インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 (武御雷参型)
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番外編
番外編


何となく頭の中で閃いたので書いてみました。書いていて思ったこと。
明日奈ちゃんを泣かすのは心が痛い。


国立IS学園の朝、二人の少女が散歩をしていた。

 

「お姉ちゃん、お日様が眩しいね」

 

「ええ、そうね………」

 

二人は仲良く手を繋いでIS学園内を散歩していた。二人の少女の名は更識明日奈と更識アリス。二人はキラと楯無の養女として迎え入れられていた。また、アリスに至ってはキラの細胞を使って生み出されたクローンであり生まれた当時からテロメアが短く、数か月で命を落とす筈であったが、キラから輸血されたことによりテロメアが普通の人と同じようになったことでこうして二人並んで歩く事が出来ていたのである。

 

「そういえば、今日ってパパが生徒会室に行くからって言ってなかったっけ?」

 

「言われてみればそうね。そうだ、明日奈。二人でお父さんを迎えに行かない?」

 

「え、でも………」

 

アリスはそう提案をするが、以前にキラと楯無から勝手に校舎内を歩いていけないと言われていた明日奈は気が引けていた。

 

「そろそろ、私たちも一人で…いやこの場合は二人でお父さんやお母さんを迎えられるってことを見せないと………私たち、独り立ちできないよ?」

 

「ううぅぅぅ…………」

 

明日奈自身も独り立ちをしたいと思っているが、まだ六歳となった明日奈としては独り立ちの意味が解っていないが、何となく大人になれる一歩として認識をしていたのである。そして、アリスに言われて渋々、頷いて見せた。

 

「なら、決まりね。なら……」

 

そういうとアリスはキラから与えられた携帯を使ってどこかに連絡をしていた。

 

「……………」

 

「………なに?」

 

明日奈は携帯の事が気になるのか、ずっとアリスの手に持っている携帯を凝視していた。

 

「お姉ちゃんだけいいなぁ~」

 

「大丈夫よ、明日奈もいつか必ず渡してくれるから」

 

「……………」

 

アリスはそういうが明日奈は納得していないのか、ずっと携帯を凝視していた。アリスは悪戯心が動き、左右上下に携帯を動かすと、明日奈の顔も同時に釣られて追っていたのである。だが、すぐに終わる羽目になってしまう。

 

「何をしているのだ、二人とも」

 

「「あっ、千冬さん」」

 

「私の事は織斑先生と………いや、二人は生徒ではないから良いか」

 

恐怖の対象として世界から恐れられている織斑千冬であるが、アリスと明日奈には形無しである。

 

「何か言ったか、作者よ」

 

…………何も言っていないので、その手に持っている宝刀を下ろしてください。

 

「………チっ」

 

危なかった。では、気を取り直してナレーsy

 

「悪は滅んだ」

 

…………(作者だったもの)

 

「ち、千冬さん……作者が死んだらこの作品が続かないと思うの」

 

「そうだな……さっさと起きろ、作者」

 

ハイハイ、起きますけど勝手に他の文に入って来て欲しくないのですが…………

 

「貴様が余計なことを言わなければ良い事だ。これに懲りたら余計な事をせずにナレーションに努めろ」

 

いつの間にかメタい事になっているのですが、気を取り直します。読者の皆様、お見苦しいところを見せてしまい、誠に申し訳ありません。

 

「「「申し訳ありません」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、二人は散歩か?」

 

「はい、お姉ちゃんと一緒に散歩をしているのです」

 

「朝早くに妹に叩き起こされました」

 

千冬は二人に尋ねると、明日奈はニコニコと答え、アリスに至ってはゲンナリとした表情で答える。

 

「あっ、そうだ。千冬さん。お父さんたちの授業が終わるのって何時ぐらいなんですか? 丁度、千冬さんに連絡をしようと思っていたんですけど」

 

「だから、携帯を持っていたのか………だが、妹が羨ましそうに見ているぞ?」

 

「知っています。だから、こうして遊んでいるんです」

 

そう言うと、アリスはまた携帯を左右上下に動かして、明日奈を揶揄い始める。

 

「程々にな」

 

「判っています。それで、授業は?」

 

「あ、ああ。そうだったな。今日は六時限までだから四時には終わるはずだぞ…………まさかとは思うが迎えに行きたいというのではないだろうな?」

 

「「…………」」

 

千冬の質問に二人の表情はいかにもその通りですと言わんばかりに輝きを放っていた。

 

「…………来るのは良いが、迷惑をかけてやるなよ?」

 

「判っています」

 

アリスは返事をしているが、明日奈に至っては首が取れるんじゃないかと言うほどに上下に振っていた。

 

「そろそろ生徒たちが動き始める頃だ。帰った方がいいぞ」

 

「「はい‼」」

 

二人の返事を聞いて千冬はいつもの仏頂面が優しい微笑mアンダバサー⁉

 

「作者、二度はないぞ?」

 

因みに千冬のこの時の顔を見た二人は抱き合ってガタガタと震えていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、キラ達がいる一組に二人の少女が向かっていた。だが、進むにつれて他の生徒に阻まれ進めずにいた。

 

「君たち、なんでIS学園にいるの?」

 

「誰かの子供さん?」

 

「先生の中の誰かかな?」

 

「ハッ⁉ もしかしたら千冬様の隠し子‼」

 

『それはない‼』

 

「デスヨネー」

 

国立IS学園と言えど、女子高生が通う高校の一環である。その為、子供がいることに驚いていたのである。それにより、他の生徒の耳に入りいつしか野次馬に囲まれるアイドルの如く、アリスと明日奈は生徒たちに囲まれていたのである。

こうなってしまっては、脱出は不可能な状況となってしまっていた。そして、恐怖のあまり明日奈はアリスの後ろに隠れてしまうのだが、生徒にとっては保護欲が増してしまうだけであった。

そしてとうとう明日奈は泣き出してしまったのである。

 

「うわぁぁぁぁん‼ パパァァァァァ‼ ママァァァァ‼」

 

『あっ』

 

流石に小さな子供が泣き出してしまったこともあって生徒たちは罪悪感を覚えてしまい、そしてオロオロし始めていた。だが、そこに救世主が現れた。

 

「この声って………」

 

「そうですわ」

 

「助けないと‼」

 

「行くぞ‼」

 

「ああ‼」

 

丁度、アリーナに向かおうとしていた鈴、セシリア、シャルロット、ラウラ、箒が通りかかり明日奈の鳴き声に気付いた鈴は声がする方に駆け出していた。

 

「アンタたち、何をしているの‼」

 

鈴がそう言うと、道が勝手に作られその先には泣いている明日奈と泣き止ませようとしているアリスの姿があった。

 

「明日奈ちゃん⁉」

 

その姿を見たシャルロットがすぐに駆け寄り、明日奈を抱っこした。すると、明日奈も泣き止みシャルロットの顔を見た。

 

「しゃ、シャルロットお姉ちゃん?」

 

「どうしたの、こんな所で」

 

「パパを迎えに行こうとしてたの……でも………」

 

「よしよし、もう大丈夫だよ。お姉ちゃんが一緒に行ってあげるから」

 

また泣き出しそうになっていた明日奈をシャルロットは優しく声をかけてあげていた。

 

「これはどういう事なのか、説明してもらうぞ、貴様ら」

 

ラウラは明日奈とアリスを囲んでいた生徒たちに対してプレッシャーをかけにらみつけていた。

 

「事と次第によっては、我々アークエンジェル隊が相手になるわよ」

 

鈴も参加してにらみつけていた。

 

「ち、違うの‼」

 

一人の生徒が代弁して否定して説明をしようとしていた。そこに更なる爆弾が投下される。

 

「何をしているのかしら、あなた達?」

 

「ママ‼」

 

『ママ⁉』

 

「お母さん」

 

『お母さん⁉』

 

現れたのは更識家現当主である更識楯無である。

 

「明日奈ちゃんにアリスちゃん⁉ なんでこんなところにいるの⁉」

 

楯無はすぐに明日奈たちの方に駆け寄ると、シャルロットから明日奈を渡されて抱っこすると、明日奈は安心したかのように首に手を回した。

 

「明日奈ちゃんは聞けそうにないわね………アリスちゃん、どういう事なのか説明してもらえる?」

 

「あっはい。今日の朝からの話になるんですけど、いいですか?」

 

アリスはそう尋ねると、楯無は頷きアリスは朝にあった話をしたのである。

 

「そう………さて、どういうつもりでこんなことをしたのか教えてくれるかしら?」

 

楯無の表情は笑っているが、目が笑っていなかった。

 

「い、いえ……それはそのう…………」

 

一人が説明しようとしていたが、どもってしまって言葉にならなかった。そして、とうとう最終爆弾が投下されることとなる。

 

「あっ、いたいたって明日奈ちゃん⁉ アリスも‼」

 

「パパ‼」

 

『ッ⁉』

 

そこに現れたのは明日奈とアリスの義父であるキラであった。キラを見つけた瞬間、アリスはすぐにキラに駆け寄り抱き着いたのである。

 

「あっ、そういえば聞いたことがあるんだけど………生徒会長とキラ君は付き合っているって……あれ? でも子供がいるなんて聞いていないんだけど…………」

 

『……………………』

 

一人の生徒がそう言うと鈴たち専用機持ち以外の生徒が一斉にキラと楯無の方に顔を向けた。傍から見ればホラーのようである。

 

「新聞部を使って伝えようと思っていたんだけど、予定変更ね。キラ君」

 

「そ、そうですね………」

 

楯無はいつも通りの笑みを浮かべながらキラを見ており、キラはキラで苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

翌日の新聞部が発行している新聞には一面を使ってキラと楯無の家族の事が記事となっていたのである。

その日から明日奈とアリスは堂々とキラ達の元へと向かう事が出来るようになったのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送って下さい‼


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設定集
部隊表並びに機体設定


本編では無く、これまでに出て来たオリジナル機体の設定です。

鈴の新型専用機を追加しました。


アークエンジェル隊

 

隊長

キラ・ヤマト

 

機体

ZGMF-X20A ストライク・フリーダム

第六十八話~

ZGMF-X135D ストライク・フリーダム・フェニックス

 

副隊長

アスラン・ザラ

 

機体

ZGMF-X19A インフィニット・ジャスティス

第六十八話~

ZGMF-X331D インフィニット・ジャスティス・セイバー

 

隊員

シャルロット・デュノア

 

機体

RR-08 ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ

第三十九話~

RD-X01 ラファール・ドラグーン

第四十二話~

RD-X02 ワイバーン・ドラグーン

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

機体

SR-01 シュヴァルツェア・レーゲン

第五十六話~

SA-X01 ストライク・アストレイ・フォースブレイク(SアストレイFB)

 

 

ドミニオン隊

 

隊長

トール・ケーニッヒ

 

機体

LG-ZGMF-X23S ヴァンセイバー

 

副隊長

ニコル・アマルフィ

 

機体

LG-GAT-X207 ネブラブリッツ

 

隊員

オルガ・ナブサック

 

機体

GAT-X131 カラミティ

 

シャニ・アンドラス

 

機体

GAT-X252 フォビドゥン

 

クロト・ブエル

 

機体

GAT-X370 レイダー

 

 

ミネルバ隊

 

隊長

ラウ・ル・クルーゼ

 

機体

ZGMF-13A プロヴィデンス

 

副隊長

レイ・ザ・バレル

 

機体

ZGMF-X666S レジェンド

 

隊員

クロエ・クロニクル

 

機体

GAT-X105S ストライク改

 

 

 

 

 

 

機体設定

 

ZGMF-X135 ストライク・フリーダム・フェニックス

 

動力源

ハイパー・デュートリオン・エンジン

ISコア

 

武装

:高エネルギービームライフル 2

:シュベールラケルタⅡビームサーベル 2

:ビームシールド 2

:カリドゥスⅡ複相ビーム砲

:クスィフィアスⅣレール砲 2

:ハイパードラグーン機動兵装ウィング 

・突撃ビーム砲 4

・突撃ビーム砲 8

・ヴォワチュール・リュミエールシステム

:バラエーナプラズマ収束ビーム砲改 2

 

設定

武装関連に関しては、ストライク・フリーダムと殆ど変わりはないが、威力については強力化しており、一つ一つの武装の攻撃力は既存のISのエネルギーを枯渇させてしまう程の威力を持っている。

その為、有事の時以外はリミッターを掛けられている。

 

:高エネルギービームライフル

ストライク・フリーダムが所有していた物と同じものであり、連結させてロングレンジ・ビームライフルとしての運用も可能である。また、一丁づつの能力として散弾銃としても使う事も可能となっている。

 

:シュベールラケルタⅡビームサーベル

元々はヴァジュラ系統のビームサーベルに対抗する様に開発されたビームサーベルであったが、セカンドシフトした事により、ヴァジュラ系統を超える威力を持ったビームサーベルとして生まれ変わった。また、連結させる事によってアンビデクストラス・ハルバードモードにする事も可能である。

 

:カリドゥスⅡ複相ビーム砲

連合のイージス系統の機体に装備されているスキュラとストライク・フリーダムに装備されていたカリドゥスを足したものであり、威力としては群を抜いて一番の威力を保有している。これにより、リミッターを掛けた状態であっても既存のISの装甲をエネルギー関係なしに溶かす事が出来ると言う事もあり、使用を禁止されている。ただし、有事を除いてである。

 

:クスィフィアスⅣレール砲

クスィフィアス系統のレール砲であるが、連射する事が可能となり威力も向上されている。また、弾種は徹甲弾、徹甲榴弾、榴弾の三種となっている。

 

:ハイパードラグーン兵装ウィング

スーパードラグーン兵装ウィングの上位互換である。兵装として突撃ビーム砲が二種類が存在しており、一つ一つの役割を担っている。

 

・突撃ビーム砲 2

ビーム砲としての役割を持ちつつ、ビームソードとしての役割を持っている。これにより、ストライク・フリーダム時代での遠距離攻撃の範囲が広がったと言える。

 

・突撃ビーム砲 8

ビーム砲のみであるが、一つ一つの銃口が五門あり、計四十門のビームが飛んでくると考えると、敵は涙目必須である。また、パイロットの意志とは別にAIが組み込まれており、パージされた瞬間からパオロットの攻撃指示と帰還指示があるまでは、己の考えで攻撃する。

 

・ヴォワチュール・リュミエールシステム

ドラグーンをパージした時のみに現れるシステムである。推進力として使われており、ドラグーン装着時並みの速度を出す事も可能となっている。

 

:バラエーナプラズマ収束ビーム砲改

フリーダム装備されていた武装であるが、フェニックスにセカンドシフトした事により装着される。マウント場所はフリーダムと同じ場所にマウントされている。違いとしては、ウィングの間に装着されていると言う事である。

 

 

 

 

ZGMF-X331D インフィニット・ジャスティス・セイバー

 

動力源

ハイパー・デュートリオン・エンジン

ISコア

 

武装

:5㎜CIWS 4

:高エネルギービームライフル

:シュベールラケルタⅡビームサーベル 2

:グリフォン・ビームブレイド 2

:複合ビームキャリーシールド

・グラップルスティンガー

・ルプスビームライフル

:シャイニングエッジⅡビームブーメラン 2

:ファトゥムー01

・対装甲ナイフ

・ハイパーフォルティスビーム砲 2

・シュペールラケルタ 2

・グリフォンⅡビームブレイド 2

 

設定

この機体もフェニックス同様に、武装の威力向上が施されている。

 

:5㎜CIWS

胸部に設置されている近接防御の機関砲である。機体のサイズに合わせられ弾も小さくなっている。

 

:高エネルギーブームライフル

フェニックスと同じ物を装備しているが、セイバーは一丁しか持っていない。

 

:シュベールラケルタⅡビームサーベル

フェニックス同様の物。

 

:グリフォン・ビームブレイド

膝から爪先までに設置されたブレイドで、威力は既存のISの装甲を切り裂く事が可能となっている。また、この武装はフェニックスのカリドゥス同様、リミッターを掛けていても威力は然程、変わらない為、有事の時以外は使用が禁止されている。

 

:複合ビームキャリーシールド

・グラップルスティンガー

シールド下部に設置されているアンカーである。敵を束縛する事も可能でありながら、敵を束縛した後に自身の元へ連れて来る事も可能となっている。

 

・ルプスビームライフル

ビームライフルと明記しているが、ビームサーベルとしての役割も持っている。元々は、シャイニングエッジビームブーメランが装備されていたが、撤去された事で代わりとして装備された物である。

 

:シャイニングエッジⅡビームブーメラン

元々はキャリーシールドに装備されていた物であったが、両肩部に変更される。

 

:ファトゥム―02

セイバーの推進力を担っているが、単体での攻撃も有しており、機体そのものにAIが組み込まれておりパージ後はパイロットの指示があるまで己で動き、攻撃を可能としている。

 

・対装甲ナイフ

機体前部に設置されている物で、既存のISの装甲を軽々と貫く事が可能となっている。この武装は、リミッターを掛けられる事でダメージを与える事が出来る物として運用されている。

 

・ハイパーフォルティスビーム砲

機体前上部に設置されているビーム砲で、高エネルギービームライフルとルプスビームライフルの他の遠距離武装である。ただし、機体パージ後はAIが操作していると言う事もあり、AIの気分によって操作される。

 

・シュベールラケルタ

ハイパーフォルティスビーム砲の横に設置されているビームサーベル。突撃時のみでしか運用されない。

 

・グリフォンⅡビームブレイド

機体翼部前面に設置されているビームブレイドで、敵を切り裂く事が可能である。リミッターを掛けられている時は、ダメージを与えるだけの武装と変わる。

 

 

 

 

SA-X01 ストライク・アストレイ・フォースブレイク(SアストレイFB)

 

動力源

ISコア

 

武装

:高エネルギービームライフル

:アンチビームシールド

:対装甲ナイフ

 

:マルチプルアサルト

・超高インパルス砲“アグニ”

・コンボウェポンポッド 2

・対艦刀“シュベルトゲベール”

・ビームブーメラン“マイダスメッサー”

・ロケットアンカー“パンツァーアイゼン”

・ビームサーベル 2

 

:オオトリ

・レールガン

・ビームランチャー

・大型対艦刀

・ミサイルランチャー

・3連小型ミサイル×4

 

設定

ストライク・アストレイをラウラ専用機としてキラが調整した物で、ファーストシフト時にアサギ、ジュリ、マユラの三人とラウラが出会った事によって、セカンドシフトした機体である。

マルチプルアサルト装備時、両肩にコンボウェポンポッドが設置される。その他の変更点は無し。

オオトリについても変更点は無し。

 

 

 

 

RD-X02 ワイバーン・ドラグーン

 

動力源

ISコア

 

武装

:ビームライフル

:アンチビームシールド

:高エネルギービーム砲 2

:対装甲ナイフ 2

:高エネルギー収束ビーム砲“スキュラ”

:対艦重斬刀“エクスカリバー” 2

 

設定

機体はラファールだが、セカンドシフトした事によって、ラファールとストライクを足した形をしている。これにより、ラファールの武装やストライクの武装を搭載する事が可能となっている。

 

:高エネルギー収束ビーム砲“スキュラ”

イージス系統に装備されているスキュラをビーム砲にした物。アグニと違い、取り回しが良い。また、連射機能も搭載している事もあり、連続して攻撃する事が出来るが、砲身に熱が籠ると爆発する恐れがある。

 

:対艦重斬刀“エクスカリバー”

ソードインパルスが搭載しているエクスカリバーとは違い、刀部は実体剣だが、超振動によりビームでは切り裂けれない物を簡単に切り裂く事が可能である。また、ものうち部はセイバーのファトゥムの対装甲ナイフと同じものになっている。

 

 

 

 

GAT-X105S ストライク改

 

動力源

ISコア

 

武装

:ビームライフル

:アンチビームシールド

:対装甲ナイフ 2

:ビームサーベル 2

:特殊索敵レーダー

・各ストライカーパック装備可能

 

設定

ストライクを改良した物で、クロエ専用機として束が開発した機体である。コンセプトは後方支援機となっている。索敵が主になっている為、最低基準の武装しか搭載されていない。ただし、特殊探索レーダーを外す事で、ストライカーパックが使用する事が出来る。

 

:特殊索敵レーダー

ストライク改のみしか装備されていない物で、半径50㎞の敵を索敵する事が可能となっている。これにより、敵の行動をいち早く索敵する事が出来る様になり、ミネルバ隊は少人数での行動が可能となっている。

 

 

 

 

GAT-X105E ストライクE(鳳鈴音専用機)

 

原動力

・ISコア

・大容量バッテリーパック“パワーエクステンダー”

 

武装

(標準)

・17.5㎜グレネードランチャー装備高エネルギービームライフル

・対艦刀 2

・コンバインシールド

 

(オオトリストライカー)

・対IS用レールガン

・高エネルギービーム砲

・対艦刀“シュベルトゲベール改”

・ミサイルランチャー

・三連装小型ミサイル

 

(マルチプルアサルトストライカー)

・超高インパルス砲“アグニ改”

・コンボウエポンポッド

・対艦刀“シュベルトゲベール改”

・ビームブーメラン“マイダスメッサー” 

・ロケットアンカー“パンツァーアイゼン”

 

設定

キラが鈴の専用機としてストライクEを使う際に、色々と変更して設計した本機である。

ストライクEの特徴である両肩部の追加スラスターの影響により、ストライカーパックを装備する事が困難になったが、設計自体を変更したことにより問題無く装備する事が可能となった。

 

 

 

 

MSIS専用アームドモジュール ミーティア

 

動力源

・核エンジン

分類

・ZGMF‐X専用アームドモジュール

全長

・15.6m(連結時)、14.6m(単機時)

武装

・93cm連装高エネルギー収束火線砲

・10cmエリナケウス対艦ミサイル発射管

・ウエポンアーム

:60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管

:120cm高エネルギー収束火線砲

:MA–X200改ビームソード

:7.24m対艦刀“シュベルトゲベール”

 

設定

ストライク・フリーダム・フェニックスとインフィニット・ジャスティス・セイバー専用のアームドモジュール。

二機が第二形態(セカンド・シフト)したことにより、本機も第二形態(セカンド・シフト)している。又、補助AIが組み込まれている為、本機単体での戦闘が可能となっている。尚、本機を出す為には、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を使う必要がある。

 

武装設定

・93cm連装高エネルギー収束火線砲

両側面に備えるビーム砲。連装砲になったことで火力、速射共に強力となっている。一発の攻撃力は、既存するISの絶対防御を貫通してしまう程の威力を持っている。

 

・10cmエリナケウス対艦ミサイル発射管

本体に22連装×2基、テールスタビライザー上部に4連装×3基からなるミサイル。広範囲の標的を同時に攻撃が可能だが、それに付け加えて、追尾性能も有している為、単発でも脅威となっっている。

 

・ウエポンアーム

本機とフレームで繋がり、IS側で操る武装モジュールだが、単体戦闘時にはAIが操作する。

 

:60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管

アーム根元付近に12連装×2基で備える同名のミサイル。追尾性能も備わっている。

 

:120㎝高エネルギー収束火線砲

アーム先端中央に一する超大口径ビーム砲。核エネルギーの尾根木によって放たれる攻撃は、ISコア諸共、消し去ってしまう程の威力を持っている。

 

:MA-X200改ビームソード

アーム先端の上下に分かれた発生器から出力される大型ビームサーベル。これで斬られたISは、形そのものが消えてしまう。

 

:7.24m対艦刀“シュベルトゲベール”

アーム下部に収納されている実体剣。射出も可能で、アンカーが備わっている為、自動的に戻るようになっている。

 

 

 

 

BT-01S ブルー・ティアーズ・セカンド

 

原動力

・ISコア

 

兵装

・スター・メモリー 2

・ブルー・ティアーズ 8

・インターセプタ―Ⅱ 2

 

設定

ブルー・ティアーズが第二形態(セカンド・シフト)に移行した機体。

移行する際、キラのストライク・フリーダムの情報を使った事により、全ての兵装にビーム兵器が搭載されている。また、セシリアに適した設定を行った事で、ビット兵装の操作を簡略化する為、ブルー・ティアーズ本体が、マルチ・ロックオン・システムの構築を組み上げる事に成功する。これにより、個別に敵をロックし、攻撃する事が出来る様になった。後にエネルギー消費問題が出て来るが、キラとアスランの力で解決する。

 

兵装設定

:スター・メモリー

スターライトmk‐Ⅱを発展化させた事で、レーザーからビーム兵器へと進化する。また、スナイパーライフルの姿から、ライフル形態へ変更した事により、取り回しも連射も、連結する事で強力なビームも撃てる事が出来る様になった。但し、エネルギーは機体本体からなので、連射する際には、細心の注意が必要である。

 

:ブルー・ティアーズ

8基の内、2基は機体本体に接続されており、使用しない際にはスラスターの代わりとなる。また、ミサイルも小型化した事により、1基1発から1基3発まで装填する事が出来る様になった。しかし、エネルギー供給が本体からなので、スター・メモリーとの同時使用でエネルギー消費問題となってしまう。後に改良された事で、問題解決する。

 

:インターセプタ―Ⅱ

近接専用のショートブレードだが、ストライクのコンバットナイフをモチーフにした事により、刀身を振動させる事で強化された。但し、殆ど出て来ることのない不憫な兵装である。




質問、指摘等ありましたらどしどし、送ってください‼



次回の更新は未定となっております。

R4,8,12
ストライク改の編集を行いました。
ブルー・ティアーズ・セカンドを記載しました。


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艦船設定

先ほどの投稿は間違えです。


艦名   アークエンジェル

 

級名   アークエンジェル級

 

艦籍番号 LCAM-01XA

 

分類   強襲機動特装艦

 

所属   国立IS学園

 

全長   420m

 

装甲材質 ラミネート装甲

 

推進機関 レーザー核融合パルス推進

 

武装

・陽電子破城砲“ローエングリン” 2基

・225cm連装高エネルギー収束火線砲“ゴットフリート”2基

・110cm単装リニアカノン“バリアント”2門

・7・5mm対空自動バルカン砲塔システム“イーゲルシュテルン”16基

・艦橋後方艦対空防御ミサイル(ヘルダート)発射管16基

・艦尾大型ミサイル発射管24基

・4連装多目的射出機2基

・対潜用魚雷発射管多数

 

搭載機

・ZGMF-X135D ストライク・フリーダム・フェニックス

・ZGMF-X331D インフィニット・ジャスティス・セイバー

・RD-X02 ワイバーン・ドラグーン

・SA-X01 ストライク・アストレイ・フォースブレイク

・ZGMF-XX09T ドム・トルーパー

・MBF‐M1S ストライク・アストレイ

 

設定

元々はキラとアスランの捜索の為に出ていたアークエンジェルであったが、突如として起きた重力に巻き込まれIS世界に舞い降りた堕天使。

現在は国立IS学園所属特殊武装隊一番隊の隊名兼旗艦となっている。

 

 

 

艦名   ドミニオン

 

級名   アークエンジェル級

 

艦籍番号 LCAM-01XB

 

分類   強襲機動特装艦

 

所属   IS学園

 

全長   420m

 

装甲材質 ラミネート装甲

 

推進機関 レーザー核融合パルス推進

 

武装

・陽電子破城砲“ローエングリン” 2基

・225cm連装高エネルギー収束火線砲“ゴットフリート”2基

・110cm単装リニアカノン“バリアント”2基

・7・5mm対空自動バルカン砲塔システム“イーゲルシュテルン”16基

・艦橋後方艦対空防御ミサイル(ヘルダート)発射管16基

・艦尾大型ミサイル発射管24基

・4連装多目的射出機2基

・対潜用魚雷発射管多数

 

搭載機

・LG-ZGMF-X23S ヴァンセイバー

・LG-GAT-X207 ネブラブリッツ

・GAT-X131 カラミティ

・GAT-X252 フォビドゥン

・GAT-X370 レイダー

 

設定

一度はアークエンジェルに敗れ、撃沈された本艦であったが、なぜかナタルだけ居らず、アズラエルとオルガたちだけであったが、対女権団を掲げた事により、多くの同志が募りドミニオンを動かす事が出来るようになった。

現在は国立IS学園所属特殊武装隊二番隊の隊名兼旗艦となっている。

 

 

 

 

艦名   ミネルバ

 

級名   ミネルバ級

 

艦籍番号 LHM-BB01

 

分類   惑星強襲揚陸艦

 

所属   IS学園

 

全長   350m

 

武装

・陽電子破砕砲“タンホイザー”1基

・連装高エネルギー収束火線砲“トリスタン”2基

・42cm通常火薬3連装副砲“イゾルテ”1基

・40mmCIWS12基

・ミサイル発射管多数

・魚雷発射管4基

・アンチビーム爆雷

・ジャミング弾

 

搭載機

・ZGMF-X13 プロヴィデンス

・ZGMF-X666S レジェンド

・GAT-X105S ストライク改

 

設定

一度はアークエンジェルに敗れた本艦であったが、メサイヤと共に散ったグラディスとギルバートが極秘裏に資金を集めて建造した本艦であるが、情報を聞きつけた束が合流した事により、対国際IS委員会を掲げた事でそれなりの同志を集め、ラウと共に運用する事が出来るようになった。

現在は、国立IS学園所属特殊武装隊三番隊の隊名兼旗艦となっている。

 

 

 

 

 

艦名   信濃

 

級名   大和型

 

艦籍番号 ACC03

 

分類   航空戦艦

 

所属   国際IS委員会→国立IS学園

 

全長   330m

 

武装

・460cm三連装高エネルギー収束火線砲4基

・155cm四連装高エネルギー収束火線砲2基

・50口径90㎜対空自動バルカン砲塔システム改“イーゲルスラッシャー”多数

・多目的VLS 8基(1基6セル)

・陽電子破城砦砲“オルトルート”1基

 

搭載機

・GAT-01D ロングダガー

・GAT-A01/E2 バスターダガー

 

設定

国際IS委員会が女権団と共に建造した本艦であるが、他に三隻の同型艦が存在する。委員会から抜けるために出航したが、委員会の特務部隊“ファントム・ペイン”との戦闘で多くの機体と船体にも被害を受けたが、ドミニオンと合流した事により、修復した後、ドミニオンと共に行動をしている。

予定では国立IS学園所属特殊武装隊四番隊の旗艦に就任予定。




後付けで大和型のモデルは宇宙戦艦ヤマトをモチーフにしています。なので、飛行も可能です。


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人物設定

一夏たちの事を書いていなかったことに気付いたこの頃。なので、一夏たちの設定を投稿します。


・織斑 千冬

 

一夏の姉であり、四年に一度開催されるIS部門の第一回優勝者。称号として“ブリュンヒルデ”を授かるが、本人は、呼ばれたくないと思っている様子である。

現在は国立IS学園の理事長を務めている。

 

・織斑 一夏

 

千冬の弟で、過去に千冬の応援に行った際に誘拐されたが、無事に救出された。だが、姉の顔に泥を塗ったと今でも後悔している様子である。

現在は見習いとしてミネルバ隊と共に行動を共にしている。

 

・篠ノ之 箒

 

一夏に片思いをしている女の子。唐変朴な一夏を振り向かせようと躍起になっているが、どれも空振りに終わっている。

現在は一夏と共にミネルバ隊と行動を共にしている。

 

・セシリア・オルコット

 

一夏に片思いをしている女の子の一人。料理の腕は点でダメで、スーパーコーディネイターであるキラの胃をもってしてでも駄目だった。作り上げる料理は兵器化してしまうほどである。

現在はミネルバ隊と行動を共にしている。

 

・鳳 鈴音

 

一夏に片思いをしている女の子の一人。箒とは入れ違いで転校してきたが、その際に他の男子にいじめを受けていたところを一夏に助けられて一夏に片思いをする。

中国の国家代表候補生であったが、中国が韓国と北朝鮮と共にIS学園に攻撃を仕掛けようとした“哀れな中国艦隊”の際、母国を裏切り専用機を母国に返却した後、キラ達から新たな専用機を与えられる。

現在はアークエンジェル隊と行動を共にしている。

 

・シャルロット・デュノア

 

元フランス代表候補生。両親と和解したが、その翌日に何者かによってデュノア社が襲撃に逢い、フランスも襲撃を受けた事で国家代表候補生としていられず、アークエンジェル隊に入隊することになる。

 

・ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

元ドイツ軍特殊部隊隊長。ドイツが開発していた無人機による攻撃により外部からVTシステムが作動し、事件が解決した後、母国に裏切られた専用機をはく奪されてしまうが、キラ達により新たな剣を得て現在はアークエンジェル隊に入隊している。

 

・更識 楯無

 

対暗部組織更識家の現当主であり、IS学園の生徒会長を務めている。また、キラの婚約者で二児の母。学園を卒業後は専業主婦になるつもりでいる。本名は刀奈

 

・更識 簪

 

楯無の妹で、アスランの恋人。IS学園を卒業後は刀奈の代わりに当主になろうと考えている。

 

・更識 明日奈

 

キラと楯無の養女。レゾナンスにて発生したテロで母親を亡くしている。楯無とキラ、更識家の協力の下で元気に育っている。現在5歳。

 

・更識 アリス

 

元々キラの細胞を使って作られたクローン。テロメアが短く、数か月後には命を落とす筈であったが、容体が急変した際に、キラが輸血をしたことにより、普通の人と同じようになった。現在9歳




誤字脱字、指摘、質問等ありましたら、どしどし送って下さい‼

今日だけで三本も上げたぞ⁉


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本編
プロローグ


すみません。本当に自分の思いつきで書きました。おかしな文章があるかも知れませんが、その時は教えて下さい。


一つの扉がスライドして開けられ、キラは内部に入るとそこにはプラント最高評議会議長でありザフト軍の全権を持った男ギルバート・デュランダルが待っていた。

 

「やぁ、君がキラ・ヤマト君だね。まさか、君が此処まで来るとは思ってもみなかったよ」

 

しかし、キラはそのギルバートの言葉に反応せずオーブで採用されている銃を構える。

 

「なるほど、だが、それでいいのかな? 君も、彼女(ラクス)も」

 

その言葉の後、ギルバートも銃を構える。

 

「辞めた方がいいと思うがな。そうでなければ、逆戻りになってしまうぞ?」

 

ギルバートはキラに諭すように言う。

 

「そうなのかも知れません。でも、僕達にはまだ[明日]と言う希望が残されている。だから、明日が欲しいんだ‼ どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌だっ‼」

 

キラはそう言うと銃に籠める手の力を強める

 

「傲慢だね。さすが、最高のコーディネイターだ」

 

「傲慢なのは貴方だ! 僕は只の人間だ。ラクスも」

 

ギルバートの言葉を真っ向から跳ね返していくキラ。ギルバートもキラの目を見ながらも視線は少し後ろに行っていた。キラは振り返って確認をしたかったが、ギルバートに撃たれる可能性があると考え、視線をギルバートへと集中させる。

 

「だが、君が示す世界と私が示す世界。世界中の人々がどちらを選ぶかは明瞭なはずだが? それでも君は私を打つというのかね?」

 

「……………覚悟はある」

 

ギルバートの言葉にキラは確信を持った声で答える。

 

「だから、僕達は何時までも戦わなくてはいけないんだ。自分自身と」

 

そして、キラとギルバートの持つ銃の引き金に力を籠めて行く。そして………………

 

 

 

ダァァァン‼

 

 

一発の銃声がした。倒れたのは、キラではなく、ギルバートの方であった。しかし、キラの銃からは硝煙が上がっていなかった。そこで、漸くキラは後ろを振り返ると、そこには壁に背を持たれて崩れ落ちている少年の姿があった。その横にはアスランと女性の姿もあった。

 

「ギルっ⁉」

 

女性はギルバートの下に走っていく。

 

「やぁ、君が撃ったのかい? タリア」

 

「いいえ、撃ったのはレイよ」

 

タリアの言葉にギルバートはレイと呼ばれた少年の方を向く。

 

「ごめん…………なさい……ギル。でも………彼の………明日がっ‼」

 

「………そうか……」

 

レイの言葉に、彼が自分が描く世界よりも、キラの描く世界を選んだ事を知り、諦めたのか目を瞑ってしまう。

 

「グラディス艦長………」

 

アスランとキラはタリアの元に行こうとした。だが、タリアはキラとアスランに銃を構えた。

 

「あなた達は行きなさい。この人たちの魂は私が連れて行くから。それと、ラミアス艦長に伝えて。子供がいるの、男の子よ。いつかあって頂戴って」

 

「判りました。行くぞ、キラ」

 

「う、うん」

 

アスランはそう言うとメサイヤから脱出する為に自身の愛機に戻って行った。

 

「こちらに着なさい、レイ」

 

レイはタリアに呼ばれたのでそちらに行く事にした。

 

「よく頑張ったわね。これからは、一緒よ」

 

タリアは生き別れた子供のようにレイに言う。レイはその言葉一つで救われたようになった。そして、背後にはラウが祝福しているような笑みを浮かばせながらこちらを見ていた。

 

「お……母さん」

 

その瞬間、メサイヤは爆発して崩壊が始まった。

 

 

 

一方、キラ達も愛機に乗り込み、何時でも出れるようになっていたが突如、機体が動かなくなった。

 

「キラ‼ ジャスティスが動かない⁉」

 

『アスランもっ⁉ フリーダムも動かなくなった‼ でも早く脱出しないと僕達も一緒に巻き込まれる。アスラン‼ なんとか早く脱出しよう‼』

 

「ああ‼」

 

しかし、アスランとキラ達二人はなんとか機体を動かそうとするが、愛機は全く反応を見せないまま、崩壊するメサイヤに取り残され、メサイヤは崩壊していった。

そして、メサイヤの崩壊と共にアスラン、キラの両名がMIA判定を受ける。

オーブ、ザフトの両軍は大規模な捜索で、二人を探したが、見つかる事は無かった。




誤字脱字、感想、指摘がありましたら教えて下さい‼

三点リーダーを変更しました。書き足しも行いました。

R4,8,11 修正を行いました。


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第一話

皆様、大規模修正を行っています。


日本にある国立国際学園『IS学園』の職員室では二人の女性が書類を片手に仕事を行っていた。

 

「それにしても、驚きましたね。織斑先生」

 

「ん? そうだな。ISが広がってから約10年経つが男がISを動かしたという事は聞いたことがない。まぁ、今回が初めてだという事だな」

 

「でも、織斑先生は嬉しいんじゃないですか? 弟さんが学園に入学されるこ………と…………が………」

 

「山田先生。私は、揶揄われる事が嫌いです。ですから、これ以上、私を揶揄うのでしたら、容赦はしませんよ」

 

織斑先生は山田先生の頭に掌を置いた。

 

「お、織斑先生⁉ もう言いませんから、そのアイアンクローしようとしないで下さいっ‼」

 

「フンッ」

 

山田先生の謝罪を受け入れ、織斑先生は掌を戻した。そして、織斑先生はまた、仕事に戻るが、その瞬間に、学園全体に響き渡る程のサイレンが鳴り響く。

 

「ッ⁉ このサイレンはどうした‼」

 

「判りません。ですが、上空に無所属のISが二機こちらに向かって墜ちて来ています‼」

 

織斑先生に状況を報告する先生は泣き叫ぶかのように報告をする。

 

「職員はISを装着後待機‼ 私と山田先生も出る。その他の指示は追って連絡する、解散‼」

 

この言葉通りにIS学園に居た職員は全員がラファール、打鉄を装備していき、落下目標地点で待機をする。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか………」

 

織斑先生がそう言うと、アリーナの屋根が吹き飛びそこには二機のISが突入してそのまま地面に衝突すると土煙が上がり、周りが見えなくなってしまった。そこで、織斑先生は他の職員に指示を出す。

 

「ッ⁉ 各自戦闘用意‼ 様子を見てから指示を出す。それまでは現状維持」

 

『はい』

 

しかし、落下してきた二機のISからの攻撃が無く土煙もなくなると、そこにはISの代わりに少年が二人倒れていた。

 

「各自、何時でも戦闘が出来るように準備。私と山田先生が確認をする。援護が出来るようにしておくように」

 

そう言うと、織斑先生は打鉄を解除して男の元に行った。山田先生もその後に続いていく。

 

「山田先生。この二人を調べてください。もしかしたら……………」

 

「…………判りました」

 

そう言うと、山田先生は一人の少年の体を調べていく。一方、織斑先生も同様にもう一人に少年の体を調べ始める。

 

「っ⁉ 織斑先生‼」

 

山田先生は織斑先生に見えるように一つの指輪を見せた。

 

「これってもしかして……………」

 

「こちらも同様なものが見つかった。山田先生。今からこの二つのことを調べてください。ほかの職員はこの二人を保健室に連れて行く。手の空いている職員は手伝ってくれ。ほかの者は持ち場に戻るように」

 

織斑先生がそう言うと、二人の職員が残り他の職員は自分の持ち場に戻って行った。山田先生は二人の少年が持っていたものを調べる為にどこかに向かって行った。

 

 

織斑先生は二人の少年を保健室に預けると関係者立ち入り禁止と書かれた扉を潜り、エレベーターに乗り込むと地下に向かって行った。

 

「山田先生。何か判りましたか?」

 

「あっ、織斑先生。いいえ、全くと言っていいほどに何も判りませんでした。一応判った事は名前と所有者の名前ですかね。赤い指輪は『インフィニット・ジャスティス』蒼いネックレスは『ストライク・フリーダム』です。所有者の名前はインフィニット・ジャスティスがアスラン・ザラ、ストライク・フリーダムがキラ・ヤマトです」

 

「そうか…………なら、直接所有者に聞くか」

 

織斑先生はモニターに書かれた名前を見ながら呟いた。

 

 

 

 

そして、保健室では二人の少年が起き始めた。

 

「……………ん? 此処は何処………」

 

「ッ⁉ 大丈夫か、キラ‼」

 

「アスラン? どうして此処に…………それに僕達ってメサイヤの崩壊に巻き込まれて………」

 

「判らない。何が起きたのかが……………それに此処はどう見ても地球だな」

 

アスランはそう言うと窓の方に近づいていく。外は海に囲まれており逃げることが出来ない造りになっていた。元より、アスランもキラも逃げるつもりは無いが………。

 

「でも、どうして宇宙に居た僕達がここに居るんだろう?」

 

「さぁな。でも、俺達の機体も何処に行ったのかを知りたいな」

 

「……………そうだね」

 

キラは悲しそうになる。アスランも同じく顔を顰める。

 

「向こうではどうなっているんだろうね、僕達は」

 

「俺達はMIA判定でも受けているんじゃないか? それに、カガリ達も俺達を探そうと必死になっている気がする」

 

アスランはそう言うが、実際、キラ達が居なくなってから大規模な捜索がされていた。しかし、手掛かりが全く無く、捜索は打ち切られたのであった。

 

「まぁ、この世界の事をもっと知らないといけないのは確かな事だけど」

 

キラがそう言うと、扉が開きそこには二十代後半の女性と子供が無理をして大人の格好をした女性?が入ってくる。

 

「漸くお目覚めか? 全く、寝坊にしても限度ってものがあるぞ」

 

「えっと、織斑先生。小言はそれぐらいにして下さい。話が進まないので……………」

 

「おっと、そうだったな。すまない山田先生。貴様らには聞きたいことがある。一応、黙秘権は通用するがその際は貴様らに不利な状況になることは覆えておけ」

 

織斑先生と呼ばれた女性はキラ達にそう言った。

 

「判りました。では、何を話したいいのでしょうか?」

 

キラが代表として織斑先生に尋ねる。

 

「そうだな……………まず最初は自己紹介からだな。まぁ、此処は常識的にこちらからするのが良いのだろう。私は織斑千冬だ。横に居るのは山田真耶。どちらもこのIS学園の教師をしている」

 

「では、僕達ですね。僕はオーブ軍准将、キラ・ヤマトです」

 

「俺は、いや、自分も同じくオーブ軍三佐、アスラン・ザラです」

 

キラとアスランはオーブ式の敬礼をする。

 

「ほう、敬礼が様になっているな。だが、オーブと言う国は無いぞ?」

 

「「えっ⁉」」

 

千冬の言葉にキラ達は驚きを隠せなかった。

 

 




感想、指摘、誤字脱字があればよろしくお願いします。

アスランの階級はこちらで勝手につけました。変更はしませんのであしからず二よろしくお願いします。

少し編集を行いました。

R4,8,11 修正を行いました。


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第二話

予告通りに二十日更新です。結構長いな。短縮してもいいけど俺が更新出来るか判らないんだよね?

まぁ、それは横において本編始まります!!


キラ達には納得の行かない説明であった。

 

「それって、どう言う事ですか⁉ オーブが無い? そんなバカな事があるはずが無いじゃないですかっ⁉ じゃぁ、カガリは、ラクスはどうなったんですか‼」

 

キラは織斑先生にそう突っ掛って行く。しかし、織斑先生は全くしない様である。

 

「キラ、落ち着け。頭を冷やせ」

 

「でも、アスラン‼」

 

「今は織斑教諭の話を聞く事にしろ。でないと、情報収集が出来ない」

 

「…………………」

 

アスランの言葉にキラは何も言えなかった。

 

「すまないな、ザラ。では、先に確認をしたいことがある。まず、『ストライク・フリーダム』『インフィニット・ジャスティス』と言う機体の名前に心当たりは無いか?」

 

「それは僕達の搭乗していた機体の名前です。それを何処で知ったのですか?」

 

このときのキラの表情と殺気は織斑先生でも背筋が凍る気持ちであったと後に言っていた。

 

「き、機体についてはお二人がこちらで寝ている際に、勝手に調べさせてもらいました。しかし、どちらもエラーを出して此方の事を一切、受け付けませんでした。ですので、こうして尋ねに来たんです」

 

後ろに居る山田先生がオロオロしながらそうキラ達に伝える。

 

「それはどう言う事ですか? なら自分達でも見る事は出来ないんじゃないですか?」

 

「そう言う訳にもいかん。だから、こうして此処に来た。それと、お前達には拒否権は一切無いからな」

 

「「…………………」」

 

この言葉にキラ達は何も言えなかった。

 

 

 

 

「さて、此処に来てもらったが蒼い剣十字のネックレスが『ストライク・フリーダム』で紅い剣十字が『インフィニット・ジャスティス』だ。此処の装置は使っても良いから、調べられるだけ調べろ」

 

織斑先生と山田先生に連れられて地下のある場所に来ていた。此処は権限を持った人間しか入れないようになっている。そこにキラ、アスランは連れて来られていた。

 

「判りました。ですが、判るまでは一切自分達のところに来ないで下さい。もし来た際はこの機体諸共爆破しますので」

 

「判った。良いだろう。その代わり、判った事は絶対に教ええ貰うからな」

 

「了解です。では、作業を開始します」

 

キラの言葉で織斑先生達は後方に下がっていく。そして同時に二人はコンソールを高速で打って行く。それはもう天才としか言いようがないほどであった。しかし、この時織斑先生は二人を睨んでいた。

 

 

「しかし、凄いですね織斑先生」

 

「ん、何がだ? 山田先生」

 

「あの二人。最初見たときは普通の少年にしか見えませんでしたが、あの表情を見ていると歳相当には見えませんね」

 

「……………そうだな(あの目は戦場を行き抜いた目だ。私もドイツで目にしたとき以来だな。それでも、アイツは元気でやっているだろうか?)」

 

織斑先生は内心でそう考えていた。

 

 

「さて、大体は判ったな。キラ、そっちはどうだ?」

 

「うん、こっちも今終わったよ。でも、これを報告したら絶対に……………」

 

「ああ。そうだな。絶対に戦争が起きる。それを防ぐ為にもどうにかしないとだな」

 

「でも、あの二人なら教えてもいいと思うよ。僕は」

 

「キラ、それはまだお前が甘いという事を言っているのと同じ事だぞ? まぁ、俺もそのことについては同感だな」

 

この時キラ達は小声で話している為、織斑先生には聞えていなかった。そして……………

 

「終わりました。ですが、報告するに当り条件があります」

 

「………言ってみろ」

 

「はい。この機体は俺達以外には作動する事が出来ません。ましてや、無理に動かそうとしたら爆破されます」

 

「どう言う事だ?」

 

「この機体達の原動力は『核』です」

 

「「核だと/ですって⁉」」

 

「はい、ですがちゃんと安全を満たしています。それについては問題はありません。ですが、先程も説明したように無理にすれば…………」

 

「核爆発を起こすといっているのだな?」

 

「…………はい」

 

アスランの言葉に織斑先生達は何も言えずにいた。

 

「それと、武装についても説明をしたいのですがよろしいですか?」

 

「あ、ああ。いいだろう。説明してくれ」

 

「はい。では、先にストライク・フリーダムの武装を説明します。これを見てください」

 

キラがそう言うと、大型モニターにストライク・フリーダムが映し出される。

 

「まず始めに両手に装備しているのは高エネルギービームライフルです。この武装は現状のISでは一発喰らっただけで、エネルギーが消えます。次に腹部に装備しているのはカリドゥス複合ビーム砲。こちらはIS処か戦艦までもを簡単に撃ち墜とす事が出来ます。次に腰部に装備しているのはクスィフィアスⅢレール砲です。こちらは実弾ですのでISでは何とか相手になりますが、シールドエネルギーが一気に消えます。そして、レール砲と一緒に装備されているのはシュペールラケルタビームサーベルです。こちらは例えが出来ないぐらいの出力になります。まぁ、ISの装甲を簡単に抉れると言う事を覚えていてもらえると良いかと思います。次に上腕に装備しているのはビームシールド発生器です。まぁ、通常のシールドは装備できないのでこう言う形になっています。そして、後部に装備しているウィングはスラスターとしての役目もありますが……………」

 

キラがコンソールを弄るとストライク・フリーダムの背部にあるパーツが外れる。

 

「これがスーパードラグーン機動兵装ウィングと言います。まだ使ったことが無いので判りませんが、大気圏外での使用を目的とした武装になっています。もしかしたら大気圏内でも使用が出来るかもしれませんが、それは使ってみないと判らないですね。それと、この武装は全て原動力である『核』から供給されるのでエネルギーの心配はありません。まぁ、この機体のシールドエネルギーはISだけに無限に在ります」

 

キラの説明で織斑先生達は何も言えなかった。否、言える筈が無い。まさか核が搭載されている機体がこの世の中にあるはずが無い。そう、あの天災であっても。

 

「ヘックチュン‼ 誰か私の噂でもしてるのかな? もしかしてちーちゃんかな? いっくんかな? 箒ちゃんだったりして‼」

 

どこかに居る天災がくしゃみしている事は誰も知る由が無かった。

 

今度はアスランが説明に入る。

 

「次に自分の機体の説明をします。まずこのインフィニットジャスティスは近接型の機体になっています。そして、武装ですが、まず右手には高エネルギービームライフルを装備しています。これについてはキラの機体と同じですので説明を省略します。次に腰部にはシュペールラケルタビームサーベルが装備しています。これもキラと同じです。ですが、キラのとは違い、連結することが出来ます。次にビームキャリーシールドが装備しています。これは一見普通のシールドに見えますが、この中にシャイニングエッジビームブーメランが一基、グラップスティンガーというアンカーが装備しています。また、これもビームシールドとしての役目もあります。次に足の下腿に装備しているのはグリフォンビームブレードです。こちらはシュペールよりも劣化版ですがそれでもISの装甲なら簡単に抉れます。次に後部に装備しているユニットはファトゥム-01です。これは機体を乗せれるだけでもなく単独で攻撃も可能にしています。これの武装は先端にはブレフィスラケルタビームサーベル、ハイパーフォルティスビーム砲、グリフォンⅡビームブレードが装備しています。この攻撃を受けた際はISは簡単に真っ二つになります。そして、キラと同じくこの機体も核を動力源にしていますのでエネルギーの心配はありません」

 

「「……………………」」

 

この時の二人の表情は呆気に取られている表情をしていた。




はい、誤字脱字、感想、指摘があればよろしくお願いします。


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第三話

連続投稿です。


その後、キラ達は織斑先生達と別れ、保健室に戻っていた。

 

「さて、キラ。今日の事で少し判った事と疑問になった事がある」

 

「どう言う事、アスラン?」

 

「キラ、俺たちは違う世界に来た。これは判っているな? じゃぁ、俺達は此処で何をしたら良いか判っているか? そして、謎と言うのは、どうして俺達の機体がMSからISに変わったかと言う事だ」

 

アスランはキラに尋ねる。キラも何時ものおっとりした顔から一辺して、真剣な顔つきになる。

 

「そうだね。僕たちは此処で元居た世界に帰れる様に考える、謎の答えとしては僕にも判らない。これが答えじゃないの?」

 

キラの答えにアスランは「そうだな」と答える。

 

 

一方、IS学園の地下に関係者立ち入り禁止区域がある。そこに織斑先生と山田先生がパソコンの前に座って何やら作業を行っていた。

 

「さて、真耶。今回はヤマト、ザラの待遇についてをどうしたら良いか迷っている。もし、今回の事を(IS委員会)に伝えたら戦争になるぞ?」

 

「そうですね。ですが、報告しなかったら報告しなかったらで、後で大変な事になり兼ねないと思いますが………」

 

「そうだな……だが、どうしたら良いものか……………」

 

二人は頭を悩ませていた。

 

「おっと、此処に居ましたか、ブリュンヒルデ」

 

すると、織斑先生の後ろから一人の老人が出てこられた。

 

「学園長、急に出て来ないで下さい。それと、その名前で呼ばないで下さいと何度も言っていますが?」

 

「はははは、気にしたら負けですよ? まぁ、今回はそのことを話しに来たんじゃないです。昨日、来られた者達の機体の解析は終了しましたか?」

 

「はい、一応は。本人達を使って解析しました。しかし………」

 

「しかし? 何ですかね、織斑先生」

 

織斑先生はこの学園長に話すべきか迷っていた。仕事柄、上には何があっても報告をしなければならない事になっている。しかし、今回の事については話が別である。

 

「この機体については本人達から聞きましたが、正直、信じられないの一言に尽きます」

 

「ほう? それはどう言う事ですかな、織斑先生。今回の件は貴女に全権委ねていますが、報告する事は怠ってはいけませんな」

 

学園長はそう言うと、殺気を出す。この殺気はキラ達と同等であった。

 

「ッ!? はい、判りました。では、報告させて貰います」

 

この後、織斑先生は学園長に報告をした。

 

「そうですか………『核』を動力源にするISですか…………このことは委員会には?」

 

「いえ、まだ報告していません。もし、したら戦争が起きるのではないかと言う懸念からですが………」

 

「「「………………」」」

 

この言葉に真耶、千冬、学園長が黙った。

 

「判りました。では、こうしたらどうでしょうか?」

 

「「ッ!?」」

 

学園長の提案に千冬達は驚きがあったが、しかし、打開策が無い今ではそれが最善であることが明白であった為、結局、その提案が可決される事になった。

 

 

そして、その日の夜。キラ達はある部屋に連れて来られていた。

その部屋のプレートにはこう書かれていた『学園長室』と。

 

 

「初めまして、このIS学園で学園長をしている笠松です」

 

「初めまして、オーブ軍准将のキラ・ヤマトです」

 

「同じくオーブ軍三佐のアスラン・ザラです」

 

二人は敬礼をしながら笠松に自己紹介をした。

 

「では、座ってください。さて、お二人を此処に来てもらったのには訳があります。お二人は軍属と言うことで良いのですよね? では、話は簡単です。此処の警備と護衛をして貰いたいのです」

 

「それはどう言う事なのでしょうか? 自分達は確かに軍属ですが、この世界には実在しない国家です。それに、こう言う話をするって事は、自分達の機体については知っていますよね?」

 

「ええ、昨日聞きました。しかし、これとは話が違います。警備については申し訳ないのですがお二人を傭兵と言う事にしたいのです。また、護衛については今年に入学する織斑一夏の護衛をして頂きたいのです。この二つについてはこちらから報酬としてこの額を出させて貰います」

 

そう言うと、笠松は一枚の用紙を出す。そこに書かれていたのは『¥258000000』と書かれていた。

 

「こんな金額を貰っても大丈夫なんですか!?」

 

この金額にキラ達は驚きを隠せなかった。

 

「おっと、まだ説明不足でしたな。この金額は年俸です。月々¥21500000ですね。この金額についてはこちらで用意した口座に毎月一日に振り込む形になります。此処まで質問はありますか?」

 

「いえ、大丈夫です。話を続けて下さい」

 

「判りました。で、続きですが、傭兵については極秘となっています。そして、貴方方が乗っている機体は一旦封印します。しかし、いざと言う時の為に貴方方が持っていてもらっても構いません。この意味が判りますね?」

 

「はい、自分達の機体は『核』を動力源です。もしこのことがバレてはこの学園の危機になる。それに、一歩間違えたら戦争になりかねないと言う事ですよね?」

 

「そして、もし学園で負えない事態の時のみで使用が限られると言う事ですよね?」

 

アスランとキラの答えを聞き、笠松は頷いて答えた。

 

「はい、そうです。そして、貴方方の専用機はこちらで用意させて貰います。もし、希望があるのでしたら言って下さい」

 

笠松はそう言うと、メモ帳を引っ張り出す。

 

「では、僕の機体ですが、なるべく遠距離武装を中心にお願いします。また、近距離武装も幾つか積んで欲しいです。それと、機動性を中心に考えている機体にして下さい」

 

「判りました。では、アスラン君は何かありますか?」

 

「自分はキラと真逆で、近距離武装中心にした機体にして下さい。中距離武装も幾つか積んでください。これぐらいですね」

 

「判りました。では、最後に一人だけあって欲しい方が居るのです。入ってきてください」

 

「はい」

 

笠松が声を掛けると、後ろに設置されている扉から一人の少女が入って来る。

 

「初めまして、更識楯無と言います」

 

楯無はそう言うと頭を下げた。




誤字脱字、感想、指摘がありましたらよろしくお願いします。
学園長についてはオリジナルです。

少し追加を行いました。


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第四話

はい、漸く出来ましたので投稿します。今回は気に入らない部分あるかと思いますが、御了承下さい。よろしくお願いします。


では、本編をお楽しみ下さい!!


「初めまして、更識楯無です」

 

目の前には一人の少女が頭を下げてる。

 

「この少女はどう言う事ですか? 笠松理事長?」

 

キラは笠松に尋ねる。その際に殺気も忘れていないのは、キラがキレているからでもある。

 

「はい、この子はこの学園内の一部を除き、最強の称号を獲ています」

 

「「………」」

 

アスランとキラは顔を見合わせた。

 

「それは、どう言う事なのでしょうか? こちらも見た感じ、極普通の女の子としか見えませんが?」

 

「はい、それに特にこれと言った感じには見えませんが?」

 

キラとアスランは笠松にそう言った。しかし、一方の笠松は笑うだけである。しかし、瞬間に真剣な表情を作ったので、キラ達も真剣な目つきに変わった。

 

「そうですか、貴方方にはそう見えますか………では、一度手合わせをお願いしても良いでしょうか? この子はロシアの国家代表でもあります。そこまで弱くは無いですが、手合わせをしていただければ、この子の実力も判るかと思いますが?」

 

「良いでしょう。ですが、二人同時はキツイのでどちらかは更識さんに決めて貰いましょうか?」

 

「ええっ!!? 私が決めるのですか? …………では、ヤマトさん、お願いしても良いでしょうか?」

 

楯無はキラを選んだ。

 

「うん、良いよ。ですが、機体は如何しますか? 僕達の機体を使用しても良いのでしたら使いますが、さすがにそれは大人気ないと思いますが………?」

 

キラの言う事は尤もである。キラ達の機体は高スペックであり、あらゆる戦闘でも耐えれるように設計されている。また、その状態での戦闘では一方的な形になると考えている。

 

「そうですね。さすがにそれは一方的な戦いになりますが………では、ヤマト君。君にはラファール・リヴァイヴを使用していただきます。武装については、山田君から教えてもらってください。それと、足りない武装があれば言ってください。では、山田君。ヤマト君の事を頼みましたぞ?」

 

「判りました。でが、ヤマト君こちらになります」

 

「よろしくお願いします」

 

キラは真耶に連れられて格納庫に向かった。一方の楯無も同じく格納庫に向かって行った。残された千冬、アスラン、笠松はモニターを展開して楯無とキラの戦いを見ることになった。

 

 

 

 

キラと真耶は格納庫に到着し、ラファール・リヴァイヴの武装、機体を見ていた。

 

「では、こちらがヤマト君が使用するラファール・リヴァイブです。型式はRR-01になります。武装については確認しましたか?」

 

「はい、既に確認済みです。ですが、要らない武装があるので取り外して欲しいのですが……」

 

「あっ、はい。なんでしょうか?」

 

「このライフルを全て取り除いて欲しいのです。その代わりにアサルト系のマガジンを多めに入れてください」

 

「わ、判りました」

 

真耶は急いでキラに言われたことを実行した。

 

「これで良いでしょうか?」

 

キラはモニターを確認して他に要らない武装が無いかをチェックする。しかし、見つからなかったのでモニターを消した。

 

「はい、大丈夫です。ありがとうございました」

 

キラはそう言って麻耶に頭を下げた。

 

「い、いや。これも仕事の一環ですから大丈夫ですよ? ですが……」

 

「??」

 

「勝てますか? 更識さんに。彼女、この学園内では織斑先生を除いてトップですから、その………」

 

真耶が言いたいのは、こんな訓練機で勝てるのかって事である。

 

「ええ、大丈夫だと思いますよ。それに、どれだけ使っても良いんですよね?」

 

「えっ? あ、はい。大丈夫です」

 

「なら、行けますよ。まぁ、見ていてください」

 

キラは自信あり気に言った。この言葉に何故か真耶は安心感を覚えてしまった。因みに、この気持ちは恋愛の気持ちではない。

 

『そろそろ、準備は終わった頃か?』

 

「ええ、はい。今丁度終わった所です」

 

『そうか………では、直ぐにラファールに搭乗しカタパルトにて待機。別命あるまで待っていろ』

 

「了解!!」

 

キラは千冬に命じられラファールに搭乗した。そして、システムがグリーンになるとキラはカタパルトがある場所まで歩いて行く。

 

『カタパルトに接続を確認。システムオールグリーン。ヤマトに譲渡する』

 

「判りました………キラ・ヤマト、ラファール、行きます!!」

 

キラの掛け声と共にラファールは射出される。それと同時に、楯無も出てくる。

 

〔敵機を確認。ライブラリーはミステリアス・レイディー。特殊武装あり〕

 

キラの前に文字が出て来るが、キラは無視して戦闘開始まで待つ。楯無も同じく、待っている。そして………

 

『両者の登場を確認。これより更識楯無対キラ・ヤマトによる模擬戦を開始する。両者………始めっ!!』

 

その瞬間、キラと楯無は真っ向勝負に出た。楯無が操る『ミステリアス・レイディー』はガトリングを取り出し、キラに向けて攻撃する。しかし、キラも黙って撃たれる気は無いので、方向転換してガトリングの雨から逃げる。そして、キラも反撃でアサルトライフル『ガルム』で楯無に向けて攻撃をする。しかし、この攻撃は簡単に回避されてしまった。

 

「中々やるわね………でも、これでは逃げれないでしょう!!」

 

楯無がそう言うと、両肩に装備されているナノマシンが起動し、分離する。そして、分離してナノマシンは楯無そっくりになった。

 

「これは!!?」

 

キラは急に楯無が三人に増えた事に驚いていた。

 

「「「ふふふ、驚いたかしら? これが私の専用機『ミステリアス・レイディー』の特殊武装『水分身』よ」」」

 

三人の楯無が同時に言うので、どれが本物か判らなかった。

 

「でも、分身体であれば消えるはず!!」

 

キラはそう言うと、ガルムを分身に向けて攻撃していく。しかし、分身は本物そっくりに攻撃を回避していく。しかし、キラは諦めずにガルムと新たに取り出したアサルトライフル『ベルム』の二丁を使い、攻撃を行っていく。そして、漸く一体の分身を破壊する事に成功する。

 

「そろそろ終わりにしましょうか?」

 

楯無はそう言うと分身を全て消した。そう、二機とも消えたのだ。

 

「ッ!!? 何処にいる!!」

 

キラは周りを見るが、何処にも反応が無い事に疑問を抱く。しかし、何時の間にか周りが白くなっていくことに気付いた。

 

「ねぇ、ヤマト君。このアリーナ内ってさ、少し湿度が高いとは思わない?」

 

「ッ!!? まさか!!」

 

楯無の声に反応してキラは上空を見上げる。そこには湿気が全く無いところで待機している楯無の姿があった。

 

「これで終わりよ!! クリアパッション!!」

 

この瞬間、アリーナ内は水蒸気爆発が起きた。




誤字脱字、感想、指摘がありましたらよろしくお願いします。



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第五話

何故か、こっちが早くに出来てしまったので投稿します。


「これで、倒せたかしら?」

 

楯無はそう言って爆発した場所を見る。しかし、そこには誰も居なかった。

 

「えっ!? どう言う事!!」

 

「こう言うことですよ!!」

 

「ッ!!?」

 

楯無は驚きの余り声を出す。すると、後方からキラの声が聞え、そちらを見ると所々に損傷をしているラファールがイグニッション・ブーストをしながら楯無のほうに向かっていた。

 

「どうして、攻撃を直撃で受けたのに!?」

 

「簡単ですよ。爆発を利用して急上昇して、あなたを待っていたんですよ。さて、これでお仕舞いです!!」

 

キラはそう言うとアサルトライフルを二挺を展開し攻撃を開始した。しかし、ほぼ無傷の楯無にはそれを避けれる余裕があった。しかし、キラの射撃の能力が高い為、楯無の回避する場所を見破り、そこを重点的に攻撃をして行った。そして、気付けば、シールドエネルギーは残り300を切っていた。

 

「此処まで、私にダメージを与えた人はあなただけね」

 

「そうですか、では、そろそろ終わりにしましょうか?」

 

「そうね」

 

「「…………」」

 

キラと楯無はそう言うと構え、そのままの状態で静止する。

 

「「ッ!!」」

 

しかし、キラと楯無が同時にランスとブレードとの衝突が起きる。そして、また離れ、また衝突の繰り返しをしていた。そして、キラと楯無は最後と言わんばかりに、同時にイグニッションブーストを駆け、交差する。そして、勝利したのは…………。

 

『更識楯無、専用機ミステリアス・レイディーのエネルギーエンプティーを確認。よって勝者キラ・ヤマト』

 

キラが勝ったのであった。

 

「楯無さん、ありがとうございました」

 

キラはそう言って頭を下げ、ピットに戻って行った。

しかし、一方の楯無はそのままの状態で呆けており、ほのかに頬が赤くなっていた。

 

 

キラはピットに到着した。

 

「まさか、あの楯無に勝てるとわな」

 

「正直、ギリギリでしたがね」

 

「これで良いのでしょうか?」

 

「ああ、これで良い。では、今後のことについて説明する。今後はこの学園の最上階に当たるVIP専用の場所で寝泊りをしてもらう。これについては決定事項であるため、変更はしない。それと、元々の機体については先程話したとおり、自分達で持っていて欲しい」

 

「了解です」

 

千冬の説明でキラ達は返事をする。

 

「では、入学式は後二週間後だ。それまでにこれを覚えて置くように」

 

そう言って千冬は『参考書※重要!!』と書かれた本をキラ達に渡す。

 

「判りました。では、これにて」

 

「あっ、待て。もう一つ渡しておかなければならない物があった」

 

キラ達が離れようとした際に千冬が止め、二人に封筒を渡す。

 

「これは?」

 

「これは、先程学園長から渡された物だ。通帳、カード、クレジットカード、国際免許証。これらが入っている。無くすなよ。では、これで以上だ」

 

「では、今度こそ」

 

そう言ってキラ達は離れて行った。

 

 

「さて、更識。今回は如何だった?」

 

「はい、私もまさか負けるとは思っても見ませんでした」

 

「そうか………それと、良かったな」

 

「ヘッ!!?」

 

楯無は千冬が言っている事に理解が出来ていなかった。

 

「恋をしたんだろう?」

 

「ッ!!」

 

この言葉に楯無は顔一面が赤くなる。

 

「ふはははは。恋は自分で成し遂げろよ」

 

そう言って千冬もその場を後にした。そして、残された楯無は悶えていたのであった。

 

 

 

 

その後、キラ達は与えられた部屋に入って行く。その中はキッチン、トイレ、シャワールームなどが完備されている部屋であった。

 

「まさか、こんな高級な部屋に入れるなんて思っても見なかった」

 

「そうだな。だが、先にしないといけないんじゃないのか?」

 

アスランはそう言って教本を取り出す。

 

「ウッ………そうだね」

 

キラも諦めたのか教本を取り出しアスランと共に参考書を読み始める。

 

「ねぇ、アスラン」

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、そうじゃなんだけど。どうしてこの篠ノ之束はISを造ったんだろうか?」

 

「………さぁな。それには俺でも判らない。まぁ、知っているのは本人だけと言う事じゃないのか?」

 

「そうだよね。でも、僕達の機体ってどんな物になるんだろうね?」

 

「それこそ、判らないな。それに、何処の会社が製造するかも知らされてないんだ。もしかしたら、篠ノ之博士が造ってくれるんじゃないのか?」

 

「まさか………」

 

キラもそう言いつつも考える。

 

「でも、ありえる話かもしれないね?」

 

「そうだな」

 

「さて、今日の勉強はこれぐらいにして明日、買い物に行かない?」

 

「そうだな。俺もこの参考書ばっかりにはいい加減、飽きて来た所だ。で、明日はなにを買いに行くんだ?」

 

「まぁ、明日になってからにしようよ」

 

「そうだな。では、俺は自分の部屋に戻るからな。おやすみ」

 

「うん、おやすみ」

 

アスランはそう言って自分の部屋に帰っていった。

 

 

 

 

とある海域に一隻の潜水艦が航海をしていた。その艦は従来の潜水艦とは違い、大きさが桁違いであった。

 

その潜水艦の名は『シュルクーフ改Ⅱ』である。この潜水艦は元々は1934年にフランスが巨砲潜水艦を就役させていたが、1942年のカリブ海にて米国商船である『トムソンライクス』と衝突して沈没しているしたとなっていた。しかし、これは嘘であり、亡国機業が密かに入手し情報改変を行い、沈没した事になっていた。しかし、その潜水艦はいつの間にか無くなっていた。

そして、その潜水艦は自動操縦になっており、中央部には研究所みたいなところでは一人の女性が四機のISを製作していた。

 

「まさか、いっくん以外にもこの子達を使える男が居たんだね。それに、ハッキングで入手した情報でキラ・ヤマト、アスラン・ザラ………この束様は君達がもっと知りたくなったよ!!」

 

そう言って高らかに笑い始めたのであった。




誤字脱字、感想、指摘があればよろしくお願いします。


それと、最後のシュルクーフに関しては本当に沈没しています。此処は自分の好きな艦であったので設定を変えました。


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第六話

漸く完成したので投稿します。
約五ヶ月ぶりになります。本当にお待たせしました!!


翌日、キラとアスランは学園の外に来ていた。理由は今後の物を購入する為である。

 

「キラ、今日は如何するつもりだ?」

 

「そうだね…………織斑先生に教えて貰ったアリゾナスに行ってみようかなって思っている」

 

キラはアスランの質問にそう答える。

 

「そうか。ならどっかで待ち合わせしないか?」

 

「なら、あそこのカフェでどう?」

 

「なら、そうするか」

 

キラとアスランはそう言うとそれぞれの買い物に出かけていく。

 

 

 

「さて、俺は如何したものかな? ん?」

 

アスランはキラと分かれた後、ぶらぶらとしていた。すると、目の前で一人の少女がチャラ付いた五人の男に声をかけられてオドオドしている所を見かけた。

 

「はぁ~、どの世界でも同じことはある物だな………」

 

アスランはそう言うとそちらの方に向って行く。

 

「ねぇ、俺達とどっかに行かない?」

 

「い、いえ。私には用事がありますから…………」

 

「そう言わずにさぁ~俺達と一緒に何処かに遊びに行こうよ~」

 

「で、ですから、私には用事があるので…………」

 

「…………ホントはこう言うことはしたくは無いんだけどさぁ~。さっさと来いよ」

 

チャラけた男は急に声を冷やかにする。少女は急に冷やかな声になったことに驚き「ヒッ」と体を震わせた。

 

「さっさと来い「おい、お前達は何をしている」なんだよ」

 

アスランは直ぐにチャラけた男の手首を掴む。

 

「なんなんだよ、テメェは? もしかしてヒーロー気取りか? 笑えねぇよ。さっさとその手を離せよ!!」

 

男はアスランに殴りかかり、アスランはそのまま殴られ道に投げ出される。

 

「ハンッ、弱い奴がでしゃばるからこうなるんだよ。さて、邪魔者はいなくなったし俺達と遊びに行こうn」

 

チャラけた男が最後まで言うまでに横に吹き飛ばされる。

 

「お前達は先に手を出したよな? なら殴り返されても文句は言えないよな?」

 

「テメェ!!」

 

アスランに向って他のチャラ付いた奴らが殴りに掛かるが、アスランは元とは言え軍人でありザフト軍の養成学校を主席で卒業している実力者である。殴りかかられてもアスランは顔面を避けて腹部や下肢などを攻撃していき無力化する。

 

「はぁ~、さて、大丈夫ですか?」

 

「…………」

 

アスランはチャラ付いた男共を黙らせると少女に声を掛ける。しかし一方の少女はアスランの顔を見て顔を赤くするのであった。

 

 

 

 

 

一方、キラと言うと呑気にアリゾナスにて買い物をしていた。

 

「さて、先に筆記用具やノート、コーヒーの豆とかを買わないとだね」

 

キラはそう言うと目的の場所に向って行く。そこはコーヒーの豆を主に扱っている店で、その場で豆のみを購入することが出来る店で有名な場所である。

そこでキラは色々な豆を買い漁る。キラ独特のコーヒーは色々な人から好評でかのバルトフェルドでさえも高評価するほどである。

そして、その後キラは本屋に入りアスランが好みそうな本や自分が好きな本、ISの事が書かれている本などを購入していきそのままアスランと待ち合わせしたカフェに向うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? アスラン。これはどう言う事なのか教えてくれないかな?」

 

キラは背後に黒いオーラを出しながらアスランを問い詰める。

 

「えっとだな、キラ。落ち着いて話をしようじゃないか」

 

「何を言ってるのアスラン? 僕は冷静だよ? だって僕の姉の婚約者であり僕の義理の兄の君が他の女性を連れてここに居ることに対してどうやって粛清………間違った。問い詰めようかと悩んでるぐらいだよ?」

 

「……………」

 

これにはアスランは何も言えなくなる。

 

「えっと、初めまして。私の名前は更識簪と言います。あのう、私はアスランさんに助けられただけなんです」

 

「そうなの? アスラン」

 

「あっ、ああ。そうだ」

 

「……………」

 

キラの目は未だに疑いの目をしていたが、簪の言葉が本当の事だと判るとキラは疑いの目を止める。

 

「はぁ~アスラン、如何してこうなったのかを説明してね?」

 

「あっ、ああ」

 

アスランは簪との出会いを説明する。キラは話を聞いて何処のラブコメだよと内心でツッコミを入れていた。

 

 

 

その後、キラ達は簪を含めてアリゾナスを歩いていた。

 

「ところで簪は何かを買いに来たのか?」

 

「う、うん。少しOSの部品が足りなかったから買いに来たんだ」

 

「へぇ~、でもここってデパートだよね? こんなところで売ってるの?」

 

「違うの。ここではないんだけど少し裏に入ったところに正規で販売している場所があるの」

 

簪はキラとアスランの質問に答えていく。

 

「だからあそこにいたんだ。なるほどね。でも、あそこでないと買えない物なのか?」

 

「うん。ここ意外だと物凄く値を張るの。だから、正規だけど安く売っている所の方が良いから」

 

「そうか…………」

 

アスラン、キラは簪の言葉と顔を見て何か似ている人を思い浮かばせてみる。

 

「ねぇ、簪。質問良い?」

 

「えっ? うん、大丈夫だけど」

 

「ありがとう………もしかして君に姉妹とかいる?」

 

「ッ!!………姉が一人居る」

 

「そうか………」

 

「それがどうかしたの?」

 

「いや、僕達ってIS学園にいるんだけど、そこで君に似た人と戦ったんだよ」

 

「そう……って、えええええええええええええええええ!!?」

 

キラの言葉に簪は驚きを隠せず大声を上げてしまう。しかし、幸いな事に、周りには誰もおらず大事には至らなかった。

 

「そ、それで勝ったのは?」

 

「僕だね」

 

「…………」

 

簪は驚きを隠せず黙ってしまうのであった。




誤字脱字、感想、指摘がありましたらよろしくお願いします!!


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第七話

久々の更新です。
まさか、ここまで長引いてしまうとは思っても見ませんでした。大変、更新が全く出来ない状況で、皆様に御心配をおかけしたかも知れませんが、わたくし、武御雷参型は生きていますので、御安心を。
まぁ、更新に関しては、メンタル面で弱いのでこれからも遅れてしまうかも知れませんが、今後もよろしくお願いします!!


キラの言葉に、簪は驚きの表情を浮かべる。

 

「そこまで驚かなくたって…………」

 

「い、いえ。まさか学園で最強と言われている姉に勝てる人がいるとは思わなかったので…………それに、姉は何でも出来る人でしたから…………」

 

「「……………」」

 

簪の言葉に、キラ、アスランは何も言えなくなる。しかし、キラが簪に語りかけるように話をする。

 

「更識さん「簪でお願い」判った。簪さん、君は間違った考え方をしているよ?」

 

「えっ?」

 

「君のお姉さんは、何でも出来るように見えて、実は何も出来ない人なんだ」

 

「?」

 

キラの言葉が難しく、顔を横に傾ける。

 

「まぁ、簡潔に言うなれば、この世に完全無欠のヒーローなんていやしないと言う事さ」

 

「でも、私には姉がそう見えてしまうの」

 

アスランの言う事に簪は、震える声でそう言う。

 

「なら、一度話してみたらどう?」

 

「でも…………」

 

「はぁ~、少し、昔話をさせてもらっても良いかな?」

 

「えっ? うん」

 

「ありがとう、昔、二人の姉弟がいました。しかし、生まれて間も無く二人は引き裂かれ、弟は親の親戚に当たる家族に預けられ、姉は国家元首の娘として預けられました。

二人が出会ったのは、とある工場地帯でした。そこでは、色々な武器を製造していましたが、何者かがそれを奪取しようとしていました。その時、姉は中立国である国の国家元首の父が、この製造に関っている事が判り、怒りの声を上げてしまいました。

一方、弟は姉との再会を果たしましたが、まだ、自分には姉がいることが知らず、兄弟がいることだけは判っていました。そして、弟は姉をその工場地帯から姉を逃し、自分はその工場にあった武器を使い戦争に、参加しました。

そして、もう一度姉と再会することが出来ました。しかし、このときもまさか自分達が姉弟であると言う事は知りません。そして、そこでも戦闘を行い、姉の国家元首の父に会うことになりました。そこには、弟の義理の親も住んでいました。

その後は、その国を出てまた戦争をしました。そこで、弟は親友と敵同士として戦い、親友の手で殺されてしまいました。親友は、自分が殺してしまったと嘆き苦しみました。

だけど、弟は生きていた。そして、新しい剣を持って戦争に向いました。そして、戦争で一方的にやられている頃に、殺しあった親友と出会い、話し合い、仲間として戦いました。

その後、戦争は激しさを増し、中立国までもが標的にされたんだ。そして、その頃の国家元首は、娘を逃す時に一枚の写真を渡し、国と一緒に死んだ。

そして、弟は上官と一緒に入った場所で、真実を知った。自分と始めてあった女の子が姉弟と言う事と、自分が作られた存在だと言う事に。

そして、姉と弟は戦争で勝利とは言えないけど、戦争を終了させることが出来た」

 

「そうなんだ………………」

 

「でも、また、戦争は始まった。まぁ、この話はまた今度ね」

 

「はい。でも、それって……………」

 

「さて、キラ。此処から俺達はどうする?」

 

「そうだね。買う物は揃えたし学園に帰る?」

 

簪の言葉を遮るようにキラ達が普通に会話を始める。

 

「だが、まだ時間は沢山あるが、それでも帰るのか?」

 

「そうだね~。どうしようかな?」

 

キラ達はわざと、悩むような会話をする。

 

「な、なら私が案内してあげる!!」

 

「「(ニヤリ)」」

 

簪の言葉にアスランとキラは内心でしてやったりと笑うのであった。




誤字、脱字、感想、質問等はいつでも受け付けています。

もし、『こうして欲しい』と言う要望がありましたら、メッセージにてお願いします。


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第八話

皆様、お久しぶりでございます。
長らくお待たせしてしまい、この作品を忘れている方も多いのではございませんか?
大丈夫ですよ? ちゃんと書いています。
書いては消して書いては消しての繰り返しですがwwww。

と言うことで(どう言う事だよ)完成したので、投稿します。


キラとアスランの思惑に嵌ってしまった簪であったが、全くそれに気付いていなかった。

 

「キラ、言ったのは良いが、これからどうするんだ?」(ひそひそ)

 

「如何しようか」(ひそひそ)

 

「オイッ」(ひそ)

 

「ねぇ」

 

「「は、はいっ!!」」

 

「?」

 

キラとアスランは簪に聞こえないように細心の注意を払っていた所為か、簪の声掛けに驚いて変な声を出し簪は頭を傾げる。

 

「どうかしたの?」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「ああ、俺達はまだこの場所に来た事がなかったからな。少し臆病になっているようなんだ」

 

「僕達って元々田舎育ちだからね。都会が眩しいんだよ」

 

「そうなんだ………それで、何を買いに来たの?」

 

「俺は文房具を」

 

「僕はコーヒーメイカーをね」

 

簪の質問にアスランとキラは素直に答える。

 

「そうなんだ。私はコーヒーに関しては無知だけど、売っている所なら知っている」

 

「案内してもらっても良い?」

 

「判った」

 

簪はそう言うと先頭を歩き出し、キラとアスランもそれに続き歩き出す。

 

「此処だよ」

 

「ありがとう。僕は中で買い物してくるからアスランと簪さんは文房具の方を見てきてよ」

 

「えっ? でもヤマト君が………」

 

「僕の事は良いよ。それに《ここでアスランにアピールしておくのも良い事だよ?》」

 

「ッ!! うん、判った。ありがとう」

 

「如何致しまして。買い物が終わったらアスランの方に連絡をするよ」

 

「判った。じゃぁな、キラ」

 

アスランはそう言って簪と一緒に文房具の方に向って行く。

 

「さて、僕も買い物するか」

 

そう言ってキラは店内に入り、コーヒーの豆を買うのであった。

 

 

 

一方、アスランと簪は文房具売り場に来ていた。

 

「それでだ、簪。使いやすい物って何かあるか?」

 

「そうだね………これなんて如何?」

 

アスランの質問に答える為に簪は一本のシャーペンを渡す。

 

「これはゲルシャーじゃないか? 使いやすいが、グリップが軟らかすぎて逆に使いにくい」

 

「そうなんだ…………なら、これは?」

 

「これは、固めのグリシャーか………ああ、こっちの方が使いやすいな」

 

「そうなんだ」

 

「ありがとう、簪」

 

「/////」

 

アスランの天然の笑顔で簪は顔を赤くする。

 

「どうかしたのか? 顔が赤いが…………」

 

「な、何もないよ!! うん、大丈夫!!」

 

「そ、そうか。それにしても、此処は何でも揃っているな」

 

「日本で大きいデパートだからね。アリゾナスは。それに、此処に無い物は無いって言われているほどだもん」

 

「そうか。さて、ノートやシャーペン、ボールペンも買ったしキラに連絡するか」

 

「そうだね。お願いするね?」

 

「ああ…………ん? おかしいなさっきまでは電波が立っていたのに」

 

「あれ? 本当だ。私の携帯も圏外になっている」

 

「おかしい…………」

 

アスランは何か嫌な予感がし、簪の手を引っ張る。

 

「ザ、ザラ君!!?」

 

「此処は危険だ」

 

「えっ?」

 

簪はアスランが言った事が良く判らなかった。

 

「一旦、キラの元に向うぞ?」

 

「う、うん」

 

アスランと簪はコーヒー売り場まで戻っていく。

その瞬間であった。デパートの出入り口からワラワラと武装した人間が入ってくるや否や、装備している銃を構えた。

 

「嫌な予感はこれかっ!!」

 

アスランは自分の予感の的中に悪態をつき、簪を抱え生垣の後ろに隠れた。その瞬間、構えられた銃から火が吹き、逃げ惑う人たちに襲い掛かっていく。

中には子供も混じっており、撃たれては倒れそのまま動かなくなってしまう子供や老人、大人達がいた。また、子供を抱えたまま絶命する親も混じっていた。

 

「クソ、こんな時に限って」

 

「ざ、ザラ君?」

 

「簪、少し黙っていてくれ。見つかる危険性がある」

 

「う、うん」

 

アスランの何も言わせない言葉に只、頷く事しかできない簪であった。

 

「チッ、銃を持ってきていれば………いや、此処で銃撃戦などしたらもっと犠牲者が出てしまう。如何すれば良い………考えろ。アスラン・ザラ」

 

アスランは悩んでしまう。

 

『き……る…ア……ン…ラ』

 

「この声は!!」

 

『聞えるか、アスラン・ザラ!!』

 

「聞えます。緊急事態です」

 

千冬の声がジャスティスから聞えてきたので、急いで個人通信に切り替える。

 

『聞えているなら、そのまま聞け。学園長から許可が出た。ヤマトにも伝えろ。限定的なリミッターも解除し終わっている。既に完全な状態で戦えるようにしている』

 

「感謝します。織斑先生」

 

『では、健闘を祈る。まぁ、すぐに終わると思うが』

 

そう言って千冬は通信を切った。

 

「これで何とか行けたな。簪、今から見ることは誰にも言うな」

 

「う、うん」

 

「キラ、聞えたら返事をしろ」

 

アスランはジャスティスの待機状態であるネックレスを首下から取り出した。

 

『聞えるよ、アスラン。さっき、僕の方にも織斑先生から聞いたところだよ』

 

「そうか、なら話は早いな。行くぞ」

 

『うん。誰を敵に回したかを目に物を見せないとね?』

 

「ああ!!」

 

アスランはそう言うと生垣から出る。

 

「誰だ、貴様は!!」

 

「撃て、撃てぇぇ!!」

 

すぐにアスランの姿を見つけるや否や銃の引き金を引いた。しかし、アスランに当たる前に光り輝き、そこには真紅の全身装甲のISが現れる。

 

「なっ!!? ISだと!! オイ、IS部隊を投入させろ!!」

 

「ハッ!!」

 

銃を構えていたリーダーらしき男が部下に指示を出し、部下は腰に装備してあったロケットランチャーを上に向けて撃ち、爆発が起きた。

その瞬間、上空のガラスが割れ、そこからラファール・リヴァイヴや打鉄が入って来る。ラファール・リヴァイヴはアスランが駆るジャスティスを見るや攻撃を開始しようとしていた。

しかし、そうも簡単に問屋は下ろしてくれず、ラファール・リヴァイヴの武装のみが、爆発した。

これには、IS部隊の女性は驚き、隙を見せてしまう。その瞬間、何処からか現れたビームによってシールドエネルギーが尽き、ISが強制解除されてしまう。

 

「なっ!!? どう言う事だ!!」

 

「こう言うことだよ」

 

「だ、誰だ!!」

 

リーダーの男は急に聞えた声に反応する。

 

「此処だよ」

 

すると、ジャスティスの横にもう一機の全身装甲型のISが降り立つ。

 

「此処で降参してください。ISには通常武器は通用しません」

 

「此処で撃たれるか、降参して命を大切にするか。どっちか選べ」

 

キラとアスランはビームライフルを構えた。

 

「クッソォォォォォォォォォォォォ!!」

 

男は急に上着を脱ぎ捨てると、体中にダイナマイトを装着した男が現れる。

 

「これだけの爆薬があればこのデパートもお仕舞いだな!!」

 

「リーダー!!」

 

「キャッ」

 

「簪!!」

 

部下の一人が簪に銃を付きつけながらリーダーの下に向って行った。

 

「よくやった。さぁ、形勢逆転だな? ええ?」

 

「クッ」

 

簪を人質に取られ、無闇に動けない二人は悔しがる。

 

「撃ち貫け!!」

 

その瞬間、キラ達の後方から水が出てきてリーダーと部下のみを水の塊の中に閉じ込めた。

 

「詰めが甘かったわね? キラ君、アスラン君?」

 

「「た、楯無さん!!?」」

 

「おねぇちゃん」

 

現れたのは簪の姉であり、学園最強(笑)と言われている更識楯無であった。

 

「作者、後でミストルティンの槍とクリアパッションのオンパレードを喰らわして上げる♪」

 

いえ、結構です。




誤字脱字、感想、指摘がありましたら、よろしくお願いします!!


