超能力でいく!僕のヒーローアカデミア (羽柴光秀)
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雄英高校 入学試験スタート!
プロローグ


 私の名前は六覚兵葉(ろっかくひとよ)、転生者だよ☆……おぇキャラじゃなかった。

 

 神様―――というよりは天使?―――のミスで車に突っ込まれて呆気なく死亡した漫画大好きな高校生だ。

 享年16歳でまだまだやりたい事とか……は、特になかったな。強いて言うなら「漫画読みたい」だけど、今世にもあるしな。うわぁ改めて考えると凹む。

 本来の寿命はまだまだ残ってたからお詫びに特典(チート)を貰って転生することになった。

 チートがあれば来世は順分満帆だなぁって転生直前までは思ってましたよ、えぇ。その時の私に言ってやりたい……平穏な未来なんてなかったんや!!

 

 3歳の頃に記憶が戻った時は、蘇った記憶とそれに付随して判明したまさかの漫画時空への転生で愕然としたよ。しても精々ファンタジーなRPGっぽい世界だと思ってたからね!よりにもよって漫画時空!こういうのって一般人とか逆に巻き込まれて危ないパターンが多いじゃん!

 しかも空想(フィクション)みたいな力が個性と呼ばれてるって、全世界の約80%が個性を持ってるって……|思いっきり『僕のヒーローアカデミア』じゃねぇか!ヴィラン滅べ!

 ―――ゴホンゴホン、おっと思わず言葉遣いが乱れてしまいました。

 

 そんな私のチートは超能力。しかも見た目的にも能力的にもあの兵部京介風!“風”なのは性別の違いね。

 実は前世で兵部京介が大好きでして、よくロリコンやら変態、じじいと呼んで笑わせてもらってました。椎名先生、まじ至高(リスペクト)

 成りたいとは微塵も思ってなかったけど、特典に超能力(兵部京介)って望んだらまさかの容姿まで兵部京介。性別女のままでよかったよ。男だったらリアルにロリコンじじいだった、見た目的に。

 

 だから転生した家族はなんていうか、個性が一般的になる前からSFチックな一族だったわけで。「え、これ狙われるフラグ?」ってガクブルしたよ。ちゃんと一族の家訓に「超能力は秘匿すべし」っていう文言があったから安心したけど。

 それぞれの超能力を個性として扱うってことで、私も対外的には“鍛冶師(ブラックスミス)”っていう個性だと偽称してる。

 

 希望したチートも矛盾なく受け入れられて安堵していたら、次は“超能力の暴走”という大事件が起きた。

 これはヤバいと思ったけど暴走しない為にリミッターを作ってくれたり、暴走して混乱した私を元気付けてくれたりと、今世の家族を改めて()()なんだと実感した出来事でもあった。

 その後も相棒―――人にあらず―――や転生仲間が出来たり、原作キャラと幼馴染になったり、漫画時空だったこと以外は順風満帆に成長してきた。前世の記憶がある分、学校の勉強とかは凄く楽だったしね。

 

 そして(つい)に―――――

 

 

「ひとよー準備できたの?もう二人とも先行っちゃったわよー」

 

「はーい、今から出る」

 

 母の言葉にリュックを背負い、リミッターであるリストバンドを調整しながら玄関へ向かう。

 

「気を付けてね!入試頑張るのよ!」

 

「うん、頑張ります!」

 

 靴を履いて立ち上がる。母の応援に答え、玄関から飛び出した。

 

 

 ―――――今日は雄英高校ヒーロー科の入試、ヒーローへの第一歩を踏み出す日だ!

 

 

 

 




主人公の容姿は少年時代の兵部京介似です。
気になる方はこちらをどうぞ!

http://unlimited-zc.jp/character/index.html


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入試 ※1

 ここは雄英高校、正門前。

 会場でじっと待つのが嫌で家を遅めに出たから只今の時刻は8時10分。時間的には結構ぎりぎりだね。もしかしたら主人公に会えるかもしれないなぁ。

 

 キョロキョロするのはなんか格好悪いかなと、気になるけど前を見て校舎の方に歩いていく。

 

 うわぁ学校でか!見た目テレビ局のビルみたいだし、高校の校舎には全く見えないな。

 

「どけデク!!」

「かっちゃん!」

 

 おっ主人公と爆発君じゃん。いい具合に確執ってるねぇ。青春、青春。

 

 爆発君の荒々しい声で二人を発見した。流石にここでは喧嘩を吹っ掛けたりしないみたいだ。あと主人公ビビり過ぎな。足ガクガクになってる。

 

 あっこけ……なかった。見てて心臓に悪いねぇ。そしてうらちゃん優しい。

 

「お互い頑張ろう!……あっひとよおはよー!なんか緊張するね!」

 

「うらちゃんおはよ。こんな時こそ平常心だぜ、平常心」

 

「だぜって!ひとよも変になってるよ」

 

「うっぷす、これは失敗」

 

 うん、うらちゃんこと麗日お茶子ちゃんとは幼馴染みです、どやぁ。ご近所さんで幼稚園からの親友なんだよ。初顔合わせの時に名前を聞いて驚いたね。まさかの原作ヒロイン!?まじか!って大分テンション上がったから、最初は不思議がられてたなぁ。

 

「今日はしゅうちゃんと一緒じゃないの?」

 

「やーさんは遅れるの嫌だからって早めに出たんだよ」

 

 うらちゃんが言ったしゅうちゃんとは、フルネームで降屋宿人。うらちゃんがファースト幼馴染みだとすると、セカンド幼馴染みにあたる奴だ。そして同じ転生者でもある。

 初対面でうらちゃんにアタフタしてたから、これは!ってすぐに分かったね。ちなみに原作を変えたくない!ってフェードアウトするつもりだったのを、うらちゃん自慢で雄英受験に巻き込みました。いやだって子供のうらちゃん可愛すぎてさ、過保護一直線になるしかないじゃん。

 

 

 

 雄英高校 講堂

 

「今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディヘイセイ!!!」

 

「ヨーコソー!」

 

「リスナーは受験番号2498番だけかあ!?こいつあシヴィー!

 受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

 

「イェヤー!」

 

「2498番はレスポンスサンキューだぜ!さて、入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の“模擬市街地演習”を行おこなってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!オーケー!?」

 

「オーケー!」

 

 ふっこれでミッションは終わりだな。

 

「終わってねぇよ!俺の横で目立つな!!」

 

 この男こそやーさんこと、降屋宿人。目立つのが大嫌いなシャイボーイである。

 

「心読むなよー。仕方ないだろ、プレゼント・マイクのライヴだったんだから」

 

「あほ!ライヴの前にこれは入試ガイダンスなんだよ!真面目にやれ!」

 

「まあまあプレゼント・マイクさんも嬉しそうにしてるし、しゅうちゃん落ち着いて」

 

「……分かったよ」

 

「真面目にやりまーす」

 

 これは転生者だからこそノるべきだったのにさぁ。つまんなーい。

 

「やっぱり会場は離れるのか」

 

「受験番号連番だからねぇ」

 

「少しガックリだね」

 

「うらちゃん……!私もうらちゃんと一緒がよかったよ!」

 

「だから真面目にやれと」

 

「はーい」

 

 いいじゃん、自分もうらちゃんと一緒の方が良かった癖に。目が笑ってないの自覚しろよなー。

 

 小声でわちゃわちゃしていると、我らが飯田委員長が質問する場面だった。真っ直ぐに伸びる手が眩しいねぇ。

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

「!」

 

「プリントには()()の敵ヴィランが記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

 おまっまじか!仮にもプロヒーローに対してその言い方はないだろうに。初期飯田まじやべぇ。

 

 紙面で見てたらさらっと流してしまうけど、現実に教師でもあるプレゼント・マイクにあの言い方は失礼極まりない。

 

「ついでにそこの縮毛の君!先程からボソボソと……気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻雄英ここから去りたまえ!受験番号2498番の君も!入試説明では静かにしたまえ!」

 

 えっ私もかよ!原作と違うくね!?

 

 原作通り主人公が注意―――いちゃもんに近い気もするが、されたと思ったら私も注意された。

 

「そうそうに原作と違ってくるなんて……やっぱりミスったか」

 

「もう今更でしょ、それより初期飯田ムカつくわー」

 

 腹立つけど(のち)を考えると悪印象を与えることは出来ないし。モヤモヤする!

