不遇な朝田詩乃に寄り添いたい (ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_)
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話が進めば、書き足されたり、後々「ここ要らないな」と思って書き直したり等があります。主人公の名前の読みを忘れたとか、こいつ誕生日この日じゃなかったっけとか、各々役立ててください( _´ω`)_
気になった所があれば、言ってくれていいんですよ( _´ω`)_
ヤンデレは何歳だろうがいつ何処で好きになろうが、好きになったら等しく病みます。
人一倍好きだから病む訳では無いので悪しからず……( _´ω`)_
【名前】
【性別】男
【誕生日】1/1
【今作のポジション】オリジナル主人公
【好きな食べ物】カレー・肉じゃが
【嫌いな食べ物】セロリ
【詩乃の呼び方】
【リアル】朝田さん→詩乃ちゃん
【心の中】詩乃ちゃん
【備考】
【小学校編】本作のオリジナル主人公。前世では大学入試合格直後、つまり19歳前後で神から「死亡」の刻印を押され、SAOの世界へと転生した。それに関しては、「願った事だし、後悔はない」と思っている。
ヤンデレ詩乃ちゃん略して「ヤン詩乃ちゃん」に物凄い好かれているが、本人はまだ気付いていない模様。様子がおかしいとは思い始めているようだが、深く勘繰っている訳では無く、良くいえば現状維持、悪くいえば放置している。
声変わり前なのか、声だけ聞けば女の子のようにも感じる、とは詩乃談である。
【事件後】
第11話「朝田詩乃に寄り添いた……かった」の病室シーンにて、詩乃ちゃんが病んでいる事に気付き、その気持ちを無視する事も出来ず、毎日対処に手を焼いている。
右頬に小さな銃痕が残ったが、友達が詩乃ちゃん以外に居ない出雲には全く問題なかった。
【GGOの名前】シュウ
【GGOのポジション】前衛
【二つ名】
【名前】
【性別】女
【誕生日】8/21
【今作のポジション】ヤンデレ系メインヒロイン
【好きな人】柊 出雲
【嫌いな人種】力任せな人
【出雲の呼び方】
【リアル】柊君→出雲
【心の中】彼
【備考】
【小学校編】柊 出雲と出会い、一目惚れで好きになる。魂の本質が【ヤンデレ】であり、この頃はまだ「好き」で「病んでいる」状態で、まだ「ヤンデレ末期」にはなっていない。
出雲の学力に追いつくため勉強したり、難しい本や辞書を読みふけっているので、小学5年生にしては頭が良く、精神も発達している。しかし、時々子供らしい一面を見せることがある。
基本的には自分からグイグイ攻めていくのだが、攻められるのには弱い。
原作では、父の死により、精神年齢が10歳前後にまでなってしまった母を守る事に、強い義務感を感じていたが、この作品ではその義務感は、オリジナル主人公への愛に変わっている。
【事件後】
一時は「出雲に嫌われた」と思い込み、考える事を放棄していたが、出雲自身の言葉と行動により精神が回復。普段はツンデレのように振る舞うが、欲望や「好き」という気持ちが爆発すると、半ば強引に出雲を押し倒しキスをする。頻繁に起こる訳では無いが、何か嫌な事があったり、ストレスの溜まる事があるとよく爆発する。
最近は、出雲に論され、表面上は他者と少しづつ絡むようになってきた。
【補足】オープンスケベと化した女神。サキュバス並に行為をせがんでくる。
【GGOの名前】シノン
【GGOのポジション】後衛・スナイパー
【二つ名】
【名前】
【性別】女
【誕生日】2/4
【ポジション】ヤンデレ系メインヒロインの母親
【備考】
【小学校編】子供っぽい、天然な母親。詩乃ととても仲が良く、いつも笑っている。
詩乃が2歳の頃、旦那を事故で亡くし、その時に精神が壊れそうになったが、まだ幼い詩乃を抱きしめ、精神崩壊を免れた。これは、原作との違いである。
【事件後】
原作とは違い、詩乃ちゃんに一定の理解を示している。
詩乃ちゃんが療養している間にも、何度かお見舞いに来ていたが、考える事を放棄していた詩乃ちゃんの頭には届かず、療養中に会話はなかった。
【名前】
【性別】男
【誕生日】9/4
【ポジション】オリジナル主人公の父親
【備考】
【小学校編】優秀な仕事人で、結構稼いでいるやり手のサラリーマンである。平日は毎日朝早くから出勤するが、その分早く帰って来て、1日1時間は「家族の時間」を作っている、理想の父親。
休みの日はプールに家族や詩乃を連れて行ったり、近所さんを呼んでバーベキューに行ったりと、近所付き合いも上手い。
【事件後】
出雲の事や詩乃ちゃんの事をとても気にかけており、最近は早くに仕事から帰ってきて出雲達と遊ぶようにしている。自分に出来る事、やれる事は全てやるつもりだ、と言っていた。
【名前】
【誕生日】12/27
【性別】女
【ポジション】オリジナル主人公の母親
【備考】
【小学校編】普通の主婦。朝早くに起きお弁当を作り、家事をして昼間休み、また午後に家事をやるのルーティーンを繰り返している。毎日の「家族の時間」と休日が楽しみで、最近は裁縫にハマっているらしく、出雲の服や詩乃の服、ハンカチetcを大量生産している。ご近所にもお裾分けしていて、中々評判も高い。
【事件後】
あまり「事件」については触れず、いつも通り振る舞うようにしている。特別優しくする事もなく、勿論厳しくする事も無く。
今まで過ごしていた「日常」を、また過ごさせてあげようという、出雲母なりの優しさである。
原作との違い
1.オリジナル主人公の存在
2.詩乃母の精神安定
3.詩乃ちゃんヤンデレ化(そしてそれに伴う大きなキャラ崩壊)
4.詩乃ちゃんのPTSD未発症
GGOの《結婚》システムについて
メリット
どちらかが経験値を得ると、パートナーは経験値の2割が貰える(片方は10割、パートナーは2割で、その分経験値が減る訳では無い)
アイテム・資金が完全共有化され、プレイヤーに倒された場合のドロップ確率が減少する。
《結婚》している者限定のクエストやアイテムを手に入れる事が出来る。
《論理コード解除》が可能になる。
パートナーの位置が常にマップ上に映し出され、把握できる様になる。
デメリット
《結婚》した瞬間からアイテム・資金の完全共有が始まり、アイテムや資金に《鍵》をかけることが出来なくなる。
それに伴い、どちらかが他プレイヤーにキルされた時にドロップするアイテムがパートナーの物の場合もある。
別々のスコードロンに入る事が不可になる(片方がスコードロンに入った場合、そのパートナーがそのスコードロン入らなければいけない訳では無い)。別々のパーティーへの参加は可。
パートナーをキルしてしまった場合(故意かどうかは問わず)、共有資金の3割と共有アイテム5つが《消滅》する。(《消滅》とは、ゲームそのものからの消滅を指し、ゲーム内に個数制限のある武器又は防具が消滅した場合、サーバー上から削除され2度と手に入らなくなる)
異性との2人パーティーが組めなくなる。
尚、《結婚》システムは、1アカウントにつき2回まで行えます。
GGOの《離婚》システムについて
結婚している状態で
メニュー→ヘルプ→その他→結婚
の順で行くと、
現在〇〇と《結婚》状態です。
と表示されます。そこで右上にあるヘルプへ行き、一番下へスクロールすると《離婚》の文字があります。その文字をタップすると、《離婚申請をしますか?yes/no》と表示され、yesを押した場合、パートナーに《〇〇から離婚申請が来ました。承諾しますか?yes/no》と出ます。そこでパートナーがyesを押した場合のみ、《離婚》が決定します。
資金は完全に折半ですが、アイテムのみ一時的に《共有ストレージ》と《ストレージ》の2つが現れ、自分のアイテムを移すことが出来ます。《共有ストレージ》は発生から24時間で中のアイテムごと消滅します。
【嫌いな人種】力任せな人
読者一同
_人人人人人人人_
> 誰だよそれ <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
ナイスフラグ
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番外編・if的なもの
朝田詩乃を祝いたい
登録者2500人越えてるし、
UA80000越えてるし、
もう開き直ってやらなくてもいいかなーなんて思ったり( _´ω`)_
まぁやるんですけどね( _´ω`)_
待たせた割に短いのは許してください……( _´ω`)_
時系列的には、事件前、小学5年生の夏休みです( _´ω`)_
皆さん、明日は大イベントだ。
明日は8/21日、そう!詩乃ちゃんの誕生日なのだ!
なので、今日は詩乃ちゃんの誕生日プレゼントを買おうと思う。何を買うかは決めてないが、とりあえず近くになんでも揃ってそうな「いかにも!」って感じのショッピングモールがあったので、そこに来てみた。こんなのあったっけ。
もちろんの事だが、詩乃ちゃんは付いてきていない。今は夏休みだが、そんな事お構い無しに毎朝6時に起こしてくる。自分で言うのもなんだが、朝が絶望的にダメな僕は、もちろん6時前に起きて来るなんて不可能である。
ので、徹夜した。物凄く眠い。でも詩乃ちゃんの為ならばとがんばりました。まる。
しっかし、何を買おうか。原作詩乃ちゃんが付けてたような髪飾りは、既にあげてしまったし。「事件」の年ではあの髪飾りは付けていなかったが、今の年でもとても似合っていた。やはりあげて正解だったな。
……話が脱線してしまったな。何をあげればいいか、だったか……この際、詩乃ちゃんが何が欲しいかを考えるのはやめにしよう。考えたってわからない。原作詩乃ちゃんはGGOと読書を抜けばほぼ無趣味だったからな……本でもあげればいいのか?いや、それはなんか嫌だ。それに僕程度が「面白そう」なんて思った本は、既に読んでいるだろうし。
あー。スマホ持ってればなー。すぐに調べたのに……僕持ってないよちくしょー。
嘆いていても仕方ない。まずはショッピングモールを回って、いいものが見つかったら、それを買うとしよう。
ない!
僕の所持金で買えて、尚且つ詩乃ちゃんが喜びそうなものが!服もアクセサリーも高いよ!いつかは買ってあげたいけど、今は所持金が……うぅ、小学生辛い……
「……ん?」
そこで僕の目に止まったのが、とある花屋。ショッピングモールの出入口にある、小さな。
……花。花かー……花って結構高いんだよなぁ……でも、もうこれくらいしかないかな?流石に大きな花束なんかは買えないが、2本か3本くらいのなら……?
「あの、すみません」
「はい?」
店員のお姉さんが、こちらを向く。うん、可愛いけど、詩乃ちゃんには及ばないな。
店員に、いくつか花を見繕ってくれるように頼むと、
「彼女さんにプレゼントですか?」
と聞かれたので、少し悩んだが、はい。と答えておいた。そしたら、3本の、それぞれ別の花を見繕ってくれた。とても綺麗だが、何の花かは知らない。
「あの、この花はなんですか?」
「あぁ〜……恋人さんにあげるのに、最適のお花ですよ」
と言って、教えてくれなかったが、まぁいいだろう。明日、これを渡せばいい。
その後家に帰り、花をバレないように保管する。切り花は長持ちしないと言うが、1日程度ならば大丈夫らしい。しっかりと世話をすれば、長持ちするとも言っていたな。
明日が楽しみだ。
翌日の朝、詩乃ちゃんよりも早く起きて逆に詩乃ちゃんの部屋に突撃……出来たら良かったのだが、生憎6時起きの詩乃ちゃんよりも早く起きれるわけがなく……
今日も今日とて詩乃ちゃんに突撃されました。
「……今日はもう起きてるのね」
なぜだか残念そうな顔で部屋に入ってくる詩乃ちゃん。気にせず、僕は隠しておいた花を取る。午後からは、普通に遊んだり、家族団欒したりあるだろうしさ。
「詩乃ちゃん」
「何?」
「誕生日、おめでとう!」
さっと、後ろに隠していた花束(3本だけだけど)を出す。驚いたような顔をして、そのまま固まる詩乃ちゃん。
何も問題ないよね?大丈夫だよね?何も喋らないから不安なんだけど……
「……これ、私、に?」
「う、うん。そうだけど……誕生日でしょ?」
「そう……そぅ……」
泣き出した。どうしよう……はっ!な、泣かせるつもりは無かったんだ!許してくれ!やっぱり僕なんかが、花束なんて物をあげちゃダメだったって事かな……!?
「えっと……大丈夫かな?」
「大丈夫……嬉しくて……ありがとう、大事にするね……!」
あぁ……喜んでくれて良かった。
さっきのが喜びの涙だと知った僕は安堵し、胸を撫で下ろす。詩乃ちゃんが、その手に持つ花束を折らないように、優しく持ちながら僕を真正面から抱き締める。
いつもなら力強く抱き締めてくるのだが、今回は優しかった。力強くすると花が折れちゃうからね。仕方ないね。やっぱり僕は優しく抱き締められる方が好きかな。
その後、抱き締めるのをやめた詩乃ちゃんは、足早に自宅家へ帰っていった。切り花は管理が大事って事を知っていたようだけど……小学生にしては博識だよなぁ……
8/21、今日は私の誕生日……私は変わらず彼を起こしに行く。だが、今日は珍しく彼が既に起きていた。彼の寝顔を拝めないのは残念だが、まぁいい。その分長く彼と会話出来るから。
……?何をごそごそしているのだろう。
「詩乃ちゃん」
満面の笑みで私の顔を見る彼のその姿に、私の胸が高鳴るが、もう表に出す事は無い。帰ってからが大変だが。
「何?」
「誕生日、おめでとう!」
……言葉も出ない。ただ私は嬉しくて、涙が流れた。今まで、彼には色々な物を貰った。目に見える物から、目に見えない物まで……毎回毎回、何かを貰う度に、私は堪らない程嬉しくなる。
「……これ、私、に?」
「う、うん。そうだけど……誕生日でしょ?」
「そう……そぅ……」
思わず問いかけるが、やはりこれは私への誕生日プレゼントで間違いないようだ。もう嗚咽でまともに喋る事も出来ない。
「えっと……大丈夫?」
心配そうな顔を向けてくるので、花を受け取って彼を抱き締めて安心させる。
「大丈夫……嬉しくて……ありがとう、大事にするね……!」
お礼も忘れずに。
そのまま数分抱き締め、名残惜しいが離れて急いで家へと帰る。早く花瓶にささなければ……
貰った花は、白いカーネーション、赤い薔薇、アイビーの3本。花言葉は、左から「純粋な愛」「愛情」「永遠の愛」……恐らくだけど、知ってて選んだのではないだろう。彼は花言葉で告白するようなロマンチストではない……
翌日、私はガマズミとアジサイとイカリソウをあげた。彼は喜んでくれたようで、私も嬉しくなった。
「誕生日にあげたのに翌日お返しを貰うなんて、変だね」
「あげたくてあげたのよ、気にしないで」
「うん……それで、なんでこの3本なの?」
「……なんとなくよ。綺麗でしょ?」
「うん、そうだね。本当にありがとう、詩乃ちゃん!」
ガマズミの花言葉は「見捨てたら自殺する」
アジサイの花言葉は「貴方は冷酷で美しい」
イカリソウの花言葉は「貴方を絶対に逃がさない」
ただこれをやりたかっただけ( _´ω`)_
最近、毎話誤字報告をしてくれる方が居てですね……
この場でお礼を言わせて頂きます。誤字報告して頂き、誠にありがとうございます( _´ω`)_
感想や評価も増えてきて、嬉し過ぎてヤンヤンしそうです()
こう見ると誤字結構多いですねぇ……( _´ω`)_
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朝田詩乃とクリスマス if
まったくの不意打ちだったろ!馬鹿め!ヤン詩乃ちゃんを見て幸せになりやがれ!
ちょっとTwitterとかで仄めかしたけど!
引越しも終わり学校も決まりある程度余裕が出来たとかそういうん全くないけど書きます( _´ω`)_
最近はバイクでツーリングしたくなってきました。来年の夏休みに中型バイク免許を取りに行こうと思います( _´ω`)_
ヤン詩乃ちゃんに殺されたい……(唐突な本音)
「朝田詩乃と999本の薔薇」の後のIF的なアレです。
本編ではないです。
本編まだ12月じゃないです。
後今回純愛要素多めです。なんかごめん。
ク〜リスッマッスがっ♪今っ年もやって来たぁ〜♪悲しっかったっ♪出来事も♪消し去るよ〜をに〜♪
さぁ〜パジャマを脱いだら♪
「ヤりましょう!」
犯されます。
パジャマを脱いだら犯されます。嫌です。その手を離してください。クリスマスの朝ですよ。なんで全裸で靴下だけ履いてるんですか。「今年のクリスマスプレゼントは、この☆わ☆た☆し☆」とでも言うつもりですか。上手くねぇんだよぉ!
「離っ……やめ……ヤメロー!
こんな時間からなにしてんのさぁ!寒いでしょそれ!クリスマスの朝は冷え込むよ!外見なよ!ホワイトクリスマスだよ!☆ホ☆ワ☆イ☆ト☆ク☆リ☆ス☆マ☆ス☆!」
「こんな時でも心配してくれるのね……優しいわ」
「ラノベの定番ウイスキーボンボンでも食べた!?」
「今日はクリスマスだからヤりましょう」「今日は寒いからヤりましょう」「今日はハロウィンだからヤりましょう」「特に理由はないけどヤりましょう」と、「あの日」以来なにかと理由を付けて僕の体を求めるようになった詩乃ちゃん。最初は1ヶ月もすれば元に戻るだろうと思ってた。今までもそうだったし。
なのに何故か戻らない。そのせいで僕は朝に強くなりました。悲しぃかな。
朝ご飯食べたら普通の詩乃ちゃんに戻るんだけどなぁ……
取っ組み合いの結果、ボクが詩乃ちゃんを
いつもの攻略ルートだね。布団洗わなきゃ。
「ねぇ、出雲。今日この後って予定はある?」
「ん?んー……特に無いけど……何処か行くのかい?」
何かしらの誘いはあるかなと考えていたが、結局イヴ当日まで誘いがなかったもんで大人しくする気かと思ったんだが……そうじゃなさそうだな。
「実はね。前々から行きたかった遊園地があるの。一緒に行きましょう?」
「ん、良いよ。いつ行くんだい?」
「今」
デジャブを感じるよ?
苦笑いをしながら頷き、着替えを始める。僕はさっさと着替え終わったが、詩乃ちゃんは下着姿のまま「あの服がいいかな」「この服がいいかな」と悩みに悩んでいる。
口出しをしても「貴方の横に立つ相応しい格好をしなきゃいけないの」と言ってやめないので、もう諦めた。ギリギリな事もあるが、ちゃんと時間は守ってくれるので別にいいし、詩乃ちゃんの下着姿も眼福なのでこのままでいい。やっぱり止めなくていいや。
服が決まり、電車に乗って詩乃ちゃんが気になっていたという遊園地へと向かう。原作キリトくんみたいに、バイクでカッコよく参上したりしたかった……んだけど一緒に暮らしてるしこんな寒い日にバイクとか考えられないね。
右隣にいる詩乃ちゃんを横目で見てみると、何やら窓の方を向いている。
「……?」
気になって首を右隣の方に向けると、手袋を外した詩乃ちゃんが、窓の結露に細指を這わせ何かを描いていく。
「…………」
少し頬を赤く染め、空いている方の手で僕の手を握りながらスラスラと書いていく。窓の方に目を向けると……鈴、いや、ベルだろうか?チャペル等にありそうなベルを描いており、書き終わったと思ったらボーっとそのベルを見つめていた。
「ベルかい?上手いね」
「そ、そう?なんでもないわ」
チラッとこちらを見て、焦ったように暖かい吐息を窓に当てて描いたベルを薄くする。何だろうと思ったが、それを聞く前に詩乃ちゃんが結露に指を這わせた事によって濡れた左手の指先を、そのまま手袋の中に入れようとしているのを見て、慌てて手を掴む。
「そのまま手を入れたら手袋の中が濡れてしまう」
そう言って、僕の右手で詩乃ちゃんの左手を包み込む。
「今日は寒いからね。一緒に温まろうか」
普通なら小っ恥ずかしい事も、ここ数年で口からスラスラと出るようになってきた。別に僕が女ったらしな訳じゃないからね。言えるのは詩乃ちゃんと2人きりの時ぐらいさ。
「あり……がとう……」
顔を赤く染め、そっぽを向いてしまう。しかし握られた左手は固く閉じられ、じんわりと2人の手の温度が混ざり合い心地よくなって行く。
詩乃ちゃんは性愛や独占愛なんてものは難なくこなすが、ただ一つ、「純愛」という物に弱い。
AVや映画の濡れシーンなんかを見ても顔を赤らめる事は無いが、普通のラブストーリーや王道の恋愛ドラマなんかの、特にキスシーンとかとなると顔を赤く染めチラチラとしか見なくなる。
今まで「純愛」という物を体験せず、「独占愛」なんて物しか知らずに育った弊害とも言えるか。歪んだ心を持っている者に、真っ直ぐな物は合わないのだ。
『次は〜○○〜○○〜』
「あ、こ、こ↑こ↓よ!」
「うん?」
ちょっとイントネーションがおかしかった気もするが、まぁ、気のせいだろう。詩乃ちゃんに手を引かれるまま電車を降り、改札を出てバスに乗る。
中々大きい遊園地らしく、直通のバスまであった。
「ね、詩乃ちゃん。着くまで暇だし、何かゲームでもしないかい?」
「ゲーム?……そうねぇ……そう言うには、何かあるんでしょうね」
「えーっと……ねー………………」
「分かったわ。もういい」
思い付きで発言するような男でごめんね。
でも暇なんだもん。アミュスフィア持ってくる訳にも行かんし、だからって各々携帯で好きなの見て、なんてやだし。
「あ、そうだ!ならさ。詩乃ちゃんの昔の事聞かせてよ」
「昔の事……って言っても、私の一番古い記憶にも貴方がいるのだけど?」
「でも、その時の詩乃ちゃんが僕の事どう思ってたかとか、わかんないでしょ?だから教えて欲しいな〜って。いつ好きになったとかも教えて貰えると嬉しいよ」
う〜ん。恥ずかしいなこれは。キザな台詞を吐く方がまだ気が楽だよ。「僕の事いつ好きになったの?」「こ、去年ですね」なんて簡単に聞けるわけ……え?アレ?なにい(ry
「……そんなに聞きたいの?」
その言葉に僕は「聞きたい!」と念押しする。少し赤くなり、顔をポリポリと人差し指でかき「仕方ないわね」と過去の事を振り返り教えてくれた。
「事件」の話に入った時に「辛いなら無理して話さなくていいんだよ?」と言ったが、「私にとっては大事な事なの」と言い、話してくれた。少し所ではなく猛烈に恥ずかしくなり、繋いでいない方の左手で顔を隠しながら反対方向を向く。今絶対顔真っ赤だと思う。クスクス笑う声が聞こえるけど、逆の方が多いって事忘れるなよ!仕返しするからな!
「ジェットコースター楽しかったわね!……大丈夫?」
「だっ、大丈夫……大丈夫……」
何を隠そう僕はジェットコースターが苦手なのだー……とでも言い出しそうな場面だが、全くそんな事は無い。得意ではないが苦手でもない部類だ。ちなみに苦手なのはメリーゴーランド。僕が幼少期に行った所だけなのかは知らないが、とても股が痛くなる。上下運動(下ネタにあらず)が激しいんだよ!
話が脱線したが、まぁ、僕がこうなってるのは簡単に説明すれば詩乃ちゃんのせいなのである。全部。紛うことなき、全てが、だ。
「普通7回も乗るかい……」
「この遊園地の目玉よジェットコースターは」
「に、してもだよ」
途中昼ご飯を挟んだから余計に辛い。吐きそう。お前らアレだからな。「流石に何回も乗ったら慣れるだろ〜」とか思ってるだろ。慣れないからな!7回オール見事に辛いからな!!
「そろそろ暗くなってきたわね」
「えっ嘘ジェットコースターしか乗ってないよ?」
本当だった。夜の遊園地は明るいので上を見なければ分かり辛いが、空は真っ暗だった。ジェットコースターに乗ってる時は途中から目を瞑って横に座る詩乃ちゃんの嬉しそうな叫び声に集中していたから、よく分からなかった。
「さっ、観覧車乗りましょ!吐き気覚ましにもなるわよきっと」
「い……いやいや。外で新鮮な空気吸ってた方が、よっぽど吐き気覚ましになると思う……」
「カップル1組で」
「話を聞くんだお願いだから」
係員のお姉さんに「すみませんこの観覧車の営業は1時間後になります」と申し訳無さそうに言われた。夜限定の観覧車か……ナイト遊園地って奴か?夜からが本番なのか、この観覧車は。
「あ〜……じゃあ、その辺のベンチで休みましょうか」
「ぉぅ……」
ベンチに腰掛け、詩乃ちゃんの肩に頭を預ける。冬らしい寒い空気が肺の中を循環し、熱くなった体を冷ましていく。その心地よい感覚と、7回にも渡る怒涛のジェットコースターによる疲れが押し寄せ、少し眠くなってしまう。
「……ごめ」
一言断りを入れようとしたが、入れる前に僕は眠ってしまった。
「はぁ……なんでこんなにカッコイイのかしら……」
私の膝の上で眠る出雲の頬や髪を弄りながら、ポツンと呟く。それ程までに私の夫はカッコイイし、可愛い。その世の褒め言葉全てを同時に言っても表現出来ない程に。
「喉が乾いたわね……でも出雲を起こしたくはないし、退かしたくもない……」
そうは言っても喉が乾いた。先に飲み物を買っておくべきだったかと後悔しながら、そっと出雲の頭を持ち上げて、下にカバンを敷いて置く。
私の太腿より硬いカバンに枕が切り替わった事に気付いたのか、少し身動ぎをしたがそれだけだった。
起きなくて良かったと安堵すると共に、私の膝でなくてもいいのかと、誰に向けるわけでもない嫉妬心が浮かぶ。
「……お茶、買ってこよう」
財布を手に持ちながら、時々出雲の方を振り返り、寝ている出雲に良からぬ事をする女がいないか警戒しながら、近くの自動販売機に付く。
「眼鏡の姉ちゃん。クリスマスイヴの夜に1人かい?俺達が一緒に居てやろうか?」
お茶を買って、それを取り出し口から取り出そうとした時に、背後から知らない男の声がする。またかと思いながら振り返ると、3人程のピアスやタトゥーを入れた「いかにも」な奴らが立っていた。よくもまぁかっこよくもないのにそのような物を付けられるものだ。「恥」という言葉を辞書で引いたらどうなの?
「1人じゃないし、先約がいるから結構よ」
ナンパには大まかに2つに分けられる。
良心的なナンパと面倒なナンパだ……いや、ナンパな時点で良心的とは言えないし、ナンパは全部面倒だけど、大まかに分けて、ね。
良心的なナンパというのは、大体一言断りを入れたら去っていく。ダメで元々、という輩に多い。
後者はイベント物に多い。ハロウィンやクリスマス等のね。こっちは、まぁ、しつこい。何度言おうと何を言おうと食い下がらない。最後は結局暴力行使である。人のいる所に出て殴られたりはしないようにしているけれど……囲まれてるわね。
「そんな事言わずに、ね?」
「今日はクリスマスだぜ?今日くらいソイツも許してくれるさ」
「そうだよ(便乗)」
「……本当に結構よ。どいてくれないかしら」
決して人目が多いとは言わないが、少なくもない。しかし他のカップルは素通りするし、アトラクションの係員でさえ目を合わせない。慣れっこなので一々文句を言ったりしないが、そういう奴らをみる度に「やはり出雲以外は取るに足らぬ物」と再認識する。
「だーかーらー。大人しく付いて来いって」
「痛い事とかしないから、大丈夫だよー」
「なんで拒否する必要があるんですか(曲論)」
嗚呼面倒臭い!さっさと退けばいい物を!私の態度を見てまだ「行ける」とでも思っているのか!?余程その醜い姿に自信があるようだな。鏡を見た後その鏡に頭から突っ込むといい。今よりマシな姿と頭になるんじゃないか!?
全身で「不機嫌」オーラを出しながら、どうすればここから出られるか思案していた時……
「つーかさ、その先約、ぜってぇ俺らよりブサイクだべ?」
「つまんねー男より俺らみたいなのと過ごした方が幸せだと思うんだけどなぁ?」
「カンノミホ……(?)」
「……は?」
今こいつらはなんと言った?
ブサイク?つまんない?お前らといた方が幸せ……?
こいつらは自分達と出雲を比べ、あまつさえ「自分たちが上」だと判断したのか……?
嘘だろう?月とスッポンどころか、糞を下水で煮込んだ物と神を比べるようなもの……いやそれ以上の差があるというのに……?
「冗談もいい加減にしなさいよ……」
「あ?」
目の前に陣取っていた男の口を掴み、そのまま力を込める。
「まだ私を誘うなら許すわ。絶対に乗らないし、断りを入れるだけだもの。強引に手を出すなら許さないけど、それ以上に許されないのは……彼を侮辱する事よ。
貴方は何を持って彼を自分より下と判断したのか知らないけど、貴方みたいな、姿も心も醜い人間とは比べ物にならないような人よ。私が愛し愛されるのは彼以外にいないともう決めているの。
さぁ……わかったらその汚い口を閉じなさい?」
「あ……あがが……」
顎が外れ、閉じようにも閉じられない様子。
「……その汚い口を……閉じなさい!」
そんな事お構い無しに、アッパーをいれ無理やり口を閉じさせる。そのまま2人目の目を潰し、足をかけ転ばせる。
「私はね。彼を守る為に色々勉強したの。その道の人と1体1で戦って勝てる自信はないけれど、貴方みたいな何かを極めてもいない、ゆるりゆるりと流されるまま、本能のまま生きてきた人種には絶対に負けないと自負できるわ」
そう言い、2人の性器を思い切り踏み潰す。先程まで呻き声をあげていた2人が声のない叫び声を上げ、気絶する。
この世には睾丸を潰されショック死した人間もいるらしいが、どうでもいい。むしろ死ねばいい。
「……」
「……す、すみません!許してください!なんでもしますから!」
「…………貴方は彼を侮辱しなかったわね。手は出さないであげるわ。立ち去りなさい」
そう言うと、一目散に逃げていった。倒れた仲間を助けようともしないとは……やはりクズはクズという事か。仲間意識すらないとは。
自動販売機の中のお茶を取り出し、出雲の元へと戻る。
「ん……ぅゅ……」
「ふふっ」
先程の一件で若干不機嫌であったが、出雲の可愛い寝顔を見ると全て吹き飛んだ。カバンを持ち上げ、再度私の膝へ乗せる。
「惜しいけれど……30分程で起こさなきゃ……」
出雲の寝顔は、また今日の夜見よう。
私の生きる活力、意味、理由……それら全ては、彼ただ一つ。
それで十分だし、私は今、とても幸せだ。
「……はっ」
目を覚ますと、まず頬を膨らませた詩乃ちゃんの顔が目に入った。あざとい。あざと可愛い。
「あれからどんくらい経った?」
「1時間と20分よ。20分オーバーね。まったく、声掛けても起きないんだもの……」
「私、ご立腹です!」と言った表情で腕を組むが、まっっったくそういう雰囲気が出ていない。さては声掛けすらしていないな。
「自意識過剰じゃなければ、僕の寝顔見てて時間忘れたでしょ」
「そっ、そんなわけないでしよぉ↑!?」
「声裏返ってるよ……」
手を差し出し、その手に温もりを感じてから引っ張る。既に開いた観覧車の列の方へ歩いて行くと、詩乃ちゃんも段々普通の表情に戻っていく。ご立腹詩乃ちゃんも良かったなぁ。帰ったらまたやってもらおうかな。待ち受けにしたい。
「……実はね。今日は、この為に来たの」
「ジェットコースター7回も乗ったくせに!?」
「うっ……それは……その……ごめんね?」
「可愛い。許す」
詩乃ちゃんが僕を掌で転がしている……!転がし方をマスターしたな!?クソ!もっと転がしてくれ!
やがて僕達の番になり、観覧車に乗る。外から見た感じは、他の有名所の遊園地の観覧車より、人が乗る籠のようなものも、全体の大きさも、ひと回り大きいように見える。観覧車とジェットコースターに力入れ過ぎじゃないかこの遊園地?偏り過ぎだぞ?こんなんでよく客来るよな……僕らもだけど……
「で、この為に来た、ってなんなの?」
「もうちょっと……」
疑問に思いながらもその言葉を信じ、遠くに見える山々や、高い所から見る煌びやかな街中に目を巡らせ、やがて頂点につく。
「…………下、見て」
「下?」
詩乃ちゃんの言葉のまま、真下を見ると、そこには遊園地全体のライトアップによって映し出された大きなベルが見えた。
それは、詩乃ちゃんが電車の中で描いていたベルに似ており、なんと言っていい物か分からず、ただただ驚く。
「この遊園地ね。結婚式なんかでも、結構使われるんだって。新郎新婦が2人でこの観覧車に乗って、頂点に至った時に永遠の愛を誓う……そんな結婚式」
「ねぇ、出雲。貴方は私に、永遠の愛を誓える?」
下からのイルミネーションの光と、それに負けない……いや、それ以上に輝いている詩乃ちゃんの笑顔を見て、僕も笑顔を浮かべ、答えを言う。
「勿論……勿論だとも。永遠の愛を誓うさ。例え僕達が死んでも、来世できっとまた君を見つけ出す。その来世も、その来世も……きっきっと、僕は君と一緒にいる。」
観覧車の中で膝立ちをし、詩乃ちゃんの左手の薬指にそっとキスをする。
「……ありがとう。出雲」
「こちらこそ。詩乃ちゃん」
12月24日
僕、柊出雲と朝田詩乃は、死さえ裂けない永遠の愛を誓った。
ブチギレると火事場の馬鹿力()でどっかの自動喧嘩人形みたいな事し始めるヤン詩乃ちゃん。おい主人公何寝てんだ起きろ。「ぅゅ」ってなんだよ。ヒロインかおのれは。
さっくり睾丸を踏み潰しやがったぜ……恐ろしい脚力だ……_:(´ω`」 ∠):_
モンハンβ楽しいよぉ(現在2017/12/11)
モンハンとレインボー楽し……えっ?書け?休むな?毎秒投稿しろ?
うるせぇばか(失礼)
あ、この後の夜21時にもう1話投稿する予定です。
野獣の6時間……間違え(てはいなかっ)た。性の6時間と言われている例の時間です( _´ω`)_
まぁそっちはそんなに長くならないと思います。多分これの3分の1、か2くらい……ですかね。
ヤン詩乃ちゃんに6時間犯され続けて最後には殺されたいなぁ……( _´ω`)_
メリーゴーランドで股が痛くなって嫌いになった話とジェットコースターを7回乗って吐きそうになった話は本当。
これ見てて心当たりある人、お前許さねぇからな。あれからジェットコースター乗れないんだゾ……( _´ω`)_
後こっち書いてない間に短編1個上げてます。
ARMSってみんな知ってる?全22巻にしては結構ボリューミーで面白いからみんなも買って読んでみよう!(ステマ)
睾丸潰されたヤンキーは放置( _´ω`)_
みんなも淫夢語録でナンパすれば睾丸潰されなくて済むんやで……?(ボソッ)
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柊出雲と子作りがしたい if
短いです。恐ろしく短いです。
本番までは行きません。書いたら「お前許さねぇからなぁ?」って怒られちゃいます_:( _ ́ω`):_
でも一応R17.9です。良い子のみんなは、この後出てきた単語をググったり、親に聞いたりしちゃダメですからね。
まぁ最近の子はませてますからね。知ってるだろうけどさ。
世界を平和にするホモビがある国だぞ?(色々な意味で)おっ大丈夫か?
※あくまでもifです!
「出雲!今が!なんの時間か!知ってるわよね!?」
「しっ、知らないなー。うん。ほら、早く寝よ?今日は寒いから一緒に寝てあげるからさ。寝よ?だからさっさと服着て、どうぞ」
やべぇよやべぇよ……帰ってきて風呂入ってご飯食べたらこれだよ……!
最近肉が多かったのはこの為か!スタミナか!?6時間ブッパ出来るようにドーピングしてたのか!?
「観念しなさい!さっきあげたお茶にはバイアグラが入ってたのよ!」
「なんでそんな事する必要があるんですか(正論)」
さっきまで純愛ロマンスだったじゃん!僕の「永遠の愛を誓う」って言葉が嬉しくて帰りの電車で僕の腕を抱きしめながら幸せオーラ出てたじゃん!今じゃ痴女みたいな雰囲気しかないよ!こっわいよねぇ性欲ってさぁ!
「痴女とは失礼ね!私の処女を散らせたのは貴方だし、貴方以外のモノは入れてないわよ!ディルドですら入れてないの!」
「そういう事は言わなくていいですー!心読まないでくださいー!」
ギャースカギャースカ騒いでいるが、まぁ大丈夫だろう。両隣り居ないらしいし。さっき言われて「だから6時間たっぷり私を啼かせて良いのよ」って言われたし。
啼かせたくない訳じゃないよ!
「なんで!?何がダメなの!?
12月24日の夜21時から25日の朝3時までは「性の6時間」と言われ日本で一番セックスが多い時間なのは知ってるわよね!?これ以上の理由があるかしら!?これでダメなら貴方はいつ抱いてくれるのよ!」
「うぐっ……そ、そうだけど……!」
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!もう!バイアグラ効いてきたぁぁぁぁ!!やべぇ超襲いてぇ!今すぐ押し倒して啼かせたい!
「そ、そーだ!ゴム!ゴムがないよ!」
苦し紛れの言い訳である。もうなんかどうでもいいような気がしてきた。アレ?なんで僕我慢してるんだっけ?別に良くね?詩乃ちゃん孕ませれば良くね?(錯乱)
「なら生でいいじゃない!貴方の子を孕みたいわ!もう名前だって考えてあるの!」
「あーもー!わかったよぉぉぉ!!!」
僕が折れました。アソコは折れようがないくらいカッチカチだけど!いや上手くねぇよ!
これ大丈夫!?詩乃ちゃんの秘部が裂けたりしない!?
心配になるくらい硬いぞコレ!?
結局、6時間……では収まらず、翌日の朝8時、つまり11時間という常人の倍くらいの時間、詩乃ちゃんと交わっていた。
もう2時くらいの時点で詩乃ちゃんは限界を迎え、「もう無理」「入らない」と嘆いていたが、その言葉すら僕を奮い立たせる材料にしかならなかった。
それでもまだ6時までは気を保っていたのだが、6時を過ぎた辺りで気を失ってしまったみたいだ。気が付かなかったが。
その後はマグロ状態になった詩乃ちゃんに、己の性欲をぶつけ続けた。何度頭の中でやめようと唱えても止められず、「これは詩乃ちゃんが望んだ事だ」「僕は悪くない」と自分を正当化して行為を続けてしまった。
「……詩乃ちゃんが起きたら謝らなきゃなぁ」
いくらなんでもこれは……いっちゃなんだが集団レイプ後にしか見えない……詩乃ちゃんの体中に付けられた「愛」の量を見ると、尚の事そう思う。僕の性欲はこんなに高かっただろうか……?
「外はもう明るいし……起こさなきゃな」
ベッドも洗濯しなければいけないし……そう思いながら、詩乃ちゃんを揺すりながら名を呼ぶ。恐らく僕以上に体力を使ったであろう詩乃ちゃんは中々起きない。昨日の夜始めたはずなのに外明るいんだが。
「…………んっんんん〜……!」
詩乃ちゃんが呻き声とも取れる声を上げながら、未だプルプル震える腕を使い上半身を起こす。
「……あれ……あさ……?」
「結構寝てたみたいだね……今何時だろ。昼くらい?」
ボーっとしたままキョロキョロして、お腹を摩って幸せそうに、にへらっと笑みを零す。
「夢じゃなかったんだ……出雲の愛が、まだここにいるって感じる……」
……マジに孕ませちゃったかなぁ……
もしそうだった場合、嬉しいんだけど……ふぅ……割のいいバイト探さなきゃな。申し訳ないけど、しばらくは親に頼りそう……
「あ〜……今日は、出前でいいかな?」
「あ、待って!折角のクリスマスなんだから、私が作るわ。ケーキもね」
おぉ!やったぜ。
久しぶりに詩乃ちゃんの作るケーキが食える!
しばらくして……
「あ、出雲」
「なんだい?」
「その……最近、生理が来てなくて……妊娠検査、してみたんだけど……当たってた……!」
「そっか……僕も、お父さんになるんだねぇ」
「ふふ……気が早いお父さんね」
コント的な、短編的な感じで見てくだされば。
その割に主人公がド屑みたいな事してましたけど( _´ω`)_
…………個人的には、「直接的な描写」がなければR18じゃないんですけど……これダメかなぁ……攻めたよなぁ……( _´ω`)_
やだよこの話が原因でアカウントロックとかになったら……
あ、良いお年を
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朝田詩乃とお正月 if
〜メタ発言&作者登場〜
座談会的なもの
「皆さん。あけましておめでとうございます!」
「あけましておめでとうございます!」
「あけおめー( _´ω`)_」
「クリスマス
「やはり行事物は書きやすいと言いますか。なんと言いますか……( _´ω`)_」
「SAOらしさがまったくないわね。原作詐欺なんて言われても文句言えないわよ」
「許してください!なんでも許してください!(傲慢)( _´ω`)_」
「まぁ、作者にしては頑張った方っぽいし、淫夢本編視聴の片手間にでも見守ってやってください」
「毎秒投稿するまで絶対に許さないわ」
「何を許されていないんだ私は……( _´ω`)_」
「大体ね。受験だ引越しだなんだって言ってるけど、ゲームやったりゴロゴロしたりしてるじゃない。その時に執筆してれば、50話超えてたんじゃないの?」
「えっ……?散々「いやーリアルが大変でー」「ごちゃごちゃしててー」とか言ってたくせに、ゲームとかはやってたのか……?」
「いや……そげなことは……ないですけど……_:(´ω`」 ∠):_」
「Twitterで「レインボーシックスが楽し過ぎる」とか呟いてたの知ってるわよ。毎日のようにレインボーシックスやってるのもね!カジュアルしか回さないくせに!」
「これ本当だとしたら殺されても文句言えないよ?ネタ抜きで毎秒投稿迫られても文句言えないよ?ランク行け?」
「_:(´ω`」 ∠):_イカナイ……ボクハイカナイ……」
「ほら、白状なさい」
「…………てへ( _´ω`)ゝ」
「死刑」
「なんて事を……(憤怒)」
というちょっとした自白。
ごめんね。許してね!
レインボーシックス楽しいよ!みんな買おう!別に少ないわけじゃないけど人口増えろ!( _´ω`)_
お前ら(失礼)ちょっと設定を見てきなさい。そうそう、オリ主の誕生日の項目……そこだよ……ね?わかった?()
まぁ今回はほぼ触れないんだけどね。いつか番外編でやるよ(いつもの)
「初詣に行きたい」
「……珍しいわね。貴方がそんな事言うなんて」
そう?今までは家族と行ってたから、今回は詩乃ちゃんと二人きりで行きたいよね。
家族で行ってた時も、何故か詩乃ちゃん居たけど……そげなことはどうでもいいんだよ!(迫真)
「でもここらに神社なんてあったかしら。かといってあまり混むような所には行きたくないわよ」
「クゥーン……」
ただの思い付きで言っちゃっただけだし、まだ12月30日の昼だし。まだ時間あるし。調べられるし!諦めるにはまだ早いよネ!
「出雲大社とか混むよなぁ……」
ちょっと気になってた出雲大社。僕と名前が同じなんだよ!それだけだけどさ!
「………言っとくけど私は無神論者よ」
「僕も神様なんて信じないけどね。なんてったって、僕自身が神だから?(王の風格)」
転生する時に神様名乗る人と会ってるけどね。元気にしてるかなあの人。姿とか全然覚えてないけど。
僕にとっての女神は詩乃ちゃんだし(ドヤァ)
「はぁ…………」
やめてよそのジト目。僕別にドMじゃないから喜ばないよ。
わかった。わかったよ。僕が悪かった。ね、一緒に近くの混んでない神社探そ。
ポチッとな。BGM〜ほのぼの神社〜
「でも初詣なんだし、何処の神社も混んでるかしら……」
「うーん……お正月イベントとかやってるような神社なら、有名所程じゃないにしろ混んでるだろうねぇ……」
詩乃ちゃんと色々相談した結果、混雑もそれ程なく初詣が出来る「上野東照宮」に行く事になった。無難だね。まぁまぁ近いし。
12月31日。何年かは忘れた。
マイクチェックの時間だオルァ!あー、テステス。マイクテストワン・ツー……よし!