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第九話

大変、お待たせしてしまい誠に申し訳ありませんでした。
英雄達のリターンを書き直しついでに書いていたら、出来上がったので投稿させて頂きます。
この作品については、月二回更新か、週一更新が出来たら良いのになぁって考えている作者です。まぁ、簡潔に言うと、不定期更新です♪

それと今度から、こちらが主になりました。


その後、駆け付けた鎮圧部隊に拘束され武装集団は連れて逝かれる(誤字にあらず)のであった。

 

「キラ君、アスラン君。無事かしら?」

 

「ええ、俺たちは無事ですが………」

 

「巻き添えになった人達が………」

 

楯無の言葉にキラ達は後ろを振り返りながら言う。そこには亡骸しか残されていなかった。

 

「おい、生きているぞ‼」

 

「なに‼」

 

一人の隊員の言葉にアスランとキラは反応してそちらに向かって行く。そこには、一人の少女が気絶をしていたのであった。その近くには母親であろう女性が虫の息でキラの服を掴んで囁いた。

 

「お……願いです………この娘を…………救って…あげ………て………」

 

そう言って事切れたのであった。

 

「判りました。この娘は僕が育てます」

 

「キラ‼」

 

「キラ君⁉」

 

キラの言葉にアスランと楯無は驚きの声を上げた。

 

「判っているのか‼ 俺たちはIS学園に通う事になるんだぞ‼」

 

「判っているよ。アスラン。でも、可哀想じゃないか、この娘だけ取り残されたんだよ? 誰がするって言うんだい?」

 

「………何言っても考えは変えないか?」

 

「変えないよ」

 

「はぁ、相変わらずお前は決めた事には真っ直ぐなんだから。その所為で俺も巻き添えに………オイ、俺を巻き込むなよ?」

 

「………」

 

アスランの言葉にキラは黙ってしまうのである。沈黙は肯定と言う言葉があるが、まさしくその通りであった。

 

「お前、最初っからこの事を計算していたな?」

 

「うん、この娘が助かった時点でね」

 

キラは開き直ったか様に言う。

 

「アスラン君⁉」

 

「こいつに何言ってもダメですよ。こいつは考えを簡単に変える様な奴では無いですからね」

 

「はぁ、でもどうするの? 君たちはIS学園に入学する事になっているでしょ。その娘の面倒を見れる施設なんて無いのよ?」

 

「大丈夫です。既に手は回しています」

 

アスランはそう言うと後ろに指を指した。そこにはキラが携帯で学園長に連絡を取っている処であった。

 

「はい、はい。そうです………本当ですか‼ ありがとうございます。はい、では楯無さんにはそういう風に伝えます。では」

 

学園長と連絡が済んだのか、キラは携帯を懐に戻し、楯無の所に戻ってくる。

 

「楯無さん。先ほど学園長から貴女と一緒の部屋になりましたので、よろしくお願いします」

 

「………ハァァァァァァァァッ‼⁉」

 

楯無は驚きで大声を上げてしまうのであった。

 

「どうしてそうなるのかをお姉さんに説明してほしいな?」(怒)

 

楯無はいきなり決められた内容に血管が浮き出る程の怒りを全開にしてキラに迫る。

 

「僕一人では子供の面倒は見れないと学園長に言うと『なら、楯無さんと一緒の部屋にしますので、彼女と一緒にその娘の面倒を見てください』と言う事です」

 

「簡潔で判りやすい説明をありがとう………はぁ、それでこの娘はどうするの?」

 

楯無は観念したのか、少女の事を心配する事にした。

 

「一度、病院で検査をしてもらいます。それで異常がなければそのまま学園に連れて行きます」

 

「判ったわ。キラ君。車に乗って」

 

「いえ、既に僕は車を持っていますのでそれで行きます」

 

キラはそう言うとコインパーキングに向かって行く。いつの間にと思われるが、簪とアスランが買い物にいている間に内緒で購入していたのだ。お金は勿論、ローンではなく一括ではあったが………ちなみに、購入した車はトメタのヴェルデファイアーである。

 

「いつの間にそんな車を………」

 

「それよりも早く乗って下さい」

 

「わ、判ったわ」

 

キラの言葉に楯無は、頷きキラの車に乗り込み、病院へと車を発進させるのであった。

一方、アスランと簪は、襲撃現場に取り残されたのであった。

 

 

 

 

車内では、キラと楯無、そして、保護した少女の三人が乗って、病院へと向かっている最中である。

 

「「………」」

 

キラと楯無はお互いに、何を話したら良いのか判らず、黙り込んでしまう。

 

「う、う~ん………ここはどこ?」

 

「気が付いた?」

 

少女が目が覚めた様で、ゆっくりと小さな体を起こした。

 

「うん、お兄さん達はだ~れ? ママはどこにいるの?」

 

少女は近くに母親の姿が無いからくる不安から、少し目尻に涙を浮かばせていた。

 

「君のお母さんh「キラ君。ここは私が話すわ」では、お願いします。僕は運転に集中しますので」

 

キラが話をしようとした時、楯無が割り込みを入れた。キラも、それを承諾し運転に集中する。

 

「君のお母さんはね。遠い所に出掛けちゃったんだよ。でもね、安心して。いつか必ず会えるから」

 

楯無は少女の目を見ながら話をする。少女も、楯無の目を見て静かに頷いた。

 

「それでね、君のお母さんから君の面倒を見てほしいって頼まれたの。あのお兄さんが」

 

楯無はそう言いながら、キラを指さす。

 

「楯無さん。間違ってはいませんが、少し横暴過ぎませんか⁉」

 

「あらぁ~? 君が私を巻き込まなければ良いだけの話じゃなかったの?」

 

「うぐっ⁉ そ、それはそうですけど………」

 

「ケンカしているの?」

 

「「してないよ」」

 

少女の言葉にキラと楯無はハモって返事をした。それをおかしくなったのか、キラと楯無は顔を見合わせて、笑い始めるのであった。

 

 

 

 

そして、いくらか走った頃、病院へと到着した。

キラはすぐに受付に行き、受診が出来るように手続きを取った。その頃、楯無と少女は待合室にて静かに待っていた。傍から見れば、親子仲良く病院へと来たとしか見えないが、キラと楯無はそれに気が付いていなかったのであった。

 

「次、ヤマトさん。ヤマトさん。三番医務室に入って下さい」

 

キラ達が呼ばれたので、言われた通りに医務室に入り、検査をするのであった。

 

 

 

検査が終了し、キラと楯無、そして少女の三人が病院から出てくるのであった。

 

「何も問題がなくてよかったね?」

 

「うん‼」

 

楯無の言葉に嬉しそうに少女は頷いた。

 

「さて、これから君が生活する場所に帰るよ」

 

「は~い」

 

キラと楯無、少女は仲良くキラの車に乗り込み、IS学園へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

時を戻して、現場に残されたアスランと簪は、キラが去って行くのを静かに見守っていた。

 

「ねぇ、見た?」

 

「ああ、見た」

 

「あれが、私のお姉ちゃんなの」

 

「そうか………」

 

「「………」」

 

「「(誰が見ても、夫婦にしか見えねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼)」」

 

簪とアスランは内心で、共通した意見であった。

 

その時、アスランの携帯が鳴り響いた。

 

「はい、ザラです」

 

『私だ。織斑だ。状況はどうなった?』

 

電話の相手は千冬であった。

 

「状況は終了しました。ですが、生存者は一名のみ。そちらには、更識楯無先輩とキラが一緒に病院に連れて行きました」

 

アスランは、先ほどの事についての報告をしていた。

 

『それに関しては、既に学園長から連絡が来ている。それと、もう一つ、ザラ。お前に一人部屋を用意する事が出来なくなった。と言うのも、本来であれば、ヤマトと一緒の部屋になる筈であったが、今回の件があっただろ? その結果、お前には申し訳ないが、同居人が付く事になった』

 

千冬は、アスランの部屋についても説明をした。

 

「はぁ、それで同居人の名前は?」

 

『更識簪だ』

 

まさしく、隣にいる簪であった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等は随時受付をしております。

尚、注意書きとして、質問で受け付けられない物があります。

・ネタバレになる内容
・ヒロインについて(読んでいたら判る)
・敵について&味方について

です。もしかしたら、増える可能性がありますが、その際にはちゃんと感想返しでコメントさせて頂きます。
今後から、そういう風にさせて頂きますので、ご了承くださいます様、よろしくお願いします。


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第十話

週一更新が出来るかもっ‼(フラグです)


アスランと簪は現場検証に、少しだけ付き合い、IS学園へと帰っている最中である。

 

「アスラン君が、専用機を持っているなんて思いもしなかった……」

 

「すまない。俺とキラの機体は基本的に、使用が出来ない事になっているんだ」

 

簪はアスランが専用機を持っている事について、話をするがアスランは自分達の機体がどれだけこの世界では脅威である事を知っているので、無闇に話が出来ない事を所々、削って話をしていた。

 

「なら、これからどうするの?」

 

「それについては既に解決している。俺とキラの得意分野で量産機をIS学園から与えられる事になった。俺は日本の第二世代量産機である『打鉄』で、キラはフランスの第二世代量産機である『ラファール・リヴァイヴ』を与えられる事になったんだ」

 

「そうなんだ……」

 

「「………」」

 

ここで話が止まってしまい、黙ってしまう二人。

 

「あっ、そうだった。君に一つ報告しないといけない事がある」

 

「な、なに⁉」

 

アスランの言葉に簪は緊張した。

 

「そこまで緊張は……ムリかな? 今日から君と一緒の部屋になった」

 

「………エェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ‼‼」

 

アスランの報告に簪は驚いて電車の中である事を忘れて、叫んでしまう。しかし、列車の中には簪とアスランしかいなかったのが不幸中の幸いである。

 

「詳しい話は学園に戻り次第、織斑先生から話があると思う」

 

「うん、判った」

 

「まぁ、なんだ………これからよろしく頼む」

 

「うん、こちらこそよろしくお願いします」

 

電車の中でお互い、頭を下げているのはどこかシュールでしか無い絵であったのは、誰も知りはしなかった。

 

 

 

 

一方、キラ達家族(?)は、無事にIS学園に到着したのであった。

 

「さぁ、今日から君が生活する場所だよ」

 

「うわぁぁぁ‼ お城みたいに大きいっ‼」

 

キラの言葉に少女は目を輝かせながら、学園の建物を見ているのであった。

 

「帰ったか」

 

その時、千冬が校門からやって来た。

 

「ただいま戻りました」

 

「先の襲撃、ご苦労であった。楯無もお疲れさまだな」

 

「いえ、これもキラ君達のお陰です」

 

千冬の労いの言葉に、楯無も少し嬉しそうに答えるのであった。

 

「お兄さん。このお姉さんはだれ?」

 

「この人は、この学園の中で偉い人だよ」

 

「へぇ‼ お姉さんって、偉い人なんだね‼」

 

「あ、ああ。そうだ」

 

少女の言葉に千冬もしどろもになってしまうのであった。

 

「さぁ、最初にする事は何だったかしら?」

 

「そうだった! 私の名前は大和明日菜です。ええと……」

 

「織斑先生」

 

少女…明日菜は自己紹介を千冬にする。しかし、しっかりし過ぎている事に驚き、少し固まってしまったが、キラの言葉に気が付き、自己紹介をする。

 

「すまないな。私の名前は織斑千冬だ。千冬さんで良いぞ」

 

「はい、千冬さん‼」

 

明日菜は正直に千冬の名前を呼んだ。千冬の表情は、じっと見ないと判らないが、少し喜んでいたのであった。

 

「しかし、あれだな」

 

「なんですか?」

 

千冬は、楯無を見ながら言い始める。

 

「母親みたいだな」

 

「は、母親⁉ 私がですか?」

 

「そうだ。誰がどう見ても今のお前は母親にしか見えないぞ?」

 

「き、キラ君。私って母親に見える?」

 

千冬の言葉に楯無は驚き、キラに尋ねた。

 

「正直に言いますね。はい、見えます」

 

「orz」

 

キラの言葉がショックだったのか、膝から落ちる楯無。それを見て明日菜は楯無の頭を良い子良い子と撫でるのであった。それを見たキラと千冬はほっこりとしていたのは、その場にいた人間だけの秘密であった。

 

「さて、部屋に戻ったらどうだ?」

 

「そうですね。楯無さん、明日菜帰ろうか」

 

「うん」

 

「ええ、そうね」

 

そう言ってキラ達は自分たちの部屋に戻って行く。それと同時にアスランと簪も帰って来た。

 

「ただいま戻りました」

 

「ああ、大変であったな」

 

千冬はアスラン達にお労いの言葉を掛ける。

 

「いえ、大変なのはキラ達ですよ、きっと」

 

「そうだな」

 

アスランの言葉に千冬も同意した。まだ、学生の身分で既に子持ちになってしまったキラ。そして、それに巻き込まれる形で楯無もある意味で、同じ子持ちになってしまったのだ。

 

「さて、疲れただろう? 部屋に帰ったらどうだ?」

 

千冬はそういうと簪を見る。アスランもそれに釣られる形で簪を見ると、船を漕いでいたのであった。

 

「フフ。そうですね。ではこれで失礼します。簪、寝るんだったら部屋で寝たらどうだ?」

 

「……うん…そうする」

 

簪はそう言ってアスランに部屋まで連れて行ってもらうのであった。

 

「私もそろそろ考えなくてはいけなくなってきたな………まぁ、ムリか」

 

千冬はキラとアスラン達を見て、自分も将来の事を考えるも、ムリだと思った。千冬は『ブリュンヒルデ』と言う肩書を持っている為、おいそれと男が寄ってくる訳でもないと考えてしまうのであった。

 

 

ちなみに、キラと明日菜、楯無が部屋に戻ったころに戻る。

 

「ねぇ、お兄さんとお姉さんだと呼びにくいから……」

 

明日名が、キラ達に恥ずかしそうに切り出す。

 

「どうかしたの、明日菜ちゃん?」

 

「パパとママと呼んでも良いですか?」

 

「「ッ⁉ 良いよ」」

 

「ワーイ‼」

 

キラ達の返事が嬉しかったのか、明日菜は喜んで、はしゃいでいた。そして、はしゃぎ疲れて明日菜は夢の中に入っていく。

 

「ねぇ、キラ君」

 

「何ですか、楯無さん」

 

明日菜の髪を漉いていた楯無がキラに切り出す。

 

「私達って明日菜ちゃんの親代わりなんだよね」

 

「一応、そう言う事になっていますが?」

 

キラには、楯無の言っている言葉が理解できていなかった。

 

「本当の親にはなれないのかしら?」

 

「っ⁉ 難しくはないですが、その時には明日菜ちゃんに本当の事を言わないといけなくなりますよ?」

 

「解ってるわ。でもね、このまま明日菜ちゃんが可哀想なの。だから……」

 

楯無は、そこで言葉を切り泣き始めてしまう。

 

「僕もその時にはちゃんと明日菜と向き合いますよ」

 

「キラ君‼」

 

楯無は嬉しくなり、キラに抱き着くのであった。

 

 

 

 

そして、IS学園は入学式を終え全校生徒はそれぞれのクラスに入って行く。

 

「みなさん、初めましてこのクラスの副担任になります。山田真耶です。この一年間、よろしくお願いしますね」

 

『…………』

 

真耶の自己紹介に誰も反応が無かった。なぜならば空席が二つあり、そして本来であれば居ないはずの男がいたからである。

 

「み、みなさんに自己紹介をしてもらいますね。窓際の方からよろしくお願いします」

 

「は、はい‼」

 

真耶の言葉に窓際にいた生徒が立ち上がり自己紹介を始め、そして、順番に巡って行き男に向かうのであった。

 

「織斑君? あれ、聞こえてますか~? 無視ですか? 反応してください‼」

 

「へっ? あ、ああ。すみません何でしょうか?」

 

織斑と呼ばれた生徒は真耶に漸く気が付いたようで、尋ねる。

 

「今、自己紹介の時間なんですが、今君の順番なんです。ですから…そのぉー、自己紹介をしてもらえないかなって………ダメですか?」

 

「い、いえ‼ 大丈夫です‼ フゥ、は、初めまして織斑一夏です………」

 

一夏はそう言って一度、何を言おうか迷い言葉を止めた。その結果、クラス全員の視線を浴び頭の中が真っ白になった。そして……

 

「以上ですっ‼」

 

ドンガラガッシャーン‼

 

一夏の最後の言葉に期待していた女子たちは、ズッコケるのであった。それは、某大阪で芸人が劇場をしている程のクオリティーであった。

 

 

「あれ? ダメでしたk『ズバーンッ‼』フギュッ‼ ゲッ、張飛‼ 『ズバーンッ‼』アベシッ‼」

 

「誰が大酒のみだ。諸君、私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。君達を立派なIS乗りにする為に教えていく。厳しい事も言うが、判らない時には気にしないで聞いて来るが良い。ちゃんと教える」

 

千冬は最後に微笑みながら言う。その瞬間、クラスはシーンと静かになったが、一気に黄色い狂喜に変わる。

 

「キャァァァァァァッ‼ 本物の千冬様よ‼」

 

「私、千冬様なら死ねます‼」

 

「私、お姉さまに会う為に北九州から来ました‼」

 

千冬は少しウザったそうに顔を顰めるが、すぐに表情を戻す。

 

「少しは静かにしてくれ。ほかのクラスに迷惑になる。それと、私には偽物はいないし、命を粗末にするな。そして、北九州からと言ったが、他にもベトナムから来ている生徒もいるんだぞ?」

 

『はい、お姉様‼』

 

千冬の鶴の一声で女子たちは返事をするのであった。

 

「さて、諸君たちも気になっているだろう。なぜ空席が二つもあるのか。それを今から説明する。入れ」

 

「「はい」」

 

千冬が入り口に声を掛けると、男性の声が二つした。そして、自動扉が開くとそこにはキラとアスランが入ってくるのであった。

 

「え、男?」

 

「ほかの男性操縦者が見つかったなんて情報無かったのに……」

 

「自己紹介を頼む」

 

「はい、僕の名前はキラ・ヤマトです。これからよろしくお願いします」

 

「アスラン・ザラだ。これからよろしく頼む」

 

そう言ってキラとアスランは自己紹介をするのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等随時受け付けております。

ちょっと無理矢理感がありますが、明日菜の親にキラと楯無が正式になるためのフラグです。


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第十一話

書けましたので、投稿いたします。


キラ達の自己紹介に、またクラスが揺れた。

 

「キャァァァァァっ‼ 男よ! 一人は優しそうな男」

 

「もう一人は、厳しそうに見えて、実は女性思いの男」

 

「ウホっ、良い男………ジュルリ、おっと、涎が」

 

二つ目はま、まぁ普通の反応だが、最後の生徒は色々とやばい感じがするのは気のせいだろうか?とキラ達は思ってしまう。

 

「静かにしろっ‼」

 

『シ~ン』

 

またもや、千冬の鶴の一声で、静かになるクラス。流石、世界最強である。

 

「ヤマト、ザラ。お前たちの席は織斑の後ろだ」

 

「「了解」」

 

キラとアスランはそういうと、一夏の後ろの席に着席をする。

 

「では、これでホームルームを終了する。各自、次の授業の準備を行う様に‼」

 

千冬はそう言って、麻耶と一緒に教室から出ていく。その瞬間、女子達が一斉にキラ達に駆け寄る。

 

『ヤマト君達は、いつISを動かす事が判ったのっ‼』

 

クラス中の女子達が一斉にキラとアスランに質問をする。

 

「そ、それはね~」

 

「俺達は極秘に行われた試験で、俺達だけが動かすことが出来たんだ」

 

『へぇ~』

 

アスランの言葉に納得して、女子達は蜘蛛の子を散らすかのように、自分達の席に戻った。その瞬間、チャイムが鳴るのだった。そして、なり終わる頃に、千冬と麻耶が教室に入ってくる。

 

「では、これより一時限目の授業を開始する。織斑、号令をしろ」

 

「は、はいっ‼ 起立、気を付け、礼」

 

一夏の号令で、全員がそれに従う。

 

「では、参考書をそれぞれ出せ。出したなら、アラスカ条約を………ヤマト。読め」

 

千冬の言葉で一部を除き、参考書を取り出し、言われたページを開く。

 

「はい。『アラスカ条約について』この『アラスカ条約』は篠ノ乃束博士が開発した『IS』を運用するにあたっての条約を書かれている。

条約は十個に分けられており、それぞれの国家がそれを順守しなければいけない条約が記されている。

 

条約一、各国家に与えられているISコアは、20個である。

条約二、各国家が開発されたISは、試験を行い、安全が確認された場合、すぐに公表しなければいけない。

条約三、各国家は研究用として使えるISコアは5個までである。

条約四、違法開発、操縦者の安全を無視した機体の開発、運用は禁ずる。

条約五、軍用として配備する事を禁ずる。

条約六、緊急時以外での専用機の使用を禁ずる。

条約七、合同開発をする場合、国際IS委員会の許可を得る事。

条約八、ISコアの交換、譲渡を一切認めない。

条約九、専用機を与えられた者は、一定の年齢に来した時、国際IS学園の入学をしなければいけない。

条約十、上記の条約を順守しなかった場合、如何なる事があってもその国家での開発を禁ずる。(武装も含む)

 

これで良いですか?」

 

キラは参考書を見ずにスラスラと条約すべてを言う。それを見たクラス中(アスラン、一夏以外)は皆、口を開けて固まってしまうのであった。

 

「あ、ああ。では、ザラ。ISコアの特性について述べろ」

 

「はい。ISコアの特性には多くの物があります。一つは、量子変換が可能であり、それを収納する空間もISコアの中に存在します。二つ目は、機体の待機状態についてです。基本的にはISの待機状態はアクセサリーに属されます。また、外部で購入したアクセサリーなんかもISの待機状態にすることもできます。そして、三つ目は、武装についてです。各国家で製造されている武装は、基本的に実弾が主流です。現在、イギリスで開発中のBT兵器はレーザー兵器を試行運用中です。また、どの国家もレーザー兵器からビーム兵器の開発に取り組んでいますが、どの国も開発が出来ていません。それには理由があります。レーザー兵器を使用するにはγ線を使います。ですが、ビーム兵器には粒子が必要です。では、それを補うか…これが最大の問題点です。現状での開発状況では、バッテリー型のビーム兵器を開発していますが、すべて失敗に終わっています。では、一番効率がよく、開発し易いビーム兵器を造る為には………核が必要となってきます。しかし、現状では小型核融合炉の開発はされていません。よって、現状でのビーム兵器の開発は出来ないのが、全国家の暗黙のルールとなっています。少しずれましたが、これで良いでしょうか?」

 

アスランの難しい話に千冬を始め誰もがチンプンカンプンになっていた。なお、キラとアスランの機体には、核融合炉が装備されている。これは極秘にされている事なので、知っているのはこのIS学園の学園長、千冬、真耶、束しか知りえていなかった。

もし、ビーム兵器を運用する機体があると知った国家は、戦争を始めるのが目に見えている為、IS学園はこれを隠すのであった。

先の襲撃で、キラ達は本来の機体を使用したが、問題はないのかと問われれば、束が独自で情報をすべてコントロールしていた為、漏洩する事は無かったのだ。

これを知っているのは、束と憶測だけであれば、千冬も加えられる。

 

「ああ、それで良い。さて、私から言わせてみれば、お前たちはまだ殻を破っていない雛共だ。殻を破る手伝いをするのが、私達、教師の役目だ。そこで、だ。織斑? お前はなぜ参考書を出していない」

 

千冬は、一夏に目をやった。すると、一夏は顔全体から汗が滝の様に流れ出していた。

 

「そ……それは、参考書を電話帳と間違えてs」

 

一夏は、そこまでしか言えなかった。なぜならば、千冬による鉄槌が下されたからである。

 

「参考書の表紙には『必読』と書いてあったな? 電話帳にも『必読』と言う文字が記載されているのか?」

 

千冬はそういうと、手に持つ武器『出席簿』を持ち上げる。

 

「すみませんでした」

 

「謝って済んでしまうとでも思っているのか? 貴様……お前は望んでここにいないと思っているかも知れんが、ザラとヤマトの方が不順だ。お前と違ってな」

 

そう言って、千冬は出席簿を振り落とすのであった。

 

 

 

 

「では、これにて一時限目の授業を終了する。休憩時間は僅かしかない。有効に使う様に。以上」

 

そう言って千冬は教室を出ていくのであった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「何かな?」

 

「なんだ?」

 

「………」

 

一人の女子の声にキラとアスランは反応するが、一夏だけは頭から白い煙を出して机に突っ伏していた。

 

「なんですか、そのお返事は‼ わたくしを誰と心得ているのですか⁉」

 

その女子は高飛車にキラ達に食って掛かる。しかし、キラ達は、どこ吹く風である。

 

「んあ? あれ、キラ。千冬姉は?」

 

「一夏、起きたんだ。さっき教室から出て行ったよ」

 

「そうなんだ……あれ、この人誰?」

 

一夏は目の前にいる女子を見てキラ達に尋ねる。

 

「あら? あなたは織斑先生の弟様ですわね? そこまで強そうには見えませんけど…」

 

「俺に、期待しても何も出来ないぞ」

 

女子の言葉に一夏は少しムスッとして答える。

 

「まぁ‼ 何とも生意気な言葉ですわね……良いですわ。わたくしセシリア・オルコットがこのクラスで一番の実力を持っているのですから~」

 

セシリアはそう言って自分の席に戻って行くのであった。

 

「なんだ、あれ?」

 

「「さぁ~」」

 

一夏達は、頭を傾げるのであった。しかし、それが後の大災害になるとは、この時、誰も知る由も無かったのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等図時受け付けております‼








出来れば、感想下さい。お願いします(土下座)


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第十二話

今日は休みなので、連続投稿を行います。
また、少し短くなっています。


二時限目のチャイムが鳴り終わると同時に千冬と真耶が教室内に入ってくる。その際、麻耶の手にはノートが持っていた。

真耶は教室の端に。千冬は教卓の前に立った。

 

「では、これより各武装の説明を行う……っとその前にこのクラスの委員長を決めないといけないな」

 

「先生、質問です。委員長の仕事とは具体的には何をするのですか?」

 

千冬の言葉に一人の女子生徒が質問をした。千冬は「それもそうだな」と呟き、説明をする。

 

「委員長は、その言葉通りだ。来月に行われる各クラス対抗戦にてクラス代表として出てもらう。また、生徒会の議会にも参加してもらう。まぁ、簡単に言えばこのクラスのトップと言う事だ」

 

千冬の言葉にほぼ全員がキラ、アスラン、一夏を見つめた。キラとアスランは、何も無い様にと願ってるが、一夏には嫌な予感しかしなかった。

 

「では、選出は、自薦他薦で行う。誰かいないか?」

 

「はい、織斑一夏君が良いですっ‼」

 

「キラ君も捨て難いよね」

 

「アスラン君でも良いかも‼」

 

千冬の言葉に他の女子生徒達は、キラ、アスラン、一夏を推薦した。

 

「俺ぇッ⁉」

 

一夏は自分が推薦された事に驚き、席を立った。その瞬間、千冬による鉄槌が下されるのはお約束である。

 

「煩いぞ、織斑。それに私は言ったはずだぞ? 自薦他薦で行うと。自分が推薦されたんだ。少しは誇ってみてはどうだ?」

 

千冬は穏やかに一夏にそう言った。

 

「ですが、先生。俺には出来ませんよ‼ それにクラス委員長って言っても俺に出来るはずg「そんな選出は認めませんわ‼」……」

 

一夏の言葉に被せる様にセシリアが出てくる。

 

「誰が男の下で過ごさなければいけないのですかっ‼ それでしたらわたくし、セシリア・オルコットが自薦致します。何が好き好んでこの極東のサルと一緒に授業を受けないといけないのですの⁉ 実力で言えばわたくしですわ‼ 何せ、わたくしセシリア・オルコットは教官を倒した唯一の生徒ですわよ‼ それを珍しさだけで選出するなんて……それに、そこにいる男たちは、見てください。一人は優順不断。もう一人はムッツリ。もう一人は話になりませんわ‼ こんな屈辱的な事をこのセシリアに一年間味わえと言うのですか⁉」

 

セシリアは怒涛の如く、捲くし立てる。

 

「そうか………オルコット。言葉はそれだけか?」

 

セシリアの演説が終わるとアスランが、席を立って言う。

 

「いえ、まだありますわ‼ こんな島国にIS修行を行いに来ていますのよ‼ サーカスを行うために来たんではないですわ‼ 良いですか‼ このクラス委員長になるに相応しいのは、わたくしセシリア・オルコットですわ‼」

 

「それでおしまい?」

 

「ええ、言い切りましたわ」

 

キラが立ち上がり、セシリアに問うた。

 

「そうか…そうか……織斑先生。此奴に俺達の機体を使わせて下さい」

 

「僕もアスランと同じ意見です。今回ばかしは僕も容赦が出来そうに無いです」

 

キラとアスランは千冬にそう進言した。しかし、千冬は冷や汗を掻きながら待ったを掛けた。

 

「ま、待てお前たち。気持ちは私も判る。だが、お前たちはこの学園を更地に変えるつもりか‼」

 

「「いえいえ、そんな事はしませんよ。僕(俺)達は只単に、此奴を徹底的に潰したいだけです」」

 

「ッ‼ 男の分際で何を言っているのですか‼ あなた達にわたくしを倒せるはずがないですか‼」

 

キラ達の言葉にセシリアも噛み付いた。その瞬間、キラとアスランは一斉にセシリアに顔を向けた。その表情は、戦士の顔をしていたのである。

 

「言葉には気を付けろよ、オルコット」

 

「そうだよ……そろそろ止めないと、今この場で君を殺すよ?」

 

キラ達は殺気を最大に出した。キラ達の近くにいた者は、気絶し、遠くに離れた生徒は過呼吸を起こしていた。麻耶も、へたり込み千冬に至っては顔から汗が満遍無く掻いている程であった。

 

「では、来週にクラス代表を決める‼ それで我慢してくれ、ヤマト、ザラ」

 

「織斑先生がそう言うのでしたら、僕達は何も言いませんよ。ね、アスラン」

 

「ああ、そうだなキラ。俺達は、今ここでオルコットを殺す事は糸も容易い事だ。しかし、一般人の前では流石にきつい物があると思うのでな。ここは織斑教諭の言う事でも聞いておく。命拾いしたな、オルコット」

 

そう言って、キラ達は席に座るのであった。

 

 

 

 

その後、キラ達に近付こうとする者はいなくなった。二重人格みたいに変わるキラ達に関わろうとする者がいなくなるのは当然の事である。

そして、放課後。キラとアスランは学園長に呼ばれるのであった。

 

「まさか、イギリスの代表候補生と戦う事になるとは……君達も不幸だね」

 

「いえ、これも自分達が招いた事なので、何とも言えませんよ。学園長」

 

アスランは苦笑いをしながら学園長に言う。

 

「さて、君達の機体なのだが、少し不手際があってな。少し遅れる事になった」

 

「と、言いますと?」

 

「フム。キラ君が言った中距離専用の機体にしようとすると、少し問題が起きてな」

 

「はぁ~」

 

学園長の言葉にキラは生返事をする。

 

「そこでだ……極秘でこの学園の地下にある機密アリーナにて本来の君達の機体を使う事を許可しようと思う」

 

「その根端は何ですか?」

 

学園長の言葉に、アスランは何か引っ掛かりを覚え尋ねた。

 

「なに、君達も本来の機体を使わねば力が堕ちるだろう? それを防ぐ為にも使う事に許可するのだよ」

 

「そう言う事でしたら、ありがたく許可を頂きます」

 

学園長の言葉に、一応納得したキラ達は早速、機密アリーナに向かうのであった。

 

 

 

全世界に作られている女性権利団体通称『女権団』の総本部である日本では、とある部隊が動き出そうとしていた。

 

「それで、IS学園に現れたという二人の男の情報は手に入りましたか?」

 

「はい。こちらになります」

 

立派な机の前に座る女性は、部下から渡された資料に目を通した。

 

「これは本当ですか?」

 

資料の内容に驚きながら、部下に尋ねた。

 

「はい。何度も同じ様に調べましたが、それぐらいの情報しか手に入りませんでした」

 

「そうですか………では、来週に行われるクラス代表決定戦で、動きを出しましょうか」

 

「ハッ‼ 使用する機体はどうしますか?」

 

女性の言葉に部下はタブレットを持ち、指示を仰いだ。

 

「そうですね……現在、開発終了している機体は何ですか?」

 

女性の言葉に部下はタブレットを操作する。

 

「はい、現状で開発終了しているには、ストライク・ダガー、ダガーL、そして、強襲特化型のダガーLです」

 

「そうですか。では、強襲特化型ダガーLを二十機を準備してください」

 

「はい。判りました。では、私はこれにて」

 

「ええ、我々女性だけの世界を造る為にも、男どもは駆逐してしまいましょう。白き清浄なる世界の為に‼」

 

「ハッ、ロード・ジブリール様‼」

 

そう言って部下はジブリールの部屋から出ていくのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問があればよろしくお願いします‼


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第十三話

本来であれば、昨日に投稿したかったのですが、リアルの方で事情があり投稿が出来ませんでした。
申し訳ありません。
話が飛んでしまっている場面がありますが、そこは原作と同じと考えてください。


漆黒の闇に一隻の白亜の戦艦が航行をしていた。

 

「艦長。間も無くキラ達が通信が途絶した宙域に着きます」

 

「そう。なら各MS部隊は出撃を開始して、キラ君達の捜索を始めてちょうだい」

 

「判りました」

 

白亜の戦艦の艦橋では、女性が指示を出していた。白亜の戦艦。オーブ宇宙軍第一艦隊旗艦『アークエンジェル』は、キラ達がMIAになった宙域に再度来ていたのだ。

一度、ザフト、オーブ両国が大規模な捜索を行ったが、なんの手掛りが無く、一度は中止された事もあったが、アークエンジェルだけは諦めなかった。

そこで、オーブ軍は、アークエンジェルのみを捜索に出させる事にした。これにはザフトも賛成し、元エターナル所属であった三機のMSをアークエンジェルに乗艦させた。

三機はザフトで量産される事は無くなった機体で、ラクスが運営するファクトリーで開発された機体である。ザフトによるオーブが攻撃を受けた際に、馳せ参じた機体でもある。

 

『ZGMF-XX09T ドム』

 

この機体は、三位一体で攻撃を仕掛ける事が得意とする機体である。単独での攻撃も強いが、連携攻撃であれば尚強しの機体だ。

ドムは、ザフトでは既に量産される事は無かった。なぜならば、維持コストが高いからでもあるが、現状では戦争も無いので、製造をしていないのだ。

オーブ軍からも与えられた機体がアークエンジェルに乗艦していた。

キラが乗機していたストライクとオーブ軍が量産していたアストレイを融合させた機体

 

『MBF-M1S ストライク・アストレイ』

 

この機体はストライカーパックが装備可能であり、旧式のアストレイの装備であったシュライクも取り付ける事も可能とした。そして、最大の特徴として、バッテリー型ではあるが、パワーエクステンダーを搭載している事によりPS装甲を付けられているのだ。

 

ストライク・アストレイとドムは、宙域の捜索を開始した。しかし、それでも何も成果が無かったのだ。

そこで、アークエンジェルの艦長であるマリュー・ラミアスは決断をした。

 

「この宙域での捜索を終了し、アマノミハシラに帰投します」

 

「了k…艦長、未確認の重力反応‼ これは……」

 

マリューの指示でアークエンジェルはアマノミハシラに帰投しようとした時、後方で重力が発生したのであった。

 

「MS部隊を全機帰投させて‼ 何としてでも機体だけは無事にしなくては‼

 

「了解‼」

 

マリューの指示でアークエンジェルのCICに座るミリアリア・ハウは、全機に通達をしアークエンジェルに帰投させる。

 

「艦長、全機の帰投を確認しました」

 

ミリアリアの報告にマリューは頷き、指示を出した。

 

「これよりアークエンジェルはこの宙域から速やかに離脱します」

 

「了解‼」

 

マリューの指示でアークエンジェルは機関を最大にして離脱を試みた。しかし、全く持って、前進しず、重力の方に戻っていた。

 

「どういう事‼」

 

「判りません、ですが、機関最大にしていますが、全く効きません‼」

 

マリューはここで焦る。ここでアークエンジェルが離れることが出来ないからである。現在のオーブはアークエンジェルがあってこそ、宇宙軍としての活躍をしていた。クサナギやスサノヲ等、他にも宇宙軍としての一角はいるが、メサイヤ攻防戦で活躍した不沈のアークエンジェルがここで消える訳には行かないのだ。

 

「ダメです‼ 艦長、このままでは重力に巻き込まれます‼」

 

「オーブに連絡をして、いや、カガリさんに直接連絡をして」

 

「……はい」

 

マリューは何かを諦めたかのように、オーブの代表であるカガリに通信を取る事にした。

 

『ラミアス艦長‼ どうしたんですか‼』

 

「カガリさん、申し訳ありませんが、我々はここでお終いの様です」

 

『どういうことだ‼』

 

マリューの言葉にカガリは怒鳴る。

 

「我々は重力に引かれている最中です。後の事はよろしくお願いします」

 

『オイ、待て‼ ラミアス艦長‼』

 

マリューはそう言うと、通信を遮断した。

 

「みな、ここまでありがとうね。私達は結局キラ君達を見つける事は出来なかった………本当に申し訳ありません」

 

そう言うとマリューは艦長席から立ち上がり、艦橋にいる者達に頭を下げた。

艦橋を問わず、格納庫でも全員がマリューに対して最高礼の敬礼を行った。

 

「さぁ、最後の仕事よ‼ 重力に向かいます‼」

 

「了解‼」

 

マリューの指示で、アークエンジェルは軌道変更し、重力の方に向かって行くのであった。そして、重力はアークエンジェルを飲み込むと、何も無かったかのように、反応を消したのであった。そして、CE,75年。アークエンジェルはこの世から消えたのであった。これにより、正式にキラ、アスラン、アークエンジェルのクルーは戦死扱いとなったのであった。

 

 

1週間が過ぎ、クラス代表決定戦が行われる日となった。

キラとアスランは機密アリーナで本来の機体を使い、訓練を1週間続けていた。一方の一夏は幼馴染の篠ノ乃箒による剣道をして1週間を過ごしていた。

 

そして、キラ、アスラン、一夏、箒、千冬は第一ピットに集まっていた。

 

「遅いな、俺達の機体」

 

「そうだね、アスラン。早く機体を駆ってオルコットさんを殺りたいよ」

 

アスランとキラは物騒な事を話していた。一夏はこの1週間何をしてたっけ?と思いつつ、機体が来る事を考えていた。

 

「織斑君、ヤマト君、ザラ君。機体が来ましたよ‼」

 

真耶が格納庫から走って来た。その後方からは三つのコンテナが並んでおり、すべて白兎のマークが印されていた。これを見た千冬は頭を抱えだすのであった。

 

「織斑先生ッ⁉ 大丈夫ですか‼」

 

真耶は千冬が頭を抱えた事に驚き、駆け寄るが千冬は手で大丈夫だと言う合図をした。真耶はそれを見て一安心すると、キラ達に体を向けた。

 

「お待たせしました。右からヤマト君、ザラ君、織斑君の機体です」

 

真耶の言葉が終わると同時にコンテナが勝手に開いた。キラの機体はどう見ても嘗ての愛機であった『GAT-X105ストライク』であった。アスランも同様で嘗ての愛機『GAT-X303 イージス』であった。一夏の機体は原作のまんまなのでカットします。はい。

 

「ねぇ、アスラン」

 

「言うな。判っている。俺も突っ込みたいんだ」

 

キラとアスランは懐かし気にストライクとイージスを見つめた。

 

「時間が勿体無い。織斑は先にフィッティングを済ませる。ヤマトかザラのどちらかが先にやれ」

 

千冬の言葉にキラとアスランは顔を見合わせると頷いた。

 

「では、僕から行きます」

 

キラはそう言うとストライクの装甲に手を置いた。その瞬間、キラとストライクを光が包み込んだ。アスランは、そのままでキラの機体が装着される所を見ていたが、千冬達は手で目を覆った。

光が止むと、そこには灰色のストライクが立っていた。

 

「キラ、行けるな?」

 

「うん、大丈夫だよアスラン」

 

キラがそう言うと、アスランは静かに頷いた。

キラは、ストライクを自分の体の一部かの様にカタパルトに向かって行く。それを見た、千冬達は驚くしかなかった。

 

『カタパルトに機体の接続を確認しました。いつでも行けますよ』

 

真耶が管制室からキラに言う。

 

「判りました。キラ・ヤマト、ストライク行きます‼」

 

キラはそう言うと膝を曲げた。その瞬間、カタパルトからストライクが射出されるのであった。

 

 

 

 

アリーナでは、既にセシリアが機体を装着して待っていた。

 

「(遅いですわ‼ レディーをこんなにも待たせるなんて、紳士のする事ではないですわよ‼)」

 

セシリアはキラやアスランが来ても勝てる気持ちで一杯だった。なぜならば、操縦をした事の無い弩素人に負ける筈がないと思っていたからである。しかし、それはただの思い上がりであった事は、後で知る事になる。

そして、第一カタパルトからキラが駆るストライクが出てきた。

 

「遅いですわ‼ って、なんですのその機体は‼」

 

キラが駆るストライクを見たセシリアは驚いていた。本来のISは、腕、足、背部に装甲がある物である。しかし、キラのストライクは違った。全部が装甲で守られているのだ。

 

「待たせた事には謝罪をするよ。でもね、ここからは僕も真剣になるから」

 

そう言うとキラが纏うオーラが切り替わる。ほのぼのしていたオーラがいきなり歴戦の戦士のオーラに変わったのだ。それが判るのはアスランを除き、千冬だけである。

 

「ハンデを差し上げますわ。今すぐに機体を解除してわたくしに土下座をすれば、許してあげますわ」

 

セシリアはキラの纏うオーラには気付かずにそのまま、キラにハンデの事を言い始めた。

 

「そう、僕にはそんなのは要らないし、土下座なんてしないよ。でもね、これだけは言っておくよ……君はこのままでは、何も出来ずに死んでしまうとね」

 

キラの言葉が終わると同時に、開始の合図が鳴る。

 

「先手必勝‼」

 

セシリアはそう言うと、手に持つレーザーライフルでキラに攻撃を仕掛けたのだった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等は受け付けております。


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第十四話

少し文字数が少ないですが、今回でキラとセシリアの戦いはお終いです。
最後ら辺で、キラと楯無との義娘が出ます。




「先手必勝‼」

 

セシリアはキラに向けてレーザーライフルの引き金を引いた。しかし、既にそこにはキラの姿が無かった。

 

「なっ⁉ どこに」

 

セシリアは辺りを見渡すが、キラの姿を確認する事が出来なかった。

 

「僕ならここだよ」

 

キラの声がしたのはセシリアの上空であった。

 

「いつの間に‼」

 

セシリアはキラを確認すると、攻撃を開始する。しかし、キラには攻撃が全くと言って良い程に通用していなかった。

 

「次は僕の番だね‼」

 

キラはセシリアの攻撃パターンが判ったので、量子変換されているコンバットナイフ『アーマーシュナイダー』を両手に持つと、セシリアに突っ込んでいく。

 

「笑えますわね‼ 遠距離型のわたくしに超近接型の武装で対峙するなんて‼」

 

セシリアはそういうと、キラをスコープで狙い、引き金を引いて行く。しかし、キラは最小限の回避でレーザーを避けていく。

 

「なんで当たりませんのッ‼」

 

セシリアは怒り、攻撃が単調になっていた。それを見計らったキラは一気に加速してセシリアに突っ込んでいく。その瞬間、セシリアはニヤリと笑った。

 

「わたくしの攻撃はこれだけでは無いのですわ‼」

 

セシリアがそう言うと、機体の周りからドラグーンに似た武装が浮いていた。そして、キラに向けてオールレンジ攻撃を仕掛けた。

 

「やっぱりね……でもね君の今の実力では僕には勝てないよ」

 

「何を‼ 男性のくせに‼」

 

キラの言葉がキレたセシリアはビットでの攻撃を早くする。しかし、如何に速く動かしても歴戦のキラでは全く歯が立たなかった。

その瞬間、キラのストライクが光輝いた。

 

「なっ‼ 今までファーストシフトで戦っていたんですの⁉」

 

セシリアは驚きでしかなかった。キラの機体がまさかまだ一次変更されていない機体だった為とこれだけの機動力を持った機体がファーストシフトした時の機動力の速さが異常であったからだ。

 

「フゥ~これでこの機体は僕の機体になったね」

 

光が止むと、ストライクが灰色からトリコロールに変色していた。また、武装も変化されエール、ランチャー、ソード、I.W.S.P、マルチプルアサルトが量子変換されていた。

キラはエールを出した。そしてアーマーシュナイダーを戻し、ビームサーベルを展開した。

 

「さぁ、ここからは僕のターンだ」

 

キラがそういうと、元のストライクとのスピードよりも速いスピードでセシリアに接近した。

 

「は、速い‼」

 

セシリアには、キラを狙う事が出来なかった。

 

「そこっ‼」

 

キラはそう言うと片方の手にビームライフルを展開すると、的を見失ったビットを撃ち抜いて行く。

 

「わたくしのブルー・ティアーズが‼」

 

「機体と同じ名前なんてね……でもこれでお終いだよ‼」

 

キラはそう言うとストライクを上空に駆った。そしてエールからランチャーに切り替え、アグニで(威力を落として)放った。それは、真っ直ぐにセシリアを包み込んだのだった。

そして、勝利のアナウンスが流れた。

 

『この勝負、キラ・ヤマトの勝利‼』

 

こうしてキラの勝利が確定した。しかし、落とされたセシリアは気絶したのか、何もしずに地上に堕ちていた。

 

「危ないッ‼」

 

キラがそう言うと、加速してセシリアをお姫様抱っこする。

 

「な、なにをしていますのッ‼‼」

 

セシリアはキラにお姫様抱っこされた事に驚き、動こうとしたが機体は言う事を聞いてくれない。

 

「君はさっきまで気絶していたんだよ?」

 

「それでも、ISには絶対防御がありますから、大丈夫ですわ‼ 早く離してください‼」

 

キラの言葉でもセシリアは拒絶をしていた。

 

「もう少しでピットだからそこで降ろすから、もう少し大人しくしてて」

 

「………」

 

キラの言葉でセシリアは漸く大人しくなり、約束通り、ピットに到着するとセシリアをゆっくりと降ろした。

 

「次は一夏だと思うから、頑張ってね」

 

キラはそう言うと、ピットから出て自分が出たピットに向かうのだった。

 

 

 

 

「ねぇ、ママ‼ パパが勝ったよ‼」

 

「そうね、パパは強いから誰にも負けないわ。私でも勝てないかもね」

 

来賓席で特別として更識楯無と義娘の明日菜がキラとセシリアの試合を観戦していた。まだ、キラと楯無が同棲している事は内密になっているのだ。それに加え、娘もいるとなればIS学園は血の海で染まるであろう。主に、絶望と言う名の血で……

 

「パパ……‼」

 

キラは何気に、来賓席に向けて手を振っていた。明日菜はそれに答える為に手を振り返すのだった。そして、キラの姿は第一ピットへと消えた。

 

「明日菜ちゃん。少しママは離れるね」

 

「うんっ!」

 

楯無はそう言って来賓席を後にする。

 

 

 

「楽勝だったな、キラ」

 

「まぁね。でも次は無いと思うよアスラン」

 

ピットに帰って来たキラを出迎えたアスランは、手元あるドリンクをキラに渡す。

 

「さぁ、次は一夏。君の番だよ‼」

 

「ああ‼ 行ってくるぜ、キラ、アスラン‼ 織斑一夏、白式出るぞ‼」

 

一夏はそう言ってアリーナに出ていく。

 

「ヤマト、後で話がある。ザラもだ」

 

「「了解」」

 

一夏がアリーナに出た後、千冬の言葉にキラ達は敬礼をするのであった。

 

 

 

 

一方のセシリアは、キラに負けた事での悔しさではなく、心の奥底から湧き出る感情に戸惑っていた。

 

「この気持ちは何ですの? あの方はお父様の様な男ではなかった………」

 

「それは、恋じゃないのかしら?」

 

「誰ですの⁉」

 

セシリアの呟きに、誰もいないはずの第二ピットに答えが帰って来る。

 

「あら? 私を知らないの?」

 

「更識生徒会長?」

 

セシリアは目の前にいる人物の名前を言う。

 

「そうよ。それに……いや、これはまだ言うべきでは無いかしら」

 

楯無は、母親らしい顔つきで話をしようとするが、真剣な話なので、生徒会長としての顔つきでセシリアに対峙する。

 

「君は、キラ君に恋をしたんじゃないかしら?」

 

「こ、恋ッ⁉」

 

楯無の言葉にセシリアは驚いてしまう。だが、そう言われてみればと思えば、納得してしまうのだ。

 

「そうよ、恋よ。貴女はキラ君に恋をしてるの」

 

楯無はさらに言葉を続ける。

 

「キラ君はああ見えて柔軟そうに見えるけど、本当は違うの。キラ君は一つの事に対しては、真っ向から向かって行くタイプよ。まぁ、それに私も惚れた身分だけどね」

 

「えっ?」

 

楯無の言葉に驚くセシリアであった。

 

「さぁ、もう少しで一夏君との試合よ。気を引き締めてね」

 

「は、はいっ‼」

 

セシリアは返事をすると、ブルーティアーズを展開し、アリーナに出ていくのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、嬉しいです。

次回‼
セシリアと一夏の対決が始まる。だが、セシリアはキラとの戦いで慢心を止めて一夏と対峙する。
一夏に勝機はあるのか‼

こちらのミスで明日菜が唯になっていました。
申し訳ありません。


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第十五話

なんとか週一更新を続けてるけど、大丈夫かな?


セシリアがアリーナに出ると、そこには既に出ていた一夏が白式を纏って待っていた。

 

「遅かったじゃないか?」

 

「五月蝿いですわね。わたくしにも用意と言う物があるのですわ。それに、あなたみたいな弩素人に負ける筈はないですわ‼」

 

一夏の冷やかしにセシリアは少し怒りながら返す。

 

「まぁ、俺にもキラみたいな戦闘技術は無いけど、それでも負けない様にはするぜ」

 

「そうですか………では、ここでお終いですわ‼」

 

セシリアの言葉が終わると同時に試合開始の合図が鳴る。

 

「お行きなさい、ブルーティアーズ‼」

 

「いきなりビット攻撃かよ⁉」

 

一夏はブルーティアーズによる攻撃を躱していくが、それでも被弾はしていた。

 

「くそっ、これじゃ負ける……武器は……はぁ⁉」

 

一夏はインストールされている武器を展開しようとすると、リストには『雪片弐型』のみしか書かれていなかった。

 

「武器はこれだけかよ~でも、武器が無いよりかはマシか………行くぞ‼」

 

一夏は、雪片弐型を展開してセシリアに向かって行く。

 

「あなたも近距離でわたくしに対峙するのですわね……良いでしょう‼ 近距離ではわたくしには勝てない事を教えましょう‼」

 

「さっきの試合でキラに倒された奴の言葉じゃないな」

 

「五月蝿いですわ‼」

 

「うわっ‼‼」

 

一夏の言葉にキレたセシリアは、攻撃の手を強めた。その結果、一夏の被弾率は増える一方であった。

 

「これで最後ですわ‼」

 

セシリアは一気に加速してミサイルを一夏に向けて放った。一夏はそれを避ける暇もなく、当たってしまうのであった。

 

『試合終了。勝者、セシリア・オルコット‼』

 

セシリアの勝ちで、試合が終了したのであった。しかし、その瞬間アリーナの上空が爆発で包まれた。

 

「な、なんですの⁉」

 

セシリアはそこから侵入してくる機体を見つけるのであった。

 

 

 

 

その時、ピットではキラとアスランが侵入してくる敵を見て、驚きを隠せなかった。キラ達は千冬の傍に行くと、耳元で言う。

 

「織斑先生‼ ここは僕達に任せてください‼」

 

キラは冷静に千冬に進言した。

 

「よかろう。だが、展開は外でするように。また、誰にもバレるなよ?」

 

キラとアスランは静かに頷くと外へと繋がる通路に行く。その際に箒がキラ達を見たが、それよりも一夏の事が心配なのでキラ達は無視した。そして、キラ達は外に出ると首元に掛けてあるネックレスを取り出すと、自分達の本来の機体の名前を叫んだ。

 

「ストライク・フリーダム‼」

 

「インフィニット・ジャスティス‼」

 

キラとアスランが叫ぶと、機体が装着される。

 

「キラ、行くぞ‼」

 

「うん、アスラン‼」

 

キラ達は本来の機体を装着すると、そこから機体を急上昇させ、アリーナに入って行く。

 

 

 

 

アリーナでは、セシリアと一夏が奮闘をしていた。しかし、既にエネルギー切れを起こしている一夏を守りながらでの戦闘は経験していない、セシリアにとっては苦痛でしかなかった。

 

「織斑さん‼ 早くピットにお戻りください‼」

 

「そう言ったって、オルコットを置いて行ける程、俺も男を捨ててねぇよ‼」

 

「ですが……あなたでは足手纏いですわ‼」

 

「うぐっ………判った」

 

セシリアの言葉に一夏は遂に折れ、大人しくピットに戻ろうとしていた。しかし、それを問屋は降ろさなかった。ダガーLが一夏に接近したかと思いきや、背中から一振りの大剣を一夏に振りかぶった。

それを一夏とセシリアはスローモーションに見えた。しかし、ダガーLの手が上空から来た攻撃により撃ち抜かれ、爆散した。

 

「あれは……」

 

「天使……騎士……蒼き天使と紅き騎士……」

 

アリーナの上空から来たのは、キラが駆るストライク・フリーダムとアスランのインフィニットジャスティスであった。

 

「あなた方は誰ですか⁉」

 

「「………」」

 

セシリアの質問にキラ達は答えない。それは当然の事である。この機体は、秘匿されている機体だからである。また、先のデパート襲撃事件での目撃情報等から、キラ達が答えてしまうと判明してしまう可能性があるからである。

キラとアスランは一度、顔を見合わせ頷くと二手に分かれる。アスランは、一夏に向かっていたダガーL部隊をビームライフルやビームサーベルを使い、ダガーLを破壊していく。

一方の、キラはと言うと、殲滅に入ろうとしていた。ハイパーウィング兵装『スーパードラグーン』を全機パージすると、オールレンジ攻撃でダガーLの頭部、腕部、脚部、武装を撃ち抜いて行く。そして、トラップも交えた攻撃を行い、ダガーLを一纏めにすると、ドラグーンを自分の周りに配置する。配置した瞬間、キラの最も得意な攻撃を行う。

 

「ハイマット・フル・バースト‼」

 

ドラグーン、ビームライフル、ビーム砲、レールガンの合計十三もの攻撃がダガーLのコックピット部分以外を破壊する。

キラとアスランは最後まで見送らず、攻撃を終了した時点でアリーナを出るのであった。

 

「あのISは何だったんだ?」

 

一夏とセシリアはキラ達がアリーナから出るまで見送っていた。

 

「あの機体は何なんでしょう?」

 

「さぁな。だが、俺達はあの二機に助けられたと言う事だな」

 

一夏は静かに手に力を入れていた。それに気付く者はいなかったのであった。

 

 

 

 

アリーナを出たキラとアスランは、慎重に周囲を確認して機体を着陸させ、解除した。

 

「ふぅ、でもどうしてダガーLがこの世界にあるんだろう?」

 

「さぁな。だが、俺達だけがこの世界に来た訳ではないと言う事が判ったぞ。それに、あのダガーLの配色は……」

 

「そうだね……ロゴスの可能性も否定できないね」

 

「ああ、キラ」

 

「判ってるよ」

 

アスランとキラは頷くと、振り向いた。そこには楯無と簪の更識姉妹がキラ達を見つめていた。

 

「どうかしましたか、楯無さん?」

 

「どうかしたのか、簪?」

 

「「お帰りなさいっ‼」」

 

「「ッ⁉ ただいま」」

 

楯無と簪の声にキラ達は驚くが、ちゃんと返事をする。すると、楯無の足元から明日菜が顔を出してキラを見つめていた。

 

「パパ……お帰りなさい」

 

「明日菜ちゃん。ただいま」

 

キラは明日菜に笑顔で返事をする。すると、明日菜は堪え切れずに、キラに抱き、泣き始める。

 

「えっ⁉ どうしたの明日菜ちゃん‼ どこか怪我でもしたの⁉」

 

キラにはなぜ明日菜が泣いているのかが判らず、アタフタしてしまう。だが、明日菜は顔を横に振ると、キラの顔を見つめる。

 

「また、私の大切な人がいなくなるんじゃないかと思ったの……パパはどこに行かない?」

 

「ッ⁉ パパはどこにもいかないよ。明日菜ちゃんを一人にはしないよ」

 

「うんッ‼」

 

キラの言葉に安心した明日菜は元気いっぱいに頷くのだった。

 

「あら、私を置いて行かないでくれないかしら?」

 

楯無も、キラ達の中に入って行く。

 

「ザラ君……大丈夫?」

 

「大丈夫だ。だが、なぜ簪が此処にいるんだ?」

 

簪は、アスランの体を見るが、どこにも傷が無いが、一応として尋ねる。だが、アスランとしてはどうして簪が此処にいるのかが判らなかった。

 

「お姉ちゃんと明日菜ちゃんに呼ばれたから」

 

「そうか……」

 

此処で簪とアスランは会話を止めてしまう。キラ達はそれを見ると、微笑みながら離れていくのであった。

 

「ああ、簪。帰らないか?」

 

「っ‼ う、うん。そ、そうだね」

 

アスランの提案で簪とアスランは並んで帰って行くのであった。

 

 

 

国際IS学園の地下には秘匿されている箇所が幾つか存在する。

一つは、キラ達が使用していたアリーナである。二つ目は、格納庫。これは地上にあるものと殆ど一緒なのだが、地上のは応急処置道具やエネルギー補充装置などしか置いていない。だが、地下にある格納庫では機体の整備は勿論、改造等も出来る様になってる。

三つ目は、司令塔である。この司令塔の役割は、国際IS学園が脅威に陥れられた際に使用が許可されている場所である。また、ここには敵のISを調べる装置も配備されているのである。

そして、千冬と真耶はその司令塔に来ていた。

千冬達の前には厚いガラスがあり、先にはダガーLが何機か横たわっていた。どのダガーLを見ても本体は無事だが、四肢が捥がれていたり、武装が無くなっていたりとしている物ばかりであった。

これは、キラ達が破壊したダガーLを解析する為に、ここに持ってきたのだ。

 

「どうだ、真耶。何か判ったか?」

 

「はい、これを見てください」

 

麻耶はそういうと千冬に一つのデータを見せる。

 

「これは…………なにッ⁉」

 

千冬が見たデータはダガーLの内部の構造であったが、どこにも人間が入れる様にはなっていなかったのだ。

千冬はすぐに決断をした。

 

「ヤマトとザラを此処に呼べ」

 

「了解」

 

真耶はそう言うとキラ達を呼びに行くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けています。


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第十六話

なんだかスラスラ書ける自分が怖い。


キラ達はそれぞれの部屋に戻ったが、直後に真耶がキラ達を呼びに来た。

 

「ヤマト君、ザラ君。先の戦闘の事で織斑先生が聞きたい事があると言う事なので、ご同行をお願いして良いですか?」

 

「判りました。楯無さん。待っていてください」

 

真耶に言われ、キラは楯無と明日菜に声を掛ける。

 

「ダメよ。私も行くわ。明日菜ちゃんは簪ちゃんと一緒にいて? 簪ちゃん、お願いしても良い?」

 

「判った。さぁ、明日菜ちゃん。ビデオ見よ?」

 

「うん」

 

明日菜と簪はキラの部屋に入って簪のお気に入りのビデオを見る事になった。

 

「では、行きましょう」

 

真耶が先頭に立ち、キラ達が続いて地下の司令塔に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「来たか。では、これから先の侵入してきた未確認のISについて質問をする。拒否権はほぼないからな。教えてもらうぞ」

 

「ええ、判っています。それに、俺達も織斑先生に報告しようと思っていましたから」

 

「そうか、ではこれを見てくれ」

 

地下に着いたキラ達は千冬と麻耶による事情聴取が行われた。

千冬はコンソールを弄ると、キラ達にある物を見せる。

 

「これはあの機体ですか?」

 

「そうだ。それでだ。お前たちはこの機体の事を知っているな。教えてもらうぞ」

 

「判りました。この機体はダガーLと言う機体です。俺達がいた世界では地球連合軍が正式配備している機体で、量産機です。また、キラが現在使っているISであるストライクの改良機です」

 

アスランはダガーLの機体の情報を千冬達に伝える。

 

「だが、お前たちの世界では有人機だったな?」

 

「ええ、そうです。それに、無人機は色々な面で手の掛かる物なので、向こうでは開発されていません」

 

「そうか……だがな」

 

千冬はそう言うと大型モニターに映し出す。

 

「「ッ⁉」

 

「これって……」

 

キラ達は驚き、楯無は言葉が出なかった。

大型のモニターにはダガーLの内部構造が記されていたが、そこにある筈の物が無く代わりの物が搭載されていた。

それは、人間の脳である。しかも、どれもまだ小さく、大人の脳ではない事が見て取れた。

 

「これを解析したが、どれも10歳から15歳ぐらいの子供の脳が使われてることが判った」

 

手を強く握りしめる千冬。子供の脳を使い襲撃をさせる事に怒ってるのだ。

 

「どこの所属の機体なのかは判りましたか?」

 

「ロゴスと言う組織の物だと言う事が判明した。この名前は聞いたことはあるか?」

 

千冬はまだ手を握りながらアスランに尋ねる。千冬の手からは血が垂れている。

 

「ええ、俺達がいた世界では連合軍の内部にいた組織です。そして、その組織では人体実験も行われて来ましたが、まさかここまで来るとは……」

 

「………」

 

アスランの言葉にキラも唇を強く噛む。キラは、シンから聞かされたデストロイの搭乗者について思い出していた。ステラ。それがデストロイに搭乗していた少女の名前であり、シンが守りたかった存在でもあった。しかし、キラのフリーダムの攻撃により、体中に部品が刺さり、シンの手の中で息を引き取った事もシンから聞かされていた。

 

「エクステンデット……それがロゴスがして来た事です」

 

「エクステンデット?」

 

アスランの言葉にいまいちピンと来ない千冬は判らなかった。だが、キラの言葉で千冬は驚愕する。

 

「エクステンデット……それは、小さい頃から薬物を投与され機械の中で調整されていた者達の事です。特に、僕等が知っている事は、二つあります。一つは生まれた頃から人を殺す訓練をされ、仲間同士で殺し合い、生き残った者だけが、施設を出れる。そして、軍に強制的に入り、薬物を投与し能力を底上げするパターンと」

 

「人工的に作られ、機械の中で毎回調整されている者達です」

 

キラの言葉の後に続くようにアスランが説明をする。

 

「待て、ザラ‼ 人工的にってそれはクローンの事なのか‼」

 

千冬はアスランの言葉に疑問を持ち尋ねる。アスランは顔を横に振る。

 

「いえ、違います。クローンは作れますが、テロメアが短くすぐに死んでしまうのがオチです。ですが、奴らは……‼」

 

アスランはそこで言葉を切ってしまう。そこから先は言いたくない様であった。

 

「アスラン、ここは僕が説明するよ」

 

「キラッ⁉」

 

キラの言葉に驚いたアスランはキラを見るが、微笑んでアスランを見る。そして、キラは口を開いた。

 

「この話をする前に僕達がいた世界の事について説明をしなければ、進めませんのでお話します。僕達がいた世界ではMSと言う物で戦争をしてきました」

 

キラがそう言うと急にストライク・フリーダムの待機状態である蒼い羽のネックレスが光り出す。キラがヘリオポリス内部での事が鮮明に映し出されていた。

どこかのトレーラーの上で私服のキラと赤服を着たアスランが映し出されていた。

 

「これは……」

 

真耶がキラ達に尋ねる。

 

「この映像は、俺とキラが再会した場面ですね」

 

「「えっ⁉」」

 

アスランの説明で真耶と千冬は驚いた。なぜなら仲の良い二人。だが、映像には一人がナイフを片手に構え、もう一人が座って女性の介抱をしていたからだ。

そして、場面は切り替わりキラがストライクを動かしている場面に移り変わった。

 

「なんて速度でキーボードを操作しているんだ……」

 

千冬は驚く。親友の束以上の速さでキーボードを操作しているからだ。

すると、ストライクの動きが一気に変わり。ぎこちなかった動きがまるで人間の様な動きに変わった。そして、ストライクの脚部に収納されているナイフ『アーマーシュナイダー』を取り出すと、一つ目の機体に突き刺した。

 

「なんて動きだ……」

 

千冬が驚くのはおかしくない話である。まだ15歳のキラがまだOSが完全な状態ではないストライクを真面な動きに変えたのだ。これを千冬や束にしろと言っても、無理であると千冬自身は思ってしまった。

 

また、場面が切り替わりストライクがランチャーを構え、一つ目の機体二機に向けて放つが、回避されコロニーの外装に当たると、貫通しそこから漆黒の海が広がっていた。

 

「まて、この場所は地球ではないのか⁉」

 

それを見た千冬は驚きを隠せず、キラ達に確認をする。

 

「コロニーと呼ばれる宇宙空間で生活が出来る様に作られたものです。僕はそこで機械科の学生でした。そして、アスランがいたザフトの侵攻に巻き込まれ、仕方が無しに当時、地球連合軍とオーブ連合首長国が極秘に開発されていたMSの一つであるストライクに乗り込み、侵攻から護っていましたが、僕のミスでコロニーの外装に攻撃をしてしまい、一部を破壊してしまいました。ですが、それぐらいの攻撃ではコロニーは破壊されるようには設計されていません。すぐに自動修復されました。ですが……」

 

キラがそこで区切ると、タイミングよくまた場面が切り替えられる。そこには一つ目『ジン』がD装備をして再度コロニーに進行している場面であった。

キラが搭乗するストライクはランチャーからソードに切り替えられる。そして、ジンを真っ二つにする。

 

「ヤマトはこの機体の人間を殺したのか?」

 

「………ええ」

 

キラは苦虫を噛んだような表情をして千冬の質問に答える。

また場面は変わり、アスランが搭乗するイージスとストライクの戦闘に変わる。

 

「ヤマトとザラは友人同士で戦ったのか?」

 

「はい。俺達はこの時から敵同士になり、死合をしてきました。そして……」

 

アスランがそう言うと今度はインフィニット・ジャスティスの待機状態である紅い剣が光り出す。すると、ストライク・フリーダムと同様に画面が映り出した。

そこには、キラのソードストライクが黒い機体『ブリッツ』を斬り付ける場面であった。すると、音声が流れだした。

 

『アス……ラン……にg』

 

そこでブリッツが爆散した。

 

『ニコルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‼』

 

アスランの悲痛の声が室内に鳴り響いた。

 

『キラァァァァァァァァ‼』

 

アスランのイージスがキラに切り掛る。すると、一機の戦闘機がキラを援護しようとミサイルをイージスに放つ。しかし、イージスはシールドを戦闘機に投げ付けた。そして、戦闘機の操縦席にシールドが刺さり、操縦席に座っていたであろう人物のヘルメットが飛ぶ。

 

『トォォォォォォルゥゥゥゥゥ‼』

 

今度はキラの声が室内に鳴り響く。そして……

 

『アァァァスゥゥゥゥラァァァン‼』

 

『キィィィラァァァ‼』

 

キラとアスランの獣の様な声が響く。そして、斬り合い、何度も斬り合った。そして、イージスはMAに変形しストライクに組み付く。そして、スキュラを放とうとするが、バッテリーが切れアクティブモードになってしまう。

 

『チッ‼』

 

アスランは舌打ちをするとコンソールを開き操作するとアスランはイージスのコックピットから抜け出す。そして、十秒後イージスはストライクを巻き込んで自爆するのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼

と言うか、感想下さい‼マジでお願いします‼(土下座)


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第十七話

今回で、過去の回想は終了です(一旦)。

何でしょうね、この遣り切れない感………SEEDをうる覚えでの状況でなので、もしかしたら間違っている処はあるかも知れないので、教えて頂けたら嬉しいです。

次回は、どうしようかな? 消えたアークエンジェルメンバーを加えるか?


後書きにてアンケートを行っています。
回答に関しては、絶対に感想欄で行わなないで下さい。
行う際には必ず、作者のメッセージで送ってください。
尚、もし感想欄にて回答があった場合には無視しますので、悪しからずお願いします。


キラとアスラン、千冬、真耶、楯無は映像を見て黙ってしまう。

キラ達は兎も角として、千冬達は戦争を体験していないのだ。まさか、映像とは言え、鮮明に映し出されている物がとても信じられなかった。

だが、口を開いたのは千冬であった。

 

「ヤマト。これを見る限り、お前はストライクと一緒に死んだのではないのか?」

 

「それだったら、僕はこの場にはいませんよ。僕は、爆発の前に防護シャッターを無意識に展開して難を逃れましたが、爆発の衝撃で意識を失いました。ですが、この時、近くにいたジャンク屋のロウさんがストライクの防護シャッターを壊して僕を助けた後、ザフト、連合に伝手がある人の家に僕を届けた後、姿を消しました」

 

キラがそう言うと、映像が再開される。

そこには、キラが包帯を巻かれてベットに横たわっている姿であった。

そして、映像が切り替わりアスランがカガリに責められているシーンであった。

 

『ストライクをやったのはお前だな?』

 

『ああ、俺が殺した……』

 

『なんで………』

 

『あいつはニコルを殺した』

 

『だからと言って……殺して良いはずが無いだろうが‼ それにあいつは……キラは優しいやつなんだ‼』

 

『知ってるよ…………ああ、キラが優しいのは俺が一番知っている』

 

『なんでお前が知っているんだ、キラの事を……』

 

此処で映像が終わった。しかし、誰も口を開こうとはしなかった。幼馴染の二人が死闘をし、アスランが責められていたのだ。ここで言葉を発する必要性はない。そう判断した千冬達は黙る事にしたのだ。

すると、映像が始まり出す。そこには、キラがプラントのラクス邸で療養されているシーンであった。そして、ラクスとシーゲルが話している処を聞いたキラは動こうとするが、痛みが体を走りそのままベットに戻った。

そして、シーゲルとキラが何やら話をすると、ラクスとシーゲルが顔を見て頷くと、執事を呼び一着の制服をキラに渡した。それはザフトで『赤服』と呼ばれるエースのみが着られる制服なのだ。キラは、その制服に手を通すとラクスに連れられて、ザフト軍の機密工廠に向かった。

そして、キラとラクスが向かった先には一機のMSがコードを繋がれた状態で、堂々と立っていた。

 

「ヤマト、この機体はお前のストライク・フリーダムに似ているが?」

 

千冬は映像に映っているキラの二機目の機体について質問をする。

 

「はい、映像の機体の名前はフリーダム。型式番号はZGMF-X10Aフリーダム。僕が使っているストライク・フリーダムの前の機体です。この機体には、ニュトロンジャマーキャンセラーと核エンジンが搭載されており火力も機動力もストライクを超えています。この機体の武装はルプスビームライフル一丁、バラエーナプラズマ収束ビーム砲二門、ラケルタビームサーベル二基、クスィフィアス・レール砲が二基です。これが基本の武装になっています」

 

キラは以前に愛機として駆っていた機体の事を千冬達に伝えていく。

すると、映像の場面が変わり、ザフトのステーションを抜けるとジン二機がフリーダムに攻撃をしていくが、キラの持ち前の技術を持ってジンを戦闘不能にし、地球に降下していくのであった。

 

「待て、ヤマト。お前の機体は大気圏に入れるのか⁉」

 

千冬はキラが駆るフリーダムが大気圏に突入して驚き、尋ねる。

 

「はい、僕やアスランの機体は大気圏を突入できる設計になっています」

 

「今の機体はどうなんだ?」

 

「できますけど?」

 

「「「………」」」

 

キラの言葉に千冬たちは言葉を失うのだった。

そして、映像が再開する。そこには、白亜の戦艦がザフトとの交戦で酷く傷ついていた。対空火器を展開するも、隙間から迫ってくる敵に攻撃を受け、小規模ながらも爆発が起きる。そして、一機の戦闘機が白亜の戦艦のカタパルト内に入って行く。そして、白亜の戦艦は、航路を変更し戦闘空域から脱出をしようとしていた。だが、艦橋に一機のジンが突撃銃を構えて引き金を引こうとしていた。それは、スローモーションの様にゆっくりと突撃銃の日が吹くのを見せるかのように。だが、それを許さない者がいた。それがキラだ。キラのフリーダムは、的確にジンの突撃銃の銃身を撃ち、ジンは驚き、上空を見た。それが、運の尽きであった。ジンのメインカメラをフリーダムのラケルタビームサーベルが、斬り落としジンを蹴飛ばした。そして、フリーダムは天使の如く、艦橋の前にてウィングを開く。

その後、キラの活躍もあって白亜の戦艦は戦闘空域から脱出をする。しかし、戦闘空域は、突如の磁場で空域にいた者達を蒸発させていった。

 

「ヤマト………あれは何だ……」

 

「あれは………連合が極秘に開発していたサイクロプスと言う殲滅型兵器です。このサイクロプスは、簡潔に言うと巨大な電子レンジです。磁場を発生させ、体内の液体の温度を急激に上昇させ、内部から殺す兵器です」

 

千冬の質問にキラは苦虫を噛む表情で答えていく。キラは無意識に拳を握っている程であった。キラは今でも忘れていない事があった。それは、サイクロプス攻撃で一機のジンを助けたが、救出が遅く助け地上に下ろした際にキラにお礼を言ってそのまま息を引き取ったのだ。

 

そして、映像が再開する。映像には白亜の戦艦が一つの島国に向かっていた。そして、映像が切り替わり島国に大艦隊が押し寄せ、島国を攻撃を開始した。

 

「ヤマト、あの島国はどうして攻撃を受けているのだ?」

 

「島国と言うのもなんですが、あの国はオーブ連合首長国と言って、中立を保っていました。まぁ、簡潔に言えば日本と同じです。ですが、オーブには宇宙に上がる為の物が揃っていました。それを狙って地球連合軍がオーブ侵攻を始めました」

 

キラがそういうと、また場面が切り替わる。そこには、キラの駆るフリーダムが三機のガンダムタイプと戦っている場面であった。キラは何とか善戦しているが多勢に無勢である。流石のキラでも三機のガンダムを相手するには限界があった。そして、一機のガンダムがキラを攻撃しようとした時、新手のガンダムがキラを護るかのようにシールドを抱えていたのだった。そして、三機を撃退した後、フリーダムと新手のガンダムは海岸に向かう合うかのように、降り立った。そして、そこからキラとアスランがゆっくりとお互いの距離を縮めて行く。そして、お互いが面と向かった時、一人の少女がキラとアスランを抱くかの様に肩を組み、静かに泣くのだった。

 

「ヤマト、この時にお前たちが再会したと言う事だな?」

 

「はい、そうです。俺たちはここから戦争を終わらせようとしました」

 

千冬の質問にアスランが答える。

そして、また映像が再開される。

再度、連合軍からの攻撃でオーブは誰から見ても、負け戦でしかなかった。だが、オーブ連合首長国の代表であったウズミは望みとして、クサナギにカガリを押し込もうとする。だが、カガリは父親と一緒に居たい為、駄々を捏ねる。だが、ウズミは胸ポケットに仕舞っていた一枚の写真をカガリに渡す。カガリは、写真の裏側を何気なく見た。そこには達筆で『Kira&Cagari』と書かれていた。

カガリは父親の顔を見ようとした時、ロケットの扉が閉まり親子の間に一枚の壁が出来た。そして、ロケットは宇宙に打ち上げられ、キラのフリーダムとアスランのジャスティスがロケットの側面に張り付き追って来た三機のガンダムの目の前に向けて砲撃を行い進路を塞ぎ、完全に追って来れない様にするのだった。

そして、オーブは自爆し島の形を変えるのであった。

 

「ヤマト、あの写真に写っていたのは……」

 

「僕と姉の小さい時の写真です。僕もまさか自分に姉弟がいるとは思いもしませんでしたけど」

 

「そうだろうな。さて、そろそろ暗くなる。ヤマト、更識、ザラは真っ直ぐに帰れよ」

 

「「「はい」」」

 

千冬の言葉に三人は返事をして退室する。

そして、残された真耶と千冬は薄暗い室内で静かにお互いのどちらかが喋り出すのを待っている。そして、漸く口を開いたのは千冬であった。

 

「山田先生。私たちはザラとヤマトの二人を軽く考えていましたが……」

 

「そうですね。二人とも大切なものを多く失って来たんですね」

 

「もう少し、二人には安らかにこの学園で過ごしてほしいな」

 

「そうですね」

 

千冬と真耶はお互い、キラとアスランがIS学園で楽しく過ごせる事を願うのだった。しかし、それは二人にとっては最悪な状況で覆されるのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ございましたら、受け付けております。




緊急アンケート‼

急ですが、アンケートを行いたいと思います。今回は二つあります。一つ目は『キラ、アスランにハーレムは必要か⁉』です。
内容は、現状キラのヒロインに楯無。アスランは簪です。感想欄でキラにシャルロット。アスランに箒を追加してほしいと要望があり、今回、定期更新を前倒しにしてアンケートを採りました。

二つ目。『復活してほしいキャラは誰⁉ 敵も味方も関係なし‼』です。

まぁ、簡潔に言えば英雄たちの小規模版です。敵キャラに誰とか見方にはこのキャラを等と、メッセージで答えて頂ければ嬉しいです。

期限は12月31日年末までです‼



最後に、この作品にはラクス、カガリ、シン、ルナマリアは出ません。だって、英雄達と被るので。



一部、誤字がありましたので修正を行いました。


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第十八話

今回は後半でキャラ崩壊が起きています(少し所では無い‼)

自分も書いていて何書いてんだ?と思ってしまいましたw


その後、キラ達はそれぞれの部屋に戻っていくのだが、明日菜が駄々を捏ねてしまい、簪とアスランと一緒の部屋に行く事になった。そして、キラと楯無は二人っきりになった部屋で、話をする事になる。

 

「ねぇ、キラ君。あの話って本当なの?」

 

「………はい、本当の話です。僕とアスラン、他にもいましたが、皆と一緒に戦争を終結する事に成功しました。ですが………」

 

キラがそう言うと、少し悲しそうな表情をする。楯無は居ても立ってもいられずにキラを抱しめる。

 

「泣いても良いのよ。あなたは頑張ったわ。だから、これから幸せになれば良いの」

 

「楯………無さん…………」

 

キラは楯無の胸の中で静かに涙を零していく。それは、過去にラクスがしてくれた様な優しさが溢れた抱きしめ方だった。そして、キラは安心して楯無の胸で寝息を立て眠っていた。

 

「キラ君はここまで追い詰められてたのね………私はこれからもあなたの事を護るわ。だから、今は安心して眠りなさい」

 

楯無の表情はまさしく母親のする表情であった。だが、それすら気付いていない楯無である。それでも、楯無は心の奥底からキラの事を護りたいと思うようになっていた。

 

 

 

 

翌日、キラとアスランは昨日の襲撃の際にどこにいたのかを、一夏達から問い詰められたが既にそれの対策を行っていたキラとアスランは一夏達に説明をする。

 

「僕たちはその頃には既に部屋に戻っていたね。アスラン?」

 

「ああ、俺たちは試合が終了すると織斑先生に断りを入れて自分たちの部屋に戻っていたんだ」

 

「そうなのか………なら、あの機体は何だったんだ?」

 

「一夏、それってどういう事?」

 

一夏の呟きにキラ達は判っていたが、不信感を感じさせない為に尋ねる。

 

「襲撃の時に二機の全身装甲のISが襲撃して来た奴らを攻撃して無力化したんだ。そん時、俺思ったんだ。弱いなって………だから‼ キラ、アスラン。俺を鍛えてくれ‼」

 

「「は?」」

 

キラ達からすれば一夏達は新兵以下の戦力である。だが、そんな一夏自身から自分を鍛えてくれと言って来た事にキラ達は驚きを隠せなかった。

キラ達は、確認する為に一夏に尋ねる。

 

「本当に強くなりたいんだな?」

 

「ああ‼ 俺は本気だ」

 

一夏の気持ちを受け取ったキラ達はお互いに顔をみて静かに頷くと、一夏に答えを出した。

 

「判った。俺達がお前を鍛えよう。だが、俺たちの訓練は生易しい物じゃないぞ? だから、泣き言も許さないからな?」

 

「判っている」

 

一夏の瞳には力強い意志が宿っている事に気付いたキラ達は、一夏の事を信じる事にする。

 

「訓練は明日からにする。今日の所はゆっくりと休め。だが、明日からは本気で訓練を行うからな」

 

「判った。よろしく頼む」

 

アスランの言葉に一夏は力強く頷く。

それと同時に千冬達が教室内に入ってきて、一夏達は急いで自分たちの席に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、キラ達は機密アリーナで自分達の本来の専用機を動かしていた。

だが、キラ達はストライク。イージスの機体と共に使っている内に、反応速度が遅くなって来ている事に気が付いた。

 

「キラ、ジャスティスの反応が遅いのだが?」

 

「うん、僕のフリーダムも反応速度が遅く感じてきている。どう言う事なんだろう?」

 

キラ達は何度も自分たちの機体の整備をしているが、どこも異常を来している箇所は無かった。だからこそキラ達からすれば、どういう事なのかが判らないのだ。

 

「それでも、俺達がやるべき事はしていかなくてはな」

 

「そうだね、アスラン」

 

キラ達はそう言うと再度、訓練をしていくのだった。

 

 

 

 

訓練後、キラ達はお互いの部屋に戻っていた。

 

「ねぇ、キラ君?」

 

「何ですか? 楯無さん」

 

キラが授業の予習をしていた時、楯無から声が掛かりそちらに意識を向けた。だが、そこにはバスタオル一枚纏っただけの楯無がいたのだ。

 

「ヴェェェ⁉ た、楯無さん‼ 何をしているんですっ‼」

 

キラからしたら聞いた事が無い声を出して驚いてしまう。だが、キラからしてみれば、驚くのも必然である。キラはラクスと一緒に生活をしていたが、お互いが意識をしてしまってかそれなりの行為をしていないのだ。だから、キラからすれば、楯無の姿が見れないのだ。

 

「何って、決まってるじゃない。私達は夫婦になるのよ?」

 

「おかしいですよね⁉ 結婚しようとしてもまだできる年齢じゃないんですよ‼」

 

「大丈夫よ。ここは治外法権。年齢なんて関係ないわ」

 

「ありますから‼」

 

だが、ここでキラの不幸は終わらなかった。

 

「キラ、話が…………ごゆっくりと」

 

アスランが、キラ達の部屋に入った時、楯無がキラに迫っている所を目撃してしまい、一言声を掛けて扉を閉めたのだった。

 

「アスラン⁉ ちょっと‼ 待ってよ、ねぇ‼」

 

だが、防音仕様のキラ達の部屋は内部からの声は聞こえなくなっていたのだ。その結果………

 

 

 

 

 

 

「と言う夢を見たんだ」

 

「「夢なのかよ‼」」

 

キラの夢の話を聞かされたアスランと簪は同じツッコミをキラに入れた。だが、その隣では楯無が顔を真っ赤にして満更な様子であった。それを見たキラは冷や汗を掻いてしまうのだった。

 

「ねぇ、パパ? なんのお話をしているの?」

 

「ん? 明日菜ちゃんにはまだ早いかな。でも、もしパパとママが本当の親になったら明日菜ちゃんはどう?」

 

「んー? どうかな? でもパパとママは明日菜のパパとママだよね?」

 

「「そうだよ‼」」

 

「ワーイ」

 

キラの膝に座っている明日菜の質問にキラが答える。

 

「なんだか、本当の親子に見えて来た」

 

「簪もか? 俺もキラと楯無さんが明日菜ちゃんの本当の親にしか見えなくなってきたな……」

 

傍から見ていたアスランと簪はお互いの気持ちが一致していたことに驚いていたが、今は楯無とキラをどうにかしなくてはと思ってしまっていた。

 

「アスラン、僕たちの機体について楯無さんと簪に聞いてみる?」

 

「そうだな」

 

「なになに? お姉さんに聞きたい事でもあるの?」

 

キラはアスランにフリーダムとジャスティスの反応速度が遅い事を聞いてみるか相談していた時、楯無が首を突っ込んでくる。

 

「まぁ、聞きたいと言うか……」

 

「最近、俺たちの本来の機体の反応速度が遅い事がとても気になっているんです」

 

「どういう事?」

 

「「判らないんです」」

 

「もしかして、セカンドセフトの予兆じゃないのかな?」

 

簪が二人に機体の反応速度が遅い事についての予測を言う。

 

「それはあり得るのか?」

 

「さぁ、どうだろ? 僕達の機体はあの篠ノ乃束博士の機体じゃないからね」

 

「ああ、だが……」

 

「もしかしたら、と言う事もあるね」

 

簪の言葉にキラ達は二人だけで話し出してしまう。

 

「簪ちゃん、明日菜ちゃん? あの二人が話し出したら止まらないから先に部屋にって休みましょうか?」

 

「ママ、もう寝るの?」

 

「それもそうだね。じゃ、お姉ちゃん、明日菜ちゃん。お休み」

 

「「お休み」」

 

簪はそう言って自分の部屋に戻って行く。そして、楯無は一度キラ達を見て明日菜の手を引いて部屋に戻って行く。

キラ達が気付くまで約二時間は掛かったらしいのだった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けています。
と言うか、書いてください(土下座)


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第十九話

英雄達を再度、投稿をしていますので、興味のある方は読んで頂けら幸いです。


翌日のホームルームではクラス代表が発表された。

 

「では、一年一組の代表は織斑一夏君になりました」

 

「ファッ⁉」

 

真耶の言葉に一夏はマヌケな声を出して驚く。そして、席を立ち麻耶に質問をする。

 

「待って下さい、山田先生‼ 俺、負けたんですよ? どうして俺g「それはわたくしが一夏さんを推薦したからと、辞退したからですわ」オルコット……」

 

一夏の言葉に重なるようにセシリアが割り込み、一夏は項垂れてしまうのだった。そして、セシリアは一夏から視線を外し、徐にクラス中に頭を下げた。

 

「皆様、申し訳ありませんでした。わたくしは、皆様の事を蔑ろにするつもりはありませんでした。ですが、昨日の試合後、少し考えました。わたくしの言葉でどれだけの方々がわたくしを恨んでしまったんだろうと……わたくしも頭を冷やして考えなおした結果、皆様にちゃんと謝罪をしようと思いました。再度、誠に申し訳ありませんでした」

 

セシリアは綺麗な角度でクラス中の皆に頭を下げた。すると、二つだけであったが、拍手が聞こえ始めた。拍手をしていたのはキラろアスランであった。

すると、皆も顔を見合わせて拍手の数がクラス中に鳴り響く結果になったのだった。

 

「みなさん………ありがとうございました」

 

セシリアの声で拍手の音が先ほどよりも大きくなったのは、必然であった。なんと、千冬と麻耶も拍手をしていたからである。

 

「さて、これで本日のホームルームを終了する。一時限目からISの武装の説明を行う。各自は、準備を怠るな」

 

そう言うと千冬と真耶は教室を後にする。すると、暫しの休息でセシリアの周りにはクラス中の女子達が集まり、セシリアの専用機について、ISの動かし方などを聞きに来るのだった。セシリアは、驚きオドオドしてしまうが、何とか持ち直し、休息の時にレクチャーをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、放課後になり一夏はキラとアスランに訓練をしている最中であった。

 

「ほら、一夏。突っ立っていたら的なだけだよ」

 

キラはストライクを纏い、ビームライフルで一夏に当たらない様に攻撃をしていく。一夏も最初は動けなかったが、すぐに対応し今では避けれるレベルにはなっていた。だが、キラやアスランからすればまだまだと言う厳しいお言葉をもらう一夏である。

 

「き、キラ⁉ 少しは手加減してくれ‼」

 

「ん? 何を言っているの一夏は。これでも手加減しているよ。証拠を見せようか?」

 

「?」

 

キラは一夏にそう言うと、ビームライフルを一夏に向けずに違う方向に引き金を引く。

 

「キラ、どこに撃っているんだ? 俺ならこk」

 

一夏の言葉はそこで止められた。なぜならば、キラが撃ったビームが一夏に当たったからである。

 

「これでも手加減していないって言うのかな?」(ニコニコ)

 

「い、いえ。これで十分です」(ダラダラ)

 

キラのニコヤカな笑顔に当てられた一夏は汗を流しながら言うしかなかった。

 

「さぁ、一夏。まだまだ行くよ‼」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ」

 

キラの言葉に一夏は悲鳴を上げる他無かったのであった。

 

 

 

 

 

訓練後、一夏はアリーナで仰向けで倒れていた。

 

「だらし無いぞ、一夏」

 

「い、いや………アスラン。これを見てもまだそれを言うのか?」

 

アスランの言葉に一夏は息を乱しながら答える。

 

「はぁ~。キラ。少し機体の調整に付き合ってくれないか?」

 

「ん? そうだね。僕も丁度、アスランに頼もうと思っていた所だから今からしようか?」

 

「そうだな。一夏。お前はカタパルトに戻れ。そうでないと俺達の訓練に巻き込まれるぞ?」

 

「わ、判った」

 

アスランの言葉に一夏は白式を再度、纏いカタパルトまで戻って行く。そして、戻って行ったのを確認すると、キラとアスランは徐に機体を展開する。

 

「行くぞ、キラ‼」

 

「僕も行くよ、アスラン‼」

 

キラとアスランの一騎打ちが始まる。

キラとアスランは小手調べとして、お互いにビームライフルでけん制攻撃を行う。だが、お互いに当てるつもりは無いので、撃っては避けの繰り返しである。

すると、アスランは機体を後方に下げると、ビームサーベルを展開しキラに迫って行く。一方のキラもアスランが何をしようか判ったので、対策として同じくビームサーベルを展開し、アスランと斬り合いに持っていく。

逸れの繰り返しで、いつの間にかアリーナの観客席にはほぼと言って良い程に満席になっていた。キラとアスランとの訓練は教師もそうだが、ここにいる学生には“スポーツ”には見えず、死合にしか見えなかった。だが、それでもキラ達の動き方には、誰も見た事が無かったので新鮮さが大きく、尚且つ、自分達の勉強の一環として見ていた。

そして、漸くキラとアスランの訓練は終了を迎えようとしていた。

キラが一気に機体を上昇させ、それに伴う形でアスランも機体を上昇させた。だが、そこが間違いであった事に気付くアスランだが、既に遅くキラがストライクを捻り返しアスランを後方からビームサーベルで斬り抜いたのだった。

 

「キラに負けたか」

 

「僕も少しストライクに無茶をさせたからね。この動きはやらない方が良いかもね」

 

「そうだな。だが、これは何があったんだ?」

 

「ははは、そうだね」

 

キラ達は観客席から鳴り響く拍手に戸惑ってしまう。キラ達はすぐにカタパルトに向かい機体を解除する。

 

「これは一回、オーバーホールをしないといけない気がするね」

 

「そうだな。キラ、任せても良いか?」

 

「判ったよ」

 

キラはアスランから渡されたイージスの待機状態とストライクの待機状態を持って整備室に向かって行くのだった。因みにストライクの待機状態は首に掛かっている指輪。イージスの待機状態もキラ同様の首に掛けられているオレンジの宝石である。

 

キラは整備室に入ると先客が、既に自分の機体の組み立て作業をしている最中であった。

 

「簪さん?」

 

「ふぇ⁉ ヤマト君‼ どうして………」

 

先客とは簪であった。簪の前には一機のISが鎮座しており、所々にコードが繋がれている。

 

「その機体って………」

 

「私の専用機……打鉄弐式って言うの」

 

簪の専用機である打鉄弐式はまだ未完成であった。機体のフレーム等は完成されているが、内部構造がまだ中途半端なのだ。

 

「倉持技研がね、この子の開発を後回しにして織斑君の白式の開発を最優先にされたの」

 

「そうなんだ………そうだ、簪さん。楯無さんと一緒に製作したら?」

 

「お姉ちゃんと? それも良いかも………キラ君も手伝ってくれる?」

 

「良いよ。僕のストライクのデータと楯無さんの専用機のデータを一緒にすれば完成すると思うよ」

 

「判った」

 

キラの助言を聞いた簪はすぐに携帯端末を取り出し、楯無に連絡するのだった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております。
感想を頂けたら、作者も執筆の糧になります。


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第二十話

漸く、完成しました‼ 一か月も書いていないとスランプになるんですね……

他の作品に関しても執筆は行っていますが、現状は雲行きが怪しいですね。
もしかしたら来週は更新が出来ない可能性もあるので、そこはご了承ください。


では、本編に移ります‼

そして、前回に投稿したのには鈴が登場しずにほかのキャラが登場させてしまいました。
なので、一度消去し再度投稿と言う形になります。
皆様にはご迷惑をお掛け致しました事、深くお詫び申し上げます。


簪の連絡を受けた楯無は、数分で整備室に駆け込んでくる。

 

「簪ちゃん。お姉ちゃんは何をしたら良いのかしら?」

 

「お姉ちゃんには、ミステリアス・レディのデータの一部を打鉄弐式に入れたいの」

 

「判ったわ。でも、機密情報は流石に渡せないわよ?」

 

楯無の言うことは尤もである。ミステリアス・レディはロシアの機体。簡単に情報を妹であっても渡してしまっては、日本をロシアの関係を壊してしまう恐れがあるからである。

 

「うん、それは判っているから、運用データだけが欲しいの」

 

「判ったわ」

 

楯無はそういうと、ミステリアス・レディを空いているベッドに無人展開する。そして、コードを簪の打鉄弐式に繋げた。

 

「キラ君。そっちは如何?」

 

「僕のほうも、もう少しで終わります・・・・・・・・・終わりました。簪さん。これを打鉄弐式にインストールして。中身はインストールし終わってから見たら良いから」

 

「うん、判った」

 

簪は、五枚のモニターを展開すると、両手両足、眼を使って打鉄弐式にキラから渡された物をインストールする。

 

「アスランと僕は少しやる事が出来たからここから離れるね」

 

「判った。ありがとう」

 

「ありがとうね、キラ君」

 

キラの言葉に楯無と簪はお礼を言う。そして、キラはアスランの元へと向かっていく。キラとアスランは人影のいない場所に向かう。

 

「キラ、終わったか?」

 

「まぁね。僕の方でもストライクとイージスの調整はしているから、僕たちか使う分には問題は無いと思うよ。でも、今日みたいに無茶な機動は出来ないけどね」

 

「当たり前だ。俺達があの動きをする事が出来るのは……」

 

「………ストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスだけだからね。だからこそできる機動性だから」

 

「ああ。だが、いつかは俺達の本来の機体を使う事になるかもしれないな」

 

アスランの言葉にキラは悲しげな表情をする。

 

「そうはなって欲しくないけどね………僕たちの機体はこの世界では通用する所の話じゃないからね」

 

「ああ、そうだな。核融合炉搭載している機体は俺達のだけだからな。これが外部に漏れた時は……」

 

「判っているよ、アスラン。その時は僕も覚悟はしているよ」

 

キラとアスランはそう言うと首に掛かっている本来の機体の待機状態を見つめる。

 

「さぁ、アスラン。僕たちが出来る事を今のうちにしておこうよ」

 

「そうだな」

 

そう言ってキラは、アスランにイージスの待機状態を渡す。

 

「さて、そろそろ戻らないと明日菜ちゃんが退屈しているだろうし戻るよ」

 

「相変わらず、子煩悩だな」

 

「だって自慢の子供だもん」

 

「ハァ」

 

キラの言葉にアスランは溜息を吐くのであった。

 

 

 

夕刻時。一人の少女がIS学園の受付にやって来た。その手には小型のボストンバックが抱えられている。

 

「中国国家代表候補生の鳳鈴音さん。転入の手続きですね? 資料は既に国から頂いていますので、すぐに編入できますよ」

 

「ありがとうございます。それで、一つ聞きたい事があるのですが……」

 

「はい、何でしょうか?」

 

鳳鈴音と呼ばれた少女は受付の女性に質問を投げかけた。

 

「織斑一夏はどのクラスにいますか?」

 

「織斑君ですか? それでしたら鳳鈴音さんの隣のクラスになる一組ですね」

 

「そうですか……」

 

「?」

 

受付の女性はなぜ、鈴音がそんな事を聞くのか、少し判らなかった。しかし、受付の女性からしたら、特にそんな事は自分には関係のない事。転入手続きを素早く片付けていく。

 

「………はい、これで転入手続きは終わります。これが寮のカギになりますので、無くさない様に気を付けてくださいね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

鈴音はそう言ってカギをもらうと、寮に向かって行くのであった。

 

 

 

 

翌日、キラ、アスラン、一夏が教室内に入ってくるとクラス中が上足だっている事に気付く。

 

「どうかしたの? みんな、楽しそうだけど……」

 

「うん? あっキラ君達‼ 聞いた?」

 

キラの言葉に相川静香が、逆にキラ達に質問をする。

 

「何も知らないけど?」

 

「そうなんだ………あっ、なら私が教えてあげる‼ 隣のクラスに転入生が入ってくるんだって‼ それも国家代表候補生だって‼」

 

「この時期に転入………何かあったっけ?」

 

「わたくしの事を危ぶんでの転入でしょうか?」

 

「いや、オルコット。それは無いぞ?」

 

セシリアの言葉にアスランがツッコミを入れると、一夏を除く全員が頷いた。

 

「んな⁉」

 

「ところで、相川さん。どこの国の候補生かは判る?」

 

「そこまでは判らなかったけど……どうかしたの?」

 

「特に何も無いけど、どこの国の候補生かなって少し興味があってね」

 

セシリアの驚きをスルーし、キラが相川に情報を探るがこれと言って良い情報は得られなかった。

 

「おっと、そろそろ織斑先生達が教室に入ってくる時間だぞ? 席に着いておかないと出席簿が降ってくるぞ?」

 

アスランの言葉でクラス中の皆が急いでそれぞれの席に着くと同時に、千冬と麻耶が教室に入ってくる。

 

「なんだ? 席に着いているのか? ……ザラ、何かしたか?」

 

「なんで俺に振るんですか? それに俺は何もしていませんよ。皆に忠告をしただけです」

 

千冬の言葉にアスランが説明をする。

 

「そうか……これからも頼むぞ?」

 

「判っています」

 

千冬の言葉に含まれている内容を知っているキラとアスランは頷く。

 

「それでは、本日の授業を開始する」

 

 

授業は滞り無く進み、現在は昼休みである。

キラ、アスラン、一夏達はセシリア、箒を連れて食堂にきていた。

 

「キラ、今日のメニューはどうするんだ?」

 

「僕はいつも通りで、日替わりにするよ」

 

一夏の質問にキラは答え、アスランもキラと同様のメニューで厨房の女性に伝える。

 

「なら、今日は日本食メニューで行くか」

 

「一夏は日本食が大好きなんだね」

 

「当たり前だろ? 日本人なんだから」

 

「はははは、そうだね」

 

一夏の答えにキラは笑う。

 

「待っていたわよ‼ 一夏‼」

 

すると、食堂の入り口付近に一人の少女がお盆を持って立っていた。

 

「り…鈴⁉ どうしてお前がここにいるんだ⁉」

 

「だって、私。昨日転入して来たもの‼」

 

鈴と呼ばれた少女が胸を張って言う。(胸無いけど……あれ? 鈴さん…手に持っている物をさg)

 

「フゥフゥ‼」

 

「り、鈴……どうかしたのか?」

 

「馬鹿なやつから嫌味を言われたから成敗した」

 

「………」

 

鈴の言葉に一夏は、痛いやつとは思わず、やっぱりかとしか思っていなかった。と言うか、一夏‼ 貴様にはいい夢を見せてやらねぇぞ‼ あれ? 今度は千冬さん? どうしたんですか? それにその刀は……

 

「鈴、千冬姉が行ったわ」

 

「そう……それと‼ ほかにも何かいう事でもあるでしょっ‼」

 

「いつ帰って来たんだ?」

 

「………」

 

この言葉に鈴は呆れ顔で一夏を見る。

 

「すまないがそこを退いてくれないか?」

 

「あっ‼ ごめんなさい‼」

 

アスランの言葉に鈴は食券機の前から立ち退く。

 

「一夏‼ 席は取っといてあげるから、必ず来なさいよ‼」

 

そう言って鈴は一夏が座れる席を探しに行くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ございましたら、いつでもお受けいたします。


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第二十一話

何だろう、この高ぶる気持ちは‼ 敵キャラはあの人たちです‼ まぁ、名前が出てるんだけどね………。



一夏は鈴が取った席に座る。それに習い、後方の席が空いていたので箒とセシリアが座り聞き耳を立てた。キラ達は簪を見つけると、一緒に食事を摂るのだった。

 

「久しぶりだな、鈴。いつ帰って来たんだ?」

 

「帰って来たのは一昨日よ。それから準備をして昨日の夜に転入したの」

 

「そうなのか……お袋さんと親父さん、元気にしているか?」

 

「ええ、向こうでは商売繁盛しているわ」

 

「そりゃぁ良かった」

 

鈴と一夏が楽しく話している事を良しとしない二人組が乱入する。

 

「い、一夏‼」

 

「一夏さん‼」

 

「そいつとの関係を」

 

「教えて頂けませんか⁉」

 

箒とセシリアの連携の取れた質問を一夏と鈴(正確には一夏)に投げかける。そして、他の生徒も興味があるのか聞き耳を立てているのが目に見えていた。

 

「まさか⁉……お付き合いされているとか‼」

 

「「んなっ⁉」」

 

セシリアの言葉に一夏と鈴は驚き、お茶を吐き出しそうになる。

 

「ち、違うわよ‼ こいつとは…」

 

「幼馴染だよ」

 

「ッ‼ そうね……幼馴染ですね~だ‼」

 

「幼馴染? 私だけでは無いのか?」

 

箒は鈴とあった事が無かったか、頭を捻らせる。

 

「そうか、箒とは入れ違いで入って来たんだった。鈴、こいつが篠ノ乃箒だ」

 

「篠ノ乃箒だ。箒と呼んでくれ」

 

「そう、私の名前は鳳鈴音。気楽に鈴と呼んで頂戴」

 

鈴と箒は握手をするが、その背後には虎と龍が睨めっこしている様にも見える。

 

「ンンンッ‼ そして、わたくしが「あんたの事なんか聞いてないわ」何ですって‼」

 

セシリアの言葉に鈴が重ねる様に言った為、セシリアはいつの間に出したのか、ハンカチの角を口に咥えて引っ張る。本来であれば、女性であっても布であるハンカチは破けるのだが(作者は小学生の頃にした事があります)、頑丈で出来ている為、破れる事は無かった。

 

「他の国家の事なんて目に無いわ。それに、聞いた話だと……アンタ、一夏に迫られたらしいわね?」

 

「ウグッ⁉」

 

「それに? ファーストシフトもしていない機体に迫られたって聞いたけど?」

 

「ッ‼ あの人の事を悪く言わないで下さいまし‼」

 

鈴の言葉にセシリアの神経に触れ怒り声を上げる。

 

「ッ⁉ そ、そう……それは悪い事を言ったわね。ところで、その男たちは何処にいるのかしら?」

 

鈴はそう言うと辺りを見回す。

 

「それならあそこにいるぞ」

 

「そう……」

 

一夏の言葉に鈴はキラ達の元に向かう。

 

「ねぇ、あんた達でしょ? もう二人の男性操縦者って」

 

「そうだけど?」

 

「何か用か?」

 

鈴の言葉にキラとアスランは素っ気なく答える。

 

「チッ……それで、一夏とどっちが強いの?」

 

「「さぁ?」」

 

「は?」

 

鈴の言葉にキラ達が答えると、鈴は変な声で驚く。

 

「えっと、どう言う事?」

 

「俺よりもキラ、アスランは強いぞ。それに俺はキラ達に教えてもらっているからな」

 

「なんだって?」

 

一夏の言葉に鈴は声を低くする。

 

「だから、俺はキラ達に教えてもらっているって言ったんだ」

 

「そう………」

 

一夏の再度の言葉に鈴は少し考えるとキラ達に宣戦布告した。

 

「なら、あんた達のどっちかと戦ってくれないかしら? それで私が勝ったら一夏の訓練は私が見るから」

 

「「………」」

 

鈴の言葉にキラ達の表情が変わる。それは、戦士の顔であった。

 

「そう、良いけど………機体が壊れても僕達の所為にしないでね?」

 

「ああ、俺達のどっちかは本気で相手する。何がっても俺達は責任を持たないからな?」

 

「判っているわ。それでも、どっちかと戦いたいの」

 

「判った。では、こうしよう。放課後に第一アリーナで。アリーナはこちらで押さえておく。これで良いか?」

 

「良いわよ」

 

鈴はそう言うと食堂から離れて行くのであった。

 

「キラ、アスラン‼ 良いのかよ、あんな事言って」

 

「良しも悪しも、決めるのは織斑先生だ。俺達はそれを待つのみだ」

 

アスランとキラは過去にセシリアが見た歴戦の戦士の表情をしていたのであった。

 

 

 

 

一方、とある地域では男性が一人、モニターを睨んでいた。

 

「そうか、君たちがまた私の行く手を阻むのか………良いだろう。また、君たちと戦える事を楽しみにしているよ、キラ君、アスラン」

 

「良いのかね? 君が表舞台に立つと言う事は、彼らと敵対を表明しているのも同然の事だが?」

 

「判っている。だが、私の野望は此処では終わらせはしないんだよ。そうだろう? ラウ」

 

「ハハハハ‼ やはり君と一緒に組んだいた方が面白い。良いだろう、私も君の駒となって働こうではないか、ギルバート」

 

キラ達が住んでいたC.Eの世界では死んだ筈であったラウ・ル・クルーゼとギルバート・デュランダルが再び、キラ達の前に立ちはだかろうとしていた。

 

「ある情報では、今日の午後にでもキラ君達が戦う予定らしい」

 

「ほう? それは楽しみだな………君が出るのかな?」

 

「そうしても良いのだが、まだあの機体は未完成のままだ。仕方が無いが、無人機を出すつもりだ」

 

ギルの言葉にラウは一笑いして答える。

 

「良いだろう。存分に彼らの今の力を思い知らせてみたまえ」

 

「ああ、そのつもりだよ。ギル」

 

そう言うとラウはギルの部屋から出ていく。

 

「さぁ、彼らはどう出るかな?」

 

ギルバートは楽しそうな声を出す。

 

「私を楽しませてくれよ、キラ君、アスラン」

 

ラウも無人機がある格納庫に向かいつつ、楽しそうにキラ達の名前を呼ぶ。

 

「「さぁ、宴はここからが始まりだ‼」」

 

離れていても考える事が同じであった二人であった。




次回予告‼
一夏のセカンド幼馴染である『鳳鈴音』がキラ達に対して宣戦布告をした。それを承諾したキラ達。戦うのはどっちだ⁉
一方、キラ達にとっては因縁の相手が敵に‼ キラ達は因縁の相手と渡り合えるのか⁉

次回、インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士
第二十話~侵入機~

立ち上がれ、ストライク・フリーダム‼

タイトルは強ち嘘ではありません。なんとなくしてみました。
もしかしたら次回辺りからこんな感じで次回予告が出来るのかも知れないです。

誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら随時受け付けております‼




何となくやってみたけど、これ良いな


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第二十二話

書き上げたので更新です。


その日の放課後。第一アリーナには鳳鈴音とキラが対峙していた。

鈴と別れた後、キラとアスランは話し合いをした結果、キラが戦う事になったのである。

 

「僕が相手になるよ」

 

「ハッ‼ ナヨナヨした男に私が負ける筈が無いじゃない‼」

 

二人はそう言うと、同時に愛機を展開する。

キラはマルチプルストライカーパック。通称『パーフェクトストライク』で戦う事にする。このストライカーパックは嘗て、キラの後釜としてストライクのパイロットになったムウ・ラ・フラガが使用したストライカーである。

キラの戦闘タイプからすれば、使い道が無かったがフリーダム、ストライク・フリーダムを使う内に、遠・中・近距離の戦闘が可能となり、ストライクで使う時はこのストライカーパックを最終的に使う事にしているのだ。

 

「行くわよ‼」

 

鈴が最初に先手を撃った。背部にある衝撃砲『龍砲』でキラに向けて攻撃を放つ。しかし、キラはそれをバレルロールで回避すると、右肩に装備しているバルカン砲で鈴に反撃を行う。

しかし、鈴もその攻撃を回避すると粒子変換されている青龍刀二振り展開すると、キラに近接攻撃に転じる。だが、キラにすれば負ける気は無かった。既に装備されている対艦刀『シュベルトゲーベル』を振り下ろした。それは、まっすぐに鈴に当たり、鈴は堪らず地面に落下した。

 

「グゥ‼ まさか、私が地面に着かされるなんて………でも遣り甲斐があるわ‼」

 

鈴はそう言うと機体を急発進させる。それは、キラの後方を取ると言う算段であったが、キラはそれを判った上で、何もしなかった。

それを勝機と見た鈴は一気に畳みかける。しかし、その時であった。キラが急に動き出し捻り返しで鈴の背部を取った。そして、鈴に向けてアグニを(威力を最大に抑えつけた上で)放つ。アグニから放たれたビームは鈴に当たり爆発が起きる。そして、爆煙が晴れるとそこにはボロボロになりながらも、立っている鈴の姿が見られた。

 

「アグニの攻撃に耐えられるなんてすごい機体だね?」

 

「ハァ…ハァ……でも、私では相手になりそうも無いし………それに甲龍もダメージを食らい過ぎて真面に動けそうに無いわ………この勝負、私の負けで良いわ」

 

そう言うと鈴は空中で機体が強制的に解除される。キラはすぐに鈴を回収しピットに搬送する。

その時であった。アリーナを覆う天井が爆発した。そして、そこからキラ達にとっては見慣れた機体が続々と侵入してくる。

 

「どうして………どうしてジンやザク、グフがいるんだ⁉」

 

「アスラン‼」

 

「ああ‼ 織斑先生‼」

 

キラとアスランはすぐに本来の機体を展開する為に千冬に許可を得ようとする。しかし……

 

「無理だ、この場は一時的でしかならないが今の機体だけで頼む」

 

千冬は今すぐにでも対応できるキラ達の本来の機体の展開の許可を出したい。だが、それをすると言う事は、もう二人の男性操縦者は全世界のISよりも強力なISを保持している事が露見されてしまう。即ち、最悪の場合は戦争の発端になってしまう恐れがあるのだ。それを回避したい千冬はおいそれと許可を出せなかった。

 

「では、このまま見す見す敵の侵入を許すつもりですか‼」

 

「俺達の役目はこの学園を護る事ではないのか‼」

 

「判っている‼ だが、貴様らの機体を見た各政府の奴らはここぞとばかりにこの学園に乗り込む恐れがあるのだぞ‼ それでも尚、出て行くと言うのか‼」

 

千冬とキラ、アスランの口論の後方では侵入してきたジンやザク、グフがアリーナに攻撃をしている真っ最中であった。

 

「その為に俺達がいるのではないのか?」

 

「⁉………そうだったな………判った。許可を出す。だが、誰にもバレずに展開し殲滅せよ‼」

 

「「了解‼」」

 

千冬の命令を聞くや否や、キラ達はすぐに誰にも認識されない様にストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスを展開し、第一アリーナに入った。

 

 

 

 

一方、一夏達は侵入者に対して攻め込もうとしていた。しかし、その時であった。姉である千冬から緊急の通信が入る。

 

『織斑、聞こえているな? 返事はしなくて良い。その場で聞け。他の専用機持ちも同じだ。これより極秘裏の機体で今回の侵入機を殲滅する。各自は速やかに避難しろ。間違っても第一アリーナに入るなよ? 撃墜されるのがオチでしか無いからな。それと、今回の殲滅に当たっての機体の情報は何処の国家にも渡すつもりは無い。国際IS委員会にもだ。もし、これが破られた場合、厳しい処罰を受けるつもりでいろ。以上だ』

 

そう言うと千冬は一方的に通信を切る。

 

「ど、どう言う事だよ………それに……キラ達は何処だ?」

 

「そう言われてみれば、どこにもいないな………」

 

一夏はキラ達が居ない事に気付き辺りを見渡す。しかし、キラどころかアスランの姿さえも無いのだ。

 

「あの時もそうでした」

 

セシリアが言っているのは先のクラス代表決定戦での事である。あの時もキラ達の姿が無いと思ったら、新手の味方の二機のISが殲滅した。

 

「まさか、キラさん達が関わっていると言う事は………」

 

「「………」」

 

セシリアの言葉に一夏と箒は考える。そう言ってしまえば辻褄が合うのだ。だが、それを証明する為の証拠が無い為、何とも言えない。

 

「今は逃げる事をs〈ズガァァァァン‼〉な、何だ⁉」

 

一夏達が避難をしようとした矢先、目の前に三機の侵入してきた機体が壁を破壊して一夏達の目の前に現れたのだった。




次回予告‼
キラと鈴が戦い、キラの勝利で終わった模擬戦であったがそこにキラ達が見慣れた機体が侵入して来た。キラ達は千冬に許可を貰い、侵入者の殲滅に当たった。
そして、一夏達の目の前に現れた侵入機⁉ 一夏達の運命は‼

次回、第二十三話~堕天使の来航‼

護る為にその力を発揮せよ‼ アークエンジェル‼


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第二十三話

漸く出せたよ‼ 長かったよここまで‼


一夏達の目の前に現れた侵入機はすぐに武装を一夏達に向ける。

それを見た一夏達は逃げようとした。だが、それよりも先に侵入機の方が早かった。侵入機の攻撃が、一夏達の足元に銃弾が飛び跳ねる。だが、幸いに怪我をする者はだれ一人居なかった。

 

「セシリア‼」

 

「判っていますわ‼」

 

一夏の声にセシリアは専用機を展開する。そして、レーザーを敵に向けて放つ。しかし、敵は軽々と攻撃を避けるとセシリアに目標を定め、一気に攻撃を仕掛けてくる。

セシリアはミサイルを使いつつ敵に近づけさせない様にしていた。しかし、敵は三機。出来る事は定められておりまた、狭い空間でのピットは使えず、敵に近づかれてしまう。そして、敵の一機がセシリアに刀で切りつけようとしたその時であった。

上空からの攻撃で侵入機の一機が貫かれ爆発する。

 

「な、なんだ!!」

 

「また侵入機!?」

 

上空から降りてきた機体は黄金のMSISであった。

 

 

 

時を戻して、国際IS学園から遠く離れた海域に一隻の白亜の戦艦が降り立つ。白亜の戦艦の名前はアークエンジェル。キラ達がいた世界では不沈艦として有名であった戦艦である。

では、なぜその戦艦がこの世界に来たかと言うとキラ捜索の際に原因不明の重力に飲み込まれてしまいこの世界に来たのである。

 

「ここは………」

 

「艦長‼ お目覚めになりましたか‼」

 

「ええ、でも私達は宇宙にいた筈なのに………」

 

「判りません。ですが、この艦は1Gの環境でも航海が可能です………艦長‼ ザフト軍のMSの反応が‼」

 

「えっ⁉ どう言う事、もう戦争は終わったのよ‼」

 

アークエンジェルの艦橋では艦長であるマリュー・ラミアスが驚きの声を上げる。

 

「判りません。それにMSの大きさでは無いです」

 

「すぐに格納庫に連絡して‼」

 

「はい‼」

 

マリューの指示で通信手であるミリアリアが格納庫に連絡をする。

 

「艦長、マードックさんからです」

 

「繋いで‼ こちら艦長のマリューです。マードックさんどうしました?」

 

モニターに一人の無精髭を生やした男が現れる。

 

『どうしたもこうしたも無いですよ‼ MSが消えたんです‼』

 

「消えたっ⁉ どう言う事ですか‼」

 

『判らないんです。でも、MSがあった場所にはアクセサリーが落ちているんです』

 

「フラガ准将を呼んで来てください‼」

 

『判りました‼』

 

マリューがそう言うとマードックはムウを呼びにモニターから消える。

 

「艦長、どう言う事でしょうか?」

 

「判らないわ………でも、もしかしたら………」

 

マリューは頭を悩ませる。宇宙にいた筈の自分達が気が付けば地球にいる。摩訶不思議な状況の中、マリューは答えが出ずに、頭の中がこんがらがってしまう。

 

『艦長、出たぜ?』

 

「ムウ‼ 機体の事は聞いている?」

 

マリューの最愛の男であるムウ・ラ・フラガがモニターに映し出される。

 

『ああ、さっきマードックさんから聞いた。アカツキが居なくなってしまう代わりにこのアクセサリーが落ちていたってな………だがな、妙なんだ』

 

「妙? どう言う事?」

 

ムウの言っている事が判らないマリューは尋ねる。

 

『どうもな、このアクセサリー自体がアカツキなんじゃないかって』

 