 

 やーさんの後悔は時すでに遅し、うらちゃんと一緒に高校生活を送りたい私たちにはわざと落ちるなど出来はしない。それよりも初期飯田は全方位に喧嘩売ってるよね!ムッかー!

 

「オーケーオーケー!受験番号7111くんナイスなお便りサンキューな!四種目の(ヴィラン)(ゼロ)(ポイント)!そいつは言わばお邪魔虫!スーパー◯リオブラザーズやったことあるか?レトロゲーの。あれのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体!所狭しと大暴れしている“ギミック”よ!」

 

「なるほど、避けて通るステージギミックか」

「まんまゲームみたいな話だぜ、こりゃ」

 

「有難う御座います。失礼致しました!」

 

 スパマリがレトロゲー扱いかぁ。こういう時に世界が違うって実感するな……

 

 なんとなく複雑な気持ちになっていると、隣のやーさんが肩にポンっと手を置いてきた。

 

「感傷に浸ってる暇なんてないぞ」

 

「……分かってるよ、ありがとやーさん」

 

 転生してきたのが自分一人じゃなくて良かった。久しぶりにそう実感した。

 

 

「―――俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校"校訓"をプレゼントしよう」

 

「「「!」」」

 

「かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!」

 

「"Plus(更に) Ultra(向こうへ)"!!」

 

「それでは皆良い受難を!!」

 

 

 

 

 



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入試 ※2

 模擬市街地入り口 Gグループ

 

「門でか!おぉ自動で開いていく」

 

 雄英は設備に金かけてるねぇ。どっから出てるんだか。まあ私には関係ないや。準備しとこう。

 

 いつでもスタートできるように入り口近くに立ち、リミッターである両手首のリストバンドに触れる。確実に受かる為には70%は必要かな。

 

 

『ハイスタートー!』

 

 よっし、まずはダッシュ!自分から街を壊したらダメだろうし、仮想敵を見つけるまではただ走る!

 

「「「ん??」」」

 

 一足先に走り出した私を見ている受験生たちは固まったまま。このグループだと実技は楽勝かな!

 

『どうしたあ?!実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!』

 

『賽は投げられてんぞ!!?』

 

 その声に慌てて受験生たちが一斉に走り出した。()()()()()()()よかった!皆と同じまではいかなくとも乗り遅れてただろうからね。プレゼント・マイクも人が悪いな、ハッハッハ。

 

 

【標的捕捉!!ブッ殺ス!!】

 

 早速街を破壊しながら仮想敵が出てきた。待ってましたー!

 

「攻撃形態、(ソード)Ver.瓦礫!マジックハンド掴め!」

 

 技名を叫びながら右手を上げる。すると仮想敵に破壊されたビルの瓦礫が2mほどの剣を形作り、それを()()()が掴んだ。自分の右手にも瓦礫で出来た棒が出現する。

 

【ブッ殺ブッ殺】

 

「おめーそれNGワードだからね!?」

 

 ブッ殺とかなに言っちゃってんの!?この機械ひどすぎる!

 

 これは早く黙らせないと精神的ダメージがレッドゲージまったなしだ、と右手の棒を下ろす。連動するように見えない()()()も剣を仮想敵に向かって振り下ろした。

 剣と言えども原料は瓦礫。仮想敵は押し潰されバラバラに壊れた。

 

「これは二刀流でロマン一択だな!」

 

 人生初の本格的な個性の使用にテンションが上がって、左手を上げ壊した仮想敵で剣をもう一本作った。左手に鉄の棒が出現する。

 

「Ver.鉄で破壊力も倍!倍々だー!」

 

 ヒャッホーっと両手の棒を振り回して、仮想敵をサーチ&デストロイしていく。連続した破砕音が模擬市街地の路地に響くのであった、マル。

 

 

「これで何ポイントだっけ?」

 

 二刀流で仮想敵を壊しまくったので、()()()が持っている剣は4つに増えていた。一本一本の密度も強化された(ソード)ならぬ、スーパー(ソード)だ!

 

「合格圏内なのは確実だなー」

 

 だって20台は壊してるもの。敵を倒すほどに強くなる武器、ロマンだな!

 いやぁでも予想以上に敵が脆い、脆い。こりゃ楽勝ですな。やーさんとか機械だし雷様でも降ろしてそう。

 

「あ、雷落ちた」

 

 やっぱりねぇ。あっちなみに今ビルの屋上にいます。

 

「あと3分くらいだし寝転がってよ。マジックハンド、敵を壊してこい」

 

 ()()()に命令を下し頭の下で手を組んで横になる。これであとは寝転んでるだけで合格かな。サボりじゃないよ?(ゼロ)(ポイント)(ヴィラン)が出てくるまで体力回復さ。

 

 

「限られた時間と広大な敷地、そこからあぶり出されるのさ」

 

「状況をいち早く把握する為の()()()

「遅れて登場じゃ話にならない()()()

「どんな状況でも冷静でいられるか()()()

「そして純然たる()()()

 

「市井の平和を守る為の()()能力がP数という形でね」

 

「今年はなかなか豊作じゃない?」

「いやーまだわからんよ」

「なんか寝てる奴いねぇか?」

「真価が問われるのはこれからさ!!」

 

「それじゃポチっと」

所狭しと大暴れしているギミックよ!

(((デカすぎない!?)))

「圧倒的脅威―――それを目の前にした人間の行動は正直さ」

 

 

「おーやっと出た、よっこいしょっと」

 

 (ゼロ)P敵がビルを派手に破壊しながら出現した。おぉ屋上から見てもでかいですな。これは剣も一本にして強大にすべきかなぁ。念の為にリミッターを80%まで緩める。

 

(ソード)強化!マジックハンド、両手持ち!ギュっとな」

 

 この(あた)りの瓦礫や仮想敵の残骸、4つの剣も集まり15mほどの分厚い剣が形作られる。それを()()()が剣の柄に痕が残るほど力強く握った。自分も出現した棒を両手で強く握り、腰を落とし構えを取る。

 

 ここは五階建ての屋上だから(ゼロ)P敵がよく見えるなぁ。よし、マジックハンドを(ゼロ)P敵に近付けてっと。

 

「……いくぞ、はぁぁぁあ!!」

 

 溜めた力を開放し全力で振り下ろす!()()()(ゼロ)P敵に剣を振り下ろし、(ゼロ)P敵はドッガァンっと大きな破砕音を立てながら崩れ去った。

 

「よっし完璧!」

 

 手に持っていた棒を下に落とし、リミッターをかけ直す。すると(ゼロ)P敵を壊した剣も残骸の上に崩れていった。

 

『終了~~~!!!』

 

「おや終わった。ほんじゃ入り口に戻りますか」

 

 いやぁ今夜はぐっすり寝れそうだ!合格通知くるまでゲーム三昧とかいいかもな。合格は確実だろうし、うらちゃんとやーさんも誘って明日から遊びまくるぞ!

 

 浮かれながら足元に置いておいた瓦礫で出来たボードに乗り入り口まで向かった。

 

 

 

 

 



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入試 ※3

 ここは雄英高校入試試験の審査員が集まる会議室。

 今回の試験結果を話し合っていた。

 

「―――実技総合成績出ました」

 

「一位は脅威の100点超えかあ!」

敵P(ヴィランポイント)が二位と僅差だ」

「そんな中救助P(レスキューポイント)も30P以上獲得しているとは素晴らしい!」

()()も倒してたし超新星(スーパールーキー)現る、だな!」

 

「二位も負けてないぞ!」

「救助P(ゼロ)で二位とはなあ!」

「後半、他が鈍っていく中、派手な"個性"で寄せつけ迎撃し続けたタフネスの賜物だ」

 

「対照的に敵P(ゼロ)で9位」

「この子も()()を倒したのか」

()()に立ち向かったのは過去にもいたけど……ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」

「しかし自身の衝撃で甚大な負傷……まるで発現したての幼児だ」

「妙な奴だよ。あそこ以外は典型的な不合格者だった」

「細けえことはいいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!!」

「YEAH!って言っちゃったしな―――」

 

(………ったく、わいわいと)

 

 

 

 

 

 ―――1週間後 主人公宅

 

 筆記試験は自己採点で合格ラインを超えてた。実技の方も敵P(ヴィランポイント)だけで70Pは確実、救助P(レスキューポイント)も合わせると爆発君が原作通りだとしたら首席で入学もあり得るかもしれない。―――やり過ぎたぁぁぁあ。敵Pをもう少し抑えるべきだった!いや(ゼロ)P敵を倒さない方がよかったのか!?うわぁどうしよ!