「おこたは、至高!」
「…………」
無視かぁ。そっかぁ。あ、そのみかん1個ちょうだい。ん、ありがと。でもあーんは恥ずかしいよあーんは。
「なんというか……特別感がないわね」
「え?」
「炬燵に入って、2人で丸くなってみかんを食べてテレビを見る……今日は大晦日よ?もっとこう……何かないの?」
「ないよ?」
「えぇ……(困惑)」
そんな事言われたって、しょうがないじゃないか(えなり)
大晦日はイベントの中でも珍しいイベントなんだよ。いや1年に1回だしそりゃ珍しいだろとかそういうんじゃなくて、ね?大晦日ってのは、年が明けるまでは特に何も無いんだよ。いつも通りだけど、年が明けたその時から、年賀状やら初詣やら新年顔合わせとか色々あるんだよ。
「明けるまではなにもなーいの!」
「……ヤる?」
暇があったらそう言うのやめなよ。いい加減みんな飽きてると思うよ?というかただのビッチだよ。この性欲魔人ちゃんめ☆
「ってもガ○使始まるまで本当にやる事ないねー。幸せだからOKですけど」
「大晦日にGGOって言うのも、なんだかなぁって感じよね……いっそキリトやアスナも呼んで、みんなで年越す?」
おっ。こりゃ珍しいな。いつもイベント事は僕と2人っきりで居たがるのに、今回はみんなで過ごそうという提案か。
「それでもいいなぁ……キリトくん達は集まりそうだよね。シリカちゃんとかクラインさんとか呼んでさ」
不満顔になったな。なんだよー提案してきたのそっちだぞー。ちょっと名前出したくらいで膨れるなよー。
か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛し゛の゛ち゛ゃ゛ん。
「でもさ。やっぱり特別な時間は特別な人と、2人で過ごしたいよ」
アフターケアも忘れちゃいけないよ。こういう不満が重なりに重なって、暴走しクリスマスの時(3話)みたいになるんだからね。ヤンデレと付き合うなら、しっかり考えて発言しなきゃ監禁されたり事件起こしたりするから、気が抜けないよ。
「…………そ、そうね!」
恐ろしく早いそっぽ……僕じゃなきゃ(顔が赤いのを)見逃しちゃうね。
「あっそうだ(唐突)そういえばこんな物を母上様に送ってもらったのだよ」
「お義母様が?」
こ〜ら☆まだ結婚していないゾ☆
母上様ってなんだよとか、テンションおかしいだろとかは目を瞑ってくれ。というかみんなは知らないだけで、基本僕はこんな感じだ。
「人生ゲーーーーム!暇潰しには丁度いいね!2人しかいないけど!」
「こんな絶滅危惧種みたいな、リアルボードゲーム……よく引っ張り出せたわね、お義母様は」
「おや。覚えてないかい?昔はよく遊んだじゃないか。まだ詩乃ちゃんがよそよそしかった頃だよ。懐かしいなぁ。僕が人生ゲームで結婚とかしたら凄い睨んできたよね」
思えばあの時からヤンデレの兆候はあったのでは……?僕が鈍感なせいで全然気付かなかった……
あの頃は、まさか詩乃ちゃんがヤンデレだとは汁とも思ってなかったし、
この後むちゃくちゃ人生ゲームした。
さぁ現在時刻は23時59分!今年も終盤であります!何年かは覚えてないけど!テレビの○キ使はそんな素振りまっっったくありません!いつも通りです!もう少しカウントダウンとかしっかりした方がいいんじゃないでしょうか!?かといってジャ○ーズのカウントダウンなんて絶対見ないぞ!こちとら横向きゃ女神居るんじゃい!
そして皆さん!お気付きですか!?1月1日は僕の誕生日です!また1つ年齢が上がります!詩乃ちゃん気付いてる?みんなは気付いてると思うよ?
「出雲」
「なんだい詩乃ちゃんや」
おっ誕生日の事切り出すか?
「来年も、同じくらい私を愛しなさいよ?」
「ふふ。今年の何倍も愛してあげるよ。僕の可愛い愛妻さん」
そろそろ純愛したいから、慣れてくると有難いんだけどなー詩乃ちゃん。というか自分からなんで振るかなぁ。男としてダメダメだよ僕。僕の女子力とキザ力がぐんぐん上がっていくよ?将来は主夫かなぁ……
……誕生日……
そして年が明け、除夜の鐘が鳴る。なんか聞こえなくても聞こえるような気がするよね、除夜の鐘って。
「あけましておめでとう、詩乃ちゃん」
「……えぇ。今年もよろしくね。出雲」
明日は早いので、人生ゲームを切り上げその後特に何もなく就寝。明日早いからね。僕朝苦手だし。
期待した人、何を期待したか、怒らないから先生に言ってみなさい。
「あ、誕生日おめでとう出雲。プレゼントは勿論このわた(ry」
「ありがとう詩乃ちゃんプレゼントはまた来年に貰おうかな」
「じゃあ……「朝田」の苗字をあげるわ」
「ありがとう詩乃ちゃんプレゼントはまた来年に貰おうかな」
期待してなかったよくそったれ。
あ、メッセージで知り合いにもあけおめメールしておきました。みんな返信早いねぇ。やっぱり一緒にいるんだぁ。そっかぁ……ハブかぁ…………
そして誰1人「誕生日おめでとう」の言葉を言ってくれませんでした。大会(初詣)近いからね……しょうがないね……
キリトくんには「君の彼女さんも僕の彼女と同じ気配するから、気を付けといてね」と添えておきました。ハッハッハッー怯えろ怯えろヤンデレ初心者。別に恨みはないが。別に恨みはないが!(大事な事なので2回言いました)
「寒いわね」
「今年は随分と冷え込んでいるよ」
手袋耳当てマフラーコートと完璧な防寒対策をして初詣に来ました。なぜ神は真冬の朝に1年の朝を持ってきたのだ?ぶち殺したいわぁ。寒スギィ!
「あ、おみくじ!おみくじやろうよ!」
「わかったから……」
詩乃ちゃん元気ないねぇ。いつもは逆なのに……今は僕が詩乃ちゃんをエスコートしている感じだ。
……ん?それって普通なのでは?普通は男が女をエスコートするものなのでは……?
「んーんー……」
「あ、大吉」
なにぬぅ!?だ、だだだだ大吉だと!?(過剰反応)
「は、博多○丸・大吉さんの事?」
「いきなり何言ってるのよ。大吉は大吉よ……ほら、見なさい」
詩乃ちゃんの持つおみくじには、しっかりと「
おみくじを読んでいくと、「特に恋愛運が向上。めっちゃモテんで」的な事が書いてあった。僕以外にモテても仕方がないとあっけらかんと言うもんで、少し照れてしまった。ちくしょう、なんかちょっとした敗北感。
「それで?出雲は何が出たのよ」
「エ゛ッ」
《大凶》
デデドン!(絶望)
くっ……何故だ!大凶って存在してたのか!噂か都市伝説だと思ってたよ!これは詩乃ちゃんに運気を吸い取られてるとしか……思えないよ!
「そ、そんな目で見られても……私からは何も言えないわ」
……えーっとなになに〜?
「何をやっても上手く行かない」?
「想い人が離れていく」?
「友人が半分以下になる」?
「詩乃ちゃんは僕から離れる気があるかい?」
「例え地球の引力が私達を引き裂こうとしようが絶対に離れないわ」
この大凶嘘っぱちじゃないかー!適当な事書きやがって……何でこんなもの信じる必要があるんですか(正論)
「ほら、神様にお願いしに行くわよ」
「おかのした。やっぱり何か願うんだね?無神論者さんや」
からかうようにそう言えば、溜息を吐いた後に少し真剣な顔になる。
「居ないと思う、って程度よ。居たとしても、それは人が思っているような聖人君子じゃないし。
……でも、無神論者っていうのは撤回するわ。
クスリと笑い、僕の顔を覗くように見る詩乃ちゃんと目が合い、頬をポリポリと掻きながら目をそらす。今僕の顔は赤いだろうなぁ……
「そんないい人かな。その男の子は」
「えぇ、いい人よ。」
「……その男の子が好きかい?」
「愛してるわ」
「ずっと一緒に居たいって思えるくらい?」
「来世も一緒に居てくれる、って言ってくれたもの。彼に嘘をつかせるわけにはいかない」
「……そっか」
「えぇ」
「詩乃ちゃん」
「何?」
「好きだよ」
「私もよ」
初詣の全行程を終え、帰路へ着く。なんかこう言うと作業みたいに思えるけど、楽しかったし良かったよ?また来年も行きたいね。
「詩乃ちゃんは何を願ったの?」
「……何も。勿体ない事したなぁって、今後悔してるところよ」
「そっか。僕はね……僕を
「そう」
それから、家に着くまで僕達の間に会話は無かった。
ずっと繋がれていた手に、少し力を込めて握ってみると、握り返される。
……幸せだなぁ……
おっ大丈夫か?(心配)
流石にこれは心配になるレベルで文章ガタガタだゾ……これから少しづつ、気が向いたと(ry……時間がある時に手直ししなきゃ……(使命感)
上野東照宮。
いいとこっぽいのでみんな行きましょう。
私は初詣なんて行った事ないですけどね。
誰か誘え。
かと言って片道電車3時間の地元の友達は誘わないで。行けないから悲しくなる( _´ω`)_
……SAOってなんだっけ。
S(詩乃ちゃんと)A(愛し合う)O(お話)だっけ……うん……そうだった気がする!( _´ω`)_
本編進めろとか言うなよ。
B.o.Bとか戦闘とか超書きたくねぇ(本音)
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小学校編
朝田詩乃と知り合いたい
展開が思いついたら書く、思いついたら書く、の繰り返し。
あくまでも朝田詩乃がメインヒロイン(確信)
サブヒロインは未定
━━━━━━━━えぇ〜〜〜〜〜〜……
ソードアート・オンライン第6巻を手に持ちながら、俺は四つん這いになって落胆していた。
その理由は、まぁ、もちろんこのソードアート・オンライン第5・6巻のせい(?)である。
「詩乃ちゃん救われないやん……」
キリトくんのお蔭?で、前に進む事には決めたようだが……まぁーーー救われない!
トラウマも、治るまでも相当苦労するだろうし、キリトくんに惚れた()ようだけど、恐らく、というか絶対報われない。
「…………」
ふぅ。と、溜息を吐き、無地の白い天井と照明を見上げながら、ふと思った。
……助ける方法ないのかな……むしろ助けたい(小並感)
【その願い叶えてthんぜよー】
「ん?誰か今噛ん(ry」
視界が暗転した。
【……ちす】
「あ、ん?大丈夫?……ですか?」
次に目を覚ました時、目の前には口を抑えた白髪の老人が立っていた。その手の隙間からは血がボタボタと垂れている。恐らく、舌を噛んだのだろう。
【だ、大丈夫……】
「え………とりあえず血拭いたらどうですか……?」
どこからとも無くティッシュとハンカチを取り出し、止血に掛かり始めた。やがて血は止まり、ゴホンと空気を直すように咳をして、目を合わせてくる。
【そなたには転生してもらう】
「……んーー?」
【……転生じゃ、転生…転生な……】
「あ、はい。分かりました……?」
舌が痛いのと、大量に出た血で喉が塞がれて苦しいのサンドイッチ状態なのだろう。手短に終わらせてあげよう。うん。
転生とかちょっと良く分からないけど、まぁ、信じても信じなくても転生なら結局送られるんだし。気にしないでおこう。
【……それじゃ】
フッと老人の姿が消え、代わりに扉が現れる。二次創作かなんかなら、落ちたりするもんだと思ってたが……現実に起きてる時点で違いは出るよなそりゃ。
「それじゃあ……い、行ってきます?」
一応挨拶も欠かさない。まだ名乗られてないけど、転生が本当なら多分神様だと思うし、しといた方がいいよね。
【……うむ】
まだ完全に血が止まってないのか、まだ少し震えながら手を振っている。恐らくだけど普段ガサツな人だと思う。人間の前ではしっかり威厳持ちたい的な人だと思う。頑張ってください(偏見)
そして、扉を開ける。すると、大きな光が目を眩ませ、思わず目を瞑る。すぐに目が回復し、目を開け……開け……開け!(ヤケクソ)
「オギャア!オギャ!オギャァァ!」
転生……した。目の前には、産婆と思わしき人。自身の泣き声(であろうもの)はとどまる所を知らない。いや、赤ん坊ならそれが正しいんだけどね。
……普通に精神に来るな。この状況。
まずは現状説明だな。
僕の名前は
さて、それでね、僕は今7歳で、小学2年生である。前世の知識を生かして人生イージーモードだ。家族にも恵まれ、富にも恵まれ、容姿にも恵まれている。
……容姿は、まぁ。客観的に見て、だからちょっと分からないけど。調子乗ったごめん。
あ、でも友には恵まれなかった。the・ぼっちである。何故なんだ()
今は学校の教室で授業を受けている。でも、さっき言った通り人生イージーモード。前世の知識がある僕には小2の問題なんて楽勝である。少なくとも今すぐそこらへんの大学には受かる自信がある。前世では大学合格してだらだらしてたのが最後だったし。
……長々と話したが、まぁ、現状はそんな感じだ。僕は友達のいないぼっち天才少年(笑)。
だがしかし!僕は今日やっと発見したのだ。
(……詩乃ちゃん居るやん)
なんで気付かなかったん?神の力的な物?いや、あの事件まで後3年しかないよ?どうすんの?今から体鍛えて間に合うかな?詩乃ちゃんに会う事しか考えてない(つもりだった)のに。見逃してたなんて。クラスメートだったなんて。
気付いてしまったので、接触を図る。そして仲良くなり、あわよくばあんなことやこんなこ(ryは冗談だけど、仲良くなりたいのは事実だ。
だが、どうやら彼女は今の僕と同じ感じらしい。友達という友達が出来ていない。というより、「周りに馴染めずにいる内気な女の子」だ。分かる。子供は残酷だからね。嫌な時は嫌だって目するもんね。高校生や大学生より怖い。
こんな事言っても詩乃ちゃんとのイチャラブ展開()も嬉し恥ずかし生活記()も送れやしない。みんな待ってるんだからな。今日の帰りにでも、話しかけてみようかな。
放課後である。
……詩乃ちゃんが消えたでござる。あれれぇ〜?おっかしいぞー?まだ帰りの挨拶したばっかなのになー。早いな〜……明日でも……いいやダメだ。今だ。今行くんだ。詩乃ちゃんが僕を待ってる!(待ってません)
昇降口まで降りて、靴箱の所を見るも、誰もいない。おのれ神め。恨んでやる。
「あ、柊くん。ちょうど良かった。朝田詩乃さんの家に、このプリントを届けて欲しいんだけど……」
ありがとう神様。一生感謝します。
先生の有難いお言葉を頂戴し、帰りの会で配布されたプリントを見る。受け取らないで帰っちゃったのか。まぁ、あんな早かったしな。「住所は〜……これ 」と言われ、詩乃ちゃんの住所が書かれた紙を差し出し、僕が受け取ると「じゃ!」と言って足早に去ってしまった。
……いや、小2が住所渡されて「あぁここね」なんてなる?中学生でも分からない人居るんじゃない?やっぱり神の力か。感謝します(2度目)
……向かうか。これで、少しは仲良くなれるといいけど。
名前の柊はパッと思いついて、出雲は、自室の本棚にある漫画や小説から適当に1冊抜き、開いたページで最初に目に付いた人の名前にした。
特に意味は無いし、これから持たせる予定もない。
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朝田詩乃と仲良くなりたい
(朝田詩乃ちゃんの事をフルネームで書いてる意味は)ないです。
分けてもいいかなー。と思ったけど、やめた。丸々1話に収めておきたかった。
ちょっと展開早いけど、まぁ、いいかな。
「すみません。柊ですけど」
っと。柊と言っても分からんか。しっかりと「朝田詩乃さんのクラスメートです」と伝えると、ひょこっと若そうな女性が顔を覗かせた。
原作知らなかったらお姉さんと見間違える所でしたね。はい、詩乃ちゃんのお母さんです。
「クラスメートの……何か用かな?」
子供に言うように、笑顔で言った。あ、そうか。僕子供やわ。
「帰りの会で配られたプリントなんですけど、朝田さん、貰い忘れたみたいで。届けに来ました」
あれ?すらすらと言えたな。学校じゃあいうえおのあも言えないのに。
「あらそう……あの子ったら……ほら、上がってくださいな」
……おっと、マジか。上がれたらいいな〜とか、ちょっと考えてたけど、マジか。3次元じゃ有り得ない(事もないけど)事だと思うんだけど……詩乃ちゃんと知り合える機会には成り得るか。良かった良かった。
家に上がり、大きなテーブルの前の椅子に座る。帰りに寄ったので、ランドセルはまだ持っている。そのランドセルを床に置き、貰ったオレンジジュースを飲む。氷まで入ってて、とても冷たくて美味しい。
「今、詩乃を呼んでくるわね」
「あ〜……学校じゃあまり関わりないんですけど、大丈夫ですかね?」
「そうなの?……まぁ、大丈夫だと思うわよ?」
……そんなの気にする年齢じゃない、かな?詩乃ちゃん結構大人だからなぁ。知り合いたいのは事実だし、仲良くもなりたい。でも不用意に近付いて怖がられるのは嫌だな……
「呼んでくるわね」
しかし。目の前に甘い果実(詩乃ちゃん)を出されて我慢など出来なかった。
……お母さん、大丈夫なのかな。
原作では、詩乃ちゃんが2歳の頃、つまり、5年前に詩乃ちゃんのお父さん……お母さんの旦那さんが死んだ事で、精神が病んだんだが……そのような様子は見れなかった。もしかしたら、僕がいる事で原作とは違う点があるのかもしれない。
「…………」
いつの間にか詩乃ちゃんが来てい…………え?来て?
リビングに入る扉から右半身だけ出して、じっとこちらを見ている。その目には、まだ氷のような鋭さはなく、幼く優しい瞳をしていた。可愛い(確信)
こちらが存在に気付いた事に気付いたのか、はっとして、たたっとこちらに小走りでかけてきた。すると、ペコッと少しお辞儀した。
「……あの、プリント、ありがとうございます」
顔を上げて、申し訳無さそうにそう言う。やはり、なんというか、まだ強くない。人というものにまだ慣れていない、と言った方がわかりやすいだろうか。
わかりやすく言えば、コミュ障って奴だな。厳密には違うけどさ。
「……あぁ……話すのは、初めてだよね」
「っ」
ビクッと震え、目を瞑る。そんなに僕の顔は怖いだろうか。爽やか系イケメンに生まれたかった。
友達が出来ないくらいなんだから、僕にはそれ相応の「近寄りたくない
「……敬語、使わなくていいよ。タメ口で」
「……うん」
「はい、これプリント」
プリントを詩乃ちゃんが受け取り、プリントを流し読みしている。いや、していない?目はプリントに行っているが、心ここに在らずと言った感じだ。
……よし、僕は、思い切ってみようと思う。
「ねぇ、朝田さん」
「っ!なっ、なひ!?」
あ、噛んだ。顔真っ赤にして可愛いねぇ……何でだろう。学校では、思ったように喋れないのに。詩乃ちゃんの前だと、言葉がすらすら出てくるな。
「僕ってさ、怖い?」
僕のその一言に、詩乃ちゃんの顔の赤みが、すっと溶けるようになった。
「……えっ?」
ポカンとしている。まぁ、僕学校じゃあんまり……まったく喋らないし、そういう人だと思ってんだろう。少なくとも、こんな事を聞いてくるような人ではないと思ってる筈だ。辛いなぁ。
「…………」
「答えづらいなら、答えなくていいけど……」
「あっ……えっと……」
おろおろ、と狼狽えている。恐らく、答えていいのかどうか迷っているのだろう。まず、こういう子は「答えなくてもいい」と言われ、答えないなんて選択肢は出ない。そこで、答えていいのか良くないのかを考える。
「……あの、ね」
まぁ、どんな人でも、大体は結局答えるんだけどね。
「怖いって、感じじゃなくて……近寄り難いっていうか……」
「……そんな雰囲気、出てる?」
コクコクと頷く。ふむ。怖い訳では無いと……まぁ、それなら、いいかな。……いや、良くないけど。雰囲気なら何とかなりそう?時間はかかるけど。
「朝田さん」
「な、何?」
打ち解けてきた、かな。
そこで、1つ提案をする。受け入れてくれるかどうかは、大袈裟なんかではなく、僕の人生を左右する。
僕が
……僕はただ、目の前にいる、この儚く脆い少女に、寄り添いたいだけなんだから。
「僕と……友達になって、くれないかな」
その日の事を、僕は死ぬまで、1度たりとも忘れたことは無かった。
いつもの日常、いつもの時間。
毎日毎日変わる事なんて無くて、面白い事も無い。
私の名前は、朝田詩乃。5年前にお父さんを事故で亡くし、今はお母さんと私の2人で暮らしている。
事故の時、まだ物心がつく前の私にお父さんの記憶はなく、お母さんから聞いた事しか知らない。お父さんが死んだ時、お母さんは心が壊れかけたらしい。でも、そんな時、今より幼かった私の事を想い、なんとか病む事はなかったらしい。
今でも、お父さんの写真がリビングに飾ってある。病む事はなくても、やはり心にくる物があるのだろう。今でもたまに、お父さんの写真を見て涙を流すお母さんを見る。
「詩乃〜」
?……お母さん?
……今は自室にいるのだから、私を呼ぶ人はお母さんしかいないのだから、当たり前だが。
お母さんに呼ばれるまま1階へと降りると、「カッコイイクラスメートの男の子が、来てるわよ〜」とニヤニヤ顔のお母さんに言われた。
…………自慢ではないが、私に友達と呼べる人はいない。帰りの会が終わるとすぐに家に帰るか、図書館によるかしかない。休み時間は本しか読んでないし、ろくに話している人もいない。クラスメートなんて、名前を知らない人が殆どだ。
「……プリント届けに」
「!?そ、そういうのは早く言ってよ!」
「ふふ」
いつもの、子供っぽくて、意地悪なお母さんだ。
プリント届けに、なら、まぁ、分からないでもない。友達がいないのは先生も分かっているだろうし、適当な人に任せたのだろう。そう思って、静かに扉を開けて相手を確かめる。
「……………………」
パタン。と、閉める。リビングでオレンジジュースを飲んでいた男の子を見て、出るに出られなくなった。
「……お、お母さん」
「なぁに?」
「プ、プリント貰ってきて……」
「……」
彼とは顔を合わせたくない。いや、好きな人とか、嫌いな人とか、そういうんじゃない。ただ、彼はダメだ。
彼は、人気がある。当たり前だろう。顔もよく、頭もいい。子供ながら、どこか年上のような余裕を見せる節がある。表立ってそれを言う人は居ないし、本人も気付いているのか分からないが。一部ではファンクラブすらあるらしい。しかし、彼からは……なんというか……「近寄るな」「関わるな」って空気が出ているのだ。それで、今まで告白した人はおろか、友達になれた人すらいない。
「クラスメートでしょ?」
「そうだけど……」
私は、彼の事をよく知らない。ファンクラブがあるって事も、近寄り難いって事も、噂してるのを聞いただけなのだから。ほらほらと言いながら、お母さんにリビングへ行くのを催促される。あまり気乗りしない。「関わるな」と言われたら関わらないし、別に関わる理由もない。ぶっちゃけて言うと、関わりたくない。彼はここらへんでは有名人なのだ。私が彼に関わって、有名になりたくない、と思うのは、自意識過剰なのだろうか。
「……」
もう1度リビングの扉を開き、半分だけ顔を出して観察する。顔は、噂通り悪くない。だが、問題は性格や口調である。学校で彼が話しているのを見た事がない。私のように、いつも同じ時間を繰り返しているような感じだ。もしかしたら私と同じなのでは?と思ったこともあるが、その時はそれはないかと首を振った。
すると、彼がこちらに気付いた。私ははっとして、慌てて彼の元に向かう。
「……あの、プリント、ありがとうございます」
思わず、本で学んだ「敬語」の口調になってしまう。敬っている訳では無いが、なってしまうのは仕方ない。もしかしたら、プライドの高い人なのかもしれないし、不良のような性格の悪い人かもしれない、と思うと、自然とそうなってしまった。
「……あぁ……話すのは、初めてだよね」
思いの外優しく、それでいてふんわりとした、女性のような少し高い声で、彼はそう言った。クラスメートで彼の声を知っているのは、私だけなのではないかと、思ってしまう。
しかし、それで私の気分は高揚なんてせず、逆に苦しくなってしまった。普段の彼……いや、他のみんなが思う彼なら、無言で立ち去っていただろうから。優しい声をしていても、本人が優しいとは限らない。何か言われるのでは?と、不安になってしまう。
「……敬語、使わなくていいよ。タメ口で」
いつも真顔で、普段、感情をあまり表に出さない彼が、笑顔を浮かべそう言った。緊張と安堵と驚きで、頭がこんがらがってしまう。その笑顔は、正しく優しい人の笑顔で、その声は、私を気遣っての言葉だと、理解出来た。
彼は、みんなが思うような人ではなく、又、雰囲気通りの人ではないと、理解出来た。
……噂は当てにできない。
「……うん」
少しづつ回復してきた頭をフル回転させ、返事を絞り出す。緊張も不安も、もう無かった。でも、理解出来ない心臓の高鳴りと羞恥に、どうしていいか分からなくなる。
「はい、これプリント」
彼の手からプリントが渡され、私はそれを受け取る。そのプリントを読む振りをして、どうしていいか考える。
さっきから心臓が苦しくて、顔が赤くて、まともに考える事が出来なくて、訳が分からない。今すぐ自室に向かい、ベッドの上で足をバタバタさせながら暴れたいと思う。しかし、彼に「帰って」なんて言えない。言いたくもない。
……あれ?なんで、言いたくないんだろう?
「ねぇ、朝田さん」
「っ!な、なひ!?」
噛んでしまった。彼もそれを聞いて、引きつったような笑顔を浮かべている。やってしまったと思っても、もう遅い。顔は真っ赤になり、何も言えなくなる。まともに思考する事も出来なくなる。
「僕ってさ、怖い?」
その彼の一言を聞いて、私の頭は急速に冷えて行った。
「……えっ?」
目を丸くしてしまう。まさか、そんな事を聞かれるとは思わなかったし、そんな事を気にする人だとも思ってなかった。
……いや、そうか。彼は、優しいんだ。自分の、どうしようもない、その「近寄り難い雰囲気」に、心の奥底で悩んでいたのか。言いたくても、言えない。多分、勇気を出して言ったのだろう。自分ひとりではどうしようもなくって、どう思われてるのかもわからなくって、ただただ不安で。
「…………」
「答えづらいなら、答えなくていいけど……」
「あっ……えっと……」
この場合、率直に言った方がいいのだろうか。博識な彼の事だから、自身が他者にどう思われてるのかなんて、知っていると思うのだが。
試している、という訳では無いだろう。ただ、自分で見るのとは違う、客観的に見た自分を教えて欲しいのだろう。
「……あの、ね。怖い、って感じじゃなくて……近寄り難いというか……」
分かっていても、言いづらい。頭で考える事と口でいう事には、天と地程の差がある。だが、答えないわけには行かない。私なんかが彼の力になんて烏滸がましいにも程があるが、力になれるのならなりたい。彼がみんなと打ち解ける時、その横に私なんかが居ちゃいけない。みんなが彼を理解した時、私が彼とこうやって話す事など出来ないのだから。
「……そんな雰囲気、出てる?」
口には出さず、頷いて見せる。やはり、言いづらいのだ。それを聞いた彼は、考えるように顎に手を置いて目を瞑る。何を考えているのかは、もちろん分からない。理不尽に当たってくるような人ではないし、不安になる事は無いが……
「朝田さん」
「な、何?」
だんだんと、彼と話す事に慣れてきた。まだ完全に慣れていないし、心臓の高鳴りはまたやって来たが。彼が私の名を呼ぶ度、言いようのない嬉しさが、込み上げてくる。それが何なのか分からず混乱するしかないが。
そして、彼の決意した目が私の目と合い、驚きの言葉を発する。
「僕と……友達になって、くれないかな」
その日の事を、私は死ぬまで、1度たりとも忘れる事は無かった。
ゴーストルール聞きながら書いてたんですけど、いい歌ですよねこれ。
詩乃ちゃん大人っぽいとか言わな〜いの。
コミュ障ってさ、みんなが思う数十倍も、たくさん考えてるんだよ。誰とも話さない分、みんなからは見えない場所が鍛え上げられていくんだ。精神とか、頭脳とか。言い方が大人っぽくもなるし、客観的に他者を見てしまう。
とっても便利だし、未来に繋がるよ。けど、とっても辛い事。
原作との違いその1
お母さんの精神安定
でも、やはりやりづらい部分はあるので、「元々子供っぽい天然お母さん」って感じのお母さんになってます。原作に似せてますね。病んではませんが。
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朝田詩乃と友達になりたい
話が進まなすぎて泣きたい
「えっ?」
「友達になってください」という、質問ともお願いともつかない何かを発した僕に、後悔はない。頼む、受けて。お願いします。300円あげるから……
「いい……の?」
「え?いや、僕から頼んでるし……是非?」
顔真っ赤にして口押さえてる。どうしたのかな?大丈夫?あ、もしかして、僕の事気持ち悪いとか思ってる?……ち、違うよね。いいの?って聞いてきたもんね。なんか吐きそうな人みたいなんだけど……
「で、でも。私、なんて……可愛くないし、全然普通に話せないし、柊君の友達なんて……無理だよ……」
名前呼んでくれた……呼んでくれた!凄い!嬉しい!……あ、いや、これはマジで気持ち悪いな……
「大丈夫だよ。朝田さんは可愛いし、僕だって学校だったらまともに話せないしね?」
「……っ、で、も!」
友達になりたくないのかな……
自分の意思ではないが、少し悲しい表情になってしまう。朝田さんは、潤んだ瞳で僕の顔を見て、とうとうツーーッと、を涙が流れた。
「あ、朝田さん?いや、なりたくないなら、別に……」
「違う……違うの……わかんないぃ……」
ガチ泣きし始めてしまった。涙をぽろぽろ零し、嗚咽を漏らす。途切れ途切れながらも、ハッキリと、しっかりと、その言葉は僕の鼓膜に届いた。
「私で、良けれ、ば……お願い、します……!」
……あぁ、よかった。
この世界で、僕は幸せに暮らせそうだ。
「―――ありがとう」
僕がそう言って、彼女の頭を撫でる。まだ子供なので男女にそれ程身長の差はなく、少し手を伸ばさなければいけないが。
2度、3度、と撫でていると、詩乃ちゃんが僕の体をギュッと抱き締めてきた。
「だ、大丈夫?」
「……」
何も言わず、ギューーっと、強く抱き締めてくる。撫でるのを止めると、小さい声で「もういっかい」と言ってくる。それを何度かやり取りしているうちに、お母さん乱入。しかし詩乃ちゃんは離れない。幸せ過ぎて明日死ぬんじゃない僕。
「あらあら……まぁまぁ♪」
そんな貴婦人みたいな笑い方……そんなのしなくていいので、助けてください。詩乃ちゃんの力強い。待って本当に強い。
その数分後、やっとこさ詩乃ちゃんは離れてくれた。顔は(2つの理由で)真っ赤で、鼻をすすっている。
僕の服がべっちょりしたけど、まぁ、いいや。案外家近かったし。本当なんで1年間気付かなかったんだろう。
「あ〜……それじゃあ、僕はこれで」
「そう?もっと居ればいいのに。詩乃もそう思ってるわよね?」
何も答えない。お母さんが、「全く、この子は恥ずかしがり屋なんだから♪」と言って、気を付けて帰ってねと言ってくれた。
「ここから僕の家、結構近いですよ」
「そうなの?」
「はい、出て右に行って、最初の曲がり角曲がって、そのまま、真っ直ぐ言った所にある、青い屋根の家が僕の家です」
「近いわねー。遊びに行けるじゃない?」
今、詩乃ちゃんはお母さんの背中に隠れてしまっている。今更、羞恥心が沸いてきたのだろう。お母さんの足に抱きついて顔を隠す詩乃ちゃんグッジョブですありがとうございます。
「それじゃあ、失礼します」
詩乃ちゃんの横を通って、最後に詩乃ちゃんに「また明日ね」と囁いてから帰る。僕って結構Sっ気があるのかもしれない。今、更なる羞恥に悶える詩乃ちゃんを想像すると、ゾクゾクする。
「あぁ、早く、明日にならないかな」
今、自分でもわかる。この世界に来て、最高の笑顔を浮かべているという事を。
何がなんだか分からない。その気持ちで、私の心の中は埋め尽くされていた。
今日、人生の転機とも言える出来事が起きた。
人気者で、私なんか、話していいのかも分からないぐらいの、高嶺の花と言ってもいい人。柊 出雲君。
今、彼の笑顔と優しい声を知っているのは、彼の家族と私とお母さんぐらいじゃないだろうか?それ程までに、彼は喋らないし、表情を変えない。
そういう人なんだと思っていた。関わろうとも、関われるとも思っていなかった。
私だって、人間だし、女の子だ。かっこいい男の子は好きだ。人並みに恋もする……今の所、した事はないけれど。
私はまだ小学生だし、誰かを好きになる年齢でもないのかもしれない。クラスで周りを見て、みんなが自分より年下に見えて仕方ないのは、私が大人びているのか、みんなを見下しているのか。
はっきり言って、どうでもいい。私とお母さん以外よく見ていなかったし、何かをする時も、何処か達観している部分もある。
……少し、自惚れていたのかもしれない。いや、自惚れていた。今までなら、自惚れている事にも気付かなかった。彼と触れ合った事で、色々な事に気づけた。
「……くるしい」
さっきから、心臓の動機が収まらない。体も熱く、何度深呼吸しても冷めない。
「風邪……なの、かな」
…………違う。分かってる。自分の気持ちくらい、わかる。自分でもちょろいと思う。軽い女だと言われても、反論する言葉もない。いくら勉強が出来て、色んな事を知ってても、精神は年相応か。
「柊君」
名前を呼んでみると、小さな幸福感を感じる。あぁ、心の底から理解出来る。もしかしたら今だけなのかもしれない。だけど、1年後、10年後、私は彼と一緒に居たい。
「……柊君……柊、君……ふふ」
人が見てたらなんて思われるのか不安だけど、私1人しかいない自室ならば、好きなだけ言える。
「
明日は明日の、1年後は1年後の、10年後は10年後の私に任せよう。
途中まで詩乃ちゃんヤンデレ路線を考えてた。
ちょっとヤンデレ要素入れようかな?
※こいつらは小2です。
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朝田詩乃と寝てみたい
不穏なタイトル「寝てみたい(意味深)」
基本的に、柊君の視点→詩乃ちゃんの視点って流れになります。
何気に難産だった。
「朝田さん!」
「ひゃぁい!?」
いつものように詩乃ちゃんの部屋に突撃する。これで何十回、もしかしたら何百回かもしれないけれど、そのぐらいしているのに、度々こうやって驚く事がある。慣れてるのか慣れてないのか、まったくわからん。
「あ、ひ、柊君!ちょっと、出てて貰っていい、かな?」
「へ?」
「いいから!出てて!」
結構真面目に怒鳴られたので、仕方なく部屋から出る。詩乃ちゃんのお母さんが2階に上がってくるが、大丈夫ですよと言うと、あらそうと言って降りていった。僕の事信用し過ぎじゃないですかねぇ。
「……も、もういいよ」
姫からお許しが出た。
僕が部屋に入ると、女の子座りでベッドに座っていた。顔は真っ赤。詩乃ちゃん、顔真っ赤にする事多い気がするよ。
「……おはよう」
「うん。おはよう」
「僕とお話しして友達になってよ!」って言ってから(大嘘)半年程経っているが、最近、やっとこさ普通に喋ってくれるようになってきた。最初の頃はどもっていたり、まず話す前に逃げられたりされていた。でも学校では話しかけてきてくれない。まぁ僕も、話しかけないんだけどね?頑張ろ。
「朝田さん朝田さん」
「何?」
「公園行こう!」
「…………」
何故か詩乃ちゃんは、頑なに僕と外で遊ばない。何度遊ぼうと誘っても、「お前本当に小学生かよォ!?」ってくらい誤魔化してなんだかんだ、屋内で遊んでいる。そのせいで、お互いボードゲーム類が凄い上手くなった。
「どうしても、公園で遊びたい?」
「遊びたい。なんでダメなの?」
「それは……柊君が……」
え?僕?原因僕なの?…………思い付かない。あ、もしかして、学校の人に「あんなのと仲良くしてる……www」とか思われたくないのかな?普通に凄く悲しい。
「分かったよ……仕方ないなぁ……」
そう言って、にへらっと笑う。やっと外で遊べる!何して遊ぼうか。鬼ごっこ?隠れんぼ?うーん!
……ん?詩乃ちゃんが凄く見てくる。
「嬉しそうだね」
「朝田さんとやっと外で遊べるからねー」
ニッコニコ顔の詩乃ちゃんを見て、自然と僕も笑顔になる。後で聞いたが、この時僕の顔が凄く緩んでいて、喜んでくれてるんだと思って、とても嬉しかったらしい。なにそれ可愛い。
その後、近くの土手近くの結構広い公園に来た。遊具も豊富で、真ん中には噴水もある。今は土曜の朝9時ちょっと。中高生らしき人達が遊んでいるのが見えるが、同じくらいの年齢の子達はいないようだ。
「……ねぇ、柊君」
「うん?何?」
家からこの公園まで歩いて20分程なんだが、その間、ずっと僕の服の袖を握っていた詩乃ちゃんが、ここに来て一言目を発する。公園までずっとキョロキョロしていて、何も喋らなかったのだが……
「……日向ぼっこ、しよ?」
僕の友達が可愛過ぎて小2にして犯罪犯しそう。……嘘ですごめんなさい。まだ小さい詩乃ちゃんに欲情出来ません。ロリコンでもこれ見たら引くよ。
「うん。いいよ」
もちろん受け入れますとも。
詩乃ちゃんと共に土手に寝っ転がり、日向ぼっこする。日向ぼっこっていいよね。体力ない人でも出来るし、こうやって、好きな人としていると、とてつもない幸福感に包まれる。
あ、詩乃ちゃん好きです。しっかり言ってなかったね…………誰に言ってるんだろうか?
「んっ……」
大の字になって寝っ転がってた僕、その左腕に、詩乃ちゃんが頭を乗せてきた。詩乃ちゃんの顔近い。多分、僕の顔今真っ赤だと思う。詩乃ちゃん……え、寝てるやん。早っ!
……今日、朝早かったのかな。それとも、昨日夜更かししちゃったとか?起こさないでおこう。
「……寝よ」
開き直って寝る事にした。このまま起きてると、何処がとは言わないけど、覚醒してしまうから。まだ通ってもいないんだよ。子供の体だからなのか、性欲ってもんはあんまり無いけど。
「おやすみ。詩乃ちゃん」
まだ朝だけどね。
「……」
暖かい感触を感じながら、むくりと起き上がる。寝てしまっていたのか。
ちらりと右を見ると、穏やかな顔でスヤスヤと眠っている彼がいた。寝ぼけ眼の目を擦り、もう1度横になる。起きた時に感じた暖かい感触は、彼の腕だったのか。
「えへへ……」
だらしの無い声が出てしまうが、いいだろう。大好きな彼の顔が近くにあって、こんなにも暖かさを感じるのだから。
自覚がある。私の恋心は、普通とは少し曲がっている。「恋」という物は、あらゆる本のストーリーに干渉してくる物だ。恋をしないストーリー本の方が少ないだろう。それ故、少なくとも「普通の恋」というものは知っているつもりだ。
まず、私は彼の所有物を幾つか持っている。貰った物ではなく……盗んだ物だ。
どうしようもなく、彼を感じられる物が欲しくなる。私が読んだ事のある作品にも、そんな人がいたが、
いつかそう思ったら、私は行動に移すのか……わからない。
「……ふふ」
彼の全てが好きだ。彼の、私が嫉妬してしまうくらい滑らかで、綺麗な黒髪に手を通す。
………………………………
「ん……んぅ……」
彼の唇に、私の唇を合わせる。唇を合わせるだけの、ソフトなキス。それを、10秒程する。
幸せだ。幸せ……幸せ……幸せ。幸せ。幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ!!!
体全体が熱くなる。幸せ過ぎる。唇を離した後も、彼の左腕を体全体を使って抱き締める。このまま死んでもいいとも思える。
もう1度寝よう。遊んでいる、とは言えないかもしれないけれど、有意義に過ごせたのだ。私的に、満足な1日だ。
その2時間後、昼の3時になっても帰ってこない詩乃達を探しに来た詩乃母が、土手でラブラブ昼寝()をしている詩乃達を見つけ、携帯で写真を何枚か撮って、2人を起こす。
その後、柊が詩乃宅でおやつを貰い、今度は室内で遊ぶ事にした。
何だかんだ、柊も詩乃も、インドア派なのだ。ずっと室内で、少し外に出たくなっただけで。
明日も元気に室内で遊ぼう。と、2人は思った。
寝てる間にファーストキスを奪われる主人公。
無心で書いてたら詩乃ちゃんが主人公にキスしてた。僕の欲望ダダ漏れだよちくしょー。
詩乃ちゃんが頑なに外で遊ばなかった理由は、本人的に特に理由はないつもりだったけど、無意識に「他の人に見て欲しくない」という気持ちもあった。という裏話。
自覚してるとか言って、自覚し切ってないヤンデレ詩乃ちゃん可愛い。
もう詩乃ちゃんヤンデレでいいよ(適当)
はーいタグ付けときまーす。
最初に詩乃ちゃんは何をやってたのか。
柊君の所有物ではぁはぁしてま(ry
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朝田詩乃が最近おかしい
あ、Twitterアカウント作りました。
リクエストや支援絵がありましたらそちらへ送ってくださいな。
今回はall柊君視点。
次回はall詩乃ちゃん視点。
2人の日常を書いていこう。
なんかいきなり時間が飛んだ気がする。
……気のせいか。変な電波を受信してしまった。
「どうしたの?出雲」
「ん?んー……なんでもない」
僕と詩乃ちゃんは、先月、小学4年生にあがった。
詩乃ちゃんの事件まで後1年くらいか……2学期入った辺りだったと思うから、1年半はあるけど。
特に体鍛えたりはしてない。運動は人並みにしてたり、朝走ったりはしてるが。
後、お互い名前で呼び合うようになった。「名前で呼び合おう!」って言ったわけじゃないし、これといって転機は無かったが、自然とそうなっていった。
「春に入ったばかりだから、暖かくて眠たくなるのは分かるけど、寝ちゃダメだから」
「わかってるよ」
この2年で、詩乃ちゃんはずいぶん成長したと思う。身体的にも、精神的にも。
まず、段々と原作詩乃ちゃんに近付いてきた。おどおどしたコミュ障詩乃ちゃんも可愛かったが、原作のツンツン詩乃ちゃんも可愛い。
それと、なんだか最近、詩乃ちゃんの様子がおかしい。
何処に行っても付いてくる。朝は6時くらいに僕の家に来るし、休み時間もずっと居る。泊まったりもたびたびあったが、風呂やトイレにまで付いてこようとしたのは驚いた。
依存、なのかは分からないが……僕が詩乃ちゃんの中で、どういう存在になってるのか知りたい所だ。
ゲームの片手間に解けるような問題ばかりの授業は暇なので、今日は、僕と詩乃ちゃんの日常を振り返ってみようと思う。
まず、朝。
6時00分、僕、起床。
本当なら、7時くらいに起きるのだが、詩乃ちゃんが家に来るようになってから、6時に起こされるようになった。
「おはよう出雲。まだ寝てるの?」
呆れた顔で、僕の上に跨る詩乃ちゃん。やめなさい。はしたないです。ありがとうございます。眼福眼福。
「……降りてぇ」
叩き起こされたばかりの僕が、弱々しい声で降りてほしいと伝える。すると、顔を近付け、耳の近くで囁くように言う。
「じゃあ起きる?」
僕は返事をしない。起きたくないからだ。このままで居たいというのもあるが、毎朝毎朝やってたら睡魔の方が前に出てくる。最初の頃はされただけで跳ね起きた物だ。
「今何時だよ……」
仕方なく上半身だけ起き上がらせる。僕の膝に跨って首に手を回す詩乃ちゃん。小4だからいいが、高校生になってもこれされてたら毎朝ハッスルだぞ?
「6時よ」
「まだいいじゃんか……朝ご飯7時でしょ……」
「いいから起きなさい!」
成長し過ぎだよ……あの優しかった初心な詩乃ちゃんはどこ……ここ……?
なんだ夢か。
その後、詩乃ちゃんが誘惑に似たナニカをしてくるので、逃げるように起き上がり、詩乃ちゃんに構ってあげる。
そうして朝ご飯を食べ、学校へ行く。
「……通学嫌い」
「私は結構好きよ」
僕の家から学校まで、歩くと結構かかる。学校へ行ってしまえば楽なのだが、如何せん歩くのが面倒だ。体力が無いとか疲れるとか、そんなのじゃない。歩くのが嫌なんだ。
分からない?
「詩乃ちゃんって歩くの好きだっけ?」
「歩く事は、嫌いでも好きでもないわね。こうやって、出雲と2人で歩くのが好きなのよ」
うん。ありがとう。とっても嬉しい。嬉しいんだけどさ。そのハイライトのない目やめてよ。怖いんだけど。羞恥心より恐怖心の方が強いんだけど?
他愛ない(?)会話をしていたら、あっという間に学校へ着く。この時間も悪くないなと、毎日考えてしまう。案外僕は意志が柔い人なのかも知れない……
学校に着いた。
朝の会やって、授業やって、休み挟んでまた授業!
そして、普通より長い2時間目休み。
「出雲」
今日も今日とて、飽きずに詩乃ちゃんが僕の席へ来る。1年くらい前までは、学校ではお互い不干渉だったのだが、数ヶ月前程から学校でも話しかけてくるようになった。
僕に詩乃ちゃん以外の友達は居ないし、詩乃ちゃんにも僕以外の友達は居ない……と、思う。
でも、たまに詩乃ちゃんはクラスの子と話している。どんな話をしているかは知らないが。
「詩乃ちゃんはさ」
「なに?」
「僕以外の友達って、居ないの?」
「……貴方の言える事じゃないと思うけど?居ないわよ。そんなもの」
そんなものって……酷い言い方するねぇ。こういう所が原作詩乃ちゃんに似てきてる。原作詩乃ちゃんより圧倒的に成長速度が早い。なんだか、僕が詩乃ちゃんと関わり始めてから、急成長して行った気がする……僕、何かしたっけ……
「そういえば、出雲。貴方も眼鏡かけ始めたのね。目悪かったの?」
出会った日(友達になった日)からの事を思い出して行っている途中、詩乃ちゃんからそう言われる。
そう。そうなのだ。僕は今、眼鏡を掛けている。
「言ってなかったっけ。ここ最近で、すっごい目悪くなってね。眼鏡なしだと、今の席じゃ黒板の小さい文字が見えないんだよ」
「黒板見てないくせによく言うわね」
ばれてーら。
理由としては間違ってない。本当に、ここ数年〜数ヶ月で目が悪くなったのだ。それを親に伝えると、すぐ眼鏡を買ってくれた。
夜更しをしているわけでも、暗い所で本を読んでいる訳でもないのだが……一体何故なのだろうか……
「ねむい……」
「まだ2時間目よ?」
「毎朝6時に叩き起こされるから……」
「6時にしっかり起きなさいよ……」
僕は夜行性なんだ。朝は弱くてね。逆に夜は強い(純粋)からいいのさ。
そんな事を言うと、呆れた顔でため息を吐かれた。解せぬ。
……ん?どこを見てるんだ?
