Fate/Grand HERO (雪風冬人 弐式)
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プロローグ
200x年。人類は未知のウイルス、バグスターウイルスによる、後にゼロデイと呼ばれる世界を震撼させたパンデミックに突如見舞われた。
人間に感染できるように進化を遂げたコンピュータウイルス、それがバグスターウイルスの正体であり、人類に成す術はなかった。
誰もが絶望して諦めかけたその時、四人の医師が立ち上がった。
「患者の運命は、俺が変える!」「これより、バグスター切除手術を開始する」「バグスターをぶっ潰すのは、俺達だ」「ノリノリで、行っちゃうぜ!」
『マイティアクションX!』『タドルクエスト!』『バンバンシューティング!』『爆走バイク!』
「「「「変身!」」」」
そして、彼等はとある地方都市で囁かれる都市伝説からこう呼ばれた。内に秘めた激情を仮面で隠し、人類の自由と平和の為に戦う戦士、”仮面ライダー”と。
時は流れ、人々の記憶からゼロデイは薄れていく中で一人だけ、当時を克明に覚えている者がいた。その彼の名は、霧野エイト。
ゼロデイにより両親を失い、仮面ライダー達に生きる希望をもらった少年であった。
エイトは、仮面ライダーに憧れ彼等の活動を支援する為に猛勉強し、バグスターウイルスに対抗する為に衛生省が設置した電脳救命センター、通称CRに念願の配属となった。
そして、再び活動を活性化したバグスターが引き起こした事件が沈静化すると、エイトはその功績を認められてCRから国連承認の人理継続保障機関、カルデアへの転属を命じられる。
驚くべきことに、カルデアとは人間という種族が絶滅することを防ぐべくして創設された組織であった。
カルデアへと転属となったエイトは、ロマニ・アーキマン率いる医療スタッフの一員となり現在は活動しているのであった。
「何書いてるんだ、武蔵?」
所謂ナース服を着た、灰色の髪を何処となく手裏剣に似た髪留めで結っている武蔵と呼ばれた女性に、白衣の下にデフォルメされたゲームキャラがプリントされた服を着た青年が呼びかける。
「ああ、エイト。あなたの分の報告書よ。衛生省から依頼されているでしょ?」
「確かに。でも、何も俺の分まで」
「いいのよ。これも助手の仕事です。先生は、患者の治療に専念してもらわないとね」
医務室に穏やかな空気が流れた時、突然二人の首から下げたいた聴診器からアラームが鳴り響く。
『二人共!休憩中に申し訳ない!』
「大丈夫です。それより、患者は?」
『今そちらに搬送中だ。感染場所は管制室。マスター候補生の一人が、バグスターウイルスにメインコンピュータが感染しないよう、設置していた隔離用のパソコンに不用意に触れて感染した!』
「了解。ただちに、オペ室へ向かいます!武蔵、行くぞ」
「ええ!」
通信を切ると、エイトと呼ばれた青年は白衣を翻して医務室を飛び出す。それに釣られて、武蔵も後を追って駆ける。
「クソクソクソッ!!下賤な科学如きにぃ!」
「はーい。オペを始めるんで、麻酔を打ちますねー」
「ま、待て看護師!貴様は何故、拳を握って振り被っている!?」
「麻酔(物理)、ですので」
「ゴフゥウ!?」
手術室に着くと、ベッドに固定されながらも喚いていた患者を、武蔵がニコやかな笑みを浮かべながら麻酔(物理)を施す。
「ロマニさん!」
『オペ室の施錠及び、付近の隔離は完了した。いつでも初めて!』
「了解。これより、バグスター切除手術を開始する」
オペの準備が整った事を確認したエイトと武蔵は、バックルを取り出して腰に当てるとベルトが自動で巻かれて装着される。
そして、二人はゲームカセットのようなユニット、ライダーガシャットを取り出して起動する。
『マイティアクションX!』『ハリケーンニンジャ!』
二人の背後にそれぞれのゲームを象徴する映像が現れると同時に、ガシャットをドライバーに装填する。
「「変身!」」
『『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?I'm a カメンライダー!』』
「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」
「シナリオを決めるのは、私達よ!」
仮面ライダーの物語が始まる。
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