 

 ベットの上で頭を抱えて転げまわる。首席になるつもりはなかった筈なのに、本格的な個性の使用にテンションが上がって(ゼロ)P敵まで倒してしまったのだ。後悔先に立たずである。

 

 仕方ないかぁもう終わったことだし。あとは雄英からの通知を待つだけだもんな……

 

「ひとよー!今からポスト見に行こ!」

 

「了解!」

 

 うらちゃんの呼びかけに悩むのは一旦止めて、ベットから起き上がり玄関へダダダっと駆ける。玄関ではうらちゃんがすでに待っていた。

 

「しゅうちゃんはロビーで待ってるって」

 

「あ奴はお呼びでないのだがー」

 

「もう!そんなこと言わないの!」

 

 実はうらちゃんとやーさんと3人、入試後から同じマンションに住んでるんだよ。ヒーロー科にもし落ちても普通科の入試がまだあるから、東京のウィークリーマンションに最終試験まで仮住まいなんだよね。ヒーロー科に合格してたら親がこっちまで来て書類とか住居とか諸々決める手筈になってる。

 

「でもうらちゃんが直談判したのには驚いたな。頭もっさもさの地味め(くん)だっけ?」

 

 改めて言うとなんか……うらちゃんって天然?

 

「うん!プレゼント・マイクは分ける必要ないって言ってたけど……その人(ゼロ)Pみたいだったから」

 

「うぅん……敵P以外に選考基準があったりしてね。ヒーローにちなんで人助けポイントとか」

 

 うらちゃんが結構不安になってるから救助Pのことを(ほの)めかして元気付ける。

 

「そうかな……ううん、そうだといいね!」

 

「うん、うらちゃんは笑顔が素敵だね」

 

「やっだーひとよは気障なんだから」

 

 うらちゃんを茶化したら照れ隠しにバッチーンって背中を叩かれた。おふっ、うらちゃん力強いですね……ガクッ

 

 

「―――しっかりしろ」

 

 やーさん……!というかいつの間にロビーに着いてたんだ。手には雄英からの封筒持ってるし。意識が朦朧としていて記憶が……うっ

 

「なんか記憶が飛んでる」

 

「そ、そういうこともあるさ(お茶子の怪力の餌食にあったな……)」

 

「じゃあ私の部屋で一緒に見ようよ!」

 

「「りょーかい/分かった」」

 

 

 麗日宅

 

「よし封は切ったね。出すよ、せーのっ」

 

 掛け声に合わせて開封した封筒から一斉に書類を出す。

 

「……あれ?機械?二人も入ってるね。書類とか見ると合格だと思うけど」

 

 それぞれの封筒の中には入学に際しての書類と小型の機械が入っていた。原作でこの機械が合格を知らせるアイテムだと知っているが、うらちゃんもいるので不思議がるように演技する。

 

「なんだろ、これ?」

 

 取り敢えずなんなのか調べますよ、といった風に機械へと触れる。すると機械から光が溢れ、空中にスクリーンが浮かび上がった。

 

「うぇい!?」

 

『私が投影された!!!』

 

 いきなりスクリーンにオールマイトのどアップが投影された。うらちゃんとやーさん―――おめーは知ってるだろうに、も呆然とスクリーンに映るオールマイトを見ている。

 

「おぉこれは凄きことなりのー」

 

「お前混乱しすぎて言語がおかしくなってるぞ」

 

「まじなりか!?ゴホンゴホンっ、これ凄いな!……おっけ?」

 

「あぁ大丈夫だ」

 

「うん、元に戻ったね!」

 

「じゃあもう一回最初から見よっか。ポチっと」

 

 

『私が投影された!!!』

『今年から雄英に勤めることになったオールマイトだ!主に君たち一年生と共に授業をするからよろしくな!』

『さて君の筆記テストは……えーとっ“合格ラインだ”!実技は76P!凄いな!』

 

 オールマイトはポケットから小さな紙を取り出して読み始めた。

 ……おぉう、ここでもカンペあるのね。

 

『これだけでも十分合格だけど、先の入試!見ていたのは敵Pのみにあらず!!我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力、救助活動P(レスキューポイント)!しかも審査制!六覚兵葉、38P!文句なしの合格さ!』

 

「お前ちゃんと救助してたんだな……」

 

 やーさんの一言に思わず一時停止ボタンを押して言う。

 

「ちょい待て、やーさんの私に対する評価どんだけ低いだ!?」

 

「しゅうちゃん茶化さない!それにひとよも落ち着いて。オールマイトの話続きがあるみたいだよ」

 

「……はーい」

 

「すまん」

 

 うらちゃんの取成(とりな)しに渋々再生ボンタンを押す。しかし先程までの高揚感や感動は醒めてしまい、なんだかガックリとして机に顎を乗せてだらけた。

 

『来いよ六覚少女!雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!!』

 

「はーい行きますよー」

 

「こらしゅうちゃん、ひとよが拗ねちゃったじゃん!後でちゃんと謝りなよ!」

「……分かった」

 

 ―――うらちゃん、全部聞こえてるんだが……でも流石うらちゃん、優しい!

 

 うらちゃんが気遣ってくれてたので拗ねるのを止めて、他の書類を眺めながら親にポチポチとメールを打ち始める。

 

「うらちゃんとやーさんもオールマイトからの見なよ。親に来て貰わないとだから今日中には知らせなきゃ」

 

 メールを打ちながら二人に声をかけた。するとうらちゃんは微笑ましそうに、やーさんはばつが悪そうに見てくる。じっと見られるのは恥ずかしいから止めてほしいなー。

 

「……余計なこと言って悪かった」

 

「おぅ今度から気を付けてくれよなー」

 

「ひとよ、言葉遣い」

 

 やーさんの謝罪に照れ臭くて雑に返すと、うらちゃんが真顔で注意してきた。

 

「ハ、ハイ」

 

「うん!じゃあしゅうちゃん見よっか」

 

「ア、アァ」

 

 

 勿論二人とも合格していたのでうらちゃんはニコニコと、私とやーさんは二人でガクブルしながら親に結果を報告したのであった、マル。

 

 

 

 

 




主人公の携帯はスマホ型ですが、作者の好みで()()()()打ってます。


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雄英高校 高校生活スタート!
入学 ※1


 4月 春

 

「今日から遂に高校が始まる……」

 

 クラスは無事A組に入れた。被服控除(コスチューム)の申請もばっちりだ。

 入試まではチュートリアル、これからが物語の本格的な始ま「(おもう)ー!そろそろ出ないと遅れるわよ!」り、おうふ。

 

 親に出端をくじかれた……!?確かにそろそろ時間的に危なかったから助かったけど!

 

「はーい!今降りるよー」

 

 机の上の通学鞄を背負って、腕時計を身に付ける。時計の文字盤が示す時刻はかなりギリギリだったので、急いで階段を降りて1階に向かった。

 

「……本当に()()()()()()でいくのね」

 

 母は私の制服スカート姿が見たかったようで、今日まで何回も同じ事を言っていた。

 

「仕方ないよ、そういう個性なんだから。」

 

「はぁ、違和感がなくて逆に不安だわ。女の子とちゃんと仲良くなれるかしら」

 

「はいはい、じゃあ行ってきます!」

 

「車と(ヴィラン)には気を付けなさいよ!行ってらっしゃい」

 

 玄関に置いてあるイヤホン(ワイヤレス)を付けると、駅まで猛ダッシュで走っていった。

 

 

 

 雄英高校 校内

 

「首席だったから1‐Aになったなあ。予定通り!」

 

 口元のニヤニヤを手で押さえながら、1‐Aの教室へと向かう。

 

 「あった……ドアでか……。バリフリーか」

 

 おお!あそこにいるのはデク君(原作主人公)じゃないか!