「詩乃ちゃん?」
「…………ん?何?」
「いや、何処見てるのさ」
詩乃ちゃんの見てた方……教室の後ろ窓側を見ようとすると、詩乃ちゃんに頭を掴まれて、グイッと前を向かされる。
今朝も見たハイライトのない目。怖いけど、最近慣れつつあるのか、それとも僕が無意識に恐怖心を感じないようにしてるのか、日常の一幕として捉えられるようになってきた。末期だね。
「見ちゃダメ。私と話してるんだから、私だけを見てて」
いや、アンタさっき僕と話してるのに、あっち向いてたでしょうが。と言いたいが、言ったら言ったでなんかやばそうなので、口を噤んでおく。
放課後。帰りの会が終わると同時に、詩乃ちゃんに手首を掴まれ、引っ張られるように教室を後にし、校門前でやっと手を離される。と思ったら今度は手を繋いできた。
「さ、帰りましょ」
眩しい笑顔を浮かべながら、僕に向かってそう言う。この笑顔はずるい。どんな事をされても、詩乃ちゃんに笑顔を向けられたら、許せてしまうような気がする。
1度僕の家に帰り、荷物を置いてすぐに詩乃ちゃんの家へ。いつものようにボードゲームやテレビゲームで遊び、暗くなったら帰る。たまに夕飯も頂く。
これが、僕の日常。
……最近、詩乃ちゃんの様子がおかしい。
無感情でいて、強い意志を持った目をしている。
何も見ていないようで、何かを見ている。
はっきり言って、怖い。
でも、それ以上に僕は、不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。
話の書き方
どうするか考えずに「次話投稿」を押して、タイトルを考えてそのタイトルにそった感じにしていく。
馬鹿のやり方だから真似しちゃダメだよ?
(眼鏡の意味は)ないです。
あ、お気に入り登録100人超えました。というか200人行きそうです。伸びすぎて怖いんだけど。明日ヤン詩乃ちゃんに監禁されて殺されるんじゃない(ただの願望)
読んでくださっている、そしてお気に入り登録してくださっている皆様、ありがとうございます。これからも私は無心かつハイライトのない目でこの作品を書いて行きます。
ヤン詩乃ちゃんに殺されてぇ……( _´ω`)_
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柊出雲は今日も恰好いい
や……やったー?
はーい詩乃ちゃん視点で〜す。
ヤンデレ書こ書こ〜いえ〜い。
ヤンデレ書くとなると指も乗っちゃうよねー。
朝5時30分。起床。
私は毎朝この時間に起きる。前日は大体20時か21時に寝ているので、9〜8時間以上は寝ている計算になる。問題ない。
まだ早朝で、外はあまり明るくない。この時間帯は、雨だろうが晴れだろうが、曇りのような空をしている。これも、彼が居なければ知らなかった事だ。
まずは、
この髪留めは、私と彼が友達になったばかりの時、彼が買ってくれたものだ。お小遣いを貯め、お店で買ってきてくれたらしい。
クロス型の、小さな髪留め。本人は安かったし、壊れたら捨ててもいいよといっていたが、あれから2年経った今でも、壊れず私の髪を留めている。これを付けていると、彼を近くに感じられる。
服を入念に選び、6時になったら、彼の家へと向かう。1年前の今頃は、私も寝ていたのだが、彼は遅刻やギリギリに来る事が多く、私が居なきゃダメな事に気が付いた。もっと早く気付くべきだった。
6時00分。彼の両親もまだ寝ている頃。私は彼の家の鍵を開け、彼の部屋へと向かう。鍵は、彼の両親がくれた。起こしに行き始めたぐらいに。優しい人達だ。
彼の部屋へと入り、すやすやと穏やかな顔で眠る彼の顔を見つめる。何故か下腹部が熱くなるが、いつもの事なので放っておく。
毛布を剥ぎ、すこし肌寒いのか、身動ぎする彼の足に跨る。彼は寝起きが悪い。暴れたりする訳では無いが、尋常じゃない力で毛布を被る。最初の頃は困ったものだ。
少しシャツが捲れ、むき出しとなった腹部を見て惚けてしまう。なんと引き締まった
しかしそれはダメだ。毎朝行われる、彼を前にした私の理性と本能の攻防。今日も理性が勝利し、彼を起こしにかかる。
起こすのは簡単だ。肩をゆすればいい。起き上がるまでは長いが、起きるのは早い。
「……」
眼を、少し開いた。起きた事がわかった私は、溢れ出ている感情を無理やり押さえ込む。毎朝毎朝、本能を抑え込むのは疲れる。
「おはよう出雲。まだ寝てるの?」
私がそう問いかけると、彼は少し頭を上げ、私の顔と体を往復して見て、頭を下ろす。右手を額に乗せて、弱々しい声を出す。
「……降りてぇ」
降りてやらない。降りたら、ベッドからずり落ちている毛布を取って被り、数十分、下手したら1時間起きてこないからだ。最初は、寝たいなら寝かせてあげようと思って、彼の椅子に深く座り込んで、彼の寝顔を近くでじっと見ていたのだが、時間を忘れ、朝ご飯だと叫ぶ彼の両親の声も聞こえず、あっさり2人とも遅刻した。
それからは二度寝させないようにしている。
「じゃあ起きる?」
無言。何も返ってこない。ちょっとムッとしてしまうが、習慣化された起床時間とは異なっているので、眠いのは当たり前だと、自分を納得させる。
1年も続けているのだから、そろそろ自主的に6時に起きてもいいと思うのだけれど。
……それはそれで寂しい。我ながら面倒臭いと思う。
「今何時だよ……」
「6時よ」
時計を探すようにキョロキョロしていたが、間髪入れずに私が答える。時計なんかに意識を向けず、ずっと私に意識を向けて欲しい。そう思うのは、異常なんだろうか。
「まだいいじゃんか……朝ご飯7時でしょ……」
「いいから起きなさい!」
これは断じて私的な物ではなく、6時に起きるのが健康的だから、必死になって起こしているだけだ。そう。別に、彼が構ってくれなくて寂しいなんて、そんな訳ない。確かに、彼はイケメンで優しくて性格も良くて綺麗好きでセンスも良くて頭も良くて私なんかと仲良くしてくれる私の大好きな人だけど、構ってくれなくても大丈夫なのだ。
「…………嘘」
思わず声に出してしまう。頭の中で言い訳を並べていたのだが、私の本質が言い訳を許さなかった。
彼に聞かれてしまっただろうか……
「んん……なんか言ったぁ?」
……聞かれていなかったようで、よかった。
「いいえ。何も。早く起きなさい」
「うぇ〜……」
はぁ……まったく。彼は、私が居ないと、本当にダメなんだから。
学校への通学。彼は「歩くのは嫌いだ」とボヤいているが、私は、彼と2人きりでいられるこの時間は、結構好きだ。
学校へ着き、席に座る。彼は真ん中少し後ろの位置におり、私はその三つ前、最前席である。授業中、彼を見られない事はとても辛いが、彼の視界に常に私が映っていると思うと、嬉しい。
……と、普通なら思う所なのだが、彼は授業中、机に突っ伏して寝ているか、暇そうにペン回しをしており、黒板なんてチラリとも見ない。そんなので大丈夫かと思うだろうが、彼は天才。テストは全部満点だ。ある時、一体何処で勉強してるの?と聞いてみたら、「へっ!?……よ、夜、かな?」と曖昧な返事が返ってきた。何を動揺していたのだろう。
休み時間になったら、彼の元に向かう。彼が椅子を差し出してくれる時もあったが、何度も断っていると、して来なくなった。気持ち悪いとかいう理由では断じてない。むしろ座りたいくらいだ。しかし、そうすると彼が立つことになってしまう。それはダメだ。私が許せない。
彼と向き合って話していると、彼の後ろに、彼を見て笑いながらひそひそ話す姿が見えた。
1年前から、私は学校でも彼と関わるようにしている。その時、必然的に、彼も私と話す為、喋る事になる。今までは「関わるな」オーラ全開だった彼が、普通に話し、尚且つ優しいと知った雌豚共は、私と合わせて話しかけようとする。
雌豚がこちらに歩き出そうとした時、私は殺意を込めた目を雌豚に向ける。彼から2m程の距離で立ち止まり、私と目を合わせて「ひっ」と小さく悲鳴をあげる。
雌豚の分際で、彼に話しかけようなどと、烏滸がましい。その醜い手で触れて欲しくないし、その汚い声で彼の耳を犯して欲しくない。彼の体も耳も、全て私のモノだ。
……彼には気付かれていないな。よし。
「詩乃ちゃんはさ」
数秒の間(先程の眼の攻防約3秒)無言だったが、珍しく彼から話題を振ってくれた。彼は、1年経った今でもあまり学校では喋らないので、彼から話しかけてくれたのはとても嬉しい。
「なに?」
「僕以外の友達って、居ないの?」
友達……友達?あの薄汚い雌豚と、何も考えていない能無しの屑共と友達になる筈が無いでしょう?
そう言いたくなるが、口からその言葉を出す直前、とある思いに辿り着く。
そうか、そうか。彼は優しい。それは底知らずで、天上知らずだ。つまりは、薄汚い雌豚も、何も考えていない能無しの屑共も、等しく見てくれているという事だ。あぁ、なんて優しいんだろう。あんな奴らにも優しさを与えるなんて……
「……貴方の言える事じゃないと思うけど?居ないわよ。そんなもの」
無難に返しておくとしよう。彼がいくら優しくても、私はそんなに優しくない。彼が「他の奴らとも仲良くしろ」というのならば、あの雌豚や能無し共と仲良くするのも吝かではないが。
しかし、このままこの話題を引っ張るのは良くない。私も彼も、友人など居ないし、作る気もない。いや、彼に作る気がないのかは知らないが、私は作らせない。少なくとも、周りの屑共はダメだ。絶対に。
「そういえば、出雲。貴方も眼鏡かけ始めたのね。目悪かったの?」
結構最近、彼は眼鏡をかけ始めた。いつもとは違う、知的さを感じさせる眼鏡も、とても似合っている。
いや、いつも知的さを感じさせない訳では無いのだが。これはこれで、とても恰好いい。
「言ってなかったっけ。ここ最近で、すっごい目悪くなってね。眼鏡なしだと、今の席じゃ黒板の小さい文字が見えないんだよ」
「黒板見てないくせによく言うわね」
苦笑する彼に、私も自然と笑みが零れる。この時間は、何にも変えられない、今しか味わえない感覚に落ちる。永遠に続いて欲しいとも思うし、それ以上も求めてしまう。
私なんかが、なんて、最近はよく思う。雌豚共が彼に群がっているのを見て、更にだ。
でも、私がどんな状況でも、彼は私の手を握り、いつも私を安定させてくれる。どんなに辛く苦しい時でも、彼が居れば、私はやっていける。
今はまだ、彼の隣に立つには、足りないかもしれない。でも、絶対、いつか、彼の隣に、堂々と立ってみせる。
私以外……立たせない。
窓際で、数人の屑が話している。いつもなら頭にとどめすらしないが、今回は何か違う。
彼がそちらを振り向こうとしたが、私が止めた。あんな屑共を、彼の視界に入れてはいけない。
放課後になったら、私はすぐに彼の手首を掴み、校門まで引っ張る。悪いなとは思うけれど、すぐに出なければ、雌豚と屑がわらわらと集まってくる。事実、彼と私が話し始めた頃に、何度かあった。それからはこうしている。
「さ、帰りましょ」
校門前で、振り返って、彼の顔を見る。彼は毎回不思議そうな顔をするが、私が笑顔で彼の手を握ると、苦笑した顔になり、私と共に歩く。
何度も言うが、彼は優しい。それは良い所だが、同時に悪い所でもある。外の世界は危険なのだ。だから、危険を知らない彼を、私が守らなきゃならない。
いつまでもいつまでもいつまでも……
私は、彼を見守る。彼の隣に立つために。私の幸福感を満たす為に。そして、彼の幸せの為に。
「……大好きだよ。出雲」
私のその言葉は、強い風の音でかき消され、誰の耳に届く事もなかった。
真顔で書いてるのを想像してみて下さい。
あら不思議。ヤンデレ末期じゃないですか。
いい精神科紹介しましょうか。
詩乃ちゃん事典(小4時点)
自分→すべて柊出雲のモノ
柊出雲→すべて私のモノ
柊出雲の両親→いい人
お母さん→優しい母
自分以外の女子→薄汚い雌豚
柊出雲以外の男子→何も考えていない能無しの屑
まだ親達に優しい感情を向けている。
状態【普通のヤンデレ】
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朝田詩乃とプールへ行こう
とある薔薇エルフ実況者さんの動画は、前々から見てたので、薔薇エルフを使おうと思います。
むしろ薔薇エルフ以外使いません( _´ω`)_
マスターまで頑張るぞぉぉぉ……_( _ ´⚰︎` )_
お気に入り300人越えました。ありがとうございます。
小学5年生にあがり、一学期が終わり、夏休みに入った。詩乃ちゃんが銀行強盗にあうまで、後数ヶ月しかない……の、だが。
よく良く考えたら、僕がどうこう出来るような問題ではない事に気付いた。なんでもっと早く気付かなかったん?
とりあえずの解決法なんだが、行かせないようにする、しか思い付かなかった。細かい日にちは書かれていなかったような気がするので分からないし、わざわざ一言僕に言ってから行くとは思えないので、止められる可能性は低いが。
でもなー。詩乃ちゃん僕に(何故か)ベッタリだからなー。もしかしたら銀行行かないで僕の所にいるかもしれない。いや、それじゃお母さんが死んじゃう。それはギルティ。
今すぐ僕が、ベクトル操作できるようになったり、スタンド発現させたり、王の財宝を手に入れたり出来たら話は早いが、生憎そんなご都合主義がある訳もないので……
「詩乃ちゃん。プール行こう」
問題を先延ばしにして、1度きり……僕は2度目か?まぁ、そこはスルー。1度きりの小学5年生の夏休み、楽しまなきゃ損だ。中学校や高校に上がったら、宿題なんかで時間が取れない(かもしれない)から。
ちなみにもう宿題終わらせてます。少なかったし、僕や詩乃ちゃんならすぐ解けるからね。
「……プールねぇ」
本から目を離さずに答える。少しはこっち見て。後もう少し恥じらって。詩乃ちゃん今ミニスカだから。足組んじゃダメ。はしたないよ。
後なんでナチュラルに僕の部屋の椅子に座ってるの?部屋主僕だよね?遠慮ってもんが無くなってきたね。
「そうそう。この前福引で【うぇるかむとぅーようこそじゃ
「あそこの……でも、今の時期は混んでるんじゃないかしら?」
ご尤もである。事実、前世の僕は夏にプールなんぞ行かなかった。誘われなかったという事もあるが、単純に、人混みという物が嫌いだったからだ。
DA☆GA!今世は、詩乃ちゃんがいる。美しい華が添えられるのだ。ぶっちゃけて言うとロリ詩乃ちゃんの水着見たい。恥ずかしがってる水着ロリ詩乃ちゃん見たい。
発情はしないが(重要)
「ペアチケットが2枚あって、僕、母さん、父さん。これで3人なんだけど、後1人どうしようかってなって。それで、詩乃ちゃん誘おうかなーって」
「ふ〜ん……」
ありゃ?興味なし?
水とか青いもの好きそうだけどなー。と偏見じみた事を考えていると、本から目を離し、ジト目をこちらに向ける。
「もしペアチケット2枚じゃなくて、1人1枚のが3枚だったら、私は誘わなかったのね」
「えっ」
いや、まぁ……そりゃ……ねぇ?……言わずもがなって奴ですよ。でも、正直に言ったら拗ねてしまう。本人は拗ねてないというが、絶対拗ねてる。何も答えないでいると、ツーンと顔を背けてしまった。
「……行かせて貰うわよ。余ったら、勿体ないし」
「アハハ……ツンデレが激しいなぁ……」
「ツンデレ言わないで」
うぅーん……何処で間違ったんだろう……全部か。
詩乃ちゃんとプール行く約束は取り付けたから、もうどうだっていいや!詩乃ちゃん可愛い女神!(現金)
「それで?プールっていつなの?」
「3日後」
「…………はっ!?ちょっ、もっと早く誘いなさいよ!」
急ぎながらも丁寧に本に栞を挟み、慌てたように部屋から出ていく。3日前は遅いのか?1週間前とかに誘った方が良かったのだろうか……
前世でよく、女心を知らないだとか、鈍感だとか、無性欲人とか言われた事を思い出した。そういえば、詩乃ちゃんにも何度かさらっと言われたような気がする……解せぬ。僕なんて、性欲と煩悩の塊みたいなモノなのに。
家に帰った詩乃ちゃんは、すぐにお母さんに頼み、新しい水着を買いにショッピングモールに出掛けたとか。
後から聞いたのだが、あの時はスク水しか持っていなくて、焦っていたらしい。別にスク水でも良かったと言うと、怒られた。
3日後。プール当日である。【うぇるかむとぅーようこそじゃ
僕の両親の車で向かい、更衣室で別れる。比較的着替えるのが楽な男性陣は、早めにプールへと出た。
「出雲!パラソル持ってきたか!?」
「今運んでるから!」
男性陣は、早く出た分、パラソルをたてたり、レジャーシートを敷いたりと、働かなければならない。このうぇるかむぱーくは中々敷地面積が広く、近くに【うぇるかむホテル】といううぇるかむぱーく所有のホテルまである。まるで何処かの夢の国のようだな。
そうこうしているうちに、母さんと詩乃ちゃんが更衣室から出て、こちらに向かってきていることに気付く。詩乃ちゃんは青いフリルの付いた子供用ビキニを着用しており、絵になっていた。え?母さん?自分の母さんの水着を実況しろとか、鬼畜にも程があるよ。各々好きに想像してくれたまえ。
「水着可愛いね、詩乃ちゃん」
「っ……あり、がと…」
グイグイベタベタする、どちらかと言うと攻めが多い詩乃ちゃんだが、案外褒められたりする事に弱い。水着を褒めると、真っ赤に顔を染め、目を背けて礼を言ってくる。チラチラ見てるのだが、気付かないと思っているのだろうか?僕は、子供らしい詩乃ちゃんという物を、余り知らない。だが、今ここで水着を着て顔を赤らめる姿はまさに子供で、とても可愛らしいと思う。
「そ、それじゃあ、行きましょう!」
「気を付けるのよー」
今日も、僕は引っ張られる側だ。いくら可愛らしく子供らしい詩乃ちゃんでも、僕を先導してくれる。
もう僕の中で、詩乃ちゃんはかけがえの無い存在になってしまっているのだろう。あらゆる日常のワンシーンの、全てに彼女がいる。
「ね、詩乃ちゃん」
「何?」
「ありがとう」
「……どういたしまして」
前を向いたまま、こちらを振り返らない。しかし、肩から覗く耳が、先程の顔同様、真っ赤に染まっているのを見て、僕も自然と笑みが零れる。
今日は、目一杯楽しむとしよう。
周りの人に、良く、やる気がない。って言われる。
やる気がないから仕方ないよね。
いい観察眼をお持ちで……
両親はこれからも【父さん】【母さん】として、名前を出したりするつもりは無いです。
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朝田詩乃と流されたい
最後にプールに行ったのは……いつだっけ……?
4/23
21:30
日間ランキング第22位に入りました。昼頃に23位に入り、いつの間にか1上がってました。投稿される頃はどうなってるんでしょう……
そして、お気に入り登録500人突破&UA10000人突破ありがとうございます。なにか記念会とか書きたいんですけど、リクエストがなんかありましたら、是非、私のTwitterへ()
小学5年生というのは、ある程度自立的な行動が出来るようになり始める年だと、僕は思う。小学5年生からは、自転車で遠くへ行ったり、友達と17時や18時まで遊んだり……わかりやすく言えば、人生の節目という物だ。15歳を超えれば、R15の作品が見れるようになったり、高校生になれば、バイトが出来るようになったり、門限がなくなったり、と。
主に未成年のうちに、様々な「禁止」が、時間と共に無くなっていく。少なくとも僕は、小学5年生は、人生の節目の1つだと思っている。うちは小学5年生から自転車を許されたし、ある程度ならば1人で遊びに行くのもOKだった。17時前に帰れば怒られないし、なんというか、一定の自由を手に入れた。
そんな事を両親に力説し、僕はもう1人でも大丈夫だとアピールする。そして、自由にさせてくれとお願いする。
そしてその願いは通り、プールにいる間、詩乃ちゃんとずっと2人きりで居られる事を許された。
「昨日は少し疲れた……」
昨日の夜に行われた「1人でも大丈夫アピール」で、僕は心が疲れていた。前にいる詩乃ちゃんの綺麗な髪を伝う水を見てたら、心が清められていく気がする。
「……何?ずっと見て」
「あ、気付いてたの?」
「そりゃそんなに見られれば気付くわよ。言ってくれればいいのに」
いや、言ったら変態確定じゃないですか。と口には出さないが、心で思う。詩乃ちゃんとて小学5年生……まぁ僕もだけど、なんていうか、「男」と「女」という物を理解し始める頃でもある。
ちなみに、良く聞く「お父さん大っ嫌い時代」はここら辺から始まるらしい。詳しく知っている訳では無いが、そんな事を聞いたことがある。
「いい加減、それ貸しなさいよ」
後ろ歩きの詩乃ちゃんが指差すのは、僕がグデーっとしてる、いるかの浮きだ。いるかの形をしており、なかなか大きい。プールに来たら、ひたすら流水プールにて浮き輪に浮かびながら流されるのが好きなタイプだ。友達といって雑談を挟むとなおよし。
「嫌だよぉ……」
このいるかは渡さん。そう主張するように、僕は、いるかを背中から抱き締める。僕はこうやって流されながら、前を進む詩乃ちゃんを見ていられたら、それで満足だ。
「……ずるい」
口を尖らせながら、そうボソッと呟いた。そんなに欲しいなら、無理やり剥ぎ取ればいいものを。それをしない所が、詩乃ちゃんの優しさだろうか。僕だったら剥ぎ取ってる。いや、詩乃ちゃんがグデッてたら、許すけど。
「詩乃ちゃん、そんなにこれ好きなの」
ぼふぼふと浮きを叩くと、口だけプールに入れて、ぶくぶくと何かを言う。
「……ブクブクブクブクブク」
「何ぃ……?」
「出雲に抱きしめられてるいるかがずるい」
えぇ〜……
なんだそんな事か。と一瞬思い、言葉をもう1度頭の中で繰り返し、えっ?と疑問符を浮かべる。つまりは、このいるかのように抱き締められたいという事だろうか?僕としては全然ウェルカムなんだが、周りの目もあるし、何より、僕達は今水着である。そんな状態で抱き締めたりなんかしたら……
「いっ、出雲に……だ、抱き締められ、たい……」
「おおぅ……」
詩乃ちゃんから直球に言われました。これはもう成長云々じゃないね。進化だよ、進化。ツンデレから何かに進化したのか、今までのツンが全てデレに変換されて、ここに爆誕したのか。頭が混乱してよく分からない。
「……おいで」
先程も言ったが、僕は、詩乃ちゃんを抱き締める事自体はいい。詩乃ちゃんの、柔らかいアレやらソレやらが僕の体に当たろうが、僕の斬魄刀が卍解する事もないだろう。まだ精通もしていないのだ。平均的な精通は11歳〜となっているし、来年か再来年にはすると思うんだが。
……詩乃ちゃん、初潮迎えてないよね?
「んっ」
おいで。と言った僕に、「抱き締めて欲しい」と頼んできた詩乃ちゃんが断る訳もなく、おずおずと僕の脇に手を通し、抱き締める。僕もそれに合わせて、詩乃ちゃんにおぶさるように手をかけ、抱き締め返す。少し顔が熱い。顔の横も熱い。見た訳では無いが、多分、この顔の横の熱いのは、詩乃ちゃんの顔だと思う。
ゆっくりと、水に体を浮かせる。いるかの浮きは、縄のようなものが付いているので、それを腕に巻き付けて固定しているから、流れていく事は無い。
周りの視線が気になるが、仲のいい
恥ずかしい事に変わりはないが。
「ん……えへへ」
右を向くと、僕の右肩に頭を乗せた、幸せそうな顔の詩乃ちゃんが見える。その顔は珍しく年相応で、僕とは違い、やはり、子供なんだなと気付く。
普段、詩乃ちゃんは大人っぽい。年相応の顔や行動はほぼせず、まるで一人暮らしする成人女性のような性格をしていた。僕は前世では成人直前ってくらいで、今世を合わせれば余裕で成人している。ので、もちろん、僕の精神は小学5年生とは合わない。だが、彼女は違う。純粋な小学5年生なのだ。
まだ精神が未発達で、でも、大人然としている。
そんな詩乃ちゃんが、僕は大好きだ。
「ねぇ、出雲」
「んー?」
「私の事好き?」
思わず体が震える。詩乃ちゃんの顔を恐る恐るというふうに振り返ると、顔を上気させ、目はトロんと溶け、口はだらしなく開き、はぁはぁと言いながら、力強く僕の体を抱き締める、先程の幸せそうな顔とは、また違うベクトルの幸せを感じている詩乃ちゃんの顔が、見えた。
「あ、あー……」
「ねぇ、どうなの?私は好きよ。出雲の事」
どう反応するのが正解なのだろうか。素直に言うべきなのか、子供らしくはぐらかすべきなのか。さっきから冷静に色々と物を考えているが、はっきり言ってキャパオーバーである。まだ精通前で僕のスタープラチナがオラァする事は無いが、興奮はする。詩乃ちゃんの、アレやらソレやらが体にふにふに当たるのを忘れる為、考え事をするのだ。
僕はテンパッたり、どうしようもなくなった時、頭の中で色々と考える癖がある。その事柄に関係する事を考える事もあったし、全く関係ない事を考える事もある。
ダメだ。考える事しか出来ない。早く答えねば、詩乃ちゃんが不機嫌になっていってしまう。現に、段々と詩乃ちゃんの細腕からは信じられないくらいの力で、抱き締めてくる。痕が出来そうだ。
「ねぇ……ねぇ?」
痛い。締め付けられる痛みと、詩乃ちゃんの爪が僕の背中に食い込む事による傷のふたつが痛い。なんとか止めさせるため、質問に答える。
「ぅ……僕も、大好きだよ。ちょっと、力、強い、かな……!」
その場しのぎの言葉でもないし、僕の本心である。けどまぁ、小学生の言う「好き」は、あまり信用出来ないからなぁ。子供は好きになるまでも早いが、好きでなくなるまでも早いので、不安だ。
「…………ふふっ」
僕の言葉を聞いて、詩乃ちゃんが不敵に笑う。また強く抱き締めて来るが、今度は痛くなく、心地の良い強さだった。僕も詩乃ちゃんを抱く手を少し強めると、詩乃ちゃんが僕の首筋に吸い付いてくる。
「ひ、やぁ!?」
「んっ……♪」
思わず、変な、とても恥ずかしい声が出てしまう。楽しそうな声を出しながら、チュウチュウと首を吸ってくる詩乃ちゃん。前世含めファーストキスもまだ(本人はそう思っています)な僕としては、刺激が強過ぎる。
時々歯を立てるのも、なんというか、感じる。誰得だよって話だが、僕は結構首が弱いのかもしれない。というか、詩乃ちゃんなんか慣れてない?
「ちょ……っと!?」
少し強めに詩乃ちゃんを引き剥がす。お互い数歩後退し、離れる。詩乃ちゃんは驚きのような、混乱のような顔と表情をしながら、問い掛けてくる。なんで引き剥がされたのか、分かっていないような表情だ。
「えっ……嫌、だった?」
「嫌とか、そういうんじゃなくて…………いきなり、どうしたの?」
僕の知っている詩乃ちゃんは、友達の、しかも異性の首筋を吸うような子ではない。それは前世で見た原作を読んだ上での言葉であり、今世で見た、成長した詩乃ちゃんを知った上での言葉である。
「……シたくなっちゃった。……それだけよ?」
もう顔を赤くする事はなく、本当に、心の底から混乱した瞳をこちらに向ける。さも当然かのように思っているのか?……いや、思っているのだろう。先程詩乃ちゃんの言った「好き」は恋愛的な意味なのだろうか。「朝田詩乃」を知っている身として、あまりドストレートな好意や告白を苦手としている詩乃ちゃんが、か?
有り得ない、と一決するには可能性が高い。
「したくなったって……はぁ、もういいよ。……大丈夫かな」
「大丈夫って、何が?」
「首だよ。詩乃ちゃん結構強く吸ってたし、痕とかついてない?」
「……大丈夫よ」
うーん。大丈夫なら、いいんだけど……
あの時、詩乃ちゃんの言った「好き」は、雰囲気に流されて言った物なのか、勇気を振り絞って言った本気の「好き」なのか、はたまた友人としての「好き」なのか。それは分からないが、とにかく今は一旦忘れ、詩乃ちゃんと遊ぶとしよう。
問題を先延ばしにするのも、僕の悪い所だな……
ちなみにその後、両親達の元に帰った時に、両親から「首筋にキスマークついてるぞ」と苦笑されながら言われた。詩乃ちゃんめ……謀ったな。どうりで「なんか凄い見られるなぁ」と思ったよ!すっごい恥ずかしい……
策士の詩乃ちゃん。略して
ヤン詩乃ちゃんがやっと主人公にも分かるようにヤンヤンして来た。
……ヤンキーじゃないですからね。
策士乃ちゃん結構気に入ってる。僕のセンスがわかるね。うん。
最近思うんですけど、なんかこの作品、書き方がループしてる気がします。そういう風に見たから、そう見えるんですかね。
〜ここから長くなりますが、読まなくてもおkです〜
SAO知らない人(SAO初見)に優しくない。という言葉を頂きました。
……うん、確かに()
原作知らない人だと、あまりストーリーとかがわからないかも知れません。事件とか、原作詩乃ちゃんとか。
それで、とりあえず覚えて欲しい事を簡単に書きます。
「原作詩乃ちゃんは色々酷い目にあって、結局救われきれず、不遇である」
って事です。
色々はこれから書いていくつもりです。
「不遇」というのは、才能や力はあるのに、それに見合った地位に立てていない、という事を表します。原作の彼女は強く、そして美しかったです。しかし、その強さと、その美しさに見合った場所に立てていないと思いました。なので、彼女をあるべき場所、手に入れるべき幸せを手に入れて貰おうと思いました。
詩乃ちゃんが不遇だー。なんてのは個人的な感想ですし、最初にある通り、息抜きで書き始めた。作品です。ガバガバ理論はありますが、これからもよろしくお願いします。
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朝田詩乃を守りたい
さぁて……どうするかな……(ノープラン)
小学5年生の2学期が、始まった。そろそろ、あの「事件」が起こる頃だ。原作では2学期が始まった頃、としか描写されていなかったので、細かい日程は分からないが……
「おーきーなーさーい!」
とある土曜日の朝、いつもの様に、詩乃ちゃんに起こされる。休みの日という事もあって、8時に起こしに来た。大体この時間だ。誤差はほぼ無い。その管理能力を他に回せ、と言いたいが、他の管理も完璧なので文句が言えない。
「ほら、早く!」
「…………」
まだ寝たい一心だった僕は、特に考えもせず布団へ潜った。昨日の夜は、勉強で寝るのが遅くなってしまったのだ。ちなみに範囲は大学3年の後期である。前世での勉強ペースを維持出来るよう頑張っているのだが、僕はスイッチが入ると一気にやるタイプで、昨日はそのスイッチが入った日だった。
「もう……」
詩乃ちゃんが、諦めたように僕の上から降りる。詩乃ちゃんは以前、休みの日は、無理に起こしたりせず、起きるまでずっと僕の部屋で本を読んでいるか、パソコンをしていると言っていた。配慮も出来るなんて、いいお嫁さんになるねぇと冗談で言って怒られたのは、しっかり覚えている(詩乃ちゃんに忘れろと言われたけど)
「んん……」
詩乃ちゃんの少しの重みが無くなり、体勢を少し変えて、寝やすい形にしてから、また眠る。詩乃ちゃんが起こしに来たという事は、今は8時くらいなのだろう。ならば、もう2時間は寝るとするか……
「……ふぁ」
目が覚める。外はまだ明るい。今は何時だろうか……13時!?えっ!?アレから5時間も経ってるじゃないか!
詩乃ちゃんなんで起こして……って居ない。あれ?いつもなら1時間だろうが3時間だろうが、起きるまで僕の部屋にいると言うのに……5時間は、流石にあきられたのか?
詩乃ちゃんの家へと行ってみると、鍵が閉まっていた。詩乃ちゃんのお母さんから頂いた合鍵を使い、中に入る。ちなみに、使用したのはこの時が初めてだ。
「詩乃ちゃー……ん?」
居ない。詩乃ちゃんはおろか、お母さんまでも。はて、買い物にでも言ってるのだろうか。食材ならば、詩乃ちゃんが僕を叩き起して2人で行くだろうし、他の何か―――
「あっ……」
そうだ。そうだ!2学期始め、土曜日、午後、詩乃ちゃんとその母親の不在!これはもう……!
「やばい!」
それは正しく、事件の日だと確信した。
詩乃ちゃんとそのお母さんが向かったのは、近所の郵便局。原作通りならば、銀行強盗に遭うはずだ。既に事件が起きた後ならば、どうすればいい?いや、起こってないとしても……
様々な考えを巡らせながら、郵便局へと向かう。「近所」の「郵便局」ならば、数は限られてくるし、今まで何度か連れて行って貰った事もある。アニメ版の銀行の細かな所まで覚えているわけもないので、虱潰しに行くしかない……と、思う所だが。
ある程度検討はついている。朝田家が行く郵便局は一番近い所。自意識過剰じゃなければ、詩乃ちゃんは、僕が居ない状態で外に出る事を嫌っている。ならば、一番近い所が最有力候補だろう。
走って、走って、ただ走る。日頃から走り込んでいたお蔭で、郵便局への最短ルート、及びそこまでの全力疾走を可能としている。郵便局が見えてきて、中に入る。入口の横の椅子に座る詩乃ちゃんが、本を持ちながら驚いた瞳をこちらに向けている。どうやらまだ事件は起きていないようだ。
「良かった。早く、早くここから!」
「えっ、ちょ、どうしたのよ?汗凄いわよ?」
詩乃ちゃんのお母さんは……ッ!もう窓口に!?だったら、恐らく、記憶違いじゃなければ、すぐに……!
入口に目を向けると……痩せた、中年男性が入ってくるのが見えた。コイツが強盗犯だと、直感で分かった。と言うより、脳に刻まれた感覚が、そう叫んでいる。
今、この日、この瞬間が、僕と詩乃ちゃんの人生の分岐点となる。
「本当にどうしたのよ。貴方らしく……」
「ッ」
言いたい。けど、口を開くと、パクパクと金魚のように口を開け閉じする事しか出来ない。声が出ず、詩乃ちゃんも不思議な顔をしている。そんな事をしている間にも、強盗犯は窓口に向かい、詩乃ちゃんのお母さんを突き飛ばした。
「痛っ……」
詩乃ちゃんのお母さんが倒れ込み、強盗犯がボストンバッグを窓口に置いて…………銃を取り出し、銀行員に銃口を突きつけた。
「この鞄に金を入れろっ!両手を机の上に出せ!警報ボタンを押すな!お前らも動くな!!」
銃口を慌ただしく動かし、職員達に「妙な事をしたら撃つ」とアピールする。叫びだしそうな詩乃ちゃんの口を抑え、詩乃ちゃんの隣に座る。僕という壁が居なくなった詩乃ちゃんの瞳に、強盗犯と、強盗犯の持つ銃が映る。
すぐに固まる詩乃ちゃんの口から手を離し、必死に思考を巡らせる。奴が銀行強盗に入る前、もっと言えば、薬物を打つ前に、何か鈍器を使い始末しておきたかった。しかし、それはもう出来ない。もう事件は起きてしまっている。
……パァン!という、激しい音が銀行内を包む。僕と詩乃ちゃんは反射的に耳を抑え、爆音から鼓膜を守る。足元に薬莢が転がってきて、目を上げると、男性局員が撃たれていた所だった。
「……!」
救えなかった!強盗犯が来る事も、彼が撃たれる事も分かっていたのに!
そうだ。そうだ。考えている暇なんてない。原作の詩乃ちゃんもそうだった。原作の詩乃ちゃんも、強盗犯に無我夢中に飛び付いたんだ。結果は良かったとはいい難いが、少なくとも、命は失わなかった。
「……やるしかない」
決めたんだ。詩乃ちゃんを、守る。救う。不遇な朝田詩乃を、あるべき場所に立たせると、そう決めたじゃないか。今までは、寄り添って、それで詩乃ちゃんが助かると思っていた。「友達」「親友」、そんな存在がいれば、詩乃ちゃんはもっと強くなれていたんだと。
寄り添うだけじゃ、足りないんだ。行動しなきゃ。「友達」だとか「親友」だとか、そんな者が居るだけでは、詩乃ちゃんは救われない。
なるんだ。詩乃ちゃんの、
詩乃ちゃんのお母さんへ、銃口が向けられる。このままでは何も変わらない。僕は決心したんだ。
席から跳ね上がるように立ち上がり、強盗犯の元へ走る。強盗犯の足を、毎日走って鍛えた脚力で蹴る。相手は大人だが、薬物中毒者だ。体はガタガタと震えていたし、余裕もないようだった。僕の蹴りで簡単にバランスを崩した強盗犯は、床に背中から倒れ込む。
銃を持つ右手の手首を思い切り踏み、銃を落とさせ、蹴って遠くに飛ばす。ここまではOK、詩乃ちゃんのお母さんが撃たれる事はもうない。問題は……
「この、ガキぃぃぃぃぃ!!!」
このプランじゃ、自分自身の身を少しも守れない。って、所かな……
強盗犯は僕の首を掴み、窓口に叩き付ける。そのまま力任せに首を絞める。抑え込まれては、もう僕に勝ち目はない。元々、1度は人生を終えている。3年も詩乃ちゃんと過ごせたのだ。詩乃ちゃんさえ救えれば、問題はない。
そんな事を考え、ほぼ生きる事を諦めていた時……意識が朦朧となり、遠くなった耳に、微かに発砲音が聞こえる。それが更に2回連続して鳴り、強盗犯から完全に力が抜けていくのを感じた。
助かっ
痛い
痛い。痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
顔が熱くなるのを感じる。右頬が、尋常じゃない程痛い。炎で炙られているかのように熱い。何故だ?一体何が起きている?脈絡のない、言葉とも言えない、情けない叫び声を上げながら、僕は暴れる。
チラリと見えたのは、拳銃を手に持ちながら、床に倒れる詩乃ちゃんの姿。その姿を見て、僕の頭は急速に冷え、痛みも感じなくなっていった。
あぁ。
結局、僕は朝田詩乃を救えなかったのかな……
そんな事を考えながら、僕は意識を失った。
あのー。
設定で、詩乃ちゃんの嫌いな人種に、「力任せな人」って書いたんですよ。
ナイスフラグって思いましたね。
適当に書いたのに、案外強盗犯が「力任せな人」にピッタリだっていうね……
次回は詩乃ちゃん視点。心情を書いてると長くなるよね。
今回、次回と続き、フルシリアスでお送りします。ごめんなさい( _´ω`)_
その分、終わったら皆さんが好きなの()書きますから(適当)
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柊出雲を助けたい
ハッピーにする気すらありませんでした( _´ω`)_
……救いたいけど、この設定で救う事は不可能。
チート転生はただ単純に書くのが苦手( _´ω`)_
それはそうと、自転車って怖いですよね。皆さん、乗る時は気を付けてくださいね。
まだ暑い日差しが照り付ける、9月上旬。今日は土曜日だが、私は平日休日関係なく彼を起こしに行っている。流石に休みの日は自重するが。
「お邪魔します」
一言断って、鍵のかかっていない玄関の扉を開く。リビングにいる彼の両親が気付いたが、特に何も言わず私を通す。最早毎日の恒例行事となっているので、かける言葉もないのだろう。
部屋の扉を開ける。彼はまだ寝ている。
ため息を吐き、何度目かも忘れたやり取りを行う。しかし、今日はそう長く居られない。朝イチで彼の顔を見る……んじゃなくて、彼を起こしに行くのは、習慣だ。これから予定があるとしても、欠かせない。
そう、今日は少し予定がある。彼は休みの日は起きないし、無理やり起こして引っ張って行く、なんて事はしたくない。軽く彼に声をかけ、彼が起きないのを確認し、私は彼の椅子へと座る。心地いい。まだ出掛けるまでは時間があるので、その時間までここで座って、言葉では言い表せない気持ちに包まれながら過ごそう。
幸せな時間は長くは続かない、というのは当たり前の事で、あっという間に時間になってしまう。天井を見ていた目を、ふと、机の上にある時計に向ける。
「…………」
指し示す時間は12時40分。これには、私が私自身に絶句する。約4時間もの間この椅子に座っていたとは、思わなかった。せいぜい1時間がいい所、という認識だった。私の予想以上に、「幸せ」という物は時間を進めるらしい。
「行かないとな……」
13時頃に家を出る予定なので、今から帰って、外行き用の服に着替えなければならない。いや、決して今の服で郵便局になんて行けないという訳では無いが、お気に入りなので、彼以外の前で着たくないし、何かの拍子に汚れてしまうのも嫌だ。
まだ眠る彼を見て、まだ寝ているのかと呆れる。休日とは言え、流石に寝過ぎでは?そう思ってしまうのも、仕方ない。前日に彼がどれほど夜更かししていたのか少し気になるが、今はそんな時間はない。彼の額を1回撫で、「じゃあね」と小声で囁いて部屋から出る。彼の両親に「お邪魔しました」と言って、走って私の家へと向かう。それ程遠い訳では無いので、走る必要はないが。
郵便局に着き、お母さんが窓口へ向かった。私は、題名も覚えていない本を読みふけっている。久々に、面白い作品を見付けたな、と心を踊らせる。私が心を踊らせるのは、彼関係か、本ぐらいだ。特に、今年の私の誕生日に花束を送ってくれたのは嬉しかった。もちろん、その花は花瓶に入れ、毎日手入れを欠かしていない。彼にお礼の花束もあげた。あの瞬間は、私の中の、理解し得ない感情が爆発した瞬間でもあった。アレは一体何だったのだろうか……?
そんな事を考えていると、いきなり誰かが転げるように銀行に滑り込んできた音がした。むわっとした暑い風が、冷房によってひんやりした銀行に入る。一瞬、そちらの方に目を向けると、彼の……出雲の目と、合った。驚きのあまり、凝視してしまう。
「良かった。早く、早くここから!」
「えっ、ちょ、どうしたのよ?汗凄いわよ?」
焦ったような顔と声で、私に必死に訴えかけるようにそう言う。しかし、突然な事に、私は、反応しきれない。何故ここに来たのか、何故そんなに焦っているのか。考えど、答えは出ない。
「本当にどうしたのよ。貴方らしく……」
「ッ」
何かを伝えようとしているのか、口をパクパクさせている。声が出ないのか、本人も困惑しているようだ。私の横で扉が開き、誰かが入って来るが、この時の私には視界にすら入ってなかった。
ソイツが銀行の窓口に向かい、お母さんを突き飛ばした。そこで初めて、私は彼から意識を外し、その男に意識を向けた。この時は、彼と私の位置関係から私がその男を見る事は、出来なかったが、お母さんの小さな悲鳴が聞こえた所で、抗議の声を上げようとした。しかし、彼に口を抑えられ声は出なかった。
「この鞄に金を入れろっ!両手を机の上に出せ!警報ボタンを押すな!お前らも動くな!!」
彼が退き、窓口に置かれたボストンバッグと、ソイツが上げた叫び声。そして、その手に持つ物を見て、ソイツが強盗だと、分かった。彼はこの事を言っていたのだろうか?だとしたら、何故知っていた?いや、聞くのなら後だ。今、私に何が出来るかは分からない。ただ見ている事しか出来ないのか?
発砲音が聞こえ、窓口係の銀行員が撃たれる。胸に手を当て、地面に倒れ込んだ。そこで、言おうとした言葉が、段々と無くなって言った。
何も考えられず、「目の前で人が撃たれた」という事態を頭が理解出来ない。理解出来ないまま、その銃口がお母さんに向けられた。
助けなければ、いけない。しかしどうすれば……!
「……やるしかない」
隣の椅子に座る、彼の小さな声が聞こえた。えっ?と思い、彼に目を向ける。同時に彼が飛び出し、強盗犯の足を蹴り付ける。倒れ込んだ強盗犯の右手を踏み、銃を離させてから蹴って遠ざけた。
その銃は、丁度私の足元に転がって来た。
彼が強盗犯を倒している隙に、お母さんは壁際まで寄っていた。強盗犯は最早お母さんや金の事など目に入っておらず、自分を倒した彼の事しか目に入っていないようだ。
「この、ガキぃぃぃぃぃ!!!」
強盗犯が立ち上がり、彼の首を掴んで、机に叩き付けて絞める。あの体格差で勝てるはずも無く、抵抗虚しく彼の足掻きも弱々しくなっていく。
意識の中から、強盗犯と銃への恐怖心と困惑が無くなる。私の心の拠り所であり、私の全てである彼が、名もしれない奴に殺されそうになっている。
彼の元へ向かおうとした時、私の足に何かが当たる。それが、強盗犯の持っていた銃だと気付き、それを持ち、構える。
2発一気に撃つ。両手がじんじんして、肩が痛くなる。その2発は、1発はやつの脇腹に、もう1発は臀部に当たる。奴がよろめくが、私は残りを撃つ。しっかり狙う事も出来ないし、条件反射で目も瞑ってしまっているので、何発撃ったか、何処に撃ったかは、その時、分からなかった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
聞き慣れた彼の叫び声が聞こえ、目を開けて、彼の方を見る。強盗犯は、額に穴が開いていた。恐らく、即死だろう。そして、今も叫び声をあげる彼を見ると、右頬を抑えながら、地面に向かって叫んでいた。その頬からは赤い液体が垂れ流れて、私の体が震えた。
撃って、しまったの?私が、この手で、この銃で、愛する彼の体に傷を付けてしまった?