「ムウ、言っている意味が判らないわ」

 

『判ってる。俺だってなんとなくの思いで言っているだけだ。だがな…』

 

その時であった。アクセサリーが突然光り出しムウを包み込んだ。そして、光が収まるとそこには小さくなったアカツキの姿あったのだった。それと入れ替わりにアラートがアークエンジェルに鳴り響く。

 

「どうしたの⁉」

 

「熱源反応です‼ 数……25‼ 識別は……ザフト軍のジン、ディン、シグー‼」

 

ミリアリアからの報告でマリューは思考を切り替える。

 

「第一種戦闘配備‼ 対空戦闘用意‼」

 

マリューの指示で艦橋内は一気に緊張の波に包まれる。

 

「モニターに敵の機体を映し出せる?」

 

「やってみます………モニターに映します‼」

 

モニターに映し出された物はマリュー達にとっては驚きの言葉でしかなった。MSは元々、15Mはあるはずである。しかし、モニターに映し出されたジンは5Mも無かった。

 

「どう言う事なの……これ………」

 

「判りません。ですが、向こうは我々に攻撃を仕掛けるつもりです」

 

「ムウ‼ それで出れる‼」

 

『やれる事はするさ。それに、こいつの動かし方も頭の中に入って来たしな』

 

「えっ?」

 

ムウの言葉にマリューは判らなかったが、長年の付き合いで大丈夫だと言う事は判っていた。

 

「なら、お願いね」

 

『あいよ‼ ムウ・ラ・フラガ、アカツキ出るぜ‼』

 

ムウはそう言うとアカツキを発進させる。

 

「私達はどれかの機体の鹵獲を主目的に動きます。ムウもそれで良いわね」

 

『判った‼』

 

ムウはそう言うとオオワシに装備されている73F式改高エネルギービーム砲でジンの両足、両手を撃ち抜く。また、オオワシを外し自動操縦にすると、単機で他の機体を戦闘不能にしてしまう。ムウ自身もビームライフルを使い、戦闘不能にしていく。

アークエンジェルは対空火器やゴットフリートでジンやディン、シグーを破壊する。

そして、上空には障害となるものが無くなったのであった。

 

「艦長、増援の熱源は見られません」

 

「そう………第二種戦闘用意で待機。私達はこのまま進みます。ムウは帰ってきて頂戴」

 

『了解だ………マリュー‼ この先で戦闘がされている‼』

 

「なんですって⁉ ムウ、先に行って見て来て頂戴‼ 私達も全速力で追うから‼」

 

『了解、俺は不可能を可能にする男だ。何でもしてやるぜ‼』

 

ムウはそう言うとアカツキの速度を速める。

 

「我々も向かいます‼ 機関最大、全速前進‼ 目標、戦闘空域」

 

『了解‼』

 

マリューの指示でアークエンジェルは離水し上空を航行し始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

先行したムウは島の一角に先ほどの大きさと同じザフト軍の機体が群がっているのを発見する。

 

「どう言う事だ、こりゃ? ………ん?」

 

ムウが一つの所に目を向けるとそこには弟分である二人の機体がこちらに向かって来ているのを見つける。

 

「おいおい、まさかあれがキラ達じゃないだろうな………一応、聞いてみるか? こちら、オーブ連合首長国第一宇宙軍旗艦アークエンジェル所属、ムウ・ラ・フラガ准将だ。そちらの識別を教えてくれ」

 

『ムウさん⁉』

 

『どうしてここにいるんですか‼』

 

「やっぱりボウズ共か‼ それよりもこれはどう言う事だ?」

 

ムウは弟分であるキラとアスランであると判ると機体を寄せる。しかし、キラ達はそれを許せるほどの時間が無かった。

 

『すみませんが、僕達には時間が無いので先を急ぎます‼』

 

『准将、すみません‼』

 

キラ達はそう言うと機体を一気に加速させてザフト軍の群れに突っ込んで行く。

 

「どう言う事だ、本当に………まさか‼」

 

ムウは三機のザフト軍機が観客席らしき場所に向かっているのを見つける。

ムウの思い通り、三機は観客席に攻撃を行い内部に侵入した。

 

「やっぱりかよ‼ クソッ‼」

 

ムウはそう言うと観客席に機体を走らせジンを撃ち抜くのであった。




次回予告‼
侵入機を破壊した黄金のIS。それはキラ達にとっては兄貴分である男性が搭乗していた。
キラ達は再開を喜ぶよりも先にする事を最優先にする。
そして、アークエンジェルがIS学園に‼

次回、再会

全てを照らし出せ、アカツキ‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら随時受け付けております。


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第二十四話

勉強の合間に書き上げました‼ 結構しんどかったです。


黄金のISが侵入機を破壊した後、一夏達に振り返ると一夏達はサッと身構える。

 

『おう、嬢ちゃん達……男もいるけど大丈夫か?』

 

黄金のISから男性の声がすると、一夏達は驚いた。男性操縦者は未だに一夏とアスラン、キラの三人だけだからである。

 

「お……とこ……」

 

『ん? 何か言ったか?』

 

「そこの機体、所属を教えろ」

 

すると、千冬が観客席に刀を持って現れる。

 

『おっと、これは失礼』

 

そう言うと黄金のIS。ムウ・ラ・フラガが機体を量子変換する。

 

「オーブ連合首長国宇宙軍第一機動艦隊旗艦アークエンジェル所属、ムウ・ラ・フラガ准将だ」

 

ムウはオーブ式の敬礼をしながら所属を千冬に言う。

 

「あー、すまない。私にはその国は聞いた事が無い。だが、知っているかも知れない奴らなら……」

 

「そうか………おっと、そうだ。ここにドックはあるか?」

 

ムウの言葉に千冬は頭に?を浮かばせるのであった。

 

 

 

 

少し時間を戻し、キラ達はアリーナに突入すると、ビームライフルやドラグーン、レール砲などを使い侵入機を破壊していく。

だが、それでも敵の数は減らずキラ達の体力が消耗していくだけであった。

 

「キラ、このままでは俺達がやられるぞ‼」

 

「判ってる。でも、二人だけでは対処しきれない‼ ッ⁉ アスラン‼」

 

「判っている‼」

 

キラ達が見たのは、セシリア達がいる観客席にジンが三機、突入している所であった。キラは一気に機体を加速させる。だが、敵もそれを見す見す見逃す筈もなく、キラの行く手を阻みに来る。

 

「君たちに構っている暇は無いんだよ‼」

 

キラは一気に畳掛ける気持ちで、全武装を放つ。しかし、それでもキラ達の行く手を阻むジン達。そこへ、一機の機体がキラ達に迫っていた。

 

「あれは……」

 

「アカツキ? どうして准将の機体が⁉」

 

『こちら、オーブ連合首長国第一宇宙軍旗艦アークエンジェル所属、ムウ・ラ・フラガ准将だ。そちらの識別を教えてくれ』

 

アカツキのパイロットはムウ・ラ・フラガであった。

 

「ムウさん⁉」

 

「どうしてここにいるんですか⁉」

 

『やっぱりボウズ共か‼ それよりもこれはどう言う事だ?』

 

ムウの質問に応えたかったが、先に侵入機の破壊を優先する事にした。

 

「すみませんが、僕達は先を急いでるんで‼」

 

「准将、すみません‼」

 

キラ達はそう言うとムウの後にし、侵入機の破壊に向かう。

しかし、後方で一夏達に向かっていた侵入機がムウの手によって破壊されたのを確認すると、少し安堵する。だが、まだ侵入機が山ほどいたので、キラ達はそちらをムウに任せ、先に破棄に向かって行った。

 

「邪魔をするな‼」

 

「僕達の邪魔をしないでくれ‼」

 

キラとアスランのコンビネーションにより、侵入機は破壊され残っているのは残骸だけであった。

 

「片付いたね、アスラン」

 

「ああ、俺達も機体を解除して准将の所に行かなくてはな」

 

キラとアスランは機体を上昇させ、誰もいない所で機体を量子変換しムウの元へと急いだ。

 

 

 

時を戻して、千冬とムウは真耶を含めた三人で話し合いがされる事になった。その際、ムウはアークエンジェルに機密に連絡を行い、一旦海底で待機する様にマリューに伝えていた。これは、ある意味で未開の地に空を飛ぶ戦艦がある事を知らせない為でもある。

 

「では、貴方はいつの間にかこの世界に来ていたと……?」

 

「ああ、そう言う事になるな。それに、俺の機体は元々は18mはある代物だ。だが、蓋を開けてみれば5m位に縮んでいる」

 

ムウはそう言うとキラ達の事が気になり、千冬達に質問する事にした。

 

「すまないが、一つ質問だ。さっきの二機の機体についてだが」

 

ムウのこの言葉に千冬と真耶が激しく反応する。

 

「あの二機についての事を知っているのか?」

 

「ああ、知っている。いや、正確には機体そのものは知っている。だが、パイロットが誰なのかを知りたいだけだ。もしかしたら知っている奴らかも知れないしな」

 

「「………」」

 

ムウの言葉に千冬と真耶は一度、顔を見合わせ頷いた。すると、真耶が懐から携帯を取り出しあるところに連絡をする。

 

「あっ、更識さんですか? 私です。山田です。そちらに天使と騎士はいますか? ………はい、判りました。では、今から言う所に連れて来てください。場所は…地下機密格納庫です」

 

真耶はそう言うと携帯をしまう。

 

「先生、楯無さん達が既に天使たちと合流していると言う事でしたので、こちらに呼びました」

 

「判った。さて、もうしばらく待って頂く事になりますがよろしいですかね?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

ムウはそう言うと千冬達に笑顔で返事をする。真耶はそれに当たってしまい顔を赤くしてしまうには、仕方が無い事である。千冬は、特に気にもしていなかったが………

 

 

 

 

それからしばらく時間が過ぎた頃、機密格納庫に女性二人と少女が一人、男性が二人の計五人が入ってくる。

 

「織斑先生。天使達をお連れしました」

 

「そうか、では中に入って来てくれ」

 

「判りました。キラ君、アスラン君」

 

楯無の呼び声でキラとアスランが中に入る。そこにはムウの姿があり、キラ達は驚きでその場で固まってしまうのであった。

 

「やっぱりボウズ共か‼」

 

「ムウさん⁉」

 

「准将⁉」

 

キラ達はアカツキのパイロットが本当にムウ・ラ・フラガだった事に衝撃が襲った。先ほども会っていたが、戦闘に集中していたので、ムウの事は頭の隅どころか頭の中に入っていなかったのであった。

 

「ムウさんが居ると言う事は………」

 

「カガリやラクスは……」

 

「………残念な事だが、この世界ではなく向こうで政治家としてやっている。それに、嬢ちゃん達はボウズ共を心配をしていたぞ?」

 

「「………」」

 

この言葉を聞いてキラ達は黙る他無かった。最愛の人を置いて来てしまった事が一番の心配であった。キラ達はずっとカガリとラクスの事を心配していたのだ。

 

「んんっ‼ よろしいか?」

 

千冬の言葉でキラ達は千冬達に向く。

 

「では、フラガ准将。あなたはヤマト達の知り合いと言う事で良いんですね?」

 

「ああ、そうだ。それで、俺は……いや、俺達はどうなる?」

 

「達? それはどう言う事ですか?」

 

ムウの言葉に千冬は聞き返す。

 

「おっと、そうだった。アークエンジェルの事をすっかり忘れてた」

 

「「アークエンジェル⁉」」

 

「「?」」

 

ムウの言葉にキラ達は驚きの声を上げ、千冬達は何が何やらでさっぱりであった。

すると、いきなり警報が鳴り響き始める。

 

「何が起きた‼」

 

千冬はすぐに格納庫に設置されている電話で司令塔に連絡を入れる。

 

『海底から高速で接近する熱源を確認しました‼ 数は一。大きさは……ッ⁉』

 

「どうした、何があった‼」

 

『落ち着いて聞いて下さい、織斑先生。大きさは戦艦並みの大きさです‼』

 

「は?」

 

司令塔の回答に千冬は変な声で答える。

 

『ですから‼ 大きさが戦艦並みの大きさなんです‼』

 

「………」

 

再度の回答に千冬の思考はショート仕掛けていた。

 

「すまない。それは俺が乗って来た戦艦だ。名前はアークエンジェルだ。一度、向こうに連絡をしたら判る。その際に俺とキラ達の名前を言えば大丈夫だ」

 

ムウの言葉に半信半疑の千冬であったが、背には代えられぬと思いでムウの言葉を司令塔に伝えるのであった。




次回予告‼
国際IS学園に突如として襲う襲撃であったが、キラ達の奮闘の末、壊滅する事に成功する。だが、一方でキラ達の馴染みの深い者達が現れる。
そして、暗躍する組織が二つあった。

次回、再会Ⅱ

全てを無にしろ、デストロイ‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等ございましたらいつでも受け付けております。
現在、国家試験の勉強の為、感想の返事が遅れる可能性がございます。ご了承くださいませ。


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第二十五話

皆さま、お久しぶりです。武御雷参型です。
漸く出来上がりましたので、投稿させて頂きます。
ただし、今後もいつ更新できるか不明の状況です。
なるべく皆様に、お見せ出来るように頑張って行きますので、今後もよろしくお願いします‼
さて、長い語りは此処までにして、お待たせしました‼
スランプの為クオリティーが下がっているかも知れませんが、本編です‼


アークエンジェル艦橋ではムウからの連絡が途絶えた事に焦燥感を抱え始めていた。

 

「フラガ機からの連絡が途絶えました‼」

 

「もしかしてムウが落とされたと言う事は無いでしょう。ですが、一度、向こうに行きましょう。アークエンジェル、機関最大。目標、前方基地‼」

 

マリューの指示でアークエンジェルが発進する。

すると、CICに座るミリアリアがマリューに報告を行う。

 

「艦長、前方基地から通信が届いています」

 

「繋いで頂戴。こちら、オーブ軍第一宇宙軍旗艦アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアスです」

 

モニターに映ったのはマリューより年下の女性であった。

 

『こちらは国際IS学園防衛指揮官織斑千冬です』

 

千冬の後ろには真耶が映っており、少しオロオロしていた。

 

「私達には交戦の意志は無いですが、一つお尋ねしたい事がありますがよろしいですかね?」

 

『ムウ・ラ・フラガ准将はこちらでお預からせて頂いています』

 

千冬はマリューが言う事が判ったのか、先にムウの事を切り出す。そして、もう一つの爆弾を降下した。

 

『それと、オーブ軍と名乗る少年二人もこちらでお預かりしています』

 

「えっ?」

 

千冬の言葉にブリッジは驚きに包まれた。マリュー達は一つの事が頭に過った。

 

「もしかして、キラ・ヤマトにアスラン・ザラの両名ですか⁉」

 

『そうです。ヤマト、ザラ』

 

『お久しぶりです、マリューさん』

 

『艦長、お久しぶりです』

 

「キラ君、アスラン君」

 

キラ達の無事を確認したマリューは涙を流す。ミリアリア自身も親友の姿を見てうれし涙を流す。

 

「それで、私達は即刻、キラ君達を返していただきたいのですが?」

 

『それに関して少しお話がしたい事がありますので、今から送る座標に向かってください。そこでお話をしたいと思いますので』

 

「判りました」

 

『ありがとうございます』

 

千冬は後ろにいる真耶に頷くと、真耶はコンソールを弄りアークエンジェルに座標を送る。

 

「受け取りました。では、今からそちらに向かいますので」

 

『よろしくお願いします』

 

千冬はそう言うと通信を切る。

 

「これよりアークエンジェルは指定された座標に向かいます。但し、何かあった時に備え武装を展開させます。機関最大‼」

 

マリューの指示でアークエンジェルは千冬に指定された場所に向かうのであった。

 

 

 

 

一方、千冬達はマリューとの交信を終え、安堵する。なぜなら、マリューから発するオーラが途轍もなく千冬達にとって負担であったからである。

 

「これで良いのですか、フラガ准将?」

 

「ああ、これで良い。キラ、アスラン。俺達も行くぞ」

 

「「はい」」

 

ムウはそう言うとキラ達を連れ指定した場所に向かうのであった。

 

「少し安心できるな」

 

「…そうですね。私も流石に疲れました」

 

千冬と真耶は椅子に暫しの時間、凭れ掛る。

 

「おやおや、世界の頂点に君臨する者が椅子の上でだらけているなど、もし世界の重鎮が見たら驚愕物ですな」

 

「ッ⁉ 理事長⁉」

 

「ふぇっ⁉ どうしてここにいるんですか?」

 

千冬達の後ろから来た理事長である笠松はゆっくりと千冬達の元に行く。

 

「私だってただ見ているだけの存在ではないのですよ? それに、学園にはまだまだ脅威が残っています。これからもそれに対処していかなければなりません。そこで、彼らの力を借りようと思うのです」

 

笠松はそう言うと書類の束を千冬達に見せる。

 

「これはっ⁉」

 

「そんな……」

 

千冬達の見た書類にはこう書かれていた。

 

『現時点で国際IS学園には脅威の塊でしか無い。これを期して、各国家は連携して国際IS学園の解体作戦を行う物とする。

ただし、現時点では未確認な所も多い為、現状維持のままで証拠が揃い次第に決行する。

証拠に関しては国際IS委員会自らが行い、作戦の決行の指示も委員会から世界各国に通達するものとする』

 

これを見た千冬達は地に足が付いていない感覚を覚えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本にある高層ビル内部の屋上に一人の女性が外を眺めていた。

 

「報告します。全世界の重鎮に先ほど、通達を行いました。現時点で参加する国家はアメリカ、中国、韓国、オーストラリアの四か国です。ドイツ、フランス、イタリア、ロシアは書類が揃い次第に参加すると言っております」

 

「そう………忌々しい男が女の園に入ってしまってはあそこは穢れたのも同然。私自らが鉄槌を下してあげるわ。だけど、今はそんな時期ではないのは判っている………アメリカに通達して。イスラエルと共同開発している軍用ISで今学年の生徒を攻撃させろと」

 

「ハッ‼」

 

報告をしてきた女性は外を眺めている女性に深く頭を下げると部屋から出て行く。

 

「フフフフ、これで私の目的が達成されるわ。男は全員私達女性の奴隷になれば良いのよ。そう‼ 世界は女性だけでいいのよ‼ アハハハハハ、アッハハハハハハハハハハハ‼」

 

女は高らかに笑う。しかし、これが自分の破滅に追い込む形になるとはこの時、思いもしなかったのであった。

 

 

 

 

そして、もう一つ。某国企業が委員会から出された通達を見てギルバートとラウは細笑みをする。

 

「これは本当かね、ギル」

 

「ああ、先ほど同志の国家が私達に見せて来たものだよ」

 

「フム………我々にはここに書かれている物の意味が判ってしまうがね」

 

「それが判っていないのがこの作戦に参加する国家の重鎮者共だ。だが、私は違う。女性だけの世界では何時壊れてもおかしくない物になってしまう」

 

「そうだな。どうする、ギル?」

 

「決まっているだろう?」

 

「そうだったな。では、私も準備に入ろう。いつでもこの世界が壊せれるようにね」

 

そう言うとラウは席を立ち、部屋を後にする。

 

「また、君の事が邪魔になってしまうが今回ばかしは共闘しようではないか、キラ・ヤマトにアスラン・ザラ」

 

ギルバートは過去の事を懐かしむように言うのであった。




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第二十六話

書き上げたぞ‼ 今日は夜勤だが、その前に書き上げれたのは幸いです。

少しグダグダした処が多いですが、自分の文才能力が無い為です。
何とかしないとな………。



では、本編の開始です‼


千冬達に指定された場所はIS学園の裏側に接しており、岩肌が見えている場所であった。

 

「ここで良いんですよね?」

 

「その筈よ………警戒は厳にしておいて。何があってもすぐに対処できるようにしておいてね」

 

マリューは指示を出していく。アークエンジェルに搭載されているセンサーが六人の反応をキャッチする。

 

「艦長、熱源をキャッチしました。数は六」

 

「私達が出ます。警備班は私と共に付いて来てください」

 

ミリアリアの報告にマリューは内線を使い警備班と一緒に対応する事にした。

 

 

 

 

一方、千冬を始め真耶、キラ、アスラン、ムウそして理事長がアークエンジェルの元に来ていた。

 

「デカいな……」

 

「ほえぇぇ~」

 

「久々だね、アスラン」

 

「そうだな…」

 

「やっぱりこうなるか……」

 

「………」

 

六人の反応はそれぞれであった。

千冬と真耶はアークエンジェルの大きさに驚き、キラとアスランは懐かしく思え、ムウは千冬と真耶の反応が思った通りだと感じ、笠松に至っては無言でアークエンジェルを見つめるのだった。

すると、アークエンジェルから一人の女性と五人に護衛を連れてアークエンジェルから出て来る。

そして、千冬達の前に来るとキラやアスラン、ムウと同じ敬礼の仕方をして名乗り出す。

 

「初めまして、オーブ軍第一宇宙軍旗艦アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアスです」

 

マリューはそう言うと敬礼を解く。

 

「初めまして、国際IS学園防衛隊隊長の織斑千冬です。そしてこちらにいるのが副隊長の山田真耶です」

 

千冬に紹介を受けた真耶はマリューに頭を下げる。

 

「そして、こちらにいるのが「織斑先生。私自らが自己紹介するのが筋でしょう」判りました」

 

「初めまして、国際IS学園の理事長をしている笠松です」

 

笠松はそう言うと頭を下げる。

 

「それでキラ君達は……」

 

「ヤマト、ザラ」

 

「「はい」」

 

千冬に声を掛けられ千冬達の後ろからキラとアスラン、ムウが出て来る。

 

「キラ君にアスラン君‼ 無事だったのね‼」

 

「はい、まさかメサイヤから脱出する際に爆発に巻き込まれ、この世界に来ましたが何とか無事です」

 

「俺達はいまはこの学園で生徒として通っています」

 

「そう………カガリさんやラクスさん達が血眼になって探していたけど、結局はこの世界に来たと言う事は……私達も既に戦死扱いになっているかもね」

 

「「「………」」」

 

マリューの言葉を受けキラ達は言葉を失う。彼女達の悲しみが感じるからである。

 

「それで良いだろうか?」

 

「そうでしたね。私達は現状で行く当てが無い状況です」

 

「それは承知の事です。そこで、理事長」

 

千冬はマリューの言葉に頷き笠松に声を掛ける。

 

「判っています。我々はあなた方にこの学園の防衛として就いてほしいのです。燃料や弾薬に関してはこちらで負担致します。どうでしょうか?」

 

笠松の言葉にマリューは考える。現時点で行く当てのないアークエンジェルがこの学園で防衛に就けば安泰であると……しかし、逆にリスクの多い事もある。それは全世界の国家が血眼になってアークエンジェルを鹵獲しようと考え、IS学園に乗り込む可能性があると言う事である。しかし、そのリスクを回避する事は可能であった。アークエンジェルは潜水機能を搭載している為、必要の無い時は潜水して息を潜めておけば良いからである。

そして、マリューは答えをまとめると笠松に答えを出す。

 

「判りました。その提案に乗りましょう。ですが、我々の艦です。申し訳ありませんが部外者は乗艦する事は許可できません。それでよろしいでしょうか?」

 

「判りました。では、これが契約書となります。いつでもいいので書いて頂ければ幸いです」

 

「確かに受け取りました。書き終わり次第、提出させて頂きます。それとキラ君達は我々が預かっても?」

 

「良いでしょう。それで彼らにはこの学園の防衛として傭兵としての立ち位置にいます。アークエンジェルの皆さまもヤマト君達同様の傭兵扱いとしてこの学園の防衛に就いて頂きます」

 

「判りました。オーブ軍第一宇宙軍旗艦アークエンジェルはこれより国際IS学園防衛隊として任務に就かせて頂きます」

 

マリューはそう言うとオーブ式の敬礼を笠松にする。

 

「これからよろしくお願いしますね」

 

笠松は笑顔でマリューに言うのであった。

 

 

その後、アークエンジェルは国際IS学園の地下にある機密ドックに収容される事になった。

それに伴い、ムウは臨時体育教員として教鞭を振るう事になりマリューに至っては千冬の隊長補佐という事で収まった。

現時点で、アークエンジェルに収容されている機体はムウのアカツキ、キラのストライク・フリーダム、アスランのインフィニット・ジャスティス、ヒルダ、ヘルベルト、マーズの三人が乗るドム、十機ほどのストライク・アストレイの計十六機がアークエンジェルに収容されている。尚、キラ達二人の機体は正式にアークエンジェル所属機と言う事になった。

 

基本的にマリューやムウは学園の空いている教員教室で過ごす事になった。その際に、キラがムウ達に楯無と明日菜を紹介すると、二人はフリーズするのは、キラ達にとって印象に残る場面であった。

 

 

 

 

 

そして、時は流れクラス対抗試合が始まろうとしていた。

キラ達はマリューとムウと共に管制室で観戦する事になった。

 

「どう見る、ヤマト」

 

「そうですね………現状での戦力では鳳さんの機体が有利なのは変わりはないです。ですが……」

 

「一夏がどこまで鳳について行けるかによって、最大の戦況変化になります」

 

千冬の言葉にキラとアスランがそう言う。

 

「やはりか………一応、私もできる限りのことをあいつに教え込んだつもりだ」

 

「イグニッションブーストですか?」

 

「ああ、あいつがそれを物にすれば鳳にとっては脅威でしかない。だが…」

 

「初見だけで通用する相手ではないと言う事ですね?」

 

「そうだ……(さて、どこまで行く事が出来る、一夏)」

 

千冬にとっては一人しかいない家族である。教師であっても、プライベートの時間ではなるべく弟と一緒にいる時間を大切にしていた。その時に一夏にイグニッションブーストのことを教えたのだ。しかし、時間があまり無かった為、実戦形式での教えは出来なかったのが千冬にとって、少し不安要素であった。

 

「始まるな」

 

アスランがそう呟くと、一夏と鳳による戦闘が開始されようとするのであった。




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第二十七話

前回の話は一部を消去して、書き直しを行いました。
少し、自分の納得と言うか、意味不明な事でしたので書き直しです。
まぁ、最初の所は書き直しは行っていませんが、中盤辺りから追加しました。

では、本編です‼ どうぞ‼


ジブリール率いる組織『ロゴス』は国際IS委員会と会談をしていた。

 

「では、これで我々の悲願は叶うのですね?」

 

「ええ、そうです。私達も無駄な事はしたくは無いですが、今回ばかりは協力が不可欠だという結論に至った為、こうして会談をしているのです」

 

委員会の委員長である西本恵梨香はジブリールの言葉に踊らされている事に気が付く事は無かった。

ジブリールからすれば、委員会は邪魔な存在でしか無い。その為、自分が考えている事に邪魔を入れてほしくないと思い委員会に協力をすると言う事で合意をした。しかし、ジブリールの内心では協力は兎も角、委員会自体を潰す算段で今回の会談を行っているのである。

ジブリールは、女性権利団体のトップに立つ人間である。この団体の目的は男性主義の会社を男女平等会社に変更させる為だけに設立された団体であった。

しかし、ISが登場した事により、男女平等社会が壊滅し、女性主義社会に変貌してしまった。これを助長させたのが国際IS委員会であった。

委員会は、全世界に女性だけの優遇社会を作る事を前提に、世界各国にISコアを渡していたのであった。その結果が、現在の世界の有様なのである。

ジブリールは何としてでも、女性主義社会から男女平等世界に戻そうとしていた。しかし、それをする前に勘付いていた委員会が、手回しを行いジブリールの行為をすべて無駄にさせていた。

それを知っても尚、今回の委員会との会談をすると言うのは、ジブリールにとって最高のチャンスであると考えていた。

 

 

 

そして、もう一つの組織ではギルバート率いる亡国企業である。

この企業は、表の顔は産業生産企業として名が通っており、裏の顔は反委員会に対するレジスタンスに武器を輸出している密輸企業として裏では名が通っていた。

特に、ギルバートが制作した男性でも搭乗できるパワードスーツ『ジン』はレジスタンスの中では最大の評価を得ていた。

ジンは、ザフトの主力機として活躍していた機体である。それをISサイズまでダウンさせ、コストダウンを行った結果が、現在のジンの姿である。

見た目はジンそのものであるが、内部構造が異なっており全面モニターを搭載しバッテリー型のジェネレーターを搭載する事により、現在世界で開発が進んでいる第三世代機よりもすべてが勝っていると言われているほどであった。

 

「ギル。もう少しで私の機体の調整が終了するようだ」

 

「そうか……最近では亡国企業が暗躍している時代だ。我々の機体の調整を早めなければ、後々に大変な事になりうる可能性があるな」

 

「昔みたいな事はごめんだよ」

 

「判っているよ、ラウ」

 

ギルバートとラウはそう言うと、一枚の用紙を出した。そこには、とある内容が掛かれている用紙であった。

内容は、国際IS学園解体作戦であった。

 

 

 

 

 

 

IS学園では、クラス対抗試合で学園中が熱気に包まれていた。一年の部では中国の国家代表候補生鳳鈴音と男性第一号IS操縦者の織斑一夏が向き合い、試合開始の号令を待っていた。

一度は離れてしまったが、学園で再開した二人は一年間と言う溝を埋めるかの様に話をしていた。それは、一人目の幼馴染である篠ノ乃箒やイギリスの国家代表候補生であるセシリア・オルコットが嫉妬を覚えるかの如くであった。

そして、現在は敵同士として向かい合っていた。対戦前に二人は、お互いに手抜きをしないと言う暗黙の言葉で会話をしていた。

 

そして、試合の号令が鳴るのであった。

 

『それでは、両者。試合を開始して下さい』

 

この開始の言葉を聞くと、一夏と鈴は同時に動いた。

 

「ハァァァァァァァァァッ‼」

 

「ウォォォォォォォォォッ‼」

 

お互いの武器で斬り合いが始まる。一夏の武器である『雪片弐型』はまだ実体剣で『零略白夜』を発動させていなかった。これは、キラとアスランの二人による訓練によって培った物であった。キラとアスランは、一夏の『雪片弐型』の本来の力の出し方に注目した。千冬の過去の戦績のデータは余り、出回っていないが学園に残されている物を研究し、キラ達二人や千冬からのアドバイスで、今回の戦闘の仕方を身に着けたのであった。

だが、実力としては鈴の方が格段、上であった。どう足掻いても一夏には荷の思い戦いを強いられていた。

 

「どうよ、降参でもする?」

 

「ハッ‼ 誰がするかよ‼」

 

鈴の言葉に一夏は大きく息を吐く。そして、一夏はキラに言われた言葉を思い出す。

 

『一夏、君には一つの弱点がある』

 

『弱点? それって何なんだ?』

 

『君の専用機の白式だけど、一切、遠距離武装を搭載する事が出来ない事は知っていると思う。それの所為で君の戦いは、近距離格闘での戦闘が余儀なくされている。そこで、君に一つ教えておこうと思ってね。これは織斑先生から教えられているかも知れないけど、実機を使った訓練はしていないと言う事だから、僕がその訓練に付き合うよ』

 

キラはそう言うと、機体を展開する。

 

『今から見せるから、自分で考えて行動してみて』

 

そう言うとキラは徐にストライクを展開させ、ストライカーパックをマルチプルアサルトにし、一気に加速させた。それは、イグニッション・ブーストと呼ばれるものであった。

 

『これが君にとって一番の力になる物だよ』

 

『判った』

 

時間は少なかったが、一夏は十回のうち二回は成功をするほど実力を上げて行ったのであった。

 

 

「鈴、本気で行くぞ」

 

「ッ⁉ 判ったわ。私も今以上の力で行ってあげるわっ‼」

 

一夏が白式を加速させようとした時、アリーナを覆うバリアが破壊され、其処から十五機の未確認機が入って来たのであった。

 

 

 

 

時を戻し、管制室ではキラ、アスランを始めとして千冬、真耶、マリュー、ムウの六人が一夏と鈴の戦いを観戦していた。

 

「ヤマト、ザラ。お前たちにはどう言う風に見える?」

 

「質問の意味が判りませんが、こういう事ですか? 『一夏と鳳鈴音とではどちらが強いか』……そうですね。正直、彼女の成績が判らないので、何とも言えないと言うのが答えです」

 

「僕も同じ考えです。アスランが言うに、彼女の力に関しては未知数です。それに、一夏に関しても同じことが言えます」

 

アスランとキラの回答にマリュー、ムウ、千冬は納得をする。しかし、真耶に関しては良く判っていない様子であった。

 

「お前たちならばどう言う風に戦うつもりだ?」

 

「そうですね…………今の機体で言ううのでしたらオオトリ型を使うかマルチプルアサルト型を使うかですね。彼女に対して近距離格闘戦では、少々分が悪いです」

 

「俺は、今の機体でしたらバックパック変更が出来ないので、一回、離脱して遠距離で攻撃を行い彼女の機体のタイプを見て考えますね」

 

「「本来の機体でしたら、一気に攻め込みますが」」

 

キラとアスランの言葉に千冬と真耶は冷や汗を掻く。一方のマリューとムウは苦笑いをするのであった。

ストライクとイージスでは、キラ達の本来の力を発揮する事が出来ずに、苦戦を強いられるかも知れないが、本来のストライク・フリーダム、インフィニット・ジャスティスであれば、発揮する事が出来るので楽に戦闘する事が可能であった。それを一番、判っているのはキラ達自身であり、身近で見ていたムウやマリューである。この結果になるのは致し方が無いと言える。

 

「一夏がイグニッション・ブーストを仕掛けるつもりだぞ?」

 

アスランの言葉で全員がモニターを注目し、一夏の特訓の成果を見ようとした。しかし、その瞬間、アリーナを覆うバリアが破壊され、其処からキラやアスラン、マリュー、ムウがよく知る機体が入ってくるのであった。




キラ達が知らない所で、二つの組織が暗躍しようとしていた。また、一夏がイグニッション・ブーストを仕掛けようとした時、アリーナを覆うバリアが破壊された。
中に入って来たのはキラ達が知る機体であった⁉

次回『二つの組織』

不届き物を破壊する為に翼を広げよ‼ ストライク・フリーダム‼



久々にしました。何度か、抜けていたので行わないといけないと思いしました。
誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております‼

感想くれたら嬉しいな。壁|д゚)チラ

指摘を受けましたので、修正を行いました。


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第二十八話

なんと書き上げた。

今回は、アークエンジェルの発進を書いてみました。アニメを見ながら書いたのでおかしな部分もあるかも知れません。
なので、おかしな部分があれば教えてください。

では、本編に入ります‼


アリーナ内部では一夏と鈴が向き合っていた。一夏達は通じ合っている為か、何も言葉を発しない。それもそのはずである。二人は悪友として通じ合っていたからである。

 

『それでは、両者。試合を開始して下さい』

 

試合開始の言葉を聞くや否や、一斉に動き出す。

 

「ハァァァァァァァァァッ‼」

 

「ウォォォォォォォォォッ‼」

 

一夏の白式の固有武装である雪片弐型と鈴の甲龍の固有武装である両刃青竜刀がぶつかる。何合か斬り合った後、一度お互いは離れる。

 

「どう、降参する?」

 

「ハッ‼ 誰がだよ」

 

「そう………なら、本気で行くわよ‼」

 

鈴はそう言うと、非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)がスライドすると、一夏に衝撃が襲う。

 

「なっ⁉ 何が起きた‼」

 

「私のIS甲龍(シェンロン)のもう一つの武装。衝撃砲『龍咆』よ‼」

 

鈴はそう言うと、龍咆を一夏に向けて放つ。

 

「チッ⁉」

 

一夏は何とか龍咆を避けるが、何発かは当たる。

 

「どうよ。これで降参する?」

 

「まだまだ……鈴」

 

「な、なによ」

 

「本気で行くぞ」

 

「ッ⁉ 判ったわ。私もこれ以上の本気で行くわ、一夏‼」

 

鈴は一夏の纏うオーラが変わった事に驚く。

そして、一夏が鈴に向かおうとした瞬間、アリーナを覆うバリアが破壊される。

 

「何よ、あれは⁉」

 

「あれは………」

 

一夏達の上空から十五機のISが入ってくる。

 

「鈴、逃げろ‼」

 

「嫌よ‼ あんたこそ逃げなさいよ‼」

 

一夏と鈴は口論をしているが、それを許すほど不明機達は優しくは無い。

 

「来るぞ‼」

 

一夏と鈴は散開し、攻撃を避けて行くのであった。

 

 

 

 

一方、管制室では千冬がキラ達に指示を出している所であった。

 

「ヤマト、ザラ‼」

 

「「了解‼」」

 

「私達も行きましょうか?」

 

「そうして下さい」

 

マリューの言葉に千冬も頷く。

 

「ムウ‼」

 

「了解」

 

マリューはすぐにアークエンジェルに連絡を行い、発進させる。

ムウはキラ達と一緒にアリーナ内の制圧に向かった。

 

「織斑先生‼」

 

「どうした」

 

「ハッキングを受け、こちらの操作がすべて受け付けなくなりました‼」

 

「なに⁉ どう言う事だ………まさか‼」

 

千冬は一つの可能性を導き出す。だが、今はその時ではない。思考を切り替え、目の前の状況を打破する為に考える。

だが、本当は千冬が考える人物ではなく、別の組織だと言う事はこの時、誰も知らなかった。

 

 

 

「ボウズ共、行くぞ‼」

 

「「了解」」

 

ムウの掛け声の下、キラとアスランは本来の機体を展開する。

 

「ムウ・ラ・フラガ、アカツキ出るぞ‼」

 

「アスラン・ザラ、ジャスティス出る‼」

 

「キラ・ヤマト、フリーダム行きます‼」

 

三人は機体を展開し終えると、一気にブーストを掛け一夏達の援護に向かう。

 

「織斑、鳳、其処から離れろ‼」

 

「「えっ⁉」」

 

ムウの声に気付いた二人であったが、急な事であった為、動けなかった。それを見計らった不明機達は一夏達に攻撃を仕掛けようとした。しかし、その瞬間、蒼い線と紅い線が不明機を通り過ぎたかと思うと、不明機達の武装が破壊される。

そして、線が消えるとそこには蒼き天使と紅き騎士が立っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

IS学園から離れた場所に一隻の航空母艦が存在した。その航空母艦は何処の国家にも所属していない航空母艦で、今回の襲撃の主犯格であった。

 

「どうですか? 首尾はうまく行っていますか?」

 

「はい。ですが、やはりあの二機が出てきました」

 

「やはりですか………では、作戦を変更しましょう。あの二機の鹵獲を主目的にして下さい」

 

「了解しました。ですが、もう一機いるようですが、如何致しますか?」

 

「その機体も鹵獲しなさい」

 

「承知」

 

航空母艦の艦橋では艦長席に座る女性が指示を出していく。それに伴い、航空母艦からは新たな機体がIS学園に向かって行く。

 

「さぁ、これでこの学園もおしまいよ‼」

 

艦長席に座る女性はこの時、知らなかった。不沈艦として恐れられた戦艦が向かって来ている事に…………。

 

 

 

 

IS学園の地下に極秘ドックとしてアークエンジェルが収容されている。

 

「機関、定格起動中。コンジット及びAPUオンライン。パワーフロー正常。斜辺シフト、クリテル良好」

 

「外装衝撃ジャンパー、出力30%でホールド。気密隔壁及び水密隔壁、全閉鎖を確認。生命維持装置正常に起動中」

 

「主動力コンタクト。システムオールグリーン。アークエンジェル、全システムオンライン」

 

ブリッジではアークエンジェルの発進準備が整っていく。その間に既にマリューは艦長席に座っていた。

 

「注水始め」

 

「注水始め」

 

マリューの言葉でアークエンジェルが収容されているドックに海水がなだれ込んでいく。

 

「ラミネート装甲、全抵抗スナイプを確認。ユーロ退却圧力正常。APUコンタクト。分離を確認」

 

全てのチェックがなされて行き、海水がドックを満水にした。

 

「メインゲート解放」

 

マリューがそう言うと、ドックの前にある扉が開いて行く。

 

「拘束アーム解除」

 

アークエンジェルの両舷に取り付けられていたアームが外されるとアークエンジェルは浮遊をするのを感じた。

 

「機関30%微速前進」

 

「機関30%微速前進」

 

マリューの言葉でアークエンジェルはその巨体をゆっくりと水路を進んでいく。

 

「水路離脱後、上昇角40。機関最大‼」

 

IS学園の水路を離脱したアークエンジェルは角度を上げる。

 

「各部チェック完了‼ 全ステーション、正常‼」

 

「際限まで10秒、推力最大」

 

アークエンジェルは艦橋を先に海から出すとマリューは新たな指示を出す。

 

「離水‼ アークエンジェル、発進‼」

 

アークエンジェルはブースターを最大にして海から出て行き上昇したのであった。




一夏達の襲い掛かる不明機達。だが、それに対抗するべくムウ、キラ、アスランは出撃する。
アークエンジェルはIS学園から離れた場所にいる空母に攻撃を仕掛けに行く為、出撃をする。
そして、今回の襲撃の犯人とは‼

次回『定められた運命』

その手に勝利を掴み取れ‼ ガンダム‼


誤字脱字、感想等ありましたらお願いします。


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第二十九話

今回は短いです。申し訳ありません。


アークエンジェルは上昇すると、前方にいる航空母艦を発見する。

 

「艦長、前方に未確認航空母艦一隻を確認。どこの国家にも所属していない艦です‼」

 

「どう言う事かしら?」

 

「判りません………未確認航空母艦から新手を確認‼ 目標はこちらを向いています‼」

 

ミリアリアの報告を聞きマリューは指示を出す。

 

「未確認航空母艦は敵として認識‼ 攻撃を開始‼ MSは出撃して下さい‼」

 

「MS部隊は出撃して下さい‼ 繰り返します、MS部隊は出撃して下さい‼」

 

「ゴットフリート、バリアント一番二番起動。艦尾ミサイル、スレッジハマー装填。イーゲルシュテル起動」

 

ミリアリアとマリューがそれぞれ指示を出していく。

 

「撃てぇ‼」

 

マリューの指示でアークエンジェルから砲火が飛ぶ。

そして、アークエンジェルからドム、ムラサメが出撃する。

 

「行くよ、マーズ、ヘルベルト‼」

 

「「おうよ‼」」

 

「「「ジェット・ストリーム・アタック‼」」」

 

ドム三機は縦一列になると、ヒルダ機からスクリーミングニンバスが展開する。すると、敵からの攻撃が防がれていく。

そして、後方にいるマーズがヒルダの上に機体を上げるとギガランチャーDR1マルチプレックスのバスーカで敵を攻撃をする。そしてヘルベルトは同じくマルチプレックスのビームを連射し敵を一掃する。

ムラサメは三機一組で行動し、敵を上空から攻撃し破壊していく。

 

 

 

 

海上にいる航空母艦は驚く他無かった。たったの数分で無人機が破壊されたからである。

 

「艦長‼」

 

「クソッ‼ 今出せる部隊を出させろ‼ なんとしてでもここを抜けるぞ‼」

 

『了解』

 

艦長はそう指示を出すが、既に遅くアークエンジェルからの攻撃が襲い掛かり、航空母艦は破壊されるのであった。

 

 

「艦長、敵空母沈黙。熱源反応確認無し」

 

「これよりアークエンジェルはMS部隊を収容後、IS学園に向かいます」

 

「了解」

 

マリューはミリアリアに指示を出すと、ミリアリアもMS部隊に指示を出しアークエンジェルに帰ってくる。

 

「着水後、弁を開き学園に潜航モードで向かいます。機関最大、全速前進‼」

 

こうして呆気無く海上での戦闘が終了した。

 

 

 

一方、IS学園内では一夏と鈴が不明機との戦闘でダメージを受けてしまい、機動力が墜ちてしまった。そこを畳掛ける様に不明機は一夏達に攻撃を加えて行く。

 

「クソッ⁉ どうにもならねぇのか‼」

 

「ゴチャゴチャ言っている場合‼ 今は逃げるのよ、一夏‼」

 

「判っている……グハァ‼」

 

「一夏ッ⁉」

 

鈴と一夏は二手に分かれて逃げようとした。しかし、既に不明機からしてはその事も判っていたかのように、一夏に攻撃を加え一夏は落下してしまう。それを追う鈴であったが、既にその後ろには不明機三機が鈴を照準内に入れていた。

 

「(あっ、ここでお終いなんだ……私の人生って短かったな。一夏、好きだよ)」

 

「そこを退け、鳳‼」

 

「えっ?」

 

その瞬間、不明機は蒼い線と紅い線によって切り刻まれ爆発を起こす。そして、爆煙が晴れるとそこには蒼き天使と紅き騎士が立っていたのであった。

 

「どうやら間に合ったらしいな」

 

「アナタは⁉」

 

ムウが駆るアカツキを見て鈴は驚く。

 

「今はそんな事はどうでも良い‼ 今は織斑を連れてここから離れろ‼」

 

そう言うとムウはキラ達に合流すると、不明機を殲滅に掛かって行く。

 

 

 

IS学園上空には一機のISが滞空していた。その機体は何処かキラ達の機体に似ており、バックパックには九つの突起部が出ていた。

 

「フム、やはりあの無人機だけではキラ君達を押せる力は無いか………仕方が無い。ここは私が出るか」

 

男性はそう言うとバックパックに装備されている突起部を切り離すと、キラ達に向かわせるのであった。

 

 

一方、キラ達はそんな事は知らず殲滅を行っていた。

ムウはアカツキをシラヌイ装備で、バックパックよりドラグーンを展開する。また、キラも同様にドラグーンを展開させると、ムウ同様に殲滅をしていく。

アスランはと言うと、ビームサーベルをハルバート状にさせて縦横無尽に駆け巡り、殲滅を行って行く。

だが、この時に何者から送られてきたビームにより攻撃を中止した。そして、ビームの嵐が晴れるとそこにはキラ達にとって宿敵と呼べる存在が降りて来るのだった。

 

「久しぶりだな、キラ・ヤマト君、アスラン・ザラ? そして、ムウ‼」

 

「どうして貴方が⁉」

 

「ッ⁉」

 

「クルーゼ‼」

 

キラ達に通信して来たのはアスランの元上司であり、ムウにとっては因縁深いラウ・ル・クルーゼであった。

 

「私も驚いたよ。私やギルの他にこの世界に来ていたとはね‼」

 

ラウはそう言うと再度、ドラグーンを展開させると、キラ達に向かわせる。

キラ達は、クルーゼから切り離されたドラグーンを回避する。しかし、キラ達と同様に強化されているラウの機体はキラ達と対等に戦っていた。

 

「どうして、どうして貴方がここにいるんですか‼」

 

「フッ、それに関しては私にも判らないよキラ君。それにね、私はまだあの時の戦いを終わらせていないのだよっ‼」

 

「クッ‼」

 

「さぁ、再び始めようではないか‼ あの時の続きをなっ‼」

 

ラウの攻撃は激しさを増すばかりであった。キラ達はそれについて行くだけで精一杯であった。だが、それも終わりが近づいていた。

ラウの機体から熱源を知らせるアラートが鳴り響く。その瞬間、アークエンジェルからのミサイル攻撃がラウに向かって降り注ぐ。

 

「まさか、あれまでも来ているとはな………仕方が無い。ここは引かせてもらおう」

 

「待て、クルーゼ‼」

 

「貴様こそ、あの時に死んだと思ったのだがねムウ‼ だが、私にも時間が無いのだよ。そうだ、最後に一つだけ伝えておこう。ロゴスと委員会には気を付けたまえ、あの組織は何を考えているか判らないからね。では、今度こそ失礼するよ」

 

そう言うとラウは機体を上昇させ、文字通り消えたのであった。

そして、アリーナに残されたのは不明機の残骸とキラ達三人だけであった。

キラ達は、戦闘が終了を確認すると機体をアークエンジェルに向かって帰還するのであった。




再び現れたキラ達にとって因縁深い存在。ラウ・ル・クルーゼ。
果たして敵か味方か。
キラ達には判らなかった。だが、最後にクルーゼから言われた事が頭から離れなかった。

次回『二人の転校生』

闇を光に変えろ、フリーダム‼


誤字脱字、感想、指摘等ございましたらどしどし送ってください‼


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第三十話

気が付いたら既に三十話まで言っていた事について、驚いている武御雷参型です。
漸く落ち着いたので、更新を再開していきます。
まぁ、既に再開しているのですが、定期的更新を頑張って行きますのでよろしくお願いします‼
因みに、この作品を主体にしていくので、他の作品の更新は遅くなると思いますが、ご了承ください。

では、本編に行きます‼



因みに、380件のお気に入り登録突破しました‼ 英雄達より超えました。
皆様、ありがとうございます‼


 

キラ達はアークエンジェルに着陸すると、機体を量子変換する。

 

「ふぅ、何とかなったね。アスラン」

 

「ああ、何とかなったのは良いがこれからが大変だぞ?」

 

「判っているよ………でもね、今回の襲撃って……」

 

「可能性はある。クルーゼ隊長が居ると言う事はレイもいる可能性も高い。だが、今はそれを言っている場合ではないぞ?」

 

「そうだね」

 

キラは何処かしらの思いがあるのか考え始める。

 

「お疲れさん、ボウズ共」

 

「「ムウさん」」

 

ムウはそう言うとスポーツドリンクをキラ達に投げ渡す。

 

「クルーゼがここにいるのか……」

 

「「………」」

 

ムウの言葉にキラ達は黙る。宿縁の敵であるクルーゼにムウは考える。今の機体は〈ヤタノカガミ〉が搭載されているので、ビーム兵器には返り討ちにする事が出来るが、もしクルーゼが近接格闘武装を搭載していた場合、厄介な事にしかならなかった。

 

『艦内通達。キラ君、アスラン君、ムウはブリッジに来てください』

 

マリューの声がアークエンジェル内に響く。キラ達はどうして呼ばれたのかが判らず頭を傾げる。

 

「まぁ、行って見るか」

 

「そうですね」

 

ムウの言葉にキラ達は頷き、ブリッジに向かうのであった。

 

 

 

「マリューさん、どうかしたんですか?」

 

「来たわね、そうなの。少し大変な事になったのよ」

 

「どうかしたんですか?」

 

アスランの言葉にマリューはモニターにある画像を表示させる。そこには三機のISが映し出されていた。しかし、この三機を見てキラ達は驚きを隠せなかった。

なぜならば、その三機はキラ達の世界でザフトから奪取された機体に酷似していたからである。

 

「どうしてこの三機があるんですか?」

 

「判らないわ。でも、これだけは言えるわ。もしかしたら私達の世界からこの世界に来ている可能性もあると言う事よ」

 

「「………」」

 

マリューの言葉にキラ達は黙る。それもそのはずである。先の戦闘ではキラが殺したと思っていたラウ・ル・クルーゼが居たからである。

 

「でも、僕達にはまだ独立権は無い筈ですが?」

 

「そうよ、其処がネックなのよね。めんどくさい事にしかならないわね」

 

「そうですね………それで、僕達はいつ学園に戻るんですか?」

 

「そうだったわね。さっき、千冬さんから連絡があってアークエンジェルが地下ドックに収容後に戻って来てほしいんだって。何でも、先の戦闘の事について聞きたい事があるらしいわ」

 

「判りました‼」

 

マリューの言葉にキラ達はオーブ式の敬礼をするのであった。

キラ達は学園に戻ると、すぐに整備室に行きストライクとイージスの調整を行って行く。まだまだシステム的に調整を加えないといけない所があった為、キラが主体で改良をしていた。

キラがシステム改良を終えたのは、整備室が閉まる三分前であった。その後、キラはイージスをアスランに渡すと、部屋に戻り泥の様に眠るのであった。

 

 

翌日、キラ達は一夏よりも先に教室に入っており機体の確認を行っていた。

 

「キラ、調整してもらって悪いんだが、ここの部分は再調整してもらえるか?」

 

「………そうだね。アスランの動きからしたらこの部分は要らなかったかもね」

 

「すまない」

 

キラはモニターを見ながらイージスの調整を行って行く。アスランは折角、キラが自分の為に調整してもらったが、自分の動きでは足枷にしかならない事に気付き、キラに再度、調整をしてもらう事に少し罪悪感を感じてしまたっため、謝る。

 

「いいよ、アスラン。僕も調整するときに気付いておけば良かった箇所だから。それに………」

 

「判っている。だが、俺達が表立ってできる事はこの機体で学園を護る事だ。だが、あの時の事になれば……」

 

「うん、そうだね」

 

アスランの言葉にキラは少し苦虫を噛んだ表情になる。

 

 

「みんなおはよう‼」

 

一夏が教室に入って来た為、一旦キラ達は会話を中断する。

 

「一夏、おはよう。今日も特訓するからね?」

 

「うげっ⁉ マジかよ………よろしく頼む」

 

キラの言葉に一夏は悲しそうな表情をする。

 

「まぁ、さすがに僕でもストライクに負担を掛けれるような無茶はしないよ。それに、箒やセシリア、鈴なんかも誘って特訓した方が君の今後のISの動かし方にも役に立つと思うよ」

 

「そうだな……今日もよろしくな‼」

 

「ああ、キラほどではないが、俺も特訓に参加する事になった。キラみたいに甘い特訓はするつもりは無いから覚悟して特訓に励めよ?」

 

「判っている、アスラン」

 

「なら、良い…そろそろ織斑先生が教室に入ってくる時間だ。皆、席についた方が身の為だぞ?」

 

アスランの言葉に教室内にいた生徒は秒速で自分達の席に座った。

それと同時に、千冬と麻耶が教室に入ってくる。

 

「では、本日のHRを開始する。その前に…山田先生」

 

千冬はそう言うと、教壇を麻耶に譲る。

 

「今日からこのクラスに仲間が増えます。しかも‼ 二人です‼ それと、新しい先生も来て下さっています。入ってきてください」

 

麻耶が教室の外に声を掛けると二人の生徒とスーツを着た男女が二人が入ってくる。

 

「え? 男……」

 

教室に入って来た四人のうち、二人は男性の制服を着ていた。

 

「初めまして、フランスから来ましたシャルル・デュノアです」

 

中性的な男性…シャルルがそう言って自己紹介をする。

 

すると、教室内は瞬く間に女子達による音響兵器に早変わりする。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ‼ 男よ‼ それもキラ君みたいに護ってあげたいタイプ‼」

 

「キラ君とは違った男……キラ×シャルル……ジュルリ…おっと涎が」

 

キラはその言葉に苦笑いしか出来なかった。もともと、キラは中性的な顔立ちをしている為、幼少のころはいつも女の子に間違えられる事がしょっちゅうであった。しかし、今では幼げの残った男性と言う立ち位置な為、今では女子と間違えられる事は無くなった。だが、キラとシャルルが並ぶと……女子と言ってもおかしくは無かった。

その隣ではアスランが笑いを堪えていた。キラはそれを見ると、無性に腹が立ち仕返しに、今日の特訓で絞めてやろうと思うほどであった。

 

「静かにして下さい。まだ紹介していない人が居ますよ」

 

真耶の言葉でクラスが静かになる。

 

「…………」

 

「挨拶しろ、ラウラ」

 

「ハッ、教官」

 

ラウラと呼ばれた少女は千冬に敬礼をする。しかし、千冬は頭を抱える。

 

「今は教官ではない。一の教師だ。そこを間違えるな」

 

「ハッ‼ ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「………あのう、それだけですか?」

 

「他に言葉が必要か?」

 

真耶の言葉にラウラは睨む。それを受けた真耶は怯んでしまう。

すると、ラウラは一夏の所に向かって行く。

 

「貴様が織斑一夏だな?」

 

「あ、ああ。そうだが?」

 

ラウラは一夏の言葉を聞くや否や、張り手を一夏に放ったのだった。

それを見たクラス中が呆けてしまう。

 

「ハァ~、初日早々から問題を起こしてくれるな。ラウラ」

 

「申し訳ありません。ですが、どうしてもこいつを許せないのです‼ 貴様が教官の弟だと言う事は絶対に認めないからな‼」

 

ラウラはそう言うと、指定された席に向かって行くのであった。

 

「で、では、ラミアス先生。フラガ先生」

 

真耶はそう言うと席を開けるとマリューとムウが教壇に立つ。

 

「初めまして、マリュー・ラミアスよ。普通にマリュー先生って呼んでね。私は織斑先生と山田先生の補助をする為にいますので」

 

「ムウ・ラ・フラガだ。俺はマ…ラミアス先生と同様で織斑先生たちの補助としていると言う事になる。よろしくな」

 

ムウの笑顔にクラスの女子達は忽ち、堕ちて行く。それを見たマリューは生徒に見えない様にムウの足先を踏むのであった。

 

「では、ホームルームを終了する。各自、次の授業の準備を行う様に。解散‼」

 

千冬はそう言うと真耶、マリュー、ムウの三人を連れて教室を後にするのだった。

 

「あっ、君たちが織斑君にヤマト君、ザラ君だね? 僕は」

 

「そこまでだ。今から空いている更衣室に向かうぞ」

 

アスランはシャルルの言葉を切り教室を出る。それに続きキラや一夏、シャルルが教室を後にする。

 

「急ぐぞ、もう少しで噂を聞いた女子達が来るぞ‼」

 

「アスラン……もう遅かったみたい」

 

「………」

 

一夏達四人の前には既に女子生徒たちによる壁が構築されていた。

 

「さぁ、これでキラ様やアスラン様、一夏君、そして今日転入してきたシャルル君とお話をさせてもらうわ‼」

 

壁の中から一人の女子生徒が出て来る。新聞部に所属する黛薫子であった。

 

「さぁ、観念して私達に捕まりなさい‼ 者共、行け‼」

 

『ウラァァァァァァァァァァ‼』

 

壁が一斉に崩れ全員がキラ達に向かって行く。後ろからも壁が構築され逃げ場を失ってしまう。キラとアスランは顔を合わせ、一度頷くとキラがシャルルを抱える。そして、アスランが窓ガラスを破り、其処から脱出を行う。それに続く形でキラと抱えられているシャルルが脱出をした。

 

「アレェェェェェッ⁉ 俺の事は助けてくれないのかよ⁉」

 

「自分の力で乗り切れ」

 

「頑張ってね?」

 

「イヤァァァァァァァァァァァッ‼」

 

アスランとキラは一夏にエールを送るが、対してのシャルルは叫び声を上げるだけであった。そして、一夏は授業に遅れ、千冬からの鉄槌を受ける羽目になったのであった。




IS学園に二人の転入生と二人の教師が一組にやって来た。
だが、一人は何かを隠している様に見え、もう一人は一夏に対して恨みを込めていた。
そして、なぜかマリューとムウが教師に⁉

次回『波乱』

悪を断ち切れ、ジャスティス‼

誤字脱字、感想等ございましたらどしどし送ってください‼
作者にはそれが一番の栄養剤です。


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第三十一話

はぁ、何とか書き上げたぜ。
今回はメインとしてキラ、アスランの共闘の話になっています。
まぁ、相手は教師ですが……(この言葉で判った人はいる筈)

では、本編をお楽しみください‼

そう言えば、今日は子供の日でしたね………番外編でも出そうかな?


アリーナでは一組と二組の合同授業の為が始まろうとしていた。

 

「では、これより合同授業を開始する」

 

千冬が高らかに声を張り上げ言うと、生徒たちは一斉に返事をする。

 

「では、先に教師と代表候補生との対決をしてももらう。今回は合同と言う事で二時間使う事になっているので、二組の対決をしてもらう。オルコット、鳳。出てこい」

 

「なんでわたくしが…」

 

「そうよ、どうして……」

 

文句を言いながらも千冬の前に来る二人。そして、千冬は二人の耳元で囁いた。

 

「良いのか? ここで良い所を見せれば振り向くかも知れないぞ?」

 

「「ッ⁉」」

 

この言葉に二人のやる気は一気に上昇する。

 

「良いわ‼ やってやろうじゃないの‼」

 

「見ていてください‼ それで相手は誰ですか?」

 

「もう少しで……ハァ~、ヤマト、ザラ」

 

「「了解」」

 

千冬が何を言いたいのか判ったのか、徐に機体を展開するキラとアスラン。その瞬間、千冬の後ろから一機のISが出て来る。だが、機体が安定しないのか、フラフラしていたが、何をトチ狂ったのか、機体の速度を上げた。

 

「誰か助けて下さいぃぃぃぃ~‼」

 

真耶の声にキラ達は機体を上昇させると、真耶の機体と正面衝突しない様にキャッチすると、ゆっくりと真耶が乗るISラファール・リヴァイヴを降ろす。

 

「ふぅ~ありがとうございます。ヤマト君にザラ君」

 

「気を付けてくださいね」

 

キラ達はそう言うと、元の場所に戻る。

 

「オルコットと鳳には山田先生と戦ってもらう」

 

「えっ⁉ 2対1でですか?」

 

「そうだ。お前達だけでは山田先生は墜とす事は不可能だがな」

 

「「ッ⁉」」

 

千冬の言葉にセシリアと鈴はキレる。

 

「では、三機は上がれ‼ 他の者達は観客席に行くぞ」

 

そう言って千冬を先頭にアリーナから離れる。

 

 

 

 

「聞こえるな?」

 

『大丈夫です』

 

『こっちも大丈夫です。いつでも行けます』

 

千冬の言葉に真耶とセシリアが答える。

 

「では、試合開始‼」

 

千冬の言葉を聞くや否や、三機は衝突する。

 

「デュノア。山田先生の機体の事を説明しろ」

 

「あっはい。山田先生が使っているラファール・リヴァイヴはフランス製第二世代機です。全世界で使用されている第二世代機の中で一番の完成度が高いと評価を貰っている機体です。この機体は近距離武装は搭載していますが、基本的には遠距離武装がメインに搭載されています。現行のISではラファールが一番の人気が高い機体です」

 

「そこまででいい。そろそろ終わるだろう」

 

千冬が言う通り、真耶が放ったグレネードによりセシリアと鈴は揉みくちゃになりながら地面に衝突した。

 

「これで判ったと思うが、教師には敬意を持って接しろ。では、山田先生、オルコット、鳳はピットに戻ってこい。次にヤマト、ザラ。二人が出ろ」

 

「「了解」」

 

千冬の言葉にピットに向かうとセシリア達とすれ違う。

 

「お疲れ様、二人とも」

 

「惨敗ですわ」

 

「まさか、山田先生があんなに強いなんて……」

 

「元とはいえ代表候補生ですからね。まだまだ生徒には負けません」

 

真耶はそう言うと胸を張る。それを見た鈴は、もっと落ち込む。

 

「さて、行くか。キラ」

 

「そうだね、もしかしたら僕達の相手って………」

 

「言うな……俺も考えている」

 

キラの言葉にアスランは嫌な予感がする。

 

『二人とも、準備は出来たか?』

 

「はい、大丈夫です」

 

『では、ヤマトから出ろ』

 

「了解。じゃぁ、アスラン。先に行っているね」

 

「ああ」

 

アスランに声を掛けキラはストライクを展開する。そして、カタパルトに接続する。

 

「キラ・ヤマト、ストライク行きます‼」

 

キラはいつも通りの掛け声を出して機体を発進させる。

 

『次にザラ。行け』

 

「了解。アスラン・ザラ、イージス出るぞ‼」

 

アスランも同様に掛け声と共に機体を発進させる。

 

 

 

 

 

アリーナに到着したアスランとキラはいつでも対応出来るように気を張り詰める。

 

『では、これより二組目の試合を開始する。始め‼』

 

千冬の声で試合開始のベルが鳴るが、キラ達の相手がまだいなかった。しかし、それもすぐの事であった。

 

「ッ⁉ キラ‼」

 

「判ってる‼」

 

アスランの声でキラ達は機体を散開させる。すると、元々キラ達が居た場所にビームが一筋、通り過ぎる。

 

「やっぱりか‼」

 

「この機体で行けるかな?」

 

「やるしかないだろ?」

 

「そうだね‼」

 

キラとアスランはそう言うと、ビームライフルを展開させる。

 

「来た‼ そこ!」

 

アスランはそう言うとビームライフルを掲げ、引き金を引く。アスランから放たれたビームは何かに当たると、キラに向けて反射する。

 

「厄介な武装だな。ヤタノカガミは‼」

 

反射されたビームをアンチビームシールドで機体を護るが、其処には既に敵の手が伸びていた。

キラの後方に設置された、ドラグーンによってダメージを受けてしまう。

 

「グッ、やっぱり一筋縄では行かないか……」

 

『当たり前だ。お前達より年季が違うんだよ』

 

「少しは手加減と言うものをして下さいよ、ムウさん」

 

『それは無理な相談だぜ、ボウズ共』

 

キラ達の対戦相手はムウであった。ムウは上空からアカツキ(シラヌイ)でゆっくりと降下してくると、ビームライフル〈ヒャクライ〉をキラ達に向ける。

 

『俺だってな、お前たちに手加減してやりたい所なんだけど、手加減したら俺がやられるだろ? そうなったら、教師として生徒に舐められてしまうじゃねぇか』

 

ムウの言う事は尤もである。ムウはまだ新人であり、ISでの戦闘は素人に近い。しかし、それはISでの話である。アカツキはMSがISに変化しただけであり、機体の性能を知っているムウからすれば、どうって事も無い話ではある。しかし、新任と言う足枷がある為、今は精一杯する他無いのである。

 

『さて、ボウズ共。お前たちも本気で来い』

 

「「了解‼」」

 

ムウの言葉を受け、キラ達は本気を出す。

キラはバックパックをエールからマルチプルアサルトストライカーに換装し、シュベルトゲーベルを持つ。アスランはイージスを可変させると、ムウに突撃を敢行する。

 

『やはり、そう来たか‼ だがな、俺だってなやられる役じゃねぇんだよっ‼』

 

ムウはそう言うとシラヌイからオオワシに換装すると、バックパックに装備されている高エネルギービーム砲二門をイージスに向けた。

しかし、それを許さないのがキラである。キラはシュベルトゲーベルからアグニ改を反り出させると、アカツキに向けて攻撃を行う。また、イージスのスキュラでムウの攻撃を相殺させる。その結果、爆煙が起きてしまった。キラもアスランもムウがどこにいるのかが判らなくなってしまう。

それを狙って、ムウは上空に逃げ込むと、先に厄介なアスランから潰す事にした。ムウはアカツキの腰部に設置されているビームサーベルをハルバート状にすると、アスラン目掛けて切りかかる。

アスランは対処が一歩遅く、ムウの攻撃を受けてしまい、エネルギーが枯渇し試合が続行できなくなってしまう。

 

『さて、アスラン。お前は先にやられたからピットに戻ってな』

 

「判りました」

 

ムウの言葉を受けアスランは渋々、ピットに戻って行く。

 

『さて、残りはキラ。お前だけだ』

 

「そうですね………僕達もまだまだと言う事ですね」

 

『まぁ、今の機体ではアカツキには勝つことは難しいんじゃないか?』

 

「そうかも知れないですね。でもね、僕だって簡単には行かせませんよ‼」

 

『望むところだぜ‼』

 

「『ハァァァァァァァァァッ‼』」

 

キラとムウはお互いに斬撃を繰り返す。しかし、性能的にはアカツキの方が有利の為、最終的にはキラの負けで試合は終了するのであった。




キラ、アスランとムウの戦いはムウの勝ちで終わった。しかし、まだ授業は始まったばかりである。
授業中はどんな波乱が潜んでいるのかッ⁉

次回『波乱2』

波乱を乗り越えて見せろ、主人公‼




今回は少し違った風に入れて見ました。
誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらどしどし送ってください‼


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第三十二話

既に390件のお気にいる件数になってる⁉ UAも8万越えしてるし……
因みに、前にもお伝えしましたように英雄達より、お気に入り件数が上です。
何だろう。嬉しいけど、この作品って後から書いたやつ何だけどな……

まぁ、良いか‼ と言う事で、本編をお楽しみください‼
序に言うと、自分の活動報告の所にてアンケートを実施しています。
出来れば、アンケートにお答えして頂ければ嬉しいです。この作品の内容に関わる事なので、結果によっては内容が変わって行きます。
期限に関してもそちらの方に記載していますので、よろしければ、お願い致します‼


ムウとキラ達の戦闘が終了すると、授業が再開される。

 

「では、これより専用機持ちによる実習を行う。各班の班長はヤマト、ザラ、織斑、オルコット、鳳、デュノア、ボーデヴィッヒが務めろ。また、今回は練習用機である打鉄が四機、ラファールが三機の七機を使用する。共助授業では、歩行訓練を主にしてもらう事となる。各班の班長は打鉄かラファールのどちらかを選んで授業を開始せよ」

 

千冬の言葉でキラ、アスラン、セシリア、シャルルはラファール。一夏、ボーデヴィッヒ、鈴の三人は打鉄を選び授業を開始する。

しかし、その時に問題は起きてしまう。一夏、キラ、アスラン、シャルルの四人は一斉に女子によるアピール作戦が発動される。

内容は至って簡単である。全員が一夏達に向かって手を差し出すだけである。それを一夏達が選ぶと言う事である。しかし、思い出してほしい。今の授業は誰が担当しているのかを………

 

「ほう、面白そうな事をしているな」

 

「これはこれで、バツが必要ね?」

 

「俺と模擬戦でもするか?」

 

『いえ、結構です‼』

 

千冬、マリュー、ムウの三人による介入により、アピール作戦は失敗に終わるのであった。

 

「全員、出席順で並べ‼ それが出来ないと言うのであれば、アリーナ五周を命じるぞ‼」

 

千冬の鶴の一声により、キラ達に集まっていた女子生徒たちはそれぞれの班に行く。

 

「最初っからやれ、バカ者どもが……では、各自、授業を開始せよ‼」

 

千冬の言葉により、専用機持ちによる授業が開始されるのであった。

 

 

 

 

ハプニングは少しあったが(一夏が箒をお姫様抱っこしたり)授業は滞りなく終了する。

 

「では、これにて本日の授業は終了する‼ 各専用機持ちは練習機を格納庫に収容後、昼食とする。以上、解散‼」

 

『ありがとうございました‼』

 

千冬は締め括ると、アリーナから出て行く。マリューとムウも同様にアリーナから出て行く。

そして、残されたのは専用機持ちと他の生徒たちであった。千冬達が居なくなった途端、瞬時にキラ達に向かって行き、昼食を一緒に摂れるかどうかを尋ねに行くが、既に一夏はセシリア、箒、鈴、シャルルと昼食を摂る事が決まっており、キラ達に至っても同様にキラは楯無と。アスランは簪と昼食を摂る事になっていた。そして、残されたラウラに声を掛けようとしたが、誰も寄せ付けない風陰気で、誰も声を開ける事が出来なかったのであった。

(昼食に関しては原作と同じ内容なので割愛させて頂きます)

 

 

そして、シャルル、ラウラが転入したから五日が経過した土曜日。キラを始めとした七人はアリーナで一夏の訓練をする事になった。

しかし、箒、セシリア、鈴の三人は感覚や擬音、細かな数字を言う教え方であった為、一夏にとっては判りにくい教え方であった。また、キラ、アスランの教え方は「とことん相手を捻り潰す」と言う教え方だったので、一夏にとってはきつい内容であった。しかし、シャルルの教え方ではどうすれば自分の有利な条件で相手を誘い込めるか、どうすれば、相手を自分の領域に持って来れるかなどの教え方で一夏にとってはシャルルが救世主に見えるほどであった。

 

「一夏。君が鈴やセシリアに勝てないのには理由があるんだよ?」

 

「それに関してはキラに教えてもらった。銃火器の特性を知らない俺には、不利な状況でしかないってな」

 

「それもそうなんだけど、一夏。君の機体である白式には銃火器が搭載されていないんだったよね?」

 

「ああ、何でも俺の機体は唯一仕様の影響で、今の武装である雪片弐型しか搭載できないんだと」

 

シャルルの言葉に一夏もすらすらと答えて行く。

 

「なら、今日は僕の武器の一部を君に渡すから、それで銃火器の特性を知っていこ?」

 

「えっ? でも、それぞれの武装は使用できない筈じゃ?」

 

「僕が君に許可を出せば、使う事も可能なんだよ………はい、これで使えるよ」

 

そう言うとシャルルはラファール・リヴァイヴ・カスタムからアサルトライフル〈ヴェント〉を一夏に渡す。そして、シャルルはターゲットを展開すると一夏にそれを撃つように伝える。

 

「今からそのヴェントで今出したターゲットを撃ち抜いて見て」

 

「判った………構え方はこれで良いのか?」

 

「ちょっと違うかな。腋は締めて、それと左腕はこう。判った?」

 

「お、おう。なんとかな………なら撃つぞ?」

 

「マガジンは全部使って良いから」

 

シャルルの言葉を聞くや否や、一夏はターゲットに向けてヴェントの引き金を引く。

火薬の破裂音が一夏に襲い、それに驚いてしまう一夏。ヴェントは手から離す事は無かったが、照準がズレてしまい、また、構えも解いてしまう。

 

「どう? 一夏」

 

「何と言うか、速いの一言だな」

 

「まぁ、それが銃火器の特性だしね。でも、君の機体は近接格闘戦向きの機体なんだよね?」

 

「あ、ああ。そうらしい。俺も詳しい内容は知らないんだけど、白式は欠陥機だって千冬姉が言っていた」

 

一夏の言う通り、白式は近接格闘のみ搭載が許された機体である。その結果、他の武装のインストールが不可能になっていた。本来の機体は、他の武装が搭載できるように、容量が多くなっている。しかし、一夏の白式は容量がすべて唯一仕様の影響で拡張領域が埋まっているのだった。

 

「もしかして姉弟だからかな?」

 

「まさか、それは無いだろ」

 

シャルルの言葉に一夏も笑いながら否定をする。

 

「ねぇ、あれって」

 

「ドイツの第三世代機?」

 

「でも、まだトライアルの途中の筈じゃ?」

 

アリーナには一夏達以外にも他の生徒も訓練をしていた。しかし、妙にざわつき始めたので、一夏達もそれにつられる様に、生徒たちと同様の方を向く。すると、其処にはドイツから転入してきたラウラ・ボーデヴィッヒが専用機である〈シュヴァルツェア・レーゲン〉を纏い一夏達の方を向いていた。

 

『おい、織斑一夏。貴様も専用機持ちの一人だったな。私と戦え』

 

ラウラからの通信に一夏は嫌な顔をする。

 

「断る。俺には何も特が無いからな」

 

『そうか………では、私が戦う様にし向けてやろう‼』

 

そう言うとラウラはシュヴァルツェア・レーゲンに装備されているレールカノンを一夏では無く、他の生徒に向けて放った。

しかし、上空からの攻撃により砲弾は生徒に当たる事は無かった。

 

「君は何をしているのか判ってるの?」

 

『誰だ‼』

 

上空からの声にラウラが向くとそこにはストライクを纏ったキラがビームライフルを掲げて滞空していた。

 

『貴様には関係の無い事だ‼』

 

ラウラはそう言うと、今度はキラに向けてレールカノンの砲弾を放つ。しかし、キラに当たる前にビームライフルにより、途中で爆発を起こし爆煙が広がる。

 

「君の力では僕には届かないよ?」

 

『クッ‼ だが、私の力は最強だ‼』

 

今度はレールカノンでは無く、アームに搭載されているレーザーソードでキラに斬りかかる。しかし、キラも冷静にビームサーベルを取り出すと、ラウラに反撃とばかりに斬りかかる。

 

『そこの生徒達‼ 何をしている‼』

 

『チッまぁ良い。私はこの中で最強の存在だ。貴様には負けない。キラ・ヤマト‼』

 

「いつでも掛かっておいで。捻り潰してあげるから」

 

ラウラは捨て台詞を言うとピットに戻って行く。それを確認したキラも一夏達に向かってゆっくりと降下する。

 

「大丈夫だった? 一夏」

 

「あ、ああ。にしてもすごいよな、キラ」

 

「どうして?」

 

一夏の言葉にキラは判らず顔を傾げる。

 

「俺や他の皆が出来ない事を簡単に出来てしまうもんな」

 

「そうかな?」

 

あまり実感が湧かないキラであった。それもその筈である。キラは前の世界では不殺を貫いてきた。コックピットを狙わず、腕や足、頭部の破壊のみして相手の戦力を損なわせてきた。それもあってか、今では簡単に武装のみを破壊する事や、実弾を撃ち抜く事が出来る様になっていたのであった。

 

「そろそろ、アリーナが閉まる時間だよ」

 

「もうそんな時間かよ。行こうぜキラ、シャルル」

 

「ご、ごめん。一夏。僕、少しやりたい事があるから先に行ってて」

 

一夏の言葉にシャルルは断りを入れる。しかい、一夏もそれで引く事は無かった。

 

「まぁ、そんなつれない事言わずに一緒に着替えようぜ?」

 

「だ、だから‼ 僕にはやる事があるんだって‼」

 

それでも引かない一夏は強引にもシャルルの腕を掴み更衣室に行こうとする。しかし、其処に待ったを掛けたのがキラである。

 

「一夏。もうその辺にしときなよ? シャルルも嫌がってるんだ。それに、もしかしたら僕達には見せたくない創があるかも知れないじゃない」

 

「………そうだな。スマン‼ シャルル」

 

「う、うん。良いよ。僕の方こそごめんね? また今度埋め合わせするから」

 

そう言ってシャルルは一夏達の方向とは違う方向に向かって歩いて行くのであった。




新たに加わった、シャルル・デュノア。ラウラ・ボーデヴィッヒの両名。
しかし、シャルルは一夏達に何かを秘密にしている模様。また、なぜラウラは一夏を敵視するのか。

次回『本名』

シャルルの気持ちを解かせ‼ 一夏‼




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第三十三話

長らくお待たせしました。
ヒロインのアンケート、ありがとうございました。
結果発表の方は後書きの方に書かせて頂きます。
いやぁ~、接戦でしたわ。

と言う事で、本編へ行きましょう‼


シャルルは一夏とは別の通路を使い、部屋に戻った。

 

「フゥ~戻った。さっぱりしたいし、シャワーでも浴びよ」

 

そう言ってシャルルはシャワールームに入って行く。だが、それにより、彼の正体をばらしてしまう事になってしまうが、この時、シャルルは知らなかった。

 

 

シャルルがシャワールームに入った数分後、一夏が部屋に戻って来た。しかし、一夏だけでは無かった。キラとアスランも一緒に部屋に来ていた。

 

「一夏、シャルルが居ないから言うけど……」

 

「……」

 

キラは真剣な面持ちで一夏に真実を告げる。

 

「シャルルは女の子だよ」

 

「………は?」

 

キラの言葉に一夏は聞き直す。

 

「だから、シャルルは女の子で本当の名前はシャルロット・デュノア。でも「そこからは自分で話すよ」…シャルロットさんか」

 

キラの言葉を遮る様にシャルル改めシャルロットが言う。その姿はジャージに本来はあり得ない所が膨らんだシャルロットが立っていた。

 

「僕の本当の名前はシャルロット・デュノア。でもね、僕は社長…父の愛人の子なんだ」

 

シャルロットの衝撃の言葉に一夏は驚く。しかし、キラとアスランは驚く表情をしなかった。

 

「その様子じゃ、僕が女だって事は知っていたんだね?」

 

「………ああ、ある組織に頼んで調べてもらった。シャルロット・デュノア。16歳。トゥルーア・デュノアの愛人、シルヴィア・ホルクスの第一子。その後、体調不良を起こし、シルヴィアは帰らぬ人となる。そして、デュノア家に籍を入れ替え、今に至る。だな?」

 

「そうだよ。僕はね、愛人の子で義理の母親からは『この泥棒猫‼』で罵られたっけ………はぁ、もう僕は此処には居られないね」

 

シャルロットは諦めたかの様な表情をする。

 

「でも、どうして男のフリなんてしたんだ?」

 

「会社の命令……正確には義理の母親の命令なんだけどね?」

 

この言葉を聞き、キラとアスランは確信を持った。社長である父では無く副社長の義母が命令する。即ち、父親は知らなかったと言う事である。

 

「質問良いかな? 君はお父さんと話したことはあるの?」

 

「最初と途中だけかな? いつも義母が僕に命令していたから……」

 

キラの質問にシャルロットは答えると、キラはアスランの方を向き頷くと携帯を取り出し、あるところに電話する。

 

「キ、キラ‼ お前何してんだ‼」

 

「黙ってくれるかな、一夏」

 

「ッ⁉」

 

キラの見た事も無い表情に一夏は何も言えなくなってしまう。

 

「あっ、楯無さんですか? キラです。今から来てくれますか? はい、判りました」

 

「キラ」

 

「うん、楯無さんが来てくれるって。これで大丈夫かな」

 

キラとアスランの会話に付いて来れない一夏とシャルロット。すると、扉がノックされる。

 

「僕が出るよ」

 

そう言ってキラが扉を開けると、一人の少女と女性が立っていた。

 

「パパ‼」

 

「「パパ⁉」」

 

少女の言葉に一夏とシャルロットが驚く。

 

「ごめんね、明日菜ちゃん。それと楯無さんも来てもらってすみません」

 

「大丈夫。ママと一緒に遊んでたから」

 

「良いのよ。私も直接、話を聞きたいと思ってたから。さて、と。事情はキラ君から聞いたわ。シャルロット・デュノアさん?」

 

楯無の言葉にシャルロットは表情を硬くする。

 

「大丈夫よ、取って食おうと言う訳じゃないんだから」

 

苦笑いしながら楯無はシャルロットに言うと、真剣は表情に切り替わる。

 

「先に自己紹介からね。私の名前は更識楯無。そこにいるキラ君の彼女よ。「楯無さん⁉」強ち間違ってないでしょ? 話を戻すわ。それとここでは肩書も持っているの」

 

そう言うと扇子を開くとそこには達筆で『生徒最強』と書かれていた。

 

「学園最強と名乗りたいんだけどね……織斑先生がいたら……ね?」

 

「「あ~あ」」

 

楯無の言葉に一夏とシャルロットは納得する。

 

「また、話が脱線したわ。君の事を調べたのは私よ。私はね日本を代々、裏から護って来た組織の長なのよ。まぁ、調べるのは簡単だったわ。だって、どうぞ調べて下さいって言ってるようなプログラムだったわ。そこで、君の情報を得た。まぁ、本当はお父様も君は学生として入学する予定にしていたんだけどね、横やりの所為でこんな形になってしまった。………フゥ~話し過ぎて疲れたわ。後はよろしくねキラ君。あっ、それと、シャルロットさん。君はある意味で今は自由の身よ。今は、ね。行きましょう、明日菜ちゃん」

 

「は~い。またね、パパ‼」

 

そう言って楯無と明日菜は部屋を後にする。

 

「色々とツッコミたい所があるが、それは置いとくとして、これで良いのか? シャルロット」

 

「えっ?」

 

一夏の言葉にシャルロットは意味が判らず傾げる。

 

「それで良いのか‼ 良くないだろ‼ 親がなんだ‼ 子供の未来を親が決めて良い筈がない‼」

 

「い、一夏……なんだか変だよ?」

 

シャルロットの言葉に一夏は冷静になる。

 

「ごめん、シャルロット。俺と千冬姉は親に捨てられたんだ」

 

「あっ………」

 

「「………」」

 

一夏の言葉にシャルロットは資料で見た『両親不在』の意味が判り、言葉が詰まってしまう。しかし、キラ達に至っては、両親が死んでしまっている為、一夏の処遇に関してはなんとなく察しが付いていた。

 

「さっき、楯無さん? が言ってた通り、この学園の特記事項第二一、本学園における生徒は、その在学中はありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない。また、本人の同意が無い場合、それらの外的介入は例外を除き、原則として許可されないものとする。これがある限り、シャルロットは3年間は何事も介入されないと言う事だ」

 

「よく覚えきれたね?」

 

「勤勉なんだよ、俺は」

 

シャルロットの言葉に一夏が答えるが、そこにキラとアスランが横やりを入れる。

 

「でも、特記事項にしてもISの事にしても僕達に泣き付いて来たのは誰だっけ?」

 

「そのおかげで今のお前が居るんだが?」

 

「はい、感謝しております」

 

二人の言葉に一夏は唯々、頭を下げるだけであった。

 

「まっ、冗談は此処までにして」

 

「これからの事でも話すか」

 

「これからの事?」

 

シャルロットの言葉にキラとアスランは頷く。

 

「シャルロットさん、今の貴女は自由の身でもあるけど」

 

「反対に束縛されているとも言える」

 

「えっ?」

 

キラとアスランの言葉にシャルロットは疑問を持つ。二人の言葉の意味に。

 

「君の今の置かれている状況としては、あやふやな所が多くある。自由の身と言っても、それは学園内と言う事」

 

「だが、一方で学園から出てしまっては束縛される事もある」

 

「だ、だけど‼」

 

「そう、『本学園における生徒は、その在学中はありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない。また、本人の同意が無い場合、それらの外的介入は例外を除き、原則として許可されないものとする』だけど、言ってるよね。例外を除きって…」

 

「あっ‼」

 

キラの言葉にシャルロットは漸く、キラとアスランの言っている言葉の意味が判った。

 

「僕は、学園から出てしまったら……」

 

「そう言う事だ。だが、それを回避する事も出来る」

 

「ホントか‼」

 

「ああ。だが、それにはそれ相当のリスクがある。それに耐えられる?」

 

「………」

 

一夏は希望が見えたと思った。しかし、現実はそう容易い物では無い。アスランはそれを確かめる為に、シャルロットに問うのであった。




シャルロットは、自分の正体をキラ、アスラン、一夏に明かした。しかし、学園を追放されるかと思われたが、楯無の力によって追放は免れた。
しかし、アスランはシャルロットにある事を尋ねる。

次回「篠ノ之束」

シャルロットの呪縛を解かせ、束‼

誤字、脱字、感想、指摘等ありましたら、どしどし送ってください‼





結果発表‼

キラ……シャルロット

アスラン……ラウラ

一夏……残り


「「残りってなんだ(ですの)‼」」


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第三十四話

お気に入り件数が403件になっていました。ありがとうございます‼
ちなみに、403の前に伊をつけるとなんと‼ 伊403になるではないか⁉(当たり前です)

久しぶりの更新で、忘れてないですよね⁉


「僕は、学園から出てしまったら……」

 

「そう言う事だ。だが、それを回避する事も出来る」

 

「ホントか‼」

 

「ああ。だが、それにはそれ相当のリスクがある。それに耐えられる?」

 

「………」

 

一夏は希望が見えたと思った。しかし、現実はそう容易い物では無い。アスランはそれを確かめる為に、シャルロットに問う。

 

「アスラン、どう言う事なんだ?」

 

「俺達は極秘にIS学園から任務を依頼されている」

 

「この事を知っているのは織斑先生と学園長である笠松学園長、生徒会長の更識楯無、その妹の更識簪さんだけ」

 

一夏の言葉にキラとアスランが答える。

 

「俺達の任務はこの学園に脅威を成す者達に対する戦闘行動が独立している。権限においては織斑先生より上になっている」

 

「僕達はシャルロットさんを脅威と見るか、傍観するか決める事が出来るんだよ」

 

キラの言葉にシャルロットに戦慄が走る。

 

「ぼ、僕はもしかしたら君たちに殺されている可能性があると言う事なの?」

 

「………厳しい事を言うかも知れないけど、そう言う事になる。脅威を成す者達に対しての慈悲は無い。これは、俺とキラの二人の共通だ」

 

「今ここで君の事を脅威を見なして、排除する事も出来る」

 

「どう言う事だよ、キラ‼」

 

「一夏、黙っててくれる? これは学園からの任務を遂行しているだけだから。それに、君を拘束する事も出来るんだよ?」

 

「ッ⁉」

 

キラの殺気に充てられた一夏は黙る他無かった。もし、ここで何かを発し様なら、キラに殺されると思ったからである。

 

「僕達が何が言いたいかと言うと、僕達の部隊に入らないか?」

 

「「えっ?」」

 

一夏とシャルロットが驚くのは当然の事である。キラ達は独立権限を持っているが、二人部隊である。それを独断で決めて良いのかと思ってしまう。

 

「君たちが考えている事は、勝手に僕達だけで決めても良いのかと言う事だよね? それに関してはクリアしているから大丈夫だよ」

 

キラはそう言うと携帯を一夏達に見せる。そこには学園長である笠松からのメールで『部隊に関しては独断で決めてもらっても構いません。ですが、我々の学園に迷惑が掛から無い程度でお願いします』と書かれていた。

 

「これで君も独利権限を持った僕達の部隊に入る事が出来るよ?」

 

「………」

 

キラの言葉にシャルロットは考える。キラ達の部隊に配属になれば、今後の自由も確立されたと同じ事である。だが、その一方で、会社からの援助が無くなると言っているのも同然の事であった。

 

「君の専用機であるラファールに関しては、デュノア社に返還される可能性がある。それを回避する方法はあるのはあるが、それには時間が掛かる。まぁ、君の考えを尊重するからもう少し考えてくれ」

 

キラ達はそう言うと、部屋から出て行く。

 

 

 

 

キラ達は部屋を出て、一夏の部屋から幾らか離れた場所で話し出す。

 

「キラ、良かったのか? あんなことを言えばデュノアは決めるの時間が掛かるぞ?」

 

「判っているよ………でもね彼女に残された時間は無いに等しいんだよ? それを見す見す逃すのは僕としてはしたくない事なんだ」

 

「だが‼」

 

「アスラン、彼女が新しい剣を持つに相応しい人間じゃなかったら、僕はこんなことは言わなかったよ?」

 

「………」

 

キラの言葉にアスランは黙る他無かった。

 

「まぁ、こればかりはシャルロットさんに決めてもらう他無いけどね」

 

「……そうだな」

 

アスランは諦めたかのように返事をする。

 

「まぁ、機体に関しては本体は出来ているけど、コアがね…」

 

「コアに関しては仕方が無いだろう………こればっかりはどうしようもないからな」

 

キラ達はそのまま整備室に向かうのであった。

 

 

整備室には一機のISが鎮座していた。その機体は何処かしらキラ達の機体に似ている。それもその筈である。キラが製作した機体はGシリーズと言われた五機のうちの一機だからである。

 

「これがヤマト君が作った機体………」

 

「やっぱりここにいたのね、簪ちゃん?」

 

「お姉ちゃん……」

 

整備室の扉に体を預けている楯無が立っていた。簪は姉の楯無を見て緊張が走る。

 

「大丈夫よ、ここはキラ君が認めた人しか入れない所だから」

 

楯無の言葉に簪はホッと胸を撫で下ろす。

 

「でも、この機体の事は秘密よ?」

 

「判ってると、お姉ちゃん。私だってそれぐらい………」

 

「何と無く行って見ただけよ」

 

その言葉を聞いた簪は頬を膨らませる。

 

「でも、ここにいても良いの? 明日菜ちゃんはどうしたの?」

 

「明日菜ちゃんはさっき寝たわ。キラ君に会えたことが嬉しくてはしゃぎ過ぎて、いつの間にか寝てたわ。寝る子は育つのかしら?」

 

楯無の表情を見た簪は何も言えなくなってしまう。いつもの楯無では無く、一児の母親の顔をしていたからである。

 

「それはそうと、どうしてここにいるの、簪ちゃん?」

 

本題を思い出した楯無は、自然と簪に尋ねる。だが、簪も自然と話題を変えられたことに気付くも、敢て何も言わずに、楯無の質問に答える。

 

「私の専用機の打鉄弐式の改良がしたいなって………でも、私ひとりじゃ出来ないからヤマト君に手伝ってもらおうと思ったんだけど……」

 

「誰もいなかった…と」

 

楯無の言葉に簪は何も言わずに頷く。

 

「あれ? 楯無さんに簪さん?」

 

「どうしたんだ?」

 

整備室の前に立っていた楯無と簪が居る事にキラ達は尋ねる。

 

「私の専用機の打鉄弐式の改良を一緒にしてもらおうと思って来たんだけど、ヤマト君達が居なかったから、中にいるともって入っちゃったの……ごめんね?」

 

「大丈夫だよ、この機体はある人に渡す事になってるけど、その前に簪さんに見てほしかったんだ」

 

「えっ? 私にですか?」

 

「そう、君にね。僕はソフト面では強いけどハード面では弱いんだ。アスランは僕とは反対にハード面が強いんだけどね……でも、君の意見も聞きたかったんだ」

 

簪の言葉にキラは答える。簪としては負い反れた事ではあるが、誰かに頼ってもらえる事の方が嬉しく、二つ返事で答えた。

 

「ありがとうね、簪さん。それで、ここなんだけど………」

 

「ここはこうしたら良いよ……それと、ここは少し弄った方が効率が良くなるよ」

 

「ありがとう」

 

簪とキラは二人の世界に入ってしまい、楯無とアスランは何も言えなくなってしまう。いや、楯無に至っては、簪の真剣な表情に愛が溢れ出していたのだった。

 

「締まらない終わり方だな」

 

ご尤もです。




誤字脱字、感想、指摘等ありましたら、よろしくお願いします‼


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第三十五話

約二か月ほど更新していなくて、誠に申し訳ありません‼ 理由としては、仕事の関係と自分の体調管理が出来ておらず、また、スランプに陥ってしまった為、このような結果になってしまいました。
今後も更新が滞ってしまう可能性がありますが、何卒、今後もよろしくお願いします。


格納庫に二人の声が重なり合う様に響き渡った。

 

「「出来たっ‼」」

 

「漸くか……」

 

「簪ちゃん、格好良かったわ‼」

 

格納庫にはキラ、アスラン、簪、楯無の四人が居た。そして、四人の前には一機のISが鎮座していた。

 

「型式については後々に決めるとして……一旦、待機状態にしようか」

 

「そうだね」

 

簪はそう言うと、鎮座されているISを待機状態にする。因みに、待機状態に関しては無難なネックレス型である。

 

「さてと、次に君の機体を完成させよう」

 

「そうだったね、おいで打鉄弐式」

 

簪は左中指に挿している指輪が光り、一機のISがハンガーに鎮座する。

 

「さて、今回で完成させるとして、僕なりにアレンジした武装があるんだけど見る?」

 

「見る‼」

 

キラの声に簪は反応し、キラは苦笑いしながら量子変換し武装を展開させる。

 

「これが僕なりに考えてアレンジした武装、高エネルギー連装荷電粒子砲。まぁ、春雷の強化版と考えてくれたらいいよ。因みに、連装式だから火力、使い易さに関してはお墨付き」

 

キラが出した高エネルギー連装荷電粒子砲の形状は、ランチャーストライクのアグニを一回り小さくし、砲門が二つある事である。尚且つ、火力は墜ちていない。

 

「注意点としては、ISのエネルギーを馬鹿食いする事だね。バカスカ撃っていたらエネルギーが尽きるから気を付けてね」

 

「うん、判った」

 

簪はそう言うと、高エネルギー連装荷電粒子砲《アグニ改》を打鉄弐式に取り込んでいく。

 

「それと、ビット兵器に関しては現在試行錯誤中なんだ。早くて臨海学校でお披露目になると思う。でも、君自身に空間認識の能力は低い。それを補うものを作ったんだ」

 

キラはそう言うと、足元に丸い形をしたロボットを展開する。

 

「ハロハロ、デヤンデェイ‼」

 

「おっ、ハロか。懐かしいな」

 

ハロを見てアスランは懐かしく思えた。ハロを作り出したアスランからすれば懐かしいのも頷ける話である。

 

「まぁ、アスランの作ったやつを基に、僕なりに作り上げたものだからね。まぁ、アスランには敵わないけど」

 

「そうは言ってもな、俺の場合はハード面でしかキラに勝てないしな」

 

「そんな事は無いよ。僕にだってソフト面でしかアスランに勝てないしね」

 

なんだかんだ言って、仲良しのキラとアスランである。

 

「それで、キラ。ハロにどんな改造をしたんだ?」

 

「改造って……まぁ良いや。ハロを打鉄弐式にインストールして」

 

「う、うん」

 

キラに言われるがままに簪はハロを打鉄弐式にインストールする。

 

「インストールし終わったら、今度は纏って」

 

「判った」

 

簪の言葉と同時にインストールが終了し、簪は打鉄弐式に乗り込む。

 

「乗り込んだね………はい、これで行けると思うよ?」

 

「な、なにこれ………」

 

簪が驚くの仕方が無い事である。本来、ISの武装を展開する時は事前に形状を思い浮かべながらである。しかし、簪の打鉄弐式にはハロが搭載される事により、目視で武装が展開する事が可能になった。

 

「まぁ、これで疑似ラビットスイッチだね」

 

「やり過ぎよ、キラ君⁉」

 

「まぁ、こうでもしないと簪さんにはビット兵器は難しいしね。ハロは基本的にビット兵器の操縦をする事になります。そうでないと簪にはセシリアさんみたいな操縦になってしまいますからね」

 

「そうかも知れなけど………」

 

「大丈夫、お姉ちゃん。私にはこれ位が丁度良い」

 

簪の言葉に楯無は何も言えなくなる。

 

「それで、武装に関しては早くても臨海学校の時に渡す事が出来ると思うよ」

 

「判った」

 

キラの言葉に簪は強くうなずく。

 

「良し。これで武装関係は終了したね。もう時間だし帰りましょう」

 

キラの言葉に全員が頷き格納庫から出て行くのであった。

 

 

その日の夜。キラとアスランは一夏からシャルロットが大切な話がしたいと申し出があり、二人は一夏の部屋に来ていた。

 

「それで、大切な話ってなんだ?」

 

「僕を、キラ達の部隊に入れてほしい‼」

 

「「………」」

 

シャルロットの言葉はキラ達にすれば、予想通りの言葉であった。

 

「僕達がしている事は、君が思っているほど甘い世界じゃないよ?」

 

「俺達は戦場を知っている。この場所を戦場に変えたくない気持ちで部隊を設立している。そこに入隊すると言う事は………判っているな?」

 

「………覚悟はあるよ」

 

キラとアスランの言葉にシャルロットは気持ちの籠った声で答えた。

 

「…………判った。良いだろう。俺達の部隊に入隊する事を認める。だが、その前にしないといけない事がある」

 

「しないといけない事? なにそれは……」

 

アスランの言葉にシャルロットは言っている意味が判らなかった。

 

「君の両親の言葉だ」

 

「ッ⁉」

 

シャルロットは言葉を失った。シャルロットからすれば、父親はあまり話す機会が無く、義理の母親はシャルロットの事を嫌っており、顔を合わせれば嫌味の言葉が出て来るほどであった。

 

「キラ、準備は出来ているのか?」

 

「もう少しだと思うよ……来たね」

 

キラの言葉と同時に一夏の部屋の扉がノックされる。

 

「開けてあげて、一夏」

 

「お、おう」

 

キラの言葉で一夏は扉を開けた。扉の先には一夏の姉である千冬とキラの恋人である楯無。そして、マリューとムウの四人が立っていた。

 

「ち、千冬姉⁉」

 

「織斑先生だ………いや、今はこんな会話をしている暇はないな。ヤマト、ザラ‼ 後で詳しく話を聞かせてもらうぞ?」

 

「「了解‼」」

 

千冬の言葉にキラ達はオーブ式の敬礼で答えた。

 

「さて、と。シャルロットちゃん。君の言葉は私達は聞いていたのよ」

 

「ええ⁉」

 

シャルロットが驚くのも仕方が無かった。キラの服には楯無達に聞こえる為に盗聴器が仕込まれていたからである。この事はアスランとキラは知っており、一夏とシャルロットは知らなかった。

 

「どう言う事だ‼ キラ、騙したのか‼」

 

「僕達の言い分も聞いてほしいな、一夏?」

 

「ッ⁉」

 

一夏はキラに詰め寄るが、キラの殺気の籠った声に一夏は黙る他無かった。

 

「シャルロット、君には聞いていてほしい。特に君の両親の本当の想いを……」

 

「本当の……思い?」

 

シャルロットにはキラの言っている意味が判らなかった。思い返してみても、義理の母はシャルロットに対し嫌味嫌っている節があり、父にしてもどこか他人行儀の所があった。今更、両親の言葉を聞いたところで自分にはなんの得にもならないと考えていた。

 

「楯無さん、準備は?」

 

「万全よ」

 

キラの言葉に楯無は扇子を開くと、そこには達筆で(準備万端‼)と書かれていた。すると、楯無は徐に青いハロを取り出す。ハロは自分がする事が判っているかの様に、口を開くと電子モニターが浮かび上がり一人の男性とその後方にいる女性を映し出した。

 

「こちらIS学園独立武装隊隊長のキラ・ヤマトです。アドミラーフ・デュノアさんですね?」

 

『…………ああ、そうだ………そこにシャルロットはいるのか?』

 

「はい、います」

 

キラの言葉にアドミラーフは「そうか」と呟くだけであった。

 

『シャルロットに代わってくれないかね?』

 

「判りました」

 

キラはそう言うとズイッとシャルロットを前に押し出す。

 

「お、お父………さん……僕……」

 

『………先に謝らせてほしい。シャルロット。申し訳なかった‼』

 

アドミラーフは頭を下げた。それと同時に後方にいる女性も一緒に頭を下げていた。そして、顔を上げると今までの事を静かに話し出すのであった。




両親の本当の気持ちを知る事になったシャルロット。だが、魔の手が既にシャルロットの両親に伸びていた。
キラ達は護る事が出来るのか⁉

次回、三十六話『気持ち』

魔の手から救い出せ、ガンダム‼




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらよろしくお願います‼


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第三十六話

お久しぶりです、皆さま。覚えていて下さっていますか? 武御雷参型です。
活動報告をご覧になられている方は、お判りだと思いますが、この作品に関しては消去しずに、このまま進めて行きますので、今後もよろしくお願いします‼


モニターにシャルロットの父親であるアドミラーフと義母が映し出されていた。

 

『………先に謝らせてほしい。シャルロット。申し訳なかった‼』

 

アドミラーフは頭を下げた。それと同時に後方にいる女性も一緒に頭を下げていた。そして、顔を上げると今までの事を静かに話し出すのであった。

 

「ど、どう言う事………」

 

『私達にはお前を守る他にこの方法しか思いつかなかったんだ。女性権利団体から………』

 

“女性権利団体”。ISが世界に配備される前から活動している団体である。本来の活動は男性からの不条理な暴力から女性を護る為の団体であった。しかし、ISが発表され世界中に配備されたころから本来の活動から脱していた。ISは女性しか扱えない兵器と知った女性権利団体の幹部は、これを良しと思い男性を下に見る様になった。最初の頃は、誰もそれを認めなかった。

しかし、モンドグロッソでの織斑千冬の強さによりそれは覆されてしまった。男性よりも女性が優位に立ったと言う事である。

これにより徐々にではあるが、女尊男卑の世界に変わってしまったのだった。そして、今回のシャルロットとの因果関係は何なのかと言う事になるが、フランスの女性権利団体はIS学園にいる一夏は兎も角とし、キラやアスランがいる事が良い様に思っていなかった。その為、デュノア社に脅しを掛けシャルロットを男性として隠蔽して送る様に指示を出した。しかし、これに異議を唱えたのはシャルロットの父親であるアドミラーフと義母であるセイリーンであった。一度は引いた女性権利団体ではあったが、政府の中にも女性権利団体の息の掛かった者達がいた。その結果、政府から非公式ではあるが通達が送られてきた。そして、内容の最後には“この要望を呑まない限り、政府としてはデュノア社に対して援助金の打ち切り”を突き付けて来たのだった。