 

「やあ!そこの縮毛君、おはよう!」

 

「あ……入試の時に庇ってくれたテンション高い人!お、おはよう」

 

 おや、あの時の事はそういう風に思っていたのか。特に庇った訳ではないが、その方が印象的にいいか。

 

「覚えてくれてたんだね!私の名前は六覚(ろっかく)(おもう)、君は?」

 

「ぼ、僕は緑谷(みどりや)出久(いずく)。よろしくね、六覚くん…」

 

「うん、よろしく緑谷君!それじゃあずっと教室の前で話しているのもあれだし、教室に入ろうか」

 

「え、え。ちょっまだ気持ちの準備が」

 

 いつまでも待ってたら日が暮れちゃうからねえ。しっかし、そんなに女子に見えないかあ……兵部京介そっくり―――と言っても少年の時だけど―――だもんなあ。

 

 デク君を待たずにさっさと教室の扉を開ける。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねーよ。てめーどこ(ちゅう)だよ、端役が!」

 

(おお!((ツー)トップ!!))

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

「聡明~~~~~!?くそエリートじゃねえか、ブッ殺し甲斐がありそうだな」

「ブッコロシガイ!?君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」

 

 やっべー!あの掛け合い、生で見たら面白すぎる!

 

((ハッ))

「俺は私立聡明中学の………」

「聞いてたよ!あ…っと僕縁谷、よろしく飯田くん……」

「緑谷くん……k」

 

「やあ、久しぶりだね眼鏡君」

 

「すまない、今俺は……!なっ君は試験説明の時の!」

 

「そう、六覚っていうんだ。同じクラスみたいだからよろしくね?」

 

「あ、ああ。よろしく」

 

 「あ!そのモサモサ頭は!!地味めの!!」

 

(おお!麗日ちゃんだ!)

(良い人だーーー!!制服姿やっべええ!!)

 

「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね!!そりゃそうだ!!パンチ凄かったもん!!」

「いや!あのっ…!(ほん)(とう)あなたの直談判のおかげで…ぼくは…その……

「へ?なんで知ってんの?」

「~~~……」

 

 うおっ爆豪君の顔が(ヴィラン)みたいになってる!こっえー

 

 キーンコーンカーンコーン……

 

 あっチャイムなった。もう相澤先生いるんだよな、早く座っとこう。

 

 デク君と麗日ちゃんは相澤先生に気付かず、まだ黒板の前で話し続けている。忠告はしないのかって?私は原作に忠実な(しもべ)なんだよ!

 

 「お友達ごっこしたいなら他所(よそ)へ行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

(((なんか!!!いるぅぅ!!!)))

 (きたきたきた!!相澤先生きたーーー!……と言うか麗日ちゃんのスカート!やっぱ(のぞ)いてるのか!?結構際どい位置だぞ!)

 

 

 

 

 




うわあ、頭が痛い!
全然話が浮かんでこないです。ガンバルゾー

性別を勘違いされてる主人公(笑)
そっちの方が面白そうかなと……。


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入学 ※2

 おお!本物かよ!!いやあ、すっげーな!

 

 相澤先生の登場に口角が上がってしまったので、慌てて手で押さえる。

 

 危ない危ない。ニヤニヤ笑ってるアブナイ奴だと思われるところだった。

 

(受験番号2498、六覚念(ろっかくおもう)。あの笑み、俺に気付いて?……警戒すべきか)

 

 入試の時に違和感を持たれていたのが、勘違いで悪化した。

 

「……ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

(((先生!!?)))

 

「てことは…この人もプロのヒーロー……?」

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

(((担任!!?)))

 

 相澤先生は自分が入っていた寝袋をゴソゴソと探り、その中からクラス人数分の体操服を取り出した。

 

「早速だが体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ」

 

 

 

 ―――雄英のシステムは常軌を逸する……!担任によっちゃ初日にも……!

 

 

 

 「「「個性把握テストォ!?」」」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事でる時間ないよ」

 

「……!?」

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

「「「………?」」」

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト。

 国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まあ文部科学省の怠慢だよ」

 

「六覚、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

「……?!え、えっと58mですかね」

 

 え!ここは爆豪が投げるところじゃないのか!?どうなってる……!

 

(何だあいつ、突然狼狽えた……?)

「……じゃあ"個性"を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、()よ」

 

 

「思いっきりな」

 

 ううん、何で唐突に原作から乖離したんだろ……イヤホンとかは外さずにやるか。

 

 ポケットとから黒い砂のようなものが入った瓶を取り出し蓋を開ける。

 

「分かりました、攻撃形態(ウェポン・アームズ)Ver.(バージョン)砂鉄(アンド)空気!」

 

 40cm程の砂鉄でできた黒い手が空中に形作られる。その手にソフトボールを乗せ握り込ませた。

 

「では行きます!

 

 解き放て!!

 

 

(((………え?)))

 

 ピピッ 800.3m

 

(……中々やるな)

「まず自分の"最大限"を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

「「「なんだこれ!!すげー()()()()!」」」

「800mってマジかよ!」

「"個性"思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 ありゃ、爆豪君より結構距離が伸びてしまったかな。まあ1kmいってないからセーフ?

 

「………面白そう…か」

 

ヒーローになる為の三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?

 

「……よし。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分(じょせきしょぶん)としよう」

 

「「「はあああ!?」」」

 

 おお、生で見ると目が本気(ガチ)なのが分かる。なるほど、これは原作と同じく嘘じゃないね。いやあ、本気を出さないと怒られるのかなあ……怖い怖い。

 

 

 

「相澤くんかー……」

(こりゃいきなり、どでかい受難!!)

 

 

 相澤消太

 

 CODE NAME

 抹消ヒーロー イレイザー・ヘッド

 

 通算除籍指導回数 154回

 今年度 1-A担任

 

 

 

「生徒の如何(いかん)先生(おれたち)の"自由"!ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ

 

 入学初日で暑いねえ、相澤先生!ほんとに面白くなってきた!!

 

「最下位除籍って……!」

「入学初日ですよ!?いや、初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」

 

「自然破壊…大事故…身勝手な(ヴィラン)たち……いつどこから来るか分からない厄災、日本は理不尽にまみれてる。そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー」

 

「放課後マックで談笑したかったらお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける」

 

"Plus(プルス) Ultra(ウルトラ)"さ、全力で乗り越えて来い!」

 

(洗礼と言うには重すぎる……!これが最高峰…やるしかない!)

(俺が一番に決まってんだよ!)

(~~~~~!!)

 

「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ」

 

 

 

 

 




ここで一つ説明を。
主人公のハンドボール投げの記録が爆豪を上回ったのは、主人公の偽証している個性を上手く使ったからです。

球を投げたのは砂鉄の手に見えましたが、実は砂鉄の手の中に更に空気の手が球を握っていて、それが球を()()()いました。
だから小声で「空気」と言っていたのです。

それと()()()()()()と言っていましたが、100%砂鉄ではありません。流石にポケットに入るサイズの瓶では無理です。
厳密には砂鉄in空気と言う感じで、「空気の手」の表面を砂鉄で(おお)っています。

なぜ小声で言ったり、空気だけの手を作らないかと言うと、空気の手が実用的(物を掴める等)に使える事を秘密にしたいからです。所謂(いわゆる)奥の手ってやつです。

と言う感じで"個性"的には超能力なんですが、偽証で頑張っている主人公でした!


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入学 ※3

 (だい)種目(しゅもく):50(メートル)(そう)

 

 よっしゃ!最初から原作乖離してるんなら、一位目指してもいいだろ。

 

攻撃形態(ウェポン・アームズ)Ver.(バージョン)砂鉄!」

 

 全長2m程の大きめか砂鉄の手を作り出し、その(てのひら)の上に寝転(ねころ)んだ。指をシートベルト代わりに、体が落ちないよう固定させる。

 

 しっかし、まさかの()()()()走ることになるとは……やっぱり私が増えた分、少しずつ変わっているのかなあ。

 

「ろ、六覚、お前めっちゃ優雅だな!」

 

「最下位は除籍されるというのに、(くつろ)ぎ過ぎでは?」

 

 一緒に走るのは八百(やお)ももちゃんと峰田君だった。

 

「これが一番早くて安全なんだ。それに本気出さなくても一位くらい簡単に取れるしね」

 

 八百万ちゃんと峰田君に不敵な笑みを向ける。

 

 うん、何でだろう……思ってもないのに挑発してしまったあぁぁぁ!