ふと、彼と目が合った。辛そうな表情をしていたが、私と目が合った瞬間、彼の瞳が見開いた。
私に恐怖したのだろうか。当たり前だろう。自分を撃った存在に対し、恐怖しない方がおかしい。彼に嫌われたかも知れないという、人生最悪の展開になったかもしれないのに、脳内はとても冷静だった。何処か、現実を達観している。
「…………あぁ」
彼の命は、助けられた。
あの強盗犯の命を奪った事は、まぁ、どうでもいい。この痛む肩もどうでもいい。もう彼に嫌われたこの体なんて、いらない。
「……はぁ」
私は、私自身に呆れた。
今更、自分自身の事を気にしているのか。もういいじゃないか。彼と過ごしたこの3年で、もう満足だろう。私程度が居なくても、彼の人生には何ら影響はないし、まず、彼と知り合った事自体が間違っていたんじゃないかとすら思える。
目を地面に向ける。そこには強盗犯の血と、少量の彼の血が混じった液体が流れてきていて、座り込んでいる私の足と、手に、血が付着する。
もう、どうだっていいや。
あ、ちなみに僕は自他共に認める精神異常者です( _´ω`)_
カウンセリング週1で行ってます。精神科は月1ですけど。
リスカはしない。痛いの嫌い( _´ω`)_
……2学期の始めって、9月初期〜中旬ですよね?まぁ、10月でもいいんですけど……なんで詩乃ちゃん、まだ暑いだろうに、あんな長袖着てたんでしょうかね( _´ω`)_
立ち位置とかが原作と違うのは、まぁ、スルーしてください( _´ω`)_オネガイ……オネガイ……
出雲が、情けない厨二病系主人公という、なんか変なキャラになってしまった気がする。
今回のヤンデレポイント
(重要度)
人を殺した<<<<<<|越えられない壁|<<<<<<出雲に嫌われた
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朝田詩乃に寄り添いた……かった
…………あ?ニコニコ超会議?行かないよそんなの( _´ω`)_
まぁ長い列の暇つぶしにでも読んでくださいよ( _´ω`)_
毎日投稿止まったのはお察し
そうそう。3話かそこらで、「
実はそれ、伏線にしようと思ってたんですよ。その時は「いつか詩乃ちゃんが出雲に告白する時かされた時に「もう……愛してるわよ!」って言わせたいな」って思って。大好きが愛してるに変わるっていうね。
ヤンデレ路線になって意味を成さなくなりましたけど。
「事件」は、あっさりと終わりを迎えた。
あの後警察が到着し、射殺された強盗犯、血溜まりに伏せる僕、そして銃を持つ詩乃ちゃんを見て、とりあえずは全員を病院へと送った。勿論の事、強盗犯は即死。僕は右頬に、癒えない傷を負った。と言っても、治療のおかげか、表面上深く抉れている訳ではなく、なんというか、こう……クレッシェンドみたいになっている。進んだ医学薬学でも、銃痕の完全治癒は出来ないか……
僕と詩乃ちゃんの名と、行った事は、警察と親にとても怒られたものの、警察が情報規制を敷き、メディアがそれを取り上げる事は無かった。僕と詩乃ちゃんの行いは「正当防衛」として認められた。数週間の療養(頬の痛みが和らぐまで入院&事件後のカウンセリング等)をして、今日やっと帰ってこられた。
詩乃ちゃんはまだ入院しているようで、どうも精神面が不安定らしい。刑事さんとカウンセラーの方に聞いてみたが、心ここに在らずという感じで、受け答えもまともにしてくれない状態だ、と。
1度、会わせて下さいと言ったのだが、僕もその時療養中であった為断られた。しかし、今ならば大丈夫……だと、思う。話に聞いた通りの詩乃ちゃんだったら、僕はどうしていいか分からないが、寄り添って、理解してあげよう。
それが、防げなかった僕の最低限すべきことだ。
そして今日、またこの病院にやって来た。
病院内に入ると、受付に刑事さんが居た。どうも、と頭を下げると刑事さんが「やぁ」と言って笑った。受付員の人に詩乃ちゃんの場所を聞くと、案内してくれるそうだ。
刑事さんも同伴するようで、理由を聞くと
「一応な。今の彼女の精神状態は……良くない」
と言っていた。念には念を、という奴か。
詩乃ちゃんの部屋に着く。扉の前で、「此処で待っていてください」と刑事さんに伝えると、「大きな音がしたら入るからな」と言って、待っててくれた。あれ程優しい刑事さんには会ったことがないな……いや、まず、刑事さん自体あまり会う機会が無い訳だが。
詩乃ちゃんの部屋に入り、一番右奥のベッドに向かう。カーテンを開くと、無感情の目と表情をした詩乃ちゃんが、窓の外を見ていた。カーテンを開いたにも関わらず、こちらに意識さえ向けていない。
「……詩乃ちゃん」
ピクッ。と、詩乃ちゃんの指が少し動いた。しかし、それ以上の反応は示さなかった。意識がない、という訳でもないのだろう。ただただ、考える事を放棄している。
「……ごめん、ね」
そんな詩乃ちゃんを見てなのか、涙が溢れてきた。なんの涙なのかは、僕にもわからない。反応してくれない悲しみの涙なのか、こんなにも辛い現実から逃れられる嫉妬の涙なのか。ふと、ベッドの上に置かれた詩乃ちゃんの左手に、自分の手を乗せる。ギュッと握ると、詩乃ちゃんが窓から、詩乃ちゃんと僕の重ねられた手に視線を移した。
「……ぃ」
詩乃ちゃんの手を握りながら泣いていると、詩乃ちゃんも、少しだけ握り返してきた。詩乃ちゃんの目を見ると、詩乃ちゃんと目が合った。やがてその目が潤み、大粒の涙が零れ、今度はしっかりと、僕の手を握り返した。
「ぃ……あ……!」
詩乃ちゃんの右手が、僕の頬に触れようと伸ばされる。だが、途中でその手は止まり、空中で静止する。何処か戸惑うように、指先がカタカタと震えていた。
「大丈夫……僕は、ほら。大丈夫だから……ね」
優しく、問いかけるようにそう言って、詩乃ちゃんの空中で静止した右手に、空いた僕の右手を重ねる。すると、その右手が伸ばされ、僕の左頬に重ねられた。
「ごめん、なさっ……私……ッ!」
「大丈夫……大丈夫だよ……」
大丈夫と詩乃ちゃんに言い聞かせ、左手で頭を撫でる。すると、身を乗り出して、僕の体を包み込むように抱き締めてきた。そして、今度はしっかりと、大声をあげて泣き出した。刑事さんが入ってきたが、僕と詩乃ちゃんを見て、驚いていた。
「まさか、起き上がるとはな……」
それ程詩乃ちゃんの精神状態は悪かったらしい。まだ僕が入って5分も経ってないんだけどな。カウンセラーの腕が悪い、なんて事はないと思うし。
その後、詩乃ちゃんは数十分に渡って泣き続け、疲れ果てたのか眠ってしまった。このまま連れて帰る、なんて事は出来ない為、その時は詩乃ちゃんを寝かせて僕は帰ることにした。色々な手続き何かをしなければならないらしく、最低でも3日か4日は待ってもらう事になると、申し訳なさそうに刑事さんが教えてくれた。
……毎日、来るとしよう。
翌日、詩乃ちゃんの病室に行くと、昨日と比べ少しだけ元気が出たような気がする詩乃ちゃんが居た。声をかけると、バッとこちらを向き、ふんわりとした笑みを浮かべたが、すぐにまた昨日のような困った顔をする。
「おはよう、詩乃ちゃん」
「……おは、よう。柊君」
呼び方が昔に戻ってる?……原作詩乃母みたいに精神逆行、なんて事はないと思うが、どうしたのだろうか。精神はそのまま記憶だけ無くなった?だとしたら僕を見て笑う事はない、よな?
「どうしたの?呼び方戻ってるけど」
「……その、なんで、ここにいるの?」
「えっ?」
その時の詩乃ちゃんの顔は、本当に困惑している顔だった。心の底から、「何故ここにいるの?」と思っているようで、少しショックを受けてしまう。居てはいけないのだろうか。
「なんでって、友達でしょ?」
「とも、だち?……でも、私は、貴方の顔を……」
嗚呼、詩乃ちゃんは、自分が僕の顔を撃ったと自覚しちゃってたのか……出来たらして欲しくなかったが、まぁ、どうせバレていたか、カウンセラーか刑事さんの口から聞いていただろう。
「いいんだよ。まぁ、とっても痛かったけどね?
でもさ。ほら!見た感じ、それ程大きい傷じゃないでしょ?それに、もう治ったし、痛くないよ!
もう治った傷の事は、いいよ。傷跡も気にしてない。そんな事より、僕は詩乃ちゃんが心配なんだ」
詩乃ちゃんの目を覗き込み、そう言う。数秒詩乃ちゃんがフリーズし、また、ポツリと言葉を零した。
「……
「もー……はい!笑って!」
そして僕は笑う。
僕はカウンセラーでもセラピストでも精神科医でもないので、詩乃ちゃんの精神を治す方法なんて知らない。けど、詩乃ちゃんはいつも、僕が笑っていると笑ってくれる。その笑顔は様々だけど、いつも幸せそうに笑ってくれる。僕はその笑顔が大好きで、またその笑顔が見たくて。
カウンセラーにもセラピストにも精神科医にも出来ない、僕なりの詩乃ちゃんの「治し方」をする。
「詩乃ちゃん!」
「……何?」
「これからも、よろしくね!」
そう言って、今度は僕から詩乃ちゃんを抱き締める。ビクッと体が震え、恐る恐るというように、詩乃ちゃんの腕が僕の背中に回された。まだ弱く、抱き締め返されているというより、触れられているという方が近い。
「私、柊君と……出雲と居て、いいのかな」
「うん」
涙を堪えたような、何かを耐えるような震えた声で、そう問いかけてくる。
「可愛くないし、感情表現出来ないし、色々変だし、全然出雲と釣り合ってないけど……」
「うん」
「…………こんな私でも、良いの?」
「僕は、詩乃ちゃんがいいんだよ」
そう言うと、昨日同様、詩乃ちゃんが泣き出す。不安だったのだろう、ずっと考えていたのだろう。他の事が手につかないくらい、ずっと。
詩乃ちゃんを抱き締め、頭を撫で落ち着かせながら、僕は言葉には出さずに、ひっそりと心の中で何度も謝る。
僕は詩乃ちゃんに対して、謝らなければいけない事ばかりで、返せない恩ばかりだ。それは一生かかっても返せない程のもので、どうしたらいいのか分からない。
今はただ、詩乃ちゃんを宥め、心中で謝るとしよう。これ以上言葉にして謝ると、オウム返しで謝り合いになりそうだ。
詩乃ちゃんが泣き止む。今度は、眠ってしまう事は無かった。まだ朝だし、詩乃ちゃんも起きたばかりだと思うので当たり前だが。
泣き止んだ後でも、詩乃ちゃんは一向に僕を抱きしめる手を離してくれない。僕の胸に顔を埋め、ひしっと抱き締められていて、その力は段々と強くなってきている。もはや最初の面影はなく、ギリギリと音を立てているような気さえする。
「ちょ、ちょっと詩乃ちゃん?力強くない?」
流石にたまらんと思い、詩乃ちゃんにそう言うと、涙目の上目遣いでこちらを見てきた。何も言わないが、目で訴えている。まだこうさせろ、と。そろそろ僕の背骨が逝きそうな気がしてならないが、小学生の身でそれはないだろう……ないよな。
「……ねぇ、出雲」
「ん?何?」
グイッと引っ張られ、ベッドに押し倒される。どうしたの?と聞く前に、詩乃ちゃんの唇が僕の唇に重ねられた。
「ん―――!?」
やばい。突然の予期せぬ事に、頭がこんがらがる。どうしようどうしようと、その言葉しか頭に浮かばない。無理矢理押し返す事も出来ると思うが、はっきり言って役得だ。しかし、いきなりしてきてどうしたのだろうか。そんな事を思っていると、今度は詩乃ちゃんの舌が口内に入ってきた。
「んっ……むぅ………」
口内を、詩乃ちゃんの小さな舌が蹂躙する。この状態では「弱者」の僕にはどうする事も出来ず、ただただ、詩乃ちゃんに暴力的に口内を犯される。
「れろ……ぷはっ」
「っはぁ…はぁ……詩乃、ちゃん?」
何秒、何分経ったか分からないが、あらかた犯し尽くしたのか、詩乃ちゃんの柔らかい唇が離れる。あれ程したのに、何処か名残惜しく感じてしまう。
僕の上に被さるように寝っ転がる詩乃ちゃんの顔は恍惚としており、至近距離で僕の顔を見ている。
「……好き。大好き。愛してるわ、出雲」
うわ言の様にそう言い続け、僕の唇や、傷が付いた頬、目、鼻、首、果ては服を捲りあげ、胸を舐める。抵抗する気力すらなく、ただひたすら理性と戦う。別にこのまま詩乃ちゃんを犯しても詩乃ちゃんは抵抗しないだろうし、むしろこのまま詩乃ちゃんが僕を犯しそうな勢いだ。どうしてこうなったんだ?詩乃ちゃんを元気づけに来たというのに、なぜ僕はその詩乃ちゃんに犯されそうになっている?全くもって、訳が分からない。
「ちょっ、と詩乃ちゃん。待って……!」
しかしやめてはくれない。傷付いた頬を、入念に、愛おしそうに舐めてくる。まだ治ったばかりのそこは、麻酔の反動なのか、他と比べて少し敏感になっている。
「好き……好き。愛してる、愛してる、愛してる。出雲……出雲……出雲ぉ」
「ダメ……ぇ」
言葉では抵抗するも、僕の体は、詩乃ちゃんを受け入れ始めている。このまま行くと、完璧にR18ルートだ。だがやはり動けない。まるで自分の体ではないようだ。
やばい。それしか頭に浮かばず……そんな事を考えていると、詩乃ちゃんの舌が止まった。扉の方を凝視している。
「……チッ」
小さく舌打ちをして、最後にキスをされて、椅子に座らされた。なんとかバランスを保ち、息を整える。袖なんかで顔に付着した詩乃ちゃんの唾液を拭いていると、扉が開いて、詩乃ちゃんのカウンセラーと思わしき人が入ってくる。
これからカウセリングを始める。との事で、僕は病室から退室するよう言われた。ふらふらとした足取りで病室の扉に向かう。詩乃ちゃんは、カウンセラーをキッと一睨みし、「また明日ね!出雲!」と満面の笑みを浮かべてこちらに手を振ってきた。
「っう、うん。また明日」と、曖昧な返事しか出来ない。
……明日から、どうすればいいんだろう。
詩乃ちゃんに、「好き」「大好き」「愛してる」と、その他にもたくさん言われ、様々な所を舐められ、触られた。いや、愛されている事はとても嬉しいし、その「好き」が決して家族や友人に向けるものでもない事も分かっている。
「……はぁ」
羞恥と疲れから、項垂れる。まさか、立ち直ってから、あんな急激に好感度が上がるとは思わなんだ。元々高かったのが爆発したのか?それだったら嬉しいが……ファーストキスが、あんなに激しく、しかも小学5年生の時に、って、中々来るものがあるな……
その後、家に帰り、風呂で詩乃ちゃんの唾液を洗い流す。悶々とした気持ちと、発散される事のなかった掻き立てられた性欲は、自分で処理した。
ねぇ、シリアスだと思った?ねぇねぇシリアスだと思った?残念!エロ展開でした!(まさに外道!)
いやぁ。ダメだなぁ( _´ω`)_
調子乗ると詩乃ちゃんがキス魔になる。どうしてくれんの僕の性癖さんよー( _´ω`)_
「ヤン詩乃ちゃんにヤンデられて身体中舐められたい」って思ってるのがバレちゃうよー( _´ω`)_
また「なんだ。朝田詩乃の皮を被った別人か」とか言われちゃうよー!( _´ω`)_
評価ダダ下がり間違いない(未来予知)
というかやっぱり主人公のヒロイン力が高いんだよなぁ( _´ω`)_
これ、詩乃ちゃん視点書こうか迷ってるんですよね( _´ω`)_
確定的に病むシーンなので、書きたいとは思ってるんですけど、書く事が決まりきっているというか……文字に残すか残さないか、ですよね。こればっかりは( _´ω`)_
ファーストキス云々は……ね?( _´ω`)_
それはそうと、麻酔の反動ってなんだよ( _´ω`)_
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柊出雲を愛している
記念回はもう少しお待ちください( _´ω`)_
詩乃ちゃん視点です( _´ω`)_
あ、日間ランキング2位ありがとうございます( _´ω`)_
(加点式)の方でも2位になってました。他は特にチェックしてません( _´ω`)_
いや……本当……ありがとうございます( _´ω`)_
何も手につかない。
事件の後、私は何もしたくなくなった。食事すら手に付かず、最後にまともに栄養を取ったのはいつか覚えていない。現在は、点滴のようなもので栄養を補給している。
三大欲求の食欲、性欲、睡眠欲もまともに機能せず、もう何日も彼の物に触れていないにも関わらず、何も思っていない。
……彼の事を考えるのは、烏滸がましいか。私程度の人間が彼の事を考えてはいけない……もう、死んで、しまいたい。
毎日毎日、ベッドから窓の外を眺める。指1本すら動かさない。誰かが部屋に入ってくる音がしたが、どうせカウンセラーか誰かだろう。返答する必要は無い。
「……詩乃ちゃん」
気の所為、だろう。まだ私は彼の事を忘れられていないのか?幻聴すら聞こえるようになってきた。そろそろ、幻覚すら見えそうだ。勇気さえあれば、今すぐこの窓から飛び出したい。
………私の手が、私の意志とは別に動く。それを感じたのは、私の手が置かれた、膝の上。久しぶりに、窓の外以外……自分の膝の上に目を向けると、私の手をふんわりと包む優しい手が見えた。
「……ごめん、ね」
彼の、声が聞こえる。嘘だ。そんな筈はない。彼がここに居るはずがない。そんな、考えつく限りの否定の言葉を出し、明るい現実から目を背ける。私は、明るい世界に居ては行けないのだ。彼を傷付けた私に、彼の優しさを受ける資格はない。
「……ぃ」
だが、いくら「私」が否定しようと、「本能」が彼を求める。私の体が、意思が、心が、全てが、彼を求める。
「……ぃ……あ……!」
乾いた喉が、必死に彼の名前を呼ぼうとする。ズキズキと痛むが、そんな事には構わず、何度も何度も。
私の空いた方の手が、彼の頬に触れようと伸ばされる。彼の右頬には、私が付けたであろう傷跡があり、それを見た瞬間、私の手は止まってしまった。
「大丈夫……僕は、ほら。大丈夫だから……ね」
そっと、彼の手が、空中で静止した私の手に触れた。それを機にまた動き出し、彼の頬に触った。
同時に、涙が込み上げてきた。色々な感情が、心中を渦巻いた。
「ごめん、なさっ……私……ッ!」
謝っても、許される事じゃない。
そんな事は分かっているが、謝らなければ気が済まない。いや、謝っても気は済まない。彼の美しい顔に、一生残る痛々しい傷跡を付けてしまったのだから。
「大丈夫……大丈夫だよ……」
それでも彼は、尚もその優しさを私に与える。いつもと変わらない笑みを浮かべ、慈愛の瞳で私を見つめる。彼に撫でられ、気が昂り、彼を抱き締めてしまう。してはいけないのに、自然と、まるで息をするように抱き締めてしまった。
彼はそれを突っぱねる事はなく、それが、また私の涙腺を刺激した。
その日、私は人前にも関わらず、大声で情けなく泣き叫んだ。「恐怖」だったり、「愛」だったり、「困惑」だったり、「不安」だったり、「安心」だったり、言い出したら限りがないくらいの感情が溢れた。
次に気が付いたのは、その日の夜だった。
翌日。
冷静になって考えて、やはり彼と一緒に居てもいいのか考える。
片や、人気者の格好いい天才。片や、他者の記憶にすら残らない凡人。普通に考えて、関わる事の出来る関係ではないし、関わる事を許されていないとも言える。
いくら1人で悩んでも、答えは出ない。
「おはよう、詩乃ちゃん」
今日も、昨日と同じ眩しく優しい笑顔を浮かべた彼が、私の病室へとやってきた。
嬉しく思うと同時に、罪悪感がこみ上げてくる。
「……おは、よう。柊君」
私がそう言うと、彼はポカンとした顔になる。
「どうしたの?呼び方戻ってるけど」
……やはり、彼は優し過ぎる。それが他者に取って毒となっているとも知らずに。
その毒に侵されるとどうなるか、私はよく知っている。何故なら、私自身がその毒に侵されてしまったからだ。
「……その、なんで、ここにいるの?」
「えっ?」
これは、私の心の底からの疑問だった。昨日は、まぁ、カウンセラーか誰かに行ってやってくれと言われて、嫌々来たのかもしれない。今日、来ない可能性すら考えていた。もし今日彼がこの病室に来なかったら、私はこの窓から飛び降りて肉塊となっていただろうが。
何故、彼は私にそこまで拘るのだろうか。彼が探そうと思えば、私より断然可愛くて、素直な人等星の数程見付かるだろうに。なんで……彼の「友達」の資格を失った、私に……
「なんでって、友達でしょ?」
「とも、だち?……でも、私は、貴方の顔を……」
これには、驚愕の感情で心中が埋まった。彼がまだ私の事を「友達」と思ってくれている事に……
普通ならば……例え成人した大人であろうと、自分を撃ち、大事な顔に傷をつけた人間と、「友達」で居られるはずが無い。
「いいんだよ。まぁ、とっても痛かったけどね?
でもさ。ほら!見た感じ、それ程大きい傷じゃないでしょ?それに、もう治ったし、痛くないよ!
もう治った傷の事は、いいよ。傷跡も気にしてない。そんな事より、僕は詩乃ちゃんが心配なんだ」
……呆れて言葉も出ない。彼は私を嫌う所か、私を心配していたのだ。
私を助ける為に強盗犯に立ち向かってくれたのに、私は彼の頬に癒えない傷跡を付けてしまった。恩を仇で返すような事をしたのに、咎める事なんてせず、尚優しさを与える。
例え神であろうと、彼の心には適わないだろう。
「……
「もー……はい!笑って!」
しかし、私の表情筋は動かない。どれだけ笑おうとしても、その口角が上がる事はない。
彼の顔が、少し不満げな表情になる。それを見て、私は目を伏せてしまう。
「詩乃ちゃん!」
彼の、楽しそうな声が聞こえた。
「……何?」
素っ気なく返す事しか出来ない私に、嫌気がさす。
「これからも、よろしくね!」
……今まで見た彼の笑顔のなかでも、トップクラスの笑顔だった。絵画にして売れば、高値が付くだろうと予想出来るくらいの。
心が、揺らいでしまった。
「私、柊君と……出雲と居て、いいのかな」
「うん」
涙が込み上げる。しかし、零さない。
私は彼の物だ。いつだったかは覚えていないが、私はそう決心したのだ。
もし……もし!彼がまだ私が必要だと言うのなら……私は……
「可愛くないし、感情表現出来ないし、色々変だし、全然出雲と釣り合ってないけど……」
「うん」
尚も彼は笑う。
「…………こんな私でも、良いの?」
「僕は、詩乃ちゃんがいいんだよ」
間髪入れずにそう言われ、思わず、涙が溢れてしまった。ここ2日で、もう一生分の涙を流したような気さえする。
私の心が、今度は、「愛」で埋まる。私の全てが彼の全てをどうしようもなく欲している。
彼が、私を包む。彼の存在を感じる。温もりを感じる。匂いを感じる。鼓動を感じる。
彼は、私を抱き締めたまま、ただひたすらに泣き喚く私の頭を撫で続けた。
やがて私の涙は止まった。だが、私は彼を離さなかった。私自身信じられないくらいの力で、彼を未だに抱き締めていた。
「ちょ、ちょっと詩乃ちゃん?力強くない?」
目を上げると、苦笑した彼の顔が目に入る。この時、既に私に「理性」なんて無粋な物はなかった。
「……ねぇ、出雲」
「ん?何?」
一言声をかけ、彼の声に酔いしれる。彼の襟首を掴んで、ベッドに引き倒す。もう我慢出来ない。私の中に溢れる本能が、「満たせ」と叫んでいる。体がはち切れそうだ。
そして私は、彼の唇を強引に奪った。
これがファーストキスではない。彼は知らないだろうが、既に何回か……いや、何十?何百?そんなのは覚えていないが、彼が寝ている内に、唇を合わせるだけのソフトなキスをした。
しかし、
何度も何度も、彼の口内を犯し、息が続かなくなったら、今度は彼の体を舐める。「キス」というのは、愛する人に敬意や愛を伝える為の行為だそうだ。それならば、何度でも、いつまでも、何処でだってやってやる。今日から私が死ぬまで、1秒足りとも彼を愛おしく想わない時はない。
私が傷跡を舐める度、彼は体を跳ねさせる。最初はこの傷跡の罪悪感のせいで、それだけでストレス死しそうだったが、今は愛おしく感じる。私が付けた、彼が私の物という「証」になるのだ。
あぁ……あぁ……!
私はもう、彼の「毒」に全てを奪われた。
彼なしでは、1日足りとも生きては行けない。
もう、彼と離れられない。
下腹部が熱くなり、濡れる。彼の何かを求めて、きゅんきゅんとしている。だが、一体どうすればいいのか分からない。
「好き……好き。愛してる、愛してる、愛してる。出雲……出雲……出雲ぉ」
彼から、「やめてくれ」との声が、何度もかかる。しかし私はわかっている。彼が口でそう言おうとも、それが本心ではない事に。
現に、彼の体は私を求めている。私が彼なしでは生きていけないのと同じで、彼も私なしでは生きていけないのだ。
永遠に……そう。来世も、来来世も、来来来世も、私は彼と共に生きるのだ。いつまでも……いつまでも。
……誰か、来る。そう私の感覚が言った。
一体誰だ?私と彼が愛し合っているというのに、無粋な奴だ。
「……チッ」
今の状態を見られるのは、宜しくない。彼のこの姿を見ていいのは、世界で私ただ1人なのだ。他の有象無象になんて、見せていいはずが無い。
名残惜しいが、彼をベッドから下ろし、近くの椅子に座らせる。椅子から落ちそうだったが、なんとか体勢を立て直したようだ。
そのすぐ後に女が入ってきて、彼は追い出されてしまう。「有象無象が彼に話し掛けて!」と思い睨み付けるがそいつが気付く前に、すぐに彼に笑顔を向けて、また明日と伝える。
あぁ、明日が待ち遠しい。
早く彼に会いたい。
……所で、なぜ私の股は濡れてしまうのだろうか?
彼と……「そういう事」をしてる時、大体こうなってしまう。
毎回毎回、どうすればいいのか分からず、疲れて眠ってしまう。
よく調べておかなければ……
詩乃ちゃんがネガティブ過ぎるとか思わないであげて( _´ω`)_
お願いします。なんでもしますから(なんでもするとは言ってない)
来来来世
8/10、11時45分14秒発売( _´ω`)_(大嘘)
性知識だけは疎い詩乃ちゃんかわゆい( _´ω`)_
感情の波が激し過ぎる( _´ω`)_ダイジョウブカナ?
詩乃ちゃん事典(事件後)
他者→有象無象
もう他者を人間とも思わなくなった( _´ω`)_
流石にお母さんに「うるさい有象無象」とか言わせませんけどね?( _´ω`)_
詩乃ちゃんはお母さん大好きっ子ですから( _´ω`)_
まぁ出雲>>>>>>>>>>>>|永遠に絶対に未来永劫越えられない壁|>>>>>>>>>>>>お母さんの位置関係は揺らがないけど( _´ω`)_
ヤンデレこわぁい(笑顔)
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高校生編
朝田詩乃と暮らそう
時系列は飛んで高校1年生、原作詩乃ちゃんも高校1年生だったと思う……
高校入学直前〜です( _´ω`)_
あ、「ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_」って名前で他作品に感想を書く事はあまりないので、見掛けても私本人の可能性はとても低いです( _´ω`)_
先日、中学校を卒業した。今は……なんというべきか、休憩期間的なものだ。そして今、詩乃ちゃんが僕の部屋に来ている。
……まぁいつもの事なんだけど、今日は大事なお願いがあるらしい。何となく予想はついているが……
「出雲」
「なんだい詩乃ちゃん」
原作同様、僕のと似たようなデザインの度なし眼鏡を付け、私服で女の子座りの詩乃ちゃん。
あの忌々しい事件から既に4年程経っている。詩乃ちゃんにPTSDは出ていないようで、時たまテレビでやっているアクション映画などを見ても吐き気を催したりはしていない。
「さっきも言ったけど、お願いがあるの」
「うん」
「……私と一緒に、東京に行ってくれないかしら?」
ここはやはり変わらないか……いや、変えるつもりもないが。今現在、この街で詩乃ちゃんに良からぬ噂がたっているのは知っているし、それでいつも一緒にいる僕にも飛び火しているのも知っている。詩乃ちゃんも知ってるだろうし、原作と理由は違えどこの街から出ていく事はほぼ確定していたと言える。
「あぁ、いいとも」
「ありがとう。そこでなんだけど、実はもう家は取ってるの」
うん?なんだか雲行き怪しいぞ?
「も、もう?」
「えぇ。今から行こうと思うのだけれど、どうかしら?」
いや、そんな眩しい笑顔で言われてもな……「一緒に東京へ」までは分かるよ。ちょっと予想(という名の期待)してたけどさ。応じたら「じゃあ今すぐ行きましょう」とか(予想出来)ないでしょ?
「え、いや、その、家族に話とか」
「もう私からしてあるわ」
「……お金」
「もう1ヶ月分は貰ってるわ。後は毎月仕送りしてくれるそうよ」
「荷物は……」
「纏めてあるわ。私のも、貴方のもね」
八方塞がり。手回しが早いよ詩乃ちゃん?僕の荷物とかどうやって纏めたのさ。先に部屋にいたからびっくりしたけど、そういう意味だったの?
「今から?」
「えぇ、すぐに」
最近……ではないな。あの事件が終わった後辺りから、詩乃ちゃんは積極的、というか開き直った感じが否めない。常にくっ付いてくるし、もう風呂にまで突撃してきた。最近は慣れてきたので、毎日ではないが一緒に風呂にも入っている……あ、やましい事はしてませんので悪しからず。
まだ付き合ってもいないのだが、そこらの付き合ってるカップルより仲がいいと確信して言える。詩乃ちゃんは「好き」やら「愛してる」やらをたまに言ってくるが、僕は未だに答えられていない……訳では無い。本当だよ?
1度だけ「僕も愛してるよ」と言った事があるのだが、目の色が変わって冗談抜きで僕の貞操が奪われそうになった。そうだよね、もう性知識付いてるもんね。
流石の僕でも気付く。詩乃ちゃんはヤンデレって奴だ。病んでいる事には気付いてたけど、まさか「ヤンデレ」とは……
それでもいいけどさ。詩乃ちゃんがどうなろうが、僕は詩乃ちゃんの側に居るだけだし。
「わかったよ。それじゃあ行こうか?荷物はどこだい?」
僕がそう言うと、今度は詩乃ちゃんがポカンとした表情になった。
「……素直ね」
「詩乃ちゃんと暮らせるのは純粋に嬉しいからね」
少しだけ頬を赤らめる。風呂にまで突撃してきて、お互い色々な所を知っている筈なのに、まだ何処か
纏めてもらってた荷物を受け取り、両親に別れの挨拶をして東京に向かう。数時間の電車旅を経て、着いたのは原作と同じアパート。少し狭い気もするが、聞いてみたら「狭い方が近くに感じられるじゃない」と真顔で返されたので、追求しない。
高校が始まるまではまだ時間があるので、それまでは詩乃ちゃんとの同棲生活を楽しむとしよう。
「出雲、朝ご飯出来てるわよ?ほら、早く起きなさい」
「ん……」
朝7時、詩乃ちゃんに優しく起こされて起床する。家事はほぼ折半だが、少しだけ詩乃ちゃんが多い。最初は詩乃ちゃんが「全部私にやらせて」と言ってきたが、流石に悪いと思い折半にした。だが、少しだけ詩乃ちゃんが多い。詩乃ちゃんが全部決めたので、わかってやっていると思うが……まぁ、本人が望むなら良いだろう。
「早く起きなさいってば!」
「待って……後少し……」
「まったく……」
詩乃ちゃんが僕の上に跨り、唇を合わせる。最初はソフトだったが、キスされても(慣れてるので)寝ぼけ眼の僕を見て、更に激しく僕の唇に吸い付いて来る。
流石にこれは起きるので、詩乃ちゃんの肩を押して起き上がらせる。
「やっと起きたの?ご飯冷めちゃうわよ」
「……あぁ、うん。わかった」
詩乃ちゃんは真顔のまま、唇から垂れる僕のか詩乃ちゃんのか分からない唾液を手で軽く拭きながら、ベッドから起き上がってキッチンへ向かって行った。
慣れてはいるが、この幸せは慣れそうにないし慣れたくない。詩乃ちゃんみたいな美少女(強調)に、毎朝おはようのキスをされるのは。
僕もベッドから起き上がり、ベッドの前にある小さな机の前に座る。部屋の形はほぼ原作と変わってなく、机が少し大きくなったぐらいだ。ベッドは共用、夜は一緒に寝ている。
別で寝ようよと提案した事があるが、マジで、アレはやばかった。貞操云々の前にやばかった。語彙力が落ちるレベルで。ヤンデレ目でなんか色々言われた。ごめん記憶の端に追い込んだからよく覚えてないんだ。
「いただきま〜す」
「ん。いただきます」
朝ご飯を食べ、食べ終わったらベッドで横になる。今日の洗い物当番は詩乃ちゃんなので、僕はゆっくり……
「……洗い物は終わったの詩乃ちゃん?」
「えぇ」
洗い物が終わったらしい詩乃ちゃんが、ベッドにスルスルと入ってきた。少しだけ濡れた詩乃ちゃんの手が、僕の頬に触れる。
「ダメ」
近付いてくる詩乃ちゃんの唇に手を当てる。
「……まだなにもしてないじゃない」
「キスするつもりだったでしょ」
「嫌なの?」
「嫌じゃないけどさ……少し自重して欲しいかな。四六時中して飽きないの?」
「貴方さえいれば飽きないわよ。何処で何やっててもね」
うーん。嬉しい。嬉しいんだけど、愛が重い。潰れそう……
ヤンデレも詩乃ちゃんも嫌いじゃないから、いいんだけどね。
しばらく2人でベッドに横になり、お互いの体温を感じ合う。詩乃ちゃんがやたら体を僕の体に擦ってくるのだが、気にしないでおこう。あ、ちょ、ここではやめて。
スッ……と詩乃ちゃんが立ち上がり、トイレに入って行く。
……今度、芳香剤をトイレに置いておこうかなぁ……
二度寝し、起きたら手が、縛られていた。なんてこったパンナコッタ。
時計を見れば、現時刻は11時程。外はまだ明るいが、カーテンが閉められ電気は消され、部屋の中は少し薄暗い。
「出雲が悪いのよ」
何処からか現れた詩乃ちゃんが、ベッドの横に立っている。自然と、額に汗が垂れ、縛られた手足を外そうと動かす。
「無駄よ。簡単には取れないよう縛ったわ」
「……なんで、とは、聞く必要は無い?」
「わかってるならね」
あ、オワタ(確信)
率直に言おう、僕は無事だ。目立った傷もないし、貞操も奪われていない。強いていえば、ロープの痕が少しある程度。
あの後、案の定詩乃ちゃんは僕の貞操を奪いに来た。このままじゃやばいと思ったので、「手だけ外して貰える?」と頼んで外して貰い……その、なんだ……
イかせました、はい。
まだ初な心のある高校1年生と、前世は大学生(直前)の現世高校1年生だと、いくら相手がヤンデレだろうと人生経験の差で僕の方が優勢。
詩乃ちゃんが服を脱ぎ、いざ行為となった所で詩乃ちゃんの動きが止まったのは助かった。止まったというか、ヘタレたというか……
……ヘタレた詩乃ちゃんは、攻めから一転して守りに入る事になった訳だ。あの時はあれ以外選択肢はないように思えたんだよ……手荒いのは嫌だし……
「んん……」
僕の横で服を着ずに眠っている詩乃ちゃんが、起きたようだ。外はもう暗い、このまま朝まで寝てて欲しかったよ。
「出雲……?」
「何?詩乃ちゃん」
頭を優しく撫でてあげると、顔を真っ赤にして毛布を被ってしまった。キスは恥ずかしくなくても、行為に及ぶとなるとやはり恥ずかしいか。
まだ僕童貞だけど。え?前世はどうだったのか、だって?ハハ!よく覚えてないんだよ!(すっとぼけ)
「……今度は、私が出雲を気持ちよくするからね」
「あぁ〜……アハハ……」
詩乃ちゃんがヘタレたとか言ってたけど、結構僕もヘタレてたのかも知れないな。
あのまま詩乃ちゃんを受け入れてしまっても、良かったのかもしれない……
ヤンデレの何が好きなの?とよく聞かれます。
私って……なんというか、「愛されてる」って確証が自分の中にないと辛いんですよ。ネガティブなので、「もしかしたら私の事好きじゃないんじゃ……」って思ったりしちゃうんですよ( _´ω`)_
ヤンデレなら「あぁ、監禁する程私の事が好きなんだ」って分かるから、私は私が愛した人なら監禁されてもいいです( _´ω`)_
出雲は童貞、ここ大事です( _´ω`)_
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朝田詩乃とアミュスフィア
遅れた理由は……そのですね……実は……幼なじみだった可愛い娘と付き合う事になりまして……( _´ω`)_
まぁ夢なんですけどね。辛い( _´ω`)_
単純にアイデアが出なかっただけです。言い訳はしない。高評価するなり感想書くなり、好きにするがいい!( _´ω`)_
今回から原作に入り始めます( _´ω`)_
高校が始まった。
つい先日、高校の入学式を終え、今日から本格的な授業が始まる。詩乃ちゃんと同じ部屋に住んでいるので、遅刻はしない。羨ましかろう。
「……同じクラスじゃないじゃない」
「そうだね。ちょっと痛いから腕の力緩めて」
僕はB組で、詩乃ちゃんはA組。家から絡めてた腕が、優しく包んでいたのに、クラスが違うのを見ると強くなった。僕に当たって貰っても困る。このままじゃ教員室に突撃して直談判しそうなので、僕から止めておくよう伝えると、渋々と言ったように了承した。するつもりだったんだね。
「あ、詩乃ちゃん」
「何?」
クラスの前で(名残惜しいが)別れる直前、もう1個伝える事があった。
「クラスのみんなと仲良くね?」
笑ってそう伝えると、苦虫を噛み潰したような顔になった。表情から「嫌だ」って感情がひしひしと伝わってくるが、目で訴えると小さく頷いた。
その日の放課後、校門で詩乃ちゃんを待っていると、詩乃ちゃんが走ってきて、僕の背中に隠れた。
「どうしたの?」
「……」
詩乃ちゃんが指差す所を見ると、1人の男の子が走ってくるのが見えた。その人は初対面だったが、見知った顔だった。
原作ヤンデレくんこと、新川恭二くんである。
「待って……速い……」
「何度言えばいいの?付いてこないで!」
「いや……だから」
「出雲以外の生物は話し掛けないで!」
あっ…(察し)
「ごめんね、名も知らない君、ちょっと待ってて?」
詩乃ちゃんを連行。なにか言いたそうな新川くんを校門に待たせ、近くの曲がり角を曲がった所の壁に詩乃ちゃんを押し付ける。
「……」
「……」
「……んっ」
「なんでそうなるの」
壁ドン(壁に手を付いている訳では無いが)して、詩乃ちゃんの約束を破った(仲良くね云々)弁明を聞こうと思い黙っていると、真顔で唇を突き出してきたので、手で抑える。
「悪かったわよ……でも、私のせいだけじゃないわ。彼も彼よ。話を流したのは悪かったけど、肩を掴んでくるんだもの」
「そこら辺はしっかり本人と話そうね?だから、真っ向から否定するのはナシ。OK?」
「……わかった」
原作で、詩乃ちゃんと新川くんがどういう出会い方したのか知らない(忘れた)けど、とりあえず原作と違うのはわかる。原作詩乃ちゃんだろうと「いきなり話しかけて、流したら肩を掴んできた」なんて混乱するだろうし。理由にもよるが、仲良くなる確率は低い。ある程度節度と常識を持った原作詩乃ちゃんでもこれなのに、うちのヤン詩乃ちゃんならもっと酷い。
校門に戻る。新川くんはしっかりと待っててくれていて、僕らを見つけて安心した顔をした。
「よかったー。帰られたかなーと思っちゃったよ」
「そんな事はしないさ。それで、詩乃ちゃんになにかようなのかい?」
「いや……これ」
新川くんの手に持っていたのは、生徒手帳。そこに記された名は「朝田詩乃」で、ハッとした詩乃ちゃんがカバンを漁っている。
「……」
「詩乃ちゃん?」
「ごめんなさい……」
落し物を届けてくれただけのようだ。新川くんに礼と謝罪をすると、どもりながらも「どういたしまして」と答えてくれた。原作では危険型のヤンデレなので、まだ付き合っていっていいのかわからないが……
というか、授業初日からよく生徒手帳落とせるなぁ……
「落し物届けてくれただけじゃないか?」
「うっ……」
「まぁまぁ……僕は大丈夫なので……」
新川くん……その笑顔だと、ますます好青年にしか見えないよ。「アサダサンアサダサンアサダサンアサダサン」は何処へ?
だかしかし!新川くんにはあまり関わらないでおこう。原作で新川くんが詩乃ちゃんにどんな事をしたのか、忘れた訳では無い。ぶっちゃけ今の新川くんみたいな子は好きなので、是非友達に欲しいのだが、そのメリットを含めてもデメリットの方が大きすぎる。最悪の場合、死人が出る。
……死ぬのは新川くんの方なんだけどね。言っちゃ悪いが、新川くんが詩乃ちゃんと戦っても詩乃ちゃんが勝つ気がする。なんかこう、意思的な問題で。
「えーっと……生徒手帳、ありがとね?」
「は、はい」
帰ろう。今すぐ帰ろう。幸い、新川くんはまだ詩乃ちゃんに対してそういう感情はないらしい。一目惚れとかされてたら、危なかった。主に新川くんの命が。
「あ、そのまえに」
いや、待って。
「名前、教えてくれませんか?」
これ、あの、神の力とか働いてないよね。無理矢理にも新川くんと関わらそうとしてない?絶対嫌だよ。友達になんてならないからね!ツンデレとかそういうんじゃなくて!
「僕は、新川恭二。よろしく」
「……柊出雲、だよ。こっちは朝田詩乃。今年入学したんだよ。よろしく」
うん、それじゃあ永遠にさようなら(願望)
「ねぇ、出雲。アレ」
新川くんと別れ、2人の家へと向かっている途中、詩乃ちゃんがGE〇(隠せてない?し、知らないよ)を見つけ、表にデカデカと書かれた文字を指さしている。
『次世代型VR《アミュスフィア》今日発売!今なら《アルヴヘイム・オンライン》か《ガンゲイル・オンライン》のどちらかのソフトも付いてくる!』
「VR、ねぇ」
ちなみに、この世界でもいわゆる「SAO事件」ってのは存在した。僕自身SAOにそこまで興味はなかったので、わざわざ頑張って初回1万ロッドのナーヴギアを入手してデスゲームに入ろう、なんて思わなかった。
僕と詩乃ちゃんの間に「SAO事件」の話が上がった事はそんなに無く、同じ国で起こった大規模な「誘拐事件」であるにも関わらず、気にした事もなかったし、どうにか出来ないかとも思ったことが無い。
心がないのかー。と思われるかもしれないが、僕には詩乃ちゃんが居ればいいし、詩乃ちゃんも、僕が居れば良い………と思ってるといいなぁ。
「詩乃ちゃん、VRなんて興味あったの?」
「ちょっとだけね。あるヴへいむ?って奴と、がんげいる?って奴がどんなのかわからないけど、「完全仮想世界」って、やっぱ少しは気になるじゃない?」
一理ある。
「……欲しい?」
「でも、高いわよ?」
「僕達、お互いの両親から仕送り貰ってるから、結構浮くんだよね。将来に備えて貯金しようかなと思ってたんだけど、娯楽も必要だよ?」
「将来に備えて」の所で目を伏せてしまったのは可愛かった。思わず抱き締めたくなったが、僕が調子に乗ると詩乃ちゃんも調子に乗り、歯止めが利かなくなるので大人な僕()が我慢する。流石に外は、ね。
GE〇に入り、アミュスフィアの在庫を確認すると、どうやら残り3機だったらしい。危なかった。
「良かった……あの、それで、ソフトなんですけど」
GGOでもALOでも、詩乃ちゃんが行きたい方で良いが、「出雲が決めて」と言われたらALOを選ぶ。やはり1%でも死銃に狙われる可能性を考えると、楽しく平和に遊べるALOがいい。
「あー。それがですね。もうソフトの在庫が
「そ、そうですか……なら、GGOでお願いします」
「分かりました!……あの、ALOの次回入荷は未定ですが、
「あぁ……ご親切に、どうもありがとうございます」
店員さんの親切を受け止め、アミュスフィアとGGOを持ち家に帰る。やはり、原作……というか、GGOには関わる運命にあるのか。まぁB.o.Bに参加しなければ何ら問題はないし、参加したとしても死銃に近付かなければ大丈夫だろう。
……いや待て。前回(強盗事件)はその軽率な考えと行動で失敗したじゃないか。いや、結果オーライとかそういうの抜きで。
やはりやらない方が……
「出雲、ゲームの話とか全然しないから、あまりゲーム好きじゃないのかなと思ってたんだけど、好きだったのね。一緒にゲームが出来ると思うと、嬉しいわ」
あっ(察し)無理だこれ。断れない奴や。この笑顔を前に断れる人間は居ない。オワタ。
危険型ヤンデレ→「貴方を殺して私も死ぬ!」「貴方を殺したら永遠に私のモノ」と言ったような、命の危機等を感じるタイプのヤンデレ。メンヘラと似ているが、危険度でいえばメンヘラも裸足で逃げ出す。危険型ヤンデレに好かれたら後は長くない(確信)
束縛型ヤンデレ→「外に出る時は連絡」「今何をしてるの?」等を良く言ってくるタイプのヤンデレ。出会った直後は「束縛をしてくる」ぐらいの認識だろうが、
デレデレ型ヤンデレ→本作の詩乃ちゃんのようなヤンデレ。常に一緒に居て、本人に危害は加えない。彼に色目を使う女を粛清するのはデフォ。公然の前という言葉を知らない。本人は平和な日常を送れるが、異性の友人は出来ないだろう。
隠密型ヤンデレ→ヤンデられてる男が、相手がヤンデレと気付かないタイプの、厄介なヤンデレ。本人にバレないよう動くのが特徴。「あれ、そういえば最近あいつ見ないな」と思う友人が居たら、隠密型ヤンデレにヤンデられてる可能性大。即効性は無く本人にも接触してこないが、ある日を境にグイグイ来る。「ある日」はヤンデレの心次第。
ヤンデレにも色々居るんやで、って話( _´ω`)_
恭二くん、一応原作では重要なポジションに居るので、出さなくちゃ出したいなって気持ちがあるんですけど……
なんやかんやあって、恭二くんが詩乃ちゃんに殺される運命しか見えないのがなー……
…………恭二くん、結構不幸だなぁ〜( _´ω`)_
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朝田詩乃とゲームをしよう
まぁ今年受験生なので忙しいのは当たり前なんですけど……( _´ω`)_
遅れてスマソ( _´ω`)_
最近の悩みは「く」って打つと「 」じゃなくて「我こそは軍神!踊り狂う暴風!グッリィィィィーーーーーームニル!」って出てくる事ですね( _´ω`)_
誰の仕業じゃ( _´ω`)_オォン?