そして、政府は未だに第三世代機の開発が遅れているフランスはもう一つの指示も出していた。それは“男性操縦者の排除と共に第三世代機の情報の略奪”であった。

 

『もし。これを呑まなければ会社にいる者達に給料が払えない。それに、この会社はお前の母親であるシルヴィアが望んでいた事だった。私は路頭に迷う社員達を見たくは無かった。それはセイリーンも同じだった』

 

「…………それだけの理由で僕をIS学園に送ったのですか? 結局のところ、貴方は会社を護りたいが為に僕をこの学園に送った。そう言う事じゃないのですか?」

 

『………』

 

シャルロットの言葉にアドミラーフは何も言えなくなる。その通りなのだから。だが、本当の気持ちは違った。会社の為では無く、シャルロットの為であると。しかし、今シャルロットに言っても聞いてもらえれるような状況では無かった。

そこに助け船を出したのはキラであった。

 

「シャルロット。君は大いに勘違いをしているよ」

 

「勘違い? 何を勘違いしているって言うの?」

 

「よくよく思い出してみて、アドミラーフさんが言っていた言葉を……“女性権利団体から君を護る”。この言葉の意味が判るかい?」

 

「………判らない」

 

シャルロットの言葉を聞いたキラは一度モニターに写るアドミラーフを見た。彼は一つ頷くともう一枚のモニターをシャルロットの前に出した。

 

『これを見てほしい。シャルロット。ここに写っている言葉の意味が判るかい?』

 

「………これって……」

 

シャルロットが目に移したモニターには、シャルロットが帰国した後の計画書であった。そこにはシャルロットが空港に到着後すぐに拘束し処刑する内容であった。

 

『もしシャルロットが各国の第三世代機の情報を持ち帰っても持ち帰らなくてもシャルロットを殺すと言う事に変わりは無かったのだよ。そして、デュノア社も巻き込んだ形で………これを見た時、私は愚かであったと思ったよ。シルヴィアから君を守ると言っていたのに、結局、シャルロットを巻き込んでしまい最終的には殺されてしまう。こんな形で終わらせる気は無かった。だから、私達は極秘裏にIS学園にこの文章を送って君を守ってもらえる様に取り計らった』

 

シャルロットからすれば初耳の事であった。まさか、両親がこんなにも自分を愛してくれているとは露にも思わなかった。

 

『シャルロット……今更かも知れないが謝らせてくれ。申し訳無かった』

 

アドミラーフと共にセイリーンも頭を下げるのであった。

 

「………本当に今更じゃないですか………謝られて、それでお終いなんて出来ませんよ………でも、もし僕がそっちに帰れるようになったら…………これまでの事を話してください。それが僕が望む事です」

 

『判った。もしシャルロットが帰って来た時には沢山、話をしよう。シルヴィアの事やこれからの事を』

 

「はい‼」

 

シャルロットとアドミラーフの話は蟠りも無くなった。しかし、この約束が果たされる事は無かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、全世界が緊急で報道した。

 

『緊急ニュースです‼ 昨日未明にフランスの大手IS企業、デュノア社が何者かにより壊滅しました。壊滅したのは本社ビル、製造工場、試験場の三か所になります。尚、現在入っている情報で、死亡が確認されているのは

 

 

 

 

 

 

 

 

社長のアドミラーフ・デュノア氏とその妻のセイリーン・デュノアの二名との事です』

 

 

このニュースを受け、シャルロットは地面が無くなる感覚に陥り、落下する様な気持ちになった。折角、分かり合えた親子であったが、それは儚く、無残にも散ってしまった。

 

 

だが、キラとアスラン、マリュー達にはこの襲撃の犯人が判っていた。なぜならば、写真の一部に見慣れた機体が写っていたからである。

 

「もしかしたら本格的に動き始めているな………ロゴスが」

 

「そうだね。僕達も本格的に動けれる体制にしておかないとね」

 

「ああ、マリューさん達もアークエンジェルの準備をお願いしますね」

 

「判ったわ。でもそう簡単に動けるの? 私達って秘匿部隊の筈ではないのかしら?」

 

アスランの言葉にマリューは、自分達の部隊はIS学園内での活動を許されているはずだと認識していた。

 

「いえ、秘匿部隊は秘匿部隊です。ですが、それはIS学園所属と言う意味での秘匿部隊となります。現に、俺達の今の機体であるイージスとストライクに関しては、学園内での活動を視野に入れていますが、本来のジャスティスやフリーダムはそれに値しません。ですので、俺達の事がばれる心配は無いんです」

 

アスランの説明にマリュー達はなるほどと感じていた。

 

「それにしても、この機体がここにいるのは何かの縁を感じるわね」

 

「はい。僕もそう思っていました」

 

マリュー達が見つめるのは、ロゴスの機体であろう物が写った写真であった。

 

「ですが、この機体がこの世界にある。それだけで判っただけでも良いんではないんですか?」

 

「そうとは限らないわよ。私達の部隊で実戦向きの機体はキラ君のストライク・フリーダムにアスラン君のインフィニット・ジャスティス、アストレイの後継機であるストライク・アストレイ四機、ムウのアカツキ、ドム三機の計十機しかないわ。これだけの精鋭が集まれば、国家に戦いを挑むことも簡単だけど………」

 

「その分のリスクが大きいと言う事ですよね」

 

「そうよ………私達は戦争がしたい訳では無いわ。でもね、それが許される世界でもないのが、今の現実よ」

 

マリューは、アークエンジェルやキラ達がこの世界に来た本当の意味が判らなかった。

 

「今はそれを考えている暇はないわ。一刻も早く戦争が起きない様にしなくては」

 

「そうですね」

 

「はい」

 

マリューの言葉にキラ達二人は頷くのであった。

 

「それで、シャルロットさんは………」

 

「今はそっとしておいた方が良いと思います。まだ、気持ちの整理が出来ていない筈です。そこに俺達が入って行っても、逆にシャルロットに負担を掛けるだけになってしまいます」

 

「そうね………せっかく和解できたと思った途端、こういう結果になったもんね………それにしても、この世界にあの人達が居るとは思いもしなかったわ」

 

マリューが言っている人物は、過去にキラが殺め、最愛の人と共に散った者達の事を指していた。

 

「敵……なのか味方なのかはまだ分かりません。ですが……」

 

「俺達は、何かを護る為であれば、この手を血に染める事も覚悟しています」

 

キラとアスランの瞳には、厳とした意志が籠っていたのであった。




シャルロットは実の父親と義母との間を修復させる事が出来た。
だが、非情にもシャルロットは両親と会話する事がそれっきりになってしまった。
その裏で動く者達、戦争に巻き込もうとする者達。
それぞれの思惑で、IS学園を、キラ達を巻き込んで行くのであった。

次回、『復讐』

復讐の念を断ち切れ‼ シャルロット‼




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第三十七話

今回は戦闘シーンが難しかったですが、書けていると思います………多分


翌日、キラ達は学園長である笠松に呼び出された。

 

「キラ・ヤマト以下IS学園所属秘匿機動部隊“アークエンジェル”です」

 

「入って下さい」

 

キラ達は断りを入れつつ、学園長室に入室する。

 

「忙しい中、集まっていただきありがとうございます。今回の呼び出しの件について、心当たりはありますか?」

 

「僕達の部隊に配属になったシャルロット・デュノアのご両親の事について、ですよね?」

 

キラの言葉に笠松は静かに頷いた。

 

「そうです。ニュースとして大きく取り上げられていますが、犯人が判っていないのが現状です。ですが、君たちならば、今回の事件についての真相を知っていると思い、呼び出させて頂きました」

 

「そんな気はしていました。僕達もニュースを見てある物を見付けました」

 

キラはそう言うと笠松に一枚の写真を差し出す。それはニュースの一部を現像した写真であった。

 

「…………私には何も見えないのですが…」

 

「ここをよく見て下さい」

 

アスランに言われた通り笠松は写真に目を凝らした。

 

「これは⁉」

 

笠松の目に写った物は、キラのストライクに似たISが小さく映し出されていたのであった。

 

「この機体について僕達も考えました。そして一つの結果に辿り着きました」

 

「それは………」

 

キラは笠松の言葉でもう一枚の写真を差し出した。それは、拡大し鮮明にした写真であった。

 

「形状、配色からしてストライクです。ですが、僕が使っているストライクとは何かが違う気がするんです」

 

キラが言う様に、キラのストライクと写真に写っているストライクとは何かが違っていた。それは形状である。キラのストライクとは違い、肩部にスラスターが増設されており、腰部に至っては小型のビームガンが装備されていた。また、バックパックにはストライクのランチャーストライカーを強化・改装されたような形をしていたのである。

 

「これがもし、学園に来たとした時、誰が対応できますか?」

 

笠松の質問に誰もが答えられなかった。なぜならば、キラとアスラン、ヒルダを始めとするドムであれば対応出来るであろう。しかし、学園に所属する生徒だけでの対応となれば、話は別である。

ストライクには実弾を弾く装甲“フェイズ・シフト装甲”が装備されている。もし、この機体がフェイズ・シフト装甲を装備されていると言う事であれば、実弾装備のラファールなど、敵ではないと言う事である。

 

「僕達だけでしか対応が難しいと思われます」

 

「俺達の機体にはビーム兵器が標準装備されています。しかし、この学園で管理している機体にはビーム兵器おろか、レーザー兵器が装備されていません。と言う事になれば、この機体に対応できる機体は皆無です」

 

「………やはりそうでしたか…………では、もし学園からの援助でビーム兵器は作る事は可能ですか?」

 

「「ッ⁉」」

 

笠松の言葉にキラ達は息を呑む。それもその筈である。全世界、どこを探してもビーム兵器を作る事は出来ないのである。唯一、レーザー兵器が製造できるイギリスだけは話は別である。もし、イギリスの技術力を持てば、ビーム兵器を製造出来る事は可能である。しかし、それではイギリスだけが全世界で優勢になる。となってしまっては、戦争への道が近づいてしまう。

キラ達はそれだけは避けたかった。

 

「製造する事は可能です。ですが………」

 

「判っています。私としても避けたい事です。戦争への道は………しかし、そうは言ってられない事態が今、学園に近付いているのです。それだけは判って下さい」

 

笠松はそう言うと、徐に立ち上がりキラ達に頭を下げた。

 

「…………判りました。ですが、こちらからも条件があります」

 

「良いでしょう。言ってください」

 

「現在、この学園に所属する専用機持ち達を集めて下さい。それから機体の性能を見る為の許可を下さい。そして

僕達の本来の機体を使用する許可を下さい」

 

キラの条件を笠松は考えた。一つ目と二つ目に関しては許可は出来る。しかし、三つ目の条件は呑む事が出来ない。

 

「一つ目、二つ目の条件に関しては呑みます。しかし、三つ目の条件の意味を教えて下さい。君たちの本来の機体は緊急時のみ使用を許可している筈です。ですが、君たちが言っている条件は、常時使用すると言っている様にしか聞こえないのですが?」

 

「まさしくその通りです。僕達の本来の機体。ストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスを常時使う事を示しています」

 

「それは許可できません」

 

「どうしてですか? では、緊急時と言っていますが、どこまでが緊急時なのですか? 学園が襲われた時にですか? 笠松学園長も判っている筈です。既に戦争への道に進んでしまっていると言う事に………」

 

「…………」

 

アスランの言葉に笠松は何も答えられなかった。笠松自身も判っていた。既に世界が戦争への道に進んでしまっている事に。

だが、キラ達の機体を使うと言う事は、戦争への道にもっと近づいてしまう事に判っていた。

 

「君たちの機体は強力な機体です。それを晒すと言う事は、戦争への道に一歩以上に近づく事は判っているのですか‼」

 

笠松は怒声を挙げながらキラ達に迫る。しかし、キラ達は怯む事無く笠松の眼をを見つめる。

 

「それでも護りたい者があるのです」

 

「それが今のです。俺達に出来る事はします。幸い、俺達の機体の動力源は“核”です。無尽蔵に動かす事が来ますが、それに対してのリミッターを掛ける事も了承するつもりです。判って下さい。学園を護るには必要な事なのです‼」

 

「…………判りました。使用の許可はしましょう。しかし‼ この学園に所属する専用機持ち、代表候補、代表生に勝てればの話です。そして、リミッターは掛けさせて頂きます。これが条件です」

 

「「判りました‼」」

 

キラ達は敬礼をしながら立ち上がる。

 

「では、一週間後に行います。準備を怠らない様にしてください。これが条件です」

 

「「ハッ‼」」

 

キラ達はそう言うと学園長室を後にするのであった。

 

 

笠松はキラ達が出て行った扉を見つめながら呟く。

 

「これで良かったのでしょうか? 学園を護る者としての判断は…………どうなんでしょうか? ウズミ様(・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達は学園長室を後にすると真っ直ぐに整備室へ向かった。キラ達の本来の機体であるストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスをベッドに固定させると、コンソールを叩き始めた。

 

「キラ、学園長の条件とはなんだ?」

 

「これだよ、アスラン」

 

キラは笠松に渡された紙を渡す。

 

「…………これだけか(・・・・・)余裕だな」

 

「でも、油断は出来ないよ?」

 

「判っている。俺達が出した条件だ。それに沿って勝つしかないだろ?」

 

「そうだね」

 

キラ達の作業は夜明けまで続いたのであった。

 

その条件とは

1、ハイパーデュートリオンエンジンの機動力を半分

2、ビーム兵器の出力を半分

3、機動力を半分

 

この三つが条件として挙げられる事になったが、それでもキラ達は勝てる自信があったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、運命の一週間後。キラ達は既に機体を展開してアリーナで待っていた。その姿は天使と騎士の様に見えた。しかし、これから起きる事はそんな生緩い事では無いと言う事は、キラ達から発せられるオーラで判ってしまうほどであった。

 

キラ達の前に一夏を始めとする専用機持ち達が登場する。

 

「どうしてこの機体が……」

 

「ほう、これはやりがいがあるな」

 

「勝てるのかしら?」

 

「勝つしかないわ‼」

 

「………」

 

上から一夏、ラウラ、セシリア、鈴、シャルロットの順番であった。しかし、シャルロットに関しては何も発言していない。否、出来ないのだ。漸く両親と和解できたと思っていたが、襲撃に遭ってしまった事により、両院を亡くしてしまった。それを割り切れと言うのも酷な話である。

 

『では、これよりストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティス対一年生専用機持ちとの模擬戦を行う‼ 開始‼』

 

千冬の言葉でキラ達は動きは無く、立っていただけである。しかし、一夏達は何も作戦を考えておらず、ただ闇雲に突っ込むだけであった。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ‼」

 

一夏は雪片弐型を大きく振りかぶってキラに斬り付けようとした。しかし、キラは冷静にビームシールドを展開させると、雪片弐型を白羽取りする。そして、それと同時に腰部に装備されているクスィフィアスを一夏に向けて放つ。

 

「ぐわっ⁉」

 

それにより一夏は雪片を離してしまい後方に下がってしまう。

 

「てりゃぁぁぁぁ‼」

 

今度は鈴が双天牙月を振り回しながらキラと対峙する。しかし、キラはビームライフルの引き金を引くとビームは双天牙月の刃と持ち手の間を撃ち抜き、使えなくさせた。しかし、それでも鈴は衝撃砲“龍砲”を乱射した。

ストライク・フリーダムはヴァリアブル・フェイズ・シフト装甲を使っている為、実弾系統の攻撃には意味が成さない事を知っているキラにしては痛くも痒くもない攻撃だった為、龍砲の攻撃をもろに受けていた。

 

「決まった⁉」

 

鈴はそこで終わったと油断してしまった。それが仇となってしまう事を判らなかった。

セシリアの専用機であるブルー・ティアーズ同様のビットが鈴の周りに包囲されてしまっていた。

 

「やばっ‼」

 

鈴は逃げようとする。だが、ドラグーンはそれを許さず、鈴を撃ち抜き、爆煙が拡がった。

煙が晴れると、そこには一夏と鈴が戦闘不能状態で待機していたのであった。

 

 

 

 

一方、アスランの方ではと言うと、ラウラがレールカノンを一発目に放つ。しかし、実弾であった為、インフィニット・ジャスティスの装甲を削る効果は得られず、アスランはビームライフルを掲げ、ラウラに照準を合わせた。しかし、そこにオレンジの疾風が舞う。

シャルロットはすぐにラウラの前に現れると、シールドを掲げビームを防いだ。しかし、ビームの熱量に耐えられずシールドは融解する。

シャルロットはすぐにシールドを外すと、アサルトライフルを展開しジャスティスに撃ちかけた。しかし、装甲の所為ですべての弾丸は弾かれてしまう。

 

「弾が弾かれるッ⁉ なら‼」

 

シャルロットはアサルトライフルを仕舞うと、本来は使う事は無かった西洋剣を二振り手に持ちジャスティスに斬りかかった。

しかし、それはアスランにとって有利な展開になった。ジャスティスのビームサーベルを手に持つと一気にシャルロットに向かってイグニッション・ブーストを掛けすれ違い狭間に斬り付け、シールドエネルギーを枯渇させた。

 

「一回だけでこんなダメージが‼」

 

「デュノア‼」

 

ラウラはすぐにシャルロットに駆け寄ろうとした。しかし、アスランがそれを許す筈が無かった。ビームサーベルをマウントさせるとビームライフルでラウラをけん制する。

 

「クソッ‼ これでは近寄れないではないか‼」

 

ラウラは逃げる為にジグザグに飛び回った。しかし、それも既にアスランの計算内の話である。ラウラが目標にしていたポイントに着いた瞬間、ジャスティスはファトゥムをパージしラウラに突撃させた。

 

「外せるものなのか⁉」

 

ファトゥムはビームブレイドと両翼に付いているビームサーベルでラウラを斬り付けシャルロット、ラウラ共に戦闘不能に陥れたのであった。

 

セシリアに至っては、キラのドラグーンによって戦闘不能になってしまったのであった。




笠松との交渉の末、本来の機体の使用する事を許可してもらったキラ達。しかし、それには条件があった。しかし、一夏を始めとする一年専用機持ちを軽々と撃破したキラ達。
次に待っている者達とは‼

次回~愛する者達との戦い

愛する者達を護る為に力を入れろ‼ ガンダム‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼









「俺が……俺達がガンダムだ‼」

君はお呼びじゃないです。




一部、追加しました。


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第三十八話

やっと、キラと楯無。アスランと簪をくっ付けました。


一夏達専用機持ちを簡単に撃墜したキラとアスランは、次の相手を待っていた。

 

「待たせたかしら?」

 

「お待たせ」

 

キラ達の前に二機のISが降り立つ。一機は、キラの恋人である更識楯無。そして、もう一人はアスランに恋心を持っており、楯無の妹である更識簪である。

二人が纏っている機体の説明をするならば、楯無の機体はロシア政府が抱える技術研究所であるスフォーニ技研が開発した第三世代機“ミステリアス・レイディ”である。この機体の最大の武装としてはナノマテリアルを使った武装である。

一度、キラと戦った事がある楯無であるが、その際にはまだ性能的にも発揮できていない状況であった。しかし、キラと二人で機体を改良した事により性能的にもアップされている。

簪の機体、“打鉄弐式”は日本政府お抱えの技術研究所である倉持技研が製造したが、一夏の専用機“白式”を制作するにあたり製造がストップした物を、簪が独自に回収し自身で機体を完成しようとした。だが、個人で出来る事には、限度があり最終的にはキラ、アスラン、簪、楯無の四人で製作した機体である。

この機体の最大の武装は実弾兵器が豊富であり、また、キラが作った連装式荷電粒子砲“春雷改”である。ビーム兵器一号機として、作られたこの武装は現専用機持ちにとっては最大の敵である。

 

「さぁ、ちゃっちゃか終わらせましょう?」

 

「そうだね、お姉ちゃん。私もこの機体で勝てるかどうか判らないけど、出来る事はするから‼」

 

二人はそう言うと、自身の武装を構える。楯無はジャベリンを。簪は春雷改を構える。

 

一方のキラ達は、先程同然、何もしない。ただ構えもしていない状態であった。だが、油断するほど二人は弱くは無かった。今までもキラとアスランの戦い方を研究し、独自の戦闘技術を隠れながら行っていた。

それを発揮するのが今であると二人は考えていた。

 

「行くよ、簪ちゃん」

 

「うん‼」

 

二人は一気にキラ達に迫って行く。そして、楯無はキラへ、簪はアスランへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キラと楯無の戦闘は今までの中で激しさが凄まじさであった。楯無のジャベリンに内蔵されているガトリングが火を噴く。だが、キラは油断した。楯無から見せて貰った情報は実弾を発射させるだけであった。

しかし、このジャベリンには簪と共同で製作した武器。となれば、春雷の構造を知っている簪がジャベリンを改造し、ビーム兵器へと変貌させていた。

そして、一年専用機持ちが誰一人ダメージを与えられなかったキラに、初めてダメージを与えた。

 

「やったわ‼ 誰も成しえなかったダメージを与えられたわ‼」

 

楯無はそれだけでも嬉しかった。この人に一撃を与えられるのは自分だと。誰にも判らせる為でもあった。

しかし、現実はそう甘くは無い。

キラに当てたダメージは微々たるもの。一割も満たないダメージであった。

 

「楯無さん。ここから本気で行きます」

 

「えっ?」

 

キラの放った言葉は、楯無を驚愕に変える言葉であった。そして、驚きの言葉を放った瞬間、楯無は暗闇へと転じてしまったのであった。

 

キラが楯無にした事は簡単な事である。ドラグーンをすべて射出し楯無を包囲させると一斉攻撃をしただけである。それにより、楯無の機体のダメージは極限に達し機体を維持できなくなり量子変換されISスーツを着ただけの楯無が現れ地上へ向けて落下する。

キラは楯無をゆっくりと抱えるとそのままピットへと戻り、楯無をゆっくりと降ろすと機体を量子変換させる。

 

「どうして……戻ったの?」

 

「僕は誰も傷つけたくないです。それが僕のエゴなのかも知れません。ですが、僕は貴女を………明日菜ちゃんと一緒に暮らしたい。僕はいつの間にか貴方の虜にされてしまった。だから………僕と結婚を前提にお付き合いをしてくれませんか?」

 

キラは渾身の自分の想いを楯無にぶつける。それは今まで一緒に暮らしてきた楯無に対する思いを、嘘偽りなくぶつけた。

 

「私は………独占欲の強い女よ。それでも良いの?」

 

「はい。僕は貴女しかいません」

 

「私って嫉妬深い女よ?」

 

「知ってます」

 

「私は………私は…ッ⁉」

 

楯無の言葉を遮る様にキラは口を塞いだ。自身の口で。

 

「………こんな私で良いのだったら、よろしくね?」

 

「はい‼」

 

「パパ‼ ママ‼」

 

ピットの入り口に一人娘の明日菜が立っていた。それの後ろでは虚が微笑みを浮かべ、明日菜を押し出した。

明日菜は押された事により少しよろけたが、すぐに持ち直しキラと楯無の元へ向かった。

二人も明日菜が来た事に驚いたが、すぐに表情を笑顔にして明日菜を抱きしめた。

 

「パパ‼ ママ‼」

 

「そうだよ、僕がパパに」

 

「そして私がママになってあげるよ」

 

「うん…うん‼」

 

キラと楯無、明日菜は一つの家族になった。これを見つめるのは虚だけでは無かった。千冬や真耶が微笑みを浮かべながら見つめていた。

 

「キラ君、私……あなたと出会えて良かった」

 

「僕もです」

 

楯無とキラはお互いに見つめると、口づけをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスランと簪の戦いはアスランが優勢であった。

簪の春雷の威力はキラのストライカーパックの一部であるランチャーパックのアグニに近い威力を持っている。

しかし、ジャスティスの前ではその威力を発揮する事は出来なかった。

 

「当たらない‼ どうして……ッ‼」

 

簪は攻撃が当たらない事に焦っていた。

 

「このままじゃ………一か八かやってみる‼ ロックオンシステム起動‼」

 

簪の専用機である打鉄弐式の後方に設置されているミサイル発射装置の蓋が開くと同時に、簪の網膜にターゲットリングが現れる。

 

「山嵐、全弾発射‼」

 

簪の掛け声と共にミサイルが発射される。その数96発。

アスランはジャスティスの近接防御機関砲でミサイルを破壊していき、また、ビームライフルやビーム砲で応戦していった。だが、それでも撃ち漏れは起きてしまう。アスランが撃ち漏らしたミサイルは全てジャスティスに命中した。

アスランはこの時、自分がダメージを負っている事に初めて気が付いた。

それもその筈である。ミサイルはミサイルでも、ただのミサイルでは無い。ミサイルの内部には楯無のナノマテリアルに近い成分が入っている。

それにより、炸裂した際にアスランのジャスティスにダメージを負わせたのだった。

ただし、楯無同様にダメージの数量的には一割も満たない結果であったが、それでも簪は小躍りをしそうになった。だが、相手を油断するつもりは無かった。

 

「簪、少し本気を出すぞ?」

 

「えっ?」

 

アスランはそう言うとジャスティスの速度を上げ、ビームサーベルを取り出すと連結させ擦れ違い狭間に斬り付けた。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ‼」

 

簪はこれには堪らず叫び声を上げた。それもその筈である。殺気を感じ避けれたと思った瞬間に斬り付けられたのだ。

だが、アスランの攻撃はそれに止まらず、簪の後ろに着くとビームライフルとファトゥムのビーム砲で簪を撃ち抜いたのであった。

簪はこの攻撃により機体が維持できなくなり量子変換され、ISスーツを着た状態で地上に向けて落下する。しかし、アスランはそれを見越したかのように簪の元に高速で向かうと、傷がつかない様にゆっくりと抱え込み、簪の顔を覗き込む。

しかし、当の本人は気絶しておりアスランはキラと同じピットに向かう。

そして、簪を床にそっと横たわらせ、自身の機体を量子変換させた。

 

「う……うーん………あっ私負けたんだ」

 

「気が付いたか?」

 

「あ、ザラ君………私…負けたんだね?」

 

「ああ」

 

アスランの言葉を聞き簪は泣きそうになる。だが、アスランはそっと簪を胸に抱きしめた。

 

「えっ?」

 

「負けたが、それでも俺にダメージを与えたんだ。誇っても良いんじゃないのか?」

 

「ッ⁉ うん‼ うん‼」

 

簪は目尻に涙を溜めアスランを抱きしめた。

 

「簪、後で大事な話があるんだ。聞いてくれるか?」

 

「えっ……それって………」

 

「後でだ………あそこを見てみろ」

 

アスランが指さしたところを簪が目を向けると、そこにはキラと楯無、明日菜が抱き合っていた。

 

「あれを見てしまうと………少し恥ずかしくてな」

 

「フフフ、そうだね。でも、お姉ちゃん、嬉しそう」

 

「そうだな……(キラ、良かったな。お前の傷が少しでも癒える事を願っているぞ)」

 

アスランはキラがこれまでの戦いで心が傷ついている事を知っていた。ラクスがいない今、キラの心により添えれるのは楯無だと感じ取っていたアスランは、喜んでいた。そして、自身にも同じことが言えるのであるが、それでも護りたい人が今、胸の中でいる。

それが知れただけでもアスランは喜びを感じていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

この戦闘を見ていた笠松理事長は正式にキラ達二人に本来の専用機の使用を認め、千冬同様の指揮権を与えた。

そして、ビーム兵器の製造をお願いするのであった。




キラとアスランは漸く自分達が心からより添えれる人物を見付けた。
しかし、世界は戦争への道を歩んでいた。
世界はいつになったら平和になるのか‼

次回~世界の思惑

光りを取り戻せ‼ ガンダム‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらどしどし送ってください‼











「万死に値する‼」

君もお呼びじゃないです………あれ?

「狙い撃つぜ‼」

ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ‼




一部、間違っている所がありましたので修正を行いました。


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第三十九話

書き上げてやったぜ‼

お気に入り登録が440件超えました‼ 何があったし⁉ なんでこうなったんだ?



因みにシャルロットの新しい剣が現れます。


キラとアスランの専用機を巡る戦闘が終了したその日の夜。アスランはIS学園の屋上に簪を呼び出していた。

 

「待った?」

 

「いや、大丈夫だ。俺も先ほど着いたばかりだからな………嘘だ」

 

簪の眼差しにアスランは降参のポーズを取り、簪が来る一時間前に来ていた事を話した。

 

「もっと私も早く来ればよかったね。ごめんねザラ君」

 

「いや、呼び出したのは俺の方だ。君よりも早く来るのが普通だろ?」

 

「そう……だね。それで………話ってなに?」

 

「ああ、そうだったな。あの時に本当は伝えたかったんだ。だけど、キラ達の状況を見てしまったら、自分があの場所で言うのが恥ずかしくなった…………この言葉はもう会えない彼女に言った言葉だが、君にも言おうと思う」

 

アスランはそう言うと簪の腕を引っ張り抱き寄せた。

 

「えっ? ざ、ザラ君⁉」

 

「この世界で君に会えて良かった」

 

「ッ‼」

 

「君は俺が護る」

 

「(白馬の王子さまみたい………)」

 

簪とアスランはしばらく見つめ合うと、どちらからでもなく口を合わせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラ、良かったのか?」

 

「何が?」

 

「あれだよ、あれ」

 

屋上の扉から覗き見る不審な目が四つあった。キラと一夏である。

 

「なんか覗き見たいじゃないか」

 

「覗きなんだけどね?」

 

「いや、そう言う事を言っているんじゃなくてだな………あっ」

 

「えっ?」

 

一夏の言葉にキラが目を移すとそこには良い笑顔でキラ達を見つめるアスランがいた。

 

「見つかった………終わったな俺達」

 

「何を言っているんだい? 元々計画の内なんだけど?」

 

「は?」

 

キラの言葉に一夏は間抜けな声を出す。

 

「キラ、楯無さんと明日菜ちゃんはどうした?」

 

「二人とも眠ったよ」

 

「そうか」

 

アスランの問いかけに応えながらキラは扉を開け、アスランの元に向かう。

 

「簪さん、ごめんね?」

 

「良い。さっきは良い物を見れたから」

 

キラが謝ると簪は特に気にしていない様子で答えた。

 

「さて、一夏」

 

「お、おう‼」

 

「これから君には一つの可能性を話す。これは真剣に聞いてほしい」

 

「………判った」

 

アスランの表情と声に一夏も真剣な表情へと切り替わる。

 

「この先、IS学園は戦争に巻き込まれる可能性が高い」

 

「どう言う事だ? ISは戦争に使用されない様にアラスカ条約と言うものがあるのじゃないのか?」

 

「話は最後まで聞け」

 

「ッ⁉」

 

一夏の言葉にアスランも声が張る。

 

「ここだけの話だが………今、某国企業とロゴスが手を組む動きが見られている。一夏、ロゴスがどう言う会社なのか判っているか?」

 

「薬品とか日常用品とかを売っている会社だろ?」

 

「ああ、表向きにはな。裏では、戦争を起こそうとISを軍用機仕様のISを製造している。いや、正確にはISでは無いな。MSIS………これがしっくりくる響きだな。これを見てみろ」

 

アスランはそう言うと懐から一枚の写真を一夏に手渡した。そこには五機のISのような形をした機体が映し出されていた。

 

「これは?」

 

「右からストライク、デュエル、バスター、ブリッツ、イージス。ストライクとイージスは俺とキラの機体を見て判ると思うが、俺達の機体では無い。どこが違うか判るか?」

 

「………ストライクだっけ? キラの専用機を見たがこの写真に写っているストライクは肩の部分にスラスターの様な物が付けられている。イージスに至っては形が違う。それぐらいか?」

 

「正解だ。当たっている。この写真に写っている機体の名前はストライクE、ブルデュエル、ヴェルデバスター、ネロブリッツ、ロッソイージスと言う。俺達の知っている機体では無い」

 

「どうしてアスランとキラが知っているんだ?」

 

「「………」」

 

一夏の質問にキラ達は答えられない。なぜならば、キラ達がこの世界とは別の世界から来ている事を一夏は知らないからである。

 

「それは極秘事項に当たる事だから、簡単に話す事は出来ない。それと、明日からお前を鍛える事になった。どう言う意味か判るか?」

 

「………判らない」

 

一夏の言葉にキラとアスランは大きなため息を吐く。

 

「今の世界で男性操縦者は誰だ?」

 

「俺とキラ、アスランの三人だけじゃないのか?」

 

「そうだ。だが、それを許さないとしている組織があるとしたら?」

 

「俺達が狙われると言う事か?」

 

「そう言う事だ。一夏、俺達にはバックがいない。自然と狙われるリスクが高い。だが、俺達は自分自身を護る力がある。だが、お前はどうだ?」

 

「………無い」

 

アスランの言葉に一夏は自分自身の持っている自分を護る為だけの力が無い事を痛感する。

 

「だからだ。俺達はお前自身が己を護れるだけの力を付けられる様に、俺達が力をつけさせてやる。俺は基本的に近接格闘、キラは中距離戦闘のスペシャリストだ。一夏、機体の得意とする距離は判るか?」

 

「近接武器しか載っていないから近接格闘じゃないのか?」

 

「当たっていると言えば当たっている。正確には超近接格闘向きの機体だ。雪片弐型しか搭載されていないのだろう?」

 

アスランの言葉に一夏は頷く。

 

「明日から本格的にISを使った訓練と生身での戦闘訓練を行う。良いな?」

 

「判った、よろしく頼む」

 

アスランの言葉に一夏は頭を下げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、キラ達はある人物を格納庫へと呼んでいた。

 

「キラ、アスラン。呼ばれたから来たんだけど………」

 

「待っていたよ、シャルロット」

 

格納庫の扉の前にはキラとアスランが立っており、呼ばれた人物。シャルロット・デュノアがキラ達の前に来ていた。

 

「どうして、僕は呼ばれたの?」

 

「君に新しい剣を渡そうと思ってね?」

 

「剣……えっ⁉」

 

キラの言葉にシャルロットは驚く。

 

「まぁ、まずは入ってからだね」

 

キラはそう言うと格納庫の扉を開け放つ。

開け放たられた格納庫内は漆黒の闇に包まれており、内部が見えない様になっていた。

 

「君に渡す新しい剣だよ」

 

キラがそう言うと格納庫内に火が付けられ、一機のISが鎮座しているのが判った。

 

「この機体は僕とアスランが今まで見てきた機体で、君に合った戦闘が出来る様に改造したISだよ」

 

「この機体にはISコアが入っていない。シャルロット。君のラファールのコアをそのまま使えれる様に設計をしている」

 

「ラファールを展開して?」

 

キラの言葉のままにシャルロットはラファール・リヴァイヴカスタムを展開すると、キラはコード等を接続していく。

 

「アスラン、そっちはどう?」

 

「こっちはいつでも行けるぞ?」

 

「判ったよ。じゃぁ、始めるよ。ラファールを新たな剣に変える変革をね‼」

 

キラがそう言うとラファールの装甲からISコアだけが排出される。キラはコアを慎重に手に取り、新しい機体に挿入する。

 

「まぁ、これだけの作業なんだけど………シャルロット。機体に乗り込んで」

 

「う、うん」

 

キラに言われるままに新しい機体に乗り込むと、シャルロットは不思議な感覚になった。

 

「これって……」

 

「速いね、やっぱり君に合ったコアなんだね」

 

キラの前にはフィッティングを知らせるモニターがあるが、その内容は普通の倍以上の速さでフィッティングが行われている事が判った。

 

「さぁ、新しい機体の名を呼んであげて?」

 

「………リヴァイヴ。いつも君は僕と共にあったよね? これからも一緒だよ。だから、僕とこれからも一緒に飛んでね? いや、リヴァイヴじゃないね。君の名前は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラファール・ドラグーン‼」




シャルロットは新しい剣“ラファール・ドラグーン”を手にした。
だが、キラ達は知らなかった。IS学園の近くに艦隊が迫っている事に………

次回『修羅』

速さで敵を滅ぼせ、ドラグーン‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼











「また、新しいロボットですか‼」

「エル君がこんなにも輝いてる………可愛いわ‼」

「アディもエルもいつも通りだな」

なんで書こうとして書けない作品のキャラが?





判る人いるのかな~いない気がするのは俺だけか?


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第四十話

気が付けば四十話……これまでお付き合いして下さった皆様。感謝いたします。


シャルロットが新たな剣であるラファール・ドラグーンを手に入れた頃、ある組織では極秘会談が執り行われていた。

 

「それは本当ですか? 委員長」

 

「ええ、既にあそこに潜伏させている諜報員からの報告では、今の戦力では抗えないと言う事が判明しました」

 

「では、どうするのですか‼ このままあそこにすべての権力を集約させる訳には行かないでしょう‼」

 

「なら、貴様には良い案があると言う事なんだよな?」

 

「ウグッ‼ それは………」

 

「無いのであれば黙っておけ‼」

 

暗く誰の顔も判らない部屋に男女十名の人間が罵りあったり罵倒したりしていた。しかし、それを止める人物がいた。

 

「皆さん、どうか落ち着いてください。今は争っている場合では無い事はご存じのはずです。ここで争っているだけでは、何もいい案が思い浮かばないだけです。ここは冷静に話し合いをしましょう」

 

「そうだな……すまない」

 

「いやこちらこそ、申し訳ない」

 

一人の男性の言葉により場は争いの連鎖は無くなる。

 

「で、貴方がそう言うのであれば、何か案があると言う事ですな?」

 

「ええ、私に良い案があります」

 

机に肘を置き顔を伏せていた男性が顔を上げた。そこに映し出される瞳には野望の塊であった。

 

「私は此処に宣言します‼ 今、すべての敵を一つに纏める。そこは………IS学園です‼ これをご覧ください」

 

男性が立ち上がると同時にモニターが降りて来て、そこに一隻の艦を映し出す。

 

「これが我々、ペインが潜水機能を持たせ航空機の運用、そして戦艦として建造した最新鋭の戦闘艦“ミネルバ”です‼」

 

男性の声に、場にいた全員が感嘆の声を上げるのであった。

この戦闘艦がIS学園に刃を向けるのも時間の問題であった。

 

 

 

 

 

 

一方、IS学園ではシャルロットの部隊任命式が厳かに行われていた。

 

「これより、シャルロット・デュノアの部隊任命式を執り行う」

 

部隊の隊長を任されているキラを始めアスラン、アークエンジェルのクルーが並び立ち、壇上の上にはIS学園の理事長である笠松が立っていた。そして、クルーの後方には生徒会のメンバーが立っていた。

また、進行役は織斑千冬である。

 

「隠密武装隊“アークエンジェル”隊長、キラ・ヤマトから挨拶です」

 

千冬の言葉でキラは壇上の上に上がりマイクの前に立つ。

 

「キラ・ヤマトです。この部隊はIS学園の防衛として成り立っていますが、正確には世界が戦争に向かって行くのを阻止する為の部隊でもあります。今、世界は戦争への道を一歩づつ歩んでいる最中です。これは避けられない事なのかも知れません。しかし、僕達は出来るだけの事はするつもりでいます。その為の準備をしてきました。そして、今日。シャルロット・デュノアさんがこの部隊に任命される事になりました。嬉しく思う気持ち、悲しく思う気持ちの半分を自分は感じ取っています。そこで、今ここでシャルロット・デュノアさんに質問します。貴女は人を殺せますか? この答えを今、答えてほしいです」

 

キラのいきなりの質問にシャルロットは驚く。しかし、その瞳には既に決まっているかの様な瞳をしていた。

 

「僕は、致し方が無い時には人を殺します。でも、復讐からの気持ちではありません。最初は復讐心が強くありました。でも、キラやアスランから僕の新しい剣を貰って改めて感じました。復讐ではこの機体が悲しむと。

だから、僕は人を殺したくはない。でも、そんな綺麗事で済む話で無い事は重々、承知しています。これが僕のキラに対する答えです」

 

シャルロットの真っ直ぐな気持ちを感じたキラは一回頷くと、言葉を締めくくった。

 

「判りました。正式に部隊に任命します。これで、僕からの挨拶を終わりにします」

 

挨拶を終えたキラが壇上から降りる。それと入れ替えに理事長である笠松がマイクの前に立った。

 

「この先に待っているのは戦争です。ロゴスを始め某国企業、女性権利団体、そして、国際IS委員会までもが敵になろうとしています。既に四つの団体は屈託する形で、この学園を更地へと変貌させるための作戦を組んでいると言う情報を掴みました」

 

笠松の言葉に誰もが真剣な表情で聞いていた。

 

「ここに私、笠松東二が宣言します。我々、国際IS学園は完全にどの国家にも属さず、中立である事を。武力を持って対峙するのであれば、それ相当の覚悟をしろと。そして、正式にアークエンジェルをIS学園の専属艦にします。それに伴い、アークエンジェル隊は現時刻を持ってIS学園専属特別武装隊と言う名称に変更します。人事については追ってお知らせします」

 

笠松はそう言って壇上から降りて行く。

 

「これを持って、すべての任命式を終えます。各自、戻る様に」

 

最後に千冬の言葉で締め括られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達が食堂に戻ると、そこには沢山の生徒達でごった返しになっており、全員が見る先には大型のモニターであった。

そこに映し出されている物に、キラ達は驚愕する。

 

『只今、入ったニュースです‼ フランスが何者かの襲撃により、壊滅状態に陥りました‼ これにより国際IS委員会は緊急事態宣言を発令し、各国家の代表、代表候補生を臨時部隊に編入させるとの事です‼ また、イギリス、ドイツも軍を派遣し対応に当たると言う事です‼』

 

このニュースは学生たちに大きな衝撃を与える結果となった。また、フランスのデュノア社が先日にも襲撃に遭い壊滅に陥った矢先であった。

 

「キラ‼」

 

「判ってる‼」

 

アスランとキラは直ぐに学園長室へと向かった。

 

「キラ、アスラン‼」

 

シャルロットも急いでキラ達の後を追う。

それを陰から見つめる一人の少女がいた事にキラ達は気付かなかった。しかし、その少女が敵なのか味方なのかは後々に判る事であった。

 

 

 

 

キラ達三人は学園に隣接された建物内部に入る。しかし、そこは許された者達だけが入れる場所でもあった。

しかし、キラとアスランはそれを知ってか、建物内部に入って行く。だが、誰も止める者はいなかった。それはキラ達が専属武装隊と言う事を知らしめている結果であった。

 

「キラ‼ アスラン‼」

 

「シャルロットは楯無さん達のとこで待ってて。僕達が状況を確認後、直ぐに連絡するから‼」

 

キラはシャルロットの悲痛な声に安心させるかのような音色で指示を出す。

 

「キラ………」

 

シャルロットは建物内部には入らず入り口で祈るかのように手を合わせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

学園長室内部では既にキラ達が到着する前に、織斑千冬と山田麻耶が笠松と緊急会議を行っている最中であった。

 

「学園長、委員会からは何か達しはありましたか?」

 

「いえ、今の所は何もありません。しかし、妙ですね…」

 

「妙、と言うと?」

 

笠松の言葉に千冬は尋ねる。

 

「よく考えて下さい? 先日にもデュノア社が襲撃に遭ったばっかりです。立て続けに襲撃などあり得ますか?」

 

「そう言われてみればそうですね………何者かが、この襲撃に関与していると学園長はお考えですか?」

 

「そうとしか考えられないでしょう………ですが、判っていますね、織斑先生?」

 

「………ええ、先日のデュノア社の襲撃と今回の襲撃について篠ノ之束は関与はしていない筈です」

 

笠松の言葉に千冬は、親友である束が関与していない事を断言した。

 

「あいつにとって、今回の襲撃やデュノア社の襲撃にメリットが全くと言って良い程にありませんから」

 

「………ですが、それを委員会が判っているかは、判りませんが」

 

「そうですね」

 

千冬がそう言うと、学園長室の扉が強い力でノックされる。

 

「誰だ‼」

 

『IS学園専属特別武装隊“アークエンジェル”隊、隊長のキラ・ヤマトと副隊長のアスラン・ザラです。お話したい事があります‼』

 

千冬の怒声にキラ達が扉越しで、自分達の事を名乗った。

千冬は一度、笠松の方を向くと一回頷いた為、内部へ入れる事にした。

 

「入れ‼」

 

「「失礼します」」

 

千冬の言葉でキラ達二人は敬礼をしながら学園長室へと入る。

 

「どうしましたか?」

 

「どうもこうもありません。我々の出撃を許可を願います」

 

笠松に具申するキラに、笠松はやはりかと言う思いであった。大々的にニュースとなった今回のフランスの襲撃は既にキラ達も知っていると踏んでいた。その為、いつ来ても良い様に待ち構えていたのだった。

 

「やはりお二人は今回の事を知ってしまいましたか………」

 

「任命式の後、僕達は食堂に戻ると全員がニュースを見ていました」

 

「これにより、大規模な混乱が起きると思われます」

 

「学園長、我々の出撃の許可を‼」

 

「ただ、指を銜えて見ているだけでは武装隊の名が泣きます‼」

 

笠松は二人の言葉を聞き、少し考えだす。それもその筈である。学園は武装隊を持つ必要性が無い。もし、持つと言う事になればそれは委員会に背く結果になってしまう事が、目に見えているからである。

しかし、キラ達の言い分も判る。

 

「もう少し、待って下さい。情報がまだ揃っていない状況で君たちを危険に晒す事は避けたいのです」

 

「それは百も承知です‼ ですがこのまま見ているだけと言う事になれば隣国である、イギリス、ドイツ等が襲撃に遭う事は目に見えています‼」

 

「学園長‼ もしこのまま見逃す結果となれば、全世界が混迷の闇に包まれるのも時間の問題です‼」

 

キラとアスランの剣幕に誰も反論出来なかった。

そして、学園長である笠松は決断をした。

 

「判りました。国際IS学園所属特別武装隊の出撃を認めます。ですが、出撃は敵がそのくらいの規模なのかが判り次第です。それは譲れません」

 

「「………判りました」」

 

笠松の言葉にキラ達は頷くのであった。




シャルロットの故郷であるフランスが何者かによって襲撃に遭った。
それは、誰による陰謀なのか………
キラ達、国際IS学園所属特別武装隊“アークエンジェル”は準備を整え、出撃できる用意をしていた。

次回~陰謀者

闇を切り開け‼ フリーダム‼


誤字脱字、感想、指摘等ありましたら、よろしくお願いします‼


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第四十一話

この作品では明けましておめでとうございますになりますね。
今年もよろしくお願いします‼

さて、既にこの作品のお気に入り件数が452件になっていました。
何があったし⁉


と言う事で、本編へどうぞ‼


フランスが何者かによって襲撃を受け、三日の月日が経った。

既に委員会は、救援と言う形でフランスに入っており、救助や復興支援等を行っていた。その中には委員会が新造した陸上揚陸艦“ミネルバ”の姿もあった。

 

「艦長、誰がこんな事をしたんでしょうかね?」

 

「さぁ、私には判らないわ。でも、私達の任務はここの支援を行う事よ。それを忘れないでね」

 

「はい」

 

ミネルバの艦橋には二人の男女が作業を見つめていた。

 

「(でも、どうして戦争はするのかしら?)」

 

「艦長?」

 

「何かしら?」

 

「いえ、作業を進めていた部隊から連絡がありまして………」

 

男性からの言葉に女性は何事かと考えた。

 

「何かあったの?」

 

「いえ、部隊からの報告ではフランスの大企業、デュノア社跡地の地下に研究所らしきものがあると報告がありました」

 

「研究所? どの企業でもあるものでしょ?」

 

「いえ、それが………」

 

「何よ、早く言いなさい‼」

 

「は、はい‼ 研究所内には夥しい数の子供の死体があったと言う事です‼」

 

「なんですって⁉ 早く連れて行きなさい」

 

「えっ? でも、艦長は………」

 

女性の言葉に男性は困惑する。それもその筈である。艦長が艦を離れる事はまず有り得ないからである。しかし、女性は何事も無く指示を出した。

 

「もしかしたら、今回の襲撃の手掛かりになるのかも知れないのよ‼」

 

「はい‼ 只今準備します‼」

 

女性の剣幕に男性は折れて、研究所へ向かう準備をするのであった。

 

「もしかして………今までのIS学園の襲撃にも関与していたと言うの、ギル」

 

女性は自分の上司の顔を思い浮かべるのであった。

 

 

 

 

一方、学園の方では通常通りに授業が進められていた。

だが、一部の生徒は授業の内容が耳に入っていない様子で、何度も教師に注意を受けていた。

その中にシャルロットの姿も見受けられた。しかし、彼女の場合はフランス襲撃の前に両親を殺されている。だが、キラ達のお陰で、普通の生活を送れるまでに回復した矢先に、フランス襲撃と言う事件が起きてしまい、また前に戻ってしまったのであった。

 

「キラ、どうにかする事は出来ないのか?」

 

「難しいね、こればっかりは………僕も声を掛けて見たけど生返事しか返って来なかった。シャルロットの傷は癒えないかも知れないね」

 

「なに、呑気な事を言っているんだ‼」

 

「僕にだって彼女の傷を癒してあげたいよ‼ でも、僕の力じゃ何も出来ないんだよ‼」

 

「キラ………」

 

キラの悲痛な叫びにアスランは何も言えなくなってしまう。

 

「キラ、アスラン」

 

「簪、どうかしたのか?」

 

キラとアスランを呼ぶ方を見ると、簪が何かを持っていた。

 

「これ、お姉ちゃんから渡してほしいって。シャルロットさんの傷を癒すのに役立つかもって」

 

「ありがとう、簪」

 

アスランは簪から受け取った封筒を見ると、裏にはアドミラーフとセイリーンの名前が書かれていた。

 

「キラ、これって………」

 

「彼女の両親からの手紙だね。でも、どうして楯無さんが持っているんだろ?」

 

「なんかね、お姉ちゃんが裏で受け取っていたみたいなの。自分達が何かあった時の為にって」

 

簪の言葉にキラ達は一つの希望が芽生えだした。

 

「行けるかも知れないぞ」

 

「そうだね‼」

 

「?」

 

キラとアスランの一言だけの会話に簪は付いて来れずにいた。

 

「ありがとう、簪さん。もしかしたらこれで彼女の傷が癒えるかもしれない‼」

 

キラはそう言うとシャルロットの元へと急ぐのであった。

 

 

 

 

「シャルロット‼」

 

「なに………キラ、アスラン」

 

キラの声に振り返ったシャルロット目は虚ろで、生気が全くと言って良い程に無い状態であった。

 

「君に渡しておかないといけない物があるんだ」

 

「僕に? 僕にはもう身寄りが無い状態なのに、どうして僕宛に来るのさ」

 

「それはこれを見てからにしろ」

 

シャルロットはアスランから手渡された物を見た瞬間、若干であったが瞳に生気が宿る。

 

「父……さんに母………さん………どうして……あの人達は死んだ筈だよね‼ 僕と約束した次の日に‼」

 

「それは、楯無さんが裏で受け取っていたらしいんだ。それも君と約束した翌日には届いてたと言う事なんだ。それは、さっき簪さんが僕達の手で渡してくれと伝えられてね」

 

シャルロットはすぐに封筒を開け、中身を取り出した。そこには一枚の手紙と一つの設計図のようなものであった。

 

『シャルロット、今までお前には嘘をついて来た。お前の産み親であるシルヴィアと義母であるセイリーンは友人同士で会った。

ただ、シルヴィアは貧困より上と言った家庭の人間でセイリーンは技術開発会社の一人娘だったがそれでも、二人の友好は尽きる事はなかった。

しかし、私とシルヴィアが交際を始めた頃、私の父が他界し、会社を継ぐ事になった。だが、経営は右肩下がりになってしまった。その時、資金を出してくれると言う会社が現れた。

それがセイリーンの父が経営している会社だったが、資金を出す上で条件があった。それが、シルヴィアと別れ一人娘であるセイリーンと結婚しろと言う命令だった。

私は嫌だった。彼女を捨ててまでも会社を守るつもりは無かった。しかし、彼女は何処で知ったのか、私の元から離れてしまい行方知れずになった。

私はセイリーンと共にシルヴィアの事を探した。そして見つかった頃には既に他界し、お前だけが残されてしまっていた。

そこで、私はセイリーンと相談した上でお前を引き取った。

セイリーンは子宮癌を患ってしまい、子宮を取り除いてしまった結果、子供を授かる事が出来なかった。親友であるシルヴィアの子供と言う事もあってか、きつく当たってしまったと毎日嘆いている日々で、一方の私もお前との接し方が判らず仕舞いで、距離を置いてしまっていた。

その事は申し訳なく思っている。いつの日か、お前とセイリーンで一緒にシルヴィアの墓参りに行こう。そして、一緒に思い出作りをしようか。それが私達に出来る事だと思っている。

だが、その前に私達は女性権利団体から狙われている身だ。そこで、第三世代機の設計図を預けておく。もし、私達の身に何かあれば、それを使いお前だけの専用機を作って欲しい。これが最初で最後のプレゼントになってしまうかも知れないが、そうならないことを切に願う』

 

そこで手紙は終わっていた。シャルロットの瞳は生気が戻って、涙を流していた。

 

「お父さん、義母さん……ありがとう」

 

シャルロットはそう呟くと、泣き崩れるのであった。




父と義母を亡くし、祖国を焼かれたシャルロット。生気を無くしただ生きていた彼女であったが、父からの手紙で生気を戻した。
そして最初で最後のプレゼントを手に、彼女は何を掴むのか‼

次回~第三世代機

叫べ、ワイバーン・ドラグーン‼

誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼




「なぁ、ゆり。そろそろ止めないか?」

「どうして? ここまで面白い事は無いわ‼ これでやっと神に「ここにどうしているの?」ゲッ⁉ 天使‼」

「逃げるぞ‼」

「逃がさないわ、ハンドソニック、VerⅡ」

「「ギャァァァァァァァァ‼」」

俺は何も知らないぞ。


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第四十二話

お待たせ致しました‼ 漸く書き上げたので投稿いたします‼


シャルロットはキラ達に渡された手紙によって、生きる力を取り戻せた。だが、フランスではデュノア社跡地の地下に研究所が眠っていた事が判明した。国際IS委員会から出向していたミネルバの艦長、副長等がISの護衛を連れ研究所内に入っていた。

 

「艦長、これって………」

 

「人体実験………」

 

艦長、副長が目にした光景は、ガラスの容器内に子供が蹲った状態で死んでいる光景であった。

 

「デュノア社はどれだけの闇を抱えていたの」

 

「………これだけの事をしておいてノウノウと生きている娘をこのままにしておいて良いのですか‼」

 

「それを決めるのは上の仕事よ。私達が今しないといけない事は何?」

 

「それは………」

 

艦長の言葉に副長は何も言えなくなる。

 

「これからが本番ね」

 

「艦長?」

 

「戻るわよ」

 

「ハッ‼」

 

艦長たちはミネルバの元へと戻る。

 

 

 

 

 

一方、IS学園ではアドミラーフから送られたデータをキラ達の手によってラファール・ドラグーンに入れられていた。

 

「キラ、そっちはどうだ?」

 

「僕の方はもう少しで終わるよ」

 

「シャルロット‼」

 

「うん‼ ドラグーン起動‼」

 

シャルロットはラファール・ドラグーンを起動させると、変化が起きる、機体が光り輝き、シャルロットを包み込んだ。

 

「やっぱりだね」

 

「ああ、二次移行(セカンドシフト)が起きたか………データの内容を見た瞬間に驚いたが、今までの事を考えてみたら当たり前だったな」

 

「これからが忙しくなるね」

 

「だが、それが楽しくもあるんだろ? キラ」

 

「フフ、そうだね」

 

キラ達の会話が終わると同時に光が収まり、そこにはまた新しい機体になったラファールの姿があった。

 

「機体名、ワイバーン・ドラグーン。これが僕の新しくなった機体なの?」

 

「そうだ。武装を確認したいからアリーナに行くぞ」

 

「判った。でも、キラ達は知っていたの,この事?」

 

「いや、俺達も半信半疑だった。データの内容を見た瞬間はな………だが、入れている最中に確信した。シャルロットの今までのデータや設計図を見てな」

 

「キラ、武装の中に一つ、疑問に思うものがあるんだけど………」

 

シャルロットはアリーナに向かう最中に武装の確認をしている時にある物に目が映る。

 

「それの確認も兼ねた試験だからね。そこで確認しよう」

 

「うん、分かった」

 

シャルロット達三人はそのままアリーナへと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

だが、その頃。IS学園の周辺には国籍不明の艦艇五隻が領海内に入ろうとしていた。

それを知った教師部隊がISを纏い、国籍不明の艦艇へと近づき、領海内から出るように促す所であった。

 

「国籍不明艦艇へ告ぐ。貴艦等は国際IS学園の領海侵犯を行っている。直ちに領海外へ出なさい」

 

IS部隊を率いている教師の一人が日本語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語など使い忠告を行った。しかし、国籍不明艦艇はそれでも尚、忠告を無視して領海内を我が物顔で入っていた。

 

「最終警告です。直ちに領海外へ出なさい。さもなければ、攻撃を行います。転進が見られなかった場合、攻撃を行います。最終警告です」

 

教師が最終警告を発すると、返答は国籍不明艦艇からの攻撃であった。

 

「IS学園へ報告‼ 国籍不明艦艇からの攻撃を確認‼ これより迎撃を行います‼」

 

教師が報告を終えると、国籍不明艦艇への攻撃が始まった。

これが後に、第一次IS学園襲撃事件へと発展するとは、この時、だれもが想像をしなかったのであった。

 

 

 

IS部隊の構成は、打鉄十機、ラファール十機の二十機で構成されている。

対して、不明艦艇は形状からして、イージス艦の分類に入るのだが、主砲が単装砲では無く、連装砲、三連装砲等色々であり、又、VLSも二基搭載されている物が多く見受けられていた。

それもその筈である。不明艦艇総てが、第二次世界大戦で使われていた軽巡洋艦を近代化改装を行い、イージス艦並みの性能を持っているからである。又、砲弾には対IS用砲弾が装填されている。

その結果、教師部隊の多くがエネルギー切れを起こし戦闘不能となってしまった。

 

「管制室‼ 管制室‼ 至急増援を求めます‼」

 

『了解、直ちに増援を送ります。残っている機体は何機ですか?』

 

「打鉄一機、ラファール三機です‼ このままでは、学園が蹂躙されてしまいます‼」

 

『増援が到達するまでの間は持ち堪えて下さい』

 

「善処します」

 

教師部隊の隊長は艦艇の側舷に回り込もうとした。だが、僚艦がそれを阻止するべく、対空火器をフル稼働させた。

 

「全機に告ぐ‼ 増援が来るわ‼ それまで持ち堪えて‼」

 

〈了解‼〉

 

隊長機は僚機に増援が来ることを告げた。だが、その時に隊長は思う。この学園に増援を送れるだけの機体はあるのかと。

答えはノーであり、イエスでもある。

 

『こちら管制室。全機に告ぐ。もう間も無く増援が到着する。繰り返す。もう間も無く増援が到着する』

 

管制室からの言葉に隊長を含めた全員が誰が来るのかと思い、後方を確認した。しかし、後方には誰も居なかった。

 

「管制室‼ 誰もいないじゃないか‼」

 

『海を確認してください』

 

「は?」

 

隊長機が海を見るとそこには白亜の物体が潜航していた。

 

「あれは……」

 

『確認できましたか? あれこそが我が学園に秘蔵された秘密兵器です』

 

管制室の言葉に誰もが言葉を失うのであった。

 

 

 

 

時を巻き戻し、学園の地下ドックに収容されているアークエンジェルの艦橋に学園から緊急連絡が入る。

 

「こちらアークエンジェル。学園、どうぞ」

 

『こちら管制室。緊急事態が発生しました。学園領海内に国名不明の艦艇五隻が入り、教師部隊が現在、戦闘中。教師部隊の半数が撃墜されました。これを受け、学園はアークエンジェルに出撃して頂きたい』

 

「判りました。艦長、副長、隊長に通達します」

 

『お願いします』

 

それを機に通信が終わる。

 

「こちらアークエンジェル艦橋、ミリアリアです。マリューさん、ムウさん、キラ聞こえる?」

 

『マリューです。どうかしたのですか?』

 

『ムウだ。何があった?』

 

『キラだけど、ミリィ。どうしたの?』

 

モニターに三人が映し出される。

マリューとムウは職員室で仕事をしている最中であったのか、周りには千冬や真耶、他の教師達も揃っていた。だが、全員がどこかソワソワしている風陰気を醸し出していた。

キラは、アスランとシャルロットがおり、シャルロットに至っては新たな機体を纏っていた。

 

「学園から緊急連絡です。至急戻って来て下さい」

 

『判ったわ、ムウと一緒に戻るわ』

 

『僕達はアリーナに向かう最中だったから、そこから出るね』

 

「お願いします」

 

ミリアリアの言葉で全員が頷き、通信が終わるのであった。




デュノア社の闇の部分を見付けた委員会所属の者達。だが、それは本当の闇では無かった。
一方、学園では脅威が迫っていた。
教師部隊が出撃するも半数が撃墜されてしまう事態に………
学園はアークエンジェルに増援を依頼し、アークエンジェルは出撃する事になった。


次回、第四十三話 『一撃必中』

学園を護れ、アークエンジェル‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております。



「ねぇ、なのは」

「なに? フェイトちゃん?」

「私達って出してもらえるのかな?」

「う~ん………出してもらった所で私達に当てられる機体は無いよ?」

「そうだよね………私も戦闘したいな………そろそろ戦闘しとかないと体重が……」

「そうだよね~、私も戦技教導官ばっかりだとね~そこの所、どうなの? 作者さん?」

出しても良いけど………機体を考えるのがメンドイ

「「ちょっとO★HA★NA★SIしよ」」

ギャァァァァ‼


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第四十三話

お待たせしました‼ 投稿します‼


時は戻り、管制室からアークエンジェルに応援要請の報告を、ミリアリアから受けたマリューとムウは、すぐにアークエンジェルへと戻った。

 

「状況は?」

 

「現在、学園領海内に侵犯した不明艦五隻により、教師部隊二十機で対応していましたが、現在は打鉄が一機、ラファール三機の四機のみで対応しています」

 

「ムウ、出れる状態にしておいて」

 

「判った」

 

マリューの言葉を受け、ムウはすぐに艦橋を出ると格納庫へと向かって行った。

 

「アークエンジェルはすぐに出せるの?」

 

「既に準備は整っています。後は艦長の命令を待つだけです」

 

マリューの質問にアーノルド・ノイマンが答える。

 

「流石ね……間に合うわね。指揮所に通信を」

 

マリューの言葉にミリアリアは、学園の管制室に通信を入れた。

 

『こちら学園管制室。アークエンジェルは発進できますか?』

 

「こちら、アークエンジェルです。いつでも出れます」

 

『お願いします』

 

「了解しました」

 

マリューの言葉に管制室にいた教師は「ご武運を」と言って通信を終えた。

 

「アークエンジェル、発進します‼ 発進後、上昇角30。ムウは離水後、直ぐに出撃して」

 

『了解した‼』

 

 

アークエンジェルは静かに機密ドックから出て行くのであった。

 

 

 

 

一方、キラ達はミリアリアからの通信後、機体を展開していた。

 

「キラ、行くぞ」

 

「うん‼ シャルロットも付いて来て。これは訓練じゃないよ」

 

「う、うん」

 

キラの言葉にシャルロットは不安を隠せなかった。

 

「安心しろ。何かあれば俺達がお前を護ってやる」

 

「お願いします」

 

あすらの言葉にシャルロットの不安は少し和らぐのだった。

 

「アスラン、シャルロット。ちょっと待って。織斑先生から通信が来た」

 

『こちら織斑だ。状況は知っているな?』

 

「「「はい」」」

 

千冬の言葉に三人は頷いた。

 

『ではこれより、作戦を開始する。専用機持ち達はこちらで引き付けておく。なんとしてでも、学園から脅威を排除してほしい』

 

「「「了解‼」」」

 

『気を付けろよ』

 

千冬はそう言うと、通信を切る。

 

「行くよ二人とも」

 

「おう‼」

 

「うん‼」

 

キラの声にアスランとシャルロットは勢い良く返事をした。

 

「キラ・ヤマト、フリーダム行きます‼」

 

「アスラン・ザラ、ジャスティス出る‼」

 

「シャルロット・デュノア、ワイバーン出ます‼」

 

三人は急上昇し、戦闘エリアに向かうのであった。

 

 

 

 

そして、時は戻る。

アークエンジェルが海中から姿を現し、海上を航行するのではなく、その上を航行していた。

 

「後部ミサイル発射管全弾、スレッジハマー装填、バリアント、ゴットフリート目標、未確認艦艇前方200」

 

マリューの指示でアークエンジェルの一部を除き、すべての武装が起動し、目標を定める。

 

「撃ぇぇ‼」

 

バリアント、ゴットフリート、対艦ミサイル“スレッジハマー”が火を噴き、未確認艦隊の前方200mに着弾する。

 

未確認艦隊も負けじと、アークエンジェルに目標を変え、攻撃を行い始める。

五隻から放たれたミサイル合計320発のミサイルが、アークエンジェルへと迫っていた。

 

「あんな数のミサイル、持たないわ‼」

 

教師部隊の一人が呟くが、それは杞憂であった。

アークエンジェルに搭載されている対空自動バルカン砲塔“イーゲルシュテルン”16基がミサイルを迎撃していた。また、艦橋後方に設置されているミサイル発射管から対空防御用であるミサイル“ヘルダート”が放たれ、ミサイルを迎撃して爆煙を上げる。

 

「な、なに………あの戦艦」

 

教師達は、目の前の光景に目が離せなかった。だが、一人の男性の声で意識が戻る。

 

『そこの教師部隊‼ さっさとアークエンジェルに入れ‼ 他の教師達は既に回収している。後はお前たちだけだぞ‼』

 

「「「は、はい‼」」」

 

残った教師達もすぐに踵を返し、アークエンジェルへと向かっていく。

だが、無情にも教師たちの上から、ビームが舞い降り教師部隊に降り注ごうとしていた。

 

『チッ‼』

 

しかし、金色の全身装甲型ISが教師部隊の前に立ち、ビームを直に受け止めた。

 

『アカツキ‼』

 

だが、金色の全身装甲型ISに当たったビームは跳ね返された。

 

『不可能を可能にする男、ムウ・ラ・フラガ‼ こんな攻撃じゃ、簡単に堕ちはしない‼』

 

この光景を目にした教師部隊は、目の前の機体に釘つけであった。

 

『何をしている‼ さっさと行け‼』

 

教師部隊はすぐにアークエンジェルへと向かい始める。

 

 

 

 

ムウはビームが降った場所に目を凝らすと、そこには一機の全身装甲型ISが停空しているのを捕らえる。

 

「どこの機体だ?」

 

『…………』

 

ムウの問いに、未確認機体は答えなかった。

 

「まぁ、捕らえれば判る事だ‼」

 

ムウはアカツキを前進させ、未確認機体へと向かわせる。そして、バックパック“シラヌイ”に装備されているドラグーン7機をパージさせ、未確認機体へと向かわせた。

未確認機体も、アカツキから放たれたドラグーンを目視し、機体を動かした。

 

「お前はあの艦隊の仲間か‼」

 

『IS学園を排除する為に来た。いや、正確にはイレギュラーである男達を排除しに来た…』

 

「どう言う事だ‼」

 

『ISは女性だけのものだ‼ 男が乗って良い物では無い‼』

 

未確認機体は、肩に装備されている砲塔をパージさせ、ムウに向かわせた。

 

「ドラグーン⁉」

 

『そうだ、貴様やここにいるもう一人の男が乗っているISと同じドラグーンシステムを搭載している』

 

ムウと未確認機体は、それぞれのビームを回避しながら、通信を続けた。

 

「どこでその機体を手に入れた‼」

 

『我々のバックボーンが、私だけに渡してくださった最高の機体だ‼ 貴様なんかにやられはせん‼』

 

すると、未確認機体から放たれたドラグーンが、纏まったかに思われた瞬間、ビームが一つに纏められ、ムウに降り注ごうとした。

 

「残念だったな‼」

 

ムウは態と、そのビームを受け止めた。

 

「お返しするぜ‼」

 

アカツキに当たったビームは未確認機体へと反射される。

 

『ビームが反射される⁉ なら‼』

 

未確認機体は、反射されたビームを回避し、ビームライフルで攻撃をした。しかし、アカツキに搭載されている“ヤタノカガミ”により、ビーム兵器は反射されてしまう。

 

「こっちの番だぜ‼」

 

ムウはそう言うと、ドラグーンを四方八方に配置させ、未確認機体へと一斉掃射する。

 

『ガァァぁァァ‼』

 

一斉掃射されたビームを回避できなかった未確認機体は、四肢とスラスターを撃ち抜かれ、ダメージが一定量を超えた所為で、機体が量子変換された。

中にいた女性は、空中に投げ出され、重力によって海へと向かっていた。

 

「ここで見捨てるのもアレだしな…………それに情報を手に入れないといけないからな‼」

 

ムウは空中に投げ出された女性をゆっくりと抱えると、アークエンジェルへと戻る。

 

「…………どうして私を助ける‼ あのまま見捨てればよかったではないか‼」

 

「目覚めが悪いからな………それに、アンタ………まだ死にたくないんだろ?」

 

「ッ⁉」

 

ムウの言葉に肩を震わせる女性は、大人しくムウに抱えられアークエンジェルに収容されるのであった。




学園領海内に侵犯した未確認艦隊は、学園の武装隊旗艦であるアークエンジェルと対峙する。
一方、ムウと未確認機体とのタイマンは、ムウの勝利で収められる。
だが、未確認機体は無情にもまだ、数がありIS学園へと牙を向けようとした。

次回、インフィニット・ストラトス~蒼き天使と紅の騎士、第四十四話
「ザフト軍」

大地を駆け巡れ、ガイア‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼




「ところでさ、俺達の出番ってまだなのか?」

「一夏、我々は主人公では無くなってしまったんだ………諦めろ」

「でもよ、箒。このままだと俺達の存在が無くなるぜ? 楯無さんや簪は良いよな~キラ達の彼女なんだからさ…………俺達よりも出番が多いんじゃないか?」

「一夏…………諦めろ」

「オイ‼」

君たちの出番は次に出るよ~(天からの声

「「「「「「なに⁉」」」」」」

次回もよろしく‼

「「「「「「詳しく話せ‼」」」」」」

だが、断る‼


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第四十四話

お待たせしました。更新します‼


一方、キラ達は戦闘空域に到着するが、そこには、キラ達同様に全身装甲型ISが十機も停空していた。

 

「キラ、艦隊の他に見た事のある機体が居るんだが…………」

 

「本当だね~………僕達以外にもこの世界にきた住民がいると言う事だね」

 

「なに、呑気に話をしてるの⁉」

 

キラとアスランは目の前にいる機体が、見た事のある機体と知って呑気に話をしていた。シャルロットとしては、呑気に話をしている二人にツッコミを入れるのが精一杯であった。

 

「シャルロット、肩の力を抜いて」

 

「そうだぞ、幾ら実戦だからと言って俺達は油断をしているほど、マヌケでは」

 

「「無い‼」」

 

キラとアスランは、ビームライフルで先制攻撃をする。しかし、相手も手慣れの様で、回避されてしまう。

 

「まぁ、うまく行かないよね………アスラン」

 

「ああ、行くぞ‼」

 

キラとアスランはそれぞれの武装を持ち、未確認機体へと向かって行った。

 

「あれ? 僕必要なのかな?」

 

取り残されたシャルロットはそう呟くしかなかった。

 

 

 

 

キラ達と戦っている部隊の他にもう一つの部隊がIS学園へと向かっていた。その数は10機ほどであるが、その全てが、全身装甲型ISであり、その姿はキラ達の知っている機体であった。

 

「隊長、我々の任務は何ですか?」

 

「あそこにいる織斑一夏の抹殺だ」

 

「やったね‼ イレギュラーを排除するんだね‼」

 

「ああ、私達は神聖あるIS学園に男は不要。ならば、排除する他無い‼ 各員、行くぞ‼」

 

『ハッ‼』

 

部隊隊長の言葉に、隊員は返事をするとIS学園へ攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

 

IS学園は、攻撃を受けてからサイレンを鳴らした。

 

『全学生に通達‼ 学園は攻撃を受けている、専用機持ち以外は直ちに、シェルターへ向かえ‼ 専用機持ちは全員、第一アリーナに集合せよ‼ 繰り返す―――――』

 

いきなりのサイレンに戸惑いを見せる生徒がいたが、放送しているのが千冬と言う事もあってか、直ぐに避難を始めた。

一夏達もすぐに指定されたアリーナへ向かっていた。

 

「なんだよ、これは‼」

 

一夏が叫ぶが、誰もその事に咎めようとはしなかった。

 

「一夏、今はそれを言っている時間は無いのよ」

 

「判っている‼」

 

一夏達が第一アリーナに着くと、楯無を始め簪が既に待機しており、その近くには千冬の姿もあった。

 

「遅いぞ、お前たち‼」

 

千冬は出席簿ではなく、打鉄の待機状態である指輪が握られていた。

 

「千冬姉………もしかして出るのか?」

 

「当たり前だ。私とて、一人の教師だ。生徒だけを行かすほどの愚か者では無い」

 

千冬はそう言うと打鉄を起動させる。

打鉄を身に纏った千冬だが、その打鉄はそこらへんの量産機とは違っていた。腰には両方合わせて6振りの日本刀が装備され、背部には後付けの様なラックが取り付けられていた。そのラックには日本刀よりも一回り大きな刀が2振りが装備されていた。

 

「千冬姉………どんだけ近接格闘型なんだよ…………」

 

「私にはこれで十分だ。銃など扱いきれんでな………さぁ、行くぞ‼」

 

千冬の言葉の後に、全員が専用機を起動させる。

 

 

 

キラ達は未確認機体と交戦を始めていた。

だが、どの機体もキラ達にダメージを与える事無く、撃墜されてしまう。

 

「キラ、どの機体も連合の機体しか無いな………」

 

「そうだね…どうも引っ掛かるんだよね」

 

「どう言う意味だ?」

 

キラとアスランは攻撃の手を緩めず、会話をしていた。

 

「生命反応が一つもしないんだ」

 

「なに?」

 

キラに言われた通り、アスランはサーモグラフィーを見ると、未確認機から熱源がしない事に気付く。

 

「本当だな………キラ、手加減は要らないと言う事だな?」

 

「そう言う事になるね」

 

キラとアスランは機体のスピードを上げると、ビームサーベルで敵機を切り裂いて行く。

 

「粗方、片付いたな」

 

「そうだね……アークエンジェルは無事だろうね」

 

「大佐がいるからな。アカツキを倒せる機体は、この世界には無いな」

 

「二人とも、何の話をしているの?」

 

キラ達はアークエンジェルが撃沈される事など、全く考えていなかった。そもそも、アークエンジェルには不沈艦と呼ばれる程、しぶとく生き抜いた戦艦である。そんじゃそこらの戦艦等に劣る事等、絶対にないのだ。

 

「シャルロット、アークエンジェルに戻るぞ」

 

「う、うん」

 

キラ達三人はアークエンジェルへと戻るのであった。

 

 

 

 

一方、IS学園では、攻防戦が始まろうとしていた。

 

「オルコット、後方で支援砲撃を、鳳、お前は織斑と一緒に近接攻撃を行え。ボーデヴィッヒ、オルコットと一緒に後方砲撃だ。楯無、遊撃隊として更識妹と一緒に戦え」

 

「織斑先生はどうされるんですか?」

 

「私か? フッ………私はお前たちの教師だ。無様にやられはせん。作戦開始だ‼」

 

千冬の言葉で防衛戦が始まる。一夏と鈴は突撃し未確認機と戦闘を開始し、援護射撃としてラウラとセシリアの二人による攻撃で一夏と鈴は攻撃がしやすくなった。

楯無と簪は遊撃隊として、他の機体に攻撃を開始した。

しかし、キラ達みたいに歴戦の戦士では無い彼らでは、太刀打ちする事が困難であった。

 

「一夏‼ 当てなさいよ‼」

 

「やってるけど………速過ぎるだろ‼」

 

『鈴さん、一夏さん。離れて下さい。ボーデヴィッヒさん。行きますわよ‼』

 

『フン、言われなくても判っている‼』

 

一夏と鈴が、セシリアの声でその場から離れると、セシリアのBT兵器とラウラのレールカノンが通り過ぎる。

BT兵器である“ブルーティアーズ”は独立された動きを見せ、敵を翻弄する。その間に、ラウラのレールカノンで、翻弄する敵を葬って逝った。

 

「やるじゃないの‼」

 

「流石だな………行くぞ、鈴‼」

 

「ええ‼」

 

一夏達もセシリア達に負けじと、勢いよく敵陣へと斬り込んで行くのであった。

 

 

一方、楯無と簪は状況を見ながら、それぞれの敵陣で戦闘をしていた。

 

「簪ちゃん、四時の方向にミサイル‼」

 

「うん‼ お姉ちゃん」

 

楯無の的確な指示で、簪はミサイルを放って行く。

 

「そこ‼」

 

楯無も簪が撃てない場所をカバーしていた。

 

「やるな、お前たち」

 

「「織斑先生‼」」

 

楯無と簪の戦闘を見た千冬は、腰に装備されている刀を手に取った。

 

「援護は任せたぞ‼」

 

「「了解‼」」

 

千冬は背中を更識姉妹に任せると、敵陣へと突っ込んでいくのであった。




学園は未曽有の襲撃に遭ってしまっていた。
キラ達、アークエンジェル隊も出撃して迎撃していたが、学園に直接、襲撃を仕掛けて来た部隊があった。
襲撃に対抗するべく、専用機持ちと千冬は出撃する。

次回、第四十五話
『終焉』

学園を護れ、ガンダム‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼


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第四十五話

なぜか、書き上げられましたwwww


アークエンジェルと未確認艦隊との戦闘は、終焉へと向かっていた。

 

「一気に殲滅します。ローエングリン起動‼」

 

「ローエングリン起動……一番、二番正常起動。チャージ開始します……」

 

マリューの指示により、アークエンジェルの最大武装である陽電子破城砲“ローエングリン”二門が姿を現した。

 

「撃ぇぇぇぇ‼」

 

ローエングリンから迸る光は、前方にいる未確認艦隊を呑み込み、砲撃が海に当たると水蒸気がユラユラと立ち上り、辺り一面を覆い隠した。

水蒸気が晴れると、アークエンジェルしか残されておらず、未確認艦隊はその姿を消し去っていた。

 

「敵のシグナル沈黙を確認。周辺に敵影無し」

 

ミリアリアからの報告にマリュー達はホッと胸を撫で下ろした。

 

「学園から連絡は?」

 

「ありません………状況変化‼ 学園が強襲されています‼」

 

「なんですって⁉ 急いで学園に戻ります‼ 学園に連絡をして頂戴‼」

 

「それが……何度もしていますが、応答が無いです」

 

「まさか………あの未確認艦隊は囮だとでもいうの‼」

 

マリューは自分達が出る事で、学園の護りが手薄になる事を知っている何者かによって、手引きされたと考える。

 

「キラ君達は‼」

 

「間も無く着艦します」

 

「通信を開いて」

 

マリューはミリアリアに指示を出し、モニターにキラが映し出される。

 

『こちら、キラです。何かありましたか? マリューさん』

 

「アークエンジェルへ戻らずに学園に戻って‼ 強襲されているわ」

 

『えっ⁉ 判りました。すぐに向かいます。アスラン‼』

 

キラは一方的に通信を切る。

 

「キラ君達、急いで……ムウ‼」

 

『話は聞いている。俺も今から出るぞ‼』

 

「お願い」

 

マリューは艦長席に設置されている受話器で、格納庫にいるムウに出撃を依頼するのであった。

 

 

 

 

キラ達はマリューからの報告を受け、アークエンジェルへ戻らずにその足で、学園へと戻る所であった。

 

「アスラン、シャルロット。話は聞いたね?」

 

「ああ、急ぐぞキラ‼」

 

「置いてかないでよ‼」

 

「掴まって‼」

 

キラとアスランは、急いで学園に戻るが、シャルロットのワイバーン・ドラグーンでは、キラ達のスピードに追い付けていなかった。

キラは手を差し出し、シャルロットを掴むとそのままスピードを上げる。

 

「こんな時にミーティアがあれば………」

 

「何物を願っても意味が無いだろ、キラ」

 

「だけど‼」

 

「口を動かす事より、学園に戻る事が先決だ」

 

「…………そうだね」

 

キラが言う通り、ストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスの追加武装である、モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機“ミーティア”を使えば、学園までは一気に行けるのだが、残念ながら母艦であるエターナルがいない事により、それが不可能であった。

だが、そこで奇跡が起きる。

キラとアスランの愛機であるストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスが輝き始める。

 

「これって………」

 

単一仕様特殊才能(ワンオフ・アブリティー)の輝きか‼」

 

キラ達の機体の輝き方は、ワンオフ・アブリティー特有の輝き方であった。

輝きが一気に増し、無くなるとそこには大型モジュールを装備したストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスの姿が現れた。

 

「これで」

 

「行ける‼」

 

「うわぁぁぁぁ⁉」

 

キラ達はミーティアが装備されて事に驚くが、それよりも先に学園へ向かう事を最優先にし、向かうのだが…………シャルロットからすれば、いきなりスピードが上がった事に驚くのであった。

 

 

 

 

学園では、千冬のお陰もあってか、敵の数も少なくなっていた。だが、それでも一夏達には慣れない戦闘の所為で、体力を消耗し動きが鈍くなっていた。

 

「クソッ‼ 数が減らねえ‼」

 

「ぼやいてないで、手を動かしなさい‼」

 

「数だけ至って‼」

 

「学園は護りますわ‼」

 

「お姉ちゃん‼」

 

「だ、大丈夫………」

 

一夏達はいつの間にか、固まる形に追い込まれ、千冬も同じように、一夏達と一緒になってしまっていた。

 

「敵は手慣れだな………打破する方法は無くはないが………」

 

千冬はこの状況を打破する方法を、思い付くが、それを使う者が疲れている状況では、意味が成さなかった。

 

「私もここまでか………」

 

千冬が呟くのも仕方が無い。最初、装備されていた六本の刀は、数を減らし、残り三本になっていた。

 

「良く持ってくれた………もう少し付き合ってもらうぞ‼」

 

千冬が敵に突撃しようとした時、アラートが全員に鳴り響いた。

 

「これは⁉」

 

『全員、その場から動かないで‼』

 

「ヤマトか‼」

 

『一気に殲滅する。動くなよ』

 

「ザラまでもか‼」

 

アラートが鳴った原因はキラ達であった。

キラ達の忠告通り、一夏達はその場から動かなかった。

 

『いっけぇぇぇぇ‼』

 

『当たれぇぇぇ‼』

 

キラとアスランの雄叫びが聞こえたかと思われた瞬間、一夏達の周りにいた敵機が、光に呑み込まれ消滅した。また、後方にいた敵機は、飛来したミサイルによって撃墜され、その数を減らしていった。

 

『無事か‼』

 

「キラにアスラン⁉ どうしてここに」

 

『それどころじゃない。お前たちは補給して来い。再出撃する前に終わってるがな』

 

「どう言う事だって…………なんじゃありゃぁぁ⁉」

 

一夏がアスランに問いただそうとした瞬間、一夏達の前に大型モジュールを装備したストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスが現れ、その場にいた全員が驚きの余り、口を大きく開け放っていた。

 

『織斑先生。ここは僕達に任せて下さい。それとシャルロットを頼みます』

 

「あ、ああ。二人だけで大丈夫なのか?」

 

『任せて下さい』

 

キラ達がその場を離れると同時に、シャルロットが一夏達の前に舞い降りた。だが、その姿が変わっていた事に全員が驚いていた。

 

「デュノア、その機体は何だ? ラファールはどうした?」

 

「父が残してくれたデータで、キラ達が組み上げてくれました。これが今の僕の専用機、“ワイバーン・ドラグーン”です」

 

シャルロットの言葉に、再度、全員が驚くのであった。

 

 

 

 

キラとアスランは一夏達を後にし、学園へと向かって来ていた敵機を目視していた。

 

「数が多いな」

 

「そうだね………でも」

 

「「今の俺/僕達には関係ない‼」」

 

キラ達のモニターには、敵機を一つ一つロックオンしていた。

 

「行くよ、アスラン」

 

「ああ‼」

 

ミーティアからミサイル発射管77基が開き、両舷のビーム砲、そして手に持つビーム砲から火を噴き、敵機を殲滅するのであった。

序とばかりに、後方で待機していた空母二隻も纏めて撃沈させるのであった。

 

 

 

 

これにより、未曽有の学園襲撃は終わりを告げるのだが、これが未だに序章だと言う事に、この時、誰もが思いもしなかったのであった。




キラとアスランは、単一仕様特殊才能によってミーティアが装備され、学園に襲撃して来た部隊を殲滅する事に成功する。
だが、まだ学園には脅威が迫って来ている事に、誰も気付いていなかった。

次回、第四十六話
「脅威」

脅威から学園を護れ‼ アークエンジェル‼



誤字脱字、感想、指摘、質問等あれば、受け付けております‼


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第四十六話

書き上げれたので投稿します。
復活キャラが二人出て来ますが、誰か判るかな?


IS学園強襲が全て終わった頃、とある国では会議が開かれていた。

 

「やはり、有人機であっても無駄であったか………」

 

「どうも、無人機自体も命令がワンパターンだった事もあってか、そこまで活躍はしなかったな………」

 

「艦隊もダメであった。これからどうするつもりだ? これ以上、予算を割く事は出来ないぞ?」

 

会議室内では、男性陣が頭を悩ませていた。

 

「特に、一機が鹵獲された。これだけでも痛手だぞ?」

 

「そうですね…………仕方が無いですね。ここはあの計画を使う他無い…と言う事ですね」

 

一人の男性が立ち上がり、自分に策ありと言った風に言い放つ。

 

「だが、それでは国が転覆しかねない事だぞ‼ 判っているのか‼ 貴様‼」

 

「では、貴方方にこれ以上の計画が立てられるのですか?」

 

『………………』

 

会議場内は、静かになる。誰も男性の言葉に反論できないからである。

 

「それでは、これからの計画は僕が主導で動きますので、邪魔だけはしないで下さいね」

 

そう言うと、男性は会議室を出て行くのであった。

残された男性たちは、先程の男性に対し、叩き始めた。

 

「あいつは国の大切さが判っていない‼ これでは国家が転覆するぞ‼」

 

「判っておる‼ だが、あいつの言っている事は間違っていない事が多く、反論が出来ないだ………」

 

「どうするつもりだ‼ これでは、あいつに国家を任せる事になってしまうぞ‼」

 

「ではどうしろと言うのだ‼ 我々の作戦は、既に失敗に終わっている‼ これ以上の損失をする訳にはいかないだろう‼」

 

会議場内では、それぞれの言い分を言いたい放題で、纏まりも無かった。

 

 

 

 

その頃、学園では襲撃の影響で、損傷した校舎の撤去作業が行われていた。

専用機持ちである一夏を始めとし、国家代表や代表候補生などが駆り出されていた。

アークエンジェルもそれに参加し、撤去作業は順調に進んでいた。

 

「織斑先生、進行状況はどうですか?」

 

「笠松理事長! 何とか進んでいます。これもヤマト達のお陰です」

 

「そうですか…………これで済むと思いますか? 織斑先生」

 

「………」

 

笠松の言葉に、千冬は答えられなかった。

 

「続くでしょう。必ず………力だけが全てでは無いと言う事を判って欲しいのですが…………」

 

「我々は何のために教師になったのでしょうか?」

 

千冬はそう言うと顔を下げ、泣きそうになる。

 

「………それは誰もが判らない事です。ですが、これだけは言えます」

 

笠松の言葉に千冬は顔を上げ、笠松を見る。

 

「何が正しくて何が間違っているのか。これを教えるのが、我々、教師の務めです」

 

笠松の言葉に千冬は少し、心が軽くなったように思えるのであった。

 

 

 

 

とある海中に一隻の潜水艦が航行していた。

篠ノ之束が乗艦している『シュルクーフ改Ⅱ』である。

 

「学園に襲撃をしてくるなんてね………アレも躍起になって来たのかな? それとも………」

 

「博士、どうしたんですか?」

 

「何か問題でもあったんですか?」

 

束は自前のパソコンに映し出されてる情報を見ながら、ボヤいていると、後ろから二人の青年の声がしたため、束はそちらへ意識を向けた。

 

「あっ、ニー君にトー君。丁度良かった。君たちにお願いがあるんだ」

 

「「お願い?」」

 

束のお願いに二人は顔を傾げる。

 

「そう、お願い。もう少ししたら二人の専用機が完成するの。そこで、君たちにはIS学園に行ってほしいんだ」

 

「まぁ、どう言う意図で言っているのか判りませんが………」

 

「それぐらいでしたら、良いですよ」

 

二人は束のお願いを承諾する。

 

「そうだ、君たちの専用機の情報はね……………あった。はい、コレ」

 

束は埋もれている書類の中から二枚の用紙を二人に渡した。

 

「ニー君の専用機は、持っていたブリッツを改修したLG-GAT-X207ネブラブリッツ。攻盾システム“トリケロス”はバージョンアップしたお陰で、単装だったビームライフルを連装型へ変更させ、そこにビームサーベルと併用させる事が出来る様になりました。三連装超高速運動体貫徹弾“ランサーダート”も威力を上げる事が出来たよ。それと、グレイプニールは、クロー部分にビームをコーティングしてあるからね。ストライカーパックのマガノイクタチが標準装備されているよ」

 

「ありがとうございます。ブリッツがこんなにも強化されるとは…………思っても見ませんでした」

 

ニー君と呼ばれた青年は、束の説明で強化されている事に感謝していた。

 

「そう言ってもらえると束さんも喜ぶよ………それじゃ、次にトー君の機体だけど…………見てもらった方が早いかな」

 

「…………そうですね。俺にはISは不向きです。ですが、この機体でも俺は戦えます‼」

 

束に言われトー君と呼ばれた青年は、資料を見ながら頷いた。

 

「うん。そう言うと思ったよ‼ トー君の機体はLG-ZGMF-X23Sヴァンセイバー。この機体は可変機構を取り入れていて、戦闘機状態へ変形する事が出来るよ。その時に、発生する身体の負担は全くないから安心して。それと、このヴァンセイバーにもマガノイクタチストライカーが標準装備されているの。マガノイクタチストライカーの役目は、飛行時に不安定にならない様にするもの。それでも、マガノイクタチストライカーとしての役目は使えるから安心して」

 

「はい、ありがとうございます‼」

 

トー君は束に頭を下げ、お礼をする。

 

「私はこの世界が嫌い。だけど、自分の親類が無闇に殺されるのを黙って見過ごせるほど、人間は止めてない。だから、二人とも。私に付いて来てくれる?」

 

「「はいっ‼」」

 

二人の返事に束は、目尻に涙を溜める。

 

「ありがとう……………さぁ、行こう‼ 私達の未来の為に‼」

 

「「おー‼」」

 

束の言葉に二人は拳を挙げながら、雄叫びを上げるのであった。




IS学園を強襲した、組織では内部分裂が起きようとしていた。
だが、次なる一手を持っている組織は、IS学園への襲撃を企てていた。

千冬は、自分が何のために教師になったのか、それが判らなくなってしまい不安な気持ちになるが、理事長である笠松の言葉で、少し和らぐ事が出来た。

そして、篠ノ之束は二人の青年にISを渡す。
これが、この先に待っている物が何なのか、それを知る者は誰もいない。

次回、第四十七話
『VTシステム』

一人の少女を助け出せ、ガンダム‼




「なのは……私達の出番は本当にあるのかな?」

「もう一つの作品で出るとかなんとか言ってた気がするけど………どうなの? 作者さん」

黙秘権を使います。

「「あると思うの?」」

ですよね~…………さらばッ‼

「あっ逃げた‼」

「追うよ、なのは‼」

「うん、フェイトちゃん‼」

待って、スターライトブレイカーとプラズマザンバーはムリ‼

「全力全開‼ スターライト………」

「雷光一閃‼ プラズマザンバー………」

「ウチも加勢するで‼」

「はやてちゃん‼」

「はやて………」

はやて⁉ ナンデ⁉

「ドウモ、作者サン…ハヤテデス………終焉の笛、ラグナロク‼」

「「「ブレイカァァァァァァァァ」」」

ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼




じ…次回を…………おたのし………みに…………………

「感想や」

「誤字脱字」

「指摘や質問あったら」

「「「よろしく(なの)‼」」」

俺のセリフ取るなぁぁぁぁぁ‼


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第四十七話

読者の皆さん、気付きました? まだこの話数で原作の二巻なんですよ。おかしいですよね~………何があったし⁉


未曽有のIS学園襲撃から、半月が経った。

IS学園は、校舎の一部を破壊されてしまったが、既に修復が成され、普段通りに授業が執り行われていた。

放課後、地下ドックで収容されているアークエンジェル内部では、今後の世界の情勢を視野に入れた会議が執り行われており、出席者には、アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアス、副長のムウ・ラ・フラガ、MSIS隊隊長のキラ・ヤマト、副隊長のアスラン・ザラ、隊員であるシャルロット・デュノア、IS学園理事長である笠松、IS学園防衛隊隊長の織斑千冬、副隊長の山田麻耶の計八名で、会議が行われていた。

 

「では、これより会議を行いたいと思います。現時点での、世界の動きはどうなっていますか?」

 

「はい、世界各国の情勢についてですが、アメリカはイスラエルと合同で軍用ISを開発する事が決まっています。フランスについては、現時点での動きは見られません。ドイツも同じく、動きを見せていませんが、いつ何をするか不明です。ロシアに至っては、何も動く様子は無く、現時点では敵対する事は無いと思われます。イギリスも同様です。日本ですが………何やら不穏な動きを見せていますが、現状は様子見をしようと思っています」

 

笠松の言葉にアスランが立ち上がり、現在の世界の動きを報告する。

 

「判りました。では、ヤマト隊長。ビーム兵器の生産についてはどうなっていますか?」

 

「ビーム兵器の製造ですが、現在、僕達のビームライフルをベースに、生産をしています。ですが、コストが高く、又、IS学園で所有している一部を除くISには不向きだと言う事が判明しています」

 

「それは痛いですね………ビーム兵器が使用可能な機体はあるのですか?」

 

「はい、IS学園に所属している僕達以外の専用機持ち達で見るのであれば、イギリスの代表候補生であるセシリア・オルコット、ドイツの代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒの二名のみです。織斑一夏の専用機である白式には、搭載可能ですが出力の関係上、直ぐにエネルギー切れを起こす事が判り、除外しています」

 

キラは立ち上がり、ビームライフルの製造と搭載できるメンバーを出していく。

 

「現在、俺達の本来の機体を使用していますが、今後の事も考え、新たに機体を製造したいと思っています」

 

「どう言う事ですか? 今の機体では対応する事が難しいと言う事ですか?」

 

「いえ、そう言う事を言っているのではないのです」

 

笠松の言葉にアスランが否定する。

 

「僕達の本来の機体、ストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスの後継機を製造したいと考えています。製造する機体のスペックと武装に関しては、このUSB内部に入っているので確認してください」

 

キラが手にしているUSBを笠松に渡す。

笠松は、近くに置いているパソコンにUSBを差し込むと中身を確認した。

 

「………良いでしょう。許可します。君たちはこの学園の防衛を任されている身。君たちが思う様にやってください。それと、整備室を一つ、譲渡します」

 

「了解しました。僕達が出来り得ることを最優先で行います」

 

「お願いします」

 

キラの言葉に笠松は大きく頷いた。

 

「では、来週より開催される学年別トーナメントについてです」

 

笠松は、「これが本題だ」と言う意気込みで話し出す。

 

「前回、未確認機体からの襲撃や、今回の襲撃を踏まえタッグ戦で行いたいと思います。異議ある者はいますか?」

 

笠松の言葉に誰も異議無しの表情であった。

 

「異議が無い様なので、このまま話を進めます。織斑先生と山田先生には警備の統括を行って頂きます」

 

「判りました」

 

「精一杯務めます」

 

千冬と真耶は、承諾する。

 

「次にラミアス先生とフラガ先生は、緊急時の指揮を頼みます」

 

「判りました」

 

「了解した」

 

マリューとムウも笠松の言葉に頷く。

 

「最後にキラ君達ですが、一応、生徒と言う形でいますので、トーナメントに参加して頂きます。ですが、お二人が組んでしまうと、誰も勝てないのでランダムで決めたいと思います」

 

「その方が良いと思います」

 

「俺も賛成です」

 

キラ達も笠松と同じ事を考えていたのか、賛成した。

 

「しかし、君たちはこの学園の防衛隊所属の身です。なので、緊急時は独断で行動してください」

 

「「了解‼」」

 

笠松の言葉にキラとアスランは立ち上がり、敬礼して答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、アリーナに鈴とセシリアの姿があった。

 

「あら? 鈴さんも特訓ですか?」

 

「そうよ、キラ達に負けてられない物」

 

「そうですわね………それで鈴さん。よろしければ、わたくしとタッグを組みませんか?」

 

「良いわね。私も丁度、アンタに頼もうかしらって思ってたところなのよ」

 

二人の意気は統合し不気味な笑いし始める。だが、そこに横やりを入れる者がいた。

 

「「⁉」」

 

二人は、砲弾が飛んで来た所を見ると、そこには漆黒の機体を纏ったラウラの姿が見受けられた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「何かご用ですか?」

 

ラウラの姿を見た鈴とセシリアは、いきなりの攻撃に怒りを覚えていた。

 

「中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズか……ふん、データで見た方がよっぽどの出来だな」

 

「何? やる気なの?」

 

「わたくしたちは、いつでもお相手になりますわよ」

 

ラウラの挑発に鈴とセシリアは乗っかってしまう。

それを見たラウラは、ニヤリと嗤う。

 

「高々、量産機に二人掛りでも倒せなかった奴が何を言っている。所詮、数くらいしか取り柄の無い国と、古いだけが取り柄の国だな。人員不足で、仕方が無く専用機持ちにでもさせてもらったのか?」

 

この言葉には鈴とセシリアの堪忍袋の緒が切れそうになる。

 

「そうですか………スクラップにされたいらしいわね」

 

「鈴さん、じゃんけんで先にやる方を決めせん事?」

 

「二人掛りで来い。所詮、雑魚が増えた所で、私が有利なのには変わらんからな」

 

完全に舐められている鈴とセシリアは、ラウラの明らかな挑発に、二人の堪忍袋の緒が切れた。

 

「舐められたものね………ぶっ殺す」

 

「寛容であるわたくしも流石に…これには怒りましたわ………死んでくださいまし」

 

「とっとと来い」

 

「「上等(じゃぁ、ゴラァ‼)」」

 

ISを使ったケンカが始まるのであった。




学年別トーナメントが開催されるIS学園。防衛の為、千冬を始め、アークエンジェル隊の面々が集まり会議を行う。
一方、鈴とセシリアはトーナメントに向けた訓練を始めようとし、ラウラの横やりで、ISを使ったケンカが始まろうとしていた。

次回、インフィニットストラトス~蒼き天使と紅の騎士。第四十八話
「VTS」

黒兎を助け出せ、キラ‼


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第四八話

約四ヶ月ぶりの更新ですね。遅くなりました。
リアルで、仕事やWot、WoSなんかやったり、艦これとかしていたら遅くなりました。
やっと、やっと扶桑をゲットしました‼(WoSにて)
艦これ? ああ、長門さん改Ⅱにしましたけど、ケッコンカッコカリもしてるしね‼


学園地下に収容されているアークエンジェル内部での会議が終了し、キラ達は校舎に戻ろうとしていた。

 

「キラ、話がある」

 

「気になる事でもあるの? アスラン」

 

「ああ、ここでは話せない内容だから、お前の部屋を貸してほしい」

 

「良いけど………楯無さんや明日菜ちゃんもいるけど、大丈夫なの?」

 

アスランからの要望にキラは、同室である楯無や明日菜に聞かせて大丈夫な無い様なのかを問う。

 

「ああ、いや……正確にはシャルロットや楯無さん、簪も交えて話がしたいんだ」

 

「………判ったよ、明日菜ちゃんは織斑先生に預けて待ってるから」

 

「頼む」

 

「アスラン………」

 

アスランはそう言うと、キラから離れて行く。キラはそんなアスランの背中を見て、嫌な予感を感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、鈴とセシリア対ラウラの対戦は、ラウラの一方的な攻撃により二人を苦しめていた。

 

「なんなのよ‼ アイツ……」

 

「口だけでは無かった………と言う事ですわね」

 

二人はラウラからの攻撃を躱していたが、それでも軍属であるラウラの力は、二人よりも上であった。

 

「どうした? 私にダメージが入ってないのだが? それとも…ここで降参するつもりか?」

 

「そんな訳無いでしょう?」

 

「何を仰いますか………わたくし達を舐めないで下さいまし‼」

 

鈴を先頭にセシリアが後方から攻撃と、マニュアル通りの戦法を取るが、ラウラはその対策も怠っていなかった。

 

「何かをするかと思えば………唯のマニュアルに従って戦っているだけでは無いか‼」

 

ラウラは先に鈴よりもセシリアを倒す為、機体を瞬間加速させセシリアに迫る。

 

「遅い」

 

「なっ⁉」

 

いきなり目の前にラウラが来た事に驚いてしまったセシリアは、気を抜いてしまいラウラの専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンに装備されているリニアカノンに撃たれてしまう。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ‼」

 

「セシリア⁉ アンタよくも………なっ⁉」

 

セシリアが攻撃された事に激怒した鈴は、ラウラの方を向くが既にラウラは離れた後であった。

 

「どこに……「ここだ」えっ?」

 

鈴はラウラの姿を捉えようと、全方向を向くがラウラの姿を捉える事が出来ずにいた。しかし、その瞬間、自分の上からラウラの声がした為、上を向こうとした瞬間、身体が動かなくなってしまう。

 

「ど…う言う………事…………なの……」

 

「お前たちの機体では、私のシュヴァルツェア・レーゲンに勝つ事は不可能だ」

 

「何を根拠に「決まっている。力ある者が最強だ。故に、私は力を持っている。だからこそ、お前たちを圧倒させれるのだ」………そうね………力ある者が強者。それは間違ってないわ」

 

「鈴さん⁉」

 

鈴はラウラの言葉を肯定する。自分には力が無いと言う訳では無い。ISと言う兵器を使う力を纏うだけの力が無いと感じていたからである。

 

「でもね……一つだけ言っといてあげる。アンタのその力は、唯の暴力でしかないのよ‼」

 

「クッ⁉ この雑魚風情が私にそんな舐めた口を叩くなぁぁぁぁぁぁ‼」

 

鈴に言われた言葉にラウラは切れ、至近距離からリニアカノンの砲弾を鈴に直撃させる。鈴は砲撃を受け、甲龍がボロボロになるのを感じながら、後ろへと吹き飛ばされてしまう。

鈴は視界にラウラが迫っているのを目にし、諦めを覚えていた。

 

「(一夏……助けて)」

 

「鈴さぁぁぁぁぁぁぁぁん‼」

 

「死ねぇぇぇぇ‼」

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンのレーザー刀が鈴に迫ろうとした瞬間、一機のISが鈴とラウラの間に割り込んできた。

 

「やらせねぇ、俺の仲間は絶対にやらせねぇ‼」

 

一夏の頭の中で、何かが弾ける感覚を感じると、視界がクリアになりラウラの攻撃がスローモーションのように感じ、ラウラの攻撃を防いだ。

 

「な、なに⁉」

 

ラウラは一夏が攻撃を防いだことに驚いてしまい、気を抜いてしまった。一夏はラウラが気を抜いた事を感じ取り、雪片弐型で斬り付けた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ‼」

 

ラウラは一夏の攻撃を受け、ダメージを負ってしまう。

 

「なぜだ‼ なぜ、お前は強い‼」

 

「俺は弱い。だけど、弱いなりの努力をして、この力を手に入れた。それだけだ」

 

一夏の口調は、いつもの口調とは違い、鋭さを持った口調へと変化していた。

 

「クソが‼」

 

ラウラは苦し紛れのレールカノンを放とうとするが、レールカノンは何者かによって、撃ち抜かれ爆発する。

 

「なっ⁉」

 

「そこまでだよ、二人とも」

 

「大人しく、ISを解除しろ」

 

上空から降りて来た蒼き天使と紅の騎士が一夏とラウラに、投降する様に促した。一夏は大人しくISを解除するが、一方のラウラはISを展開したままであった。

 

「解除しろ」

 

「断る‼」

 

ラウラはアスランの言葉を拒絶し、レーザー刀でアスランへと向かって行くが、アスランとラウラの間に何者かが割って入って来た。

 

「そこまでにしたらどう?」

 

キラである。キラはビームサーベルをハルバート状にした状態で、ラウラのレーザー刀を止めていた。

 

「僕達も、こんな形での戦闘はしたくないんだよ。ここは、矛を収めてくれないかな?」

 

一方の一夏もアスランによって、雪片弐型をビームサーベルで止められていた。

 

「一夏、ここは抑えろ。今、お前が戦う事によって被害は広がる一方なんだぞ」

 

「クッ」

 

一夏は大人しく、アスランの言葉を聞き雪片弐型を粒子変換する。

しかし、ラウラはそう言う訳には行かず、キラを振り切り一夏へ迫ろうとした。

だが、それをキラが許す訳が無かった。

 

「忠告はしたんだよ?」

 

キラはビームサーベルを仕舞うと、ビームライフルを掲げ、ラウラの専用機である“シュヴァルツェア・レーゲン”の両手、レールカノンを撃ち抜き、攻撃手段を絶った。

 

「なっ⁉」

 

ラウラは、動きを止めた。それが、ラウラにとっての分岐点であった。キラはラウラが止まったのを見計らうと、一気に迫りビームサーベルで斬り付け、シールドエネルギーを枯渇させた。

 

「これで、君は何も出来ないよね?」

 

キラの攻撃によって、ラウラは何もする術が無くなってしまう。

 

「(なぜだ‼ なぜ、私はこんな奴らに勝てないんだ‼)」

 

(汝、力を望むか?)