 

(あいつ……やはり怪しいな)

(相澤先生が六覚くんを睨んでる……?)

 

「……用意、スタート」

 ビュンッ

 

「六覚、3秒15!」

 

 うん、委員長に少し負けるくらいだね…いい感じだ。

 

「お前言うだけはあるな!」

 

「まさか負けるとは思いませんでしたわ」

 

 へへへっ、原作キャラに一目置かれている感じ……(さい)(こう)にテンション上がるね!

 

「まあね、ありがとう」

 

(これで本気じゃないのか?……分からないな)

 

 (だい)種目(しゅもく):握力(あくりょく)

 

「400kg!?六覚のその手って、なんなの!!」

「エロくはないけど、すげえな!」

 

 (だい)種目(しゅもく):()幅跳(はばと)

 

「六覚、200m」

「おお、すげえな!()()()()のが仙人みてえ!」

 

 (だい)種目(しゅもく):反復横跳(はんぷくよこと)

 

「六覚、50回」

「普通だな!」

「ははは…仕方ないよ」

 

 こればかりは素の能力でやるしかないからなあ。まあそこまで悪くはないだろうし、他の種目もあるしね。

 

 (だい)種目(しゅもく):ボール()

 

 今からデク君の番だ。やっぱり大分追い詰められた顔をしているね。

 

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ……?」

「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」

「無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」

「はあ゛?」

 

 ……頑張れ、デク君!結果を知っていても、応援したくなったよ。

 

「緑谷、46m」

「な……!今確かに使おうって……!?」

"個性"を消した

 

 相澤先生の首に巻かれていた布がほどけた。

 

「!?」

 

 あっオールマイト発見。うんうん、愛弟子だし担任が相澤先生だし心配だよね。いやあ、張り詰めた空気の中で癒されるなあ。

 

(今六覚くんと目が合ったような……?)

 

「つくづく入試は合理性に欠くよ。お前のような奴も入学出来てしまう」

「消した……!あのゴーグル…そうか……!」

 

 視ただけで人の"個性"を抹消する"個性"!!

 

「抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!!」

 

「イレイザー?俺…知らない」

「名前だけは聞いたことある!アングラ系ヒーローだよ!」

 

 

 

(「仕事に差し支える」とメディアへの露出を嫌っているからな……そうさ、緑谷少年!私は彼と―――

 

 ウマが合わないぞ!!

 

 

 

「見たとこ…"個性"を制御()()()()んだろ?また行動不能になって、誰かに(たす)けてもらうつもりか?」

「えっそんなつもりじゃ……!」

「どういうつもりでも、周りはそうせざるを得なくなるって話だ」

「昔()()()()()()()()が大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った。同じ蛮勇でも…おまえのは一人を(たす)けて木偶(デク)の坊になるだけ。緑谷出久、おまえの"力"じゃヒーローにはなれないよ」

 

 フッ

「"個性"は戻した……とっとと済ませろ」

 

「彼が心配?僕はね……(ぜん)(ぜん)

「誰きみ……?」

「指導を受けていたようだが」

「除籍宣言だろ」

 

 ああ!原作を知ってても不安になる!相澤先生、目薬指してるし!

 

「デク君、頑張れ……!」

 

「あ、あの!六覚くんは緑谷くんを応援してるの?」

 

 つい口に出してしまったのが、麗日ちゃんに聞こえたのか声をかけてきた。

 

「ええっと、麗日さん…だったかな?よろしく」

 

「うん、そうだよ!よろしくね!」

 

「それで応援してるかだけど……当然、してるさ」

 

「……そっか!私もなの…一緒に応援しよ!!」

 

 さすが原作ヒロイン!すごくいい子だ!

 

「緑谷くん、頑張れ!!」

「緑谷君、君の原点を思い出せ!」

 

「……ちっ、あいつらデクなんかを応援しやがって」

 

 ブツブツブツ

 「力の調整…僕にはまだ出来ない……!この一投で“出来る可能性”に懸けるのか?オールマイトも言ってたのに?一朝一夕にはいかないって……!ダメだ…ダメだ」

 

 頑張れ!デク君!!

 

「……見込み、ゼロ………」

 

 「まだ……」

 

「―――――!?」

 

 「まだだ!!!」

 「まだ!!!!!」

 

(おいおいマジか!)

 

 「最大限で…最小限に……」

 

(いま)!!!

 

 ピピッ

 

 ズキッズキッ

「あの痛み…程じゃない!!」

「……!緑谷、705.3m」

「先生……!まだ…動けます!」

「こいつ……!」

 

 

 

(心配になっちゃって来たけど……なんだよ少年!!―――――かっこいいじゃないか!!!)

(流石だよ、デク君(原作主人公)……!)

 

 

 

 

 




“入学 ※3"でのNGシーン
(ソフトボール投げ、デク君の後に)

「六覚、785.3m。……六覚、次に()え抜いたら即除籍だからな」

「……!はい、分かりました」

 やっべえぇぇぇ、顔が本気(ガチ)だった!ちゃんとやらなきゃまじで除籍だな……!

文字数の関係で削りました。


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入学 ※4

「わー!やっとヒーローらしい記録だしたよ、緑谷くん!」

「そうだね、なんだか力が抜けたよ」

「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい、おかしな個性だ……」

「スマートじゃないよね」

「………!!!」

 

 うわあ、次は爆豪君が大変だ……顔が般若になってるよ。

 

 爆豪君が両手を爆発させながらデク君に迫った。

 

「どういうことだ、こら!ワケを言えデク、てめぇ!!」

「うわああ!!!」

 

 暴走する爆豪君を横から飛び出てきた白い布が縛った。

 

「ぐっ……っんだこの布、固っ……!!」

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ“捕縛武器”だ。ったく、何度も“個性”使わすなよ……俺はドライアイなんだ!」

 

(((“個性”すごいのにもったいない!!)))

(さすが相澤先生……略して“さすあい”!)

 

 

 相澤消太

 視た者の“個性”を消す!

 (まばた)きすると解ける!

 

 

 髪が下がりいつものボサッとした相澤先生に戻った。

 

「時間がもったいない、次準備しろ」

 

「指、大丈夫?」

「お疲れ様」

「あ…うん……」

 

 うん……爆豪君、顔どうにかしようぜ。まじで怖いよ。

 

 

 全種目終了

 

「んじゃ、パパっと結果発表」

ちなみに除籍はウソな

「「「!?」」」

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

「はーーーーー!!!!??」

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えれば分かりますわ……」

 

 「それはどうかな」

 

 小声でそっと呟く。最初のあの目を見ていたら、どうにも嘘だとは思えなかった。

 

(……六覚には気付かれてるな)

「そゆこと、これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから、目ぇ通しとけ」

「「「………」」」

「緑谷、リカバリーガール(ばあさん)のとこ行って治してもらえ。明日からもっと過酷な試験の目白押しだ」

(((……なんなの………)))

 

 

 

 初日終了 下校時間

 

 明日はついにコスチューム……そしてヒーロー基礎学!!いやあ、テンション下がる暇がないね!

 

「六覚くん、一緒に帰ろう!あれ?緑谷くんがもういない……!」

 

「本当だね…まだ校門辺りにいるかも。急ごう」

 

 

「お二人さーん!駅まで?待ってー!」

 

「麗日さん!……と、六覚くん!」

 

「君は(むげん)女子!……と、六覚くん」

 

(むげん)女子!!)