お兄さん怒らないから言いなさい( _´ω`)_
アミュスフィアを手にすぐ部屋へ帰り、アミュスフィアを準備する。
僕は制服から短パンとTシャツという、ラフな格好に着替える。今日は少し肌寒いが、いいだろう。脳を使えば暖かくなるはずだ。
……あ、脳を使う前に暖かくなりそう……
Tシャツとパンツの僕よりラフな格好になった詩乃ちゃんを見て、顔が熱くなる。
よくあるような、パンツも隠れるくらい大きなTシャツではない。ちなみに、僕と詩乃ちゃんのTシャツは共用である。だから「そ、それ僕のTシャツじゃ……ッ!」とかはない。いつもの事である。
「……」
ベッドに座る僕に、ツンとした顔で、猫のように四つん這いで近付いてくる。猫耳と尻尾を幻視する。
ポスッと隣に座り、アミュスフィアをいじくり始める。ベッドは1つしかないので必然的に隣り合わせでやる事になるが……何時間もくっついていて、大丈夫だろうか……汗とか凄そうなんだけど。
「?どうしたの?早くやろ?」
「あぁ……うん、そうだね。やろっか」
アミュスフィアを被り、マニュアル通りに起動する。
いやー。1度言ってみたかった!
「「リンク・スタート!」」
「……キャラクターかぁ」
まずキャラクターを決めるのだが、GGOはランダムで、変えるなら課金しなきゃいけない、って感じだったかな……
流石にそれは悪いので、一発勝負で!
「えいや」
どんな容姿になるかなぁ……とワクワクしながら、仮想世界へと降り立つ。
目の前が光り、その光が無くなると、アニメでも見た……ぐろっけん?だっけ?そこにいた。「おおおおおお!」と感動しながらキョロキョロしていると、近くの柱に腰掛ける、水色の髪の女の子が目に入った。
「シノン!」
詩乃ちゃんの近くに走りより、名前を呼んで肩を叩く。すると驚いた顔をして、頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。
「出雲よね」
「そうだよ!」
「なんで私が「シノン」って名前にするって分かったの?」
ギクッと肩が震える。その問に答えるのなら、「原作を知っていたから」だが、馬鹿正直にそれを言う事も出来ない。詩乃ちゃんがリアルで「シノンって名前にするつもり」なんて言ってなかったし……
「……し、詩乃ちゃんなら、安易な名前にしそうだなー……って……思って……」
くっ……これは辛いか?
「……よく分かってるじゃない。安易で悪かったわね」
ふぅ。何とかなったが、拗ねてしまった。後で埋め合わせをすると言うと、すぐに微笑を浮かべてくれたが……笑顔では無かった。
さて、僕のGGOでのキャラクターはどんな……
「こーれーはー……?」
「ん?キャラの確認してなかったの?」
鏡に映るのは、女(?)だった。そう、あくまでも女(?)なのである。もしかりにこの姿が女であったとしたら、「いや俺男だから!」をごり押せば「あぁ……そう言われると男……?」って感じだ。
言うなれば女よりの中性顔。流石にキリトくんみたいな姿ではないが。ネームカードを確認すると、どうやらこの姿は「M8600系」というものらしい。
……キリトくんって、なんだったっけ?Mは「male」のMだと思うから、M〇〇〇〇系だったと思(ryどうでもいいや。
「声も若干それらしいわね。ネカマでもやったら?」
「やらないよそんなの……」
キリトくんと思わぬ所で親近感が湧きそうな姿になってしまった……。
「それじゃあ、とりあえず歩きましょう……えっと」
あぁ、そっか。まだ詩乃ちゃんに名前を伝えていなかったね。
「シュウって名前にしたよ。「柊」の別読みだね」
一般的とは言えないが、「柊」という漢字を「シュウ」と読む事がある。主に名前の時とかに使われる……というかそれ以外の使い道知らないなぁ。
その後、武器がないと始まらないので武器屋へ向かったのだが……皆さんお察し、お金が無いのである。
「あ」
「うん?どうしたの?」
資金面どうしようかなーって考えてたら、さっきからメニュー画面を色々弄ってた詩乃ちゃんが何かに気付いたようだ。
「ねぇシュウ」
「何?なんかいい案思い浮かんだ?」
パッと僕の目の前にウィンドウが現れる。特に開いたりしてないんだけどな、と思ったら、そこには
《Sinon》から《結婚》を申し込まれました。受けますか?
yes/no
「oh……」
GGOに結婚システムってあったんだ。原作では触れてなかった(と思う)から知らなかったな……いやいやそんなことより
「え、結婚?」
「そうよ」
「こういうのって、ほら。ムードとか、男からとか……」
「わざわざ「結婚システムがあるから貴方からして」なんて言うの?馬鹿らしいわね。それにこれはゲームよ。リアルで結婚する時は、もうちょっとムード考えるわ」
「そ、そう………」
結婚する事は確約されてるんだね……
yesを押し、「《Sinon》と《結婚》しました。おめでとうございます」と表示された。その後、ヘルプから《結婚》というシステムについて調べる。
《結婚》システムについて
メリット
どちらかが経験値を得ると、パートナーは経験値の2割が貰える(片方は10割、パートナーは2割で、その分経験値が減る訳では無い)
アイテム・資金が完全共有化され、プレイヤーに倒された場合のドロップ確率が減少する。
《結婚》している者限定のクエストやアイテムを手に入れる事が出来る。
《倫理コード解除》が可能になる。
パートナーの位置が常にマップ上に映し出され、把握できる様になる。
デメリット
《結婚》した瞬間からアイテム・資金の完全共有が始まり、アイテムや資金に《鍵》をかけることが出来なくなる。
それに伴い、どちらかが他プレイヤーにキルされた時にドロップするアイテムがパートナーの物の場合もある。
別々のスコードロンに入る事が不可になる(片方がスコードロンに入った場合、そのパートナーがそのスコードロン入らなければいけない訳では無い)。別々のパーティーへの参加は可。
パートナーをキルしてしまった場合(故意かどうかは問わず)、共有資金の3割と共有アイテム5つが《消滅》する。(《消滅》とは、ゲームそのものからの消滅を指し、ゲーム内に個数制限のある武器又は防具が消滅した場合、サーバー上から削除され2度と手に入らなくなる)
異性との2人パーティーが組めなくなる。
尚、《結婚》システムは、1アカウントにつき2回まで行えます。
《離婚》システムについて
結婚している状態で
メニュー→ヘルプ→その他→結婚
の順で行くと、
現在〇〇と《結婚》状態です。
と表示されます。そこで右上にあるヘルプへ行き、一番下へスクロールすると《離婚》の文字があります。その文字をタップすると、《離婚申請をしますか?yes/no》と表示され、yesを押した場合、パートナーに《〇〇から離婚申請が来ました。承諾しますか?yes/no》と出ます。そこでパートナーがyesを押した場合のみ、《離婚》が決定します。
資金は完全に折半ですが、アイテムのみ一時的に《共有ストレージ》と《ストレージ》の2つが現れ、自分のアイテムを移すことが出来ます。《共有ストレージ》は発生から24時間で中のアイテムごと消滅します。
長々と読んだが、そんな感じらしい。
問題ないな。あっても既に結婚したし関係ないが、信頼し合っている関係ならメリットが大きい気がする。
「それで、なんだっけ……資金?」
「え、聞いてなかったの?」
どうやら、メニュー弄りに夢中だったらしい。詩乃ちゃんそこまでゲーム好きだったかなーと頭を捻るが、詩乃ちゃんと詩乃ちゃんの周りに多大な影響を与えた、本来存在しない僕がいるのだ。原作とどう変わってようが、不思議ではない。もしかしたら原作から大きく変わる点もあるのかもしれないが、今の所はない、と思う。
「資金ね……地道にやっていくしか、無いのかしら?」
「うーん……そうだねー」
キリトくんみたいな、並外れた動体視力とか持ってたらなぁ……僕の取得と言ったら、水泳が上手い事と身体能力が他と比べてちょっと高いぐらいだが……転生する時に、テンプレが如く特典を貰った方が良かったのだろうか?
資金を工面する方法は結局見つからず、地道に集めていこうとなった。
初期金額の1000クレジットしかないので、あまり大きな物は買えないが……フィールドにいる雑魚程度なら、狩れると信じたい。
主人公の名前に結構時間使った。
結局、「「柊」を別読みにして「シュウ」」という安易な感じに……( _´ω`)_
詩乃ちゃんの事言えねーーぞ( _´ω`)_
GGOに結婚システムなんてねぇよとかそういうツッコミは、なしにしましょうね?
久々の更新なのに結婚システムについてしか話してない……お兄さん許して( _´ω`)_
結婚・離婚システムについては、設定にも載せておきます。
自分でもわかる。
久々過ぎて文章力ガタ落ちした( _´ω`)_
駄文……ではない。(自分に甘い)
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朝田詩乃とGGOの生活
今回、「早く原作入れたいなぁ」と思った私が駆け足所かボルト並みの全力疾走で駆け抜けます( _´ω`)_
時間飛び飛びになります。お兄さん許して(懇願)
武器屋にて軽い武器を買い、1度僕だけリアルに戻って序盤するべき事を調べる。
攻略サイトによると、序盤は地道にモンスターを狩って資金を貯めたり、そのモンスターのドロップアイテムで防具を作ったりしていくらしい。GGOでは「初心者狩り」というものはあまり存在しないようで、理由としては「アイテムがしょぼい上にマナー違反」と書いてあった。恐らく、前者が本音後者は建前だろうが。
「……おーい。詩乃ちゃ〜ん」
アミュスフィアを被ってダイブ中の詩乃ちゃんに声をかけてみる。返事なんてしないと分かっているが、なんとなくだ。
毎日一緒のベッドで寝ていたり、たまに風呂に乱入してきたりするので、顔を身近で見る機会は腐る程あるが、まじまじと見たのは久しぶりかもしれない。普段は何かとグイグイ来るし、夜は僕が先に寝て詩乃ちゃんの後に起きるし。
プニプニとほっぺをつねってみたり、指を弄ってみたり。流石にR18タグを入れなければいけないような所は触らない。一線は越えてはいけない(謎の使命感)
「そろそろ戻らないと」
《シュウ》の体は詩乃ちゃんに預けているので、早く帰らなければ。指弄ったり顔むにむにしたりするのは、別に起きてる時でもいいや。
「よいしょっと……リンクスタート」
「ん……?」
「起きたの?随分遅かったわね」
目が覚めたのは、ログアウトした時、そして結婚した時もいた「マーリン」という名の店。リアルでいうファミレスのようなところだ。ちなみにアーサー王伝説のマーリンとは関係ないらしい。
「まぁ……ちょっとね。」
「なにか分かったの?」
「序盤はモンスター狩るしかないってさ。簡単な狩場も書いてあったし、そこ行ってみようよ」
僕と詩乃ちゃんは銃の名前すらろくに知らない。銃器に関しては素人も素人だ。本当は使い方や立ち回りを教えてくれる先生のような人がいるといいんだが、高望みはできないか。
それから暫くして、僕と詩乃ちゃんはある程度強くなった。
詩乃ちゃんは先日、FR-F2という
……まぁ、GGOのクレジットで払っている訳では無いが。
「ねぇシノンちゃん」
「なによ。早く帰るわよ」
「こんな所にこんな扉あった?」
いつも狩りをしているダンジョンに来て、その帰り。いつもは壁だったはずの場所に、なにやら黒い扉が出来ていた。
入ってみようと提案するが、詩乃ちゃんは嫌がる。罠だと警戒しているのだろうが、冒険せずして何がゲームか!と思い有無を言わさず扉に入る。
扉が閉まり、辺りに明かりがつく。中々広く、今の所モンスターやプレイヤーは見えない。
詩乃ちゃんが原作で使っていたスナイパーライフル(名前は忘れた)の獲得イベントだろうか?と思ったが、雑魚モンスターがスポーンした時にその考えは無くした。原作では大型ボスを倒していたと思うので、違うだろう。
「やっぱり罠じゃない……いつもので行くわよ」
「うん」
いつもの。というのは、僕が前衛で戦い、スナイパーである詩乃ちゃんが後衛で僕のアシストをする、というのだ。僕は僕より後ろにモンスターが行かないよう暴れ周り、詩乃ちゃんは僕にたかるモンスターの頭を確実に撃ち抜いていく。
出てきたモンスターは雑魚中の雑魚。詩乃ちゃんのSRで
そんな事が数十分程続き、僕の弾が無くなりかけた頃、やっとモンスターのスポーンが途絶えた。
つまりは、今ここにいるモンスターを倒しきれば終わりという事だ。
「ぐっ……シノンちゃん!大丈夫!?」
「私じゃなくて前見なさい!」
詩乃ちゃんはSRの弾をとっくに切らし、ハンドガンとナイフで応戦している。僕のP-90も後ワンマガジンしかないが、敵も少ない。後少し踏ん張れば!
こんなに苦労したんだ……いいアイテムの一つでも寄越さなければ、クレーム入れてやるぞ!
「ギギィ……」
最後のモンスターの顎にナイフを突き刺し、その体をポリゴン片へと変える。体力消費とはまた違った疲労感が僕を襲い、地面に膝を付く。詩乃ちゃんも、肩で息をしながら壁に寄りかかっていた。
ピロン。という音と共に、僕の目の前にウィンドウが現れる。そこには先の戦闘で手に入れたクレジットと経験値、ドロップアイテムが表示されていた。
「……ん?」
その中の一つに、目が奪われた。ドロップアイテムの一つに記された名は、【P-90(プロトタイプ)】。
あまり知られていないが、【P-90】というものは2つある。現在の形のP-90と、そのP-90の元となったプロトタイプだ。銃を調べる過程で偶然知っていたプロトタイプが、まさかGGOに存在しているとは思わなかった。
ストレージに送られたP-90プロトタイプを呼び出す。現実にあったプロトタイプよりも少し大きめで、アタッチメントは何もついていない。重量的にも問題はなし。
「何、それ」
僕の手にある、形状が銃というよりは松葉杖に近いプロトタイプを見て、頭を捻る。僕も初めてプロトタイプを見た時は、「松葉杖?」と思ったものだ。
「P-90のプロトタイプ……GGOにあるとは思わなかったよ」
今後は、このP-90プロトタイプを使っていこうかな……と心の中で決意し、いつの間にか空いていた部屋の扉をくぐって宿屋へ帰る。
僕がプロトタイプを手に入れ、暫くして……様々な事があった。まず、
ジープは完全に僕の趣味だ。乗ってみたかった、というだけだが……詩乃ちゃんには、「なんでも一つお願いを聞いてくれるならいいわよ」という許しを貰った。少しどころじゃなく怖いが、ジープに比べれば……うん……
次に、僕達に二つ名が付いた。
これはあまり嬉しくない。二つ名が付いたせいで、街を歩いたりするだけでひそひそされたり、プレイヤー狩りに狙われたりする事が多くなった。
僕についた二つ名は【狂人】。非常に不愉快極まりない二つ名である。前衛で暴れまくる姿と、P-90プロトタイプなんて
詩乃ちゃんことシノンちゃんは、原作通り【氷の狙撃手】。由来は原作と変わらず、氷のように冷徹な狙撃手だから、らしい。
そしてどうやら、僕と詩乃ちゃんのコンビにも二つ名があるらしく、それが【
この名を知ったのは、GGO関連のとあるサイト。プレイヤーランク的なものも付けているらしく、僕と詩乃ちゃんのコンビこと【審判者】はどうやら他者から見てトッププレイヤーの一角らしい。平穏にとは言わないが、積極的にPKしていた訳では無いのに、どうしてこうなった?
後詩乃ちゃんが【ウルティマラティオへカートⅡ】という、恐らく原作で詩乃ちゃんが使っていたSRを手に入れていた。いつの間に?と聞くと、いつの間にか。と返された。
GGOを始めてから、8ヶ月程度でそこまでなるとは思わなかった。
そして今日、12月7日。
「やっほーダインくん」
「遅かったな」
僕が辛うじて覚えていた、原作の日である。
駆け足すぎて草も生えない( _´ω`)_
原作との違いが大きくありますが、気にしないでください( _´ω`)_
原作尊重!絶対重視!って訳ではないので( _´ω`)_
今回は覚えているところが多かったので、原作見ずに書けました。執筆時間30分。
やる気がある無いと覚えているいないは執筆時間に大きく影響するんだなぁと思いました。まる( _´ω`)_
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朝田詩乃とベヒモス
……知らんなぁ( _´ω`)_
今回はヤンデレ要素がないので、見る価値無いです(確信)
誰かSwitchちょうだい( _´ω`)_
「それで、相手さんはまだ来てないの?」
今日ここに集まったのは、原作の通り、スコードロン狩りである。名前は忘れたが、情報外のミニガンを持つ奴がいるというのは覚えている。
今、僕達はそれを知り得る方法がないので、ダイン達にそれを伝える事は出来ないんだが……
「来てないが……おっと、話をすればって奴だな。来たぞ」
索敵していたパーティメンバーの見ていた方向を、双眼鏡を取り出して見てみる。
「7人……?ねぇ、先週は6人だったんだよね」
「あぁ、先週は確かに6人だった。1人増えてるな。顔も装備も見えないが……ん?《ミニミ》持ちがいる。実弾に持ち替えてきたか。なら、第一目標はこいつにしよう」
ダインの言葉を聞いて、詩乃ちゃんが伏射姿勢になり、スコープを覗いて目標を確認する。詩乃ちゃんはここから狙撃、僕達は下に降りて地上で戦闘になる。
僕達地上部隊が下に降りようとすると、詩乃ちゃんが声をかけてくる。
「……あの男、嫌な感じがする。最初に狙撃したい」
「何故だ?大した武装もないのに」
「根拠は、無い」
「…………いや、ミニミがやはり厄介だ。第一目標は変えない。第二目標をマントの男にしてくれ。可能なら、でいい」
納得はしているが、
「ほら、ダイン行くよ」
「あ、あぁ……」
引いたような顔のパーティメンバーを連れ、地上に降りる。あぁいう顔しちゃうから、あまりパーティやスコードロンに誘われないんだよ……
そのお陰か、大半のプレイヤーに声をかけられないのは嬉しいが……
下へ降り、シノンちゃんの合図を待つ。
僕達は既に配置に付いており、目標を視認している。
「……勝てるかな」
「なんだ?《審判者》ともあろう方が、弱音とはらしくないな」
「次その名前で呼んだらその首はね飛ばすからな」
ミニガン持ちがいると分かっているので、不安なのは当たり前だが、勝てる勝てないは別問題だ。
原作では確か詩乃ちゃんがアイツを倒していたが、今回もそうだとは限らない。
「さっきシノンちゃんも言ってたけど、嫌な感じがするんだよ……僕も根拠はないけどね」
「お前もか?……確かにそこまで言うなら気になるが、不確定要素だからってだけで、優先する事は出来ないな」
ダインの判断は、リーダーとしては正しい。アイツがミニガン持ちだと分かっていたなら、ダインの選択も変わったのだろうが、それはifの話であってどうする事も出来ない。
『撃つわよ』
シノンちゃんからの合図を聞き、僕達も気を引き締める。
聞きなれた轟音が通信で聞こえ、敵の実弾銃持ちの上半身が吹き飛ぶ。同時に僕達が飛び出し、敵と交戦する。
敵が持っているのはブラスターで、圧倒的に実弾を持つ僕達の方が有利だ。
戦闘において、実弾は対人、ブラスターは対モンスターというように定められており、ブラスターが撃つ弾は防護フィールドによってほぼ無力化する事が出来る。
普段ならば、こちらの勝利は確実である……一つの不確定要素によって、その確実な勝利は揺らぐ事になるが。
敵の横に出て、P-90で撃ちまくって殺し、リロードした後ミニガン持ちに銃口を向けたら、既にミニガンを構えていた。
あ、しくった。
「っ!」
慌てて横に飛び、ミニガンの射程外に逃げる。ミニガンはその重量故、即座に方向転換する事が出来ない。先程いた場所が穴だらけになるのを見てヒヤッとしながら、逃げる。
「シノンちゃん!」
『何?』
「僕がアイツを引きつける。10秒くらいしか持たないと思うけど、大丈夫?」
『…………3秒で大丈夫』
頼もしいな……
アイツが僕達を探してキョロキョロしている時、丁度目が合うように飛び出し、銃口が向いたらまた物陰に隠れる。を繰り返し、シノンちゃんに背を向けるようにして、柱に隠れる。
ミニガンの弾で削れていく柱を振動で感じる。もう周りに物陰がないので、動けない。
『……』
シノンちゃんの息を呑む声が聞こえ、発砲音。ミニガンの音が消える。柱から顔を覗かせると、アイツが爆散する瞬間が見れた。
「ナイス」
『ん』
その後、ダイン達と軽く話した後、ログアウトする。ちなみに、名言(?)である「せめてゲー(ry」は聴き逃した模様。僕が頑張ってた時に話してたんかワレぇ。
さて、原作よりシャキッと(ピネガキ並感)倒してしまった。まぁ、問題は無いだろうが……
塾やだ爆破したい(小並感)
ベヒモスが雑魚に見える不思議
本当はしっかりやるつもりだったんだけど、時間なかったから走った( _´ω`)_
久々の更新&2000文字にも満たない短さ。お兄さん許して。全部許して()
ヤンデレを書く(予告)
ヤンデレを書く(確定)
シノンちゃん可愛い。
お誕生日おめでとうシノンちゃん。
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朝田詩乃と999本の薔薇
想像しなさい……ウェディングドレスを着て、溢れんばかりの血のような薔薇を持ちハイライトの無い目でこちらを見てくるヤン詩乃ちゃんを……!( _´ω`)_
ぐへへ……ヨダレが……
本編に疲れたのでヤンデレに逃げます。
つうか、アレでしょ?みんなSAOとかGGOとか、銃とか戦闘とか見に来てるんじゃないでしょ?ヤンデレと詩乃ちゃんを見に来てるんだもんね?ね!(強制)
あ、今話はR17.9です。
解散後、各々の宿屋やホームに戻り、ログアウトする。お互い長時間くっ付いていた上、ベヒモスとの戦闘で汗をかき色々とぐしょぐしょである。
「お風呂、入ろっか」
「う、うん」
詩乃ちゃんがベットの上でいきなり脱ぎ始めるから、少しビクっとする。汗で髪が肌にくっつき、下着のみとなって色々隠せていない今の詩乃ちゃんの姿を見ると、無意識に顔が赤くなってしまう。
「あら?私で興奮してくれたの?」
くすりと笑って、服を持ち脱衣所に歩いていく詩乃ちゃんの後ろ姿を見ながら、一線を超えてしまうのもそう遠くない出来事だろうという事を直感で感じる。
「早く来なさいよ」
あっ…(察し)
この後無茶苦茶綺麗にした。
風呂上がり。シャツとパンツという実にラフな格好になり、今はリビングで詩乃ちゃんの髪をドライヤーで乾かしてあげている所である。詩乃ちゃんはカーペットの上に座りながらテレビを見て、僕は一心に髪を乾かしている。サラサラで、シャンプーのふわっとしたいい香りが漂い、顔を付けて思いっきり鼻から息を吸い込みたい欲望に駆られる。毎度の事だがいつかしてしまうだろうなぁと思う。今日も耐えられそう。
「ありがと。もういいわよ」
気付けば髪はしっかり乾いていたようだ。ドライヤーの電源を切り、いつもの場所に仕舞おう……としたら、腕を掴まれる。
「たまには私にも乾かさせて……ね?」
僕の髪を乾かしてくれるらしい……こんな事は今まで1度も無かったので、ちょっと嬉しくなる。僕は普段髪を乾かすような事はせず、自然乾燥を待つタイプだし、ドライヤーも詩乃ちゃんの為だけに購入した物だ。
「本当?助かるよ。ありがとう」
僕が先程詩乃ちゃんの座っていた所に座り、詩乃ちゃんが僕の座っていたベットの上に座る。
……が、中々ドライヤーの風の音がしない。
「詩乃ちゃ(ry」
詩乃ちゃんの名を呼んだ瞬間、ハンカチのような湿った布が口に当てられる。僕の体がだらんと力無く垂れ、意識も遠のいて行く。デジャブを感じながら、眠るように目を瞑った。
目を覚ます。眠る前と、何も変わっていない部屋。手足は縛られていない。すこし体全体が痺れている感じはするが……本当に、ただ眠らされた……だけ、では、ないよな。
「あ、起きたのね。じゃあ、始めましょうか」
「待って」
「何よ」
あっ、おい待てぃ(江戸っ子)生まれたままの姿じゃないか。たまげたなぁ。
……えっ?下着も着てないの?というか僕も着てないじゃん。つうかガン勃ちじゃん。
「何したの」
「何って?」
「何吸わせたの?」
「簡単に言えば、軽い筋弛緩剤と強めの媚薬よ」
やっ、やめ、ヤメロー!
犯す気だな!ヤンデレ甘く見てた!なんで!?なんでこのタイミングなのさ!?
「え、えーと、なんで今日?」
それを言うと、ニコニコしていた詩乃ちゃんの顔がスッ……と真顔になり、久々に詩乃ちゃんに恐怖心を感じる。
「私はもう限界なの。私以外の人と話すのも、見るのも、考えるのも、全部許してきたわ……けど、もう無理……出雲。私は貴方を愛してる。誰よりも、何よりも……貴方の命令なら何だって聞くし、貴方になら何をされようとも構わない。めちゃくちゃに犯されてもいいし、体を売って金を稼げと言われたら、どんな人が相手でも体を売る。
……愛を囁いたり、誘ったり、キスしたり、添い寝したり、一緒に風呂に入ったり………いつも最初は、私からだった。貴方からそういう事をしてくれた事はある?ないわよね?今こうやって、貴方とsexをしようとしているけれど、それはわたしが薬を盛ったから……もし私が薬を盛らなかったり、一切誘ったりしなかったら、貴方はいつ私の処女を散らせてくれたの?卒業してから?成人してから?結婚してから?そんなのじゃダメよ。そんなに待ってたら、貴方の心は私以外の誰かに行ってしまう。そしたら、耐えられない。最善なのは、このまま生きて、貴方と一生を添い遂げる事。貴方の心が私以外に行ってしまったら、「この世界」じゃ一緒に居られないって事……
ねぇ?私は死にたくないし、貴方を殺したくなんてないの。貴方とずっと繋がっていたい。繋がっているという確証が欲しい。愛してる……愛してるわ。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
壊れた人形のように同じ言葉を繰り返す。お互い生まれたままの姿で、抱き着かれる。僕の逸物が詩乃ちゃんの腹に当たり、ピクっと反応する。
「出雲……貴方は、私のモノ。私は、貴方のモノ……そろそろ、しっかりとソレを認識しましょう……?」
詩乃ちゃんに腕を掴まれ、詩乃ちゃんの秘部に手を当てられる。既に濡れており、いやらしい水音がぴちゃぴちゃと鳴る。
男は下半身で考える生き物だ。と、何処かで聞いた事がある。恐らく、今日程この言葉を実感する日はないだろう。
「貴方が起きるまでに、もう準備はしておいたの……
耳元で囁かれる詩乃ちゃんの甘い言葉と、耳に侵入してくる舌。脳が溶けるような感覚がして、何も考えられなくなり、そして…………
翌日、お互い学校を休んだ。
11月中に引越しする事が決まりますた。
おま、親、マジふざけんなよ( _´ω`)_
学校とかどうすんのよ( _´ω`)_
調べ直しなんてめんどうくさいよー。
誰か私の代わりにR-18ver.書いてくださいよー( _´ω`)_
Twitterの方で簡単なアンケートやってますんで、出来たら参加お願いします( _´ω`)_
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第3回B.o.B編
朝田詩乃と原作主人公
遠藤「お前人殺しなんだってな」
ヤン詩乃「あ?」
遠藤「ごめんなさい」
遠藤なんて奴は居なかった。いいね?
朝田詩乃は既に成長し、進化し、ヤン詩乃となったのだ……原作のような成長物語などないのだよ……
それによって、SNKW先輩が詩乃ちゃんを救うというオリ主的展開もなくなったわけだ。すまんな!( _´ω`)_
一応前の話読んできましたけど、隅々まで読んだわけじゃないので忘れてる設定とかあったらサーセン( _´ω`)_
後、原作のシーンを抜き飛ばしたりしてますけど、まぁ、いいよな?(圧力)
B.o.Bとか、長引かせてもこ↑こ↓の人達は喜ばないと思うんやよ……( _´ω`)_
おまいら!等々イキリトくん(勘違い)が登場するで!
ifの方で既に知り合いみたいな感じだったけど、あくまでもifだからね。本編と関係ないからね。
やぁ。なんだか久しぶりな気がするね。
いつも通り、詩乃ちゃんと共にGGOを起動する。
「今日はどこ行く?」
「そうねぇ……あっ、そうだ(唐突)前からしてみたかったのだけれど、この街を探検してみない?」
随分と子供っぽい事を言うものだなぁ……と心の中で苦笑すると同時に、確かにそれはいい案かもしれないと思った。
GGOは一般的に言われるオープンワールドゲームであり、オフラインプレイというものがない。つまり、遠い場所や裏路地なんかは「行こう」と思わなければ、行く機会もなければ意味もないのだ。
その癖作り込まれているので、マップを歩き回るだけでも面白い。
そして、探索を進めているうち……
「はぐれた」
はてさて。はぐれたのは僕なのか、シノンちゃんなのか……結婚している故の機能である、パートナー位置表示を見てその方角に歩いていっているが、いかんせん先程言ったように作り込まれているので、グダグダグダグダ、グダグダグダグダして一向に会える気配がない。上下もあるので、目視で見つけても降りる階段がわからなかったりする。もどかしい!でも飛び降りるのは怖い!
「あのー……すみません。ちょっと道を……」
うん?なんだ?こんな裏路地に女の子なんて居(ry
……スゥー……ハァー……
お初にお目にかかりますな。原作主人公キリコちゃん。
マジかー!そっかー!はぐれた辺りで「もしかして原作なのでは?」とは思ってたけど、まさか僕の方に来るとはなー!
今詩乃ちゃんが1人だから、そっちの方に行ってるかと思ってたー!
「……あー。うん、いいけど……(原作的に)大丈夫?」
「へ?(あ、もしかして俺の事女性だと勘違いして心配してるのかな……)あ、あぁ。大丈夫ですよ」
(詩乃ちゃんの反応)怖いなー。怖いなー。
まぁ、僕はキリコちゃんが実はキリトくんなのは知っているから、大丈夫でしょ。楽観視と言われても否定出来ないけど、ぶっちゃけ原作主人公に会えて少し興奮してる。
「このゲームは初めてかい?さっき始めたの?」
「はい。つい先程、他のゲームからコンバートしてきて始めました」
「そっかぁ……それじゃあ、このゲームの通貨や武器もないんだよね?いつも僕達が行ってる武器屋行こうか。」
「ありがとうございます(僕
こ↑こ↓までの会話全部茶番ゾ。
原作で詩乃ちゃんと行った武器屋に行き、まずどの項目の武器を持つか考えるが……
「最初のうちは、1000クレジットしかないから中古の武器でレベルの低いモンスター狩りとかかなぁ。そうだなぁ……1ヶ月くらいそれ続けてれば、アサルトライフルくらいなら運用出来ると思うよメインウェポンともなると、武器の維持費や弾代もかかってくるから、時間はかかるけど楽しいよ。そこからはプレイヤースキル次第だしね」
「い、1ヶ月ですか!?……あ、あの、もっと簡単に、早く、クレジット?を稼げる方法とか……ない……ですかね?」
あー……なんだっけなぁ……カジノ?だっけ?原作でもあそこに向かってた気がする……前世は「シノンちゃんまじかわええ」としか思ってなかったから、言っちゃなんだがキリトくんの事よく覚えてないんだよな……
「カジノならあるけど……」
「そこ行きましょう!」
と、言うわけで、やって来ました裏(大嘘)カジノーーー!
「キリトくんって、前は何のゲームを?」
「ALOをやってました。」
ALO……ネコミミシノンちゃん可愛かったなぁ。ALOやりたいな……いつやろうか。とりあえず次のB.o.BまではGGOに専念したいなぁ。
あ、自己紹介ぐらいは終えましたよ。
「あーALOかぁ。あれも楽しそうだよねぇ。GGOが落ち着いたらシノンちゃんと始めてみようかな……それじゃあさ、運で一発逆転を狙うか、自信があるなら実力で大金をもぎ取るか!どうする?」
「そうですね……実力で大金をもぎ取ります!」
「お、おおぉ……やるねぇ。そんじゃー……」
辺りを見渡し、いい感じに参加料が安い実力機を探すと、「You!ガンマンから逃げチャイナyo!」(仮)を見つけた。ちょうど挑戦者が現れた直後だったので、「あれ見てやるか決めなよ」と指さす。
結果から言うと、失敗である。キリトくんに弾道予測線の事を教えたり、クリアすると30万クレジット全額バックな事を言って驚かれたり。
「つまりは、弾をかわしてガンマンに触ればいいわけですね?」
「そうだけど、気ぃ付けなよ。近くなるとインチキ早撃ち3点BURSTしてくるから」
「はい!」
うむ!元気な返事でよろしい!流石は食べ盛りの男子高校生なだけはあるな!僕もだけど!
「あ、いた。いきなり離れるんですもの。心配したわよ」
「あやや。見つかっちった」
お互い場所わかるんだし、見つかるのは当たり前っちゃ当たり前だけどさ。
「こんな所で何をしているの?カジノなんて、滅多にやらないじゃない」
「さっき迷子の初心者の子に会ってね。案内を頼まれたから、こうやってレクチャーしていたわけさ」
事実である。嘘はついてない。
「……それで?なんでここに来るのよ」
ジト目になる。まだキリトくんことキリコちゃんの事はバレてないか……よし、帰ってくんな原作主人公ォ!今考えたらやべぇ!あ、でも、男だよーって、僕気付いてたよーって言ったら大丈夫……だよ、な?
「いやー。ほら。初期金額じゃん?そんで、なんか早めに強くなりたいらしくって、手っ取り早く金稼ぎたいって言ってたからここに」
「貴方も鬼畜ね。カジノなんて、クレジット溶かすもんじゃない」
「まぁー自信あったし大丈夫じゃない?」
僕のクレジットじゃないし(外道)
そんな事をシノンちゃんと話していると、大音量のアラームと共にガンマンが発狂し、家が金をドバーッ!と出してきた!
「お?お?」
「シュウさーーーーん!!私!!やりました!」
おお!やったな!来んな!
「ありがとうございます!30万クレジットGETです!」
「マジか……凄いな君……全く見てなかったけど……」
ごめんよごめんよ。最後のインチキ3点BURSTとか、どうやってかわしたのか凄い気になるけど、まっっったく見てなかったよ。シノンちゃんがかわいいのが悪いんやで。わっいは悪くないで。
「ねぇ、シュウ。
「え……あっ(察し)え、えっと、その。違うんです!」
なんだなんだ何を言う気だキリトくんや。面白そうだから黙っとこ。1回は会いたいシチュエーションだね。
「何が違うのかしら?シュウから誘うなんて思えないし、貴女が彼を誘ったのでしょう?初心者で迷子なんて、彼の良心を揺するような汚い誘い方をするものよね。あの実力機をクリアする時点で、初心者じゃないじゃない。まぁ貴女みたいなクソビッチはそうでもしないと彼に振り向いてもらえないものね」
「クソビッ……!?だ、だから違うんですってば!クリアしたのは、コンバートだからです!えーっと、その……私は……いや、俺は!」
「もういいわ。2度と私の「夫」に近付かないて頂戴」
「ちょぉっ!だからぁ!俺はァ!男だ!」
「……はァ?」
なんだい?そんな「こいつどうしようもないクサレビッチ女郎よ。帰りましょう」みたいな顔しないで貰えるかな?
でもそろそろ可哀想になってきたなぁ。ネタバラシしよっか。
「シノンちゃんや。彼が男なのはマジな話やでー」
「…………何言ってるの?」
「まぁまぁ、そんな目しないのー。 あれは公式の男の娘アバターだよ。よくネットで高額のGGOアカウントが売られているだろう?アレなんかが売られてるんだよ」
「信じるわ」
「マジか」
なんとか……いやなんとかじゃないか。普通にネタバラシ成功。キリトくんもホッとした模様。
「っていうか、シュウさん!俺が男だって気付いてたんですか!?」
「まーねー。ガチのネカマさんか、
あーうあーと唸って頭を抱えてしまった。シノンちゃんもキリトくんが男の娘だと知り安心した模様。
しかし相手が男とは言え自分より優先された事で、嫉妬しているらしい。
「モチツケッ!」
「つかないわよ……それより、30万クレジット手に入ったのでしょう?さっさと武器買ってあげないと、B.o.Bエントリー出来なくなるわよ」
あぁ〜!忘れてたァァ!
ってマジじゃん!そうじゃん!あ、いや、間に合う……でも武器選んでたらギリかな……うぬぬ。ここまで来たら最後までキリトくんに付き合ってあげたいが……
確か原作では……覚えてないな……でもシノンちゃんが、キリトくんの運転するバイクの後ろに乗って、クッソかーわいい!!!!(デビルマン並感)笑顔を浮かべているシーンは覚えているぞ……!
ちょっとキリトそこ変われ(当時の心境)
「B.o.B……御二方も参加するんですか?」
「まぁね」
「……参加して欲しくない、って言ったら、参加をやめてもらえたり……」
「いやー……理由がなければ、なんとも」
「理由は話せません」て……僕は知ってるけどさ。キリトくんや、それで「じゃあ参加やめるかー!」なんていう人いないと思うんや。
「それじゃあ……そのB.o.B、俺も参加したいです!エントリー方法教えて頂けます?」
「……貴方ねぇ。コンバートとは言え、まだこのゲーム始めたばっかでしょう?そんなのでB.o.Bは難しいんじゃない?」
せやで。
原作の都合上仕方ないとは思うがね……シノンちゃんには全面同意だよ。
さて、B.o.Bの話はとりあえず後回しにして、まずは武器を選ぼうか!
こ↑こ↓まで。
辛っ!
本編書くの辛い!( _´ω`)_
やはり本編にヤンデレ要素が絡められんな……うぬぬぬぬぬ……
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朝田詩乃とB.o.Bに出たい
は?なんであんな可愛いん?あんな可愛い存在が2次元の存在とかマジで死にたくなるわ。
画像や脳内で見るよりもアニメは格が違うねやっぱ。可愛すぎる。もうそれしか言えない。体が火照った。可愛い。私もあの相互管理アプリで詩乃ちゃんの血圧とか心臓の鳴るペースとか見てトリップしたい。
「……ねぇ、
キリトくんのチキチキ武器選びレース(ポロリが欲しいよ!)ももうそろそろ終盤。見所がないからね。FN・ファイブセブン買ったくらいだし。
「えーでも、売ってるってことはそれなりに戦えるはずですよ。これでも」
どうせ某星戦争ファンのスタッフが、面白半分で入れただけだと思うけどなぁ。
……待てよ。それならシュコーシュコーマスクも、何処かにあるのか……?
「とは言っても……フルオート相手にそれだけじゃ……もうお金もないわけだし。そりゃ、あなたの回避技術は凄いけど」
「もう無駄だぜシノン。買っちまいやがった」
「はぁ!?」
フルオート相手にそれだけじゃ辺りで購入ボタンを押していたゾ。付いてきてやってるのになんて奴だ……指導を受けたかったんじゃないのか?
「買っちまったもんはしょうがない。急いで総督府に向かおう」
しっかりと弾丸その他諸々も揃え、外に出たら割とヤバい時間。しかし!これは予想の範囲内である!ふふふふふふふふ……出来る……あれが出来るぞぉ!……え?今までやったこと無かったのかって?あるよ。あるけど、なんか違うやん。原作の再現的な興奮よこれは。
僕は意気揚々と言い出す。
「おっともうこんな時間だ。これは歩いても間に合わないんじゃあないかァ〜〜!?」
「何よその口調は……私達のジープで向かえばいいじゃない」
おぉっとそれは言っちゃあいけねぇぜ〜!あのジープは四輪だから背中に当たるナイスな美乳を感じられねぇじゃあねぇかァ〜!
ジョジョ喋り疲れるなぁ……あ、5部1話面白かったです。
「ノンノンノン。いいかい?あそこに何がある?」
「……レンタバギーね」
「つまりそういう事だ」
「は?」
そう。そういう事だ(自己完結)
いつも乗ってるジープなんて、デカいし広いし改造してるから防弾窓装甲武器搭載エンジンブーストなんでもござれのゴツゴツ車だぜ!味気ないだルォ!?
「でもあのバギー、頑張って二人乗りじゃない。キリトはどうするのよ」
チラッとキリトの方を見てシノンが言う。傷付けてしまう事を恐れて、僕にだけ聞こえるように、小声で喋る。こんな気遣いも出来る僕の嫁は最高だって、はっきりわかんだね(再確認)
「運転、出来る?」
「で……きます」
何故少し溜めた!?ま、まぁいい。乗れるって事の証明にはなるだろう。シノンの方を振り返ると、コクっと頷きOKサインがでた。
「よっしゃ!行こうぜ! 時間もねぇ!」
「わかったわよ……」
シノンちゃんの美乳を背中でうはうは感じながら、「さっきはあぁ言ったけど、GGOの車の操作感になれてなくて事故ったりしたらどうするん?」ってシノンちゃんに聞いてみたら、「自己責任だから知らない」って言ってた。
僕は原作で事故らないって知ってたから言えたけど、割りとこのシノンちゃんは他者に対して淡白だなぁやっぱ。もう少し……所じゃなくめっちゃ僕以外にも目を向けて欲しい。
総督府に僕達が着くと、ほぼ同タイミングでキリトくんも総督府に到着する。一応大まかな場所(あっち!程度)は伝えたけど、僕達の後ろを着いてきたみたいだ。
3人のエントリーを済ませ、近くのテーブルで一息つく。
この時、僕はまた1つミスを犯した。僕も、シノンちゃんも、
これが何を意味するのか、このとき入力していなければあの未来は回避出来たのか、そんなIFは分からないが……
少しでも可能性を落とすために、書かなければ良かった。その事に気付いたのは、すべてが終わったあとだった。
「シノンちゃんはGブロックかい?」
シノンちゃんはGブロック、僕はFブロック、そしてキリトくんもFブロック……はえ!?あれ、シノンちゃんとキリトくんの一対一って予選じゃなかったっけ……あれ、本戦?本戦の最後?……あー。一発勝負して、引き分けて、
「えぇ。貴方とキリトはFブロックか……」
「あ、あの。これだと、どちらか片方は本戦に出られないんじゃ……」
「んー?そんな事ないよ。この予選は、決勝まで勝ち上がれば本戦出場なのさ。だから、僕とキリトが決勝まで上がればいい。幸いトーナメント表を見る限り、当たるとしたら決勝戦だし」
それに、それぞれの予選優勝者だけだと、本戦が寂しくなっちゃうからね。
ドームにいた、シノンちゃん曰く「お調子者 」達の間を抜けて、僕は男子更衣室へ、キリトくんも男子更衣室へ、そしてシノンちゃんも男子更衣し(ry
「いやおかしいよね。こっちじゃないよね。明らかにシノンちゃんは
「はっ!ついいつもの癖で……」
「やめて!」
GGO内の家でお風呂に入る時や、現実世界で服を脱ぐ時とか、いつも同じ部屋だからそれと同じ感覚なのかな!?
