イセカインクレディブル (木曾星仙)
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人類最強(赤き征裁)
其処に有るのは三枚の手紙
其処に居るのは三人の人間
其の色は赤と白と黒
一人は楽しげに 一人は心配気に 一人は確信を持ち
「これを渡すのは近いか遠いかすら分からん何処かの世界の誰か達だ」
「但しこれだけは保証しよう。
彼らは確実に人類の中でも最高峰の
と自信を持って自身以外に告げる白。
其れに赤と白は互いに
「はっ、あたしに勝てる人間は居てもあたしより強い人間なんか居ないしそいつがあたしに勝てる奴ならあたしはより
「流石に彼女に勝てる人材が何処かに居るとは思って居ませんが…それでもお墨付きを頂けるレベル!きっと素晴らしい方々だと信じています! 」
と言いながら外へと駆けて行く黒 。其の姿を見遣れば二人は軽く笑い逢う。
「実際どうなんじゃ?おんしに勝るまでは言わずともいいとこ…そうじゃのう…
七割位にはなる輩は出てくるんじゃないかの。いや、下手したら同格かもの」
白が赤へ一言声を掛ければそれに返す様に赤は口を開く。
曰く
「はは、それこそ有り得ねぇよ。あたしみたいな奴があたしみたいに日々を楽しく過ごしてる。
ってんならともかくあの手紙の文章じゃ十中八九…いや、絶対に世界がこれから呼ぶヤツらを持て余してる。
そんな世界で磨かれる原石なんかたかが知れてるもんだぜ?」
その言葉を聞けば小さく息を吐き肯定の意を返す白。
彼女も赤に勝るものが呼ばれるなぞとは思って居ないだろう。
白は思考する。
彼女に勝る…いや
「いや、それ以上は無駄な思考なのじゃろうな。机上の空論以前に不可能以上
それに悪夢は悪夢と認識すればただの夢へと格が落ちる。…少し耄碌したかのぅ」
と小さい呟きを目敏く聞き付けたのか、にたりと赤が笑みを見せる。
その笑みは白へ向けたものであると同時に恐らくありはしない未来への。
手紙を掴んだ三人の人間への期待とも呼べたかも知れない。
「いやはや、恐らくはあたしに劣るレベルなんだろうがそれでもって期待はしちまうな。
確か一つに関しちゃあいつが居た世界だったしな?」
その声を吐くと同時に外へと出た黒を追う 。
追いながら思考するのは負うことが出来なかった無関係の友人達であり駆けつけることの出来なかった戦い。
その目に映るのはただただその後の未来でありその後の世界。願わくば新しい彼らが友人達の意思を受け継ぐ事を想い。
「さて、折角あたしが出向くんだ。
この人類最強の請負人である哀川潤様が、
依頼が故に途中では辞めないがどうなるかね 」
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