(むげん)女子……!はははっ)

 

(うららか)茶子(ちゃこ)です!えっと…飯田天哉くんに緑谷……デクくん!だよね!!」

 

「改めて六覚(ろっかく)(おもう)だよ、よろしく……と言うより出久(いずく)じゃなくて、デクだったの?」

 

 麗日ちゃんの名シーンに迷わず乗っていく。

 

「デク!!?……六覚くんは分かって言ってるでしょ!」

 

「え?だってテストの時爆豪って人が“デクてめぇー!”って」

 

「あの…本名は出久(いずく)で……デクはかっちゃんがバカにして……」

 

「蔑称か」

 

「ごめん、ごめん…冗談だよ」

 

「えーーーそうなんだ!!ごめん!!でも“デク”って“頑張れ!!”って感じで、なんか好きだ私!響きが

 

デクです

 

「緑谷くん!?浅いぞ!!蔑称なんだろ!!」

 

「コペルニクス的転回……」

 

「コペ?」

 

「気持ちは分かるけどさ……ぶふっ」

 

「六覚くん!君は笑わない!!」

 

「いやだって、即答って……!はははっ…笑いが止まらないよ!」

 

「だから笑ってはいけないと言っている!」

 

「そ、そうだよ!頑張れって感じでいいじゃないか!」

 

「うんっ…ふふっ……そうだね、いいよね…ふふっ」

 

「「(ぜん)(ぜん)笑い止まってないけど!?」」

 

「六覚くんって笑い上戸なんだねぇ」

 

「「麗日さんも和まないで!?」」

 

「「ふふっ」」

 

 麗日ちゃんと目を合わせ、お互いに笑い合った。

 それにデク君と委員長がツッコミをいれる。

 

「じゃあ私は緑谷君って呼ぶよ、麗日さんはお茶子ちゃんでいい?」

 

((初日から女子を名前呼び!?))

 

「いいよ!私も(おもう)くんって呼ぶね!」

 

「うん、よろしく」

 

 なんだか和むなあ…今日みたいな穏やかなのがずっと続けばいいのに……

 

 

 

「安心してる時間はないぞ緑谷少年……明日からが…本番だ」

 

 

 

 

 




やっと個性テスト終わりました!
長かった……!と言うよりかは、グダグダでした。
これからヒーロー基礎学が始まるのに、大丈夫なのか……いや、大丈夫じゃない。

でも更新は頑張ります!


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授業 ※1

 昨日はデク君やお茶子ちゃん、委員長と仲良くなれて大満足な一日だった。

 今日からは授業も始まるので朝から楽しくてしょうがない!

 

「母さん、行ってきまーす!」

 

イヤホン(ワイヤレス)と腕時計忘れないようにね!行ってらっしゃい」

 

 母の言いつけ通りイヤホンと腕時計を付けて、駅へと向かった。

 

 

 教室のドアを開けると、既にデク君とお茶子ちゃんは来ていた。

 

「お茶子ちゃんおはよう。緑谷君も今日は早いんだね、おはよう」

 

「念くん、おはよう!」

 

「あ、う、うん。六覚くん、おはよう」

 

「今日から授業が始まるけど、どんな風か楽しみだね」

 

「そうだね!」

 

「相澤先生みたいに厳しいのかな……」

 

 HRまで後から来た飯田君を含めて4人でわいわい話した。

 

 

 英語の授業はプレゼント・マイクが担当していた。

 

「んじゃ次の英文のうち間違っているのは?」

「おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーーー!!!」

 

(((普通だ……)))

(くそつまんね)

(関係詞の場所が違うから……4番!)

 

 入試で燃え尽きたからもういいかな……うん。

 

 授業内容は普通だったけど、少し先生がうるさかった。

 

 

 昼は大食堂でランチラッシュが作る一流の料理を食べた。

 

「おお!ランチラッシュの料理を実際に食べられるなんて!!」

 

「六覚くんランチラッシュがすきなんだね」

「私も感動!この料理美味しいね!」

「こんなにテンションが高いところを初めて見たな」

 

 

 そして午後の授業、それは―――――

 

わーたーしーがー!!

 

「普通にドアから来た!!!」

 

()っ来た!!」

「オールマイトだ……!!」

「すげえや本当に先生やってるんだな……!!!」

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ………!」

「画風違いすぎて鳥肌が……」

 

「……(本物だよ!!!まじか!!まじかあああ!!!)」

 

(六覚少女は無反応か……)

 

 ここでも勘違いが加速した。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!!単位数も最も多いぞ!」

 

「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

 オールマイトが力を溜め思いっきり前に突き出したのは、“BATTLE”と書かれたカードだった。

 

「「「戦闘……訓練……!」」」

 

 皆から戦意が(ほとばし)る!

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

 

「「「!?」」」

 

 ガゴッという音と共に黒板の横の壁から棚がせり出してきた。

 

「入学前に送ってもらった“個性届(こせいとどけ)”と“要望”に沿ってあつらえた……戦闘服(コスチューム)!!!」

 

「「「おおお!!!!」」」

 

 ついにあの能力が使えるようになるのか……!凄くテンションが上がるね!!

 

「女子は教室、男子は今から案内する所でね。着替えたら順次グラウンド・β(ベータ)に集まるんだ!!」

 

「「「はーい!!!」」」

 

 

 オールマイト先生が教室を出るのに続いて、男子たちも廊下にコスチュームを持って出ていく。

 

「あれ?念くんも早く廊下にでないと!女子が着替えられないよ!」

 

「ああ、それは「六覚くんは女子だぞ!男子用制服着用の許可もしっかり取られている!ではグラウンドで!」……うん、今オールマイトが言った通りだよ」

 

 説明しようとしたらオールマイトがドアから顔を出して全部言ってくれた。

 

「「「まじか!?」」」

 

「なんか騙してたみたいでごめんね?個性の能力的問題で女子用の制服だと支障が出るんだ」

 

 私からもきちんと事情を説明して謝っておく。

 

「なんだ、そう言うことだったんだ!」

「いいよいいよ!別に謝ることじゃないでしょ!」

「それより男子は早く教室から出ようね!」

 

 このクラスの女子はなんて暖かいんだ……!あと固まってる男子諸君すまない!

 

「……うん!ありがとう」

 

「じゃあさっさと着替えよう!」

「そうだね!急ごう!」

 

 

 机の上でコスチュームが入ったケースを開ける。中には要望通り学ランと日本刀とジュラルミンケースが入っていた。

 

「あっ襟章…これも作れたんだ……!」

 

 リミッターの襟章は「力を抑える装置」としか書いていなかったのに、完璧に仕上げられていた。

 

 流石はサポート会社……!意味不明なその技術力よ!!

 

 学ランを着て襟章を付け、腰の剣帯に日本刀を差し込む。そしてジュラルミンケースを手に持ち、グラウンドへ向かった。

 

 

 

恰好(かっこう)から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!」

 

「自覚するのだ!!!!今日から自分は……ヒーローなんだと!!

 

「さあ!!始めようか有精卵共(ゆうせいらんども)!!」

 

 

 

 窓ガラスに写る自分を見る。そこにいるのは黒髪の幼い兵部京介だった。

 

「……楽しくなってきた!」

 

 

 

 

 




少し間が空きましたが、無事投稿できました。

次回は戦闘シーンが入るので、また遅くなると思います。戦闘シーンとか書いたことないですからね……うわあ悲惨な出来になりそうで怖いです。

ジュラルミンケースは戦闘の邪魔では?という質問ですが……背中にくっつきます。謎の吸着力で戦闘になっても離れませんし、落ちません。サポート会社の技術力は意味不明です。以上です。


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授業 ※2

今回戦闘シーンがあると言ったな……それは嘘だ!

はい、すみません。戦闘は次回に持ち越しです。話が全く進んでなく、申し訳ないです。

それでは、どうぞ!


 ―――「被服控除」とは入学前に「個性届」、「身体情報」を提出すると学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム!「要望」を添付することで便利で最新鋭のコスチュームが手に入るよ!

 

 

「うわあ(かん)(ぜん)に兵部京介だな……コスプレ?」

 

 襟章のリミッターも、イヤホンや腕時計を付けていなくてもしっかり能力が抑えられている。

 

 サポート会社の技術力は世界いちぃぃぃぃぃ!