 

「(言うまでも無い‼ 力を寄こせ‼)」

 

(良かろう、その力によって身を焦がすがよい)

 

「(なに⁉)」

 

ラウラの内なる声に答えると、ラウラは目の前が真っ暗になり、意識を失ってしまう。しかし、ラウラは意識が無くなる前にホロウィンドウには文字が映し出されていた。

 

Damage Level………D.

Mind Condition………Uqlift.

Certification………Clear.

 

《Valkyrie Trace System》………boot.



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第四十九話

新年、明けましておめでとうございました。
やっと書き上げれたので投稿します。


キラの攻撃によりラウラが乗るシュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーは枯渇された。だが、ラウラの内なる声によりラウラは間違った力を持ってしまうのであった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼」

 

ラウラは内なる声に答えた瞬間、専用機シュヴァルツェア・レーゲンはその姿を変えた。泥の様な物に呑み込まれ現れたのは、嘗ての世界最強が駆っていた専用機に似せたものであった。

 

「なに……あれ………」

 

「シュヴァルツェア・レーゲンが変形した………」

 

「クッ‼」

 

鈴とセシリアはシュヴァルツェア・レーゲンが変形した事に驚き、一夏は自身に力が無い事に嘆いてしまう。

だが、キラ達は違った。二人は直ぐ様、機体を偽暮桜へ向かわせる。

 

「キラ、行くぞ‼」

 

「うん‼」

 

キラとアスランが駆るストライク・フリーダムとインフィニット・ジャステイスは偽暮桜と対峙し、キラはビームライフルにて牽制攻撃を行うが、その行為が判るのか回避する事をせず、その場に止まっていた。アスランはビームサーベルをハルバート状にし斬りかかるが、偽暮桜は雪片を構えてアスランと同等に戦っていた。

 

「クッ‼ さすがブリュンヒルデを模しただけある。キラ‼」

 

「アスラン、避けて‼」

 

アスランがキラの名を呼ぶと、キラはビームライフル二丁、レールガン、複合ビーム砲、ドラグーンを展開させてハイマット・フルバーストを偽暮桜へ放った。

アスランはキラの攻撃が当たる前に上空へ逃げ攻撃の余波を流した。

 

「これでやれたと思う?」

 

「いや、思っていない………やはりか………」

 

爆煙が晴れるとそこには無傷の偽暮桜が立っていた。

 

「一筋縄では行かないと言う訳か………厄介だな」

 

「アスラン、どうする?」

 

「簡単に終わらせる事は可能だが………」

 

「その場合、ボーデヴィッヒさんの命が無い……と言う事だね?」

 

「ああ」

 

二人は攻撃の手をどうするか迷っていた。すると、プライベート・チャンネルにて一夏が通信をだした。

 

『キラ、アスラン。ここは俺に任せてくれないか‼』

 

「お前に何が出来ると言うのだ‼ 引っ込んでいろ‼」

 

『これは俺が解決しなくちゃならない事なんだ‼ だから、頼む‼』

 

「「…………」」

 

一夏の真剣さが伝わったのか、二人は何も言わなくなる。すると、アリーナのカタパルトから教師達が駆る訓練機、ラファール・リヴァイヴ四機、打鉄四機の計八機が偽暮桜へ攻撃を仕掛け始めた。

 

「見ろ、一夏。教師達がこの場をなんとかする。お前の出番はない‼」

 

『だけど‼』

 

「諄いよ、一夏。大人しく下がっていて………君にはまだ手を汚す必要は無いんだから」

 

『えっ? それって………』

 

キラの言葉に一夏は驚いてしまう。

 

「キラ‼ 教師達だけでは対処しきれていない‼ 行くぞ‼」

 

「判った‼」

 

教師達の攻撃は偽暮桜には効いていないのか、無傷のままであった。キラ達はすぐにビームサーベルを手に持つと偽暮桜の元へ向かった。

教師部隊はキラ達が攻撃をしてくると思い、全員が回避運動をする。そして、キラとアスランの連携攻撃により偽暮桜の四肢は切り刻まれ、胴体だけ残し倒れ込む。

 

「キラ‼」

 

キラは倒れ込んだ偽暮桜の胴体部を薄く斬り中からラウラを取り出した。その際、ラウラの手にはコアが握られてた。

 

「これで最後だ‼」

 

アスランはファトゥムとビームライフルの一斉攻撃で偽暮桜は爆発するのであった。

 

「状況終了………織斑先生。聞こえますか?」

 

『聞こえている。感謝する。ラウラを助けてくれて………すぐに救護室に向かってくれ』

 

「了解しました。キラ、頼むぞ?」

 

「やっぱり僕がやるのか……仕方が無いね」

 

キラはそう言うとストライク・フリーダムを量子変換して収納するとラウラを横抱きにて救護室へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、アスラン、シャルロット、簪はキラと楯無の部屋へと来ていた。

 

「それで、アスラン。話ってなに?」

 

「キラ………これから言うのは真実だ。驚かないで聞いてほしい」

 

「う、うん」

 

アスランの真剣な眼差しにキラは驚きながら答える。

 

「この世界に俺達の世界から来た者達が居る」

 

「えっ?」

 

アスランの言葉にキラは言葉を失う。

 

「よく考えてみろ……今まで襲撃して来た機体たちを………」

 

「…………全部、連合の機体………まさか‼」

 

「ああ、考えたくは無かったが連合の人間がこの世界に来ているはずだ」

 

「そんな⁉」

 

キラとアスランの会話に入れない三人はどう言う意味なのか判らなかった。

 

「待って、キラとアスラン‼ 君たちはこの世界の人間じゃないって言っている様な物だよ‼ どう言う事なのか説明して‼」

 

シャルロットの言葉にキラとスランは、顔を見合わせ一つ頷くと口を開いた。

 

「そうだ、シャルロット。俺達とアークエンジェルはこの世界とは違う世界から来た。この世界よりもっと酷い世界からな」

 

「どう言う事? この世界よりもっと酷いって………」

 

「戦争が続いていた世界だ」

 

「「「ッ⁉」」」

 

アスランの言葉に三人は言葉を失う。

 

「俺達の生い立ちはいつか、話す。それまで待っていてほしい………だが、これだけは言わせてもらうが……俺達は君たちに対して敵対するつもりは無い。それだけは覚えていてほしい」

 

アスランはそう言うと頭を下げた。それに続く形でキラも頭を下げる。

 

「キラ君………」

 

「アスラン………」

 

「…………」

 

楯無と簪は自分の恋人の名前を呟きシャルロットは黙り込む。

 

「俺達はもう、戦争は嫌なんだ………」

 

「血で血を洗う世界は僕達の世界だけで十分なんだ………本当はシャルロット。君も巻き込むつもりは無かった。だけど、そうしなければ君を守る事は出来なかったんだ。許してくれと言った所で許してもらえる話ではないが……許してほしい」

 

キラはそう言いながら頭を下げていた。

 

「………僕はフランスに戻っても刑務所に入る事が決まっていたのに、君たちに守られてんだ。許す他無いよ……二人とも、ずるいよ………」

 

シャルロットは今まで我慢していた涙腺が決壊して、涙を流すのであった。




今までのブランクがあったので、色々とおかしなところがあると思います。
指摘して頂けたらありがたいです‼


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第五十話

気付けば五十話まで来たんですね………時間の流れって早い物ですね………
さて、今回はあの人達が登場します。まあ、名前を言っている時点で判るんですけどね……
では、本編をお楽しみに‼


とある島に四人の男女が住んでいた。

 

「ところでさ、ギル君。君たちの本当の正体を教えてくれないかな?」

 

「何を言っているのかさっぱりだね。篠ノ之束博士」

 

束に呼ばれたギルと言う男は、嘗てキラとアスランと最後に対峙したギルバート・デュランダルであった。

 

「君たちの持っている技術はこの天災の私を超えてるよ………でもね……君たちが持っている技術をそう簡単に私に渡しちゃっても良いの?」

 

「君に渡した技術は、氷山の一角に過ぎない物だ。それに……私はこの世界に来て間もないが、この世は腐っている。いや、私が提唱したデスティニープランが実行された時、もしかしたらこういう事が起きてしまっていたのではないかと考えてみると、怖い物だな」

 

ギルバートが言う様に、C.Eの世界でキラ達がギルバートを止める事が出来なかったとき、もしかしたら不要な争いが避けられたかもしれないが、必然として人間の劣等感が拭い去れる事は無いのである。

では、どうなっていたかと言うとキラ達が今いる世界の様になっていた可能性があったと言う事である。

 

「私はこの世の流れを元の流れに戻したいと思っている。否、しなければならないのだ。君が愛したISを不要な争いに使うのは間違っているとな………」

 

「ギル君………」

 

「だから、私は君に我々が持つ技術を与えたのだ。だが、これだけは約束してほしい。不要な争いの為に技術を悪用しないと」

 

「………君の気持ちが強く分かったよ。判った。私はISもそうだけど、今の世の中の流れを戻そう‼」

 

「ああ、期待している」

 

束の言葉にギルバートは強く頷くのであった。

 

「ところでさ、ギル君とターちゃん、レー君はどう言う関係なの?」

 

「私とタリアは昔、愛し合っていた仲だ。レイに関しては…………そうだな。息子と言うべきなのだろう」

 

ギルバートは未だにタリアの事を諦めきれずにいた。だが、メサイア内部で愛する者達と一緒に死ねた事に喜びを持っていた。だが、死んだと思った矢先、いつの間にか一隻の戦艦とレイの専用機と共にこの世界に来てしまった。

では、どう言う事なのか。それは、タリアともう一度やり直す気持ちであり、レイを息子として迎えるつもりであったと言う事である。

 

「じゃぁ、そろそろ動き出さないといけないね」

 

「そうだな」

 

二人は眼下にある格納庫に係留されている一隻の戦艦を見つめた。

 

「惑星強襲揚陸艦ミネルバ級一番艦ミネルバ」

 

ギルバートと束、キラ達とあった時、世界は変貌する事をこの時、誰も想像をしていなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、千冬とラウラは対峙して生徒指導室内にいた。

 

「ボーデヴィッヒ。落ち着いて聞け」

 

「はい」

 

ラウラは昨日に起こした事件の事で千冬に怒られると感じていたが、そうでは無かった。千冬から説明を聞いたラウラは地下へ落ちて行く感覚を始めて感じた。

 

「ドイツ政府は昨日の事件で貴様を軍属から除隊され代表候補生からも除外された。それにより貴様の専用機はドイツへ返される事になった」

 

「えっ?」

 

ラウラはこれからどうすればいいのか判らなくなった。軍属でもなければ代表候補生としても無くなってしまえば自分はどうすればいいのか判らなくなってしまった。

 

「そこでだ」

 

千冬はラウラに一つの提案を出した。

 

「このIS学園には秘匿武装隊がある事を知っているな?」

 

「はい……昨日の戦闘にも介入した二人の事ですよね………」

 

ラウラの言葉に千冬は頷いた。

 

「そうだ、そこで貴様にはその部隊へ入ってもらおうと思っている」

 

「どうしてですか? 今更、軍人としてでも代表候補生でもない私には入っても無駄では無いのですか?」

 

ラウラはVTシステムに身を委ねてしまった事により、専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンを取られ、今更秘匿部隊へ配属されても自分は昔の落ちこぼれに戻ってしまうと思っていたのである。

 

「いや、専用機は剥奪されてしまったが貴様の力は剥奪されてしまった訳では無いのだろう? だったら秘匿部隊でも訓練機を使って力を発揮すればいい」

 

「………」

 

千冬の説得にもラウラは何も答えられなかった。

 

「今すぐにでもと言う訳では無い。考えてから結果を伝えろ。それだけだ」

 

そう言うと席を立ち生徒指導室から出ようとした。しかし、出る一歩手前で千冬は足を止めた。

 

「そう言えば、忘れていたな。ラウラ。お前は護りたい者はあるのか?」

 

「………無いです」

 

「そうか………なら、大きい物になるがこの学園を護ってみてはどうだ? それでもお前は何も出来ない落ちこぼれと思っているのであれば、私は止めるつもりは無い。だが、これだけは忘れるな。お前の力を待っている者達が居ると言う事をな」

 

そう言うと千冬は生徒指導室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。キラ達は千冬に呼ばれて生徒指導室へ来ていた。

 

「キラ・ヤマトです。アスラン・ザラ、シャルロット・デュノアの二名をお連れしました」

 

『入れ』

 

「はい、失礼します」

 

部屋の中で待っていたのは理事長と千冬の二人であった。

 

「忙しい時に呼んでしまって悪いな」

 

「いえ、緊急の用であると聞いたので来ましたが………何かあったのですか?」

 

キラは理事長と千冬に尋ねると二人は顔を見合わせ、口を開いた。

 

「すまない。私の独断で秘匿部隊に一人、入れたい奴がいるのだ」

 

「………ボーデヴィッヒの事ですか?」

 

「……そうだ」

 

アスランの言葉に千冬は頷いた。

 

「しかし、彼女はドイツの代表候補生では? 秘匿部隊に配属されるには代表候補生は入れない筈では………まさか‼」

 

「ああ、アイツは昨日の事件によりドイツから切り離された。それにラウラは身寄りがいない。このままでは昔の自分に戻ってしまうと思っているんだ………私自身、あいつをどうにかしてやりたいと思っていたのだが、力が無い所為でどうしようも無いのだ。無茶な願いだと言う事は判っているが、どうかあいつを助けてくれないだろうか?」

 

「「「…………」」」

 

三人は千冬が頭を下げる程、ラウラの事を思っているのが判ったが決定権は理事長である。だが、どうして自分達にお願いするのか判らなかったが、理事長の言葉で理解する事が出来たのである。

 

「本来は私に決定権があるのですが、今回は君たちの意見を聞きたくて呼びました。ラミアス先生やフラガ先生もこの事は知っています。最終判断は君たちに委ねると言っていましたので、私もそれに従うつもりです」

 

「………キラ。お前が決めろ」

 

「………三日ほど時間を下さい。彼女と話してそれから判断しようと思っています」

 

「判りました。良いですね、織斑先生?」

 

「……はい」

 

ラウラの配属に関してはキラと話した時に決めると言う方向で決まったのであった。




ラウラはドイツの代表候補生としての地位を剥奪され専用機までもを剥奪されてしまった。
千冬の計らいによりIS学園の秘匿部隊に配属の話を持ちかけたが、ラウラは余り聞いていない様子であった。
だが、キラと話す事により…………

次回、第五十一話。
ラウラの決意

迷いを捨てさせよ、ストライク‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらどしどし送ってください‼


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第五十一話

連続投稿です‼ 


翌日、キラは保健室で安静にしているラウラの元へ向かっていた。

 

「(彼女の本心を聞きださない限りは、どうしようもないからね………でも、ドイツも勿体無い事をしたね)」

 

キラはドイツがラウラを手放した事を内心で非難していた。

 

「さて、彼女と話をしてどう言う結果になろうと彼女に光を取り戻して戻さないとだね」

 

キラはそう言って保健室の扉を静かに開ける。すると、ベッドの上で外を眺めているラウラを見付けた。

 

「(やっぱり彼女はドイツのした事にショックを受けてるんだろうね………仕方が無い事だね)失礼します」

 

「………貴様は⁉」

 

キラの言葉にラウラは驚きながらキラを見る。

 

「体の方はどうかな?」

 

「………貴様には関係の無い事だ……何しに来た」

 

キラの心配する声を無視して、キラが来た事に尋ねる。

 

「………君の事を織斑先生から頼まれてね」

 

「………」

 

キラの言葉にラウラは何も言い返さなかった。

 

「君はこれからどうするつもりなの?」

 

「………私はもうドイツの代表候補生でもなければドイツ軍特殊部隊の隊長でもなくなったんだ。それに、ドイツには家族と言うものが居ない………私はこれからどうすれば良いのか判らないんだ………」

 

「………」

 

ラウラの言葉にキラは何も言えなくなる。だが、千冬からラウラの事を託された以上は、やるべき事はしておく必要があると思っていたのである。

 

「君には一つの選択肢が残っている筈だよ?」

 

「IS学園の秘匿部隊の事か? だが、なぜ貴様がそれを知っているのだ?」

 

「僕はね、その秘匿部隊の隊長をしているからだよ」

 

「なっ⁉」

 

キラのカミングアウトにラウラは驚愕の表情をする。それもその筈である。キラは隊長と言うよりも使われるような人間にしか見えないからである。

 

「貴様が隊長で大丈夫なのか?」

 

「まぁ、君も元はと言えドイツ軍の特殊部隊の隊長をしていたんだから、判るよね………でも見かけだけで判断するのは早いかもね」

 

キラはそう言うといつもとは違い、軍人としての気迫を出した。

ラウラはキラから発せられる気迫に驚いていた。

 

「貴様はそれだけの力を隠しているのだ………羨ましいな」

 

「やっと君の気持ちが聴けた気がするよ」

 

「なに?」

 

「君はVTシステムに呑み込まれるとき、気付かない内に助けを求めていたんだよ?」

 

キラの言葉にラウラは思い当たる節がある事に気付く。

 

「確かに私は呑み込まれるとき、織斑教官に助けを求めたが………だが、それを知って貴様はどうするつもりだ‼」

 

「どうもしないよ」

 

「は?」

 

「僕は君の力が欲しいだけなんだ。秘匿部隊は僕を合わせてISを扱えるのは極少数だけなんだ。だから、軍属だった君がいればもっと強化できると思うんだ」

 

キラはそう言うと手を差し出した。

 

「だから、君を秘匿部隊に迎え入れたいんだ。拒否権はあるから安心してね?」

 

キラの言葉にラウラはどうするべきなのか迷っていた。すると、また保健室の扉が開かれ一人の少女が入って来た。

 

「パパいた‼」

 

「パパ⁉」

 

「明日菜ちゃん、どうしてここに来たの? 部屋で待ってるはずじゃ」

 

「ママに教えてもらったの‼」

 

明日菜はキラの足に抱き着き、楯無がキラが保健室にいる事を教えた事をキラに伝えた。

 

「そうなんだね………明日菜ちゃん。保健室の外で待っていてくれるかな?」

 

「うん……解った」

 

明日菜はしょんぼりとしながら保健室の外へ出ようとした。だが、キラは明日菜の表情を見て待ったを掛けた。

 

「明日菜ちゃん。後で一緒に遊ぼうね?」

 

「⁉ うん‼」

 

キラの言葉を聞き明日菜は表情を一変させて嬉しそうに保健室の外へと出るのであった。

 

「貴様、子持ちだったのか」

 

「これには理由があるんだけどね………それで、君の答えはどうなのかな?」

 

「………昨日、織斑教官から尋ねられたんだ。貴様には護るべき物はあるのかって………そこで貴様に問いたい。貴様は護りたい者はいるのか?」

 

「あるよ。さっき見たように明日菜ちゃんを護る。父親としてね。それに僕はもう人の死を見たくないんだ。だから、僕が護れる最低限の人を守るつもりだよ」

 

ラウラの質問にキラは即答で答えた。

 

「そうか………私にはまだそれが見つからないんだ。どうすれば見つかるのか教えてくれないか‼」

 

「そうだね………僕自身、明日菜ちゃんを護りたいと思ったのも偶然だし、誰かを護りたいと言う気持ちは偶然、出来た事だからね。だから、君にもそれが見つかる時期があると思うよ」

 

キラの言葉にラウラは一つの決心をした。

 

「………秘匿部隊の事だが…………受けようと思う」

 

「そう。なら歓迎するよ。ラウラ・ボーデヴィッヒさん」

 

ラウラの決心にキラは微笑みながら頷いた。

 

「今度からラウラと呼んでほしい」

 

「判った。ラウラちゃん」

 

「ちゃん付けで呼ぶな‼」

 

キラは笑いながら保健室を出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラは明日菜と遊んだあと、楯無を伴って千冬の元へ足を運んだ。

 

「織斑先生、キラです」

 

『入ってくれ』

 

「失礼します」

 

キラは入室の許可を貰い、千冬の部屋へと入る。

 

「さて、いきなりの訪問とはなんだ? しかも嫁を連れて」

 

「よ、嫁⁉」

 

「/////」

 

千冬の言葉にキラと楯無は顔を赤くする。

 

「はっはっは、そう赤くする必要も無いだろう? 貴様らには既に子供もいるんだからな」

 

千冬は一頻り笑うと、真剣な表情に変わる。キラ達も千冬の表情が真剣に変わったのを見て気持ちを切り替えた。

 

「さて、本題は何だ?」

 

「ボーデヴィッヒさんの事です」

 

「………どうだった?」

 

「入隊する事になりました」

 

キラの言葉を聞き千冬は胸を撫で下ろした。

 

「そうか……ではこれから頼むぞ?」

 

「ハッ‼」

 

千冬の言葉にキラは敬礼をして返事をした。

 

「ところで、関係はどうなったんだ?」

 

「織斑先生‼」

 

千冬はキラ達を弄り倒すのであった。




IS学園秘匿部隊に配属になったラウラは、キラ達による訓練を受ける事になるのだが……
そして暗躍する組織に動きがあった。

次回、第五十二話
招かざる者

暁の水平線に勝利を刻め‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらどしどし送ってください‼


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第五十二話

更新です‼


ある島の地下に二隻の潜水艦と戦艦が係留されていた。その近くには篠ノ之束とその義娘であるクロエ・クロニクル、ギルバート・デュランダル、タリア・グラディス、レイ・ザ・バレル、ラウ・ル・クルーゼ、ニコル・アマルフィ、トール・ケーニヒの姿があった。

 

「漸くこの時が来たか、束博士」

 

「そうだね~私の夢の実現に一歩近づけれた気がするよ」

 

束が視線を動かすとそこには四機のISが鎮座していた。

ZGMF-X666S レジェンド

ZGMF-X13A プロヴィデンス

LG-GAT-X207 ネブラブリッツ

LG-ZGMF-X23S ヴァンセイバー

この四機はギルバートから与えられた技術を使って作り出した束オリジナルの機体である。

 

「さ、時は金なり。みんな乗り込むよ」

 

束の一言で全員がミネルバの中へと入って行った。

全員がミネルバの艦橋に着くとそれぞれの席へと座って行く。

タリアは艦長席。束は副長席。クロエはオペレーター席。トールは火器官制席。ニコルは操舵席。そしてギルバートは艦長席の後ろに作られた席へと座った。

潜水艦“シュルクーフ改Ⅱ”は自動操縦によりミネルバの後を追う様に設定されていた。その為、誰一人乗り込む必要が無いのである。

 

「各自、報告を」

 

「火器官制、問題ありません」

 

「機体の収納完了しました」

 

「注水を開始します」

 

タリアの言葉に各々が報告を入れて行く。

それに伴い、ミネルバとシュルクーフ改Ⅱの周りには海水が満たされて行く。ミネルバは元々は潜水機能は搭載されていなかったが、束の改造により潜水可能となった。また、機関にも手が加えられていた。

 

「機関、定格起動中。ISコア機関と共に異常見られず」

 

「外相障壁ダンパー出力45%でフォールド。気密隔壁及び水密隔壁、全閉鎖を確認」

 

トールとクロエはミネルバの設定を読み上げて行く。因みにだが、アークエンジェルと同じ様になっているのは、偶然である。

 

「生命維持機能。正常に起動中」

 

「機動力コンタク。システム、オールグリン。ミネルバ全ステーション。オンライン」

 

クロエは最終段階へと進み、トールはミネルバのステーションに問題が無い事をタリアに報告した。

 

「注水完了。ラミネート装甲及びヴァリアブル・フェイズ・シフト装甲、共に良好。電圧異常なし」

 

「ミネルバ、発進します。機関、微速。速力30に固定」

 

「機関、微速。速力30固定」

 

ミネルバの機関はハイパー・デゥートリオン・パルス推進と新規ISコアが四基も搭載されていた。それによりラミネート装甲に加え、ヴァリアブル・フェイズ・シフト装甲が搭載されているのである。

 

「上げ舵45。海面到達後、アラスカへ向かいます。よろしいのですね? ギル、束博士?」

 

「ああ」

 

「そうだよ~」

 

タリアの確認に二人は頷く。それと同時に、ミネルバは海面近くへ来ていたのである。

 

「離水上昇。機関、最大‼」

 

ミネルバはタリアの指示で、上空へと舞い上がったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園ではアークエンジェル内に、秘匿部隊の全員が集められていた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒであります‼ これからよろしくお願いします‼」

 

ラウラはそう言うとドイツ軍形式の敬礼をしてしまうが、既に自分はドイツ軍では無い事を思い出し、敬礼を解くと頭を深く下げるのであった。

 

「秘匿機動部隊“アークエンジェル隊”専属艦アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアスよ。よろしく」

 

「同じくアークエンジェル副長兼IS隊のムウ・ラ・フラガだ」

 

マリューとムウは、ラウラに手を差し出し握手をする。

 

「僕達の事も話しておかないといけないね。秘匿機動部隊“アークエンジェル隊”IS部隊隊長のキラ・ヤマトです」

 

「同じくIS部隊副隊長のアスラン・ザラだ」

 

「僕もだね……IS部隊隊員のシャルロット・デュノアです。よろしくね、ラウラ」

 

キラ達も自分達の事をラウラに教えた。しかし、ラウラはシャルロットを気の毒そうに見ていた。

 

「あ、ああ。シャルロットと言ったな………ご両親の事は」

 

「うん、ありがとう。まだ気持ちの整理が出来ていないけど、お父さんやお義母さんが残してくれたワイバーン・ドラグーンがあるからね………でも私の中には復讐したいと言う思いは残ってるよ」

 

「そうか………」

 

シャルロットの言葉にラウラは頷く他無かった。

 

「さて、顔合わせもこれ位にして。シャルロットさんもアークエンジェル内部の案内が済んでいなかったわね?」

 

「あっはい。両親の事があったりしてまだです」

 

「なら、ラウラさんとシャルロットさんをアークエンジェル内部の案内をしますね」

 

マリューの言葉でシャルロットとラウラはアークエンジェル内部の案内をして貰う事になるのだが、技術的な面で高水準の艦を見て悪露どいていたと言う事を記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、また新たな騒動がIS学園を襲う事になるのをこの時。誰も知る由も無かった。




誤字脱字、感想、指摘等ありましたら、よろしくお願いします‼

すみません。編集を行いました‼


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第五十三話

皆さん、お久しぶりです。
暗殺教室に集中していたり、プライベートで色々とあって中々、執筆が出来ませんでした。
正確にはスランプでしたけど………

今回、ストライカーパックが登場しますが、自己解釈があります。
ご了承下さい。


翌日、IS学園では一つの噂が流れる様になった。それは、ラウラがドイツ代表候補生から外され、専用機を返納したと言う事であった。

どこから流れた噂なのか詳細は誰もが知らなかったが、1年1組の生徒達は真実なのか確かめたかった。しかし、当の本人であるラウラを始めシャルロット、キラ、アスランまでもおらず、しまいにはマリューやムウの姿が朝から見られなかったのである。

 

「キラ達はどこに行ったんだ?」

 

「さぁな……だが、奴らが考えている事が全く分からん」

 

「そうですわね……あの人達が何をしたいのか……」

 

昼食時、一夏、箒、セシリア、鈴の四人は屋上で弁当を突いていた。

 

「キラ達がもしから関与しているのかな?」

 

「………どうでしょうか? もしかしたらと言う事もありますけど……」

 

「あいつらが来てから問い詰めたらいいんじゃないの?」

 

そう言って鈴は酢豚に箸を伸ばそうとした。しかし、それは叶わなかった。

 

『緊急事態発生‼ 各専用機持ちは織斑先生の指示に従う様に‼ 他の生徒はシェルターへ避難してください‼』

 

IS学園に脅威が迫っている事を知らせるサイレンが鳴り響く。一夏達は一瞬、呆けるがすぐに行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。キラ達はと言うと………

 

「ラウラ………君の専用機の事なんだけど、作ろうと思っているんだ」

 

「ああ、シュヴァルツェア・レーゲンはドイツに返還したからな……ん? 専用機だと?」

 

キラの言葉にラウラは自分をドイツに返還した事を告げたが、キラが言いたい事はそうでは無かった。

 

「うん。それで、ラウラの戦術的にはどれが合うのか判らないから、訊きに来たんだ」

 

「私の戦術か………シュヴァルツェア・レーゲンは中近距離専用型機だったからな……それに近い物が良いな」

 

「中近距離戦か………だったら、ストライクのデータを基に作った方が早いかな? いや、でもそうなるとストライカーシステムが問題になって来るよね………ねぇ、ラウラ。ちょっと付き合ってくれる?」

 

「?」

 

キラの言葉にラウラは顔を傾げる。

そして、キラに案内されたのはシュミレーター機の前であった。

 

「キラ、これと私の専用機とどう関係があるのだ?」

 

「まぁ、物は試しと言う事で……やってみて?」

 

キラに催促され、ラウラはシュミレーター機の中に入る。そこには色々なパネルやボタンが存在しており、何がどのボタンなのか判らなかった。

すると、スピーカーからキラの声がする。

 

『聞こえる? 君には今から量産機で感覚をつかんでもらうから』

 

「いきなりだな‼」

 

『そうしないと、データが採れないしね……それと、武器に関しては事前に決めておいてね』

 

キラはそう言うと通信を切り、地球軍が量産機として使用していたGAT-01A1ダガーをシュミレーター機の画面に映し出すと、ストライカーパックの装備選択画面をラウラに見せる。

 

『ラウラ、見える? 今見せているのはストライカーパックと言って、僕が使っていたストライクのオプション武装だよ。右から高機動戦闘用ストライカーパック“エール”近接格闘戦闘用ストライカーパック“ソード”遠距離砲撃戦用ストライカーパック“ランチャー”全領域ストライカーパック“マルチプルアサルト”統合兵装ストライカーパック“I.W.S.P”中近距離万能型ストライカーパック“ノワール”の六つだよ。これを何回か試しで使ってみて、自分に合った物を選んでほしいんだ』

 

「………なぁ、キラ。一ついいか?」

 

ラウラの言葉にキラは『なに?』と短く尋ねる。

 

「ストライカーパックと言ったな…こんなにもあって、お前は大丈夫だったのか?」

 

『それは、自分の戦闘スタイルを崩さないのか? と言う質問で良いのかな?』

 

「ああ、そうだ」

 

ラウラの言葉にキラは少し思い返してみるが、今までの事を考えると使って来たのはC.Eの時と同じくエール、ソード、ランチャーだけであった。

 

『その事ならご心配なく。僕が基本的に使って来たのはエール、ソード、ランチャーだけだから……あっ、でもオオトリも使ったね』

 

ラウラは気になる言葉があったので追及する事にした。

 

「オオトリとはなんだ?」

 

『待ってね………これだ。ストライク・ルージュと言って、僕の姉(自称)が専用機として使ってた機体専用で組み上げられたストライカーパックだよ。特徴としては、他のストライカーパックを装備する事が出来るんだ』

 

「なんだそれは? 接触とかしないのか?」

 

『接触なんかはしなかったね………まぁ、これも一緒に選択肢の一つとして載せておくよ。さて、ラウラ? 決まった?』

 

キラの言葉にラウラは既に自分が最初に使うストライカーパックを決めていた。

 

「決まったぞ。順番はマルチプルアサルト、I.W.S.P、オオトリの順番だ」

 

『あれ? エールとかソード、ランチャーは使わないの?』

 

「マルチプルアサルトに装備されているのだろう? それで試験した方が良いだろう」

 

『ラウラがそう言うんだったら、それでも良いけど………判った。なら先にマルチプルアサルトから行くね』

 

キラはそう言うとコンソールを弄り、ダガーにマルチプルアサルトを装備させる。

 

『あっ、それと言っとくの忘れてた。ダガーはPS装甲…まぁ、簡単に言うなら実弾無効化装甲は装備されてないからね。相手は同じ量産機でビーム兵器搭載機だけど、実弾も使ってくるから。じゃぁ、頑張って』

 

「なっ⁉ オイ待て‼」

 

ラウラの言葉を無視してキラはシュミレーターをスタートさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラはキラに異議を申し立てようとしたが、既に遅く、シュミレーターがスタートする。

 

「後で文句を言ってやる‼」

 

ラウラはそう言ってマニュアルに目を通した。

 

「………そう言う事か。なるほど、判りやすいな」

 

ラウラが見ているマニュアルは、オーブの一般兵や地球軍の一般兵が最初に目にするマニュアルと同じ物である。ラウラは一瞬で覚えると、操縦桿を握り締め、スタートさせた。

 

「操縦の仕方はISよりも難しいな……だが、一度理解すれば簡単な事だ‼」

 

ラウラはそう言うと、一気に速度を上げた。

すると、敵機を知らせるアラートが鳴り響く。

 

「お出ましか………さて、最初は遠距離戦から行くか」

 

そう言うとラウラはマルチプルアサルトにマウントされているアグニを構える。

 

「もう少し……もう少し………そこ‼」

 

引き金を引き、アグニから強烈なビームが迸る。敵のダガーはコックピット部分を貫通され、そのまま爆発した。

 

「次だ‼」

 

ラウラは次の敵を探し出し、シュベルトゲーベルで叩き斬ったり、ビームライフル、ミサイル、ガトリング砲でダガーを屠って行く。

 

「キラ、終わったぞ」

 

『………うん。凄いね。じゃぁ、次に移るね。I.W.S.Pは操縦性が難しいから気を付けてね』

 

キラの言葉が終わると、ダガーに装備されていたマルチプルアサルトは解除され、I.W.S.Pが装備される。だが、この時、ラウラは知らなかった。このI.W.S.Pの重さに………

 

「では、行くぞ‼」

 

ラウラが勢いよく足を出した瞬間、転んでしまう。

 

「は?」

 

ラウラが驚きの余り、操縦桿を動かさなかった所為で敵のダガーによるビームライフルによってコックピット部分を撃ち抜かれ爆散した。

 

「…………オイ。ヤマト………これはどう言う事だ?」

 

『…………ゴメン。説明不足だったね。I.W.S.Pは重量の所為でストライクより重いんだ。その結果、後ろにひっくり返ってしまうんだよ………だから、I.W.S.Pは固定砲台型と言っても過言ではないんだよ………さ、次に移ろ?』

 

「後で覚えておけ」

 

ラウラはキラの説明不足に怒りを覚えた。

最後の試験として、オオトリが選択されダガーに装備される。

 

「これがオオトリか………使いやすそうだな」

 

ラウラはそう言うと右に装備されているビームランチャーと左に装備されているレールガンを構え、引き金を引き二機連続をコックピット部分を貫通させ、爆散させる。そして、ビームライフルを構え、引き金を引きダガーのコックピット部を貫通させる。

だが、敵のダガーが潜んでおり、ラウラのダガーが持つビームライフルが撃ち抜かれ、爆散するがラウラは咄嗟の判断で撃ち抜かれたビームライフルを放り、シールドを掲げて爆発からのダメージを軽減させる。

ラウラは、大型対艦刀をパージさせ、ミサイルランチャー、三連小型ミサイル、ビームランチャー、レールガンを放ちながら突撃し、ダガー全機を破壊したのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております‼


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第五十四話

なんか書き上げれた………どう言う事だ?


キラがラウラにシュミレーターを使っている頃、マリュー達はと言うとアークエンジェルの外側にいた。

 

「戦闘でのダメージは無いんだが……塩水等で装甲の消耗が激しい。それにこのまま修理の幅を狭めてしまっては、どこかでダメになってしまいます」

 

「やっぱりか………マリュー、ここは妥協する他無いんじゃないのか?」

 

「……そこは今後、IS学園と協議していく予定にします。それで、マードックさん。アークエンジェルで戦闘可能機のメンテナンスは済んでいますか?」

 

「ああ、済んでるぜ。だがよ、ラウラって子が入って来たとしても使える機体が無いんじゃ、意味が無いんでは?」

 

マリュー、ムウ、マードックはアークエンジェルを見ならが、言葉を交わしていく。

 

「そうですね。ムラサメを始めストライク・アストレイ、ドムは全員に配備されていますし………唯一残っている機体でもバルトフェルドさんが使っていたムラサメだけですからね………まぁ、そこの問題はキラ君が解決してくれると思いますよ」

 

「あのボウズがか? 信じられねぇな……と言いたいが、あのボウズの事だ。解決策は出来ているんだろうな……」

 

マリューの言葉にマードックは訝しむが、今までの事を考えるとマリューの言っている意味も判ってはいた。

 

「旦那はどう思ってるんですか?」

 

「俺か? そうだな………キラの事だ。新しい機体でも作るんじゃないのか?」

 

ムウの言葉にマードックはあり得なさそうな表情をするが、マリューは苦笑いであった。

 

「ラミアス艦長、フラガ准将、マードックさん」

 

すると、アスランが現れマリュー達に声を掛ける。

 

「アスラン君……それで、機体の方はどうなの?」

 

「ジャスティスはやはり反応速度が低下しています。イージスに至っても足枷にしかなっていません」

 

「そうれじゃ、お前さんは戦えないと言う事か?」

 

マリューの質問にアスランが答えると、マードックが問い詰めて来る。だが、アスランは首を横に振った。

 

「いえ、そう言う事ではありません。戦えるには戦えます………ですが、俺達以上の力を持つ機体と闘った時には分からないと言う意味です」

 

「そんな事有り得るのか?」

 

アスランの言葉にマードックは訝しむ。

 

「それは分かりません。既に連合軍が使っていたダガータイプの機体を確認しているので………もしかしたら」

 

「………判った。そちらについてはこっちでも検討しておこう」

 

「よろしくお願いします‼」

 

ムウの言葉にアスランは頭を下げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時も戻し、キラはラウラのあった機体製作に乗り出していた。既に使用する機体は予備機で置いてあったストライク・アストレイを回してもらっているので、それを使う事になった。

キラがまず初めに始めたのは、規格が合うかどうかのテストであった。

ストライクに収容されているすべてのストライカーパックを、ストライク・アストレイにデータを入れて行く。そして、インストールし終わったら、ストライク・アストレイに装備させ、規格テストを行うとすべてのストライカーパックの規格が合う事が判明した。

 

「これで第一門はクリアだね………さて、ラウラが選んだのは………やっぱりこれだったか………」

 

キラは、ラウラに手渡された紙を見つめる。

 

「二つとも、ストライク・アストレイに装備する事が出来るから、問題は無いけど………」

 

キラはそう言うとモニターに目をやる。そこにはストライク・アストレイのバススロットが表示されていた。

 

「電圧とかそのほかの設定を弄らないと……それにラウラにも乗ってもらって、テストもして貰わないとだね……やる事が一杯だ」

 

キラはそう言うとコンソールを素早く弄り、ストライク・アストレイの設定を弄って行くのであった。

 

 

 

 

その頃、ラウラは宛がわれた部屋で横になっていた。

シュミレーターを使ったテストで疲労困憊であった為だ。

 

「こんなにも辛いとはな………慣れないといけないと言う事か………」

 

ラウラは天井を見つめながら呟く。

すると、扉がノックされる。

 

「誰だ?」

 

『シャルロットだよ………今いいかな?』

 

ノックした相手はシャルロットであった。ラウラはシャルロットの入室を許した。

 

「扉は開いている。入って来てくれ」

 

ラウラの言葉でシャルロットは断りを入れながら入室する。

 

「すまないな。疲れで起き上がれないんだ」

 

「良いよ。僕も経験した事があるからね………それで、どう?」

 

シャルロットの質問にラウラはオウム返しする。

 

「どうとは、どう言う事だ?」

 

「キラと一緒に機体を作るんでしょ?」

 

ラウラは先程までの事を思い出したが、機体の製作と言うよりは、自分に合ったパッケージを探しているだけとしか思い浮かばなかった。

 

「いや、製作と言うか、私にあったパッケージの選出と言った方が良いな」

 

「そうなんだ……でも、見付けたんでしょ?」

 

「ああ、二種類な………だが、実機を見てみない事には何とも言えないな……」

 

ラウラの言葉にシャルロットは苦笑いをする。

 

「キラの事だから、もう出来上がってるんじゃないかな?」

 

「そんなことあり得ん……と言いたいが、奴は私が帰る前に意味深な事を言ってたな……」

 

「なんて言ってたの?」

 

ラウラの言葉にシャルロットは食いつく。

 

「あ、ああ。奴は《機体はあるから、後は規格とか色々と探って行くから》と言っていたな」

 

「………どう言う事なんだろう? ねぇ、ラウラ」

 

シャルロットはキラの元へ行こうと思いつき、ラウラを誘うとしたが、ラウラは「疲れているから、シャルロットだけ行って来てくれ」と断りを入れた。

 

シャルロットも無理強いせず、一人でキラの元へ行く事にするのであった。




アークエンジェルは、装甲の消耗により補給をどうするか考えていた。
だが、敵はそれを待ってはくれない。


次回、第五十五話

Astray Force Break

迷いを断ち切れ、アストレイ‼


誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼


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第五十五話

あるぇ~? 書き上げたぞ? 更新してからそんなに時間経ってないよね? まさか、存在Xの所為か‼ 

?「主に仇為す者に、怒りの鉄槌を………」

おかしいな………聞こえてはいけない声がするんだけど………

?「主は嘆いた。人間の愚かさに……故に主は私に命じられた。仇為す者を滅せよと」

アカン、某見た目は幼女。中身はおっさんが現れよった‼ ここは逃げるべし‼

ターニャ「その身に刻め、主を冒瀆した事をな‼」

アレ? 一面が真っ白になったz………

ターニャ「茶番はこれ位にして………本編だ」

注意:幼女戦記は書くつもりは無いです。


ラウラの部屋を後にしたシャルロットは、キラがいるであろう場所へと向かう。

そこは誰も使わなくなった格納庫であった。元々はスカイグラスパー等の支援機を置くためのスペースであったが、キラ達を捜索にするにあたって、必要ないと考えたマリューはアークエンジェルに搭載されていたスカイグラスパーをアマノミハシラに置く事にしたのであった。

それが幸いとして、キラがラウラの機体を制作する場所には持って来いの場所であったのである。

 

「キラ~いる~?」

 

「……シャル? どうかしたの?」

 

シャルロットは目的地に着くと、キラの名前を呼んだ。すると、先の方でキラの声がしたので、そちらへ向かうと漆黒に塗装されたストライク・アストレイが鎮座していた。その前で作業していたキラであるが、シャルロットが来た事で、手を休めていたのである。

 

「………もう出来上がったの?」

 

「まぁね……でも、まだかな? ラウラに合わせてフィッティングもしたいし……幸い、規格が合っていた事で問題も無くスムーズに出来上がったよ」

 

キラの言葉にシャルロットは苦笑いをする。まさか、本当に出来上がっているなんて思っていなかったからである。

 

「後は何が残っているの?」

 

「後は、ラウラに乗ってもらうだけなんだけどね………当の本人は疲労で倒れているでしょ?」

 

「…………うん」

 

キラの言葉にシャルロットは先程までのラウラの姿を思い浮かべ、頷く。

 

「まぁ、シュミレーターのデータを入力し終わっているから、いつでも実戦に投入は出来るけどね?」

 

キラの言葉にシャルロットは驚く。なにせ、既に機体が出来上がり実戦にも投入できるほどまでに数時間しか経っていないので、驚くなと言うのが無理な話である。

 

「でも、正直な話…機体に慣れてもらう必要があるから、データ取りをしたいのが本音だね」

 

「だよね~」

 

シャルロットは胸を撫で下ろす。流石のキラでもいきなりの実践投入は考えていない事に安心したからである。

 

 

 

 

だが、敵は待ってくれなかったのである。キラが機体のロックを掛けた瞬間、一夏達と同様にアラートが鳴り響いたのである。

 

「キラ‼」

 

「行くよ‼」

 

キラとシャルロットは直ぐ様、ブリーフィングルームへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「アラート⁉ クソッ‼」

 

ラウラもベッドに横になっていたが、アラートが鳴った為、痛みのある身体に鞭を打ってブリーフィングルームへと向かうのであった。

だが、痛みに耐えられなかったラウラは、廊下に出た瞬間に膝をついてしまう。

 

「クソッ‼ こんな事では、役に立ちやしないでは無いか‼」

 

「大丈夫か?」

 

「お前は……アスランか………なんだ? 助けてくれるのか?」

 

ラウラが自身の身体に悪態をついていると、アスランが駆け寄り声を掛け、手を差しだす。

 

「お前がそう望むのであればな」

 

「昔の私であれば、その手を跳ね除けていた。だが、もう昔の私では無い。その手を借りるぞ」

 

そう言ってラウラはアスランの手を取り、立ち上がった。だが、満足に一人では歩けない状況にアスランは溜息を吐くと、ラウラを抱える。だが、その格好に問題があった。

 

「なっ⁉ 降ろせ‼」

 

「うるさい。満足に一人で歩けないんだろ? それに、俺とお前の身長の差では肩を貸す事が出来ない。消去法ではこうする他無いんだ。許せ」

 

「だが‼ 「走るぞ」オイ‼ 話を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼」

 

ラウラの声は、アークエンジェル内を響き渡らせ、艦内の緊張感を解す切っ掛けになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェル内のブリーフィングルームに集まったキラ達は、状況を把握する前にラウラが赤くなっているのと、アスランの右頬に真っ赤な紅葉が出来ている事に微笑んでいた。

それは、前の冷酷さを持ったラウラでは無く、一人の少女としているラウラの事を微笑んでいる一方、アスランの女難に苦笑いしている者の二者であった。

 

「さて、緊張が解れているようだけど気を引き締めてね? 状況を説明するわ。今、IS学園の領海内に未確認艦四隻と未確認が数十機、確認されているわ。既にIS学園からは救援要請が入っている事よ」

 

マリューは説明していく。だが、この状況で攻め込む必要があるのかと、キラは訝しんだ。

 

「ここからの作戦を伝えるわ。アークエンジェルは海上に向けて出港します。海上に出た瞬間、キラ君達には出撃してもらいます。何か質問はありますか?」

 

マリューの質問に誰も手を上げる事は無かった。と思われたが、一人の少女が手を上げた。

 

「私はどうしたら良いんだ?」

 

「ボーデヴィッヒさん「ラウラで良い」…ラウラさんには艦橋でオペレーターとして入ってもらうわ」

 

マリューの言葉に、ラウラは頷こうとした。だが、キラがそれを許さなかった。

 

「マリューさん。ラウラをこの後、借りても良いですか?」

 

「何かするつもりなの?」

 

マリューの目には、キラがラウラを襲うのではないかと訝しむ目をしていたが、キラは狼狽える事も無く、機体が出来上がっている事を伝える。

 

「マリューさん、何を思っているのか判りませんが、そんな事はしませんよ。娘もいるんですから………では無くて‼ ラウラの専用機が出来上がっています。それを使ってもらおうと思います」

 

キラの言葉に、その場にいたアスラン、マリュー、ムウ以外の全員が驚く。

アスランは既にキラがラウラの為に、既存機を使って専用機作成する事を知っていたので驚かず、マリューとムウもその事を知っていたからである。では、なぜシャルロットが驚いているのかと言うと、先程のキラの言葉を思い出して欲しい。

キラは「正直な話…機体に慣れてもらう必要があるから、データ取りをしたいのが本音だね」と言っていたのである。それを覆すような言葉だったからである。

 

「キラ‼ さっきの話と違うじゃん‼ データ取りがしたいって言ってたじゃんか‼」

 

シャルロットはキラを問い詰める。だが、マリューは時間が無い事を理由に作戦開始を告げた。

 

「シャルロットさん。その話はこの作戦を終了してからお願いしても良いかしら?」

 

マリューの有無を言わさせ無い様な微笑みに、シャルロットは何度も頷いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラとラウラ、シャルロットは、先程の格納庫の方へと向かって行った。だが、シャルロットは先程の事をキラに問い詰める。

 

「キラ? 話が違うんじゃないのかな? 君はさっきまでデータ取りがしたいから、実戦に投入しないって言ってたよね?」

 

「僕もその通りにしようとしたんだけどね? でも、機体を遊ばせれる程にアークエンジェルは潤ってないんだよ。特に今は緊急性が高いんだ。だから、仕方は無くね……それで、ラウラはそれで良い?」

 

「あ、ああ。それで、良いと思うぞ………」

 

ラウラはまさか、本当に機体を作り終わっているとは思っておらず、困惑している様子であった。

だが、格納庫に鎮座している機体を見た瞬間、困惑は消え失せ、その代わりに新たな力を手にする事になる。

 

「さて、ラウラ。君の新しい剣だよ」

 

キラ達の前にはストライク・アストレイを漆黒に塗装した機体が鎮座していた。

 

「これは……ストライク・アストレイと言う機体では無いのか? 良いのか、私がこの機体を使っても……」

 

「うん、艦長のマリューさんやムウさんにも話を通しているし、二人からも許可を貰っているからね………それで、君は戦うつもり?」

 

キラの質問にラウラは、暫し考えた。だが、ラウラの考えは変わらなかった。

 

「……ああ‼ 私は戦う‼」

 

ラウラの言葉を聞き、キラとシャルロットは微笑んだ。

 

「ラウラがそう言うんだったら、仕方が無いね。でも気を付けてね?」

 

「判っている」

 

シャルロットの言葉にラウラは強く頷いた。

 

「ラウラ、これだけは注意してほしい。今のストライク・アストレイは本領を発揮できない状況にある」

 

「どう言う事だ? まさか⁉ 欠陥機を寄こすつもりなのか‼」

 

キラの言葉にラウラは違った解釈を持ってしまい、キラに問い詰めるが、キラは苦笑いをしながら否定した。

 

「違うよ。このストライク・アストレイはストライク・アストレイであって、そうではないと言う事なんだよ」

 

「????」

 

キラの言葉にラウラは疑問しか浮かばなかった。

 

「まぁ、乗ってみてから説明するよ」

 

キラの言葉を信じて、ラウラはストライク・アストレイに乗り込んだ。その瞬間、ラウラの意識は暗転してしまうのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております‼


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第五十六話

お待たせしました‼ 書き上げれたので、投稿いたします‼
今回でラウラの専用機が登場です‼


ラウラはストライク・アストレイを身に纏った瞬間、意識を暗転させ、気付くとそこは一面が野原の茂る草原が広がっていた。

 

「ここは………」

 

〈気が付いたのね………〉

 

「誰だっ‼」

 

ラウラの目の前には、草原しか映っていなかったが、どこからともなく声がした為、ラウラは臨戦状態に入った。

 

〈そう気張らなくても大丈夫よ〉

 

〈そうそう、カガリ様の弟君が選んだ人だもん〉

 

〈間違いは無いわね〉

 

最初は一人だったが、三人に変わり、ラウラは一層、気を張った。

 

〈仕方が無いわね……ジュリ、マユラ。姿を出しましょう〉

 

〈そうね〉

 

〈その方が、話しやすいもんね〉

 

そう言うと、ラウラの目の前には三人の女性が現れる。

 

「貴様らはなんだ‼」

 

「私の名前はアサギ・コードウェルよ」

 

「私はマユラ・ラバッツ」

 

「私はジュリ・ウー・ニェン」

 

三人の名前にラウラは、誰なのか判らなかった。

 

「私達は、ストライク・アストレイだっけ? その機体の前の機体であるM1アストレイの正式パイロットよ」

 

マユラの説明に、ラウラはいまいち判っていない様子であった。

 

「まぁ、そんなに考える必要は無いわ………本題に入りましょう。貴女は今、ストライク・アストレイのコアの内部にいます」

 

「私達は、その意識と思ってもらって構わないわ」

 

「だけど、貴女が目が覚めた頃には私達は消える」

 

順にマユラ、アサギ、ジュリでラウラに説明をしていく。

 

「私達は貴女にお願いがあって、来たの」

 

「正確には、呼んだと言った方が判りやすいわね」

 

「お願いだと?」

 

マユラとアサギの言葉にラウラは、訝しみながら尋ねる。

 

「そう。貴女にはこのストライク・アストレイのパイロットとして素質があるか、調べたいの」

 

「そして、素質があったら本当の貴女専用機に生まれ変わるわ」

 

「………その素質とはなんなんだ?」

 

「まぁ、これから尋ねる質問に答えるだけで良いわ。それだけで判るから………では、第一問」

 

ラウラの言葉にアサギは答えるだけで良いと言って、質問に移った。

 

「貴女にとって力とはなに?」

 

ジュリから出された質問にラウラは考える。だが、答えはキラと千冬に出された質問の事だと思いつき、自分が思った事を正直に曝け出す。

 

「護りたい者を護る」

 

「そう……では、その護りたい者は誰?」

 

「………」

 

ラウラの答えにマユラが質問する。

ラウラにとって、家族と言う存在はいない。昔であれば、部隊の皆と答えられたかもしれない。だが、それはまだラウラがドイツ軍の特殊部隊の隊長だったらのIFの話である。

しかし、今は誰を護っていいのか判らないのが、現状なのだ。

 

「答えられないと言う事は、居ないと言う事ね………それで良いのかしら?」

 

「なに?」

 

「貴女にとって護りたい存在は身近にいるものよ。例えば………あの金髪の娘とか」

 

「シャルロットは……まだそう言う関係になれていない。だから、護るとか護られると言う事では無いぞ」

 

マユラの質問にラウラは答える。一瞬、シャルロットの顔を思い浮かんだが、部隊が一緒と言う関係性でしかないと、ラウラは考えていたのである。

 

「そうかしら? もしかしたらシャルロットちゃんは、貴女を護りたいと思っているかもよ?」

 

ジュリの言葉にラウラは首を振る。

 

「私は一度、力に溺れた存在だ………そんな奴を護りたいと思う奴などいないだr「それが答え?」ッ⁉」

 

ラウラの言葉に被せて言ったアサギの言葉と表情は真剣であり、ラウラを見つめる瞳はラウラが言っている言葉は偽りであると確信を持った瞳であった。

 

「それが答えで良いのかしら?」

 

「………前に教官とヤマトに言われたんだ。君に護りたい者はあるのかと……私は答えられなかった。そして、ヤマトに一緒に見付けてほしいと頼んだ。だが、まだ見つかっていないんだ‼ どうすれば良いんだ‼」

 

「それが答えじゃない」

 

「え?」

 

ラウラの本音にアサギの表情は綻んだ。

 

「見付けられない。それだけで終わっていたら、私達は貴女にこの機体を預けられていなかったわ。だけど、貴女は誰かに助けを求め、そして求められた者は答えようとしたんでしょ? なら、それで良いじゃない」

 

「だが‼ 私は答えを見つけられていないんだぞ‼」

 

「そう、それが答えよ」

 

アサギはラウラの答えが正しいと言う。そしてジュリ達も頷いていたのである。

 

「人は誰もが答えを求められない事ばかりよ。それを追求していく事が人生なの。だから、貴女は迷って当然よ」

 

「それに、簡単に答えなんか出されてちゃ、意味が無いもの」

 

「だから、私達は貴女はこの機体を扱う素質があると思ったわ。

 

アサギ、ジュリ、マユラの順番でラウラに言って行く。すると、三人の姿が段々と薄くなっていく。

 

「そろそろ、目覚めの時間ね………」

 

「私達三人はずっと、あなたの事を見ているわ」

 

「だから、迷って貴女が死んだとき、私達に答えを聞かせて?」

 

「待て‼ 一問しか質問していないぞ‼」

 

〈あら? 誰が何問もあると言ったかしら?〉

 

〈私達は何も言ってないわよ〉

 

〈だから、頑張りなさい〉

 

〈〈〈ラウラ・ボーデヴィッヒ‼〉〉〉

 

「ッ⁉」

 

三人が自分の名前を呼んだ瞬間、ラウラは草原からキラ達がいる格納庫に戻っていた。

 

「………ありがとう。マユラ、ジュリ、アサギ………私はいつか守れる人間を探し出して見せる‼」

 

ラウラがそう意気込みを言った瞬間、ストライク・アストレイは光り輝き、ラウラを包み込んだ。

 

「まさか‼」

 

「ファーストシフト⁉」

 

キラとシャルロットは驚く。まだ、機体としては完成していてもラウラ専用に調整をしていないのにも関わらず、ファーストシフトしたからである。

そして、光が止む頃には、ストライク・アストレイは、変化しており、ストライクに似た機体へと変貌していたのである。

 

「機体名……SA-X01 SアストレイFB」

 

ラウラの機体はキラが使っていたストライクと発展機であるストライクE、そしてアストレイを組み合わさった機体に成り変わり、外見にはあまり変化していないが、肩部がストライクの物に変化しておりまた、大型スラスターが増設されたぐらいであった。だが、内部構造はストライクの物に変わっており、ISコアとは別にバッテリーが増設され、パワーエクステンダーも装備されていたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼


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第五十七話

書き上げたぞ‼ 更新じゃぁァァぁ‼

冬イベ? 何それ? 美味しいの?


ラウラが纏ったストライク・アストレイは、ファーストシフトを行った事により機体が新機種へ変貌した。

 

「ストライク・アストレイ・フォースブレイク……一撃に迷いを断ち切る力か……」

 

「ラウラにピッタリな機体だね」

 

キラはモニターに映し出されたラウラの機体情報を見るが、ストライク・アストレイの数倍の力を有している事が判明した。

 

「ラウラ、身体に問題は無い?」

 

『ああ。なんだか……温かい気持ちになる』

 

「そうなんだ……君には護れるだけの力があるんだ。それを有効的に使って欲しい」

 

『判っている‼』

 

キラの言葉にラウラは強く頷いた。

 

「出撃するよ。シャルロット、ラウラ。準備は良い?」

 

『大丈夫だ』

 

「僕も大丈夫だよ‼」

 

キラの言葉にシャルロットはワイバーン・ドラグーンを展開させる。

すると、天井部が開いて行き青空が拡がる。

 

「キラ・ヤマト。フリーダム、行きます‼」

 

「シャルロット・デュノア。ワイバーン・ドラグーン、出ます‼」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。SアストレイFB、出るぞ‼」

 

三人は青空の広がる世界へと飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園では千冬を筆頭に専用機持ちが集結していた。

 

「お前たちも知っているだろう。学園に未確認機と未確認空母群が向かって来ている。ヤマト達にも救援要請を出している。もう直につくと言う連絡を受けている。お前たちにして貰いたいのは、未確認機を学園に近づけさせ無い事だ。ただし、闇雲に突撃するのは禁止する。判っているな‼」

 

≪はい‼≫

 

千冬の言葉に専用機持ちは強く頷く。

 

「それでは、作戦開始だ‼」

 

千冬の言葉で全員が出撃していく。

 

「一夏、アンタは近距離専用機なんだから、気を付けなさいよ」

 

「ああ、判っている………」

 

鈴の言葉に一夏は頷くが、表情は優れていなかった。

 

「一夏さん……どうかされましたの?」

 

「いや、もしキラ達がこの場にいたら、簡単に解決してるんだろうなって、思ってさ」

 

セシリアの言葉に一夏はキラ達がいれば、自分達が出る必要は無いと考えていた。

 

「確かにキラ達がいれば、簡単に終わってるかもね………でもそれは“たられば”の話なんだから………今は私達に課せられた使命を果たすだけよ‼」

 

「そうですわ、一夏さん。わたくしたちの機体はダメージCと言う本来は、出す事が難しい程の損傷を受けても尚、出て来ているのです。覚悟をお持ちになりなさい」

 

「………そうだな、すまない二人とも。ありがとう」

 

セシリアと鈴の激励に一夏は気を引き締める。

 

「そうよ、キラ君達は後から来るんだから………私達が食い止めておかなくちゃ、他の生徒達に危険が迫ると言う事だけは忘れないで」

 

「……織斑一夏……私はあなたを許すつもりは無い………でも、今はそれを忘れる。だから、勝手な行動は慎んで」

 

簪はそう言うと戦列から外れて行く。楯無は苦笑いをする。内心では(素直じゃないわね)と思っていたのである。

 

「と言う事だから、あなたは私達が護ってあげるわ。だから、無様な戦いはしないでね」

 

「はい‼」

 

楯無の言葉に一夏は強く頷く。

 

「目標を発見したわ。各員、戦闘準備‼」

 

楯無の言葉は良く通る声をしていたのであった。

 

「あの時の機体とは違う?」

 

「油断しないで‼ あの機体は前の機体より上の機体だから‼」

 

未確認機はダガータイプの機体であったが、機体色やこまごまとした部分が違っていた。

 

「あれは………ダガーLね……各自、散開‼ 一人で倒そうなんて考えないで‼」

 

≪了解‼≫

 

楯無の指示で全員がツーマンセル状態でダガーLと戦う事となった。だが、学園側の機体は楯無、簪、一夏、鈴、セシリア、ダリル、フォルテの七人で出撃をしているが、そのうちの鈴とセシリアの専用機は損傷が激しい機体であった為、無理な戦闘は控えなくてはいけなかった。

 

「鈴ちゃんは簪ちゃんと。セシリアちゃんは私と一緒に行動しなさい‼ フォルテ、ダリルは一夏君を護ってあげて‼」

 

「しかたがねぇーな……一年ボウズ‼ 遅れんなよ‼」

 

「は、はい‼」

 

ダリルの悪態に一夏は嫌な顔をせずについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アークエンジェルでは出撃態勢が整えられていた。

 

「キラ君とシャルロットさん、ラウラさんは現地で集合するわ‼ 各自、戦闘用意‼」

 

艦橋ではマリューが指示を出していく。

 

「MS隊が出撃後、我々は空母群の討伐に向かいます。ゴットフリート、バリアント一番二番起動。コリントス装填。海上に出た後、攻撃を仕掛けます‼」

 

≪了解‼≫

 

マリューの指示を聞いたクルー達は、準備を整えて行く。

そして、白亜の艦が海上に出た瞬間、カタパルトにはアスラン達がスタンバイしていた。

 

『カタパルト正常。アカツキ、発進どうぞ‼』

 

「ムウ・ラ・フラガ。アカツキ出るぞ‼」

 

ミリアリアの官制でムウが先に出撃する。

 

『次にジャスティス、発進どうぞ‼』

 

「アスラン・ザラ、ジャスティス出る‼」

 

次に出撃するのはアスランのジャスティスが出撃する。

 

『ドム・トルーパ、発進どうぞ‼』

 

「ヒルダだ、ドム行くよ‼」

 

「ヘルベルト、ドム行くぜ‼」

 

「マーズ、ドム行くぞ」

 

次にドム小隊が出撃して行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空母群の旗艦である“ロナルド・レーガン”の艦橋では一人の男が戦況を見ていた。

 

「指令、我が軍が優勢ですな」

 

「ああ、だが油断は出来ないぞ?」

 

「判っております………増援を送りますか?」

 

指令は増援を出そうかと考えたが、このままいけばこちらの勝利で終わると思っていたので、増援を送る事はしなかった。

 

「いや、増援は無しだ。このまま進んで行く」

 

「判りました」

 

指令の言葉に副司令官は頷いた。だが、戦況が変わってしまう事にこの時、空母群の全員が知らなかったのであった。

 

「熱源発見しました‼ 数1‼」

 

「なに?」

 

「どう言う事でしょうか? 熱源クラスは?」

 

指令と副指令は熱源が一つしか無い事に疑問に思った。

 

「熱源は戦艦クラス……いや、見た事も無い熱源反応です‼」

 

「ISではないのか‼」

 

「大きさが違います‼」

 

この言葉に指令は一つの事を思いだした。

 

「まさか⁉ あの噂は本当だったのか………」

 

「噂ですか?」

 

指令の呟きに副指令は訝しむ。

 

「ああ、君も聞いた事は無いかね? 学園を護る白亜の戦艦が居る事を……」

 

「確かに聞いた事はありますが………噂程度でしか考えていませんでした」

 

「我々は……負けるかも知れないな」

 

指令の呟きは本当になるのであった。




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第五十八話

もう少しで六十話になりますね………早い様な遅い様な………遅いですね。判ります。

はい、中々執筆に時間が取れない武御雷参型です‼
今日は休みと言う事もあって、寝てました。すみません。明日も仕事ですが、夜勤なので、ゆっくりと執筆をする事が出来ました。

さて、長い前置きは置いといて。
今回は色々とツッコミ所満載になっていると思います。だって戦闘模写ムズイんだもん‼
男がもんなんて使うもんじゃねぇな……オロロロロロロロロ

~暫らくお待ちください~


フゥ、落ち着きました。すみません。なんか自分がしている事を思い出してしまったら吐き気に襲われました。
さて、今回の終盤にも新たな脅威が出て来る………のかなぁ?
キラの手に掛かれば、そうでもない気がする(気にしたら負け)


と言う事で(どう言う事だよ‼)本編へ行きます‼(唐突過ぎィ‼)


空母群の前方にアークエンジェルは浮上した。

その姿は、空母群の旗艦であるロナルド・レーガンからも目視する事が出来る程の近さであった。

 

「敵艦、浮上‼ 艦種に照合しましたが、どこの国家にも属さない艦です‼」

 

「だろうな………ダガー部隊を出させろ‼ 第一種戦闘配備‼ カラミティ、レイダー、フォビドゥンを出させろ‼」

 

艦隊指令である男の指示が飛び出していく。

 

「敵艦より発光信号‼」

 

「読みあげろ」

 

「ハッ‼ ワレ、国際IS学園所属アークエンジェル。即時、武装解除サレタシ。サモナクバ、撃ツ事モ辞サナイ。です」

 

アークエンジェルからの発光信号に戸惑う男達であった。しかし、それを遮る者がいた。

 

「男を匿う学園なぞ、無用‼ 攻撃を続行しなさい‼」

 

「ですが‼」

 

「男は黙ってわたくしの命令を聞いておけばよいのです………さぁ、我々に歯向かう者達を滅しなさい‼」

 

この艦隊司令は、男ではあるが、実権を握っているのは国際IS委員会から派遣された女性であった。

 

「……判りました……全艦、攻撃開始‼ IS部隊を出させろ‼」

 

男の指示を聞き、女性は頬を綻ばせながら頷いていた。

 

ロナルド・レーガンや他の空母群から無人ISが出撃していくのであった。

男は指示を出した後、艦橋を降りて独りでに行動を開始するのであった。それがこの男達を護る事になるとは、誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アークエンジェルでもロナルド・レーガンや他の空母群からISが出撃しているのが判っていた。

 

「やはり……一筋縄では行かないと言う事ね………仕方は無いわね……ゴッドフリート照準、空母群前方‼ 絶対に当てないで‼」

 

マリューの指示が飛び、艦首上板に搭載されているゴッドフリート二基が空母群前方に照準を合わせる。

 

「撃ぇぇぇぇぇぇ‼」

 

マリューの声でゴッドフリート二基が火を噴く。そして、着弾した瞬間、海上が水蒸気爆発を起こし空母群を揺らし出した。

 

「敵機、近づいてきます‼」

 

「ヘルダート、コリントス装填‼ 撃ぇぇ‼」

 

ミリアリアの報告にマリューが素早く指示を出していき、艦尾ミサイル発射管からコリントス、艦橋後方ミサイル発射管からヘルダートが射出される。

それと同時にイーゲルシュテルンも稼働し、対空砲火により敵の無人ISは壊滅状態に陥ってしまうのであった。

 

「敵機残数0‼ 艦長、どうしますか?」

 

「………相手の動きを見ます」

 

マリューはそう言うとモニターを見つめるのであった。

だが、それはすぐに変わる事となる。

 

「艦長‼ 国際救難チャンネルで呼び掛けられています‼」

 

「繋いで」

 

「はい」

 

ミリアリアからの報告に、マリューはどう言う意図があるのか判らなかったが、相手に何かしらの動きがあると感じ取っとったマリューは繋ぐよう指示を出した。

 

「こちらは国際IS学園所属艦アークエンジェルです」

 

『………こちらは“元”国際IS委員会所属艦隊旗艦“ロナルド・レーガン”艦長のコトブキと言います。いきなりの通信に出て頂き、感謝します』

 

ロナルド・レーガンの艦長であるコトブキはマリューに頭を下げると、本題へと移り始めた。

 

『我々、空母艦隊は国際IS学園に投降の意志をお伝えします』

 

「………それはどう言う意味ですか?」

 

相手からの話は、投降と言う呆気ない話であった。

 

『我々は委員会から派遣された女に従わされていただけに過ぎません……ですが、その女性は先程、我々の手で引導を渡しました。もう委員会にはついて行く気は更々、ありません。かと言って、我々には帰るべき場所が無い状態です。そこで、国際IS学園に投降しそちらの戦力の一つとして使って頂きたいのです』

 

「その事については我々には権限がございません。なので、一度学園で話し合ってからお伝えすると言う形となりますが、それでも構いませんか?」

 

『構いません。我々は抵抗する手段がありませんから………それと、学園に向かっている無人機達ですが、既に撤退命令を出しています。もう、そちらへの攻撃が行われる事は無いと言えます』

 

「そうですか………判りました。現時刻を持って戦闘終了とし、学園へ戻ります」

 

≪了解‼≫

 

マリューの指示によりアークエンジェルは元国際IS委員会所属であった空母艦隊を手に入れる事が出来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それを見ていた者がいた。

 

「………私だ。やはり、男は使い物にはならない種族だ……殺れ」

 

大型潜水艦から一機の機体が浮上し始めた。それは、嘗てベルリンを焼き払った悪魔の機体であった。

 

「………裏切り者には死を………誇り高き女性だけの世界の為に………」

 

コックピットに座っているのはキラと楯無の義理の娘である明日菜と近い歳の子供であった。だが、少女の頭には機会を付けられ、思考を遮る装置が取り付けられ機械の部品の一つと化してしまっていた。

 

「私は………女性だけの世界にする為だけに生まれた存在………そのほかには何も要らない‼」

 

そう言うと、少女は躊躇いも無く引き金を引くのであった。その先にはアークエンジェルを含む空母艦隊がある場所だった。




国際IS学園は空母艦隊を手に入れようとしていた。だが、それを許す委員会では無かった。
委員会はすぐに次の手に打って出る事となり、脅威が払われる事は無かった。

次回、第五十九話
「デストロイ」

全てを包み込む光を‼ ガンダムゥゥゥゥゥゥゥ‼
By グラハム・エーカー


なんか違うの混じってるけど………気にしない方針でお願いします‼

「初めましてだな、ガンダムゥゥ‼」

「あなたは……誰ですか?」

「私を忘れたとは言わせないぞ‼ おとめ座に導かれた男、グラハムを」

「いや、グラハムなんて人知りませんけど………」

「え?」

「え?」


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第五十九話

後一話で六十話になりますね。もうここまで書いてしまったのかと思うと、頑張ったなと思いますよ………多分。

では、本編へ行きます‼


その頃、IS学園では既に専用機持ちのほとんどが満身創痍に陥っていた。

一夏達の機体は軍用として開発された機体では無く、スポーツ専用に開発された機体であった為、ダガータイプの軍用機には歯が立たなかったのである。

 

「一夏君、一回離れて‼ セシリアちゃん、後退‼ 鈴ちゃんはセシリアちゃんの後退を手伝ってあげて‼ ダリル、フォルテは一夏君を下がらせて‼」

 

「なっ⁉ 楯無、おめぇはどうするんだ‼」

 

「私は殿として残るわ「そんな事させると思うの?」…簪ちゃん……」

 

「私も一緒に殿する」

 

楯無の言葉に簪も一緒に残ると言いだしたのである。

 

「………判ったわ。ダリル、急いで‼」

 

「死ぬんじゃねぇ―ぞ‼」

 

ダリルは楯無と簪にそう声を掛けると、一夏を抱えて後方へと下がって行った。

 

「ふふふ」

 

「どうしたの、お姉ちゃん?」

 

楯無は絶望的な展開でありながら、笑いを堪えている様子であった。簪はそんな姉に訝しみながら尋ねると、楯無は笑顔のまま答えた。

 

「なんだかね、絶望的なのに、そんな風には思えないのよ」

 

「それ、何と無くだけど判る」

 

二人はそう言うと小さく笑い始める。

一頻り、笑うと二人の表情は真剣そのものへと変わった。

 

「さぁ、行くわよ。簪ちゃん‼」

 

「うん、お姉ちゃん‼」

 

二人はそれぞれに武器を構え、ダガータイプを睨みつける。

 

「「私達を倒してから、この先へ進め‼」」

 

二人はそう言ってダガータイプが群れている方へと突っ込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、既にキラ達は学園近くまで来ており、ダガータイプを目視確認できるほどまでの距離まで近づいていたのである。

 

「キラ‼」

 

「判ってる……二人とも一夏達の所に向かって‼」

 

「キラ⁉」

 

「……判った」

 

キラの指示にシャルロットは異議を唱えようとしたが、ラウラが承諾の答えをしてしまい、シャルロットは驚いてラウラを見た。

 

「今はキラ達に任せるべきだ。私達には私達にしか出来ない事をするだけだ」

 

「………判ったよ………気を付けてね、二人とも」

 

「「ああ‼」」

 

シャルロットの言葉にキラとアスランは答えると、速度を上げるのであった。

 

「シャルロット、お前はオルコット達の方へ行け。私は先輩の方へ向かう」

 

「……判った。ラウラも気を付けてね? 初めての機体なんだから………」

 

「判っている。だがな、こいつは私に合わせられた様な機体なんだ………使い勝手ぐらい知っていて当然だ‼」

 

ラウラの言葉にシャルロットは微笑み、一つ頷くとセシリアと鈴の方へと向かって行った。

 

「さて、私も行くとしようか」

 

ラウラはそう言うと、一夏を抱えて飛んでいるダリルの方へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯無と簪はランスや荷電粒子砲を使ってダガータイプにダメージを与えて行くのだが、微々たるもので撃墜機は出ていなかった。

 

「そろそろ、やばいかも………簪ちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫……じゃない………でも、負けられない‼」

 

「その意気よ‼(でも、このままじゃジリ貧だわ……なにか打開策は無いかしら………)」

 

楯無はこのままでは自分達が撃墜されてしまう事が目に見えていた。だが、それを打開する方法を模索するも、良い案が出ず、八方塞であった。

その時であった。二人の想い人から通信が入って来たのは―――――

 

『こちら、秘匿武装部隊“アークエンジェル”隊隊長のキラ・ヤマト。二人とも、聞こえてる?』

 

「聞こえてるわ………遅いわよ?」

 

『すみません………三秒後、合図をしたらその場から離れて下さい。一気に殲滅します』

 

「判ったわ。聞こえたわね? 簪ちゃん‼」

 

「うん‼」

 

二人はキラの出される合図を待った。そして、キッカリ三秒後、キラから合図が出た為、二人はその場から離れた。その瞬間、二人が居た場所に四つのビームが迸り、ダガータイプを半分ほどが殲滅されたのである。

 

「凄い………」

 

「これが戦士の力………」

 

楯無と簪は、キラ達の力に驚いていた。これ程までの力を持っていながらも、驕らず護る為だけの力と専念させていた事に驚いていたのであった。

だが、それもその時だけであった。

ダガータイプの動きが一瞬、止まると方向転換させて母艦が居る方向へと戻って行った。

 

「なに? 何が起きたの?」

 

「判らない………アスラン。どう言う事なの?」

 

『アークエンジェルが勝ったと言う事だろう………だが、なんだ。この違和感は………』

 

『アスランも感じてる? 僕もなにか違和感を覚えてるんだ………まさか‼』

 

キラはそう言うと広域スキャンをIS学園周辺へ行った。すると、IS学園の領海外に一隻の潜水艦が居る事に気付いたのである。

 

『潜水艦だ‼ 数は1……いや、大きい何かが潜水艦から出た………ライブラリー照合………アスラン、まずいよ‼』

 

『キラ、行くぞ‼』

 

『うん‼』

 

キラ達は何かを察したのか、楯無達を置いてその場から立ち去って行った。

 

「ちょ⁉ どう言う事よ………」

 

『……ち……織…千冬だ‼ 二人とも聞こえるか?』

 

「「聞こえてます‼」」

 

千冬からの通信に二人は驚きながらも出ると、千冬からの報告に戦慄した。

 

『落ち着いて聞いてほしい。間も無く、大型の未確認物体がこちらに攻撃してくる事が判明した。二人はそのまま学園へ戻って来てほしい』

 

「ですが、キラ君達はどうなるんですか‼」

 

『………これは、ヤマトから言われた事なんだ………頼む。戻って来てくれ。以上だ』

 

千冬はそう言うと、通信を一方的に切ってしまう。

 

「お姉ちゃん………」

 

「戻るわよ。簪ちゃん」

 

「…………うん」

 

楯無に言われ、簪は渋々と学園の方へと戻って行くのであった。




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第六十話

完成しました。
本当であれば、今回の話で強襲編を終わらせるつもりでしたが、後何話か続く見通しです。
早く本編へ進みたいです。

強襲編が終わったら、事後説明と臨海学校編へ行くつもりでいます。
完結するのはいつになる事やら………

では、本編へ‼


楯無と簪と離れたキラとアスランは、大型可変MS“デストロイ”の反応があった場所へと急行していた。

 

「キラ、このままでは拙いぞ‼」

 

「うん、デストロイ相手にIS学園のISでは太刀打ち出来ないからね‼ 急ぐよ‼」

 

「ああ‼」

 

この時、二人は気付かなかった。ストライクとイージスの待機状態であるネックレスと石が光っている事に………

 

 

「見えた‼」

 

「やっぱり大きさはISの倍ぐらいの大きさに収まってるね………ある意味で凄いよ」

 

二人が目にしたのはISの二、三倍の大きいISであった。だが、その機体は地球連合軍が大量破壊用兵器として開発したデストロイそのものであった。

 

「キラ、ジャスティスとフリーダムの兵器だと、効果が薄い。ストライクとイージスに切り替えるぞ‼」

 

「うん‼」

 

二人は空中でフリーダムとジャスティスを待機状態に戻すと、入れ替わる様にストライクとイージスを展開させる。

 

「アスラン、僕はマルチプルアサルトを使うから、ソードストライカーのソード使って‼」

 

「判った‼」

 

キラはアスランにそう言うと、ストライカーをソードに選択し対艦刀“シュベルトゲベール”をアスランのイージスへ投げ渡し、ストライカーをすぐに変更させ、マルチプルアサルト所謂、パーフェクトストライクに切り替えると、同じく対艦刀“シュベルトゲベール”を手に取り、デストロイへと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園では大型の未確認IS殲滅部隊が臨時で設立されようとしていた。

格納庫に集められたのは千冬を筆頭に真耶、楯無、簪、一夏、鈴、セシリア、ラウラ、シャルロット、ダリル、フォルテの十名であった。

 

「ここに集まってもらったのは他でもない。現在、ヤマト、ザラの両名による大型の未確認ISの殲滅に手助けをする為である。これは強制では無い。参加は個人の意思を尊重される。参加する者は挙手をしろ」

 

千冬の説明に真っ先に手を上げたのは楯無と簪、ラウラ、シャルロットの四名だけであった。

他の者達はどうするべきなのか迷っている様子であった。

 

「四名か………フラガ隊長。聞こえていますか?」

 

『聞こえてるぜー……手を上げたのはキラの彼女である楯無、アスランの彼女である簪。そして新たに加わったラウラちゃんとシャルロットちゃんだろ?』

 

「ちゃん付けするな‼」

 

ムウの声にラウラが噛み付く。

 

「そうだ、この四名であれば可能ですか?」

 

『可能と言えば可能なんだがな………かんちょー、どうする?』

 

『私に振るの? はぁ~、他にいない様子であれば指示をした場所に向かってください。そこで落ち合います』

 

マリューはムウに話を振られた事に驚きながらも、千冬に指示を出していく。

 

「判りました。時間も無い。他にいない様であr「俺も行く‼」……本気か?」

 

千冬の声を遮る様に挙手をしたのは一夏であった。

 

「ああ、俺だってやるときにやらなくちゃいけないだろ‼」

 

「では、わたくしも」

 

「はぁ~ホント、バカばっか……一夏を見守らなくちゃいけないから、私も参加するわ」

 

一夏の挙手を筆頭にセシリア、鈴も手を上げて参加する事を表明した。

 

「ダリル、フォルテはどうする?」

 

「俺はパス。メンドイから」

 

「じゃぁ、僕もパスするッス」

 

「そう………仕方が無いわね」

 

ダリルとフォルテはパスする事になり、戦力は落ちる事になるのだが楯無も強制的に入れようとは思っていなかったので、それを承諾した。

 

「では、私を筆頭にして目的地へ向かう。総員、準備を怠るな‼」

 

「「「「「「「「了解‼」」」」」」」」

 

千冬の言葉に一夏達は強く返事をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、空母群はと言うとのんびりとした空気が漂っていた。

 

「かんちょー、向こう型の返事は無いんですか~」

 

「無い」

 

「暇っすねぇ~」

 

「ああ」

 

「つれないっすねぇ~ここは何とかびしっと言ってくださいよ」

 

「それでお前は緊張感を持つのか?」

 

空母群の旗艦であるロナルド・レーガンの艦橋では艦長であるコトブキとヤマザキがIS学園を目視できる距離で寛いでいた。

 

「そんな訳無いじゃないっすか~でも、かんちょーとして言ってほしいなって………思ってみたり?」

 

「そこで疑問形でなかったら完璧だったんだがな………だが、アークエンジェルからもなんのお沙汰が無い。我々が今する事は待つと言う事だけだ」

 

「わっかりました………ん?」

 

「どうした」

 

ヤマザキが何と無くモニターを見ると、そこには熱源が一つ反応していた。

 

「熱源をキャッチしました。この熱源反応は………」

 

「そうしたんだ?」

 

「アークエンジェル級に近い物です‼」

 

「なに⁉ だが、アークエンジェルは我々の近くにいる。エラーか間違いじゃないのか?」

 

「い、いえ‼ 違います‼」

 

「すぐにアークエンジェルに通信しろ‼」

 

「アイサイサー‼」

 

コトブキの指示によりアークエンジェルへ通信がすぐに行われた。

 

『こちらアークエンジェルです。どうしましたか?』

 

「熱源をキャッチしました。数は一。大きさ的にはアークエンジェルと同等の物と思われる」

 

『………判りました。空母群はすぐに部隊を出せるように準備を行ってください』

 

「判りました」

 

コトブキはすぐに指示を出して空母の甲板にダガー部隊を配備するのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等あれば送ってください‼


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第六十一話

六十話を超えましたwww
完結までまだまだです。どこまで行くつもりなんだ………俺よ。


デストロイはその巨体とは思えない速度でIS学園へと迫っていた。

だが、それを許すキラとアスランでは無かった。キラはソードストライカーを展開させると“シュベルトゲベール”を取り出しアスランへ投げ渡すと、ソードストライカーをパージしマルチプルアサルトを展開させて同じ武装である“シュベルトゲベール”を手に持ち、デストロイと対峙する事となった。

 

「キラ、行くぞ‼」

 

「うん‼」

 

二人はシュベルトゲベールを手に持ってデストロイへと突撃していった。

だが、デストロイも待っているだけでは無かった。両腕部飛行型ビーム砲“シュトゥルムファウスト”を展開させてキラ達を迎撃しようと行動を起こす。

だが、キラ達も同じくでシュベルトゲベールを片手にビームライフルを乱射させてシュトゥルムファウストを攻撃するが、ビームシールドが張られている所為で、攻撃が通らなかった。

 

「クソッ、近づこうにも近づけない‼」

 

「アスラン、僕が陽動するからその間に‼」

 

「……判った。気を付けろ」

 

キラはビームライフルを乱射し、自分の方へシュトゥルムファウストを向けさせた。キラは自分の方へ向かって来ているのを確認すると、ジグザグに動き攻撃を回避していく。

アスランはキラが陽動をしている最中に、シュトゥルムファウストを攻撃するチャンスを窺っていた。そして、その時は来たのである。

シュトゥルムファウスト二基はキラを挟み撃ちにしようと動きを止めた瞬間、アスランが手に持つシュベルトゲベールを振りかぶり一基を破壊させたのである。

デストロイのパイロットは驚き、シュトゥルムファウストを本機に戻そうとしたところをキラが持つシュベルトゲベールで切り裂かれ、爆散してしまった。

 

「キラ‼ 一気に攻めるぞ‼」

 

「うん‼」

 

二人はそう言うとデストロイ本機に迫って行く。だが、シュトゥルムファウストを無くなったデストロイであったが、まだまだ武装は残されている。

デストロイはMA状態でMK-62 6連装多目的ミサイルランチャーを放ちストライクとイージスを近づけさせ無い様にしていた。だが、二人は歴戦の戦士と言う事もあり、的確にミサイルをビームライフルで撃ち抜いたりイーゲルシュテルンで迎撃していった。

デストロイのパイロットはキラ達の事を恐怖に感じ、すべての武装を放ちキラ達を迎撃していく。だが、攻撃の手は先程よりも緩くなっている所為か、簡単にキラ達を懐に入れてしまったのである。

 

「これで‼」

 

「お終いだよ‼」

 

キラ達はシュベルトゲベールを振りかぶりデストロイを切り裂き、円盤のバックパックを破壊したのであった。

だが、デストロイはこれで終わる事は無かった。

 

『ま…だ……だ………これで……終わった訳じゃ無い‼』

 

オープン回線で聞こえたのは少女の声であった。

 

「女の子⁉」

 

「それに、まだ若い………これで確実な確証を持ったね」

 

二人はデストロイが出て来た時点で、黒幕にいる者に確証を得たのである。

 

「ロゴス………この世界にも来ていたのか…………」

 

「僕達はこの世界を護る‼」

 

二人はデストロイのパイロットを救出する事を最優先にする事を決める。

デストロイはMA形態からMS形態へ変形させると200㎜エネルギー砲“ツォーンMK-2”、1580㎜複列位相エネルギー砲“スーパースキュラ”の計4門によるビーム攻撃を行おうとした瞬間、キラとアスランはシュベルトゲベールでツォーンMK-2とスーパースキュラを切り裂き、攻撃の手を封じ込めるのであった。

それにより、デストロイはその巨体を海に身を投げ渡すように倒れ込んだ。

キラとアスランはすぐにデストロイに駆け寄り、コックピット部分を慎重に切り裂いて、中にいる少女を助け出したのであった。

 

「一度、学園に戻るぞ‼」

 

「急がないと……この子が死んじゃうからね」

 

キラが少女を抱えてIS学園へと戻ろうとした。だが、その時であった。学園から通信が飛び込んだのである。

 

『こちら、IS学園臨時部隊隊長の織斑千冬だ。ヤマト、ザラ。聞こえているか‼』

 

「こちら、キラ・ヤマトです。先生、聞こえています。どうかされたんですか?」

 

『どうかしたのではない‼ 大型の未確認機の反応が消えたからどう言う事なのか聞こうとしただけだ‼』

 

キラのきょとんとした声に千冬は怒鳴りながら、キラに捲くし立てる。

二人は顔を見合わせ、少し笑うと状況終了の説明を行った。

 

「こちらキラ・ヤマト。デストロイの破壊に成功しました。これより帰還します」

 

『………そうか……判った。だが、これで安心は出来ないぞ? すぐにアークエンジェルへ向かってくれ』

 

「………何かあったんですか?」

 

『………アークエンジェル級の反応をキャッチしたのだが………』

 

千冬の言葉にキラとアスランは何と無くだが、状況を呑み込む事が出来たのである。

 

「判りました。すぐにアークエンジェルへ戻ります」

 

キラ達は学園に戻ろうとしたが、千冬の指示によりアークエンジェルへと向かうのであった。




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第六十二話

今回は二話連続です‼


学園から出撃した千冬達は、海上に浮かぶアークエンジェルに向かっていた。

 

「織斑先生、指定された場所は何処なんですか?」

 

「間も無く見えて来る………見えたぞ‼」

 

千冬が指さしたところには海上に浮かぶ白亜の戦艦であった。

 

「どこの国に属している艦なのよ‼ と言うか、見た事も無い艦だわ」

 

「え、ええ………何でしょうか……あの艦には何かを成し遂げたようなオーラを纏っていますわね……」

 

「でけぇ~」

 

鈴とセシリアは初めて見る宇宙戦艦に畏怖を抱いていた。だが、一夏はと言うとアークエンジェルの大きさに驚いていただけであった。

 

「あれが………」

 

「キラ君とアスラン君が乗っていた艦ですか………」

 

「「「えっ?」」」

 

楯無と真耶の言葉に一夏達は驚く。

 

「待って下さい‼ キラ達が乗っていたと言うのはどう言う事ですか?」

 

「………そろそろ、ハッチが開くぞ」

 

一夏の言葉に千冬は無視をして口を開くと、アークエンジェルの船首に二つあるうちの一つがせり上がり、千冬達を受け入れる体制を整えていた。

 

「各自、格納庫に入った後、専用機を量子変換しろ。相手は並の軍人では無い。ここは大人しく私の言う事を聞け。良いな?」

 

千冬の言葉に一夏、鈴、セシリアは戸惑いながらも返事し、シャルロット、楯無、簪、ラウラは迷う事無く返事をするのであった。

そして、千冬達がハッチの中に入ると、そこには一夏達が知らない機体がずらりと並ばれていた。

 

「すげぇ」

 

「こんな機体見た事無いわ………」

 

「これだけの数があれば、優に一国は落とせそうですわ」

 

一夏、鈴、セシリアはそうコメントをするのだが、セシリアの言う通り、アークエンジェルの戦力だけで大国は落とせるだけの戦力を保有していた。但し、この世界限定となってしまうが………

 

「お待ちしていました。織斑先生」

 

「ラミアス先生………いや、ここはマリュー大佐と言った方が宜しいですか?」

 

千冬の言葉に一夏、鈴、セシリアは驚くが、一方の楯無達は驚く事は無かった。

 

「止めて下さい。今の私は国際IS学園所属部隊アークエンジェルの専属艦であるアークエンジェルの艦長です。階級で呼ばれる事に慣れていないのです」

 

「そうですか…失礼しました。では、マリュー艦長と」

 

「普通に名前を呼んでもらって構いません」

 

マリューは苦笑いをしながらそう言うと、千冬もつられて苦笑いをして承諾した。

 

「判りました。それで、ヤマト達ですが……」

 

「先ほど、キラ君達から連絡が来ました。もう間も無く、到着するとの事ですが………来たようですね」

 

マリューがそう言うと、ハッチが開いたままの格納庫にキラ達が駆るストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスが入ってくる。しかし、ストライク・フリーダムの手には優しく包み込まれた少女の姿があった。

 

「マリューさん。戻りました。ストレッチャーを‼」

 

「判ったわ。救護班、用意して‼」

 

キラの言葉に切迫性があり、直ぐにマリューは救護班に指示を出してストレッチャーに少女を横たわらせた。そして、そのまま救護室へと運ばれるのであった。

それを見送ったキラ達は機体を量子変換し、敬礼をしながらマリューに報告を行う。

 

「キラ・ヤマト、アスラン・ザラ。只今戻りました。状況を報告します。デストロイの破壊に成功。パイロットであった少女を助け出しました。報告書は後に提出します」

 

「判りました。ご苦労様。休んで頂戴と言いたい所だけど………」

 

「判っています。織斑先生から話は聞いていましたので……」

 

「それなら、話は早い。すぐにブリーフィングルームに来てくれ。報告をする」

 

アスランの言葉にムウが全員をブリーフィングルームへ来るように伝えると、そのまま先にブリーフィングルームへと向かって行った。

そして、全員はその足でアークエンジェルのブリーフィングルームへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルのブリーフィングルームには、椅子が並べられており司会席にはマリューとムウが立つ。他の者は椅子に座るのであった。

 

「では、状況を報告するわね。元IS委員会の空母群がアークエンジェルと同等の熱源を発見したとの事よ。それから考えられるのは………」

 

「ドミニオンではないかと思っている」

 

「「なっ⁉」」

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

マリューとムウの言葉にキラ達は驚き、他の面々は判らず顔を傾けていた。そして、千冬が手を上げた。

 

「なんですか? 織斑先生」

 

「ドミニオンとは何ですか?」

 

千冬の質問にマリュー達はしまったと言う表情を浮かべる。

 

「そこから説明しなくてはいけなかったわ。ドミニオンとはアークエンジェル級二番艦として建造された艦です」

 

「この艦以外にも同じ艦が存在するのですか⁉」

 

「いえ、“この世界”には本来は存在する事の無い艦よ」

 

「この世界? どう言う事でしょうか?」

 

鈴の言葉にマリューが答えると、セシリアが追加で質問してくる。

 

「私達………いえ、キラ君達も含め我々はこの世界の住人では無いわ」

 

「俺達はある戦争が切っ掛けでこの世界に飛ばされた」

 

「僕とアスランが先にこの世界に飛ばされ、続く形でアークエンジェルもこの世界にやって来たと言う事だよ」

 

マリューとアスラン、キラの説明だけでは一夏達は納得しなかった。

 

「なら、一つだけ君たちに言おう。僕達の機体はこの世界のISのどの世代にも属さない機体だ」

 

「ビーム兵器を搭載し、尚且つ、動力源は核だ」

 

「そんな機体をどこの国が作ってる?」

 

キラとアスランの言葉に誰も言葉を発しなかった。

 

「そう言う事だよ。一夏、特に君には言えなかった」

 

「な、なんでだよ‼」

 

キラの言葉に一夏が噛み付く。だが、他の面々は頷いていた。

 

「君は何でもかんでも首を突っ込む傾向がある。それに………」

 

「お前の護りたいと言う言葉は……本心からなのか?」

 

「え?」

 

一夏はアスランの言葉の意味を理解できなかった。

 

「お前の護りたい存在と言うのは何だ? 織斑先生か? 篠ノ之か? 鳳か? オルコットか? それとも、世界中のすべてとか言わないだろうな?」

 

「………」

 

アスランの言っている事の意味を理解した一夏であったが、何も返す言葉は無かった。

 

「所詮、お前の思っている護りたいと言う言葉には、重みが無いんだ」

 

「重み………」

 

「俺達には護りたい存在がいる。キラは楯無さんと明日菜ちゃん。俺には簪。そして、マリューさんはムウさん。逆も然りでムウさんはマリューさんを護りたいと思っている。楯無さんや簪もそう思っているのだろう?」

 

アスランの言葉に楯無、簪は強く頷く。

 

「まぁ、今はそんな事をしている余裕は無い。お前には宿題だ。お前が本当に護りたい奴を探せ。そして、答えを見つけ出したら、それを突き通せ。良いな?」

 

「………ああ」

 

一夏は元気なく頷くのであった。



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第六十三話

連続投稿なので、前話を先に読んで下さい‼

それと、第五十二話の一部を変更しています。


一夏は元気が無いまま、謎のアークエンジェル級の話に戻された。

 

「それでは、話を戻します。我々はこれより謎のアークエンジェル級の事をドミニオンと仮称します。ドミニオンが所有している戦力に関しては、まだ分かりません。そこで、キラ君、アスラン君の二名はこれより出撃し、ドミニオンの動きを監視してもらいます」

 

「「了解‼」」

 

「次にムウはアークエンジェルの上部甲板にて待機」

 

「りょーかい」

 

「織斑先生たちIS学園組もアークエンジェルにて待機してもらいます」

 

マリューの指示にセシリアは挙手をして発言の許可を得る。

 

「オルコットさん、どうぞ」

 

「ありがとうございます。わたくし達は待機と言う事ですが、機体は展開して待機なのでしょうか? それともフラガ先生の様に上部甲板にて機体を展開して待機なのでしょうか?」

 

「キラ君、どうする?」

 

セシリアの質問にマリューは隊長であるキラに尋ねた。キラは、少し考える素振りを見せると、決心したかのように指示を出した。

 

「ラウラ、シャルロットはムウさんと同じ様に展開して待機して。オルコットさん達は格納庫で待機をお願いします」

 

「ですが‼」

 

「オルコット……ここでの隊長はヤマトなんだ。大人しく指示に従え。それと、無闇に戦力を落とす気はないんだろう?」

 

セシリアは一瞬、キラに噛み付こうとしたが、千冬の言葉で大人しくなる。そして、キラの思惑も千冬には筒抜けの様であった。

 

「やはり、判っていましたか………そうです。君たちにはISが来た時に対処してほしい。但し、これは強制的では無い。君たちが本気で戦うつもりがあると言うのであれば、志願してほしい」

 

キラの言葉に真っ先に手を上げたのは真耶と千冬であった。そして、鈴とセシリアも静かに手を上げた。

 

「一夏………君はどうするつもり?」

 

「おれは………」

 

一夏はアスランの言葉が頭の中でリピートしていた。そして、今この場に自分がいる必要が無いと感じていたが、それを覆したのは、鈴であった。

 

「一夏‼ アンタ、それでも男なの⁉ 男ならビシッとするんじゃないの? それとも何? アンタの護りたいと言う言葉は、嘘偽りなの⁉」

 

「ッ⁉ 違う‼」

 

「だったら‼ 「鈴、そこまでだよ?」キラ………」

 

鈴の言葉に一夏は否定するが、それでも声に覇気が無かった。そんな一夏を見て、鈴には怒りがこみあげて声を荒げようとした瞬間、キラが止めに入ったのである。

 

「この問題は一夏だけの問題でもあるんだ………それに、君も人の事が言えるの?」

 

「ウグッ………判ったわよ。でも、最後にこれだけは言わせて。私は、アンタの強い心に惹かれてるの‼ それだけは忘れないで‼」

 

鈴はそう言うと顔を赤くさせてそっぽを向くのであった。それを見ていたキラ達は微笑んでいたのだが………

 

「では、決まった様ね。これより作戦を開始します。各自、自分達の持ち場について‼」

 

『了解‼』

 

マリューの言葉で全員が動きだすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、国際IS委員会の本拠地が置いているアラスカでは、戦場と化していた。

中でも酷いのが、空中に浮かぶ戦艦による攻撃によって撃墜されたISの数である。本拠地にはそれなりの数のISが配備されていたのだが、尽く、破壊されコアだけが丁寧に抜き取られていたのである。

そして、三機のフルスキンタイプのISが戦艦を護る様に配置されていたのであった。

 

「これで、一つ目の目標は達成した事になるな………」

 

「篠ノ之束博士。次はどうするおつもりで?」

 

「決まってるじゃん‼ ロゴスを叩く。そして、この世界の女尊男卑と言う概念を崩す。最終的には全てのISを宇宙で活躍できる世界を作り上げる。それがこの天災篠ノ之束様の夢なのだ‼」

 

ミネルバの艦橋ではタリアを始め、ラウ、ギルバート、束の姿があった。

 

「この世界は私達が居た世界よりも酷い世界になっている。我々が出来る事はお手伝いするつもりなので」

 

「ありがとう、ターちゃん‼」

 

「ターザンみたいな呼び方に聞こえるのは私だけかしら?」

 

「「…………」」

 

束に渾名で呼ばれたタリアだが、渾名がターちゃんとと言う事もあって、響き方がターザンに聞こえてしまうのである。それを呟くとラウとギルバートは笑いを堪えながら顔を背けた。

 

「さ、さて………そろそろかな?」

 

「あ、ああ。ロゴスが極秘で建造していたと思われるアークエンジェル級二番艦ドミニオンが学園に近づいているのであろう? それにデストロイも……」

 

ギルバートとラウは笑いを必死にこらえ、ロゴスの動きについて話していた。

 

「だが、あそこにはキラ君とアスランがいる。心配する必要は無いだろう?」

 

「ああ。彼らにも私達の夢の手伝いをして貰おう」

 

「(そんな簡単に夢についてきてくれるのかしら?)」

 

ラウとギルバートはそう言うが、タリアはアスランの性格上、着いて来なさそうな雰陰気があったので心配であった。

 

「さて、今からIS学園に戻っても間に合うかな?」

 

「多分、間に合わないだろう。だが、向かう価値はあると思う」

 

「タリア」

 

ラウとギルバートは二人だけで話し合うと、ギルバートがタリアの名前を呼ぶと、タリアは何を言いたいのか判ったのか、すぐにトールたちを呼び戻し、行先をIS学園へと向かうのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問とうありましたらどしどし、送ってください‼


