ポケットにモンスターが居ない (怒りネズミ)
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サーナイトは怒り狂う
ポケモンを持たないポケモン小説が書きたかった。
ポケットモンスター縮めてポケモン。
山の上から海の下、果ては宇宙にすら存在する知的生命体の呼称である。
人類とは比較にならない程の力を持つものが大部分であり、更には火を噴く、空を飛ぶ、気を放出する等の特殊な能力を持つ。
そんな圧倒的上位の存在に対して、人類は対等……いやそれ以上の立場を確立している。
その要因は、モンスターボールと呼ばれる道具にある。
圧倒的上位種族であるはずのポケモン達を閉じ込め、使役出来る……かどうかはトレーナーしだいではあるが、まぁそんな道具だ。
トレーナーとは、モンスターボールを持っている者達の総称だ。
ある者は、ポケモンの蔓延るこの世界を同じポケモンの力を使って旅をし、またある者は、トレーナーどうしのバトルの技術を磨き、またある者はポケモンの生態を解き明かす為にトレーナーになる。
俺、ジーンも最初は愛おしい自分のポケモン達と旅をする一トレーナーであった。
だが、ある日から俺はポケモンを持たずに旅をする事を決意した。
あの日、ロケット団と呼ばれる害虫共に自身の相棒達の入ったボールを焼き払われたトラウマから来るものだった。
当然、普通ならポケモン無しの旅など上手くは行かない。
だが、生憎と俺は普通ではなかった。
★
「おいおいおい、こんな所を一人で歩いてたら危ないぜ?」
声を掛けてきたのは見るからにチャラそうな若者だ。
態々腰のベルトの見やすい位置にモンスターボールを飾っている所と、このテンションからポケモンという強大な力を得て調子に乗っている新米トレーナーである事が伺える。
ベテランのトレーナーであればマントやバッグで自分の手持ちの数を隠すものだ。
「おいおいダンマリか?怖くてビビってんのか?ってポケモンも持ってないようなオコチャマだからしょうがないか!」
外見から俺がトレーナーではない事を見破ったのか更に調子に乗り出す男。
ここが人通りの無い森の中だという事も関係しているのかもしれない。
「おい、いい加減にしろよ。なんとか言えよ」
「黙れ」
食い気味にそういうと、男はまるで想定していなかった展開に思考が止まったのか絶句する。
いい加減に面倒くさいしこのまま通り抜けてしまおうと男の横に行くと、男が俺の肩をキツく掴んできた。
「チョーシ乗ってんじゃねぇぞ。俺はトレーナーだぞ?自分の立場分かってんのか」
「はぁ、お前の立場とか知らないよ。ペーペーの新米さん?」
元トレーナーなせいか、ポケモンの力を自分の力のように振りかざす目の前の男に現実を教えてやろうとそう言う。
イライラして口が悪くなってしまったのは、まぁ認めるが。
次の瞬間、何故か男が掴んでいた肩を引き寄せながら別の手で俺を殴り飛ばす。
頬が焼ける様に痛いし心なしか歯もグラグラしている。
地面に倒れた状態で、この先この男に訪れる不運に、同情する目を向けてやる。
「ッチ、面白くねぇ。お前ここで死ねや」
そう言ってモンスターボールを投げる男。
中から出てきたのは、キルリアだ。
このカントー地方では出現の確認がされていないポケモンだ。
「もう謝ったっておせぇぞ。俺を馬鹿にしたんだ。報いを受けろ」
「おい」
「あ?」
「良いんだな?」
最終確認として彼に聞いておかねばなるまい。
「何がだよ。命乞いか?」
「バトル開始で良いんだな?」
「……は、はははは!おいおいポケモンもなしにバトルする気か?キチガイ野郎だったのかぁ!?」
俺はTシャツにジーンズ、そしてバッグも何も持っていない。
なので彼は俺がポケモンを持っていないと思ったのだろう。
……まぁ実際持ってないが。
「良いぜかかってこいよ。最後に一発殴らせてやろうかぁ?ここまで辿りつけたらな!」
そう言ってキルリアを嗾けてくる。
キルリアはトレーナーの命令のままに、ねんりきで俺を地面に引きずり回す。
あーあ、服また買わなきゃ。
等と考えていると、ある音が聞こえた。
___アアアアアアアアアア!
「あ?なんだこの音は」
悲鳴のような怒りのような沢山のものが入り混じった声に男が気づく。
キルリアは何かを察したようにその場に蹲って泣き始めた。
「おいキルリア!何してんだその男を殺せ!」
命令されてもキルリアは泣き続けるばかりだ。
「ッチ、どいつもこいつも……もういい俺がやる」
男はそう言って腕を回しながら近づいてくる。
「じゃあなクソ野郎」
俺の目の前まで来た男が拳を振り上げそれを振り下ろす。
____ザンッ
と何かが切断される音が森に響いた。
「あ?あ、あああああああああああ!」
ボトリ、と男の腕が地面に落ちる。
スッと、いつの間にか現れていたキリキザンが倒れている俺を抱き上げてその場を離れる。
蹲り声を上げる男と、キルリアには目もくれない。
____アアアアアアアア!
何故かと言えば、怒りに狂ったもう一匹がここに来る前に全力で逃げなければいけないと理解してるからだ。
「いつもスマンな」