 

 

 

 

「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

「デクくんは地に足ついた感じでかっこいいね!(おもう)ちゃん?のコスチュームは学ランなんだ!」

 

「ほんとだ、学ラン!麗日さ……うおお……!」

 

 デク君とお茶子ちゃんはコスチュームが学生服だったので驚いているようだった。途中お茶子ちゃんのコスチュームを見てデク君が挙動不審になった。

 

「“くん”でいいよ、この見た目だしね」

 

「分かった!でもなんで学ラン?」

 

「この格好が……一番しっくりくるから…かな」

 

「確かにすごく似合ってるね!」

 

「う、うん。な、なんだかとてもかっこいいな!」

 

 まあ兵部京介だからね……兵部京介は学ランが一番なんだよ、うん。

 

「デク君とお茶子ちゃんも似合ってるよ」

 

「ははは…要望ちゃんと書けばよかったよ。パツパツスーツんなった…はずかしい……」

 

 お茶子ちゃんは恥ずかしそうにそう言っているが、似合っていてとても可愛いです……ぐっじょぶ!

 

「「ヒーロー科最高……!!」」

 

「ええ!?」

 

 峰田と声が被り顔を見合わせると、二人でグーサインを出し合った。デク君は横であたふたしている。

 

「分かるか、六覚!」

「これだけは同意だな、峰田君」

 

 但しこれ以上峰田君と盛り上がると、女子からのヘイトがやばくなるのでスルーした。

 

 

 

「良いじゃないか皆!カッコイイぜ!!……ムム!?」

 

 オールマイトがデク君のコスチュームを見て笑いを(こら)えている。

 

 うんうん、自分をリスペクトしているの(じか)で見ると微笑ましいもんね。デク君、和むわ……

 

「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」

 

 「あっ飯田くんだったんだ!カッコイイ……!」

 「そうだね、後ろに付いてるのとか羽みたいだ」

 

 

「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での()()()()訓練さ!!」

 

 なるほど……目立つのは屋外での(ヴィラン)退治だけど、数で言えば屋内の方が出現率が高いんだな。

 

「真に(さか)しい(ヴィラン)屋内(やみ)にひそむ!!君らにはこれから“(ヴィラン)組”と“ヒーロー組”に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

 

「!!?」

「基礎訓練もなしに?」

 

「その基礎を知る為の実践さ!ただし今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ!」

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントヤバくない?」

 

「んんん~~~聖徳太子ィィ!!!」

 

「ぶはっ」

 

 皆が一斉に質問しだしたので、オールマイトは歴史上の偉人に助けを求める。それが思った以上に面白くて吹き出してしまった。

 

(生の聖徳太子ィィは面白すぎる!!)

 

「六覚くん!君ひどいな!……いいかい!?状況設定は“(ヴィラン)”がアジトに“核兵器”を隠していて“ヒーロー”はそれを処理しようとしている!“ヒーロー”は制限時間内に“(ヴィラン)”を捕まえるか“核兵器”を回収する事。“(ヴィラン)”は制限時間まで“核兵器”を守るか“ヒーロー”を捕まえる事!」

 

(((設定アメリカンだな!!)))

(((てかカンペ……!)))

 

 なんていうか……カンペ!アメリカンだけど……カンペ!

 

「ぶはっごほっごほっ」

「ろ、六覚くん!笑いすぎだよ!」

「念くんはやっぱり笑い上戸だね!」

「う、うん。頑張って止めてるんだけどね……ごほっ」

 

 オールマイトの行動に笑いが止まらなくて咳まで出てきた。

 

 ぐふっ、わ、笑いしぬ!そろそろ止めないとオールマイトの視線が痛い……!

 

「……ゴホンッ、コンビ及び対戦相手はくじだ!1つ何も書いてないのがあるけど、その子はAチームね!Aチームは3人と有利になるけど、そういう状況はざらにあるから特にハンデとかはないよ!」

 

 オールマイトはスッとくじ引き箱を取り出した。

 

「適当なのですか!?」

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いし、そういう事じゃないかな……」

「そうか……!先を見据えた計らい…失礼致しました!」

 

「いいよ!!早くやろ!!」

 

 皆で順番にくじを引いていく。原作通りのメンバーと追加でAチームに私が入った。

 

 ―――Aチーム、麗日お茶子&緑谷出久&六覚念

 

「すごい!縁があるね!よろしくね!」

「よろしく、お茶子ちゃんにデク君」

「よ、よろしく!」

 

「続いて最初の対戦相手はこいつらだ!!Aチームが“ヒーロー”!!Dコンビが“(ヴィラン)”だ!!」

 

 ―――Dチーム、飯田天哉&爆豪勝己

 

(ヴィラン)チームは先に入ってセッティングを!5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」

 

「飯田少年、爆豪少年は(ヴィラン)の思考をよく学ぶように!これはほぼ実戦!ケガを恐れず思いっきりな!度が過ぎたら中断するけど……!」

 

「「…………」」

 

 デク君と爆豪君の二人をつつむ空気は重たかった―――――

 

 

 

 

 



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授業 ※3

 対戦が始まるまであと5分―――

 

「建物の見取り図…覚えないとねコレ!相澤先生と違って罰とかないみたいだし安心したよ。オールマイトって優しくてテレビのイメージと変わらんね」

「そうだね、それに大分面白い人だったようだし」

「………」

 

 デク君から返事がなかったのでお茶子ちゃんと顔を見合わせる。二人でデク君の方を見るとひきつった笑顔を浮かべ、全身を震わせているデク君がいた。

 

「安心してないね!!」

「おいおい大丈夫?」

 

「いや……その……」

 

 デク君は俯きながら話し出す。

 

「相手が……かっちゃんだから…飯田くんもいるし……ちょっと…だいぶ身構えちゃって……」

「そっか…爆豪くんバカにしてくる人なんだっけ……」

「凄いんだよ、嫌な奴だけど……目標も、自信も、体力も……“個性”も僕なんかより何倍も凄いんだ。でも……だから()()負けたくない……なって」

 

 ……どんどん成長してるな、デク君は!今回は私も全力を出そう!君を応援したいと前世から思ってるんだぜ!

 

「それなら私も協力するよ」

「男のインネンってヤツだね……!!?」

「あっいやゴメン!麗日さんや六覚くんには関係ないのに……!」

「あるよ!チームじゃん!!頑張ろう!」

「ああ、そんな寂しい事言うなよ。勝つ為に手伝うぜ!」

「―――――!!」

 

 試合前にまた少しデク君とお茶子ちゃんと絆が深まった気がした。

 

 

 

 屋内対人戦闘訓練 開始(スタート)

 

 ビル地下 モニタールーム

 

「さあ君たちも考えて見るんだぞ!」

「「「はい!」」」

 

 

 

攻撃形態(ウェポン・アームズ)Ver.(バージョン)砂!」

 

 グラウンドの砂から全長1m程の手を3つ作り出す。

 

「これの上に座って」

「了解!」

「す、座ってたら敵が来た時迎撃しにくいよ」

「大丈夫。建物に入るまでだし、ちゃんと対策はあるよ」

 

 パチリと指を鳴らすと砂が浮かび上がり、30cm程の手が40個ほど出来上がった。

 

「これは自動迎撃型だから、爆豪君が相手でも体勢を整えるくらいは簡単にできるよ」

「それなら行けるね!」

「じゃあ行こう」

 

 デク君も納得してくれたので、それぞれ手に乗り込む。

 

「浮かべ」

 

 作戦は「2階から侵入したら二手に分かれて核兵器を探し、発見したら小型無線機で連絡。合流してから確保」だ。

 

 2階の窓を開けて中に忍び込む。1mの手は屋内で邪魔になるので、分解して迎撃型の手に砂を合体させ強化した。

 

「潜入成功!」

「死角が多いから気をつけよう……」

「じゃあお茶子ちゃんと緑谷君は上を頼む。私は2階と1階を探すよ」

「また後でね!」

「敵に気をつけてね!」

「了解」

 

 

 二人と分かれた後はその場で迎撃型の手を分裂させ、2階と1階を捜索した。今は何もなかったので3階へと続く階段の方に向かっている。

 

 核兵器見付からないなあ……原作では1階に爆豪君がいたのに、実際にはいなかったし。これは大分原作から乖離してるね……

 

 警戒しながらも早足で上の階を目指していると、小型無線機からお茶子ちゃんの声が聞こえてきた。

 

『念くん!3階でデクくんと爆豪くんが戦ってる!私と念くんは核兵器の確保にいくよ!』

 

 まさか!爆豪君が3階にいたとは……やっぱりデク君と戦うのは決まってるんだな。

 

『了解、窓から4階に侵入する。4階を探索し終えたら、5階へ続く階段で合流しよう』

 

 走りながら窓の外に手を先行させ、迎撃型を数個合体させ1mの手を作る。窓の所にに着くと急いで手に乗り、4階へと向かった。

 

 

 階段で合流して5階を目指す。階下から爆発音が散発して聞こえてくる。

 

「お茶子ちゃん、緑谷君は大丈夫?」

「うん、達人みたいに爆豪くんを投げ飛ばしてたよ!」

 

 そこは原作通りなのか……てことは早めに核兵器の所に行かないとな。

 

 

 ビル地下 モニタールーム

 

「あいつらなに話てんだ?音声ないとわかんねえな」

「15分の間に核の確保か敵の捕縛。ヒーロー側が圧倒的に不利ですね、コレ」

「相澤くんにも言われたろ?アレだよ、せーの!Plus Ult「あっムッシュ、爆豪が!」…………」

「なんかすっげーイラついてる。コワッ」

(爆豪少年は緑谷少年から聞いた感じ自尊心の塊なんだろうが……肥大化しすぎてるぞ……ムムム…!)