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第六十四話

一番、この作品が書いている気がしてしまう………




キラとアスランは、ドミニオンの動きを監視する為、アークエンジェルから発進しようとしていた。

 

「キラ、どう思っている?」

 

「どうって?」

 

「ドミニオンの事だ。まさかと思うが………」

 

「可能性は無きにあらずと言った所かな……」

 

二人が考えているのは、過去にドミニオンと対峙した時、艦橋に残っていたアズラエルとナタルの事であった。

もしかしたら、今回のドミニオンの中にアズラエルの様な人間が乗っているのではないかと思っていたのである。

 

「それは、ドミニオンの動きを見てから判断しても遅くは無いと思うよ」

 

「そうだな……」

 

二人は、与えられた任務を遂行し、IS学園を護ると言う気持ちであった。

 

『二人とも、準備は良い?』

 

「大丈夫だよ、ミリー」

 

「ああ、俺も大丈夫だ。ミリアリア」

 

モニターにミリアリア・ハウが表示され、二人に準備が整ったのか確認と発進の合図を送る為、通信をキラ達にした。

 

『判ったわ。カタパルトオンライン。射出推力、正常。進路クリアー‼ X20Aストライク・フリーダム発進どうぞ‼』

 

「キラ・ヤマト。フリーダム、行きます‼」

 

『続いて、X19Aインフィニット・ジャスティス発進どうぞ‼』

 

「アスラン・ザラ。ジャスティス、出る‼』

 

ミリアリアの合図で二人はアークエンジェルから出撃するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アークエンジェルの上空ではムウを始め、楯無、簪、シャルロット、ラウラがアークエンジェルを護る様に停空していた。

 

「さて、キラ達からの知らせを待つだけだからな………だが、ドミニオンか………」

 

「何か思入れでもあるのですか?」

 

「あると言えばあるな………少しだけ昔話をしよう。キラ達の過去を知っているのは?」

 

ムウの言葉に楯無と簪の二人が手を上げた。

 

「二人は知らないと言う事か………キラ達を始め、アークエンジェルのクルー達はこの世界の住人では無い。それはさっき、説明したな?」

 

ムウの言葉にラウラとシャルロットは頷く。

 

「俺達が居た世界は戦争が絶えない世界だったんだ。一時的に終戦しても、数年後には戦争を始める。そんな世界だった。そこで、俺はキラがフリーダムに乗り換える事になり、ストライクに乗る事になった。そこで、アークエンジェル級二番艦、ドミニオンと対峙した時、ドミニオンの陽電子砲をストライクのシールドで受け止めた」

 

「え?」

 

「そんなことしては⁉」

 

ムウの言葉にラウラとシャルロットが驚く。既に二人はアークエンジェルの武装に関しての説明を受けていたので、どれほどの威力を持った武装なのかを知っていたのである。

 

「ああ、ストライクはバラバラに散って、俺だけが何とか助かった。だが、それだけで終われば良かったんだがな………俺は当時の地球連合軍の一部に助けられた。だが、そこで記憶操作が行われ、ネオ・ロアノークと言う人格を埋め込まれ、地球連合軍の特殊部隊“ファントム・ペイン”の指揮官として戦場に立つ事になった。だが、キラ達と戦っとき、捕虜になって、マリューをもう一度好きになってアークエンジェルに残る事になった。だが、俺がこうして、ムウ・ラ・フラガとして存在できるのも、陽電子砲のお陰なんだが………そこの詳しい話は後でしよう。キラ達から連絡だ」

 

ムウはそう言うとキラ達から連絡を聞いていた。

 

「分かった。坊主たちは戻って来い‼」

 

ムウはキラ達に指示を出すと、楯無達の方に機体を向けた。

 

「さて、キラ達からの報告ではドミニオンは完全にこちらを敵視している事が判明した。既に海上に出ていると言う事だ。各自、気を引き締めろ‼」

 

『了解‼』

 

ムウの言葉で楯無達は気を一層、引き締めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達がドミニオンを探している所まで遡る。

 

「キラ、ここら辺だったよな………」

 

「うん………見付けたよ‼」

 

キラ達は海中に潜んで航行しているドミニオンを発見する。だが、キラ達がドミニオンを発見した瞬間、ドミニオンからの先制攻撃を受けてるが、キラ達は余裕を持って回避行動を取る。

 

「キラ、ドミニオンを海中から引きずり出すぞ‼」

 

「判った‼」

 

アスランの言葉でキラはドラグーンを展開させ、海中にビームを放って行く。だが、海中に潜むドミニオンにはその攻撃が当たっている様子は無かった。だが、キラ達にはそれで良かったのである。

自分達の事を脅威に感じ取ったドミニオンは海中から海上に出て来ると踏んでいたからである。

 

「出て来るぞ‼」

 

「ムウさんに報告しとくよ‼」

 

キラは通信を開き、ムウに報告を入れる。

 

「こちらキラ・ヤマト。ムウさん、聞こえていますか?」

 

『聞こえてるぜ…それで、ドミニオンはどうだ?』

 

「完全に僕達の事を敵視しています。既に海中から海上に出す事に成功しているので、このまま武装の一部を破壊した後、帰投します」

 

『判った。こちらでも準備をしておく。気を付けろよ』

 

ムウに報告を終えたキラは、アスランと連携をしてドミニオンの脅威となる武装の一部を破壊する為、行動を写す。

 

「アスラン‼ ローエングリンだけは破壊しておこう‼」

 

「そうだな。あの武装は脅威でしかない………行くぞ‼」

 

「うん‼」

 

キラ達はドミニオン…基、アークエンジェル級の最大の武装である陽電子破城砲“ローエングリン”の破壊する事に決めると、そこからの動きは簡単であった。

キラはドラグーンを全機、射出させハイマット・フル・バーストを仕掛ける準備を行い、アスランもファトゥム‐01とビームライフルによる一斉射撃体勢を整えた。

 

「「いっけぇぇぇぇぇ‼」」

 

二人からの攻撃にドミニオンの船首に設置されているローエングリン二基は跡形も無く破壊されるのであった。

キラ達はそれだけを確認した瞬間、身を翻し、アークエンジェルへと戻るのであった。



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第六十五話

連続投稿だぜ‼ 今後の予定に関してはツイッターの方で報告をしていますので、ご確認をお願いします。
アカウントを知りたい方は、自分のプロフィールに載せています。
そちらを確認下さい。


キラ達はアークエンジェル級二番艦“ドミニオン”にも設置されている最大の武装である陽電子破城砲“ローエングリン”二基を破壊した後、アークエンジェルへ戻り、防衛する方へと回った。

 

「キラ君。大丈夫だった?」

 

「大丈夫ですよ、楯無さん」

 

「アスラン、大丈夫だった?」

 

「ああ、問題は無い」

 

キラ達が帰ってくるなや、楯無と簪がキラとアスランの事を心配する。だが、二人にどうとも無い事を知り、楯無達は安堵した。

 

「さて、お熱い二組さんは、そろそろ戻って来てくれ」

 

「「「「/////////」」」」

 

ムウのからかいの言葉に楯無、簪、キラ、アスランは顔を赤くするのであった。

 

「さて、そろそろ敵さんが見えて来るぞ‼」

 

真剣な声でムウは言うと、キラ達も顔を赤くしていたとは思えない真剣な表情に切り替わった。

 

『ドミニオンの反応をキャッチ‼ MSも発艦した様子です‼』

 

「向こうさんも本気を出して来たと言う事か………キラ達はドミニオンに対してアークエンジェルと共に攻撃を行え‼」

 

「「了解‼」」

 

「楯無、簪たちはアークエンジェルの防衛。シャルロット、ラウラは遊撃隊だ‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

ムウは指示を出した瞬間、機体の速度を上げMS部隊と戦闘する事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を巻き戻し、キラ達とドミニオンが戦闘する前まで戻る。

ドミニオンの艦橋には二人の男性の姿があった。

 

「やはり、この世界にもあの不沈艦がいましたか………それほどまで、僕達の事を妨害したいようですね」

 

「アークエンジェル………元は大西洋連邦が建造した特装艦だったか………あの艦のお陰でガーティー・ルーが建造されたと言っても過言では無いようですな……アズラエル君?」

 

「ええ、その通り。ですが、アークエンジェル級二番艦であるこの艦にもう一度乗る事になってしまうとは………これでは、負ける事は出来ない様です。さて、そろそろ、敵に発見される頃合いですね。見つかった時はどうしますか? ジブリール?」

 

二人の男性。ムルタ・アズラエルとロード・ジブリールの二人であった。

 

「決まっている。攻撃するだけだ」

 

「判っていましたよ………そうこう言っていると、見つかったようです」

 

「攻撃開始だ‼」

 

ジブリールの指示で、上空にいるキラ達に攻撃を行おうとした。だが、その前にビーム攻撃により、攻撃する事が困難となってしまう。

 

「ええいっ‼ 煩わしい奴らめ‼ ドミニオン海上に出るぞ‼」

 

「そうしてしまっては、攻撃されてしまうのでは?」

 

「たかがIS如きに負ける艦では無い‼ 急速浮上‼」

 

ジブリールは指示を出したが、それが間違いであったと言う事を後に痛感する事となる。だが、それを知るジブリールでは無かった。

ジブリールの指示により、ドミニオンは海中から海上へ出てキラ達に攻撃を仕掛け始める。

 

「ゴットフリート撃ぇぇぇ‼」

 

「コリントス装填、撃ち放って下さい‼」

 

ジブリールとアズラエルの指示でドミニオンの艦首上に設置されているゴットフリート二基と艦尾に設置されているミサイル発射管からミサイルが放たれる。

だが、キラ達は攻撃を回避して無駄弾を撃つ羽目になってしまう。

 

「無駄に速い機体だな‼ ええい、このままでは勝てない。ローエングリン起動‼ 一気に片を付けてやる‼」

 

「では、バリアント起動。相手を動けなくするように連射してください」

 

ジブリールの支援をする為、アズラエルは両舷に付けられている単装リニアカノン“バリアント”を起動させ、キラ達の逃げる道を封じ込めようとした。

だが、時は既に遅かった。キラ達による一斉射撃により、ローエングリンは破壊され、それに伴い武装の大半が反動で使い物にならなくなってしまったのである。

 

「忌々しい機体め………」

 

「まさか………いや、酷似している……」

 

「アズラエル。貴様はあの機体の事を知っているのか?」

 

「知っていると言いますか、それの改良機の可能性が高いんですよね」

 

アズラエルは過去にアークエンジェルと対峙した時に、居た機体の事を思い出していた。だが、その当時はドラグーンや複相ビーム砲が無かったフリーダムであり、今回、自分達を攻撃した機体の改良機ではないかと思い、呟くとジブリールには聞こえていたらしく、尋ねられた。

 

「どう言う事だ?」

 

「これを見て下さい」

 

アズラエルは説明する為にドミニオン内部に内蔵されたデータバンクにあったフリーダム、ジャスティス、プロヴィデンスのデータをモニターの表示させる。

 

「この機体はニュートロンジャマ―・キャンセラーが搭載されたザフト軍製の機体です。そして、フリーダムとジャスティスを見て下さい」

 

「………そう言う事か………奴らはこの世界に来ている可能性があると言う事だな?」

 

「ええ、そう言う事になりますね。ですが、相手が本当にザフトなのかは判りませんが………」

 

「それでも我々はやらねばならんのだ‼ 女尊男卑などと言う愚かな思考を持った女を抹殺する為に‼」

 

二人の共通認識は女尊男卑であるこの世界を男女平等にすると言う目的だけしか無かった。だが、武力で訴えてしまったのが間違いだったのだ。

その結果、ロゴスと言う組織をもう一度、立ち上げ、世界に喧嘩を売り女尊男卑から男女平等に持って行こうと考え出してしまったのである。

それは、国際IS委員会を裏から牛耳り女性権利団体と全面戦争をするつもりであった。だが、その思惑は二人が知らない内にギルバート達によって砕かれてしまう結果になったのであるが、この時の二人はそれを知る由は無かったのであった。

 

そして、アークエンジェル級二隻による世界を跨いで二回目の戦闘が起きようとしたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております‼


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第六十六話

今回も連続投稿です‼


IS学園から離れた海域では、アークエンジェル級二隻による戦闘が開始された。

男女平等を謳うジブリールとアズラエル。そしてIS学園を護ろうとするマリュー達。お互いの譲れない者同士による戦闘は火蓋が切られた。

先制攻撃を行ったのはジブリール達が乗るドミニオンであった。ドミニオンはゴットフリート二基、バリアント二基、ミサイル一斉掃射を行い、アークエンジェルに先制攻撃を行う。

だが、マリュー達は冷静に対処する。イーゲルシュテルンでミサイルを撃ち落とし、ゴットフリートやバリアントによる攻撃は、回避運動によりアークエンジェルの船体に当たる事は無かった。

また、仕返しとばかりにアークエンジェルも攻撃を行う。それは、ドミニオンと同じ戦法であった。だが、違うとすれば、無人機のISを使っているか有人機のISを使っているかの差である。

同型艦による戦闘は、どちらも同じ武装を装備している事もあり決着がつく事は無かった。だが、ドミニオンは艦首に設置されている陽電子破城砲“ローエングリン”を破壊されている所為で、最大の武装を使う事が出来ない状況下であった。

一方のアークエンジェルは無傷である為、ローエングリンを撃つ事は可能である。だが、既に大気圏で撃っている事もあり、乱射する事は出来なかった。どれだけ大気汚染を抑える改良型のローエングリンを装備していても、抑えられているだけであって、撃ち放題では無いのである。

一向に決着が付かない同型艦による戦闘は、第三者による介入によって覆されてしまう。

 

『こちらはミネルバです。直ちに戦闘を停止し、武装解除を行ってください』

 

オープン回線による通信はキラ達にも聞こえていた。

 

「グラディス艦長⁉」

 

「生きていたのか‼」

 

『その声は……アスランにキラ・ヤマト………まさか、こうして合う事になるとわね』

 

キラ達の声に反応したタリアであったが、心を鬼にし、再度通告する。

 

『再度通達します。武装解除を行い、こちらの指示に従ってください』

 

「こちらはアークエンジェル級一番艦アークエンジェル。艦長のマリュー・ラミアスです。お久しぶりです。グラディス艦長」

 

『まさか、貴女までいるとは………いえ、今はそう言う話をする時では無いわ。こちらの要求を呑んでもらえますか?』

 

「それは、出来ません。我々の目的はIS学園の防衛です。攻めると言うのであれば、こちらもそれ相応の対応をさせて頂きます」

 

マリューとタリアはジブリール達を放置してお互いの意見を交差させる。

 

「あ~聞こえますかな?」

 

「この声は⁉」

 

『アズラエル⁉ まさか、ブルーコスモスの盟主までいるとは………それで、あなた方は我々の要求を呑むのですか?』

 

「こちらとしても、要求を出します。それを呑んで頂けると言うのであれば、従います」

 

『………要求とは?』

 

「男女平等の世界を作り上げる為、我々と協力をして貰いたい」

 

『「………え?」』

 

アズラエルの言葉にマリューとタリアは驚きの声を上げる。と言うよりも、困惑した様子の声を上げた。

 

『……待って下さい。あなた方はブルーコスモスであり、女尊男卑の世界を作り上げるのが目的では無いのですか?』

 

「何を言っておられるのですか? 確かにブルーコスモスは存在します。ですが、過去は過去です。我々の目的は男女平等の世界を作り上げるそれだけが目的なのです。そして、女尊男卑と言う世界を作り上げた元凶であるある人物を拘束する為に、我々は出向いて来たのです」

 

『因みに、それは誰の事を指しているのかしら?』

 

アズラエルの言葉にタリアは束の方を見ながら尋ねる。この世界を作り上げたのが束であると言うのは間違いの無い事である。それを言われてしまっては、こちらとしても弁護する余地が無いと言っても過言では無かった。

だが、アズラエルは束ではない人物の名前を上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園の地下ではある人物が作業を進めていた。

 

「これで私達の悲願が叶う。男なんて所詮は種を生み出すだけの存在。一定の数を消して、この世の中は女性が支配するのです‼」

 

「やはり貴女でしたか………」

 

学園の理事長である笠松は、その人物と接触していた。

 

「あら? 理事長ではありませんか………なにかご用ですか?」

 

「貴女はこの世で何を望んでいるのですか‼ 答えなさい‼」

 

「フフ……フフフ………何を言っておられるのかさっぱりですわ………まぁ、私を見てしまったのです。冥土の土産にお教えしておきましょう。我々、女性権利団体はこの世に存在する男を言っていの数まで減らします」

 

「なぜ、そのような事をするのですか‼ 子供を作る為には男性も必要です‼」

 

「いえ、男性なんぞ種を生み出すだけの生物………それに既に存在しているでは無いですか? 人工子宮から生まれた者が………」

 

「まさか‼ グッ‼」

 

笠松はある人物を思い出した瞬間、銃弾に撃たれ倒れてしまう。

 

「フフフ……私はあなたの事を好いていました。ああ、これは恋愛と言う気持ちでは無く、種を生み出すと言う意味で言っているのです」

 

「な……ぜ………だ………」

 

笠松は虫の息で尋ねた。そして、地下室の一角から光が入り、その人物に当たると姿が現れた。

 

「イ……ギリ……ス代表………候補生である………貴女が………なぜ‼」

 

「わたくしの母は父親に殺されましたわ。それも残虐な方法でね………だから復讐するんですよ‼」

 

そう言うとその人物は笠松に残っている銃弾を放ち、笠松は息絶えてしまうのであった。

そして、笠松を殺した人物こそ女尊男卑と言う世界を作り上げた人物であった。

 

「さぁ、我が眷属達よ………今こそ男共に見せるのです‼ 無能である貴様らは減らされる種族だと言う事を‼」

 

IS学園の地下から数十機もの無人ISが飛び立ち、キラ達に襲い掛かるのであった。



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第六十七話

あれ? こんな話にするつもりが無かったのに…………


キラ達は突如、IS学園の地下から現れた無人ISに襲われた。

 

「クッ‼ なんなんだ‼ お前たちは‼」

 

「キサマラ、オトコヲ、ヘラス……ソレガ、ワガアルジノ、ネガイ」

 

「そんな事させるとでも思ってるの‼」

 

キラとアスランは連携して無人ISの破壊に動き出す。だが、数が多く、キラ達の手に余るものであった。

 

『キラ君達、大丈夫‼』

 

「大丈夫では無いですね……数が多すぎます」

 

「それに、相手は無人機でありながら生命反応もあります。ですが、それは頭部のみにしか反応がありません。ですから……」

 

『前に襲撃して来た無人ISを同じ……と言う事ね?』

 

「はい………」

 

マリューの質問にキラ達は頷く。

 

『こちらはドミニオンです。我々は戦闘をアークエンジェル並びにミネルバに行う意思はありません。協力をして下さい』

 

『こちらはミネルバです。我々も同じ気持ちです。ラミアス艦長。貴女はどうしますか?』

 

「決まっているでしょう。各自に通達。これよりミネルバ並びにドミニオンに対する戦闘を一切認めません。我々は敵同士では無い」

 

『今、敵であるのは無人ISだけです』

 

『そして、元凶であるサラ・コナーの束縛を最優先とします。各IS部隊は出撃‼ 無人機の破壊及びサラ・コナーの束縛を最優先事項とします』

 

マリュー、アズラエル、タリアの三人による通信によって真の敵であるサラ・コナーを束縛、無人ISの破壊と言う目的によって、嘗ては敵同士であった者達が手を取り合う事になったのである。

それは、キラ達も同じ事であった。キラ達は旗艦であるアークエンジェルに戻り、陣形を整えた。

 

これにより、アークエンジェル級二隻とミネルバ級一隻、元ロゴス空母艦隊による連合艦隊が編成され、無人ISと対峙する事となった。だが、忘れてはいけない。

海中に潜む一隻の潜水艦の存在を………

 

 

「海中より大型のIS反応‼ これは‼」

 

「デストロイです‼」

 

ミネルバとアークエンジェルの官制を務めるミリアリアとアビーの報告に戦慄が走る。まさか、もう一機のデストロイが存在するとは夢にも思わなかったのである。

 

そして、潜水艦の他にも一隻の戦艦が海中を航行していた。

 

「ローエングリン起動。目標、敵空母群」

 

戦艦の艦長席に座る一人の女性の指示により、戦艦の艦首に設置された陽電子破城砲“ローエングリン”四基が起動しチャージされる。

 

「撃て」

 

短い声でローエングリンは放たれ、元ロゴス空母群はその姿を消滅させた。

 

「陽電子砲⁉」

 

「どこからの攻撃だ‼」

 

キラ達が目を凝らして探すと、そこには地球連合軍の特殊部隊“ファントム・ペイン”の旗艦であったガーティー・ルーの姿があった。だが、元々、ガーティー・ルーには陽電子砲は搭載されていなかった。だが、どこからの情報により、ガーティー・ルーの艦首に四基の陽電子砲が搭載されていた。

これにより、空母群は壊滅。残るはアークエンジェルと手負いのドミニオン、ミネルバの三隻だけとなってしまった。

 

「さぁ、男共よ‼ 私達にひれ伏しなさい‼」

 

ガーティー・ルーの艦橋に座る女性は女性権利団体の創立者であり、女尊男卑の世界を作り上げる手助けをしたリオ・コナーである。サラ・コナーの母親の妹であり、サラ・コナーの義理の母親でもある。

 

「さぁ、あなた達の力を見せなさい……と言いたいけども……ここは無人ISに任せて我々は撤退するわ。第一の目標を達成したもの………もうIS学園には用は無いわ……サラを回収した後、撤退する」

 

「了解‼」

 

ガーティー・ルーのクルーは全て女性で構成されていた。その者達も女尊男卑を提唱する者達だけであった。

アークエンジェルやミネルバ、ドミニオンはガーティー・ルーに攻撃を行うも、無人ISが身を挺してガーティー・ルーを護り、撤退を援護した。

 

「クソッ‼ お前たちはそれだけの為にこんな事をしたのか‼」

 

『そんな事? 男は全て消えてしまえばいいのよ‼ でもね? 言っていの数だけは残しといてあげるわ。そうでもしないと、子供は生まれないからね』

 

「貴女達は間違っている‼ そんな事をしても無駄だ‼」

 

『うるさい‼ 貴様らの様な得体の知れない男には興味は無いのよ‼ さぁ、宴を始めましょう‼ 女性だけの世界を作り上げる為のね‼』

 

リオはそう言うとデストロイはツォーンとスーパースキュラにエネルギーを溜め始める。その目標は、まだ学生が残るIS学園であった。

 

「「間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」」

 

キラとアスランはデストロイの前に出て、ビームシールドを最大出力で張る。

それと同時に、ツォーンとスーパースキュラが火を噴き、キラ達と衝突しキラ達の機体は膨大なエネルギーを防ぐ事が出来ずに大爆発するのであった。

 

「キラくぅぅぅぅぅぅぅん‼」

 

「あすらぁぁぁぁぁぁぁん‼」

 

楯無と簪の悲痛な叫びが辺りを響き渡らせるのであった。



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第六十八話

お待たせ致しました。完成したので投稿いたします。
今回は一話のみの更新となります。



キラとアスランは真っ白な空間に立っていた。

 

「アスラン…僕達はIS学園を狙ったデストロイの攻撃を受けたんだよね」

 

「ああ……俺達は死んだのか?」

 

キラとアスランは自分達が居る空間を死後の世界と思っていた。しかし、二人の男女の声でそれは否定される。

 

「キラ、貴方は死んでいないわ」

 

「アスラン。まだお前は死ねない筈だ」

 

キラ達二人の前に、二人は現れた。

 

「フレ……イ………」

 

「ハイネ………なのか………」

 

フレイとハイネはそれぞれ軍服姿で、キラ達の前に現れる。

 

「私達はこの時を待っていたわ」

 

「お前達の本当の剣を渡す為に」

 

「どう言う……事……?」

 

「ハイネ……言っている意味が判らないぞ……」

 

フレイとハイネの言葉の意味を理解しきれていなかった、キラ達であったが、二人が差し出した手にはそれぞれ違ったネックレスが置かれていた。

フレイの手にあるのは、対になった蒼い羽に淡いピンク色のターフェアイトがはめ込まれたネックレス。

ハイネの手にあるのは、紅い剣にオレンジに輝くオレンジサファイアがはめ込まれたネックレスを持っていた。

 

「貴方達の新たな剣よ」

 

「君たちは、まだこの世界に来るべき人では無い………」

 

キラ達はそれぞれの機体色のネックレスを手に取ると、頭の中にそれぞれの機体の名前が浮かび上がる。

 

「ストライク・フリーダム・フェニックス」

 

「インフィニット・ジャスティス・セイバー」

 

キラ達が名前を呟くと、ネックレスが輝きキラ達を包み込んだ。

そして、光が消え去ると、そこには新たな剣を手にした二人の姿がった。

 

「貴方達の帰りを待っている人がいるのよ」

 

「もうここにいる必要は無い。戻れ。そして、二人が幸せに生きれる事を願っている」

 

「フレイ……僕は‼」

 

「ハイネ……俺は‼」

 

キラとアスランはフレイとハイネに声を掛けようとしたが、二人は首を振ってそれを遮った。

 

「私達に対する謝罪は要らないわ………でもこれだけは忘れないで」

 

「俺達はいつまでもお前達二人の事を見守っていると言う事に」

 

フレイとハイネの言葉にキラ達は強く頷く。

 

「それなら」

 

「行ってこい‼」

 

「「行ってきます‼」」

 

キラ達はフレイ達に声を掛けると、機体を発進させるのであった。

 

「行ったな………」

 

「ええ……私達もここにいる必要が無くなったし、私達も行きましょう」

 

「そうだな」

 

フレイとハイネはそう言うと、その場から姿を消すのであった。

そして、そこに残された真っ白な空間は何かを待つかのように、崩れる事は無かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デストロイの攻撃を受けたキラ達であったが、爆煙が晴れるとそこには新たな機体を身に纏った二人の姿があった。

 

「キラ君‼」

 

「アスラン‼」

 

楯無と簪はキラ達が無事である事に驚き、嬉しくもあった。

 

キラ達は機体をデストロイへと向かわせ、ビームライフルでデストロイに攻撃をするが、デストロイはバリアを展開させビームを相殺させようとした。だが、ビームはバリアをすり抜けデストロイ本体へ当たり、ダメージを与える。

デストロイはそれに怒り、ビームをばら蒔きに放って行くが、どれもキラ達に当たる事は無かった。逆にデストロイにはキラ達の攻撃が当たるだけであった。

 

「これで」

 

「最後だ」

 

二人はそう言うと、支援用アームド・モジュール“ミーティア改”を展開させる。

そして、キラとアスランはデストロイに狙いを定め、一斉掃射する。

デストロイはその巨体の所為で、回避する事が出来ずにキラ達の攻撃によってその巨体に穴を空けられ生みに沈み爆発するのであった。

既にガーティー・ルーは撤退済みであった為、深追いする事は出来なかった。だが、IS学園は護られたのであった。

 

 

 

 

そしてキラ達はIS学園へ戻り、学園長の元へと向かったのだが、扉をノックしても返事が無く中に入ると、そこには置手紙が机の上に置かれていた。

置手紙の内容は

 

『私はこの学園内部に潜んでいるであろうスパイの存在に気付き、地下施設へ向かいます。この手紙が机の上に置かれていた場合、私は死んだものと思っていて下さい。

私が死んだ後、この学園を運営するには実績を伴った人物にして頂きたい。なので、これを遺書として書き残す。私の死後、この学園の学園長として織斑千冬を推薦する。既に国際IS委員会には提出済みであり、委員会からも承諾を得ている。

私が死んでいたら、織斑先生にこの学園を任せる所存である。尚、この手紙を隠蔽や破棄したとしても、後日、委員会からの正式な書面として織斑先生を次期国際IS学園の学園長にすると言う旨の辞令書が渡される事になっている。

もし、この手紙を織斑先生が読んでいる事を願い、書き残す。

笠松 東二』

 

キラ達はすぐに地下施設へと向かうと、そこには血だまりの上で倒れている笠松東二の姿があった。

 

「学園長‼」

 

キラ達はすぐに笠松の元へ向かうが、既に笠松の体は冷たくなっており、息絶えていたのである。

 

「学園長………私はあなたの事を信頼していました。ですが、貴方の様な立派な学園長になれる気がしません‼ 私を推薦された事は嬉しかったです‼ でも、もっと貴方から色々と学んでそれから学園長としての座に就きたかったです‼」

 

千冬は真っ先に笠松の体に寄り添い、自身の想いをぶつける。だが、笠松からの返事は無かった。

 

「学園長……貴方の願いに沿う事は出来ないかも知れない………でも、立派な学園長になれる様に努力します‼」

 

千冬の言葉を受け、キラ達は一層、千冬を支えなくてはいけないと身に刻むのであった。

 

 

 

 

そして、その日には学園長の死が全生徒に知らされる事となった。笠松の存在は、全生徒から信頼を受けていた為、全ての生徒が笠松の死を悲しんだ。

そして、新たに学園長として就任する事となった織斑千冬に対して、不信感を抱く者は誰一人といなかった。

そして、千冬は全生徒をアリーナに呼び、一つの決断を下す事にした。

 

「私はこの国際IS学園の理事長として就任するにあたり、一つの部隊を設立する事に決めた。この学園を護る力を持った者達で構成している。驚くかも知れないが、既にこの学園は何度も襲撃を受けている。それに対処する形で私は決断を下した。この学園を護る部隊‼ 国際IS学園所属特殊武装隊“アークエンジェル”。二番隊“ドミニオン”。三番隊“ミネルバ”である‼ 既に部隊は結成されているので、全員の紹介に入ろう」

 

千冬はそう言うと、アリーナは一気に暗くなった。そして、上空にモニターが展開されるとそこにはIS学園の象徴と言える白騎士のモニュメントが映し出された。

 

「まず初めに、隊長であるキラ・ヤマトである」

 

千冬がキラの名前を呼ぶと、モニターはキラの顔写真と機体を映し出した。

 

「次に副隊長はアスラン・ザラ」

 

同じくアスランの顔と機体が映し出された。

 

「隊員にシャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

シャルロットとラウラの顔が映し出され、機体も映し出される。ラウラの機体はストライク・アストレイ・フォースブレイクでシャルロットはワイバーン・ドラグーンが映し出される。

 

「次に専属艦として部隊名にもなっているアークエンジェル級強襲機動特装艦一番艦“アークエンジェル”」

 

モニターにはアークエンジェルの姿が映し出される。

 

「次にアークエンジェル隊二番隊、“ドミニオン”の説明を行う。隊長はトール・ケーニッヒ」

 

モニターにはトールの顔とヴァンセイバーが映し出される。

 

「次に副隊長にニコル・アマルフィ」

 

ニコルの顔とネブラブリッツが映し出される。

 

「隊員にオルガ・ザブナック。シャニ・アンドラス。クロト・ブエル」

 

モニターにはオルガたちの顔が映し出され、次にカラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機が映し出された。

 

「専属艦はアークエンジェル級二番艦“ドミニオン”」

 

ドミニオンが映し出される。先の戦闘でキラ達によって撃ち抜かれたローエングリンは、IS学園の地下ドックにて束監修の元、急ピッチで修復作業が執り行われている。

 

「次に三番隊“ミネルバ”の説明をする。隊長はラウ・ル・クルーゼ」

 

ラウがモニターに映し出されるのだが、仮面は付けておらず素の顔がモニターに出される。その美貌に女子達には受けていた。因みにだが、ニコルたちの紹介の時にも女子達の受けはすごかったと明記しておく。

 

「副隊長にレイ・ザ・バレル」

 

レイの顔が映し出され機体も映し出されるのだが、ラウやニコルたち同様に女子達の受けはすごかった。

 

「隊員にクロエ・クロニクル」

 

クロエの顔が映し出された時、ラウラは驚愕の表情に変わる。なにせ、自分に似た顔をしているからである。後日、自分達が姉妹であると言う事を知り、仲良くなるのだが、それは別の話である。

 

「専属艦としてミネルバ級強襲揚陸艦一番艦“ミネルバ”」

 

ミネルバが映し出される。ミネルバの主砲である陽電子破砕咆“タンホイザー”を展開した時の写真であった。

 

「最後にだが………私が担任をしていた1年1組の担任として山田真耶先生にお願いする事になった。副担任はムウ・ラ・フラガ先生にお願いする事になった。これより、部隊全員を呼ぶ。アークエンジェル隊、出て来い‼」

 

千冬の声でカタパルトからキラを始めとしてアスラン、シャルロット、ラウラが出撃した。そして、トールを始めとしてニコル、オルガ、シャニ、クロトのドミニオン隊、ラウを始めとしてレイ、クロエが順番に出撃した。クロエには専用機が配備されていない事もあって、量産機であるラファール・リヴァイブを身に纏っていた。

 

「これにて、新学園長の挨拶と部隊表記の説明を終了する。尚、この後、専用機持ちはアリーナに来るように。解散‼」

 

IS学園に一つの希望が生まれるのであった。

だが、これは序盤でしか無かった。これから先に続く戦争にキラ達を始め千冬達は知らなかったのである。




誤字脱字、感想、指摘、質問等受け付けております。

次回からは福音編へ移ります。
長かった。


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第六十九話

……書いていて思った事


なんでこうなった⁉ アレ? キャラが勝手に動いてんだけど‼ キャラ崩壊してます。
因みに、今回初めて甘い様に書いたつもりです。
次回は念願の七十話と言う事もあって、臨海学校へ行きます‼


とある無人島に一隻の戦艦が停泊していた。

 

 

「クソックソッ‼ 男共は黙って私達の奴隷になれば良いのよ‼ そうだわ。良い事を思いついたわ」

 

戦艦の艦橋に一人の女性がキラ達を殺す手段を思いついたようであった。

 

「サラ。少しいいかしら?」

 

「なんでしょうか? お母さま」

 

「アメリカに行って来て頂戴。そこで………」

 

「………フフフフ。判りましたわ。女性の為の世界を作る為の第一歩ですわね」

 

「「フフフフフフフフフ」」

 

サラとリオは、この世の女性の為だけの世界を作り上げると言う野望の為、暗躍するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園では、学園長であった笠松東二の葬式が執り行われていた。

参列者たちは、学園の生徒の他に各国家の首相達も参列しており、日本の首相は笠松と仲が良く、プライベートでも食事をするほどの仲であった。

 

「東二………なんで先に貴方が逝かなくてはいけないんです? 貴方よりも先に私でしょう………」

 

日本の首相は棺桶の中に眠る笠松を見て、呟く。年齢的には首相の方が上であったが。先に死んでしまった笠松の事を悲しんでいた。

そして、新学園長となった千冬は全ての国家の首相達と話し合いをし、アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻をIS学園直属部隊に編入される事となった。だが、無論。タダと言う訳では無かった。

全ての艦船のデータを提出する様に申し出されたが、千冬はそれぞれの艦船の動力部、武装等をブラックボックス化にして各国家へと渡した。動力部や武装の事を知りたがった各国家であったが、千冬の一言で収まったのである。

 

「渡しても良いのですが、この世界のどこの国もこの戦艦を作る事は無理です。これはあの篠ノ之束自体も言っていましたので」

 

この言葉を受け、誰も動力部や武装のデータを手に入れようとは思わなくなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから月日が経ち、7月の中頃。キラ達家族はショッピングモール“レゾナンス”へと来ていた。

 

「キラ君。今日は水着を買うつもりだったかしら?」

 

「はい。もう少しで臨海学校がありますからね………でも、明日菜ちゃんはどうして?」

 

楯無とキラに挟まれる様に明日菜はキラ達の手を握ってご機嫌の様子であった。

 

「パパやママと一緒に買い物するなんて初めてだもん‼ 一緒に行きたかったんだもん」

 

「フフ、一人でいるのは悲しいもんね」

 

「よし、それじゃ。明日菜ちゃんが欲しい物があったら言ってね?」

 

「うん‼」

 

楯無、明日菜、キラの家族は、キラの臨海学校で着用する水着選びで来ていたのだが……楯無にはある秘策を模ている様子であった。

 

「(生徒会長権限で私も一緒に臨海学校に乗り込もうかしら………そしたら………)デュフフフフフフフフ」

 

「た、楯無さん?」

 

「ま、ママ?」

 

楯無の歪な笑いにキラと明日菜は、距離を置こうとした。だが、楯無はさせなかった。

距離を置こうとしたキラ達の服を掴んだ楯無は、眼を獣が獲物を狙っているかの様にギラつき、キラ達は怯えだす。

 

「キラ君? 明日菜ちゃん。私の水着も見繕ってくれないかな?」

 

「え? でも僕の水着を「良いわよね?」は、はい」

 

「マ、ママ? パパの水着を「良いわね?」ひゃい」

 

楯無の有無を言わさない声に二人は怯えながら頷く他無かったのであった。

 

 

 

その頃、アスランと簪も二人そろって水着探しの為、キラ達と同じレゾナンスへと来ていた。

 

「ア、アスラン‼ わ、私の水着……見繕ってくれる?」

 

「あ、ああ。(可愛い。カガリやラクスと違った可愛さだ………アレ? カガリって可愛い所ってあったか? 可愛いと言うよりも凛とした美しさでラクスは優とした美しさだったな……)」

 

アスランは若干、キャラ崩壊をしているのだが、それはさておき、アスラン達は水着を見繕う為に水着ショップの前に来ていた。

 

「男物はこっちだから、行っているぞ」

 

アスランはそう言うと、男物を置いている所へ行こうとする。だが、簪はそれを止めるべくアスランの服の裾を握った。

 

「なんだ?」

 

「先に私の水着」

 

「え?」

 

簪の声が小さく、アスランには聞こえなかったが、簪は意を決して声を強くしてアスランに同じセリフを言う。

 

「先に私の水着を決めてほしい‼」

 

「お、おい。簪?」

 

「ううう………」

 

簪は声を大きく出したのを恥ずかしくなり、顔を俯かせながらもアスランを見上げていた。

 

「はぁ~。判った。先に簪の水着から決めよう」

 

「うん‼」

 

アスランの言葉で簪の体は光ったようなエフェクトを出したのであった。

 

 

 

 

その頃、キラ達はと言うと…………

 

 

 

 

「キラ君? これなんかどう?」

 

「えっと……良いと思いますけど………」

 

「けど? なに、何か言いたいのかしら?」

 

「それ、紐しかないじゃないですか‼」

 

楯無が手に取っているのは、大事な所さえも紐で隠すような形の水着であった。

 

「紐ね……だって、私は誰の他でもない。私だけを見ていてほしいのよ」

 

「楯無さん………何を勘違いしているのですか?」

 

「え? キャッ‼」

 

楯無の言葉にキラは頭のねじを外したのか、いきなり楯無を自分の近くに持って来させた。

 

「僕がこの世界で愛しているのは、貴女。更識楯無さんだけです。それに娘もいるのですよ? 僕、楯無さん、明日菜ちゃんがいてこその家族では無いのですか?」

 

「キ、キラ君?」

 

「貴女は僕と明日菜ちゃんだけを見ていればいいのです。他の誰でもない。僕達を」

 

「あっ………ゴメンなさい」

 

書いている身としても、読んでいる人も思っているであろう。爆発しやがれと………

 

おっと、それはさておき。

 

キラ達はちゃんと水着を決めたのかキラの運転するヴェルデファイアーでIS学園へと戻っていた。

明日菜は疲れたのか、楯無の膝の上で夢の中へ行っていた。

 

「キラ君。ごめんね。暴走しちゃった」

 

「いえ、僕もすみませんでした。でも、これだけは言えます。僕はこの世界で愛しているのは、楯無さん。貴女だけです。他の誰でもない、貴女です」

 

「キラ君………フフ。私も君の事を愛しているわ」

 

キラと楯無は信号で止まったのを見計らい、キスをしようとした。だが、明日菜の寝言で二人はキスが出来なかった。

 

「ムニャムニャ…明日菜もね………パパとママの事。好きだよ」

 

「「フフフフ」」

 

二人は義理であっても自分達の娘の寝言に笑うのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼



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第七十話

間に合った‼ 本日最後の更新です。
今回はね……やり過ぎたかも。


臨海学校当日。キラとアスランはバスに乗り込む事は無かった。と言うのも、二人は自家用車を所有している為、その車で旅館まで向かう事になっているのである。

因みにだが、一夏争奪戦が繰り広げられてと明記しておく。

 

 

「キラ君、海楽しみね‼」

 

「え、ええ」

 

「私、臨海学校二回目なのにね…彼氏と一緒に行く海は格別って聞いたけど、ほんとね」

 

「そうですね……」

 

キラはヴェルデファイアーの運転をしながら、助手席に座っている女性を見る。

 

「どうして付いて来てるんですか? 楯無さん」

 

「ん? 今更かしら?」

 

「明日菜も一緒だよ‼」

 

助手席には更識楯無が座っており、後部座席には義理娘である明日菜も乗り込んでいた。

 

「まぁ、楯無さんがいると言う事は明日菜ちゃんがいる事は知っていたけど……生徒会の仕事は良いんですか?」

 

「大丈夫よ。私には信頼できる右腕が居るから」

 

「いや、織斑先生をどうやって説得するんですか?」

 

「決まってるじゃない。買収よ」

 

「どうやってですか………」

 

楯無の言葉にキラはゲンナリしながら呟く。

 

「明日菜ちゃんを使ってね」

 

「ん?」

 

楯無は明日菜の頭を撫でながら千冬をどうやって買収するか、考えていた。

 

「まぁ、無事に乗り切れることを願っています」

 

「ところで、簪ちゃんは?」

 

「簪さんはアスランの車に乗り込んでいますよ。これは織斑先生からの指示ですね」

 

「まっそうよね。ザラ君を狙っている子もいる事だしね」

 

「ええ、どうしてあんなに女難になってるんですかね」

 

キラもアスランの女難に苦笑いをするだけであった。

 

「僕は狙われてないんですけど……どうしてですか?」

 

「あら? キラ君。知らないの? キラ君の事を狙う子はいないわよ」

 

「え?」

 

キラは楯無の言葉にショックを受ける。自分がモテないのかと思うと、少し悲しくなるのだが、楯無の言葉で自分が勘違いしていると判った。

 

「何か勘違いしているようだけど、君の事を狙う子が居ないのは私が既に新聞科に伝えてるからよ」

 

「因みにどのような内容で?」

 

「決まっているじゃない。私には大事なフィアンセと娘がいるってね」

 

「チョォォォォォォォォォォット⁉」

 

「パパ、パパ‼ 前! 前‼」

 

楯無の言葉にキラはハンドルミスを犯しそうになるが、明日菜の言葉にキラはハンドルミスを犯さずに済むのであった。

 

そして漸く臨海学校で泊まる事となっている旅館へと到着するのだが、キラはヘトヘトになりながら運転席から出て来ると、助手席から楯無と後部座席側から一人の少女が降りて来る。

それを見た1年生達は詮索しようとしたが、千冬の言葉でそれが出来なかった。

 

「全員、注目‼ 本日から三日間、お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさない様に注意しろ‼」

 

『はい‼』

 

千冬の鶴の一声で生徒達は返事をするのだが、千冬はキラの傍らに立っている楯無を見ると、そちらへ近づいて行く。

 

「オイ、更識。なんでお前がここにいるんだ」

 

「私はキラ君のお嫁さんですから……それにこの子が海を見たいと言ったので……」

 

「海ぐらいIS学園の周りにあるだろうが」

 

「いえ、この子は浜辺がある海に行きたいと言っていました。それに家族と一緒に遊ぶ機会も無いですし臨海学校があると言う事もあって、今回、着いてきました」

 

楯無の言葉に千冬は明日菜の方を向くと優しい声で尋ねた。

 

「楯無…お母さんが言っていた事は本当か?」

 

「うん。明日菜、海に余り行った事が無いの。だから、パパから海に行くと聞いてママを説得して、一緒について来ました」

 

明日菜は千冬の怖い所を見た事も無いと言う事もあり、無邪気に言う。

 

「はぁ~、ヤマト。父親なら娘と嫁の事ぐらいどうにかしろ」

 

「はい……すみません」

 

「更識、今回だけだぞ?」

 

「判りました。ありがとうございます」

 

千冬はそう言うと一枚の紙を懐から取り出すと、キラに手渡す。

 

「これがヤマト、ザラの部屋だ。織斑の場合は私と一緒の部屋になっているが、ヤマト、ザラはお互いに嫁が居るからな。問題が無いだろうと言う私の独断で決めた」

 

キラは顔を赤くさせるが、紙を見た瞬間、千冬は既に楯無を明日菜が来ることを予期していたかのような部屋割りになっていた。

 

「織斑先生?」

 

「さてな。私は知らんぞ」

 

キラの目に千冬は顔を逸らしながら遠くを見る。

 

「キラ君。行くわよ」

 

「ちょっと、楯無さん⁉」

 

キラは楯無に手を引かれて部屋へと向かって行く。明日菜も二人の後をチョコチョコとついて行くのであった。

 

「ザラ、お前達も行ってこい」

 

「はい………」

 

アスランは諦めたかのように簪を連れて部屋へと向かうのであった。

一部始終を見ていた1年生達はがっかりしたかのように、膝をつく者もいれば、真っ白になる者達が居たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜辺には多くのIS学園の生徒達が、海と戯れているのだが、一部の所はそうでは無かった。

そこには、一夏を囲む箒、鈴であった。

 

「一夏? 私と箒。どっちと遊ぶの?」

 

「どっちなのだ‼ 一夏‼」

 

「いや、どっちと言われてもな………一緒に遊ぶと言う選択肢h「「無い‼」」ですよね~」

 

一夏はどうすればよいのか迷うが、キラ達が来るとそちらへ方向転換させた。

 

「キラ‼ 助けてくれ‼」

 

「………一夏。君が悪いんだよと言いたい所だけど。篠ノ之さん、鳳さん。ここは一時休戦してみてはどうですか?」

 

「いやよ‼」

 

「断る‼」

 

キラの提案に二人はきっぱりと断った。だが、それが間違いであった。

 

「そう。なら、仕方が無いね。二人とも。選択肢を上げよう」

 

「選択肢?」

 

「どう言うつもりだ?」

 

「一つ。一夏と一緒に二人で遊ぶ事。もう一つ、僕と模擬戦「鈴/箒‼ 一緒に一夏と遊ぶわよ/ぶぞ‼」決まったね」

 

キラの選択肢と言う脅しに屈した箒と鈴であった。




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第七十一話

とうとう、七十話を突破いたしました。
今年でこの作品も5年と言う月日が経ちます。
ここまで長く待って下さった皆様。心よりお礼と感謝を申し上げます。
今後とも、この作品と武御雷参型をよろしくお願いします。

と言う事で、今回も時間さで連続投稿いたします。

今回の話を読んで、絶対に「コイツ誰だ?」と思われると思いますww


一夏を助けた(?)の後、キラと楯無、明日菜は海と戯れていた。

 

「ママ‼ 冷たい‼」

 

「明日菜ちゃん。気を付けてね」

 

「はーい!」

 

キラは二人が海と戯れているのを見ながら、浜辺で見つめていた。その表情は過去の事を思い出している様子であった。

 

「キラ、ここにいたのか」

 

「あ、アスラン。簪さんは?」

 

「もう少しで来るはずだ……来たぞ」

 

浜辺にいたキラの横にアスランが座ると、薄水色のビキニに身を包む簪が恥ずかしそうに二人の元へと来る。

 

「変……じゃないかな?」

 

「大丈夫だよ」

 

「ああ、やっぱり簪は薄水色が似合うな」

 

「はう」

 

アスランに褒められた簪は顔を真っ赤にさせる。

 

「お姉ちゃんは……明日菜ちゃんと一緒に遊んでるんだね」

 

「うん。簪さんも混じったら?」

 

「でも……」

 

簪は楯無と明日菜が遊んでいる風景を見て、邪魔をするのはいけないと感じてしまう。

 

「大丈夫だよ。楯無さんも一緒に簪さんと遊びたいと思うし、明日菜ちゃんだってそう思ってるよ」

 

「………」

 

キラの言葉に簪は考える素振りを見せたが、楯無がそんな簪を見付け声を掛ける。

 

「簪ちゃーん‼ 一緒に遊びましょ‼」

 

「簪お姉ちゃん‼ 一緒にあそぼ‼」

 

「う、うん‼」

 

二人に誘われて簪も楯無と明日菜に混じって海と戯れ始める。

 

「キラ、俺達はこの世界に飛ばされた時は、どうしようもなく感じていた………」

 

「うん。そうだね。この世界に来た当初は、ラクスやカガリの事を考えてた。それにシンやルナマリア達の事だって………」

 

「俺達があの世界に残してきたものは多い………だけど、この世界に来て護りたい者を見付けた。それは、どの世界に行ったって変わりはしない事なんだと思う」

 

「僕もそう思うよ……もし、ラクスとの間に子供が生まれたら、こんな風にオーブの海で遊んでいたかも知れない……それは、君だって思っている事でしょ?」

 

キラに尋ねられたアスランは、カガリとの間に生まれたかも知れない子供と一緒にオーブの海で遊んでいる風景を思い浮かばせた。

 

「…そうだな。もしかしたら、俺達は然るべき役割があってこの世界に来たのかも知れないな………なぁ、キラ。お前はあの世界に戻りたいと今でも思っているのか?」

 

「………正直、今の所は何とも言えない。でも、これだけは言える。僕がこの世界で護らなくちゃいけないのは、楯無さんと明日菜ちゃんだけ」

 

「それは、俺も同じだ。この世界で簪、ただ一人を護りたいと思っている」

 

「ほう…言う様になったな。二人とも」

 

「ムウさん‼」

 

「フラガ少佐」

 

二人の会話に入って来たのはムウであった。

 

「俺は、この世界に飛ばされてお前達と再会出来た事を心から嬉しく思っている。だけどな、あの世界に戻れると言われたら、俺は戻る気はない」

 

「どう言う意味ですか?」

 

ムウの言葉にキラは尋ねる。戻れるかもしれないときに戻らないと言う選択肢を取る理由を知りたいからである。

 

「俺が護りたいのはマリューだ。だけどな、あの世界に戻ったとしても軍人として戻る事になる。今の俺達はIS学園に雇われた傭兵の様な扱いだ………だけど、軍人と傭兵の違いと言えば、時間があるか無いかの差だ。判るか?」

 

「まぁ」

 

ムウの質問にキラ達は頷く。確かに言われていればその通りである。キラはザフト軍のFAITHの最高司令官である為、ラクスと共にする時間が無かった。だが、今はIS学園の生徒として、そして、IS学園の部隊長として鑑みても、今の生活の方が楯無や明日菜と一緒に過ごす時間がある事は確かな事である。

それは、アスランも言える事である。オーブの参謀長官としている時はカガリとは上司と部下の関係であった。二人の時間が取れるとすれば、自宅に戻った時だけである。

今の生活は、二人にとってはある意味で求めていた世界なのかも知れないのである。

 

「そう言うこった………難しく考えるな。二人とも。先は長いんだ……今この瞬間に躓いていても、何も始まらないぞ?」

 

そう言うとムウはマリューの元へとはいかずに、他のクラスの女子生徒に声を掛けようとした。だが、寸での所でマリューからのライダーキックに、海へと飛ばされるのであった。

 

「なんか、俺達が考えていた事が小さく感じるな……」

 

「うん………ムウさんもさっきまでは良い事言っていたのに、行動の所為でそれが台無しだよ………」

 

二人はマリューとケンカしているムウを見て溜息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、セシリアはキラの事を探していた。

 

「キラさんはどちらへ行かれたのでしょうか………」

 

セシリアの想い人であるキラの事を探していたのだが、自分の恋が実る事は無いと言う事は薄々、感じ取っていた。それは、楯無と明日菜と一緒にいるキラの表情を見れば一目瞭然の事である。

 

「わたくしの初恋は、実らないのでしょう………でも、後悔をし無い為にもキラさんにこの思いを告げないと思っていても…………」

 

セシリアの両目には涙が堪り始める。それは、初恋が実らないと知ったからでは無い。ただ単純にあの三人の中に自分が入る事は無いと判っているからである。

 

「わたくしは……諦めなくてはいけないのでしょう………」

 

「何を諦めるってんだ?」

 

「え? キャァァァァ‼」

 

「うわっ⁉ いきなり大声を出すなよ………びっくりするじゃねぇか」

 

「あ、貴方は……」

 

セシリアの後ろから声を掛けたのはオルガであった。因みにだが、ドミニオン隊とミネルバ隊は本来であれば、IS学園で防衛を担当する手はずになっていたのだが、束の一言でそれは覆された。

 

「IS学園の事はこの天才の束様にお任せあれ‼ 何があってもIS学園には手を出させないよ‼」

 

この言葉に千冬は心配をするのだがミネルバの艦長であるタリアと副長であるギルバートが監視をすると言う申し出があった為、二人に束の事をお願いしていたのである。

それにより、ミネルバ隊のIS組とドミニオン隊のIS組がこの臨海学校に来ていたのである。もう一つ付け加えるなら、ドミニオンの艦長であるアズラエルと副長のジブリールもIS学園でお留守番をしているのである。

これにより、束が開発した無人機による防衛戦と戦艦二隻による防衛戦が構築され、難攻不落の要塞と化したIS学園であった。



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第七十二話

はい、時間差による連続投稿です。今日の更新はこれで終わりです。
一時間で二話を書き上げる俺………実は、今回の話は書きやすかったのと、フラグを立てたかったと言う思いで書いていたら、書き上げてしまいましたwww

この作品はギャグを入れて来なかったと言う事もあり、福音編の序盤はギャグを取り入れて行こうと思います。出来るかどうかはさておき………

そして、前話を読んで下さった皆様。今回の話も「コイツ誰だ‼」と思いますwww

次回の更新は早ければ今週中に更新できると思います。


セシリアに声を掛けたのはオルガであった。

 

「貴方は………」

 

「俺か? 俺はIS学園特殊武装隊二番隊“ドミニオン”所属のオルガ・ザブナックだ」

 

「オルガさん……」

 

「さん付けは止めてくれ………慣れてないんだ」

 

セシリアにさん付けで呼ばれたオルガは、頬を手で掻きながら訂正を求めた。過去の事を知っている者達からすれば、「コイツ、誰だ?」と思われても仕方が無かった。だが

彼らの過去の事を知っているのは特殊武装隊のメンバーだけである。

 

「ですが、殿方を呼び捨てにするのはちょっと………」

 

「時間が掛かっても良いから、呼び捨てにしてくれ。それで、さっきの諦めるって、何を諦めるんだ?」

 

「えっ⁉ い、いえ………その……恥ずかしいので、言えませんわ………」

 

「ムリして聞く気もねぇから、聞かねぇよ………でも、アークエンジェル隊の隊長の事だろ?」

 

「なっ⁉ なんで知っていますの‼」

 

「やっぱりか………」

 

「………鎌を掛けましたわね?」

 

「すまねぇ、すまねぇ………でも諦める必要は無いと思うぞ」

 

セシリアのジト目にオルガは謝るが、セシリアの恋を諦める必要は無いと諭した。

 

「どう言う意味ですの? まさか‼ 略奪愛をしろと‼」

 

「誰もそんな事言ってねぇよ‼ 勘違いすんな‼ ………良いか? 人間だれしもが恋をする。それを諦めて進むめるのか?」

 

「では、どうしろと?」

 

「当たって砕けろ」

 

「は?」

 

オルガの一言にセシリアは「コイツ、何言ってんだ?」と言う表情をする。

 

「間違ってねぇだろ? 黙って終わらせるよりも、自分の気持ちを曝け出せばいいって事だよ………自分に正直になれよ。お嬢様」

 

そう言うとオルガはセシリアから離れて行く。

 

「当たって砕けろ、ですか………フフ。そうですわね‼ ウジウジ考えていても何も始まりませんわ‼ ここは、自分の気持ちをキラさんにお告げ致しますわ‼ 実らないと知った恋でも、後悔するよりマシですわ‼」

 

セシリアの気持ちは燃え滾っていたのである。

 

「待っていて下さいね‼ キラさん‼」

 

そう言うと、セシリアはキラの事を探し始めるのであった。だが、セシリアはこの時、知らなかった。本当に自分が愛する者が出来ると言う事に……………

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シャルロットはラウラと共に散歩していた。

 

「ラウラ、気持ちいいね」

 

「ああ、こうやって静かに歩く海も悪くない………」

 

「どうかしたの?」

 

「いや………部隊の者達がどうなったのかと思ってしまってな…………」

 

「そうだね………」

 

ラウラは元はドイツ軍の特殊IS部隊の隊長を務めていたのだが、VTシステムの所為でドイツ軍の席から外されてしまったのである。副隊長を務めていたクラリッサ・ハルフォーフがのし上がり、隊長に就いている事になるのだが、今のドイツ軍の特殊部隊は色々と可笑しくなっている事にラウラは知らなかった。

 

「まぁ、優秀な副官が隊長に就いているから安心できるのだがな…………」

 

「その新しい隊長さんに問題でもあるの?」

 

「あ、ああ………あいつの思考はマニアックすぎる事が多いんだ……いや、あれをマニアックと呼んで良い物かと言われたら、そうでも無いのかもな…………」

 

ラウラは一度だけであるが、クラリッサの部屋に入った事があった。クラリッサの部屋はラウラが使っていた部屋よりも若干、狭いのだが…………至る所にグッズやら薄い本等が所狭しと置かれていたのである。ラウラはその当時はそう言う物に対して興味を抱かなかった為、手に取る事は無かったが、もし今でもドイツ軍にいたとすれば、クラリッサの影響を受けていた可能性が高いと思い始めていた。

 

「まぁ、アイツなら大丈夫だと私は信じている…………多分」

 

「多分なんだ………」

 

ラウラの最後の一言にシャルロットは苦笑いをするのであった。

 

「ところでシャルロット」

 

「何かな?」

 

「貴様には想い人と言うのはいるのか?」

 

「ふぇっ⁉ い、居ないよ‼」

 

「キラなんかはどうなんだ? アイツには助けられたんだろう?」

 

シャルロットは確かにキラに助けられた事があった。だが、それが恋につながるとは感じていなかった。

 

「確かにキラは僕の事を助けてくれたけど……僕にとってキラは恩人と言う思いでしかないよ」

 

「ほう? なら織m「やだ」………最後まで言わなくても判っていた」

 

ラウラが一夏の名前を出そうとしたん瞬間、シャルロットは即答で拒否した。

 

「織斑の事はどうして嫌なのだ?」

 

「なんか、優柔不断に見えるし、篠ノ之さんや鳳さん達の関係も決めてないじゃん。そんな人を選んでも後悔するだけだよ」

 

なにかと辛らつなシャルロットであった。

 

「そう言えば、ドミニオン隊とミネルバ隊も一緒にこの海に来ていたが………どこにいるんだ?」

 

「さぁ?」

 

ラウラは思い出したかのようにドミニオン隊とミネルバ隊の面々を探すが、どこにも見当たる様子は無かった。

 

「ま、どこかで会うと思うよ」

 

「そうだな」

 

二人はそう言うと散歩を続けるのであった。

そして、二人も自分がこの世で愛する者を見付けると言う事は、この時、知らなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シャニとクロトはと言うと…………

 

岩陰で読書するシャニ。岩を殴って自分の力を高めようとするクロトの姿があったとかないとか…………




誤字脱字、感想、感想、感想、感想「感想、感想ってうるさい。僕と模擬戦する?」ごめんなさい。最近、感想が一人の方しか来なかったりして寂しかったんです。だから、キラ様。その手に持っているシュベルトゲベールを降ろしてください。

「作者がふざけなかったら僕もしないけど………流石にね?」

あっはい。申し訳ありません‼

「それと、楯無さん以外の人とくっ付けようとしたら………判ってるよね?」

は、はい‼ 判っております‼ 大丈夫です‼ そんなことしませんから‼

「や~ん。キラ君。ダ★イ★タ★ン」

「パパ‼ 明日菜の事も忘れちゃダメなのです‼」

「ごめんごめん。大丈夫。この世界で楯無さんと明日菜ちゃんだけしか目に無いから」

誰ですか? あなたは…………

「キラ・ヤマトですが?」(真顔)

あっはい。

では、改めて。
誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼

「僕の新しい剣に期待してね‼ 作者次第だけど」

仰る通りです

「私の事も忘れないでね‼」

誰も忘れないと思います………はい

「明日菜の事も忘れちゃ、ダメなのです‼」

うん、大丈夫。前のコメントで明日菜ちゃんの事を可愛いって言ってくれた読者さんが居たから。

「(*´▽`*)」

顔文字で表現しないで‼ あれ? 締まらないんだけど…………

「じゃぁ、最後に一発、逝っとく?」

え? まさか…………

「うん。ハイマット・フルバースト・オーバーリミットで」(黒笑顔)

そのう………止めると言う選択肢は「無い」ですよね~………サラバダー‼

「遅いよ。ターゲットロック‼ ハイマット・フルバースト・オーバーリミット‼」

ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼













じ、次回も………お楽しみに………

「ねぇ、パパ。作者さんのお口から何か出てるよ」

「気にしなくていいのよ、明日菜ちゃん」

「(^O^)/」

「「「次回もよろしくお願いします‼」」」


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第七十三話

今回は連続投稿です‼ やっと休みがもらえたので、執筆が出来ます‼
時間をずらしていますので、お間違いの無く。

では、本編へどうぞ‼


キラとアスランが楯無、簪と遊ぶ明日菜を見ていると、そこに千冬がやって来る。

 

「お前達、ここにいたのか」

 

「織斑先生」

 

「どうかしたのですか?」

 

キラ達は千冬が来る理由が思い浮かばなかった。

 

「いや、なに。家族の団欒ってやつを見てみたかったのだ。だが、元気に遊んでいるな」

 

「そう…ですね………」

 

千冬の言葉にキラは歯切れの悪い返事をする。

 

「何かあったのか?」

 

「………明日菜ちゃんのお母さんの話は知っていますよね?」

 

「ああ、あのショッピングモールでのテロ事件の件の事か………それがどうかしたのか?」

 

「まだ、明日菜ちゃんにはお母さんの事を話していないのです」

 

「だが、明日菜はお前と楯無の事を親と思っているのだろう?」

 

キラの言葉に千冬は今までの明日菜とキラ達の接し方が、本当の親子の様に見えていた。なぜ、キラがそれを気にするのか判らなかった。

 

「もしかしたらの話になるのですが………明日菜ちゃんはお母さんの死を真直で見ていた可能性があります」

 

「………PTSDの可能性と言う事か?」

 

「はい」

 

PTSD…心的外傷後ストレス障害と呼ばれる物で、突然、不幸な出来事によって命を脅かされたり、天災や事故、犯罪、虐待等により、強い精神的衝撃を受ける事により心身に支障をきたし、社会生活にも影響を及ぼす様々なストレス障害を引き起こす精神的な後遺症、疾患のことである。

 

「もしかしたら、明日菜ちゃんはあの事件によって、記憶が改ざんされている可能性があります………それをいつ話してあげるべきなのか、迷っているのです」

 

「……それは、楯無も知っているのか?」

 

「知っています」

 

キラは明日菜がいない所で楯無と話し合っていた。明日菜に本当の事を話すべき時期の事を………

 

「だが、今はそう言う時期では無い事はお前も知っているのだろう?」

 

「ええ、知っているからこそです。もし、僕達が本当の事を明日菜ちゃんに話さないまま大人になって、いつ同じ事が起きた時、彼女は自分を見失わないか不安なんです」

 

「………本当の親の様だな?」

 

「僕は至って一人の人間です。確かにいきなり出来た娘ですが、それでも一人の自分の娘として接しているつもりです」

 

キラの言葉に嘘偽りは無かった。現に楯無とキラと一緒にいるとき、明日菜は笑顔を絶やさなかったのである。

 

「僕らに出来る事は、本当の親が出来なかったことを変わりにしてあげる事です………だからこそ、僕は迷っているのです」

 

キラは顔を俯かせながら千冬に言う。千冬もキラに対してなんて言えば判らなかったので、黙ってしまっていた。だが、その空気を壊す人物がいた。

 

「キラ君、私はあなたと一緒に明日菜ちゃんを育てたいの」

 

楯無である。楯無は明日菜を簪に任せてキラ達の元へ来たのである。因みにアスランは空気を読んで簪達の元へと向かっていた。

 

「私はね、キラ君。一人の女として幸せと感じているのよ? 自分から産んだ子供じゃなくても、託された子供だとしても私達の子供に変わりはないわ。だから、そんなに悩む必要は無いのよ?」

 

「でも……僕は怖いんです。この平和な時間がいつか必ず、崩れてしまうと考えています。以前に、IS学園を襲撃したサラ・コナー、リオ・コナーの二人が女性だけの世界を作り上げようとしている………それに巻き込まれるのではないかと考えると、不安で一杯なのです」

 

幾ら英雄として祭り上げられても、キラは一人の人間である。不安もあれば心配も抱えるのである。

 

「バカね………私が付いてあげるわ。二人で力を合わせれば、どんなことでも乗り越えられる自信はあるわ‼」

 

「楯無さん………」

 

「そうだな、だからこそ、私達、大人がお前達を導いてやらんといけんのだ」

 

「織斑先生」

 

楯無と千冬の言葉にキラの心の迷いは少し晴れたような感じがしたのである。

 

「そう……ですね。いつかその時期が来た時に、僕が不安になっていたら明日菜ちゃんも不安になってしまいますね………ありがとうございます」

 

キラは二人に頭を下げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。旅館の大広間にはIS学園の生徒で埋め尽くされ、夕食を摂っていた。

その一角にはキラと楯無、明日菜の家族もあり、その姿を見た生徒達はキラを狙う事を諦めたのである。アスランもアスランで、簪と一緒に食事を楽しんでいた為、アスランを狙う生徒もいなくなって、簪としてはアスランを独り占めに出来ると喜んでいたらしい。

 

「明日菜ちゃん、美味しい?」

 

「うん‼ 美味しい‼ お魚さんってこんなにも美味しい物なんだね‼」

 

「まぁ、学園には刺身を提供する事はまず無いからね……所で、キラ君? ニンジンを私の器に入れるのを止めてくれないかしら?」

 

「ギクッ⁉ い、いや……あの………僕、ニンジンが苦手なんでs「パパが好き嫌いをしてどうするのかしら?」ハイ、ゴメンナサイ」

 

楯無の黒い笑みに当てられた、キラは苦手であるニンジンを渋々ながらに食べていた。

 

「パパ‼ ニンジンさん、美味しいよ‼」

 

「うん……そうだね」(涙

 

キラは苦手なニンジンを涙を流しながら食べている風景に楯無と明日菜は笑うのであった。



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第七十四話

今回は最後である人のキャラ崩壊を起こしていますww

こんな優しい人だっけ? と思われる方もいると思います。


夕食も終わり、各々が各自の部屋で過ごしている時、千冬の部屋では一夏が千冬をマッサージする事になった。

 

「千冬姉、久々にマッサージしようか?」

 

「ほう? 愚弟がそんな事を言いだすなんて………明日は槍の雨でも降るのか?」

 

「なに縁起でも無い事を言ってるんだよ………迷惑を掛けた事が多かったから、そのお返しと言う訳じゃ無いけど……」

 

「なに、冗談だ。では、頼む」

 

千冬はそう言って布団に俯せに横になると、一夏が背中に手を置くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬と一夏の部屋の前では鈴、箒の二人が聞き耳を立てていた。

 

「ねぇ、もしかして………」

 

「嘘だ……嘘だと言ってくれ‼ 一夏………」

 

二人は部屋の中から聞こえる会話から、違う意味を察したのか絶望的な表情になっていた。

 

「あら? どうかされましたのですか?」

 

「あっ……セシリア………中から………」

 

「?」

 

鈴の切なさそうな声にセシリアは顔を傾げる。すると、鈴はセシリアの手を引き扉の前に来させた。

 

「聞きなさい‼」

 

「…………」

 

『千冬姉、緊張してる?』

 

『そんな訳あるか‼ んっ⁉ 少しは加減をしろ』

 

『はいはい……なら、ここかな?』

 

『ンフッ‼ そこ……は‼』

 

『ここだな‼ ホレホレ‼』

 

『ン⁉ ツ~~~~~~~』

 

「………」///

 

一夏と千冬の声でセシリアも変な察しをして顔を赤くさせた。

 

『じゃぁ、次は――――』

 

『一夏……ちょっと待て』

 

一夏が次に移ろうとした時、千冬はそれを止めさせ、扉の前に立つと一気に扉を開け放った。

 

「グフッ‼」

 

「ザクッ‼」

 

「ドムッ‼」

 

鈴、箒、セシリアの順に部屋の中になだれ込んだ。

 

「貴様等………何をしている」

 

「こ、これは………」

 

「そろそろ寝ますので………」

 

「失礼します‼」

 

鈴達は逃げる様に千冬から遠ざかろうとしたが、そう問屋が卸さなかった。

鈴と箒の着物の襟を掴み、セシリアの裾を踏み三人の動きを止めたのである。

 

「まぁ、そうは言わずに………中に入れ」

 

「「「はい」」」

 

千冬の一言で鈴達は部屋の中へと入る。

 

「そうだ、一夏。風呂に浸かって来い」

 

「……そうだな。汗も掻いたし………風呂に行って来る」

 

「長風呂してきて良いぞ」

 

「ありがとう‼ 千冬姉‼」

 

そう言うと一夏は風呂へと向かって行く。

 

「鈴、楯無と簪を連れて来い」

 

「わ、解りました…」

 

千冬の指示で鈴は、楯無達を呼びに向かって行った。

 

「箒、シャルロットとラウラを呼んで来てくれ」

 

「あっはい」

 

箒はラウラ達を呼びに部屋を出た。そして、残されたのは千冬とセシリアだけである。

 

「……何を緊張している?」

 

「い、いえ‼ 織斑先生とこうしてお話をする機会が無いので、どう話せばよいのか判らなかったのですわ」

 

「そうか………そう言えばオルコット。お前はヤマトの事を好きなんだよな?」

 

「なっ⁉」

 

千冬言われ、セシリアの顔は真っ赤に変わる。

 

「そう簡単に顔に出しては、これから生きてはいけないぞ?」

 

「………」

 

千冬に言われセシリアは黙る。そして、それと同時に楯無達とラウラ達が合流するのであった。

 

「さて、それでは女子会を始めるか」

 

「女子会ですか?」

 

「ですが………」

 

「なんだ? 私が女子とでも言えないのか?」

 

鈴と箒の言葉に気を触ったのか、千冬が二人を睨みつける。そして、冷蔵庫の中に入っている飲み物を徐に取り出すと、全員の前に置いた。

 

「まぁ、なんだ。飲み物一つ無いでは話も盛り上がらないだろう。好きな物を選んで飲め」

 

千冬に言われ一部を除き訝しみながら飲み物に手をだした。

 

「さて、楯無。お前達の娘持連れて来て良いのだぞ?」

 

「そう言う事でしたら……連れて来ます」

 

千冬に言われ楯無は明日菜を呼びに部屋に戻った。

 

「呑んだな?」

 

「………毒でも入れましたか?」

 

「バカ者‼ そんな事する必要が無いだろう………これで、私も飲めると言う事だ」

 

そう言うと千冬は冷蔵庫からビールを取り出し、プルタブを開けると一気に喉をうるわせた。

 

「今は勤務中じゃ………」

 

「貴様らの手に持っているのは何だ?」

 

『あっ‼』

 

鈴達に配られた飲み物は口封じの為であった。

 

「失礼します」

 

「あっ‼ 千冬お姉ちゃん、お酒飲んでる‼ いけないんだー‼」

 

楯無に手を引かれた明日菜が、ビールを飲んでいた千冬を見て指摘した。

 

「まぁ、なんだ………私にとってはこれがジュースなんだ。勘弁してくれ」

 

「明日菜にもジュース、頂戴‼」

 

「何が飲みたい?」

 

「オレンジジュース‼」

 

「そうか」

 

明日菜に言われ、千冬は冷蔵庫の中からオレンジジュースを取り出すと、明日菜が呑み易い様にコップまで用意し、注ぐと明日菜に手渡した。

 

「ありがとう‼」

 

「すみません。織斑先生」

 

「気にするな……子供は元気が一番なんだ。だが、お前も母親らしくなったのではないのか?」

 

「そうでしょうか?」

 

千冬に言われ楯無は顔を傾げる。

その一連を見ていた鈴達は、「誰? この人」と言う表情をしていた。

 

「さて、これで全員が集まったな………女子会の始まりだ」

 

千冬の言葉で女子会が執り行われるのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼


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第七十五話

やっと書き上げれた………パソコンの調子が悪い………夏までもってくれよ。


千冬の部屋では楯無、明日菜、簪、箒、鈴、セシリア、シャルロット、ラウラが座っていた。

 

「さて、女子会を始めるのだが………まず初めに更識姉妹。お前達はどこに惚れたんだ?」

 

「惚れたって言われましても………私はキラ君の目に惚れました」

 

「わ、私は……あの時に守ってもらった事で惚れました」

 

楯無と簪は顔を赤くさせながら答える。

 

「そうか……だが、あいつらはすぐに危険な所へと向かって行く。それをどう手懐けるかはお前達に掛かっている。それを忘れるなよ?」

 

「「はい‼」」

 

「?」

 

千冬と楯無、簪の会話に付いて来れなかった明日菜は顔を傾げる。

 

「明日菜ちゃんには早かったかもね………でも、パパを一緒に支えてあげようね?」

 

「うん‼」

 

楯無の言葉に明日菜は笑顔で答えた。楯無は、この笑顔を護りたいと思うのであった。

 

「さて、お前達に聞きたい。この中で一夏に惚れているのは誰だ?」

 

千冬は楯無達から箒たちへと顔を向けると、箒達に尋ねる。すると、鈴と箒が手を上げた。

 

「鈴と箒か………他の者は一夏に惚れていないのか?」

 

「わたくしは一夏さんに対して恋心を持っていませんわ。ですが、彼は強くあろうと努力しているのは事実。わたくしはそう言う彼に対して手助けをしたいだけですわ」

 

「僕は……一夏に護られたと言うより、キラに助けられました。でも、キラに対して恋心を持っていません。キラに抱いている気持ちは恩人としてだけです」

 

「私は、VT事件の時にキラに助けられましたが、それでもキラに対してはシャルロット同様に感謝の気持ちでしか持っていません。それに、キラ達のお陰で、今の私がいると思っています」

 

セシリア、シャルロット、ラウラの順に千冬に自分の気持ちを伝えた。

 

「だが、オルコット。お前はキラに対しては恋心を持っているのだろう?」

 

「……はい。ですが、いつの日か必ずこの気持ちを伝えるつもりです」

 

「と言っているが………楯無?」

 

セシリアの宣言に千冬は面白そうに楯無に顔を向けた。だが、楯無の表情は至って変化する程では無かった。

 

「私はキラ君の答えを信じています。どちらにせよ、彼が答えを出さなくてはいけませんから」

 

「ほう? と言う事は、オルコットを振ると?」

 

「さぁ? それは解りませんが………彼がどう言う答えを出そうと、私はそれで良いと思っていますから」

 

楯無は余裕そうに答えるのであった。

 

「それで……楯無。聞きたい事がある」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「明日菜ちゃんは………やはりアレの可能性が高いのか?」

 

「アレと言いますと………PTSDの事ですか?」

 

千冬は小声で楯無に明日菜の事を尋ねると、楯無は一瞬、千冬が何を聞きたいのか判らなかったが、一つの答えに導きだし尋ねた。

 

「ああ、やはりあの時のショックで記憶が?」

 

「………可能性は高いですね。検査をしてみない事には何とも言えませんが………この夏に出も実家に戻り検査を受けて貰おうと思っています」

 

「無理をさせるなよ?」

 

「判っています」

 

楯無はそう言うと明日菜の頭に手を置き、ゆっくりと撫でると、明日菜も母親のぬくもりに安心したのか目を細め嬉しそうな表情になる。

 

「ところで更識先輩。聞きたいのですが………」

 

「なにかな? シャルロットちゃん」

 

「明日菜ちゃんは………」

 

「ちょっと待ってて………織斑先生。明日菜ちゃんを寝かしてきていいですか?」

 

「ああ。すぐに戻って来い」

 

千冬に断りを入れて明日菜を部屋へと戻り、キラに寝かすのを頼むと戻ってくる。

 

「ごめんなさいね。あの子にはまだ聞かせられない話なの。それで、明日菜ちゃんの事を聞きたいのよね?」

 

楯無の言葉に千冬と簪を除いた全員が頷く。

 

「その前に聞きたいのだけど、今年の春ごろに起きたショッピングモールテロ事件の事を知っている人はいるかしら?」

 

楯無の質問に全員が手を上げた。この事件は大きく取り上げられ、全世界に報道されていたのである。

 

「そう………ありがとう。あのテロ事件で明日菜ちゃんは本当のお母さんと一緒に来ていたの。だけど、テロ事件によってお母さんは撃たれてしまった。事件後に生存者を確認していたら、明日菜ちゃんを抱いたお母さんが虫の息でキラ君に頼んだのよ。この子をお願いしますってね。それで、キラ君が承諾したもんだから、そこからは大変。キラ君はすぐに学園に連絡をしたら、私と一緒の部屋になって二人で明日菜ちゃんを大きくなるまで育てようと相談したのよ。だけど、明日菜ちゃんはあのテロ事件の事を忘れているわ」

 

「どう言う事ですか?」

 

「PTSD……聞いた事無いかしら?」

 

「聞いた事はあります。私も軍にいた頃に聞きました。心的外傷後ストレス障害ですよね?」

 

「そう。明日菜ちゃんは無意識のうちにテロ事件の時の記憶を封じ込めたのよ。克服している様に見えているけど、心の奥底では記憶を封じ込めているはずよ。それを思い出さない様に……」

 

楯無の言葉に全員が涙を流した。

 

「だから、明日菜ちゃんには言わないでね?」

 

『はい‼』

 

楯無の言葉に全員が頷くのであった。

 

「そろそろ就寝時間だ。各自の部屋に戻れ」

 

千冬の言葉で各々の部屋へと戻って行くのであった。



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第七十六話

連続です‼

一部のキャラが「誰だコイツ?」になってます。


翌日、IS学園の生徒達は丸一日を使い、ISの各種装備試験運用とデータ取りを行う事になっていた。

 

「これより各班で振り分けられたISの装備試験を行う。専用機持ちは専用パーツのテストだ。迅速に行え‼」

 

『はい‼』

 

「それと、篠ノ之。こっちへ来てくれ」

 

「はい」

 

千冬に呼ばれた箒はそちらへと向かう。箒は千冬に呼ばれた理由が判らなかった。

 

「今日からお前も専用機持ちとなる事になった。だが、これは忘れるな? お前は専用機を持ったからと言って力を得たと言う事にならない。努力を怠るなよ?」

 

「ッ⁉ はい‼」

 

千冬の言葉に箒は驚きながらも返事をする。まさか、自分に専用機が与えられるとは思っていなかったからである。姉である束に頼んだ記憶も無いのである。

 

「さて、開発者本人から話をして貰おうか」

 

「ハロハロー‼ 束様、登場‼」

 

突如として地面から出て来た束にその場にいた者達が驚く。

 

「束……もう少し普通には出てこれんのか?」

 

「何言ってるのかな、ちーちゃんは………私がそんな普通に登場する気があるとでも?」

 

「………スマン。私が間違っていた」

 

千冬がそう言うと手で顔を覆った。確かに束は普通と言う概念を持ち合わせていない。だから、普通を求めても束が答える気が無い事は昔からであったと言う事を思いだしたのである。

 

「さて、本題に移ろうか………箒ちゃん」

 

「………はい。姉さん」

 

束は箒に対して開放的に接するが、一方の箒は閉鎖的に接する。

白騎士事件によって、家族はバラバラになってしまった。その張本人は目の前にいる束なのである、一夏と別れてしまう結果になってしまった。本当であれば、中学も一緒に過ごしたかった。そう言う気持ちがあったこそ、箒は束を許す気になれなかったのである。

 

「やっぱりだね………箒ちゃん。後で話がしたいんだ………いいかな?」

 

「………私は姉さんと話すつもりはありません」

 

「そう言われちゃったら、どうしようもないね………気が向いたらでいいから、来てね。後でメールで知らせるから」

 

束はそう言うと、消沈している気持ちを奮い立たせ、箒の専用機となるISを呼び出した。

 

「さて、少し脱線しちゃったけど………これが天才である私の最高傑作機‼ その名も“紅椿”‼」

 

紅椿と呼ばれたISはコンテナに収容され、一機のMSに抱えられて登場した。

 

『なんで俺達がこんなことしなくちゃいけないんだよ‼』

 

『オルガ……うるさい』

 

『シャニ‼ てめぇ‼』

 

『なんでケンカしてるのですかね⁉』

 

カラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機がコンテナを護るかのように降り立った。だが、なぜか知らないが、シャニとクロトがケンカを始めようとしていたのである。

 

『三人共………大人しくできないのかね?』

 

『だってコイツが‼』

 

『僕は何もしてないよ』

 

その上空ではラウがプロヴィデンスを身に纏い三人を見守っていたのだが、クロトとシャニのケンカを仲裁しようとしていた。

 

『レイ………この場合はどうするべきかね?』

 

『撃てばいいのでは?』

 

『なるほど。名案だ』

 

『『『なんでやねん‼』』』

 

コントの様な掛け合いをしていたが、オルガ達は正確に束の前にコンテナを置く。

 

「ありがとねー‼」

 

『フン……感謝しろよ』

 

『素直じゃないね』

 

『うっせぇー‼』

 

束に感謝の言葉を掛けられたオルガは、憎たらしく返したが、それは照れ隠しの一つであるとシャニは感じ取り、弄るがオルガがそれに突っかかり、三人による三つ巴が始まろうとした瞬間………ラウのプロヴィデンスとレイのレジェンドのドラグーンが三人の周囲を囲んでいた。だが、それだけでは無かった。キラのドラグーンまでもが三人を囲んでいたのである。

 

「三人共………そろそろ大人しくしていようね?」

 

『『『………はい』』』

 

キラの一言で、三人は大人しくなるのであった。

夏だと言うのに、キラの周囲は冬なのではと錯覚するほど寒かったとアスランが言っていたのであった。

 

「さて、なんかまた話が脱線しちゃったけど………箒ちゃん。乗り込んで……すぐにフィッティング済ませちゃうから‼」

 

「ですが、姉さん。一つ聞きたい事があります」

 

「なにかな?」

 

「なぜ、今のタイミングで私に専用機を渡すのですか? もっとほかにも逸材はいるでしょう?」

 

「………」

 

箒の質問に束はすぐに返答が出来なかった。

 

「………箒ちゃん。今の世界の情勢は知っているよね?」

 

「え、ええ。IS学園が襲撃を受けて、それを起こしたのは女性管理団体の一部だとか……としか………」

 

「うん、それで合ってるよ。なら、今の箒ちゃんの立場はどう言う立場?」

 

逆に返された質問に箒は答えられなかった。否、答えたくは無かった。それは、篠ノ之束の妹である事は事実。だが、それを素直に認められない自分が居たからである。

 

「なら、答えてあげる。私、篠ノ之束のたった一人の妹。これが答えだよ。簡単でしょ? なら、ここまで言ったら………箒ちゃん、今の立場は?」

 

「…………篠ノ之束に対する交渉の一部」

 

「正解。判ってるじゃん‼ 今の箒ちゃんは守る力を持っていない。それは他人をじゃない。自分自身を護る手段を持っていない。だからこそ、私は危惧した。箒ちゃんが誘拐されてしまってはいけないとね………だからこそ、この力を箒ちゃんの自分を護る剣にして欲しいと思って開発したんだよ?」

 

「…………でも、素直に受ける気が出来ません」

 

「………判った。そこまで頑なに拒むほどであれば、私も無理強いはしないよ………でも、これだけは言わせて………後悔しない選択肢を選んで」

 

そう言うと、ラウに抱えられてIS学園へと戻ろうとした。だが、それを許す敵では無かった。

千冬が持っているタブレットが静かに振動する。

 

「なんだ、こんな時に……………ッ⁉ 総員に通達‼ これよりテストはすべて中止とする。各自は部屋に速やかに戻れ‼ これは訓練では無い‼ 専用機持ちは大広間に集合だ‼ 束、お前も来い‼」

 

「…………来ちゃったと言う事だね?」

 

束の質問に千冬は静かに頷く。

 

「ラウ君。君たちも来て」

 

「了解した。ドミニオン隊、ミネルバ隊は現時刻を持ってアークエンジェル隊との合同作戦を実施する。キラ君、君が指揮権を持ってくれ」

 

「………判りました」

 

ラウの言葉にキラは強く頷いた。

 

「各自、解散‼」

 

千冬の鶴に声で、浜辺にいた全員が動くのであった。




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第七十七話

大広間に集められた一年生専用機持ちと楯無は大型モニターに写る状況を見ていた。

 

「先ほど、日本の領海内に女性管理団体所属艦五隻が侵入した。自衛隊が出撃したが、敵の戦力が大きく、一方的に大敗した。よって、政府よりIS学園特殊武装隊に命令が下された。但し、今回の任務に関してはアークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の合同作戦となる。他の者達は、ここで待機だ」

 

「俺達は待機って言うけど、キラ達だけで戦えるのかよ?」

 

「僕達には専属艦が就いている。それに今回の臨海学校にはアークエンジェルが同行していると言う事もあって、本部はアークエンジェルにて行う事になるんだよ………君たちは、もしもの場合に備えて待機していてほしい」

 

「………判った」

 

キラの説得により、一夏達は納得するが状況は一変した。

 

「大変です‼ アメリカとイスラエルが合同で開発したISが何者かによって強奪され、ここに向かって来ています‼」

 

「なに⁉ まさか‼」

 

『その通りですよ……ブリュンヒルデ』

 

真耶が走って千冬に説明すると、モニターがハッキングされそこにはリオ・コナーが映し出されていた。

 

「貴様……リオ・コナー‼」

 

『如何にも………さて、あなた方には選択肢が二つあります』

 

「選択肢だと?」

 

リオから選択肢を選ばされる事になるのだが、その選択肢はどちらも人命にかかわる内容であった。

 

『一つ、あなた方、IS学園はリオ・コナー率いる女性管理団体に属する事。その際、織斑一夏、キラ・ヤマト、アスラン・ザラその他の男共は抹殺よ。二つ、私達と敵対し、世界を巻き込む戦争を行うか……どちらかよ』

 

「なぜ、今になって選択肢なんぞ出して来た? 貴様は男共を一定の数を減らすつもりでは無かったのか?」

 

千冬は今更になって選択肢を出してくるリオに尋ねる。

 

『決まってるじゃない。私たちの願いは変わりは無いわ……でもね、IS学園の生徒のほとんどは女子なのよ? 殺すつもりは無いわ。だから、選択肢を提示したのよ』

 

「チッ、外道が……」

 

『あら? 褒めても何も出ないわよ?』

 

「褒めてないわ‼ だが、我々の答えは一つだ。世界を巻き込んだとしても貴様らの野望は止めさせてもらう‼」

 

『………あらそう? ………なら、後悔しない事ね』

 

そう言ってリオは通信を一方的に切ったのであった。

 

「これより作戦を二つ遂行する。アークエンジェル隊、ミネルバ隊は領海内に侵入した敵艦船の殲滅作戦を。ドミニオン隊と他の専用機持ちはこちらに向かって来ているISの殲滅を行う。各自、持ち場に就け‼」

 

『了解‼』

 

千冬の指示でキラ達アークエンジェル隊は、すぐさま日本領海内に侵入した女性権利団体所属艦五隻の殲滅へと向かうのであった。

 

 

「では、情報を開示する。尚、今回の作戦は機密事項に値するものであり、無闇に開示する事を禁ずる。また、専用機持ちは、そのデータの破棄も行う事とする。良いな?」

 

『はい‼』

 

「では開示する。こちらに向かって来ているISは銀の福音と呼ばれるアメリカとイスラエルの共同開発型軍事用ISだ。相手は有人機であり軍用機だ。この中での軍事用機はドミニオン隊のISのみだ。よって、本作戦指揮をトール・ケーニッヒに委託する。良いか?」

 

「構いません。俺が出来る限りの事をします」

 

「よろしく頼む」

 

千冬に頭を下げられたトールは連合式の敬礼をして返答するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂浜にヴァンセイバー、ネブラブリッツ、カラミティ、フォビドゥン、レイダー、白式、甲龍、ブルー・ティアーズの八機のISが展開され、銀の福音撃墜作戦、正式名称、シルバリオ・ゴスペルダウン作戦に出るドミニオン隊とIS学院部隊の混合隊が準備していた。

 

『これよりシルバリオ・ゴスペルダウン作戦を開始する。開始後の作戦指揮権をアークエンジェル隊二番隊、ドミニオン隊隊長のトール・ケーニッヒに委託する。全員、生きて帰って来い』

 

≪了解‼≫

 

『作戦開始‼』

 

千冬の言葉で全員が出撃スタンバイをする。

 

「トール・ケーニッヒ。ヴァンセイバー、出ます‼」

 

「ニコル・アマルフィ。ネブラブリッツ、行きます‼」

 

「オルガ・ナブナック。カラミティ、出るぜ‼」

 

「シャニ・アンドラス。フォビドゥン、出るよ」

 

「クロト・ブエル。レイダー、出るよ‼」

 

ドミニオン隊が出撃すると、トールが駆るヴァンセイバーが可変し、その上にニコルの駆るネブラブリッツが搭乗する。ネブラブリッツはブリッツの強化機体ではあるが、単独での飛行が困難と言う事もあり、ヴァンセイバーをタクシー代わりにする事で、行動を可能としている。

クロトの駆るレイダーも可変すると、その上にカラミティが搭乗した。これはネブラブリッツ同様、カラミティも単独飛行が出来ないと言う欠点を補う為の処置であった。フォビドゥンは単独飛行する事が可能な機体と言う事もあり、単機で飛行して作戦空域まで向かう事になっている。

 

「織斑一夏。白式、行きます‼」

 

「鳳鈴音。甲龍、行くわよ‼」

 

「セシリア・オルコット。ブルー・ティアーズ、出ますわ」

 

IS学園部隊の面々も出撃し、シルバリオ・ゴスペルダウン作戦が開始されるのであった。



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第七十八話

連続投稿です‼


その頃、キラ達はアークエンジェルにて日本領海内に侵入した、女性権利団体所属艦五隻の対処に向かっていた。

攻撃を受けた自衛隊機は、既に収容された後だと言う事は、千冬から先ほど通信で言われていたので、戦闘に支障が無い事に安心していた。

 

「間も無く、本艦は女性権利団体所属艦隊と接触します。各自はカタパルトにて待機してください」

 

ミリアリアの放送でアークエンジェル隊は気持ちを切り替えた。それもその筈。先程までは先頭に出ると言う事を忘れるのではないかと言う程、リラックスしていたからである。

だが、戦闘の準備に入ると言う放送で全員が切り替えを行ったのである。

 

「さて、時間も無い様子だから簡潔に説明するね。僕達はアークエンジェルから出撃後、女性権利団体所属艦隊に通告する。既に領海侵犯をしているから、撃沈させても良いんだけど形として残しておかなくてはいけないから、三回、同じ放送をする。返答が無い、もしくは、反撃があった場合は通告を無視したと言う事で、攻撃開始となる。簡潔でしょ?」

 

『……………』

 

キラの簡潔な説明に全員が絶句する。本当に簡潔だったからである。本来であれば、威嚇射撃など有っても良さそうなのだが、キラは既に女性権利団体所属艦隊は日本領海侵犯をしていると言う事もあってか、辛辣な対応であった。

 

「それと、敵艦が五隻と言う数もおかしいと思っている。もしかしたら、潜水艦等も潜んでいる可能性が極めて高いと思ってくれ。その場合は、艦隊は俺達で対処する事になるが、潜水艦の対処はアークエンジェルで行う事となる。その後、俺達は銀の福音撃墜作戦へ加わる事になる。連戦になる可能性が高い事を覚えていてくれ」

 

≪了解‼≫

 

アスランの補足にキラを除く、全員が返事をする。因みにだが、アークエンジェル隊は表面上は三つある事になっているが、本当は四つある。最後の一つが、ストライク・アストレイとムラサメ、ドム隊が一つの部隊として存在している。だが、これ以上の過剰戦力を世界に見せる必要が無いと判断した千冬は、完全な秘匿部隊として設立させているのだ。

 

「なら、みんな‼ 本作戦を終わらせて、海でまた遊ぼう‼」

 

≪オー‼≫

 

キラの言葉で全員の気持ちが一つとなる。

 

『これより、出撃シークエンスを開始します。隊長機から順にカタパルトに機体を接続してください』

 

ミリアリアの放送にキラ達は機体を展開させ、キラとアスランがカタパルトに機体を接続する。

 

『機体の接続を確認。キラの機体から射出します。カタパルトオンライン。射出推力、正常。進路クリアー‼ ストライク・グリ―ダム・フェニックス、発進どうぞ‼』

 

「キラ・ヤマト。フェニックス、行きます‼」

 

『続いて、インフィニット・ジャスティス・セイバー、発進どうぞ‼』

 

「アスラン・ザラ。セイバー、出る‼」

 

キラ達に託された新たな剣で二人は出撃する。その姿は、現世に現れた不死鳥と聖騎士のようであった。

 

『シャルロットちゃん。ラウラちゃん。緊張するかもだけど、気を付けてね』

 

「は、はい‼ ありがとうございます‼」

 

「わ、判った」

 

ミリアリアはシャルロットとラウラに安心させるように声を掛けると、二人は緊張しながらも返事をする。その姿を見て、ミリアリアは微笑ましかった。だが、刻一刻と変わっていく戦況に、ミリアリアは気を引き締め、二人をカタパルトに接続させる。

 

『カタパルトに機体の接続を確認。これより発進シークエンスを開始します。カタパルトオンライン。射出推力、正常。進路クリアー‼ ワイバーン・ドラグーン、発進どうぞ‼』

 

「シャルロット・デュノア。ワイバーン・ドラグーン、行きます‼」

 

『続いて、ストライク・アストレイ・フォースブレイク、発進どうぞ‼』

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。フォースブレイク、出るぞ‼」

 

シャルロットとラウラが出撃すると、既に出撃していたキラ達が待っていた。それは、二人を護る為と言う事もあるのだが、フォローをすると言う役割も持っているからである。

 

「それじゃ、行くよ。二人とも」

 

「俺達はお前達に合わせて、飛ぶから安心して飛べ」

 

「「了解」」

 

キラ達の後押しもあり、シャルロットとラウラは安心するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、女性権利団体所属艦五隻による艦隊は、日本に向けて進行しつつあった。

その艦隊は全て、第二次世界大戦で使われていた戦艦を近代化改装し、イージス戦艦と呼べるものであった。

旗艦はドイツ海軍が建造したビスマルク級戦艦一番艦“ビスマルク”随伴艦にレナウン級巡洋戦艦一番艦“レナウン”同二番艦“レパルス”コロラド級戦艦一番艦“コロラド”ネバダ級戦艦一番艦“ネバダ”の五隻である。

ビスマルクの艦橋では、一人の女性が日本に向けて鋭い視線を浴びせていた。

 

「漸くね………漸く、復讐が出来るるんだわ………主砲用意」

 

「主砲用意‼」

 

女性の指示ですべての戦艦の主砲が動き出したが、国際救難チャンネルが通信をキャッチした。

 

「艦長、国際救難チャンネルに通信です」

 

「………主砲はそのまま。開きなさい」

 

「はっ‼」

 

「こちらは女性権利団体所属第一艦隊、旗艦ビスマルク艦長の彩菜芽衣です」

 

『こちらは国際IS学園所属部隊、アークエンジェル隊所属のキラ・ヤマトです。通告します。すぐに艦隊を下げてください。警告は一回のみしか行いません』

 

キラの言葉にビスマルクの艦橋内は笑いで埋め尽くされる。

 

「何を言っているのかしら? 坊や………貴方達は我々が何をしようとしているのか判っているのでしょう?」

 

『………ええ、判っています。ですが、一応は警告をしておかないと卑怯者扱いされてしまいますからね』

 

「それもそうね………でも、止める気はないわ」

 

『………そうですか………では、こちらとしても武力行使をします』

 

これを最後にキラは通信を閉じた。

 

「対IS戦闘用意‼ 主砲は国会議事堂を照準しておきなさい」

 

「ハッ‼」

 

芽衣の指示ですべての戦艦の副砲、機銃、ミサイルが起動する。

 

「対空戦闘、開始‼」

 

キラ達と女性権利団体所属艦隊との火蓋が切って落とされるのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等、受け付けております‼


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第七十九話

お待たせしました‼ 六周年記念を書こうとしたのですが、しません‼ と言うのも書いている最中にどこで終えればいいのか判らなくなったので、続編と言う形で書く事にしました。
先にこの作品を完結させる事を目標に頑張って行きますので、これからも応援をよろしくお願いします‼


キラ達に向けて戦艦の主砲が火を噴く。だが、キラとアスランにとって実弾の砲弾は簡単に回避できるものであった。だが、シャルロット、ラウラは訓練を積んだとしても新兵に近い物である。回避していくのだが、紙一重に近い物が多く見受けられた。

 

「シャルロット、大きく回避しすぎだ‼ 細かく回避する様に心掛けろ」

 

「ラウラ、動きが単調になりつつあるよ。気を付けて」

 

「「りょ、了解‼」」

 

キラとアスランから細かな指示を出され、二人は指示に従い細かな回避運動を行う様にしていった。

 

「キラ、このままだと………」

 

「ここは一気に仕掛けた方が良いかも知れないね………」

 

キラ達はこのままでは二人が撃墜されるのも時間の問題だと判断し、先に戦艦の主砲を潰す事が最優先に行動を移し出す。

 

「アスラン、僕が援護するから」

 

「判った」

 

二人には十まで言わなくとも、一つの会話で何をするのか手に取るように分かり、アスランはキラの援護を受けながら戦艦群に向かって突撃した。

 

「やらせないよ」

 

アスランに向けて戦艦の対空砲が火を噴くのだが、キラの援護により対空砲は破壊されつくされてしまう。その為、アスランに向けられているのは、戦艦の主砲と副砲、少ない対空砲のみとなった。

 

「そんな砲撃で俺を落とせると思うな‼」

 

アスランは戦艦の主砲が火を噴くと同時に上下左右に回避して、被弾しない様にしていた。

 

「邪魔だ‼」

 

アスランはビームサーベルを取り出し、戦艦の主砲を根元から斬り離した。

それと同時にキラによる攻撃により、敵戦艦の船体には穴が開き、その巨体を海の藻屑へと変えて行った。

 

「シャルロット、ラウラ‼ 攻撃が出来る時で良いから攻撃を行え‼」

 

「「了解‼」」

 

アスランはシャルロット達に指示を出すと、次の得物を狩るためキラと一緒に行動を共にするのであった。

 

シャルロットとラウラは戦艦からの砲撃に対して、的確に回避しながらビームライフルを戦艦に向けて撃って行く。

 

「シャルロット‼ 私が一気に決める……防御は任せた‼」

 

「うん‼」

 

シャルロットが前衛に立ち、シールドを掲げラウラに攻撃が当たらない様に護っていた。一方のラウラは、ストライカーパックをマルチプルアサルト改に選択し装備した。

ラウラが装備しているマルチプルアサルト改は、大まかに変化はないが、両肩にコンボウエポン二つ装備していた。また、両腕部にはビームブーメランとロケットアンカーが一つになった物を二つ装備していた。

 

「シャルロット、スイッチ‼」

 

「うん‼」

 

ラウラがストライカーを装着し終えたと同時に、シャルロットと場所を入れ替える。

 

「これで終わりだ‼」

 

ラウラは超高収束インパルス砲“アグニ”を構えると、一気に引き金を引く。一瞬だが、空気を取り込むような音がしたかと思ったら、砲身から青赤白のトリコロールカラーのビームが迸り、戦艦を貫いた。それだけでは飽き足らず、ラウラはそのままアグニを動かし、近くにいた戦艦も巻き込み、一気に二隻の戦艦を撃沈させたのである。

 

これにより五隻もいた女性権利団体所属艦隊の戦艦は三隻が沈み、残りが二隻となった。だが、既にその二隻もキラ達の手により蜂の巣にされ呆気なく撃沈したのであった。

 

「状況終了……周囲に熱源反応なし。これより帰投します」

 

『了解しました』

 

キラ達の手により、日本に迫っていた脅威は振り払われたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館を出発したトールたちドミニオン隊とミネルバ隊、そしてIS学園部隊はアメリカ・イスラエル共同開発軍用機“銀の福音”の撃墜作戦、シルバリオ・ゴスペルダウン作戦に出ていた。

 

「間も無く作戦空域だ‼ 気を抜くなよ‼」

 

「タイチョーもね‼」

 

「俺達がそう簡単に堕とされるかよ」

 

「フン」

 

トールの声にクロト、オルガ、シャニが皮肉を言う。

 

「そう言わないで、三人共。僕達も君たちが堕とされるはずがないと判っていても心配なんだよ?」

 

「「「………」」」

 

ニコルの言葉に三人は黙ってしまう。

 

「一夏、アンタがしっかりしないといけないんだからね‼」

 

「わ、解ってる………」

 

「どうかしたのか?」

 

「ケーニッヒ隊長……」

 

「トールで良いぞ」

 

一夏の傍にトールが近づき、一夏が何かに迷っていると感じ取ったトールは一夏に声を掛けた。

 

「い、いや……正直、俺の力が本当に必要なのかと思ってしまって…………」

 

「確かにな…一夏、君が考えているのは自分は弱いからこの作戦に加わらなくても、作戦は成功していると思っているんだろう?」

 

「…………はい」

 

トールは一夏が何を思ってるのか当てて見せた。一夏が思っているのはトールたちだけでこの作戦は遂行されるのではないのか? と思っていたのである。

 

「君には俺達が何かあった時の保険でもある。何も無い事を願うがもし何かあった時は頼むぞ‼」

 

「見えました‼」

 

トールが一夏に励ましの言葉を述べると同時に銀の福音を発見する。

 

「さぁて‼ 派手にやるぞ‼ ドミニオン隊、我に続け‼」

 

トールはそう言うと一気にスピードを上げ一夏達を置いて行ってしまう。そしてニコルやオルガ達もそれに続き、一夏達を置いて銀の福音へと向かうのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼

因みにですが、設定を出していない事に今更になって気付いたので、近々、設定を出そうと思います。ただし、読み直しも兼ねてやるのでいつ投稿出来るかは不明です。


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第八十話

とうとう、八十話に来ました‼ なんという事でしょう‼ まさか自分もここまで書いているとは思っても見ませんでした……なてこった、パンナコッタ。

最終回はどう終わりを見せればいいんだろうと言う心配をしながら書いています(嘘

それでは、本編です‼ どうぞ‼


とある海中に一隻の潜水艦が航行していた。

 

