黒ウサギがハリセンで俺を叩く

 

「ななな何を仰るんですか!冬夜さん!白夜叉様はサウザンドアイズの当主であり…」

 

「お主が私でいいというのなら、喜んで付いていこう!」

 

パアッと白夜叉の顔は明るくなり、冬夜を見る

 

黒ウサギは少し間固まり盛大に腰を落とす

 

「白夜叉様…黒ウサギは燃え尽きました…」

 

(((大変だな…)))

 

「よし、決まりだ!これからは冬夜と呼べ!」

 

「う、うむ!わかったぞ冬夜!」

 

「宜しい」

 

わしゃわしゃと白夜叉の頭を撫でる

 

白夜叉は顔をまた赤くして冬夜にひっついた。

 

「もう御二人の好きにしてください…」

 

「…激アツ」

 

「あっ…しかし…」

 

白夜叉は困った表情で冬夜を見る

 

「ん?どうした?」

 

「私はサウザンドアイズの当主をしているから冬夜について行くことが出来いことを忘れていた…」

 

「そうか…じゃあこれからは俺が会いにいくとするよ」

 

「いいのか!?冬夜!」

 

「ああ、いいとも」

 

「冬夜…大好きじゃあああ!」

 

「「「えっ」」」

 

「あっ…」

 

 

 

「忘れて良いぞ…」

 

 

「しっかりと覚えておきます」

 

「これ、何回か使えそうだな」

 

十六夜はヤハハととても悪い顔をして白夜叉を見るのだった




少なすぎますね!

次回も頑張ります!


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