IS~白い翼と黒い翼 (豚肉の加工品)
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ISとの邂逅と人生の……
これからたまに投稿していきたいと思う所存でごわす
私立 藍越学園。
女子生徒はIS学園に吸い込まれプールの授業なんて男ばかりの最悪な風景となっている最中、一人の男子生徒は木陰で体育座りをしながら授業を眺めていた。
見ただけで分かるように、何故か知らないが目立たないようにしている。
それは何故か?
答えは授業中なのにも関わらず訪問してくる人物が教えてくれる。
照りつけるような日差しの中、黒いスーツを着こなした女性。
とても日本人とは思えない程の胸と尻。
別に太っている訳ではない。
所謂、ボン!キュッボン!というやつだ。
そんな人がプールサイドを歩いてきたら嫌でも目についてしまう。
「お前が黒井双葉か?」
「いや、違います」
きっぱりと言う。
だが、その女性は冷静だった。
ふたば、何て女の子らしい名前の男子がいてみろ?周りに知り合いがいたら真っ先に視線を集めるだろ?
それが俺の方を向いていたんだ。つまり、目の前の女性にバレたかもしれないわけだ。
でも知らないふりを続ける。
相手に確証がないからなぁ。
「……皆、お前の方を向いているが?」
「あぁ、それは双葉に対してではなく貴女が綺麗な人だからですよ。この藍越学園には女子生徒が少ないですからね。この学園の男子生徒は全員貴女に釘付けです」
ハハハ、なんて乾いた笑みを零す。
「そうか……なら黒井双葉という男子生徒を知らないか?」
「知りません。俺はあまり顔が広い方ではありませんから」
これは現実だ。リアルだ。本気だ。
実はメチャクチャクラスの人とは仲が良い、なんてことはない。
マジの、正真正銘のボッチだ。
自慢じゃないが挨拶が出来る友達すらもいない。
高校入学時に自分の自己紹介で剣術の伝承者です。
とか、言ったらクラスの全員が俺のことを厨二病だと思い話しかけるのをやめたらしい。
確かに家が居合い剣術の道場をしている、そこの師範代の父から受け継いだ正真正銘の伝承者なのだ。
まぁ、信じて貰えないのは知っていた。
今時になって剣術をしている高校生なんてどこを探してもいなさそうだ。
あっ因みにこの情報は風の噂だ。決して聞き耳を立てた訳ではない。
「そうか。なら見かけたりしたら担任の先生に伝えてくれ、そいつはISの適性検査を受けていないんだ。中学卒業時にあれほど受けろと言われていたにも関わらずな」
「へ、へぇ……それはマズイですねー。見つけ次第先生に言っときます」
「ではな。私は職員室に行ってくる」
軽やかに踵を返し、プールサイドから出て行った。
そして最後にとても自然に俺のことを見た。
これはどういう意味か?
答えは簡単だ。
嘘ついたら見とけよ!!と脅しをかけてくるヤンキーそのもの。
運の良いことに担任の先生は女性で男子のプールにはあまり顔を出さない。
(……抜け出そう)
友達と呼べる人間がいない人間はその場からいなくなっても、「なんだ。あいつはもう教室に帰ったのか」と周りはあまり興味を持たずに思ってくれる。
こういう時にボッチが輝く。
もちろん後顧の憂いも絶っておく。
空いた扉の先にあの女性が立っていたりしたら疑われるに決まっている。
だから如何にもお腹が痛そうに、トイレを我慢してた風に扉へ向かう。
扉の先に誰もいなことを確認し、やや早歩きで教室へ向かう。
そんな時に思いもよらない出来事が起こった。
「み~つけた」
語尾に音符でもつきそうな楽しそうなモノを見つけた子供のような声がした。
可愛らしい子供の様な声音は、双葉の耳に直接響く様に聴き取れた。
だか、周りを少し確認しても人の影すらないので通路を突っ切って教室を目指す。
だが、歩いた後にコツンと何かが落ちる音がする。
思わず振り返ると真黒なブレスレットが落ちていた。
おかしい……明らかにおかしい。
誰の気配もしないのに廊下には得体の知れないブレスレットが転がっているのだ。
怪しい。そう思いつつも体はそのブレスレットに吸い込まれるように近づいていく体。
人間、一回気になってしまうと理性が弱い人間はすぐに本能で動いてしまう。
それでも、いつもの黒井双葉という男ならば、無視するはずなのだ。
普段通りならば怖いものや、面倒なこと、つまらなさそうな物には一切の興味を持たないはずなのだ。
だか、この時また声が頭に直接響いた。
触っていいよ?
さっきの声とは打って変わって、静かな大人しめな声音。
決して空耳ではない声が聞こえた。
まるで脳みそに直接話しかけてくるように……
私は君のモノだから
黒いブレスレットが太陽の光によって光沢が増す。
早く……ねぇ早く触ってよ?
そんな風に聞こえる。
不信に思いながらも、ポツンと廊下に落ちている黒いブレスレットに触れてしまう。
その瞬間が人生の終着点、もしくは人生の転機、あるいは人生最大の間違い。
何でそう思ったかって?