「艦長、奴ら見事に引っ掛かりましたよ………これで忌まわしき男共を抹殺できますね」

 

「ええ、そうね。まさか奴らは考えても見なかったでしょうね。陽動作戦が二つもあるなんてね」

 

潜水艦の艦名は“伊400”

旧大日本帝国海軍が戦争末期に建造した潜水艦である。だが、オリジナル艦は既に終戦後にアメリカに鹵獲され、その姿を沈められていた。

では、なぜその沈められた潜水艦がいるのかと言うと、女性権利団体がオリジナルに模した潜水艦を建造したのである。模したと言うだけあって、性能はオリジナルに近い物である。だが、違うがあるとすればオリジナルの伊400型は、一度浮上しなければ航空機を射出する事が出来ないと言う欠点を持っていた。だが、女性権利団体が模したこの伊400型は、垂直噴進弾発射装置のIS版を載せており、それによって浮上する事無くISを射出させる事が可能になったと言う事だけである。

 

「さて、銀の福音の監視も兼ねて奴らの戦闘データを回収するわよ」

 

「了解しました」

 

伊400の艦橋部には複数の女性がそれぞれの担当部署に座っていた。

 

「さぁ、世界を巻き込んだ戦争を始めましょう」

 

そう言うと艦長席に座る女性は口角を上げるのであった。

そして伊400はその姿を海の中に沈めたまま、銀の福音の後を航行するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、トール達は銀の福音を目視できるほどの距離まで近づいていた。

 

「見付けた‼ ニコル、君はブリッツのミラージュコロイドを展開させて身を潜ませてくれ。オルガ、君は火力をありったけ銀の福音に喰らわせてやれ。シャニ、君は銀の福音の攻撃からオルガを援護。クロトは高機動を持って銀の福音をかく乱させろ‼ 各自、散開‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

トールの指示でニコルたちは動き出した。ニコルはネブラブリッツと言うよりもブリッツのみに搭載されている特殊機能“ミラージュコロイド”を展開させる。すると、ネブラブリッツの姿は誰も見えなくなり、センサーにも反応を示さなくなった。

オルガはカラミティの高エネルギー長射程ビーム砲“シュラーク”と複列位相エネルギー砲“スキュラ”、プラズマサボット・バズーカ砲“トーデスブロック”を用いて銀の福音に対して攻撃を仕掛ける。

クロトはレイダーをMA形態に変形させると、銀の福音の周囲を飛び回り、オルガに攻撃が行かない様に攪乱させ始める。また、その都度、攻撃が出来る様であれば短距離プラズマ砲“アフラマズダ”、80㎜機関砲二門と76㎜機関砲二門を使い、攻撃を行う。

シャニはフォビドゥンをMA形態へ変形させると、オルガの攻撃の邪魔にならない立ち位置に就き銀の福音の攻撃からオルガを守る体制になっていた。

トールはと言うとヴァンセイバーをMS状態にしたままアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲二門を構えると、銀の福音を射程に捉える。

 

「捉えた‼ オルガ‼ 福音を留めさせろ‼」

 

「エネルギーが心配なんだが……仕方がねぇ‼ やってやらぁ‼」

 

トールに指示されたオルガは、カラミティの火力をもう一段階、上げた。それにより福音は自分の周りを飛行しているクロトよりも、オルガの方が危険と感じ、標的をオルガへと変えたのである。

 

「これでお終いだ、福音‼」

 

トールはアムファルタスプラズマ収束ビーム砲の引き金を引いた。放たれたビームは福音へ直撃し、ダメージが蓄積された事により、展開維持が出来なくなった。それによって福音は一時的に待機状態へと戻る事となり搭乗者が投げ出されたが、ニコルがミラージュコロイドを解除して静かに搭乗者をキャッチしたのであった。

 

「状況終了、これより帰投s…⁉ 各機、散開‼」

 

トールは福音を撃墜させたことにより旅館へと戻ろうとした。しかし、その瞬間、何者かによって攻撃を受けドミニオン隊は回避運動を行った。

 

「あれは…………」

 

トールたちの目の前に現れたのは、以前のキラの専用機であったストライクに似た機体であった。

 

「ライブラリー照合………検索終了。あの機体はストライクの発展機であるストライクEです‼」

 

「道理でストライクと違い、高機動型だと思った。さて、この場は逃げたいんだが……逃がしてもらえる様子じゃないな………ニコル、福音の搭乗者をIS学園部隊に引継ぎを行え。俺達はその間にコイツの足止めを行う」

 

「「「「了解‼」」」」

 

トールに指示を出されたニコルは福音の搭乗者を一夏に託すために戦線を離脱した。

 

「さぁ、やるぞ‼」

 

トール達はストライクEに向けて突撃を行うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園はと言うと……………

 

「暇だね~」

 

「暇だな」

 

「暇ですね~」

 

束、ジブリール、アズラエルが日向ぼっこをしていた。

 

「キラ君達は日本国内に侵入しようとした艦隊を殲滅しちゃったし……束さん達のやる事が無くなっちゃったね」

 

「ええ、ですが本来の我々の目的はこの学園の防衛です。ですからそろそろお出ましと言う事ですね」

 

ジブリールが言うと、海面から一隻の戦艦が現れた。

 

「フラグ回収乙」

 

「自分でも言うのはあれですが………どうしてくるんですかね?」

 

「「さぁ?」」

 

戦艦を目の前にして三人は呑気に話をしていた。

 

『篠ノ之束博士、我々と一緒に来てもらおう』

 

「私が行ったらこの学園から出て行ってくれるんだよね?」

 

『ええ、お約束します。ですから我々と一緒にk「だが、断る‼」なに⁉』

 

戦艦の艦長と思われる女性に対して束はJoJo立ちをしながら断った。

 

「この天災篠ノ之束がもっとも好きな言葉の一つは、自分が強いと思っている奴にNoと断わってやる事だ‼」

 

『この………言わせておけば‼ 専用機も持たない貴女では戦艦一隻も倒せないでしょう‼』

 

「馬鹿め」

 

束がそう言った瞬間、戦艦が何者かによって攻撃を受け船体が火を噴いた。

 

『なっ⁉ どこからの攻撃d』

 

その言葉を最後に戦艦は一つの砲撃により爆散し、撃沈したのであった。

 

「君たちの敗因は、私が専用機を持っていないと思っていた事だよ。確かに私は専用機は無いよ………でもね、専用艦は持っているんだよ。君たちは忘れていたのかな? この学園には三隻の最凶艦がいると言う事をね」

 

束は戦艦が海の藻屑へと変わっていくのを見ながら呟くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたらどしどし送ってください‼


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第八十一話

お待たせいたしました。書き上げれたので、投稿いたします。
長らくの間、更新をしていなくて誠に申し訳ありません。
今後は頑張って書いていくのでよろしくお願いします。


福音を撃墜後、トール達はストライクの発展機であるストライクEと遭遇する。トールはすぐに福音の操縦者をIS学園部隊に引き渡す様に、ニコルに指示を出した。

そして、トール、オルガ、シャニ、クロトの四人はストライクEとの戦闘を開始するのであった。

 

「オルガ‼ エネルギーが持たない可能性も高い‼ 君は遠距離砲撃に徹しろ。シャニ、君のエネルギーはどれぐらい残っている?」

 

「さっきの福音の戦闘で三十%程、ダメージを受けてる」

 

「なら、シャニはストライクEに対しての攻撃を弾き返してやれ。クロト、君のエネルギーはそれぐらい、残ってる?」

 

「僕のは四十%ぐらい持ってかれた」

 

「なら、高機動で翻弄させて。俺がその内にストライクEに対して攻撃するから」

 

「「「了解‼」」」

 

トールは的確に指示を出していく。オルガ達もそれに従い、ストライクEに対して攻撃を開始する。

オルガは後方に下がると、高エネルギー長射程ビーム砲“シュラーク”を使い攻撃する。スキュラとトーデスブロックを使わない理由は、スキュラはエネルギーの消費量が高く、福音との戦闘により砲自体に熱が籠り、危険状態であった。トーデスブロックについては単なる弾切れである。

だが、シュラークだけの攻撃でもそれ自体に効果はある。ストライクEは、攻撃に当たらない様に回避運動を取るが、クロトの高機動な動きにより、翻弄され満足に回避する事が叶わなかった。

また、ストライクEはオルガに攻撃をしようと、ビームライフルを撃つが、シャニがオルガを護る様にフォビドゥンのエネルギー偏向装甲“ゲシュマイディッヒ・パンツァー”により、ビームは曲がりクロトやオルガ、トールに当たらない位置へ誘導される。

これには、ストライクEは対応策が無かった。ストライクと違い、発展機であるストライクEは対装甲コンバットナイフ“アーマーシュナイダー”を持っていないのである。主力武装は全てビーム兵器を頼っている事もあり、標準装備ではフォビドゥン相手に単体による攻撃は無意味と判断する。

すると、ストライクEはパッケージを展開させる。それは、ノワールストライカーであった。だが、既にノワールストライカーの対応策を知っている四人には、片手で捻るような物であった。

ストライクEはノワールに換装させ、2連装リニアガンをフォビドゥンに放とうと砲身を向けたが、トールがそれを許さなかった。

 

「させるかよ‼」

 

トールはすぐにビームライフルとアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲を使ってストライクEに攻撃をする。

ノワールストライカー装備のストライクEは、リニアガンの砲身を撃ち抜かれ、攻撃が不可能となり最悪な事に、予備の弾薬に引火してしまい、ノワールストライカーはその役目を全うする事無く、爆発してしまう。これに驚いたストライクEは、その動きを止めてしまう。

 

「これで最後だ‼」

 

トールはそれを逃さなかった。ビームライフル、アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲の攻撃によって、撃ち貫かれ、爆散したのである。

 

「呆気ない終わり方だな…………」

 

トールは火達磨となって堕ちて行くストライクEを見て、呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストライクE………沈黙」

 

『…………』

 

ストライクEが撃墜された事を知った伊400は、静かな物であった。まさか、連戦でもこれだけの力を発揮したトール達に成す術も無いのである。

 

「帰投する………クソが‼」

 

艦長である女性は近くにあった物に八つ当たりをした。幸いな事に、その音にトール達は気付かなかったのである。

 

「なぜだ……なぜ、男共は私達に屈しないのだ‼」

 

「艦長‼ 気を確かにして下さい‼ 聞かれては撃沈されてしまいます‼」

 

「…………そうだわ………まだ油断できないんでした………すぐに帰投するわよ‼」

 

『了解‼』

 

艦長の指示で伊400は転進し、帰路へと帰って行く。

 

「まだよ………まだ私達にはアレがあるわ…………」

 

艦長はそう言うと、次の作戦はもっとちゃんとした戦力が必要と感じ、上層部にはそれを進言するつもりであった。

だが、この決断はキラ達をも苦しめる事になるとは、この時誰も知る由は無かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キラ達はと言うとアークエンジェルの補給の為、日本の横須賀に停泊して一時的な休暇を楽しんでいた。

 

「キラ、どこに行くつもりだ?」

 

「うーん………考えていない」

 

「オイ」

 

キラとアスランはサングラスを付けて変装をしていた。だが、不思議な事に、バレる事は無かったのである。

 

「それで、本当はどこに行くつもりなんだ?」

 

「前々から行って見たいと思っていた所に行くつもり」

 

「だから、どこなんだよ」

 

「フフン、それは付いてからのお楽しみ…と言う事で」

 

「なんだそりゃ………まぁ、良いが………」

 

アスランはキラが行きたいと言っていた所へと向かうのであった。

 

 

 

 

一方、シャルロットとラウラはと言うと…………

 

「ねぇ、彼女。俺達と一緒に遊びに行かない?」

 

「フランス車で遊びに行こうよ」

 

「……すみませんが、待ち人がいますので」

 

シャルロットはラウラの着替えになぜか時間を取られている事もあり、公園でラウラと待ち合わせをしていた。だが、見た目が清楚なシャルロットにナンパをしてくる勇者たちが現れた。

シャルロットは丁寧に断わったが、ナンパ達は聞く耳を持たなかった。

 

「それって、女の子? なら、一緒に遊びに行こうよ‼」

 

「俺達が楽しい事を沢山、教えてあげるからさ‼」

 

ナンパ達が乗って来たであろう車を見付けたシャルロットは溜息一つ、零した。

 

「ハァ~……燃費の悪い車で女の子を誘うなんて………ひと昔前までならいざ知らず………今の情勢でその車は無いですよ………」

 

「おっ? 彼女、判る口? でもね、この車はね確かに燃費悪いけど、それ相応の夏速力を持ってるんだよ‼」

 

「彼女もきっと気にいると思うよ‼」

 

「結構です。ぼ…私は待ち人を待っているので………それと気を付けた方が良いですよ?」

 

「何がだい?」

 

「後方注意です」

 

「へ?」

 

男達は後ろを振り返ると、そこには殺気の籠った目で睨みつけるラウラの姿があった。

 

「……オイ、貴様等………シャルロットに何をしている」

 

「………へぇ、君がこの子の待ち人さんね………お人形さんみたいで可愛いね‼ 俺達と一緒に遊びに行かない?」

 

ラウラの殺気にも屈しずに一人の男がラウラに声を掛ける。

 

「ほう? それは楽しみだ………所で、何で遊んでくれるのだ? ナイフか? 銃か? それともISか?」

 

「なんで、そんな物騒な物で遊ぶんだよ……違うよ……」

 

そう言うと男はラウラに顔を近づけ耳元で囁いた。

 

「人気の無い所でのお遊びだよ………どうだい? 遊ばないか?」

 

「………良いだろう。だが、私達を楽しませてくれるのか?」

 

「それはもちろん‼」

 

「なら、ついて行こうか………」

 

「ラウラ⁉」

 

ラウラは乗り気であったが、シャルロットはそんなラウラに驚く。だが、ラウラはある意味で楽しんでいた。そして、その意味をシャルロットに伝えた。ISのプライベートチャンネルでだが…………

そして、ラウラとシャルロットはそのまま車に男達と乗り込み、人気の無い所へと向かうのであった。

それを見ていた人たちはすぐに警察に連絡をしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、こりゃ…………」

 

警察が到着すると、そこにはシャルロット達をナンパした男達がボコボコにされて横たわっている姿があり、傍らには埃を払うかのように、手のひらを叩いているラウラとシャルロットの姿があった。

 

「君たち………通報があって来たのだけど………どう言う状況?」

 

警察はシャルロット達に事情を聞く事にした。

 

「私達は何もしていません。私達を襲おうとしたので、防衛手段を取りました」

 

「あっ、それと僕達はこう言う者です」

 

ラウラが説明し、シャルロットは懐に仕舞っているIS学園の手帳を見せる。それに習い、ラウラも手帳を取り出して見せた。そして、専用機の存在も見せたのである。

 

「………過剰防衛として注意します。気を付けて下さいね」

 

「「は~い」」

 

シャルロットとラウラは返事をするのであった。

 

「声かける相手を間違えた………」

 

気を失っていなかった男達の一人がシャルロットとラウラがIS学園の生徒だと知らずに声を掛け、フルボッコだドンになり後悔したのであった。



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第八十二話

夜中のテンションで書き上げたので、おかしな部分とかが見受けられると思われます。



それと、学黙の方での前書きにも書きましたが、今回の豪雨によって被災された方々の元の生活が戻ります様、祈っております。
また、お亡くなりになられた方々に対してご冥福をお祈りいたします。


キラとアスランはある場所へと来ていた。

 

「キラ………まさかと思うが………来たかった所ってここか?」

 

「うん、そうだよ」

 

キラ達の前にはファンタジーチックな建物が建っていた。その建物の入り口には看板が掛けられていた。

 

「帰る‼」

 

「ま、待ってよ、アスラン‼」

 

「なんで俺が…いや男二人でメイド喫茶なんて入らなくてはいけないんだ‼」

 

アスランはキラの制止も振り切って、帰ろうとするがキラがそんな事をさせなかった。

 

「キラ……いつの間にそんなに力が強くなったんだ………」

 

「さぁ? ほら、行くよ」

 

「断る‼」

 

メイド喫茶の前で二人は入る入らないの問答をしていた。傍から見れば腐女子たちの格好の的である。だが、そこはメイド喫茶である。女性そのものが少なかった。

 

「諦めて入るよ」

 

「オイ‼ 俺は入るとは言ってないぞ‼ キラ‼」

 

キラの力でアスランはメイド喫茶の中へと入店する。

 

『お帰りなさいませ、ご主人様』

 

二人を出迎えたのはフリフリのメイド服に身を包む女性達であった。

 

「お席へとご案内します」

 

キラの顔は生き生きしていたが、アスランはハイライトが死んでいた。

 

「アスラン、ほらもっと笑顔で」

 

「出来るとでも思っているのか?」

 

「…………」

 

キラの言葉にアスランは死んだ顔をして尋ねたが、キラはどこ吹く風であった。

 

「はぁ、入ってしまっては仕方が無い………早く食べて出るぞ」

 

「あっうん」

 

流石にキラも無理やり過ぎたと感じていたのである。そこは大人しくアスランの言う通りにするべきだと感じていた。

 

「ところで、どうしてメイド喫茶なんだ?」

 

「なんかね、本音さんが言ってたんだけど、メイド喫茶でないと体験出来ない事もあるらしいんだ。だから、興味があったから来てみたかったんだ………だけど、一人で行くのは心細くて…………」

 

「それで、俺と一緒に行こうとした。と言う事か?」

 

アスランの言葉にキラは頷いた。

 

「そう言う事なら、もっと早くに言え。俺だって心の準備と言うもんがあるんだから…………」

 

「アスラン‼ ありがとう‼」

 

キラはアスランに感謝していた。昔から友人で、何度かは敵として戦ったが、それでもキラとアスランの絆が壊れる事は無かったのである。

 

「何を食べるつもりなんだ?」

 

「決めてないよ」

 

「は?」

 

だが、キラクオリティーである。事前に決めておくのではなく、その場で決めるつもりであったのである。流石のアスランも変な声が出てしまう。

 

「おいおい、店に入ってから決めるつもりだったのか?」

 

「そうだよ?」

 

「はぁ~………キラ、前々から言っているだろう……事前に決めておいた方が簡単に済むって………いつになったらお前は判ってくれるんだ?」

 

「僕は僕なりのスタイルを貫くから」

 

「今、その言葉を言っても説得力皆無だぞ」

 

アスランはいつまで経っても変わらないキラに安心感を持ちつつも、どこか不安な気持ちもあった。

 

「そんな事だったら、楯無さんや明日菜ちゃんに迷惑を掛けるぞ?」

 

「………うん、そうだよね………」

 

キラの歯切れの悪い言葉にアスランも何かを感じ取った。

 

「楯無さんと喧嘩でもしたのか?」

 

「ち、違うよ‼ そうじゃなくて…………」

 

アスランはキラと楯無がケンカしているのでないと知ると、安心する。だが、それ以外に心配する事があるのかと頭を働かせるが、思い浮かばせる要素は無かったのである。

 

「じゃぁ、なんだ?」

 

「…………アスラン。ここだけの話にして欲しいんだ」

 

「……なんか訳アリの様子だな………判った。この話は俺とお前だけの話だ」

 

アスランの言葉にキラは微笑んで「ありがとう」と感謝した。そして、キラはその口を動かした。

 

「僕が心配しているのはラクス達の事なんだ………僕達がいた世界では、大きな戦争は終わったけど小さな紛争や争い事は終わってないんだ。それは、アスランも知っていると思う」

 

「ああ。だが、それとなにが関係しているんだ?」

 

「あの世界で置いて来てしまったラクスやカガリの事が心配なんだ………アスランは心配じゃないの?」

 

「…………」

 

キラの言葉にアスランは何も言えなくなる。確かに今の世界に来てキラ達は随分な時間を過ごしていた。だが、それでも元いた世界の事を忘れた訳では無かった。アスランもカガリ達の事が心配では無いのかと尋ねられたら、心配だと答えられる。

 

「だが、キラ。俺達は割り切ったはずだぞ? もう元の世界に帰れないと判っているんだから……」

 

「そんな事は判っているんだ………でも…………」

 

アスランはこんな姿のキラを見るのは久し振りであった。

 

「はぁ~、キラ。俺達はこの世界に来た理由は判らない。だが、今の情勢は俺達が抜けられるほど甘い世界では無いと感じている筈だぞ? だから、今はやるべき事をやるだけだ」

 

「………そうだね………ゴメン」

 

「いや、俺もお前の気持ちは解らなくも無い。だからこそ、時間が出来た時に考えたらいいと俺は思っている」

 

「そうだね」

 

アスランの言葉にキラも納得をした。

 

「それじゃぁ、注文を決めるぞ」

 

「うん‼」

 

二人はそう言ってメニュー票を見ようとした。だが、そこに思いもしない来客が現れた。

 

「全員、その場から動くな‼」

 

複数の覆面を被った男達が店内に乱入し、手に持つショットガンを天井へと向けて放ったのである。

店内はパニックに陥る。キラ達も素早くその場に伏せ、様子を覗ったのである。

 

「相手は五人か………どう動く?」

 

「僕達は一応、独立権が認められている部隊だから、ISを展開しても問題にならない筈だよ………でも店の人や客たちを人質に取られて迂闊に動けないね」

 

「ああ…………そうだ。キラ、楯無さんたちに連絡できるか?」

 

「やってみる」

 

キラはアスランに言われた通り、プライベートチャンネルにて楯無へと連絡する。

 

「さて、相手の武器は………時代遅れ過ぎるぞ………」

 

アスランが見たのは、覆面を被る男達の武装である。男達の武装はショットガンが二丁、ハンドガン三丁だけである。

 

「天井の痕から見て……ショットガンは散弾タイプだな………もう一丁の方が散弾では無い事を願うが」

 

アスランはそう言うと、ISに量子変換していたオーブ軍が正式採用しているハンドガンを展開させる。

因みにだが、オーブ軍が正式採用されているハンドガンのモデルは、コルトガバメントとベレッタを足して割ったような形をしている。

 

「アスラン、お待たせ。終わったよ。向こうでも警察と共同で動くだって」

 

「そうか、ならキラも銃を出しておけ」

 

「うん」

 

キラはアスランに言われ、ザフト軍が正式採用している銃を取り出す。

 

「さて、どうやって動くだが………」

 

「難しいね」

 

「ああ。だが、このまま手を拱いても埒が明かないからな。キラ、ショットガンの男達を頼んでも良いか?」

 

「判ったよ、アスランも気を付けてね」

 

「ああ」

 

二人は短いミーティングを終わらせると、行動へと移そうとした。だが、時は既に遅かった。

 

「オイ、そこの店員………喉が渇いたから水を寄こせ」

 

「は、はい‼」

 

ハンドガンを持った男が、近くに座りこむ店員に水を持ってこさせるように指示を出したのである。

今、ここでキラ達が動いてしまっては、水を運ぶように言われた店員の命は無い物であった。

 

「チッ、人質か………キラ、どうする?」

 

「簡単に解決する方法があると言ったら?」

 

「…………聞くだけ聞こう」

 

キラの意味深な顔に、アスランは嫌な予感しかしていなかった。

 

「僕のドラグーンで撃ちぬk「はい却下」………やっぱり?」

 

「当たり前だ‼ 確かに俺達は独立権をIS学園から渡されていても、流石にこの狭い店内でドラグーンを出すなんて出来ないぞ‼」

 

「僕は良い作戦だと思ったんだけどな…………」

 

「俺からしてみれば、どうして、そう言う思考になるのかが知りたい…………」

 

キラの作戦にアスランは、男達だけで済めば良いが他の関係の無い一般人までもを巻き込むつもりは無いのである。

 

「さて、店員が水を渡した隙を狙って動くぞ」

 

「うん」

 

キラ達は店員が男達に水を配る瞬間を待っていた。そして、その時は来たのである。

 

「キラ、カウントダウン………3…2…1………GO‼」

 

アスランのカウントダウンが終了すると同時に、席から立ちあがり店員に当たらない様に、キラの正確な射撃によって男達の持つショットガン二丁は破壊されてしまう。

また、アスランも3点バーストを使ってハンドガン三丁を華麗に撃ち抜き、破壊したのである。

 

「動くな‼」

 

「IS学園所属特殊武装隊だ‼ 大人しくその場に手を付け‼」

 

「無駄な抵抗はしない方が身のためだよ?」

 

キラ達二人の登場にその場にいた全員が驚いていた。なにせ、IS学園の生徒であり、最近になって新たに設立されたIS学園のガーディアン達が居たのだから、仕方が無い話である。

 

「クソッ‼ こんな学生風情にやられてたまるかよ‼」

 

一人の男が上着を脱ぎすてると、そこには体一面にダイナマイトを括りつけていたのである。そして、男の手にはダイナマイトを起爆させる為のスイッチが握られていたのであった。

 

「ほら、立場が逆転したな………そこを退きやがれ‼」

 

「チッ……」

 

「………」

 

アスランはまさかダイナマイトを体に巻き付かせているとは、考えていなかったのでこういう展開になるとは想定していなかった。だが、キラは違った。既にダイナマイトの起爆スイッチのどこを撃ち抜けば無効化されるのかを考えていた。

 

「オイ、聞こえねぇのか‼ 銃を下げて退くんだよ‼」

 

男はキラがこちらに銃を向けている事に気に喰わなかったのか、スイッチをあからさまに見せつけた。

しかし、男はそこで油断してしまった。ダイナマイトの起爆スイッチを見せれば、流石にこちらを撃たないであろうと思っていたのである。

 

「チェックメイト」

 

「なに?」

 

キラは静かにそう言うと引き金を引いた。放たれた銃弾は男の手を掠め、壁に減り込む。だが、キラの狙いはそれだけで十分であった。

男は手をかすめた銃弾の痛みで、起爆スイッチを離してしまったのだ。だが、運が悪ければ墜ちた拍子に起爆スイッチが押されて、ダイナマイトが爆発してしまう恐れがあった。だが、そこはアスランである。起爆スイッチの動きを見て、引き金を引きスイッチが押されない様に軌道を変えたのであった。

 

「チェックメイト………無駄な抵抗は止してね?」

 

「…………はい」

 

男は静かに地面に膝を落とすのであった。

それから間も無くして、警官たちが突入して男達を取り押さえて連行した。だが、それで終わりでは無かった。

 

「君たちも一緒に署まで着てもらうよ」

 

警官の一人がキラ達を署へと連行しようとする。

 

「お断りします。僕達はIS学園から正式に独立権を頂ている身です。また、今回の事件で僕達が貴方方について行く理由が見つかりません」

 

「………銃刀法違反で所まで連行すると言っているのだ。ついてこい‼」

 

「お断りです」

 

警官の言葉にキラはきっぱりと断った。だが、警官はそんなキラの態度が癪に障ったのか、キラを殴りつけたのである。

 

「黙ってついてこい‼ IS学園の生徒だろうが関係ない。銃刀法違反で逮捕すると言っているのだ‼ 大人しくついてくればいいんだよ‼」

 

「…………それが警察の態度ですか…………」

 

「なに?」

 

キラは警官に殴られた跡を摩りながら、尋ねる。

 

「だそうですよ、織斑学園長?」

 

「はぁ? ここにIS学園の学園長が着ている筈が無いだろうが‼ ほら、さっさとついt「オイ、貴様……私の生徒に何をしている?」へ? ブ、ヴリュンヒルデ⁉」

 

警官もまさかの第一回国際IS大会“モンドグロッソ”の優勝者である織斑千冬が来ているとは思いもしなかったのである。

 

「もう一度、尋ねるぞ? 私の生徒に何をしている?」

 

「え…いや………その…………」

 

「国家の犬如きが、今回の事件の解決者に対しての暴行。並びにIS学園の生徒に対する暴行………録画させてもらった。警視庁に抗議文を提出させてもらう。また、政府にもな」

 

「……………」

 

警官は顔面真っ青を通り越して真っ白へと変わっていた。千冬は警官の肩を軽く叩くと、警官の耳に静かに語り掛けた。

 

「貴様の人生は終わった。自分の手柄欲しさに動いたのが裏目に出たな………それと、警察官だからと言ってなんでも言う事を聞かせれると思い上がるな」

 

千冬はそう言うと、キラとアスランを連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、警視庁と政府から謝罪文と慰謝料がキラとアスラン、IS学園へと振り込まれた。

そして、キラを殴りつけた警官はと言うと、自分の家で首つり自殺をしているのを発見されたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください。


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第八十三話

今日は休みと言う事もあり、書く時間がありました。

最近の悩みなのですが…………以前にアンケートとしてヒロイン追加をしました。
その際、キラは楯無とシャルロット。アスランは簪とラウラとなったのですが………
どうやってくっ付ければいいんだ? まぁ、ラウラに関してはアスランと簪の娘としてする事も可能なのですが………シャルロット‼ お前だけは扱いが難しいんじゃぁぁぁぁ‼
自業自得ではあるのですが………と言う事で、以前にしたアンケートは無しにします。
アンケートに答えて下さった、皆さま。誠に申し訳ありません‼
不甲斐無さすぎるぞ、俺…………

それと、今回の話は過去最大の文字数です‼ まさか自分でも数時間でこんなに書き上げられるとは思いもしませんでしたww



キラ達は事件に巻き込まれたが、無事にアークエンジェルへと帰還する。

 

「キラ・ヤマト始め、アスラン・ザラ、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒの四名、無事に戻りました。マリューさん」

 

「ええ、お帰りなさい。みんな………事件に巻き込まれたと聞いた時は肝を冷やしたけど、無事で何よりだわ」

 

「ボウズ共、ハッチャけやがったな?」

 

「「あはははは」」

 

マリューはキラ達が事件に巻き込まれたと聞いた途端、アークエンジェルを緊急発進させようとしていた。だが、ムウはキラ達が簡単に死ぬほど軟では無いと説得した事により、焼け野原になる事を回避できたのである。

ムウ自身もマリューとデートを楽しんでいたが、事件に巻き込まれる事は無かった。しかし、ムウクオリティーが発動し、マリューがいない隙を見ては至る女性に声を掛けナンパしていたのである。だが、マリューにしては判り切った事であった為、速攻でムウを見付けては、その場でお仕置きと言う名の物理攻撃をし、アークエンジェルに戻って来てからは、ムウの精力を絞り切っていたのである。

 

「ところで、ムウさんはどうしてそんなにゲッソリしてるんですか?」

 

「その一方で、マリューさんはテカテカしてる………」

 

「「気にしたら負けよ?」」

 

「「あっはい」」

 

シャルロットとラウラが、ムウとマリューの姿に驚き尋ねたが、ムウとマリューは気にしてはいけないと真剣な眼差しを二人に送った。そんな視線に二人は何かを悟るのであった。

 

「それで、マリューさん。僕達はこのまま学園へと戻るんですか?」

 

「ええ、そうよ……補給も終わったし私達はこのまま学園へと戻ります。総員に通達‼ これよりアークエンジェル隊はIS学園へと戻ります。各自、持ち場に就きなさい‼」

 

『了解‼』

 

マリューの指示ですぐにアークエンジェルは、横須賀基地を出てIS学園へと戻るのであった。

だが、それを見つめる一人の少女がいたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレが………敵……………」

 

「そうよ、アレが私達の敵よ」

 

「敵は全てやっつける」

 

「良い子ね………そうよ………私達の野望を邪魔する奴らはみんなやっつけなさい」

 

「はい…………お母さま」

 

少女の傍らにはリオ・コナーの姿があったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから幾分か時間が過ぎ、IS学園は夏休みへと突入していた。

一夏は自宅へ戻り、掃除をすると言って帰って行った。箒も篠ノ之神社で行われる祭りの準備の為、帰省していた。セシリアもイギリス国家代表候補生と言う事もあり、母国へ戻り自分に課せられた仕事を熟していた。

鈴に至っても、母国へと戻り専用機のデータを渡しに戻っていたのである。

 

一方、キラ達はと言うと…………

 

 

「わぁ~、おっきな家‼ これ、ママの家なの?」

 

「そうよ、明日菜ちゃん。私の家よ」

 

「……何で僕まで来てるんですか………」

 

楯無に連れられて、更識家へと連れて来させられていたのである。

 

「だって、両親にキラ君の事を報告したかったからよ」

 

「…………だからと言って急では無いですかね?」

 

「そうかしら? それに元々、家の方には言ってたのよ?」

 

「え?」

 

まさかのカミングアウトである。楯無は既に実家にキラの事を伝えており、また義娘である明日菜の事も伝えていたのである。

その時、楯無の両親は驚きの余り三日ほど、食事が喉を通らなかったらしい。

 

「さ、入るわよ」

 

「はーい‼」

 

「ちょっと‼」

 

楯無はキラの手を握って家の中へと入って行く。

 

「お帰りなさい、楯無」

 

「はい、お母さま」

 

「?」

 

「……………」

 

玄関先で出迎えたのは、楯無の母親であった。明日菜は玄関先に立っている女性に頭を傾げ、キラはどう言って良いのか判らず無言でいた。

 

「それで、そちらにいる子が貴女の義娘である明日菜ちゃんですか?」

 

「はい。明日菜ちゃん、自己紹介して」

 

「うん‼ 明日菜です‼ ええっと…………」

 

楯無に言われて明日菜は自己紹介をするも、楯無の母親に対してどう呼んで良いのか判らずアタフタする。

 

「フフ、おばあちゃんで構いませんよ。明日菜ちゃん」

 

「お、おばあちゃん………」

 

「はい。明日菜ちゃん」

 

楯無の母親の言葉で、明日菜はおばあちゃん呼びして受け入れられて事に喜んでいた。

 

「それで、そちらにおられる殿方が………」

 

「は、初めまして……キラ・ヤマトです」

 

「初めまして。楯無の母で更識琴音と言います。貴方のお話は娘から聞いております。私は娘が決めた事に反対するつもりはありません。ですが、これだけは約束してください。娘や貴方と楯無、明日菜ちゃんを泣かせないと」

 

「はい‼」

 

琴音の言葉にキラは強く頷くのであった。

 

「では、お上がり下さい」

 

琴音に言われ、楯無達は家へと入って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

居間へと通された楯無達は、静かに座って目を瞑る男性の前へと座らされた。

 

「ただいま、戻りました。お父様」

 

「………ああ、お帰り。楯無」

 

楯無の父は瞑っていた目を開き、楯無を一瞥する。そして、今度は明日菜の方へと視線を送った。

 

「ヒッ⁉」

 

鋭い目に睨まれたと勘違いした明日菜は、楯無の背中に隠れた。

 

「お父様、明日菜ちゃんが怖がっています」

 

「………元からこの目つきだ……直せと言われても直せん」

 

「もう……」

 

父の言葉に楯無は頬を膨らませる。

 

「それで、お父様………以前にお話した事ですが………」

 

「判っておる………君が娘と付き合っていると言う……」

 

「キラ・ヤマトです。初めまして」

 

「ああ、ヤマト君だったな………私は先代楯無で、現在は元の名になっている更識時政だ」

 

楯無(現)の先代である時政は、鋭い視線をキラに送るが、キラには生温く感じていた。

 

「ほう、私の視線に動じないとは………肝が座っているな」

 

「これでもある部隊を率いる隊長を務めています。殺気の籠っていない視線には動じません」

 

キラもいつもと違った口調で答える。

 

「…………よろしい。では、少し手合わせを願えるか?」

 

「構いません。ですが、僕の場合、組手が出来ません」

 

「どう言う事かね?」

 

キラは近接戦が苦手なのである。ザフトの軍学校を卒業した身であっても、射撃は得意でも近接戦だけは苦手なままなのである。

 

「お恥ずかしい話ですが、近接戦が苦手なのです。僕が得意とするのは中距離戦だけです」

 

「それでも構わない。手合わせを願えるかな?」

 

「…………判りました」

 

キラも自分が得意とする戦闘スタイルでも良いと言う事であれば、手合わせする事に決めたのである。

 

「では、道場へと向こう」

 

そう言って時政は立ち上がった。だが、キラは見逃さなかった。時政の足の動きにぎこちなさが見えているのを。

だが、キラはそれを指摘するつもりは無かった。相手が真剣勝負を挑んでいるのにそれに水を差してしまうのは、間違いだと言う事を知っているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道場へと着いたキラと時政は各々の武器を見繕っていた。

時政は木刀を二本持ち、キラは実物に近いハンドガンを二丁選んだのである。

 

「………では、審判は楯無。やってくれ」

 

「判りました。お父様」

 

楯無は明日菜を安全な場所に座らせると、キラと時政の中央に立った。

 

「これより更識時政対キラ・ヤマトの勝負を執り行います。勝利条件は相手の武器を落とすか、降伏を宣言するまでとします。両者、それで構いませんか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「僕もです」

 

楯無の確認に時政とキラは頷いた。

 

「では制限時間は無し。両者、試合…………始め‼」

 

楯無の合図で、まず始めに動いたのは時政であった。時政は瞬歩を使い、キラに迫った。だが、キラは威嚇射撃を持って先制する。しかし、時政もキラが威嚇射撃をしてくることは十分に理解していたのである。

怯む事無く、キラへと迫って行く時政は木刀を振り上げ、キラに一閃を入れようとした。だが、キラは後方へと飛び、時政の攻撃を回避する。

 

「中々、やるではないか」

 

「焦りました。普通なら威嚇射撃でもスピードが落ちる筈なのに、落ちなかった事に………」

 

「銃を使う者が初めにするのは威嚇射撃だからな……行くぞ」

 

「はい‼」

 

キラと時政の試合は続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アスランと簪はと言うと、近くの遊園地へと来ていた。

 

「アスラン、なんかごめんね?」

 

「なんで謝る必要があるんだ?」

 

入場したした途端、簪はアスランに謝罪した。

 

「だって、高校生にもなって遊園地なんて幼稚な所に付き合わせてしまって………」

 

「なんだ、そんな事か………俺は大丈夫だ。それに好きな子と一緒に出掛けるのも悪くないからな………」

 

アスランは頬を掻きながら簪に言う。簪はまさかの言葉に顔を真っ赤にさせるのであった。

 

「ほら、今日は一日遊ぶぞ」

 

「うん‼」

 

アスランに手を引かれた簪は、楽し気について行くのであった。

 

「まず始めに何から乗る?」

 

「そうだな………ジェットコースターから乗ってみるか?」

 

「うん‼」

 

マップ片手にアスランと簪は始めは何から乗るか相談する。そして、決めた途端に簪は前々から気になっていたジェットコースターに向かう。

しかし、そこでアクシデントが起きる。

 

「ママー、パパー……どこにいるの?」

 

明日菜と同じぐらいの年の男の子が、両親と離れ離れになってしまい探していたのである。

 

「アスラン…………」

 

「先に困っている子から助けるか」

 

「うん………君、どうしたの?」

 

簪が優しく男の子の視線と同じ様に屈み、尋ねた。

 

「ママとパパと逸れちゃったの………」

 

「そうなんだ………ならお姉ちゃんとお兄ちゃんが一緒に探してあげる」

 

「ホント?」

 

「うん。ね? アスラン」

 

「ああ、一緒に探すぞ」

 

簪に言われてアスランも男の子へ微笑む。

 

「ありがとう‼ お姉ちゃん、お兄ちゃん‼」

 

男の子も安心したのか、涙は残っているもアスランと簪に笑いかける。

 

「アスラン、お願いがあるんだけど………」

 

「何と無く察した。男の子を肩車してやればいいのだろう?」

 

「うん……お願いできる?」

 

「仕方ない」

 

そう言うとアスランは男の子の脇に手を差し込み、そのまま自分の肩に載せる。

 

「ワーイ‼ 高い、高い‼」

 

「フフ、お父さんに見えるね。アスラン」

 

「そう言う簪はお母さんと言う事か?」

 

「…………言われていたら恥ずかしくなった」

 

「?」

 

簪とアスランの会話の内容が判らない男の子は、頭を傾げるのであった。

 

「さ、さぁ‼ この子の親を探すよ、アスラン‼」

 

「あ、ああ」

 

簪は周囲に聞こえる声で、男のこの親を探し始める」

 

「この子のお父さんとお母さんはどこですか‼」

 

「パパー‼ ママー‼」

 

男の子も両親を探す為に声を張り上げる。

すると、どこからか一人の女性が男の子を探す声が聞こえる。

 

「ママの声だ‼」

 

「どこだ?」

 

アスランは男の子が落ちない様に細心の注意を払いながら、簪を連れて声がする方へと向かう。

 

「拓真ちゃーん‼ 拓真ちゃーん‼ どこにいるの‼」

 

「この子のお母さんですか?」

 

「え? 拓真ちゃん‼」

 

「ママ‼」

 

拓真は母親の方に手を伸ばす。アスランはすぐに拓真を地面へ降ろすと、拓真は母親の方へと走り出した。

 

「ありがとうございました」

 

「いえいえ、見つかって良かったね。拓真君」

 

「うん‼ ありがとう、お姉ちゃん、お兄ちゃん‼」

 

「今度からは離れるんじゃないぞ」

 

「うん‼」

 

簪とアスランは、頭を下げている母親と拓真に見送られて目的のジェットコースターへと向かった。

 

「なんだか、一時的にもお姉ちゃんの気持ちが判ったかも……」

 

「俺もキラの気持ちが判った気がする……」

 

二人は同じ思いをしていると判ると噴き出した。

 

「なんだかお姉ちゃんとキラさんの事を親バカだなんて言えなくなっちゃうね」

 

「ああ、そうだな」

 

二人はそう言って目的のジェットコースターへと乗り込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃…キラと時政の戦いは終わりを見せていた。

時政の持つ木刀は、キラが放つBB弾を弾いていた事により消耗で、至る所に傷が見受けられていた。だが、キラも同じであった。キラが持つ銃には木刀で殴られた跡がくっきりと付けられていたのである。

 

「そろそろ私の武器も限界を迎えて来ているな…………」

 

「それは僕も同じです」

 

二人は肩で呼吸をしていた。

 

「これで最後にしよう」

 

「はい」

 

二人はそう言うと、先程までと違った雰囲気を醸し出す。そして、動いたのはキラであった。

キラは時政の木刀を持つ手を狙って引き金を引いた。だが、時政は動体視力を持って木刀でBB弾を弾き返す。これにより時政は動き出した。

時政は木刀を挟み撃ちするかの様に横払いをする。キラはその攻撃を銃で受け止めた。その瞬間、二人の武器は壊れてしまった。時政の木刀は銃と当たった所から折れてしまったのである。キラの銃もスライドが壊れてしまい、弾を撃つ事が出来なくなったのであった。

 

「両者、そこまで‼ この試合、引き分け‼」

 

楯無は二人の武器が壊れたのを見計らい、試合を終了させた。

 

「ふぅ、ここまで熱くなったのは久し振りだ」

 

「僕は冷や冷やしましたけどね………」

 

そう言うと、キラは尻餅をつく。

 

「あ、あれ?」

 

キラは立ち上がろうとしたが、叶わなかった。体に力が入らなかったからである。

 

「キラ君、限界を超えた力を使った所為で、身体に力が入らないのだろう……今は休みなさい」

 

「……はい」

 

時政に言われ、キラはその場に横になった。

 

「パパ‼」

 

明日菜はすぐにキラの元へと駆け寄る。

 

「楯無………良い彼氏を持ったな」

 

「はい。私にとって勿体無い男性です」

 

時政に言われ楯無はキラが今まで以上に好きなったのである。

 

「彼を助けてやれ」

 

「はい、そのつもりです」

 

「後で私の部屋に来なさい。彼と娘と一緒にな」

 

「はい」

 

時政はそう言うと、道場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラの体力も回復した所で、楯無はキラと明日菜を連れて時政の元へと訪れていた。

 

「お父様、連れてまいりました」

 

「入りなさい」

 

時政の許しを得て、楯無達は時政の部屋へと入る。

 

「先程の戦いは実に有意義であった」

 

「僕も近接戦での勉強になりました」

 

二人は先程の戦闘を称えていた。

 

「さて、これから真面目な話になる。キラ君。君は楯無の本当の名を知っているのか?」

 

「いえ、まだ知らされていません」

 

キラは楯無と言う名が本名では無いと薄々と感じていた。だが、キラはそれを問い質そうとはしなかった。

それは楯無本人から言う事であると判っていたからである。

 

「そうか………私の口から話しても良いのだろうか?」

 

「………私の口から直接、彼に言います」

 

時政の言葉に楯無が口を開く。

 

「キラ君は勘付いていると思うけど、楯無と言う名は本名じゃないの。私の本当の名は刀奈よ」

 

「かたな………やっぱりですか」

 

「?」

 

楯無改め刀奈は自分の本名をキラに告げた。キラも判っていた事であった為、本名の方を呼ぶ。一方の明日菜はどう言う話なのか判らずに頭を傾げる。

 

「以前にも話と思うけど、私達の家は代々から日本を裏から支えて来た組織なの。そして、私はその組織の当主として襲名したわ。だから、刀奈は封印しているの」

 

「そうですか………」

 

刀奈からの告白にキラはこの場合、どう言う風に声を掛ければいいのか判らなかったのである。

 

「キラ君。君にお願いがあるのだ」

 

「はい」

 

重い口を開いた時正にキラは頷く。

 

「刀奈と本当の家族になる時、君にはこちらの家の籍に入って欲しい」

 

「判りました」

 

時政の言葉にキラは即答する。

 

「そんな簡単に決めて良いのかい? もっと考える時間があっても………」

 

「僕は既に決めています。刀奈さんを護る。そして明日菜ちゃんも護ると……それがどう言う形であっても僕には異論はありません。二人が護れると言うのであれば」

 

「………そうか………」

 

時政はキラの意志にありがたく感じたのであった。




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第八十四話

連続投稿です‼

後書きの所にて、今の心境を書いていますので、読んで頂ければ幸いです。


アスランと簪は、閉園間近まで遊園地で遊んでいた。そして、最後の締めと言う事で、遊園地でのデートのお決まりである観覧車に乗り込んでいた。

 

「楽しかったな、簪」

 

「うん………」

 

「どうかしたのか?」

 

アスランは簪が楽しめなかったのではないかと心配する。だが、簪はそうではないと顔を横に振る。

 

「違うの……今頃、お姉ちゃんとキラさん達は大丈夫かなって」

 

「あ、ああ。そう言えば、キラ達は楯無さんの家に行っているんだったな…………」

 

アスランは事前に楯無から聞いていたので、キラがどこに行っているのかを知っていたのである。その際、楯無からキラには言わない様にと告げられていた。

 

「まぁ、キラの事だ。大丈夫だろう。アイツは意志が強いからな」

 

「うん………」

 

「心配なのか?」

 

「お姉ちゃん達が心配なのもそうだけど………私達の事もどう受け止めてくれるのか判らなくて………」

 

楯無と違い、簪は両親にアスランと付き合っている事を言っていないのである。

 

「俺の事は心配しなくて良い。俺なりのやり方で説得するから」

 

「うん」

 

簪はアスランの言葉に安心し、頷くのであった。

 

「そう言えば、今日はこのまま学園に戻るのか?」

 

「違う。今日は近くのホテルで泊まる事になってる」

 

「聞いていないんだが?」

 

簪の言葉にアスランはジト目で簪を見る。

 

「お姉ちゃんが言っていると思ったから………ごめんなさい」

 

「いや、謝らなくても良い。俺も学園に戻るつもりは無かったしな」

 

「そう…なんだ……え?」

 

アスランの言葉に簪は自分の耳が可笑しくなったのかと思う。アスランはこのまま簪と居たいと言っている様に聞こえたからである。

 

「もう一回言って?」

 

「俺はこのまま学園に戻るつもりは無い。簪と一緒にいたいからな」

 

「………ありがとう」

 

アスランの告白に簪の顔は茹蛸みたく赤くなった。

 

「そろそろ降りる時間だぞ」

 

「うん………あっそうだ。アスラン、少しだけ屈んで?」

 

「? 判った」

 

簪に言われた通りにアスランは屈み込んだ。その瞬間、アスランの唇に簪は唇を当てた。

 

「ッ⁉」

 

「ン………今まであまりキスしてなかったから………」

 

「お、おう」

 

アスランはまさか積極的にキスをしてくるとは思わなくて、驚いていた。

 

「ほら、アスラン‼ 行くよ‼」

 

「ま、待て簪‼」

 

観覧車から降りた簪はアスランを置いてホテルへと向かうのであった。アスランもすぐに簪を追いかけた。二人はホテルに着くまでの間、笑顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キラ達はと言うと………

 

「なんでこうなったんだろう………」

 

「それは私も聞きたいわ」

 

キラと刀奈はそう言うと溜息を吐いた。

 

「ワーイ、おじいちゃん、もっともっと‼」

 

「良いぞう‼ ほれ、高い高い‼」

 

「キャハハハハ‼」

 

先程まで真剣な眼差しであった時政であったが、蓋を開けてみれば孫と遊ぶ祖父状態になっていたのである。そして、明日菜もそんな時正に心を許している為、遊んでもらえる事に嬉しがっているのである。

 

 

キラが更識家に婿入りする事が決まった瞬間まで遡る。

 

「刀奈と本当の家族になる時、君にはこちらの家の籍に入って欲しい」

 

「判りました」

 

時政の言葉にキラは即答する。

 

「そんな簡単に決めて良いのかい? もっと考える時間があっても………」

 

「僕は既に決めています。刀奈さんを護る。そして明日菜ちゃんも護ると……それがどう言う形であっても僕には異論はありません。二人が護れると言うのであれば」

 

「………そうか………」

 

時政はキラの意志にありがたく感じたのであった。

 

「それで、だ………いつまで私は孫に怖がられなくてはいけないんだ?」

 

「し、知りませんよ」

 

「お父様が明日菜ちゃんと遊べば、明日菜ちゃんも心を許してくれると思います」

 

「…………」

 

刀奈の背中に隠れて、時折、時政の方をチラチラとみる明日菜に時政は初対面で失敗したなと感じ取ってしまったのである。

 

「………明日菜ちゃん、こちらにおいで」

 

「…………」

 

時政は明日菜を自分の所に来させようと、名前を呼ぶが警戒心剥き出しの明日菜は刀奈の服を掴んだまま、離れようとしなかった。

 

「明日菜ちゃん、大丈夫よ。お父様は優しいから」

 

「………」

 

刀奈の言葉に明日菜も少しだけであるが、警戒心を解いて時政の方へと向かって行く。そして、時政の前に来た瞬間、時政は徐に立ち上がった。

 

「ッ⁉」

 

いきなり立ち上がった時正に驚き、明日菜は怒られると勘違いして目を強く瞑ってしまう。だが、一向に痛みが来ない事に不審に思い、恐る恐ると目を開けると、そこには優し気に微笑む時政がいた。

 

「私の事が怖いかい?」

 

「………うん」

 

時政が自身の事が怖いかと明日菜に尋ねると、明日菜は正直に頷いた。すると、時政は手を振り上げた。

 

「ッ⁉ え?」

 

手を振り上げられ、明日菜は叩かれると思った瞬間、明日菜の足は地面から離れていたのである。

 

「ほら、高い高い‼」

 

最初驚いていた明日菜であったが、直ぐに遊んでもらえると思い嬉しくなった。

 

「ワーイ‼ 高い‼ おじいちゃん、もっと‼」

 

「良いぞう‼ ほれ、高い高い‼」

 

「キャハハハハ‼」

 

こうして冒頭に戻るのである。

 

「お父様って孫煩悩……」

 

「あ、あはははは」

 

刀奈は明日菜と遊ぶ時政を見て、威厳のかけらが全く無い事に気付いた。そんな時政の姿にキラは苦笑いをする。

 

「刀奈、キラ君。二人で明日菜ちゃんを護りなさい」

 

「「はい‼」」

 

時政はそう言うと、明日菜と遊ぶのであった。




まず始めに、前前話にて今回の豪雨で被災された方々とお亡くなりになられた方々に対しての言葉を述べさせて頂きました。

しかし、前話ではそれが触れられていない疑問に思われた読者様もおられますので、現在の自分の心境について、この場をお借りして述べさせて頂こうと思います。

まず始めに、なぜ前話で言わなかったのかと言う事についてですが、自分自身も投稿するたびに書くつもりでした。しかし、自分が思っている事を書いてから、被災された方々に対しての言葉を述べても、本心として捉えられないと感じてしまったからです。
また、今の自分には言葉を述べても綺麗事として受け入れられてしまうと感じてしまったからです。
感想で言われたわけでも、個人メッセージで言われたわけではありません。
ですが、思い返してみてもこういう場で書く意味が、本当にあるのかと感じてしまったのです。

本来の前書きは、本編の事についてや予告など、様々な事を述べる場であります。
しかし、自分の前書きはそう言った面も持ち合わせていますが、今回の豪雨の内容を書く場では無いと思い至りました。
誰かに共感して欲しいとか、そう言う気持ちはありません。
前書きに書くのではなくて、活動報告などに書いておくべきだと思い至り、今後の前書きでは触れない事にします。と言う意味で、触れませんでした。

次に自分自身の心境についてですが、学黙の方で触れたか、この作品で触れたのか忘れてしまいましたが、作者自身、近畿圏に住んでいます。
今回の豪雨で被害はあまり受けませんでしたが、他の地域や他県では洪水や氾濫によって多くの人命が失われてしまいました。
私自身、文面で言っていても相手からしてみれば綺麗事で終わらされてしまうのが、嫌です。と言うよりも、嫌いです。
では、どうすればいいのかと言う考えでいましたが、自分自身、まったく答えが導き出せませんでした。
その為、一区切りとして来月まで、更新を停止しようと考えています。
これは、自分自身への戒めでもあります。
文面だけでは、何も読者様方に響かないと思ってしまい、不謹慎過ぎたと感じています。
その為、来月の中旬の8月15日迄の間、更新を停止させて頂きます。
批判を受ける事は承知の上で、書いています。

こんな作者ではありますが、今後とも、お付き合いして頂ければ幸いです。
また、ご意見などがございましたら、個人メッセージの方に送って頂ければ、幸いです。


では、次回の更新まで皆様。お元気で。

武御雷参型


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第八十五話

長らくの更新を停止していましたが、本日より更新を再開いたします。


亡国機業が元々、所有していた島には数隻の艦船が停泊していた。

その中に異彩を放つ戦艦が存在していた。その戦艦は、戦艦であり、戦艦と呼べるものでは無かった。

後部甲板には航空機を離発着させる為のカタパルトが設置されており、主砲の数は三連装型主砲四基を持ち、対空火器はミサイルポッドやガトリング砲等、対空火器にも力を入れられていたのである。

 

「漸く、完成したのですね………」

 

「はい、お母さま。我々の旗艦が………」

 

サラ・コナーとリオ・コナーの二人が、就役した航空戦艦を見つめていたのである。

 

「ですが、お母さま………ガーティ・ルーはどうするおつもりなのですか?」

 

「あの艦に関しては、現在は改装をしています」

 

「改装……ですか? 改造では無く?」

 

「ええ、潜水能力を持っていても、海中ではミラージュコロイドを展開できませんからね………ですから、今暫らくはミラージュコロイドを海中でも使用する事が出来る様に、改装しているのです」

 

「では?」

 

「ミラージュコロイドの改良型が出来次第、ガーティ・ルーはもう一度、旗艦に戻って来て貰います」

 

ガーティ・ルーは現在、島の地下ドックに収容されており、ミラージュコロイドの改良型を試験しているのである。もし、これが完成すればアークエンジェルでも見付ける事は叶わないのである。

 

「漸くですね……我々の悲願を叶えるのも…………」

 

二人はそう言って、航空戦艦を見つめ、IS学園に宣戦布告しようと考えていたのであった。

 

ロゴスが所有する艦船は、戦艦10隻、航空戦艦1隻、航空母艦10隻、潜水艦20隻、重巡洋艦15隻、軽巡洋艦25隻、駆逐艦40隻と合計121隻もの艦船を所有している。しかしこれは現在、海上に出ている者だけの数である。島の地下ドックに収容されている艦船も合わせると、とんでもない数の艦船を所有している事になっている。

これだけも、戦力としては申し分ないが、ISを持ってるのと持っていないでは、戦力的には違うのである。

そして、ロゴスは機密に亡国機業が開発していたISの設計図を奪取する事に成功し、現在はISの生産をしているのである。だが、ISには一基のコアが必要なのだが、それはロゴスである。腐っても死の商人として君臨しているだけの事はある。

幼子を世界各国から誘拐しては、人体実験を繰り返し、漸くISコアに代わる物を作り出したのである。

 

「生体コンピューター………これさえあれば…………」

 

「ええ、これさえあれば誰でもISを扱う事が出来るわ………その代わりに、肉体を失うけどね」

 

脳髄をISに埋め込み、一つのISとする。これがロゴスが作り上げたISなのである。ISと言えてISでは無い何かと言ってしまえば、解りやすいであろう。

 

「さぁ、世界よ‼ 我々のやる事を刮目して見るのだ‼」

 

リオ・コナーは両手を広げ、高々と宣言をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロゴスが企んでいる頃、キラ達はIS学園へと戻っており、簪達も同じ様にIS学園へと戻って来ていた。

 

「お姉ちゃん‼」

 

「あら、簪ちゃん。遊園地は楽しかった?」

 

「うん‼」

 

簪は遊園地のチケットとホテルの予約をしてくれた、楯無に感謝していたのである。しかし、簪の歩き方に違和感を覚えた楯無は、簪の耳元で囁く。

 

「もしかして……ヤッちゃった?」

 

「………うん」

 

顔を赤らめながら、簪は頷いた。

 

「そう………もしかしたら、私は叔母さんって呼ばれちゃうのかな?」

 

「ま、まだ、早いよ⁉」

 

楯無は簪で遊び出した。

 

「アスラン…………」

 

「………流れでヤッてしまった」

 

「……………」

 

「……………」

 

キラがアスランを非難するかのように見つめると、アスランは白状する。そして、二人の間で不穏な空気が流れるのだが………それを払拭させたのは明日菜であった。

 

「もう、パパ‼ ママ‼ 簪お姉ちゃんとアスランお兄ちゃんをイジメちゃ、メー‼ なの‼」

 

「「あっはい。すみません」」

 

明日菜に怒られた二人は、その場で明日菜に頭を下げた。

第三者から見れば、子供に怒られる大人と言う、カオスな空間が出来上がっていたのである。

 

 

 

「お前達、戻っていたか」

 

すると、五人に声を掛ける一人の女性が居た。

この学園の理事長に就任した、織斑千冬であった。

 

「織斑先生……ただいま、戻りました」

 

「五人共、ケガはありません」

 

「そうか………それで、ヤマト。お前は、更識家に認められたのか?」

 

「はい」

 

千冬はキラと楯内、明日菜の三人が更識家に挨拶に行っている事は知っていたのだ。そして、キラは正式に楯無の婚約者として認められたのである。

 

「これからが大変だろうが………ガンバレ」

 

「はい‼」

 

千冬の激励の言葉に、キラは強く頷くのであった。

 

「それでだ、更識………明日菜ちゃんの事で伝える事がある」

 

「はい………そろそろ、私も考えていました。これはキラ君も同意の上です」

 

「?」

 

千冬とキラ、楯無は明日菜の事で一つの事で話し合っていたのである。

 

「正式に認めさせた。この学園で狭い生活も、今日でお終いだ。正式に、ヤマト。お前が明日菜ちゃんと一緒に登校しろ。まだ、年齢的には幼稚園児だろう?」

 

「はい。明日菜ちゃんはまだ5歳です。幼稚園に預ける事も考えましたが………」

 

「判っている。私もそれについては危惧していた。そこで、IS委員会に正式に伝え、保護責任者として更識とヤマトの二名にして、監督責任者として私が名指しされた。また、アークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の皆も同意の上で、明日菜ちゃんはこの学園で生活する事となる」

 

明日菜はまだ5歳である。幼稚園児であるが、幼稚園に預けていなかった。これには理由があり、保護責任者として楯無とキラがしていたが、まだそれは正式なものでは無かった。

だが、千冬はIS委員会にこの事を伝え、もし明日菜に手を出したら、IS学園特殊武装隊が黙っていないと言うと、IS委員会も最凶の部隊を敵に回したくないと言う考えで、頷いたのである。

 

「では、今日はもう部屋に戻れ………明日から大変になるぞ」

 

そう言うと千冬は校舎の方へと歩いて行くのであった。

 

「パパ、なんのお話をしていたの?」

 

「うん? 明日菜ちゃんがこの学園で、部屋の中で過ごさなくて済むお話だよ」

 

「? お部屋で過ごしているのも楽しいよ」

 

「それだと、明日菜ちゃんがかわいそうだから、明日からパパと一緒に学校に行くよ」

 

「? 明日菜、よくわからない」

 

キラの説明に明日菜の頭では、処理しきれなかった。だから、キラは簡潔に明日菜に教えた。

 

「明日から、パパと一緒にいる時間が増えると言う事だよ」

 

「………ホント?」

 

「うん」

 

「ママも一緒じゃ無いの?」

 

明日菜は楯無も一緒にいる時間が増えると思っていたが、キラと楯無は学年が違う為、会う時間が取れるのは昼食時だけなのである。

 

「ごめんね。明日菜ちゃん。ママは一緒にいる事は出来ないの」

 

「ママも一緒じゃ無かったら、イヤ‼」

 

楯無が説明すると、明日菜は楯無も一緒でないと嫌だと愚図り始めたのである。

 

「ごめんね、明日菜ちゃん。でも、お昼になれば、一緒にご飯食べよ」

 

「グスッ………でもぉ~」

 

楯無は明日菜と顔が同じ位置に来るように膝をつき、説得を試みる」

 

「大丈夫よ。明日菜ちゃん。絶対にお昼ご飯は一緒に食べよ」

 

「明日菜ちゃん。私も一緒だよ」

 

「俺もだ」

 

援護射撃と言わんばかりに簪とアスランも明日菜を説得する。

 

「………うん。解った」

 

明日菜はようやく納得した様子であった。

 

「今日は一緒のベッドで寝ようか」

 

「あら、私も一緒かしら?」

 

「ちょっと⁉」

 

「ワーイ‼」

 

キラが明日菜と一緒にベッドで寝る事を提案すると、楯無も入る気満々で、キラは驚くが、明日菜は嬉しそうであった。

 

「仕方が無いか………」

 

「キラ、諦めろ」

 

キラは諦めた様子であり、アスランはそんなキラの肩にそっと手を置くのであった。

 

「アスラン。私達も一緒にね?」

 

「あっハイ」

 

こうして仲良く二組のカップルが、ベッドインするのであった。



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第八十六話

翌日、IS学園では二学期の始まりの為、全校生徒が第一アリーナに集結していた。

 

「皆、一学期は色々な事件に巻き込まれ、学園に戻る事に不安を感じている者達もいるであろう」

 

アリーナに特設で設置された壇上に、IS学園理事長である織斑千冬が立っていた。

 

「だが、私はここで宣言する‼ 今学期からは一学期の様に皆を危険に晒さない事を‼ よって、皆が夏休みを満喫している時、この学園は色々と改良を加えた。一つは、シェルターの増設だ。絶対と言う言葉はこの世に存在しない。だからこそ、我々が出来る範囲でやれる事をしようと言う考えで、このシェルターの増設が決まった。二つ目は、この学園に専属として就いている三部隊の事についてだ。アークエンジェル隊を始めドミニオン隊、ミネルバ隊所属は、正式に我々の管轄から離れ、学園防衛の際は独断で行動する。その行動を止めようとした者は、誰であれ、拘束させてもらう。また、三隻は海上に係留される事になるが、内部に入る事が出来るのは、許可を得た者と部隊員のみだ。それ以外の者が入ろうとすれば………後は言わなくとも解るであろう」

 

千冬の言う通り、学園の全てのアリーナの地下に、核の力を持っても破壊できないほどの強力なシェルターが増設されていた。

以前のシェルターは第一アリーナと第二アリーナの二つのみしか無かったが、一学期の事件を機にすべてのアリーナの地下にシェルターを増設させたのである。

また、アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻に至っては、地下ドックに収容されていたが、正式に学園所属艦として登録された事もあり、海上に係留される事となった。ただし、内部に入れるのは許可を得た者と部隊員のみである。

海上に係留される事もあり、外見の見学は遠くからなら可能である。作戦時は、シャッターが下ろされ、作戦行動中の三隻を見る事は出来ないが………

 

「私からは以上だ。次に、この学園の生徒会長である更識楯無から挨拶だ。楯無、よろしく頼む」

 

「はい」

 

千冬に呼ばれ、楯無は壇上へと上る。

 

「今、理事長より呼ばれた更識楯無よ。よろしくね」

 

そう言うと楯無は手に持っている扇子を開く。すると、真っ白だった扇子には達筆で“よろしく”と書かれた。

 

「さて、長い挨拶は嫌われちゃうから簡潔に話すわ。二学期から、一大イベントである学園祭についてだけど………皆に今回から導入されたルールを説明するわ」

 

そう言うと楯無の後方にモニターが展開された。

 

「名付けて‼ “織斑一夏争奪戦‼”」

 

楯無が力強く言い放つと同時に、モニターには一夏の顔がアップで映し出される。

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ⁉』

 

アリーナにいる全生徒の狂気の叫びが響き渡った。

 

「今年はフリーの一夏君を賭けて、一位の部に一夏君を強制入部させます」

 

『ヒャッホォォォォォイ‼』

 

再度、アリーナが揺れる。これだけで武器が完成するのではないのであろうか。

 

「キラ君達はどうなるのですか‼」

 

「良い質問ね。キラ君を始めアークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊は部に入る事は出来ないわ。これにはちゃんとした理由があり、彼らはこの学園の防衛の要であり、部に入部する事によってそれが障害になり得ると考えた、織斑理事長のご決断で、彼らは部隊自体を部として認める事になったわ。ただし、入部希望者を募っていないから、入部しようと言う考えは捨てなさい」

 

楯無の説明で、殆どの生徒達が納得した。

 

「それでは、彼らも何かやるんですか‼」

 

「彼らにはこの学園の警備担当をして貰います。なので、彼らが所属しているクラスは、彼らを使う事は出来ないわ。だけど、警備だからと言って立っているだけでは無いわ。学園を回る事も一つの警備なので、彼らを入店させる事だけは、許すわ」

 

『ヨッシャァぁぁぁァァ‼ やる気がでたぞぉぉぉぉぉ‼』

 

楯無の説明で、全ての生徒が納得するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏が所属する一年一組では、クラスごとの出し物を決める為、盛り上がっていた。

 

「織斑一夏による女子生徒を喜ばせるゲーム‼(ゲーム選択は女子が決める)」

 

「織斑一夏によるダンス」

 

「織斑一夏によるポッキーゲーム」

 

「………まともな奴を頼む」

 

一夏は頭が痛いのか、抑えていた。

 

「ならば、メイド喫茶ならどうだ? 客受けは良いであろう。それに織斑には執事服を着てもらい、ご奉仕と言う形を取れば、もっといいであろう。あれ? メイドでは無くご奉仕喫茶の方が良いのか?」

 

ラウラが発言をしたのだが、今までの様に冷酷さは形を潜め、一人の少女として意見を出していた。しかし、生まれてから軍で育った為、少しアホの子になっているのだが………それもまた、良い物である。

 

「反対意見はあるか?」

 

『ありませーん‼』

 

これにより、ラウラの提案であるご奉仕喫茶で決定したのであった。

 

「キラ君達が参加できないのは残念だね」

 

「そうだね。キラ君やアスラン君がいればもっと客受けは良いのにね」

 

キラ達はアークエンジェル隊に所属している事もあり、学園祭当日は警備として各種を回る事になっていた。

 

「ごめんね。みんな」

 

「俺達も参加したいのは山々なんだが、上からの決定には逆らえないんだ」

 

二人はクラスに頭を下げた。

 

「そ、そんな‼ 気にしないで‼」

 

「私達を護ってくれるのに、無理強いは出来ないわ‼」

 

「そうよ‼」

 

二人が頭を下げた事に驚き、クラス全員がキラ達が悪くないと言う。

 

「ありがとう」

 

キラ達はスマイルでクラス全員に笑いかけるのだが、そんなスマイルを当てられた生徒達は、顔を赤めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、キラは一夏を連れてある場所へと向かっていた。

 

「なぁ、キラ。どこに向かっているんだ?」

 

「黙って僕について来て」

 

一夏の言葉にキラは静かに、自分に付いて来るように促した。

 

「着いたよ」

 

「ここって………」

 

一夏が連れて来させられたのは、生徒会室であった。

 

「さ、中に入って」

 

キラに促され、一夏は生徒会室へと足を踏み入れた。

 

「あら、随分と早いじゃない。襲撃には遭わなかったと言う事かしら?」

 

「ええ、僕に手を出したら三部隊が動きますからね」

 

「キラ君一人でも対処できるでしょうに………」

 

キラが一夏を連れて来るのに、時間が掛かると思っていた楯無は襲撃に遭わなかった事に驚いていたが、キラの説明に納得する。

 

「さて、ようこそ。私の城へ」

 

「はぁ………それで、俺を呼んだのは何のつもりですか?」

 

一夏は生徒会長である楯無に物動じずに尋ねる。

 

「そうね、君に簡潔に言わせてもらうわ。君はこのままでも良いと思っているのかしら?」

 

「………それはどう言う意味ですか?」

 

一夏は楯無の言っている意味を理解できなかった。いきなり、このままでも良いのか?と尋ねられても、自分には身に覚えも無い事である。

 

「君は弱い。それは自分でも理解しているんじゃないのかしら?」

 

「………ええ、そうですね。自分でも弱い事ぐらい理解していますよ」

 

「あら、意外ね。理解して受け入れるんだ………」

 

楯無は反論すると思いこんでいたが、一夏は反論どころか肯定したのである。

 

「それで、俺にどうしろと言うのですか?」

 

「君は弱い事を理解している………なら、次にどうすれば良いのかと言う事も、理解している筈よ」

 

「……………」

 

一夏は考えた。自分が弱いのであれば、どうすれば良いのか………そして、一つの結論に至る。

 

「誰かに教えを乞うと言う事ですか?」

 

「正解‼」

 

楯無はそう言うと、扇子を開く。すると、扇子には達筆で“大正解”と書かれていた。

 

「君に特別に教えてあげる。キラ君が所属しているアークエンジェル隊に仮入隊してもらいます。そこで扱かれて来なさい」

 

楯無は一夏に死刑判決を下すのであった。



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第八十七話

一夏がIS学園所属特殊武装隊“アークエンジェル隊”に仮入隊が決まって、三日が経った頃の夜。生徒達が寝静まった頃に、IS学園の領海ギリギリで、一隻の潜水艦が無音航行をしていた。

 

「艦長、間も無く作戦時間です」

 

「………そうか。良し、領海外にて浮上後、全機発進させろ」

 

「了解」

 

潜水艦の乗組員は全て、女性で構成されていた。それもその筈である。この潜水艦はロゴスが所有する内の一隻である。

 

「無音航行は継続しろ。絶対に学園に知られるわけにはいかん」

 

「判っていますよ」

 

操舵士は慎重に操舵し、潜水艦をIS学園の領海外まで動かした。

 

「艦長、領海外に出ました。これで学園に知られる事は無いと思います」

 

「そうか、良し‼ 浮上だ」

 

「アイアイサー‼」

 

潜水艦は急速浮上し、その船体を海上に現した。

 

「全機発艦‼」

 

「全機、発進してください‼」

 

艦長の指示で潜水艦の上板ハッチが開き、カタパルトが展開される。

そこから、ダガータイプの機体が十数機が発艦される。

 

「全機発艦後、私達は急速潜航を行い、作戦終了後、全機の収容する。必ず、作戦を遂行させよ‼」

 

「了解‼」

 

ダガータイプのMSISが発艦し、潜水艦に展開されていたカタパルトが収容されると、潜水艦はバラストタンクに水を注入し潜航する。

 

「さぁ、戦争の時間だ‼」

 

潜水艦の艦長は学園を見据えて、薄ら笑いを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ロゴスの潜水艦は既に学園に知れ渡っていたのである。

 

「艦長、未確認潜水艦より複数の熱源を確認‼ 数は………15‼」

 

「大きさは?」

 

「IS程度の大きさです‼」

 

潜水艦を発見したのはアークエンジェルでもなく、ドミニオンでも無い。ミネルバである。ミネルバは学園地下ドックにてアークエンジェルの設計図を基に、潜水機能を搭載する改装を施されていた。

以前のミネルバには潜水機能は搭載されておらず、一度、学園の壁を刳り貫いて造られた簡易ドックに収容された後に、地下ドックへと収容されると言う、手間の掛かる作業をしていた。しかし、アークエンジェル級二番艦“ドミニオン”に改装が施された事もあり、ミネルバにも改装が施され、漸く改装が終わり今日が初の改装後の任務であった。

 

「そう………総員に通達‼ コンディション・レッドを発令‼ MSISの発進準備を整えさせて」

 

「解りました‼」

 

ミネルバ内部ではアラートが鳴り響く。

 

「トール、僕達は出撃準備ですね?」

 

「ああ、ニコル。オルガ、クロトはミネルバが浮上後に発進だ。シャニは俺達と一緒に来てもらう」

 

「俺は問題ないぜ。クロト、頼むぞ‼」

 

「頼りにしているよ、オルガ」

 

クロトとオルガ、シャニの三人の間には一つの強い絆が結ばれており、どう言う事か三人共、過去の世界では見られなかった仲間想いが生まれていたのである。

 

「僕は潜水艦を叩けばいいの?」

 

「いや、シャニは潜水艦では無くて学園に引き返してくれ」

 

「どう言う事? 潜水艦を叩けばいい話じゃないの?」

 

「シャニが言う様にフォビドゥンは水中戦では無敵だが、IS学園の防衛に回って欲しい。キラ達には既に話が回っているから、問題ないと思うけど、念の為にな」

 

「了解したよ」

 

シャニはトールの言葉に素直に頷いた。

 

「俺とニコルは潜水艦を叩く。もしかしたら、他にも潜水艦がいる可能性もあるからな………それじゃ、諸君。戦争を始めよう」

 

トールは戦闘狂の様な笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園では夜中と言う事もあり、警報が鳴る事は無かった。と言うのも、アークエンジェル隊、ドミニオン隊が既に集結し、出航していたからである。

 

「これから、作戦を伝えるよ。先行しているミネルバからの情報では、潜水艦は一隻のみ。ただし、既にMSISが15機も発艦されたのを確認している。僕達がするのはこの15機のMSISを相手するだけ。何か質問は?」

 

「なら、私からいいかな?」

 

「クルーゼ隊長………どうぞ」

 

キラの言葉にラウが手を上げた。まだキラはフレイの事でラウの事を許している訳では無いが、今は仲間であると言う事を頭の片隅に置き、ラウの発言を許す。

 

「我々だけでも良かったのではないのか? なぜ君たちまで出る必要があったのか、説明をして貰いたい」

 

ラウが言うのはアークエンジェル隊、ドミニオン隊が動く必要が無い事案だと言う事を言っているのである。しかし、ラウは判っていたが、隊長であるキラに質問をする。

 

「………クルーゼ隊長もご存じと思いますが、アークエンジェル隊に一人の仮入隊隊員がいます。彼に実戦の雰囲気を経験してもらおうと、今回の作戦に二分隊が出撃する事になりました」

 

「と言う事は、我々は織斑一夏の護衛…と言う認識で良いのかな?」

 

「いえ、そう言う訳ではありません。彼の護衛は僕達、アークエンジェル隊が全面的に行います。ドミニオン隊の皆さんは存分に力を発揮してもらいたいのです」

 

「そう言う事なら我々は申し分ない。では、そろそろ時間だな」

 

「ええ」

 

キラ達は時計を見て、作戦時間だと認識する。

 

「一夏、気を張る必要は無いからね。僕達が君の事を護ってあげるから」

 

「でも……俺は強くなりたいんだ」

 

「だからこそだよ。一夏………君はまだ一兵卒でもない新入隊員だ。フレンドリーファイヤーなんてして欲しくないし、ましてや、君には実際の戦いを君の目で見てもらいたいんだ」

 

「…………」

 

キラの言葉に一夏は黙る。今までの自分の力では何も護る事が出来無いと判っているこそである。

 

「大丈夫、君は見ているだけで良い………今はね」

 

キラの最後の呟きは、一夏の耳に入る事は無かったのであった。



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第八十八話

アークエンジェルとドミニオンから出撃したキラ達は布陣を引く。

 

「キラ君、もう少しで敵を目視できる距離だ」

 

「了解しました。クルーゼ隊長達ドミニオン隊の皆さんは各々の判断で攻撃してください」

 

「君たちはどうするつもりなのかね? もしかしてだが、高みの見物をするつもりでは無いだろうね?」

 

「大丈夫です。僕達も攻撃しますから」

 

ラウの懸念にキラは、自分達も攻撃すると宣言する。

 

「ですが、僕達の目的は一夏に戦場の雰囲気を感じてもらう事です。だからと言って、皆さな達を無下にするつもりはありません。ですから………一夏。君はその場から動かないでね?」

 

「あ、ああ」

 

キラの言葉を受け、一夏は頷く。キラ達だけでは一夏を護りながらの戦闘は不可能に近い。その為、一夏は動かない様にキラは指示を出したのである。

 

「では、各自散開‼」

 

キラの指示で全員が動きだした。

ラウはプロヴィデンスのドラグーンを全て展開させ、海中に向けて発射する。また、レイもレジェンドのドラグーンを全機射出させると、ラウ同様に海中に向けてビームを射出させた。

これにより、海中を進んでいた敵機体は破壊される。だが、それは序の口であった。

 

「敵の数は依然、侵攻変わりません‼」

 

敵を見張っているのはクロエで、クロエの専用機は攻撃型では無く索敵型の機体で、束がストライクをベースに組みあげた後方支援型ISである。ストライクを改良しただけの機体なので、ストライク改と安直な名前となっている。

 

「キラ隊長たちは、どうするつもりですか?」

 

「僕達も攻撃に加わるよ………一夏。見ていて。これが本当の戦場だから」

 

そう言うと、キラはハイパードラグーンを全機、射出するとラウやレイたちとは違う方角に向けて攻撃を行った。

すると、何かに当たったかのか、海水を巻き上げて爆発を起こしたのである。

 

「クロエ、見逃していた敵を発見したから攻撃したよ」

 

「えっ⁉ でもレーダーには何も写っていませんでしたけど…………」

 

「モニターだけを頼りにするのは、間違いかな。もっと視野を広く持たないと………そうじゃないと、護れる者も護れないよ」

 

「…………はい」

 

キラに注意を受け、クロエはシュンと落ち込む。

 

「でも、君の支援は頼りにしているよ。今後は後方支援の訓練をしよう。そうすれば、もっと君は伸びていくから」

 

「はいっ‼」

 

キラは落ち込むクロエにそう言う。クロエもキラの言葉を受け、訓練を頑張ろうと思うのであった。

 

「キラ、潜水艦はどうするんだ?」

 

「そっちに関しては、もう少しで終わるんじゃないかな?」

 

キラがそう言った瞬間、遠くで海水を巻き上げて爆発を起こしたのであった。

 

「ね?」

 

キラはこの爆発は、ドミニオン、ミネルバ、アークエンジェルの三隻による潜水艦撃沈を知らせるものと解っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を巻き戻し、潜水艦撃沈前まで戻る。

 

「敵潜水艦、向きを変えて離脱しようとしています‼」

 

「ドミニオンとアークエンジェルはまだなの?」

 

「もう間も無く、到着するとの事です」

 

ミネルバの艦橋では、艦長席に座るタリアは報告を受け、爪を強くかみしめる。と言うのも、ミネルバは海中での戦闘行為をしようにも、タンホイザーやトリスタンしか攻撃手段が無いのである。魚雷も装備しているのだが、海中での使用は不可能なのである。

 

「敵を逃してはいけないわ‼ トリスタン起動‼」

 

「トリスタン起動させます‼」

 

タリアはミネルバの艦尾に設置されているビーム砲“トリスタン”を起動の指示を出す。

 

「撃てぇ‼」

 

艦尾から射出されたビームは潜水艦の周囲を抜き去る。

 

「ドミニオン、アークエンジェルから通信です‼ 陽電子砲の使用をするとの事です‼」

 

「………そう言えば、三隻とも環境に影響を与えない様に配慮した改良型の陽電子砲を積んでいたわね………でも海中でも使えるのかしら?」

 

「ですが、二隻とも使うと言っていますが…………」

 

「信じましょう。タンホイザー起動‼」

 

タリアはマリューとアズラエルの言葉を信じて、ミネルバの陽電子破城砲“タンホイザー”を起動させる。だが、モニターには一つもエラー表示が出されなかった。

 

「タイミングは合わせるとの事です‼」

 

「………チャージ開始‼」

 

タリアはタンホイザーのチャージを開始させる。すると、艦首に設置されている陽電子砲に海水を巻き込んでチャージを始め、直ぐに発射準備完了となった。

 

「………撃てぇ‼」

 

タリアがそう言うと、ミネルバ、ドミニオン、アークエンジェルの三隻からなる陽電子砲攻撃が潜水艦を貫き、爆発させた。

 

「三隻による陽電子攻撃がこんなにも呆気なく終わらせるのね………敵は哀れね」

 

タリアはそう言って背凭れに全体重を掛けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潜水艦の撃沈はすぐにロゴスに報告がされた。

 

「やはり、潜水艦だけだと呆気ないわね………」

 

「お母様。やはりデストロイを大量投入するべきでは無いのですか?」

 

「………そうね。これが私達の最後の任務になるわね………」

 

ロゴスの執務室にはサラ・コナーとリオ・コナーに二人がいた。

 

「全艦隊に指示を………目標は国際IS学園よ………」

 

リオ・コナーはサラに指示を出す。

 

「艦隊を出すまでは無いですわ………わたくし自らが出向きます」

 

「ですが、貴女はまだ若輩………そんな貴女にはまだ艦隊を動かせないわよ?」

 

「解っていますわ………ですが、わたくしもこのまま指を咥えたまま負けを認めたくはないのです。ですから‼」

 

「…………」

 

サラの言葉を受け、リオは少し考えると決断を下した。

 

「解りました。良いでしょう。艦隊を貴女に託します。負けそうになれば帰って来なさい」

 

「ハッ‼」

 

サラは敬礼を持ってリオの指示を受け取ったのであった。



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第八十九話

潜水艦撃沈後は呆気なかった。指示を送る者が居なければ、無人機達はただの鉄屑でしか無く、キラ達の攻撃によって、全てが破壊されたのであった。

 

そして、翌日。キラ達は問題なく登校したのだが、一夏はそうでは無かった。なにせ初めての戦場の空気を味わってしまい、疲れていたからである。

 

「一夏、このままではどうしようもないぞ?」

 

「だけどよ………キラ達はこんな事を続けていたのかよ………」

 

一夏は疲れながらキラ達が何も無いように感じ、一人虚しくなっていた。

 

「僕達も最初の頃はそうだったけど、今は慣れた影響か、疲れを感じなくなったね」

 

「ああ、だが………FBを完全に扱える様にしなければいけないのだが………シャルロット、訓練に付き合ってくれないか?」

 

「僕で良いんだったら、いつでも受けるよ‼」

 

ラウラとシャルロットの関係も隊員としての付き合いでは無くなり、友人として付き合う様になっていた。

 

「パパ……明日菜、大丈夫かな?」

 

キラに手を引かれていた明日菜は心配する様に顔を俯かせる。

 

「大丈夫だよ、明日菜ちゃん。パパが付いているからね」

 

「………うん」

 

キラの励ましの言葉を受けても明日菜の顔は俯いたままであった。

 

「おはよう‼」

 

『おはようキラ君‼ え?』

 

キラが元気よく教室に入ると、クラスにいた女子生徒達が挨拶を返そうとした。だが、キラと手を繋ぐ明日菜を見て絶句するのであった。

 

「き、キラ君‼ て、手を繋いでる子って………臨海学校に来ていなかった?」

 

「それに生徒会長とも手を繋いでた様な………」

 

「新聞部が号外を出してた‼ 生徒会長とキラ君との義理であるけど娘って書いてた‼」

 

『なんですとぉぉぉぉぉぉぉッ‼』

 

クラスは阿鼻叫喚と化した。キラを狙っていた女子生徒はいたが、新聞部からの号外は信じていなかった。だが、娘を目の前にしてしまえば、信じる他無かったのであった。

 

その後は酷かった。クラス中がお通夜なのではないのかと感じられる空気を醸し出していたからである。

 

「………どうしてこうなっているんだ? 説明してくれ、ヤマト」

 

「なんで僕なんですか?」

 

「いや、お前が原因だろう?」

 

「ウグッ………判りました」

 

キラはクラスに入って来たムウに簡潔に説明すると、ムウは笑い始めた。

 

「あっははははははは‼ キラも隅に置けないな‼」

 

「笑い事じゃないですよ‼」

 

ムウの言葉にキラは怒りながらツッコム。

 

「まぁ、良いじゃないか‼ だが、気を付けろよ?」

 

「判っています」

 

ムウの忠告にキラは頷いた。

 

「それじゃぁ、自己紹介してもらおうかな?」

 

ムウはそう言うと明日菜と同じ視線になる様にひざを折る。

 

「明日菜ちゃん。皆に自己紹介しようか」

 

「………」

 

明日菜はどうするべきなのか判らず、キラの顔を見る。

 

「僕も一緒に行くから……ね?」

 

「うん」

 

キラに連れられて明日菜は教壇の前に立つ。だが、身長が低い為、席に隠れる形となってしまう。すると、キラは徐に明日菜の脇に手を入れて、高い高いとするかのように明日菜を持ちあげた。

 

「これで、皆に自己紹介できるでしょ?」

 

「うん………わ、私は………明日菜です‼ よろしくお願いしましゅ‼ あう……」

 

最後の最後で明日菜は噛んでしまい、顔を赤くさせてしまう。そんな明日菜を見てクラスは別の意味で湧き始めた。

 

『きゃぁぁぁぁぁ‼ かわぁいい‼ お持ち帰りしても良いですか‼』

 

「………判っているよね?」

 

『申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁ‼』

 

一糸乱れぬ動作で、キラに向けて土下座をする女子生徒達。訓練か練習をしたのではないのかと思わせるほどであった。クラスを始め、学園すべての暗黙の領域に、キラを怒らせてはならないと言う物が存在する。

それは、単にキラを怒らせたら怖いと言う意味と、キラを相手にする=三部隊を敵に回すと言っても過言ではないからである。

 

「と言う事だから、全員………判ってるな?」

 

『はい‼』

 

ムウの言葉でクラス全員が頷く。

 

「さて、ヤマト。席に着け」

 

「はい」

 

ムウの催促で明日菜を連れて席に戻るキラであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、某国ではキラを手駒にしようと考えた者達がいた。

 

「キラ・ヤマト………我々の手駒にしてしまえば、全国家を従えられるぞ」

 

「だが、キラ・ヤマトはIS学園の生徒でありながら、防衛を務められるほどの強者であるぞ……どうするつもりだ?」

 

「決まっている。奴が溺愛している娘を誘拐するんだ」

 

『なっ⁉』

 

この言葉を聞いた者達は、驚く。だが、リスクが高すぎるのは確かであった。

 

「だが、奴の娘を誘拐しようにも誘拐するまでの行動はどうするつもりだ?」

 

「それに関しては問題ない。間も無く学園では学園祭が行われる事になっている。そこに侵入してしまえば、こちらのものと言えるだろう?」

 

「だ、その後はどうするのだ? 誘拐だと判れば………」

 

「大丈夫だ。誘拐後はボストンバックの中に詰め込めばいい話だからな。それに娘には眠ってもらう」

 

「………良いだろう。特殊部隊を使うと良い」

 

「ありがとうございます。大統領」

 

「だが、失敗は許さんぞ‼」

 

「ハッ‼」

 

こうして、学園祭に侵入してキラと楯無の娘を誘拐する作戦が実行する事になるのだが………この時、誰も判らなかった。誰を相手にしてしまったのかを………絶対に敵に回してはいけない相手を敵に回してしまったのだから…………。



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第八十九話

そして、事件も無く学園では学園祭が行われようとしていた。

一般に開放していないが、各国家の首脳陣や護衛は勿論、企業の社長たちが学園祭に呼ばれていた。また、生徒一人一人にチケットが一枚だけ配布されており、誰にでも渡せれる様にしていた。

キラとアスランは来てもらえる人が一人もいないと言う事もあり、キラは一夏にもう一枚渡し、アスランに至っては簪に渡していた。簪と楯無は両親を呼び、簪が持っているもう一枚に関しては、中の良かった友人に渡していた。

 

「これより、身体検査と持ち物検査を行います。一列に手お待ちください‼」

 

キラが拡声器を手に持ち、列をなしている人々に指示を出していく。この検査を拒否し様ならば、即拘束されてしまうのである。

 

「なぜ、私がこんな検査如きに協力しなければいけないのですか‼ 私は企業代表として来ているのですよ‼ 中に入れなさい‼ 検査などする必要なぞ無いでしょ‼」

 

「ですが、これもこの学園に入る為には必要な事なのです。ご了承ください」

 

「断らせてもらいます‼」

 

「そうですか………致し方がありません。拘束させてもらいます‼」

 

ニコルが受け持つ入り口では、一人の女性が検査に拒否しようとしていた。ニコルの説得も虚しく、女性は検査を断ってしまった為、ニコルによって拘束されてしまい、そのまま車に乗せられ空港に直行したのであった。

 

「………検査を断れば、ああなってしまいますので」

 

キラは拡声器を持ちながら、先程の一連の様子を見せたのであった。これには、誰もが従う他無かった。

因みにだが、この検査を行っているのはアークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の隊長陣と隊員達である。教員では、裏で取引を行い不審者を中に入れてしまう可能性があるとして学園長である千冬自らの指示でこうなったのである。

 

「(やばいな……持ち物検査で見つかってしまう可能性がある………どうするべきか……)」

 

某国の首脳の護衛として来ている特殊部隊の隊長は、持ち物検査でボストンバックの中身を偽装する必要があると考えていた。

だが、既に列は前へと進み始め、首脳が受けていたのである。

 

「(ここは体調不良を装い、ボストンバックの中身を偽装するか………それしか無いな)すみません、大統領。少しお腹の調子が………」

 

「………良いでしょう。必ず、私の元に帰って来なさい」

 

「ハッ‼」

 

隊長はそう言うと、ボストンバックを手にトイレへと駆け込み個室でボストンバックに入っている物を偽装し始めた。

 

「(……これでバレる心配は無い筈だ)」

 

隊長はそう信じてトイレを出て、検査に応じた。

 

「…………危険物は検出されませんでした。どうぞ、中へ」

 

受付をしていたのはなんと、教員であった。これには理由があり、急遽、人の数が増えた事もあり教員の手を借りなければならなくなってしまったのである。

 

「ありがとうございます。(良し‼ 中に入れたぞ‼)」

 

隊長は大統領の元へ駆け寄った。

 

「申し訳ありません。大統領」

 

「いや、腹の調子は問題ないんだな?」

 

「はい‼ ご心配をおかけしました」

 

隊長はそう言うと、顔を深々と下げた。

 

「いや、護衛なしで学園内を歩いてはいけないと言う訳では無いのだが、話し相手がいた方が楽しめるからな。さて、行くぞ」

 

「ハッ‼」

 

大統領もこの作戦に加わっていると言う事もあり、隊長の体調不良は嘘であると知っていたのである。

 

「それで、目的の場所は解っているのか?」

 

「大丈夫です。既に確認済みです」

 

「そうか………仕事が早いな」

 

二人はそう言うと、明日菜を探し出すのであった。だが、それを表に出すのではなく露店を見回りながら、明日菜の姿を探していたのである。

すると、一人の少女が歩いているのを発見する。迷子になっているのか、辺りをきょろきょろとしていたのだ。

 

「お嬢ちゃん。どうかしたのかね?」

 

「ふぇ? あっ、うん………パパを探しているの」

 

「パパはどこにいるのかな?」

 

「正面玄関にいると思うの………パパが言ってたの。正面玄関で仕事をしているって」

 

「パパの名前は判るかい?」

 

「キラ・ヤマト」

 

「「ッ⁉」」

 

まさか二人の目の前にいるのがキラと楯無の娘であると判り驚いてしまう。

 

「そ、そうか……ならおじさん達と一緒にパパの事を探しに行こうか」

 

「えっ、でも…………」

 

明日菜は学園祭当日にキラ達から知らない人と一緒に行動してはいけないと教えられていた。その為、某国の首脳の言葉に着いて行こうとしなかったのである。

 

「大丈夫だよ。君のパパとはお友達だから」

 

この言葉で明日菜は信じてしまい、某国の首脳と隊長の後について行く事にしたのである。

 

「じゃぁ、お休み」

 

「えっ?」

 

首脳がそう言った瞬間、隊長が明日菜の口にクロロホルムを含んだハンカチを当て、数秒で明日菜は眠りに墜ちた。

 

「第一段階はこれで完了だ。第二段階へと移行するぞ」

 

「ハッ‼」

 

隊長は明日菜を壊れ物を扱うかのように大事にボストンバックに中に入れる。その際に、明日菜が怪我をし無い様にクッション材を入れるのを忘れなかった。

 

「第二段階は学園を出るぞ。だが、直ぐに出てしまっては怪しまれてしまう。だから、数店だけでも回るとしよう」

 

「そうですね」

 

そう言って、二人はある程度、学園祭を楽しむと学園を出て空港へと向かい、飛行機へと乗り込んだ。

 

「………なにか引っ掛かる」

 

「大統領もそう感じますか?」

 

「ああ………まさか‼」

 

大統領はボストンバックを開け、明日菜の体を見ると、ズボンのポケットに発信機が取り付けられていたのである。

 

「やられた‼ 奴らはすぐに来るぞ‼」

 

だが、既に遅かったのであった。悪魔は既に大統領の近くに潜んでいたのであった。



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第九十話

なんだか九十話に迫りました………五年の月日で九十話………のんびりし過ぎたかな?