この時シノンちゃんは、男だとわかっていながらも、女に見えるキリトが「出雲と一緒の部屋で着替える」という事に僅かながら、嫉妬と憎悪が込み上げてきた事は本人しか知らない。
「やぁ。こんにちは」
「お、よおシュピーゲル。あれ、お前出ないんじゃ……」
更衣室から出て、予選開始まで暇を潰していると、新川改めシュピーゲルくんが応援に来てくれたとの事。
「全く来ないから心配したよ。遅刻するんじゃないかーって。」
そんな話をしてたら、いつの間にかキリトくんが淡い光に包まれ、消えていった。
そんな……!消えた……!あのお喋りなキリトくんが……!一言も喋らず……!消えていった…………!なんて1人カイジを脳内でやってたら、僕とシノンちゃんも包まれ始めた。
「じゃあなシュピーゲル。応援よろしく 」
「bye」
「うん、頑張って、シノン、シュウ」
シュピーゲルのその声と笑顔を最後に、僕達の視界は光で埋め尽くされ、やがて消えた。
「あぁ。もう。最悪だ。なんで僕は彼女を傷付け無ければいけないんだ。嗚呼、嗚呼、嫌だなぁ。嫌だなぁ」
短ぇけど、キリがいいから、ここまでにしときますッ!
細けぇ説明は省いてやったぜ!ワイルドだろぉ!?
あ、ちなみに、アンダーワールド編はやるつもりないです。
GGO終了後は、出雲と詩乃ちゃんの涙あり流血あり愛液ありのほのぼの(?)話を書いていけたらなーと思います。
リクエストとかも、その時ほそぼそと書けたらなぁ( _´ω`)_
え?なんで書かないのかって?
最初辺り以降、現実世界では影薄いし、アンダーワールドに入るのはめちゃんこ後だから!
どうしても書いて欲しいー!って人がいたら、詩乃ちゃんがアンダーワールド入りした後からでもいいなら……まぁ……うん( _´ω`)_
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朝田詩乃とB.o.B予選第1回戦「森」
いやー。全然書く気が起こらんかった。
APEXプレデターになったり、事故って半月意識不明になったり、大学行ってうつになって中退したりしてました_:( _ ́ω`):_
また、スクワッド・ジャム編も書こうかなと思います。
投稿してない間にオルタナティブの方も読んで、「なんやこの子もP-90使いやんけ!設定もおもろそうやしやろか!」ってな感じで。
B.o.B予選についてのルール及びフィールドなどは独自に設定させて貰います。原作に書いてあるかも知れませんが、リハビリがてら自由に書きたいので許してください。
B.o.B本戦も基本的ルールは原作に則りますが、死銃関係だったりキリトくんと詩乃ちゃんのイチャイチャはもちろんありません。
詩乃ちゃんも出雲くんもお互い全力で戦おう(出雲くんは死銃関係について少し考えてる)と約束して今の所は共闘はお互い考えてないって設定です。
途中でキリト・シノン・シュウの3人パーティが組まれる可能性は……どうでしょうねぇ?_:( _ ́ω`):_
眼を開くと、そこは森だった。
直径30cmはあるであろう太い幹をした木々が多く並び、まず考えたのは(詩乃ちゃんがこのステージだったらちょっと不利だったよなぁ。)だった。いつでも最初に思い浮かぶのは詩乃ちゃんである。
「さて……と」
グレーの質素(に見える)なアーマープレートと太もも周りに着けた黒のマガジンポーチだとこの森ではよく目立つ。腰に装着したウェストポーチから緑のポンチョを取り出し、被る。これでカモフラは良しとしよう。
B.o.B予選は1体1で1×1kmフィールドで行われる。
俺の場合は森だったが、廃墟ビル立ち並ぶ高低差のあるフィールドだったり、アメリカの住宅街のような平屋が立ち並ぶ市街地フィールドだったりする。らしい。
まぁ森はいい。足場は悪いが、P-90(P)(プロトタイプの略)使い接近戦AGI極振り構成の身としてはやりやすい事この上ない。
「……」
まずは索敵。その場に伏せ、周りをぐるりと見渡す。敵は見えない。当たり前だが、すぐ接敵する距離にお互いスポーンさせる程運営も馬鹿じゃないだろう。なれば、まずすべきことは……
中腰になり、歩き出す。出来るだけ枯葉や木の枝を踏まないよう、しっとりとした土だけを踏み足音を立てないようゆっくりと動く。1体1のガンバトルという性質上、そしてGGOのシステム上先に発見した方が先ず有利だ。先手必勝という訳では無いが、有利なことに違いはない。
B.o.B予選では
そうしてしばらく歩いていると、
「……は?」
思わず声に出して疑問符が浮かんでしまう。何故なら、ガシャガシャベキベキグシャグシャと派手な足音が左前方から聞こえてきたからだ。
確信した。これは
1回戦目は楽勝かと思って、極振りしたAGIをフルに使って足音の方に向かう。もちろん出来る限りスニークして。
居た。
すぐに発見することが出来た。何故なら、俺のようにポンチョで偽装もしていなければ、掲げるどデカいマシンガンを隠そうともせず片手で銃口を上にしてキョロキョロと周りを見回していたからだ。
まだバレてないな。と思い、銃口を素早く敵の頭部に当てる。敵がこちらを視認していれば、弾道予測線は相手に見えない筈だ。
「(bye。Newbie)」
等とカッコつけ思いながら、トリガーに指を触れると同時に、バチンと視線が合った。
不味い!と思い、すぐに射撃。毎分900発以上の弾丸が敵を襲うが、頭に2発当たっただけで避けられてしまった。
しかし、いくら5.7×28mm弾とはいえ、頭に2発も喰らえば相当なダメージだ。それに相手はポンチョすら持たないニュービー。無傷な僕がまだ慌てるような時間じゃない。
「見つけたぜぇぇぇ!!」
その声が聞こえた瞬間、弾道予測線が僕の居た場所を貫く。AGIをフル活用してバックステップで樹の陰に隠れた瞬間、ドガガガガガガガガ!!!!という激しい連射音と共に、俺がさっきまで居た場所を蜂の巣にした。
「ヒャッハー!!!マシンガンを撃つのはやっぱりたまらねぇぜぇぇぇぇ!!!」
という声と共に、未だマシンガンは炎を吐き続ける。
「おいおい!いつまで撃ち続けるつもりだァ!?」
「弾が無くなるまでだよォォォォ!!!」
ドガガガガガガガガガガ!!!!
ドガガガガガガガガガガ!!!!
ドガガガガガガガガガガ!!!!
ドガガガガ……ガチン
「やっと弾切れかこのハッピー野郎!」
「おぉっとリロードタァイム!ちょいタンマな!」
「待つかバッキャロー!」
仕返しとばかりに、バッと樹から飛び出して弾丸でぐしゃぐしゃになった通り道を駆け抜ける。
幸い、さっきまでの爆射撃で枝や木の葉が飛び散り獣道のようなものが出来ている。その道を全速力で駆け抜け、直線上にあった樹に回り込む。
「リロード完りょ……ォ!?」
のんきに銃を「く」の字にして新しい弾倉を込め終わって構え直そうとしていた所に、俺の飛び膝蹴りが顔面に炸裂する。
しかし、ことGGOに関しては「体術」によるダメージは殆ど期待出来ない。飛び膝蹴りによるダメージエフェクトは発生したが、それでヒットポイント全損までは行かなかったようだ。
「お前には俺のP-90(P)を使うまでもないね!」
「おォ!?」
GGOは数あるVRMMOの中でも、「痛み」。つまり、「ペイン・アブソーバー」というものが重く設定されている。つまりは、痛みを感じやすいという事だ。
もちろんナイフで切られたら本当に裂傷のような痛みが襲う訳ではなく、じーん……とした、強めの指圧ぐらいの痛みが襲う。これは銃でもナイフでも体術でも同じだ。ダメージ量に関係なく、同じくらいの痛みが襲う。
頭にそれを食らった相手はよろめき、銃と共に後ろに倒れる。P-90(P)をスリングで背中に回し、太もものマガジンポーチの後ろに隠されたカランビットナイフを取り出し、相手の首にすかさず切り込む。
「ぐぇ」
そんな潰れたカエルのような声を出し、パタンと相手は倒れる。
「ふぅ……マシンガンのリロード速度だけは褒めてやる。ニュービーは撤回だな」
そう言った瞬間、転送が始まった。
次に明かりから目を覚ますと、元いた待機エリアに居た。まぁ、勝ったから当たり前なんだが。
当然と言えば当然だが、シノンちゃんとキリトくんも居ない。シュピーゲルは少し離れた所でモニターを見ている。
「あんたはぇーな!」
「えっ?あぁ、まぁ、相手が相手だったもんで……」
待機エリアにいたやつに話しかけられたが、軽く受け流す。これは本当に相手が相手だった。倒しやすいと言っちゃ失礼だが、流石に1体1でマシンガン撃ちまくってリロードタァイム!とか言ってその場でリロードし始める奴に負ける気はしないし、長期戦もありえない。それぐらいのトッププレイヤーに僕は居るのだ。
ボーッとモニターを見ていると、キリトくんが《餓丸》なる相手に光剣(ライトセーバーみたいなもん)でギャンギャン斬りかかり最後は胴体に一撃決めて終わる様を見る。
やっぱ原作主人公TUEEEEな。弾道予測線があるとはいえ弾を切るとかどんな反射神経だよ。
キリトくんが戻ってきて、キョロキョロしてるのを遠巻きに見つめていると、灰色ローブの男がキリトくんに近づく。
「(死銃か……さて、《事件》の時は上手く立ち回れなかった分、死銃に関しては……利用させてもらうぞ。キリトくん)」
暫く話し合い、灰色ローブの男が待機エリアの出口に向かう。
そして、顔面蒼白といった様子のキリトくんに話しかける。
「よっキリトくん。1回戦凄かったねぇ〜」
「あっ?……あっ、あぁ……」
「……どした?なんかあった?」
あえて自然体に振る舞う。《事件》を上手く出来なかった事がちょっとした僕のトラウマとなり、第2の関門の死銃に関しては色々と対策を考えてある。それを悟られないように。
「……どうかした?」
「おかえり。シノンちゃん。いやぁ。なんかキリトくんの様子がおかしくて。さっきローブ被ったやつに話しかけられてたけど、なんかあったん?」
「いや。本当に、なんでもないんだ……気にしないでくれ」
「まぁ……そこまで言うなら。でも、アミュスフィアの限界ギリギリ!ってくらい動揺してるぞ。とりあえずもちつけ〜」
だからもちつかないわよ。なんてシノンちゃんの言葉を聞き流しながら、ちらりと待機エリア入り口に目を向けると、件の「死銃」の赤い双眼がこちらを見据えていた。
その眼が語ることは1つ。
お前をーーーーーー殺す
執筆欲が湧いてくる湧いてくる……_:( _ ́ω`):_
計6回戦全て書きます。決勝戦の対キリトくん戦をどうするか……ふぅむ。
B.o.Bは適当に終わらせると言ったな?あれは嘘だウワァァァァァ!!!!!!!!
死銃氏にターゲッティングされてる事を察してるオリ主。2つ名あるGGO唯一のコンビだからね。仕方ないね。
さて、1回戦の相手はオルタナティブ恒例のあの方でした。わかる人にはわかると思います。
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朝田詩乃とB.o.B予選第2回戦「刑務所」
この話を書くにあたって、「B.o.B」「死銃」をどうするか。本当に悩みました。
原作ではシノンが銃に関するトラウマを乗り越え、成長していた。たった1人で。
でもこの作品は違う。トラウマも無ければ、1人でもない。
主人公は死銃について色々と考えていますが、基本ポカする奴です。《事件》の時みたいな。
家も、原作と同じ家に住んでます。
死銃対策をするなら、完全にターゲッティングされない方法もあるにはあるんですよ。でもそれをすると、ガンゲイル・オンライン編の黒幕「死銃」について書けなくなってしまう。
だから、主人公は「色々考えてるけど肝心な所はポカする奴」と思ってください。極論原作知識フル活用すれば「ちょっとお高い家に住む」だけで死銃の脅威はなくなるんですから。
ですから、B.o.B本戦では原作とはまっっっっったく違うストーリーを描きます。
原作読んでなくてもいいです。
ただ、死銃の脅威は残して、戦わせたい。その思いはある。
だから、オリ主と、詩乃ちゃんがターゲッティングされる必要があったんですね(メガトン構文)
B.o.B予選はキリトくんとシノンちゃん空気ですけど、本戦では多種多様な視点で全く新しい第3回B.o.B本戦を描きたいと思います。
お楽しみに!
まぁいつになるかわからんけど!笑
「果てさて2回戦はいつ始まるかなぁ〜」
なんて呑気に待っていると、動悸が収まってきたキリトくんがまず転送されて行った。
B.o.B予選は勝てば即2回戦に駒を進め、2回戦目の相手が決まり次第いきなり飛ばされるシステムだ。キリトくんや僕、シノンちゃんは比較的早く終わったから待ち時間が発生したが、長期戦闘になった奴は勝ったら即2回戦なんてことになる。心労的にも早めに勝っておいた方がいいのだ。
「ふぅ。邪魔者は消えたみたいね」
「うわっ。邪魔者は酷いんじゃない?」
そんな軽口を叩きながら、シノンちゃんと二人でカウンターに腰かける。シュピーゲルは未だに離れたところでモニターを見ているようだ。ぼっちかな?
「ねぇ貴方。あのキリトってやつ。決勝まで来ると思う?」
そんなシノンちゃんの問いに、俺は即答する。
「来るだろうね。間違いなく」
迷いない即答に、結構驚いた顔をするシノンちゃん。
「随分とまぁ……「買ってる」のね。男とは言え妬けるわ」
「ハハッ。実は1回戦を見てね。彼、弾丸を切って相手を倒してたぜ?」
「ハァ!?弾丸を切って!?……そりゃ規格外ね……相手が可哀想だわ」
そんな風にイチャイチャしていると、次はシノンちゃんが転送され始めた。
「あら。じゃあね。んっ」
最後にほっぺにキスをされ、シノンの姿が消えた。
あ〜……僕の嫁可愛すぎ……
なんてことを思ってると、僕も転送が開始される。次は骨のある奴がいいな。なんて思いながら。
パチリ
「おぉ〜……?」
そこは、暗闇だった。
室内のようだ。あかりも窓もなく、うっすらとしか確認出来ないが、正方形の独房のような場所だった。これならポンチョも必要ないだろう。
さて……困ったな。
基本、AGI極振り構成は室内戦に弱い。その俊敏さを上手く活用出来ないからだ。加えて僕が使っているのはP-90……ではなく、P-90(P)。取り回しやすさがP-90よりも劣り、その松葉杖のような姿、長さはアサルトライフルにも引けを取らない。
「くわばらくわばら……」
どうか相手がサブマシンガン使いじゃありませんように。出来ればスナイパーだといいな。なんて楽観視しながら、部屋を出て廊下に出る。
先程「独房のような」と言ったが、どうやら本当に独房らしい。
扉に「007」と掘ってあり、小さな窓が備え付けられている。今度のフィールドは刑務所だ。
GGOはアメリカ発祥のゲームだ。それ故、細かいディティールはもちろん、基本構成がアメリカ式だ。
日本の刑務所にもアメリカの刑務所にも入ったことはもちろんないので分からないが、どうやらこの刑務所は1×1km正方形のフィールドに加え階数があるらしい。
これは長期戦になるか?接敵までに時間がかかりそうだ。
散策しながら見つけた階段の踊り場で、ある程度の地図が壁に貼っつけてあった。大体を頭に即叩き込む。地理把握は戦術の基本の「キ」だ。
スタ……スタ……という、自身のソックススニーカーの足音だけが木霊する。これだけ静かだとソックススニーカーでも足音が響くんだなぁ。相手がブーツだったりしたら即わかるなぁ。なんて思って歩きながら、1階まで降りる。
同じような牢屋を隈無く見て回り、敵を探す。
敵が見つからないまま、1分、3分、5分、10分、20分……
「(いや全然敵見つかんねぇな!?)」
驚く程無音。静寂。全くもって敵の気配を感じない。
1×1×0.3kmはある複雑怪奇な刑務所とはいえ、ここまですれ違うとは。既に場所は1階から3階に移っている。
3階のとあるドアを開けると、外廊下のようなところに出た。そこは中庭(バスケットコートのようなものがある)を見下ろせる場所で、どうやら監視塔に繋がっているようだ。
監視塔からなら見渡せるかもしれない。なんて歩を進めようとすると、ザッ……ザッ……と言った足音が耳に聞こえてくる。
急いで歩くのやめ、その場に伏せる。中庭を見下ろすと、全身プロテクターの男(女かもしれない)が中庭の土を踏んでいた。
「(見つけた……が)」
見つけたはいいが、この場所からだと攻撃しても弾丸は金網に吸われ、尚且つプロテクターを貫通することは出来ないだろう。7.62mmならまだしも、こちらは5.7×28mm弾。相手までの距離300m程だ。例え命中してもプロテクターに弾かれノーダメか良くて1割2割だろう。
「(相手はどう動く……?)」
中庭を突きぬけ、角まで来て、ぐるりと見回し始めた。窓の1個1個を確認し、俺のいる廊下をなぞり、監視塔を見て、再度銃を構え直し歩き出す。どうやらバレていないようだ。
フルプロテクターに
相手は1階の北側扉にゆっくりと姿を消す。
頭の中の地図を開きながら、相手の居る場所まで出来る限りバレないスピードで走る。階段はゆっくりと降り……
足音が階段下から聞こえてきた。
フルプロテクター特有のガシャガシャした音が響き渡る。
5階建てのこの刑務所の階段をゆっくり上がって来る相手は、もちろん、敵しかいない。
ソックススニーカーのお陰か、まだバレていないようだ。歩調に乱れがない。一定の速度でガシャガシャと階段を昇ってくる。それを、4階にあがる階段の所で待ち伏せる。
このまま上がってくるなら、奇襲ができる。
「(来い……来い…………来たっ!)」
フルプロテクターの鈍色の光沢が現れる。どうやら3階に用があるようで、4階へ続く階段へは目もくれていない。これは予想だが、先程見回した時に俺がいた通路を見て、監視塔から相手を探そうと考えたのだろう。相手のメインアームは見た所64式7.62mm小銃 H&K(ヘッケラー&コッホ) HK33……アサルトライフルだ。まともにやりあってたらやばかったな。
「よう」
と声をかけると同時に、背中に全力射撃。反動を何とか抑え、肩甲骨から首、頭にかけて弾丸をお見舞していく。
「ガッ!? アッ……」
気が緩んでいた所のあまりの衝撃に、相手は俺の声に反応するより前に倒れ込む。流石フルプロテクター。STR-
「クッソ!この野郎!」
相手が起き上がり、こちらに銃口を向けると同時に4階へ続く階段をショートカットして上がる。ガガガッ!という銃弾を背に聞きながら、手早く2秒とかからずリロードし、4階の扉を蹴り開け走る。音からして、着いてきているようだ。
お互い膠着状態が長く続いたこともあり、痺れを切らしここで仕留めたがっているな。すぐに顔を出すようなら今度こそ。
しかし予想に反して、相手は冷静なようで、扉から飛び出すようなことはなく、ゆっくりと僕を視認し、撃つ。
弾道予測線をなんとか避け、雑居房に飛び込む。
「やべぇな……ベテランだ」
B.o.Bに出場を決めている時点でまぁベテランだろうが、2回戦であそこまでの相手と当たるとは色々と運が悪い。フルマガジンを撃ち込んでやったので、いくらSTR-VIT型のフルプロテクターとはいえヒットポイントも7割か8割は削っているだろう。それなら、正面切っての戦いならこちらに分がある。と、信じたい。
ガガガッ!ガガガッ!という子気味いいBURST射撃をしながら、ゆっくりとこちらに近付いてくる気配がする。ふむ。強いな。顔出しもさせず、このまま押し切るつもりか。特に守っていない頭部なら、7.62mm弾1.2発で僕は死ぬ。
このまま雑居房に入れば、やがてたどり着いた相手が牢屋の外から僕の体を余す事無く撃ち抜くだろう。
打開策は……いくつかある。その中でも最も勝ち筋に近いものを選ぶべきだろう。
左胸に付けた細長い筒を手に取り、壁に擦り付け点火。
そう。発煙筒だ。
BURST射撃が止んだ一瞬の隙間をダメージ覚悟で飛び出て、相手の顔面向けて発煙筒を投げつける。
フルプロテクターの弱点に、視野の問題があるとは先程語った。
それは何も、狭まるだけではない。サングラスのように、夜目が効かない、そしてその逆……急激な明るさに弱い、という点がある。
「うだっ!」
赤く発色し煙を炊く発煙筒は見事に相手の顔面に当たり、射撃が止む。BURST射撃の何発かを腕と胸に喰らい、ヒットポイントが2割程減る。どうやら肺へのダメージ判定が生まれたった2発でこれだけ削られたようだ。
しかし、こうなったらもうこちらの勝ちだ。
油断も隙もなく、P-90(P)を構え、撃つ。こちらも煙でシルエットしか見えないので、全弾発射。狙いは付けず、バレットサークルも気にしない。心臓はバクバクしていないので、体のどこかしらには当たるだろう。そして、相手のヒットポイントはもう多くて3割……如何な相手とは言え、計100発の弾丸を体中に受け無事ではすまなかろう。
最後にガガガッと指に引っかかったままの64式7.62mm小銃 H&K HK33が吠えたが、それは僕ではない空間に吸い込まれ、バタンと相手は倒れた。
「…………あぶねーーー!!!」
そう叫び、勝利の余韻に浸る間もなく次のステージに転送される。
今度は待機エリアではなく、即座に第3回戦が行われることだろう。時間をかけすぎた。25分はかかっただろうか。充分長期戦と言える。
眩い光が体を包む────
長くなったな。
フルプロテクターは強い。これはガチで_:( _ ́ω`):_
この度R18ver.を投稿しました!
成人済みの方はぜひ目次からご賞味あれ。
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朝田詩乃とB.o.B予選第3回戦「墓地」
連日投稿3日目……
ちなみに原作B.o.B予選では相手の名前がわかるようになってましたが、今作では終わってみないと分からない仕様になってます。
パチリ
「……ここは……墓地、か」
降り立った地は、まず硬質な石畳。そして英語で名前らしきものが書かれた十字の石が点在している場所。
考えるまでもなく、墓地であった。
所々にはこれから棺を入れます。というような穴ぼこと、何も入っていない棺などが転がっていた。もしかしたら墓荒らしなのかもしれない。
巨大な協会が中央らしき場所にそびえ立ち、その周りをぐるりと囲うように墓石が並べられている。
「こりゃまたどーしたもんかね」
ステージ的には悪くない。所狭しと並んでいる訳ではなく、等間隔に、走って通れるくらいの間はある。優れたAGIを生かし走り回りながら弾道予測線をかわすことも出来そうだ。
しかし、これではもしも相手が中距離のアサルトライフルか遠距離のスナイパーだった場合、接近することが困難になる。
赤く濁った空の下で不気味に照らされる墓石のひとつに腰掛けながら、作戦を立てる。
「……中央の教会に陣取るだろうなぁ。相手が僕みたいなサブマシンガン使いじゃない限り……」
とりあえず中央の教会を取られたら厄介だと判断を下し、教会目掛けて走る。
約100mを3秒で走り切り、教会の前まで来る。
シュウこと柊出雲は、GGOの中でも2つ名を得る程のトッププレイヤーである。そのやり込み度・経験値は凄まじい物がある。一重にシノンと一緒に何かを積極的にやる事が楽しかったのと、殆ど覚えていない前世でのガンマニア癖が加重して、所謂「プロプレイヤー」になっていた。
その中でも「超AGI特化型」のスキル構成をしているシュウは、振れるステータスは殆どAGIに振り、最早その速度はGGOトップと言える。比較的軽いサブマシンガンと、予備マガジン、グレネード、小型ナイフ、後は殆ど重量を持たないポンチョ等の布製品ぐらいしかストレージに入れておらず、大事なものは《結婚》で得た容量無制限の共有ストレージに入れている。1度
防御力という点ではプレートアーマーぐらいしか付けておらず、その他はもう殆どか布。まるで
「銃弾より早く走れば当たらないんじゃね?」なんてバカげた思想を現実にするレベルの速さだ。
「さてと敵は……居ないな」
巨大な教会の中は実にアメリカ式で、巨大な一部屋になっていた。ガワは立派だが中身は椅子と十字架、神父台くらいしかない。
素早く神父台まで上り、その後ろに隠れる。
すると、外よりカッカッカッという石畳を蹴る音が聞こえてくる。どうやら同じ考えに至ったようだ。GGO随一のAGIを持つシュウには適わなかったようで、1歩出遅れて教会へ到着。
豪快に扉を開ける。そこにシュウが居るとも知らずに。
「(このまま来るか……?)」
絨毯が足音を吸収し、相手のブーツの音は殆ど聞こえない。今どこまで近づいているのか。獲物はなんなのか。敵は誰なのか……
そんなことを考えていたら、神父台が破壊され、襟首を拳で捕まれ引きずり出された。
「ヴェっ!なんだァ!?」
兎に角敵を倒そうと銃を構えるも、蹴り上げられスリングごと吹き飛ばされる。そこで初めて相手の顔を見る。
「お前……サトライザーか!」
GGOにして異質の徒手格闘最強の男。第1回B.o.B優勝者。プロ中のプロ。彼の呼び名は多い。
その中でもやはり異質なのが徒手格闘による超近接戦闘スタイル。第1回B.o.Bをナイフとハンドガンだけで優勝した功績から見ても、油断も隙もない相手。
そんなサトライザーは筋力中心のバランス型。AGIにも多少振っているが、それよりも筋力や体力に多く振っている。
「シュウか……予選で相見えるとはな。」
「こちらこそだ。戦いたくない相手NO.1だぜお前は」
先程「弾丸より早ければ〜」と語ったが、弾丸を(基本)使用しない相手となれば話は別だ。もちろんシュウにも徒手格闘スキルはプレイヤースキルとして持っているが、サトライザーのそれはまさに規格外。正面切っての戦いは殆ど勝てないと思った方がいい。
「お前とは本戦で戦いたかったが……残念だ。ここで散れ。シュウ」
「やなこった。僕には勝たなきゃ行けない理由があるもんでね」
「理由?」
「あぁ」
精一杯の作り笑いで、相手を挑発するように、
「僕が勝たなきゃ、僕の女神に怒られる」
「フッ……シノンか。懐かしいな」
先程から知り合いのように話しているが、実の所……結構ズブズブの友達である。めっちゃ仲良しである。サトライザーのフレンド枠は寂しいが、シュウとシノンだけは入っている。
何を隠そうシュウとシノンに徒手格闘術を教えたのはサトライザーなのである。プレイヤースキルと言えるまで教え込み、サトライザーの全てを叩き込んだ、シュウから言わせれば師匠的ポジションに当たる。
そんな相手とこれから拳を交えなければ行けない。サブアームに拳銃なんて付けてないし、メインアームのP-90(P)は吹き飛ばされ椅子と椅子の間に落ちている。拾いに行こうものなら腹を蹴り挙げられそこからの連撃であっという間にヒットポイント全損だろう。体力にステ振りをしていないシュウなら尚更早く倒される。
GGOにおいて体術はあまり期待できるものでは無い、という前提を真正面から文字通り力と実績でねじ伏せたのがこのサトライザーである。彼を慕い、GGOで徒手格闘に目覚める輩も少なくない。
「さぁ来い。お前の実力を見せてみろ」
黒のスーツに緑のギリージャケットという……はっきり言って異質な格好をしたサトライザーが言う。
「俺の実力ね……確かにあれから結構経つもんなぁ……見たけりゃ……お前から来い!」
バッ!と身を翻し、扉に向けて残像が見えるほどの速さで走り抜けるシュウ。
「おまっ……!逃げるのか!卑怯者ォ!」
「なんとでも言いやがれ!お前と正面切って戦うなんざごめんなんだよォー!」
1秒足らずで教会をとび出たシュウを追うように、ギリージャケットをはぎ取ったサトライザーが追う。
サトライザーが外に出た時、そこにはびゅうびゅうという強めの風が頬を撫でるだけで、シュウの姿は見当たらない。
「クソッ。何処へ行きやがったあの速度バカは……」
大きめのサバイバルナイフだけ足から引き抜き、構えながら墓地を見渡しながら教会回りを歩く。サトライザーのコツコツという足音だけが響く。このステージは教会を中心に円を書くように墓石が設置されており、隠れる場所も多くない。見つけるまでそう時間はかからないだろう……そう思っていると、唐突に感じる右頬へのダメージ。しかもそのまま教会の樹壁にぶつかり、双方でダメージを食らう。が、1割も削れていない。
「がっ……なんっ」
一瞬視界が途切れ、殴られた右の方向に振り向いた時には、もう居ない。
「奴め……塵も積もれば山となる。か」
今回シュウが取った作戦は簡単。神速で近付き、殴り、神速で逃げる。至極単純なヒットエンドラン戦法である。速度にものを言わせ、サトライザーの射程内に入ってから出るまでを0.5秒以内にこなす。
「待たせてくれたなと思ったらこれか……随分と舐め腐った真似をしてくれる……!」
サトライザーはその端正な顔を歪ませ、ナイフを握りしめる。相手がヒットエンドランをするならこちらもするまで。視認したら即ナイフを振るい、ダメージを与える。筋力もろくに鍛えていない男のパンチと筋力バランス型のナイフではダメージに明確な差が出る。10発に一刺しでもお釣りが来るくらいだ。
「ぐっ」
墓地の方に歩き始めたサトライザーを再度パンチが襲う。いくら弱いとはいえ拳1つ分の質量をぶつけられるのだから、それなりに体が引きはする。この隙に視界の外へと走って逃げる。
「がっ」
再度、今度は右の腹へ蹴りが叩き込まれる。少しくの字になったサトライザーは今度こそと思ったが、もう居ない。まさに神速。目には目を。歯には歯を。規格外には規格外をと言わんばかりにその神速っぷりを遺憾無く発揮するシュウ。
しかし、未だヒットポイントは1割も削れていない。精々が4%程度だ。
「いつまで遊ぶッッッッッッッッッッつもりだ!」
そんなやり取りを何度か繰り返し、10分以上総勢60発以上(分に直せば10秒に1発)食らったところで、サトライザーの眼がシュウを捉える。
「ぬおっ!?」
等々サトライザーのナイフがシュウの脇腹を抉り、ヒットポイントを2割削る。サトライザーの残りヒットポイントは7割ほど。いくら軟弱な拳や蹴りとは言え、60発以上も喰らえばそれだけ削れる。いや、それしか削れていないと言える。
腹にナイフを食らったシュウは少しよろめき、体制を崩した。そこを見逃すサトライザーではない。即座に得意な徒手格闘に持ち込む為、腕を掴む。
「クソッ!離せや!」
「いい加減うんざりだ!予選でここまで時間を使っている暇はない!」
心底イラついているという様子のサトライザー。もちろんだ。前も言ったが与えるダメージ量に関係なく痛みは等しく訪れる。じーんとした強めの指圧程度の痛みだが、それを60回以上も繰り返されればイラつかない方がおかしい。
「捕まえたぞシュウ!もう離さん!」
グイッと掴んだ手首を引き寄せ、体に密着するんじゃないかという程の距離で渾身の膝蹴りを腹に叩き込む。
「ぐぇっ」
シュウのヒットポイントが8%ほど削れる。
「もうっ!逃がさんぞ!この手離してなるものか!」
左手に握ったナイフで心臓を突刺す。しかしそれは寸でのところで躱され、左肩に突き刺さる。シュウのヒットポイントが1割削れる。しかし、肩の力を抜かないようにグッとこらえる。
「いってぇなぁもう!」
悪態をつきながらも、身動き出来ないシュウは精々がナイフで急所を刺されないようにするのが精一杯だ。
反撃とばかりに握り拳で腹を殴るが、1mmたりとも動じない。さすがの体幹である。
「もう逃がさないと言っているだろう!」
まだ反抗するか!と激高するサトライザー。
「いーや!逃げるね!じゃなきゃ死ぬから!心中はシノンちゃんとじゃなきゃやーだ!」
は?と思ったサトライザーだが、もう遅い。シュウはマガジンポーチの後ろに隠すように付けられていたカランビットナイフですかさず自分の肘から先を切り落とし、虫か!?と思う程のカサカサ後ろ走りでその場を去る。
「貴様ナイフを持っていたのか!?なんのつも(ry」
瞬間、サトライザーを中心に半径2mの爆発の奔流が襲う。見えない程バラバラのポリゴン片になったサトライザーは、状況を呑み込めぬまま、B.o.B予選から弾き出された。
トリックは簡単だ。右手首を捕まえられた瞬間に、シュウは既に行動に出ていた。見えない左手で背中にあるウェストポーチからプラズマ・グレネードを取り出し、握り続けていたのだ。左肩を刺された時に痛みで落としそうになったがグッと堪え、反撃と見せかけた腹へのパンチでスーツの中にスイッチを作動させたプラズマ・グレネードを入れた。
そして、今まで殴る蹴るしかせず、「コイツは近接戦闘の手段が生身しかない」と相手に無意識下のうちに思わせ、隠し持っていたカランビットナイフで手ごと脱出。
見事プラズマ・グレネードを忍ばせながら戦線離脱に成功したシュウは、そこで勝ちを確信していた。
サトライザーは油断ならない男だ。だからこそ、10分もの時間をかけ無意識下に体術しかないと刷り込ませる必要があったし、とっておきのグレネードも最後まで隠し持っていた。P-90(P)を弾き飛ばされた段階でここまで考え、あえて「腰抜け」を演じ切ったシュウの勝ちと言える。
「はぁ……短いけど……疲れる戦いだったな……」
10分間走り続けた精神的疲労がドッと押し寄せ、その場に座り込む。ヒットポイントは残り5割を指していた。
転送の光がシュウを飲み込む。
「遅かったわね。連戦お疲れ様……んっ」
帰るなり女神のキスで精神的疲労がぶっ飛んだシュウであった。
「んっ……ただいま。」
スルりとシュウの腕に絡み付き、恋人繋ぎをしてから話し始める。
「にしても、あのサトライザー相手に近接戦で勝つとはね。Fブロックに入ってたのは知ってたけど、まさかP-90(P)なしで勝つとは思わなかったわ」
「まっ、俺の器用さ(プレイヤースキル)がなし得た技だな」
「ふふ。そうね」
大人な対応でシュウをあしらい、アイスコーヒーを飲む。
「そういうシノンちゃんはどうなのさ」
「ん〜?なんか……ごっつい、両足に拳銃付けて、ショットガン背負って、ドラムマガジンのアサルトライフル?を持ったポニーテールの人が相手だったけど、狙撃で1発。おわり」
「うひー。本戦が怖いな」
「楽しみにしてなさい」
そんな他愛ない会話とイチャイチャをし、周りの本戦出場候補が血涙を流しながらその光景を見つめる。
この時、待機エリアにいる全ての本戦出場候補(キリトと死銃は居ない)はこう思った。
リア充、滅べ……と
原作との違い
オリ主超強化によりシノンちゃんも超強化
その気になればバレットサークルなし射撃も出来るくらい。
出雲と二人きりの時や切羽詰った時にしか使わないが。
サトライザーの第3回B.o.B参戦(予選敗退)
出場させるか悩みましたが、やっぱGGOといやサトライザーやろ!ってことで。
サトライザー好きだけど扱いムズいから本戦じゃなくてここで消費しました。
強いのに。かわいそ(他人事)
強いからこそ扱いがムズいんだよなぁ。口調とかさ。サイコパスの口調って何?
倒し方はバイオハザード・ザ・ファイナルのラストを思い浮かべて下さるとわかりやすいです。
両足に拳銃……
背中にショットガン……
ドラムマガジンのアサルトライフル(?)……
鳥……うっ頭が……
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朝田詩乃とB.o.B予選第4回戦「砂漠」
パチリ
砂!砂!砂!見渡す限りの砂の海!
砂漠。或いは規模的に言えば砂丘だろうか。兎に角、見晴らしのいいステージだった。
《遠視》スキルを持っていないシュウでは……いや、あるいは持っていたとしても、地平線の彼方まで見えなかった。暑い熱帯夜のような薄茶の明かりが照らす砂漠は、それだけで幻想的に見えた。
B.o.B予選では500m離れてお互いスポーンする。ということを先程シノンに教えて貰った。今までB.o.Bに興味はあれど出場経験のなかったシュウはルールブックを流し読みするタイプだったので、そこを見逃していた。
ぐるりと見回すが、砂しか見えない。所々丘になってたり岩があったりして、平坦とは言えないステージである。
目の前の丘を昇り、周囲を見渡せる位置に行く。
「…………ん?」
第2回戦の刑務所とは打って変わり、今度はすぐに敵を発見した。500m間隔とはいえ、見晴らしのいい砂漠だ。ちらりとだが、砂漠によく似合う茶色のポンチョを被った人影が岩陰に隠れる所を発見した。本当に差異ないカモフラージュだったが、運悪く素早く動いているのを見られてしまったらしい。
その岩陰から、ちらりと銃の銃口と頭らしき物が除く。最も、ポンチョのせいで頭は殆どカモフラージュされ見えないも同然だったが。
「お互い見つけたな」
相手の銃口からマズルフラッシュが光る。ほぼ反射的に身体を全傾にし、敵に向かって走り出す。いくら100m3秒で走るシュウでも、砂漠に足を取られては全速力を出せない。砂漠に足を取られながらも、頭の上を
「(シノンちゃんと同じスナイパー……しかも、弾道予測線なし射撃が出来る凄腕)」
GGOは、良くも悪くもシステムアシストが強い。こと発砲においてはそれが顕著に現れる。
先ず基本的なスナイパーは、敵を見つけ、引き金に指をかけ
しかし、何事にも例外は居る。
例えば、現実でもスナイパーを生業にしている者。猟師、軍隊、自衛隊などのスナイパーは、システムアシストなしに、つまり、敵に弾道予測線を見せずに射撃する事が可能だ。
仕組みは簡単。ただ狙い、撃てばいい。引き金に指をかけてからバレット・サークルが発生するまで0.5秒程猶予がある。その0.5秒の間に……つまり、撃つ直前まで引き金に指をかけず、撃つ直前で0.5秒以内に引き金を引けば、こちらのシステムアシストが発生しないというデメリットの代わりに、相手に弾道予測線を見せないというメリットを生ませる事が出来る。
もちろんコリオリ力や風力も計算しなくては行けないし、並大抵の努力ではこの技は使えない。日本ならば一流の猟師、自衛隊の空挺部隊。海外ではスナイパーを本業とし戦争に身を投じている真の「戦士」のみしか出来ない技だ。
だが。この相手スナイパーはそれをやってのけた。シュウが先に発見できておらず、AGI特化型ではなく、発砲音が届くより前に目でマズルフラッシュを見て身体が動き出すプロプレイヤーでなくては、今頃先程の丘の上で頭を撃ち抜かれ、運が悪ければ脳漿ダメージ判定で1発即死も有り得た。全ての要素が上手く絡み合ったからこそ出来た芸当であり、流石B.o.B第4回戦に進んでくるスナイパーなだけはある。とシュウは感じた。
しかし、このスナイパー。運が悪い。先に発見されたのはまだいい。スナイパー最大の利点、発見されていない初弾は弾道予測線が発生しないというメリットを常に持っているような腕前だからだ。運が悪いというのは、この広大な砂漠と、そのプレイスタイル(スナイパー)、そして相手がシュウという、環境が敵にとって劣悪極まりないからだ。
シュウは砂の上をかける。普通の地面なら100m3秒の所を5秒程で駆け抜ける。右に、左に、また左に、次は真っ直ぐ、そして右にと、規則性のないジグザグ走行で、相手スナイパーに的を絞らせない。現に、何発か弾道予測線なしの射撃が襲ってきているが、未だに1発も当たっていない。
5秒経過
500m間隔でスポーンする関係上、スナイパーまでは約500mあると考えていい。ジグザグ走行に加え、足場の悪い砂場で、まだ100mも詰めれていないだろう。後430mと言った所か。砂粒のようなマズルフラッシュを見ながら、走る。
10秒経過
敵もシュウの意図を察したのか、もう体を隠そうともせず、岩場にバイポッドを立て正確に狙おうとしている。
シュウの意図は簡単だ。近付いて、殺す。P-90(P)の射程は凡そ500m程。しかもこれは、「システム上ダメージ判定が生まれる距離」であり、500mの地点から撃った弾は相手のヒットポイントの1%も削れないだろう。
ところで、P-90とP-90(P)の性能には大分違いがある。リフレッシュレートや弾薬などは改造しない限り同じだが、長さや射程距離、耐久力が違う。本来ならプロトタイプであるP-90(P)の方が劣っている筈だが、ことGGOに関しては違う。
P-90は主街区裏路地のプレイヤーショップや穴場ショップなどを何件かハシゴすれば見つけられる少しレアな銃程度だが、P-90(P)は凶悪なモンスタートラップ(しかも雑魚延々湧きという弾薬問題のあるGGOにしては中々鬼畜なトラップ)からのドロップ品であり、日本サーバーはおろか海外本家のサーバーでも発見例のない、まさに「GGO唯一のサブマシンガン」と言える。
そんなP-90(P)のP-90にない利点は、「弾倉の違い」「重さ」「制御のしやすさ」「射程距離がアサルトライフル並」「カスタム性が高い」そして、「耐久力値が桁違い」の6つがある。特に耐久力については、運営の「レアドロ品なんだから耐久力めっちゃ高く設定してあげよかな」という思惑があるんじゃないかってくらい高い。例えるなら、7.62mm弾を当てられようがその全てを跳ね返す。ぐらい強い。もちろんシステム上壊れはするが、プラズマ・グレネードの中心にあっても壊れないし、7.62mm弾100発ぶち込まれようが「全損」はしない。精々少しひしゃげる程度で、修理屋に持ち込めばすぐ直る。
普通の銃の銃口は、細く、長くなっていて、銃身はプラスチックになっていたりするが、このP-90(P)は違う。全身鋼鉄・そして、実際のP-90(P)よりも大きめに作られた銃身により、盾にもなる。普通のP-90は弾倉に透けるスケアリング加工されたプラスチック弾倉を用いるが、P-90(P)の弾倉は透けない鋼鉄仕様。P-90(P)所有者のみが買える専用の鋼鉄弾倉を使用しているのだ。もちろん、スケアリング加工された普通のP-90用弾倉を使おうとすれば使えなくはない。逆も然り。
ので、いざと言う時盾に使える。まぁ、いくら実銃よりシステム的な面で(後ザスカー(GGOの運営会社)の意向で)大きめに作られたとはいえ、サブマシンガンの域を出ない程に小さいので、胴体全体を守れたりはしないが。
20秒経過
段々とスナイパーの焦りが見えてくるようで、射撃のスピードが早くなる。もう残すところ200m程。敵の使ってる銃が見えるくらいには近付いた。
「(R93タクティカル2……しっぶい銃使ってんなぁ。リアル猟師か?)」
R93タクティカル2。ボルトアクション式単発銃。ドイツ製の高性能狙撃ライフルだ。
そんなことを考えていると、意識が逸れたのか頬にダメージエフェクトと鈍痛が発生する。ラッキーショットか、狙ったか。恐らく両方だろうが、ヒットポイントが4割削れる。流石に残り200mの距離で掠めたとはいえ頭部への.308Win弾の発生ダメージは並では無いこれ以上近付いて所謂「凸砂」のような事をされれば、ヒットポイント全損も有りうる。いよいよ油断ならなくなってきた。
30秒経過
もう残すところ50m程であり、こちらも牽制射撃を始める。相手の隠れる岩場を5.56×28mm弾が抉り、敵の体にも数発当たるが、気にせず射撃を続けている。
R93タクティカル2の弾倉は5発。そろそろリロードタイムかと思い、こちらも20発近く残っていた弾倉を惜しまず交換し、一直線に駆け抜ける。とうとう岩場まで達し、岩場を足蹴にして大ジャンプ。
AGI極振り特化型の走りジャンプの飛距離は凄まじく、優に8mは飛んだ。そのまま真下に眼と銃口を向けて、発砲。
敵もR93タクティカル2を真上に構え必殺を狙っているが、あえなく外れ。コッキングなぞ許さず、全身を真上からの銃弾が襲い、ダメージエフェクトが散る。
思わずぼとりとR93タクティカル2を落とす敵プレイヤー。ここで初めて気付いたが、どうやら緑髪の女性のようだ。GGOのトッププレイヤーにしては珍しい。
「(運が悪かったな。こちとら世界一のスナイパーが身近に居るもんでね)」
敵の体が倒れ、勝利のファンファーレが鳴る。
着地と同時に、転送が始まる。
今回は1分とかからずバトルを終わらせることが出来た。ゆっくり出来そうだなー……なんて考えながら、待機エリアへと戻る。
「やあシュウ。凄かったね。狂人の名はダテじゃない」
「やめてくれシュピーゲル……その名前は好きじゃないんだ」
どうせならAGI極振り特化型なのだから、「神速」とか、もっと速さに注目した2つ名にして欲しかった。等と零しながら、アイスティーを注文する。
「シノンちゃんは?」
「あそこ」
シュピーゲルが指を指したモニターには、水色の髪の毛をしたスナイパーがアサルトライフル(見た所フェドロフM1916)に押されている場面が見える。
「どー勝つんだろーなー」
「アハハ。勝つこと前提?」
「そりゃ彼女だし。応援するっしょ」
「……そうだね」
少し間を置いて答えたのが気になるが、それより試合だ。いよいよ隠れていたバスの上に取り掛かられるか。といった所で、シノンがへカートⅡはそのまま身を翻す。
「おっ?」
未だへカートⅡの銃身が見えるからそこにいると勘違いしている敵プレイヤーはバスの正面からバッと登り、先程までシノンが居た場所を蜂の巣にする。しかし、へカートⅡに弾薬がバチバチと当たるだけで、ダメージエフェクトは発生しない。
そこで、バス後部にスナイパーの時と同じように腹ばいになって「MP7」を構えるシノンを見つける。が、遅い。シノンのMP7が火を吹き、敵プレイヤーの顔面を躊躇なく抉る。
「彼、シノンを見つけたまでは良かったんだけど、詰めが甘かったみたいだね」
「まーーシノンちゃんを見つけられた時点で妥協点は上げたいな。」
「そうだね」
「危なかったわ……」
「おっかえり〜見てたよ〜バス上の攻防」
そう言うと、少し口をへの字にしながら、シノンが答える。
「見られてたのね……早く終わった方だと思ったのに。スナイパーとして見つかるなんて失態だわ。恥ずかしい」
「まぁまぁ。相手が強かったってことで」
シノンが戦っていたのは大きな、とても大きな十字路である。ほとんど直線で1kmの十字路で、シノンはその南側にスポーンした。
即目の前のバスの上に登り、バイポッドを立て敵を待つ。
十字路ならば必ず前を通り過ぎなければいけないし、第1回戦でも同じようなステージだった。有利とも不利とも言えない地形である。
そうして待っていると、十字路の奥に人影を見つける。どうやら直線上にスポーンしたようだ。これは楽勝だなと思い初弾弾道予測線なしの利点を生かし、ゆっくり狙って射撃。しかし、弾丸は躱された。
どうやら《遠視》スキル持ちらしい。スコープや双眼鏡、単眼鏡なしでもシノンの姿を先にとらえ、走ってきていた。
シノンは即座に弾道予測線なしの射撃に切り替え、狙い、撃つ。しかし、土嚢や転がった車、鉄板などに身を隠しながら進んでくる。どうやら
無駄弾を使用しないようゆっくり狙うが、どうにも掴めない。流石はB.o.B第4回戦と言った所か。
そうしてやがて1kmもの距離を詰められたシノンは、最後へカートⅡを身代わりにするようにMP7で仕留めたのである。無駄弾を使わないよう最低限の射撃しかし無かったことで、最後詰められた時射撃しなくても不思議に思われなかったのだろう。強いが、どうにも最後の詰めの甘さが招いた敗北だった。
「ん〜課題点は多いわね……こんなんじゃ、本戦でシュウを捉えきれないわ。あの程度の速さには慣れなきゃ……」
「闇風くんを凌ぐGGO一の僕のランガン(ラン&ガン。走りながら撃つプレイスタイルのこと)に補足されちゃーおしまいよ。さっきの僕の勇士を見せてあげたかったなぁ」
「スナイパーだったの?……どうせ、AGI任せの突撃でやったんでしょ」
「いやそれがさぁ。弾道予測線なしで撃ってくるの。キリトくんの出場と言い、死銃?とやらといい、今回のB.o.B、中々レベル高くない?何故かアメリカのサトライザーまで来たんだよ?」
「それはまぁ、確かにそうね……というか、貴方の運が悪いのね」
「2人とも強いよ。僕なんか足元にも及ばないくらいね」
「まぁねー」
「謙遜するとこよ、貴方。」
そんなこんなしていると、キリトも第4回戦を終えて現れる。どうやら動悸は完全に納まったらしい。
「よっキリトくん。どうだった?」
「普通かな……今までと同じ、切って、切って、斬った。」
「うひょーこわー」
どうやら今回は3人ともまだ余裕があるらしい。そんなことを考えながらシュピーゲルは3人を見つめる。
「(…………兄さん……どうか、早く……早く、やらせてくれ)」
そんなシュピーゲルの思いは、口にも出さず、誰にも届かなかった。その双眼が貫くのは、シュウ。
そして……死銃と同じ眼をしていた。
原作との違い
とある緑髪のスナイパーちゃん、覚醒済み
今回は色々な説明回でしたね。
頭に叩き込んでおくように!