それはあれだ……触れた瞬間に悟るってやつだよ。
なんか………こう……、終わったって。
それもそのはずだ。
なんせ双葉は今、漆黒のISをまとい、その場に立ち尽くしているのだから……
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逃げても最終的には同じところに戻ってくるらしい
俺は今どこにいるでしょーか。
答えはそう!!IS学園です……
あの後、結局捕まりましてですね。
IS適性検査を無理矢理受けることになり、ISを使えることが判明し強制的に転入させられることになりました。
あ、因みに今は廊下に立ってます。
先頭にいるのは金髪の人、その後が銀髪眼帯の人、それで俺だ。
いやぁ……あの後色々あってさ。
あの黒いISは何だ!?とかさ
お前……私を舐めているのか?とかさ
もう凄い剣幕で怒られて、急遽IS学園に転入。
あれから家に帰宅後、両親に俺がISを使えることを伝えIS学園の転入を納得させた。
で、朝早くから呼び出され今こうして廊下に立たされている訳だ。
てかあの織斑千冬って人怖いわ。マジで
「どうぞー」
そんな柔らかい声に呼ばれ、教室のドアが開く。
うわ………
あまりの視線の多さに意識を持ってかれるところだったわ。
どこに視線を移しても女子、女子、女子。
確かに当たり前と言ったら当たり前のことだが、精神的につらい……
そして最後は世界初の男性操縦者————織斑一夏に視線を向けた。
何故かその時バッチリと目が合い歓喜に満ちた表情をされたが今は無視だ。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では慣れないことが多いとは思いますがこれからよろしくお願いします」
織斑一夏に目を向けていると唐突に自己紹介が始まった。
そしてクラスの皆が呆気に取られていた。
綺麗なブロンドの髪、姿勢も美しく、態度も完璧、更には顔が可愛いときたもんだ。まさにフランスでいう『貴公子』みたいに紳士的な人物だ。
なにより織斑一夏と俺を除く……三人目の男性操縦者なのだ。
「きゃああああああ」
興奮のあまり女子から悲鳴にも似た、歓声が上がる。
それを簡単に沈めてしまうのが、
「あー騒ぐな。静かにしろお前ら」
俺を連行してきた張本人、織斑千冬だ。
そして隣の先生もそれに便乗するかのように、
「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介は終わっていませんから~」
とうまい具合に重ねてくる。
金髪の人が終わり、次は銀髪眼帯の人番が来た。
だが一向に自己紹介が始まらない。
「ラウラ、自己紹介をしろ」
え?何で真ん中に立っている俺を抜かしたの?
新手のいじめ?
「はい。教官」
礼儀正しく敬礼をし、一言だけ述べた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
それだけ言うと、銀髪眼帯の女は軽く周りを見渡し何かを憎悪を含む視線で捉えた。
その視線上にいる人物で何か因果関係がありそうなのは織斑一夏ただ一人。
織斑一夏とラウラ・ボーデヴィッヒは完全に目が合っていた。
「! 貴様が————」
突如、ラウラから殺気にも似た様な雰囲気が膨れ上がった。
それもそのはずラウラは腕を振りかぶり、一夏に向けて強烈な平手打ちをしようとしているのは目に見えてわかった。
パシッと乾いた音が響くと、双葉とラウラの手が繋がり恋人繋ぎのようになっていた。
そして、握られている手は織斑一夏の顔前で止まっている。
「おいおい、意味のない暴力は良くないよ?ラウラさん」
がっちりと手を掴み何事もなかったかのように話しかける。
他者から見たら急に恋人繋ぎの形をした手を皆に見せびらかしたように見えるだろう。
だがそれは実際違う。
双葉が振りかぶる手の平に合わせて手を重ね受け止めたのだ、。
かなり手の平は痛いが我慢する。
そこは掴んだ自分が悪い。
「それとも、そんなに俺と恋人繋ぎしたかったのか?」
「何を————」
「おい早く自己紹介を終わらせろ、黒井」
ラウラに有無を言わさないように双葉にバトンを託す千冬。
やはりフォローが絶妙だ。
「わかりました」
ラウラとは未だに恋人繋ぎのまま、返事を返し自己紹介を続ける。
「俺の名前は黒井双葉。女じゃないのは確かだ。よろしく」
「おい、色々と足りないだろう?補足しろ」
面倒だ。と視線で告げても全く伝わってくれない。
結局有無を言わさずに、言う羽目になる。
たがら、もう敢えて抵抗はしない。
「男性操縦者で……えーと、中学を卒業した後にあったIS適性検査から逃げ続け藍越学園に入学したんだけど、見つかってIS動かしてここにいます。特技は特になし、趣味は一人になること。よろしく」
とてもボッチだった人間とは思えないだろう?
ここまで周りの目があるのに話せるボッチはそうそういない。
まぁ、これはあそこに立っているばけ—————、いやとんでもなく美人な織斑先生のご指導の結果だ。
後頭部に悪寒が走り、恐る恐る千冬の方を見ると案の定睨まれていた。
笑顔も何もなくただ目を合わせてくる。
「これでHRを終了する。各自着替えた後、第二グラウンドへ来い。今日はISを使った模擬戦をやる」
こうして、新たなる生活の一歩が踏み出されることになった。
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