仮面ライダーエグゼイド Another Game 〜ジャスパーと呼ばれたバグスター ”Assassinate Horror”〜 (神武音ミィタ)
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プロローグ
しばらくはアマゾンズの方に力入れたいなと。
マイペース更新なので、凄く間空きそうですがよろしくお願いします。
「……」
幻夢コーポレーションのとある開発室。
1人の男がパソコンを手前に、無心にキーボードを叩く。
彼は今、自分がプロデュースし、制作している新作ゲーム「アサシネイトホラー」の調整に力を入れていた。
アサシネイトホラー。
主人公である暗殺者 ジャスパーを操作して、ゴーストやゾンビと戦うアクションホラーゲーム。
15歳以上対象の作品として発表される予定のゲームだ。
この男、影野はアサシネイトホラーにかけていた。今まで数々のゲームをリリース、開発するも失敗、不評に終わっている。
彼の作ったゲームは「忘れられたゲーム」と呼ばれるほどだ。
このアサシネイトホラーをヒットさせないと、自分の開発者人生にピリオドを打たれることになるかもしれない。
このゲームをヒットさせ、みんなが知っている、いや、少なくとも誰かが知っているものにしなければ。
そんなプレッシャーと共に、彼は調整をしていた。
「……よし!」
勢いよく叩いたエンターキー。
差し込んでいたガシャットに、ラベルが現れた。
「出来た……‼︎」
影野は笑顔でそのガシャットに手を伸ばした。
「……⁉︎」
突如パソコンの画面に表示されたエラーとノイズ。そこから放たれたのは……黄色い粒子。
そう、バグスターウイルスだった。
「‼︎ うっ、うわぁああああっ‼︎」
最後の最後で、完成目前で、バグが発生したのだ。
影野は頭を押さえる。
「そんな……うっ⁉︎ ううっ⁉︎」
多大なストレス。
それが影野を苦しめ……体から飛び出したバグスターウイルスが形となり……
「……」
黒いマントに帽子を身につけた漆黒の髑髏頭。
アサシネイトホラーの主人公……ジャスパーに酷似していた。
「……これは?」
ジャスパーは自分の体を見渡す。その目の前で、影野が苦しんでいた。
「ジャスパー……? はは、いや、幻か……あはは……終わった……僕はもう、おしまいだ……」
影野の身体が透けていく。ジャスパーには何が起きているのかがわからなかった。
「このゲーム……有名にしたかったなぁ……ジャスパー……ねぇ、ジャスパー……」
ジャスパーに呼びかける影野。ジャスパーは何も言わず、その場で立ち竦む。
「はは……有名に、なりたかったなぁ……」
影野の体は……消滅した。
目の前で起きたことすら、何もわからなかった。
俺は何者だ?
消滅した男は何者だ?
何故あの男は消滅した?
頭の中から消えない疑問符。
ふと目に入った鏡が映し出していたのは、自分の黒い姿が変わり、人間の姿になっていく様だ。
「これは……」
そこへ……手を叩く音が近づく。
音の主は無邪気な笑顔とともに近寄る。
「おめでとう、これでお前も完全なバグスターだな」
「バグスター……?」
その男は俺の周りを歩きながら語り出す。
「ゲームに生きる者たち、そして……この世界を人間に代わって支配する者だ」
「……世界を支配、か」
男は卓上にある、グレーのゲームカセットのようなものを手に取った。
「『アサシネイトホラー』……? 聞いたことないが……楽しそうだね」
男はそれを俺の手に握らせ、更に紫色のゲームパッドのようなものも手渡した。
「人間を消滅させて、新たに仲間を増やす。それが今俺たちがやることだ」
俺は手渡されたそれを見つめる。
そして、男に問う。
「……それが、俺の仕事か?」
「あぁ。期待してるよ?」
男は俺の肩を叩き、その場を後に……する前に、口を開く。
「俺はパラド。お前は?」
「……ジャスパー。消えた男は、俺をそう呼んでいた」
「ジャスパーか……よろしくな」
パラドはその場から姿を消した。
俺は手にした2つのものを強く握る。
「人間を……消滅させる」
それが俺の……バグスターの使命、任務、か。
「……任務、開始」
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