 

 

 『核兵器、5階で発見。その前方に飯田君が立っている模様』

 「後はデク君が来るまで見つかんないように……」

 

 飯田君がブツブツと独り言を言っているのを、お茶子ちゃんが聞き取ろうとしている。

 

 「爆豪くんはナチュラルに悪いが今回の訓練に関しては的を射ているわけだ……ふむ、ならば僕も(ヴィラン)に徹すべきなのだ…そうだ。これも飯田家の名に恥じぬ立派な人間となる為の試練!なりきれ!!」

 

「俺はぁ、至極悪いぞぉお」

 

(真面目や!!)

「ぶふっ」

 

 あっお茶子ちゃん、やってしまった。止めなかった私もあれだけど……うん、あれは笑ってしまうよね。

 

『お茶子ちゃん、私はまだ見つかってないからここからは別行動で』

『うん……デク君ごめん!見つかっちゃった!』

『……!場所は!?』

『5階の真ん中フロア!』

『ほぼ真上だ!!』

『私は見つかってないから隙を見て核兵器を確保するよ』

 

「来たか、麗日くん……!君が一人で来ることは予想済み!だから先程君対策でこのフロアの物は全て片付けておいたぞ!これで君は小細工出来ない!ぬかったなヒーロー!!フハハハハハ」

「様に……!!なってる……!!」

 

 お茶子ちゃんと飯田君がじりじりと向かい合う最中(さなか)、ドオオオン!という爆発音が響きビル全体が揺れた。飯田君は突然の事に動揺し、その隙を突きお茶子ちゃんが核へと飛びかかった!

 

「させない!」

 

 飯田君は核を抱え、エンジン音を鳴らしながらお茶子ちゃんから逃げる。

 

「君の“個性”は触られない限り脅威ではない!!このまま時間一杯粘らせてもらうぜ!ぐへへへへ!」

「ぬう……!デクくんも頑張ってるのに……!」

 

 

『麗日さん!六覚くん!行くぞ!』

『はい!』『了解』

 

 ―――5階の床が吹き飛んだ!

 

「飯田くん、ごめんね!即興必殺!彗星ホームラン!」

「ホームランではなくないかーーーーー!!?」

 

 

『―――核の上空に着いた。今から確保する』

 

『六覚くん!』『念くん!』

 

 手の上からトンっと飛び降りる。

 

「核兵器確保」

 

 これで終了、ってね!

 

【ヒーロー……ヒーローチームWIIIIIN(ウィーーーーン)!!】

 

 

 

 

 




最後は決着まで駆け足でした。ダイジェストっぽくなっています。
うん、主人公は戦ってないっていうね……


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授業 ※4

「爆豪君、そろそろ行こう。まだ講評が残ってるよ」

「そうだぞ爆豪少年!勝ったにせよ負けたにせよ、振り返ってこそ経験ってのは活きるんだ!」

 

 私たちの勝ちをオールマイトが宣言してから、倒れたデク君を搬送ロボットが運んでいった。そして呆然としていた爆豪君をオールマイトと一緒にモニタールームまで誘導する。

 

「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら……」

「勝負に負けて試合に勝ったというところか」

「訓練だけど」

 

 

「さあ講評の時間だ!まあつっても今戦のベストは飯田少年だけどな!!」

「勝ったAチームの(いず)れかじゃないの?」

「何故だろうなあ~~~?わかる人!!?」

 

 クラスメートたちの前に立って講評を聞く。オールマイトの問いかけに八百万さんが手を挙げた。

 

「ハイ!オールマイト先生」

「じゃあ八百万少女!」

 

「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたからです。爆豪さんは私怨丸出しの独断に、屋内での大規模攻撃。これは緑谷さんも同様です。麗日さんは中盤での気の緩み、そして仮にも“核兵器”という張りぼてへの乱暴な攻撃。六覚さんは特に欠点もなかったですが、逆に積極性もなかった。最後の気配を消して忍び寄る所だけの活躍でした。それに対して飯田さんは相手への対策をこなし、且つ“核”の争奪をきちんと想定していたからこそ最後対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは“訓練”だという甘えから生じた反則のようなものですわ」

 

 八百万さんの的を射た講評に皆シーンとなる。

 

(思ってたより言われた!!!)

「ま、まあ飯田少年もまだ固すぎる節はあったりするわけだが……まあ正解だよ、くう……!」

 

 言いたいことを全て言われたからか、オールマイトは少し落ち込んだ。

 

「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」

 

「うん!良い心がけだね!それと六覚少女、訓練だからこそ積極的にやろうね!」

「はい、分かりました」

 

(いやあ流石、推薦入学者1号)

 

 策敵や二人のサポートに徹して本気を出さなかったことがバレていたようだった。

 

 

 第2戦目は轟君と障子君のコンビ対尾白君と葉隠さんコンビだった。

 

「戦闘訓練スタート!」

 

(これも原作通り……私以外は変更なしなのか)

 

 原作乖離がどこまであるのだろかと少し考える。オールマイトの声にモニターを見ると轟君が動き始めたところだった。

 結果は轟君がビル全体を凍らしそれから悠然と核を確保、早々(はやばや)とヒーローチームが勝利した。

 

(こっわ!凍るスピードも速いし、こっちも流石推薦入学者2号だな)

 

 その後もヒーローチームが勝ったり、ヴィランチームが勝ったりと試合は進んでいった。

 

 

「皆お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ上出来だったぜ!」

 

 真摯に取り組んだ、のところでオールマイトと目が合う。謝罪の意味も含めて手を合わせて、顔の前にかかげた。

 

(ほんとすみません!)

(次はないよ!)

 

「相澤先生の後でこんな真っ当な授業とか、拍子抜けというか……」

「真っ当な授業もまた私たちの自由さ!それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!皆は着替えて教室にお戻り!」

「なんか急いでるな?オールマイトかっけえ」

 

 授業終了を告げるとオールマイトは爆走していく。少し後ろを振り返り爆豪君を気にしているようだった。さっきから爆豪君は俯いたままで一言も話さない。

 

(爆豪君はデク君が後で励ますから放置でも大丈夫。それより今は保健室に行くべきか……秘密がバレるまで待つべきか……)

 

 早いうちからオールマイトの秘密を知る者になるのか少し悩む。

 

(USJの時にフォローできれば活動限界が短くなるのを防げるかもしれない……よし急ごう!)

 

「念くん、早く教室行こう!遅くなると次の授業に遅れちゃうよ!」

「ごめん!ちょっと保健室に行ってくる!先に行ってて!」

「え!怪我したの!?」

 

 お茶子ちゃんの心配する声を背に、指を鳴らし足下に一人が乗れる程の手を作り保健室へ飛んで行った。

 

 

 

 

 




主人公は何だかんだ言って、手を抜いてたらしいです……!
作者にも何が起こったのか分からない!

主人公は30cmくらいまでなら指パッチンで作れます。無言でも出来ますが動作(トリガー)を伴った方が確実性が増します。
指パッチンなのはノリです。鳴らせるようにすごく練習した主人公です。


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