また、基本設定はSAO5.6巻ガンゲイル・オンラインーファントム・バレットーとSAOオルタナティブ ガンゲイル・オンライン スクワッド・ジャムの設定を元にしてますが、ちょいと違いがあります。
原作勢から総ツッコミを食らうような違いはありませんが、それでも「ん?そうだっけ?」って点には目を瞑って頂けると幸いです。
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朝田詩乃とB.o.B予選第5回戦「原子力発電所」
さぁB.o.B予選も佳境になってまいりましたよォ!
残す所今回とVSキリトくん戦のみです!
早くVSキリトくん書きてぇなぁ……
本戦も……
ヤンデレも……
30時間くらい寝てない体で書いてるんで、誤字脱字多かったらすみません。誤字脱字報告いつも助かってます……ホント。
文章ガッタガタでも許してね。もうネタ切れなんだァ……僕ゥ……
パチリ
いつも通りシノンちゃんとイチャイチャしてたら、僕が先にフィールドに飛ばされてしまった。
まぁいい。イチャイチャなんぞいつでも出来る!と早々に切り替え、辺りを見回す。瓦礫や、横転した車。湿っぽいアスファルト。そして正方形の上に、更に小さい正方形の塊が乗った建物が3つある。そのすべてが内部から爆発した跡が残っている。所々に煙突も見える。
兎に角、これだけじゃ何も分からない。
とりあえず近くの遮蔽物に隠れ、P-90(P)のセーフティが外れてるのを指で確認しながら、どういったステージなのかを考える。幸いと言うべきか、ステージの端っこにスポーンしたようで、金網の入口らしきものがすぐ近くに見える。それを背にしながら、敵に見つからないよう隠れる。
…………よ〜〜く耳を済ませてみると、チリチリ……チリチリ……という音が、どこからかする。どこからするのかは分からない。だがかすかに、電子音のような音がする。
どのようなステージなのか全く見当もつかない。ので、とりあえず移動する。建物の入口らしき扉(ひしゃげているが)をみつけ、強引にこじ開け中に入る。
中はまっくらで、仕方なく右手だけでP-90(P)を構えながら、左手でウェストポーチから小さなペンライトを取り出し、中を照らす。
左手でペンライトを持ち、前を照らしながら、左手の上にP-90(P)を乗せてできるだけ負担を軽減する。
中を進んでいくと、なにやら巨大な電池のような物や、重厚なハンドル操作(Danger zoneと書かれている)の扉や、精密機器らしきもの等、様々な物が設置されていた。そのいずれも稼働しているようには見えない。
異変に気付いたのは、探索して5分程経った時だ。
「……ん?え?あぁ!?」
最初はバグだと思った。しかし、よ〜〜く凝らして見ると、なんと自身のヒットポイントがじわりじわりと削れているではないか。既にヒットポイントは残す所8割と言った所で、このまま悠長に探索なんて続けてたら、25分程でこの謎のダメージで死んでしまう。最も、どこかに居る敵さんも同じだろうが。
厄介なステージギミックを持ってきたなとザスカーに心の中で舌打ちをし、もしここが「刑務所」レベルに広かったら、運悪くこの謎ダメージで双方相打ち……なんてことも有り得るな。と少し焦る。
ぐねぐねとした廊下を走る。《
すると、遠くから同じような……いや、自身よりも重いガシャンガシャンという音が聞こえた。反響していて上手く分からないが、とりあえずペンライトを消して直し、P-90(P)を両手で構える。
やがてその音は近くなり、目の前に出る!という所まで来た!
……が、居ない。
「……?」
クエスチョンマークが浮かぶ。いくら反響するとはいえ、目の前に出るくらい近い足音だったと思うんだが……と、ふとひとつの可能性を思い浮かべ、バッ!と上を向く。瞬間、伸びる弾道予測線。
慌ててバックステップで躱す。そう、1つ階層違いの場所に居たのだ。
こんなにも早く接敵出来たと喜ぶべきか、先手を取られたと悔しがるべきか。そんなことを考える暇なく、撃ち返す。しかし角度の問題で、鉄柵のような足場に弾は吸われる。そのうちにまた敵は真上に移動しようとするが、急いで牽制射撃をしながら曲がり角まで逃げだし、走る。後ろでブーツが2階から1階に飛び降りた時のゴツンっという音が鳴るのを聞きながら。
「(銃声からしてサブマシンガン……MP5かな)」
そう冷静な分析をしながら、部屋をみつけ転がり込む。
同じような建物が3棟並び、10分以内に会えたのは僥倖だった。既にステージギミックで7割まで減ったヒットポイントを眺めながら、手頃な机の陰に隠れる。
そこは制御室のような場所で、大小様々なスイッチやボタン、0を指し示すメーター等がある。その真ん中に鎮座する円卓上の机の中に隠れるように入り込み、扉に銃口を向け凝視する。所謂「ガン待ち」である。この男、とうとうガン待ちをし始めた。いや、ルール的には問題ない。問題ないのだが、ちょっと昔のゲームではやられたら台パン不可避の「シューティングゲームでやられたらめっちゃイラつくよね」ランキング堂々の3位には入るガン待ちである。
やがて敵プレイヤーが開けっぱの扉の前を通過する瞬間、合わせるように連射。黒のブーツにダメージジーンズ、そしてなんと上は上裸で、髪型はモヒカンという実にファンキーでパンクな格好した男の腕に、1.2発のダメージエフェクトが発生する。
「痛てぇ!」
着弾確認して、思わずグッ!とガッツポーズしたくなるシュウ。これでとりあえず双方謎ダメージでの相打ちの可能性はなくなった。
「ガン待ちかよ!卑怯なヤローだぜ!」
「なんとでも言いやがれ!」
「バッドマナーだぜ!?」
「何処のマナーだ!これはB.o.Bだぞパンク野郎!」
そんな軽口を叩きながら、お互い決定打がないまま少しづつダメージを食らっていく。
後はもうこの謎のダメージで相手がヒットポイント全損するのを待つのもよし、突貫してくるなら蜂の巣にすればよし。第4回戦で多大な精神的疲労を負ったシュウは、もう勝ち以外見てなかった。
「こちとら疲れとんじゃー!この後めちゃんこ強いプレイヤーと戦わなくちゃいけねーんだよ!」
「知るかボケー!俺が勝って決勝戦進んでやるぜ!戦わなくて済むなぁ良かったなぁ!?」
そんな声と共に、部屋の中に何かが投げ込まれる。
すわプラズマグレネードか!?と身を縮こませたら、強烈なフラッシュと耳鳴りが襲う。
どうやら
その隙に部屋に突入したパンク野郎は机を飛び越え、シュウに馬乗りになる。
方や上裸、方やアーマープレートの異質な組み合わせ。
シュウは視界が回復するよりも先に、馬乗りになられた感覚で右手を何とか抜き出し、前方にあるであろうMP5の銃身を掴み、思いっきり左肩の方に引く。
「うおっ!?」
スリングをかけていたもんで、思わず前に倒れ込むパンク野郎。それに合わせて、シュウは、思いっきり頭突きをかました。
「がっ……!」
お互いの額にダメージエフェクトがキラキラと光る。少しづつ視界が回復してきたシュウは、今度は左手でパンク野郎のモヒカンを掴み、再度頭突き。
「い゛て゛ぇ゛っ!」
ずーんとした強めの指圧程の痛みが、2度、3度と頭を襲う。ダメージはお互い均等。銃撃分パンク野郎のヒットポイントは削れているので、このまま行けばシュウの勝ちになるが……
「んの野郎!」
見た目はアレだが、流石はB.o.B予選第5回戦まで進むだけはある。頭突きに合わせて馬乗り状態を解除し、前転する。しかしシュウはMP5を握る手を離さない。敵が前転し、スリングが上手く外れたのを感じて、視界がぼや〜っとだが回復したシュウは、掴んだMP5の銃身から手を離さず、即座にごろりと反転し、仰向けからうつ伏せになる。バッチリお互いの目が合う。
パンク野郎のMP5を強奪し、やたらめったら撃ちまくろうとする。兎に角この距離ならば、謎ダメージとさっきの銃ダメージで数発当てればヒットポイント全損まで行けるだろうとの思惑だ。
だがパンク野郎も甘くない。お互いの目が合い、シュウがMP5のトリガーに手をかけるのと、パンク野郎が肩からベレッタ1915を抜き、シュウの額に合わせトリガーに手をかけるのは、ほぼ同時だった。
うつ伏せのシュウ。仰向けのパンク野郎。
「「くたばりし腐れこのやろォォォ!!!!」」
ほぼ同時に叫び、発射。
軍配が上がったのは……シュウだった。
単発式のハンドガンベレッタ1915に比べ、フルオートに設定されていたMP5は1秒で何発もの銃弾を吐きだす。パンク野郎は痛みに2発目を発射できず、あえなく撃沈。シュウも額に1発食らったが、残りヒットポイント2割残った。
これがG18等のフルオートハンドガンだったら、パンク野郎の勝ちもあったのかもしれない。
「はぁ……はぁ……」
あっけない終わりだった。
まだサトライザーの方が手応えがあったというもの。しかしまぁ、それは運。仕方ない事だ。
「……あっ。このチリチリって音……どっかで聞いたと思ったら……昔テレビで聞いた放射線物質の音……か」
B.o.B予選第5回戦を制した男の初セリフがこれである。まぁ事実なのだが。今更というものである。やっとこさ記憶の掘り出しに成功したようだ。
ステージは「原子力発電所」。しかも、そのうち全ての原子炉が壊れ、放射能ダダ漏れの廃発電所であった。もちろん現実にこんな場所はない。もしも原子力発電所が完全に爆発し壊れるような事があったら、周囲数十kmはおろか、日本の国土の半分は放射能に汚染されるだろう。
そんなことをボーッと考えていたら、転送が始まる。
パチリ
B.o.B予選Fブロック決勝戦。スタート。
サブヒロインアンケートの猶予はB.o.B本戦終了までです。
つまり、いつになるかわからない!
主人公のゲーム内アバターの身長は174cmです。今適当に決めました。可変します。GGOの中では普通くらいの大きさだと思ってください。
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朝田詩乃とB.o.B予選決勝戦「大陸間高速道」
トラウマなしシノンちゃんは悠々とGブロック決勝戦でも勝ってます。描写外で。強い子ね〜
「高架線……」
深い谷を見下ろしながら、そう呟く。
ステージは大陸間高速道。東から西にかけて大きな橋がかけられており、ほぼ一直線のマップだ。1km四方のマップに違いないが、実質一本道のマップ。もし第5回戦がこのステージだったら、あの緑髪の女性スナイパーに脳漿を貫かれやられていたかもしれない。あるいは、第4回戦のシノンちゃんのように、転がる車両や壊れたヘリコプターを盾に一本道を突き進み、楽に勝てたかもしれない。500m離れた所にスポーンするのはルールだから、自信のいる東側より西側に500m以上離れた位置にキリトくんは居ると考えていいだろう。
もちろん、キリトくんが第5回戦で負け、キリトくん以外が勝ち上がってきた可能性も考えるべきなのだろうが、ことキリトくんに至ってはその心配はない。なぜなら
優れたAGIを活かし、車等の障害物をアクロバティックに乗り越えながら西の夕日に向かって駆け出す。
キリトくんは完全近距離型だが、僕は近・中距離型だ。サブマシンガンだが、射程はアサルトライフルに引けを取らないP-90(P)が獲物なのだから。
10秒ほど全速力で走って、遠くにキリトくんらしき人影を見つける。まだはっきりとは見えないが、あの黒髪に華奢な女らしいが男なアバターはキリトくんだ。しかし、その手には何も握られていないように見える。光剣の光が見えないのはまだわかる。光剣やフォトンソードにはエネルギー残量があり、長時間出し続けているとエネルギーパックの交換が必要になるからだ。極力節約する為に、見敵したら出すつもりなのだろう。と、僕は思っていた。
300mの地点から、片膝立ちになって射撃。P-90(P)なら完全に射程圏内だ。キリトくんの体を弾丸が襲う。それに伴う鈍痛も発生しているはずだが、僅かに身動ぎするだけで、光剣を出す素振りもない。というか、こちらを見ようともしていなかった。頭を伏せ、機械的に歩いていたのだ。
「……舐めてんのか……いや。確かこれは……」
もう殆ど覚えていない原作を思い出し、悟る。
キリトくんに戦う意思がない事を。
その事を思い出すと同時に、立って全速力で駆ける。10秒も立たず直線距離を移動し終え、距離は5m。お互い動きだそう思えば1秒で敵を屠れる距離だ。
「どうした。キリトくん」
知っていても、怒りを収めるような声でキリトくんに問いかける。原作を思い出した僕ならばどうした等と声はかけないが、生憎僕はまだキリトくんが《SAO
「……俺の目的は、明日の本戦に出ることだけだ。もうこれ以上戦う理由はない」
予想通りの返答が帰ってくる。
「怖気付いたか?」
「好きに思ってくれて構わない」
「ならば何故自殺しなかった?ファイブセブンで頭を撃ち抜くなり、谷底に落ちるなり、試合放棄する方法はいくらでもあった。リザインするだけでも良かったはずだ。それとも、わざと撃たれてキルカウントを1つ献上しようとでも思ったの?」
「……」
黙り込むキリトくん。知っているからこそ、その葛藤も分かる。もう人を斬りたくない。そう思うのは勝手だし、キリトくんの事情を知っている柊出雲は同情すら感じていた。間違った感傷で、キリトくんは望んじゃいないだろうが。
原作を思い出したがら、ゆっくりと言葉を選び慎重に話しかける。
「たかがVRゲームの、たかが1マッチ。目的は達したから戦わないと思うのは勝手だけど、その事情に僕まで巻き込まないで欲しいな。僕は今まで5人の強者と戦い、勝ってここにいる。君もそれは同じ筈だよ。キリトくん。」
「……」
「良いかい?キリトくん。君が行っている事は、そんな強者達への侮辱だよ。どんな気持ちで今まで相対してきたプレイヤーがこの映像を見ているだろうね。
戦いたくない事情を僕は知らない。だけどね。勝負から逃げるような臆病者だとは思わなかったよ!君は僕みたいな泥臭い「兵士」じゃなく、立派に戦う「戦士」だと思っていた!!誰の誇りも傷付けない立派な戦士だってね!!」
キリトくんの事情を知っている身からすると、少し心が痛くなるな。
今行っているのは、双方の価値観のぶつかり合いだ。今まで戦ってきた強者達への侮辱だと思う僕と、SAO
そう勝手に責め続けると、弱々しい、だがしかし先程とは違って仄かな感情の籠った声が流れる。
「………俺も……。俺もずっと昔、誰かをそうやって責めた気がする………」
「…………なら、僕の気持ちは分かるはずだよ」
「………済まない。俺が間違っていた。たかがゲーム、たかが1勝負、でもだからこそ全力を尽くさなきゃならない……そうでなければ、この世界に生きる意味も資格もない。俺は、それを知っていたはずなのにな……」
そういったキリトくんは、頭を上げ、しっかりと感情の篭った黒い瞳で僕を射抜く。そして、歴戦の戦士であり剣士であるキリトくんは綴った。
「シュウ。俺に償う機会をくれないか。今から、俺と勝負してくれ」
「今から……ね」
ここで原作では、シノンちゃんと10mの距離を置き、弾を弾いて地面に落ちた音を合図に射撃、その弾を見事切り伏せ、シノンちゃんに勝つ……そういう展開だった気がするが、果てさてどうしたものか。
そこで、妙案が浮かぶ。
「それじゃあ、キリトくん。今ヒットポイントはいくつ残ってる?」
「6割くらいだ」
適正距離からの銃弾を数十浴びて4割しか削れてないとは、中々体力の高いこって。そう思いながら、自身のP-90(P)で自身の足を撃つ。丁度6割くらいまで削り、キリトくんに向き直る。少し驚いた顔をしているな。
「これでイーブン。勝負は簡単だよ。100m離れて、僕は全力で君が近付いて来るのを阻止する。君は、全速力で僕を斬りに弾を避けるなり切るなりして来る。どうだい?悪くないだろう?」
「あぁ、分かった。それでいい」
まぁ即席の案としては良い落とし所だな。そう考えながら、東側に歩いていく。
「合図は僕の投げる手榴弾だ。丁度僕とキリトくんの間に落ちるように投げるから、爆発したら勝負開始。」
返答は聞かず、早足に翔る。目測だが100mは離れただろうという位置で、振り返る。夕日をバックにシルエットしか見えないキリトくんは、既に光剣を握り戦闘態勢に入っている。
「投げるよ〜!」
そう叫びながら、ウェストポーチから破片手榴弾を取り出す。ピンを抜き、投げる。狙った通り中間地点に落ち、コロン転がる。投げたすぐあとに僕は片膝立ちに切り替えP-90(P)を構える。同時に、キリトくんの持つ光剣から光が伸び、1m程の光る刃が登場する。
はっきり言って、勝てるか分からない。キリトくんの戦う姿は1度しか見てないし、相手はアサルトライフルだった。僕のP-90(P)とは初速も弾速も弾数も違う。全てを斬り捨てる事は不可能だろうが、それでも100mの距離を詰め切るまでに6割のヒットポイントを削りきれるだろうか。
冷や汗を背中にかくのを感じながら、銃身を握る左手に力が篭もる。そうして数秒後、ドカン!という音と共に、破片手榴弾が爆発。ほぼ同時に射撃を開始する。
予想通り、猪突猛進するキリトくん。引き金に指をかけ50発もの弾丸をばら撒くが、頭や胴体に当たる弾は光剣により切り伏せられてしまう。しかし、腕や足には命中弾があり、確実にヒットポイントを削っているはずだ。
クンッと横にズレるキリトくん。合わせて銃口もそちらに向ける。100mの間に遮蔽物は無いので隠れること出来ないが、少しは弾を回避することが出来るだろう。2年のSAOで培ったステータスには圧巻される。しかし、8ヶ月とVR歴は圧倒的に負けている僕だが、「戦い」における経験値は負けてないつもりだ。
感覚で弾が残り10発を下回っただろうと言うタイミングでリロード。もうキリトくんとの距離は10mもない。僕は外した鋼鉄使用のマガジンをキリトくんに向かって投擲する。キリトくんはそれを切ろうとするが、伊達にP-90(P)のマガジンやってない。いかな光剣といえど真っ二つにすることは出来ず、キリトくんの顔面にマガジンが直撃する。目を瞑り、少し仰け反るキリトくん。その間に新しいマガジンを取り出し収め、初弾を薬室に送り込みリロードを完了させるが、その間にキリトくんは回復し光剣を突きのように刺しこんできた。
僕はそれをP-90(P)の腹で受けながら、回避する。流石はP-90(P)の耐久力だ。鉄さえ両断する光剣を受けながらもダメージエフェクトすら出ていない。
「セアァッ!」
横薙ぎの一閃。それを前傾姿勢で大の字になりながらジャンプで回避する。地面に着くなり、P-90(P)をキリトくんの足に向かって発砲するが、バックステップでかわされる。
体制を建て直したキリトくんは、今度は右上からの斜め上段切りで攻撃するが、これを紙一重で右半身を後ろに下げることで回避。P-90(P)を繋ぐスリングのみ切られた。超近距離戦なら自由度が増して更にいいだろう。そして、左足でキリトくんの腹を横薙ぎに蹴る。
振り下ろした光剣からそのまま攻撃に転じようとしていたキリトくんはその衝撃で攻撃中止を余儀なくされ、ふらりと傾く。
ダメージレースではまだ勝っている。まだ一撃もキリトくんから攻撃を受けてない僕(勝負前に6割まで削っているが)と、重要器官への弾はかわしたものの腕や足に数発弾を食らっているキリトくん。予想残りヒットポイントは2割と言った所か。
ここで僕は賭けに出た。
キリトくんが僕から見て右にふらつき、左足で何とか倒れるのは耐え、光剣で左下から右上へかけての切り付けをすると予想して、それに合わせるようにP-90(P)の銃身を這わせる。
そして……僕は、賭けに勝った。予想通りP-90(P)は光剣の1mもの刃を受け止め、僕自身へのダメージを代わりに受けてくれた。その間に右手で持っていたP-90(P)はもう左上に投げ捨て、そのまま右手ででキリトくんの右手を光剣の筒ごと掴む。
「ぐっ!」
攻撃の手段を封じられたキリトくんは、僕の体重を前傾にかけた右手に負けるように体を反転させ、背中を晒す。そこを、僕の右膝がキリトくんの背中を穿つ。
「ぐはっ」
そのまま押し倒し、僕の右手でキリトくんの右手を光剣ごと地面に縫いつける。体も右膝で抑える。うつ伏せのまま動けないキリトくん。
「捕まえたよ!」
勝ち誇ったように言い、次の一手を打つ。
「ぐ……おぉおぉ!!!」
しかしこのままやられてくれるキリトくんじゃない。覚悟ガンギマリな原作主人公は強いのだ。その優れた筋力値で左手を起点に起き上がろうとする。そんなことをされたら、貧弱な僕の体は徐々に浮いていく。
「……ッ!そうくるよな!キリトくんッ!」
ガッ!と自身の右手ごとキリトくんの右手を踏み付ける。それだけして、あえてキリトくんを解放し、キリトくんの正面に立つ。バネ仕掛けの機械のように起き上がったキリトくんは、今度こそと光剣を握ろうとするが、力が入らない様子。その筈だ。その為に、自身の右手を犠牲にキリトくんの右手を思いっきり踏み付けたのだから。今頃じーんとした痛みで光剣をとりこぼしそうな所だろうが、流石はキリトくん。強い意志で握り続ける。
しかし、
「ごめんな」
そう言って、僕はキリトくんの強い意志を宿す右目を、左手で握ったハンドガンで撃つ。眼孔を突き抜け脳漿にまで到達した弾丸は大ダメージを与え、ただでさえ少なかったキリトくんの残りヒットポイント2割を削りきり、バタンと倒れる。
ふぅ。とため息をこぼし、痺れる右手を擦りながら、なんとか勝てたことに安心する。近接戦に持ち込まれた時点で負けは濃厚だったが、あのサトライザー譲りの格闘術が役に立った。まぁ、最後は拳銃だったが。
B.o.B予選決勝戦を終え、待機エリアに戻ってきた。相も変わらずザワザワザワザワと騒がしくモニターを眺める観客たちを見ながら、キリトくんを探す。と、少し離れたテーブル席にシノンちゃんとキリトくんの姿を見つける。
「やっほー。勝負は僕の勝ちだねキリトくん」
明るく努めて笑顔でキリトくんに話しかけ、シノンちゃんの隣に座る。へにゃりと破顔したキリトくんは、
「あぁ……まさか、近接戦で負けるとはな。自信あったんだがなぁ……サブアームにハンドガンを持ってるとは考えてなかった」
と零す。
「ん?持ってないわよね?」
キリトくんの話を聞き、疑問を口にするシノンちゃん。
持ってないよ。と肯定の言葉を伝えると、驚いたように目を丸くするキリトくん。
「じゃあ、最後のハンドガンはなんだ?」
「アレは、キリトくんのファイブセブンだよ」
そう。右膝でキリトくんを地面に縫い付け、僕が勝ち誇ったような言葉を吐いた時、僕はキリトくんの左腰からFN・ファイブセブンを抜き取っていた。「次の一手」とはこれである。
勝ち誇った「ような」言葉は吐いたが、だからといって油断してはいけない。相手が原作主人公ならば尚更だ。常に先手を打つ者が勝つのは、SAOでもALOでもGGOでも、はたまたリアルワールドでも同じなのだ。
「そういう事か……」
落ち込むように項垂れるキリトくんを笑いながら、注文したアイスティーを飲む。勝利のアイスティーは美味い美味い。
「ま、これで一件落着だね。僕もキリトくんもシノンちゃんも明日の本戦出場だ。負けないよ。2人とも」
「えぇ。もちろん」
「…………」
1人、暗い顔をするキリトくんに気付きながらも、気付いてないフリをする。
明日が本番だ。立ち回り次第によっては、僕とシノンちゃんは原作通りに行けばシュピーゲルこと新川恭二に殺されそうになる。
もちろん戸締りはしっかりするが、そんなものは簡単に破られる。
そして、優勝すれば祝勝会として、負けたらお疲れ様会として、新川くんが毒を片手に僕達の家に入り込むだろう。そして、それを断る理由を僕達は持ち合わせていない。なぜなら新川くんは「友達」だから。
完全に死銃の脅威を取り除くのならば、アパートではなく電子キーのマンションに住めばよかったし、新川くんとも関係を持たなければよかった。しかし家はシノンちゃんが先に決めていて、僕が知ったのは当日だったからどうしようもなかったし、「もっと防犯セキュリティのある家に引っ越そう」とわざわざ提案する理由も思い浮かばない。
新川くんとは、まるで神の悪戯のようにあれからも何度か落し物だったりクラスメイトの行事だったりで、外向的になったシノンちゃん……この場合は詩乃ちゃんの方が正しいか。詩乃ちゃんと仲良くなっていたりして、もう僕は止められなかった。
「新川恭二と仲良くするな」等と女々しい事をはっきり言えば、素直な詩乃ちゃんは僕の言葉を聞き入れ仲良くしなかっただろう。しかし、それでも新川くんは接触を続けてくるはずだ。逃げ場のない学校で。既に学校には詩乃ちゃんの起こした《事件》の事は周知されているから。遠藤とやらは直接的ないじめはしないにしろ遠回しに詩乃ちゃんを孤立させたがっているようだ。何故かは知らないが(遠藤が元々いじめっ子気質な事もあるが、事ある事にイケメン(柊出雲)とベタベタイチャイチャする姿が気に入らなかったという理由な事を永遠に知る事は無い)
「明日が本番だ。頑張ろう!エイエイオー!」
そんな緊張を解すように、自分に喝を入れ直し、明るく振る舞う。
「オー」
一応ノってくれたシノンちゃん。
「…………オー」
相変わらず仏頂面なキリトくん。
「元気ないねぇ。明日が本番だよ?B.o.Bだよ!バレット・オブ・バレッツだよ!今から気が抜けててどうするんだい!」
「貴方が元気ありあまり過ぎなのよ。もう疲れたわ……先にログアウトしてるわね」
そう言って、さっさとログアウトしてしまうシノンちゃん。
「俺も……もう落ちるよ。お疲れ様、いい戦いだった。シュウ」
そう言って、返事も聞かずログアウトするキリトくん。
1人になるシュウ。
「…………明日が、本番だ」
誰も居なくなったテーブル席で、笑顔を消して呟くシュウ。
波乱のB.o.B本戦になる事は間違いないだろう。死銃……デスガン。その他強豪プレイヤー達……課題は山積みだ。そう思いながら、ログアウトボタンを押し、リアルワールドへ帰還する。
「さっ、ストレス発散しましょ」
そんなリアルワールドで待ち構えていたのは、全裸の詩乃ちゃん。
「えっ?」
思わず困惑の声が口から零れる。これから起こる事柄を想像し、下半身が熱くなる。
「本番前のストレス発散〜〜♪」
そう言って、猫のように僕の首筋を甘噛みする詩乃ちゃん。
いっそう守らなければ。と気を引き締め直……し、たい、が、詩乃ちゃんの僕の熱い下半身を弄る快楽が徐々に脳を支配する。
……むしろ守られるかもしれない。
そんな情けない事を考えながら、僕は諦めてアミュスフィアを外し枕元に置き、服を脱ぎ初める。
夜はまだこれからだ。
SAOで2年間近接戦を学んだキリトくんに近接戦で勝てるわけないだろ!いい加減にしろ!という声が聞こえてきそうですが、あのサトライザーにみっちり教えこまれたシュウくんも強いのです。
戦術勝ちです。このゲームはSAOじゃない。GGOですよ!銃は剣より強いんですよッ!!!!_:( _ ́ω`):_
実は初期設定では原作主人公をたてキリトくんを勝たせる予定でしたが、書いてるうちになんかシュウくんが勝ってました。自然な流れです。
さて、次回(多分)からB.o.B本戦です。
原作とは違う路線を突き進みますので、乞うご期待ください。
まぁストック切れたし展開も未定だから、次の更新いつになるか分からないケド!
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柊出雲とレン
レンがGGOを始めた時期に関しては自己設定です。詳しい記述がなかったので。第3回B.o.B直後にはもう凄腕プレイヤーになってたので、B.o.Bより前には参加してただろうという考えです。
明日からB.o.B本戦が始まる。
詩乃ちゃんと1発おっぱじまって少し体力が落ちているが、すやすや寝てる誌乃ちゃんを尻目に僕は再度アミュスフィアを被る。
詩乃ちゃんにも秘密の「ひみつ道具」を手に入れる為だ。本当は前々から手に入れておきたかったが、詩乃ちゃんにバレるとマズイ。原作的に。だから、こんなギリギリで手に入れる必要があったんですね(メガトン構文)
「リンクスタート」
お馴染みの挨拶を小声で唱えながら、僕はGGOへとログインした。
さて早速ひみつ道具の回収だ。と息巻いて砂漠フィールドへ向かう。ふんふふんふふーん♪と鼻歌歌いながら歩いていると、物陰から小さな影が飛び出す。咄嗟の事で反応が遅れたが、避けるのは無理と判断し、相手の両手を掴む。
相手の両手にはVz61スコーピオンが握られており、まさにその銃口が僕の頭に向くところだったと思うと冷や汗をかく。
「はなせー!」
両手を掴んだまま宙ずりにするように持ち上げると、小さな影はジタバタと暴れ始める。声からして女の子だろうか。
「嫌だよ。離したら殺すでしょ」
「殺さない!から!」
「うそつけ」
今でも少しでもスコーピオンの銃口を僕に向けようと手首をギチギチに動かしている奴がよく言うわ。
「はーなーせー!」
「ん〜……このまま圏内まで連れてくのもなぁ……(初心者のPKってとこかな……)本当に殺さない?」
「殺さない!」
「じゃあ離す」
パッと手を離したら、ぶべっと顔面から着地する女の子。むくりと起き上がり、鼻をこする。
どうやら本当に殺す気はなさそうだ。
「君、凄いね。全然気が付かなかったよ」
「止められた方に言われましても……」
「あっ。最近噂の砂漠のPKプレイヤーって君?討伐隊組むとかって話もあったけど」
「えっ!」
どうやら知らなかったようだな。本気で驚いてやがる。
しっかしウワサの「砂漠の悪質PK野郎」とまで言われてたのがこのちびっ子だとは到底思えんな。
「そろそろ潮時かな……」
肩を落としてスコーピオンを背中に仕舞うちびっ子。
「でも戦法は悪くなかったよ。相手が悪かっただけで」
「それ自分で言います……?」
トッププレイヤーだもの。速さにかまけた初心者プレイヤーに悪質戦法とはいえ負ける気はしないね(自分を棚に上げる)
その後その子のPKを辞めるように言ったり、使ってる武器に関して説明した。
詳しくは同じ同性プレイヤーのシノンちゃんから聞く方が相手も緊張が解れるだろうと、早めに話を切り上げる。
「今度僕の彼女と一緒に武器見に行かない?数日はB.o.Bで忙しいけど、その後なら」
「……いいですけど……なんでそこまで?」
「ん〜……女の子には優しくってばっちゃが言ってたから?」
「適当!?」
そしてフレンド設定をして、この場を離れる。
まだやる事やってないしな。
そうして、単独で砂漠フィールドを抜け、荒々しい荒野フィールドに降り立つ。その中心とも言える場所に聳え立つ禍々しいタワーを見つめる。
ここは既に発見済みのダンジョンだが、まだ未攻略のダンジョンだ。まぁ、攻略する気は無いが。
タワー1階、入口から数十メートル先の小さな小部屋に入ると、一斉にモンスターがPOPする。所存トラップ部屋である。
僕がP90(P)を入手した時みたいに、延々モンスターがPOPし続けるド鬼畜仕様ではないが、最近発見された極一部のルートでしか回ってないルートがある。今日はそこ目当てで来た。
軽く数十体をナイフとP90(P)で捌き切れば、部屋の扉が開き開放される。が、まだだ。
10分程待っていると、前触れもなく地面が消失し、ダストシュートの如く地面を転がる。落ちた場所はひっっっっっっっろい部屋。所々朽ちた柱や何かの機械の残骸が転がっている。
ピピピ
そんな音がして、部屋の至る所で青い光が灯る。
又ひとつ、又ひとつとついて行くその光が、レーザーサイトの如く僕を貫き、標準を合わせてくる。
遠くでは、何本も足のある機械型モンスターが立ち上がり、同じように目を光らせる。
「ここを
そう零し、固定型機械モンスターの目から飛んできたレーザーを避けるため、走り出す。
長いダンジョン攻略の始まりだ。
※主人公はSAO6巻までしか読んでません。外伝なんか知るよしもありません。
今回はとある下準備回なので短めです。
ダンジョンはゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのローメイ島の祠の地下にあるステージに歩行型ガーディアンをプラスしたみたいな感じに思っていただけると幸いです。
分からない人はググってください(*^^*)
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朝田詩乃と本戦の始まり
さて、今回から本格的に第3回B.o.Bがスタートして行きます。
主人公はどう動くのか。
キリトくんはデスガンを止められるのか。
ひみつ道具とはなんなのか。
誰がどう優勝するのか。
ペイルライダーは死ぬのか()
さて、どうなるでしょう。
「おはよう」
「……おは」
少し身体をひねり、昨日のひみつ道具回収の疲れを取るように伸びをする。少し寝不足だ。あれから大変だったが……目的のものは手に入れた。後はどう使うかだ。
「元気ないわね。今日、B.o.Bよ?あんなに楽しみにしてたじゃない」
「まぁ……ちょっとね」
朝ご飯の支度に移る詩乃ちゃんを尻目に、もそもそと着替えを始める。流石に本戦直前に取りに行くのはやりすぎたか。強者達との5連戦の後だったしな……集中力も切れかかってた。あの小さな女の子にやられてた可能性もある。もっと余裕を持つべきだな……色々と。
朝ご飯を食べ、ベットで詩乃ちゃんを抱き枕に疲れを取っていると、あっという間にB.o.B本戦の時間になる。
時間だね。なんてお互い呟き合い、アミュスフィアを被る。
ふぅ。と一呼吸置き、いつもの言葉で世界へ
「リンクスタート」
既に会場は熱狂。B.o.B本戦に出場を決めた猛者や、それを観戦するギャラリー達で埋め尽くされていた。
キリトくんの姿は見えない。
B.o.B本戦開始ギリギリまで姿を見せなかったもんだから、俺と詩乃ちゃんが入ってきた瞬間ドッ!と会場が湧く。
「期待してるぜー!」
「俺は狂人に賭けたんだから負けんなよー!」
「シノンちゃん愛してるー!!!」
最後のやつだけちょっと表出ろや。
とまぁまぁ、茶番もそこそこに、と思っていると、後ろからトントンと肩を叩かれる。
振り向くと、顔面にリアルだったら取り返しのつかないタイプのタトゥーを入れた粋な女性が立っていた。
「やっほー。久しぶりーシュウくん、シノンちゃん。」
「……は?私、貴方みたいな知り合い居ないけど」
「グサッ!心にくるわー。私よ私、ピトフーイ!予選でも会ったじゃない!昔なじみを忘れないでよねー」
あぁ……と少し納得したような顔をするシノンちゃん。
…………えーっと……始めてみるなぁ?…………久しぶり?俺の知り合いにこんなタトゥー…………
「あぇ〜……もしかして……スコードロン荒らしの……ピト……ピトフーイか?」
「ピンポーン!せいかーい!!スコードロン荒らしって言われるのはちょち心外だけどー」
ピトフーイはGGO初期の頃少しだけ遊んだ事のある女性プレイヤーだ。フレンド登録もしてないからすっかり忘れてた。こんなド派手なタトゥー入れてなかったし。
スコードロン荒らしとは、このピトフーイの通称というかなんというか……プレイスタイルが壊滅的なのだ。チームで動けないとも言う。味方を盾に使うのは当たり前、自爆覚悟の特攻なんて日常茶飯事。そんな
ちなみにスコードロンとは、ファンタジー世界で言うギルドやファミリー、クランみたいなものだ。同じタグを身に付けたり、名前にスコードロン名を入れるなんて本格的な奴もいる。僕の知り合いのスコードロンで言うと、《メメント・モリ》というチームが居る。結構仲のいいスコードロンで、何度か勧誘も受けたが、シノンちゃんとタッグチームでやっていくスタイルを崩す気は無いよと断っている。しかしこれまたチームリーダーが良い奴なのだ。気さくで陽キャで大人でイケメンアバターと来た。数少ないフレンドリストの仲間である。
さて、なんで予選敗退のピトフーイがこの場にいるのだろうか。シノンちゃんにやられたようだし、恨み言のひとつでも吐きに来たのか?と伝えると
「まさかそんな!B.o.B本戦に出場出来なかったのは悔しいし、そのストレスもあるけど、もう
「そりゃ良かった。シノンちゃんに恨み言を言うようならそのド派手なタトゥーが血で染る所だったよ。それにしても久しぶりだねぇピトフーイ。辞めたと思ってたよ」
そんな軽口を叩くと、
「私がGGO辞めるわけないジャーン!こんな楽しい世界他にないよ!」
手をひらひらしてケラケラ笑いそういうピトフーイ。
シノンちゃんが呆れたような顔で僕の手を掴み、会場内へ引っ張る。
「そ。そろそろ本戦だから私達行くわね。じゃあねピトフーイさん」
「冷たっ!氷の狙撃手の名は伊達じゃないわー。ま、頑張ってね!私も2人に賭けるから!」
投げキッスをして、僕達の横を足早に通り抜け会場内へ入っていくピトフーイを見届けながら、シノンちゃんのジト目を横から感じる。
「……私に話してない女の子の知り合い、まだ居たんだ?」
今朝、ちょっと前に会った(事にした)小さな女の子プレイヤー(最も、中身は女の「子」かは別だが野暮だ)の話をしたからか、少し嫉妬してくれているようだ。
「い、いやいや。ピトフーイとはそんな仲良く無かったし。シノンちゃんに紹介する前に縁切れちゃうくらい短い縁だったし!」
そんな言い訳をしながら、会場の所々に居る知り合いを尋ねる。
あっ話をすれば、じゃん。
「よォデヴィット!久しぶりだな!本戦出場おめでとう!」
「おめでとう。デヴィット」
「あぁ。ありがとうシュウ。シノン。」
先程話に出てきたメメント・モリのリーダー、ドクロのエンブレムを仲良く揃えた6人組みの纏め役に話し掛ける。彼の名はデヴィット。ダビドと呼ぶと怒るので言わないが、たまに揶揄いで呼ぶ事もある。どうやら本戦出場したらしいことはメッセージで受け取っていたので、出場を喜ぶ。本戦が始まればライバルだが。
「俺達は今回も予選敗退ッスよー」
そう言うのはメメント・モリのチームメンバーのケンタ。某フライドチキン店の名前から取ったらしいが良くチキンチキンと揶揄われるらしい。先陣を切るアタッカーなんだがなぁ。
「まぁまぁ。ケンタもジェイクもどんまいどんまい。また機会があるって」
他メンバーにも多少声を掛け、席を離れる。
すると
「俺に勝ったからには優勝しろよ」
唐突に目の前に現れたのはサトライザー。怖いよお前……。
「あ、あぁ。サトライザーには世話にもなってるしな……優勝して弟子として不甲斐ない姿は見せねーよ」
「それでいい」
それだけ言って人混みに去っていく。何が言いたかったんだサトライザーは……
予選で相対した緑髪のスナイパーちゃんも見掛けたが、声はかけないでおいた。シノンちゃんも居るし、勝者から敗者に言うことも無いしな……
そうこうしているうちに、本戦開始のブザーが鳴り響き、本戦出場者は順々に待機エリアに飛ばされる。
「じゃ、お互い頑張ろう」
「えぇ。負けないから」
それだけ言って、待機エリアに飛ぶ。
待機エリアで装備を整えていき、背中にナイフとP90(P)を実体化し、腰周りに8本のマガジンを実体化する。今回持ってきたマガジンはこの8本と本体に装着した計450発しか持って来て居ない。それもこれも、僕の筋力値が低いせいなのだが。
準備を終え、フィールドに飛ばされるのを待つ。
大きく表示されたタイマーが残り10秒を指した時に、すぅっと深呼吸をし、後は自分を信じるのみ。
このGGOで、死者は誰1人出さない。
誰1人……
フィールドに飛ばされ、目を開くと見渡す限りの砂漠だった。これは……GGO編最終回でキリトくんとデスガンが戦った場所だな。最初っからクライマックスとまでは行けないので、最初のサテライト・スキャンまでにもっと入り組んだ場所に移動しなければ。自分が得意なフィールドに入り込まなければ……
私が飛ばされたのは森の中だった。
スナイパーとしてはこの上ない不利な地形だ。高い所に上ってまずは視界を確保しよう。そう思い、周囲を見渡すと、いい感じの塔を見つける。B.o.Bではまず1km四方に敵はスポーンしない筈だから、その塔に素早く登り、視界を確保する。
どうやら森は中々の広さらしい。このまま森の中の塔の上で、視界が悪い中周囲を索敵するか、素早く好立地な場所に……ここからなら、南の方向の廃墟ビルが立ち上るフィールドに移動するか悩む。さて、どうするべきか……
デスガンを止められるか。そんなプレッシャーの中、始まったB.o.B……優勝なんてどうでもいい。いや、本気で狙いはするが、まずはデスガンだ。菊岡さんの依頼を達成しなければ。
周りは神殿のような教会廃墟のど真ん中だった。祀られている女神像には苔が生えており所々欠損も見える。
サテライト・スキャン端末を取りだし、現在地を確認する。どうやら中心最北端のまぁまぁデカい神殿跡スタートのようだ。
まずはデスガンの特定から始めなければ。先日知り合ったシュウかシノン。どちらか……または両方に手を借りたい所だが……残念ながら、本戦開始前に聞きたいことも聞けなかったし、情報は無いに等しい。
1km四方に敵はいない。とルールブックには書いてあったが、もしかしたら1km先にデスガンが居るかもしれない。デスガンはあのぼろマントから姿を変え、俺にはデスガンだと認識出来ない姿で現れるやもしれない。
「クソッタレ……」
悪態を吐き、サテライト端末とにらめっこしながら次の手を考える。
「どうする。考えろ。考えるんだキリト……デスガンは……死銃は何処に居る……!?」
そんな焦りの言葉は、キリト以外誰もいない協会の虚空に吸い込まれた。
本作のサテライト・スキャンの設定
・スキャンは15分ごとに行われる。
・水の中や洞窟の中など上空から見えない場所に入れば回避する事が出来る。
・自分自身の現在地のみ常に確認することが出来る。
・サテライト・スキャン端末は破壊不能オブジェクトとして登録されている。
本作のフィールド設定
砂漠に廃墟、森に湖、神殿に住宅街に墜落した飛行船に、予選であった刑務所まで、幅広い多種多様なフィールドがある。直径15km(原作は10km)の正方形のフィールド。原作より広い事もあって、原作のフィールドより取れる手段が多い。その分デスガンが逃げやすいという利点もあるが。
キリトくんがシノンちゃんに「知り合いはいるか?」とデスガン候補者を絞るくだりがなかったのもあって、キリトくん原作よりベリーハードモードでデスガン探索・対敵を行わなければならなくなってしまった。これも全てオリ主が悪い。オリ主にはオリ主なりのデスガン対策があるようだが……
少しづつ矛盾点なく進めていきたいと思います。
これからも本作をよろしくお願いします。
又、アンケートは「シノンちゃん一筋」に決まりました。
まぁ、そうだよね。あのラインナップじゃね(失礼)
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朝田詩乃とB.o.B本戦Part1
1年ぶり?