と言うか、いつになったらこの作品は完結するのだろうか?(最近の悩み

それと、この更新で今年の更新は終了します。詳しくは自分の活動報告をご覧ください。
もしかしたら、更新するかも知れませんが、いつの更新になるのか不明です。

では、今後もこの作品をよろしくお願いします‼


こうも早く、キラ達が動けたのには理由があった。

それは、学園祭当日の朝の事である。

 

「明日菜ちゃん。ズボンのポケットの中にこれを入れておいてくれるかな?」

 

「パパ、これ何?」

 

キラから手渡されたのは、小さな機械であった。それは更識家が総力を挙げて開発した発信機である。この開発には更識家前当主である時政が関わっているのである。

 

「これは明日菜ちゃんがどこにいるのかパパやママが判る様にするものなんだ………パパやママはね、明日菜ちゃんの事を大切に思っているからこそこれを渡すんだ……それに、もし何があってもパパとママは必ず、明日菜ちゃんを助けるからね」

 

「うん‼」

 

キラに言われ、明日菜は発信機をズボンのポケットの中に入れた。

 

「なら、今日の学園祭は一緒に回ろっか」

 

「わーい‼ がっくえんさい‼ がっくえんさい‼」

 

明日菜はキラと回れると聞き、小躍りする。

 

「さぁ、そろそろ行こうか」

 

キラに連れられて明日菜は学園祭に向かうのであるが、ここで問題が発生した。

学園から支給されている通信機から学園長である千冬から通信が入ったのである。

 

『こちら、織斑千冬だ。ヤマト、聞こえているか?』

 

「はい、キラです。織斑先生、どうかされたのですか?」

 

『すまないが、至急正門の方に来てほしい』

 

「人手の問題ですか?」

 

『………ああ』

 

キラの言葉に千冬は申し訳無さそうに返事する。

 

「解りました。すぐに向かいます……明日菜ちゃん。ママを呼ぶから待っててくれる?」

 

「…………うん」

 

キラと一緒に回れなくなると知った明日菜はシュンとしてしまい、落ち込み始めた。

 

「大丈夫、待っていればママが必ず来てくれるから………ここで大人しく待っててね?」

 

キラはそう言うと通信機を取り出し、楯無へと連絡し自身は正門の方へと向かうのであった。

 

「………パパ行っちゃった………グスッ」

 

明日菜はキラの背中を見ながら涙ぐむ。折角、楽しみにしていた学園祭を義理であっても父親と慕う人と一緒に回れなくなってしまうのは悲しい物である。

明日菜はキラに言われた通り、その場で待っていたが1分が1時間の様に感じた明日菜は、キラとの約束を破りそのままキラの元へと行こうとした………しかし、明日菜はまだ子供でまだ学園の事を詳しく知らない身であったと言う事もあり、迷子になってしまったのである。

 

「パパ~どこ~」

 

明日菜はキラを探して彷徨っていた。そして、悪い事に周辺には誰一人学生の姿を見受けられなかったのである。学園祭と言う事もあり、学生たちは各々のクラスの担当で忙しく、歩いている訳が無いのである。

そして、某国の大統領と護衛の隊長と出会ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラの持っている通信機の親機が緊急を知らせるアラートが鳴り響き始めた。

 

「ッ⁉ 明日菜ちゃん‼」

 

キラはアラートが鳴った理由を知ると、直ぐに明日菜と別れた場所へと向かうとそこには地に膝を付けた楯無の姿があった。そして、キラの姿を見付けた楯無はキラに縋りついた。

 

「キラ君‼ ごめんなさい………ごめんなさい………私がもっと早く来ていれば………」

 

「楯無さん…………」

 

涙を流す楯無を見て、キラは何も言えなくなる。

すると、千冬が速足で向かって来た。

 

「ヤマト‼ 更識‼ これはどう言う事だ‼」

 

「明日菜ちゃんが誘拐されました………」

 

「なに⁉ ヤマト、貴様は何をしていたのだ………いや、ヤマトに当たるのは間違いだな………ヤマトは仕方が無いが更識………お前は何をしていたのだ‼」

 

千冬は剣幕を凄め楯無に迫る。

 

「……キラ君からの通信が来て、向かおうとしたのですが………道に迷った人を案内をして遅くなってしまいました…………」

 

千冬に楯無は説明する。

しがし、千冬は楯無に対して怒る事も無く、淡々とキラに指示を出す。

 

「ヤマト、三部隊の出撃を認める。すぐに明日菜ちゃんを助け出せ‼ そして、更識………お前も行け‼」

 

「………え?」

 

千冬に言われた楯無は呆ける。まさか、自分も明日菜救出に出されるとは思っていなかったからである。

 

「お前は明日菜ちゃんのなんだ? ただの母親代わりか? 今の貴様は義理であってもあの子の母親では無いのか‼ だったら父親と一緒に迎えに行くのが母親の使命だろうが‼ 判ったのならさっさと行け‼」

 

「は、はい‼」

 

楯無は千冬の叱咤にすぐに動きだした。

 

「織斑先生………ありがとうございます」

 

キラは自分が言えなかったことを代わりに言ってくれた千冬にお礼を述べる。

 

「私や一夏は両親の顔を知らない………それに明日菜ちゃんも本当の母親と父親を亡くしているんだ………お前たちがしっかりと護ってやらなければいけない。違うか?」

 

「はい‼」

 

「だったら、さっさと行け………お父さん」

 

「揶揄わないで下さい‼ ………行ってきます‼ 明日菜ちゃんと共に戻ってきます‼」

 

キラもすぐに動き出すのであった。

その頃、既に海上にはアークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻が係留され、いつでも出撃が出来る状態になっていた。

そして、各部隊も乗り込みが終わっておりキラと楯無を迎えるだけであった。

 

「お待たせしました」

 

「すみません‼」

 

キラと楯無がアークエンジェルに入ると、入り口にはアスランを始め各部隊の隊長が待っていた。

 

「キラ………大丈夫か?」

 

「僕は大丈夫だよ。だから、明日菜ちゃんを迎えに行こう‼」

 

「ああ‼」

 

「キラ君も父親らしい顔つきになっているな………」

 

「そうですね」

 

キラとアスランが拳を合わせているのを見たラウとトールはキラの変わりように驚きながらも納得していた。

 

「さぁ、私達は私達の仕事をしよう」

 

「そうですね」

 

二人はそう言うと、アークエンジェルのブリーフィングルームへと向かうのであった。

 

 

その後、三隻は出港し明日菜のズボンのポケットに仕舞われている発信機を頼りに向かうのであった。



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第九十一話

皆様、この作品ではお久しぶりです‼ 漸く書き上げれたので投稿いたします‼

待っていてくれた読者の皆さま、大変、待たせしてしまい誠に申し訳ありません。
これからは、頑張って書いて行きますので、よろしくお願いします‼

遅れながら、活動報告にてアンケートを実施しております。
皆様のご協力をよろしくお願いします。


IS学園特殊武装隊“アークエンジェル隊”の旗艦であるアークエンジェルのミーティングルームには、キラを始めとするアークエンジェル隊と、ラウを始めとするミネルバ隊、トールを始めとしたドミニオン隊が集まっていた。

 

「では、これよりキラ君の一人娘である明日菜ちゃんの奪還作戦の説明を行う。まず始めに、今回の首謀者は某国の大統領の独断で行われている。この情報は、クロエ君が調べた結果だ。間違いは無いかね?」

 

「はい。某国の大統領が搭乗している飛行機には、明日菜ちゃんが持っている発信機の信号をキャッチしました。間違いないでしょう」

 

ラウの質問に、クロエが答える。

 

「そうか……では、我々は有事の際にしか動かないでおこう」

 

『⁉』

 

ラウの言葉にその場にいた全員が驚く。

 

「で、でも‼ それだったら、なんで俺たちが来たんだよ‼」

 

「織斑一夏君………君にはこの状況下で全員が出れば何が待ち受けているのか、解っているのかね?」

 

「え?」

 

ラウの言葉に噛みついた一夏であったが、ラウはもう一つの心配をしていたのである。

 

「判っていない様子だね………私たちの任務はキラくん達の娘である明日奈ちゃんの救出……だが、これは私たちがやるのではなく、キラ君たちがしないといけない事だ。それに………いや、憶測の話はよそう。キラ君、更識君行けるね?」

 

「「はい‼」」

 

ラウの確認の言葉にキラ達は強く頷く。

 

「では、我々は何かが起きない限り、ここで待機しておこう………必ず明日奈ちゃんを助け出せ。これが私からの言葉だ」

 

ラウはそう言うと静かに微笑んだ。昔のラウの事を知っているアスランからすれば、驚きの変化である。また、キラも驚いていたのであった。

 

「解りました。お願いします‼ 楯無さん、行きましょう‼」

 

「ええ、明日菜ちゃんを誘拐した事を後悔させてあげるわ‼」

 

二人はそう言うと、カタパルトに向かう。

 

『ZGMF-X135D ストライク・フリーダム・フェニックス、発進どうぞ‼』

 

「キラ・ヤマト、フェニックス。行きます‼」

 

『続いてミステリアス・レイディ、発進どうぞ‼』

 

「更識楯無。ミステリアス・レイディ、出るわ‼」

 

二人はアークエンジェルから出撃し、そのまま某国の大統領の乗る飛行機へと向かった。

 

「さて、私達も行動に移しましょうか」

 

アークエンジェルの艦橋でマリューはモニターに写る二人に伝える。

 

『良いでしょう。誰を相手にしているのかを知らしめなくては、行けませんから』

 

『はい。彼らだけが相手では無い。相手にしてはけない物を相手にしたのですから、それ相応の罰を受けてもらわなくては、行けません』

 

モニターに写るのは、アーサーとアズラエルである。

 

「では?」

 

『『はい』』

 

アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻はそのまま某国へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達は飛行機の近くへ来ると、全広域電波を使い通信をする。

 

「こちら、国際IS学園、特殊武装隊“アークエンジェル隊”隊長のキラ・ヤマトです。大人しく誘拐した少女を渡してください」

 

『………断ると言ったら、どうなる?』

 

「その時は………残念ですが、強行突破をさせて頂きます」

 

『出来る物なら、してみろ。強行突破なぞしてみろ………貴様の娘の命は無い』

 

「「………ハァー」」

 

相手の通信を聞きキラと楯無は溜息を吐いた。

 

「そうですか………判りました。では、時間を与えましょう。そうですね、一時間ですかね? その時間があればあなた方も嫌でも判るでしょうから………」

 

『君たちは余裕だね。もしかして、そこまで娘に対して愛情を持っていなかった…と言う事かね?』

 

「キラ君………殺していい?」

 

「ダメです。アークエンジェルからの通信を待たないと………それに腸が煮えくり返っているのは楯無さんだけではありません。僕を始め、織斑先生やマリューさん達もそうですから………だから、こう言う風に出撃できるんです」

 

「そうね………大人しく待っていましょう」

 

二人はそう言うと、飛行機から一定の距離を保った状態で飛行する。

 

『フン、貴様らが何をしようが勝手だが、貴様らには我々を攻撃できない。なぜならば、そんな事をすれば貴様らは世界を敵に回すのだからな‼』

 

そう言うと通信相手は高らかに笑い始める。

 

「そんな余裕も今の内です。まだ、時間はありますが最終通告です。今すぐに、明日菜ちゃんを出しなさい‼ さもなくば、攻撃します‼」

 

『断わる‼ 貴様らの娘を手に入れ、貴様らを牛耳り世界を我々の傘下にする為だ……このチャンスをふいに出来る訳が無かろう‼ さっさと、貴様らも母艦へ戻れ。そして、娘を助け出せませんでした。って報告すればいいんだよ‼』

 

「「(呆れた……ここまでのバカが居るなんて……)」」

 

二人は自分達を相手にしている大統領が、バカにしか見えなくなって来たのである。

 

『こちらアークエンジェル。某国は降伏したわ。繰り返す。某国は降伏した。その大統領は、斬られたわ。キラ君、楯無さん、殺りなさい』

 

「「了解‼」」

 

キラと楯無の二人にアークエンジェルからの通信で、某国が降伏した事を知らされる。その瞬間、二人の目からハイライトが消えた。

 

「こちら、キラ・ヤマトです。時間となりました。よって、攻撃を行います」

 

『攻撃してみろ‼ 貴様らの娘の命は無い‼ さっきも言っただろうが‼』

 

「では、攻撃します」

 

キラはシュベールラケルタⅡビームサーベルを取り出すと、飛行機に近づき、ウィングを斬り話した。おまけとばかりに、飛行機の一部を斬り抜いたのである。

 

「楯無さん‼」

 

「ええ‼ 明日菜ちゃん、待っていて‼」

 

斬り抜かれた空間に楯無は、ISを装着したまま突入する。

 

「さぁて、娘を返してもらうわよ‼」

 

楯無はそう言うと、その場にいた武装した男達と対峙するのであった。




某国の大統領が乗る飛行機に単機で突入した楯無。
飛行機の中には、武装した男達で溢れていた。
明日菜の運命は‼

次回、第九十二話「救出」

娘を助け出せ、楯無‼




誤字脱字、感想、指摘等があれば、どしどし送ってください‼

あっあと。こんな話はどうですか? みたいなリクエストがあれば、メッセージでお願いします。感想欄で書かれても、対応しません。


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第九十二話

書き上げましたので、投稿いたします。

私の活動報告にてアンケートを実施しております。
皆様のご協力をよろしくお願いします。


飛行機に乗り込んだ楯無は、大統領を守ろうとする武装集団と対峙する。

 

「さぁて、誰が先に来るのかしら?」

 

「全員、後退‼ 例の物を使うぞ‼」

 

『ハッ‼』

 

「ちょっ⁉」

 

楯無は活き込んで突っ込んだが、武装集団は後退をしていった。残された楯無は拍子抜けである。

 

「どう言う事よ‼ レディを残して行くなんて……男としてどうなのかしらね‼」

 

楯無は後退する武装集団に向けて突撃する。だが、楯無は相手を殺すのではなく、気絶させるだけの威力の抑えて攻撃していった。

 

「神経使うわ……でも、殺してしまっては明日菜ちゃんに会わせるる顔が無いからね‼」

 

楯無は愚痴りつつも攻撃を加えて行く。

 

「あともう少しだ‼ それまで粘り続けろ‼」

 

「ところがギッチョンよ‼」

 

武装集団の隊長が隊員にそう言うが、既に隊長に突っ込んでいた楯無は隊長を殴り気絶させた。

 

「さて、残るはあなた方のみとなったけど………まだ続ける?」

 

楯無は残っている隊員達に蛇腹剣を向ける。既に隊長を失っている隊員たちは戦意喪失しており、大人しく武器を足元へ落とし両手を挙げ降参の意志を楯無へと向けるのであった。

 

「よろしい………こちら楯無。キラ君、聞こえているかしら?」

 

『こちら、キラです。どうしましたか?』

 

「機内の制圧は完了よ。後は大統領の身柄を拘束するだけだけど………どこにいるのか判らないのよね」

 

『そうですね……引き続き捜索して頂いても良いですか?』

 

「解ったわ」

 

『お気を付けて』

 

キラとの通信を終えた楯無は武装集団を一つに纏め、アクアクリスタルの一部を使い隊員や気絶した者達を括りつけた。

 

「さて、大統領でも探しますか」

 

そう言うと楯無は低出力で機内の扉を破壊する。

すると、破壊した扉の先では驚いた表情をする将軍のような恰好をした人物が待ち受けていた。

 

「き、貴様‼ 武装集団を制圧したのか⁉」

 

「そうだけど……まさか、通常の武器でISに勝てるとでも思っていたのかしら?」

 

「クッ……まぁ、良い。あいつらは元々我が国の傭員では無いからな………さて、貴様に問おう。貴様らの目的は小娘の奪還だったな?」

 

「ええ、そうよ。もしかして、明日菜ちゃんを返してくれるのかしら? それならそれで、私達の目的は達したからこの場から出るけど………そう言う訳にもいかない様ね」

 

楯無がそう言うと、周りには対IS用の武器を構えた兵隊の姿を見受けられた。

 

「ああ、その通りだ。貴様はここで討たれろ‼」

 

「それは困ったわ………なら、手加減は無用…と言う事で良いかしら?」

 

「撃て‼」

 

将軍の指示で対IS用の武器を構えた兵隊達は楯無に向けて引き金を引く。だが、幾ら引き金を引いても弾が射出される事は無かった。

 

「あなた達……そんな対策が出来る様に構えていたら、何も出来ないわよ?」

 

「き、貴様‼ 何をした‼」

 

「何をしたって……私の機体にはねアクアマシーンが搭載されているの……と言う事は必然的にわかるわよね?」

 

「ま、まさか‼」

 

楯無がしたのは、アクアマシーンを対IS用武器に忍び込ませ、一部をロックしたのである。その結果、弾を射出させ無い様にしたのだ。

 

「さて、これで貴方達の武器は使えなくなったわ……大人しく、明日菜ちゃんを出しなさい‼」

 

「クッククク………ハハハハハハハハハ‼」

 

将軍は自分達が窮地に追いやられているにも関わらず、高笑いをする。

 

「何を笑っているのかしら? 頭がおかしくなったの?」

 

「なに、貴様らこそこの機内に大統領がいないと言う事を見抜けなかった事が可笑しくてな………」

 

「なんですって‼ いつの間に‼」

 

「貴様が武装隊を制圧している隙に既にこの機内から脱出しているのだよ………貴様らの負けだな」

 

「………それはどうかしら」

 

「なに?」

 

将軍は楯無一人でこの飛行機を制圧しに来たと勘違いしていたのである。

 

「キラ君、聞こえていたわね?」

 

『ええ、聞こえていましたよ………出て来た』

 

楯無はキラに通信を繋げた状態でこの場にいたのである。と言う事は、キラもキラで対策をしていない訳では無かった。

 

「貴方の勘違いで助かったわ。もう少しで大統領を拘束できるのだから」

 

「…………まさか、まだほかにもいたとは………」

 

「当たり前田のクラッカーよ。私一人でここに乗り込むわけないでしょ?」

 

「そう……だな………だが、もう遅い‼ 大統領がこの飛行機から脱出すれば、必然的にこの飛行機は爆破される‼ そうすれば、貴様らも一緒だ‼」

 

「なんですって‼ キラ君‼」

 

『聞こえています‼ そこだ‼』

 

キラの声が聞こえると同時に、飛行機が揺れる。

 

「な、なんだ‼ 何が起きた‼」

 

将軍が叫ぶと、飛行機はゆっくりと左に傾いて行く。

 

「機体が……傾いて行く……まさか、エンジンを撃ったのか‼」

 

「その通りよ。もう、貴方達は終わりよ」

 

「その様だな………」

 

将軍は完全に戦意喪失するのであった。

 

 

 

 

楯無が畿内を制圧する時まで、時を巻き戻す。

 

 

キラは楯無からの通信を受けていた。

 

『こちら楯無。キラ君、聞こえているかしら?』

 

「こちら、キラです。どうしましたか?」

 

『機内の制圧は完了よ。後は大統領の身柄を拘束するだけだけど………どこにいるのか判らないのよね』

 

「そうですね……引き続き捜索して頂いても良いですか?」

 

『解ったわ』

 

「お気を付けて」

 

キラは楯無の素早さに驚きもしつつ、自分がするべき事を探していた。

 

「まず始めに機体の貨物室かな?」

 

キラはストライク・フリーダムを飛行機の底部に付けさせる。だが、サーモグラフィーで見ても熱源反応は無かった。

 

「居ない………どこにいるだ‼」

 

キラは内心、焦っていた。どうしてあの時、一緒に行動しなかったのか……どうして、ミーティングの時に人を増やすように進言をしなかったのか……どうして……

キラは自分に責任があると感じ取っていた。もっと自分がちゃんとしなくちゃいけないのにと……

すると、通信がオープンになっていたのか、楯無と将軍の声が聞こえ始める。

 

『き、貴様‼ 武装集団を制圧したのか⁉』

 

『そうだけど……まさか、通常の武器でISに勝てるとでも思っていたのかしら?』

 

楯無が将軍がいる場所へ乗り込むと、将軍の驚く言葉と共に楯無の冷静な声が聞こえる。

 

『クッ……まぁ、良い。あいつらは元々我が国の傭員では無いからな………さて、貴様に問おう。貴様らの目的は小娘の奪還だったな?』

 

『ええ、そうよ。もしかして、明日菜ちゃんを返してくれるのかしら? それならそれで、私達の目的は達したからこの場から出るけど………そう言う訳にもいかない様ね』

 

楯無の声は酷く焦る様子も無かった。キラは楯無一人でこの場を斬り退けると信じていた。

 

『ああ、その通りだ。貴様はここで討たれろ‼』

 

「楯無さん‼」

 

キラは楯無に向かって叫ぶ。だが、楯無の声は未だ焦る様子では無かった。

 

『撃て‼』

 

将軍の声で引き金を引かれたのだろう。だが、一発も銃声が鳴る事は無かった。

楯無は、対策としてアクアマシーンを使い、対IS用武器に対して対策を施したからであった。

 

「良かった………もう、誰も僕の前で命を散らせたく無い‼」

 

キラの頭の中で何かが弾ける感覚を感じる。それは、いままでよりも一番の物であった。

 

『キラ君、聞こえていたわね?』

 

「ええ、聞こえていましたよ………出て来た」

 

キラは再度、機体の底部に行くと、貨物室から一機の小型機が出ようとしていた。キラは逃がすまいと思い、機体のエンジン部をビームライフルで撃ち抜いたのである。

その結果、小型機が出る直前、機体はゆっくりと左へと傾いて行く。

 

「こちらは国際IS学園所属、特殊武装隊“アークエンジェル”隊隊長のキラ・ヤマトです。大人しく投降してください」

 

『断らせてもらおう。貴様らの言いなりになるつもりは無い………今度、この機体を攻撃してみろ……その時は貴様の娘と一緒にあの世に逝ってやる』

 

『パパァッ‼』

 

小型機から大統領と明日菜が出て来るが、大統領の右腕には拳銃が握られており、明日菜の米神に押し付けられていた。明日菜は恐怖の余り、キラの事を呼ぶが、今のキラは何も出来ない状態であった。もし、攻撃をすればその時は大統領の持つ拳銃が火を噴き、明日菜を殺してしまう。そう思うと、キラは安易に攻撃をする事が出来なかった。

 

『さて、私は小型機に乗らせてもらう。貴様の娘と一緒にな………そして、嘆くがいい。貴様の犯した罪を‼』

 

そう言うと大統領は小型機に乗り込もうとした、その瞬間。一発の銃声が鳴ったのであった。




キラと楯無は大統領の乗る飛行機に乗り込み、明日菜救出へと向かっていた。
そして、大統領は何者かに撃たれ、死んでしまう。
撃ったのは誰なのか……そして、目的は何なのか‼

次回、インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士、第九十三話“アメリカ”

リア充、爆発しろ‼ バレンタインなんて無かったんや‼(すべてを終わらせろ、キラ‼)

誤字、脱字、感想、指摘等あれば、よろしくお願いします‼

最近の悩み…………

感想が来なくて、萎えてます(知るか‼)


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第九十三話

アンケート、待ってます‼


大統領が小型機に乗り込もうとしたその瞬間。一発の銃声が鳴り響いた。

 

『な…なにが………』

 

大統領はそう言うと、その場に倒れ込んだ。

 

「明日菜ちゃん‼」

 

キラは直ぐに機体を貨物室に入れ込み、明日菜を保護する。

 

「パパ‼ パパ‼」

 

「ごめん、ごめんね………怖かったね。もう大丈夫だよ」

 

キラは貨物室に入り込むと同時に、機体を量子変換し明日菜を抱きしめ。謝った。

 

「感動の再会の所悪いが………君らにやってもらいたい事がある」

 

「貴方は誰ですか? 僕達の敵ですか」

 

キラは貨物室の入り口に立つ男に目を向けると、量子変換してある銃を取り出し構える。

 

「そう構えないでくれ。私は君たちの敵じゃない……味方だ」

 

「どこに証拠があるのですか?」

 

「………これだ」

 

男が見せたのは手帳であった。だが、普通の手帳では無い。そこには“CIA”と表記されていたからである。

 

「なぜ、CIAの職員がここにいるのですか………貴方達も明日菜ちゃんを………」

 

キラはそう言うと敵意を剥き出しにして男に威嚇する。だが、男は両手を挙げ交戦の意志が無い事を示した。

 

「我々は某国の大統領の拘束或いは殺害をアメリカ大統領から受けている者だ………アメリカは無意味な事はしない。特に君たちに対してね」

 

「キラ君‼ 明日菜ちゃん‼」

 

「楯無さん‼」

 

「ママ‼」

 

男の後ろから楯無が現れ、キラ達の名を呼ぶ。キラ達が無事なのを確認すると、安堵したのかその場にへたり込んでしまう。

 

「やぁ、更識家当主様。ご無沙汰ですね」

 

「え、ええ。まさかあなたが乗っているなんて気付かなかったわ……それで、元凶は?」

 

「勝手ながら、殺させて頂きました」

 

「そう………」

 

CIAの職員と楯無は面識があるのか、ごく普通に会話をする。

 

「楯無さん、彼は本当に………」

 

「ええ、アメリカ諜報部CIA職員のマイケル・クラウドよ」

 

「お初にお目に掛かります。キラ様。そして、明日菜様………この度は我々の不徳が招いた事。お詫びは何でも致します」

 

「え、あっはい……え?」

 

「………」

 

キラの頭は混乱の渦である。一方の明日菜はキラの手に抱かれ安心したのか、静かに寝息を立てて寝ていた。

 

「丁度、明日菜様も眠られた様子……お手数ですが、アメリカに来て頂けませんか? もちろん、三部隊の皆様もいご一緒で構いません」

 

「「…………」」

 

キラと楯無はこのまま明日菜を連れて脱出しようと考えていた。だが、マイケルは三人と三部隊をアメリカに招こうとしている。IS学園はどの国家にも属さない中立である。それは、三部隊も同様の事が言える。

キラの持つ権限であれば、アメリカに行く事は可能である。だが、果たしてそれが正解なのか判らなかった。

すると、マイケルもそれを感じ取ったのか、どこかへと連絡する。

 

「私です……はい、無事に任務完了しました。ええ、彼らも無事です……それなのですが…………判りました。伝えます」

 

マイケルは通信が終わったのか、通信機を懐へしまった。

 

「お待たせ致しました。アメリカ大統領直々にIS学園に連絡して頂きました。もう少しで、その返答を貰えると思いますが……」

 

マイケルが言い終わると同時に、ストライク・フリーダムに通信を知らせるアラームが鳴る。

 

「こちら、キラです」

 

『私だ………本来であれば中立である我が学園はどの国家にも属さず、どの国家からの介入を禁じていたが………今回ばかりは致し方が無い。キラ・ヤマトを始め、アークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の三部隊はアメリカへ向かえ。また、更識楯無、更識明日菜も同行せよ。安心しろ。向こうも貴様らと戦争する気はない、そうだ』

 

千冬の一方的な通信であったが、最後の一言でキラは決心する。

 

「解りました。アメリカへ行きましょう………ですが、妙な真似をすれば………」

 

「ああ、安心した前。我々も命を散らせたくない」

 

マイケルはお道化るかのように肩を上げた。

 

そして、一行はアークエンジェルが戻るとそれに乗り込み、アメリカへと向かうのであった。もちろん、飛行機に乗っていた武装集団と将軍ら、そして大統領の亡骸も一緒であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際IS学園所属、特殊武装隊“アークエンジェル隊”の三隻はアメリカへ入港する。非公式では無く公式な者として、大統領直々から招かれている為、三隻はアメリカ最大のドックに入港しようとするのだが、前例のない大きさである三隻の為、仕方が無く海上に停泊せざるを得なかったのであった。

 

「アメリカ政府も大胆な事するわね…………」

 

「確かに、そうだな。俺達は正式に学園の部隊として認められてるけど、こうして特定の国から招かれるなんて初めてな事だからな」

 

「ええ、そうね………」

 

アークエンジェルの艦橋では、マリューとムウがアメリカのの象徴である“自由の女神”を見つめながら話をしていた。

二人を始め、前の世界ではアークエンジェルは諸外国への訪問は、メサイヤ攻防戦後にエターナルと共にプラントへ赴いた時である。それ以外では、今までは無かったのである。

 

「さて、蛇が出るか鬼が出るか………」

 

「それこそ、俺達の敵になるかもな」

 

「止めて、相手に出来ない訳じゃ無いけど、面倒だわ」

 

「確かにな………」

 

ムウとマリューはこれから、何が起きるのか判らなかったのであった。

 

 

 

 

それから暫らくしてアークエンジェルからマリュー、ムウ。ドミニオンからアズラエルとジブリール。ミネルバからタリアがタッカーに乗り込み、アメリカへ上陸した。キラ達は先に上陸しており、明日菜を病院へ連れて行っている。

そして、艦長組はリムジンへ乗るとアメリカのホワイトハウスへ招かれたのである。

 

「初めまして、アメリカ大統領のコープランドです」

 

『は? なんで、いるの』

 

マリュー達の前にいるのは大西洋連邦大統領であったコープランドであった。

 

「私には連邦の大統領よりも一国の大統領の方が身に合っているようです」

 

『いや、誰も聞いてないから』

 

ある意味でコントが始まったのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、よろしくお願いします‼


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第九十五話

今回は連続投稿だよ‼ 久々に連続投稿だからテンションMaxなんだよ⁉

お酒も入ってるからね!(昼から飲んでいるとは言えない)

という事で、本編へどうぞ!


ホワイトハウスに招かれたマリュー達艦長組は、アメリカ大統領であるコープランドが居る事に驚いていた。

 

「さて、今回は皆さんにある事を話す為、お招きしました。まず始めに、皆さまはある組織の名をご存知ですか?」

 

「組織……ですか?」

 

マリューの問い掛けにコープランドは一つ頷く。

 

「組織の名は“亡国機業”と言う名で、裏では女性権利団体が牛耳っていると言う噂までもが流れています。ですが、この組織は表に出て来る事はまず無いでしょう」

 

「では、我々が知る事が出来ないのでは?」

 

「ええ、その通りです……ですが、その名は裏でしか通じていません。表での名前は…………アクタ・イオン社」

 

コープランドが言う名は、全世界を見ても一大企業の一つである。本社はカナダに置かれており、支社は世界各国に及ぶ知らない人はいないと言われている会社である。

 

「そんな話を我々にしても大丈夫なのですか?」

 

「私としては、この世界が女尊男卑と言う下らない世界では無く、男女平等世界になって欲しいのです。その為には、我々としても裏で動いておりました」

 

「裏で動いていた…と言うのは、厳密にはどう言う事なのですか?」

 

コープランドの言葉にジブリールが尋ねる。すると、コープランドの後ろで待機していた秘書官が何枚かの用紙を艦長達に手渡した。その紙に書かれていたのは、現在、アメリカと協力体制を取る事が決まった国家が書かれていた。

 

「アメリカを中心に、ドイツ、フランス、イギリス、ロシア………これはまた………豪勢な国家が並んでいますな」

 

紙を見てジブリールは素直な感想を述べる。だが、アズラエルは疑問になった事があった為、コープランドに尋ねた。

 

「コープランドさん、聞きたいのですが………どうしてISの開発国家である日本と大国の一つである中国が載っていないのですか? 彼らが中に入ればもっと戦力として………」

 

「アズラエル理事「私はもう理事では無い。一人の人間として来ている」それは失礼しました………アズラエルさんの言う通り、ISの開発国である日本と大陸の一つである中国が加われば、戦力の向上として望めるでしょうが………」

 

コープランドは何か迷っている様子であった。すると、執務室がノックされる。

 

「キラ・ヤマト様、始め更識楯無さま、更識明日菜様、アスラン・ザラ様がお見えました」

 

「入ってもらえ」

 

キラ達が病院からホワイトハウスに到着したのである。

 

「遅れました。申し訳ありません。それと、明日菜ちゃんの治療をして下さり、ありがとうございます」

 

キラの言葉に楯無と明日菜は頭を下げる。

 

「いや、君達の活躍は前世から見ていたよ………さて、君。彼らにも用紙を渡してやってくれ」

 

秘書官はコープランドに言われた通り、キラと楯無、アスランにマリュー達同様の用紙を渡した。

 

「さて、中国と日本が加わっていない件についてだが………日本に関しては、現在協議中だ。我々が打診しても、首を縦に振って来ない。まぁ、それもその筈だ。戦争に巻き込まれる危険性があるからな………」

 

コープランドの言葉にその場にいる者達は納得した。だが、中国に付いて説明が無かった。すると、コープランドは口を開き、中国に付いて説明した。

 

「次に、中国だが………まだ確証した情報では無いのだが、裏で亡国機業と繋がっているとの事だ………」

 

「それは、政府がと言う事ですか?」

 

「いえ、政府としてでは無く、一人の役人がと言う事ですね」

 

コープランドは、中国全体が亡国機業と繋がっているのではなく、一人の役人が亡国機業と繋がっている可能性が高いと言っているのである。

 

「ですが、我々としては、亡国機業自体を無くし、男女差別の無い世界にしたい。ですが、こうも歩調を合わせられない現状では、それは難しい。そこで」

 

「我々を招いた……と言う事ですね?」

 

マリューの言葉にコープランドは頷いた。

 

「良いでしょう………キラ君も大丈夫かしら?」

 

「………コープランドさん。聞きたい事があります」

 

「なんでも、聞いてください」

 

「では、まず一つ。某国大統領が乗っていた飛行機に、なぜCIAが搭乗していたのですか? 二つ目は、僕達のメリットについて………最後に、本当の狙いを教えて頂きたい」

 

「…………」

 

キラからの質問は、コープランドとしては答えにくい質問であった。だが、ここで答えなくては彼らからの信用を失うと感じたコープランドは、正直に話したのである。

 

「………解りました。お答えします。某国大統領の飛行機に搭乗していたCIAに付いてですが、彼らには大統領の暗殺もしくは拘束を命じていました。その為、機内に潜伏し時を見て出る様に指示を出していたのです。二つ目ですが、質問を質問で返す様になりますが、それは、学園としてですか? それとも一つの部隊としてですか?」

 

「両方です」

 

「まず始めに学園に対してのメリットですが………日本以外の国がバックにつく事になります。資金面もそうですが、有事の際には海上に待機する予定の航空母艦より航空機の支援を得られるようになります。次に、部隊としてですが、学園同様、バックに国がつく事になります。遠征時などで補給を同盟国から受けられます。最後に質問に付いてですが……………我々として第一優先として考えているのは、男性操縦者の一人である織斑一夏君の保護です」

 

コープランドの瞳は迷いが無かったのであった。



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第九十六話

連続投稿だお‼ では、どうぞ………(ワイン飲みすぎた………ゲェェェ⁉

作者が死んだぞ‼

この人でなし‼


「我々として第一優先として考えているのは、男性操縦者の一人である織斑一夏君の保護です」

 

コープランドの瞳は迷いが無かったのであった。

 

「本当の狙いはそこにあったという事か………」

 

キラは納得した様子だが、コープランド自身、まだ狙いがあるとアスランは見ていた。

 

「大統領、まだ他にも隠していませんか?」

 

「…………」

 

アスランの問いかけにコープランドは押し黙ってしまう。

 

「降参だ………織斑一夏君の保護に関しては本音だ。だが、もう一つ付け加ええなくてはいけないことがある。中国がなにやら怪しい動きをしているそうだ………まだ、定かではないがもしかしたら、中国が織斑君を誘拐する可能性があると見ている」

 

「確かに言われてみれば可笑しくない話ですね。中国の役人の一人が亡国機業と繋がっているとすれば………」

 

「一夏を誘拐して亡国機業に渡す事が出来れば、織斑先生を操ることも可能と考えるのが筋でしょうね………でも」

 

キラとアスランの考えは間違っていなかった。すでに中国から工作員がIS学園に侵入しているのだが、一夏は学園にいないのである。

 

「中国も間抜けですね」

 

「どういうことかね? 君たちの言い方は、織斑一夏君は学園にいないと言っているのだが………」

 

「現在、彼にはアークエンジェルにて待機してもらっています。いえ、正確には他の隊長から訓練をつけてもらっていると言った方が良いですかね」

 

アスランの言葉にはコープランドは驚く。まさか、彼自身もアークエンジェル隊の一員になっているとは思っても見ていないからである。

 

「コープランドさん。一つ、訂正すると……彼は一員ではないですよ。彼はそうですね………世界を知ってもらうための教育期間と言いましょうか。ですから、彼には今後、アークエンジェル隊の仮隊員として勤めてもらうことになっています。それは、彼自身が自分を守れるように……そして、自分の大切な者を守ることが出来る様にという意図が含まれています。勿論ですが、織斑千冬学園長もそれを了承済みです」

 

「そうか………」

 

キラの説明を聞き、コープランドは安心する。

 

「さて、僕からは以上です。では、今後の状況について………」

 

マリューが話を進めようした時である。マリューの懐にしまっていた通信機が緊急を知らせるアラームを響かせたのである。

 

「マリューさん‼」

 

「大統領。我々は学園に戻ります」

 

マリューたちは席を立ちあがり、執務室を出ようとしたとき、執務室の扉が開き、一人の男性が中へと雪崩れ込む。

 

「だ、大統領‼ 大変です‼ 現在、国際IS学園に対して攻撃が仕掛けられています‼」

 

「なに⁉ どこからの攻撃だ‼」

 

「…………亡国機業並びに、中国です」

 

キラ達は、自分たちが離れている隙を見計らって、攻撃されたと感じ取ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園が攻撃を受ける1時間前…………

 

文化祭は、キラ達がいない事は誰も知らずでいた。そして、すべてが滞りなく終わったと思っていた。

 

 

「ん? 本国から……………」

 

鈴の懐にしまっていた携帯が震え、通信を知らせた。鈴は携帯を取り出し、誰からの知らせなのか確認すると、政府高官の名前が映し出されていた。

 

「はい、鳳鈴音です………はい…………え?」

 

鈴が耳にしたのは信じられない内容であった。

 

 

 

 

『これより、国際IS学園を攻撃する。鳳鈴音国家代表候補性は速やかに沿岸部へ集合。のちに回収の潜水艦に乗艦後、本国に帰還せよ』

 

 

 

この指示には鈴は逆らえないのであえる。鈴は、中国の国家代表候補性に一人であり、後の国家代表に選抜されるまでの腕前を持っている。だが、ここで政府に盾突けば、今まで積み上げてきた物を一瞬で壊してしまう。そういう恐怖が鈴の中に生まれた。

 

「鈴さん? どうかされましたか?」

 

「せ、セシリア⁉ だ、大丈夫よ‼ 問題ないわ…………」

 

セシリアから声をかけられた鈴はどもりながらも、何もないと言い張った。

 

「そうですか………何かあれば、すぐに言ってくださいね? 相談に乗りますから」

 

「あ、ありがとう………セシリア」

 

鈴はそう言うと、セシリアに手を挙げてその場を後にしたのである。

 

「こんな時に一夏がいれば…………」

 

鈴は一夏に相談したいと思っていた。だが、当の一夏はどこにいるのか見当がつかない状態であった。まぁ、一夏に関しては、千冬が誰にも知らしていないことが原因でもあるが…………

 

「鳳鈴音………どこへ向かっている?」

 

「織斑先生…………」

 

すると、鈴を止める人物がいた。

千冬は腕組をして、険しそうな表情を浮かべていたのである。そして、彼女の眼には殺気が籠っていた。

 

「もう一度、聞く。鳳鈴音……どこへ向かっている? いや、正確にはどこへ帰ろうとしている? 今の貴様の居場所はこの学園ではないのか?」

 

「……………」

 

千冬の質問に鈴は答えられなかった。

 

「まぁいい。一夏だが………学園にはいない。奴はヤマト達と一緒に行動している」

 

「えっ? 一夏はキラ達の部隊に?」

 

「入隊はしていない。ヤマト達と一緒に行動すれば、あいつも一人前になれるのだが………それがいつになることやら…………」

 

千冬はそう言うが、表情は険しさをなくし穏やかであった。だが、その表情はすぐに険しさが戻った。

 

「さて、貴様が知りたいであろう情報はくれてやったんだ………貴様の狙いを言え‼ 貴様ら中国は何を狙っている‼」

 

「わ……わたしは…………」

 

鈴は“自分は何も聞いていない”と言おうとするが、口から出る言葉は言葉ではなく、相手に何を伝えればいいのか解らず、言葉になっていないのである。

 

「鳳鈴音……落ち着け。私は貴様の味方だ。安心しろ………だから、ゆっくりでいい。言ってみろ」

 

千冬の滅多に聞けない優しい言葉に、鈴は頷いたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問とうありましたら、どしどし送ってください‼

最近は、感想が全く来ないので、作者は嘆いています‼(誰も知りません


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第九十七話

今回の話は重いです。


 

「鳳鈴音……落ち着け。私は貴様の味方だ。安心しろ………だから、ゆっくりでいい。言ってみろ」

 

千冬の滅多に聞けない優しい言葉に、鈴は頷いた。

 

「さっき、本国から連絡がありました」

 

鈴の言葉に千冬は頷き、続きを催促する。

 

「本国からの通達は“これより、国際IS学園を攻撃する。鳳鈴音国家代表候補生は速やかに湾岸部へ集合。後に回収の潜水艦に乗艦後、本国に帰還せよ”と言う命令です」

 

千冬は中国の動きが判っていたかのように頷くだけであった。

 

「千冬さん‼ 私は…私はどうしたら良いんですか⁉」

 

「………それを決めるのは鈴。お前だ」

 

千冬の一言に鈴は呆ける。

 

「だが、私は助言だけなら出来るが………聞くか?」

 

鈴は少し考えると、強く頷く。

 

「そうか………なら、聞け。私から言えるのは鳳鈴音。お前は何をしにこの学園へ来たのだ? 何が目的でこの学園に来たのだ? 貴様の本当は何を望んでいるのだ‼」

 

千冬の言葉に鈴は何も答えられなかった。それは、自分が何をしにこの学園へ来たのかを見失っていたからである。

 

「鈴、良く考えろ。そして、答えを導き出せ………今のお前は学生だ。この学園の一人の生徒だ。私は生徒である限り、見捨てるつもりは無い。敵になりたいのであれば、それも構わん。だが、私に助けを求めると言うのであれば……そして、中国と決別するつもりがあるのであれば、私の手を取れ‼」

 

千冬はそう言うと鈴に手を差しだした。

 

「私は……これからもこの学園に残っても良いんですか?」

 

「良いと言っている」

 

「迷惑を掛けるかも知れません」

 

「既に掛けている」

 

「千冬さんに甘えるかも知れません」

 

「その為の教師であり、大人だ。その為に私達、教師として、そして大人としているのだ。一向に構わん」

 

「…………ち……ふゆ……さん………」

 

鈴はゆっくりと千冬の手を取ろうとした。

 

だが、無残にも一発の銃弾が鈴の体を貫いた。

 

 

「鈴‼」

 

千冬は倒れる鈴の体を支えた。

 

「あれ……わたし………」

 

「しゃべるな‼ 傷に触る‼」

 

「可笑しいな………体が熱いのに………眠たくなって来た」

 

「寝るな‼ 寝たらお前は死んでしまうぞ‼」

 

鈴の意識は朦朧としていた。その瞳には生気が消えようとしていた。

 

「ちふ……ゆ…さん……いち……かに……伝言……を………」

 

「それは自分で言え‼」

 

「ファン………リン……インは………織斑………いち……か…を愛して………います」

 

鈴はそう言うと力を無くし、眼は閉じられたのである。

 

「鈴? 鈴‼ 目を覚ませ‼ 自分の気持ちぐらい、自分で言え‼ 貴様の気持ちは、誰かによって伝えられるものなのか‼」

 

千冬は鈴を揺さぶって起こそうとした。だが、鈴からは返事が無く、ただ眠っている様にしか見えなかった。

 

「おやおや………死んでしまいましたか………残念です。まだ彼女にやってもらいたい仕事があったのに………」

 

木の陰から一人の女性が現れた。その手に持つのはシルバーに輝く銃が握られていた。

 

「貴様……か……」

 

「何がですか? ああ、彼女を殺したのがですか? ええ、私ですよ。いやぁ。彼女も好きな男に告白が出来ずに死んでしまうとは………何とも残念です」

 

「貴様ぁぁぁァァぁァァ‼」

 

「……遅いです」

 

「ガァッ⁉ グッ……なぜ……なぜ、鈴を殺したのだ‼」

 

千冬は女性に体を抑え込まれ、地に体を這い蹲った状態となる。千冬の目には女性を殺すと言う殺気が籠ってあった。

 

「彼女は優秀です。優秀であるが為に、彼女は男を愛し、男に身を捧げようと決心をしてこの学園に来ました」

 

「それが判っていて、なぜ彼女を殺した‼」

 

「もう不要なのですよ」

 

女性から放たれた言葉は追放であった。

 

「彼女に変わる人材の確保は出来ています。彼女なりに頑張ったのでしょう………ですが、もう遅すぎた。遅かれ早かれ、彼女は殺される運命でした。だったら、男が居る学園で死んだ方が彼女の為でしょう?」

 

「貴様ぁァァ‼」

 

「うるさいです。ブリュンヒルデも地に墜ちたモノですね。一人の生徒を護れず、敵討ちも出来ないとは………さぞ彼女も悲しんでいるでしょう」

 

「貴様らの目的は何だ‼ 中国の狙いは何だ‼」

 

「私達の狙いですか………答えても良いのですが………秘密を知ってしまっては貴女には死んでもらう他ありません。ISを持たぬ一人の女のくせに、強化プログラムで力を得た私に敵う筈がありません。ですが、私も優しい女です。死ぬ前に貴女には私の…いや、私達の狙いを言いましょう。私達の狙いは、戦争です。それも世界を巻き込むほどの戦争です。ですが、安心して下さい。核などと言う無粋な兵器は使用しません………我々が使うのはISです。ISを使えば男は皆殺しに出来ますからね」

 

「狂っている………」

 

「その言葉は、私達にとっては最高の褒め言葉でしかありませんよ。そう言えば、中国の狙いを言っていませんでしたね」

 

女性はそう言うと、懐からスイッチを取り出した。

 

「織斑学園長? このスイッチ……なんだか分かりますか~?」

 

女性はスイッチを手で遊び始めた。

 

「このスイッチは……世界にある原子力発電所を一瞬で停止させる事が出来るスイッチなんですよ……でもね、ある国家だけは受け付けないんです………さぁて、どこでしょうか?」

 

女性の声は愉しそうであり嬉しそうであった。

 

「まさか……‼」

 

「そうです。中国です。中国以外の原子力発電所は停止し、電力は中国からしか貰えない。となれば、必然的に中国が世界で雄一、牛耳る事が出来る国家です。中国はそれを狙っているのです」

 

女性はそう言うと、スイッチを握りボタンを押す準備を整える。

 

「さて、世界は一度壊れ、再生されるべきです。清き清浄なる世界に生まれ変わるのです‼」

 

女性はそう言うと、スイッチを押したのであった。




次回以降からは、完全なるオリジナルストーリーとなります。

完結まで、もう少し‼ 長かった‼ もしかしたら、百話突破するかも‼
それはそれで、ある意味自分の中ではすごい事なのかも………




誤字脱字、感想、指摘、質問等あれば、どしどし送ってください‼


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第九十八話

あと残り二話で百話突破するわww

ここまで書けたのは、読者様のお陰です。ありがとうございます。最終回まで、まだまだありますが、これからもよろしくお願いします‼


「さて、世界は一度壊れ、再生されるべきです。清き清浄なる世界に生まれ変わるのです‼」

 

女性はそう言うと、スイッチを押す。

 

「………あれ?」

 

女性は再度、スイッチを押した。だが、イヤホンからは原子力発電所が停止されたと言う報告がされる事は無かった。

 

「………貴様らが仕掛けた停止装置は、こちらで破壊させてもらった」

 

どこからか若い男の声が、辺りに響いた。

 

「誰だ‼」

 

「………貴様らは国家テロの容疑で射殺が許可されている……今、投降すると言うのであれば命の保証はする」

 

「うるさい‼ 何がテロだ‼ 国家がなんだと言うのだ‼ 世界がなんだと言うのだ‼ 世界は一度、破壊されなくてはいけない‼ 世界は清き清浄なる世界に戻るべきなのよ‼」

 

「御託は以上か? なら、国家テロ容疑で射殺する」

 

若い男がそう言うと、銃声が鳴り女性の頭を撃ち抜き、女性は絶命した。

 

「なにが………」

 

「おい、大丈夫か?」

 

千冬は何が起きたのか判らなかったが、千冬の傍に一人の男が現れる。

 

「貴様は………」

 

「俺か? 俺の名は…………風見雄二だ」

 

風見と言う男の手にはスナイパーライフルが握られている。

 

「それで……」

 

「ああ。俺は日本政府からの命令で、国際IS学園に侵入したテロ組織の壊滅を受けている………それで、誰か死んだのか?」

 

風見の言葉に千冬は鈴が横たわっている方を指さした。

 

「………そうか……ん?」

 

風見は何かを見付けた様子で、鈴に近づいた。

 

「………一つ聞きたい。コイツの呼吸は確認したか?」

 

「いや……確認していない」

 

「なら、大丈夫だな」

 

風見は何語事も無い様に言う。千冬はそれに対して苛立ち風見に怒鳴る。

 

「何が大丈夫だ‼ 死んだのだぞ‼」

 

「いや、生きてるぞ」

 

「は?」

 

風見の言葉が信じられなかった千冬。自分の腕の中で死んだと思った鈴は実は生きていた。と聞かされても実感が湧かなかった。

 

「いや、だって……私の腕の中で………」

 

千冬の言葉に風見は鈴の胸元を指さした。

鈴の胸元が静かに上下している事が見えた。と言う事は、鈴は死んでしまったのではなく、気絶していたと言う事であった。

 

「生きていた……良かった‼ 鈴は生きていたんだ‼」

 

千冬は膝から崩れ落ち、涙を流した。

 

「………」

 

風見は何も言わずにその場から、静かに立ち去って行った。

だが、それだけで終わる筈も無い。中国からの艦隊は既に国際IS学園の領海内に侵入し、刻一刻と近づいていたのである。

 

「………泣いている暇なぞ無い‼ ここからは我々教師の仕事だ‼」

 

千冬は涙を拭くと、懐に仕舞っていた通信機を取り出した。

 

「各自に通達。これより緊急事態宣言を発表する。一般生徒は速やかにアリーナ地下にあるシェルターに避難せよ‼ 繰り返す。これより緊急事態宣言を発表する。一般生徒は速やかにアリーナ地下にあるシェルターに避難せよ‼ 専用機持ちは至急、第一アリーナに集合せよ‼」

 

千冬は宣言すると、鈴を背負い第一アリーナへと向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キラ達はアークエンジェルから出撃しようとしていた。アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻の速力は早いものの、IS…特にキラとアスランの機体にはミーティアが装備する事により、マッハ5クラスのスピードが出せる様になっているのである。

これにより、キラ達が先に先行し学園防衛の任に就く事になったのである。

 

『キラ君、アスラン君、聞こえているわね』

 

「「はい‼」」

 

キラ達の機体にはマリューの声が響く。

 

『アークエンジェルとミネルバ、ドミニオンは後から追い付くわ。先行してIS学園の防衛に付いて頂戴‼』

 

「了解しました」

 

「俺達だけで行ったらいいんですね? ラミアス艦長」

 

『ええ、ミネルバ隊、ドミニオン隊は兎も角、一夏君の機体はマッハ5には対応できないわ。だから、先に貴方達に先行してもらいたいの』

 

「解りました。これより出撃します」

 

キラの言葉でアークエンジェルのカタパルトが開いた。

 

『ZGMF-X135D ストライク・フリーダム・フェニックス。発進、どうぞ‼』

 

「キラ・ヤマト、フェニックス。行きます‼」

 

『続いてZGMF-X331D インフィニット・ジャスティス・セイバー。発進、どうぞ‼』

 

「アスラン・ザラ、セイバー。出るぞ‼」

 

アークエンジェルから出撃した二人は、量子変換されたミーティアを出現させ、ドッキングする。そして、そのまま学園へと向かって行った。

 

残された一夏はアークエンジェル内にあるモニターでキラ達が出撃した所を見ていた。

 

「悔しそうだな、織斑一夏」

 

「あなたは………」

 

一夏の名を呼んだのはトールであった。トールの顔は先の防衛戦後、千冬が各部隊の紹介時のみしか知らず、話をする機会が無かったのである。

 

「俺はトール・ケーニッヒだ。ドミニオン隊の隊長を務めている………さて、お前に聞きたい。お前はその力で何をしたい」

 

「おれは………」

 

一夏は真っ先に“護る”と言う言葉を発しようとした。だが、それは違うと何かが囁く。

 

「以前の俺なら、護りたいと言っていた………だけど、今の俺にはこの白式で何がしたいのか判らなくなってしまった………」

 

一夏は首を垂れトールの質問に答えた。トールは予想していた答えとは真逆の答えであった為、少し呆けてしまったが、直ぐに表情を戻した。

 

「それも一つの答えだ。だが、後悔する事には変わりがない……だが、何もせずに後悔するよりも、何かをやって後悔する方が諦めが付くんじゃないのか?」

 

「ッ⁉」

 

トールの言葉に一夏は首を持ちあげ、トールの顔を見る。

 

「その力を使う日が、今まさにやって来たと言う事だ」

 

トールはそう言うと、一夏に手を差しだした。

 

「この手を握れ。この手を握れば、お前は一人の戦士だ。君が望む世界じゃない。誰もが望む世界じゃないのは確かだ。だが、お前は力を手にしている。その力で何かの役に立ちたくないか?」

 

「………」

 

一夏は考える。これまでやって来た事の意味。力を持つ責任。そして、自分が何をしなくてはいけないのかを………そして、一夏は―――

 

「お願いします‼」

 

トールの手を取ったのである。




テロは未然に防がれた。だが、中国艦隊は刻一刻と国際IS学園へと迫っていた。
キラ達は間に合うのか‼ そして、トールの手を取った一夏の運命は‼

次回、第九十九話

『新たな力』

その力で護れ、ユニコーン‼



鈴ちゃん死んだと思った人。自分もそうしようとした人の一人ですww
まぁ、流石に鈴ちゃんは好きなキャラの一人なので、殺すつもりはありません。

誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼
次回の更新は、明後日か明日です‼


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第九十九話

もう一話で百話だな………百話突破記念として何かしようかな……( ゚д゚)ハッ!
時間が無い……(´・ω・`)

FGO、グラブル、黒い砂漠を始めました。


キラとアスランは、ミーティアを装備したストライク・フリーダム・フェニックスとインフィニット・ジャスティス・セイバーで学園へと向かっていた。

 

「キラ‼ 中国艦隊が既に攻撃を始めているぞ‼」

 

「………見えた‼」

 

キラ達は、中国艦隊がIS学園に攻撃しているのを目の当たりにする。

 

「アスラン‼」

 

「ああ‼ 行くぞ‼」

 

キラとアスランはミーティアを装備したまま、中国艦隊に突入する。

中国艦隊は焦った。未確認機二機が現れたかと思えば、自分たちに向かってきているのだ。驚かないというのは、無理な話である。

 

中国艦隊の旗艦である仁川型航空母艦一番艦“仁川”では、色々な報告がなされていた。

 

「報告します‼ 未確認機二機が我が艦隊に向かってきています‼」

 

「フン、無謀な奴らね。たかが二機で何ができるというのだ」

 

艦隊司令は、二機の未確認機ぐらいでは自分達に勝てる筈がないと高を括っていた。だが、現実は非情である。

 

「し、指令⁉ 駆逐艦、撃沈‼」

 

「重巡洋艦、撃沈‼」

 

指令に聞かされる報告は、全てキラ達の攻撃によって撃沈された報告だけであった。

 

「ば、バカな………クッ……虎の子を出す他無いのか………」

 

指令は仁川に収容されているあるモノを思い浮かべ、このままでは負けると考えた指令は、虎の子を出す決意をした。

 

「亀を出せ‼ クモもだ‼」

 

「あ、あれを出すのですか⁉」

 

「今出さなくて、いつ出すのだ‼ 発進させろ‼」

 

指令の指示により、仁川の飛行甲板に二機の機体が上がってきた。

その姿は、亀とクモを思い浮かべさせるフォルムをしていた。キラ達は見覚えがあった。

 

「あれは‼」

 

「クッ、連合軍のMAまでもが出て来るのか……キラ‼」

 

「うん‼」

 

二人はミーティアを量子変換すると、ザムザザーとゲルズゲーに向かって行く。

 

「バカめ‼ 二機だけでこのザムザザーとゲルズゲーに太刀打ちできないだろう‼」

 

ザムザザーのコックピットに座る小太りな女性は、キラ達が自分達に向かっているのを嘲笑っていた。

 

「ガムザートフを二機に向けて撃て‼」

 

ザムザザーは腹をキラ達に向けた途端、四つのビームがキラ達に襲った。

 

「「遅い‼」」

 

だが、歴戦の戦士であるキラ達にはそんな攻撃が当たる筈も無く、回避されてしまう。

 

「連続して撃て‼ 逃げ足の速いハエめ‼」

 

女性はキラ達を忌々しく見ていた。すると、キラとアスランは二手に分かれたのである。

 

「二手に分かれた‼ ゲルズゲー、やれ‼」

 

ゲルズゲーはビームライフルを自分達に向かってくるアスランに撃つが、小回りの利くジャスティスは攻撃を躱し錯乱させる為、ジグザグに動き回る。

一方のキラは、ザムザザーにビームライフルを放って行く。だが、ザムザザーには陽電子リフレクターが備えられている為、攻撃を受け付けなかったのである。

だが、キラ達は焦っていなかった。なぜならば、アスランが逃げた先にはザムザザーの後方であり、ゲルズゲーは何も考えずに攻撃した結果、ザムザザーの後部にビームが当たり、爆発によってリフレクターが解除されたのである。

 

「なにやってんのよ⁉ ハッ⁉」

 

ザムザザーのコックピットに座る女性は、僚機からの攻撃にリフレクターが解除されている事に気付かなかった。それにより、キラが目の前にいる事が気付いたのが遅かった。

 

「これで‼」

 

キラはビームライフルとレール砲、カリドゥスをザムザザーに一斉砲火する。これにより、ザムザザーは火を噴きながら海面に着水すると同時に、爆発したのであった。

 

残されたゲルズゲーは、自分が撃った攻撃によってザムザザーが破壊されたと勘違いしていた。それにより、動揺してしまいキラ達の接近に対処できなかったのである。

 

「「作者は蜘蛛は嫌いじゃないけど、お前は嫌いなんだよ‼‼」」

 

キラとアスランはビームサーベルを使い、ゲルズゲーの後方にあるスラスターを斬り裂いたのである。これにより、ゲルズゲーは飛行困難となり、海面に着水した。こうなってしまっては、ゲルズゲーは動けなくなってしまいただの的でしかならなかった。

 

「「チェクメイト」」

 

二人はビームライフルを掲げ、ゲルズゲーを撃ち抜き、撃退したのであった。

 

 

中国艦隊は、まさか虎の子として開発した最新機を呆気なく破壊された事に恐れ戦き、忽ち逃げようとした。だが、既に遅かった。なぜならば、逃げる方向にはアークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻が来ていたからである。

三隻は艦首に搭載されている陽電子砲を起動する。

 

「て、敵艦‼ 急速なエネルギーを感知‼」

 

「か、回避しろ‼」

 

「不可能です‼」

 

「ヲワタ」

 

指令はこの言葉を残して、陽電子砲に呑み込まれたのであった。また、付近にいた艦艇も巻き込まれ、中国艦隊は本当に呆気なく、壊滅されたのであった。

 

 

 

 

後にこの戦線を“哀れな中国艦隊”と名付けられたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルを始め、ドミニオン、ミネルバの三隻はそのままIS学園の桟橋に係留され、乗組員たちが降りてくる。キラ達も機体を降下させると、量子変換させて待機状態に戻したのである。

それと同時にIS学園から、学園長である織斑千冬を始め、セシリア、箒、鈴、ラウラ、真耶が向かって来ていた。

 

「………その様子では、明日菜ちゃんは無事なようだな」

 

「はい」

 

千冬の言葉にキラは頷くと、後方を見た。千冬も見習って後方を見ると、楯無の腕で眠る明日菜があった。

 

「アメリカとの話は付いたのか?」

 

「…………その話は学園長室で」

 

「解った。手配しておこう。それと、一夏は……」

 

千冬は一人だけの弟が無事なのか不安であった。

 

「あっ、千冬姉‼」

 

「織斑先生と呼べ‼ もしくは学園長だ‼」

 

「アイダァァァ⁉」

 

一夏の普段の呼び方に、いつも通り約束された勝利(出席簿)を振り翳し、一夏の脳天に向けて放ったのである。

 

「久々の千冬姉の鉄拳を食らった………」

 

「フン‼ 貴様は学ぼうとしないつもりか」

 

千冬はそう言うが、心なしか柔らかく感じてしまうのであった。

 

「……一夏、後で話がある」

 

「ああ、俺も千冬姉に言わなくちゃいけない事があるんだ……」

 

二人ともが、普段の呼び方に戻っていた。それは、二人だけで話がしたいと言う現れであった。

 

「ヤマト、学園長室に来い。ザラもだ」

 

「「ハッ‼」」

 

千冬の言葉にキラとアスランは敬礼して答えるのであった。




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第百話

とうとう、百話突破か………


千冬はキラとアスラン、一夏を連れて学園長室へと来ていた。

 

「さて、アメリカとの話に付いてだが……ヤマト、報告を」

 

「ハッ‼ アメリカを中心にイギリス、フランス、ドイツ、ロシアの五か国が連盟をしており、亡国機業を裏でけん制していたようです」

 

「……やはりか………それで、亡国機業は中国と関わりを持っていたのだな?」

 

「いえ、役人の一部が亡国機業と繋がっていると言う情報でしかつかめていない様なのです」

 

「なに? では、なにか。中国自体は亡国機業と関わっていないと言う事か?」」

 

「そう言う事になります」

 

キラの報告に千冬は顎に手を添えた。

 

「そうか………鳳鈴音に中国から通信があった」

 

「その内容は?」

 

「“これより、国際IS学園を攻撃する。鳳鈴音国家代表候補生は速やかに湾岸部へ集合。後に回収の潜水艦に乗艦後、本国に帰還せよ”と言う内容だ。私も確認をしている。これを読んで、お前達はどう考える?」

 

「………憶測となりますが、よろしいですか?」

 

アスランの言葉に千冬は頷く。

 

「では、自分の考えですが、中国のIS開発局が亡国機業と繋がっている可能性が高いと考えられます」

 

「その根拠は?」

 

「まず始めに、代表候補生である鳳鈴音に対しての避難勧告。これが出せるのは、IS開発局しかないです。必然的に、中国のIS開発局が一番、怪しいと思われます」

 

「………判った。アメリカに通達しておく」

 

千冬はそう言うと、今度は一夏に目をやった。

 

「それで、一夏。お前が話したい事は何だ?」

 

「……千冬姉。俺はこのままキラ達の部隊に入隊しようと思ってる」

 

「生半可の想いでは、やり抜く事は出来ないぞ?」

 

「解ってる。俺も生半可の気持ちでキラ達の部隊に入隊しようと思ってないから………」

 

「…………」

 

一夏の瞳には決意が籠っていた。千冬はそれを見て、一夏はもう自分の手で護られるだけの存在では無くなったのだと感じたのであった。

 

「解った。許可しよう。ヤマト、ザラ。一夏を頼むぞ」

 

「「ハッ‼」」

 

千冬の言葉にキラ達は敬礼で答えるのであった。

 

「それと、もう一つ。私から報告をしなくてはいけない事がある」

 

千冬はそう言うと、ある場所へと連絡をした。

 

「織斑です。そちらへ向かっても大丈夫ですか? 判りました。ヤマト、ザラ、一夏。付いて来い」

 

千冬はそう言うとある場所へとキラ達を連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達が案内されたのは、IS学園内にある病院であった。

 

「まさか、前に助けた少女が覚ましたのですか?」

 

「ああ………だが、最悪な事が起きた」

 

「どう言う事ですか?」

 

キラの言葉に千冬は何も答えず、ある病室の前で立ち止まった。だが、病室と言っても、ドアがどこにも見当たらなかった。その病室の中には、キラとアスランが助け出した少女が熊のぬいぐるみを抱きしめていた。だが、そのぬいぐるみは至る所から中身が飛び出していたのである。

 

「織斑先生、どう言う事なのか説明して下さい。どうして僕達が助け出した少女をここで監禁しているのですか? 答えによっては………」

 

キラは殺気を込めて千冬を睨みつける。

 

「……ヤマト達が助け出し、この病院に入院した時は寝ていた。だが、起きたと思った瞬間、近くにいた看護婦をいきなり襲ったのだ。そして、仕方が無く監禁と言う処置を取ったのだ………」

 

「「「…………」」」

 

キラ達は何も答えられ無かった。だが、キラとアスランは一つの事を思い出していた。

 

「もしかして、少女の中から薬品か何か検出されませんでしたか?」

 

「ッ⁉ 知っているのか‼」

 

「……確証はありませんが、もしかしたらと言う意味です」

 

「………検出された薬品だが、どの世界にも存在しない薬品だ」

 

「γ-グリフェプタンと言う薬品だと思います」

 

「それは、どう言う薬品なのだ?」

 

「………薬品ではありません。人工的に調合された覚せい剤です」

 

「なっ⁉」

 

キラの言葉に千冬は言葉を失う。

 

「彼女に会う事は可能ですか?」

 

「……保証はしないぞ?」

 

「構いません」

 

キラの言葉に千冬は溜息を一つ零すと、近くにいた医師に話を付けると、入り口に招かれた。

 

「ここからは、我々もどういう結果になるか判りません。お気を付けて」

 

医師に言葉にキラは一つ頷くと、そのまま少女が監禁されている病室へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰………」

 

少女は中に入って来た青年に怯えた表情を浮かべる。

 

「僕は君を助けた、キラ・ヤマトだよ」

 

「キラ………ヤマト………私のオリジナル」

 

「えっ? まさか‼」

 

キラの驚きに少女は一つ頷く。

 

「私の名前は、アリス。アリス・ヒビキ………初めまして、私のオリジナル‼」

 

アリスはそう言うとキラに飛び掛かった。だが、キラは冷静にアリスの攻撃を躱したり捌いたりとして、攻撃を受けない様にしていた。

そして、アリスはまだ幼き少女と言う事もあり、体力はそこまで持つ事は無く、途中でへばり座り込んでしまう。

 

「………大丈夫?」

 

「来るな‼」

 

キラはアリスに近づこうとした。だが、アリスは拒絶する。目には涙を浮かばせて。

 

「オリジナルである貴方に私の気持ちが解る⁉ 薬品で私の気持ちを踏み躙り、パパやママを殺して‼ 私は誰にも助けられなかった‼ あの時まで‼」

 

「………どうしてここの病院の先生を襲ったの? 彼らは君を助けようとしていたのに………」

 

「白衣を着た人を信じるつもりは無い‼ 私は白衣を着た者は全部敵だ‼」

 

アリスはそう言うと肩を上下させる。

 

「もう判ったでしょ………私は誰にも助けられないのよ‼ 自分で判るわ‼ もう短いの。クローンである私にはテロメアが短いのよ‼ もう数年したら、私は死ぬわ」

 

「………君には夢があるかい?」

 

「夢? フン、夢なんて無いわ。言ったでしょ? 私にはテロメアが短いのよ。夢を持ったところで叶う筈が無いじゃない‼」

 

アリスはそう言うと、溜息を一つ零した。そして、キラに自分の夢を静かに語った。

 

「……夢を持てるのであれば、家族が欲しい。パパがいてママがいて………妹か姉がいて………楽しく過ごしたいの‼ こんな夢がかなう筈が無いじゃない‼」

 

アリスの夢にキラは一つの事を思いついたのである。

 

「なら、僕の家族にならないかい?」

 

「は?」

 

アリスは驚きキラを見つめたのであった。




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第百一話

百話から、数話に掛けてアリス編をしていきます。そして、今回の章は、自分に取って初となるシリアスに挑戦します。皆さま、至ら無い所があるかと思いますが、暖かい目で見て下さい。
あと、連続投稿ですので、前話から読んで下さい。
それと、今回はギャグもいれてますし、初めての試みもしております。
気付いた方は、メッセージをお願いします。


「……夢を持てるのであれば、家族が欲しい。パパがいてママがいて………妹か姉がいて………楽しく過ごしたいの‼ こんな夢がかなう筈が無いじゃない‼」

 

アリスの夢にキラは一つの事を思いついたのである。

 

「なら、僕の家族にならないかい?」

 

「は?」

 

アリスは驚きキラを見つめた。

 

「あなたはは何を言っているのか判っているの?」

 

「あっ、織斑先生? 今すぐ楯無さんと明日菜ちゃんを連れて来て下さい。至急です」

 

「聞きなさいよ‼」

 

キラは千冬に楯無と明日菜を連れて来るように言うが、千冬は顔を渋る。

 

「もしかしたら、彼女を助けられるかも知れないんです」

 

「無視ですか⁉」

 

「ですから‼ 早くしてください‼ 権限で要請しますよ?」

 

「グスン」(´Д⊂グスン

 

キラの言葉に千冬はようやく動き出したのである。

 

「なんで泣いているの?」

 

「あなたの所為よ‼ さっきから、無視ばっかりして‼ なんですか、私には興味が無くなったんですか⁉ さっき、あなたが言った家族にならないかって、嘘なんですね‼ そうなんですね⁉ そうなんでしょ‼」

 

「ちょ、ちょっと、落ち着いて……」

 

「落ち着いてられるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼ 無視を決め込んで、私の事は眼中にないと言う事ですね‼」

 

「違うから‼ 落ち着いて。はい、深呼吸‼」

 

「ヒッヒッフー」

 

「それ違うよ⁉」

 

「解ってます。態とです………落ち着きましたので、話を進めて下さい」

 

「………ヤダぁ、この子」

 

キラは疲れた様子で肩を落とした。

 

「さっきの君の夢だけど、叶う事が出来るよ?」

 

「どうしてそう言えるのですか?」

 

「そうだね、僕には結婚を約束している人と子供が居る」

 

「もう子持ちですか………婚約者を孕ませたんですか?」

 

「なんでそうなるのかな⁉ 違うから」

 

「では、どこからか攫ったのですね?」

 

「…………」

 

「え? まさか‼」

 

アリスはそう言うとキラから距離を置いた。

 

「私に近づかないで下さい。この誘拐犯‼」

 

「どうして、そう言う風になるのかな⁉ 違うからね‼ 子供と言っても本当の子供じゃないから」

 

「だから、攫ったんですy「ちょっと、ダマロウカ?」アッハイ」

 

キラの殺気の籠った笑顔を当てられ、アリスは黙ってしまう。

 

「ある事件をきっかけに養子として迎えたんだよ」

 

「まさかと思いますが、私を?」

 

「そう。君の夢は両親がいて姉か妹が居る生活をしたいんだよね?」

 

「……はい」

 

キラの言葉にアリスは頷いた。

 

「僕はまだ結婚ができる年齢でもないし、養子として迎えている子も婚約者側の姓で名前を名乗っているんだ……まぁ、既に彼女からはパパって呼ばれているけどね」

 

キラは苦笑いをしながらアリスに説明する。

 

「貴方の話の内容は判りました………ですが、結局は私の意志が必要ですよね?」

 

「そうだね……君の答えを聞きたいんだ………」

 

アリスは少し考えると答えを出した。

 

「貴方の提案はとても魅力的です「なら」だが、断わる‼ わたし事、アリス・ヒビキにとって最も好きな言葉は、自分が勝っていると思っている奴にNOと断ってやる事だ‼」

 

どこかで聞いた事があるセリフであるが、アリスの表情はドヤ顔であった。

 

「………」

 

一方のキラはと言うと、無表情であった。

 

「………ごめんなさい。フザケスギマシタ」

 

「君ってそんなキャラだっけ?」

 

「違うわ。作者がシリアスは嫌いだそうで、こう言うキャラにシフトチェンジさせたらしいわ」

 

「メタい‼ まぁ、良いけど………」

 

キラの言葉にアリスは「あっ、良いんだ」と思っていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫らくして、病室に楯無と明日菜が入って来た。

 

「来たわよ、キラ君」

 

「パパぁ~」

 

楯無は病室に入るや、キラの傍に立つ。明日菜はキラに抱き着いたのである。

 

「楯無さん、明日菜ちゃん。アリスちゃん、紹介するね。こっちが、僕の婚約者である更識楯無さん。それで、この子が義娘である更識明日菜ちゃん」

 

「初めまして、君の事は外で先生から聞いているわ」

 

「………」

 

「明日菜ちゃん?」

 

楯無は人を誑し込める笑みを浮かべるが、明日菜はそうでは無かった。アリスの顔をまじまじと見つめていた。

 

「な、なによ………「お姉ちゃん?」はい?」

 

明日菜はアリスの事を“姉”と呼んだのだ。アリスはいきなりの事で付いて来れず、聞き返したのである。

 

「なんで、いきなり姉になるのかしら?」

 

「だって、ママが言ってたよ。明日菜にお姉ちゃんが出来るって」

 

「まだ、私はあなたやあなた達の家族になるって答えてないのだけど?」

 

アリスはそう言うとキラをジト目で見た。だが、キラは苦笑いだけで答えたのである。

 

「でも“まだ”なのね? と言う事は、答えは決まっていると言う事かしら?」

 

「ウグッ……痛い所を突いて来るわね………お母さんは

 

「なんて言ったのかしら?」

 

アリスは小声で言ったつもりだが、楯無には聞こえていたのである。楯無は、ニコニコとしながらアリスに迫って行く。

 

「だ、だから‼ お母さんって言ったのよ‼ 文句ある‼」

 

アリスの言葉を受け、楯無は堪らずアリスを抱きしめたのである。

 

「く、苦しぃ~」

 

「……そうよ、あなたは、もう私達の家族の一員よ」

 

「………ありがとう。お母さん」

 

アリスは楯無の背中に手を回したのである。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください。

それと、初めての試みもしているので、気付いた方は言って下さい。


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第百二話

はい、皆さまお待たせ致しました。
アンケート結果は、この作品と英雄達となりました。ですが、残念な事に作者自身、現在一人暮らしをしようと模索中であり、金銭面での色々な事で執筆時間に余裕がありません。
なので、この作品とメインとして、英雄達は不定期更新と言う形を取らせて頂きます。
ですが、安心して下さい。この作品は必ず完結させますので、それまでお付き合いください‼

と言う事で、本編へ…………パンツァー・フォー‼(作品が違う⁉


その後、キラと楯無の二人は千冬の説得に向かったのである。明日奈はアリスと共に遊んでいた…が、どちらかと言えば、明日奈がアリスに引っ付きアリスが引き離そうとしていただけであるが………

 

「織斑先生。彼女の事ですが……僕たちが引き取ろうかと思っています」

 

「待て⁉ 彼女は薬漬けであったのだろう‼ それを簡単に認められるとでも思っているのか‼」

 

「判っています。ですが、彼女…いや、アリスは家族を望んでいたのです。それに、彼女にはもう寿命が迫っています」

 

「………どういうことだ。詳しく話せ」

 

千冬の要望にキラはアリスが自分のクローンであることを伝えた。

 

「…………ヤマトのクローンだと……俄かには信じられない話だが………」

 

「いきなりこんな話をされても信じられないのは当たり前です。ですが、僕のクローンであるという事は、必然的に僕の娘であることには変わりはしません」

 

「確かにその通りだが………だが、ザラは納得するのか?」

 

「アスランであれば、大丈夫でしょう。僕と長年、幼馴染をしてきたんですから………」

 

「………判った。そう言う事であるならば致し方が無い。アリス・ヒビキはキラ・ヤマトに一任する」

 

「「ありがとうございます‼」」

 

千冬の言葉にキラと楯無は頭を深々と下げた。

 

「………悔いのない生活を送らせてやれ」

 

千冬はそう言うと早々にその場を去ったのである。

 

 

 

 

キラと楯無はそのまま病院の医師と看護師に、アリスを引き取ることを伝えた。だが、アリスの禁断症状がいつ発症するか判らない危険を、キラ達に任せる訳にもいかないので、病院側も条件を付けたのである。

それは、ごく当たり前の話であるが、週一回は病院へ連れてきて検診を受けさせる事。そして、急変時はすぐに病院へ知らせ、連れて来る事の二つであった。

キラ達は病院側の対応は当たり前の事である為、受け入れたのである。

 

 

そして、アリスはキラと楯無の手を繋がず、明日奈に手を繋がれた状態で病院を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラと楯無の二人は、アリスを正式に自分たちの娘として引き取った旨をアスランやマリュー達に知らせる為、アークエンジェルへと向かっていた。

 

「さて、皆さんに集まって頂いたのは、前回、僕とアスランが助けた少女を正式に僕と楯無さんの娘として迎え入れた事を知らせる為です。アリスちゃん」

 

キラに背中を押されたアリスは、頬を赤くさせながら前へと出ると自己紹介を始めた。

 

「あ、アリス・ヒビキ…じゃなかった、アリス・ヤマトです。これから、よろしくお願いしましゅ…アウ」///

 

アリスは最後の最後で噛んでしまった事に恥ずかしくなり、更に顔を赤くさせたのであった。

その表情を見たアークエンジェルのクルーを始め、ドミニオン、ミネルバのクルー達はホッコリとしていたのであった。

 

「キラ、賑やかになりそうだな」

 

「うん、そうだね………」

 

「キラ………」

 

アリスはクルー達にチヤホヤされているのをキラは見ていた。すると、アスランが近づき、楽しくなりそうだと思っていたが、キラの表情は晴れる事は無く、暗くなっていたのである。

アスランはキラが暗くなっている理由は見当がついていた。

 

「どうしてかな………人間は闇を作りたがるのかな………」

 

「………」

 

キラの呟きはアスランにとって、答える事が出来ない事であった。

 

「キラ君、君の悩みは仕方が無い事だ」

 

「クルーゼ隊長……そうでしたね」

 

ラウがキラの呟きに答えたのである。彼自身、C.E世界ではムウの父親のクローンとして生み出され、そしてレイもまた、同じように作り出されたクローンである。ラウやレイにとっては、昔話のように感じていたのである。

 

「私やレイが経験して来た事だ………だが、彼女は生まれは私たちと同じなのかも知れないが、私たちと同じような過ちを起こさないであろう?」

 

「……そうですね。僕や楯無さんはそうならない様にしないとですね」

 

「それこそ、キラ君だ」

 

ラウはそう言うとそのままレイを連れ、アークエンジェルを後にしたのであった。

 

「お、お父さん………」

 

「何かな? アリス」

 

アリスはクルー達から離れ、キラに近づいてきたのである。

 

「私は幸せになっていいのかな?」

 

「当たり前だよ。君は君の人生を歩むんだ。僕じゃない。アリスはアリスの幸せを掴んでほしいんだ。それが、僕や楯無さんの願いかな」

 

「うん‼ 判った‼」

 

キラの願いを聞き、アリスは笑って頷いたのである。

 

「なぁ、キラ。子供を持つってやっぱり大変か?」

 

「そうだね、一夏。僕や楯無さんは一から子供を持った訳じゃない。だけど、子供を持つと言う事は、責任が付きまとうんだ。それこそ、子供の生活環境を始め、成長には親が必要なんだよ」

 

「………俺には判らないな………」

 

一夏はそう言うと顔を暗くさせた。

 

「一夏、君が暗くなっている理由が見当たらないね。僕から見て君は幸せ者だと思うよ」

 

「………どうして、そう思うんだ?」

 

「だって、君には親の代わりに姉がいるじゃないか。織斑先生が君にとっての親じゃなかったの?」

 

「………そうだな………俺には両親はいないが、千冬姉がいるんだ」

 

一夏はそう言うと腫物が取れたかの様に顔を明るくさせたのである。

 

「明日から忙しくなるね」

 

キラは楽しそうに呟くのであった。



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第百三話

なんでか知らないけど、すらすらと書けてしまう自分が怖い。次回より定期更新とします。詳しくは後書きにて‼


翌日、キラは楯無と明日奈、そして娘として引き取ったアリスを連れて更識へと足を運んでいた。

 

「お久しぶりです。お義父さん」

 

「久しぶりだな、キラくん………そして、その子が………」

 

「はい、僕が引き取ったアリスです」

 

キラの紹介にアリスは顔だけを動かし会釈した。

 

「………君からの話や娘からの話は聞いている………内容は本当の事なのだな?」

 

「はい。彼女にはもう寿命が迫っています。それも、一年も持たないでしょう」

 

「そうか………」

 

時政はそう言うとジッとアリスを見つめていた。一方の明日奈は早く遊んでとばかりにウズウズしていた。

 

「アリスちゃん。来なさい」

 

「……はい」

 

アリスは時政の方へと近づいていく。表面上では怖がっている様子ではないが、内心、怖がっていたのである。

そして、アリスが時政の前に立った瞬間、時政はアリスを抱きしめたのである。

 

「よ~し、よし‼ おじいちゃんですよ‼」

 

「おじいちゃん、明日奈も‼」

 

「おお‼ 明日奈ちゃんもおいで」

 

「ワーイ」(*^▽^*)

 

明日奈も時政へ向かい、アリス共々抱きしめられたのである。この光景にキラと刀奈は、やっぱりこうなるのかと感じ呆れていたのであった。

いつの間にか二人に懐かれた時政は夕方まで一緒に明日奈とアリスと遊んでいたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。キラと刀奈、時政、琴音の四人が集まっていた。

 

「さて、アリスちゃんの事だが………」

 

「学園での処置で急遽、僕と刀奈さんは緊急時を除き学園を離れる許可を得ています。その為、僕たちはこのまま、ここで過ごさせて頂きたいと思っています」

 

「それは、構いませんが………刀奈。あなたには覚悟が出来ていますか?」

 

「はい、お母様。アリスちゃんはキラくんのクローンであるが為に、寿命が短い事は心得ています。だからこそ、覚悟を持ってアリスちゃんを引き取りました」

 

「刀奈に覚悟があるのであれば、我々は何も言うまい………だが、私たちとて人の親だ。もし、何か困った事があればすぐに言うのだぞ」

 

「「はい‼」」

 

時政の言葉にキラと楯無は強く頷いた。

 

「さて、そろそろ寝る時間だな………二人は一緒の部屋にしてあるが………くれぐれも避妊してくれよ? まだ、明日奈ちゃんやアリスちゃんよりも下の子の顔を拝む気はないからな」

 

「ちょっ⁉」

 

「お、お父様⁉」

 

時政は笑いながら琴音と共に部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。キラと楯無は明日奈とアリスを連れ、レゾナンスへと来ていた。

 

「こうして家族と来るショッピングも良いですね」

 

「そうね………でも、やっぱり店舗が少ないわね………」

 

刀奈が言う様に、レゾナンスに店舗を構える店が少なくなっていた。その原因としては、先のテロ事件であろう。テロ事件を受け、レゾナンスは改修工事を行ったが元々入っていた店舗は殆どが離れてしまったのである。その結果、レゾナンス自体の経営も危うい状態であった。

 

「でも、レゾナンスに残った店舗って被害を受けていない店舗ばかりですよね?」

 

「ええ、そうね。あっ、ここよ」

 

刀奈は一つの店舗の前で立ち止まった。

 

「ここって………」

 

キラが店舗の中を見ると、子供の洋服を取り扱っている店であった。

今回、キラ達がレゾナンスに足を運んだのは、アリスの洋服と明日奈の新しい服を購入するためである。

 

「さぁて、明日奈ちゃん、アリスちゃん。可愛くしてあげるからね‼」

 

刀奈はそう言うとフンスと鼻から息を猛烈な勢いで吐き出したのである。

 

「キラくんにも手伝ってもらうわよ」

 

「判っていますよ………どれが似合うかな?」

 

キラと刀奈は夫々に似合う洋服を探しに出たのだが、その間、明日奈とアリスは置いてけぼりにされてしまったのである。

 

「お姉ちゃん」

 

「……皆まで言うな………お父さんとお母さんは親バカか?」

 

「………そうかも………」

 

二人はキラと刀奈が服を探している間、大人しく店舗前にある椅子に座っていた。

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

「ん? どうかしたのか?」

 

「お姉ちゃんは幸せ?」

 

明日奈からのいきなりの質問にアリスは呼吸を忘れてしまった。

 

「ッ⁉ あ、ああ。私は幸せだ。望んだモノが手に入ったんだ………もう、私は死んでm「そんな事言わないで‼」…明日奈ちゃん……」

 

明日奈はアリスの体に涙を流しながら抱き着いた。

 

「やっと明日奈に出来たお姉ちゃんなのに………死んでも良いなんて言わないで………」

 

「………ごめん………でも、私には時間が無いの……あなたを抱きしめられる時間は、残されていないの」

 

「それでも‼」

 

明日奈はアリスに体を密着させつつ、顔を上げた。その目には涙を溜めて。

アリスは明日奈の目元に溜まった涙を指ですくった。

 

「大丈夫。もし、私が死んだとしても、私はあなたの心の中で生きているから……ね?」

 

「………うん……」

 

明日奈は納得していない様子であったが、気丈にも笑顔を見せる。姉であるアリスに心配させない為に。

 

「そろそろお父さんとお母さんが戻って来そうだよ? ほら、涙を拭いて」

 

アリスの言葉に明日奈は頷くと、服の袖で涙を拭いた。

 

「笑わないと、笑かしちゃうぞ?」

 

アリスはそう言うと、手をワキワキさせ始める。

 

「え? ちょっと待って………イヤァァァァァ‼」

 

明日奈はアリスに擽りを受け、笑い転げていたのであった。




今後の更新についてお知らせです。
毎週月曜日の0時に投稿して行きますので、よろしく願いします。


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第百四話

明日奈とアリスのじゃれ合いをキラ達は物陰から見ていた。

 

「良かった……明日奈ちゃんが笑ってる」

 

「笑ってるというよりも、笑かされているの間違いじゃないかな?」

 

二人は姉妹が仲良くしている姿を見て、内心、安心していた。

 

「あとは、私たちの出番ね?」

 

「ええ、そうですね………明日奈、アリス。こっちにおいで」

 

キラはじゃれ合っている二人を呼び寄せると、二人に似合いそうな洋服を見せた。

 

「僕が持っているのがアリスの服で」

 

「私が持っているのが明日奈ちゃんの服よ」

 

「「わぁー‼」」

 

明日奈とアリスはキラ達から服を渡されるとすぐに試着室へと駆け込んだ。

 

「はや……」

 

「早いねぇ……」

 

二人のいきなりの行動にキラ達は目を点にさせる。そして、すぐに試着室のカーテンが開けられた。

 

「うん、二人とも似合ってるよ」

 

「やっぱり、二人の服はこういうのじゃないと」

 

明日奈が身に包んでいる服は、お嬢様っぽく見える服装である。一方のアリスはゴスロリ風の服であった。

 

「ママ、パパ‼ ありがとう‼」

 

「お父さん、お母さん、ありがとう」

 

明日奈は笑顔満点でお礼を言うが、アリスは顔を赤くさせながらお礼を言う。まだ、キラ達を親として呼ぶには恥ずかしい様子である。

 

「うんうん、似合ってる。似合ってる」

 

「二人とも、服を脱いで。会計しちゃうから」

 

「はーい」

 

「うん」

 

キラの声で二人はすぐに着替えると、キラに服を渡した。

 

「ならちゃちゃっと会計してきます。楯無さん、お昼何処で食べるか探してくれませんか?」

 

「良いわよ」

 

キラは刀奈に昼の店を決めさせている間に、二人の服を購入しに行ったのであった。

 

「さて、明日奈ちゃん。アリスちゃん。何が食べたい?」

 

「うーんとね………お蕎麦‼」

 

「わ、私は………うどんかな」

 

「お蕎麦にうどんね………なら、この店が良いかな?」

 

「決まりましたか?」

 

刀奈が丁度、店を決めたと同時にキラが会計を終わらせて、戻ってきた。

 

「うん、二人とも蕎麦とうどんが良いって言うから、この店にしたんだけど………」

 

「丁度、僕も麺類を食べたいと思っていたので、良かったです」

 

「あらそう? やっぱり私達って家族ね?」

 

「ちなみに楯無さんは?」

 

「私はね、パスタが食べたかったの」

 

なんと驚きの、キラ達は麺類というカテゴリーで一致していたのである。

 

「なら、時間も時間ですし、行きましょうか」

 

「「「はーい」」」

 

キラの言葉で三人は手を挙げて返事をしたのであった。その様子にキラは可笑しくて笑ってしまう程であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼も食べ終わり、あとは帰宅するだけとなった。

 

「買い忘れは無いですよね?」

 

「ないわ」

 

キラが購入したヴェルデファイアーに乗り込んだ刀奈、明日奈、アリスは助手席に刀奈、後部座席に明日奈とアリスを乗せていた。

 

「では、帰りましょうか」

 

キラはヴェルデファイアーを発進させた。

 

その後は特に問題もなく、更識家へと帰還したのであった。

 

「ただいま戻りました」

 

「ただいまぁー‼」

 

「た、ただいま………」

 

「もう、慣れたら?」

 

キラの声に続き、明日奈が元気よく帰ったことを伝えたが、アリスはまだ恥ずかしい様子で、小声であった。刀奈は、苦笑いをしていた。

 

「お帰りなさい。もうご飯の準備は出来ていますよ」

 

出迎えた琴音の言葉にアリスと明日菜の表情は明るく花が咲いたような笑顔を作り出した。

 

「「ごはん‼」」

 

二人はすぐに洗面所へ向かい、手洗いうがいをして大広間へと駆け出すのであった。

 

「やっぱり、二人は早いねぇ~」

 

「楯無さん、そこじゃないと思うのですが………」

 

「キラ君。気にしない事よ。私は気にしないわ」

 

「………もう良いです」

 

刀奈とキラも洗面所へ向かい手洗いうがいをして大広間へと向かった。

 

「パパ、ママ。遅いです‼」

 

「お父さん、お母さん。遅いですよ‼」

 

キラと刀奈が大広間へと足を踏み入れると、既に自分の籍に座っていた明日菜とアリスに責められたのである。

 

「二人が早いだけだし………それじゃ、せっかく作ってもらった料理が冷めてしまってはまずいわ。それじゃぁ」

 

「「「「頂きます‼」」」」

 

大広間にはキラ達の姿しか無かった。それは、既に使用人たち含め時政、琴音たちは食べ終わっていたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事も終わり、キラ達は宛がわれた部屋に帰っていた。

 

「パパ、ママ。明日はどこに行くの?」

 

「そうだね……あっ、そうだ。二人とも、遊園地に行った事が無かったよね?」

 

「うん‼ 行ってみたい‼」

 

「お父さん。私も行ってみたいです」

 

キラの提案にアリスと明日菜ははしゃぎだした。

 

「フフ、キラ君。お父さんしてるわね」

 

「そう言う楯無さんもお母さんをしていますよ」

 

はしゃぐ二人を見てキラと刀奈は微笑みながら見ているのであった。

 

「さ、そろそろ寝ないと明日の遊園地に行けないわよ」

 

「「はーい」」

 

刀奈の一声で二人は布団の中に潜り込むが、興奮している二人は寝付く様子も無かった。

 

「ねぇ、パパ。遊園地って何があるのかな?」

 

「そうだね……でも、今知っちゃうと明日の楽しみが減るよ?」

 

「ううぅー……明日を楽しみにします」

 

「そうだね。その方が良いよ」

 

キラは明日菜を優しくリズムよく胸のあたりを叩く。すると、明日菜はリズムの所為なのか、それともキラの傍で寝る事によるものなのか判らないが、いつの間にか寝静まっていたのである。

 

「アリスちゃんも寝たわ……子供の寝つきって早いわね」

 

「そうですね……二人とも幸せそうに寝ていますね」

 

キラと刀奈は寝ている二人を見ている内に眠くなり、いつしか二人は寝るのであった。



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第百五話

定期更新はいつまで続けれるんだ?


翌日。キラ達はキラの運転するヴェルデファイアーに乗り、遊園地へと向かっていた。

 

「「遊園地‼ 遊園地‼ 楽しみな遊園地‼」」

 

後部座席に座るアリスと明日菜は、仲良く歌いながら遊園地に着くのを待っていた。

 

「大はしゃぎね、二人とも」

 

「それだけ楽しみにしていると言う事ですよ。楽しい思い出を作りましょうね。楯無さん」

 

「そうね…それはそうと……いつになったキラ君は私の本当の名前で呼んでくれるのかしら?」

 

助手席に座る刀奈はキラの事をジト目で見つめていた。

 

「いや…本当の名前と言われても……今の呼び名でずっと呼んでましたし………それに名前を変えると言うのも……」

 

「私はあなたの婚約者なのだけど? 本当の名前を呼んでくれないと……」

 

「呼んでくれないと?」

 

キラはハンドルを握りながら、嫌な予感がしていた。

 

「イタズラしちゃうぞ」

 

「待って⁉ 今されたら‼」

 

「誰も今するなんて言って無いでしょ? それに、今したら二人が危険な目に遭うじゃない」

 

またしても刀奈はキラの事をジト目で見つめた。

 

「そ、そうですよね⁉ えっ? 今じゃ無かったらいつするんですか⁉」

 

「……言わせる気?」

 

「………アッハイ。すみません………じゃなくて‼」

 

キラは目を見ながら刀奈に反論する。だが、それだけで動じる刀奈では無い。

 

「ダイジョウブよ。二人が寝静まってからね?」

 

「…………」

 

キラは考える事を辞めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キラ達一行は無事に遊園地へと到着した。

 

「わぁー‼ パパ、ママ‼ 見て見て‼ いっぱい面白そうなものがある‼」

 

「お父さん、お母さん。私、アレに乗りたいです‼」

 

明日菜は色々なアトラクションがある事に興奮しており、アリスに至っては既に乗るものを決めていた。

 

「まぁ、入る為には入場券を買わないとね。楯無さん、二人をお願いします」

 

「解ったわ。お願いね、お父さん」

 

「判っていますよ、お母さん」

 

キラはそのまま入場券を買いに向かうのであった。

 

「さ、二人とも。パパが帰ってくるまで「あれ? 楯無さん?」ん? その声は……一夏君?」

 

刀奈がアリスと明日菜の手を繋いでキラが帰ってくるのを待っていると、一夏が楯無の名前を呼んだのである。

 

「どうしたの? 一人なんて珍しいわね」

 

「いえ、友人と待ち合わせをしてまして……と言っていたらいました。おーい、弾‼ こっちだ‼」

 

「一夏‼ って、誰だその美人さんは⁉」

 

一夏の悪友である五反田弾は、刀奈の美貌に驚いていた。

 

「この人はIS学園の生徒会長だ」

 

「更識楯無よ。よろしくね」

 

「は、はい‼ ん? その子供たちは……」

 

弾は刀奈の足元で自分を見つめる子供の存在に気付いた。

 

「ああ、この子達は私の子供よ。正確には婚約者との子供ね」

 

「え⁉ まさかの子持ち⁉ ん? IS学園の生徒会長と言う事は俺らの……」

 

「学年は一つ上よ」

 

「…………」Σ(・□・;)

 

刀奈の言葉に弾は口を大きく開いて驚いていた。

 

「弾、言っておくが……この人の婚約者に驚くなよ?」

 

「………ダン、オウチ、カエル」

 

弾はそのまま回れ右して家へと帰ろうとした。

 

「待て待て、帰ろうとするな‼」

 

「俺、帰って祖父ちゃんの手伝いするわ」

 

「うぉぉい‼ マジで待てや‼」

 

一夏と弾の攻防は始まった。

 

「一夏? どうかしたの?」

 

「あっ、キラか……」

 

キラが入場券を購入して戻ってくると、一夏の他に男がいて一夏が引き留めている所を見てしまったのである。

 

「………一夏、僕はもう楯無さんと言う人がいるから、近づかないでね?」

 

「待って⁉ 絶大な勘違いをしているぞ‼」

 

「さ、皆。遊園地に行こうね」

 

「「はーい」」

 

「おいてかないでぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」

 

一夏の叫び声をBGMにキラ達は遊園地へと入って行くのであった。哀れ、一夏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地に入ったキラ達は早速、子供たちでも楽しめるアトラクションを探していた。

 

「キラ君、これなんてどう?」

 

「これなら二人も喜んでくれそうですね」

 

遊園地の地図を片手に二人は、楽しそうにアトラクションを探していた。何気にこの二人が遊園地を楽しんでそうである。

 

「明日菜ちゃん、アリスちゃん。行くわよ‼」

 

「「はぁーい」」

 

刀奈の呼ぶ声に二人は反応して、刀奈の傍へと駆け寄った。

 

「まず始めにこれから乗るわよ」

 

「ママ、かんらんしゃに乗りたいです」

 

「明日菜ちゃん。観覧車は最後に乗るものよ。最後に乗る観覧車はとてもいいわよ」

 

「なら、最後に乗ります‼」

 

刀奈の言葉に明日菜は最後の楽しみに観覧車を選ぶのであった。

 

そして、四人が来たのはジェットコースターであるが、子供が乗る様に設計された物である。因みに作者は幼少期に乗せられたジェットコースターの所為でトラウマになり、今でもジェットコースターに乗れません。と言うか、高所恐怖症にジェットコースターとか観覧車とか、拷問でしかないからね⁉ オッホン‼ それはさておき。明日菜たちは仲良く手を繋いでジェットコースターに乗り込んだ。

 

「きゃぁぁぁ‼」

 

「あはははは‼」

 

明日菜は降下の際に叫び声を上げ、アリスに至っては笑っていたのであった。

だが、降りて来た二人は笑顔であった。それだけ楽しかったと言う事であろう。

 

それから四人は色々なアトラクションに乗り、お化け屋敷では、刀奈がキラに抱き着いたり、明日菜がちょっと(と言いながら盛大に)チビッたり、アリスは動じない様子であったが、実はチビッていたりと中々、楽しいひと時を満喫していたのであった。




誤字脱字、乾燥、指摘等、ありましたらどしどし送ってください。


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第百六話

気付けば、百話を超えている………今までの作品でここまで書いた作品はあったか‼
答えは…否である‼ これもすべて読者の皆様のお陰である‼
これからも、この作品をよろしくお願い申し上げます。

気が付いたのだが、これで、平成最後の更新になるのですね。
自分は平成の1桁台の生まれです。なんか、まだ20代やのに、おじさんになったなぁーと思ってしまう自分がいる(笑)
明日にも更新しますので、令和最初の更新を楽しみにしてください!


四人は近くにある芝生にブルーシートを敷くと、刀奈が作った弁当を開いたのである。

 

「わぁー‼ これ、全部ママが作ったの⁉」

 

「えっへん」

 

明日菜とアリスの喜ぶ顔が見たくて、朝早くに起きて作った弁当だけあって刀奈は胸を張った。その証拠に胸部装甲が「私の胸はこんだけあるのよ‼ 恐れ戦きなさい」とばかりに主張していた。尚、近くでそれを見ていた男性陣は奥さんや彼女によって制裁を下されると言う。

 

「お母さん、凄い」

 

アリスも刀奈の作った弁当に驚いていた。

 

「さ、皆。手を拭いて……食べましょ」

 

「「「「頂きます‼」」」」

 

四人は仲良く弁当を食べるのであった。

 

「さぁて、次のアトラクションへ……ってあれ?」

 

刀奈は普通ならはしゃぎだす子供たちが静かなのに気付き見渡すと、そこにはキラの膝で眠る二人があった。

 

「フフ、弁当も私達よりも食べてお腹いっぱいで眠っちゃったのね」

 

「そうですね。僕も気付いたら二人が寝ていたんでびっくりですよ」

 

キラと刀奈は眠る二人を見て、微笑んでいた。すると、刀奈は徐にアリスと明日菜のほっぺに指を当て、ツンツンとさせ始めた。

 

「う、うーん……もう、お腹いっぱいなのです」

 

「レディーは食べ過ぎないわ」

 

寝言でキャラが違った発言をしているが、所詮は寝言である。二人は二人をそのまま寝かすのであった。

 

「そう言えば、学園の方は大丈夫なのかしら?」

 

「そうですね。今の所は平和そのものです」

 

キラの持つ通信機には緊急を知らせるアラートが鳴らされる事も無く、穏やかである事に安心していた。

 

「平和って、こうしてみると良い物ね………」

 

「そうですね………」

 

二人は平和な一時に身を委ねていた。それもその筈である。学園始まって以来、平和と呼べる平和が無かったのである。イベントの事々に乱入があったり、襲撃があったりと無事にイベントを行う事が出来なかったのである。また、以前に学園祭があった時には明日菜が某国の大統領にって誘拐されると言う一大事件があったばかりである。

二人はこう言う平和が続けば良いのにと言う思いがあった。だが、その平和は撃ち破られる事となる。

 

「キィィラァァァァ‼ よくも見捨てたな‼」

 

「一夏、二人が寝ているから静かにしようか?」黒笑顔

 

「あっはい。すみませんでしたぁぁぁ‼」

 

一夏はキラの殺気と笑顔により、その場でジャンピング土下座を繰り出したのである。

 

「初めて見たわ、ジャンピング土下座………」

 

刀奈は一夏の華麗なジャンピング土下座に舌を巻いたのであった。

 

「一夏、速いぞお前……ハァハァ……あれ? 更識先輩に……えーと、どちら様ですか? それから、なんで一夏は土下座なんてしてるんだ?」

 

いきなり走り出した一夏を追いかけて来た弾であったが、一夏は土下座をしているしニコニコと笑っている楯無、そして先程あった子供たちを膝に乗せて眠らせている男性が居るならば、驚くのも他でも無かった。

 

「そう言えば、自己紹介がまだだったね。キラ・ヤマトです。一夏、君の友人は僕の事を知っているのかな?」

 

「いや、知らない。と言うか、俺が部隊に入っている事も知らないからな」

 

一夏とキラの会話に弾は引っ掛かりを覚える。

 

「ん? 一夏。お前、部隊に入ってるって……」

 

「そうか、弾達には言って無かったな。俺は先日にIS学園に新たに設立された特殊武装隊“アークエンジェル隊”に入隊したんだ」

 

「お前が……死ぬなよ?」

 

「死なねぇよ。それで、この人は俺の部隊の総部隊長だ」

 

「は?」

 

一夏の紹介を受けたキラはニコニコと笑っていたが、弾は信じられなかった。

 

「はぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

「静かにしようか」黒笑顔

 

「すいませんでしたぁぁぁぁ‼」

 

弾はその場でジャンピング土下座を繰り出した。

 

「こっちもこっちで綺麗なジャンピング土下座ね……」

 

刀奈は関心すかの様に呟くのであった。

だが、明日菜とアリスはこの騒音の中、眠り続けていた。

 

「因みに歳は………」

 

「一夏達と同じ年だよ」

 

「………もう、俺は驚かねぇ。というか、更識先輩「あら、楯無で良いわよ?」…楯無さんの子供がヤマト「キラで良いよ」…キラさんの膝で寝てますけど……まさか?」

 

「そのまさかよ」

 

「………神はこの世にいなかった」

 

弾はそのまま膝から崩れ落ちorzの状態となった。

 

「さて、そろそろ私達も行きましょうか」

 

「そうですね……そうだ、一夏」

 

「なんだ?」

 

キラに呼ばれた一夏は崩れ落ちている友人を慰めながら、キラの方を向く。

 

「もし、何かあった時はすぐに呼んでね」

 

「解った。アスラン達にも伝えておく。キラ達も楽しんでな‼」

 

「うん、ありがとう。一夏」

 

「一夏君も楽しんでね。それから、お友達もね」

 

刀奈はそう言うとウインクを弾に送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫らくして、明日菜とアリスは起きるとすぐにアトラクションの方へと走り出したのであった。

四人は遊園地を満喫すると、最後の締めとして観覧車へと乗り込んだ。

 

「パパ、ママ‼ 人が、人が‼」

 

「ゴミの様だな」

 

明日菜の言葉を引き継いだアリスが某大佐のセリフを言って、その場を笑いに変えていた。

 

「ん? ママ、パパ。なんかこっちに来てるよ」

 

「「え?」」

 

二人が明日菜の指す方向を目をやると、そこには黒いISがバックパックに装備されている二門の砲門を向けていたのである。

 

「スローターダガー⁉ 拙い‼ 楯無さん‼」

 

「二人とも、こっちに来なさい‼」

 

キラの指示で刀奈は明日菜とアリスを抱きしめた。キラは観覧車から飛び出すと同時に、ストライク・フリーダム・フェニックスを展開させ、スローターダガーの前に躍り出ると、シールドを展開させたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください。




どうでも良い話。

サバゲ―に行こうとしています。因みに、装備はM16A2とG3A3、L96‐AWS、デザート・イーグルの四丁を持っていく予定です。
もし、サバゲ―に行ったら、活動報告にでも上げますかね。


では、次回もよろしくお願いします‼


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第百七話

令和に入っての初の更新です。
これからも、この作品を宜しくお願いします。


「ん? ママ、パパ。なんかこっちに来てるよ」

 

「「え?」」

 

二人が明日菜の指す方向を目をやると、そこには黒いISがバックパックに装備されている二門の砲門を向けていたのである。

 

「スローターダガー⁉ 拙い‼ 楯無さん‼」

 

「二人とも、こっちに来なさい‼」

 

キラの指示で刀奈は明日菜とアリスを抱きしめた。キラは観覧車から飛び出すと同時に、ストライク・フリーダム・フェニックスを展開させ、スローターダガーの前に躍り出ると、シールドを展開させると同時に、キラは勧告を行う。

 

「こちら国際IS学園特殊武装隊アークエンジェル隊だ‼ すぐに武装を解除せよ‼ 繰り返す、すぐに武装を解除せよ‼ さもなくば防衛手段として攻撃を行う‼」

 

キラの勧告に対して、スローターダガーは沈黙を貫きドッペルホルン連装無反動砲を放ったのである。

 

「警告は行った‼ これより貴機を攻撃する‼」

 

キラはシールドで無反動砲の攻撃を防ぐと、ビームライフルを掲げ引き金を引く。放たれたビームは、スローターダガーのコックピット部分を貫いた。だが、スローターダガーは爆発する事無く地上へと落ちていく。

キラはスローターダガーの腕を掴むと、そのまま誰もいない場所へ降り立つ。キラはゆっくりとスローターダガーに近づいていく。

 

「無人機………誰が………」

 

「キラくん‼」

 

キラはスローターダガーが爆発しない事を確認すると、機体を量子変換させ待機状態に戻した。すると、楯無が明日奈とアリスを連れてキラの近くへと寄ってきた。

 

「楯無さん……学園には?」

 

「さっきしたわ。もう少しで一夏君が来るはずよ」

 

楯無がそう言うと同時に一夏が上空から降りて来たのである。

 

「キラ、大丈夫か?」

 

「うん、僕は大丈夫だよ………それよりも、一夏。他の皆は?」

 

「もう少しで到着する頃だけど………」

 

一夏がそう言うと、アークエンジェルを始め、ドミニオン、ミネルバの三隻が海上に着水する。それと同時にアスラン達もキラ達の許へと向かってきたのである。

 

「キラ‼」

 

「アスラン、すぐにこの機体をアークエンジェルに‼」

 

キラは爆発を免れた、スローターダガーをアークエンジェルに運ぶ様にアスランに言う。だが、アスランは今更、スローターダガーを回収した所で、成果が無いと考えたのである。

だが、キラの考えは違っていた。

 

「アスラン、この機体には今までと同じモノを搭載していない可能性があるんだ。だから、一度学園に持ち帰って篠ノ之束博士に見てもらいたいんだ」

 

「そう言う事か。判った‼」

 

アスランは機体を展開したままあという事もあり、そのままスローターダガーをアークエンジェルへと持ち帰ったのであった。

 

「坊主、これはどこからの攻撃だと思う?」

 

「………第三の介入の可能性もあります………ですが、第三の介入するにしても、ロゴスの幹部であるロード・ジブリール、ムルタ・アズラエルはこちらの陣営にいますし、デュランダル氏もこちらにいます。現状、僕たちと戦える陣営は、女権でしかないと考えられます」

 

「それだと、キラの言っている事と矛盾しているが?」

 

ムウの言葉にキラは頷いた。

 

「なので、スローターダガーを回収したのです。あの機体を研究すれば、どこで製造されたのかも解りますからね………」

 

キラはそう言うと楯無たちに振り返った。その表情は申し訳なさそうである。

 

「すみません、楯無さん。僕はこれから学園に戻らなくてはなりません。ですので、今日の事は後日、改めて出かけましょう。明日奈、アリス。ごめんね」

 

キラの言葉に楯無は微笑みを浮かべる。

 

「大丈夫よ、キラくん。でも、私の方でも調べるわ」

 

「お願いします」

 

楯無は更識家の持つ全てのコネを使って、調べようとしていた。明日奈は少し寂し応な表情をしていた。一方のアリスは特に表情を変える様子はなかった。

 

「パパ……絶対にみんなで出かけられる?」

 

「勿論だよ。約束しよう」

 

キラはそう言うと小指を立てた。明日奈も見習って小指を立てると、キラの小指と絡み合わせた。

 

「「指切りげんまん、嘘ついたらハイマット・フルバーストを喰らわす。指切った」」

 

この指切りを聞いた皆は心を一つにして思った。

 

〈物騒な事を娘に教えんな⁉〉

 

同じことを考えていた事を作者は作者は言ってみたり………冗談はさておき、キラと明日奈の指切りも終わると、キラはアリスへと近づく。

 

「お父さん、もしかしたら今回のテロ………私が狙われた可能性はありますか?」

 

アリスの言葉にキラは絶句した。アリスは元々はキラのクローンとして生み出された存在である。その存在を消すのは組織としては当たり前のことである。

 

「可能性としか言えないかな」

 

「キラ君⁉」

 

キラの言葉に楯無は驚く。

 

「だけど、僕たちはアリスを引き取ったんだから、最後まで見届けなくちゃいけない………こんな事件に巻き込まれて死ぬなんて事、僕は絶対にさせないから」

 

「………そうね。キラくんの言う通りだわ。私もキラくんと同じ気持ちよ。だから、安心して」

 

「はい、お父さん、お母さん」

 

アリスはそこで漸く笑顔を見せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある組織の地下室では、作戦が失敗したことが報告されていた。

 

「遊園地にて被検体K-1973の殺害に失敗。機体が鹵獲されてしまいました………誠に申し訳ありません」

 

一人の研究者が頭を下げた。地下室には色々な部署の関係者が集まっていたのである。

 

「………作戦が失敗した要因は何かね?」

 

「はい。要因と致しましては、国際IS学園特殊武装隊アークエンジェル隊の隊長であるキラ・ヤマトによる妨害です」

 

研究者の発表にそれぞれの部署の関係者らはあざ笑うかのように小声で話していた。

 

「それだけが要因じゃないだろうに………」

 

「データを見たが………機体が欠陥だらけだ………しかも命令通りに動いていなかったらしいぞ」

 

「やっぱり、落ちこぼれ研究者には荷が重かったのかもな………」

 

小声でありながら、研究者の耳には入っていた。研究者は悔しさのあまり拳から血が出ていた。

 

「皆の者、静粛に………」

 

一人の男性がその場を静めさせた。

 

「君には後程、処分を言い渡す………それまでは自室謹慎だ」

 

「…………はい……」

 

研究者には自分の末路を理解していた。研究者が所属している組織は実力主義者たちが集まっている。実力が無いものは抹消される運命なのである。

研究者は一旦の処分を聞くとそのまま自室へと戻っていった。

 

「さて、これからの事を考えなくてはならないな………何かいい案はあるかね?」

 

『……………』

 

男性の言葉に誰も言葉を発しようとしなかった。

 

「やれやれ………では、様子見と言うk「ちょっと待って頂きたい」………君か………なにかね?」

 

男性の言葉を遮ったのは、先ほどの研究者よりも若い青年であった。

 

「私にいい考えがあります」

 

青年の考えにその場にいた全員が納得させるものであった。

果たして、それがキラ達にどう影響していくのか………それは神のみぞ知る事、だけである。



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