キリキザンにそう告げると満足げに頷いてから町の方へ走りだす。
俺が最後に見たのは、先ほどまでとは一転し喜びに声を震わせながらサイコキネシスで男とキルリアを引きずり回したり、木に叩きつけるサーナイトの姿だった。
★
「助かったよ」
お姫様だっこ状態から地面へとおろされた俺は感謝を伝えようと後ろを振り向くと、そこにすでにキリキザンの姿は無かった。
そう、これが俺が普通ではないと言った理由だ。
彼女達は俺がピンチになるとどこへでも駆けつけてくる。
その理由を話そう。
まず、俺は転生者だ。
前の世界からこちらに転生する際にされた、「力を欲するか?」という問いに対して「力はいらない。ただ愛されたい」と答えてしまっただけの転生者。
俺の答えどおり、俺には戦う力や知恵が何も授けれられていない。
その変わりがこの能力『異形に死ぬほど愛される』能力だ。
最愛のポケモン達が焼き払われ、傷心の中各地を転々としていた俺が出会った、いや出会ってしまったポケモン達、彼女達全てにこの能力が適応されている。
そのせいか、キリキザンは常に俺をどこからか監視し、危険から遠ざける・または排除をしてくれているし、サーナイトはエスパータイプの能力によって俺を監視しているし、他のポケモン達も個別の方法で俺の傍にいる筈だ。
先ほどはサーナイトが怒り狂ったのに巻き込まれないように静観を決め込んだようだが。
まぁ、これはそんな「ポケモン達に愛され過ぎて夜も昼も安全に寝れる」俺の物語だ。
……ところでいつもは直ぐに助けてくれるのに何故今日はちょっと時間がかかったのだろうか?
サーナイト「彼奴らは遠くから等では生ぬるい、直接行って惨たらしく殺すコロスコロスコロコロコロコロコロ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」
他ポケモン「うわぁ流石に手ださんとこ」
キリキザン「ヤバい周り見えてないマスター遠ざけにいかなきゃ。あ、ついでにムカついくマスターに危害加えようとしてるゴミ切り落としとこ」
って感じ。
いつもなら主人公に悪意持った時点でサーナイトが遠隔サイコキネシスで地面に叩きつけてる。
チャラ男は最初はトレーナーになって浮かれてただけなのでセーフだったが主人公を馬鹿にし始めて快楽的に殺そうとしたので急遽予定変更された。
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現在登場予定のポケモン達
投稿に文字数が足りなかったので前書き・後書きここに書きます。
前書き
ちょっとネタバレ気味の設定集
見なくても別段問題は無い。
なおロケット団達に焼き払われたポケモン達は全員♂、主人公が能力を自覚したのは傷心の旅の最中
__________
ポケモンの名前
性別
レベル(大体、80だったら80-89くらいのアバウトな感じ)
特性
詳細
__________
サーナイト
♀
レベル:90
特性:テレパシー
傷心の旅の途中で出会ったポケモンの最初の一匹。
森の中で全てを諦めたような暗い雰囲気を心配して近づいてきたポケモン。
他のトレーナーが逃がして野生に帰った個体でトレーナーには慣れている。
そのため人間が一人で荷物も持たずに森にいる異常さから声を掛ける。
特性のテレパシーによって人間ともある程度の会話が可能であり、その力を駆使し一週間に渡ってジーンを慰め、傷心の理由を聞きだす。
自身が新たなパートナーとして立候補するも、トラウマからモンスターボールに触りたくないとしてジーンは拒絶、その場を後にする。
その後が気になり、ジーンを探していると、野生のポケモンに襲われていたのでそれを迎撃、以後「自分がいなきゃジーンは死んでしまう」という感情からジーンを監視・安全の確保をするようになる。
いつの間にか抱いていた母性にも似た恋心は自覚していない。
キリキザン
♀
レベル:70
特性:まけんき
出会ったのは、他のポケモン達と比べると最近ではある。
能力の掛かりも他と比べると薄く、割と理性的に行動する。
出会った当初はレベル45であったが、サーナイトや他のポケモン達のスパルタトレーニングによって急激にレベルを上げた。
以前はプラズマ団に使役されていたが、解散に伴って野生に返された。
暫く近隣を歩き回っていると、野生ポケモンに襲われそうなジーンを発見。
一目ぼれをして手持ちに加えて貰おうとした所を他ポケモン達に捕縛され、ジーンの隣に立つには弱すぎると一蹴される。
なお恋をしてはいるが、一番でなくとも良いので適度に好感度稼ぎをしている模様。
ユキメノコ
♀
レベル:80
ラティアス
♀
レベル:90
ドレディア
♀
レベル:80
ラランテス
♀
レベル:60
クチート
♀
レベル:80
__________
後書き
内容・特性の無いポケモンは随時更新します。
リクエストも受付中。(♂しかいないポケモンは対象外)
皆さんの嫁ポケは何ですか?
俺はキリキザンちゃんの鋭い目で見られながら踏まれたいです。
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