笑っちゃうよね(タハー)
最近呪術廻戦やら文ストやら面白いアニメが続々出てきて、面白いゲームも見つけて、時間がマジで足りませんねぇ_( _´ω`)_
とりあえずまぁ、1から100まで原作とは違うB.o.B本戦ですね。
もう原作片手間に書くことはありません。俺のやりたい「ガン・ゲーム」ここにあり。です。
大きな流れも違うし、細かい設定も違うし、最早別ゲー別作品と化してますがお気になさらず。イヤホントマジで。
久々に書くけど文章力落ちてないので安心してください(傲慢)_( _´ω`)_
ヤンデレ要素どこ……?ここ……?
「ハァ……ハァ……」
走り続けて、なんとか砂漠フィールドを抜け、アメリカンなデパートやらビルやらが立ち上る街に辿り着く。左手に着けた腕時計を見れば、開始から12分も経っていた。後サテライト・スキャンまで3分しかない。
急いでデパートの階段を駆け上がり、屋上に出る。そこは小さな遊園地のようになっており、寂れたメリーゴーランドや小さい汽車の玩具なんかが散乱している。ここならサテライト・スキャンも受信出来るだろう。入口も1つなので、そこさえ見張ってればいい。
3分経過し、最初のサテライト・スキャンが開始される。端末を表示すると、北側から南側にかけてスキャンの光が走る。
「キリトくんは最北端か……」
巨大建造物のような物の中に《Kirito》のプレイヤーネームを見つける。次に、マップ南側の廃墟郡に《Sinon》のネームを。どうやら開始15分では大きなドンパチは起こっていないらしく、髑髏のデスマークも1つ2つ程しか見つからない。1つだけシノンの程近い場所で殺られているデスマークがあるが……
自分の位置する中央東部の廃墟郡周りに敵は……
「居る!?」
マップで見るととても近いが、四方15kmのマップ換算としてエリア1つ分は離れてるから距離にして1km程か。俺や他のプレイヤーと同じく移動する様子は(少なくともサテライト・スキャン中は)なく、1箇所にとどまっている。
プレイヤーネームの確認をすると
「
聞いたことがあるようなないような……少なくとも俺と同じB.o.B本戦出場組のGGOトッププレイヤーに変わりは無いが、上澄み程度しか覚えてない俺からしたら取るに足らないプレイヤーだ。この妙に聞き覚えのある名前は過去戦った事のある名も無きトッププレイヤーかあるいは……
「原作組……」
そう、今の俺の一番の懸念、「原作組」である。もう何十年も前の事であり、一々プレイヤーネームなんて覚えちゃいないが、死銃の事もあるし、被害者は0で行く。もしかしたらこの夏侯惇とやらは死銃に殺された原作組の1人かもしれない。
…………そうじゃないかもしれないけど!!
「とりあえず交戦は不可避だな。相手も俺に気付いただろうし、俺のプレイヤーネームを見て逃げ出す様子もない……」
アレコレ考えていると、サテライト・スキャンによるスキャンが終わり、プレイヤーネームが消えていく。俺も端末を脇腹にしまい、先程夏侯惇の居た方角を屋上から見下ろす。もちろん動く影ひとつ見えない。当たり前だが。
俺の戦法的に、守るより攻める方が得意だ。シノンちゃんが一撃必殺なら俺は見敵必殺である。夏侯惇とやらがどんなプレイヤーでどんなプレイスタイルかは知らないが、安全にご退場願おうか……(ニチャァ)
屋上の金網を飛び越し、崖際に腰から取り出したワイヤーを引っかけ、ラペリング降下する。以前サトライザーに教えてもらった軍法の一つである。ホントアイツなんでも知ってんな……(それを覚えるシュウとシノンも大概である)
ラペリング降下を終え、地に足をつけてワイヤーを巻きとる。夏侯惇がスナイパー型なのも予想して、素早く降りたつもりだが、撃たれなかった。少なくとも見つかってはいないらしい。通りを100m3秒フラットの速度で駆け抜けて、夏侯惇のいた方角へ走る。
すると、前方二時の方向、崩落したビルの2階からマズルフラッシュが光る。しかし、俺は足を止めない。初弾数発が俺の近くの地面に着弾し、遅れて弾道予測線が俺の周りを赤く染める。
足は止めない。弾道予測線は俺の常に背後を捕らえる。
「速すぎんだろッ!」
そんな声が何処からか聞こえてきそうだが、知ったことでは無い。車輪のない車の上に1歩で飛び乗り、2歩目でバスの上に飛び乗り、3歩目は……問題ない。その時既にビル2階相当の高さに到達しており、敵プレイヤー……夏侯惇は俺の射程範囲内だった。
既にリロードを終えた夏侯惇の持つアサルトライフルの銃口が、逃げ場のない空中に居る俺に向けられようとしているが、それよりも前に俺の剣のように突き出したP-90(P)の射撃の方が速い。
この距離では外す方が難しい。
「見敵必殺」
夏侯惇の体は凡そ20発と少し。秒数に直せば1秒足らずで、体を赤いダメージエフェクトで覆われ、赤い髑髏マークと《Dead》の文字が浮かぶ。
「リロードは……弾は有限。しなくていいかな」
それは、第1回サテライト・スキャン開始より、5分足らずの出来後であった。
「うーん……」
B.o.B本戦開始から15分。キリトは神殿から出ることなくサテライト・スキャンの端末とにらめっこしていた。
「VRMMOゲーム大会の定石なら、近くの敵の場所に向かうべきなんだろうが……」
如何せん見知ったプレイヤーはシノンとシュウしか居ない。他のプレイヤー全てを「死銃かもしれない」と仮定して動くとしても、危険過ぎる。なぜなら方法は不明だが、敵は当たれば1発で敵を……本当の意味で「殺す」事が出来る銃を持つ《死銃》だ。
《Dead》を示す赤いプレイヤーアイコンも2つ程しかない。キリトに出来るのはそれがプレイヤー間による当たり前の戦いによる終結であることを、死銃の毒牙にかかっていない事を願うことだけである。
キリトは《SAOサバイバー》と呼ばれる、生粋の(望んでないが)廃VRゲーマーである。それよりも前からゲームにはどっぷりであったが、所謂FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームは得意分野ではない。しかも完全フルダイブ型の。今まで剣か魔法の世界で生きてきて、灰と銃の世界に舞い降りた今でさえ剣は捨てられず、お守りのような(予選でシュウにまんまと利用されたが)ファイブセブンしか銃要素はない。
要するに、どう動けばいいのか分からないのだ。
SAOやALOのような
「あっ」
そうこうしているうちにポツポツと敵アイコンが消えていく。
「…………うーーーーーん」
廃ゲーマーも、畑が違えば素人である。
「まずは1人……」
ジャキン、とコッキングして12.7mmNATO弾を排莢する。
首を中心に頭部に当たる部分を全て範囲威力ダメージで吹き飛ばされた首無しアバターが、髑髏マークを浮かべながら倒れるのをスコープ越しに見つめる。
B.o.B本戦開始から7分。シノンの行動と戦いは速かった。
周囲を森に囲まれたフィールドという、スナイパー殺しな場所でスタートした自分の運を最初は呪ったが、ツキが回ってくるのは速かった。近くの高台に登り、四方を警戒していた所、森を抜けた所、ちょうど草原と森の境目に、森の中に向かって走り込む黒スーツの影を見つけた。
知り合いに黒スーツの超近接戦闘特化の凡ゆる軍法の師匠にあたる人物が居るが、彼は予選で私の夫に殺され敗退している。彼に憧れ触発されたプレイヤーだろうか……
彼ならば……サトライザーならば、ギリースーツを纏い森に紛れるだろうが、彼は持ち合わせがないのか余裕が無いのか、黒スーツのまま森に向けて走っている。
簡潔に言えばヒジョーーに目立つ。
「馬鹿なのかしら……」
敵のいる方向を覚えたまま、高台から1階まで降りる。
塔の1階の窓を開け、バイポッドを立てて敵のいた方角を探す。木々に隠れきれていない黒い影が、スコープ越しに見える。スコープに搭載された測量機が表す距離は2084m。ギリギリではあるが、有効射程距離内だ。しかもどんどんと距離は縮まっている。
「何をそんなに逃げているの……?」
ポツリと独り言を零しながら、スコープのつまみを弄り狙いやすい倍率を調整する。
敵の全体が映る倍率まで調整してから、引き金に指をかける。敵はこちらに気付いた様子はない。弾道予測線も見えていないだろう。態々リスクを負って弾道予測線なしの舐めプ(舐めプレイ)射撃をする意味は無い。
スゥッと一息を吸い、バレットサークルが収縮し、引き金を引く。
静かだった森に激しい銃撃音が鳴り響き、黒スーツの敵はそれに驚く間もないまま、第3回B.o.B本戦を退場した。
第3回B.o.B本戦
…………その8分後、サテライト・スキャンで確認した黒スーツの男の名は《キャノン》となっていた。
知らない名だ。
と、いうシュウ、キリトくん、シノンちゃんの初動ですね。
キリトくん、良いとこねぇ〜……
※キリトくんがバトル・ロワイアル形式のガンゲーム初心者設定は独自設定です。
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朝田詩乃と観客
「…………」
《死銃》は困り果てていた。
第1回サテライト・スキャン、死銃はマップ北東、廃駅校舎にスポーンしていた。近くには《Kirito》の文字。距離にして3〜4km程か。
「…………ハァ」
赤い目を光らせながら、マスクの中でため息を吐く。
死銃の第1目標はキリト……ではない。なにせ、死銃はキリトを本当の意味で「殺す」手段を
自分の怨敵。宿敵とも言っていい存在だが、今彼をB.o.Bから退場させるべきか悩んでいた。
今後の事を考えるなら、彼の装備でちゃっちゃとキリトを「殺す」のではなく「退場させる」事が最善なのだろうが、如何せん相手はキリトだ。《黒の剣士》《二刀流》《チート殺し》。彼を呼称する名は多いが、GGOに来てからは弾を斬ったりしているらしい。なんなんだアイツは。頭痛の種でしかない。
しかし、もし、もし名前が同じだけの偽物なら…………いや、B.o.B本戦に残っている時点で、「弾を斬る」なんてGGO離れした芸当をする人間と《黒の剣士》が同じ名前である時点で、その可能性は捨て去っていいだろう。
「(……当初、の、目的……を、遂行、するか)」
彼はとりあえずキリトは放置し、サテライト・スキャン端末から最も近い「殺せる」相手の名前を探し出し、其奴の場所へ歩を進める。
「ファースト・キルは氷の狙撃手様かぁ。さっすがぁ!」
ワイワイ、ガヤガヤとB.o.Bを観戦する人々の集まるグロッケンの某酒場。予選敗退プレイヤーや、物見遊山で来た中堅プレイヤー、勉強の為に来た初心者プレイヤーでごった返していた。
ピトフーイは、そんな酒場のとある個室で、モニターを前にアイスティーのような何かを飲みながら観戦していた。
「何故俺を連れてきた。ピトフーイ」
「いーじゃんいーじゃん。友達でしょー?」
「お前なんかと友達になった覚えは無い」
隣に座るは黒スーツの男、サトライザー。同じ個室でピトフーイから出来るだけ距離をとって座って、反対側のモニターを見ている。
「まぁまぁ。お二方落ち着いて……」
間に挟まるはケンタ。強豪スコードロン《メメント・モリ》の
「放っておけケンタ。どちらも話の通じる相手ではない……あぁ、サトライザー氏。別に貶した訳では無いから気を悪くしないでくれ」
そしてデヴィット。先程紹介した《メメント・モリ》のスコードロンリーダーであり司令官である。他にも《メメント・モリ》のメンバーがこぞって集まっている。
「あの……なんで私はここに……」
ちっこいローブを被った女の子がピトフーイの隣で常時冷たいアイスティーを小さな手で弄りながらピトフーイに話しかける。
「見学だよ見学。レンちゃんはまだGGO初心者でしょー?上澄みの戦いは見て損は無いって。ホントは参加して欲しかったけど……まぁそこはしょうがないか」
ピトフーイがレンと呼ばれた少女の肩を組みモニターに近付ける。
「それじゃーレンちゃんの為に、今回第3回
「五月蝿い……」
サトライザーが独り言るが、そんな事はお構い無しに参加プレイヤー一覧画面に切り替える。
「まずはこの子ね。第3回B.o.Bファーストキル賞受賞者の水色の髪の毛の女の子、シノンちゃん。通称《氷の狙撃手》。《審判者》なんて2つ名もあるけど、まぁーこれはコンビ名みたいなものかな。スナイパーの腕は超一流。私の知り合いにも上手い人居るけど、その人とイーブンかそれ以上。使ってる
「ピトさんが!?」
「そーよもーズバンとね。気付いた時には〜って奴?」
ヘラヘラ笑いながらびっくりしているレンを横目に見ながらアイスティーを飲む。
「次にその相方、平々凡々な姿からは予想出来ない超
「プロト……タイプ?」
「開発初期段階みたいな意味かな。今の所市場にも出回ってないし発見報告もなし、まぁあんな松葉杖みたいな銃まともに使うのシュウくんくらいしか有り得ないと思うけど!」
「そうでも無いぞ」
ピトフーイの解説に横槍を入れたサトライザー。
「奴の予選で見たが、あのP-90(P)は《光剣》を受けてダメージエフェクトも出さない並外れた耐久値を持つ。それにあのデカさだ。いざと言う時には予選でやったように盾にもなる。重量の問題でサブアームに重い物を持てないのは難点だが、シュウにはそれを補ってあまりある素早さがある。P-90(P)もP-90も同じ
「(い、いきなり饒舌に話し出したぞこの人......)」
「ハイハーイ厄介オタクくんは黙ってようね〜」
少し引き気味のケンタと、それをサラッと流すピトフーイ。プレイヤー一覧をスクロールしながら、次なる強敵を探す。
「そーそー私あんま知らないんだけど、このキリト?って子も強いらしいね。なんと弾を斬ったとか」
「弾を?」
デヴィットが驚いたように聞き返す。
「私も見た訳じゃないんだけどねー。シノンちゃんに頭ぶち抜かれて自棄アイスティーしてる時に酒場からそんな声が......」
「フン。お前のような奴の言葉信用出来んな。」
若干所じゃなく険悪ムードのデヴィットとピトフーイ。昔なんやかんやあって仲の悪い2人だが、実はこの個室の主はデヴィットだったりする。ピトフーイがレンとサトライザーを引きずるように乱入し、嫌な顔をしつつも「初心者育成の為」とレンを引き合いに出され紳士で押しに弱いデヴィットは流されてしまった。
「他にはそだなー......この子かな」
そう言ってピトフーイが参加者メンバー一覧の1人の名前をポチりと押す。
「エンフォーサー。通称《ルールブック》」
「押し付けがましいクソの間違いだろ」
「実力は本物だって」
苦虫を噛み潰したような顔をするケンタ。過去苦渋を飲まされた事がある。
「まぁコイツは強さで言えば中堅の上澄み。ギリギリトッププレイヤーみたいな奴かな。主武器はCoral48。まさかまさかの光線銃使い!防護フィールドはみんな付けてるだろうし、減衰も考えて使ってる変態プレイヤーだよ。でも対人による光線銃使いとしては、トップレベル。通称も光線銃使いにとっての《ルールブック》だから。って意味ね。本当なら対モンスター用の光線銃をあまつさえ対人大会のB.o.Bで使う生粋の変態......2回言っちゃったけどまぁそんなヤツ。組むヤツ組むヤツに「近未来武器とは素晴らしい!」って事を布教して回るって事で、ある意味煙たがられるよ」
「光線銃ってそんなに対人で弱いんですか?」
初心者プレイヤーのレンがピトフーイに質問するように声を出す。
「弱いも弱い。超弱い。実弾タイプと戦ったらまず勝てないね。防護フィールドでダメージ減衰激しいし、リロード......まぁ光線銃の場合エネルギーパックの交換も手間がかかるし。いい所なんて弾速とエネルギーパックのコスパの良さかなー」
「でもこの人はその光線銃で予選通過して本戦に出てるんですよね?」
「そう!だから変態なのよこいつは」
そんな会話をする横で、ケンタがレンの隣まで来て、耳打ちするように話す。
「まずこのエンフォーサーとかいう奴は参考にしない方がいい。光線銃には光線銃なりの良さがあるのは分かるけど、神みたいに崇める奴が一定数いるから、君も気をつけな」
「は、はい」
ケンタはそれだけ言って、メメント・モリの仲間達の元へ戻っていく。
「どしたレン。口説かれた?」
「そ、そんなんじゃないですよ!」
慌てて弁明するレンに、?マークをうかべるピトフーイ。
「まいっか!他には、そうだなぁ。この夏侯惇っていうプレイヤー......」
ピトフーイが夏侯惇のプレイヤーネームを指差した瞬間、ピコン。という音と共に赤く染まる。
「............」
無言のピトフーイ。
「............」
オロオロするレン。
「............」
無関心なデヴィット。
「............で?」
そしてサトライザーが嘲笑を浮かべながら固まるピトフーイの方を見る。
「......は、ザコ!!!!!!」
快活な笑顔でプレイヤー一覧を閉じるピトフーイを見て、レンは静かに苦笑した。
B.o.B本戦出場者達の解説。主に主人公達。
ピトフーイとサトライザーの絡みが書きたくて書いた。
エンフォーサー?
これから出るんじゃないですかね知りませんけど。
光線銃辺りは完全に独自設定です。原作ではあまり語られなかったし、オルタナティブくらいしか活躍の場がなかったから「うーん、対人戦ゴミ!www」の称号を与えた。
ちなみに知り合った経緯はシノンちゃんとシュウくんがまだサトライザーの弟子だった頃、絡みに来たピトフーイを返り討ちにしたサトライザーと、サトライザーの強さを面白がって事ある毎に殺しに行っては返り討ちにされるピトフーイの関係。
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朝田詩乃とB.o.B本戦Part2
開始から20分経過。
夏侯惇なるプレイヤーを屠ったシュウは、次なる獲物を求めて廃墟郡を抜けて行った。
「(5分前キリトくんは最北端に居た。まだ動いていないと楽観視の仮定をして、俺の場所から最短距離で妨害無しで走ったとしても10分はかかる。そしたら次のサテライト・スキャンが始まる。キリトくんが俺と同じ「死銃排除」を目的に動いてるなら協力出来る......かもしれない。どう説得するか、何故俺が死銃を
廃墟郡を抜け、高架線に出る。コンクリートジャングルの次はマジのジャングルなのか、向かう先には木々が見える。予選でキリトと戦ったような橋の上を残像が見えそうなスピードで走るシュウは、直線上にマズルフラッシュを見て、前傾姿勢で走ってた体制から前に転がるように倒れ、その弾丸を交わす。遅れて銃声が鳴り響き、シュウの後ろの空間に吸われるように弾丸が通り抜ける。近くの塀に素早く身を隠し、敵の射線から逃れる。
「不味ったなぁ。速く移動しすぎたか。」
脇腹からサテライト・スキャン端末を取りだし、現在位置を把握する。腕時計を見ると開始27分時点。現在地はマップ中央北部高架線。前回のサテライト・スキャン結果を表示すると、12分前に中央北部に居たプレイヤーは3人。
「銃士Xと......ルルンドと......ペイルライダー?」
最後の名前には聞き覚えが良くあった。知り合いでもある。
三次元戦闘を得意とするショットガン使い。上澄みの上澄み。正面切っての戦いは避けたい所である。特にこのような高架線では。
しかし、今しがたの攻撃からしてペイルライダーである線はないと見える。ペイルライダーならば、態々長距離攻撃をせず、真っ直ぐ走る俺に対し突然目の前に現れ奇襲するのが1番得策だからだ。今合間見えているのは恐らくスナイパーの遠距離型。
幸い対スナイパー戦はシノンちゃんと散々やり合ってる。
塀から飛び出し、一直線に敵に向かって走り出す。1発、また1発と弾道予測線をキッチリ見ながらかわして行く。動きは最小限に。相手は弾道予測線なしの射撃をする「上澄み」ではない。弾道予測線を出してくれるお優しいスナイパー様なら、態々ジグザグ走行をする必要も無い。
間隔からしてボルトアクションライフルだろうか。何発か撃たれた後相手のローディングタイムが挟まり、その間にグンと距離を詰める。遠目に見ても分かる銀髪の長い髪。露出度の高い服。今気付いたが、彼女も同じ原作組、「銃士X」だ。「こっち」の世界で見るのは初めてだが、「あっち」の世界で初めて見た時の衝撃を覚えている。確かキリトくんに殺られたんだったか......
銃士Xとの距離が100mを切った辺りで、銃士XはSRを置いたまま腰からハンドガンを抜き放ち、こちらに射撃する。流石にこの数の弾をこの距離で全弾かわすのは不可能なので、弾道予測線に添わせるようにP-90(P)を盾に使う。カンカンという子気味いい音を銃越しに聞きながら、相手の弾切れに合わせてスリングから外したP-90(P)を銃士Xに投げ付ける。
「ふがっ!」
女の子とは思えない声を出しながら、P-90(P)の直撃を顔面に食らう銃士X。少しのけぞったのをいい事に、右手に持つハンドガン(恐らくコルトガバメント)を右足で蹴り、そのまま一回転。左手で抜き取ったカランビットナイフで銃士Xの首横を突き刺し、確実にダメージを与える。
「あんっ......た......!私には......銃すら使う必要ないって......!?」
「............まぁ、そうなるな」
馬乗りになって確実にダメージを与える為左手に握ったカランビットナイフをグルグルと回転させていると、抵抗虚しく銃士Xの体から力が抜けていく。
「
そう捨て台詞を吐いて、《Dead》の文字と共に完全に力が抜ける。カランビットナイフを抜き取り、鞘に収めながら少し離れた所にあるP-90(P)を回収してスリングを巻き直す。
「............マスケティアイクスって読むんだ............何故にフランス語?」
頭に大量のクエスチョンマークを浮かべながら、再度北部を目指して駆け抜ける。
「......流石にそろそろ動くか」
腕時計を見ると、開始から既に20分経っている。未だにここに誰も来ていないのは幸運と言うべきか、行動を決めあぐねていたキリトには丁度良かった。
「(とりあえず確定白のシュウかシノンに会いたい......あわよくば協力して死銃を討ち取りたい。菊岡さんから方法についても依頼が出されているが、流石に大会内で暴くのは難しいだろう。まだ見ぬ死銃が今も誰かを殺しているかもしれないと思うと......ゾッとするな。)」
そんなある意味達観した思考をしたまま、移動を開始しようとすると、西側出口から足音がする。
神殿の構造上、中央奥に座する苔むした女神像の他には、西、東、そして南の3つの大きな出口しかない。他には教会にあるような椅子が転々と転がるばかり。キリトはすわ死銃かと身を眺め、敵を視認する。
左手には湾曲した刃のような刀身むき出しの武器を付け、不格好にも腕が2倍の大きさに見え、切っ先は地面につきそうだ。チューブのようなものが、背中に背負ったタンクに繋がっている。右手にはこれまた不格好な丸い銃を携え、両脇についてるエネルギーパックのような物が百足の足のようにわきわきと忙しなく動いている。
「Kirito......Kirito......キリト!キリトさん!まだ居ますかな!?」
気持ちの悪い銃と刃を携えた男をよく見ると、その両手と背中に担ぐものを除けば、神父のような格好をした男が自身の名を読んでいた。ハッキリ言って気持ち悪い。
「居ないのか?......はて。気配はするので居るとは思うのですが......」
所謂《第六感》はVRゲームではまことしやかに噂される《システム外スキル》の一つである(ちなみに他のシステム外スキルと言えば、シノンが使う「弾道予測線なし射撃」等がある)
一説によると、VRゲームのCPU負荷による微細な違和感を感じとる敏感さだとか。キリト視点からしてみれば、過去SAOで宿敵茅場晶彦を倒した時のように《心意スキル》かもしれない、というのがいちばん濃厚なのではないか。と思っている。
「......まぁ、この神殿内には居る様子。更地にすれば出てくるでしょう。」
その言葉を聞いて、不味いと思い相手の一挙手一投足を見逃さんと物陰から除くと、敵は左手の刃を横凪に一閃した。
すると、明らかにその刃の長さからは有り得ない大きさの「斬撃」が飛び、椅子達を撫で斬りにする。東口を背にする様に女神像の裏に隠れていたキリトには幸いダメージは無かったが、文字通り女神像前の広場は更地となった。
「残るは......そこですか」
女神像の方を向かれ、バッチリと目が合う。ニヤリと厭らしく笑った敵は、右手の筒状の武器をこちらに向ける。
すると、チュイーンという音と共に銃口から細長いビームのようなものが伸びて女神像を攻撃し始める。これだけか?とキリトが頭を女神像の裏に隠すと、ドカン!という音がなり、キリトのすぐ横に穴が開く。
「(チャージタイプのエネルギーライフル!?それにエネルギーの斬撃を飛ばす刃......どちらも厄介だ。しかし死銃ではないな......)」
「出てこないんですか?このまま少しづつ回って言ってもいいのですよ」
傲慢とも取れる敵の言葉に、あえてキリトは乗ることにした。
「............わかった出る。出るよ」
キリトは両手を上げ、女神像から出る。敵は右手のライフル(?)を下ろし、左手も下ろす。
「やぁやぁ。私はエンフォーサー。初めましてキリトくん。」
「............ご紹介どうも。キリトだ。よろしくエンフォーサー。で、なんで降伏勧告なんてしてきたんだ?」
両手をおろし、お互い構えを解いた状態になる。
「降伏勧告なんてとんでもない。貴方が素直に出てくれば、このチャージライフルも、Coral48も振るわなくて済んだんですよ」
肩を竦め、やれやれと言葉をこぼすエンフォーサー。キリトは少しムッとしながら、答える。
「ならば何故呼んだんだ。これはバトロワだろ。戦う以外に道は無い」
そう言うと、驚いたような顔で左手を口に当てる。
「それはとんでもない。確かにこれは最後のひとりになるまで終わらないバトル・ロワイアルです。しかし戦う以外に道は無いとは嘘でしょう?貴方も他の道があることがわかっているはずです。私は人の心を読むのが得意なのですよ」
その言葉にキリトは少し考え込む。確かに他に道はある。先程シュウやシノンに対し考えたようなもの......そう。「共闘」だ。手を組み、多対1の状況にし、有利に先頭終盤まで生き残る。
「なんのメリットがある。最後は殺し合うんだろ?」
「そうですね。私はエネルギー武器とはいかに優れているかを
困ったように左手を頬に当て考え込むエンフォーサー。それに対しキリトは嘲笑で返す。
「随分と弱気だな。こんな芸当出来るなら誇っていいんじゃないか?」
粉々になった椅子達やえぐれた女神像下部を見ながらそう言う。
「確かに素晴らしい威力だったでしょう?しかし、大いなる力には代償がつくもの。この《Coral48》はその威力はともかくエネルギー消費が激しくてですね。市場には出回らないユニーク武器なのですが、あんな大技は連発出来ないのです。かといってこのチャージライフルだけでB.o.Bを勝ち抜けると自惚れるつもりもございません。そこで、同盟を結びませんか?」
言いたいことは分かる。確かにあんな飛ぶ斬撃連発されたらいくらキリトとてひとたまりも無い。回数が限定されるなら、仲間を増やし、確実に屠れる時に確実に振り下ろしたい致命の刃だ。
「なるほどな......だがなぜ俺なんだ?俺はお前を知らないし、お前も俺を知らないはずだ。名前はサテライト・スキャンで確認したんだろうが......そのご自慢の目でもプレイスタイルやプレイスキルまでは見抜けないだろ?」
「確かにその通りです。私は貴方がどんな武器を使い、どんな戦い方をするのか分かりません。ですが仲間は多いに越したことはありません。そうは思いませんか?光剣を使う近距離タイプでも、レーザーショットガンを使う中距離タイプでも、チャージライフルを使う遠距離タイプでも、仲間に居れば心強い物です。プレイスキルに関しては問題ありません。ここはB.o.B本戦。予選6回戦を少なくとも5連勝してきた方々しかおりませんから」
つらつらと自分の作戦をまくし立てるエンフォーサー。キリトは目を瞑り胸に手を当てるエンフォーサーを見ながら、思案する。
「そうか......そうだな......ご尤もだ」
事実、キリトはこの提案を受けるべきなのだろう。目の前の奴が死銃本人ではないだろうが、死銃の手先かもしれない可能性を考慮しても、メリットは大きい。キリトの場合死銃さえどうにか出来ればいいだけで、最悪エンフォーサーに裏切られても問題は無いのだ。
「そうでしょう?ですから、貴方も私と一緒に......」
しかし
「だが断る。」
キリトは光剣を掴み刀身を出した。
頷かなかった理由はいくつかある。
ひとつは、先程も言った「死銃の手先」である可能性。キリトとという名前に反応して、監視する為に送られてきたとしても不思議では無い。何より......死銃、
それにまだある。
もしエンフォーサーが死銃の手先ではなく、純粋に勝利を掴み取る「1プレイヤー」であったとして、先程「最悪エンフォーサーに裏切られても問題は無い」と言ったが、それは「死銃との問題」が解決した後の事になる。死銃をどうこうする前に裏切られ殺された日には、遥々来た意味がなくなってしまう。
理由はまだある。
死銃が誰かを害する時や、死銃本人と対峙する時、逆に同盟相手のエンフォーサーが邪魔になる可能性が高い。別にプレイスキルを疑っている訳では無いのだ。ただ、1人のプレイヤー相手に本気の共闘をするなら、アスナのような心の知れた相手ではないと本気を出しにくい。キリトはあくまで「ソロ」プレイヤーなのだ。
そう思い、光剣を構えエンフォーサーと対峙する。辛い戦いになるだろう。激しい戦いになるだろう。相手は遠距離ビームライフルに飛ぶ斬撃使い。対してこちらはメインウェポンは1m程の刃しかない光剣1つ。ファイブセブンは頼りにしていない。
そう思っていると、わなわなと手をふるわせ、左手の刃でキリトの握る光剣を指差す。
「それは............光剣......ですか?」
まるで信じられない。と言った顔でキリトを見つめるエンフォーサー。キリトは警戒しながらも問に答える。
「そうだが......」
「それだけで本戦に?」
「殆どは......」
「それだけで?」
「何度も聞くな。なんなんだ。」
「............」
黙り込むエンフォーサー。警戒は辞めないキリト。頓着状態が続く。先手必勝か、と思い腰のファイブセブンに手を伸ばしたキリトが......
「素晴らしいッッッッ!!!」
「............はぁ?」
本気の「はぁ?」である。エンフォーサーは膝から崩れ落ちて、四つん這いになる。今なら隙だらけだ。殺してくれと言っているようなもの。
「おぉ......おぉ!!!私以外にも!エネルギー武器をッッ!!その可能性を信じた者が居たのですねッッッ!!!」
「............」
いやーそんな事ないっすよ。たまたま、本当にたまたま、剣が光剣しか無かっただけで。
とはいえず。
「すみません......謝罪させてください。私は貴方に嘘をつきました。同盟など仮初......背中を見せれば直ぐにCoral48で体を真っ二つにする気でした......灰と銃に取り憑かれた者にはお似合いだ。と...... 」
つらつらと勝手に懺悔を始める始末。もうキリトには何が何だか分からない。チャージライフルも地面に置き、自分で壊した女神像に対し祈っている。
「神よ......エネルギーの神よ......GGOにおいて淘汰されしエネルギー武器使いはまだ居たのですね......救いはあった......」
VRゲーム独特の過剰表現により、大粒の涙をドバドバと流しながら祈るエンフォーサー。なんだこれは。キリトはとりあえずエネルギー節約の為光剣をしまった。
「グスッ......おぉ同志よ。すまなかった......お前も私と同じなのだな......しかし、同盟が出来ぬことも事実......誓いましょう!最後!このB.o.Bの頂点に立つのは、エネルギー使いの私か貴方だと!そして最後、ぶつかる斬撃、有終の美......美しい......今から胸が踊ります。」
チャージライフルを持ち、すくっと立ち上がると、パンパンと無いはずの埃を払う仕草をする。もう既に涙は流していなかった。
「それでは、私はこれにてお暇させて頂きます。最終決戦で、また会いましょう。」
そう言って、エンフォーサーは笑顔で立ち去る。
キリトはただぼうっとし、
「(ファイブセブン......出さなくてよかった......)」
自分が普通に実弾も使うタイプだと知られなくて本当に良かったと思うのであった。
エンフォーサーの右手武器はAPEXのチャージライフル。
左手武器はAC6のムーンライト(月光剣)みたいなもんだと思ってください。
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朝田詩乃とB.o.B本戦Part3
GGO編の黒幕(敵役)です。
なんかゲーム内で特定の銃で特定の人を撃ったら撃たれたプレイヤーが本当に死ぬ特性を持ってます。
イーーーーーーーージョウッッ!!!!ハッッッッ!!!!!
ちなみに特性が「がんじょう」だったり持ち物にハチマキを持っていたりしたら1回は耐えられます(大嘘)
殆ど説明回。
「(見付けた......が......)」
左手が指し示す時間は開始29分時点。第2回サテライト・スキャンまで後1分。巨大建造物(神殿か?)から出てくるキリトくんを発見した俺は、何とか接触を試みる。
「(なんと言って話しかけるか......「やぁキリトくん!偶然だねぇ。良かったら手を組まない?」なんて言っても、偶然なわけない事なんですぐバレるだろうしなぁ......14分で一直線にキリトくんの所来た訳だし)」
この時、辛くもキリトとシュウの思惑は一致していた。
キリトは「死銃を倒したい」
シュウも「死銃を倒したい」
実の所シュウの懸念は杞憂で、キリトはシュウかシノンを探して、とりあえず近いシュウの方向に歩を進めていた所なのだ。かといって手を組む「きっかけ」が両者にはない。シュウは(表面上は)死銃なんて噂でしか知らないレベルだし、キリトも死銃に関してリアルで巻き込むまいと詳細を説明する事は出来なかった。
「(何かきっかけを......いや、待てよ)」
その時、シュウに電流走る。
「(キリトくんは死銃を倒す為にB.o.Bに来た。俺も愛するGGOとシノンちゃんの為にみすみす死者を出すまいと首を突っ込んだ。原作を知っていながらこれ以上誰かを死の運命のまま放置することなんて出来ない......キリトくんから見たら俺は「怪しい」だろう。死銃の手先という意味ではなく、単純な信頼関係の不足だ。俺とキリトくんはまだ知り合って日が浅い。そんな俺がノコノコ出ていってキリトくんに信用してもらえるか......なんて、俺らしくないし、キリトくんらしくないか)」
「キリトくん」
「ッ!?」
神殿外の外柱から身を出し、キリトくんの前に姿を現す俺。
「やぁ、キリトくん」
「......よぉ、シュウ(どうする......確かにシュウは完全白側の人間だ。仲間にするにも申し分ない実力がある。それは俺自身が体験している......だがシュウはどうだ。俺の「本当の目的」を伝え協力を請うか?いやしかし、シュウは純粋なGGOプレイヤー。俺の事情に巻き込むのは忍びないし、なにより信じてもらえるか......いや待てよ。何故シュウは俺に声をかけた?予選でシュウに俺のプレイスタイルや強さは理解されているはず......なら態々声をかけずに先手を取ればいい。何故だ......?まさか俺と同じで死銃を止めに?いや、死銃は噂程度しか知らないはず。死銃が「本物」なんて......)」
「色々考えてるね」
臨戦態勢で長考するキリトくんに対し、俺は降伏宣言をするように両手をあげる。
「手を組もうじゃないか」
「......何?」
「僕とシノンちゃんは「ガチ」で殺り合う約束をしたんだ......キリトくんには言ってないけどね。率直に言えば手を貸して欲しい。」
「そんな痴情のもつれに俺を巻き込むのか?」
「キリトくんにも有益な話だ。僕は対シノンちゃん用に決戦兵器キリトくんを手に入れる。キリトくんは優勝の為に僕を利用する......win-winだろ?」
俺はこう考えた。あくまでも「ゲーマー」目線で同盟を結ぼうとする。そして恐らく次のキリトくんの答えは......
「悪いが、優勝には......さほど興味は無い。俺の目的は別にある」
そら来た。
俺は少なくとも表向き「死銃」の情報はない。ならばキリトくんに自白させればいい。キリトくんは俺を「単純に優勝を狙うGGOプレイヤー」と見えるだろう。本来の目的は同じだが、キリトくん目線から見れば俺は完全なる部外者。「死銃」の脅威を知らないGGOのトッププレイヤーとしか見ていない。
「それは......どういう事だ?」
「............説明すれば信じてくれるか?」
「内容によるな。何にせよ、助力は願いたいが......っと。その前に、第2回サテライト・スキャンが始まる。お互いそれを見よう。話は後にしてくれ」
「あぁ」
時間を忘れていた。時計を見れば開始30分丁度。サテライト・スキャン端末を取り出せば、同じく北側からスキャンが始まる。
「俺、キリトくん......エンフォーサー?近いな。なんであいつが......」
「なぁ」
サテライト・スキャンを見ながら、キリトくんが俺に話しかける。スタスタと無防備に端末を凝視しながら俺の腰掛ける柱まで来て、隣に座る。
「今、このプレイヤーの中で、お前の「知らない」プレイヤーは誰だ?生死は問わない」
恐らく死銃のあぶり出しの為なのだろう。それは俺も知りたい。「死銃」の名は覚えていても、ゲーム内でどのような名前だったかまでは覚えていないのだ。とはいえ......
「なぜそんな事を?」
「いいから教えてくれ。説明は後でする」
何処か焦ったように端末の画面を俺の顔面の前に押し付けるように見せるキリトくん。同じ端末持ってるつーのと思いながら、プレイヤー一覧を見る。
「まぁ俺も顔が広い訳じゃない。流石に全員は知らないが......そうだな。「知らないし聞いたことも見たこともない」のは......《Sterben》......スティーブンか?ドイツ語ならステルベンだな。他には《rurunbo》......《death13》......くらいか。この《銃士X》って奴も知らなかったが、俺がもう殺した。マスケティアイクスって名前らしい」
「殺した!?どんなヤツだった!?」
キリトくんの剣幕に少し驚く。
「お、おぉ......まぁ落ち着け。銀髪ロングの女だったな。スナイパーだ。」
「女か......なら違うか......?」
死銃はどいつだったか......スティーブン(ステルベン?)か、ルルンドか、デス13か......
「このルルンドってやつは最初キリトくんの近くにいたな。まだ生きてる。今は離れているようだが......ん?今も動いてるな。南側に少しづつ移動してる。俺もすれ違ったか?」
マップに生きてるプレイヤーはもう半数が死亡していた。この15分で死者がどっと加速したらしい。ちなみにスティーブンとルルンドとデス13以外は知ってるか聞いた事のあるやつばかりだ。
「そうか......わかった(ならルルンドは白か?何処か特定のプレイヤーに向かったり、特定の場所に向かっている訳でもない......むしろ逃げている?どんどん南側に進んでいるな......俺とシュウが同じ場所にいる事で恐らく同盟......はまだ結んでないが、実質停戦状態なのは全プレイヤーに周知された事だろう。ルルンドは俺の名前は知らないはず。無意味にスキャン中に動き回る理由は......)」
「このルルンドって奴、何かから逃げてるな」
「恐らく、俺達だろう。単純に多対1を恐れているか、シュウの名を見て逃げたか......ルルンドの向かう先には誰も居ない。死体だけだ。」
そう言って、サテライト・スキャン端末を弄るキリトくん。俺も自分の端末を見ながら、シノンちゃんの位置を把握する。
「おい......お前の女神様、俺達の方向に直行だぜ」
「えぇ?」
そう聞かれ、こちらに少しづつ動いているマーカーをタップすると、《Sinon》の文字が。どうやらご立腹らしい。俺とキリトくんが手を組んだのがそんなに許せんのか。そうかそうか。愛い奴め。
そんなことを考えていると、スキャンが終わり、マーカーが消えていく。
「あっ......まだ見たかったのに」
そういうキリトくんに、
「知らねーの?ここ押しゃ前のスキャン結果見れるぜ。ちなみに第1回の方もな」
端末横のボタンを押すと、再度画面にスキャン結果が表示される。もう一度押すと、先程見た第2回サテライト・スキャン結果が表示された。当たり前だが既にルルンドもシノンちゃんも動きは止めていた。いや、正確には動いているのだろうが、「最終結果」しか表示してくれない特性上、今移動しているのかはわかないだけだが......
「そ、そうか。ありがと......う?」
端末を見ながら、違和感に気付いたようなキリトくん。どうした?
「どうした?」
「いや......なんか、少なくないか?」
「あぁ、そういう事ね。サテライト・スキャンは水の中とか、洞窟の中とかのプレイヤーは表示されないんよ。ビルとか家とかなら中にいても表示してくれるけどね。設定的には空の遥か彼方にある衛星が生体反応を空からスキャンしてる、だからな。電気を通さない洞窟や分散する水の中なんかはスキャンしてくれないんだ。逆に、スキャン中にスキャン範囲内に居なきゃ、結果を受信できないんだけどな。恐らくそういった所に隠れてる奴らが一定数居るんだろ。プレイヤー一覧に名前は隠せんがな」
これは第1回、第2回B.o.Bでも同様だった。俺は出場してないが、第3回B.o.Bに出るにあたって、情報収集しているうちに知った事だ。ちなみに情報源のサトライザーは洞窟やらなんやらで徹底的に姿を終盤まで隠し、俺のように見敵必殺かつ売られた喧嘩は買うスタイルで全滅させたらしい。ある程度暴れてからスキャンに映り、最後の敵を殺した......と言っていた。
「そうなのか......」
「そ。んで、話って何さ。優勝以外の目的って?」
「あぁ、それは......」
そしてキリトくんは、自分が「死銃」という存在についてとある人に調査依頼を出された事、今回のB.o.Bもその一環である事、俺にはその「死銃」についての調査を手伝って欲しい事を話された。
「死銃なら俺も知ってる。噂程度にはな。あの薄塩たらことゼクシードが撃たれて、それ以降ログインしてないとか......」
「その2人なら、既に死亡が確認されている」
「何?」
薄塩たらことゼクシードに俺は接点はない。ゼクシードは嘘の提唱をした筈の俺の
「なら噂は本当なのか?あの......撃たれたら「死ぬ」......っていうのは」
「............本当だ。方法は分からないが、両者ともリアルで不審死を遂げてる」
「お前はなんでそんな事を知ってるんだ?」
「さっきとある人に依頼されて調べてるって言っただろ。その人の情報だ。信じていい......と、思う」
「おいおい......当のお前が「と、思う」なんて程度の信用度で俺に信じろってか?」
「バーチャルな関係じゃなくリアルでの関係だ。少なくとも、俺は信じてる。だから来た(昔の因縁もあるしな......)」
「そうか......」
キリトくんが話してくれた事は、概ね原作と同じ内容だった。死銃はSAO編で悪事を大盤振る舞いした
ちなみに俺の言った「対シノンちゃん決戦兵器」は嘘だ。口から出た出まかせである。シノンちゃんに勝ちたいのは事実だし、俺はともかくシノンちゃんが死銃の......新川恭二の毒牙にかからない為、速やかにご退場願いたい。今は大半が電子ロックだが、原作死銃はそんな事お構い無しに家に侵入し、対象を薬で殺していた。今からどうこう出来ることじゃない。住所も既に新川恭二にバレているし......
「(もし新川くんに何かしら心境の変化があって、俺達を殺さない方向に進めていたとしても、死銃本人とラフコフ達はお構い無しに殺しにくるだろう......そうか。そうだな。確か手口は......透明マント的な物を被って、総督府でGGO参加時に入力される個人情報で家を特て............)」
あっ、これ俺やってるやん。もし新川恭二が改心してたとしても、ラフコフ残党に俺の家バレてるやん。終わった......
いやまぁ、新川恭二が改心してない可能性の方が高いだろう。新川恭二本人は......やらされていたか率先してやっていたかは忘れたが、参加していた事は覚えている。今でもあの「アサダサンアサダサン」シーンは記憶に残ってる......
「まぁとりあえず、お前の言い分は分かった。良いだろう。協力してやる」
「本当か?死銃に殺されるかもしれないんだぞ?」
「......それでもだ。愛するGGOで死者はこれ以上出したくない。それに......」
「............それに?」
「事件」の事がフラッシュバックする。
当時の俺の無力さ。シノンちゃんの......誌乃ちゃんの心の傷。想い。そして......俺の頬に、未だに残る傷。
俺はともかく、これ以上誌乃ちゃんの心と身体を傷付けるのは御免だ。
俺は言葉通り、誌乃ちゃんの為に、誌乃ちゃんの為だけに、この
「......いや、忘れてくれ。もし全部が終わって、誰も死ななかったら、また話そう」
「......わかった。」
何かを察したのか、俺の目を見てそう呟くキリトくん。こういう時SAOサバイバーであるキリトくんの洞察力というか、観察力というか......そういう物に救われるな。
「それならまずこれからどうするか、それを話そう」
「乗り掛かった......いや、乗った船だ。俺の女神様の命が危ねーってんなら、救うのが道理だな」
対死銃用作戦ミーティング開始。
「これ以上誰かを死の運命のまま放置することなんて出来ない」とシュウの発言ですが、「事件」での郵便局員の事や、薄塩たらこ、ゼクシードの事を思い出してます。
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